衆議院

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第19号 平成23年5月26日(木曜日)

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平成二十三年五月二十六日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 小川 淳也君

   理事 古賀 敬章君 理事 福田 昭夫君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井  章君    石津 政雄君

      内山  晃君    大谷  啓君

      大西 孝典君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      黄川田 徹君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    中後  淳君

      永江 孝子君    平岡 秀夫君

      藤田 憲彦君    松崎 公昭君

      湯原 俊二君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    川崎 二郎君

      佐藤  勉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    中谷  元君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   総務大臣政務官      森田  高君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            田中 栄一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   参考人

   (日本放送協会理事)   石田 研一君

   総務委員会専門員     白井  誠君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     秋葉 賢也君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     佐藤  勉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案(内閣提出第六九号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事石田研一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長田中栄一君及び文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大谷啓君。

大谷(啓)委員 民主党の大谷啓でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 この三月十一日に起きました東日本大震災、まだまだ大変大きな被害が広がっている、私も現地に行っておりましたが、大変深刻な状況であるというふうに認識しております。

 そういう中で、総務省として、七月二十四日をアナログ停波、地上デジタル化ということで一生懸命やられる中で、この被災地の状況をかんがみまして、これを一年間延長しよう、こういう提案があるわけでございます。まさに、その判断に関しましては敬意を表したいというふうに思っております。

 しかし、一年延長するということが大事ではなくて、いかに被災地での地上デジタルの状況を早く回復するかということが肝要だと思いますので、その観点から、本日は幾つか御質問をさせていただこうというふうに思っております。

 まず、今回一年延長するという判断をするに当たって、被災地での特に受信設備の被災状況についてどこまで現状を把握されているのか、それについて具体的な数字を教えていただきたいというふうに思います。

田中(栄)政府参考人 お答え申し上げます。

 今、大谷委員から御質問がございました、被災三県の被災の状況ということでございます。

 数字でということでございますので、数字をちょっと御紹介させていただきますと、震災により損壊いたしまして、アナログ停波までに改修等を要する施設でございますけれども、共聴施設で約七百八十施設、これは約八千世帯程度と見込んでおります。それから、戸建て住宅で約六千三百世帯ということで、合計一万四千四百世帯と推計いたしております。これは、震災によりまして施設が傷んだり、戸建て住宅で申し上げますとアンテナが傾いたりというようなものの手当てをするものでございまして、いわゆる津波などで家ごとあるいは町ごと流失してしまったというようなものは含んでおりません。

 それから、アナログの移行ということになりますと、今申し上げました震災に伴う修復が必要な増加分に加えまして、震災時点で残っておりました要対策世帯というものについても完了しなきゃいけません。そちらの数字も足し上げる必要がございますので、簡単に申し上げますと、今申し上げたような世帯が三県合計で約四万五千世帯あったと推計しております。したがって、もともとやらなければいけなかったものと震災によって追加になったものとを合計いたしますと、約六千世帯程度がデジタル対応を要するというふうに私ども推計いたしております。

 以上でございます。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 それだけ大規模な形での被災ということで、一年延長やむなしという判断だと思うんですが、あともう一つ問題は、今回の震災は、東北三県、岩手、宮城、福島の三県のみじゃないというところにも留意する必要があろうかと思います。特に近隣、茨城ですとか千葉ですとか、そういったところでも津波、地震の被害が起こっているわけでして、ここに対して本当に手当てしなくていいのかということも考えなくてはいけません。

 今、総務省として、ほかの近隣、被災三県以外で、こういう震災に伴っての被害状況について把握されていれば教えていただきたいというふうに思います。

田中(栄)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私、先ほどの答弁で、合計を六万と申し上げるべきところを六千と申し上げたようでございますので、訂正させていただきます。合計六万世帯でございます。

 今、大谷先生のお尋ねは、延長に係る被災三県以外の地域における震災の被害状況ということであったかと思います。

 すべてについては省かせていただきまして、例えばということで一、二、例を申し上げますと、近隣の青森県、茨城県でも一定の被害がございました。青森県では、先ほど申し上げましたような、被害を受けて改修が必要な共聴施設が二十五施設、これは約二百世帯に相当いたします。戸建て住宅を合わせて、合計約五百世帯が新たに対応が必要になった。茨城県で申し上げますと、被害を受けた共聴施設が約百二十施設、これは約千二百世帯。戸建て住宅と合わせまして、合計約三千二百世帯というふうに推計いたしております。

 先ほどの三県の例で申し上げますと震災時点で整備が進んでいなかったものも追加しなきゃいけませんけれども、これを簡単に申し上げますと、青森県で約八千世帯、茨城県で九万世帯が残っているというふうに推計いたしております。

 ただ、一点だけ申し上げますと、こういった今申し上げました青森県、茨城県などでは、震災後もほとんど滞ることなく地デジ対策、私どもで申し上げますとデジサポの活動などが早い時期に復旧いたしまして、活動を全面的に再開できるような状況になっております。その関係で、先ほど申し上げた要対策世帯も非常に大きく減少しているという状況にございまして、被災三県以外の地域では、順調に七月二十四日に一斉にアナログ放送を終了できるものと考えております。

 以上でございます。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 ただ、やはり被災三県以外のところの被災地は、住民の皆さんもやや不安に思われているというお話も伺っております。確かに被災三県に比べると規模が少ない部分もあろうかと思いますが、七月二十四日まで残り二カ月足らずとなっておりますので、しっかりとしたきめ細かい対応をしていただいて、要は、被災三県じゃないから我々のところはアナログが停波されたというような不満が出ないように、残り二カ月の間、総務省としてしっかりと対応していただきたいということをお願いしたいと思っております。

 そして、被災三県は七月二十四日までに間に合わないということだと思います。そして、今回の延長は最大で一年というふうになっているわけですけれども、今の被災状況をかんがみたときに、実際問題どれぐらいの期間で共聴施設あるいは戸建てのアンテナの改修が見込めるのかというあたりを教えていただきたいと思います。

平岡副大臣 お答え申し上げます。

 法律上は最大延長一年ということでありますけれども、我々としては、デジタルへの移行の重要性ということにかんがみまして、今回延期するものについても、できる限り早くアナログ放送停波、完全デジタル化へ向けていきたいというふうに思っております。

 ただ、その検討をするに当たりましては、いつにするかについては、やはりいろいろな要素がございます。

 例えば、復旧復興がどういうふうに進んでいるのかというようなこともあれば、特に今回の移行に当たっては地方自治体あるいは自治会、民生委員の皆さんに御協力をいただいているということでございますので、どれだけの協力が復興とは別に得られるのかというような点もあります。

 さらに、地域住民の皆さんが地デジ対応受信機を購入したり、あるいは受信環境にみずから取り組むという必要性もあります、特に個別住宅等につきましては。それにどの程度力を注いでいくことができるのかといったようなことについて検討していかなければいけない。それに当たっては、当然、地方自治体からも御意見をお伺いしたいと思っておりますし、さらにデジサポ等の現場で今取り組んでいる方々から現場の状況についても聞いて総合的に判断し、できるだけ早く完全デジタル化へ移行したいということを考えているところでございます。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 実際、延長するに当たって、延長するということに対する周知も必要ですし、ではアナログ停波はいつにしようと判断される場合に、当然そのことについての被災三県に対する周知ということが必要になろうかというふうに思います。

 今は全国的に、地デジ化ということで、アナログ波を使っての周知などをやっておりますけれども、今回は被災三県だけということになるので、その周知のやり方も結構難しいかなという気もしております。その辺は、周知期間を例えば三カ月とかしっかり見る形で、しかるべきときにアナログ停波の時期を御判断いただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 あともう一点、アナログ停波延期によって、局側に設備の維持管理コスト等が発生してまいります。今回、電波利用料については免除するということがこの法律で定められておりますが、そのほかの機器の維持管理のコストについて、一局当たりという表現がいいのかわかりませんが、大体どれぐらいのコストを今見込んでいて、その負担についてどのように考えているのか、このあたりを教えていただければと思います。

平岡副大臣 お答えいたします。

 アナログ停波延期によって生じる放送事業者のコストについてですけれども、特に民放については、方式としては、キー局等からデジタル方式で送られてきた番組を地元局でアナログに変換して放送するということで対応するというふうに聞いております。

 その方式でやりますと、例えばデジタル放送の番組をアナログ方式に変換するための設備を整える、あるいは中継局や局内の放送機器等のアナログ放送用設備の運用、保守というようなことが必要になってくるということでございます。

 それにかかる費用としては、三県十二局で月当たり五千万円を下回る程度ではないだろうかというふうに言われておりますけれども、現在、その詳細については確認をしているところでございます。

 これに対しては、これまで、地上デジタル放送への移行というのは、政府と放送事業者と視聴者の皆さん、関係者が一体となって、一緒になって、それぞれ一定の負担をしながら進めてきたという経緯がございます。特に今回は、震災という放送事業者の責めに帰すことのできない事由によってこういうことになるわけでございますので、民間事業者の皆さんの意向もしっかりと聞いた上で、政府としても、どういう支援ができるのかということで、今回の法案の中にも、電波使用料について、それをこうした支援に充てられるという仕組みを用意させていただきたいというふうに考えているところでございます。支援の必要額、先ほど申し上げましたけれども、その費用の中でどれぐらい支援することができるのかというようなことについても、これからしっかりと具体的内容について詰めていきたいというふうに考えているところでございます。

大谷(啓)委員 ありがとうございます。

 特に被災三県の民放放送局に関しましては、今回の震災によって大きな被害を受けておりまして、経営的にも大変厳しい状況になるということをお聞きしております。今回のアナログ停波一年延期は、ある意味、非常時での国としての対応というふうに思っておりますので、この辺のコスト負担については、過度な負担が民放各社に及ばないようにぜひ御配慮いただきたいというふうに思っております。

 最後ですが、今回、最大一年延長するということで、アナログテレビで使っている周波数を、いわゆる周波数再編で、携帯電話に使うですとか、あるいは携帯のマルチメディア放送に使うということが予定されているわけですが、こういった周波数再編のスケジュール等に影響があるんじゃないかということも一部ささやかれております。

 私は、周波数の再編は国として必要な施策だ、できるだけ速やかにやるべきだというふうに考えておりますが、今回の最大一年の延長によってこういったスケジュールに影響がないのかどうか、最後にお伺いしたいと思います。

平岡副大臣 委員御指摘のように、今回のアナログ放送停波後に、空き周波数帯を利用してマルチメディア放送あるいは携帯電話というようなものに使うということで進めてきているわけであります。

