衆議院

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第7号 平成25年5月21日(火曜日)

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平成二十五年五月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北側 一雄君

   理事 田中 良生君 理事 土屋 正忠君

   理事 徳田  毅君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 東国原英夫君 理事 伊藤  渉君

      井上 貴博君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大西 英男君

      門山 宏哲君    川崎 二郎君

      木内  均君    北村 茂男君

      小林 史明君    佐藤  勉君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    橘 慶一郎君

      中谷  元君    中村 裕之君

      長坂 康正君    星野 剛士君

      宮路 和明君    簗  和生君

      湯川 一行君    小川 淳也君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      福田 昭夫君    柚木 道義君

      岩永 裕貴君    上西小百合君

      中田  宏君    馬場 伸幸君

      松浪 健太君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           原口 一博君

   議員           武正 公一君

   議員           柿沢 未途君

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        柴山 昌彦君

   総務大臣政務官      橘 慶一郎君

   総務大臣政務官      北村 茂男君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉崎 正弘君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   福田 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     星野 剛士君

  田所 嘉徳君     簗  和生君

  黄川田 徹君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  星野 剛士君     井上 貴博君

  簗  和生君     田所 嘉徳君

  柚木 道義君     黄川田 徹君

    ―――――――――――――

五月二十日

 国家公務員への賃下げ特例法廃止、地方公務員に対する賃下げ要請撤回に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六六四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出、衆法第一〇号)

 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出、衆法第一一号)


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     ――――◇―――――

北側委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法の一部を改正する法律案、原口一博君外三名提出、電波法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事吉国浩二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長吉崎正弘君、総合通信基盤局長吉良裕臣君、消防庁次長市橋保彦君、財務省主計局次長福田淳一君及び厚生労働省医政局長原徳壽君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北側委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。濱村進君。

濱村委員 皆さん、おはようございます。公明党の新人議員、濱村進でございます。

 本日は、総務委員会で質問する機会を与えていただきまして、私にこのような機会を下さった全ての方々に感謝を申し上げたいと思います。

 十分間という短い時間でございますので、まず、大変大事な大事な点について、電波法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この改正案の趣旨ですけれども、電波利用料の使い道を拡大するということであるかと思います。電波利用料というのは無線局の免許人が支払うわけでございますけれども、その使途について、使い道については法律事項でありまして、私もこの総務委員になるまで知らなかったんですが、この使途について、人命または財産の保護の用に供する無線設備の整備のための補助金の交付を追加することとなるわけであります。

 端的に言えば、電波利用料の使い道として、防災行政無線あるいは消防救急無線のデジタル化について補助しますよということであるかと思うわけであります。

 既にデジタル化を進めた自治体もありますけれども、二十四年度末におきまして、防災行政無線は三七・六%、移行期限のある消防救急無線につきましては四〇・六%の自治体におきまして、デジタル化がもう既に終わっている状況であるということで聞いております。

 このたびの法改正におきましては、財政力の弱い市町村について優先的に補助金を交付するというふうに伺っております。

 そこで、今、日本だけではなくて世界じゅうで無線環境が逼迫している状況であります。スマートフォン等の普及によって逼迫しているわけですけれども、移動通信トラフィックの急増や、災害に強い通信・放送インフラの整備の必要性が高まってきておりまして、電波のさらなる有効活用、有効利用を実現するための技術開発も必要になってきているわけであります。

 電波利用をめぐる環境が劇的に変化しているわけでありますけれども、こういった背景を踏まえまして、政府として、今後、電波の利用について全体像をお示しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

柴山副大臣 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘になられたとおり、スマートフォンの普及などによって、移動通信のトラフィックは、今年間約二倍のペースで増加をしております。また、スマートメーターやセンサーネットワークなどの新たな電波利用システムの進展も期待されております。

 こういった増大する周波数の需要に対応するために、総務省においては、周波数を効率的に利用する技術、具体的にはデジタルによって圧縮する、ナロー化と言いますが、そういう技術ですとか、あるいは高い周波数への移行を促進する技術など、電波を効率的に利用するための研究開発を推進するとともに、周波数の再編成を行って必要な追加割り当てを行っております。

 今御指摘になられた移動通信用の周波数としては現在約六百メガヘルツ幅を確保しているところでありまして、二〇二〇年までに千四百メガヘルツ幅以上を新たに確保して、合計で二千メガヘルツ幅以上とするように取り組んでおります。

 いずれにいたしましても、総務省としては、今後とも、積極的に研究開発や周波数の再編によるさらなる周波数の確保を進めていく所存であります。

 以上です。

濱村委員 ありがとうございます。

 本当に、周波数の再編、これが非常に重要なポイントとなってくるというふうに、私も賛成させていただきたいというふうに思うわけでございます。

 そういった意味におきまして、今回の法改正でいいますと、百五十メガヘルツ帯あるいは四百メガヘルツ帯の帯域について、アナログからデジタル、二百六十メガヘルツ帯域に移行されるということになります。

 防災行政無線につきましても、これは今、移行期限が設けられていないということでありますが、今後、移行期限を設けて、アナログからデジタル化に転換していくというふうに伺っておりますけれども、こういった帯域の整理というのが、さまざま、ほかのニーズを受け取ることができるというふうに考えているわけであります。

 そういう大前提があるとはいえ、まだまだ帯域ごとの利用を効率化していく必要があるという段階であると思います。

 帯域間での用途については、さまざまな使われ方が混在しております。今回、デジタル化によりまして、百五十メガヘルツあるいは四百メガヘルツの帯域というのは一部薄くなってくるわけでございますけれども、まだまだバス、タクシー等々さまざまな利用のされ方をしているということでありますので、全くあいていくというわけではございません。

 そうした中で、使われ方というのは依然混在している状況ではありますけれども、その上で、有害な混信を防ぐために設けられております周波数の領域、つまりホワイトスペースですね、このホワイトスペースの活用をしていくということが非常に重要なのかなというふうに考えております。

 ホワイトスペース推進会議というものもありまして、取りまとめを既に出していらっしゃるわけでございますけれども、今後のホワイトスペースの活用についてどのようにお考えか、お示しいただければと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、電波の逼迫が進む中で、ホワイトスペースの有効活用は、新たな電波の有効活用手法として大変有益なものでございます。

 既に我が国では、地上デジタル放送帯のホワイトスペース、これは四百七十メガヘルツから七百十メガヘルツでございますが、ここにおきまして、ワンセグ携帯等に向けたエリア限定の放送サービスでありますエリア放送を制度化して、既に九十局以上が実用局として運用を開始しております。

 それからまた、地上アナログ放送の跡地であります七百メガヘルツ帯を携帯電話に割り当てるための周波数再編の一環としまして、特定ラジオマイクの移行先の一つにホワイトスペースを選定して、今後、本格的な移行を予定しているところでございます。

 今後とも、新たな電波の有効活用手法として有益であり、また、地域のまちづくりとかあるいは経済の活性化に資するホワイトスペースの一層の活用に向けて、取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

濱村委員 大変にありがとうございます。

 今、吉良総合通信基盤局長がおっしゃっていただいたとおりで、地域の活性化、あるいは新しいビジネスの種として活用できる。本当に、そういった活性化できるための基盤として活用できるという意味におきましては非常に重要なところでありますし、ホワイトスペースの活用化、どんどん知恵を出して、工夫し合って、推進してまいりたいなというふうに思うわけでございます。

 命を守るための防災行政無線と消防救急無線のデジタル化というのを強力的に各地方自治体におきましてもやっていただけるように、速やかに、そして丁寧に推進できることを願って、私の質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

北側委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 きょうは、一時間、たっぷりと時間をいただきました。ありがとうございます。

 電波利用料というのは、私が平成元年に役所に入ったときに最初に手がけました法律、いわゆるタコ部屋に入っておりまして、係員でありましたけれども、これをつくったときのプロジェクトの一員でございました。非常に感慨深いものがございます。当時は、小さく産んで大きく育てると言っておりましたけれども、二十年たって、大きく育って、電波行政に非常に役立っているという認識をしているところであります。しかし、二十年たって少々古くなってきているのかなという思いもございますので、そういった観点から質問をしてまいりたいと思います。

 今、濱村委員の方からもございましたけれども、やはりこれから周波数を生み出していくことは非常に大事であります。今三・九世代ということでLTE、これは徐々に普及、サービスインしておりますけれども、その後、第四世代携帯というのも、これからシステムが入って、サービスインが視野に入ってきておりますけれども、こうした移動体通信に周波数をどんどん割り当てていく。これをやっていかねば、やはり日本の経済の活性化、生産性の向上、将来はないというふうに思います。これをいかに諸外国に先駆けて前倒しでやっていくかということであります。

 最初に聞こうと思ったんですが、今答弁がありましたけれども、二〇二〇年までに千四百メガヘルツ帯域を生み出すということでありますが、もう少し具体的に、どのような手段でこれを生み出して、割り当てていくのかということを伺いたいと思います。

新藤国務大臣 今お話がありましたが、とにかく、スマホの普及等によって、トラフィックが年間二倍で増加しているということであります。これを、周波数を効率的に利用する技術、圧縮や共用です。それから、高い周波数への移行。こういったいろいろな技術開発を行いまして、研究を行い、周波数の再編成と追加の割り当てをしていくということであります。

 現在の六百メガヘルツ幅を、二〇二〇年までに千四百メガヘルツ幅以上を新たに確保して、合計で二千メガヘルツ幅以上とするようにするということであります。

 具体的には、昨年一月のITUで標準化された第四世代移動通信システム用周波数、この三・四ギガヘルツ帯の割り当てを行うということでありまして、総務省としても、いろいろな研究開発をしながら有効利用に努めてまいりたい、このように考えています。

奥野(総)委員 高い周波数帯を技術開発で使えるようにしていく、第四世代については三・四ギガ帯、これはほぼめどが立っているということかもしれません。あるいは、既存の周波数を移行させて再編していくということですね。

 いずれにしても、コストはかかる。財源を考えていかなきゃいけない。免許期間を待って再編することも可能でしょうが、それだと時間がかかりますから、前倒しにするためには引っ越しをさせなきゃいけない、あるいは、高いところをどんどん使えるように技術開発をしていかなきゃいけないということで財源が要るというふうに思います。

 それで、まず、今回の電波法の位置づけについても伺っておきたいんですが、百五十帯、四百帯を二百六十に移行していくということで、こうした大きな流れの中の一環だと思いますが、橘政務官に、恒例の一句を詠んでいただいて、その上でお答えいただきたいと思います。

橘大臣政務官 では、一首詠ませていただいて、答弁させていただきたいと思います。

 暦の上では立夏も過ぎまして、ホトトギスということで、ホトトギスの歌を詠ませていただきたいと思います。

 万葉集巻十、千九百四十番。

  朝霞たなびく野辺にあしひきの山ほととぎすいつか来鳴かむ

ということで、答弁に入らせていただきます。(拍手)ありがとうございます。

 スマートフォン等の普及に伴う移動通信トラフィックの増加に対応する周波数の確保につきまして、今ほど新藤大臣から御答弁申し上げたとおりでありますが、この百五十メガヘルツ帯及び四百メガヘルツ帯につきましては、アナログ方式の防災行政無線、消防救急無線が今使用しているわけですが、列車無線、電気事業用無線など各種業務用の無線に有効に活用されている帯域でもあるわけであります。

 こういった鉄道、電気事業といった部分におきまして、周波数の余裕がない中、チャンネルの増加等の高度化の要望があるわけでありまして、これに十分応えられていない状況にある、このように認識しております。

 よって、携帯電話用の周波数確保と同様に、この百五十メガヘルツ帯及び四百メガヘルツ帯の周波数の有効利用も必要でありまして、このために、消防救急無線及び防災行政無線のデジタル化により、そこの帯域を確保していこうとするものであります。

奥野(総)委員 大きな流れの一環ということであると思いますけれども、この内容については、後ほどまたゆっくりと伺います。

 最初の話に戻りますけれども、やはり周波数の再編、あるいは技術開発のために財源を確保していかなければならない、また、透明性を確保しながら配分をしていかなきゃいけないということだと思います。あるいは、周波数を配分した者がきちんと有効利用していく、死蔵することなく、最大限、周波数を有効利用していく、そういうような仕組みを考えていかなければならないと思うんですね。

 そのためには、オークションというのは一つのやり方じゃないかと思うんです。我が党が政権のときに、閣法でオークション法案というものを提出いたしました。このオークションというのは、私は、安倍総理の三本目の矢、規制改革の大きな柱になるんじゃないかと思うんですね。

 しかし、今国会、オークション法案、提出をされておりません。なぜ今国会に出されないのかということをまず大臣に伺いたいと思います。

新藤国務大臣 この周波数オークションにつきましては、前政権において、御案内のように電波法の改正案が通常国会に提出されたわけであります。しかし、閉中審査の後に、衆議院解散によって廃案になりました。

 この周波数オークション、メリット、デメリット、双方あると思います。一回だけ整理させていただきたいと思いますが、メリットといたしましては、落札した事業者が落札金回収のために一層の電波有効利用が期待される。そして、周波数割り当てにおける手続の透明性や迅速性の確保が期待できる。さらに、新規参入や市場競争の促進、こういったものが図られるというメリットがあると思います。

 しかし一方で、デメリットといたしまして、高額な落札額の支払いによって、その後の事業への支障のおそれ、また、そういった事例もあると私も承知しております。さらに、資金力のある事業者が大部分の周波数を落札する、このことによる公正競争上の問題がある。さらには、安全保障上の問題も出てこないではない、こういう危惧があるということでありまして、私としても、いろいろな見直し、検討が必要だろう、このように思っております。

 しかし、その検討が済んでいない、または方針が出ていない現段階において、前政権がお出しになられた法案そのものをそのまま私どもの政権で出すことは考えていないということで、以前にもお答えいたしましたが、今国会には提出しなかった、こういうことでございます。

奥野(総)委員 今見直されるというふうにおっしゃいましたけれども、この見直しの具体的なスケジュール、あるいは研究会を開いたり、これはちょっと通告していませんけれども、そういうお考えはあるんでしょうか。

新藤国務大臣 それは、今具体的なテーブルを設定したり、そういったことまでは至っておりません。

 まず、メリット、デメリット、既に前政権がお出しになられたわけですから、そのときの議論があります。こういったものを踏まえながら私たちも必要性について研究をしていきたい、私はそう思っておりますが、具体的なスケジュールが今あるわけではありません。

奥野(総)委員 当面出されない、少なくともあの法案についてはあの形で出ていくことはないということでありますし、見直しについても具体的なスケジュールがないということでありますから、当面、この政権下においてはオークション法案は出ていかないというふうに理解はいたしました。

 しかし、それでいいんですかという話でありまして、我が方は、今回、民主党、みんなの党共同でオークション法案の提出をさせていただきまして、きょう一緒に並行で審査をさせていただいております。

 まず、その中身について伺いたいのでありますけれども、オークションのメリット、そして、民主党、みんなの党案の概要について伺いたいと思います。

原口議員 お答えいたします。

 電波は国民共有の財産です。そして、トラフィックが大変混んでいると今御答弁がありましたけれども、級数的に、日本全体では一年間に二倍ということですが、都市部においては三倍です。電波の再編だけでは、これを有効利用するということはできない、私たちはそう認識しています。

 そこで、市場でできることは市場に任す。免許は行政庁の処分として与えられるものであって、オークションは、その免許等の申請を行うことができる者を選定する方法です。競落人は、競落金を含めた投資を回収するために、これまで以上に電波を効率的に利用して事業を行うものと考えられております。OECD先進国でも、このオークションを入れていないところは少数であります。

 このように、オークション導入目的は、民間の創意工夫、市場によって電波を最大限有効に活用し、情報通信のさらなる革新と利活用を促進するというものでございます。

 なお、需要が高い周波数帯の免許の与え方としては、比較審査による競願処理というものもありますけれども、先ほど大臣が答弁されたように、多数の者が競願する場合には、オークションは、比較審査方式に比べて、行政手続の透明性、そして公正性及び迅速性の点でまさっていると考え、このような法案を提出したものでございます。

 ぜひ御賛同、御理解をお願いしたいと思います。

奥野(総)委員 民主党政権時代の閣法とは若干の違いがあると思っておりますけれども、そのあたりを中心に、今回の法案の概要について御説明いただければと思います。

武正議員 おはようございます。奥野委員にお答えをいたします。

 今、原口委員が申し上げましたように、また大臣が答弁されたように、トラフィックが大変逼迫をしているということで、平成十九年から二十九年の十年間で二百二十倍になるということも既に情報通信審議会作業班は算出をしております。また、OECD参加三十四カ国中二十七カ国でオークション制度が導入されておりまして、実施されているのがうち二十四カ国ということでございます。

 昨年の政府案との違いでございますが、以下の異なる点がございます。

 対象免許の範囲については、政府案では、携帯電話基地局に限定しておりましたが、本法案では、放送を除き、全ての無線局を対象としております。対象を幅広にいたしました。

 オークション実施の時期については、政府案では、あらかじめ審査を行った上で適当と認められた者のみがオークションに参加する方式としておりましたが、これでは審査の段階で参加者が絞られてしまうおそれがあるため、これも幅広にしようということで、本法案では、既存事業者に限らず新規事業者、チャレンジャーにも広く門戸を開くため、免許申請前、開設計画の提出前に実施するものとしております。

 また、オークションの方法については、政府案は、入札と競りの二つの方法を採用しておりましたが、入札は、競りに比べて、他の参加者の入札額が公表されず透明性の確保に問題があるため、本法案では、競りのみとしております。

 落札金の使途については、政府案では、一定の目的に優先的に充てるとしておりましたが、本法案では、競落金は国民全体に還元されるのが基本であるとの考えのもと、その使途を制限しておりません。

