衆議院

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第6号 平成22年11月25日(木曜日)

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平成二十二年十一月二十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 階   猛君

   理事 福田 昭夫君 理事 大野 功統君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石田 芳弘君    石原洋三郎君

      内山  晃君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    川越 孝洋君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    永江 孝子君

      平岡 秀夫君    藤田 憲彦君

      松岡 広隆君    松崎 公昭君

      山岡 達丸君    和嶋 未希君

      渡辺  周君    赤澤 亮正君

      石田 真敏君    加藤 紘一君

      川崎 二郎君    佐藤  勉君

      柴山 昌彦君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   総務大臣政務官      森田  高君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          利根川 一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            田中 栄一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           金谷 裕弘君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  石井  章君     石原洋三郎君

  逢坂 誠二君     松岡 広隆君

  中後  淳君     川越 孝洋君

  橘 慶一郎君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     石井  章君

  川越 孝洋君     中後  淳君

  松岡 広隆君     逢坂 誠二君

  柴山 昌彦君     橘 慶一郎君

    ―――――――――――――

十一月二十四日

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、放送法等の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法等の一部を改正する法律案

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 放送法等の一部を改正する法律案及び高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、放送法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。

 通信・放送分野におけるデジタル化の進展に対応した制度の整理合理化を図るため、各種の放送形態に係る制度を統合し、無線局の免許及び放送業務の認定の制度を弾力化する等、放送、電波及び電気通信事業に係る制度について所要の改正を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、放送に係る制度の整理合理化を図るため、放送関連の四つの法律を一つに統合するとともに、放送を基幹放送と一般放送に区分し、放送の業務の参入について、基幹放送は認定、一般放送は登録とするとともに、放送の業務と電気通信設備の設置、運用を一の者で行うことも、それぞれを別の者が担うことも選択可能にする一方、地上放送において放送の業務と無線局の設置、運用を一の者が行う場合には、無線局の免許のみで足りる現行の制度も併存させることとしております。

 第二に、放送の多元性、多様性等を確保するため、基幹放送について、いわゆるマスメディア集中排除原則の基本的な部分を法定化し、複数の基幹放送事業者への出資に関しては、一定の範囲内において定める水準を超えないことを原則とすることとしております。

 第三に、放送についてはこのほかに、設備の維持、重大事故が発生した場合の報告、放送番組の種別の公表、有料放送の提供条件の説明、再放送同意をめぐる紛争に係る電気通信紛争処理委員会によるあっせん及び仲裁等に関する規定を整備することとしております。

 第四に、電波利用に係る制度の合理化、弾力化を図るため、主たる目的に支障のない範囲で、一つの無線局を通信及び放送の双方の目的に利用することが可能となるよう、無線局の免許及び目的変更の許可に関する規定を整備するとともに、免許を要しない無線局の空中線電力の上限の見直し、携帯電話基地局の免許の包括化、電波監理審議会による意見の聴取等に関する規定を整備することとしております。

 第五に、電気通信事業に係る制度の整理合理化を図るため、いわゆるコンテンツ配信事業者等と電気通信事業者との間における電気通信役務の提供をめぐる紛争等に係る電気通信紛争処理委員会によるあっせん及び仲裁、第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者の接続会計に関する規定を整備するとともに、有線放送電話に関する法律の廃止及びこれに伴う規定の整備等を行うこととしております。

 第六に、附則において、政府は、この法律の施行後三年以内に、表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするための制度のあり方について、放送の健全な発達を図り、国民にその効用をもたらすことを保障する観点から、新聞社、通信社その他のニュースまたは情報の頒布を業とする事業者と基幹放送事業者との関係、いわゆるクロスメディア所有規制のあり方を含めて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、電気通信紛争処理委員会の委員の任命に関する改正規定等は公布の日から、免許を要しない無線局に関する改正規定等は公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から、放送番組の種別の公表に関する改正規定等は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 引き続きまして、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、デジタルテレビジョン放送の送信設備等の整備を引き続き促進するため、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の廃止期限を平成二十七年三月三十一日まで延長するものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

原口委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、放送法等の一部を改正する法律案に対し、黄川田徹君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の五派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

    ―――――――――――――

 放送法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。

 第百七十四回国会に提出されました放送法等の一部を改正する法律案は、同国会において、各党間で修正協議がなされていたもののうち、電波監理審議会の建議に関する規定について削除修正の後、参議院に送付されましたが、同院において審査未了、廃案となりました。

 本改正案は、同規定を削除した上で今国会に再提出されたものであります。

 今国会への再提出を受け、さきの委員会審査等で明らかとなった問題点について、改めて各党間で修正協議いたしました結果、本修正案が取りまとめられました。

 次に、修正案の主な内容について申し上げます。

 第一に、日本放送協会の経営委員会の構成員に会長を加える改正並びに経営委員、会長、副会長及び理事の欠格事由を緩和する改正を行わず、現行どおりとすることとしております。

 第二に、政府は、法律の施行後三年以内に、表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするための制度のあり方について、いわゆるクロスメディア所有規制のあり方を含めて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を削除することとしております。

 第三に、政府は、この法律の公布後一年を目途として、日本放送協会の役員に係る欠格事由のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする検討条項を設けることとしております。

 以上が、修正案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信国際戦略局長利根川一君、情報流通行政局長田中栄一君及び厚生労働省大臣官房審議官金谷裕弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより両案及び修正案に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 放送法等の一部を改正する法律案、政府案につきまして質問をさせていただきます。

 まず、放送というものの定義についてお伺いをいたしたいと思います。

 本法案では、放送は「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信」と定義をされておりますが、この定義で、インターネットのニコニコ動画やあるいはユーチューブなどの動画サイトが放送でないことを、前の内藤副大臣が、ことし五月二十五日の総務委員会で共産党の塩川委員の質問に答えてそのことを明言されました。そこまで明言をされているにもかかわらず、法律では明示せずに、一般放送の種類をなぜ省令に委任されるのか。それから、当時の内藤副大臣は、放送の定義のキーワードとして、公衆、直接、送信、これらを合わせわざで理解をいただきたいと答弁をされておられます。

 もう一度、このキーワードを使って放送の定義をわかりやすく説明していただきたい。これは確認のためでございますけれども、今後、例えば訴訟問題があったときに、この定義の問題というのは非常に大きな要素を占めてくる問題でありますし、行政裁量も絡む問題でありますので、わかりやすい御説明をお願い申し上げたいと思います。

片山国務大臣 放送の定義につきましては、先ほどるる経緯を坂本議員がお話しになられましたけれども、私も、その経緯で、お話しになられたことに全く異論はありません。

 法律では、先ほどお話しになられましたように、「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信」となっておりますが、その場合、「公衆」というのは不特定多数という意味でありますので、送信者に対する受信者からの要求に応じてその受信者に対して行う送信は、相手が特定された送信となりますので、「公衆」には当たらないという解釈が出てくると思います。

 したがって、お触れになったニコニコ動画とユーチューブというものはこれに当たらない、私もそう解釈をしております。

坂本委員 了解をいたしました。

 いろいろな見方がございます。やはり行政裁量で、今後、その免許、許認可も含めて、これからいろいろな問題が起きてくる可能性もありますので、この辺はしっかりと、これから定義の枠というものを私たちは考えていかなければいけないと思っております。

 次に、クロスメディアの所有規制の問題についてお伺いをいたします。

 これは、私自身が五月十八日の総務委員会で質問をいたしました。質問の内容は、これはマスメディアの集中排除と一体をなすものといいますか表裏の関係にもございますけれども、このマスメディアの集中排除について、五分の一の株所有規制から三分の一規制に緩和を今回の法律でやられております。その一方で、クロスメディア所有規制を、三年以内に改正放送法の規定に係る制度のあり方について検討を加えるというものでありまして、これが附則として突然入ってきている、この附則として入ってきたことの不自然さを私は質問させていただきました。

 当時の原口大臣は、急激にメディア環境が変化をしている、さまざまなニューメディアというものが出てきている、それに対応するために、早期に検討を加えるということで、三年以内の検討ということにしたというふうに答えられております。

 クロスメディア所有規制というのは本当に重要な問題でありまして、既存のさまざまなメディアに与える影響は非常に大きいものがあります。だからこそ、私は、附則としてではなくて、やはり十分な審議を経て、本則として、あるいはまた新たな制度として入れるべきではないか、その附則として入れた不自然さを問うたものであります。

 附則としてなぜ入ったか、当時の大臣のいろいろな思惑があるのではないか、将来に対する深謀遠慮があるのではないかということで、いろいろ考えました。折しも、新しい大臣になって、タスクフォースが設置をされております。そのタスクフォースとクロスメディア所有規制の関連がないかどうかというようなことにも思いをめぐらせました。

 そして、結局、あえていろいろな理論をつけるならば、例えばタスクフォースの中では、光の道構想というのがどういう形で、どういう方法論で今後実現されるかというようなことが話し合われます。それは、そのままNTTの経営形態をも左右する問題であります。将来的には、メディアと、光の道によって生まれる新たなメディアビジネスというのもそこに考えられるわけであります。

 そして一方で、当時、大臣あるいは副大臣にNTT労組の方から三百万円あるいは二百万円の献金があっておりました。そこにもし何らかの因果関係あるいはいろいろな行為というのがあるとするならば、それは事前収賄にも当たるのではないかというようなことまで私自身が理論づけてきたわけです。

 やはり附則として唐突に入ってくることの不自然さ、そういったものがさまざまな疑惑を招く、そしてそのことは、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れず、このことわざどおりに削除すべきではないかということで追及をしてまいりました。

 今回、修正案として削除となりましたけれども、そのことについては、私は、さまざまな問題をもう一回もとに戻して、クロスメディアの所有規制の問題については一から話し合うんだということでは、非常に真剣で、そして慎重な取り組みを得る機会を得たというふうに評価をいたします。

 そこで、クロスメディアの所有規制の問題についてでございますが、さまざまなニューメディアが出現をしております。一般論で言えば、このクロスメディアの所有規制というのは強化されるべきである。いろいろな形で言論を封殺する、そういう方向に向かわないように、やはりクロスするメディア、新聞、ラジオ、テレビ、そういったものがお互いに株を持ち合って、そしていろいろな形で言論が単一になることを防ぐという意味では、私は、これから大事なことであり、十分論議をしなければいけないことであるというふうに思います。

 しかし、その一方で、一概にそうとだけは言えない問題もあります。それは、やはり地方の放送局、そして地方の経営形態、このことを考えた場合であります。

 地方における放送局、あるいは新聞社も含めて、広告収入が激減しておりますし、一方では、地デジに対応する新たな中継等の整備というのも必要でありますし、それぞれの放送局は、非常にその資金調達に苦慮しているのが現実であります。

 そういう中で、それぞれの県で、あるいはそれぞれの地域で、やはり地方独自の言論の多様性あるいは地域の文化、こういったものを支えていっているのが地方の放送局であり、あるいは新聞社であり、地方にあるさまざまなメディアであるというふうに思いますし、そのことは、私は、非常に良心的であるし、良識的であるし、懸命に努力をされているというふうに思います。

 そして、一方で、地方の経済基盤というのは非常に脆弱であります。そういった脆弱な中で、中央で考えるようなマス排やあるいはクロスメディアの所有規制、それをそのままは当てはめていくならば、ますます地方の放送事業者は、あるいは新聞も含めて、非常に厳しい状況になってくるというのは火を見るよりも明らかでありますし、何よりも、言論機関以外の産業がその中に多数入ってくることによって地方の言論の質が変質していくということが十分考えられ、その危険性を私たちは覚えます。

 我が国では、新聞におきましても放送事業者におきましても、いわゆるニューメディアと区別するための基幹放送という分野におきましても、ビジネスとしてスタートした欧米のメディア産業と、やはり社会の木鐸や正義感や、あるいは地方経済やということからスタートしました日本のメディアというのは本質的に違うものがあるというふうに私は思います。

 確かに、グローバル化で、さまざまなメディアの参入によってそれを防ぐことは大切でありますけれども、地方の多様な文化や多様な言論を守ることは大切でありまして、そのことは、やはり地域にある放送局、新聞社、あるいは言論にかかわるさまざまな企業、こういった人たちがやはり連携していくことが大切であるというふうに思います。

 そういう中で、クロスメディア所有規制あるいはマス排について検討が行われていくと思いますけれども、やはり地方の実態あるいは自主性、そして言論界ということの意味、それを十分考えながら、改めてこのクロスメディアの所有規制の問題については取り組んでいただきたいというふうに私は思うわけですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 坂本議員のお話を伺っていて、私も全く共感いたします。

 恐らく、議員の御地元よりも私が知事をしておりました地域は、御指摘になった問題はより深刻な面もあります。経済が非常に脆弱である、その中で地域のメディアというものの自主性とか自律性とか多様性、そういうものを維持していかなきゃいけない、そういうところで呻吟しているというのは私も身近で見ておりました。

 この問題を考える上では、そういう全国一律の原理原則、集中排除という原理原則をもちろん失わないようにしなければいけない、一方では、地方の多様性とか独自性、そういうものを尊重しなきゃいけない、それをどういうふうにバランスさせていくのかという複眼的な思考、物の見方が必要だろうと思います。そんなことも含めてこれから検討していきましょうというのが、この附則の検討条項だと私は思います。

 附則にこの種の検討条項を置くのは何か他意があるのではないかという趣旨のお話もありましたけれども、私も長年、法案作成などにかつて携わったことがありますけれども、今物事をきちっと決められなくて、今後のいろいろな社会の変化とか事情の変化に応じて物事を検討して詰めていきましょうというときには、おおむね検討条項というものを法案の中に入れます。入れる場所は、大体附則であります。ですから、その点は御懸念がなきようにお願いしたいとは思いますけれども、おっしゃった趣旨については私も非常によく理解できますし、共感するところ大でございます。

坂本委員 検討条項を附則に入れるということ、その趣旨はわかりますが、やはり事が、日本全体の言論界や、あるいは地方の文化や言論や地方の特性そのものにもかかわってくる問題でありますので、私は、附則として加えるということについては反対であります。

