衆議院

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第7号 平成24年3月21日(水曜日)

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平成二十四年三月二十一日(水曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 原口 一博君

   理事 稲見 哲男君 理事 大泉ひろこ君

   理事 逢坂 誠二君 理事 野木  実君

   理事 皆吉 稲生君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 西  博義君

      磯谷香代子君    小原  舞君

      大西 孝典君    奥野総一郎君

      桑原  功君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    高井 崇志君

      永江 孝子君    長島 一由君

      福田 昭夫君    松崎 公昭君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    加藤 紘一君

      北村 茂男君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      中谷  元君    丹羽 秀樹君

      平井たくや君    稲津  久君

      塩川 鉄也君   斎藤やすのり君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   復興大臣政務官      郡  和子君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   総務大臣政務官      森田  高君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            田中 栄一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   松本 正之君

   参考人

   (日本放送協会技師長・専務理事)         永井 研二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 金田  新君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大西 典良君

   参考人

   (日本放送協会理事)   今井  環君

   参考人

   (日本放送協会理事)   吉国 浩二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   石田 研一君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十一日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     磯谷香代子君

  橘 慶一郎君     丹羽 秀樹君

  谷  公一君     北村 茂男君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     黄川田 徹君

  北村 茂男君     谷  公一君

  丹羽 秀樹君     橘 慶一郎君

    ―――――――――――――

三月十六日

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

原口委員長 これより会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査中、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長田中栄一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原口委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。川端総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川端国務大臣 日本放送協会の平成二十四年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入、事業支出がともに六千四百八十九億円となっております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入が千百二十二億円、資本支出が千九十八億円となっており、この資本支出のうち建設費が六百九十八億円となっております。

 次に、事業計画につきましては、受信料の値下げを実施し、サービスの充実や増収等に向けて取り組むとともに、東日本大震災を踏まえた公共放送の機能強化等に取り組むこととなっております。

 これに付する総務大臣の意見といたしましては、この収支予算等について、おおむね妥当なものと認められるとした上で、受信料値下げの水準に関しては、近年の経済状況や東日本大震災の影響を勘案すれば、やむを得ないものと認められるものの、さらなる業務の効率化等、不断の取り組みを行っていくことが期待されるとし、経営改革の推進や放送番組の充実、受信料の公平負担等の点に特に配意すべきであるとしております。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

原口委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長松本正之君。

松本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十四年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。

 平成二十四年度は、三カ年経営計画の初年度といたしまして、公共放送の原点に立ち返り、公共、信頼、創造・未来、改革・活力、この四つの重点事項に取り組みます。

 具体的には、東日本大震災を踏まえまして、いかなる災害時にも対応し、安全、安心を守るため、放送設備や報道、制作体制などの公共放送の機能を強化するとともに、東日本大震災からの復興を支援します。また、多様で質の高い番組や確かなニュース、日本や地域の発展につながる放送を充実するとともに、国際放送を強化いたします。あわせて、放送と通信の融合時代にふさわしいさまざまな伝送路を利用した新たなサービスを開発します。さらに、効率的な経営を行うほか、受信料の公平負担の徹底のため、営業改革と受信料制度の理解促進に努めます。

 協会の主たる財源であります受信料につきましては、テレビ受信機のみを対象とする受信料体系に移行した昭和四十三年以降、初めてとなる値下げを平成二十四年十月から実施いたします。

 次に、建設計画におきましては、災害時に備えた公共放送の機能強化のための放送設備の整備を重点的に進めるとともに、安定的な放送サービスを継続するための設備更新等を実施いたします。

 以上の事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千四百八十九億九千万円、国内放送費などの支出六千四百八十九億九千万円を計上し、収入の範囲内で支出を賄う予算といたしております。

 また、資本収支につきましては、収入として、減価償却資金など総額一千百二十二億七千万円を計上し、支出には、建設費など総額一千九十八億円を計上しております。なお、資本収支差金の二十四億七千万円につきましては、翌年度以降の財政安定のための繰越金へ繰り入れます。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、平成二十四年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、そのあらましを申し述べました。今後の事業運営に当たりましては、事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、視聴者の皆様の期待に応えていく所存でございます。

 委員各位の御理解と御支援をお願いし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

原口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 NHKの受信料というのは、他の公共料金と違う特質がございます。電気代ですとかああいった公共料金というのは、通常、役所の認可、大臣認可なんですね。ところが、NHKの受信料というのは、役所が放送の内容に介入してはいけない、こういった御配慮が恐らくあるんでしょうが、役所ではなくて国会の場で、予算を認可する中で受信料を決定する、そういう仕組みになっているという意味で、本日の審議は大変重いものだというふうに受けとめております。

 早速でございますけれども、このNHKの受信料、通常、三年に一度見直されておりますけれども、まさに今度の平成二十四年度の予算というのは、この三年に一度に当たります。

 三年前の審議のときに、一〇%の還元をしようということで、NHKの当時の会長が答弁をされました。そういうことを受けて、一〇%受信料は下がるのかなというふうに思いきや、今回出てきた案は、七%の受信料引き下げでございます。

 この理由についてお伺いしますけれども、この差の三%分のうち、〇・六%分は大震災に伴う設備投資、そして二・四%分は、生活保護の方がふえた、こういったことに伴う受信料の免除、ここが予想以上にふえた、こういう理由だというふうに御説明があります。

 設備投資については、そもそも、普通の会社であれば、借金をして設備投資をするものでありますが、NHKは無借金です。さらに、千百六十四億円の繰越金という剰余金がございます。こういったものを使えば、こういう大震災への設備投資はできるのではないかというふうに思います。

 本来、受信料で還元すべきところを削ってまで、借金をせずに、剰余金を取り崩さずに設備投資を行う理由と、あと、受信料免除というのがふえている中で、これからも免除を続けるのか、この二つについて、NHKにお伺いいたします。

松本参考人 お答えいたします。

 一〇%還元につきましては、前回の計画のときに約束をしたものでございます。その前提として、その後の経済状況をきちっと見る、あるいは、還元については適正な方法を検討する、こういう前提条件になっておりまして、そういう前提条件のもとに一〇%還元というのを検討いたしました。

 そういうことで、その後の受信料全額免除ということで、免除の拡大ということが四倍程度にふえておりますので、そのことを勘案したということと、震災について最小限必要な災害設備投資というのを勘案したのは、そのとおりでございます。

 設備投資の考え方でございますけれども、NHKの予算というのは、全体として、民間企業の企業会計にのっとって策定いたしております。したがって、建設費につきましては、まず減価償却資金を充当いたしまして、不足する場合は繰越金を充てる、または、さらに不足する場合は外部借り入れ、こういうことになります。

 今後の三カ年計画の中の建設費は、その考え方に基づきまして、建設費そのものはできる限り圧縮いたしますが、減価償却資金の範囲内で行うということにいたしております。したがって、繰越金は使用しておりません。ただ、三カ年で見ますと、大規模災害に備えた公共放送の機能強化、この投資が増加いたしますので、二十六年度につきましては繰越金の一部を充当する、こういうことでございます。

 それから、生活保護等公的扶助受給者に対する全額免除というのが、計画当時は四万人ぐらいだったんですが、これが十八万人ぐらいにふえておりまして、そのことを今回の計画にも勘案して一〇%還元というものを整理した、こういうことでございます。

後藤(祐)委員 通常の会社と同じような対応をこれから検討していただきたいなというふうに思います。

 我々民主党の中でも、この受信料の話、大変審議をしてきました。その中で、この三カ年計画の中に盛り込まれた経営効率化、これに加えてさらなる努力をするようにということを党としても申し入れたところでございますけれども、これに対してNHKから積極的なお答えがありました。

 これから三カ年、三カ年計画にプラスアルファで合理化分が出てきた分については、これはどうするんでしょうか。つまり、三年の間は料金引き下げ、受信料引き下げということはしないという対応ではなくて、場合によっては、来年あるいは再来年、三カ年計画の途中であっても合理化分の還元、受信料の引き下げということを検討すべきではないでしょうか。

松本参考人 お答えいたします。

 今回の値下げによりまして、約一千百億円程度の収入が減ることになります。それを増収あるいは効率化ということで全体をできるだけカバーするということでございますけれども、一千百億を全てカバーする、こういうことはなかなか難しい状況でございます。しかし、さらにそれをよりよくしていく、こういうことで、三年計画の初年度、二十四年度は収支とんとん、来年度は赤字ということに今のところ計画はならざるを得ないということで、これは、今年度は十月からですので半年分ですけれども、来年度は一年分ということなので収入の増収が間に合わない、こういうことがありまして、そういう欠損になります。

 トータルとして、先ほどお話がありましたように、その中でできる限りの経費節減、効率化を努力して、そして、そこで出てきたものがあるとすれば、それはまず収支の改善ということに向けたいと思います。それから災害機能、これは実際になかなか苦しいものですから、時期を少しずらしたとかそういうものがございます。それをできれば前へ持っていきたい、そういうふうなことで充当したいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 ぜひ、三年前の一〇%還元という約束は、今回で終わるのではなくて、これから後も生き続けるということをNHKには自覚いただいて、効率化分が出てきた分は必ずテレビを見ておられる方々に還元していただくようお願いを申し上げたいと思います。

 次のテーマに移ります。

 ここにパネルを用意させていただきましたが、これは、衛星放送を受信できるのに、まだ衛星契約をされていない方々のテレビに映る画面でございます。

 今、実は、マンションですとかあるいはケーブルテレビですとか、こういったところで地デジ化のテレビをつけますと、衛星が映っちゃうんですね。昔は、衛星を見るためには、こういったアンテナをつけたりですとか、自分で積極的な行為をしなければ見られなかったんですけれども、今は、衛星なんか見たくないよという方でも、知らないうちに見えてしまうんです。

 ところが、衛星契約というのは、地上波に比べて月で九百四十五円プラスで払わなきゃいけません。今どうなっているかと申しますと、この画面、ちょっとここのところにわかりにくいことが書いてあるんですが、要するに、今まだ衛星契約をしていない方に対しては、あなたは衛星が見られる状態にあるのにまだ契約していませんので、ちゃんと衛星契約をしてくださいねということを本来ここに書くべきなのにもかかわらず、大変わかりにくい表現になっております。これを今言ったようなわかりやすい表現に改めることはお考えではないでしょうか。

