衆議院

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第8号 平成25年5月23日(木曜日)

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平成二十五年五月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北側 一雄君

   理事 田中 良生君 理事 土屋 正忠君

   理事 徳田  毅君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 東国原英夫君 理事 伊藤  渉君

      井上 貴博君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    上杉 光弘君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      川田  隆君    木内  均君

      北村 茂男君    小林 史明君

      國場幸之助君    清水 誠一君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      武村 展英君    橘 慶一郎君

      中川 俊直君    中谷  元君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      福山  守君    船橋 利実君

      牧島かれん君    宮路 和明君

      湯川 一行君    小川 淳也君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      福田 昭夫君    井上 英孝君

      岩永 裕貴君    上西小百合君

      中田  宏君    馬場 伸幸君

      松浪 健太君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   総務副大臣        柴山 昌彦君

   総務副大臣        坂本 哲志君

   総務大臣政務官      橘 慶一郎君

   総務大臣政務官      片山さつき君

   総務大臣政務官      北村 茂男君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  奈良 俊哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  占部浩一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     上田  健君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  宮島 守男君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       鈴木 茂樹君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          合田 隆史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 佐藤 善信君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           高橋 和弘君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 前田  哲君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     船橋 利実君

  門山 宏哲君     岩田 和親君

  中村 裕之君     武村 展英君

  湯川 一行君     川田  隆君

  馬場 伸幸君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     國場幸之助君

  川田  隆君     湯川 一行君

  武村 展英君     牧島かれん君

  船橋 利実君     福山  守君

  井上 英孝君     馬場 伸幸君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     中川 俊直君

  福山  守君     井上 貴博君

  牧島かれん君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 俊直君     門山 宏哲君

    ―――――――――――――

五月二十三日

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

北側委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事吉国浩二君及び理事福井敬君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官奈良俊哉君、内閣審議官占部浩一郎君、内閣審議官向井治紀君、復興庁統括官上田健君、総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、行政評価局長宮島守男君、情報流通行政局郵政行政部長鈴木茂樹君、消防庁次長市橋保彦君、文部科学省生涯学習政策局長合田隆史君、国土交通省大臣官房審議官毛利信二君、航空局次長佐藤善信君、航空局安全部長高橋和弘君、防衛省防衛政策局次長真部朗君、運用企画局長黒江哲郎君及び地方協力局次長前田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

原口委員 おはようございます。民主党の原口一博でございます。

 まずは、新藤総務大臣初め政務三役の皆さん、大臣所信質疑ということで、おくれましたけれども、御就任をお喜び申し上げ、そして、この間、予算委員会でも新藤大臣とも議論をしてきましたが、私たちの政権のよきところは引き継ぐと言ってくださって、そのことについて感謝を申し上げ、また、この中から恐らく未来の総務大臣がお出になるでしょうから、その可能性が極めて高いので、引き継ぎという意味も含めて少し質疑をしたいというふうに思います。

 まず、お手元に、委員長のお許しをいただいて配らせていただいている緑の分権改革。目指すべき社会像、今回、アメリカの大統領選挙でもこのことが大きく争点になったんだと思います。

 左側の現状と書いてあるところは、いわゆるトリクルダウン型の発展モデル。これは、誰か先に行く人がさらに先に行くことによって水が下に滴り落ちるようにその恩恵が行き渡るというモデルでありまして、枯渇性資源を使って、ツケは環境やさまざまな廃棄物という形で次の世代に先送りをしながら、地域は取り残される。あるいは、人間の尊厳といったことについてもいろいろな問題が出てくる。大きな資本が世界を渡って、そして、三年に一回はこういう構造の中で経済的なクラッシュが起きて、先進国の財政は大きく毀損される。この構造を私たちはどう変えるかということを世界的に議論しています。

 それで、今回、緑の分権改革の基本的な理念になったものは、これのアンチテーゼというか、むしろこれを二十一世紀型に止揚したモデルは何かということを考えて出たものが、この右側です。つまり、資本も、むさぼる資本ではなくて育む資本。どこか遠くまで行って資源を奪い合うんじゃなくて、地域の地産地消でもって富を地域から生み出していく。人間の可能性に投資をすることによって、そして、その地域の安心と社会の安定をつくっていく。

 これは、ファウンテン型といいます。泉が湧き起こるように、地域から、あるいは人間の潜在能力から全ての人を幸せにしていこう。だから、これは、ベンサムが言った最大多数の最大幸福という考え方、この中とはむしろ逆ですね。全ての人が人間の尊厳を保障されることによって、地域から、人から社会を再構築していこうという考え方であります。

 したがって、エネルギーについても、こういう社会を実現することができれば、奪い合う、あるいはむさぼり合うということがなくなる。

 今、日本は四つのメガEPAの結節点を持っています。TPPもそのうちの一つです。あるいは、日中韓もそうです。この結節点にいる国というのは、世界の中で余りありません。

 WTOがスタックしてから時間がたっていますけれども、パクス・ブリタニカが終わったときのことをぜひ皆さん思い起こしていただきたいんです。イギリスが世界の秩序の中心を占めることができなくなったときに、世界はブロック化します。そして、各地のエゴが生まれて戦争に入っていく。

 今の時代は、ある意味ではパクス・アメリカーナの終わりの時代だと言われています。つまり、WTOというルールを、世界自由貿易ルールを一つのルールでまとめることができなくなって、ある意味ではブロック化しているというふうに見ることもできます。だからこそ、私たち日本が新たな理念を出して、そして、もっと社会的な安定も含めて、環境の保全も含めて、世界をしっかりとリードする、それが私たちのこの世紀の使命だというふうに考えています。

 総務大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 まず、私の先輩の大臣として、総務大臣就任時代、大変御活躍いただいたことは私も敬意を表したい、このように思います。

 それから、今お話しされたことは、日本人として、また日本の国民の代表として、国会で仕事をする者として大いに共感できるところであります。

 政党や会派を超えて、私たちが今この時代にどういう日本の国というものをつくり、将来につなげていかなくてはいけないか、我々の大きな課題だと思っています。そして、それは、国内の問題を解決するとともに、我々日本を取り巻く世界の中で、私たちはどういうスタンスを持っていくべきなのか、また、どのようなアプローチをしていくべきなのか、これが我々の最大の課題であります。

 したがって、後段の方でおっしゃった、少子高齢化、そして人口減少時代を迎えた日本が、自分たちの国家としての活力と経済を維持するために世界の中にどう入っていくか、また世界経済を私たちの国の中に取り込んでいくか、これが重要であって、その意味において、TPPもRCEPも、そしてFTAAPもそうでありますし、それと連携しながら、牽制球としての日・EUのEPA、これも大きな効果が上がったと私は思います。

 いずれにしても、一つで語るのではなくて、たくさんのオプションを持ちながら、最善、最適な形をつくりつつ、そこに日本としての意思を明確に出すということが重要だと思っています。単に他を利用するのではなくて、我々日本が世界に対してどういう貢献をできるのか、私たちは何を提供していくか、そして、我々は世界から何を得るのか、ここのビジョンをしっかり組んでいくことが必要だと思うんです。

 同じように、国内につきましても、人口移動が激しくなって、そして、都市への集中が起こり、都市問題も起きています。そして、集中が起きて残された地域においては、過疎の問題、また地域の弱体化があります。まず、これを根本から解決する理念と仕組みをつくらなければ、単にびほう的にその場の対策を打つだけでは、これは解決にならないと思います。

 その意味において、この緑の分権改革というのは、哲学的に極めて正しい方向だと私は思いますし、地域にある資源、地域にある資金、これを使ってその町が自立して、それは多様な自立でいいわけであります、自分たちの地域で自分たちのやりやすいように、そして、持続可能な事業をきちんとつくっていく、そのための支援や協力を国はやっていかなければいけない、私たちは、総務省というのは、そういう役割を持っているんだと思っています。

 私は、この理念を受け継いだ中で、地方分権、そしてまた、地域の元気創造本部というものを設けました。それは、今までの取り組みのものを我々は吸収させていただいて、その上で、自分たちなりの工夫をしながら地域活性化、しかもそれは自立を促す地域活性化、これをやっていきたい、このように考えているわけであります。

原口委員 御答弁ありがとうございます。

 自立を促すためには、やはり、地域がみずから持っている生産力を手放してはだめだと思うんですね。多くの地域は、この間、左のトリクルダウン型モデルでは、いわゆる消費者としての立場は強化をされましたけれども、持っている生産力は世界を股にかける大きな資本にある意味吸収されてしまって、そしてみずからがみずからの地域を育む生産力をなくしてしまったときに、今大臣がおっしゃる自立というものまでなくなっていく。

 そこでのキーワードは、ここに書いていますけれども、歴史や伝統や文化、みずからの地域の歴史、みずからの地域の文化、そして伝統についてしっかりとした教育をし、そしてそれを引き継ぐことだというふうに思います。

 さて、具体的な私たちの取り組みについて御紹介を申し上げ、そして現政権でも取り入れていただきたい数点について、きょうは地域行政についてはもうこれでおしまいにしますけれども、ほかの総務省所管の問題についてお話をします。

 まずは、民主党政権では、記者会見のオープン化、やはりどう考えても記者クラブ制度はもう制度疲労をしています。新しいネットによるメディアが出てきて、どの情報を、誰に対して、そしてどのようにひとしく公開するかというのが私たちの政権のテーマでありました。記者会見を全ての人にオープン化し、政務三役会議はリアルタイムで皆さんに見ていただく。

 もう大臣も御経験なさっているでしょうけれども、総務省の所管は物すごく広くて、そして利害がふくそうしています。ですからこそ、誰からも後ろ指を指されないためには、全てオープンにして情報公開をしていく。それは総務省だけではなくて、私たちが政権にいるときは他省にもそれを呼びかけて、外務省やオープン化に応じた役所が随分出てきました。このオープン化についての基本的な考え方を大臣にまず問いたいと思います。

新藤国務大臣 私は、かつて自由民主党の報道局長も務めさせていただきました。また、ネットメディア局長も数度にわたって務めさせていただいております。ですから、これは私にとって当たり前のことだと思っておりました。

 総務省に来て、既に我々は記者会見をオープン化しておりますから、当たり前のように活用しておりましたが、よくよく聞いてみたら、原口さんがこういったことを導入したということでありまして、では、その前はやっていなかったのねということになったわけであります。これは、まさに当たり前のことをやったことでありまして、当然のごとく我々も引き継いでおります。

 そして今、そのオープン化に加えまして、総務省、これだけの仕事を抱え、そして、通信・放送やICTを所管する総務省でありながらホームページの機能がちょっと弱いんじゃないか、こういうことを感じました。そして、少なくとも今、私のときから、記者会見は動画配信をするようになりました。これまではテキストだけでありますので、動画配信はリアルで、即日流すようにしております。また、ホームページもさらに充実したものにしていこう、こういうようなことも加えております。

 いずれにいたしましても、まずは国民に情報を公開し、そして共有していただきながら、いろいろな意見をいただく、またそれに我々が反応していく、このサイクルはきちんとつくっていきたい、このように思います。

原口委員 安倍総理もSNSで積極的に発信される。

 今回、ネット選挙が解禁をされるわけですけれども、ネット選挙が解禁されると若い人の投票率が上がるというふうに考えられていますが、きょうも山口泰明先生と一緒に先ほどから勉強会に出ていましたけれども、そこで出された意見は、高齢者の方々がこれで取り残されるのであればネット選挙の意味はない、むしろ、例えば、これまでは新藤大臣の演説会に行っていた人が次はもう高齢になって行けない、だから、こういうiPadあるいは電子機器で、自宅にいながら、見ながら新藤大臣を応援する、そういうこともできますよということを積極的に高齢層に働きかけていくことが特に大事だなというふうに思っています。

 さてそこで、これも予算委員会で懸念を指摘しましたとおり、今、長期金利が上がり始めています。ある一定以上に物価が上がってくれば長期金利が上がってくるのも仕方がないんですが、この上がり方は極めて注意深く見ないといけない長期金利の動向だと思っています。

 そこで、やはり大事にしなきゃいけないのは、私たちが日々行政刷新を行い、そして、財政改革、行政改革をやっている、このことのメッセージだと思います。

 皆さんにお配りした資料、一枚目の裏側を見ていただくと、私たちはHAT―KZの見直しということで、ひもつき補助金の廃止、天下りのあっせん禁止、特別会計の見直し、それから官製談合の廃止、そして随意契約の見直し、この五つに挑戦をしてきました。特に、天下りの根絶に係る取り組みの中で、いわゆる官房によるあっせんというのは全廃しました。これは、ある意味では、政権を運営するには大変つらいものでした。もうあしたから来なくていいよということを定年になった人たちに言うわけです。三代連続ポストや五代連続ポストという形で、ポストによる天下りもありました。これも全廃させました。

 しかし、そこで、まだできていないものがあります。それは、あっせんによる天下りだけではなくて、例えば持参金型天下りであるとか、あるいは新規起業型天下りであるとか、こういったことは、まだ私たちの時代では、三年三カ月の間では、全部は明らかにできていない。

 そこで、私は実態調査を指示して、この結果を公表しました。しかし、その後どうなっているのか。やはり不断の努力が必要だと思いますが、このことについての現状を教えてください。よろしくお願いします。

新藤国務大臣 まず、答弁の前に、ネット選挙のことであります。

 これは本当に国民の皆さんに、国家的な新しい変革がなされたと言うに匹敵すると思いますから、ぜひ周知に努めていきたい。いろいろなアイデアを実は私も考えておりまして、近々に発表させてもらいたいと思います。

 それから、その中で、ネットの利用者というのは若者だというふうには私は思っておりません。私がおつき合いをしている人たちも、むしろ、高齢者、それから主婦ですとかいろいろな人たちで、政治に興味を持っている人はたくさんおりますし、政治だけではなくて世の中全般に興味を持っている人がいるわけであります。私は、自民党のネットメディア局長というのを、創立して、初代の代表でございますが、今一万人の会員がいますけれども、そういう人たちは若手ではないんですね。

 ただ、ネットに対して、使える人と使えない人がいる。使えない方にネットの恩恵や活用方法をどう知っていただくか。特に山口泰明先生なんかはそういうのをよく勉強してもらった方がいいんじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、山口先生が使いこなすようになったということは、これは国民の間に浸透したことになると私は思っています。ですから、そういう勉強会をやっているというのは立派だな、こう思っているんですけれども、とにかく今世の中は、テレビですとか既存のメディアだけでは動いていないんだというのは我々認識すべきだと思います。

 その上で、御質問の方でございますが、まず、現状といたしましては、原口総務大臣がここは本当に熱心におやりになったということでありまして、まず、公務員の再就職の実態を明らかにする調査をし、公表したということであります。

 そうした中で、それがきっかけとなりまして、国家公務員の再就職に関しては、各府省による再就職のあっせん禁止、OBによる要求、依頼に関する規制、こういった規制がありました。これらに、この規制への違反が疑われる行為を監視するための第三者機関としての再就職等監視委員会が昨年三月に発足いたしました。これが非常に大きなことになったと思います。皆様方の活動が、このようになったわけであります。

 ですから、再就職に関する調査結果、これも再就職等監視委員会による監視活動に活用をされているということでありまして、不適切な行為を厳格に規制していくこと、天下りを根絶していく、これは同じ思いでもって私たちもやっていきたいと思っています。

原口委員 さらに、このHAT―KZのZのところ、随意契約。これも、例えば今ADAMS2という会計ソフトで調達を管理していますけれども、百六十万円以下はオープンにしなくていい。ということは、一つの案件を百六十万円以下にして入札を行えば、そこには光が届かないわけであります。

 契約のあり方の見直しに関し、平成二十一年に、総務省において、契約における実質的な競争性確保に関する緊急実態調査というのを行わせていただきました。これで、ちょっと記憶が曖昧ですけれども、百二十数件の、各省、そこでサンプル調査をしただけでも、やはりこれは事実上の一者入札ではないか、一者応札ではないかと言われるものが出てきました。

 これは、総務省の中で行政評価局がやっているわけですけれども、この行政評価局の人員は、私どものときには、いわゆる年金記録第三者委員会に対して、それを支援するという形で半分ぐらいがとられていました。私は、それはそろそろけじめをつけるべきだ。

 厚労省があるいは社会保険庁が、さまざまな不祥事によって、消えた年金記録、私たちのときにも随分回復をさせていただきましたけれども、総務省が行政評価という大事なセクションの人員を割いて、それをいつまでも続けるというわけにはいかないと思います。

 また、各省の契約のあり方は不断にチェックをし、見張っておかなきゃいけない問題だというふうに思いますが、まずは、総務省の人員を、今ちょうど二百人ぐらいですか、割いているんじゃないかと思うんですけれども、それをどうするのか。それから、各省の契約のあり方をどれだけ改善したのか、大臣にお尋ねを申し上げます。

新藤国務大臣 まず、契約における実質的な競争性確保に関する緊急実態調査、こういったことをやりました。サンプル調査をやり、やはり大変問題になっている事例が指摘されたということでありまして、結果として、平成二十一年の十一月三十日、総務大臣から全府省に対し、契約の一層の競争性、透明性を確保する取り組みを徹底するようにという通知をやったわけであります。この大臣というのは原口さんであります。

 そして、個別指摘事例、これは十一府省、百二十三件、百五十八億円に上りました。これについては全て改善をされたということであります。そして、各府省の契約監視委員会の活用をすることによりまして、調達物品の性能仕様についての事前、事後点検、それから予定価格の積算方法、これについての措置を講じて、こういったことのないように徹底をされているというところであります。

 それから、年金記録確認業務について、これは確かに定員の約千人のうちの四割が使われております。地方においては、委員が御指摘のように五割です。ピーク、四百四十一人、この仕事に従事していただきましたが、現時点では八十六人ということにまで下がってきております。そして、約二十六万件を超える記録訂正の申し立てを処理してきたわけであります。平成十九年以来であります。

 二十三年の六月の年金記録確認中央第三者委員会の報告書におきまして、総務省に臨時のものとして緊急に設置された機関としての役割は十分に果たしてきた。そして、新たな年金記録確認体制の構築について政府において早急に検討するようにという要請をいただいております。

 これを受けまして、今、総務省と厚労省の間で、この年金記録確認第三者委員会の取り扱いについては検討しております。早期に結論が出るように取り組んでおります。

原口委員 これは私のときも課題だったんですよ。それを、また来年も、その次もという形で厚労省から要求があって今の形になっていますが、本来、こういう長期金利が上がり、そして財政規律、行政規律が最も厳しく見られているときにおいては、私はそれを姿勢でもって政府が示す必要があると思います。

 また、これも安倍総理に予算委員会で御答弁いただきましたけれども、少額の随意契約を含めて、政府調達の見直し改善計画を全部出させて、そして、三月いっぱいでこれは出てきていると思います。これはもうお答えは結構ですけれども、強力にその監視を続けていただきたいというふうに思います。

 また、もう一つは使い切りです。年度末で予算を使い切ってしまう。この傾向が非常に強かった。ですから、私たちは、私たちが政権をとった新年度で総務省の各部局に指示をしまして、予算の使い切りの見直しをさせました。それまでは、役所はやはり使い切った方が上へ行くんですよ。それはだめだと。積極的に皆さんに頑張っていただいたおかげで、使い切りの見直し額はそのとき一千億に上りました。

 私は、人もそうですけれども、今ともすれば、公務員といえば、たたけば、給料も下げれば選挙で有利だ、こういうのはもうそろそろ終わりにすべきだと思うんですね。公務員の、それはふらちな実態もありました。外務省の機密費だ、いろいろなことがありました。しかし、国家に身をささげ公務に働く人たちの士気をこれ以上下げてはならない、私はそのように思います。

 ですから、今回の給与法の改正で、五十五歳以上の公務員の人たちのアドバンテージ、その人たちがちゃんとやったらその分給与を上げますよというところを圧縮する。これは、ある意味では、定年延長とそれから雇用と年金の接続を考えればその財源が必要ですから、そういう財源の面から見ても、それから官民の格差という観点からしても、それを埋めるということからしても、ある一定以上、僕は必要なことだと思います。それを一部の人たちのエゴでノーだというふうに言ってはならない、その財源はやはりそこから出さなきゃいけない、これが基本ですが、一方で、余りにもそのたたかれたたかれしている公務員の実態を見ると、そこはやはり違うんじゃないですかと。

 国家に忠誠を尽くし公務に働く人たちの士気を上げる、あるいは人間らしい働き方をさせた局長は昇進させることをしました。やはりそういう、北風と太陽、しっかりと士気を上げる政策も私は必要だと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、予算の使い切り、これは、かつて年度末になると、道路がほじくり返されて、最近やったばかりの工事をもう一回やり直しているじゃないかとか、来年度のシーリングを維持するために予算を使っているじゃないかと随分言われました。でも、それは高度経済成長のころですよね。今予算が足りなくて足りなくてという状態の中で、無理やりに余った予算を使うなどということは基本的にはないわけであります。