 ですから、もう一度そこは、言論界も含めて、そして地方の意見も含めて十分に練り直す、そしてよりきめ細かなクロスメディア所有の対応策、マス排の問題を考えていくのが常道であろうというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 もう一点、それに絡む問題でありますが、二〇〇八年に認定放送持ち株制度というのがスタートいたしました。日本は、いろいろな大きなマスメディア、あるいは全国を貫くようなマスメディアがなかなか誕生しない、CNNのようなところができない、そういうものも含めて、これからさまざまに予想されるニューメディアや言論界の変化に対応して、要するに持ち株制度というのが設けられ、その持ち株会社のもとにさまざまなテレビ局あるいは新聞社、そういったものがぶら下がるという形で整備された法律でございます。特に地方のテレビ局にとっては、救世主というような言い方をされました。

 しかし、現実に運用されて二年になるわけですけれども、結果として今現象として出てきておりますのは、やはり在京のキー局を念頭に置いた、そういう制度でしかなかったのではないか、もっともっとこれをいろいろな形で掘り下げる必要があるのではないかということでございます。

 例えば、近年設立されました非常に系列性が強いテレビ局、このテレビ局にとってはこの持ち株制度というのはある面ではありがたいことでありますし、その中にホールディングスとして包含されるという可能性を持っております。しかし、一方で、先発の放送局、あるいは新聞社も含めて、いわゆるしにせと言われる放送局、地域でいえば民族系の放送局と言われる、系列に余り属さない、独自の言論を地域で展開しているテレビ局等にとりましては、やはり非常に厳しいといいますか、利点のない制度というふうになっております。

 全国で、例えばテレビ四社系列の○○ホールディングスというのが誕生して、その中に在京あるいは在阪含めてさまざまな放送事業者が包含をされていきますけれども、その中に、独自の展開をしているテレビ局というのはなかなか一緒にできない、包含されないという問題があります。

 例えば、非常に地域で独自の言論や文化をつくり出している北海道とか、名古屋を含む愛知県とか、あるいは広島を含む中国地方の一部とか、こういったところにつきましては、北海道のテレビ局にいたしましても、あるいは中部地方の名古屋を中心とする新聞、テレビにいたしましても、独自の言論なり、独自の資本で言論を展開しているわけですね。同じように、南九州等もしかりでございます。

 こういう独自でみずからやってきた放送局というのは、結局、最終的にはローカルに立脚をしていかなければなりません。ということになると、ローカルにある言論機関というものとやはり連携をしていくということになります。そうしますと、どうしてもそこには地方紙との連携あるいはブロック紙との連携、そして一方でラジオとの連携、そういったものを進めていかざるを得ません。また、そのことが地方の文化や地方の言論を守ること、確保することにもなっていくと私は思いますので、それはそれでやはりしっかりと守っていかなければいけないと思います。

 そういう中で、一方でクロスメディアの所有規制がある、一方でマスコミの集中排除で非常に厳しいものが覆いかかってくる、一方でテレビ局の、あるいは新聞社も含めた系列化が進んでいく、そういう中で、地方独自の言論展開、文化展開というものは経営的に非常に厳しくならざるを得ないというのが実情であります。

 ですから、私は、この点にやはり十分に目を向けなければ、同じような言論が東京から流れて、そして同じような考えになり、結果的にそれは、単一言論であり、多様な言論を封殺することになるというふうに思います。早い話が、地方によっては、みのもんたさんやあるいは古舘伊知郎さんを知らないような、そういう地域があっていいんです。そして、その地域で独自に展開されているさまざまな新聞、放送があっていいわけです。また、それをつくり上げることが、鳥取県知事も経験されました、やはり本当の地方の自立や主体性につながっていくんだろうというふうに私は思います。

 そういう地方の文化や地方の自立性、こういったものを守るのが、つくり上げていくのが、やはり一番影響力として大きいのが言論界でございますので、この言論界の運営が、あるいは経営が成り立っていくような形にすることは、そのまま日本全体に多様な文化や特性ある地方の文化、こういったものを展開させていくことにつながっていくというふうに思っております。

 そういうことも考えて、地域のそれぞれのメディアをいかにして守り、そしてまた育てていくのか、そのために何が必要であるのか。もちろんこれは、地方の独占ではなくて、良質の言論でなくてはなりません。良質の文化でなくてはなりません。それを十分勘案した上で、クロスメディアにしてもマス排にしても、あるいは認定放送持ち株制度にしてもこれから考えていかなければいけないと思っております。

 地方自治をしっかりとこれから展開していく大臣として、この辺の地方の言論のあり方と法規制の問題、そして法規制がやはり地方の多様性や個性を阻むというようなことを考えたときに、どういう法のあり方や、仮に改正していく場合のこれからのアプローチの仕方があるのか、この辺の考えを片山大臣にお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 本当に、私も伺っていて共感をいたします。そういう地域に長らくいて、その地域の行政を所管していたものですから、全く共感をいたします。

 地方にいて本当にもどかしさを感じましたのは、生きのいい情報でありますとかポジティブな情報というのは大半が東京から流れてくるわけです、一部大阪から流れてきますけれども。逆に、地方から中央といいますか東京の方に発する情報というのは、例えば災害があったとか事故があったとか事件があったとか、そういう社会部系統のニュースが多いわけで、何となく、いいものは東京にあって地方は悪いことが起こる、そういうイメージ形成がされてしまうんです。本当は、もっと地方の多様な文化とか価値のある資源、そういうものがちゃんと地方で発信力のあるコンテンツとして創造されて、それが東京や全国に流れていく、こういうことがなければいけないんですけれども、いかんせんそういう基盤がなかなかない、それがもどかしさであります。

 それをどうやってつくっていくのかということで、それは背景としては、例えば資本の問題もありますし、経済界の力もありますし、それから人材というものも欠かせませんし、何よりもそういうものを糾合していくコンテンツなどをつくっていく、そういう組織、その力が必要なんでありますけれども、非常に脆弱であります。

 そういうことを私も痛感しながら行政をやってきたわけでありまして、今おっしゃったようなことを阻害しないような法規制のあり方というのは、当然、この種の問題を検討する場合の重要なポイントとして念頭に置いておかなければいけないと思います。

 そういうことを含めて、先ほども申し上げましたけれども、これからのメディア規制の問題というのは検討しなければいけない。そんなことで、その検討条項も加えたんだろうとは思います。もちろんその検討条項についていろいろ御批判とか御意見はおありでありましょうから、国会の御議論に従って、今後の私どもの検討というものもそれに沿ったやり方にしたいとは思いますけれども、今私が申し上げたようなことは念頭に置きながら検討していきたいと思います。

坂本委員 どうか、日本全体が多様な文化が花開く、そのためにはやはり良質な地方からの発信が必要である、発信をするためにはやはりそれなりの経営がなされなければいけない、その経営の資本の問題を、生き馬の目を抜くような東京と、鳥取やあるいは私の地元の熊本のようなところも同じように考えていいのかどうかということも含めて、これから御議論いただきたいというふうに思います。

 それから、メディアの中で大きな存在感といいますか、独特の存在感を持っているのがラジオでございます。しかし、このラジオの経営というのが今ピンチであります。特にラジオの場合には、災害時、電気が停止したとき、あるいはさまざまなときにラジオほど有効なものはありません。携帯も途絶えたような、この前の奄美大島の災害等のときなども、ラジオについては、やはりしっかりと心の支えになるというのがラジオの役割でございます。

 しかし、このラジオが今経営的に非常に厳しいというのは、広告収入が、地上波のラジオの場合に、全国で、一九九六年、十四年前でありますけれども、二千六百六十億円でありました。それが、昨年、二〇〇九年には、千三百四十四億円になっております。二千六百億円が千三百億円になっている、まさに半分であります。本来ならばラジオ局の半分が放送部門を閉局してもいいというような状態になっているわけでありますけれども、ラジオ局はラジオ局で懸命な努力をして、さまざまな手法を考えながら聴取者のために今頑張っているわけであります。この後さらに、非常に厳しい経営あるいは運営が続くと思いますけれども。

 そこで、各地方には、これは中央も含めてでありますけれども、ラジオ局は一波しか認可がおりません。しかし、地方においては、メーンのラジオ局がある、そしてFMラジオ局がある、あるいはその地域の市役所あたりと一緒に資本をつくり上げているシティーFMやシティー放送みたいなものがあるということで、二波、三波、地方にあるわけですね。こういったものをある程度統合できる、そして一つのラジオ局が二波、三波放送できるというようなシステムにしていかないと、この先、ラジオはもたないというふうに私は思います。

 そうすると、どうしても県庁や市役所あたりにいろいろな形での協力を求めざるを得ないということになりますと、これが官を中心とした放送になってしまって、やはり聴取者に対しては、なかなかおもしろみも出てこないというようなことになります。

 NHKが総合テレビと教育テレビを持っているのと同じように、ラジオについては、地方においてもあるいは全国においても貴重なメディアでありますし、やはり聴取者の方も非常に楽しみにしている部分もある、そして災害時の唯一の命綱になるときもあるということでありますので、もっといろいろな形で考えていくべきではないかと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

片山国務大臣 ラジオの媒体としての重要性は言うまでもないと思います。ただ、一方では、今おっしゃったように、広告収入の減少に伴って非常に経営が苦境に陥っているという実態も、私もいろいろな方から伺って承知をしております。

 これをどうするかということでありますけれども、私も実は知事をやっておりましたときに、地元でこのラジオ問題というのはいろいろ出てまいりまして、民間の有志の皆さんが何とか地元のニュースというものを地元にちゃんと丁寧に伝えたい、地元のいろいろな話題でありますとかいい素材というものを地元の県民にちゃんと伝えたい、それをどうやって経営として成り立たせるか、そういうことの相談に乗ったりしたこともあるんですけれども、本当にまことに苦しいものがあります。

 今おっしゃったようなことも含めて、これからラジオ局の経営のあり方については、これが持続可能であるようにするためにどうすればいいのかということ、そういう観点から十分検討を加えなければいけないと私は認識をしております。

坂本委員 インターネットが主流を占める中で、既存のメディアというのがどういうような形で生き残るか、あるいは住民の方々の生活に役立つかというような道を探っているところでありますので、その役割を十分尊重する形で、国が、政府がしっかりと制度的な措置をすべきであるというふうに私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、光の道構想についてお伺いをいたします。

 今、私から見ると、少し異様な状態になっているというふうに思います。この全面広告は皆さん御存じだと思います。ソフトバンクが、これから光の道をつくっていくのに、税負担でつくりますか、税金ゼロでつくりますか、Aが税負担あり、Bが税負担なしというような、少し極端な形ではありますけれども、こういう全面広告を出している。あるいは、インターネットにも、孫正義さんが中心になって、光の道の推進、そしてその後のいろいろな運営のあり方というものを全国に発信しているところであります。

 これは、御承知のように、原口前大臣のときに、二〇一五年までにブロードバンド全世帯普及という光の道構想が打ち出されました。当然、ボトルネック設備の部分、いわゆるNTTの光回線部門を、ブロードバンドが一〇〇%全世帯普及になったときに光回線部門の運営をどうするかということで、NTTの経営形態にも非常に影響を及ぼす重要な問題でございました。

 どういうふうなおさめ方になるのかなというふうに思っておりましたら、ここ二、三日の新聞報道によりますと、総務省の作業部会が、NTTの光回線部門を分社化することは時間やコストを考えると事業の不確実性が高まるとして、分社化を見送ると報道されておりました。つまり、NTTグループ内で光回線部門の独立性を高める機能分離が最も現実的でそして効果的であるというふうに作業部会としては結論づけているわけです。

 これは、これまでの進み方と百八十度違うものがあります。ことし一月にタスクフォースの委員が通信各社を呼んで意見を聞いたときに、ソフトバンクの孫正義社長のNTTからの分離論、説明は、当時の原口大臣はしっかりと熱心に耳を傾けておられましたけれども、KDDIやNTT社長の意見のときは、それを聞かずじまいで会場を去られたというようなことが新聞にも報道されておりました。私は、報道もそうでありますけれども、ソフトバンクと総務大臣の一体化というものを見ていたところでありますが、それとかなり違う方向性になってきました。

 多分、当時の大臣は、孫氏の分離そして分社化論に同調されておられたというふうに思います。私は、前の大臣自身が余りにも突っ走ることで、孫氏もその気になってしまった、そして大臣交代で雲行きが非常におかしくなってきた、その危機感から、こういう光の道についての意見広告になったのだというふうに思います。

 私は、これは国の責任として非常に大きいというふうに思います。大臣がかわったことでこれほど、百八十度ぶれるようなことが許されるんだろうか。その事のよしあしは別です。私自身は、光の道構想についてはやはり必要である、これからの高齢化社会で、限界集落あるいは医療難民や買い物難民と言われる人たちが多く存在する、多く生まれてくるような状況に、光の道というのは必要であると思いますけれども、しかし、これだけ大きなぶれというのは、国にとって大きな責任があるというふうに思います。言ってみれば、やるやると言ってやらなかった、やるやる詐欺と似たようなところもあるというふうに思いますし、もっとやはり冷静にこれからのICT戦略を考えるべきであるというふうに思います。

 その上に立って、大臣、今後、光の道構想をどう進めていかれるおつもりでございますか、お聞かせいただきたい。

 それから、光の道を推進するに当たりまして、四部会から成るタスクフォースがありました。あるいは、言論のとりでを論議する中で、何か難しい名前、長い名前の何とかフォーラムというのがありました、覚えられませんけれども。こういった私的な研究会、私的な諮問機関といいますか、こういったものはある程度整理をして、そして目標をしっかりした上で、やはり冷静な形で現実と照らし合わせて、そこに将来構想も含んでくるわけですけれども、論議をしていくべきである。こういった私的諮問機関、私的研究会というのはある程度整理されてしかるべきであるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

片山国務大臣 光の道構想の具体化についての検討をタスクフォースでやってきたわけで、それが、九月十七日の内閣の改造によって大臣が交代したことによって百八十度転換といいますかぶれたのではないか、やるやる詐欺ではないかとおっしゃいましたけれども、それは全く違います。

 私が大臣に就任して、原口大臣から後を継いだわけでありますけれども、その間ずっと、従前からありますタスクフォースは淡々と検討を加えてきておられました。ですから、私が大臣になったから、何かそこでタスクフォースの方針を変えるとか、そんなことはありません。

