衆議院

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第4号 平成24年3月1日(木曜日)

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平成二十四年三月一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 大泉ひろこ君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      小原  舞君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    川越 孝洋君

      木内 孝胤君    黄川田 徹君

      桑原  功君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    白石 洋一君

      高井 崇志君    中屋 大介君

      永江 孝子君    長島 一由君

      福島 伸享君    福田 昭夫君

      藤田 大助君    松崎 公昭君

      谷田川 元君    山口 和之君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    加藤 紘一君

      菅  義偉君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    中谷  元君

      平井たくや君    森山  裕君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      斎藤やすのり君    重野 安正君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   国土交通副大臣      吉田おさむ君

   復興大臣政務官      郡  和子君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   総務大臣政務官      主濱  了君

   総務大臣政務官      森田  高君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   国土交通大臣政務官    津島 恭一君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  外山 秀行君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 田中 順一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  椎川  忍君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (消防庁次長)      原  正之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  加藤 利男君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  後藤 祐一君     石井登志郎君

  杉本かずみ君     磯谷香代子君

  山田 良司君     谷田川 元君

  湯原 俊二君     中屋 大介君

  吉川 政重君     川越 孝洋君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     後藤 祐一君

  磯谷香代子君     藤田 大助君

  川越 孝洋君     吉川 政重君

  中屋 大介君     湯原 俊二君

  谷田川 元君     山口 和之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 大助君     福島 伸享君

  山口 和之君     山田 良司君

同日

 辞任         補欠選任

  福島 伸享君     木内 孝胤君

同日

 辞任         補欠選任

  木内 孝胤君     杉本かずみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成二十四年度地方財政計画)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第三部長外山秀行君、総務省人事・恩給局長田中順一君、自治財政局長椎川忍君、総合通信基盤局長桜井俊君、消防庁次長原正之君、厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君及び国土交通省都市局長加藤利男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島一由君。

長島(一)委員 皆様、おはようございます。民主党の長島一由です。

 質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきたいと思うんですけれども、九五年の阪神大震災のとき、私はフジテレビの報道記者をしておりまして、震災直後とそれから一年たったときと、両方現場に入りました。やはり一年たって解決しない問題というのは非常に根が深い問題なので、今回も同じように、震災直後から、特にこの三週間は連続して、三週連続で被災地に行って、福島、宮城、岩手ということで、なるべく多くの首長さん、市の職員、市民の方に話を聞いて、現状の課題について把握してきたことについてお尋ねしたいと思います。

 まず一点目なんですけれども、現在の被災地の復興には、三次補正で決定した東日本大震災復興交付金事業、この一・六兆円の活用ということが想定されております。

 ただ、この交付金事業なんですけれども、五省庁の四十事業について、例えば、使って、節減したら、同じ省庁間であれば流用ができるということなんですけれども、省庁をまたぐと流用ができないということで、もう少し使い勝手のいいお金にしてもらいたいという現場の声があります。まず、これについてお尋ねしたいと思います。

郡大臣政務官 お答えさせていただきます。

 復興交付金事業というのは、国が地方公共団体の復興地域づくりに向けた取り組みを、財政面のみならず政策面でも支援する必要があると考えております。

 復興交付金の配分額の決定や市町村などへのワンストップの対応は復興庁が行いますけれども、予算や事業の執行は、当該事業の実務に精通して、ノウハウや知見を有する各省庁が行うべきであるとの考え方に基づいて、財源の渡し切りではなくて、事業に対する補助の形で制度設計を行いました。

 また、その配分に当たりましては、全国の負担の分かち合いによって財源が確保されていること、それからまた、地方の負担が事実上ゼロになっていることなども踏まえまして、事業ごとに当該事業の実施可能性、必要性、そしてまた緊急性などを精査するとともに、事業の効率性の確保やコストの縮減に努めているかなどの観点から、個々の事業費の妥当性についても復興庁で精査をさせていただいているところでございます。

 今、長島委員から御指摘のあったような、使い勝手のいいようにしてほしい、省庁間でのその流用も認めてほしいというようなお話でございましたけれども、国の政策的な支援のないまま復興地域づくりに向けた取り組みを地方自治体が進めることになりかねないというふうに考えております。

 また、流用前の事業を所管する省庁が流用後のほかの省庁の事業、これの執行事務を行うことになるわけですから、バックアップ、フォローアップ等も困難になるのではないかと考えています。

 また、事業費につきましても、国による精査の意味がなくなりまして、必要以上に増加する可能性もあるのではないかなどの問題があるんじゃないだろうかと考えているところでして、対応は困難でございます。

 また、復興交付金事業ですけれども、これは、柔軟な執行ができるように……(長島(一)委員「なるべく短くお願いします」と呼ぶ)はい。事業費の年度間の調整、そしてまた、先ほどお話がありましたように、同一省庁間の事業の流用、これは可能になっております。

 なお、執行の弾力化について手当てがなされているというふうに考えておりますので、今お話しいただきましたことについては対応できかねるということでございます。

長島(一)委員 基金を使って年度間の繰り越しができるということは確認はしたんですが、省庁間の弾力性ということについては、この場で幾らやっても平行線になってしまいますので、余り使い勝手が悪かったら、やはり川端総務大臣、交付税措置も視野に入れていただきたいと思います。時間が限られているので、これは意見として、質問はしません。

 また別の話になるんですけれども、今回いろいろ自治体を回る中で、南相馬の方で、ちょうど市長はいなかったんですけれども、副市長の方から、三月か四月に消費税の減免特区を提案したいという話がありました。これについては、やはり党の税調の中でもいろいろ議論がありました。食料品については免除すべきじゃないかとか、これだけ被災地が厳しい中で本当にやるのかというような意見もありました。

 まずお聞きしたいのは、例えばこれが出された場合に、今、二〇一四年の四月から八%、二〇一五年の十月から一〇%という想定になっていますけれども、二〇一四年の四月から、もしこの被災三県について減免した場合に、どれぐらいの減収になるのか、地方消費税相当分で幾らで、消費税全体としてどれぐらいになるのか、まず地方消費税ということで川端総務大臣にお尋ねいたします。

川端国務大臣 消費税は、事業者の本店の所在する税務署に申告納付するという制度でございますので、消費者が実際に負担している消費税額を都道府県ごとに把握することができません。また、多段階で転嫁されますから、特定地域だけ消費税を免除することは技術的には大変困難であることだというふうに承知をいたしますが、お問いでありますので、あくまで仮定の計算として、都道府県における清算後の地方消費税収というのがありますので、これを見れば、その額ということでいいますと、岩手県、宮城県、福島県における消費税率一%相当の額は一千六十二億円、平成二十一年度決算であります。

 仮にこれを平成二十六年四月から五年間の税率引き上げ分に機械的に当てはめて計算すると、被災三県における五年間の減収額は、地方消費税で約五千六百億円、消費税率五・二五%相当、消費税全体では約二兆三千億円、消費税率二二%相当程度と推計をされます。

 以上です。

長島(一)委員 ありがとうございます。

 大臣が御答弁されたように、技術的にかなり難しいということは、私も話を聞いてよく理解もし、また、他国でもなかなかそういう、例えば被災地を限定して間接税を免除するという事例が余りないそうですから、これは技術的には難しいかもしれないんですけれども、では、そういうものが出されたときに、被災地に対する配慮ということで、食料品については、党内の議論では、一〇%まではまず免除は難しい、だけれども、その先はまたその先で考えようということになっています。そのかわりに、低所得者対策で、例えば簡易な給付措置ということも取り沙汰されております。

 そういった意味で、では、消費税を減免しないかわりに、被災地については簡易な給付措置ということは選択肢になり得るかどうか、お尋ねいたします。財務省に。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 消費税の引き上げに当たりましては、番号制度の本格稼働の後に給付つき税額控除等の再分配に関する総合的な施策を導入することにしております。その実現までの間にも、暫定的、臨時的措置として簡素な給付措置を実施することにもしております。被災地においても、この方針に基づき、所得の低い方々に対して必要な措置を実施することになります。

 ただ、消費税率引き上げに対する直接の対応として、特定の地域のみに今委員おっしゃられた給付措置を行うことについては、これは少し慎重な検討が必要だと考えています。

 被災地に対する支援という観点からは、これまでにも三次にわたる補正予算を編成するとともに、平成二十四年度予算においても、復興特会を設け、各種の予算措置を実施してきているところです。

 いずれにしても、政府としては、東日本大震災からの復旧復興に向けて全力で対応してまいります。また、復旧復興のあるいは暮らしの再生のために必要となる施策を考えて実行してまいりたいと思っています。

長島(一)委員 党内でも、週末を使って地元で車座集会をして、消費税についての理解を求めるように頑張れというお話も出ています。頑張りますけれども、低所得者とか被災地に対しては、やはり血の通った政治というのを、私たちというか民主党として、あるいは政府として、与党として考えているんだ、配慮しているんだよということをちゃんと打ち出していただかないと、理解いただけることも理解がなかなか難しいので、その点をお願いしたいと思います。

 それから、時間も限られているんですけれども、今回の震災で復興を長引かせているのは、やはり原発と、それから何といっても津波の被害による高台移転だと思います。現場からもいろいろ話を聞いて、特に実務者、担当レベルで、例えば高台移転の制度課題として、のりしろ部分ですね、十世帯移転するのに十世帯分の補助しか出ない。後から移り住んできた人たちの分の補助もちゃんとやってもらいたい、のりしろの部分。それから、防災集団移転促進事業といって、従前地、もともと住んでいた土地の買い取りについては、一軒でも拒むと無理だ。

 それからあと、がけ地近接等住宅移転事業というのがありまして、もともと崖地対策なんですけれども、それを津波に転用して、最大七百八万円の利子補給と七十八万円の引っ越し補助を出そうという話があるんですけれども、住宅の基礎が残っていないとその補助が適用されないという話であります。ところが、津波で家がなくなってしまったわけですから、基礎がもうないケースがかなりあります。例えば気仙沼市であれば、八千七百世帯のうち九百世帯、そういうところがあるんです。基礎が残っていないから認められないというのが八千七百世帯のうち五百世帯以上あるということで、これについて補助が出るようにしてもらいたいということとか、それから、これは陸前高田だったんですけれども、一戸当たり六百六十平米という面積要件があって、これだと、今のままだと補助金が活用できない。いろいろな声がありました。

 ただ、国に戻って、国というか霞が関の担当者にいろいろ聞くと、実はもう国交省の方で認めているようなものもあるんですね。一番正確に情報を把握していたのは、やはり気仙沼市だったんですよ。なぜかというと、国交省から新倉さんという若手の職員が派遣されて、ちゃんと情報共有されているんですよ。ですから、自治体間の情報格差ということがあるので、それはしっかりちょっと是正をしてもらいたいということが一つ。

 それと、確認した上でも、どうしても全部の自治体で共通的に解決していないのが、先ほど言いましたがけ地近接等住宅移転事業というものなんですね。さっき言った、基礎が残っていないと認められない。これは、せっかく崖地のものを津波に応用したわけですから、そのところは遺漏のないようにちゃんと救済してもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。お願いします。

津島大臣政務官 今二つの御質問だったと思います。

 まず最初でありますが、集団移転促進事業でありますけれども、これは、円滑な活用が図られるよう、運用ガイダンス等を作成して、被災地の地方公共団体、コンサルタントに対しまして提供するとともに、説明会を通じて、地方公共団体に事業制度や活用方法を理解していただくための取り組みを行ってきたところであります。

 また、被災県におきましては、本事業の実施を予定している県下の市町村が事業制度や活用方法に関する情報を共有するための会議等を設置しており、国土交通省もこれらの会議に参加して必要な提供に努めてきたところであります。

 国交省といたしましても、一日も早い復興が実現するよう、引き続き、地方公共団体への情報提供に努めるとともに必要な支援を行ってまいりたいと考えております。まず、これが一つであります。

 それから、委員の御指摘のがけ地近接等危険住宅移転事業でありますけれども、これは、災害の危険が高い地域に立地する危険な住宅を移転することを目的とした災害予防のための事業であるため、対象となる住宅を災害危険区域等に現に立地している既存不適格住宅等としております。

 本事業の趣旨を踏まえつつ、最大限御活用いただけるよう、住宅の基礎等の一部が残っていれば、当該被災地住宅を本事業の対象として取り扱えるように運用しているところでありますが、被災地の復興に関しましては、委員御指摘のように、何もないといった場合は、東日本大震災復興交付金による対応としておりますので、所管する復興庁とともによく相談をして対処していきたい、こう考えております。

 よろしくお願いいたします。

長島(一)委員 津島政務官、前向きな御答弁をありがとうございます。ぜひ、ぜひというか必ずやってください。お願いします。

 それで、今回いろいろ被災地を三週間回って、やはり一番本質的な問題だと思っているのは、復興庁なんですね。

 復興庁は、例えばインドネシアでアチェの津波被害の地震がありました。そのときに、あそこでクントロという復興庁の長官がかなり強いリーダーシップを発揮して功を奏したんですけれども、三カ月で立ち上がっているんですよ。日本の場合は十一カ月。

 国民でもあるいは国会議員の間でも、十一カ月かかったけれども、復興庁ができたらワンストップサービスが提供される、スピードアップもするし、縦割りも除去されて、あるいは、さっきの国交省の話じゃないですけれども、自治体間のノウハウも共有されるだろうということを非常に期待しているんですが、どうも現場からだと、ワンストップどころか、復興庁に言ったらそれは国交省さんに言ってくださいと、むしろ一々復興庁に言わなきゃいけない手間だけがふえたという声もあったんですね。

 ただ、一方で言っておきますと、陸前高田は、これは、実情、福島と宮城と岩手で差があるのかもしれないですが、盛岡と、釜石に支局ができて、そこが連携して、現場のために本庁に、本庁というか復興庁の霞が関の方に働きかけてくれているという高評価もありましたけれども、全般にならすと、やはり復興庁が機能していないということがあります。これは、多くの、ほとんどの自治体でありました。

 そういった意味で、ワンストップサービスあるいは迅速化、現状なぜそういう声が出ているのか、あるいはどう改善しようとしているのか、このことについてお尋ねします。

郡大臣政務官 省庁の縦割りを排して手続を迅速化するために、復興局、支所、事務所におけるワンストップサービスは極めて重要だというふうに考えています。

 復興局などの業務を支援するために、復興庁の本庁においては、特区ですとか交付金制度について、自治体からのさまざまな問い合わせ及び回答内容を蓄積して、全ての復興局でそれが共有できるようにさせていただいているところですし、統一的な審査基準を示しまして、復興局において迅速かつ適切な審査を支援するなどの取り組みを現在行っているところでございます。

 また、復興局、支所、事務所、それぞれですけれども、体制強化をするということで、地元の民間の方々の人材を活用したり雇用したり、それから、復興局において各地域の担当を置きまして、今頻繁に各自治体を回らせていただいております。支所の業務などもバックアップさせていただいているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、復興局等における被災自治体からの復興事業に関する各種質問、要望、これはワンストップで対応していく、復興事業を支援する体制をさらに整えてまいりたいというふうに思っております。

長島(一)委員 今御答弁いただきましたけれども、ぜひ三カ月後には絶対そんな不満が出ないようにお願いをしたいと思います。

 それから、もう一分ほどしかないんですけれども、復興の話は以上で、川端大臣にぜひ一つお願いがございまして、政策評価法に基づいて、もうこれは十年以上たつんですけれども、毎年毎年国会に、政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告ということで、このペーパーが配られるんですよ。ところが、これは、学識者からも指摘があるんですけれども、政策評価が機能しないのは国会議員がちゃんと監視しないからだという意見もあるんですが、このペーパー、大臣も読んだことがあると思うんですけれども、人に読ませるつくりに全くなっていないんですね。単なるインデックスでしかないんですよ。だから、何をどう評価したのかわかるようなつくりにしていただきたいですし、せめて会計検査院の報告のようなペーパーに見直していただきたいと思います。

 これは、もう時間が来ましたので終わりますけれども、機会を改めて、例えば予算委員会の分科会でもこれをお尋ねしたいと思いますので、それまでに前向きな御回答ができますように、どうぞよろしくお願いします。

 以上です。ありがとうございました。

原口委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 きょうは、天下りの問題について政府にお伺いしたいと思います。

 社会保障と税の一体改革、ここに来て、残念ながら正体があらわれてきてしまったなといった形です。

 私も昨年の夏、民主党で議論にずっと参加をさせていただきました。年金をどうする、医療をどうする、中身を抜本改革しなければいけないということで、非常に建設的な意見のやりとりがあったかと思いますが、残念ながら、その中身がほとんど結論というか結果につながっていないような気がして、結果、増税だけが決まる、そんな気配が濃厚になってきたというふうに言わざるを得ません。

 私もここにいる皆さんと一緒で、将来の増税は避けることはできないというふうに思っております。よく、人口形態は、昔は胴上げ型で、今は騎馬戦型、そして将来は肩車型へと変わってくるというふうに言われております。今のままでは、今の社会保障を続けていたら、これはもう間違いなく金庫が空っぽになるというのは誰しもがわかっていることでございます。

 だからこそ、高度経済成長の現役世代がいっぱいいるころからずっと続いているこのスキームというものを変えていかないと、変えていかなければいけないといって始まったのが社会保障と税の一体改革の議論だったんですが、上がってきたメニューを見ますと、残念ながら、医療や生活保護の抜本改革のメニューは余り示されてはおりませんし、厚生年金と共済年金の一元化法案、これは消費増税の法案からおくれて、後から出すということになっております。

 これでは本当に、税と社会保障の一体改革、この一体改革というのが偽りの看板になっているというふうに言わざるを得ません。抜本改革のない持続不可能な社会保障制度を消費増税で穴埋めしようとしている、これが今回の社会保障と税の一体改革の正体ではないかというふうに思わざるを得ません。しかも、既得権益を放置したままでございます。

 私たち新党きづなは、二年前の国民との約束と同じように、増税の前にやるべきことがあるということを強く訴えております。野田総理は、消費税を上げることが与党の責任だというようなことをよく言っておりますけれども、私は、これは逆だと思っておりまして、無責任だと思っております。税率を上げて税収を確保するというのは一番簡単ですし、これは政治が汗を流さなくてもできることだと思っております。しかも、二年前の選挙で、既得権益に思い切り切り込んでいくということも言っております。国民に負担を強いる前に歳入歳出改革、行財政改革というのを目いっぱい行ってから、最後に国民に負担をお願いするべきだというふうに考えております。ここにいる皆さんも同じ考えだとは思いますけれども、ただ、残念ながら現状は違うようです。

 川端大臣に率直にお伺いします。〇九マニフェストには、天下りの根絶という言葉が掲載されております。公務員の天下りというのは続いているのでしょうか。

田中政府参考人 いわゆる天下りでございますが、まず、国家公務員法に基づきまして、各省庁の職員が再就職あっせんを行うことが禁止をされております。それから、これは鳩山内閣ができてすぐのころでございますけれども、内閣の方針といたしまして、もともと各省庁ごとで行われていた民間企業への再就職あっせんを一元的にやろうとしておりました官民人材交流センター、こちらでの再就職あっせんも行わないということにいたしました。したがいまして、府省庁による再就職あっせんは行われていないというふうに認識をいたしております。

 ちなみにもう一つ、社会保障・税一体改革にお触れになりましたが、二月十七日の閣議決定によりますと、政治改革、行政改革の取り組みの項目がございまして、民主党の行政改革調査会で行政構造改革実行法案というものを御検討中で、これも国民新党と連携をして早期に国会に提出をされると。この中にもやはり公務員の退職管理の問題が入るのではないかというふうに思っております。

 以上です。

斎藤(や)委員 恐らく、天下りのあっせんを禁止しているよ、ですからマニフェストを守っているよというような形には今なっていると思うんですけれども、ただ、問題は、あっせん禁止したからいいということではなくて、やはり実情が伴わなければいけないというふうに思っております。

 確かに現役の一般職の方のあっせんは禁止されておりますけれども、官僚OBのあっせんは該当しておりません。つまり、天下り先にいる先輩OBが退職予定の後輩に天下りポストを内々で紹介するケース、これはウラルートなんというふうに通称で言われておりますけれども、規制の対象外になっていて、放置されていると思います。

 さらに、独法に関しては、役員も公募していますよ、きちんとフェアにやっていますよと言いながらも、実際には、困難な応募条件がつけられていて、官僚OBが多く登用される。特に、これは実は野田政権になってから多くなっております。

 昨年秋に独立行政法人役員の第七回公募の選考結果が発表されましたけれども、採用の決まった二十二のポストのうち、過半数の十二のポストが公務員のOBの方だった。過去六回の公募で採用された公務員のOBは平均二割強ぐらいでしたから、これをはるかに大きく上回っている、そういう状況でございます。ウラルートという話もしましたけれども、オモテルートもしっかりとできてしまった。

 政府は一昨年に、独法とか公益法人、民間企業への現役出向を認めました。このルールだと、公務員の方は、出向先で二年程度役職を務めた後、自分のいた省庁に戻る、これがまあ民間の出向だと思うんですが、でも、よく考えてみますと、五十代半ばの職員の方が、二年外で働いて、形式的に役所に戻って、すぐに退職するのなら、実態は天下りと変わらないんじゃないかなというふうに思います。

 質問です。今私が言ったような現役出向は、天下りと何ら変わらないんじゃないか、どうでしょうか。大臣に見解をお伺いしたいですし、さらに、こうした現役出向の数、昨年一年間で何人ぐらいいるのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

田中政府参考人 まず、私の方から数字についてお話を申し上げます。

 ただいま御指摘の、独立行政法人に対し、国から役員として現役出向している者の数は、平成二十三年十月一日現在で百三十五人となっております。

 先生、大変恐縮ですが、その前のお尋ねの際にOBの話をされましたが、ちょっと同じ趣旨で、私が申し上げるのもあれでございますけれども、国家公務員法の百六条の四で、再就職者による依頼等働きかけの規制もございます。

 以上でございます。

川端国務大臣 独立行政法人への現役出向については、天下りのあっせんを根絶するということ、それから定年まで勤務できる環境を整備していく。

 これは、今まで天下りをあっせんするということでいろいろな弊害がありましたけれども、その部分では、高位、高齢者の人に第二の就職をあっせんすることによって、ある意味では人事を円滑化するという仕組みを持っていたことは事実でございます。そういう部分をなくすということで、先ほどもお触れになりましたけれども、独立行政法人等々が公募するときに、そういうあっせんがなくなったから希望者がふえるという環境にあることは事実であります。

 公平公正な選考の中で公務員の人がみずから選考されていくということを我々は決しておかしいと思っているわけではございません。一概に、退職者の公務員の方が公募で多くなったからということが、選考に不公平があるのであれば、御指摘をいただき、我々も直してまいりたいと思いますが、一般論的にはそういう環境にあることは、前段として御理解をいただきたいと思います。

 そして、そういう中にあって、独立行政法人に中高齢期の公務員の専門知識をいろいろな分野で活用していただくということも大事なことであると同時に、他分野の経験を生かしていただくということも含めて、公務員のコスト意識も現場感覚も高めていただく、後進の指導にも役立てていただくということで、平成二十二年六月に閣議決定された退職管理基本方針でも、積極的に活用することとしておりますし、現役出向については、大臣の任命権のもとで実施するものでありますし、職員の国への復帰を前提としておりますし、向こうから行っている期間の退職金をもらうということも全くございませんことなどから、従来の天下りとは全く性格が異なるものというのが政府の基本的な認識でございます。

斎藤(や)委員 私は、むやみやたらと首を切れと言っているわけではなくて、やはり再就職に関しても最適化ということがあると思うんですけれども、今の天下りのあり方というのは、私は民間からするとちょっと温度差があるんじゃないかなと思いますし、何よりも、私たちはマニフェストで天下りの根絶ということを訴えた、十二兆円出すんだということを訴えたわけですから、これを私たちはやはり政治の世界で意気に感じて、しっかりとメスを入れていくべきです。

 済みません。私たちと言ってしまいましたけれども、これは、選ばれた、選挙で負託を受けた政治家としてきちんとやらなければいけないのではないかということでございます。

 川端大臣、ちょっとしつこいんですけれども、確かに現役一般職の天下りのあっせんは禁止されました。しかし、先ほども言ったように、事実上、天下りが放置されている、野放しの状況になっているように私は思えるんですけれども、この現実というのは大臣はどう捉えていらっしゃるんでしょうか。

川端国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、何をもって天下りを野放しというふうにおっしゃるのか、私には少し理解できないので、もしあれば、具体的に教えていただきたいと思います。

斎藤(や)委員 現役出向の先ほど私が言ったやり方、これは事実としてございます。事実としてあるわけですから、それをやはり私は直視していただきたいなというふうに思います。

 それから、わたり、これも事実上まだ放置をされておりますし、例えば、私が民主党にいたときに、事業仕分けをして独法にメスを入れていたわけですけれども、メスを入れたのにもかかわらず、その天下りの団体はまだ現存しているということも残っているわけですから、そこのところはしっかりと御理解いただければというふうに思います。

 それから、天下りの問題と、私は官民較差という意味では退職金の問題というのもあると思います。大体、民間だと、大学卒で二千五百万円ぐらいでしょうか、平均して。高校卒で大体千六百万円ぐらいだと思います。

 国家公務員の給与の平均というのはなかなか出しにくいとは思いますけれども、私が問題としているのは、肩たたきに遭った方の早期退職勧奨の退職金の積み増しです。早くやめさせられると退職金がたくさんもらえる、そして、そのたくさんもらった方がまた天下っていく、こういう状況も私は問題だと思うんです。

 この早期退職勧奨の平均額、これは課長以上でいいますと大体どれぐらい支給されているのか、データがありましたら、ぜひ教えてください。

田中政府参考人 私ども総務省では、退職手当の支給の状況、各省庁からいろいろデータはいただいております。お尋ねのような課長以上という役職段階に着目したデータであるとか、退職手当額の内訳としての、今御指摘の平均割り増し分といったデータはございません。

 ちなみに、平成二十一年度におきまして、課長以上と限定しませんで、勧奨を退職事由とした者の平均退職手当額は三千三十四万円となっております。一方、同年度におきます定年退職者の平均退職手当額は二千四百六十七万円となっています。

 ただ、幹部職員が多く含まれる勧奨退職者と定年退職者との平均退職手当額の差額は、単純に、今御指摘の割り増し分という比較はできないのではないかというふうに考えております。

 以上です。

斎藤(や)委員 これは報道ベースなんですけれども、昨年、原子力行政の責任を負う立場だった三人の官僚が、福島原発の対応を誤ったことで更迭された。三人は、実は勧奨退職扱いとされまして、大体五千万円ぐらいの退職金に加えて、さらに、責任を負う立場で更迭されたのにもかかわらず、プラス一千万円を勧奨制度でもらっている。

 これは本当に、国民感情からすると、何をやっているんだという思いが相当強いと思います。こんなに景気が悪いのに、国は借金をつくっているのに、何で公務員や国会議員だけ優遇されるんだという思いが強いと思いますので、やはりそういった国民感情に合った、今の景気動向に合った制度の見直しというものを私は進めていただきたいというふうに思います。

 時間がないので最後の質問なんですけれども、緊急地震速報、エリアメールで携帯に入ってくるキャリアは、現段階ではNTTのドコモだけです。携帯への防災情報発信というのは、今キャリアに任せられている感じなんですけれども、やはり、国民の命と健康を守るという観点で、情報を全携帯に発信できるように、国がもう少し関与するというかコミットをするということは考えておられますでしょうか。よろしくお願いします。

桜井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、携帯電話向けの津波警報というのは、緊急地震速報と同様に、特定地域に所在する携帯電話端末に対して情報を一斉に配信するといういわゆるエリアメール、緊急速報メールと言っておりますけれども、この仕組みを利用して、気象庁が発信する津波警報を配信するものでございます。

 この緊急速報メールは、音声通話がふくそうした場合でもつながりにくいことが少ないということで、災害時等の情報伝達手段として極めて有効だというふうに思っております。

 総務省といたしましては、東日本大震災を受けまして総務省内に検討会を設けまして、この中で、緊急速報メール、いわゆるエリアメールへの津波警報の追加について、自治体の要望を踏まえ、緊急速報メールの提供内容の多様化に取り組むべきであるという取りまとめを行っております。

 このような検討会の結果を受けて、先ほど御指摘ございましたように、ドコモはこの二月二十四日から津波警報の配信の対応を開始しております。KDDIは三月末を目途ということでございまして、またソフトバンクモバイルは今年中というふうになっているところでございます。これは、携帯電話事業者によってシステム改修等の準備に多少違いがあるというのが導入時期の違いになっているというふうに承知をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、総務省としては引き続き、津波警報の配信開始に向けた取り組みというのを促していきたいというふうに思っておりますし、また、各自治体のいろいろな避難指示ですとか避難勧告ですとか、そういったものもこのエリアメールを使って提供できるように促進してまいりたいというふうに思っているところでございます。

