衆議院

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第5号 平成23年11月24日(木曜日)

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平成二十三年十一月二十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 内山  晃君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      小原  舞君    大泉ひろこ君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    桑原  功君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      高井 崇志君    永江 孝子君

      長島 一由君    福田 昭夫君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    加藤 紘一君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    平井たくや君

      森山  裕君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   総務大臣政務官      森田  高君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 田中 順一君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

十一月二十四日

 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長尾西雅博君及び総務省人事・恩給局長田中順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉川政重君。

吉川委員 おはようございます。民主党の吉川政重と申します。

 私は、衆議院に当選させていただいて以来、この二年間ずっと総務委員会を希望しておったのですけれども、今回初めてメンバーに加えていただくことができました。感謝を申し上げます。

 この間、総務委員会でのいろいろな質疑を聞かせていただきました。与党の皆さんも野党の皆さんも問わず、特に地方自治に関して皆さん本当に思い入れを持って熱心に質疑をされておりますこと、非常に感銘を受けております。

 私も、もともと奈良県の職員、そして市議会議員、県議会議員と、約二十年間、地方行政あるいは地方議会の場で携わってきた人間でございますけれども、この委員会にも地方議会の出身の先生方あるいは首長経験の皆さんがたくさんいらっしゃること、非常に心強く思っているところでございます。どうぞ、今後とも御指導いただきますようにお願いを申し上げます。

 それでは、早速でございますけれども、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 まず最初に、この間、いわゆる国家公務員の人件費削減という議論と相まって、地方にもこれを波及させるべきだという議論をあちこちで聞くわけでございます。一昨日の当委員会の質疑の中でも、そのことを主張される委員の質問もございました。

 その中で、一つ、地方公務員の総人件費を定数で割ると平均九百九十万ぐらいになるというような数字を披露されたんですけれども、これは実態とは大きくかけ離れていると言わなければなりません。

 私も奈良県職員を十年足らずさせていただいておったんですけれども、それでも、月給が多分二十万あるかないかぐらいで、ボーナスを入れても年収三百万あるかないかぐらいの記憶をしております。

 ですから、この数字は、どうも現場の実態とかけ離れているというふうに言わざるを得ません。

 総人件費の中には恐らく、例えば臨時、非常勤、嘱託、そういうものも全部含めての総人件費じゃないでしょうか。今、自治体職場、地方財政が逼迫する中で、職場によっては、正規の定数内職員よりも臨時、非常勤、嘱託職員の方が数が多いというような職場なんて幾らでもあるわけでございますので、この点はまず最初に指摘をしておきたいというふうに思います。

 このような議論が行われる背景には、そもそも地方公務員の給与については、これまで何もされていないというような誤った認識が根底にあるのではないかというふうに考えております。

 国家公務員、地方公務員ともに、この間、人事院勧告に基づいて給与削減を行っているんですけれども、地方の場合は、この人事院勧告制度とは別に、独自の給与カットというのをこの間ずっと実施してきております。例えば、都道府県レベルでいいますと、今現在、すべての都道府県でこれが行われております。いわゆる小泉政権下の三位一体改革以来、地方財源が非常に逼迫する中で、この間、約二兆円、都道府県の地方公務員の給与のカットが行われております。最大では約一六%、あるいは管理職手当では二五%、期末・勤勉手当、ボーナスでは最大三〇%カットされているというようなところもあるわけでございます。

 もちろん都道府県だけではありません。市町村を入れますと、さらにこのカット額は大幅であります。市町村を含めた全体のいわゆる独自カット、ちょっと一部を紹介しますと、平成十八年四月現在で、全国で千百四十九団体で年額一千六百五十六億円の削減。同じく十九年四月一日現在では、一千百四十五団体で年間一千五百三億円の削減。あるいは、平成二十年、徐々にふえまして、一千百三十九団体、年間にして一千六百六十四億円の削減。さらに、平成二十一年になりますと、一千百三十九団体、何と年額約二千五百億円の削減ということになっています。昨年、二十二年度でいきますと、一千五十九団体で、やはり二千二百億円もの削減がされております。

 これは独自カット分だけでありますから、さらに例えば定数削減とかの分を入れますと、この間、地方の人件費の削減がどれだけすさまじいものかということがおわかりいただけるというふうに思います。これは人件費だけではありません。地方交付税のこの間の削減の中で、政権交代前まで、毎年かなりの金額が削減されておりました。

 そんな中で、これは非常に卑近な例で恐縮なんですけれども、私も数年前まで中学校とか小学校のPTAの会長をやっていました。そんなとき、学校の現場は備品の購入費がないんですね。来客用のスリッパの先に口があいたまま使っていたり、あるいは、学校で動物を飼育していますね、この動物の飼育のえさを年度末になったら買うお金がないんですね。先生方が自腹を切ってその分をお支払いいただいている。あるいは、鳥インフルエンザのときもそうでしたね。獣医さんが各学校を回っていろいろと検査をしていただくのですけれども、そのお金がないんですよ。校長、教頭がその分を自腹を切って払っているというふうな、こんな例は幾らでもあるんです。

 まさに今、地方は満身創痍の状況であります。政権交代後、徐々に地方交付税の回復を図っていただいておりますけれども、今ここで再び、国家公務員の給与削減と同じように地方もこれ以上やれということになれば、この間のそれぞれ自治体のいわゆる財政健全化に向けた努力を無視して、これを水泡に帰すものである。これは知事会の方からもそういう指摘がされておりますし、あるいは我々政権にとっても、政権交代後、地方財政の回復を図ってきた政府のこれまでの方向とも逆行するものだと言わなければならないと私は考えるところでございます。

 そんな中で、最近もそうでありますけれども、新聞報道、複数記事が出ております。財務省が、この国家公務員人件費削減に見合う分を地方公務員に波及させる目的でいわゆる予算の算定を行う検討を開始した、あるいは義務教育費国庫負担金もしかりであります、このような報道がされておるんですけれども、実際、財務省で今このような検討をされているのかどうか、まず財務省当局の方にお尋ねをしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

三谷大臣政務官 吉川委員、国家公務員給与の減額法案は、我が国の極めて厳しい財政状況と東日本大震災というまさに未曾有の国難に対処するために、国家公務員を対象に給与の減額支給措置を講じようとするものであり、これによってまさに被災地の復興財源に充てさせていただこうとするものであります。

 こうした法案の趣旨を勘案して、公的セクター全体で国家公務員給与の改定に的確に対応いただくことを、財務大臣は、また財務省は期待をしています。

吉川委員 国家公務員の人件費削減についてはおっしゃるとおりで、私もそれは理解しているんですけれども、財務省が地方公務員にその分を、交付税とかあるいは義務教育費国庫負担金にその分を波及させるというような検討をされているという記事が出ておるので、それを私はお尋ねしているんです。再度お答えいただけたらと思います。

 そして、総務大臣に、そのような話が財務省から来ているのかどうか、今来ていないとしても、もし今後来たとした場合に総務大臣としてはどのように対応いただくのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。

原口委員長 三谷財務大臣政務官、的確にお答えください。

三谷大臣政務官 大変繊細な問題ですので、総務大臣とよく財務大臣あるいは財務省が相談をさせていただきながら、予算編成過程の中で的確に対応してまいりたいと思っています。

川端国務大臣 いろいろ地方の実情をお示しいただきましたけれども、お示しいただいたように、地方公務員については、地方公務員法の趣旨を踏まえ、それぞれの地方公共団体で、議会で十分議論の上、条例で定めていただいていると承知いたしておりますが、総務省として、今回の国家公務員の給与引き下げと同様の引き下げを地方公共団体に対して要請することや、地方交付税の減額により強制することは考えておりません。

 なお、財務省と、来年度の地方交付税総額について、地方公務員の人件費に波及させることを前提とするような協議は行っておりません。

吉川委員 総務大臣、ありがとうございます。

 今、地方財政を守る最後のとりでがまさに総務大臣でいらっしゃるというふうに私は思っておりますので、今後とも、地方財政、地方財源の獲得のため、ぜひ御奮闘いただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 時間がありませんので、次の質問に移らせていただきます。

 次に、地方公務員法第五十七条、いわゆる単純労務規定という規定のことについてお尋ねをしたいと思います。

 この五十七条の対象になっている地方職員というのはいわゆる現業職員で、まさに住民と、最前線で行政サービスを担っている方々であります。これらの方々の職種を、国の法律ではいまだに単純労務というふうに言っているんですね。さすがに地方自治体の条例ではこのような言葉は今ほとんどないというふうに思うんですけれども、この単純労務というのは、担当の職員さんからいうと、やはり余り気分がいいものじゃないですね。何か我々は単純な人間か、単細胞の人間かと。昔は単純労務者とか単労職なんて言われた時代もありましたけれども、この呼称、私は、もう今の時代、こんな名前というのは不適切じゃないかと思います。

 この呼称の問題と、もう一つさらに問題なのは、このような規定によって、このいわゆる現業職員の皆さんの職務について非常に限定的に解釈をされてしまっている。公の意思の形成にはかかわらない、公権力の行使にはつけないといった制限が加えられていると言われております。

 これはそもそも根拠がありまして、国の方でかつて、かなり昔でありますけれども、いわゆる政令二十五号という規定、あるいはその規定が廃止された後も自治省の通達によって、その規定によって解釈をしても差し支えないというような通知が出されたこともありました。現実的には、この規定に基づいて自治体ごとに現業と非現業を区別した条例を制定して給料表を定めているなど、現業職員に対して、規制監督業務はできないというような、そんな法解釈がまかり通っているわけでございます。

 しかし一方、該当の職員の皆さんも、そんなところに、何としてもそういうことを打ち破ろうということで、やはり職務に対するみずからの誇りを持って、全国でいろいろな取り組みを実はなされているところであります。

 私は奈良県の香芝市というところに住まいをしておりますけれども、その香芝市の現業の職員さん、ごみ収集員の方の話なんですけれども、いつも定期的にごみを集めていたときに、あるおばあさんが、いつもその時間にわざわざごみを持ってきて、ありがとうと言ってくれる人がいた。それが、最近どうも見ない、心配だということで、仕事が終わった後、お訪ねをしたりというようなことをやったら、やはり病気で寝込んでおられたということがわかったというような事例から、市内のひとり暮らしの高齢者の世帯を全部ピックアップして、その家には、直接家の前でごみの収集をしていこう、あるいは声をかけよう、ふれあい収集と言っているんですけれども、そんなことを始めました。これは、全国にも同じような取り組みが今広がっております。

 ほかにも、これは大阪の八尾市の事例でございますけれども、市内全体をごみ収集車は回るわけですから、例えば危険な道路の箇所とか、あるいは道路に障害物が置いてあるとか、そんなことがわかるわけですね。そういうのをちゃんとマップをつくって改善を求めるというふうなことをやったり、あるいは和歌山県の事例でありますけれども、子供の安全パトロールを兼ねて収集作業を行うというような、こんなことが全国で行われているんですね。

 当然、ふれあい収集でも、地元の民生委員さんを通していろいろとやりとりをするわけですけれども、こんなものが果たして単純労務と言えるんでしょうかね。

 この点、この名称のあり方あるいは実態について、私はもうそろそろ見直していただくべきだと思うんですけれども、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

川端国務大臣 いわゆる単純労務職員というのは、昭和二十六年以降のいろいろな経過があることはもう先生も御案内のとおりでありますが、いろいろ御努力いただいて仕事をしていただいているというのは今も御紹介がありましたけれども、基本的には、民間の類似の職種の勤労者と職務内容が実質的に共通しているということで、できる限り民間の勤労者と同じような取り扱いをしたいというのが本来の趣旨であります。

 したがいまして、この分野の職員に対しては、一つは、政治的行為の制限を受けない、もう一つは、労働組合を結成または加入し、労働協約を締結できるなど、非現業一般職員と大きく異なる身分上の取り扱いを定めておりまして、いわゆる民間で普通の労働組合をつくっていろいろ労使交渉をし云々という権利を認める立場を一方で保障しているわけであります。

 そういう意味で、名称はともかくとして、いろいろなこういう身分をどう考えていくかということをするときには、こういう問題もあわせてどうするかということとセットの議論になりますし、身分の問題それから人事管理への影響等々でいろいろな幅広い慎重な検討が必要であろうというふうに思っております。

吉川委員 ぜひ検討いただいて、少なくとも名称については早急に変えていただきたいというふうに思います。あわせてお願いしておきたいと思います。

 時間の関係で、次の質問に移らせていただきます。

 次に、公務災害についてのお尋ねをさせていただきたいと思います。

 公務災害というのは、民間で言ういわゆる労災ですね。地方公務員の労災を公務災害、国家公務員を含めてなんですけれども。

 先般、十一月六日の東京新聞の特集記事の中で、東京高裁の判決について報道がございました。この新聞を読む限り、かいつまんで言いますと、これまで、国家公務員、地方公務員の公務災害については、災害の申請をするに当たって、所属長の確認印とか証明印が必要であるということに原則なっておるんですね。それがなければ申請を受け付けないというふうな扱いがされてきた。一方、労災の場合はそれがなくても申請ができるというふうに扱いがなっておるので、これが不公平だ、違法だということについて、東京高裁が違法の判断を下したというような判決が出ておるんです。

 私も奈良県の職員時代にこの公務災害の担当をしていたこともありまして、必ずしも所属長の証明がなくても申請ができるというふうなケースもあったと思うんです。また、書類を出してもむしろそこのところで事務が滞ってしまっている、あるいはレアケースの場合、それが果たして公務災害に該当するかどうかわからずに、書類が現に役所で滞っているというふうな事例もあると思うんですね。

 今回の事例はまさにそうだと思うんですけれども、それが新聞報道では、証明印がなかったらだめだというふうな、大きくそれがメーンで報道されているんです。これは多分違うと思うんですけれども、この点の事実関係についてぜひ御教示をいただきたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 今お聞きすると、吉川先生は実務でも携わったということで、この辺を踏まえてお答えいたします。

 地方公務員の公務災害、労働災害への補償等を行っている地方公務員災害補償基金では、公務災害の認定の請求に当たり、所属部局の長が職務上把握している事項を証明することによりその記載事項が正確であることを担保する等を目的といたしまして、所属部局の長の証明を受けた請求書の提出をまずもって求めているところであります。

 しかしながら、所属部局の長が証明を行わないなどやむを得ない事情がある場合には、所属部局の長の証明がなくとも請求書を受理する取り扱いが、先般の東京高裁の判決とは関係なく、従前からなされておるところであります。これは、民間の労働者を対象とした労働者災害補償保険と同等の取り扱いであります。

 なお、先般の東京高裁判決においては、所属部局の長の証明がない請求書を基金が受け取らなかったと判示された事実はないと認識しております。

吉川委員 ありがとうございます。やはりそのとおりだというふうに認識をしておりました。

 ただ、もう時間がないので終わりますけれども、昨年、和歌山県の紀伊田辺市の元水道局の職員さん、退職されてしばらくしてからいわゆるアスベストの中皮腫、そういう疾病がありました。御案内のとおり、今も水道管の中にはアスベストが大量に残っているというような状況の中で、それで被災をされて、市役所の方に申請されたんですけれども、なかなかまだその時点ではアスベストについての労災というのが、特に公務現場では余り認識がなくて、当該市役所では書類が滞っておったというような事例がございました。この点について公務災害基金の方に御相談したら、すぐに市役所の方に連絡をいただいて、書類をすぐに出しなさいというような指導もいただいたところであります。

 あとは、特にレアケースについて、それぞれ現場に周知徹底をいただいて、書類が滞ることのないように御配慮いただきたいというふうなことをお願い申し上げまして、もう一つ質問を用意しておったのですが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

原口委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 国家公務員の給与に関する問題につきまして、衆議院、参議院、それぞれの委員会等で大変議論が進んでおりまして、問題点も明らかになってきている部分が多いんではないかなというふうに私は思います。

 ここで、ちょっと整理をさせていただきたいなと思います。というのは、政府側は、給与臨時特例法に人勧分が内包されているという御主張であるわけですけれども、給与臨時特例法を実施して人勧を実施しない、そういう場合に、具体的にどのような問題があるか、こういうことについて整理をしたいと思います。人事院総裁もあちこちで答弁をされておられますので、ここで改めてお聞きしません。私の方で整理をいたしますので、大臣も総裁も、私が整理したことについて、後で御質問させていただきたいと思います。

 まず一つは、俸給表が変わらない、人勧を実施しないとそういうことが起こるわけですね。そうしますと、どういう問題があるか。一つは、退職金に影響を及ぼすだろうということですね。それからもう一つは、今回の趣旨であります、年齢の高い人の給与を見直して若い人の給与を改善する、これができないということになります。

