衆議院

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第9号 平成25年5月30日(木曜日)

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平成二十五年五月三十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北側 一雄君

   理事 田中 良生君 理事 土屋 正忠君

   理事 徳田  毅君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 東国原英夫君 理事 伊藤  渉君

      井上 貴博君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大串 正樹君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      川崎 二郎君    木内  均君

      北村 茂男君    工藤 彰三君

      小林 史明君    佐藤  勉君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    橘 慶一郎君

      根本 幸典君    福山  守君

      船橋 利実君    宮路 和明君

      務台 俊介君    湯川 一行君

      小川 淳也君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    福田 昭夫君

      岩永 裕貴君    上西小百合君

      中田  宏君    松浪 健太君

      村岡 敏英君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        坂本 哲志君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   総務大臣政務官      橘 慶一郎君

   総務大臣政務官      片山さつき君

   総務大臣政務官      北村 茂男君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (国家公務員制度改革推進本部事務局審議官)    川淵 幹児君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局審議官)          千葉 恭裕君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  戸塚  誠君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           常盤  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 小川  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 熊谷  毅君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     船橋 利実君

  清水 誠一君     福山  守君

  中谷  元君     大串 正樹君

  中村 裕之君     務台 俊介君

  長坂 康正君     根本 幸典君

  馬場 伸幸君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     中谷  元君

  根本 幸典君     長坂 康正君

  福山  守君     清水 誠一君

  船橋 利実君     井上 貴博君

  務台 俊介君     工藤 彰三君

  村岡 敏英君     馬場 伸幸君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)


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     ――――◇―――――

北側委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国家公務員制度改革推進本部事務局審議官川淵幹児君、人事院事務総局人材局審議官千葉恭裕君、事務総局給与局長古屋浩明君、総務省人事・恩給局長笹島誉行君、行政管理局長戸塚誠君、消防庁次長市橋保彦君、文部科学省大臣官房審議官常盤豊君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長小川誠君及び政策統括官熊谷毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北側委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 先週に引き続いて質問の機会をいただきました。民主党の奥野総一郎でございます。よろしくお願いをいたします。

 きょうは、一般職の給与法の改正ということでございまして、概要を見ますと、五十五歳以上の一般職の給与表が適用になる職員について、昇給を抑制していこう、原則昇給しないようにしていこうということのようでございます。民間企業などに伺いますと、五十を過ぎるともう給与は伸びない、フラットになっているということのようでありまして、それに準拠するということで、私は当を得た改正だと思っております。

 天下りの問題、我々も一生懸命取り組んできましたけれども、地方公務員の皆さんなんかは定年まで働くのが当たり前ということでありますけれども、私も横浜市に行っていたことがありまして、大臣も川口市役所ですね。地方自治体などでは定年まで働く。昇進を望む人は昇進をし、そうでない人はそれなりにやっていく。多様な働き方をしながら定年までいるというのが普通であります。

 公務員についても、そういった働き方をしようということになりますと、指定職も含め、あるいは、こうした一般職の方も含めて、給与の伸びをフラットにしていくというのは一つ大事なことだと思いますし、また、全体として、公務員制度、働き方、きょう、定年の話もしますけれども、きちんと示していかなきゃいけない。そうしないと、天下りを禁止したと言っていながら、在職出向、天下っていた同じポストに現役という形で行ってしまう。形を変えて同じことが行われるということが続くと思います。

 ですから、バランスよく、こういう働き方を提示し、また新卒も私はきちんと採っていくべきだと思うんですね。若い人が入っていかないと組織としては活性化できませんし、やはり若い人の知恵というのは、新しい発想というのは大事ですから、組織の活性化のためにも、新しい職員も採っていかなきゃいけない。

 時代の要請ですから定年も延ばしながら、あるいは若い人も採りながら、また天下りもやめていくということになると、きちんとした全体図を示さなきゃいけない。なおかつ、そこに総人件費の抑制という話も出てくるわけですね。国家の財政が非常に厳しいわけですから、そうした観点から、総人件費をどうやって抑制していくのか。これは非常に難しい方程式ですね。公務員の皆さんに士気を高めていただきながら、バランスよくやっていかなきゃいけないということであります。

 きょうは、その一つのパーツというか、大きな部分、給与の体系について、質問を一つ一つさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 まず伺いたいのでありますが、給与臨時特例法ということで、今一時的に二年間ということで国家公務員の給与が引き下げられております。災害復興のためということで引き下げられておりますけれども、この給与臨時特例法に基づく給与削減と、それから今回の、これは引き下げではないですけれども、昇給を抑制するという改正の関係、どういった関係にあるのかということをまず伺いたいと思います。

新藤国務大臣 給与改定臨時特例法に基づいて特例減額措置、その意味においては、高齢層の職員には特に厳しい給与削減を行っているわけであります。

 こういう状況は事実としてございますが、それとあわせて、政府といたしましては、人事院勧告制度を尊重する、こういう基本姿勢に立ちまして検討したその結果、政府としても世代間の給与配分の適正化は重要な課題である、このように我々は認識したわけであります。したがって、今般、人事院勧告どおりの、直近の昇給日である平成二十六年一月一日から昇給抑制措置を講ずることが適当、このように判断したわけでございます。

奥野(総)委員 平成二十四年の人事院勧告に基づいてということのようでありますが、人事院からその概要について伺いたいのであります。

 今回、給与については、全体については引き下げ勧告がなくて、五十歳後半の昇給、昇格を抑制するという勧告がなされたというふうに理解しておりますけれども、概要と、五十歳後半の昇給、昇格について抑制するという勧告をされた理由について伺いたいと思います。

原政府特別補佐人 お答えを申し上げます。

 昨年の勧告におきましては、給与改定臨時特例法によりまして給与減額支給措置が講じられていることを踏まえまして、この措置による減額前の給与法で定める本来の給与額に基づく官民較差と減額後の給与額に基づく官民較差を算出したところでございます。

 その結果、減額前の給与額に基づく較差は、国家公務員給与が民間企業を〇・〇七%上回っておりました。このような官民較差そのものが小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定を行うことが困難な場合には、従来におきましても月例給の改定を見送っていたところでございます。また、給与減額支給措置後で見た場合には、国家公務員の月例額が民間給与を七・六七%下回るということになりまして、このような事情を踏まえまして、二十四年は月例給の改定を行わないこと、そういう勧告をさせていただきました。また、ボーナスにつきましても、給与法で定められた公務の支給月数と民間の支給割合が均衡しておりましたので、改定を行わないこととさせていただきました。

 一方、月例給における官民の給与水準につきましては、人事院勧告を通じ全体として均衡をさせるとともに、公務部内における世代間の給与配分の是正の観点から、従来より給与カーブの見直しに取り組んでまいりました。

 しかしながら、現時点におきましても、五十歳代後半層におきましては官民の給与差が相当程度存在しておりまして、給与構造改革における俸給表水準の引き下げに伴う経過措置が平成二十六年三月、来年三月末に廃止されることになるところでございますが、それにおきましても、なお相当程度較差が残るというふうに想定されてございます。

 このため、世代間の給与配分を適正化する必要があることから、五十歳代後半層における給与水準の上昇を抑える方向で昇給、昇格制度の改正、具体的には、昇給につきましては、五十五歳を超える職員は標準の勤務成績では昇給を停止すること、昇格につきましては、これは高齢の職員層を念頭に置いてございますが、高位の号俸から昇格した場合の俸給月額の増加額を縮減させる、そういう方向で勧告をさせていただいたところでございます。

 以上でございます。

奥野(総)委員 総裁、ありがとうございました。

 今のお話ですと、給与臨時特例法による引き下げ前においても、官民較差が、五十五歳より下の部分についてはほぼ解消している、〇・〇七%とおっしゃっていましたが、差がほとんどないということでありますが、一方で、五十歳後半については相当程度給与差が残っているという御答弁でございました。ですから、給与引き下げについては勧告をしなかったという理解でありますね。

 そこで伺いたいのでありますが、相当程度とおっしゃっていましたが、五十歳後半の給与差、相当程度というのは、大体どのぐらいあるんでしょうか。

原政府特別補佐人 全体の水準では、先ほど御説明しましたとおり、均衡を図るという形になってございますが、傾向と申しますと、若年層はほぼ同等か若干公務の水準が低いという形になってございまして、五十歳代前半ぐらいがほぼ均衡した形になってございまして、後半層になりますと、相当程度と申し上げましたが、現行の数字でいいますと八%程度ございます。これにつきましては、今回の勧告で、昇給措置を変える、あるいは昇格を変えるという形で一定の是正が当然なされてまいります。

 それから、先ほどのお答えでも申し上げましたように、経過措置の廃止ということも入れてございますので、これが縮小される方向にございますが、その前の段階、現在の段階においては八%程度ございますので、これにつきましてはやはりかなりの差があるという認識をしてございます。

奥野(総)委員 特例法でこの世代については一〇%ぐらい引き下げられているというふうに理解していますから、特例法による引き下げ後においては均衡しているんだろうというふうに推測をされますが、その辺のデータは特にないということで聞いておりますので、ほぼ均衡しているんだろうということですね。

 それで、判断の根拠としては、特例法は特に勘案していない、特例法については二年の時限措置というふうに一応されているので、それについては今回の勧告の考慮の要素とはしていない、あくまで特例法の引き下げ前のものをベースに勧告を出されている、そういう理解でよろしいですね。

原政府特別補佐人 そのように御理解いただいてよろしいかと思います。

奥野(総)委員 平成十七年ですか、今ちょっと出ていましたけれども、給与構造改革というのがありまして、そこでも従前同じような議論があって、たしか、給与カーブをなるべく民間に近づけて、フラットにしていこうという発想でされていたかと思います。

 ただ、ちょっと手元で見ていると、平成十年の改革では、五十五歳を超える職員については原則昇給をしないというふうにされたはずなんですね。それを、平成十七年の給与構造改革で、フラットにしようと言っているときに、わざわざ原則昇給に戻したんですね。ただし、五十五歳を超える職員については、昇給号俸は通常の職員の二分の一。昇給を抑えるけれども、今まで昇給は原則しないと言っていたものを、通常の職員よりは抑えるけれども、また昇給を戻したんですね。これは一体どういう考え方に基づいているんでしょうか。

古屋政府参考人 今お尋ねの見直しでございますけれども、昇給制度につきましては、それまでは特別昇給と普通昇給というものがございましたけれども、毎年の勤務実績によって、より適切に昇給に勤務成績を反映していこうということがもう一つの大きな流れでございまして、昇給のフラット化とともに勤務成績の反映というのが一つの項目になっております。

 そういう中で、従来は昇給とそれから特別昇給ということで、いわば一号俸とその倍の二号俸になるという形だったんですが、これを、号俸を四分割いたしまして、昇給の区分を五段階に分けるということで勤務実績をより適切に昇給に反映させようということで見直しをしております。その際に、五十五歳を超える職員につきましても、勤務成績の反映をより見るようにしたいということで、従来の昇給停止措置というのを廃止しまして、昇給をするようにした。ただし、民間の昇給停止の状況というのも考えるということで、今御指摘のあったとおり、効果については半分にするということで措置したところでございます。

奥野(総)委員 平成十七年に給与構造改革ということをやって、その成果と言っていいのですかね。五十歳より下の部分については若干官の方が低く、五十歳前半についてはほぼ均衡しているということについては、この給与構造改革、今おっしゃったように、特昇をやめて、号俸を四分割してきめ細かく上げるようにしたということで、その成果と言っていいのでしょうかね。

古屋政府参考人 給与構造改革のときに、今先生御指摘のとおり、措置をいたしました。その時点でも高齢層については高いということで、先ほどのフラット化もあわせて行っております。

 ただ、その後の変化もございます。

 それから、構造的に、民間の方は、従来から、五十五歳定年から六十歳定年ということで、五十五歳のところにいわば屈折点があるという制度が大体多くのところで導入されている。一方で、公務の方は、六十歳定年から始まったというところもございまして、ちょっとその状況が違うという部分で、五十歳代後半層のところに差があるということ。

 それから、近年、公務におきましては在職期間の長期化ということがございます。そういうことの反映としまして、五十歳代後半においては、地方の管理職等を中心に上位のポストに昇任するといったことも見られます。

 そういったさまざまな要因により、引き続きまた高齢層に差が生じたということになっているというふうに考えております。

奥野(総)委員 先まで答えていただいてしまったんですが、なぜ五十五歳の給与差が残っているのかというのを聞こうと思ったんです。

 せっかく十年の改正で昇給を五十五歳でとめていたのに、わざわざ十七年にまた昇給を戻しているんですね。幅を抑えたとおっしゃっているけれども戻して、フラット化を後退させたともとれる改正をわざわざしている。

 今回、またこれをもとに戻そうと。結果を見たら、やはり五十五歳以上は給与差が残ったままでしたということで。

 この平成十七年の改正が、この部分については、さっき、成果だったんですかと言ったのは、五十歳より下の部分についてはそれなりにいっているんだろうけれども、五十五歳以上は、昇給を復活させたことが裏目に出て、今回こういう給与差となってあらわれて、またもとに戻さざるを得なかったのではないかというふうに理解しているんですが、どうですか。

古屋政府参考人 若干繰り返しになって恐縮ですけれども、先ほど申し上げたように、給与構造改革の時点におきましては、一つは、先ほどの勤務成績の反映ということと、あわせて、先ほどのフラット化ということですが、平均で四・八のところを高齢層については約七%引き下げるということで、そのときにかなり大きな引き下げをしております。一方で、勤務成績の反映ということで行って、その時点では、今後の見通しとしては、おおむね見合っていくものになるのではないかというふうに考えたところですが、先ほど申し上げたとおり、その後の在職期間の長期化等の変化、民間の方の変化ということで、その後の変化ということを踏まえて、再び五十歳代後半層の較差というものについて是正する必要が生じたというふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 資料を見ると、確かに民間は五十歳を過ぎたところからカーブががくっと下がっているんですね、一方で国家公務員は角度は変わっていないように見えるんですね、今手元に資料はないですけれども。民間が下がったから開いたんだということは、確かに差は大きくなったでしょうが、一方で官の側がそこの傾きは余り変わっていないということでありまして、やはり十七年のところで五十五歳の昇給を戻したのはちょっと後退したのではないか、失敗だったのではないかということは指摘をしておきます。

 その上で、今の勧告については理解できる。民間と較差が縮小していなければ五十五歳以上についてはより下げなきゃいかぬということで、人事院勧告は当を得たものでありますし、それに従って今回の改正という、今も言いましたけれども、十七年のときにここを措置しておけば今回こういうことをしなくてよかったのかもしれませんが、それにしても、まずいところは直さなきゃいけないので、今回の改正はやらなければならないということについては私も全く同感であります。

 ここで、昇格について人事院に伺います。

 先ほどちょっと答えておられましたが、昇給は今回この法案の中で措置をされますが、昇格について抑制というのはどこでどう措置されて、どういう基準になっているんでしょうか。

古屋政府参考人 昇格につきましても、世代間の給与配分の適正化ということで、これは同じ観点でございますが、五十歳代後半層の給与水準を今回上昇をより抑えるということで、昇給、昇格両方の制度につきまして見直しを行うということで、昨年の勧告時におきまして昇給制度の見直しを勧告したところ。

 それとあわせまして、今御指摘の昇格制度の見直しについても報告したところでございます。特に、五十歳代の職員が多く在職する上位の号俸、上位の十七号俸分につきまして、そこから昇格した場合のいわゆる昇格メリット、昇格後の給与額について縮減するということが適当と考えて、今回の見直しを報告したところでございます。

奥野(総)委員 退職前になりますと、地方に出て、地方の出先の部長や課長になってということで、昇格して給与がぽんと上がるということでありまして、その幅を抑えよう、同じ中でも号俸を抑えてということだと思います。それは既にやられているということでありますので、そういうふうに理解をいたしました。