斎藤(や)委員 ぜひ前向きによろしくお願いいたします。

 茨城県の大洗町というところでは、今回、五メートルの津波が来たのにもかからず、奇跡的に死者が一名も出ませんでした。これは、ジェー・シー・オー原発の事故の教訓で、各家庭に、緊急時に町のお知らせを放送する戸別の防災受信機というのが一世帯に一個配付されている。これが危機を呼びかけて、人命を救ったということがございます。

 やはり、ソフト、防災情報の発信というのが非常に人命を助ける上では重要だと思いますので、ぜひ新しいテクノロジーを使って、どんどん広げていただきたいというふうに思います。

 質問は終わりです。ありがとうございました。

原口委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 地方自治を取り巻く問題、いろいろございますけれども、特に大阪ですね。大阪維新の会、大阪都構想、こういうものが発表されて以来、大変大きな地方自治の課題になってまいりまして、大都市問題をどうするかということであるわけですけれども、同時に、指定都市市長会ですか、ここからは特別市構想という構想も出ておりまして、これをどうしていくかということがこれからの大きな課題になってこようと思います。

 我々自民党では、早速、大都市問題に関する検討PTというのをつくりまして、中間報告を出させていただきました。それで、きょう、あすあたりで基本的な法案化をしていこうということの作業、段取りをいたしておりますけれども、中間報告では、それぞれの自治体が一応手続を踏んで、そして例えば特別区制度を求めてこられた場合には国としてできるだけ対応しよう、そういう中間報告を出しておりまして、それに基づいて法案化をしていきたい、そう考えているところであります。

 実は、その検討する過程で、大阪維新の会の方に来ていただきました。そして、お話をお伺いさせていただいて、非常に感ずるところがあったわけでございます。きょうは、その点について、少し大臣の御所見等をお伺いさせていただきたいと思います。

 大阪維新の会の方が言われたのは、この大阪都構想の目的というのは三つあるんだと。一つは、二重行政の解消ということ、それから二つ目が、基礎自治体のあり方ということ、それから三つ目が、公営企業の民営化ということであります。この三つが目的なんだというお話をされました。

 それで、公営企業の民営化というのは、これはいろいろなやり方があるんだろうと私は思いますし、それぞれの自治体で独自に考えてやっていけるというふうに思います。特に、料金体系なんかがあると、PFIなんかをうまく使うと、これは外国でも例がありますけれども、おもしろいやり方もできるのではないか、そういうことも思うわけでありますが、二重行政の解消と基礎自治体のあり方について、ちょっと議論をさせていただきたいと思います。

 まず、二重行政の弊害ということ。これは新聞でも取り上げておられましたけれども、大阪に限った問題ではないと思います。もちろん大阪独自の問題もあると思いますけれども、これはどこの都道府県でもありますね。特に、県と県庁所在地の市とか、これはもうどこでも二重行政の弊害というのが語られるわけであります。そして、普通は、今の法制度のもとでも、首長同士がきちっと話し合えばほとんどの問題は解決すると思うんですけれども、それはそれで、いわゆる選挙で選ばれた者同士ということで、それぞれの思いというのがありますから、なかなか簡単に解決できないというのが今の現状だろうと思います。

 それで、二重行政の典型的なものとして指摘されているのが、商店街とか中小企業の産業振興施策、これが一つですね。それから、病院の問題、あるいは美術館とか文化会館、体育館なんかの文化・スポーツ施設、これが例えば県立と市立がある。

 これは、例えば和歌山でもあったわけでございます。実は、私の市長時代、当時は五万足らずの小さい町でしたけれども、これもありましたね。文化会館をつくれとか図書館をつくれという市民運動が起こるんです。ところが、たまたま私の町は和歌山市の隣町でして、車で三十分か四十分行けば県立図書館とか県立文化会館がありましたので、ぜひそちらを利用してくださいよ、同じものをつくってもということでお願いをして、結局はつくらなかったんですが、これはやはり大変な圧力です。

 ということは、小さい町でも、つくろうと思ったらつくれるんですね。決して大きな町と県との問題だけではないわけです。小さい町でもつくれる。それで、首長も、選挙を考えたら皆さんの要望に応えておいた方がいいなとか、あるいは住民の方からいっても、車で図書館へ行くのに三十分も四十分もかけて行かないとだめというんじゃなしに、できるだけ五分か十分で行けるところにつくってください、それは十分あり得ることですね。我々からいうと、少し住民のおねだりというような感じがいたしますけれども、そのあたりの問題が二重行政を生んでいっているというふうに思うんです。

 大臣が二重行政あるいはその弊害についてどういう認識をされておられるのか、御所見をお聞かせいただけたらと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 市長さんを御経験されて、非常に実感のこもった御説明、私もそういう背景はよくわかります。

 法令に基づく事務に関しては、国の役割、責任、都道府県、市町村、それぞれに法定で決まっておりますので、これに関しては個別法で事務の主体が決まっておりますから、これが重複してやられるという二重行政は基本的にないというふうに思っています。

 そして一方で、地方自治体が実施する事務で、国や都道府県と協議するというふうな、複数の主体が同一の事務にかかわる制度になって、調整または関与を行うというふうに書いてある部分の場合は、行政が非効率であったり意思疎通に時間がかかるという問題があります。例えば、都市計画においても、市が府に協議をするというと、府と市の関係でなかなか時間がかかる、あるいは国の基本方針をどうするのかということであるということがあります。

 ただ、今御指摘のように、法令に基づかない任意の事務、例えば同種の公共施設ですね、病院や図書館、あるいは体育館、文化施設等々をどうするのか。それからソフト事業としては、今おっしゃったような商店街や中小企業等々への補助金。こういうものを、同一の行政サービスをそれぞれが重複して提供することは非効率であるという指摘は、私もそういう部分は十分にあることではあろうというふうに思います。

 一方で、自治体の財政規模にもまたリンクしてくることでありますが、そういう部分で、これらの指摘や、それから国、都道府県、市町村の役割分担を踏まえながら、住民にとってより効率的で効果的な行政サービスを実現する、そしてそれぞれの首長間、団体間の連携も含めて密にしていくことが大変大事であろうというふうに思っております。

石田(真)委員 今、大臣から細かく御答弁をいただきました。

 こういう問題が起こるのは、簡単に申し上げたら、やはり役割の分担というのが明確でない。例えば、教育でも全部ずっと、県も市町村もありますし、厚生労働行政もある、農林行政もある、国土行政もある、そういう中で、どうしても裁量権が膨らんできたりするんだろうと思いますね。特に、今までの右肩上がりの高度成長のころには、ある程度の余裕があったということで、そういうことになってきたんだろうと思うんです。

 それで、国を含めた役割分担というものをやはりある程度整理していかないと、同じことがこれからもいつまでも繰り返されるのではないかなというふうに私は思うわけでありまして、二重行政解消のために今後どのようにすべきであると大臣はお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

川端国務大臣 必ずしも二重行政の解消という言葉でくくれるかどうかはちょっといろいろ議論があるというふうに思いますが、法定されているという部分ではそれぞれの役割で法律に基づいてしっかりやるという責任は決まっているんですけれども、その分も含めて、住民に身近な行政はできるだけ基礎自治体、一番身近な自治体が行う、そしてその部分で手の届かない部分は都道府県そして国という、よく補完性の原則と言われますけれども、そういう大きな補完性の原理を基本にすべきだとは考えておりますけれども、法令に基づく事務においてもできるだけ、義務づけ・枠づけの見直し、あるいは権限移譲を通じて、地方自治体が地域における事務を自主的に総合的にやれるようにするということが必要であるというふうに思っていますし、これは任意事務が一番問題だと思います。

 このことについては、先ほど申し上げた、よく協議をしていただくということで、やはり一定の大きな物の考え方は、基礎自治体ができるだけ身近な行政は自分でできるような体制を整えていくということが大きな柱であろうというふうには思っております。

石田(真)委員 これから大きないろいろな見直し、道州制論議もございますし、こういう中で、やはりこういう二重行政の問題なんかというのはきちっと対応していくようにしなければ同じ轍を踏むことになるのではないか、そういう思いがいたしております。

 次に進みますけれども、もう一つ、大阪維新の会の方とお話をしていて、ちょっと目からうろこ的な話がございました。それは基礎自治体のあり方についてであったわけです。

 大阪維新の会の方のお話を聞いておりましたら、大阪市は約二百六十万人ぐらいの人口だ、そうすると、基礎自治体として住民の顔が見えないというんですね。そういう発言をされました。ということは、本当に基礎自治体としての機能を果たせていないんじゃないかと。そういう意味で、人口三十万人ぐらいの特別区を八つ、九つつくる、そこで公選の区長と議会を選ぶ、そうすると基礎自治体として住民の顔が見える機能を果たしていけるのではないか。では、今の大阪市を西大阪とか中大阪とか、市にするわけにいかないので、特別区制度というのが一つの考え方というような、そういう趣旨のお話をいただきまして、ああ、なるほど、それはそうですねと。

 二百何十万、三百何十万の市で、市長さんが一人で議員さんが何十名か、百名足らずで本当に基礎自治を、基礎自治体としての機能をきちっとやっていけるのか。そういうことを我々は一度本当にこの機会に考えないといけないな、そういうことを私は感じたわけであります。

 今までは、経済も右肩上がりでしたけれども、市にしても、大きければいいとか、権限も多ければいい、だから、特例市になるんだ、中核市になる運動をしたり政令指定都市になる運動をしたり、こういうことをやってきましたけれども、一度立ちどまって、基礎自治体というのは一体何をどこまで担うのかとか、あるいは財政規模はどうかとか、権限はどうなんだとか、面的な広がりはどうなんだとか、そういうことをきちっと議論すべきではないかなというふうなことをこのお話を聞いて、きっかけとして私は感じたわけですけれども、基礎自治体はいかにあるべきか、そのことについての大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、外国に視察に行ったときによく言われたことで、私がドイツに行ったときに非常に印象深かったのが、いろいろな県会議員や市会議員さんが来られるけれども、みんなそれぞれ、来られたら、うちの町は人口がこれだけ大きいんだということを自慢されるのは不思議だというふうに昔言われたことがありました。自分の町、自分の町に応じた人口規模があるのに、日本の人は大きい方がいいというふうに言われるということを今思い出しました。

 二百六十万というのは、私は滋賀県ですので、倍です。冷静に考えれば、滋賀県の倍を一つの市がやっているというのは、御指摘のようなきめ細かさ、基礎自治体は身近な行政をきめ細かくやるということでいえば、大きな課題を抱えていることは厳然たる事実だというふうに思います。そういう中で、都構想、特別区構想というのを打ち出しておられるという、一つのアイデアとしては、そういう課題自身は私は共有をしております。

 ただ、そのときに、今度は基礎自治体というのは自立性を持って、権限、財源をしっかりと持つという機能を当然担保されなければいけませんので、そういう部分が基礎自治体としては一方でしっかりなければいけないというのが私の基本的な認識でございます。

石田(真)委員 今の大臣の御認識のとおりだと思います。

 それで一方で、国際化時代に都市間競争をしないといけないんだ。アメリカのロサンゼルスだとか、あるいはパリだとか、ロンドンだとかですね。そういう中で考えますと、ある程度の人口規模が要るのかな。これも悩ましいところで、結局は、本当に基礎自治体として機能をどうやっていくのかというのと、もう一つ、国際的な都市間競争をやっていく、これについてどうやっていくのか。これは悩ましいところになるわけなんですが、大臣、そのあたりをどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

 大阪都構想というのは、いわゆる基礎自治体は特別区にして、それで、都市間競争といいますか、そういうものは、大阪府というんでしょうか都というんでしょうか、そのぐらいの規模で担う、あるいはそれをもうちょっと広げていって、関西州というような形でやっていく。ただ、州とか府とかというレベルになると、本当に都市として都市間競争ということの考え方をできるのか。

 今の大阪府にしたって、いろいろな市町村を抱えるわけですから、その辺について、ちょっと私、どういう整理をしたらいいのかなというのが悩ましい点なんですが、いわゆる基礎自治体としての機能と、それから都市間競争する自治体としての機能、そのあたりについて大臣の御所見をお聞かせいただけたらと思います。

川端国務大臣 大変大事な視点だというふうに私は思いますし、恐らく、大阪の皆さんが議論されている中でも、その背景に、二重行政とかきめ細かな行政のサービスをもっと充実させたいというのと同時に、東京に比べて大阪というものの地盤沈下というのが言われて久しいわけですけれども、やはりそういう部分で、いま一度、大阪を日本経済の活力の牽引役の一つとして、都市間競争の中で世界の中の大阪ということの立場を取り戻したいという思いも大変強くあるんだというふうに思っております。

 私は、それは大変大事なことだと思います。それは、一つは、行政機能のあり方とはちょっと役割が、また性格が違って、御指摘のように、それが大阪市の役割か、大阪府の役割か、関西なのかといういろいろな議論があると思いますし、日本においてもほかの、横浜とか神戸とかいろいろな都市が、それの県との関係も当然あるというふうに思います。

 そういう部分では、そういう役割、牽引役を果たしていただくことは極めて大事だと私は思っていますので、そのことに資するような仕組みというのは、先ほど御指摘があった二重行政やきめ細かな行政の基礎自治体のあり方をにらみながら、両方がうまくいくような仕組みというのは大変大事だろうというふうに思いまして、やはりこれは、そこへの企業の集積や商業の活力と同時に、世界への発信力というものも大変大事だと思いまして、そういう機能がすっと円滑に行政施策に反映できるような受け皿が実は一番大事なんだろうというふうに思っております。

石田(真)委員 これは簡単に答えの出る話ではありません。しかし、今申し上げたような二重行政の問題とか基礎自治体の本当のあり方、あるいは国際的に競争できる都市のあり方といいますか、こういう問題、私は、大阪都構想、大阪維新の会が投げかけた問題というのは非常に大きな問題、重要な問題だというふうに思っておりまして、我々自民党も重要に受けとめて、真摯に対応しようということで取り組んでおりますけれども、政府としてもやはりきちっと取り組まれるべきだというふうに思います。

 そんな中で、第三十次の地制調、地方制度調査会、大都市制度の問題についても議論が始まったというふうに聞いておりますけれども、これはただ単に、大阪都構想というのはどうなんだとか、あるいは政令指定市が言っておられる特別市構想がどうなんだということだけではなくて、私は、もうちょっと広げた方がいいんじゃないかなと。

 先ほど申し上げましたけれども、国、地方を通じた役割分担、これもやはり全ての自治体にかかわってくる問題です。二重行政の問題、こういうことを解消するためにも役割分担というものを議論すべきことにもなるんだろうと思いますし、まずは今申し上げた基礎自治体のあり方、これも、ただ単に大都市問題というようなくくりで議論できる問題ではないというふうに私は思っておりまして、そういう意味でいうと、地制調でもう少し大がかりな議論をしていただくというわけにはいかないのかな、そんなことを思うんですが、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 現在、地制調においては、我が国の社会経済、地域社会などの変容に対応した大都市のあり方ということで諮問させていただいて、もう御議論いただいているんですが、同時に、我々が諮問するテーマとしては、東日本大震災を踏まえた基礎自治体の担うべき役割や行政体制のあり方というのも大きなテーマでございます。

 そういう意味では、当然これは、先ほど先生がずっと御指摘いただいたように、大もとからの話でございますので、これは密接に関係している中でのことで、単に、大阪の話であるとか政令都市をどうするかとか、あるいはそれぞれの地域で我々はこうしたいとおっしゃっていることではございません。

 そういう意味では、今、そういうことを御主張されている方のヒアリングを精力的にやらせていただいておりますが、行財政基盤の強化とか規模が大きい基礎自治体の住民自治のあり方、逆に言えば、小規模な基礎自治体、これは一万人未満の小規模市町村が四百八十団体ございます、こういうものを含めて、住民に最も身近な行政主体として適切に住民サービスを提供するためのあり方を幅広く議論していただきたいというふうに思っておりますし、同時に、その部分で、課題の論点整理とそれに対する対応が、いろいろなアイデアが出てきている、そして、それのメリット、デメリット、いろいろな部分が整理されてくるというふうに思いますので、私としても、先生御指摘のような幅広い議論をしていただきたいと思っております。

石田(真)委員 ありがとうございます。ぜひこの機会に、今までのいろいろな課題、問題点を洗い出して、今現在で対応できる最高のものをつくり上げていくという姿勢でやっていただきたいなと思います。

 ただ、お聞きしますと、地制調は来年の夏に最終答申ということで、橋下さんのスピード感からいうと随分遅いな、そんな思いもいたします。問題が問題だけに、そう簡単に答えの出るものではないというのはよくわかりますけれども、大がかりなことをやるのであれば、大がかりな作業といいますか仕掛けをつくってやる、私はそれも大事なことだと思っておりまして、これは要望にしておきますけれども、ぜひスピードアップしていただきたい。一週間に一遍とか十日に一遍、月に何回会合をするということではなしに、お忙しい先生方だと思いますけれども、やはり大事な問題ですから精力的に議論を進めていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。

 それでは、次に移らせていただきますが、地方の問題にかかわって、民主党さんは地域主権ということをよく言われますね。実は、去年の四月に、国と地方の場の法案を通す、そういうことにかかわって、第一次の義務づけ・枠づけの見直し、そういうこともやりました。そのときに、法律は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図る関係法律の整備に関する法律ということで成立をいたしました。ところが、提出された時点での法律名は何かというと、地域主権改革の推進を図る関係法律の整備に関する法律ということだったんです。

 大臣、なぜ法律名が変わったのか、御説明いただきたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、平成二十二年三月に第百七十四回通常国会に提出しましたのは、地域主権改革の推進に関する法律案でございます。平成二十三年の百七十七回通常国会において、与野党協議を経て、地域主権の用語を削除するなどの修正を行った上で可決、成立いたしました。その際に、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案と修正されたのは、御指摘のとおりでございます。

 この際、地域主権という用語については、法案の国会審議において、憲法が定める国民主権、国家主権との関係、あるいは、地域主権という新しい熟語を法律用語とすることに対しての懸念などが御議論されたと承知をしております。

 一方、政府としては、地域主権は比較的新しい用語であるために、このような表現に対する慎重な御意見があるものと考えて、国会審議の過程においては、地域主権が国民主権や国家主権を否定するものではないという点について丁寧に説明をさせていただき、そうした懸念が払拭できるように努めてまいったところであります。

 こうした議論を踏まえて与野党で協議をいただいた結果、国会の御意思として、法律の題名を含め、政府案の修正が行われたものと承知をいたしております。

石田(真)委員 地域主権という言葉は、今大臣が説明していただいたように、国家主権、国民主権が主権であって、地域主権というのは認められていないんですよ。

 それで、さきの施政方針演説、野田総理の演説ですが、一部ちょっと引用しますと、「地域のことは地域で決めるという地域主権の理念が今ほど試されているときはありません。」こう述べられています。

 また、二月の十三日、予算委員会、逢坂議員の質問に答えて野田総理が言われたのは、地域主権を進めていくこと、これはこの国の形を変えていくということでありますが、それは私どもは腹を据えてやってきたつもりです、このように答えられているんですね。

 そして、二月二十日の予算委員会、公明党の高木陽介議員の地方の支分部局に関する質問に答えて、川端大臣は、地域主権としてお答えさせていただきます、こんなように答弁されているんです。(発言する者あり)地域主権担当大臣としてという意味ですか。今そんなコメントをされましたが、議事録には、地域主権としてお答えさせていただきます、何のことを言っているのかなと私は思いましたが。

 しかし、皆さん、総理も担当大臣も、非常に地域主権という言葉をのうてんきに使っておられるんですね、公式の場で。公式の場でですよ。それで、こういうような地域主権という言葉の使い方、これは本当に妥当なのかどうか、法制局の方でちょっとお聞きしたいと思うんですが、お願いいたします。

外山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、幾つかの場面で使われている言葉の適否につきましてお尋ねをいただきました。

 まず、所掌につきましてちょっと申し上げさせていただきますと、私どもは内閣提出法案及び政令の審査を所掌しております。したがいまして、こういった法令に用いる用語につきましては審査を行っているところでございますけれども、今お尋ねのありました演説あるいは国会答弁といった場面で用いられる用語につきましては、私ども内閣法制局が審査をすべき立場にはございませんので、これに対しまして当局として意見を申し上げるといったようなことは差し控えさせていただきたいと存じます。

 以上でございます。

石田(真)委員 法制局の立場はわかりましたけれども、法律を、これは与野党合意で変えたんですよ、はっきり申し上げて。変えました。そして、その文言について問題があったのに、まだ、今、内閣府地域主権戦略室があるんです。それから、先ほど言われましたけれども、地域主権担当特命大臣なんですよ。こういうのはやはりちょっとおかしいんじゃないですか。

 もう一度法制局の方にお伺いしますが、地域主権という言葉はあり得るんですか。法令でないと審査しないと言われるかわからないですけれども、ちょっとお答えいただけたらと思います。

外山政府参考人 ただいまお話にもございましたように、法令の用語ではございませんけれども、私ども承知しておりますのは、例えば、地域主権という言葉につきましてかつて質問主意書をお出しになりまして、それに対する答弁書の中で、この意味内容として、憲法を前提としつつ、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決める、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底をなす理念として掲げられているものであるというふうにお答えを内閣として申し上げたということを承知しております。

石田(真)委員 地域主権という言葉が法的に認められるかどうかというのはお答えはなかったわけでありますけれども、私は、これはあり得ないというふうに思っております。あくまでも国家主権と国民主権なんですね。

 それで、国会で法律名も、これは民主党も賛成されたんですよ、賛成した上で法律名を変えながら、問題は、なぜここまで地域主権にこだわるのかということなんですよ。

 これは、地域主権は民主党の一丁目一番地と言われていましたね。しかし、我々は、政治主導ということをいろいろ研究する中で、松下圭一先生の理論に基づいているのではないかということを感じるわけです。これは菅前総理とか仙谷前官房長官が非常に信奉されているわけですよね、ほかの方もそうだと思いますけれども。

 この松下さんの理論、これは、ごく簡単に申し上げて失礼ですけれども、ごく簡単に言いますと、まず国家主権否定ですよ。国家主権を否定して、市民主権に基づいて、市民にできないことを基礎自治体に補完させ、権限や財源を信託し、この考え方を順次、都道府県、国、そして国際機構へと広げていくんですね。ですから、自治体も政府、国も政府、国際機構も政府だということを彼は本の中できちっと書いておられるんですよ。つまり、市民を一番中心にして、補完性の理論、そして複数信託論、こういうことに基づいた理論である。私はこれを大筋で間違っていないと思いますが、そういうことなんですね。

 それで、問題として、こういうことがどういう影響を及ぼしていくかということなんです。野田総理は、先ほどの答弁で、まさしく国の形を変えるような動き、地域主権でこんなことを言われたんですよ。今、地方自治体でどんどん出てきている問題は何だと思いますか。自治基本条例ですよ。基本的に、まちづくり条例とか自治基本条例を制定する、それは何の問題もありません。しかし、中身を見ていますと、法の趣旨に反するような自治基本条例制定というのが行われている、そういうふうに我々には思えます。

 例えば、ある市の条例を読みます。この条例は、市政運営における最高規範であり、市は、他の条例、規則等の制定並びに法令、条例、規則等の解釈及び運用に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例との整合性を図らなければならない、こんなふうに書いています。法制局はこれをどう思いますか。

外山政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま条例についてのお尋ねをいただきました。

 これにつきましても、先ほどのお答えと同趣旨になりまして恐縮でございますけれども、私ども、法案、政令の審査を所掌しているわけでございますけれども、地方公共団体が制定する条例につきまして、これを審査するといった立場にはございませんので、ただいまの御質問につきましても、恐縮ですけれども、コメントすべき立場にはないというふうに申し上げたいと思います。

石田(真)委員 それでは総務省、今の私が読み上げた条例についてどう思われますか。

川端国務大臣 文章的に伺っただけなのであれなんですけれども、条例が法令に違反しているかどうかについては個別具体の案件に基づいて判断をいたしますので、そのことに関して、直接的に違反している、していないということを判断することではないんですけれども、先ほど来の御議論で、やはり憲法九十二条に基づいて設置された地方自治法のもとに地方自治体があり、そこのもとに法で決められた中で条例が制定されている以上、当然ながら、憲法の枠内、法律の枠内にあるということが大前提であるというふうに私は基本的に承知をしております。

石田(真)委員 今の私が読み上げた条例で問題点を言いますと、これは他の条例を拘束する条例になるんですよ、上位ですから。これは議会制民主主義の否定ですよ。通常の条例にほかの条例が優越するということはあり得ないというのが我々の考え方です。

 それから、もう一つ読み上げます。これもある市の条例なんですが、市は、地方自治の本旨及び自治の基本理念にのっとり、自主的に法令の解釈及び運用を行うことを原則とする。総務大臣、どうですか。

川端国務大臣 それぞれの規定、法律の立法趣旨やこれまで示された判例を踏まえながら法令をみずから解釈されることは別に差し支えないと思いますけれども、国と地方で法令の解釈にそごがあるときは、それを解消するための手段として、是正の要求等の関与や国、地方紛争処理委員会などが地方自治法に定められておりますので、これは国としての一定の立場を持っているということでありまして、それを超えて条例で独自に何かを進めるということに関しては、我々として認めているわけではございません。

石田(真)委員 これは余り議論しませんけれども、ほかにもあるんですよ。市民はその総意によって市を設立しというんですね。議会を設置します、市長を設置します、これは何なんだと思いますね。それから、住民投票の投票権を有する者は、本市に住所を有する年齢満十六歳以上の者とする、こういう条例が現実にあるんです。

 私は、ちょっとやはり法を逸脱している、そこまで条例として決めていくのはいかがなものかな、看過できない部分があるのではないか、そのように思いまして、大臣に、ぜひ実態の調査をして、そして適切に対処されるようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、自治基本条例を中心に御指摘をされました。それぞれ各地で、今総務省が承知しているところでは百八十二団体制定されているようでありますけれども、条例は、地方自治体が地域の実情に応じてそれぞれの責任において議会で審議の上制定されるということで、特段の具体的な問題が生じていない限り、国がコメントしたりする立場にはないということが基本の立場でございます。

 なお、法令に違反しないかどうかについては、個々具体に判断されるべきものであって、法令と条例のそれぞれの趣旨、目的、内容及び効果等を比較して、両者間に矛盾抵触があるかどうか、国の法令が地方の実情に応じて別段の規制等を行うことも容認するかどうかについて判断するものであるというふうに考えております。地方自治法二百四十五条の五の規定に基づく是正の要求というのもありますけれども、これは地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反している場合を対象にしているものであって、違法な条例であっても、条例の制定そのものについて是正の要求はできないというのが従来の解釈でございます。

石田(真)委員 私は、やはりきちっと調べて、こういう部分についてはおかしいんじゃないかということはきちっと指摘するべきで、このあたりが実に民主党さんの地域主権なんですよ。だから、何をやってもいいような雰囲気になってくるんですよ。そこが非常に難しい問題になる。

 それで、これは先ほどの大阪都構想の話に絡めて申し上げますと、このような地域主権ということに基づいていきますと、基礎自治体というのは、望むと限りなく大きくなっていくという可能性があるわけですよ。なぜか。そこに権限を全部与えましょうということですから。そうでしょう。

 どうも私は、そういうことからいうと、民主党というのは一体基礎自治体のあり方をどう考えているのかな、そんな疑問が浮かんでくるということでありますし、そして、この地域主権という考え方からいくと、これは補完ですから、道州制という考え方は出てこないんですよ。だから民主党さんは道州制の議論は熱心でないんですよ。そうなってくると、大阪維新の会の思想とは相入れないということになってくるんじゃないでしょうか。

 ですから、自民党が言っている地方分権というのと民主党さんが言っている地域主権、非常に似ているから、同じだと思っている方が世の中にいっぱいおられますけれども、これは私から言わせたら、似て非なるものですよ。似て非なるものなんです。違うんですよ。

 大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 住民に身近な行政に関してはできるだけ基礎自治体が行い、そしてそれでできないところは都道府県が行い、そして国が行うということが基礎自治体に関する基本の考え方でございますが、そういう中で、当面の部分では、そういう考えに立ちますと、基礎自治体が中心ということでありますので、それを補う形での都道府県ということでありますが、それをより広域に行うという意味での道州制も検討の視野には私たちもあるということでございまして、まだ道州制に関しては、いろいろな幅広い、党内も恐らくそうだと思いますし、政党間においてもそれぞれ幅広い議論があると思います。よりよい地方の行政が充実するための幅広い議論が必要であろうというふうに思っております。

石田(真)委員 地域主権と地方分権というのは考え方が基本的に違う、似て非なるものだということを改めて指摘をしておきたいと思います。

 次に、全国防災事業についてちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 東日本大震災を契機といたしまして、緊急対策として全国防災事業を実施されるということ、私はこれは非常に時宜にかなっているというふうに思います。