 それから、大体において年度の、要するに一年間で使う予算ですから、期間を要する大きな工事、こういったものを早期に発注をして、そして短期間の工期のものが後になって契約していくのは当然のことなんでありますが、世の中で、何かそういう、役所の最も悪い例として使われている、これは払拭していかなければいけないというふうに思っています。実態としてはそういうことがあります。

 一方で、万が一にもこのような予算の使い切りなどはあってはならないと思っています。私も役所の中で、残せと、というよりも、予算をとって、それよりも少ない予算で高い効果を上げたら、それが褒められることなんだよということはずっと言っております。特に通信の分野、ネットの分野なんかは、これはもう、ネットを使うということは、今までとは考えられないような、コストをカットしつつ、今まで以上の効果を出せるものがこのネットだと思いますから、ぜひそれに取り組もうじゃないかというのは役所の中で事あるごとに申し上げているところでございます。

 そうした上で、後段の話でありますけれども、公務員が何をもって誇りとするか。これは、そもそもが全体の奉仕者であって、国家公務員になろうとする者は、国のために役に立ちたい、こういう思いで入ってくるわけであります。そもそも、給料が幾らだから公務員を選ぼうと思う人はいないはずですね。私はそのように信じております。

 大体において、幾ら頑張ったって、業績を上げたところでその人にボーナスが上がるわけでも昇給がふえるわけでもありません。ですから、国家公務員の報酬というのはこれは国民の評価であって、そして仕事を、世の中がよくなった、喜んでくれる人がいる、それが自分たちの報酬だ、私はそのように思っておりますし、そういう方々が大半です。時々へんてこりんなのが、不祥事が出たりするのは、それはどんな組織においてもいるわけでありまして、国家公務員には厳正なるそういった取り組みが求められるのはもちろん当然でありますが、私は、公務員というのはそういうものだと思っています。

 ですから、公務員のやる気を引き出す、士気を上げるというのは、要するに仕事を評価してあげるということだと思うんです。それから、評価されるためには、公務員といえども、自分たちはこういう目的のためにこういうことをやっているんだということをきちんと知らせることも必要だというふうに思っているんです。

 その意味において、今、国の財政的な非常事態に対し、国家公務員の給与の削減措置というものを臨時異例でありますが行っています。それは、地方公務員の皆さんにも要請という形でお願いをするような形になってしまいました。それは、国がそれだけ厳しい財政状況であるからということであります。

 私は、この財政状況が改善され好転されていけば、これは、当然のごとく、人勧も含めて、それから、公務員も生活がありますから、世の中の経済状況を反映したものにしていかなければいけないし、また、人事評価の中で、やはり頑張った人が報われる、同じ給料の枠で、そして年次でもって役をいろいろと経験していくわけなのでありますが、それにしても、やはり頑張った人が報われる、そういったものを評価の中に、また人事制度の中に取り入れていきたい、このように考えております。

原口委員 ぜひそのようにやっていただきたいと思います。また、人間らしい働き方についても、よく、労働というところについて、私たちは雇用と労働を守る責務を持っています。そのことについて、労働組合の中には、やはり行き過ぎた権利主張であったり、体質そのものを問われるものもありますけれども、労働組合を組織し、そして労働者の権利を守るということは、私たち自身、どの党派にいようが、それは守っていかなきゃいけないことだというふうに思います。

 今大臣が少し触れられましたけれども、情報化の部分は、コストカットあるいは効率化が大変進められるところでございます。

 皆さんのお手元の6の資料をごらんになってください。これが、政府情報システムの私が引き継いだときの現状でありました。いつ、どのシステムを何のために入れているのか、そして、それが何年継続しているのか、どのように更新されたかというレガシーマップさえなかったです。

 私が政権を引き継いだときの二〇〇九年に、ある省はウィンドウズ二〇〇〇を入れようとしました。そのときにはもうめったに町でも見ないようなものを本気で入れようとしたわけです。大変な危機感を持ちました。何だ、そんなことかと言われますが、私たち国会議員の机の上にあったタブレット、皆さん覚えておられますか。ついこの間までは、あれはフロッピーモデルですよ。フロッピーモデルのタブレットが私たち国会議員に配られて、ばかにしているのかと言う人がいたから今変わっているんですけれども、こういう状況でした。

 運用コストだけで年間三千九百億円です。これは自民党政権でも引き継いでいただいて、運用コストで五百億、それからイニシャル、つまり導入コストで五百億、約一千億の経費削減ができたというふうに考えております。その現状がどうなっているのか。

 そして、ここはやはり全部、霞が関クラウドという形で、パブリッククラウドにしなきゃいけないと考えているんです。これを、プライベートクラウド、つまり、それぞれのベンダーごとのクラウドにしてしまうと、昔、VHSとベータでありましたね、相互接続ができない、こういうことが起きるわけです。

 これに対して、これは私自身の反省も含めて言うと、地方政府、地方自治体の共通プラットホーム。お隣の韓国なんかは、共通基盤のプラットホームの法律をつくって、全ての自治体が同じプラットホームでやる、クラウド化してやるということになっています。ここを私たちのときに指示していたんですが、まだ進んでいないんですね。

 霞が関クラウド、つまり、政府情報システムの現状がどうなっているのか、そして、地方の現状がどうなっているのか、この二点について、大臣、簡単で結構ですから教えてください。

新藤国務大臣 まず、政府の情報システム、これは、レガシーシステムの刷新など、効率化、合理化に取り組んでまいりました。御案内のように、ランニングにおいても約五百億近くのカットに成功しているわけでありますが、私は、この際、電子行政というものを徹底的に追求していこうと。それは、利便性の向上とコストカットであります。

 そして、その中で、災害やそれからセキュリティー、こういったものの向上もさせていかなくてはならない。今までのLGWANという霞が関のネットワーク、これをさらに強化いたしまして、本年三月から、政府共通プラットホームという形で運用開始をいたしたところです。

 それから、政府のシステムというのは約千五百あるんですね。これを整理統合することで半分にできると私は踏んで、これを既にもう公の目標として出させていただいております。そして、給与計算ですとか旅費ですとか、そういったものも別々にやっているんです。これを統合することによって、管理する手間、それから運用の人員、こういったものもカットできる。これを時間換算するとかなりの金額になるのではないか、こんなようなことを思っております。

 それからもう一つは、地方自治体のデータベースの共有化であります。これは、かつてイントラネット構想というのがありましたね。あのとき、情報化を進める上ではイントラネットは必要だったんです。でも、イントラですから、行政を超えると、隣の町に行くともうつながらなくなってしまう。私は当時からやめてくれという話をしておりました。

 これは、自治体のクラウド化、共通の自治体のクラウドを幾つかつくって共有できるようにしていこうではないか、このように思っておりますし、何よりも、情報基盤を共有化させることによって、例えばメディカルメガバンクという、医療情報を広域で共有できることによって、例えば災害や、それから出先でもって緊急の事態、病気が悪くなってもその人に適切な治療を受けられるような、そういった仕組みもここで取り入れようとしていますし、そもそも、行政の利便性を上げるために、地方自治体における電子化を進めることは極めて重要です。

 これを徹底的にやると一体どこまでコストカットできるのか、それを追求してみようじゃないかということで、今、内部の研究、また政府内に私も指示を出させていただきまして、それに取り組んでいるところでございます。

原口委員 私は、ここは自治体情報標準化法、法がやはり必要だと思っています。法によって横串を入れないと、各自治体ごとのベンダーが、ここにレガシーの中央政府であった例を出していますけれども、これと同じ構造が多分地域であるんだと思います。

 さて、質疑時間が限られてきましたので、きょう寺田副大臣にも来ていただいています。

 私は、今回の郵政の人事も含め、この内閣府のワーキンググループの議論というのは、いかがなものか。アベノミクスのやはり一番の焦点は、三番目の矢、つまり規制改革だと思います。規制改革をやる上で、議論をしてはいかぬとは言わないけれども、ワーキンググループでは、信書事業に参入もしていない事業者一社のヒアリングを行って、そして、さも日本の信書事業が閉じているかのような、そういうことを言っています。

 民間の方が言うのであれば、それは、ああ、そういう考え方もあるんだろうなという考えがありますけれども、私は、まさに今TPPでさまざまなカードで戦っているときに、私たちの日本ほどこの信書で開放したところはないと思うんです。アメリカは、アメリカのポスト、これは民間業者ではありません。どうしてこういう参入事業者じゃない事業者一社のヒアリングを行うのか。その辺、合理的な答えを下さい。

寺田副大臣 お答えをいたします。

 アベノミクスの三本目の矢として極めて重要な成長戦略、その一翼を担っておりますのが政府の規制改革会議であります。産業競争力会議や経済財政諮問会議とも密接に連携をとりながら、今活発な議論が行われているところであります。

 先月の十九日に開催されました創業ワーキングにおきまして、今委員御指摘のとおり、信書の取り扱いの議論が行われ、まず総務省から、現在の制度所管省庁として、制度の考え方、そしてまた今のマーケットの現状などについて意見聴取をいたしました。当然、規制改革会議といたしましては、これから参入をしたい業者に対しても意見聴取を行ったわけでありますが、これで終わったわけでは当然ありません。

 今委員御指摘のとおり、一般信書事業においても、あるいは特定事業においても、既に相当、仕組み上は、一定の要件づけのもとで開放がなされているわけで、特定信書便事業については既にかなり多数の業者が参入をされておられる実態があります。これから、委員の先生方、委員のメンバーの御所見、御意見も踏まえながら、我々事務局といたしましてもさらに検討を重ねてまいりたいと思います。

 なお、事業者の方につきましては、委員御指摘のとおり、これから入らんとしている業者にお声かけをいたしまして、このヒアリングを行ったところであります。これも、実は我々、規制改革ホットラインといういろいろな御要望あるいは陳情等を聞く窓口を常時設置いたしておりまして、そうした業者のお声もお聞きをしているところであります。

原口委員 寺田さんとは昔からいろいろな議論をしてきていますから、あなたのお人柄はよくわかっていますけれども、やはり苦しいですよ。

 郵政の現状というのはどうなっているかというと、十年間に四回組織を変えられているんですよ。それを、昨年、皆様の御協力もいただいて、私たちの改革法の理念を民営化法に入れて、やっと決着しているんです。それを今ワーキンググループで信書の取り扱いの全面的な民間開放に向けた信書便法の見直しと。何を考えているんだろうかと思うんですよ。

 私が引き継いだときに、大臣、当時は西川さんという方が社長で、かんぽの宿の問題、それからJPエクスプレスの問題、それから、退職金を東京駅の日本郵政のビルの再開発に充てていると疑われるような問題、さまざまな問題があって、検察出身の方をトップに私たちはコンプライアンス会議をやりました。

 再び、ああいうコンプライアンスを疑われる、あるいは郵政を私物化されるというような動きがあってはならないし、きょうの新聞にも出ていますが、またぞろ人事について政治が手を入れていくというのは決して好ましくないということを御指摘申し上げて、質疑時間が終わりました。ほかの問題についてはまた後の委員会で御指摘をさせていただきたいと思いますが、総務大臣におかれましては、ぜひ改革の姿勢を内閣の中でも引っ張っていくということで頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北側委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 先ほど来の御質疑、大変大所高所の御質疑でございましたし、また、原口総務大臣のもとで地方行財政担当の政務官として仕事をさせていただきました当時の、豊かな発想と大変なリーダーシップに改めて敬意を表し、また、新藤大臣には、是は是として御答弁をいただいたことに敬意を表したいと思います。

 ちょっと焦点を絞って、所信に沿ってお尋ねをさせていただきます。

 まず、大臣の所信の中でも最大の論点の一つでありました地方公務員の給与削減。

 国家公務員の給与減額支給措置が実施されていることを踏まえ、一月二十八日に、各自治体において速やかに国に準じて必要な措置を講じていただくよう要請を行いました、二十五年度に限って緊急にお願いしているものでありますと大臣はお述べになりました。その後、一月の通知から、三月の法案成立、そして現在五月の下旬です。目標年月は七月一日。

 現在の、直近の状況についてまずお尋ねいたします。地方自治体の協力状況について、大臣の意向に沿って給与削減を実施しようとしているのか、あるいはそうでないのか。

新藤国務大臣 これは、累次の機会においてお願いをし、また、丁寧な説明を心がけているということであります。

 そうした中で、直近においては、まず五月二十日、これは都道府県と指定都市、そして、市町村には四月二十四日の回答期限において調査をし、それを公表いたしました。

 都道府県においては、知事が減額方針等を決定または態度を表明した団体が、四十七都道府県中の三十五団体。そして、市区町村については、取り組み方針を検討しているなどの団体は約九割に上るということであります。

 今後、検討中などとしていた団体も含めまして、六月議会に向けて取り組みがさらに本格化される、このように思っております。

 私も、個別にいろいろな首長さん方とお会いする機会があります。また、職員においては、頻繁に各自治体との連絡を業務上とるときがございます。そういったことも含めて、これは丁寧に、そしてまた誠意を持って要請を続けていきたい、このように考えております。

小川委員 ありがとうございました。

 私どもの立場としては、お手紙と交付税措置ということでは非常に問題もあるし、懸念している、正面から法改正すべきだという立場で議論させていただきました。

 それからしますと、今の大臣の御答弁にありましたとおり、九割ぐらいが検討中である。一割ぐらいは検討中であるという表明も控えている、全体からいえばそういう状況であります。これに対して、今大臣、今後も丁寧に説明を続けていくということでございましたが、今後どういう対応をされるのか、具体的にもしあれば、文書での要請、あるいは重ねてのお願いという行動に出られるのか。

 あるいは、時間の関係もありますので重ねてお尋ねいたしますが、来年も含めて、ちょっと気になる報道がありました。五月十七日金曜日の毎日新聞の朝刊、政府の経済財政諮問会議で地方行政の効率化を議論する、来年に向けては、行政改革などで成果を上げた自治体を交付税配分で優遇するのではないかという観測記事が流れています。

 これはちょっとリンクする可能性もありますので、今後どうされるか、来年に向けてどうされるか、現段階のお考えをお聞かせください。

新藤国務大臣 まず、今後につきましては、引き続き、あらゆる機会を捉えて要請し、その要請の趣旨を説明していく、これに尽きると思っています。とりたてて、改めて何か公式的な行動をやるということではなく、もう既にお願いしていることでありますから、さらに連絡を密にしていくことが必要だろうというふうに思います。

 それから、来年度につきましては、私がお約束しておりますのは、来年度の給与問題は、国の中で、公務員全体の給与、それから来年度の財政再建、そして財政健全化、こういった議論の中でまず丁寧な取り組みをしていきたい、そして、地方の皆さんの声もこれまで以上にきちんとお聞かせいただいて、そういったことも踏まえて全体的、総合的な検討がなされていくということでございます。

 特に、来年度の経済情勢がどうなっているか、こういったものが大きく作用する、このように思っておりますから、まず第一に景気回復、経済成長を軌道に乗せる、このことが重要であることは言うまでもありません。

 そうした上で、来年度の交付税の考え方につきましては、かねてより自治体の皆さん、地方の方々から、頑張った努力が報われるような体系をつくってほしいというのは基本的な要望としてあるわけであります。ですから、私が考えているのは、行革努力、これは給料であったりそれから定員、こういった行革を行ったものに対する反映というのも一つ考えていこうと思います。

 もう一つは、頑張った人、例えば、統計指標が上がった、この地域の経済が上がった、いろいろな行政努力によってその地域の向上が見られた、こういったものについても反映できるような仕組みを考えたいというようなお話を財政諮問会議でもいたしました。

小川委員 大臣、後者は全くもって賛成です。パフォーマンスに応じて、成果に応じて、より報奨的に財源措置の厚みを増す、もう一〇〇%賛成。むしろ、現在の交付税は、ともすれば恣意的という批判が常にあります。大臣なりの御答弁もあろうかと思いますが、常にある。そういう中で、より外形的に配分基準を透明化し、そして成果に準じた形にしていく、これは一〇〇%賛成です。

 しかし、私、この間、行革に対して財源の厚みを増すということになぜ気持ち悪さを感じるのか、ちょっと自分なりに苦悶してみたので、頭の隅にだけ置いていただきたいんです。

 やはり、例えば教育の充実とか、医療サービスの提供とか、あるいは公園整備を初めとした都市環境の整備とか、あらゆる政策目的はそれ自体が目的であっていいと思うんですよね、住民の立場から、住民にとって。しかし、行革というのはそれ自体が目的ではないはずなんです。それは常にみずから不断の努力をすべきことであって、説明責任を住民に対して果たすべきことだと思うんですよ。これに対して政府が直接に金目の支援をするということに対する違和感、これはやはり、どう説明されるにせよ、一〇〇%は拭えないという感覚を私は持ちます。

 ですから、今後、この公務員の人件費もそうなんですが、金目によってやるということに関しては、やはり政策、大げさに言えば倫理の問題として議論は残るという点を改めてちょっと指摘したいと思います。

 その上で、ちょっと個別に二点。

 三月にもお尋ねしました。私は、地方議会の議員にも議員報酬の削減について要請すべきだと。

 塩川先生が、新藤大臣は石破自民党幹事長と会談して、地方議会での給与削減の条例改正に協力を求めたと報じられているということを衆議院の本会議場でお訴えになられた。これは事実ですか、大臣。

新藤国務大臣 私は、協力を依頼したのではなくて、それは、現状こういうような政策を今お願いしております、それを与党の幹事長に御説明したということでございます。

小川委員 では、地方議会の議員も、公務員がやるんだから、あるいはやってくれとお願いしているんだから、やるべきじゃないか、あるいはやってくださいと大臣から幹事長にお願いをしたというのは事実としてはないんですね。

新藤国務大臣 ちょっとあなたが早口なので。地方議会については、私は一度もコメントしたことはございません。

小川委員 では、これは誤報ということで受けとめますが、私はやるべきだと思います。公務員もやるんだから。

 先ほど御紹介いただいた公務員の状況、九割ぐらいが検討中、一割ぐらいは検討とすら意見表明していない。地方議会の議員の状況もぜひ調べたらどうかと思いますが、いかがですか。

新藤国務大臣 地方議員について、私はコメントしていないんです。国家公務員においても、法律によって国家公務員の減額措置というものは定めました。しかし、国会議員は、自主的な取り組みとして我々はやっているわけであります。地方議会においても、これは自主判断として地方議会が適切に御判断をいただければよいことであって、私は、現状において、議員報酬の地方における取り組み状況については把握もしておりませんし、まだそういった取り組みはやろうとは思っておりません。

小川委員 やはり地方議会で、当然権限と責任ある方々ですから、みずからというのはそのとおりだと思います。しかし、それに総務省として関心を示すということもまた大事で、私は機会によっては調査をすべきだと思うし、状況を把握すべきだと思います。ぜひ、この点は野党の立場から指摘をし、要請を申し上げたいと思います。

 そして、もう一点、私自身が三月の委員会で、この人件費削減の要請は被災地に対しても行うのかということを申し上げました。

 事前にちょっといただいた資料ですと、特に宮城県内の市町村が特徴的かと思います。検討中との意見表明すらしていない自治体が二割を超えているという状況であります。

 被災地に対してはやはり依然として一定の配慮をすべきだと私は思います。今後、大臣がもし対話を重ねられ、あるいは何らかの要請を行われるのであれば、この点は頭に置くべきだと思いますが、いかがですか。

新藤国務大臣 被災地の自治体の職員の皆さんについては、心情的には私も非常に思うところがございます。それから、実際に被災自治体の首長の方々とお話ししても、いや、大概のことはやるが、これは今、我々はというふうに、市長や町長さんたちもそういうふうにおっしゃいます。それだけ厳しい中で頑張っている。その心情は受けとめたいというふうに思っています。

 しかし、今、被災地で働いている国家公務員においても減額措置がなされているわけであります。それから、被災地に対して応援に行っている全国からの他の自治体職員の皆様方、現地で応援に入っている人たちも減額措置をするわけであります。

 ですから、私とすれば、この問題は、御要請の趣旨としては、国に準じた扱いというものをお願いして、それぞれどの自治体においても同じように要請をさせていただいているというところでございます。

小川委員 三月と変わらぬ御答弁かと思いますが、やはり心情的にとおっしゃった部分が何らかの形で反映されることを、結果としてでありますけれども、期待をし、希望したいと思います。

 関連してなんですが、これは恐らく対応されている、事前にお聞きしたところでは事務的にそういう情報もいただいていますので、ちょっと確認だけさせてください。

 三月十一日、震災から二年たった日でありました。総務委員会で常に私どもとしてはお世話になっている黄川田衆議院議員のお地元でございまして、黄川田先生御自身、被災者の一人でありながら大変奮闘しておられます。折に触れ私はお尋ねをさせていただいて、実情をいろいろと勉強させていただいているわけでありますが、そこでちょっとこういう話がありました。

