衆議院

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第4号 平成23年11月22日(火曜日)

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平成二十三年十一月二十二日(火曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 内山  晃君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      小原  舞君    大泉ひろこ君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      金森  正君    黄川田 徹君

      桑原  功君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    高井 崇志君

      中屋 大介君    永江 孝子君

      長島 一由君    福田 昭夫君

      松崎 公昭君    村上 史好君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      吉川 政重君    和嶋 未希君

      加藤 紘一君    川崎 二郎君

      佐藤  勉君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      丹羽 秀樹君    平井たくや君

      宮腰 光寛君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   総務大臣政務官      主濱  了君

   総務大臣政務官      森田  高君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  奈良 俊哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  佐川 宣寿君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   梅溪 健児君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   佐藤 文俊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十二日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     村上 史好君

  後藤 祐一君     金森  正君

  湯原 俊二君     中屋 大介君

  菅  義偉君     丹羽 秀樹君

  谷  公一君     佐藤  勉君

  中谷  元君     宮腰 光寛君

同日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     後藤 祐一君

  中屋 大介君     湯原 俊二君

  村上 史好君     小室 寿明君

  佐藤  勉君     谷  公一君

  丹羽 秀樹君     菅  義偉君

  宮腰 光寛君     中谷  元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案(内閣提出第三号)

 経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第四号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案及び第百七十七回国会、内閣提出、経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案及び経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法等の一部を改正する法律案の両案に対し、稲見哲男君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。稲見哲男君。

    ―――――――――――――

 東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案に対する修正案

 経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

稲見委員 おはようございます。

 ただいま議題となりました両修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 両修正案は、修正協議の結果を踏まえ提出するものであり、その内容は次のとおりであります。

 まず、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案に対する修正案は、個人の道府県民税及び市町村民税の均等割の標準税率の特例について、いずれも適用期間を五年度間延長して平成二十六年度から平成三十五年度までとし、標準税率に加算する額を五百円に引き上げるとともに、道府県たばこ税及び市町村たばこ税の税率の特例に関する規定を削除するものであります。

 次に、経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案は、題名を経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法及び地方法人特別税等に関する暫定措置法の一部を改正する法律に改めるとともに、個人住民税における扶養控除の見直しに関する規定を削除するものであります。

 以上が、両修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官佐川宣寿君、内閣参事官奈良俊哉君、内閣府政策統括官梅溪健児君、総務省自治税務局長岡崎浩巳君、政策統括官佐藤文俊君及び厚生労働省大臣官房審議官麦谷眞里君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案及び両修正案に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 おはようございます。自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、閣法及び修正案に対する質疑ということで、四十分間の時間で四点について御質問をしたいと思います。税法、交付税法そして新たな児童手当、最後に過疎対策であります。

 まず、地方税法の改正案についてであります。

 この地方税をなぜ値上げするのかということは、全国防災事業を行うためだということかと思います。政府の説明によれば、一兆三千億円の事業をこの五年間で行うということであります。

 そこで、きょうは吉田財務大臣政務官に来ていただいています。なぜ一・三兆円なんですか。規模の根拠、考え方、どんな事業をするんですか。一・三兆円を投じて五年間すれば、どれだけ安全性が高まって、国土の強靱さが強まるのですか、お答えを願いたいと思います。

吉田大臣政務官 全国防災事業一・三兆円の根拠についてのおただしだと思います。

 端的に申し上げますと、阪神・淡路大震災の直後に講じられたものと少なくとも同程度の予算が必要であろうという考えから、これは阪神・淡路大震災直後でございますが、平成七年度一次補正予算のときの事業費一・三兆円と同程度の五年間の事業費が必要であろう、こういうふうに見込んだところでございます。

谷委員 今政務官からお答えいただいたのは根拠だけです。私が尋ねましたのは、それだけではなくて、考え方、どんな事業をするんですか、これによって防災力はどれだけ高まるのですかということをお尋ねしたつもりでございましたけれども、再度、観点を変えます。

 今政務官は端的に言ってとおっしゃいましたけれども、端的に言ってじゃないんです。これしかないんです、根拠は。平成七年度一次補正、十六年前でありますけれども、そのときは確かに事業費で一・三兆円を、神戸の、大都市を襲った戦後初めてのああいう大地震に、政府の方は、被災地の復旧復興ももちろん大事だけれども、あわせて全国の防災力を高めなきゃならないということで、緊急に、平成七年五月か六月だったかと思いますけれども、一・三兆円の事業費の補正を組んだんです。今回は、単に数字をまねているだけです。それ以上の根拠は、私の聞く限り何もありません。そして、一・三兆円でどうなるのか、どれだけ高まるのか、だれからも明確な説明は何一つありません。

 しかし、政務官、考えてください。十六年前と今と全く同じでいいのか。前回と同じ額なんということであれば、何も政府・与党の方が考え抜いて十九兆円の中に入れてもらう必要なんかないですよ。もっと時間をかけて、きっちり、防災力を緊急に高めるためにはこれだけの事業をしっかりやるという観点が私は必要だったと思います。

 視点を変えます。

 政務官、十一月五日は何の日か御存じですか、十一月五日。お尋ねします。

吉田大臣政務官 ちょっと思い当たりません。

谷委員 再度お尋ねします。

 ことし初めて、政府が十一月五日をある日と決めました。何の日か御存じですか。

吉田大臣政務官 津波の日かと思います。

谷委員 半分合っていて、半分違います。津波防災の日です。

 これは、昨年六月、我々野党が、二階先生が中心になって津波対策基本法というのを出し、ずっとほったらかしにされ、三月十一日を経てから慌てて与党の方も協議に乗っていただき、六月に成立しました。そして、十一月五日、あの「稲むらの火」の故事にちなんで、津波防災の日というのを政府が決めたんですよ。

 ぜひ、政府の一員でございますから、十一月五日、そう大きくではございませんけれども、初めての津波防災の日に新聞もそれぞれ、さまざまな事業をやったと報じられていますから、御記憶と御理解をお願いしたいと思います。

 さて、そういう津波防災の日が定められ、また、今国会で国土交通省が津波防災まちづくり法案というのも、我々の津波対策基本法を受けて提出しています。今回の大震災によって、もう津波に対応する対策をしっかりしなければならない、やはりそういう思いが政府の方にも、あるいは全国的にも高まっているかと思うんです。そういう津波防災の経費も一・三兆円に入っているんですか、お尋ねします。

吉田大臣政務官 全国防災事業一・三兆円の中身ということについてだと思いますが、最初の御質問にも関連しますけれども、復興の基本方針において全国防災事業の三要件というのが示されております。つまり、東日本大震災を教訓とするということが一つ、そして全国的に緊急に実施する必要性が高い、三つ目に即効性がある、これをもって、この三つのメルクマール、要件を満たした施策を、全国防災対策事業と整理したわけでございます。

 当然、今おただしの津波対策等も、ほかに学校の耐震化とかもございますけれども、それと並んでこの一・三兆円の中に入っているというふうにお考えいただきたいと思います。

谷委員 論理矛盾なんですね、今の政務官。その後の大きな問題となった津波防災も入っている。では、なぜ一・三兆はそのままなんですか。十六年前の一・三兆ですよ。そのことだけ指摘をさせていただいて、要は、同じやるなら、きちんとした積算がなければだめだということですよ。十六年前の数値を安易に持ってきて一・三兆、そしてそのために地方負担が単独を含めて八千億だ、だから増税だ、こんな論理は、余りにも薄弱といいますか、説得力がないですよ。

 国会だから、与党の皆さんが大多数を持っているから、また三次補正の緊急性にかんがみて我々も賛成の方向ですけれども、本来、こんな論理では通るはずもないです。厳しく指摘させていただきたいと思います。現に、こんな論理で地方団体の税率を上げる、超過課税をするなんというのは通るはずはないです。そのことだけを指摘させていただきます。

 そして、この事業は、七月二十九日決定の政府の復興基本方針によれば、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合う事業なんだ。次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合う事業なのだと言われています。だからこそ、地方税を増税しようということです。

 でも、政務官、これはそういう事業ですか。もしそういう論理構成であれば、東日本の被災地の復旧復興事業はわからないでもないです、負担を先送りしないというのは。でも、これは予防的な事業ですよ。予防的な事業を負担を先送りしないという論理構成であれば、今の公共事業、あるいは学校、今回は学校の耐震化も入っていますけれども、さまざまな建物の耐震化、あるいは橋を丈夫にというか延命するための事業、みんな、負担を先送りしてはだめだ、増税しなきゃならないという論理構成になりますが、その点についての考え方をお聞きしたいと思います。

吉田大臣政務官 予防的な防災事業を復興債で賄うということに対するおただしでございますが、根拠は復興基本法の第二条でございます。ここでもって、防止効果が高い施策についても復興債の対象経費とするということが根拠になってございます。そして、先ほど申し上げた三つの要件にかなったものを全国防災事業として採択していく、こういうことになっております。

谷委員 正直な話、何かよくわかりません。答弁のあれがわかりませんし、納得できませんけれども、次の質問に移ります。

 総務大臣、要は、一・三兆円、私が言わんとしていることは、非常に薄弱な根拠で、しっかりとした考え方あるいは理念、目標、そういうこともなしに定められた金額だ、それを受けて八千億の増税ということですけれども、今、修正案でたばこ税がなくなりましたので、結局は個人住民税均等割だけになりました。なぜ個人住民税均等割なのですか。ほかに固定資産税でも、ほかの税目もある。また、国税は、所得税をするんですか。なぜ住民税だけ、住民税均等割、多くの方々、六千万人の方にかけるこれを上げなきゃならないのですか。その考え方を大臣にお尋ねしたいと思います。

川端国務大臣 おはようございます。

 今申されましたように、税項目としては地方税でも幅広くあります。そして、八千億という分を地方の地域防災力の強化ということでいろいろな事業でやっていただこうということでありますので、基本的には、可能な限り幅広く、幅広いということは薄くということになりますので、そういう観点で税を選ぼうということであります。

 均等割ですと納税義務者の数が平成二十一年度の所得で五千九百三十六万人、所得割ですと五千四百七十七万人、所得税ですと五千五十二万人ということでありますので、より多くの方々から、広く住民の方に負担をお願いしているということで、個人住民税均等割の引き上げをお願いしたいというふうに考えたところでございます。

谷委員 幅広い方々に負担をお願いする、考え方そのものは一つの考え方であろうかと思いますけれども、今回の個人住民税の値上げの問題点は、緊急防災をやるということ自身には私は反対しませんし、むしろ、一・三兆円というような額ではなくて、五兆円とか十兆円とか、それぐらいのオーダーで集中してやるべきだと思います。その上で、その負担をどうするかというのをもっと幅広に考えていただく方がよかったのではないかと思います。

 二点目、交付税の問題に移ります。

 今回、交付税は相当思い切った対応ということをとられています。阪神・淡路、十六年前と違って、今まで災害の場合は、地方負担は、当面全額起債で資金手当てをする、そして後年度交付税措置というのが基本でありました。もちろんその年度に特別交付税を手厚く手当てするということはありましたけれども、しかし、今回は、三次補正分だけではなくて、一次、二次補正あるいは予備費に係る地方負担も含めて特別交付税で手当てするという過去にない交付税措置を講じられたということであります。そのこと自身は、被災地の財政力の弱さ、脆弱さに着目したものとして、私は評価できると思います。

 問題は、では、こういう措置が、とりあえず三次補正までの地方負担については、基本的に被災団体が起債を起こさなくていい、交付税で手当てされるということでありますけれども、しかし、今年度三次補正の段階というのはまだ復旧復興の途上であります。

 例えば、三陸の漁港は、被害額は八千数百億と言われています。では、今まで、三次補正まででどれだけ復旧費を積んだのかといいますと、二千六百億なんです。三分の一もいっていない。だから、平成二十四年度以降、相当額をまた積まなきゃならない。そうなると、被災団体としては、今年度の対応はありがたいことだけれども、では、今後どうなるのか、今回限りかという不安もあろうかと思います。こういう対応は今回限りですか、それとも今後とも続くのですか。

 大臣、今回の措置が二十四年度に繰り越されるというのは結構です、法律に書いていますから。問題は、今後以降の国の補正なり、あるいは当初予算に計上された地方負担の財源措置がどうなるか、そのことについて、考え方、方針、そもそもあるんですか、ないんですか、そのことも含めてお尋ねします。

川端国務大臣 震災の復旧復興に関して、震災復興特別交付税ということで実質的な地方の負担をゼロにするということを御評価いただいて、ありがとうございます。

 そういう中で、これは、普通の交付税とは別に交付を決定して、繰り越しも可能ということはもう御案内のとおりでありますが、この交付税は、未曾有の被害と影響をもたらしたということにかんがみて、集中復興期間中、平成二十三年度から平成二十七年度の復旧復興対策として必要と見込まれる支出が十九兆円程度と言われております、これについて、特別に財源をこれだけ確保して対処するということにあわせて、実質的な財政負担をゼロとするということの制度をつくったわけでございますから、この期間中が対象ということが前提でございます。

 そして、現在、一定額を確保いたしておりますけれども、おっしゃいますように、これから、どういう事業でどれぐらいの事業規模になるかということでのいろいろな変動、増加は当然あると思います。現時点において言われている部分ではこれで十分に対応できる状況でございますが、今後の変動においては、この十九兆円の枠の中において新たに復旧復興事業に係る地方負担が生じる場合には、震災復興特別交付税の別枠での増額を図って、被災団体に対して同様の措置を講ずることとしていきたいと考えております。

    〔委員長退席、内山委員長代理着席〕

谷委員 今の大臣の答弁は、五年間の集中期間、十九兆円というフレームの中では同様の対応を今後もとっていく、そういう御答弁だったかと思います。

 疑い深い私は、財務省の方にもお尋ねします。

 吉田政務官、財務省も同じ考え方ですか。今後とも、今年度は四次補正があるかどうかわかりませんが、来年度の地方負担、被災団体の負担についてはみんな交付税で別枠で措置する、そういうことで財務省も了解している、復興集中期間はそうだ、通常の交付税とは別枠できちんと対応する、そういう理解でよろしいですか。

吉田大臣政務官 基本的に総務大臣の御答弁のとおりだと財務省も考えております。

 ただ、追加で申し上げれば、前提がございまして、今のところ、五年間の事業費総枠が少なくとも十九兆円程度であるということと、それから、その復興債の償還財源を措置されるということを前提として、五年間この制度を続けていこう、こういうふうに考えております。もちろん、今財金委員会で御審議中の復興財源確保法を成立させていただくということが前提にもなります。

谷委員 ありがとうございます。

 再度確認させていただきます。

 今、政務官の答弁は、基本的に総務大臣の言われるとおりだ、ただ、前提がある、五年間という前提、十九兆円という前提、さらにはその財源確保の復興債の財源手当てと言われました。

 その中で、明らかに変わるのは十九兆円です。それは、我が党も含めて多くの方々が、原発の除染費だけでも数兆円かかると言われている今の状況で、とても十九兆円なんていうのは話にならない、はるかにオーバーすることは間違いないと言われていますが、十九兆円という前提が崩れたらどうなるんですか。その場で協議ということですか。それとも、五年間で十九兆円、復興財源で手当てというフレームの考え方を尊重して、またその時点で検討するということですか。お尋ねします。

    〔内山委員長代理退席、委員長着席〕

吉田大臣政務官 十九兆円というのは、少なくとも十九兆円程度ということですから、近い将来見直しがされる可能性は非常に高いというふうに私も思います。その際に、その増額分について、改めて復興債の償還財源が保障されれば、この復興特別交付税が継続され得るというふうに考えます。

 なお、先ほど先生がおっしゃった、原発関連の費用もあるのでという御指摘がございましたけれども、この十九兆円に原発関連の費用は入っていない、基本的にこれは東電の賠償で賄うものだというふうに考えております。

谷委員 東電の賠償で賄うというのは、それはそうですけれども、一つの例として除染の経費を挙げただけで、要は、十九兆円ではとても対応できないという声が多いし、私自身も、あるいは自民党もそう思っているということをこの場で改めてお伝えしたいと思います。

 交付税に絡んで、取り崩し基金を今回措置する予定ということであります。

 これはイレギュラーなことですけれども、三次補正ではなくて、二次補正の交付税を使って各自治体合わせて二千億の基金をつくるということでありますけれども、なぜ二千億なのか。その考え方にもう一つ納得できないところがあります。

 十六年前の神戸のときは、当時は金利がもっと高かったですから、いわゆる運用型の基金ということで九千億のファンド、地元の自治体がファンド、基金をつくって、その運用益で、十年間、三千五百億余りでさまざまな事業をしました。現時点でのあの震災の復旧復興事業の評価は、阪神・淡路復興基金九千億の基金運用益三千五百億があったからこそ、きめ細かなさまざまな、百を超える、とても行政が対応できないような事業も対応できたという評価がいわば定着しているところであります。

 今回は、はるかに大きい、あるいは深刻な影響をもたらしている東日本大震災。トータルで二千億という考え方ですけれども、なぜ二千億という数字になったのか、考え方をお尋ねしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 まず、大前提としては、阪神・淡路大震災で大変な状況になったときにいろいろな、先生も中心になって御担当されたと思うんですが、そういう部分の交付、いわゆる阪神・淡路大震災復興基金による事業への交付税措置額と兵庫県及び被災市の財政規模の関係というのを参考にさせていただいて、今回の東北三県そして関連県含めての手当てとその財政状況を勘案して算定すると、総額で千九百六十億円になったという考え方でございます。

 先生今御指摘の、運用型のファンドでやっていただいた兵庫県の部分での三千五百二十億円の中で、いわゆる我々が参考としました基準と同じ比較をいたしますと、兵庫県分が千二百十億円程度、交付税措置は九百六十億円程度されたということと比較すると、額としては約倍。

 それで、ファンドの中で、兵庫県としては、千九百六十億円程度、被災者生活再建支援制度をおつくりになっておやりになった。この部分は震災のときに初めになかった制度でありますので、このファンドで手当てをされたというふうに承知をいたしておりますけれども、それ以降、こういう新しい被災者生活支援制度ができました、これによって、総支給見込み額四千四百億円は、別の仕組みができましたのでこれで別途手当てをするということで、この部分を減額いたしますと、阪神・淡路大震災でそういうふうに交付税措置された額を参考にしながら、ほぼ倍の額の手当てをさせていただいたというふうに御理解をいただきたいと思います。

谷委員 今の大臣のあれは、神戸のときは三千五百億円のお金があった、しかしその後さまざまな制度充実がされた、それらを差し引くと大体一千億だ、それで一千億を、被災団体が神戸―阪神間の自治体と違って財政力も弱いので、それらを加味して倍にしたということかと思います。

 これも、冒頭の一・三兆円と同じだと私は思います。要は、阪神・淡路をベースにして、その後措置されたものは差し引くよと。では、新たに出てきた需要はどうなんですか。そういう想像力というか、被災地の現場に対する想像力がやはり欠けている発想だと私は思っています。

 今お話ししましたように、阪神・淡路のときは百十を超える事業ができたんです、ファンドがあったから。そして、今回の被災地も、それぞれたくさんの被災地特有の事業というのは必ず出てくるはずなんです。そういったものをもっと思い切って積んでほしかったと私は思います。

 二千億ではなくて、被災地トータルで最低倍か五千億、そのぐらいの規模で、もっと自治体が創意工夫できる、心配するな、金は用意している、十年間使えるんだ、そういった基金をもっと大きな規模でぜひ用意していただきたかったということを御指摘させていただきたいと思います。

 三番目に、児童手当の問題に移ります。

 新たな児童手当の負担をどうするか。厚生労働省は、今年度の地方負担五千五百億から来年増加して九千八百億、他方、国庫負担は一兆八千九百億から八千二百億減少させる。地方の方は四千三百億ふえて、国が八千二百億減少、こういうのを典型的な負担転嫁というのではないかと思いますけれども、きょうは厚労省から藤田政務官が来られております、これは負担転嫁じゃないんですか。見解をお尋ねします。

藤田大臣政務官 ただいま先生が御指摘になられました負担転嫁ということでございますけれども、厚生労働省の提案というのは、今回、控除から手当へという考え方のもとに年少扶養控除を見直しておりまして、それに伴う増収分については、最終的に子供に対する手当の財源として活用していただくことが国民に負担をお願いする趣旨に合致をする。また、地方団体からの御意見も踏まえて、今まで、現在の児童手当は国と地方の負担割合が一対二でございますけれども、ここを、国の負担割合を拡大いたしまして一対一とするというものを提案させていただいたわけでございまして、先生は負担転嫁という御指摘でございましたけれども、単に地方に負担を押しつける趣旨のものではないと考えているところでございます。

 いずれにしても、今後、国と地方の協議の場を初めとして、地方団体と協議をさせていただいて成案を取りまとめてまいりたい、このように考えております。

谷委員 政務官、地方団体は全然そんな反応じゃないでしょう。負担転嫁なんて優しい表現じゃないですよ。だまされたと。大体、民主党のマニフェストで全額国庫負担と言っていたんじゃないですか。全額国庫負担を言っていたのを、もともとの児童手当が国、地方で一対二だから、今度は負担を上げて一対一にしたと。今のはペテン師みたいな言い方ですよ。それはひどい。

 それに、年少扶養控除の増収分五千億をする。これは自治体の基幹的な税なんですよ、市町村民税。基幹的な税を新たな児童手当にとだれが決めたんですか。そんなことは地方団体が要望しているんですか。だから反発が強いんですよ。政権がかわって、去年でもさんざん苦労して、こういうことになるというのは一年前からわかっていたんじゃないですか。

 政務官にお尋ねします。この一年、地方団体との信頼関係をつくるためにどんな努力をしたんですか。信頼関係はないですよ。お尋ねします。

藤田大臣政務官 地方団体の皆様の御協力をいただかなければこうした制度は動かしていくことができないわけでございまして、厚労省といたしましても、いろいろな機会をとらえまして、地方団体の皆さんとの協議をさせていただいてまいりました。

 今、先生御指摘のように、地方団体からは厳しい指摘がある、そのことも十分承知をいたしておりますが、今後、この年末に向けて、予算編成過程でしっかりこれからも協議をさせていただきたい、このように考えております。

谷委員 そういう言葉とは別に、厚労省の本音が時々出るんです。私の聞いている限りでは、国と地方の協議の場で、総務省が先日、地方単独の社会保障費六兆円と発表したでしょう。それで、厚労省の方が、六兆円の中でまともな、目配りしなければならない福祉対策というのは数百億円だ、そう発言したと私は聞いております。そういう発言は事実ですか。

藤田大臣政務官 このたび、地方単独事業について総務省がお取りまとめをいただきました。総額六・二兆円ということを伺っております。そして、その中で、子供に対する施策については、一・七兆円という数字が記載をされております。

 この中身については、これからさらに精査をさせていただいて、いろいろ協議をさせていただいて確定していきたい、このように考えておりまして、今先生が御指摘になりました数字については、承知をしているところではございません。

谷委員 政務官、何も精査しなくていいんですわ。地方団体が勝手にやるのを、何で厚生労働省が精査するんですか。そういう姿勢こそおかしいんです。

 問題は、精査させていただいてというような、厚生労働省が地方の現場を知らないからですわ。一・七兆円も地方単独を厳しい財政事情でもやっているんですよ。公立の保育所に継ぎ足しをしたり、私立の保育所に出したり幼稚園に出したり、子育てのさまざまな活動に知恵と工夫を出しながらやっているんです。一・七兆円もあるんです。そういう手当てをするというならまだしも、これから精査とか、この話はもうこれ以上いたしません。しっかりと、誠意を持って協議をしていただきたいと思います。

 くどいようですけれども、自治体は、厚労省に対する不信は極めて強いですよ。厳しく言えば、言われることをなかなか言葉どおりには受け取れませんよ、今までさんざん苦杯をなめたといいますか、そういう思いがありますから。そのことだけを御指摘させていただきます。

 時間が少なくなってまいりましたが、最後に過疎対策であります。

 過疎対策は、昨年の通常国会で延長いたしました。六年間の延長。議員立法で延長しまして、黄川田総務副大臣にも民主党の中心になって頑張っていただいて、新たにソフト事業というのを起債で認めるという、画期的といいますか、過去に例のない仕組みもつくったところであります。

 しかし、黄川田副大臣、残念ながら、私も頑張らせていただいてそういうソフト事業の仕組みをつくったんですけれども、なかなか活用が団体あるいは県によってばらばらといいますか、大変大きな差がある。自慢するわけじゃないですけれども、平成二十二年度、これは限度額というのがありますから、限度額目いっぱい活用しているのが我が兵庫県でありました。九八%、要は認められる目いっぱい使ってさまざまな事業をやっている。黄川田副大臣の岩手県も余り高くはない。全国で大体六割です。

 ここは、副大臣、なぜこうなのか、どういうふうな仕組みをもう一度考えなきゃならないのか、そういうことを我々も、もともと議員立法の法律ですから、立法府としても考えなきゃならないんですけれども、政府においてもぜひその辺を検討していただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いします。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 御案内のとおり、過疎債ソフト分でありますけれども、法の改正によりまして、医療の確保や地域文化の振興、あるいはまた集落の整備等に幅広く活用できるということで、自治体も大変喜んだわけであります。平成二十二年度から、新たな対象事業といいますか、追加されたということであります。野党の谷委員さんを初め、実務責任者の皆さんには本当に多大な御協力をいただきました。

 その上で、せっかくできたこの過疎債ソフト分でありますけれども、平成二十二年度は限度額総額の六百六十二億円に対して三百七十九億円、今年度、平成二十三年度の第一次分でありますけれども、総額七百二億円に対して三百九十九億円、こういうことになっております。活用割合は、全体として約六割ということであります。

 岩手の部分もなかなか活用できないというところもありますけれども、確かにそのとおりであります。実は、新たに七つの市町村が過疎指定になって、初めてのソフト事業ということで、なかなか何をやったらいいかというところも間々あるかもしれません。しかしながら、従来から過疎対策にしっかりと取り組んできた今お話しの兵庫、石川、長崎、和歌山、島根県などは、一〇〇%近い利活用をしております。

 そのとおり、八〇%以上の都道府県が八団体、三〇%未満の都道府県も十団体ということで、本当にばらつきがあると思っております。

 そこで、総務省として、この制度をどうやって生かしていくかというところを住民あるいは議会とも十分な議論をしていただきたいと思いますし、そのために我々ももっと風通しをよくしていかなきゃいけないと思っております。

