衆議院

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第2号 平成24年11月8日(木曜日)

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平成二十四年十一月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小宮山洋子君

   理事 逢坂 誠二君 理事 奥野総一郎君

   理事 小室 寿明君 理事 松崎 公昭君

   理事 橘 慶一郎君 理事 森山  裕君

   理事 福嶋健一郎君 理事 西  博義君

      石津 政雄君    稲富 修二君

      稲見 哲男君    大島  敦君

      大西 孝典君    勝又恒一郎君

      高井 崇志君    高野  守君

      玉木 朝子君    永江 孝子君

      野木  実君    野田 国義君

      福田 昭夫君    三村 和也君

      皆吉 稲生君    本村賢太郎君

      森山 浩行君    柳田 和己君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      吉川 政重君    井上 信治君

      石田 真敏君    川崎 二郎君

      菅  義偉君    谷  公一君

      中谷  元君    平井たくや君

      岡島 一正君    笠原多見子君

      斎藤やすのり君    稲津  久君

      塩川 鉄也君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣         樽床 伸二君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    下地 幹郎君

   復興副大臣        黄川田 徹君

   総務副大臣        藤末 健三君

   総務副大臣        大島  敦君

   内閣府大臣政務官     加賀谷 健君

   総務大臣政務官      石津 政雄君

   総務大臣政務官      森田  高君

   総務大臣政務官      稲見 哲男君

   防衛大臣政務官      大野 元裕君

   政府参考人

   (内閣官房政府情報化統括責任者(政府CIO))  遠藤 紘一君

   政府参考人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        武居 丈二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 濱西 隆男君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  宮島 守男君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 吉田 光市君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           久保田啓一君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     三村 和也君

  勝又恒一郎君     本村賢太郎君

  皆吉 稲生君     玉木 朝子君

同日

 辞任         補欠選任

  玉木 朝子君     高野  守君

  三村 和也君     稲富 修二君

  本村賢太郎君     勝又恒一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     森山 浩行君

  高野  守君     皆吉 稲生君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     小原  舞君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

小宮山委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事・技師長久保田啓一さんの出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小宮山委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房政府情報化統括責任者遠藤紘一さん、人事院総裁原恒雄さん、総務省大臣官房地域力創造審議官武居丈二さん、大臣官房審議官濱西隆男さん、行政評価局長宮島守男さん、文部科学省高等教育局長板東久美子さん、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二さん、職業安定局派遣・有期労働対策部長宮川晃さん及び国土交通省道路局次長吉田光市さんの出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小宮山委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。

    ―――――――――――――

小宮山委員長 この際、去る八月八日の一般職の職員の給与についての報告、勧告及び国家公務員制度改革等についての報告につきまして、人事院から説明を聴取します。人事院総裁原恒雄さん。

原政府参考人 人事院は、八月八日、国会と内閣に対しまして、国家公務員の給与に関する報告及び勧告を行い、あわせて国家公務員制度改革等に関する報告を行いました。

 このたび、その内容につきまして御説明を申し上げる機会をいただき、厚く御礼を申し上げます。以下、その概要を御説明いたします。

 本年は、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律に基づき、給与減額支給措置が実施されているという例年にない状況のもとで、人事院として、国家公務員の給与改定について検討を行いました。

 月例給については、行政事務を行う国家公務員と、企業規模五十人以上の民間企業で事務・技術等の業務を行う従業員の本年四月時点の給与を精確に調査し、比較していますが、本年は給与減額支給措置が実施されておりますので、国家公務員給与につきましては、給与法に定められた給与月額と減額後に実際に受け取る給与月額とが異なります。このため、本年においては、減額前の官民較差も算出し、あわせて減額後の官民較差を算出いたしました。その結果、減額前で比較すると、公務が民間を二百七十三円、〇・〇七%上回っており、減額後では、公務が民間を二万八千六百十円、七・六七%下回っていました。

 このような状況のもと、従来、較差が小さく俸給表及び諸手当の適切な改定が困難な場合には改定を見送っていること、また、減額後で見れば公務が民間を相当程度下回っていること、減額支給措置が民間準拠による水準改定とは別に未曽有の国難に対処するための臨時特例として行われているものであることも勘案し、本年は月例給の改定を行わないことといたしました。

 特別給につきましては、民間企業における昨年冬と本年夏の賞与を含む直近一年間の支給割合を調査し、これとの比較を行って、従来〇・〇五月単位で改定を実施しているところですが、本年は、公務の支給月数が三・九五月、民間の支給割合が三・九四月と均衡しており、改定を行わないことといたしました。なお、特別給についても減額支給措置が講じられていることを勘案しました。

 以上により、本年は給与水準の改定に関する勧告は行わないことといたしました。

 一方、本年は、五十歳代後半層における官民の給与差を考慮して、世代間の給与配分の適正化を図る観点から、五十歳代後半層の給与水準の上昇を抑える方向で、昇給制度の改正を行うことを勧告いたしました。具体的には、給与法を改正し、五十五歳を超える職員は、標準の勤務成績では昇給しないこととし、優秀者につきましても、現行よりも昇給を抑制することといたしました。あわせて、五十歳代後半層の給与水準の上昇を抑制するため、人事院規則の改正により昇格制度の見直しを行い、最高号俸を含む高位の号俸から昇格した場合の俸給月額の増加額を縮減することといたしました。

 これらの改正は、今後の給与上昇の抑制を通じて五十歳代後半層の官民の給与差を縮小するために早急に取り組むべき課題であることから、給与減額支給措置が実施されている中ではございますが、人事院勧告どおり直近の昇給日である平成二十五年一月一日から実施する必要があると考えてございます。

 続きまして、国家公務員制度改革等に関する報告について御説明いたします。

 現在、国会に提出されております国家公務員制度改革関連四法案が定める改革案は、国家公務員制度の基本的な枠組みを変更するものであり、国民生活に与える影響も大きいことから、その目的や効果、影響等についての十分な検討を経て、国民の理解と納得のもとで議論が行われることが求められます。この議論に資するよう、公務員制度改革の理念についての人事院の認識とともに、公務における協約締結権付与に関する論点など、改革案に関し特に重要と考える論点について報告しております。

 また、公的年金の支給開始年齢が平成二十五年度から引き上げられることに対応し、政府においては、定年退職する職員のうち希望者を再任用するものとされ、現在、政府全体で制度設計等について検討が進められています。報告においては、新たな再任用に関する課題と各府省及び政府全体に求められる取り組み等について、人事院の考え方を述べております。

 以上のほか、人事行政が直面する主な課題に対する人事院の基本的な認識と取り組み状況を報告しております。

 以上、本年の報告及び勧告の概要を御説明申し上げました。

 委員長初め総務委員会の委員の皆様におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割について御理解を賜り、この勧告を速やかに実施してくださるよう、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

小宮山委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小宮山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永江孝子さん。

永江委員 おはようございます。民主党の永江孝子でございます。

 質問の時間をいただきまして、どうもありがとうございます。

 私は、国会議員になりましてから三年間、ずっとこの総務委員会に入り続けております。といいますのも、私の地元は愛媛県なんですが、この総務委員会の先生方、地方選出の議員の先生方が多くいらっしゃって、疲弊する我がふるさとを何とかしたいというこの熱い思いは共有しておりまして、その共有の中で、この総務委員会では、分権であります地域主権改革、党派を超えて一歩一歩進めていくことができた。この総務委員会は地方の応援団なんだという強い自負の念を持っているからであります。

 先日の樽床大臣、所信の中でも、この地域主権改革というのは内閣の改革の一丁目一番地なんだという大変心強い御発言をいただきました。そこで、きょうは、この地域主権改革がどこまで進んだのか、そして宿題として何が残っているのか、それをどう解決していくのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思っています。

 マニフェストで約束いたしました地域主権改革、大きくは財源、それから権限を国から地方へということなんですが、項目としては大きく三つかと思っています。

 まず最初が、基礎自治体が対応可能な事務事業の権限と財源を大幅に移譲するという項目でありますが、これについては、大臣、いかがでしょうか。

樽床国務大臣 まず、基本的に私は、基礎自治体ができる可能なものは基礎自治体にお渡しをしていく。お渡しをしていくという表現が適切かどうかということについてはいろいろ御意見はあろうかと思いますが、基礎自治体でできることは基礎自治体でやる。そして、どうしてもさまざまな理由でできないことはその次の自治体でやっていく。つまり補完性の原理と言われているものでありますが、それをどれだけ徹底していくのかという基本的な考え方に立って現在も進めております。

永江委員 ありがとうございます。大変心強い御所見をお伺いいたしました。

 一次一括法、二次一括法、それから三次一括法もこれから進めていかなければならないと思うんですが、大臣と御一緒にまた頑張らせていただきたいというふうに思っております。

 それから、二つ目の項目が、国から地方へのひもつきの補助金を廃止して、基本的に地方が自由に使える一括交付金として交付するという項目でありますが、これについては、大臣、いかがでしょうか、どの程度進んだという御認識でいらっしゃいますか。

樽床国務大臣 ひもつき補助金を一括交付金にしていくということにつきましては、当初、二十数兆の補助金という前提がありましたが、それをよく見ますと、社会保障分野にかなりの部分が充てられておりまして、さらに教育関係、そういったものを差し引いた公共事業その他の補助金を極力一括交付金にしていく、こういう前提で進めさせていただいておりまして、もう委員御存じのとおりでありますが、一応詳細な数字を申し上げた方がいいですか。(永江委員「では、お願いします」と呼ぶ)はい。

 それでは、二十三年度につきましては都道府県分の補助金を対象にしましたけれども、二十四年度、今年度は、政令指定都市まで拡大をいたしまして、総額で六千七百五十四億円、沖縄分も含めますと八千三百二十九億円を計上いたしました。これからまだまだいろいろな御意見が出てきておりますので、より充実に向けて今後さらに努力をしてまいりたいと考えております。

永江委員 都道府県から政令指定都市と一歩一歩進めてきております。目標としましては、基礎自治体に一括交付金を送るということなんですが、これについてはいかがでしょうか。

樽床国務大臣 原則にのっとれば基礎自治体までというのは私は一つの基本的な考え方だと認識をしておりますが、市長会とか町村長会の方々といろいろ意見交換をしておりまして、市町村におきましても、当然かなり多くの自治体がありますので、千七百の基礎自治体がありますので、かなりばらつきがあります。

 そういう中で、全国一括でそういうばらつきを無視してどこまでできるのかということにつきましては、今、市長会、町村長会を含め、関係者の方としっかりと検討をしながら、鋭意検討していきたいと考えております。

永江委員 受け手側の消極的な御意見というのは私もお伺いをしているんですが、どうして消極的にならざるを得ないかという問題はさまざまあろうかと思います。一つ一つ丁寧にやはり解決に向かって力を尽くしていただきたいなとお願いを申し上げます。

 それでは、三つ目なんですが、国の出先機関の原則廃止、これについては、大臣、いかがでしょうか。

樽床国務大臣 この問題につきましては、アクション・プランに基づきまして、特定広域連合、これは現在既に存在しております広域連合ではありませんで、さまざまな要件を満たしていただく、そういう固まりと言うたらおかしいですが、広域の方々の合意のもとで、手を挙げていただいた広域連合を特定という新たな広域連合に認定させていただいてというような方針で今鋭意検討をいたしております。

 ただ、これも市町村の御理解をいただかなければならない、こういうことがありますので、そういった方々との話し合い、検討を今進めておるということであります。今国会の提出に向けて努力をしているという状況でありますので、よろしくお願いいたします。

永江委員 実は、私の地元の愛媛県でも、四国四県が協力して、受け皿であります広域連合を来年つくります。そして、再来年には四国の経済産業局の事務、権限を一括移管させようと非常に前向きなアクションを起こしております。こういうふうに、地盤が動き始めたといいましょうか、地域主権に向けて大きく前進をしているんだというふうに私は受けとめています。

 全て満点とはいきません。さっきございましたように受け手の問題もありますけれども、ぜひ、進み出した地域主権改革をこれからますます歩みを進めるといいましょうか、本当に税金の無駄遣いをなくして生きたお金の使い方に変えていくためには、暮らす人のそばに、それから現場の近くに権限と財源を大きく渡していくということを、また私も大臣と御一緒になって頑張らせていただきたいというふうに思っています。

 さて、先日、樽床大臣は、放送コンテンツの海外展開を促すための放送コンテンツ流通の促進方策に関する検討会を立ち上げられまして、きょう、まさに第一回の会合が開かれるとお聞きしております。所信の中でも、世界での成長市場の開拓や我が国の国際的プレゼンス向上のため、コンテンツの海外展開を強力に発信するとおっしゃいまして、大変心強く聞かせていただきました。

 といいますのも、民主党の政調の中に放送に関するワーキングチームというのがありまして、ここにおられます奥野理事が座長で、私が事務局長を務めさせていただいているんですが、さきの国会の中で、地デジが完了した後の放送サービスについて課題の検討などを行ってまいりました。その中で、これから重点的に取り組むべき事項といたしまして、放送コンテンツを海外展開していくということを取り上げまして、提言を取りまとめた経緯がございます。

 今回初めて、海外展開支援のための予算、正式に言いますとコンテンツの流通環境整備推進事業というそうですが、三・五億円というのも概算要求に盛り込まれました。初めてのことで大変うれしいなと思っていて、これを大きく育てていきたいなとは思っているんですけれども、大臣、これは、放送コンテンツを海外に展開していくという上では、一歩先を行っている韓国に比べますと一桁、いや二桁違うんですね。

 韓国は、放送コンテンツを海外に展開していくことを国家戦略、国策と位置づけておりまして、国家が強力に投資をして支えています。あらゆるメード・イン・コリアを売っていくための先兵役として放送コンテンツを支えているわけであります。

 例を挙げますと、日本での韓流ブーム、火つけ役となったのは、あの冬ソナであります。「冬のソナタ」という韓国ドラマが火つけ役となりまして、韓国ドラマが本当にブームになりました。うちの母も、全てDVDを買って、ばしっとそろえているんですね。ヨン様ブームになりまして、ヨン様の国へ行きたいわということで大挙して、ロケ地めぐりの韓国ツアーがはやりました。韓国へ行きました。そして、韓国料理がブームになり、今Kポップが売れに売れております。そして、まあ、きれいだわということで韓国の化粧品が売れて、サムスンの家電はおしゃれだというイメージまでつくり上げて、もうがっぽり稼いでいます。

 韓国で、韓流コンテンツ事業、ドラマ、音楽、映画、アニメ、ゲームなど、この支援にかけるお金というのは二千億ウォン、日本円に直しますとおよそ百四十九億円であります。この投資でどれだけ稼いでいるかといいますと、二〇一〇年のコンテンツの総輸出額というのは三兆ウォン、二千二百億円であります。国の投資が成功しているというわけであります。それで、韓国の鄭柄国文化部長官は、文化の経済的波及効果は製造業を凌駕するとまで言っております。

 このコンテンツ産業の振興に対する予算、二〇一一年の六千九億ウォンから六千五百九十五億ウォン、日本円に直しますと四百九億円から四百四十八億円に増額をしている。すごい勢いであります。

 さらに、二〇一五年までに一兆ウォン、およそ六百八十億円をかけてグローバルファンドをつくって、韓流コンテンツ制作を推進する予定とまで打ち出しているんですよね。

 これに追いつき、追いつきという表現を使わねばならないのが非常に残念でありますけれども、これに追いついて、追い越すためには、大臣、本当に国の本気度がかかっていると思うんです。総務省が旗振り役になって頑張っていただいて、放送コンテンツをジャパン・ブランドを売っていく先兵役としてぜひ活用していただきたいというふうに思っています。

 さまざま解決しないといけない問題はあります。権利処理の問題だったり、官民の体制をつくるですとか、あるいは外国の放送規制をどうクリアさせていくかなど難しい問題はありますけれども、そこはやると決めて、樽床大臣ですから、ぜひとも頑張ってくださると信じております。やっていかねば、やる気のある企業は海外へ進出していってしまう、出ていってしまうと思っています。

 放送コンテンツの海外展開にかける大臣の思いをぜひお聞かせください。

樽床国務大臣 今、永江委員のおっしゃったとおりでありまして、そのような問題意識に基づいて、大臣就任後、検討会の立ち上げを指示させていただきまして、別にお隣の国と張り合うつもりはありませんが、余りにも取り組みの差があるということを強く認識しております。ですから、何としても馬力を入れて頑張りたいと思っております。

 お隣の国のドラマの話をされましたけれども、古くは、我々自身も、幼いころ、ほとんど同世代だと思いますが、失礼なことを申し上げたかもわかりませんけれども、番組の名前は言いませんけれども、いろいろ外国の番組を見て憧れた。私のさらに上の世代の方は、例えば「ララミー牧場」とか、そういうものを見ながら憧れていった。こういう経緯を我々は経験をしております。

 そういったことからすると、放送コンテンツを世界の至るところに提供させていただいて、我が国に対する理解、親しみを、愛着を持っていただく。そうすると、日本に行ってみたい、ビジット・ジャパンのさらなる進展も図れる。そして、日本のものを買ってみたいと多くの方に思っていただく。そして、全てにおいて日本は大切な国であるということを世界の国に御理解いただいて、日本の安全保障にも貢献をしていく。さまざまな効果があると私は考えております。