 この問題については、大臣は、一般的に言えば職責が重くなるほどに年齢が高くなって、特例法でフラット化できる、そういう旨の答弁をされているんですけれども、国家公務員については、キャリア制度もあって、そういうことは一概に言えないんではないかなというふうに私は思います。そして、特例法では、年齢に関係なく、職責が高いほど給与が下がるということでありますので、そういうことからいうと、大臣の答弁は誤っているんではないか、私はそのように思います。

 それから二つ目は、経過措置の廃止ができないということであります。この問題についてどういう問題が起こるかというと、経過措置自体は、平成十八年改正のときの急激な変化を緩和するための措置ですね。ですから、若い人の給与を抑制して、大きく給与が削減される方の方に回していたわけですよね。そうしますと、その措置ができないということになってくると、若い年代の昇給を抑制したままで、給与構造のゆがみを改善できない、そういうことにもなるわけであります。

 それから三つ目が、特例法は二十六年三月までの時限立法ということでありますので、二十六年四月になったら今に戻っちゃうんですね。今日の水準に戻るということであります。そうすると、二年間の人勧の変化というものは何も跡形もないということになるわけであります。こういう問題があるということが指摘されてまいりました。

 それからもう一つ、やはり議論の中で、違憲ではないか、そういうような御議論があるわけでありまして、そういうことを考えていきますと、訴訟リスクというのも考えられるというふうに私は考えるわけであります。

 今、私は四つの点について整理をさせていただきましたけれども、まず人事院総裁に、私の整理について御見解を賜りたいと思います。

江利川政府特別補佐人 ただいまの石田先生の御指摘は、私は全くそのとおりではないかというふうに思っております。

 人事院の基本的な立場でございますが、人事院勧告は、憲法に保障された労働基本権が国家公務員は制約されていることの代償措置でございますので、これはぜひ実施していただきたい。その上で、東日本大震災という千年に一度と言われる未曾有の国難に対処するためにその財源確保について御返答する、これは内閣及び国会において大所高所に立って御判断いただきたいというふうに思っている次第でございます。

石田(真)委員 以上の問題について私が申し上げたこと、大臣、こういうような問題点があるということが今までの委員会でも指摘されたわけでありますけれども、そのことについてどのように考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 御質問、ありがとうございます。

 この委員会も含め、衆参予算委員会も含め、随分いろいろな議論をされてまいりました。未曾有の大震災への財源措置とともに、危機的とも言える国家財政の状況の中で臨時に、国家公務員の皆さんは大変厳しい中、仕事に頑張っていただいているにもかかわらず、身を削る思いで七・八%給与を減らしていただきたいということで、既に法律を六月三日に出させていただきました。

 その後、人事院勧告が出ましたけれども、人事院勧告は、国家公務員の労働基本権の制約ということで、極めて重い制度であり、基本的には最大限尊重すべきという立場でございますので、そういう中で、我々が既に出している法律の中でどう対応するかというのを真摯に議論してまいりました。

 そういう中で、七・八%というのは相当な額でございます。そういう意味で、大変厳しい、身を削る思いをしていただく中で、人事院勧告と趣旨、目的は異にすることは間違いないことでございます。しかし、もたらされる結果としていえば、〇・二三%をはるかに上回る額で無理をお願いするという中で、いろいろな部分、賃金、処遇制度、給与構造等々をそのままにする中で、身を切る思いでとにかく二十五年度末まで何とか我慢いただきたいという趣旨でございますので、いろいろな理屈上の部分でいえば、そのまま尊重した中身になっていない、趣旨、目的は違いますから、そういうことであることは事実でありますけれども、額においてははるかに上回り、そして賃金カーブのフラット化という意味では、その部分を、先生御指摘のように、年齢と職級は必ず一対一に比例するものではありませんけれども、総合的に言えばそういう効果も結果としてはもたらせているということ。それと、退職金等々に過払いが生じることは事実であります。

 ということで、我々としては、真摯に検討して、これで内包しているというふうにかねがね申し上げてきたとおりでございます。

石田(真)委員 大臣の言われることもよくわかりますよ。しかし、人事院勧告をきちっと守った上で、できないわけではないわけですよ。それを無視して給与臨時特例法を施行する方が問題点が多いんじゃないですかということを私は指摘しているんです。

 例えば、こういうふうに考えたらどうですかということですよ。まず、人事院勧告は柱が二つありますね。〇・二三%給与引き下げを行う、それをやる。その上で経過措置も行う、これもやる。この二つが人事院勧告実施ですよ。そしてその上で、特例法の趣旨を生かして、震災財源とするため、年額、震災財源とするためといったら総額が問題ということですよ、それは二千九百億円と言っているわけですから、二千九百億円の財源を全体で確保するために、人勧実施分の百二十億円を引くんですよ。そうしたら残り二千七百八十億円、それを給与特例法ということでやればいいじゃないですか。これはなぜできないんですか。

 前にそういう質問をしたら、大臣は経過措置について言われましたよね、人によったらオーバーするとかと。そんなものは上限を入れたらいいんですよ。幾らでも方法はあるんじゃないですかね。

 なぜ現行法を無視してまであえて強行しようとされているのか、非常に私は疑問なんですよ。お答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 人事院勧告と我々の給与特例法は、趣旨、目的は当然異にしております。そういう中で、我々は職責に応じて五%、八%、一〇%減額する、一方で人勧は、先ほど先生御指摘のとおり、〇・二三%と経過措置を廃止するということであります。

 両方含んでやろうとしましても、〇・二三%分をということだけでしたら技術的には可能かというふうに思いますけれども、給与の経過措置を廃止するといいますと、課長代理職でいいますと、二%から六%減額される人が生じる。そういう意味で、二%減額される人に八%を乗せますと一〇%になる。それを含んで調整すればいいじゃないかと。そうすると、本来給与水準を変えて二%下がった人に、八%下げるけれども、下がり過ぎだから、一〇%になるから八%でとどめるということをやりますと、それは結果として、人勧でやった部分を打ち消すことになるということに制度的になります。

 同時に、職責に応じて、個々に応じた、人によって、経過措置を受けている人と受けていない人で減額される額が異なることになるという意味で、そういう部分で、とにかく臨時特例法をやっている間だけは今のままで、事実上俸給表を凍結してやらせていただきたい。そして、これが切れる期限が来るわけですので、その時点までに、正確に言えば二十五年度、国会において、我々としても、この給与水準を改めてどうするのか、それからそのときの人事院勧告も当然また出ておるわけですから、それを含めて改めて給与法を出させていただきたい、それまでの間御猶予いただきたいという考え方でございます。

石田(真)委員 今の大臣の答弁は、二つ問題がありますね。

 まず一つは、趣旨、目的が違うと言われましたね。趣旨、目的を異にすると言われた。しかし、今まで、内包していると言われたんですよ。趣旨、目的を異にするものを内包している。それでは、何が一致点か。金額だけじゃないですか。金額が大きいから内包していると言っているだけじゃないですか。趣旨、目的が違うのは先ほど私が申し述べたでしょう。こういうことをきちっとやらないとおかしいんじゃないですかと言っているわけですよ。しかし、それを、趣旨、目的が異なるけれども内包している。それでは、一致するのは金額だけでしょう。では、金額を合わせればいいんですよ。

 先ほど経過措置の話をされました。私もそのことについて申し上げたでしょう。経過措置であれば、それは上限を入れたらいいんですよ。今回、経過措置で大変な負担になるという方は、大変な負担を減額する方法を考えたらいいと思います。

 しかし、その方々は、人事院総裁が委員会でも答弁されていますけれども、今日までの五、六年間で、多い人で三百万ぐらい優遇を受けているんですよ。本来の給料から三百万ぐらい経過措置でいただいているわけですよ。

 そうなってくると、この時期に少しは我慢してください、満額減額でなくても少しは我慢してください、上限を入れさせてください、このことに何が問題あるんですか。もう一遍答えてください。

川端国務大臣 経過措置は人勧に基づいて行われた部分で、経過措置としての趣旨や意味が当然あって今まで支給されてきたわけでありますから、その部分で、過去にたくさんもらったからそれはなしでもいいだろうという御趣旨は、今までの人事院勧告を尊重するという立場で行われた制度という意味では、私はそういうものではないというふうに思っております。

 そして、趣旨、目的が明確に、我々が財源措置としてやるという問題と、民間準拠に基づいた給与の改正と給与のフラット化等々をもたらすという意味での趣旨、目的は、法律と人事院勧告が異なることはそのとおりであるというふうに思っております。

石田(真)委員 いや、おかしいんですよ。経過措置を人事院勧告は廃止と言っているんですよ。人事院勧告は廃止しろと言っているんですよ。つまり、ゼロにしろと言っているんですよ、二年間に分けてですけれども。それだったら、廃止しろと言っているんですから、今まで大臣が言われたような、守るということにはならないじゃないですか。

 もう一つは、人事院勧告分と給与特例法分というのがあるわけですよ。だから、給与特例法分の方でその経過措置の減額分を金額的には考えていくという考え方でいけば、私は何の問題もないと思いますよ。

 そこまでこだわる理由は一体何なのかということになってくる。これは非常に異常なことだと私は思いますよ。前にも質問させていただきましたけれども、やはり組合との約束事、そういうことが根底にあって、これを無視できないんじゃないか、そう思わざるを得ない、そういうことを申し上げたいと思います。

 まだほかにもあるので、議論をここだけで終わるわけにいかないので、次の議論へ行きます。

 一つは、先ほども御質問がありましたが、地方への要請ということについて質問したいんです。

 今も大臣は、人勧については実施しない、あくまで人勧は実施しない、こう言われるわけですね。そうすると、私は、この給与特例法の趣旨、目的というのは一体何なんだという疑問が解消しないんですよ。

 今まで総理も総務大臣も、趣旨というのは、震災財源にするんだ、そういうことを繰り返し答弁されているわけですけれども、もう一度改めてお伺いをさせていただきたいと思います。国家公務員の給与を、これは人事院総裁が言われたんですけれども、懲戒処分並みの平均で七・八%という大幅な引き下げを行う理由、趣旨をお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 六月三日に国会に提出させていただきました国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案の第一条に、「この法律は、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、一層の歳出の削減が不可欠であることから、国家公務員の人件費を削減するため、一般職の職員の給与に関する法律」云々というふうに書いてありますので、厳しい財政状況及び東日本震災に対処する必要性のために行うものでございます。

石田(真)委員 今の話は、震災財源という理解でいいわけですね。

川端国務大臣 厳しい財政状況及び東日本震災に対処する必要性ということでございます。

石田(真)委員 財政という少し目くらましを入れられているわけですけれども、震災財源ということになると、私、国家公務員の方と話をしていても、先ほどもお話がありましたけれども、なぜ国家公務員だけ、自分たちだけがなぜ負担するんだ、そういうような疑問を持っておられるんですよ。なぜほかの公的セクターの人も震災財源を一緒になって負担しないのか、私は当然の疑問だろうなというふうに思います。大臣はどう思われますか。

川端国務大臣 公的セクターというものにもいろいろな分類があるというふうに思います。今の部分でいうときに、先ほど来の御議論にもありましたけれども、地方公務員に関しては、地方公務員法の趣旨に基づいて地方が自主的にお決めになるという部分で、私たちがそれに強制するということを考えているわけではございません。

 公的セクターという国が専らその運営を賄っているということでやる部分は、当然ながら、当該団体の自主的な賃金交渉で決められるという背景を最大限尊重する中で、こういう状況にあることを御配慮いただきたいというお願いの気持ちを持っていることは事実でございます。

石田(真)委員 いや、国家公務員の方々の疑問にはどう答えられるのかとお聞きしているんです。

川端国務大臣 国としての国難に最大限対処するために国家公務員の皆さんに最大限の、大変無理をお願いするけれども、御協力いただきたいという趣旨でございます。

石田(真)委員 総理は、お見えになっておられる我が党の平井議員さんの予算委員会での質問に、今回は国家公務員の給与を約七・八%削減する、財源にして復興の財源に充てたいということでございますが、公的セクター全体でこういう財源捻出で協力し合えるといいなというふうに思っておりますので、その点は御理解いただきたいというふうに思います、このように答弁されているんですよ。これはテレビ入りのところで答弁されているんですよ。そうしますと、テレビを見聞きしていた国民はどう思われますか。震災関係の増税を求める前に公務員が給与を削減するんだな、そのように受け取られたはずなんですよ。

 しかし、今大臣も言われました。私たち、私も地方の市長までやってきていますから、地方のことは地方で、そんなのは当然わかっていますよ。しかし、この給与特例法の趣旨とは一体何なんだ、そんなことを思い出すと、なぜ国家公務員だけそういうことを言って、同じ公的セクターである特殊法人あるいは地方公務員の方々にそういうことについてお願いすらしないのか、呼びかけないのかということなんですよ。

 これは、総理の答弁でも国民は聞かれた、あるいは国家公務員の疑問でもある、そして国民もそういう思いを抱いているんですよ、今。そういうことについて大臣としてどう対応するのか、お聞かせをいただきたいと思います。そういう思いにどうこたえるのかということですよ。

川端国務大臣 総理の趣旨も、国としての責任としては、こういうことをやらせていただく、国家公務員の皆さんに身を切っていただくのは大変つらい思いですけれども、やらせていただく。そういう中で、地方公務員の給与は地方公務員の皆さんの仕組みの中でお決めになるわけですから、その中には地域の民間の状況、生活水準、同時に国家公務員の給与等々、それを含めて自主的にお決めになるということですから、そういうことも含めてお考えをいただくという範囲で、我々がこういう国家公務員についてするということも当然一つの判断材料でありますけれども、それを財政措置等で強制することは考えていないということを申し上げたところでございます。

石田(真)委員 恐らく、そういう答弁を聞いていて国民の皆さんは、これは何だというふうに思っておられると思いますよ。

 地方公務員さんは、人事委員会の勧告に基づいて、いわゆる人勧を行うわけですよ。それはわかっているんです。しかし、国は、その人勧分も内包してと言っているわけですよ。こういう大きな差があるわけですね。

 前にも指摘をしましたけれども、これもやはり連合との約束の中に入っている。地方に波及させない、労働基本権とのセットだ、あるいは人勧を実施しない、そういう約束に縛られ過ぎているんですよ。この趣旨の問題はもう一遍後で質問させていただきたいと思います。

 前へ進みたいと思いますけれども、実はきょうは、今、組合の問題で、参考人として連合の南雲事務局長さんに御出席をいただきたい、確認をしたいことがあったわけなんです。それでお願いをしたわけですけれども、委員会の理事会で協議が調わないということでございました。

 そこで、委員長にお願いしたいんですが、文書でこちらからの質問に対してお答えをいただける、そういう手だてが講じられないかどうかということで、理事会の方で御協議をいただきたいというふうに思います。

原口委員長 理事会で協議をさせていただきます。

石田(真)委員 さて、組合との関係なんですが、この法案の検討に際して、政府は二つの組合と協議をされた。これは前に私の質問にお答えをいただいたわけですけれども、公務員労働組合連絡会それから日本国家公務員労働組合連合会の二つについて、法案の検討に際して交渉を行った、そのうち合意をしたのは公務員労働組合連絡会ということになるわけです。

 それで、組織率をちょっと調べてみました。時期によって多少変動があると思いますけれども、私が見た資料で申し上げますと、組織率は、連合系、公務員労働組合連絡会は二三%、全労連系ということのようですが、日本国家公務員労働組合連合会が一七%、職員団体への未加入は三一%、管理職員等が一四%、それから警察職員等一五%。

 合意をされたのは、一般職国家公務員のうちの二三%の組織率の組合ということになるわけなんですよ。これでいいのかな、そういう思いをするわけなんです。特に、二つの組合と交渉して、一つ合意を得たけれども、一つは合意を得られなかった。組織率も二三%でしかない。そういう手続を踏んだだけでやってしまうというのはちょっと乱暴なんじゃないかな、手続上の問題としてもあるんではないかなというふうに思います。

 もしこういうことを認めていくと、これから、二三%の組合と合意ができたら、何でもかんでもやっていけるということになるじゃないですか。こんなことおかしいんじゃないですか。大臣、どうですか。

川端国務大臣 今回の法案の趣旨というのはもう繰り返しませんけれども、そういう中で、国家公務員の皆さんに大変厳しい、身を削る負担をかけることは事実でございますので、その部分で、二つの労働組合の皆さんと真摯に話し合いをされました。そういう中で、一つの労働組合の合意は得られましたが、一方では得られませんでした。それは事実でございます。二三%と一七%もそのとおりでございます。

 私も民間で労働組合を長くやっておりましたけれども、民間の話と公務員は全く違いますけれども、民間でもそういうことは時々組織によっては起こります。そういうときには、あっせんとか争議権とか、いろいろな状況があることは事実でございます。これが制約されているという状況の中でありますが、一方で、この部分では私たちは一方だけしか合意が得られなかったということを踏まえまして、しかし、どうしてもこの状況の中でこの減額を実施させていただきたいということでありますので、最終的に国家公務員の勤務条件の変更について決定をする国会の御判断を仰ぐということであります。