 免許等の有効期間につきましては、政府案では、開設計画の認定の有効期間を延長するとしておりましたが、本法案では、無線局の免許の有効期間を延長することとしております。初期投資が回収されるということも考えまして、その期間は、外国の例が十年から二十年となっていることを参考に、技術革新が進んでいることも考慮して、十五年以内としております。

 また、政府案では、オークションで落札した者も電波利用料を支払うものとされておりましたが、これはイギリスに倣ったところでありますが、本法案では、競落金は電波利用料と同様の性質を有することから、最初の免許期間については電波利用料の支払いを免除することとしております。

 政府案では、無線局の免許権者は総務大臣でありますが、本法案では、あわせて提出している通信・放送委員会設置法案によって設置される第三者委員会、三条委員会の通信・放送委員会となります。

 以上でございます。

奥野(総)委員 放送を除きながらも対象を非常に広くしたということ、それから電波利用料の性格も経済的価値というふうに改めたということで、電波の経済的価値に着目してオークションをやり、その結果、電波が市場を通じて有効利用されていく、そういう発想でできている法案だというふうに理解をいたします。

 先ほど大臣の方からるる問題点、メリットは僕はあのとおりだと思います。透明性が確保されるということでありますし、競落者、落札者はコストがかかっているわけでありますから、きちんと投資を回収しようとして有効に電波が使われていくということですね。透明性、それから資源の有効利用において非常にすぐれた仕組みだというのが明らかだと思いますけれども、一方でさまざまな懸念があることもまた事実でありまして、その点について、一つ一つ我が党の提案者の方から懸念を払拭していただきたいと思います。

 まず最初に、オークションにした場合に、競落金が高騰して事業者が巨額の負担を負うんじゃないか。結果、事業がうまくいかない。うまくいかなければ利用者は困りますし、うまくいっても、それが利用者の料金にはね返ってくる、今より割高になるんじゃないかという懸念もあります。実際に諸外国でもそういった例、何兆円もの落札価格になったという例もあるようでありますけれども、この点について民主党の提案者に伺いたいと思います。

原口議員 今回のみんなの党さんとの共同提出法案では、やはり市場にできることは市場に任せよう、電波だけを特別視して、市場から違った原理でやるという理論の方を私たちはとりませんでした。むしろトラフィックが、先ほど武正委員が答弁したように、二百二十倍にもなれば何が起きるかというと、まさに今ライフラインと化した携帯電話を中心として、これのドミノ倒しが起きます。そういう意味でも、市場原理によって経済的価値をはかるオークションで、競落額はあくまで電波の経済的価値を適切に反映したものになる。ここはやはり市場に任せるというのが基本的な考え方です。

 ただ一方で、御指摘のとおり、欧米の一部では、一九九四年から二〇〇〇年までの、特に3G、第三世代電話のオークションが行われた際に高騰化が問題になったことがございました。しかし、そういった問題は全体から見ればごくごく一部であって、これらの国も制度を改善、工夫しながら、オークション制度をやめた国はないというふうに承知しています。

 特にこの法案では、比較的先行投資が少ない免許申請前、開設計画の提出前の段階でオークションを実施するということにしております。だから、多額の投資をして、あとオークションに敗れたからもう投資は回収できませんよといったことについては、事前にこの法案の中で整備をしているわけです。こういったことで、参加者の負担を減らすとともに、高騰化を防ぐことができると考えています。

 経済的価値を反映しない電波利用料というのはこの新しい時代にはそぐわない、このことをぜひ御理解いただきたいと思います。

奥野(総)委員 確かに諸外国がもうやめてしまったかというとそうではなくて、これはそういう悪い例も確かにあったんですが、それを教訓として制度を改善して、セカンドプライスの落札とかいろいろなやり方を考慮しながらまだ続いているということなんですね。先例があるわけですから、そういうものをきちんと参考にしながら制度設計をしていけば、こうした問題は回避できるのじゃないか。そして、むしろ、メリットであるその経済的価値を生かして市場が公平に周波数を割り振っていく、そういう仕組みに移行できるのではないかというふうに思います。

 それから、もう一つ大臣の御懸念、安全保障上の問題というのも確かにありますね。

 誰でも応札できるということは、例えば外資が入ってきて電波を、周波数を押さえられてしまうのじゃないか。電波主権が守れないということもあります。周波数を押さえられた上で、何か、外国のいろいろな宣伝番組、放送じゃないのであれですけれども、コンテンツを流されてしまうというような懸念だってあるわけですね。そういった外資の買い占めに対して、どのような対応がなされているのでありましょうか。提案者、お願いします。

武正議員 お答えいたします。

 総務大臣は安全保障上というような答弁をされておられましたが、今はその外資ということを中心にお答えさせていただきたいと思います。

 総務大臣がオークションを実施するかどうかを判断する際にまず公益上の必要性を勘案しなければならないということでありますので、電波主権が侵害されるおそれがあったり、あるいは公益上不適当と判断した場合にはオークションは実施されないこととなります。また、オークションの競落人が、電波法上の欠格事由、一定の外国法人等に該当する場合であれば、その者に無線局の免許が与えられることはありません。

 ところで、現行電波法上、電気通信業務用の無線局は外資規制の対象外とされております。これは、我が国がWTO、世界貿易機関において、NTTに対する出資制限等を除き外資開放を約束しているためであります。ただし、WTO上の約束も加盟国が公の秩序維持等のために必要な措置を講ずることを妨げるものではありません。このため、外国為替及び外国貿易法、外為法において、情報通信業において対内直接投資等を行おうとする者には事前届け出義務を課し、国が審査を行うことを可能としております。

 このように、我が国における電気通信業務用の無線局に係る外資の扱いは、WTOでの約束を踏まえた上で、外資規制に係る一般法である外為法により適切に行われることとされておりますので、周波数オークションを導入するに当たり、特段の措置を講ずる必要はないと考えられます。もっとも、今後何らかの問題が生じるような場合には、迅速かつ適切に対応することが適当であると考えております。

奥野(総)委員 外資もそうなんですが、結局、資金力のあるところに電波が買い占められて、国内でもそうですけれども、集中的に買い占められてしまうというようなことが起こるのじゃないかという懸念もありますが、その点についてはいかがでしょうか。

原口議員 ぜひ分けて皆さんに議論いただきたいのは、電波だけがそうではないということですね。

 いわゆる独占禁止法というものがあります。この電波オークションに付随する問題ではないというふうに思いますし、先ほど武正委員が答えましたように、この問題も、設置後は通信・放送委員会、これは私たちあわせて法案を出していますけれども、総務大臣がオークションを実施するかどうかを判断する際には公益上の必要性を勘案しなければならないため、資金力の豊富な特定の者に周波数の割り当てが集中してしまうことによってサービス事業者の独占、寡占化が進むおそれがあり、公益上不適当と総務大臣が判断した場合にはオークションは実施されません。

 新しい委員会ができれば、その通信・放送委員会がこれはだめだと言えば実施されないわけでございまして、むしろ、経済的な価値を無視して、市場の原理と全く別のところでやっていることの方が問題なのではないかというふうに考えています。

 一方、通信といえども、私たちは、この後、放送についてもオークションについての検討もしていますけれども、やはり言論の自由にかかわるところでございまして、ここはクロスオーナーシップ規制等のさらなる規制が必要なところかと存じております。

奥野(総)委員 それから、技術的能力の問題ですね。

 お金はたくさんあるけれども、落札しました、ところが技術的にちゃんと電波を使えない、そうした人が落札した場合というのが想定されます。免許人の質が比較審査に比べて落ちるんじゃないかということも想定されますが、これについてはいかがでしょうか。

武正議員 お答えいたします。

 オークションによって競落人が取得するのは、特定の無線局の免許を申請することのできる排他的地位でありまして、競落人は、この地位を取得した後、通常の無線局の免許手続により、免許の申請、工事設計が技術基準に適合することなどの審査、予備免許の付与、無線設備の検査等の手続を経なければ免許を取得することができませんので、オークションの実施によっても、現在と同様に免許人の質が確保されるものと考えております。

奥野(総)委員 何事にもメリットとデメリットはありまして、デメリットに焦点を当てればできないという話になるんですけれども、これはメリットとデメリット、どっちが大きいかという判断だと思います。

 諸外国では、先ほど申し上げましたように、これは続いている、さまざまデメリットはあるんだけれども克服して続いているということなんですね。

 冒頭私が、最初に、役所に入ったときに、電波利用料を手がけさせていただいたという話をしましたけれども、当時から既にオークションの話があって、ニュージーランドか何か、たしか二十三、四年前ですけれどもやっていたんですね。それはいろいろ問題があったんですけれども、そういうのを克服して、諸外国で今三十四カ国中二十七カ国ですか行われているということ。それは、メリットの方がデメリットより大きいということの一つのあかしじゃないかと思うんです。

 諸外国の動向について、提案者に伺いたいと思います。

武正議員 先ほど触れましたように、OECD諸国においては、三十四カ国中二十七カ国で制度が導入されて、二十四カ国で実施されている。OECD諸国以外では、インド、ブラジル、シンガポール、台湾などで実施されているということであります。

 また、先ほど奥野委員が申されましたように、例えば、セカンド・プライシング・オークションとか、その高騰を防ぐ仕組みとか、あるいは、これはイギリスで始まっておりますし、日本でもそういった提案がこの第四世代携帯電話について民間の皆さんからもありますが、VCGメカニズムというような形でのそうした高騰を抑えるようなこともさまざま検討され、このオークションは前に進んでいる、あるいは深まっている、深化をしているというふうに考えております。

奥野(総)委員 我が国は、電気通信の自由化は非常に世界に先駆けて進んで、競争も進んで、非常に安いコストで大容量の通信が使える世界に冠たる通信大国だと思いますが、事周波数の配分やオークション等については少し後塵を拝しているんじゃないか。私が最初に聞いたのがもう二十三年、四年前の話ですから、それから進んでいないんですね。ですから、ぜひこれは前向きに考えていただきたいんです。

 もう一つ、放送について。民主党案、みんなの党案は除いてありますけれども、諸外国なんかも結構放送を除いている例が多いと聞いていますが、その理由について伺いたいと思います。

武正議員 昨年、政府案が閣議決定をしておりまして、その前に民主党が平成十五年、十六年と今回と同じような議員立法を提出し、本委員会で審議に付されたわけでございます。

 平成十五年五月八日、私も提出者として、やはり放送については、当時、議員立法では放送は除いておりませんでしたが、答弁の中で、公共性が高いゆえに放送は除外できる旨の答弁をいたしております。

 対象免許の範囲について、政府案では、携帯電話基地局に限定しておりましたが、本法案では、全ての無線局対象、ただし、放送を除くというふうにいたしました。

 これは、まず、今般、東日本大震災においても、被災地の各局を初めとする民放事業者が、取材及び情報収集を続け、長期間にわたり緊急報道番組を放送し、被災者、国民への情報提供に努めたように、先ほど触れました放送の公共性、社会的役割、こういったものをやはり踏まえた上、また、放送の安定性、継続性等の観点から、今回はその対象から除いたところであります。

 ただし、諸外国の例を見てみると、一部の放送を対象としてオークションを実施した事例がアメリカやイギリスではあります。こうした海外の動向等も踏まえつつ、本法案が成立し、周波数オークションが導入された暁には、その実施の状況も鑑みながら、放送を対象とするか引き続き検討していきたいと考えております。

 まだ日本ではオークション制度を導入していないわけなので、まず導入してみる、そこからスタートということになりますので、まずそうした観点から、今回は幅広で対象を広げ、ただし、放送は除くという形にさせていただきました。

奥野(総)委員 さまざまなデメリットについて今反論をしていただきましたけれども、繰り返しになりますが、諸外国もやっているということで、日本もここはおくれをとらないで前向きに検討していただきたいと私は思いますし、これを導入することでさまざまな経済的なメリットもあると思うんですね。まさに三本の矢、三本目、規制改革と言っていますが、これがやはり日本の再生の鍵だと思います。このオークションはその大きな柱の一つになると私は思っているんですが、提案者、いかがですか。

原口議員 私も全く同感です。

 アベノミクスを議論しているとき、一本目、二本目の矢、これの一番肝は三本目だろうと思っています。三本目の矢は規制改革であります。この規制改革による成長なくしてアベノミクスも成功しないのではないかと前回も総理と御議論させていただきました。

 やはり電波というところは、特定の人たちのものではなくて、国民全体の財産である。その中で、周波数の移行、再編を促進して最大限に有効活用するということは、情報通信のさらなる革新と利活用を進めることができる。

 そして、ぜひやはり危機感を共有させていただきたいんです。級数的に上がっているトラフィック、このトラフィックは私たちの安全そのものを脅かしているんだということを考えてみても、やはり社会の安定、経済の安定のためにもこのオークションはぜひ早急に入れるべきですし、現行の比較審査方式に比べて手続の透明性、公正性、迅速性が確保されるだけじゃなくて、新しい新規参入者、チャレンジャーの増加や、市場競争の促進によって日本経済の活性化や国際競争力の強化につながる。まさに既存のものとの戦い、ここがオークションであるというふうに考えています。ダイナミックな日本をつくっていける、そういう基盤だと思います。

奥野(総)委員 ダイナミックな日本という言葉もございました。

 そこで、原口大臣のときに情報通信省構想というのがたしかありました。今のこの法案では通信・放送委員会方式でありまして、さまざまな規制の方式があります。イギリスのOFCOMは規制だけやっている。FCCはもう少しあらゆる権限を持って規制も振興もやっている、非常に強大な権限を持っているFCC方式。そして、たしかカナダとかそうだったと思いますけれども、著作権とか文化面も含めて情報通信省という形で所管している、そういう国もございます。

 それぞれ一長一短あると思うんですけれども、周波数あるいは通信行政についてどのようなあり方がふさわしいと思われるか、お伺いいたします。

原口議員 今、放送と通信の融合が進んでいますが、放送は公正性、中立性、そして通信は通信の秘密といいますか、それが一番大事なことだと思っています。

 しかし、これが融合が進む中で、今お話しになりましたように、通信・放送のさまざまな基礎的な部分を担保することは民主主義の基本であり、言論や表現の自由をしっかりと守っていく基礎だというふうに思います。

 そこで、お尋ねの各国の方式ですけれども、米国のFCC、これは通信と放送の両方について振興も規制もいずれも行う組織です。イギリスのOFCOM、これは通信庁ですけれども、通信と放送の両方について規制のみを行う組織でございます。今回提出している法案によって設置される通信・放送委員会もこれと同様の方式であります。

 私は、政権のときに、情報通信省という構想を出させていただきました。それは、例えば韓国のテレビは、もう即座に、放送、即二次利用ということができます。そこにはやはり著作権法の整理がきっちり行われていることが前提になっています。情報通信の価値がさらなる価値を生む現代において、私は、そこまで見越した総合的な所管する組織ということを創設する必要があるのではないかということで、当時、構想を出させていただきました。国会の御議論にお任せするわけでありますけれども、少なくとも、総務省の今の枠を超えて、新しいこういうものを検討していただければありがたいというふうに思っています。

奥野(総)委員 御答弁ありがとうございました。

 オークションの話はそろそろ終わりにしたいので、最後に一点だけ大臣に伺いたいんですが、七百メガ帯の周波数配分、我が党の中でも政権当時オークションを入れるべきだという話があったんですが、結局、民主党政権の判断としても、七百メガは比較審査方式でということになったんですね。しかし、ふたをあけたら、ソフトバンクがイー・アクセスを買収して、結局、資金力のあるところが周波数を手に入れてしまったということが起こったわけであります。

 こうしたことが起こるのであれば、こういう事業用の周波数帯域についてはむしろオークションを解禁すべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 今いろいろ委員と提案者とのやりとりを聞いて、とてもいい議論だと思うんですね。やはり頭をやわらかくして、いろいろな可能性を研究していくということが大事だと思います。そもそも、あなたが二十年前に電波法をやるときにオークションを入れておけば、こんな議論をすることはなかったわけなんでございますけれども、しかし、そのときの状況がございました。今もこういう状況だと思います。だから、私も、これはゼロ、一〇〇ではないので、研究はしていくべきだというふうに思っていますし、いろいろな情報は私も入れていきたい、このように思っているわけであります。

 今の問題は、本年の一月にソフトバンクがイー・アクセスの株式を取得して子会社化したということでありまして、別々の申し込みをしていたのが一つの会社になってしまったではないか、こういうことであります。

 しかしこれは、御案内のように、株式取得を制限する規定があるわけではありませんから、買収が問題になっているということではありません。ただ、実態上、この七百と九百とそれぞれの割り振りというか枠組みを決めたのに、それをいじってしまうようなことがあれば、これは問題でありますから、そういったところは我々もきちんと指導監督をしていく、このように思っているわけであります。

 そして、今御指摘もありましたが、あの時点においては、この電波法の改正のときに、御党も含める全党一致で、附帯決議において、周波数の競売については慎重に行おうではないか、こういうことになった、それに尽きるんではないかと思います。ですから、問題の出ないようにしっかりと運用を我々も見ながら管理をしていきたい、このように考えています。

奥野(総)委員 あの案件については、我々もやられたという感じでございまして、やはり時代が大分進んできて制度が追いつかなくなっているということなんですね。いろいろな理由があってオークションがなかなか進みませんけれども、ぜひ前向きに考えていただければと思います。

 そして、ようやく、これから今回の電波法の改正について少し伺っていきたいと思います。

 順序はちょっと変わりますが、まず、この補助金については、何年間の事業として、補助総額幾らというふうになっているんでしょうか。済みません、順序があれしまして。

橘大臣政務官 今回の施策につきましては、財政力の弱い等によりまして自力でデジタル化整備が困難な市町村においても、円滑に無線設備のデジタル化が行えるようにしようとするものであります。