 そして、対象として、東日本大震災の教訓、それから緊急性、即効性、そのための施策に限定する、五年間で大体一兆円程度、こういうような案でありますけれども、まず、今まで防災対策事業というものはずっとやってこられましたね。そのことと、今回の全国防災対策をやる、この違いといいますか、どういうふうな区別をつけられておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

後藤副大臣 お答えします。

 先生おっしゃる部分は、今回の全国防災対策費と従来の各省庁のいわゆる防災対策費の相違ということ……(石田(真)委員「費用より、まず考え方ね」と呼ぶ)考え方ですね、はい。

 一点目は、先生もお触れいただいたように、この全国防災対策費の考え方は、昨年の七月、東日本大震災からの復興の基本方針において、防災、減災対策のうちで、東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等のための施策との要件のいずれも満たすものを復興施策の一環として位置づけ、全国防災対策費を用い、重点的に実施するというふうなことをベースに考えているものでございます。

石田(真)委員 それはちょっと答弁になっていないんです。まあいいですわ、次の質問とも絡みますので。

 これはやはり、今までの防災対策をやってきたというのと、今回のような全国防災対策事業というのは本来違うんですね。だから、どこが違うのかということを明確にしないといけないんです。

 なぜか。それは、全国防災対策事業のために新たに住民税を上げているんですよ。だから、そのお金はどう使うんだ。今までとは違うんですということは、これは明確にしないといけないということでありまして、そういう意味でいうと、先ほどちょっとお触れになられかけましたけれども、ぜひ、従来の防災対策と今回の防災対策、予算を教えていただきたい。中身を教えていただきたい。

 それで、私もちょっと調べたら、こんなふうになっているんですね。

 資料を見ますと、全国防災対策事業費の内訳として六項目並んでいまして、一つは学校施設耐震化、防災機能強化約千二百八億円、一般公共事業関係費約二千八百二十一億円、その中には港湾とか道路とかあるんですね。そういうのが六項目並んでいるんですよ。これは一体今までの防災対策事業と何が違うのかなという感じがするわけであります。

 二十四年度の予算、そして全国防災対策事業費と従来の防災対策はどう違うのか、このあたりについてお聞かせをいただきたいと思います。

後藤副大臣 先生御指摘のとおり、全国防災対策費予算額、二十四年度の部分で事項名という形で、先生お触れになったように、学校施設耐震化、防災機能……(石田(真)委員「ちょっと短く答弁、もう時間が」と呼ぶ)はい、済みません。幾つか並んでおります。

 先生も御案内のとおり、予算の仕組みとして、いろいろな項目を立ち上げるときに、事項名で立ち上げているので、先生御指摘のとおり、余り変化がないんじゃないかというふうな御指摘もあります。

 先ほど触れかけましたが、今回、先生の御地元もそうですが、津波等からの確実な避難のための仕組みづくりということで、観測監視の一体となった総合システムであるとか、地震等による被災者の救出、救助体制、医療体制の部分ということで、広域援助隊等の部分、いろいろな新しい項目が入っていますが、事項項目として今までのものをまとめ上げたのでこういうふうに同じような形になっていますが、ウエート的には先ほどの三つの点に配慮しながら対応しているということで、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。

石田(真)委員 納得はできないんですが、もう時間がないので、ちょっと話を飛ばしていきます。

 実は、これは緊急性ということで、例えば首都直下型とか東海・東南海・南海地震対策と入っているんですよ。しかし、ある知事からも、全国で一兆円程度では大規模災害に備えられないとか、そういう声が出ているのは当たり前なんです。

 ですから、我々の認識としたら、この全国防災対策事業、五年間で一兆円、年間平均二千億円というのは、これは全国ですから、ハザードマップをつくり直したり、ちょっとした避難路をつくったり、そういうことだろうというふうに私は思っていたんです。それでいいのかどうかというのもありますが、同時に、首都直下型、それから先ほどの三連動の、あるいはもっと連動するかわからないと言われる大地震、これについては、この全国防災対策事業とかの中に入れるのではなくて、別の位置づけをしないとだめじゃないですか。これは緊急に新たに位置づけをきちっとして、それで国として一体どこまでやるのか、地方の方にはどれだけ協力を願うのか、民間の企業にどうなんだ、国民にはどうなんだ、そのくらいのことをやらないといけないと私は思います。

 今の時点で、こんな五年間で一兆円ぐらいの全国防災対策事業の中に、いや、首都直下型も入っています、東海・東南海・南海地震も入っています、これでは、本当に寂しい地震対策、防災対策と言わざるを得ないと思いますけれども、この二つの大地震、大震災、可能性がもう言われている、それについて、新たな位置づけをして新たな体制を立ち上げる、そのぐらいの気持ちがあるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

後藤副大臣 先生御指摘のとおり、五年間に一兆円という数字が妥当かどうかといえば、私は先生の御趣旨と同じであります。

 そして、東日本大震災の教訓をどう生かすかということで、現在、先生も御案内のとおり、中央防災会議のもとの防災対策推進検討会議の中で、大震災における政府の対応の検証、教訓の総括を行うとともに、今後予想される、先生御指摘のような首都直下型、南海トラフのような大規模災害や頻発する豪雨災害に備えた防災対策の見直し強化のための検討を行っています。

 その中で、災害対策の法制や体制も含めて、防災対策のさらなる充実強化をどのような観点で対応していくかということを今議論しているところでありますので、それに従って万全の対策をとってまいりたいというふうに考えております。

石田(真)委員 もう時間がないんですが、もう一度確認します。

 今申し上げた首都直下型と東海・東南海・南海地震、この二つの大震災は、もう近い将来に必ず発生すると言われています。政府として、この二つの対策について、緊急的に新たに位置づける気があるのか、そしてその対策を別途行う気があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

後藤副大臣 先生御指摘の首都直下、南海トラフ三連動の分も含めて今検討中でありますので、中間報告等が三月中にも出ることになっています。それを踏まえて、きちっとした体制、内容も含めて対応ができるように検討してまいりたいというふうに考えております。

石田(真)委員 これは国民は、通常の防災対策でやったんだったら納得しませんよ。納得しませんよ、もうわかっているのに何もしないということになりますから。そのことを強く要望して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 ほどなく東日本大震災から一年になるわけでございますけれども、まず総務大臣に伺いますが、瓦れきの処理ですね。瓦れきが今二千二百五十三万トンあって、処理された瓦れきが百十八万トン。実にまだ五%しか処理されていない。受け入れ先が決まったところも少ないということで、東京の石原知事、神奈川県の黒岩知事、静岡県の島田市長など、心ある首長が勇気を持って受け入れたいと表明しましたけれども、マスコミ報道で反対運動が起こって、神奈川県などは、ごみで焼却をした後の灰の処理を横須賀市が受け入れるかどうか、これは市長の問題なんですが、最終的には町内会長がそれをどう考えるかにかかっているということで、この問題は自治体の町内会長が判断するようなことも言われておりますが、総務大臣としまして、この瓦れきの処理受け入れ、そして安全対策につきまして、今の現状についてどうお考えになるのか、まずお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、皆吉委員長代理着席〕

川端国務大臣 東日本大震災で大量の瓦れきが生じ、その処理が大変難渋しているということは御指摘のとおりでありまして、きのうの党首討論でも、御党の総裁からも御指摘がございました。

 この迅速な処理は復興のためにも不可欠であると同時に、いろいろな制度としては、国が被災市町村にかわって災害廃棄物を処理できるようにするとともに、補助率のかさ上げの復興特別交付税により実質的に地方負担が生じないという制度的なことはやりましたけれども、御指摘のように、被災地における処理能力が不足していると同時に、広域処理を進めたいという中で、いろいろと地域住民の御理解を得るのに苦労して、初めの、受け入れたいという地方自治体が実際にはなかなか進まないという現実にあることは事実でございます。

 環境省が主管として、細野大臣を先頭にして政府として全力で取り組んで、御理解いただけるように、そして、どういう方法であれば住民理解が進むのかに関して最大努力をしているところでありますが、国として、これを進めることにできることは全てやるという姿勢で、あらゆる方向で検討していくべきだというふうに内閣の一員として考えているところでございます。

中谷委員 もう発災後一年ですよ。そして、瓦れきの山が目の前にある自治体の関係者はどう感じているんでしょうか。それから、こういったものを何とかしたいと思っている地方自治体の長も、これは地方自治の問題なんですね。環境省が判断するじゃなくて、やはり地方自治として地方行政でできないところは国が実施できるようにしなければならない。これは総務省の問題でありまして、早急に法律をつくるとか、安全基準を設けるとか、それから、交付金ですね。受け入れた自治体はこのような交付金を出すとか、国がこの処理をするような仕組みをつくってあげないと、それこそ怠慢という指摘をされますが、もう一度伺います。

 今後、国が地方自治体を指導できるような法律を設ける、予算をつける、こういう方針を総務省は持っておられるのか、伺います。

川端国務大臣 今、国の補助率のかさ上げ、復興特別交付税により、実質的に地方に負担を生じないようにするということの制度はございますが、どういうふうに進めていくか。これは、国が地方にやりなさいというふうな性格ではない部分では、地方の御理解で受け入れていただくということが大前提になります。

 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、これが大変滞っていることは事実であり、深刻な問題でありますので、国としてできることを全てやるということで、促進するために何をやるべきかということに関しては関係省庁と連携して対応してまいりたいと思っております。

中谷委員 非常に甘いですね、何ができるのか考えていくと。

 では、瓦れきは安全なんですか、そしてどの程度の基準に達したら地方自治体が受け入れできるのかどうか。これはまさに町内会長がこの判断ができるとは思いません。国が判断する。その上に、総務省がこれくらいの放射能の基準なら大丈夫ですというお墨つきをつけて保証すべきだと思いますが、そういうつもりはあるんでしょうか。

川端国務大臣 瓦れきに対する処理の基準、灰の基準、全て環境省で既に提示をしているところでありまして、総務省としては、それをお知らせすることに、お手伝いすることはやぶさかではございません。それぞれの役所役所の責任においてやる部分は役割分担がございます。

中谷委員 それでは、現在の瓦れきは安全基準に達していて、自治体が受け入れて処理しても問題ないと大臣は認識しておられますか。

川端国務大臣 ここの部分が全てどうかというふうなことに関して私が担保できるものではありませんが、基本的には、そういう基準に合致しているものの処理を広域的にお願いするというのが大前提でございます。

中谷委員 総務省は瓦れきの処理に対する法律、そして交付税などの仕組みを早急につくるべきだと思います。

 次に、先ほど質問にありましたが、あした、被災地の要望の六割に当たる復興交付金三千百四十億円が配分通知をされますが、この査定が厳し過ぎるという声があります。

 原則自由でありますが、十九兆円を四十事業で一括化して窓口を一本化したものの、これは各省庁が実施をするということで、結局、各省庁が認めないとこれの予算ができないわけでございます。しかし、現場は、原発の風評被害に使えないのか、国の基準を超えた施設整備には交付金が出ないのか、津波被害の大きかった沿岸部が優先され、同じ震災の被害を受けた内陸部の施設の復旧は後回しになっているのではないかなどなど、そういった認定に対する声が上がっているわけでございます。

 総務省といたしまして、もっと自由度を高めたらいいのではないか。例えば、全額国費ではなくて、ある程度地方に負担をさせる形でこれの自由度を高めるというようなやり方もあろうかと思いますが、こういった考え方について、大臣、いかにお考えでしょうか。

川端国務大臣 復興施策に対しての支援と加速ということをどうするかは、復興特も含め、各党間、国会も含めて、今のような御意見を含めて幅広い議論がございました。そういう中で、各党各会派の御了解の中で今の仕組みができ上がってきた経過がございます。

 より自由度が高くという御要望は常にありましたと同時に、多額に上るわけですから、地方の財政負担はたとえ一割でも多額だから無理であるということの中で、要するに、全額を復興の特別交付税で見るという形の仕組みにいたしました。

 そういう意味では、なお、もっと自由度が高いものということでは、既存の交付金を超えて制度的に手当てすると同時に、いわゆる基金を被災県には積ませていただきまして、ソフトも含めて、いろいろな部分できめ細かく、今おっしゃったような部分も、必ずしも全部かどうかわかりません、適用できるような自由度の高い基金という制度もつくるということで、復興交付金と復興に関する特別交付税とそれから基金ということで、可能な限り自由度の高い、そして、当然ながらそれは、計画としては、地方で御計画をいただき、そして議会で御承認をいただいて進めるということの中で、最大の知恵を出したところでございます。

 いろいろな実情に応じて、改善すべき点があればまた御指摘いただきたいと思います。当面、今やっと動き出したところでありますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思っております。

中谷委員 大臣所信にもありましたが、一括交付金はふやすべきであると。やはりひもつきではないということで、これは各自治体が自由に使えるような復興の交付金。この復興交付金は、四割は各省が指定する四十事業ということになっておりますが、もっともっと自由度の高い、また地方の自治体がみずから出しながら自由に使えるような一括交付金をふやしていただきたいと思います。

 次に伺いますが、今回の東日本大震災を教訓としまして、強い国土をつくっていこうと。特に、防災道路ネットワークの整備や危機管理のための公共事業、こういうことをふやす必要があるわけであります。

 そこで、地方の都道府県におきまして、特に総合防災拠点の整備、これはヘリコプターなどが離発着できるような大型の防災拠点、そして緊急無線デジタル、これは無線のデジタル化をまだできていないところがある、そして通信基盤の整備など、こういった財政支援の要請が相次いでいるわけでございますが、財政力の非常に弱い自治体があります。

 そこで、伺います。こういったハードの面、大幅に予算をふやすべきだとお考えでしょうか。そして、そのための交付税などの地方財源の裏負担、これの保障をされるその意思が大臣にはおありでしょうか。

川端国務大臣 東日本大震災、あるいは、今年度は台風も大変大きな台風が来て、被害が大きく出ました。こういうふうな教訓を踏まえて、新たな視点で、ハード、ソフト両面で消防防災インフラを整備して消防防災力の強化を図る必要があるというのは、基本的な認識でございます。

 具体的には、今も御指摘がありましたけれども、大規模災害時における広範囲かつ長時間に及ぶ緊急消防援助隊の活動に対応するため、設備の充実強化、拠点施設の整備促進による後方支援機能の強化、消防救急デジタル無線の整備支援、防災行政無線の通信機の学校、病院への配備、災害に強い他の通信手段も併用した防災行政無線の実証実験等による消防防災通信基盤の強化。それから、これはソフトになるかと思いますが、ソフトも含めてでございますが、消防団員に対するライフジャケットやトランシーバー等の整備を支援することも含めた、消防団員の活動の安全対策の強化等の施策を進めることとしておりまして、その部分での予算を計上したところでございます。

中谷委員 もう少し具体的にお話ししますと、今全国の各市町村では、津波が来た場合に避難をするような避難路を開設しようという声が強まっています。特に西日本は、南海、東海、そして中南海、日向、南海トラフなど、四連動、五連動の地震も想定しておりますけれども、こういった可能性が高い地域に対しては、より予算の配分並びに裏負担の交付税の措置をしていただかないと間に合わないと思いますが、この三連動、四連動に関して、これは特段に整備を急いでいこうというような予算編成体制とか、また交付税措置、このような体制はできているんでしょうか。政府はそういう動きをしているんでしょうか。

川端国務大臣 総務大臣ということより、政府全体の取り組みでございますので、政府としては、いわゆる南海トラフに係る地震対策等については、内閣府に、昨年八月に南海トラフの巨大地震モデル検討会を設置して、被害想定の見直しに着手するとともに、同年十月、中央防災会議のもとに、官房長官を座長として、関係閣僚、防災担当大臣、東日本大震災総括担当大臣、総務大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣、防衛大臣、国家公安委員長と有識者から成る防災対策推進検討会議を設けて、東日本大震災を踏まえた防災、減災対策の見直しの検討を行っているところでございます。

 東日本大震災の教訓を踏まえて、広域的かつ甚大な被害が想定される南海トラフ巨大地震への対策を充実強化することは最重要課題と位置づけております。

 今後の対策の基礎となる震度分布、津波高さ等については、三月中に南海トラフ巨大地震モデル検討会において公表したいと考えております。その後、震度分析、津波高等の推計結果を受けて、六月ごろには人的、物的被害などの直接的被害の推計、秋ごろには経済被害等の推計を行い、これらを踏まえて、南海トラフの巨大地震対策の全体図を取りまとめていきたい。

 並行して、対策についても検討を進め、本年夏ごろまでには、当面実施すべき南海トラフの巨大地震対策を取りまとめて、地方公共団体に対して示したいと考えております。

 以上です。

中谷委員 そういう取り組みをされていますが、現実に、今市町村では、実際に自分たちの住んでいる裏山に車で逃げられるかどうかの道がつくかどうかということで議論をされています。そして、地方自治体は、お金がないので、せめて歩道でどうかといっても、実際、お年寄りが住んでいまして、お年寄りを背負って逃げるということもなかなかできないんですね。

 要は、早く車が通れる道を抜いて、山の上に避難できるような道をつくってほしいということを実質求められているわけですが、こういったものができるような財政措置、そして交付税措置などは、来年に向けて緊急に設けていくというようなことを総務省は実際にやっていただけるんでしょうか。これはかなり急ぐ問題でございますが、こういった裏道に対する道路の交付税の措置などのかさ上げなどは検討されているんでしょうか。

川端国務大臣 地方公共団体が取り組む津波避難タワー、避難路の整備を初め、公共施設等の耐震化などについて、緊急防災・減災事業として、地方債と地方交付税による支援措置、地方債充当率一〇〇%、交付税措置率七〇%を講じております。これは今年度です。

 さらに、来年度においては、市町村が行う具体的な津波避難計画の作成を支援するために、平成十四年度に作成した津波対策推進マニュアルの見直しを地方公共団体と連携を図りながら行うことにしておりまして、こういうマニュアルとともに、諸施策に関しては、支援措置を引き続き講じてまいりたいというふうに思っております。

    〔皆吉委員長代理退席、委員長着席〕

中谷委員 今、事業名をつらつら言われましたが、市町村まで行くと、さらにわからないんですね。これはなぜかというと、各省庁にまたがっているからであります。

 例えばハードの面においても、国交省は、震災の耐震化、全国の道路のミッシング整備をやります。農林省は、震災に強い農林水産業インフラ整備をやります。文科省では、学校施設の防災対策としての耐震化をやります。確かに各省庁はそれぞれのメニューを講じていますが、しかし、肝心の自治体では、どこの省庁にどのような補助事業があるのか、そして補助率がどうなのか、どういった事業を選択すれば一番有効なのか、国における災害対策事業の全体像、これがなかなかつかめないわけでございます。

 そこで、緊急避難対策などの地域防災計画の見直し支援にとどまることなく、国として、ハード面ではこのような事業がありますよといった各省庁を横断する防災対策事業のマニュアルを作成し、各自治体に通知してはどうかと提案をします。この作業については何千万円もの予算を組む必要もなく、各省庁から聞き取りをしてそれを総務省がまとめるだけで終わることでありまして、県や市町村にとっては大変ありがたい情報マニュアルとなるのではないかと思いますが、これについての大臣のお考え、総務省としての音頭をとる姿勢があるのか、お伺いをいたします。

川端国務大臣 国における各省庁を横断する防災対策事業のマニュアルを作成して自治体に通知してはどうかという御提案でございますが、政府としては、これまでも、東日本大震災に対する各種対策などについて内閣府を中心にして関係省庁の施策を取りまとめて地方自治体には資料を提供してまいりました。

 東海・東南海・南海地震等の対策についても、大規模地震対策特別法や東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法等に基づいて取り組んできたところでございますけれども、東海・東南海・南海地震等の対策についても、政府の施策を関係する自治体にできる限りわかりやすく提供するため、内閣府や関係省庁と協力しながら取り組んでまいりたいと思っております。

中谷委員 何やら総務省、総務大臣は、あっちへ行け、こっちへ行けというように、まるで交通整理、方向整理をすればいいというような認識ですが、実際、地方からすると、やはり総務省というのは何でもやる課なんですね。頼りにしているんですよ。そして、通達は総務省を通じて一本化するというのがあるべき姿でありまして、こういった防災の各省庁のマニュアルとか指示を総務省でまとめて市町村にきちんと伝える、県にも伝える、そういう方向整理をするのは総務省の仕事ではないんですか。

川端国務大臣 総務省としては、本当にきめ細かく、できる限りそういう情報提供を今までもやってまいりましたし、これからもやってまいりたいと思います。

 そういう中で、ただ、政府としてのトータルの政策の取りまとめは、やはり内閣府が各府省横断でまとめるものでございますので、そのことに関して我々としても働きかけをし、きょうの御指摘も有意義なことであると思いますので、連携をしてまいりますけれども、窓口としての機能は最大限、これからも一生懸命やってまいります。

中谷委員 民主党は政治主導が一番の大事な姿勢だと聞いておりますが、やはり何でもやる課じゃないとだめなんですね、総務省は。ですから、せっかく提案していますので、総務大臣、積極的にうちの省庁で取りまとめる、内閣府がまとめようがどうしようが、総務省が中心になって取りまとめて地方に連携するというような姿勢をとっていただきたいんですが、いかがですか。

川端国務大臣 地方の窓口として何でもやるという部分での責任は最大限果たしてまいりたいと思います。

 ただ、取りまとめの部分に関しては、別に情報として集めることは可能ですから集めますけれども、取りまとめた分で連携することに関してはやはり一体的にきちっとした方がいいという部分の役所として内閣府があるということ、防災担当もあるということは、その部分でありますので、よく連携をしながら、御指摘の趣旨はよくよくわかりましたので、そういう役割が最大限果たせるように最大の努力をしてまいりたいと思っております。

中谷委員 地方からすると物事は非常に見えにくくなっていますので、ぜひわかりやすいものを早急に示していただきたい。そのために、総務省がそれの窓口で連絡役になっていただきたいと思います。

 次に、国の出先機関の原則廃止につきまして伺いますが、この原則廃止というのは、もう全て廃止をするというふうに大臣はお考えなのでしょうか、そして、特例、例外を認めることもあり得るというふうにお考えなのでしょうか、伺います。

川端国務大臣 これは前政権以来ずっといろいろな議論がございまして、先ほど石田委員との議論にもありましたけれども、身近な行政はできるだけ基礎自治体がやるということ、そして、それを補う形で広域的な連携をするということでの大きな地方分権、地域主権という言葉遣いは別にいたしまして、そういう大きな流れは御理解いただいていると思います。

 そういう中で、出先機関を可能な限り移していこうということで、原則廃止の姿勢のもとに、いろいろなステップを経まして、閣議決定、アクション・プラン等々を踏まえて、現在は、アクション・プランに基づきまして、関西広域連合と九州ブロックというところが自分のところが受け入れたいという意思表示をされましたので、そこに、まず先行的にやろうということで、国交省、経産省、環境省の出先を移すということを前提にして、昨年末に基本的な方向性をまとめたところでございます。

 丸ごと、機関の組織ごと、権能をそのまま移管するということが前提でありますので、何か原則廃止というとそれをなくしてしまうというふうなイメージが少しあるんですが、例えば、出先機関がそのまま広域連合に移管をされるというのが、組織上の形式を目指しております。

 ただ、その中で、業務によって、地方に権限を渡していいものと、そのままでは無理でいろいろ仕組みを考えなければいけないということと、相当難しい、これはやはり国がやらなければならないということと三つに大きく分けられるのではないかと思っております。ただ、それをできるだけ一体的に機能を維持するということで、どういう整理整頓をすればいいのかを今真剣に議論している過程にあるということであります。

 出先機関の廃止というと、何かその機能を、権能を、組織をばらばらにして雲散霧消するような語感がひょっとしたらあるのかもしれませんが、そういうことではなくて、事務と権限と人員、財源を丸ごと移譲して、従来、出先機関が発揮していた機能をそのまま引き継ぐという方針のもとに取り組んでいることを御理解いただきたいと思います。

中谷委員 丸ごとというのが実現すれば支障はないんですけれども、実際、私は四国に住んでいまして、特に地元の高知県などから、高知は道路や港湾が、社会インフラの整備がまだまだおくれておりまして、実質、国の方に人もお金も頼っていかなければこれらの整備が進まない現実があります。

 また、大規模災害等につきましても、危機管理のための処理センターとして国交省の四国地建の存在というものは非常に頼りになる存在で、現に台風などが来たときには、地建が専門の職員がすぐに対応できる体制をとっておりまして、非常に安心ができます。これが地方ばらばらになりますと、では、そういった人材というものはどのようにして回っていくかという問題も発生するわけであります。私は四国の整備局の出先事務所などの存在は非常に大きいと考えておりますが、総務大臣の見解はいかがでございますか。

川端国務大臣 二つの視点からの御質問だと思います。

 一つは、いわゆる地方の整備計画と予算をどうするのかということでございます。

 これは、大きく言えば、国の大方針の中で全国の整備計画が決まり、予算が決まっていくということになりますので、それが広域に移った分は別枠でやるわけではございません。そして、その中で、例えば今の想定でいう広域連合がその機能を持つということは、優先順位であるとかということがより地域自治体の意向が反映したきめ細かいものになるという期待を持っているということでございます。

 それから、防災に関しては、例えば四国の整備局が、先ほど申し上げたように、組織、人員、機能は丸ごと移管されるわけですから、何か災害が起こったときに、そこがばらばらで、指揮命令系統がばらばらで雲散霧消するわけではなくて、一体に同じように動くわけですから、その部分に関して、特段に災害のときにどうなるということではないというふうに思っております。

 ただ、今回の、千年に一度と言われるような、緊急災害対策本部、総理大臣本部長という、今まで設置されたことのないような大災害のときに、全国のあらゆる人と能力、機材を総動員して当たらなければならないというときに、ある種、国の指示というものをどういうふうに、移譲しているところとしていないところが別々の動き方をするわけにいかないということも、本当の、まさかのまさかは考えなければならない。

 それから、広域的にだけ対応できる部分というのは、今の仕組みで国との、これは指示や要請といういろいろな仕組みがあって今も動いているわけですから、そういう部分では、災害の程度にも応じて、今持っている機能がより評価されることはあっても減殺されることはあってはならないという前提で制度設計をしてまいりたいと考えております。

中谷委員 今基本的なお考えを聞きました。しかし四国は、社会的インフラが非常に立ちおくれて、道路やインフラの整備はこれからも国の支援と金と人が要るということと、もう一つは、三連動、四連動の地震が想定されますので、やはり国が地方を引っ張っていけるだけの、国の出先機関、国の組織がやはり要ることが安全、安心につながりますので、ぜひ今後の議論でこういった点もよく重視をして、考えていただきたいと思います。

 そこでもう一点、平成二十四年度の地方財政対策、これは全国防災・減災事業に係る財政措置についてお伺いをいたします。

 今回、三千九百九十五億円、充当率一〇〇%、地方交付税措置として、補助事業においては八〇%、単独事業としては七〇%ということで、津波避難対策などに苦慮する自治体にとっては非常にありがたい措置であります。

 しかし一方で、復興増税の枠を上限として設置されていることから、既に来年度で枠を使い切ってしまうというような状況も聞いておりますが、この防災・減災事業において、復興増税の枠を超える需要があった場合にその財源措置はどうなるのか。特に、全国緊急防災・減災対策事業債という有利な起債措置について、少なくとも復興基本方針に定める集中復興期間である平成二十七年までは継続できるようにすべきと考えますが、この起債措置についてはいつまでを目途としてやっておられるのか、大臣に伺います。

川端国務大臣 復旧復興対策の規模十九兆円程度のうちに、全国の地方自治体で行われることが予定されている緊急防災・減災事業の地方負担分〇・八兆円程度については、地方税において臨時的な税制上の措置を講ずることにより、地方自治体みずからが財源を確保することとしていることを踏まえて、特例的な交付税措置を行うということは御指摘のとおりでございます。

 現在、二十三年度の三次にわたる補正予算及び二十四年度予算で措置した復旧復興対策の全体の事業規模、国、地方公債分については十八兆円程度になっております。

 今後、全国緊急防災・減災事業を含め、復興事業の規模が五年間で見込んでいる十九兆円程度を超えることが見込まれるような場合には、復興財源確保法附則第十二条に基づき、復興予算のあり方や財源確保のための各般の措置のあり方を見直すこととしており、この見直しの中で、全国緊急防災・減災事業の地方負担分に対する財源措置のあり方についても、地方団体の意向も十分に踏まえて検討を行う必要があると考えておりますので、これは、当然ながら、そういう予算がタイトになってきて、あるいは将来もっと大きく認められるときには、前向きにしっかりと対応するようにやるべきだと基本的に私は思っております。

中谷委員 どうもありがとうございます。

 それでは最後に、地方公務員、これの政治活動や選挙支援についてお伺いします。

 先日も予算委員会でお伺いをしましたけれども、まず、昨年十一月の大阪市長選挙で、市の職員組合の一部が前市長を支援しましたが、橋下市長が当選した後、市労働組合連合会の中村義男執行委員長にこれについてのいかんを求めたところ、その事実を認め、委員長が、当然あってはならないこと、組合として責任を感じていると陳謝をしたそうですが、総務省は、こういった違反があったことにつきまして、その実態を調べたのでしょうか。総務大臣はどう思っておられるんでしょうか。

