衆議院

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第3号 平成25年11月7日(木曜日)

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平成二十五年十一月七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 東国原英夫君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    石川 昭政君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      門山 宏哲君    川崎 二郎君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    橘 慶一郎君

      辻  清人君    中谷  元君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      船橋 利実君    細田 健一君

      松本 文明君    村井 英樹君

      山口 俊一君    湯川 一行君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    福田 昭夫君

      岩永 裕貴君    上西小百合君

      杉田 水脈君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    三宅  博君

      百瀬 智之君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           原口 一博君

   議員           奥野総一郎君

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務副大臣        関口 昌一君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            佐村 知子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 南  俊行君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   岡本 薫明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   参考人

   (日本銀行調査統計局長) 前田 栄治君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     細田 健一君

  小林 史明君     村井 英樹君

  田所 嘉徳君     石川 昭政君

  福井  照君     橘 慶一郎君

  山口 俊一君     船橋 利実君

  中田  宏君     岩永 裕貴君

  百瀬 智之君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     田所 嘉徳君

  橘 慶一郎君     井林 辰憲君

  船橋 利実君     山口 俊一君

  細田 健一君     辻  清人君

  村井 英樹君     小林 史明君

  岩永 裕貴君     中田  宏君

  杉田 水脈君     百瀬 智之君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     福井  照君

  辻  清人君     大西 英男君

    ―――――――――――――

十一月六日

 地方自治法の一部を改正する法律案(原口一博君外五名提出、衆法第三号)

 国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 地方自治法の一部を改正する法律案(原口一博君外五名提出、衆法第三号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案、地方公務員法の一部を改正する法律案及び原口一博君外五名提出、地方自治法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案

 地方公務員法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、本年八月八日の人事院の意見の申し出に鑑み、外国で勤務等をする配偶者と生活をともにすることを希望する有為な国家公務員の継続的な勤務を促進するため、一般職の国家公務員について配偶者同行休業の制度を設けるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、職員が、外国での勤務その他の人事院規則で定める事由により外国に住所または居所を定めて滞在するその配偶者と、当該住所または居所において生活をともにするための休業として、配偶者同行休業の制度を設けることとしております。

 第二に、任命権者は、職員が配偶者同行休業を請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、当該請求をした職員の勤務成績等を考慮した上で、配偶者同行休業をすることを承認することができることとするほか、配偶者同行休業の期間の延長等について必要な事項を定めることとしております。

 第三に、防衛省の職員について準用規定を設けることとしております。

 このほか、施行期日について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 次に、地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、国と地方の権衡を図る観点から、外国で勤務等をする配偶者と生活をともにすることを希望する有為な地方公務員の継続的な勤務を促進するため、国家公務員と同様に地方公務員について配偶者同行休業の制度を設けるものであります。

 休業の事由、休業の承認等の内容の概要につきましても、国家公務員と同様であり、地方公共団体が条例を制定することにより、当該地方公共団体において配偶者同行休業の制度が導入されるものであります。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 次に、原口一博君。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口議員 ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ、日本共産党、生活の党及び社会民主党・市民連合共同提出の地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。

 現在、地方自治体における非常勤職員に対しては、地方自治法第二百三条の二の規定により、勤務形態が常勤の職員等と実質的に同一であったとしても、その労働の対価である報酬と必要な実費負担に対する費用弁償しか支給することができないこととされています。そのため、常勤職員には当然支給されている期末手当や退職手当などの各種手当を非常勤職員に支給することは認められていません。これが、いわゆる官製ワーキングプアを生んでいる要因の一つといった指摘もなされているところであります。

 本法律案は、このような状況を踏まえ、地方自治法を改正し、常勤職員等に準ずる非常勤職員についても、条例により諸手当を支給することを可能とすることにより、非常勤職員の処遇を改善しようとするものであります。

 その主な内容は、普通地方公共団体は、条例で、非常勤の職員のうちその勤務形態が常勤の職員等に準ずる者に対し、当該常勤の職員等に支給する手当との権衡を考慮した手当を支給することができること、その手当の額及びその支給方法は、条例でこれを定めなければならないこととしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び主な内容であります。

 何とぞ、十分に御審議の上、本法律案に御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 以上です。

高木委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本銀行調査統計局長前田栄治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長井上利君、事務総局給与局長古屋浩明君、内閣府男女共同参画局長佐村知子君、総務省大臣官房審議官南俊行君、人事・恩給局長笹島誉行君、自治行政局公務員部長三輪和夫君、総合通信基盤局長吉良裕臣君、財務省主計局次長岡本薫明君及び厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 総務委員会で質問の機会を頂戴いたしまして、大変うれしく思っております。皆様方に大変育てていただいたという思いも強くございます。そういった皆様方は、この季節に合わせていえば、秋の山に鮮やかに輝くもみじのような感じがいたします。

 ということで、万葉集巻八、一千五百八十四番を詠み上げさせていただいて、質問に入らせていただきます。

  めづらしと我が思ふ君は秋山の初黄葉に似てこそありけれ

 では、よろしくお願いいたします。(拍手)

 きょうの同行休業法は、隗より始めよ、公務員から率先して取り組みをしていこうという、実はこういう一つのポイントがあるわけであります。この点につきまして、どのような形で官のこういうプラクティスを民に波及させていくかということを少し考える観点から、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この同行休業の効果といたしましては、職員の身分は保有するけれども、職務には従事せず、給与は支給しない、退職手当の在職期間からも休業期間は除く、こうあるわけでありますけれども、職員の身分が残るということからして、医療、介護保険あるいは年金の取り扱いについてはどうなるのか、まず確認をいたします。

岡本政府参考人 お答えさせていただきます。

 お尋ねは、配偶者同行休業を取得した場合の医療、年金等の取り扱いということでございます。

 この配偶者同行休業を取得している職員につきましては、国家公務員の身分を有しておりますので、休業期間中も国家公務員共済組合の組合員となります。このため、医療、介護、年金の取り扱いにつきましては、休業前と同様に国家公務員共済制度が適用されるということになっております。

橘委員 共済にそのまま入っているということであれば、当然、その御本人については引き続き保険料を負担いただく、そういう負担は発生するわけですが、一方、こういう保険制度の本質からしまして、それと同額の分を使用者側、いわゆる国や地方公共団体も負担をしながらこの休業が終わるまでを待つ、こういうことになってくるわけであります。

 この制度の主眼としては、働いている側から見て、使用者側が、同行休業後もその勤務先に継続して勤務できるんだ、そういう保障をするということが、この同行休業、安心して行ってらっしゃい、引き続き勤められますよということが私はポイントだと思っております。

 そうなった場合に、公務員の場合はどうしても身分保障ということがあるので、これは身分ということがかかわってくるわけですが、民間の場合はいろいろな方法があり得るんだろうと思っております。民間ではまだまだ、この同行休業というのはこれからということは聞いているわけですが、今進めておられるその実態においてどうなっているのか、厚生労働省さんにお伺いをいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 民間企業の状況でございますけれども、人事院が、平成二十三年、民間企業の勤務条件制度調査を実施しております。これによりますと、制度を設けております企業の割合は全体の〇・九%、制度としては設けておりませんけれども個別に措置をとっている企業の割合、これが全体の〇・七%でございます。

 そこで、この同行休業を利用中の社会保険の適用でございますが、被保険者として適用を継続している場合と、それから、被保険者としては継続せず、配偶者の被扶養者となっている場合がございます。被保険者として適用を継続している場合、社会保険料の本人負担分でございますけれども、本人が負担して支払っているもののほか、会社が一時立てかえまして、復職後に精算しているものなどがございます。

