衆議院

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第13号 平成24年7月24日(火曜日)

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七月六日

 原口一博君委員長辞任につき、その補欠として武正公一君が議院において、委員長に選任された。

平成二十四年七月二十四日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 武正 公一君

   理事 大泉ひろこ君 理事 逢坂 誠二君

   理事 野木  実君 理事 皆吉 稲生君

   理事 宮島 大典君 理事 石田 真敏君

   理事 坂本 哲志君 理事 福嶋健一郎君

   理事 西  博義君

      石井登志郎君    稲見 哲男君

      小原  舞君    大島  敦君

      奥野総一郎君    小室 寿明君

      杉本かずみ君    高井 崇志君

      永江 孝子君    長島 一由君

      野田 国義君    花咲 宏基君

      松崎 公昭君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    あべ 俊子君

      川崎 二郎君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      中谷  元君    平井たくや君

      森山  裕君    岡島 一正君

      笠原多見子君   斎藤やすのり君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    松下 忠洋君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   総務副大臣        大島  敦君

   総務副大臣        松崎 公昭君

   総務大臣政務官      森田  高君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    稲見 哲男君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (消防庁次長)      長谷川彰一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員)          井原 理代君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月四日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     福嶋健一郎君

  白石 洋一君     岡島 一正君

  和嶋 未希君     金子 健一君

同月五日

 辞任         補欠選任

  桑原  功君     武正 公一君

同月六日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     三日月大造君

  後藤 祐一君     宮島 大典君

  原口 一博君     小原  舞君

  福田 昭夫君     野田 国義君

  吉川 政重君     和嶋 未希君

  金子 健一君     笠原多見子君

同日

 辞任         補欠選任

  三日月大造君     稲見 哲男君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     石井登志郎君

  高井 崇志君     花咲 宏基君

  橘 慶一郎君     あべ 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     吉川 政重君

  花咲 宏基君     高井 崇志君

  あべ 俊子君     橘 慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  吉川 政重君     大西 孝典君

同日

 大泉ひろこ君が理事を辞任した。

同日

 福嶋健一郎君が理事に当選した。

同日

 理事稲見哲男君同月六日委員辞任につき、その補欠として宮島大典君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

七月二十三日

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

武正委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 このたび、総務委員長の重責を担うことになりました武正公一でございます。

 当委員会は、行政機構、公務員制度、地方自治及び情報通信、郵政事業、消防等国の基本的な仕組みにかかわる問題から国民の社会経済を支える問題まで、幅広く所管する委員会でございます。

 私も、その職責の重要性を認識するとともに、委員各位の御指導、御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいりたいと存じます。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

武正委員長 去る六日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更等に伴い、理事の辞任及び補欠選任を行います。

 まず、理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事大泉ひろこさんから、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武正委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任並びに委員異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武正委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      宮島 大典君    福嶋健一郎君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

武正委員長 この際、稲見総務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。稲見総務大臣政務官。

稲見大臣政務官 このたび七月の六日付で総務大臣政務官を拝命し、そして十三日付で内閣府大臣政務官を併任することになりました稲見哲男でございます。

 皆様方の格段の御指導をよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

武正委員長 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員井原理代さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武正委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局郵政行政部長福岡徹君、総合通信基盤局長桜井俊君、消防庁次長長谷川彰一君、厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君及び大臣官房審議官唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武正委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武正委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。

 きょうは、国と地方自治体との関係を中心に質疑をさせていただきます。

 まず、今から一週間前ですけれども、七月の十六日から十七日にかけまして、東京練馬にあります陸上自衛隊第一師団が、首都直下型の大震災に備えまして、連隊対処訓練としまして、所管の東京二十三区の区役所に連絡要員を派遣して、地震発生時の被害の状況の確認、そして通信訓練などを目的とした防災訓練を実施したそうであります。

 これは、事前に区役所、担当者に対して訓練内容を説明し、庁舎の立ち入り、待機、駐車場の使用、防災担当者の立ち会いなど協力要請をして実施したということでありますが、当日、第一師団の連絡要員が徒歩で区役所に向かったところ、立ち入りができない、宿泊も許可されない、そして防災担当者も立ち会わない、そのために部隊と区役所をつなぐ通信訓練もできなかったところもありまして、それぞれの区役所によってこの自衛隊との関連の必要性、認識、意識に大きな差があったという報道がされました。

 この訓練につきましては事前に公表されていまして、一部の市民団体が訓練を中止するように申し入れもあったし、事前に新聞報道やテレビ特集もされたことですから、総務省や各区役所の区長、担当者も自衛隊の訓練があるという事実を知っていたと思います。

 しかし、当日、自衛隊が行きますと、沿道に反対する人はいたんですが、到着した庁舎に立ち入り拒否、訓練も認めなかったという区役所がありました。例えば、防災担当者が立ち会わなかった区役所、これは千代田区など八区役所あったといいますが、本来でしたら、せっかくの機会ですから、防災担当者と自衛隊の連絡要員がマンツーマンの関係を結んで、お互いに携帯電話の番号も交換したりして、何かあったときにはすぐ連絡をつけよう、やはりマンツーマン、フェース・ツー・フェースといいますが、そういう関係をつくり出すせっかくの機会であったと思います。

 しかし、事前に要請をしたら、夜間ということもあって、来ても庁舎は閉まっていますよとか、ああそうですか、隣のビルを使ってくださいとか、これが区民の命を守る区役所の防災担当者のやっていることかなと非常に考えさせられるわけでございます。

 総務省としても、この報道は大きく報道されていたので御承知だと思いますが、大臣はこの事実を知っておられたのか。そして、きのう産経新聞で大きく報道されましたが、その事実を受けまして、当時の防災訓練の協力の有無を問い合わせするなどして御認識をされているかどうか、伺います。

川端国務大臣 私も報道ベースでは承知をしております。ただ、東京都の区の世界でありますので、総務省として何か聞き取りをしたとかいうことには至っておりませんが、この問題は、どこでどうするのが適切なのかはわかりません。私、今のところちょっとお答えできませんが、自衛隊の皆さんが東日本大震災も含めて、災害緊急時を含めてまさに命がけで大変な困難の中で活動していただいて、国民全体として感謝をし、評価をしている。そして、今後もこういう活動、地域を守る、まさに生命と財産を守るという活動に対して、どうしてもやっていただかなければならないという位置づけで私たちは取り組んでまいりました。

 そういう部分からいうと、先生、多分かなりの違和感というか、こういうことがあっていいのだろうかという認識をお持ちだと思うんですけれども、私も正直言って新聞報道ではそういう感じを持ちましたので、どういう対応をできるかを含めて、また、それぞれの区の自治の問題というかた苦しい世界もないことはないわけですけれども、その部分を超えて、基本的にこういうことは、私自身としては、せっかくの部分でしっかり協力してみんな守るという体制はつくっていくべきだというふうに思っていますので、しっかりと対応するように私としてもまた検討してまいりたいと思っております。

中谷委員 非常に心もとない発言だと思います。やはり、ふだんは地方自治体が市民の命を守りますが、いざとなったら国がそれを助けられるように、自衛隊というのはそのためのツールの一つだと思うんですね。

 これは、阪神・淡路大震災のときも、神戸市と地元の連隊が全く面識がなかった。防災訓練にも参加させてもらえなかったし、全くの面識がないために到着するまで四時間もかかってしまった。そして、東日本大震災においても、地方自治体との協力関係は日ごろから非常に大事であるということはわかっているわけでありますので、これは、地方自治体が個々に判断するという以上に、やはり総務省としても、そういう話があれば積極的に参加するような通達を出すなり、市の担当者、職員にもそれだけの意識を持つように指導されるべきだと思いますが、この点、総務大臣、いかがでしょうか、そういう指導をされるおつもりがあるんでしょうか。

川端国務大臣 起こった事象は、私は問題が大きいというふうに認識をしております。

 ただ、先生、誤解のないように申し上げたいと思いますが、内閣府の防災担当の部分と総務省と、それぞれの役割もあります。

 そういう部分で、自衛隊の出動要請に関しても、地方自治体から要請する場合と、それから要請がなくても行ける場合と、緊急時の出動でありますが、いろいろな仕組みは、過去の阪神・淡路の大震災の反省も踏まえていろいろな工夫は凝らされてきましたけれども、事前の訓練等々においての連携がこういう状態ではしっかりとした役割を果たせないという認識は共有しておりますので、どういう対応かを含めて、これは内閣全体としてしっかりと対応できるように、私なりに最大努力をしてまいりたいと思っております。

中谷委員 これは地方自治体の職員の意識の問題もありますが、事実として、事前にお知らせして行ったにもかかわらず、当日、防災担当の人も立ち会わないようなところもあったし、自衛隊が入れないようなところもあって、わざわざ行って、そして帰って、また朝出かけていくようなことでは、せっかくの防災体制をつくるのには非常に、体制の構築に向けて、何か地方自治体に対する意識づけが必要だと思いますので、今後これは御検討いただきたいと思います。

 続きまして、三月三十一日に内閣府が公表した南海トラフ地震の津波高の推計結果は、太平洋沿岸地域の市町村は軒並み十メートルを超える津波、私の地元の黒潮町では三十四・四メートルという数字でございました。

 現在、各市町村は、この数字に基づいて、住民を守るために備えをしておりまして、ハード、ソフト両面でいろいろな対策を講じる必要があるという認識がありますが、当然、地方の自治体単独で対応できるものではなくて、国の支援が不可欠であろうかと思います。

 伺いますが、防災対策債の交付税の措置率の引き上げなど、地方の実情が反映される措置が必要だと考えておりますが、総務省としては、この点はいかがお考えでしょうか。

川端国務大臣 おっしゃいますように、南海トラフの巨大地震モデル検討会が三月末に出した第一次報告で、三十四・四メートルという数字も出てまいりました。

 また、今月の十九日には、政府の中央防災会議の防災対策推進検討会議のもとに設置された南海トラフ巨大地震対策ワーキンググループの中間報告が公表されました。その中で、南海トラフ巨大地震に関する法的枠組みについては、住民避難を軸に、避難施設、防災施設、土地利用の総合的な津波対策を強化する、行政だけでなく、民間事業者、地域住民が一体となった対策を推進する、地域全体として統一的、実効的な対策を推進すること等の観点から、特別法の制定に向けて具体的に検討する必要があるというふうにされたところでございます。

 今御指摘の部分は、この財源の問題への御提起だというふうに思います。また、御党からも南海トラフ巨大地震対策特別措置法案が提案されていることは承知をしております。

 今後、ワーキングの報告等を踏まえて、防災担当大臣を中心に、法的枠組みも含めて具体的な検討が進められていくことになると思いますので、総務省としても必要な協力を行ってまいりたいと思っております。

中谷委員 ただいま質問しましたのは、防災対策債の交付税措置率の引き上げ、これを地元の実情が反映されるように措置してほしいという質問でございますが、この点は御検討していただけるんでしょうか。

川端国務大臣 現行制度とそれから東日本震災の対策とに分かれてありますけれども、今のところ、すぐにこの部分をどうこうするという議論には至っておりませんが、今申し上げましたように、南海トラフに関しては、大変深刻な被害が想定されるという報告の中で、今ワーキングで検討しているわけですから、これに対するいろいろな法的措置と同時に、財源の対応のあり方については大きな課題であろうというふうに思っております。

中谷委員 法律は結構ですが、少なくとも交付税の防災対策債というのは現在も実施されていることでありますので、こういったことが改善されなければ地方もそれの備えができませんので、早急にこの点は御検討いただきたいと思います。

 続きまして、平成二十四年度の地方財政計画において別枠で計上されております全国的に緊急に実施する防災・減災事業、いわゆる全国防災対策費の地方負担分について有利な起債措置が設けられて、沿岸部の市町村における津波避難対策の加速化の強力な後押しとなっているわけでありますが、消防庁に提出された緊急防災・減災事業計画や本年度分の起債申請の状況からすると、既に地方債計画において措置されている財源措置枠というものを大幅に上回っている状況でございます。

 これらは復興増税の枠を上限として財源措置されていることから、当該枠を超える事業への対応については新たな財源措置が必要であるわけで、各市町村の実施する津波避難対策、避難タワーですね、こういった整備などの単独分の緊急防災・減災事業については各地方公共団体から緊急防災・減災事業計画を国に提出して実施するということにされていますが、現時点においてこの事業計画の総額、これは幾らぐらいになっているんでしょうか。

川端国務大臣 ちょっと通告いただかなかったので今手元に具体の数字がないんですけれども、トータルの枠として、〇・八兆円という枠を増税によって賄うということを前提にして、地方が手当てするという中でいいますと、現在、いろいろな予定も含めますと、もう枠を超えるということがほぼ確実になってきているという現状にございます。

中谷委員 ただいま大臣が言われたように、これらの計画を合計すると、既に復興増税を上限とした財源措置枠を超える需要がある状況であるということです。したがって、これらの財政需要に対応するため、今後の財源措置というものはどのようにするのか、現時点ではどう考えておられるんでしょうか。

川端国務大臣 これは、緊急防災・減災事業を含めてトータルとしてのいわゆる復旧復興事業規模が、五年間で見込んでいるのが十九兆円という前提になっておりますが、この規模を超えるようなことが見込まれる場合には、復興財源確保法附則第十二条に基づいて、復興予算のあり方や財源確保のための各般の措置のあり方を見直すこととしております。

 したがいまして、現在、緊急防災・減災事業についても当初想定した八千億程度におさまらない見込みを申し上げましたけれども、この見直しの中で、地方団体における事業の実施動向や地方団体の意向も十分踏まえてそのあり方について検討してまいりたいと思いますし、必要なものにしっかり手当てできるように最大限配慮していきたいと思っております。

中谷委員 検討、検討と言われますが、時間はもう刻々と進んでいまして、地方では、一体どうしたらいいんだという悩みや悲鳴が聞かれています。言いたいことは、やはり今後とも現在の緊急防災・減災事業債と同等の手厚い財政支援が必要でありまして、それがないと対策が加速度的に進まないと思っておりますので、今後よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、先ほどお話がありました南海トラフ地震対策特別措置法について質問させていただきます。

 この特別措置法は、自由民主党と公明党はもう既に国会に提出をして、これを本当に一刻も早く成立してもらいたいと願っておりますが、現在、民主党がこれに参画して、三党合意でも政党間合意でも、全ての政党が加わって成立させることが必要でございますが、大臣でございますが、こういった議員立法の提案をどう受け取っておられるのか。そして、民主党の国会議員とされまして、民主党もこれの内容を賛成であるとか協力しろとか、どういう所感を持たれているんでしょうか。

川端国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたけれども、いわゆる南海トラフに関しての巨大地震対策検討ワーキンググループの中間報告に基づいて、いわゆる法的枠組みについてはワーキンググループでいろいろ検討していただいています。

 それに先駆けて、御党の方から、緊急対策区域の指定、地震観測体制の整備、各種計画の作成及び計画に係る特別の措置を内容とする南海トラフ巨大地震対策特別措置法案が提案されていることは承知をいたしております。

 議員立法の部分を、内閣の立場で、中のコメントをすることは差し控えたいと思いますが、御指摘されている課題に関しては極めて重要なものであると私も共通して認識をしております。

 同時に、この部分は、政府のワーキングの報告を踏まえて、主管は防災担当大臣でございますので、防災担当大臣を中心にして、法的枠組みを含めて具体的に検討を進められていくことだと思いますし、その部分で、議員立法の部分を、国会においてはいろいろな議論がされると思いますし、また、民主党との間でいろいろな政党間協議が進む可能性も私は大いにあるというふうに思っていますが、党のことに関しては、今の立場ではちょっと、民主党の議員と言われてもちょっとお答えすることはできません。お許しをください。