 さらには、特徴的な事業といいますか先進的な事業といいますか、そういうものを積極的に情報公開して、そして、過疎債でもって地域が元気になった、集落が活性化したという現実を他の自治体にも見てもらえればさらなる活用が深まると思いますので、議員立法、全会一致の法律でありますので、皆様の御指導もよろしくお願いいたします。

 以上であります。

谷委員 時間が参りました。ありがとうございます。

原口委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 万葉集でございますが、天気がいい歌じゃないのがちょっと申しわけなかったんですけれども、私の出身の日本海側がちょうど今、太平洋側の天気がよくなりますとしぐれてまいります。時雨にもみじが散る歌ということで、旧暦でありますので十月ということでお許しをいただきたいと思います。

 万葉集巻八、一千五百九十番。

  十月しぐれにあへる黄葉の吹かば散りなむ風のまにまに

 それでは、一時間、どうかよろしくお願いいたします。(拍手)

 三つの法案につきまして、それぞれについて一つ一つお願いをしたいと思います。

 交付税総額特例法、一兆六千六百三十五億円、大きな大震災の被害にかんがみてこういう措置をいただくわけであります。特別交付税のこの考え方についてはことしの春も通常国会でもいろいろ議論があったわけですが、ある額、六%というものを当面確保しながら、かつ交付時期も弾力化したということが、結果的にこういう事態には非常によかったんじゃないかな、こんなふうに思っております。

 そこで、今回、いろいろな議論の経過の中で、三次補正段階におきまして、二次補正までは復興復旧事業につきまして若干の地方負担ということについてお願いをするという形であったものを、やはり今回の事態の深刻さにかんがみまして、ここですべてを国費で措置する、こういう形に切りかえていただいたということは、地方にとっては大きな前進であろうと思います。

 ただ、二次補正まではそうではないスキームになっておりまして、地方債を発行して後から措置するということであったものですから、既に発行しているということが、ある、ないということも含めて、そういう場合においては、今度は全額措置するということになったわけですから、どういうふうに取り扱うのかということについてお答えをお願いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 先生御承知のとおり、今回、第三次補正予算では、東日本大震災に係る復旧復興事業等の実施のための特別の財政需要等を考慮して、震災復興特別交付税を一兆六千六百三十五億円増額確保することとしております。

 この震災復興特別交付税は、平成二十二年度及び平成二十三年度予備費の使用に伴い追加された災害救助費等に係る地方負担分、平成二十三年度第一次、第二次補正予算に伴う地方負担分六千三百十三億円についても、さかのぼって対応することとしております。

 これらの対象となる事業のうち、被災自治体が既に地方債を発行している分は四十三億円程度となっておりますが、当該地方負担分についても震災復興特別交付税で全額措置するということになっております。

橘(慶)委員 起債というのは年度末にまとめてするということもありまして、まだ余り起債が進んでいなかったものですから、四十三億円程度であれば、それをまた措置していくというのはできると思いますので、よろしくこれはお願いしたいと思います。

 続きまして、被災地域外の団体が被災地域への職員派遣など、そういう応援措置ということに要した費用につきまして、これは阪神・淡路で一度されていまして、今回の大震災、大きな支援があったということにかんがみまして特別交付税措置をされてきたわけでありますけれども、九月の交付まででどれくらいこれが交付されているかということとあわせて、今回の特別交付税においてはこれを想定されているのかどうかということについて確認をさせていただきます。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 まずは、被災地域に対しまして、近隣の地方団体を初め全国の地方公共団体から継続的に支援が行われておりまして、心から感謝を申し上げます。

 被災地以外の地方団体から短期の職員派遣や物資の支援を行った場合の費用は、公務出張の経費等として派遣元団体が負担することになっておりますが、この費用については特別交付税措置を講ずることとしておりまして、四月八日に実施した平成二十三年度特別交付税の第一回特例交付において五十九億円、九月二十日に実施した第二回特例交付において二十八億円を算定、交付したところでございます。

 こうした被災地域の応援に要する経費については、今後も実績に応じて、第一次、第二次補正予算において増額された例年の特別交付税において措置することとしておりまして、今回の第三次補正予算で創設する震災復興特別交付税の積算には含まれていないところでございます。

 以上でございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 そうなると、年度末交付等に合わせて残りが措置されていく、こういうことであります。

 これは、やはり今まで防災協定なんかを結んだ関係で職員の方を出されたり、それから、これからだんだんどうしても中長期間の派遣ということに変わっていくということもありますので、こういった措置を続けていただくということは大変後押しになるものと思っております。

 そこで、自治体からの職員派遣というのは、内容をだんだん変えながら、今申し上げたように、初めは短期的な突発的なことに対しても対応できるような形でいろいろな派遣があったわけですが、ここからはやはり息長い復興事業等に向けて中長期間の派遣になっていく、このように思っておるわけであります。

 そこで、自治体のお互いの応援のし合い、これは今回大変大きい実績を上げていると思うんですが、これまでの派遣実績の把握されているところ、そして現状はどうなっているのか、震災八カ月ということで、ここで確認をさせていただきます。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 被災自治体に対する人的支援につきましては、災害時相互応援協定などによる自治体同士での人的支援のほか、全国知事会のシステムや、総務省が全国市長会、全国町村会の協力を得て構築したシステムなどによりまして、職員派遣が行われているところであります。

 こうした取り組みにより、全国の地方自治体から被災自治体へ派遣された職員数は、十月一日までの間に約七万四千名に上っているところでございます。

橘(慶)委員 これは、もちろん被災地域にとっても助かったということでありましょうけれども、派遣をされた方々にしましても、災害対策上のいろいろな貴重な経験もできるということで、それをまた派遣元へ持ち帰っていただくということになれば、全国的にもそれだけ防災体制というものは高まっていくという効果もあるものと思っております。

 また、今ほど災害時相互応援協定の話も出していただきましたが、こういったものに対して、今のところは啓発、あるいは言ってみれば奨励というような形での呼びかけ的なことになっているわけですが、ぜひこういったものについて、可能であればさらに踏み込んだ支援もしていただければいいなと思っております。

 そこで、今回、今は大体落ちついてきたわけですけれども、最初の段階では非常にそういうことのニーズが大きかったものですから、派遣元、派遣先のニーズのマッチングというのはなかなか困難を極めた時期があったわけであります。

 それで、知事会も努力され、また総務省においても可能な限りつなぐということもされてきたわけですが、大分それは落ちついてはきていると思うんですけれども、現状、問題点があるのかどうか、そしてまたどのように取り組まれているのか、ここで確認いたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 被災自治体においては、今後、先生御承知のとおり、多くの復興事業が進められていくものと認識をいたしておりますが、これらを担う職員のニーズが高まることが予想されているところでありまして、引き続き、土木職、建築職、税務職等の専門的な職種の職員を中心とした中長期的な職員派遣の支援が必要と考えているところでございます。

 総務省としては、引き続き、被災自治体から要望を伺いつつ、復興対策本部や各府省とも連携しながら、可能な限り被災市町村のニーズに合う形で必要な人的支援を行えるよう努めてまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 これは、引き続きお願いいたします。

 そして、この交付税、今回の一兆六千億円、これは大変ありがたい措置であるわけですけれども、これから年末に向けては、いよいよ地方財政計画というものを新年度予算の編成とあわせてまとめていくという時期になってまいります。

 私は、いつも交付税の、もちろん額の、二十四年度は二十四年度の、また全国的な確保ということは大変大事でありますけれども、これに関連して、交付税で足らざるところを担うといいますか、交付税の身がわりと言われて臨時的に発行され続けている臨時財政対策債、こういう起債があるわけであります。これは、後年度にまた交付税措置をするということになって、言ってみれば、交付税と同じとみなしていいですよ、こういうことで続けてきているわけですが、この臨時という言葉もちょっと面映ゆいような、経常的な状況にだんだんなりかかってきている。非常に心配をしているわけであります。

 発行残高でありますが、二十一年度末で二十五兆三千六百五十四億円、これは二十年度末の二十一兆五千七百四十六億円からおよそ三兆八千億円ふえたわけであります。二十二年度末は今ちょうど総務省さんの方で集計されているはずでありますが、二十二年度は発行額が非常に多くて、七兆円台の発行をしておりますから、償還が一兆数千億円ということを考えますと、いよいよ三十兆円の大台にも乗ってくるんじゃないか。二十三年度も、二十三年度は発行高は減ったわけですけれども、それにしても、これも多分三十から三十五へと上っていくような状況にあるわけであります。

 ちなみに、地方の債務残高、これは、地方がいろいろ、自分たちの事業で起債している、公営企業債で起債している、あるいは交付税特会で一般会計から借り入れている、こういうものを全部合わせたときに地方の債務残高というのは大体二百兆円ということで、しかも、かなり地方も単独事業を抑えているとか行財政改革をしたということもあって、ここ数年、大体二百兆円のところで実は踏みとどまっているということがあります。

 その二百兆円の中で、臨時財政対策債の占めるウエートがだんだん膨らんでいくということであります。それがもう一割は超えたわけですが、一五%、二〇%ということになってまいりますと、ちょうど、国でいいますと、昔は建設公債と赤字公債というのがあって、赤字公債は小さかったんですが、だんだん赤字公債が大きくなって、今建設公債はほとんど、残高としては公共事業もそういうことですからふえていないんですが、赤字公債の方ばかりふえていく。地方債、今始まったわけですが、これを続けていくと、しまいにまるで臨財債ばかりが残高の大宗になっていくというようなことになると、これは大変問題になるわけです。後から大変始末に困るということになるんじゃないかと思います。

 そこで、最初にも申し上げたように、臨時ということで始めたこの制度、そろそろ改革すべき段階、言ってみれば黄色信号がともっているんじゃないかと思うんですが、これは大臣の所見、御見解をお伺いいたします。

川端国務大臣 先生御指摘のように、二十一年度が多分二十五兆四千億円、平成二十二年で三十一・八兆円、平成二十三年で三十六・六兆円が見込まれているという、おっしゃいますように、将来の金利上昇のリスクということだけではなくて、構造的に、本当に臨時でこういうことをやっていっていいのかというのは一番根源的な議論としてあります。

 そして、平成十三年一・二兆円から始まったのが、二十三年度で十年たてば三十兆円になっている。そして、おっしゃるように、地方の債務残高は、トータル百八十兆円台から二百一兆円になり、またちょっと百九十数兆円に減りということで、苦労されている。その中の占める比率はどんどんどんどん上がる一方ということであります。これは、何か将来の地方交付税の先取りをしているということでありますので、構造的にはよくない状況であることは、私は認識としてはそのとおりだというふうに思います。

 そういう中で、とはいえ、一番すっきりするのは地方交付税率を変えるということで、もっとスポット、そういうことでない部分でということでありますが、国の財政状況も含めますと、そう簡単な話ではないというのが現実にあるというふうに思っております。

 そういう意味では、交付税率の変更で安定的にちゃんと本来の部分が来るというのが一番いいんですけれども、そういう方向をしっかり持つ中で、やはり一番のベースとして、国の財政も含めたいわゆるプライマリーバランスがとれる、財政の健全化ということとセットの話でありますので、そういう意味で、歳入歳出にわたる改革と同時に、この両方ともに関して、やはり根源的な部分としてしっかりと、相当強い意識と意思を持ってやらないといけない問題だというふうには思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 そして、二十二年度、二十三年度の見通しも、ちょっとこちらも当てずっぽうで言ったんですが、大体そういうことで間違いがないということでよかったというよりも、だけれども、ちょっとこれじゃ困ったなという感じもいたします。

 実はこれは、今大臣がお話しになったことも含めて、幾つかの問題が生じてくるわけです。一つは、今大臣がおっしゃったように、後年度の交付税の算定をする際の基準財政需要額が結局先食いした分だけ膨らんでいくということであります。結局、償還の分だけ基準財政需要額がふえるということは、後年度の地方財政計画をつくる際に非常にいびつになっていく、交付税も、ある意味で、そのとき必要な以上に交付税を措置しなきゃいけなくなるという問題があるわけであります。

 もう一つ、これは別の機会にまたもう少し深めて質問もさせていただくつもりでいるんですが、例の夕張市の問題等がありまして、地方団体のいわゆる財政指標、四指標ということで、それでちゃんと地方財政をコントロールしなさいということを法で義務づけて、そういう数値も公表されているわけですが、この臨時財政対策債は、今ほどからお話ししているように、交付税の見合いであるということからして、この四指標をはじくときの、例えば実質公債費率とかああいうところに臨財債を入れていないということがあります。

 だから、住民に対して、こんな数字で、首長さんはみんな安心ですよと言っていますけれども、一面、これは首長さんにすると、発行させられているというか、本当はお金でもらうはずのものを、発行しておいていいよと言われて、ある意味で国の保証つきで発行している。しかし、本当の意味での財政というのは、その分、もし臨財債を入れた場合の実質公債費率とかそういう財政健全化指標を出してくると、多分ちょっと違った数字が出てくる。その乖離は、今大臣がおっしゃったとおり、残高がふえればふえるほど乖離が大きくなっていくわけであります。そうすると、住民の目で見たときの本当に大丈夫ですかということに対して、なかなかお答えしづらくなる。国が何とかしてくれるのでというのも、ちょっとどうなのかなという心配をしております。

 またいずれの機会に、そういう二つの指標の比較もさせていただきながら、問題をもう少し深めてみたい。結局、住民一人当たりの起債残高なんかもその分、努力されている割にはふえている、こういう現象も実際あるものですから、よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、二十四年度の概算要求の段階の問題なんですが、今のところ、これは地方財政のいろいろな見通しを立てられながら、六・六兆円という数字で一応仮置きをされて、そして、あとは事項要求というような形で要求をされているわけであります。

 今、プライマリーバランスというお話もありまして、望むらくは、プライマリーバランスどころか残高がふえない水準ということであれば、返す分だけの、借りかえの発行にとどめてもらいたいという気はいたします。それは、二十三年度だと一・四兆円まで落ちちゃうわけですけれども、これはなかなか、今、六・六兆円と一・四兆円ではかなり差がある話であります。しかし、少なくとも、二十三年度の発行額が六・一六兆円であったわけですから、これを何とか下回らせていくというくらいはやはり努力をいただきたい、こういう思いも、きょうはたまたま質問の都合で財務大臣政務官もいらっしゃっているわけですが、その横で、ぜひ頑張りますということも総務委員会としては言っていただきたいな、こんな感じもいたしますが、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 おっしゃるように、この臨時財政対策債、二十三年度は、地方税の増収それから地方交付税の増額で一般財源総額を確保する中で、相当いろいろ努力をしていただいて、前年度比一・五兆円の減額で六・一六兆円にいたしました。

 先生御指摘のように、現段階では、機械的な仮試算ということでは一応六・六兆円という数字が出ておりますけれども、正直申し上げて、大変景気が悪い、それから震災ということの財政需要も非常に多くあるという中で、なお欧州の危機を含めて景気が下振れするのではないかというふうな状況ということで、環境的には決していいことではありません。いわゆる交付税総額の確保というものには最大限の努力を私としてはしたい、そして臨時財政対策債はできる限り抑えたい、この基本方針のもとに、財政当局ともしっかりと折衝してまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 年末までよろしくお願いしたいと思うわけであります。

 それと、社会保障と税の一体改革ということも今お考えになっているわけですから、こういったものとも今の話はすべて絡んでまいりますので、国と地方の協議ということも含めて、ぜひまたよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、地方税の臨時特例法、住民税の増税ということに修正案からすればなっていくわけでありますが、このことについて、これの見合いの事業ということも含めて、幾つかの点についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 今回の措置によります地方税の増税でありますけれども、国税とともに、震災復興の財政負担を手当てしようということであります。それは理解するわけですけれども、いわゆる当て込みといいますか、その増税によって賄う経費というものの考え方についてはそれぞれ違っている、このように理解をしておるわけであります。

 そして、地方税の増税については、先ほど少し谷委員からもお話はあって、やりとりもあったわけですが、具体的にどのような経費をこの増税で賄おうとしているのか、まず最初に確認をさせてください。

川端国務大臣 先ほどから議論もされましたけれども、全国の地方自治体で行われることが予定されている防災ということが一番基本的な考え方でありますが、種類としては、大きく言えば、いわゆる補助・直轄事業とそれから単独事業というふうに分かれると思います。

 補助・直轄事業でいいますと、住民の避難に関する取り組みも含めて、公立学校の施設の耐震化あるいは医療施設の耐震化というふうないわゆる耐震化、それから道路の防災・震災対策、道路を強くする、あるいは消防関係でいいますと、救急無線のデジタル化あるいは通信基盤の緊急整備、それからいわゆる下水道、農業水利、あるいは河川津波ということでは堤防、水門等、いろいろな議論があります。こういう部分がいわゆる補助・直轄であります。

 単独事業としては、住民の避難に関する取り組みということで、防災拠点施設あるいは拠点避難地、避難タワー、避難路、Jアラート、地域防災計画上の避難所の耐震化等々、それから災害に強い町づくりに対する取り組み等々、これは、それぞれの地域の自治体で特色に合わせてみずからの判断でやっていただく事業だというふうに思っております。

橘(慶)委員 そんな意味では、今ほど言われたハード、ソフトも、ハードが中心でもソフトも入るようなお話でありますので、地方単独事業等で、先ほどちょっと話題にしました災害時相互応援協定なんかも入れてもらうと私はいいんじゃないかなと。これは提案であります。

 今ほどお話があったような事業、全国的には、国の事業として一・三兆円規模、地方単独では三千五百億円ぐらいということでありますけれども、その中で、これに当て込む財源は、いわゆる国が行う事業の裏、地方負担分と、それから地方の単独事業の負担分ということで、合わせて八千億円程度ということについて、今回増税で措置をしていく、増収を図る、このように伺っているわけであります。

 そこで、国の方の一兆三千億円でありますが、三次補正の全国防災対策費では五千七百五十二億円というのが計上されているわけであります。一つは、この全国防災対策費の中には、国の施設の対策、例えば海上保安庁の対策とか、そういう地方の負担がないものも入っておりますし、地方でそれぞれ各省が実施する事業もあるわけであります。そこで、この後、この五千七百五十二億円という全国防災対策費、それすべてが一兆三千億円の内訳にならないわけですけれども、これが二十四年から二十七年度、あと残った四年間においてどの程度の事業規模で推移させていく、この辺、どのようにお考えになっているのかを確認させていただきたいと思います。

川端国務大臣 これは、いわゆる全国的な防災対策事業費の地方負担分ということで〇・八兆円程度ということをお願いしているわけですけれども、直轄・補助事業の地方負担分として四千五百億円程度、地方単独事業として三千五百億円程度で、少なくとも〇・八兆円程度というふうに見込んでいるところであります。

 先ほどもお触れになりましたけれども、これを国費を含めた事業で見た場合には、直轄・補助事業では少なくとも一・三兆円程度を見込んでいる。御指摘の国費五千七百五十二億円を含む三次補正予算の事業規模が八千七百九十二億円でありますので、引きますと、二十四年から二十七年度においては少なくとも四千億円程度というふうに想定をしております。

橘(慶)委員 ちょっとそこは、私が思うのは、四千億円程度と言われましたが、五千七百億の中に、最初に申し上げたように、海上保安庁の船を直すとか、多少地方とは関係のないものも全国防災という中に入っているはずでありまして、これは、きょうは程度というお話ですから、また精査をいただいて、地方でもらうものはしっかり要求していってもらっていただきたい、こういう気持ちはあります。

 今度、ちょっと内訳の方に入っていくわけですが、今回の全国防災対策費の内訳を見ますと、学校施設の耐震化・防災機能強化二千五十一億円、一般公共事業関係費二千四百九十三億円、警察・消防関係費三百九億円、医療施設等防災対策費二百四十五億円等々となっているわけでありますけれども、この辺の事業の種目の組み方、もちろん必要性、それから、これらの事業の中には当然全国防災ではなくて通常の費目の中でやっていくものもあるわけでありまして、この辺、大体こういう内訳でこのまま進めていくつもりなのか、あるいは少し変えていくつもりなのか。もちろん来年度以降の話ではありますが、どのように今現状でお考えになっているのか。これは吉田財務大臣政務官にお伺いいたします。

吉田大臣政務官 全国防災対策費の二十四年度以降の予算計上についてのおただしだと思います。

 これは、まずは各省から、全国防災事業なのか通常の防災事業なのか、要求が出されて、それを踏まえて対応するわけですが、先ほども申し上げましたけれども、三つの要件というのがございます。繰り返しになりますが、東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性があるというのが全国防災事業の要件ですので、これに当てはまるかどうかをまず精査させていただく。そして、今大臣おっしゃったように、一・三兆円の五年間の枠のうち、今回大体〇・九ぐらい使うわけですから、残りの四千億という枠の金額もよく考慮しながら精査させて計上していく。今この時点でどの種目をということは申し上げられませんが、そういうふうにしたいと思います。

橘(慶)委員 ここの問題点は、国税見合いでやはり地方税も何らかの増税をということであったと思うんですが、ただ、地方税の場合は、それぞれの地域でそれぞれの住民が、普通ならその地域で起こることに対して御負担をしていく、こういうことになるかと思います。そこで、全国防災というような形の事業で、その地域でお支払いになったものはその地域の安全対策のためにということで対応されるということではあるんですが、当然、この事業の今おっしゃった三要件というのは別に地域配分の要件ではありませんから、一対一対応となかなかならないというところに少し問題といいますか、どういうふうに説明していくかなということがあるわけですね。

 その中で、学校耐震化というような事業、これは後からもう少し質問いたしますが、こういう事業は目に見えて、住民の方が、ああ、うちの小学校がよくなった、中学校がよくなったとわかりやすいんですよ。ただ、そこが今大宗を占めている、かなり大きなウエートを占めているわけですが、これからどうなるか、ちょっとそれは今後の予算の編成の中でわからない、そういうことになってきますと、どうも住民にすると、今回の修正案でいけば年間千円の御負担ということですが、それがだんだん見えにくくなっていくのではないかな、こういう心配をするわけです。

 そこで、その話を聞く前に、一般公共事業関係費というのが二千四百九十三億円あるわけですけれども、きのうの予算成立を受けて、既に地方整備局等ではかなり配分も発表しているやに聞いておりますけれども、この辺、どのような地方配分の考え方をお持ちになっているのか、吉田政務官にもう一つお伺いいたします。

吉田大臣政務官 一般公共事業関係費の地方配分のおただしでございますが、基本法である復興基本法の第二条がベースになりますけれども、先ほど申し上げた復興基本方針の三要件を踏まえて配分を精査していくわけでございます。

 地方にどうやって配分するかということにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、各省からいろいろ要求をいただいて、その上で考えたいと思います。

橘(慶)委員 財務省さんに聞けばそういうお話にならざるを得ないのかなと思いまして、各省から全部聞いていても、なかなか時間がたつということもあったわけです。ただ、当然、各省は各省で、例えば道路であれば橋梁を直すとかトンネルを補強するとか、そういうふうに箇所を探していくとなれば、それはある意味で地方にシェアで配分していくということとはちょっと多分違う配分になっていくんだろう、このように思うわけであります。

 それと、実は学校耐震化ということについては、一般会計でも、一般の費目としてもやっていくわけですから、これからどうするかわからないということも含めて、そうすると、全国防災対策費の配分は、個々の自治体の増収額と対応するということにはなかなかならないものではないか、そういう性質のものじゃないかと思うんですが、その場合、千円の増税ということについてどのように住民と各自治体が向き合ってもらうのかということについてのお考えを、これは福田政務官の方からお願いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 復旧復興対策規模十九兆円のうち、全国の地方団体で行われることが予定されている緊急防災・減災事業の地方負担分〇・八兆円程度については、財源を国に依存するのではなく、地方税において臨時的な税制上の措置を講ずることで、地方団体みずからが財源を確保することといたしております。

 この地方税の臨時的な税制上の措置により、所要の財源を総額としては確保しておりますが、各地方団体ごとの地方負担額と増収額との調整や事業実施時期と地方税の増収時期との調整を行う必要があるところでございます。

 そこで、事業実施に際しては、まずは地方債により財源を賄うこととして、その元利償還金について、直轄・補助事業がその八〇%、地方単独事業がその七〇%を普通交付税の算定において措置することにより、地方交付税の仕組みの中で、全体として財政調整をするということにいたしております。

橘(慶)委員 余り福田政務官に更問いはしたくはないんですけれども、今おっしゃったことは、まさに国とオール地方ではそれで成り立つということは私も理解するんです、交付税の世界で最後は調整されると。

 ただ、例えば、栃木県なら栃木県でこれだけの税収があったけれども、それで全部その事業にはならないわけですから、そこの部分というのは、それは自治体自治体で説明すればいいじゃないかと言われるかもしれませんけれども、一応、言ってみれば総務省さんが取りまとめ役ですから、別に技術的助言とは申しませんけれども、そこはどんな考え方をお持ちになっているのか。それとも、総務省さんとすれば、なるべくそういうのは、栃木県なら栃木県で上がった税収分はちゃんと事業をさせろということをお隣の吉田政務官にお話をされたいということなのか。いや、そうじゃなくて、それはそうではないんだよということなのか。その辺、もう一つ踏み込んでお願いいたします。

福田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 非常に説明が難しいかと基本的には思っております。

 先ほど申し上げましたように、直轄・補助事業の地方負担分それから地方単独事業についてはそれぞれ地方債の充当率を一〇〇%にいたしまして、交付税措置を、直轄・補助事業については八〇%、単独事業七〇%ということで、平均すると交付税措置率が七五%ぐらいになるかな、こういうふうに考えておりますが、収入の方では、一応、基準財政収入額には七五%を算定するということになっておりますので、ここで国全体としてはイコールになるということになるかと思いますが、二五%分については、それぞれその自治体が、余分にあれば、自由に、どちらにでも使うことができるようになるということになるかと思っております。

 非常に難しい、厳しい、苦しい説明でございますが、そうしたことでつじつまを合わせるといいますか、表裏を合わせるといいますか、そういうことだと御理解をいただければというふうに思っております。

橘(慶)委員 おっしゃるように、一面、自治体にとっては二五%ということでそれはいいことなんですが、それは自治体にとっていいことであって、住民と自治体との関係においてはまた違うということであります。