 タスクフォースの方々は本当に、政治と関係なくと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、検討を専門的見地から加えられていた。その一連の流れの中で、今回の一つの方向性というものをまとめられたわけであります。ですから、今回出てきております論点というのは、実はもう九月の内閣改造より前からそういう指摘があったわけでありまして、その延長線上に出てきたものだと思います。

 要は、この光の道構想というものを実現するためにどういう手法をとるのかという、いわば山登りでいえば、ちょっと別の道、二つの道、AかBかという新聞の意見広告をさっき見せられましたけれども、どちらの道をたどるのが一番合理的であって現実的であるか、そういう違いだろうと私は思っております。

 いずれにしても、これはまだタスクフォースの中の専門家で構成される部会の段階でありまして、今月末に全体の中で方向づけが出てくると思いますので、それを受けて総務省の中で検討したいと思っております。

 それから、いろいろ私的な諮問機関のようなものがあるけれども、これはどうなんだということであります。

 長い名前でちょっとと言われまして、正式には今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラムということで、これも前大臣のもとで構成されて、専門家の皆さんを中心に議論が幅広く行われてきまして、私も就任してこの会に出ました。この会は専ら、表現の自由、言論の自由のあり方、それをどうやって保障していくのかということが議論の中心でありまして、私などもその議論に参加したのでありますけれども、それぞれの専門の方とかその衝に当たっている方々ばかりでありますので、私自身としては大変有意義でありました。

 それでもって何か具体的な政策が今どうということでは必ずしもないかもしれませんけれども、こういう非常に重要な、国民の基本的人権の中でも主要な要素を占めます言論の自由、表現の自由のあり方を多面的に考える機会を私も持てたことは、大変有意義だったと思います。

 これからも、この種の問題というのは、必要に応じて、必要があれば設けていく、必要がなければ解消していく、そういう基本的な態度で臨みたいと思っております。

坂本委員 淡々とじゃないんですよ。やはりタスクフォース中でかなり戸惑いもあって、いろいろな意見の食い違いもあって、けんけんごうごうあったというふうに聞いておりますし、もともとタスクフォースというのは特命を帯びた実行部隊でありますので、本来ならば前の大臣の特命が終われば解散してしかるべきである。フォーラムというのはいろいろな提言をするわけでしょうから、いろいろな論議をして提言していく、このことも、どうも整理が私たちとしてはつかないように思います。

 今後、光の道三法を来年の国会に出されるということもお聞きしておりますが、どうも、企業のビジネスと日本を支えるこれからの光の道のあり方というのが混同されながら進んでいるような気もいたしますので、そこはしっかり整理をされて、やはりこれからの高齢社会やこれからのICT社会の中でどういう方法でこれを実現させていったらいいかということを十分に考えながら、一歩一歩確実に進んでいっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

原口委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 放送法の改正関係を中心に、四十分時間をいただいておりますので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、放送法の一部改正であります。前の通常国会から継続で、この委員会でも十数時間審議を重ねたのではないかと思います。改めて審議の内容を少し見まして、漏れている点といいますか、もう少し確認しておきたい点などについて質問をいたします。

 放送法の改正で、放送番組の種別の基準を策定して、そしてそれらは公表される、そういう新たな仕組みがとられる。しかし一方、それと表現の自由といいますか、放送事業者の自主自律の確保との関係ということをどう考えるのかという問題があろうかと思います。

 仕事柄、夜、赤坂の宿舎に帰って、十二時ぐらい、BSなんかをよく見るんですけれども、ショッピング番組が多いんですね。いろいろな種別、報道とか教養とか、たしかそういう四つの区分を想定されているということですが、ああいうショッピング番組は何の番組になるんですか。

 番組の種別の基準を策定し公表するということと放送事業者の自律性の関係を、ショッピング番組の扱いも含めて、お尋ねしたいと思います。

平岡副大臣 お答えいたします。

 委員も御指摘のとおり、放送法の中では、番組調和原則ということで、教育番組・教養番組、報道番組、娯楽番組を互いに調和させるようにという原則を定めさせていただいているわけでございます。この点については、放送事業者がみずから、その放送番組について、放送番組の種別や放送番組の種別ごとの放送時間を番組審議機関に報告し、公表する制度を今回の改正で整備するというふうにさせていただいているわけであります。

 御指摘のショッピング番組について言えば、今私が申し上げた番組の中でどういう位置づけになるのかということが必ずしも明確になっているわけではございません。放送業者によりまして、いろいろな考え方で、いろいろな種別に位置づけているというのが現状でございます。

 そこで、私たちとしては、ショッピング番組の扱いについては今回の改正の中で、先ほど申し上げたような、番組審議機関に放送番組の種別あるいは放送番組の種別ごとの放送時間を報告して、これを公表するという制度の中でどういう位置づけにしたらいいのかということについては、関係者の御意見も踏まえて検討してまいりたい。これは総務省令で必要な事項、先ほど申し上げたような仕組みの中で必要なことは定めることになっておりますので、その総務省令で定める際に、いろいろな関係者の方々の御意見も伺いながら定めていきたいというふうに思っています。

 それで、先ほど来からお話がありますように、自主自律の規制との関係でいえば、番組調和原則というものについて、どういうふうな種別やあるいは種別ごとの放送時間になっているかを公表するという仕組みの中で、国民の目あるいは視聴者の目でこれを見ていただくということで、当局の方から、これについてはこういうふうにありなさいと示すということではないということであります。

谷委員 もう一つよくわからなかったんですけれども、今たくさんショッピング番組、ごらんになっているかと思いますけれども、深夜、BSはほとんどそうですよ。私の聞いている限り、それは教養番組という種類で総務省の方に報告されているようですけれども、平岡副大臣、今の御答弁ですと、基本的には放送事業者が決めていただければいいということですか。それとも省令で、ショッピング番組というのは、今、種別は教養、教育、報道、娯楽、広告の五つですね、そのどれかに該当するということを決めるということですか。もう一つよくわかりませんでした。再度お願いします。

平岡副大臣 ショッピング番組の位置づけについては、先ほども答弁申し上げたように、必ずしもこれだということで位置づけがされているわけではなくて、それぞれの放送事業者の方で、自分たちの考え方に基づいて分類をされているというような位置づけになっているということであります。

 今回、先ほど申し上げましたように、番組調和原則の遵守を求めるに当たって、放送番組の種別とか放送番組の種別ごとの放送時間を番組審議会に報告し、公表するという制度を整備することになったわけでありまして、この中でショッピング番組についても適切に区分されなければいけないという問題意識を持っておりまして、どう位置づけるかについては、今後、関係者の意見を踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに思っています。

 総務省令でどう書くのかについても、あわせて、我々としてはそういう意見を踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。

谷委員 いろいろ審議会に諮るということですけれども、どう位置づけるかも含めて、総務省の方で考えて決めていきたい、そういう受けとめ方でよろしいですね。

平岡副大臣 最終的には総務省の方で責任を持って考えていかなければいけないと思いますけれども、あくまでも、関係者の皆さんの意見をしっかりと踏まえて考えていきたいというふうに思っています。

谷委員 わかりました。

 次の質問で、マスメディア集中排除原則の話もお聞きしたかったんですけれども、今までの質疑で大分この問題について話がございましたので、それを飛ばしまして、外資規制の話です。

 余り目立たないんですけれども、無線局に係る外資規制を見直すという規定がございます。私も以前、国土交通政務官をしていますときに、外資規制を成田空港と羽田空港のターミナルに導入しようということで、与党の自民党と相当いろいろございまして、結果的になかなか御理解が得られなかったという記憶があります。なかなか難しいと思います、この外資規制。

 内閣法制局におられた平岡副大臣ですからよく御存じでございますけれども、現在さまざまな外資規制、民放はたしか五分の一以上はだめ、しかしライブドアの問題があって、間接支配も法改正をやりました。NTTは三分の一、航空会社も外資規制がある。

 しかし、電気、ガスは外資規制はないんですね。それで、電力会社と似ているJパワー、電源開発は、外資規制はないんですけれども、外為法による事前届け出ということで、二年前ですか三年前ですか、相当大きな社会問題になったところでございます。

 それで、今回の放送法等の一部改正で、無線局に係る外資規制、現在の三分の一という外資規制を緩和するという条項があります。その理由と、それから、現実的になぜなんですか。いろいろ総務省に聞いてみますと、どうも電力、ガス会社の外資がもうぎりぎり近くまで来ている。どこでしたか、ちょっといろいろな資料に紛れてしまいましたけれども、三〇%近く既に外資が保有している会社もあるようですけれども、そういった事情も含めて、外資規制を緩和する趣旨、それで、現実的にこういう状況だから、法改正が今必要なのだということを御説明願いたいと思います。

平岡副大臣 御案内のとおり、電波法につきましては、外国人等には原則として無線局の開設を認めないこととした上で、外国人等の経済、社会活動の円滑化や国際的に調和のとれた規制を図る等の観点から、特定の無線局を外資規制の対象外としているところであります。

 今回の改正に関連して申し上げれば、現行電波法では、固定局は、この固定局というのは特定の固定地点間の無線通信を行う無線局でありますけれども、これについては現在外資規制の対象とされていますけれども、一方で、固定局を利用している電力、ガス事業自体には外資規制がなく、近年、電力、ガス事業者の外資比率が上昇してきているというような状況にあります。仮に外資比率が三分の一以上となった場合には固定局の免許が取り消されてしまうというようなことで、固定局を外資規制の対象外とするよう要望が寄せられているということもまた事実であります。

 ただ、要望があるからといってそれでいいということではございませんで、我々としては、この固定局について言えば、地点と地点を結んで通信が行われるものでありますから非常に用途が限られているということ、あるいは主要国においても固定局については外資規制の対象とされていないというようなことを踏まえて、今回、外資規制の対象から外したということでございます。

谷委員 わかりました。

 具体的な説明がなかったんですけれども、今資料が見つかりました。事業者、電力、ガス会社で、東京ガスが去年の九月末で二九・一%、ほぼ三割に近い。大阪ガスが二二・四。これが十年ほど前は、東京ガスが七・八%、大阪ガスが一・〇ですから、驚くべき高まりを持っている。そういうことが背景にあるということだと思います。

 これは平岡副大臣、この外資規制がなくなって、外為法の規制はあるんですか。

平岡副大臣 私の理解しているところによれば、外国から日本に対する投資についての一般的な規制といいますか、一般的な制度の枠組みとしてのものは外為法にあったと思いますけれども、この関係についてどういうふうな位置づけになるかというのは、申しわけございません、ちょっと存じ上げておりません。

谷委員 いや、私も十分調べていませんので、そういう点も目配りをお願いしたいと思います。

 外為法による事前届け出は全部じゃないですよ。これはきちんと決まっていますよ。問題になった電源開発、Jパワーなんかは必要ですけれども、必要でない基幹インフラの業種もさまざまあると思います。保険会社、銀行なども外為法による事前届け出は不要ですし、日本郵政も高速道路会社も不要ですので、その辺をしっかり目配りしながら、またよろしくお願いしたいと思います。

 きょうの委員会の冒頭で、修正提案を我が党の方からさせていただきました。その修正案は、前の通常国会と同じ考え方で、我が党は政府の原案についてぜひ修正をすべきだということで、NHK経営委員会への会長の参加ということは認められない、NHK経営委員あるいは執行部の欠格事由の緩和も現時点では認められない、またクロスメディア所有規制見直しの附則も認められない、こういう案で、ぜひそういう方向で与野党とも進めていただきたいと思うんです。

 このNHKの問題で、今お手元にあろうかと思いますけれども、資料を見ていただきたいんです。NHKの役員の欠格事由、これはなかなか通常の総務省の説明資料ではわかりづらいんです。それで、総務省につくっていただいた資料です。

 今回の法改正は、経営委員会の経営委員と執行部をあわせて、欠格事由をいわば一気に取り除こうということであります。執行部はたしか十二人、うち外部から今二人だと思います。残りは内部の生え抜きの方だと思います。経営委員会も同じく十二人、うち常勤は一人。経営委員は国会同意人事ですから、我々が個別の人事でもまた立法府としてチェックできる。これを一気に撤廃したいというのが政府案であります。

 与党の中でどこまで検討されたかよくわかりませんけれども、我々はしっかり検討させていただきました。そして、こんなに執行部を今の時点で、来年一月、NHKの会長の任期が来ますので、これを一気にあれしてしまうと、例えば、きのうまでパナソニックなりソニーの社長であった方がNHKの会長になるということを認めるという改正案ですから、それは認められない。しかし、一つの考え方として、我々の党内の議論の中で、経営委員会と執行部を分けて、いわばミシン目を入れて、経営委員といっても、これは非常勤、常勤と書いて、常勤の方が相当いるかに見えますけれども、わずか一人です。ほとんど非常勤ですから、ここを分けて欠格事由を撤廃するという考え方もあったかと思うんですが、再度同じ法案。同じ法案ではなくて、電監審による建議を落としていますから少し変わっていますけれども、そういう議論は、片山大臣、内部でされなかったんでしょうか。

片山国務大臣 谷議員がおっしゃったような案というのは、それはあり得ると思います、案としては。

 ただ、今回の場合には、一体として外すべきものは外した方がいいだろう、そういう考え方で案をつくっているわけでありまして、決して、谷議員がおっしゃるような部分的にという案を絶対的に排除ということではありません。セットでというと恐縮ですけれども、一体として扱う方がいいのではないかという考え方であります。

 よく御議論をいただければと思います。

谷委員 坂本委員がこの委員会の冒頭で説明させていただきました修正案の中では、この条項は削除して、この法律の公布後一年をめどにして、この役員に係る欠格事由のあり方について検討を加えるという検討条項を設ける案にしています。というのは、生々しいんですね。来年一月ですよ、会長は。何かいろいろ野党の我々にも、会長人事をにらんでのことではないか、具体的に、この欠格事由があるからあの人ができないのではないかという話が漏れ聞こえてくる。