中谷委員 大臣というのは、議員以上に権限も決定権も持っていますので、ぜひ、そのために政治主導ということで民主党政権の看板になっているんじゃないでしょうか。

 この措置法は、石田議員や谷議員もおられますが、我が党において、防災や地方財政の専門家が知恵を出して、十分実現可能であるし、問題は財務省との財源の交渉次第でございますが、その交渉をするのが総務大臣自身でございますので、ぜひ早期に、問題は財源でございますので、総務省の中で詰めていただいて、この法案が日の目を見て、できれば政府が出してほしいんですが、政府は一向に出てこないものですから、我々提出しております。

 こういった特別措置法、地方は、該当地域は心から望んでいます。少なくとも、東海大地震並みの、首都直下並みの補助率や交付率にしてほしいと思っておりますが、一体いつごろ法案提出されるんでしょうか。この見通しをお示しいただきたいと思います。

川端国務大臣 先ほどからお答えしていますように、この担当は内閣の防災担当でございます。そこが主管でありまして、我々は、その連携をし、サポートすることは当然でありますけれども、そういう意味で、全体として、ワーキングチームをつくって、法的措置の個別の具体的な点も含めて、ワーキングの報告が出て、今それを詰めている段階でありますので、具体的な検討が進められていくときに、防災担当大臣を中心にして進められていくというふうに思いますので、時期等、私のところから今お答えすることはできません。

中谷委員 本当に縦割りというか、たらい回しというか、本当に民主党というのは政治主導で生まれた政権であって、まさに国民のニーズに応える意味では、総務大臣がリーダーシップを発揮すれば、まとめ上げるような立場におると。地方自治の面倒を見てくれるのは総務省でありますので、内閣府なんかは地方のことを責任も何も全然感じていませんよ。やはり総務大臣が先頭に立って早急に法案をまとめていただくように、我々は全面的に協力しますので、ぜひこれはお願いしたいと思います。

 続きまして、今大阪で起こっております地方公務員のあり方、つまり、市職員の政治活動を国家公務員並みに規制して、二年以下の懲役などの罰則規定を盛り込む全国初の地方条例、これを大阪市が検討していたんですね。ところが、総務省は、一地方自治体が罰則規定などの条例をつくることについて、地方公務員法に違反すると市に回答して、政府も、同法に違反するのは許されないという答弁書を閣議決定されておりますが、とんでもない話だと思います。

 現在、市職員の政治活動は地方公務員法で制限されておりまして、罰則はありません。一方、国家公務員は、違反すれば懲役三年以下または百万以下の罰金があります。

 今、地方自治体の実態を見ると、自治労そして労働組合の政治活動が野放しになっておりまして、これが地方自治をゆがめているんですね。だから大阪市は地方公務員に罰則がないのはおかしいとして条例を提案したのでありまして、では、国は、条例が認められないというなら地方公務員法を改正すべきでございますが、総務大臣、この大阪での動きを通じて、地方公務員法の改正をする必要があると思っておられるんでしょうか。いかがでしょうか。

川端国務大臣 これは、立法府である国会で、この経過で申し上げますと、いろいろな議論がされて、現在の法律が成立をされました。

 地方公務員法の第三十六条、地方公務員の政治的行為の制限については、この法律の制定時の提案理由の説明において、「職員の政治的行為の制限の違反に対しては、懲戒処分により地方公務員たる地位から排除することをもつて足るとの見地から、罰則を付さないこと」とされました。また、政府提出の同法案については、職員に政治的行為を行うよう唆した者等について罰則が付されていたところ、国会審議において罰則を付さないことと修正されたものでございます。

 このような経緯から踏まえて、現行の法律のもとでは、法律の提案理由の趣旨そして審議の経過、成立に至る経過から踏まえて、罰則を付すべきでないという趣旨であると解されて、条例で罰則を設けることは法律に違反して認められないというふうにしたところでございます。

 そういう意味で、これからどうあるべきかに関しては、国会含めて、いろいろな幅広い慎重な議論が必要であろうというふうに思っております。

中谷委員 もう少し地方の実態を見てくださいよ、大臣。大阪の橋下市長はなぜ人気があるかというと、改革の先頭に立って具体案を投げています、これをやれと。それが響くんですよね。

 大阪市の実態は、空出張、特殊勤務手当、闇手当などが以前から問題になっていまして、これは労使交渉から生み出されているんですね。以前までは地方議会もこれを見過ごしてきた。この問題を根本的に解決しようということで、条例をということを提案しました。

 公務員は、確かにその勤務条件を改善するために、労働組合、職員団体を組織しています。したがって、職員団体は勤労条件の改善を図ることを目的としておりますので、活動していますが、その範囲を超えて、しばしば政治活動や選挙運動を展開することが常態化をしております。

 大阪の市労連には七つの労働組合が加盟しております。全国でも、選挙のときはもう堂々と、公然と組織を挙げて活動しているようなところもありまして、現実にその応援を受けた市長が誕生をいたしております。その市長は労組に借りがあるわけで、幾ら労使交渉をしても、本当に組合に配慮、配慮ということで、こういった問題が解決できないということで、これは罰則をもって規制をしていこうというのが大阪市の思いでもありますし、我々はそのことを痛感いたしておりまして、これを国会に、地方公務員法の改正という形で提案をする準備を進めております。

 そこで、各論について伺います。

 まず、この地方公務員の政治的制限をする際に、法律の問題がしばしば議論をされますが、公務員の市民としての集会、結社及び表現の自由は憲法によって保障されており、これを制約するのは憲法違反であるという批判があります。

 しかし、公務員というのは、政治的行為の制限をめぐる問題は、中立的運営、そして国民の信頼の確保、これは地方の公務員といえども守っていかなければ成り立ちません。これを放任した場合には、政治的中立が損なわれて、それに属する行政機関の公務の運営に党派的な偏向を招くおそれがありまして、行政組織の内部に深刻な政治的対立ができて、行政の能率的な機能が損なわれるということで、そういった行政の中立的運営と国民の信頼を確保するということで、かつて、昭和四十九年、猿払事件というものの最高裁の判決によりましても、これはやはり中立の方が大事だよという判決がなされていますけれども、この点について、大臣はいかがお考えでしょうか。

川端国務大臣 それぞれの労働組合が結成をされて、そのときに、いわゆる労働組合として地位の向上等を含めたときに、交渉できる項目とできない項目とがあるというのは御案内のとおりでございまして、そののりはしっかり守らなければいけないと同時に、その組織としての団体が政治的にいろいろなことを、方針を決め活動することは、結社の自由と活動の自由において、これは憲法的にも保障されている問題だと思います。

 ただ、公務員においては、その地位を利用して、公務員という立場でそういうことをするということは政治的中立に反するということでありますので、個別具体に、いろいろな項目に関して、こういうことをしてはいけないということははっきり明定をされていますので、このことに関してはしっかり守っていかなければそれぞれの信頼が損なわれることは当然のことでございます。

 ただ、今御指摘の事件の判決、昭和四十九年十一月六日、猿払事件の判決では、これは、国家公務員に関して、政治的行為に対する罰則規定は合憲であるというふうにされたものを引用されたんだと思います。

 ここで、引用しますと、「国家公務員の場合は、地方公務員の場合と異なり、その政治的行為の禁止に対する違反が行政の中立的運営に及ぼす弊害に径庭がある」、これは乖離という意味ですが、「径庭があることからして、罰則を存置することの必要性が、」中略「国会により、」「承認されてきたものとみることができる。」ということで、国家公務員の政治的中立からいうと、当然、罰則があってもこれは合憲であるという判決ですが、一方、逆の見方をしますと、地方公務員とはその影響度において相当の差があるというふうにも言っている部分もありますので、そういう部分では、いろいろな議論の中で、この判決、判例自体は私も承知をしておりますが、そういうものもしっかりと視野に入れながら今まで対応し、これからも対応していくべきだと思っております。

中谷委員 国と地方は違うんだというようなことを言われましたが、だったら、地方分権とか地方主権とか言う資格はないと思うんですね。

 今地方にどんどん権限を委ねようとしておりまして、やはりこういった政治行為が中立公正を損ないますと、本当に住民の信頼の確保がなくなります。そして、公務員たる身分を有する者が一定の政治勢力を支持する行為を行う場合に、その公務全体の公平さに対する国民の信頼が損害される。大阪がいい例ですよね。情報化が進んで人的交流が盛んな今日に、こういったものもない。

 もう一つ言わせていただければ、地域の限定性も廃止していただきたい。単なる大阪市とか京都市とか、そのエリアだけに通用する地方公務員の罰則を含めた規定ではなくて、オール・ジャパンで、地方公務員としての自覚と尊厳が保たれるという意味では、地域限定も外してしまうべきではないか。

 そして、地方公務員の中でも、公営企業職員もあります。こういった人は今は除外されておりますけれども、例えば地下鉄の職員とか、そういう公営企業職員、こういった人の政治的行為の制限も、特定規定を廃止して国家公務員と同様にしたり、また教職員も罰則規定がございません。

 そういうことについて、この際、国の公務員と同様の罰則規定を設けるべきだと思いますが、この点、大臣いかがですか。

川端国務大臣 さまざまな議論の中で、先生あるいは自民党の御主張はそういうものがあるというのは私も十分承知をしておりますけれども、政治活動の自由というのは、基本的人権にかかわる極めて重いものであります。そういう中で、おっしゃるように、公務員の信頼性、信用性、中立性というものをどう確保するかというときに、地方公務員が、政治的中立ということでいえば、その行政範囲の及ぶところにおいての政治的中立が求められるという意味で、その行政範囲の中で制限されて、多分、大阪の市役所の人が東京でいろいろな活動をすることにまで及ぼしていないというのが、今までの整理の考え方だというふうに思っております。

 そういうことを含めて、あるいは現業の職員に関しては、これは労働組合としてもしっかり認めるということで、この適用は除外しているということも、その仕事の状況から含めて、いわゆる政治的中立を守るということにおいての影響度の多寡から見て判断されたという経過があるんだというふうに思います。一定の経過は、それぞれに合理性を持って判断されてきたものだというふうに思います。

 ただ、先生御指摘のように、いろいろな部分で、行政に対して、公務員に対しての批判や不信があるというのを、信頼回復しなければいけないということは、私もそのとおりだと思います。ただ、そのやり方に関してはいろいろな議論があるということと、慎重にやらなければいけないものは慎重にやるべきだというふうに思っていますので、先生の意見は御意見として承っておきたいと思います。

中谷委員 何で、公務員としてのあるべき姿を規則で決めながら、これを守らせようとするのにちゅうちょするんでしょうか。

 せっかく大阪市長が、もう見るに見かねて、これは罰則を規定するしかないよということで投げてきたボールですから、そのボールをだめだと言った以上、これはしっかり政府が受けとめて、国でこの法律改正をすべきだと思いますので、我々は早急にこの問題を国会に提案したいと思っております。

 続きまして、松下大臣にお伺いをさせていただきます。

 日本郵政、十月にスタートを切るということで、かなりタイトなスケジュールの中で、今必死で、これのスタートで苦労していると思いますが、二つ提案がございます。

 一つは、これから株の売り出しについて、私は、ぜひ地方の自治体、県とか市町村に株を引き受けてもらったらどうかと。

 これはなぜかといいますと、各地において、電力株、何度も都道府県や市、自治体も保有しておりまして、過去に保有した経緯はそれぞれであるが、要は、住民サービスの一部をこれからユニバーサルサービスとして担う以上、やはり地方自治体との関係を強化する、特に、ワンストップサービスとかひまわりサービス、過疎地における住民の見守り、こういうのは重要な地方の課題でありますので、これを認めるべきではないかというのが一点。

 もう一点は、ゆうちょ、かんぽ、これは別会社になっておりますが、実際は直営店などを持ってゆうちょは独自に営業していますが、やはりそれはもう局に委ねるべきではないか。

 つまり、ゆうちょ会社というのは、企画とそれから管理、広報を主として、例えば工場を持たない会社もあるんですけれども、まずそういったものをして、そして営業、販売は郵便局が行っていくようにする。そうすれば、いわゆる支店と代理店で競合することもなくなって、利用者にとってもわかりやすくて、相互依存の度合いが深まって、ユニバーサルサービスの担保がしやすくなると思いますが、この点につきまして、大臣の所見、並びに今後の郵政会社の再スタートに向けた取り組みについてお伺いさせていただきます。

松下国務大臣 国会の各党各会派の先生方の必死の努力で改正案を成立させていただいたわけでございまして、この果実はしっかりと実らせたい、それが基本でございます。

 今、十月一日に向けて、工程表をしっかりつくり上げて、頻繁に会社側、総務大臣等とも連携をとりながら、一つ一つ実現していくべき課題について、その実行可能性、しっかりと実現するように今やっておりますので、間違いなく十月一日、しっかりやりたいと考えております。

 今御提案がございましたけれども、株につきましては、やはりまず上場するということが基本だと考えております。そのためにも、法のもとにしっかりと提案いただきました公共性、地域性、そして民営化を推進するという立場では、収益も上げなきゃいけないということをしっかり勘案しながら、特に過疎地や、そして離島の多い地域、そこでもしっかりとサービスが行き届くようにすることが基本だと考えておりまして、新しい仕組みの中で地域の信認、社会の信認を得られるように、まず努力していくことから始めたいというふうに考えております。

 今御提案がございましたことはしっかりと受けとめながら、十月一日、それ以降についても、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

中谷委員 余り内容のお答えはないんですが、郵政、再スタートするわけですから、この四年間の期間、利点と欠点があって、私は、かなり意識は向上したし、効率的な運営はされたと思いますが、片やユニバーサルサービスの面で、真心とか温かとか、特に地域の郵便局長は、以前は渡し切り経費というのがあって、いろいろな募金活動とか寄附とかイベント、冠婚葬祭、これは地域の代表の一員として参加できましたが、こういうのがなくなって、非常に身銭を切って頑張っているところもありますので、こういった改善点も必要でありますし、また、先ほど申しましたように、ゆうちょ、かんぽ生命は商品開発と管理、広報、そして営業は郵便局にというような、以前のように、全てを行っていけるような、垣根のないような、さらに合理的なものにしていただきたいと思いますが、大臣のお言葉をいただきたいと思います。

松下国務大臣 民営化の方針のもとに分社化が進んで、かなり最前線で混乱が起こったことも事実でございますし、それを、今おっしゃったように、温かみのあるものに戻していく、そして、基本に立ち返ったユニバーサルサービス、それをしっかりとやりたいと思っています。

 今、局長さんたちの、最前線の人たちの御意見もしっかり承りながら、要望もたくさん出ておりますので、一つ一つ、それが目的に達するように、法の目的にしっかりと合致していくように、今実現に向けて一つ一つ潰していっていますので、しっかりと取り組んでいきたい、そう思っています。ありがとうございました。

中谷委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

武正委員長 次に、あべ俊子さん。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきました。

 東日本大震災、私は災害対策本部に震災後おりまして、さまざま情報が入ってくる中、三週間たったときには、やはり現地に入れ、一体何が起きているかをしっかり見てこいと言われました。

 福島県の沿岸部に、私ども国会議員、自民党四名で入りました。特に、野党になりました私ども、いろいろなところに御迷惑をかけてはならないので、自分たちで運転をし、さらに、何か必要なものがあれば持っていこうと、現地と連絡をいたしました。

 その福島県の沿岸部の消防の方々と連絡をとりまして、今何が必要かということをお聞きいたしました。特に、茨城県の風評被害に遭っている野菜、安全でありますがなかなか売りにくかったその時期に寄附をいただきまして、野菜が食べたい、ガソリンがないのでどこにも行けない、スーパーもあいていない、野菜も食べたいし、消防団が一生懸命頑張っている中、その子供たちが外に出ることができない、自主避難地区という中途半端なその地区にいた消防団の方々は、どう対応していいかわからないが、自分たちの自主防災組織としての任務を果たさなければいけないと、小さなお子さんを抱えている方々も、その地でしっかりとその任務を果たしておりました。野菜と、また子供たちが食べるお菓子、さらにはジュースが欲しいということで、私ども、四トントラックと二トントラック、そちらで持ってまいりました。