 陸前高田市は、黄川田先生を目の前にしながらちょっと申し上げにくいですが、町自体が本当に壊滅している、物がなくなっているという状況の、大変深刻な被害を受けた自治体の一つであります。そこにある市民体育館、これも流された。そして、補助金を活用して災害復旧事業として対応したいわけでありますが、せっかくのこの折なので、避難スペースとか備蓄スペースとかを割り増しして相当大規模な形で再建したいという希望を市としては持っていました。

 ところが、当時、三月十一日現在の担当者あるいは市役所でお勤めの方の反応でありましたが、これは補助金の悪い癖です、全国一律の基準に従ってつくるものは補助金でどうぞ、しかし、それを上回る規模のものについては自前の財源でお願いしますというふうに言われたと。

 しかし、自前の財源たるや、震災前は地方税収が三十億近かったんだそうです、固定資産税から何から入れれば。しかし、現在は十分の一、三億に満ちるか満たないか、そういう中でとてもできない、こういう切実な声を受けて、これはぜひ機会を見て国会でも問うてみたいし、できるだけ力になりたいと言って、私も帰ってきました。

 その観点から、きょう復興庁にお越しをいただいていると思いますが、今のようなお話、解決済みであればぜひPRしていただきたいし、ちょっと現状を報告してください。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 今御指摘ございました陸前高田市の市民体育館でございますが、お話がありましたように、津波で被災した施設を高台に移転して新しくする、その際に、従来の体育館、武道館などの機能に加えまして、多目的ホール等の機能を拡充して、従前の規模を大きく上回る施設をつくりたいというふうに、これは陸前高田市さんの方、当初からそういうお考えをお持ちでございました。

 それで、本施設の整備でございますけれども、通常の災害復旧事業でやりますと、先生御指摘のように、従前の規模が基準になりますので、今御指摘なさったようなこともあるわけでございますけれども、今回は復興でございますので、復興交付金の事業の中に津波復興拠点整備事業というのがございます。これで土地の取得、整備と一定の上物の整備ができるということになっておりまして、御指摘がありましたような防災系の施設、こういうものもできることになっております。

 災害復旧事業と復興交付金事業をあわせてやるということで、規模の大きな施設でもできるようにしていこうという調整を進めておりまして、復興交付金の方で用地の取得造成費、施設の設計費、こういうものをもう既に措置して、具体的な調整に入っております。

 文科省の方も災害査定はまだこれからということでございますので、その辺とよく調整をして。

 ただ、どんな大きな規模のものでもいいというわけでもないし、将来、維持管理費もかかりますので、その辺もうまく陸前高田市さんと調整をして進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

小川委員 ありがとうございました。

 大分柔軟に、しかも規模の面でも御対応いただいているということでありましたので、ひとまず安心をいたしますが、二年たった被災地の状況を改めて見て、もちろん瓦れき等は片づきつつある、片づいているとはいえ、言葉は非常に悪いんですが、壮大な工事現場となり、更地のまま絵が十分に描き切れているとは言いがたい。そして、高台の整地も始まっておりますけれども、これは大変な時間と調整労力、そして財源を要する、それが率直な印象であります。

 大臣も、所信の中で、我々全員が復興大臣だということをおっしゃっておられるとおりの決意を持って、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思いますし、私どもも、野党の立場ながら、現場の声をお伝えすることを含めて、精力的に取り組んでまいりたいと思います。

 これはやや無理やり関連させることも恐縮なんですが、地元の有権者からこういう声をいただいていますので、あえて関連させてちょっとお尋ねさせてください。

 国交省の航空局の皆さんにお越しいただいております。

 日本では、災害のときももちろんなんですけれども、小型航空機の利用というものが、私の見るところ十分ではない。これは緊急事態もそうです。あるいは商用や観光もそうかもしれません。免許の取得から含めて大変費用もかかるし、また基準も厳しい。

 そして、いざ利用しようとすると、例えば、具体的に言われたのは調布の飛行場であります。多摩地区に存在をし、周辺は大変大きな人口を擁する地域。小型機の発着には申し分ない滑走路が用意されている。

 日本の国内には恐らく百カ所前後の空港があるはずです、北から南まで。そして、縦に大変長い日本列島、海もたくさんあります。そうすると、必ずしも災害時のみというわけではありませんが、ぜひ、小型機の利活用について、積極的推進、開発の立場から、都道府県の指導を含めて積極的に関与してほしいという声をお聞きしますが、この辺、現状また今後、いかがでしょう。

佐藤政府参考人 御答弁申し上げます。

 小型機の利活用ということについてでございますが、まず、空港において小型機がどのように受け入れられているかということについて、事実関係を申し述べさせていただきます。

 空港、すなわち公共の用に供する飛行場につきましては、不特定多数の者が反復継続的に利用できるということになってございます。個人が所有をされておられる自家用機、いわゆるゼネラルアビエーションと言われておりますけれども、こういったものにつきましてもどんどん空港を利用していただきたいというのが基本でございます。

 一方で、各空港ごとにそれぞれの個別の事情というものがございまして、個別の空港の利用方法につきましては、当該空港の管理者が各空港ごとに決定をしております。例えば、飛行場周辺住民の騒音の影響なども考慮をして、運用時間でありますとか着陸の回数などについて一定の使用制限を行っているという実情にございます。

 今御指摘の調布飛行場でございますけれども、これは東京都が管理をする空港でありますけれども、管理者である東京都からは次のように聞いてございます。

 騒音問題への対応の必要性から、東京都と地元自治体との間で、空港の運用に関する協定というものが結ばれているそうでございます。その中で、調布飛行場につきましては、常駐的に使用する自家用機について積極的に分散移転を行うとされているところでありまして、この協定の趣旨を踏まえ、常駐的に使用しない外来機の受け入れについては、飛行場内にあります整備工場で整備することが必要な外来機に限りまして、一機当たり一日離着陸各一回、そういう制約をつけて受け入れを行っているというふうに聞いてございます。

 ただし、冒頭申し上げましたように、こうした個別空港ごとの事情はありますけれども、基本は、ゼネラルアビエーションにもどんどんと空港を利用していただきたいということでございます。

小川委員 ありがとうございました。

 いただいた数字ですと、あえて日米の比較でありますが、小型航空機の免許の保有者が、日本ではざっと二千人、アメリカで二十万人。百倍ですか。ビジネス機含めた小型機の保有件数は、日本で二百機余り、アメリカで二万機近く。これもざっと百倍。

 もちろん、国土の広さ、周辺の住宅事情等、一様、一概には議論できません。しかし、地方空港を含めて、閑古鳥が鳴いているような空港、たくさんあります。そして、今、私に訴えた有権者の方のように、商用、観光を含めて、もう少し空港が柔軟に運用してくれれば自由に行き来できるのにという声が潜在的にある。そして、災害時などは、物資を運びたいといっても、先方の空港から受け入れを拒否されるというような事態もある。

 これは、もちろん、騒音や環境含めて兼ね合いは難しいと思いますが、日本の機会損失なんだと思うんですよね。これだけの設備がありながら十分に活用されていない。この点はぜひ、今後も大きな問題意識を持って取り組んでいただくことをお願い申し上げたいと思います。

 国交省の皆さん、復興庁の皆さん、これで結構ですので、どうぞ、御退室いただいて結構です。御協力ありがとうございました。

 被災に関連して少し幅広にお尋ねさせていただきましたけれども、もう一点、今度は、先ほど原口委員からの御質疑の中で、無駄の撲滅等々、あるいは行政コストの削減、あるいは契約に関する適正化等の点の指摘がありました。私も政権交代後どういう状況になっているのかお聞きしたいのが、天下りの問題であります。

 御答弁は寺田副大臣にお願いできるのかと思いますけれども、私ども、政権交代直後に、少なくとも独立行政法人の役員の再就職に関連して、これまでの慣例を覆して公募制度によるべきであるということを主張し、閣議決定をいたしました。その方針に従って、少なくとも独立行政法人の役員については、再就職の風景が相当変わってきたはずであります。それが政権再交代後どうなっているか、ちょっと直近の状況を教えていただきたい。

寺田副大臣 お答えをいたします。

 今委員御指摘のとおり、平成二十一年九月二十九日の閣議決定、これは独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針という閣議決定であります。これに基づきまして、公務員のOBポストの後任者を任命する場合と、あと、積極的にここは公務員のOBを任命したいという二つの類型について、公募により後任者選考を行うという閣議決定がなされ、それは今日でも踏襲をされております。

 例えば、ある程度、人事のたびごとに束ねて公募を実施しておりまして、直近で申しますと、四月一日の任命分につきましては、十二法人十三ポストについて公募を実施して、公募の結果、任命がなされました。公務員OBの就任の状況につきましては、今申し上げました十三ポストのうち五ポスト、割合でいうと三八%となっております。

 それぞれ、公募を実施するたびごとにそうした比率が出てまいりますが、例えば、民主党政権下の平成二十三年の十月任命分については、公務員OB比率が五四%。また、昨年の一月、二月の任命分については、公務員OB比率が七五%というふうになっております。

 同様に公募を実施し、直近ではかなり、過去の公募比率と比較をしても公務員のOB比率は高いわけではない。高いどころか、むしろ公務員のOB比率は下がっているというふうに考えております。

小川委員 ありがとうございました。

 この方針を踏襲していただけていることは大変ありがたいと思いますし、公募に関しては、公募委員が各省に設けられており、また、理事長以外、理事等については各独立行政法人で公募委員を選定しておられるはずであります。

 事務的にお聞きしても、委員の体制が変わったのか、変わっていないのか、あるいは変えるつもりがあるのかどうか、なかなかお答えいただけないんです。

 現況、先ほど御報告いただいたとおりですと、必ずしも政権再交代によって公務員OBが自動的にたくさん採用されているという事態はない。ということであれば、状況からいえば、これからも私どもとしては注視をしていくと言うにとどめるかと思いますけれども、この公募委員についても、事と次第によっては、どういう人たちが任命されているのか、これは公開の場かあるいは閉じた理事会でも結構ですけれども、今後も注視をさせていただきたい。この点に関して。

寺田副大臣 お答えいたします。

 公募による選考に当たっては、先ほど言った二十一年九月の閣議決定に基づいてやっておりますが、閣議決定に基づきまして、外部の有識者による選考委員会を開催することとされております。

 選考委員会というのは各役所ごとに、すなわち任命権者ごとに設けて、そのメンバーは各任命権者が選任をしております。しかし、我々内閣府の方には、現状、その通知がない状況になっております。選考委員会のメンバー自体は、各役所の方で非公表という扱いになっている。公表するとやはりいろいろな人選について圧力がかかるという観点がございます。

 ただ、メンバーの属性は公表しております。例えばですが、先ほど言ったことしの四月の公募の際、国立公文書館長の選考委員会が開かれ、公募がなされたわけですが、例えば国立公文書館長についての選考委員会のメンバーは、大学教授が四名、あと団体役員が一名、計五名というふうな属性公表はしているところでございます。

 今後、選考委員会のメンバー自体を公表するというのはなかなか難しいものもあろうかと思いますが、我々としても検討してまいりたいと思っております。

小川委員 この点については、前政権下でも一生懸命取り組んできた点でありますし、今後も注視をさせていただきたいと思います。

 残りの時間で、最後にちょっと税務行政についてお尋ねいたします。

 まず、これも地元でよくこういうお声をいただくんですが、さきの総務省の人口に関する統計で、去年一年間で約三十五万人の人口減少ということが報じられました。これは加速度的にふえ続けます、減るペースが。やがて百万人単位で数十年減り続けるということも想定されている。そのときに、自治行政、まちづくり、あるいは住環境という意味で、空き家問題、これは相当大きな国策上の課題になってくるというふうに懸念しております。

 もう既に恐らく一千万戸を超える空き家があるんじゃないですかね。国交省さん、お残りいただいていますが、空き家の状況なりその評価、ちょっとまず概括的に、簡潔にお願いします。

毛利政府参考人 まず、空き家の状況でございますけれども、五年ごとでございますから直近は平成二十年の調査になります。住宅・土地統計調査によりますと、空き家数は約七百五十七万戸、全住宅ストックの約一三%になっておりまして、前調査に比べて、それぞれ増加しております。

 その空き家の中身として、例えば賃貸用の住宅であいているもの、あるいはこれから売却するもの、あるいは別荘というものも除きますと、その他の住宅という分類でございますが、これが二百六十八万戸でございまして、全住宅ストックの五%ということでございます。

 実は、空き家の問題につきましては、御承知のとおり、防災、防犯、衛生、景観と、問題としては多岐にわたっておりますので、各自治体がさまざまな取り組みをされているところでございまして、国交省としましても、住宅・建築行政の観点からだけで申しましても、空き家の有効活用それから除却等に対する予算的な支援、あるいは法的な除却のときのアドバイスといったこと、さらには、空き家バンクを例えば香川県でも設けておられますけれども、それを一括検索できるポータルサイトの運営などを通じまして、自治体の取り組みを支援いたしております。

 空き家の問題についての認識としましては、各府省にまたがるような非常に大きな取り組みが必要ではないかと考えておりまして、国交省としましても、いろいろな支援事業を進めますとともに、さまざまな情報の提供を進めているところでございます。

小川委員 ありがとうございました。

 もう既に人口を大幅に上回る住宅供給がなされているという実態であります。

 私は、小豆島ですとか豊島ですとか、選挙区に島嶼部を抱えておりまして、ここは、数十年前と比べると人口減少率が五〇%を超えています。そして、高齢化率も四〇%に到達している地域もある。そういう中に行きますと、空き家の比率というのは集落の中でも大変大きく伸びております。

 これは、二通り思うんですよね。大臣がおられないのがちょっと残念なんですが。いい空き家もいっぱいあるんですよ。すごく質の高い、これはぜひ利活用すべきだという空き家もある。一方、本当に廃墟じゃないか、それは町の景観からいったって、あるいは治安上の問題も含めて一刻も早く除却した方がいい、撤去した方がいい、こういう空き家もある。

 ですから、空き家政策については、まさにおっしゃったように各省横断的に御検討いただきたいんですが、これは存置、放置が一番だめで、活用するか除却するか、二つの方向に政策的には誘導すべきだと思います。

 そこに障害になっていると思われるのが、固定資産税なんです。

 これは地元の有権者からも言われます。現在、住宅用地であれば固定資産税が六分の一に軽課されている、住んでいる、住んでいないにかかわらず、建屋があれば、家屋があれば六分の一で済んでいる。しかし、家屋を建て壊す、除却すると、固定資産税が六倍にはね上がる。これは相当きいている、大きな要因の一つだと私は思います。

 日本再生に向けた税制措置をとっていく、あるいは住宅ローン控除の拡充だと大臣も所信の中でおっしゃっていますが、住宅税制の隠れた大変大きな論点として御認識をいただき、御見解を伺いたいと思います。

坂本副大臣 空き家が社会問題化していること、全国的に関心を集めているということは、総務省の方としても十分認識をしておりますし、人口減少あるいは高齢化、こういったものが大きな要因であるということも認識をしているところでございます。

 しかし、空き家には、住民が一時的に不在にしている場合、また、貸し家でその時点で借家人が入居していない場合など、その発生原因や状況というのはさまざまでございます。

 こうした空き家が老朽化しながらも放置されている背景には、解体費用の負担が困難であること、それから相続等の権利関係の整理がつかないことなどの原因がありまして、一概に、固定資産税における住宅用地の特例、その税制が明らかな原因で放置空き家が生じているということは言えないというふうに認識をいたしております。

小川委員 そこまで断定する必要もないと思うんですね。これは、やはり大きなハードルの一つだと思いますよ。本当に、よくよく研究、検討いただきたい。

 それで、時間の関係で指摘にとどめますが、もう一点、家屋に対する課税も、前政権下で、当時の原口大臣に御相談しながらぜひやりたかったのが、新築住宅のみを優遇してきた現在の固定資産税制を、できれば、バリアフリーあるいはエコ住宅を含めて改築の方に誘導すべきだし、国交省さんにお調べいただいたところですと、日本の持ち家の平均床面積が百二十二平米ですか、まさに、家屋の固定資産税の特例、二分の一課税がきくのが、百二十平米までなんですよね。

 今はそれでいいかもしれません。しかし、人口減少時代に、一人一人の立場からいえば、より大きな、豊かな住宅に住むことを奨励する、と同時に、内需の拡大という意味においても、より豊かな、ぜいたくな住宅空間へと政策誘導していくという発想が、私は大いにあっていいと思います。

 この家屋、土地、空き家、持ち家、ちょっと総合的に、これからの本格的な人口減少時代のインフラ政策という観点でお考えをいただくことをお願い申し上げて、質疑を終えたいと思います。ありがとうございました。

北側委員長 次に、岩永裕貴君。

岩永委員 皆さん、おはようございます。日本維新の会の岩永裕貴でございます。

 本日は、大臣の所信に対する質疑ということで、四十分間のお時間を頂戴いたしております。

 大臣の所信を拝見いたしました。本当に幅広く、さまざまな分野に精力的に取り組んでいくんだという意気込みを感じさせていただいております。

 その中で、特に、この所信の中で十二回にわたって触れられている言葉、ICTという言葉がございます。私も、このICTにつきましては、非常に大切な分野であるというふうにも考えておりますし、本当にこれからの国づくりを考えていくには最も重要な分野であるという認識をさせていただいております。

 それで、国会という場に来させていただいて約半年が過ぎるわけなんですが、まず最初に驚いたことは、皆さん、日ごろから思っていらっしゃることだと思いますけれども、紙の資料の多さというものに非常に驚いています。それで、フォーマットが各府省にわたってばらばら、予算書であったりとか資料がばらばらであったり、二次活用がなかなかできない、地元に持って帰ってパワーポイントなんかで説明をしようかなと思っても、データ化がなかなかできていなかったりとかという部分で、非常に仕事のしづらさということを感じさせていただいております。

 そうした中でも、やはり、行政がこのICTにしっかりと取り組んでいくんだというような姿勢は、本当に全面的に応援をさせていただきたいですし、ぜひ積極的にリーダーシップを持って取り組んでいただきたいなというふうに考える分野でございます。

 きょうは、幾つか論点を絞らせていただいて議論を詰めさせていただきたいと思うんです。

 ちょっとこれは紹介だけさせていただきたいんですが、超高齢社会におけるictの在り方を語る会という、ホームページというかフェイスブックが立ち上げられております。

 この中身を読ませていただきますと、総務省で平成二十四年十二月より開催しているICT超高齢社会構想会議に関する周知、広報のためのページですということが書かれていまして、本ページは、これらの課題を解決するための知恵を募る場として開設したもので、建設的な御意見、知恵をどんどんお寄せくださいということで、これを開設されているんですが、これの「いいね」を押していただいている数というのを、総務省さん、どなたか把握していらっしゃいますでしょうか。もし把握をしておられないなら、早急にこれを見ていただきたいんです。

 例えば、十二月十三日に告知をしている案内に関しまして、「いいね」の数は六なんですね。それで、一月三十日とか一月十九日とか一月二十三日とかそれぞれ出していらっしゃるんですが、十にも満たないような「いいね」の数なんですね。寂しいんですよ。

 ICTなんですけれども、ぜひ、大臣の方からも、せめて職員の皆さんぐらいはこれを見ていただいて、しっかり「いいね」というのを押して、やはり国民的な議論に広げていくという姿勢を省みずから持っていただきたいなというふうに強く思いますので、こうしたことも職員の皆さんにしっかりと通達をしていただいて、総務省の中から盛り上がっていくようなフェイスブックの活用もお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 それで、ITという言葉、そして、これに本格的に取り組まれたのは、恐らく、森内閣が立ち上げられたIT戦略本部ができてからだというふうに私は認識をいたしております。当時は、インターネットの光回線、インフラを整備するんだということで、すごい勢いで国内でもこのインフラ整備というのは一定整ってきたというような段階にあるかと思いますけれども、その後なんですね。

 インフラ整備は整いましたが、e―Japan、IT新改革、i―Japan、新IT戦略、そしてそれに伴うパートツーとか、さまざまな政府主導型の戦略を立ち上げてはこられたんですけれども、ITを使用することばかりが目的になってしまいまして、手法としてのITをどのように使っていくのかということが余り進んでこなかったんじゃないかなという認識をさせていただいています。

 特に、行政分野ではBPRの不在ということが最近話題になっておりますけれども、IT競争力の国際的順位の後退につながっているのが、このBPRというものにしっかりと政府が取り組んでこなかったからじゃないかというような見解があります。

 それで、これは国連の各国の電子政府を順位づけたものですが、日本は、二〇〇五年十四位、そして、二〇一二年には十八位。韓国なんかは、十年前に日本に積極的に電子政府なんかを勉強に来られていたというふうなことも聞いているんですが、韓国でいうと、五位、六位、一位、一位と、近年では世界のトップを走るような電子政府をつくり上げられているというようなことでもあります。

 こちらは、日経新聞、四月十一日に取り上げられているものです。ITの活用度ということで、IT競争力というものを世界経済フォーラムで発表されておりますが、このITの活用度の政府部門、日本は二十一位から二十七位にやはり後退をしてしまっているというような発表もなされております。