 野田内閣においては、先ほど人事院勧告と給与特例法の関係ということを伺いましたけれども、この二十四年の人事院勧告については、閣議決定ですけれども、先ほど申し上げた点、大臣もおっしゃっていましたが、現在、厳しい給与減額支給措置が講じられており、国家公務員の月例給の水準は、民間と比較して平均七・六七%低い水準にある、特に高齢層職員については、若年層職員に比べて相対的に厳しい給与減額支給措置を受けている状況にある、これらを踏まえて、政府としては、今回の人事院勧告で指摘されている昇給制度の見直しを含めた高齢層職員の給与水準の見直しについては、世代間の給与配分の適正化や雇用と年金の接続の観点から幅広く検討を行い、給与減額支給措置期間が終了する平成二十六年四月から実施する方向で、平成二十五年中に結論を得るものとする、こういう閣議決定をしておりました。

 これによると、実際に抑制が始まるのは平成二十七年の一月一日からということで決まっておったわけでありますが、これは政権交代の結果ということでありましょうけれども、年明けの一月二十四日の閣議決定で、平成二十五年度、直近の昇給日である二十六年一月一日から人事院勧告どおり改定を行うものとする、こういうふうに変わって、今回の法案が出てきているわけであります。

 政権がかわったとはいえ、わずか二カ月余りで方針が変わるということで、働く側から見ると、予見可能性、二十七年からだと思っていたのが一年前倒しになるということでありまして、問題じゃないか、行政の継続性という観点からも問題じゃないかと思いますが、その点についてはどうでしょうか。

新藤国務大臣 まさに、政権がかわったからというのは、究極そこに行くわけなのでありますが、しかし、かわったからといって、ただ我々も変えればいいと思っていたわけではありません。

 予算編成過程において、やはり人事院勧告制度を尊重する、こういう基本姿勢を大事にしようということが我々にはありました。ですから、そういったことも踏まえて改めて検討した結果、この世代間の給与配分の適正化は重要であるという結論に至り、それを、直近の昇給日である二十六年一月一日から人事院勧告どおりの昇給抑制措置を講じよう、こういうことで決めたわけであります。

 また、今般の措置は、個々の職員に新たな減額を課すものではありません。今よりも減るわけではありません。昇給するものがとまってしまったということでありますが、その影響の度合いというのは、直接直ちに職員の生活設計に影響を及ぼすほどのものにはならないのではないか、このようなことも考えておりました。

奥野(総)委員 確かに、減額、不利益措置ではないのでということで、予見可能性という意味ではそういうことなのかもしれませんけれども、人事院勧告の尊重と、自民党の皆さん、野党のころからずっとおっしゃってこられたわけであります。

 例えば、アベノミクスで物価が上がってきました、あるいは、皆さん、民間の給与を上げるように要請をしている、これ自体はいいことだと思いますが、給与がちゃんと上がってきて、人事院さん、聞いてもなかなか答えにくいでしょうけれども、当然、民間の給与が上がれば、人事院勧告も引き上げの勧告を出す場合があると思うんですね。仮に、人事院勧告で給与を引き上げるという勧告が出た場合は、尊重されますか。

新藤国務大臣 人事院勧告を基本的に尊重する、この姿勢は変えないと思います。

 しかし、職員の給与につきましては、我々は、財政再建と経済成長両方をなし遂げる、こういう意味におきまして、まず財政再建の進捗度合い、それからその時点での経済成長見込み、こういったものも踏まえた総合的な検討をしなくてはならない。三つどもえ、人事院勧告もございます、それから財政再建、そして経済成長、こういったものをもろもろ踏まえた検討の上で総合的な判断がなされるもの、このように考えております。

奥野(総)委員 引き下げについては必ず早急にやるけれども、引き上げについてはそれは考えなきゃいかぬ、こういうことになるんだと思うんですね。

 その引き下げの話になりますが、特例法に基づく給与減額支給措置が二十六年四月までということで、特例、さっき人事院さんは、それは特例だから今回の勧告には考慮要素に入っていないんだ、参考にすぎない、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、二十六年四月以降は具体的にどのようにされるのか。

 給与引き下げについて、今特例的に給与引き下げをやっておりますが、特例期間が終わって、二十六年四月、終わった後、今は復興のためということで公務員の皆さんに、よく大臣おっしゃる、国家のために我慢してくれということで御協力を願っているわけでありますが、これを引き続き続けるのか。

 続けるとした場合に、それはやはり復興のためなのか。それとも、もう少し官民の給与水準を考えて、公務員の給与水準のあり方全体を考えて、これを恒久的なものとして考えていくというやり方もあると思うんですね。そのあたりについてはどのようにお考えですか、二十六年四月以降。

新藤国務大臣 まず、現時点での措置が臨時異例の措置であるということであります。

 そして、二十六年以降につきましては、ただいま申し上げました、財政再建そして経済成長、そうしたもろもろの全体的な状況を勘案の上で、私どもで総合的な判断をしなくてはならない、しっかりとした議論をしたい、このように思っております。

奥野(総)委員 何回もこの話は伺っているんですが、やはり全体的な見直しをやっていこうというふうに、はっきりとはおっしゃっていないが、そういう答弁だと思うんです。

 であるならば、今回の給与の昇給の抑制についても、全体の流れの中でしっかりと考えてはどうかと思うんですね。野田内閣が二十五年と言ったのは、必ずしも、単に先送りという意味じゃなくて、こういった全体のことも考えていこう、これから年金の接続の話もしてまいりますけれども、抜本的に考えた方がいいんじゃないかということで、一年時間をいただいてという趣旨もあったように聞いておりますけれども、大臣、いかがですか。全体の見直しの中で、今回の給与抑制についても見直すべきじゃなかったかということについて、いかがですか。

新藤国務大臣 全体的な見直しを見ながら、しかしその中で、やはり世代別に見た場合の国家公務員の高齢層の給与が民間より高い、こういう状況がございました。ですから、事ここに関して、人事院勧告を尊重して、そしてこのような措置をしていこう、それが適当である、このような判断を我々は検討の上した、こういうことでございます。

奥野(総)委員 今申し上げましたように、二十五年中に結論を得るとした、野田内閣が先送りした理由の一つは、やはり全体的なことを考えていこうということがあったと思います。

 閣議決定にもあるように、雇用と年金の接続についてということも考えていかなければならない。年金の支給年齢がこの四月から一歳引き上がる。さらにこれから六十五歳に向けて段階的に引き上がっていくわけであります。雇用と年金の接続、高齢者層の昇給の抑制とあわせて、雇用と年金の接続について確実に措置すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 今御指摘の、国家公務員の雇用と年金の接続問題、これは重要であると私どもも認識をしております。

 ですから、本年三月の閣議決定において、定年退職者に無収入期間が生じないように、希望する定年退職者を再任用することとした、こういうことを定めたところであります。この閣議決定において、希望する職員を再任用することで雇用と年金を確実に接続する、このようにうたっております。この方針に沿って、定年退職者の再任用、これは政府全体で着実に推進をしていきたい、このように考えています。

奥野(総)委員 三月二十六日の閣議決定で公務員の雇用と年金の接続についてというのを出しておられますけれども、その中で、確かに再任用については書かれています。

 読み上げると、常時勤務を要する官職、フルタイム官職について当該職員を再任用するものとするということでありますが、ただし書きがあって、ただし、当該任命権者は、職員の年齢別構成の適正化を図る観点から再任用を希望する職員をフルタイム官職に再任用することが困難であると認められる場合、またはその個別の事情がある場合について、短時間勤務の官職に当該職員を再任用することができる、こうなっております。

 ぱっと読むとフルタイムで再任用してくれるのかなと思いますが、よく読むと、結局、短時間勤務に雇用することができる、こういう規定でありまして、民間は再雇用の義務があるわけでありますけれども、それに比べて国家公務員は非常に弱い、この閣議決定では弱いというふうに思います。

 そこで、またさらに伺いたいんです。

 原則フルタイムで、ただし、短時間もできるとなっていますが、具体的に、平成二十四年度について、再任用予定の数と、それからフルタイムと短時間の数、それぞれ何人ずつかということをお答え願えますか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度におきましては、行政職(一)の俸給表の適用職員で申し上げますと、合計で二千八百八十九人が再任用をされておりまして、このうちフルタイムの再任用職員は五百九十二人で約二割、短時間の再任用職員は二千二百九十七人で約八割ということになっております。

奥野(総)委員 閣議決定では原則フルタイムで再任用というふうに読めますが、現実は厳しくて、フルタイムは二割しかいないということなんです。これは恐らく定数とか座布団の話が関係していると思われますが、改めて伺いたいんです。

 では、なぜ原則フルタイムと書きながら、これだけ短時間が多いのか、フルタイムが少ないのかということについて伺いたいと思います。

笹島政府参考人 これはいろいろ事情があろうかと思います。個々の定年退職者がフルタイムと短時間のいずれで再任用されるかについては一概には申し上げられませんが、これまでの運用を見ますと、やはり本人の希望といいますか、職員のライフスタイルに照らして本人が短時間を希望されている、そういった場合もあろうかと思います。一方で、各府省におきまして、人事管理や業務遂行上の必要性等から短時間の再任用という場合もあろうかと思っております。

奥野(総)委員 今のところ年金がちゃんともらえて、再就職も何となくあって、フルタイムでやる必要がないという今の説明だったと思いますが、これから年金の支給年齢が引き上がってきて、いわゆるあっせんとかそういうのもなくなって行き先がなくなってきたときに、やはり再雇用、再任用ということが主流になってくると思うんですね。そのときに障害になるのが、定数の話ですね。座布団がない、フルタイムで雇用しようとしたときにはポストがありません、こういう話になろうかと思います。

 ですから、最終的にはやはり定年を延長しつつポストを確保していかなきゃいけないということになろうかと思いますけれども、これは後でまた伺います。

 そこで、またちょっと細かい話ですが、では、今おっしゃった短時間職員について、一週間働いていて、大体どのぐらいのお給料をもらっているのかということで、標準的な額、時間を教えてください。

笹島政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十四年度における先ほど申し上げた行政職(一)の短時間再任用職員二千二百九十七人のうち、週三十一時間、これは週四日に相当いたしますが、その勤務の職員が九百六十三人で約四割、週二十三時間十五分、これは週三日に相当しますが、その職員が千百三十一人で約五割となっております。

 それから、給与でございますが、短時間再任用職員の給与は、再任用時の勤務地やポスト、あるいは勤務時間によって額が異なるわけでございまして、一概には申し上げられませんが、最も多いケースであります週二十三時間十五分、週三日のケースで申し上げると、行政職(一)の三級の短時間再任用職員についてモデル的に申し上げれば、月収は約十五万円、年収にしますと約二百十五万円となっております。

奥野(総)委員 大体週の半分働いて十五万というと、うちの奥さんなんかがパートして大体月七、八万ですかね。それなりの知識、経験がある方がもらうにしては、そんなものかなとも思いますけれども、ちょっと少ない気もします。

 今その上に年金を皆さんもらっているわけですね。では、こういった方々が、報酬比例部分の年金を大体今幾らぐらいもらっているかということは、資料がありますでしょうか。

笹島政府参考人 短時間再任用職員の公的年金の支給額も、これはまた個々人でいろいろ変わってくるわけでございますけれども、仮に補佐クラスで定年退職をいたしまして、先ほどの週二十三時間十五分、週三日勤務の行政職(一)三級で短時間再任用された職員ということでモデル的に計算いたしますと、報酬比例部分として年間約百三十三万円の年金を受給することになっております。

奥野(総)委員 給与の方が大体月十五万の年間二百二十万、合わせると、大体三百五十万ぐらいですかね。そのぐらいだったら何とかリタイアした後は食べていけるのかなという標準的な数字かなと思いますが、年金がもらえなくなるとなかなか厳しいのかなというふうに思います。だからこそ、雇用と年金の接続ということが出てくるわけであります。

 厚労省の方は来ているのかな。民間はこれはどうなっているんですかね。民間はこれから義務化がされて、再雇用ということでやらなきゃいけないわけですけれども、再雇用の場合の給与水準というのは、どうなっているんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 民間企業についてでございますけれども、独立行政法人である労働政策研究・研修機構の高年齢者の継続雇用等、就業実態に関する調査で見ますと、継続雇用後の賃金が定年到達時の賃金より五〇%以上減少した者が三〇・二%、三〇%から五〇%減少した者が三五・七%、二〇%から三〇%減少した者が一六・二%、二〇%未満の減少の者が一六・八%となっております。

奥野(総)委員 半分とかそんな感じかと思いますけれども、民間も業績のいいところは義務化に合わせて再雇用の条件を引き上げたりしているところがあるやに聞いています。NTTが大体この前二百万円台だったのが三百万円から四百万円。さっきの公務員の数字に大体合うと思うんですね。今二百二、三十万だったものが年金と合わせて三百五十万。これは、年金がおくれるとすれば、もらえなくなるとすれば、三百万台に引き上げる。NTTさん、これは民間でも今一番業績のいい企業ですから、なかなかほかの企業は難しいのかもしれませんが、ほかにも大和ハウスとかサントリーとか日本精工とか、この義務化に合わせて、年金の支給開始年齢引き上げに合わせて、再雇用の際の給与を引き上げている企業もあるわけです。

 こうした例も参考にしながら国としてもやっていただきたいと思うんですが、確かにこの閣議決定の中にも記載がございまして、「人事院に対する要請」、給与水準ですから人事院に対する要請ということになるんでしょうが、読み上げますと、「再任用制度の下、定年退職した職員を、幅広い職域や勤務地で活用すること等再任用職員の今後の職務や働き方の実情等を踏まえ、給与制度上の措置について必要な検討を行うよう、人事院に対し要請する。」ということで、雇用と年金の接続について検討するようにと政府の側から要請がされております。

 これについて、具体的に何か今検討されている、あるいは、こういうふうにしようというお考えはおありでしょうか。

原政府特別補佐人 御指摘のございましたように、閣議決定におきまして、定年退職後に再任用される職員の今後の職務や働き方の実情等を踏まえて、給与制度上の措置について必要な検討を行うよう、私どもに要請をいただいているところでございます。今回の閣議決定による雇用と年金の接続のための措置は、法律改正は行わずに、現行の再任用制度を活用して、平成二十六年、来年四月一日から実施されることとなってございます。

 今後、このような枠組みのもとにおける再任用職員の職務、働き方の実情等の具体的な活用方法等を各省からお聞きした上で、給与制度上の必要な措置について検討を行ってまいりたいと考えてございます。二十六年四月一日からそういった形の再雇用が改めてスタートいたしますので、それに合わせて必要な措置を検討したい、そのようなことでございます。

奥野(総)委員 人事院さんの方でも御検討をしっかりやっていただきたいと思うんですが、とにかく、本年度以降の定年退職の場合に支給年齢が引き上がるわけですから、一刻も早く代償措置というかをやらなければならないんです。

 大臣に改めて伺いますけれども、今は短時間が多いわけですけれども、フルタイムの活用も含めて給与水準の改善が不可欠だと思いますが、改めていかがですか。

新藤国務大臣 定年退職者の再任用、それと雇用と年金の接続、これは非常に重要なことだ、このように思っております。そして、意欲と能力のある再任用職員を幅広い職域で登用する、そして職務に見合った給与水準で処遇していく、こういうことを図りながら、雇用と年金の接続を確実なものにしていきたい、このように私も考えております。

奥野(総)委員 当面ぜひしっかりやっていただきたいんですが、これはあくまで当面の措置でありまして、最終的には定年の引き上げという方向に進んでいかざるを得ないと思うんですね。社会全体がそっちの方に今動いているわけでありますから、最終的にはそちらに行かざるを得ないと思うんですが。人事院もたしかそういう申し出をされていると思いますが、定年延長について、人事院の見解を問いたいと思います。

原政府特別補佐人 お答えを申し上げます。

 閣議決定では、雇用と年金の接続を図るための当面の措置として、定年退職する職員が再任用を希望する場合に、任命権者は、現行の再任用の仕組みにより、当該職員が年金支給開始年齢に達するまでの間、再任用する旨が定められてございます。

 あわせて、再任用制度の活用状況を検証するとともに、年金支給開始年齢の段階的な引き上げの時期ごとに、人事院の意見の申し出を踏まえつつ、段階的な定年の引き上げを含め雇用と年金の接続のあり方につきまして改めて検討を行う、そういった旨の定めがされたところでございます。