 消防団の方々は、本当に必死で頑張っていらっしゃいました。本当に、東日本大震災の中で、対応がしっかりしていると言えなかった、その中にあって、自分たちの地域は自分たちで守るんだ、それだけで頑張っていらっしゃる方々がいらしたわけであります。

 そうした中にあって、消防団の位置づけ、幾つか総務委員会の中で質問が出ております。消防組織法上の消防団の機関の位置づけ、これを検討するということが何度かこの委員会で出されておりますが、その後どうなったか、教えてください。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 消防団の消防組織法上の位置づけでございますが、これはもう御案内のとおりでございまして、消防組織法の第九条で、「市町村は、その消防事務を処理するため、次に掲げる機関の全部又は一部を設けなければならない。」として、消防本部や消防団等が書いてあるということでございまして、そのいずれかを設けなければならないというような規定ぶりになってございます。その上で、消防団そのものについて見ますと、法律上、必ずしも全部置かなければならないという解釈にはならないというようなことでございます。

 これにつきましては日本消防協会などからも御提言などいただいておりまして、現在やっております検討会などでもいろいろ、それだけではございませんけれども、いろいろ消防団のあり方等御検討いただいているという状況でございます。

あべ委員 大臣、八月末までに、東日本大震災を受けて、この消防のあり方も含めて結論が一応出される予定であると言われておりまして、三月に中間の報告が出ておりますが、いろいろ言われているといった今の曖昧な答弁に加えて、一体いろいろどのように、この消防団の位置づけがもう少し明確になるべきじゃないかという議論は聞いていらっしゃいますか。

川端国務大臣 まず、消防協会の皆さんとも、私もじかにお出会いをさせていただきました。そして、先般は消防協会からも東日本大震災後の我が国消防のあり方に関する意見というのもいただいております。この部分で、先生今お触れいただいた部分、消防団の位置づけをしっかりするべきだというふうな御意見もじかに伺いました。

 そして、この震災においてだけではなくて、先般の経験のない豪雨においても、地域において、まさに命がけで、先頭に立って頑張っていただいているという皆さんへの感謝とこの役割の大きさについては、国民ひとしく共有していることだというふうに思います。

 そして、その消防団の皆さんがより意欲を持って、そしてしっかり頑張れるようにするということにおいて、何らかのいろいろな手当てが必要であるということ自体は、私もその部分は共有をしているところであります。ただ、全国市町村合併が進みましたので、今、形としては全国の市町村全てに消防団が存在はしております。そういう中で消防団のあり方自体をより活発にするということにおいて、いろいろな論点とデータを含めて、議論の経過は私も聞いております。

あべ委員 大臣、聞いているだけだったら誰でもできるわけです。聞いて、それに対して何をするかということが大切なわけですから、やはり今の位置づけの議論の中で、この立ち位置が、消防団ということが一体どういうふうな位置づけにされているかということをもっと明確にするべきではないかという意見は大臣も聞いていらっしゃるはずですが、ここの位置づけに関して、もっと明確になさるおつもりがあるのかどうか、教えてください。

川端国務大臣 先般、今申し上げましたように、消防協会の会長さんから消防協会としての御提言というか意見もいただきましたが、そういう部分で、現在消防庁で、消防団関係者にも実際にメンバーに入っていただく中で、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会ということを開催しております。財団法人日本消防協会からの意見の趣旨を踏まえて、皆さんにもメンバーの一員として入っていただいておりますが、消防団の充実強化、この中には位置づけも含めて、十分に検討して答えを出していきたいというふうに思っておるところでございます。

あべ委員 その最終取りまとめは八月がめどだと聞いておりますが、これは出てきそうですか、八月まで。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣からお答えしました東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会でございますが、昨年の十一月から設置して議論いたしまして、お話ございましたように、三月五日の会合で中間報告案を検討いたしまして、中間報告として取りまとめたという経緯でございます。

 その後、月に一回程度ワーキングチームを今順次開いておりまして、お話ございましたように、八月目途で最終報告をお出しできるべく、現在検討を進めていただいているところでございます。

あべ委員 私が担当の方に、中間取りまとめの後、最終報告までの、それまでどれだけ進捗したかをお答えいただきたいということをお願いしたら、報告するものはございませんと言われました。この中間の報告から八月、すなわち来月、もう少しでございますが、進捗したことをちょっと項目として挙げていただけますか。

長谷川政府参考人 担当の者が申し上げましたように、現時点で報告書の案とかそういうものがあるわけではございませんけれども、第四回のワーキングチームは五月に開催いたしまして、消防団員の装備、教育訓練あるいは処遇改善等について御議論をいただいております。

 それから、第五回のワーキングチームを六月に開きまして、地域住民の防災意識の向上のための啓発について御議論をいただいております。

 それから、六月の八日には本会議の方も開きまして、そういったワーキングチームで御議論いただいてきた内容について、上の会議の検討委員会のメンバーの方々でも御議論いただいているという状況でございます。

 そしてまた、あした次のワーキングチームを開くという予定になってございまして、そういったものを踏まえながら、八月に向けてさらに検討を進めてまいりたいという状況でございます。

あべ委員 そうした中におきまして、その消防団のどういう活動内容かということが位置づけられている防災基本計画というのがございます。

 これは、地域防災計画に基づくものでございますが、これは昨年の十二月につくられておりますが、東日本大震災に対しまして一体どういう点が反映されたのか、特に消防団に、消防組織に限って教えていただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 お話がございましたように、災害対策基本法に基づきまして、中央防災会議が防災基本計画というのを国レベルでつくっております。これは、もともとあったものでございまして、十二月には東日本大震災を踏まえた改正がなされたというものでございます。

 そして、このたびの昨年十二月の改正の主要な部分は、どちらかと申しますと、災害対策編が幾つか風水害ですとか地震ですとか分かれているうち、津波の部分が地震対策編の中に一緒に入っていたということを、分けて書いた方がいいというところに大きなポイントがございまして、それに関連する改正がいろいろ行われたところでございます。

 そして、消防団に関しましても、それぞれの災害対策編の中に書かれてございまして、例えば地震対策編で申し上げますと、国民の防災活動の環境整備ということで、消防庁や地方団体は、消防団の施設、装備の充実、それから消防団の活性化を推進し、その育成を図るものとするなどと記載されているところでございます。

あべ委員 では、今おっしゃっていたので、装備の充実の観点からいいますが、特に、今回の東日本大震災に関しまして、やはり通信条件の部分がもっともっと充実すべきだというふうに言われているわけです。

 特に、携帯が通じなかったことなどを考えたときに、双方向の無線の通信機器が必要だというふうに言われておりますが、これは大臣、具体的に何か取り組んでいらっしゃって、その装備の部分は充実したんでしょうか。

長谷川政府参考人 ただいまの御指摘でございますけれども、先ほど申し上げました消防団の検討会の中間報告の中で、主として安全管理の部分について御議論をいただいておりまして、その中で、御指摘ございましたような通信機器等について、より装備を充実させるべきであるというような御提言をいただいております。

 そういった中で、私どもとしましては、そういった通信機器が充実されるように、昨年度の補正予算で補助金もいただいておりますし、それから、今年度の普通交付税の中で、そういった装備品が今後とも引き続き充実できるような交付税措置の充実を図ったところでございます。

あべ委員 さらには、そういう防災のときに、特に東日本大震災のときには、消防団が持っていた発電機、これが役に立ったということが報告の中に見られているわけでありますが、発電機を持っている消防団はどれぐらいあるか、消防庁、知っていますか。

長谷川政府参考人 発電機を持っている団体の数は、ちょっと手元に持っておらないんですが、昨年度の補正予算でいただきました消防団安全対策設備整備費補助金で、実績といたしまして、発電機を整備したところは二百三十九団体ございます。

あべ委員 やはり、市民また地域の方々の安全と安心を守るということと、その守ろうとしている消防の方々の命を守るということは、私は重要なことだと思っております。

 今回の中で、いろいろな文献を読みましたら、特に言われているのが長期間の活動の備え、すなわち、団員の食料の問題、水の確保、さらには燃料、電源ということも言われているわけでございますが、消防団の位置づけが非常勤の地方公務員とされている割には、ボランティアという位置づけにされているところもあり、実は十分な食料の部分も確保できなかったということが言われているわけでございますが、大臣、これは聞いていらっしゃいましたか。

川端国務大臣 自衛隊と違いまして、消防団の部分は、まさに、みずからが活動し、食料も手当てをし、宿泊もできるという機能を持っていないということが今回非常に大きな問題であったということは私も承知をしております。

 同時に、先ほど来のお話の中で、今回の緊急時において、いろいろな装備においても不十分な部分がたくさんあったと。デジタルの通信、デジタル無線という最新鋭のもの以外の、ロープであるとか照明機器であるとかそういうふうな設備、装備の部分でも至らない部分がたくさんあったということ。

 同時に、水門において大変な犠牲者を出しました。こういう部分のいわゆる行動の基準、命を守るというものと、防災をするということ、救助をするということの、そこの整理整頓も十分でなかったというふうな、さまざまな視点をいただいておる中の一つとして、今おっしゃったことも私も十分承知をしております。

あべ委員 そういう意味でいったら、やはり装備ということをもう少し、どういう部分を強化していくのか、目標を定めてやらないと、住民の安全を守るということと消防団員の安全の確保ということを両方やらなければいけない。

 さらには、今回、消防団が自分たちの任務を果たそうとする余りに、いつ自分たちが、自分たちの命を優先させていいのかなどの行動指針の部分が本当にわけがわからなかった。それはそれで、消防団であるから頑張ったんだと言うには、私は、非常勤として頑張っていらっしゃる方々の教育訓練のマニュアルの部分をもっと地域性に合わせてしっかりと対応していくべきだというふうに思いますが、これに関しては、今消防庁は対応していらっしゃるんでしょうか。

長谷川政府参考人 今の御指摘のうち、安全管理の行動の部分でございますが、これは御案内のとおり、大震災で情報が少ない中で水門閉鎖等に行って非常に危険だったということはもうわかっておりまして、そういうことにつきましては、先ほど申し上げましたように、中間報告の中で行動の指針を、先ほど大臣からもお答えがございましたが、お出しをしているところでございます。

 活動可能時間という概念を用いまして、地震が発生してから集まる時間、出動する時間、活動する時間、それから退避をする時間、それに余裕を持った安全時間等を計算して対応できるような取り組みを今後していかなければならないということを打ち出させていただいておりまして、そのことは既に地方にもお伝えをしたところでございます。

 それから、資機材でございますが、資機材と教育訓練につきましては、ただいま、引き続きその検討会をやっておりまして、先ほども申し上げましたように、装備や教育訓練について御検討いただいておるところでございます。先ほど申し上げましたように、これは八月には一定の結論を出していただけると思っておりまして、それを踏まえながら対応してまいりたいというふうに考えております。

あべ委員 八月の何日ぐらいに出てきそうですか。

長谷川政府参考人 ちょっと、ただいま、日程が正確に定まったわけではございませんけれども、八月中にはできるように努力していきたいと思っております。

あべ委員 それまでに解散があるかもしれませんが、八月中にはつくっていただきたいというふうに思うわけであります。

 また、消防団の報酬、手当についてです。これは市町村の条例で決まっておりますが、かなり格差があるということを私は前回データで見ましたが、消防庁の方で、最大何倍ぐらいの格差があるか、御存じですか。

長谷川政府参考人 消防団のいわゆる報酬でございますけれども、年額報酬は、交付税の単価といたしましては三万六千五百円になってございます。それで、現実には、平成二十一年度の決算ベースで、平均として二万五千三百円余りというような状況で、交付税単価に比べますと、かなり届いていないという状況でございます。

 悉皆的に今手元に資料があるわけではございませんけれども、幾つかの支給例を見てみますと、多いところですと、交付税の単価をかなり上回りまして、年額でございますが、十数万円を出されているところもあるようですし、少ないところですと一万円を切ったところもあるというような状況でございます。

あべ委員 条例によってかなり格差があるというところは、やはり、地域の安全、安心をどこまで消防団の方々にお願いするかという市町村の態度がそのままあらわれているのではないかというふうに私は思うわけであります。

 また、団員に関しても、一時二百万人いたものが今は八十八万ぐらいになったんだと思っておりますが、それに対しましても、私は、消防団のイメージということを考えていくときに、子供のころから子供消防団とか、私のいる地域にもございますし、婦人消防団みたいなものもございますが、やはり地域で一緒に頑張っていくんだということをもっと啓発しなきゃいけない。さらには、例えば大学の中にもつくっていくとか、高校の中にもつくっていくとか、そういう昔からなじむもの。

 実は、昔は青年団があったんです。青年団があったがゆえに、そのまま消防団にみんなシフトしたわけでありますが、特に、市町村合併の部分もございますが、地方には仕事がないということが若者がいなくなったことに連動し、それがそのまま消防団の数が減ってきた。消防団の平均年齢を見ますと、どんどん上がっておりまして、六十近くになってもやめられない、人がいないからやめられないというところもあるわけであります。

 そうすると、そのイメージに対して、もっと全般的に、これは総務省だけではなくて、文部科学の部分もしっかりと引き込みながら、地域の防災、地域のつながりということを考えていかなければいけないというふうに思うわけでありますが、大臣、このことに関していかがでしょうか。

川端国務大臣 消防団員が一番多いときに二百万人いたのが八十八万人、現実でございます。そして、平均年齢も、昭和五十年で三十三・三歳が、現在は三十九・一歳。昭和五十年度に二十歳代が約四割が、現在は一八%。先生御指摘のとおりでございます。

 それは、やはり地域に若者が少なくなってきたと同時に、私も、これをどうして打開できるかということで、現地の消防団の皆様に、若い人も含めて、どうして入ってくれないのか、こうしたら入ってもらえるのにということを提案してほしいというお願いをいたしました。そういう中で、いろいろ若い人に話すと、かた苦しい組織というイメージがある、上下関係が厳しいという。それから、時間が拘束される。あるいは、やはり一番大きかったのは、サラリーマンの方が多くて、昼間だけではなくて、訓練等々に時間が割けないというふうなことでありまして、確かに、昭和五十年度にいわゆるサラリーマン、被雇用者が四二%だったのが、平成二十三年度では七一%ということでございます。

 そういう意味で、いろいろな事業所に協力していただくということと同時に、やはり子供のときからということで若者に対して、女性に対して、いろいろなキャンペーンやそういう活動、あるいは若い人が頑張っているということの士気を高めて周りに影響を与えるというふうな意見発表会のイベント等々、あるいは協力事業者を公示するとかいうことをやっているんですが、先生御指摘の中で私も一番大事だと思ったのは、地域で消防団を支える仕組みを何とか構築したいと。みんなで地域を守っている、その中に消防団の皆さんが一番中心になって頑張っていただいているのだということを今議論し、検討しているところでございますと同時に、もう一方の処遇に関しても何らかの手当てが、財政措置含めて、我々の手でどこまでできるかということも検討しているところでございます。

あべ委員 ぜひとも検討より一歩進んでいただきまして、前向きにその位置づけの部分を、特に、消防法に関しても見直しをお願いしたいところであります。

 最後になりますが、ちょっと携帯電話に関して質問させていただきます。

 SIMロックに関してでございますが、今、私はちょっと電話をスマホにしなきゃいけないという個人事情がございまして、スマホにしたくなくてずっと携帯で耐えてきたわけでございますが、特に海外に行ったときの不便さが、海外パケ放千九百八十円とかいったのはたまったものではないということで、メールだけ受ければいいということでずっと私は携帯電話にしていたわけでございますが、そのときにSIMロックで非常に大きな壁を感じたわけであります。

 ロックの解除に向けたガイドラインを総務省が、二十二年の四月に出しているわけでございますが、ところが、解除した割には非常に使い勝手が悪い。これに関して、大臣、どのように認識していらっしゃいますか。

