衆議院

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第8号 平成23年4月5日(火曜日)

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平成二十三年四月五日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石津 政雄君

      磯谷香代子君    内山  晃君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      笠原多見子君    後藤 祐一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      中後  淳君    中屋 大介君

      永江 孝子君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    松崎 公昭君

      皆吉 稲生君    湯原 俊二君

      赤澤 亮正君    佐藤  勉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      森山  裕君    吉野 正芳君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 長谷川彰一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   齋藤  潤君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鎌田  聡君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    川崎  茂君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 中沖  剛君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           藤本 一郎君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           佐藤 一雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 木村 雅昭君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            伊藤  仁君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           花岡 洋文君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     中屋 大介君

  中後  淳君     磯谷香代子君

  加藤 紘一君     吉野 正芳君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     中後  淳君

  中屋 大介君     小室 寿明君

  吉野 正芳君     加藤 紘一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官長谷川彰一君、政策統括官齋藤潤君、警察庁長官官房審議官鎌田聡君、総務省情報流通行政局郵政行政部長福岡徹君、統計局長川崎茂君、文部科学省大臣官房審議官尾崎春樹君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長中沖剛君、農林水産省大臣官房参事官藤本一郎君、生産局畜産部長佐藤一雄君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、資源エネルギー庁次長木村雅昭君、中小企業庁事業環境部長伊藤仁君及び国土交通省大臣官房審議官花岡洋文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。

小川委員 おはようございます。民主党の小川淳也でございます。

 きょうは、災害の関係についてお尋ねをいたします。

 本当に、被災地の状況については言葉になりません。心から犠牲者に哀悼の意を表し、また被災地にお見舞いを申し上げ、そして政府、大臣初め関係の皆様に心より敬意を表し、あわせて復興に向けた取り組みを進めてまいることの決意を申し上げ、質問に入りたいと思います。

 まず、今回の震災の被害、人的、物的被害はどの程度と考えられるのか。経済的な被害について、先般内閣府が、最小で十六兆、最大で二十五兆という試算を発表されました。三月二十三日のことでありますが、その根拠について簡潔に御答弁いただきたいと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、内閣府では、被害の全貌が明らかになっていない中ではございましたけれども、今後の御検討の参考にしていただくために、地震のマクロ経済的な影響について試算を行ったところでございます。

 この試算は種々の前提を置いた上で行ったものでございまして、相当の幅を持って見る必要があると思っておりますが、ストックの毀損額については、今御指摘のように、約十六兆から二十五兆に及ぶという試算結果となっております。

 その試算の根拠でございますけれども、試算に当たりましては、岩手、宮城、福島の東北三県と、北海道、青森、茨城、千葉の四道県を対象にしております。このうち東北三県につきましては、さらに市町村レベルまでおりまして、津波の被災地域か否かを特定いたしました。その上で各地域に存在するストック量を推計し、これに想定される損壊率を乗じて毀損額を積み上げております。

 その損壊率でございますが、二つのケースを想定しております。ケース一では、例えば東北三県の津波の被災を受けていない地域については阪神・淡路大震災と同じ程度の損壊率、これは建築物で申しますと約一五%となります。それから、津波の被災地域については阪神・淡路大震災時の二倍の損壊率を想定いたしました。同じく建築物について申しますと、これは約三一%でございます。以上がケース一でありますのに対しまして、ケース二では、特に東北三県の津波の被災地域の建築物については損壊率が相当程度大きいということで、八〇%を想定いたしまして試算いたしております。このケース一のもとでの試算値が約十六兆円、ケース二のもとでの試算値が約二十五兆円ということでございます。

小川委員 ありがとうございました。

 津波の被害を受けた地域の建物の倒壊率でありますが、後ほど黄川田筆頭理事のお地元でもあります陸前高田市の状況、また既に皆様新聞やテレビを通じて御存じのとおりでありまして、およそ倒壊率三〇%ということはあり得ません。八割を想定に置くとすれば、最大で見積もっている二十五兆、阪神大震災の約二・五倍ということを念頭に置かなければならないと思います。

 ただ、内閣府に対して敬意を表したいと思いますが、こういう試算をすること自体にリスクがあります。しかし、何か事情変更があれば速やかに修正することを前提に、こういう試算を思い切って行っていくということが今後の復興に向けた大前提になるということで、内閣府に対し敬意を表したいと思います。

 次に、人的被害について警察庁にお尋ねをいたします。

 現在、報道ベース等で明らかになっているのは、死者が一万二千名、安否の不明が一万八千名、合わせて約三万名でありますが、この数字をどう評価しているのか、警察庁にお尋ねいたします。

鎌田政府参考人 警察庁におきまして昨日の午後八時までに都道府県警察から報告を受けています死者数及び行方不明者数でありますけれども、死者数につきましては一万二千二百五十九人、行方不明者数につきましては一万五千三百十五人ということであります。

 この評価についてお尋ねでありますけれども、最終的に今回の震災による死者数あるいは行方不明者数がどの程度になるかということにつきましては、一概に申し上げることは難しいというふうに考えております。

 しかし、今後、瓦れきの処理あるいは土砂の撤去等が進めば死者数がさらに増加することはあり得るということであります。また、今後も、行方がわからないという届け出や連絡が警察に寄せられる可能性はもちろんあるわけでありまして、行方不明者数が増加することもあり得るというふうに考えております。

小川委員 一概に言い切れないのは、そのとおりだと思います。しかし、先ほど経済被害について申し上げたとおり、幾つか私自身が懸念していることを申し上げますが、宮城県警の本部長が県内の死者数が一万人単位に及ぶことは間違いないと発言したのが十三日、震災の二日後です。当時の警察庁の発表は、公式には死者九百七十七名、行方不明者七百名余り、この中で万単位だという発言をした本部長のこの意向に対しては、不用意だと言う人もいるかもしれません。しかし、ある意味で、この震災の全体像をつかむには避けて通れない話です。

 そして、もう一つ私が心配しているのは、現在明らかになっている死者と行方不明者それから確認されている避難者を足して、もともとあった人口の半分にも満たない地域が余りにも多い。

 現在、仮設住宅の建設に苦労しています。なぜか。内陸部に平地がないからです。ということは、八戸から福島県内まで言えば、山元町、亘理町ですか、海岸べりに張りつくように人が暮らしていた可能性が高い。しかも、津波から数キロは御存じのとおりの壊滅状態です。

 総務省にきのうの段階で統計をお願いしましたが、現在、津波による被水、冠水地域におよそ何万人の人が暮らしていたと想定されますか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 津波の浸水地域の推定というのは非常に難しいことでございますが、衛星写真ですとか航空写真などをもとにエリアを確定いたしまして、平成二十二年国勢調査人口速報集計の結果を細かく集計したものがございます。これによりますと、青森県八戸市から福島県いわき市までの推定浸水域に係る人口は四十四万三千六百七十一人ということでございます。これは、当該市町村の人口をすべて合計したものが二百二十四万二千人でございますので、一九・八%に当たるということでございます。

小川委員 四十四万人の方が暮らしている。ピーク時の避難者が大体三十五万人とか七万人とか言われています。その中には、私の粗い計算ですが、一割から一五%は原発に関連する内陸部の避難者がいる。ということは、海岸に暮らしていた方々、行方不明者で登録があるのは、捜している人がいてこその数字です。

 私も言いたくてこんなことを議論しているわけでは決してありませんが、やはり政府として、国家として、この人的被害の甚大さを想像する想像力あるいは直視する力は避けて通れないと思いますので、あえてこの点、質疑の冒頭で御指摘をさせていただきたいと思います。

 こういう状況の中で、特に総務省関連、救急援助あるいは警察の援助、初動態勢がどういうものであったのか、それぞれ簡潔に委員会に御報告いただきたいと思います。

鈴木(克)副大臣 私の方から御答弁をさせていただきます。

 端的に申し上げまして、今回の災害のまさに特徴というか状況というのは、広範囲で甚大な被害が出たということであります。そこで、全国四十四都道府県から緊急消防援助隊を派遣し、消火、人命捜索、そして救急運搬等に従事をしてまいったところであります。最大時には千五百五十八隊、六千九十九名の部隊規模となっておったわけでありますが、現在は三県だけで、三百六十隊、一千三百人規模で活動を続けております。

 ただ、若干数は減っておりますけれども、その中で、やはり救急隊についてはさらに残って、いわゆる感染症対策とかエコノミー症候群対策とかいうようなことで、非常に現地では期待が大きいということも承知いたしております。

 以上です。

鎌田政府参考人 警察の部隊の態勢についてでありますけれども、震災が発生しまして直後の十二日には派遣部隊、これは被災県以外のところから、全国からまず千八百人の応援を入れております。その後、さらに増強を図ってきているところであります。ちなみに、主要な三県について見ますと、岩手県警は警察官が二千百人余、それから宮城県警は警察官が三千六百人余、福島県警は警察官が三千二百人余おりまして、これが全国から来た派遣の部隊とともに活動している、こういうことであります。

 その後の状況についてでありますけれども、現在まで、岩手県警察、宮城県警察、福島県警察に対しまして全国警察から合わせて約一万五千人の警察職員が派遣をされて、救出、救助等の活動に携わっております。本日現在ということで見ますと、これらの三県に合わせて約三千三百人の警察職員が派遣されているところであります。

小川委員 ありがとうございました。

 お聞きする限り、警察も消防もその初動態勢については相当力を入れていただいているという印象でありまして、全国十五万人の消防職員のうち二万四千人が既に現地に入っているということですから一五%、警察職員は全国で三十万人弱ですか、これの一万五千人ですから五%ぐらい。

 ただ、当場の救命救急、救援、火災消火等が終わっても、これからいろいろな意味でマンパワーが必要です。それは消防法や消防組織法の概念を超えるかもしれませんが、あらゆる活動にこういう日ごろ訓練を積んだ屈強な方々を交代で送り込むということについては、ぜひ今後の対応として御検討いただきたい。

 あわせて、課題として、特に原発周辺の消防救急隊の装備は十分だったのか、そして、ガソリンの供給が限られている中で、消防車にガソリンを携行するということそのものが消防法上制限があったのではないかというようなことも言われております。これは、今後も含めてでありますが、課題として指摘をさせていただきたいと思います。

 配付資料をちょっとごらんいただきたいんですが、三月三十日の水曜日、ちょうど一週間ぐらい前になります。私自身、黄川田先生の地元でもあります陸前高田市へ車を調達して行ってまいりました。この様子をごらんいただきますと、これは市街地中心部の地図です。1は第一中学校。避難所で、確定ではありませんが、ここで千八百名ぐらいの方が避難されていると言われています。2は市役所周辺で、完全に瓦れきの状態。3は海浜公園の野球場です。ため池のようになっている様子がおわかりいただけると思います。4は駅近郊の田園地帯ですが、これは海水だと思われます。干潟のようになっている。5は少し高台から市全景を眺めた様子であります。

 これらを前提に、幾つか簡潔に御答弁をお願いします。

 まず、阪神大震災のときに、家屋の喪失は想定していましたが、土地の喪失というのはほとんど想定していません。これに対する固定資産税の課税をどうするのかというのが一つ。それからもう一つは、大量の自動車の被害が出ていますが、住宅の買いかえに対する手当ては阪神大震災のときに経験済みです。自動車の買いかえについてどう考えるか。この二点、税制面からお尋ねします。

片山国務大臣 固定資産税につきましては、課税要件を確定するいわゆる賦課期日が一月一日でありまして、一月一日の現況によってその所有者に課税をするという仕組みになっております。したがって、一月一日に土地が存在をしたとしますと、法律どおりに課税をいたしますと、課税対象になります。しかし、今般の被災で土地自体がなくなってしまった、もしくは大変大きなダメージを受けたということになりますと、法律の規定どおりに課税するということは恐らく妥当しないだろうと思います。

 これについては、各自治体で減免できるという、天災等による減免の規定がありますので、これを発動していただければ結構でありますけれども、これだけ広域にわたって大量の課税物件が大きなダメージを受けたということになっておりますので、自治体の財政の問題もこれあり、これは法律的に一律の仕組みをつくった方がいいだろうと思っておりますので、今般の税法改正の中に盛り込みたいと思っております。これは二十三年度分です。

 二十四年度分以降は、例えば水没をした土地でありますと課税対象になりませんので、恐らくこれは法的手当ては要らないだろうと思いますが、さらに、水没はしていなくても大変大きなダメージを受けている土地、評価額が下がった土地でありますけれども、これについて何らかの手当てが必要かどうかについては別途検討したいと思います。

 それから、自動車取得税については、法律どおりにいきますと買いかえであっても課税対象になりますけれども、これも、今般の災害にかんがみまして、代替の自動車を取得する場合にはやはり何らかの特例が必要だろう。家屋の買いかえの特例も阪神・淡路のときにつくりましたけれども、それと同じような仕組みが必要ではないかと今考えているところでありまして、これについて法律的な手当てをしたいと思っております。

小川委員 ぜひお願いをいたしたいと思います。

 関連して、私はこの日、地元の選挙区、小豆島が実はおしょうゆの特産地でありまして、大量に仕入れてそれを被災地へ運びました。非常にありがたいとおっしゃっていただいた。その理由なんですが、被災当場はとにかく水とおにぎり、それがやがて、みそ、しょうゆ、シャンプー、リンス、歯磨き粉に歯ブラシと、いわば被災地の生活水準が少しずつ上がっているわけです。私がなぜそう思ったかといいますと、党の災害対策本部の掲示板に、被災地の畑衆議院議員が、こういうものを欲しがっていますということを張り紙していたわけですね。こういうことに対するニーズは大変高まっています。

 きょうは総務部門を代表して質疑に立っている関係上、我が党の高井委員は、この被災地と支援者のニーズをマッチングさせるような政府の統一サイト、一元化された統一サイトについて提言しておられますが、これについてどういう対応があり得るか、簡潔にお願いします。

片山国務大臣 これは基本的には、県の方で各市町村を通じて避難所のニーズというものを把握して、県で手配できるものは県で手配していただく、それでできないものは国が支援する、また全国の自治体がネットワークを通じて支援するということになっておりまして、これをきめ細かくやることが最も現実的ではないかと考えております。

小川委員 様子を見ながら、より精度の高い、そして統合された情報のマッチングにお努めいただきたいと思います。

 次に、陸前高田市を例にとりますと、三百人ぐらいおられた職員のうち、三割ぐらい連絡がとれないというようなことが言われています。今般、総務省が調査をされたところでは、被災五県から全部で五百五十名の職員の派遣要請がある。しかし、これも多分遠慮ぎみだろうというふうに私は想像します。仮に、三百名の三割、七十人から九十人ぐらいが職務復帰不能だと想定しても、陸前高田市から要望があるのは三十二名ですから、かなり遠慮がちに要望されているんだろうと思います。

 そこで、端的にお尋ねしますが、現在、地方公務員や国家公務員挙げて被災地の支援に入っていると思います。その現状なり、市長会を初め自主的にそういう取り組みをしていることが報道されておりますので、それに一義的にはゆだねるべきだと思いますが、今後、場合によっては、法律によって総務大臣に特別の権限を付与し、計画的にそうした支援を行っていくということも考えられると思います。その点について簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