 そういった観点を踏まえまして、今、永江委員がおっしゃった基本的な御認識を我々もしっかり共有させていただいて、全力で前に向かって進んでまいりたいと強く決意をいたしております。

永江委員 ありがとうございます。御一緒に頑張らせていただきたいというふうに思っております。まずは何か一つ成功例を御一緒につくっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 どうもありがとうございました。

小宮山委員長 次に、谷公一さん。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 質問の機会を与えられました。三十五分間という限られた時間でございますが、樽床大臣を中心に幾つかの項目についてお尋ねしたいと思います。

 この前、大臣の所信的発言がございました。正直なところ、大変平板で、何に新たに取り組もうとしているのか、よくわかりませんでした。大事なことが幾つか抜けているように思います。

 定数是正、何も言うていない。

 衆議院の一票の格差解消については、今、与野党間で協議というか、協議まで進んでいないのか、与党の方はなかなかまとまるような案を出してこない。最高裁が一番問題にしているのは、一票の格差解消のことであります。これをまず解消しなければならない。我が党は、〇増五減法案を出しているわけでございますが、この一票の格差解消と定数是正を絡めて、結局、野党の反対で違憲状態が解消できないという構図をつくろうとしているというふうに私には思えます。

 選挙制度を所管する総務大臣として、どう思われますか。最高裁の判決が出てからどれぐらいたっているか御存じですか、大臣。どれぐらいたちましたか、衆議院の違憲状態と判断されてから。

樽床国務大臣 今的確な御意見をいただいたと思いますが、法的には、今議員立法で出ている法律をどのように立法府の中で御議論いただくかという話であろうかと思っておりまして、それは倫選特の方で御議論が進むものというふうに理解をいたしております。

 総務大臣に就任いたしました前の話をしてもこれはおかしなことになりますので、その前に私が党側の立場でいろいろ取り組んできておりましたことは、それはそれといたしまして、総務大臣といたしましては、一票の格差は、最高裁から、司法の方からはっきりと御意見をいただいてからもう一年半経過をいたしておりますので、早急に、この一票の格差については一日も早く解消していかなければならない、それが我々の責務である、このように認識をしております。

谷委員 昨年の三月でしたから、一年八カ月たちました。

 今大臣言われたように、一票の格差是正を早く立法府でもやるべきだというのを発信すべきだと私は思いますよ、そういうふうに言われるなら。何も言われていないということについて大変残念に思います。そのことだけ指摘させていただいて、よろしいです、時間は限られていますから。求めていません。

 二つ目に、交付税の支払い延期。これも何にも言われていない。今全国の自治体が一番心配していることは何ですか。(発言する者あり)自治体の財政運営への影響、どれだけ影響を及ぼしているのか。(発言する者あり)

 この前、知事会に大臣も行かれたでしょう。行かれていないんですか。そういう地方の声というのを聞かれていませんか。交付税の支払いの延期ということが実際の現場でどれだけ深刻な影響を及ぼしつつあるのか。それを、何か今また野党的なやじを与党の方が相変わらず飛ばしていますけれども、知事会に行かれて、どういう受けとめ方でしたか。与党も与党だけれども、野党も野党だ、そんなことを言っていないでしょう、みんな。政権政党たる与党の責任じゃないですか。我々もねじれ国会を経験しました。でも、交付税をこのように支払い延期なんということは一度もしなかったですよ。我々もねじれ国会はありましたよ。そこが政権政党の責任感の持ち方だと思うんです。

 交付税の延期についての自治体の財政運営への影響について、大臣の責任をどう認識されているのか、お尋ねします。

樽床国務大臣 せんだって、知事会も、特例公債の法案を一日も早く成立させて、そして地方自治体の財政運営に支障がないようにという強い御意見をいただいたところであります。

 当然のことながら、地方交付税が交付できないようなことになれば自治体に多大な影響を及ぼすということは、全ての方が御認識をいただいていることだというふうに思っております。ですから、私どもも大変強い心配と懸念と、そして大きな責任を感じております。

 御存じのように、九月に交付する分につきましては、市町村分は全額を交付させていただきまして、都道府県分は三月に分けて、執行抑制に基づいて配付をする。十一月の二日に、都道府県分は、九、十、十一でありますから、十一月分まで全て交付をさせていただいたということで、これから、今後のものを交付をどうするかということで、現在まだ交付できていないという大変厳しい、申しわけない状況が続いております。

 ですから、私どもといたしましては、立法府の方で法案を通していただかなければどうにもなりませんので、一日も早い特例公債法の成立を心からお願い申し上げるところであります。

谷委員 特例公債の扱いについても、我が党の方は、自治体だけではなくて国民生活への影響を十分加味しながら、最終的に政治的な判断で対応を決めるかと思いますけれども、何か、こういう事態になったのをすぐ野党のせいだ、特例公債を通さないせいだという姿勢に与党としての責任感が本当にあるのかなという思いを大変強くしているところであります。

 では大臣、一つだけお尋ねします。

 九月分、都道府県は九、十、十一。十一月は、十一月二日に十一月分は交付しましたね。このかかった利子。そして、本来十一月に交付すべきものが、特例公債が仮に通ったら速やかに交付されると思うんですけれども、利子は全額見るんですか、交付税で。何で見るんですか。

樽床国務大臣 九月分の、九月に執行抑制をして、三月にわたって分割をして交付させていただいた、その結果として、自治体がいろいろなことでかなりの努力をされておられる、こういうことの中で、私が承知しておりますのは、全国で、今一生懸命状況をお聞きしているところでありますが、現時点では五千七百万円の利子負担分が発生をしているというふうに、私は現時点ではそのように承知をしております。

 こういった、九月分の執行抑制について発生をしたものにつきましては、しっかりと国として手当てをさせていただきたい、このように思っております。

谷委員 当然です。何も自治体の方に問題があったわけではない、瑕疵があったわけではない。国の都合、しかも政権の責任です。それによって、今五千七百万円ですか、それぐらいなのかどうかよくわかりませんけれども、それはしっかり、完全に補填をしていただきたいと思います。

 我が党のこの支出延期に対する考え方はお手元の資料の中に添付していますので、また改めて読んでいただければと思います。

 その次の問題に移ります。大学の不認可の問題であります。

 文部科学省、来られていますか。何か急転直下いたしました。板東高等教育局長に来ていただいていますが、三大学は不認可ではなかったんですか。そして、今度認可するんですか。不認可ではなかったかどうかの確認と、認可はいつするんですか。具体的に日付を教えてください。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと時系列で御説明をさせていただきますと、十一月の一日に、大学設置・学校法人審議会の方から、二十五年度開設予定の大学等の認可につきまして答申がございました。

 翌日の二日に、文部科学大臣より、大学の設置認可については非常に大きな課題があるので抜本的な見直しを行う、そして三大学については認可できないということを、そのときに記者会見で表明しております。これにつきましては、認可できないという方針をその時点で示したということでございますけれども、不認可処分自体は行われていない状況でございました。

 そして、六日火曜日でございますけれども、大臣から、やはり記者会見におきまして、設置認可のあり方については、検討会を設けて、早急に検討を開始して早目に結論を出すということとともに、三大学につきましては、今の設置認可の仕組みのもとでは認可を認めることはできないという趣旨であって、見直し後の新たな基準に照らして判断をするということであると表明をしております。

 そして、昨日七日でございますけれども、衆議院の文部科学委員会におきまして御審議がございまして、その中で、改めて、今処分が行われている状況ではないということ、申請されているという状況は継続しているということで御説明をさせていただき、その御審議の結果といたしまして、文部科学委員長の方からも、三大学の問題と設置認可の見直しというのは切り離して考えるべきであるという御要請がございまして、最終的に大臣の発言として、大学の設置認可のあり方については抜本的な見直しを行う、そして、今申請をしている三大学については、委員会での御審議を踏まえ、現行の制度にのっとり適切に対応するということを答弁させていただきました。

 その後、記者会見におきまして、ぶら下がりの会見におきまして、三大学については速やかに認可をするということを表明しております。

 昨日の段階で、三大学の関係者につきましては、そういった方針についての内定のようなものをお伝えさせていただいております。

 まだ、正式の認可の手続についてはこれから決裁をさせていただくということでございますけれども、そういうことで今進行しているということでございます。

谷委員 経緯は今、板東高等教育局長のお話しされたとおりだと思います。

 いろいろ新聞に報じられていること以上のことはありませんでしたけれども、どうも、メディアあるいはいろいろなところからの情報ですと、板東局長も大分苦労されて、何度も大臣の方に説明したけれども了解を得られず、大臣は認可できないと明言された。そのことはまだ文書で通知しておらず、認可も不認可も決めていないという奇策ですね、奇策です。とても国民には通用しない理屈で、ある面では文部省の方々はかわいそうですよ。

 尋常な判断ができない、権力をもてあそぶ大臣を迎えるとこのような行政しかできない。暴走大臣なんという新聞の見出しもありましたけれども、本当に愚かな政治主導で、恥ずかしいと思います。

 板東局長にそういうことをこれ以上いろいろお尋ねしても申しわけない。申しわけないというか、質問する方もしんどいですわ。大変だと思います。同情しますわ。そう長くはないと思いますけれども、じっとこらえて、大臣のためではなくて日本のためにしっかり働いていただくように要望をいたしておきます。

 局長、もうこれで結構です。

 さて、この手続なんですけれども、こういう行政の手続というのは行政手続法という法律で決められています、どういうふうに手続をするのか。行政手続法の所管は総務省の行政管理局であります。きょうは、その方面に大変詳しい濱西官房審議官に来ていただいています。

 さて、話を戻します。もともと行政手続上、大学の設置認可の申請が出されました、出されて、ずっとその審査が進められる、審議会にもかけた、そしてトップがかわったといいますか、尋常な判断をしないような大臣が、いやいや、前の基準とは違うんだ、新しい基準をつくる、既に出されて審査がほぼ終わった段階で、そのもとで審査し、認可、不認可を決めるんだなんということを言い出したんですけれども、こういうやり方というのは、法的に見て妥当なんですか。行政手続法を所管する総務省にお尋ねします。

濱西政府参考人 お答えさせていただきます。

 行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを法の目的としております。

 申請に対する処分については、審査基準を定め、これを公表することや、標準処理期間を定め、これを公表するよう努めることを規定しております。文科省においては、大学設置認可処分について、審査基準、標準処理期間を定めて公表しているところというふうに承知しております。

 お尋ねの審査基準を変更して対応することについてでございますが、個別の事案に応じて判断されるべきものということでありますけれども、一般的に申し上げますと、行政手続法及び関係法律の趣旨を踏まえた上で、合理的な理由があれば、そのことをもって直ちに行政手続法違反になるとは言えないというふうに考えております。

谷委員 何か大変遠慮したような答弁でございましたが、お手元の資料の次のページに、行政手続法の概要、行政管理局、そちらの方からいただいた資料をつけています。

 この法律の考え方、つまり、行政手続を公平に、そしてオープンにする、ガラス張りにする、透明性を確保するという考え方からすれば、審査基準をあらかじめ公表する、そして、審査の時間、審査の期間も明確にするという考え方からすれば、当然、申請時点での公にされた基準に従って審査をするというのが原則だと思うんです。

 もちろん例外はあります。最高裁の、タクシー免許などは、その後の事情変更、それは、合理的な理由があれば、その申請時点でなくても、その後また基準が変わっても構わないという判例もあるということは承知した上でお聞きしますけれども、もう一度審議官に確認します。基本的には、申請時点での公にされた基準でもって行政府は判断する、これは原則でしょう。その原則だけお尋ねします。

濱西政府参考人 委員おっしゃるとおり、まずは、あらかじめ定められた審査基準にのっとって処理を行うというのが基本ではございますが、これも個別の判断になりますけれども、例えば、変更する方が法令の規定や実情により即しているというようになるような場合も考えられます。そうした場合については、変更することも許容されるのではないかというふうに考えているところでございます。

谷委員 原則はそうだけれども、例外もあり得るという答弁ではなかったかと思います。

 今回の問題については、文部科学省の大学の不認可問題については、もうこれ以上申しません、過ちは正されたわけですから。しかし、それによって多くの方が、関係者が傷ついた、振り回されたということを、同じ野田内閣の一員としてまた総務大臣、よく文部科学大臣の行動をウオッチしていただくようにお願いを申し上げておきます。

 大島副大臣にお尋ねします。

 三大学の中には、秋田公立美術大のように、これは秋田市でしたね、たしか、自治体が東北、北海道初の公立美術系の四年生大学をつくろうということで、何年も前から計画して、お金も用意して準備していた。そして、少しでも若い人に残ってもらおう、地域の活性化を図ろう、そういうふうに頑張っている学校もあったわけです。

 それで、私も、秋田県の知り合いの方から地元紙をいっぱい送ってもらいまして、地元の怒り、文部科学省の理不尽さについて大変強い反発というのを、地元紙でいっぱい見させてもらいました。ファクスで数十ページ事務所に送ってくるんです、これを何とかしてほしいという本当に悲痛な声です。

 地域の活性化を図るべき総務省の副大臣として、どう思われますか。副大臣、何か言われましたか、こういうむちゃなことをやるなと。

大島副大臣 谷委員にお答えをさせていただきます。

 秋田の公立の美術大学、これは短大が四年制になるということで今回申請されているということ、そして、谷委員がおっしゃったとおり、大学は、地域の活性化、やはり若い人たちが残って、その地域の活性化に極めて資すると考えております。もう一つは、産学官の連携というのがございまして、大学を中心に地域社会が改めて連携をするという大きな役割を果たしておると考えております。

 以上でございます。

谷委員 やや一般的な答弁でございましたけれども。

 今、樽床大臣にもお願いしましたけれども、大島副大臣、閣僚の中にはおかしな方もいます。そのことが地方に悪影響を及ぼす、そういうことであれば、総務大臣なり総務副大臣なり政務官が言うてもらわないと、何のためにそのポストについているのか。それこそ、さっき永江委員の方から質問がありましたように、自治体のためでしょう。地域が元気になることが日本が元気になるという、我々与野党を超えた共通の思いでしょう。そのことを代弁する方が頑張っていただかないと、それは、我々は、思いもあるけれども、内閣のメンバーでもないし与党でもないから、そういう場がないんですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 だんだん時間が過ぎてまいりましたので、その次の問題に移ります。

 大臣にお尋ねします。

 復興について、大臣所信でありましたけれども、大臣は、この前、被災地に入られたんですかね、福島か。なかなかというか、復旧復興が進んでいない。現地には、焦りもあるいは怒りもあるかもわかりません、予算の使い方も含めて。

 復興を加速化しなきゃならないということで、我が党も、この一周年を迎えた三月から、自由民主党も、復興本部ではなくて復興加速化本部というのを立ち上げて、本部長が総裁です、私はそこの事務局長をしているんですけれども、頑張らせていただいているんです。

 大臣にお尋ねをしたいのは、では今、総務省として、何が喫緊の課題で、どう取り組もうとしているのか、大臣所信を聞いていてもわからなかった。全く一般的な話。何なんですか。そこをお尋ねしたいと思います。

樽床国務大臣 基本的に、総務省としてということもありますが、政府全体としてということもかなり似通っていると思いますけれども、具体的に言いますと、やはりマンパワーをいかに確保していくのかということだと思っております。これは一つですね。

 特に、福島県におきましては、これまで我々経験したことのない原発事故を伴っております。除染作業を含めてかなりのマンパワーが必要になる、こういう認識を持っておりまして、こういったことにつきましては、全国の市町村、そういった方々に御理解をいただきながら御協力をいただいて、お互いに協力して人員派遣、職員の派遣をやっておりますが、まだまだ十月時点で四百九十件も不足している、こういうことも聞いております。この取り組みをさらに進めていかなければならない。

 そしてもう一つは、お金の問題でありまして、お金をつければいいということだけではなくて、それを有効に、効果的に、効率的にどう使っていくのかという取り組みについて、よりそのことが進むように、総務省としては、これまで自治体との連携というものが総務省の大きな役割の一つでありましたので、そういったネットワークを使って、さらに地元の声をしっかり吸収しながら、効率的な財政の支援というものに取り組んでいきたい、このように思っております。

 また、原発地域におきましては、長期間において避難をされておられる方がまだまだたくさんおられます。ですから、こういったことについては、受け入れていただいている、例えば郡山とか二本松とかいろいろそういった自治体がありますが、受け入れていただいている自治体、それから、そこに行っている、避難をされている自治体、住民の方々、そして国としての復興庁、また福島県、こういった方々がしっかりと連携をして取り組んでいく必要がある、それに向けて我々全力で支援をさせていただきたい、このように思っております。

谷委員 大臣の思いと大きな方向性では私も一致します。そのとおりだと思います。

 人の問題、金の問題、福島では新たな仕組みもつくらなければならない。ただしかし、その上で、お金の問題は、自由に使えるお金をもっとふやす必要があると思います。具体的には基金。これも、今の基金の金額の合理的な根拠が大してあるわけではないですから、それもぜひ検討していただきたいと要望をいたしておきます。

 最後に、人事院勧告です。

 八月八日、人事院勧告が出ました。同じ八月八日に、野田総理は近いうちに解散ということを言われました。この八月八日の二つの出来事、発言というのか、いまだ両方とも実行されていません。