 そこで、消防救急無線の方の、ここまでデジタル化していこうという目標年次が今二十八年度ということでありまして、その平成二十八年度までの四年間において国が一層の財政支援を行っていこうとするものであります。

 なお、これに該当する市町村数については約百市町村と推計しておりまして、その場合の補助金の額については、これから二十八年度までの間で二百十五億円というふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 三年間ということでありますけれども、その前提として、消防救急については二十八年度中、二十八年の五月でしたかにデジタル化を達成する、こういうことが前提になっているかと思いますが、これは目標どおり、大臣、達成できるんでしょうか。

新藤国務大臣 まず、今回の法案の骨子でございますから御説明をしておきたいと思いますが、消防と救急無線のデジタル化によって、まず通信の秘匿性の向上、それから静止画、準動画、こういったものが現場において消防救急無線によって取り扱いができることになる。ですから、消防救急活動が高度化するという意味において、これは非常に重要だと思っています。

 それから、チャンネル数が増加しますので、複数事案への対処ですとか通信機能の強化ということで広域の通信確保が可能という意味において、やはり災害時に非常に活用が見込まれるのではないかと期待をしているわけなのであります。

 そして、そういう通信基盤の強化が必要だ、こういうことを背景といたしまして、この消防救急無線のデジタル化、これは平成二十八年五月までに実現すべくということで計画を立てました。各消防本部を対象に実施しているわけでありますが、それぞれが整備計画をつくっていただいております。その中で、移行期限である平成二十八年五月三十一日までに全ての団体が整備を終了する予定、こういう計画をつくったり、それに準備していただいているということであります。

 それから、私どもといたしましては、技術的な面も含めまして、消防本部に対して個別の相談やアドバイスを受けられるような、また与えられるような、そういう対応をしていきたい、実務面においてもしっかりとした支援をしていきたい、このように考えています。

奥野(総)委員 準動画がどのぐらい役に立つかというのは、我が党の中でも議論はあったのですが、チャンネル数がふえるとか、あとデジタル化で混信とか妨害を受けにくいというようなメリットもあるんですね。だから、消防救急についてデジタル化を前倒しでやっていくというのは、私は一定の意義があろうかと思いますので、政府の方針として決めている以上、これについてはしっかりやっていただきたい、自治体の負担にならないように配慮しながらも、しっかりとやっていただきたいと思うところであります。

 一方で、防災行政無線について、いつまでに一〇〇%デジタル化するという目標があるんでしょうかという話と、防災行政無線のデジタル化のメリットというのがいまいち私はぴんとこなくて、あれを聞いていると、同時放送、普通の音声で言っているだけですから、デジタル化するメリットというのは、どのようなものがあるんでしょうか。この二点、一緒に伺いたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 防災行政無線の周波数の使用期限は設定されているのかという一点目の質問でございますが、アナログ方式で使用している防災行政無線用の周波数の移行期限については、市町村の財政力の制約等によりまして、デジタル化の整備計画の策定等に至らない場合も見受けられることから、現時点では定めておりません。

 しかし一方で、防災行政無線を含みます業務用移動通信全体、鉄道用だとか電気事業用とかあるのですが、業務用移動通信全体の電波の有効利用方策や需要動向につきまして、情報通信審議会で御審議いただいているところでございまして、この審議状況や市町村における移行計画を十分に把握した上で、移行期限を検討していきたい、こういうふうに考えております。

 それから、もう一つのお尋ねですが、防災行政無線のデジタル化のメリットでございます。

 防災行政無線のデジタル化のメリットは、情報の伝送効率の向上ということで、デジタル方式、二百六十メガヘルツ帯は、百五十メガヘルツ帯のアナログ方式と比べまして伝送効率が約三倍、それから、四百メガヘルツ帯になりますと約二倍ということでございますとか、デジタル化であいた周波数を新たな電波利用用途へ割り当てることが可能になる。それから、防災活動におきまして、他人に傍受されにくくなることとか、あるいはデータ伝送の利用が可能になるというようなことで、災害時等における適切な対応が可能になるといったようなことでございます。

 以上でございます。

奥野(総)委員 列車とか業務用は、妨害があっちゃいかぬとか情報伝送量がふえるというのは、ぴんとこなくはないんですが、自治体によっては、防災行政無線を整備していない自治体もあるわけですね。だから、必ずしもそれがデジタル化した形で必要かということについては、今の説明を聞いてもなかなか納得がいきません。

 消防救急について急いでやるというのはわかるとして、防災行政について、今回、三年間、移行促進ということで、電波利用料を出すわけですけれども、防災行政無線については、これを補助してまで促進する意義があるのか、今の説明を聞く限りは納得できかねるんです。

 では、例えば百五十、四百メガから二百六十に持ってきたことで空き地ができますよね。これは何に使うかというのは決まっているんでしょうか。

橘大臣政務官 アナログ方式の消防救急無線、防災行政無線が使用している周波数帯をデジタル化することによりまして、百五十メガヘルツ帯及び四百メガヘルツ帯の合計で約三・四メガヘルツが空き地になりまして、ほかの用途に割り当て可能となるわけであります。

 これらの跡地利用を含めた、そして冒頭、ちょっとお答えも申し上げましたが、鉄道用、電力用などの業務用移動通信、こういったところでニーズがあるわけですが、こういった全体の電波の有効利用方策あるいは需要動向につきましては、五月十七日に「業務用陸上無線通信の高度化等に関する技術的条件」ということで諮問をしているところで、現在御審議をいただいているところであります。この審議状況を踏まえまして、あいてくる約三・四メガヘルツ分の跡地利用を検討していきたい、このようにスケジュールとして考えてございます。

奥野(総)委員 これは自治体側から見て、このデジタル化というのは必要なんでしょうか。こうした助成は必要なんでしょうか。それについて伺いたいと思いますが、通告と違うかな。

新藤国務大臣 これがオーバースペックになるかという御懸念があるのかもしれませんが、先ほど委員もお話しされましたように、防災行政無線、まだきちんとしたものが入っていないところもあるわけですね。これは私は本当にいかがなものかなと思っておりまして、それぞれの事情があるにしても、簡易無線で終わりにするというわけにはいかないと思います。ですから、まずきちんと防災行政無線を入れてくださいと。

 そして、その上で、やはり将来のことを考えれば、デジタル化、いろいろな利用が可能になります。それから、あいた部分をほかのものに使うことができるようになるわけであります。特に、列車無線ですとか電気事業用の無線、こういった業務用の無線の割り当ても併存していますから、こういったところにさらなる使い勝手が出てくるんじゃないか、このような期待を思うと、これは方向として進めていくべきだと私は思っています。

 具体的なものについては、今、審議会等で検討されているわけでありますが、いずれにしても、方向性としては進めていくべきであって、これが自治体の負担にならないような、いろいろな支援策も考えながら進めていきたい、このように考えています。

奥野(総)委員 今の御答弁を伺いますと、とりあえず三年間で消防救急は終わる、防災行政は、これから跡地利用も含め、あるいは具体的な期限も含め考えていくということになりますと、いずれにしても、移行を促進していくことは必要だと。そうすると、これは二十八年度までの三年間の事業というふうに伺いましたけれども、今の話を聞くと、二十九年度以降も利用料を使っての移行促進を進めるということに多分ロジックとしてはなるんだろうというふうに理解をいたします。

 そもそも論なんですが、こういう引っ越しに電波利用料を使うことについて、ちょっと伺いたいんです。

 電波利用料というのができたときに、電波利用共益費だ、こういう説明になっていまして、共益費というのは何かというと、マンションの共益費と一緒で、みんなが共同で負担すべきところを払っていきましょうと。それは、例えば無線局免許システム、これは、みんなが無線局免許を得るときにそのシステムも使うから、そのシステムの維持管理費に使いましょう、あるいは周波数の、電波監視、監理、こういったところに使っていこうということで、共益費という法的な性格がたしか与えられていると思うんです。

 では、共益費といったときに、この引っ越し費用、移行費用というのは、共益費の使い道として果たしていいのか。みんなが利益を得るから、それについてお金を払う、だから共益費なんですが、移行の場合、利益を得るのは、そこに後から入る人、後からあいた周波数に入る人が利益を受けるわけであります。

 だから、後から入る人からコストを徴収すればいいんじゃないか。実際、そういう考え方で仕組みを入れている部分もありますけれども、今回、電波利用料を使ってこうした周波数の移行に補助をする理由、後から入ってくる人に受益者負担してもらえばいいんじゃないですかということについてはどうでしょうか。

橘大臣政務官 まず、今回の考え方ですけれども、全体に電波の逼迫が著しいことに鑑みれば、より電波の利用効率の高いデジタル方式の導入というのは、有限、希少な電波資源の効率的な活用を促進し、周波数のさらなる逼迫の回避や、空き周波数の確保を通じまして、いわば無線局全体への受益につながるものだと考えております。確かに、動く方、引っ越してくる方があるんですが、そのことによって、電波の利用全体が受益をしていく、こういう考え方によるものであります。

 そこで、本施策につきましては電波利用料財源により措置するという考え方に立っているわけであります。

 なお、消防救急無線については電波利用料の全額が免除されており、防災行政無線については電波利用料が二分の一に減額されているところでありますけれども、これはまた、これらの無線局が自然現象や火事等の被害から国民を保護するという高度の公共性を有するということを考慮して、この電波利用料については免除あるいは半額ということになっているわけでありまして、基本的には本来は払うもので、そして、これを全体の受益につながる形で使っていこう、こういう趣旨でございます。

奥野(総)委員 何となくわかったようなわからないような話で、みんなが利益を得ているんだ、電波の有効利用につながるんだから全員が利益を得ているんだというんですが、何となくぴんとこないですね。

 それから、今の後段の話は、私は質問通告はしていたんですが今聞いていなかった話ですが、共益費用だというんだったら減免をしちゃおかしいんじゃないですか。みんなで共通で受益を受けている分をみんなで負担しているわけだから、その共益費用を、公共性とかに応じて減免していくのはおかしいんじゃないですか、こういう議論であります。

 ちょっと先走って、ごめんなさい、時間がなくなってきたので順序不同になりますが。

 例えば、この間新聞にスマートメーターの電波利用料の減免というのが記事に出ていて、これは聞いても検討中だという答えになるんでしょうけれども、共益費用である以上、受益を受けているわけですから、それを払わなくていいというふうにする理屈はないと思うんですね。

 例えば、経済的価値に着目している、税制だというふうに言えば、政策的な減免というのがぴんとくるんですけれども、共益費用だ、みんなで負担すべきものだと。マンションの共益費用を、では、うちは払わなくていいということになるか、ならないですよね、みんなで払わなきゃいけないものなんですから。

 だから、そういう減免を入れること自体が、そもそも電波利用料の性格が変わってきているんじゃないですか、一つのあかしだというふうに私は思います。

 ちょっと順番が入り繰りしていますけれども、さっきの話に戻ります。

 みんなが利益を受けているから利用料だという説明はぴんとこない。現に電波法の中にも、この間の七百、九百のときでしたか、終了促進措置ですか、疑似オークション制度、要するに、入札ですね、後から入ってくる人が一定の金額を提示して免許をもらう。そのお金を引っ越す人に渡す。こういう仕組みがたしか電波法に入っていると思うんですね。電波法自体もそういう考え方を一部取り入れているわけであります。

 今回、この終了促進措置を使えないのかということについては、どうでしょうか。

橘大臣政務官 今ほど奥野委員からお話ありました終了促進措置につきましては、これは、既存システムが使用している周波数帯を携帯電話事業者等特定の方のみに使用させることを目的として、当該既存システムの早期の周波数移行を可能とするために、携帯電話事業者が移行に要する費用を負担していただく、こういう形のものであります。

 今回の消防救急無線システムのデジタル化への移行につきましては、既存システムのデジタル化を円滑に行いながら、移行後の跡地の周波数の利用については、電波利用者、さまざまな利用者の全体の受益に資するように割り当てをしていくということになってまいります。

 終了促進措置の場合は、相手方が特定の者という形で移行していくわけですけれども、今回の場合は、ここが、これからいろいろ議論をして、いろいろな方に移行するということはあり得べしということでありまして、そこで、特定の者のみに使用させることを前提とする終了促進措置を適用することはできないと考えております。

 このため、終了促進措置ではなくて、電波利用料財源により今回措置をするということで御提案申し上げているものであります。

奥野(総)委員 おっしゃっていることはそのとおりだと思いますが、さっきの話に戻りますけれども、消防救急は二十八年度までに急いでやらなきゃいけない、それはそうだ。だから、こういう形で助成するというのは、電波利用料がいいかどうかは別として、あり得るでしょう。

 一方で、防災行政無線については、期限も決まっていませんし、跡地の利用も決まっていないわけですから、これをしっかり制度設計をして、跡地の利用も決めて、その上で、こういう疑似オークション、終了促進措置を入れるという考え方はあると思うんですね。どうも、利用料の使途拡大のために、防災行政無線、余りそんなに急いでやらなくてもいいものを無理やりやっているというような印象を私は受けます。

 その上で、ちょっと時間がなくなってきましたのでどんどん飛ばしていきますけれども、電波利用料の歳出の見通しですね。

 地デジ化に伴って、国庫債務負担行為、全部で二千三百億と伺っていますが、負担をしていると。二十六年度以降、三十年度までに支払うとレクのときに聞いていますが、この五年間で電波利用料を地デジ化のために幾ら使うことになっているんでしょうか。

吉崎政府参考人 平成二十五年までの間に地デジ関連事業で使いましたお金は、累計で二千三百六十億円でございますが、毎年度の予算額の平準化を図ろうということで国庫債務負担行為で対応してまいりました。

 これまでに支出した金額は、合計で約千五百三十億円でございまして、二十六年度以降支払う予定になっております金額は、この残額に相当する約八百五十億円ということでございます。

奥野(総)委員 これは、三十年度まで五年で返すというふうに伺っていますが、でこぼこはあるにしても単純に割ると大体百五、六十億、多くて二百億なんでしょう。

 では、今年度と昨年度、地デジ化に一体利用料を幾ら使っているかというと、大体三百億円ぐらい電波利用料を使っているんですね。だから、この五年間でも、地デジ化という意味では、毎年大体百五十億ぐらい減る。逆に言えば、余分が出るわけです。三十年度を過ぎると、地デジ化のお金がなくなる予定ですから、丸々三百億が浮いてしまうということなんですね。

 もう時間がなくなってきましたからあれしますけれども、では、電波利用共益費用という性格であれば、使い道がなくなれば、減れば、利用料を下げる、みんなで頭割りするわけですから、下げるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 理論的にはそのとおりだと思います。必要な支出額に応じて共益費という形で電波利用料を設定しているわけですから、三年に一度の見直しの中でそういった議論をしていくということであります。

 平成三十年の時点において、地デジにかわる、そのほかの何か対策費用があるかどうか、それは、私はそれなりのものがあると思っておりますが、いずれにしても、その時点において検討がなされていくということだと思いますし、いろいろな方々からも御意見を頂戴しながら、実際のところは、必要な電波利用料の料額は手続をとって進めていこうということであります。

奥野(総)委員 共益費と性格づければ、当然下げるべきだという話になります。それを下げたくないという話になると、役所の悪いところで、無理やり何かお金の使い道をなんという話が出てくるような気がするんですね。だから、きょうの防災行政無線がそうだとまでは言いませんが、ただ、どうしても甘くなる。支出をふやす方向に働くような気がします。

 であるならば、いっそ経済的価値に着目したものだと電波利用料の性格を変えたらどうかと思うんですね。現に、そういう形で、前回の改正のときには、経済的価値に配慮するという形で、算定方式に少し変更が加わってきているわけであります。

 そもそも、これは何で共益費用になったかというと、つくったときに、最初は経済的価値に着目して電波利用料をつくろうとしたんですが、免許には登録免許税がかかっていて、登録免許税との切り分けができなかったんです。登録免許税は、まさに電波の持っている担税力に着目してかかっている。それと経済的価値に着目する電波利用料とどう違うんですかということで切り分けができなかったんです。苦肉の策で、共益費用だ、マンションの共益費用と一緒だ、みんなで必要な経費を負担するんだ、こういう議論になって今に至っているわけです。

 しかし、だんだん使い道が広がってきて、変質してきているわけですね。では、周波数の技術開発は共益費用か、あるいは、今言ったように、引っ越し費用は共益費用かというと、どうも怪しいんです。

 では、どうするか。もちろん、最初に言ったように、周波数の開発にお金をつぎ込むべきだと思うし、移行促進のためには費用がかかるわけです。であれば、利用料の仕組みそのものを変えて、これは経済的価値に着目したものだというふうに説明を変えるべき時期に来ているんじゃないか、できて二十年たっているわけですから。登録免許税との切り分けなんというのは別に大した話じゃなくて、財務省と話をして、登録免許税をやめるか、あるいは一本化して、整理をすればいい話だと思います。

 そういう意味で、もう一回民主党案に戻りますけれども、民主党案は、そういう経済的価値に着目した形で電波利用料もオークションも整理しているというふうに理解していますが、いかがでしょうか。

武正議員 お答えいたします。

 奥野委員がオークションあるいは電波にかかわった二十年前、平成五年、九三年にこの電波利用料制度が導入されました。その折には、当時の郵政省は、帯域幅に応じて電波利用料を賦課しようという検討もされ、しかしながら、今四割と言われておりますが、公的セクター、各省庁などが電波帯を有しているということもあって、それに対しての各省庁からの抵抗、特に、公的セクターにも賦課したらどうかと経済団体からも言われましたが、これも各省庁の抵抗ということで、当時郵政省は、今のような形になったとも聞いております。