 そういうことですけれども、大臣に再度お尋ねします。どうしてもこれは人事に絡む話でございますので、ゆっくり検討してはどうかと思われますけれども、改めて所見をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 この改正案を提案しております理由といいますのは、会長ほかについて広く人材を求めたいということでありまして、当然これは人事と絡む話で、人事の前提となるわけでありますけれども、あくまでも一般論として、今後、会長等の役員の人事を行う場合に、できるだけ幅広く人材を見つけたいということであります。

 今、非常に各企業で、外部からの役員とか、そういう従来なかった経営陣というものができ上がっておりますので、いろいろなところで慣例ができて、なかなか人選ができにくいという事情はやはりあるようであります。そういうことから、あらかじめ事前に幅広い人材登用が可能なようにという一種の基盤整備として、この改正案を提案しているわけであります。

 よろしく御議論いただければと思います。

谷委員 大臣の言われる、ここのところ社外取締役がふえているという事情も十分わかります。

 ただ一方で、執行部というのは強力な権限を持っている、特に会長は。ですから、例は少ないとはいえ、例えば日本中央競馬会の理事長は、競馬会に物品の売買等を行う者の役員を一年さかのぼってしていた者はだめだと、やはり厳しいんですね。それからNHKも、それは国民感情から考えて、何もさっきのパナソニック、ソニーを非難するわけじゃないですよ、例えですけれども、ついきのうまで社長をしていた人が可能なような仕組みというのは、そこまで一気にするのはいかがなものかなということを指摘させていただきまして、次の質問に移ります。

 今週の月曜日、十一月二十二日に、国と地方の協議ということで、いわゆる一括交付金、「地域の自主性を確立するための戦略的交付金(地域自主戦略交付金)(仮称)」と書いてありますけれども、その資料がこの協議で初めて公にされました。「地域の自由裁量を拡大するため、「ひも付き補助金」を段階的に廃止し、一括交付金を創設する。 このため、第一段階として、投資補助金を所管するすべての府省が平成二十三年度から、投資補助金の一括交付金化に取り組む。」

 来年度は都道府県、規模は一兆円の約半分程度。資料では「半分程度か」なんて書いてありますけれども、そういう意味では珍しい資料です。二十三年度から五千億ほどをまず導入するということであります。

 一方、昨年の夏の選挙で、民主党のマニフェストの工程表を見ますと、二十五年度までに補助金を含む国の予算から六兆円の節約を図る。これは補助金だけではなくて、庁費、委託費、施設費も含めた中から六兆円です。しかし全体の額が五十五、六兆ですから、五十五、六兆のうち四十九兆が補助金ですから、大部分が補助金だ。その中で六兆を節約する。

 常識的に考えて、一括交付金にして財源捻出するのかなと考えるのが普通であろうかと思います。また、片山大臣は、ある程度縮減は可能ではないかというような発言をされたやにお聞きしておりますけれども、大臣は、いわばマニフェストの財源捻出の手段として一括交付金、来年度の戦略的交付金をされるという理解でよろしいですか。

片山国務大臣 ちょっと論点を幾つか整理いたしますと、マニフェストに出ておりますのは、必ずしも、自治体に対する補助金からこれだけを捻出すると言っているわけではないわけです。補助金以外の、庁費でありますとか委託費でありますとか施設費、そういうものもこの中には入っているわけで、補助金も含めて、そういうものの中からある程度の財源を捻出しましょうということでありますし、補助金にしても、これは自治体向けの補助金だけではなくて、独法に対する補助金だとかその他の補助金も含まれているわけで、必ずしも自治体向けの補助金等から六兆何がしを捻出しようということではない、私はこの民主党のマニフェストをそう理解しております。

 それから、細かい話ですが、「初年度はその半分程度か」という非常に珍しい表現は、これは実は正直なところを書いたんですけれども、この時点で都道府県分と市町村分がどういうふうに分かれるのかという精査ができていなかったんです。もう一つは、政令指定都市をどう扱うかということが少し議論になっておりまして、政令指定都市の仕事は、都道府県で本来ならば行っているものを政令指定都市がやっているものとかがあるものですから、その辺の入り繰りが必ずしも精査できていなくて、純粋に都道府県分とした場合にどれぐらいになるかということはまだ詰めなきゃいけないというので、「か」というようなあいまいな表現にしているわけで、これは全く他意はありません。

 それから、議員がおっしゃるのは、一括交付金化に伴ってある程度削減をしなければ、マニフェストに書いているような財源捻出ができないのではないか、だからここでやるつもりなのか、現に私自身、総務大臣もある程度削減できるのではないかというふうなことを言ったやに聞いている、どうだ、こういうことだと思うんですけれども、正直なところを言いますと、私も県の知事をやっておりました経験からいいますと、こういう自由度の高いものができますと、ある程度創意工夫によって節減できます。これは確かであります。複数年度でやっていたものを単年度で一気に重点的にやってしまうとか、従来だったら、複数のそれぞれの補助金の補助基準に従って分別してやっていたような事業をセットで、一体として事業をやることによって、発注その他が非常に節約できるということがあります。

 ですから、こういうケースのときに、全く無傷といいますか、そのままというのは、それはやはり国庫のことを考えても妥当ではないと思います。ある程度は削減があっていいと思います。

 ただし、これによって大幅に財源が捻出できるんだというような妙な期待は、私は持っていただかない方がいい、いただくべきではない。あくまでも、これは自治体の自由度、裁量の範囲をふやすための作業でありまして、国庫の財源を捻出するための作業ではありません。ですから、仮に創意工夫、節減によって縮減できる部分があるだろうという前提に立っても、その額はそんなに大したことではないと私は思っております。

 これは最終的には国の予算の話でありますから、今後の予算査定、予算編成の過程を通じて決まることでありますけれども、今申し上げたような認識を私は持っておりますし、このことはずっと就任以来、閣僚の皆さん方にも、関係省庁の皆さん方にも申し上げているところでありまして、その筋を曲げるつもりはございませんので、多分、御安心いただければと言った方がよろしいのではないかと思いますけれども、そういうつもりでおります。

谷委員 大臣、安心なんか全然していないですよ。

 これは、大臣が慶応大学の教授なり鳥取県の知事であれば、今の発言はいいと思います。今の政権のマニフェストですよ、六・一兆を捻出する。大臣は、庁費とか委託費、施設費もある。それはそうです。ただ、庁費、委託費、施設費を合わせて、二十一年度予算は六兆ですよ。六兆しかないのに、六兆捻出できるはずはないです。また、補助金でも、多くは地方団体向けであることは今さら大臣にお話しするまでもなく、御承知のとおりです。ですから、これを素直に見れば、それは、地方団体向けの補助金も相当削減されると見るのが私は当然の見方だと思いますし、誤っていないと思います。

 現に、今年度予算を見てみましょう。私は、選挙区の市長とか町長とかあるいは全国の自治体関係者に、一括交付金は厳しいよ、政府・与党の言う一括交付金で相当縮減をされる、現に二十二年度を見てみなさいと。二十二年度の国土交通省予算に、社会資本整備総合交付金として二兆二千億計上しています。これは、前原国土交通大臣は国会答弁で、「一括交付金に向けてのその前段階の第一歩だ」、そう位置づけている。国土交通省の中ではありますけれども、総合的な交付金です、二兆二千億。それに見合う二十一年度予算を、国土交通省に要求し、私も独自でいろいろなところにお願いして調べたところ、二兆八千五百三十一億です。二三%減っているんです。

 農林水産省はどうか。農林水産省は、農山漁村地域整備交付金が一千五百億でした。一千五百億でこれだけ自由度の高い、山でも農業でも漁業でも使える交付金ができましたよというのが農林水産省の売りでもありましたけれども、では、前年はというと、結局資料をいただけませんでした。

 ただ、農林水産省の地方向けの補助金であれ交付金であれ委託料であれ、それがどうなっているかと見ると、二十一年度から二十二年度まで、五千五百三十二億から三千五百七十九億と三五%です、国土交通省よりももっと激しく落ちている。農家の戸別所得補償の財源捻出のためです。国土交通省は二三%、農林水産省は三五%。

 今回、どれぐらいの率になるかわかりませんけれども、大臣も少しは合理化できる、縮減できると言われましたけれども、こんな、今年度に見られるような二三%とか三五%、大体どれぐらいのオーダーのことを言われているんですか。数%ですか、一けたですか、それとも一〇%、二〇%もやむを得ないと考えておられるんですか。そこを責任者として再度お尋ねします。

片山国務大臣 論点が少し、二つの論点が絡み合っていると思うんですね、今伺っていますと。

 今おっしゃった、二十二年度の予算で国交省の自治体向けの補助金、それから農水省の自治体向け補助金が大幅に減っているじゃないかというのは、私がさっき申し上げたような、一括交付金化によって節約できるでしょう、だから多少は目減りがあってもという、そういう文脈の話とは違うんだと私は思うんです。それは、公共事業の予算をどうするかという一つの政府の方針で、どれほどの予算にするか、そのよしあしは別にしまして、その方針でもって国交省の補助金と農水省の補助金が決められたんだと思います。

 確かに、国交省は社会資本整備交付金というふうな一くくりにしましたけれども、あれは今私どもが取り上げている一括交付金の概念には入りません。それ以前の、まあ一般の補助金の亜種、変形のようなものでありまして、要するに、公共事業予算をどうするかということが二十二年度予算編成のときの論点だったと思います。

 今回は、そのうちの一部、かなり大きな一部ですけれども、それを一括化することによって自由度を大幅に増そうと。そうしますと、ある程度、多少の節約効果、創意工夫による節約効果がきくでしょう。それはしかし、そんなに大きなものではありませんよ。ただ、ここのところ、今予算編成がまだ途中段階で、私の口から何%ということは到底申し上げられませんし、まだ確定もしていませんから申し上げられませんけれども、先ほど私が答弁したのは、一括化する、自由度を付与することによってどれぐらい目減り可能なのかという問題を申し上げていたわけでありまして、二十二年度予算でどうなったこうなったという話とはちょっと文脈が違うということを御理解いただければと思います。

谷委員 二つの論点があると言われましたけれども、大臣、それは違うと思いますよ。

 大臣はあしき典型と今言われました。ただ、国土交通大臣もそうだとは言っていないですよ。これは一括交付金に向けての第一歩だ、そう言われている。それは確かに、公共事業の抑制で交付金が減ったというのもあると思います。ただ、非公共の事業もあるんですよ、これは。必ずしも全部公共事業ではないですよ。

 ですから、私が言うのは、今年度の国土交通省なり農林水産省の交付金は、やはり一括交付金により近いものであることは間違いないと思うんです。そういうものがどうして生まれたか。結局、国全体のこういう厳しい財政状況の中で、ましてや投資的経費です。義務的な経費に比べれば政府としては削減しやすいと考えるのが普通です。そのことを私は指摘したわけであります。

 まだ予算編成作業中ということで、具体的にどの程度ということもお答えいただけませんので、次の質問に移ります。

 子ども手当、これも大きな問題です。

 全額国庫負担、あのマニフェストはどないなったのか。あれほど声高に国の責任でと言ったのが、いつの間にか、二十二年度限りだということで、児童手当並みの負担を二十二年度に限り頼むと、伏して政府は地方にお願いした。そして、また何か報道によると、来年以降も地方負担も求める、地方負担であり企業負担ですね、今の児童手当ですから。

 大臣の今までのいろいろな発言からすると、この前初めて厚生労働省が地方団体と意見を交換したようですけれども、二十三年度も大変だなどということはもう一年前からわかっていました。なぜ、もっと早く協議し、そしてこの問題について議論を詰めなかったのか。また、これは地方負担転嫁の典型じゃないですか。地方自治を推し進めるべき大臣の立場として、もっと声高に言うべきじゃないですか。政府内で大臣が言わなかったら、だれも言わないですよ、このことを。御答弁願います。

片山国務大臣 子ども手当について、二十二年度に一種の折衷案のようなものができて、これは二十二年度の特例とする、二十三年度以降のことは関係省の間でまた別途検討しましょうというのが去年の経緯だと思います。

 その折衷案というのは、今、議員は地方負担転嫁の典型ではないかとおっしゃいましたけれども、子ども手当を創設することに伴って地方費がふえているということではないんです。従来、児童手当という仕組みがあって、その中に地方の負担がありました。今回、子ども手当というものができて、いわば部分的には二階建てになっているわけでありまして、その点で、従来の児童手当に対する地方負担はそのままにしたということでありまして、地方にとっては何か負担がふえたというわけではないし、子ども手当の導入に伴って新たに地方費を押しつけたということではありません。新たに子ども手当として給付するものについては、財源は全部国庫、国費であります。

 これを今後どうするかということでありますけれども、私も就任以来、できるだけ早くこれについては決めなければいけない、これは当然のことでありまして、特に、昨年来の経緯を考えますと、地方の意見をよく聞いてもらいたいということを政府内でも申し上げました。厚生労働省が先般、地方の代表の皆さんと意見交換をしたというのは御承知のとおりであります。

 これをどうするかということでありますけれども、いろいろなやり方があると思います。例えば、子ども手当は全部きれいにして国庫だけでやる、そういうやり方も選択肢としてはあります。ただ、その場合に、児童手当、従来地方が負担していたものがそのまま地方の何か自由財源になるということは、これは私は今回の子ども手当を導入したことの本意ではない、趣旨ではないと思います。

 では、それをどうするのかというと、それは何らかの形で、全体の問題として子供対策に使うということは当然あっていいと思います。それを地方への負担転嫁だということは私は当たらない、いわば、地方は従来この種の政策に財源を投入していた、これを別の形に投入する、そういうことにはなるかもしれませんけれども、それによって負担増とか新たな負担ということにはならない。その辺をこれからどういうふうに整理していくのかということが、この問題の一番大きな論点だろうと思っております。

谷委員 片山大臣の発言とは思えない発言ですね。地方の負担がふえていないからいいんじゃないかとでも受け取れかねない発言です。ちょっと信じられへんですね。

 もっときちんとした哲学を持って、大臣が言われるように、今まで地方の方は児童手当で負担していたじゃないか、あるいは企業は負担していたじゃないか、今回子ども手当でそういう仕組みを変えるから、そしてそれは国民に全額国費だと約束した、これは約束を守る、しかし、今まで負担していたから現物給付の分は地方にお願いしたい、そう考え方を整理して言うのならともかく、何にもないじゃないですか。何かあるんですか、考え方が。