 そのうち、V―HIGHマルチメディア放送については、既にその開設計画を昨年九月に認定済みでございますけれども、その認定計画を見ますと、最大一年間の延長であれば、サービスの展開上大きな影響を及ぼすものではないというふうに我々としては認識をしておるところでございます。

 さらに、それ以外の無線システムの導入スケジュールについても、今回の延期が最長一年間にとどまるということであるならば大きな影響はないというふうに考えているところでございます。

大谷(啓)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、速やかに被災三県でもアナログ停波ができるように、しっかりと総務省として対応していただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、総務委員会での質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 時間が大変限られておりますので、答弁はできるだけ簡潔にいただきたいと思います。

 今回の地デジ延期法案は、大変甚大な被害がございました私ども岩手、宮城そして福島に配慮していただき、アナログの停波を一年間延期していただくというものでございます。本当に十分な対応をこの間していっていただきたいと思いますけれども、一年という延長の区切りが十分なのか、まずは伺っておきたいと存じます。

平岡副大臣 お答えいたします。

 今回、最大一年間の延長とするということに決めた判断の要素としては、地元自治体あるいは自治会、民生委員等地元の方々で、地デジ対応にこれまで協力してこられた方々がどういうふうに協力していただけるんだろうかというようなこと。あるいは、先ほど来からお話がありましたように、今回の震災でいろいろな施設が被害を受けております。その被害の状況、それから完全デジタル化までに必要となる改修、新設工事等の作業量がどのぐらいになるのかということに加えまして、地元の自治体の意向というものについて伺わせていただいたところでございます。そういうものをあわせて、我々としては、最大限一年あれば受信側の円滑なデジタル移行が可能ではないかというふうに判断したものでございます。

 なお、具体的な期限については、この法案を成立させていただきましたところで、先ほど来から申し上げているように、いろいろな現場の状況あるいは対応される皆さん方の意向というものをしっかりと踏まえて設定をしていきたい、このように考えているところでございます。

秋葉委員 本当に七月二十四日まで二カ月を切ったわけでございますので、この間、地元では共同受信施設が大分やられております。しっかりきめ細かいフォローアップをしていただきますように、大臣や副大臣、皆さんに強くお願いをしておきたいと思います。

 今回、東日本大震災で、やはり何といいましても、第一に燃料不足、特にガソリン等が不足したということで、いろいろな初動態勢におくれがあり、そうしたことが被害の拡大にもつながった面は否定できないと思います。と同時に、やはり通信網が断絶をした、機能不全に陥ったために、円滑な対応にやや問題があったということでございます。

 そういう意味で、これから一年間は最低でも余震が続く、四月七日には大変大きな余震もあったわけでございます。地震のたびに、こうした通信網の断絶の問題がこれまで大きな問題になってまいりました。これからしっかりとこうした面に対応していかなければならないと思います。

 今回は、固定系のサービスだけでも百五十万回線、あるいは移動通信局だけでも約七千の被災があり、さまざまな電波、通信手段が途絶えました。仙台市や宮城県でも、防災無線や衛星通信といったものが一部機能不全になり、つながりづらかったということがございました。

 今回、固定電話あるいは携帯電話、防災無線、衛星通信、こうした通信手段が今後十分確立していくためには相当の対応をしていかなきゃいけないという問題意識を持たざるを得ませんけれども、総務省としてどう分析し、どのように取り組んでいかれるつもりでしょうか。

片山国務大臣 今回の震災で、通信インフラが非常に大きな打撃を受けました。災害時の救援でありますとか応急の措置をとるときに通信というのは非常に重要だと思いますけれども、その重要な通信が、通話ができない、通信ができないということになりまして、これは、今回の被害の状況などをよく分析して、今後の教訓としなければいけないと思います。私の経験でも、一番ひどいところが一番連絡がとれないということが今回沿岸部にありまして、そのことで、本当に通信の重要性を再認識させられたものであります。

 固定電話、携帯電話、防災行政無線などにつきましては、通信施設そのものが損壊を受けたということもあります。それから、固定電話、携帯電話については、いわゆるふくそうというものがあります。そういうことをこれからどうやって克服するかということ、これが一つの教訓であります。衛星携帯電話が今回非常に重要な機能を果たしました。ですから、今後の問題としては、一つのシステムに頼らないで、さまざまなシステムを連携させたネットワークというものが必要だろうと思います。

 今、そういう観点で、専門家、有識者に集まっていただいた検討会も早速始めておりまして、その結論も得ながら、今後の対策に生かしてまいりたいと思います。

秋葉委員 今、大臣から御答弁いただきましたように、いろいろ補完的なものも考えながら、ミックスして対応していくということが重要だと思います。

 そういう中で、衛星通信の携帯電話などもそれなりに配備はされているんですが、バッテリー切れだったり、ふだんのメンテナンスが十分ではないために、いざというときに使えなかったりという問題もございました。

 また、こうした固定や通信施設のほかにも、地元仙台、宮城県でも、いわゆるMCAシステムによる通信網が大分使われております。例えば、本県の医師会でありますとか、あるいは仙台市の消防局なんかもこのシステムを有用に活用させていただいているわけでございますけれども、残念ながら、今回の震災によってこのMCAシステムにも障害が生じまして、一部では使えないところも出てまいりました。

 先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、しっかり中継局のバックアップをつくっていくとか、あるいは、せっかくいい仕組みなのに、アンテナが十分ではなくて場所によっては通じないところがあるとか、いろいろな課題も浮き彫りになってまいりました。

 今後、こうした事態を避けていかなければならないと思いますし、総務省として、こうしたMCAシステムの充実についてどんなバックアップができるのか、伺っておきたいと存じます。

片山国務大臣 MCAシステムというのは非常に有効だと私も思います。今回も幅広く活用されたものと伺っております。

 おっしゃったように、停電の影響で一部停波したとか、それから中継局間を結ぶ通信回線の障害で広域通信ができなくなったなどの障害があったと伺っておりますので、これらを今後の教訓として生かしていかなければいけないと思います。

 特に、このMCAもそうですけれども、それから先ほどの衛星携帯もそうなんですが、代替電源をどうやって確保するのかということが非常に重要な課題だと思います。こんなことも含めて先ほど申し上げました検討会で検討した上で、今後の対策に生かしていきたいと思います。

秋葉委員 今、さまざまな方面で、自然エネルギーの大胆な導入を図っていこうということが議論されております。そうした電源の確保についても、まさにあの福島原発も電源の確保ができなくてこうした大事に至ったわけでございますので、こうした通信の分野にも自然エネルギー等を活用した電源確保という視点は大変大事だと思っておりますので、よろしくお願いします。

 こうした通信網の被災に関連して、ぜひきょうは大臣にお願いをしたいことがございます。それは、避難所のガイドラインの作成という問題です。

 避難所の多くは、学校になっているケースが多いと思います。宮城県でもほとんど小学校だったり中学校だったりするんですけれども、ここのいわゆる装備品とか備蓄品だとかに大変な格差がございます。

 私、今回の被災で重要だと思ったのは、やはり避難所には、通信網の確保、それから自家発電装置を一〇〇%入れる。そして、断水が改善した暁には、やはりおふろの問題が出ますから、できればシャワールームをつける。いろいろなことを感じました。

 そういう中で、いろいろ、避難所のガイドラインというのは、もちろん地方分権の時代でございますから、第一義的な主体者である基礎自治体がそれぞれの判断で地域の実情に応じてやってもらえばいい話なんですけれども、何件か集めた資料を見ましたけれども、ガイドライン自体がつくられていない、あるいは、こういうものが必要だとは言われているけれども、どれぐらいのボリュームで必要なのかということがございません。

 例えば、厚生労働省では福祉避難所については一定のガイドラインをつくっているんですけれども、そこに数量的な目標が盛り込まれていないものですから、ないものももちろんありますし、あっても不十分なものになっているというケースがございます。

 ですから、避難所の大半が学校だということを考えれば、文科省を中心に取り組んでいただくようなテーマでもあるんですけれども、やはり地方自治を所管する総務省におかれましても、総務省から地方に押しつけるという形ではなくて、一つの基準としてこういった取り組みが必要じゃないのか。すなわち、必要なものを列挙するだけじゃなくて、その量というものが十分なのかという観点から、数値的に分析していく、数値的に検証して備えていくということが私は本当に必要だと思いました。

 ぜひ、総務省におかれましても、そうした指針の作成について検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

片山国務大臣 非常に重要な視点だと思います。地域防災計画などで定めることになっておりますけれども、もう少しきめ細かく避難所のあり方というものを地域で検討し、そして決めておくということは必要だと思います。

 まず、安全な場所であるということ、それから住民の皆さんがどれぐらいそれぞれの避難所に避難する可能性があるかということ、それに対応してどういうものがどれぐらい必要かということ、しかし、大きな災害で、今回のように避難所自体がダメージを受けたときに臨機応変にどうするのかということ、それから、避難者のケアとか住民の皆さんの支援の態勢、これはソフトになりますけれども、そういうことをやはりきめ細かくそれぞれの自治体で定めておく必要があると思います。

 今は漠然とした指針、ガイドラインのようなものを出しておりますけれども、注意をしなければいけない要素、そういうものをもう少し丁寧にお示しすることは私も必要だろうと思います。消防庁といいますか、総務省としても少し検討してみたいと思います。

秋葉委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。ぜひ、この委員会の終了の後、大臣からも担当者の方に御指示をいただきたいと思うんです。

 例えば、自家発電一つとりましても、全国平均の装備率はデータをとっていないんですね、避難所の場所というのは多岐にわたりますから。ですから、唯一とっているのは文科省なんです。学校だけで調べています。学校だけで調べたデータで、全国平均で一三%しか導入されていないんです。うちの宮城県を見たら、恥ずかしながら、たったの五%でございました。それから、貯水槽の整備率も全国で三割いっておりません。あるいはプールの浄水設備とか、そういったものは都道府県によって大変な格差がございます。

 理想的にはやはり一〇〇%になるように、避難所に行ったときに、最低限そこで自立できるような機能が一カ月ぐらい保てるような、そういった実数としての整備がどうなんだ、こういう視点から検証していくような仕組みをまさに総務省が立てて、それぞれ御指導いただくというのが大変大事だと思っておりますので、本当によろしくお願いしたいと思います。

 きょうは時間もございませんので、改めてお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。

 今回、地元の消防団員の皆様は、本当に命がけで、大変な活躍をいただきました。宮城県名取市の消防団員の中には、避難を呼びかけ、マイクを握ったままで亡くなる、そういった若い方もおられました。宮城、岩手、福島の三県で、行方不明者を含めますと二百五十人以上の死亡数になるんじゃないか、そういう報告もいただいているところでございます。