 この閣議決定において、希望者を再任用することとしたことは、雇用と年金の接続を図るための当面の措置としてやむを得ないものと考えますが、人事院といたしましては、年金支給開始年齢が六十二歳に引き上げられる平成二十八年度までには、今後の運用状況を随時検証しながら、意見の申し出に基づく段階的な定年の引き上げを含め再検討がなされる必要があると考えているところでございます。

奥野(総)委員 まさに正論でありまして、筋でいけば、定年延長をやっていかなければいけないということであります。

 この閣議決定にも「検証と見直し」ということで書かれておりまして、これをまた読み上げますと、「再任用制度の活用状況を検証するとともに、年金支給開始年齢の段階的な引上げの時期ごとに、公務の運営状況や民間企業における高年齢者雇用確保措置の実施状況を勘案し、意見の申出」、これは人事院さんの意見だと思いますが、「意見の申出を踏まえつつ、段階的な定年の引上げも含め雇用と年金の接続の在り方について改めて検討を行う。」と。

 検討するという規定でありますけれども、大体こういう検討規定というのは検討するにとどまってしまうことも多いのでありますが、これは、働き方、社会全体のあり方の問題でありますから、しっかり検討していただきたいし、当面、三年間は年金支給開始年齢が六十一歳までの引き上げでありますが、これだと、皆さん六十歳になった瞬間に定年というわけじゃないので、三月三十一日までは働いておられるということなので、丸一年もらえないというわけではないわけですよね。

 ただ、これは、さらに一年、六十二歳に引き上がると、丸一年以上年金をもらえないということで、先ほど言ったような給与水準ではなかなかやっていけないだろうということでありますから、六十二歳に引き上がる三年たったところを目指して、定年の引き上げについてもしっかり結論を出していただきたいと思いますが、大臣の決意を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 今回のこの国家公務員の雇用と年金の接続については、継続雇用制度、これが公務では再任用に当たるわけですが、民間での状況は継続雇用制度が約八割ということでありまして、そういった民間の状況も見ながら、定年延長ではなく再任用で対応した、こういう背景があります。

 その上で、今議員が御指摘のように、公務員の皆さんが安心をして働いてもらう、また生活設計を組める、こういうことは重要だ、このように私も思っております。ですから、今後の雇用と年金の接続のあり方につきましては、これは、次の年金支給開始年齢が引き上がる二十八年度に向けて、再任用制度の活用状況、これも検証しなくてはならないと思います。その上で、民間の高齢者雇用の動向なども勘案をして、また意見の申し出、こういったものも踏まえつつ、段階的な定年の引き上げも含めて検討していきたい、このように考えております。

奥野(総)委員 ぜひ、これは社会全体のあり方にもつながりますし、民間の方も、これから若い人、人口減少社会でありますから、高齢者の方もしっかり働いていただく、その選択肢の一つとして定年延長ということもあると思いますので、民間もあるでしょうが、公務員も率先してやるということでお願いしたいと思います。

 ここまでは定年延長とか再任用の話なんですが、これをやるとどうしても、最初の話に戻りますが、やはり人件費がふえていく。一番いいのは、天下りも全部やめてもらって、もちろんやめてもらうんですが、天下りもやめ、定年まで働いてもらう。そして、定年もこれから引き上がっていくということになると、どうしても総人件費がふえていくということにならざるを得ないと思います。

 これはなかなか複雑な問題でありまして、どうやってこれを抑制していくのか。では新卒を一切やめてしまうかというと、これまた、先ほども申し上げたけれども、組織のあり方としては、やはり新しい人は入ってきてもらわなければいけないという中で、新しい人にも入ってきてもらいつつ、どうやって抑制していくんですかというのはなかなか難しいと思うのであります。

 では、例えば、五十歳代は均衡と言っていましたが、大体民間は五十歳代に入ると昇給の抑制ということになっているんですが、今回五十五歳まで引き下げるということで、さらに進んで、五十歳以降について昇給の抑制をするというようなお考えはありませんでしょうか。

新藤国務大臣 御指摘のように、人件費と採用の問題でございます。これによってゆがみが生じては意味がないということがあります。ですから、適正な職員配置、そして組織管理というものはやっていかなければいけないと思います。

 それに合わせて、人件費の抑制につきまして、確かに、五十歳代の給与水準というのは公務員が民間よりもやや上回っている、こういう状況もございます。ですから、今後も民間賃金の動向を踏まえた適切な措置というのが必要だというふうに思っています。

 ただ、民間の給与水準がどのように変わっていくか、これはこれからの経済成長戦略でも大きな影響が出てまいります。ですから、そういうものも踏まえまして、かつ人事院における検討状況、こういったものも踏まえた検討がなされなければいけないだろう、このように考えます。

奥野(総)委員 あと、よく言われるのは指定職給与の話ですね。役所で一番働いているのは、係員、係長、課長補佐の皆さんが一番働いていて、指定職の皆さんになると、国会対応とか、夜は割と早く帰られている方が多いと見受けられます。一番働いている人に手厚く、そして幹部の方は給与を少し抑えていただくというのが私は筋かなと思うんですが、指定職給与の引き下げについてはどうお考えでしょうか。

新藤国務大臣 まず、少なくとも、今の総務省では指定職は極めて忙しく働かされております。私の指示がいろいろございますから、今までの職務外のことも含めていろいろ、全庁的に取り組もうということで、指定職は指定職の職務を果たしていただいているというふうに思うんです。ですから、どちらの仕事が忙しいかそうではないか、こういうようなことは当たらない、私はこのように思っているんです。

 それから、指定職の俸給表、これも、事務次官、外局の長、内部部局の局長といった高度かつ責任の重い職務を、職員に適用されているわけでありますが、これはこれまでも順次引き下げをさせていただいております。そして、ピークであった平成十年と平成二十四年の事務次官の年間給与は、臨時特例による減額前においても四百十三万円、一五%落としているんですね。しかも、今回臨時特例にしておりますから、結果的に二三・七%、六百三十四万円の減額を果たしているということでございまして、指定職の給与のみというよりも、全体的な中での検討が含まれていかなければならない、このように思っておりますが、とりわけ指定職のみをというのは、むしろここは随分切ってしまっているところであるという状況もございます。

奥野(総)委員 指定職が働いていないというつもりはなくて、若い人にきちんと処遇をすべきじゃないかという趣旨でございます。

 もう一つ、常々疑問なんですが、定数管理がありますね。例えば定数管理をやめてしまって、給与総額、総人件費の管理に切りかえて、ポストとかは任命権者が自由に決められる、そうすれば、さっき言った再任用の話でも、割と弾力的に運用できるんじゃないかと思いますが、総人件費の管理とするということについてはどうでしょうか、大臣。

戸塚政府参考人 お答えいたします。

 御質問は、総定員の管理をやめまして、総人件費の管理に任せることとしてはどうかという御質問かと思います。

 定員は、業務量に応じまして各省庁に配置するものでございまして、各省庁の業務には、新たにつけ加わったりとか、廃止、減少するというものがございます。また、合理化、効率化の余地も各省さまざまでございまして、定員管理につきましては、毎年度、各省の合理化の目標数、減らす方でございます、これを各省と協議の上決定いたしまして、新規の増員要求をしていただいて、それを精査、審査して、めり張りのある定員の再配置を行っているというところでございます。

 ちなみに、最近十年間の定員配置の推移でございますが、最も増加いたしましたのが法務省で、千七百三十七人の純増ということになっておりますが、一方、最も減少をいたしましたのが農林水産省でございまして、八千五百三十一人の純減ということになっております。

 このような、業務量に応じました、省を超えためり張りのある定員の配置を図るということは、総人件費の管理ではなかなか困難かと思っておりますので、省内の定員の再配置はもちろんでございますけれども、特に、省を超えた定員の適正配置、再配置を行うというためには、現在の定員管理の仕組みは必要であり、有効であるというふうに考えております。

 以上でございます。

奥野(総)委員 業務量に応じてということでありますけれども、現場のことは現場に任せていく。だから、管理者がきちんとポストも割り振って、総人件費管理でやっていく方が私はいいような気がいたします。

 その上でもう一つ、現場のことという意味で、自律的労使関係制度、ちょっと飛びますけれども、協約締結権の付与ということをずっと言ってまいりました。国家公務員制度改革基本法の方にも書かれておる、我が政権のときも法案を出しました。給与水準については労使がきちんと決めてやっていくべきだと思いますが、その点については、大臣、いかがですか。基本法の方にも書かれています。

新藤国務大臣 自律的労使関係の措置について、これは国家公務員制度改革基本法において、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置する」、このように定められているわけであります。

 そして一方で、この協約締結権の付与につきましては、労使が真摯に向き合い、勤務条件を決定し得る仕組みとすることによって、柔軟な人事給与制度の設計、構築が可能となり、効率的で質の高い行政サービスの提供が可能となる、こういう指摘がございます。

 しかし一方で、公務では、市場の抑制力が働かないことから労使では勤務条件を決着し得ないのではないか、それから、交渉に要する事務や時間が増加することにより行政が停滞するのではないか、こういう懸念も指摘されているわけであります。

 いずれにいたしましても、公務員制度改革基本法に基づく改革は、これは稲田担当大臣のもとで、これまでの経緯なども総合的に検証しながら進めていく、このようになっておりますし、私も、稲田大臣のもとで行う改革の検討について協力をしてまいりたい、このように考えております。

奥野(総)委員 公務員制度改革基本法は、二〇〇八年に自民党政権下でできまして、我々も協力して、三党合意のはしりみたいな法案でありますが、これはぜひ、内閣人事局も含めてしっかりやっていかなきゃいけないと思うんですね。我が政権のときは、二回か出して、結局通していただけなかったという我々の思いでありますけれども、これは通さなきゃいけないと思っています。

 今、我が方でももう一度出し直そうということで準備しているところでありますけれども、ぜひ御協力いただいて、きょうは給与の話でありますけれども、公務員制度、人事制度全体の抜本的な改革をやるべきだと思います。大臣、御協力いただけないでしょうか。

新藤国務大臣 これは重要な課題であります。

 これまで三度国会に出て、いずれもうまくいっていないわけでありますから、稲田大臣が、今回約一カ月間そういった検討を行った上で、何らかの方向性を出していきたい、こういうことで精力的に活動されております。私も、それには協力したいと思いますし、民主党の法案が出されるとするならば、その法案はまだ拝見しておりませんからコメントのしようがありませんが、いずれにしても、皆さんでよく考えて、よい仕組みにしていくことが必要ではないか、このように考えます。

奥野(総)委員 その中に協約締結権の付与も入っているわけでありまして、全体的に議論していただければと思います。

 時間があれですが、最後に一問だけ、通告を全然していないんですが、郵政の話をちょっと伺いたいんです。

 公明党の山口代表のホームページに新聞の記事が出ていまして、そこで人事の話が書かれておりました。読み上げていきますと、日本郵政の人事が政治に翻弄されている。先日、坂社長を退任させて、後任に西室泰三氏を起用する方針と一斉に報道された。政府が一〇〇%の株式を保有するからといって、政権交代のたびに、実力者の意向でトップ人事が左右されるイメージができるのは避けたいというふうに書かれております。それで、ちょっと中ははしょりますが、最後のところで、ドラスチックな郵政民営化を進めたために、さまざまな傷跡が残った、これに政権交代が重なり、複雑な因縁が取り巻いている、だからこそ、政治介入を卒業して、本来の民営化にふさわしい運営に委ねるべきだ。

 こういうすばらしい意見が書かれているわけでありまして、もういいかげん政治介入というのはやめにして、自律的に決める。せっかく指名委員会があるわけですから、指名委員会の方に委ねるべきだと思います。

 今回、なぜ交代となったのか。社長を民間人にというのは百歩譲ってわかるとしても、全役員を、ほぼ全員の首を据えかえたということでありまして、この役員を交代させた理由について伺いたいと思います。

新藤国務大臣 これは私も全く同じ思いであります。民営を行って、民間会社として国民に対するサービスの向上を図っていこう、こういう会社が、政治的な圧力や介入でその経営方針が動かされることはよくないと私も思っています。ですから、基本的に、郵政の決定を尊重したい、このように考えているわけであります。

 しかし、今回の人事は、やはり、現政権との間において信頼関係が保てない、そういう状況がありました。我々は、一〇〇%株主として、こういったものに対して是正を図らなければならない。今回できちんと整理をした上で、私は、民間会社として、適切なガバナンスと、そして経営方針が定められるようにしていってほしい、このように大きな期待がございます。

 それから、郵政の取締役がいろいろと入れかえなり交代があるわけでありますが、それは、今回の新たな執行体制を組む方々が考えていただいたことでありまして、逐一私たちがそれをやったわけではありません。仄聞するところ、これまでには、そういう一つ一つの人事にまでいろいろな手配があったようなことも、私はこれは聞いておるだけでありますが、そんなようなことも仄聞いたしますけれども、我々は、今回、民間の会社として、今トップとしてふさわしい状態をどのようにすればつくれるか、それには民間の経営に熟知をし、そして経営者として信頼があり、巨大グループである郵政をまとめながら新たな事業展開ができる、そういう方をトップとしてなっていただいたらどうか、こういう思いで、今がだめだからではなくて、これまで以上によりよくするための人事として、そういった提案は行いました。

 しかし、その後の、郵政の内部の、どういうふうに人事をするか、これは、新しく、新たに運営していく方々にお願いをして考えていただいたものを、それを我々は尊重している、こういう体制でやっているわけであります。

奥野(総)委員 時間が来ましたから終わりにしますが、やはり、事業をよくしたいという思いは私も一緒であります。政治介入、政治に翻弄されてきた郵政でありますから、ぜひこういったことは避けていただきたかったと思います。株主が人事を提案するというのは民間でもよほどの場合でありますので、私は、ちょっと乱暴だった気がいたします。

 以上、申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

北側委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会、上西小百合です。

 通告に従って、順次質問させていただきます。

 官民較差という言葉を新聞や雑誌で見るようになって久しくなりました。要するに、公務員と民間企業の給料や待遇面の差が大きく、公務員の方が恵まれているという指摘がここ数年され続けています。

 三月十九日の私の当委員会での質問に対する新藤大臣の御答弁が実に印象的だったので、引用させていただきます。

 「公務員と民間の給与比較も、景気のいいときは自分たちはどんどん給料を上げられて、それでも公務員の給料なんか上がりません。景気のいいときに、公務員給料けしからぬなんて声も出ませんでした。それが、今度は景気が悪くなると、けしからぬと。これも私はいかがなものかなという気持ちもございます。公務員は一生懸命みんなやっている。」というものでございました。

 私は、昨年議員に初当選して生活が一変したので驚くことの連続ですが、公務員の皆さんが早朝の勉強会にも大勢集まってくださり、そして夜遅くの電話にもきちんと御対応くださる勤勉さも驚いたことの一つで、本当に頭の下がる思いがしています。

 そうした中で、今回の法案は、原則五十五歳、平均的な定年までは五年も残して昇給がストップする法案です。少子高齢化の流れの中、年金受給年齢も徐々に高齢化し、六十五歳までの定年延長で雇用と年金の連携が図られるのが時代の流れで、欧米のほとんどの国では年齢による給与差別が禁止されています。そして、日本では従来、終身雇用制、年功序列賃金の常識がありました。そのようなことに思いをめぐらすと、今回の法案は多少乱暴な気がしないでもありません。

 平素、公僕と厳しく国民の視線を浴び、飲酒運転などの不祥事があれば直ちに実名報道されることも多いのが公務員の名誉税、民間と公務員を単純に比較するのは公務員の皆さんにとって気の毒なところも感じます。

 逆に、公務員の皆さんの退職金減額が決まった際、受け持つ担任の学年途中や任期途中の警察署長まで駆け込み退職することをよく耳にしたのは、記憶に新しいところです。

 私たち日本維新の会では、いわゆる天下りの根絶を訴えていますが、昇給ストップを機に天下り先探しが横行してしまうのではないかという方もいらっしゃいます。そのあたりのことを踏まえて、今回の法改正に対する総務大臣の御所見をお聞かせください。

新藤国務大臣 昨年八月の人事院勧告で、特例減額前で見れば、官民の給与水準は全体としては均衡しているんです。しかし、世代別に見た場合に、国家公務員の高齢層の給与が民間よりも高かった、こういう状況があります。