 現金給付と現物給付に分けて、国と地方との役割分担、あるいは企業の負担をどうするか、そういうものは、少なくとも私が知る限り、政府としてきちんと持っているとはとても思えないです。そして、この前、厚生労働省が初めて協議をしたというこの遅さですね。

 もう時間となりましたので、再度お尋ねします。これは、問題は地方公共団体がどう受けとめているかということじゃないですか。負担転嫁じゃないというのは言い過ぎではないですか、大臣。

原口委員長 片山大臣、もう質疑時間を終えています。手短にお願いします。

片山国務大臣 負担転嫁ではありません。従来、児童手当の地方負担分として負担していただいていたものは、それはこれからも、そのまま児童手当の財源としてでなくても、別のところで何らかの負担をしていただきたい。

 負担の増はないということでありますから、負担転嫁ではないと思います。

谷委員 全く了承できない発言でございますけれども、時間となりました。これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 ついに放送法の終局の日がやってまいりました。通常国会以来ずっと協議を続けてきて、与野党の修正が調って、円満に質疑、採決、こういうときが本当に最後の最後の瞬間にやってきたということに感慨深いものがございます。特に、与野党の両筆頭におかれては、小異を乗り越えて大同につかれた双方の決断に私は敬意を表したいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。きょうは個別の問題がたくさんございますが、お許しをいただきたいと思います。

 初めに、辺地共聴、それから難視対策についてお伺いをしたいと思います。

 今回の地デジの辺地共聴、難視対策については、一度、私、地元の和歌山県の実例を挙げながら御質問をさせていただきたいと思います。

 ことしの八月時点で、対策が必要な七百四十九カ所の中で対応策が未定というのが八十三カ所ということになっております。世帯数でいうと四万七千二百六世帯から四千二百四十三世帯ということで、難視難聴の解消に懸命に努力をしていただいているということは私もわかっておりますし、大臣も理解していただけると思います。

 しかし、残っている八十三カ所の多くは、国の補助やNHKの助成を活用しても共聴施設の改修にかかる費用負担が重く、対策を進めるのが大変厳しい、こういうところであります。また、共聴施設の改修という一回限りの大きな負担に加えて、毎年、電柱の使用料、これは共架料というらしいですが、この支払いが発生する、こんな問題が残っておりまして、難視対策はますます難しいことになっております。

 これまで、送電線による受信障害の補償として、共同アンテナと各戸を結ぶケーブルを電柱にかけても、使用料、いわゆる共架料ですが、電力会社から免除されてきました。地上デジタル放送への移行に合わせて受信障害の補償はなくなるということから、この免除措置が撤廃されていくということになります。テレビや光ファイバーのケーブルを電柱にかけて各戸に引き込んでいる際には新たな電柱の使用料が発生をする、こういう問題がございます。

 実際にどのような状況に置かれているのか理解いただくために、三つの例を紹介したいと思います。

 例えば、A自治体のA地区九世帯では、共聴施設改修の負担が一世帯当たり二十八万円ということになります。これに毎年、電柱使用料として五万四千円かかる。B自治体のB地区の七世帯では、共聴施設改修の負担が八十五万円、それから電柱使用料が毎年六千円。C自治体のC地区の三世帯、これはもう大変な山奥です。私もずっと昔行ったことがありますが、三世帯、共聴施設改修の負担が三百万円を超えるため、とりあえず平成二十七年三月までの難視対策の衛星放送を利用することを決めましたが、平成二十七年三月以降のことはもう全く見通しがつかない、こういうことでございました。

 これらの地区は皆、高齢者世帯で、共聴施設の改修費用や毎年の電柱使用料を支払うということは大変重い負担になっております。こうした状況を踏まえて、地元からは幾つかの要望が届いております。

 その一つ目は、地域間格差が生じないように、共聴施設改修にかかる個人負担については、都市部の住民がアンテナ改修にかかるとされる費用、これは上限が三万五千円ですが、これに合わせるということです。もし、都市住民の方々が地デジを受信するためにこんなお金、先ほど申し上げたような負担をしなければならないということになれば大問題、だれもそんな負担はしたくない、こう主張するのは当然のことでございます。

 明らかに個人負担の限度を超えていると私は思いますが、この限度額を設けることについて大臣の御所見を伺いたいと思います。

片山国務大臣 このたびのデジタル化に伴いまして、いろいろな問題が出てまいりますので、あらかじめ助成制度も設けていることは御承知のことと思います。国の支援もありますし、NHKの支援もありますし、それから自治体の場合には、自治体によって違いますけれども、かなり手厚く自治体が支援しているところもあります。そういう支援措置を活用することによって、利用していただくことによって、できる限り個人の負担を抑えるという政策をとってきているわけであります。

 しかし、場所によっては、地域によっては、今議員がおっしゃったように、中山間地であって人口が少ない、世帯が少ないというようなところは一世帯当たりの負担が非常に高くなる、こういう事情があることも承知をしております。

 当面、暫定対策として、国が全額を支出して行います地デジ難視対策衛星放送の利用を総務省としてはお願いをしているところでありまして、それを利用していただくことになると思いますけれども、それを利用していただく過程において、恒久対策として、できる限り事業費を低く抑える方策などを検討するとともに、今後の個人負担のあり方についても別途検討してまいりたいと考えております。

西委員 これは全国的に実施する国の大きな方針ですから、全体で見ればわずかな世帯だと思いますが、やはり極端な自己負担が生じないように、細心の、十分な御配慮をお願いしたいと思います。

 次に、二つ目の課題ですが、先ほどちょっと出ました自営柱、これは自分で立てる電柱です、自営する電柱の補助について。

 毎年の電柱使用料が発生しないように、自営柱の設置も国の補助の対象としていただきたい。現在でも、無線システム普及支援事業費等補助金で、一部、自営柱について設置費用への補助が出る場合もございます。また、電柱使用料の四年間分を補助されるという規定もございます。しかし、総務省は、基本的に既存の電力柱、つまり電力会社の電柱を利用し、自営柱は抑制するように働きかけをしております。これらは限られたケースです。

 電柱利用問題への対策について大臣の考えを示していただきたいと思います。また、電柱使用料への補助が難しいということであれば、自営柱に対する補助ですね。これは、電力会社の電柱を使いますと永遠に使用料が要るということになってまいりますので、その辺のお考えについてお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 御指摘の点につきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、当面、暫定的に衛星を利用していただくということになりますので、その暫定期間の間に、この問題についてもその支援のあり方について検討を加えたいと思います。

西委員 次に、セーフティーネットへの切りかえのタイミングについてです。

 和歌山県など自治体では懸命に、今申し上げたように辺地共聴、難視対策を進めておりますが、最後の段階が大変厳しい、もちろん、だからこそ最後に残ってくるわけですが、こういう状況でございます。

 そこで、辺地共聴対策を進める上で、来年の七月の完全移行に間に合わせるためには、住民との調整が調わない場合などには、どこかのタイミングでセーフティーネット対策、つまり衛星利用に切りかえて、住民に地デジ難視対策衛星放送の利用を案内しなければならない。既に、今では無理だということで、先ほどの三世帯のところなんかは衛星ということを決めておりますが、いずれかの時点でそういうことを決めなければいけないというふうに思います。

 そのタイミングについて、大臣はいつごろというふうに考えておられるのか、その目安についてお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 非常に重要な視点だろうと思います。来年の七月だから、それまででいいだろうというわけにはいかないわけでありまして、どっちの方策をとるにしても一定の期間が必要だと思います。

 現在、総務省では、放送事業者とともに、ことしの十二月末までに地デジ難視対策衛星放送の利用に合意していただけるよう、地元の自治体及び住民の皆様方と調整を行っているところであります。ことしの十二月末というのを目安と考えているところであります。

西委員 準備の都合もあって、ある程度の余裕が必要だということで今の答弁になったんだろうというふうに思います。

 続きまして、NTT東西は、十一月二日、アナログ回線からIP網への移行に関する展望を公表しております。

 アナログ回線は、固定電話だけではなくて、企業のバックアップ回線、セキュリティー関連、遠隔の検針、測定ですね、それから交通信号機などに使われております。また、アナログ電話はNTT交換局からの給電だけで利用できるということで、災害対策用としての利用も現実に行われております。屋外センサーや機器との通信線として使われている場合は、アナログ回線であれば不要なメディアコンバーターの電源対策や防水、防塵対策が必要である、こういう指摘もございます。

 IP化に伴うさまざまな課題にどう対応していくのか、お答えをお願いいたします。

片山国務大臣 おっしゃるとおり、NTT東西は、二〇二〇年ごろから数年かけて、電話網をIP網に切りかえる方針を既に公表しております。

 これが実現しますと、これに伴いまして、おっしゃったように、災害時の給電の扱いなどの課題が生じることはよく認識しておりまして、そのため、利用者へよく周知をすることが必要だろうと思います。また、ブロードバンドへの円滑な移行をサポートすることもNTT東西としては準備をしておりますので、そういうことも含めて、よく周知を徹底するということが必要だろうと思います。

西委員 ところで、現在、介護保険に関しては、国保連合会中央会の介護保険審査支払い等システムなど、そして伝送システムは、都道府県、保険者、市町村、福祉事務所、事業所と国保連合会をつなぐシステムが構築されております。

 国保連伝送システムにはISDN回線が使われております。これは、ネットワークを組むのに、その時点ではこの方が便利だったから、必ずしも光ファイバーでつなぐという時期ではまだなかったということもあるんだろうと思いますが、そういうことになっております。IP化への移行とともに、ISDN回線も将来使えなくなっていく、こういう課題があります。

 国保連の伝送システムを含めた介護保険関連のシステムをどういうふうにしていくのか、きょうは厚生労働省においでいただいていると思いますので、お願いをしたいと思います。

金谷政府参考人 介護保険の請求システムについてのお尋ねでございます。

 今お話ございましたように、この請求につきましては、事業者情報あるいは個人情報ということでございますので、施行時におきまして専用回線と同様のセキュリティーにすぐれた回線と評価されておりましたISDN回線を採用したものでございます。

 先ほどお話ございましたように、NTT東日本、西日本の発表によりますと、このISDN回線を二〇二〇年ごろから変更を始め、二〇二五年ごろまでに廃止することとされたところでございます。また、このISDN回線自体につきましては、伝送量に制限がある、あるいは大量の情報の転送の場合には時間がかかるというようなことから、インターネット回線への変更要望というものが関係団体あるいは事業所からも寄せられておるというようなところでございます。

 こういったことから、インターネット回線に変更していくということになるわけでございます。ただ、インターネット回線への変更には多額な費用が必要となるわけでございます。ただ、やはりこのスケジュールに間に合わせるということが必要でございますので、介護請求の審査支払いが支障なく行われますように、私どもとしても鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

西委員 介護保険制度は市町村が運営しておりますので、実は、これを立ち上げたときも、いろいろな国からの補助金等でシステム構築していったという経緯がありまして、ISDN回線がなくなるから自分たちでそのまま全部できるかというと、これは厳しいものがきっとあるんだろう、うんうんとうなずいておりますが、そう推測しております。これはまた地方を預かる総務大臣としても、ぜひともその際には御配慮をいただければというふうに思っております。

 続いて、携帯電話の接続料についてでございます。

 情報通信審議会は、二〇〇九年十月十六日、「電気通信市場の環境変化に対応した接続ルールの在り方について」という答申をまとめております。接続料は別の電話会社の回線に対して電話をかけたときに発生するということで、携帯電話会社の回線に対して電話した場合と、固定電話会社の回線に対して電話した場合との間に大きな差が生まれております。

 ある報道によれば、A社の携帯からB社の携帯に三分間通話した場合、通話料四十五円のうち三十二・四円がB社に支払う接続料として発生する。同じくA社からC社の固定電話、これは市内に三分間通話した場合、C社に支払う接続料は、通話料八円のうち四・七円ということになっておりまして、携帯電話会社に支払う接続料が非常に高価である、こう指摘されております。

 ところで、答申で提言されました第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドラインがことしの三月に策定されておりますが、接続料が高くなる要因とされる営業コスト、つまり広告を初めとするさまざまな営業に関するコストについて、「原則として接続料原価に算入されるべきではない。」等、接続料算定方法にまで踏み込んだ内容が策定されております。

 このガイドラインで、接続料の問題、つまり固定電話と携帯電話の差がどの程度解消されると見ていいのか、御見解を示していただきたいと思います。

平岡副大臣 お答え申し上げます。

 今、西委員が御説明になったように、ことし三月につくられたガイドラインの中で基本的な考え方をお示ししたということでありますけれども、このガイドラインに基づいて、今後、携帯電話事業者が接続料を設定する予定になっております。これは、それぞれの事業者が、自分のところでどういう状況なのかを計算しながらしていくということで、総務省自身の位置づけとしては、接続料の算定が適切に行われているかについて検証していく立場にあるということでございまして、その検証の中で、携帯電話の接続料の低廉化が図られているかどうかということについて見ていきたいという立場でございます。

 あくまでも、携帯電話事業者の方がこれから接続料をどういうふうに設定するかを見ていく立場であるということを御理解いただきたいというふうに思います。

西委員 今回のガイドラインがかなり踏み込んで営業コストについて言及されたということは、私は、この答申の覚悟といいますか、非常に具体的な部分に及んでいるということからすると、やはりそういう意思がきちっと入っていると思いますので、その上で、どれだけの価格にするかということはあくまでも民間ベースの問題だと思いますけれども、そこは総務省としてきっちり監視するというか、その提言が実践されるのかどうかということをやはり見守っていただきたい。つまり、本当に安くなるのか、営業費用がどれだけかかっているのかという分析も含めて、きちっと後のフォローはしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 続いて、NTTの光回線の接続料でございます。

 先日、十一月二十二日、総務省のグローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォースが「「光の道」構想実現に向けて」という骨子案をまとめております。NTTの光回線部門の分社は見送る方針、こういうことで、先ほどもお話がありましたが、NTTに光回線の接続料を引き下げるように求めるということで答申が出ております。月額三千五百円前後のADSL料金と比べて、月額六千五百円前後の光ブロードバンドの料金が高い、六千五百円のうち五千円がNTT回線への接続料になっている、こんな実態が背景になっているんだと思います。先ほどの携帯電話の場合は具体的な接続料算定方法にまで踏み込んでおりますけれども、NTT回線の接続料については、同じように算定方法まで踏み込んで検討するのかということをお答えいただきたいのが一点。