大西参考人 お答え申し上げます。

 受信機の画面に表示するメッセージについては、委員の御指摘のとおり、視聴者にわかりやすくメッセージをするということが重要であるというふうに考えております。

 先ほど出ているパネルでありますけれども、確認メッセージは、衛星受信機の設置を効率的に把握することを目的にしているため、衛星受信機を設置した場合、視聴者からの住所、氏名等の連絡を促すメッセージとしています。

 また、確認メッセージの消去をいただいた後、一定期間置いても衛星契約をお届けいただけない場合については、契約案内メッセージを表示しています。この契約案内メッセージは、衛星契約が必要であるという案内をするなど、契約を結ぶよう促すメッセージとしていますが、委員の御指摘のとおり、メッセージの文言については、効果的な運用についてはさらに検討してまいりたいというふうに思います。

 以上であります。

後藤(祐)委員 そもそも、富士山が映らないようにして、衛星が映らないようにして、衛星が見たい人は連絡してくださいという画面にすれば、まだ衛星放送は見られない状態にあると私は理解しますけれども、そうすればいいわけですね。何でそうしないんですか。その理由をお伺いしたい。

 あとは、これは放送法上ちょっと問題があるという説もあるんですね。つまり、富士山が映らないで、見たい人は連絡してくださいというこのやり方にした場合、これは通常、昔の言い方でスクランブル化と言うそうでございますけれども、これに法律上の問題がないかどうか、総務省からお答えいただきたいと思いますが、その際に、この問題は昔から問題になっているんですね。総務省でもかなり前から検討会でこの議論をしておりまして、その際に、今申し上げたスクランブル化、つまり見たい人は申し込んでくださいというやり方も一つの考え方だという御議論をされております。委員長が大臣をやったころにこういう議論があったんだと思いますが、これもあわせて総務省から御答弁をいただければと思います。

川端国務大臣 先生よく御存じのように、放送法六十四条で「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」という、機械を置いたらしなければならないという法の立て方になっているんですね。

 例えば、CSとかほかのBSとか、いわゆる有料放送の場合は画面に出てきますよね。無料のお試し期間とかは別にして、何も、ただ字だけで、これを見たい人はここへ電話してくださいというので契約する。これは、視聴する対価ということで、お金を払うということでスクランブルが解除されるということですけれども、NHKの場合はそういう物の考え方に立っていないという経過が今まであるんですね。ですから、テレビを置いたら、見るとか見ないとかということの対価ではなくて、契約してくださいということで、先ほどのお話のああいうことになっているんだと思います。

 それで、ただ実際に、いろいろな研究会も含めて調べたところ、通知の画面を大きくするとかいろいろ工夫すると、実際、新たにBS契約を結んだ人のきっかけは、四割があれを見たからだというふうに言われているというのは、一定の効果があることは事実。だから、ただ、スクランブル化というのも一つの効果があるのではないかという議論と今申し上げたような議論と両方あって、公共放送の健全性に係る課題等も含めてしっかり議論してやらなければならないというのが現時点の認識だというふうに承知をしております。

後藤(祐)委員 そうしますと、現行法上、スクランブル化も選択肢としては可能だということのように今の答弁だと考えますけれども、この点は、他の放送事業者との関係ですとか、いろいろ解決しなきゃいけない課題はたくさんあると思うんです。

 受信料の負担の公平さというのが一番大事な論点でございますので、スクランブル化をすれば、見たい人だけが払うわけですから一番公平なんですね。その方向でぜひ、もし法的な問題があるのであれば、その解決も含めて、総務省でしっかりと検討の場を設けて検討いただいて、このスクランブル化を進めていただきたいと思いますけれども、これについての大臣の御見解をいただきたいと思います。

川端国務大臣 スクランブル化というのは、テクニカルには当然可能な問題でありますけれども、先ほど申し上げたような放送法の立て方でいいますと、見ることに対する対価を払うという形には基本的に立っていない、その要素を非常に薄くしてあるということであります。

 これが、今申し上げました、いろいろな受信契約の向上の部分の効果と同時に、やはり公共放送は、機械、放送設備を設置した者が、見る見ないにかかわらずと言ったら、ちょっと言い方は変ですけれども、そういうもので、みんな契約をして、費用負担して、公共放送を支えるんだという考え方でありますので、この問題自身はいろいろ議論があるところですが、議論することはしていきたいというふうに思いますが、何の問題もないということまではちょっと踏み込み過ぎかなというふうに思っております。

後藤(祐)委員 時間が来たので終わりますが、地上波は今までどおりでいいと思います。ぜひ衛星放送はスクランブルでやっていただくようお願い申し上げるとともに、電気代、消費税、いろいろ上がって困っています。下げられるのはこれしかありませんので、総務大臣、ぜひ督励をしていただければと思います。

 本当にどうもありがとうございました。

原口委員長 次に、大西孝典君。

大西(孝)委員 民主党の大西孝典でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 まず、災害報道につきましてお尋ねをいたしたいと思います。

 昨年は、東日本大震災初め、私の地元でも台風十二号の大災害がございました。日本でそういった大きな災害が頻発したんですけれども、多くの方々が犠牲になって、その地域のライフラインや生活基盤がずたずたになり、今も大勢の方々が不安で不自由な生活を強いられております。

 大規模災害が起こったとき、被災者は自分たちがどういう状況に置かれているのか、また、被災地以外の方々は自分の親戚や知人がどうなっているのか、速やかに知りたいというような思いが強いわけでありますけれども、特に東日本大震災において、NHKはどのような考え方で報道体制を整えたのか、お尋ねをいたします。

松本参考人 お答えします。

 NHKは、公共という使命の中で、災害に対する対応といいますか、そういうものを最大の使命というふうに考えておりまして、毎日これに対する訓練をいたしております。

 災害対策基本法の中で指定公共機関に指定されておりますが、今回の震災報道では、正確かつ迅速に伝えるということを基本姿勢といたしまして、それこそ、NHKの総力を挙げて、全局体制で報道に取り組みました。被災地には、地震発生直後から、あわせて六百人を超える職員を派遣するとともに、ヘリコプターあるいは衛星中継など、機動力も総動員して、投入して対応いたしました。

 その後もずっと、災害の関係の状況が刻々と変化する中、応援体制を維持し続けまして、震災一年の三月十一日には、ニュース部門だけで七十人を超える応援職員が被災地に入りまして、地元の職員とともに、テレビ、ラジオの全国放送とローカル放送で被災地の今というのを放送させていただいているところでございます。

 また、応援職員、派遣職員とは別に、二十三年夏の定期異動、人事異動では、仙台、盛岡、福島の三局に人材を重点配置して、取材、放送体制を強化いたしております。加えて、三陸海岸の沿岸部などに取材拠点を置きまして、地域に密着した体制で取材、放送に当たっております。

 引き続きそういう体制をしきながら、震災に対するきちんとした報道をさせていただきたいというふうに思います。

大西(孝)委員 ありがとうございます。NHKを挙げて、災害報道といいますか、震災報道に取り組んでいただいている、現在も取り組んでいただいているということに敬意を表したいと思います。

 その上で、特に発災後すぐの状況というのは、被災地、被災者が自分の生活において必要とする情報と被災地以外に報道機関として伝えるべき内容とは必ずしも一致しないことが多いと思うわけであります。NHKはそのバランスをどう考えて今回取材、報道を行ったのか、お尋ねをいたします。

金田参考人 お答えいたします。

 NHKの災害報道は、国民の生命と財産を守ることを目的に、防災情報、減災情報を正確、迅速に伝えることを重点にしております。

 大震災の際は、地震情報や津波情報を速やかに繰り返し放送するとともに、津波被害等の状況をいち早く伝え、被災地の二次災害の防止と被災地への救助救援活動につながる放送をいたしました。

 その後も、広範な被害や孤立状態の地域の状況等を細かく丁寧に取材し、全体状況がわかるように努めました。

 安否情報では、電話で寄せられました情報や避難者名簿も放送しまして、家族や親戚等の安否確認につながるような放送をいたしました。

 また、地域向けに生活情報として、避難所、給水、医療機関、交通などの情報を届ける一方、避難所の生の声を取材し、現地で何が求められているか、被災地以外で何ができるかなどを伝え、支援のための放送に努力いたしました。

大西(孝)委員 ありがとうございます。

 NHKというのは、他の民放と違いまして、全国規模でその事業を展開しておるわけですけれども、都道府県それぞれに地方局があって、きめの細かい全国ネットの取材網や放送網があるわけです。その特性を十分に生かして、私は、被災地の地方局は地元の被災者向けの報道を重視すべきと考えておるんですけれども、実態はどうだったのか。

 そして、もう一問。特に大規模災害というのは停電がつきものであります。そういったことで、テレビは被災直後というのはほとんど使い物にならないということが多いわけですけれども、その際、NHKはラジオ放送もやっておるわけです。ラジオ受信機の特性、機能を生かして、地域向けのラジオ放送は被災者向け情報を放送することに特化してもよいと私は考えておりますが、NHKの考えはいかがでしょうか。

金田参考人 お答えします。

 まず、被災地の各放送局でございます。

 震災発災以来、きめ細かい地域情報の提供に努めました。仙台局でありますが、去年五月下旬までの二カ月余りの間におよそ三百八十時間のニュースや関連番組をテレビでお伝えしました。ラジオでも、仙台局、盛岡局、福島局から各県向けのニュースや生活情報を長時間放送いたしました。

 地域のニュースや生活情報が一日に十時間以上に及ぶ日もございました。震災十日目から被災地の声の放送を開始し、現在に至るまで、被災者の目線で被災地の状況を伝え続けております。

 それから、ラジオについての御意見でございました。

 まず、大規模災害が発災した直後でございますが、ラジオはテレビと同一内容を放送しています。その後、音声波の特徴を生かしたラジオ独自の放送を行っています。東日本大震災の際には、全国放送に続きまして、東北地方の各放送局で県域のローカル放送やブロックの地域放送を始めました。地域向け放送は、放送開始直後は地震や津波の被害や余震の警戒など災害情報が主でございましたが、情報が収集でき次第、交通機関、電気、ガス、水道などの生活情報をきめ細かくお伝えしました。