片山国務大臣 恐らく、そういう強制的な権限は必要ないだろうと私は思います。できる限り任意の仕組みの中で協力をしていただくということはちゃんと作動すると思います。

 今、五百数十人の要望で、これは遠慮がちではないのかということの御指摘がありましたが、遠慮しないようにということを申し上げておりますし、これからもそういうメッセージを伝えていきたいと思います。

 ただ、被災地に総務省の職員も行っておりまして、現地の報告を聞きますと、いろいろな事情がありまして、例えば来ていただいても、実は庁舎が流れていて、仮庁舎をつくっているんですけれども、まだちゃんと整っていないので全員が入れない、そういうスペースの問題もあるとか、それから、宿泊とかができませんので寝袋持参ということになりましておのずから限界があるとか、そういう事情もありますので、遠慮がちということもあるかもしれませんが、むしろ物理的なキャパシティーの問題もあるということもあります。

 今後、仮庁舎ができる、そうしますと職員の受け入れもできるようになりますので、そういうこれからのステージに従って順次要望も、きっとふえてくると思いますし、多様化してくると思います。今、これに市長会それから知事会の方で本当に全面的に協力をしていただく態勢になっておりますので、この中で、できる限りニーズに合うような、そういうマッチングを進めていきたいと思っております。

小川委員 ありがとうございました。

 現状、全国の都道府県から二百五十名、政令市から百七十名が投入されている、そして国家公務員については一万名余りというふうにお聞きをしております。大臣おっしゃるとおり、まずは自主的に、それが一番だと思います。そういう形で、本当に、強制される形じゃなくて、被災地を全面的に応援するという態勢づくりに今後も御注力をいただきたい。

 そして、事務の代行や共同処理、あるいは組合等々、さまざまな方策を考える必要があると思いますが、一つ打ち消しておきたいのは、三月三十日の新聞報道です。政府は被災市町村の合併を促進するという報道がありますが、これはそんなことありませんよね。その点だけ。

片山国務大臣 政府としてそういうことを考えたことはございません。

小川委員 今の被災地の感情を想像すれば、この時点で合併がどうだということはおよそあり得ないことだと思います。しかし、合併も当然含めて、被災地が望む場合には極めて迅速かつスムーズに対処する、あらゆる事態をタブー視せずに議論しておくことも一方で必要だと思います。その辺が正確に伝わるように報道関係にも御協力をお願いしたいと思いますし、私どもの議論も冷静に行っていきたいと思っております。

 駆け足で恐縮ですが、被災地また支援自治体双方に対する財政支援の基本的な考え方、現時点での検討状況をお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 これは幾つかのポイントがありますが、現在の復旧の段階では、例えば瓦れきの処理でありますとか被災者の皆さんの生活の支援でありますとか、自治体の財政は相当の役割が期待されております。この段階では、できるだけ自治体の負担を少なくするということを旨としたいと考えております。したがって、瓦れきの処理なども実質的にほぼ一〇〇%国ないし地方財政の中で措置をするということにいたしましたし、それから災害救助の関連も極力地方費がゼロに近い形になるようにしているところであります。

 今後の復旧につきましても、現行の国の補助制度それから激甚災害による補助率のかさ上げ等ありますが、これを使って、極力地方負担をゼロにするということを旨としたいと思っております。

 あと、今後の復興で、今回の場合には従来どおりの復旧という形だけでは多分済まないと思いますので、新しいタイプの復興支援というものが必要になってくるだろうと思いますけれども、この場合にも、財政に着目しますれば、できるだけ地元負担を少なくするような、そういう方向で財政当局とも折衝したいと考えております。

小川委員 ありがとうございました。

 いろいろなことを報じられています。交付金をつくる、基金を設置する、特別交付税、補助事業の拡大、補助率のかさ上げ、そして一括交付金の活用等、ちょっとこれは交通整理する必要があるという気がしておりまして、基金は、他の措置に比べますと複数年度で対応できるということで、極めて利点があります。それから、交付税は、一般財源であるということで、極めて利点がある。そして、今度は普通交付税を増額しますと、これは被災地以外にも薄まきに拡大されるということで、よしあし。

 こういうことを考えますと、今後、一番は、やはり補助事業の対象拡大と補助率のかさ上げで国が全面的にバックアップをし、二番は、補助メニューに適合しない細やかな事業を交付金できめ細かに支援をし、三番は、特別交付税によって被災地に限定する形で一般財源を確保し、そして最後に、年度間の変動に余念がないように基金の柔軟な運用を考えるというぐらいの四段階で設計する必要があるのじゃないか。

 そして、もうお尋ねはしませんが、被災自治体じゃなくて、支援自治体に対しても、本当に全国的に応援がありますので、これもぜひ御配慮をいただきたい。

 そして、ちょっと話はかわりますが、報道が被災地に集中して大変不自由があった、あるいは被災地の感情を害したということも言われております。

 この点、四月の一日に、被災地の住民感情に十分配慮した取材をするようにという通知をされている。踏み込んだ通知でありまして、敬意を表したいと思います。同時に、こうした対応は平時によく議論しておきませんと、災害があって突然というわけになかなかまいりません。その点だけ指摘をさせていただきます。

 いずれも駆け足で恐縮ですが、最後に、復興庁という構想がありますので、この点に対する大臣の所感を簡潔にお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 今いろいろな構想が各方面から出されておりまして、復興庁構想もその一つだろうと思います。

 これはどういう形がこれからとられるか今の段階で定かではありませんが、どういう形がとられるにせよ、基本的には地元の自治体が住民の皆さんの意向を酌んだ復興のビジョン、デザインというものが描かれるべきで、しかし、市町村は非常に弱っておりますので、それを県が全面的に支援する、さらに国も当然、財政面も含めてバックアップをする、さらにいろいろな新しいまちづくりの観点からの助言もしていく、市町村を中心にしながら県、国が全面的な支援をしていく、こういう基本的な理念だけは大切にしたいと考えております。

小川委員 確かにそのとおりだと思います。

 一方、我が党の後藤委員からは、今壊滅状態にある役場で復興プランというのは無理だという、選択型で国ができないか。それから、規模も本当に甚大です。

 これは昨日の報道ですが、スマトラ沖地震、二〇〇四年、その八割の被害が集中したアチェ州のバンダアチェには復興再建庁が建設をされ、現地ですべての指揮をとったということが報じられております。

 ですから、仮に復興庁を構想するとすれば、一つは統合のメリット、そして一つは現地で指示をするというメリット、この二つが大きく考えられます。

 そして、単なる復旧復興ではだめだという意見は各般各層の方がおっしゃっていますが、とにかく、何万とも知れない犠牲となった方々の思いを想像すれば、あの地域にやはり世界に誇れる最先端の地域を再生する以外に、この犠牲にこたえるすべはないと思います。分散型で再生可能エネルギーに立脚をした町、高齢化に対応したコンパクトシティーと言われるものの設計、そして東北道州、分権型の都市・地域経営、こうした三つの観点から、世界最先端のエリアだというものをつくり上げること以外に、何万という犠牲者の思いにこたえる道はないであろうことをお互いの問題として共有をお願いし、それに向けてそれぞれの立場で、持ち場で懸命に努力するということを誓い合って、質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 今回の東日本巨大地震、津波でお亡くなりになられました方々と被災された皆様方に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、せっかく助かった命も、これ以上なくさない、そういう今の避難所などの生活支援をしっかりと行政がやらなければならないし、我々もサポートしなければならないと思います。

 十六年前、私も神戸で震災を経験しましたが、災害の規模、広さ、また地震、津波、原発さらには風評被害と、四重苦とも言われる大変大きな課題が山積しているわけでありますけれども、スピード感を持って取り組まなければ、先ほどのように、助かった命も助からない。これ以上ふやすことのないように、しっかり取り組む必要があると思います。

 十六年前の神戸のときは六千四百人亡くなられました。当日亡くなられたのは五千五百人です。九百人がいわゆる震災関連死、その後の避難所とか仮設住宅でのストレス等々による死亡でございました。そういうことを踏まえながら、危機感を持って、しっかりと我々も取り組む必要があると思っています。

 我が党の谷垣総裁も、復興に全面協力するということで、いろいろな場で政府・与党と協議も進め、私自身も、三月十九日以来の各党・政府実務者の会合、昨日もあって十二回を数えましたが、自民党を代表して出させていただいているところであります。そこでもいろいろなことを議論を取り交わし、提言し、要望しているわけでありますけれども、きょうは緊急の問題を中心に総務大臣などにお尋ねしたいと思います。

 まず、義援金です。着のみ着のままで逃げられた避難者の方はとにかく現金がありません。

 阪神・淡路大震災のときは、お手元の資料一ページにございますように、一月十七日の被災から二週間後に第一次配分がなされました。死亡者・行方不明者、そして住家損壊見舞金、一律十万円です。二週間です。

 もう三月十一日から相当過ぎてまいりました。早くこれを配らないと義援金が渡りません。官房長官は、確定してから配ると遅いので早く配りたいと言われました。当たり前です。前例もあるわけです。早期に一次配分が必要だと私は思っており、各党実務者会議でも何度かその主張、要望を行いました。片山大臣も、早期に必要ということをテレビですか、言われたというふうにお聞きしていますが、いつ配られますか。

    〔委員長退席、古賀(敬)委員長代理着席〕

片山国務大臣 義援金が、必要な被災者の皆さんの手元に早く届く、これは最終的な確定金額でなくとも、内輪の金額であっても早く届くべきだと私は思います。

 ただ、これは、政府が所管している事柄では実はございません。日本赤十字社でありますとか、NHKでありますとか、そういう民間の機関が内外の国民の皆さん、企業等から義援金を募っているわけでありまして、この民間の関係機関が早期に配っていただくことが基本であります。

 阪神・淡路のときと比べて、今回の義援金の配分がおくれているということがそういう機関の耳にも届いておりまして、実情を伺ってみますと、今回の場合には、北は青森から南は……(谷委員「いや、理由はよろしいです。わかりますから」と呼ぶ)ということで、非常に困難をきわめているということでありましたので、早く配られた方がいいんじゃないですか、もしそういう調整にお困りであれば政府として何らかの助言を差し上げますということで、今、厚生労働省の方で、できるだけ早く関係機関が配られるようにということで、アドバイスなりの段取りをしているところであります。

谷委員 片山大臣の言われるとおり、義援金は配分委員会で、日赤とかそういう関係団体そして地元自治体が入って、配るというのを決めるルールでありますけれども、政府の立場も、強制はだめだと思います。けれども、いろいろなサジェスチョンも、政府内の立場でぜひこれは早期に行っていただきたいと思います。そうしないと、避難所であればとりあえずの食事も衣類も保障されるわけでありますけれども、徐々に落ちついてくると、とにかく現金がないと本当に困るわけでございますので、ぜひ早期配分について、総務大臣は本部の副本部長でしたよね、政府の新たにつくった被災者生活支援本部の副本部長として、その辺をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、少し観点を変えて、今度の復興で大変なお金が必要になろうかと思います。

 先週、復興財源捻出のために国家公務員給与を五%カットするという案が、与党民主党の中ですか、浮上しているという報道がありました。ある面では、国民の立場から見れば当然だという思いを抱いている方も多いと思いますけれども、大臣の御認識をお尋ねします。

片山国務大臣 国家公務員の給与の削減につきましては、民主党のマニフェストに掲げたことの一環として検討を始めているところでありまして、既に関係方面とも意見交換とか協議を行っております。必要な法案を今通常国会に出すという基本方針のもとにやっておりまして、今、その協議なり詰めなりを行っているところであります。

 これを補正予算の財源にするかどうかということは政府全体の中で決めることでありまして、とりあえず、その財源をどうするかということとは切り離して、国家公務員の給与水準についての見直しを行うという方針を従来から持っており、それを進めようとしているところであります。

谷委員 残念な答弁です。民主党のマニフェストの進捗状況は、ほとんど進んでいないというのはこの委員会でも何度も議論になったことですし、また大臣として、こういう未曾有の災害について国家公務員の方もそれなりの協力をお願いしたい、そういう政治の意思を言っていただけるのかなというふうに思いましたけれども、何か平時の発想で、私としては少し残念であります。

 話を移します。先ほど小川委員の質疑にも出ておりましたけれども、被災自治体へのマンパワー支援ということです。

 今回の災害を考えるときに、阪神・淡路とよく比較されるのですけれども、規模の甚大さ、広域性、そして津波、原発という問題があること、それに加えて、私も先週岩手の大槌町に参りましたけれども、阪神・淡路は言うても大都市直下型の地震でありました。今回は地方を襲った。そこで、燃料、特にガソリンの確保ということがいかに大事か、そして、そのことに本当はもう少し早く着目して全力投球しなければならなかったのではないかという思いを私は抱いています。実務者会議でも何度もそのことは主張いたしました。

 そしてもう一つ、被災自治体はもう市役所あるいは町役場ごとやられているんですね。たくさん被害が出ています。それで、そういう被災自治体を支援するために総務省の方でも協力態勢をとるということで、被災自治体に何人ほどの職員を派遣すればいいのかという照会を先日行い、先週、派遣要望が五百四十五人だというふうにお聞きしております。これで十分ですか。総務省としてどう受けとめておられますか。

片山国務大臣 総務省は当初から、被災自治体、特に大槌とか陸前高田とか、壊滅的な被害を受けているところの市町村の立て直しということが非常に重要ですので、該当の県の知事とも協議をいたしまして、まずはやはり県が実情に詳しい人を送っていただくということが基本になりますけれども、それから全国の同種の自治体の、同じような経験を積んだ職員の派遣のネットワークをつくるということでやってきております。

 現時点でどれぐらいの職員が必要かということを調査しましたら、五百数十人ということでありまして、これについてはその全国ネットの中で必要数を確保していきたいと、今取り組んでいるところであります。

 今後、多分、復興のステージの変化に応じて人数もふえてくるでありましょうし、それから職種も多様化してくるだろうと思います。現にこの調査をかけました直後も、また改めて仙台市から数十人の要望があったり、それから、原発で避難をしているところはまだ実はそれどころではないということもありまして、これから、落ちつくという表現がいいのかどうかわかりませんけれども、態勢が整うに従って人数の要望が出てくるだろうと思いますので、これについては、その後の変化を柔軟に取り入れて、そのネットワークの中で充足をしていくように努力したいと考えております。

谷委員 お手元に資料を配付させていただいています。二ページ、三ページです。これは、先週木曜日の各党と政府の合同会議の実務者会合で私が提出させていただいた資料です。第十一回目の実務者会合でございました。

 災害のときにどれぐらい人手が必要かということは、同僚の長島議員、新潟の山古志の元村長でありますが、長島さんの感覚では、通常一〇〇の仕事が一気に三〇〇にふえると言われていました。私も十六年前、兵庫県にいましたけれども、少なくても倍以上です。

 岩手の大槌町では、百三十九人の役場職員のうち三割が亡くなられました。黄川田先生がおられますけれども、陸前高田では、三百名近い職員のうち七十名、八十名が亡くなられました。では、大槌町、陸前高田は何人要望しているか。十二人、大槌町。四十名近く亡くなられたが、十二人。陸前高田は、七十名、八十名の方が亡くなられているのに三十二人。