川端国務大臣 地方公務員法の第三十五条は、職員の職務に専念する義務を定めております。いわゆる職務専念義務でありますが、職員は、勤務時間中に職務上の注意力の全てをその職責遂行のために用いなければならないとされております。

 職員の服務規律につきましては、任命権者において判断するものでありまして、個別具体の事例について今お触れをいただきましたが、それは、任命権者である大阪市長として、それぞれの事案に即して適切に判断するものであるというふうに考えております。

中谷委員 この事実は、マスコミ等で全国民が知るよしとなっておりまして、仕事中にこういうことはあってはならないことでございますが、市長自身がその調査に乗り出しております。市役所のメールを使ってその連絡をしていたのではないかということで、庁内メールは職員一人当たり四十メガバイトの容量で、自分の用事、私用で使うことは禁止されておりますが、総務省はこの事実を把握しておりますでしょうか。そして、調査をしないんでしょうか。

 そして、橋下市長がその捜査を始めたところ、これは個人情報保護法に違反するというようなことを厚生省は言っているようです。しかし、これはルール違反の摘発ですから、市長として当然行うべきことでもあるし、むしろ、これの事実があったかどうかを総務省自身が調べるべきだと思いますが、自治体がこういった調査をすることについて、総務省はどうお考えでしょうか。

川端国務大臣 大原則として、職員の服務規律については、責任者、任命権者において、その責任において判断するべきものであるというのが大原則でございます。

 その上で、今メールのお話がございましたが、地方公共団体における情報システムの運用に関しては、それぞれの地方公共団体において適切に実施するというものでありまして、それぞれの部分でやっていただくことでありますので、総務省において地方公共団体の庁内メールを監視しているわけではございません。

中谷委員 そういうことでしたら、任命権者が自分の責任において事実を調べるという行為は、総務省としては認める、そういうことでよろしいでしょうか。

川端国務大臣 情報システムの運用に関しては、それぞれの地方公共団体において適切に実施していただいているものと承知しておりますので、基本的に言えば、法に基づいた、法令の範囲内で適切に運営されるものと思っております。

中谷委員 では、最後に伺います。

 せんだって、沖縄の宜野湾市の選挙がありましたときも、市職労が選挙中にいろいろと指示を出しながらビラを配ったり、また名簿を集めたりしていた事例は紹介をいたしました。しかし、これは全て任命権者の責任というよりも、私は、もういいかげんに地方公務員も、労働組合のあしき習慣とか体質については、国民や国会、マスコミでさんざん叱責をされているわけですから、そろそろ改善をしなければならない。自分たちが労働者である前に公務員であるという意識を持って、全体の奉仕者としてモラルを持ってもらいたい。

 国はちゃんとやっているんですよ、国家公務員は。これはなぜかというと、刑罰がありまして、それができない仕組みができ上がっています。ところが、地方公務員は、懲戒権が市長ですから、勝てば官軍で、そういった労使間のなれ合いが続いている面も否めませんが、この際、地方公務員の法律、先ほど三十五条を言われましたが、三十六条の地方公務員の政治的行為の制限について法律を改正して、懲戒罰則じゃなくて、刑法による国家公務員と同様の刑罰を設置すべきだと考えますが、こういった法律の改正について総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、地方公務員の政治的行為の制限につきましては、懲戒処分をもって足りるとの考え方等から、地方公務員法上、罰則を付さないこととされている、そこは地教法も同じようになっております。

 公務員の政治的行為の制限については、国会内でもさまざまな議論もありまして、法律が提出されたこともございます。そういう議論の中では、各党でのいろいろな議論、司法の判断も含めまして、幅広な議論が行われておりまして、基本的人権にかかわる問題として種々の指摘もされている経過がありまして、その取り扱いについては、政府としては慎重に考えるべきであると思っております。

中谷委員 非常に消極的なんですが、やはり市民、国民から見て、地方公務員は、政治的活動、選挙活動につきましては中立公平で行政を行っていただきたいという思いが強いわけでありますので、今後、この点につきましては真剣に政府として対応していただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 きょうは、きのう雪が降ったのが残っていまして、雪と梅と月夜、ちょっとぜいたくな歌なんですが、月夜に照らされて梅の花が雪の上で咲いている、それをぜひ一本折ってあの子に贈りたいな、こういう歌を詠ませていただきます。

 万葉集巻十八、四千百三十四番。

  雪の上に照れる月夜に梅の花折りて送らむはしき子もがも

 それでは、よろしくお願いいたします。(拍手)

 ということで、きょうはちょっとテーマ的には盛りだくさんになります。余り私は質問したことがないんですが、きょうは電波関係から始めさせていただきたいと思っております。

 NTTドコモさんの通信障害ということで、携帯電話が突然つながらなくなる。私も、一月二十五日の事案については自分なりに経験もしたわけですけれども、どうもお伺いすると、スマートフォンがかなり普及してまいりまして、ネットワークへの負荷が結構かかっている、こんなお話も聞いております。

 まず、原因をお伺いいたします。

川端国務大臣 NTTドコモの最近の通信障害については、スマートフォンに関係したものが多いことは事実でございます。

 スマートフォンに対応した、いわゆるspモードメールというんですか、その障害というものもあります。それから、スマートフォンの増加に対応するために導入した新型交換機が故障したということ等が発生をいたしております。

 前者につきましては、ユーザー認証を行うシステム等において処理能力が不足したことが主な原因であります。後の方の新型交換機の障害というのは、スマートフォンではユーザーが多くのアプリケーションを自由に搭載して利用しているが、新型交換機においてそのようなアプリケーションから発生する制御用の信号を処理する能力が不足していたことが原因というふうになっております。

 いずれにしても、これらの障害について、スマートフォンの急増に対して通信設備を適切に増強できていないことから発生したものであるというふうに認識をしております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 所信でも、スマートフォン時代においても、誰もが安心してICTを利用できるようということで御方針も示しておられるわけです。

 今ほどお話ありましたように、通信設備の問題、NTTドコモさんの方でも、ネットワーク基盤高度化対策本部を設置して再発防止に取り組んでおられるわけですが、この通信設備の問題。そして、究極は、スマートフォンというのは大変便利なものでありますが、大変便利だということは大変情報量が多い、情報量が多いということは、その使用する電波帯という意味ではまたさらに混み合ってくるということで、便利になっていくのはありがたいんですが、それを、インフラとしては通信設備、電波帯、両方で支えていかなければいけないんだろうと思っております。

 このあたり、総務省としてのお考えをお伺いいたします。

川端国務大臣 携帯電話が国民生活にとって欠くことのできないものであることはもう御案内のとおりでありまして、通信障害等の事故防止に業界全体で取り組んでいただかなければいけない。

 NTTドコモのお話は先ほど紹介させていただきましたが、実はほかのキャリアもいろいろトラブルを起こしているということで、事故の原因はいろいろあります。それをやはり情報として共有していただきたい。

 そして、なぜ何がどこでどうなってこういうことが起こったという情報を共有することが大事だということで、私の方から事務方に指示をいたしまして、二月二十二日に携帯電話事業者全社に集まっていただきまして、携帯電話通信障害対策連絡会を開催いたしました。最近の事故の発生原因、対策等に関してはそれぞれトラブルを起こしたところから発表していただきまして、こういうことだったということでありまして、そういうことで、情報を共有するとともに、設備や体制等の総点検、事業者間で継続的に事故事例を情報交換し、各社が点検を行える体制の構築の要請を行いました。

 また、技術的な問題も非常に大きくあります。私も、アイフォンとアンドロイドの二つ持っているんですけれども、アンドロイドの方が電池が早く減るのはしょっちゅう信号を出しているということを、このトラブルを通じて知りました。

 そういう部分で、スマートフォンの時代に対応した通信設備の安全、信頼性の基準の見直し等、今回の各事業者の点検結果を踏まえて、しっかりと審議会においても対策を検討してまいりたいと思います。

 また、そういう意味では、トラフィックが急増しておりますので、周波数割り当てについては、地上デジタル放送への移行により周波数再編が可能となった周波数帯、いわゆる七百、九百メガヘルツ帯への携帯電話割り当てなど、追加的な周波数の割り当てを迅速に実施してまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 やはり電気、水道、ガスみたいにいつでも使えるというものが使えなくなると困るわけでありまして、またよろしく対策をお願いしたいと思います。

 続きまして、せんだってから豪雪に見舞われたわけでありますけれども、今回は大震災の教訓ということも含めてなんでしょうけれども、地方総合通信局で自治体に衛星携帯電話の貸し出しをいろいろと行われた、これは大変いいことだったと思っております。実績と、また各地方局への現在の配備状況を、これは松崎副大臣にお伺いいたします。

松崎副大臣 お答えいたします。

 災害の発生時には、固定電話や携帯電話等の通信インフラが被災等により利用できなくなる場合が大変ございます。被災者の安否確認、救助、それから復旧活動、こういう活動に欠かせない緊急の通信手段として被災地域において確保していくことは重要であります。

 このため、総務省では、平時から災害対策用の無線機器を備蓄、配備し、災害時には自治体における通信手段の確保を緊急に支援する取り組みを行っております。今般の豪雪に当たりましても、気象情報を勘案しつつ、あらかじめ日本海側の地域等を管轄する各総合通信局へ衛星携帯電話等を事前に配備いたしまして、自治体からの要請を受けて、約六十台の衛星携帯電話を当該自治体へ無償で貸し出しております。

 今後も、災害発生時には自治体からの要請に迅速に応えられるよう、貸し出し体制の強化に努めるとともに、各地方総合通信局を通じまして各自治体と連絡をとり合い、ニーズの把握に努めてまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 これは大変いいことだと思っているんです。

 あわせて、東日本大震災関連でもう一つ。これは何度かお伺いしていますが、いよいよ東北三県の地デジ移行の期限、きょうは三月一日ですから、もう今月末と迫ってまいりました。最後の追い込みであります。完全移行、そして所要の対策の実施ということも所信の中にも書いてございました。現状を確認させてください。

松崎副大臣 昨年は、国民の皆さんにも大変お世話になりまして、ほぼ完了したわけでございました。岩手、宮城及び福島の共聴施設などの通信環境整備は、昨年末までに予定どおりおおむね完了しております。災害復旧関連等でおくれていた施設についても、アナログ停波までには対策が完了する見込みとなっております。

 また、三月三十一日のアナログ停波に向けまして、住民の皆様方が地デジ対応いただくための相談体制も万全になっております。具体的には、停波前後は地デジコールセンターで電話相談を二十四時間受け付けます。また、市町村の役場でも約五十カ所の臨時相談コーナーを設置しておりまして、対面相談、低所得者世帯へのチューナーの支援等も実施しております。

 放送での周知も行われており、自治体にも広報などで協力いただいております。引き続き、関係者と協力して、住民の皆さんが円滑にデジタル放送に移行していただけるよう、丁寧に取り組んでまいる所存でございます。

橘(慶)委員 これで全国が全部仕上がるということでありますので、どうか最後までよろしくお願いしたいと思います。

 この項、最後ですが、実は、総務省さんの方で二十二年度からフューチャースクール推進事業ということで学校のICT化ということで取り組んでこられたわけであります。

 この中で、ツールの一つに電子黒板というものがありまして、実際使われている現場のお話を聞くまでちょっと私も誤解をしていたんですが、普通の黒板をかえるということではなくて、黒板は黒板で残っているわけでありまして、私どもの昔でいうと、小学校なんかで大きな掛け軸を持ってきて、これは何だこれは何だと、低学年なんかでやったのは懐かしい記憶ですが、ああいうものを結局電子黒板にかえまして、昔でいう掛け軸のかわりに電子黒板。ただ、電子黒板になれば、そこにソフトを入れればいろいろ動きもある、色もつく、いろいろ変わる。大変これはいいものだということを現場から聞くわけであります。

 実は、モデル的に入れたところなどでは、おたくの学校だけか、うちの学校も入れたいというふうなことになって、首長さん方からは、もう少しこれを応援してくれれば、何か呼び水があれば大変うれしいんだけれどもというのを何人かの富山県の首長さんから私は聞くものですから、ここで、富山出身の森田政務官の方から、お答えをいただきたいと思います。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 お尋ねの電子黒板でございますが、電子黒板自体は文科省の事業として平成十五年ごろから普及が始まっていて、現在、小学校の七五%、中学校の六九%ぐらいに普及してきているものと存じます。

 それで、我が省が行っているフューチャースクールにおける電子黒板の役割についても説明申し上げたいと思うんですが、フューチャースクール事業の場合は、一人一台のタブレットPCと、そして校内全域のLAN環境というものを整備する中で電子黒板を組み合わせてまいります。そうしますと、御指摘の掛け軸機能だけではなくて、掛け軸機能としても大変有用なんですが、さらに、先生方が子供たちのタブレットPCでの進捗ぐあいを一元管理することができて、この子はこれぐらいできている、この子はちょっとおくれている、だからこうやって議論させようとかということもできたりしますし、子供たちもお互いの発表内容をタブレットPCを通じて理解し合うことができますので、まさに立体的、複合的、こういう関係を組み合わせることで飛躍的に電子黒板の機能そのものも最大限発揮されるものと思っております。

 ですから、このフューチャースクール事業も、二十二年度から、紆余曲折がありまして、事業仕分けで大変辛酸をなめたりとかそういうことがあったんですが、何とか何とかつないできておりまして、今、小中学校、そして今度、特別支援学校でも普及しつつあります。

 そういったものを、我が省としても、実証校における取り組み、成果、課題の整理をして、それをガイドラインにして、文科省さんとも連携して、さらに全国に広げていきたいというふうに思っておりますし、ぜひ先生からもそういった御支援を賜りたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。仕分けに負けないで、チョーク、白墨と両立するものでありますので、どうかそこを誤解のないようによろしくお願いしたいと思います。

 地方分権関係に入ってまいります。

 これも、ちょっとこれまでは聞いていなかったんですが、こういう所信への質問の機会なので、少し自由答弁の部分も出るかと思いますが、私の考えも申し上げますので、お答えをいただきたいと思います。これはどちらかというと、実際、現場で市の仕事をしていたときの悩みを含めて申し上げるわけであります。

 リーマン・ショック以降のいろいろな経済対策の中で、基金事業というのが非常にふえたわけであります。もちろん、その中では、本当に雇用促進のように、短期的なものを何年か年度をまたいでということもあったわけですが、例えば、妊婦健康診査十四回、あるいは子宮頸がんワクチン接種、それから、ことしから第五期の介護保険事業に入っていくわけですが、介護基盤整備、こういったものは毎年毎年継続的に取り組んでいかなきゃいけないものである。ただ、いろいろな事情で、基金で始まりまして、そのまま、この間の第四次補正がそうですが、また一年間何とか食いつないでいる、こういう状況であるわけであります。

 これはどうも、地方の視点から見ますと、そういうものは制度的にやはり確立させるべきではないか、このように思うわけですが、自治体等への出向等もあって現場を非常によく御存じの総務省としての御見解、これは川端大臣からお願いいたします。

川端国務大臣 御指摘のように、リーマン・ショックへの対応として基金がたくさんつくられました。その中で、今御指摘をされました安心こども基金、妊婦健康診査支援基金、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進基金については、二十四年度まで事業を継続して、必要額を基金に積み増すということにしました。それから、介護基盤緊急整備等臨時特例基金については、二十四年度予算編成過程において、二十四年度まで事業を継続することとされました。

 実は総務省といたしましても、平成二十四年度の地方財政措置について、各府省への申し入れの中で、概算要求組み替え基準の閣議決定にあわせて、各府省に対して、地方財政に影響を及ぼす施策、事務事業について適切な措置を要請するということで、厚労省に対しては、妊産婦健康診査費に係る財政措置、介護保険制度の安定的な運営の推進、予防接種制度の見直し等を文書で申し入れている経過がございます。

 そういうことを含めて、こういう対応になったわけですけれども、継続ということは、やはり一定の成果と意義があるということが実証されているということが御指摘の背景だというふうに思います。そういう意味では、これらの中には、さらに今後とも継続して実施する必要があり、御指摘の制度化することが望ましい事業も私はあるというふうに思っております。

 そういう面では、平成二十五年度以降の事業のあり方については、制度化することを含めて、事業の円滑な実施に支障を来さないように、地元の要望も強いことも含めまして、関係府省と連携をして検討してまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 これはお願いですが、この申し入れ書を、もし差し支えなければ、後でいただければ大変幸いであります。

 そして、今おっしゃったとおりでありまして、十四回の妊婦健康診査が、今現実、市町村の窓口からすれば、市民の方には無料でやっていまして、これが打ち切られたからといって、では、あしたから五回に戻して、九回はお支払いくださいなんてことはなかなか言えない事実があるわけであります。

 また、介護保険については、皆さん、三年分の保険料を今改定しているわけですが、中には誤解がありまして、この介護基盤整備の事業は二十四年度しかできないんだよ、二十五年からはなくなるかもしれないんだよなどという誤った情報が流れたりするわけです。そういうことで、どうかここは厚労省さんに強くまたお話をいただきたいと思うわけであります。

 この件、厚労省さんとの関係であと二問続くんですが、今福島の高校生、十八歳までの医療費無料化云々という、これはこれで非常に理解をしながら、しかし、自治体間で、実は全国では幼児、児童に対する医療費助成というのは非常に異なっているわけであります。要するに、無料化されている年齢に随分開きがあるはずであります。

 きょうは、厚労省さんから聞いてこられたことで、椎川自治財政局長さんに現状をお伺いします。

椎川政府参考人 ただいま御質問の、都道府県が市町村とともに地方単独事業で実施しております医療費助成でございますけれども、厚生労働省において、毎年、県の制度を中心に、対象年齢、それから所得制限の有無、自己負担の有無等について調査をしておりますので、それに沿ってお答えをしたいと思っております。

 二十三年四月現在で、都道府県の制度といたしまして、対象年齢については、三歳未満のみを対象にする団体から十五歳までを対象にするということで、かなり区々でございますけれども、就学前までを対象にしている団体が過半でございまして、通院では二十八団体、入院では二十六団体。また、それ以上の年齢までやっている団体で少なくとも就学前までやっているという団体をとりますと、これは大半になりまして、通院では三十七団体、入院では四十五団体ということになります。

 所得制限については、している団体が三十三団体。自己負担については、一部求めている団体が三十九団体というふうに聞いております。

橘(慶)委員 団体数の部分を今教えていただいたわけですが、最初にお話があったとおり、三歳未満の地域もあれば中学生までやっている地域もあるということであります。この広い日本で、むしろ狭い日本でと言った方がいいですかね、狭い日本で、こういうことについて、そこに生まれたことによって、そもそも差があるというのが本当にいいことなのかという問題なんです。

 そして、それがもし単独事業ということで、それは自治体の財政力の差ですよなんて言われたら、これはまた悲しい話でありまして、実はそれこそ片山大臣から、そういうことも踏まえて、こういうことで本当に余り違いがあるのはどうなんだろう、こういう話もあったわけであります。

 もう一つ言いますと、国としては、当然、ここの部分の、例えば幼児だったら二割とか、あるいは小学生、中学生なら三割という一つのいわゆる医療保険上の基準があるわけであります。だから、ここは今度医療保険制度の運営、これは厚生労働省さんの問題ですが、そこは、いわゆる受診側の、コンビニ受診になってはいけないというような話からして、どうするのかという問題もあるわけであります。

 きょうは総務大臣でありますから、自治体の財政力の差で違う、例えば東京と千葉で江戸川を渡ったら違う、そういうことで本当にいいんだろうかという素朴なお話であります。どうでしょうか。

川端国務大臣 トータルの医療費がどんどん上がっていく中でどうするのかということが一つあります。

 それから、いろいろ話題になりました、いわゆる社会保障・税の一体改革で私も地方に二カ所ほど、富山も行かせていただきましたが、やはり自分のことは自分でするという精神が余りにも薄くなり過ぎているんじゃないかという意見を言われる方もおられます。

 そういう中で、とはいえ、小さな、特に乳幼児なんかはやはり大変だということの中で、義務教育就学前については医療費が三割から二割に引き下げられている中で、それに加えて、言われるように、いろいろ地方自治体で、十五歳までのところから、四歳、乳幼児というところまで差があります。

 これは、それぞれ地方の財政ということで、それを踏まえて、今回のいわゆる消費税の議論の中では、地方に対する消費税の配分をどうするのかということに、地方の単独事業に関しては地方の自主的な判断の中で一定の費用はやって支えていただくという考え方で配分を一定するということを地元の皆様にも御了解いただいたという経過がございます。

 高齢者の医療費の自己負担とのバランスもありますので、全国的には、やはり全体の制度の中でどうするかということだと思いますが、この部分はかなり一定定着してきていることは事実でありますので、その分に関しての差は事実上相当なくなってきている部分の年齢はあるんですね、就学前という意味では。

 そこの部分は、財政との考え、それから地方の自主的な問題ということを含めて、なかなか難しい課題でありますが、余り極端なことにならないようなことであるべきだというふうに、事態が地方の皆さんの御努力で進んできているということ自体は私も大変重く認識しなければいけないと思っております。

橘(慶)委員 実はこれは素朴な問いでありまして、同じ日本で三歳までというところと十五歳までというところと、そんなの本当にいいんでしょうかねという質問なんですが、いかがですか。

川端国務大臣 地方の首長さんの、財政力の問題で余り極端なことになってはいけないという意味では、一定の年齢、就学前まではほぼ維持できているのではないかという部分があります。

 そこから上は、やはりその地域において、農業に特段の予算をたくさん使うところもあれば、子供に使うところもある、産業に使う、観光に使う、いろいろな部分が、一定以上に関しては自由度があっていいというふうに思います。

 ただ、一定基準というのが、相場観としてという言葉はよくないかもしれませんが、全国的な皆さんの御努力で一定の水準は形成されつつあるのかなというふうに思っております。

橘(慶)委員 この辺にしておきますが、例えば一定というのを就学前というふうにされるならそこまで何かしていくとか、であれば、そこは国の制度としてどう考えていくとか、あるいはまた、コンビニ受診を防ぐためにどうするかということは、もう少し厚生労働省さんは主体的に考えてほしいというのが私の思いでありまして、今、一定程度という話もいただきましたので、これをもってまた予算委員会の厚生労働分科会で頑張ってみたいと思います。

 それでは、ちょっとここを引っ張りましたので、一つ、国と地方の協議の場についてはまた今度お聞きすることにして、その次の義務づけ・枠づけの第三次法案、これは提出ということで書いてございまして、現在の取り組み状況をお伺いいたします。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 義務づけや枠づけの見直しにつきましては、昨年の通常国会で可決、成立いただいた二次にわたる一括法に引き続いて、第三次の見直しについて昨年の十一月二十九日に閣議決定をしたところでございます。

 今先生御指摘の今般の見直しにつきましては、地方からの提言等に係る事項、通知・届け出・報告、公示・公告等、職員等の資格・定数など、三つの重点事項を中心に見直しを行うこととしております。

 六十九本の関係法律の整備を行う一括法案について、現在詰めの作業を行っており、近日中に国会に提出する予定でございます。

橘(慶)委員 地方分権の中では少し時間をかけて進めなきゃいけないこともありますが、こういう確実にやっていくところはまたぜひよろしくお進めいただきたいと思っております。

 消防庁の方にお伺いいたします。

 消防広域化、これは、平成十九年度までに推進計画を策定し、二十四年度まで、来年度までに実現をお願いされていた案件であります。現在、新潟、鳥取を除く四十五都道府県で既に計画が策定されておりまして、いろいろとそれぞれの地域の実情を踏まえて取り組みを進めておられるわけであります。地方における取り組みの現状と、期限、来年三月末までの進め方についてお伺いいたします。

原政府参考人 消防の広域化につきましては、消防組織法に基づき策定しました基本指針において、先生御指摘のように、平成二十四年度末を期限として推進をしているところであります。

 都道府県が策定した推進計画に基づきまして、これまで六件の広域化が実現したほか、三つの町村で非常備の状態が解消されているところであります。

 このほか、現在、推進計画で広域化の対象とされたブロックが百四十四ございますが、協議会などの組織を設置しているブロックを中心に、消防本部の位置や名称、あるいは費用負担のルールなど、広域化に向けて必要となる具体的な項目についてさまざまな協議、検討がなされているところであります。

 消防庁として、地方債などを活用した財政措置を初め、広域化の必要性を周知するセミナーの開催、あるいは、実際に広域化を実現した団体の職員をアドバイザーとして派遣するなど、都道府県と連携しながら必要な支援を行っているところでございます。

 今後とも、基本指針で定める期限内により多くのブロックで広域化が実現できるように、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 ぜひ粛々と前へまた進めていただければ、それはやはり地域の安全、安心ということになるわけですから。

 ただ、今ちょっとお伺いしますと、百四十四が今まだ継続中ということで、話し合いをしていると。これはやはり真摯な話し合いをしないとまとまらないということもあります。そうすると、きょうはこれは質問にはしていませんけれども、もし二十五年三月末までに終わらなければ、やはりそこは、百四十四で残ったものについてのまた引き続きの手当てはぜひ二十五年度予算の中では検討もいただきたい、これは要望として申し上げておきます。

 あわせて、消防救急無線のデジタル化ということで、これは平成二十八年五月までに実施ということで、先ほどのいわゆる電波の話ともまた重なるわけでしょうけれども、デジタル化をしていくということになっているわけですが、あと四年くらいございますが、現状どうなっているか、次長さんにお伺いいたします。

原政府参考人 消防救急無線のデジタル化につきましては、二十八年五月の移行期限を見据えまして、現時点で、全国の約八七%に上る消防本部で設計あるいは整備に着手をしております。

 こうした取り組みを踏まえまして、このデジタル化を加速するために、消防救急無線のうち、消防の広域応援に資する施設設備の整備について、平成二十三年度の三次補正予算でございますが、そこで補助金を計上いたしました。また、地方財政措置として、緊急防災・減災事業の対象としたところであります。

 平成二十四年度につきましても、引き続きこの無線のデジタル化を支援するために、緊急消防援助隊設備整備費補助金として予算案に必要額を計上し、また、地方財政措置についても継続することとしております。

 今後とも、この無線の円滑なデジタル化移行に向け、財政措置を含め、支援を検討してまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 東日本大震災の教訓も踏まえ、またこういった予算措置も利用して、さらに前進させていただきたいと思っております。

 久保長官におかれましては、消防団の勧誘のために、コンビニでこの間久保長官の声を聞きました、いろいろなPRもしていただいて、消防団の方もよろしくお願いしたいと思います。

 定住自立圏構想について、何問かお伺いいたします。

 川端大臣ともう一回、自由答弁みたいになりますけれども、定住自立圏構想ということでいろいろなことをやっていかなきゃいけない。もちろん、地域を守っていくための医療とか福祉とか、こういったことも大事でありますけれども、また一面、地域の活力といいますか、自立していくということの中で、私も地域にいて感じますのは、やはり次代を担う若い人たち、そういう人たちの姿が地域に見えてこないと、お祭りであってもイベントであっても、いろいろなことが活性化していかない。若い人がいてくれるだけで何か華やぐというのが地方の実情ではないかと思っております。

 そうなると、若い方々にいてもらうためには、若い方々は仕事をしなきゃいけないものですから、自分の志とか思いに対して、多様な自己実現をする場、いわゆるいろいろな就業の場がないとなかなか難しい。いつも私は溜池山王の駅にたたずんで、つくづくそう思うんですけれども、この人たち富山へ来たら仕事はあるかな、こういう問題でございます。

 そうなりますと、やはり大都市圏からいろいろな機能、職場というものをもう少し分散して、ブロック都市ぐらいまでは落としていただかないとなかなか大変かなと思うわけですが、これまた自由答弁だと思いますが、川端大臣のお考えを。

川端国務大臣 定住自立圏構想というもので、いろいろな仕組みで頑張っていただいて成果を上げていただいている地域や、意欲的に取り組んでいただいている地域もあり、我々も応援しているところでありますけれども、言われるように、一番根幹にやはり仕事が一定あるということが前提でないと、まさに人がなかなかそこに住めないということは、実は一番大きな問題だと私も思います。

 そして、そういう中で、今回いろいろな震災の経験を踏まえて、例えばリスクの分散であるとかいうふうなこともよく言われるようになりました。同時に、ICTの進歩によって、地域に余りかかわらず産業立地ができるというふうなもの、あるいは家にいながら仕事ができるというふうな時代の変化もありますので、地域にとっての、例えば平均でいえば地面が安いとか、物価が安いとか、自然環境が美しいとか、自分の生まれた町であるとかいうことの特性を生かす環境の応援団は、私はできてきているのではないかと。