 基本は被災地向けの情報は過不足なくしっかりと伝えていくということでございますが、復興の状況、時間の経過とともに、被災地域においても一般番組の放送への要望も出てまいります。そうした要望にもお応えしていく必要があると考えております。その場合も、被災地に十分な情報をお伝えする、そういう時間は確保し、地域のニーズに十分応えていく、それが基本だということは言うまでもございません。

大西(孝)委員 ありがとうございました。

 かなりきめ細かくやっていただいていることがよくわかりましたけれども、今回のいろいろな検証もやって、特に情報に飢えている被災地の方々のための放送というものをより一層推進していただきたいと思います。

 次に、大震災を踏まえた機能強化についてお尋ねをいたします。

 来年度予算に、首都圏直下型地震に備えて、NHKも本部のバックアップ機能を大阪放送局に整備する計画があり、これは私も早急に実施すべきと考えております。

 しかし、関西地方も東海・東南海・南海地震が想定され、首都圏地震と連動することも考えられます。東京、大阪二カ所では、同時機能不全に陥る可能性もあります。想定外は許されないわけで、もう一カ所、離れた場所にバックアップ機能を整備する必要があると考えますけれども、NHKの考えをお聞かせください。

松本参考人 お答えいたします。

 今回、NHKが災害に対する放送について機能を果たせましたのは、放送機能が生きていたからであります。したがって、もしそれにダメージがあったらどういうことになっただろうということを考えまして、いかなる場合でも放送をとめない、放送機能を動かす、こういうことで、今回の、次の三カ年計画にもそのことを一番の柱というふうにいたしております。

 先ほどお話がありましたように、東京がもし機能停止になった場合には、大阪から衛星放送を使いまして全国ニュースを各局へ送ることができる機能を整備することといたしております。

 また、東海・東南海・南海地震の発生、そういうような太平洋沿岸の地域を中心に取材、伝送機能の強化、あるいはロボカメ、ロボットカメラの増設、あるいは放送所の電源強化、放送会館の電源強化の対策を行います。

 また、今お話にありましたように、東京、大阪いずれからも出せなくなった場合という事態も一応想定する必要があるということで、これは完全なものということは言えませんけれども、福岡局に最小限、衛星放送を送出する機能について整備をするということで考えております。

 そのようなことで万全を期したいというように考えております。

大西(孝)委員 ぜひ万全を期して、よろしくお願いをしたいと思います。

 本日は、川端総務大臣にも御出席をいただいております。これまでの質疑をお聞きいただきまして、市町村の消防防災対応を所管して、また放送行政も所管する総務大臣としての御所見をお聞かせください。

川端国務大臣 市町村というのは、今お触れいただきましたように、消防を所管しております。同時に、住民に一番身近な行政でありますので、消防行政にとどまらず、避難所の運営というのもこれは市町村の役割です。同時に、各種の警報などの情報伝達も担っておりまして、避難勧告、指示の発令なども含まれておりまして、みずからが防災行政無線などの整備というインフラ整備も含めて、それと、いわゆる対応のマニュアル等々も総見直しをするということで今取り組んでいただいております。

 今御議論いただきましたように、一方で、放送が果たしている役割は非常に大きいということでありまして、これは、NHKもそうでありますし、地元のいろいろな放送事業者もおられます。そういう意味では、役割を分担する中でより連携を深めることがどうしても必要であろうというふうに思っております。

 特に、NHKの災害における公共放送の担う役割というのは、先般の東日本のことを含めても極めて大きいものがあるということでありまして、安否情報、生活情報をきめ細かく対応していただく、復興に向かう被災地の状況を伝えることは、また、国民みんなの思いを共有してみんなで支え合うということにも役に立っている、効果は大変大きくなり、これからもますます大きくなるというふうに思っています。

 一方、これもお触れいただきましたけれども、その放送が震災によってダメージを受けてしまっては全く機能しないということでありますので、切れないようにということで、バックアップ機能強化はもう不可欠のものであるというのは我々もそう思っておりまして、今回の総務大臣の意見書においても、東日本大震災を踏まえての防災機能の強化、そして自治体との連携強化を含めて、意見書として付しているところでございます。

大西(孝)委員 どうもありがとうございました。

 時間が来ましたので終わりますけれども、今放送中の連続ドラマの「カーネーション」、ヒロインを演じた尾野真千子さんは、私と同じ奈良県吉野の出身でありまして、河瀬直美監督に中学時代にスカウトされまして、ようやくメジャーデビューを果たしたということで、私も非常に励まされております。これからもぜひNHKの他の番組で活躍されることを念願して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 衆議院の杉本かずみです。

 きょうは、貴重な質問の機会を、委員長そして各理事様、委員の皆様、認めていただいてありがとうございます。

 きょうは、党派を超えて、できる限り建設的なNHKさんへの要望というようなことをしたいと思っています。

 実は、ちょっと映画の話で恐縮でございますが、一昨日夜、私は、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」というのを拝見しました。サッチャーさんは、一九七九年から九〇年にかけて英国の総理を務められました。サッチャーさんのお話はいいんですけれども、その後、イギリスがどういう形で総理大臣を選んだかということを、ちょっと今お手元にお配りする記事を読んでいただければと思います。

 実は、その記事は、朝日新聞が一九九一年に私が「声」欄に投稿したものを取り上げてくださったものであります。それで、サッチャーさんがおりた後、マイケル・ヘーゼルタインさん、そしてジョン・メージャーさん、ダグラス・ハードさん、三人の候補者が立候補をして、保守党の党首、すなわち英国の総理大臣という選考過程に入りました。その様子を私はたまたまイギリスにおりましたので見ておりましたが、BBC放送のケースを挙げますと、この三人の候補者に対して、BBC放送は、夜のゴールデンタイムを使って、解説委員のような方が一対一のインタビューを一人二時間、合計六時間も放送いたしました。これによって、総理大臣に選ばれる人の政策だけに限らず、思想信条、価値観、家族への思いだとか、あるいは横顔といったものがかなり赤裸々になる中で、最初の投票でヘーゼルタインさん、そして二度目の投票でジョン・メージャーさんが選ばれるということで、いろいろイギリスにも派閥があることは存じ上げておりますけれども、当時、保守党の党員の投票というものが、BBCの放映によりまして大きく振り子が揺れたという印象を私は持っております。

 そんな意味で、今、日本の総理を選ぶ仕組みというのが、共同記者会見を開くだとか、あるいは立会演説で十分ずつしゃべるだとか、その程度で政策を比較して総理を決めてしまうということで、本質的にその人間が信頼に足り得るかどうかというところまで赤裸々にできていないのではないかなという懸念を、六代総理がかわられていますけれども、大変僣越ですが、そんな思いをしております。

 そんな意味から、公共放送のNHKさんの役割というのは極めて重いと私は思っておりますので、これは後で感想で結構なのですが、BBCの政治に対する姿勢、一人二時間ずつインタビューして、党首を決め、総理を決めるというところまで踏み込んでいらっしゃるということをぜひとも参考にしていただきたいと思います。

 そして、もう一点、これは新聞の記事ではありませんが、しょっちゅう英国のBBCあるいは英国の民放も、ITVだったと思いますが、シャドーキャビネットを育てるということをしてくださっておりました。担当の、総務大臣なら総務大臣の記者会見を撮るんですけれども、必ずその後、影の大臣のインタビューを撮って、それを流します。そういう形でシャドーキャビネットを育ててくださっているのが英国のBBC放送。

 今、日本は二大政党になって、またこれがどういう形になるかという議論も行われておりますけれども、いずれにしろ、野党側の政治もきちっと放送するということによって、その国に政治風土が醸成されていくという感がいたしますので、シャドーキャビネットのインタビュー、このこともぜひともBBCから参考にしていただきたいなと思っています。

 以上二点、党首選びについての個人インタビュー、また、シャドーキャビネットに対するインタビュー、こういったことについて、NHKさんはどういった感想を現時点でお持ちになられるか、教えていただければと思います。

金田参考人 お答えいたします。

 政権与党の党首選挙につきまして、昨年の民主党の代表選挙の際には、日本記者クラブ主催の候補者共同会見の中継放送に加えまして、候補者がそろって出演する討論番組、「日曜討論」や代表選挙が行われる民主党両院議員総会の中継放送をしております。

 政権交代後は民主党の代表選挙、政権交代前には自由民主党の総裁選挙につきまして、その時々の政治状況に応じまして、討論番組やインタビュー番組を企画し放送するなど、総理大臣候補となる党首候補者の政権構想や政策などを視聴者の方々にお伝えする番組も適宜編成しております。今後も党首選挙の際にはこうした企画をしていきたいと考えております。

 もう一点であります。シャドーキャビネットについての御質問でありました。政府の政策をめぐりましては、日々のニュースや与野党同席の討論番組などで野党側の考え方も紹介し、さまざまな立場からの意見を取り上げております。今後も政府・与党の政策や考え方、野党の立場からのお考えにつきまして、さまざまな形で視聴者にお伝えしていきたい、そのように考えております。

杉本委員 どうもありがとうございました。

 今、現状をお聞かせいただいたんですけれども、二時間一人の候補者にインタビューをするのと、共同記者会見で、与えられる時間がわずか十分で、総理大臣、誰がいいかなと国民の皆様が感じるのと、私は随分違うと思います。そういう点で、地球は丸くて、地球上にいろいろな国があって学ぶところはたくさんあると思いますので、ぜひとも、今までの慣習にこだわることなく、思い切って、BBCに近いような党首選び、総理選びをしていただくような公共放送であっていただきたいということを、大変僣越ですが、お願いを申し上げます。

 次に、番組の内容について、立ち入るつもりはないんですけれども、どうも最近、娯楽番組みたいなものが多くて、本当にそれでいいんだろうかという気がしてなりません。そういった意味で、番組構成、それとあと、ロケのあり方みたいなところをお伺いしたいんです。

 総合テレビジョン、ETVあるいはBS放送、あるいはラジオも含めてでございますが、教養物、娯楽物、ドキュメンタリー、私はこういうふうに勝手に分けたんですけれども、そもそもどういう形で番組構成を分けて考えていらっしゃって、それについてどういう比率で今放送しようとされているのかをひとつお聞かせいただきたい。

 もう一点、私ども政治家によく言われるんです。杉本さん、「のど自慢」を呼んできてほしい、杉本さん、きみまろの笑劇場を呼んできてほしい、あるいは鶴瓶の番組を呼んできてほしい、こう言われますけれども、政治家がNHKさんに介入すべきでないというのは、とことん私はわかっております。