 先ほど小川委員は、遠慮しているのじゃないかと言われました。こういうことは聞いてみればわかるんじゃないですか、総務省。副大臣なりも現地に行かれたんでしょう。何のために国の職員が現地に行っているんですか。陸前高田でも、黄川田先生に聞かれましたか。市の職員で、現場を一番よく知っているんじゃないですか。こんな人数で足りるんですか。お答え願います。

片山国務大臣 陸前高田にも大槌にも、総務省のかつて岩手県に勤務をしたことのある、土地カンのある職員を当初から派遣しまして、連日盛岡から通って、役場の実情もつぶさに伺い、現地を見て帰ってきております。

 今回の他の自治体に対する要請というのは、これが全部ではありませんで、既にもう岩手県の方の協力があったり、地方振興局から人が出ていたり、既にいろいろな支援があって、その上でなおかつ、あと何人足らないか、そういう調査でありまして、そういうものだというふうに認識をしていただきたいと思います。

 それで、もちろん遠慮していただく必要はありませんし、率直なところをおっしゃっていただきたいということでやっておりまして、さっき言いましたように、これからも復興のステージに応じて必要数もふえてくると思いますので、それについて万全の協力をしたいと思っているところであります。

 現地に行った総務省の職員に聞いてみますと、さっきちょっと小川議員の質問のときにお答えをしましたけれども、庁舎自体がつぶれておりますので、今、プレハブで仕事をしている。そうしますと、仕事をするスペース自体が今不足しておりまして、これが、五月だったでしょうか、ちょっとした仮庁舎ができる。そうしますとまた本格的な再建にかかれるというような地元の実情も実はありまして、それをにらみながら、そのお話も聞きながら迅速に対応していく、そういう考えでおります。

谷委員 片山大臣、ちょっと違うんですね。これは平時じゃないんですよ、文書で照会をして一週間後に回答をちょうだい、それで仮庁舎云々。

 それから、大槌であれば電気もまだまだ復旧していないです。水道もだめです。そういう条件で他の自治体の職員が来てもらうのに忍びない、そういう思いで、大変遠慮してこういう数字ではないかと私は思います。

 それでも、住まいがなくても庁舎がなくても、そういう条件でも国が助けてくれ、政府が何とか応援に行ってくれと言ったら、全国のそういう自治体でも手を挙げるところはありますよ。今、消防職員なり、下水の職員とかあるいは水道の職員とかがいっぱい行っています。保健婦さんも行っています。悪い条件にもかかわらず、今しっかり手当てをしなければ行政が麻痺してしまう、行政のやるべき仕事ができないからという危機意識でみんな頑張っていると思うんです。それに対して、何か総務省の対応というのは、私は正直な話、大変歯がゆいです。

 こういうことで、お手元の資料にありますように、今市町村の方は、避難者の生活支援とか、住民の安否確認とか、流出した各種データの整備とか、各種証明の発行、また学校、病院、公共施設などの復旧、もういっぱいやらなきゃならないんです。あわせて、そうはいいながら、復興のプランを練る職員ももう考え始めなければならないんですよ、日常業務から切り離して。

 では、これだけの人数で、大槌町であれば十二人、陸前高田であれば三十二人で、行政機能を早期に回復させ、復興に差し支えがないと断言できますか。再度お尋ねします。

片山国務大臣 ですから、何回もお話ししておりますように、これで最後ではないんです。これから、地元の自治体の対応の変化に応じて要望が変わってくるでしょうから、それを順次出していくということです。おっしゃる意味は、はやる気持ちはわかるんですけれども、勝手に押しかけてかき回すわけにはいかないんです。やはり、それぞれの地元の自治体で一番最適な復旧復興のステージというのがあるわけですから、それに対応した形で、できるだけ協力をしていくというスタンスであります。

 それで、歯がゆいとおっしゃいましたけれども、申し上げておりませんけれども、総務省としてこんなこともやっているんです。

 当初の段階で、大槌とか陸前高田というのは本当に壊滅的な被害を受けておられますので、相当人が要るのではないかということで調査をしました、今回のとは違って。

 そうしましたら、県を通じてやりますと何人、何人というのが来ましたので、それはそれで県と協力しながら対応したんですけれども、ひょっとして、県を通じてというときに、県に遠慮があるのではないかということもありまして気になったものですから、政務三役の方から直接、市長さんでありますとか、それから大槌の場合は町長さんがおられませんので職務代理の方にお電話を差し上げて、県を通じた調査には本当に遠慮はないんですかというようなことも聞きました。そうしましたら、若干、県から上がってきたのとそごがあったものですから、改めてまた県と相談をしてその内容を変更したり、県からさらに協力を求めたりしたり、そんなことを実はきめ細かくやっております。

 それから、さっき言いましたように、総務省の職員を直接、岩手県を通じて大槌、陸前高田にはしょっちゅう行かせておりまして、私もその報告を直接職員から聞いております。

 これからも、そういう地元の実情に本当に合った形で、地元の仕事が円滑に進むように協力をしたいと思っておりますので、その辺は、もしお気づきの点がありましたら、現地の声で私どもの意見と違う声がありましたら遠慮なくお聞かせいただきたいと思いますけれども、今私が申し上げたようなことを丁寧にやっているつもりであります。

谷委員 大臣、違う声があるから質問しているんですよ。私だって、何も思いつきでやっているわけじゃないんです。いろいろな情報で、独自にいろいろ聞いたりしています、これで十分でないと。

 問題は、焦って迷惑をかけてはそれはいけないですよ、大臣。そうじゃなくて、私が一番懸念するのは、基礎的自治体である市町村がやるべきことをしっかりやってもらわないと、行政の機能が低下してしまうと、そこの自治体の被災者はほかの自治体に比べて立ち上がるのが遅くなるからです。人手不足のために避難所の開所が遅くなったり、復興住宅の建設が遅くなったり、それを懸念しているから私は焦っているわけです。

 ですから、いや、これは大丈夫だ、谷さんはいろいろ言われるけれども、ちゃんと地元と調整をして、行政機能の低下を来すことは絶対ない、この人数で大丈夫だ、そう言われるなら、大臣、言うてください。私はこれ以上言いません。

片山国務大臣 さらに必要ならば、それに応じて全国のネットワークの中で対応するようにしますので、その辺は、例えば総務省の方で何かけちっているとか、渋っているとか、それから、地元から求めがあるのに全国ネットワークの中で対応ができていないというわけではないんです。

 ですから、今回の調査は今回の調査で、必要な人数を出していただきました。これから日々刻々変わってくると思いますので、それを遠慮なく言っていただいて、また、遠慮なく言っていただくように私どもの方からも慫慂いたしますし、それに対して市長会などの協力を得て対応していく、そういう考え方であります。

谷委員 先ほど少しお尋ねしましたけれども、副大臣、陸前高田について、その被災者でもある黄川田先生の御意見も聞いておられるんですか、このマンパワーの支援で。お答えください。

鈴木(克)副大臣 御答弁させていただきます。

 実は、発生して三日目に、私は大臣と一緒に岩手、宮城に参りました。その報告を黄川田先生に申し上げたところ、大変恥じておりますけれども、それまで黄川田先生の状況を私は知りませんでした。黄川田先生からそのことを聞きまして、本当に私はびっくりして、だったら私がおりて、黄川田先生にかわりに乗っていっていただくべきだ、余分な話ですけれども、それぐらいの思いでありまして、どんな状況ですかということでお伺いをしました。

 いずれにしても、まだ今は混乱をしておる、そして逐次要請が出てくるので、そのときには全力を挙げてひとつ支援をしてくれ、こういうお話は伺っております。

谷委員 いずれにしても、今回はこれ以上言いませんけれども、私は、受け身ではなくてもっと要望を、これは非常時なんですよ。過去に例のない未曾有の災害なんでしょう。戦後の歴史になかったんですよ。ですから、待ちの姿勢ではなくて、積極的に総務省の方がこれで大丈夫ですかと、いろいろなルートを通じてしなきゃだめだと思うんです、自治体への人的支援というのを。

 ですから、もちろんこれで終わりではないでしょうけれども、ぜひ、本当にこれでその市町村の行政機能がしっかり、ほかの自治体に比べて劣っている、そういうことがないように今後ともしていただきたいということを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。

 市町村の行政で大変気になるのは、後で同僚の吉野委員の質問と少しダブるかわかりませんけれども、原発避難地域の町村の行政です。これは大変気になります。

 役場の移転が今八つですか、八町村がいわゆる二十キロ圏内ですから、住民だけではなくて町村の役場そのものも移転しています。相当長期化することが見込まれています。原発の収束について、まだ政府はいつの時点かというようなことは明確にしておりませんのでよくわかりませんけれども、ただ、いろいろな情勢からすると、相当期間かかるということは常識的に考えられるし、我々もそれを前提でいろいろな支援というのも考えなければならないと思います。

 難しい課題ということは私も十分承知した上で御質問します。どう具体的な支援を検討しなければならないか、支援していくかとまでは言いません、どう検討していかなければならないと考えておられますか、お尋ねします。

片山国務大臣 原発の避難地域に所在する市町村、八カ町村、今、福島県内それから埼玉県に移転を余儀なくされておりまして、本当に私はお気の毒だと思います。私もかつて自治体の首長をやっていた者として、もし自分が町長さん、村長さんの立場だったら一体どうするだろうかということを考えましたときに、本当に言葉がなくなってしまいます。避難を余儀なくされた多くの住民の皆さんとともに移転をし、そして、さらに双葉などはまたその避難先を変えるということで、御苦労もさぞかしだろうと思っております。

 総務省として、大変気になるものですから、まずは役場と連絡をとりまして、今どういう現況にあるのか、それから、どういうことが課題であり、求められるのかということをつぶさにお伺いしてきております。平岡副大臣が郡山に行って避難先の二つの町村長さんにお会いをしたり、幹部職員が埼玉に行ってきたり、連日のように電話で今相談を受けております。

 だんだんとステージが変わってきておりまして、最初は、例えば公印がない、パソコンがない、情報がとれない、こういうことでありました。今何が問題かというと、一部の住民の皆さんは避難先で一緒になっているけれども、多くの住民の皆さんは連絡がとれない、その所在を確認する方策を考えてまいりたい、こんなことがいろいろございます。

 あれやこれやありますので多くは申し上げませんが、一つ一つの町村の課題を、これは福島県としても取り組んでいただいておりますけれども、総務省としても、できる限りの支援を申し上げたいと思っております。財政支援も含めて支援をやっていきたいと考えております。

    〔古賀(敬)委員長代理退席、委員長着席〕

谷委員 当面のいろいろな支援は、今大臣から御答弁がありましたように、それはそれとしてしっかりやっていただきたいんですけれども、これが一月、二月ではとても済まない、ある程度の期間を確保しなければならない、そのときに、これらの市町村行政をどうしていくのか、どういう仕組みでやるのか。

 そのときに、今の一定の地域に住民の方々が住んでいて、そして市役所があり町役場がある、今度の場合、市はないですから町村の役場がある、そういう平常時の行政とは明らかに違うものが相当期間続くということを想定しなければならない。今の法体系ではそんなことは全然想定していないんですね、今の法体系では。そのことをお尋ねしたかったんです。当面のことではなくて、具体策というのはすぐには出ないかと思いますけれども、何か支援の検討方向とかがあれば、再度お尋ねします。

片山国務大臣 今はどうしても、当面のことがやはり役場でも最重要課題になりますし、それに国として対応しなきゃいけないと思っておりますので先ほどのような御答弁を申し上げましたが、今回のような事例というのは、本当に異例のことでありますが、東京都の三宅島が、噴火のときに役場ごと都区内に移転をされた事例がありまして、こういうのは先例として一つの参考にはなると思います。ただ、原因も違いますし、状況も違いますので、これからよく町村長さんと意見を交わしながら、必要な対応については柔軟に考えていきたいと考えております。

谷委員 私も、この問題について、これから中期的にどうしたらいいのかという具体案が今あるわけではありません。

 今大臣が言われたように、やはり答えは現場にあると思うんです。今まで以上によく聞かなきゃならないと思うんです。東京に来いではなくて、当然出かけていく。出かけていって、それは政務三役だけではなくて幹部職員も含めて、町長だけではなくて、できる限り幅広く避難されている方の意見を聞いて、どういう支援、あるいは場合によっては仕組みが必要なのか。場合によっては法改正も必要かもわかりません。

 ですから、我々も我々なりにこの問題について検討を進めていきたいと思いますけれども、ぜひ、政府においても幅広くいろいろな方の意見も聞きながら、特に現場の、現地の声をよく聞いていただいて検討を、ある面では早急にしなければならないかもわかりません、内々にですね。よろしくお願いしたいと思います。

 先ほど小川委員の話にもございましたが、実は、与党の中で自治体合併の簡素化を検討しているというような報道がありました。先ほど小川委員は、これはやや誤解で、何かメディアが正確に伝えていないかのような言い方をされていましたけれども、私が入手した資料によれば、そうでもないと思います。結論は出ておりませんけれども、合併を希望する被災市町村の対応では簡素化をする、現行の法制度が妨げにならないような工夫が必要であるとかいうことを書かれています。

 私は大変不謹慎だと思います。何でこういう事態のときに被災市町村が合併を希望したら、より簡素な手続をしなければならないのか全くわかりません。大変なときに、自立できないだろうから合併の手続を簡素化してはどうかという発想自体が私にしてみれば信じられません。

 大臣、どう思われますか。

片山国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、政府として、そういったことを考えたり検討したことは全くございません。

 今回のような災害の場合に、自治体のあり方はどうかと言われますと、やはり住民の皆さんに一番身近な、これまで本当に住民のお世話をしてきた市町村に頑張っていただく、これが基本であります。ただ、今次の場合には、市町村が大きく打撃を受けて機能をかなり喪失しておられますので、まずはこれを包括する県、それから近隣、または全国的な同種の自治体が支援をする、それを全面的に国がバックアップをするということで応急対策をしていく、復旧対策をしていくということが基本ではないかと私は思います。

谷委員 何かもう一つ、大臣の答弁の趣旨が理解できないところもあったんですけれども、被災自治体が大変なときに、たとえ合併を希望したとしても、制度を簡素化するという考え方はやはり基本的におかしいと私は思うんですよ。

 だって選挙でも、物理的な問題もありますけれども、だれがいいか、今はとても判断できるような事態じゃないということで、あれは二月から六月の範囲内でしたが、延期しました。選挙でもそうなのに、合併という自分たちにとって大変大きな影響のあることについて、被災市町村については手続を簡素化するという発想そのものが問題ではないですかという問いなんです。

 大臣、再度お尋ねします。

片山国務大臣 多くの皆さんが避難所生活を余儀なくされている、それから、失った家財、家屋の回復にこれから努められる、そういうときに自治体の基盤を変えやすくするというのは妥当ではないと私は思います。