 これは、福田政務官に僕は余り更々はやりたくないものですから、大臣、今すぐとは言いませんが、もし後で何か御感想があれば。要するに、申し上げたいのは、もう少し住民と自治体という関係といいますか納税者と地方団体でどうかということで、もし後で大臣のお考えがあればお答えいただければと。少しお時間をお渡ししますので、お願いをしながら、学校施設耐震化のところをちょっと二つ聞かせていただきます。

 これは全体として、吉田政務官も来ていただいていますが、財政という意味ではこれから非常に難しい問題をはらんでいるということを思っているので、あえて城井政務官の方へ、来ていただいていますが、二問お願いしたいと思います。

 学校施設耐震化、今回の大震災の経験にかんがみまして、地域の防災拠点としての位置づけからの整備を求められるということで、少し事業の内容的にも拡充をされたということも伺っております。大変大事な、地域からも要望の強い、そして学校というのが防災拠点にもなるということも含めてのこれから耐震化の最後の追い込みじゃないかと思いますけれども、まずは、基本的に国としてどのようにお考えになっているか、文部科学省のお考えをお伺いいたします。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災におきましても多くの学校施設が応急避難場所としての役割を果たしたことから、安全性の確保とともに、防災機能の強化が極めて重要だということを私どもとしても強く認識をいたしております。

 文部科学省におきましても、地域の実情に応じた防災機能強化の向上について、地方公共団体に対してこれまでも要請をしてまいりましたことと、さらには、東日本大震災を踏まえた有識者による緊急提言等を受けまして、改めて周知を図ったところでございます。

 今後とも、地方公共団体の要望を踏まえつつ、必要な支援を図り、耐震化の推進とともに防災機能の強化を進めてまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 そこで、三次補正予算においては、学校耐震化については、私どもの党の主張も取り入れていただいて、前進をしておるわけでありまして、これは大変評価できることだと思います。

 二十三年四月一日現在の全国の耐震化率は八〇・三%で、前年より七%アップしているわけですけれども、なお耐震性のない学校の棟数というのは二万二千九百十一棟に上っているわけであります。

 ことしは、当初予算で八百五億円、一次補正で三百四十億円、三次補正で一千六百二十億円ということで積み増しをされて、地方の要望に国としてこたえてきていただいたわけでありますが、今後どのように取り組んでいくかということ、また現状、ここをやりたい、ここはお願いしたい、そういう自治体からの要望については満たされている状況であるのかどうか。来年度の予算要求ということもあるので、このあたりの実情をお伺いいたします。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 おかげさまで成立させていただきました三次補正予算におきましても、公立学校施設の耐震化、それから防災機能強化には一千六百二十七億円を計上いたしております。この予算の執行後には、公立小中学校の耐震化率は約八九%にまで向上する見込みであります。

 また、地方公共団体が二十四年度に計画している耐震化事業は約五千二百棟であり、このうち三千七百棟分については三次補正予算への前倒しで対応することといたしておりますけれども、残りの分、約一千五百棟についてでありますが、二十四年度概算要求等に計上するなどで対応できるようにと努めてまいりたいと思っております。御協力を願えればというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 ただ、これは、文部科学省さんの努力は大変これからもお願いしたいんですが、国の財政全体としての最近の予算編成を見ていると、私は心配いたしますのは、なかなか当初予算にはまらなくなってきた。当初予算のシーリングではどうしてもこういうものがはじかれて、補正予算ということがたまたまあるものだから、そこで計上していける。言ってみれば、吉田政務官の方の当初の査定では、ばさっと査定しちゃうんだけれども、では、後から入れてあげますよと。

 ただ、毎年補正の需要というのは必ずあるのかどうかということは、これはまたなかなか難しい。それがいいことか悪いことかもよくわからないということであります。本当は、財政規律からいえば、ちょっと違った話になっているということであります。

 そこで、これから全国防災という枠をつくって、そこへ入れていくのかどうかということ。これは一〇〇%というところで終わりが来ますからまだいい話ですけれども、しかし、言ってみれば、当初予算にはまらないということは、やはり問題意識としてあるべきじゃないか。本当は、やらなきゃいけないことを当初予算で措置するべきじゃないか。

 これと同じ問題は、地方と国の関係では、きょうはテーマにしませんでしたが、基金で行われている、例えば妊産婦の健康診査の問題であったり、安心こども基金の問題であったり、こういう基金ということで積んでいるものにも同じ問題があるわけであります。二十三年度で切れるものは結構あります。しかし、これを続けていくということになると、これもまた当初予算ではない世界でいつも措置しているということが往々にしてあるわけであります。

 そうすると、要するに本当に国の必要なお金はどれだけなのかということについて、さらに膨らむんじゃないかという心配を大変するわけです。このあたり、全体を財務省さんはどのようにお考えなのか。きょうは質問はいたしませんけれども、やはりそこをもう一度きちっと枠固めしないと、さっきの臨財債もそうなんですが、いろいろな形で、後年度負担あるいは第二予算みたいなことをし続けていくと、後から非常に困る、手に負えないことになるんじゃないか、こういう問題意識を持っているので、またよろしくお願いしたいと思うわけであります。

 そこで、この項、大臣に戻る前に最後に一つだけ。

 たばこ税については修正されるということでありますが、ここでは、一般的な事実関係といいますか今日までの事態の推移ということで、昨年十月に大幅増税がされたわけで、ちょうど一年経過したところであります。自治体における税の増減収の状況、そこから浮かび上がってくるたばこの消費動向について、把握されているところを自治税務局長にお伺いいたします。

岡崎政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年十月にたばこ税の税率が引き上げられたことに伴いまして、平成二十二年度の紙巻きたばこの販売数量は二千百二億本となりまして、前年度の二千三百三十九億本からマイナス二百三十七億本、一〇%程度減っております。この前の三年間が毎年大体四%台の減少でしたので、減り幅は大きくなっております。

 一方で、税収につきましては、販売本数は減少したものの、税率引き上げの効果が出ておりまして、平成二十二年度決算見込みによれば、地方たばこ税で一兆四百三十七億円、都道府県二千五百六十一億円、市町村七千八百七十六億円の内訳でありますけれども、前年度の一兆百六十三億円に比べまして、プラス二百七十五億円、二・七%の増収になってございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 大幅な増税ではあったわけですが、地方団体としては一応バランスはとれた。ただ、消費動向については一〇パーほど減ったということであります。何でも物事を余り急に進めますと副作用も大きくなりますので、ここはやはり、ぜひ事態もよく把握されながら進めていただきたい。そういう旨での先ほどの各党派からの修正ということになったのではないかと思います。

 では、これでこの項が終わるので、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 大変難しい問題になること自体はよくわかります。増税を皆さんにお願いして、これだけ税収がふえたなというときに、それで何をしたんだと言われたら、ちょっともぞもぞとなるという仕組みになっていることは事実でございます。

 ただ、私は、それぞれの首長さんも含めて、東北大震災において、やはり町の防災力を本当に強めなければいけないということは、首長さんだけではなくて、地域住民も大変関心の高いことでございます。そういう意味では、この増税額というか増収額は、結果的には、交付税措置で姿が見えなくなり、また違う形で再配分されるということになりますが、そういうことで回ってきた事業以外も含めて、やはり防災というか災害に強い町というのは全国共通の課題でありますので、そういう部分では、むしろ全体的には、そういう強いメッセージを出す予算、そして、事業の執行というのは、私は来年度は相当やられるのではないかというふうに思います。

 そういう中で、仕組み上、簡単に変える仕組みはなかなか思いつかない部分でありますので、ぜひともに、趣旨としては、そういうことも含めて、防災に強い町、全国の皆さんが自主的にも含めて取り組んでいただきたいということの一助になればというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。これから各自治体でいろいろ考えていかなきゃいけないことだと思います。

 地方税法の改正法について、あと残った時間で質問を続けさせていただきます。

 最初、法の改正されたところ、特に納税者の納税環境の整備ということで行われた部分について、ちょっとかたい質問が四つほど続きますが、簡潔にお答えいただければと思います。

 改正後の法第二十条の九の三第三項ということで、更正の請求をしようとする方々に対して更正請求書の提出を法文で義務づけたわけであります。まず、その趣旨をお伺いいたします。

岡崎政府参考人 更正の請求書の提出でございますが、実は、これまでも省令に根拠がありまして、提出をいただいておりました。今回の改正で、その提出の根拠を省令から法律に規定し直したということでございます。ですから、実際の手続は特段変わっておりません。

 省令から法律にいわば格上げした理由でございますが、今回、納税者の救済の観点から、納税者側から更正の請求を行うことができる期間を一年から五年に延長いたしました。それに伴いまして、課税の適正化の観点から、故意に内容虚偽の更正請求書を提出した場合には罰則をかけるという規定を設けましたので、その罰則規定の根拠となります行為を法律に規定する必要があったということでございます。

橘(慶)委員 このあたりは、明文化をしていく、そのことで罰則の根拠にもするということでありまして、多分、次も似たような要素があるのかと思いますが、改正後の法第二十六条等におきまして、自治体の徴税吏員の質問検査権ということで、物件、あるいは写しを含めてですけれども、提示、提出を求め、これを留置することができるということを明記されたわけであります。

 その趣旨、及び留置する際の「政令で定めるところにより、」というその条件について、確認をさせてください。

岡崎政府参考人 徴税吏員が行う質問検査の際に、帳簿書類その他の物件の提示それから提出の求めについても、現行も実は、納税者の了解の上で、実務上行われているところでございます。ただ、今回、国税通則法の改正にあわせまして、地方税法に規定を設けて、法令上明確化することにしたものでございます。提出を受けることになりますと、これに伴いまして、提出された物件の預かりとか返還の手続の規定も設けることになったということでございます。

 預かり、返還等に係る手続として政令で定める事項といたしましては、物件の名称その他を記載した書面、いわゆる預かり証的な書面を交付するということや、預かりの必要がなくなったときには遅滞なく返還しなければならないといったことを定める予定でございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、細かいですが、改正前の法第五十三条第二十九項、これを削除されたことによりまして、道府県民税の利子割額を道府県民法人税割額から控除するということにつきまして、当該法人税割額に係る申告書または更正請求書に控除額等を記載した書類の添付がなければ適用しないと。何か要件を厳しくされたようにも見えるわけですけれども、この趣旨を、技術的にはこれで最後の質問ですが、お伺いいたします。

岡崎政府参考人 御指摘の、法人税割額から道府県民税利子割額を控除するという関係の規定でありますが、現在の法律では、当初申告を行うときに、控除に関する記載、書類の添付をするということが適用の条件になっております。

 御指摘の、削除しました法第五十三条第二十九項につきましては、これらの記載や添付がやむを得ない理由により行われていないというときに適用を認めるという救済規定でございます。

 今回の納税環境の整備で、当初申告するときでなくても、後から更正請求を行ってこれらの書類を添付すれば、事後的に利子割額の控除の適用を認めるというふうに権利を拡大しました。

 したがいまして、利子割額の控除の適用を申告時に忘れても、別の機会で救済されますので、規定の必要がなくなったということで削除するものでございます。この一連の改正によりまして、納税者が利子割額の控除の適用を受ける機会は、むしろ現行よりも広がるということでございます。

橘(慶)委員 三点確認させていただきました。ありがとうございました。

 今回の税制改正、修正しているとちょっと数字は動くんですが、地方法人特別譲与税が、この税制改正によって法人税が動くことによって、ここの増収見込みが出てくるわけであります。

 この地方法人特別譲与税につきましては、いわゆる団体間調整をしようということで平成二十年度に導入されたわけで、当初二・六兆円くらいの金額で、言ってみれば富裕な団体とそうじゃない団体の間の調整をするはずであったわけですけれども、二十三年度段階では一兆六千億円にとどまっている。これは、景気の落ち込みで全体の税収が落ち込んでいるせいでもあります。これが今回の税制改正によりましてどういうふうになるのか、確認をさせてください。

川端国務大臣 御指摘のように、これは、平成二十年度にスタートしたときの想定としては二兆六千億円ぐらいということでありましたが、二十三年度では、地財計画で一兆五千六百四十一億円と見込んでいるところでございましたが、今回は、法人実効税率の引き下げということで、法人住民税が減収となります。一方で、課税ベースの拡大等により、法人事業税と地方法人特別譲与税は増収となりますので、今御指摘の地方法人特別譲与税は、平年度で八百四十九億円の増収が生じる見込みというふうに考えられております。

 一般的に、是正効果というのは税収が多ければ多いほど当然発揮されるという意味では、偏在是正の効果はそれなりには出るというふうに考えております。

橘(慶)委員 この法人税収の偏在の問題は、今は景気が悪くなったから余り出ていませんけれども、基本的には、制度的にはまだ問題があるわけでありまして、また地方税全体をこれから見直していく中では、この是正ということについては、要はいい意味での平等ということをお願いしたいな、このように思うわけであります。

 残った時間で、eLTAXのお話について聞かせていただきたいと思います。

 私も実際に自治体におりまして、このeLTAX、いわゆる地方税の電子化、あるいは国税との連携というのは非常に効果のあった、そして今も進んでいる取り組みだと思っております。そういう観点から、現状と、これからお考えになっているところを残った時間で少しお伺いしたいわけです。

 まず、平成二十三年一月段階で一千七百余の全自治体にeLTAXが接続しております。電子申告受付サービス対応団体も、全都道府県そして一千六十一市区町村にこの二十三年四月になっているわけであります。

 ただ、一千六十一と一千七百余ということで、六百ぐらい、六百余の団体がまだ電子申告受け付けをしていない。これはどこでもあまねくできるようになった方がいいと思うんですが、必ずしも規模の小さい団体がおくれているということではなくて、地域的には偏りもあるようにも思います。

 普及の現状、これからの見込みについて、自治税務局長にお伺いいたします。

岡崎政府参考人 eLTAXの現状と見通しでございますけれども、御指摘のように、既に全団体が接続しておりますが、申告受付サービス開始につきましては、ことしの末、来月末までに新たに二百近くの団体が電子申告受付サービスを開始することになっておりまして、平成二十四年一月時点では、全体の約七割に当たります千二百四十六市区町村が対応と見込んでおります。

 さらに、本年九月に総務省で実施しました調査において、平成二十四年度中に導入すると回答している団体を加えますと、平成二十四年度末には千四百四十九市区町村、全体の八三・二%でございます。人口カバー率でいいますと、九三・五%という数字に達する見通しでございます。

 それから、全国的な普及に伴いまして、地域間の取り組みにばらつきが出ているということも顕在化してきておりまして、平成二十四年一月時点で、県内すべての市町村でサービスを実施しているところが十七府県ございます一方で、対応する市町村が五割に満たないところが八道県ございます。

 以上でございます。

橘(慶)委員 このように、全国的には偏りがありまして、その後、やりますと言われた自治体があるのかもしれませんが、せんだって総務省さんからお伺いしたところでは、二十四年度末までの対応の予定がちょっとまだ決まらないというところが、人口二十万人以上の団体で五つ、十万人以上の団体で十八、五万人以上の団体で二十一あるということであります。

 こうなると、財政事情だけではない部分もあるわけで、なるべくなら、今ほど言われたとおり、もう九割以上の国民が電子申告の対応になっているわけですから、それはあまねく広げていくことが大事だと思うんですが、そういう大きな団体でどういう事情があるのか、また国として全体に普及させていくための取り組み方針、これは福田政務官にお伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十四年度中の電子申告受付サービスの導入予定については、約三百団体が調査時点では予定なしとの回答であり、その中には、御指摘のとおり、人口規模の大きな都市も含まれております。

 その理由を尋ねたところ、企業などの利用ニーズを見きわめたい、税務システム全体の改修、更新とあわせて行いたい等とのことであり、多くの団体が来年度予算編成の過程でさらに検討する見込みでございます。

 納税者の利便性向上、税務事務の効率化のためには、より多くの市町村において、特に企業、人口の集中する都市では早期に電子申告に対応することが求められております。総務省としても、引き続き所要の交付税措置を講じるとともに、未導入市町村の理解が進むよう、今後とも働きかけてまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 企業ニーズの把握云々と言われても、九割方はみんなやっているということで、それは当然ある話でありまして、ぜひお願いしたい。

 というのは、その次の国税連携ということの効果も非常に大きいものですから、国税連携ということも含めて考えると、なおeLTAXというのはいいと思うんですけれども、所得税の確定申告書のデータを税務署から直接データ送信して各自治体が受け取ることができるように、平成二十三年一月からなったわけであります。そのことによって、例えばデータの二度打ちであるとか、こういうことがなくなっていくということになるわけでありますが、改めて、この国税連携の効果、それから今後の課題について、福田政務官の方からお願いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 国税連携の開始前は、市町村の職員が各税務署に出向いて、個人住民税の課税に必要な所得税確定申告書の写しを入手し、パンチ入力を行っていたところでございますが、国税連携の開始により、所得税確定申告データが電子的に提供されており、市町村にとって、事務の大幅な効率化や課税誤りの減少など、大きな効果が上がっております。

 一方で、これまでの書面を前提とした作業工程の見直しが不十分なため、パンチ入力を併用するなど、国税連携を生かした事務の効率化ができず、初年度には思うような効果が上がらなかった市町村もあると聞いております。

 総務省としても、先進的な市町村の取り組み事例を紹介するとともに、国税庁などと連携して、運用面の改善に取り組むなど、所期の目的を達成できるように努めてまいりたいと思っています。

橘(慶)委員 今ほどありましたその二度打ちみたいな問題は、当然必要がないわけで、そういうのは理解をいただきながら、やはり事務が効率化する、課税の誤りがなくなる、それから法人側からすれば、例えば源泉徴収なんかのときのデータも、データとして一括で出せばそれで済む、あちこち出さなくてもよくなると、非常にメリットがあるわけであります。あわせて、そういう意味では、最後に質問する番号制度ということも、今いろいろお考えの中で、そういったもののプラットホームにもなっていけるものだと私は思うわけであります。

 ぜひ、こういったeLTAXあるいはそういう思想で地方の自治体の課税事務というものをより効率化していただきたい、そして安定的なものにしていただきたいと思うんですが、二十四年度から取り組む予定の自動車税の納税確認の電子化の内容、これは予算要求にも絡むことでありますが、納税者のメリットについてお伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 現在は、御承知のとおり、継続車検時に自動車税の滞納がないことを確認するため、自動車ユーザーに納税証明書の提示を求めております。

 納税確認の電子化は、ユーザーの手を介さず行政庁間、車検を行う運輸支局と課税庁である四十七都道府県との間で直接、電子的に情報をやりとりしようというものであります。

 これにより、納税証明書の保管、提示や、紛失した場合の再発行申請が不要となるなど自動車ユーザーの負担が軽減されるだけではなく、証明書再発行、全国で年間七百万枚を超えますけれども、そうしたことに係る都道府県の事務負担も軽減されるものと期待をいたしております。

 国土交通省が二十四年度から二カ年かけて運輸支局側のシステム改修に取り組むのにあわせて、都道府県側のシステム構築の取り組みが着実に進むよう、総務省としても支援してまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 何とか最後までたどり着きまして、番号制度でありますけれども、これからいろいろ検討されるということでありますが、今申し上げたように、eLTAXということでこういう実務的な連携を深めていくということが、最終的に共通番号ということになった場合に、そのメリットがより上がりやすい、よりスムーズに入っていきやすいと思うんです。

 そういう意味で、総務省さん、ぜひこれを財務省さんと連携されながら、あるいは場合によっては厚生労働省も絡むのかもしれませんが、進めていただきたいと思うんですが、最後に、大臣から今後の発展方向の考え方をお伺いいたします。

川端国務大臣 今検討されております番号制度は、番号をキーとして、社会保障情報、納税情報等々、いわゆる添付資料がないとか正確であるとか、今のeLTAXの効果が幅広く、当然、個人情報のセキュリティーは最大限の配慮でありますけれども、という効果をもたらす、大変大きな進歩をもたらすものだというふうに承知をしております。

 そういう中で、まずは、基本的に電子化がしっかりされていなければいけないという大前提がございます。そういう体制を含めて、電子化とデータのいろいろな処理の体制がしっかりできているというのは大前提であります。この部分では、eLTAXは既に人口でいえば九三%、もう少しで一〇〇%というところまで来ているという部分では、こういう部分を有効に活用することがぜひとも必要であるというふうに思っております。

 これからの番号制度の議論においても、我々も、こういう特徴を生かすようなシステムができるように、これからも取り組んでまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。

原口委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 まず、震災復興特別交付税についてお伺いをいたします。

 私たち自民党では、震災の復旧復興のためのチームをつくりまして、自治体に対してどういう支援スキームをするのかというようなことを発災直後から検討しました。そして、各首長さんたちあるいは被災地の議員の方々とお話をしながら、我々のスキームというものをつくり上げました。

 その中で特に要望が多かったのは、国が責任を持って、とにかく財源の保障、そして震災の復旧復興のための方向性を示してほしい、国の責任というのがまず第一である。二番目は、やはりスピードである、とにかくスピードが大事であるということ。そして三番目は、自治体の裁量性、国が責任を持ちながらも、自治体の裁量権を持った財源が欲しい、予算が欲しいというようなことでありました。

 それを考慮しながら自民党としてつくり上げました東日本大震災の復旧復興の財政支援のスキームというのが、このお配りしました資料のとおりでございます。

 まず、この前提として、先ほど言いました、国の直轄事業や国の責任感あるいは国の財源、これをしっかりと明示することというのが大前提であります。その上で、一階建て、二階建て、三階建てというようなイメージをつくりまして、地方交付税で一定の増額をして、そしてその中で震災の復旧復興に当たっていただくということを考えました。そして、二階建て部分が復興特別交付税という、今回の震災復興特別交付税と同じようなものでありますけれども、これをやはり早急に各自治体に交付するというようなことを考えました。そして、三階建てに、各市町村向けに災害臨時交付金五千億を積むということでどうかというようなことをやりました。

 この三階の部分というのは、各市町村長さんから、とにかく、各市や町、自治体で考えて早急に手を打たなければならないものがいっぱい出てくる、それを一々国の方に報告する、あるいは交付税措置まで待つ、特交措置まで待つということになると非常にそこにロスが出てくる、だから、市町村長あるいは議会の裁量として使えるような交付金が欲しいということでありました。

 民主党が考えておりますところのいわゆる一括交付金と同じようなものであります。一括交付金の場合には、その積算基礎というのが非常に難しくなりますけれども、この災害臨時交付金の場合には、積算基礎というのは、それは災害の被害に応じていろいろな形で積算できるわけですので、これは可能であるというようなことを私たちの方で考えました。

 そして、この災害臨時交付金につきましては、参議院先議ということでその法案を出させていただきました。全野党の賛成によりまして可決をいたしました。現在、この総務委員会に付託をされているところでございます。ですから、この災害臨時交付金の制度あるいは趣旨、これはぜひ委員の皆様方にもあるいは大臣にも御理解をいただきたいというふうに思います。

 そして、なおかつ、それでもやはりいろいろなところで足りない部分も出てくるだろう、自治体としていろいろな形で補強しなければならないものも出てくるであろうというようなことで、きずな基金というものを県に設けようではないかと。そして、県のきずな基金を取り崩し型三千億ということにして、市町村自治体と県の方で連携を組みながら、足りない部分、あるいは県の方がさまざまな形で主導権を持って進める部分、そういうものについてはこのきずな基金を使って、効率的、効果的な復旧をやっていこう、あるいは復興に導いていこうというのが自民党の考え方であります。この中に、財源の責任性確保、迅速性、あるいは裁量性、そして自治体同士の互換性、こういったものを考えてこのスキームというものをつくり上げました。これは、ぜひこれからも尊重をしていただきたいというふうに思います。

 それで、今回の震災復興特別交付税でありますけれども、この交付税そのものは私は評価をいたします。そこに図でかいてありますとおりに、復興交付金というのが一兆五千六百億、交付金として予算化されておりますけれども、今後、復興交付金の、地方負担分に充てられるということでありますので、地方負担分がなくなる、このことについては非常にやはり地方としてはありがたいと思いますし、それが一次、二次補正分についても同様の措置がとられるということで、これは地方にとって非常にありがたいことであるというふうに思いますが、それ以外にどういうものに使われるのか、交付税として範囲がどこまでなのかというのがもう一つはっきりしないというところがあります。

 先ほど言われましたように、支援をした自治体、支援元の自治体に対しては、今回のこの震災復興特別交付税には入っていないということでありますけれども、それでは、避難民を受け入れている方々に対して受け入れ自治体がさまざまな形で財政支出をしている、そういうところに対してはどうであるのか。あるいは、瓦れきの受け入れ自治体、こういったところに対してはどういう交付措置になるのか。それから、それ以外の、財特法以外の被災地、あるいは東日本大震災の財特法以外のさまざまな地域に対しても、自治体に対しても、この交付税というのが交付されていくのか。その辺の輪郭というのをもう少し御説明いただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

    〔委員長退席、内山委員長代理着席〕

川端国務大臣 まず、御党が中心となって、参議院で通過をし、今送られているスキームの御説明がございました。一刻も早く、できるだけきめ細かく、そして安心が与えられるように、復旧復興が加速するようにという思いでおつくりになったことには改めて敬意を表したいと思いますし、その思いは我々も共通でございます。その部分で、そういう思いを受け継ぐ中で、何とかよりよいものとしてやるということで今回考えたということは御理解をいただいていると思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 そういう中で、当該団体がいろいろ考えてやっていただくということは当然のことであり、それをお手伝いするのですが、いろいろな部分で、人的な応援をしていただいたり、被災民を受け入れていただいたり、あるいは瓦れきでありますと、他自治体で受け入れて処理をしていただく等々、いろいろな費用が全国の自治体に発生することは当然ながら想定をされております。

 そういう部分で、応援して人を出したときの費用等々は、当然のことながら、違う自治体で避難民を受け入れていただくときに、もともとの住民に対する行政サービスを肩がわりしていただくための仕組みと財政措置も講じておりますし、震災の対応にかかわる部分に関しては、特別交付税あるいは法的な措置を含めてしっかりと財政支援ができるようにということで、できるだけきめ細かく対応しているつもりでございますし、また、いろいろな観点での御指摘に関しては、御示唆をいただければきめ細かく対応することを考えていきたいと思います。

 具体的に申し上げますと、例えば災害廃棄物処理事業、あるいは復興木材安定供給等の対策事業というふうに、復興のために使う木材に関しては全国から木材供給を円滑にするように支えようということも考えておりますし、それから被災者の受け入れに要する経費は基本的に災害救助法で求償する等々、いろいろな仕組みを駆使して、いずれも被災団体に対して国庫補助負担金が措置されているということで、その地方負担分については全額をこの震災復興特別交付税で措置することといたしておるところでございます。