川端国務大臣 SIMロックフリーのガイドラインをつくりまして、民間事業者が自主的にできるだけ推進するようにということでガイドラインをつくりました。

 NTTドコモにおいては、ある時期以降の機種は全部SIMロックフリーにしておりますけれども、例えば世界的に一番使われているアイフォンの国内でいう部分でいえば、解除されていない。先生御指摘のように、海外で使う、あるいはいろいろな機能でいうと、実はSIMロックフリーのものにしても、通信事業者との部分の契約条項を含めて大変いろいろ、まだあっちとこっちを差しかえてどんどん使えるという状況にないという部分があることは事実であります。これは個人的な話で恐縮ですが、私もいろいろな事情の中で今アイフォンを持っておりますが、SIMロックフリーのアイフォンを手に入れまして、NTTドコモの回線を使っているということをしておりますが、いろいろ便利な部分と不便な部分がまだありまして、解決すべき課題はたくさんあります。

 しかし、SIMロックフリーにしていくことの利便は非常に大きく得られることは事実でありますので、ガイドラインを通じて自主的にしっかりやってくださいという今の状況でありますが、その段階を踏まえる中で今検証しておりますので、そういう部分を含めて、より促進されるようにということで我々としては取り組んでまいりたいと思っております。

あべ委員 アイフォンとドコモのSIMというのが最強のマッチというふうに言われているわけですが、そうすると、SIMロックフリーのものを入手しようと思うと、まあ脱獄、そのSIMロック解除のソフトを入手するか、もしくはアマゾンでSIMロックフリーのものを買うか、海外へ行って買うかということになってくるわけでございますが、こういうことを続けていきますと、結局、日本の国益を損ねてしまうことになる。日本だけがなぜこのような形で閉鎖的になってしまっているのか。

 また、SIMロックを解除しているといいながら、ミニSIMというものを使ってしまうと海外のSIMが入らなくなるんですね。これは一体何のために解除したのかよくわからないことになってしまっているわけでありまして、大臣、このミニSIMということに関しては御存じでしたか。

川端国務大臣 承知しております。

あべ委員 このミニSIM、海外で使っているところがどれぐらいあるか御存じですか。

川端国務大臣 済みません、そこまでは存じておりません。

あべ委員 参考人、御存じですか。

桜井政府参考人 先生今お尋ねのミニSIM、いわゆるマイクロSIMでございますけれども、これは国際的なヨーロッパの標準規格になっているということで、だんだん機器が小型化してくるというようなこともありますので、だんだんミニSIMの方へ移行をしている。したがって、最近のスマートフォンはほとんどこのミニSIMであるというふうに認識しております。世界的にもそういう状況になっているということでございます。

あべ委員 ですが、先進国に行ったときはいいんですが、そうじゃない場合にはミニSIM対応じゃない場合があるわけでございまして、アクロバットで、それをカットしてアダプターがあるから入れろという方法もあるんですが、非常に壊れやすいということのウオーニングはずっと出されているわけでございますから、その標準化が本当に標準として、大きなSIMもミニSIMの部分もスタンダードとして使えるように、変なカットをしてアダプターが機器を壊すような危険性が全くないとは言えないというふうにその機材を売っているところから言われているわけでございますから、その辺のリスクも考えたスタンダードをぜひ考えていただきたいと思うわけでございます。

 ぜひ、総務大臣、御自分だけSIMロックフリーのものを買ってドコモをはめるなんということをしないで、やはり日本人の携帯電話がスマホも含めて全部使いやすくなるように、大臣なんですから頑張っていただきたいと思います。どうぞ、一言。

川端国務大臣 私、アイフォンを二台持って、両方使っているんですけれども、やはりSIMロックというのに逆に非常に関心がありまして、実際使ってみればどういうことが起こっているのかということも含めて私は所有いたしました。そして、便利であるけれども課題がいっぱいあるということも身をもって、休みの日、一日ぐらい潰して設定をするとか、そういうこともありましたので、トータルとして、基本はSIMロックフリーが進むようにということでつくったのがガイドラインでありますので、これが着実に、より加速して進めるように、最大限頑張ってまいりたいと思っております。

あべ委員 ぜひ大臣在任中によろしくお願いいたします。

 以上、質問を終わります。

武正委員長 次に、福嶋健一郎君。

福嶋(健)委員 国民の生活が第一、福嶋健一郎でございます。

 まず、質問の前に、今般の九州北部の豪雨で、たくさんの皆様方がお亡くなりになられました。心からお悔やみを申し上げますとともに、今なお被災をされている皆様方にもお見舞いを申し上げます。そして、そういう中で、災害救助あるいは生活支援、再建支援のために頑張っておられます自衛隊の皆さん、あるいは警察、消防の皆さん、自治体職員の皆さん、そしてボランティアの皆さん、皆様方の活動に心から敬意を表するものでございます。

 私の地元であります熊本でも、きょうの九時現在、お亡くなりになられた方二十三名、行方がいまだ判明されておられない方二名、床上、床下浸水が三千六百戸超というふうに、とても大きな被害になっているところでございます。

 七月二十日の日に野田総理大臣は熊本で、いわゆる農地等の分野において激甚災害指定に向けた所要の手続を速やかに行うよう指示したというふうにおっしゃっておられますけれども、あらゆる分野において、政府には、一刻も早い激甚災害の指定と、それに伴う復旧復興に向けて全力で取り組んでいただきたい、我々も全面的にバックアップをしたいというふうに思っているところでございます。

 そこで、川端大臣にお伺いをしたいんです。

 きょうお昼のニュースでもやっておりましたけれども、熊本、福岡、大分の三県に、あす、普通交付税を前倒しで現金交付をしていただけるということで、これによって当該自治体の資金繰りが回るということで、これは率直に私も評価をしたい、よく迅速に御対応いただいたなというふうに思っております。

 ただ、今後、例えば特別交付税等の措置とか、あらゆるいろいろなことがあると思うんですけれども、今回の豪雨被害で、被災をされた自治体に対して、総務省としてどういうふうな分野でどのように取り組んでいこうとされているのかについて伺いたいと思います。

川端国務大臣 まず、先生の御地元を含めまして、二度にわたる豪雨で大変な犠牲者を出しまして、改めてお悔やみ申し上げるとともに、被災者の皆さんにお見舞い申し上げたいと思います。また、関係者の皆さん、本当に御苦労の中で頑張っていただいていることにも感謝と敬意を表したいというふうに思っております。

 今御指摘いただきましたように、一刻も早く被災自治体がしっかりと対応できるように、そしてそのときに資金繰りがショートしないようにということで、第一次の、七月七日までの大雨のときの分は、七月十八日に、定例交付の分の交付税の三割、二十三億三百万円。そして、七月十一日からのいわゆる九州北部豪雨につきましては、あす、熊本県内五市町村、大分県一市、それから福岡県の八市町村の十四団体に対して、八十一億二千五百万円を繰り上げ交付いたします。これはもう緊急に、できるだけ早くということであります。

 そして、今後、復旧復興に向けた事業がこれから本格化していくということになりますので、この部分では、被災の地方公共団体と我々とで、きめ細かく実情をお伺いし、御相談に乗りながら、総務省として、関係省庁とも連携をとりながら、特別交付税措置も含めて、地方交付税それから地方債による地方財政措置を講じて、その財政運営に支障が生じないように、できる限りの対応をしてまいりたいというふうに思っております。

福嶋(健)委員 先ほど中谷委員の質問にあったかと思いますけれども、総務大臣は地方自治のトップリーダーで、牽引をしていただくというのが大きな役回りだと思っておりますので、このあたり、被災地、被災自治体の現状を踏まえて、速やかに的確な対応をぜひお願いしたいというふうに思っているところでございます。

 きょうは、消防の話と郵政のお話、この二つについて、時間の許す限り、概括的ではありますけれども質問させていただきたいと思っています。なぜならば、先ほどあべ委員の質問にもありましたけれども、消防団、そして郵政、郵便局というのは、地域の生活のネットワークの非常に大事な重要な部分だと私は思っておりますので、この二つについて順次質問をさせていただきます。

 まず、消防庁に伺いますけれども、直接この九州北部豪雨について消防庁本庁としてどのような対応を今までされたのか、これについて御答弁をください。

長谷川政府参考人 お答えをいたします。

 今般の大雨では、私どもで昨日夕方現在の被害状況をとっておりますけれども、お話ございましたように、人的被害として、熊本、福岡、大分で死者三十名、行方不明者三名などとなっているところでございますし、また、住家も極めて甚大な被害を受けているという状況でございます。

 各被災地域におきましては、地元の消防本部、消防団が避難誘導、救出救助活動及び行方不明者捜索活動等を実施されたところでございますが、私ども消防庁といたしましては、ただいま申し上げましたような被害状況の把握に努めますとともに、災害対策本部を設置いたしまして、特に土砂災害によって人的被害の大きかった熊本県に職員を二名派遣して、現地との連携を強化して対応したところでございます。

 また、熊本県及び福岡県からの要請を受けまして、消防防災ヘリの広域応援の調整も行いました。具体的には、七月十二日に熊本県に対しまして長崎県や福岡市などのヘリを、それから七月十四日には福岡県に対しまして宮崎県や長崎県などのヘリの応援の調整をしたところでございます。

福嶋(健)委員 消防庁本庁の対応ということにおいては、情報収集をベースに、打てる手を打ったということだと思うんです。一方で、やはり消防庁というのは、私は、この国の消防行政を統括している、それは一つ一つは地方自治体の消防本部、消防局に任せるとしても、消防行政全体を見ていく立場において、もっともっと、この動きでよかったのかどうかということについては今後検証されると思いますので、それは私どもも、要するにビヘービアとして適切だったのかどうかということはまた検証する機会があると思います。

 一方で、先ほどあべ委員からもありました消防団のお話なんですが、例えば、皆様方もテレビでごらんになられたかと思います、大雨の中、白川という川が蛇行している龍田陳内というところがあるんですが、そこからヘリコプターで救助されている、こういったときには、すぐに熊本市の地元の消防局が入って、そして消防団がカバーをするというふうに、極めて連携がうまくいったケースもあります。

 一方で、これは少し市内を離れたところでいいますと、先ほどのお話にもありましたけれども、やはり大雨が降っているときには、ちょうど真夜中でございます、真夜中で、消防団集まれというふうに招集をかけても三名しか集まらない。川の水はどんどん増水していく、もうなすすべもないというか、むしろ自分たちの身に危険がある、こういうような状況もあるわけですよね。

 ですから、一つ消防団という話をとっても、先ほどの質疑の連続にもなりますけれども、いろいろな場所でいろいろな状況があるのも事実であると私は思っています。

 消防庁さんから数字をいただいたところによりますと、熊本県でいいますと、消防団員の実数というのは、平成二十三年度で三万七千百十七名、これは人口百人に対して一・九名ということなんですね。全国平均が百名に対して約〇・七名ということで、全国平均よりは多い。実はこれ、熊本は上から数えて三番目なんですね。でも、この三番目の地域であっても、一たびこういった、かつて経験したことのないような状況になると、こういうふうなことが起こっていくわけでございます。

 一方で、これは当委員会の皆様方よく御案内のことだと思いますけれども、全国の消防団員の数というのは徐々に減っています。ピークは数十年前、二百万人ぐらいおられたみたいですけれども、今は八十八万人ということで、地域のいわゆる自主防災組織というのはここのところふえてはいますけれども、消防団員については減ってきているというところでございます。

 ここで、消防庁にお伺いをしたいんですけれども、三点お伺いをしたいと思います。

 常勤の消防本部があって、それを消防団がカバーするというのが私は本来の役目だと思うんですが、この現状について、一点目は、消防行政の立場から、今の消防団の現状をどのように認識されているのか。二点目が、それに対してどのような対策を講じられているのか。三点目が、そういった対策を講じられても、講じているからこそ微減にとどまっているという言い方ができるのかもしれませんが、結果として消防団員の数が減っているわけですね。これについてどのように現状整理をされているのか。この三点について答弁をいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど来の御答弁と若干重なる部分もあるかもしれませんけれども、まず、消防団に対する認識でございますが、繰り返しになりますけれども、我が国は非常に災害が多い国土でございます。そういった中で、消防団の方々は、みずからの地域はみずからで守る、こういう郷土愛護の精神に基づきまして、これらの災害に日夜立ち向かい、また地域の安心、安全の確保に大きく貢献していただいているというふうに認識をいたしております。

 また、災害時以外におきましても、例えば予防のようなことで、戸別訪問いたしまして防火指導をするとか、あるいは地域行事の際には警戒活動をしていただくとか、そういったいわゆる地域の防災あるいは地域コミュニティーにとっても大変重要な存在になっておるというふうにも認識をいたしております。

 しかしながら、御指摘ございましたように、さまざまな要因がございまして、消防団員の数は減少傾向がずっと続いているというような状況でございます。また、大臣からも御答弁がございましたが、あわせまして、消防団員の平均年齢が上昇するとか、あるいは消防団員に占めるサラリーマンの割合がふえるとか、そしてそのことによって昼間の活動ができる団員の数が減少しているとか、そういったいろいろな課題が生じているというふうに考えております。

 そこで、消防庁といたしましては、さまざまな取り組みをいたしてきておりますけれども、例えば、毎年一月から三月を消防団員入団促進キャンペーンといたしまして、特に、先ほど来話が出ておりました、女性や学生をターゲットといたしました広報を展開したり、あるいは若年や中堅の団員、女性の士気高揚を図るための意見発表会を開催したりというような取り組みをいたして、その活性化に努めたりしております。

 また、このほか、これも先ほど来御答弁がございましたけれども、消防団員の年額報酬あるいは出動手当、あるいは装備、施設の強化に対する地方財政措置の充実、あるいは消防団員の技術の向上と士気の高揚を目的とした消防操法大会の開催等の支援、あるいは消防団への理解及び参加促進のためのいろいろな、例えばホームページですとか消防団協力事業所表示制度ですとかそういった施策をとったり、あるいは消防団組織、制度の多様化をするということで、特定の場合や大規模災害等の特定の局面に限定して活動していただく機能別分団制度を導入したりというような、さまざまな取り組みをしてきたところでございます。

 しかしながら、なおこういうふうな減少傾向が続いているところでございまして、先ほど大臣からも御答弁いただきましたように、さまざまな視点があろうかと思います。そういったことを踏まえまして、これも先ほど来御答弁しておりますような検討会を開催いたしておりますので、そこでの検討を踏まえまして、引き続き、処遇改善、活動環境の整備などの消防団の充実強化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

福嶋(健)委員 今のお話は先ほど来からあるお話でございまして、そこまで現状は把握されているのであれば、やはり一刻も早く手を打っていかないといけないというふうに思っています。

 例えば、高齢化しているということは、一つは今おっしゃったように、若い方がなかなか入りにくいということもあるかもしれませんけれども、こういう言い方をすると正しくないのかもしれませんけれども、あと少し頑張れば叙勲の対象になるとか、そういったこともひょっとしたらあるのかもしれない。それは僕はわかりません。わかりませんけれども、だとするならば、そういった仕組みと実際の仕組みを分けて考えればいいのであって、もっと実態をきちっと分析して、今消防庁がおっしゃったことはまさしく一理ある、そのとおりだと思っていますけれども、であるならば、そのほかの要因と比較して、手を打っていただきたい。これが消防行政の肝だと私は思っていますので、これは当委員会でも、これから私もいろいろとまたお話をさせていただきたいと思っております。

 そして今度は、これに絡んでお金の話なんですけれども、これは稲見政務官だと思いますが、いわゆる地域自主戦略交付金、一括交付金ですね。都道府県が裁量的に使える、ことしからは政令市も使えるというふうなことなんですけれども、これ自体は、地方にできることは地方でやるということなんですが、いわゆる消防庁マターとして、平成二十四年度、今年度で、消防防災関係でそっちにシフトした事業、細かい話になると多分時間がたちますので、大まかに言ってどういったものがあるのかというのと、そういった事業をやるに当たって、消防庁として、あるいは総務省としてその交付金に拠出した金額、そして、拠出して実際に配分された、当該事業に使われた金額、この三つについて教えていただきたいと思います。