 近いうちにと言われてから、きょうでちょうど三カ月。近いうちにが三カ月たつというのは常識的に考えられないことでありますけれども、まあ、その問題はおいておきます。

 勧告は、なぜ三カ月もたって決めないんですか。速やかに、人事院の勧告を尊重するというのが内閣の基本姿勢でしょう。総務大臣は尊重すべき立場でしょう。なぜほっておくの。何か組合に配慮しているんですか。組合の顔が見えるんですか。不審に思っていますよ、みんな。なぜ決めないんですか。

樽床国務大臣 先ほど総裁の方から御報告がありましたが、報告の中にもありましたように、国が皆さん方の、多くの先生方の御理解、御協力をいただいて、平均して七・八%の国家公務員の給与を二年間削減している。今その過程であるということ、それは人事院の方でもよく御理解をいただいて、あのような答申になっておる。そのほか、さらなる御意見もいただいております。

 そういったことも、その七・八%というのは大体、全員が七・八ではなくて、平均ですから、高い人は一〇%を超える削減にもなっております。

 そういった全てひっくるめて二年間の給与削減のこの事態を受けて、それを勘案して、どのように結論を得るのかということを今鋭意検討させていただいております。なるべく早く結論を得ることを今頑張っておる中でありまして、決して御懸念いただいているような理由でおくれているわけではないということは申し添えておきたいと思います。

谷委員 何か同じような答弁をずっと何回も何回も聞かされているような感じがいたします。

 きょうは、人事院原総裁にも来ていただいています。総裁、どう思われますか、無視されて、三カ月もたなざらしにされて。また、人事院の勧告を受けて、自治体の方は多くは既に人事委員会勧告を出しているでしょう。それでその勧告の内容は、人事院の勧告と同じように、五十五歳を超える職員の昇給、昇格、そういうのを見直すという内容でしょう。こういう政府の姿勢について、人事院総裁の所見をお尋ねします。

原政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のありましたように、地方におきましても、昇給制度についての見直しというのを半分強の自治体が行っているところでございます。地方自治体における取り扱いというのは私どもの所管ではございませんので直接言及することはできませんが、過去の例で申しますと、国のやり方に準ずるという例が多いようでございます。

 そういった中でございますが、私ども、今回の高齢層の給与の問題につきましては、本年の取り組みでもございますが、かねて、民間と比較いたしますと、高齢層におきまして給与水準にどうしても差が出る。これは過去の、定年制をいつ、どういう形で導入したかといった民間と官における相違がございますので、ある部分やむを得ないことかもしれませんが、そういったことで差が出てございますので、これまでも、一番大きな話は、平成十八年に給与構造改革を実施いたしまして、全体的には、全体の水準を下げるということで平均四・八%下げたわけでございますが、高齢層につきましては七%下げるという形の是正を行いました。その後、平成二十二年、二十三年、いずれもわずかながら減額の給与水準の改定を勧告いたしたわけでございますが、そういった中でも、若年層の減額を抑えつつ、高齢層については平均的な数字より少し多目に削減をさせていただくということで、かねて高齢層の水準の是正というのに取り組んできたところでございます。

 昨年の勧告ではさらに、今後の方向として、要するに本年以降の方向として、昇給制度の見直しについての方向性も勧告の中で示させていただきまして、その後、院内で検討を進めまして、今回具体的な成案を得たということで、先ほど御説明いたしましたような勧告をさせていただいた次第でございます。

 いずれにしましても、人事院勧告制度の趣旨にのっとって、私どもといたしましては、完全実施をしていただきたいというのが切なる願いでございます。

谷委員 もう時間が参りましたので終わりますが、お手元の資料にあるように、新聞では既に「昇給停止先送りも」、要は人勧を無視するということですわ。我々は、こういうことは許しがたいということで、議員立法提出の準備にもう入っておりますので。

 何か立場が逆なんですよ。人事院勧告を守るべき政府・与党が無視して、いや、国民よりも組合ということで無視して、勧告をやらない。我々野党が何でそんな準備をしなきゃならないのか。去年も一緒でしたわ。何のために人事院が、今、人事院がどうあるべきかということは議論していいと思いますよ。ただ、現行法であるんですから、尊重する義務があるわけでしょう、大臣も。何かそのことを重く受けとめないで、結論がどう出るのか。この新聞報道にあるように、結論は昇給停止見送りということは、要は、人事院勧告を無視するということです。

 そういう方向であれば、先ほどお伝えしましたように、我々野党が、人事院勧告の完全実施を求めて議員立法で出させていただきますから、そのことだけを通告させていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、平井たくやさん。

平井委員 自由民主党の平井たくやでございます。

 きょうは、短い時間ですけれどもいろいろ質問をさせていただこうと思って、参考人の方々にも来ていただいているんですが、そこまで質問がたどり着けるかどうかわからないので、参考人の皆さんには、空振りした場合はどうかお許しをいただきたいと思います。また別の機会をつくって質問をさせていただきたいと思います。

 今、最後、自由民主党の谷先生の質問なんかも横で聞いておりまして、やはり、民主党は現行法をちゃんと守るという感覚を持ってもらわないと、同じことの繰り返しになっちゃうと思います。

 この人事院の話も、考えてみると、田中眞紀子文部科学大臣のやろうとしていた一騒動とよく似た話ですよ。今の現行法をちゃんと守らないで、その先のことをいろいろ考えて、いろいろな思惑の発言をしちゃうから、結局、後でつじつまが合わなくなるということです。

 そんな話を横で聞いていて思い出すのは、同じようなことは民主党政権になってたくさんあったなと。八ツ場ダムもそうだったし、普天間もそうですね。ですから、鳩山さんも前原さんも田中さんも、考えてみれば、全部、言うだけ何とかというようなゾーンに入っちゃう、そのように思います。だから、そこを改めない限り民主党政権は絶対苦しいと思います。

 田中と言われる大臣だけでも三人がおかしくなっちゃって、変なことになっちゃうと、めおとで辞任をするなんという、憲政史上始まって以来の事態も招くわけでしょう。もうこれはいいかげんにしませんか。

 そういうことですから、樽床大臣には、言っちゃったけれどもできないとか、できないことを言うとか、ぜひそういうことはないようにしていただきたいという思いも込めて、質問させていただきます。

 民主党のさきの衆議院選は、いろいろ検証もされて、ごめんなさいという謝罪もされながら進んでいますけれども、国家公務員の総人件費の二割削減という旗はまだあるんですか、ないんですか。

樽床国務大臣 今の御質問は、旗はあるのかないのかという御質問ですが、私は、党の方針としては、旗はまだあるという認識に立っております。

平井委員 ですから、要するに、この二割削減というのは次のマニフェストにも引き継いでいくというのが樽床大臣の感覚であり、そして、この二割削減という目標はやはり今でも堅持しているということですね。

樽床国務大臣 次のマニフェストについてどういうことを書かれるのかということは、今党の方で検討されていることだと思いますので、それが次のマニフェストに書かれるかどうかということにつきまして、私は承知をしておりません。

 ただ、今旗はあるかどうかというお尋ねですから、旗はまだ立っているということであります。

 それで、私の今の立場で申し上げるならば、旗が立っておりますので、それについて努力はしていく、努力はするというのが私の決意でありまして、その結果については、いつあるのかということを私は言う資格はありませんが、次の御判断いただく時期に、その結果を見て国民の皆さん方が御判断をされることだろうというふうに私は思っております。

平井委員 旗といえば、民主党さん、いっぱいいろいろな旗をつくられましたよ、ガソリン値下げ隊の旗とか。まだ倉庫にあるんですかね、そういう旗は。ですから、旗はいろいろ上げられているんだけれども、党としてやりたいことの優先順位とその覚悟というものをやはりはっきりさせないと、これから先は国民に信用されなくなってしまうと思います。

 今国会に公務員の退職金を見直す法案を提出しますよね。地方公務員の退職金について、その場合、どのように対応されるおつもりですか。

樽床国務大臣 委員も御存じのとおりでありますが、地方公務員の方の退職金については、我々が、国の方がどうのこうのと言うことが法的にはできないだろうというふうに思っておりますので、国と同じような改正を、国の法案を通していただいたらそれに準じて措置を行っていただきたいという要請を、まだ法案が出る前でありますが、閣議決定の段階でしておりますし、法案を成立させていただいたら、さらにそのような要請をしっかりとそれぞれの地方自治体の方にさせていただきたい、そのように思っております。

平井委員 確認の意味でもう一度お聞きしますが、要請するということはやってもらうということであって、退職金の引き下げについては地方公務員についても同様の措置をとるというふうに理解してよろしいですね。

樽床国務大臣 そのように要請させていただきたいと思っております。

平井委員 私、それは全く正しいと思います。やはり国家公務員と同様の措置をとるべきであります。

 では、それと比較して、給与改定特例法によって国家公務員の給与は平均七・八%カットされていますが、我々は、地方公務員の給与についても当然同様の措置を要請して引き下げてもらったらどうかという話をずっとしていました。そういう状況の中で、この給与特例法と地方の公務員の給与の関係等々については今どのように考えておられますか。

樽床国務大臣 政府として、また私どもが考えておりますのは、それぞれのことについては国の行動、判断を参考にしていただいて、基本的にはそれぞれの自治体がみずからお決めいただくことだということ以外はございません。

 それについていろいろ議論があることは承知をしております。ラスパイレス指数をどのように扱うのかという問題もこれあり、それから、地方自治体が過去十年、もっと言うと十五年近くにわたりまして、給与の削減、それでまた定員のカット、こういったことをかなりやってきていただいている。私が承知している範囲でも、この十年だけ見ても二兆円近いカットがなされております。一方で、国はこれまでほとんどゼロであったということであります。

 ですから、国は二年間に限って七・八、平均して七・八ということで皆さんの御協力もいただいて決めさせていただきましたが、簡単に言うと、一万メートルを走り終わった後にもう一回一万メートル走れということで、国の方はまだ走っていなくて、さあ、今から走ります、こういう状況ですから、いろいろこれから御議論もあろうかと思いますが、少なくともこれまで努力をしてこられたということはそれなりに評価をさせていただかないと私はいけないんではないか。そういう上に立って、ラスパイレス指数が厳密に較差を示す唯一の指標かというと、これもまたいろいろ御意見があろうかと思います。

 ですから、トータルなことで、私は、全体が国民の皆さん方に御批判をいただかないような方向に向かっていくべきだというふうには思っておりますが、基本的には地方自治体もこれまで大変な努力をしてこられている、そのことを、努力はそれなりに評価をさせていただいて、これから、千七百以上の自治体がありますので、それぞれの地域事情もあろうかと思いますので、その地域事情にのっとってまた努力をいただきたいと思っております。最終的には自治体の御判断でお決めいただきたいと思っております。

平井委員 大臣の方からラスパイレス指数についてお話しになったので、きょうは配付資料、これは財政審の資料ですけれども、ホームページから抜粋しましたので、お手元にあると思うから見ていただければと思います。

 ですから、かつて一一〇ぐらいあったものが苦労をして下がってきたわけですよ。一〇〇を切って九八とかそういうレベルになって、今回上がっているのは、財務省が言うところの一〇六・九というのは、給与特例法で七・八下げたからこうなるということです。これは、自治体の今までの努力とかそういう関係はなく、現時点で地方公務員の方が国家公務員より給料が高いという状況が二年間きっちり続きますよと。この二年間続くという状況がまずどうなんだということが一点です。

 この話になると、また前原さんあたりは、これはもういろいろな記者会見で、この七・八というのは二年間に限ったことじゃない、それから先だって、そんな上げられるとは思っていないということをちゃんと言っていますよ。これは新聞報道もされています。これは、国家の厳しい財政状況や復興財源ということを考えたら、そうです。

 あと、野田総理も予算委員会等々でいろいろなことを言われている中で、やはり復興財源なんかというのは公的セクター全体でという言い方をしているんです。そこには地方公務員も入っていますよということを言った上で、そうなることを願っているというような発言をずっとされていました。

 そういう状況の中で、ラスパイレスが一〇六・九の現状を、このままで国民が納得すると思われますか。

樽床国務大臣 この数字につきましては、私も、ある役所のある審議会から出てきたものだという認識をしておりますが、この指数、数字だけで全てを論じるというのは、まず、先ほどおっしゃったように二年間の時限であるということ、それから、二年後のことはまだ何も決まっていない。このことにつきましても国会の中で御判断をいただいて決めていただかなければならない問題でありますから、今そういうもろもろの仮定の上に立って議論をしていくのは適切でないというふうに思っております。

 押しなべて、このような給与、また、あえて言うと、少し言い過ぎかもわかりませんが、人件費ということを考えると、定数の問題もこれありということでありますが、まず、給与の額の問題につきましては、国家公務員、私は、ラスパイレスというのは、ある意味でいうと、おかしなことが行われているとするならば、それがかなり数字で出てきやすい、そういう物差しであると思っておりますが、この物差しも、これだけじゃなくて、ほかの物差しがいろいろ考えられる。また、それぞれの地域において国家公務員と地方公務員の差がどうなのかということもありますから、そういったトータルの判断の中でいろいろ決めていかなければならない。

 しかし、国民の皆さん方の率直な御意見というものは真摯に受けとめて対応していかなければならないというのは当然のことだというふうに思っておりますので、いろいろな意味で検討してまいりたいと思っております。

平井委員 これは誰が考えても、ラスパイレスは、要するに一〇〇を切るような事態には今ならないんですよ。国家公務員は下げたんですから。そうでしょう。だから、それまでは割と頑張ってきたものが、二年間限定というふうにおっしゃいましたけれども、この二年間においては明らかに地方公務員の方が給料が高いわけですよ。それはもう間違いないでしょう。それはお認めになりますでしょう。どうですか。

樽床国務大臣 先ほど言いました、全国広うございまして、それぞれの地域のいろいろな事情がありますから、平均的な一つの指標によればこういう数字が傾向としてあるということは承知をしておりますが、千七百を超える自治体、それぞれの事情がありますから、そういうものをしっかり勘案していきたい、このように思っております。

平井委員 いや、これは国民に対して納得する説明が要るんですよ。増税もしているし、我々も歳費をカットする。当然、国家公務員もカットした。それで、では、あとはどこがちゃんとできていないんだといったときに、やっているところもあるかもわかりませんが、ざっと見ただけだってやれていないところもたくさんあるはずなんです。そこはやはりきっちりやってもらわないと、国民の納得は得られません。もう絶対そうです。そういう意味で、これは財務省対総務省みたいな争いではなくて、これこそ国民目線で正しい解を得なければならないところなんですよね。

 私は、地方の財源をカットしろという話をしているわけではありません。もっと自由に使える財源が必要だというのはわかります。しかしながら、この公務員の話を、このいびつな状態を続けていたままでそれを突っ切ろうとしても、やはりおかしいという話になると思うんです。そういう問題意識はお持ちですか。

樽床国務大臣 ある意味でいうと、基本的な問題意識は私はそれなりに共有させていただいておるという認識を持っております。そして、それぞれの自治体におきまして、住民の皆さん方と非常に近いところで当然お仕事をされておられますから、自分たちの住んでいる市や町や村ですぐわかるわけであります。そういったことについて、私は、それぞれの地方の議会、そしてまたそれぞれの自治体の理事者の方々にさまざまな意見がそれぞれの地元から寄せられていることだろうというふうに思っております。

 我々国会に、また国におる者よりも、地方の行政に携わっておられる方の方が、より住民の方の意見を直接、ダイレクトに聞かれるというふうに思っておりますから、当然、一生懸命やっていただく自治体は、そういった住民の皆さん方の意見をしっかり踏まえて、これからさらなる努力をしていかれるだろう。これまでもしてこられたし、これからもされていくだろうというふうに思っております。

 ともかく、地域主権をしっかりと推進して、いろいろなことにおいて、こういった問題のみならず、地方のそれぞれの皆さん方が、住民の皆さん方が望んでおられることにできるだけ早く的確に対応できる国のあり方、地域主権の推進が必要だと思っております。

平井委員 今、地域主権という言葉は、今もお使いになっていましたけれども、あるのかどうかわかりませんが、結局、自主的に判断するといっても、やはり、今まで我々が、自公政権下のときは、人事院勧告による国家公務員の給与改定に伴って、地方団体に対して必要な措置をとるように要請してきたんですよね。ずっとやってきたわけです。野田総理も、やはり国家公務員、地方公務員、そして議員を含めて公的なセクターでしっかりサポートしていかなきゃいかぬとこの財源に関しては言われているんです。

 そういう思いを実現してあげるというのであれば、総務大臣として、今までの大臣がやってこれなくてもやらなければならないことがあるだろうということが一つ。

 それと同時に、地方公務員に協約締結権等々をお渡しになるというような法律も出されていますが、要するに、給与がこんなような状況でそんな法律も同時に出すというのはいかがなものかなというふうに思いますよ。これはやはり、物事は一つずつ確実に前に進めるように決めていかないと、いろいろなものを同時にテーブルに上げちゃうから、思惑でいろいろな判断があって、結局何をやりたかったのかわからないような結果になってしまうというのが今までの民主党です。

 そのあたりをぜひ注意していただきたいというふうに思いますし、これからやはり税制の問題にもいろいろ絡んできますよね。自動車重量税や取得税の話や、また、消費税を上げるときに税の抜本改革の話も当然出てきます。そういう話と、きょう今しているような話が全く無関係ではないんですよ。