坂本委員 先ほどこれは谷委員もそれから橘委員も同趣旨のことを聞かれましたけれども、この交付税、今回一回きりなのか、それとも二十四年度も含めて、あるいは今年度も含めて、どういうふうな今後の展開になるのか、交付措置になるのかというのがやはり自治体にとっては非常に不安な部分があると思います。これをもう少しはっきりと示していただきたいと思います。

川端国務大臣 この震災復興特別交付税は、国庫補助負担金の部分を交付決定を受けて、地方負担額を把握して、算定して、それを全額手当てするということでありまして、事務的に一定のスケジュールがかかりますので、本年度においては来年三月を目途に支給するということで、結果的には今年度は一回だけということになるというふうに思っております。

 国庫補助事業が繰り越された場合等、震災復興特別交付税の一部を平成二十四年度において交付することとなりますし、その場合は、どの時期に交付するかということに関しましては、被災団体の財政運営に支障が生じないように、事業の実施状況を勘案して、まさに適時適切に決定、配分を行うように対応してまいりたいというふうに思っております。

坂本委員 そのことはぜひ、国と地方の協議の場でも、あるいは地方六団体に対してでも、やはり総務大臣としての発信をお願いいたしたいというふうに思います。

 やはり、政治主導とか国が責任を持つというのは、本当にこういう被災、災害のときは大切だと思います。

 例えば、先ほど加藤紘一先生から話を聞いたんですが、阪神・淡路大震災のときに、当時の野中広務自治大臣は、とにかく各自治体から応援を出せ、応援に行かなかったところは特交を減らすというところまで言ったそうなんです。そして、調べてみたら、加藤紘一先生の地元の鶴岡市は出していなかったので確かに特交が減っていたというようなことがあったようであります。私は、特交を恣意性が強いから六パーから四パーに減らすとかいうのは、それは一つの考え方でしょうけれども、やはりこういうときこそ特別交付税の持つ性格というものを十分に活用することは大事であるというふうに思います。

 それから、瓦れきの処理の受け入れに対しても、きのうだったですか、おとといだったですか、新聞に載っておりました。今、できるだけ各自治体で受け入れてほしいというふうなことを国の方が発信しているようですけれども、やはり対応としては遅いと思うんですね。もっと早急に、二千五百万トンあるわけですから、二十年分あるいは五十年分、六十年分のところもあるわけですから、こういうものについては、やはりお互い痛みを分かち合うということで、もっと早く総務大臣なりあるいは総理なり、そういうところから各自治体に対して協力を要請する、こういう責任性、これはぜひこれからもっと強く出してもらいたいと思いますけれども、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 これはかねてから各自治体に対して要請を、環境省が中心でありますが、私たちも協力して要請をしてまいりました。

 当初は、ほとんどの自治体が協力しますということで手を挙げていただきました。ところが、いろいろな事態の流れの中で、手を挙げているけれども実はということで、とまってしまったという状況がありました。

 それで、個別にいろいろな状況で御説明をし、御理解いただく働きかけは続けてまいりましたが、もっと、確かにメッセージ性が少ないではないかということも含めて、改めて環境大臣が中心となって今要請をしていると同時に、きのうの全国知事会議でも、改めてみんなの前で御要請をいたしまして、知事会は知事会で、きのう、自分たちのお集まりの中でも、どうして受け入れようかということで、みんなで協力しようというお話をしていただいているやに伺っております。

 我々としても、このままでは何十年かかっても処理できないというふうな事態の量でありますので、ぜひともに、力を込めて協力要請とお願いをしてまいることをやってまいりたいと思います。

坂本委員 ぜひお願いをいたしたいと思います。

 例えば、首都直下型地震が起きた場合にどれだけの瓦れきが出るかというのは、この予測はもうできております。そして、どうやって処理するかというようなことも日本浚渫協会あたりの方でつくられております。今度の瓦れきの量が二千五百万トンでありますけれども、首都直下型になると九千万トン、その四倍ぐらいになるそうであります。それはどうやって処理するか、やはり全国の自治体が、陸路、海路受け入れて、そして二十年、三十年かけて処理するというような方針も出ているところですので、これからでもそういう強いメッセージ性を国としてあるいは総務省として出していただきたいというふうに思います。

 続きまして、個人住民税の引き上げについて、基本的なことからお伺いをいたします。

 どうしてもこれは我々総務委員の立場としては、やはり結局財務省におつき合いされただけじゃないか、なぜこの復興のための財源として個人住民税の均等割なんだというような思いをぬぐえません。

 まず、矛盾を第一に感じますのは、やはり全国防災対策ということになりますと、被災地、あるいは関東、そして東海、中南海、南海、こういったところがどうしても中心になって防災対策費の配分というのが行われざるを得ないというふうに思いますけれども、これは自治体の税の、この個人住民税の増収分と比例するものではありませんので、ここにまず第一の矛盾というのがあります。

 それから二番目に、個人住民税というのは、所得税と違って、地域住民に対する応益性というのがやはり非常に強いわけです。とりわけ均等割の部分がその性格を一番あらわしているわけですね。なのに、全国防災対策という名のもとで引き上げというのは、やはりこの均等割の税本来の意味とは違う、趣旨とは違うというふうに思います。

 そして三番目に、住民税均等割は、やはり課税の自主権を持っている貴重な財源の一つです。ですから、森林づくりとか地下水の保全とか、こういったもののためにそれぞれの自治体がこの均等割部分を引き上げるというようなことにしておりますので、やはり住民と直結した税であるということでありますし、所得に係る控除の割合も少なくしてあります。

 こういった中で住民税というのが構成されているわけですので、それを千円引き上げて、そして住民の方々に御理解いただくというのはやはり非常に無理があることであるというふうに私は思います。

 そこをどうやっていくかというのは非常にこれから考えなければいけないことですけれども、市町村長さんたちと話をしますと、結局自分たちが引き上げた、自分たちの町が引き上げた、あるいは市が引き上げたということで、首長さんのところに住民から必ず抗議が来る、これに対してどうやったらいいだろうかということで今悩んでいるということをおっしゃっておられました。

 こういった税の性格、そして予算配分と地域増収分の矛盾、国民への細かな説明、これを今後どうやって行っていかれるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

川端国務大臣 先ほどの橘先生の御質問とも重複する部分で、原理原則でいうと、先生の整理の部分が基本であることは間違いないというふうに思います。

 そういう中で、トータルでいえば、国民、それから地方自治体、首長さん、議会を含めて、全国での防災の重要性とその力の強化ということは国民のあまねく強い関心事であり、行政のニーズであることは事実だというふうに思っています。

 そういう意味で、全国民がひとしく受けていただくという意味で地方住民税で幅広く薄く御負担をいただく、こういう大きな意味での趣旨は国民の皆さんに御理解をいただけるというふうに思うんですが、このことの周知徹底はしっかりと、ホームページやいろいろな形で、それから首長さんとの意見交換の場でも既に伝えているところでございますが、ダイレクトに、税収が上がった部分がそのままそこでの事業にならないというのは御指摘のとおりでございます。

 そういう部分はありますが、一定の耐震であるとか防災のデジタル化というふうな事業に関して言えば、間違いなくそこの防災力の強化につながることは事実でありますので、応益性を持っていることも事実でございます。ぜひともに御理解をいただきたいというふうに思っています。

坂本委員 今後、この税の問題、それから公務員の人件費の問題、これは大きく国と地方の問題にかかわってくることでありますので、ぜひ、きめ細かなさまざまな説明あるいは政策、そういったものをお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

内山委員長代理 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

内山委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

内山委員長代理 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問させていただきます。

 まず、震災復興特別交付税について伺いたいと思います。

 本改正案では、平成二十三年度地方交付税に、震災復興特別交付税として一兆六千六百三十五億円を増額計上するということで改正されております。

 私は、まず基本的なことから順次伺っていきたいと思うんですけれども、この震災復興特別交付税は、特別交付税の名称はついておりますけれども、御案内のとおり、通常の特別交付税とは異なる特例が設けられております。このことは御承知済みのことですけれども、このようなものは阪神・淡路の大震災を含めてこれまで設けられたことがなくて、全く新しい制度である、このように認識をしております。

 そこで、まず、今回、なぜこのような全く新しい震災復興特別交付税を新設する必要があったのか、それから通常の特別交付税との相違点、ここがこう違うんだということを御答弁いただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 震災復興特別交付税は、東日本大震災が我が国全体に未曾有の被害と影響をもたらしたことにかんがみ、集中復興期間中、平成二十三年度から平成二十七年度の復旧復興対策として必要と見込まれる支出十九兆円程度について、特別に財源を確保して対処することにしたこととあわせて、これまでにない対応として、地方負担分を地方債により措置するのではなく、地方交付税の増額を行い、事業の実施状況に合わせてその全額を措置し、財政負担をゼロとすることにより、被災団体に対して財源面での確かな裏づけを行うために創設したものであります。

 また、通常の特別交付税とは別に決定、配分することとし、翌年度への繰り越しも可能としております。

 このため、総額特例法案において、震災復興特別交付税の額の決定時期及び決定時期ごとに決定すべき額について、通常の特別交付税とは異なる特例を設けること、震災復興特別交付税は、復旧復興事業等の実施状況を勘案して、平成二十四年度分として交付することができることとすることなどの改正を行うこととしております。

稲津委員 基本的なフレームについて御答弁いただきまして、自治体の負担をゼロにするということ、それともう一つは、要約すると、非常にタイムリーな形で措置をしていく、言うならば迅速にやっていくということが多分ここの柱になってくると思うんですね。果たして、本当にその迅速さが適用されるのかどうかということについて、後ほどまたこれに関連して質問させていただきます。

 次に、今回の三次補正の大きな柱であります東日本大震災復興交付金との関係について伺っていきたいと思うんです。

 復旧復興のうち、復興事業を行う復興交付金は、多省庁にまたがる事業を一括交付金化して、被災した地方公共団体の復興地域づくりに必要ないわゆるハード事業等を幅広く一括化するということで私も認識をしておりますけれども、ただ、もともとある補助事業を一括化したがゆえに、制度上は地方負担が出てきてしまう。そこで、この復興特別交付税になってくるわけです。

 復興交付金を活用する際に発生する地方負担分と復興特別交付税との関係はどのようになっているのか、これも、基本的なことですけれども、伺っておきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 震災復興特別交付税は、第三次補正予算に伴う地方負担分を初め、東日本大震災からの復旧復興の事業に係る地方負担分を措置するために創設するものでございます。

 したがいまして、第三次補正予算に計上された東日本大震災復興交付金の地方負担分三千二百四十二億円についても、その全額を措置し、被災団体の負担をゼロにすることとしております。

稲津委員 そこで、ここから先は少し具体的にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、平成二十四年度における交付について、この点をまずお伺いしたいと思います。

 今回の震災復興特別交付税の額のうち、復興事業費の実施事業を勘案して定める額については、平成二十三年度に交付をしないで、平成二十四年度に交付ができることとする、こうしてあります。

 このようないわゆる繰り越しが認められるというのは、国庫補助事業に伴う地方負担額の確定に一定の時間を要する、したがって、平成二十三年度中に全額交付することが困難な場合も見込まれるだろう、こういうことで、それが大きな理由だと思うんですけれども、それ以外に何か理由があるのかどうかということ。それから、二十三年度に交付されるものと、もう一方では二十四年度に繰り越しされるもの、どういう基準でそこを判断していくのかということが一つのポイントだと思うんです。この点についての見解をお示しいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 震災復興特別交付税により、東日本大震災からの復旧復興事業に係る第一次から第三次までの補正予算に伴う地方負担分等に対応しているところでございます。

 先生御指摘のとおり、国の補助事業などが平成二十四年度に繰り越される場合の取り扱いについては、震災復興特別交付税は、総額特例法案において、復旧復興事業等の実施状況を勘案して、平成二十四年度分として交付することができるとしているところであり、これらの事業に係る地方負担分は、平成二十四年度に震災復興特別交付税により措置されるということになります。

稲津委員 二十四年度に繰り越しができていくということは、非常に柔軟であるという視点では私は大事なことだと思うんですけれども、あえてここで一言言わせていただきますと、二十三年度というのは、今はもう十一月の末ですから、残りあと四カ月少々しかないということですね。今さら言ってもしようがないんですけれども、例えば二次補正のときの予算の額の問題、それから三次補正の出てくるタイミング。先ほど冒頭に、要するにこれらの制度については迅速にということが一つのベースになるんじゃないかということを私は申し上げて、それと意を同じくする答弁があったと思うんですけれども、そういう意味では、今さらこの時点でどうこうと言うわけじゃないですけれども、ここに至るまで、いささか迅速さを欠いていたんじゃないだろうかと私は言わざるを得ないと思うんです。

 ただ、その上で、今後のこれらの執行等については、まさに柔軟に、かつ迅速にやっていただきたいということが一番大事だ、被災自治体から声としてたくさん寄せられていることですので、このことをぜひこの機会に申し上げたいというふうに思います。

 次に、取り崩し型基金について伺いたいと思うんですけれども、これも基本的なことですが、まず基金の概要についての質問です。

 先ほどの質疑の中でもございましたけれども、二次補正における特別交付税のうちのいわゆる増額分として二千億円、この程度を措置する予定だ、このように聞いております。まず、復興基金の創設の趣旨について説明をいただきたいのと、被災自治体からも使い勝手のよい復興基金については特に強い要望があった、このように聞いております。制度の概要も含めて、この点についてお示しいただきたいと思います。

    〔内山委員長代理退席、委員長着席〕

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 平成二十三年度第三次補正予算において、東日本大震災からの復旧復興事業に係る地方負担分について、地方交付税を一兆六千六百三十五億円加算するなどにより、個々の被災団体における負担をゼロとすることといたしました。

 これにあわせて、東日本大震災からの復興に向けて、被災団体が地域の実情に応じて、住民生活の安定やコミュニティーの再生、地域経済の振興、雇用維持などのさまざまなニーズについて、単年度予算の枠に縛られずに弾力的かつきめ細やかに対処できる資金として、復興基金の創設について支援することといたしました。

 現在の低金利の状況を踏まえ、従来の運用型基金ではなく取り崩し型基金により対処することとして、特定被災地方公共団体である九県が取り崩し型の復興基金を設置することとなる場合について、特別交付税により財政措置を講じることといたしております。

 この措置予定額の総額千九百六十億円は、これと対応する阪神・淡路大震災復興基金への実質的な措置額九百六十億円程度の二倍を超えるものでございます。現段階で見込まれる公費ベースでの復旧復興事業費が阪神・淡路大震災の二倍程度であることなどから、各地域における復旧復興ニーズに対して相当程度の対応ができるものと考えております。

 また、基金を具体的にどのように使うのか、どのような運用をするのかについては各県の判断にゆだねられておりますけれども、基金規模の算定は市町村の財政需要を踏まえたものであり、きめ細やかな事業を実施するという基金の趣旨からも、市町村事業に十分に配慮した運用を期待しているところであります。

稲津委員 ありがとうございました。

 今回の復興基金というのは、その算定方法というのは、阪神・淡路大震災における復興基金を見ながら、各自治体の標準財政規模の割合を基礎として算定している、こういう御答弁が今ありました。

 そこで、伺いたいんですけれども、一点目は、今回のような復興基金が、阪神・淡路大震災において、またそれ以降の大規模地震においてどのような効果があったと認識されているのか、このことをまず伺いたいんです。

 それからもう一つは、これが一番大事なことなんですけれども、今回のこの基金について、想定される基金事業といったものはどういうことを考えておられるのか、それから各自治体の対応状況は現時点ではどうなっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 阪神・淡路大震災復興基金などの過去に創設された基金については、復興に係るさまざまなニーズについて、弾力的かつきめ細やかな対応が可能であったことや、一定期間、復興支援を継続的に行うことを明らかにして、被災者に対して安心感を与えることができたものと考えております。

 今回の復興基金の使途については、これまで同様、交付税は使途に制限のない一般財源であることから、各県の判断にゆだねられるものであります。

 なお、過去の復興基金の事例や東日本大震災における被災者の状況などを踏まえると、例えばでありますけれども、震災遺児・孤児、高齢者、障害者といった災害弱者への対応や、二重ローン問題への対処など住民生活の安定に関する事業、地域活動の支援やその拠点施設の整備などコミュニティーの再生に関する事業、地場産業の振興、商店街活性化や就労支援など地域経済の振興、雇用維持に関する事業、文化、芸術の復興や、災害の記録、伝承等の事業といった幅広い分野において、それぞれの地域のニーズに即してきめ細やかに対処していくことが考えられるところであります。

 また、現在、それぞれの被災県において具体の内容について検討していただいておりますが、いずれの県においても、地域のニーズに即して措置予定額の全額を活用されることとして、十二月県議会に復興基金に係る予算案や条例案を提出する方向で検討されていると伺っているところでございます。

稲津委員 細かく説明、御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 そこで、後ほどこれに関連して伺っていきたいと思うんですけれども、その前に、これは具体的に伺いますけれども、復興基金と復興交付金との関係について伺っておきたいと思うんです。

 今回、国から被災自治体に対応されるさまざまな制度として、一つは復興特別交付税、そして復興交付金、それから今御答弁いただきました復興基金。一般の方々からは、三つともなかなかよくわからなくて、同じようなものじゃないんですか、こんな声もいただいているところです。

 それはともかくとして、阪神・淡路大震災、それからそれ以降の大規模地震でも、今回のような多省庁にまたがるような、そういった事業を幅広く一括化する交付金の存在というのがなかったということ、それぞれの省庁がそれぞれの事業を行ったということだと思います。

 そういう中で、復興基金というのは、いわゆる復興事業に当てはまらないものですとか、今、地域のニーズに即したものという話がありましたけれども、ある意味ではそこからこぼれてしまうようなもの、こういったものにも対応できる、私はこのように認識をしているんです。自治体にとって非常に使い勝手のよいものであった、このように思います。

 しかし、今回は、一括交付金として、この時点でも使途の自由度の大変高いもので、ハード、ソフト、こういった事業にも十分対応できる、そういうことでこの復興交付金が新たに創設された。

 ここで伺っておきたいのはこの復興交付金についてなんですけれども、これは簡潔でいいですけれども、基本的な制度の概要、それから、この使途の緩やかな資金というんでしょうか、それを確保するための効果促進事業ですか、これはどのような事業を想定しているのか、この二点についてお示しいただければと思います。

佐川政府参考人 お答えします。

 復興交付金でございますが、今般の三次補正予算において措置しましたが、地方公共団体において使い勝手のよいものとする観点から、著しい被害を受けた地域の復興地域づくりに必要となるハード事業、四十事業をまさに基幹事業として幅広く一括化して、市町村等の自主的な計画に基づく地域づくりを可能としたところでございます。

 それから、今先生の御指摘の効果促進事業でございますが、この基幹事業に加えまして、非常に使途の自由度の高い資金を確保したところでございます。具体的内容につきましては、専ら個人や法人の資産形成をするための事業などは除きますが、必ずしも今までの補助メニューにはない、地域復興のための基幹事業の効果を増大させるために必要なハード、ソフトもろもろの事業を幅広く支援することとしておりまして、これによりまして、地公体の自主的な計画に基づく復興事業のニーズに柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。

稲津委員 これは質問じゃないです。ちょっと確認をしておきますけれども、基幹事業でハード四十という話があって、かつ、この基幹事業の効果をさらに促進するために効果促進事業があって、それは個人、法人は基本的に除くんだというような御答弁だったと思うんですけれども、どうぞ。

佐川政府参考人 失礼しました。

 今、個人、法人と申しましたのは、個人、法人の資産形成をするような事業を除くということでございまして、具体的なイメージで申しますと、例えば防災公園を基幹事業で整備しましたならば、その場合の避難路を整備するとか、あるいは高台移転の事業を行いましたら、高台と下を結ぶようなバス路線を維持するとか、そういう非常に基幹事業と関連して自由な事業をやっていただくという趣旨でございます。

稲津委員 わかりました。

 そこで、今度は総務省にお伺いをさせていただきたいんですけれども、復興交付金と復興基金というのは簡潔に言うとどういう位置づけになるか、そういう質問なんです。

 復興交付金がまず第一番目にあって、基幹事業でも雇用促進事業でも仮に当てはまらない事業があった場合、それをぜひ自治体がやりたい、こういうニーズがあったときに、では、それは復興基金を活用してやることになるのかどうかということなんです。この点について御答弁いただければと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 基本的な違いは、復興交付金は国庫補助事業の一つであるということ、復興基金については、まさに使途に制限のない一般財源である特別交付税により財政措置を行うものでございます。

 先生御指摘のとおり、これにより、復興交付金の対象とならない事業を初め、被災団体が地域の実情に応じて、住民生活の安定やコミュニティーの再生、地域経済の振興、雇用維持などさまざまなニーズについて、国の制度のすき間を埋め、単年度予算の枠に縛られずに弾力的かつきめ細やかに対処できるものがこの復興基金でございます。

稲津委員 そこで、今のことに関連して、一つ具体的に教えていただきたいんですけれども、住民生活の安定とかコミュニティーの維持という話がございましたね、柔軟に、かつ弾力的に使える事業と。先ほどの内閣官房の方の説明の中では、個人資産のものは除くけれども云々という話がありました。

 ここで大事なことは、何を伺いたいかというと、集団移転事業なんです。集団移転事業は、必要なんだけれどもなかなか思うように進んでいないという実態があったりして、非常に悩ましい問題が幾つかあると私は聞きました。

 例えば、土地の所有者が土地を時価で売却せざるを得ないときに、実際には簿価との差額分、随分乖離があって、では、ここをどういうふうに見ていくのか。例えば、自治体の方が今ありました基金を柔軟に活用してそこを埋めていくとか、むしろそういうことをやらなければ、私は、高台への集団移転事業なんというのは思うようにいかない部分もあるんだろう。

 それ以外にも幾つかあると思うんですけれども、こういった時価と簿価の差額分等について活用することが可能かどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 例えばでありますけれども、防災集団移転促進事業につきましては、四分の三がこの交付金で出るということになっておりますが、残りの部分はこの基金等で埋めることが可能になっておりますので、そのことについてもし自治体が条例などで決めて判断をすれば、使えるものと考えております。

稲津委員 ということは、繰り返しで恐縮ですけれども、今私が質問したことに関しては、これはできるという理解でよろしいですか。

福田大臣政務官 国の防災集団移転促進事業として一括交付金の対象になれば、多分可能になるものと考えております。

稲津委員 大変明快な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 これは非常に大事なことだと思っていまして、このことで随分いろいろな方々が気にとめております。したがって、今のできるという御答弁、もちろん集団移転事業に即したものであればできるということでございますので、ここは明確になったと思います。ぜひそのような取り扱いをお願いしたいと思います。

 次に、財政規律と予算の適正な執行ということで順次伺ってまいりたいと思いますけれども、まず、復興特別交付税における財政規律について伺いたいと思います。

 復興交付金は、被災した各自治体が復興計画をつくって、そして関連する県の事業も含めていわゆるパッケージでこれを国に提出して、それに基づいて交付金が配分される仕組みになっている、こう理解をしております。使途の自由度が高いとはいえ、もちろんこれは計画に基づいて配分されるわけですから、その時点である意味で事前チェックがきいている、このように思っております。

 しかし、もう一方では、最終的な地元負担分というのは、今までの質疑の中にありましたように、復興特別交付税で手当てされるので、被災自治体は実質的に自己負担なしに復旧復興事業が可能になってくるということ。

 これは少し考え過ぎかもしれませんけれども、しかし、ある意味でここはひとつ明確にしておきたいことなのでお伺いしますけれども、例えばこういう仕組みの中で考えていったときに、仮に、必ずしも優先順位、優先度が高くないような事業がこういう中に入ってきて実施されるという懸念はないだろうかということなんです。この点についてどう見ているのか、見解を伺いたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 震災復興特別交付税は、東日本大震災が我が国全体に未曾有の被害と影響をもたらしたことにかんがみ、被災団体に対して財源面での確かな裏づけを行うため、復旧復興対策として必要と見込まれる支出について特別に財源を確保して対処することとしたことにあわせて、これまでにない対応として、地方負担分を地方債により措置するのではなく、地方交付税の増額を行い、事業実施状況に合わせてその全額を措置し、財政負担をゼロとするものでございます。

 先生の御指摘の点も心配されますが、被災団体の行う復旧復興事業は、復興計画などの策定の段階から復興対策本部を初め関係省庁との協議や調整が行われるとともに、議会等においてもその必要性、費用対効果などについて十分に議論された上で実施されるものであり、真に必要な事業を厳選した上で取り組んでいただけるものと考えております。

稲津委員 今の御答弁は、やはり事前チェックがしっかりきくんだということが前提になっての御答弁だと思います。

 そこで、次に、今度は復興基金についてどうなのかということについて伺いたいと思うんです。

 この復興基金については、各自治体に配分されて、極めて自由度の高いものであるというふうに認識しているんですけれども、先般、会計検査院から、二〇一〇年度の決算検査の報告書が提出されました。これももう御案内ですけれども、いわゆる税金の無駄遣い、不適切な処理等々につきまして指摘が五百件を超えて、かつ、総額は四千億円を超えたという発表がありました。

 今後、会計検査院の考え方としては、これは報道ベースですけれども、地震、津波対策、それから学校、病院等の耐震化、こういったものについての全国調査、もちろん東日本大震災の復旧復興関係もここに入ってくるのかと思います。防災対策には本当に多くの公費が費やされていまして、考えてみたら、これはいわゆる税金です。事業が有効に機能していくということであれば、当然、国や自治体がしっかり検証していくシステムがなければいけない、こう思うわけでございます。

 東日本震災の復興費用というのは、あくまでも被災地の復旧復興のためにきちんと資金が適正に使われていくということに一番大事な意義があるということで、私は、こういうことから考えていきますと、チェックをしっかりしていくべきだろうと。特にこの復興基金のチェックの見解についてはどうでしょうか。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、復興基金は、東日本大震災からの復興に向けて、被災団体が地域の実情に応じて、住民生活の安定やコミュニティーの再生、地域経済の振興、雇用維持などのさまざまなニーズについて、単年度予算の枠に縛られずに弾力的かつきめ細やかに対処できる資金として創設されるものであります。