 以上でございます。

橘委員 ありがとうございます。

 やはり民間の場合は、必ずしも職員の身分ということではなくても、また働けるからということがしっかりしていれば、それでも成り立つというところがあるわけであります。逆にまた、使用者側がその間の保険料を全部負担するというのも大変な場合もあるし、逆に、いわゆる三号保険者に移った方が、この同行休業で行かれる方について、負担がないということもあるかもしれません。

 この辺、いろいろな柔軟な方法がありまして、ポイントはやはり、引き続き勤められるということが非常に大事じゃないかと私は思うわけですけれども、このあたり、これは日本再興戦略に基づきまして、公務員から率先した取り組みとして民間にこれから展開を図っていくという場合において、どういう形でこれを図っていくのか、そしてまた、その方法についてある程度柔軟に受けとめてよろしいのか、内閣府男女共同参画局長さんにお伺いいたします。

佐村政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、民間企業への普及促進につきましては、内閣府と厚生労働省で連携をして取り組んでまいります。

 具体的には、それぞれの企業の規模や抱える事情が異なりますため、これを契機として、個別企業が配偶者同行休業制度を導入して効果を上げた事例を収集して、それをホームページ等によって情報提供する。あるいは、男女共同参画推進連携会議などのネットワークや会議で、制度の周知や好事例を周知する。また、均等・両立推進企業表彰といった際に、好事例の取り組みを紹介する。そういった既存の取り組みを利用して発信してまいりますことによって、民間企業における個別の事情に応じた同制度の普及拡大を図ってまいりたいと存じます。

橘委員 ぜひそこは、個々の事情で柔軟に対応していただくということが大事じゃないかと思っております。

 そしてまた、同行休業で行かれる方はもちろん、これは公務員の場合でいえば、御自身も保険料は負担されるわけですが、一方、そうやって国や地方公共団体も自分のためにお金を使って負担をしているということもぜひ御理解をいただいて、休業後またしっかりと職務に復帰いただきたい、こんなことを思うわけであります。

 さて、近年、公務員の勤務環境につきましては、こういった共同参画、あるいは女性の能力活用の視点でさまざまな取り組みが進められてきているというふうに理解をしております。その現状、そしてまた、これから取り組むべき課題についてのお考えを、人事院総裁及び九月三十日まで大変御指導いただきました新藤総務大臣からお聞かせいただきたいと思います。

原政府特別補佐人 御指摘のありました男女共同参画社会の実現あるいは女性の能力活用、これは、政府全体としても、また社会全体として取り組まなければいけない課題であるかと存じます。

 国家公務員の採用につきましては、各府省と協力いたしまして、女性を対象とした人材確保活動を強化してまいりました。そういった経緯等もございまして、採用者に占める女性の割合は着実に増加をしてきているというふうに認識しております。

 しかしながら、一方で、女性公務員の幹部登用といった観点に立ってみますと、傾向としては増加傾向にあることは間違いないんですが、実態値そのものはかなり低い水準にあると言わざるを得ない、そういう実情にございます。

 女性国家公務員の登用は、まず、任命権者である各府省において取り組んでいただくということが重要でございますが、私ども人事院といたしましても、女性職員の能力向上を目的とする女性職員研修などを実施することにより、各府省における取り組みを支援させていただいているところでございます。

 また、職員が家庭責任を全うしながら能力を最大限に発揮して勤務することも女性の登用に資するものであることから、人事院はこれまで、育児休業あるいは介護休暇など、仕事と家庭生活の両立支援制度の拡充に取り組んできたところでございます。

 ただいま御審議いただいております配偶者同行休業制度も、両立支援の推進により有為な人材を活用するということの一つの方策であるというふうに考えてございます。

 いずれにしましても、女性国家公務員の登用は、一つ一つの施策を積み上げながら、着実に改善を進めていくべき課題でございますので、人事院としても、女性職員の管理職への登用につながるように、管理能力向上のための研修の拡充、そういった新たな取り組みを進めてまいりますことや、また、両立支援の観点から、フレックスタイム制あるいは短時間勤務制の適用範囲の拡大、そういった弾力的な勤務時間の整備につきましても今後検討を進めさせていただきたい、かように考えている次第でございます。

新藤国務大臣 橘委員は、総務省の政務官として大変な御活躍をいただいて、また、精力的にいろいろな仕事に取り組んでいただきました。まず、敬意を表するとともに感謝を申し上げたい。惜しまれつつ交代されたわけでありますが、引き続きまして、今度は総務委員として職責を全うされることを期待したいというふうに思います。

 そして、お尋ねの国家公務員の勤務環境でございますが、男女共同参画や女性の能力活用の視点から、ワーク・ライフ・バランスの推進、そして超過勤務の縮減、さらには育児休業の取得促進、特に、男性が三・七%、自衛官を含めると二%ですね。女性は今、九六・五%まで取得できるようになっています。ですから、そこは我々共通の課題として取り組まなければならないだろう、このように思っています。

 そして、総務省においては、超過勤務の縮減はコスト管理、マネジメントの一環だというところから、管理職員の人事評価に反映されるような、そういった取り組みも進めております。

 さらに、人事管理の統一的指針を、人事管理運営方針というものを定めまして、それの各省への御紹介、さらにいろいろな啓発講演会ですとかパンフレットの配布、そういったことに努めております。

 さらに、近年とても好評なのは、女性の国家公務員の活躍事例集、各省の活躍されている公務員のいろいろな体験談を紹介する冊子をつくりました。これが、非常に皆さんが喜んでいただいて、参考にしていただいておりまして、こういったものを通じて、女性のキャリア形成、どんなふうな御苦労がありながら、どんなような生きがいを感じているかというようなことの御紹介を続けていきたい、このように思います。

 いずれにいたしましても、男女共同参画、そして女性の能力活用、これは、我が国の政府、行政の向上に必要な極めて重要な観点だというところから取り組んでまいりたいと存じます。

橘委員 総裁、そして大臣、ありがとうございました。私の印象も、元気な日本をつくる元気な総務省、それはやはり元気な職員がいて成り立っているということを痛感しております。男性も女性も、ぜひ総務省職員の方はますます頑張っていただきたい、このように思います。

 そのほか、公務員の勤務条件について幾つか質問を用意しておりまして、一、二点お聞きしたいと思います。

 まず、ことしの人事院の報告ですが、勧告はなしで、ただ、本来の給与水準で比較したところ、官民の賃金較差はないとはいいながら、年齢や地域においては差があるということでありました。このあたりの現状について、古屋給与局長にお伺いいたします。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 給与法に定める本来の給与額で見た場合の国家公務員の給与水準につきましては、今お話ございましたとおり、全体としては民間と均衡しているということでございましたけれども、さらに地域や年齢に着目いたしますと、給与差が見られたところでございます。

 民間賃金の低い地域におきましては、二%台半ばの官民の給与差が生じているという状況にございますし、また年齢に着目いたしましても、五十歳代後半層において公務員給与の方が相当程度上回っている状況にございます。

 このような状況を踏まえまして、本年の八月の報告におきましては、俸給表の構造、諸手当のあり方を含めました給与制度の総合的な見直しを行うことを表明したところでございます。

 これに関しまして、現在、官民給与のこういう実情を踏まえました地域間の給与配分の見直し、五十歳代後半層の水準を中心とした給与カーブの見直し、職務や勤務実績に応じたより適正な給与の実現など、これらの諸課題につきまして現在鋭意検討を進めておるところでございまして、今後、関係者とも意見交換を行いながら結論を得て、見直しを行いたいというふうに考えているところでございます。

橘委員 二十六年度以降の給与というものをどういう形にするかということは、いろいろな議論があると思いますが、ぜひそういったいろいろなデータを駆使して答えを見つけていきたいな、また、いっていただきたいなと思っております。