 そのあたりのところもきっちりとした方向性を出すためには、聖域をつくっちゃだめだ。選挙が近いから組合に遠慮してなんということじゃだめだ。退職金の方は地方に要請するわけですよ。そうしたら、結局この給与の方はそのままほっておくという理屈は、暫定措置だからという理屈でほっておくんだと思うけれども、では、国家公務員の立場から見たら、何で我々二年間だけ、我々だけがかぶるんだと。これは、国家公務員の労働組合は弱いからかどうなのか知りませんが、それはやはり誰が考えたって、全体としてフェアじゃないんですよ。そのあたりのところをぜひお考えいただきたいというふうに思っております。

 きょうは、総務大臣というのは所管が広いので大変だと思うので、どのあたりまでこの短時間でレクを受けておられるかわかりませんけれども。政府からもCIOの方等々に来ていただいておりますので、まず、政府CIOについてお話をさせていただこうと思います。

 私は、政府CIOに関しては、民主党政権が発足してから、早くちゃんと置いてくださいということをずっと言っています。これは内閣委員会でもずっと私は言っていましたし、初代IT担当大臣は菅さんだったと思うんですが、今十人目ぐらいですよね、どなたかがなっていると思います。もう十一人目、十六人目、まあ、よくわかりません。

 結局、CIOの話をずっとしていたんですが、まず樽床大臣にお聞きしたいのは、そんな答弁書が要るような難しい話ではなくて、そもそもCIOとは何で、政府CIOとは一体何ですか。

樽床国務大臣 私はちょっと英語に弱いのですが、基本的に、セキュリティーについてしっかりとセンターをつくってやっていかなければならないということの、平井先生からの御指摘の単語ではないか、間違いがあったらごめんなさいですが、私はそのように認識をしております。

平井委員 私はいじめるつもりはないので、突っ込みませんが。

 それでは、政府CIOに任命されております遠藤さんに、まず政府CIOとして自分の抱負みたいなものを短時間にお話しいただけますか。

遠藤政府参考人 今御指名いただきました遠藤でございます。このような席において私の抱負が述べられる、大変幸せなことだなというふうに思っています。

 政府CIOなんですが、基本的には、各省庁には御承知のとおりCIOがいらっしゃいます。しかし、政府全体を束ねるという意味からいうと、いろいろな本部とか組織とかあるんですが、一つにまとめるべきところではなかなかワークしていない、働いていないというような実績が今までありまして、これを何とかせにゃいかぬというのが一つの大きな政府CIO設置の目的であるという認識をしております。

 したがって、各省庁がやっていらっしゃることについてはできるだけ補佐に回り、そして、政府全体として、国としてやらなきゃいけないと思われるようなことについては、できるだけいろいろな形で参画をさせていただきたい、このように考えております。それに必要な機能とか権限とかいうものは、今現在いろいろなところと相談をしながら案を練っているというところであります。

平井委員 やっとの思いで任命された政府CIOですけれども、三年間なかなか前に置かなかった。

 ITの担当というのがこの国では一体誰だかよくわからないという状況がずっと続いていたわけですよ。IT本部とかいろいろあったり、官房があったり。一方で、大臣、先にセキュリティーの話をすると思って勘違いされたんだと思いますけれども、NISCがあったり、そういうものがあるわけです。

 結局、権限と責任が全く明確になっていない。例えば、今、遠藤さんが政府CIOとして謙虚にお話しされましたけれども、権能といいますか、権限と責任は法律で担保されていないんですよね。したがって、非常勤で、予算も非常に少ない。それで何をやれと言うんだという思いは内心あるはずだと思います。やはり、そういうところをちゃんとしていかなきゃいけないんですよね。

 政府のCIOの権限等々に関して法制化というのは、我々、現場でもずっと話し合ってきたことで、当然そういう方向になると思うんですが、これから考えなきゃいけないのは、総務省、IT戦略本部、内閣官房IT室、内閣の情報セキュリティセンター、それと政府CIO、各省CIO、このあたりがどのような形で連携していくか。こういうものが連携していると、この間のような、例えば警察の誤認逮捕みたいなことも実は起きにくい構造をつくれたんですよ。各省がばらばらであるという意味で、いろいろな問題が起きてしまった。

 そこで、政府CIOというものは、やはり責任者。アメリカでもいろいろな立場で、CIOというのは七〇年代からいろいろな権能を与えたり、また細分化されたり、CTOとかCSOとかCKOとか、余り言うともっとわからなくなりますが、つまり、責任者という形でいろいろな権限等々を与えて改革を行ってきたんですね。例えば、調達の分野もそうです。やはりばらばらに調達するよりも一括調達した方が当然効率性もいいし、そういう予算の管理の問題も出てきます。そういうことを考えると、この話は非常に重要なんですよね。

 そういう意味で、私の今の話を聞いた上で、総務大臣として政府CIOというものを今後どのようにお考えですか。

加賀谷大臣政務官 担当しております加賀谷でございます。私の方から少しお答えをさせていただきたいと思います。

 今、遠藤CIOの方から、CIOについてお話をされました。私も英語は弱いんですけれども、チーフ・インフォメーション・オフィサーという略でございまして、今、日本の中で政府で行われているいろいろなシステムそのものを全体的に見直していこう。そして、ITを活用して国民の利便性の向上や、今、平井先生がおっしゃられましたまさに行政コストを削減していくということで、八月十日に設置をさせていただいたところでございます。

 今その位置づけの御質問でございますけれども、位置づけと権限につきましては、今法制化をするということで準備をいたしているところでございます。当面、内閣官房に設置してあります、「政府CIO制度の推進体制について」に基づいて、内閣官房の総合調整機能により職務を遂行していただいているところでございます。

 なお、IT戦略本部及び行革の実行本部の本部長というのは総理大臣でございますし、本部員というのは各大臣でございますので、まさに国を挙げてこの問題に取り組みをしていこうというところでございます。

 あと、権限とその位置づけについて法制化をどう考えているかということでございますけれども、現在、検討をしているところでございまして、できるだけCIOの役割というのを明確にいたしまして、まさに遠藤CIOが働けるような、大変重要なポストを担っていただくわけでございますので、そういう位置づけをつけられるような、そういう法制化を求めていきたい、こんなふうに考えているところでございます。

平井委員 せっかく前向きな答弁があったので、遠藤さんにもう一言だけ聞いておきますが、今の話を受けて、仕事をする上でどういう権限が自分としては必要だとお考えですか。

遠藤政府参考人 歯切れのいいお答えができないんですけれども、今まだ三カ月、もう三カ月と言うべきか、たったところでありますけれども、現在、私の手元には三十八人ほどの人間が各省庁から派遣されてきております。それだけの人間が短期間の間に集まったということは大変珍しいことのようでございます。したがって、各省庁が本腰を入れてサポートしてくれそうだということを踏まえながら、私、ちょっとお話をしたいと思います。

 法に書かれた権能というか職能とかですね、権限も非常に大事です。ですから、これは今先生がおっしゃったように、いろいろな方の意見を吸収しながら、きちっとしたものにまとめていく作業をやっている最中でありますけれども、実際は、人間が今考えていることを前提にしたものを幾ら書いておいても、これから起こってくることが随分あるわけですね。予測もできないようなことが起こってくる。それに対していち早く適切な対応ができるのは、やはり現場にいるいろいろな人たちがそれなりの自意識をきちっと持っているということが非常に重要であろうというふうに、私は、民間で仕事をしていた間に感じております。

 そういう場合に、今政府の中にそういう前向きの、そしてチャレンジ精神の旺盛な人たちがどれだけいるのかというと、もうこの三カ月の間にいろいろなヒアリングをしたり、いろいろな事例を見ておりますが、残念ながら、まあ大変だなと。

 引き受けた結果がこういうことで、ここから始めなきゃいかぬということで、権限になるのかどうかわかりませんが、幸い、先ほど申しましたように、各省庁からいろいろな人が見えていますので、そういう方を一つの糸口にしながら、各省庁で御自分のやっていることをもう一度よく見直していただくような方向に進められるように後押しをしていきたい。調べた中では大変よいことをされている例が各省庁あります。ですから、そういうものをどんどんもっと展開するような後押しができるような権限がいただけると大変ありがたいなというふうに思います。

 それからもう一つは、我々民間ではよくやっていたことなんですが、一度に大きな投資をするのではなくて、少しやってみる。トライアル、試行をしてみる。その結果を見ながら、もちろんその中にはうまくいくケースとうまくいかないケースがありますが、その二つ、両方を糧にして次の展開に進める。こういうことが当然やられてきているわけなんです。それが実は不測の事故や何かを防ぐために非常に役に立っていますので、何かそういう予算措置でもできればいいなというふうに思っていますので、これは今までの制度にはなじまないことかもしれませんけれども、そんなことが要求できるというか、そういう権限があると大変仕事が進めやすくなるのではないかというふうに今考えております。

平井委員 これはやはり元民間の経営者の方らしい発言だったと思いますが、やはり結果を出すためには何が必要かということを考えると、今のような発言になると思います。その中のキーワードというのは、幾つかの成功事例を横展開できるようなことができないかというようなことと、予算の要求段階で自分たちの思いがそこに込められるようにきっちりできないかというような趣旨と我々が受けとめなきゃいけないんだなというふうに思いました。

 こういうのは与党も野党も関係ないでしょう。どっちみち国がちゃんとやらなきゃいけない話なので、CIOというものをちゃんと置く以上、形だけの、要するに名誉職みたいなものにするのではなくて、きっちりとした責任と権限を与えて国全体のITというものをもう一回リスタートさせるような、そんなようなインパクトを持たせたものにしないといけないと思うんですが、大臣、いかがですか。

樽床国務大臣 今、与野党関係ない、こういうお言葉がありました。まさにそうだと思っております。

 この分野は昔はなかった行政分野。どんどん時代の技術の進歩とともに大変重要な分野になっていった。ゆえに、いろいろなところにタコ足のように行ってしまっているという弊害は以前から感じておりましたので、きょうのような御意見をしっかり承りながら、与野党を超えて取り組みができる方向に向けて努力をしてまいりたい、このように思っております。

加賀谷大臣政務官 今、遠藤CIOから決意が述べられましたけれども、まさに私ども、CIOが十分に仕事をできるような体制をつくっていかなければならない、こんなふうに思っております。

 当面は、IT室とCIO室が人事の関係では併任の辞令を発令させていただいて、一体になって進めるようにしておりますけれども、できる限り早期に法案をCIOとも相談しながらつくってまいりたい、このように考えております。

平井委員 きょうは藤末さんも来られているけれども、わかっている方は民主党の中にも何人もいらっしゃるわけで、結局、わかっているけれどもできていないんですよ。三年間ほったらかしにして、今のような事態になっちゃっているわけです。そういう中でシステム開発なんかも滞っているし、要するに、行政サービスの向上みたいなものに余りプラスになっていない面も多い。

 その中で遠藤さんが登場したというのは、もう一つの意味があって、今度やろうとしているマイナンバー、番号制度を導入するときには、要するに、これは全省庁にまたがる話でもあり、一つの役所が発注して、失敗した、ごめんなさいでは済まないから、政府全体としてちゃんとシステム開発の段階から責任を持たせたいという思いも込めたCIOの設置だと思うんですが、それでよろしいわけですよね。

加賀谷大臣政務官 はい、おっしゃるとおりでございまして、今システムそのものを全体的に棚卸しをやった結果、千五百ぐらいのシステムが動いているというようなことで、いろいろなシステムをできる限り統合をして、ベースになるようなものをつくっていくというのも思いでございますし、また、各省にCIO補佐官というのが今いるわけですけれども、ここもCIOの下に入れて、そういう問題も含めて全体的に国として見られるようなそういう体制をつくっていく、こういう思いをしていることは事実でございますので、その辺も反映をさせていけるようにしたいと思っています。

平井委員 もうちょっと勉強しておいてほしいのは、要するに、マイナンバー法案はここで出てくるわけじゃない、こっちにはLASDECの方の法案が出てくるわけだけれども、マイナンバー法案をもし通したいとお考えであれば、さっき言ったところは法律上明確に書いておかないと通りませんよというのは言い続けています。ですから、要するに、遠藤さんもしくは政府の責任者の方々がそのシステム開発に対してちゃんと物申せるようなことを担保しておかないと、役所の暴走は許さないということを入れるというような法改正の要請はずっとやっていたんですよね。

 ですから、そういうこともあるということを、我々の考えている考え方の根本にあるものを十分にお勉強しておいてほしいというふうに思っています。

 セキュリティーの話は今回はちょっと飛ばします。

 番号の話ですけれども、これも各大臣に今までずっと聞いてきたことなので聞きますが、民主党が野党時代に四度にわたって住基ネットの廃止法案を提出しているんですが、樽床大臣、ずっと賛成だったんですね、廃止法案に。それは何でですか。

樽床国務大臣 今から十三年ほど前のことだと思いますが、当時私どもも野党でございまして、住基ネットについての、そのときからして先の見通しがまだはっきり見えないというようないろいろな声があって、党の中でそういった問題をクリアにさせなければいけないという形で、廃止法案が検討されたということではなかったかというふうに思っております。

 そういう中で、それならばということで世論喚起をするその末端に加わったのではないかというふうに記憶をたどっております。

平井委員 もう時間がないので、私が全部総括しますと、反対だ、反対だと当時みんな言っていたんですよね。結局、今回は、そのとき反対した番号をもとに新しい番号をつくるということになってしまって、反対だと言っていたことは、あれは間違いだったと皆さん認めているんです。ですから、そういう流れで今後御答弁なさった方がすっきりしますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それと、きょうはNHKさんにも来ていただいているんですが、スカイツリー移転の電波障害に関して、関東一円で十六万世帯ということが報道されて、私びっくりしたんですよ。物すごい時間をかけていろいろなことを検証してきて、私なんか、この地デジの話は、ブースター障害とか、そういうのはいろいろな雑誌にもずっと書かせていただきましたし、ビル陰とか、全部、もう全てわかっていて今回やっていたにもかかわらず、何で急に、ここになって十六万世帯が見えなくなるというようなことになっているんですが、これは総務大臣、そしてNHK両方から、まず、電波行政の問題ということで大臣、そして、どうしてそうなったかということをNHKにお聞きしたいと思います。

久保田参考人 スカイツリーへ移転した場合ですけれども、ほとんどの視聴者の皆様には移転しても問題なくデジタル放送をそのまま受信していただけるんですけれども、一部の世帯で受信の障害が発生する可能性はございます。

 それで、スカイツリーへの移転の前に、NHKと在京民放五社で共同で試験電波を出して、影響のある世帯から連絡をいただいて対策を実施してまいります。これを繰り返すことで、影響世帯を限りなく少なくして移転することになります。

 影響世帯の規模でありますけれども、この対策を順次実施していくことによってその過程で詳細なデータが得られますので、現時点で正確な数を申し上げることはなかなか難しいのでありますが、いずれにいたしましても、視聴者の皆様に御迷惑をおかけすることのないように、十分な対策を施して移転していきたいというふうに考えております。

樽床国務大臣 今NHKの方からお話がありましたが、要は、東京タワーからスカイツリーに行く、そのときに電波の来る方向が変わる地域がある。であるならば、アンテナの方向を新しく来る方向に向け直さなければならないということは当初から想定をされておりまして、ですから、許可の変更のときに、そういう対策はやってくださいねということでNHK、民放と合意をしております。

 ですから、そういうのは必ずアンテナ調整が要るので、先ほどおっしゃった試験のことをやりながら、ここはこういうことでしたねということでどんどん試験を繰り返して、アンテナ調整がまだ必要な人の数をどんどん減らしていって、最終的には全てが問題なくするという方向に向けて、放送会社としっかり連携をして、進捗状況を把握しながら適切に対応していきたい、こういう方針であります。

平井委員 時間がないので、もうこれ以上質問できないのでこれでやめますが、このスカイツリーの問題に関して言うと、NHKの技研さんは、東京タワーにアンテナを向けている御家庭の施設でもアンテナの方向を変えなくても受信できる見込みだということを一回言っちゃったんですよね。でも、実際やってみたらそうじゃなかった、そうじゃない家庭もたくさんあったということですから、ここはもっと丁寧にやってもらわなきゃいけない。

 それと、試験電波、試験電波というけれども、試験電波を流されていることをみんな知らないですよ。夜中に流しているんでしょう。ちゃんと流しているなら流しているでもっと言わないと、これは不親切だと思います。

 これは各放送局がそういうことにちゃんと対応するにせよ、所管する総務大臣の責任は大きいですから頑張ってください。(樽床国務大臣「いいですか」と呼ぶ)はい。

小宮山委員長 時間が来ていますので、手短にお願いします。

樽床国務大臣 激励いただきまして、ありがとうございます。私の方も、夜じゃなくて昼間、障害を与えないような時間帯をしっかり選んでやっていくように、せんだって、指示というわけじゃない、役所の中ではいろいろ指導をさせていただいております。平井先生の御指導をいただきながらやってまいりますので、よろしくお願いいたします。

平井委員 終わります。

小宮山委員長 時間が押していますので、速やかに交代をしてください。

 次に、斎藤やすのりさん。

斎藤(や)委員 国民の生活が第一・新党きづなの斎藤やすのりと申します。

 質問通告と順番がちょっと違うんですが、初めに郵政のことを聞かせてください。

 郵政民営化改正法案が先月から施行されました。

 郵便局長の方から聞きますと、本当に経営が厳しいという話を皆さんされています。東北地方では多くが赤字になっている、ユニバーサルサービスを維持するためのユニバーサルコストがかさんでいる、それから今後は消費税も心配であるという話をされていました。今は四百八十億円消費税を納めていますけれども、これが一〇%になれば単純に倍になるという話で、経営がさらに厳しくなってくる、そういう話でございます。