 先ほど御指摘がありましたように、提案権はありますけれども決定権は皆さんにございますので、この部分では最終的にそこの御判断を仰ぐという形でありますので、例えばごくごく一部の組合の言うことだけ聞いたらどんどん何でもできるという状況ではないことだけは、制度上そうなっているということだけは御理解をいただきたいというふうに思います。

石田(真)委員 公務員の場合、労働基本権を制約されているから人事院勧告制度というのがあるわけでしょう。民間と違うのはそこですよ。その人勧を実施しないというんですから、これはおかしな話なんですよ。

 今、国会の判断と言いましたけれども、それでは、政府として何を考えているんですか。これでいいと考えているんですか。法案を出してきたということは、これで間違いないということでしょう。そんな自信のないことはだめなんじゃないですか。国会の御判断なんという言い方は、私はおかしいと思います。もちろん我々は国会として判断しますけれども、政府としてもきちっと判断しないと、先ほど言いましたけれども、これからいろいろなリスクを伴うことだってありますよ。だから、そういうことは十分に考えていただきたいというふうに私は思います。

 時間がないので次へ行きますが、もう一遍、特例法の趣旨に戻りたいと思うんです。

 これは本当に震災復興財源ということで合意をしたのかなというふうに思います。あるいは、財政が厳しいのでということで合意をされたのかなというふうに思うんです。

 というのは、連合の古賀会長さんが官邸で野田総理にお会いになられたときに、人事院勧告は無視してほしい旨発言されたと報道されているんですよ。人事院勧告は無視してほしいという発言をされたと。労働団体の長が、〇・二三%引き下げの人事院勧告を無視して七・八%の大幅引き下げを実施してくれと。これは一般の常識で余り考えられないんですよ。

 このことについて、大臣、この連合の会長の発言をどのように受けとめられたか。そして、その真意と、どのように理解されているか、お伺いをさせていただきます。

川端国務大臣 御答弁の前に、先ほど私は、制度上、労使でというか、二三%の組合が好きにやったものがそのままどんどんなるんではないかということにはなっていないという意味での国会の御判断という仕組みがあることを申し上げました。その部分だけは念のために申し添えておきたいと思います。

 古賀会長がインタビューでそういう趣旨のことをおっしゃったというのは報道を通じて知っておりますけれども、連合としては人事院勧告を実施すべきでないという御主張をされていることも承知いたしております。

 それは、労働組合としては、後ほど御議論があるのかもしれませんが、自律的労使関係の制度をやってほしいという強い強い要望を持っておられるという経過もございます。そういう中での御意見であると思いますけれども、私たちは、人事院勧告は最大限尊重すべきと思って真摯に検討した結果、今日の状況に至っていることは御理解いただきたいと思います。

石田(真)委員 人事院勧告は尊重すべきだと言いながら尊重しないわけですから、これもおかしな話だなというふうに思います。

 今も言われましたけれども、労働基本権獲得のために、これは参議院で又市さんが言っておられるのですが、脱法行為としか言いようのないようなやり方で人勧を実施しない、そして既成事実を積み上げようとしているのではないかと。私もそのように思います。既成事実を積み上げるというのは又市さんは言っていません、脱法行為という言葉を使われましたけれども。

 人勧を実施しないという既成事実を積み上げるというのが今回の特例法の本当のねらいではないか、そんな感じがするわけですけれども、そうなってきますと、これは、震災復興というものに名をかりた非常にこそくなやり方ですよ。動機不純ですよ。こんなことをしていて、法律で担保されていない交渉をやって、一部の人の合意だけで強引にやっていく。これは、民主党の組合依存といいますか、組合に弱い体質がそのままあらわれているんじゃないですか。こんなことがこれからも続くのかと思うと、ぞっとしますよ。

 もう一度ちょっとお聞きしたいんですが、総理、政府は震災復興のためと言っておられますよね。そして、国民の大多数の方々もそういう理解だと思いますよ。この七・八%の給与というのは震災復興の財源だな、そういうふうに思われていると思います。

 そうしますと、我々の理解として、七・八%分の引き下げのうち人勧分を除いた部分、我々は人勧はあくまで実施すべきだと思いますから、その人勧分を除いた部分は国家公務員の善意の寄附と理解してよろしいですか。

川端国務大臣 善意の寄附という言葉がどういう定義になるのかは知りませんが、厳しい財政状況と震災復興に資するために、国家公務員の皆さんに平均七・八%の給与を法律に基づいて削減させていただくという趣旨でございます。

石田(真)委員 これは一部しか合意していないんですよ。それで、人勧分というのが人事院勧告制度で出たわけですよ。そうでしょう。そうしますと、その人勧を実施する、これは当然ですよ。では、残りの部分の意図、趣旨、位置づけは何なのかということなんですよ。

川端国務大臣 ちょっと、理解できていなかったり、とんちんかんになったらお許しいただきたいと思いますが、トータルとして、まさに先ほど来お尋ねにお答えいたしましたように、法律の趣旨に基づいて、厳しい財政状況と震災復興のために減額をさせていただくということでございます。

石田(真)委員 我々から見ていますと、この趣旨は一体何なのか、なかなか難しいなと思うんですけれども、先ほど言いましたけれども、やはり労働基本権を獲得するための目くらましでしょう、震災財源というのは。もう既に交渉していたわけですよ。人件費二〇%カットの公約を実現しようと思って組合と交渉していた、しかしなかなか二〇%は大変ですから、そんな中でたまたま震災というのが出てきたんじゃないですか。だから、その財源にしようということで、二年間でやろうと時限にもした。私、これは国民を欺く目くらましと言う以外にないと思いますよ。震災財源だったら協力すべきだ、それは国民のだれしもがそう思うわけですよ。しかし、その裏に隠されている意図は余りにも動機不純、私はそういう感じをせざるを得ないというふうに思います。

 次に、今のことに関連して、まずマニフェスト、国家公務員の人件費二〇%削減、これについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 これは、今までも議論がありましたように、二十五年度中にやるということですよね。これは堅持すると大臣も記者会見でも言っておられる。

 この中に、給与の削減それから定数の削減、そしてよく言われるのは、地方移管と言うんですよ。地方移管だけは我々は認めませんよ、総人件費削減。なぜかというと、これはつけかえですから。地方へ移管しただけの話ですから、これは総人件費削減には当たらないということだけは指摘しておきます。

 このマニフェストを見る限り、総人件費の二割削減は恒久措置と思われますけれども、大臣はそれでいいんですね。イエス、ノーで答えてください。

川端国務大臣 総人件費の二割カットにめどをつけて実施したいということは、恒久のことでございます。

石田(真)委員 大臣は先日、平井議員の質問に、将来にわたっての我々が二割を削減するというマニフェストの目標の部分にこの七・八%は、時限ではありますが、含まれるというふうに思っております、そのように答弁されたんですね。

 しかし、この特例法は二十六年三月末になると時限が切れるわけですよ。そうすると、二十六年四月になると今の水準に戻るんですよ。人件費のカット率はゼロなんですよね。そういうことですよね。そうすると、これはカットしたことになるんですかね。

 もう時間がないので続けて言いますけれども、野田総理は、我が党の礒崎議員の質問に対して、二十五年、二割削減に向けての努力をしていきたい、このように答弁されているんですよ。(発言する者あり)二十六年四月に人件費カットゼロに戻っちゃうんですよ。戻るのに、二十五年、二割削減に向けて努力すると。これはどう考えても、今もやじがありましたけれども、できないんじゃないですか。

 衆議院の任期満了ということになったら、二十五年八月までですよ。残り一年九カ月しかありませんよ。一体どうやってこのマニフェストを実行するのか。私はできないんだろうなと思いますけれども、大臣、あえて実行すると言っておられるんですから、具体的にお答えをいただきたいと思います。

川端国務大臣 かねがね総理も含めて申し上げておりますのは、給与水準の引き下げあるいは退職金水準の見直し、あるいは今、いわゆる行政のスリム化、定員削減、それから地方分権推進に伴う地方移管、これは、財源をどう措置するかということの、真水かどうかという議論はありますが、その部分の効果ということなどを含めて、さまざまな手法を組み合わせることにより平成二十五年度までにめどをつけることとし、さっき言ったように目標の達成に取り組んでいきたいというのは、申し上げているとおりです。

 そして、今の給与の部分は、確かに今、七・八%は時限であります。今おっしゃいましたように、こういうことは臨時特例的にしか、今のところ、国会の同意を得てでも恒久的に給与をばさっと下げるということにはなじまないやり方でございますので、これは臨時にやらせていただきます。ただ、これが切れるまでには新たな人事院勧告も出ます。そういうことを含めて、そのときに法律が通っていれば新たな労使関係のもとに、通っていなければ、人事院勧告と政府の判断で、この目標に対しての給与がどうあるべきかは、しっかりと対応した法律を出していく所存でございます。

石田(真)委員 もう時間がないのであれですけれども、今の答弁ではちょっとひどいんじゃないですかね。それと、今まで二十五年、二割削減をやるということだったんですけれども、めどをつけるとまた言われましたね。これはもうここで議論する時間がありませんけれども、めどをつけるというのは、またちょっと後退したのかなというふうに思います。

 しかし、いずれにしろ、全く見通しが立たない状況の中で、野田総理も、二十五年、二割削減に向けて努力しますなんて、はっきり申し上げて、その場しのぎの答弁といいますか発言が多過ぎますよ、民主党の皆さんは。もう少しきちっと責任を持ってもらいたい。特に、やはり法律は守ってくださいよ。約束も守る。連合との約束だけ守っていたらだめですよ。そのことを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。

原口委員長 次に、平井たくや君。

平井委員 またまた私でございますが、どうぞよろしくお願いします。

 今、石田委員とのいろいろなやりとりを聞いていまして、やはり納得できないですね、本当に。

 この間の予算委員会で野田総理とやりとりをさせていただいたときに、まず私、総理の思いの部分を最初に確認させていただいたんですよ。そこで総理ははっきり、公的セクター全体でこういう財源確保の際にともに汗をかいていきたいですねという思いは、もちろんこれは不変だと言っているわけです。そうですよね。大臣も同じですか。

川端国務大臣 私も共有している認識でございます。

平井委員 今回の場合、地方の人事委員会等々に関しては、要するに、人事院勧告に基づいて適切にそれぞれ自主的な判断をなさって給料を決めるという流れでよろしいんですか。

川端国務大臣 ちょっと趣旨があれなので、もう一度お願いしたいと思います。

平井委員 人事院勧告が出ています。そして、副大臣の方から各自治体の首長さんに、人事院勧告そして今回の給与特例法の趣旨を踏まえて適切に判断してくださいねというような文書を出されていますよね。ですから、地方自治体は人事院勧告の趣旨を踏まえてやるということでいいんですね。

川端国務大臣 二十二年度まではそういう文書を出していたと思うんですけれども、二十三年度からは、ことしからは、人事委員会勧告を踏まえ、要するに、国の人事院勧告じゃなくて、それぞれの地方でそれぞれに人事委員会を持っていますから。それが、今までの経緯だと、どうしても国の人勧をそのまますっと使ってしまうという傾向がありましたので、やはり地域の自立、自主性を尊重するということで、それぞれの人事委員会の部分を踏まえてやっていただきたいというふうにことしから変わっていると承知しております。

平井委員 それは重大な発言ですよ。要するに、人勧をことしは無視して地方もやれという話ですか。

川端国務大臣 二十三年十月二十八日の部分では、これは去年もそうだった……(平井委員「ちょっと時間」と呼ぶ)失礼しました。

 正確に申し上げます。

 地方財政計画による地方公務員の給与関係経費については、平成二十二年度までは人事院勧告を基本とした算定を行ってきたところでありますが、平成二十三年度からは、それぞれの地域の民間給与水準の反映をより重視する観点から、人事委員会勧告を基本とした積算を行うこととしたところでありまして、平成二十四年度においても同様に対処したいと考えまして、十月二十八日、黄川田副大臣の名前のもとで、「地方公務員の給与改定に当たっては、地方公務員法に定める給与決定の諸原則、人事委員会の給与に関する報告及び勧告等を踏まえ、適切に対処すべきであることに留意いただきたいこと。」ということで出させていただきました。

平井委員 それは、要するに、人事院勧告を地方も無視しなさいということを黄川田副大臣名で文書で出したという意味ですか。

川端国務大臣 無視するとかしないとかではなくて、地方は、先ほど言いましたように、地方公務員法に基づいて給与をお決めになるというときに、こういうことに配慮して決めてくださいねということを書くときに、人事院勧告は国の制度でありますし、地方は人事委員会勧告というのがあるということで、去年からそういうことで通達を出しているのを同じように出したということでありますので、無視するとかしないとかいう趣旨のものではございません。

平井委員 ということは、人事院勧告に準拠して、人事委員会がそれぞれそういう趣旨でやられるという流れは変わらないということでよろしいんですか。

川端国務大臣 それぞれの地域の自治体の人事委員会の御判断でございますので、そのときの判断としては、給与は、生計費、国及び地方公共団体あるいは民間事業の従事者の給与等々ということを総合して考えられるときに、国が、人事院勧告が出たということは事実でございますし、あるいは一方、臨時特例法で七・八%という減額の法律を現在出していることも事実であります。そういうことも勘案して人事委員会が御議論をいただいて、勧告を出していただくということを踏まえてやっていただきたいということを通達したということでございます。

平井委員 ということは、要するに、人事院勧告が言っている官民較差の是正等々の趣旨も勘案し、なおかつ七・八%、震災復興に対する協力みたいなものも勘案して、人事委員会でそれぞれ出てきた内容に関して適切に措置しろという意味ですか。

川端国務大臣 昨年も、これは当時は鈴木克昌副大臣でございますけれども、地方公共団体においては、公務員法の趣旨に沿い、国における取り扱い並びに人事委員会の給与に関する報告、勧告、現下の地方行財政の状況云々ということでありますので、同じ趣旨で申し上げているということで言うと、先生言われたような諸般の環境は、すべてそれは人事委員会及び地方の自治体、議会含めて、当然ながら判断される環境の要素であることは間違いございません。

平井委員 今まで長年、人事院勧告が出て、それに準拠してそれぞれの人事委員会等々が交渉していたんですよね。そういうことを要するに否定するという意味ですか。

川端国務大臣 人事院勧告が毎年出て、それは実施されてきましたけれども、地方においては、先ほど冒頭の吉川委員の御指摘もありましたけれども、はるかにそれを上回る減額をしているところもたくさんありますから、そういう意味では、人事院勧告も含めて、あるいは給与臨時特例法も含めて、その部分を地域においてしっかりと、そういう環境にあるということと、その地方の財政状況あるいは暮らしの状況を含めて御判断されるということでありまして、特段今までと違うことを言っているつもりはございません。

平井委員 それではもう一回、この問題でやりとりを余り長くしても時間がもったいないので。

 地方自治体の首長さんに文書で要請された内容というのは、もう文書は読まなくていいじゃないですか、それはわかりやすく言うと、要するに何と何を勘案して何をやれと言っているのか、そこを政治家の言葉ではっきり言ってくださいよ。私、こんな基本的な話でこんなに大臣がペーパーを見なきゃいけないというのは情けないと思います。自分の言葉で答えてください。

川端国務大臣 給与のことに関しては、国としてはこういうふうにすることにしましたということが一つです。人勧を実施する法律を出さない、要するに人勧実施をしないということが一つです。

 それから、七・八%という数字は書いていませんが、厳しい財政措置を講ずることにしているということを前提として、地方において、いろいろ書いてあるのは、今までと同じではそれは、こういう仕組みになっていますから、そういう状況の中で判断していただきたい。

 したがいまして、国としては、厳しい給与臨時特例法を出すこと、人勧は出ましたが、給与特例法を出すので人勧は実施しないという状況にありますということを踏まえながら、皆さんの自主的な判断の中で、地方自治の趣旨に基づいて給与を決めていただきたいということを、「地方公務員の給与改定に関する取扱い等について」ということで副大臣の名前で出させていただいたということです。

平井委員 いや、趣旨が違うという話、趣旨が違う、それは共通しているんだと思うんですけれども、あなたたちは、人勧を内包していると言っているんですよね。要するに、今回の法律の趣旨を皆さんわかっていただいて、それぞれ適切にということだと。やはり、震災復興でこれだけ国家公務員はカットするんだという事実を重く受けとめて、皆さんもそれぞれやれということを要請したということですか。