谷委員 私も全くそう思います。繰り返しになりますけれども、こういうような議論がされるということ自身について、同じ議会人として大変寂しい思いがいたします。

 さて、時間がもうなくなってまいりましたけれども、最後に一問だけお尋ねいたします。

 通信インフラが大変気になるところでありますけれども、固定電話、携帯電話はそれぞれ会社の方でいろいろ頑張ってもらっていると、資料もいただいていますので、一つだけ最後に、防災行政無線の復旧見込みはどうでしょうか、いつの時点。

 いただいた資料によると、大分、五十六の市町村において防災行政無線に被害が生じています。これからの災害を考えると、この中のすべてかどうかわかりませんけれども、次のいろいろな災害に備えてやはり早急に整備しておかないと、住民の方は大変不安に思われると思うんですけれども、この復旧の見込みについてお尋ねしたいと思います。

平岡副大臣 お答えいたします。

 今、委員から御指摘ありましたように、防災行政無線についての被害は全部が出ているわけではございませんで、少なくとも五十六市町村に被害が出ているということでございます。まだ完全に把握できる状況になっていない、少し時間がかかるということでございます。

 復旧に向けても、そういう状況でございますので、まだ完全に目途が立っているわけではありませんけれども、この重要性ということは十分に認識しておりますので、これから、補正予算等の対応も含めて、できるだけ早く復旧ができるように努めていきたいというふうに考えております。

谷委員 これで質問を終えますけれども、平岡副大臣、防災行政無線の復旧見込みは早く立ててほしいです。固定電話とか携帯電話なんかはどんどん会社の方が、いつごろ復旧と言っているんですよ。住民にとって必要不可欠だという防災行政無線がいつ復旧するか、今の時点でも総務省が発表できないというのは寂しい感じがします。

 以上で質問を終わります。

原口委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自民党の吉野正芳でございます。

 私の選挙区は、まさに原発の双葉郡、そしていわき市でございます。全国から多くの皆様方の御支援、本当に感謝を申し上げます。

 また、黄川田先生におかれましては、本当にお悔やみを申し上げたいと思います。

 さて、私も原発八カ町村、避難所そして移転した役場、村長、議長、多くの方と意見を交換してまいりました。その中から、きょうの質問をさせていただきたいと思います。

 一番多かった意見は、いつ戻れるんだ、自分のふるさとにいつ帰れるんだ、早く帰りたい、こういう意見が圧倒的な意見でございました。これは原子炉、原発の収束をきちんとした後でしか帰れないわけでありますから、そこの筋道がよくわからない。原発を収束させるために、今どの段階のことをやっているのか、この段階のことが終われば次はこれをやり、これをやり、そして最終的に収束に持っていく。

 原発の収束というのは、まず核分裂をとめることです。これは、制御棒が働いてきちんととめることができました。次に燃料棒を冷やすことです。今、これに最大限の努力をしております。そして閉じ込めるなんです。この一番大事な閉じ込める、これが今、閉じ込めることができなくて、海水汚染、また放射性物質等々の飛散が起こっているわけです。

 でも、まずは冷やしていく。いわゆる冷やして閉じ込める、冷温停止に持っていって、最後は封じ込めをするというような一つのパターン、これに向かって今政府は動いていると思うんです。もう一つのパターンは、チェルノブイリ型のように、最初からもう閉じ込めてしまう、そういうパターンもあろうかと思いますけれども、今政府がやっていることは、まず冷やして、冷温停止の状態に持っていって、そしてそこから燃料棒を取り出し、最後に封じ込めをする、こんなパターンのように思います。

 そういう中で、国民、特に原子力地域で八カ町村、七万五千人が自分たちのふるさとから離れているんです。この方々の思い、いつ帰れるんだというこの思いを実現するためにも、時間的にいついつまでというのは結構だと思います、どんな突然的な事象が起きるかわかりません。今も、冷やす最中に放射線漏れ、海水の汚染という新たな問題が生じてきました。まずここを取り除いて次の段階、こういうきちんとした、わかりやすい、段階段階の道筋をきちんと示すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

片山国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 私は生活支援本部の本部長代理という役柄を仰せつかっておりまして、津波被害の被災者の皆さんの生活支援と、あわせて原発災害で三十キロ圏外に避難をされた方の生活支援について本部の一員として仕事をしておりますけれども、その際に、原発関連でいいますと、今まさにおっしゃったように、その見通しでありますとか、それから原発に関する情報をわかりやすく説明していただきたいという声が非常に強いということを私も痛感しております。

 生活支援の方では、その点については確たることを申し上げることができませんので、これは原発災害の衝に当たっておられる方に、私の方からも実は常に強くお願いをしているところであります。避難されている方の頼りになるのは町村の役場でありまして、少なくとも役場の町村長さんなどには丁寧にわかりやすく現状と、確たることは言えなくても、見通しについてどう考えているのかという点などについてきちっと説明していただきたいということを申し上げてきまして、最近、経済産業省といいますか保安院が町村長にお会いをしたり、それから情報を御説明したりしているということになったはずであります。

 おっしゃることは、私も全く共感するところであります。

吉野委員 大臣、まさにそうなんです。首長さんのお話を聞きますと、保安院の次長さんが来てくれた、それで、お話ししたというだけなんです。そこまでの見通しは聞いておりません。

 ですから、保安院として、今やっている仕事は何のために、どういうためにやっているのか、いわゆるチェルノブイリ型はまだやらないんだという形で、冷温停止を目指すんだというのならそこをきちんとはっきり言って、そこへの見通しというものを、八カ町村の町民、村民の方々がきちんと納得できるような形で、大臣も御尽力を願いたいと思います。

 次に多かったのは、原発地域は、二十キロ、三十キロ、そして三十キロの外の三つの地域に分かれます。二十キロの方々は本当に着のみ着のままで避難をされています。お金も百円玉一個、二百円しか持っていない、こんな方々もいます。スリッパ姿で避難してきた方々もいます。今一番望んでいるのは、放射線量が少なくなった今、一時帰宅したいということなんです。大事なものをとってきたい、これが二番目の大きな声でした。

 これは、二十キロ以内は立入禁止区域になっていますので、やはりきちんと自衛隊が先導して、線量計を胸につけて、防護服を着て一時帰宅、それも本当に小さな小さな単位でいいと思いますので、二十キロ圏内の一時帰宅と、二十から三十は屋内退避ですから、マスク、帽子、手袋等々をしていけばそれで済むわけでありますので、この一時帰宅をぜひ私は実現してやりたい、こう思うんですけれども、政府としてどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 これも、総務省でどうこうするということはできない問題でありますが、先ほど来申し上げておりますように、避難をされている八つの町村長さんなどから今おっしゃられた強い要望、希望があるということを、私も、総務省としても受けとめております。

 これは、今般、原子力災害対策本部のもとに原子力被災者生活支援チームというのができまして、海江田大臣それから松下経産副大臣などが中心になってやっておられますので、ここに、そういう強い要請がある、要望があるということをもう既にお伝えはしておりますけれども、改めてまたお伝えをして、その検討状況を私としてもフォローしていきたいと思います。

吉野委員 まさに片山総務大臣は町村の味方、いわゆる国における代弁者でございますので、ぜひ、この一時帰宅の希望を、きちんとした、線量計をつけて自衛隊の先導のもとに行けば可能なわけでありますので、一時帰宅をすることができて、避難をしている方々の不安を少しでも解消していきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、中小・小規模事業者、中小企業等々の事業についてお尋ねをしたいと思います。

 緊急の課題、当面の課題として、私が避難所を歩いてみますと、こんな質問がたくさん出ます。社員の給料を払えない、どうすればいいんだろう。健康保険料も年金の保険料も納めることができない、事業者としてどうしたらいいんだろう。手形を落とさなきゃならない、お金がないからもう手形も落とせない、どうしよう。借入金の返済期日が迫っている、これもどうしよう。土建屋さんなんだけれども、役所の仕事を出来高払いでいただけないか。こんなお話を伺います。

 これらのことはすべて、政府として十分対応している事柄ですけれども、八カ町村の方々は避難所に避難していますので、政府がとっている優遇策というかメリット策といいますか、これらに対応する施策がなかなかそこまで伝わっていないんですね。この辺をもっと総務省としてもきちんと伝えてほしい、これは要望でございます。

 次に、中長期的な課題として、まず原発の安定化が図られて地元に戻ることができる。当然、放射線量を測定して、ここは戻ることのできる区域、戻ることのできない区域という形で線引きが多分されるだろうと思います。そして、戻られたところで事業を再開するといった場合に、やはり風評被害なんです。

 ジェー・シー・オーの事故等々でもありましたように、私の地元、福島県いわき市なんですけれども、ここは三十キロの外です。一部三十キロ圏内に入っていますけれども、ほとんどの区域は三十キロの外なんです。農産物はもとよりすべてのもの、きのうあたりは、いわきナンバーをつけたトラックはうちの店に入ってこないでくれ、ここまで言われました。縫製工場の社長さんから、いわきでつくっている洋服は放射性物質がかかっているかもしれないので取引停止だと。そして従業員は解雇されました。ありとあらゆるものが風評被害で、今、いわきの産業それ自体もだんだん縮小させていくような形になっています。ましてや、双葉郡内、戻ったとしてもすごく風評被害が起ころうかと思います。

 そこで、ジェー・シー・オーの経験からいうと、きちんと放射線を測定して、この品物は大丈夫なんだということをきちんと証明してジェー・シー・オーの場合は乗り切った、そういうお話も伺います。それで、そういう放射線を測定する、民間でも公でも結構ですから、きちんとした検査機関を立ち上げて、今もそうです、今もいわきで起こっている風評被害に対しても検査機関を立ち上げて、この品物は安全なんだよ、こういう形でどんどん取引ができる、そんなことをしていただきたいんですけれども、この件に関してはいかがでしょうか。

中西政府参考人 先生今御指摘のように、この原子力災害に伴いまして、いろいろな形での風評被害がかなり広がってきているというふうなことは、いろいろな方からお話をお聞かせいただいております。先生も御指摘のように、これを払拭するためには、まさに正確な情報をしっかりとした形で皆さんに伝えていくといったことが不可欠だというふうなことを我々も認識してございます。

 このために、例えばということでございますけれども、農産品につきましては、その放射線モニタリングを一層強化するという観点から、我々、原子力災害対策本部の方で、全国のいろいろな機関がモニタリングのためのいろいろな設備とか人材等を持っております、そういったものをまずはオール・ジャパンで、どういったところにどういった設備があって、どういう方々がそれをサポートするためにいらっしゃるかといったことをまさに調査を始めたところでございます。そういったところをベースにいたしまして、福島の周りでのいろいろな検査も含めて、どういったことができるのかといった意味での能力をいかにしてアップするかというようなことを、今まさにスタートしたところでございます。

 それに加えまして、工業製品の方につきましても、これは福島県が既にやっておりますけれども、公設試験研究機関の方で昨日から残留放射能に関する相談窓口を設けたり、実際、その測定をやっているというようなことがスタートしたというふうに聞いております。さらに、政府といたしましては、例えば海外にいろいろなものを売るとか、取引相手が証明を持ってこいというふうなことに対しましても、商工会議所を通じていろいろなサポートを現在スタートしたというふうなところが現状でございます。

 とはいいつつ、まだまだその取り組みは動き始めたばかりでございますので、引き続き、そういう形の正確な情報、そういったものをいかに広げていくのかといった形で積極的に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

吉野委員 まさにこれは早急に、今すぐそういう数多くの検査機関を立ち上げて、需要がいっぱいありますから、うちの品物を検査してください、証明書を下さいという、本当に検査機関が一つや二つでは足りないくらいの状況下に今なっておりますので、ぜひ数多くの検査機関を立ち上げていってほしいと思います。

 次に、双葉郡内の企業でありますけれども、もう既に外に出られて、そして事業を起こす、こういう方々もおります。こういう方々に対してどんな支援、特に中小企業に対しての支援はどんなものがあるか、この辺をお尋ねしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 今般の震災で被災しました中小企業が事業をいわば再開するためには、資金繰りというものが非常に重要な課題の一つであるというふうに認識しております。

 原発事故で避難を余儀なくされまして、さまざまな要因から景況が悪化しています中小企業につきましては、日本公庫等による長期かつ低利の融資制度でありますセーフティーネット貸し付けというものを現在実施しているところでございます。あわせまして、県の信用保証協会におきまして、最大で二億八千万円を上限といたしまして一〇〇%の保証を行うセーフティーネット保証を、原則、全業種につきまして現在実施しているところでございます。

 原発事故に関しまして、避難を余儀なくされている中小企業の再開に係る支援策につきましては、まだまだだと思っておりますので、さらに拡充するべく震災対策全体の中でしっかりと検討してまいりたいと思います。

吉野委員 原発事故、原発災害ではまた、今のは全国一律、どの被災者にも対応できる制度だと思いますけれども、原発災害だけは特別扱いをしていただいて、本当にもうそこの居場所がないわけでありますから特別な扱いをしていただきたい、特別な立法も含めて扱いをしていただきたいと思います。

 次に、双葉郡の浪江町と葛尾村という二つの町村がございます。ここは二十キロ圏内も入っています、二十から三十もあるんです、三十の外もあるんです。でも、首長の判断で全村避難、全町避難をいたしました。

 ここの三十の区切り、これが大きな区切りになるんですけれども、福島県は義援金をいただきましたので、三十キロ圏内の方々には一律五万円、義援金を渡しますという発表をいたしました。お医者さんの窓口負担、三十キロまでは窓口負担ゼロになりますという扱いを今しております。大きく三十キロで区切られているんです。

 同じ町民、同じ村民、村長、町長の判断で全員避難をしているわけなんです。ここの三十キロで扱いが違う。これは、同じ村民、同じ町民として村長としては本当に耐えがたい、町長としても耐えがたいところなんですけれども、ここは大臣の力で、同じ町民、村民であれば同じ扱いにしてほしい。

 この二つの例だけじゃありません。これからいろいろな救援、支援策ができると思います。そこの対象者になるかならないか、三十キロという線が本当に大きな線になってまいりますので、同じ村民、町民であれば、全員避難した方々であれば、同じ生活、同じ避難所に暮らしているわけですから、扱いが違うということ、ここをぜひ正していきたいと思いますので、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

片山国務大臣 お気持ちはよくわかります。私も同じ立場、町村長であったならば、同じ問題で苦慮すると思います。

 医療費の扱いなどについては、これは厚生労働省が方針を決めたり今後のことも検討すると思いますので、私も共感した今のお話は、厚生労働省の方に的確に伝えたいと思います。

 それから、福島県で配分基準を決められた、福島県に寄せられた義援金の件については、これは県として一定の考え方で整理されたものと思いますので、国として、その義援金についてどうせよこうせよと言う立場にはありませんけれども、今おっしゃったことについては何らかの形で県の方にも考えをお伝えしたいと思います。もちろん、もう既に、恐らく八カ町村、該当の町村からは県の方に伝えておられる、その上での結論ではないかとそんたくいたしますけれども、せっかくの御議論でありますので、改めて県の方に伝わるようにしたいと思います。