 今回、消防庁の電波について、どいてもらうといった形での共益費の利用といったことはやはり矛盾が生じているというふうに考えております。

 電波の利用に対する需要の増加に基づいての必要性ということで、平成十七年から経済的価値を導入したわけですが、根本的な制度は変わっておりません。また、一部無線システムでは特殊性を考慮して軽減係数を適用するなどの手を加えておりまして、電波を効率的に利用するインセンティブが十分に働く仕組みとはなっておりません。

 したがって、上記の仕組みを改め、電波を効率的に利用するインセンティブが十分働くようにし、電波利用の効率化を図るため、電波利用料の性格を、無線局の免許人等がその電波利用により享受する経済的利益に見合った負担を行う趣旨に改めるものといたしました。

奥野(総)委員 時間が来ました。最後に二点だけ大臣に伺いたいんです。

 今の議論で、電波利用料の性格を変えるべきだということについてどう思いますか。それからもう一点、ちょっと話がそれますが、スカイツリーへの移行ですね。今月末と言っていますけれども、放送の話が出たついでに伺いたいんですが、ちゃんと月末までにスカイツリーへの放送の、電波の発射の移行がいくかどうか。この二点をちょっと伺って終わりにしたいと思います。

新藤国務大臣 それではまず、スカイツリーの方から申し上げます。

 これは視聴者への安心、それから、きちんとした対策がとられるということが私の最終判断になりますから、今事業者の方も熱心に試験電波を出してやっております。

 現状において、対策を必要とする施設については、五月十九日時点で九五%が対策工事を終えました。これは今、私記者会見でも発表いたしましたが、そういったところまで来ているわけであります。ですから、今後は、あらかじめ予定された期日にそれが終了できるように対策が終わっているかどうかということにかかると思いますので、きちんとした対策をとっていただきたい。私は、その状況報告を受けた上で、適切な判断をしていこう、このように考えているということであります。

 それからもう一つは、電波利用料についての考え方を変えたらどうかということでありますが、委員がお話しされているのは、周波数の絶対的な経済価値として設定してはどうかということだと思うんですね。しかし一方で、この制度そのものが、いわば受益者である無線局の免許人の方々に公平に負担をしていただくという意味において共益費用だということになったわけでありますが、この電波利用料の算定の仕組みというのは、周波数帯の混雑、それから使用する周波数の幅、こういったものを経済的価値として、いわば相対的な価値を見ているのではないか、私はこのように思うのであります。

 ですから、受益と負担の関係というものを相対的に見ていくという、ここは維持した方がいいのではないかなと思っておりますし、新たな、オークションですとか、これは検討の余地があると私は先ほどから申し上げておりますけれども、それによって新規参入の方々の今までとの負担の不公平というのが生じる、これは承知でやるにしても、実態として不公平が生じます。

 それから、全体として、全てにおいてオークションを入れようということではないと思いますから、制度全体の部分的なゆがみというものも出ないとも限りません。ですから、私はその辺はしっかり慎重に検討していかなきゃいけないというふうに思いますし、現実に、二十六―二十八年度、この三カ年の次期電波利用料の検討を行うための会では、無線局の免許人の方々からは、現行制度の枠組みを維持してほしいという声の方が多いというようなこともあります。ですから、もろもろのことを検討しながら、よりよい状況に向けてこれはさらに進めていきたい、このように考えています。

奥野(総)委員 時間が来たので、終わります。どうもありがとうございました。

北側委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会、上西小百合です。通告に従って順次質問させていただきます。

 私は、東京ディズニーランドがオープンした直後の昭和五十八年四月に生まれました。両親の記憶によると、テレビではNHKが毎朝「おしん」を放送し、そして、秋にはロッキード裁判の判決が下され、年末の総選挙では自民党が保守合同以来初めて単独過半数を割り、新自由クラブと連立した第二次中曽根内閣が発足した年だということです。

 その東京ディズニーランドオープンのころ、待ち合わせをしていても、電車に乗りおくれたりすれば、現在とは異なり、相手におくれることを伝達する手段もなく、はぐれても連絡のとりようもなかった時代だと聞いています。今のように携帯電話が一般社会へ登場したのはディズニーランドがオープンして数年後、普及をしたのはさらに十年以上も後のことだと伺っています。

 ところが、その後は日進月歩で、移動通信体のイノベーションは発達し、従来より十年一昔と言われていたものが、殊さらITや通信関係に至っては一年一昔の勢いで進歩してきました。その一つが携帯電話の発達で、今では人口より多い回線が使用されているとさえ言われています。

 当初、携帯電話には〇三〇や〇四〇で始まる十桁の番号があったようですが、回線が不足し、〇九〇で始まる十一桁に変更されました。それでも利用者の増加で回線は不足し、やがて〇八〇で始まる番号も登場しました。

 しかし、先日、それでも足りないので、よくPHSで利用された〇七〇から始まる番号を導入することが発表されたばかりです。

 総務省のホームページによると、PHSで利用する電話番号は〇七〇―五ないしは〇七〇―六に限り、携帯電話で利用するのは〇七〇―一から四と〇七〇―七から九で始まる番号になること、最初の呼び出し音を異ならせることによりPHSと携帯電話との識別ができるようにすること、将来、携帯電話とPHSの間で番号ポータビリティー、いわゆる番号持ち運び制度を導入することなどが記されています。

 若者を中心にPHSを利用する方が多いとも言われる中で、〇七〇―五と〇七〇―六で始まる十一桁の番号だけでさばき切れるのか、番号ポータビリティーが導入された後、混乱、混線がないのか、心配の種は尽きません。

 また、私は地元が大阪ですが、しばしば東京と大阪の違いを論じる書物を興味深く読んでいます。エスカレーターの立ち位置など、例示しては枚挙にいとまがありませんが、最近では、地下鉄内でも電話が通じるのが東京、大阪ではまだまだ一部という比較もされているように、東京のインフラ制度には感服しています。

 新藤大臣から、ここ二、三十年の間の急速な通信革命とその御感想、そして、先ほど提示しました〇七〇で始まる携帯時代に備えての総務省の取り組みをお聞かせください。

    〔委員長退席、徳田委員長代理着席〕

新藤国務大臣 まず、昭和六十年、携帯電話が始まったときが四万台、今、二十四年末で一億三千八百万台ですから、確かに日本の人口よりも多い契約があるということであります。

 私も覚えておりますが、最初はお弁当箱みたいだったんですね、肩からかけるもので重くて持てませんでした。しかも高くて、個人で持っている人はそうそういなかった、芸能人は持っていたかもしれないけれども。それから、その後、今度は筆箱みたいなそういう大きいのになって、これも重くてしようがなかったんですけれども、セカンドバッグのように持って歩いていたのを私も記憶しています。

 ですから、そういうところから、今携帯がここまで普及をして、子供まで使うようになったということでございまして、この普及というものは予想を超えていただろう。最初に導入したときに、こういったことを、ここまで見破られた人というのはなかなかいないのではないかなと思うし、そういうものだと思います。

 ですから、私たちは、目の前のことに対処しながら、将来自分たちがわかる範囲のことを考える。しかし、その先に自分の想像を超える世の中の革新があるとするならば、できるだけその幅を持たせていくことが重要だというふうに思うんですね。

 ですから、決め打ちをしてやるというよりは、将来の大きな志と夢と希望をセットして、その上で、我々は、いろいろな技術を開発したり、また、利便性の向上のための、法律が邪魔するならば、規制があるならば、そういったものも直していかなくてはいけない、こういうことだと思います。

 あなたがちょうど携帯の普及とともに誕生されたということであるとするならば、あなたが赤ちゃんで生まれたときに、今こんなにきれいになっているかどうかを想像できたかどうかはわからない。しかし、この先、あなたが三十年後にどういう人になっているかも、これもわからないわけです。でも、やはり、大もとの心棒をしっかり持って、優しく、いい人になってくれる、それがあればいいわけじゃないですか。

 こういう技術というのは使いようですから、みんなが便利に、そして共有財産として社会を変えていく、世の中を変えていく、そういう基盤として、私は、総務省においてこの仕事を受け持っておりますから、ぜひいろいろなことを進めていきたいなと。

 新しい時代に入っていくと思いますよ。それは、個人が通話だけで行う通信から、今度は、ビッグデータなどは、完全な、簡易な、小規模な通信体、これによって大量のデータを入れて、それで安全や効率といったものを追求していく。そして、それによって我々の暮らしや産業が変わっていく。実はイノベーションの基本にあるのは通信なんですね。ですから、こういった部分も含めて追求してまいりたい、このように考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 臨機応変な規制緩和を考えていただけるということですので、国民がよりよく通信を利用できるよう、御尽力をお願いいたします。

吉良政府参考人 先ほど、若者を中心にPHSを利用する方が多いと言われる中で、〇七〇―五と〇七〇―六で始まる十一桁番号だけでさばき切れるのかという御質問がございました。

 PHSに使用する電気通信番号は、〇七〇―五と〇七〇―六で始まる十一桁番号としまして二千万番号が確保されております。そのうち、平成二十三年度末時点で利用者が使用しているのは約四百五十九万番号、使用率は二三%にとどまっているところでございます。

 総務省としては、当面はPHS番号が不足するおそれはないというふうに考えておりますが、今後、仮に急激な利用増加によりまして将来番号が不足するおそれが発生した場合には、新たな番号帯を確保すべく対処してまいりたいというふうに考えております。

 それからもう一つ、番号ポータビリティーが導入された場合に混乱だとかあるいは混線はないのかというふうな話がございました。

 PHSと携帯番号間の番号ポータビリティーにつきましては、平成二十四年三月、情報通信審議会によりまして、二十六年度内の導入を目指すべきというふうな答申を受けておりまして、現在、関係事業者間で調整を進めております。

 今後、調整が整って、その番号ポータビリティーが導入されれば、電話番号によるPHSと携帯電話の区別はなくなりますが、利用者が電話をかける際に、相手がPHSであった場合に事前にそのことがわかるように、通常の呼び出し音の前に特別な識別音を挿入する予定でございます。PHS同士だとただだということもありますので、相手がわからないと困りますので、その特別音を挿入する予定でございます。

 PHS事業者においては、番号ポータビリティー導入を目指して、事前に識別音を広く周知するためにも、ことしの十一月までに識別音を導入する予定でございます。

 総務省としては、番号ポータビリティー導入に当たっては、利用者に混乱が生じないように、今後も関係事業者と連携して必要な対応を行ってまいりたいというふうに思っております。

上西委員 ありがとうございました。

 次の話題に移ります。

 先日、瀬戸内海沿岸の方と話をする機会があったのですが、平成の大合併で市が以前の何倍にも拡大しましたが、住民サービスでは市内でどうしてもアンバランスが生じてしまう。これはあってはいけないことなんですが、生じてしまうということで、それが、至上命題の中で、どうしても若者が居住しないエリアができるということです。

 先ほど、携帯通信エリアが随分拡大していることを挙げましたが、全国的に見ると、山間部や離島など、まだIT過疎地域は相当に残っており、とりわけインターネットが使えないエリアも多く、その瀬戸内地方の市内にも幾つかあり、そのようなIT過疎地域では、全国規模の賃貸住宅を破格の条件にしても、若者の定住はなく、親元を離れて市内中心部へ引っ越してしまうということです。

 人口分布上、極端な少子超高齢化地域、光などの高速通信回線が引きにくかったり、デジタル加入者線、いわゆるDSLの引き込みが困難な地域が多分に存在するという話です。

 従来、ラストワンマイルと呼ばれ、IT施策の緊急課題と位置づけられていたものは、日進月歩の技術革新の中で着実に解消できているようですが、それでもIT過疎状態を脱していないエリアがあると言われています。

 LTEなどワイヤレスブロードバンドの整備が必要であると考えられますが、自主財源だけでは情報インフラ整備は困難で、国の支援に頼らざるを得ない自治体が多いようです。

 今回の政府案では、電波利用料の使途範囲の拡大がうたわれており、その有効活用に大いに期待をしているのですが、既に、そのような課題に対しては、エリア整備事業として、電波利用料が積極的に投入されると伺っています。実際のところ、自治体の要望に対するこれまでの達成度及び今後の取り組みを国はどのように考えているのか、改めて御説明をお願いします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、現行の電波法第百三条の二の第四項第八号に基づきまして、電波利用料の使途の一つとして、過疎地域等の地理的に条件不利な地域における携帯電話のエリア整備事業に対して支援を行っているところでございます。

 具体的には、自治体が整備します携帯電話基地局設備や携帯電話事業者が整備する基地局までの伝送路設備の費用の最大三分の二を補助しておりまして、平成十七年度から二十四年度までの間に約二千件の事業を実施したところでございます。

 こうした取り組みを受けまして、携帯電話のサービスエリア外に居住する人口は、平成二十三年度末で約八万人まで減少していると認識をしております。

 総務省では、自治体の要望を踏まえまして、平成二十五年度予算においても必要な額、約二十五億円を確保しているところでございまして、引き続き自治体や携帯電話事業者の協力を得ながら、本事業を通じて、携帯電話の不感地域解消に取り組んでまいりたいと考えております。

    〔徳田委員長代理退席、委員長着席〕

上西委員 電波利用料は、税金でない分、国民への再配分の対象ではありません。その分、総務省の御英断でIT過疎地域解消にさらなる御尽力を下さることをお願いいたします。

 先ほどから、イノベーションの結果、すさまじい勢いでIT革命が起こり、とりわけ通信事業の進歩には目を見張るものがあることを、さまざま述べてまいりました。

 本当に便利な世の中になりましたが、航空機の機内や病院内、ペースメーカー使用者の近隣など、携帯電話の使用を控えなくてはならないエリアも多々あります。また、コンサート会場などで電源を切り忘れたりマナーモードにしていない方の着信音が鳴って、興ざめした経験をお持ちの方も多いはずです。便利で必要不可欠なアイテムであっても、現実の生活の中で最低限のマナーだけは守りたいものです。

 しかし、そこは人間ですから、時にはうっかりミスをしてしまうことは当然あります。

 そのような、うっかりの対策として、エリアを限定して、本来の通話用電波とは全く異なる電波を発して、携帯電話をあえて圏外にさせる装置が開発され、二〇〇六年十二月、渋谷のNHKホールに備えつけたことが話題になったことがあります。その携帯電話抑止装置が導入されたニュースは、余りにも画期的なので、センセーショナルに雑誌やインターネットで称賛され、さまざまなマスコミに登場したようです。

 そのような装置があれば、通話だけでなく、メールの送受信もできません。そうなれば、携帯電話の着信音の例のほか、去年の、京都大学の入試や運転免許試験場で実際に行われたカンニング事件を未然に防ぐこともでき、銀行のATM周辺へつければ、先ほど申しました、母さん助けて詐欺被害も未然に防げる可能性が高くなります。

 また、携帯カメラのシャッター音の事例ではありますが、最大限の集中をしている最中に、ギャラリーの発した音でリズムを崩して、パットを外し優勝を逃した、二〇〇九年の日本オープンにおけるゴルファーの石川遼選手の悔しそうな顔は印象的でした。その抑止装置は、理論上、屋外でもエリア限定して効果を発揮できるということですから、石川選手のような悲劇を防ぐこともできます。

 最初に、新藤総務大臣は、そのような装置があり、既に随所、全国では約二百カ所のホールに設置されていることを御存じでしょうか。私が例示しましたことに対する御感想を含め、御答弁をお願いします。

新藤国務大臣 このような携帯電話等の抑止装置があることは承知をしております。また、私の地元は川口というんですけれども、そこにあるリリアのメーンホール、リリアのホールの中はこの装置がもう既に設置されておりまして、今イベントが行われているときのホール内の通信ができなくなっている、こういうことを私も自分で経験しております。その意味においては、特定の空間における静ひつの確保や犯罪防止、こういったものについて一定の効果がある、このように思っておりますし、全国で約二百カ所の運用があるということであります。

 しかし、一件一件について、これは無線局免許の許可を出してやっているということなんであります。これは有効なところもありますが、一方で、無関係な第三者の携帯電話の通信を阻害する、こういう場合もあります。そして、通信を抑止する範囲が社会的な容認の範囲であるかどうか、それから、通信を抑止する範囲外に電波が漏えいしてしまって通信を妨害する、こういうようなこともありますから、これは一件一件、今度は安全上の問題にもかかわってきます、緊急の通信がそれによって途絶えるという可能性もあるわけでありまして、状況を見ながら、しっかりと慎重にこれは許可をしていきたい、このように考えています。

上西委員 ありがとうございます。

 安全上、利便性とさまざま課題はあると思いますけれども、抑止装置を有効に活用できるようお取り組みをお願いいたします。

 また、NHKホールに設置をされて六年以上の歳月が過ぎました。

 NHKホールでは、紅白歌合戦など、国民が多く行きたいと願ってもなかなか行けないプラチナチケットのイベントが多く、ようやく手にしたコンサート中に迷惑音がするのは、本当に不本意だと思います。そのような装置で雑音を消していることなどを御存じの方は少ないでしょうし、ホールの中以外、例えばトイレや通路では携帯の通話は可能なので、実際、実感されている方は少ないかもしれませんが、NHKに、観客の皆さんから携帯電話抑止装置に対する御意見、御感想が届いていればお聞かせください。また、実務に携わるNHK職員の方の御感想もあればお聞かせください。

吉国参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のように、NHKホールでは、平成十八年十二月からこの装置を導入しております。ただ、装置は導入しておりますが、以前から、当然のことですけれども、コンサートなどの場合には観客の方に、携帯電話を切ってくださいということとか使わないでくださいということは申し上げていますし、先ほどおっしゃいましたように、現実に客席を出てロビーとかでは通話ができますので、直接我々がそういった苦情というのを聞いたことはございません。