 そんな意味で、どこにロケに行くかというのをできるだけ公明正大にしていただいて、政治は全く関係ないんだ、NHKが独自にこういうルールにのっとってロケ地を決めているというようなことを発信していただきたいと思うんです。

 この二点、番組構成のあり方、それと実際のロケ場所の選考の透明性、このあたりについて御教示いただきたいと思います。お願いいたします。

金田参考人 お答えいたします。

 NHKは、放送法の規定に基づきまして、放送番組の種別を教養、教育、報道、娯楽の四つに分けています。ドキュメンタリー番組につきましては、教養番組の中にカウントしているものが多いということでございます。テレビの各チャンネルは、国内放送番組編集の基本計画等で種別の比率を規定しております。例年、種別の比率については大きな変動はございません。

 例えば総合テレビでございますが、二十四年度の計画値であります、教養が二一・三%、教育が一〇・五%、報道が四八・二%、娯楽が二〇%でございます。

 各チャンネルの役割でございますが、国内放送番組編集の基本計画で定めて役割を分担し、ホームページでも公開しております。

 総合テレビは、国民生活に必要不可欠なニュース、情報番組や創造的な文化、教養、娯楽番組の調和ある編成を行うとしております。

 Eテレ、教育テレビにつきましては、未来を志向するチャンネルとして、主に未来を生きる子供たち、あすを担う若者を対象にした番組を強化するとしています。

 BS1は、今の国際情報、生のスポーツということでありまして、BSプレミアムは本物志向の教養、娯楽の波として編成することとしています。

 それから、もう一つの御質問であります。

 全国放送の番組の収録場所をどこでどういうふうに選んでいるか、その透明性を確保ということでございましたが、全国放送の公開派遣番組の開催地は、番組の趣旨や地域からの要請などを勘案しながら、実施地域のバランスや会場条件なども考慮に入れまして、各放送局が候補地を選定します。それで、最終的には本部、渋谷で全国的な調整を行って決定しております。

 地域を元気にすることを目的に、地方自治体等の周年記念、会館落成記念などと連動して実施を計画することもございます。また、NHKの地域放送局の開局周年記念などに合わせて開催するケースもございます。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 今の御説明もわかるんですけれども、それで地元の有権者の皆さんが納得いただけるかどうかというとちょっと、わかりやすいかなという気がいたしますので、できる限りインターネット等で、こういう形で選んでいるんだよみたいな形で、ぜひともオープンにしていただきたいと思います、番組のロケ地の場所ですね。

 以上です。

 次に、松本会長から予算のところの御説明でありました、日本や地域の発展につながる放送を充実するとともに国際放送を強化します、こういうお話がありました。

 最近、中東では、民放でやっていましたけれども、サウジアラビアで日本が非常に注目されていて、日本の関係の番組が非常に高い視聴率を上げているというお話を聞きました。

 また、我々は、アジアの成長を取り込むというような新成長戦略を持っております。そんな意味から、国際放送、これはテレビに限らずラジオも含めてなのでございますが、アジアへの発信、あるいは中東への発信、これも、英語だけに限らず母国語を含めて大いに発信をしていただき、日本に対する評価というのをさらに高めていただくことが必要だと思っています。ルック・ジャパンだと思っていますので。

 そんな意味で、現在の状況と今後の取り組みについて教えていただきたいと思います。お願いします。

今井参考人 お答えいたします。

 日本からの情報発信の強化というのは非常に重要になってきているというふうに認識をしておりまして、世界での視聴者拡大と日本からの情報発信強化につきましては、次の三カ年経営計画でも積極的に取り組んでまいる所存であります。

 NHKの国際放送のうち、英語による外国人向けのテレビ放送、NHKワールドTVというのは、世界各地で、地域衛星、それからケーブルテレビ、IPTVなどを活用いたしまして、現在およそ百三十カ国、一億五千万世帯で一日二十四時間ごらんいただけるようになっております。

 一方、ラジオにつきましては、日本語を含めまして十八言語で放送を続けておりまして、短波に加えまして、途上国で最近普及しております中波、FM波による放送の拡充に力を入れて、中波、FM波の聴取可能人口は世界でおよそ四億人になっております。

 それから、テレビ、ラジオも、インターネットを通じた発信にも力を入れておりまして、このうち、NHKワールドTVにつきましては、ホームページからライブストリーミングでニュース、番組をごらんいただけることになっております。

 それから、最近スマートフォンが普及しておりますので、スマートフォン向けの無料のアプリケーションを開発、提供しておりまして、調査会社の推計によりますと、アイフォンとアンドロイドを合わせますと、世界のスマートフォン端末の半数余りで視聴可能となっております。若者を中心に、世界各地での視聴拡大につながるものと期待をしております。

 以上です。

杉本委員 最後、お答えは求めませんが、一つだけ、お願いということをちょっと言わせていただきたいと思います。

 これは正しい情報かどうか定かではないんですけれども、総理大臣が出演する公共放送と民放の割合は一対一じゃなきゃいけないみたいな、官邸側の配慮なのか、テレビ局側からのいろいろな考え方なのかわかりませんけれども、何かそういったような慣行があって、公共放送と民放に総理大臣が出る比率が一対一にあるみたいなことを聞かされました。

 それは、これまでの、どっちかというと、公共放送さん、民放さんとのバランスの中での慣行だと私は思っておりますが、あらゆる機会にやはり日本の政治というものは注目いただかなければならないと思っておりますので、そんな意味からは、特段、公共放送の重要性は十分わかっておりますが、民放局はたくさんあったりしますので、その辺のバランスについてはちょっと御配慮をいただいて、総理なりあるいは野党さんの代表とか、そういう方が多くテレビに出られるような機会をつくっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

原口委員長 次に、北村茂男君。

北村(茂)委員 自由民主党の北村茂男です。

 早速質問に入りたいと思いますが、時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたしたいと思います。

 まず初めに、NHKの松本会長に伺いたいと思います。

 会長就任から一年間を振り返っての感想等について伺いたいのでありますが、昨年一月にNHK会長に就任されて以来、就任後間もなく東日本大震災、津波災害に直面をされ、その陣頭指揮をとられてこられたことに始まり、地上デジタル放送への移行、次期経営計画の策定など、御就任からのこの一年間はまさに激動の一年であったと思います。御就任から今日までを振り返ってみて、その感想やあるいは所感、さらには今後に向けての決意等あれば、お聞かせ願いたいと思います。

松本参考人 お答えいたします。

 長年鉄道事業をやっておりまして、放送という分野に入ったのでありますけれども、やはり基本というのは同じであるという信念のもとに、公共放送の使命、役割、これをきちっと果たすということに寄り添って日々の業務に取り組んできたというつもりであります。

 今お話ありましたように、私が就任しましてから、NHKとしては本当に遭遇したことのないようなことが次々と起きました。

 三月十一日の東日本大震災、これについては、私もそうですけれども、職員も不眠不休で取り組んだという感想を持っております。その中で、特にNHKのそういうものに対する対応というか、瞬間的な対応というのは大変すぐれたものだ、こういう認識も持っております。

 テレビのデジタル化につきましては、大変な、ある意味の十年の仕事を私のところで結ばせていただくということになったんですが、大変順調に移行できたかと思います。これは、民放とかいろいろな方の力が大きかったというふうに思います。

 また、経営計画でありますけれども、やはり一〇%還元を初めそういうものをきちっと整理する、こういう観点で臨みました。そして、その中で特に災害についてはきちっとした放送機能を強化するということが絶対に必要だな、こういう感じを持ちまして、この計画の中に盛り込んでおります。

 同時に、NHKにとって事実上初めての受信料の値下げ、こういうことを織り込みましたので、これからの収支について、きちっとそれをリカバーするという努力が必要だ、こういうふうに思っておりまして、組織を挙げて増収、効率的な経営に取り組んで、着実に実行したいというふうに思います。

 そういうことで、公共放送の原点というものに立脚した、NHKらしい質の高い役に立つ放送、こういうものの提供に全員で努めてまいりたい、こういうふうに思います。

北村(茂)委員 この一年間を振り返っての感想の中で既に次期経営計画についてのお話も触れられましたが、その計画について伺いたいと思います。

 焦点となっていました受信料収入の一〇%還元については、受信料還元のための財源のうち、一〇%ではなく七%の財源により受信料の値下げをすることを決定されました。

 近年の経済状況や東日本大震災の影響等を勘案し、七%値下げにとどめることとしたようでありますが、平成二十一年の衆議院総務委員会において福地前会長が、一〇%の還元は受信料一〇%の値下げであるとの認識を表明されていたことからも、さらなる業務効率化や不断の努力によっては一〇%の値下げを実現できないものなのかどうか。なぜできなかったのか、七%にすることが本当にやむを得なかったのかどうか、このことについて、その検討過程や理由について改めてお伺いしたいと思います。

松本参考人 お答えいたします。

 一〇%還元については、経緯はおっしゃったとおりのことがあると思います。

 その計画の前提といたしまして、社会経済情勢の変化を勘案する、そして最適な還元方法を選ぶ、そういう前提条件がございます。そういう前提条件も踏まえて、現在の経営者として、法律上求められる善良なる管理者としての注意義務、いわゆる善管注意義務を踏まえて経営者として判断をする、こういうことにいたしました。

 すなわち、二十四年度からの受信料収入の還元について、先ほども少し話しましたが、収入が計画の当時から大きく狂っております。その大きな原因は、受信料の全額免除、これが四万人ずつ年々ふえるというのが十八万人ずつふえていく、ことしも十八万人を超すと思います。そういうような状況から、それを計画の中に取り込まざるを得ないというふうに考えたのが一つ。それから、東日本の大震災でございます。緊急災害対応の最低限のものはきちっとやっていく必要がある、こういうような総合的な観点から検討をいたしました。

 お話のように、全額免除の拡大が二・四%の割合でございます。東日本の大震災に関しては〇・六%。これを除く全てを値下げに充当する、こういうことにいたしました。その値下げの結果として、収支については大変厳しい状況になります。そういうようなことでありますけれども、この計画をきちっとやり遂げる、こういうことが私たちが今やるべきことであろう、こういうふうに考えてございます。