吉野委員 大臣、今言ったのはほんの例でありまして、私が心配しているのは、これから行われるいろいろな支援策の対象者になるか、ならないかなんです。

 三十キロの外の人はならないよ、三十キロの中の人はなりますよという、まさにこの件がいい例なんですね、三十キロで一律に切ってしまったという形。それは、本当に町村長の要望を聞いて判断したんじゃないと思います、一律にやった。三十キロ圏内というのはそのくらい、ある意味でひとり歩きしていて、同じ村民、町民であるにもかかわらず対応できないという、そこのところはまさに総務大臣の仕事だと思います。このたった二点の例だけを解決すればいいんだじゃなくて、これからなんです。これから対象者になるか、ならないかの大きな壁なんです。

 もう一度答弁をお願いします。

片山国務大臣 これからいろいろなことが起こってくると思いますので、改めて町村長さんからお話を総務省としても伺った上で、これを所管のそれぞれの関係機関に伝えて、できる限り町村長さんの苦慮といいますか、苦悩が解消されるように努めたいと思います。

吉野委員 ぜひお願いします。

 今言った葛尾村の村長からの要望なんですけれども、ここは畜産の村です。何千頭という牛がおります。もう避難していますので、えさを与えることができません。餓死して死亡した家畜が相当数おります。家族同然の牛ですので、ある方は、二十キロ―三十キロ圏内ですけれども、行って、自分で処分をしました。一頭三万五千円かかってしまいました。

 まさに、死亡した家畜をそのままにしておくと、伝染病のもとになるんです。いろいろな家畜伝染病もあれば、我々人間に害を与える伝染病の発症のもとになるおそれが十分にありますので、ここのところをきちんと、死亡した家畜の処理も含めて、殺処分してほしい。生きている牛ならば、死んでしまった牛を処理するよりは相当、ある意味で手間暇もかからないということで、殺処分をしてほしい、そして、その費用は全部国に見てほしいという要望がございますので、この点についてはどう考えているのか、お尋ねします。

佐藤政府参考人 吉野先生の御質問にお答えします。

 今先生の方からお話ありましたけれども、屋内退避地域、二十キロ―三十キロ圏内の家畜の飼養でございますが、私どもといたしましても、えさがなくなっていくんじゃないかということを心配しておりまして、独立行政法人家畜改良センターからこの圏内に、地元農協を通じまして、これまで十トンの粗飼料の無償提供を行ってきたところでございます。

 しかしながら、今先生の御指摘がありましたように、この屋内退避指示の長期化が見込まれるような状態になってきておりますものですから、この圏内の家畜の飼養管理あるいは家畜の移動条件等につきまして関係機関と協議して、その家畜の取り扱いについての方針を早急に決定してまいりたい、このように思っているところでございます。

吉野委員 ぜひ早急になんです。検討する検討するだけではなくて、今やってください。お願いします。

 ちょっと郵便局なんですけれども、私は福島県いわき市、原発事故が起きて、いわき市も相当数避難をしました。ですから、一時期ゴーストタウンになりました。コンビニもお医者さんも、三十五万都市なんですけれども、産婦人科二軒しかやっていません、あとはみんな避難をしました。でも、落ちついてくると皆さん戻って、また町のにぎわいを戻している。まあ、ガソリンもなかったわけですけれども、郵便局が二十四日にオープンなんです。ほかの金融機関等々よりも一番最後にオープンしました。

 郵便局というのは本当にどんなときでも、一枚のはがきをどんな雪深いところでも配達していく、頼りになる郵便局というイメージで私たちはとらえていたんですけれども、すべてのコンビニがあいた後に、郵便局が最後にオープンなんです。私は情けないなという気持ちでいっぱいなんですけれども、その辺についてどう考えているのか。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、郵便局の開局状況でございますけれども、十五日に総理指示が出、御指摘ございましたように、地元におきましては、いわき市等におきまして広報車や地元のマスコミ等で広く外出自粛要請が行われたということを受けまして、いわき市内等の郵便局の業務の休止を会社の方では決めまして、十六日から田村市内の全局、十七日からいわき市内の全局が一たん業務を休止したところでございます。

 その後、この状態は週明けの二十二日まで続いたところでございますが、この間、郵便局会社におきましては、今御指摘のようないわき市内の状況でございますとか、あるいは他のコンビニ、金融機関等の状況等も情報収集し、確認をして、それなりの判断をしなきゃいけなかったというふうに考えますけれども、現実には、そういうところに手間取った、あるいはフォローが十分でなかったといったような実情があったようでございます。

 実は、私ども総務省の方にも、いわき市等におきまして郵便局がまだ開いていないといったような声が届きましたので、私どもの方からも郵便局会社にそういった声を伝えたところでございますが、結果といたしましては、二十二日になりまして再開の準備を進め、翌二十三日、これは午後一時からでございますが、全部ではございませんが、準備の整いましたいわき市内の十六局、それから田村市内の十局が業務再開をしたということでございます。

 現実の状況としてはそういった状況でございまして、ある意味ではまことに遺憾であったと考えているところでございます。

吉野委員 郵便業務また金融業務は、市民あっての郵便局、市民のための郵便局、この心を忘れずに、しっかりとこれからお願いしたいと思います。

 最後に、教育です。

 福島県立高等学校は、避難地域、双葉郡内に九校ございます。これはもう入れませんから、それぞれ県内の五つの地域にサテライト、分校をつくって、そこにそれぞれの方面に避難している生徒さんに通ってもらう、こういう形でこれからやっていきます。

 それと同時に、双葉郡の下に私たちの福島県いわき市があるんです。いわき市の高等学校にかなりの生徒さんたちが通学しています。福島県の方針としては、それぞれ避難したところの高校に転入してくださいという方針なんですけれども、被災地を、避難所を歩いてみますと、やっぱり今の学校で卒業したいんだという子供さんたち、またお母さん方の声が圧倒的なんです。

 そういう意味で、いわき市に下宿を探すとか寮をつくるとか、お金があれば下宿もいいんですけれども、避難しているものですから、お父さんお母さんはお金がありません。そういう中で、寮をつくっていきたいと私は思っているんです。その辺について、文科省としてどういう指導を福島県に、また地元に対して協力できるのか。寮をつくるためにはこういう支援策がありますよという形でぜひやっていただきたいんですけれども、お聞きしたいと思います。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の前段のサテライト学習、あるいは転校の柔軟性ということにつきましては、既に福島県でも検討し、我々も相談に応じてまいりましたけれども、けさほど十時から、保護者、生徒あてのメッセージ、方針を明らかにされたようでございまして、転校を柔軟にもとの学校に受け入れる、あるいはサテライト方式を導入するということにつきまして明らかにして、週末にも地域別の説明会、それから電話相談窓口を設けるなどの対応に取りかかっているというふうに聞いてございます。

 それから御指摘の後段の、寮や下宿などによる、もとの学校に通うための支援ということでございますけれども、ハードの対応ということになりますと時間、労力がかかるということもございまして、当面私どもの方で考えました有効な支援策ということでは、寮、下宿から通うための、ある意味では経済的な支援ということになろうかと思いますが、奨学金の活用というものが有力な方策ではないかというふうに現在のところ考えてございます。

 このため、震災直後に、被災高校生で奨学金を必要とする場合には緊急採用など特段の配慮を行うことですとか、貸与者がふえた場合に必要となる資金といいましょうか、そのためには、現在設けられております修学支援基金の取り崩しが可能であるというようなことも、福島県を含め各県の方に連絡を差し上げているところでございます。

 この奨学金の活用について、さらに柔軟な支援につながるような方策もまだあろうかと思っておりますので、これは県の御要望も踏まえながら、さらに積極的に検討してまいりたいと考えております。

吉野委員 けさの話なんですけれども、地元にボランティア組織、NPOができました。そこで、いわゆる各家庭への下宿をそのボランティア組織で募るということを私はお願いして、受け入れてくれたんですけれども、きちんと、県なり市なりが窓口で、そういう形である意味の窓口をつくっていただかないと、勝手に募って勝手に子供さんを預かることはどうなのかなという意見も出ておりますので、文科省が県なり市なりを指導して、下宿を希望する子供たちの窓口をぜひつくっていただきたい。このように要望して、質問を終わらせていただきます。

 本当に、これからも御支援をよろしくお願いします。ありがとうございます。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 順次、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 この大震災が発生してから三週間がたちました。今なお十六万を超える方々が避難生活を余儀なくされている、このように伺っております。

 あわせて、お亡くなりになられた方々、また行方不明の方も大勢いらっしゃいまして、改めてお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。

 そして、先般、私は、茨城県の八千代町というところに、原子力発電のいわゆる放射能漏れの事故で風評被害を受けている野菜農家の方々のところを調査に上がりました。

 これは全く予期していなかったんですが、その調査の折に、福島県の南相馬市から、原発放射能漏れの避難ということで、この八千代町に避難をされている方々にも偶然お会いしまして、涙ながらに、一日も早く放射能漏れをとめていただきたい、それから、全く予期せぬ中でこの町に来ざるを得なかった、一日も早くまたもとの生活に戻させていただきたい、そのことを切々と訴えられました。

 今回のかかる未曾有の大震災に遭う中で、被災された方、もちろん風評被害を受けている方もそうですけれども、こうした方々への支援を、政府として万全の態勢で切れ目なく行っていただきたい。

 そして、私どももこういうときに、このような国政の場で仕事をさせていただく身を預かった以上、私どもがやれることは与野党問わず全部やっていくんだ、また、私の立場からも、政府に対するさまざまな提言ですとかあるいは要望、支援のお願い等、順次させていただきたいと思っております。

 そのことをまず冒頭申し上げながら、きょうは、何点か質問させていただきたいと思っております。

 まず最初の質問ですけれども、これは行政支援ということでございまして、特に被災者の支援システムについて最初に伺いたいと思います。

 先ほども福島県の南相馬市から避難されている方のお話をさせていただきましたけれども、住みなれた土地を離れて県外に避難をしている方も大勢いらっしゃる。離れた場所に暮らしている人たちの不安というのは、先ほど申し上げましたように、非常に大きいものがあります。

 これから復旧復興に向かっていくわけなんですけれども、その中で、例えば今後生活を立て直すときに、避難した場所それからその状況の違いで格差が生じてはいけないだろう、このように思うわけでございまして、自治体が被災者の避難先などの情報をいち早くつかんで支援情報が届く仕組みを構築する、この必要が求められていると思っております。

 阪神・淡路の大震災を経験した兵庫県の西宮市が被災者支援システムを開発したということで、これはもう御案内かと思うんですけれども、コンピューター機器やネットワーク回線も大きな被害を受けた中で、市の日常業務の復旧とあわせて、被災者を支援するシステムを構築し、被災者、復旧復興支援に大きな力を発揮した。

 このシステムについてなんですけれども、住民基本台帳をもとに被災状況などの個人データを一括管理、それから避難所の入退所情報ですとか救援物資の入出庫、あるいは仮設住宅の管理等を一元管理して、罹災証明書の発行だとか義援金の交付にも活用できるというように承知をしております。

 そこで、まずお伺いしたいのは、現状、どの程度の自治体がこのシステムを導入しているのかということと、それから被災前の自治体数と被災後の導入予定を含む自治体数について、分けてお伺いしたいと思っております。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 ただいま稲津先生御指摘の被災者支援システムですが、西宮市の職員が開発して、現在は財団法人地方自治情報センターが管理を引き継いでいるというふうに承知をしております。

 それで、三月十一日の東日本大震災前までに三十二市町村が支援システムを導入している、それから震災後でございますが、二十三市町村と一広域連合、さらに加えて三県が新たにこのシステムの導入を検討中というふうに聞いております。

 以上です。

稲津委員 合わせると五十八自治体ですか。導入している自治体は決して多くない、まだまだ少ないと言わざるを得ないと思います。

 今回、役所ごと流された自治体というのもありまして、住民基本台帳のバックアップは残っていた、このように聞いておりますが、そういう意味では、重要な住民情報のすべてがなくなったわけでないので安心はしましたけれども、ぜひ、こうした自治体も含めて、行政機能がある程度回復してきた段階になると思いますけれども、このシステムの導入を実施できるよう総務省としてもサポートしていただきたい、このように思っております。

 システムの普及とあわせて、総務省としてどのような取り組みを行う考えなのか、見解を伺いたいと思います。

逢坂大臣政務官 今回の震災を受けまして、地方自治情報センターでは、現在、御指摘の被災者支援システムの利用を促進していこうということで、二つの点を改善してございます。三月十八日に、まず、本システムの改変、変更を認めるということを一つ決めたことと、もう一つが、本システムをシステム事業者にも開放するということをやっております。その結果、現在、四十六のシステム事業者が新たに、自治体に対する被災者支援のためのシステムの提供拡大に取り組もうという動きになってございます。

 総務省では、今後、こうした被災者支援のためのこれらのシステムを導入していくことは極めて重要だと認識をしておりますので、その方向に向けてまた取り組みを進めてまいりたいと思います。

稲津委員 ぜひ取り組みを進めていただきたいというふうに思います。そして、いわゆる被災した自治体にかわって避難してこられた方々を受け入れる自治体、ここに情報を届けてあげるということも検討すべきではないかと思っております。ぜひこの情報提供の仕組みをさらに進めていただきたい、このことをまずお願いさせていただきます。

 次は、先ほど来質疑もございましたけれども、被災を受けている現場のいわゆる人手不足の問題について、数点お伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 被災した自治体によっては、職員の中に、残念ながら亡くなられた方、それからいまだに行方不明の方もいらっしゃる。あるいは、市の職員、町の職員御自身が避難されているというケースもあったりして、現場での人手不足は深刻な状態が続いている、このように思っております。

 既に、国の各省庁の行政機関から人員の派遣ですとか、あるいは姉妹都市間におけるものとか都道府県、政令市の災害協定を結んでいる自治体間での人員の派遣ですとか、こういったことはある一定程度行われていると認識はしております。

 そこで、まず、総務省として、行政サービスを行う人員不足の実態をどのように把握されているのか、この点についてお示しをいただきたいと思います。

鈴木(克)副大臣 御答弁をさせていただきます。

 今委員御指摘のように、いわゆる支援スキームと申しますか、これは、各府省で直接やっている部分、それから政府全体としてやっている部分、とりわけ被災者生活支援特別対策本部で各県の市町村の要望を調査した上で派遣をするという、いろいろなケースがあるわけでございますが、総務省といたしましては、現在のところ、岩手県内の三市に対してそれぞれ四名ずつ、それから、宮城県庁から一名、福島県庁から四名の要請について対応させていただいております。茨城県からの要望については、現在調整を行っておるところでございます。

 また、市町村職員についてでございますけれども、三月二十九日時点で一たん要望を取りまとめたわけでありますけれども、その後も追加要望が出てきておりまして、四月一日現在で五百五十三名となっているということでございます。

稲津委員 政府による国家公務員の人員派遣と地方公務員のそれぞれの人員派遣、いずれにしても、派遣の自治体とのマッチングがやはり一番大事なことの一つだと思うんですね。

 そこで、国家公務員あるいは地方公務員とも、どのようなスキームで派遣をしていくのか、まずはその概要について伺いたいと思います。

鈴木(克)副大臣 総務省といたしましては、被災県の市町村担当課を通じて状況を、また要望を把握させていただいておるところでございます。

 先ほど申し上げましたように、いろいろなスキームで人員は出ておりますけれども、現在、被災された自治体で業務に従事している人数というのは、全体的には七百八十名というふうになっておりまして、三月十一日から二十八日までに派遣された延べ人数で一万七百名というところでございます。