 それから、携帯については、普及しているだけじゃなくて、通信会社の努力で届く範囲もどんどん広くなっていますので、ホールでも実際に抑止装置を使わないと届いてしまう状況になっています。

 やはり音楽のコンサートとかさまざまな公演で着信音が鳴ってしまっては大変な迷惑になります。そういう意味では、我々も安心して運営ができるという意味で、歓迎しているところであります。

上西委員 ありがとうございます。

 ところが、そのような便利さの裏に、NHKホールでコンサートなどが開催されている最中には、NHKホール周辺、例えば代々木公園などでは携帯電話の電波が通じなくなるという都市伝説があり、実際、私の周辺でもそれを体験された方がいます。

 NHKホールの明治神宮側にはイベント広場があり、大勢の集客があるので、同時にキャパ以上の回線が使われることがあるので、それが大きな要因ではないかと言われる方もいましたが、イベントに参加している方々がそれほど大量に同時に携帯電話を利用している状況は考えにくいようにも思います。

 そのような事例、要するに、クレームが総務省やNHKに届けられたことがあればお聞かせください。総務省及びNHKの方から御答弁をお願いします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点については、私どもは承知いたしておりません。

 なお、携帯電話等抑止装置の免許に当たっては、抑止装置の電波が外部へ影響を与えないことを検査により確認しておりまして、抑止装置は原因に当たらないのではないかというふうに考えております。

吉国参考人 私ども、そういった都市伝説というのは今まで承知していなかったんですけれども、これは、設置の際は当然のことながら総務省の検査も受けまして、そういう形で客席に限定されているということが確認されていますので、この抑止装置が原因になってそういうことが起こっているというのはちょっと考えにくいと思います。

上西委員 ありがとうございます。

 私が述べました携帯電話抑止装置が仮に法定以上の電波を発していたら取り締まるケースはあるのでしょうか、総務省の御所見をお聞かせください。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話等抑止装置が微弱と称して販売されていたのにもかかわらず、その装置が基準を超える電波を発したとしても、一般の方はそれと知らずに使ってしまう場合がございます。

 このため、そのような不法な装置の利用者を見つけた場合には、総務省は利用者に対して、不法開設となるため使用をやめるよう指導を行うこととなります。

 それにもかかわらず、使用をやめないなど悪質な場合には、電波法違反ということで警察に告発を行い、警察によって捜査が行われることになります。

 なお、免許を受けた携帯電話等の抑止装置であっても、免許状に記載された事項に反する等の違反行為があった場合には、指導等適切に対処してまいるというふうに考えております。

上西委員 最近、コンサート中でもNHKホール周辺で携帯がちゃんと通じるようになったというのが、また第二の都市伝説化されています。要するに、携帯電話抑止装置が取り外されたか、そして、携帯抑止装置の電波が弱くなったのではないかと言われるそうなのですが、調べた限り、携帯抑止装置をNHKホールから撤去したという報道は見つかりませんでした。

 NHKより実情を御説明願えますでしょうか。

吉国参考人 当初設置した抑止装置ですけれども、先ほど申し上げましたように、平成十八年に購入しまして、十八年十二月から、改修をしながら、二十二年三月まで使用しております。その後も、新たに登場する携帯電話の使用する周波数に対応するため、さまざまな通信キャリアがありますので、その周波数ごとに電波を出さなきゃいけないので、そういう改修は行っておりますけれども、発する電波の出力は全く変えておりませんし、改修のたびに検査を受けて、そういうことが確認されております。

上西委員 ありがとうございました。

 平和と幽霊と電波は目に見えないと笑い話で語られるように、例えば、電子レンジのように、数ギガヘルツ、実際には電子レンジでは二・四ギガヘルツ程度の弱い電波を常時発している家庭用電化製品は多く、そのようなものに囲まれて私たちの近代的な生活は成り立っているのですが、通信システムに影響を与えないように電波法でさまざまな規制が設けられ、そのために電測車も活躍しているでしょうが、除外規定として、免許を要しない微弱電波を発する無線局の概念が認められています。

 その微弱電波を発する無線局とは、その出力を発信源から三メートル離れたところで十ミリワットと規制していると理解しているのですが、その範囲内の電波しか出さない携帯電話抑止装置は自由に設置してもよいと解釈してよろしいのでしょうか。

 また、携帯電話抑止装置は、総務省が無線基地局の実験試験局として許可し実用化されているのに、実用局でないのが少し理解できません。実験試験局と実用局の相違点の御説明を求めます。また、今後も実験試験局として認めていかれる方針なのか、御説明をお願いします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 最初のお尋ねでございます。

 携帯電話用の周波数帯を使用する無線設備の場合、電波法第四条第一号の規定によりまして、発射する電波が著しく微弱なものであれば、免許を受けることなく無線局を開設することはできます。しかしながら、このような微弱な電波では、既存の携帯電話等の抑止装置と同等の抑止効果を発揮することは技術的には困難であろうということでございます。なお、このような免許を要しない無線局であっても、他の無線通信に障害を与えてはならないとされているところでございます。

 それから、もう一点お尋ねでございます。

 実験試験局として免許し、実用局ではないということで、この二つの相違点についてでございます。それから、今後も実験試験局として認めていくのかということですが、実験試験局は、科学もしくは技術の発達のための実験、それから電波の利用の効率性に関する試験、または電波の利用の需要に関する調査を行うために開設する無線局であって、実用に供しないものをいいます。

 抑止装置は携帯電話等の通信を抑止するという極めて例外的な無線局であるというようなことから、どのような形態の実用局にするかについては慎重な検討が必要だというふうに考えておるところでございます。

 電波利用料につきましては、実験試験局は一無線局当たり年間三百円となっておりまして、抑止装置が現在のところどのような形態の実用局とするか決まっていないので、電波利用料の金額については未定でございます。

 以上でございます。

上西委員 ありがとうございます。

 各種電波が混在し無秩序状態になることを回避するには当然の措置と思いますが、携帯電話を十分抑止するだけの装置を許可するには、こういった移動する車内での詳細な実験データを要求されます。

 しかし、実際に運行された電車やバス内でのデータをとるためには、許可を得なくてはなりません。電車の運営会社は実験に協力的なのに、周囲に携帯電話通話不能などの悪影響が万が一にも生じてはならないので、総務省はこの実験さえ認めません。だから、この画期的な商品の開発も実用化が進まず、稼働させることができない悪循環だという話も聞いたことがあります。そのような機種の申請があれば、実験に立ち会うか、国として広い実験スペースを用意して測定するなどの配慮がないと、宝の持ち腐れにもなりかねません。

 ちょうど、自治体のごみ収集業者を新年度に決めるのに、ある程度以上の台数のパッカー車を所有する者だけに入札参加資格を与え、落札できるかどうかはっきりしない者がパッカー車を用意するわけがないので、結局、既得権を持つ前年度契約業者だけが応札し、何十年も同じ業者が続くのと形態が全く同じです。

 ここは、大幅な規制緩和をし、時代のニーズに即応した新規製品が開発されれば、国は真摯にそのものの調査をすべきで、そして、実験を認めずして、その実験データを添付しなくては審査をしない現状を見直し、新規業者にも日の目を当てるべきだと考えますが、現状と今後の取り組み、特に、検査の簡略化や許認可の基準の緩和策をお持ちか否か、御答弁ください。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 規制の簡略化だとか許認可基準の規制緩和策というお尋ねでございます。

 携帯電話等抑止装置の免許に当たりましては、実際に電波を発射したそのデータを求めることはありませんで、机上計算によるデータから、設置場所の電波環境について申請時に提出をいただきまして、必要な要件を満たしているかどうか確認をしているところでございます。

 また、免許の際には、抑止装置が適切に設置されているか、電波が外部に漏えいしていないか等につきましては、その確認のために、総務省の職員が現地に赴いて落成検査を行っているところでございます。

 電車とかバスでの使用といった個別のケースにつきましては、携帯電話等抑止装置の導入を希望する方から抑止装置の必要性や運用方法を伺った上で、先ほど大臣からもありましたが、通信を抑止する範囲が社会的に容認できる範囲かどうか、それから通信を抑止する範囲外に電波が漏えいすることによって他の無線通信に妨害を生じさせないかといったような観点から検討を行って、慎重に免許の可否を判断していくということになります。

上西委員 ありがとうございます。

 今回の政府案は、国民の命を守り、その一助となる消防防災行政がよりスムーズにいくための改正で、その一端として電波利用料の使途範囲の拡大がうたわれるなど、私はその部分を大いに評価しています。

 いずれにいたしましても、国民の命、財産を最大限守り抜き、有事の際には最小限の被害で済むような施策を遂行して、防災、減災に努めていただきますようくれぐれもお願いし、また、今回議員提案で議題になっている電波オークションに関しましては、世界の趨勢であり、独占や寡占状態を回避するためにも導入すべきであるというスタンスをお伝えしまして、中田先生にかわらせていただきます。

 ありがとうございました。

北側委員長 次に、中田宏君。

中田委員 よろしくお願いします。

 維新の会の時間の中で、私が残りの分をやらせていただきたいと思いますけれども、きょうは、新藤総務大臣、お疲れさまでございます。あわせて、原口元総務大臣もいらっしゃいますので、新旧総務大臣が居並ぶというこの状況の中で、なるべく民主党案にもぜひお伺いをしたいというふうには思っておりますので、その意味では、急ぎ、入らせていただきたいと思います。

 まず、政府案の方からもろもろお聞きをしていきたいと思うんです。

 この電波法の改正案でありますけれども、電波利用料の使途の範囲を拡大していくということでありますね。その中には、市町村の防災行政無線と消防救急無線のデジタル化の費用、これに二分の一の補助をしようということが盛り込まれております。

 私も経験があるわけですけれども、市町村のこうした緊急時の無線体制というものをデジタル化していくというのは当然重要なことでありまして、いざというときの備えという意味においては、これは大いに評価をしていきたいというふうには思っています。デジタル化すれば、当然ですけれども、高速で送ることができるようになるわけでありまして、防災や救急救命活動に資するということであります。

 その意味で、まず基本的なことなんですが、二十四年度末時点でのデジタル化率というのは、データでは、防災行政無線で一三・二%、消防救急無線では四〇・六%にとどまっているということです。だからこそ補助をしていくという趣旨は理解できるわけですが、さて、目標をどのぐらいに置くんですか。しっかりと目標を立ててやってもらいたいと思うわけですが、そこについての御答弁をお願いしたい。

柴山副大臣 今御指摘のありました防災行政無線並びに消防救急無線のデジタル化は、今御指摘のとおり、通信の秘匿性の向上に加えて、データ伝送の利用も可能となりますし、効率も飛躍的に高まるということで、いずれも私どもの最終的な目標は一〇〇%デジタル化であります。

 そして、期限についてなんですけれども、まず、消防救急無線のデジタル化は、先ほど来お話がありますとおり平成二十八年五月三十一日が移行期限であって、同期日までに一〇〇%の達成を求めることとしております。

 そして、防災行政無線の移行期限につきましても、今後、情報通信審議会の審議ですとか、市町村における移行計画を十分把握した上で移行期限を検討していきたいと考えております。

 本施策の実施によりまして、財政力の弱い市町村を優先的に、移動系になりますが、防災行政無線のデジタル化を支援すること、及び移行期限を定めるなどによりましてデジタル化の加速を図って、最終的に一〇〇%デジタル化することを目指してまいります。

 なお、デジタル方式への移行期限が平成二十八年五月三十一日と定められている消防救急無線の方につきましては、本施策とあわせて、自助努力による設備整備や、消防庁などの財政支援を行うことで完全デジタル化というふうにしてまいりたいと思っております。

 以上です。

中田委員 最終的には一〇〇%ということでありますが、それは聞いていればそのとおりだなと思いますけれども、しっかりとした目標を中間的にも立ててアプローチをして、それでさっさとそうした政策課題というものを実現していくということが重要だと思うんですね。

 というのは、後でも触れますけれども、これは特定財源でありますから、ある程度使途範囲は限られる。しかし、それをどういうふうに有効に使っていくかというのは、これは国が、ある意味では戦略的に考えて有効に活用していくべき財源だと思うんです。その意味において、まず、この特定財源としての性格ということについてお聞きをしたいと思います。

 そもそも、電波法においては、電波利用料の使途を電波監視、地上デジタル放送対策など十二項目に限っているわけです。今回の改正案はそれに一項目つけ加える。その一項目は、電波の能率的な利用に資する技術を用いた人命または財産の保護の用に供する無線設備の整備のための補助金の交付ということを追加するということですね。申し上げたとおり、十二項目が今度は十三項目になるということで、使途はもちろん相変わらず限られています。

 ただ一方では、特定財源ということで、一般財源に比べてその使途ということについて審査が甘くなるということにもなりがちなことであって、これは原口元総務大臣がお詳しいと思いますが、民主党政権下のいわゆる政策仕分けという中においては、将来的な一般財源化も考えていくべきだというふうに結論として出ていたはずであります。

 そういう意味では、一般財源化ということを考えていくという方向について、新藤大臣、おありなのかということをお聞きしたいし、それに感想があれば原口元大臣にも一言コメントをいただきたいと思います。

新藤国務大臣 まさに電波利用料制度というのは、受益者の方々に公平に負担をしていただく、そういった意味で、電波の適正な利用の確保のために必要な共益費用を負担していただく、こういうことであります。

 したがって、仮に電波利用料を一般財源化する、それを他の使途に充てるということになれば、電波利用料を負担していただいている免許人の方々の受益が失われることになるわけであります。また、そうなりますと、そもそも受益者の方々に負担をお願いする理由もなくなってくるということがございます。

 ですから、今、現在の電波利用料財源をそのまま一般財源化するということについては、負担者である無線局免許人、こういった方々の理解は得られづらいのではないか、このように考えています。

 それから、民主党の提言型政策仕分けの中における報告書においても、この将来的な一般財源化については慎重に検討がなされるべきであると、平成二十四年の十二月であります、昨年の十二月末に、まだ政権が移行する直前でありますが、民主党の副大臣のもとで行われた検討会においても、慎重な検討が行われるべきである、こういう意見が出されている、こういう状態であります。

原口議員 まず、中田委員におかれましては、政権時代、総務省顧問として、地域主権あるいはICT維新ビジョン、さまざまな御提案をいただきまして、本当にありがとうございます。

 その上で、今、新藤大臣がお話しになったとおりですけれども、しかし、やはり特定財源の偏りというものもございます。また、委員が御指摘をされたように、私たちは、この電波利用料を、いつまでも受益と負担の共益費でいいのか、市場に任せて経済的な価値もそこの中に入れていくべきだということで、今回、オークション制度の提案をしておるわけでございます。

 これは受益者の御理解もいただかなければいけませんけれども、将来にわたって、国民全体の財産である電波、その電波を受益している人たちからいただいたお金をどのようにするか、私は、一般財源化の議論をできる限り早急にかつ慎重に進めていくことが大事ではないかというふうに考えています。

中田委員 今、両見解がありましたけれども、ここは、それこそこういう国会という場において大いに各会派同士のような議論というものがあって、これは後でちょっと触れますけれども、国の大戦略を立てて、その大戦略の中に生かしていくべき財源じゃないかなと思っているわけです。

 どちらの議論、すなわち、完全に特定財源のままにしておくということ、あるいは一般財源として門戸をどんどん自由にしていくということ、どちらが正しいというのは、これはもちろん簡単に言えないことだし、どちらが正しいという決めつけは恐らく成り立たないことなんだろうとは思います。

 その上で、受益と負担というのがなるべく見えやすくしていくということは何事も必要なんですが、しかし、受益と負担を考えれば特定財源ですから、その使途というのは限られてくるという形になってしまう。

 さて、電波利用料の支出を見てみると、今年度予算ベースでは六百六十六億円。その内訳というのは、地上デジタル放送が約半分を占めていますね。地上デジタル放送総合対策ということで四七・六%ですから、半分を占めています。それ以外に、研究開発等が一三・七%、総合無線局監理システムが一三・一%と続いているわけです。

 この半分を占めている地デジ対策ですけれども、これは、今年度を含めてあと四年間で終了していくということになります。そうすると、先ほど私が提起をした、使途をより柔軟性を持ってやっていくのかという議論をまたこの四年の中でやっていかなければいけない。これは四七・六%ですから、半分を占めている財源というのを、今後、使い道を決めていかなければいけないということを私たちは真摯に検討していかなきゃいけないですよね。

 その意味において、これから先、今回追加をする十三項目に加えてさらに広げていく可能性ということについて大臣はどうお考えになっているのか、十三項目だけに今後もこだわっていくのか、ここについて御見解をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 これは、先ほど奥野委員にもお答えいたしましたが、どのような支出が必要か、こういう算出をいたしまして、それに対して受益者である方々に負担をしていただく、こういうことなんです。

 ですから、今、確かに地デジの関係が半分近くを占めております。シンプルに、この部分がなくなって、そしてそのほかの支出がないということになれば、利用料が下がる、負担が下がるということであります。初めに歳入ありきで、それを歳出でどう割り振っていくかということではないと私は思っています。

 その意味において、今後、この電波利用をどのような方々に、そしてどういうような研究開発が必要か、こういったことを捉まえながら、これは審議会等で御検討をいただいていくわけであります。

 なので、今、これから三年ごとに見直しをしていきますから、その作業の中で、必要な歳出額が決まってきます、それに対する負担額も決まってくる、こういうふうにお考えいただければいいと思います。