 それを改善するために、従来から高齢層の職員の給与水準というのは抑制に取り組んできております。昭和四十六年、それから五十五年、そして、平成に入っても十一年、十八年、二十二年、このようにずっとやってきているわけであります。

 その中で、今回、五十五歳を超える職員についての原則昇給停止、こういったものをやろうではないか、我々も検討した結果このように判断したということであります。

 世代間の給与配分の適正化は重要な課題であるということ、それから人事院勧告を尊重するということが必要だということであります。

 そして、今委員が言ってくれましたけれども、何よりもやはり、公務員が高い志を持って、そして士気、自分たちの頑張ろうという気持ちを維持していくことが極めて重要だと思います。あわせて、自分の生活、家族がおりますから、そういったものへの安定、それから将来予見性、こういったものをやはりきちんと保っていくことも重要だと思うんです。ですから、もろもろ含めて総合的な判断になるわけであります。

 また、今回の措置は、勤務成績が特に良好な者については昇給できる仕組みになっているんです。そんなに大きくは上がりませんが、そのような良好な者、極めて良好な者、こういう方たちの昇給の仕組みは残してあるということでありまして、適切な勤務環境を整えるための、これは政治がいろいろ考えていかなければいけない、このように考えております。

上西委員 ありがとうございました。

 長年勤務された方の高過ぎる給与の是正、そして能力給もあるということですけれども、やはり私としては、天下りが気にかかるところでございますので、そういった点も検討していただければ幸いです。

 私は、行財政改革遂行は、今の日本でも各自治体でも緊急を要する最大の課題であると考え、行政は無駄を省き、どんどんスリム化をしていかなければならないと考えております。それゆえに、行政は、大阪府では、大阪府を理想的な方向に変え、今、大阪市は大改革を断行しています。

 我が日本維新の会、橋下共同代表の政治スタンスに私は引かれ、そして、国をよくする一助を担いたいと考え選挙に出たのですが、大所高所から行政を見てみると、まだまだ改めるところは多く、正直、五十五歳での昇給ストップの必要性、必然性に理解を示しつつも、それ以前にやらねばならないことも多々見受けられると考えていますので、そのあたりを中心に質問させていただきます。

 数年前、ある地方の市長が、選挙公約で、子供が同時に複数、義務教育就学中、二番目のお子さんからは給食費を半額にするとマニフェストに掲げて当選されました。本当は、三人目からはただにしてもよいとさえ言われたことに驚いたのですが、理由を聞いて納得しました。

 その市長は、調理員として長年働かれた方は、当然、定期昇給しているので、中には、本庁の課長級の、年収でいえば八百万円ぐらいもらっている方もいる、それほどの人がニンジンの皮をむいたりお皿を洗ったりしている、そういった例が何人も見られる。児童生徒の給食費だけでは到底学校給食を提供することはできないから、人件費、光熱費、調理器具代などは市が財政負担をしているので、二人目からの生徒の徴収額が半額になっても微々たるものだ、給食の外部委託ができればもっともっと削減できると熱く語られていました。

 現業部門を中心に、官公庁の維持管理など、民間でできることは民間に委託し、行政のスリム化を断行するべきだと私は思っています。このたびの総選挙で久しぶりに議員会館へ戻られた方が、新しい会館の大きさや清潔さに浦島太郎の心境だと話されつつ、管理が民間企業への委託中心になって、公用車の運転手さんも多くが民間委託されており、随分アウトソーシングが進んでいることに驚かれていました。しかし、それが時代の流れ、趨勢だと思います。

 先日、私は、予算委員会分科会で、ハンセン病を正しく理解する啓発運動をテーマに質問し、そのとき、全国に十三あるハンセン病療養施設の入園者は、元号が平成に変わって以降、二十四年間で三分の一以下に激減されているのに、その介護や治療に当たられる施設の職員、医療関係者の数がほとんど減っていないことを知りました。

 委員の皆様にはその変遷をお配りしましたが、職員の方お一人当たり世話をする入園者の方の人数が、平成元年では約二・二四人だったのが、現在では一人平均〇・六八人。要するに、三名の職員で二名の入園者の方をお世話している計算です。現業職である行政職(二)の方は確かに低減していますが、それでも四割減でしかありません。

 入園者の方々の高齢化やハンセン病の特徴でもある手足の指の欠損、超高齢化で寝たきりの方もふえた、全盲や難聴の方も多い、そして、その障害を複合してお持ちの方も多い中、一人に一人以上の介助が必要な実態もわかります。そして、何よりも、国の誤った法施策で、元患者の皆様には大変な苦痛や屈辱を与え続けてきた。この歴史を振り返ると、最後の最後まで手厚い介護をする義務が国にはあるはずです。

 しかし、入園者の食事をつくる栄養士や調理員、施設の清掃作業員までもが、ほとんどが正規雇用であると伺っています。また、対象者たる入園者が減っているわけですから、介助者、介護員は現状以上の定員を維持するにしても、事務職員の削減は、入園者の皆様の福利厚生にさほど影響はないと考えます。それだけで相当のコスト削減になると思いますが、厚労省から、療養所の民間委託計画の有無と、あるとすれば計画予定や、現状できないのであれば理由をお聞かせください。

    〔委員長退席、徳田委員長代理着席〕

高島政府参考人 お答えいたします。

 ハンセン症の療養所の業務職員の件でございますが、昭和五十八年の閣議決定がございまして、国家公務員である技能労務職員等が携わっている事務事業につきましては、民間委託等の合理化措置を講ずる、こういうことにしておりまして、これらの職員の採用は、公務遂行上真に必要なものを除き、昭和五十九年度以降は行わない、こういう閣議決定がされております。

 国立ハンセン病療養所におきましても、この閣議決定を踏まえまして、原則として、技能労務職員につきましては退職後の補充を行わない、こういうことにいたしました。それに合わせまして、入居者へのサービス提供体制に支障を来さないように、外部委託を進めてきたという状況でございます。

 こうした中で、今先生が御指摘になりました清掃業務等につきましては、かなりの療養所で外部委託が進んでいる状況でございます。

 今後とも、この計画の中で、技能労務職員の削減が進んでいく中で、今もあります清掃業務、いろいろな保守管理の業務、それから調理につきましては、いろいろな補助業務等、今も既に委託している部分がありますけれども、こういった分野につきましても外部委託というものを進めていく考えでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 外部委託を進めていく計画があるということですので、財政も厳しいと思いますので、入園者の方々に影響ない範囲、そして介護の質を落とすことのない範囲で、そしてコスト削減を御検討くださればと思います。

 私は、ハンセン病の施設のことを調べる中で、療養所で働く皆さんには、かつて、給料に加えて、ほかの例よりも高い俸給の調整額という手当が支給されていた事実を知り、驚愕いたしました。要するに、ハンセン病の感染の危険を冒して勤務しているという誤った認識が蔓延していたわけですが、人権じゅうりんも甚だしいらい予防法も平成八年四月に廃止になりました。過去の法制度、医学的なハンセン病に対する認識が全て大間違いだったことがようやく宣言されたものの、なお一層の偏見や差別をなくし、そして最後の一人に至るまで保護をすることは、国と国民一人一人の責務だと痛感します。

 ところで、そのとき、あわせて特殊勤務手当のことを調べていて、驚いたことがたくさんありました。爆発物の取り扱いをされる方など、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、特殊性を俸給で考慮することが適当でない職務を人事院規則に列挙され、手当が支給されています。

 しかし、中には、航空機に搭乗したときに支給される航空手当などのように、科学の進歩で危険の度合いや恐怖の常識度が数十年前とは比較にならないくらい飛躍的に減退しているはずのものも含まれています。要するに、既に支給される意味はなくなったと思われるものに慣例的に手当がついていると思われるのです。

 また、例えば、道路上作業手当なるものがあり、通行車両が多い道路上で作業をされる方には一日当たり数百円の手当が給料のほかに支給されているようですが、民間の舗装業者さんや水道管工事に従事される方が余分な手当を追加で受けているとは思えません。

 まさしく大きな官民較差だと思いますが、人事院から、特殊勤務手当の現状、今後の方向性、ジャンルや金額を見直すサイクルなどについて、御説明をお願いします。

古屋政府参考人 特殊勤務手当につきましては、今委員の方からもございましたように、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務その他著しく特殊な勤務につき、その職務の特殊性に応じて支給されるということになっておりまして、まさに技術の進歩や社会情勢の変化に応じて職務の特殊性は変化していくということで、この特殊勤務手当については、手当ごとの実態等を精査しまして、特殊性の薄れた手当については廃止を含めた見直しを行うということでこれまでも来ております。

 ちなみに、昭和五十二年には四十八種類あったものが、本年四月一日現在では二十七種類となっているところでございます。

 今ちょっとお話が出ました航空手当でございますが、これにつきましては、例えば、操縦者等につきましては、乗員の安全に高度な責任を負うということから、極めて高度な技能を有する、複雑、困難な業務に従事するということで、民間におきましても、操縦士については乗務手当を含めた給与が相当高い水準にあるということでございまして、公務における人材確保という観点からもこれは必要ということで、措置されているところでございます。

 また、同乗する職員につきましては、低空飛行とか危険な態様で飛行する航空機において行う検査でありますとか、捜索救難等の特殊な業務につきまして、事故等の危険性があるということを見まして、そういう場合について措置されているところでございます。

 また、道路上作業手当につきましては、通常よく町中で見かけますように、コーンを立ててその中で作業するということではなくて、道路を占有する形ではなく、いわば遮断がない状態で行う作業、例えば、災害時の緊急車両を通すような、そういうコーンなどを立てない中での作業を行う場合、それから、暴風雪警報発令下で、暴風雪そのものによる被災に加えて、視界を妨げられた中で一般車両との衝突の危険性があるような場合、そういう極めて危険性が高いといった場合についてのみ限定的に措置されているものでございます。

 いずれにしましても、今後とも、そういう社会情勢の変化を踏まえて手当の実態を精査するということで、先生御指摘のとおりの方向で進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

上西委員 ありがとうございました。

 次に移ります。

 「たけしのTVタックル」「たかじんのそこまで言って委員会」など、政治がテーマになるテレビ番組がふえました。政治部記者などマスコミ出身のコメンテーターにまじって、キャリア官僚出身の大学関係者やシンクタンクの方が随分いらっしゃいます。そして、その元官僚の多くは、定年より相当早く退官されています。

 その元官僚のほとんどが、経歴を調べてみますと、アメリカやイギリスなどへ公務員時代に公費で留学された経験をお持ちで、外国の大学の修士などの資格を得ていらっしゃいます。

 私の知人で、大手証券会社に勤めている時代に、ドイツの大学へ証券会社の費用で留学された経験をお持ちの方がいます。その方は、家業の医者になるため、医科大学へ入り直し、証券会社を退職したのですが、その際、留学中に会社が払った費用の返還を求められ、退職金と相殺されても、約五百万円も支払ったと伺っています。そして、民間企業では、それがごくごく普通だと聞かされました。

 キャリア公務員の方の留学実態、諸経費とともに、それだけのことを税金でした後中途退官された方へのペナルティーなどはあるのかないのか、総務省からお聞かせください。

    〔徳田委員長代理退席、委員長着席〕

千葉政府参考人 人事院では、行政課題の国際化の進展に対応できる人材を育成するために、各府省の行政官を、原則二年間、外国の大学院に留学させる行政官長期在外研究員制度を設けております。

 この制度によりまして平成二十四年度に新たに留学した者の数は百二十名でございまして、主な留学先は、アメリカ七十三人、イギリス三十三人、フランス五人などとなっております。

 この制度によります留学に要する一人当たりの費用総額は、留学先の大学院の別により異なりますが、二年間で平均約一千三百万円となっておりまして、その内訳は、授業料が約五百五十万円、滞在費、航空運賃等の旅費が約七百五十万円でございます。

 中途退官した者へのペナルティーについてのお尋ねでございますが、留学中または留学終了後早期に退職する国家公務員が増加したことを受けまして、留学費用を返還させることが必要との観点から、人事院としましては、平成十七年十月十八日に、国会と内閣に対しまして、一般職の職員の留学費用の償還に関する法律の制定についての意見の申出を行ったところでございます。

 この意見の申し出に基づきまして、国家公務員の留学費用の償還に関する法律が平成十八年六月十四日に成立をいたしまして、同年六月十九日から施行されております。

 同法に基づきまして、国家公務員が留学中またはその終了後五年以内に離職した場合には、留学費用相当額の全部または一部を離職した者に返還させることが義務づけられているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 五年以内に離職した場合は一部返納ということですけれども、やはり、将来長きにわたって国益を出していただけるために国税を費やしているのですから、国民の皆様が納得できるような有効な税金の活用をお願いいたしまして、そして、こういった制度がまさしく大きな官民較差がある旨を御指摘して、次へ進ませていただきます。

 私は、三月十九日の質問時、平成三年四月に成立した救急救命士法を受けて、プレホスピタルケアの充実を目的に、全国四十七都道府県の共同出資で設立した一般財団法人救急振興財団が、消防機関の救急救命士養成を主たる目的に設置した研修所について、現在のように大学や専門学校の救急救命士養成機関が増加している中で、その使命を終えたのではないかと指摘しました。

 消防庁からは、消防機関に籍を置く救命士の再教育や、処置拡大などの法改正があった際に即応できるように今後も活用される旨の御答弁をいただきました。

 そこで、お尋ねします。

 一般財団法人救急振興財団の東京及び九州の研修所で養成教育にかかわる医師及び救急救命士である教官の人数、労働時間、休日などの勤務実態、給与について、研修所ごとに教えてください。給与は全て平均値で構いませんので、お願いします。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 救急振興財団におきましては、現在、東京研修所におきましては、医師十二名、救急救命士資格者二十三名、九州研修所におきましては、医師七名、救急救命士資格者十一名で教育を実施しているところでございます。

 いずれの研修所も一日八時間、週五日間の勤務実態というふうに聞いております。

 また、その一人当たりの年間平均給与についてでございますけれども、東京研修所におきましては、医師が約千百七十万円、救急救命士資格者が約八百七十三万円、九州研修所におきましては、医師が約千九十六万円、救急救命士資格者が約八百五十二万円というふうに承知しております。

上西委員 ありがとうございます。

 医師を雇用するよりも救命士を雇用する方が給与面から見てもはるかに経済的であると考えますが、いかがでしょうか。また、全国的に不足している救急医が専従的に救命士の養成教育を担う必要性があるのでしょうか。

 医学に関する教育ですから、医師の知識や経験はかけがえのないものであり、そして、コスト面のみを重視して医師の教官をゼロにしろと言っているわけでは決してありません。消防機関に属し、救急隊長などで実務経験や場数を踏んだプロ中のプロである救命士の教官をもっと重用できる分野も十分にあるはずだと申しているのです。

 救命士が養成教育を担えば事足りることもあると考えますが、いかがでしょうか。実務経験豊富な消防機関から派遣されている救命士の教官は、どの程度の比率で在籍しているのか。そして、今後、その割合を見直す予定はあるか。そして、これ以上比率をふやすことができないのであれば、何がネックになるのか、お聞かせください。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 救急振興財団におきましては、医師は教授として、これは十九名でございますけれども、主に医学のより専門的な分野の講義等を担当しております。また、救急救命士は教官として、これは二十九名でございますが、主に隊活動も踏まえた実技等を担当しておりまして、現在、教授、教官のうち救急救命士であります教官の割合は六三%というふうになっているところでございまして、適切な役割分担がなされているんだろうというふうに考えております。

 また、教官二十九名のうち消防本部から派遣されている教官の割合は約九〇%でございまして、残り三名は消防本部OBの嘱託職員というふうになっているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、救急業務の高度化に対応するため、救急振興財団には、医師及び実務経験豊富な救急救命士による効果的な教育に努めていただきたいというふうに考えているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 今、救命士の免許保持者は全国で約四万三千人と伺っています。そのうち、消防機関で現職救命士として働いている方がおよそ二万三千人、看護師として働いている方が約一万人。単純に計算して、約一万人の資格保持者が救命士として就業していないものと思われます。大学など学校法人設立の救急救命士養成所も三十五校に上る中、今後も、救命士の資格を持ち、当然、就業を希望しながら、その技能、資格を生かせない若者がさらにふえそうです。