北村(茂)委員 想定外の事態が発生したということであります。しかし、あくまでも、あれほど内外への、一〇%還元ということは視聴者あるいは国民の皆さんへの約束事でもあったと言えるわけでありまして、限りなく国民の間には、想定外のことがあったとはいえ、あれほどの約束事が守られないということについては違和感を持って見ているのではないかと思います。なお一層の努力を求めておきたいと思います。

 それでは、それほど厳しい状況にあるのであればという線で、いわゆる給与費に関して伺いたいと思います。

 これまでも要員の合理化などにより給与費の削減に努力をされてきたことは十分承知をいたしておりますが、平成二十四年度予算の給与総額から要員数を単純に割り算で計算すると、平均給与額は一人当たり一千百万円を超える状況にあります。社会一般情勢を鑑みれば、非常に高い平均給与水準であると思われます。国においては、国家公務員給与の改定及び臨時特例法を議員立法で成立させ、国家公務員の給与削減を行う等実施しているところでありますが、国と同様に公益性を有する特殊法人であるNHKとして、要員の給与水準のあるべき姿、その見直しについてはどのように考えているのか、伺いたいと思います。

松本参考人 お答えいたします。

 その前に、先ほど全額免除四万人と申しましたが、四万件でございます。

 NHKの給与でございますけれども、受信料で成り立ちます公共放送といたしまして、社会一般の水準とかあるいは公務員の状況というのは熟慮すべき事柄であるというふうに考えております。一方、公共放送の使命達成のため、必要な人材、優秀な人材確保も経営の問題として非常に重要なことでありまして、競合する在京民放あるいは大手新聞等の同業他社の中で人を採用するというようなこともありますので、その水準も考慮する必要があるというふうに考えております。

 また、経営的には、給与総額ということをいかに抑制していくか、こういうことが重要な事柄でありますが、これについては、平成十一年度から二十三年度、昨年まで十三年間、総額をずっと削減してきております。抑制をしてきているということで、これは要員合理化とかいろいろなことをやりながらやってきておりますが、総額についてはそのような努力をしておりまして、引き続き努力をしていきたいというふうに思います。

 また、給与につきましては、成果とか業績に見合うよう一層見直す必要があるというふうに考えておりまして、まず制度の見直しを行うことが重要だというふうに考えております。これにつきましては、二十四年度中に成案をつくり、その後、労使交渉など手続に入りたいというふうに考えてございます。

北村(茂)委員 経営状況にかかわる話として、もう一点伺いたいと思います。

 いわゆる健康保険料率についても、NHKでは現在のところ、一般保険料及び調整保険料の合計保険料の事業主負担割合が六一・七%であるとお聞きをいたしております。これについても、さきに我が党の総務会の中でもいろいろな議論がありました。いわゆる事業主負担率が余りにも大き過ぎるのではないか、一般の社会常識からいけば相当かけ離れているのではないかとの指摘があったところであります。特殊法人の性質や現在の社会情勢を踏まえ、このことに関してどのようにお考えなのか、見直す気持ちがあるのかどうか、確認をしておきたいと思います。

松本参考人 お答えいたします。

 健康保険料の事業主負担の割合につきましては、健康保険組合連合会の平均は五五%でございます。また、在京大手マスコミ等の状況は、おおむね六〇%、六二、三%というところがございます。大手の会社も、そういうような水準のところもございます。

 しかしながら、そういう水準を見ながら、できる限り小さくしていく、こういうことで考えておりましたけれども、これについては、平成二十四年度中に労使折半、五〇%に移行するということを決断いたしました。当然のことといたしまして労使交渉等の手続がございますけれども、現在のNHKを取り巻く社会情勢を踏まえ、労使で十分認識を深め、強い決意を持って取り組んでいくという所存でございます。

北村(茂)委員 今後改善に努めるということでありますから、強い決意を持って、それこそ国民の期待に応えていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。

 次に、ことしはいわゆるオリンピックイヤーであります。ことしの夏にはロンドンで開催されるオリンピックに関して、改めて伺います。

 多くの国民は、サッカーのなでしこジャパンを初め日本選手団のオリンピックでの活躍に対して大きな期待と夢や希望を抱いております。そこで、現地には行けない国民の皆様にはテレビを通じて日本人選手の応援やその活躍を観戦してもらいたいと思っておりますが、これまでオリンピックやサッカーワールドカップなどではその都度新しい放送の技術開発や新たな取り組みが行われてきたと思いますが、今回のオリンピック放送においては何か斬新な取り組みなどはあるのかどうか。また、中継権利は民放との間でどのように決めているのか。さらには、スポーツ放送権料は年々高騰していると聞いておりますが、今回のオリンピックでの放送権料はどれぐらいの額となるのか、教えていただきたいと思います。

金田参考人 お答えいたします。

 ロンドン・オリンピックでございますが、視聴者の関心に応える新たな取り組みでオリンピックの魅力を多角的にお伝えしたいと考えております。インターネットやモバイル、データ放送などで、視聴者の皆様が見たい、知りたい情報を簡単に楽しんでいただけるような放送をしたいと考えています。

 まず、放送した映像などをハイライト動画にしまして、パソコンやスマートフォンでごらんいただけるようにします。また、放送で中継しない競技につきまして、一部インターネットで中継できないか、検討を進めさせていただいております。

 もう一つ、新たな取り組みとしまして、BBCやオリンピック放送機構と協力しまして、スーパーハイディフィニションで制作した番組のパブリックビューイングをオリンピック期間中、日本、イギリス、アメリカで実施する計画にしております。

 それともう一つ、民放との間で放送権についてどのような形で進めているかという御質問でございましたが、オリンピックの放送権は、NHKと民放連がジャパン・コンソーシアムという形で提携しまして、IOC、国際オリンピック委員会と契約を結んでおり、お互い協力して放送していくという形でございます。

 NHKと民放は、地上波で中継する競技につきまして、日本選手の活躍が期待できそうな種目や注目を集めそうな種目を同じような割合でバランスよく放送できるよう、お互い交渉を重ねた上で決定しています。ロンドン・オリンピックの主な中継種目は既に決定していますけれども、男女のサッカーなど一部の競技につきましては、今後行われる組み合わせ抽せんの結果の後にNHKと民放で交渉を行う予定にしております。

 もう一つ御質問でありますが、どのぐらい放送権料がかかっているかということでございました。先ほど申し上げたように、日本の提携したジャパン・コンソーシアムとIOCとの間の契約でございます。これは契約が、ロンドン・オリンピックの放送権料と二〇一〇年冬のバンクーバー・オリンピック、二大会合わせて三百二十五億円というふうになっております。

 オリンピックの放送権料につきましては、御指摘のように、各国でも高騰している中、日本としても抑制する努力を続けていくことが重要だと考えています。受信料で支えられているNHKにとって、高額な放送権料を制限なく支払うことは到底できないことでございます。今後もオリンピックを放送していけるよう、IOCと粘り強く交渉したいと考えております。

 以上であります。

北村(茂)委員 ぜひ努力をしていただきたいと思います。

 時間が迫ってまいりましたので、次の質問は、先ほども御指摘があったところでありますが、NHKの公共放送としてのあるべき姿について伺いたいと思っておりましたが、時間の関係で、意見のみ表明させていただきたいと思います。

 先般、訪日された外国人の方々と、一献やりながらの懇談をする機会がありました。その方々が言うには、日本のテレビ番組は、NHKも含めて、民間放送局もどこも全く同じようなバラエティー番組ばかりを放送しているとの指摘を受けました。ホテルに入って、チャンネルを回して、日本の言葉はわからないけれども日本の国情をと思って見ようとすると、まさかどのチャンネルがNHKだということがわかっているわけではないでしょうけれども、どのチャンネルを回してもお笑いやらバラエティー番組一辺倒、こういう感じの日本のテレビ界だという印象をお話をされておられました。

 確かに、私が見ても、ニュース番組もありますけれども、ドラマ、クイズ、バラエティー番組などを放送し、NHKも民間も全くその違いが感じられないような思いをいたしております。単に視聴率を追求するNHKではなく、民間放送とは異なる公共放送のあり方、その社会的役割を追求してもらいたいと思っております。お答えは、時間がありますので結構です。

 最後に、一つ要望しておきたいと思うんですが、私ども能登半島は、今放映中の「平清盛」の子孫が今でも営々とその系譜をつないでいる地域でもございます。平時忠公が能登に配流になり、その子孫が二十三代、二十四代時国家として、営々としてそれをつないでおります。したがって、地元としては、何とか「平清盛」の放映に合わせて我々の地域のその状況も放映してほしいという話を申し上げましたが、これからどうなるのかわかりません。

 そこで、最後に、いわゆる木曽義仲と巴御前の話について、これまた私どもゆかりの地であります。地元石川県の津幡町を初め、石川県、富山県、長野県、埼玉県では、平安末期の武将木曽義仲をヒーローに、義仲に寄り添い戦功を上げた巴御前をヒロインとする、義仲と巴と題する物語のNHK大河ドラマ化を目指し、関係自治体、協力をして要請しているところであります。どうぞ、このように機運は大いに盛り上がっていると心得ておりますので、NHKにおかれましては、これらの声に真剣に、真摯に耳を傾けていただきますようお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

原口委員長 次に、丹羽秀樹君。

丹羽委員 自由民主党の丹羽秀樹であります。

 本日は、平成二十四年度のNHK予算について質問したいと思います。

 平成二十三年三月下旬に発表された民間シンクタンクの調査で、東日本大震災後にNHKの情報に対する信頼度が上昇したという結果が示されております。大震災発災後の迅速で正確な情報提供を見て、今後いかなる災害が起きても対応できる放送設備と体制の強化は、NHKに求められているまさに責務であると私は思っております。

 そこで、平成二十四年から二十六年度の経営計画の中でも、放送の、特に災害放送の内容は重点目標としても挙げられております。放送体制がいかなる状況下においても、放送局が機能しないというのは、これは放送のインフラが麻痺してしまう面で非常に問題視されておりますので、各放送局の耐震化のことについてお尋ねしたいと思います。私の地方でいいますと名古屋の放送局がありますけれども、この名古屋の放送局の耐震化について、一体今どのような状況でしょうか。お願いいたします。

松本参考人 お答えいたします。

 平成七年の阪神・淡路大震災を受けまして、全国の放送会館の耐震診断を実施いたしております。耐震性能が劣る会館については、耐震補強工事を実施いたしております。これによりまして、全国の放送会館は、東日本大震災クラス、震度七の地震にも耐えられるようになっております。