 こうした消防団の皆様に、今、殉職された場合には賞じゅつ金が支給されております。四百九十万円から二千五百二十万円までの範囲で支給をされるわけでございますけれども、こうした殉職者の中でも、とりわけその功労によって功労章を受章されますと、最大で三千万円が支給されることになっております。

 今回、こうしたまさに文字どおり命がけで地元のために命を落とされた消防団員の皆さんに、せめて遺族に対して十分な配慮が必要だと私は思いますけれども、最大限の支給になるのかどうか、この見通しについて大臣に伺いたいと思います。

片山国務大臣 今回の震災では、本当に消防団員の皆さんの活躍が各地から伝えられておりまして、その一方で、しかしあわせて、災害によって、みずからの命を顧みないで住民の皆さんのために奮闘されて、結果としてみずからの命を失ってしまったという方がおられます。その方々に対しては、きちっとやはり国家として、自治体として報わなければいけないと思います。

 それぞれの殉職された団員に対する賞じゅつ金の額というのは、それぞれの態様によって決まります。ですから、最高額の方もおられるし、そうでない方もおられると思いますが、いずれにしても、必要な金額というものはきちっと国費として確保しなければいけないと思います。

 既に第一次の補正で、その時点までに判明している方についての賞じゅつ金の額として三十三億円を計上しておりますけれども、今後の判明によってこれを上回る額が必要になると思いますので、その額についてはきちっと第二次補正において確保して、支給できるようにしたいと考えております。

秋葉委員 ぜひ最大限の御配慮をいただきたいと思います。

 今回、こうした消防団員の方が多く地元で犠牲になったということもあって、私、大変心配しておりますのは、私も政務官のときに消防庁を担当させていただきまして、本当に皆さん、かけ持ちしながら頑張っておられる方が多いんですけれども、残念ながら、定員の充足率というものが低下傾向にございます。女性の消防団員は幸い増加傾向にあり、明るい兆しも見えますけれども、実際は、友人、知人の人脈で集めているという形が専らでございます。

 例えば、制度として公募制のようなもので呼びかけて、ひとつやる気の出るような、公募に受かるとこんなメリットがあるし、消防団員になればこういうこともある、ああいうこともあるという少し明るい待遇というものが必要ではないのかな。そして、せめて法で定めている充足率を満たしていくということが大事だと思います。

 この募集の工夫などについて、私はかつて公募制を導入してみたらどうだということも提案させていただいたことがありますけれども、総務省では今どんな取り組みが行われているでしょうか。

片山国務大臣 消防団員の確保というのは、本当に重要なことだと思います。幾つかの確保のための方策というのがあると思いますが、一つは、おっしゃったような処遇面での改善というのは必要だろうと思います。出動手当でありますとか報酬などであります。

 それからもう一つは、地域社会、地域の皆さんを守るということのとうとさ、崇高さというものを国民全体が共有することが必要だろうと思います。

 今回、私は、消防団員の被災地での活躍、それから、福島の原発の安全確保のために東京消防庁を初めとする全国の大都市の消防機関が非常に危険な環境の中で勇敢な行動をとっていただいたこと、これらが大きく報じられまして、消防の大切さというものに対する認識がやはり改まった面があるんだろうと思います。

 これからも、国もそうですし、各自治体においても、消防だけではありませんけれども、そういうみずからの生命身体の安全を顧みないでも、しかし社会全体のために行動するんだという、このとうとさというものを共通認識として持つような、そういう取り組みをしたいと思います。特に、子供たちの教育が重要だと思いまして、少年消防クラブというのがありますけれども、子供の時代から地域の安全を守る消防の役割というものをよく教えていくということも、これから取り組んでいきたいと思います。

秋葉委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 また、賞じゅつ金については、それぞれの対応を条例で定めておりまして、これもややばらつきがございます。おおむね消防庁の基準に準じてはおりますけれども、やはり十分遺族に対して報いのある対応をしていただくように、しっかりとした取り組みをお願いしておきたいと思います。

 時間も参りましたけれども、最後に一つ質問をして、終わりにさせていただきたいと思います。

 今回、私の地元のNHK仙台放送局も大変な被災を受けました。もともと、昭和三十五年の建築でございまして、ことしで築五十年でございます、大臣。ただでさえ建てかえが必要だ必要だと言われながらも、ここ四、五年が経過をしてまいりました。今回は五階の塔屋のアンテナが倒れたり、行きますと、模様がえして、新しいデザインでもつけかえたのかなと思うぐらい、至るところにクラック、亀裂が入って、床がはがれてという状態でございます。

 今回、こうした震災を契機に、ぜひNHKの仙台放送局は、NHKの放送局の中でも最も古い施設の一つなわけでございますから、これから震災復興に向けて十分な建てかえを検討していただきたい、こう考えておりますけれども、建てかえに向けた見通しについて伺い、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

石田参考人 今御指摘がありましたように、今回の大震災で仙台放送局は建物の一部に損傷を受けましたけれども、当面必要な補修は済ませて、今のところ業務運営には支障はありません。

 ただ、御指摘のように、五十年たった、NHKの放送局の中で最も古い放送局の一つでありまして、また東北地方の拠点局として、NHKにとっては非常に重要な放送局であります。

 NHKでは、従来から仙台放送局については新しい会館を建てるということを検討していたんですが、今回の震災の影響も勘案して、可能な限り速やかに新会館を建設したいと考えております。現在、会館建設に必要な条件を満たした移転候補地の確保とか、それから新放送会館建設計画の策定に向けて具体的に準備を進めているところであります。

秋葉委員 大変ありがたく思います。今後、この建てかえ問題について、どんな施設がふさわしいのかということも含めまして、もし機会がいただければ、一般質疑のときに改めてこの問題について取り上げさせていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 きょうは、ありがとうございました。

原口委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自民党の坂本哲志でございます。

 被災三県のアナログ停波を一年間延期する、この法案についての質問をさせていただきます。

 地上アナログ放送から地上デジタル放送への完全移行は、国策として進めてこられました。一億台以上ある受像機、テレビをほとんど総取っかえしようということでありますので、これは大変な国策であります。ちょうど十年前の七月、ことしの七月二十四日にアナログを停波するということが決められて、この十年をかけて一丸となってやってこられたわけであります。

 これについては、当初は非常に疑問点もありました。危ぶむ声もありました。おととい質問されました平井たくや議員は、地方の放送局の社長を経験され、そして議員になられた方であります。この平井たくや議員さえも、二〇〇二年の中央公論で長文を掲載されておられまして、なぜデジタルが必要なのか、なぜアナログではいけないのか、それを論理立てて書いていらっしゃいました。凍結すべきであるというような意見でありました。そして、十年かけてデジタル化は到底できないというようなことを書いていらっしゃいました。テレビ局の社長出身がそうでありますので、国民の皆さん方のデジタル化への理解度というのは推して知るべしであったろうというふうに思います。

 しかし、到底無理であろうということが、ここまで来ました。現実のものとなってきました。七月二十四日、アナログ停波そしてデジタルへの完全移行ができそうなところまで来ました。九六%以上の受像機の普及率ということで、本当に現実のものになってきた。関係者の皆さん方の御尽力には、心から敬意を表したいと思います。

 いろいろな政策、施策の中でそれが行われてきたというのも事実でございます。自民党時代のエコポイント政策、あるいは高齢者や低所得者にはチューナーを配布する、そして各地域でそれぞれきめ細かに配置されましたデジサポ活動、こういった国を挙げての対応策がここまでの成果をもたらしたというふうに思います。

 日本が当初方針どおりに完全移行できるかどうか、これは世界が見ております。特に、来年デジタル化します韓国、あるいはその後デジタル化します中国、こういったアジアの各国々は、日本が本当にデジタル化できるだろうかということをやはりしっかりと見ているわけでありますし、日本がとった政策というものを、これから一年かけてやはり取り入れてくるであろうというふうに思います。アメリカの場合には、低所得者層への受信機が普及できずに、結局四カ月間延期をいたしました。

 期日どおりに実施するということは、政策の精緻さ、あるいは国民の理解度、国と国民の一体化、また政治力の強さ、こういったものをはかるバロメーターであります。であるからこそ、七・二四、完全に実施するということに私は大きな意義があるというふうに思います。多少の異変があっても、それはやはり実現させなくてはいけないものであるというふうに私は思っておりますし、それが政治の国民に対する役割であると考えます。

 今回の東日本大震災は、東北地方の海岸部を壊滅状態にいたしました。受信施設も被災し、これらの地域は七・二四実施が難しいというようなことはよく私も理解できます。このことについては異存はありません。しかし、それでもなお、それらを乗り越えて実現させようという政策的な士気の高さは必要であるというふうに思っております。

 しかし、今回は、それぞれの被災地からの要望ということで、被災三県のデジタル完全移行を一年間延期するということが決められて法案として出てきました。私は、この決め方が安易過ぎる、やすきに流れ過ぎるというふうに思います。

 民主党政権のやり方を見ておりますと、すべてがそういう傾向にあります。一部の国民が望めばその要望にすべてこたえる、ポピュリズム的な政策が余りにも多過ぎる、国家としての将来像や、あるいは大計に基づいた政策、こういったものが少ないというふうに思います。地域主権、子ども手当、あるいは農業の戸別所得補償、そして高速道路の無料化、そういったものがまさにそうであるというふうに思います。

 私は、今回の一年延長も、自治体にとりましては地デジどころではないというのが実情であると思いますけれども、それを安易に受け入れて決定することが、本当にこれまで尽力してきたさまざまな人たちに対してどういう影響を及ぼすのか、そして、今後の予算面あるいは将来的な展望、また近隣諸国の日本の政策遂行を見る目、こういったものを考えるときにどうであるかということを考えると、疑問でなりません。結局、ばらまき四Kと同じではないかというような気がいたします。

 事実、平岡副大臣は四月二十日の記者会見で、新たに対応しなければならない部分が大きくふえたわけではない、何とかみんなで頑張れば対策ができる状況だと述べておられます。そして、その後に、地元との温度差があったのかもしれませんけれども、こういう法案が出ました。

 私は、いろいろな物事に取り組むときに、やはり為政者というのは、厳しく物事に取り組む、その姿勢が必要であると思います。方針転換をされた平岡副大臣の記者会見の言葉をかりれば、私は、方針転換がいつの間にか安易にされてしまったとしか受け取れません。

 この一年延長を決めるに際して、どこまで、どの程度の論議があってこの一年延長というものを決められたのか、大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 正直申しまして、やはりかなり迷いました。今、坂本議員がおっしゃったように、一回決めたことは全国一律にきちっと国策として貫徹すべきだ、そういう考え方はもちろんありました。私の頭の中にもそれはありました。