 その一方で、消防機関の救急隊員として一定期間の実務経験を積んだ者が入学する救急振興財団の研修所には、毎年約八百名の受講生が全国から集まり、半年間学ぶことを以前お答えいただきました。当然、給料を受け取りながらの研修だと思います。その研修所を卒業した皆さんの、ここ数年の救急救命士国家試験合格率の推移を教えてください。

 また、財団の運営資金は四十七都道府県が共同出資していますが、当然、国の負担分もあると思います。国と地方の出資比率と予算額をお答えください。

 また、救急救命士国家資格を得られる専門学校、大学は既に三十五校にもなりました。そして、ここでは、救命士になる日を夢見て、大勢の学生が自費を投じて勉強されています。先ほど来伺った経費を考えると、税金から給料を受け取り、そして、現役の救急隊員を公費で運営する研修所へ通わせながら資格を得させるよりも、先ほど申しました、民間で対処できることは民間に委託をするアウトソーシングの論法で専門学校や大学で資格を得た者を採用する方が経費の大幅削減になると思いますが、御所見をお聞かせください。

市橋政府参考人 救急振興財団におきまして救急救命士養成研修を修了し、国家試験を受験した消防職員の合格率でございますけれども、第一回目の国家試験から第三十六回目の国家試験までの平均で九八・八%というふうに承知しているところでございます。

 また、運営費についてでございますが、救急振興財団は主に地方公共団体の負担金により運営されておりまして、同負担金の平成二十五年度の予算額は十八億六千七百五十二万円でございます。なお、国は負担金は支出していないところでございます。

 また、救急救命士資格保有者を採用する方が確かに経費面では有利であるかもしれませんけれども、各地方公共団体といたしましては、有為な人材を得るために、総合的な判断により採用方法を決めているものというふうに承知しているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 制度制定当時から救命士の活動領域の拡大などが議論されてきた歴史もありますし、若者の雇用創出が鈍り、高齢化社会が進行する中で、私は大いに方向転換を期待しております。

 るる述べさせていただきましたが、私は、今回の年長国家公務員の皆様の原則昇給ストップ、この法案に理解は示しつつも、それ以前になすべきことは山ほどあると考えており、きょう質問させていただいた事例は、ほんの一例にすぎません。

 時間がなくなりましたので、残るところは次回に回して、東国原先生にかわらせていただきます。ありがとうございました。

北側委員長 次に、東国原英夫君。

東国原委員 東国原でございます。

 先日、五月の二十三日に総務委員会で大臣が、公務員について、国のために働こうと思っていると信じているということを発言されました。これは、行政の長としてはそう言わざるを得ないというか、こう思っていらっしゃるんだろうなと思います。

 今回は、昇給を抑えるということでありますので、そういうことがモチベーションみたいなところにつながるかどうかということも含めて、公務員は、憲法十五条でも全体の奉仕者ということになっております。また、高い志を持って、国のため、国家国民のために働く、公正に職務を遂行するということ等々になっておろうかと思いますが、大臣、もう一度、公務員のあり方、公僕といいますか、パブリックサーバントとしてのあり方についての御所見をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 まさに公務員は全体の奉仕者である、これを最初に教えられると思います。そして、その精神に基づいて、国家公務員であれば国のために頑張る、そして地方公務員であればその地域のために頑張る、こういうことを旨として働いていくわけであります。

 そして、民間と違いまして、特別な業績を上げたからといって給料が上がるわけでもない。人事での評価というのはもちろんあるわけでありますが、しかし、民間とは全く違う給与体系、それから昇進といいますか、人事制度の中で、公務員の喜びというのは、その地域にとって、また国にとって、自分の職務が世の中のために役に立った、また、それによって困っている人を助けることができた、また、その地域が元気になった、自分の仕事を通してあらゆるそういった公のものが改善されることに喜びを見出す、これが公務員ではないかと思います。

 ですから、高い志と使命感を持って働いてもらっている、そのように私は考えております。

東国原委員 おっしゃるとおりでありまして、僕の所感なんですが、地域が元気なところは、そこで働く行政職、公務員の方たちが元気だな。相関関係はわからないですけれども、逆もありかな、その地域の公務員の方たちが元気だと、何か地域が元気だなという印象を受けるんです。そういった意味でも、地域、地方あるいは国家を行政職として、事務方として支えていらっしゃるのは公務員の方、ここがやる気をなくすと、国全体、地域全体が何か元気がなくなるんじゃないかなと思っております。

 そこで、お配りした資料をごらんいただければと思います。まず、「人気職業ランキング」というのを、株式会社トップアスリート、十三歳のハローワークというのを出している会社が行ったんですが、一位が公務員。もう一枚目の資料、これは株式会社バンダイこどもアンケートで、「親が子どもになってほしい職業ランキング」、男子、女子ともに一位が公務員です。

 これはやはり人気があるんですね。安定的に、もうずっと、どんな調査でも公務員は必ず上位に入っています。

 この「人気職業ランキング」というのは、十三歳のハローワークといいますけれども、中高生が六割から七割を占めています、対象者として。ですから、中高生ですので、あるいは大学生、小学生が残りなんですけれども、非常に現実的な視点だと思っていただければいいと思います。「親が子どもになってほしい職業ランキング」も、これは親に調査しているわけですから、自分の娘、息子を将来は公務員にしたいと。

 大臣、これをごらんになって、どういうお考えをお持ちですか、どういう感想をお持ちですか。

新藤国務大臣 さまざまな調査があると思います。また、このサンプルが、一枚目の資料がどのぐらいなのかわかりませんが、少なくとも二枚目のバンダイがやっていただいているのは八百人、こういうサンプルの中であります。

 これは一面の事象を捉えていることだと思いますし、公務員がその上位にあるというのは、不安定な世の中にあって、子の将来の安定性を求める親として、きちんと生活をしていけるようになってほしい、その意味において、公務員というものも信頼が高まっている、期待がある、こういう側面もあるのかなというふうには思います。

東国原委員 おっしゃるとおりなんです。この親が子供にならせたい職業ランキング、この理由は、安定感がある、将来設計ができる、潰れる心配がない、身分保障があるからです。

 でも、大臣、先ほど、高い意識のもと、国家国民のため、公正な職務を遂行するということだと思うんですね。ですから、親御さんが子供さんになっていただきたい職業というのは、全体の奉仕者、パブリックサーバントとして、公僕として、みずからを犠牲にして地域や国家のために尽くす、そういう人間になりなさい、そういう職業につきなさいというのでは、どうやらないらしいんですね。もちろんそういう親御さんたちもいらっしゃると思いますが、全体的には、安定している、将来設計ができる、会社が潰れないということらしいんです。だから、そういうイメージで見られていると思うんですね。

 それを全体的に踏まえて、今回のこの法案なんですが、五十五歳を超える職員の昇給の抑制なんですけれども、公務員の士気やモラール等がこれで下がるか、上がるか、どうお考えですか。

新藤国務大臣 私は、これらが上がるか、下がるかというよりも、公務員というのは、制度の中で定められたものに対して、忠実に、着実に、しかも漸進的に仕事をしていくという本質があると思っています。ましてや、今回の高齢層の職員というのは、採用されてから三十年とかという期間を経た、そういう人たちであります。

 ですから、給料が上がらないというのはがっかりだという気持ちもあると思いますが、しかし、それでは士気が下がるというようなことではなくて、公務員というのは、いずれにしても、そういう定められた枠の中で全力を尽くすということでありますので、その士気やモラールとの因果関係というのは、それほど強くは影響は出ないのではないか、このように考えます。

東国原委員 今、高齢層職員と大臣はおっしゃいました。私もここはひっかかっていまして、高齢層職員、五十五歳以上六十歳未満をいうんですよね。五十五歳から六十歳未満というのは高齢ですかね。その高齢層職員という言い方も何かモチベーションを下げているんじゃないかなと思うところがあるんです。

 相対評価でしょう、総務省は。相対評価ですから、若年層とか、彼よりは年をとっているよということで高齢層という言い方をするんでしょうけれども、どうも後期高齢者なんかを想起させるんです。何か、こういう呼び方というのはもうちょっと変えられないのかなと思ったりもするんですね。まあそれはいいんですけれども。

 民間企業の五十歳以上の従業員における昇給制度、これは民間準拠、官民較差、官民比べなきゃいけないと思うんですけれども、この民間企業の昇給制度の状況というのを教えてください。

古屋政府参考人 平成二十一年に人事院の方で民間給与実態調査をしております。

 その結果によりますと、五十歳以降の従業員について昇給制度を有している企業というのは約九割となっております。そのうち、昇給停止措置がある企業というのは約四割となっております。また、この企業のうち約八割の企業が、昇給停止年齢五十五歳以降ということになっているところでございます。

東国原委員 今回の法案の措置というのは、総人件費の削減ということとは関係があるのかないのか、関係があるとしたらどういう関係があるのかをお聞かせください。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の人事院勧告に基づく昇給抑制でございますが、この昇給抑制が実施された場合の国の総人件費ベースでの影響額は、平成二十五年度予算においておよそマイナス六億円と試算されているところでございます。

東国原委員 給与原資の削減効果は年間六億円程度ということであります。

 この影響を受ける対象者というのが約三万人と伺っておりますが、先ほど大臣は、これは職員の士気やモラールには余り関係しないとおっしゃいましたけれども、私は、少なからずモチベーションというのに作用するのではないかと思うところがあるんですね。ですから、ここを聞きたいんですけれども、六億円程度の財政削減効果と、士気だとかやる気だとか、そういったものが低下する懸念があるというここの費用対効果、得失というのはどうお考えかというのをお聞かせください。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 公務員の士気やモラールへの影響ということにつきましては、先ほど大臣から答弁があったところでございますが、今回の昇給抑制につきましては、基本的には、国家公務員の高齢層の給与は民間よりも高い状況にあるということを踏まえて、人事院勧告がなされたところでございまして、政府としても、このような昇給抑制を講ずることは適当と判断したところでございます。

 今回の措置というのは、官民の比較で申し上げますと、全体としては官民均衡を達成しているという中で、公務員の中での世代間の配分ということで意味を持っているところでございまして、こういった趣旨については、ぜひその対象となる三万人の職員にも御理解いただきたいと我々は思っているところでございます。

東国原委員 官民較差というのは是正しなきゃいけないとは思います。もちろん人事院勧告も尊重されるべきだと思うんですが、私、どうも気になっているのは、安易で過度の公務員バッシングがここのところちょっと、横行していると言うと語弊があるかもしれませんけれども、何かあるんじゃないかなと思うんですね。

 官民較差はなくさなきゃいけない、民間準拠にしなきゃいけない、適正な給与、適正な昇給というのは必要です。ただ、それ以上に、公務員の方たちを、感情論として、何か民間より高いんじゃないか、優遇されているんじゃないかとかいうので余り過度にバッシングするというのはいかがなものかな、その風潮というのはいかがなものかなと思っているんですね。

 というのは、例えば国家公務員、あるいは地方公務員もそうなんですけれども、地方公務員の方は、やはり地域の活性化に少なからず寄与されているんですね。ですから、冒頭申し上げたように、公務員の方たちの士気が下がったり、やる気が下がったり、淡々と職をこなす、事務をこなすということになってしまいますと、地域の活性化とか国家全体のパワー、エネルギー、活力にも影響すると思っているんです。ですから、過度な、いわれなきバッシングとか、そういったことはちょっとどうなのかなと思っています。

 ですから、大臣がずっとおっしゃるように、景気を上向かせて、景気をよくして民間の給与を上げる、こっちの努力をされるべきだと思っているんですけれども、大臣、どうお考えですか。

新藤国務大臣 私も委員と同じような思いを持っています。だめなところは直す、そして糾弾すべきは厳しく糾弾する、しかし、よいところは評価をし、そして、みんなのために働いてくれるんですから、そのことをとうとしとする、こういう公務員に対する評価というものを定着させていかないといけない、このように思っています。

 その上で、給与の問題は、官民較差の是正というのがあります。もう一つは、やはり、我々が国家を経営するという観点からすれば、国、地方を含めて財政再建をしていかなくてはいけない、その中で当然の削減項目として人件費というのが出てくる、こういうものもあります。

 一方で、経済を成長させる、そして物価を上昇させる、我々安倍政権はそれを目標にしているわけでありますから、当然、その中で、給与が上がらなければ生活の改善の実感が得られないわけでありまして、民間の給与を上げてください、こういうお願いをしているわけであります。

 全体として景気が上向いて、給与が上がっていって、そうすると、官民較差それから物価動向、こういったものを勘案して人事院勧告というのはなされるわけでありますから、当然、それに伴った勧告というものが出てくるのではないかなと私は思っております。

 ですから、いろいろなものを加味してベストミックスをつくっていくのが我々政治の役目でありますから、今御指摘のあった点も踏まえまして、その上で、国民から理解の得られる、そういう体系をつくらなければいけない、このように思います。

東国原委員 行財政改革はやらなければいけない、これは当たり前のことです。それと、財政再建の話が出ましたけれども、これはやはり、景気をよくして税収を上げる、あるいはそれでもだめなら増税もお願いするといったことを複眼的にやらなきゃいけないというのはよく理解できます。

 続きまして、人事評価についてお尋ねをします。

 人事評価は基本的に各省庁がおやりになることなんでしょうけれども、各府省の人事評価が給与や任免に具体的にどのように反映されているか、人事院からの答弁をお願いいたします。

古屋政府参考人 人事評価の結果につきましては、これを任免とか給与でありますとかに的確に反映するということで、能力、実績に基づく厳格な人事管理を行うことが肝要ということで、そのための仕組みを整備しているところでございます。

 具体的には、まず昇任におきましては、昇任日以前二年の能力評価及び直近の業績評価の結果が一定の要件を満たす者の中から選抜を行うということにしておるところでございます。

 また、降任及び免職、こちらの方につきましては、やはり、能力評価または業績評価の結果が最下位である場合、その場合につきまして、注意、指導、担当職務の見直し等によってもなお改善が見られないときにはこれらの処分を行うということになっておるところでございます。

 それから、昇給におきましては、昇給日以前における直近の能力評価及び直近の連続する二回の業績評価の結果に基づいて昇給区分を決定するということになっております。

 また、同じように、勤勉手当におきましては、基準日以前における直近の業績評価の結果に基づいて成績区分、成績率を決定するということになっておるところでございます。

東国原委員 各府省の人事評価の実施及び活用の状況について的確に把握されているかどうか、お伺いしたいと思います。

古屋政府参考人 実施は各府省で行われております関係で、その結果につきまして、私どもの方で昇給、勤勉手当を直接担当しておりますので、昇給、勤勉手当の活用の実施状況につきましては、各府省に対してヒアリング等を行いまして、その状況を的確に把握するよう努めているところでございます。

東国原委員 続いて、勤務評定制度と人事評価制度の違いについてお伺いします。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の人事評価制度は平成十九年の国家公務員法の改正によって導入されたものでございますが、それ以前は勤務評定制度というものがございました。

 この勤務評定制度に関しましては幾つか問題点が指摘されておりまして、例えば、評価項目が不明瞭であり、あらかじめ明示されていない、あるいは、上司から一方的に評価されるのみで、評価結果は部下に知らされない、あるいは、人事管理に十分活用されていないといったところでございます。

 こういった問題点をクリアするために現行制度が導入されたわけでございまして、この新しい人事評価制度におきましては、まず、あらかじめ明示された全府省統一の基準、標準職務遂行能力に照らして能力を評価するとともに、上司と被評価者の間の面談により設定した目標の達成度により業績を評価する、それから、評価結果は原則として開示され、指導助言がなされる、あるいは、国家公務員法上、人事評価を任用、給与等の人事管理の基礎として明確に位置づけるとともに、人材育成にも活用することとしているところでございます。

東国原委員 総務省は絶対評価でやっていらっしゃいます。人事院は相対評価なんですね。これはどうしてそういうふうになったのか、その理由についてお伺いしたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました新たな人事評価制度におきましては、国家公務員法上、給与のみならず、適材適所の人材配置、的確な昇進管理、職員の人材育成、自己啓発促進や勤務意欲の向上等、人事管理のあらゆる側面で活用する能力・実績主義の人事管理を行う基礎として位置づけられているところでございます。