 ICTを強く推進される大臣の思い、そして、特に、電子行政というもののおくれについて何が問題であったかということについても、今後の取り組みも含めて、少し御認識をお伺いさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、田中(良)委員長代理着席〕

新藤国務大臣 岩永委員、とてもいい指摘だと思います。こういうふうに言っていただくのは私はとてもうれしいですし、まさに今、問題の本質をついていただいていると思うし、我々はそれを改善していかなくてはいけないということなんです。

 まず最初に、委員がおっしゃったフェイスブックの「いいね」のものですけれども、それも最初に私は申しました。総務省のホームページは余りにも資料が膨大過ぎて、どこで何が変わったのかがよくわからないんですよ。ですから、探しに行こうといったって、興味のある人は行きますよ、しかし、やはり、こういうトピックがありました、こういう動きがありましたということを知らせないとなかなか見に来られないものであります。それはあなたのホームページも私のホームページも同じでありまして、探し抜いたらあるよでは意味がないんですね。

 ですから、そういうところはやはり改善の必要性がある。何が重要、何がポイントなのかということを知らせるような工夫をすべきだ、このように私は思っているんです。

 それから、ちょうど森内閣でIT本部ができたころ、自分もかかわったんですが、私の記憶では、あのころ、たしかネットのユーザーが一千万人ぐらいだったんですね。それをどうやってふやすか。当時の免許の取得人口が六千五、六百万人でしたから、七千万人ぐらいの人がインターネットを使ってくれるようになれば国民の間に定着するのではないかというので、私は勝手に、インターネット七千万人計画というのを自分でつくったことがあります。そういうような状態だったんです。

 そこからすると、今は物すごい勢いで普及をして、今までの努力というのはそれなりに達成したと私は思います。

 よく、日本のネットがおくれているとか、このように言われて、確かにそういうふうに世界での順位が後退している部分もあるのであります。でも、いいところもあるんです。なぜか悪いところだけ皆さん発表するものですから、私はこの間政府の会議でも、民間の委員からもそういった御指摘がありましたから、いや、いいところもありますよ、これを認識しましょうというお話をしました。

 例えば、光ファイバーの契約割合、固定ブロードバンド中の契約割合は、OECD加盟国中一位ですから。しかも日本が六五%でありますが、アメリカは七%ですから。イギリスも二・七%、ドイツは〇・六%。あなたの言うように確かに韓国は六〇%で迫ってきているんですが、でも、うち、断トツなんですね。それから、単位速度当たりの料金も、OECDの加盟国中の最安値です。さらには、超高速ブロードバンドの利用可能世帯も九七%、これは圧倒的。アメリカが二三%、イギリスが一五%、ドイツが二五%、こういう状態であります。

 だからいいと言っているんじゃないんですよ。要するに、プロセスを経てここまで来た。ですから、いいところはいいところでさらに伸ばし、改善点はきちんと把握して直していく、こういうことだと思います。その上で、地方自治体も、政府、国家機能も同じことでありますが、徹底した電子化というのをできないかということなんです。

 私、冒頭、ちょっと委員に、質問に対して私が評価しちゃいけないんですが、思わず、いいねと言ってしまったのは、要するに、私たちの国の最大の問題は手段が目的化することだと思うんです。例えば、IT社会をつくろうというスローガンがありました。ITを普及させよう、これは手段じゃないですか、IT化は。でも、それが目的になっちゃうんですよ。手段が目的化すると極めて悲惨な末路をたどるのは幾つかあると思います。あえて私は申し上げませんけれども。

 ですから、一体ITによって何をなし遂げるのかというミッションだとかビジョンが必要だ。私はそういう思いで自分の仕事を、総務省の中の仕事は、大きな項目についてはミッションとビジョン、こういうものをきちんと示して、それに対する方法としてのアプローチというものを設定しているんです。

 IT、それから行政、世の中全体の電子化、そしてそれらを含むICT、これはインフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーです、こういうものを、私たちの暮らしや産業の中にコンピューターのテクノロジーを入れて、そして、これまでにない利便性の向上と大胆なコストカット、それから新しい産業やサービスを生み出す、すばらしい、高い技術を持った日本が、そして成熟した国民を持つ日本がそこに新しい生活の工夫、改善を入れる、これがイノベーションだと私は思っております。

 それによって、我が国の潜在能力が驚くような力を発揮して、必ずそれが経済成長につながっていく、あわせて、それは世界に対する貢献になっていくのではないか。

 世界じゅうに困っている人たちがいます。それから、世界じゅうの暮らしを改善したいという願いは共通です。であるならば、日本のこういう取り組みを私たちは世界に提供しようじゃないか、皆さんに喜んでもらう、そして、当然のごとく大きな経済の中に我々も入っていくんだ、こういうふうに使いたいというふうに思っているわけであります。

岩永委員 ありがとうございます。

 まさに手段が目的化するというところ、大臣の方はその例をあえて取り上げられなかったところではございますが、例えば特許庁のシステムなんかも多分その一つの大きな例だと思うんですね。そういうものも、結局、何を改善しなければならないのかと突き詰めて考えていくと、やはり、BPRの概念というものをしっかりと取り入れながら、ICTという分野に取り組んでいくということが本当に大切なことであるということを改めて申し上げさせていただきます。

 そこで、BPRの概念というものを電子政府に取り入れる大変大きな契機となるのが、このたびのマイナンバー法とCIO法だというふうに私は考えております。両法案を実行していくに当たり、自治体クラウドへの関与なんかも含め、具体的にどのようなBPRに取り組もうとしておられるのかというのを内閣府さんの方にお伺いさせていただきたいと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 今現在参議院の方で審議いただいておりますいわゆる番号法案、そして政府CIO法案、この法案が成立した暁にはこれを実行していくということになります。

 この際、例えば番号制度のシステムは各府省に横断的にまたがるわけでございます。大規模なシステム開発になります。そのときに、先生御指摘のBPRという話でございますが、今やっている仕事を単純にそのままIT化してしまえば、無駄な投資、あるいは非効率なことになるおそれがあります。

 これに関しましては、各府省に対しまして、この制度を導入するに当たりましては、まずは業務のやり方そのものを見直して、その上でシステム化していく、こういう方向で考えてほしいということは既に内閣の方からも申し上げておりますし、また、法案が成立し、政府CIOが任命された暁には、この法案に基づいた権限によって各府省に対しまして業務改善というものを徹底して、その上でシステムを導入していく、こういう方向で進めたい、このように考えてございます。

岩永委員 積極的に、前向きに取り組んでいただくというような御答弁をいただきましたが、これは本当に並大抵ではないんですね。やはり、組織を変えるというようなことにはかなりの馬力、そしてパワーが必要になってくる部分だと思います。

 そこで、これらの改革に大変大きな指示を出される、政府CIOと呼ばれる内閣情報通信政策監というものが設置をされております。この業務内容と、どのぐらいの人数でこれをやっていらっしゃるのかということをお答えください。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 現在、法案が成立しておりませんので、内閣の方では非常勤という形で政府CIOを任命しております。この政府CIOのもとで、事務局スタッフといたしましては約六十名の体制をとってございます。

 この体制のもとで、例えば、総務省と協力して政府全体の電子政府の取り組みの推進というのを行っておりますし、あるいはまた、関係府省と連携しながら、医療、教育その他さまざまな分野におけるIT化に関しまして協力連携ということで進めてございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 約六十名というようなお話もございました。

 報道等でこれについて拝見をさせていただくと、政府CIO補佐官というものを募集されて、結果、百名ぐらいの応募があった、そのうちの七名を採用されたというようなことで、月収は約百二十万円というような報道がございますけれども、これについては間違いないでしょうか。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 済みません、先ほど申し上げましたのは、ある意味、常駐的に活動しているスタッフが六十名ということでございます。先生御指摘の政府CIO補佐官というのは、いわゆる非常勤という形で政府CIOを支えるスタッフでございます。

 政府CIO補佐官、純粋に政府CIOを支えている方が七名、そのほか各府省にCIO補佐官というのを配置してございますが、これに関しましても今年度からできるだけ内閣官房の方で一括採用するということで、先生今御指摘のところは、政府CIO補佐官プロパーと、内閣の方で一括採用して各府省に派遣する政府CIO補佐官、その全体を公募するという形で行ったものでございます。

 以上でございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 私の申し上げた内容で間違いないというか、募集をされて、その方々の月収が約百二十万円ぐらいだということも間違いないでしょうか。

奈良政府参考人 失礼いたしました。

 月収は約百二十万、そして、政府CIOプロパーとして七名の任用ということでございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 私の友達に、国際的なセキュリティー会社に勤めている友達がいます。今、ITの世界というものは、かなり高度な技術を持った人間というのが、国際的にも、そして日本の中でも、大体年俸の相場は五千万円ぐらいというようなところで御活躍をされているのが通常の社会でございます。

 そうした中で、この月収百二十万。国家プロジェクトとして電子政府を進めていかなければならない、国の存亡とまでは言いませんけれども、そういった重要なプロジェクトを進めていくのに、本当に適した人材がしっかりとそろえられているのかなということを甚だ疑問に感じるところでございます。

 大臣御自身も、ICT成長戦略会議の中で、この会議で得られた結論が国として進めようとしている施策の中で重要な役割を果たして、その推進エンジンとなれるような会議としたいと考えているということを述べられ、主導的な立場で総務省さんも国のICT政策をリードしていくんだという思いを述べられておりますが、このあたりの人的な体制というものについて、もし何か問題意識を持っていらっしゃったら、大臣の方からお伺いをさせていただければと思います。

    〔田中(良)委員長代理退席、委員長着席〕

新藤国務大臣 人材を確保する、しかも専門性の高い人間に参画してもらう、これは非常に重要なことなんですね。しかし、我が国の公務員の給与体系の中で、そこがなかなか苦しい、厳しいところだと思います。

 それは、例えば外郭の団体においても、独法なんかも同じなんですけれども、一方で必要であるという声がある、またその一方で、血税を使って、しかも通常の給与体系を超えるものでよろしいのか、そして、それがまたいろいろな問題をはらむという、この繰り返しのことなんですね。ですから、そこは頭を痛めるところでもあります。

 いい方法を考えなければいけないんですが、それにしても、私たちの国としての取り組みに対して共感し、その中で御活躍いただく、これは非常に重要なことだと思います。

 例えば、アメリカなどにおいても、政府関係の職員というのはそんなに高い給料を出すわけではありません。しかし、アメリカの場合は、政府で活躍された人はポリティカルアポインティーですから、政権が交代したり、時期が来ると民間に行って、それまでの実績や信用を加えた報酬を得る、こういう仕組みが向こうでは成り立っています。

 それぞれの国のやり方があると思います。今の委員の問題というのは我々が工夫しなければいけないところである。

 しかし一方で、現状においては、この厳しい経済情勢、そして、これまでにずっと議論されてきた、国民の間でもずっと議論されてきた公務員に対する報酬や待遇、この問題双方をかみ合わせた体制にする、こういったことになっていくのではないかと思います。

岩永委員 ありがとうございます。

 国民の皆さん方の税金を使わせていただく以上、一番大切にしなければならないのは、やはり結果を出すことだと思うんです。ですから、いろいろな規制があるということは十分理解をいたしておりますけれども、一方で、やはり、結果というものに結びつけていくために何をしなければならないのかということを、もう少し全体社会の中で考えていくべきじゃないかなということも一つ、問題意識として指摘をさせていただきたいと思います。

 引き続きまして、ビッグデータ、オープンデータという言葉が、最近報道等でもよく知られているところでございます。特にこのビッグデータ、既に我が国におきましても、交通状況の把握、天気予報、そして農産物の栽培管理などで活用をされております。世界的にも、欧米、インド、中、韓、戦略的命題として大規模な予算措置を図りながら非常に大きな力を入れておられます。

 このビッグデータというのは、ソーシャルメディア、スマートフォン、大容量ワイヤレス通信、クラウドサービスの普及、そして各種センサー類の小型化によって、デジタルデータの質的、量的拡大というのが近年一気に進み、今まで見えなかったマクロレベルでの物事の関連や、見過ごされてきたミクロ事象というものが浮き出されて見えてくるようになるということで、業務プロセスの革新であったり、新規ビジネスの創出というところで非常に大きな期待を寄せられているところでもございます。

 先日もテレビで拝見をいたしましたが、東日本大震災が起こったとき、津波が来る前の被災地の皆さん方の動きというものが、一つ一つ、点々であらわされて、どのような動きをとられたのかということが明確にわかるような仕組みでございます。

 拝見をしていると、一時は、一旦海岸から皆さん離れていかれたんですけれども、津波が来る前に、また海岸沿いに皆さんがざあっと戻っていかれた。これは、お年寄りを助けたりとか、逃げ切れなかった人を助けるために皆さん戻っていかれたという、本当に日本人の優しさであったり、気概というものがそのビッグデータを活用することによってわかった、本当にすばらしい例であったというふうに思っています。

 また、最近では、情報の薬と書いて情報薬というような言葉も、いろいろな雑誌なんかを見ると目にする機会がふえています。

 要は情報が薬になるんだということで、特に予防医療で、個人のいろいろな動きや生活習慣などを全てしっかりとデータ化することによって、例えば糖尿病にかかる確率の高い方がいらっしゃったら、それに事前にさまざまな情報を発信していくことによって予防をするというような観点からも、情報はもはや薬にもなるというようなことも言われています。

 また、大臣所信の中で、G空間×ICTについても述べられております。

 このビッグデータの解析というものに一つ大きなハードルとなるのが、やはり個人情報をどのように扱っていくのかというようなところが非常に大きな命題になってくるんだというふうにも考えています。この点、個人情報をいかに匿名化して、データとして民間企業の皆さん方から集約をして一つのビッグデータとしてつくり上げるのかということが、本当に、これから国として乗り越えていかなければならない高いハードルにもなるんじゃないかなというふうに考えています。

 ビッグデータの活用に向けて今後の大臣の取り組み、そして、個人情報の匿名化についてのガイドラインとか基礎研究、行政におけるビッグデータの利用なども含めて、どのようにこのビッグデータを活用していこうとしていらっしゃるのかというところの展望をお聞かせいただければと思います。

新藤国務大臣 これはこれからの新しい社会に変革をもたらすものだ、イノベーションの大きな要素になるものだというふうに期待をしております。

 このビッグデータは、使いようですから、これから幾らでも展開されると思います。私たちは、まず、例えばそれをどうやって使えるかということで、ICTと、それから今委員も触れてくれましたG空間、この情報技術を使って、今、そのビッグデータも含めて、新しい暮らしやサービスができないかという研究を始めているわけであります。

 例えば農業。葉っぱの一枚、作物の一つ一つに小型のセンサーをつけて、日照の状況だとか、水やりの状況、それから育成状況を把握した上で最適な刈り入れ時期、生育をコントロールするとともに、最適な収穫時期を見てそのいいところをとって、それを今度はコンピューターで出荷まで管理して、最終的な流通までつなげていく、この一連の流れを、これまでにできなかった、経験に頼っていたものを、科学的な分析によって最適、最善の、効率のいい農業ができるのではないか。

 しかも、農家も、一人前になってプロの農業の方になるのには長い時間と経験が必要です。例えば、プロの農家の方の視線や動作をコンピューターでチェックして、一体どういうタイミングで何を作業しているのか、どこを見ているのか、こういうものをデータ化することによって、新人、新しく農業をやろうという人たちのアシストができる、そういうような仕組みもできるのではないか。ですから、農業という分野に、新しい農業のやり方はできませんか、新しい方たちもそれにタッチできませんか、そういったことを研究できるのではないかということをやっているんです。

 実は、このデータを活用するために最も基礎的に大切なのは、位置情報なんです。自分が地球上のどこにいて、緯度、経度、それから高さ、そして時間です。これを正確に把握することによって、例えば移動体、交通であれば、地球上のどこの位置にある物体を何センチの高さ、何メートルの高さで、何秒間でここに移動させてください、そこでスピードと、コントロールができるわけですね。

 そういうようなものをG空間といいまして、準天頂衛星という、日本が独自の衛星を打ち上げて、そして、アメリカが飛ばしているGPSの衛星の位置情報を補足、補強して、今、数十メートル単位の誤差なんですけれども、これをセンチメートル単位まで持っていく。その正確な位置情報を持って、それをコンピューターに入れることによってあらゆるものの管理ができていく。こういうことを通じて生活に革新をもたらそうではないかということを私は考えております。

 この地理空間情報というのは絵そらごとではなくて、地理空間情報推進基本法という法律が既にもうできております。私はその法律の提案者であります。また、推進するための事務総長も務めております。そういう今までの夢の部分を実用化するための取り組みをやっている。その全ての通信基盤は、研究や認可、そういったものは総務省にあるのでございます。

 それから、さっきのビッグデータを活用するためには、無線の小型通信機が結局使われるわけですね。では、その電波利用料は幾らに設定しますかと。一つの仕事に、千ではききません、何万個のものを使うときに、その利用料を幾らに設定するんだ、これも今検討しているというところであります。

 いずれにしても、何でもかんでも新しくするのではなくて、今あるものを効率よく、コストをかけずに、そして新しい人たちでも取り組める、そして、それが産業化するかもしれない、こういうものを通じて新しい日本の成長に我々がICTを通じてお手伝いができるのではないか、貢献できるのではないか、私はこういう思いでいろいろな研究会をつくっているということでございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 民間等もかなり幅広い分野でこのビッグデータの活用というものを始めておりますし、特に諸外国のスピードに負けないように、本当にパワフルにリーダーシップを持ってこの分野にもぜひお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 それで、少し時間がなくなってまいりまして、質問の方を飛ばさせていただきたいんですが、もう一点、ぜひ議論を深めさせていただきたい点がございます。これは、PDCAについてでございます。

 大臣の所信の方でも最後の方に述べていただいておりましたが、このPDCAは、私も本当に大切なサイクルであるというふうに考えております。これは、先ほどからも出ておりますように、国民の皆様方からいただく税金というものをいかに有効的に、効率的に使うのか、そして、そのサイクルを重ねていくことによって、より精度の高い使い方というものを求めていこうという、発想的にも本当にすばらしいサイクルでございます。

 ただ、平成十四年の法律施行から十年強がたちまして、現場で働いていらっしゃる公務員の皆様方にも、友人のみんなにも声を伺ってみると、やはり制度的にも少し疲労が来ているんじゃないかなというような感想を受けさせていただいておりますので、時間はございませんけれども、ぜひ、少し触れさせていただきたいと思います。

 まず、政策評価について、今、どのぐらいの事業を対象として、総務省内で何名ぐらいがこの政策評価というものに携わっていらっしゃるのかということをお答えください。

宮島政府参考人 政策評価法におきまして、次の三つが義務づけられておりまして、一つは、各府省がその任務を達成するために社会経済情勢等に応じて実現すべき主要な行政目的に係る政策について事後評価を実施する、それから、研究開発、公共事業、政府開発援助、それから規制、租特についての事前評価の実施、それから三つ目ですが、政策決定後、その活動が五年間未着手、十年間未了である政策についての事後評価の実施が義務づけられているところでございます。

 それで、総務省におきましては、これらにつきましての制度の企画立案、それから、みずから調査を実施するものもございますが、各省庁が行った政策評価についての点検などを行っているところでございまして、これらにかかわる職員は大体三十人ぐらいおるところでございます。

岩永委員 三十名ぐらいでこれをされているというようなお答えでございましたけれども、これはいっときの話で、過去の話ですが、多いときにはこの対象事業が何か一万件を超えていたというようなお話もお伺いをさせていただいています。

 それで、三十名で本当に大変な仕事をしていただいているわけですが、各府省の行う個別の政策評価の内容について不足あるいは不明な点または不適切な点があれば、総務省から各府省に対して修正、再評価を依頼される、各府省が修正をしない場合については、評価の客観的かつ厳正な実施を担保するため、総務大臣みずからが評価を行うというように法律の方では記載をされております。

 昨年度で結構なんですが、この修正、再評価をどのぐらいされたのか、それと、いわゆる客観性担保評価というものをどのぐらいの件数行われたのかということをお答えいただけますでしょうか。

宮島政府参考人 昨年度におきまして、総務省の点検の結果、評価の修正等を求めたものは、公共事業の関係で二十四件、規制の関係で一件、計二十五件となっております。

 また、租特に係る評価につきましては、税制改正作業に活用する関係で、八月末に要望とあわせて事前評価が出てくるわけですが、十月ごろまでにはまとめて税務当局に御連絡をする必要がありますので、評価書の修正ということは求めませんが、評価書の内容を補う補足説明を各省に求めているところでありまして、これは実質的に評価の修正に相当すると考えておりますが、昨年度におきましては、百六十三件につきまして補足説明を求め、百五十七件について補足説明がなされたところでございます。

 また、御指摘の客観性担保評価の件でございますが、これは法律の十二条第二項に基づきまして、総務省において、各府省が行った政策評価について点検を行い、客観的かつ厳格な実施が確保されていないと認める場合に、みずから評価を実施する仕組みでございます。