川端国務大臣 ここに書いてありますのは、もう文書はお読みだと思いますが、今回の人事院勧告の水準を上回って厳しい財政措置をとるという環境にあるので、それも含めながら、そういうことだから人勧は実施しませんが、給与法は出しますから、厳しい状況にやりますということを踏まえながら、いわゆる制度的には地方の自治でありますから、給与を人事委員会勧告も含めて決めてくださいという通知を出したということです。

平井委員 いや、これはそれぞれの首長さんに要請している話ですよ。そうでしょう。それで、今の話を全部勘案してそれぞれやれという話だから、国がこれだけカットしたんだから、地方もそれなりに人件費に対しては強くやりなさいねということをそこに意味していなかったら、何の意味の文書かわからないじゃないですか。

川端国務大臣 繰り返しになりますけれども、地方公務員の給与は地方公務員法に基づいて決められるという意味で、私たちがこうしなさいというふうな立場にはありませんが、今こういう状況にあるということはお伝えをいたしたということでございます。

平井委員 こういう状況にあって、何をどう判断しろというふうにそこは意味しているんですか。こういう状況で国はカットします、だから地方はどうせよと。あなたたちの自主的な判断でいいんですよ、それはわかります。地方は地方で決めるんだけれども、国がこれだけカットして、人勧も内包してやるんだから、あなたたちは一体どうしろと言っているのかということなんです。

川端国務大臣 繰り返しになりますが、どうしろということは言えない立場でありますので、その部分は御理解いただきたいと思います。

平井委員 いや、どうしろとは言えないのはわかるんだけれども、要するに、自分たちのやったことはこうです、それで、首長さんは自分で判断するんですよ、それぞれの人事委員会の勧告を受けて。ですから、首長さんに対しての意味はどういうふうなことになるのかということをそこで聞いているんです。

川端国務大臣 繰り返しになりますけれども、国はそうしますということをお伝えしたということが一つですね。

 ですから、その部分で、地方は地方の、まさに首長さんの責任においてやっていただくときに、国家公務員の状況、あるいは地方の財政状況、生活水準、あるいは民間の状況等々を踏まえて自主的にお決めくださいということ以上に申し上げることはございません。ただ、国の財政状況が厳しいですから、人勧をやらないというふうに決めたときの閣議決定においても、「地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切な措置を講じるとともに、地方公共団体の定員についても、行政の合理化、能率化を図り、適正な定員管理の推進に取り組まれるよう期待する。」ということで、人勧をやらないという決定とともに、独立行政法人等々に協力をお願いする、これは事実上政府のお金で運営しているのが多いですから、ということでありますので、趣旨に沿ってやってくださいということ以上に申し上げてはおりません。

平井委員 それは黄川田副大臣の文書ですから、大臣は余り詳しくはお読みになっていないのかもわかりませんが、要は、無言の圧力がかかるようにも読めるし、無視せよと言っているようにも読めるという文章です。

 それはそれでおいておきまして、大臣、私は、この給与の臨時特例法案を本当に通したいのかどうなのか、それをお聞きしたいんですよ。本当に通したいのか。

 これは通らないというケースも当然あるし、我々は、この間予算委員会でもお話をさせていただいたとおり、先ほど石田委員の方からいろいろな具体的な提案も出させていただいています。我々は、人事院とは相当やりとりしました。この給与法は非常に難しい。今回の給与の要するに調整とか、さっき言った臨時措置の廃止とか、いろいろなものを全部我々も勉強させていただいた上で、両方やろうと思ったらできるんですよ。できるんです。その提案を我々は出させていただくんですが、そういうものに対して、虚心坦懐に修正協議とかそういうものに応じていこうという気持ちはありますか。

川端国務大臣 もう先生御案内のとおりでありまして、政府としては出させていただいたことでございます。国会の御議論は国会の御議論で進めていただくものであるというふうに思います。

平井委員 これを本当に通したいのであれば、これは民主党の皆さん方にお話をさせていただきたいんですが、一緒に勉強して修正協議に入るというのが筋だと思います。そうじゃないと、結果、これが通らなかった場合には、人勧もやらないということになる。もう本当に、脱法の上に脱法を重ねるようなことになるんですよ。

 それを避けるためには、我々は物すごく研究したんです、両方やろうと思ったらできるんですよ。趣旨が違うことを大臣もお認めになっています。そして、人事院総裁も、これは内包していないと。あんなことを言われたままでこの法案を通すよりは、内包しているんだというふうに人事院総裁に言っていただいて通した方がすっきりするんじゃないですか、大臣。

川端国務大臣 私の立場上でいえば、先ほど申し上げたこと以上に申し上げることはございません。ぜひとも政府案を通していただきたいということに尽きるということでございます。

平井委員 もう一つ言っておきますけれども、国会でこういうような議論をしていると、人事の給与というのは、最終的にはシステムの改修をしなきゃいけないんですよ。このシステム改修の負荷というのは物すごく大きいんです。ですから、余り国会で公務員の給与をああだこうださわるというのは、私は本当は反対なんですよ。これは、改修に数カ月かかるし、そのコストもたくさんかかるんですね。そういうことを考えた場合に、法律が通るか通らないかわからないような議論を国会でやる、国家公務員の給与に関しては政争のネタにするべきではないんですよ。そういう意味も踏まえて、大臣には賢明な御判断を今後いただきたいというふうに思います。

 そのことはこれでおいておきまして、私は、きょうはちょっと事業仕分けの問題について聞こうと思っているんです。

 まず、この事業仕分けの問題、これは私はテレビでしか見ていなかったんですが、柳の下に四匹目のドジョウを求めて、提言型事業仕分けをやられている。それはそれで、やっても民主党さんの勝手だなと思うんですけれども。

 まず、今回の事業仕分けに大臣を含めて政務三役は御出席でしたか、総務省関係のセクションで。

川端国務大臣 結論的には、出ておりません。行政刷新担当大臣の方から、そういうことに関しては、大臣の御日程もあることですから、今回は社会保障とエネルギーに絞らせていただきたいという御趣旨で始まったようでありますので、このテーマは要請がありませんでしたので、行っておりません。事務方が対応させていただきました。

平井委員 二十一日月曜日午前中の行政刷新会議では、非常に重要なことがテーマになったんですよね。そうでしょう。要するに、今パブリックコメントを求めているオークションに関して、パブコメとかそんなものは関係なく前倒しせよというような提言が出たわけですよ。

 大臣は忙しいのはわかります。しかし、政務三役だれも行っていないというのは、一体それは、無視したということなんですか、どういうことなんですか。そんなの勝手にやられたって、こっちは聞かないよという強い意思表示のもとに三役が出なかったんだったら、それはそれで一つの見識だと思います。どうしてだれも出なかったんですか。

川端国務大臣 今回は、そういう部分では、先ほど申し上げましたように、一部のテーマに限ってだけ政務は来なさい、あとは、言ってみれば、来なくてよろしいという整理だったので、行かなかったと承知をしております。

平井委員 そんなのでいいんですか。要するに、呼ばれたら行く程度でいいんですか。呼ばれなくて、勝手にそういうことを、オークションを前倒しせよというようなことを提言型仕分けで決められて、それでよろしいんですか、大臣。

川端国務大臣 オークションについてという御議論だけだったので、話の展開がこういうふうになるということまで、どこまでなったかということでは、政務が出席しなかったのは、しておいた方がよかったというふうにも結果としては思いますけれども、中身的には、前倒しせよということと、一般財源にすべきという方向性を持てという御議論があったことは事実でございます。

 参加の云々というのは、確かに我々の主張が、事務方の人が十二分に説明したとは思いますけれども、皆様の御議論はそういう答えが出たことは承知をしておりまして、詳細な議論は今検討しておりますけれども、国会において電波法が改正をされ、現在、その部分で、九百、七百という順でもう来年にもということで、今パブリックコメントをやっているという事実は事実として動いております。

 そういう中で、この趣旨は、多分、できるだけ早くにオークションを実施せよという思いだというふうに思います。オークションをやることにさまざま議論があることは承知していますが、そういう中で、スマートフォンの進歩を含めて電波が大変逼迫している中で急いでいるという状況と、既に法律に基づいて、オークションはこれから慎重に議論していくべきという附帯決議もついていることも承知をしておりまして、我々としては、今までやってきたこと、それから現実の状況、これから先の展望を含めて、しっかりと対応して、この提言型の御議論の中で改めて主張をしてまいりたいというふうに思っております。

平井委員 だから、提言型事業仕分けが何を言おうと、我々は自分たちの決めた道を粛々とやるということですね。

川端国務大臣 今までの状況で進めてきたことはここまで来たわけですから、そのことを前提として政府としてやってきたということを踏まえて、提言型の皆さんにしっかりと御理解をいただく中で、よりよい方向性が見出されるようにということで我々は取り組んでまいりたいと思っております。

平井委員 結局、彼らは、要するに事業仕分けははっきり言っているんですよ、第三・九世代携帯向け周波数オークションを前倒しだ、七百、九百メガヘルツ帯を前倒しでやるんだと。ということに関しては、だから、やらないということでよろしいんですよね。

川端国務大臣 最終的にこの政策仕分けがどういう結論をこれから出されるのかもまだ推移があるというふうに思いますけれども、趣旨としては、できるだけ早くにという趣旨も含めるのであれば、我々としては、今やっている方が早いというふうには思っております。これをひっくり返すと、新たな法整備を含めていろいろな議論をしなければならないということになりますから、その部分はしっかり御理解いただく中で、我々としては、今進めている状況はしっかりと進めてまいりたいということで対応してまいります。

平井委員 これは本当に、民主党政権を民主党が仕分けするからややこしいんですよ、こんな話は。そうでしょう。

 このオークションの話だって、こんなことを今さら言うんだったら、政権をとってすぐ取りかかっていたら間に合ったわけじゃないですか。パブリックコメントがもうすぐクローズになるというような段階で、何でテレビの前でこんなことを言って世の中を混乱させる。

 私も大臣と同じ考えです。つまり、このオークションをやるということになると、今回、パブコメで求めて、オークションに対するいろいろな考え方を取りまとめていますが、利害の調整というかいろいろなケースを想定してのオークション制度をつくるというのは、やはり多分一年ぐらいかかっちゃいますよね。でしょう。だから、はっきり言って、逼迫した電波、困っちゃって、これは国民の皆様方に迷惑をかけるという結果になる。

 この提言型事業仕分けというのは、提言型とついているから、最初から、できなくても責任はないよという仕分けだと思うんですよ。ですから、こんな意見もあるよ程度に受けとめているということでよろしいんですね。

川端国務大臣 今までの事業仕分けから進化させて、いろいろなことをということで始まりました。その部分では、これが最終的にどういう形で取りまとめられ位置づけられるかというのはこれから方向性は見えてくると思いますけれども、提言型というのは、こういうことをした方がいいと提言されるということはそういうことではあろうと思いますが、内閣で行うわけですから極めて重いものであることは事実であります。最終的に得られる結果としては、やはりそういうものも踏まえて、我々が最終的に総務省としてこの案件を判断するときに、国民的合意、理解、納得がしっかり得られるようなものにするのが私の務めだというふうに思っております。

平井委員 最終的に判断するも何も、パブリックコメントももうすぐ終わるし、法律も改正しているし、おまけにこれは附帯決議の中にも明確に書いてあるし、そういう状況の中で何を考えるんですか。要するに、意見として聞きおく程度でしょう。違いますか、大臣。

川端国務大臣 提言は真摯にしっかりと受けとめさせていただく中で、我々としては、先ほど申し上げました、今動いている過程にあり、パブリックコメントも今締め切られたところだというふうに思いますが、その中身もありますから、進めていく中でこの提言をどう位置づけていくのかは考えたいというふうに思いますけれども、今動いている現実は大変重いものであるということは承知をいたしております。

平井委員 結局、この提言型事業仕分けというのも、何か根拠がよくわからないですよ。法律的にも何にもないし、閣議決定さえないわけですよね。この提言を閣議決定するならともかく、それもないわけでしょう。結局、何だかよくわからないんです。我々だったら、こういうような話は党内の政調会議の中でけんけんがくがくやりますよ。それを、何でテレビの前で、できもしないような思いつきみたいな話をやるんだ。これは、さすがに四匹目のドジョウも逃げてしまうと私は思いますね。

 大臣、ここは、あなたは責任者だし、業界を混乱させちゃだめなんだから、何があったって、自分の首と引きかえたって、要するに、ちゃんとしたスケジュール、工程表を守って、国民の福祉に資するような電波の割り当てをやると断言できるでしょう、ここで。どうですか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、この事態の推移に対しての責任は私が持っておりますので、今までの動き、現に動いているということは極めて重く受けとめて、これから責任を持って対応してまいりたいと思っております。

平井委員 要するに、国家にとって、国民にとってベストの判断だと思って今進んでいることですよ。その信念は変わらないはずです。そこに横やりが入ったからといって、ここでまた何か変にぶれたりすると、これはもう国が成り立ちませんよ。

 最後に、もう一回その確認をします。ぶれたりしないでしょうね。

川端国務大臣 ことし、法律が決まりました。そして、スケジュールも大まかに目途として持ちながら、九百と七百の部分が、そういうことでやろうということで、業界もそういうことを前提として動いている。そしてパブコメが、今実施が、たしか締め切りが、終わったところですか、という状況にあるということは、そして国会の附帯決議等々もいただいていることは、極めて重いトータルの方向と意思が既に決まっているということでございます。

 それを踏まえながら、提言型仕分けは仕分けとして、出てきたということは事実でございますので、それは勘案しますが、最終的な答えが、私の責任において、いろいろな流れの部分において批判されないように、国民にしっかり説明できるような答えを確実に出すように、最大の努力をしてまいりたいと思っております。

平井委員 要するに、大臣がふらふらすると多くの方々が大変迷惑するんですよ。国は方針をちゃんと決めてあげないと、プレーヤーは自分たちのリスクで新しいことにチャレンジできなくなるんです。ですから、もっと明確な答弁で、やはり国の方針をはっきりさせなきゃいけないと思います。

 はっきり言って、この提言型事業仕分けで言っていることは、今さら何だという話なんですよ。言うんだったら、もっと早く言っておけと。そして、そのように政府で決定すればよかったんですよ、三・九からオークションをやるならやるで。それを今ごろになって言うから、私はおかしいと言っているわけです。大臣も同じ思いだと思うんです。

 ですから、いたずらに世の中を混乱させるような、提言型か何かわかりませんが、テレビの前でのショーはもうおやめなさい。政権交代してもう二年過ぎているんですから、やはりここはちゃんと自分たちで考えて責任を持って進めてもらいたい、そんなふうに思います。

 以前、ここの委員会の答弁で、だれだったかな、坂本委員だったかな、TPPに関して大臣は、地方に対して影響ということで、その時点で、私はわかりません、情報がないのでというふうに答えられたということを記憶しておりますが、それに関しては今でも同じですか。

川端国務大臣 参加に向けた検討に入るということでございますが、その中で、正式にテーブルに着いている、あるいは個々に、それに向けての交渉の中でというテーマが具体化されているわけではありませんが、今、間違いなくやられている、既に動いているテーブルの中で議論になっている点等々で我が省にかかわる部分、あるいはこれから多分こういうことがテーマになるのではないかと想定されるようなテーマに関しては、可能な限り、どういう対応をすべきか、国益も、新たにどういう観点があるのか、あるいは利益としてどういうことが考えられるのかということは、幅広くいろいろな検討をしているところでございます。

平井委員 それでは、TPP参加によるISD条項等における通信・放送セクターに与える影響、これは通告していたと思うんですが、答弁願えますか。

川端国務大臣 総務省全体でいいますと、WTOの地方公共調達等ともかかわるんですけれども、御指摘の部分は電波に関してだというふうに思います。

 この部分に関しては、この制度自体は、いわゆる投資家が国に対して損害賠償を提起することができるということで、条約ですから国の法規を上回るということであります。

 通信分野においては、非常に高いレベルで国際的に開放されている、日本は進んでいるというふうに私は基本的に認識をしております。そういう意味では、逆に、海外に対して進めるというときにアドバンテージがあり得るんです。このISDSのことに関して我が国が想定されるということは、今のところ、その可能性がないかあるかと言われたら、それはゼロと言い切れるものではありませんけれども、基本的には想定しにくいのかなというふうに思っております。ただ、いろいろな角度から、過去の事例を含めていろいろ幅広く慎重に検討することは必要であろうというふうに思っております。

平井委員 過去のUSTRがいろいろねらっているもの等々を考えると、素人の私でも思うのは、まずNTTの光ファイバーのアクセスルール、そしてNTTの接続料、放送局の外資規制、電波オークションなどはねらいやすいテーマだと思うんですが、いかがですか。

川端国務大臣 世界各国のそういうものに対する、国内制度の状況等々も含めて、日本において、ある種、仕組みとしての脆弱性という表現がいいのかわかりませんが、そういうふうに言われる可能性があるものが本当にどこまであるのかということは今検討しております。全然そういう心配はないということではないというふうに思っておりますし、むしろ、場合によってはということも含めて、しっかりと事前の対応を考えなければいけないということで、内々に取り組んでいるところでございます。