 このように、人事管理の基礎となる人事評価につきましては、職員一人一人の職務遂行能力や勤務実績について客観的な基準に基づいて把握して評価する仕組みとする必要があることから、絶対評価によるものとしているところでございます。

 一方、この活用という観点から、昇給や勤勉手当の成績率の算定などに当たりましては、人事院がルールを定めておりまして、そのルールに基づきまして人事評価の結果が活用されているところでございます。

東国原委員 相対評価についての答えがなかったと思いますけれども。

古屋政府参考人 昇給につきましては、絶対評価で今行われている人事評価の結果に基づきまして五段階の昇給区分のいずれかに決定するということにされ、きめ細かい反映ということを行っているところでございます。

 その中で、上位の昇給区分ということにつきましては、過度のといいますか集中を避けるということを考えて、人事評価の評語の組み合わせに基づきまして人事院が定める一定の枠の中で決定する、枠を超えないようにするということで枠を定めているというところでございます。

 ただし、あくまでも上位の評価を受けた者の中で決定されるということですから、人事評価の方で中位の評価を受けた者が相対的に上位の区分に決定されるというものではございません。

 したがいまして、給与への反映におきましては絶対評価による人事評価に基づくということにしておりますが、その際、上位の昇給区分について枠を設けているという意味で、厳密な意味での相対評価というものではないということで、一定のルールということで申し上げているところでございます。

東国原委員 総務省の評価のS、A、B、C、Dというランクがありますけれども、この各ランクの人数はどれぐらいの割合になっているんですか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の人事評価につきましては、平成二十一年十月から実施されているところでございますが、これまでの間、まずはということで、評価者の目線を合わせ、定着を図るということを優先し、網羅的な評語の分布の把握というのは行っていなかったところでございます。

 一方、今後さらに人事評価を実のあるものにしていくためには、やはり実態把握が必要である、そういう時期に来ているというような認識はしているところでございまして、この点につきましては、新藤総務大臣からの御指示も受けまして作業を開始したところでございます。

東国原委員 ということは、今は作業の途中ということですね。いつぐらいをめどにこのランクの人数は出るんでしょうか。

笹島政府参考人 まさに評価の仕組みの改善等を視野に入れながら調査をしたいというふうに考えておりまして、今回の調査に関しましては、今後の改善に役立てる観点から、単に評語の分布状況だけではなく、各府省の人事担当者等に対して、現状の受けとめや今後の改善に向けた提案等も聴取するなど、幅広く実態調査を行った上で検証を行ってまいりたいというふうに考えております。

 したがいまして、このようなことから一定の時間はかかるというところでございますが、作業については既に開始しているところでございます。

東国原委員 各ランクの人数というのは、非常に国民の皆様も興味があるんじゃないかな、関心があるんじゃないかなと思いますので、できるだけ早く人数を出していただいて、どういう評価をされているのかというのをお示しいただければと思っております。

 人事院の昇給区分、昇給も勤勉手当も、Aが五%、B二五%ですが、五段階のC、D、Eについてはパーセントを決めておられないですね。この理由についてお伺いします。

古屋政府参考人 先ほど申し上げたように、人事評価の結果を昇給に反映させるということになっております。

 上位の昇給区分については、繰り返しになりますが、上位には集中することがないようにということで一定の枠を設けるということで、今御指摘あったとおり、昇給については五%と二〇%、勤勉については五%、二五%という上位の枠が設けられているところでございます。

 下位の昇給区分につきまして、確かに枠は設けておりません。これにつきましては、懲戒処分を受けた場合というのは、必ず下位の区分になるということにしております。また、絶対評価による人事評価において下位の評価を受けた場合にも、これは厳格に給与に反映させるということで、必ず下位の昇給区分に決定するということになっているところでございます。

 ただ、仮に下位の昇給区分に一定の枠を当てはめるということにした場合には、人事評価の方で標準の評価を受けるグループであったり、そういうグループの一部の人について下位の昇給区分に当てはめるということになる、中位の人事評価の方を下位の昇給区分に当てはめるということになる。

 さらに、公務の実態でいいますと、課や係単位などチームで仕事をすることが多いということもございまして、そういう中において必ず一定の割合を下位の昇給区分に当てはめるということは、必ずしも適切ではないのではないかというふうに考えております。

 このため、下位の枠ということにつきましては、いわゆる正規分布にする、そういう形での仕組みというのはとってはいないわけですが、繰り返しになりますが、下位の人事評価を受けた者については必ずするということは、これは当然のことで、やっているというところでございます。

 この昇給区分につきましては、民間企業におきましても、組織、業種、業態においてさまざまな方法が考えられておるところでございまして、私どもの方で、大量ではありませんが、幾つか聞き取り調査などをしておりましても、相対評価により下位の昇給区分に必ず一定の比率を当てはめる企業というのは一部に限られているというふうに受けとめております。

 ちなみに、労務行政研究所というところでの調査結果、平成二十三年によりますと、五割弱の企業が下位の評価について人員分布枠は設定しているが、緩やかな運用が多いということで、枠を厳格に適用しているのは約一割程度というふうに聞いているところでございます。

 いずれにしましても、組織としてどのような人事管理をするのがその組織にふさわしいかという判断で、それぞれさまざまな判断がなされているというふうに理解しているところでございます。

東国原委員 時間が来ましたので終わりにしますけれども、また、分限免職とか降給処分等々がどれぐらいのパーセンテージの人数がいるか聞きたかったんですけれども、時間が来ましたので。

 冒頭申し上げましたとおり、親御さんたちが、保護者の方たちが子供さんたちになっていただきたい仕事一位、そしてまた子供たちが将来つきたい職業が公務員ということ。でも、そんなに公務員の世界も甘くないぞ、これから公務員もしっかり襟を正していかなきゃいけないぞということを皆さんに理解していただく、それを踏まえた上でも公務員になって地域あるいは国家のために奉仕したいということであれば、私は大歓迎じゃないかな。

 そういう環境あるいは制度、そういったものを我々政治家として、国会として整備していく、そういう使命があるのではないかということを改めて思いました。そしてまた、そういう法整備あるいは環境づくりに総務省としては全力を挙げていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

北側委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 質問させていただきますが、今の東国原さんの質問と、私、何点かかぶっておりまして、よくかぶるので困るな、今度は順番を変えてもらおうかなと思っていますけれども。

 まず、今回の五十五歳を超える昇給抑制の見直しということでありますが、もともと平成二十四年八月八日の人事院勧告でこれが出されて、前政権の野田政権のときと今回の安倍政権のとき、いわゆる方針が変わったわけでありますけれども、この方針が変わった経緯、そして理由がわかればお答え願いたいと思います。

笹島政府参考人 昨年の人事院勧告の取り扱いにつきましては、前政権におきまして十一月十六日に閣議決定をしておりまして、この中では、「給与減額支給措置期間が終了する平成二十六年四月から実施する方向で、平成二十五年中に結論を得るものとする。」とされていたところでございます。

 その後、政権交代後、先ほどの大臣からの答弁もありましたように、予算編成過程の中で、人事院勧告制度尊重という基本姿勢のもとで改めて検討を行った結果、早急に実施すべきということになりまして、昇給時期というのは毎年一月一日ということでございますので、直近の昇給時期である来年の一月一日、二十六年一月一日からの昇給抑制措置の実施ということになったというふうに理解しております。

佐藤(正)委員 要は前倒しをしたということでありますから、賛成であります。やっていただきたいと思います。

 当時は、震災等で給与の七・八%削減等もある、そういう意味では高齢層の方々に負担がかかるのではないか、こういうような配慮から少し先延ばしをしたということなんですが、国民から見れば、もうことしから始まっておりますが、いわゆる復興増税も始まっている、そういう判断から安倍政権が今回方針変更したことは、私は評価をしたい、このように思っております。

 その中で、五十五歳を超える昇給制度の見直しについて、先ほど来から、五十歳以上、いわゆる高齢層については官民較差がある、民間よりも高いんだという答弁がありましたけれども、どれぐらい高いんですか。

古屋政府参考人 五十歳代前半層まではおおむね均衡しておるんですが、後半層、これにつきましては約八%程度差があるという現状でございます。

佐藤(正)委員 そこで、今回、先ほど来から議論がなされていますが、とはいえ、やはり優秀な方は昇給を認めようということになっていますよね。Aランク、Bランクというんでしょうか、Aランクが極めて良好であり、Bランクは特に良好であるということでありますが、この評価については、絶対評価で出すのか相対評価で考えているのか、どちらなんですか。

古屋政府参考人 上位の区分につきましては、人事評価に基づきまして決定するということでございます。ただ、上位の昇給区分については、過度の集中を避けようということ、まあ、過度になるかどうかということですが、集中を避けるということで枠を設けるということでの、一定の枠を設けさせていただいているということでございます。

 したがいまして、先ほども出ましたが、中位の評価を受けた者を上位の昇給区分にするということはないという意味では、普通の言葉における相対評価とは異なる、一定のルールを設けているというところでございます。

佐藤(正)委員 では、その一定のルールの枠は、どうなんですか、何%と決めているんですか。

古屋政府参考人 一番上の部分が五%、二番目の部分が二〇%ということでございます。

佐藤(正)委員 過去のいわゆる特別昇給、一五%の方が特別昇給をする、これが、どうもおかしいところが何点かある、そういう議論が、実は、我々のみんなの党の浅尾政調会長が予算委員会の場で、たしかやりとりをされたと思いますよ。そのときに、先ほど来から議論がありましたように、人事評価は絶対評価でやりながら、昇給部分だけは相対評価でやる。

 先ほど来からいろいろ御説明をされていますが、その説明を聞いて、そうだなと思う人がどれぐらいいるのかなと思いますよ。そのことも実は予算委員会の中で議論がされました。

 そのときに総務大臣も安倍総理もおられましたが、浅尾政調会長が質問をされたときに、昇給する部分だけが相対評価、いわゆる給料が上がる部分だけ相対評価で枠をとっている、それ以外は絶対評価でやっている、どうもおかしいんじゃないかという議論だったんですよ。

 また同じような答弁をされたけれども、安倍総理は何と言ったかというと、ここに答弁があるんですけれども、「確かに上げる方だけ相対評価で上げるのは、やはり何らか国民的にも納得できないだろう、相対評価にするのであればそうした分布にしていくべきだろう、このように思いました。」質問を聞いて答えられた。その後に総務大臣にも同じような質問をされて、研究しますというお答えでありました。

 その研究結果、先ほど質問の中にもあった、重複すると思いますが、総務大臣、どのように指示をされて、今どうなっているのか、お答え願いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、実際の評価がどのような分布になっているかということを実態把握しようじゃないかと。

 当初は、これを導入しましたから、それがきちんと運用できるかどうか、こういったものを見ながら、推移を見守っていたわけであります。しかし、もう数年たちましたので、ここで、どのような分布になっているかということを把握しよう、その上で、どのような改善をなすべきなのか研究しようじゃないかということで、先ほど局長からも答弁させましたが、私としても、ここはきちんとした、国民の皆さんに説明責任を果たせるような形のものにしようと思っています。

 ただ、そこで、絶対評価と相対評価、ゼロ、一〇〇でどちらかにするということではなくて、そもそも民間においても、絶対評価で評価した上で組織としての必要な部分を相対的に加味するというようなことが行われております。これは組織として当然だと私は思うんですね。ですから、ゼロ、一〇〇のことではなくて、うまくまぜ合わせた上で、よい人事制度、こういうものを構築しなければいけないのではないかな、このように思っています。

佐藤(正)委員 それは、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。

 その議論の中で、こういう指摘がされたんですね。一五%の方の特別昇給はやめました、そして、新たな制度にやり直しますよ。では、何のために特別昇給をやったのか。では、改革をするために財源を出すのであれば、その一五%の財源は大体幾らなんですか。

 そして、今の仕組みで見ると、一五%の特別昇給の財源は、本来なら、予算が減るわけですからお返しするというのが普通ですね。ところが、今回それをお返ししなくて、今言った相対評価の中に含まれてしまったということが考えられるんですね。

 普通の民間企業であれば、特別昇給というのはもう今の時世におかしいんだ。例えば、特別昇給をやったときにいろいろなことを仕組み的に考えられるという、まあ、御存じなのでこれ以上言いませんが、そうなったときに特別昇給をやめたんだ。だったら、特別昇給の財源はあるはずなんだから、その財源を一般財源にお返しするなりするべきだったのかもしれません。ところが、それをせずして、その財源はそのまま相対評価の上位の、先ほど、五、二〇のところに分布されたんではないか。計算上そうなってしまうんですね。

 そこが、議論の中で一点、どうなんですかという質問を踏まえた中で、先ほどの安倍総理の感想が出たんです。

 そこは、やはり、私が聞いていても、国民からすると、何なんだろうな、このように思われても仕方がないと思いますが、いかがですか。

原政府特別補佐人 事実経過につきましては、今御指摘のあったとおりの運用になってございます。

 私ども、民間準拠の考え方は、毎年四月一日の公務員の給与と民間の給与を決めて、それを均衡するという原則でやってございます。

 もちろん、公務においてもそうでございますが、民間においても、一年間の中の人事評価あるいは人事運用といったものにはいろいろな動きがあるところでございますが、私は、その一年間の中で、必要な昇給でありますとか、昇格でありますとか、そういった人事上の配慮をするということは、重要な事柄ではないか、人事管理上必要な事柄であるというふうに考えてございます。

 かつて、そういう考え方の中で特別昇給が公務の中でも位置づけられておったわけでございますが、御指摘のありましたように、やや疑義のある形もございまして、これはやはり見直そうという形にいたしました。そして、るる御説明申し上げましたような形で今の運用になってございます。

 そういったところで、それをしなければその財源は出るではないかというのは御指摘のとおりでございますが、私は、その額そのものがどうかという議論は別としまして、そういったものを一年間の人事運用の中で執行するということは、仕事をした人間にはきちんと報いるし、そうでない者には一定のしからざる評価をするという事柄は必要であると思いますし、これは、いろいろやり方はあろうかと思いますが、民間においてもそれなりになされていることだと思います。

 そういった意味で、御指摘ございましたように、財源的には、かつての特別昇給の枠の範囲内でやるという形でやりましたが、私は、それ自身は必要な事柄ではないかというふうに考えてございます。

 ただ、絶対評価の分布がどういうふうになっているか、そういったところについてもまだきちんと全体像が把握できていない部分でございますし、人事評価そのものも、全体的な実行に移し、かつ、その結果を見て給与に反映するということについての実績が、まだ積み重ねが大変少ないことも事実でございます。

 少なければいいということではございませんが、やはりそういった動きを見ながら、今後の人事管理をどうしていくべきかという点については、私どもとしても、重大な関心を持ってしかるべく対応をしてまいりたいと考えている次第でございます。

佐藤(正)委員 るる説明がありましたが、わかりやすく言うと、先ほど言ったように、今回でもそうですが、給与を、相対評価で枠をある程度とらないと、上限が幾らになるかわからないんですね、給与が幾らになるかわからないということなんですね。そういう意味で、前回の特別昇給の枠の額があるから、それを相対的に当てはめて五と二〇にしたという論理が成り立つということだけ指摘しておきます。

 次に、五十五歳以上の高齢職員、私も五十八ですから、ちょっとこの言葉はあれですが。これをなぜやったのかというところをよく考えてみると、五十三、四ぐらいから、俗に言う肩たたき、勧奨退職制度がこれまであって、ところが、民主党政権になって、政権交代をして、この勧奨退職制度をやめるということになった。となると、どうなるか。勧奨退職でやめられて、天下りに行く人もいるでしょう、民間に行く人もいるでしょう。そうしたら、そこに行かなくなったものですから、滞留されてきた。これは困ったなということで実は今回の、まあ、官民較差もありますけれども、この法案になったという指摘もありますが、いかがですか。

古屋政府参考人 先ほども申し上げたところでございますが、民間の変化それから公務における変化というのが、近年、五十五歳を超える職員の官民の比較において差が出てきた要因になっておる。その中の公務における要因の一つとして、今御指摘の、在職期間の長期化ということも一つの要因になっているというふうに我々も認識しているところでございます。