 これを解消するのがやはり新規事業の参入だと思うんですけれども、例えば、学資保険の商品内容を変えるとか、それから住宅ローンなどの個人融資の業務、がん保険の新規参入などです。

 下地大臣にちょっとお聞きしたいんです。このユニバーサルサービスの維持をどう考えていらっしゃるのか、消費税の負担の軽減措置をどう求めていくのか、それから新規参入事業についてどういったメニューを考えていらっしゃるのかというのをちょっとお聞きしたいと思います。

下地国務大臣 会社の経営において私たちが会社の方に申し上げていることは、法律の中にユニバーサルサービスをしっかりと今度書き込みましたから、ユニバーサルサービスをしっかりとやることで局長の皆さんのモチベーションを上げる、そのことによって経営改善する、まずこれを一点やってくださいと。

 その後、二つ目に、新規事業ということについてもしっかりとやらなければいけない。今申請をしているのが、学資保険の問題、それと住宅ローンの問題、貸し付けの問題、三つについて申請を出させていただいていますから、この申請については西室委員長のところでしっかりと審議をしていただく。この新規事業というのは、会社の経営の改善には十分に、経営効率化のためには必要だと思っていますから、そのこともやっていきたい。

 三点目に、それでも厳しいところがあるならば、効率化というものを徹底的にどういうふうにやっていくかということもやらなければいけないだろう。

 四点目には、今までの郵政の役割だけではなくて、今度はパスポートを再発行できないかとか、さまざまな新たな仕事が郵政において国のサービスの中でできないか。

 こういう四点を丁寧に進めながら、その全体的な経営改善を図っていこうというようなことを今取り組ませていただいております。

斎藤(や)委員 今の大臣の答弁、局長の皆さんは大変心強く思ったと思います。

 やはり私は、この郵便局というのは、日本人の持ちつ持たれつとかそれから支え合い、こういう精神に基づいている、日本人のDNAに基づいた団体だと思っているので、これは守らなければいけない。ただ、やはり今言ったように、非常に経営が厳しくなっているので、どうしてもこの新規業務の参入というのをやらせてほしいという方が、皆さん言っておられます。

 ちょっと心配なことがあります。それは何かといいますと、十月二十九日に下地大臣がルース駐日大使と会談をされたと思います。そこで新規の事業参入についてルースさんからクレームがついたという話が報道機関から出されております。このクレームについての具体的な内容を教えていただけないでしょうか。

下地国務大臣 十月の二十九日にルース大使とお会いしましたけれども、ルース大使の話は、この郵政というのは株式を国が持たれている、株式は持っていて安定した経営ができるような環境にあるので、民間の企業との競争においては不公平感があるのではないか、そういう中で、今一〇〇%株を持っている段階で郵政が新規事業をやることは私どもは認められないというようなことを申しておりまして、がん保険もだめだ、その他のものについてもやるべきではない、そういう話がありました。これは事実であります。

 そのことについて、私の方からルース大使には、私たちは四月の段階で法律を通しました、国会議員の九五%の方が賛成してこの法律が通って、この法律の中には、新規事業に対して、郵政が委員会に対して要求ができる、権利があるんです、そういうふうな権利があるということをぜひ大使も御理解いただきたい、しかし、権利があるからといって全部を要求するわけではありません、段階的にはやっていきますけれども、ただ、皆さんが言っているような、あれもだめだ、これもだめだというようなことでは私どもの郵政が、経営改善は簡単にはできませんと。

 こういうふうな郵政の今の環境についても、クレームもありましたけれども、私の方からも説明をしておきました。

斎藤(や)委員 ありがとうございます。

 国内法できちんとユニバーサルサービスをやらなければいけないので、新規事業も参入しなければいけないということをおっしゃったと思うんですが、一方で、TPPの交渉の妨げになるのではないか、そういう報道も出ております。懸念があるということをルースさんはおっしゃっております。これについてはどういうふうにお考えでしょうか。

下地国務大臣 ルース大使は、TPPについて、郵政は議題になるだろうというような認識を示しましたけれども、私は、もしそれが議題になれば、その場所で堂々と話をしていきたい。私たち、総理も所信表明の中で申し上げているのは、国益を守りながらやっていくということを所信表明でも申し上げていますから、この国益という概念からすると、法律の中にユニバーサルサービスを書いた以上は、このユニバーサルサービスを守るということも大きな国益になると思っていますから、ルース大使が言っている、TPPの中で論議があったにしても、しっかりと国益の観点から協議をしていきたいというふうに思っています。

斎藤(や)委員 私が懸念しているのは、私も同じ考えなんです、国内法で守られているんだからユニバーサルサービスは維持しなければいけないというふうなことなんですけれども、ただ一方では、TPPには下地大臣御存じのようにISD条項というものが入っていて、これは、国外の資本家が国内の制度、法律が競争障壁になっていると判断した場合に世界銀行傘下の司法機関に訴訟することができる、いわゆるISD条項。

 つまり、これがどういうことかというと、米国の保険会社が日本政府を訴えることができる、そういう条項も入っていて、いわばこれはポリシーロンダリングというか、国内法よりも海外の条約が上に行って、それが有効になってしまうというようなことが起こり得るのではないかと思うんですが、それについてはどうでしょうか。

下地国務大臣 これは、TPPの協議が成立した後にそういう条項がおのずと出てくると思いますけれども、私の今の段階では、TPPの協議はまだ、特に郵政の話についてアメリカ側から、何かアメリカの保険会社が条件を出してきているとか、今そういう現状じゃありませんので、そのことについては申し上げられませんけれども、ただ、先ほど言った国益を守るという観点は、強い信念を持って政府としては取り組んでいきたいというふうに思っています。

斎藤(や)委員 ということは、こういうリスクはあるけれども、交渉の中でそれをかち取っていく、つまりはTPP交渉参加には賛成ということですか。

下地国務大臣 野田総理は、今の段階ではTPP交渉の協議を行うかどうかの協議をしているというようなことでありますから、政府方針としては協議をしていくということなので、私も政府の一員としてはそれは見守っていきたい。

 しかし、総理が所信表明でも言っているような国益を守るという観点というのは、総理もしっかりと認識なされていますから、その観点を全部失ってTPPの協議をするということではない。政府は、そういう考えではなくて、ちゃんと国益を守りながらやるんだということは交渉の中でも強く出していくべきだと私は思っています。

斎藤(や)委員 今回、USTRのカトラー通商代表補佐が、TPPは米韓FTAよりもハイレベルになるというふうに言っています。

 郵政分野に関して、米韓FTAの決定事項ということを下地大臣御存じでしょうか。

下地国務大臣 これについては、私の方でも先ほど勉強もさせていただきまして、韓国側にとっては非常に厳しい内容のものになっているという認識は持っております。

 しかしながら、韓国の国営化された郵便局とかんぽ生命と今の立場が一緒じゃないという観点と、韓国がこの交渉の中で郵政事業をどういう位置づけにして、あとの自動車とか電化製品とかそういうふうなものの交渉との駆け引きにしたかというところも大きなポイントになると思うんですよね、協議の過程の中で。

 私が見ている範囲では、郵政においては他の業種とある意味協議の取引をするような観点にはならないし、こういう韓国が結んだような条件に日本側が郵政を決定していくことにはならないのではないかというふうに思っております。

 これからの協議次第ですけれども、私が何度も申し上げます国益の観点に郵政は大きな役割を担っていると思っていますから、韓国の今の郵政事業のFTAにおける決定事項のようなことにはならないようにしていきたいというふうに思っています。

斎藤(や)委員 ただ、米国側からは、懸念事項として牛肉と自動車とそしてこの郵政が挙がっているということは事実ですし、そこを狙っているというのは私は確実だと思っています。

 ちなみに、米韓FTAの中での郵政分野のことなんですが、韓国郵政は、保険の新商品の販売が禁止、韓国郵政の国際郵便、EMSの独占を禁止、それから保険業務を政府の金融監督委員会の規制下に置く、同種の民間保険と同一のルールを適用するということが決まってしまった。

 同じように、これは日米の経済障壁の中でもずっと米国側が日本に対して求めてきたことですから、恐らくTPP交渉の中でも強く求めてくる事項だというふうに思います。これをブロックできるのか。交渉の中でブロックすればいいという話ですが、私は大変リスクがあると思います。できるならば、私は、やはり交渉には参加するべきではない、表明するべきではないと思います。

 報道によりますと、十一月十八日のカンボジアのASEANでオバマさんが野田総理と会談をする予定であるということがけさのニュース配信でありましたけれども、これは、内閣の中で、閣議の中で、この交渉参加表明に関して何か議論をされているということはございますでしょうか。

下地国務大臣 内閣の閣議の中でも総理からも、TPPに対して、近々参加表明をするということは全く聞いておりません。

斎藤(や)委員 国民もほとんどTPPの中身については知らされていない。開国フォーラムをやりましたとかウエブサイトで情報を公開しましたといっても、国民的議論というのは煮詰まっていませんので、交渉参加表明というのは、十八日にやるというのは拙速だと思います。これはちょっと言いにくいですけれども、こういうことをした場合に、やはり民主党、御党からまた離党者が出るということも十分考えられますので、そういった観点から見ても、この交渉参加表明というのはやっていただきたくないというふうに強く訴えていきたいと思っております。

 話をかえます。がらっとかえますが、被災地のことについてお聞きします。

 今、私の住む仙台では、被災者格差というのが大変問題になっています。同じ津波をかぶって同じように家もなくなっているのに、支援が道路を挟んで東側は出る、西側は出ない、そんなことが起きています。

 道路の東側に仙台市若林区の種次という集落があります。行政からは、道路をかさ上げするから津波は来ないから大丈夫だ。ただ、そこに住んでいる方からすれば、防潮林も全部流されちゃいました、それから、海の波の音が今まで聞こえなかったのが聞こえるようになった、地盤沈下もしている、津波への恐怖感がある、かさ上げ工事もいつ終わるかわからない、そんな中で、どうぞ勝手に、住みたければ住んでくださいというふうに言われても、怖くて住めないです、今の現状では。そういう方が結構おります。

 そういう集落の中で、五世帯ぐらいで集まって、地区内の、海からちょっと離れた安全なところに、これはコミュニティー維持のために集団移転をしたいというふうに仙台市に言ったら、どうぞ、認めますよ、でも、土地の造成から下水道の埋設から全部自分たちでやってくれという答えが返ってきました。

 土地、家の購入は仙台市が独自支援で利子分だけ補助する、援助するということなんですけれども、家、土地の購入、それから土地の造成、下水などのインフラ、普通に家を建てる以上に、一千万円以上コストがかかると思うんです、余計コストがかかる。しかも、このエリアの方というのは高齢者が多いですから、ただでさえローンが組めない方が多いんです。津波に遭って同じように家を失ったのに、支援に天と地の差がある。

 被災者の方が仙台市に、何で支援がないんですかと聞いたら、財源がないんですというふうに仙台市ははっきりと言いました。今回、復興交付金、自由に使える、それから使い勝手がいいというふれ込みでスタートしました。でも、あけてみたら、四十のメニューに限られています。集団移転が入っていますけれども、移転対象外になった住民が引っ越す場合は使えません。使い勝手が非常に悪いです。

 被災地と一くくりで表現されていますけれども、黄川田副大臣、よくわかっていらっしゃるように、場所によって、産業構造とかそれから集落の歴史、文化、当然その地勢的なものがもう本当にまちまちです。それを東京で一くくりで、四十事業でグリップしようとしても、やはりなかなかそれはできないわけです。だから、住民のニーズとかけ離れるし、不満がたまるし、復興が進まない。

 もっと復興交付金の使い勝手をよくすることができないか、もっと弾力的に使うことができないか。私は、制度のたてつけを根本から変えるべきだと思うんです。被災地の黄川田副大臣、よくわかっていらっしゃると思いますが、それについてどういう見解でしょうか。教えてください。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 まずもって、復興交付金でありますけれども、自治体の復興計画の、まちづくりに対応するということで、昨年の十二月、第三次補正予算において創設されました。

 三つありまして、復興交付金、これは基幹事業といいますか、各省庁のそれぞれメニューを取り出して、四十事業である。これだけで本当に復興ができるのかということで、さらに市町村ごとの、やはり顔が見えるまちづくりだということの中で、関連事業、効果促進事業ということで、これも仕組みをつくった。もっと言えば、制度に乗った形のもので全てが完成すればいいのでありますけれども、これまでの制度から外れているところをどうするかということで、取り崩し型の基金もつくった。

 もちろん、当初、復興交付金も、使い勝手が悪いというよりも、これまでの補助金のような仕組み、申請するといったって大変だ、そういうものの簡素化であるとか、あるいはまた、どんどん交付されるけれども、事業を繰り越したらどうしていくんだということで、基金の設置でもって弾力的な運用とか、さまざま現地の自治体の意見を聞きながら、できるだけ丁寧に、自治体の意見に沿ってやってきたところであります。

 しかしながら、現実に、被災地に行きますと、防集に網がかかった、かからない。あるいはまた、漁集にかかった、かからない。特に、土地区画整理という二十年、三十年ぐらいかかる事業を、一気に二年、三年でやれということは本当に大きな課題であります。網にかかった人でさえも大変でございます。いわんや、網にかからない、網にかからないといいますか区域指定から外れている方々等々がおることは現実であります。

 それから、例えば、取り崩しの基金を使いながらも、それぞれ自由度が高く、裁量権の発揮できるところなのでありますけれども、仙台市はこうなのにうちはどうなんだとか、岩手でもありますけれども、だから、そういうところをさまざま考えると、措置した財源は本当に十分なのかというところがあると思います。多分、仙台市も、財源がないから対応できませんというふうな紋切り型といいますか、紋切り型という言い方はちょっと言い過ぎですね、いずれ財布の中にお金が入っていないとできないということでありますので、十九兆円ということで、集中復興五年間ということでやっておりますけれども、復旧から復興に変わる段階において、新たな課題がさまざま出てきていることは承知しております。丁寧に皆さんのお話を聞きながら、そして必要となる基幹事業があるのであれば検討していかなきゃいけないと思います。

 それから、基幹事業だけじゃなくて、支える全体の仕組み。特に、私なんかは思うのでありますけれども、取り崩し型の基金ですか、それでもって、自治体によっては足らざる金額となるかもしれませんが、そういう基金を使って、できるだけ集落が一体となって再生するようにというふうな形で首長さんは多分知恵を絞っております。

 それから、結びでありますけれども、自治体の知恵だけじゃなくて、国、県、市町村、それぞれ事業ごとに相談にも乗っておりますし、それから相談する中で新たな予算措置というのも聞いておりますので、今後ともきめ細かく対応していきたいと思います。

 以上であります。

斎藤(や)委員 黄川田副大臣御自身が被災者でございますので、制度の矛盾というのは一番よくわかっていらっしゃると思います。被災者としての声を国政に反映するように、ぜひよろしくお願いいたします。

 制度から取りこぼされた方々、例えば宅地災害だとか集団移転だとか、それから中小企業のグループ補助金、こぼれ落ちた方は、復興予算が無駄に使われているじゃないかと皆さん怒っているんです。すごく矛盾で理不尽なことが起きています。

 ですから、本当に被災者に寄り添うということを野田総理はおっしゃっているのであれば、ここはもっともっと弾力的にお願いしたいというふうに思います。被災者の方は、何でもかんでも面倒見てくれと言っているわけじゃなくて、生活の自立のところまで何とか後押ししてくれ、マイナスのところをゼロにまでせめて後押ししてくれということを言っているんです。そこをぜひ理解していただければというふうに思います。

 復興のおくれなんですが、先ほど樽床大臣が答弁の中で、マンパワーの不足が一番復興をおくらせているんじゃないかというふうにおっしゃっておりましたが、まさにおっしゃるとおりで、そこがボトルネックなんです。

 先ほど言った復興交付金の執行率を見てみますと、岩手県の洋野町が一一%、福島の双葉町が六%。特に業務が滞っているのが、道路とか公共施設の復旧、生活基盤の再建に必要な公共事業、ここの業務が滞っております。

 宮城県の山元町齋藤町長がこういうことを言っておりました。今、五十人以上の職員の派遣を受けていますけれども、まだまだ全然足りません、町の予算が震災前の十倍近くふえている中で、職員は震災前に比べて約一・三倍です、財政支援はあっても、その資金を円滑に利用する体制が整っていないのが最大の課題ですということなんです。

 被災五十八市町村の土木担当職員は、震災前の二千九百六十八人から二百八人ふえました。約一割弱ふえましたけれども、先ほども言ったように、公共事業の規模は震災前の十倍から、自治体によっては二十倍です。ですから、圧倒的に足りません。予算の執行率が低い理由として、生コンが足りないとか、アスファルトの資材が不足している、それから作業員の人件費が高騰しているという面がありますけれども、会計検査院も円滑な復興のためには人的支援が重要と分析しているように、つまりマンパワー不足というのが最大の復興のネックになっているということなんです。

 これに対して、先ほど、マンパワー不足ということを認識されているということなんですが、具体的にこのマンパワー不足を解消するために国として何をするべきか、何をやるのかというのをぜひ教えていただきたいと思います。