 その前段階であります点検活動の中で、各府省に追加的な説明を求めるとともに、必要に応じて評価書の修正を求めており、関係府省において必要な改善措置がとられてきたことから、総務省がみずから評価を実施するに至ったものは今までなかったところでございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 総務省さん、本当に頑張って政策評価に取り組んでいただいているのは重々承知をいたしておりますし、これを本当に正のサイクルにしっかりと乗せて、意味あるものにしていかなければならないというふうにも考えておるところではございますが、現場では、やはりなかなか難しい、多くの課題を抱えた分野でもあるんだろうということは思います。

 なぜそういうことが起こるのかというところについては、その一点目、やはり専門性の問題というのがあるんだと思います。

 総務省さんの方、いろいろ再点検とか、各府省から上げてこられるものを点検されるわけですが、やはり専門性でいうと、各府省さんにかなうわけがないんですね。かなり情報量も違いますし、そういった専門性の問題があって、指摘、最終的な修正をしていただくというところまでなかなか至らないというようなジレンマが一つあるんじゃないかなというふうにも思います。

 または、その内容の充実度というところの問題点もあろうかと思います。

 ポータルサイトを拝見していたんですが、内容を拝見していても、各府省のフォーマットというのがばらばらなんですね。三段階評価であったり五段階評価であったり、また、言葉だけで評価をされていたりとか、客観的に見ても、何がどうなっているのか、進んでいるのか後退しているのかさえさっぱりわからぬというのが現状でございまして、この辺の標準化についても、またしっかりお取り組みをいただきたいなというふうに思います。

 もう時間も押し迫ってまいりましたので、最後に、PDCAについて、大臣の方から、その問題意識等を含めてお伺いをさせていただければと思います。

新藤国務大臣 この政策評価、平成十三年の法律でありまして、これもたまたまなんですが、御縁があって、私、その当時の、法律を導入するときの政務官で、総務省にいたんです。ですから、この問題を今もきっちりフォローしていきたいと思っています。

 今委員がいろいろ御指摘いただいた問題点というのは、まさに十年やってきて、それが浮かび上がってきたところなんですね。

 こういうふうに考えてもらいたいんです。政府全体の政策を、約五百の事業、五百の政策目的を打ち出して、その中で何があるかというものをチェックしている。その政策目的に応じて、この事業が有効であるかどうかをチェックするのが政策評価です。それに加えて、今回、行政事業レビューといって、民主党前政権がつくってくれたもののシートを活用いたしまして、この行政事業レビューは五千事業になっています。これは個別事業です。

 ですから、行政事業レビューの五千のものがデータベースとなって、その中から五百の政策目的にその政策をそれぞれ重ね合わせて、その中で、有効であるかどうかをそれぞれ、レビューの方でも個別にチェックするし、評価としてもチェックをする、こういう仕組みを今つくろうとしているわけなんです。

 それで、まず基準として、全省庁を横に眺めて評価できるように、評価シートを共有化しようじゃないか、評価基準を統一化しなくてはならない。これは今年度中にやります。今作業させているところなんであります。

 それから、事業レビューと政策評価を合体させるためには、今までなかったのでございまして、まことに残念だったんですが、事業番号とか事業名を統一させる。ここから始まっているんですよ。

 究極の課題は、一体、評価すべきものは何か、それぞれの省が何を目的として仕事をしているのか、これは政策ツリーといいます、これがないから難しいんです。例えば国交省などが、道路の整備がどのぐらい進んだかとか、こういう数値の評価は簡単にしてくるんです。でも、その道路の整備は何のためにやるのかという目的が明確になっていない。

 ですから、日本の政府の中の政策を、予算書の款項目節ではなくて、政策目的別につくらなければいけない。このことも取り組もうではないかということを今始めております。その中で達成すべき目標を明確化することによって、初めて政策評価というのは有効になるんだ。

 これは難しくて、成功している国は世界じゅうでどこにもありません。ですから、日本が一番最初にやろうと私は思っています。

 そういう中で、このPDCAサイクルをきっちり回していく、それが効率性と歳出の合理化につながっていく、こういうことだと思います。

岩永委員 ありがとうございました。

 まさに、目標というものをどこに設定するかということが、まず、このサイクルを機能させていくために一番重要な部分だということも私は認識をいたしております。

 それでなくてもお忙しい国家公務員の皆さんが単なる作業に膨大な時間を割くような、無駄なことにはならないように、ぜひ積極的な改善を進めていただくことをお願い申し上げ、質問を閉じさせていただきたいと思います。

 防衛省さんと文部科学省さんの方にもおいでいただいていたんですが、質問の方を飛ばしましたことをおわび申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

北側委員長 次に、東国原英夫君。

東国原委員 東国原でございます。

 きょうは大臣の所信表明に関する質疑ということでございまして、考えてみて、大臣の所信表明というのは三月十四日に行われたんです。その大臣所信表明に対する質疑が二カ月以上たった後に行われるというのは、私はちょっと違和感というか。大臣所信というのは非常に重要だと思うんです、総務省全体の考え方をお述べになるわけですから。これに対する質疑、いろいろな国会内の事情があるとはいえ、ちょっと遅過ぎるんじゃないかな、こういったところは改革できないものなのかなと思ったりもするんです。

 所信表明には関係ないんですけれども、細かいことで言うと、例えば総務委員会の大臣や政務官の方、副大臣の方がお座りになっているその椅子なんですけれども、横に物を置くところがないんですね。ですから、皆さん書類を膝の上にずっと載せて、これは予算委員会なんかもそうなんですけれども、膨大な資料を持っていらっしゃって、非常に窮屈に感じるんです。大臣のところだけは横に台がありまして、大臣は特別なんでしょうけれども。ほかの方たちは大変じゃないかなと思うんです。

 ですから、こういうのは、テーブルを横に置くだとか、そういった部分の改善というのはできないものなのかなと思います。全然関係ないですけれども、そういったところから変えていかないと、なかなか行革全体のことなんて及ばないんじゃないかな、足元のことを変えていくというのも必要なんじゃないかなと思ったものですから、ちょっと私の感想を述べさせていただきました。

 所信なんですけれども、この表明の中に、大臣は大きな柱を打ち出されております。「元気をつくる」「命をまもる」「便利なくらしをつくる」「みんなの安心をまもる」「国の仕組みをつくる」、これは本当に重要な、核になる項目だと思うんです。

 この中で、大臣、よくいろいろなところで、予算委員会等々でもそうですけれども、地方の元気、地域の活性化等々とお話をされております。これは非常に重要です。総理も、地方の元気なくして国の元気はないとおっしゃっています。確かにおっしゃるとおりです。地方の連続体が国ということでありますから。

 一言で地方の元気、活性化といっても漠然としていまして、先ほど小川委員の方から指摘があったように、空き家の問題があったり、少子高齢化の問題、人口減の問題、産業の衰退、限界集落、高齢化、そういったものがありまして、地方、元気になろうよ、活性化しようよと言っても、呼びかけだけで、もうそういう元気を出す余力すらないというような地域もあるんですね。ですから、これは国家の存亡にかかわる問題だと思いますので、本当に重要なことだと思うんです。

 改めて、大臣に、この地方の元気、活性化というのはどういうイメージで捉えられているか、その御所見、御認識を伺えればと思います。

新藤国務大臣 私たち日本人の究極の、そしていつでも持っている願いは、自分の暮らしがよくなること、そして、国が発展していく中で、自分の周りの働き場所ですとか、暮らしですとか、そして家族との快適な、安心な暮らしをつくること、これが願いだと思います。

 特に、今我々は、今でこそアベノミクス効果で株が上がり、期待値は上がっております。しかし、わずか半年前のことを考えてみたら、本当に惨たんたる状況がございました。何とかしなければいけない、これは政党の枠を超えて、みんなの願いだと思います。私ども、今政権をとらせていただいている者とすれば、その先頭に立ってこれを頑張っていかなきゃいけない。

 日本を取り戻すと申しました。私は、日本を元気にしたいと思っています。その中から、日本のよいところ、それは、たくましい経済だったり、安心の福祉だったり、それから子供たちに対する正しい教育だったり、もろもろあるわけであります。

 その元気をつくる中で、これからの経済成長の鍵を握るのは、まず、国内の活性化、それから、先ほどから申しております新しい暮らしの変革、イノベーション、そして、日本の力を世界に展開していく、国際社会との交わりです。この三つがキーワードだと僕は思っているんです。

 その一番最初に出てくる、国内を元気にさせる、それは、それぞれの国内産業を元気にさせる、活性化させるとともに、それぞれの町に住んでいる人たちが、それぞれの考えでやりたいことを自分たちの力でできるようにする。キーワードは自立だと思っているんですね。みずから決めて、みずから持続的に活動していける、そういう制度、またそういう事業を行うべきであって、今委員がおっしゃるように、現実は真逆です。どんどんどんどん手伝わなければ維持できない地域がふえていっていて、一方で、今度は、都市に出てきて都市が膨張すれば、都市には都市の問題が発生しています。

 ですから、今までの取り組みは大切にしながら、地域を元気にするためにはどうしたらいいんだ。それは、現状維持をさせればいい、困ったところにもっと手厚くすればいいではなくて、それを超えた、どういう地域であってもそれなりに自分たちで自立していける、そういう仕組みをつくれないかというのが、地域の元気をつくる。

 そのためのたくさんの手法は、私どもは交付税から始まっていろいろな補助制度や支援制度を持っていますから、そういうものをまずはきちんと充実させていきますが、加えて、それを超えた政策をつくれないかということで今研究をしている。地域の元気創造本部というのはその答えを出すためにつくった組織ということでございます。

東国原委員 自民党さんの公約の大きなテーマが、日本を取り戻すということでありましたが、今大臣は、日本を元気にしたいと。私、どっちかというと、そっちの方がいいと思うんですよ。日本を取り戻すというのは、ちょっと意味がわかりづらい方がいらっしゃるんですね。どこからどういうふうに誰が奪っていったのか、それをどうやって取り戻すか。それよりも、日本を元気にしましょう、地域を元気にしましょう、こちらの方が……(発言する者あり)そうなんですか。そうは書いていませんよね。日本を取り戻すというテーマになっているから。元気というのが非常にキーワード。

 これは気持ちの問題ですよね、景気だとか活気だとか元気だとか。景気というのも本当に気持ちの問題。だから、政治行政の要諦というのは、人々を元気にする、気持ちを、やる気を起こさせるとか高ぶらせる、これは非常に重要だと思うんですね。ですから、そういった意味では、今のアベノミクスというのは非常に効果的ではないかなと思うんです。何か起こるんじゃないか、何か変わるんじゃないかという気持ちがしますものね。これは重要だと思います。

 大臣、自立とおっしゃいました。この自立と支援、助成というのは非常に悩ましい問題ですね。僕も地方にいましたからわかるんですけれども、いただきたい、支援していただきたい、助成していただきたい。でも、これにどうしても頼ってしまうんです。これが終わったときに衰退していくんですよ、事業とか。そこをどうするかです。ここは非常に議論をさせていただきたいところなんです。

 先ほど、地域の元気創造本部というのがありました。設置理由を言っていただきましたが、この中には地域経済イノベーションサイクルというのがあります。ちょっと個別具体的に質問させていただきますけれども、地域経済イノベーションサイクルというのは、全国展開とありますけれども、これは具体的にどういうことをなされるのかというのをお聞かせください。

新藤国務大臣 これは、今まさに委員がおっしゃった課題を解決するための一つの取り組みです。

 まず、地域には資源があるんです。それは、観光だったり、歴史だったり、物産だったり、地域にはいろいろな資源があると思います。それから、地域には、もちろんですが人がいらっしゃいます。もう一つ考えるのは、地域には資金もあるんですね。信用金庫ですとか地銀、そういった地方金融機関の預貸率というのは五〇%ぐらいなんです。ですから、お金はあるんだけれども、有効な投資先を見出せないでいる。一方で、地域には資源があるんだけれども、それをなかなか活用できないでいる。

 いろいろな取り組み、先進的な事例はありますが、今度のイノベーションサイクルというのは、地域の資金と資源を同じテーブルにのせて、そこに産業界、学識者、自治体、金融機関、そしてそこに住む住民の方たち、この人たちが一つのテーブルにのって、自分たちの町で何ができるか話し合いませんかと。

 そして、それを国は支援します。初動資金ですとか、お金は出します。でも、私たちの出すお金は、委員がおっしゃるように、予算がなくなってお金を引き揚げたら終わりでは意味がありませんから、あくまで初動であって、地域金融機関の、仕事に対する目ききだとか、そういうものも入れていただきながら、我々が出したお金と同じように、地域の金融機関からも融資を出してもらいます。そして、その上で、その町がやりたいことを事業化してみて、我々は、最終的には国は手を引きますから、そういう地域の特性を生かした総合的なまちづくりができないか、それを全国展開してもらおうじゃないかと。

 それには、まず成功事例をつくらなければいけない、先進の事例をつくらなければいけないということで、産学金官ラウンドテーブルと名前をつけたんですけれども、一つの舞台をつくって、やろうと。

 地域の資金を所管するのは金融庁なんです。地域の資源を所管するのは経済産業省だったり、環境省だったり、国交省だったり、農水省だったり。ですから、そういう各役所の人たちにも一緒に入ってもらって、総務省が間に入って横串に刺して、そして地域の独自性を持った事業展開をしていただこう、その試みを始めた。先行事例で今、十八事業を採択いたしまして、もう既に事業が始まっている。

 そして、その成功事例を各自治体にお示しすることによって、こういうやり方ができるのなら、我々もこの取り組みは参考になるねと。仕事の内容は別々だと思います。その町の独特のものでいいんです。でも、どういうふうな事業の体制をつくれば仕事として成り立つかという事例を皆さんに知っていただこう、そんなことを今進めているわけであります。

東国原委員 産学金官ラウンドテーブルという新たな言葉が出てきたんです。今までは産学官と言っておったんですけれども、金が入るんですね。

 でも、今までも地方の金融機関はそれなりに関係していたわけですよ。今までの金融機関と、産学官に金を入れた、この違いというのはどういうところにあるのか、お聞かせ願いたいと思います。

新藤国務大臣 産学金官ラウンドテーブルという新しい言葉なんですけれども、それに民も入れなきゃいけないなと。当然入っているので、産学金官民ラウンドテーブルなんですね。

 理屈で言うよりも、実際にこの間、先週でしたか、信用金庫、それから信用組合、そして全国地銀協会、さらには農林中金、そういう金融機関の人たちにおいでいただいて、私はこういう話をしました。そうしたらば、ある金融機関の方が、ああそうか、そういうやり方ができるなら、うちの町でも、村が集まって自分たちの物産を売りたいと言っていたんだけれども、私はこれは難しいだろうと思って話を聞くだけにしていたんだけれども、では融資してみようかなと。それで、そうですよと。

 金融機関が入って町の事業を手助けする。今までは、公共事業だったり自治体の仕事ですから、仕事というのは、独自の市町村の財源か国のお金で事業をやっていたんですね。でも、今回は、そこに事業性を持たせて、計画段階から民間の金融機関もその他の事業者も入ってもらうことにして、一つの事業体にしようじゃないか。ですから、金融機関も中に入って事業体になってくださいと。

 そして、結果的には、さっき十八事業を採択したと言いましたけれども、今、国が出したお金と同じ分が融資なされています。また、そのぐらいの融資をしてもいいというような事業でなければ我々も認定しない。

 こういう形で、事業性を担保させつつ地域の力を使って自分たちで運営できるような、そういう仕事の立ち上げをお手伝いしよう、こういうふうに思っているわけなんです。

東国原委員 理念とか理想はすばらしいものがあるんですね。でも、なかなか地方の金融機関は、まあ、首を縦に振らぬですよ、いろいろなことがありまして。

 これまでは、景気もどん底だったということで、預貸率が信用金庫は五一・七%で信用組合は五三・二%、それぐらいしかお金を出していないんですよね、株あるいは国債で運用した方がいいということで、なかなか企業さんに資金を融資してくれないというのがこれまでの現状だったんですね。

 それをやってくれと言うのは非常にいいことなんですけれども、これは、成功事例を見せないとなかなか金融機関というのは、おっしゃるとおりなんですけれども。

 それで、先ほど来お話に出ますように、十八事業というのが今採択されたと聞いておるんですけれども、これが、廃棄物等の商品化事業が五事業、一次産品等高付加価値化の事業が七事業、地元資源活用にぎわい創出が三事業、流出資金域内還元事業というのが三事業。

 これは日本語を読んでいってもわからないですよ。特に、地元資源活用にぎわい事業の三事業というのは具体的にどんな事業なのかというのと、あと、流出資金域内還元事業、これは一体どういう内容なのかというのをちょっとお聞かせ願えればと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、若干役人的な表現になったかもしれませんが、五事業に分類をいたしまして、自治体の方々にこういうモデルがあるということをお示ししているものでございます。

 そのうち、まず御質問がございました地元資源活用にぎわい創出というモデル事業ですが、これは、例えば、地域の固有の文化や資源、高付加価値サービスや商品によって人々が集い、そこにビジネスが生まれる環境をつくる事業ということで、具体的には、中心市街地の空き店舗あるいは老舗の建物の地域内での整備、あるいはナイトカルチャーみたいなところでの活用、こういうものをまとめてこういう表現をさせていただいているところでございます。

 もう一点、流出資金域内還元モデルでございますが、例えば温泉などの燃料でございます。これを重油から間伐材を利用した木材チップに転換します。そうすると、今まで重油を買うので流出していた資金が、逆に、木材チップということで、地域の中でお支払いをするということで、そこに経済循環が生まれ、雇用も生まれる。こういうものを流出資金域内還元モデルということで我々は申し上げているところでございます。

東国原委員 木材チップの産業なんかも、重要な資源であることは事実なんですよ。ただ、自然エネルギーの買い取り制度で、木材チップの発電が全国的に非常に活性化しまして、それでチップが足らない状況。新素材を切ってチップにわざわざするような状況もあるんですね。まあ、そういったところはこれからの課題なんでしょうけれども。

 この事業は、事業継続のリスクをマネジメントするということがあります。先ほど大臣がおっしゃったように、これは一過性ではいけない、事業を継続していかなきゃいけないということですよね。でも、最初は呼び水として、初期投資はお手伝いしますよということですよね。事業の継続というのは誰がどう判断するのか。金融機関が判断するのか、あるいは先ほどのメンバーが、いろいろな自治体の方たちとか専門家たちが判断するのか。

 最終的には総務省ですよね。申請が上がってきて、最終的には総務省が、これはいけそうだということで判断されるんですね。そういう認識でよろしいでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 私どもの方は、まず事業の立ち上げの支援ということでございまして、もともと、先ほどのラウンドテーブルで議論をし、例えば、地域金融機関の目ききにかなった事業で、自治体から見ても公共的で外部効果が高い、そういう事業を選びまして、まず立ち上げは支援を自治体もいたします。そこに私どもの交付金も支援をするというものでございます。

 それ以後の事業の遂行ですが、基本的には、民間の事業者が、いわゆる企業家精神にのっとりまして機動的に運営をしていただくということになりますが、いろいろ事業継続へのリスクが生じる場合もございます。そういうリスクヘッジにつきましては、引き続き地域金融機関にも役割を果たしていただきたいと思っております。

 金融機関の側も、事業の進捗に応じてその事業の状況をフォローしていただいて、ビジネスマッチングや新市場についての情報提供などを行いまして、リスクマネジメントをしていただく、こういう仕組みになっているところでございます。

東国原委員 この事業というのは、先ほど大臣もちらっとおっしゃいましたけれども、農業関係とか医療関係とか、商工関係、環境関係、インフラ関係、そういったものとやはりリンクしなきゃいけないと思うんですね。もちろん、それが資源になると思うんです。これは所管しているおのおのの省庁が違うんですよね、先ほど大臣もおっしゃったように。この連携、横串というのは十分とれるものなんでしょうかね。どうでしょうか。

新藤国務大臣 ですから、それをとらなければならないんです。どこかが本気にならなきゃなりません。

 本来、総務省というのは、自治体がお考えになったことを、申請が上がってきたものをチェックするということでした。それから、よその役所に出かけていって、これをやってくれとかと余り言わない役所なんです、最終的にこっちが許認可する役所ですから。私は、この総務省をある意味での事業官庁にすべきだと。

 そういうことで、今回のラウンドテーブルにのった場合には、私たちが農水省や環境省に、こういう仕事に我々も取り組みたいのでぜひ協力してください、こういうものはやっておりますし、これからもやっていきたいと思います。

 大切なのは、委員がさっきおっしゃいました、簡単にはいかないんです。今までできなかったんです。ですから、それをてこ入れしなければいけないという意味で、仕組みを工夫します。それから、事業の効率を高める、事業性をつくるのには、そこにICTが入ってくると私は思っています。