稲見大臣政務官 御質問、どうもありがとうございます。

 二十三年度から都道府県、そしてこの二十四年度から政令市ということであります。

 消防防災施設整備に関する事業ということでいいますと、都道府県、政令市共通のものとしては、耐震性貯水槽、備蓄倉庫、林野火災用活動拠点の広場、あるいは広域訓練拠点の施設、そして救急安心センター等の整備事業、こういうことになります。それから、政令指定都市固有としては、高機能消防指令センター総合整備事業、こういうものがございます。

 それで、先ほど申し上げましたように、昨年、都道府県ということでいいますと、わずかでありますが、千二百万円、消防庁から拠出をいたしております。ことしは、政令市を含めまして、一億八千七百万円を拠出したところでございます。

 その上で、それぞれの地方公共団体から自主的な事業選択に基づいて事業実施計画が提出をされているわけでありますが、使い勝手のいい交付金として、それぞれに優先順位をつけてこれを使っておられるということから申し上げますと、大変申しわけないんですが、拠出をしたにもかかわらず、去年もことしもこの事業で配分実績はない、こういうことでございます。

 以上です。

福嶋(健)委員 ありがとうございます。

 答弁は求めませんけれども、そういう意味では、総務大臣そして消防庁の皆さん、都道府県、政令市が自由に使えるお金ではありますが、今のお話だと、二十四年度は二十三年度と足すと二億円ぐらい出していて、金額の多寡はともかく、今御説明ありましたいわゆる備蓄の倉庫、非常に大事な設備で、それは単年度はそうじゃないかもしれないけれども、やはりそういったものを積み上げていくということについては意味があると私は思っているんですね。

 ただ、それが結果としてこの交付金の中で使われていない、配分されていない、そこまで回らないということは、最終的ないわゆる配分権限というのは当然都道府県、政令市にあるとしても、やはりそれは消防庁として、こういったものもどうですかというプレゼンというか売り込みというか、これは私は必要ではないかというふうに考えております。

 とにかく、地域の防災ネットワークがきちっと整備されなければ、国の防災ネットワークが整備されないのは当たり前のことでございまして、ぜひこのあたりも、一括交付金に切り出したからということだけではなくて、そういったこともお願いをしたいというふうに思っているところでございます。

 次に、郵政のお話であります。

 先ほどもお話がございました、十月一日に向けて、今関係各省庁及び日本郵政、現場の郵便局の皆さんの間で急ピッチにいろいろな手続が進んでいると思います。これは、ここにおられるほとんどの皆様方が二〇〇九年の総選挙で、私もそうですけれども、地域のネットワークは守る、郵政の民営化は見直すんだというふうなことで約束をしたことでもございますので、この約束が一歩、二歩進むために、十月一日に向けて、所管庁としても手続を遺漏なく進めていただきたいとは思います。

 この民営化法の改正で、いわゆる郵便、貯金、保険、三事業のユニバーサルサービスが担保をされているわけですけれども、私が思いますに、やはり過去の経緯を見ると、例えば、公社時代というのはどちらかというと、これは違うと言われればそうかもしれませんが、ユニバーサルサービスに重きを置く。それが、民営化になったらやはり収益、民間会社ですから、収益にどちらかというとシフトしていく。我々は、それはどうなの、やはりユニバーサルサービスが失われるのはどうなのということで、一つ政権交代をなし遂げた大きな要因であるというふうに私は思っておるんですけれども、それを経て、そして今回、そのユニバーサルサービスを担保しましたということでいうと、収益を一民間会社として志向することと、そしてユニバーサルサービスを担保するということと、二つやはり出てくるというふうに私は自分の中では整理をしておるところでございます。

 両立するというのはすごく美しいんですけれども、やはり現場で見ていますと、例えば集配郵便局的な役割を担う、そうですね、町とか村もあるのかもしれませんが、局員さんが十名足らずのところで、窓口におられて、局長がおられて、配達等されている人が二、三名おられるというふうな郵便局の中で、では今回、ユニバーサルサービスはやらないといけない、でも一方で、何とか郵便局に対して一定の収益目標というのは、多分僕は落ちてくると思うんですね、民間会社だから。そうすると、それが本当にさらに現場を過酷にさせるのではないかというふうな懸念も私は持っておるところでございます。

 そこで、松下大臣にお伺いしたいんですけれども、いわゆるこの新体制における、収益を追求する、そしてユニバーサルサービスを担保するんだというこの二つというものは両立すべきなのか。所管大臣として、この二つについて、どのように現状お考えになられておられるのかというのをぜひお聞かせいただきたいと思います。

松下国務大臣 今回の改正法案は、議員立法として、時間をかけて、そして多くの人の知恵をいただいてまとめていただきました。この国会の意思というのは、果実としてしっかりと実らせて成果を上げたいということが基本でございます。

 その上で、今、法律の新しい改正法案の中では、三事業をとにかく一体的に、地域にしっかりとユニバーサルサービスをしろということが義務づけられております。分社化によりまして、一定の期間、厳しい競争という条件のもとで現場の第一線が相当混乱しましたし、また、その後遺症も残っております。そこを一刻も早く、本来の地域のサービス、三事業一体化というところをしっかりとつくりかえていくという努力が必要でございまして、これは法の趣旨としてもしっかりうたい上げられていますので、しっかりしなきゃいかぬというふうに考えています。

 同時に、民営の株式会社でございますので、社会の信認を得ていくというためにも、経営の安定、そして改善というものはやはりしていかなきゃいけない。特に、地方の小さな、小規模な郵便局というのはなかなか苦労があると思います。しかし、そこは知恵を絞って、公共性と地域性、ここをしっかりと法の中にうたい上げられておりますので、知恵を絞ってやっていきたい、こう思っています。そこが法の趣旨にあると思っていますので、収益性と、そして公共性、地域性をしっかり生かしながら知恵を絞ってやっていくということで、今工程表を組みながら、各郵便局長さんたちのいろいろな御意見を、生の声を伺いながら整理して、一つ一つ取り組んでいきたい、そう考えています。

福嶋(健)委員 今の大臣のお話を私なりにまとめますと、この法律をやって、ユニバーサルサービスをやる、一方で、効率化、経営の安定も当然図っていくのだというふうなことで、両立をしますよ、両方頑張りますよというふうなことだと受けとめました。

 この中で、今経営の効率化というふうなことを大臣はおっしゃいました。

 ちょっとこれは質問通告していたんですけれども、もうこちらの方で整理をしますけれども、現時点では、いわゆる二万四千ぐらいの郵便局のうち、郵便しかやっていないというのはわずか五十六局、〇・二%ぐらいなので、九九・数%はもうちゃんと、事実上、それは全部の業務をやっているかどうかは別として、スタートをするわけですね。

 ただ一方で、日本郵便株式会社法施行規則第四条第一項というのがあって、これは、郵政の三事業を行う郵便局は、いずれの市町村も、特別区を含んで、一以上となっている。言葉の裏を返せば、一つあればいいんだというふうにも整理ができなくもないというふうなことであります。

 これを踏まえると、例えば田舎のというか地方の広い町に、今はAとB、二つ郵便局があるのを、いや、一以上でいいんだよと。会社が、さっきの効率化なんですよ、経営の安定化なんですよということで一つにする、これはたてつけとしてできるかどうかはわかりませんけれども、では、二つあるけれども、A局は貯金業務は月、水、金、B局は火、木とか。いや、法律でそのようにならないんだといえばそれまでなんですけれども、要は、そういうことで、この第四条第一項に基づいて、これは先ほど松下大臣がおっしゃったような、その効率化ということの中で会社がそういったことを思う可能性もなくはないと私は思っています。

 これは松下大臣というよりも、政省令なので川端大臣にお伺いしたいんですけれども、新しい体制で会社の方がこのような方向感を持つ、今申し上げましたように、民間会社として、収益を、効率化しないといけない、安定化しないといけないという観点から、この四条一項をベースに合理化をしますよ、そういったことを企図した場合に、これは政省令の所管官庁としてどのように対応されるのかということについて御答弁をいただきたいと思います。

川端国務大臣 ユニバーサルサービスと経営の利益の追求というのは大変難しい問題でありますけれども、やはりユニバーサルサービスは堅持するというのが今回の法改正の中でも一番大事な考え方でありますので、そういう意味では、今御指摘の、郵政民営化法の一部改正法の十月一日に向けて関係政省令の整備を進めておりますけれども、今おっしゃったような、定量的に、いずれの市町村においても一以上の郵便局を設置しなければならないという基準のほかに、定性的ではございますが、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていること、過疎地においては、郵政民営化法等の一部を改正する等の法律の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることという基準も引き続き設置してまいりたいというふうに思っておりますので、数だけではなくて、定性的にはそういう今申し上げた三つの部分も基準ですよということと同時に、技術的に申し上げますと、個別の郵便局の設置状況については、日本郵便株式会社法第六条第二項によりまして、設置場所等を総務大臣に届け出することになっておりまして、これを変更する場合は、その内容を理由も含め、届け出させることにしております。

 したがいまして、総務省としては、郵便局の設置状況に変更があるような場合には、日本郵便株式会社からその理由等を聴取するなど、郵便局設置基準を充足する内容となっているかを確認することを考えておりまして、今申し上げた基準に合致しているかということで委員御懸念のような事態が発生しないように、必要な場合には、監督上の命令を発出することなどで適切に対処してまいりたいと思っております。

福嶋(健)委員 今大臣がおっしゃったような、地域住民の需要に適切に対応するとか、交通、地理その他の事情を勘案してというのは、これは第二項に定められておりますけれども、具体的な数字が出ていないわけですから、ここについては、今後また本委員会の議論を通じて、私の方もいろいろとまた伺いたい、いい形にしていきたいというふうに思っております。

 終わります。ありがとうございました。

武正委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 きょうは、地域医療についてということで何点かお伺いしたいと思っております。

 それから、政府参考人としてきょうは厚生労働省からもお越しいただいておりまして、後ほど数点お伺いさせていただきたいと思います。

 最初は、総務大臣にお伺いします。

 公立病院における地域医療の現状認識についてということでお答えいただきたいと思うんです。

 これは、当然ですけれども、地域で暮らしていくに当たって一番大事なライフラインというのはやはり医療であろう、私はこのように思っております。一方で、では、その地域医療が現状どうなっているのかということなんですけれども、これは、私の認識としては、全体としてはやはり少し厳しい状況になってきているのかなというふうに思っておりまして、特に、これは北海道の道の調査ですけれども、もちろん医師の偏在の問題はありますが、具体的に千七十五人の医師が直近の調査では不足している、こういうような報告がありました。

 これはとりもなおさず、平成十六年度から実施されています臨床研修医制度の導入からやはり医師の偏在が非常に顕著になっている、こう言えると思うんです。自治体によっては、首長さん初め関係者が全国を医師の招聘で飛び回る。所によっては、そこの町長さんや市長さんの一番大事な仕事というのは医師確保である、こういうところもあります。

 そこで、公立病院における地域医療の現状、これを考えるときに、私は、地域医療はもはや地域だけで解決できるような状況からは少し超えているだろう、こう思っているんですけれども、大臣としての所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 地域にとって、医療の確保といいますか、極端に言えば最低限の医療はどうしても必要でありますが、その中で、やはり公立病院が果たしている役割というのは極めて大きい。とりわけ、そういうお医者さんが足りないようなところにおいてこそ公立病院という役割が非常に重いということはもう先生御指摘のとおりでありまして、そして、それの経営に関して、お医者さんの充足だけではなくて、経営状況そのものに大変御苦労いただいていることは事実でございます。

 平成二十二年度の病院事業の経営状況は、トータルで、純損益で九億円の黒字。平成二十一年度は、一年前は一千七十億円の赤字でありましたので、これは、実は昭和六十三年以来二十二年ぶりの黒字になったということで、好転はしたとはいえ、九億円という微々たる額です。

 しかも、この背景は、平成二十二年度のいわゆる診療報酬の改定によりまして、特に大規模病院の収入が一気に伸びたことで収益改善に大きく寄与したということでありまして、二十二年ぶりに黒字になったということでありますが、中身的に言えば、深刻な医師不足等々、病院事業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあります。平成二十二年度決算は、繰り出し基準に基づかない多額の他会計からの繰り入れが行われた上での黒字である、あるいは、中規模病院の決算は赤字基調であるということを考慮すれば、今後もさらなる経営改革というか環境改善に取り組む必要がどうしてもあるというふうに思っております。

 総務省としても、公立病院の経営改革に向けて、適切な助言を行うとともに、必要な支援を講じてまいりたいと思っております。

稲津委員 今大臣からは公立病院の病院経営のあり方についての御認識をいただきましたけれども、ちょっと私の意図しているものと違っておりまして、ただ、病院経営を圧迫している一つの要因というのは、当然、医師不足があって、診療科が不足してしまうとか、なくなって、余計にまた必要な医師が来なくなる、そういうある意味では悪循環というか、それが現実で、ですからそういうことが言えると思うんですね。それはわかりました。

 もう一点は、では、公立病院が地域医療の中で果たしている役割とあわせて、今度は救急医療のことに関連して、これも大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、いわゆる三次医療圏の問題です。

 この高度で専門的な医療サービスを提供する三次医療圏の多くが、そこに所在する医療機関の、いわゆる三次医療圏の体制ですけれども、大体一県イコール三次医療圏という体制になっているのがほとんどなんですけれども、例えば私の住んでいる北海道にあっては、ここは大変広大な面積を擁しておりますので、一県イコール三次医療圏になっていない、幾つかの三次医療圏になっている、こういう課題があります。これは北海道だけでないかもしれません。そこで重要になってくるのが、道路などのインフラ整備にあわせて、例えば救急車両の体制ですとか、あるいはドクターヘリ、こういった患者さんの搬送体制というのが不可欠になってきている。

 そこがまず一つ言えていて、あわせて、これからお伺いしたいことのポイントなんですけれども、最新の定住自立圏の取り組み事例を見ておりますと、全国で定住自立圏については六十七圏域がある、その中で、医療については六十七圏域全て、地域の公共交通が六十圏域、それから交通インフラの整備というのが三十六圏域。いずれにしても、地方においては医療と交通の課題というのがともに、定住を促進するに当たっても最も大事な施策であるということが言えると思うんです。

 そこで、この医療と交通ネットワークの連携に対する支援が私は急務じゃないかなと思っているんですが、この点についての御見解をいただきたいと思います。

川端国務大臣 おっしゃるように、いわゆる定住自立圏構想というか、広域圏に関しての部分をいろいろな地域でやっていただいているんですが、もう何といっても医療と交通、そしてそれぞれとそれの組み合わせということが中心であることは、まさに暮らしを支えるということでは先生御指摘のとおりであります。そういう意味で、全ての六十七圏域において、医師の派遣、それからドクターカーの共同運行などに取り組んでいただいておりますし、コミュニティーバスあるいは乗り合いタクシーの運行などもということで、高齢者の移動手段にしていただいております。

 現在のところ、財政措置としては、市町村の取り組みに対して、中心市に関しては四千万円、それから周辺市町村には一千万円の包括的な特別交付税措置を講じているところでありまして、この実態、推移を見ながら、これからどうあるべきかというのはまだこれからの課題だというふうに思っております。

稲津委員 ぜひ課題をしっかりさらに把握していただいて、政策の推進をしっかりやっていただきたい、このことをお願いしておきます。

 ドクターヘリの整備などについて伺いたいと思うんですが、きょうは厚生労働省から政府参考人としてお越しいただいておりますので、ぜひお答えいただきたいと思います。

 ドクターヘリの有効性とか、整備促進というのは各地で今進められている状況でございまして、北海道も、今三機体制、三拠点体制ということで、北海道圏域の大半をカバーしていただいて、非常に貢献していただいていると思います。