 ちょっと順番を変えますが、もう一つ、公務員の勤務条件において今問題になっておりますのは、年金支給開始年齢引き上げに伴う勤務延長措置の問題であります。

 今、定員の問題もありまして、なかなかすぐには、定年のところは検討が難しいということで、現在は、再任用制度の活用ということで来年から対応していくことになるわけですが、やがて、三年に一歳ずつ年金支給開始年齢が引き上げられていくわけでありまして、遠からず六十二歳への問題も生じてくるわけであります。

 このあたり、どのように取り組んでいく御方針であるのか、松本総務大臣政務官にお伺いいたします。

松本大臣政務官 前政務官、大臣がいらっしゃる中で、私にあえて御指名をいただきました。これは、担当政務官に対して、しっかりやれよ、熱い叱咤であり、また温かい御激励である、こう受けとめさせていただいて、かく新たにしっかり取り組ませていただきたいと思っております。

 そうした中でありますが、具体的には、今年三月の閣議決定に沿った取り組みが着実に前進をするように、そのために、各府省の状況、民間の状況をしっかり把握して、前政務官が御努力をいただいた定年延長に係る法改正、これもまた視野に入れながら検討を重ねたい、こう考えております。

 なおまた、御承知のとおり、内閣人事局が創設をされますと、こうした検討はそちらの方に移るわけでありますが、前政務官が傾けていただいた情熱、積み上げてきた総務省における検討が、新しい人事局に移ったとしても、途切れることなく、しっかりスムーズに生かされるように努力を重ねたい、こう思っております。

 ぜひ、今後とも御指導をいただきますようにお願いをいたします。

 ありがとうございました。

橘委員 どうもありがとうございました。

 これで終わります。

高木委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは、こうして総務委員会で質問する機会をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 総務委員会で仕事をさせていただいていたこともあるわけでありますが、質問をさせていただくのは初めてでございまして、大変にうれしく思っております。

 どの委員会も重要な委員会でありますが、やはり、地方自治、地方主権、情報通信、また郵政の問題、本当に重要な委員会で、こうして所属をし、質問できることをうれしく思うわけでありますし、久しぶりに、御本人はおられませんでしょうか、橘委員の吟じるお声と姿を見て、うれしく思ったわけであります。

 済みません、ちょっと前口上が長くなりましたが、質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、閣法であります国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案と、同趣旨の、地方公務員法の一部を改正する法律案の審議が行われるということであります。

 この閣法は、先ほど来から御説明あるいは質疑の中にもありますように、有為な職員の継続的な勤務を促進するため、外国で勤務等をすることになった配偶者と生活をともにすることを希望する職員、これまでもそういう要望といいましょうか現状があったわけでありますが、そうした職員に対し、新たに配偶者同行休業制度を導入するというものでありまして、能力ある女性職員が退職を余儀なくされる事例を少なくする、つまり、正規の公務員の子育て支援、離職防止、社会への進出等々の意味で、大変に意義のある法案だと思います。先ほども申し上げましたように、そうした今までの実態がある中でこうした改正をしていく、今申し上げた、多くの女性職員の人たちがより力を発揮できる、こういう形で法案がつくられていくことは意義あることだと思います。

 一方で、懸念をしておることがあるわけであります。

 公務職場では、非正規の職員が多く働いておられるわけであります。地方自治体では、びっくりするような数字であると思いますが、六十万人以上の非正規の公務員が働いている、こういう状況であります。

 かつては、主たる生計者ではなくアルバイト的な働きをしていた方が多かったわけであります。当初は、やはりまさしく非常勤の、常勤じゃない中で取り組んでいく、そういうテーマが多かった、そういう現状もあったと思うんですが、ただ、今では、そうではなくて、主たる生計者、多くの仕事を担っている、そして、残念ながら年収が二百万円以下という状況である。よく官製ワーキングプアとやゆされるわけでありますけれども、そうした方が本当に多くいらっしゃるということであります。

 残念ながら、家庭を持つこともできず、あるいは家庭を持つことに対して大変に不安を感じている、子育てに苦労する、あるいは子供を産み育てていくことに対して不安を感じている、こういう方がたくさんおられるという実態であるわけであります。正規の公務員の子育て支援等を進める一方、こうした非正規職員についても処遇の改善などの整備が重要だ、必要であると考えます。

 そこで、今回、閣法と一緒に提出をさせていただきました法案を審議させていただくということになりましたこと、民主党、生活の党、共産党、社民党の野党四党が共同提出しました地方自治法の一部を改正する法律案のことでありますが、これを一緒に審議をさせていただくということを本当に感謝申し上げたいと思うわけであります。

 この法案は、年収二百万円以下、いわゆる官製ワーキングプアと呼ばれる労働条件に置かれている非常勤の職員の方々に手当を払えるようにしようという内容で、閣法、正規の方に対する法案とともに、こうした非正規の職員の方に対する法律、大変に重要だと考えて提出をさせていただいた次第であります。

 何遍も繰り返すようなことになりますが、全国の地方公共団体で働く臨時、非正規職員は、先ほど申し上げましたが、六十万人以上、七十万人に近いと言われておるわけであります。多くの行政サービスを担っている。

 確かに行政改革は必要であるわけでありますが、そういう中で、本来きちっと正規雇用の中で担っていかなくてはいけない行政サービスが、先ほど申し上げましたように、もともとは非常勤という形ですることができた行政サービスを、残念ながら、そうした厳しい状況の中で、現場の職員の人たちが頑張る中でこのサービスが担われている、こういう実態がある。勤務条件には大きな格差があり、職務、職責に応じた待遇とはなっていない、こういう実態があると思います。

 消費税が来年四月一日から八%に引き上げられるに当たり、公務の職場で働く二百万円未満の方々にも光をしっかりと当てていくこと、それが政治の役割でありますし、地方での行政をしっかりと推進していくために重要なことだというふうに考えております。

 それでは、幾つか質問をさせていただきたいというふうに思いますが、まず、閣法の国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案ほかについてであります。

 育児休業法では、育児休業を取得した職員は、「育児休業を理由として、不利益な取扱いを受けない。」同法の第十一条とされているわけでありますが、本法律には同様の規定がないわけでありますが、どのようになるんでしょうか。

笹島政府参考人 育児休業との関係、お答え申し上げます。若干、経緯も含めて御説明を申し上げたいと思います。

 育児休業法における不利益取り扱いを禁止する規定につきましては、現行の育児休業法の前身であり、議員立法で成立した女子教育職員等の育児休業について規定した法律においてこの点を確認的に規定していたことを考慮しまして、育児休業法においても同様の規定を置いたものでございます。

 一方、配偶者同行休業につきましては、その後制定されました自己啓発休業制度と同様に、改めて確認的に規定することはしなかったわけでございますけれども、制度として法律で認められるものである以上、これを取得したことを理由として不利益な取り扱いや不利益な処分をすることは当然許されるものではないと考えているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 法案には規定がないけれども、本来、法律で規定されたということで、そのことは不利益を受けないようにされているということであります。

 それでは、配偶者同行休業の終了後には職員の人が円滑に職場復帰できるように何らかの支援策を講じるのかどうかということについてお聞かせをいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 配偶者同行休業の終了後、職員が円滑に職務復帰できるような環境を整えることは、職員、組織双方にとって重要であるものと考えられます。

 そのような観点から、任命権者は、休業中の職員に所属府省の業務に関する情報を定期的に提供するなど、当該職員の能力の維持向上に関して必要な措置を講ずるよう努める必要があり、人事院といたしまして、そのことを配偶者同行休業の実施に関し必要な事項として示すことを考えているところでございます。

 なお、休業を取得する職員自身も、職務復帰後にはさらなる公務への貢献が求められる立場にあり、そのことを前提として休業が承認されたということをよく自覚して、休業後の職務復帰に備えて能力の維持向上に努めることが求められているものというふうに考えられます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、同行して帰ってきた、やはりしっかりとした復帰のためのサポートというものも、仕組みで、制度としてつくる、戻れるということができるだけではなく、自主的に、復帰できるようにきちっとしたサポートをお願いしたいというふうに思います。