 エネルギーの問題も同じです。効率よくその町でつくったエネルギーをその町で使いつつ売電もできる、いざとなれば、災害時には自分たちで独自のエネルギーを持つことができる、もしそういう町ができたならば、そういう安心の町には住みたいな。ふだんの電気代は安い、しかも、災害でほかが広域的に停電になっても、その町は、例えば最低限の手術をする電気はあります、それから料理をするときの時間帯の電気はありますとか、そういう町ができてきたとするならば、そこに住みたいというふうになると私は期待しているんです。

 結果的に、その町の自立というのは人口動態にあらわれます。既に全国で、先進的な、それぞれ別々の取り組みですけれども、成功している町には、自然減で人口は減少しちゃうんです、でも、何と社会増になっている。過疎地でありながら、過疎自治体でありながら、社会増になっている町というのが幾つか出てきているんです。

 こういったものを取り上げて、そこにまた新しいICT、そして国の支援措置をつくって、何かできないか。簡単にはいかないと思いますよ。しかし、それをやらなければ私たちの国の地方分権なり地域の活性化というのはなくて、地方活性化、地域活性化ができなければ日本の成長は極めて不安定なものになる、このように思っているんです。

東国原委員 チャレンジ精神は大きく買いたいと思います。やはりチャレンジしていかないと、だめだと諦めてもしようがないですから。

 今、電気の融通の仕方なんですけれども、あれは北九州市なんかがやっているんです。非常に効率的なやり方なんですけれども、それでもやはり、北九州は政令市で一番高齢化が進んで、人口減が進んでいるんですよね。そういったこともやはり兼ね合わせて問題解決していかなきゃいけない。

 今大臣御指摘のように、これからの産業というのはあらゆる分野で規制緩和等々をしていって、いろいろな企業さんたちが参入、参画していくような土壌、環境をつくらないと、なかなかこの事業も成功しないんじゃないかなと思うんですね。ですから、成長戦略、規制緩和、そしてイノベーション等々を全部、総合的にあわせてこういうことはやっていくんだろうなと思うんです。

 ですから、今までにあった、ともすると縦割りでできなかったものだとかそういったものを、やはり横串で、大臣のリーダーシップのもとに柔軟に対応できるようにやっていただくと、また地方も、新たなアイデアとかそういったものが出しやすい、申請しやすい環境になるんじゃないかなと思っているので、この事業に私は期待をしているところであるので、金融機関をちょっと刺激して、ぜひ資金を回すように音頭をとっていただければありがたいなと思っております。

 時間もありませんので、次の質問に移らせていただきます。

 消防団についてです。

 所信表明で、「命をまもる」「みんなの安心をまもる」という柱があります。これの中で、やはり災害対策というのは非常に重要なのかなと思っております。

 今回の東北の震災も、もちろん自衛隊の方、警察の方、常備消防職員の方あるいは消防団の方、本当に献身的な活躍、努力をしていただいて、心から感謝を申し上げたいと思っているんです。

 この消防団なんですけれども、今地方は非常に減ってきているのが現状であります。一時、全国に二百万人ぐらいいらっしゃったんですかね、それが今八十七万人ぐらいになっております。女性の方も最近ふえていらっしゃって、全国にたしか二万人ぐらいいらっしゃるんじゃないかなと思うんです。この消防団というのは、常備消防職員の方は約十六万人ぐらいいらっしゃると思うんですけれども、その方たちにはできない、やはり地元に根づいた、地元のことを熟知されている方たちなんですね。

 この消防団が減ってきている、組織率が非常に減少している理由について、どういう御認識をお持ちかということをお尋ねしたい。

新藤国務大臣 これは、やはり社会状況の変化が大きいと思います。

 そもそもが、かつての消防団を形成する方は、その町でみずから生業を行って時間的な融通がきく方ですとか、大体において、皆さん、自分の町で、自分で仕事をしていたわけですね。しかし、どんどん都市部に移り、また会社勤めになり、時間がままならなくなってきた。

 それから、そもそも、地域のコミュニティーが強い地域ほど人口の移動が起こって、地方の人口分布が少なくなっている、こういうようなこともあると思います。

 それから、そもそも、損得勘定だけで考えたらやりませんから。ですから、公共心ですとか、そういったものも変化してきていることもあると思います。やりたくてもできない方もいらっしゃいますから、心だけではありませんが、もろもろのそういう社会の変化に応じてこのようになっているんだと思います。

 私もこれは本当に残念だと思っていまして、消防団自体はすばらしい活動をしています。特に東日本の大震災のときの消防団の活躍というのは、いろいろお話を聞けば、涙なくして語れない部分もあります。

 ですから、消防団自体の存在というのを我々もきちんと位置づけて、そして今、坂本副大臣に担当になってもらっているんですが、ことしは消防団から百二十年を迎えるんですよ、年明けに。この節目の年にとにかくふやせ、ふやそう、こういうことをやろうじゃないかと目標を掲げております。

 それから大事なことは、やはり、災害時に人を守る人が災害に巻き込まれたのでは、これは自分の目的が達成できないんです。したがって、災害時、特に津波ですとか、ああいう大災害時の自分たちの活動マニュアルというか、こういうものもきちんとやろう。それから研修もちゃんとやらなければだめだ。こういうふうに消防団自体の、団員の方たちの練度の向上といいますか、安全性の向上、こういったものも図っていきたい、このように思っています。

東国原委員 今おっしゃったとおりなんです。消防団の方たちは、防災、防犯だけじゃなくて、地域の、特に高齢者の方たちの心のよりどころになっている部分があるんですね。ですから、表に見えない活動をされているのが実は消防団の方たちです。

 この方たちが減っていく理由というのは、今大臣が御答弁いただいた、まあ、そのとおりなんでしょうけれども、細かいことを言えばいろいろあるんでしょうけれども、まず、大きく、自分の身分の位置づけというのがあるんじゃないかなと思うんですね。

 消防団は必置義務ではないんですね。ですから地方の条例で決まっているんですけれども、非常勤特別職の地方公務員という位置づけであります。でも、地方公務員の適用を受けていないんですよね。各市町村が条例で決めているんですけれども、これをきちっとした法律で位置づけようじゃないかという議論があったと思うんです、これまで。あの議論はあの後どうなったのか、あるいは法律で位置づけるおつもりはないかどうか、ちょっとお伺いしたい。

新藤国務大臣 これは確かにそういう議論があったわけであります。また、今もそういったお気持ちのある方たちはいらっしゃるというふうに思います。

 私どもとすれば、消防組織法上のお答えをいたしますと、市町村は、その消防事務を処理するために、消防本部、消防署または消防団のうち全部または一部を設置しなければいけない、こういう規定の中で、実態とすれば、消防団の必置化については、市町村が自分たちの町の状況、地勢等を考慮した上で、常備消防か消防団の両方または片方を自主的な判断により設置する、こういう考え方に成り立っているわけでありまして、これを双方とも必置化するというのは、これまでの整理を崩す、形を変えることになるわけであります。

 そして実態上は、現在、消防団が配置されていなかった市町村も、合併によって、結果としては、形式的には、今全ての市町村に消防団が設置されている、こういうようなことがございます。

 ですから、全体の組織体系、今までずっと進めてきた、こういったことを踏まえながら、いろいろなお考えがある、それは受けとめて検討していかなければならないというふうに思いますが、現状としては、具体的な、特別な作業が始まっているわけではありません。

東国原委員 今の大臣の答弁の、市町村合併が進んで、現在全ての市町村に消防団が存在しているので、その中で改めて法律で位置づける必要があるのかというのは、民主党政権でも同じ答弁をされているんですよね。

 自民党政権になったんですから、ちょっと一歩前へ出て、違うんだぞということをお示し願えればと思うんです。

 先ほど、消防団員の数が減っていくというのは、サラリーマン化が進んだり、高齢化が進んだり、さまざまな環境があるんですけれども、自分が消防団に入って、企業の理解というのもなかなか受けられない。

 例えば、急に火事があって、火事の現場に行かなきゃいけない、でも、会社にも行かなきゃいけない。消防団にとっては火事の現場の方が大切ですから、火事の現場に行くんですね。そうすると、消防団には地方公務員の方も入っている。地方公務員の方たちは公休として扱われるんですけれども、民間に入っている人たちはそれが認められないんですね。下手をすると、何だおまえ、どこに行っていたんだ、こんな重要な会議が、仕事があるのに何をやっているんだという、例えばそれで減給になったり、無断欠勤とかいうような扱いになったりもするんです。

 あと、家族の理解が得られない。ふだんから訓練だ何だというので駆り出されて、そうすると、消防団に入ると夫婦げんかが絶えないというんですね。

 そういう状況もあるんですよ。これは本当に現実なんですよ。ですから、私は、きちっとした法律で位置づけるというのも一つの方法なんじゃないかな、そういうことで申し上げたんです。

 その消防団なんですけども、おっしゃったように、明治二十七年に初めて開設されて、ことしは百二十年目ということで、そういった理由もあって私は質問をさせていただいているんですけれども、処遇も、先ほど大臣がちょっとおっしゃったんですけれども、損得勘定を考えればと。非常にボランタリー、ボランティアなんですよね、ほとんど。

 ですから、この処遇もちょっと考えてあげなきゃいけない。あげなきゃいけないというのは非常に高飛車で申しわけないんですけれども、何か対策を練らないと、これは衰微、衰退していくと思うんですね。この辺の処遇についてはどうお考えですか。

新藤国務大臣 まず、委員の御質問の中で、自民党政権になったんだから変えたらどうだという御指摘がございましたが、そもそも、今のこの体系整理というのは、私どもが自民党政権時代に組み立てたものを民主党が踏襲していただいたものですから、もともとは私どもが整理をしていたものであって、それは政権がかわっても同じ考えだったということであります。

 ただ、だからいいんだとは私は思っていないんです。やはりきちんと検討は必要であって、今委員がお述べになられたような実態上の不合理、ふぐあい、これは法律を改正することなくしても改善できることもあるかもしれませんね。やはりそういう研究は引き続きやっていきたいというふうに思います。

 それから、処遇の改善、これも実は地域間の格差というものもございます。そして、自治体のそれぞれの事情というものがあって、これをやはり、我々とすれば、できるだけきちんと皆さんに処遇してくださいと。これはたびたび総務省も通知を出しております。また、そういう取り組み、働きかけをしているのでありますが、引き続き、消防団をどのように位置づけるかという検討の中で、今のお話は検討項目の一つにさせていただきたい、このように思います。

東国原委員 報酬の面を言うと、何か消防団の方たちに失礼になる、そういった報酬が欲しくてやっているんじゃないというような御批判もあるかもしれませんけれども、交付税単価が、年額報酬が三万六千五百円、出動手当が七千円。でも、これは交付税単価ですから、このまま支払われていないんですね、実を言うと。大体、二万から二万数千円ぐらいですよ、年間。それは、全部が全部ではないですけれども、御自分の懐には入らないですね。大体、消防団の維持費とかそういったものに吸い上げられて、完全にボランティアみたいになるんですけれども、この辺もちょっと待遇を変えていかなきゃいけないんじゃないかな。

 あと、私は、消防というのを市町村の単位に置いておくべきかという議論もそもそもあるんじゃないかな、広域化ですね。例えば国保なんかも、市町村から都道府県にという話があります。ITもあります、機材も進化しておりますから、広域でやるようなこともこれから議論しなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。(発言する者あり)広域消防化というのはやっています。どこの都道府県もやっています。(発言する者あり)待遇改善もやらせていただきました。いや、それはいいんです。何でそちらの答弁をしなきゃいけないんですか。ちょっと黙っておいてください。

 この減少対策なんですけれども、消防団協力事業所表示制度というのがありますよね。これも一つのインセンティブを高めることだと思うんですけれども、これは今どれぐらいありますか。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 消防団協力事業所表示制度につきましては、平成二十四年四月一日現在、制度を導入している市町村が九百二十六市町村でございまして、認定事業所数は、消防庁が認定するものが六百四十一事業所、市町村が認定するものが八千六百三事業所というふうになっております。

東国原委員 もう時間もございませんので、地域の元気とか地域の活性化というのは、やはり暮らしを守る安全、安心も非常に重要なテーマになってくる、要素になってくると思いますので、こういった、ふだん日の目を見ない方たちにスポットを当てて、光を当てて、その地域の活性化というのを下支えしていただくような政策を、そしてまた、地域の活性化、経済的な活性化、さまざまな活性化に資するような政策を地方の視線に立って講じていただくことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

北側委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうは、NHKの方々にわざわざお見えになっていただきまして質問をさせていただきますことを心から感謝申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、前回、NHKの集中審議のときに質問させていただきましたが、不完全燃焼でありましたので、再度御質問をさせていただきたい、このように思います。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 大きく言うと、受信料の一〇%還元。前回も質問をさせていただきました。なぜ一〇%還元になったのかから始まり、そして経営努力、経営内容についても質問をさせていただきました。また重なるところがあろうと思いますが、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 まず、受信料についてですけれども、受信料は、その集中審議のときに、先ほど質問されました東委員が、総括原価方式ですよというところをまず一点押さえたと思いますね。

 そこで、NHKの皆さんにお尋ねをしたいんですが、総括原価方式のいわゆる算定根拠、大きな算定根拠を教えていただけたらと思います。

福井参考人 受信料の料額につきましては、NHKの事業運営に必要な総経費、これは事業支出及び資本支出充当でございまして、これに対しまして総収入が見合う形の総括原価方式を基本に算定してございます。

 受信料は、公共料金の性格を有するものであることから、なるべく長期間にわたって安定した料額であることが望ましいことから、単に当該年度の収支均衡に拘束されるものではございません。そのため、受信料額につきましては、三年から五年程度の期間で事業運営の総経費に対しまして収入全体が見合うように設定するという考え方を基本としてございます。

 今後も、中長期的な経営計画及び受信契約件数の見通しを十分検討した上で受信料額を設定していきたいと考えてございます。

 それから、二十三年七月に答申をいただきましたが、学識経験者によりますNHK受信料制度等専門調査会におきましても、NHKの総括原価方式の考え方にのっとりまして、三年から五年程度の期間で、必要となる資本支出を含めた支出全体に対しまして、繰越金を含めました収入全体を一致させまして、その上で各負担者の具体的な金額を算出する方式は、一応妥当ということで考えられております。そういう見解でございます。

佐藤(正)委員 総括原価方式が妥当であるか妥当でないかというのは聞いていないんですね。要は、総原価に対して受信料を決めて、そして、見ていただく方の人数割りをして、お一人、一世帯はお幾らですよという受信料が設定をされる。

 先ほど来申し上げましたが、本来なら一〇%お約束をした、ところが現実には、一〇%は不可能でした、七%になりましたということですよね。では、なぜ一〇%が七%になったのか。

 前回、その点を御質問させていただきました。そうしたら、まず、社会情勢等々を鑑みと。NHKの予算書の中にもいろいろ書いてあるんですが、小さな字で書いてあるんですね。見つけるのは大変でした。下の方にちょろっと書いてある。ああ、これを利用したのかということなんですね。

 では、お聞きします。それは、現実には、NHKが考えた計画の中で一体どうなっているのか。例えば、二十四年度決算速報から見て、当初考えていたことと、どのようにどういう開きがあったのか、御説明願いたいと思います。

福井参考人 一〇%できなかった理由というのは、先ほど先生おっしゃいましたように、経済情勢の変化とか収支の状況などにつきまして、全額免除がふえたことによりまして四百二億円で、これが二・四%相当になります。それから、公共放送の機能強化のために緊急を要する設備投資の財源として百六億円を使いまして、これが〇・六%相当になります。

 そういうことで、受信料の還元につきましては、七%相当を昨年の十月から、月額百二十円、それから、継続振り込みについては七十円値引きをしてございます。

 当初の想定は、二十四年度でいきますと、二百二十四億円の減収ということで、これは二十四年度の決算の速報段階なんですが、ほぼこの二百二十四億円の減収は発生してございます。

 ただ、二十四年度の決算速報、五月の頭に発表しましたが、当初、収支均衡予算でございましたが、一応、百九十五億円の黒字を確保してございます。

 これにつきましては、営業の方で、前倒しで業績を、前半に六八%の進捗を図ったことによりまして、受信料の増収を図った努力をした結果、当初、前年度に対しまして九十億円の受信料の減収でございましたが、十三億円の減収まで圧縮することができました。

 それから、支出につきましても、さまざまな見直しをした結果、百九十五億円の黒字を確保することができましたが、二十五年度も通年化で減収影響が四百億円を超す減収となっておりますが、減収についてはほぼ予定どおりでありまして、それに対しまして、NHKは総力を挙げて、今受信料の増収を図っているという状況でございます。

佐藤(正)委員 前半、後半で、昼からまた質問があるので、ところどころ飛ばすかもしれません。

 今言われたことを、NHKの二十四年度決算の速報、皆さん、お手元に資料があると思いますけれども、これで見る限り、努力しましたと、努力するのは当たり前じゃありませんか。なぜ一〇%還元をしなきゃならなくなったのかという根底がわかっていらっしゃるんでしょうか。なぜ一〇%削減をしなきゃならない。こういう国会で皆さんが審議をされて、NHKはやりますと言ったのか、その中身は御存じでしょうか。お尋ねをしたいと思います。

福井参考人 一〇%の還元につきましては、前経営計画の平成二十一年から二十三年度の経営計画の中で、それを達成すれば、二十四年度以降、一〇%還元する予定でございましたが、前経営計画の中で、リーマン・ショック等がございまして、やはり相当想定し得なかった状況がございまして、一番大きなところは、先ほども言いましたように、全額免除の拡大が、毎年十二万件を想定しておりましたところ、十八万件発生するというような状況がございまして、これがどうしても一〇%を下回ったという理由でございます。

 一〇%というのは、これは経営委員会の方で前回の経営計画の中で示された率でございまして、これは我々から提示をした率ということではなくて、経営委員会からの要請で一〇%の還元ということで、我々はそれに対しまして極力いろいろ算定をした結果、七%の受信料の還元という結果になってございます。

佐藤(正)委員 質問の趣旨がわかっていないんですね。なぜ一〇%にならなきゃいけなくなったのかというところを聞いたんですよ。

 それは、NHKが信用を失墜するような不祥事ばかりやったからでしょう。それが続いたから。だったら、しっかりやれ。本来なら、今官房長官をされている菅先生が言われたのは、もう二〇%だ、こんな議論もあった中で一〇%になったという根っこをしっかりと考えてやらなきゃいけないんじゃありませんか。だからこそ、経営努力をするのは、皆さんに、受信料を払っている方々にしっかりとお示しするのは当然なんです。

 そこは、前回も言ったので、なかなか認めようとしないんですが、そうでしょう、間違いありませんか。私が言ったことが違うのであれば違う、そうであればそうであるとお答えください。

福井参考人 我々としては、一〇%の還元は最大限やるつもりでいろいろ検討した結果、七%ということになりましたが、一〇%につきましては、我々から提案した数字じゃなくて、経営委員会の方から一〇%還元しろという提案がございまして、それをいろいろ検討した結果が今そういう状況になってございます。

佐藤(正)委員 時間がないのであれですけれども、なぜそうなったのかということは、自分で胸に手を当てて考えたらわかる話でしょう。そこはもうこれ以上言いませんよ。今までの経緯でわかっていることですからあえて言いませんが、それを認めて、その中から初めて入っていかないと、努力しています、努力していますと言うけれども。

 では、お尋ねしますが、前回もいろいろ議論がありましたが、職員の方々の平均年収にしても、通常で考えたら、我々は高いとは思っていますが、職員の方々の年収、福利も入れて、平均年収はお幾らですか。それから、役員の方々の年収はお幾らですか。お尋ねをしたいと思います。

吉国参考人 お答えいたします。

 平均年収といいますか、これはあくまで我々の決算額の給与費から職員の数で割った額でありますが、実際に支給している額ではございません。二十四年が一千百八十五万、二十五年はまだ速報値ではっきりしていませんけれども、一千百八十一万で若干下がっていると思います。

 それから、役員の年収ですけれども、二十四年度の標準報酬額は、会長が三千百九十二万、副会長が二千七百七十万、専務理事が二千四百二十万、理事が二千二百五十六万でありますが、これはNHK全体で給与の改定を今年度実施しますので、それに伴いまして、会長と副会長については三%強、それから専務理事、理事については二%強の引き下げをする予定になっております。

佐藤(正)委員 予定ですよね。今までやっていないんですね。役員の方々の報酬減はやられたんですか。

吉国参考人 経営委員会で議決しておりますので、これは六月から実施いたします。(佐藤(正)委員「いつから」と呼ぶ)六月の時点から。ただし、年間の報酬として、精算もして実施いたします。

佐藤(正)委員 前回御質問したときはやっていなかったんです。

 それで、民間の企業であれば、会社が厳しくなったら、まずイの一番にどなたが率先をして自分たちの給料を下げるのか、松本参考人、会長に私は申し上げました。従業員の給与を下げる前にやるべきことがあるんじゃないか、こういう指摘をさせていただきました。そして、今お答えになったのが、やっと二%とか三%。