 しかし、他方では、本当にこれだけの甚大な被害を受けて、今後も余震の不安におびえている方が随分おられる、そういう地域において、一回決めたことだからといって、そのまま貫徹することが果たしてどうだろうかという危惧も同時にありました。

 そこで、実態を調べるということが一番重要だと思いますので、それぞれの地域の実情を総務省として調査し、それからまた関係の方に意見を伺ったりしました。これは本当にある程度の時間をかけて、地元の自治体の意見なども丁寧に伺いました。担当者任せにするのではなくて、先ほどお話がありました平岡副大臣などが直接伺ったりしました。

 そこで、先ほどの議論の中にもありましたけれども、せっかくこれまで共聴施設などを整備してきた、これは国が支援をしたりしながら全国的に整備してきておりますが、それが今回の地震であえなく壊れてしまって、またそれをつくり直さなければいけない、そういう箇所が相当あります。

 それはつくり直せばいいんですけれども、それには関係の業者の皆さんにそれを依頼しなければいけないけれども、その地域では、関連の業者の皆さんというのは、地デジの共聴施設に専念するわけにはいきません。やはりそれぞれの被災地の施設でありますとか家屋でありますとか、そういうところの修繕とかに対応しなければいけない。したがって、どうしても地デジ対策というのは万全の体制がとれない、そういう面があります。

 それから、これは全国共通でありますけれども、これからの数カ月、三月からいえば四カ月間ぐらいの間に最後の追い込みをかけるという時期であります。今、全国のそれぞれの地域ではその追い込みをやっていただいておりますけれども、この大きく被災をした三県においては、県内のそれぞれの地域としては大きな被災を受けてなくても、その最後の追い込みにかける余力がないという地域が多いのであります。先ほど言われましたように、災害復旧に余念がない、そこに全力を尽くすということの事情がありますので、地デジの最後の追い込みに力を注ぐことができない、そういうハンディキャップもあるわけであります。

 そんな実情を調査した上でそれぞれの地域の行政の責任者の方に判断を伺ったところ、やはりこの三県についてはぜひ延期をしてもらいたいということがありましたので、一つの苦渋の選択としてこういう方針を立てて、必要な法案を提出して御審議をいただいているところであります。

坂本委員 例えば、統一地方選挙の延期も再延期法案というものを考えられておりましたけれども、これは結局、私たち野党も含めた反対で、実現できませんでした。やはり、何でもかんでもいろいろな要望を受け入れればいい、それが政治ではないというふうに思います。

 今の菅総理を見ておりましても、浜岡原発の停止にいたしましても、あるいは発送電の分離の問題にいたしましても、そしてきのう、これから言われるようでありますけれども、自然エネルギーを二〇%までふやすということにいたしましても、何かしら、どこまで十分な論議が行われて、将来構想を持って、そしていろいろなデータに基づいてその政策が決められたんだろうかという気がいたします。今回の場合も、そういうような感じがいたします。ぜひそこをカバーするような形で、今後、早期の復旧をしていただきたいと思っております。

 そして二番目に、なぜ岩手、宮城、福島の三県かということを尋ねたいと思います。

 被災が最も激しいのはこの三県で、すべてがこの三県セットで、それぞれの災害対策というのが行われております。

 しかし、つぶさに状況を見てみますと、例えば岩手県は、被災し、流失した受信障害世帯は七百世帯であります。これは流失ですので、今後の復興計画の中でやっていかなければなりません。一方、修復、改修が可能な被災世帯はわずか百世帯です。そして、もともとデジタル化未対応が八百世帯あったわけです。ですから、これから対応すべき世帯は九百世帯ということになります。岩手県全体の受信障害世帯は三万六千世帯でありますので、パーセンテージでいうならばわずか二%が今後対応の必要な世帯数ということであります。

 他の両県、宮城、福島も、岩手ほどではありませんけれども、同じようなデータであります。福島あるいは宮城の場合にはもう少し被災世帯というのが多いわけですけれども、なぜ三県ということに決められたのか、お伺いします。

平岡副大臣 お答えいたします。

 坂本委員が、四月二十日の私の記者会見も引用されまして御質問をされました。そのときに示した考え方も踏まえて御説明を申し上げたいというふうに思います。

 一つは、私が、新たに対応しなければならない部分が割合としてそんなに多くふえたということではないというふうに申し上げました。それは、今委員の質問の中にも、世帯数が、これまで対応できていなかったものについてやらなければいけないものの方がむしろたくさんあって、新たに追加された部分というのが余り多くない、そういう数字で示されたわけでありますけれども、我々としては、先ほど大臣からの答弁もありましたように、今追い込み期に入ってきている。その中で、やはり多くのものが残っているということを踏まえて、さらにそれにつけ加わってきたということでございますから、追い込み期の中における仕事の量というのは大変なものがあるということでございます。

 そうなりますと、先ほど委員の触れられましたまた私の記者会見の発言でありますけれども、みんなで頑張ればできるという状況かなとは思いますと私も思いました。ただ、その後にも言っておりますように、ただ、みんなで頑張るというところについては、これまで県とか市町村の協力も得ながらやってきたわけでございまして、その協力がなかなか得られない、他の被災状況への対応というものがあって、時間的にも人員的にもとられてしまうという問題意識をそこでも披露させていただいたわけでございます。

 追い込み期にあって大量の仕事がある中で、これまで協力していただいた方々の時間的な余裕あるいは人的な余裕というものが、被災対応あるいは復旧復興対応というものに割かれてしまうということにおいて、地デジの問題について皆さんが頑張れる状況になかなかいけないというところの判断であったということでございます。

 我々としては、これらの状況も踏まえまして、私も直接、この三県だけではなくて、青森県あるいは茨城県の知事さん、副知事さんたちにもお話を伺いまして意向を確認するとともに、委員が御指摘になっておりますように、青森県あるいは茨城県についても、実はできれば延ばしてほしいというような声もありましたけれども、他のところに比べてみますと復旧にかけるための人員というものについての割合が被災三県に比べれば少ないということなので対応していただけないだろうかということでお話も申し上げ、やはりどうしても延期をしなければならないであろうなというふうに総合的に判断した被災三県について延期するということを今回提案させていただいたということでございます。

    〔委員長退席、福田(昭)委員長代理着席〕

坂本委員 地域の人員不足についてはそうでしょう。しかし、この問題については後でまた質問をいたします。

 延長幅が一年というのは、私は長過ぎると思います。

 予算委員会だったでしょうか、菅総理は、自民党議員の質問に答えて、八月までにすべての仮設住宅を整える、入居希望者が入れるようにしたいというふうに言い切りました。瓦れきの処理についても、国費全額負担ということで進んでおります。

 被災とは関係はありませんけれども、地デジ化そのものが国策でありますので、本当に、一年も猶予を持たせることが士気の低下や全国的な影響を招かないかということを私も心配いたします。

 例えば自民党だったら、これは平場で、総務部会あたりで論議を、こういった法が出てくれば、かなりけんけんごうごう、かんかんがくがくの論戦になって、反対意見が出てきたと思います。なぜ一年も、悠長にやるんだ、二十三年以内ということでもいいじゃないか、あるいは二十三年度でもいいではないかという意見が出て、そちらの方に修正をされたであろう。

 それだけ、やはり一回やりかけたこと、決めたことは責任を持ってやり遂げる、そういう姿勢の方が私は大事であると思いますし、自民党ならそうしたであろうというふうに思いますが、この一年間というものに対して、なぜ一年間なのか、お答えください。

平岡副大臣 最大限としての一年ということでございまして、私たちも、坂本委員と全く同じように、できるだけ早く完全デジタル化へ移行したいという気持ちでございます。

 そういう意味で、一年を決めたということとはまた別に、この一年の範囲内でいつに設定するのかということについては、先ほどの質問の中にもありましたけれども、現地の事情をしっかりと見、そして被災地の自治体の皆さん方の意見もしっかりと聞くという中で、できるだけ早くその具体的な延長期限を決めていきたい、このように思っています。

 しかしながら、そうはいっても最大一年というふうに決めさせていただいたことにつきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、地元自治体、自治会、民生委員といった地元の方々が震災対策に最大限対応している中で、地デジ対策を震災前と同じように推進することが困難であるというような状況、つまり復旧の状況も見ながら進めていかなければいけない。それから、共聴施設とか新たな難視地域などの被害状況と、完全デジタル化までに必要となる改修、新設工事等の作業量がどのぐらい必要であるのか。それから、先ほども申し上げました三県の地元自治体の意向というものを総合的に勘案して、最大限一年あれば受信者の円滑なデジタル移行が可能ではないかというふうに判断したわけでございます。

 繰り返しになりますけれども、この範囲内においてできる限り早く完全デジタル移行できるように、我々としては具体的な期限の告示をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

坂本委員 できるだけ早くというのはみんなの意思であります。最大限一年としたところにやはり甘さがある、安易さがあるというふうに私は思います。

 この普及率につきましては、昨年五月の調査の時点では、地デジの受信機、受像機の普及率が九〇%でありました。この一年間の追い込みもありまして、六%以上伸びてまいりました。もう一〇〇%近く、沖縄あたりはまだまだ、離島が多くて少し残っているようでありますけれども、既に一〇〇%近くを達成している県があります。三重県あるいは岐阜県、そして新潟県などは一〇〇%近くあります。

 このように、ほぼデジタル化達成のめどがついた県、こういったところから応援部隊を派遣してもらう、そして共聴施設の改修その他に取りかかる、いろいろな対応策ができると私は思います。

 地元の地域の職員の方々はその他の復旧作業でお忙しいでしょうから、地デジのものに関しては、一〇〇%近くいったところからの支援部隊を派遣し、そして一日でも早く普及させる、そしてアナログ停波に持っていく、こういったことをすべきだと思いますけれども、いかがですか。

平岡副大臣 委員の御指摘については我々も基本的には同じ考え方でございますけれども、県をまたがっての人的支援あるいはさまざまな資源の活用ということについては、やはりいろいろな課題が多くありますので、なかなか難しい点があろうかというふうにも思います。

 ただ、我々としては、ほかの県についていえば本年七月にアナログ放送が終了するということでございますので、四十四都道府県において活動してきたデジサポ等の人材やリソースを活用して集中的な対策をとるというようなことも検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

坂本委員 都道府県別の受信機普及率を見ますと、東北地方が普及率は低いんですね。宮城県が多分全国で四十四番目ぐらいだと思います。それから、岩手県も四十番目ぐらいだったと思いますし、福島県も三十七か八番目ぐらいだと思います。