 そういう部分では、この構想自体もいろいろな切り口で改めてよくレビューすることは大変大事だというふうに思っておりますので、またいろいろなお知恵があれば、御示唆いただければ、我々も積極的に議論してまいりたいと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 子供が少なくなっちゃって保育所を統合しなきゃいけない地域と、それから待機児童が多くて保育所をつくらなきゃいけない地域が日本に混在している、そこは本当にもう少し考えなきゃいけないんじゃないかなと思うわけであります。

 今、若い方々という意味で言いましたけれども、地域で一つ若い方々という意味で大事な機能を持っているのは、地方のそれぞれの大学であります。

 今回、総務省さんでは、域学連携による地域づくり事業ということで、新しい事業を立ち上げられたわけであります。ちょっと財務省さんの査定の筆が入ったのは残念でありましたけれども、それでもこれでスタートするということであります。具体的実施内容と期待される効果をお伺いいたします。

川端国務大臣 今回、計上いたしました「域学連携」地域づくり実証研究事業というのは、大学生が教員の指導のもとに地域の現場に入る、そして地域住民やNPO等とともに、地域の課題解決または地域づくりに継続的に取り組む仕組みづくりを行うために、大学の単位取得につながるカリキュラムづくりを行って、地域の活性化及び地域の人材育成に資する取り組みを進めようということで、先生の指導のもとに、NPOの御協力を得ながら、その地域に入っていろいろな研究をするということと同時に、交流して地域の活性化にも役立てよう、こういうことであります。

 地方公共団体、大学、地域づくり団体等から成る実行委員会が取り組む、独創性、先進性、モデル性を有する取り組みを対象として、実証研究を実施したいと考えております。

 例えば、学生が住民との交流や体験活動も交えて行う、地域の現状や課題の調査、魅力の再発見と発信、観光プランや商店街振興策の提案、イベント企画や地域ブランドづくりなどを想定しております。

 期待される効果は、地域にとっては、にぎわいと活力の創出、地域の魅力に対する気づきと誇りの醸成、大学に集積する知識やノウハウの活用などが考えられ、大学にとっては、学生の人材育成や実践の場の獲得、教育研究活動へのフィードバックなどが考えられるということであります。

 この前、富山に行かせていただいたときに、富山の商店街の一角に大学生のサロンみたいなものができていまして、彼らが自主的にいろいろなことをやっていると同時に、地元の商店街の人が来て、この新商品を売ろうと思うけれども、みんな、どう思うと言うと、いろいろ学生なりにああだこうだと感性を含めてみんながわいわいといって商品企画にかかわるというふうなことで、地域と学生さんというのは、それぞれの能力を生かすということが大変大事だと思います。

 私の地元に雪深いところがありまして、距離でいうと七十キロぐらい離れているんですが、大学がそこと交流をして、冬には雪かきに行く、そして、そこといろんな地域の交流をするということをやり出しました。

 いろんな形で、学生の若い力、知恵と行動力が地域にとって役に立つことをいろいろと応援をしてやってまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 このあたりは大体波長が合ってきたなと思っています。ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間が減ってまいりましたので、福田政務官、きょうは済みません。もし最後に時間があったらもう一回回しますけれども、簡単なので行政評価の方を先にやらせていただきます。

 平成十九年六月から臨時的に処理している年金記録第三者委員会の苦情あっせんに関する事務ですが、本省、地方において現在どの程度の人員を割いているのか、主濱政務官にお伺いいたします。

主濱大臣政務官 お答えします。

 年金記録第三者委員会の事務に従事している職員でございますが、二月一日現在で、中央、地方を合わせて、常勤、非常勤、これも合わせまして、千七百六十人従事しているということでございます。このうち、総務省の常勤職員につきましては、本省で十八人、地方で三百三十一人、合計で三百四十九人、第三者委員会の業務に携わっているところでございます。管区行政評価局等の地方機関では、年金記録確認業務を行うために、厚生省から振りかえた定員を除いた定員八百三十人のうち約四〇%を割いていることになる、こういうことでございます。

橘(慶)委員 既にスタートしてから五年経過、五年というのは一つの見直しの基準だとも思うんですけれども、そういうことの中で、実は苦情申し出件数、その処理の現状を見ましても、ここまで来ると、単純な雇い主の方でのミスとか、そういうのがかなり多いんじゃないか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか、主濱政務官。

主濱大臣政務官 ちょっと経緯をお話しさせていただきたいんです。

 まず、平成十九年にこの第三者委員会の設置が行われたわけですが、これまで累計で二十四万五千件申し立てを受けているという状況でございます。そして平成二十二年度末には六万件を受けている、単年度で六万件を受け付けた。二十三年度は、この間、二月末までで二万五千件と受け付け件数が四割にとどまっている、こういう状況であります。

 それから処理状況はどうかといいますと、累計で二十三万七千件受け付けているんですが、今残っている件数は、二十二年度末で二万八千件、そしてことしの二月現在では九千件まで減ってきている、こういうふうな状況でございます。

 内容については、当初の第三者委員会では、過去の年金記録について、国の記録がなくて、しかも直接的な証拠を持たない皆さんのために適正な判断を下す、こういう役割を期待されておったわけですけれども、最近はちょっと違ってきている、こういうことでございます。記録訂正の要否を判断する証拠となる資料が比較的多い新しい時期の年金記録について申し立てが増加をしている、こういう状況です。具体例を申し上げますと、先ほどお話があったとおり、事業主のミスとか、その分を事業主が一括して申し立てている、こういったようなケースも見られるということでございます。

 委員御指摘のとおり、最近の事案では、このように第三者委員会の設置当初の問題とは異なる案件がふえてきている、こういう現状にあります。

橘(慶)委員 そこで、状況が落ちついてきているということ、五年たったということでもありますし、今回の大臣所信を見ましても、行政評価の方はちょっと寂しかったかなと。行政評価、頑張りますの一言で終わっちゃったわけでありまして、そろそろこの人員、やはり本来業務に戻して、国の政策のチェック、そういうところに進んでいくべきだと思います。

 多分波長は合うと思うんですが、総務大臣、いかがでしょうか。これをお答えいただいて、終わります。

川端国務大臣 ありがとうございます。

 昨年六月に、年金記録確認中央第三者委員会から、新たな年金記録確認体制の構築について早急に検討するよう要請をされました。背景は、今、主濱さんからお答えになったとおりの背景でございます。

 また、行政刷新会議の事業仕分け等によって行政評価機能の抜本的機能強化を求められている中で、約三百五十人の要員を第三者委員会業務に割いていることから、本来業務にも若干影響が出ているところでもございます。

 そのために、年金記録確認業務を総務省から本来の所管である厚生労働省に早期に移管すべく、鋭意厚生労働省と調整を進めてまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。それだけ言っていただくと、厚労分科会へ行きやすくなったなと思っております。そういう行財政改革もしなきゃいけない。

 きょうは、子供の医療費、ちょっと話がかみ合いませんでしたけれども、要は、そういったものを先にやって予算の中の見直しをしていかなきゃいけない、これはややチェックをする立場の野党としての意見として申し添えて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

原口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

原口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。平井たくや君。

平井委員 自由民主党の平井たくやでございます。

 きょうは、川端大臣に、情報セキュリティー政策全般、またスマートフォンの通信障害、電波、通信政策について、あとは自治体クラウド、共通番号ということで、時間の範囲内で行けるところまで行ってみようと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 先日お会いしたときに、自由民主党が二月の二十四日に発表しました情報セキュリティに関する提言というものを読んでいただくようお願いをさせていただきました。実はこの提言は、昨年からことしにかけて、私が委員長で、ずっと民間関係機関のヒアリングを積み重ねて、最終的に取りまとめて、党の総務会でも報告をさせていただいて、了承を得たというものであります。ですから、この政策自体は我々がつくりましたが、サイバーセキュリティーの問題は、与党とか野党とかの間で議論する場合は前向きに話す以外にはないと思いまして、大臣にもお読みいただきたいということでお願いをさせていただきました。

 そのポイントは三つなんです。政治主導でやることと、技術開発をちゃんと考えることと、サイバーセキュリティーという対策を産業化していくべきだという思いでまとめさせていただいています。

 そういう意味で、まさにサイバー空間における有事ですよね、これを国家安全保障上の重要課題と位置づけるという政治主導。

 それと、残念ながら、我が国の情報セキュリティー技術は世界最高峰とは言えない状況です。現行目標というのは二〇二〇年なんですよね。足元の有事等々を考えると、これをやはり五年程度に短縮して、国家安全保障上の喫緊の課題として緊急に技術開発等々を進めるべきだというふうに考えています。というのも、この分野に関して言えば、日本のベンダーさんがいないんですね。ほとんど海外に任せなきゃいけない。これはもう、残念ながら現実はそうです。海外のいろいろなセキュリティーシステムを日本の中に適用するための技術者はたくさん日本にはいるんですが、そもそも、このままいって国家安全保障上に位置づけるということになった場合、やはりまずかろうということにいずれなるんだと思います。そういう問題が一つです。

 それでもう一つは、IT人材の中で、ではセキュリティー人材がどのぐらいいるか等々も調べさせていただきましたが、やはり世界に比べて圧倒的に少ない、そう思います。そういう状況の中で、高度な情報セキュリティー産業市場を創出して、民間に十万人規模の新規雇用を生みたいというようなことでまとめさせていただいております。

 大臣もごらんになっていただいたと思いますが、どのような感想をお持ちでしょうか。

川端国務大臣 きのう、御指摘をいただいて、一時間半ぐらいですからわずかな時間でしたけれども、一通りは読ませていただきました。

 一番ありがたいと思いましたのは、本当に熱心に御議論いただく中で、やはり、役所も国会も民間もいろいろな事件が起こりました、このことで、この事態を極めて深刻に受けとめる中で、国の安全保障の根幹にかかわる大きな問題だという深刻な事実認識をしておられるということが一番大きな感想といいますか、ありがたいことだということを同時に思いました。

 それを踏まえて、スピーディーに、そして今おっしゃいましたように、体制、それから人材、研究、法整備、予算を含めて、あらゆる切り口から、それをこういうふうに進めるべきだという工程表も示して御提言をいただいたことは、相当深く危機感を持って御研究いただいた成果ということで、大変立派なものだというふうに思います。

 政府においても、情報セキュリティーに関しては内閣府を中心に取り組んでおりますけれども、この部分は、おっしゃっていただいたように政党間で云々という問題ではない問題だというふうに思いますので、重く受けとめさせていただいて、我々もまたいろいろ議論をしていきたいというふうに思っております。

平井委員 私が取りまとめたものを政府が重く受けとめて、また政策の中に生かしていただくというのは、これこそまさに建設的な与野党の関係だと思います。特に、私はこの分野を長年やっていて、ほかの議員よりは恐らく詳しいということだと思いますので、私が中心にまとめましたが、これをまた別のところでまとめようとすると、恐らく大変な労力が要ると思います。そういう意味で、この一言一句に魂を込めてつくらせていただいておりますので、ぜひお考えをいただきたいと思います。

 新聞報道で、「日本版NSC 民主党最終案判明」ということで、私も新聞を読ませていただきました。産経新聞だったかな。インテリジェンス・NSCワーキングチームが提出予定の日本版NSC創設に関する最終報告の提言というのが載っていました。

 その中で、国家安全保障問題として、サイバーセキュリティーをインテリジェンスと同様に重要な要素として取り上げている。内閣官房に専任の官房副長官を新設すること、省庁横断の指揮命令系統を確立すること。これをよく読むと、全く私の提言と同じなんですよね。ですから、基本的な方向性というのが一緒だなというふうに思っています。

 この問題は、アメリカの研究機関のレポートなんかを見ていると、日本をサイバー攻撃しているのは中国人民解放軍の複数の部隊、これはもう特定されているんですよね。したがって、私は、そういう現実に対してどのように対応していくかということでいうと、やはり予算をもっとふやさなきゃいけないというふうに思っています。

 これを分析するのは大変だったんですけれども、要するに、皆様方がつくった予算の中でセキュリティー関連の予算が幾らあってというのは、普通なかなかわかりづらいんですよ。それをちょっと時間をかけて精査させていただきました。我々の分析では、今の政府の予算案はトータルで三百億円弱の関連予算が入っています。考えてみると、アメリカなんかは年度八十億ドルですよね。これは絶対額で二十一分の一なんですよ。GDPが違うということで考えると、GDP比でも十一分の一なんですね。余りにもこのセキュリティー関連の予算というのは少ないと思います。

 この私の三百億円弱という分析は間違っていないと思います。これはまた細かい資料も提言の中には入れさせていただいていますので見ていただきたいんですが、財源がいろいろ厳しいということもあろうかと思いますが、この分野をやっておかないと、今後、日本のいろいろな産業の発展というものがいろいろな意味でマイナスになる可能性があると思うんです。ですから、これは惜しまずに予算をつけるべきだというふうに思っています。

 この予算に対する我々の提言は、割と事細かに書かせていただいております。これは総務省だけのことじゃないという予算になっていますけれども、これはまた本当は内閣委員会へ行ってやればいいんだと思いますが、省庁横断なんですよね。また、この分野を唯一わかっておられそうなのが川端大臣だけでございますので、あえてお願いをさせていただきますが、要するに、こういう問題はぜひ再検討いただいて、本当に今の予算でいいのか、本当に日本の安全保障上の問題はこういう今の取り組みで十分なのかということをお考えいただきたいなというふうに思っています。

 そこで、今いろいろな問題が起きている中で、きょうですか、各紙にグーグルのプライバシーポリシーが話題になっています。この問題は非常に大きいですよね。考えてみると、私も、Gメールもユーチューブもグーグルプラスもカレンダーも、全部使っています。ということは、もう丸裸にされているに等しいような状況になるんです。

 今のところ、政府は二十九日に申し入れをされたんですかね、新聞報道しか私は見ていないんですが、文書で要請したということでございますが、その点について大臣から御説明を願いたいと思います。

川端国務大臣 三月一日ですから、きょう付で、世界じゅうのグーグル利用者に対して、グーグルのプライバシーポリシーで、グーグルにかかわる、今お触れになりましたGメールとかカレンダーとかを含めて、全てを同じ一本のプライバシーポリシーで取り扱う、そして、そのいろいろな情報は、そのソフト内を含めて共有し、いろいろな情報提供も行うというふうな方針が出されたということで、アメリカ、ヨーロッパを含めた各国、いろいろな機関を含めて、懸念の意が表明されていることがあります。

 そういういろいろな懸念の中で、総務省としても、あるいは政府としても、どういう問題が起こり得るのか、そして、それは例えば個人情報保護法とかいういろいろな法制上も何か問題があるのか等々を検討してまいりました。時間が、きょうもう始まってしまうというふうな切迫した事態の中で、きのう時点で、明確にこのことが法律に抵触する、あるいは抵触するおそれがあるというふうなことまでには至りませんでしたが、注意はしっかり喚起をしなければいけないということを含めまして、一つは、当然のことでありますが、個人情報保護法などを遵守して、利用者にわかりやすい説明をするようにということを主題としたことの要請と、それから、三月一日、きょうから導入した後も、利用者からの懸念や要望に応じて追加的な説明や必要な措置など柔軟な対応をとるように、注意喚起というものを書いた文書を経済産業省と総務省の名前でグーグルの日本関係法人に発出したところでございます。

 まさにきょうからどういうことが起こるかというのはまだわかりませんので、政府としては引き続き、法に触れることのない、そしてみんなの安全が、しっかり個人情報が守られるという方針のもとに、この問題に関してはしっかりと注意をし、注視をしてまいりたいと思っております。

平井委員 この問題が、結局、経済産業省、総務省、消費者庁にまたがるから、なかなか調整がつかなかったというようなことも新聞では報道されていますが、本来、これは消費者庁がもっと前面に出てやらなきゃいけない問題だと思います。

 きょうから何が起きるかといっても、これは裏で起きることですから、わからないわけですよ。知らない間に自分の好みのような広告がいろいろなところから自分に寄せられたり、そんなことになる。ターゲットマーケティングはもう既にやられていますからね。いや、それはそれでいいんですが、これはもう限度を超えてしまいますよ。どんどこどんどこいく。

 そこで、大臣に提案なんですが、これは文書で要請したというのでは不十分だと思うので、総務省として、政府としてでも結構です、調査とかそういう対応にもう一歩乗り出していただきたいんですが、いかがですか。

川端国務大臣 限られた時間、三月一日という時間の中で検討を進めてまいりましたが、関係府省もございますので、いま一度、こういう動き出したことを踏まえて、万全を期すためにどういうことをやるべきなのか、できるのかを含めては、しっかりと前向きに議論してまいりたいというふうに思っております。

平井委員 これは、議論すると同時に、やはり調査もしてくださいね。そうじゃないと、結局、本当に現状で何が起ころうとしているかということがわからない。EUとかアメリカも、やはりいろいろなところで懸念が発表されていますが、法律に触れる、触れないというような問題等々だけじゃなくて、これはもう本当に我々の生活が大きく変わりかねない問題ですので、十分に研究していただきたいな、そのように思っているところであります。

 セキュリティーの問題の中で今の質問をさせていただいたんですけれども、共通番号を導入するということになりますと、このセキュリティーというもの、これはいろいろな団体とか方々から懸念が表明されています。大丈夫なのかということなんです。

 共通番号制を導入するということになると自治体側のセキュリティーレベルというものが非常に重要になってくるんですが、今までは、自治体に対してセキュリティーガイドラインを総務省がおつくりになっていたということですね。それに対応して各自治体は自主的にいろいろなことをつくっていかなきゃいけないということだったんですが、それで十分だとお考えですか。

川端国務大臣 今回、番号制度を導入するに当たりましては、各自治体は個人番号を付番するなどの重要な役割を果たすことになりますから、各自治体のセキュリティーレベルの確保が大変重要であることは御指摘のとおりであります。

 今まで、番号制度の基盤になる住民基本台帳ネットワークシステムにおいては、職員に刑罰が加重された守秘義務を課す制度的な措置と同時に、操作者用ICカードにより、操作者は限定、操作結果、操作ログは保存などシステム上の措置と同時に、市町村に対しても、チェックリストによる自己点検、外部監査法人によるシステム運営監査を実施するという多方面からのチェックと制度でセキュリティーの確保で、九年間にわたり安定的に運用をされてきたところでございます。

 番号制度導入に当たっては、番号利用法において守秘義務違反の刑罰をさらに加重するなどの制度的な措置をとるということと同時に、今のシステムよりははるかに高度なセキュリティーが求められているという観点から、新システムの構築に関しては、最新のセキュリティー技術も参考にして、住基ネット全体のセキュリティー設計を再度やり直すことにしておりまして、国民からの信頼に応えられるような自治体のセキュリティー確保に引き続き努めてまいりたいと思っております。

平井委員 結局、最終的にはそれぞれの自治体がそういうリスクを意識してちゃんと取り組まなきゃいけないということで、法律だけでもだめ、技術だけでもだめ、これは全体的な取り組みが必要なんですね。そういうことになってきますと、今度は投資のコストが半端なくセキュリティーにまたかかっていくということにもなるんです。このあたりのところをうまくやらないと、これは絶対途中でおかしくなってしまうんですね。

 この問題は、共通番号制度が振られるということが決まってからの話になるので、きょうはこのぐらいにとめておきますが、相当大きな問題としてこれから顕在化してくるというふうに思います。

 それでは、スマートフォンについてちょっとお聞きをしたいと思いますが、まず、大臣はスマートフォンをお持ちですか。

川端国務大臣 アイフォンとアンドロイドと、二台持っております。

平井委員 それは私と一緒です。私も持っていますが、総務大臣の認識として、スマートフォンは電話だと思いますか、コンピューターだと思いますか。

川端国務大臣 使い分けをしておりますが、機能的には、多分、電話よりはコンピューターの機能の方がたくさん使っていると思っております。

平井委員 つまり、スマートフォンというのは電話ではなくてコンピューターであり、コンピューターを持ち歩いているんだということだと私自身は思っているんですが、大臣、いかがですか。

川端国務大臣 電話も使わないことはないのですが、先ほど申し上げましたように、機能的に使っている機能は、実際、いわゆるモバイルパソコンを小型にしている機能をほとんど私は利用しております。

平井委員 最近、スマートフォンのいろいろな障害が起きているんですが、その原因は何だとお考えですか。

川端国務大臣 いわゆるセキュリティー上、普通のパソコンは、当初はそうでもなかったんですが、最近はウイルス対策ソフトは必ず入れてやっている状況であります。スマホに関しては、まだそういう部分が少し立ちおくれたかなという部分と同時に、これはアンドロイドの特徴だと思いますが、アイフォンと違って、自由にアプリをどこからでも誰からも入手できるということで、ウイルスのチェックが逆に利便性の中で甘いということでの、要するに、ウイルスに対する対応が少しおくれているということだと思っております。

平井委員 要するに、トラフィックがふえていろいろなところで、トラフィックの問題も当然ありますよね、それと、さっき大臣がおっしゃったOSの問題等々があるということなんですが、結局、私は思うんですけれども、今回のスマホの障害は、単にトラフィックが急増したとかウイルス対策がどうだということよりも、コンピューターアーキテクチャーのリテラシーが総務省や通信会社からちょっと欠落しているのではないかというふうに思い始めたんです。

 よく考えると、全部電話時代につくったインフラなんですよ。従来のガラ携までは対応できたんですけれども、スマホ・イコール・コンピューターということになると、ちょっとそれでは十分ではなくなったということではないかと思います。そして、恐らく通信事業者さんの方でも、コンピューター技術者とかIPネットワーク技術者というのが十分確保されていないのではないか。要するに、単純に電話を売るという話ではもうなくなってきたので、そこらの問題が普及に追いついていっていないのではないかという問題意識を私は持っています。

 ですから、これは単に、今いろいろ会社で取り組まれているのはサーバーの処理速度の増強みたいなことばかりですけれども、それだけでは十分じゃないと私は思うんですが、いかがですか。

川端国務大臣 委員の御指摘は、極めて本質的な問題だというふうに思います。

 今までのいわゆるキャリア会社というのは、もともと一番初めは電電公社から始まったNTTが主力、ほかにも競争しておりますけれども、やはり電話であったことは間違いありません。

 それで、いわゆるiモードも含めて革新的な技術ということで世界に行っていたのに、ふと気がついたらガラ携になっていたということが抱えている本質的な問題というのは、やはり、電波、通信という部分とマシンというものとの部分が、やっている会社にとって技術的なギャップというか、人材も含めた部分で違う世界に、技術がどんどん拡大をしていっているときに、通信会社がそういうマシンに関しては完全に外注化するという世界を持っていたということで、実は、それが単なる電波の確保ではなくて、通信のトラフィックを含めた部分に、非常に大きな技術的要素であるということにやはり若干立ちおくれているという構造的な問題を持っているんだというふうに私もかねがね思っております。

平井委員 そういう意味で、今回総務省さんのやられている行政指導の内容を私はホームページで見せていただいたんですけれども、これを見ると、極めて形式的だな。電気通信設備とか予備設備とか過負荷試験とか、これは電話時代の用語のオンパレードですよ。要するに、ぱっと見ると、よくわからぬけれどもちゃんとやれと書いたということだと思うんですね。それではもうだめなんだと思うんですよ。

 ここらあたりのところに、はっきり言って、これは総務省さんだけが所管する、コンピューターになっちゃうと経産省も関係してくるわけですよね。いつもこの間でおかしくなると思うんですけれども、いずれスマホがずっと普及すると、単に常時接続というパソコンと同じところまで行っちゃう可能性は当然あるでしょう。当然あると思うんです。そういうことを踏まえて、今のような行政指導では私は十分ではないと思うんですが、大臣、いかがですか。

川端国務大臣 今の行政指導の部分で、原因と対策ということを通常の切り口で考えると御指摘のような文章になるということは、そういうことであります。

 その部分で私も少し気になっておりまして、それぞれでトラブルを起こして、しっかりしなさいよというのは、責任を自覚してしっかりやるということで、もちろんそれは大事なことなのでありますけれども、急遽、全部の通信事業者、そしてそういう周辺の機器を含めた部分に関係する人たちに集まっていただきまして、事故例の報告と同時に、それを分析し、事故の情報の共有とそれに基づいた部分の総点検をするようにという指示をし、これからの部分の情報共有をしていただくことにいたしました。

 とはいえ、今御指摘のように、限られた世界であることは事実でありますので、今の御指摘は大変貴重な御提言として我々もひとつしっかり念頭に置いて、これからの議論にさせていただきたいというふうに思います。

平井委員 このスマートフォンのOSが、結局、アップルとかグーグルに独占されちゃっているわけですよね。そして、通信障害が起きる。国家利益の観点とか国民の情報保護の観点とあわせて考えると、これは何か考えなきゃまずくありませんか、大臣。このままではまずいなと私は直観的に思うんですけれども、国民の情報を守るとか国家の利益と考えたときに、ここは次にどうするかということを検討しなきゃいけないと思うんですが、大臣、いかがですか。

川端国務大臣 おっしゃるとおり、相当根幹的に深刻な問題を抱えておりまして、先般来のスマホ急増に伴うトラフィックの急増というのが、実際に操作して使っていないけれどもアプリがしょっちゅう信号を発しているということで、膨大な通信量が発生している。これを制御するのにどういう方法があるかというと、日本だけで独自に何もできないということでありまして、そしてアプリの製作者に対してといっても、これはある種フリーでありますから、アンドロイドでどこでも誰でも何でも手に入るということでいうと、実はこれは世界じゅうがこの問題に対しては議論をしようということで今動き出しました。

 そういう部分では、一国で云々ではなくて、世界で共通して動くということでないといけないのと同時に、OSは日本は持っていない、もう席巻されてしまっているということでは、大変根幹的に大きな問題を抱えていることは事実であります。

 これは、日本がそういう部分で、先ほど、情報セキュリティーで先端に立つべきだ、研究開発投資をしっかりしろという御指摘もありましたけれども、そういう方向と同時に、世界がいかに連携できるかという両方と、それから、国際標準競争においてもやはり日本は非常におくれてしまっているという部分も、せっかくいろいろな技術があるという部分も含めて、多方面でしっかりと取り組むように、私も知恵を出していきたいというふうに思っております。

平井委員 大臣がスマホを二台お持ちだと。私も持っています。

 考えてみると、政府機関関係者がスマートフォンを持つ、もしくは使用する場合に、何らかのガイドラインみたいなものはあるんですか。

川端国務大臣 個人で持つ場合に、一般的に、ウイルスソフトを入れろとかいうことや、あるいは情報の管理で、個人のパソコンに入れてはいけないという部分が同じようにスマホにも適用されるということは当然でありますけれども、スマホに関してだけ特別にということは多分ないというふうに思っております。

平井委員 さっきからスマホがパソコンだという議論をずっとしていますけれども、パソコンの持ち込み、持ち出し禁止というのはあるんですよね。スマホ・イコール・パソコンだと、それは自由だということですよね。

 結局、官僚も狙われることはある、大臣も狙われることはある、まあ私は狙われることは余りないと思いますが、そう考えると、これは別にスマホの営業妨害をする気はありませんが、やはりその使い方に関して何らかの一つの方針がないとまずいのではないかなと思うんですが、それは今は全くないということですか。

川端国務大臣 スマホのセキュリティーに関してどうあるべきかということは、政府の中でもいろいろと議論をしていただいております。これは、政府の関係者がという意味だけで決めているものはないというふうに申し上げました。

 一般的には、スマホの情報セキュリティー三カ条ということで、一般の人に使用してもらうときには、OSは必ず新しいものに更新してくださいとか、ウイルス対策ソフトの利用はしていますかとか、アプリケーションの利用には注意してくださいということで、お店で売っていただくときも、それからネットやいろいろな広報においても、そういうセキュリティー対策はしっかりやってくださいという意味ではやっていますけれども、私や政府の関係者が持っているときに、それに関してスマホ特別のことを新たに条件をつけていることはないという意味で申し上げました。

平井委員 衆議院のパソコン、参議院のパソコン等々狙われましたけれども、次に狙われるのはスマホかもわからぬですから、そう考えると、スマホの中に入れる情報というものを自分たちである程度コントロールしなきゃいけないですね。私みたいに、交遊録からスケジュールまで全部入れていると、もう丸裸になるわけですから。

 だから、そういうことを考えると、今すぐに何ができるかという観点でいうと、やはり注意事項みたいなものをもう一回促される。利用者、特に、政府関係者でも新しいものが好きでスマホを持たれている方はたくさんいらっしゃると思います。その使い方で、こういう使い方だけはやはりまずいよみたいなものをどこかで用意する必要があると思うんですが、いかがですか。

川端国務大臣 御指摘のように、スマホになりますと、添付ファイルつきのメールは幾らでも送れて、幾らでも見られるという部分では、情報が狙われると、そこに入っていれば大変危険であるということは御指摘のとおりでありますが、政府の対応がその部分ではきちっとできていないのも事実だと思います。