佐藤(正)委員 要するに、今私が申し上げた要因があるということですね。それも一つの要因である。

 そうですよね。そうしないと、そこに滞留された高給取りがどんどん残っていって、そうしたら、給与費はどんどん膨らんでくるし、逆に言ったら、単純に定数削減といって、基本的に若い人を雇わないだけになってしまう。

 民主党の方々は耳が少し痛いかもしれませんけれども、定数削減ばかりに走って、新規の国家公務員を六割削減するとか……(発言する者あり)八割。とんでもない。組織としては、やはり新しい血を入れない限りは活性化はしないです。そういう意味では、実は、給与はもっと抜本的に、本来考え直す必要性があると私は思います。

 そして、次に、お手元の資料に、自民党のホームページより、二〇一〇年の自民党の「なまごえプロジェクト」という資料を皆さんにお配りさせていただいていると思います。いいなと思います。「公務員改革を実現できるのは自民党です。」「自民党は、“みんなの党”といっしょに「公務員改革法案」を国会に提出しました。政府・民主党の公務員改革案は“偽物”です。 公務員の組合である“官公労”べったりの民主党に本当の公務員改革は実現できません。」

 そこで、お尋ねをしたいんですが、先ほど来から質問の中でもありましたが、党首討論でもこの問題が、私どもの渡辺喜美代表から安倍晋三総理に質問をして、討論させていただきました。

 そのときに、ちょっと読ませていただきますけれども、

  私も第一次安倍内閣で公務員制度改革担当大臣をやらさせてもらいました。あのころの安倍総理はすごい迫力がありましたよ。それは、今までやったことのない、つまり、日本の官僚制度、まあ身分制ですよ。この身分制を民間並みの信賞必罰に持っていこう、そういう方向性を持って一番難しい問題から取り組まれた。それは天下り規制ですよ。あのときの法案、現役時代は実力主義、再就職をするときも実力主義でいこう、それが各省天下りあっせんの全面禁止という安倍第一次内閣の国家公務員法改正法案です。

  そして、その延長線で、

先ほどありました、この「なまごえ」が出てくるんですが、

 自民党が野党になったときに、まさに公務員の身分制をやめてしまおう、まず幹部公務員からやめよう、任期付採用にしよう、事務次官なんか要らないよ、そういう法案を自民党とみんなの党で共同提案したじゃありませんか。なぜ、この法案を安倍内閣、御採用いただけないんでしょうか。これをやったらすごいことになりますよ。いかがでしょう。

そうしたら、安倍総理からも言っているんですよね。ここは余り言いたくなかったんですけれども、

  第一次安倍内閣において渡辺さんを大臣に起用する、これは勇気が要ることでありましたが、党内の様々な議論を乗り越えて渡辺さんに大臣をお願いして、見事に私は期待にこたえてくれたと思います。

  そして、みんなの党と野党時代の自民党で成案を作った。これも踏まえて、今までのずっと累次行ってきた公務員制度改革の様々な状況を検討しながら、また御党とも協力をしてこの公務員制度改革、進めていきたいと、このように決意をいたしております。

と、討論でやりました。

 同じ思いでやれると思って、我々は、今国会で、また今後に、与党自民党として動かれるんだろうと期待をしております。

 この基本法案、プログラム法案から、先ほど大臣も言われましたけれども、何度か、麻生内閣に一度出され、最終的には、みんなの党との法案を出された、結果的に成案にはなりませんでしたが。

 そこで、お尋ねをしたいんですが、この法案から後退をするようなことは考えておられませんか。どうでしょう。

新藤国務大臣 今、稲田大臣のもとで、公務員制度改革を根本から見直そう、これまでの議論も踏まえた上で、極端な話、逐条ごとにチェックをしつつ、この方向性を出したいということで検討に入っているわけであります。

 後退であるとか前進であるとか、そういうことではなくて、今、我が政府として最適、最善なものを組み立てよう、これまでの経緯も踏まえながらそういった形をつくろうということで、稲田さんの方が一生懸命やっていただいておりますし、我々も必要に応じた意見を出している、こういう状態でございます。

佐藤(正)委員 稲田行革担当大臣のもとでということでしょう。きょうお見えになっているので、総務大臣が答えるとは思っていなかったんです。お願いします。

山際大臣政務官 済みません、タイミングを逸しました。

 総務大臣から今お答えいただいたように、今までの議論というものを無視しているわけではございません。大変重要なものだという認識のもとに、稲田大臣のもとで有識者の懇談会というものを鋭意重ねて、先般、中間報告というものを出させていただきました。もうごらんになっていただいていると思いますが。

 検討しなくてはいけない具体的な事項というのがまだ残っておりますので、これから夏に向けまして、七月ぐらいでしょうか、あと一月ぐらいというふうに中間報告では稲田大臣から御報告させていただいておりますが、そこで、今総務大臣からもお話がございましたように、本当にやる気があって志の高い公務員が日本の国のためにしっかり働けるような制度をつくっていこう、こういう志を持って、今鋭意検討しているところでございます。

佐藤(正)委員 そこで、いわゆる幹部公務員制度、ここが大きいんですが、我々が言っていたのは、民主党政権時代の法案と違うところは、例えば、事務次官も当然廃止をするんですが、基本的に、幹部を一つのくくりとするならば、その中で、その枠を超えても降格人事もできるよというようなところが大きなくくりとして、自民党とみんなの党が法案を出させていただいたんですね。

 ぜひ、こういうところは実施をしていただいて、それこそ政治任用になるわけです、大きな肝だと思います。一緒に法案を出しましたので、ぜひ、そのことも注視をしながら議論をしっかりやっていただいて、我々はこれからも声を大にして公務員制度改革については訴えてまいりたいと思いますので、たがわないように、よろしくお願いをしたいと思っています。どうでしょうか。

山際大臣政務官 今委員が御指摘いただいた点も踏まえて、それも含めて、きちんと検討を進めてまいりたいと思います。

佐藤(正)委員 ぜひ、検討して進めていただくように、出てくることを楽しみにしています。一刻も早く出していただきたいと思います。

 本部事務局は、期限切れでもうなくなっちゃうんですね、基本法の中で。そういうことなんですよ。我々は、なぜなくすのか、そこから基本的に考えていく。でも、今のように稲田大臣のもとでそれをやっていくのであれば、そこでしっかりやっていただかないと。我々は、本部をなくす必要はない、このように思っております。その点は指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、平成二十二年六月二十二日、民主党政権時代に閣議決定されました退職管理基本方針についてお尋ねをしたいと思います。

 退職管理基本方針の2の「職員の再就職の規制等に係る指針」の(1)のイにある、これは指針を読んでもらわなきゃ、資料を渡していないので申しわけないんですが、「再就職情報の一元管理・公表等」に、「再就職情報について、政府としての一元管理及び国民への情報公開を的確に実施する」ことになっています。

 そこで、現役出向についてちょっとお尋ねをしたいんです。

 現役出向の現状況について、今どれぐらい現役出向で行かれているのか。それからもう一つは、現役出向で行かれて、短期間で、いわゆる現役出向後、公務員の身分で来ていますから、公務員を退職してそのまま出向したところに残っていらっしゃる、こういうケースがあるんでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申します。

 現役出向の現状、実績でございますけれども、平成二十四年の十月一日現在で申し上げますと、独立行政法人では百二法人に百四十三名、特殊法人では三十一法人に二十八名の現役の役員出向者がおるというところでございます。

 今お尋ねがありました、そのままいるような例があるかということでございますが、現役出向の仕組みは、国家公務員が国の機関を退職し、独立行政法人の役員として、国への復帰を前提として出向を行うというものでございまして、出向させる職員の選任に当たっては、国への復帰を前提とすることとしておりまして、このような制度の趣旨に沿った運用がなされているというふうに理解しております。

佐藤(正)委員 ということは、今私が言ったことはないと言い切れるんですね。それをお尋ねします。

笹島政府参考人 制度の運用に沿ってなされているというふうに理解しております。

佐藤(正)委員 だから、ないということでしょう。そういうことはないと言えばいいじゃないですか。そういう運用をされているんだったら、ありませんと言えば済む話。

笹島政府参考人 ないと理解しております。

佐藤(正)委員 その答弁が実は欲しかったんですね。

 もしあったとするならば、まさにこれは現役出向の名をかりた天下りに当たるじゃありませんか。だから、何度もあるかないかをお尋ねしたんです。

 これは、そういう調査、もしくは、その現役出向の方々がその後どうなったのかしっかりと把握をされているから、今、ないということが言えたと思いますが、その把握、調査もしっかりやられているんですね。どうですか。

笹島政府参考人 独立行政法人等における役員出向の現状については、定期的に調査をしているところでございますし、それから、退職手当法に基づく出向の仕組み、その運用についてはいろいろな形で周知徹底を図っているところでございます。

佐藤(正)委員 周知徹底は最初から当たり前の話ですよ、そんなこと。

 そんなことを言っているのではなく、それをちゃんと把握して調査をされていますね、だからゼロということが言えたんですねということをお尋ねしたんですから、やっておりますならやっておりますと言っていただければそれで結構なんですよ。どうでしょうか。

笹島政府参考人 個々人についてずっとフォローするというような調査はしておりませんが、制度の的確な運用についてはちゃんと把握しているところでございまして、そういった観点から、そういった例はないというふうに理解しております。

佐藤(正)委員 ないということでありますから、あったら大変なことですよ。あったら、まさに現役出向という名をかりた、何度も申し上げますが、まさに天下りの実態そのものです。その点は安心をしましたから、ないということで私も信じておりますから、よろしく。もしあったら大変ですよ。よろしくお願いします。

 それから、もう時間がありませんが、あと一問で終わりたいと思いますけれども、政権がかわりましたから、自民党になって、今申し上げた退職管理基本方針、少し検討をされたらどうかな。自民党も、天下りは根絶するんだと、さっきの中にも書いていましたし。

 我々が考えるのは、これは前政権と少し考え方が違うのかもしれませんが、現役出向というのもいかがなものかなと思っております。

 その中で、俗に言う天下りと言われたポストについては、公募というふうに大々的に変わったということでありますね。俗に言うポストが、現役出向の場合はそのポストはフリーですよ、公募じゃありませんよ、そこはいいですよと。しかし、国民にとっては、そのポストは公募なんですよ。これは、国民から見ると、いささか違うのではないかなというふうに思われる。私もそう思います。

 そういう意味では、自民党政権、自公政権として、この公務員制度改革、先ほど申し上げたように、大きな改革を進めていただけるという決意もいただきました。ぜひ、この退職管理基本方針についても中身を精査されて、実態を精査していただければと思います。

 さらに、先ほど来申し上げましたように、五十五歳の今回の法案についても、ただ単に滞留するからということではなくて、もっと抜本的に給与体系もしっかり見直さないといけないんだろうと思います。そして、やはり企業、組織は新しい血も必要でありますので、その点を御指摘して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北側委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、最初に、政府の人件費削減政策というのが国立のハンセン病療養所の職員体制に影響を与えて、結果としてハンセン病の元患者、入所者の方の待遇の改善に逆行するような事態になっている、こういう現状について、政府の施策のもとでそれが行われているということについての大臣の所感をぜひお伺いしたい。あわせて、坂本副大臣もたしかハンセンの議懇のメンバーだったと思いますが、一言いただければと思います。

 私もこの間、草津の栗生楽泉園や多磨全生園に足を運んで、入所者の方のお話を伺い、また、所長を初め職員の方のお話も伺ってまいりました。

 多磨全生園でいただいたパンフレット、厚生労働省が作成をしている、学校の学習教材に使われている「ハンセン病の向こう側」、こういうパンフレットの中でも、ハンセン病についての歴史的な経緯が紹介をされております。

 戦前においても強制的な隔離が行われる。感染性も低い、戦後はプロミンによって完治をする、こういう病だったにもかかわらず、らい予防法という国の法律によって強制隔離政策がずっととられてきた。このもとで、元患者の皆さんの人権が侵害をされ、また社会復帰の道が断たれ、生活再建の道も閉ざされる、こういったことが行われてきたわけであります。

 パンフレットでは、こういった元患者の皆さんが置かれた状況について、

 親や兄弟姉妹と一緒に暮らすことができない――。

 実名を名乗ることができない――。

 結婚しても子供を生むことが許されない――。

 一生療養所から出て暮らすことができない――。

 死んでも故郷の墓に埋葬してもらえない――。

  こうした生活をハンセン病患者は長い間強いられてきました。あなたは想像できますか?

このように呼びかけております。

 こういったハンセン病の患者の方の暮らし、あなたは想像できますか。

 だからこそ、ハンセンの元患者の皆さんが裁判にも訴えて、こういう人権回復を求める運動に取り組み、熊本地裁での原告勝訴の判決を踏まえて、国は、ハンセン病問題の早期の全面解決ということで、原告の主張を受け入れ、控訴をしませんでした。そういう中でのこの間の政府の対応があったわけであります。

 二〇〇九年四月に施行されましたハンセン病問題の解決の促進に関する法律があります。

 そこでは、ハンセン病問題とは、隔離政策に起因して生じた問題、つまり国の誤った政策によって生まれた問題なんだ、このことを明らかにして、前文においては、国の隔離政策に起因してハンセン病の患者等が受けた身体及び財産に係る被害その他社会生活全般にわたる被害の回復には、未解決の問題が多く残されている、とりわけ、ハンセン病の患者であった者等が、地域社会から孤立することなく、良好かつ平穏な生活を営むことができるようにするための基盤整備は喫緊の課題であり、適切な対策を講ずることが急がれている、このように指摘をし、その中で、法律の基本理念として三点を挙げています。

 一つが、隔離政策によって加えられた被害の回復。入所者の生活環境が地域社会から孤立することなく、安心して豊かな生活を営めるよう配慮すること。そして三つ目に、全ての人は、ハンセン病患者であった者等に対して、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはいけない。

 このように出されている法律が全会一致で成立をしたところであります。そういう中での政府の施策が問われている。

 こういう現状について、平成二十一年七月九日、これは衆参の本会議で、国立ハンセン病療養所における療養体制の充実に関する決議、これも全会一致で採択をされております。衆議院の決議においてはこのように述べております。

  ハンセン病の患者は、「らい予防法」を中心とする国の隔離政策により、偏見と差別の中で多大の苦痛と苦難を強いられてきた。

  国立ハンセン病療養所の入所者については、視覚障害などのハンセン病の後遺障害に加えて、その高齢化に伴い、認知症、四肢の障害等を有する者が増加している。

  国は、平成二十年六月に成立したハンセン病問題の解決の促進に関する法律の趣旨も踏まえ、国立ハンセン病療養所における入所者の療養の質の向上を図り、入所者が良好かつ平穏な療養生活を営むことができるようにするため、その責任を果たす必要がある。

  政府においては、国の事務及び事業の合理化及び効率化の必要性は理解しつつ、入所者の実情に応じた定員の在り方及び療養体制の充実に万全を期すべきである。

  右決議する。

まさに国立ハンセン病療養所の職員体制について、特別の措置、配慮を行うべきだというのが国会の決議であります。入所者の療養生活を支えることは国の責任であり、まさに公務で行うべき仕事となっております。

 入所者の皆さんの平均年齢は八十二歳を超えておられます。看護も必要です、介護も必要です、さまざまな介助も必要となっております。当然そこには人手がかかるわけであります。

 例えば、お風呂にも毎日入れるわけじゃないんです。週に二日とか。どうしても介助が必要ですから、その人手の限りもあって毎日の入浴も楽しむことができない。また、高齢化もあって、食事の際に、誤嚥、気管の方に、肺の方に入ってしまう、こういう事態がたくさん生じて、これを機に亡くなられる方も少なくないという現状になっております。そういう点でも、入浴や食事の際の介助、介護に人手が必要だということが、より一層ふえてきているというのが今の入所者の置かれている状況であります。

 いわれのない差別によって家族の皆さんと引き離されたのが、この元患者、入所者の皆さんであります。そういう入所者の皆さんにとって、療養所の職員というのがいわば身内、こういう思いでいらっしゃる。そういう身内の皆さんの待遇改善を願う、これもまた当然の気持ちではないでしょうか。