樽床国務大臣 先ほども少し申し上げさせていただきましたが、全国の市町村、都道府県にいろいろな形で御支援をお願いして、一生懸命やらせていただいております。マッチングという表現がよく使われますが、そういったこともこれからも一生懸命やりながら、このように思っております。

 各役所からも、霞が関の中からも派遣もさせていただいたり、いろいろ一生懸命させていただいておりますが、それではまだまだ足らないと。今おっしゃったように、十倍の作業量が発生をして、しかし一・数倍の職員の増でできるのかと言われれば、私ども、もう言う言葉がない、こういう現状であろうと思います。

 そういう状況をしっかり認識しながら、しかし一方で、これは財源の、人件費をどうするかという問題、それから、そういった土木を含めて、しっかりそういうことができる人材も数に限りあるということでありますから、そういう中で一生懸命頑張っていきたいと考えております。

 また、それぞれの被災自治体においても、みずから任期つきで採用を行ったり、いろいろな努力をされておられるところもたくさんあります。しっかりとした助言もさせていただきながら、できることは全力で取り組んでまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、逢坂委員長代理着席〕

斎藤(や)委員 特に、今被災地の声で大きいのが、専門性の高い職員を短期ではなくて長期間にわたって派遣してほしいというニーズがあるんですね。

 実は、短期で派遣されていた方はどういうことが起きるのかというと、期間内で結果を出さなければいけないというプレッシャーがあって、結構潰されてしまう方もいるんです。心が折れちゃうんです。実際、盛岡の職員の方が陸前高田に派遣されて、みずから命を絶ってしまったということもありました。

 被災地の声を、きちんともう既に聞かれていると思いますけれども、まだやはり足りないということが現実ですので、ぜひよろしくお願いいたします。

 私は本当に、ちょっと耳の痛い話かもしれませんけれども、財源と権限というのは国から被災地に委ねるべきで、国というのは、マッチングというか、自治体間の調整、人的支援にもっともっと特化するべきだというふうに思います。

 本当に被災地の方は、国それから市町村も一生懸命やられているのはわかるんですけれども、怒っているんです、対応に。被災地のニーズになかなか応えてくれない、復興のスピードが遅い、それなのに復興予算が被災地以外で使われている。霞が関の中央合同庁舎四号館の耐震改修に、今年度十四億円、十三年度十八億円計上されています。これはNHKなどでも報道されております。一方で、被災地の庁舎はプレハブの仮庁舎だったり、出張所などは三月十一日のままだったりしているわけです。

 ことし七月に、復興特別交付税で新庁舎建設費を国が全額負担することが決定されておりますけれども、これはどのような制度になるか、いつになったら使えるのか、決まっていますでしょうか。教えてください。

樽床国務大臣 これはもう既に動いているという認識をしておりますので、二十四年度中にも、建てかえ計画に向けて、基本設計などに着手しているところもございます。ですから、それぞれの自治体の方々と御相談をさせていただきながら、もう計画に着手をしているという状況であります。

斎藤(や)委員 もしかしたらちょっと告知が足りないかもしれませんので、ぜひ総務省さんの方からも自治体の方に周知徹底をするようにお願いいたします。

 今回の復興予算の流用問題、この元凶というのは復興基本法にあるということが何度も決算委員会の中などで議論されております。当初の政府法案が被災地の復興が目的だったのに、民自公三党で、「東日本大震災からの復興」と修正され、さらに「活力ある日本の再生」と文言が書き加えられたのがきっかけになった。

 私は、民自公の三党さんの方々に責任を転嫁するようなことはしません。これは、私たち国会議員、私も含めてですけれども、その予算審議の中でチェックできなかった。三次補正は四十時間、二〇一二年度予算の百六十九時間、審議がありました。国会議員の中でこれをチェックしていたのが二人だけだったということで、これは何とも情けないことで、私も含めて襟を正さなければいけないというふうに思います。

 それを踏まえてなんですけれども、九月のNHKスペシャルの報道がきっかけでこれが出てきたわけでございますけれども、そのNHKの子会社にも復興予算が流れていたという事実がございます。

 行政事業レビューを見ていたら、二〇一一年度三次補正予算で、総務省の事業ですけれども、海外への情報発信強化八億円が計上されていて、子会社の復興番組をNHKワールドを活用して世界に放送した。番組枠の買い取りだとか海外のテレビ局と日本のテレビ局のマッチングというのが主な事業のようですが、これはよく見ると業務委託になっています。ですから、恐らく広告代理店に投げたということなんでしょう。

 これは樽床大臣が承認したことではないと思います。前大臣が判こを押したと思うんですが、番組の制作費が復興予算に流れている、この件について大臣はどういう見解をお持ちでしょうか。

    〔逢坂委員長代理退席、委員長着席〕

樽床国務大臣 その番組制作をお願いした理由でありますが、それは東日本大震災の風評被害をいかに払拭していくのかということを目的にしたということであります。

 例えば、世界の中でいろいろな国々の方がある種間違ったというか、それは仕方がないんですが、いろいろな情報で風評被害を、影響を受けておられる、それをどうやって払拭しなければならないのかというのが大変重要なテーマでありましたので、それについては、海外で展開できる放送会社としてNHKと。NHKに、そういう番組をつくって、被災地のために、海外の風評被害を払拭してもらいたい、こういう意図で行ったというふうに私は理解をいたしております。

斎藤(や)委員 合法だけれどもという話ですけれども、被災地にはまだ予算が行き届いていないので、私は、合法だけれどもやはり不公平だと思いますので、ここは二十五年度の予算のところでもしっかりと私たちは精査しなければいけないというふうに思います。納税者目線からいってもやはりおかしいことだと思いますので、そこはしっかりとやっていきたいというふうに思います。

 時間をいただきまして、ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、稲津久さん。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 きょうは大臣所信に対する質疑ということで、さきに大臣から所信がございました。それを踏まえて、きょうは、地方の自治体との連携それから支援、そういうことについてどのようにお考えになっているのか、幾つか当面する自治体の課題を取り上げながら、そのことについて質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず最初ですけれども、自治体管理の老朽化した橋梁の補修についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 きょうは国交省さんからもお越しいただいていますので、まずは国交省さんから順次お伺いしたいと思うんです。

 全国の自治体が管理する老朽化した橋、これをいわゆる長もちさせるために長寿命化計画の策定というのがありまして、これがおくれているということを認識しております。国交省は橋梁の保全方法を、損傷が深刻化してから対策を実施する事後保全から損傷が軽微な段階で補修する予防保全に政策を転換して橋梁の長寿命化を図ってきた、このように承知をしておりますが、特に自治体管理、中でも市町村管理の橋梁ではなかなかそれらが進んでいないというのが現状ではないかというふうに思います。

 まずお聞きしたいのは、各自治体が行っている長寿命化修繕計画について、策定状況を教えていただきたいと思います。あわせて、現在、道路橋の老朽化によって通行どめそれから通行規制を行っている橋梁は全国でどの程度あるのか、また増加傾向にあるのかどうか、その実態についてお教えをいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方公共団体におきます橋梁の長寿命化修繕計画の策定状況でございます。

 本年四月時点で、都道府県及び政令市におきましては策定率九八%でございます。一方、市区町村におきましては五一%にとどまっているという状況でございます。合わせまして六九%という状況でございます。

 次に、橋梁の老朽化の現状でございます。

 地方公共団体が管理する長さ十五メーター以上の橋梁、全国で現在約十四万橋ございます。このうち、建設後五十年を経過する橋梁、これは現在全体の一〇%程度でございますが、今後、高度経済成長期に集中的に整備されました橋梁が老朽化してまいりますことから、二十年後にはこれが五四%に急増する見込みでございます。

 また、地方公共団体が管理いたします十五メーター以上の橋梁のうち、本年四月時点で、老朽化等が原因で通行どめを行っているものは二百十七橋、また何らかの通行規制を行っているものは千百六十一橋でございます。合わせまして千三百七十八橋でございますが、昨年度同時期と比較いたしまして約八十橋ほど増加しているという現状でございます。

稲津委員 今お伺いしますと、やはり地方の自治体の方では計画策定もおくれているし、それから通行どめですとかに関しても相当数あるということが理解できるんですけれども、都道府県の方はおおむね計画策定が進んでいる、しかし市町村は非常に低い。それから、修繕の実施状況というのも、これは都道府県も市町村も非常に低いというふうに認識を私はしているんですけれども、こういう通行どめ、通行規制がこれからどんどんふえてくると、地域住民にとっては非常に、いろいろな意味で、いろいろなサービスが受けられないとか、あるいは生活そのものに支障が起こるということがあるわけであります。

 実際の修繕の実施に至る前の計画策定でもなぜ進まないのか、どうしてこういう状況なのかということを、その原因、国交省としてそれをどう捉えていて、またどのような対策を打たれているのか、このことについてもお示しをいただきたいと思います。

吉田政府参考人 橋梁の長寿命化修繕計画の策定状況につきましては、先ほども申し上げましたとおり、地方公共団体の中でも特に市区町村において策定率が約五割にとどまっているという状況でございます。

 これを受けまして、私ども、本年七月にアンケート調査を実施いたしました。これによりますと、計画を策定していない理由といたしまして、一つには財政力不足、また職員や専門的知見の不足といったようなことが多く挙げられたところでございます。国からの支援施策を求める声が大きくなっているものと受けとめてございます。

 このため、国土交通省におきましては、地整、地方整備局等を通じまして、講習会や技術的助言を行いますとともに、社会資本整備総合交付金を活用いたしまして、重点的に配分することなどによりまして、橋梁の点検や計画の策定、また修繕、かけかえ事業に対する財政的な支援を行っているところでございます。今後とも、こうした取り組みをしっかりと進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

稲津委員 やはり想像どおり、財政力不足とそれから人材不足ということなんですけれども、ではそれをどうしようかということを今度は総務大臣にお伺いしたいと思うんです。端的に言うと、自治体の特に財政力不足にどう対応していくのかということなんです。

 総務省が三月に、地方自治体の今後の四十年間のインフラの更新費がどうなるのかという発表が実はありました。現在の大体二・六倍になるという調査結果を総務省が発表されました。今後、この更新の費用がどんどん上がってくる、それから地方財政というのはそう簡単にすごくよくなっていくというのはなかなか望めない状況にある中で、ではどうするのかということなんですけれども、特にそういった詰まった話を回避しなきゃいけないということを考えますと、幾つか考えられるだろう。

 例えば、人口減少に伴った、自治体によってはインフラの更新等については取捨選択をしていくだとか、集中的に更新時期を迎えないように分散化するですとか、あるいは、これも非常に大事なんですけれども、民間の活力を導入するだとか、いろいろあると思います。

 ただ、小さな自治体になればなるほどそういう選択は非常に狭まってくるだろうし、まして事業規模が小さいような橋梁等の更新については民間が強力に参入することもなかなか難しいだろう、こう思うわけなんです。

 そこで、こうした事態に総務省としてどのような取り組みが必要だと考えるのか、この点について大臣にお伺いしたいと思います。

樽床国務大臣 稲津委員の問題意識、私も以前から共有をいたしております。

 インフラ、物はつくれば必ずいつかは限界が来る、これは当たり前の話であります。しかし、そういうことは余り気にせずに、調子のいいときにとっとことっとこ整備をしていった。これは、その時代時代において仕方がない、多くの皆さんが求められていたことでありますが、落ちついたら、これをどう補修していくのか、これは我が国にとりましては大変重要な問題であるというふうに私は認識をいたしております。だったらすぐ答えが出るのかといって、すぐ明確な答えをなかなか出しにくいという厳しい現状もある。こういう中で何とか頭をめぐらしていかなければならない、こう問題意識は強く持っております。

 そういう中で、特に、言葉が不適切かもわかりませんが、小さなというか小規模な自治体、そんな余裕がないじゃないか、いろいろなことに取り組んでいく基本的な余裕がない、そのところに総務省としては、ありきたりの表現でありますが、地方交付税ということを使ってしっかりとした措置をさせていただいて頑張っていただく、それを何とかサポートしていく、こういう古くて新しい方法を今まずきっちりやっていくことではないかというふうに思っております。

稲津委員 大臣の最初の方の御答弁については、ちょっと異論があります。

 どんどん地方でいろいろなものをインフラ整備していった、そういう御答弁がありましたけれども、むしろ、地方においては道路整備等々がまだまだ不十分で、ぜひやっていただきたいという声の方が大きいと思います。そしてその上で、今ある橋梁等について、今後どのように更新していくのか。これは各自治体においてはやはり非常に深刻な問題ですので、ここは率直に受けとめていただいて、そのような支援を、何が具体的に即効性のある、効果のあるものがあるかというのはなかなか難しいと思いますけれども、それはぜひ御認識いただきたい。

 先般、私の地元地域で、東日本の大震災、そこからさまざまなことを地域の方々もお考えになられて、やはり防災、減災のための地域づくりが必要だ、そのためのインフラ整備、特に橋梁等の更新は非常に関心が高いということで、実は、そういった整備をすべきじゃないでしょうかという署名活動が始まりました。これらの地域で、大体署名が行われたエリアでいうと三十八万人ぐらいの人口規模ですけれども、そこで十一万五千人を超える方々からの署名がございました。

 私は、こういったことを受けとめていくときに、今まさに地方で求められているのはそういうことなんだなということを強く受けとめておりまして、ぜひまた、今申し上げましたように、即効性のある明確な御回答はなかなかいただけないと思いますけれども、そういったことを念頭に置いていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

樽床国務大臣 私の真意が御理解いただけなかったということで、まことに私の言葉足らずで申しわけございませんが、私は、地方でどんどんいろいろなものをつくっていったとは言っておりません。全国的に、必要に迫られていろいろなものをつくっていった、当然つくったものには寿命がある、それをどうするかというのは一般論として申し上げたわけでありまして、地方に対してインフラ整備が十分であるというようなことを申し上げたつもりは全くございませんので、もし誤解を与えたといたしましたら、おわびを申し上げます。

稲津委員 はい、その点についてはわかりました。

 次に移ります。

 次は、地方の再生についてお伺いしたいと思うんですけれども、まず、地方の再生についてはいろいろな取り組みが各地域でございます。

 私は、ごく簡単に、シンプルに申し上げますと、やはり若者が定住する、そういうことが非常に大事であって、当然のことなんですけれども、そのための若い方々の雇用対策というのが特に地方においては必要であり、そのことが地方の再生につながっていくんだろう、このように極めてシンプルに考えております。

 そこから質問なんですけれども、地方再生と若者雇用についてということでお伺いしたいと思います。

 まず、地方の過疎化と高齢化の現状についてお伺いしたいと思うんですけれども、その実態、それからそのことが与える影響等についてお伺いしたいと思います。

武居政府参考人 お答えします。

 地方の過疎化と高齢化の現状でございますけれども、平成二十二年の国勢調査を見ますと、平成十七年からの五年間で、全国の人口は〇・二%増加しておりますが、過疎地域におきましては七・一%の減少となっておりまして、過疎地域における過疎化が著しく進行しているところでございます。

 また、六十五歳以上の高齢者人口比率につきましては、全国が二二・八%に対しまして、過疎地域では三三・二%。一方、十五歳から二十九歳までの若年者比率は、全国では一五・四%に対しまして、過疎地域では一一・三%となっておりまして、特に過疎地域におきましては高齢化が進行し、若年者の人口が少なくなっております。

 平成二十二年度に総務省が過疎地域を対象に行いました現況把握調査によりますと、発生しているさまざまな課題のうち、働き口の減少を回答した市町村が七割を超え、最も多く、過疎地域における雇用の減少が深刻化しているものと認識しているところでございます。

稲津委員 現状については、今の状況は想像どおりですけれども、その上で、次に若年者の雇用対策について伺っていきたいと思うんですけれども、きょうは厚労省からもお越しいただいているので御答弁いただきたいと思いますが、まず一般的なことからお聞きいたしたいと思います。

 若者の雇用環境は非常に厳しいということで、総務省の労働力調査によりますと、昨年度の平均完全失業率、これは数字を挙げるまでもないですけれども、当然、全ての年齢構成の平均から見ると、若年者の方は非常に高い数字になっている。それから、アルバイト、フリーター、ニート、この人数もこの十年近く高どまりをしているという現実がある。

 そこで、厚労省にお伺いしたいんですけれども、求人倍率、フリーター、ニートの数、どのように推移をしているのか、お教えをいただきたい。それから、その現状についてどのように認識をしているのか、このことについてもあわせてお示しいただきたいと思います。

宮川政府参考人 お答えさせていただきます。

 平成二十五年三月卒業予定者の大卒求人倍率は、民間の就職支援会社が公表している数字によりますれば一・二七倍となっておりまして、前年よりわずかには上昇しているところでございます。

 また、高校卒業予定者の本年七月末現在の求人倍率は〇・七五倍となっておりまして、依然として厳しい水準となっており、大卒、高卒合わせましての求人倍率、まだまだ厳しい状況は続いているというところだと考えています。

 一方で、フリーターでございますが、フリーター数は現在約百七十六万人、ニートの数は約六十万人となっておりまして、若年者の就職環境は依然として厳しい状況と認識しているところでございます。