平井委員 通信分野は、ずっと日米規制改革対話やらWTOの多国間の枠組みで議論されてきた分野で、もういろいろ今までさんざんやってきています。ですから、既に、アプリケーションサービスとか、アマゾンやアップルの電子マーケットとか、グーグルの検索とか、その他のクラウドも完全にボーダーレスになっていると思います。しかし、やはりTPPが影響しないとは言い切れないんですよ。ですから、その点に関して、大臣、本当にちゃんとお勉強なさって、あらゆる可能性に備えるというのが重要じゃないですか。

 要するに、多国籍企業がその国の法律を、自治体等々も含めて訴えることができるのがISDSですからね。そういうことは今まで日本はなかったけれども、このTPPというものが進んでいく中で、そういうことは想定しておかなきゃいけないと思うんですが、大臣、いかがですか。

川端国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、こういう分野でまさに国益をかけた話が進んでいくときに、想定していなかったでは済まされない話でありますので、あらゆる可能性を検討するということは極めて重要であります。我々も鋭意、勉強も含め検討してまいりますが、またいろいろな部分でのサジェスチョン等々がありましたら、ぜひともに御指導いただきたいというふうに思っております。

平井委員 ぜひお勉強をなさっていただきたいというふうに思います。

 今、スマートフォンが普及し過ぎて、データ通信量は従来のガラ携の十倍とも言われているわけですね。特に、都心部での周波数の不足は相当深刻です。そういう状況に関して、スマートフォンの急速な普及や固定通信の無線化に伴う急激な電波不足、周波数不足に総務省としてどのように取り組むかということをお聞きするんですが、このこともさっきの提言型事業仕分けの話と物すごく影響しているんですよ。要するに、あんな話を今さらして、二、三年おくらせるということはできないと私は思っているんですが、どういう対策を進めていかれるか。提言型事業仕分けに対する大臣の回答も含めて、お答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 スマホへの切りかえ等、電波の使用の急激な、これは予想をはるかに上回るという状況で、極めて厳しい電波状況にあることは先生御指摘のとおりであります。九月の月間通信量は対前年度で二・二倍、一気に倍以上になったということでございます。

 そういうことでは、先ほど言われましたように、いわゆるプラチナバンドの開放等、できるだけ早期にそこの使用で穴埋めするというのは大変重要な施策の柱の一つでございます。この部分では、先ほど来御指摘ありましたけれども、それを早期に、着実に、確実に実施できるようにということを一番大きな判断の基準として進めてまいる覚悟でございます。

 同時に、携帯事業者における基地局増設、無線LANシステムの活用、トラフィックオフロード等が行われておりまして、総務省においても、そういうことの、よりうまく、使い勝手のよくなるような研究開発、あるいは今申し上げました周波数の再編等々でやってまいりたいというふうに思いますし、今般の携帯電話周波数への地デジの再編というのは、その中で極めて大きな位置づけとして現在進めているところでございます。

平井委員 固定電話も、何か最近、無線電話みたいなものが出てきちゃったんです。イエデンワ、御存じですか。要するに線のない昔の電話みたいな、こういうものまで出てきちゃうし、大臣もiPadとかお使いのようですから、こういうことを考えると、本当に急激な無線化とデータ通信量の増大に対してどういうふうに対応するかというのは、これは総務省的には物すごく大きな問題ですよね。そこで、ぜひ大臣には頑張っていただきたいし、先ほどの政務三役も出なかった提言型仕分けの会議、あんなものは無視してください、きっちり。ちゃんと正しい道を進んでいただくようにお願いしたいと思います。

 それと、私たち、十月二十八日に、私は自民党ではIT戦略特別委員長をずっとやっているんですが、情報セキュリティ対策に関する申入れというのを、これは議運を通じて十六項目お渡ししているんですが、このことに関して、お目を通していただいておりますでしょうか。

川端国務大臣 ざっと目を通させていただきましたが、大変危機的なサイバー攻撃等々に関して、適切に、本質的なことを含めていろいろと御提言いただいているということであります。

 政府として既に手がけた項もありますが、今まさに議論中のこともありますので、真摯に受けとめて、またいろいろな形で我々にもお知恵をいただきたいというふうに思っております。

平井委員 サイバーセキュリティーというか情報セキュリティー対策に対して、総務省としてはどういう立場でどういうことをやられようと考えておられますか。

川端国務大臣 御案内のとおり、これは内閣府が所管してやっております。ただ、現場も含めての部分では私たちが一番責めを負っている、役割の多い役所だと思いますので、その部分では、当然ながら、官民の連携や技術開発等々の分野は総務省が中心にやらなければいけないというふうに思っています。同時に、いろいろな情報も含めて国際的な交流もありますので、そういう部分を含めて、システムとしては内閣府でありますけれども、実動部隊あるいは頭脳部隊としては最大限我々が果たすべき役割を果たし、場合によってはリードしていく役割も果たしたいというふうに思っております。

平井委員 総務省さんは、要するに共通のプラットホームに対しての責任を持っているし、調達ガイドラインに対する責任も持っているんですよ。ですから、漠然と何か頑張るみたいな話じゃなくて、調達ガイドラインにやはり問題があったということにもなるんですね、そこのセキュリティー部門に関して。そういうものを早急に見直す、NISCと協議しながら早急に見直すというようなことはお考えではありませんか。

川端国務大臣 NICTにおいて、ウイルス感染したコンピューターから情報が流出したということを研究することを既に手がけておりますけれども、我々としては、まさに先生がおっしゃるプラットホームを持っているということで極めて重い責任を持っているときに、こういう事態がいろいろ起こってきて、総務省の中のパソコンも感染をしたということが起こったということで、これは、この問題を総務省として再発防止するということだけではなくて、根幹的に、日本のこういうプラットホームを含めた部分に関して、極めて深刻な受けとめとして対応をNICTを含めて我々はやるということで既に指示をしておりますので、御趣旨を含めて、なお一層督励してまいりたいというふうに思います。

平井委員 これは、我々はちゃんと党から党への申し入れとして文書で出させていただいているのです。

 ただ、これは要するに、十六項目ありますけれども、すぐできること、中長期的に取り組まなきゃいけないこと、そして政府全体として大きな組織改編を伴うものと、整理はされていないんですよ。必要なこと、これを我々がホームページへ載せさせていただいたら、いろいろな方々からいろいろなアドバイスをいただいて、今週末ぐらいからまたヒアリングを始めて、新たな提言をまとめようと思っています。

 これは自民党の人気取りでやっているわけじゃないのです。どうせ民主党さんではそういうお時間も今ないだろうと思いますので、我々の方で取りまとめをさせていただきますので、大臣、それをちゃんと今度しっかり受け取っていただけますでしょうか。

川端国務大臣 ありがとうございます。しっかり受けとめて、また、できること、それから御意見を伺うこと、しっかり対応してまいりたいと思います。

平井委員 それでは、質問を終わります。

原口委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 私は、人事院勧告、中でも特に経過措置についてお伺いをしてまいりたい。その後に、人勧全体のことにもかかわることですが、お伺いをしてまいりたいと思います。

 先ほどからのお話で、人勧の一つの大きな肝は〇・二三%の減額、もう一つの柱は経過措置、こういう二つであるという話が出てまいりました。

 そもそも経過措置につきましては、平成十七年の人勧で給与構造の改善が行われ、その際に経過措置というのが講じられた、ここから始まっております。この経過措置について、人事院は、現給保障である、こういう説明をしておりましたけれども、これは何を根拠にして現給保障という考え方を導入されたか、このことについて質問をしたいと思います。

 人事院の資料では、職種別民間給与実態調査の対象事業所八千二百八十カ所のうちで、基本給の引き下げを伴う制度改正を行った事業所が、課長級で二六・四%、係員で二五・四%というふうに出ております。そのうちで、現給保障等の経過措置を行ったのは、課長級で七一・二%、係員で七四・九%、このようになっております。逆にいいますと、残りの三割は実施をしていない、こういうことになっております。

 その残りの三割について、実施をしなかった理由を調べたのかどうか。また、具体的にどのような経過措置を行ったのかということを、私が聞いている限りでは、これは詳しく調べた形跡がないように思うんですが、この方法まで調べているのかどうか、このことについて人事院の方から御答弁をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、内山委員長代理着席〕

尾西政府参考人 まず、給与構造改革に際しての経過措置について御説明申し上げますと、平成十八年度から給与構造改革を実施いたしました。これは、地域の民間賃金が公務員給与により適切に反映されるように、そして高齢層における官民給与の均衡を図られるように、そういうことで行いまして、俸給表の水準を平均で四・八%、最大で約七%引き下げるということとともに、地域手当等の措置を行ったところでございます。

 その際、俸給の基本給としての性格を考慮し、また、職員の生活設計にも配慮しまして、個々の職員が受ける新たな俸給月額が、その後の昇給、昇格、あるいは俸給表のベア改定等によりまして、平成十八年三月末にその人が受けていた俸給月額に達するまでの間は経過措置を設けて実施ということにしたところでございます。また、こういった経過措置を設けつつ、他方では、地域手当の支給割合を段階的に引き上げるための原資につきましては、全職員の昇給を抑制することにより捻出したところでございます。

 こういった経過措置につきまして、民間企業の実情を見ましても、給与制度の見直しによりまして基本給を引き下げる場合には、多くの事業所において、急激な不利益変更をしないように何らかの経過措置を行っているところでありますし、また、裁判例におきましても、給与制度の見直しに伴う賃金引き下げが争われた事例におきましては、経過措置の存在あるいはその内容が、そういった賃金引き下げの合理性を判断する上での重要な要素となっているというところでございます。そこで、私どもも、給与構造改革の際にこの経過措置を検討するに際しましては、こういった民間の実態や判例等も参考にしたというところでございます。

 今御指摘の平成十七年の職種別民間給与実態調査でございますが、この際には、基本給の制度見直しの有無、見直しを行った事業所において基本給の下がった従業員がいたかどうかということ、それから基本給の下がった従業員がいる事業所におきましては現給保障等の経過措置を行ったかどうかといったことについて調査を行っております。その結果、ただいま委員御指摘のとおり、基本給引き下げを伴う制度改正を行った事業所では、係員級で七五%、課長級で七一%の事業所において現給保障等の経過措置を行ったという結果になってございます。

 ただ、実施しなかった理由や経過措置の具体的な方法についての調査は行っておりません。この点につきましては、この民間給与実態調査は、給与勧告のための基礎データを得るために、個人別の給与額を含めさまざまな調査項目、多岐にわたっております。そして、調査事業所に多大な御負担をおかけしているところでありますので、負担を軽減するためにも調査項目は絞らざるを得ないということについては御理解いただきたいと思います。

 以上でございます。

西委員 経過措置がどのような形で行われたかということの詳しい調査は、その際には行っていないということでございました。

 先ほどちょっと答弁の中で触れられましたけれども、賃金規定の変更をめぐって、さまざま争われた裁判例があるんですね。減額となる金額、それから減額の割合、これが普通の社会生活を営むに影響がある場合は合理性がない、例えば一挙に給料が半分に減るとかこういう極端な例だと思いますが、そういう判例がございます。平成十七年の給与構造改革で行われた減額は経過措置を必要とした水準であったのかどうかという問題が一つあろうかと思います。

 さらに、逓減していく措置をとらずになぜ現状維持、経過措置の方式は、給与をそのまま減額せずに現状維持でずっと据え置く、こういう措置を講じているわけですが、こういう問題もあるというふうに思います。

 経過措置が必要な減額であったのか、そして現給保障という方法は民間の方で一般化していると言えるのか、この二点について御答弁をお願いいたします。

尾西政府参考人 先ほども申し上げましたような民間企業の状況ですとかあるいは裁判例も踏まえまして、あるいは給与構造改革において俸給表水準を最大七%引き下げるということに当たりましては、やはり経過措置が必要だということで現給保障の措置を講じたところでございます。

 その際、現給保障を逓減する方式とはしておりませんが、これは、十八年三月末で固定しました後、その後の昇給、昇格あるいは給与改定によりまして、経過措置が逓減し、解消されていくということを念頭に置いたものでございます。

 なお、繰り返しになりますけれども、民間企業におきまして、給与制度の見直しにより基本給を下げる場合には、課長級、係員ともに七割を超える事業所におきまして現給保障等の経過措置を行ったという結果が出ておりますので、私どもが行いました給与構造改革のような制度改正を行う場合には、やはり民間でも経過措置を置くというのは一般的に行われているというふうに考えているところでございます。

 なお、これは私どもの直接の調査ではありませんけれども、他の調査によりますと、やはり旧賃金との差額を保障するというやり方でこういった場合の経過措置を設けている事業所というのはあるということでございます。

西委員 今、さまざまな理由、例えば昇給、昇格とかで解消されていく、年を追って解消されていくというお話がありました。

 この経過措置の対象者をお伺いしますと、平成十八年度には二十万九千五百七十六人おられたところが、平成二十三年度には五万六千五百十三人、こういうふうになっております。退職されたり、それから昇給、昇格されたりということで現給を上回っていくことによって、もしくはもう職場から離れられたりということですね。

 経過措置の全体像がなかなか見えにくいので、平成二十三年度における対象者の分布についてお伺いをしたいと思います。一万円まで、一万円から二万円というふうな段階で、今現在の、二十三年度のそれぞれの対象者数をお知らせいただきたいと思います。

尾西政府参考人 平成二十三年四月一日時点での経過措置の対象者、これは全俸給表で五万六千五百十三名でございますが、これにつきましてその状況を見ますと、まず一万円以下の者が二万三千六百二十九人、それから一万円を超え二万円以下の者が二万一千十六人、二万円を超え三万円以下の者が一万一千二十二人、三万円を超え四万円以下の者が八百三十四人、四万円を超える者が十二名となっております。

 なお、この人数には、二十五年四月に経過措置額が廃止されました場合には、その廃止前に定年により退職する者が多数含まれておりまして、実際に二十五年四月で廃止されるときの人数は、三万円を超える者が四十三人となるなど高額の者は大幅に減少し、全体としてもかなり減少することが見込まれております。

西委員 結果的には、これだけ年月が経過したにもかかわらず、結構高額の人がまだ残っているということが明らかになったと思います。

 先日の参議院の予算委員会では、経過措置による給与支給が四百万円を超えているというケースが紹介されたと思います。経過措置による給与の累積額が一体どうなっているのか。累積した給与額、これは百万、二百万、三百万、それぞれどれだけ積み重なってきているのかということを人数別にお知らせいただきたいと思います。

尾西政府参考人 先日の参議院予算委員会におきましては、経過措置額が三万円の場合に、その額を六年間受けていたと仮定したときには、三百万円近い経過措置額を受けていることになる、そういう御説明をしたところでございます。この金額は、平均を大きく上回る経過措置額三万円の者を想定しまして、年間にしますとボーナス分を含めまして四十八万円、六年間で三百万円弱になる、そういう計算の金額でございます。

 ただ、この経過措置額は個々人ごとに毎年減少しておりまして、その累積額というのを記録はしておりませんので、そういう正確なものはわかりませんけれども、二十三年四月時点で経過措置を受けている者につきまして、十八年四月以降ずっと二十三年四月時点の経過措置額を受けていたものと仮定した場合の合計を機械的に算定してみますと、百万円以下の者が約二万四千人、百万円を超え二百万円以下の者が約二万一千人、それから二百万円を超え三百万円以下の者が約一万一千人、三百万円を超える者が約千人、そういうことに計算上なります。

西委員 結果的には、経過措置という形で現給保障しているがゆえに結構多額の給与をもらっているといいますか、そういう形になっているということがわかったと思います。

 今回、勧告は、経過措置を平成二十五年度に廃止する、こういうふうにしております。今回の人事院勧告を踏まえますと、この経過措置は平成十九、二十年には廃止すべきであった。こういう措置がとられる、二年で一遍に解消しちゃうということであれば、短期に廃止すべきだったとも言えると私は考えております。若干金額がさらに上回る人がいるという意味では二年では難しいかもしれませんが、短期的にこれを解消するという方法もあったのではないかというふうに思います。

 そのような見方からすれば、平成二十五年の廃止までに、結果的には、五、六年間余分にだらだらと継続するという結果になったのではないか。経過措置に係る給与総額は、五、六年間継続した場合、今、現実そうなっているんですが、経過措置の対象給与の総額というのは一体どれだけ、余分に支払うと言ったら失礼ですけれども、なったのかということの計算、大まかで結構ですが、お教えいただきたいと思います。