 パソコンに関して、プライベートのパソコンに情報は載せてはいけないし、当然ながら役所のパソコンは持ち出ししてはいけないという部分では一定の基準、管理をしておりますけれども、先ほど来の御議論の中での、これはパソコンと同じだという意味での、改めて一度整理をして、きちっとなるように前向きに整理を督促して、やりたいというふうに思います。

平井委員 私も書類とかそういうものを全部クラウドの中で管理しているので、ある意味では同じでしょう。これは非常に怖いですね、便利だけれども。そこらあたりの一つのセキュリティーガイドラインみたいなものが、自主的に取り組むガイドラインみたいなものがないと、何か起きてからではかえってまずいのかなということですので、お取り組みいただけるということですから、それは期待をさせていただきたいというふうに思います。

 WiFiを使ったモバイルのデータオフロード、WiFiを使ってモバイルを使いやすくするというようなことをどんどん進めていっていますね。これに関しても、今はもう全部事業者任せですよ。やるなら勝手にどうぞということですが、電波の逼迫とかセキュリティーの問題等々を考えたときに、それでいいのかな。これも最近私は思い始めたんですが、大臣はどのように思われますか。

川端国務大臣 先ほど来のスマホのウイルス対策も、このWiFiが別世界の管理になるということもあります。

 そういう意味では、ある種、それこそ、今度は何メガヘルツを割り当てるんだというのはいつも関心になりますが、WiFiの世界はちょっとすぽっと視野から抜けるというて、電話業者でない世界みたいなものが入りますのでということでは、ウイルス対策のときも含めて、WiFiのことはしっかりケアしないといけないという問題意識は持っておりますが、体系的にきちっとできているかというと、ちょっと脆弱な部分があるのではないかという御指摘は、私はそのとおりの部分もなきにしもあらずだというふうに思いますので、これも我々としても検討している課題の一つでございます。

平井委員 つまり、日本はやはりモバイル先進国としてやっていくんだぞという方向がもう決まっている以上、ここは国が乗り出していかないと、事業者任せのまあ出来高では、後でとんでもないことになると思います。

 これは電波の逼迫の問題等々も含めて考えると、WiFiのデータオフロードというんですか、そういう問題にもっと関心を持っていただいて、総務省として何ができるかということについて御検討をいただけますか。

川端国務大臣 一度検討させていただきます。

平井委員 ありがとうございます。

 あと五分と言われてしまうと困るんですが、自治体クラウドの話をしますか。自治体クラウドというのが、本当にある意味で地域の活性化とかそういうものにつながっていくかということなんです。

 情報システムの整備にクラウドサービスを活用しようという方向が決まって、いろいろな公共団体がふえてきたというのは当然のことだと思います。それはなぜかというと、価格がこれまでに比べてずっと安いですよね。それと、ある意味では非常に便利だ。

 しかし、クラウドにもいろいろなクラウドがあるんです。さっき言っていた、グーグルとかセールスフォースとかマイクロソフトみたいなグローバルな企業が提供するクラウド、これはオープンクラウドというんですね。それと、一方で、公共団体とかそういうところが使う共同アウトソーシングの仕組みをつくるというようなケースはプライベートクラウドということになろうかと思います。

 私、これは前の委員会でも指摘をさせていただいたんですけれども、特定事業者による自治体の囲い込みがやはりどうしても起きてしまうんですね。単独の事業者が包括的に受注して競争が阻害されるということがあるのと、結局、私が問題だなと思うのは、地域の中小事業者とか新興のベンチャーが排除されてしまうケースがあるのではないか、そういう危険性が否定できないと思っているんですよ。

 こういうのは、最初の導入コストは安いけれども、だんだん依存して、後でだんだん高くなるというケース、これはずっといろいろなところでみんな経験しているんですよ。だけれども、やはり安いものに飛びついちゃうということで、そう考えると、このあたりのクラウドの仕切りをされるのは総務省だと思うんです、自治体クラウドという意味で。そういうようなクラウドの進め方は、地域任せではなくて、総務省がある程度グリップしていかないとやはりだめだと私は思うんですが、いかがですか。

川端国務大臣 基本的には、行政府、政府においても、クラウド化というのは当然大変重要なポイントであります。そういう部分と、今度は地方自治体のクラウド、その地方自治体間の、一定のグループでやるというのが大体前提でありますから、というものができるだけ統一のプラットホームに集結できるというのが望ましいことは、私は当然そうだと思います。

 そして、今御指摘のように、クラウドよりもっと前の、いわゆる電子化というんですか、ICT化においても、御指摘のようなことばかり今まで起こってきたわけですね。どこかのシステムを入れると、それがずっと続いていく、よそのシステムとは互換性がなくて、また新たにしようと思ったら莫大な金がかかるというふうなことがありました。

 そういう部分で、地域の課題が環境を同じくするような自治体ができるだけ共同でやっていただきたいということまでが今我々がお手伝いしている方向でありまして、全部が大体同じようにということが、システムが違いますので、これは問題意識を持ちながら、広めていくときの課題の一つだというふうに思っていますが、今、具体的にここまで国としてやるということまでちょっとまだ踏み込めていないのが現状でございます。

平井委員 これは提案なんですけれども、やはり国内ソフトウエア産業の振興というのも頭の隅に置いておかなきゃいけないと思うんです。わかりました、プラットホームをつくるのは大手事業者でいいと。しかしながら、そこで動くソフトウエアを中小企業、地域の企業がつくったものでも登録できるようなシステムというのは非常に喜ばれるのではないかと思うんですが、そういうことを推進されるようなお考えはありませんか。

川端国務大臣 まさに今、自治体クラウドが動き出したところでありますので、まだまだフレキシブルなことでありますので、大変貴重な御提言として、我々もまた議論の対象にさせていただきたいと思っております。

平井委員 残念ながら時間が終わってしまいましたけれども、きょうはたくさんの問題意識を共有できたなというふうに思っております。あとは、やってください。一つずつ実行に移していただきたいと思います。

 大臣の御健闘をお祈り申し上げまして、質問を終わります。

原口委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 川端大臣におかれましては、さきの大臣所信の中で、地方に対しての支援の政治姿勢を、あの所信の中でも何点かお話をされたのかなと思っています。それで、特に地方交付税についても、大臣は、「地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額を適切に確保する」、このように表明をされました。それから、後ほどまた伺いますけれども、地方税制改正についても、数点の改正の、重点化、見直しを図る、こういうことでお話をされました。

 きょうはまずそこから伺っていきたいと思うんですけれども、もう少し具体的にはどうなっているのか、そこを少し質疑を通して明らかにさせていただきたいと思っています。

 まず、平成二十四年度の地方財政計画について、歳出の規模と内容について伺っていきたいと思うんですけれども、ここでは特に平成二十四年度の地方財政計画、中でも給与関係経費とそれから公債費について、これに特化して伺っておきたいと思うんです。

 給与関係経費の退職手当以外については、集中改革プランなどの動きも受けまして、毎年度三千億円を超える圧縮が続いてまいりましたが、二十四年度も二千八百億円程度の減少となっているわけです。財務省主計局の平成二十四年度公務員人件費、政府案では、地方公務員に関して定員の純減などの取り組みを推進していく、このようにされておりまして、人事委員会勧告や定員の純減等に伴う圧縮が前年度比でマイナス二千九百三十四億円、このように反映をされている、こう承知しています。

 それから、公債費についてなんですけれども、決算等を踏まえた積算方法の見直しなどによる公債費の減を適切に反映いたしまして、前年度比でマイナス一千六百三十三億円、減少している、このように説明があったわけなんです。

 地方財政計画ベースの地方債の平均償還期間というのを見ますと、残高と償還額から推計しますと、近年では大体平均十三年程度。ただ、自治体の平均ではそれよりも長期であるということが見受けられるわけです。

 少し説明がくどくなりましたけれども、このように、地方の財政計画では、今後、人件費やそれから公債費は圧縮されていくということが考えられるわけですけれども、個別の団体においては、人件費あるいは公債費、そのピークがまだ少し先のように設定されている場合も実は散見される、こう承知しています。

 実際に、これらのピークの時期というのが平成二十年代の後半に来るという団体が幾つかある、こう予想される中で、地方財政計画の動きと個別団体の動きがここでそごを来すんじゃないだろうか、そこで財政運営が厳しくなる懸念があるのではないかな、こういう声もあるわけなんですけれども、この点についてどのような御見解をお持ちなのか、まず伺っておきたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 御案内のとおり、地方財政計画は、地方財政の規模や収支見通しを全体として捉えたものでありまして、個々の地方公共団体における経費の動向とは必ずしも一致しない場合もあると考えられております。

 そのため、普通交付税の算定を通じて、例えばでありますが、人件費については小中学校の教職員数に応じて需要額の算定を行っていること、公債費につきましては地方債の元利償還金に応じて需要額を算定していることなどによりまして、個々の地方公共団体の財政運営に支障が生じることがないよう努めているところでございます。

 いずれにせよ、各地方公共団体においては、地方財政計画を見据え、中長期的な視点も踏まえつつ、計画的な財政運営を行っていくことが肝要だと考えております。

稲津委員 そこで、この地方財政計画の歳出の動向ということを見たときに、自治体の財政運営のタイトさというか、これは最もよく連動するのは、一般行政経費単独分及びそれと実質的に同じ性格を持つ、平成二十四年度でいうといわゆる地域経済基盤強化・雇用等対策費、これに当たるものだ。これらを合算した額の動き、これが伸びるときには予算編成にはそう困らないんですけれども、逆に圧縮されていくと大変厳しくなる、これは自明だと思うんです。

 そこで、もう一点伺いたいのは、平成二十四年度はそれらの動きについては前年度並みになる、このように見ております。ただ、前年度までは経済対策の事業が繰越分も含めて実施できたわけですけれども、二十四年度については、それらが見込めない中で、各自治体においては予算の編成に大変苦労している、こういう指摘もございます。この点に対する見解もお伺いしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 ちょっと長くなりますけれども、お許しをいただきたいと思います。

 平成二十四年度の地方財政計画においては、被災団体が東日本大震災からの復旧復興事業に着実に取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方団体の財政運営に影響を及ぼすことがないよう、通常収支分と東日本大震災分を区分して整理をすることとしたところでございます。

 通常収支分の地方単独事業費については、国の歳出と基調を合わせつつ、投資的経費や社会保障関係費の自然増分も含む一般行政費の所要額を確保しているところでございます。

 また、東日本大震災の地方単独事業費については、復旧復興事業分として二千二百億円を確保するなどのほか、全国的に緊急に実施する防災・減災事業についても千四百億円を確保しているところでございます。

 このように、平成二十四年度の地方財政計画においては、通常収支分、東日本大震災分ともに所要の地方単独事業費を適切に計上しているところでございます。

 なお、平成二十年度から二十二年度までにおいては、経済対策を目的として補正予算が編成されたことから、二十三年度はその繰越分により一定の事業費が確保されましたが、平成二十三年度においては、東日本大震災からの復旧復興が最優先の課題であるとの認識のもと補正予算の編成等を行ってきたことから、被災団体以外の団体においては、御指摘のように、平成二十四年度は繰越分が活用できないという指摘があることは認識をいたしております。

 一方、地方財政計画は、繰り越し等の前年度からの要因を勘案せずに、翌年度に新たに実施される事業に見合った財源を確保する観点から策定されるものでございます。したがって、地方財政計画の事業費の計上に際して繰越分を勘案するものではありませんが、通常収支分の地方単独事業費の確保にあわせて、東日本大震災分として全国的に緊急に実施する防災・減災事業も新たに計上しているところであり、それぞれの団体においては、これらの措置を十分に活用して対処していただきたいと考えております。

稲津委員 今の答弁の最初の中では、所要の額は確保したんだと。それから、昨年の震災を背景にして防災、減災等の予算も確保した、そういう御答弁でしたけれども、もう一方では、今この質問の中で私が申し上げましたように、いわゆる経済対策の予算というのが二十四年度はないんだということで、トータル、なべて考えてみると、地方においては予算編成がスムーズに楽にいけたという状況には決してないと私は思うんですね。ただ、今丁寧な御答弁をいただきましたけれども、それらのことをぜひきちんと地方に伝わるように、わかるようにしていただきたいな、このことを申し上げておきたいと思います。

 次の質問ですけれども、地方公共団体金融機構の金利変動準備金の活用の是非についてということでお伺いしておきたいと思います。

 今回の地方財政計画で目を引くのは、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用だということがまず言えると思います。この公庫債権金利変動準備金につきましては、地方公共団体の業務が円滑に遂行される、それから、公庫債権金利変動準備金が公営企業金融公庫の債権管理業務の円滑な運営に必要な額を上回る場合には、ちょっと難しい言い回しですけれども、当該金額を国庫に帰属させるもの、こうされております。

 これに基づいて、平成二十四年度は、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金のうち三千五百億円を財政投融資特別会計に帰属させた上で、交付税特別会計に繰り入れ、これを二十六年までの三カ年間で総額一兆円をめどにする、こう行うことというふうに承知をしております。

 この法律に対する平成十九年の衆議院の総務委員会における附帯決議には、途中飛ばしますけれども、「機構の財産が地方公共団体の寄与により形成された経緯を踏まえ、機構及び地方公共団体の意見を十分聴取して慎重に対処すること。」このようにされております。

 今回の措置というのがこの総務委員会の附帯決議に当たるのかどうかということ、それから、地方公共団体の意見をどのように聴取されたのかということ、この繰入額についても地方公共団体に了解を得た上で決めた額なのかどうか、この見解についてお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 三千五百億円を国庫に帰属させた上で地方財源不足額の補填に活用することにしたところでございますが、これは、御指摘のように、平成十九年の衆議院総務委員会における附帯決議に含まれるものでございます。

 したがいまして、このことを踏まえまして、昨年の十二月二十一日には、地方公共団体金融機構の理事長から、公庫債権金利変動準備金の国への帰属に対する意見ということで、このたびの公庫債権金利変動準備金の国への帰属については、中略いたしますが、計画的に行われるものであり、また、地方交付税の総額を確保するために活用されるものであることから、異議はありませんという回答を得ております。

 また、十二月二十二日に行われた、平成二十四年度の地方財政への対応についての総務大臣、財務大臣合意前の、極めてタイトな日程の中でありましたけれども、事前に事務方を通じて、機構は今御紹介いたしましたが、地方六団体の御意見も伺いまして、その金額についても御了解をいただきました。

 なお、これを踏まえて、最終的に地方六団体からは、平成二十四年度の地方財政への対応について、「地方が強く訴えてきた地方交付税の増額の要請に応え、地方交付税の別枠加算の確保など、財源の確保にできる限りの工夫がされたことを評価する。」との声明を六団体共同声明としていただいたところでございます。

稲津委員 地方六団体の了承もいただいた、それから別枠加算等についての配慮もしたということなんですけれども、果たして本当に、地方の声を十分に聞いて、そして地方の各団体それぞれが理解されているのかどうか。私は、これ以上このことについてはきょうは質問しませんけれども、決して十分とは言えないんじゃないだろうかな、実はそういう懸念もしております。

 したがいまして、先ほどの話も含めてですけれども、私は、総務省としては、やはりより地方に対して丁寧な説明をしておく必要があるんじゃないだろうかな、このことを意見させていただきます。

 次は、平成二十四年度の税制改正大綱における地方税の改正について、これも幾つか具体例を挙げながら聞かせていただきたいと思います。

 まず一つ目は、自動車取得税におけるエコカー減税の再編についてということで、絞って伺いたいと思います。

 昨年末の税制改正大綱をめぐる議論で政府・与党内で最大の焦点になったのが、これは御案内のとおり、自動車課税だというふうに認識をしております。民主党さんから出されていた要望の中で、自動車取得税、これは地方税、それから自動車重量税、国税、この廃止が議論になったんですけれども、結局はどうなったかというと、この両方の税の廃止を見送るかわりに、自動車重量税の減税を実施するとともにエコカー補助金を復活することになったわけなんですね。自動車重量税を一千五百億円減税して、燃費が極めていい車、ここは税金を半分にする、エコカー減税。車種も絞った上で三年間に限ってという話でした。

 私は、これは言い方が適切かどうかわかりませんけれども、どうも中途半端な税制改正になったんじゃないだろうかな、こういう感が否めないわけなんです。

 道路特定財源が廃止になりましたね。そして、一般財源化された車体の課税というのは、現状のままでは課税根拠に非常に乏しい、こう思うわけなんです。消費税との二重課税じゃないか、こういうような指摘もある中で、私は、自動車取得税などの自動車関係の諸税については簡素化をしていく、それから、グリーン化とか負担の軽減とか、いろいろな言い方があると思うんですけれども、いずれにしても、取得、保有、走行、この各段階における複数課税の見直しを、もうこの辺に来て、しっかりやっていく時期に来ているんじゃないだろうかなと。それゆえに政府・与党内でもさまざまな議論があった、こう認識しているわけなんです。

 取得時の課税である自動車取得税を廃止した上で、自動車重量税と自動車税を統合して軽減を図って、さらには、地方への一定の配慮をするという意味から考えていくと、思い切って地方へ税源移譲したらどうか、こういう考えもあるかなと思うんですが、どうでしょうか。

川端国務大臣 自動車取得税のあり方、あるいは自動車重量税と自動車税の統合等、車体課税の抜本的な見直しに当たっては、地球温暖化対策の観点や国及び地方の財政状況を踏まえて、国、地方間の税源配分、自動車関係税全般の再編を図る中で検討が必要であるという認識は、委員御指摘の部分は共有するものでございます。

 このために、平成二十四年度税制改正大綱では、当面、エコカー減税の継続等を図ることとしつつ、車体課税全般について、与党の重点要望に沿って国、地方を通じた関連税制のあり方の見直しを行って、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ見直しを行うこととしております。

 今後、大綱で示された方針に沿いまして、御指摘の地方税財源の確保という観点も踏まえながら、関係省庁間で検討、協議を進めてまいりたいと思いますが、自動車重量税、国税と、自動車税、地方税はともに保有課税であり、総務省が平成二十二年十一月に提唱した環境自動車税、仮称の構想においても、車体課税の簡素化の観点から、両税の統合を提案したこともございます。

 今後、車体課税の抜本的な見直しを行う際には、御提案の両税の統合も含めて検討してまいりたいと思います。

稲津委員 これもぜひ、これから国会の中でもさまざまな議論をしていくタイミングがあると思いますので、そこでさらにさまざまな御意見をいただきながら、私の意見も述べさせていただきたいと思います。

 もう一つ、わがまち特例についても伺っておきたいと思うんですけれども、わがまち特例は、地方税の特例措置について、国が一律に定めていた内容を地方自治体が自主的に判断ができる、条例で決定することができる、このような仕組みだというふうに承知していますけれども、平成二十四年度の税制改正では、固定資産税の課税標準の特例措置、これは二件ですね、自治体が課税標準の軽減程度を、法律で定める上限、下限の範囲において条例で決定できる、こういうふうにされた。

 それで、まず、このわがまち特例の導入を行うに至った経緯についてお伺いしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘のように、二十四年度二件ということで、まだ本当にスタートしたばかりというか、するばかりというところでございますが、平成二十三年度税制改正大綱において、税制上の特例措置について、各地方自治体が自主的判断に基づいて条例において決定できる仕組みの創設を検討するとされたところでございます。

 これを受けまして、総務省の自主・自立税制研究会において、平成二十三年秋には、従来国が一律に定めていた特例措置の内容を地方自治体が自主的に判断し、条例で決定できるようにする地域決定型地方税制特例措置、いわゆるわがまち特例を導入すべきとの提言がなされたところでございます。

 わがまち特例は、地方自治体の自主性、自立性を一層高めるとともに、税制を通じて、これまで以上に地方自治体が地域の実情に対応した政策を展開できるようにするものであり、税制調査会における議論を経て、平成二十四年度税制改正において導入することとしたものでございます。

 これからさらに拡大できるように頑張ってまいりたいと思っています。

稲津委員 端的に聞きます。

 まず、今回この二件がなぜ選ばれたのか。それからまた、もう一方でいうと、たった二件にとどまったというのは一体どういう理由だったのか。この点について明確にお答えいただきたいと思います。

福田大臣政務官 正直なところ、なかなか難しかったというのが実態だと思います。

 これから地方自治体の皆さんにも知恵を絞っていただいて、我々も知恵を絞りながら、これがさらに充実できるようにしていきたいと思っています。

原口委員長 二件が選ばれた理由。

福田大臣政務官 これについては、やはり理解が得やすかったというのが一番大きな理由だと思いますけれども、雨水貯留浸透施設については、対象となる施設の整備の必要性が、開発状況や浸水被害防止対策への逼迫度等により市町村で異なっていること、また、公害防止用の下水道除害施設については、対象となる除害施設の種類、規模や対象事業者の業種、規模が市町村によりさまざまであることを踏まえ、この点が、わがまち特例で独自性を発揮できるということで、非常に理解が得やすいということで決まったもの、このように承知しております。

稲津委員 何か答弁になっていないというふうに思うんですね。

 要するに、たった二件にとどまったという理由と、それから、なぜこの二件が選ばれたのかということ。

 今お伺いしますと、非常に苦慮したとか、残念だったというような印象の言葉をいただきましたけれども、要するに、わがまち特例というものをどう認識して、そして、これからどう展開していくのか、そういうことが総務省の中で余り議論されていないんじゃないだろうか、あるいは、そういう姿勢がないんじゃないだろうか、こういうことが、今の答弁を聞いておりますと、強くにじんで出てくるような気がいたします。

 だから、地方にはなるべく権限を譲ってはいけないんだみたいな、そんなことがあってはやはり時代に逆行すると思うんですよ。むしろ、もう一回このわがまち特例というものの制度設計の趣旨にのっとって、これをさらに展開していくぐらいの、そういう姿勢を私は強く望んでおきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきますけれども、きょうは厚生労働省さんにも来ていただいているので、ぜひ、僻地医療の医師確保対策ということで、ジャンルがまたがらりと変わりますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目は、僻地医療の医師確保対策について、国として、その責務と、それから、具体的な取り組みがどうなっているのか、この点についてお伺いしたいと思うんです。

 ちょっと前もって簡潔に申し上げますけれども、これは、ある一般紙に載せられた、北海道の医師不足の傾向が拡大しているという記事なんです。要するに、医師の偏在とか格差みたいなものがあるということ以上に、実は、必要な医師数が実際の医師の数の何倍かということを示す倍率で比較すると、地方に行けば行くほど、どんどんこの格差が顕著になっていて、言うならば、医師が不足しているがゆえに今度は勤務状況が悪くなっていって、そしてさらに医師不足を招く、そういうスパイラルに行ってしまっている、そういうことが新聞記事で報道されておりました。

 きょうはこういったことを踏まえた上での質問になるんですけれども、国としての責務と取り組みについてお示しいただきたいと思います。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域医療についての御質問をいただきました。

 僻地におきます医療の確保というのは大変切実な問題かと思っております。国といたしましては、都道府県単位で、へき地医療支援機構という窓口的な組織を設置していただいております。こちらを通じまして、都道府県内の医師の派遣でございますとか、医師も交代で診療いたしますので、代診のお医者さんの派遣といったことを企画したり、調整していただいているということでございます。

 それから、平成二十三年から、へき地保健医療計画という新しい第十一次の計画が策定されておりますので、都道府県で定めていただいておるわけでございますけれども、その中で、ドクタープール機能、一定のお医者さんを確保しておこうということでございますけれども、あるいは、キャリアパスの構築のために、僻地に勤務しているお医者さんについてもキャリアパスを構築していただきやすいようにといったような取り組みをしていただいているところでございます。

 国といたしましても、引き続き、各都道府県の取り組みをできる限り支援申し上げるということで、僻地における医療の確保に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 そこで、今お話のあったへき地医療支援機構の取り組みの中で、へき地医療拠点病院運営事業がありますね。この取り組みについて少し伺っておきたいと思うんです。

 私のいる北海道でも僻地医療の拠点病院の数が十九病院ありまして、この事業は、申請に基づいて国が一部を補助するということで、そこまでは私も承知しているんですけれども、この運営事業が具体的にどういう取り組みになっているのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御質問いただきました、へき地医療拠点病院運営事業というのがございます。全国で二百八十カ所指定をされておるのが僻地医療拠点病院でございますけれども、こちらは、僻地における医療の確保ということで、非常に重要な役割を果たしていただいております。

 やや具体的に申し上げますと、お医者さんのいない地区等を対象といたしまして巡回診療をしていただくとか、あるいは、その拠点病院のさらに下にというか、現場におきまして僻地診療所というのがございますけれども、そちらの診療所に対しまして、先ほど申し上げましたような、かわりのお医者さんを派遣するとか、それから、僻地に勤務をしていただきますお医者さんを育てる教育についても、拠点病院の方で実施をしていただいているということでございます。

 私どもといたしましては、へき地医療拠点病院運営事業という名前でございますけれども、こちらの病院につきまして運営費の補助を差し上げているところでございます。平成二十四年度の予算案におきましては、約四億五千万円という額になっているわけでございます。

 こちらに限らず、引き続き、地域の医療あるいは僻地医療の拠点病院の運営支援ということについては、私どもとしても取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

稲津委員 きょうは厚生労働省の方に説明をいただきましたけれども、ありがとうございました。

 きょうは、私もそうですけれども、いらっしゃる議員の皆さんにも、おそらく地方でこの医師不足の問題で非常に悩んでいる方も大勢いらっしゃるし、いろいろな御要望も地元からいただいていると思うんですね。

 このへき地医療拠点病院運営事業なんですけれども、私は、いい事業だなと思うんですが、果たしてどの程度僻地の医師不足の解消に役立っているのかどうか、ちょっとこれが具体的に見えないんです。それから、予算がどうして対前年度から比べて少し減ってしまっているのか、むしろ拡充すべき予算じゃなかったんだろうかな、こう思うわけですね。

 きょうはこの程度にさせていただきますけれども、せっかく来ていらっしゃるのでもう一つだけ意見を言わせていただきます。

 臨床研修医の制度の問題についても、これは当然言われていると思うんですけれども、ここも、研修の中身について、例えば内科とか救急については、大体原則六カ月あるいは三カ月以上の研修になっているんですけれども、地域医療については、これは研修医の二年目に当たりますけれども、原則一カ月以上ということで、極端に少ないです。こういうような状況の中で、果たして僻地の医師不足解消に具体的に取り組んでいく成果が出てくるかどうかというのは、ちょっとなかなかすっきりこないんですね。

 きょうは、ここの点を明らかにするということだけで終わらせていただきますけれども、しっかりまた対応をお願いしたいと思っております。

 どうぞ、きょうはこの程度で結構ですので。

 そこで、今度は総務大臣初め皆様にお伺いしたいと思うんですけれども、この僻地医療の問題もそうですけれども、自治体病院の経営改善について伺いたいと思います。

 自治体病院の事業会計において、不良債務の状況と特例債発行の状況について説明をいただきたいと思うんです。

 私、きょう、手元に平成二十年一月十五日の総務委員会の会議録を持ってまいりました。実はこのときの総務委員会というのは、非常に大事な委員会だったと思います。

 ここの中で、私どもの公明党の当時桝屋議員が質問しているんですけれども、それに対して、政府参考人の方から、近年の医師不足によって経営状況が急速に悪化している地方公共団体が多数あると。平成十五年度以降急増した不良債務の計画的な解消を図ることができますように、平成二十年度に限って、公立病院特例債、一時借入金を長期債務に振りかえるということでございまして、六百億円を予定しております、こういうことで、実は、ここで具体的にこの病院特例債というものがいよいよ実施されるということになってまいりました。それが今現在に至っているわけですけれども、状況はどうなっているのか。この点をまずお伺いしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 公立病院の不良債務につきましては、平成十九年度に千百八十六億円であったものが、先生御指摘のとおり、平成二十二年度は三百七億円まで縮減をいたしております。この大幅な縮減の要因の一つとして、平成二十年度に限り認められた公立病院特例債を五十二団体が約五百七十三億円発行し、不良債務を長期債務に振りかえたことが挙げられます。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 経営改善の状況というのが、今の御答弁、説明、数字の中でも明らかにされたんではないかと思っています。

 では一方で、もう一つの、先ほどの話にまた戻りますけれども、例えば離島とか山間僻地の自治体病院の経営状況はどうなのかということなんですけれども、この経営支援に向けた交付税の措置というのはどうなっているのか、この点についてもお伺いしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 山間僻地、離島などの地域においては、民間医療機関の立地が困難な中で、公立病院が地域医療の確保に極めて重要な役割を果たしているものと認識をいたしております。

 総務省としては、山間僻地、離島など、いわゆる不採算地区の病院の運営に要する経費、僻地への応援医師の派遣に要する経費などについて地方交付税措置を行い、積極的に支援をいたしているところでございます。

稲津委員 離島、山間僻地というのは、もとより医師あるいは看護師等の確保に非常に苦労している。それは、先ほどの厚労省さんへの質問そして説明の中でも少し明らかにさせていただきましたけれども、要するに、離島や僻地に行けば行くほどさらに深刻な状況になっているということですね。