 受信料の還元は、もともと何%お約束する予定、国会では一〇%ということは明言されていますから、それが、先ほど言った、小さな小さな、本当に小さな小さな字で経済状況等と書いてある、そこを踏まえて七%になった。順番が逆でしょう。

 還元を一〇%やろうと思ったら、経営陣がその責任の発端をまず一番に考えなきゃいけないでしょう。なぜなら、そもそも要因は何か、不祥事ですよ。そのことがわからないというのは、私としては少し情けないなと思っております。

 そして、給与の問題も、前回、松本会長にお尋ねをしました。民間に比べたら、福利厚生費まで入れたら一千七百万円を超える年収は、ちょっと高過ぎるんじゃないでしょうかねと。そうしたら、松本参考人、会長は、このように言いました。なぜ高いかというと、いわゆる知的労働集団だから高いんだと言われましたよ。

 お尋ねをします。国家公務員の方々は知的労働集団ではないんですか。その見解をお尋ねしたいと思います。

吉国参考人 済みません、これは私の個人の考え方でございますので、会長の真意は、正確かどうかわかりませんけれども、やはり放送という、そういう業務の特殊性、いわゆる機械とかそういうもので定型的につくるものではなく、現実に番組というものをそれぞれの構成員が手づくりでつくっているという意味からいいますと、やはり一定の人材が必要になってくる。そういう意味で多分言ったんだと思います。

佐藤(正)委員 国家公務員の方々は、この国の施策、この国の方針、多くの部分ですごい知的集団だと私は誇りを持っています。その中で、あえて言わせていただきますが、それでも民間に比べれば我々は高いと思っていますよ、国家公務員の方々の平均年収は約六百三十七万円余ぐらいですよね。そして、厚生費まで入れると約八百万円余です。倍以上です。それを考えたときに、もう少し検討する余地があると私は思っています。受信料を払っている方々も、恐らく、私、佐藤と同じような感覚を持っているんだろうと私は思います。

 ですから、前回私が指摘をさせていただいたのは、まず、民間だったら経営者から、これは経営委員会でこれが反映されてそうなったのかどうかわかりませんが、結果としてその方向になったのであれば、再度検討の余地はあると思っています。

 そして、先ほどの決算の報告等を見て、もう一度決算の表に戻りたいと思いますが、残り時間がなくなってまいりましたので、この中身はまた午後からの質疑にかえさせていただきたいと思います。

 そして、天下りの問題も指摘をさせていただきました。その指摘をしたときに、松本参考人が、あえて私の質問に対してお答えになったのは、優秀な有能な経営能力を持っている人を人材配置するのは当たり前だ。言われればそうかなと思います。

 そのときに、具体的な子会社の名前が出てきたのがNHK出版でありました。このNHK出版の問題についても、もう時間がありませんので、私が少し、一方的に言って、午後からの質問に続けたいと思いますが、松本参考人が言われたのは、いわゆる在庫管理をしっかりやった有能な経営者なんですよということでした。この在庫管理等について、昼から詳しくお尋ねをさせていただきたいと思います。

 午前中の質問は、時間が参りましたのでここで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

北側委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十六分開議

北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 それでは、午前中に続いて質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 午前中の質問、そして答弁に対して、一つだけちょっとただしておきたいと思いますが、平成二十一年三月二十五日の衆議院総務委員会で、前のNHK福地会長が土井委員の質問に対して、「ここで改めて会長と新委員長に、昨年来の議決を通した中での、一〇%還元、この還元というものの認識、とらえ方をお聞かせいただければと思います。」という質問に対して、会長が答えたのは、「私どもが作成いたしました三カ年計画書には受信料収入の一〇%還元というふうに書いておりますけれども、これは経営委員会からの修正動議に基づく文言をそのまま記載したわけでございまして、」ここからが大事なんですけれども、「我々執行部といたしましては、一〇%の還元は受信料一〇%の値下げだというふうに、私どもは理解をしております。」と答弁されているんです。

 ところが、午前中の審議では、いや、経営委員会から言われたので、NHKは、経営委員会から言われた、我々が還元、一〇%下げるとは言っていないというような答弁に聞こえたんですね。ここは見解が違うと思いますが、どうなんですか。

福井参考人 そこにつきましては、一〇%の受信料還元ということで明言をしてございます。

 午前中もお答えしましたように、我々としては一〇%を目指していろいろ努力をしましたが、経済状況の関係で、全額免除と公共放送の機能強化を含めまして、七%になったという結果でございます。

佐藤(正)委員 還元をやるように努力したけれどもできなかった、やろうと思ったけれども経済状況が変わったと。お手元のNHK資料にも書いてあります、確かに。こんな小さな字で、一番下に書いてある。「本計画は、社会・経済情勢の変化等に応じ見直します。」と本当に小さな字で書いてあるんですね。

 では、お尋ねをしますが、平成二十四年度、この資料の二枚目ですね、決算の速報。これを見ていただくと、七%の還元をした結果、二十四年度決算額は、いわゆる事業収支の差金は百九十五億円プラスになっています。もともとの計画を見てみると、プラスマイナス七%でゼロという計算で、だからできないんですよと。事業計画をやって、そういう計画の中で事業収支がゼロ、二十五年度はマイナスになる、こういうことでありました。しかし、現実には、この決算の速報は百九十五億円のプラス。

 これを、例えば七%を一〇%の還元にしたとしても、実はこれはプラスになるんです。この表から、うち受信料、これを単純に、これが七%の還元とすれば、例えばあと残り三%を足したとしても、実は四億円くらいのプラスになる。ということは、できるじゃないですか。

 さらには、受信料自体は実は伸びている。確かに七%平均で下げましたけれども、受信料は、NHKの方々が努力をされたといえばそうでしょう。しかし、努力をするのは当たり前でありますから、できるんですよ。

 だったら、どうなんでしょう。先ほど明言されたことを考えてみたら、これからの計画の中で一〇%還元をやる方向で検討をするということは十分あり得ると思いますが、いかがですか。

福井参考人 二十四年度の決算の速報は、収支均衡から百九十五億円の黒字ということなんですが、これは午前中も言いましたように、値下げが十月からあるものですから、年度前半で前倒しで相当計画を、進捗を六八%ほどやった結果が、今回、受信料、結果的には去年の決算額には届いておりませんが、ほぼ去年並みに確保することができました。

 ただ、二十四年度はこういう形で百九十五億円の黒字が確保できましたが、二十五年度は、値下げが通年化する影響で、さらに二百二十億円ほどの減収影響がございます。

 今回、三カ年経営計画で、七%の受信料値下げということで、二十六年度になりますとようやく黒字になるという構造でございまして、二十四年度は百九十五億の黒字を確保できましたが、二十五年度についても、収支均衡をこれから目指して、ゼロからスタートということで今取り組んでございます。

 ですから、当面、七%の受信料値下げをこの三カ年で達成していくということでございます。

佐藤(正)委員 ということは、この計画でいくと、二十五年度は受信料収入が下がるということですか。先ほど言った、二百億円下がるんですか。もう一回ちょっと。

福井参考人 二十四年度は、十月からの値下げで、半年の影響でございます。これが、値下げの影響が約二百二十億でございます。二十五年度は、通年化で、年間四百四十億円程度の減収がございます。それを前提に、二十五年度は、経営計画では四十七億円の赤字でしたが、それは予算編成の段階で増収を図って、収支均衡まで持っていったということでございます。

佐藤(正)委員 そうすると、最初の収支計画の中では、二十四年度のうち受信料は六千二百六十九億円、二十五年度は六千百七十九億円、全く違うじゃないですか、あなたが言っていることは。当初の計画と全く違うことを今言っているんですよ。どういうことですか、これは。おかしいでしょう。

 当初の、七%にしなきゃいけなかった三カ年の計画でいくと、二十四年度のうち受信料は六千二百六十九億円、二十五年度は、もう一度言います、六千百七十九億円、これで計算している。二十六年度は六千三百五億円ですよ。これが半年で、四百四十億円、一年になれば下がる。そうしたら、例えば半年分を引いたとしても、六千二百六十九億円は約六千億円になる。そういう計算になるじゃないですか。

 それと同時に、もう一つ私が聞きたいのは、NHKには繰越金がありますよね。繰越金は、今現在、どうなっていますか。繰越金についてお答え願いたいと思います。

福井参考人 まず、受信料収入について訂正をいたしますと、私が申し上げたのは値下げによる減収の影響でございまして、それに対しまして、件数をふやしますので、先ほどでいきますと、二十五年度は、全体としては四百四十三億円の減があるんですが、増収効果が百三十四億円あるということで、その結果、予算は六千二百二十一億円ということになってございます。

 それから、繰越金についてでございますが、これは平成二年以降、受信料の増収とか経費の削減を図ってまいりまして、二十一年度末で千二百六十億円、二十二年度末で千二百六十二億円、二十三年度末で千四百四十一億円、繰越金がございます。

 このうち、二十四年度に、新放送センターの建てかえに備えまして、二十四年度中に五百八十三億円を建設積立金の方に加えてございます。それからさらに、二十四年度、先ほどありましたように、百九十五億円、収支改善がありますので、二十四年度末の時点の財政安定のための繰越金は千八十億円となる見込みでございます。

 ただ、この二十四年度の百九十五億円につきましても、放送センターの建てかえに備えまして建設積立金の方に繰り入れる予定でございまして、二十五年度には、今の見込みでは、財政の安定のための繰越金が八百八十五億円と、建設積立金が七百七十九億円となる予定でございます。

佐藤(正)委員 今言った受信料の問題にしても、二十四年度の決算ではちゃんと上がっているんですよ、当初の計画よりも。全然話が見えない。上がっているんだから、現実に。収入は上がっているじゃないですか。伸びているんです、収入は。ということは、当初の計画を三年間計画をしたときに、経済情勢云々というこの小さな文言を使って、一〇%を七%にしたとしか考えられない。実はできる。国会であれだけ確約をした。できると思いますよ。

 さらに言うならば、今言ったように、繰越金も、ある意味では減っていない。確かに、新しいものを建てるために使うのは当然、そのために準備していたんだから、それは変わらないですよ。それ以外の安定の繰越金は変わっていない。これも事実ですよ。どこに社会情勢の影響が出てきたのか、この数字では見当たらない。

 ということは、一〇から七にした根拠が、そもそも、七にするための総括原価方式で経費を組み立ててきたとしか思えません。総括原価方式、いわゆる経費を集めて、そして世帯数で割った、それが受信料。であるならば、午前中からずっとるる御質問をさせていただきましたが、まさに、今こそしっかりと見直す。実は、経営委員会の方がお見えであれば、そこはしっかり私は聞いていただきたかったと思います。

 ぜひ、検討しませんか、もう一度。三カ年計画でやって、しかし現実に、三カ年計画の計画と大幅に変わってきた。NHKが見ていた、社会情勢がこれほど影響すると思っていたのが、実はそうではなかった。受信料を値下げした、しかし、受信料はふえたということも現実に数字としてあらわれているじゃありませんか。

 ですから、何度も申し上げますが、さらなる改革はまだやらなきゃいけないと思いますよ。まだまだ改革の余地はある。

 例えば、こんなことも委員会の中で質問がされたそうですね、過去。例えば、受信料をお支払いしているお年寄りの方がいらっしゃった。そこに、地デジになったときに、衛星放送が見えるようになった。しかし、お年寄りの方は衛星放送なんか見ていない。そこにNHKの方が来て、いやいや、おばあちゃん、衛星放送を見れますよ、リモコンで操作をしてあげた、ああ、見えますね。そうしたら、衛星放送の受信料も下さいよと。こんなことがあったということを委員会の議事録から読ませていただきました。

 受信料をお支払いしている方々の思いをしっかりと受けとめて、これからさらなる還元を進めていくお気持ちはありませんか。

福井参考人 二十四年度の決算でございますが、受信料収入につきましては、速報の資料にございますとおり、二十四年度の決算は六千三百八十七億円ということで、前年度に比較しまして十三億円の減でございます。この内訳が、値下げによる十月からの影響が二百十八億円、それから件数の増と前倒しの増収効果が二百五億円ということで、これはまだ前年度を超えておりません。

 計画上は九十億円の減だったんですが、そこは、先ほど説明しましたように、前半で前倒しをした結果が十三億の減にとどまったということで、我々としては、二十五年度、さらに通年化となりますので、少なくとも二十五年度、予算を確保したいということで、今とりあえず営業活動に努めております。

佐藤(正)委員 この数字のやりとりを幾らやってもあれですけれども、現実に決算でちゃんと出ているわけだから、もういろいろ言ったって黒字になっているんですよ。

 それと同時に、例えば今の繰越金もそうですが、NHKはたくさんの子会社を持っています。その子会社に剰余金は幾らあるんですか。お答え願います。

吉国参考人 お答えいたします。

 子会社、十三社ありますけれども、この利益剰余金の合計ですが、昨年の配当実施後で七百八十八億円となっております。

 ただし、この剰余金というのは、当然のことながら、現金とか預金で全て保有されているわけではありませんで、NHKの場合ですと、例えば中継車とか機材とか入居ビルなど資産の形で保有されているものがあります。それから、NHKはやはり受信料ですので、子会社が緊急にお金が必要になっても、これに融資とか債務保証というのを行うことができませんので、やはりこれは十三社それぞれに運転資金の保有が必要になっている。

 そういったことを考えますと、そのほかに、それぞれの子会社の今後の事業に基づく積立金なども入れますと、そういう形での部分を除いた部分でいうと、今、処分可能な金額というのは五十七億円ぐらいかと思っております。

佐藤(正)委員 子会社に剰余金がある。そしてなおかつ、前回私がNHK出版に天下り行っていますよと言ったら、いや、優秀な経営能力を持った人だから、NHK出版に行ったら赤字が黒字になったんだ。何をやったんですか。

吉国参考人 確かに、NHK出版は二十二年度、二十三年度と赤字が続いておりましたけれども、二十四年度の決算では、売り上げそのものはまだ減っているんですけれども、経費の削減によりまして全体で最終利益で六億円の黒字を計上したということです。

 この大きなものでは、その一つは、出版の部数とかそういうものが今までかなり大きくて、返品とかそういうものによる減収が多かったこと、この部分を適正に変えたことですね。それから、印刷代とか紙代のところの、この辺の削減を図ったということ、それから人件費の削減を図った、こういうトータルの結果で経費を削減できたということです。

佐藤(正)委員 前回質問した後にNHKの方から、どういうことをやったんですかねと言ったら、いや、実は、今まで無駄にいっぱい本つくっちゃったから、売れないで在庫がいっぱいになった、そうしたら、東日本大震災になったら、そこに本を置かなくてよくなったから、それで初めて本を少なくしよう、これが大きな経営革新だったそうですよ。

 笑い事ですよ、こんなものは。みっともない。たったその程度の方が経営能力がすぐれているとは思いませんよ。当たり前のことじゃないですか、そんなことは。在庫管理を仕切らなかっただけでしょう。ひど過ぎる。それをもってすばらしいと言う経営感覚がわからない。

 と同時に、もう時間が参りました、もう一点、NHK出版について一言だけ言って質問を終わりたいと思います。

 NHK出版、利益がよく出ているのは何なのか。著作権なんですね。著作権のいわゆる管理料というお金が、三十億円以上の利益がぼんぼん来るんですよ。著作権の管理料なんて、三十億円も払ってわざわざ管理してもらう必要があるのかどうか。

 しっかりと僕は、NHKから子会社に行くときにいまだに随意契約が往々にしてある、本当にその随意契約が適正なのかどうなのか、さらには、その子会社が随意契約で受けたものをまたまた孫下に随意契約で出すというトンネルがあれば大変なことになろうとは思いますが、これについてはまた質問の機会をいただければ懲りずにやってまいりたいと思いますので、ぜひ一〇%還元に向けて努力をしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

北側委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 地域住民や沿線自治体に甚大な影響を与えます一部投資家による西武鉄道路線廃止提案問題について、まず最初にお尋ねをいたします。

 三月十一日、西武鉄道を子会社とする西武ホールディングスの筆頭株主、米投資会社サーベラス・グループは、株式公開買い付け、TOBで西武ホールディングスの株式を買い増すと発表しました。その後、株式の買い増しなどを条件変更し、五月三十一日までが期限となっております。

 西武ホールディングスが公表したところによると、サーベラスは西武ホールディングスに対し、都市交通、沿線事業において、少なくとも一千四十五名中八十名の駅員の削減、八%に相当します、を提案する、また、不要路線として西武秩父線、国分寺線、多摩川線、山口線、多摩湖線を列挙する、埼玉西武ライオンズは売却の選択肢としています。

 西武ホールディングスの筆頭株主サーベラスによるこのようなリストラ提案に対し、埼玉県を初め廃止提案がされた路線の沿線自治体がこぞって反対であります。また、埼玉県市長会、埼玉県町村会、十七市が参加する東京都北多摩議長連絡協議会、埼玉県秩父郡市の一市四町議会なども同様であります。西武鉄道沿線全ての自治体あるいは地方議会から路線存続の要望が出ております。

 資料の一枚目にありますように、こういう地方団体、議会から意見表明、要望も出され、二枚目には、東村山市を初めとしました国分寺線、多摩湖線沿線の四市が出された要望書、こういったものがそれぞれからも出されているわけであります。背景には、とんでもないという住民の怒りがあるわけです。

 そこで、最初に、沿線住民の一人でもあります柴山副大臣にお尋ねをします。

 このように、路線廃止問題について沿線自治体と住民からこぞって反対の声が上がっている、こういう声をどのように受けとめておられるのか、お尋ねします。

柴山副大臣 塩川委員も私も同じ埼玉八区を地盤としておりまして、まさしくこの西武鉄道の動向というのは地元の大変大きな関心事であります。

 先日出演をしたテレビ番組で、私は、この問題に対しては、確かに民民の問題でありますけれども、ただ、やはり地域の利便性に非常に重大な影響を及ぼす問題であるということから、非常に関心を持っているというような話をさせていただきました。

 私の直接の所管ではありませんけれども、個人的には、地元で行われた署名にも協力をさせていただいておりますし、何としても、まだお互いの条件に食い違いがあるというような報道がありますので確定的なことは申し上げられませんけれども、一住民として、今申し上げたように、沿線地域にとって非常に重要な路線あるいは球団の移転などは、非常に懸念を持っているところでございます。

塩川委員 懸念を持っているというお話でございました。

 鉄道会社というのは公益性、公共性を持つ事業体であります。一部投資家による株主利益第一の要求によって、路線廃止など、沿線住民の利便性を後退させるようなことがあってはなりません。

 外為法においては、外国投資家に対し、鉄道業など一部業種に対して、対内直接投資に対する規制を行っております。

 鉄道業における公の秩序の維持を妨げるおそれのある株式の買い増しについては、財務大臣及び事業所管大臣は、その買い増しについて中止を求めることができます。

 赤字でもない路線について廃止を求めるとか、駅員の大幅削減によって安全対策を後退させるような株式の買い増しの計画というのは、公の秩序の維持を妨げることになるのは明らかであります。

 一方、一九九九年の鉄道事業法の改正において、路線廃止が許可制から事前届け出制に変わったことによって、路線廃止の原則禁止が原則自由に変わりました。事業者の一方的判断だけで廃止ができることとなったわけであります。規制緩和前は、地元合意なしに路線廃止はできませんでした。このような規制緩和が行われなければ、今回のような地元自治体無視の路線廃止要求を一部投資家が行うこともあり得なかったはずであります。

 この問題については、既に国土交通委員会で太田国交大臣にもただしているところではありますが、自治体や住民生活と公共交通機関は不可分の関係でもあります。その点で、新藤大臣に、こういった沿線自治体がこぞって反対の声を上げているこの問題についてどのように受けとめておられるのか。大臣としてできることが何なのか、この点についてもお考えのところをぜひお聞かせください。

新藤国務大臣 これは私が所管する権限ですとか、そういった範囲ではございませんので、これについては具体的な何か手段があるということではありません。しかし、私も埼玉に住む人間でありますし、それ以前に、株式会社といえども、こういう公共性や社会性を事業に対して要求されるのは、会社の中の要素である、私はこのように思っています。

 ですから、関連の住民や沿線の住民の方々にいろいろな悪影響の出ないように、また心配が及ばないように、会社においてもそれらをきちんと踏まえた対応を期待したい、このように思いますし、また、そういったことも十二分に考えた上でこれは対処されていくのではないか、このように思っています。

塩川委員 資料の二枚目に、東村山市、小平市、国分寺市、東大和市がつくります西武鉄道国分寺線・多摩湖線沿線連絡協議会の要望書が出されています。

 この下に要望項目がありますけれども、1.にありますように、「鉄道事業廃止に関する鉄道事業法における法規制の更なる強化、充実を図ること。」、2.として、「公共交通機関への投資規制などの法制度の整備を図ること。」このように挙げられているように、私が既に国交委員会で取り上げた中身と重なる要望も出されているところであります。

 地元自治体の同意要件を復活するなど、路線廃止に関する規制緩和策を見直すべきであります。路線存続のためのあらゆる手段を尽くすことを改めて求めておきたいと思っています。