尾西政府参考人 この給与構造改革は平成十八年度から実施しておりますので、平成十九年、二十年といいますと、まだこれがスタートして二年目、三年目でありまして、その時点で経過措置を廃止するということは、先ほどから申し上げています裁判例ですとかそういったことに照らしても、あるいは公務の中での職員団体、各省の納得という観点からも、なかなかそれはとり得なかった選択肢でございます。

 なお、この経過措置額は、受給している職員の俸給の一部となって官民給与比較の対象となっておりますので、経過措置額を含む公務員給与が全体として民間給与の水準と均衡しておりますので、この経過措置を実施するために追加財源が必要となったというものではございません。あくまで較差の中での話でございます。

 なお、数字でございますけれども、二十四年、二十五年のデータはまだありませんので、過去、十八年度から二十三年度までの経過措置の実施のための給与の総額を試算しますと、累計で二千百七十九億円でありますけれども、これは年を追って減少しておりまして、二十三年度は百二十億円ということでございます。ただ、これはあくまで官民給与の中で処理されている問題でございます。

西委員 今、二千億余りという数字が出されました。二十三年度までということですが、二十五年度まで継続するとなると、さらに大きな数字になるということでございます。

 このようにして、経過措置に期限を設けなかった、つまり、現状のままでいって、それを上回ったときに初めて新たな給与に移る、このことが果たして適切であったのかどうか。人事院は、この経過措置に期限を設けなかったということ、もちろん、これは景気状況とか、ベースアップがなかなか思うようにいかない今のデフレ状況の中でのさまざまな社会情勢等もあると思うんですが、それはそれとして、経過措置の中に期限を設けなかったということについてどう考えているのかということでございます。このことについてお答えいただきたい。

 あわせて、現給保障を維持するために、平成十八年度から二十一年度までの四年間、全職員の昇給を毎年抑制してきました。これが世代間の給与構造のひずみを是正するという機会をさらにおくらせる今の結果となっている、私はそう考えております。そういう意味では、人事院の結果責任、さまざまな要素はあると思いますけれども、これは大きいのではないかと私は見ておりますが、このことについて人事院の見解をお伺いしたいと思います。

江利川政府特別補佐人 給与構造改革の関係の説明は、担当局長が申し上げたとおりでございます。

 五年間かけて段階的に給与構造を改革してまいりました。その中で、基本給を平均で四・八%、最大七%引き下げるとなったわけでありますが、戦後六十年の公務員給与をめぐる取り扱いの中で、俸給を七%も引き下げたことはありません。そういうことから、この給与構造改革をめぐりましては、職員団体からかなり強い意見が表明されておりますし、そういう職員団体との話し合い、あるいは各省とも十分話し合いまして、どういう形がいいかというのを踏まえながら経過措置を考えたわけでございます。激変緩和のために現給保障する、そういう形で経過措置を設けたものでございます。これは、全体の昇給を抑制するということで財源を出しておりますので、トータルとしての国家公務員の総人件費はふやしているわけではありません。その枠の中でやったものでございます。

 五年間の給与構造改革が二十二年度をもって終わりましたので、既に五年を経過しているということと、もう一つは、年金の支給開始年齢が延長されますと、定年を延長していかなくちゃいけない。先般の人事院勧告の中でも意見の申し出を行っているわけでありますが、定年を延長する際には、六十歳の給与の七割を水準としている。そのときに、六十歳の給与にまだ経過措置が残っているとなりますと、これまたいろいろ問題が出てくるわけでございますので、二年間かけて、定年延長の前までには経過措置を廃止するのがいいだろうということで、今回、経過措置の廃止のことを申し上げたわけでございます。

 その辺、全体につきまして御理解を賜りたいというふうに思います。

西委員 そういう事情で二年間で経過措置を廃止するということなんですが、この経過措置そのものが結構大きい。初年度は一万円までということですが、その次の年度で結構大きい人が出てくるということも含めますと、やはりもっと早くからこのことの解消について考える要素はあったのではないか。今までずっと現給を維持しているという政策そのものがやはり構造改革もおくらせる、そういうことになったのではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。

 そういう意味では、国民の視点から見れば、一年から二年の激変緩和措置というならまだしも、激変緩和という域を超えた現給保障という考え方、これは理解しにくいということではなかったのかというふうに思います。

 この現給保障については、廃止するなど見直しを考えているのか、今後も採用するお考えはあるのか、基本的な考えを明確に示していただきたいというふうに思います。

江利川政府特別補佐人 先ほどの答弁を若干繰り返す点も入りますが、今までの、この給与構造改革をするまでの人事院勧告の中で七%の削減というのはなかったわけでございまして、これを実現するというのを関係方面と話し合いの中で決めてきたということでございます。これにつきましては、先ほども申し上げましたように、五年間の構造改革期間が終わりましたので、経過措置の廃止に踏み切るわけでございます。

 この先につきまして、現時点では、毎年の官民給与比較に基づく俸給水準の見直し以外には人事院として考えておりません。制度的に何かするということは考えておりませんが、仮に将来そういうことが出てきた場合には、その見直しの内容を含めて、どういう形の経過措置がいいのかどうか、中身を十分吟味しながら対応してまいりたいというふうに思っております。

西委員 この点については、大臣のお考えもお伺いしておきたいと思います。

川端国務大臣 現在、給与の臨時特例法を提出しているという立場で申し上げますと、人勧のこの部分には手を触れないということでありますので、二十六年からの給与がどうあるべきかということに関しては、当然ながら、そのときまでにいわゆる国家公務員の関連四法案がどうなっているのか。通っていれば、そこの中で、いろいろ議論の中で政府の立場を示して法律を出す、通っていない状況であれば、人事院勧告が出ているわけですから、それに対して人事院勧告をどう踏まえるかということで、政府としての対応の中でこの問題も含まれてやるものだというふうに心得ています。

 一般論で申し上げますと、給与制度をこのように大きく変更するときに激変緩和措置というのは必要だというふうには思いますが、これは一定期間のものであろうというのが基本的な認識でございます。

西委員 大臣のお考えはまことに妥当なお考えだというふうに私は思います。

 続いて、大臣にお伺いしたいと思います。

 昭和六十一年、随分古い時期の話を蒸し返して恐縮なんですが、八月十九日、衆議院内閣委員会の質問の中で、「人事院の勧告制度は国家公務員の労働基本権制約の代償の措置であり、」全くそのとおりですね、「その完全かつ迅速な実施は国際労働基準として既に確立しているところでありまして、我々も数年来の凍結、抑制という異常事態をことしこそ解消して、人事院勧告を早期に完全実施するよう強く要望する」というふうにおっしゃられておりまして、人勧は完全実施すべしとの立場で政府に迫っているという議事録が出てまいりました。

 今回はそのお立場をお変えになったのかということをお伺いしておきたいと思います。

川端国務大臣 古い、二十五年前の議事録を見つけていただきまして、恐縮であります。六十一年七月七日に初当選をいたしましたので、これは私、多分デビューか二回目ぐらいの記念すべき質問にこういうことを申し上げたという部分で、非常に感慨深いところでございます。

 基本的な認識として、人事院勧告制度が極めて重いものであり、最大限尊重すべきものであるということは、私は今でも基本的な認識は全く変わっておりません。

 ただ、このときでいいますと、右肩上がりから、バブルがちょうど崩壊しつつあって大変な状況ということの中で、給料を上げようというのを抑制する、ちょっとずらしてとか凍結とかいうことの議論の中でありました。環境は若干異なりますけれども、今回は震災と厳しい国家財政ということで、臨時特例的に七・八%下げさせてくださいということ自体は、この基本的な認識を堅持していても、それをあえて無理をお願いせざるを得ない状況にあるというふうに私は思っております。

 この二十五年前、デビューか二回目ぐらいの委員会で申し上げたことは、後藤田官房長官だったと思いますが、中身まで詳しく覚えていませんが、そういう気持ちで臨んだことは、やはり初心の一つでありますので、これからも引き続き、このことだけはしっかりと思う中でいろいろ対応していきたいというふうに思っております。

西委員 そういう考え方からいたしますと、私は、今回の議論の中で、もちろん震災対応という七・八%は理解をしておりますが、きちっとした人事院勧告という形、姿は残しておくべきだというふうに思っております。

 さきの臨時国会の会期末に、私は理事会において、公務員給与削減法案、閣法の法案ですが、継続案件とせずに一度撤回すべきだというふうに政府・与党に勧めました。人勧との整合性を図る必要があるというふうに考えたからであります。アドバイスは受け入れられず、現在のこの混乱を招いているということは大変残念であります。

 公務員給与削減法案と今回の人事院勧告との関係について、先ほど石田委員との議論の中でもございましたけれども、相反する関係にあるのか、それとも両者成立する関係にあるのか、法的な関係について明確に説明をいただきたいと思います。

田中政府参考人 お尋ねは、給与臨時特例法案と本年の人事院勧告のそれぞれの内容と関係ということでお答えすべきだと思いますが、内容につきましては先ほど来大臣などからも申し上げておりますので省かせていただきまして、私どもといたしましては、臨時特例法案が人勧の趣旨を内包しているということで評価させていただいております。

 それで、政府といたしましては、我が国の未曾有の危機的状況に対処する財源を確保するということがぜひとも必要であると考えておりまして、そのための特例法案の早期成立を期する立場でございますが、今お尋ねでございますけれども、政策意図から申しますならば、本年の人勧が直ちにいわば相反するということは言えないというふうに思います。

 事実、ただいま大臣が答弁いたしましたように、私どもの立場といたしまして、人勧制度尊重の基本方針のもと、政府として、人勧をあわせて実施するということにつきまして検討いたしまして、それで、結果、概略で申し上げますと、個々人の事由によりまして減収率の幅がまちまちとなりまして……(発言する者あり)

 改めて申し上げます。

 政策意図から申しますと、本年の人勧が直ちにいわば相反する関係になるとは言えないというふうには思いますし、事実、先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、人事院勧告制度を尊重するという基本方針のもとで、政府として、人勧をあわせ実施するということにつきまして検討したということでございまして、結果の概略を申し上げたいというふうに思います。

 人勧を、経過措置額の適用の関係、先ほど御議論になっておりましたけれども、例えば、減額率が八%に法案で設定しております課長補佐級の職員につきまして、減額率が一〇%を超えるなど、いわば個々人の事由によりまして減収率の幅がまちまちとなり、逆転現象が起こったり、また不公平感が生ずるおそれがございまして、特例法案の趣旨と相入れないこととなり、適当ではないというふうに考えている次第でございます。

 失礼しました。

西委員 これも先ほどの議論にありましたように、今回の七・八%削減そのものが今までの人事院勧告を大きく超えた事態ですので、私は、そのことをもって、大きな振れがある、一〇%を超える人がいる、これはまたさまざまな方策もあるわけですから、一概に承認はできない。人勧は人勧としてやるということが原則で、その上に、さまざまな工夫の上で七・八%を確保するというのがあるべき姿ではないか、こういうふうに考えているところでございます。

 最後に、人事院が、もし大震災の復興財源としての給与削減は政策判断の一つであるというふうに認めるという立場に立ったといたしますと、この場合、どのような姿が望ましいと考えているのか。ちょっと仮定の話ですので、人事院は人勧以外のことは多分おっしゃらないかとも思いますが、策があるとするならば、どういうことを考えられているのか、お答えをいただきたい。

内山委員長代理 江利川人事院総裁、時間が経過しておりますので、端的にお願いいたします。

江利川政府特別補佐人 人事院の権限といいますのは、労働基本権の制約の代償措置としての人事院勧告で、これは民間の給与実態を把握した上で勧告をする、法律上そういうことが書かれているわけでございます。人事院の権限はそこまででございまして、震災対策のためにどういう削減が可能かということについては、人事院の答える権能を越えている部分でございます。

 これにつきましては、千年に一度という大震災を踏まえて、その財源対策についてどうしたらいいか、そういう考え方の中で、内閣あるいは国会におきまして、大所高所の観点から御判断いただくべき問題ではないかというふうに思っております。

西委員 以上で質問を終わらせていただきますが、人事院には、平成十八年以降の各年に、支給額別の対象人数など、経過措置の全体像、実態がわかる資料をぜひとも提出していただきたい。また、総務省には、人勧それから給与削減法案をダブル実施した場合にどうなるかという全体像がもう少しわかる資料を提出していただいて、次の議論に備えたいというふうに思いますが、委員長にお取り計らいをお願いしたいと思います。

内山委員長代理 後刻理事会で協議をさせていただきます。

西委員 以上で終わります。

内山委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、人勧質疑に関連して、国家公務員給与臨時特例法案の内容について質問をいたします。

 国公法第二十八条では、「給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。」と規定をしています。

 勤務条件の変更に関しては人事院においてこれを勧告することを怠ってはならないとあるのは、憲法で保障されている労働基本権が制約されたことにより規定されたものであり、労働基本権制約の代償措置であります。国公労働者の勤務条件を一方的に引き下げることになる今回の給与特例法案は憲法上の疑義がある、このことを申し上げたい。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、今回の給与特例法案は三年間にわたって給与を引き下げるものとなります。川端大臣は国会の答弁におきまして、政府として人事院勧告制度を尊重する、その基本方針は変わらない、その姿勢は変わらないと繰り返し述べておられます。そこでお聞きしますが、政府として毎年毎年の人事院勧告を尊重する、そういうお立場ということでよろしいでしょうか。

川端国務大臣 毎年毎年出てくる人事院勧告は、その時々において、その対応について真摯に対応するという基本的姿勢は変わりございません。

塩川委員 いや、真摯に対応するということではなくて、お聞きしたのは、毎年毎年の人事院勧告を尊重するというお立場かと聞いたんですが、お答えください。

川端国務大臣 尊重をする立場で、その具体的対応について真摯に対応するということでございます。

塩川委員 人事院勧告制度を尊重すると言いながら、毎年毎年の人勧を尊重するということは言っていないわけであります。毎年毎年の人勧を尊重すると言えない、ことしの人勧も尊重しない、来年の人勧も尊重すると言えないようでは、労働基本権制約の代償措置が機能していないと言わざるを得ません。

 要するに、この給与特例法案が成立を前提にすれば、七・八%引き下げになります。そうなりますと、来年の人勧はどうなるのか。七・八%下がって、それと民間の給与較差を調べた場合に、場合によっては七・八%引き上げという勧告が出るかもしれない。そういうことになれば、尊重すると言えないということを前提の答弁ということを言わざるを得ません。

 あわせてお尋ねしたいんですけれども、政府として、ことしの人勧は実施しないというのが政府の方針ということでよろしいんでしょうか。

川端国務大臣 人勧に基づいて、それをそのまま法律として対応するということはしないということでございます。したがいまして、人事院勧告に基づいた法律改正は提出しないということを決めました。

塩川委員 確認しますけれども、十月二十八日の閣議決定「公務員の給与改定に関する取扱いについて」におきましては、「人事院勧告を実施するための給与法改正法案は提出しないこととする。」つまり、人勧実施の具体策としての給与法改正案は提出しないということは、人勧の不実施ということですね。

川端国務大臣 文字どおり、人事院勧告を実施するための給与法改正法案は提出しないということに尽きております。

塩川委員 人勧を実施するための給与法改正案を出さないということですから、人事院勧告を実施しない、人勧の不実施ということであります。

 そこでお聞きしたいのが、昭和五十七年度、一九八二年度の人勧の不実施に関する全農林人勧凍結反対スト訴訟最高裁判決との関係であります。

 この判決では、「政府は、人事院勧告を尊重するという基本方針を堅持し、将来もこの方針を変更する考えはなかったものであるが、」「やむを得ない極めて異例の措置として同年度に限って人事院勧告の不実施を決定したのであって、これをもって違法不当なものとすることはできず、」と述べ、「昭和五七年度に限って行われた人事院勧告の不実施をもって直ちに、公務員の争議行為等を制約することに見合う代償措置が画餅に等しいと見られる事態が生じたということはできない」としています。

 この判決を是とする立場ではないことは断っておきますが、この判決では、人勧の不実施が昭和五十七年度に限って、つまりその年度に限って行われた場合には代償措置が画餅に等しいとは言えないとしているのであり、複数年度にわたって人勧の不実施、つまり毎年毎年の人勧を尊重しないという場合は、まさに代償措置が画餅に等しいということになるんじゃありませんか。この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

川端国務大臣 来年、人事院勧告がどのように出されるかは当然まだ想定できないわけでありますけれども、出されたときに、それを最大限尊重する立場で、どういう給与体系があるべきかというのを政府において判断することでございますので、現時点においてこのことを真摯に対応している状況が直ちに判決とは違って画餅に帰するものであるということは、違うのではないかというふうに思っております。