 それでは、先ほど申し上げました、同時に審議をさせていただくことになった地方自治法の一部を改正する法律案について幾つか質問させていただきたいと思います。

 そして、先ほど幾つか申し上げました、現場で多くの非正規である職員の公務員の方々が仕事をされておられる。私は、ある意味で非常にいびつな状況の中で、しかしながら責任感と志を持って頑張っておられる、敬意を表しておるわけであります。しかし、そういう中で、その個人だけのそうしたある種の頑張りに頼っていくということは、そのあり方として問題でありますし、また、現場でも課題が出てくるんだと思うんです。

 そういうことで、質問を、先ほど考え方ということでは申し上げましたが、もう少し数字を挙げて、いかに厳しい状況かということもお伝えをしたいというふうに思います。

 二〇一二年の組合の調査によるわけでありますけれども、臨時、非常勤職員の、先ほど申し上げました六十万人以上と言われるそういう方々の中でありますが、六割以上が、週の勤務時間が正規職員の四分の三以上であるということであります。四分の三以上の時間、働いているということ。また、こうした皆さんの賃金は、時給にすると平均で八百円台になるということ。そして、月の給料で申し上げますと、大体十四万から十六万が最も多い層であるということであります。そして、一時金あるいは退職金も支給をしないという自治体が多数を占めているということであります。

 そしてまた、驚くことでありますけれども、通勤費が支給をされていない職場が二割以上。また、支払われている場合でも、上限があったりあるいは定額だったりして、実際の通勤費そのものの額が支払われるケースは非常に少ないという調査であります。

 また、休暇については、五割以上の自治体で、夏季休暇、病気による休暇、育児の休暇がない。二割以上の自治体では、忌引休暇、これさえ制度化されていない、こういう調査結果が出るわけであります。

 これは先ほども申し上げましたが、来年から消費税が上がる、五%から八%、社会保障費の負担も増加をしてくるわけでありまして、そういう意味では、正規職員と同じ、近い業務をしているにもかかわらず、年収二百万円以下の方が多い。通勤手当や退職金ももらえない。臨時や非常勤の職員の多くは女性であります。正規職員には、新たに今回の閣法により配偶者同行休業制度を導入して待遇が改善される、先ほど申したとおりであります。ぜひ、現場を支える非正規の職員の方にも光を当てていかなくてはならないということで、先ほども申し上げました法案の質問に入らせていただきたいと思います。

 地方公務員である臨時、非常勤職員は全国にどれぐらい存在するのか。今、こちらから関係する調査等々で大まかな数字は申し上げましたが、お答えをいただきたいと思います。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公務員であります臨時、非常勤職員の状況でございますけれども、総務省が昨年度に実施いたしました調査によりますと、平成二十四年四月一日現在における臨時、非常勤職員の総数は約六十万四千人となっているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうすると、いわゆる地方公務員の方のどれぐらいの割合になるんでしょうか。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年四月一日現在、いわゆる正規職員数が二百七十六万九千人ほどでございます。そういたしますと、職員全体に占めます臨時、非常勤職員の割合といたしましては、約一七・九%という状況でございます。

近藤(昭)委員 非常に高い割合で、多くの人数で多くの方が臨時、非常勤職員として働いている、全国で現場で頑張っておられるということでありますけれども、さて、先ほど幾つかちょっと、組合での調査による数字はお伝えさせていただきましたが、国家公務員である非常勤職員に対する手当の支給について、現行法ではどのように取り扱われているのか、お答えをいただきたいと思います。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員である非常勤職員のうち、期間業務職員、ある程度継続的に雇用される職員でございますが、この期間業務職員の給与につきましては、給与法二十二条第二項の規定によりまして、「各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する。」というふうにされております。

 人事院におきましては、この規定の非常勤職員の給与につきまして、さらに指針を各府省に発出しておりまして、手当につきましては、「通勤手当に相当する給与を支給すること。」「相当長期にわたって勤務する非常勤職員に対しては、期末手当に相当する給与を、勤務期間等を考慮の上支給するよう努めること。」としているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうしますと、現行法の中では、正規の職員の方との権衡を考慮しながらということでありますが、今お答えの中にもありましたように、予算の範囲内でということでありましょうか。

古屋政府参考人 現在の給与法二十二条二項の規定の中に、「予算の範囲内で、給与を支給する。」ということになっているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 予算の範囲内でしか支払われないということが現行法の中にあるわけであります。

 さて、そうしますと、地方公務員の非常勤職員に対する手当の支給について、現行法ではどのように取り扱われているのか、お願いします。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公務員であります非常勤職員に対する手当の支給についてでございます。

 地方自治法上、地方公共団体の非常勤の職員には、報酬及び費用弁償を支給することとされておりまして、手当の支給については認められていない、このようになっておるところでございます。

近藤(昭)委員 手当の支給については規定がないということでありまして、先ほど申し上げました、そうした法律の中でも、国家公務員、地方公務員の非常勤の職員の方に対するそうした取り決めの中でも、うまくいっていたときもあったのかもしれません。かもしれませんということでありますが、しかし、先ほど申し上げましたように、本当に時代が変わってきた、さまざまな課題が出てきた、しかし一方で、各自治体あるいは国も財政状況が非常に厳しい中、財政的には厳しくなる、現場での仕事は厳しくなる、そういう大きな矛盾といいましょうか、課題が出てきているんだと思うんです。

 さて、そういう中で、今回、議員立法として提出をされたこの法改正があるんだと思いますが、改めて、この法改正の趣旨について提案者の方にお伺いをしたいと思います。

奥野(総)議員 御説明をさせていただきます。

 近年、全国の自治体では、行政需要の増大、拡大、そして多様化への対応を求められている一方、厳しい財政状況、そういう制約も考慮しなければならないという中で、正規職員の削減が進められ、一方で、基幹的な業務においても臨時、非常勤職員への置きかえが進んでいるというふうに認識をしております。

 先ほども総務省の方からお答えがございましたが、平成二十四年四月一日現在で臨時、非常勤職員は約六十万人、全体の二割弱ということでございまして、これは四年前の平成二十年の調査ですとおよそ五十万人です。わずか四年で十万人もふえている。どんどんふえております。

 そしてまた、多くの臨時、非常勤職員の方々が、先ほど委員の方からもございましたが、正規職員に準じた勤務時間、およそ六割の方が正規の方の時間の四分の三、三十六時間以上働いているという指摘もございました。こうした方々の収入は、年間二百万円にも満たない賃金で雇用されているというふうに言われております。正規並みに働いているにもかかわらず、年間の給与は大体二百万円という方が大半だということでございます。

 これらの方々は、雇用不安を抱えた劣悪な環境に置かれ、いわゆる官製プアという指摘もなされているところでございます。

 本法律案は、こうした自治体の非常勤職員の方々の置かれている状況に鑑み、自治体が条例を定めることによって、常勤職員等に準じた勤務を行う非常勤職員に対して、常勤職員等との権衡を考慮した手当を支給することができるということを規定する、制度を改正してきちんと手当を支給できるように、そういう裏づけを法律上していこうということでございます。

近藤(昭)委員 お答えをいただいたように、私も、指摘をされていた現状がある中で、その現状、困難な現況、また、ある種の矛盾といいましょうか課題を抱えた現況を解消していくために、この法案が提出されているということなんだと思うんです。

 また改めて少しお聞かせいただければと思いますが、先ほど私も申し上げましたように、本来ならば、常勤でなくて済む仕事といいましょうか、常にある課題ではない、週でいうと二日、三日、例えば、ある種の相談があって、その相談の窓口に来る方がいらっしゃる。その相談の担当をする。だから、週二日か三日開いていればいい。いいという言い方はふさわしくないかもしれませんが、週二日、三日、本来であれば、まさしく常勤ではなく、そうした週に何回かあるという状況の中での仕事を非常勤の方が務めておられた。