 このドクターヘリなんですけれども、弱点がありまして、例えば、有視界飛行であるということから、残念ながら、夜間ですとかそれから悪天候のときには当然ドクターヘリが運航することはできない。こういうことで、では、これにかわった取り組みはないのかということで今進められているのが、いわゆるメディカルウイングの研究ということでございます。

 このドクターヘリの整備状況と、それから今私が申し上げましたメディカルウイングの研究の状況について、どのようになっているのかお答えいただきたいと思います。

唐澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ドクターヘリにつきまして、またメディカルウイングにつきましても、救急医療の確保をする上で大変大きな力を発揮するわけでございます。

 医師などが同乗いたしまして現場で速やかに処置を行うことができるドクターヘリにつきましては、現在、三十道府県、そして三十五機が導入されているところでございます。これまで厚生労働省といたしましてもドクターヘリの運航に対する財政支援を行ってきたところでございますけれども、引き続き、地域の実情に応じたドクターヘリの導入が進みますよう、支援を行ってまいりたいと考えております。

 それから、もう一つ御指摘のございました固定翼機によるメディカルウイング、これは医師が同乗する固定翼機による患者搬送という方法でございますけれども、北海道におきまして、平成二十二年度には一カ月間、それから二十三年度には二カ月間、北海道航空医療ネットワーク研究会、こういう研究会が設けられまして、研究目的で実施をされたというふうにお聞きをしております。それぞれ、十六件、十二件の出動があったと聞いているところでございます。さらに、平成二十四年六月より二十五年三月末まで研究を継続するというふうにお伺いしているところでございます。

 これらにつきましては、ヘリコプターと比較をいたしまして、御指摘のような、離着陸場の確保が困難であるという課題があると聞いておりますけれども、北海道の研究の実績を踏まえ、飛行等におきましては有利な点がございますので、またさまざまな方々の御意見をお伺いいたしまして、今後の対応について十分検討してまいりたいと考えているところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 このメディカルウイングの研究は北海道においても着々と進んでいる、このように認識しておりますけれども、やはり最も大事なことは、この研究がこれからも継続できるのかどうかということ、特に、財政的な支援、予算措置がどうなっていくのか、これがまず一つあるんですが、今はなかなかそういう状況になっていないというふうに私は認識しております。ここをぜひ、これからさまざまな議論が必要かと思いますけれども、しっかり財政支援をしていきたい、このように思っておりまして、これはまた別の機会に質問をさせていただきたいと思っています。

 いずれにしても、いわゆる医師確保の、直接ではないとしても、三次医療圏のみにかかわらず、さまざまなところで医師の偏在がある現状を踏まえたときに、やはり医師確保の何らかの手だての一つとして、こういったドクターヘリやメディカルウイングというのも私は大いに貢献していると思っています。そのようなところをぜひこれからもしっかり把握をしていただければなと思っています。

 それからもう一つ、これも厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、医師確保についてということで、先ほど冒頭私も申し上げましたように、地方の医師確保の現状というのは、偏在性も含めて、非常に厳しいのが現状であるということ、それから、各医育大学でもさまざまな取り組みをしていただいておりまして、例えば学部の定員増とか、あるいは自治体での奨学金の支給ですとか、こうしたことを通して地元での医師確保につなげていこう、こういうことが具体的に取り組まれております。

 もう一方で、こういうことも言われています。地域の医療機関に指導医がもっといれば若いドクターの地方勤務も緩和されるんじゃないだろうか、こういう意見を幾つかいただいております。私もなるほどなと思ったんですけれども、若い医師が地方の医療機関で勤務をしても、実際にそれがキャリアを積む仕組みになっているのかどうかということ、この仕組みがしっかりしていれば、若い医師が地方勤務というのも、十分これはこれから考えられるだろうと。

 特に、今申し上げましたように、指導医がいればというところなんですね。地方の方に指導医がいると、今度は逆に若い先生も定着する。だから、今度は、指導医を地方に派遣するようなそういう体制、また受け入れていただける医療機関、こういったことが必要で、それらを総合した支援も私はぜひとも構築すべきと思っているんですけれども、厚生労働省として、現状の認識と、それから指導医に対する具体的な今後の方向性についてお考えをお示しいただければと思います。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域医療に関しまして、医師不足の対応の一環ということで地域間の医師の偏在を是正することが非常に重要な課題ということで、私どももそう認識をいたしております。

 先生がお触れになりました、現在の医師の臨床研修制度でございますけれども、こちらの方は平成十六年から導入されたわけでございますけれども、その時点で、都市部とそれから地方の格差の問題、これをどうするかという問題点が指摘をされておったということだというふうに理解をいたしております。

 私どもといたしましても、平成二十二年度の研修からでございますけれども、これは都道府県ごとに見てやはりアンバランスがあってはまずいということで、募集定員の上限というものを一方で設けております。それから他方で、これは指導医を派遣していただくということなのでございますけれども、指導医を派遣していただける医療機関につきましては定員を加算するということで、医師派遣加算というふうに俗称で呼んでおりますけれども、そういった、言ってみれば優遇措置、誘導措置をつけたということで、見直しを図ってきたところでございます。

 それから、そこも先生御指摘がございましたけれども、医師不足地域に臨床研修指導医を確保する、そのために指導医を派遣するということがあるわけでございますけれども、その派遣費用につきましては、財政的な支援を行っているということで対応をさせていただいているということがございます。

 それから、これも御指摘の中にございましたけれども、実際の医師のキャリア形成の不安というものをやはり地域に勤務されておられる医師の方はお持ちだろうというふうに思いますので、そういった不安を解消していくということで、地域枠の医師などを活用いたしまして医師不足病院の医師確保の支援ということで、地域医療支援センターというのが都道府県に設置をされておりますが、こちらにつきましては、平成二十三年度から国庫補助もさせていただいているところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、以上のような施策を推進してきたところでございますけれども、地域の医師確保が図られるように引き続き努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

稲津委員 今御答弁いただいた、指導医の医師派遣費用の支援というような話がありました。あえてどの程度のものかということはきょうお聞きしませんけれども、私は十分であるとは言えないと思っています。今御答弁の中で御説明いただきましたけれども、ここの拡充ということにやはり力を入れていただくことが、ある意味で医師確保に向けての、あるいは偏在性解消に向けての大きな要因になると私は思っておりまして、ぜひこれは重く受けとめていただきたい、このように申し上げたいと思います。

 それからもう一点、これは私もこれまで総務委員会で何度か意見を申し上げて、質問をさせていただいてまいりました。それに関連してなんですけれども、医療情報連携・保全基盤推進事業ということで、これも厚労省にお伺いしたいと思います。

 地域医療における医師不足の解消、災害時における継続的な医療サービスの確保、それから、地域の医療機関、薬局、介護施設など、こういったところが連携して情報通信の連携基盤の整備ということが求められている。私も、例えば自治体クラウドをもっと進めていって、ここで医療情報をきちんと共有化していくことが必要だろう、こんなこともこれまでも何回か質問させていただいてまいりました。

 今般、医療情報連携・保全基盤推進事業として、被災地の三県については三次補正で予算化されました。それから、平成二十四年度の予算の中には、復旧復興枠として九・五億円が措置されたところでございます。

 これは非常に一歩前進と思っていますが、この予算の継続また拡充が求められている、こう私は思っております。北海道のある市では、例えば地域医療の連携において、医師派遣とともに、電子カルテを使った情報の共有化、連携システム、これを具体的にやっておりまして、そのことによって大きな成果を得ているという自治体がございます。私は、その状況を聞かせていただいて、なるほどと思ったんです。

 こういった情報の連携事業というのは極めてこれから大事だと思っておりまして、今後のこの事業計画も含めてどういうお考えか、この点についてのお示しをいただきたいと思います。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域医療の充実、効率化という課題が大変重要でございまして、そのための一環といたしまして、地域医療を実際担っていただいております病院あるいは診療所間で医療情報の連携というもの、これは大変重要な課題でございます。

 先生御指摘の事業でございますけれども、これは御案内のとおり、医療機関の間で紹介患者の処方の内容でございますとか検査結果等診療データの相互閲覧を可能にいたしまして効率化を図ろうということでございますが、同時に、災害時のバックアップとしても利用できるようにという観点から行っている事業でございます。

 そこで、今後の対応、特に予算的な対応でございますけれども、来年度予算の予算フレームというのがこれから示されるということだと思いますので、そういったものを見きわめて私どもとしては判断をさせていただきたいと思っておりますし、今、引き続き医療機関相互間で情報連携が推進されるというのが、先ほど申し上げましたように、効率化、充実化ということでは大変重要でございますので、そういった各種の取り組みについては今後とも進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

稲津委員 事業が非常に大事であるという御認識はいただいたんですけれども、今後の予算の拡充等々についてはこれからということで、しかし、方向性は非常に増してきているんじゃないかなと私は思っておりまして、これもまた別の機会に具体的に質問させていただきたいと思っています。きょうはこの程度で終わりますけれども、ぜひこの施策の拡充もしっかり検討していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 最後に、公立病院における医師確保に対する国の責務についてということで、これは大臣にお伺いしたいと思います。

 きょうは、この医師確保のための方策として、いろいろと質問させていただきました。例えば、先ほどの指導医の派遣のことですとか、メディカルウイングの話もありましたし、それから交通網の整備のことですとか、るるお聞かせいただいたんですけれども、いずれにしても、地方の今の厳しい財政状況の中で、医師確保はもとより各自治体等の責務といえば責務なんですけれども、しかし、一自治体でありとあらゆるものを解決できるような状況にはだんだんなくなってきているということ、しかし一方では、まさに医師確保というのは国民の生命を守る根源的な問題でもありまして、私は、国の責務というのは非常に重要であるというふうに思っております。

 そういう意味で、公立病院におけるこうした医師確保について、国として積極的な支援を行っていくべき、このように考えておりますけれども、最後に大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 さまざまな観点から、いろいろ御提言もありがとうございます。

 地域において医療体制を将来ともに安定的に維持するためには、地域医療のかなめである公立病院がしっかりと経営されていくこと、そして、その中では何よりも医師をしっかり確保することというのが一番大事であることは、先生御指摘のとおりだと私たちも思っております。そういう意味で、公立病院の医師の確保を図ることは、国と地方が力を合わせて一緒になって取り組むべき、極めて重要な課題であるというふうに思っております。

 そういう意味で、医師の確保対策につきましては、国が医療従事者の確保に関する基本的な事項を盛り込んだ基本方針を定める、この方針に即して都道府県が医療計画を策定する、そして地域の実情に応じたさまざまな施策を展開する、こういうスキームになっているわけですけれども、総務省としましては、これをしっかり支えるという意味で、医師不足を補うために公立病院がほかの病院から医師の派遣を受けるときに発生した経費を補助する、約百十二億円。奨学金ということで、医師を育成するということの貸与事業、地域医療の担い手を養成する経費として二百一億円。院内保育所の運営など、医師確保、あるいは看護師さんも含めてですが、に資する環境整備に要する費用が六十九億円等々、幅広くいろいろな形で支えられるようにということの支援措置を講じているところであります。

 今後とも、公立病院の実情把握に努めて、関係省庁とも連携しながら、医師確保に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

稲津委員 これで終わりますけれども、また機会がありましたら、この医師確保対策についてはしっかり議論を深めさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、先ほど私、最後に申し上げましたけれども、一自治体で公立病院の医師確保を全部賄えるような状況になっていないというのが現状だと思うんです。したがって、きょうは厚労省さんにも来ていただいて、この総務委員会で議論させていただきました。今の施策の拡充もそうですけれども、さまざまな取り組みをぜひしっかりやっていただくことを最後にまたお願いさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

武正委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 与えられた十五分という質問時間の中で多くを質問することはできませんが、きょうは、主としてNHKの問題について具体的に質問してまいりたいと思います。

 NHKの數土前経営委員長の東電社外取締役就任問題を中心にしまして、大変な議論を呼んだ経過がございます。この問題は、數土経営委員長の経営委員長辞任で一応の決着を見ておりますけれども、多くの問題提起を含むものでありますので、改めて尋ねたいと思います。

 NHKは、言うまでもなく、公正中立を旨とした公共放送であり、国民の知る権利に奉仕、民主主義を支える一つの重要な柱でもあります。その経営委員会のトップが原子力発電所の事故を引き起こした東京電力の社外取締役とを兼職するということは、到底許されないことだと私は考えていました。

 我が党は、この問題が明らかになった時点から、NHK経営委員長か東電社外取締役かどちらかに専念すべきだと求めてまいりました。結果的に、経営委員長を辞任するということになりました。

 今回の兼職の上での東電社外取締役就任については、政府自身が要請したと報道されておりますが、その点は事実かどうか、経産省にお尋ねいたします。

北神大臣政務官 お答えします。

 結論から言えば、要請したものではございません。

 経緯を申し上げますと、數土さんは経営改革の経験がございますので、当時、原子力損害賠償支援機構の運営委員長であった下河辺さんが、今現在東電の会長をやっておられますけれども、その方が内定後、外部の目として要請をされて、それを數土さんが受け入れた、そういう経緯でございます。

重野委員 政府側から數土さんのお名前は出していない、下河辺さんが提案をしたと。そういう意味では、政府はあずかり知らぬことだというふうなことで受けとめていいんでしょうかね。

北神大臣政務官 あずかり知らないというか、基本的に、こっちから要請したという事実はないということでございます。

重野委員 報道によりますと、政府は当初、東電の次期会長職に數土さんを充てようとした、こういう報道があるんですが、これは事実でしょうか。

北神大臣政務官 今申し上げたとおり、政府から要請したものではないということでございます。

重野委員 政府は、東電社外取締役として數土さんが公表される以前にこの事実を知っていたかどうかということを聞いておきたい。知っていたとすれば、誰からそれが得られたのか。下河辺さんなのか數土さんなのか。当然事前の相談があっただろうというふうに思うんですが、その際、NHKの経営委員長との兼職についてはどのような助言なりを行ったのか、そういう事実があるのかどうか、それも聞いておきたい。

北神大臣政務官 私の政務官の立場で、事前にどういう相談があったかどうかということは、ちょっとわかりかねます。あったかどうかも、その事実自体もあったかどうかというのはわかりませんので、ちょっと直接にはお答えすることはできませんが、いずれにせよ、政府として、こうした方がいいとか、ああした方がいいとか、そういったことはないというふうに思っています。

 基本的には、先ほど申し上げたとおり、下河辺当時運営委員長が、経営改革の手腕を買って、外部の目として社外取締役に就任してほしい、こういう要請をして、それを數土氏が承諾をして受け入れた、こういう経緯だというふうに伺っております。

重野委員 次に、総務大臣、今回の數土さんのNHK経営委員長辞任について、どういうふうに考えておりますか。

川端国務大臣 數土前委員長は、経営委員長として、御本人の今までの経済人としての御経験も生かしながら、非常に活躍をしていただいたというふうに思っておりましたので、辞任されたということは、有為な人材を失ったということで極めて残念なことだというふうに思っておりますけれども、御本人が決断をされましたことでありますので、そのことは事実として受けとめざるを得ないというふうに思っております。

重野委員 今大臣の、今回の數土さんの辞任は極めて残念であるという表現は、これはちょっと聞けませんね。

 つまり、私が言っているのは、いわゆる東電の役員と、そしてNHKの経営委員長職というのを兼職するということ、誰であろうと、兼職するであろうというその兼職そのものがやはり問題がある、こういう指摘をしているわけで、その兼職という視点において、そのお方について、今大臣、辞任は極めて残念であるという表現は、私は的を得た表現とは言えないと思うんですが、それはやはり残念という言葉は撤回した方がいいんじゃないですか。

川端国務大臣 この件が話題になりましてから何度も申し上げているんですけれども、私の立場でいえば、これはいわゆる決められた制度、仕組みの中で位置づけられるものでありまして、NHKの経営委員会の委員は、非常勤の委員については兼職は禁止をされていない、そういう部分では、兼職をすることがいけないということを言う立場にはありません。