 しかし、職員の増員こそ必要なのに、定員合理化計画があります。これで枠がはまっているんです。そのために、五年間で一割減らしましょうという方針、こういうもとで厚労省の枠もはまり、ハンセンの療養所の枠もはまり、この間減らされてきた。

 これは困るということを入所者の皆さんが訴えて、こういうことについて、それこそ、昨年においては、実力行使決議まで上げて、全国のハンセン療養所の入所者協議会、全療協の皆さんがいわば直談判を訴えてこられた。官房長官にも要請をされた、こういう取り組みがこの間行われてまいりました。

 何とか今年度については現状を維持するという状況とはなりましたけれども、この先について何らの確約もありません。そもそも、増員を求めてきたのに減らされてきた、それがとまっただけであって、増員という状況にもなっておりません。

 そこで、新藤大臣と坂本副大臣にお聞きしたいのは、こういう国の定員合理化計画にそもそも問題があるんじゃないのか。全療協の皆さん、あるいは議懇の皆さんも訴えておられるのが、こういった法律や国会決議がある中で、せめて入所者のいらっしゃる療養所における職員体制については、定員合理化計画の枠外、例外扱いをしてほしい、こういう特別の要請もされておられるわけであります。こういう見直しこそ行うべきではないのか。

 その点で、こういうハンセン病の元患者、入所者に対する国の責任についても、お感じのところをあわせてお聞かせいただければと思っております。

新藤国務大臣 今、塩川委員がおっしゃったことには私も共感しておりますし、実情認識も共有しております。

 そして、法律や国会決議等々私も立ち会っておりますから、これについて多大な苦痛や苦難があったことを深く反省しなくてはいけない、こういうことであります。

 そして、現状で、ハンセン病の後遺障害それから高齢化、こういったものが進む中で、入所者への適切な職員の配置を行わなければならないと思っております。

 ことしも、実は、私が大臣になりましてからも、人員の配置の問題がございました。厚労省からの御要請には精いっぱい、私もお応えをさせていただいたつもりであります。

 大切なことは、入所者の実情等を踏まえた対処をしていく、こういうことで、今後もよりよい環境改善に向けて努力してまいりたい、このように思います。

坂本副大臣 私の選挙区には、日本で一番多い入所者がいらっしゃいますハンセン病療養所恵楓園がございます。千人を超えていた恵楓園ですけれども、今はもう四百人を切りました。しかも、今委員言われましたように、平均年齢が八十二歳を超えました。これまでボタンをはめていたものがボタンもはめられなくなった、そういうようなさまざまな問題も起きております。

 大臣言われましたように、国会決議を踏まえて、入所者の皆様の生活に不自由がないように努力をしてまいりたいと思っております。

塩川委員 公務で担うべき仕事がある、そういう立場で定員合理化計画そのものの見直しも強く求め、少なくとも、ハンセン療養所における職員削減計画については、これを例外扱いする、そういう措置は直ちに行うべきだということをあわせて申し上げておくものであります。

 こういった政府の公務人件費の削減政策というのが、人減らしの方と同時に、賃金についても同様に行われているところであります。

 政府は、国家公務員給与の臨時特例法の成立を受けて、独立行政法人や国立大学法人等に、自律的労使関係の中で人件費引き下げを実施することを要請しております。また、地方公務員給与引き下げについても要請し、その実施を点検するとしてまいりました。

 共通していますのは、一つは、要請するだけじゃなくて、地方交付税や運営費交付金を削減という形で給与、人件費削減に追い込むやり方であり、またもう一つは、引き下げに向けた催促と点検の実施ということであります。

 地方公務員給与については、地方交付税法の改正案のときに質問をいたしました。きょうは国立大学法人に関してお尋ねします。

 今、国立大学法人は八十六ありますけれども、この八十六の国立大学法人が要請を受けて給与見直しを行いました。それは、月ごとで見ると、四月に五大学、五月に四大学、六月に十九大学、七月に四十六、八月に九、九月が三、この九月までで全て措置済みとなっております。

 これは、政府としての閣議決定もあるわけですが、三月の八日の文科大臣の通知、五月十一日の岡田副総理の関係閣僚懇談会での発言、そして五月二十九日付の文部科学省高等教育局長名通知を行って、大学法人への賃下げの催促、点検を行ってきたわけであります。

 そこで文部科学省にお尋ねしますが、国立大学は、二〇〇四年度から大学法人化をしております。国立大学法人としての性格というのは当然あるわけで、そういうのを踏まえた給与、賃金の決定方法というのはどのようになっているのか、この点についてお答えください。

常盤政府参考人 国立大学法人の給与につきましては、法人化いたしておりますので、自主的、自律的な決定ということになっております。

塩川委員 国立大学法人においては、労働基本法などの労働法規で規定されるように、自律的な労使関係として、給与、賃金は労使間の話し合いで決定されるということであります。

 これまでは、人事院勧告を受けて、政府方針、閣議決定を踏まえ、各大学法人が労使間で話し合い、給与、賃金を決定してまいりました。これまで、人事院勧告を踏まえて、政府が方針、閣議決定などを行って、それを念頭に、各大学法人で労使で話し合って決めるということが経緯だったわけでありますけれども、その際に、運営費交付金というのはどうなっていたのか。運営費交付金は人勧あるいは給与法に連動して変動する、これまではそういう仕組みになっていたんでしょうか。

常盤政府参考人 国立大学法人運営費交付金につきましては、これまで人事院勧告に連動して交付額を決定したということはございません。

塩川委員 運営費交付金は、人勧や給与法に連動して変動する仕組みにはなっておりません。二〇〇四年の法人化以降、運営費交付金が人勧に連動して動いていないわけであります。

 続けて文科省にお尋ねしますが、地方公務員給与の場合には、地方交付税をいじりました。独立行政法人や国立大学法人等については、運営費交付金を活用して賃下げを押しつけるという異常なやり方だったわけであります。

 国立大学法人において、結局、運営費交付金の引き下げをてこに賃下げを押しつけるようなやり方、こういうのはやはり強制と言わざるを得ないんじゃないですか。文科省としてどのようにお考えか、お聞かせください。

常盤政府参考人 国立大学法人につきましては、先ほど委員からも御指摘ございましたように、閣議決定等を踏まえまして、必要な、私どもとしての要請ということを行っております。

 また、給与の削減と予算のことについてもお尋ねをいただいたわけでございますけれども、この点につきましては、昨年八月に予算の概算要求の組み替え基準におきまして、独立行政法人等に対する運営費交付金等の人件費相当額のうち、給与改定臨時特例法に基づく国家公務員の給与削減と同等の給与削減相当額を控除した上で算出する旨の閣議決定がなされまして、原案どおり予算は成立しておるという状況でございます。

塩川委員 だから、人件費部分について運営費交付金を削った、そういうやり方が、結果として、自律的な労使関係、労使の話し合いで決めるという現場において、国として賃下げを押しつけるという仕組みとなっている。そういうのを強制というんじゃないですかと聞いているんですが、お答えください。

常盤政府参考人 私どもといたしましては、法人の自律的、自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、役職員の給与等について必要な措置を講ずるよう要請するという考え方でございます。

塩川委員 現場ではそうなっていない、まさに強制という状況になっているということは指摘をしておくものであります。

 そういう中で、これは、国立大学の職員にしてみても暮らしがあるわけですから、そういう生計費に大きく影響を与えるということと同時に、通常のやり方にはない、異常なやり方ということもあって、大学の現場では大きな不信感が生まれて、国立大学法人化の目的を政府自身が踏みにじるのではないか、不当な賃下げではないかということで、未払い賃金請求訴訟の提訴にまで至っております。

 人材の育成、確保、国民、学生に責任を持った良質な教育、研究、医療の提供が続けられるのか、深刻な懸念が生まれております。

 文科省にお尋ねしますが、こういう声が出ている。公募にかけても十分な、そして優秀な候補が得られなくなってきているという声や、人文社会系の分野で私立大学への人材流出が生まれているといった声がある。私も、ある国立大学の学長さんとお話をしたときに、確かに、中堅どころの皆さん、これから将来性があるような職員が私立大学に移る、こういう事態が生まれているという話もお聞きいたしました。

 人材流出、人材の確保が困難、こういう事態が賃下げによって生まれている、そういう声は文科省に届いておりませんか。

常盤政府参考人 お答えが繰り返しになりますけれども、私どもといたしましては、法人の自律的、自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与見直しの動向等を見つつ、必要な措置を講ずるように要請をするという立場でございます。

塩川委員 質問に答えていません。

 賃下げによって、結果として人材確保が困難になっている、人材流出が進んでいる、こういう声は文科省本省には届いていないんですか。

常盤政府参考人 これも繰り返しになりますけれども、国立大学法人、これは法人化をしたわけでございます。その中で、自律的、自主的な労使関係の中でそういう取り組みということが行われているということでございますので、私どもの方で、届いているか届いていないかというお答えを今ここでいたすのは差し控えたいというふうに思っております。

塩川委員 現場の混乱に耳を傾けないようなあり方では、本来の学術研究、教育の役割は果たせなくなるということを言わざるを得ません。

 これは国立大学だけじゃないんです。先ほどもお話ししました国立のハンセン病療養所においても、看護師不足が深刻なんですね。

 国家公務員であるハンセン療養所の看護師は、これまで国立病院機構との人事交流も行ってきました。国立病院機構においては、看護師の賃下げはやめよう、人材確保が困難になるからと。そのために差ができてしまったんです。国家公務員であるがゆえに、ハンセンの療養所の看護師は賃下げというのを受けているわけです。

 賃下げによって国立病院機構より待遇が悪くなったので人事交流も難しくなっているとか、栗生楽泉園では、施設そのものが山間地にありますからもともと人の確保も困難なところなのに、賃下げによって条件が一層不利になっている。

 また、都心部にある多磨全生園では、近隣に民間の医療機関もたくさんあります。そこでも人手不足です。ですから、来てくれ、来てくれという声もあるんです。今回の賃下げでは、やめた方というのはいらっしゃらないんですよ。やはりしっかり支えようということがあるんだけれども、新たな人を採用するのに障害となっているんですよ。これが来年四月からどうなるか、もし続くようだったら大量にやめるんじゃないかという懸念の声が非常に強まっているわけであります。

 大臣にお尋ねしますが、こういった公務の賃下げというのが、公務における人材流出をもたらし、あるいは人材の確保を困難にする、結果として、ハンセンの療養所の話にありますように、国民サービスを後退させることにつながりかねない、そういう事態が生じているという認識というのはお持ちですか。

新藤国務大臣 今回、国家公務員についての給与減額措置を講じる給与改定臨時措置、この特例法を受けまして、国立大学法人や独立行政法人にも必要な措置を講ずるように要請を行っております。先ほどから文科省が御答弁しているとおりであります。

 その中で、私も、各法人において必要な人材を確保するのには一定の給与水準が必要である、このように考えています。しかし一方で、私たちは今、この給与減額措置は、日本の経済再生、それから、特にこの場合には東日本の復興というものがありました、こういったものを踏まえまして、臨時異例の措置としてお願いをしているわけであります。

 今後のことにつきましては、もう私も何度も申し上げておりますが、これは総合的な状況を勘案しながら政府として検討していかなくてはいけない、こういうことであります。

 そして、私どもとしても、厚労省や文科省とも連絡はとっております。ですから、そういった不利益が生じないような、これは心配もしておりますし、現状において、私は先ほど申し上げましたけれども、公務員はとにかく与えられた枠の中で全力を尽くす、こういうことで頑張っていただいております。ですから、一遍にそれで多大な影響が出るようなことは私はないと思いますが、であるからこそ、やはりきちんとした処遇もつくってあげたい、こういう思いもあるわけであります。

塩川委員 公務員の賃下げが公務、公共サービスの後退につながっているという現状認識について、リアルな認識をお持ちでないということを指摘せざるを得ません。

 こういう点でも、私ども、こういった賃下げそのものをやめよということを申し上げたいと思いますし、デフレ脱却という方針で民間には報酬引き上げを要求しておきながら、公務を引き下げる、まさにちぐはぐじゃないか、こういう声だって当然上がっているわけですから、デフレ脱却からのブレーキにもなりかねないということも指摘をし、こういう賃下げはやめろということ。

 最後に、法案について一問お尋ねしますが、五十五歳を超える高齢職員の昇給分を現行の半分程度にしました。そうなりますと、昇給なしの状況が、良好でない人と標準、良好という人が同じ待遇になるわけですよね。そういう点でいえば、私は、良好でないという人の実態というのは懲戒処分を受けるようなそういうものであるわけで、いわば懲戒処分を受けたような職員と同じように、標準、良好と言われる職員も当てられるわけで、これでは職員のやる気が出ないんじゃないのかと思うんですが、大臣、いかがですか。

新藤国務大臣 私は、公務員の士気、モラールというものは、単に給与だけで決まるものではないというふうに思っておりますし、現場においては、そのようにしてみんな頑張っていることもよく承知をしておりますから、それが全ての原因になるとは考えておりません。

 それから、今、良好な方と良好でない人が同じになってしまったではないか、こういうお答えでありますが、しかし、特に良好と極めて良好な方は昇給の余地が残っているわけであります。ですから、人事の、全体の、民間との較差是正というものを捉まえながら、最低限のそういった人事の評価の部分というのは残してあるということも御理解をいただきたい、このように思います。

塩川委員 良好という人も懲戒処分を受けたのと同じような扱いという点では勤労意欲を失わせる仕組みとなるという点でも、高齢職員を狙い撃ちにした賃下げの仕組みづくりはやめよということを申し上げて、質問を終わります。

北側委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北側委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、一般職給与法改正法案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案は、五十五歳を超える高齢職員の昇給を大幅に抑制するものであるからです。

 歴代政権の総人件費削減政策のもと、この間、五十歳代を標的にした給与削減が繰り返されてきたのであります。加えて、昨年には退職手当の大幅削減が強行され、今度は昇給の厳しい抑制であります。年齢差別とも言えるこうした人件費削減策は、高齢職員の生計や生活設計を破壊し、若手職員にも大きな不安を与えるものであります。

 人事院も、公務と民間では「昇進管理等の人事運用に相違もある」と指摘していますが、であるならば、官民の給与差を唯一の理由にした昇給抑制は行うべきではありません。

 反対理由の第二は、本法案は、政府が公務員の士気を高め、行政運営の効率化を図ると言って導入してきた人事評価制度にも矛盾するからです。

 高齢職員の場合、昇給区分が標準(良好)でも昇給区分のやや良好でない、良好でないと同様に扱われ、昇給なしとなります。これでは、高齢職員を初め多くの職員のやる気が低下することは明らかです。

 民間では既に、業績評価制度について、多くの企業が見直しを迫られています。ましてや公務の場合、業績を数値や結果だけで見ることが難しいなど、人事評価制度が本来求められる公務の前進にとってふさわしいかどうか、根本からの制度の見直しを行うべきであります。

 政府が、独立行政法人等の役職員給与や地方公務員の高齢層職員の昇給制度に関する見直しを要請していることは重大です。広く労働者全体の生活水準、地域経済に影響を及ぼし、デフレ不況からの脱却にも逆行することは明らかであります。

 以上を述べ、反対討論といたします。

北側委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北側委員長 これより採決に入ります。

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北側委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

北側委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、山口泰明君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。

 一 今回の改正により高齢層職員の士気や意欲の低下を招くことのないよう、改正後の昇給制度の適切な運用を図るとともに、公務員の高齢期の雇用問題について十分な配慮を行うこと。

 二 平成二十五年度以降、公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に引き上げられることに伴い、再任用を希望する職員の雇用と年金の接続を確実に行うこと。その際、現在、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律により、厳しい給与減額支給措置が講じられており、特に高齢層職員は若年層職員に比較して、相対的に厳しい給与減額支給措置を受けている状況にあることにも配慮し、再任用職員の給与の適正な水準の在り方について検討を行うこと。

 三 雇用と年金の接続のための措置については、国家公務員制度改革基本法第十条第三号の規定を踏まえ、年金支給開始年齢の段階的な引上げの次期において、人事院の「定年を段階的に六十五歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」を踏まえ、その具体化について検討を行うこと。

 四 国家公務員制度改革基本法に基づく公務員制度改革に係る法制上の措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

北側委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北側委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

北側委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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