 いずれにしましても、まずは、今後も派遣要請というのは出てくるというふうに思っておりますので、ここにつきましては、総務省として、しっかりと被災各県に連絡をしたり、それぞれの町村からの要望を受けたり、そういった調整を私ども果敢に、そして積極的にやらせていただきたいというふうに思っております。

稲津委員 そこで、これから復旧復興に向かっていく中で、現場の要望、要求というのはいろいろ刻々変わってきたり、あるいは地域によってはまたさらに人員の派遣が必要になるというさまざまなケースがあると思うんです。

 そこで、現状における進捗状況、それから被災市町村にいつ、どのような形で派遣していくのか、具体的にどのような仕事を行っていくのか、この点について示していただきたいと思います。

鈴木(克)副大臣 御答弁申し上げます。

 今委員おっしゃったように、発災以来いろいろと状況が変わってまいります。当然のことながら、最初は人命救助とか食料支援とかいうような仕事でありますが、現段階に来ると、次のステップと言うと大変語弊があるかもしれませんけれども、次の段階で、むしろ専門的な業務であるとか技術者を派遣してもらいたいというふうなことになってきておるわけでございます。

 私も直接いろいろと市町村長さんとお話をさせていただいておるんですが、最初は、短期でも何でもいいからすぐ出してくれということだったんですが、ここまで来ますると、中期よりもむしろ長期にひとつ人を出してくれ、こういう要望にだんだん変わってきておるのを私も実感いたしております。具体的に申し上げますと、土木技術の方だとか上下水道の技術者だとか、看護師だとか保健師、そしてカウンセラー等々、また教育関係についての要望もあります。

 したがって、大変重要な作業でございますので、マッチングをさせていただくのはまさに私どもの大きな責務だというふうに思っておりまして、臨機応変にいろいろと対応できるような態勢で臨んでいるところでございます。

稲津委員 大変なことだと思いますけれども、ぜひ進めていただきたいと思います。

 派遣を受ける自治体、また派遣する自治体のペアリングみたいなものも総務省でしっかりやっていただきたいですし、それから総務省の公務員課ですか、ここを基点にした、どういう人員を送ったらいいかという被災自治体からのニーズを受けての調査情報の集約等々も格段の配慮をいただきたい、このように思っております。

 次に移ります。

 次は、被災地における雇用の実態ということで、きょうは厚労省の皆様にもお越しいただいているのでこれは御答弁もいただきたいと思っていますけれども、報道によりますと、厚生労働省の調べでは、被災地域、特に岩手、宮城、福島の三県の沿岸部における就業者は八十万人いた、このようにありました。

 その上で、被災地における失業者数はどの程度と見込んでいるのかということをお伺いしたいんです。現在、具体的な数までは掌握できているのかどうか、これは何とも言えませんけれども、実態についてはどのように認識しているのか、これを厚労省の方それから総務省、御答弁いただければと思います。

内山大臣政務官 お答え申し上げます。

 全国の失業者数については、労働力調査として毎月把握をしております。この調査は、全国約四万世帯を訪問しまして、調査票の配付及び回収に当たっております。

 このたび、震災地の岩手、宮城、福島の調査世帯及び調査員が被災をされておりますので、三月以降の調査が困難になっております。被災地における失業者数の把握は今やはりできておりませんので、早急に調査できるように努めたいと考えております。

中沖政府参考人 先生の御指摘のとおり、雇用就業面で東北地方の沿岸の方々が大変深刻な影響を受けていることは事実でございます。

 先ほど先生から数字の御指摘がございましたが、臨海部の市町村の就業者数は八十四万でございます。

 では、このうち具体的な失業者数でございますが、ただいま政務官から御答弁がありましたとおり、正確な数は不明であるわけでございますが、多くの方々が仕事を失ったり仕事ができない状況にあることは事実でございます。

 このため、私どもの方では、例えば現在離職をしていなくても失業しているとみなして失業給付を出します雇用保険の特例、あるいは雇用調整助成金につきましても、確認期間を三カ月から一カ月に縮めるなど大幅な要件緩和を行うなど、こうしたことによりまして雇用対策に全力を尽くしているところでございます。

稲津委員 その対策事業の要件緩和等も進めていただきたいと思うんです。後ほどまた雇用対策について少し伺わせていただきますが、その前にもう一つ、失業者の方だけではなくて、今回の震災で内定を取り消された方、あるいは入職時期の繰り下げを告げられたとか、こういう方も決して少なくない、多いんじゃないかと思っております。

 これらの内定取り消しあるいは入職時期の繰り下げ、こういう実態はどうなっているのか、またその対策についてもお示しいただければと思います。

中沖政府参考人 新卒者の就職につきましても大変大きな影響が出ております。最終的に内定状況にどの程度影響が出るのか、これは現時点では明らかでございませんが、地震がありました先月の十一日から二十五日までの間、全国のハローワークで既に二百八十八事業所、うち岩手、宮城、福島の三労働局におきましては、その半数に当たります百三十九事業所から内定取り消し等の相談があったわけでございます。

 また、現在、私どもの省令によりまして、内定取り消し等を行う場合には事業主があらかじめハローワークに報告する仕組みがございまして、こうした報告を行った事業所は、先月の三十一日まで、内定取り消しで二十事業所、対象者が百二十三人、入職時期の繰り下げが三十八事業所、対象者が六百九十三人でございます。

 こうしたことに対応するため、先月の二十二日、私どもの厚生労働大臣と文部科学大臣の連名で、主要経済団体にまず要請をいたしております。

 中身としては、震災によりまして休業する場合、四月に入社いたします者も含めて雇用調整助成金の対象になりますので、まずこうした助成金を活用して、できるだけ実際に採用いただきたいということ、また全国の企業で広く被災地の学生生徒を積極的に採用していただきたいことなどをお願いしております。

 加えまして、各都道府県に設置をいたしました新卒応援ハローワークに専門の相談窓口を設けておりますし、また全国のハローワークには特別相談窓口がございますので、こうした窓口において、採用内定等の取り消しを受けました学生生徒について相談、就職支援を行っております。

 また、事業主に対しましては、先ほど申し上げましたように、雇用調整助成金を使って、ぜひできる限り入社をお願いしたいということを指導いたしておりまして、実際に、ハローワークの指導によりまして、これまで三十五の事業所で採用内定の取り消しなどが撤回されております。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 状況としてはかなり深刻であるということはやはり否めないと思っておりまして、失業なされた方々それから内定の取り消し等の方々へのいわゆる雇用対策については、今御答弁いただいたこととあわせて、例えば緊急雇用創出事業ですとか重点分野雇用創造事業、ふるさと雇用基金、これらのフル活用ということが大事なのかなと思っています。

 時間がなくなってまいりましたので、少しまとめて聞かせていただきたいと思うんです。

 まず一つは、この岩手、宮城、福島、三県における三基金の金額が実際にどのくらい残っているのかということと、それからもう一点は、この事業を使っていわゆる雇用対策を進めていくということが非常に大事なことかと思うんですけれども、この点の見解について簡潔にお話しいただければと思います。

中沖政府参考人 まず、先生御指摘の点の基金の残高でございますが、現在交付しております額から二十二年度末までの執行見込み額を差し引いた額を申し上げますと、三県で、三事業合計で二百六十億となっております。

 では、これを使ってどうなるのかでございますが、私どもは、各自治体において、緊急雇用創出事業など、失業者を雇い入れるための雇用創出の基金事業を活用することが可能でございますので、ぜひこうした事業を被災者のために使っていただきたいというふうに考えております。具体的な事業内容といたしましては、避難所におけます高齢者への相談支援、被災地域の安全、治安確保のためのパトロール、あるいは高齢者の自宅片づけの支援といったものが考えられるわけでございます。

 こうした基金事業を積極的に活用しまして、被災地の復旧を行うと同時に、被災者の雇用創出にも努めていただきたいというふうに考えております。

稲津委員 合計で二百六十億ということで、あわせて、この事業の重要性についても今御答弁をいただきました。

 果たしてこの二百六十億で今回の震災に雇用対策事業として向かっていけるかどうかというのは、少し心もとない。なおかつ、二十三年でこの事業については終わってしまうということになっておりますので、この際、基金の積み増しとあわせて事業の延長を図ったらどうかということなんですけれども、この点についての見解も伺いたいと思います。

中沖政府参考人 基金事業でございますが、確かに二百六十億という額の多寡は問題になるわけでございますが、少なくとも私ども厚生労働省といたしましては、各都道府県において既に策定済みでございます二十三年度の事業計画を被災者あるいは被災地向きに変更していただくことについては、当然のことでございますが、柔軟に対応したいというふうに考えております。

 また、御指摘の積み増しあるいは事業の延長でございますが、現在の基金の活用状況あるいは被災されました各県、各市町村からの御要望を踏まえながら、私ども、小宮山副大臣を座長といたしております被災者等就労支援・雇用創出推進会議等、総務省ですとか農林水産省、国土交通省など関係各省も入った検討機関がございますので、そうした場も使いながら十分に検討してまいりたいと考えております。

稲津委員 この点については、ぜひ期間の延長それから基金の積み増し、これは随時検討して進めていただきたい、そのことを強く御要望させていただきます。

 次は、今後のことという前提でお話を伺いたいと思うんですけれども、集団移転促進事業について、きょうは国土交通省の方にもお越しをいただいていますので、伺いたいと思います。

 まず、この事業の概要、それからどのような補助事業を行うものなのか、この点についてお伺いしたいと思います。

花岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の防災集団移転促進事業でございますけれども、今回のように災害が発生した地域等におきまして、住民の方の安全を保護するために、住居の集団的な移転を促進する事業でございます。市町村等が実施いたします移転元の土地の買い上げ、あるいは移転先の住宅団地の造成費等につきまして国が支援するものでございます。

 今回の震災の被災地におきましても、この事業は復興を進めていく際の一つの選択肢となり得るものではないかといったふうに考えているところでございます。

稲津委員 私も非常に大事な事業だと認識をしておりまして、昭和四十七年にこの事業が始まって、これまで三十五団体で千八百十三戸が移転している、このように承知をしております。ただ、一つの事業で最も多い戸数でも三百二十九戸ということで、今回の震災を考えると、想定することはほとんど、ちょっと比べることのできないような状況だというふうに思います。

 特に、今後を考えていったときに、やはり住民の皆さんの合意形成が一番大事だということが一つあると思いますし、それからもう一つは、この補助率が四分の三ということでありまして、これをもう少し上げたらどうかという声もあります。この点についてはどのような見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。

花岡政府参考人 今回の震災によりまして被災いたしました市街地の復興につきましては、被災地の被害の実態、あるいは市街地の特性、地元の御要望等において、柔軟にいろいろな事業を活用していかなければならないと考えております。

 国土交通省といたしましては、まず、被災地の実態の把握に努めますとともに、住民の方の御意向、地方公共団体の御要望といったものをお伺いしながら、今後の被災地の復興において、多様で柔軟な手法あるいは進め方といったようなものが可能になりますよう、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

稲津委員 ぜひお取り組みいただきたいと思います。

 最後に総務大臣に、二点お伺いしたいと思ったんですけれども、もう時間が参りましたので、一点だけお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 報道によりますと、政府は、今回の東日本大震災で被災した地方自治体を支援するための数兆円規模の復興交付金を創設して、社会資本の復旧費用をほぼ全額国が負担する方向で検討に入った、このようにありました。非常に重要なことだと私も思っております。

 これも報道なんですけれども、大臣は、復興交付金に言及したわけではないと思いますけれども、社会資本の復旧のためには自治体負担が限りなくゼロに近いようにしたい、このように語ったというふうにありました。これがどういう内容だったのかということを改めてお伺いしたいと思うんです。

 私は、地方自治体の負担を限りなくゼロにするということ、どのようなスキーム、イメージで発言なされたのか、財源の見通しも含めてお示しをいただければと思います。このことを最後にお聞かせいただいて、質問を終わります。

片山国務大臣 このたびの震災の一つの大きな特徴は、大変失礼な物の言い方になるかもしれませんが、財政力の大変弱い地域が痛撃を受けているということであります。本来市町村が災害復旧、災害復興に当たるのでありますけれども、その市町村が、もともと財政力が弱いところにもってきて大変大きなダメージを受けてしまったということ、このことはよく認識しておかなきゃいけないと思います。

 当面の復旧はいろいろなお金がかかりますので、差し当たって特別交付税を交付することによってその財政需要を賄っていただきたいと思います。

 さらには、第一次の復旧と私は呼んでいるのですけれども、当面、二次被害を防ぐこととか、例えば堤防を直すとか橋を直すとか、そういう応急の措置については、公共土木災害のそれぞれの該当の省庁の補助事業がありますので、これに激甚災害の指定をすることによってできる限り地元負担をなくする、こういう方針でいいと思いますが、その後の復興につきましては、従来とは少し違ったパターンになってくると思います。もとどおりにするということでは、今回の津波の被害に遭ったところは安心したまちづくりができないと思いますので、従来とは違ったスキームが必要になるだろうと思います。

 そうしますと、従来の災害復旧のできるだけ効率でというところとは違った発想が必要だろうと思いますので、これは復興の理念とかプランとのかかわりも出てまいりますけれども、そうした従来にない仕組みが必要だろうと思います。

 その際にも、これからこれは新しく考えることになろうと思いますけれども、地元の財政力のもともと弱い自治体に負担ができるだけ生じないようにする、こういう基本的な考え方が必要だろうと私は思っておりまして、そういうことをいろいろなところで随時申し上げているところであります。

稲津委員 終わります。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 東日本大震災、福島原発事故に関して質問いたします。

 政府は一日の閣議で、東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城、福島、茨城などの七県と被災市町村に対し、普通交付税を繰り上げ交付すると決定いたしました。

 この点で注意が必要なのは、宮城県女川町と福島県大熊町は、原発立地交付金もある関係で不交付団体であることから、普通交付税の前倒しの対象にはなっておりません。しかし、宮城県女川町は大津波の直撃を受け、町はほぼ壊滅し、役場も破壊され、女川町体育館の一部で業務を行わざるを得ないなど、被災者支援や復旧復興のために多額の経費を要する状況となっております。また、福島県大熊町は原発二十キロ圏内に係る自治体であり、住民には避難指示が出され、役場機能も移転するなど、想定外の財政需要が発生するおそれがあります。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、不交付団体を初め大震災で被災をした自治体に対し、特別交付税を含め、今後、どのような地方財政措置を行うことを考えているのかお聞きします。

片山国務大臣 災害復旧のためのこれまでの補助制度は不交付団体であっても交付されますので、それによって地元負担をできるだけ少なくするということに努めたいと思います。

 それから、交付税でいいますと、不交付団体には普通交付税は行かないわけでありまして、これはやむを得ないと思います。今後の状況によって、不交付であった条件といいますか、そういうものが大きく変われば、これが不交付から交付に変わるということはあり得るとは思いますが、算定をしても不交付であれば普通交付税は交付されない、これは制度を適用する以上はやむを得ないと思います。