 ところが、現在は、そうではなくて、そうした課題が非常に大きくなって、まさしく毎日多くの方が、例えば相談で申し上げると、相談が毎日のようにある。しかし、さまざまな規律、財政的な規律もあるんでしょう。あるいは定数。もちろん、野方図に何でもかんでも広がっていっていいとは私も思いませんけれども、でも一方で、実態を反映していないそうした規定の中でそういう現況が起こっているのではないかということも思うわけでありますが、提案者、いかがでありましょうか。

原口議員 お答えいたします。

 まず、近藤委員におかれましては、当委員会の委員長として、公正、公平、中立な委員長運営をされまして、本当にありがとうございます。

 今お話しのとおり、実態は、勤務形態そのものも常勤の職員に変わらない、そういう状況の中で、人間らしい働き方を確保する、これが一番大事だと考えております。

 この改正案によって、記載のとおりに、勤務形態が常勤の職員または短時間勤務職員に準ずる非常勤職員というふうになっていますが、本来は、今委員がおっしゃるように、週のうち二日とか三日とか、そういう中で働いてこられた方が、現実は、常勤職員の代替をして、そしてその勤務実態は常勤職員に変わらない。これは非常に問題だと思います。同一賃金同一労働という観点からも、人間らしい働き方という観点からも、また非正規の皆さん、これは民であろうが官であろうとそうですけれども、一人当たりの労働生産性も上がらないという調査もございます。そういう観点からも、党派を超えて、多くの皆様に御賛同いただければというふうに思います。

 以上、御答弁とします。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 繰り返しになるわけでありますが、そうした実態を見据えてこの法案が提出されている。そして、今、提案者の方にも改めて、趣旨、また受けとめられている現状についての見方というものをお話をしていただいたわけでありますが、さて、先ほど御説明もいただきましたけれども、この改正案によって、どのような非常勤職員の方に手当を支給できるようになるのかということを、改めてというか、わかりやすく、明確に御説明いただければと思います。

原口議員 現在でも、フルタイムの臨時的任用職員は、現行法では常勤の職員と位置づけられ、支給が可能となっていますが、この法案、改正案に記載のとおり、先ほども少し触れましたが、その勤務形態が常勤の職員または短時間勤務職員に準ずる非常勤職員ということにさせていただいています。

 なお、地方公務員法第二十二条採用の臨時的任用職員についても、短時間勤務職員に準ずる臨時的任用職員は支給の対象となる、これが法案の趣旨でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 少し詳しく、さらに御説明をいただければと思います。

 今言及もありました、常勤の職員に準じる者または短時間勤務職員に準じる者というのはどういった方を指すのか、御説明いただければと思います。

奥野(総)議員 先ほど来御説明をしておりますが、多くの臨時、非常勤職員の方々は長時間働いておられるということでありまして、そういう勤務の実態を踏まえながら、常勤の職員に準ずる者とは、勤務時間などの勤務形態が正規職員に準じている臨時、非常勤職員を指します。

 また、お尋ねの、短時間勤務職員に準ずる者とは、勤務時間などの勤務形態が、地方自治法二百四条に定めます短時間勤務職員、すなわち、定年後の再任用短時間勤務職員、そして任期つき短時間勤務職員などに準じている臨時、非常勤職員を指すものといたします。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 そうした方々に手当が支給できるようになるということであります。

 ただ、まさしく、先ほど来から言及をさせていただいているように、臨時、非常勤職員の六割以上の人が、週の勤務時間が正規職員の四分の三以上、こういう実態の中では、やはりこうした手当がしっかりと支給されていくということが、私は、非常に重要であり、必要なことだというふうに思います。

 さて、そうしますと、法案の中にあります、常勤の職員または短時間の勤務職員の手当との権衡を考慮した手当、これは一体どういったものを指すのか、御説明いただきたいと思います。

原口議員 まさに近藤委員が今るる御指摘のとおり、常勤の職員または短時間勤務職員に支給されている手当、このバランスを考慮して、これは地方自治法二百四条二項、所定の手当というところで規定されているわけですが、その手当のうちに、支給するにふさわしい手当、バランスを考えながら、それを想定しています。

 具体的な手当の種類、水準は条例で定めることになっておりますけれども、各自治体の判断によることになります。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 具体的な手当の種類あるいは水準は、地方主権の、地方自治の時代でありますし、それぞれ実態をきちっと考慮しながら、または実態を反映しながら、そうした手当はあるんだというふうに思いますけれども、それぞれの自治体によってこれは判断するということでありますから、大分それぞれの自治体によっての相違があるのかなと思うんです。

 例えば、どのような手当というふうになるのか、また水準はどのように、それは判断による、そしてまた今のところはないということでありますから、厳しい現況があるんだと思いますけれども、この法案が成立し、どのように手当が支払われるようになる、どんなふうに想定をされておられるのか。

奥野(総)議員 先ほど政府側の答弁からもございましたように、国家公務員においては、現在も諸手当が法律上支払えるように読める、実際、支給もされているということでございます。一方、地方公務員については、地方公務員法あるいは地方自治法の解釈として、読めない、手当は支給できない、法律上、支給できないというふうに規定、読めるわけでございます。一方で、読めないながらも実際に支給している自治体も二割、三割とあるわけでございます。

 一つは、今回は、こうした実際に支給している自治体に法的な裏づけを与えるという意味合いもございます。そうしたところは、実際に通勤手当とか賞与を払われているところもあるわけでございますね。そうした例も参考にしながら、各自治体、ほかの自治体も進めていかれることと思いますが、一つ制約条件となるのは、後ほど質問もあるかと思いますが、財政の状況がございます。

 ですから、各自治体それぞれ、財政の状況に応じて、あるいは勤務の実態、常勤職員の勤務の実態等に応じて、あるいは横並びを見ながら、御判断されることになろうかと思います。

近藤(昭)委員 実態というものにはさまざまなものがあるわけでありますから、先ほど来から指摘をさせていただいている、非常に厳しい労働条件の中で地方行政を支えておられる、そういうものがいつまでもつのか、そういう危惧は私も言及をさせていただいたわけでありますが、そういう中で、そのことを解消していかなくてはきちっとした地方行政のサービスが続いていかない、こういうことだと思うんですね。

 ところで、そういった中でも、さまざまな意見があるやに聞いております。非常勤の職員等に手当支給を可能とするためには、任期つき短時間勤務職員制度、こうした制度がある、そのことを活用することによって課題を解決していく、そうすればいいのではないか、こういう意見もあるわけでありますが、そのことについてはどのようにお考えでしょうか。

奥野(総)議員 先週、私は、所信に対する質疑の時間をいただきまして、この問題を大臣の方に質問させていただきました。ぜひこの地方自治法等の一部改正をお願いします、こう申し上げたんですが、大臣の方から、同じような話ですね、任期つきの短時間勤務職員制度がある、それをまずは活用されてはいかがか、こういうお答えをいただいたところでございます。

 確かに、任期つき短時間勤務職員、この制度を使えば常勤職員並みにきちんと手当の支給もできるというふうになってはおりますが、しかし、実態を調べると、制度導入から十年はたっているにもかかわらず、その採用数は現在三千人程度というふうに認識をいたしておるところでございます。

 先ほどございましたけれども、一方で、臨時、非常勤職員が約六十万人いらっしゃるわけですね。この六十万人に対して、十年たっても三千人というのは、いかにも少ない。こうした現状を踏まえれば、六十万人を全て任期つき短時間勤務職員の方に移していくというのはなかなか困難じゃないかというふうに考えるところでございます。