 もともと未対応のところが多いものですから、どうしても、うがった見方をすれば、震災復興を理由に延期するというふうに見られても仕方がないところがあると私は思いますが、西日本の方が高いとは言いませんけれども、こういった東北地方が受信機の普及率が非常に低いのはなぜでしょうか。

 それからもう一つ、やはり私は、影響を恐れますのは、地デジのコマーシャルの停止など、被災三県以外の地デジ化に対する影響が非常に強いんじゃないかというふうに思います。

 本来ならば追い込みで各県ともさまざまな対応をやっているところでありますけれども、地デジのコマーシャルが消えたということもあって、問い合わせも非常に少なくなっている。追い込みに影響が出るのではないか、そして士気もやや低下するのではないかというふうな不安、心配もありますけれども、いかがでしょうか。

田中(栄)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、東北三県の受信機普及率が低い理由でございますが、これは正直申し上げて、どういうことなのか、正確なところを私どもも分析し切れておりません。

 ただ、その上でではございますけれども、受信機の普及につきましては、エコポイント制度が非常に大きく後押しをしたというふうに考えております。

 エコポイントの利用の実態を見ますと、大きく日本を西側と東側に分けますと、西側の利用が非常に高いというようなことで、東側、特に東北につきましては低いというようなことも影響しているのではないかというふうに思っております。

 それから、もう一つのお尋ねでございますけれども、三県の延期がいろいろな形で他の地域に影響を及ぼしているのではないかということであったかと思います。

 東北三県以外の地域では、先ほどのときにも申し上げたのですけれども、震災直後、二週間程度いろいろな活動が停止せざるを得ない状況に追い込まれましたけれども、幸い二週間程度で全面的に活動を再開することができまして、二十四日のデジタル化に向けた最後の取り組み、追い込みを行うことができているというものでございます。

 私ども、先ほど先生がおっしゃっていただいたデジサポというのが現場にあるわけでございますけれども、そちらからも情報を逐次入手いたしておりまして、通常どおり作業が行えているというふうに東北三県以外の地域では聞いております。

 また、四月に入ってからのテレビの販売台数も、これは民間の調査でございますが、本年四月で昨年の一・四倍販売されているというようなことも聞いております。

 それから、告知スーパーでございますが、四月下旬には全国のNHK、民放において、これは被災三県の民放を除いてでございますけれども、全面的に再開がなされておりまして、コールセンターへのいろいろな問い合わせも非常にふえてきているという状態にございます。

坂本委員 ぜひ、全国的な影響がないように、これからの取り組みをお願いしたいと思います。

 そして、これは先ほどの民主党さんの方からの質問にもございました。この三県でいずれアナログが停波をいたします。これでアナログ停波は大丈夫だというような調査そのものは、どのようにして行われますか。そして、その告示期間あるいは周知期間はどのくらいを置いて考えておられますか。さらには、この三県が足並みをそろえていくというのではなくて、可能なら、やはりできるだけ早期に、お互い競争しながら完全デジタルまで持っていくということが肝要であろう、大切であろうというふうに思いますけれども、これから取り組まれる対策を教えてください。

平岡副大臣 停波をいつにするかということについての具体的な調査は、先ほど来申し上げておりますけれども、さまざまな要素がございます。復旧復興の全体的な見通し、あるいは地元の自治体等を初めとする協力をしていただいている方々の協力がどの程度得られるのかというような状況、あるいは辺地共聴施設の改修など市町村の予算支出を要するものについてどの程度のことができるのか、あるいは地域住民の皆さんが地デジ対応受信機を購入したり、受信環境の整備に取り組むための期間としてどの程度必要か、こういったような事情について、地元自治体から御意見をお伺いしたり、あるいはデジサポ等現地で活動している皆さんから状況を確認したりというような作業を通じて決定していきたいというふうに思います。

 決めたことについては告示をすることになるわけでありますけれども、そのことについては、テレビにおける字幕スーパーを活用する、あるいは自治体の皆さん方に広報に努めていただくという点について、これからも努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。

 三県の延期期間をそろえるのかどうかについて言えば、現時点では、地域住民に対する周知や放送事業者の運用の面で、できる限りそろえた方がいいというふうに基本的には考えておりますけれども、先ほど言いましたような要素をしっかりと見きわめて定めていきたいというふうに考えているところでございます。

坂本委員 時間が来ましたけれども、最後に一つ。

 デジタルからアナログへ変換してそれを維持するのに、テレビ一局当たり大体四百万から五、六百万ぐらいはかかるというふうに言われております。このアナログ継続に要する予算、費用、経費はどのくらいを見込まれているのか、教えてください。

平岡副大臣 今委員がおっしゃられた数字が大体でございまして、我々としては、民間事業者からとりあえず聞いた話では、三県十二局で月当たり五千万円。ただ、詳細に聞いていきますと、もう少し低くなるのではないかというような見通しもございます。その点は、またこれからしっかり確認をした上で、必要な支援も考えてまいりたい、このように考えているところでございます。

坂本委員 地元のテレビ局では、対前年比で広告費が大体三〇%から四〇%落ち込んでいるようであります。地方テレビ局の経営は非常に厳しいものもあります。そして、なおかつ、これが電波利用料から支出されるということでありますので、本来使うべき電波利用料の支出のあり方、使途、こういったものに影響がないようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

福田(昭)委員長代理 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 既に質問に立たれた方と質疑が一部重複しますけれども、確認の意味も含めて、お許しをいただきたいと思います。

 まず、アナログの停波の延期ということで、基本的にはこれは被災地の状況を踏まえたときにやむを得ないもの、このように思っております。

 二カ月前ですか、三月二十四日だったと思いますけれども、この総務委員会のNHKの予算だったでしょうか、その折に、私の方からもこのことについて一点触れさせていただきまして、そのとき平岡副大臣から、いわゆる延長の問題については被災地の復旧状況を踏まえてということだったと思いますけれども、状況を見て判断をしていかなければいけないという趣旨の答弁があったと思います。私はそのときに、そうなった上でのことですけれども、例えばチューナー等の配布、こうした支援策をぜひ講ずるべき、このように申し上げさせていただきました。

 この問題の一番のテーマというのは、被災されている方々の立場に立って、そうした方々へどのような必要な支援を講じていくべきか、ここがやはり一番大事な視点であるというふうに思っております。そういう立場に立って、順次質問させていただきます。

 初めに、先ほどのチューナーの配布拡充支援等も含めたお話ですけれども、五月十日に、被災を受けた施設あるいは設備に対して、地デジ放送移行のための支援策を政府が決めたということで、一つは、今申し上げましたチューナーの無償配布の支援事業、そしてもう一つが共同受信施設の復旧支援ということで、これはもう御案内のとおりですけれども、受信障害対策共聴施設改修費の三分の二、それから集合住宅共聴施設改修等経費の二分の一補助ということでございます。

 しかし、報道によりますと、難視聴地域の世帯で共聴アンテナ設備の組合をつくって、加入世帯で分割払いをしていこうという仕組みをつくった、そういったところもあるというふうに承知をしております。こういうところは、津波やあるいは地震で家を破壊されて支払いをしなくてはいけないという世帯もあると思います。

 考えていきますと、この施設が残っているケース、あるいは施設自体がもう破壊されてなくなってしまったというケース、いろいろあるわけでございまして、ここはぜひ、個々のケースにもきめ細やかな対応をすべきだというふうに思いますが、この点についてお考えをお示しいただきたいと思います。

片山国務大臣 今御指摘になりましたように、今回の被災をされた地域の皆さん方に対しては幾つかの特別の支援策を講じておりますので、今はこの制度を利用していただいて、これから延期をしたにしましても、できるだけ早くその対応ができるようにしていただきたい、それを支援していきたいと思います。

 具体的に今お話のありましたような件については、少し伺った上できめ細かく、既存のといいますか、このたび設けた特別の制度にできるだけ該当するように対応していきたいと思います。

稲津委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 二番目の質問ですけれども、これは被災を受けた三県以外の県でも、いわゆる延長をする必要があるのかないのかということでございます。

 先ほど一部質疑もございました。東日本大震災に伴うとするならば、被災を受けた東日本全域をカバーしたらどうかという話でございます。これは一部報道等でも、そのような声が全国からも寄せられているということを承知しております。

 例えば茨城県でも、地震による被災施設数は、共聴施設で千二百、それから戸建て住宅では二千、もともとデジタル化の未対応のところも含めますと九万七百世帯ということで、この茨城県以外の一都六県、これは栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨というところですけれども、合わせますと七十七万六千世帯にも上る、このように承知をしております。

 本当に被災三県だけが対象の延長で大丈夫なのだろうか、こういう声もございますので、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 同様の心配、懸念は私どもも被災直後に持っておりまして、被災三県以外も、少し心配されるところにつきましては実態を伺って、かつ、青森でありますとか茨城などにつきましては、平岡副大臣の方から直接その地域の行政の責任者の方に実情を伺って、見通しも伺ったところであります。

 その現状も踏まえた上で、実態も踏まえた上で、その地域の行政、知事さんなり副知事さんなりの判断、それから実務担当者の意見も伺った上で、大きな災害を受けた被災三県以外は大丈夫という判断をしたところであります。

稲津委員 わかりました。ぜひ、このことも含めて、きめ細やかな対応をお願いさせていただきたいと思います。

 次は、今回の特例を行うことによって新たな費用負担が生じてくるということに対しての御答弁をいただきたいと思います。

 三県で行うアナログ停波の延期につきまして、NHKは、一部のアナログ回線を残して、デジタル回線と併用して行っていく。それから民放の方は、これも御案内かと思いますけれども、アナログ回線を停波して、そして地元局でデジタルからアナログに変換をしていくということでございます。

 先ほども質疑がございましたけれども、岩手、宮城、福島は民放が四局、三県で十二局ということでございまして、今回の措置で、一局当たり年間どのくらいの経費がかかるかということでございますけれども、先ほど質疑の中で御答弁がございましたのでこれはよしとして、もう一点、では、この民放の各局に対してどのような支援を行うかということについてお伺いしたいと思います。

 地デジの受信を初めとする情報通信機能の整備は復興計画と大変密接な関係を持つことから、この三県にわたる延期というのは、私は冒頭に申し上げましたように、これはやむを得ないものと。ただ、テレビ局につきましては、震災によって被災を受けていたり、あるいは広告収入が減少しているということも踏まえて、大変苦しい経営状況を余儀なくされる、このように思います。