 ただ、特別交付税につきましては、一般的には、特別交付税の財政需要が生じて特別交付税が交付されるということが計算されても、不交付団体の場合には超過財源といいますか、財源超過額と相殺をされますので、全部またはほとんど行かないということになるんですが、災害の項目だけは、これは特定項目と呼んでいるんですけれども、不交付団体であってもその分はちゃんと交付するという制度になっておりますので、御指摘の女川でありますとか大熊町でありますとか、ここについても、差し当たって四月八日で考えているんですけれども、特別交付税の随時交付というのが先般の地方交付税法の改正で制度改正になりまして行えるようになりましたので、第一回目の適用として、この随時交付をしたいと考えておりまして、その対象になり得ると思います。

塩川委員 特別交付税の措置をぜひお願いしたいということと、それにとどまらず、特別の復興の交付金ですとか各種補助金の抜本的拡充など、自治体への十分な財政措置を講ずることを求めていくものであります。

 次に、原発事故被害者に対する補償、賠償に関してお尋ねをいたします。

 原発事故による避難者の方は二十万人以上に及びます。まさに着のみ着のままで避難した住民の方は、いつ戻れるかも知れない不安の中にあります。当座の生活資金さえままならない状況です。さらに就労、就業の場も失ったままでは暮らしが成り立ちません。埼玉労働局が、双葉町など、福島県からさいたまスーパーアリーナに避難した被災者を対象にアンケートを実施したそうですが、三分の一の方が勤務先を失っているということでございました。

 そこで、笹木文科副大臣にお尋ねいたしますが、原子力損害賠償法は、原発事故によって生じた損害は原子力事業者が賠償責任を負うこととしております。東電から被害者に対して賠償金はいつ支払われるのかお聞きいたします。

笹木副大臣 お答えします。

 今お話があったように、原子力の損害の賠償ということでは、事業者に無過失無限の賠償責任を課すということになっています。

 それで、一番大事なのは、被災者が早くその補償を受けられることだと思っていますので、原子力損害賠償の紛争審査会を早く立ち上げて、そこで基準を示していくこと、これが一番肝心だと思っています。それはもうそんなに何日もかからずに、その基準を設定するための審査会を立ち上げる。文部科学省としては、その準備を今急いでいるところです。

 賠償がいつ支払われるか。これは、事業者である東京電力が具体的に賠償の請求を受けて、それに対応して行っていくということですから、文部科学省として、いつということは答えられませんが、それが早く行われるためには審査会を早く立ち上げるということだと思います。

塩川委員 いつ支払われるのかということについては、お答えがございませんでした。

 副大臣がお話しされましたように、まずは原子力損害賠償紛争審査会を立ち上げる。それは政令で定めるということがまず必要ですし、その先に、原子力損害の範囲等の判定指針を作成する、これを踏まえて被害者と東電の間で話し合ってくれという話になるのが今回の法律のスキームであるわけです。

 そうすると、要するに、まだ審査会も設置をされていないし、指針の作成もどれだけ時間がかかるのかよくわからない、その先は民民でやってくれということになりますと、どんどん賠償金の支払いが先延ばしされるというか、先の見通しも立たないような状況にあるということを言わざるを得ません。これでは不安を感じる方が多く出るのは当然でもありますし、被害者の方に余りにも冷たい対応だと言わざるを得ません。

 ジェー・シー・オー事故のときには、まずは事業者による仮払いが行われました。あのときは、九九年の九月三十日に事故が発生し、年末にかかる費用もあるということで、十二月三十日に事業者による仮払いの振り込みが行われたということであります。それでも遅いという声があったわけで、補償金の確定は半年後の二〇〇〇年三月末でありました。

 今回、ジェー・シー・オーの事故などとは比較にならないような大事故となっていますので、補償、賠償金についても大きな規模が見込まれる、だからこそ時間がかかるということにはならない。個々の被害者の方にしてみれば、まさに自分の暮らしをどうしていくのかということが問われているわけですから。

 そういう点でも、きょうの読売でも報道がありますように、東電として、避難した住民や農産物の被害を受けた農家に対して、損害賠償額が確定する前に仮払金を支払う方針を固めたことが、四日、明らかになったと報道しているわけですが、この報道は事実なんでしょうか。仮払いを含めて、被害者に対する賠償金の支払いを一刻も早く行うために、国としてどのように取り組むのかについて改めてお尋ねいたします。

笹木副大臣 今委員のお話にありました仮払いですが、これは基本的に、仮払いも東京電力が行うということになりますから、仮払いを含めた東京電力の判断ということではありますが、そうしたことが迅速に行われることは悪いことじゃないというか望ましいことだと思いますし、政府としても、そういうことが迅速に行われるように取り組みを考えていきたいと思っています。

 報道については、これはこちらに来る三、四十分前ですが、東京電力の方はそうしたことを発表したことはないというふうに、その時点では言っております。

塩川委員 ですから、民民でという話ではなくて、とにかくこういった事態の中で、長期避難も見込まれるような事態にあるわけですから、被害者の方にしっかりと補償する、賠償するということについて、事業者にきちんと責務を果たさせるということを国としてしっかりやっていただきたい。

 その点では、まずは、いつという点での時期の問題がありますし、当然のことながら休業補償だけではなくて、風評被害などは農水産物だけではなくて工業製品にも及んでいるわけですから、そういった風評被害を含めて、範囲についてもはっきりと示していく。東電と国の責任で、原発事故被害者に対する補償と生活支援をしっかりと行う、このことを改めて強く求めておくものであります。

 今の件について、片山大臣に一言。

 原発事故に伴う避難者の方が二十万人以上にも及ぶ、その生活を考えたときに、当座の資金も必要だ、賠償金の支払いも含めて、そういった生活資金を確保するということについて政府として特段の対応が必要だと思いますが、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 被災者の皆さんに対して、当座の生活資金というのは大変重要な事柄でありますので、必要な資金の供与が急がれるべきだと私も考えております。

 けさも、閣議後の閣僚懇談会がありまして、その点も含めて、これは原発災害関連だけではなくて津波被害も含めて、被災者の皆さんの当座の資金の確保について、私からも急ぐべき旨発言をしたところでございます。

塩川委員 次に、地盤の液状化による被害についてお尋ねいたします。

 今回の大震災で、各地で地盤の液状化による家屋損壊が生じております。

 地盤工学の学会、地盤工学会による首都圏の現地調査では、千葉県浦安市や千葉市美浜区、花見川区、東京都江東区新木場、横浜市金沢区金沢八景、茨城県潮来市とひたちなか市などで液状化を確認したということが報じられておりますし、私の現地調査でも、茨城県の大洗町や鉾田市、神栖市あるいは埼玉県の久喜市などでも液状化の被害を確認しております。浦安市の場合は、市域の四分の三が液状化をし、一万棟が被害認定の調査対象となっているということであります。

 お話をお聞きしても、家が傾いている、この傾きを直すだけでも、ジャッキアップだけでも五百万円はかかるとか、地下にある配管の補修などを行えば一千万円を超えるような費用がかかると言われているわけであります。

 そこで、内閣府にお尋ねをいたしますが、今回の大震災の液状化による被害実態はどのように把握をしておられるのか、お尋ねいたします。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 今回の大震災における地盤の液状化による住宅の被害でございますけれども、御案内のとおり、まだ各地方公共団体におきまして調査中でございまして、その詳細が明らかになっているというわけではございません。

 そのような中で、私どもといたしましては、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県から、それぞれ地盤の液状化により住宅が傾斜する等の被害が生じておるということをお聞きしているところでございます。

塩川委員 この液状化の被害認定とのかかわりで、罹災証明書発行の基準となる住家の被害認定について何点かお尋ねをいたします。

 罹災証明書は、被災者生活再建支援制度を初めとする各種の被災者生活支援制度において、適用の判断材料となっております。そのため、住家の被害認定は被災者生活支援において重要な要件となっているわけであります。

 この液状化による家屋の地盤被害に対する被害認定がどのようになっているのか、そのスキームについてお尋ねしたいのと、あわせて、過去、液状化による全壊などの被害認定の事例と件数がどのようになっているのかについてお尋ねをいたします。

長谷川政府参考人 ただいまの地盤の液状化に関する被害認定の方法でございますけれども、そもそも地盤につきましては、住宅の主要構成要素でございます屋根、壁、それから基礎に当たるものではございませんので、地盤に何らかの被害があるということをもって直ちに住宅の被害があるということになるものではございません。

 他方で、地盤の液状化が原因となりまして住宅の主要な構成要素に損傷が生じているかどうかという観点から、一つといたしまして、外観による判定として、地盤の液状化等により基礎の一部が全部破壊されているかどうかという調査、二つ目といたしまして、傾斜による判定として、住宅の四隅の傾斜を計測いたしまして一定以上であるかどうかの調査、三つ目といたしまして、部位による判定として、基礎等の損傷を把握し、これを含めまして住宅全体の損傷割合を算定するという調査、これらをすることによりまして住宅の被害の程度を判定するという仕組みになってございます。

 それから、過去の地盤の液状化による事例でございますけれども、私どもといたしまして網羅的に調査をしたということではございません。ごくわずかでございますが、地盤の液状化が原因となって全壊と判定された事例といたしましては、具体的に、中越地震の際に、地盤の液状化により住宅が二十分の一以上傾斜した例などが数件あったというふうにお聞きしております。

塩川委員 いろいろな被害認定のスキームについての御説明がありました。ただ、過去、液状化による全壊等の被害認定の事例と件数というのはほとんどないということが実態であります。

 そういう意味では、今回は広範囲に及んでいるという点でも、ここに着目した、被害認定の実態に見合ったような要件緩和や、あるいは新たな制度の創設も含めて検討すべきときにあると思います。この被害認定の事例としてお話しになりました、例えば、地盤の液状化により基礎のいずれかの辺が全部破壊をするとか、あるいは外壁または柱の傾斜が二十分の一以上という事例は、実際に当てはめてみてもほとんどないということになるわけですね。

 しかし、例えば浦安市の方などのお話でも、二十分の一というのは、一メートルに対して五センチずれているということですからかなりの傾きですけれども、実際には、例えば四十分の一ぐらいの傾きであっても寝ることすらできないような状況になるわけですね。家の中で酔っているような雰囲気にならざるを得ないのが家の傾きの問題ですから、とても住める状況にないという被災者の声がございます。

 ですから、そういう点でも、液状化に係る住家の被害認定について、認定要件の緩和を含めた見直しをする必要があるんじゃないのか。実態に即した対応を今行ってもらいたい。内閣府としての考えを聞かせてください。

長谷川政府参考人 ただいまお尋ねの点でございますけれども、地盤の液状化が原因となって住宅の各部位に損傷が生じ、全壊と判定された事例というのは、先ほど申し上げましたようにそう多くないというふうに推定されますけれども、ただ、そのことをもちまして直ちに被害認定の要件を勘案する必要があるかどうかということになるものではないと考えております。

 他方で、地盤の被害でございますけれども、これは二年前でございますが、平成二十一年に調査、判定の方法につきまして改定を行っておりまして、地盤の被害につきましても、液状化に限らず、地盤被害の実態に合うようにその要件を改定したところでございまして、現時点におきましては、さらなる改定の必要があるというふうには必ずしも考えていないというところでございます。

塩川委員 それぞれの自治体が調査をする中で、なかなか現場と合わないような事例というのは聞いているわけですけれども、基本は、住み続けることができない状態ならば、それはもう全壊ということなんですよね。そういう観点で対応することこそ必要です。

 その点で重ねてお尋ねしますけれども、地域の被災状況を踏まえ、被災者支援の立場で行う各自治体の被害認定をしっかりと尊重するということで対応していただきたいと思いますが、改めて、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お尋ねにつきましては、地盤ではございませんが、今回の津波の被害等につきましては、例えば、なるべく迅速かつ簡便に調査ができるようにというようなことも含めて、いろいろとお話を申し上げているところでございます。そういった意味で、地盤等につきましても、いろいろ御相談があれば適切に乗っていきたいというふうに思います。

塩川委員 液状化による住家の被害認定の要件緩和をぜひ行ってもらうのと同時に、被災者生活再建支援法の抜本改正も必要ですし、また、地盤被害そのものに対する支援策が現状は全くないというのも問題であるわけで、そういった支援策の具体化を改めて求めて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 十五分という時間でありますので、的確に簡潔に答弁を願いたいと思います。

 まず、今度の大震災によって、自治体もある意味では壊滅的な打撃を受けたというふうに思います。これは今後、時間がたつにつれて、だんだんだんだん顕在化してくると思うんですね。そういう点から考えますと、自治体の機能回復というのは最も大事な要素だというふうに私は考えております。

 今回の震災において、当該自治体の職員も多数被災をされた、また人命を落とされた方もたくさんおられるわけでありますけれども、不眠不休で被災者支援の活動を先頭に立って頑張っている、これが自治体職員でございます。今までの仕事とは違って、仕事の幅も非常に広いことをやらなければならない。

 今後の復旧復興に向けて、自治体の機能回復というのは極めて重要なポイントであるというふうに私は思います。同時に、自治体の機能は、地域における雇用の場としての存在感もあるわけでございます。まず、被災して職を失った方々が、今後、これもボディーブローのようにきいてくると思うんですが、もう自分の働く場所がなくなる、そういう方々が、調査が進めば進むほどふえてくるんじゃないか。したがって、そういう方々を、当面、自治体の復旧復興というところに動員するという点において、非常勤あるいは臨時的な、そういう形で採用することができないのかということが一つです。

 私はこう考えるんですけれども、当座はそれでしのいで、地域の産業向上とか、働く場が徐々に復興してくるんだろうと。中には、もうおれの代で仕事は終わり、こういう企業もあるかもしれない。しかし、一方においては何としてでも復興するぞという企業がだんだんだんだん顕在化してまいりますから、そういうところの復興に向けて、いわゆる雇用という問題も常に念頭に置いて、そういう思想というのか考えを間断なく経営者の側に吹き込んでいって、融資の問題であるとか、いろいろな復興の手だて、手助けの点において、その復興ができ上がった後、雇用についてというところを忘れることのないように、常に大きなテーマ、問題意識を持って対処していく、こういうことが必要になるんじゃないかと思うんです。

 まず、そういう点について、大臣の考えを聞かせてください。

片山国務大臣 当面、生活支援ということが非常に重要な課題であることは言うまでもありませんが、同時に、今後のことを考えますと、雇用問題というものを常に念頭に置いておく必要があると思います。

 既に政府の方でも、雇用についての緊急チームを小宮山厚労副大臣をキャップにして始めておりますけれども、例えば瓦れきの処理でありますとか当面の復興の作業についても、できるだけ地元の皆さん、特に被災された皆さんにこの作業についていただくという配慮をしていただきたいということをお伝えしておりますし、それから、続いて例えば仮設住宅の建設なども、できる限り地元ないし近隣の工務店を通じて何らかの仕事が回るようにということ、これも配慮していただきたいと考えております。