 復興基金を具体的にどのように使うのかについては、交付税は使途に制限のない一般財源であることから、各県の判断にゆだねられるものでありますが、このような基金創設の趣旨を踏まえ、条例等により基金が設置され、議会や被災市町村等と十分に協議、調整を行いつつ、適切な運用が図られるものと考えております。

 現在、被災県において地域のニーズに即して具体の事業内容を検討いただいているところでありますが、総務省としては、基金の設置後においても執行状況などを適宜お伺いして、有効な活用がなされるよう対処してまいりたいと考えております。

稲津委員 今御答弁いただきましたように、条例で地方の方はそこをしっかりチェックしていくんだ、そしてあわせて総務省のチェックもしっかりやっていくという話でしたので、具体的なことを今ここで求めませんけれども、そこは、今御答弁ありましたことに沿ってしっかりと進めていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 この政府提出の三法案の結びとして、財源について伺いたいと思うんです。

 ようやく三党の修正協議等々もまとまりまして、いろいろな懸案だったことも整理していきながら、所得税と個人住民税の税額、期間を延ばすということで三党の協議が調ったわけでございますけれども、五年間で十九兆円と見積もった復興費も、ある意味で今後ふえていく可能性も私は否定はできないと思います。

 しかし、その都度単に増税に頼っていくというのであれば、これは当然、国民的な理解を得ることはできないだろう。今後は、歳出をどういうふうに見ていくか、もちろんこれは当然ですけれども、経済の活性化を通じて税収増を図っていくということも大事ですし、それから政府資産の売却等々もやっていかなきゃならない。今、日本は、円高、デフレで非常に悩まされている状況の中で、生活者の視点から見ると、例えば可処分所得もどんどん減少しているという実態にあります。

 ここでどうしていくかということなんですけれども、当然、経済成長の道筋をしっかり立てていくことと、それからもう一つは、今後の復興に当たっては、ここまでスキームがきちっとできたわけですから、増税なき復興をしっかりやっていくということが一番大事な視点ではないかと思います。政府三法案の質疑の中のまとめとして、このことを総務大臣にぜひお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 今回の大震災への対応として十九兆円、五年間ということで、大変厳しい経済環境の中あるいは財政状況の中で地方税も含めまして国民の皆さんに増税という形で御負担をお願いしたのは、ある意味では本当に申しわけないことでありますが、ぜひとも御理解いただきたいということであります。十九兆円で事足りるかといえば、そうではないのではないかという議論、あるいは想定される部分でいえば、いろいろなもっともっと要ることが予想をされるのが現実だというふうに思っております。

 そういう意味では、震災復興に関しては、必要なものはしっかり手当てをするというのは大原則だと思っておりますが、一方で、その財源をどうするかということは、この十九兆円の後半の部分、終盤の部分では必ずそういう議論が出てくるんだというふうに思います。

 この辺に際しては、先生おっしゃるように、経済振興を含めた税収増と同時に、今の一般の歳出の無駄をなくし、可能な限り切り詰めた行政改革を徹底して行うという歳出改革、そして政府資産の売却等々が最優先でされるべきであり、安易な増税はやってはいけないというふうに思っております。

稲津委員 こういう震災復興に向けてのさまざまな措置がいよいよできていく中で、今大臣から答弁がございましたように、恐らく今後は、この予算の執行と、それから、先ほど私も申し上げましたけれども、当然、増税なき復興というところにいろいろな焦点も当たってくると思うんですね。したがいまして、このことは、今後、またこの委員会等で折々に質疑をさせていただきたいと思います。

 次は、震災復興に関連して幾つか伺いたいと思うんですけれども、一つ目は、震災復興とICTの利活用ということで質問させていただきたいと思います。

 私は、今回の震災で改めて実感したのが、情報管理の大切さだと思うんです。例えば、アルバムとか写真が流されてしまった。連日の報道にもありました。そのほかにも、御案内のとおり、住民基本台帳が流されてしまった。行政の情報も、紙のものも流されてしまった。病院のカルテも失ってしまった。

 住民の目線から見ると、例えば慢性疾患のある患者さんなんかは、もとより、自分が飲んでいる薬は高血圧の薬だけれども、何々という薬かということはわからないわけで、そういう個人の情報についても失われてしまっている。大変な大きな課題で、紙情報のことはもちろんですけれども、もう一方では、電子化された情報もパソコンごと流されてしまった。こういうことが起こってしまうと、本当に大変なことです。

 そこで、今関心が高まっているのがクラウドコンピューティングだ、私はこのように思っているんです。

 自治体クラウドについては、以前のこの委員会でも質問させていただきました。若干関連して、重複するかもしれませんけれども、少し幅を広げて質問させていただきたいと思います。

 このクラウドコンピューティングというのは、もう御案内のとおり、遠隔地の巨大なサーバー群に情報を預けて、インターネットを経由してこれを利用していく新しい情報の技術ですけれども、岩手県では、震災の情報、県のホームページにアクセスがどんどん殺到して、結果的にどうなったかというと、担当者がツイッターでSOSを出す、こういう状況で、しかし、クラウドの事業者がすぐに代替ソフトを用意してこれはクリアされたという話がありました。まあこういう時代なんだなと思いました。

 これまで、日本の経営者それからシステム部門というのは、情報システムというのは社内にある方が安全だと思われてきた。しかし、今回の震災を通して、実は、こういったことはこの時代にあってはむしろ利点が少なくなってきた。特に震災ということを考えたときには、ここは大事なポイントになってきております。

 そこで、伺いたいのは、このクラウドコンピューティングに関連して、例えば国民ID制度ですとか電子カルテ、これは後ほど少し詳しく伺いますけれども、電子カルテなどのネットワーク化がもっと早く実現できていれば、今回の被災地支援も実はもっと円滑に進んだのではないだろうかという指摘が結構出ています。このことについて、どのようなお考えがあるか、これはぜひ総務大臣に伺いたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のとおり、今回、特にみんなの暮らしの情報を持っているといいますか、地方自治体あるいは病院等々のいわゆる個人の情報が流失したということで、日常生活も含めて、行政上も含めて、大変な支障を生じたということは事実でございます。紙であれば、紙の情報はとんでもないことになったというのは事実でありまして、情報化していても、先生おっしゃるように、それごとやられてしまったというのもあります。

 そういう中で、一部でありますが、自治体あるいは病院において、住民基本台帳をたまたま別のところで保管していた、あるいは病院のカルテが違うところで保管できていたということで、そこの部分では復旧が非常に早かったということは事実でございます。そういう中では、間違いなく、自治体の情報のクラウド化というのが進んでいれば、もっともっとというのは言うまでもないことです、自治体だけではなくて病院も含めてということで。

 こういう観点から、既にIT戦略本部でも、ICTの中で、自治体情報という意味でのクラウド化、共有化、それから、どこでもMY病院というので、病院の情報を全国で個々人が使えるようにというふうなことも、構想としてはしっかりと計画され、いろいろな基礎的な研究、応用研究含めて、大きな戦略として、工程表をつくり、分担を決めて進んでいることは事実でありますが、特にその中でも地方自治体のクラウド化というのは、一部先進的にやられていますが、まだまだであります。

 そういうことでいうと、こういう利便があり、こういうことをやればできるという情報提供と、うちだったらどういうことがということで、専門家やあるいは有識者の人を派遣するとか、そういう事業も既に取り組みを始めました。

 一方で、大きく言えば、メーカーによってシステムが違いますので、そこでやると、将来、共有化していくということにいいんだろうかというふうな議論もありますが、しかし現実には、やはりこれだけ重要なキーを握っているシステムの一つがクラウド化である、そして情報化であるということを含めて、しっかりと前に進むようにいろいろな形で支援をし、我々も取り組んでまいりたいというふうに思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 大臣も、このクラウド化について、大変大事なことなんだ、進めていかなきゃいけないんだということを丁寧に御答弁いただいて、大変うれしく思っております。

 その上で、次にお伺いしたいのは、被災自治体が復興計画の中にクラウドをどのように位置づけていくかということなんです。

 今回、こうなった以上、ある意味ではゼロからつくり上げていかなきゃならない。公共部門においても民間部門においてもこのクラウドシステムの活用というのは重要な課題である、私はこのように認識しております。

 そこで、国の復興基本方針の中で、このクラウドシステムというのはどういうような位置づけにあるのかということを少し詳しくお話しいただきたいと思います。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 私ども総務省としましては、震災が起きる前から、行政であれ医療であれ、効率化してさまざまな情報を有効利用するという観点でクラウドに関して検討を行い、また一部では実証事業を行わせていただいておりました。

 そして、今回の震災を踏まえましては、国の復興基本方針の中では、対災害というものをより強く意識しまして盛り込ませてもらったところでございます。

 お尋ねの東日本大震災からの復興の基本方針の中では、第五章の復興施策の中におきまして、「次世代の発展につながるよう、地方公共団体をはじめ幅広い分野へのクラウドサービスの導入推進など情報通信技術の利活用促進を行う。」ということを盛り込ませていただいている次第でございます。

 そのような視点に立ちまして、今後も構築してまいりたいと思っております。

稲津委員 この基本方針の中に位置づけられているのであれば、この時点での方向性みたいなものをもう少し詳しくお話しいただければなと思ったんですが、現時点では位置づけたということはよくわかりました。

 質問を少し先に進めていきたいと思うんですけれども、今度は、医療情報ということに少し視点を変えて、ここのところで聞かせていただきたいと思うんです。

 このICTの利活用の中で最も重要になってきて、かつ効果的なのは、医療情報の電子化それからネットワーク化じゃないか、私はこのように思っております。

 これは前政権の時代からも進められてきておりまして、現政権でも、IT戦略本部において医療情報化に関するタスクフォースを設置して、今鋭意さまざまな検討を行っているというふうに承知をしております。先ほど大臣からもありましたけれども、どこでもMY病院の構想も、この調査方針において今進められている。それから、シームレスな地域連携医療の実現とか、あるいはレセプト情報の活用化とか、こういったことがいろいろ挙げられております。

 この点について、その方針、概要、これは簡潔で結構ですので、お示しいただければと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 政府のIT戦略本部におきましては、昨年五月に新たな情報通信技術戦略を策定し、その実現に向けて、昨年六月に策定し、本年八月に改訂した工程表に沿って、IT戦略の確実な実施を図っているところでございます。

 先生御指摘の医療情報化に関するタスクフォースは、IT戦略本部の企画委員会のもとに、電子行政、ITSとともに昨年八月に設置され、専門的な事項について調査し、企画委員会に報告するとされてございます。

 昨年度におきましては、この企画委員会より指示された調査の方針に基づきまして、先ほど来話に出てまいりましたどこでもMY病院構想における電子情報の提供方法やサービスの運営主体について、先ほど先生が御指摘されましたシームレスな地域医療連携のネットワークのあり方について、あるいはまたレセプト情報の活用による医療の効率化における医療情報の適切な管理のあり方等々につきまして検討を行ってまいりまして、計十回開催し、報告書を取りまとめてございます。

 現在は、今年度の検討ということで、報告書で引き続きの課題とされました項目を検討するため、九月に医療情報化に関するタスクフォースを開催し、議論を進めているところでございます。

稲津委員 十回ほどこの会合を開催されて、内容等について検討されているという話でありました。基本的なその方向性をきちんと位置づけてやっているというのはよくわかるんですけれども、では、具体的に現場、現実はどうなっているのかということについて、これから少し整理をしながら質問したいと思います。

 例えば、電子カルテなんですけれども、これは、前政権下においては、平成十三年の医療制度改革大綱でいろいろと、電子カルテあるいはレセプトの電算化ということについて位置づけをしました。基本的なIT化の推進ということはここで掲げられたわけなんですけれども、医療情報システムの構築のための達成目標として、電子カルテは平成十八年度までに全国の四百ベッド以上の病院に六割以上普及をさせていくということ、それから診療所においては、全診療所の六割以上に電子カルテの導入ということを目標にしました。

 目標であった平成十八年時点、普及率は本当に芳しくない。その後、目標として、平成十八年のIT新改革戦略においては、電子カルテだけではなくてオーダリングのシステムも含めて、これを総合的な医療情報システムにしていこうということで、二百ベッド以上の医療機関のほとんどで導入するという話がありまして、四百ベッド以上は平成二十年度まで、四百ベッド以下については平成二十二年度までに実現する、こういう方針が打ち立てられたわけなんです。

 ことしはもう平成二十三年度ですので年次目標を既に過ぎていますけれども、この電子カルテのシステムの普及状況は現状でどうなっているのか、これも簡潔で結構ですから、御答弁いただければと思います。

篠田政府参考人 お答えいたします。

 電子カルテについての導入状況でございますけれども、平成二十年十月の調査がございます。そちらによりますと、一般病院での導入率は一四・二%、診療所の導入率は一四・七%という数字になっておるところでございます。

稲津委員 今の御答弁で、やはりこの導入状況、普及状況というのは非常に厳しいものがあるということがわかったと思います。

 ただ、私も調べてみたら、投薬とか検査とかのいわゆる手書き伝票を電子化している、そういうオーダリングシステムというのは結構普及していまして、例えば四百ベッド以上では八二%ぐらいまで進んでいる、こういうふうに認識しております。だから、電子カルテシステムというのは普及率は依然として低いんだけれども、そこに結びついていくところが一歩一歩歩みを始めているのかな、こういう認識に立っています。

 そこで、もう一点、では、なぜ普及率が思うように上がっていかなかったのかという理由、それから、やはり電子カルテのことというのは非常に大事だと私たちは思っているんですけれども、電子カルテの普及は今後どういう目標を立てられているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

篠田政府参考人 お答えいたします。

 電子カルテシステムでございますけれども、こちらにつきましては、先生おっしゃいましたように、医療の質の向上であるとか、あるいは安全の確保でございますとか、医療機関間の連携といったメリットがございますので、これからも普及を推進してまいりたいというふうに考えております。

 導入が進んでいない理由ということになりますけれども、これは何点かあろうかと思います。

 一つは、カルテで使用されます用語でありますとかコードの標準化が不十分だということ。それから、やはり情報漏えいがあってはいけませんので、そちらに対するセキュリティー対策に不安があるといったお声がございます。それから、これも既に出ておりますけれども、システムが異なりますと、あるいは新旧のシステムが異なりますと互換性がやはり確保されない。それから、システムの導入、維持管理ということで申し上げますと、やはり一定額以上のコストがかかる、高額であるといった点がございます。

 そういった点がございまして、医療機関がなかなか導入に踏み切れない点があろうかというふうに考えております。

 それで、今申し上げました問題点のちょうど裏返しになりますけれども、私どもといたしましては、用語、コード体系の整備ということは進めなきゃいけませんし、あるいはセキュリティーの確保対策も大変重要でございますので、こちらをしっかりやっていただくということも必要でございますし、それから、医療情報のシステム間の相互の運用性も確保することがクラウド化なりに必要だというふうに考えます。それから、共同活用というのが、地域間、特に地域医療に着目したときに一つあろうかと思いますので、そういった点につきましては、一定の経費の補助ができないかということで取り組んでおるところでございます。

 今後とも、電子カルテの普及推進ということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。

稲津委員 問題点を幾つか挙げられましたけれども、一つ、やはりコストの問題というのは非常に大きいんだと思うんですね。そこをどういうふうにクリアしていくかというのが課題なんですけれども、ぜひそこはいろいろ検討していただいて、方向性を見出していただければありがたいなと思うんですね。

 かつて、医療機関で電算化が進みました。いろいろ言われていたんですけれども、手書きからコンピューターによる、パソコン等によるレセプトの作成に入っていったときに、これが急激に普及しました。その利点というのをやはり多くの医療機関が享受したわけですね。この電子カルテ等の導入というもののここが本当にいいんだということを、いろいろな形でこれから示していけると思うんですね。コストに対するいろいろな対策も含めて、ぜひ進めていただきたいということを申し上げたいと思います。

 次は、医療情報のクラウド化ということについて伺いたいと思うんです。

 私がなぜ電子カルテシステムの普及状況をお聞きしたかというと、それは、やはり何といっても医療情報をクラウド化していくことがこれからの時代にあって非常に大事なんだということで、聞かせていただきました。

 震災後、医療情報をクラウド化する、共有する、地域住民の医療とか健康情報を共有する仕組みづくりというものの機運が高まってきていると私は思います。総務省におきましても、健康情報活用基盤事業で実証実験を行っているということです。それから、厚生労働省でも、来年度から新しい医療情報連携・保全基盤推進事業を行っていく、このことによって質の高い地域医療連携ができるんだ、そういう基盤をつくっていくという方針が明らかになっているということなんです。

 そこで、これは総務省と厚労省にそれぞれ伺いたいんですけれども、簡潔で結構ですので、事業の概要をお答えいただければと思います。

佐藤政府参考人 総務省におきましては、平成二十三年度から健康情報活用基盤構築事業を実施しております。これは、新IT戦略に示されたどこでもMY病院構想やシームレスな地域連携医療の実現に向けた取り組みの一つでございます。

 この事業は、地域の保有する医療健康情報などを蓄積し、関係機関や関係者の間で共有し、連携ができるようにしようとするものであります。安全性の高い広域共同利用型の情報連携基盤、医療クラウドと言ってよろしいかと思いますが、これをつくるための共通仕様の策定を目指しております。今年度、全国三地域で実証実験を行うということにしております。

 このような仕組みを整備することにより、災害にも強い継続的な医療の提供が実現することになると考えております。

篠田政府参考人 私どもの基本的な考え方ということで申し上げれば、地域医療の観点から、やはりその充実、効率化を図るということが必要でございますので、診療所、病院間で切れ目のない医療情報の連携が必要であろうということが一つございます。それから、災害対策ということで申し上げましても、安全な場所で医療情報のバックアップをしていくというのは有効だろうというふうに考えております。

 先生がおっしゃいました事業でございますけれども、二十四年度の概算要求におきまして、日本再生重点化措置という一環で今御要望しているということでございます。

 中身でございますけれども、災害に強い地域の中核的病院など安全な場所におきましてデータサーバーを設置いたします、各医療機関の診療データを標準的な形式で蓄積していくという補助事業を考えているわけでございます。これによりまして、申し上げましたように、診療データの相互閲覧とか、あるいは診察、服薬の経過というものが把握できるだろう、それから災害時のバックアップとしても利用可能になるだろうということを考えているところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 少し繰り返し、まとめて申し上げますけれども、電子カルテの導入と医療情報のクラウド化というのは本当に車の両輪みたいなもので、これからここを本当に強力に進めていく必要があるというふうに思っておりまして、今、総務省そして厚労省もそれぞれ、そこに向けての取り組みをしていただいているということはよくわかりました。

 先般、いろいろ調べてみますと、北海道のある地域では、こういった取り組みを先進的に行っています。例えば、函館市を含む北海道の道南地域では、地域で患者さんを診ていくんだという、それこそ先ほどのどこでもMY病院じゃないですけれども、そういった視点を踏まえて、インターネット回線で診療情報を共有する地域医療連携システムに域内七十五もの医療機関等の施設が入っておりまして、患者情報の共有化を行っています。もちろん、細かなことを言うと、投薬の状況ですとか、あるいは画像データ、こういったものを共有化して、いわゆる検査の重複なども省いていくんだ、こういうことをやっていまして、私は非常に高い評価をしていいんじゃないだろうかなと思っています。

 先ほどの医療情報クラウド化事業も厚生労働省と総務省で行っているということで、もちろんこれはそれぞれの取り組みですから重複云々ということはないと思うんですけれども、そういう見方はしちゃいけないと思うんですけれども、この電子カルテシステムの導入を強力に進めていくためには、私は、総務省や厚労省とのお互い一体的な取り組みも必要な面があるんじゃないかと思っています。この点についての御答弁をいただきたいと思います。

森田大臣政務官 御指摘のように、我が国におきましては、もう既に全国一律に医療サービスを提供するということ自体が大きな課題になっております。その中で、医療の高度化、患者さんの高齢化の中で質の向上に努めるということが必要でありますので、もう厚生労働省だ経産省だ総務省だと言っている場合ではなくて、何としても医療サービスを提供する、そしてその中で質の向上を図るためにもICT化は避けられない課題であると思っておりますので、そういう観点に立って進めてまいりたいと思います。

 そして、結果として、地域における医療連携、病診連携は、医療と介護のシームレスな提供、そして調剤あるいは投薬の安全性の確保、そういったところも非常に大事になってくると思いますので、そういった観点をしっかりあわせ持ったクラウドの構築に努めたいと思っております。

稲津委員 森田政務官は、特にこの事業について大変精力的に取り組んでおられるという話を伺っております。私は、この質問のまとめとして、先ほど申し上げましたけれども、電子カルテと医療のクラウド化というのは車の両輪みたいなもので、今回の震災で改めてここの重要性というのがお互い認識できたと思うんです。ぜひこの事業を強力に進めていただくようにお願いしたいと思います。

 最後に、かなり時間も参りましたので、簡潔に質問させていただきますけれども、超高速ブロードバンドの普及促進についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほど、電子カルテそれから医療情報のクラウド化は車の両輪という話をしました。しかし、そこを実行できるような環境がなければいけない。私は、これがある意味では光の道構想に相通じてくるものだと。

 ブロードバンド基盤の整備状況を調べてみますと、二〇一〇年度末の時点でのブロードバンド基盤の整備状況というのは、ブロードバンドは一〇〇%、しかし、超高速ブロードバンドでは九二・七%になっているということで、残り七%といっても、これをひもといていくと、ほとんどが地方の財政規模の小さい自治体が多い。中山間地ですとか過疎地とか、そういうところが残ってしまっている。ある意味では、この時代にこの部門については大変な格差が生じている。

 原口委員長が大臣時代に出された光の道構想は、二〇一五年までに全家庭に超高速ブロードバンドサービスを提供するというものであって、私は、これは非常に画期的なことであって、ぜひとも進めるべきだ、こういうことをこれまでのこの委員会でも質問させていただいてまいりました。

 そこで、もう時間もありませんので、一つ聞かせていただきたいんです。

 先般、北海道のある自治体に伺ってある事業者から話を聞きましたけれども、我が町では残念ながら超高速ブロードバンドは未整備だ、そして、その原因をいろいろ考えていったときに、やはり自治体負担が伴っていて、そこがなかなかクリアできないんです、こういうような印象を持っていますという話を聞きました。

 調べてみると、やはり自治体それぞれの事情があるかもしれませんけれども、なべて見てみますと、先ほど申し上げましたように、いわゆる財政規模の小さい、そして地方の自治体が多いわけですね。

 ですから、ここを本当に手当てしていくためには、超高速ブロードバンドをユニバーサルサービスとしてやっていかなきゃならないだろう。そういうことで、例えばNTTも積極的に設備投資をしていただく、ほかの事業者は全体でこれを見ていくということが非常に大事だと思うんです。

 この点について、総務省で今後どういうふうに取り組んでいこうとされているのか、このことを最後にお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

松崎副大臣 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、すべての国民がICTの発展、ブロードバンドの基盤整備を望んでいる。そして、デジタルデバイドを解消する、これも重要であります。

 他方、ユニバーサルサービス制度は、全国におきまして国民生活に不可欠な通信サービスを適切、公平、安定、こういう形で維持するための制度であります。今までは、加入電話、公衆電話、緊急通報、こういったものが対象でありました。これの見直しも現在しております。

 また、ブロードバンドをユニバーサルサービスとすることは、そのあり方によっては国民利用者に大きな影響、負担増、そういったものを及ぼすこともありますので、こうしたことを踏まえまして、光の道構想実現に向けまして工程表を既に発表しております。二〇一三年以降にまたこのことを改めまして検討する、そういうことになっておりますので、今後ともしっかりと検討を進めていきたい、そのように思っております。

稲津委員 それでは、以上で終わりますけれども、私は、このテーマについてはこれからも積極的に質疑をさせていただきたいと思っています。

 残念ながら、この点については、前もお話し申し上げましたけれども、平成二十四年度の予算が前年度に比べて減っているわけですよ。そういうことを思い合わせていきますと、幾らこれに積極的に取り組んでいきますと言ったところで、ここからまず変えていかないと、ユニバーサルサービスをしっかりやっていきます、そういう答弁にならないと私は思うんですよ。そのことを強く申し上げまして、質問を終わります。

原口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

原口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大泉ひろこ君。

大泉委員 民主党、大泉ひろこでございます。

 私は、茨城六区の選出でございまして、茨城県も被災県の一つでございます。

 五月の連休でしたか、宮城県気仙沼市に参りまして、その惨状を見てまいりました。とてもすさまじいものでございましたけれども、茨城県もまた被災県で、結構忘れられているところが多うございますので、せんだって、茨城県知事と一緒に、茨城県を忘れないでと表紙に書きまして、閣僚の皆様方のところに上がったところでございます。

 まず、被災県として大臣に、今回の地方交付税の総額特例法改正法案など三法におきまして、地方負担を実質ゼロにしてくださる、この方向を打ち出された御判断に大変感謝を申し上げたいというふうに思います。

 茨城県の話をちょっと続けさせていただきますけれども、津波こそなかったんですけれども、茨城県というのは愛知県の次にかわら屋根が多いんですが、かわら屋根に軒並みブルーシートを今かけております。修理が追いつかないという状況でございます。そして、大谷石の塀が倒れていたり、お墓が倒れていたり、もちろん道路、用水路、これらも随分壊れて、今は修復の途上にあるということでございます。

 ただ、茨城県の県民性がおもしろうございます。関東平野の真っただ中にあるところなんですけれども、我々も被災県だけれども、東北三県はもっと大変だ、あっちを優先してくれと言うんですね。茨城県人として、私は非常に誇りに思うわけでございます。

 しかし、そうは言っていられないので、先ほど申し上げましたとおり、知事と一緒に、茨城県を忘れないでと、政治家としてはそれをやっていかなければならないというふうに思っております。

 大臣のところにも参りましたけれども、茨城県を忘れないでというその気持ちが通じまして、茨城県が一番欲しかったのは、実は復興基金なんです。これをつくっていただくことになりまして、しかも非常に自由度が多い使い方で、復興を実行していける体制をつくっていただいた、このことも非常に感謝申し上げたいと思います。