稲津委員 そこで、どのような若年者の雇用対策が必要なのかということになってくるんですけれども、内閣府によりますと、非正規雇用で働く若者四百十四万人のうち、正社員への転換を希望している人は約百七十万人に上る、このように推計されております。

 しかし、これも御案内のとおりですけれども、一度非正規になると、正社員になるというのは非常に難しいのが実情で、しかも、正規雇用と非正規雇用を比べますと、当然ながら生涯賃金とか待遇などにおいて大きな格差がある、不安定な生活を強いられる人が多くいるということですね。そうなっていきますと、やはり新卒の時点でいかに正規雇用をふやしていくか、こういうことが私は課題であると思っています。

 厚労省は、平成二十二年からスタートをさせましたジョブサポーター制度、これを拡充させたことによって新卒者の就職率の大幅アップに貢献している、このようにおっしゃっているというふうに聞いておりますが、この制度の概要、それから取り組みで、若年者の雇用対策をどのように行おうとしているのか、この点についてもお答えいただきたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 若年者の雇用対策として、正規雇用化を図っていくというのは大変重要な観点でございまして、その点で、新卒者への支援とフリーター、ニートへの支援の双方が必要であろうと考えているところでございます。

 具体的には、新卒者に対しまして、今御紹介のありましたジョブサポーター、これを全国の新卒応援ハローワークに配置いたしまして、きめ細かな職業相談、職業紹介を実施しているところでございまして、それによります就職者数が平成二十三年度実績で約十六・三万人となっているところでございます。

 また、フリーターに対しましては、わかものハローワークなどの支援拠点を中心に、正規雇用に向けた支援を実施しているところでございます。その結果といたしまして、平成二十三年度の実績でございますが、これは全体の実績といたしましてのフリーターの正社員就職者数は約二十五万人という統計になっているところでございます。

 また、ニートなどに対しましても、地域若者サポートステーションで、専門的な相談あるいはコミュニケーション訓練など、就労に向けて幅広く支援を実施しているところでございまして、それによりまして、平成二十三年度、就職等進路決定者数約一万二千人という実績でございます。

稲津委員 今御答弁いただきましたけれども、ある一定程度の成果はあるというふうには認識をいたしております。

 そこで、今までは一般的な若者雇用対策を聞いてきましたけれども、地方における若年者の雇用対策の必要性ということなんです。

 私は、ジョブサポーター制度にしても、わかものハローワークにしても、新卒者と中小企業のマッチングにしても、都市部だけではなくて、むしろ地方への就職を促していく視点がやはりこれからは当然必要だろうと思っています。

 なぜそのようなことを申し上げるかといいますと、ここ数年、大学などの新卒の予定者で就活中の若者と雇用問題についてさまざま意見交換することを続けております。その中で、企業の規模ですとかそういうことにとらわれず、また地方への就職ということも非常に希望している者が多いというのも現状で、要は、情報の不足ですとか、あるいは情報の提供のされ方の問題ですとか、それから地方、いわゆる地域とのマッチングとか、こういうことではないか、このように思うわけでございます。

 そういう意味で、こうした地方への就職を促していく事業を地方の活性化のためにもぜひ進めていくべき、このように思っておりますけれども、厚労省の見解をお伺いしたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 地方におきます若年者雇用対策を推進していくことは、日本再生のための経済成長ですとか社会の安定のために極めて重要なものだと認識しております。

 このため、先ほど御紹介ありましたように、各地域の中小企業と若者のマッチングを一層進めていくという観点から、まず第一には、ハローワークの全国ネットワークを生かしまして、先ほど申し上げました全国五十七カ所の新卒応援ハローワークを生かして、地元ですとかふるさとにおきます地方での就職を希望される学生の方々に対しまして求人情報を提供していくということを強化していくとともに、あわせまして、来年度からは、若者の採用や育成に積極的である旨を宣言していただいた全国の中小・中堅企業を若者応援企業といたしまして、広く地域の若者にアピールしていく、PRしていく、若者応援企業を対象とした就職面接会を開くなど、取り組みを行っていきたいと考えているところでございます。

稲津委員 今の御答弁で、若者を応援する企業をきちんと示していくということで、新しい取り組みをされると伺いましたので、ぜひ期待をさせていただきたいと思います。

 もう一つ、これは総務大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、自治体における非正規職員の実態と対策についてということです。

 十月三十日の朝日新聞の記事で、自治労の調査によりまして、自治体で働く職員の三分の一を実際には非正規職員が占めているということがありました。全国で七十万人に上る。四年前に比べて二割ふえている。

 以前から自治体職員の非正規化を懸念する声も上がっていましたけれども、特に私が重要視するのは、小さな自治体ほどその割合が高いということ。財政難などの理由から非正規雇用が進んでいるんだろう。職種によっては正規よりも非正規の方が多いという実態もあること。地方公務員法第二十二条による臨時職員が最も多いんです。結局、それが雇いどめになったり、巷間言われるワーキングプアとか、こういうことになっては大変なことになりますので、ここが問題として表面化していると思います。

 私は、特に地方での若者を初めとした就職先の大事な要素として、地方の役所というものは大きいと思っています。そこで、総務省としてこういった地方自治体における職員の非正規化の実態をどのように認識して、また今後どのような対策を打とうとしているのか、これは大臣の見解をお伺いしたいと思います。

樽床国務大臣 今お話しいただきました現状については承知をしております。数字がいろいろなところの調査で若干違いはあるかもわかりませんが、少なくとも国家公務員の全体の数よりもさらに多い方が地方自治体で非正規の職員である、こういう現実があるということであります。

 確かに、おっしゃったように、財政的な問題を含めて、公務員の数を減らせ、こういう全国的な流れも踏まえて、それぞれの自治体で努力をする中で知恵を出しながら、しかし何とか行政サービスをしっかりやらなければならないという御努力もあって、それが一面こんな結果にもなってしまっているという側面も否定し切れない。

 もろもろありますが、自治労の調査は自治労の調査であるんでしょうけれども、もう少ししっかりと我々も、それを否定するわけでは全くありません、より正確な実態把握を行いまして、もろもろのいろいろな条件を踏まえながら、何とか、どのような手があるのか。今ここでバラ色の対応策を申し上げることは、申しわけないんですが、なかなかかなわないという現状を率直に申し上げさせていただきます。

 とにかく、調べて、一生懸命頑張っていきたいと思っております。

稲津委員 時間が参りましたので終わらせていただきたいと思いますが、もう一つ、鳥獣被害の地方の実態を踏まえて、その対策についてお伺いしようと思っていましたが、残念ながら時間になりましたので、ここは質問いたしません。

 最後に、若者雇用の問題について一点だけ指摘をさせていただきたいと思うんですけれども、実は、田中文部科学大臣の三校開学に対する一連の問題があって、私はこのことで、当然、大臣の裁量権を逸脱しているということもございますけれども、むしろ非常に現場認識が欠けているということを強く申し上げて、終わりたいと思うんです。

 というのは、今回の三大学のうち、北海道のある大学については、看護師の養成です。今、北海道では、平成二十三年から二十七年、看護職員の需給見通しは千七百人余の人員不足に陥る、こういうところから、この学校開学について準備をしてきた。そして、文科省とも意見を重ねて今回に至っている。

 ですから、こういう認識が全くない状況の中で極めて不適切な発言をなされたということに遺憾の意を表明させていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

小宮山委員長 次に、塩川鉄也さん。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、沖縄でもそして全国でも大問題となっておりますオスプレイにつきまして、オスプレイ配備、訓練反対、米軍機の低空飛行訓練反対の自治体の取り組みと、これに対する国の対応の問題点について質問をいたします。

 沖縄では、今島ぐるみの闘いとなっておりまして、オスプレイの配備、訓練に対し、オスプレイ訓練に関する日米間の合意さえ守らない、米兵による許しがたい暴行事件も起こり、この間、十万人を超える県民集会も開かれ、それ以降は全市町村の単位でそれぞれ集会が開かれております。沖縄県議会では、米軍基地の全面撤去を初めて要求する抗議決議を全会一致で採択もしております。沖縄県民、沖縄全自治体の要求は、オスプレイ配備、訓練の撤回、米軍基地の全面撤去にあるわけであります。

 あわせて、本土におけるオスプレイの訓練の問題がございます。このオスプレイの本土における訓練内容について国からまともな説明がない、このことへの怒りの声が上がっております。

 十一月二日の全国知事会議におきまして、森本防衛大臣は、オスプレイについて、今月から本土の施設へ飛んで定期的に訓練すると述べたとされております。これに対して、静岡県知事は、いきなりキャンプ富士の名を出されて驚愕した、地元無視で一方的、乱暴ですね、新潟県知事は、これでは県民に説明できない、また和歌山県知事は、何の説明もなくおまえの上を飛ぶぞと言われれば、何だとなる、おかしいでしょうと報道されているところです。オスプレイの軍事訓練計画についてまともな説明もないというのが多くの自治体の声であります。

 そこで、防衛省にお尋ねをいたします。この全国知事会議の場で森本大臣は当面の訓練計画及び本土における訓練の時期などについて説明をされたということですが、どのような説明をされたのかについてお答えください。

大野大臣政務官 ただいまの委員からの御質問につきまして、政府が主催いたしました全国都道府県の知事会議における大臣の説明ぶりでございます。

 大臣の方からは、MV22オスプレイの当面の訓練計画といたしまして、沖縄における訓練として、即応性に関する所要を満たすため、伊江島の補助飛行場、北部訓練場、中部訓練場などにおける訓練、さらには本土における訓練といたしまして、キャンプ富士、岩国飛行場等における訓練及び支援任務並びに低空飛行訓練、空中給油訓練、後方支援任務、さらには海外及び本土における第三海兵機動展開部隊及び米海軍第七艦隊の活動の支援などの訓練が行われることについて御説明をし、さらにそのほかとして、沖縄の基地負担軽減の観点から、日本国内の沖縄以外の場所における訓練移転を検討しており、今後、具体的な内容が固まり次第、関係する都道府県の皆様方に御説明することなどを御説明いたしました。

 また、オスプレイが早ければ十一月にも本土の施設・区域に飛来をし、定期的に展開をする可能性があるということについても御説明をさせていただいた次第でございます。

塩川委員 この間、自治体に対して防衛省などからは米軍の報告書であります環境レビューを使って説明が行われているところであります。でも、今、全国知事会議の場で森本大臣が説明をされたその中身には、環境レビューにも触れていないようなことが挙げられている。例えば、本土における空中給油訓練の話ですとか、あるいは米海軍第七艦隊の活動の支援などはこの環境レビューには書いていない訓練だ。これが現状だと思いますが、その点についてはいかがですか。

大野大臣政務官 環境レビューに関しまして、明示されていないことが説明されたのではないかという御質問でございますが、空中給油訓練等については、環境レビューにおきまして、低高度の戦術及び空中給油を除きMV22の訓練はCH46Eと同一であるという記載がございまして、空中給油訓練も行われるということを言及しているものと承知をしております。

 また、アメリカの海軍第七艦隊の活動の支援などの訓練についての御指摘につきましては、環境レビューにおきまして、空母艦載機着陸訓練が行われる旨の記載があることから、明示をされていると認識しております。

塩川委員 今までよりも踏み込んだ説明になっているということは環境レビューを単純に読んだだけでは読み込めない説明になっているということで、見てとれるわけであります。

 要するに、米軍の軍事訓練計画が既にあって、これをいわば際限なく追認するような中身となっているということですけれども、森本大臣は環境レビューに記載されていることを例示したと言いますけれども、実際には環境レビューに直接言及されていないことまで説明をしているわけで、自治体からまともな説明がないという声が上がるのは当然のことであります。

 これと重ねてお尋ねしますが、この知事会議の場での説明で、本土における米海軍第七艦隊の活動の支援などの訓練というのは、実際これまでどのような訓練を行っているんでしょうか。

大野大臣政務官 本土における現時点での具体的な活動もしくは訓練という理解でございますけれども、現在、CH46というものが展開をされておりまして、これが換装していくものでございますけれども、このCH46の本土における米海軍第七艦隊の活動支援等の訓練につきましては、米軍の運用の詳細にかかわることであり、防衛省として承知はしておりません。

塩川委員 ですから、地元の自治体からどんな訓練を行うのかということについて問い合わせがあっても、それに対しての答えを持ち合わせていない、こういう中での対応に、自治体の側から憤りの声が上がっているわけであります。

 米第七艦隊の空母艦載機が実際に拠点としているのが神奈川の厚木基地となっております。報道では、オスプレイの本土訓練の拠点として、米側が、キャンプ富士と岩国基地に加え、厚木基地も防衛省に伝えたとしております。神奈川県及び基地関係の十一市は防衛省に対する申し入れを行って、関係自治体への情報提供がないこと、報道が先行する事態が生じたことはまことに遺憾であり、政府の姿勢には憤りすら感じるとしております。

 このように、自治体に対する説明という最低限の国の責任さえ果たしていないということが極めて重大であります。加えて、防衛省の自治体への説明の手続、手法にも問題があると言わなければなりません。

 自治体に対する防衛省の説明の仕方についてお尋ねをしますが、防衛省は、本土の自治体に対して、幾つの自治体にこの間オスプレイの配備、訓練に係る情報提供を行っているんでしょうか。

大野大臣政務官 ただいまの御質問に関しまして、十一月の一日時点での数字でございますけれども、MV22オスプレイに係る環境レビュー等について自治体に行いました情報提供ですけれども、具体的には三十八の都道府県及び七十三の市町村に対して御説明をさせていただきました。

塩川委員 この環境レビューの中では、航法訓練ルート、いわば米軍機の低空飛行訓練ルートを、本土で行うということで、具体的には六つのルートが掲示をされております。実際にはブラウンルートという中国山地のルートもあるとされておりますが、明示されています六つのルートの直下の市町村数を全部数え上げますと、しんぶん赤旗の調べでは百三十八の市町村にも上ります。でも、実際にこの間防衛省が説明を行った市町村というのは七十三ですから、その比較を見ても極めて不十分、関連する自治体への情報提供そのものも行っていないということが見てとれるわけであります。

 今お答えのありました情報提供を行った七十三の市町村については、防衛省としてはこの七十三の市町村全てに足を運んで配備、訓練の内容について説明をしているんでしょうか。

大野大臣政務官 御質問でございますが、先ほど三十八の都道府県と七十三の市町村と申し上げましたが、そのうち、御質問でございます直接往訪させていただいて御説明をした自治体は三十六の都道府県及び六十三の市町村でございます。

 その他の自治体につきましても、先方が当方を訪問された際に直接御説明をするか、あるいは必要に応じまして御説明に伺う旨を伝えた上で資料を送付させていただくという形で情報提供を行わせていただいております。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、地元の御理解をしっかりと得られるよう、丁寧に御説明をさせていただきたいと考えております。

塩川委員 ですから、自治体の方がどうなっているんだということで問い合わせをしたとしても、防衛省の担当者が足を運んでという説明も行っていないところというのは現にあるわけですよ。先ほど言いましたような神奈川県や厚木基地が所在をする綾瀬市、大和市などの担当者にお聞きしましたら、郵送で環境レビューが送りつけられただけだ、防衛省の担当者は来ていないんだという話をされております。

 こういうのが、自治体にしてみれば、説明の仕方そのものが問題だという声になるのは当然のことであります。そして、内容そのものが危険なオスプレイの配備、訓練について行われるということに、市民、県民を代表して危惧の声を上げるというのもまた当然のことであります。

 また、今回初めて明らかになった低空飛行訓練ルートの一つのブルールートにしてみると、これは群馬県の県北の方を通過しますが、そこにかかる利根沼田関係の五市町村が国に説明を求める要望書、意見書を出しているわけですね。

 しかし、沼田市やみなかみ町の担当者の方に伺いましたが、結局、説明を求めたといっても、郵送で送りつけるだけなんです。それも、環境レビューの英文と日本語訳と、あと添付の資料がA、B、C、Dとあるわけですけれども、それのA、C、D、これは防衛省の方でも翻訳していないわけですから、英文のままですよね。それがどんと市役所、町役場の担当のところに送りつけられているだけなんです。これでどうして説明責任を果たしたということになるのか。これではかえって反発の声が上がるのは当然なんじゃないでしょうか。

 樽床大臣、今のお話を伺って、こういうように自治体からは、郵送で送りつけられただけなんだ、足を運んでの説明もないという声が上がっているわけで、訓練内容についても当然まともな説明もない。こんなことで納得できるのか。この点についてはどのようにお考えですか。

樽床国務大臣 今、こちらの大野政務官と塩川委員のお話を聞いておりまして、政府側、防衛省の方から先ほど答弁をさせていただいた数字を聞いておりましたが、ほとんど、多くのところに足を運んだ、こういう答弁であったように思います。そうでなかった、足を運べなかった、もしくはいろいろな都合が合わなかったところは、来ていただく場合もあった。連絡をとって、行きますよということで来られた、もしくは、ちゃんと連絡をとって、こういう書類を送りますからということで送らせていただいたという防衛省の見解は、まことに丁寧な説明の仕方をしているという答弁であったと思います。

 ただ、塩川先生がおっしゃるようなそういうお声が一部あるとするならば、そういう声があるということについては、真摯に耳を傾けながら、こういう微妙な問題でありますし、なかなか防衛省としても、入手できるもの、できないもの、また、もうこれ以上言ったらいかぬのですが、言えること、言えないこと、いろいろあるんだろうと思いますけれども、そういった中で、可能な限りの誠意を尽くして対応されているものというふうに信じております。