 今回の東日本大震災では、仙台局会館屋上にありますエレベーターの機械室とか冷却塔などが被害に遭いました。こうした屋上にある建物とか天井部材などの耐震調査については、平成二十四年度末までに全国で行いまして、必要な対策を順次実施しているところでございます。

 同様に、名古屋のお話がございましたけれども、高層会館を対象とした長周期地震動の影響調査等も平成二十四年度末までに実施して、必要があるところについては対処をしていく、こういうふうに考えております。

丹羽委員 今のはちょうど耐震化の話でございました。平成二十四年度末までにこちらの方を実施していただくという話がありましたが、では、実際、名古屋は比較的内陸部にありますが、海に近いエリアのそういった津波対策等はNHKは考えていらっしゃるんでしょうか。御答弁をお願いします。

今井参考人 海岸近くにありまして海抜の低い放送局は幾つかございますけれども、やはり津波の被害を受けるリスクがございます。それで、二十四年度からの三カ年計画で、これらの放送局については津波対策を行う計画であります。

 具体的には、放送局以外に高台に、取材ですとかそれからニュース制作、伝送の拠点を新たに設置して、放送会館が浸水によって機能が停止したような場合にも最低限の緊急報道ができるようにする。それから、放送会館で停電が起きたような場合には自家発電を使いますけれども、低層階、一階や地下にあるケースがありますので、そういった場合も、津波の浸水リスクに対応して、新たに屋上に簡易の自家発電装置を整備して放送機能を確保する、そういったことを計画しております。

丹羽委員 その辺、ぜひしっかりと整備の方をしていただきたいと思っています。

 今後、この関東エリアにも首都直下型地震や、我々の選挙区、愛知県でいいますと東海・東南海・南海沖地震の発生も十分可能性として考えられている中で、各地域で震災が発生した場合の体制について、中継車等を含めた今の整備体制を御説明いただけますでしょうか。

今井参考人 中継車等につきましては、各放送局に配備しております中継車、それからCSKといいまして、CSを、衛星を使いました情報伝達手段を持った車がございますので、そういったものを有効的に活用するということにしております。

 それから、新しいものとしては、やはり災害でそういったものが動けなくなったときに備えて、放送の編集ですとかそれから伝送できるような施設を備えた緊急用の車両を開発するといったようなことにも取り組んでおります。

 それから、各放送局が震災などで放送が出せないというようなことがあってはいけませんけれども、万が一に備えまして、各放送所、山の上にあるような放送所で衛星放送を受信して、それを地上に放送するような施設ですとか、それから、隣の県の放送を放送所で受信して、それを県内に放送するといったようなことも計画しておりまして、整備を進めていきたいというふうに考えております。

 さらには、そういった放送所が被害を受けたような場合に備えて、非常用の送信機ですとか送信アンテナの整備も進めることにしております。

丹羽委員 先般の東日本大震災でも、中継車両が現場まで入っていけないということもあって、特に高台からの映像が我々の記憶にも相当残っています。ぜひ、そういったことがないように、中継車両ももっと現場まで行って、どういった状況かとか、やはりこういったニュースを映像を通して国民の皆さんにも知らせることというのは災害放送にとっても非常に大事なテーマだと思っておりますので、そちらの方を強化していただきたいと思っております。

 また後ほども触れますが、そういう中、受信料を下げるというのは、これはもちろん私はいいことだと思うんですが、やはり受信料を下げる前にもっと放送体制を強化するという、そういった考えはなかったんでしょうか。ちょっとその辺をお尋ねしたいと思います。

松本参考人 お答えいたします。

 先ほどのお話にもありましたけれども、これまでの一〇%還元をめぐる経緯を踏まえますと、それを受信料の値下げを含む形で行うということは極めて重要だというふうに認識しております。受信料の還元をどのような形で行うかという点については、長引く不況による全額免除の増加とか、あるいはお話の中にあります東日本大震災の発生、どういう形できちんと現在の経営者として責任を果たすかという総合的な観点で検討を進め、答えを出した、こういうふうに考えております。

 今度の計画の中で、特に災害対応ということで柱にいたしましたが、放送機能強化ということについては、担当役員を指定して、全体で臨むという形で体制もとりました。値下げによりまして収支は厳しくなりますけれども、増収努力、経費抑制等に努めつつ、放送の質の向上、あるいは今の災害機能の強化ということを含め、公共放送の使命、役割を果たしてまいりたいというふうに思います。

丹羽委員 私は、あくまでも受信料の値下げについては賛成です。受信料値下げについて、これはどうして私の中で賛成かというと、NHKの中でのコスト意識を高めるという面は非常に肯定的に私は考えております。ただ、やはり視聴者が求めるものというのは、値下げももちろん求めている部分があると思いますけれども、値下げだけじゃなくて、実はNHKの質の高さという面を視聴者は求めているというふうに思っております。民放の後追いじゃなくて、NHKがどれぐらい質の高い番組制作をできるかということは、これは非常に大きな課題となっております。

 そこで、最近の番組なんかを見ておりますと、民放の後追いをしているような部分も見受けられるように感じます。NHKが得意とするNHKスペシャル等の報道特集も、これは制作費用が相当かかると思いますが、数が減ってきているように感じます。これは従来の番組制作から方向転換したんでしょうか。もししたとしたら、方向転換をした背景についてお尋ねしたいと思います。

松本参考人 お答えいたします。

 値下げによりまして、経営的には縮小するという傾向が出がちですが、増収とそれから効率化によってそれをできる限りリカバーしたい、こういうふうに思っています。そういう中で、計画の策定に当たりましては、お話ありました放送サービスの充実、NHKとして公共放送の役割を放送番組の中でもきちっと果たすというバランスをとりながらやっていく計画といたしております。

 そこで、先ほど民放の番組のお話がございましたけれども、もちろんNHKは公共放送として良質な番組を提供する責任があると思います。そういうことで、災害報道なんかはもちろんですけれども、お子様向けとか幼児向けの番組、福祉番組、あるいはNHKスペシャルなどの幅広いテーマを捉えた放送等々、視聴者の方々からも評価もいただいていますし、それがまた役割だ、こういうふうに思っております。

 一方、最近の傾向といたしまして、世代を超えてNHKを見ていただく、こういうふうに考えた場合に、多様な関心に応えていくというニーズもございます。そういうような事柄を踏まえて、放送文化の発展に寄与するような新しい演出手法、放送と通信の融合時代にふさわしい番組の開発、あるいは親しみやすい演出というようなことにも積極的に取り組んでいるところでございます。このような試みの一部が、民放のような番組という印象を与えているかもしれません。民放のようというとちょっとあれですけれども、民放に似たということかと思います。

 しかし、基本はやはり公共放送NHKということでございまして、その良質さとか、視聴者の皆様からの期待ということにはきちっと応える必要があります。そういうことで、さまざまな試行というのはありますけれども、基本のところをきちっと踏まえて、たゆまぬ努力を続けたいというふうに考えます。

丹羽委員 ここはまた、NHKも受信料で運営されておられますので、民放と違って、広告料や視聴率にとらわれずに、成算を考えていないからこそできる社会派ドラマまた特集番組、民放ではなかなかつくることができない優良なコンテンツの制作というのが可能であるというふうに私は思っております。公共放送としての使命、役割を十分踏まえた番組制作、値下げだけが顧客へのサービスじゃなくて、質の高さというのもまたある面でサービスにもつながるというふうに私は考えておりますので、今後、ぜひ質の高さを維持して頑張っていっていただきたいと思っております。

 そういった中で、NHKの技術力というのは、私が大学生ぐらいのときに、今から約十八年ぐらい前、当時、NHKのハイビジョンというのが初めて表に、世に出てきたと思うんですが、私が住んでいた近くにも、NHK技術研究所というのが世田谷の砧にありまして、あそこのNHK技術研究所、略してNHK技研が何をやっているかというのが当時わからなかったんです。あそこで何を開発しているかというのが非常にわからなかったんですけれども、だんだん、社会人になるにつれて、そういった開発とかいろいろな分野をNHK技研でやっているということを知って、これはすごいな、学生時代、もっと時間があったら見学でも申し込んで行けたらよかったなというふうに思っております。

 今現在、NHK技術研究所で何かそういった新しい取り組みというのは実際考えていらっしゃるんでしょうか。

永井参考人 お答え申し上げます。

 三月末で東北の三県でデジタル化が完成しますと、本当の意味でデジタル時代に入ります。その中で、NHKの放送技術研究所は、このデジタル放送をさらに成熟させる、そしてその先の放送サービスを研究開発するということを進めております。

 近いところが、一、二年後を実用化のめどにしまして、放送と通信の特徴を生かしたハイブリッドキャストと呼んでおりますが、そういう放送・通信連携サービスの研究を進めております。それから、その先の放送としては、ハイビジョンを超えるスーパーハイビジョンというものを研究開発、推進してまいります。さらに言えば、特殊な眼鏡をかけなくても、ごく自然に、横になって寝ていても立体テレビが見えるという研究も進めております。

 これらに加えまして、このような多様で高機能な放送は、あらゆる視聴者に見ていただくユニバーサルサービス、これも我々としては非常に重要であると思いますので、字幕の自動生成、手話のコンピューターグラフィック等の、人に優しいと我々呼んでいますが、そういう放送の研究も進めております。

 技術研究所では、今後も、視聴者の皆様に豊かで多彩なサービスの提供ができるよう、基礎から応用まで研究開発を進めていく所存でございます。

 御指摘のとおりに、なかなか何をやっているかわからないというのは、五月の末に技術研究所では、皆さんに来ていただいて、どなたでも研究の内容をごらんいただける公開をやっておりますので、ぜひともそういうことを利用していただければと思います。

丹羽委員 今の御答弁をいただいた中で、スーパーハイビジョンを含めた、画像の3D化もお話がありましたが、結構3D化というのは、最近はゲーム機なんかでも随分、私も子供のゲーム機をたまに借りてやるんですけれども、最新式の、普通に眼鏡をかけずに見ていて3Dに映像が見えるようなゲーム機も出ていますので、ぜひこういったことをまた強化していって、これはグローバルスタンダードになるかどうかわかりませんが、多分いつかこの3D化というのはグローバルスタンダードに近づくんじゃないかというふうに私も考えております。その辺、遠慮せずに予算をとってどんどん開発していってほしいぐらいに私は考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、委員長に提案なんですが、委員会でNHKの技研とか見学に行っていただければ私も非常にありがたいなというふうに、また我々も見られる機会がふえますので、委員会で検討していただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