 そこで、この震災で地元のテレビが今まで二カ月間果たしてきた役割、それから今後も果たしていくべきであろう役割を踏まえれば、私はしっかりとした財政支援を講ずるべきだ、このように思っておりますが、この点についての御見解をいただきたいと思います。

平岡副大臣 今委員が御指摘になりましたように、今回の災害に伴う被害、あるいは、それに関連して発生している広告収入の減少といったような課題があるということは私たちも認識しておるところでございますけれども、私たちとしては、この問題について言えば、我々が法律的にアナログ放送の延長をするということに伴って生じるコストについては、やはりしっかりと対応していかなければならない立場に立っているというふうに認識をしております。

 実は、アナログ放送を停波するということについては、これまで政府、民間放送事業者それから受信者、みんなが協力しながら進めてきたというお話でございまして、それぞれがそれなりに一定の割合でのコストの負担をしてきたという経緯がございまして、これまでも多くの方々が、このためにそれなりのコストを費やしてきたということでございます。

 ただ、今回の震災によってアナログ放送電波の停波を延期するということについては、震災という放送事業者の責めに帰すことができない事由によって、やむを得ずそうせざるを得ないという点がございますので、民間の放送事業者が本来は負担すべきものであるかもしれないけれども、ここは電波利用料を、つまり政府、国も一緒になって負担していきましょうという考え方に立って今回の法案を提出させていただいているということでございます。

 そういう意味で、電波利用料の使途が拡大されるというこの法案に基づいて、我々としては、具体的な支援の規模とかあるいは対象をどうするかということについて、これからしっかりと民間事業者の方からの意見も聞いた上で対応してまいりたい、このように考えているところでございます。

稲津委員 これはぜひ、しっかり進めていただきたいと思うんですね。地元の民放各局からも、果たして本当にどうなっていくのかという切実なお声もいただいております。しっかりと対応していただきたいことを申し述べておきます。

 そこで、もう一点お聞かせいただきたいのは、民放におけるデジ・アナ変換に伴う影響があるかないかということでございまして、いわゆるリスクとかが、どういうことが想定されるのか、またそれをどのようにカバーしていくのか、この点についての御見解をいただきたいと思います。

平岡副大臣 アナログ停波を延期して継続するという場合、どういう方式でやるのかということについては委員が今御指摘になったとおりでございます。

 そういう方式をとった場合にどういう影響があるのかということについて言えば、例えば、アナログ放送の停波に向けた周知等を行うための非サイマル放送、これはアナログ放送番組による特別の周知ということでございますけれども、これが困難になってくる、あるいは音声モードの切りかえが困難になる、さらに、画面の上下に常時黒帯が入るレターボックス表示ということになってしまう、ただ、このレターボックスにはスーパーは入れられるようでございますけれども、そういったことが生じてくるということでございます。

 我々としては、デジ・アナ変換方式による場合の不便さというものは多少あるというふうには思いますけれども、この方式によって特に大きな問題が生じるというふうには認識していないところでございます。

稲津委員 もうあと一、二点お聞かせいただきたいと思うんですけれども、次は、アナログ放送の跡地周辺を使う予定だった周波数帯による新たなサービスへの影響ということでお伺いしたいと思います。

 二〇一二年の春に開始予定の、携帯電話の端末向けのマルチメディア放送、地上アナログ放送の終了であくVHF帯を使う計画、それからスマートフォンなどのデータ用通信に割り当てる計画、それから通信事業者にとっては使い勝手のよいプレミアムバンドというんですか、こういったいわゆる七百から九百の間のところの周波数帯について早期の割り当てを望むという声もございます。

 こうした新たなサービスへの影響をどのように見ているのか。あるのかないのか、ある場合はどの程度であるのか、こういう点について見解を伺いたいと思います。

平岡副大臣 アナログ放送の停波という大きな目標の中の具体的な利点といいますか、目指していこうとするものの中には、今委員の御指摘にありましたように、アナログ放送の跡地を他の目的に使うということがございます。

 その中で、V―HIGHマルチメディア放送というものが今進められているわけでありますけれども、この計画は、受託放送事業者の開設計画を既に昨年九月に認定済みということになっておりまして、進んでいるものがあるわけでございます。

 ただ、これについては、今回停波を延長したとしても、最大一年間の延長であるならば、V―HIGHマルチメディア放送のサービスの展開上、大きな影響を及ぼすものではないというふうに我々としては認識をしておるところでございます。

 さらに、空き周波数帯を利用するものとしての携帯電話その他の無線システムの関係でございますけれども、今回の延期が最長一年にとどまる場合には大きな影響は生じない、このように考えているところでございます。

稲津委員 最後にもう一点だけお伺いをいたしたいと思います。

 これも先ほど来の審議にありましたけれども、確認の意味でぜひ御答弁いただきたいと思います。結局、一年間の延期ということでございますけれども、これは、地元の負担を軽減して、職員を派遣するとかさまざまなことに取り組んでいったときに、延長一年を待たずとも、なるべく早く地デジに完全移行すべきだ、このようなお声もあるのも事実でございます。この点について最後に見解を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。

    〔福田(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 それはそのとおりでありまして、最長一年という期限をいただいた上で、その中で、できるだけ早く移行していただきたいということで最大限の努力をしたいと思います。そのために新たな特別の支援策でありますとか、他の地域からの応援でありますとか、そんなことを活用しながら、地元でできるだけ早く移行できるように努力をしたいと思います。

稲津委員 以上で終わらせていただきますけれども、冒頭申し上げさせていただきましたように、何よりも被災を受けた方々の立場に立ってのお取り組み、それとあわせて、これは被災三県の民放各局にも当てはまることでございますけれども、それらに対しての丁寧な対応を強く求めさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 一昨日の質問の際にお聞きした、携帯電話利用料金など避難に伴う通信費増加に関連して、最初、何点か質問いたします。

 その際、私は、避難生活を送る福島県浪江町の方の携帯電話使用料が、一月分、二月分と比較をして、三月分が三倍以上になるということを示して負担軽減策の実施を求めました。大臣は、通信費の増加は原発災害に起因する損害の範疇に恐らく入るだろう、東京電力に追加費用について請求することが想定されると答弁をされました。しかしながら、原子力損害賠償紛争審査会一次指針には、通信費という言葉は明示をされておりません。

 そこで、原賠法を所管する文部科学省に確認をいたします。

 原発事故による避難に伴う通信費の増加については、避難費用や生活費の増加分として賠償の対象となると考えますが、その点についてお答えいただけますか。

田中(敏)政府参考人 原子力損害賠償紛争審査会が策定をいたします原子力損害の範囲の判定ということでございます。

 本件につきましては、被害者を可能な限り早期に救済をしていくというような考えから、相当因果関係が明らかなものから順次指針を策定していくということで、四月二十八日に一次指針を公表したところでございます。この一次指針では、政府による避難等の指示があった区域における避難費用については、避難対象者が避難等によって生活費が増加した部分があれば、その増加費用は損害として認められるというふうにしてございます。

 御指摘の通信費ということでございますけれども、生活手段としての通信費というようなことは、この生活費の増加というようなことに一般的には当たるというような考えもございますけれども、その具体的な算定方法等につきましては現在検討中でございまして、次の段階の指針に反映されるよう、今取り組んでいるところでございます。

 文部科学省としては、いずれにせよ、被害者の方々が迅速かつ適切に損害賠償が受けられるよう、今後とも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 大臣にお尋ねします。

 五月十六日の原子力損害賠償紛争審査会において、各分野の被害、損害を詳細に調査するため、専門委員を任命するということが議論されました。そこにおきましては関係各省の協力が不可欠だともされております。各分野の中には、地方公共団体もありますし情報通信もございます。ですから、情報通信について、通信事業者だけではなく、まさにその利用者の方の状況についてもしっかりと総務省として実態調査を行ってもらいたい。それを踏まえて、賠償の対象になるように、関係機関への働きかけを総務省としてもぜひしっかりとやっていただきたい。この点についてお答えいただけますでしょうか。

片山国務大臣 先般もお話し申し上げましたけれども、また、先ほど文部科学省の方からも説明がありましたけれども、今回の原発災害に起因して避難をされて、その過程、その避難後において携帯電話の使用料が随分上がったというのは、これは恐らく因果関係がありということになると私は思います。それは、どういう算定方法にするかというのは細部の問題はあるにしても、大筋としてはそうなると思います。それらは当然、しかるべき手順を踏んで賠償の対象にされるべきでありまして、その点については、通信を所管しております総務省としてもきちっと関係のところに申し上げたいと考えております。

塩川委員 ぜひ、申し上げる上でも調査をやっていただきたいと思っておるわけですが、その点はどうですか。

片山国務大臣 それは総務省として調査をするというよりは、その賠償の手順のプロセスにおいてしかるべく実態が判明するものと思います。

塩川委員 やはり具体的に見ればサンプルでもはっきりと見えてくるわけですから、そういう指標として示すということは、この審査会における専門委員の任命に当たっても関係各省の協力が不可欠と述べているわけですから、ぜひそういう立場で当たっていただきたい。

 この携帯電話使用料の増加は原発事故の被害者だけではありません。避難生活を強いられているすべての被災者に共通する課題でもあります。高い収益を上げている通信事業者が災害時の電話利用料の軽減措置をとることを改めて求めるものであります。

 そこで、アナログ停波の延期の問題の法案について質問をいたします。

 地震、津波、原発事故によって受信者側の準備が整わないもとで、東北三県のアナログ放送停止を延期するのは当然の措置であります。同時に、全国的にも地デジ準備が整わない視聴者が残されていることを放置してはなりません。

 そこで、総務省にお尋ねしますが、総務省の浸透度調査において、全体の世帯の普及率及び年収二百万円未満の世帯の普及率は何%になっており、また、推計される残された世帯数はそれぞれどのぐらいになるのかについてお答えいただけますでしょうか。

平岡副大臣 お答えいたします。

 受信機の普及率につきましては、これまで定期的に、アンケート調査方式でやりましたサンプル調査によって把握してきているところでございますけれども、平成二十二年十二月末時点のものとして三月に発表した調査結果では、地デジ対応受信機の世帯普及率は全国で九四・九%、世帯年収二百万円未満の世帯では八七・七%ということになっております。この世帯年収二百万円未満であるかどうかについては、そのアンケート調査の中にこういうことを書き込むところがありまして、それから出した数字ということでございます。

 これらの普及率を前提に、昨年末時点のデジタル受信機未対応の世帯数を推計いたしますと、全体では約二百六十五万世帯、このうち、世帯年収二百万円未満の世帯は約百二十四万世帯というふうになると考えております。