 また、この任期つき短時間勤務職員制度については、任期つきでありますから、三年または五年以内という任用年数の上限がございます。もちろん再任用というのは可能でございますが、改めて公募試験などそうしたものを実施して、それに応募していただいて採用しなければならないということになると、非常に不便でもあります。また、一種のこれは雇いどめというふうにも言えるわけですね、期限が切られているわけですから。

 ですから、任期つき短時間勤務職員制度の方に置きかえていくというのは、なかなか無理がある、問題があるのではないかというふうに思います。

 こうした実態を踏まえれば、やはり、今回の法案で提出いたしておりますように、常勤職員に準じた勤務を行う非常勤職員の方々に対しては、常勤職員との権衡を考慮して手当を支給できるように法改正をする必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 以上です。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうした意見がある。しかしながら、今提案者の方が言及をなさったように、その採用数はわずか三千人ということである。先ほども御答弁をいただきましたように、全体で六十万四千人という中であるということを考えると、非常にこの数は少ないというふうに思うわけであります。

 少し、どういうふうに考えていらっしゃるのか、質問通告をしていないのでありますが、どなたか、お答えをいただければと思います。

 この任期つき短時間勤務職員というのは、ある意味では、先ほど来から繰り返し言及をさせていただいておりますような課題を解消するためにつくられたのではないかと思うんですが、そうなのかどうかということと、そしてまた、今ありましたような、三千人という方しか残念ながらまだ採用されていないということ。そして、今提案者の方から指摘があった、三年、五年という任用年数の上限、また、改めて公募試験に応じる、こういう必要がある。ある意味では、そうした上限はあるけれども、そういう中で、何とか現況を解消するためにつくってきた制度だ、また公務員試験を通ればというか受ければ、その方は任用されていくんだということなのかもしれませんが、今ずっと申し上げてきたような、私はやはりかなり、実態ということでいうと、きちっとした課題解消になっていないと思うんですが、政府の方でどのように、こういった実態、六十万四千人という臨時、非常勤職員の人たちが現場を支えている、そのことに対してどういうふうに受けとめているのか、お答えをいただければと思います。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました任期つきの短時間勤務職員制度でございますけれども、この制度は、平成十六年に法改正によって導入された制度でございます。地方公務員にのみある制度でございまして、国家公務員にはない制度でございます。

 これは、臨時あるいは非常勤の職員の方々を含め、職場の多様性、仕事の種類が国家公務員に比べまして現場が非常に多いというようなことも含めた職務の多様性ということに着目をいたしまして、独自の制度として導入をされたということでございます。

 御指摘のように、本来の臨時あるいは非常勤の職員の制度と申しますのは、非常に短期間でありますとか、あるいは非常に補助的な職務でありますとか、そういった業務について本来は活用されるべき制度ということで制度が準備されているというふうに認識をしておりますけれども、御指摘のように、実態としては、必ずしもそうでない部分にまでそういった制度が活用されているという実態がある、またそういう御指摘があるということにつきましては、私どもも承知をしているところでございます。

 そういう中で、一つの活用していただきたい制度として、今申しました任期つきの短時間勤務制度というものが導入をされたということでございまして、私どもとしては、その実態に応じて、この制度が活用できる場合であれば、この活用についても十分検討していただきたい旨の助言を従来からしてきているところでございます。

 そして、その導入状況でございますけれども、徐々にふえてきております。ことしの四月現在の数字で申しますと、任期つきの短時間勤務職員数は四千五百人強という状況になってきておりまして、まだまだ、決して全体の数字から申しますとそんなに大きい数字ではもちろんございませんけれども、徐々に浸透してきつつあるのかなという状況でございます。

 私どもとしましても、それぞれいろいろな機会、会議等々、ヒアリング等々を通じましてこういった仕組みの導入について働きかけをしているところでございますし、また、どういった問題がこの制度にあるのか、使い勝手が悪い点があるのかどうか、こういったことにつきましてもいろいろな意見交換をさせていただいているところでございます。これをさらにもう少ししっかりと把握したいという思いで、現在、地方団体に対しましてこの任期つき職員制度についての調査をかけているところでございます。

 そういったことで、その導入状況、あるいは考え方、いろいろな御事情等々をより深く把握してまいりまして、この制度がより使いやすいものになるように、いろいろな意見交換、検討等を引き続き重ねてまいりたい、このように考えておるところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 さまざまな実態の把握の中でこうした制度、任期つき短時間勤務職員制度をつくってきた、必ずしも実態に即してはいない現況もあるのではないかというお話もありました。ただ、そういう中では、そのつくられた制度にどこに問題があるかということを意見交換等々をしている、また、この制度がより幅広く使われるように広報活動もしているということでありました。

 さて、提案者にもう一度質問をしたいんです。

 今、そういうようなことで意見交換をし、フォローアップをしている、また、採用者数もふえてきているんだ、こういうことの御報告もありました。そういう意味では、ぜひこうした、よりよい制度にしていく、それを知ってもらうということで御努力をされているということの御報告といいますか、それを聞かせていただいたわけでありますが、一方で、提案者の方で、先ほどいろいろな、三年、五年という問題点があるんだ、こういうお話もありましたけれども、さて、もう一度、その問題点について、提案者の方ではどのようにお考えかということをお聞かせいただければと思います。

原口議員 今政府側から御答弁がございましたように、やはり制度と実態との間の乖離が見逃せないんだと思うんですね。

 今回閣法で出ているいわゆる同行法は、官が率先して人間らしい働き方をやろうという意味で大変意義が大きなものだと思います。ですから、私たちも、基本、賛成でまとめてきました。

 しかし、他方で、では、正規職員だけですかと。正規職員とほぼ同じ働き方をしている非常勤職員の皆さんは、今のような制度のおくれのはざまで、人間らしい働き方ができないんじゃないか。そのこと自体が多くの公共サービス自体の質の低下につながってはならないし、それを受ける皆さんからしても不便をおかけしてはならない。その観点からして、やはり私たちは法改正でやるべきだと。

 しかも、この法案は、先ほどから地域主権のお話をしていただいていますが、地方分権、地域主権の観点から、地域で決めたらできるということでございますので、ぜひ、趣旨を御理解いただいて、各党各会派、御賛同いただければというふうに思います。

近藤(昭)委員 ぜひ政府におかれましても、必ずしも実態には即していない、こういう認識をお持ちであるわけでありますから、そのことについてしっかりとフォローアップをしていっていただきたいと思います。

 ただ、一方で、そうしたフォローアップだけでは十分ではないんだ、法改正による仕組みづくりが必要なんだということで提案者からあるんだということを御認識いただければと思うんです。

 いろいろとこういう現況について私はお話をさせていただいてまいりました。それで、ちょっと質問通告をしていないんですが、新藤大臣、いかがでしょうか。こうした地方行政を進めていく、重要な地方自治、そういう中で、現場でこうした個人の何か負担に依拠しているところが大きいのではないかという御指摘をさせていただいてきて、繰り返しになりますが、当初は、まさしく非常勤で済む仕事を、まあ、これはそういう形なんだから非常勤で勤めていただくんだと。ところが、さまざま課題が出てきた。

 私は、いろいろなところから話を聞いておりますと、最近よくあるのは、そういう相談ではないかと思うんです。家庭内暴力の問題であったりしますし、と思いますけれども、そうした、かつてはなかったような、あっても、ある意味では表に出てこなかっただけであって、本来は、本来というか実態としてはたくさんあったのかもしれませんけれども、そうした課題が、同じ課題であるけれども、非常に現場で発生が多くなってきた、深刻になってきた。

 こういう中で、まさしく常勤で、もう常に相談に応じていないとフォローできていないというような職場にも、非常勤で仕事をし、そして物すごい負担がかかっている、こういう状況があるのではないかというふうに思うんですが、そうした実態に対して、今お聞きいただいていたような状況に対して、大臣、どのように思われるか、一言。