塩川委員 この全農林人勧凍結反対ストの訴訟最高裁判決では、当時の経過を述べておりまして、内閣総理大臣は労働団体と会見をし、今回の措置は極めて異例なものであり、このような措置が繰り返されることのないよう最善の努力をする旨を述べていると。繰り返されないように。来年度以降の人事院勧告の取り扱いについては、それが政府に提出された時点で国政全般との関連において検討することとなるが、政府としては、今回のような措置が繰り返されることのないよう最善の努力をすることとしていること等を内容とする見解を表明している、このように述べて、当該年度に限って行われる臨時異例の措置だということで、代償措置が画餅に等しいということにはなっていないという判決であるわけであります。

 しかし、今回、政府が出している給与特例法案は三年間にわたって賃下げを行うというものですから、ことしの人勧も尊重しなければ、来年の人勧も尊重しない。ことしの人勧を不実施ということであれば、当然来年の人勧の不実施ということにもなりかねない。これは、この判決をもってしても憲法違反と言わざるを得ない、こういう事態ではないのか、その点についてどのようにお考えですか。

川端国務大臣 申し上げたように、複数年度にわたって人勧を尊重しないという立場で決まっているわけでもございませんので、そういう部分でいえば、現時点においても、人勧に伴う給与改正法案は提出いたしませんでしたけれども、人勧を尊重する立場で、最大限効果としてもたらされるようなことも含めて、目的は異なりますけれども、そういう結果をもたらすということで最大限尊重した結果としてのことであります。

 来年以降も続けているという前提に立っていないこと、したがいまして、そのことにおいて、判決はその都度その都度の状況によって出されるものでありますので、このことに直ちに云々ということの議論にはなじまないというふうに思っております。

塩川委員 いや、給与特例法案は、三年間にわたって給与引き下げを行うものでありますから、三年間にわたって人勧に基づかない勤務条件の引き下げを国公労働者に強いるものとなっている、このことが問われているわけであります。

 ですから、毎年毎年検討するということはあっても、結果として人勧が尊重されない、人勧が実施をされないということが続けば、この全農林の判決をもってしても憲法違反と言わざるを得ないというのが今回の法案の中身だ、このことを指摘せざるを得ません。来年以降についても毎年毎年の人勧を尊重すると言えない、複数年度にわたる人勧の不実施となれば、代償措置が画餅に等しいものと言わざるを得ない、このことを強く指摘しておくものであります。

 次に、人事院も指摘をしておりますが、組合と合意をしたという経緯の話ですけれども、過半の公務員の賛同を得ないで提出をしているということも指摘をしております。この点について、大臣に確認でお聞きしたいんですが、政府が交渉相手としました労働組合との間で給与減額措置についての合意というのは得られたんでしょうか。

川端国務大臣 御案内のように、二つの労働組合があります。そこと真摯な話し合いの場を持ち、一つの組合とはこの減額の部分において合意が得られ、もう一方とは同意が得られなかったという状況でありました。

塩川委員 国公労連とは合意をしていないということであります。

 そういう合意をしていない場合に対して、国公労働者に対する救済措置というのはあるんでしょうか。

川端国務大臣 ございません。

塩川委員 労働者が活用できる救済措置というのは何もない。労使間で交渉が決裂した場合に、使用者側が一方的に勤務条件を変更しようとしたときに、労働者側の対抗手段、救済措置がない。労働基本権の回復のないままでの一方的な賃金切り下げ、こういうことになっているんじゃありませんか。

川端国務大臣 先ほども若干類似の議論がございましたけれども、最終的に、民間の場合ですと、そういう部分の救済措置というのは当然、労働組合法含めて、あるいは中労委や地労委あっせん等々の仕組みがありますが、これはございません。

 そういう中でありますが、先ほどお触れになりましたように、国家公務員法で、この法律に基づいて定める給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会の一般情勢に適応するよう、随時これを変更することができる、この変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならないということであります。

 そういう意味で、最終的には国会が決めるという制度の担保を持つことによって動かされているというものでありますので、労働組合との合意あるいは協議は、いわゆる法に基づく、制度に基づく交渉等とは性格を異にいたしますが、できるだけ意思疎通を十分に図りたいということでやったという前提でございますので、制度的には、その部分では国会において最終的に判断をしていただくということで政府としては対応することにしたところでございます。

塩川委員 もともと、国会での判断云々の前提というのが人勧だったわけであります。それ自身が守られていないわけですから、その前提が崩れているわけであります。そういう点でも、憲法違反の法律を通していいのかというのが国会の意思として問われているんだ、このことを改めて申し上げておくものでありますし、国会云々とはいっても、別にそれは労働者が活用できるわけじゃありません。国公労働者が活用できる救済措置が何もないままで、いわば手足を縛るような形で一方的に使用者側の政府が賃下げを強要する、こういう法案を決して認めることができない、憲法違反の法案は国会では認めることができない、こういう意思こそ示すことだ、このことを強く申し上げておくものであります。

 次に、憲法解釈、憲法問題との関係で、十一月二十一日に参議院予算委員会で枝野大臣が答弁をしております。

 枝野大臣は、人事院勧告は憲法に保障する労働基本権の代償措置という側面を持つということで、憲法上の意味を持っている、ことしの人勧は引き下げを勧告しているが、それを超えて引き下げを政府として行うことになる、その限りにおいて労働基本権との関係で憲法上の問題が生ずると述べています。

 このように、労働基本権との関係で憲法上の問題が生ずると言っていることについて、どのような憲法上の問題が生ずるということなんでしょうか。

川端国務大臣 答弁されたのは、人事院勧告でも引き下げを勧告しておりますが、それを超えて引き下げを政府としてお願いするということになるわけで、その限りにおいて労働基本権との関係で憲法上の問題が生じてまいりますと。

 単に、何も経過がなくて給料を下げるということにおいては、先ほどおっしゃるように、労働基本権の制約ということで、人事院勧告とセットでこういうものが担保されているということからいうと、一方的にすることには憲法上の一定の制約が生じるという議論はあるということを申されたのであります。

 しかし、その後、先ほどの判例を引用されて、客観的にやむを得ない措置等々、判決でもお触れになった状況に対応しているので、現下の状況の中でやむを得ない措置でありますので、憲法上の問題は生じないというふうに答弁している部分の引用だというふうに思います。

    〔内山委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 その後段の、憲法上の問題は生じないという点については、先ほど申し上げたような経緯として批判をしたところであります。

 要するに、ことしの人勧は引き下げの勧告でした、しかし、それを超えて引き下げを政府として行う給与特例法案を出している、これが憲法上の問題が生ずることになる、そういうことでいいわけですよね。

川端国務大臣 前提条件も客観状況もなく給料を下げるということになると、人事院勧告にもよらずにということであれば、一般論として言えば、労働基本権の制約という部分でいえば憲法上の議論になるということを言われたんだというふうに申し上げまして、今回の場合は、そういういろいろな危機的な状況を含めて、そして中身も含めて対応するという意味では、憲法上の議論にはならないというふうに申し上げたところでございます。

塩川委員 国公労働者にとって不利益な決定がされたときに、それを争う手だてもない中で、一方的に引き下げしか行われない。そこにおいて、そもそも労働基本権制約の代償措置が機能していないということを明らかにしたわけですから、この点が憲法違反として問われるわけで、まさにこの点こそ議論していかなければなりません。

 以上のとおり、来年以降についても毎年毎年の人勧を尊重すると言えないということでは、複数年度にわたる人勧の不実施となり、代償措置が画餅に等しいと言わざるを得ません。労使間で交渉が決裂した場合に、使用者側が一方的に勤務条件を変更しようとしたときに、労働者側の対抗手段がない。労働基本権の回復のないままでの一方的な賃金切り下げとなっている。そもそも政府側が一方的に国公労働者に不利益となる措置を行うこと自体が憲法違反であります。

 労働基本権制約の代償措置が機能することなく、国公労働者に不利益となる措置を実施しようという給与特例法案は憲法違反と言わざるを得ませんので、これはきっぱりと撤回をしていただきたい。改めて大臣の答弁を求めます。

川端国務大臣 未曾有の震災対応と危機的な国家の財政状況の中で、人事院勧告も出されている環境ではありますけれども、国家公務員の皆さんに大変厳しい、身を切る思いをしていただくということで、ぜひともにこの法律の御審議と成立をお願い申し上げたいというのが私の基本的な立場でございます。

塩川委員 厳しい財政事情と言われますけれども、その原因については、昨年六月の財政運営戦略でも、非効率的な公共投資と歳入確保策の欠如にあると指摘をしています。つまり、大型公共工事の無駄遣いと大企業、大資産家減税こそ問題であって、国公労働者の責任ではありません。

 そもそも、この十数年間で国家公務員の給与は約二割削減をされています。規制緩和による雇用破壊で民間の賃金が下がり、自公政権のもとでの国家公務員給与引き下げの圧力に屈した人事院の一連の措置がもたらしたものであります。その給与をさらに引き下げることは容認できない。削るべきは、米軍思いやり予算や八ツ場ダムのような無駄遣いこそ削る、このことを強く申し上げ、質問を終わります。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野であります。

 まず、江利川総裁に尋ねますが、連日、国会での政府と人事院との対立が新聞をにぎわしている。また、総裁も、積極的にマスコミなどのインタビューに答えて、この間の政府の対応を批判してきました。その中で総裁は、労働基本権の制約下での人事院勧告の尊重は憲法上の責務だとの指摘と同時に、給与削減の水準についても言及している。

 今回の政府の臨時特例法案は、憲法上の問題とあわせて、平均七・八%、課長相当職以上で一〇%という削減幅にも極めて大きな問題があるというふうに考えておられるのかどうなのか。この二点について、総裁の考えをまず聞いておきます。

江利川政府特別補佐人 私が政府と対立しているようなことを言われましたけれども、私自身は、人事院は、労働基本権の制約の代償措置は完全に実施していただく、そしてまた、大震災対策については別途、内閣あるいは国会において大所高所に立って御判断いただくということを申し上げているわけでありまして、方向においてはそう大きな差ではなくて、人事院勧告を実施してもらいたいというところに大きな差があるわけでございます。

 それから、今の御質問の点でございますが、人事院の役割は、国公法上、民間給与の実態を把握して、官民較差の是正という観点から、どう給与を上げたらいいとか下げたらいいとかということを勧告するわけでございます。権能はその範囲でございまして、大震災のための削減のパーセントは幾らかということなりますと、これは人事院の権能を超えているところでございます。この点につきましては、国会におきまして、未曾有の大震災ということを踏まえつつ、大所高所に立って御判断いただくことではないかというふうに思っている次第でございます。

重野委員 総裁の説明はなかなかわかりづらいのでありますが、今回の人事院勧告、時間的な点を見ても、人事院勧告がなされる前の段階で政府の意思が決められている、こういう扱い方についてはどのように考えるんですか。

江利川政府特別補佐人 現行法上、まずは、現行法体系に従ってもらうというのが基本でございます。そうしますと、先ほど来の御質問の中にもちょっとありましたが、国公法二十八条で、国会において公務員の給与等を決めていくわけでありますが、その際、人事院は勧告を怠ってはならないと。趣旨としましては、人事院勧告を踏まえて給与を改定してもらうというのが基本でございます。手続から見ますと、そういう国公法の手続によらずに法律が出るというのは、現行法体系上はいかがかという感じがするわけであります。

 ただし、何度も申し上げておりますが、千年に一度の大震災、一体これをどうするかということになりますと、一般論だけでは措置できない部分もあるのではないかということでございまして、その点につきましては、内閣あるいは国会で大所高所に立って御判断いただくことではないかというふうに思います。

重野委員 千年に一度の大震災というふうな事態の中でということであるから、言うならば、超法規的じゃないけれども、そういうふうなこともあり得るというふうに総裁は考えているように聞こえたんですね。

 私は、時系列的に見ても、やはり人事院勧告制度がある以上、人事院が勧告をし、それを受けて政府が判断をする。その政府の判断の中で、今言った客観的ないろいろな状況そのものが考慮されて、それらを入れて結論が出るという順序であれば、中身のよしあしは別として、私は、取り組みとしては、そういう方向の取り組みが妥当だと思うんですね。

 今回の場合、それを超えている。その点について、私は、人事院として明確にやはり意思を表示すべきである、このように思いますが、どうですか。

江利川政府特別補佐人 御指摘の点につきましては、私もそういうふうに思う点がございまして、法案が国会に出されましたときに人事院総裁談話というのを出しまして、このような形で法案が出るところについては、現行法に照らしてみると問題があるのではないかということを言っている次第でございます。

重野委員 昭和五十七年に、人事院は四・五八%の引き上げを勧告したんですね。これは、結果としては見送られたんです。そのときの最高裁の判例は、違憲ではないんだという判決を下しております。ところが、そのときの政府の説明は、一つは危機的な財政状況がある、一つは生産者米価の抑制をした、あるいは年金、恩給の物価スライドをその年はやらなかった、そういうことを理由としているんですね。今回の場合は、いわゆる東日本大震災に対し、結果的に公務員が金を拠出して言うならば支援をする、わかりやすく言えばそういう形なんですね。これは全然違うんじゃないですか。

 だから、そういう点では、私は、なおのごとく今回の人事院勧告、政府の決定というこの流れは、時系列的にも問題があるけれども、同時に中身についても異論がある、このように思うんですが、総裁、どうですか。

江利川政府特別補佐人 五十七年の人勧凍結は、四・五八%引き上げるというものについての凍結でございました。そのときには年金の物価スライドなども凍結をいたしまして、年金の物価スライドで想定していましたのが二・四%引き上げるということでありましたが、国民に引き上げないということで負担をお願いし、その中で、公務員にも給与を引き上げないということで負担をお願いした形であったと思います。それが最高裁まで行きまして、最終的には、人事院勧告を尊重するという基本姿勢と、それから、やむを得ない措置というような中で合憲とされたわけでございます。

 今回の大震災対策に当たりまして、公務員の給与をどう引き下げるか、引き下げることはどこまで可能か、そういう議論につきましては国会において大所高所で御判断いただく問題でございまして、そのときに、こういう憲法の先例も一つの参考になるのではないかという御意見は、私は一つの御意見だと思います。そういう御意見も踏まえながら、国会の中で御議論いただくことではないかというふうに思っております。

重野委員 総裁は一貫してそういうふうな言い方なんですけれども、平均七・八%下げ、課長相当職以上一〇%下げという中身そのものについても、私は問題ありと言わなければなりません。しかも、削減したお金は震災復興に使う、これが前提になっているんですね。私は、そういうふうなやり方が正しいのかと。その点、総裁、どうですか。

江利川政府特別補佐人 私は、一般論として申し上げれば、阪神・淡路大震災のときは給与の削減はなかったわけでございます。そういうふうな意味で、公務員の給与の削減なしに済んでもらえればそれにこしたことはないというのが私の率直な気持ちであります。

 津波の関係でいきますと、例えば、百年に一度ぐらいの津波は防潮堤で防いでもらいたい、ハードでやってもらいたい、千年に一度になると、防潮堤だけではだめで、逃げることも考えなくちゃいかぬ。今回はその千年に一度の話でございますので、その部分については大所高所の御判断があるのかもしれないというふうに思っている次第でございます。

重野委員 総裁にこれ以上聞いても、その方向性あるいは考え方というのは変わりそうにありませんので、次に、総務大臣。

 国家公務員の給与は、この十二年間で、四十歳以上の係長で、年収で実に一九%もの削減が行われてきた。これは事実です。他方、民間給与は、これは国税庁の調査でありますが、最も給与水準が高かった九七年と二〇一〇年を比較しますと、一二%の減少です。公務員の給与引き下げが民間をはるかに上回るスピードで進んでいるということは、現実、認めなければならぬと思うんです。

 まず、この実態について大臣はどのように感じているのかということが一つ。そして、そういう状況が客観的にある中で、さらに追い打ちをかけるように、これは新聞記事でありますが、懲戒処分並みだ、人事院総裁はこのように言ったというふうに書いてありましたけれども、こういう給与引き下げを行おうとしている、この点についてどう考えるか。二点。

川端国務大臣 国家公務員の給与は、現行制度では、人事院が毎年、民間の企業の従業員のうち、規模は一定条件がありますけれども、公務に類似する職務に従事する人ということで、それぞれの職務に応じて比較をして人事院勧告が、均衡させることを基本にして勧告され、ことしまで実施をされてきたということでありますので、基本的に、現在の国家公務員の水準は給与改定が行われてきた結果をあらわしているという意味では、その都度その都度で民間に準拠したことになっているというふうに思います。

 給与の比較というのは、先生、どういう基準で何をベースにするかというので、大変難しい部分でありますが、民間準拠という意味では、民間の水準にほぼ一緒ということで歩んでいるというふうに認識をしております。