中田委員 私はここで、先ほど来申し上げております、戦略的に我が国の方向性というものを議論し、方向性を持ち、かつ、そこで必要な財源としても大いに考えていくということをしていいんじゃないかと思っている幾つかの提案をしたいと思います。特に新藤大臣におかれましては、これは安倍政権にとっても極めて重要な課題として、審議会という言葉も今出ましたけれども、審議会なんかにぜひ検討を指示していっていただきたい、提案をぜひしたいと私は思っているんです。

 それは何かといいますと、無線LANなんですね。

 今、安倍政権の成長戦略の中において、外国からの観光客をふやしていく、これは間違いなく一つの大きな柱ですよね。外国からの観光客をふやしていく、日本にとってこれは重要な課題です。観光庁もつくったわけです。はっきり言って、日本というのは、観光資源はたくさんあるのに、世界に比べてみたら実に観光客が少ない。それは日本の経済にとってももっともっと伸ばしていくべき分野だということは、恐らくここにいらっしゃるどなたも反対をしないことだと思いますね。

 なぜ観光と今回の電波法かという話なんですけれども、今申し上げたWiFi、無線LANなんですけれども、今観光庁がとっている調査において、日本を訪問した外国人の不満、ここは一位が無料公衆無線LAN環境なんですね。すなわち、外国人が来て、日本で無線LANを自由に無料で使うことができない。あっちこっちで無線LANを使うのであるならば、一々一々登録手続をしなければいけないというようなこと、これは圧倒的にここ数年一位で、旅行中に困ったことの項目になっちゃっているんです。これは何とかしたいですね。

 外国人が成田に来て、その後、成田から移動して鎌倉に行く、あるいはそこから今度は九州に飛んでいく、いろいろケースが考えられるだろうけれども、そういうところで、一回登録したら無線LANを使えるようにしていくというふうにすることは、この外国人の困ったこと一位を取り除くことであって、すなわち、日本の観光資源、先生方の地元、いろいろなところがあるでしょう、そういうところに行ったときに、いわゆる世界じゅうに発信してくれるわけですよ、そこから。ところが、それは現状できないんです。

 こういうことを戦略的に進めていくということについて、私は、こうしたお金というものは大いに生かしていくべきだと思うし、このお金を生かすかどうかということもあるけれども、何よりも、日本にとってはこれは観光客をふやしていく上で大いに重要なところだと思いますよ。新藤大臣、この点についていかがでございますか。

    〔委員長退席、徳田委員長代理着席〕

新藤国務大臣 これは重要な指摘だというふうに思いますし、やはりアクセス数を高めるという意味において、まず、日本に来た外国の方々が楽しめる、それから、みずからの目的を容易に達成できる、その支援をする手段としての無線公衆LANというのはもっと普及させるべきだというふうに思います。

 それで、昨年、総務省におきまして、無線LANビジネス研究会というのを開催しました。

 その中で報告書の提言をいただきまして、これは前政権でやっていただいたことでありますが、我々の政権になりましてから、ことしの一月に、民間事業者等によって構成してもらう無線LANビジネス推進連絡会、こういったものを発足させたところであります。無線LANの環境、それは公衆回線を張りめぐらすこととあわせて手続を簡易にする。それから、外国人がそこにアクセスしようにも、日本語で書いてあるのではアクセスできませんね。ですから、そういったいろいろなものも工夫していこうじゃないかということを検討されております。

 それから、地方自治体においては、例えば福岡ですとか浦安ですとかそういったところでは、逆に、外国人の旅行者を誘致する、アグレッシブにそういう政策を展開して、無料の公衆無線LAN環境を整備する事例、取り組みも始まっております。

 ですから、私としても、ぜひ、どういったところをさらに広めていかなくてはいけないか、改善すべき点は何か、そういったものは検討してまいりたい、このように考えています。

中田委員 これは総務省の方で結構でありますけれども、現状の電波法百三条において、先ほど来議論している十二項目、今回可決、成立すれば十三項目になるその使途が限られているわけですが、現行の十二項目、あるいは今回の十三項目も含めて、WiFi、無線LANの整備のためにお金は使えますか。

吉良政府参考人 現行法では、頭に受益の話がございますので、その受益に当たるかどうかということが基本になろうかと思います。

 今ある条文の中ではこれは読み込めませんので、条文に入れるとすれば、目的が免許人全体の受益に資するかどうかということがありますので、それから検討しなければならない問題だというふうに思っております。

中田委員 役人お得意の広い読み方をすれば、私、使えないことはないんじゃないかなと実は思っているんですが。

 それはともかくとして、受益、受益と今おっしゃったんですけれども、受益という点で考えれば、現行の電波の利用料を誰が払っているのかといったら、これは携帯電話のアンテナの数に応じて携帯の利用者が払っているんですよ。だけれども、支出はといったら、さっき申し上げたように地デジ対策なんですよ、半分が。そういう意味でいったら、受益と、こういう場面では持ち出すんだけれども、そこはやや無理がある。

 もっと言うならば、受益ということを持ち出すのであるならば、携帯の利用者が払っていることと、それから通信、無線LAN、先ほど来申し上げているこのことはむしろ一致をする話になってくるわけですから、こういうことをぜひ積極的に考えてもらいたいというふうに思うんです。

 ニューヨークなどでは、公園でも無料でWiFiが使えるようになってきた。あるいはロンドンなどでは、地下鉄の各駅でもやはり無料でWiFiが使えるようになってきた。

 我々日本人は、割とスマートフォンも普及して、そして、スマートフォンの定額の、固定の契約をしていると、余り不便さは感じないわけですね。よく言うように、気づいてみたら、世界の中でも高速通信に関しては日本は非常に先進国になったという実態があるわけですけれども、これは日本人に限った話であって、外国から来た人にとってはそうなっていないわけです。

 外国から来た人、これから先、日本に観光客をふやしたい、そのことを考えたときに、日本に来て、さあどこに行こう、交通経路はどうしようと調べることも一つ。

 それ以上に、今申し上げたように、行った先々で、今、日本にいるよ、こんなきれいな景色だったよ、こんなおいしいものを食べたよと、写真をつけて世界じゅうに発信をしてもらう、フェイスブックだったら、そこに「いいね」ボタンが次々と押されてくる、こういう環境をつくっていくことは、一回来た人たちが二倍、三倍と観光客を引き連れてくるというような効果にもつながるわけであって、ぜひ、新藤大臣、これをやりましょうよ。

新藤国務大臣 これは、二つに分けて考えなきゃいけないと思いますね。

 まず一つ、委員の御提案については、これは外国人だけではありません。無線の公衆LAN環境をさらに整備するということ、これは国内においても必要です。それから、観光客だけではありませんね。ビジネスに対してでもそういったサービスが必要だと思っています。私は、これから、いろいろな特区だとか、地域活性化、それから国家戦略特区、こういったものも今担当しておりますけれども、そういう中で、今の通信回線の環境は向上させていかなきゃいけないというのがあります。

 一方で、やはり、委員、ちょっとそこはよく整理してもらいたいんですけれども、電波利用料を使えばいいと。

 例えば、地デジが始まる前の一番最初の予算というのは七十五億なんですよ。ですから、先ほど申しましたように、必要な歳出、研究開発費用、こういったものを見込んだ上でその先に歳出があって、それをどうやって無線局の方々に負担していただくかということなんですね。ですから、ここに金があるから、あれも使えばいいじゃないか、これも使えばいいじゃないか、これは、逆に負担をどなたか特定の人にお願いすることになるわけでありますから、ここはよく考えなければいけないことだ。

 私は、今のことができませんとか、やりませんとは言いませんよ。しかし、そこは研究が必要であって、簡単に、法律を膨らませて項目を追加して、今ある金額を前提にして、あれを使えるじゃないか、地デジがなくなるんだから三百億なくなるぞ、こういうような議論にはなかなかなっていかないのではないかなというのはぜひ御理解をいただきたいと思います。

中田委員 余り、そんなに小難しく答弁をしていただくことを期待していなかったんです。そうですね、日本の観光客をふやすために大いにそういうことは積極的にひとつ検討させますよと。今すぐやれと言っている話じゃないです、今年度予算の中でそんなのはないわけですから。ぜひ、大臣、本当に指示してくださいよ、そういうことは大いに検討すべきだと。

 だって、ビジット・ジャパン・キャンペーン、昨年幾ら使ったかといったら、四十九億二千七百万円ですよ。四十九億しか使っていない状態なんですよ。しかも、キャンペーンをやって、来てくれ来てくれ、これしか言っていないと言ったら失礼だけれども、根性論、気合いだけなんですね。

 やはり、もっと本当に、日本に対して来るに当たってのインセンティブが働いたり、さっき言ったような循環をつくっていくということを戦略的にやっていく必要があるわけで、これは観光庁の予算でといったら、観光庁の予算は切りなく広がっていっちゃいますよ。空港のインフラ整備だ、やれ何だ。

 そういう意味では、こういう財源を活用しながらやっていくということについて、大臣、多分、答弁を求めるとまたいろいろと言いたいことがあるでしょうから、うなずいておいてくださればそれでいいですから、ぜひ指示してください。そういうことをやはりやっていってもらいたいというふうに思います。

 さて、原口元大臣もいらっしゃるので、ぜひお聞きをしたいのは、衆法で今回出している、対案ということになるんでしょう、この件についてですけれども、二〇〇九年以降に加盟した四カ国を除いてOECDの加盟三十カ国のうち、いわゆる電波についてのオークション制度をやっていないのは三カ国だというふうに聞いています。日本、アイスランド、スロバキアというこの三つだけだというふうに聞いています。すなわち、オークションというのはもう世界的には当たり前のことになっているということでありまして、これはかなりの金額なんですね。

 例えば、二〇〇八年に、七百メガヘルツ帯のオークションで落札価格が、アメリカの場合は百九十億ドル、すなわち一兆八千四百億円。イギリスでは、二〇〇〇年の3Gオークションで二百二十五億ポンド、これは三兆九千九百億円という金額になっていますから、そういう意味では巨額の財源が国庫に入ってくるということになります。

 日本で導入した場合、これはどのくらいだと見積もっていますか。

原口議員 全く御指摘のとおりだと思います。ドイツでも3Gオークションでは五兆六百億に上っている、こういうデータがあります。

 オークションですから、一概にどれぐらいの額かということを言うわけにはいきませんけれども、オークションを導入した場合に、民間事業者が提示する金額によるために具体的な見込みは困難ですけれども、免許の期間、すなわち最長十五年間にわたる電波利用料の経済的価値に見合った額としていますから、イギリスやドイツ並みのお金が国庫に入るというふうに考えてもいいと思います。

 先ほどの議論で大変大事なのは、WiFiを使って、あとは光の道に逃がしていく。今、電波が物すごく逼迫しています。そういう意味からも、このオークションの価値はさらに高まるもの、このように考えています。

中田委員 我々は、このオークションということについては基本的には賛成の立場であります。

 やはり電波ということについては有限なものですから、そういう意味では、より価値の高いことに限られた資源を使っていくということを考えれば、現行の利用料というのは経済的価値とは違う金額。いわば人気のある、例えば今、プラチナバンドを各携帯電話会社も競って導入してきました。そういうことによって、つながりやすい、今まではビルに電波を飛ばしたらそこでぶつっと切れていたのが、ビルを回り込むような電波を使えるわけですから、そういう意味ではこれは経済性が高いわけですね。経済性が高いものについてはそれ相応の金額をつけていく。

 では、経済性といっている以上は、それを役所が決めるというのはやはり論理矛盾になってくるわけですよ。そこは、やはりその有用性に応じてマーケットが決めていくというメカニズムを働かせていくことが重要なのでありまして、オークションということについては我々は賛成であり、この点を政府においても、これから先は、まあ、民主党が返す返すも、恐らく思っておられるんだと思いますけれども、民主党時代にやっておけばよかったということが、残念ながら方向転換ということで、法案まで恐らくつくっていたものが今このような形にひっくり返っているわけですから。

 私の持ち時間はもうありませんから、意見だけ申し上げておきますけれども、今後の政権運営の中において、新藤大臣においては、限られた資源なんですから、やはりここは市場原理も必要ですよ、このことはぜひ今後は検討し、そして先ほど申し上げた、観光に資するようなそういう使い方、WiFiということもぜひ御検討を指示していただきたいというふうに思います。

 終わります。

徳田委員長代理 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 中田委員の質問に「いいね」が大分入ったのかなと思っています。

 早速質問に入らせていただきますが、先ほど新藤大臣が言われた、電波利用料、総括原価方式、何のために使って、それで財源がこれだけ要るんだ、それが電波利用料になっていく、まさにそのとおりだと私は思います。そういうことを考えたときに、オークションとはまた別の次元で、今の中ではそういう状況であるので、それを基軸にして質問をさせていただきたいと思うんですね。

 そうしますと、先ほどの質問の中でもあったように、地デジ化が四十数%。今後、あとどれだけ地デジ化のお金が要るのかなという資料を出させていただいたんですが、それでいきますと、平成二十六年から三十年ぐらいの中で、約八百四十五億円がまだ必要であるということです。ですから、これを年で割れば当然出てくるわけです。

 そうなると、基本的に、先ほど大臣が言われたように、これがなくなるとすれば、普通だったら利用料が下がるというのが当たり前だと思います。経費、使うものが減ってくるわけですから、総括原価方式でいけば当然下がっていく、これはそのとおりだと、さっきの答弁は私は納得をしております。

 そこで、何点かお聞きをしたいのが、電波利用料たるものは、本来、先ほどから、十二項目が十三項目になったということでありますけれども、今回の電波利用料の大きな目的は、いわゆるデジタル化によって空き地をふやす、これをまず一義的にやらなきゃいけないということから始まったのだと思いますね。

 国会の総務調査室の方からいろいろ資料をいただきました。そこで見ますと、基本的には、平成八年に、当時の郵政省電気通信局から消防庁に対し、電波の有効利用のために消防救急無線のデジタル化及びナロー化についての協力がなされた。その後、いろいろ消防の方で検討をされてまいった。そして、その経緯を言うと、検討していただいて、消防庁も消防・救急無線デジタル化検討委員会を設置し、進めていくということになった。

 そこを受けて、総務省は、アナログ消防救急無線のデジタル化及びナロー化の移行について、平成二十年四月九日に、先ほど大臣からも審議会、審議会という話がありましたが、電波監理審議会に諮問をしたということでありますが、このことは間違いないでしょうか。

柴山副大臣 平成二十年の四月九日の電波監理審議会では、百五十メガヘルツ帯のアナログ方式の消防用無線局について、二百六十メガヘルツ帯のデジタル方式への移行を推進してまいりました。ただ、その移行について一定のめどがついたことから、アナログ方式の消防用周波数の使用期限、先ほど申し上げたように平成二十八年の五月三十一日までとしておりますけれども、これを定めるための周波数割り当て計画、総務省告示の一部変更案について諮問をしたものでございます。

 本件につきましては、この周波数の移行によって利用可能となる百五十メガヘルツ帯が陸上移動通信に適した周波数帯であるということから、まさしく鉄道用とか電力用など公共業務を中心に広く利用されているということを踏まえて、電波利用者の利便性の向上及び周波数の有効利用の推進といった観点から、同日、原案を適当とするという旨の答申をいただいております。

佐藤(正)委員 審議会というのは、諮問を受けて、その日に、はい、わかりました、答申が出ましたというのが普通の審議会かどうかというのはちょっと疑問があるなと思うんですね。そんなに簡単に審議会というのは審議を通すのかな、一般的に考えればそう思います。その点をまず一点指摘させていただきたいと思います。

 そしてまた、平成十九年十二月二十一日の、周波数割り当てについてその審議会が答申を出して決めた内容が実はあるんです。それはお手元のナンバー2の資料を見ていただければわかると思うんです。ここを読んでいただければ、新たなる周波数をお渡しするということで、三社ほどいろいろ、うちがいいですよと提案をしてきて、その審査をずっとやった、審査をやったところが、どういう理由でそこに割り当てたのかなということがここに書いてあるんです。

 そこで、実は、そのときに、特定基地局の開始、運用に必要な財政的基盤が大事ですよ、いわゆる財政力が必要ですよということを言われて、当時、株式会社ウィルコムに決定をした。ところが、財政的にしっかりしているよというところが、二年足らずで実は倒産してしまったんですね。これは本当に審議会の中でもしっかりと調査をしたのかなとちょっと疑問がつく点が多々あるのではないかなと思います。

 そういう意味で、先ほど言ったように、諮問をしてその日に答申が出たり、やってみたら、財政的にはここが一番いいんだよと言ったところが実は二年以内に倒産してしまう、どうも普通に考えたら少し疑問符が残るというところは指摘をさせてもらいたいと思います。もう答弁はいいです。時間がありません。

 そこで、先ほど来から電波利用料という目的の中で、今回、行政防災無線、消防救急無線のデジタル化を進めてきたんですけれども、なかなか進まなかったと思うんですね。防災無線については、先ほども言ったように、一三・二%というふうに、実際はそんなに進んでいない。消防救急無線についても、私が総務省の方から資料をいただいた中においては、平成二十三年度では一〇・九%ぐらいだった、平成二十四年で四〇%だと。この諮問委員会で決まった使用期限のお尻、平成二十八年五月三十一日までにする。だから、そこまでに何とかしなきゃならない。

 そこで、お尋ねをしたいのは、これまでなぜそんなに進捗率が遅かったのか、この辺についてはどうお考えでしょうか。

新藤国務大臣 手短に言えば、財政事情の逼迫、こういったものが最大の原因だと思います。そして、これはできるだけ高度なものに取り組みたいと現場では誰もが願うと思いますが、しかし、なかなか優先度が上がっていかなかった。しかも、それに対する財源の措置というのが、地方財政が非常に厳しい中でありますから、そこが影響があったんだと思います。