 しかし、事の性格上、十分にそれぞれの自治体の皆さん方に伝わっていないとするならば、これからまださらに努力をしていくということが必要であろうと思っております。私どもも、自治体とのネットワークをしっかりとしていくという立場からいいますと、防衛省をサポートさせていただきながら、しっかりとした対応をするように努めてまいりたいと思っております。

 ただ一点、実は単語が非常に難しいというこの問題の性格がございます。オスプレイをMV22とか、こう言っても、専門家の方はすぐおわかりいただけるんだろうと思いますが、広く一般の皆さん方にMV22という表現でどこまで理解していただけるのかということでありますから、理解していただけるような表現も含めて、また、いろいろなもののさまざまな情報についてまだ国民目線の説明がなされていない可能性がありますので、そういうことはしっかりわかりやすい表現で皆さんに理解していただける努力をしていただくように心から願っております。

塩川委員 要するに、そういう説明が実際に行われていないということであっては、そもそもその前提が崩れるということであります。

 自治体の方から、こういうのは困る、やめてくれという声が上がるというのは、一つ、今自治体によるヘリの運用、運航というのがふえているということがあります。防災ヘリ、ドクターヘリの活用が進んでおります。

 時間の関係で、厚労省さん来ていただいたんですが、ちょっと私の方からもう紹介しますけれども、ドクターヘリの導入状況についてですが、これまでに導入した都道府県というのは三十三道府県に上り、ほぼ四十機になっています。昨年度は六県、今年度は八県が新たに導入するということで、ここで急速に普及しているわけですね。

 先日、高知県の県北の方にあります嶺北地域に、オスプレイに関しての調査に伺いました。

 以前から米軍機の低空飛行が問題となっていた地域でありますが、一九九四年には米軍機の墜落事故も発生しております。山間地でもある嶺北地域だからこそ、現地では防災ヘリやドクターヘリの運航が非常に重要となっています。そこでも、伺った大豊町などでも、高知県から提供されたこういう地図がありまして、米軍の飛行のルートと防災ヘリの飛行ルートがまるで重なっているということなんかも例示がされておりまして、非常に危惧をしている点では、町の担当者の方は米軍の低空飛行訓練について、言語道断だという声も上げておりました。

 昨年十一月には、この嶺北地域の本山町の町立病院で、県の防災ヘリを活用した入院患者の避難訓練を実施していましたら、その直後に、その上空を米軍機が三機、低空で飛行するということが起こっている。あわやという事態であったわけであります。

 こういうように、多くの自治体からすれば、こういう低空飛行訓練はやめてくれ、少なくとも、どこを飛ぶのか、いつ飛ぶのか、こういうことについて公表することすらしないのかという声が上がっているわけですが、この公表の問題について、それぞれ大野大臣政務官と大臣に御答弁いただきたい。

大野大臣政務官 ただいまの低空飛行訓練の飛行ルートの公表を求める自治体に対する対応の仕方という御質問と理解をさせていただきますが、米軍の飛行ルートにつきましては、米軍が、飛行訓練の目的達成、飛行の安全の確保、住民への影響抑制等を念頭に置いて飛行することがあると承知しておりますけれども、具体的なルートに関しましては、米軍の運用にかかわる事項であり、防衛省として承知をしておらず、お答えをすることは困難でございます。

 他方、オスプレイに関して、先ほどからの御指摘でございます、訓練飛行に関しまして御懸念があるという御指摘もございますので、そのことに関しましてはしっかりと米軍等にもお伝えさせていただき、あるいは、オスプレイの訓練等に関する情報が得られた場合にはできる限り丁寧に地元へ説明をさせていただくつもりでございますし、先ほどからの御指摘のような、書類を送りつけるというだけではなくて、実際に、これまでも、自治体とお話をした上で、必要があるところは全て行かせていただいておりますので、そのような対応を続けさせていただきたいと思っております。

樽床国務大臣 今、防衛省の方から話があったことをしっかり受けとめて、防衛省の責任者の大臣ではないですが、政務官として来られていますので、防衛省の立場を代表して来られているわけでありますから、この場でこういう御指摘をいただいて、そして、しっかり誠心誠意、可能な限りの説明をする、このような決意を述べられたわけでありますから、これは明確にそのような決意だというふうに認識をしております。

 私どもといたしましても、いろいろ御懸念があることは、微妙なものでありますから、十二分に理解しながら、防衛省としっかり連携をとりながら、丁寧な説明をこれからも防衛省に強く要請をしていきたいと思っております。

塩川委員 防災ヘリ、ドクターヘリの運用にとって危険だという声に対して答えになっていないんですよ。これでは懸念や危惧が消えないのは当然であります。

 そういう点でも、この地元のそれぞれの自治体、例えば本山町などが、目撃情報を県を通じて中国四国防衛局に上げているんですよね。この間でカウントした数でも、一年数カ月で七十二件も上げているにもかかわらず、中国四国防衛局が整理をした米軍機の飛行に係る苦情受け付けにはわずか八件しかカウントされていないんです。ですから、苦情として、抗議として自治体が上げているものを、防衛省の方は苦情として受け取っていない、こういう実態もあるわけで、こういう対応そのものも重大だと言わざるを得ません。

小宮山委員長 時間が来ていますので、おまとめください。

塩川委員 沖縄でも本土でも、オスプレイの配備、訓練、低空飛行訓練を中止すべきだということを最後に申し述べて、終わりにいたします。

小宮山委員長 次に、柿澤未途さん。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 特例公債法案の未成立を理由に、国は地方交付税の十一月分の支払いを延期する決定をしました。地方六団体は猛反発し、自治体は資金繰りに奔走する事態になっている。仕方がないんだ、財源がないから、赤字国債を発行できないからと。本当にそうなんでしょうか。そんなことがそもそも許されるんでしょうか、理論上。

 総務省は、地方交付税を地方固有の財源というふうに説明をしている。七月二十四日の総務委員会で、川端総務大臣は私の質問にこう答えています。国税五税の一定割合が地方団体に法律上当然帰属するという意味において、国の財源ではなく、地方固有の財源という位置づけということで整理をさせていただいていますと。

 総務省の公式見解としても、これはホームページを見ると、「国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」という性格をもっています。」こういうふうに書いてあります。

 では、地方固有の財源を国の一存で支払いを延期する、これは矛盾しているのではないですか。お伺いをしたいと思います。

樽床国務大臣 考え方の整理としては、そのとおりだと思っております。ですから我々も、何とか地方自治体に御迷惑がかからないようにということで、全力で努力をさせていただいております。

 ただ、国の財源として、特例公債が発行できなければ、これは財源がないということでありますから、そこの考え方と、言葉は悪いですが、国の財布の中身と、何とかやりくりしながらやっておるということでありまして、根本的に言うと、私は個人的には、本来我が国の法体系においては、特例公債は基本は出せない、そういう法体系のもとで戦後一貫して我が国は運営をしております。それを一年間の特例ということで、三木武夫内閣以来、一年ずつ、本来の特例だということをこれまで四十年にわたってやってきたということがあるわけでありまして、そこら辺の、特例でやってきた、今そこがいろいろな意味でそごを来している。この中で何とか我々としては、地方自治体にとりまして本来の財源である交付税をしっかり確保していきたい、この目標のもとで頑張らせていただいております。

柿澤委員 これは何度も言っていますけれども、国会で議決した予算総則につなぎ国債二十兆円の発行が認められているんですよ。それを、財源の裏づけがないと発行できない、つまり特例公債法案が成立しないとつなぎ国債も発行できない、こんな話がありますか。こうやって自分で自分の手を縛って、法案成立に協力しない野党が悪い。こうやって地方固有の財源を差しとめて、いわば迷惑をかけて、本当にこれはばかげた話だと私たちは思います。

 結局、地方交付税、国税五税が地方固有の財源だなどというのは、これはただのお題目にすぎない。どこに幾ら配分するか、そして支払いの可否そのものも国、総務省のさじかげんで決められるものだということを今回の一件は端的に示しているのではないかと私は思います。先ほど、マニフェストに掲げた地域主権改革の進捗状況を尋ねる質問がありましたけれども、はっきり言って、これでは地域主権なんてもう言ってもらいたくない、こういうふうにも思うわけです。仮に地方固有の財源だというのであれば、その配分を地方に任せればいいと思うんです。地方六団体はそれを既に提言しています。

 地方交付税を共同税として、その配分を地方に任せる、こういう構想について、川端大臣からも御答弁をいただきましたけれども、樽床大臣はどのようにお考えですか。

樽床国務大臣 まず、最初のところのことにつきましては、私、いろいろ思いはありますが、基本的には、さっき言いましたように、四十年にわたって、出してはいけないと決めている赤字国債を、特例ということで毎年毎年法律を通して発行してきた、ここに一番の問題があって、私どもは、与党、野党ではなくて、こういう実態に合わない財政運営のあり方を党派を超えて考えなければ我が国としては成り立たない、こういう問題意識を強く持っておりますし、野田総理もそのような御意見をお持ちであるというふうに認識をいたしております。

 そして、共同税についてでありますが、これは、地域主権が確立したという前提において、国の役割をどのように考えるかということだと思います。

 私は、地域主権が確立したという前提に立ったときに、どうしても国に残る仕事があるというふうに思います。それは例えば、外交、安全保障、マクロ経済政策等々、国で、国家としてやらなければならないこと、これは誰が考えてもそのとおりでありますが、もう一つありますのは、どうしてもある種不可抗力的に発生する地域の格差を埋めるという作業は、私は最後まで残っていくというふうに思っております。

 先生がお住まいの東京と今被災地であります東北地方と、例えば同じスタートラインに立って用意ドンをすれば、常識的に考えて東京が勝つに決まっているわけでありまして、そういった、どうしても生じる格差を埋めていく、何とか埋めていくという作業は、私は国には残ると思っております。

 ですから、そういった点からいくと、共同税ということは、そういうのは国の責任ではなくて、地域の自治体がみんなで寄り合って、自分らでそれを相談してやりましょうということで、国にはその格差を埋める仕事は要らないという地域主権の考え方にお立ちになるならば、その共同税というのは一つの考え方としてあると思いますが、私は、最後までどうしても生じる格差は国が埋める、これは責務だと思っております。

 私はかなり地域主権徹底論者なんですが、それでもどうしても発生するものは、これは国がやる必要があるということですから、共同税については少し私の見解とは個人的には異なるというふうに申し上げたいと思います。

柿澤委員 御見解そのものは大変クリアによくわかりました。

 私たちは、消費税を全額地方の財源にして、国が水平的財政調整に関与する地方交付税制度は廃止をするという方向を打ち出しているところであります。安定的で偏在性の少ない財源として地方消費税の拡充を望んでいる総務省も、本来は私は同じ方向であるべきなのではないかと思っています。もう川端総務大臣に、これはできないんだというお話をいただきましたけれども、しかし、できない、できない、そればかり言っているからできないんだと思います。総務省自身も、地方交付税の算定と配分という権限を手放したくないということのあらわれなのではないかというふうに指摘をしておきたいと思います。

 さて、がらっと話はかわって、MツーM通信の電波利用料の話をしたいと思います。

 マシン・ツー・マシン、MツーM、機器と機器がIPネットワークを介して相互につながりコミュニケーションをする。コマツがGPSを通じて世界じゅうの重機の稼働状況を管理している、こういうのが端的な実例だと思います。エレベーターの遠隔監視、物流の在庫管理や列車の運行、気象情報の収集、道路交通のITS、医療、エネルギーマネジメントシステム、例を挙げるだけでも、このMツーM通信というのが極めて大きな可能性と成長性を秘めているということがわかると思います。この分野において、日本の製造業は間違いなく世界的な優位性を持っているというふうにも思います。

 MツーMの中でもスマートメーターは、電力改革の要諦となる喫緊の課題であります。本当のことを言えば、電力自由化と同時並行でないとスマートメーターの導入も意味をなさないので、それを同時に進めるべきなんですけれども、いずれにしても、東電及び原賠機構は、今年度中にスマートメーターの仕様を決定して、来年四月まで、ちょっと延びそうなのでこの紙では四月から六月と書きましたけれども、来年前半にはこのスマートメーターの入札、発注をする、こういう流れになっています。

 通信方式として九百二十メガヘルツの無線をあけている、こういうふうに総務省は言っているようですけれども、携帯で使われている3G回線等も候補に挙がっております。この3Gは、携帯のインフラがもう整っていますので、インフラ構築の必要がないのでコストもかからない、迅速な導入が可能になる。問題は電波利用料なんです。

 スマートメーターのARPU、要するに通信事業者の一契約当たりの売り上げというのは、これは非常に低いものになります。なぜか。今、人力でやっている電気のメーターの検針コストが月四十円ですから、スマートメーターがそれにかわるには月四十円より低くないといけないからです。

 ところが、3G回線の携帯への電波利用料というのは月十七円ということになっていて、それを引いた二十三円が通信キャリアの収入になる。これではペイをしないということになるわけです。四十円中十七円、四割が電波利用料になってしまう。ちなみに、携帯の方のARPUは三千円から五千円と言われていますので、同じ電波利用料を課すと、既存のインフラが使えて最も普及が速いはずの3Gのスマートメーターが、採算性の問題から全然広がらなくなる、こういうことになりかねないわけです。

 電波利用料の改定そのものは来年専門調査会で審議をするということになっているわけですけれども、スマートメーターについては来春入札が行われるということでありますから、これは間に合わないわけですね。今、方向性を決めておかなければなりません。

 スマートメーターの電波利用料の取り扱いについて、検討状況はどうか、いつの段階で結論を出していくのか、方向性も含めて、この議論に参加をしておられると思います藤末副大臣に御答弁をいただきたいと思います。

藤末副大臣 柿澤先生におかれましては、本当にありがたい御質問をいただいたと思います。

 お伝えしたいことは三つございます。

 まず一つは、電波料の改定でございますけれども、これは法律に基づいて行う。法的には、三年以内に一回行うということでございますので、このスケジュールにありますように、二〇一四年度の冒頭に法改正を行い、料金が改定されるというのが今の予定となっている。ですから、このスケジュールでいきますと、本格的なスマートメーターの導入にはちょうどタイミングが合うのではないかというふうには考えられると思います。

 一方、二つ目にございますのは、現在、私が主宰しています電波有効利用の促進に関する検討会というのがございまして、これは年内に電波利用のいろいろな議論を収束させていこうということで議論していますけれども、その中でもMツーM、そしてスマートメーターの料金についての議論は出ています。ですから、この検討会においても、何らかの方向をきちんと定めていこうということで動きます。

 そして、三点目にございますのは、原子力賠償支援機構との話が始まっておりますので、もっとより綿密に連絡をとり合いながら、スマートメーターの導入を電波の利用という方面からも支えさせていただきたいと思います。

 私たちの方も、スマートメーター、いろいろ先ほど効用をおっしゃっていただきましたけれども、まず、スマートメーターにより検針が楽になるということのみならず、やはり電気の利用を細かく管理する、当然省エネにつながるということもございますし、また、将来的に太陽電池、風力を導入するときのスマートグリッド、これはスマートメーターがなければ電力をどこに送ればいいかということは分析できませんので、我々も、総務省も非常に力を入れて進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

柿澤委員 藤末副大臣から大変いい方向の答弁はいただいたと思うんですけれども、しかし、こうするというところがなかなか出てこないのは残念だなというふうにもちょっと思いました。

 大方針を決めるのは大臣のお仕事であります。

 私たちは、通信分野において潜在的な可能性の大きいMツーM市場における新規参入とイノベーションを促すため、思い切って、スマートメーター初めMツーMの電波利用料はゼロにすべきだと思っています。そもそも、電波利用料の収入は地デジ対策に三九%使われてきて、それはもうなくなったんですから、電波利用料を特定財源的に確保する必要性そのものも薄れている。だったら、再生可能エネルギーにFIT、固定価格買い取りがあるように、MツーMの電波利用料もこの際ゼロにして、この分野で大きく世界に先行できるよう、誘導的手段、インセンティブによって新規参入、イノベーションを促していくべきだと考えます。

 大方針を樽床大臣にお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

樽床国務大臣 今お話しいただきましたMツーM、要するにマシン・ツー・マシンでしょう。マシン・ツー・マシン、こう言っていただけたらよくわかるんですが、M2Mとか書かれましても、ちょっと、私も初め戸惑いました。

 考え方としては、そういったものをしっかりと整備していく、そのためには、今MツーMのことを言いましたが、こういうわかりにくい単語じゃなくて、一般の人もわかる単語を使わないと、これは広がらない、理解を得られないというふうに私は思いますので、柿澤先生も、多くの国民の皆さん方に理解いただくように、ぜひとも一緒になって歩んでいただきたい。

 ですから、大変重要なテーマであるという思いを今申し上げさせていただいておりますが、ただ、乗り越えなければいけないところが一つありまして、それは、電波を利用することによる利害関係者がおられます。そういった方々の調整なくして、えいやでやるわけにはいきませんので、そういった方との調整を早急に行いながら、私の思いとしては、来年の夏ごろまでにはしっかりとした方向性を固めていきたい、このように思っておりますので、何とぞ御支援をいただきますようによろしくお願いいたします。

柿澤委員 支援もいたしますし、ぜひその方向で取り組んでいただきたいというふうに思います。

 終わります。

小宮山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これで散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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