 なお、国税庁のデータは、租税収入の見積もりとか税務行政運営の基本資料とすることを目的として、民間の給与所得者の給与について、源泉徴収義務者、いわゆる事業所から、源泉徴収の対象として給料を幾ら支払ったか、そのときの人数は幾らかということで集めた数字でありますので、複数の事業所から給料をもらっている人は人数的にはダブルカウントされるということを含めまして、給与所得者の延べの人員で給与総額を除したものとなっておりますので、受け手の個人の給与所得の平均額を必ずしも正確にはあらわしていない、若干低目に出るのではないかというふうに言われております。

 どちらにしても、調査データが違いますと、その部分を比較するのはなかなか難しいという現状にあることは御理解いただきたいと思います。

 なお、今回は、先ほど来お話がありましたように、未曾有の震災と厳しい財政状況の中で、国家公務員の皆さんに一生懸命仕事を頑張っていただき、苦しい中、暮らしていただいているにもかかわらず、大変厳しい、御無理をお願いするということであります。

 そういう意味で、懲戒処分並みとおっしゃいますが、額的にいろいろな見方はありますが、頑張っていただいているけれども大変申しわけないということでありますので、今回提案をさせていただくことはぜひともに御理解をいただきたいと思っております。

重野委員 懲戒処分並みというのは、私も県職員で、ストライキ、違法行為だといって処分を何遍も受けましたよ。昇給停止六カ月とか、こんなのを何回受けたかなというぐらいに受けたんです。その額に比べても、今回の政府のとった対応というのは、私はやはりひどいと言わなきゃならぬ。

 それと、先ほど人事院総裁にも聞いたんですが、なぜ、人事院勧告があるということがわかっていながら、その前の段階でそういうふうなことを政府で決めたのか。これは、やはり人勧制度を無視していると言われてもしようがないですよ。人勧がいつあるというのがわかっていながら、その前に、東日本大震災に、応援するんだという意図は別として、こういう下げの決定をするということについては問題ありという私の指摘に対して、大臣はどのように考えますか。

川端国務大臣 六月三日にこの特例法は既に出しておりました。その後人勧が出たことは事実でありますけれども、〇・二三%と七・八%という、額においてははるかに上回る、先生御指摘のように厳しい厳しい減額をお願いしているわけでありますので、人勧は国家公務員の労働基本権の代償措置として位置づけられている極めて重いものでありますが、額においても大変な御無理をお願いするということで、その中で、二年少しの間、ほかのことは事実上とめてこれでやらせていただくということで御理解をいただきたいというのが、今回こういう対応をした一番大きな背景でございます。

重野委員 時間が来ましたから終えますけれども、いずれにしても、やはり今回の政府の対応というのは極めて大きな問題がある。働く公務員労働者を激励する内容にはなっていない、むしろ意欲を減ぜしめる、そういう内容と言っても過言ではない。そういう内容であることを強く指摘して、私の質問を終わります。

 あと三項目質問を予告していましたけれども、できませんでした。この次の機会にやりますので、よろしくお願いいたします。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今、重野委員が御質問されたわけですけれども、それとはいわば全く逆のベクトルから御質問をさせていただくことになります。

 今回、国家公務員給与の平均七・八%削減の特例法案を出したからということで、人勧のマイナス〇・二三%引き下げはやらないという話になっています。非常におかしな話だと思いますが、しかし、例えば自民党さんのおっしゃるように、この人勧無視が憲法違反だから守れというのも、これはまたちょっと違うというふうに思います。

 人勧はあくまで勧告であって、勧告を受けて、最後は政府と国会で給与水準を決めればいい、こういう仕組みだと思います。現に、昭和五十七年の人勧を完全凍結した、こういう例もあるわけですし、ほかにも、引き上げ率の抑制あるいは実施の先送り、このような例もあるわけです。

 しかし、これは言っていることもわからないではないというふうにも思います。今回の政府の対応だと、向こう三年間だけ七・八%カットで、その後もとに戻るということになって、今回の人事院勧告の〇・二三%カットが、どこかに行っちゃってうやむやになってしまうわけです。こうしたことを考えると、ある意味では先ほど来の御指摘も大変当たっている部分があるというふうに思います。

 そもそも民主党のマニフェストには国家公務員人件費の二割削減というのが書いてあって、野田総理も、その実現はあきらめていない、こういうふうに言っているのに、二割と書いていたのに、震災で財源がより必要になったときに出してくるのが何で七・八%カットの法案なのか、しかも、何で時限立法で、もとに戻すことが前提になっているのか、こういうふうに言わざるを得ません。

 向こう三年間、こういうことをやめて、せめて七・八%カットを恒久措置にしたらどうかというふうに思いますが、この国家公務員給与の平均七・八%削減を恒久措置として提案していないのはなぜか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 まさに、恒久ではなくて、臨時特例法にしてあります。人事院勧告を実施しないということも含めて、極めて臨時特別の状況の中で未曾有の震災対応と財政状況に対応するということで、やむを得ない措置として、過去の判例も踏まえ、臨時、時限の特例措置として出させていただきました。

 先ほど来ずっと議論がありますけれども、現行制度のもとで給与減額措置期間を相当程度長時間または当分の間などとすることは憲法上の問題が逆に生じるというおそれもありますので、こういう背景の中で、臨時の特例であるということで出させていただきました。

 同時に、二年たったらということで、来年もその次も含めて当然人事院勧告がなされるというふうに思います。その出されたことを踏まえて、それぞれにこの臨時特例の後の部分を含めてどう対応するか、その中で政府としてしっかり対応して、国会に法律を出させていただきたいと思っております。

柿澤委員 端的に言って、二年たったら七・八%の給与削減は、特例法案はなくなるわけですけれども、実質的な給与水準としてはどうなっていくというふうに総務大臣はお考えになっているんですか。

川端国務大臣 この法律が、通していただいたら、二十六年の四月から切れますから、それまでということは、当然二十五年度の中で給与の改正法案を出させていただきたい。

 そのときに、ケースとして二つ考えられます。現在提出させていただいておりますいわゆる国家公務員関連四法案が成立している状況であれば、労使において自律的にいろいろ協議をされるのを踏まえて、そのときの財政状況、全国の水準を含めて、国家公務員の給与が改めてこうあるべきということを政府として法律を出させていただく。国家公務員関連四法案が成立せずに現行制度のままでありましたら、当然ながらその直近で出された人事院勧告を踏まえながら、我々の給与削減二割の目標もあるわけですから、そういう部分で、国家公務員の給与はどうあるべきかを勘案して、そのときに法律を出させていただくということであります。

 仕組みとしてはまだそれは、これから出す法律のことでありますので、今のシミュレーションでいえば二十六年からはもとへ戻るということになりますが、それまでに所要の対応をとる法律を出させていただくということが前提になっております。

柿澤委員 いやいや、そういうことではなくて、私は水準のことを聞いているんです。

 もう一度お伺いしますが、この七・八%の臨時特例による削減が二十六年三月末をもって終了した、その後の国家公務員の給与はどういう水準になるものというふうに川端大臣はお考えなんですか、もう一度御答弁ください。

川端国務大臣 ですから、その前の年に、繰り返しになりますけれども、もう切れるのはわかっている、翌年に切れるというのが確定しているその時点においての人事院勧告の状況と国の財政状況、トータルを含めて判断して給与法案を出させていただくということで、当然ながらそこで水準が改定されるものと思っております。

柿澤委員 すべての前提として、二〇〇九年以降の四年間で国家公務員総人件費を二割削減する、こうした目標がマニフェストに掲げられていたのではありませんか。そういう意味で考えれば、二十六年四月の時点ではもう既に二割削減が実現していなければおかしい、こういう話になるはずであって、それをすべての前提として今御答弁をされなければ、そもそも、国民との約束を守らないということを言っているのに等しいと思いますよ。結果的に、結局できそうにないからそうしたことを明言できないんだというふうにしかこれは解釈できないと思います。いわば先が思いやられるということではないかと思います。

 話をかえます。

 今回の特例法案では、総理三〇%、大臣、副大臣二〇%、政務官一〇%の給与のカットが提案をされております。

 これについて野田総理は当初、菅総理がやっていた三〇%カットを踏襲しないで、総理給与を今の今まで実は満額受け取ってきたわけです。我が党の江田憲司幹事長の質問に対して、菅総理の責任と私の責任は違うという、やらないような答弁を堂々とされて、私は隣でパネルを出していて驚いてしまったんですけれども、結局、三割カットということを提案せざるを得ない形になりました。

 でも、率直に言って、これで十分なんでしょうか。普通の民間企業で緊急事態に陥った場合は、経営陣の報酬を大幅カットするのが当然だと思います。現に、東京電力の役員報酬五〇%カットということに関して、当時の海江田経産大臣は、不十分だ、こういうことを言ったはずです。東電の役員は五〇%カットでも足りないのに、総理は三〇%で足りる、こういうことだとしたら、これはなぜなのか。こうした削減幅にした理由をお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 大変な状況で震災が起こって、大変な状況にあるということの中で、財政も厳しいというときに、給与を自主的あるいは法律に基づいて減額するということは、当然、今度法律でもお願いしているし、まだ通っていないという部分で、その法律に書かれている総理以下政務三役の自主的返納を決めたところでありますが、今引き合いに出されました、企業におけるある種の企業の経営責任をとる形での返納という部分とは若干性格を異にするものの議論ではないかというのを、今お話しの中で私は感じました。

 その中で、三〇、二〇、一〇はどうしてかということに関しては、総理大臣等の幹部公務員は一般職の職員に率先するべきであるという観点、それから、国会議員の歳費月額を、国会議員プラス政務でありますので、その分を下回らないこと、一般職員の給与との逆転を生じないこと等々を判断して削減率を決めさせていただいたところでございます。

柿澤委員 時間もなくなってきましたので、人事院についてお伺いをします。

 二〇〇八年六月に当時の与野党合意に基づいて成立をした国家公務員制度改革基本法には、一年以内を目途に、内閣人事局を設けて、そこに人事院の機能を移すための法制上の措置を講ずることになっていたはずです。

 しかし、内閣人事局は今もなお設置をされていない。既に二年半近くこの基本法違反の状態が続いているわけですが、これについてはどうするおつもりなんですか、お伺いをしたいと思います。

後藤副大臣 今先生がお話しされたように、平成二十年に基本法が制定をされ、現在まで二年半たっているのは事実であります。

 その中で、先生も御案内のとおり、平成二十一年の通常国会は自公政権時代でありましたけれども、その際にも、改革法案が出されて、これも廃案になりました。あわせて、昨年の通常国会でも、基本法の修正も含めて、内閣人事局の設置という法案も出しましたが、残念ながらこれも廃案になって、今回、六月三日に、国家公務員制度改革関連法案の中で、先生が御指摘の内閣人事局の設置も含めた法案をお願いしているところでありますので、ぜひ、この部分の審議を先生のお立場からも加速していただけるように、心からお願い申し上げたいと思います。

柿澤委員 毎回毎回こういう御答弁をいただくのですけれども、しかし、菅内閣が前通常国会で出した法案は、基本法に背いて、内閣人事局とは別に公務員庁という別組織をつくって人事院の機能を移管する、こういうことになっています。これは実際には、人事院を公務員庁に看板だけかけかえるようなものの内容になってしまっています。

 官邸で官僚人事を掌握し、そのために、人事院、財務省、総務省等に分散している人事関連の権限を内閣人事局に集め、強力な政府の人事機能をつくる、これが国家公務員制度改革基本法の趣旨であったはずです。それが、内閣人事局に権限を集約するどころか、それとは別に公務員庁はつくる、人事公正委員会はつくる。集約どころか、ばらばらのまま看板のかけかえをして、独立した官庁や行政委員会になりますから、幹部ポストがふえる分、これはいわば焼け太りとも言えるような法案になってしまっている。こんなものが国家公務員制度改革基本法に基づく内閣人事局の設置にかわるものになるだなんというのは、これはちゃんちゃらおかしい話だというふうに思います。

 質問を一問飛ばして、最後にちょっとお伺いをしたいと思います。

 本年十月五日の震災復興特別委員会における江利川人事院総裁の我が党の浅尾政調会長に対する答弁を隣で聞いていて、ちょっとおやっと思ってしまったので、これを質問したいと思います。

 国家公務員の評価制度ですけれども、評価そのものは絶対評価で行われていますが、その上で、ついた評価を相対比較して、上位五%の人は昇給額を倍にして、さらに上位二〇%は昇給額を一・五倍にする、こういう形になっている。そうすると、評価が下位の人もそれに合わせてやらないとバランスが合わない、こういうことになるわけです。ところが、この評価が下位の人々は、従来の半分の昇給、あるいは全く昇給しない人というのが全体の三%しかいない。上の方はどんどん昇給させて、下はごく少数しか昇給幅は下げない、これはとてもおかしな話だというふうに思うんです。

 これに対して、江利川総裁がどういう答弁をされたかというと、「試験ですそ切りをしておりますので、その能力評価が正規分布になるということではないんではないか、」と。評価については、「絶対評価でやっておりますが、よくやっているという人が大変多く出ますと、逆に昇給をたくさんしなくちゃいけなくなるということもありますので、その頭を抑えるということで上の方の割合を決めているということであります。」と。

 これは要するに、国家公務員は、公務員試験に受かった能力の高い人たちなので、多くの人は仕事がばりばりできて、本来ならもっとどんどん昇給させるべきなんだけれども、そういうわけにもいかないので頭を抑えている、一方、能力の低い人はほとんどいないので、昇給幅を下げる人は該当者が少ない、こういうことを言っているわけなんでしょうか。

 私は、この答弁も驚くべき答弁だと思うんですけれども、内閣府、厚生労働省の事務次官を務められた官僚中の官僚である江利川総裁、この答弁の真意をぜひ御説明いただけますか。

江利川政府特別補佐人 能力評価につきましては、もちろん厳正にやるのが基本だというふうに思っております。

 例えが悪いかもしれませんが、例えば身長百六十センチ以上ということで集めると、その集団というのは身長については正規分布にならないわけでありまして、試験ですそ切りをするというのは、そういう一般的な意味での正規分布にはならないんじゃないかということを申し上げたわけでございます。

 ただ、評価というのは、まだ始まって間もないわけでありますし、これを厳正にやっていくということを定着させていく必要がありますので、そのプロセスにおいてはしっかりと評価をしてもらう、厳正な評価をしてもらうという意味で、内部での評価を上の方をできるだけ抑えていくというような観点で、今の数字をつけているわけでございます。

柿澤委員 皆さん、これを聞いていて、どう思われますか。民間企業では、例えば採用試験というのはないんでしょうか。試験で選ばれた公務員だけが能力評価が正規分布にならない、こういうことなんでしょうか。

 私は、これはいわゆる公務員エリート論にどっぷりつかった、そういう答弁だというふうに思います。こういう答弁を平然として、それをだれも問題視しない。この政権は一体どうなっているの、こういうふうに思います。そのことを申し上げて、時間も超過しておりますので、質問は終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。川端総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川端国務大臣 地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災の被災者等の負担の軽減及び東日本大震災からの復興に向けた取り組みの推進を図るため、固定資産税及び都市計画税の課税免除等の措置並びに個人住民税及び不動産取得税に係る特例措置を講ずる等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、固定資産税及び都市計画税の改正であります。

 東日本大震災に係る津波により区域の全部または大部分において家屋が滅失、破壊し、または土地について従前の使用ができなくなった区域として市町村長が指定した区域内に所在する土地及び家屋に対しては、固定資産税及び都市計画税を課することが適当と認める土地及び家屋として市町村長が指定して公示したものを除いて、平成二十四年度分の固定資産税及び都市計画税を課さないものとする措置を講ずることとしております。また、警戒区域設定指示等の対象となった区域のうち、住民の退去または避難の実施状況その他当該区域内の状況を総合的に勘案して市町村長が指定した区域内に所在する土地及び家屋に対しては、平成二十四年度分の固定資産税及び都市計画税を課さないものとする措置を講ずることとしております。

 その二は、個人住民税の改正であります。

 所有する居住用家屋が東日本大震災により居住の用に供することができなくなった者が、土地の再取得等をした場合において所得税における東日本大震災に係る住宅ローン控除の特例の適用を受けたときは、現行の個人住民税における住宅ローン控除の対象とすることとしております。

 その三は、不動産取得税の改正であります。

 東日本大震災により耕作または養畜の用に供することが困難となった農用地や警戒区域設定指示の対象となった区域内に所在する農用地の所有者等がこれにかわる農用地を取得した場合に、当該被災農用地または警戒区域内農用地の面積相当分について不動産取得税を課さないようにする特例措置を講ずることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことを願います。よろしくお願いします。

 失礼いたしました。一部読み間違えました。

 一ページで、滅失、破壊と申し上げましたが、滅失、損壊の間違いでございます。二ページで、おしりから四行目でありますが、その二の二行目で、土地の再取得等と申し上げましたが、住宅の再取得等でございます。

 申しわけございませんでした。訂正させていただきます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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