塩川委員 八十歳以上の世帯が調査対象外となっている、極めて不十分な総務省の浸透度調査でも、いまだに多くの世帯が地デジに未対応ということがわかります。地域的に見ても大きな差があるということは、沖縄県の調査が八八・九%、石垣島は八〇・九%であります。おくれは明らかです。

 そもそも、送信者、放送事業者側は、二〇一一年七月までの地デジ一〇〇%実施を既に放棄しているということを指摘しておきたい。

 十年前の法案審議のときに、政府は、テレビのデジタル化に当たって、二〇一一年には地上波アナログ放送がカバーしているエリアについては地上波デジタル放送を一〇〇%カバーすると約束をしておりました。二〇〇一年四月の衆院総務委員会において、当時の小坂副大臣は、アナログ波の受信可能な地域のカバー率を一〇〇%にするという目標を譲ることはできないと答弁をしております。

 しかし、現実はどうか。政府と放送事業者は二〇〇六年に、二〇一一年の地デジ化一〇〇%実施をあきらめました。二〇一一年七月までに地上波放送が間に合わない地域では、セーフティーネットとして暫定的な衛星対策を実施することを決め、二〇一五年三月までに地上波放送で対応することとしました。衛星放送で対応する地区は十四万世帯以上残されております。衛星放送で提供される番組は東京キー局の番組になり、ローカル放送は視聴ができない。これでは災害時のライフライン、ユニバーサルサービスを保障することにはなりません。

 十年前、送信者側は二〇一一年までに一〇〇%カバーすることとしていたのに、いつの間にか、一〇〇%達成のゴールを二〇一五年三月まで延ばしてしまいました。送信者側がゴールを延ばしたわけですから、受信者側のゴールも延ばせばいいわけで、大臣にお尋ねしますが、テレビ難民をつくらないためにも、今回東北三県を延期したように、地域の準備状況を勘案して段階的にアナログ放送の停止を行う、こういう措置をとるべきではないかと考えますが、お答えをお願いします。

片山国務大臣 今日までいろいろな取り組み、努力をしてまいりまして、私どもとしてはおおむね順調に推移してきていると思います。もちろん、今おっしゃったように、地域によっての差が若干ありますけれども、全体としてはおおむね順調に推移していると思います。

 例えば、お触れになった低所得の方のための対策でありますとか、難視聴の地域に対する支援でありますとか、いろいろなことを今までもやってきておりますし、これからの最後の追い込みの期間にもそれらを最大限活用していただきたいということで、被災三県以外については既定の方針どおりやらせていただきたいと考えております。

塩川委員 私は、東北三県で実施したように、全国一律ではなく、地域の実情に合わせた段階的なアナログ停波を行うべきだと改めて申し上げます。

 低所得者世帯への支援策についても、今お触れになりましたけれども、極めて不十分と言わざるを得ません。総務省の浸透度調査においても、年収二百万円未満の世帯での地デジ未対応が推計で百二十四万という御答弁がありました。

 総務省に確認しますが、政府の支援策にあります市町村民税非課税世帯へのチューナー支援ですが、申込数及び支援終了数が何件か、お答えいただけますか。

平岡副大臣 ただいま委員が、低所得者世帯、二百万円以下の世帯の数字として百二十四万世帯ということで、私が答弁したことを引用されました。

 それに対応するものとしては、政府として行っているのは、市町村民税非課税世帯に加えて、NHK放送受信料全額免除世帯、例えば生活保護受給世帯などが含まれているわけでありますけれども、こういう人たちがおられるわけでございます。そういう意味で、それらを双方含めてお答えいたしますと、本年四月末の累計で百十六万のお申し込みをいただきまして、そのうち、約百万の方々については支援を完了させていただいているということでございます。

 ただ、委員が市町村民税非課税世帯ということで限定して答弁を求めておられるとするならば、これは制度を発足させたのが最近でございましたので、申込数としては約四万、支援完了数としては約三万三千というような状況になっているということでございます。

塩川委員 NHK受信料全額免除世帯についての支援策というのは、アンテナの設置や配線も含めて、全部地デジ対応にしますということであります。

 それに対して、市町村民税非課税世帯への支援はチューナーを配るということですから、それだけでは地デジが映らないわけですよね。そういう点での支援策の不十分さというのが大前提にあって利用が進まないということであるわけで、もしやるのであればNHK受信料全額免除世帯と同じような、地デジが映りますよという環境整備まで整える支援策にこそ拡充をすべきだ。少なくとも、NHK受信料全額免除世帯と同等の支援を低所得者世帯に行う、こういう対策こそ今行って、低所得者の方の地デジ対応を進めていくことが必要だと思いますが、大臣、その立場での取り組みをお願いしたいと思っております。

片山国務大臣 四月以降、市町村民税非課税世帯に対する支援などについて、申し込みが非常に増加をしていると承知しております。これからさらに追い込みの期間にかけて、いろいろな施策を用意しておりますけれども、申し込みがふえると期待しておりますし、多分ふえるだろうと思います。この取り組みをさらに徹底してまいりたいと思います。

 さらに今後の支援を強化すべきではないかという御指摘でありますけれども、それはやはり、時系列で見た場合の国民の皆さんの間の公平性ということも考えておく必要があるだろうと思います。

塩川委員 全国的には地デジの電波発出そのものが大きくおくれているところがあるわけですから、送信側のおくれの中で受信者側のおくれも伴っているという点でも、公平性という観点でいっても、地方におけるような未対応の部分についての支援策というのは、まさに公平の観点からも必要だ。そういう点での支援策の拡充を改めて求めて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野です。

 この法案は、震災被災地のうち、岩手、宮城、福島の東北三県について、地デジ完全移行を最大で一年間延期する、そういう内容でございます。

 この三県の震災前の地デジ対応は、震災直前の三月の時点で九三・三%、九〇・七%、九三・九%、このように対応のパーセントが出ております。この総務省の発表した普及率についてはいろいろな見方があるようですが、とりあえずこの数字に各県の世帯数を掛けますと、十六万世帯強ということになるわけです。

 一部では、未対応の世帯に無料でチューナーを配布した方が延期するよりも安上がりだとの意見も見られます。実際に、五千円程度のチューナーを未対応世帯に配布した場合、この数字でいきますと八億円強の費用となるわけです。

 そういうふうなことから考えますときに、なぜ今回延期という選択をしたのか、この点について聞いておかなければなりません。なぜでしょうか。

片山国務大臣 このたびの被災三県の延期というのは、今おっしゃったような、普及率が低いということを念頭に置いてやろうとしているわけではありません。むしろ、これまで取り組んできた共聴施設などの施設が大きな被害を受けた、その復旧をしなければいけないわけでありまして、その復旧にやはり時間がかかる。それから、その復旧に当たっていただく事業者の方々がそこに必ずしも専念できない、地域の他の復旧復興に余念がないわけでありまして、なかなか手が回らないというような事情もある、そんなこともあります。

 御指摘のように、チューナーを配布すればいいじゃないかということでありますけれども、今申しました共聴施設などが損壊されているところはチューナーを配っただけでは対応ができないわけでありまして、受信機の整備が整っていないというのは一つの要因ではありますけれども、必ずしもそれが大きな要因ではないということであります。

重野委員 よくわかりました。

 次に、今回の震災で、今大臣も触れました中継局などにも相当な被害が出ているんではないかと推察するわけです。その規模はどの程度なのかなということも聞いておかなければなりません。そして、それらの復旧にかかる費用はどのように見積もっているのか。しかも、デジタル、アナログそれぞれがどうなっているのかについて聞いておきたい。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 今次の震災における被害状況でありますが、宮城県の志津川新井田デジタル中継局が津波によりまして全壊に至ったものを初めとしまして、大規模損壊が岩手県の陸前高田、陸前島部、宮城県の女川、福島県の飯舘、四カ所ございます。そして小規模損壊も十カ所程度ありまして、さきに申しました全壊であります志津川新井田を入れまして、おおむね十五カ所の中継局の損壊が確認されているところでございます。

 これらの復旧に係る予算あるいは被害規模でありますが、すべての中継局の被害の見積もりが完了しているわけではありませんが、あらあらの試算でまいりますと、デジタルに関しましては一・五億円程度、アナログに関しては〇・五億円程度、合わせて二億円程度の損失というふうに見積もっております。

重野委員 わかりました。

 次に、原発被災地についてどうするんだろうという疑問を持つわけですが、福島第一原発事故で避難地域になっている場所にも中継局などがあると思うんですね。こうした施設の復旧やメンテナンスなどが必要になってくるんだろうと思うんです。しかし、被曝の危険性のある地域での作業は容易ではないのではないか。この点について、総務省としてどのように考えているのか伺います。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 現時点で、福島県内で停波しているテレビジョン放送局、中継局はございません。警戒区域にはアナログ、デジタルを含め三カ所、そして計画的避難区域には七カ所、緊急時避難準備区域に二カ所の中継局がありますが、先ほど申しました福島県の飯舘では軽度の損壊がありましたが、現時点で、幸いにしまして、アナログの鉄塔を利用しましてデジタルの全エリアが放送できる環境になっておりますので、すべての電波が今は出ているという状況であります。

 ただ、これからのメンテナンスをどうするかということに関しましては、御指摘のとおり、いろいろ心配りをする必要があると思っておりますが、現時点でどうこうというよりは、今後、警戒区域等の解除が出されて住民の方々が御帰宅される際に、改めて、メンテナンスに関して支障がないかどうか、しっかり点検をしていくことが必要であると考えているところでございます。

重野委員 不幸中の幸いというか、ほっとしました。

 そこで、民放について、先ほども質問がございました。この間、いわゆるデジタル移行に対する地方ローカル局の負担は、そのローカル局の実態に照らしてかなり重い負担になっているというふうに私は理解をしております。先般も委員会で東北地方、現地に行って、民放各社の皆さん方からも、こもごもそういうお話を聞いたわけであります。

 被災した中継局などの復旧等々について、東北三県のローカル局などに対する国としての援助、その点については、質問が重複するかもしれませんが、改めて聞いておきたい。

平岡副大臣 お答えいたします。

 アナログ放送を継続していくということについては幾つかの方式があるわけですけれども、現在、民放では、キー局等からデジタル方式で送られてきた番組を地元局でアナログに変換して放送する方式をとる方針でいるというふうに聞いております。この方式をとりますと、必要となるのは、デジタル放送の番組をアナログ方式に変換するための設備を整えて、中継局や局内の放送機器等のアナログ放送用設備の運用、保守を行うというようなことに費用がかかるということになるわけであります。