 しかし一方で、東日本の大震災を経て、やはり私たちは、防災、それから人の命を守る、救う、こういった部分をもっと見直さなければいけない、優先度を上げなければいけない、当たり前のことでありますが、そういった思いの中から、さらにこういったこともやらせていただきたい、このようになっているわけであります。

佐藤(正)委員 確かに、財源がなくてなかなか進まなかったんだろうと思いますが、そこで、今回、この電波利用料のお金をその財源に充てるということに、使途がそうなったんですね。原価方式の中でいくと、こういう目的で使うから、これだけの電波利用料ですよということが決められたんだと思います。

 そこで、今大臣が言われたように、確かに財源が足らない、人の命を守らなきゃいけない。しかし、電波利用料は、先ほど来からお話があったように、受益者に対する還元がなければいけないというところで、いわゆるデジタル化によって空き地をふやすことによって還元できますよという目的だと思うんですね、本来は。

 となると、二つの論点があると思います。人の命、いわゆる国民の生命財産を守るのであれば、私は、この電波利用料を利用する以前に、国民の皆さんに御説明をして、これは税金でしっかり充てるのが本来の姿ではないかな、このように思いますが、いかがでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の防災行政無線と消防救急無線は、災害対応の効率化を図って、国民の生命、身体及び財産を守る上で非常に重要な役割を果たすというのは先生御指摘のとおりでございまして、一方では、電波利用料を使いますものですから、周波数を効率的に使うことによって、将来、通信需要が増大した場合でも、周波数逼迫によって周波数を追加で割り当てることを回避できるというようなことがございます。

 国民の生命を守ることも、それから空き地をつくること、両方とも、私ども、重要な課題というふうに思っておりまして、一方に重きを置くものではないというふうに思っております。

 それから、国民の税金を投入すべきと考えるがどうかということについてでございますが、先ほどから申し上げていますように、防災行政無線と消防救急無線は、自治体の災害対応や住民の命を守る取り組みに必要なものでございまして、原則、自治体が整備するものというふうに考えております。

 しかしながら、これらの無線は国民の生命を守るために必要でありますことから、自治体における着実な整備が行われるようにということで、今回の措置以外にも、緊急消防援助隊設備整備費補助金による措置のほかにも、地財措置としまして、緊急防災・減災事業や防災対策事業の対象としておりまして、整備を進めているところでございます。

佐藤(正)委員 今お答えになられた件は、お手元の資料に添付をさせていただいています。消防救急無線に係る財政措置ということで、何点か、どこかで聞いたような話ですが、国の補助金を出して、そのかわりあてがうから、基本的に後でちゃんとお返しするから借金してください、起債を、出してやってください、この委員会でもほかのことでいろいろ議論になったことがありますけれども、そういう仕組みがここに載っています。

 ただし、先ほど言ったように、本来なら、空き地をつくるのが大きな目的だったと思います。

 電波利用料をお支払いになっている方々も、確かに、国民の生命財産に寄与するのであれば、わかりましたというのは当たり前です。だったら、お尋ねをしたいんですが、今総括原価方式でやっている仕組みの中で、再度その原価を見直してみようというようなことはお考えにならないんでしょうか。

新藤国務大臣 委員、これもぜひ共有をしていただきたいと思うんですが、空き地をつくるためだけではないと私は思いますね。その前に、まず第一に、無線の高度化を行って防災対応をしていこう、この活動を高度化していこうということ。私は、これは大きな柱の二つだと思います。一つはそういった高度化、それから、それによって電波の有効利用が図られるということであります。

 今回の電波利用料を使う部分というのは、その中で特に財政力の弱いところ、全国で九十四自治体です、そこについては、全体の電波の利用の観点から助成措置、財政措置をつけようということであります。

 そのほか、これは本来自治事務ですから、この仕事に関しては、防災・減災事業、それから通常の地方債、こういったものを使って促進をしてくださいということでやってきたわけでありますね。それを、ここのところで目標設定して、きちんとみんなでおさめるためには、特別に弱いところについては御支援をしましょう、こういうふうに法律に加えた、こういう御理解であります。

 ですから、電波利用料の総括原価方式を根本から見直すというのは、いつもそれをやらなきゃならないわけで、三年ごとの見直しをやるわけであります。その中で額がどうなっていくかというのは、先ほども申しましたけれども、必要、需要に応じて算定されて、設定されていく、こういうことでございます。

佐藤(正)委員 大臣が言われることはわかるんですよ。自分は同じ考え方なんですね。

 ところが、例えば、市町村でアナログも何も全く進んでいないところがあるとしますね。そこが新たにデジタル化をしたというときには、これは電波利用料は使えないんですね、たしか。どうですか。その辺はどうなんでしょうか。

吉良政府参考人 防災行政無線の関係でいえば、同報については六十メガヘルツ帯をアナログもそれからデジタルも使っておりまして、これは、先ほどから申し上げているように、他の免許人に対する受益が発生しないので、だからそれは対象にはなりません。

佐藤(正)委員 今お聞きになったとおりなんです。対象外なんですね。要するに、アナログからデジタル化すると集約できて空き地ができるから、それは電波利用料でお使いできますよ、しかし、そうでないものは使えませんよというのが今のお答えなんです。

 だから、先ほどから私が言ったのは、電波利用料の目的が、いわゆる空き地をつくるためにやっているんじゃないでしょうか、だったら、大臣が言われるとおりであれば、逆に言えば、使っていいじゃないですか。

 アナログも何もないところがデジタル化になる、そういう場合は、今の電波利用料のお金は使えないんですね。先ほどからいろいろ議論していますと、空き地云々ではなくて、総合的な判断の中でやるということであれば、もう少し弾力的に考えていったって実はいいんじゃないかな、僕はそう思います。

新藤国務大臣 これは、制度として確かにそういう部分があるわけです。

 しかし、今、一八%なんです、アナログの防災行政無線を入れていない、簡易の無線で終わらせちゃっているところが。これはだめだ、私は個人的にそう思っているんです。ですから、きちんと自治体に対して再度要請しようじゃないか、自治事務ではありますが、それはきちんと要請しようというふうに思っています。

 そのことに関しましては、これはさまざまな既存の財政措置があります。それから、今回私どもでつくりました地域の元気づくり、これも使えるんですね。ですから、そういういろいろなものが使える中でそもそもの防災機能を向上させるということはやっていただきたいというふうに思います。いろいろな手だてを使ってこれはやろうと。

 さらにその上でいろいろな御要望が出てくれば、柔軟な検討、研究の余地はあると思いますよ。しかし、現状では、まずその前に既存の措置でもってやって、模索してくださいというところから始めないといけないかな、このように思っているわけであります。

佐藤(正)委員 ここで議論をやりとりしてもしようがないですけれども、実際進んでいないんですよ。スピードが遅いんですね。

 だから、僕が言ったのは、電波利用料は本当に明確にそうやって空き地の部分でしか使えないというんだったら、先ほどから答弁してきたのと若干違ってくるので、現実に進捗が進んでいないということを踏まえた中で、やはりいろいろなことを、今、新藤大臣が言われたように、複合的にも考えざるを得ないですよ。

 現実に、市町村は、そうは言われたって、また借金しろと言われるのかというところなんですよ、実際は。でも、必要性はわかっているけれども、ただ、順番が違うんですね、要は。その市町村市町村によっては、何が一番なのかというところを考えたときに、逆に言えば優先順位が低かったのかもしれませんね、この状況は。だったら、東日本大震災でこういうことを経験した国民として、今一番わかりやすいことなんでしょう。

 ただし、言えることは、これは新藤大臣と僕はちょっと考え方が違うかもしれませんけれども、電波利用料というのが、先ほど、地デジ化で予算が減ってくると、当然原価が減るわけですから電波利用料は下がる、ところが、下がってきた枠があるとそこを使いたい。これは私の考えですよ、大臣とは違うかもしれませんが、そういうことで、いろいろなことを考えながら、新たなものを何か足していっているような気がしてなりません。そこは、まず一点指摘をさせていただきたいと思います。

 その中で、防災行政無線、電波利用料を払っている方々からすれば、これは有効的に使ってもらいたいですよ。有効的に使うためにどうするのか。今回の防災行政無線にしても、各市町村、各県、それぞれで設置をしなさい、それぞれのシステムを自分たちで考えてやりなさいということなんですね。果たしてそれでいいのかなと私は思うんです。

 となると、今回の全国的な大災害が、きょうも災害特でありましたけれども、想定外のことが起こり得る。私は九州ですから、例えば九州で考えたら、九州全体で考えなきゃいけないことも起き得るかもしれない。そんな災害もあるでしょう。そんなときに、この防災行政無線というのが、各県、各市町村でそれぞれのシステムをつくっていていいのかな。

 これは、例えば、国一つで考えてもいいんですよ。国一つで、全国どこでも同じシステムできちっと統一するような仕組みをつくったものをやったりすれば、これは皆さんの手元に資料をお渡ししておりますけれども、四ページ目ですね、防災行政無線の効率化。

 今のままだと、約九百市町村ごとにそれぞれつくってくださいよ、免許の単位が市町村ごとだと。これは総務省の検討資料ですけれども、これでいくと約四千二百億円かかりますよ。これを例えば、効率化で全国一律、もしくは道州制を見据えた中でのシステム導入等を含めていくとより安くできるという試算を、この検討委員会の中でも出されているというふうに僕はお聞きをしておりますが、この点について御意見があればお答え願いたいと思います。

新藤国務大臣 こういう研究をいろいろしていただくこと、これは大変喜ばしいことでありまして、建設的な御提案をいただけることはありがたい、このように思っているわけであります。

 ですから、要は、通常は自分たちの範囲でもって使っているが、いざとなったときには広域的な運用ができる、こういう体制を整えていくこと、それは、ルールをきちんとつくって、そしてデジタル化しておく限りにおいては、その運用の幅は物すごく広がると思いますね。ですから、そういう中でのいろいろな工夫が必要だろうと思います。

 全然お話とは違うんですが、かつて我が国では、警察と自衛隊と海保が別々の通信回線を持っていて、隣にいるにもかかわらず、本部を経由しないとなんということがありました。全部直させましたよ。だけれども、要するに、こういうものというのは危機管理ですから、きちんとしたシステムと運用のルールをつくっていくことが重要だと思います。ですから、これは傾聴に値する話だと思います。

 一方で、一つの事業体で、民間の事業者に、本当の安全保障の分野にかかわるところにおいて、それは信頼しないわけではありません、しかし、その一社の運用というのが果たして本当にセーフティーネットになるかというようなものもあります。

 それから、現実に、各自治体で既にもう導入している設備がございます。こういったものを有効に使うという観点からすれば、そういったところを検討しなきゃいけないだろうなと思います。

 いずれにしても、精神としては、いざというときに広域的に対応ができる、そういう体制をつくっておくことは極めて重要だ、このように思います。

    〔徳田委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤(正)委員 ぜひそれを、後ろの方はもういいですから、最初に言った方を考えていただいたら。

 何でもそうなんですよ。投資をしました、投資したから、これはもったいないからずっとやっていこうといったら、この投資した金がどんどん死んでいくんですよ。それよりも、その投資を欠損、損金に落としてでも、新しいものを導入した方が実は有益であるということがたくさんありますから、ぜひ、新藤大臣、前半の部分でしっかり検討していただくことをお願いしたいと思います。

 次に、先ほど来の電波利用料の件なんですが、中田委員からも御質問の中でありました、携帯電話の方が電波利用料は約七十数%を占めているというところですね。

 そこでお尋ねをしたいんですが、この中で、テレビ、放送とかいろいろな部分で利用料の軽減措置があるということですが、この軽減措置について、どういう仕組みで、どういうところが対象になっているのか、お尋ねをしたいと思います。

柴山副大臣 お尋ねの電波利用料の軽減措置のあり方については、まさに現在開催をしている電波利用料の見直しに関する検討会、これは私が座長を務めさせていただいておりまして、橘政務官も加わっていただいておりますけれども、そこで、一つの重要な論点として検討しているところであります。

 今御指摘のとおり、携帯電話につきましても、例えば緊急地震速報を受信したりとか、いろいろと災害対策の公益的な役割を果たすではないかというようなことを通信事業者の方々からいただいているのは事実であります。

 それも踏まえて、この検討会においては、これまで、もちろん、既存の放送会社の方からもきちんと意見を聞いておりますけれども、こういった幅広い意見の募集ですとか、公開ヒアリングにおきまして、この無線局の軽減措置は一体どのようにあるべきかということについて、さまざまな意見を交わしているところであります。

 今後、これらの意見を踏まえて、検討会において、ことし八月末ごろまでに料額の見直しの基本方針をまとめていただくこととしております。

 以上でございます。

佐藤(正)委員 では、今も検討していると。検討するということは、やはりちょっとおかしいな、今までの仕組みが、例えば放送の方に対して四分の一ほどの軽減がある、携帯の方には軽減はない、しかも、利用料を払っている大部分が携帯事業者である、そういう中で、これは少し変えなきゃいけないのかなということが根底にあって、検討に入られているんだろうと思います。

 そこで、テレビ局に軽減があるわけですが、これは、NHKと民放とではどういうふうに中身が違うんですかね。

柴山副大臣 お答えいたします。

 確かに、NHKと民放では、軽減率を考慮するに当たって、考慮すべきファクターとして、普及義務のあり方が考慮されるべき点だと思っております。

 現在の電波利用料制度では、地上テレビジョン放送の料額の算定に当たっては、あまねく普及をさせる義務、これがNHKです。そして、あまねく普及をさせるよう努力する義務、これが民放なんですね。それを勘案して、使用する周波数帯域に二分の一を乗じて算定をしているところなんです。

 いずれも、電波利用の便益を国民に広く付与するための責務であるということから、その公共性を勘案して、二分の一を掛けるということとさせていただいております。

佐藤(正)委員 普及の義務と、民放は努力義務、これで何で同じなんでしょうね。おかしいでしょう。NHKは義務をしっかり言っているけれども、民放については努力しなさい。

 では、携帯電話の方にはこういう努力義務は与えていないんですか。携帯電話事業者にはそういうのは与えていませんか。

吉良政府参考人 携帯電話には、特性係数が掛かることはございません。

佐藤(正)委員 さっきからその議論をやっているので、それはわかっているんですよ。携帯電話にも例えばこういう普及努力義務というのはないんでしょうかというのを言っているんです。

吉良政府参考人 失礼しました。

 携帯電話には、普及努力義務というのはございません。

佐藤(正)委員 では、お尋ねしますが、努力がつくのとつかないのと、どこがどう違うんですか。教えてください。

吉良政府参考人 いずれにしても、あまねく普及義務とあまねく普及努力義務というのが放送法に定まっている、法律に定まっているということを勘案して、その公共性があるというふうに勘案して、二分の一を乗じているところでございます。

佐藤(正)委員 だから、私はわからないので教えてくださいと言っているんですよ。法律の中で努力と努力がついていないのを教えてください、それをお尋ねしているんですよ。

吉良政府参考人 いずれにしても、法律に定まっているということでございまして、NHKと民放、同様に二分の一を乗じているということでございます。

佐藤(正)委員 多分、聞いている方はわからなくなったんだろうと思うんです。

 だから、明確に聞きたいのは、私は法律がわかりませんから教えてください、法律の中で努力というのが入っているのと入っていないのは、どういうふうに私は解釈をしたらよろしいんでしょうかということをお尋ねしているんです。

 答えられるんだったらもう一回答えてもらったらとは思いますが、時間がなくなってきましたので、どうなんですか。

吉良政府参考人 いずれにしても、先ほどから繰り返しておりますけれども、あまねく普及義務とあまねく普及努力義務を勘案して、法律に定まっているので二分の一を乗じているところでございますが、いずれも、電波利用の便益を国民に広く付与するために、通常の市場活動を超えた責務が法令により規定されているということで、その公共性を勘案しているところでございます。

 ただ、本件も含めて、料額の算定に当たっては、具体的な算定方法について広く意見募集を今行っているというところでございます。

佐藤(正)委員 もう時間がないんですが、先ほどの答弁の中で、公共性というのが入るんだけれども、基本的には、携帯電話なんて、今すごい公共性がありますよ。今回の東日本でも、携帯はかなり活躍されたと思いますし、そしていろいろな情報も流れています。

 そういう意味では、先ほど副大臣が言われたように、検討を進めているというのは確かにいいことだと思いますので……(柴山副大臣「一言だけいいですか」と呼ぶ)前向きなものですか。では、お願いします。

柴山副大臣 ですので、公共性と一言で言うと混乱をしてしまうんですね。要するに、そのサービスの持つ価値が非常に大切かどうかということと、今、NHKと民放のように、ユニバーサルサービスが確保されているかあるいは確保されていないかということで条文の書き分けをしているということ、これをしっかりと整理していかなければいけない、そういうことです。

佐藤(正)委員 時間が来ましたので、最後に言います。

 例えば民放の公共性も含めてですが、皆さん考えてください。あるチャンネルは、朝から晩まで、夜中までテレビショッピングばかり流している。これは何の公共性があるのかなと逆に思いますよ、本当に。そんな時間帯があるんだったら、空き地がいただけるんだったら、二十四時間、国会の質疑を全て流してやった方がよっぽど公共性があるということを指摘して、質問を終わります。

北側委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 電波法の審議に関連して、最初に、地上デジタル放送送信所のスカイツリー移転に伴う電波障害についてお尋ねをいたします。

 東京スカイツリー開業から、あしたで一年になります。地上デジタル放送について、東京タワーから東京スカイツリーへと送信所が移転することになっています。

 そこで、お尋ねしますが、東京スカイツリーからの試験電波発出に伴う受信障害に関する問い合わせの件数が幾つか、また障害対策の件数は幾つに上っているか、そして、実際移転の時期というのはいつとなっているのか、以上三点についてお答えください。