 同時に、取引先になるということを含めて、利害関係等々云々ということのいろいろな部分では、NHKというのは公共放送でありますので、あらゆる企業は、原則論で言えば、どんな企業でも取材対象となり得るわけでありますから、そういう意味も含めて、法的に放送法で、経営委員会委員は個別の放送番組の編集に干渉する行為はできないということになっておりますので、そういう部分では干渉はできない。

 同時に、報道を担当するNHK職員においても、何人からも干渉されないという放送法の趣旨にのっとって、公共放送の使命が果たされるべきものというふうなことで認識をしておりますので、今回、そういういろいろな要請の中で、數土委員長に東電の社外取締役の就任が打診をされたということ、そしてそれをお受けになったことは、個人の判断でありますが、我々が所管していますルールに基づいて遺憾であるとか遺憾でないとかいうことを申し上げることは不適切だというふうに思っておりますので、しかし、有為な人材であったので、残念であると申し上げました。

重野委員 もうあと五分しかないということで、これ以上申し上げません。

 次に、きょうは経営委員会の井原さんにお越しいただいておりますので申し上げますが、この問題について経営委員会はどのように受けとめられたかということです。また、委員の中には報道機関としての独立性について懸念を示された方もいる、このように仄聞しております。

 そこで、当時、経営委員の間でどのような受けとめや意見が出されていたのかお尋ねいたします。

井原参考人 まず、事実経過から申し上げますと、數土前委員長より東京電力の社外取締役候補になった経緯につきまして経営委員会で説明がございましたのは、五月二十二日の委員会開催時が初めてでございました。そのときは経営委員全員が必ずしもこの問題について意見を整理できていたわけではありませんでしたので、次回六月五日の経営委員会で全員で意見交換をしようということになりました。しかし、その二日後の五月二十四日付で突然に委員長を辞任し、五月三十日付で委員を退任されましたので、委員間で意見交換をするという機会はないままでございました。

 このような経過でございますけれども、今回の件につきまして各方面からさまざまな御指摘を受けましたことは、経営委員の一人として重く受けとめております。これを機に改めて、公共放送の原点である自主自律、公平公正を経営委員一人一人が心に刻んでその職責を果たさなければならないというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

重野委員 はい、わかりました。

 次に、大臣にお伺いいたします。

 大臣は、非常勤の委員の兼職は禁止されておらず、制度上問題ないと先ほど来申しておりますし、兼任は問題ないとの立場をこの問題については示されております。確かに制度上、兼職は禁止されておりません。しかし、原発事故は目下国民の最大の関心事であり、まして原子力産業をめぐっては、さまざまな隠蔽ややらせが行われてきたことは周知の事実であります。

 今回の事故対応をめぐっても、SPEEDIの公表やメルトダウンをめぐる事実公表のおくれなどが問題視されておりますし、国会事故調からは、津波到達前に地震の揺れで既に原発に多大な事故が発生していた可能性が指摘されるなど、電力事業者にとって不都合な事実もございます。

 これらはいずれも、報道機関にとっては最重要の取材、報道対象であります。取材する側とされる側の両方で重要な職責につくことはメディアの非当事者原則に反するものであるというふうに私は思うのでありますが、大臣はこの点についてはどのように考えておりますか。

川端国務大臣 この件に関して、さまざまな角度からさまざまな議論があることは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、これは自律的に放送というもの、公共放送がということで、放送法によって決められている精神は、経営委員というのは介入してはならない、その担当者はそういう部分に影響を受けてはいけないということは、まさに放送の現場においてはあらゆる状況の中で厳正中立に報道するというものを保障しているものでありますから、私は、そういう部分で、どういう状況でもNHKというのは放送の中身において世の中の批判を受けないものをつくるというのが最大の使命であるというふうに思っておりますので、そういう精神の中で、兼職というものが、非常勤に関しては、ほかのことで担保されているからあえて禁止をされていないということだというふうに思いますので、いろいろな御議論があることは承知していますが、制度上でいえば、そういう状況で受けとめているところでございます。

重野委員 もう質疑時間が終了いたしますが、この間、二〇〇七年、石原さん、それから後、古森さん、小丸さん、そして今回の數土さんと、この間、NHKの経営委員長に就任された方々、なぜか正常な形でやめていないんですね。ですから、NHKの経営委員長人事というのはいろいろな議論があるんですけれども、こういうことを繰り返すという今の人事の結果、これはやはり、はいそうですか、ようございますというものにはならないというところは、今後の経営委員長人事に当たっては、政府としても、またNHKとしても、しっかり踏まえて適切な対処をしていかないと、こんなことを繰り返していると国民の信頼を失うことになる、その点を特に強調して、私の質問を終わります。

武正委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは一般質疑でありますので、私は、若干大きな制度の議論をしたいというふうに思います。

 鳩山内閣で官房副長官を務められた松井孝治参議院議員が、来年の参議院選挙に出馬せず、引退する意向であるということが報じられています。引退表明後の産経新聞のインタビューに、民主党政権の混迷の原因として、このように答えておられます。国民が求めていたのは国の統治機構を変えることだ、それを進める姿勢が見えないまま、従来の制度の中で財源の帳尻合わせに終始している。私は、まさにそのとおりなのではないかというふうに思うんですね。

 統治機構という点でいうと、最近、大阪都構想というのがあって、その実現に道を開く大都市法案の各党協議、私も参加してやってきました。私は東京の人間ですから、地方自治法に規定されている都区制度に大阪も入っていくという形でみんなの党の法案を立案させていただいていたんですけれども、最終的には、地方自治法とは別のいわば特例法をつくって対応する、こういう形で各党協議は決着をしました。そのときに言われたのが、大阪は東京と違って地方交付税の交付団体だから同じ制度にはなれないんじゃないか、こういう話でありました。

 しかし、そもそも大阪府、大阪市のような自治体まで交付団体になっているというのはどういうことなのかという疑問が逆に湧いてくるんです。不交付団体は、平成二十三年度でいうと、都道府県で一、東京都ですね、市町村で五十九。四十七都道府県のうち四十六道府県、千七百四十二市町村のうち千六百八十三市町村、九七%が地方交付税を受け取っている。横浜も名古屋も福岡も仙台も札幌も地方交付税を受け取っている、こういう現状を総務省としては正常なものだと見ているのかどうなのか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 正常という言葉がどういう定義かはわかりませんが、基本的にあるべき姿としては、それぞれ地方団体は、国あるいは地方債等々、そういう借金も含めたものに頼らずに、自前の、いわゆる地方税によって可能な限り自律的に運営されていくという姿を求めていくというのはあるべき姿として私はそのとおりだというふうに思います。

 ただ、現状において、そういう意味のときに、地方税の仕組みを含めて、いろいろな議論があることは、御党の御提案も含めて、あることは承知をしておりますが、現状において、特にリーマン・ショック以降は急激に、それまでも含めて長年にわたって、地方経済の疲弊による税収減も含めて、あるいは社会保障関係費がどんどん増加するということの中で、現状においてはこういう厳しい財政状況にあるところがほとんどであることは現実の問題でございます。

柿澤委員 現状においてというお言葉を多分四回か五回ぐらい一回の答弁で使われたと思うんです。まさに、先ほどの松井さんの話を引くのであれば、従来の制度の中で帳尻合わせを行っている、こういうことになっているのではないかと思うんです。

 地方交付税法第一条をひもときますと、自治体の財源の均衡化を図るのが地方交付税の目的だ、こういうふうに書いてあります。均衡化というのは上と下をならすという意味でありますから、本来、収入超過の自治体が約半数あって残りの半数は逆に財源不足が生じるので、その補填として地方交付税を受け取る、こういうのが地方交付税制度のあるべき姿ではないかと考えますけれども、この点についてはいかがですか。お伺いします。

川端国務大臣 今、地方交付税法の第一条を引用されたんですが、地方交付税法の第一条、この法律の目的ということでありますが、「この法律は、」というときに、今「その財源の均衡化を図り、」ということを引用されました。「その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することによつて、」という二つのことによって、「地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」というふうに書いてあります。

 委員御指摘の部分の地方団体の財源の均衡化を図ることは財源の調整機能を指しておりまして、一方で、交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障するという財源の保障機能ということと両々相まって地方交付税というのは成り立っているというのが目的でございますので、必ずしも今委員御指摘のようなことではない、一方の財源の保障機能において十分な機能を果たしているというふうに考えております。

柿澤委員 地方交付税制度には自治体の財源保障の性格も機能もある、こういう御答弁であります。こういう御答弁が返ってくることはもちろん想定をしていたわけでありますけれども、財源保障といいますけれども、しかし、第一条の基本的な本旨として、最も全ての前置きに書いてあるのは、自治体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を損なわずに、そして、財源の均衡化を図って財源の保障をする、こういうことになっているわけです。

 しかし、現状を見たら、どうですか。基準財政収入額をもって基準財政需要額を賄えない自治体が市町村の九七%に上っている。ほとんど全ての市町村が地方交付税の財源保障機能に依存しなければならないという現状は、これはもう地方税を中心とした地方固有の財源が自治体経営に必要な財政需要を満たすのに大幅に過少であるということを示しているのではないですか。

 このような現状を放置しているのは、先ほど引用した地方交付税法第一条の、地方自治の本旨の実現に資するとともに、自治体の独立性を強化することを目的とする、こういう趣旨に反するのではないかと私は思います。

 そういう意味で、地方税を中心とした基準財政収入額の大幅なかさ上げが本来は必要になる、こういうことだと思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 地方交付税は、先ほど来御議論になっていますその趣旨から踏まえて、これは、国税五税の一定割合が地方団体に法律上当然帰属するという意味においては、国の財源ではなくて、地方の固有財源という位置づけということで整理をさせていただいています。基本的に、地方の自律性と、自分たちのしっかりした行政ができるという分の財源を確保という意味で、独自の地方税あるいは地方消費税、今一%分とかいうのと同時に、地方交付税も地方の固有の財源であるということで我々としては整理をしているところでございます。

柿澤委員 いや、しかし、これは算定も配分も事実上国が行っている、こういうものであることも一方の事実ではないかと思います。

 そういった観点から申し上げれば、地方六団体は、平成十八年、法定五税の一定率から成る地方交付税交付金の財源を地方共有税として国の新たな特別会計に直に入れて、地方自治体の合議によって配分する、こういう案を提案していますね。

 これは、法定五税を、まさに国税の分配という形ではなくて、今、川端大臣がいみじくもおっしゃられた、地方固有の財源として、地方がその配分を決めていくんだ、こういうことを明確に位置づける試みでありますけれども、当初、地域主権改革というのを一丁目一番地にしてきた民主党政権になってから、このような提案の実現可能性を真摯に検討している形跡は認められません。

 地方交付税の原資となっている国税五税の法定率分を、これは現状はやはり国の財源であって、それを算定の上で地方自治体に配分するという形式をとっていると思いますけれども、こういう形で行い続けるというのは何か理由があるのかないのか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 あるべき論として、ちなみに、地方六団体の部分の申し入れ書の最終のバージョンにおいては、いわゆる地方共有税調整金というふうなものも含めて、名前を変更することを含めて、地方の固有財源としてはっきり位置づけるということの視点からいえば、我々の目指すべき方向と基本的には同じだというふうに思っています。

 そして、そういう中で、いろいろな形で御提言があるのでありますが、地方交付税を例えば自主的に皆さんで自分たちで配分するということの技術的そして合意形成の難しさもあり、いろいろなこうあるべき論が長年にわたって多分この委員会も含めいろいろな部分で議論をされている中で、本来の自治のあり方としての自主財源の増強を含めてしっかりやろうということに、なかなか合意が得られるうまい策が見つかっていないという中での次善の策として、一歩一歩改善を進めてきているのが現実だろうというふうに私は思っております。

柿澤委員 方向性としては皆さんが考えていることとこの地方共有税の考え方は違わないんだ、こういう話でありましたけれども、しかし、そもそも、そういう趣旨に基づく検討というのが内部でなされているのかどうか。私はちょっと、ずっとこの間の総務委員会にいましたけれども、疑問に思う部分があります。

 冒頭、川端大臣みずからがいみじくもおっしゃられました、地方の税財政の自主権の確立のためには、地方の仕事に必要な財源は地方税で賄えるようにすべきだと。これは、もちろんそのとおりだと思います。

 そうした観点から、道州制への移行も視野に入れながら、国による財源保障と均衡化の措置である地方交付税制度はこの際廃止をして、そして、偏在性が低くて税収が安定的な消費税を全額地方財源に回せばいいではないか、こういう提案もございます。何を隠そう、私たちみんなの党もそうですし、今、大阪市の橋下市長もそんなことをおっしゃられています。

 消費税は大体、税収でいうと十二兆、地方交付税は今は十七兆ぐらいですか。そういう意味では、行ってこいで、むしろ国の方が財源がリザーブされるという、こんな形になってしまうんですけれども。具体的な制度設計はいろいろなことを考えなければいけないと思いますけれども、しかし、地方がみずからの地方税収入で安定的に財政運営をしていく、これが基本であるとするならば、こうしたことも一つの選択肢として考えていく必要があるんだろうと私たちは思っております。

 これについて、ぜひ総務大臣の御見解をお願いしたいと思います。

川端国務大臣 いろいろな党がそういう御提起をされている部分で、地方の自治のあり方として、幅広く活発な御議論がされることはいいことだというふうに思います。

 ただ、今おっしゃいましたが、今のは五%前提の話の税額をおっしゃいましたけれども、それにおいても、いわゆる特例債の部分を含めますと全く足りない量ではないのかなというふうに、一つ額の問題があるんです。

 そのときに、我々が今、社会保障・税の一体改革をしているときの議論でいえば、社会保障の将来にわたる安定的財源確保のために消費税の値上げを何とかお願いしたいと言っているわけですけれども、この消費税を地方消費税化するということになったときの社会保障の財源というのはどういうふうにするのかという議論が、これは、地方に渡すから、地方がそのまま社会保障も面倒を見るという議論もあれば、いや、社会保障は国でやって、消費税はいただく、地方でするんだというふうな部分と、この議論をどうするかというのは、社会保障の将来のあり方について極めて重要な問題であるということが一つあります。

 それともう一つは、やはり税収に、これまた、いかに、経済変動が少ないけれども、地域変動も、少ないけれども、地域変動が非常にあるのが消費税です。この部分を、どういうふうに再配分機能を持つのかということは、いわゆる地方法人事業税の議論を含めても、なかなかうまく調整するということが難しいという部分があるので、そういう議論をする中で、今考えられる課題は随分山高くあるというふうには思っております。

柿澤委員 この方向でやるということを決めた上で今のような議論をするのと、いやいや、なかなかそれは難しいからといって、立ちどまった状態の中で今のような御答弁をくださるのとでは、私は大違いだというふうに思うんです。現状が、結果として前提となり、固定化された状況の中で、いわば帳尻合わせの議論を行っている。こういうふうに国民から見えているからこそ、今の民主党政権に対する国民の、いわば失望が広がっている、こういうことなのではないかと私はやはり思っています。

 そういう意味では、冒頭の松井孝治さんの、統治機構を変えるという国民の期待に民主党政権がこの三年間応えてこられなかった、このことをきょうの御答弁が残念ながら端的にあらわしているのではないかというふうに感じました。そのことを最後に申し上げさせていただいて、時間もちょうど参りましたので、質問は終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

武正委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、今問題となっておりますオスプレーの配備、訓練計画について住民、自治体の立場から質問をいたします。

 このオスプレー配備反対の世論と運動が大きく広がっております。自治体からも反対、懸念の声が上がっております。山口県では、岩国基地におけるオスプレー十二機陸揚げに厳しく反対する声が上がっておりますし、また、配備が計画をされている普天間基地のある沖縄県知事は、安全性に疑問が持たれているものを押し込んでくるなら断然拒否するしかない、このように述べています。全国知事会も決議を上げて、「関係する自治体や住民が懸念している安全性について未だ確認できていない現状においては、受け入れることはできない。」としております。