 したがって、そういう離島、山間僻地においては、医師確保のために、さらに医師招聘費をふやしていくとか、あるいは運営経費そのものをふやしていかなきゃならないという非常に厳しい状況が続いておりますので、この点についても具体的な配慮を今後さらに進めていただきたいということを申し上げたいと思います。

 もう一点、公立病院の改革ガイドラインについて伺っていきたいと思うんです。

 この公立病院特例債は、公立病院改革ガイドラインに基づいて病院改革プランを策定した場合というのが条件の一つになっております。

 その改革プランというのは、経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直し、こういうことが視点かというふうに伺っておりますけれども、プランの実施状況、これを簡潔にお答えいただきたいと思うんです。同時に、今後のこの公立病院の改革というのは、どこに焦点を合わせていこうというふうに考えていらっしゃるのか。この二点、お伺いしたいと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 総務省においては、公立病院改革ガイドラインに基づき、病院事業を実施する地方団体に対し、公立病院改革プランを策定し、改革を積極的に推進するよう要請をしてきたところでございます。

 この改革プランの実施状況については、例えばでありますが、経営の効率化に係るものを申し上げますと、平成二十三年度に経常収支の黒字化が見込まれる病院は五百五十一病院で、全体の約六割に及んでおります。

 この黒字化の主な原因は、先ほどお話がありました公立病院特例債もございますけれども、厚生労働省もおりますけれども、二十二年度からの診療報酬の改定、これに伴っての黒字化も実は大きく進んだということでございます。

 また、同プランに自主目標として具体的な数値を掲げることになっている経常収支比率、職員給与費比率及び病床利用率の三指標について、達成見込みの病院が二百四十七病院、全体の二七・五%、一方で、いずれも達成できない見込みの病院は二百十八病院、全体の二四・三%となっております。

 こうしたことを踏まえて、さらにこの改革プランが進むように、総務省としては支援をしてまいりたい、そのように思っております。

川端国務大臣 今実態を御報告いたしましたけれども、基本的には、いわゆる公立病院改革プランに沿ってそれぞれ努力していただきたいということの中で、診療報酬の改定がありました背景もありますけれども、一定の改善はされてきておるわけでありますが、実際に、経常収支比率、職員給与費比率、病床利用率の三つの指標について、これが経営効率化という三指標でございますが、いずれも達成できる、全部達成できるところが三割ぐらいしかないというような状況であります。

 目標は、やはりこれは一つの大きな基準でありますので、この三つの、給与、定員管理の適正化、経費の節減合理化、病床利用率向上等による収入確保の目標達成ができなかったところは、どういう課題があるのかということも含めて、この課題の再見直しをして、目標設定をしていただきたい。

 と同時に、やはり再編・ネットワーク化というのが大変重要な課題であります。御指摘のように、医師不足が大変深刻でありますので、基幹病院の位置づけ、それぞれ公立病院の位置づけ等々の部分での経営形態の見直しを含めた改革の取り組みも期待をされているところでありますので、総務省としては、引き続き公立病院の改革の実施状況を的確に把握しつつ、必要な支援、援助、助言を行ってまいりたいと考えているところでございます。

稲津委員 このことはもう少しお伺いしたいと思うんですが、時間がありませんので終わらせていただきますけれども、医師不足のことについては、その解消に向けてぜひ御努力いただきたいと思います。

 最後に、東京圏の中枢機能のバックアップ体制について伺いたいと思いますけれども、時間がありませんので、要約して二点だけ伺いたいと思います。

 先ほどの質疑の中でもありました、首都機能のバックアップをどうするのかと。昨年の東日本大震災、そして今後、東海、東南海、そして首都直下型地震、これに向けてやはり万全の体制をしいていこうということで、バックアップ機能の強化を図るということが今いろいろと取り沙汰されています。

 特にまず、国交省に来ていただいているので、一点だけ伺いますけれども、昨年十二月から、東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討会を立ち上げて、有識者による検討を開始していると承知しています。この検討会立ち上げに至った経緯とともに、現在の状況、今後のスケジュールについて、お伺いしておきたいと思います。

 それからもう一点、これはぜひ総務大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今後、地方の自治体とのバックアップ体制については、いろいろな連携が必要になってくると思います。各地方自治体とどう連携していくのか、総務省としてもぜひこのことは検討していただきたいと私も思うんですけれども、総務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

原口委員長 質疑時間が終わっておりますので、簡潔な御答弁をお願いします。

吉田副大臣 先生御指摘のとおり、東京圏の中枢機能のバックアップ体制の構築というものは近々の課題ということで私どもは認識をしております。

 今御指摘ございましたバックアップに関する検討会につきましては、昨年の復興構想会議また国土審議会等々の御指摘の中で、昨年十二月、有識者によりまして立ち上げをさせていただいているところでございます。

 一月二十三日、第三回検討会におきまして、バックアップすべき業務の種類、範囲、バックアップの形態、バックアップ先等の条件等を内容とする第一次取りまとめ案を提示し、議論をいただいているところでございます。今月中を目途に、これらの基礎的な論点とその考え方を内容とする取りまとめをする予定にしております。

 以上でございます。

川端国務大臣 国土交通省で今のようなことが進められておりますが、今後、取りまとめ、議論をされていく中では、当然ながら地方自治体との連携も重要になってくると思いますので、総務省としては、必要な検討、協力をしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

原口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に、昨日の予算委員会で前田国土交通大臣に、液状化対策推進事業のことについてお尋ねしました。その点についての若干の補充、確認の答弁を国土交通省からお願いいたします。

 復興交付金の液状化対策推進事業を進めるに当たりましては、復興交付金交付要綱では、液状化対策事業計画の区域内の宅地について所有権及び借地権を有する者のそれぞれの三分の二以上の同意が要件の一つとなっております。

 昨日の予算委員会の質問におきましては、個人負担を同意の要件としているのかという私の質問に対し、前田大臣は、それは前提になっているという答弁でありました。

 ここで大臣が示している個人負担というのは、いわば広い意味での負担を示しているものであって、いわゆる金銭的負担のみを指すということではないと受けとめておりますが、その点について、国土交通省としての見解をお聞かせください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 液状化対策推進事業は、これは昨日も大臣から御答弁させていただきましたが、東日本大震災により著しい液状化被害を受けた地域を対象として、公共施設と宅地を一体的に地盤改良等を行う場合に、公共施設に係る対策費を支援する事業でございまして、個人の宅地に係る対策費につきましては、その所有者の方に御負担をいただくことになります。

 個人の宅地において液状化対策を施す場合には、通常は金銭的な負担を伴うものと認識をしておりますが、例えば、既に一定の地盤改良等を施された場合等につきましては、さらなる対策を求める必要がない場合も想定されるというふうに考えております。

塩川委員 既に液状化の地盤改良を行っているような方もいると。いろいろな場合が想定されるわけであります。そういった際に、この交付要綱にある三分の二以上の同意というのは、宅地所有者の金銭的負担を同意の要件としているということではないということを改めて確認させてください。

加藤政府参考人 液状化対策推進事業の採択要件についてのお尋ねでございますが、この採択要件の中では、宅地所有者の金銭的な負担について具体的に明示されているものではございませんけれども、先ほど答弁させていただきましたように、本事業は公共施設と宅地との一体的な液状化対策が行われることが事業の前提でございますので、個人の宅地におきまして液状化対策を施す場合には、通常は金銭的な負担を伴うものではないかというふうに認識をしております。

塩川委員 三分の二以上の同意、交付要綱においては金銭的負担を求めるということは前提としているわけではないけれども、事業の性格としては、当然のことながら個人所有者の金銭的な負担ということは想定され得るということであります。やはり同意というのが一つのハードルとなって事業が進まないということでは元も子もありませんので、そういう点でも実態に即した柔軟な対応を行うべきだ、このことを改めて求めておきます。

 ありがとうございました。結構です。

 それでは、次にお聞きしたいのが、被災自治体の職員体制の強化に対する財政措置の問題であります。

 東日本大震災の被災自治体では、復旧復興事業に本格的に取り組む時期になっております。

 先日、宮城県山元町の担当者の方のお話を伺いました。山元町の一般会計の規模は、通常なら五十億円程度、うちハード事業が七億円程度だった。今回の被災による復興事業で、年間の事業費が五百億円程度、ハードも数十倍になっている。もともと七億円程度のハード事業のため、土木関係の技術者は十人程度だった。区画整理もやってこなかったので、知識も足りない。一般事務においても、固定資産税などの税務や防災対策、派遣職員受け入れのための人員、介護保険への対応者なども必要になっている。総務省ルートで六十八人の要望を出したけれども、そのうち確定をしたのは三十六人だ。一年間通して来てもらえる方が二十六人で、数カ月単位の方が十人となっているという話でありました。

 また、福島県南相馬市の担当者の方にも先日お話を伺いました。二十七人の要望を出したうち、二十人について確保してもらい、調整中だということでした。国交省の防災集団移転促進事業の中で十二名を要望し、五名の確保をしたところだということです。復旧復興作業を進めるに当たって、必要最低限の人員をお願いしている。どこの市町村も定員削減をしている中で職員を出すことは難しいと思う。保健師については現在十八名だ。必要としているところは、仮設住宅などを抱える自治体で、見守り訪問をしているところだと思う。多く要望したいと思っても、助成ということもあり、遠慮がちになってしまうというお話です。

 このように、土木建築や保健師などの専門職を含む多くの職員を必要としております。

 総務省は、全国市長会、全国町村会と協力をして、中長期的な市区町村職員の派遣をサポートしております。そこで、総務省にお尋ねをいたしますが、現在、被災市町村からの長期派遣についての要望人数は何人ぐらいとなっているのか、また、これに応えて全国の市区町村からの長期派遣の申し出の人数が何人になっているのか、この点について確認をさせてください。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 現在、総務省においては、御指摘のとおり、全国市長会、全国町村会の協力を得て、来年度における被災市町村への職員派遣の支援を行っているところでございます。

 被災市町村からの職員派遣の要望人数は二月二十八日現在で五百六十八人となっておりまして、要望に対する全国の市区町村からの派遣の申し出人数は三百四十人となっております。

塩川委員 要望の数が五百六十八人で、全国からの派遣できますよという申し出の数が三百四十人ということで、全国に呼びかけながらも十分応え切れていないという状況にあるわけです。

 石巻市の担当者の方のお話も伺いましたが、漁港土木の専門職が欲しいという話がありました。来年度について、漁港土木の経験がある人がまだ確保できていない。二十三年度は、十一月から二月末にかけて、長崎の対馬市と平戸市から二名の方に来ていただいて災害復旧査定などに従事していただいたけれども、今後の見通しが立っていないということです。道路や下水道などとは違い、岸壁というのは特殊なものなので、経験者が欠かせないんだ、こういうことを訴えておられました。

 そこで、ぜひ総務省にお尋ねしたいんですが、全国市長会、町村会と協力しながら派遣のサポートをしているわけですけれども、特にこういった専門職への要望、これにどう応えるのかということで、もっと知恵を出して工夫する必要があるんじゃないかと思うんですが、この点について、こういうふうに考えているということがあれば、ぜひお示しいただけないでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のように、技術職、そして今言われたような専門職の方が欲しいというニーズになかなか応えられない。これは、送り先としても、要員がタイトであるということと同時に、長期にわたるということは、長期に抜けると差しさわりがある。あるいは、長期に行っていただくというとき、受け入れ側としての住居が手当てできないとか、いろいろな要因があります。

 総務省としては、たくさんの御要望をいただいている市、町を中心に、本省から職員を派遣いたしまして、実情をお伺いして、きめ細かくマッチングできるようにということと同時に、採用、これは期間限定も含めて、財政的な手当てはするということを含めて、新たに採用してもらうということもできないかと。そういうときにも、宿舎の感じでいうと通っていただくのが一番ありがたいんですけれども、そうすると、実は建設とかでありますと、復興に対する民間の事業者と競合するような部分も出てくるということもありました。

 それで、専門職種、例えば技術士会とか建築士会とかそういうこと、それから、地方公共団体のOB会等々は、定年になって元気でおられる方も地方にはたくさんおられます。そういう人たちに、例えばテレビの報道なんかでも、ずっと昔というか、ふるさとであるから、定年になって、町で暮らしていたけれども、この際、ふるさとへ帰って自分の仕事、経験を役に立たせるんだといって行った方とか、場合によっては仕事をやめて行かれた方もおられます。

 そういう意味で、そういう形も含めて、あまねくいろいろなルートを通じて、専門の技術士会とか建築士会とか役所のOB会とか、いろいろな知恵の中で、そういう人を求めています、御協力いただけませんかと。受け入れ側に関しては、宿舎を何とか手当てできないだろうか、それから給料に関しては我々が手当てできないかということを含めて、いろいろな知恵を出して今取り組んでいるところでありますので、委員におかれても、こんなことはできないのかというのがありましたら、また御示唆いただければ、我々としては前向きに検討させていただきたいと思います。

塩川委員 そういう点でも、被災自治体として採用して、しっかりとした専門職、技術職を確保していくという話になります。

 確かに、国を挙げて支援を行っているということで、総務省ルートでは、市長会、町村会。全国知事会が被災県に対して全国の都道府県からの支援というルートもあります。

 また、国土交通省とか各省の単位で、それぞれの事業ごとでの支援も行っているということで、例えば国土交通省も、区画整理事業ですとか防災集団移転促進事業については国交省から自治体職員に声をかけて派遣を組織するというのをやっているわけですけれども、全国知事会によりますと、この防災集団移転促進事業、それから土地区画整理事業について、被災自治体からは二百人規模での要請があったけれども、現状は百六十人ぐらいしか応えられていないということもありました。

 また、URの職員も災害公営住宅の建設業務に今入るようになってきているということで、これも七十三人が被災市町村に派遣をされているということですけれども、いずれにせよ足りないということで、派遣元の自治体もぎりぎりの職員体制で通常業務をこなしているということもあり、職員を長期に派遣する余裕がないのが実態ということであります。

 その点でも、大臣が御答弁された、やはり被災自治体での採用、直接雇用が必要になってくる。既に、少なくない被災自治体では、復興業務に従事をする任期つき職員ですとか、あるいは正規職員の採用も始めているわけであります。

 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、こういった、この間行ってきた長期応援派遣に係る被災自治体の人件費は震災復興特別交付税で全額措置するということで承知をしております。任期の定めのない常勤職員、つまり正規の職員、また再任用の職員、任期つきの職員、これらについて、復興業務に当たるという場合であれば、その人件費を震災復興特別交付税で全額措置するということが必要だと思いますが、この点はいかがでしょうか。

川端国務大臣 私たちも全くその必要性を認識しておりまして、被災自治体において、復旧復興の業務への対応のため常勤職員の採用を行った場合には、その経費の全額を震災復興特別交付税で措置することとしておりますけれども、必要な期間における任期つき職員の採用を行った場合においても同様の措置を講ずることとしており、その旨、去る二月二十四日に周知を行わせていただきました。

 また、こうした措置については、復旧復興業務が特に増大すると考えられる集中復興期間、平成二十三年度から二十七年度において、被災自治体の実情を十分にお伺いしながら、継続的に行ってまいりたいと考えているところでございます。

塩川委員 ぜひしっかりと周知方をお願いしたいと思っております。これは二月二十四日に周知をされたというふうに聞きましたけれども、それの前なのか後なのか、ある被災自治体の担当者のお話を伺いましたら、その担当課長さんは、正規職員は復興特交で措置すると聞いているんだけれども、任期つき職員は措置されないんじゃないかとか、何かそんなふうなお話もされておられたということで、そんなことはないんだということはぜひ改めて周知方努めていただきたいと思っています。

 それと、実際に震災復興特別交付税で措置をする期間についてのお話もございました。

 集中復興期間ということで五年間、二十三年度から二十七年度ということですけれども、震災復興特別交付税そのものは、予算措置ということで、その先まで制度的に担保されているということではないと思うわけですけれども、そもそも復興基本方針などでも復興期間そのものは十年間と見ているわけですね。もちろん、それを早目にしっかりやらなくちゃいけないから、集中復興期間を定めて、必要な経費もかけてやるということですけれども、復興期間そのものは十年というスパンを考えている。

 となれば、任期つきの職員も三年とか五年という方もあるでしょうし、それだけではなく、正規雇用の職員についても、実際に復興業務に当たるのであれば震災復興特別交付税で見るということであるわけで、そうであれば、正規雇用の方を採用してから、五年ではなくて十年間、復興期間に見合って震災復興特別交付税で措置する、そういう考え方が基本であるべきではないかと思うんですが、この点、大臣はいかがでしょうか。

川端国務大臣 いろいろな対応策の趣旨は、復旧復興事業が円滑に進むように、そしてそれは、特別なことでありますが、地方の自治体の負担だけでは賄い切れない分はしっかり手当てするという趣旨でありますから、当面、集中復興期間である五年をしっかり手当てさせていただきたいと考えているということであります。その終期に際して復興事業がどのように進捗しているのかの状況にもよると思いますけれども、しっかりとそれが引き続きやっていただけるようにという趣旨は、当然ながらずっと生かされるものだというふうに思っております。

塩川委員 こういう点でも、被災地において復興を行っている期間においてはしっかりと、復興業務に係る職員についての震災復興特別交付税、被災自治体の負担にならない形での支援を行うということについて、ぜひ対応方を求めていくものであります。

 被災自治体でも、例えば定員をふやして対応しようとする自治体なども生まれてきております。そういう点でも、積極的な採用を行うということでは、任期つきや再任用だけではなくて、任期の定めのない常勤職員ということも含めて、きちんと見通しが立つ財政措置を求めておくものであります。

 次に、国家公務員の給与臨時特例法に関してですけれども、これを地方公務員及び民間労働者に波及させるということは、これはあってはならないということを強く申し上げておくものであります。

 国家公務員のいわば賃下げ法ですけれども、全国知事会も昨年の十二月二十日の見解で、地方交付税や義務教育費国庫負担金の算定に用いる地方公務員の給与については、時限の特例法に基づく国家公務員給与の削減後の額を用いることは不適当だという趣旨のことを述べておりますし、中核市市長会の決議においても、国家公務員の引き下げ相当額を地方交付税に反映させるのは承服できないと指摘をしております。

 そこで、大臣にお尋ねをしますが、国は、地方自治体に対し、地方公務員の賃下げを求めるような、こういうことは決して行うべきではない、また地方交付税を削減するなどの財政措置も行うことは許されない、このことが強く求められるわけですが、大臣としての答弁をいただきます。

川端国務大臣 これは議員立法の法案の審議の過程でも議論になった点でありますが、地方公務員の給与は、もう何度も申し上げておりますけれども、地方公共団体において、それぞれの時点での状況を踏まえ、地方公務員法に基づいて、適切に議会で議論の上、条例で定めるということでありますので、先般成立した国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律附則第十二条の規定を踏まえ、引き続き、国民、住民の理解と納得が得られるよう、情報公開を徹底するなど、自主的な取り組みを進めながら、適切に決定することが肝要であるというふうに考えております。

 したがって、地方公務員の給与について、総務省から地方公共団体に対して、今回の国家公務員に係る時限的な給与削減措置と同様の措置を実施するように要請することや強制することは考えておりません。

 総務省としては、地方財政計画の策定に当たって、本臨時特例法に定める給与削減措置と同様の措置が一律に実施されることを前提とした給与関係経費を計上することは考えておらず、今後の各地方公共団体の給与改定の動向を踏まえつつ、所要の給与関係経費を計上し、必要な地方交付税総額を確保していくこととしたいと思っております。

塩川委員 地方財政計画上は、給与関係経費の算定の仕組みとして、人事委員会勧告の実績ベース、それから、あわせて各自治体における定員適正化計画、これの実績などを踏まえてということですから、今はかつてのように国の人勧並びということにはなっていないというのはしっかり前提として踏まえるべきことでありますし、ましてやこの特例部分の引き下げなどはあってはならないということは申し上げておくものであります。

 次に、文科省にお尋ねをいたします。

 義務教育費国庫負担金について確認をいたします。

 国家公務員の賃下げ法が成立をしましたが、義務教育費国庫負担金を引き下げるようなことがあってはなりません。この点について、文科省としてはどのように対応されるおつもりか、お尋ねします。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 小中学校の教職員を含めて地方公務員の給与につきましては、今般成立をいたしました国家公務員給与臨時特例法附則第十二条のとおり、この法律の趣旨等を踏まえまして、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものというふうに考えております。

 義務教育費国庫負担金の取り扱いについては、政府全体の地方公務員給与の取り扱いの検討を踏まえて適切に対処すべき問題だというふうに考えております。

 以上でございます。

塩川委員 政府全体ということではなくて、文科省としてどう考えるかというのを聞いているんですよ。

 この点について言えば、地方公務員の給与削減に関する質問主意書への答弁書が二〇一一年の六月三日に閣議決定をされておりますが、その中では、地方公共団体の職員の給与については、お尋ねの地方交付税の減少あるいは義務教育費国庫負担率の引き下げを手段とすることを含め、国家公務員給与引き下げと同様の引き下げを地方公共団体に強制することは考えていないとしているわけで、こういう立場こそ文科省が行うべき姿勢ではありませんか。

 もう一度お答えください。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今御紹介いただいたものもそうでありますし、また川端総務大臣におかれても、国会におきまして、地方交付税の減額により給与の引き下げ等を強制することは考えていないという趣旨の答弁もされているというふうに承知をいたしておりますけれども、文部科学省といたしましても、公立小中学校の教職員給与費に充当される義務教育費国庫負担金については、同様の考え方で対応してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 同様のということでいえば、先ほど川端大臣がお答えになったように、義務教育費国庫負担金について、給与臨時特例法にあるような特例部分、これに見合うような引き下げは考えていないということでよろしいですか。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 給与の引き下げを強制するようなことは考えていないという点について今申し上げたつもりであります。

塩川委員 そういうふうに、強要するということもだめだし、結果として引き下げるような国としての財政措置を行うこともだめなんだ、こういう姿勢で臨むということが求められているわけで、文科省としてそういう姿勢をはっきりと示すことこそ省としての役割を果たすということを強く申し上げておくものであります。

 もちろん、マイナス人勧部分をどうするかという話はあります。ただ、もともとこの間、民間の給与が大きく下がり、同様に、対応して公務の給与も下がるという賃下げの悪循環になっているときに、この悪循環につながるようなマイナス人勧の実施そのものも我が党としては反対だ、このことは申し上げておきます。義務教育費国庫負担金を削減するようなことがあってはならないということであります。

 次に、保育所運営費国庫負担金について、厚生労働省に確認をいたします。

 民間保育園の保育所運営費国庫負担金ですけれども、この負担金の、運営費で見れば、人件費分が全体の四分の三に当たるわけであります。ですから、国家公務員賃下げ法は成立をしましたが、保育所運営費国庫負担金を引き下げるようなことがあってはなりません。厚生労働省にお尋ねをしますが、国家公務員賃下げ法は成立はしたわけですが、保育所運営費国庫負担金についてどのように対応するのか、この点についてお聞かせください。

辻副大臣 御質問いただきました保育所運営費につきましては、一般職の職員の給与に関する法律に準拠した積算を行っているところでございますけれども、これは、国家公務員の給与が民間の給与に準拠して定められていることを踏まえたものでございます。

 御指摘をいただきました今般の国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律は、厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、国家公務員の人件費を削減するための臨時特例的な措置としてなされたものでございまして、それとは異なる民間の保育所の運営費の積算をこの法律に準拠して行うことは適当でないと考えております。

 なお、人勧についても付言させていただきますけれども、二十三年の人事院勧告につきましては、五十歳代を中心に、四十歳代を念頭に置いた俸給表の引き下げによる改定を内容とするものでございまして、比較的若い年齢層の俸給表に準拠しております保育所運営費への影響はございません。

 以上でございます。

塩川委員 保育所運営費国庫負担金を引き下げるようなことがあってはならないということは申し上げる。

 ほかにも、民間病院などにも波及するという問題がある。こういうのも決して許さないということをはっきりと示すべきでありますし、独立行政法人や国立大学法人についても、本来労使関係で決めるものを、何らか上から圧力をかけるようなやり方は決してあってはならない、この点も強く申し上げる。

 国として、地方自治体の職員や公共サービスに従事する職員の賃下げにつながる財政措置を行わないことを明確にすべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

原口委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 川端大臣以下政務三役の皆さん、長時間本当にお疲れさまでございます。

 きょうは、周波数オークションの話をしたいと思います。

 この間、原口大臣、片山大臣、歴代の大臣にこの件について質問をしてきて、原口大臣からは、思わぬ踏み込んだ前向きの答弁をもらって喜んだり、片山大臣になって、関心の薄い答弁でがっかりしたりしてきたところです。そして、昨年十一月の事業仕分けがあり、それをうっちゃるかのような川端大臣の御答弁がありました。

 現在、野田内閣の目指しているのは、税と社会保障の一体改革と称する消費税の増税であります。そして、増税の前提として税外収入の確保に取り組む、こういう決意も示されております。ならば、世界じゅうで行われている周波数オークションを、プラチナバンドとも言われる九百メガヘルツ帯、七百メガヘルツ帯において早急に実現をして、二兆円とも数千億円とも言われる税外収入の確保を目指すべきではないかというふうに思いますが、まずこの点についてお伺いをいたしたいと思います。

    〔委員長退席、逢坂委員長代理着席〕

川端国務大臣 七百、九百メガヘルツの問題に関して、別にうっちゃったわけでも何でもございません。

 この国会の審議を通じて、昨年、この九百、七百両メガヘルツに関しての、いわゆる引っ越し費用を負担する中で割り当てるという法律が衆参両院で可決をされ、成立いたしました。それが、パブリックコメントで実施要綱を含めて御意見を伺う中で、淡々と手順を進めている状況でございましたので、それが特段、そういう政策提言仕分けは、これからの事態に関してこうあった方がいいということをいろいろ政策提案として検討しなさいというときに、既に動いて、もうゴール間近な部分にはいろいろな迷惑と混乱が起こるということで、仕分けの人たちも含めて、委員会を含めて御理解をいただいた中で予定どおり今行っているところであることは、まず前段御理解いただきたいと思います。

 そういう中で、何兆円単位のお金が動くという御指摘でありました。

 これは、いわゆるITバブルの時期は確かに欧米において周波数オークションで、例えばイギリスとかアメリカにおいて、一兆円を超える、一兆八千四百億とか三兆九千億という時代もございました。近年では、落札金額の合計が数千億、二〇一一年では、韓国で千二百億、スペインで千八百億円というふうに、経済環境や競争条件で大きく左右されるものであるということが前提として御理解をいただきたいと思います。

 同時に、周波数オークションというのは、電波の有効利用の促進や無線局免許手続の透明性、迅速性の確保を主目的として導入するものであると考えておりまして、諸外国でも、国庫収入の増加ということではなくて、こうした観点から周波数オークションが実施されていると理解をしております。

 特に米国では、国家収入の増加を周波数オークションの主目的とすることは法律により否定されております。禁止される配慮ということで、この委員会は、公共の利益、便宜及び必要の判断の基準を本項に基づく競争入札方式の利用から得られる連邦歳入の期待に置いてはならないという規定まで書いているところもございます。

 イギリスにおいても、法律においては、オークションの主目的は、歳入の増加にあるのではなく、将来の希少な周波数の効率的利用を確保することにあるという記述もございます。

 そういう目的に沿って、我が国においても、このような観点から、周波数オークションの速やかな導入を図るべく、これからの問題でありますけれども、電波法の一部を改正する法律案を今国会に提出するために準備を進めているところでありますが、現在進めております九百、七百においては、昨年つくっていただいた法律に基づいて進めていくつもりでございます。

柿澤委員 オークション制度の導入は、電波を高く売るという目的ではないんだ、要するにそういう御答弁をいただいたというふうに思います。

 しかし、いみじくも大臣が末尾におっしゃられたように、今、オークション制度導入のための電波法改正案、政府の中で最終段階の立案作業を行っているというふうに思うんですけれども、私の手元にあるペーパーを見る限り、入札開設指針の策定に当たって、入札等により決定することが電波の経済的価値を最大限発揮できる場合、入札開設指針を策定する、こういうことが書かれているではありませんか。

 こういう形で、総務省の判断によって、これはオークションにして、これはしない、こういう条件をつけることは私は一義的には賛成しませんけれども、しかし、この総務省の案でも、経済的価値を最大限発揮できる、こういう前提に立った場合にオークションを導入する、書いてあるではありませんか。こういった点について、先ほどの御答弁との明らかな矛盾が感じられるというふうに思います。御答弁、ありますか。

川端国務大臣 経済的目的のためにやるのではないという趣旨と、結果として経済的収入が上がるということとは、何ら矛盾しないというふうに思っております。

柿澤委員 条文上、少なくとも、今御説明を総務省として例えば与党民主党等にされている場合に、入札等に決定することが電波の経済的価値を最大限発揮できる場合、書いてあるではありませんか。そうでなければオークションはやらない、こういうことが規定をされているのに、経済目的ではオークションはやらないんだ。私には、ちょっと理解が足りないのか、理解ができません。