 今回の災害で、東北、私ども北関東も含むわけでございますが、一般に東北人は我慢強いというふうに言われてまいりました。大臣は滋賀県の御出身でいらっしゃいますけれども、お隣の副大臣は東北、もうお一方は栃木県、北関東でございますが、いかがでございましょう、東北とか、あるいはもうちょっと広く東日本という地方を大臣御自身がどう見ていらっしゃるか。ちょっと難しい質問なので、感想みたいなものでよろしゅうございますので、お聞かせいただけますでしょうか。

川端国務大臣 私は関西人でありまして、言葉も、長年永田町にいても全然関西弁が抜けないんですけれども、茨城県とは、私は高校が彦根ですので、彦根藩と水戸藩という、いろいろな御縁もありました。

 やはり、まずは震災に関して、茨城県も本当に大変な災害に遭われたことを承知していますし、地理的というか地質的にも、意外に、東北の方は海岸線を含めて津波で大変な被害が多かったんですが、地震による部分というのはもちろん起こっているんですけれども、津波の方がはるかに上回る災害になっております。

 茨城の場合は、津波はそんなに被害は出なかったんですが、地震による被害で家屋、屋根が損傷とか塀が倒れたとか今おっしゃいましたけれども、そういう部分ではむしろ非常に大きい災害が出ているなというので、これは多分、私は専門家ではありませんけれども、いわゆる地質学的な構造にもよるのかなというふうに思いました。

 そういう中で、それぞれの地域、外見的にですが、今回の震災で改めて思いましたのは、東北地方は日本のまさに食料庫である、お米も水産も含めて食べ物の一番の産地の拠点であったということと、そして、実は最先端の、日本の先端技術を支える製造業のサプライチェーンの拠点でもあったという、物づくりと食づくりの拠点であったのだなと改めて感じたところでございます。

 同時に、あとは、やはり東北地方の人は我慢強い、口数はそんなに多くないとか言われます。個々人の差はありますけれども、気候、風土、それにはぐくまれた文化等々を含めて、比較的厳しい気候、環境の中、地形的にも厳しいという中、冬も厳しいという中でやはりそういうものがはぐくまれたのではないかな。関西人とはかなり性格が違うなというのは、政務も、ここには来ておりませんが、主濱さんも東北でございますし、日々接しているときに、やはり関西人とは大分違うなというふうに思っております。

 余りお答えにはなりませんが、感想としては、長年の風土がそういう気性、気質をはぐくんできたのかなというふうには思います。

大泉委員 大変御丁寧な御答弁、ありがとうございました。大臣は関西の御出身とおっしゃいましたので、おおきにと申し上げておきたいと思います。

 私は、旧厚生省の出身でございまして、旧厚生省で仕事をしておりましたときに、新しい補助金をつくりますと、いつも積極的に取りに来るのはまず関西、それから西日本なんですね。なかなか東北の県は取りに来ないということに気づいておりました。

 そしてまた、医療費なんですけれども、昔から、西高東低と申しまして、医療保険は西日本の方が余計に使う、東日本の方が余り使わないという構造になっておりますことや、医療資源ということでいいますと、人口十万対医師の数の全国平均が二百六なんですけれども、それを上回る東北の県はございません。これはなぜだろうなというふうにずっと思ってまいりました。

 私の厚生分野だけじゃなくて、例えば教育の分野でも、大学の進学率というのは、これは短大なんかも含みますけれども、全国平均が五三・九%でございますが、東北でこれを超える県はないんです。ずっと下にあります。ちなみに、大臣御出身の滋賀県は五九・二%と、非常に高い水準にございます。

 こうした医療とか教育という社会サービス、社会資本の違いというのは、今始まったことじゃなくて、明治維新からの政府の投資の仕方に違いがあったのではないかというふうに私は思うわけでございます。

 百四十年前にさかのぼりますと、東北地方は、東北の諸藩連盟というので徳川幕府につきまして、明治維新になったときに、長州と薩摩が一緒になった藩閥政府のもとで、非常に罰せられたわけでございます。当時の支配階級の士族は、帰農するか、農業者になるか北海道に移るかというようなことで、支配階級を失って、その後百四十年間、ある意味で政府の投資というのが非常に薄かったというふうに思っているんですね。東北本線とか東北大学とか釜石の鉄工所とか、非常に限られたものだったんじゃないかというふうに思われるわけでございます。

 そうして、長期間のスパンで考えますと、例えば戦前の昭和恐慌の後の東北大飢饉、一九三一年から三四年の間に起きたもの、このときは、娘の身売りをしたり、大根をかじったり、あるいは餓死した人がたくさんいたわけですけれども、こういう東北大飢饉も、それから今回の東日本大震災も、遠因として、やはり政府の東日本に対する投資というのが少なかったからではないかというふうに私は思うわけでございます。

 したがって、この東日本大震災の復旧復興については、目の前の仕事というよりは、むしろ百四十年分の仕事を今回すべきじゃないかなというふうに私は考えておりまして、先ほど大変いい御答弁をいただきましたが、もう一言つけ加えることがあれば、よろしくお願い申し上げたいと思います。

川端国務大臣 確かに、江戸時代も含め、明治政府を含めて、いろいろな歴史的経緯の中で東北というのがある一定の位置づけをされたという経過は、私も多少なりともあったというふうに思います。それがいろいろな形で影響しているという先生の御説も説得力があるのかなというふうに思いました。

 今回、不幸にしてこういう大震災で壊滅的な状況になったというときに、単なる復旧復興ではなくて、私は、これからの日本、大転換期にある日本が、こういう地域、こういう社会で新たに再スタートするんだ、そういう先進的、モデル的な地域として復興されていってほしいなと。

 先ほど来の御議論、午前中もありましたけれども、医療とICTを組み合わせた最先端の医療等々というのが、あるいはICTのクラウド化した自治体とかいうのが、やはり医療やそういう地方自治体も含めて、そして特にエネルギー問題でも、再生エネルギーを日本はもっと世界で技術を生かして最先端でいこうというふうなことも、やはりすべてが東北地方から始まっていく、道を切り開いていく、そういう復興にしたいという思いを大変強く持っております。

大泉委員 大変優しい、力強い御答弁、ありがとうございました。

 それでは、次にお聞きしたいのでございますけれども、今回の東日本大震災と阪神・淡路大震災を比較いたしますと、阪神は日本経済のいわば動脈地帯で、人口密集地でございます。東北は一次産業の地であったわけでございます。今回の震災復興交付税というのは、阪神・淡路のときもなかった、初めて創設されたというふうにお聞きいたしましたが、この二つの震災を比べまして、総務省としてどのように取り組み、どのように対応されたか、違いがあったかどうか、教えていただけますでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のように、津波はあったかなかったかということもあります。それから、阪神・淡路の場合は主に、非常に大きな災害はすべてそうですけれども、というときに、やはり人口密集の大都会で起こった。裏返して言いますと、財政基盤はある意味では強い地域であった。そして、多くの死者の皆さんの部分では、震災で家が壊れたというのと同時に、その後起こった火災が犠牲を拡大したという背景がありました。そして、その部分では、やはり神戸市というのが非常に中心的に、被災も含めて中核にあった。

 今度の東北の場合は、範囲は非常に広い、津波の被害が大変大きい、加えて原発事故の部分の深刻な影響も与えている。そして、範囲が広いということでいうと、関係する市町村が物すごく多くて、先ほど来話題にもなっていますが、いろいろな経過の中で、いわゆる少子高齢化の中でもともと大変厳しい地方自治の運営をしていて、高齢化が進み、なかなか仕事がない、そして一次産業にかなりの部分を頼っているという地域であったという部分は、構造的に相当な違いがあるというふうに思っております。

大泉委員 ありがとうございました。

 それでは、ちょっと話題をかえますけれども、現在、一次、二次の補正予算の執行が始まったことによって、本年の四分の三・四半期のGDPが名目一・五%押し上げ効果があったというふうに伝えられております。

 これは内閣府にお聞きしたいのですが、復興予算の投資効果をどう見積もっていらっしゃいますか。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 第三次補正予算に盛り込まれました施策のうち、GDPの押し上げに直接資する施策の効果を合計いたしますと、実質GDPを一・七%程度押し上げると内閣府の方で試算いたしております。

大泉委員 ありがとうございました。

 押し上げ効果があるということでございますが、阪神・淡路のときも復興予算で非常に押し上げ効果がありましたけれども、長続きはしなかったわけでございます。したがって、今度、押し上げ効果があっても、これから恒久的に東北がよみがえるか、あるいは十九兆円でいいのかどうか。あるいは、黄川田副大臣の御出身の岩手県ではリニアコライダーという大きなプロジェクトを考えていらっしゃいますけれども、そういうものが実現するのかどうか、あるいは復興特区が成功するのかどうか。そういう復興需要が日本を再生する起爆剤となりますよう、しっかり財政出動を続けていく必要があるというふうに私は考えております。

 次の質問に移りたいと思います。

 今回の震災復興特別交付税でございますが、これは地方債の補てん、いわば補助裏を交付するものでございますが、一〇〇%の補助金と結果的には違いないと思うんですけれども、この方法をとるメリットというのは何でございましょうか。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 まずもって、被災地の復旧復興の財源につきましては、通常の歳入歳出とは別枠で整理いたしまして、そしてまた国費による措置を大幅に拡充した上で地方財源を確実に確保する、これが基本だと思っております。

 地方負担の関係でありますけれども、これまでの制度は、まず地方債により措置した上で、後年度その元利償還金を交付税により措置するというふうな形で取り扱っておりまして、実は、第二次補正予算まではそういうふうな取り扱いでおりました。

 ただ、政令指定都市の神戸市が立ち上がるのとは違って、被災地の多くは大変厳しい中にあります。自治体も、しっかりと全力で復旧に立ち向かうためには、やはり安心できる財政制度が必要だと思っております。

 そこで、この震災復興特別交付税は、集中復興期間中、平成二十三年度から平成二十七年度の復旧復興対策として必要と見込まれる支出十九兆円程度につきまして、特別に財源を確保して対処するということにいたしたわけであります。地方負担分を地方債により措置するのではなくて、地方交付税、現ナマを増額いたしまして、事業実施状況に合わせて、そしてかかる費用、地方負担はゼロにする、これが肝だと思っております。

 いずれ、財政面で確かな裏づけを創設するということが大事でありまして、しっかりと自治体が被災対策に取り組めるように、そのための制度設計であります。

大泉委員 大変ありがとうございました。

 もう一つお伺いしたいと思います。

 震災復興特別交付税の対象となる復旧復興事業でございますけれども、これは、これから先、予想を超えて多くなったりするかもしれないし、また来年度も必要になったりするかもしれませんので、なかなか事業執行の難しさというのが考えられると思いますけれども、この対象となる事業というのは何と何でございましょうか。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 今回の震災復興特別交付税一兆六千六百三十五億円については、第三次補正予算に伴う地方負担分が七千三百二十二億円でありまして、まずこれへ対応いたします。それから、平成二十三年度の一次、二次補正予算等に伴う地方負担分が六千三百十三億円であります。それから、震災関連の地方税法の改正等によります地方税等の減収分が三千億程度であります。これらへもさかのぼって対応するということであります。

 そしてまた、補助事業等でありますけれども、どうしても二十三年度に消化できるのかというさまざまな課題がありまして、二十四年度、翌年度に繰り越される場合の取り扱いについては、復興特別交付税でありますけれども、総額特例法案におきまして、実施状況、進捗状況を勘案いたしまして、そして二十四年度分、翌年度分としても交付できるような、そういう形になっております。

 いずれ、予算は、三次補正がつきますと、今度は県とか市町村の補正予算であります。措置された予算の執行はというと、どう考えても翌年度ではないか、二十四年度ではないかと思っております。

 これは質問されておりませんけれども、予算の執行にはマンパワーが必要であります。ですから、人的支援もしっかりやっていかなきゃならない、こう思っております。

大泉委員 質問時間が終わりましたので、大臣、副大臣、政務官、ますます頑張ってくださいますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 三次補正関連三法案について、政府並びに修正案提出者に質問をいたします。

 まず、今回の地方税の負担増を求める内容とすると、個人住民税の均等割の問題があります。

 財源確保法案は、全国的かつ緊急に自治体が実施する防災のための施策、緊急防災・減災事業に要する費用の財源を確保するため、臨時の措置として個人住民税の均等割の標準税率及び地方たばこ税の税率について地方税法の特例措置を講じようというものでした。

 なお、民主党、自民党、公明党の修正案が出ましたが、これによると、地方たばこ税は削除をされ、地方たばこ税の税額分が個人住民税均等割に上乗せをされる形になっています。結果として、個人住民税均等割の標準税率年額四千円に対し、千円の上乗せを十年間継続するものとなっております。その点で、低所得者への課税の問題が問われます。

 最初に総務省にお尋ねしますが、この個人住民税均等割の納税義務者について、総務省の資料では五千九百三十六万人となっておりますが、それでは非納税義務者は何人か、この点についてお答えをください。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 個人住民税均等割の納税義務者数は、五千九百三十六万人程度となっております。個人住民税均等割の非納税義務者数を、就業者数から個人住民税均等割の納税義務者数を差し引いたものと定義をいたしますと、非納税義務者数は三百四十六万人程度となっております。

塩川委員 三百四十六万人という御答弁がありました。

 もちろん、正確に言うと年金受給者の方とかいろいろあるわけですけれども、わかりやすく一定の要件を定めた中では、就業者数の中で見た場合に、納税義務者数は五千九百三十六万人に対し、非納税義務者数はわずか三百四十六万人。ですから、圧倒的多数の方に課税されるというのがこの個人住民税の均等割分であります。このような課税というのは、低所得者からも税金を取り立てる仕組みとなります。

 同様に、総務省の資料で見ますと、納税義務者数、平成二十一年所得で見た場合に、今挙げてもらった均等割五千九百三十六万人に対して、所得割では五千四百七十七万人ですし、所得税で見ると五千五十二万人ですから、要するに、所得税も払っていないような低所得者からも負担を求めるということになっています。

 総務大臣にお尋ねしますが、考え方として、こういう所得税も払っていないような低所得者からも負担を求めるようなやり方というのはおかしいんじゃないのか、このように考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

川端国務大臣 今回の約八千億の、震災を契機としての防災のための各地方自治体における対策のために財源を、地方の皆さんの負担をお願いしたいということで提案しているわけでございますけれども、この部分は、先生御指摘のようにいろいろな視点があると思いますけれども、できるだけ広くすることによって薄くなるということで、今御指摘のように、均等割ですと五千九百三十六万人、所得割ですと五千四百七十七万人、所得税ですと五千五十二万人ということでありますから、広くという意味で、一番均等割の人数が多いですから、この部分でした結果、薄くということで、政府提案としては、五年、年額五百円ということで提案をさせていただいた。基本的な考え方はそこにあります。

 なお、低所得者もここには含まれる、今の分でいったら減免措置が三百万人オーダーということでありますが、本当に所得の、家計の厳しい世帯には減免されるという制度がございますが、できるだけ広くということで薄くしたいということを考え方として持たせていただきました。

塩川委員 要するに、生計費もままならないような低所得者にも負担を求める、そのあり方そのものが問題なんだということを言っているわけであります。

 こういう点で修正案の提出者にお尋ねをいたしますが、要するに、政府の提案に、たばこ税をなくすことで結果として個人住民税の均等割を上乗せする、そういう意味では低所得者に対してより負担を求める仕組みとなっているという点について、今言いましたように、生計費もままならないような低所得者に対しても課税をするという負担の求め方そのものが問題だと思いますが、そういうことについてはお考えにならなかったんでしょうか。

稲見委員 お答えいたします。

 東日本大震災からの復興に関して地方団体が実施する防災のための施策に必要な財源につきましては、復興基本方針を踏まえまして、より多くの方から薄く広く負担をいただく、こういう観点から、広く住民の方に負担をお願いしている個人住民税均等割の引き上げにより確保するということにしたものであります。

 先ほど坂本委員の方からの質問にもありましたけれども、個人事業者の市区外居住者、いわゆる店舗課税ということにも均等割が課税をされておりまして、そういう意味では応益性の高いものだというふうに思っております。

 なお、均等割は、非課税限度額制度によりまして、所得の極めて低い者には課税をされないほか、障害者、寡婦等で合計所得金額が百二十五万円以下の者は非課税になる、こういうふうに低所得者にも配慮をした仕組みになっております。

 また、以前でありますと、老年者非課税というのがありました。平成十八年から二十年の間に段階的にこれが廃止をされております。老年者年金特別控除を含めまして、老年者控除、老年者非課税、これは民主党の選挙のときのインデックス、マニフェストにも入っておりまして、政治家稲見哲男としては、今後の税制改正の中で努力をしてまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 お二方からありましたが、そもそも、基本方針で「今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合う」という仕組み自身が、結果として庶民増税を押しつける仕組みになっているということが問題だと今申し上げてきたわけであります。

 あわせて、低所得者については減免、あるいは所得の極めて低い者には課税されないという答弁もありましたけれども、例えば独身の給与所得者の非課税限度額を見ても年間百万円以下になっているわけです。そういう意味では、本当に極めて所得の少ない、ワーキングプアと言われるような人からも取り立てる仕組みになっているということでは、大臣に伺いますけれども、生活することも困難なような所得の極めて低い者からも均等割というのは税を取ることになっているんじゃありませんか。

川端国務大臣 生活するのに極めて困難というのをどういうふうに見るかはそれぞれお考えがあると思いますけれども、いわゆる非課税限度額制度等によって、所得の極めて低い者には課税されないという仕組みになっております。

 一方で、個人住民税は、その地域に暮らす者としての、いわゆる地域住民としてのいろいろな行政サービスを受ける前提としての部分でありますので、今回の御負担は、地域の防災力強化という観点から、一定の部分には応分の御負担をいただきたいという趣旨でございます。

塩川委員 そもそも、低所得者で生計費さえままならない、そういう人から、その生計費から税金を取り立てるようなやり方は認められないということを重ねて申し上げ、税の基本は、応益負担ではなく応能負担こそ税制の基本として貫くべきだ、このことを申し上げておきます。

 あわせて、今回の個人住民税の均等割の引き上げについて、被災地、被災者にとってどうなのかという点についてお尋ねをいたします。今回の個人住民税均等割の標準税率の引き上げは、被災自治体でも行うことを求めるんでしょうか。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 個人住民税均等割の引き上げは、全国の地方団体が実施する防災施策に必要な財源を確保するために実施するものであり、被災自治体においても、みずから実施する防災施策の財源を確保するため、個人住民税均等割の引き上げを行うこととなるものであります。

 なお、均等割の税率引き上げは地方団体の自主的な判断に任されているため、被災者への配慮などの観点から、地方団体の判断で税率の引き上げを行わないことも可能となっております。

塩川委員 それで、お尋ねします。

 被災自治体においても標準税率の引き上げを行うものとなる、ただ、被災者への配慮などもあって、自主的な判断として行わないこともあり得るということですが、そもそも今回の場合、負担増を要請するわけですよ。被災地においては、被災者の皆さんが懸命に暮らしの再建、地域の再建に努力をされておられる、復旧復興の先頭に立って頑張っておられるわけですけれども、生活そのものは、多くの家族を失い、また財産も失う中で、仕事あるいは生業も奪われる中での生活、いわばゼロではなくてマイナスからのスタートなわけですから、マイナスからのスタートを支援するときになぜ負担増なのか、こういうあり方そのものが問題じゃないのか。

 大臣と修正案提出者にあわせてお尋ねいたしますが、こういう被災地の、マイナスからのスタートとなるような被災者に対して負担増を押しつけるということそのものが被災地の復興につながると考えているのか、この点について、それぞれお答えいただけますか。

川端国務大臣 被災地の復旧復興がマイナスからのスタートであるという表現をされましたけれども、大変なところからの再スタートであることは事実でございまして、それを支えるために、いわゆる被災地を中心とした部分に対していろいろな形で制度設計をし、財政支援をし、今回の補正予算を含めて新しい制度設計で取り組むということで最大の手当てをいたしております。

 一方で、全国に関して防災機能を強化するという部分で、個人住民税を引き上げて負担していただく中で全国の底上げをするという部分で、現実には被災地も含めて御負担いただくことは、これは復興基本方針にもありますように、国家的な危機である東日本大震災を乗り越えて復興を実現し、現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会を構築するために必要な事業であり、被災地の復興にもつながるものでございまして、また、その集まった部分をどういうふうに使うか、さっき、午前中の議論にもありましたけれども、そういうことを含めて、これは被災地の復興にも当然つながる事業でもございますので、そういう部分での御負担を、御協力をお願いしているところでございます。

稲見委員 お答えいたします。

 今大臣からもありましたように、この均等割の引き上げにより財源を確保して地方団体が実施する防災施策は、国家的な危機である東日本大震災を乗り越えて復興を実現し、現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会を構築するために必要な事業であり、被災地の復興にもつながると考えております。

 また、先ほどもお答えをいたしましたように、極めて所得の低い方々には課税をされないための、そういう仕組みがございます。

 また、地方税法の三百二十三条の規定によりまして、天災その他特別の事情がある場合においては均等割を減免することができるとされておりまして、個々の被災者の状況に応じて減免することも可能になっております。その場合、特定被災公共団体に指定をされれば、この減収分につきましては特別交付税で措置をされる、こういうふうなことでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

塩川委員 そもそも、マイナスからのスタートとなる被災者に対して負担増を強いることが、本当の意味で被災地の復興になるのかということを聞いているんですよ。結果として、集めた財源で必要な措置をとるということ自身は、全国防災を含めて、それはその地域、被災地における復興になるでしょう。しかし、そもそも、マイナスからのスタートの被災者に対して負担増を押しつけるということ自身が、かえって被災者の暮らしの再建の足を引っ張る、そういう措置につながるようなことを国が行うのでいいのかということを聞いているんですよ。

 大臣、もう一度お答えください。

川端国務大臣 いろいろな低所得者への対応、それから減免措置を講ずることができて、その部分は被災県等々においては財政措置を講ずることができるということで、ここは地方自治体の御判断に任せることでありますけれども、そういう意味で、トータルとして復興に資する部分でいろいろなお金が要る部分を国民全体で、広く薄くでありますけれども御負担をいただくという趣旨の部分では、被災県においてはそういう事情があるから減免したりすることをある種のバックアップ機能として持つ中でやらせていただく制度でありますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思っております。

塩川委員 理解できません。

 いや、そうはいっても、被災者の皆さんの状況を踏まえて、個別減免とかもできます、課税免除の仕組みなどもありますということですけれども、個別減免をした場合には、その被災自治体が税収が減る、減収になります。均等割を引き上げたということを考えたときに、被災者に対して個別減免をした場合には、その自治体の減収分は、今言ったように、特交で措置されるということでいいんでしょうか。

稲見委員 先ほど申し上げましたように、特定被災公共団体に指定をされておれば、特別交付税で措置をされるというふうに理解をしております。そして、この特定被災公共団体は被災地ということではほぼ網羅をされておりますので、そこで個別減免によって、先ほど申し上げました地方税法第三百二十三条の規定により減免をした場合は減収補てんをされる、こういうふうに理解をいたしております。

塩川委員 その特交というのは、きょう議論もしています震災復興特別交付税ということなんでしょうか。

稲見委員 これまでもそういう措置がありましたので、その場合は一般の特別交付税ということになります。

 今回の場合は、復興特別交付税という形でそれを上積んでおりますので、そのことで措置がされる、こういうふうに理解しております。

塩川委員 きょうの法案審議で、震災復興特別交付税というのは二十三年度そして二十四年度という措置であります。個人住民税の均等割の引き上げは平成二十六年六月からですから、そういったときも、では震災復興特別交付税が継続されているということになるんでしょうか。

 政府の方、大臣に確認します。

川端国務大臣 かなり技術的な問題ですが、均等割を一切引き上げないことにするということをしますと、これに関しては、それは歳入をみずから放棄したということでありますから、このことに関しては、標準税率との差額を実質的な減収というふうには考えませんので、今の制度で地方財政措置は想定されていません。

 ただ、個人住民税の引き上げはするけれども、一定の条件、今、低所得者に関してはありますけれども、それをもう少し条件を変えて減免するという措置をされた部分においては、歳入の欠陥ということにおいての財政措置を講ずるという仕組みはありますので、これで手当てをすることになります。

塩川委員 二つのことについてお答えいただいたわけですけれども、一つは、個人住民税の均等割を引き上げないという措置を自主的判断でとった、その分はそもそも歳入として見込まれないわけだから、そこの部分については減収でもないわけだから、何らの地方財政措置もないよと。ですから、被災自治体が自主的な判断で、被災者の皆さんに負担増をかけるのは申しわけない、こう思って、個人住民税の均等割は標準税率の引き上げを行わないと決めた場合については、何らの穴埋めの措置もないということなんですよ。これを見ても、被災者の皆さんに被災自治体が寄り添った対応をとるのを困難にするということを政府としてプログラムしているということになります。

 もう一点、個別減免の話でありますけれども、その点ではもう一つ確認をしたいんですが、交付税措置の話があったわけですけれども、先ほど言いましたように、個人住民税の均等割の引き上げが実際に出てくるのは二十六年以降ですから、そのときに震災復興特別交付税があるのかどうか。もし、ないということであれば、どういう交付税措置を行うことになっているのか。

 この点について、もう一度お答えいただけますか。

川端国務大臣 集中期間の部分は制度的にはっきりしているわけですけれども、それが切れる部分においては、今までの流れを含めながら判断をしていくものだというふうに思っております。

塩川委員 集中期間というのは、何年という意味なんですか。

川端国務大臣 集中期間の間は五年でありますので、この部分は、この部分をしっかりやっていきたいというふうに思っているということでございます。

塩川委員 それは、どこにどういうふうにやるという、五年間は震災復興特別交付税で被災自治体における税の減収分は穴埋めしますということは、どこにはっきりとうたわれているんですか。

川端国務大臣 これは、現在そういう方向でやりたいということで、法律的に担保されているものではありません。

塩川委員 要するに、予算措置ですから、年度ごとで更新するということですから、今の時点での何らの担保はない。

 もちろんそういう方向でやってもらいたいと思っていますけれども、政府全体として決まっている方針ではありませんから、そういう点でも、この個人住民税の均等割の引き上げが行われたときに、その時点でも被災者の方々が困難な暮らしをしているときに、個別の減免を行おうとしたときには震災復興特別交付税が使えるとは言えないというのが今の時点であるわけで、そうなると、結果として、負担軽減の措置を被災自治体として行うことをちゅうちょせざるを得ないような状況になってくるということになるんじゃありませんか。重ねてお尋ねします。