原口委員長 理事会で積極的に議論したいと思います。

丹羽委員 ありがとうございます。ぜひお願いします。

 今回、三月末で東北三県の地デジ化が済めば、全てアナログ受信がなくなっていくわけですけれども、現在、地デジ対応受信機の普及率というのは実際全国でどれぐらいになっているんですか。お答えください。

永井参考人 ただいま東北の三県で三月末に向けてデジタル化を進めているところでありますが、そのほかの場所においては基本的に一〇〇%デジタルが普及しているというふうに考えております。

丹羽委員 東北三県は実際どれぐらいですか。

永井参考人 東北三県でも、実はあと十日というところでございますけれども、誰も漏れがないように、各世帯が全てデジタル化になって、ごらんになれないようなことがないようにというので、放送事業者、民放、NHK、それと総務省の方と協力して、最後の追い込みのキャンペーンをやっているところでございます。

丹羽委員 これは、民放さんも含めて、NHKさんも公共の責務からぜひ積極的にやっていっていただきたいと思っています。特にまた被災地の方々は、ここ最近の揺れなんかを見ていますと、相当心配されている方も大勢いらっしゃいますので、お願いしたいと思います。

 これは松本会長になるのかな、NHKの中で、最近、有料放送配信、NHKオンデマンドというのが、過去に放送したのをオンデマンドという形で録画配信で、パソコンなんかでも見られるような形態をとられておりますが、これは今回の経営計画を見ても、まだなかなか黒字まで手が届いていないという中で、二十五年度単年度で黒字化を目指すということがありますが、これは実際可能ですか。御答弁をお願いします。

金田参考人 お答えいたします。

 NHKオンデマンドでございますけれども、放送後二週間配信する見逃し番組、これは六百本ぐらい、ニュース番組は百三十本、そのサービスと、それから過去の名作を配信するということで特選ライブラリー、これが今四千七百本分ぐらいございます。

 事業収入でございますが、二十一年度が三・九億円、二十二年度が六・三億円、二十三年度の見込みが十一億円弱ということでございまして、御指摘のように、残念ながら、今年度も赤字を見込んでおります。

 ただ、伸びを見ますと、ほぼといいますか大幅に伸びていまして、最近の月間が昨年度の大体一・九倍ぐらいの売り上げを伸ばしております。ということで、二十四年度につきましては、二十三年度の二倍強の二十三億円の事業収入を目指して手を打っております。その延長で、二十五年度につきましては、三十七億円の売り上げで単年度黒字を目指す計画になっております。我々としては、これを必達目標として取り組んでいる最中でございます。

 以上でございます。

丹羽委員 ありがとうございます。

 大臣にちょっとお尋ねをしたいんですが、これは多分法改正しなきゃいけないと思うんですが、インターネットを通じた番組配信と受信料のあり方についてお尋ねをします。

 今若い世代なんかは、家にテレビなんかなくてパソコンがメーンで見ている若い世代も多い中で、ネット配信をリアルタイムでした場合、NHKがそれをオンデマンドとして有料化するというのは、大臣、どのようにお考えでありましょうか。

川端国務大臣 今、前の番組はオンデマンドでやっている、先生の御指摘はリアルタイムでということだと思います。

 ほかの民放業者のいろいろな意見もあります。それから、法制上できるのかどうかという議論もあります。同時に、無料にするのか有料にするのか。有料にするということにしますと、その部分の費用負担を受信料との兼ね合いでどうするのか。そういうことがいろいろな論点としてあることは間違いございません。

 ただ、技術の進歩が速くて、世界じゅうでほとんどみんな大手は同時でやっているということもありますので、しっかり時代の流れの中に位置づけて、議論をNHKでまずしていただいて、我々もそれに対応していきたいというふうに思っております。

丹羽委員 今の大臣の答弁、そのとおりだと思います。

 さまざまな論点からこれは精査しないと、割の合わない人が出てくると思いますので、ぜひ、その辺を論点整理して、またこの委員会でやっていただきたいと思っております。先ほど質問された民主党の杉本先生のお話にもありましたBBCなんかも、こういった面で非常にいろいろ考えながら、リアルタイムで配信をしたりとか、その辺を工夫しております。

 松本会長、その辺、何かお考えはございますか、会長としては。

松本参考人 お話にありましたように、ヨーロッパの主要な公共放送では放送の同時再送信についても取り組んでいると聞いております。

 時代の大きな流れ、こういうふうに言えると思いますが、これについては、受信料制度との関係をよく整理しなくてはならないということもあります。NHK受信料制度等専門調査会の報告書をいただいておりますけれども、それらも踏まえながら、メディア環境あるいは受信料制度との関係など幅広い観点から今後検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。

丹羽委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、もし時間があったら、私は本当は、NHKの東京駅とかいろいろなところにある、アンテナショップじゃないですけれども、いろいろなキャラクターショップ、特に東京駅に行くと子供の喜びそうなものがいっぱい駅の地下街に売っているんですよ。そういった売り上げの面は受信料に反映されているのかどうかとか、ちょっとまたいろいろと時間をつくって質問したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上、終わります。

原口委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは二十五分という時間でございます。前もって、おとつい、通告はさせていただいておりますけれども、別にそのとおり質問するわけではありませんので、質問者の意図をしっかり受けとめていただいて、端的にお答えを願いたいと思います。

 きょうは、大きく二点について質問をさせていただきたいと思います。一つは三・一一の教訓、もう一つは毎年質問をさせていただいておりますNHKの受信料の割引、この二点であります。

 まず、旅館、ホテルの受信料割引のことからお尋ねをしたいと思います。

 お手元に資料があろうかと思います。NHKからいただいた資料です。

 我々が政権のときに、要は、各家と同じようにホテル、旅館から取る、酷じゃないか、それぞれみんな経営が大変だ。例えば民宿でも、建前からいえば、みんな取るんですね。シーズンしか使わない。しかも、なかなかいっぱいにならない。しかし、今の時代、テレビがないということは大きな、営業上もまずいということで、現在は団体を通じた一五%の助成にとどまっているわけであります。

 もっとこれを、これは今年度末で終わるかと思うんですけれども、この後は一年ごとに更新、さらにこれを見直すつもりというのはないんですか。お尋ねします。

大西参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、ホテル、旅館の受信料につきましては、平成二十一年二月に事業所割引を開始して、従来に比べて……(谷委員「資料を配付しているんですから、答えを簡潔に」と呼ぶ)締結をお願いして、大幅に還元いたしました。それから、業界団体の取りまとめも、配付の資料のとおりでございます。三年が経過して、旅館を含めた受信料体系についてこれまで検討を進めておりますけれども、まだ結論に至っていないということでございます。

 それから、二十四年の十月から受信料というのは値下げになりますけれども、還元についても、事業所の契約についても年間およそ二十億円、それからホテル、旅館についても四億円の値下げになります。

 受信料体系については、公平で合理的なというところを踏まえまして、業界団体の皆様等も含めて、親切丁寧に検討してまいりたいというふうに思っております。

 以上であります。

谷委員 十月から値下げをする、大西理事、わかっているんですよ、そんなことは。言っているのは、現実を見てちょうだいということです。それは、東京のシティーホテルは年がら年じゅう稼働率が九〇かわからないですよ。全国でいろいろな旅館、ホテル、民宿あるでしょう。そういうのを一律に取る。そして、業界と話をして、今お手元の資料にありますように、二契約目から半額ということだけでは不十分じゃないですかと。よく言う英国のBBC、二台目以降は十台ごとに一台でしょう。そのことを指摘しているわけであります。

 もう一度お尋ねします。

 それぞれの業界団体ごとで差があることは事実ですね。加入率ですか、それは差がある。差があるけれども、現に会計検査院でも次のように指摘しているのではないですか。「参加率の向上を促すような仕組みを検討する必要があると認められる。」と。だから、仕組みというのは、要は頑張っているところはもう少し割引率を上げるとか、何かそういうインセンティブをして、これからの時代、観光というのは一つの大きな産業、地域おこしですから、もっと目配りをぜひしてくださいということです。

 会長、お願いします。何も私は初めて質問しているわけじゃないんです。毎年この問題について提起し、是正をお願いしているわけです。お願いします。

松本参考人 お答えします。

 ただいまの要望等、団体の方から伺っておりますし、また団体の代表の方々とは数回にわたって打ち合わせをさせていただいております。ただ、先ほど申し上げましたように、結論には至っていない、こういうことでございます。

 また一方で、受信料の割引というのは受信料収入の減収ということになりまして、これは経営にも影響が出るというような要素もございます。

 先ほど検査院のお話もございましたけれども、そういうようなことも踏まえて、全体を考慮しながら検討していくことかなというふうに思っております。その辺については、担当者から逐一話も聞いておりまして、団体の方のお話、いろいろな形でこちらも意見交換をさせていただいている。今後も丁寧な対応をして検討していきたい、こういうふうに考えております。

谷委員 何か経営に響くとかいうことですけれども、そういうこともわかっています。ただ、公共放送ですよ。もっと大きな視点で判断をぜひしていただきたいということを御要望しておきます。

 さて、最初の三・一一の教訓に戻ります。

 今回の災害で我々が学ばなければならないことはたくさんあると思います。政府だけじゃなくて我々国会議員も、さまざまな面で反省しなければならないことも多いと思います。その中で、SPEEDIの問題についてお尋ねします。

 緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク、いわゆるSPEEDIが活用されなかった。計算の前提となる放出源情報が得られなかったという当初の政府の説明でございましたが、仮定をした上で結果を得ることは可能で、現にそれをしていた。二週間ぐらいたってから初めて公表をしたというのは皆さん御承知のとおりであります。しかも、国民への公表の前に、米軍には既に三月十四日に外務省経由で提出していた。そして、公表しないと判断したのは文部科学省の政務三役だということであります。そういうことが、政府の事故調査委員会あるいは民間の調査委員会で徐々に明らかになりつつあるということであります。

 NHKにお尋ねします。

 私は文科系なので、こういうことは大変不勉強で、長年大変な予算も費やしていたんですけれどもよく知りませんでしたが、NHKの記者の中には科学者とか、あるいはそういう方面の解説委員もおられます。実は、SPEEDIがあるということはNHKの関係者は御存じだったんじゃないですか。なぜそのことを政府に問いたださなかったのか、お尋ねします。