 いずれにしても、今の大臣答弁もお伺いをしていて感じられるのは、やはり総務省の現状のこの問題に対する姿勢は決して前向きなものではないということではないかと思います。

 先ほど来、十一月の事業仕分けの結果のことが、私も言及しましたけれども、第三・九世代携帯電話から即時導入すべきだ、また、現在進行中の、まあ決まりましたけれども、九百帯の割り当て方針は国民共有の財産を不当に廉価で売り渡すことになる、こういう意見が出されていたわけですけれども、これについて川端大臣は、先ほど御答弁をされたとおり、既定の方針どおり粛々と淡々と進める、こういうことを言われているわけであります。

 その上で、平成二十四年一月十九日付総務省の提言型政策仕分けへの対応、こういうペーパーが出てまいりました。七百、九百に関しては、客観的な指標や評価根拠の公表等の透明性を図りつつ、割り当て事業者を決定、こういうことが書かれております。

 しかし、こういう指標をつくる、また評価根拠をつくる、こういうことによって、結局、実施時期を、オークションの導入時期をある意味ではどんどん先の時期に延ばしてきた、これが今までの歩みだったのではないかというふうに思うんですけれども、この客観的指標、評価根拠の公表というのは、これはどういう形で行われることになるのか、お伺いをしたいと思います。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員も御存じのとおり、昨日、九百メガの割り当てはソフトバンクモバイルということで認定することで原案がまとまったところでございますけれども、既に、本答申を発表させてもらう前に、審査の資料を公表させてもらっております。

 その中で、審査基準への適合度合いを点数化した指標、そしてその指標といいますのは、例えば電波の逼迫度合いとか、過去の割り当て状況はもちろんのこと、人口のカバー率だったり、MVNOへの寄与割合、あるいは周波数移行への会社の組織の充実度合い等々があるわけですが、その採点の根拠についても既に公表させてもらっております。

 同様に、七百メガの割り当てに関しましても、本年夏ごろを目途にしておりますが、速やかに発表できるようにする所存でございます。

柿澤委員 同じ文書で、周波数オークションの対象周波数の拡大として三・九世代携帯電話用周波数帯を検討というふうに書かれていますけれども、あくまで検討であって、実施するとは書いていないわけです。さらに文書を見ると、フローチャートみたいなものがあるんですけれども、平成二十四年夏ごろまでの当面の取り組みとしてはずっと検討ということでありまして、これはオークションの対象とするか否かについては明らかにされていないわけです。

 これは、どのようなプロセスでいつまでにこれを決めるのか、お伺いをいたしたいと思います。

森田大臣政務官 お答え申します。

 極めて前向きに検討させてもらっているつもりでございますが、行政刷新会議の提言型政策仕分けへの対応としまして、三・九世代というものが出てきました。

 具体的なプロセスですが、幾つか段階があります。

 これは、一つは電波の利用状況を踏まえねばならないということで、三・九の場合は四世代よりも少し低い周波数帯が多分必要になると思われます。何メガヘルツとか何ギガヘルツというのはまだこの場では言及しないようにしようと思うんですが、いずれにしても、先客がいる場合もありますし、どの周波数帯が使えるかということをまず省内で検討しまして、電監審へ諮問して、認可を受けたい。その上で、今度は技術的な認証ということに関しては、情報通信審議会において検討いただきまして、まとめたいというふうに思っております。

 そして、法的措置ということで、今次出させてもらう予定でございます電波法の改正ということで、今国会で成立すれば、できるだけ早い時期ということで、具体的には次年度にできるようにということで取り組んでまいりたいと思っております。できるだけ早くにオークションを実施できる、これは三・九も四も含めて前向きに取り組んでまいりたいと思っているところです。

    〔逢坂委員長代理退席、委員長着席〕

柿澤委員 今のお話を聞いていますと、極めて前向きにということで、結構なことだと思いますが、空き状況等々、また周波数帯をどこにするかということを考えると、あいているという意味では二ギガというのが一つ有力なのかなというふうにも感じられるわけですけれども、その点、やはり二ギガが一つの検討の対象となり得る、こういうことで理解をしてよろしいでしょうか。お伺いをしたいと思います。

森田大臣政務官 現時点で何ギガというところを言及するのは、申しわけございませんが、差し控えたいと思います。

柿澤委員 さて、プラチナバンドと言われる九百帯ですけれども、時あたかも、ソフトバンクへの割り当てが決まったわけであります。改正電波法に基づいて、タクシー無線等に使われるMCA無線の立ち退き費用として二千百億内外をソフトバンクは負担して、その帯域を使うわけですけれども、しかし、申請した競合他社のドコモ、KDDIもイー・モバイルも、負担上限の二千百億出すと言ったわけですから、結果、これは価格競争ではなく、言うなればビューティーコンテスト方式で周波数割り当てになったということだと思います。

 それはそれとして、私が変だと思うのは、配付資料のとおり、今皆さんの机上に御配付させていただいていますけれども、下の部分に「移行前」「移行後」というのがありますが、MCA無線に九百帯から立ち退いてもらうのに、次の移行先がまた九百メガヘルツ帯なんですよね。これは一体なぜですか。ほかの周波数帯でも十分、それどころか、MCA無線はこの際廃止をして、携帯でサービスをやればいいじゃないか、こういう人もいるほどであります。

 せっかくプラチナバンドをあけるのに、何でまた行き先が九百メガヘルツ帯なんですか。お伺いをいたしたいと思います。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 二つ目的があるんですね、電波の今回のリパックは。一つは、御承知のとおり、スマートフォン等の急速な普及によりますトラフィックの増大に対応するためということであります。もう一つは、国際的な協調というものを周波数帯において実現するための意味合いもあります。

 そこで、資料を出してもらっておりますので、今回、携帯用は、九百から九百十五を端末用、九百四十五から九百六十を基地局用というふうにしまして、これは欧州等の国際割り当てとほぼ同一というふうになっております。

 同時に、あと二つのパズルピースを合わせる必要があります。

 これは、RFIDをどこに持ってくるかでございまして、九百二十八を上限にするのが北米等の基準といいますか周波数の使い方とほぼ同一になるということで、やはりこれは機器の開発とか調達にとって非常に重要なことであるという観点から、国際協調というものをとらせてもらった次第でございます。

 そうしますと、MCAが必要かどうかという議論は、ここは別に置いておきまして、MCAに関しましては、周波数帯の特性から考えると、一つは、下の八百五十から八百六十で一つ使われている帯域がありますから、余り離れてしまうと、やはり機器の今の仕様、使えているものが使えなくなってしまうという不都合も生じますので、やはりあいたところにMCAをはめていくことが適当であろうというふうに考えた次第でございます。

柿澤委員 一定の御説明はいただきましたが、私たちから見ると、結局これは、MCA無線のサービスを営んでいる財団法人移動無線センター、これは理事長、専務理事、常務理事、総務省OBが占めている、典型的な天下り法人ですよね。このMCA無線の立ち退き料がそこに落ちるような仕組みをつくっていく、こういうふうに痛くない腹を探られても仕方がないのではないかというふうに思います。

 こうした点はもう既に指摘を受けておられますので、今回、先ほどの文書で、移動無線センターの透明性を確保した運営や体制の刷新等の抜本見直しということが書かれているんですけれども、これは一体何を行うんですか。御答弁をお願いいたしたいと思います。

川端国務大臣 抜本見直しの前に、今の御質問にかかわることで補足説明をさせていただきますが、総務省としては、提言型の政策仕分けを踏まえて、九百メガヘルツ帯開設指針に以下の内容を追加いたしました。周波数移行に要する費用の負担の公平さが確保されるよう十分配慮し、MCA制御局の免許人等は、周波数移行の実施に関する協議に関与したことに対して認定開設者及び移行対象免許人等から対価を受けてはならないことということを追加しておりますので、今言われた御懸念はないというふうに御理解いただきたいと思います。

 同時に、財団法人移動無線センターは、MCAシステムと呼ばれる、複数の周波数を多くの利用者、陸上運輸、配送業、コンビニ、生協など流通業、道路サービス、ガス事業者、警備会社、金融、医療機関、地方公共団体、消防防災、百七十五自治体云々ということで、多くの事業者で共同利用する陸上移動通信システムの中継局を全国に整備し、業務用移動通信サービスを提供している公益法人でございます。

 このセンターが、昨年十一月に行われた提言型政策仕分けにおいて、同センターへの天下りに関する指摘がなされました。これを踏まえて、一つは、現在六名いる常勤理事のうち三名が総務省OBとなっている体制の見直し、人件費の削減などの運営の抜本的改革に取り組んでいくこととしております。総務省としては、センターのこのような取り組みを注視して、必要に応じて適切に監督してまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

柿澤委員 現実には、MCAの利用者はどんどん減少している状況にあるわけで、先ほど来申し上げているような、プラチナバンドと言われるような帯域をMCAに割り振る、こういうことの理由づけには今のお話はならないというふうに私は思います。

 時間もなくなってまいりましたので最後の御質問にしたいと思いますが、九百がソフトバンクに割り当てられたきのう、七百に関して開設指針案も公表されています。今月いっぱいパブコメということですが、割り当て三社ということですから、今回九百がソフトバンクですから、ドコモ、KDDI、イー・モバイルとあるわけです。ソフトバンク以外の全ての事業者にちょうど割り当てが可能な枠が用意されることになる。これで、時間がないからということで、今回と同じ上限立ち退き料を設定したビューティーコンテスト方式で三社に割り当てを決めたら、これぞまさに護送船団だ、こういうことになってしまう。まさかこんなやり方はしないですよね。

 国民共有の資源である電波の経済的価値を最大限高め、もって国庫に資するため、七百メガは絶対に周波数オークションで行うべきだというふうに私は考えますけれども、最後に大臣の御見解を聞いておきたいと思います。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、七百、九百の部分の法律の審議の中で、国会の附帯決議も含めて、いろいろな御議論がございました。そういう中で決めていただいた法律に基づいて行っているわけでありますので、国会で電波法を改正して、附帯決議もいただいた上で、法にのっとって手続を進めているところであります。

 また一方で、急増するトラフィックに対応するための周波数割り当ては急務でございまして、関連の業界も準備を進めているところでありますので、既定の方針どおり、昨年五月に成立した改正電波法に基づき、スケジュールに沿って粛々と手続を進めているところでありまして、新たにこれをやろうとしますと、また新たな法律を国会に出し、御審議をいただき、そしてその成立をもって準備に入るということで、いろいろと、時間的にも大変なロスが起こるというふうに思います。

 なお、参考までに、国会、衆議院のこの委員会の附帯決議においては、「周波数の競売については、免許手続の透明化や歳入増が期待される一方、落札額の高騰による事業者・利用者の負担増等多くの課題があることから、電波が国民共有の財産であることに鑑み、国民全体の便益を考慮して、幅広く意見を聴取し、慎重に検討を行うこと。」という附帯決議がついております。

 以上です。

柿澤委員 さっきは高く売れないという話で、今度は高く売れるからだめだと。本当にあれだなというふうに思いますけれども、二〇一五年まで七百は全部あかないんです。そういう意味では、十分な時間が本来ある。そういうことを御指摘申し上げて、時間も超過しておりますので質問は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野であります。

 きょうは最後の質問バッターということになりました。長時間の質疑で大変お疲れのところと思いますけれども、最後、一踏ん張り、頑張っていただきたいと思います。

 きょうは、御案内のように、大阪市の橋下市長が、私の常識からしますと、とんでもないことをやろうとしている、その一つの出来事について尋ねていきたいと思います。

 大阪市で、労使関係に関する職員のアンケート調査なるものが、二月十日から十六日にかけて行われました。市長名で職員に出された文書にはこのように書かれております。このアンケート調査は任意の調査ではない、市長の業務命令だ、正確な回答がなされない場合には処分の対象となる、こういう文言が書かれているわけであります。つまり、業務命令に基づき処分にも言及した、こうしたアンケート調査が行われる、これについて、私は今まで余り聞いたこともないのでありますが、大臣はこの行為についてどのように考えておられるか、まず聞いておきたい。

川端国務大臣 答弁として何だとお叱りを受けるかもしれませんが、地方公共団体において、その首長だけではなくて、地方公共団体という形で、いろいろな形で出される業務命令の方法について、個々個別の案件についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 本件については、大阪市が関係法令等に基づいて適切に判断し、対応されるべきものであるというふうに思います。

重野委員 先ほどの答弁もそのような答弁だったような感じがするんですけれども。

 私は、この内容は、やはり憲法に照らして、憲法十九条であるとか二十八条であるとかに照らしてみても疑義がある内容をはらんでいる。しかも、大阪府の労働委員会が、労働組合法が禁ずる組合への支配介入のおそれがあるとして市に調査の続行を差し控える、そういう勧告をしたという事実もあるんです。

 そういう事実に照らして、地方自治体のあるべき姿、やっていいこと悪いことということについて総務大臣がコメントを控えるというのは、おかしい。再度、答弁願います。

川端国務大臣 今憲法のお話もされましたし、地方公務員法においては、職員団体が位置づけられているし、職員の政治的行為に関する規定があるということは、禁止事項があるということは、禁止されていないことも、政治的行為が一定の範囲で認められているということも法律で書いてあります。そういう部分では、法的ないろいろな環境を踏まえて個別の地方公共団体の中で、大阪市においても、この地方公務員法の関係規定を踏まえて適切に判断して対応されるべきものであります。

 二月十三日、大阪府労働委員会に対して不当労働行為の救済申し立てがなされており、同委員会においてこれまた適切に判断されるものであると思います。

 そういう状況でありますので、今の時点で、この件に関して、このことを調査する権限を持っておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

重野委員 アンケートの中身についてもっと掘り下げていきますと、びっくりするような内容になっている。

 組合の行う労働条件に関する活動や、特定の政治家を応援する活動などへの参加の有無、その内容、活動に誘った人間の氏名などを記入せよ、こう言っているわけですね。これをそのまま受け取りますと、公務員は組合活動に参加してはならない、政治に参加することも一切許さないということになるんです。

 もともと日本は先進国の中でも公務員の権利が大幅に制限されている、そういう国なんです、日本は。公務員である前に一市民であるにもかかわらず、自分と対立する候補者を応援したからといって圧力をかけることは、断じて許されるものではありません。

 そこで、公務員の労働組合への参加や政治への参加について、大臣はどのように考えておられますか。

川端国務大臣 公務員の政治的行為に関しては、地方公務員法において規定がございます。そういう部分では、総務省としては、地方公務員はその法の趣旨にのっとって行動すべきであるということでございます。

 いろいろな国政選挙とそれから統一地方選挙においては、法令遵守をするようにという通達は出しているところでございます。

重野委員 私は、やはり最終的には、憲法に照らして適当な行為なのか間違った行為なのかということが決定されるべきだと思うんですが、今二つのテーマについて大臣の答弁を求めたんですけれども、そこのところがいささか我々と距離があると言わざるを得ません。

 大臣として、今起こっている状況について、地方自治体を言うならば束ねるというか、地方自治体との関係において最も近いところにあるのが総務省なんですね。その総務省を束ねる総務大臣として、この問題について、今のように、質問に対して正面から受けとめずにさらっと身をかわしているというような感じがするんですけれども、それでいいのかという思いを私は持ちます。

 そこで、このアンケートでは、労働組合への加入の有無やメリットなどについても尋ねているんです。これらは認められている団結権への明らかな侵害ではないか、不当労働行為以外の何物でもない、このように考えるんですが、そういう視点で大臣は、今大阪で起こっている事態について言うならば検証したのかどうなのか、その点について聞きます。

川端国務大臣 私も民間の労働運動に一定期間携わってきましたから、そういう経験の個人として、あるいは政治にかかわる者としての感想はありますけれども、総務大臣として、総務省として申し上げれば、先ほど申し上げたように、この案件は、業務命令を含めて、大阪市が法律に基づいて、法律を守ってしっかり出されるべきものであって、それが法令に違反しているかどうか、あるいは不当労働行為に当たるかどうかは、今、府労委に救済を含めた申請を出されているようでありますが、それぞれに判断される役所というのがあり手続もあるわけですから、総務省として、それを超えた部分でコメントしたり何かをするという立場にはないことだけはぜひとも御理解をいただきたいというふうに思います。

重野委員 総務省と地方自治体という関係において、今大阪で起こっているような事態が起こったケースが今までありますか。

川端国務大臣 今、大阪市と総務省の関係においてこの問題をやりとりしたことはありませんので、こういう問題が起こったかどうかという、こういう問題自体がそもそも、我々としては報道で知っている以上のことではございません。

重野委員 私が聞いているのは、総務省と地方自治体の関係というのではなくて、今、北海道から沖縄まで自治体はたくさんあるわけですね。その自治体で今大阪で起こっているような事態が起こったことがありますかと聞いている。

川端国務大臣 だから、このようなというのがどのようなのかを定義するのが結構難しいというふうに思いますが、私の知識の部分では、報道を通じてという意味では初めてのことかなというふうに思います。

重野委員 この問題について、いろいろな方々がコメントしています。懲戒処分の威迫をもって職員の思想信条に関する回答を強要することは、職員に対する踏み絵、憲法が保障する思想、良心の自由を侵害するものだ、これは日本弁護士会の正式なコメントです。それから、いろいろな大学の先生あたりもこの問題についてコメントしておりますが、いずれも、やはり疑義を感じておられるんですね。橋下市長も、これはちょっとやはり横着な言い方だと思うんですが、問題があればしかるべき機関が停止を求めてくるだろう、そのときに考えればいい、こういう新聞でのコメントなんですね。

 私はやはり、地方公共団体のトップに立つ人間が、こういう思い上がったというか理不尽というか、そういうふうなことを公然と発してやまないということについて、総務省として、いや、関係ないんだ、コメントしないんだというのは、総務省としての任務を放棄している、この点については明確にやはり総務省としてコメントすべきなんだ、このように思いますが、どうですか。

川端国務大臣 事の発端の業務命令は、それこそ市長の責任において、法に基づいてやられるべきものであるときに、それに対する対応に、どういうコメントをされたか、私は正式に承知する立場にありませんので、申しわけないですけれども、そういう態度はよくないぞというふうなことを言う立場ではないということはぜひとも御理解をいただきたいというふうに思います。

重野委員 大臣、この大阪の、総務局長名で各所属長に発出された文書の中身は知っていると思うんですね。知っていますね。

川端国務大臣 あらあらは承知をしております。

重野委員 その中で、先ほども触れたんですけれども、このアンケート調査は、任意の調査ではありません。市長の業務命令として、全職員に真実を正確に回答していただくことを求める、正確な回答がなされない場合には処分の対象となります、こういうふうにまで書いているんですね。あるいは、また、仮に、このアンケートへの回答で、みずからの違法行為について、真実を報告した場合、懲戒処分の標準的な量定を軽減し、特に悪質な事実を除いて免職とすることはありません。公式の文書で、こんなことまで書いた文書というのは、私は前代未聞だと思うんですね。

 このことについても、地方自治体との関係において、立場に立つ総務省として、いや、コメントを差し控える。これはちょっと、大臣、聞けないんじゃないですか。誰が考えても、こんな文書なんか、私は見たことがない。そのようなものが今行われているという現実について、それについて、いや、関係ございませんとは言わせない。これに対して、今起こっている事態に対して総務省としてやはりきちっと指導していく、そんなものがあってしかるべしと思うんですが、それでも知らぬふりしていますか。

川端国務大臣 恐縮ですが、業務命令として出された、権限と責任においてやられた部分に関しては、我々としては、法律を守って適切にやるべきものであるというときに、法令に違反するかどうか、あるいは憲法に反するかどうか、労働法制上大丈夫かということを踏まえては、何度も繰り返しになりますが、私たちが調査し判断するという立場にないことだけは御理解いただきたいと思います。

重野委員 そこのところが、大臣、判断する立場にないというのは、私は聞けないと思いますよ。それは、総務省として、単に仕事の上で地方自治体に対してああせいこうせいという権利は持つけれども、しかし、自治体が変な方向に走っているというときに、それに対し総務省としてきちっとしたことを言うというのは、私は当然の任務だと思うんですよ。そう思いませんか。

川端国務大臣 ですから、変な方向かどうかを判断するということも含めて、それは総務省が判断する立場にないということを申し上げているので、御理解いただきたい。

 例えば、府労委に申し立てをされて、府労委が事実調査をされて、権限に基づいて調査をされ、聴取をされ、そして判断をされ、例えば救済命令を出されるとか、勧告を出されるとか出されないとかいうお立場でありますので、我々がこれが変なものであるかどうかを一義的に判断する立場にないということを申し上げているということを御理解いただきたいと思います。

重野委員 立場にないと言いますけれども、では、先ほど私が指摘をした、真実を正確に回答しろ、正確な回答がなされない場合は処分の対象となる、こういう文書が発せられるということ、これについてはどうなんですか。この文書が発出されるという事態について、あるいはそういう行為に対して、どう思うんですか。

川端国務大臣 お叱りを承知で申し上げれば、個々個別のことに関して、これがどうかというコメントは基本的にできないということは冒頭申し上げたことでありまして、それぞれの業務命令に関しては、そこの責任において発出されているということ以上のことではございません。

重野委員 平行線、なかなか議論がかみ合いません。

 そこで、また違った立場で、地方公務員の労働基本権という視点からただしていきたいと思うんですが、現在、国会には、国家公務員の自律的労使関係の確立のための関連法案が提出されている。

 まず大臣に、この関連四法案の成立に向けての決意をひとつ確認したい。同時に、地方公務員についても同様の法案を早期に提出すべきだと考えるんですが、この点については大臣はどのように考えますか。

川端国務大臣 御指摘のとおり、既に、自律的労使関係制度を措置する等を内容とする国家公務員制度改革関連四法案は、昨年国会に提出しているところでございます。

 自律的労使関係制度は、国家公務員の勤務条件の決定を民間準拠を基本とする人事院勧告制度に依存している現状を改めて、国家公務員に協約締結権を付与し、労使交渉を通じて労使が給与を含む勤務条件について自律的に決定し得る仕組みに改めるものであります。

 このような制度のもとで、使用者である内閣が、時代の変化に対応し、民間の給与や国の財政状況も考慮しつつ、透明性の高い交渉を通じて、国民の理解のもと、給与水準を初め人事・給与制度の改革を進めていくことが可能になるということで、ぜひとも早期に国会で御審議をいただき、成立をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 なお、地方公務員については、国家公務員に係る措置を踏まえ、新たな労使関係制度を設けることとしておりまして、当事者である自治体の責任者や労働団体との意見調整も行いながら作業を進めていくことが必要であると考えているところでありまして、さまざまな機会を捉えて意見交換を現在行っております。

 引き続き、関係者の意見も伺いながら、早期の法律提出に向けて、できるだけ早い時期に制度改革の内容の取りまとめを行ってまいりたいと思っているところでございます。

重野委員 これについては、この国会では、処遇の問題とこの問題は同時に決着をつけるものというのが政府と関係団体との確認だったことが今実行されていないという点においては極めて問題があるという指摘をしながら、今触れました内容については、これは大臣、やはり全力を挙げて取り組んで、結論を出していただきたいな、このように思います。

 最後に、通信障害について。

 ここのところ、大手携帯電話会社で次々と通信障害が発生している。総務省としてはどういった対応を行っているのかというのが一つ。次に、スマートフォンによるデータ通信量の増大が原因の一つ、こういうふうに言われていますが、今後、スマートフォンはますます普及が予想されることから、同様な障害が発生することも予想される。こうした事態に、総務省としてどう対応していくのか。また、今回の大規模通信障害の際に、エリアメールによる緊急地震速報などの受信は可能なのかどうなのか。その点についてお伺いいたします。

川端国務大臣 NTTドコモ、KDDIにおいて、スマートフォンでのトラブルが増加したことは極めて遺憾でありまして、総務省としては、一月二十六日にNTTドコモ、二月十五日にはKDDIにそれぞれ行政指導を行いました。十全な再発防止策を早急に講じて、三月三十日までにその結果を報告するようにしているところでありまして、事業者を含めてこういうトラブルの情報を共有し、対策をしっかりとるように、そして二度と起こらないようにということの要請も行っているところであります。

 大規模通信障害が起きたときのエリアメールでありますが、通信障害の原因、事象にもよるわけでありますけれども、障害の発生原因によって、例えば音声通話や通常メールの集中による交換機のふくそうとか、それから設備故障による多数の端末からの接続要求によるユーザー認証を行うシステムのふくそうというふうなことに関しては、エリアメールは健在でやれるということだと思いますが、電波が発信できない、基地局が壊れてしまったというときには、電波がなくなってしまったときにはエリアメールも機能しないということになりますので、それがあってもということで、例えば停電なんかには、バッテリーで基地局が生きるように、あるいは大ゾーン基地局ということのバックアップ体制をとるとかいうことで、エリアメールだけは最後まで可能な限り生き残れるようにということの努力と研究は進めて、自治体への周知にも取り組んでまいっているところでございます。

重野委員 予定の時間がオーバーしましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成二十四年度地方財政計画について説明を聴取いたします。川端総務大臣。

川端国務大臣 平成二十四年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、被災団体が東日本大震災からの復旧復興事業に着実に取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方団体の財政運営に影響を及ぼすことがないよう、通常収支分と東日本大震災分を区分して整理しております。

 通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、国の取り組みと基調を合わせつつ、経費全般について徹底した節減合理化に努める一方、社会保障関係費の増加や地域経済の基盤強化等に必要な経費を計上し、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方交付税の総額を前年度に比して増額確保しております。その上で、中期財政フレームに沿って、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画と実質的に同水準を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等の全額を措置する震災復興特別交付税を確保するとともに、全国的に緊急に実施する防災・減災事業について、全国防災対策費に係る補助事業費、地方単独事業費等を計上しております。

 以上の方針のもとに、平成二十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ六千四百七億円減の八十一兆八千六百四十七億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が一兆七千七百八十八億円、緊急防災・減災事業が六千三百二十九億円となっております。

 以上が、平成二十四年度地方財政計画の概要であります。

原口委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

原口委員長 次に、内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。川端総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川端国務大臣 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方税に関し、新成長戦略の実現並びに税制の公平性の確保及び課税の適正化の観点から要請される特に喫緊の課題に対応するため、自動車取得税に係る環境への負荷の少ない自動車を対象とした税率の軽減等の特例措置について要件を変更して延長するとともに、土地に係る固定資産税及び都市計画税について住宅用地に係る据え置き特例を廃止しつつ平成二十四年度の評価がえに伴う税負担の調整を行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、自動車取得税の改正であります。環境への負荷の少ない自動車の取得に係る税率の軽減等の特例措置については、最新の燃費基準に切りかえを行うとともに、環境性能の極めてすぐれた自動車の負担軽減に重点化するなど所要の見直しを行った上、適用期限を平成二十七年三月三十一日まで延長することとしております。

 その二は、固定資産税及び都市計画税の改正であります。平成二十四年度の評価がえに当たり、原則として、現行の土地に係る負担調整措置等を継続することとしております。なお、住宅用地に係る据え置き特例については経過的な措置を講じた上で平成二十六年度に廃止することとしております。また、東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故に係る避難等の指示が解除されていない区域内の土地及び家屋に係る課税免除措置等を、平成二十五年度以後当分の間継続するほか、地方団体の自主性、自立性を高める観点から、一部の特例措置等について課税標準の軽減の割合を一定の範囲内で条例に委任することとしております。

 その他、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正することにあわせて、東日本大震災の復旧復興のための財源として震災復興特別交付税を確保する等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成二十四年度分の通常収支に係る地方交付税の総額につきましては、地方交付税の法定率分に、地方の財源不足の状況を踏まえて行う加算や地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等による加算額一兆九千七百億円、法定加算額及び臨時財政対策のための特例加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払い額等を控除した額十七兆四千五百四十五億円とすることとしております。

 また、平成二十五年度から平成三十九年度までの間における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金勘定への繰り入れに関する特例を改正するとともに、財政投融資特別会計の投資勘定に帰属させる地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の交付税及び譲与税配付金勘定への繰り入れの特例を設けることとしております。

 さらに、平成二十四年度から平成二十六年度までの間における措置として地域経済・雇用対策費を設けるほか、平成二十四年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正することとしております。

 次に、平成二十四年度分の東日本大震災に係る震災復興特別交付税の総額につきましては、平成二十四年度において新たに五千四百九十億円を確保することとし、平成二十三年度の第三次補正において確保した震災復興特別交付税額のうち平成二十四年度に交付することができることとする千三百六十五億円とあわせて、六千八百五十五億円とすることとしております。

 そのほか、当せん金付証票につきましては、これを電磁的記録により作成することを可能とするとともに、当せん金の最高金額に係る倍率制限の緩和等を行うこととし、また、地方特例交付金につきましては、児童手当及び子ども手当特例交付金及び市町村の自動車取得税交付金の減収の一部を補填するための地方特例交付金を廃止することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

原口委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十三分散会


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