吉崎政府参考人 放送事業者におきましては、昨年十二月から、スカイツリーから試験放送をしております。視聴者に受信状況の確認をお願いしたいということでやっておるものでございますけれども、コールセンターへの相談は相当な数になっておりまして、対策の必要な施設というのは、五月十九日までの累計で約十一万三千件でございます。

 この原因につきましては、ブースター障害が約七割、それからアンテナの受信レベルが下がっているというのが約三割でございます。また、地域としましては、東京都が約四割、千葉県と埼玉県が約二割となっております。

 十一万三千件の要対策施設でございますけれども、五月十九日までにこの九五%が対策工事を完了いたしております。また、工事日が確定しているものも含めると、九九%を超えております。

 現在、いろいろと試験電波を出して、そして要対策のものをなるべく早目に把握するということを放送事業者の方が一生懸命努力しているところでありまして、行政としましては、それを今見守っているという状況でございます。

塩川委員 問い合わせの件数そのものはちょっと手持ちの資料がないようですので、移転の時期というのはどんなふうになっているんでしょうか。

吉崎政府参考人 放送事業者の方におきましては、五月中を目途にして進めているということでございまして、それができるかどうかということを今見守っているという状況でございます。

塩川委員 総務省として、やはりここをしっかりとやらなきゃならない。

 総務省は、放送事業者の責任で視聴者への影響に対策を講じることを免許変更許可の要件としております。

 そこで、受信障害を残さないように国としてどのように取り組むのか、この点についてお答えいただけますか。

橘大臣政務官 今ほど塩川委員からお話がございましたように、今回のスカイツリーへの送信所移転につきましては、受信対策をしっかりやって、移転前に、受信障害が発生するものをできるだけなくしていく、そういう条件をつけて、そして、アンテナの方向調整等の受信対策が必要な場合は、その対策を適切に実施するようにということでお願いをしているところであります。

 したがいまして、移転前に、受信障害が発生する施設を最大限見つけて対策をしておくことが必要と私どもも考えております。

 このため、放送事業者さんと毎日毎日の姿というものを綿密に打ち合わせさせていただいておりますし、移転リハーサルについても、先週の土曜日は午前九時から午後三時、六時間、そして、きょう、現在も午前九時から午後三時、六時間、さらに、五月二十四日、二十六日、今週の金曜日、日曜日ということで、午前九時から午後七時まで十時間という形で時間を延ばしながら、そういう問題が生じないように、啓発も含めて取り組んでいるところでございます。

 最後まで、こういった要対策施設の増加の状況を把握しながら、また、移転後の事後対策の実施体制等についても確認をしながら、移転によって最終的に視聴者の皆様に混乱が生じないように、しっかりと放送事業者の皆さんの責任と負担によって対策を進めていただくよう働きかけもし、また、打ち合わせも綿密に行っていきたいと考えております。

塩川委員 受信障害世帯が解消されたことをもって東京スカイツリーへの移転を許可する、こういう立場でぜひ、視聴者に混乱を与えない、負担も強いることがない、こういうようにあらゆる対策をとっていただきたいと思います。

 法案について質問いたします。

 今回の電波法改正は、消防救急無線と移動系防災行政無線のデジタル化に対する財政支援が可能となるよう、電波利用料の使途を拡大するものであります。アナログ消防救急無線のデジタル化については、アナログ消防用無線の周波数帯の使用期限が二〇一六年の五月三十一日までとされております。

 そこで、お尋ねしますが、二〇一三年の三月末時点での消防救急無線のデジタル化の進捗状況、着手件数と整備の完了したもの、これがそれぞれどうなっているのかについて教えてください。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 消防救急無線につきましては、平成二十八年五月末までにデジタル化するということになっておりまして、整備の進捗状況につきましては、全国の消防本部のうち整備済みの割合は一五・三%、百十八本部となっておりまして、これに着手済みの団体を加えた場合には、四〇・六%、三百十三本部となっているところでございます。

塩川委員 十年以上前からデジタル化を呼びかけてきたのに、現時点、整備済みというのは一五・三%にとどまっていると。何でこんなふうに進んでいないんでしょうか。

市橋政府参考人 各消防本部におきましては、消防救急無線のデジタル方式への整備期限であります平成二十八年五月三十一日までにデジタル方式への整備を終了させるよう、それぞれ整備計画を策定いたしまして、それに沿って整備が進められているところでございます。

 各地方公共団体、それぞれ事情がございます。財政状況あるいは更新のタイミングなど、それぞれございますので、それによりまして、整備に着手する時期というのは異なってきておりますけれども、先ほど申し上げましたように、平成二十五年四月一日現在で、全体の四〇・六%の消防本部が整備に着手しているというふうなことでございまして、期限に向けて着実にデジタル化が進んでいるというふうに認識しているところでございます。

塩川委員 着手から完了までという期間が、一年のところもあるし、大きいところは三年近くかかるようなところもあるということを聞きました。そういう点でも、大臣、お尋ねしますけれども、今現在、引っ越しをしてもらったその跡地の利用については、こうこう使いますということが決まっているわけではありませんから、そういう点でも、こういう二〇一六年五月末のデジタル化移行の期限というのを延長するという選択肢というのはないんでしょうか。

新藤国務大臣 もう必要性等は重ねませんが、これは、二十八年の五月三十一日までに全ての団体で整備が終了する、それぞれの団体において計画をつくっていただいているわけであります。我々も、それに対してさまざまな支援を行っていこう、こういうことで新たな取り組みも打ち出しました。したがって、ぜひ目標達成に向けて努力をしていきたい。

 また、さらにいろいろな働きかけ、特に、アドバイスや、技術的な相談、こういったものも我々はやっていく必要があるだろうということでありまして、きめ細かな対応をしながら目的達成に向けて努力したい、このように考えています。

塩川委員 期限を切って進めるということであれば、例えば、国や、跡地を利用するような事業者の費用負担によって、デジタル化の取り組みが進んでいない財政力の弱い団体に対しての思い切った財政支援をとる、こういうことなども、より踏み込んだ取り組みが求められているんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

新藤国務大臣 これは先ほどもお答えいたしましたけれども、地方財政措置といたしましては、緊急防災・減災事業それから防災対策事業、こういったものを整備しております。さらには、もともとから、緊急消防援助隊設備整備費補助金による措置、こういったものもありました。そして、今回の新たな財政支援制度を入れたわけであります。

 ですから、これは私たちもいろいろな相談には乗っていきたい、このように考えております。

塩川委員 防災対策の一環としての取り組みでもあります。

 私、防災対策という点で関連してお尋ねしたいのが、コミュニティーFMの問題であります。

 東日本大震災では、住民への情報はさまざまなツールを通じて提供することが欠かせない、このことが明らかになりました。その中で、地域に密着をした情報提供を行う役割を発揮してきたのがコミュニティーFMであります。

 最初に大臣に、このコミュニティーFMの役割についてどのようにお考えか、どのように評価をされておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 コミュニティーFMは、地域の活性化、それから、きめ細かな町の情報を必要とする人たちに送る、また、放送そのものが町のコミュニティーをつくっていただく、こういう意味において非常に有効だと思っています。

 また、私は今、ラジオ放送が防災にどのような役割を果たすか、そういった強靱化に資するための検討会というのを省内に立ち上げました。その際にも、災害時にラジオ放送が非常に役に立ったということが明らかになっております。

 ですから、通常の親しみを持つコミュニティーの一部になっている放送が、非常時には自分たちのライフラインにつながっていく、こういう効果も期待できるのではないかという意味において、まちづくりやコミュニティーの形成、そして非常時の防災面での支援、こういった意味で非常に有効ではないかな、このように考えております。

塩川委員 地域の活性化やコミュニティーづくりに資するもの、また、防災あるいは災害時に対しての積極的な役割についての評価の御答弁がありました。こういう役割を持つコミュニティーFMが、非常に地域に根差して広がっていくということが求められていると思います。

 それとの関連で、今回の東日本大震災では臨時災害FMが活用されました。やはり、地域の災害情報などについて、あるいは避難所の状況や、あるいはさまざまな支援物資がどうなっているのか、どこどこに行けばこんな情報がある、こういうことについて、まさにきめ細かに届けていたのが臨時災害FMでありました。

 今現地でこれから本格的に復興に向かおうか、こういうときに、では臨時災害FMをどうしていくのか。積極的な役割を果たしているにもかかわらず、臨時災害FMのままでずっと続けるということでもありませんので、コミュニティーFMへの転換をしようとしても、資金難の問題がありますし、実際、復興なしに資金の確保も困難ということもありますし、そういう点でも何らかの支援策、対策が求められているときではないのかと思うんですが、この点についての大臣のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

新藤国務大臣 まず、東日本の大震災の被災地においては、二十八自治体が臨時の災害放送局を開設いたしました。そのうちの十三自治体は既に廃止されましたけれども、そこから九自治体がコミュニティー放送に移行したということでありまして、そうした取り組みを続けていただいているということであります。それから、二十八自治体のうちの十五自治体は、いまだに臨時災害放送局を継続中ということなんであります。

 災害時における避難というか、復興のフェーズというのがあります。最初の段階では全てが遮断されちゃいます、テレビも見られません。そうすると、そこで唯一の情報源がラジオだったんですね。ですから、こういったものも踏まえて、今後、自治体からいろいろな御要請があれば、それに対しては我々もいろいろな相談に乗っていきたい、このように考えております。

塩川委員 コミュニティー放送の普及の課題として、首都圏や近畿圏など都市部においては、周波数の逼迫により新たな開局が困難な状況にあるとされております。実際にそういう話も、この間伺ってまいりました。

 そこで総務省にお尋ねしますが、コミュニティー放送局の開局相談が寄せられた市区町村数というのは幾つになっているのかを、全国で幾つか、あと、関東地方、近畿地方、それぞれどのぐらいになっているのかについて教えていただけますか。

吉崎政府参考人 コミュニティー放送局は増加してまいりました。その結果、御指摘のように、首都圏、近畿圏で周波数が逼迫してまいりました。そこで、東京二十三区とその周辺については平成九年九月、大阪市とその周辺につきましては平成十年四月に、これ以上の周波数の割り当ては困難であるという旨の報道発表をしました。

 ところが、その後も開局相談は続いておりまして、過去五年間で見ますと、関東地方では四十四の市町村、そして近畿地方では二十の市町村から相談が寄せられております。そして、これら全部を含めまして、全国では百三十八という数字になっております。

塩川委員 関東地方で四十四、都県別に見ると、例えば新藤大臣や柴山副大臣の地元の埼玉でも八つの市町村からの要望が、まあこれは、行政からですとか、あるいは市民の方から相談があった、それを市区町村単位で集計したという数字でありますけれども、非常に、地域に根差したコミュニティー放送をやってみたい、やりたいという声というのが広がっていることを示しているわけであります。

 しかしながら、今の答弁にもありましたけれども、既に十年以上前から周波数が逼迫をしているということで、例えば関東電気通信監理局が、平成九年、一九九七年の九月二十九日の報道発表で、東京二十三区及びその周辺については、これから申請されても当面周波数が選定できない状況にあるという、いわゆる周波数逼迫宣言というものを出しているということをお聞きしましたが、一九九七年といえばもう十五年も前から逼迫をしていたのに、総務省はこの間何をやってきたんでしょうか。

新藤国務大臣 これは、お叱りを受けている。ニーズが高い、状況がわかっている、必要性がある、にもかかわらず実際のインフラが用意できない、こういう部分であります。ですから、我々としても累次にわたっていろいろな検討を進めてきたということであります。

 先ほども言いましたが、私どもは今、そういった観点も含めて、放送ネットワークの強靱化に関する検討会、こういうものをやっております。議論の真っ最中です。コミュニティーFMの一層の普及に向けた取り組み、こういったものもその検討会の中で議論になっております。過日、コミュニティーFMの協会の方にもおいでいただいて、我々もプレゼンも受けました。そして、今後、電波帯も含めて、どこでどういうふうに維持できるのか、いろいろな工夫をしなきゃならない、こういうことはあります。

 まずは有識の皆さんで御検討いただいておりますから、その中からよい答えが出てくることを期待しておりますし、我々も研究を進めていきたい、このように考えています。

塩川委員 その意味では、十五年間も放置をしてきたというような実態にもあるわけですから、それはしっかり受けとめていただきたいと思います。

 それで、日本コミュニティ放送協会、こういうコミュニティーFMが多く加盟されている団体から私も直接お話を伺いましたし、総務省大臣宛ての、コミュニティー放送にかかわる要望書というのも出されているとお聞きします。

 その要望書の中では、関東、近畿、東海地方の都市部などでは、FM放送用周波数が逼迫をし、割り当て可能周波数がなくなっている状況にあるため、コミュニティー放送を開設したくとも開設できないという状況にあると訴えています。

 コミュニティー放送への周波数割り当てを求める要望にどう応えるのか。

 先ほどの答弁で、放送ネットワークの強靱化に関する検討会の話がございました。強靱化の名前はいかがかなと私は思っておりますけれども、ここでも、AMラジオの補完としてのFMラジオの放送の議論もあると承知をしております。

 何よりも周波数帯の問題で考えますと、そもそも、地上デジタル放送のアナログからデジタルへの移行に伴って跡地利用が行われることになる、その跡地利用としてマルチメディア放送というのが想定をされていた。それが、実際には、当初の想定よりも手を挙げる方が少ないという状況にもある。

 そういう意味でいえば、その周波数帯というのが、ちょうどFMにもそれなりに対応し得るような周波数帯でもあると思いますから、そういう点でも、そもそも、地デジの移行に伴った跡地利用としての周波数帯の利用として、やはりきちんと踏み込んでコミュニティーFMの活用が可能となるよう周波数帯を確保していく、こういうことは当然できることではないかなと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

新藤国務大臣 名称は強靱化ということでありますが、これは防災対策を考えようということと、それから、今後のラジオというものをどのようにこの国において業として展開していくのか、こういう議論もしているわけであります。その中の一環として今のようなコミュニティーFMの話も出てきていると御理解をいただきたいと思います。

 それから、いわゆるV―LOW帯、新しく設定する部分における、それは地デジの今のお話もそうなんですけれども、あかしていく、そういう部分での活用というものも考えられるのではないかという検討は入っております。

塩川委員 ちょうどきょうの日本経済新聞にコミュニティーFMの記事が載っておりました。東京、大阪で開局、総務省、来年からということがありますけれども、こういうことが具体的に動いているということでよろしいんでしょうか。

吉崎政府参考人 V―LOW帯の活用につきましては、現在の検討会の中で議論を進めているところであり、なるべく早期に結論を得たいというふうに考えております。

塩川委員 そういう点でも積極的な活用ということを大いに図っていただきたいと思っています。何よりもこの間対応してこなかったということがあるわけですから、そういう地域のニーズに応えた取り組みに一歩踏み込む、その点での決意をもう一度大臣に伺いたいと思います。

新藤国務大臣 まさに技術の革新、それから工夫によっていろいろな可能性が広がっていくわけであります。そして、政策の優先度がまたこれによって極めて上がっているわけであります。防災も含めて、また地域のコミュニティー、それから地方の自立という意味におきましても、その町の皆さんが快適に、そして利便性の高い暮らしを送れるためにも、このコミュニティーFMというのはその役割の一つを果たせるのではないかと期待をしております。

 ですから、私としても、ぜひ、今までの検討を踏まえつつでありますが、よりこの話が進むように取り組んでまいりたい、このように考えています。

塩川委員 ぜひ、そういう対応として前に進めていただきたいと思います。

 最後に、民主党、みんなの党提出の電波法改正案が出されております。オークションの導入を内容とするなど、考えを異にするものであり、我が党としては同意することができません。通信・放送委員会の設置法案につきましては、放送行政の透明性の確保という観点から望ましいものであり、我が党として賛成をしたい。このことを申し述べ、質問を終わります。

北側委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北側委員長 この際、原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 国会法第五十七条の三に基づく内閣の意見として、通信・放送委員会設置法案につきましては、政府としては反対いたします。

    ―――――――――――――

北側委員長 これより各案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北側委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

北側委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、山口泰明君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び日本共産党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。土屋正忠君。

土屋(正)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 首都直下型地震や南海トラフ地震などの重大な災害の発生も懸念されていることから、防災行政無線及び消防・救急無線のデジタル化については、東日本大震災の経験、地方公共団体の意見を踏まえつつ、災害時における情報の迅速、正確かつ高度な伝達が真に可能なものとなるよう努めること。また、財政力の弱い地方公共団体をはじめとして、財政負担のさらなる軽減も含め、計画が達成可能なものとなるよう、支援に万全を期すこと。

 二 今後の電波利用料の見直しに際しては、新技術の導入や新たなビジネスの展開などに伴う電波の利用状況等の環境の変化に応じ、負担の公平確保を旨として予算規模及び料額の算定に当たること。また、電波利用料の使途については、制度の趣旨に鑑み、電波利用料負担者の理解を十分得られるよう、一層の適正化を図ること。

 三 周波数の競売については、免許手続の透明化や歳入増が期待され、また、新規参入や市場競争を促進し、イノベーションの促進や国際競争力の強化につながることも期待できる一方、落札額の高騰による事業者・利用者の負担増等の課題があることから、電波が国民共有の財産であることを踏まえつつ、国民全体の便益を考慮して、幅広く意見を聴取し、総合的に検討を行うこと。

 四 ブロードバンド・ゼロ地域についてはほぼ解消されたものの、今後も情報通信分野における地域間格差の解消に向け、更に取組むとともに、我が国の経済及び地域の活性化を図るため、情報通信技術の利活用を積極的に推進すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

北側委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北側委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

北側委員長 次に、原口一博君外三名提出、電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北側委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北側委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北側委員長 次回は、来る二十三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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