新藤国務大臣 まず、私どもは、それぞれの時代に合わせて、国民の福祉の向上、そして、それぞれの一人の人生の生きがいを確保する、こういった工夫をしていかなければいけない、それが政治の責任だと思います。

 その意味において、まず、どのように暮らしていくか。勤務の形態を社会に合わせてきちんと対応させていくことは重要な政治課題だと思っています。そして、終身雇用制というものが変わってきている。それから、それぞれの皆さんの人生に対する考え方、ライフスタイル観が変わってきている。男性と女性の自分自身の人生の過ごし方も変わってきている。そういったものについて我々としても対応をしていくべきであろう、そういう中でいろいろな御議論をいただいているんだと思います。

 今委員が御指摘いただきましたように、非正規の職員に本来の仕事の部分が過重にかかっているのではないか、こういうような御指摘もありました。それは、先ほど私、橘委員からの御質問にもお答えしましたけれども、正規の職員においても超過勤務が過重負担となっている。ですから、仕事がふえているにもかかわらず人手が足りない、それが結局のところ超過勤務の、それも過重ということになっているわけであります。

 さらには、それでも、一方で景気の動向が大きく左右いたしますけれども、経済がうまくいかなければ、結局のところ、いろいろな合理化が図られていく。そうすると、そこにひずみが出てくる。それをどうやって対症療法をしつつ、我々はトータルとして、では日本人はどういう暮らし方をしていくべきなのか、こういうことをテーマにずっと追い続けていく必要があるというふうに思っているんです。それが基本です。

 その上で、先ほどからお話が出ています公務員の任期つきの短時間勤務制度でございますけれども、これは、それぞれの任用や雇用の多様性を追求しよう、それから、高度な専門職の方々が、限られた時間で、それは自分の与えられた枠の中でそういった能力を生かすことができるような制度として導入しようではないか、こういうことから発生いたしました。

 まだまだ人数が少ないのは事実であります。六十万人の方に対する、今、四千五百人までは参りましたね。でも、私が注目しておりますのは、伸び率が導入当初から、最初、一七%でございましたけれども、三割、二七%、そして二十五年度は二〇・五%でありますけれども、伸びていることと、市町村においての伸びがあるということであります。

 こういったことで、さらにこういった機会もお使いいただけるように、我々としても必要な助言をしていかなければならないだろうと思っているんです。

 それから、地方公務員の手当の支給につきましても、これは奥野委員に先日お答えいたしましたけれども、昭和三十一年までは、まさに地方自治体が自由に手当を支給し、文房具手当だとか自転車手当だとか、いろいろな手当が出ておりました。そして、そういったものを是正すべしという声があって、このような形態があります。昭和三十一年のことでありますけれども、そういう歴史があるのであります。

 そういったものも踏まえながら、私どもは、多様な働き方、そして、臨時雇用は、望んでその場に行かれる方もいらっしゃいます。それから、我々は、地方でいろいろなブロック会議を開きまして御意見も頂戴しておりますけれども、いろいろな問題には、これは両面あるわけですね。ですから、いろいろな声に耳を傾けながら、私たちとしては、一番いい方法を考えていきたい、このように考えております。

近藤(昭)委員 新藤大臣、ありがとうございます。

 でも、まさしく大臣、私も先ほど申し上げましたように、さまざまな実態がある、その実態の中でよりよい制度をつくっていく。時代が動く中で、財政的に厳しい、そればかりが原因だったわけではないと思いますが、やはり無駄というものはなくしていかなくてはいけない。

 ですから、今大臣がお答えになったように、首をかしげるようなものもあったのかもしれません。そのことについては、やはりおかしいということで是正をしてきたんだと思います。そういう是正というプロセスがあった。

 しかし、そうしたもの、また、そういった時代の動きとともに、違う側面が出てきた。それは、何度も指摘をさせていただいているように、非常勤という形態でやれることだったのが、そうではなくなったんだということだと思うんです。そのことに対して、先ほど大臣もまさしく言われたように、課題があったから変えてきたんだ。そうでありますならば、やはり今出ている課題に対してはしっかりとした対応が必要なんだと思うんですね。

 そういう意味で、もう一度、提案者にお聞きをしたいと思うんです。

 私は、行財政改革はもちろん必要だというふうに思っています、行政改革、財政改革。ただ、これは、無駄をなくすということはもちろん必要だ、しかし、非効率、不効率と申し上げましょうか、効率が悪くてもやらなきゃいけないときがあると思うんです。

 効率が悪くて無駄をなくしていかなくちゃいけない。しかし、例えば、時間をかけても、効率はなかなかよくはないかもしれないけれども、負担すべき財政負担はしっかりとして、解決をしていかなくちゃいけないものは必ずあるんだと思うんです。そこはしっかりと分けていかなくてはならないと思うんです。

 そういう意味では、改めて提案者の方に、特に言われるのは、最近、財政の問題でありますから、私は、もう繰り返しになりますが、もちろん無駄はなくしていかなくちゃいけない、でも、負担すべきものは負担していかないと、結局、それはシステムの中で個人に負担がかかっていく、こういうことになるんだと思うんです。働く人たちは、尊厳を持って、一生懸命頑張っている。だから、システムで本来解消していかなくちゃいけないものを個人の負担に乗せていってはいけないんだというふうに思うんですね。

 そういう意味で、地方自治法改正で手当支給を可能とした場合、財政負担の問題をどのように考えるのか。今、よく財政のことが言われるので、改めてお聞きをしたいと思いますし、新藤大臣からもお答えがありました。大臣のお考えに対して、私も、私の考えを述べさせていただきましたが、提案者の方から改めてお願いしたいと思います。

原口議員 お答えいたします。

 近藤委員がおっしゃるように、やはりどうすれば尊厳を持って人間らしい働き方ができるか。財政改革、行政改革は待ったなしです。肥大化した地方政府をつくっていいわけじゃない。だけれども、一方で、これは民間でもそうですけれども、無能な経営者こそ、一番最初に人件費をカットするんですよ。私は、それはあってはならないと思います。

 地方自治法改正の内容は、だから、今回の法改正で、非常勤職員に手当を支給しなければならないという改正案じゃないんです。支給することができるとするものであって、この法案は手当支給制限の規制を外すことに趣旨があって、実際に手当を支給するかどうかは各自治体の条例の定めによるものとし、各自治体の予算の範囲の中において手当支給を可能とするものだと思います。

 一方で、今、自治体の現状を見てみると、この中にも首長経験者がたくさんおられますが、本当に行革、行革の努力を国にも増して真っ先に行って、もう絞っても絞っても何も出ないという状況の中にございます。

 私たちも、臨財債を発行しても、それも積み上げて、この臨財債の問題をどうするかというのは大きな政治課題です、しかし、それが働き方の、一人一人の非常勤職員の犠牲の上に成り立っては決してならないというふうに思います。

 今回の地方自治法改正により、国から各自治体への財政措置が直ちに必要になるものと考えておりません。各自治体のまさに努力の中で、判断の中でお決めいただくことだというふうに考えています。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございます。

 提案者の方からも今お答えがありました。本当に、民間で働く皆さんも大変に厳しい状況の中で働いている。ですから、公務員だからということで何か特別にあってはならない。しかし一方で、余りにも現況と今のシステムが乖離をしている、こういう問題の認識だと思います。

 ですから、私は、ぜひ、この地方自治法の一部を改正する法律案によってそうした現況を解消し、そして働く人たちが、それは公務員であろうと民間であろうと、全て皆さん同じだと思います、働く人たちがやはりしっかりと尊厳を持って働くことによって、しっかりとプライド等を持って、そして、一生懸命やっていけば不安もなく頑張れる、こういうことが重要だというふうに思います。