 先日、民放連から聞きましたところによりますと、三県十二局について、月当たり約五千万円ぐらいであろうというふうなことでございまして、当局からも各民間の事業者に対しまして、その中身についても今詳細に聞いているところでございますけれども、今のところ、五千万円まではいかないのではないだろうかなというような状況でございます。仮にこれが一年間ということになりますれば、五千万円掛ける十二、つまり年間六億円ということでありますけれども、先ほどの五千万円がもっと小さい数字になろうかというふうに思っておりますので、もう少し小さい数字になる可能性もあろうと思います。

 アナログ停波の延期については、これまでも御説明申し上げておりますけれども、政府、放送事業者そして視聴者、これらが一体となって、みんなで協力しながら進めてきた話であり、費用の負担についても、一定の負担をそれぞれが負っていくという形でやってきております。そういうことで、今回の民間放送事業者の負担については、民間放送事業者の責めに帰すことのできない事由によって発生したということでございますので、政府としてもできる限りの支援をしていかなければいけない、こういう考え方に立って今回の法案を提出させていただいているということでございます。

重野委員 よくわかりました。

 周波数移行スケジュールにどのような影響が出るのかということもあらかじめ申しておきましたけれども、もう時間も来たということでありますので、これはこの次の機会に譲るとして、以上で終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今回の法案は、地デジのスタートを被災三県においては延期するというものでございまして、これは被災地の状況を見ればやむを得ない、こういうことだというふうに思います。

 地デジというのがスタートをして、私たちも、今や新しい地デジ対応型のテレビでテレビの視聴をしているわけですけれども、私はこれを見ていて何が最大の違和感かというと、テレビの画像がアナログと比べて三秒おくれる、やはりここだと思うんです。

 国会の中で、例えば予算委員会をやっているときに、CATVで見ているのとNHKの総合テレビの国会中継で見ているのとで三秒ずつおくれるので、皆さん、議員室のテレビで見ているのと、一方で秘書のいる部屋で見ているのと、こっちがCATVでこっちが地デジだったりすると、何か声がかぶって聞こえる、こういうことがあるわけです。これは瑣末なことのように感じますけれども、実はそうではないということを申し上げたいというふうに思います。

 今、緊急地震速報をテレビでもやっている。東北太平洋沖地震、今回の震災の地震発生時にも緊急地震速報が表示され、その後の余震においても、まあ、当たったり当たらなかったりでしたけれども、NHKを初めとするテレビの画面に緊急地震速報が流れ、その何秒後かに大きな揺れが来て、そして退避行動をとる、こういうことが行われてきたわけです。これが地デジが導入されて三秒おくれてしまう、こういうことになってしまえば、これは、まさに緊急地震速報を地震の揺れが来る前に出している意味がなくなってしまう、こういうことなんだというふうに思います。

 今回のまさに大地震に当たって、この地デジの問題を議論しているわけですので、緊急地震速報が地デジへ三秒おくれで画像が送られる、こういう形になるとどうなってしまうのか、このことについてお伺いをしたいというふうに思います。

片山国務大臣 おっしゃるとおり、地デジになりますと、データを圧縮するということになりますので若干の時間がかかる。これが、三秒とおっしゃいましたけれども、一・六秒から二・七秒ほどおくれるということで、私も、正直、違和感を感じたことがないわけではありません。同じNHKのニュースを見ながら、アナログを見ている人と電話でやりとりしているときに、向こうの方から私が見ているよりも先に音声が聞こえる、これに違和感を感じたことはありますけれども、これは、新しい技術を使って、一方で大量のデータを送れるという便益を享受する一つの副作用だろうと思います。

 これについて、やはり緊急地震速報が三秒弱おくれるということは問題があるんじゃないか、柿澤議員は意味がなくなってしまうのではないかとおっしゃいましたが、まあ、意味がなくなることはないと思いますけれども、より早くということは必要なことだろうと思います。

 先ほど、データを圧縮することに伴う副作用と申しましたけれども、緊急地震速報だけはデータを圧縮しないで別に送る方法ということが技術的に可能なようでありますから、これを使いますとほとんど同時ということになります。その手法を活用するということも、これから当然検討されるべきだと思います。

柿澤委員 話に聞くところによると、つい先日、二十三日に報道がありましたが、こうした緊急地震速報についてはデータを圧縮しないで、即時的にデータを送信して、テレビの画像にまずテロップを瞬時に出す、こういう対応をとるよう地方局にも改善要請を総務省さんとして行う、こういうことが報じられておりました。

 もし仮にこれをやるとすると、地方局の何がしかの新しい負担になるのかなというふうにも思いますけれども、それに伴うコストというのは何かあるんでしょうか。

田中(栄)政府参考人 お答え申し上げます。

 今柿澤委員がおっしゃいました、二十三日に改善要請をしたという記事でございますが、ちょっと簡単に経緯だけ申し上げますと、今先生がおっしゃいましたように、地デジと災害報道との関係で、緊急地震速報などがおくれて出るのは非常に問題ではないかということで、平成二十年ごろに立法府におきましていろいろな御議論がございました。そのことを受けまして、私ども、放送事業者と一緒にこれを克服する技術的な方法というものを検討した結果、先ほど大臣が申し上げましたように、番組とは別に圧縮しないで送る方法というものを開発することができたということでございます。

 今先生のお尋ねでございますが、改善要請自体は、実は平成二十一年十月に開発がされた段階で、総務省の方からNHK及び民放連に対して、こういった新しい方式の導入をしてほしいということでの要請をいたしているところでございます。

 改善にかかるコストでございますが、放送局内の設備改良あるいはソフトウエアの改修が必要になるということで、一放送局当たり数百万程度かかるというふうに承知いたしております。

柿澤委員 私は、緊急地震速報に限らず、やはり根本的には地デジの放送も、今までのアナログ放送と同様にというか、基本的にタイムラグを縮小して同時性を確保すべきではないかというふうに思います。

 そういう意味で、最大約三秒、二・七秒のおくれというのは最終的には解消されるのかどうか、そして解消されるとすれば、今解消できていないということは相当なコストもかかるんだろうと思いますので、そうしたことについての研究は進んでいるのかどうかお伺いをしたいというふうに思います。

田中(栄)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず緊急地震速報的なものにつきましては、くどくど申し上げませんが、私どもの要請を受けて、NHK、民放が順次、設備更改に合わせて新しい方式を導入いたしているところでございます。その他の民放におきましても、順次、改修を検討して進めていく予定というふうに私ども承知をいたしております。

 他方で、速報じゃなくて全体の番組、デジタル放送自体をおくれないでやれるのかということにつきましては、方式自体がデータの圧縮に伴うおくれでございますので、さまざまな技術開発によって、それを短くすることは可能かというふうには考えております。また、現実にそのような研究も進められているというふうに承知しております。

 ただ、その実現を見るのに幾らのコストがかかるかということは、正直申し上げまして、今時点ではわかりかねるところでございます。

柿澤委員 私は持ち時間たった十分で質問させていただいていますので、三秒といえども大きいんです、三秒といえども。こういうことを申し上げさせていただきたいと思います。

 最後にお伺いをいたしたいと思います。

 今回、地震の影響を受けて、地方のローカル局、中でも東北地方のローカル局は経営的にも大変厳しい状況になっていくかと思います。広告収入の落ち込みなども予想される。こういう中で、東北地方の地方局の経営をどういうふうに支えていくのかというのは非常に大事なことだというふうに思います。

 しかし一方で、九〇年代以降、一県四局、四波体制というのが進められてきて、一県に四つのローカル局がある。こういう県は極めて赤字の局が多いということも言われている。そして、岩手も宮城も福島もそうなんですね。そういう中でこの地震があったわけですから、もともとの四波体制における赤字体質の状況の中でさらに地震の影響を受けるということで、この東北の地方局は大変厳しい状況になるんだろうというふうに思います。そういう意味で、四局体制というのを本当に続けていけるのか、こういう議論にもなっていきかねない部分があると思います。

 そうした中で、お伺いをしたいと思うんですけれども、地方局の再編ということも一つ、これから先に出てくるのではないかと思います。先日、復興特別委員会で片山大臣と道州制の話をさせていただきましたが、例えば、東北地方における県域をまたぐ地方局の合併、こういうことも場合によっては出てくるかもしれない。そうなると今度は、県単位で出されている放送免許とのかかわりが出てくるわけです。

 さらに、二〇〇八年には認定放送持ち株会社制度というのができて、中央の、東京のキー局が、ネットワークの中で地方のローカル局を傘下に置いて支援する、こういう法制度もできたわけですけれども、これが地方のローカル局の支援の枠組みとしては全然有効に活用されていない、こういう現状もあるわけです。

 二つの質問をまとめて行いますけれども、地方局の県域をまたいだ合併の検討がなされた場合、一県単位で出している放送免許とのかかわりはどうなるのか。そして、認定放送持ち株会社制度を、今回、大変経営の苦しくなっている地方のローカル局を支援していくための一つの方策として活用していく方途というのはないのか。あわせてお伺いをして、終わりとさせていただきたいと思います。

片山国務大臣 いわゆるマスメディア集中排除原則がありまして、法制上も、県域をまたぐまたがないにかかわらず、複数のテレビ局が合併して、一つのテレビ局が複数の免許を保有することはできないことになっております。これはこれで一つの原則であります。

 一方で、先ほどお触れになられました認定放送持ち株会社という制度ができましたので、これを活用されることは可能であります。それは、それぞれの放送事業者の経営の選択の問題だろうと思います。

柿澤委員 終わります。

原口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、古賀敬章君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党・市民連合及びみんなの党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。古賀敬章君。

古賀(敬)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)

  本年七月二十四日の地上デジタル放送への移行を目前にして東日本大震災が発生し、岩手・宮城・福島の各県において、甚大な被害を受け、地上デジタル放送の受信に必要な設備を整備することが困難となったことを踏まえた本特例法案による措置の趣旨に鑑み、政府は、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 地上デジタル放送への移行が周波数の有効活用に資するものであるとともに、放送が災害時等における貴重な情報源であることを踏まえ、移行が完了した地域から人員を派遣し、被災自治体との緊密な連携等を行うなど、共聴施設の改修や被災者世帯における受信設備のデジタル化の支援等にあらゆる対策を講じ、被災三県における地上放送の完全デジタル化の早期実現に尽力すること。

 二 アナログ放送を引き続き行う期間については、被災三県それぞれの復旧・復興状況と地域住民の意向に配意して決定するとともに、当該期間の周知を徹底すること。

 三 アナログ放送を継続する放送局に対して行う無線局運用に要する費用の助成に当たっては、放送施設の復旧・整備等も含めた支援策を検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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