 それから、携帯電話のケースでは、平成二十一年十月の答申、十二月にガイドライン案策定、パブリックコメントを経て、ことしの三月にガイドラインを公表、そして平成二十三年三月末までに新たな接続料を決めるということになっております。

 たまたまけさの朝刊を見ますと、NTTの方から、「光回線を使った超高速ブロードバンドサービスで利用者が支払う料金について、「ADSL並みにするのが目標だ」と述べ、大幅な値下げを検討していることを明らかにした。」ということで、「NTT東日本の場合、プロバイダー料金を含めた一般的な料金プランでは、光回線の利用者料金(戸建て)は月六千五百十円、ADSLは三千五百円程度で、三千円程度値下げになる計算だ。」こういう新聞報道が出ております。

 この光回線への接続料引き下げに関する今後のスケジュールについて、見通しをお伺いしたいと思います。

平岡副大臣 お答えいたします。

 今、西委員が引用されました本日の報道の件については、これは接続料というよりはNTT自身の、自分たちが提供するものについての方針を示されたということでありますけれども、全く無関係ということではないのかもしれません。接続料にどう影響するのかということについても、我々の方では注視をしていきたいというふうに思います。

 御案内のように、ICT政策に関するタスクフォースが、NTTの光回線接続料の引き下げを求めるというような骨子案について議論されておられるということは我々も承知しておりますけれども、現在、NTT東西が提供する加入光ファイバー接続料については、先ほどちょっと議論になりました営業コストの問題について言えば、原則として営業コストを除外して算定するというような具体的な算定方法を省令で規定しているという状況にございます。さらに、その省令の範囲内で何ができるのか、あるいは省令でさらに何かできるのか、このことについては、これから少し詰めていかなければならないというふうに思っております。

 いずれにしても、平成二十三年度以降の加入光ファイバーの接続料については、これから、NTT東西において算定を行った上で、総務大臣に対しまして接続約款の変更申請がなされる予定になっております。来年の一月ぐらいになろうかというふうに思いますけれども、我々総務省としましては、このタスクフォースの最終報告、これから出てくるわけですけれども、この趣旨を十分に踏まえ、情報通信行政・郵政行政審議会への諮問、答申を経て、認可等の必要な措置を速やかに行ってまいる所存でございます。

 具体的に今後のスケジュール等について言えば、これはあくまでも、事業当事者がこれからどうしていくかということを決めていかれる立場なので、我々としてはお示しできる立場にありませんけれども、事業当事者の方も、先ほどの新聞で自分たちのものはこうしていくんだということを言われているわけでありますから、接続料についても、できるだけ前広に、どういう方針なのか、スケジュールなのかということも示していただくようなことができないかということについては問題提起をしていきたいというふうに思っています。

西委員 今の副大臣の答弁、よくわかりました。ぜひ、その辺のスケジュール感につきましても、きちっと総務省として管理、管理と言ったら言い方がきついのかもしれませんが、当事者と相談をしていただければというふうに思っております。

 NTT自身がこのようにして、回線のことにつきましても意識をして値下げを始めているということは、一つの大きな流れの中の一環、そういう意識で動いているのかなという気がいたしますので、できるだけ早く実現するように、大臣初め皆さんの御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、本年五月、総務省の利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会が第二次提言をまとめております。提言では、ディープ・パケット・インスペクションを利用した行動ターゲティング広告について検討を加えております。DPIを利用した行動ターゲティング広告について、第二次提言後の動きについて説明をしていただきたいと思います。

 一つのインターネット上におけるやりとりで、その人の傾向をうまく集約しながら、その人に適した広告なり、そういう提示をするという新しい手法だそうですが、いろいろ議論がありまして、諸外国でも採用しているところもあれば、問題があって取りやめたり、さまざまな現象が見られるようにも聞いております。プライバシー保護の観点からさまざま議論が行われていると思うんですが、そういう意味で、実用化にはまだ至っていないんですね。いろいろ試行錯誤が続いているということが現状だと思うんですが、この点のその後の状況についてお伺いをしたいと思います。

平岡副大臣 委員の御指摘になりました総務省の研究会で、DPI広告については非常に慎重な運用を求める提言が取りまとめられています。

 その理由といいますか根拠になっている話としては、DPI広告の実施というのは通信の秘密を侵害するものであり、利用者の明確かつ個別の同意、オプトインがなければ許されない、あるいは事前に同意を得た場合であっても、事業者はこれに加えて、利用者に対して容易に利用可能なオプトアウトの機会を提供すること、あるいは、サービスの仕組みや運用について透明性を確保するため、事業者は運用基準等を策定することというような形で整理をされたところでございます。

 我々としては、通信の秘密の保護というのは大変重要なものであり、いかなる状況においても侵害があってはならないというふうに考えておりまして、この研究会の検討結果も踏まえまして、さらに慎重に検討を進めてまいる所存でございます。

 なお、現状、国内においてDPI広告は行われていないというふうに承知しておりまして、今、検討状況というお話でありましたけれども、前に進めていくというような状況での検討というのは今行われていない状況にございます。

西委員 質問はこれで終わりたいと思います。

 今回の放送法の大改正、日進月歩のこの世界の中で、今も若干の議論をさせていただきましたが、総務省として対応しなければいけないことが次々と起こってくるであろうと思います。その点、今回の放送法の改正を契機にして、この分野の充実、対応スタッフの充実等、さまざまな課題を克服されて、きちっとした日本の情報通信行政を引っ張っていっていただけるようにお願いを申し上げまして、これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 放送法等に関連して質問をいたします。

 最初に、放送の定義をめぐって質問をいたします。

 放送法の改正案第二条では、「「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信をいう。」とありますが、この規定について、五月の当委員会の参考人質疑でも疑問の声が出されました。

 例えば、日隅参考人は、私自身、あの法文を読んで、「直接」という部分についてどのように理解するのか、その法文上だけの解釈では、インターネットのコンテンツが除外されているということが必ずしも明確になっていないのだと思うと述べ、また、山本参考人は、求めに応じてといった説明では、IPTVなども含めて、はっきりするのかしないのか、いま一つわかりかねるという専門家からの問題が指摘をされております。

 そこで、具体例でお尋ねいたしますが、二〇〇一年に電気通信役務利用放送法案が議論されたときに、インターネット放送の一種と考え得るIPマルチキャストについて政府答弁がありました。

 当時の小坂副大臣が、IPマルチキャスト放送のように、多数に同時発信できるような、放送に類似した、概念的にも似通ったものがインターネットで提供されるような、非常に広範に行われるような状況が出てきたときには、そういった状況を見て、これに対して直ちに放送と同様の規制をかけるかどうかというのは慎重に考えていかなければならないが、何らかの規制というものが必要なのかどうか、慎重に見守っていかなければならないと答弁をしています。つまり、この時点では、IPマルチキャスト放送は放送と位置づけていなかったわけであります。

 そこでお尋ねしますが、このIPマルチキャスト放送を放送として位置づけたのは、いつ、どのような理由で行われたのか、この点についてお答えください。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

平岡副大臣 お答えいたします。

 今委員が平成十三年の役務利用放送法の審議の引用をされましたけれども、その法策定の時点においては、IPマルチキャストを用いたサービスがどのように展開されるかが明確でなかったということでございますけれども、この法律の成立後、具体的な申請について検討をしたところ、役務利用放送法上の放送の定義に該当し、技術基準も満たすものとして総務大臣より登録がなされたところでございます。

塩川委員 電気通信役務利用放送法の放送の定義に該当するという話でしたけれども、どのような理由をもって、根拠をもって該当するとされたんでしょうか。

平岡副大臣 放送については、先ほど来から御議論がありますように、今回の放送法の改正によって、放送の定義がほかのいろいろな関連する放送法のものとあわせて定義をされたということでございますけれども、あくまでも、「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信」ということであります。

 先ほども議論がありましたけれども、インターネットの関係でいえば、あくまでも、受信する人が送信者に対して直接配信することを要求して、それにこたえて送信者の方から受信者の方に行くということについては放送に該当しない、そういう考え方をこれまでの答弁の中でも明らかにさせていただいたところでございます。

 ところで、IPマルチキャストについては、送信者は不特定多数の者に対して送信するものなのかどうか、あるいは、送信者は、受信者からの要求に応じて情報がその都度送信されるものではなく、同じ情報を多数の相手に届けるために同時かつ一斉に送信するものなのかに基づいて判断をさせていただいております。

 IPマルチキャスト方式を用いた映像配信については、送信者が不特定の受信者に向けて同時かつ一斉に送信を行うものであるということで、電気通信役務利用放送に該当するものとして、放送として位置づけているところでございます。

塩川委員 お話にありましたように、放送の定義との関係でいえば、公衆、直接受信、それから送信というキーワードがあるという話は、以前、内藤副大臣もお答えになっているわけですけれども、その場合、重ねて伺いますが、この直接受信というところがよくわからないわけです。

 要求に応じてというお話をされましたけれども、インターネット放送でも、例えば当委員会もインターネットの国会中継が行われております。つまり、これは不特定多数、公衆に向けて行われておりますし、一斉同報で行われていますから、そういう点でいえば、送信という点でも多くの人に同じ時間に送られている、そういう類似性が非常にあるわけですね。

 そういう点で、以前は放送とは定義されていないIPマルチキャスト放送と、一斉同報のインターネット放送の違いというのは、直接受信という点についてはどう違うのかお答えいただきたいんです。

平岡副大臣 先ほどもちょっとお話し申し上げましたけれども、受信者の方で送信者に対して直接アクセスして、そして送信者が受信者を確認して出していく、普通のインターネット放送と言われるものはそういう仕組みになっているということなので、そういう意味において、それは公衆に対して直接受信されることを目的とする電気通信の送信には当たらないというふうに考えております。

 ただ、IPマルチキャストについて言えば、送信者の方からとにかく一斉に同時にばっと送って、受信者の方は、ある意味では、流れてくるのをストップされているところを解除するだけで、送信者に対して直接要求するという仕組みにはなっていないというふうに技術的に私も理解をしております。

 そういう意味で、先ほど御指摘があったようなインターネット放送とこのIPマルチキャストについては違いがあるというふうに考えております。

塩川委員 参考人の方からのお話にもあったように、要求に応じて、求めに応じてという説明では、このIPTVなども含めて、はっきりするのかしないのかいま一つわかりかねるという、誤解を生むような規定ぶりになっているという点が私は極めて重大だと思います。

 放送という形で一定の規制がかかるようなものに当たるのか当たらないのかについて、いわば不分明な状態が残されているということが現状であるわけです。こういった放送と通信を区分する明確な規定というのが法文上明定されているのでしょうか。

平岡副大臣 これまでの放送に関する法律の中で放送というものを定義してきたわけでありまして、今回の放送法における定義というのは、そうしたものを集約してつくられたものであって、これまで法律で運用されてきたものをふやすものでも減らすものでもないという位置づけになっております。

 そういう今までの積み重ねというものがあった上での定義ということでございまして、この定義を使うことで問題は生じないというふうに思っていますし、逆に、いろいろな技術革新がある中で、細かく定義するということ自体がなかなか技術的にも難しいし、いろいろな技術の進展ということに対応していけないということもあります。

 ですから、先ほど来から申し上げている基本的な考え方、「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信」というものが、これまでどのように解釈され、どのように運用されてきたかという事実関係をしっかりと踏まえて、今回の定義で我々としては必要にして十分であるというふうに考えているところであります。

塩川委員 通信の一部である放送に該当するのかどうかについて、法文上の規定はない。技術の進展によって解釈が変わるということでも困りますから、私は、規制のかかる放送に当たるかどうかについて、明確な法文上の規定が必要だということを重ねて申し上げるものであります。

 続けて、ハード、ソフト分離の関係での問題についてお尋ねいたします。

 放送局への監督権限を持つ総務大臣が放送番組の編集を行う事業者を直接審査、認定することになるのは、行政の恣意的な介入の余地を生むのではないかという懸念の声があります。放送番組の編集を行う事業者を直接審査、認定する立場にある総務大臣が業務停止命令ができる権限を持つということは、放送の自由を侵害する懸念が生ずる、こういう声もあります。

 そこでお尋ねしますが、この業務停止命令に関して、どういう場合に業務停止になるのか、その点についてはどのように定めがあるのでしょうか。

平岡副大臣 委員のお尋ねは、放送法を改正した後の新放送法のことかと思いますけれども、百七十四条で、「総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、三月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる。」という規定であろうかというふうに思います。

 電波法についても、七十六条で、「総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、若しくは第二十七条の十八第一項の登録の全部若しくは一部の効力を停止し、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」という規定のことだと承知しております。

塩川委員 この法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかな場合、そういう前提の中で、幾つか条件づけはありますけれども、しかし、その入り口のところがこの法律の規定に違反するという点で非常に広くとれるわけで、どういう場合なら業務停止となるのかつまびらかではありません。そういう点でも、放送の自由を侵害する懸念はぬぐえないということを指摘するものであります。

 その点でも、今回の法案においては、マスメディア集中排除原則に係る違反についての免許取り消し権限の付与を含めて、総務大臣の権限強化が図られているものとなっております。私は、そういう中だからこそ、今こそ政府から独立した第三者委員会、放送に関する独立行政委員会の設置こそ必要だと考えます。

 民主党の政策集インデックス二〇〇九でも通信・放送委員会の設置を掲げております。この公約というのは、いつ、どのように実行されるのか、改めてお尋ねいたします。

平岡副大臣 御指摘の通信・放送委員会、放送に係る独立行政委員会に関してでありますけれども、御案内のとおり、総務省では昨年の十二月から、ICT分野において、言論の自由を守るとりでを初めとする国民の権利保障等のあり方について検討することを目的として、ICT権利保障フォーラム、正確には、今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラムを開催して検討していただいているところでございます。