金田参考人 お答えいたします。

 SPEEDI、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、それが存在するということにつきましては、原発事故が起きる以前からNHKとして把握しておりました。原子力安全・保安院に対しまして、緊急時にはSPEEDIのデータを原発周辺自治体だけでなく報道機関にも公表するように求めてまいりました。今回の事故が起きたことを受けまして、改めてデータの提供を強く要求しております。

谷委員 今のお答えですと、NHKはいつ要求したんですか。SPEEDIがあるということを知っていた、そして政府に要求した。いつですか、要求したのは。

金田参考人 事故が起こって以降であります。再三にわたって取材を続けまして……(谷委員「具体的に言ってください。何月何日ですか」と呼ぶ)済みません、日にちを確定できないのですが、事故直後には要請をいたしました。ただ、地震の影響で正しいデータが出せないという御返事でございまして、そういうことで我々としては確報を出せなかったということであります。

 ただ、その後にNHKが、既に三月十六日の段階で国が飯舘村などに放射性物質が多く流れると予測したコンピューターシミュレーションの報告を受けていたということ、それにもかかわらず国の原子力安全委員会がデータが正確でないとして直ちに公表しなかった、この二つにつきまして、独自取材によりまして、四月四日朝、全国ニュースで報道いたしました。

谷委員 四月四日に全国、独自のいろいろ取材活動で、そのこと自身は評価したいと思うんです。

 では、NHKとしては、事故前からSPEEDIがあるということは知っていた。知っていて、事故があって、SPEEDIがあるんじゃないかと。たしか百三十億ですね、それまでの開発にかかった予算は百二、三十億だと思うんですけれども、それで、知っていて、要求して、結果的に後で公表ということになった。そのことでどう教訓を得ているんですか、どう学んでいるんですか、NHKは。結果的にそうだったからしようがない、そういう受けとめ方ですか。お尋ねします。

金田参考人 現在から考えてみますと、もう少し早い段階で事実を御報告できればよかったというふうに思っております。我々NHKとしては、一生懸命やりましたけれども、不十分な点が多々あったということは認めざるを得ないというふうに思っています。

谷委員 わかりました。今、金田専務理事が不十分であったと。

 そうしたら、そういうことは今回の三・一一の教訓として何かNHKでまとめるんですか。私の問題意識は、こういう場で、不十分だった、生かしたいと幾ら口頭で言うても、きっちりそれを検証するには、何かまとめたものをNHK全体で共有して、ひいては、さらにそれはマスメディア全体で共有しなければならないと思うんです、今後に生かすには。私も、十七年前の神戸の反省からそう思うんです。生かすには、一人一人がただ頭の中で経験として持っているだけではだめです。それは生かさなきゃ、後世に。

 NHKさんは、今回の三・一一の苦い教訓も含めてどうされるんですか、お尋ねします。これは会長がよろしいのか、それとも専務理事なのか、お任せします。

金田参考人 災害報道全体につきましては、反省すべき点その他、後世に残るように、記録についてはしっかり今まとめて、報告書もつくっております。

 原子力報道に関しては、二月に原子力報道会議という内部会議を持ちまして、その点でこの辺のところの事実関係、それから今後どう対応すべきかについても議論を進めたところであります。

谷委員 申しわけないです、ちょっと答弁の意味がよくわからなかったんです。まとめたんですか。まとめて、公表しているんですか。これからそうするということですか。公表しているのならば、SPEEDIのことについて記述しているんですか。その辺を明確に。わかる方でいいですよ、答弁はどなたでも。正確に知りたいわけですから。何か今の答弁ではよくわかりません。もう一度お願いします。

金田参考人 三・一一東日本大震災関連の報告書については、幾つかまとめて、公開しているものがたくさんございます。ただ、原子力のこのSPEEDIの案件について報告書が出ているということではございません。これは、まだ会議体で議論して、まとめている途上でございます。

 以上であります。

谷委員 では、SPEEDIの報道のあり方についても今後まとめて、いつ公表するんですか。お答え願います。

金田参考人 原発報道に関する報告書につきましては、多様な検討が要るということでございまして、現段階では未定でございますが、何らかの形でまとめたいというふうに考えております。

谷委員 未定ということは納得できません。国会の事故調査委員会でも六月に出そうとしているでしょう。それが一つのタイミングになるのではないですか。六月ぐらいなり、あるいはこの夏をめどに出す、そういうお考えはないんですか。

金田参考人 御指摘の点を踏まえながら、検討を進めたいと考えます。

谷委員 私は、何も金田専務理事を責めているんじゃないですよ。そういう苦い教訓も含めてやはりしっかりまとめてこれから生かしていただきたい、そういう思いでございます。特にSPEEDIについては、そういう対応によって、公表しないことによって、原発周辺住民の方々は放射能の雲がどこに向かうかも知らずに逃げるしかなかった。この罪はやはり重たいと思いますよ。だから、それをしっかりと、報道する立場においても検証していただいて、また後世に生かしていただきたいと思います。

 次の問題であります。

 同じく三・一一の教訓ということで、今回の大震災でコミュニティーFMあるいは臨時FMの役割がクローズアップされました。十七年前の神戸のときでも大変これが役に立ちました。阪神・淡路大震災以降ではないかと思います、臨時FMというのは。

 それで、素人なりに、NHKでもそういったことができないかと。つまり、NHKは基本的に各都道府県に一つですね。東北であれば盛岡、仙台、福島。北海道であれば函館にもあったかと思います。福岡には北九州もある。ふだんはそれでいいんですけれども、大きな災害があったときに、例えば今回の場合、盛岡のほかに大船渡でも釜石でも臨時にそういうローカルな、そのエリアだけの臨時放送、ちょうど地元が臨時FMを開設したように、そういったことも取り組むことができないのかなと思うんですけれども、どうでしょうか。

金田参考人 申しわけございません、先ほどの答弁の中で二月と申し上げましたけれども、原子力報道会議を開いたのは一月でございました。訂正させていただきます。

 コミュニティー放送等の御質問でございました。御指摘は、現在行われています県域単位より狭い中継局単位での独自放送ができないかという御質問でありました。

 制度上は禁じられているわけではございません。それから技術的にも、被災地に臨時の中継局を設置することも、周波数の割り当てがあれば、できないものではないというふうに理解しております。

 しかし、NHK各局のローカル放送というのは、基本的に県全体に向けて放送することを前提に、設備、業務体制を組んでおります。このために、地域を幾つかに細分化して、さらにそれぞれに必要とされる情報を適切に仕分けして放送するというのはなかなか難しいものがございます。

 いずれにしましても、地域向けにきめ細かな情報を提供していくことは重要でございますので、NHKとして、県全体向けの放送とあわせまして、補完的にデータ放送やインターネット等も使ってきめ細かな情報提供に努めていきたい、被災者の方々のニーズにしっかり応えていきたいというふうに考えております。

 以上であります。

谷委員 もう一つ積極的な答弁ではありませんでしたけれども、ぜひ今後の検討課題にしていただきたいと思います。東北、私も何度も入りましたけれども、大変広いんですね。岩手でも、盛岡から沿岸部まで、雪のないときでも二時間は見なければ沿岸部に到達できない、そういうことでありますので、より発想を柔軟にして検討していただくよう要請したいと思います。

 次の問題です。

 きょうは、復興庁から郡復興大臣政務官に来ていただいています。

 私というか自民党は、三月三日、仙台で、被災地で、復興が余りに遅い、加速するための十の方策ということを谷垣総裁に発表していただきました。その取りまとめに私も当たらせていただきました。そして、その後で藤村官房長官にも申し入れました。

 その中にも書いたんですけれども、国家プロジェクトとしてのメモリアルセンター構想の具体的な進展は見られない、残念ですけれども。どうも平野大臣も、目の前にやることが、もっと急ぐことがあるからということで、そういう大きな、メモリアルセンターだけではないですよ、国営公園もそうですし、それから防災センターなりあるいは防災研究センターなどもそうです、全然見えてこない、本来国が主導して、リーダーシップをとるべきことが。

 それで、郡政務官、神戸では御存じのように、見られたかどうかわかりませんが、人と防災未来センターというのがあります。それで、ぜひ今度は被災地も国家プロジェクトとしてメモリアルセンター、幾つかわかりませんけれども、具体化を図るべきだと思いますが、その際に、NHKの協力を得て、今回はたくさんの災害の映像とか記録というのもございます、そういったものを今後構想されるであろうメモリアルセンターに残すべきと考えます。メモリアルセンター構想の今後の取り組みとあわせて、NHKの映像などの活用というか御協力を求めてはどうかと考えますが、復興庁のお考えをお尋ねしたいと思います。

郡大臣政務官 谷先生にお答え申し上げます。

 お話にありましたように、東日本大震災の記録ですとか教訓というのを後世に伝えていくというのは大変重要なことだと思っております。七月二十九日にまとめられた復興の基本方針の中でも、これをしっかりとやっていくということを決定したところだというふうに思っていますが、まずは当面の課題といたしまして、住宅の再建、それからまた瓦れきの処理、雇用の確保など喫緊の課題に対してしっかりと取り組ませていただき、御指摘のあったメモリアルセンター等については、地域のニーズなどもお伺いしながら、将来的な課題として検討してまいりたいと思っています。

 なお、映像等につきましては、国立国会図書館におきまして、震災の記録の収集、保存を始められているところでございます。国内外問わずに誰もがアクセスできるように一元的に保存、活用できる仕組みを構築するための検討を進めていると聞いておりますけれども、いずれにしましても、将来の重要な課題として検討させていただきます。

谷委員 ありがとうございました。

 相変わらず後ろ向きのあれで、急ぐべき課題がある、急ぐべき課題もやっていないから我々は問題視しているんです。急ぐべき課題もきちんとやっていない、今後の課題も将来の検討課題と言って先送りする、私はそういうことについて厳しく指摘させていただきたいと思います。

 もっと積極的に、被災地の将来を見て、復興基本法に書いてあるでしょう、政務官は読まれましたか、復興基本法のあの高い理念を。ぜひしっかり受けとめて頑張っていただきたい、それを要望させていただいて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

原口委員長 次回は、明二十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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