 さらに、自治体は、避難所の経営でありますとか、これから復旧に向けてのいろいろな作業がありますけれども、そういうときにも、さっきおっしゃったような形で差し支えないと思いますので、ぜひ、臨時であっても非常勤であっても構わないと思いますので、必要な人数を自治体において当面雇用するということも大いにあってしかるべきだと私は思います。

 それと並行して、最後はやはり基幹産業、水産業などが中心のところが多いわけでありますけれども、できるだけ早く基幹産業が立ち直る、そういう算段を講じていく、支援をしていくということが必要だろうと考えております。

重野委員 大臣の答弁、よろしくお願いいたします。

 特に大事なことは、復興した後、それまでそこで働いていた方々が間違いなく再雇用される、そういうふうなことはやはり当事者にとってみれば本当に安心を与えられるわけですから、そこ辺は心して取り組んでいただきたいと思います。

 次に、今回の震災で、役場そのものが流失するという事態も発生しております。そうした自治体においては、直ちに住民サービスを提供することが容易ではない、こういう事態も個別具体的に出てくるんだろう、私はこのように思うんです。

 そこで、そういう自治体に対して、県や周辺自治体が当該自治体にかわって住民サービスを提供できる、そういう仕組み、体制をつくることも私は大事ではないかと思うんですが、その点についてはどのように考えておられますか。

片山国務大臣 いろいろな自治体の協力というのがあると思います。

 今般の震災における一つの大きな特徴は、いち早く全国市長会それから全国知事会が被災自治体の支援に回ってくれるということができました。これは麻生知事会長それから森市長会長と相談をしたんですけれども、お二人ともいずれも、福岡県の地震それから新潟中越沖地震で被災をした経験があるものですから、人ごととしてではなくて、非常に我が事としてとらえていただきまして、直ちに、物資の支援から始まって、人材の派遣も含めてネットワークができました。これが今回の大きな特徴だろうと私は思っております。

 そういう中で、先ほど来議論もありましたけれども、被災自治体が、これまでもそうですし、これからだんだんとステージが変わっていく段階で、専門的な職員も含めた必要な人材の派遣というものをやっていきたいと考えております。

 さらには、そういうことだけではなくて、例えば福島県の八つの町村は既に県内外の他の地域に移転を余儀なくされておりまして、そういうところでは、子供さんの教育でありますとか、そういうことも含めて受け入れ先の自治体の方でサービスを提供するということももう既に始まっております。

 これからも、いろいろな手法がありますので、そういう手法を活用しながら全国の自治体の応援、協力を求めていきたいと思いますし、その仲介の労なども総務省はとっていきたいと考えております。

重野委員 それぞれの自治体がいろいろな知恵を出してやっている。そのバックボーンとして、そういうことについて国もしっかり心して当たるので思い切ってやれ、こういうふうなメッセージを発していくべきだ、このように思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、災害などの予測しがたい地方の財政需要について聞いておきたいと思うんです。

 これまで、一部を除き、特別交付税で措置されてきたというのがこの間の経過であります。しかし、今回の震災では、被害が過去に例を見ない範囲に広がっておる。さらに、被災した多くの自治体の財政力も十分ではない。また、被災していない自治体に、今度は被災者の受け入れあるいは支援が要請されている。そういうことなどを包含して見ると、まさに未曾有の事態というふうに認識すべきだと思います。今後の生活支援あるいは復旧復興のためには、さまざまな財政需要が長期間にわたって被災自治体あるいは支援自治体双方に必要になってくるんですね。

 そこで、地方交付税の総額に特例を設けて、基準財政需要額とは別枠での加算が必要になってくると思うんですが、この点についてはどのように考えておられるか、伺います。

片山国務大臣 当面は特別交付税の増額を図りたいと思っておりまして、今、政府内で検討しているところであります。

 その後どういうふうになるかというのは、例えば先ほどの福島の原発関連でいいますと、八つの町村の状況が今後どうなるのか、そういうことはよく見てみたいと思います。場合によっては、何らかの普通交付税の特例措置のようなことが必要になるかもしれません。これはまだわかりません。

 いつまでの避難になるのかという見通しも現段階では明らかでありませんので、そういうものをよく見ながら必要な対応はしていきたいと思っておりますが、当面必要なことはできる限り特別交付税で、自治体の方でいろいろな財政需要に対応できるような、そういう措置を講じていきたいと考えているところであります。

重野委員 今の大臣の答弁は、このように理解していいんですかね。津波による災害というのは、ソフトの面は別として、形状的に見ても、今の状況からさらにその災害が拡大することはまずないだろう、ただ、原発の場合は、まだ進行中ですから、あの影響がどうなるかということがなかなか特定しがたい、したがって、そこ辺はやはり踏まえていかなきゃならぬというふうなことで今の大臣の答弁になったと受けとめていいですね。

 そこで、今回の災害について国がどうかかわるか、どう援助するかというときに問題になるのは、罹災証明の発行問題です。

 生活再建支援金あるいは義援金、税の減免、仮設住宅への入居など、いろいろな策があるんですね。その場合、それを受けるためには罹災証明というものを受けなきゃならぬということであります。

 そこで、例えば家屋の被害状況についての査定等々が当然必要になってくるんですが、これは人手と時間がかかる作業なんですね。できる限り迅速に証明を出すことが求められているんですが、例えば、先般、液状化で問題になりました浦安の件を例にとると、一万戸が液状化で被害を受けているというんですね。四十名の方でその証明を出せるような査定とかをやっていかなきゃならぬというふうに新聞で報道されておりました。

 果たして、岩手県からずっと下ってきたあの全自治体において、相当な負荷がかかると思うんですね。一方、市民の側はいっときも早く出してくれという事情がありますから、それにどうこたえていくかという点において、この証明の迅速な発行策をどのように考えているか、その点について伺います。

片山国務大臣 もともとこの罹災証明というのは、何か国が法律でもって制度を決めて、様式、フォームも定めているというものでは必ずしもございません。被災をされた方々に対して、市町村においてこれまで独自にといいますか任意に発給してきたものであります。ただ、被災者生活再建支援制度などとの関連もありまして、一定の様式化が事実上なされてきている、こういう経緯があります。

 今般は非常に難しい問題がありまして、一つは、今議員がおっしゃったように、発行主体である自治体自体が非常に打撃を受けて混乱しているという面もありますし、それから、福島県の原発の二十キロ区域内などは現地確認が困難であるということがあるものですから、その辺で、それぞれ市町村で工夫をされている面があります。

 それはやむを得ないと思いますので、従来とは違ったタイプだけれども、そういうものも適切に受け取って、それに対応した措置をしていただきたいということを総務省からも通知したりしておりまして、今回に限っては、そういう臨機応変の対応もある程度必要だろうと思います。もちろん、これがずさんに行われては困りますので、その辺の兼ね合いもよく注意しながら、従来とは違った取り扱いがなされてしかるべきだと考えております。

重野委員 今の大臣の答弁で安心するんですが、本当に丁寧な指導、地域住民に対する自治体の対応というのは、あくまでも丁寧に、心配りのある対応をお願いしたいと思います。そのような指導というか要請を間断なく発し続けていただきたい。

 あと一問質問通告をしておりましたけれども、もう時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 この土曜、日曜と、私も被災地に行ってまいりました。宮城県の石巻市と岩手県の大槌町に入りまして、私の仲間と一緒にカレーの炊き出しをやりながら、地元の方の話を聞き、被災地の状況を見て、また大槌町では、今、職務代理者としてやっておられる副町長さんともお目にかかることができました。そういう被災地におけるさまざまな見聞によって、いろいろ宿題を持って帰りましたので、それについてきょうの質疑では幾つか取り上げさせていただきたいというふうに思っております。

 まず最初に、被災者再建支援制度に関するお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この被災者再建支援法という法律は、議員立法で阪神大震災の後にできたものでありますけれども、当時、自社さ政権の当時だったと思いますが、実は私の父親もこの議員立法の議員連盟に参加をして、かなり中心でかかわらせていただいた、こういう経過があります。うちは東京の江東区ですので、関東大震災でそれこそ甚大な被害を受けているわけです。父が三十年ほど前に初めて国会議員になって最初に行った国会質問は防災のことだった、地震は地下の仮想敵国だ、こういう言葉を使って当時の福田総理に質問させていただいたというのを、昔を振り返って私も聞かされました。

 そういうことから、この被災者再建支援制度、被災をされた方に国が現金を支給するということについて財務省の非常に強い抵抗があったんですけれども、そこを押し切ってこの制度が立ち上がったというものであります。

 今回の東日本大震災における数多くの被災者の方、住宅が全半壊した方々にこの再建支援金が支給をされるということになると思うんですけれども、その支給の対象となる方々が一体どのぐらいの数に上って、支援総額としてはどのぐらいの額になる見込みなのかということをお尋ねしたいというふうに思います。

東副大臣 お答えさせていただきます。

 週末に、最大の被害をこうむっている一つの石巻並びに大槌町を御訪問され御視察されて、私たちが想像する以上に甚大な被害をこうむっているということをその目でごらんになったと思います。

 今の御質問に対して結論から申し上げさせていただきますと、今回の大震災における住宅の被害については、昨日の夕方五時現在までに確認できている数値としては全壊が約四万六千棟などとなっておりますけれども、被害の全容は現時点ではまだまだなお明らかになっていないところです。したがって、支援支給対象世帯あるいはまた支給総額の見込みは現在までのところ成り立っていません。

 今後とも、被害状況の把握に徹底的に努めて、いずれにいたしましても、支援金が円滑に被災者に支給されるよう努めてまいりたいというふうに思っている次第です。

柿澤委員 先ほど小川委員からの質問でもありましたけれども、亡くなられた方が何人になるのか、こういうことについてもまだまだ全容をつかめていない、こういう状況でありますので、全半壊の家屋がどの程度になるのかということについても全貌が明らかでないというのは、現段階では当然かもしれません。

 報道ベースでいうと、この全半壊家屋が三十万から四十五万戸ぐらいに上るのではないかというふうに言われておりまして、これに仮に基礎支援金百万と住宅再建の支援金二百万の合わせて三百万を支給するということになれば、全部合わせて一兆三千五百億円という額に上るわけであります。基礎支援金百万だけ考えても、もし四十五万戸ということになれば四千五百億、こういう額が必要になってくる。一方で、今の生活再建支援金というのは基金で支給をされているわけですけれども、この基金は今の総額で五百四十億しかない、こういうことを聞いております。

 こうした基金の拡充というのが国の相当程度の負担で行われない限り、この支援金の支給というのは財源的に無理だということになると思いますけれども、この点についての政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

東副大臣 御指摘のとおりだろうというふうに思います。

 先ほど御説明がありましたとおり、この被災者生活再建支援制度というのは、全国の都道府県が相互扶助の観点から基金を拠出して運営している都道府県主体の制度であって、そういう意味では、国がその全額を負担するということは、この制度そのものの趣旨にそぐわなくなってしまう。

 他方、先ほど来お話がありますとおり、今回の災害では、住宅被害の全容は依然として明らかになっていないものの、現在の被災者生活再建支援基金の基金総額では対処できない可能性が極めて高い。現在五百三十八億円あるわけでありますが、いずれにしても、これで対応することができないだろう、それはそのとおりなんだろうというふうに思います。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げさせていただいているとおり、被害の状況や本制度の趣旨を踏まえて、支援金が円滑に被災者に支給されるよう検討していきたいというふうに思っています。

柿澤委員 被災地では、とにかく生活をしていく上で現金が必要だ、こういう声もあります。また、家屋被害を最終的に確定させるまでには相当な時間がかかるということも考えると、これは、ある意味では今までの前例を飛び越えて速やかな支給を、可能な限りこの制度を弾力的に運用して行っていく必要がある、こういうふうに考えます。

 片山大臣も、鳥取県知事時代に、住宅再建支援のために県が独自に基金をつくって支給する、こういう先駆的な取り組みをされた方でありますので、こうしたことをぜひ連携して速やかに進めていただきたい、こういうふうに思っております。

 ちょっと片山大臣に御答弁をいただきたいところなんですけれども、次のテーマに移ります。

 被災地におけるし尿処理についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 石巻市に行ってまいりました。石巻赤十字病院でお話を聞かせていただきました。避難所の衛生面での悪化が非常に懸念をされている。特に仮設トイレの状態が、極めて汚く、劣悪である。これによって避難所において大変な感染症の爆発的拡大が起こりかねないということを、これは現実の問題として危惧されておりました。

 今、石巻市では仮設トイレがどういう状態になっているか。使い続けていっぱいになってしまって、それを手作業でかき出しているとか、あるいは、いっぱいになったものはもう使えませんので、穴を掘って外でしているとか、あるいは、新聞紙の上に用を足してそのまま丸めて捨てているとか、こういう状況になってしまっているそうでありまして、この避難所で生活をしている方の相当程度が高齢者であること、あるいは小さな子供さんもいらっしゃるということを考えると、こうした状態がこれ以上長く続くことは、感染症のリスクを高めることが本当に心配をされているところだと思います。

 避難所における仮設トイレの状況についてどのように認識をしておられるか、これは被災者生活支援特別対策本部の副本部長としての片山大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

片山国務大臣 この種の災害が起こりますと、仮設トイレの需要というのは大変強いものがあります。したがって、当初から物資の支援要請というものの中に仮設トイレというのが多く含まれておりまして、これを、先ほど来申し上げておりますが、全国知事会などを通じた物資支援のネットワークを通じて、これまで最善の努力をして送っているところであります。

 その後のし尿処理の問題については、現地でできる限りの対応をしていただきたい。それに対して、財政措置については、万全の措置を講ずることによって市町村が財政負担を生じないようにということを政府としては行っております。

柿澤委員 仮設のトイレというだけの考え方でなくていいんじゃないかというお話もあります。赤十字病院からは、私自身は、お年寄りの皆さんを早く温泉地などのところに、保養も兼ねてということで、集団的に移転をしてもらって生活してもらう、こういうことが大事だということをかなり力説されましたが、それはあしたにできるわけではありません。

 当面のできることとして、仮設トイレがそのような状況であることにかんがみて、例えばポータブルの自動式のラップ式のトイレというのが今ありまして、これは商品名で言うとラップポンというんですけれども、水を使わずに、用を足した後、いわゆるラップでそのままくるんで、それを可燃ごみとして捨てられる。これが今、業者の協力もあって、東松島市に百台ぐらい出ているようなんですけれども、例えば百人に一台、五十人に一台というぐらいの数があれば、外に出なくても済む、また仮設トイレがいっぱいになるという問題は生じなくて済む、これを数多くよこしてほしい、こういう具体的なお話がありました。こういうことをやっていくことが、具体的に避難所の衛生面での改善につながっていくというふうに思います。

 こうしたことについて、感染症の爆発的拡大が一たび始まってしまったら、これは大変なことになります。今現在、それを切迫した危機として感じておられる医療者が被災地の現地におられます。そうしたことを踏まえて、一層の取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 片山大臣にいま一度御答弁をいただいて、時間でありますので、終わりにしたいと思います。

片山国務大臣 避難所から県を通じてそういう支援物資の要請がありましたら、これはできる限り対応したいと思います。

柿澤委員 質問を残してしまいましたが、終わりにします。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件の調査のため、来る十二日火曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十三分散会


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