川端国務大臣 それぞれの自治体の状況、そしていろいろな復興事業を含めた、財政状況を含めて、トータルとして、この制度、仕組み含めて、自治体で御判断をいただくことになるというふうには思います。

塩川委員 いや、被災自治体に丸投げするような話じゃないということであります。

 被災者の暮らしを再建してこそ、地域の再建、この東日本大震災からの東北地域の再建にもつながるわけで、それ自身が日本の再建になるんだという方針でやっているときに、肝心の被災者の方への負担増についてまともな地方財政措置が行われないという点では、被災自治体を支援することにはならないし、逆に被災者の生活再建の足を引っ張るものにしかならないということを申し上げておかなければなりません。

 私は、財源を確保するということであれば、この間引き下げられてきた大企業や大資産家の課税こそ見直して、復興財源に充てるべきだということを申し上げたい。

 個人住民税というのであれば、所得割とか均等割とかに加えて、配当割、株式等譲渡所得割もあるわけであります。いわゆる証券税制については、証券優遇税制によって、国税、地方税合わせて、本則二〇%の税率が一〇%になっています。地方分を見ると、本則五%が三%に引き下げられております。

 そこで、総務省にお尋ねをいたしますが、個人住民税の配当割、株式等譲渡所得割、税率を本則に戻すとどのぐらいの増収が見込めるとお考えでしょうか。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 上場株式等の配当、譲渡益に係る軽減税率三%を本則税率五%に戻した場合、過去五年間の平均をもとに試算をすれば、毎年約一千億円程度の増収と見込まれます。

塩川委員 年間一千億円の増収が見込まれるということであります。

 ですから、個人住民税の均等割も十年間ですけれども、個人住民税の退職所得一〇%税額控除の廃止分も含めて、十年間では〇・八兆円ということに対して、この証券優遇税制、地方分だけをとっても十年間では一兆円ということでありますから、おつりが来るということであります。

 総務省に重ねてお尋ねしますが、上場株式等の配当・譲渡所得等に係る軽減税率、証券優遇税制については、本則に戻すのはいつということになっているんでしょうか。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 上場株式等の配当・譲渡所得等に係る一〇%軽減税率については、現下の厳しい経済状況にかんがみて、景気回復に万全を期すため、二年延長することとしているところであります。一〇%軽減税率は、公平性や金融商品間の中立性の観点から、本則税率とすべきものと認識しており、経済金融情勢が急変しない限り、本則税率化を平成二十六年の一月から確実に実施することとし、その旨を平成二十三年度税制改正大綱に明記しているところであります。

塩川委員 今お話しいただきましたように、平成二十六年一月からは本則に戻す。平成二十六年一月以降、年間一千億円の増収が見込まれるということなんですよ。

 今議論をしてきました個人住民税の均等割の引き上げというのは、平成二十六年の六月から十年間ですよね。ということを考えると、ほとんど同じ時期でもありますから、こういう証券優遇税制の税率をもとに戻すことによる増収を充てれば、そもそも低所得者にも広く負担を強いることになる均等割の引き上げを行う必要はないと考えますが、大臣、いかがでしょう。証券優遇税制を本則に戻すことによる増収分を財源に充てようということは考えたことがないということなんですか。

川端国務大臣 先ほどもお話がありましたように、この税制は、経済状況を含め、いろいろな市場動向を含めて、さまざまな議論の中で一定の方向をつけているものでございますが、今回の震災復興に関する諸財源については、国民に幅広くこの未曾有の状況に対応して御負担もお願いする中で、総力を挙げて復興をやっていこうという観点でございますので、我々としては、意見は異にするのかもしれませんが、できるだけ幅広く薄くという観点でありますので、対象とすることにはしないこととしたところでございます。

塩川委員 いや、その考え方が間違っているということを申し上げてきたわけであります。

 この証券優遇税制の廃止の議論というのは、政府税調でもこの間行われてきたわけであります。昨年でも、総務省の皆さんも、逢坂大臣政務官も行かれて、当然議論をされてこられた。一〇%引き上げて本則に戻せば一千億増収ですということも言ってきたわけであります。

 要は、なぜそういう議論になってくるかというと、所得税の税率というのが非常に公平性に欠けるということがあるわけであります。ですから、所得ごとに所得税の税率のグラフを出すと、だんだん所得がふえるにつれて上がってくるわけですけれども、一億円ぐらいをピークとして、その先下がるわけですよ。つまり、所得が大きくなればなるほど所得税率が下がるんです。

 それというのは、この証券優遇税制が分離をされていて、それに対して、本則二割のところを一割という課税となっているから、結果として、高額所得者ほど、つまり金融資産をたくさん持っている人ほど所得税率が下がるんですよ。これは公平性に欠けるじゃないかということで、少なくともこの本則二〇%に戻すべきじゃないかという議論があるわけであります。

 手当てをするのであれば、これこそ行うべきだ。こういう措置こそ行って、しっかりとした地域の復興のために充てていく。こういう措置こそ行うべきということを申し上げ、低所得者に増税を押しつけるのではなく、大企業、大資産家減税こそ見直して、復興財源に充てるということを強く求めておくものであります。

 次に、残りの時間で、原発事故関連で質問をいたします。

 今、首都圏の自治体から、ストロンチウムの測定を求める要望が出ております。この間、セシウムの放射線量の調査などが随分行われ、それだけではなくて、今、プルトニウムですとかストロンチウム、非常に毒性の強いこういった放射性物質についての調査を求める声が広がっております。

 文部科学省が九月三十日に、福島第一原発百キロ圏内のプルトニウム、ストロンチウムの土壌分析結果を発表しました。ストロンチウムは骨に沈着しやすい特性を持ちますし、白血病などの懸念があるわけであります。

 そこで、埼玉県の国への要望書を見ますと、その中にこのようにあります。文部科学省が六月から七月にかけて、福島原発から百キロ圏内の土壌中のストロンチウム調査を実施し、放射性セシウムに比べ極めて低い数値であることが発表されたが、九月に二百五十キロ離れた横浜市内の堆積物からストロンチウムが検出されている、土壌中のストロンチウムについて調査範囲を福島第一原発から百キロ圏外に拡大すること、こういう要望であります。

 そこで、文部科学省、神本大臣政務官にお越しいただきました。こういった、ストロンチウムについての調査を広くやってくれという要望がどういう自治体から寄せられているのかについて、お答えをいただけますか。

神本大臣政務官 お答えいたします。

 文部科学省におきましては、地方自治体及び地方議会からの要望としまして、発生からこれまでの間に、千葉県袖ケ浦市議会と福島県浪江町から、ストロンチウム調査についての要望書を受け取っているところでございます。

塩川委員 首都圏の袖ケ浦の議会と、また原発立地地域の浪江町ということでした。

 私も埼玉から要望を受け取ったんですが、まだ文部科学省まで届いていないようです。今申し上げましたから、受けとめていただいたと思いますけれども、横浜市などからもそういう要望が出されております。

 この間、航空機による放射性セシウムの空間線量の調査が行われ、放射能汚染が広範囲に及んでいることが明らかとなりましたけれども、一方で、人体に悪影響を与えるプルトニウムやストロンチウムによる土壌汚染の測定は十分に行われているものではありません。そういう点でも、空間線量は空間線量でしっかり調べるんだけれども、土壌分析もやってもらいたいというのが自治体の声であり、住民の皆さんの声であります。

 ぜひ、政府として、文部科学省として、ストロンチウムに着目をしたしっかりとした土壌分析の調査、測定を行う必要があると考えますが、どのように対応されるお考えか、お尋ねをいたします。

神本大臣政務官 お尋ねの件でございますが、文部科学省としましては、第三次補正予算におきまして、この原発事故に伴う放射性物質の分布状況等を調査するために必要な経費を計上しているところでございます。その中で、放射性ストロンチウムに関する追加調査を実施する予定でございます。

 具体的には、文科省に設置されております放射線量等分布マップの作成等に係る検討会がございますが、その検討会で、専門家の御意見を伺いつつ、今後の調査について調査範囲を拡大することも検討してございます。

 以上です。

塩川委員 三次補正での予算措置を行い、今、検討会で検討中ということでしたけれども、その検討会の場において、文科省が事務方として出席をし、モニタリング班の方のお話を伺っても、これは文部科学省として今現在どんな調査をやろうとしているのか、どういう調査が必要かという提案をしているのかについてお答えをいただけますか。

神本大臣政務官 現在進められている放射性ストロンチウムの追加調査について、その方向性についてでございますけれども、一つには、一次調査、先ほど先生お触れになりました九月三十日に発表したものでございますが、そこで核種分析をしていない福島第一原子力発電所から八十キロ―百キロ圏内の土壌試料の調査、それからもう一つは、新たに百キロ圏外で採取する土壌試料、それからもう一つは、第一次調査において放射性セシウムの沈着量に対する放射性ストロンチウムの沈着量の比率が高い箇所の周辺で採取された土壌試料等、こういったことを今後追加調査の方向性の案としてお示しして、検討会で今検討していただいているところでございます。

 以上です。

塩川委員 確認ですけれども、今回新たに百キロ圏外で採取する土壌について、プルトニウム、ストロンチウムの分析を実施する。その百キロ圏外について採取をした土壌は、百五十試料ぐらいをサンプリングして、そのうち七十五試料を選んでプルトニウム、ストロンチウムの分析にかけるという提案をされたと承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

神本大臣政務官 ストロンチウムが百試料程度で、プルトニウムが五十試料程度でございます。

塩川委員 その百試料をどこからとるのかということなんです。

 百キロ圏外という場合についても、広範囲に及ぶわけであります。一部の声としては、空間線量が年間一ミリシーベルト以上の地域に対応する形で土壌分析のための土壌の採取を行うというふうに聞いていますけれども、そういうことなのか。

 私は、年間一ミリシーベルトということに限らず、それ以外のところでもストロンチウムについてのしっかりとした調査を行う必要がある。この間でも、セシウムとストロンチウムの分布について、必ずしも相関関係があるとは言えないと言われてきたわけですから、年間一ミリシーベルトの空間線量の地域に限った土壌採取調査ではなくて、広く分析を行うべきだと考えますけれども、その点についての文科省のお考えをお聞かせください。

神本大臣政務官 先ほどの繰り返しになりますけれども、具体的には、専門家の検討会議を今行っているところでございますので、その御意見を伺いつつ、今後の調査についてはやっていく予定でございます。

塩川委員 例えば、私の住まいのある埼玉で見ても、東部の方の三郷、吉川などで年間一ミリシーベルトを超える。一方で、秩父の方でも年間一ミリシーベルトを超える。真ん中あたりはそんなに高くないねというふうに一般的に思われているんだけれども、本当にそうなのかという懸念があるわけであります。そういう地域も含めてストロンチウムの土壌分析をしっかり行うことによって、それを広く国民に明らかにすることを通じて政府の施策にも生かしていく、こういうことこそ必要だ。私の住んでいる所沢などでも、そういう懸念を持つ方のお話も伺っているところであります。

 空間線量と土壌汚染については必ずしも一致しないわけで、先ほど申し上げましたような年間一ミリシーベルトの地域に限定しない測定を行うべきということを重ねて要請し、さらに、海水中のストロンチウムの調査、何よりも徹底した除染を行うということで、負担は東電にしっかり求めていく、国が責任を持った対応、このことを重ねて申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 閣法並びに修正案、それぞれについてただしていきたいと思います。

 まず、閣法の震災復興特別交付税についてただしてまいりますが、東日本大震災からの復旧復興に向けて、今回の特別交付税が新設されました。これは通常の特別交付税とは異なる特例で、過去に例がないと聞いております。総務省の資料などを見ますと、個々の被災団体における負担をゼロとするように、実施状況に合わせて決定、配分予定となっています。

 そこで、まず、今回の特別交付税は、復旧復興事業が具体的に行われた場合に、その事業を確認した上で交付する実績払いと理解してよいのかが一つ。また、その場合、本来使途の制限のない交付税の性格との関連はどうなっていくのか。その二点についてお伺いします。

川端国務大臣 お答えいたします。

 震災復興特別交付税は、東日本大震災が我が国全体に未曾有の被害をもたらしたということで、被災団体に対して財源面でしっかり裏打ちをしたいということで、地方交付税の増額で地方負担分の全額を措置することでその負担をゼロにするということの仕組みでございますが、先生お問いの部分でいいますと、個々の団体が実施する復旧復興事業に係る地方負担額に応じて交付するという仕組みでありまして、そういう額が生じるというときに応じて交付をいたします。

 しかし、地方交付税の使途というのは、国がその使途を制限したり条件をつけたりするものでないという本来の趣旨でございます。震災復興特別交付税においても、こうした地方交付税の性格は同様でございます。

重野委員 今回の三次補正では、復興基本方針に基づいて東日本大震災復興交付金が創設されました。今回の特別交付税が実質的に実績払いであるのなら、この交付金で対応することも可能ではないのか。なぜ交付金ではなく交付税としたのか、その理由を伺います。

川端国務大臣 この復旧復興に当たっては、被災地域が全力で取り組むということと同時に、その財政負担が被災団体以外の地方公共団体の負担に影響が及ばないようにということで、別枠で整理するということにまずはした仕組みであります。

 そういうときに、通常の歳入歳出とは別枠で整理するということで、地方財源を確実に確保することが基本になっているわけですけれども、御指摘のとおり、その全額を初めから復興交付金で措置したらいいじゃないかという論は、当然ながら制度設計としてはあります。

 ただ、この復興交付金の創設等々で、一兆六千六百三十五億円、地方負担分を手当てすることにしたんですが、政府としては、やはり実施主体ができるだけきめ細かく、本当にしっかりした、こういう事業をやりたいというのを主体的に判断していただくわけですけれども、実施主体である地方団体においても、基本的には、そういう事業をやるということの判断には一定の責任が生じるわけですから、その責任が生じた部分においては、今までの仕組みであれば負担は生じますよということを整理した中で、しかし、その負担は全部ゼロとなるように震災復興特別交付税で手当てをしますということの仕組みをして、本当に地域の自主的な判断で復旧復興に資する事業をしっかりやっていただきたいという趣旨でこういう仕組みを導入したということで、全額を初めから全部しますからということでないという背景の物の考え方として御理解をいただければというふうに思っております。

重野委員 次に、過不足が発生した場合の対応等々についてであります。

 積算額として一兆六千六百三十五億円を計上している。実際の所要額との乖離というのは、私は、ケース・バイ・ケース、当然発生し得ると思います。現実に過不足が発生した場合、増額あるいは精算減額を行うのか、その点についてもただしておきたい。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 今回の震災復興特別交付税については、今回の第三次補正予算に伴う地方負担分七千三百二十二億円、平成二十三年度第一次、第二次補正予算等に伴う地方負担分六千三百十三億円、震災関連の地方税法の改正等による地方税等の減収分三千億円について対応することとして、地方交付税を計一兆六千六百三十五億円増税することとしたところでございます。

 復旧復興事業の地方負担分については、予算に計上された国費とその補助率を基礎に積算しており、予算を超える支出はできないことから、基本的に不足が生じることはないと想定をいたしております。

 一方、事業の実施の結果、執行残等の余剰が生じる場合には、震災復興特別交付税が集中復興期間中、平成二十三年度から二十七年度の復旧復興事業に係る地方負担分への財源面での裏づけを行うものであるとの趣旨を踏まえ、その取り扱いについて今後検討してまいりたいと考えております。

重野委員 次に、地方税の臨時特例について聞いておきたいと思います。

 復興基本法に基づき、二〇一一年度から二〇一五年度までの五年間で、全国的に、かつ緊急に自治体が実施する防災のための施策に要する費用の財源として、地方税の臨時特例を設けるとのことであります。

 全国で行われる緊急防災・減災事業自体は必要な施策であると考えます。しかし、全国の自治体で想定される災害は一様ではありません。耐震に重点が置かれる地域、あるいは津波への対策、土砂災害への対応などさまざまであります。対策によって経費の額も異なると思われますが、当然ここでも過不足が発生すると考えられますが、この点についてはどのように考えていますか。

福田大臣政務官 済みません、先ほどの答弁で言い間違えましたので。先ほどの復興特別交付税についての最後の、地方交付税を計一兆六千六百三十五億円増額というところを増税と言ってしまったようでございまして、これは増額するとしたところでございます。おわびして訂正をさせていただきます。

 ただいまの御質問でございますけれども、復旧復興対策規模十九兆円のうち、全国の地方団体で行われることが予定されている緊急防災・減災事業の地方負担分については、財源を国に依存するのではなく、地方税において臨時的な税制上の措置を講じることで、地方団体みずからが財源を確保することとしております。

 この地方税の臨時的な税制上の措置により、所要の財源を総額としては確保しておりますが、各地方団体ごとの地方負担額と増収額との調整や事業実施時期と地方税の増収時期との調整を行う必要があります。

 そこで、事業実施に際しましては、まずは地方債により財源を賄うこととし、その元利償還金について、直轄・補助事業はその八〇%、地方単独事業はその七〇%を普通交付税の算定において措置することにより、地方交付税の仕組みの中で全体として財政調整することとしております。

 大変苦しい説明なんですが、こんな形で全体は統一をさせていただいております。ここの点については、それぞれの自治体からの申し出もあり、災害に強い地域づくりに取り組んでいただく財源として使っていただければありがたい、そのように考えています。

重野委員 そうすると、この八〇%、七〇%という国の見る率ですね、残りの部分というのは地方自治体でみずからひねり出さなきゃならぬというふうなことなんですか。

福田大臣政務官 そうじゃなくて、済みません、地方自治体がお願いする今回の増税分については、全体として調整するのが、基準財政収入額とそれから交付税措置で七五%の収入と支出で合わせるものですから、残り分二五%についてはどうするんだという話になるのかと思いますので、そのことについては、それぞれの自治体で、災害に強い町づくりといいますか地域づくりといいますか、そういうことを中心にぜひお金を使っていただいて、それぞれの地域の市町村民の皆さんに御理解をいただけるようにぜひ努力をしていただければな、こう思っています。

重野委員 わかりました。

 次に、今回の個人住民税の増税がすべて均等割となっています。まず、なぜすべて均等割となったのかという点について聞きます。

 それから、年間わずか五百円、月にすると四十二円程度と言うかもしれませんが、一円でも安いスーパーで買い物したり、特売日を利用したりする多くの国民の実態、よくよく承知しておられると思います。しかも、この均等割は、所得割に比べても非課税限度額が低く設定されている。また後で尋ねますけれども、既に多くの県で標準税率を超える超過課税も行われているという現実も一方にはあります。高額所得者にとっては痛みを感じないものでも、低所得の世帯には大きな痛みとなる。これで等しい負担と言えるのかという疑問を持ちます。担税力に応じた負担とすべきではありませんか。

 この二点について聞きます。

川端国務大臣 地方団体が実施する防災のための施策に必要な財源というのは、できるだけ広く薄く、今五百円も決して安い額ではないというのは、そのとおりの世帯もたくさんあることは事実でありますが、できるだけ広く薄くということで、均等割が五千九百三十六万人、所得割が五千四百七十七万人、所得税は五千五十二万人という納税義務者でございますので、広ければ広いほど額が少なくなるという意味で、個人住民税の均等割の引き上げで確保することにさせていただいたというのが前段のお答えであります。

 また、所得に応じて負担すべきというのも当然のこととしてあります。いわゆる応能負担というんですか、能力のある人が負担する。

 これは、今回は我々のお願いしている部分は地方の防災に資するという事業でありますが、トータルとしての復興財源を含めての分で、所得に応じた負担としては、国の復興財源確保のために所得税に付加税を課すことにしております。

 その旨は、国税においては所得税でかかるという部分で、これは定率、そして地方税においては個人住民税で、これは定額ということで、両者のバランスをとる負担をお願いするという一方を担っているというふうにもなっているわけでございます。

 ちなみに、この財源確保額が地方全体で〇・八兆円程度でありまして、個人住民税所得割の税収の規模が大体十一兆円でございます。これに比べますと比較的少ないということで、仮に所得割の標準税率の引き上げでこの部分を賄おうといたしますと、極めて低い税率になります。例えば十年ということで試算いたしますと、一〇%の標準税率がありますのを〇・〇七%引き上げるということになりますので、全体からいうと、所得割の部分でいうと額が極めて少ないという背景もあったということで、こういう形にさせていただきました。

重野委員 閣法では、均等割を年間で五百円引き上げ、そのうち二百円を道府県民税、三百円を市町村民税とするとのことであります。しかも、都道府県税では、既に多くの県において標準税率を超えた超過課税を行っているという状況がある。特に、今回の震災で甚大な被害を受けた東北では、多くの県で既に標準税率の超過課税を行っているのだ。

 こうした超過課税を行っている自治体では対応はどうなるのか、その点についてお伺いします。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 平成二十三年四月一日現在でありますけれども、委員御指摘のとおり、森林環境保全等の施策の財源に充てることを目的として、公益的機能の拡充、拡大、水源涵養とかということで、個人住民税均等割の超過課税、これを行っておる都道府県は今三十一団体あります。御指摘のとおり、私の岩手でもそうでありますし、東北では宮城、秋田、山形、福島で行っておりまして、私のところは年間千円、これについて負担しているということの現状であります。

 また一方で、今回の個人住民税均等割の引き上げは、全国の地方団体で行われることが予定されております全国防災・減災事業の財源確保を目的としておりまして、先ほどこれまた委員がお話しされましたけれども、道府県民税分では年間二百円の負担を五年間お願いするものでありまして、出ております修正案では年間五百円の負担を十年間お願いするものであります。これは、従来の超過課税とは別に、標準税率の引き上げとして行うものでありまして、大変厳しい被災地でありますけれども、従来の超過負担とは別に、標準税率の引き上げとして行うものでありまして、御理解をいただきたい、こう思っております。

重野委員 今、超過課税の問題についての説明がありましたけれども、それらも全部含めて、今回の税制改革の中で、現に復興に努力をしているいわゆる被災地も例外ではなく税制改革を行うという、トータル、マクロの問題について、極端に言えば、被災地においてはそういうことを一切免除する、他の県はいざ知らず、特に復興地域、被災して、そして復興に頑張っておられるその地域についてはこれを除外するという選択肢は全く検討をされなかったのかどうなのか、その点についてお伺いします。

黄川田副大臣 総務省としてもさまざま意見はありましたけれども、これは、税制調査会の中でさまざま議論された結果の中で、総務省としての提案ということに結果としてなったわけであります。

重野委員 政府として税制調査会に諮問する場合に、政府の基本的な考え方はここにあるというような形において、被災地に配慮した、そういう方向で検討してもらいたいというふうな、答申を求める場合の立て方があるのではないか、選択肢としては。全くそれはやっちゃならぬことなのか、どうなのか。答申として、税制調査会の中でそういう結論になったと。それはそのとおりですよ。しかし、答申を求める段階において、政府の意思としてそういうふうな問い方というのが私はあってもいいのではないかというふうに思うんですが、そこ辺についてどう思いますか。

黄川田副大臣 私も被災者で、そしてまた、復興の基本方針、それから基本法案ということで、復興のための財源措置をどうしたらいいか、どこから財源を求めるかということで、さまざまありまして、その復興方針の中でも薄く広く財源を求めるという基本的な考えがありまして、その中での位置づけだということなのでありますが、委員が指摘するところ、さまざま私も感じるところがあります。いずれ、復興方針の中での結論だということであります。

重野委員 それでは、これは今後引き続き意見交換をしていかなきゃならぬテーマだと思います。

 次に、修正案の提出者にお伺いします。

 今回の地方税の税制改正法案について、修正案では、扶養控除の見直しに関する規定の削除が行われました。これについてはおおむね私も了解できる内容であります。しかし、同時に、給与所得控除についても変更が行われたということです。

 御存じのように、日本の給与所得控除は、給与が高くなればなるほど、それに合わせて給与所得控除も際限なくふえていく。青天井になっているんですね。これは、先進国の中では日本だけが採用している、高額所得者優遇の特異な制度。

 閣法では、上限を設定し、給与所得一千五百万円を上限として、控除額は二百四十五万円。法人役員については、さらに上限を引き下げることになっていました。ところが、修正案ではこれも抜け落ちております。

 報道などによりますと、所得税増税につながる給与所得控除の上限設定について、家庭の負担が重くなるとの理由だそうでありますが、給与所得者で年収一千五百万円以上はわずか一%。民間平均給与の四倍以上の高額所得者に相応の負担を求めることがそれほどの負担増となるのか。

 野田総理も、給与所得控除の見直しについて、格差是正をその理由に挙げています。なぜ今回の修正で給与所得控除の見直しがなくなったのか、尋ねます。国税の自動影響という答弁ではなく、三党で合意した中身ですから、責任を持って理由を明確に述べてください。

 世界では、私たちは九九%という格差拡大への抗議の運動が広がっている。ところが、日本では、富裕層の一%に配慮した税制改正をやる。これは世界の流れに逆行しているとは思いませんか。

 以上二点。

石田(真)委員 重野先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 御指摘いただいた事項につきましては、これはずっと議論を重ねてきた問題でございまして、今回の復興財源という問題だけではなしに、税制全体にかかわる問題ということで、二十四年度の税制改正あるいは抜本改正、そういう中でそれぞれ成案を得るというようにやっていこうということで、民主党、そして公明党、それから自由民主党で合意ができたということでございます。

重野委員 合意ができたという結論の部分は私もそうだろうと思うんですが、合意に至るプロセスの中で、今私が指摘をした点についてどういう議論がされたのか、そこのところが知りたいんです。

稲見委員 三党合意の協議に我々が陪席をしておったこともありませんので、細かい点はわかりません。ただ、この問題は、所得税法あるいは地方税法を含めまして、この春からつないで、切り分けて、そして残ってきたというふうな形でこの国会に引き継がれております。

 したがって、今、石田先生からもおっしゃったように、この時点になって平成二十三年度税制改正として合意をするのか、あるいは、最低限のものについて法案を修正して、通過をお願いしながら、申し上げたように、今後の税制改正の中で三党それぞれに努力をしていく、こういうふうに御判断があり、合意がされた、こういうふうに思っております。

重野委員 原案を提出した政府・民主党を構成する稲見筆頭の説明ではありますけれども、やはり納得しがたい、そのことだけは申しておきたいと思います。

 次に、既に閣法のところで総務省に尋ねましたけれども、改めて修正案提出者にも尋ねておきます。

 修正案では、十年間で、地方税を均等割で年間千円引き上げるとしています。なぜ均等割なのか、所得割とすべきではないのか、このように思うんですが、この点についての答弁を求めます。