 このように、岩国や沖縄だけではなく全国の自治体から、オスプレー配備、訓練、ノーの声が上がっているところです。国は、こういうオスプレー配備反対を求める住民、自治体の意見を正面から受けとめるべきであります。

 アメリカが作成をしました「MV―22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー最終版」というのがあります。これ自体は防衛省の沖縄防衛局のホームページにアップをされているものであります。これ自身は英文で、防衛省として日本語への翻訳も行われております。ここでは、沖縄だけでなく本土でも訓練を行う、キャンプ富士及び岩国基地で行う、また、航法経路という六本のルートにおける飛行訓練も計画をされています。

 そこで、本土におけるオスプレーの飛行訓練について質問をいたします。

 防衛省にお尋ねをいたします。

 この報告書においては、配付資料にございますように、沖縄防衛局のホームページにもアップをしております、この米報告書の付録の資料の中に、このような形で、訓練飛行のルート、ブルールート、グリーンルート、オレンジルート、ピンクルート、それからイエロールート、パープルルートという六本の航法経路が既存のルートとして存在することを認めております。

 そこで確認をいたしますが、このような米軍訓練飛行ルートがあることについて、日本政府として認識したのは今回のこれが初めてということでしょうか。

神風大臣政務官 今回、MV22オスプレーの沖縄配備に際しまして、米国の方で環境レビューが行われたところでございます。それまで、米軍の訓練としてそういう飛行ルートがあるということは承知をしておりましたが、六本の正確な位置を認識したのは今回が初めてでございます。

塩川委員 今回初めて認識したということですが、これまで米軍機の低空飛行訓練の被害については、自治体、住民から抗議の声が上がっていましたが、日本政府は正式にこのルートそのものについては認めてこなかったものです。過去どうだったかという検証も必要であります。

 次に、中国山地にはブラウンルートがあるとされてきておりますが、このブラウンルートについては米側に確認をしておられるんでしょうか。

神風大臣政務官 在日米軍のFA18等の固定翼機に係る航法訓練につきましては、今般のMV22配備に関する環境レビューの中で、六本の航法経路を使用していると記載があるほか、中国地方においても、今先生が御指摘のありましたような、そうした訓練を実施しているとは承知をしておりますが、具体的な経路等については、米軍の運用にかかわる事項でありまして、承知をしておりません。

塩川委員 このブラウンルートについて米側に確認をするつもりはありませんか。

神風大臣政務官 基本的には、環境レビューに記載のある六本の航空経路において必要な航法訓練の一部が行われるものと理解をしております。

 米軍のブラウンルートと言われるものについては、運用にかかわることでありまして、日本政府として必ずしも承知をしておりませんが、いずれにせよ、米軍の飛行訓練に関しては、今後、日米合同委員会の場を通じて必要な議論をしていきたいと考えております。

塩川委員 中国地方、中国山地では、こういう低空飛行訓練の被害について厳しい批判の声が上がっているところであるにもかかわらず、確認もされないという点も極めて重大で、我が党のしんぶん赤旗の取材に対して米側も、海兵隊はブラウンルートでの訓練も認めているところでありますから、そういう確認さえしないという点は極めて重大であります。

 次に、この報告書について防衛省は関係自治体に情報提供を行っております。そこでお尋ねしますが、防衛省側から情報提供を行った自治体、つまり、先んじて、この報告書が出たことをもって防衛省側から情報提供を行った自治体というのは本土においてはどのような自治体か、この点についてお答えいただけますか。

神風大臣政務官 現時点といいますか七月の二十三日現在で、本土におきましては三十都府県、また十八市町において情報提供を行っているところでありますが、これは自治体からの御要請に基づいて行っているところとこちらから事前に情報提供しているところと合計の数でありまして、今、こちらの方から事前に情報提供を行った、その数については把握をしておりません。

塩川委員 それでは、防衛省側から事前に情報提供を行ったというその数について、どの自治体名かということについては、後ほど御報告をいただけますか。

神風大臣政務官 後ほど御報告させていただきたいと思います。

塩川委員 それで、防衛省側から事前に情報提供を行ったという件についてですけれども、それは、一つは、この米側の報告書の資料を見て、航法経路に該当する県に連絡をとったということでよろしいんでしょうか。

神風大臣政務官 該当する県と関連する周辺自治体でございます。

塩川委員 この六本のルートに関して関係する市町村についても情報提供を行ったということでよろしいですか。

神風大臣政務官 向こうからの、自治体からの御意向によって情報提供させていただいたケースもありますが、いずれにしても、情報提供させていただいたということでございます。

塩川委員 ちょっとその点がはっきりしないんですけれども、配付資料の一番後ろに、防衛省からいただいた「オスプレイに係る環境レビュー等に関する情報提供を行った自治体」があります。右側が沖縄ですが、左側が本土、その左側の左側が都県となり、右側の部分が市町村となっています。

 この本土の市町村についてですけれども、この部分については、オスプレーの訓練が計画をされているキャンプ富士と岩国基地が所在する市町村、それと米空軍基地の所在市町村に説明をしたと承知をしておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

神風大臣政務官 今先生の御指摘のあった市町村を含めて、あと、御意向の、御要請のあったところに情報提供を行っております。

塩川委員 ですから、提供を行った市町村が、もともとこのオスプレーの訓練が計画をされている岩国基地、それからキャンプ富士の所在市町村及び米空軍基地が所在する市町村が説明の対象市町村ということでいいかどうかを確認しています。

神風大臣政務官 ちょっと今の正確な点につきましては、質問の御通告がなかったものですから、後ほど正確に検討させていただきたい、精査をさせていただきたいと思います。

塩川委員 いや、この点は事前にお願いしているんですけれども。はっきり言えるでしょう。

神風大臣政務官 米軍のある市町村、また、情報提供を求められた市町村ということであります。

塩川委員 米軍施設のある市町村という話であります。防衛省として、この報告書に基づき、オスプレーの訓練があり得る自治体に情報提供を行ってきたわけであります。

 この報告書の中では、キャンプ富士と岩国基地だけではなくて、報告書の記述では、MV22中隊の一部が時折、他の米軍施設に飛行することもあり得ると述べておりますけれども、この他の米軍施設というのは、防衛省が情報提供を行ったところの市町村に所在をしている米軍施設、つまり、この市町村を見ると、三沢基地と横田基地と厚木基地の該当の市町村になっているわけですけれども、報告書で言っている、オスプレーの部隊が他の米軍施設に飛行することもあり得るとしているその他の米軍施設には、防衛省側が説明を行った三沢基地、横田基地、厚木基地も含まれているということでよろしいですか。

神風大臣政務官 そういう御理解でよろしいかと思います。

塩川委員 県については、この航法経路上に該当する県に対して情報提供を行った、それがどこかというのは後ほど聞かせていただきますけれども。であれば、市町村、つまり、この航法経路上に該当する市町村はどこなのか。こういう市町村を防衛省として明らかにして必要な情報提供をする、そういう予定、おつもりはありませんか。

神風大臣政務官 市町村についてのお尋ねでありますが、この市町村名を含む具体的なルートの詳細等については、これは米軍の運用に係る事項でありまして、お答えすることは困難であろうかと思います。

塩川委員 いやいや、ですから、運用にかかわることで答弁困難というんじゃなくて、実際米側が報告書でルートを認めたわけですよね。それについて、防衛省側も日本政府としても、そういう米軍機の訓練飛行ルートがあるということを確認したわけですから、だからこそ関係するであろう県に説明に行ったわけで、実際に飛ぶのは一番の基礎自治体である市町村の上で飛んでいるわけで、市町村の住民の皆さんが実際には被害をこうむるようなことになってきているわけですから、そういう市町村に少なくとも説明をするという考えはないんですか。

神風大臣政務官 今後、その点については、日米合同委員会で協議を進めていく形になろうかと思います。

塩川委員 合同委員会に棚上げという話では、今の国民の皆さんの怒り、住民、自治体の怒りに応えるものにならないと言わざるを得ません。

 それで、この低空飛行訓練のルートで、線と同時に丸印があるわけですよね。この丸印の地点というのは何を指すのか、こういうことについて米側に確認はされておられますか。

神風大臣政務官 御指摘の記号の意味につきましては、具体的に米側に確認しているわけではありませんが、航法訓練経路の直線ルートの結節点を示しているものではないかと考えております。

塩川委員 その結節点がどこなのか、こういうことについて米側に確認するおつもりはありませんか。

神風大臣政務官 今回のこの六本の航法のルートにつきましては、今回の環境レビューで示されたものであります。これまで米軍機がそこでいろいろな訓練を行っているという中で環境レビューが行われて、ここら辺を今後MV22も使用する可能性があるという形で我々は報告を受けているわけでありまして、今後具体的にそのルートを使ってどのような訓練を受けているところまではまだ通報を受けておりませんので、詳細については今承知をしておりません。

塩川委員 確認するつもりはありませんかという問いにお答えになっておりません。そういう点でも、こういう自治体、住民の方々にとってみれば、安全が確保されるのかということについて政府として説明がされないということが極めて問題であります。

 自治体側からは、例えば山形県知事などは、ピンクルートに該当するわけですけれども、県の防災ヘリ飛行に整合性がとれるのかという心配の声を上げておられます。オスプレーの前に既存のルートとしてあったわけですから、既に米側の米軍機が低空飛行訓練を行っているところですけれども、そういったときに、こういった防災ヘリの飛行について整合性がとれるのかという自治体側の心配の声に日本政府として米側とどのような調整を図るおつもりでしょうか。

中野大臣政務官 オスプレーの話でございますけれども、今この質問は一般論としての米軍の訓練という理解でよろしいかと思いますが、今までは、在日米軍は、低空飛行訓練を行う際は、最低安全高度に関する法令を含め、我が国法令を遵守し、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めていると累次機会を捉まえて表明しているわけですね。

 ただ、これから、オスプレーも含めて、こういうふうな飛行ルートも出てきている中で、やはりこれは、今まで以上にしっかりとした説明をしていただくように外務省としても取り組んでいきたい。そして、懸念があるということは事実でございますから、この懸念が少しでも払拭できるように、米側にもしっかりと外務省からも働きかけていきたいというふうに考えております。

塩川委員 いや、今まで以上に説明を求めていくという話ですけれども、今まで自治体側に説明というのはあったんですか。そもそも、こういう米軍機の低空飛行訓練について、自治体側からあるいは住民からは非常に懸念の声があったわけですよ。そういったことについて、では、まともに、そういう質問を受けたときに、米側に問い合わせて、自治体に回答というのをされてきているんでしょうか。

 防災ヘリとかドクターヘリを飛ばすわけですよ。これは何か事前に決まった日程ではなくて、まさに緊急時に飛ばすわけですよね。そういった際にこういう米側の低空飛行訓練のルートについては何らわからないわけで、そういったときに、こういった防災ヘリやドクターヘリを飛ばすことについて心配の声が上がるのは当然じゃないでしょうか。こういうことについてきちんと問い合わせに答えるというのは、外務省、防衛省として、日本政府として、どういうふうに考えているのか、改めてお聞きしたい。

中野大臣政務官 恐らく一義的には、防衛局等を通じて防衛省の方からいろいろな形で在日米軍を含めて申し入れをしていると思うんですね。ただ、外務省としましても、当然、今委員から御指摘のあった件につきましては、いろいろなところから、それは外務省に対してもお声をいただいております。

 今までどういうふうな機会にどのような申し入れをされたかということは、ちょっと私、今この場でお答えするのは非常に難しいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、今これだけ、国民も含めて、オスプレーの配備も含めて、大きな懸念、不安が出ているということでございますから、今後、私たちは、外務省としての立場は、しっかりと説明責任を米側に求めていきたいということでございます。

塩川委員 説明責任と言われても、必要なことさえ確認しようとしていないわけですから、それでどうやって説明責任が果たせるのか。もともと、米側は国内法の適用除外となって、航空法も適用除外ですから、米軍機がいつどこで飛ぶかというのもわからなければ避けようもないわけで、住民にとって危険な低空飛行訓練であることは変わりません。

 最後に、大臣にお尋ねしますけれども、こういったオスプレーの配備について、野田首相が、オスプレー配備自体はアメリカ政府としての基本的な方針で、それをどうこうしろと言う話ではない、こういった説明に対して厳しい怒り、批判の声が上がっているわけです。例えば鳥取の知事なども、米軍の通知を知らせるだけの政府なら、どこに国民主権があるのか、こういう報道もされているところであります。

 こういったオスプレー配備について、はっきりアメリカ側にノーと言うつもりはありませんか。

川端国務大臣 オスプレーの配備に関して、さまざまな意見、地方自治体からも意見をいただいていることは、私も十分承知をしております。

 このことに関しましては、主として、日米両政府間で、防衛省を中心としてかなりのやりとりの中で、双方ぎりぎりのところで折り合った結果、事故調査結果が日本政府に提供され、飛行運用の安全性が再確認されるまでの間、日本においていかなるMV22の飛行運用も控えることになったというふうに私たちは聞いておりますが、そのような経緯も含めて、引き続き、防衛省を中心に、適切に説明がされ、地元自治体等の理解が得られるよう対応されることを期待しております。

塩川委員 安全性の確保といっても、米側の事故報告書を追認するだけでは住民、自治体の心配が払拭できないわけで、これまで、米軍機の低空飛行訓練で、地域住民が多大な被害を受けてまいりました。加えて、危険なオスプレー訓練は認められない。

 オスプレー配備中止、低空飛行訓練中止をアメリカ側に強く要求すること、このことを求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

武正委員長 次に、内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。川端総務大臣。

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 地方自治法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川端国務大臣 地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方公共団体の議会及び長による適切な権限の行使を確保するとともに、住民自治のさらなる充実を図るため、所要の措置を講ずるものです。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、議会制度の見直しに関する事項であります。

 普通地方公共団体の議会は、条例で定めるところにより、定例会及び臨時会によらず、毎年、条例で定める日から翌年の当該日の前日までを会期とすることができることとしております。また、議長等による臨時会の招集請求があった日から二十日以内に普通地方公共団体の長が臨時会を招集しない場合には、議長が臨時会を招集することとしております。

 第二は、議会と長との関係に関する制度の見直しに関する事項であります。

 再議制度については、現在条例または予算に関する議決について異議があるときにできることとされている再議について、その対象を拡大することとしております。また、専決処分の制度については、その対象から副知事または副市町村長の選任の同意を除外するとともに、条例または予算に関する専決処分について承認を求める議案が否決されたときは、普通地方公共団体の長は、速やかに、必要と認める措置を講ずるとともに、その旨を議会に報告しなければならないこととしております。

 第三は、直接請求制度の見直しに関する事項であります。

 選挙権を有する者の総数が八十万を超える普通地方公共団体について、議会の解散並びに議員、長及び主要公務員の解職請求に必要な署名数を見直すこととしております。

 第四は、国等による違法確認訴訟制度の創設に関する事項であります。

 是正の要求または是正の指示を行った各大臣または都道府県の執行機関は、当該是正の要求または是正の指示を受けた普通地方公共団体の長その他の執行機関が、国地方係争処理委員会等に対する審査の申し出をせず、かつ、当該是正の要求に応じた措置または是正の指示に係る措置を講じないとき等に、高等裁判所に対し、訴えをもって当該普通地方公共団体の不作為の違法の確認を求めることができることとしております。

 第五は、一部事務組合及び広域連合等の制度の見直しに関する事項であります。

 協議会、機関等の共同設置または一部事務組合の関係地方公共団体は、脱退する日の二年前までに他の全ての関係地方公共団体に予告をすることにより、当該協議会等から脱退することができることとしております。また、一部事務組合は、当該一部事務組合の議会を構成団体の議会をもって組織することができることとするとともに、広域連合には、執行機関として、長にかえて理事をもって組織する理事会を置くことができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

武正委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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