 この中で、行政による対応として、第三者的な監視組織の必要性を含めた御議論をいただいているところでございますけれども、これまでの議論の中では、一部に独立行政委員会の設置を必要とする意見もございましたが、新たな組織、機関の設立について否定的な意見も多数出されているということであります。むしろ逆に、こういう組織をつくることがかえって表現の自由を制約するような、放送の自由を制約するようなことになりはしないかといったような議論もあったというふうに承知しております。

 このフォーラムについては、近く何らかの取りまとめが行われるということを期待しておりますけれども、我々としては、最終的な報告も踏まえて判断をしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 フォーラムの議論を見ても今言った両案があるような状況でありまして、民主党が掲げている公約の実行という方向に必ずしもなっていない。私は、この方向そのものは正しい方向だ、しかしながら現実は、この公約の実施が棚上げをされたままになっているということであります。もともと、国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するということが出発点であるわけですから、こういう立場での改正こそ、放送法の議論にあって必要だということを申し上げます。

 政治家の大臣を長とする独任制の行政機関が放送事業者の監督を行うべきではない、だからこそ独立した規制委員会が必要だ、そういう議論が今回の法改正において取り上げられていないということ自身が、私は大きな問題だと言わざるを得ません。

 最後に、地デジ関連で質問いたします。

 高テレ法の事業者支援延長ということについては必要な措置だと考えます。一方で、視聴者、住民の皆さんの対応がこのままで大丈夫なのかという問題があります。

 そこで、具体例として沖縄の問題についてお尋ねしたいんですが、私、九月に調査にも行きました。全国でも一番普及がおくれている。この九月末での全国でのアンケート調査が発表されましたけれども、沖縄県は七八・九%と全国一低い。全国平均に対して九・〇ポイントの差がある。大きなおくれが解消されないままとなっております。

 そこで、わかれば教えていただきたいんですが、特に、一番地デジの電波が届くのがおくれた先島ですね、宮古島や石垣あるいは竹富町の世帯普及率がどうなっているのかについて調査はあるんでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お尋ねの、沖縄における地域ごとの浸透度の調査結果ということでございますけれども、実は昨日、速報版として発表させていただきましたデータでございますが、これは全国ベースと県別までの分析に現時点ではとどまっております。

 沖縄県につきましては、おっしゃるように普及が特におくれていることにかんがみまして、サンプル数もふやして、また、今塩川先生がおっしゃいました本島、石垣島、宮古島、それから竹富町を含むその他島嶼といった四つの地域ごとでデータを収集したところでございますが、その点につきましては、今、集計分析中でございまして、いましばらくお時間の猶予を賜りたいと存じます。十二月の中旬ごろを目指して発表、公表させていただきたいと考えております。

 以上でございます。

塩川委員 ことし三月の調査では、例えば石垣では四四%、宮古島では四一・五%と極めて低いという実態であるわけであります。それが解消されているのか、していないのかというのが問われるわけで、私、石垣市や竹富町役場にお話を伺いに行ったときに、例えば竹富町の役場でも、住民の皆さんがどれだけ地デジに対応しているかという調査自身がないんですよ。また、国がやっていますNHK受信料全額免除世帯への支援策について、では何世帯が利用しているんですかということについて、この九月下旬の時点ではゼロというのが役場の把握の実態なんです。

 ですから、そういう意味でも事態は極めて深刻なんですよ。もともと沖縄というのは所得が低いという問題もあります。電波が届くのも遅かったということもあります。観光地でホテルや旅館はたくさんあるけれども、そういうホテル、旅館の地デジ対応についても全く把握がされていないという、幾つもの困難さが重なっているのがこの沖縄の実情でもあります。そういうときに、全国一律に停波の方だけお願いします、こういう話が通るのかということであります。

 そこで、最後に、二つ大臣にお尋ねしたいんですが、この沖縄の問題に関連して、一つはやはり特別な支援策が必要だ。例えば、沖縄の民放の事業者の方からは、珠洲市と同じような、全世帯のチューナー支援なんかも含めた特別対策を沖縄でやる必要があるのじゃないのかという声がありました。そういう支援策についてと、私は、沖縄については別個に、停波を延期するということだって考えるべきなんじゃないのか、そういう事態に至っているのが今の現状ではないのか。こういうことについて、ぜひとも検討、具体化をしていただきたい。この点についてぜひ伺いたいと思っております。

片山国務大臣 沖縄の現状については先ほど来やりとりがありましたけれども、沖縄県では他県よりも熱心に、独自の施策で支援をしていただいたりしております。そういう沖縄県の取り組みともよく連携をとりながら、できるだけ全国平均との格差が縮まるような、そういう取り組みをしていきたいと思っております。

 全国レベルでいいますと、昨日公表しましたけれども、九割の大台に乗りました。さらに、エコポイントの仕組みの問題もありまして、今ちょうどその駆け込みといいますか、そういうことで一層これが進んでいると思います。

 そういう中で、特定の地域がおくれたままということはあってはならないことでありますから、ぜひ、この沖縄の問題についても、重点的に私どもの方も取り組んでいきたいと思います。

塩川委員 沖縄での特別な対策を求めると同時に、全国レベルでも低所得者支援について、市町村民税非課税世帯への支援策というのはアンテナがつかないわけですよ。こういう支援で本当に大丈夫なのか、この点をやはりクリアしていくという改善が必要ですし、また、ビル陰共聴についてのおくれというのも実態が深刻なわけですから、こういうことを考えても、テレビ難民が生まれないようにするためには、私は、来年七月のアナログ停波そのものを延期すべきだ、そういう電波法の改正こそ必要だ、このことを申し上げて、質問を終わります。

福田(昭)委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 それでは、質問させていただきます。

 幾つか分けて質問をしたいと思うんですが、まず最初の質問は、放送番組の種別及び放送番組の種別ごとの放送時間の報告、公表という仕組みがあるんですが、それについて。

 放送番組の種別及び放送番組の種別ごとの放送時間を番組審議会に報告する、また一般に公表する、このようになっております。報告や公表の詳細は、総務省令で定めるところによりとされております。

 そこで、省令で定める事項が、放送事業者の番組編集の自由を侵すことがあってはならないという立場に立って、そういう編成内容に口出しできる仕組みであってはならないというふうに考えるんですが、まずその点についてお聞きしたい。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 それは、おっしゃるとおりだろうと思います。今おっしゃったような措置を行うことによって放送事業者による放送番組の編集権に介入することがあってはいけない、そういう仕組みではないということであります。

重野委員 さらにその問題について、現在、放送局が年二回総務省に提出しています番組編成計画の分類が実態を反映しなくなっているというふうな話を耳にいたします。広告代理店は調査会社の分類に従って放送局に提供する、こういうふうな仕組みになっているということですね。

 民放連が各放送局に行った内部アンケート調査というのがございますが、その調査では、今民放でテレショップ番組というのが非常に多い、テレビをつけたら本当に間断なくやっていると言ってもいいと思うんですが、このテレショップ番組というのはいわゆる広告なんだ、そういう意識のようですね。その場合、テレショップ番組というカテゴリーはどうなるのかということが一つあるんです。

 そのことも含めて、業界の自主自律、これを統制するとか、ぎりぎりと締めていくというふうなことではなくて、この総務省の方針は、それも含めて業界の自主自律に任せるんだというふうな考えと受けとめていいのかどうか、その点について伺います。

平岡副大臣 今御指摘のありましたショッピング番組と言われるようなものについての取り扱い等ということでございます。

 先ほどの答弁の中でも触れましたように、基本的には、民間事業者、放送事業者の皆さんの中で決めていっていただくということが原則、基本であるというふうに思っておりますけれども、委員が御指摘になりましたように、放送番組については、放送番組の種別、放送番組の種別ごとの放送時間を番組審議機関に報告し、公表するという仕組みをとっているところでございまして、この報告及び公表に当たって必要な事項については総務省令で定めるというようなことになっております。

 そういう仕組みの中で、我々としては、どういうことを報告するのかというようなところで、民間の皆さん方が決められたことを踏まえて規定していきたいというふうに思っております。あくまでも放送事業者の自主自律を基本として、今後検討してまいりたいというふうに思っております。

重野委員 私は、原則、行政が放送に介入することがあってはならない、それはもう言うまでもないことだという認識に立っていますが、実は参議院で我が党の又市議員が指摘したのですけれども、つまりショップ番組が多過ぎるということ、これは視聴者の多くも感じていると思うんですね。ショップ番組というのは番組なのか、番組でないものが番組として扱われているということに疑問を投げかけて又市議員は質問したんですね。放送事業者自身が放送の公共性をどう考えるか、適正なあり方を考えるときだという問題提起をいたしました。業界からいろいろな心配の声が上がったんだというふうに聞いております。

 私は、民放の収入として広告は大きなシェアを占めていると思うんですね。そのことは重々承知をしております。

 そこで、私は、総務省で形ばかりの表現規制になりかねない制度をつくるよりも、放送の公共性とのバランスを業界自身が見定めて、大原則は、放送内容は編成も含めて自由であるべきなのだが、広告は消費者問題として整理して臨むべきではないのかという提案です。

 通販番組での消費者問題も発生しているんですね。いろいろな相談が来ていることは承知しております。ショップ番組を含む広告は、消費者保護の観点からも、私は見過ごせないと思うんですね。

 そこで、この問題について、消費者庁が中心となって新たなルールを定めるなどの対応を検討することも必要な時期に来ているんじゃないかというふうに私は思うんです。それについてどのようにお考えか、お伺いしたい。

末松副大臣 先生御指摘のように、ショップ番組ではちょっと誇大かなと思われるような表現も使われているという話も聞いているわけでございますが、今、この取り締まりについては、消費者庁として、景品表示法それから特定商取引法というもので、不当表示あるいは誇大広告は、消費者に誤解を与えるようなそういった表現はだめだということで、取り締まりがなされているわけでございます。

 したがいまして、消費者庁として、引き続き、そういった不当表示あるいは誇大広告に対して、このような法律に基づいて厳正、迅速に対処していくということをやっているところでございます。

重野委員 そういうことで、消費者保護の観点に立って、国も十分に対処していただきたい。

 次に、インターネットについて聞きますが、新放送法の放送の定義をめぐって、ネットユーザーの間で、個人のブログや個人が投稿した動画まで放送に含まれて、規制を受けるのではないかとの懸念が広がっているようであります。

 この法律によって、インターネットが直接政府によって規制され、業務停止されるということはあり得ないというふうに私は理解をしているのでありますが、そういう理解でよろしいか。

片山国務大臣 先ほど来、放送の定義をめぐって議論がありましたけれども、「公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信」を放送というわけでありますから、現行法で放送に当たっておりませんインターネットのブログでありますとか個人が投稿した動画などについては、法改正後においても放送に当たることはありません。

重野委員 わかりました。

 次に、この委員会に至る理事懇談会の中で最後まで議論になりました附則十四条について。

 NHK経営委員、会長、副会長、理事の欠格事由の緩和の改正規定、これは削除をされたわけであります。そのことが提案されて、後、委員会で採決されると思うのであります。

 当該欠格事由のあり方について、一年を目途に必要な見直しを行う旨の附則を設けるといたしました。これを総務省内部としてはどういうふうに受けとめて、やろうとするのか。私は、この具体的な検討については、総務省内部だけではなしに、広くいろいろな意見を求める、そういうふうな基本的な立場が必要だというふうに思うんですが、そこ辺について、付言することがありますれば申していただきたい。

片山国務大臣 これは、修正案が可決されますと、当然検討することになります。その際には、おっしゃるとおり、もちろん総務省の中で十分検討しますけれども、それから当事者の意見も聞いてみる必要がありますし、のみならず、広くいろいろな方の意見を聞いて検討したいと思います。

重野委員 よろしくお願いいたします。

 次に、百七十四条について。これは、前国会の原口大臣の答弁と同様の認識でいるのかという私の質問です。

 さきの通常国会で、百七十四条の業務停止に関連して、原口大臣が、運用に当たっては、極めて限定的で、極めて慎重な配慮のもとに運用するものであって、業務停止命令の制度自体が放送事業者の放送の自由の制約につながるものではない、このように答弁されておりました。片山大臣も同様の見識をお持ちかどうか、伺います。

片山国務大臣 今の御紹介でありました前大臣の答弁について、私も全く違和感はありません。私も同様に考えております。

重野委員 最後に、市民のアクセス権について。

 諸外国の法制と見比べると、市民のアクセス権という点についてやはり抜け落ちているのじゃないかという指摘があります。世界的には、国際自由権規約にもあるように、市民のアクセス権をいかに確保するか、これは重要なテーマです。その部分が不足をしている、そういう感じがしてなりません。

 そこで、コミュニケーション、いろいろなコミュニケーションがとられるわけでありますが、そのコミュニケーションの権利を十分に考慮した法制度を確立する必要を私は感じています。それが一つ。

 今後の放送・情報通信法制の改革には、さらに幅広い層からの意見を反映して、市民のアクセス権をいかに確保するか、理解を求めることこそ、世界の潮流に沿うものだというふうに思うのですが、この点について。

片山国務大臣 御指摘の点は、先ほども私が答弁で申し上げました、総務省に設置をしました今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラムという長い名前のフォーラムの検討項目の一つになっておりまして、これについても意見交換が行われたところであります。

 それを伺いますと、今議員がおっしゃったような仕組みを制度化するといいますか、そういうことをした方がいいという意見もあったようでありますが、一方では、そういう法規制で何らかの義務化をするのではなくて、もっと自主的に取り組んでいただく、そういうものを助長といいますか、見守った方がいいのではないかという議論もあったようであります。

 いずれにしても、このフォーラムの取りまとめというものが近く出てまいりますので、それらを見ながら、どういうことがいいのか検討してまいりたいと思います。

重野委員 放送法は大変大事な法律です。これを実行するに当たっては、十分にいろいろな方々の議論を受けとめて、深掘りをした方向を出していただきたい、そのことをお願いしまして、終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 放送法の放送の定義の問題はこの質疑でも何度も取り上げられておりますが、放送の定義、どこまで入るのかが法文上不明確であるという問題です。

 これは通常国会の参考人質疑のときに私も日隅弁護士にお尋ねをしたんですけれども、おもしろい表現をされたんですね。この法文上の放送の定義では、どこまで入るのかということが明確でないということははっきりしているという言い方をされたんです。明確でないということはもう明らかだという言い方をされたんですね。