稲見委員 先ほど総務大臣からもございましたように、復興基本方針を踏まえて、広く薄く、しかも現世代で財源を確保していく、こういうふうなことになっておりました。したがいまして、より多くの方から薄く広く負担をいただく観点から、納税義務者数が個人住民税所得割よりも多い個人住民税の均等割等の引き上げによって確保することとしたいというふうにしたところであります。

 なお、均等割は、非課税限度額制度によりまして、所得の極めて低い者には課税されないほか、障害者、寡婦等で合計所得金額が百二十五万円以下の者については非課税になる、こういうふうな低所得者にも配慮をした仕組みになっている点であります。

 それに、先ほども少しお答えをいたしましたが、大都市を中心にしますと、いわゆる個人事業者の市区外居住者というのがたくさんいらっしゃいます。その店舗を構えているところでも防災、減災施策が必要でありまして、そういう意味では、そこでの公共サービスを受けるということでの応益割的に個人事業者には均等割が課税をされております。そういう点では、そこも負担をしていただくということは、応益観点から、よいのではないかというふうに思っております。

重野委員 それでは、最後になりますけれども、総額確保の点について聞きます。

 閣法では、五年間にわたって個人住民税を五百円で総額一千五百億円、たばこ一本当たり地方分一円で四千八百億円、さらに給与所得控除などの見直しで二千億円の、総額八千億円程度となっております。他方で、修正案では、たばこと所得控除の見直しを取りやめ、個人住民税で十年間で総額六千億円、退職所得の一〇%税額控除の廃止で一千七百二十億円となっております。

 トータル、総額では三百億円程度の不足となるんですが、これについてはどのように考えているのか、聞いておきたい。

稲見委員 お答えいたします。

 今、重野先生からありましたように、いずれにしても、〇・八兆円程度という、これは将来にわたっての推計ということでございます。少し細かく言いますと、閣法でございましたら、個人住民税の均等割の引き上げで千五百億円、それから地方たばこ税で四千八百億円、それに個人住民税の所得控除等の見直しで二千億円、こういうふうなことで、八千三百億円となります。

 今回、たばこ税が外れましたので、個人住民税のところで六千億円、それに退職所得の一〇%税額控除廃止、前年度課税から当年度課税になったとき以来の取り扱いでありますが、これの廃止で千七百億円ということで、いずれも推計でありますが、七千七百億円ですから、少しこの点が減じているということは、そのとおりであります。今後の事業の進捗状況等をしっかりと見きわめる必要があると考えているところでございます。

 加えて、たばこ税の問題ですが、閣法ではたばこ税も活用することにしておりましたけれども、いろいろな議論の上に今回の三党合意に至りました。個人的には、困ったときのたばこ税、こういうふうな形ではなくて、健康の問題あるいは葉たばこ農家の問題を含めて、今後抜本的な議論を行ってたばこの課税を考えていく必要があるのではないか、こういうふうに思っております。

 以上であります。

重野委員 最後にたばこ税の話が出ましたが、私の地元は葉たばこの主要な生産地であって、私の町なんかは、たばこ耕作者の六割がもう耕作しないというような、非常に激しい動きがあります。みんな、大変不安な気持ちを持っております。

 せっかく今たばこ税の話が出たんですが、そういうたばこ耕作者の問題も、この際、きょうは質問の内容と関係ないんですが、しっかりこれは考えていかなければならない大きなテーマだということも付言をして、私の質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今、答弁者の方々が入れかわっておりますので、冒頭、こちらから申し上げて、質問に入りたいと思います。

 増税の前にやるべきことがある、これがみんなの党の基本姿勢であります。三次補正、復興予算の財源の裏づけとなる財源確保法には、復興名目の増税のメニューが国税、地方税とそれぞれ盛り込まれているわけですけれども、ほかに財源があるのにそれを使わず増税に走る政府・民主党の姿勢は、官僚主導の増税ありきだと言われても仕方がないと私は思います。

 まず、川端大臣にお伺いをいたしたいと思います。大臣は、大臣就任以前からこの復興増税というのに賛成だったのかどうか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 この未曾有の震災に対しての復興を一日も早くしなければならないというときに、相当大規模な財政需要が発生することは当然見込まれているし、補正も進んでまいりました。

 そういう中で、安易な増税に頼ることなく、あらゆる手段を講じて財源を確保すべきというふうには基本的に思っておりますが、万やむを得ないときには、一定の増税は議論されていって、やらざるを得ないときがあり得るというふうには思っておりました。

柿澤委員 万やむを得ないときとおっしゃいますけれども、それこそ、民主党のマニフェストで掲げている公務員人件費の二割削減、こういったことについても、時限立法をかわりに提案しているとはいえども、二割削減にはほど遠い。震災発生前からやるやると言っていたことをやらないで先送りにして、それで国民に増税の負担を押しつけるというのは全く筋道が違っている、こういうふうに思います。

 片山前総務大臣が、十月二十五日の朝日新聞のインタビューで、こう批判をしております。「復興のためなら国民も増税に応じるはずと、復興を人質にとった」「救急病院に重篤な患者が運び込まれているのに、治療費の返済計画を家族が提出するまで待たせておけというようなもので、異様」だ、こういうふうに言っております。先日の予算委員会で我が党の江田幹事長もこれをひもといておりましたけれども、まさにこういう展開にここまでなってきたのではありませんか。

 これについて、川端大臣、御答弁がありましたらお願いします。

川端国務大臣 いろいろな報道を含めて、片山前大臣がおっしゃったことは、私は、記事という意味では読ませていただきましたが、事実関係を詳細に、そのとき内閣におったわけではありませんので、承知しているわけではありません。

 今言われた例えは、私は、閣僚になったのが九月でありますから、それ以降の内閣におった分を含め、それからそれまでの党においての議論としてそういうふうなことはなかったというふうに思いますし、総理もそういう御趣旨で御答弁されている、そのとおりだというふうに思っております。

柿澤委員 片山前総務大臣は震災の災害対策本部の副本部長をされていた方でもあります。そういう意味で、まさに政権中枢におられた方の感懐としてこういう発言が出てくるということは、大変重大なことだというふうに思っております。

 今回の野田政権には、実は、これまで復興増税反対を唱えていた人がたくさん政権の要職についておられるのです。

 お手元に、超党派で結成をされた増税によらない復興財源を求める会の声明文と、署名議員のリストの民主党分をお配りしてあります。読んで字のごとしで、これは、増税によらない復興財源を求め、まず第一に、日銀による復興債の買い切りオペの実施を求めているものであります。

 声明文の本文を読みますと、震災復興にめどが立ち、デフレを脱却し、経済が安定成長軌道に乗るまでは増税などすべきではなく、今は国債や埋蔵金など増税によらない復興財源を見出すべきであるとか、歴史的にも、経済が縮小しているときに増税に成功した国はない、こういう至極全うなことが書いてあります。

 署名リストを見ていただきたいんですけれども、野田内閣で国対委員長になられた平野博文さんの名前が載っていて、それだけでも驚いてしまうんですけれども、さらに署名リストを見ると、松崎副大臣と福田政務官の両名のお名前が書いてあります。実は、国民新党のリストには森田高政務官のお名前もあります。つまりは、実に、現総務省政務三役の六人の半数の三人が、復興増税反対の意見を明らかにしている人なわけです。これらの皆さんが、今回、総務省の政務三役として、事もあろうに復興増税を提案する側に回っている。どういうつもりなんですか。

 まず、松崎副大臣、もし弁明がありましたらお伺いをしたいと思います。

松崎副大臣 お答えいたします。

 今の声明文の件でありますけれども、これは六月十六日に決議文を発表しておりまして、その時点ではそういう状況認識ということもあったと私は思います。

 ただ、復興対策本部は七月二十九日に基本方針を決定されておりまして、その中に、財源の確保策として時限的税制措置が盛り込まれたわけであります。

 私は九月五日に副大臣に指名をいただきまして、当然、その後の内閣の一員としてこの方針をしっかり守っていくということになっております。

柿澤委員 今の御答弁ですと、この声明文は六月時点のものである、その時点ではそういう認識だった、九月五日に副大臣になって、その後は内閣の方針を守っている、考え方を変えたということでよろしいですか。

松崎副大臣 お答えいたします。

 内閣の一員として今の野田政権の基本的な方針を守っていくということ、それが指名をされた使命でもあろうと思っております。

柿澤委員 要するに、内々、内心はこの復興増税に賛成ではないんだけれども、今副大臣をやっているから、内閣の方針としてそれに従わなければならないかな、こういう趣旨の御答弁をされたと私は解釈をいたします。

 福田政務官にも同じ質問をしなければなりません。

 この増税によらない復興財源を求める声明文に福田政務官もサインをしておられます。今、復興増税、人頭増税といいますか、これを提案する側に回っている、これについてぜひ御答弁をいただきたいと思います。

福田大臣政務官 答弁はありません。

原口委員長 福田総務大臣政務官、きっちり答えてください。お答えください。

福田大臣政務官 一番ベストなのは増税によらない方法だと考えております。

柿澤委員 まず、答弁はないというのは一体何ですか。そして、まずベストなのは本来は増税によらない復興だと考えている、こういうことですか。本音は今でも反対だということですよね。

 そうすると、政務官になってからは、今、増税の提案側に回っているわけですけれども、このお立場とどういうふうに整合性があるんですか。

福田大臣政務官 野田内閣の一員として、できるだけ増税幅を減らす、そういう観点から私も努力をしてまいりたいと思います。

柿澤委員 先ほど、答弁はありませんとまずおっしゃった、この真意も改めてお伺いをしておきたいと思います。

福田大臣政務官 失言だったと思います。

柿澤委員 これは、私のような少数会派の新人議員が質問しているからこんな程度で済みますけれども、仮に、大会派の舌鋒鋭い、私のようなへなちょこじゃない議員がやっていたら大変なことになりますよ。ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 増税幅を縮減できたから容認に転じた、こういう趣旨ですか。本来増税すべきでないということは今でも考えているということですよね。だとすると、結局、みずからの主義主張を引っ込めて、副大臣、政務官としての立場を守るために口をつぐんでいる、こういうことになるのではないですか。

 今やお二人は増税の提案者なんですから、この声明文への署名は撤回を申し入れるべきなんだろうと思います。現時点でそのような申し入れをお二方がされているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

松崎副大臣 今現在はしておりません。

福田大臣政務官 私もしておりません。

柿澤委員 するつもりはあるかどうか、お伺いします。

松崎副大臣 今後検討いたします。

福田大臣政務官 よく考えてみます。

柿澤委員 結局、復興増税もそう、TPPもそうだし、かつての内閣不信任案もそうです。勇ましく反対とこぶしを振り上げるんですけれども、すべて腰砕けではないですか。党内野党の立場から一たび政権内に取り込まれれば、それまでのみずからの主義主張もかなぐり捨ててしまう、こういうことなのではないですか。もう一度お二方に御弁明をいただきたいと思います。

松崎副大臣 いろいろな見方がありますけれども、党内野党云々ではなくて、それぞれの思いやその状況での判断を政治家としてそれぞれしたということであります。

福田大臣政務官 私は、政治は妥協の産物だと思っていますから、党内の中でしっかり議論をして、その中で十分それぞれの意見を闘わせて、よりいい方に持っていくというのが政治だと思っています。

柿澤委員 このように御答弁をせざるを得ないでしょう、お立場が今そういうお立場なんですから。

 それで、福田政務官には追加でお伺いをしたいんですけれども、税と社会保障の一体改革成案に基づく消費税の増税についてはどうされるんですか。かつて、日本が抱える課題を乗り越えるためには今増税してはだめなんです、こういう趣旨の御発言を民主党内の検討の場でされたというふうに言われています。野田総理は、再三再四おっしゃっているように、次期通常国会に法案の提出をされる。されるとすれば、福田政務官は、一国会議員として、一政治家としてどういう行動をとるおつもりなんですか、お伺いします。

福田大臣政務官 それは、これからよく、十分に考えさせていただきます。

柿澤委員 これは、政権の一員、要職、政務官をされている福田政務官が、一国会議員としては野田総理が提出すると再三再四言っている法案に賛成をしない可能性もある、こういう示唆をされたということになりますよ。それでいいんですか。

福田大臣政務官 どういう判断をするかはこれからでございます。

柿澤委員 重大な決意を語っていただいた、言葉はあいまいでしたけれども、そういうふうに解釈できるのではないかと思います。これからの御行動に注視をしていきたいと思いますし、過去の発言との整合性もこれは問われていく問題だというふうに思います。

 さて、国民新党の森田政務官にお伺いします。

 森田政務官も、この声明文に署名をされている一人であります。国民新党の亀井代表はかねてから復興増税に反対の意見を表明していたと思いますけれども、今回の復興財源の調達を名目とする地方税の増税についてはどのような見解を持っているのか、お伺いをしたいと思います。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 九月二十八日に、我が党の亀井代表と野田総理の間で与党合意というものができたわけでございまして、そこまでに至る議論の道筋も少し含めてお話ししたいと思うんですが、理屈としたら、私は留任の政務官ですから、留任中にこの話に署名させてもらっておりますし、理屈はここに書いてあるとおりだと思っています。デフレギャップがGDPの一〇%あろうというときに増税するのは自殺行為であるというのは、文章のとおりだと思います。結果として税収は伴ってこない、今でもそう思っています。

 ただし、九月二十八日の亀井さんと野田さんの合意というのは、結果としての増税幅を最大限圧縮するための政府資産の売却、我が党からいえば郵政法案の早期成立も含めた努力をする中で、最終的な国民負担の増大というものを最小化しよう、その趣旨に多分亀井静香は合意したと思いますし、自分たちも、その合意の理念というものを実現するために精いっぱい頑張っていきたいと思っております。

 ただ、繰り返し申し上げますが、六月に社会保障、税一体会議の中で消費増税の道が一つ示されたわけです。その中で、今度は所得税、法人税が来るということに関しては、国民新党は今でも明確にその話には賛成していないと思いますし、閣議決定するしないの話がありますが、仮定の話だと思いますが、我が党の代表の判断がこれから出てくると思いますが、閣議決定させないという方向で党としては多分努力していると思います。

柿澤委員 こういう形で総務省における政務三役の六人中三人がこの声明文に署名をされて、今も完全に復興増税に反対という考え方を捨て去ったわけではない、こういうことだと思います。

 川端大臣、この状況について何かお考えはありますか。

川端国務大臣 党内を含めて、政府として決定するまでの間にいろいろな議論があったことは、それは意見がありますから、当然あると思いますし、そういう中で、最終的に党としての方針決定、そして政府としての方針決定がされ、閣議決定をされ、今日に至っております。

 そういう中で、いろいろな議論の過程も含めて、政治家個々人の思いもあるでしょうが、組織として決めて、内閣として決めたことには、当然ながらしっかりとそれを推進する立場で、今の政務三役は心得てやっていただいていると思っております。

柿澤委員 黄川田副大臣そして主濱政務官にもお見えをいただいております。

 お二方は、被災地の岩手県の選出でいらっしゃいます。復興増税は、被災地の皆さんにもかかることになるわけです。この声明文にも「経済を破壊しては、復興も財政再建もあり得ません。被災者にとってもその負担は大きすぎます。」、こういうことが書かれております。

 ほかの財源があるのに増税に走る、本当にこの増税路線を被災地の復興に資するものと考えているのか、この復興を名目とした増税に、黄川田副大臣また主濱政務官、被災地選出の議員として賛成だというふうに言えるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

黄川田副大臣 私も、今はこの役を務めておりますけれども、この前までは復興特別委員会の委員長としての仕事もさせていただきました。

 政府の復興基本方針が出て、未曾有の大災害ということで、大きな財源を確保しなきゃいけないということ、当然、歳出の削減あるいはまた税外収入を何としても確保しなきゃいけない等々、私も思っていました。

 ただ、その中でも、税制上の措置といいますか、そういうところも検討する中で、しっかりと自治体が復興できる財源を確保しないといけない、こういう思いもありましたし、それからあと、基本法ができたときも、野党の皆さんからの御意見もさまざまいただきまして、その中にも税制上の措置の検討も書かれておりましたので、さまざまな、多角的にしっかりととらえていかなければ安定した財源の確保はできないのかなと思っておりました。

 もちろん私自身も、被災地の中で、どこから財源が出てくるんだ、例えば固定資産税は身近な市町村の基幹税でありますけれども、津波あるいはまた原発の中でどうやって税収が取れるんだと。さまざまな課題があります。また一方、自分たちが生まれ育ち、骨を埋めるところは自分たちでというものもあります。大きなお金は出せないけれども、自分たちの部分で皆さん一人一人の国税、地方税を使うんだというその思いもまた一方であると思います。

 まとめて話しますと、総合的に判断する結論が必要だろう、最終的には税収の上げ幅を小さくする中で結論が出ればいいなと思って、そこで、住民税の均等割ということでの提案であります。

主濱大臣政務官 前通常国会の段階で、私は参議院の農林水産委員長でありました。また、復興特別委員会の委員でもありました。その中で、私は、復興に必要な費用をどのように確保するかについては税制上の措置も含めて検討しなければならない、こういうふうに考えておりました。ただ、東日本大震災及び日本の経済状況を考えたときに、できれば増税は避けた方がいい、このようにも考えておりました。

 現在は、政府の一員として、また被災地の一人として、千年に一度の大震災であります、復旧復興をまず第一に考えなければいけない、このように思っております。復旧復興を着実に進めるために、予算はきのう三次補正が成立したわけですけれども、この予算措置と増税も含めた財源の確保が必要である、私は、着実に進めるためにはこういうものが必要であると現在は考えております。

柿澤委員 復旧復興を着実に進めるためにとおっしゃいましたけれども、冒頭に片山前総務大臣の言葉を引いたのは、ここにポイントがあるんですよ。増税ありきで、復興予算の編成をむしろおくらせた、こういうことを、政権中枢の中にいて、その経過を見届けたはずの人が言っている。これは何のための増税なんだ、こういうことを私は申し上げたいのであります。

 そもそも、党内、政権内も、今聞いていたら、全くばらばらじゃないですか。何が正しいと考えるのか、それについてのコンセンサスそのものがない。増税をお願いする内閣の副大臣、政務官が本音では反対です、これでは、政権維持のために主義主張がばらばらの人が寄せ集まっているにすぎないではないですか。かつての自民党政権と同じだと思います。

 次に、復興財源が必要だというなら、なぜ地方公務員の人件費の二割カットをまず先にやろうとしないんですか。民主党は、国家公務員人件費の二割削減をマニフェストで掲げ、今もそれを断念していないと言っているんですから、地方公務員人件費も同程度の削減が必要だというのは、民主党政権としては当然のことだというふうに思います。

 なぜ増税の前にこうした地方公務員の人件費のカット、削減の取り組みをしないのか、御答弁をお願いしたいと思います。

川端国務大臣 地方公務員の給与は、先生御案内のとおり、地方公務員法の第二十四条第三項で「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」ということが定められておりまして、こういう趣旨を踏まえて、それぞれの地方公共団体において、議会で議論の上、条例で定められることになっております。

 したがって、総務省としては、今回の国家公務員の給与引き下げと同様の引き下げを地方公共団体に対して要請することや、地方交付税の減額により強制することは考えておりません。

 地方公務員の給与については、引き続き、各地方公共団体において、国民、住民の理解と納得が得られるように、情報公開を徹底するなど自主的な取り組みを進めながら、適切に決定していただきたいというふうに思っております。

柿澤委員 要請することは考えておりませんということでありましたが、そもそも総務大臣は、地方公務員人件費の水準をどう考えているんですか。地方公務員の総人件費を総定員で割り返して一人当たりの人件費をはじき出すと、地方公務員一人当たりの人件費は幾らになるかというと、何と九百三万円になる。全国津々浦々、二百三十五・一万人の地方公務員に関して、かかっている人件費の一人当たりがこういう水準になっている。どんな企業、どんな産業に、社員一人に九百万円の人件費をかけているところがあるか。

 総務大臣はこれについてどういうふうに考えておられますか。

川端国務大臣 通告がございません数字でありますのでお答えのしようがないんですが、どういう数字で得られたのかは知りませんが、いろいろな比較をするときにはいろいろな基準、前提条件等々がございます。そういう意味で、今お問いの部分に関して、私として想像を働かせてもちょっと想像がつきませんので、お答えできません。

柿澤委員 先ほど申し上げたとおり、地方公務員の人件費の総額を定員数で割り返すと一人当たりの人件費が出てくるではありませんか。これを出しているのが、まさに今言った九百三万円という数字であります。これについてどう考えるか。それはお答えできない、仮置きの試算であるからということであります。

 それでは、これは通告していますけれども、そもそも地方公務員人件費の水準をどう考えているのか。これについては御答弁をいただくことになっていますので、お願いいたします。

川端国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、地方公務員の給与は、それぞれの地方自治体において、地方公務員法の趣旨に沿って、それぞれ議会で御議論をいただき、最終的に条例で決めるという仕組みでお決めになっておりますので、そういうものであるということを承知しております。

 ただ、一般的な国家公務員との比較という共通的な指標といたしましては、ラスパイレス指数がございます。平成二十二年四月一日現在のラス指数で見ると、全国平均で九八・八、平成十六年から七年連続で国家公務員の水準を下回っております。また、地方公共団体別に見ますと、一千四百八十団体、全団体の八二・四%が一〇〇未満になっているということであります。

 以上です。

柿澤委員 安住財務大臣は、先日の参議院の予算委員会で、復興財源確保のための国家公務員給与の七・八%削減の時限立法を提出していることについて、地方も参考にしていただければと思っている、こういう旨の答弁をされたということであります。

 復興財源確保のための地方公務員人件費の削減について、国がこうして取り組んでいるんだから、私は不十分だと思いますが、しかし、地方においては自主的に御判断いただければ結構ということにはならないと思います。

 そういう意味で、例えば国と地方の協議の場、こういうものができたわけですから、これは、地方が協議を求めることを国が一方的にお受けする、そういう場ではないはずでありますので、ぜひ、この国と地方の協議の場で地方公務員人件費の削減について地方団体に要請をする、こういうことをすべきではないかと思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 地域主権あるいは地方分権、言葉遣いはいろいろありますけれども、地方のことは基本的に地方で、できるだけ自主性を持って決めていただくというのが国のこれからのあるべき姿であるという方向性は、多分みんなの党の皆さんもそう思っておられるというふうに思います。

 そういう中で、今の地方自治法を含めまして、地方の給料は、まさに先ほど申し上げましたように、職員の給与は生計費並びに国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならないという均衡の原則に基づいて、地方が自主的にお決めになることだというふうに思います。

 国として要請するということではなく、こういう状況にあるということ、安住大臣は、こういうことをやっているというのも、これは国の水準でありますから、そういうことも見て自主的にお決めをいただきたいということでございます。

柿澤委員 地方自治体があくまで自主的に人事委員会勧告に基づいて考えることだ、こういうことですか。それで、一方で、増税を国民、住民には求めるんですか。先ほど申し上げた公務員人件費というのは、地方自治体の一般歳出の三割を占めているものです。ここに手をつけない、そして国から地方には何も言わない、こういうことで本当にいいのかというふうに思います。

 結局これは、民主党を支持している地方公務員の労働組合の反対を恐れて言うべきことを言わない、こういうことなのではないですか。こういうことをやっているから、私は、この政権に対する国民の信が低下をしてしまっているのではないか、こういうふうに申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

原口委員長 これにて各案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、復興財源確保のための地方税特例法案並びに経済社会の構造変化に対応する地方税法の改正案の原案並びに修正案に対して反対の討論を行います。

 第一に、復興財源確保のための地方税特例法案についてです。

 本法案は、全国緊急防災・減災事業の財源確保を名目に、個人住民税の均等割の標準税率を千円引き上げるものであります。個人住民税の均等割は、就業者数に照らしてもそのほとんどが納税義務者になっており、生活することも困難な所得の低い人にも負担増を課すものであります。応能負担こそが税制の基本であります。低所得者にも負担を強いる住民税の均等割引き上げに財源を求めるべきではありません。

 しかも、引き上げ期間も十年間で、恒久的な増税措置にもなりかねません。

 さらに、住民税均等割の引き上げによる地方税の増税は、被災自治体の住民にも及ぶもので、被災者支援にも反するものと言わなければなりません。

 第二に、経済社会の構造変化に対応する地方税法改正案についてです。

 本法案が、納税環境の整備として、納税者の権利についての法的な担保は一切ないまま、税務調査における徴税吏員の権限として、帳簿、物件の提示やその留置について法定化するなど、徴税の側の権限強化を一方的に定める内容となっていることは重大です。

 現在、地方税の徴収現場では、人権を侵害するような差し押さえや預貯金の調査などが強められ、深刻な問題となっております。本法案は、こうした問題を解決するどころか、さらに深刻な納税者の権利を抑制することをもたらすものであります。

 最後に、地方交付税総額特例法案については、被災自治体の復旧復興事業や地方税の減免による減収分の穴埋めのための起債分を特別交付税で措置するものであり、被災自治体の要望にこたえる踏み込んだ対応として賛成することを申し上げ、討論を終わります。

原口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 初めに、平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、稲見哲男君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、稲見哲男君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 この際、ただいま議決いたしました各法律案中、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案に対し、内山晃君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

坂本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 個人住民税均等割の標準税率の特例措置については、法案の修正の経緯を踏まえ、住民の生命・財産の安全に直結する緊急防災・減災事業の財源確保のために講じられるものであることを明らかにしつつ、国民の理解が得られるよう、周知広報を徹底すること。また、法案の修正に伴い、緊急防災・減災事業の実施に不測の支障が生ずることのないよう措置すること。

 二 緊急防災・減災事業の実施については、各地方公共団体の自主的判断を尊重するとともに、緊急防災・減災事業を実施しなかった団体や既定経費の節減等により個人住民税均等割の税率を引き上げることなく事業を実施した団体が不利益に取り扱われることのないようにすること。

 三 緊急防災・減災事業の実施に伴い同種の既存事業の縮減が行われ、個人住民税均等割の引上げにより得られた財源が他の事業の財源として振り替えられたのと同様の結果を招くことのないようにすること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

原口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原口委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川端総務大臣。

川端国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

原口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員長 次回は、来る二十四日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十三分散会


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