 次に、オスプレイを含む米軍機の訓練飛行が住民生活に与える影響について質問をいたします。

 墜落事故を繰り返す最悪の欠陥機オスプレイが沖縄に配備され、訓練が繰り返されております。三月以降、本土でも、米軍岩国基地を拠点にして、オレンジルートなどでの訓練が行われております。

 沖縄を初め全国で配備、訓練に反対の声が上がっています。オスプレイを含む米軍機の飛行について、住民からの情報提供を求める都道府県が全国で二十三県に広がるなど、自治体による監視行動、情報収集活動も広がっております。米軍が発表しました環境レビューでは、オスプレイの分遣隊を岩国基地とともにキャンプ富士に派遣することを明らかにしています。

 防衛省にお尋ねします。

 防衛省発行の航空路図誌の滝ケ原飛行場の記載、キャンプ富士のところですね、その記載を見ますと、ヘリ離着陸場の東側に、ヘリコプターによる有視界飛行の場周経路が設定をされております。この場周経路は、御殿場市の市街地上空を通るようになっているのではありませんか。

黒江政府参考人 今お尋ねのありました、陸上自衛隊滝ケ原駐屯地への離着陸を行いますヘリコプターのための場周経路でございますが、これは、陸上自衛隊の滝ケ原駐屯地及び板妻駐屯地、さらに東富士演習場といったところの上空に加えまして、御指摘がありましたように、御殿場市の市街地の上空にもかかって設定をされております。

塩川委員 御殿場市市街地の中心部を南北方向に飛行するルートが設定をされております。自衛隊機及び米軍機も、この場周経路を飛行するというふうに設定をされているということでよろしいですか。

真部政府参考人 米軍機についてのお尋ねかと思いますけれども、私ども、先ほど御指摘ありましたオスプレイを含みます米軍機の飛行経路につきましては、その運用の詳細については、正直申し上げて承知しておりませんが、オスプレイに関しましては、飛行運用に関しましては、昨年九月十九日に、日米合同委員会合意で、安全性あるいは地元住民への十分な配慮ということについて日米間で合意がされております。それに従って運用が行われるものというふうに理解しておるところでございます。

塩川委員 その前に、そもそも場周経路というのは、このキャンプ富士という米軍の飛行場における場周経路であります。管理は自衛隊の部隊がやっております。このキャンプ富士滝ケ原飛行場の場周経路、離着陸する場合については、自衛隊機はその場周経路を飛ぶということが想定されているわけですね。

黒江政府参考人 ただいま御指摘ありましたように、滝ケ原駐屯地の場周経路につきましては、自衛隊機はこの場周経路に沿って飛ぶということになります。

塩川委員 であれば、米軍機も同様にその場周経路に沿って飛ぶということが想定されると思いますが、その点いかがですか。

真部政府参考人 申しわけございません。繰り返しになって恐縮でございますが、今おっしゃった場周経路を含めまして、MV22に関する運用の詳細、キャンプ富士に関して、私どもとしては、運用の詳細については承知していないということでございます。

塩川委員 このキャンプ富士滝ケ原飛行場というのは、米軍の飛行場なんですよ。米軍の飛行場において、場周経路が設定されている。自衛隊機はその場周経路に沿って飛行することが想定されているんです。当然のことながら、米軍もそれに沿って飛ぶということが想定されるわけで、つまり、オスプレイを含む米軍機がキャンプ富士を利用する際には、御殿場市の市街地上空を飛ぶということになるわけであります。

 この点でも、地元自治体等の質問に対する防衛省の回答では、米側からは、主にキャンプ富士は着陸帯での着陸訓練等で使用する考えと聞いているとある。オスプレイがキャンプ富士を使用する場合には、御殿場市市街地上空を飛ぶことになる、そういう人口密集地上空をオスプレイが飛行する危険性があるということを否定できないということになるわけで、極めて重大であります。

 続けて質問しますが、山口県と岩国市から、岩国基地におけるオスプレイの飛行について問い合わせがあったものに対し、防衛省の回答には、米側からは、岩国飛行場は主に給油等の中継地として使用される旨、説明を受けているとあるのはそのとおりか、確認をしたいと思います。また、その後、変更はあるでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の点につきましては、平成二十四年、昨年の八月の十六日に山口県及び岩国市から連名で、私どもの中国四国防衛局に対しまして、MV22オスプレイの環境レビューについての照会がございました。これにつきましては、昨年の十一月三十日に同局から口頭でお答えを申し上げております。

 その中身でございますが、照会事項、さまざまあったわけでございますけれども、先生御指摘になりました岩国飛行場における訓練内容等に関する照会につきましては、まさに御指摘がありましたとおり、米軍の運用に係る事項についてお答えすることは困難であるが、米側からは、環境レビューの記述に関して、岩国飛行場は主に給油等の中継地として使用される旨、説明を受けている、このように回答をさせていただいております。

 また、この回答内容につきましては、現段階で、米側からこの旨と異なる新たな説明を受けてはおりません。

塩川委員 岩国基地において、オスプレイは給油等の中継地として使用するということを米軍からの話として防衛省が回答しています。

 キャンプ富士について続けてお聞きします。

 東富士演習場使用協定運用委員会拡大会議において、地元から出された質問書に対する防衛省の回答には、「米側からは、キャンプ富士は、現在、航空機の整備・補給機能を有しておらず、また、かかる機能を保有する具体的な計画もないと聞いており、この点からも、これまでの運用の態様の範囲内になるものと認識している。」とありますが、このとおりでしょうか。また、その後、この件についての変更はあるでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年、昨年の十二月十四日に開催されました東富士演習場の使用協定運用委員会の拡大会議におきまして、土地等の権利者の皆さんから出されたオスプレイに関する質問に対しまして、私どもの南関東防衛局から回答させていただいております。

 その中で、キャンプ富士を拠点とする飛行訓練等の運用計画の有無に関する質問がございまして、これに対しまして、米側からは、キャンプ富士は、現在、航空機の整備補給機能を有しておらず、また、かかる機能を保有する具体的な計画もないというふうに聞いており、この点からも、これまでの運用の態様の範囲内になるものと認識しているといった旨の回答をさせていただいてございます。

 また、この回答内容につきまして、現段階で、米側からこの旨と異なる新たな説明は受けてございません。

塩川委員 キャンプ富士は、米軍の航空機の整備補給機能を有していない、かかる機能を保有する具体的な計画もないということであります。

 キャンプ富士には、自衛隊機の航空燃料はありますが、米軍機用の航空燃料は備えられていないと承知していますが、その点、確認したいと思います。

真部政府参考人 今おっしゃったように、キャンプ富士におきましては、米軍の燃料補給、そういったものが十分にできるような施設は置かれていないというふうに承知しております。

塩川委員 つまり、岩国基地は給油等の中継地としても使用するわけですが、キャンプ富士については、米軍用の航空機の整備補給機能を有していないし、かかる機能を保有する具体的な計画もないわけです。

 キャンプ富士をオスプレイが使用するとなれば、キャンプ富士近傍において整備補給機能を有する施設が必要になります。そうなりますと、オスプレイが仮にキャンプ富士を使用する場合には、整備補給機能を有する厚木基地を使用する、こういうことになるのではありませんか。

真部政府参考人 今委員御指摘のように、キャンプ富士を拠点にして、例えばMV22が飛行訓練といったものをする場合に、今おっしゃったように整備とか補給が必要になる場合が十分考えられるわけでございますが、恐縮でございますけれども、私ども、その場合の、どこを、そこは多分訓練内容等によって変わるかと思いますけれども、そういった訓練内容等の詳細について承知していないということでございます。

塩川委員 厚木基地をオスプレイが使用することはないと言えるんでしょうか。

真部政府参考人 オスプレイに関しましては、広く本土各地の施設・区域に飛来することがあり得るというふうに聞いておりまして、その本土各地の施設・区域という中には、具体的に確認しているわけでは必ずしもありませんけれども、厚木基地も含まれ得るものというふうに認識しております。

塩川委員 まさに、首都圏にある厚木基地に危険なオスプレイが飛ぶということを容認する、そういう発言、答弁にもなるわけで、これは許されないことであります。

 キャンプ富士の使用に当たっては、地元との使用協定など厳格な手続が必要になっております。当事者であります、東富士演習場地域農民再建連盟の勝又委員長は、地元住民に不安や危険を与えないということが国と結んでいる使用協定の基本だ、新しい武器を導入する場合は地元協議をすることになっている、オスプレイ配備はこれら協定に反する、地元団体としてオスプレイ配備は認められないと述べております。

 地元の同意もないままにオスプレイの使用や訓練をすることがない、このようにはっきりと言ってもらいたい。

真部政府参考人 先ほど申し上げたように、今具体的に厚木基地なりあるいはキャンプ富士をオスプレイが使用するという計画については承知していないところでございますが、先ほど同じく申しましたように、昨年の九月十九日の合同委員会合意によって、オスプレイはそれに従って、例えば、飛行経路を、周辺コミュニティーに対する影響を最小限にするといったふうな形で設定するなどの規制を受けるわけでございまして、そのようなことを徹底することを通じて、住民の方々に影響が最小限になるように努めてまいりたいと思います。

塩川委員 沖縄では、この合同委員会合意がもう破られているということに対して、県民を挙げて怒りの声を上げているわけで、何の担保にもなりません。人口稠密な首都圏において危険なオスプレイの飛行は認められない、沖縄を初め、岩国やキャンプ富士や厚木基地など、全国でのオスプレイの配備、訓練、その中止を強く求めるものであります。

 関連して、首都圏における米軍機の飛行の問題について続けて質問します。

 資料の三枚目と四枚目、これは米軍横田基地が作成をしました、米軍横田基地主催の第四回関東航空機空中衝突防止会議の資料であります。

 そこで、防衛省にお尋ねしますが、この関東航空機空中衝突防止会議とはいかなるものか。目的や設置の経緯、開催状況及び防衛省、国交省など日本政府の行政機関の出席の有無を明らかにしていただけますか。

黒江政府参考人 ただいま御指摘がありました関東航空機空中衝突防止対策会議でございますが、これは、米軍の横田飛行場に所在します米軍の第三七四空輸航空団が、航空機の空中衝突防止対策ということにつきまして、日本の民間機パイロット等と対話をする機会を設けるなどの趣旨で開催をしているというふうに承知をいたしております。

 これにつきましては、平成二十二年以降、四回開催されているというふうに私どもは承知をいたしております。また、防衛省からは、この会議に対しまして、第一回から第四回の会議について、各回とも航空自衛隊の入間管制隊または航空保安管制群の本部から隊員が参加をしております。また、第三回及び第四回の会議につきましては、陸上自衛隊の東部方面航空隊からも隊員が参加をしておるということを確認いたしております。

塩川委員 首都圏上空で航空機等の空中衝突の危険性があるということを示すものであります。民間航空機の安全とともに、その下で暮らす住民生活にとっても極めて重大な問題であります。

 この資料も、横田基地が立地する地元自治体が資料提出を米軍に要望し、それを受けて米軍から地元自治体に提出されたものです。国は関与していないんですよ、こういう重大な問題について。

 重ねてお尋ねしますが、資料の四枚目、当該資料に掲載されています横田基地C130編隊飛行訓練エリアについて、政府としては承知をしておりますか。

黒江政府参考人 ただいま御指摘がありました資料でございますが、米軍のC130が編隊飛行を行う際に使用する空域に関する記載があるということは承知をいたしておりますけれども、具体的にそれではこの空域の中でどのような経路を飛行しているのかといったことの詳細につきましては、我々としては把握をしてございません。

塩川委員 自衛隊の部隊も参加しているわけじゃないですか。

 この資料、三十六ページになるんですけれども、この中を見ますと、例えば、千フィート、約三百メートル以下の低い高度の飛行訓練や、編隊飛行訓練といって二機から六機連なって飛んで回る、その際に、物資投下訓練を含む訓練を行う、あるいは急降下進入ですとか横田基地における強襲離着陸帯での訓練、このような軍事訓練を重ねているということが明らかであります。

 こういった重大な問題について、この会議でも米側から示されている。こういった事実について、出席する自衛隊の部隊があったわけですけれども、防衛省として承知していないということですか。

黒江政府参考人 ただいま先生から御指摘がありましたようなさまざまな訓練につきましては、順次、米軍から情報提供を受けまして、その内容について防衛省の機関から関係の自治体等へお知らせをしておるところでございます。

塩川委員 いや、この空中衝突防止会議の資料というのは防衛省から提供なんかされていませんよ。地元自治体が米軍に要望して出された資料なんですよ。防衛省からのこういう空中衝突防止会議についての資料提供なんかないんですよ。

 今後、そういう資料提供をするということですか。そういうことですね。

黒江政府参考人 繰り返しになりますけれども、私どもとしましては、その都度、米軍からこの種の訓練が行われるということを伝えられた際に、これにつきまして、その内容を関係自治体等へお知らせするということでございます。

塩川委員 この空中衝突防止会議について、防衛省からの説明は一言も地元にないんですよ。こんな無責任な対応はない。

 国交省にお尋ねします。

 この空中衝突防止会議に国交省からの参加はあるんでしょうか。また、人口密集地の首都圏上空で米軍が軍事訓練を繰り返しているわけです。航空交通の安全確保において障害をもたらすことになっているんじゃないのか、このように考えますが、国交省として御答弁ください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、会議への出席でございますけれども、国土交通省としては参加をいたしておりません。

 次に、航空交通への障害の話でございますけれども、配付資料に示されております、米軍がC130輸送機の訓練を行っているとされている空域におきましては、民間の航空機も有視界飛行方式で飛行を行っているところでございます。しかしながら、現在のところ、飛行訓練により運航に支障が生じているという情報はございません。

塩川委員 二点、お尋ねします。

 このC130の有視界飛行の訓練空域については、国交省としては承知しているのかということが一つ。

 もう一つ。この図の中には自衛隊の訓練空域とかは書かれているんですよ、群馬上空ですとか伊豆の西側の方とか。しかし、利根川の中流域にあります民間の訓練試験空域が書いていないんですよ。これは、安全対策という点で極めて重大ではありませんか。この点について、米軍に対してきちっと物申す、こういうことをやる考えはありませんか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この空域について米軍が使用しているということについては、今回、私ども承知したものでございます。

 次に、利根川中流周辺で民間訓練空域が存在しております。国土交通省といたしましては、航空法の規定に基づきまして、航空機の運航のために必要な情報として、民間訓練試験空域を航空路誌に掲載して、パイロットに対し周知を図っているところでございまして、安全上問題はないというふうに考えております。

塩川委員 グライダークラブなんかが出している滑空場の利用マニュアルの中にも、C130の編隊飛行訓練がある、低い高度で飛ぶので注意が必要だ。こういうことが実際に現場では行われているわけですよね。

 ですから、そもそも危険性があるからこそ米軍側がこういう空中衝突防止会議を開いているという認識が欠落している点が極めて重大だと言わざるを得ません。

 空中衝突防止会議の資料を見ると、最低安全高度以下の飛行ですとか急降下飛行とか物件投下飛行とか編隊飛行など、航空特例法に基づき、米軍が航空法の適用除外になっている、こういう中で、問題の原因として今問われているところであります。

 こういった訓練というのが、例えば、キャンプ富士、東富士、北富士演習場などでも行われています。さらに、米軍横田基地では、近年、サムライサージ訓練というのが始まっている。

 米軍からの情報提供を防衛省は地元自治体に伝達していると承知していますが、横田基地におけるサムライサージ訓練の目的、訓練日、訓練内容、訓練に伴う航空機の運用状況を含むこういった内容はどのようになっているのかをお答えください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のサムライサージという訓練でありますが、防衛省、具体的には北関東防衛局というところが担当いたしましたけれども、この横田飛行場におけるサムライサージ及び投下等の訓練の実施につきまして、これは米軍から情報提供を受けましたので、その内容につきまして関係自治体等にお知らせをさせていただいているところでございます。

 これは、過去数回やっている、類似の訓練を数回やっていると思うんですが、昨年の六月に行われました直近の訓練に沿いまして、今の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 米軍からは、まず、訓練の目的につきましては、日本を含む太平洋地域の安全を守り、緊急事態に対応するためであることと聞いてございます。

 それから、訓練の内容でございますが、昨年の六月の五日に、横田基地所属のC130輸送機の編隊飛行というのを行い、横田飛行場に一列編隊で進入をして上空を通過するという動きをしている。さらに、六月の六日及び七日に、同じく基地所属のC130輸送機による砂袋等の投下訓練及び人員の降下訓練を行っている。それから、投下場所あるいは降下場所につきましては、横田基地の滑走路上であるということ。

 こういった情報を得ておりまして、これは、関係自治体の皆様にお知らせをしたところでございます。

 なお、本訓練に関するこれ以上の詳細については、米軍の運用に係る事項であり、私どもとしては承知をいたしておりません。

塩川委員 首都の上空でC130輸送機を使った、パラシュートの降下訓練ですとか、また物資の投下訓練を含む実践的な訓練がかつてない規模で行われております。練度維持のための慣熟飛行訓練ですとか、サムライサージといった、レベルの異なる軍事訓練が人口密集地の首都圏上空で繰り返し行われています。

 横田基地ホームページは、西太平洋における唯一の輸送航空団の中継基地である横田基地は、全国のどこにでも展開する準備を整えている遠征部隊である、それが大規模な訓練を行っている理由であると述べています。これら訓練は、世界のどこにでも出撃できる軍事体制づくりのためであります。

 首都に外国軍基地がある異常さというのは浮き彫りになっております。大もとには安保条約があるわけですが、米軍が航空機の出入りを管理する横田進入管制空域、横田エリアが新潟県から伊豆半島まで首都圏上空に広がっている。戦後続く米軍特権が住民に被害をもたらす大もとにあるということを言わざるを得ません。

 防衛省にお聞きしますが、人口密集地であり航空機の過密な首都圏上空での米軍機のこのような訓練飛行を見直すように求める、こういう考えはありませんか。

真部政府参考人 今、在日米軍が行っております我が国における各種の訓練といったものにつきましては、今委員御指摘がございましたけれども、日米安保条約に基づいて、我が国防衛等のために必要なこととして行われているというふうに理解しております。そういう意味では、私どもの方から、その点について見直せといったようなことを申す考えは率直に言って持っておりません。

 ただ、安全性ということについては無視していいということでは全くありませんので、その安全性にかかわる問題については、私どもも、米軍に必要に応じて申し入れる等、きちんと対応していきたいと思っております。

塩川委員 合同委員会合意が守られていないというのは沖縄県自身が言っていることですよ。何の担保にもならないということを重ねて申し上げ、こういった米軍特権の大もとにある航空特例法をなくすことや、あるいは横田空域そのものをなくす、このことを強く求めておくものであります。

 これは、自衛隊においても同様の会議が繰り返されております。資料の五枚目と六枚目。五枚目の方が、航空自衛隊入間基地で行われている関東西部地区飛行連絡会の資料で、入間基地上空で民間小型機などと自衛隊機が交錯をする、こういう事態が生じているということを自衛隊側が示している図であります。また、六枚目については、海上自衛隊の下総の基地が行っています下総航空基地周辺飛行安全会合の資料ですが、この下総基地の周辺にドクターヘリの場外離着陸場がたくさんあるということについての注意を呼びかけるという中身になっています。

 つまり、この間、スカイレジャーも非常にふえました。気球あるいはハンググライダー、パラグライダー、グライダー、ウルトラライトプレーンと言われる超軽量動力機、フットランチと言われます動力つきのパラグライダー、こういったスカイレジャーというのが機数もどんどんふえておりますし、ドクターヘリの運用も大きく拡大をして、関東地方においては、二〇〇一年度に千葉県でスタートをしたときには搬送件数は百二十一件でしたが、二〇一一年度には三千八百四十一件、ここには消防防災ヘリを使っている東京都は含まれておりません、非常にふえている。米軍の運用も変化をした。首都圏の空が過密で危険な空域となっているわけです。

 最後に、大臣にお尋ねしますが、ドクターヘリの運航など、米軍機の飛行は住民生活にも影響を与えます。少なくとも、米軍及び自衛隊が自治体に対する説明責任をしっかりと果たせ、住民の安全を守る、こういう立場から物申すことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 住民生活の安心や安全を確保することは極めて重要だ、このように思っております。そして、私の方は、これは所管ではありませんので、具体的な御答弁をすることはできないわけでありますが、いずれにいたしましても、防衛省においてできる限り丁寧な対応をしていただきたい、このように期待をしております。

塩川委員 ドイツでは、例えば米軍が低空飛行をする場合には、ドイツ法に基づいて個別に協定しているんですよ。こういうことを日本はやっていないという点こそ今まさに問われている、こういうことを指摘して、質問を終わります。

     ――――◇―――――

北側委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 昨年八月八日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、直近の昇給日である平成二十六年一月一日から勧告どおり、五十五歳を超える職員について、その者の勤務成績が標準である場合には昇給を行わないこととすることが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律について必要な改正を行うものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

北側委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十九分散会


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