 それで、先ほど来取り上げられている、放送法改正によってインターネットやブログが取り締まられてしまうのではないかという、いわゆる放送法百七十四条問題というか百七十四条騒動というか、こういうことが起きてしまったわけです。当時の原口大臣は、ネットが放送に繰り込まれる、こういう声については、明確に否定をする答弁をされました。電気通信事業法を繰り込んだ形になったので「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信」、こういうことになっただけで、定義上、放送の対象となるものをふやしたり減らしたりするものではない、こういう話だったというふうに思います。

 それはそれでネットユーザーの皆さんは安心をしたわけですけれども、しかし、私に言わせれば、そこである意味では思考停止していることが問題なのではないかというふうにも思います。

 原口大臣は、実は私に対する答弁でこうもおっしゃっています。五月十三日の衆議院総務委員会、おっしゃるように、今回は明確なんです、インターネット動画みたいなものは入りません、だけれども、限りなく同じでしょうというときが来るかもわからない、そこはICTタスクフォースで議論するんです、こういうふうにお答えになられているんですよね。

 原口さんのいみじくもおっしゃられたとおり、例えばニコニコ生放送とテレビ放送と、どこがどう違うのか。例えばCSやBSには、視聴者一万人もいかないものがごろごろあるわけです。一方、ニコ生、ニコ動のたぐいには、十万人以上の視聴者があったりもする。テレビにも国会にもお出にならない小沢さんがニコニコ生放送に出て視聴者を十五万人集めた、こういうこともあるわけです。影響力も大きい。それはそれでやはり放送じゃないかという気もするわけですよね。現に、ニコニコ生放送は、ニコニコ生放送とみずからを名乗っているわけです。

 逆に、ニコ生にはるかに及ばない、例えば一万人も見ていないBSやCS、こういうものを基幹放送として、地上波のキー局と同じコンテンツ規律にかけることに果たして妥当性があるのかというふうにも思うんです。そういう意味では、基幹放送を広くとり過ぎているのではないかという気もしてまいります。

 かつての通信・放送の在り方懇談会のメンバーの方にちょっと話を聞いたんですけれども、基幹放送は、場合によっては地上波のキー局だけでいいんじゃないかと思っていた、しかし、BSもCSもAMもFMも短波も、ほとんど全部が基幹放送に入ってしまった、こういうのは本来は一般放送のカテゴリーに入るべきものなのではないか、なおかつ、時代の進展によっては、そこにニコ生のようなインターネットを利用した放送類似のサービスを一般放送として最終的には入れていくべきだ、こういう考え方も言われておられました。

 また、放送については、かつては、有限な資源の電波を使うわけだから、バランスよく使わなければいけない、不偏不党、公正中立でなければいけないということで、放送法にはコンテンツ規律がかかっていたわけです。しかし、一千万部も出している全国紙には、別に、新聞法があって、コンテンツ規律がかかっているわけではない。

 そう考えると、これから、通信と放送の相互乗り入れが進んで、区別がつかなくなった場合、放送だけを取り出してコンテンツ規律をかけるのに意味はあるのか、こういう議論も出てくるんだというふうに思います。そのことを、今後、放送法を六十年ぶりに改正して、通信と放送の融合法制だ、そういうことを言っているわけですから、本当に考えていかなければならないというふうに思っております。

 さらにつけ加えて申し上げれば、この放送法の放送の定義は、一部、著作権法上の放送の定義と整合がとれていない部分があります。IPTVについては、電気通信役務利用放送法の対象でしたから、今度の放送法では放送になった。でも、著作権法上は、自動公衆送信ということで、今も一応は通信のカテゴリーに入っているわけです。だから、IPTVは、放送法上は放送で、著作権法上は通信だと。事業者は、こういうことによって困ってしまっているわけです。

 こうした放送の定義については、今回、ネットは当てはまりませんよ、安心してください、こういうことだけではなくて、しっかりこれから議論を深めて、結論を見出していくべきときに来ていると思いますが、御意見をお伺いしたいと思います。

平岡副大臣 お答えいたします。

 私も、柿澤委員の問題意識については、多く共有するところでございます。

 例えば、放送と通信というものについていえば、放送の自由というものがあり、通信の秘密というものがある。我々としては、通信の秘密は必ず守らなければいけない、保護しなければならないというものがあるわけですね。ですから、通信というふうに位置づけられるものであるならば、それを守っていくということを前提に、いろいろな法制度を考えていかなければいけないという前提があると思うんです。

 そういう視点から見たときに、今、放送法の中で放送というふうに位置づけられているものと、放送法の中で、先ほど来から御指摘のあるニコニコ動画とかといったような形で、今の法制度のもとでは放送には該当しないものについて、一体どういう法益を守っていかなければいけないのかということをしっかりとこれからも議論していかなければならない課題であるというふうに思います。

 しかし、現段階の問題として言えば、我々は、放送の自由と通信の秘密というものについての違う法益をどこでどういうふうに守っていくかという点について言えば、今回の放送法で定義した放送というものについては、放送の自由、そして放送としてのいろいろな規制、規律というものを守っていただくことが適当であるという判断で、今回の法改正の中身に至っているわけであります。

 結論的に言えば、問題意識は共有するけれども、現時点の国民的な意識、あるいはさまざまな実績の積み重ねという点からいえば、今回の放送法における放送の定義というのは、我々としては最も今の時宜に合っているものだというふうに考えています。

柿澤委員 しかし、これが通信・放送法制の最終的な到達点ではないんだということを平岡副大臣は確認していただいたんだというふうに理解をさせていただきます。

 今回の放送法改正は、例えば縦を横ぐしを通したり九本の法律を一本にまとめたりとか、こういうことが目的なわけではない。地デジという百年に一度の大きな電波資源が生まれるこのチャンスに当たって、まさに、きょうは資料を配付させていただきましたけれども、ごらんのとおり、地デジ化した後はこれだけの周波数帯が新たに生まれて、そして割り当てられた周波数帯の中にもホワイトスペースが生まれてくるわけです。これをどういうふうに割り当てて活用して、新しい通信・放送のビジネスを大きく展開していくのか、こういうことがポイントだというふうに思うんです。そのために一億人に一億台のカラーテレビを買いかえさせて地デジ化を推進しているわけですから、ここのところをしっかりと踏まえて今後の対応をしていかなければいけないというふうに思います。

 しかしながら、今、こうした周波数割り当ては、残念ながら、事実上総務省の不透明な裁量行政で決まっている現状が続いています。そのことが端的にあらわれたのが、先日の携帯向けマルチメディア放送の事業者選定のプロセスだったというふうに思います。

 電波監理審議会に白紙で事業者選定を任せて、そもそも専門性のない五人のメンバーが、最終的に、事前から有力と言われていたドコモ陣営に事業者選定を決定した。こういうことが、今、密室における裁量行政をまたやっているのか、こういうふうにいろいろと批判を受けているわけです。

 こういうのを、まさに周波数オークション、こうしたものにかけていくべきだというふうに思います。公正であり、なおかつ透明であります。そして、多くの収入も見込めます。テレビ局の電波利用料は低い低いと言われてきました。全部合わせても三十五億円というふうになっています。一方で、携帯電話会社は六百億近い額を払っている。

 アメリカを初めOECD二十三カ国でこの電波オークション、周波数オークションをやって、そこから多くの収入を得ているわけです。ある学者さんの試算でも、日本でやったら一兆七千億の収入があるんじゃないか、こういうふうに言われています。立派な財源になるんです。

 そういう意味で、私は、周波数オークションの話も通常国会の総務委員会で原口大臣にお尋ねをいたしました。当初、就任早々は慎重姿勢だった原口大臣だったと思いますが、私に対する答弁では、議論を深めていきたい、そしてオークション制度について検討を進めていきたい、こういうふうに言われております。

 そこで、片山総務大臣となりましたので、総務省のトップとして、改めて、これからの地デジの跡地利用について、周波数オークションの手法を活用することを考えておられるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

片山国務大臣 地デジに伴いまして周波数の有効活用ができる、例えて言えば再開発といいましょうか、地上げ屋みたいなものかもしれませんけれども、これはどういう利用の仕方をするかというのが非常に重要だと思います。

 その際に、利用の仕方とともに、どういう割り当てにするのか、ここで、公正とか透明とかということが大切になってくると思います。それをどういうふうにするか。

 柿澤議員がおっしゃったように、オークションというのは一つの有力な手段だろうと思います。十分検討に値すると思います。

 ただ、一方では、そのことによって、例えば競争が激化して過当競争になるとか、その結果、体力が疲弊してしまう、そういう懸念もないわけではない、この辺のバランスをどうとるかということがあると思います。

 それからもう一つは、今回の地デジに関連した新しい周波数帯の問題のみならず、電波利用一般の問題もあるわけでありまして、少し幅広く、このオークションの仕組み、それからその功罪などについて検討してみたいと思います。

柿澤委員 ただ以降が従来の総務省の見解に近いものでありましたので、何となく少し後退したかな、こういう印象を多少持ちました。また改めて確認をさせていただきたいと思います。

 それと、放送の定義について、放送法と著作権法で違うじゃないか、こういうお話を少しさせていただきましたけれども、こういう形で非常に事業者が困っているのが、もう一つは通信・放送に関する縦割り行政なんですよ。

 総務省、そして文化庁、経産省、内閣官房の知財本部やIT本部もあります。民間事業者が、いろいろな制度設計をするところ、指導監督をするところ、さまざまに縦割りになっていることに対応できずに大変困っている。多分そういう問題意識からでしょう、原口大臣は総務大臣当時に、ことし一月、情報通信文化省、こういう構想も公表されている。

 この縦割り行政の問題についてどのように考えているのか、そして原口大臣の情報通信文化省構想についてどういうふうに、前総務大臣が掲げられた構想ですから、お考えになられているのか、お尋ねを申し上げたいと思います。

片山国務大臣 情報通信文化省という構想も、一つのアイデアだと思います。

 先般、私は、APECの関連で、沖縄の名護市で、APECの各国・域内、各エコノミーが集まりまして情報通信担当大臣会議をやったんです。情報通信の産業を担当する大臣も含めてやったんですね。そのときに、シンガポールから来られた方は情報通信芸術省、そういう役所でありまして、非常に興味を持ったものですから、ちょっと根掘り葉掘り伺ってみましたら、それなりの見識のあるコンセプトといいますかミッションを持った役所でありまして、これは非常に、私自身としては、今すぐどうこうというわけではありませんけれども、将来の方向として一つの有力な参考になるんじゃないかと思ったようなこともあります。それが一つです。

 それから、縦割りというのは、かねて、この分野に限らずいろいろなところで見られる霞が関の一種の病弊でありまして、これをやはり解消していく、縮小していくというのが本来の政治主導の意味合いだろうと思います。

 私は、総務大臣になりまして、かつて霞が関にいた者として、この十数年の間の変化について感じるところはあるんですけれども、そうはいっても、縦割りは随分減ったなという気はします。

 それは一つは、例えばさっき紹介しました沖縄での情報通信産業担当大臣会議で、主催は総務省なんですけれども、経済産業省にも加わっていただきまして、松下副大臣と一緒に主催したんです。一部の新聞には総経戦だと書かれまして、総務省対経済産業省で激しいバトルをやるんじゃないか、権限争議をやるんじゃないかと書かれましたけれども、全くそんなことはありませんで、両省が国益を重視して当たっている、官僚の人たちもそういう気持ちでやっているということを、私も実際に指揮をして感じました。

 それから、例えば一分野でいいますと、出版の電子化というのがありますけれども、これも、総務省も関係しますし、文科省も関係しますし、経済産業省も関係するんです。昨日、実は横浜で図書館総合展というのがありまして私も出席したんですけれども、そこで三省が本当に協力をしながら図書館関係者に対して政府のプレゼンテーションを行っているのを見まして、ああ、随分変わったなと思いました。

 やればできると思います。まだまだ課題はありますけれども、やればできると思います。そういうつもりでやっていきたいと思います。

柿澤委員 時間も過ぎておりますので、最後に申し上げると、どこまでが通信で、どこまでが放送かというこの垣根もはっきりしていない。そもそも放送と通信を分け続ける必要があるのか、こういう議論もまだ積み残しの課題として残っている。そういう意味では、私は、放送法を初めとする放送・通信の融合法制の議論というのはまだまだ先があって、この放送法も再改正が遅かれ早かれ必要になる、こういうことを御指摘申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

原口委員長 これにて両案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 私は、日本共産党を代表して、放送法等の一部を改正する法律案に対して討論を行います。

 まず、修正案について、NHK経営委員会への会長の参加、NHK経営委員、会長、副会長、理事の欠格事由の緩和の規定の削除は当然であり、賛成するものです。

 しかしながら、原案には重大な問題が解消されていないため反対であります。

 反対理由の第一は、放送番組の制作、編集を行うソフト事業者と放送施設の設置を担うハード事業者の分離を原則にし、総務大臣が放送番組の編集事業者を直接審査、認定するとともに、業務停止命令など、総務大臣の権限強化が行われているからであります。

 現行の放送局免許は、電波法に基づく施設免許であります。これは、番組内容に対する行政の直接審査、関与を防ぐことで、放送の自由を制度的かつ厳格に保障してきたものであります。この原則を変えることは、番組への行政の恣意的な介入を招きかねません。

 第二に、出資など制限をしたマスメディア集中排除原則の法定化は、現行の規定の緩和も可能とする条文であるとともに、この原則に違反した場合の認定・免許取り消し権限も規定されており、総務大臣の権限を強化するものとなっているからです。

 第三に、「放送」の定義を「無線通信の送信」に限定していたものから「電気通信の送信」に変えていますが、放送規制の対象拡大への懸念を払拭できる条文となっていないからです。

 放送法を議論するのであれば、行政の介入懸念を排除するために、独立性の高い行政機関を設置することこそが必要です。

 また、施設整備支援を継続する高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法案には賛成ですが、いわゆるテレビ難民を生まないために、来年七月のアナログ停波の延期こそ行うべきであることを指摘して、討論を終わります。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 初めに、放送法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、黄川田徹君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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