 働くことの尊厳をしっかりと守り、お互いが支え合って、この日本という国をよい国にしていくということで、私は、ぜひ、この改正が成立することを願って、質問をさせていただきました。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、東国原英夫君。

東国原委員 皆様、おはようございます。日本維新の会の東国原でございます。

 きょうは、この場、この時間、質問の場を与えていただきまして、高木委員長並びに関係各位の方々に心から感謝を申し上げたいと思っております。

 今回の内閣提出の二法案ですが、私はこの二法案には賛成の立場であります。

 公務員職というのは、各調査等々で御案内のように、小中高生、大学生に非常に人気のある仕事で、また、親御さんたちが子供に将来ついてほしい、なってほしいという職業の上位に入っている仕事であります。一方で、広く社会、国民から非常に厳しい目線が注がれている職でもあろうかと思います。というのは、身分が保障されているとか、親方日の丸であるだとか、優遇されているとか、そういった批判がやはり根強くあるのも事実でございます。

 ですから、きょうは、私は賛成の立場なんですが、こういう一部の批判的な目線を払拭するように、明快な答弁をお願いしたいと思っています。というのは、批判的な目線も加えた質問をさせていただきたいと思いますので、ぜひ、それを払拭できるような、国民に広く、イメージを変えるような答弁をお願いしたいと思います。

 まず、配偶者同行休業、この対象となる事例、現時点で国、地方、両方、どれぐらい把握されているのかというのをお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 配偶者の転勤に伴い退職をした職員は、自己都合による退職と整理されまして、各府省においても統計的には把握されておらず、正確な実態は承知しておりませんが、本制度の検討に当たり、平成二十四年度に本院がヒアリングを行いました府省、十七府省のうち八府省で、過去五年間におきまして、配偶者の海外勤務等に伴い国家公務員が離職したケースが少なくとも十九例あるというふうに聞いております。

三輪政府参考人 地方公務員についてお答え申し上げます。

 総務省におきまして、過去五年間の都道府県及び政令市計六十七団体における配偶者の海外転勤に伴う職員の退職の人数を調査いたしましたところ、退職人数まで把握可能な十七の団体におきまして、人事担当課が把握している限りでありますけれども、七十七名の退職の実績があったというところでございます。

東国原委員 今挙げられた数字というのは、実際に退職された方と認識しますが、これは相談件数とかそういったものも把握されておられるんでしょうか。そういう希望があったとか、そういう相談があったというのは把握されておるんでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 そういったものにつきましては、特に把握はいたしておりません。

東国原委員 この場合、国と地方、百名弱ぐらいのケースが見られたということなんですが、これは夫婦が公務員同士、あるいはどちらかが公務員でどちらかが民間というようなケースでいいますと、どういう状況になっていますか。

井上政府参考人 先ほど、昨年、私どもが各府省にヒアリングをした結果、過去五年間で十九例、そういう例があったというふうに申し上げましたけれども、そのうち、配偶者が国家公務員であるケースというのが九例あるというふうに聞いております。

東国原委員 これは実際に退職された件数ですので、相談とか、自分でそう考えている、悩んでいる等々を含めれば相当な数になるんではないかとは予想されますが、国、地方合わせて、国が十九事例、地方が七十七名というのは、全体としてどうなのか。多いのか少ないのかということはありますね。

 ですから、これはこれから運用されていくんでしょうけれども、国民の目線からすると、こういう、どちらかというと少ない事例を対象にこの法案が審議されるのかというようなところの疑問点はあろうかなと思うんですね。それは留意していただきたいと思っておるんです。

 あと、該当する対象者の条件というのがあります。公務において活躍することが期待される有為な公務員の継続的な勤務を促進するためとあるんですが、有為な公務員というのはどういう基準でお決めになるのか、お聞かせ願えればと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 配偶者同行休業制度は、配偶者の外国勤務等に同行するため、一時的に職務を離れたいというニーズを持った職員を退職により失うことなく、職務復帰後も、それまで培ってきたキャリアや能力を生かして、公務での活躍が期待できる人材を中長期的視点に立って確保するということを趣旨とするものであります。

 このため、任命権者が休業の承認を行うに当たっては、公務の運営に支障がないことに加えまして、休業の取得を希望する職員の勤務成績その他の事情を考慮した上で承認の可否を判断することとしているものであります。

 職員の勤務成績その他の事情とは、職員の勤務成績のほか、制度の目的に照らして承認の可否を判断するに当たって必要と認められる事情のことをいいまして、例えば、配偶者の同行休業後に一定の期間の在職期間が見込まれ、かつ、職務に復帰し継続して勤務する意思があることなどが含まれるところでございます。

東国原委員 恐らく、おっしゃったのは、現行の人事評価、能力評価とか業績評価等々で判断されるということなんでしょうが、現行の人事評価の問題点、私はさきの通常国会の総務委員会でも質問させてもらったんですけれども、公務員の場合、公務の実態上、課や係単位などで仕事をする場合が多い中、人事評価というのは適切、有効、効果的に作用、機能するのかという根本的な疑問もあるんですが、その辺はいかがですか。

井上政府参考人 配偶者同行休業の承認、不承認の判断に当たりましては、これは任命権者が判断をいたすところでございますけれども、人事評価の結果のみに基づいて行われるものではありませんで、各任命権者におきまして、この法律の目的、趣旨を踏まえ、休業を希望する職員が、職務復帰後も、それまで培ってきたキャリアや能力を生かし公務での活躍が期待できる人材であり、当該職員に休業を認めることが公務の円滑な運営に資するものであるかどうかにつきまして、勤務成績その他の事情を総合的に勘案して判断することとなるものでございます。

 繰り返しになりますけれども、職員の勤務成績その他の事情といいますものは、職員の勤務成績のほか、例えば、配偶者の同行休業後に一定期間の在職期間が見込まれるとか、あるいは、職務に復帰し継続して勤務する意思があるというようなことが含まれるところでございます。

東国原委員 先ほど、これまでの対象となる事例が、国が十九事例、地方は七十七事例あるという回答がありましたが、その十九、七十七それぞれについて、有為という評価がなされたのかどうか、お伺いしたいと思います。

井上政府参考人 これまでに、御指摘のように、複数の府省から寄せられた配偶者同行休業制度の創設についての要望につきましては、有為な職員が退職を余儀なくされた事例を背景としておりまして、本件についての人事院のこのたびの意見の申し出は、そのような有為な人材を確保したいとの各府省の要望を踏まえて行ったものであります。

東国原委員 されていないということですね。

 これは、今後、運用するに当たり、きちんと、有為であるという明確な基準というのはやはり必要なんじゃないかなと思うんです。

 公務員の同行休業に関する件なんですが、公務員同士の夫婦の場合、海外に赴任を任命された方の成績評価というのもあるのか、それとも同行休業するという方の成績が参考になるのか、それとも両方の成績等々が考慮されるべきなのか、お伺いしたいんですが。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 配偶者が公務員の場合、民間の場合、両方あるわけでございますけれども、この制度は、配偶者が国家公務員であるか否かにかかわらず、配偶者の外国での勤務等の事由に伴って、職員が配偶者と外国で生活をともにするための制度でございます。したがいまして、承認の可否の考慮要素となります勤務成績につきましては、配偶者に同行する職員のみを対象として評価するということでございます。

東国原委員 ありがとうございます。

 経緯の中に、日本再興戦略の一環として、それを踏まえて、女性の採用、登用の促進や、男女の仕事と子育て等の両立支援について、まずは公務員から率先して取り組むこととされております。

 その具体策として、配偶者の転勤に伴う離職への対応が掲げられたと思うんですが、対象となるのは、この経緯からいって、子育て等の両立支援ということですので、子育て世代に限定するという考えはなかったのか、お伺いしたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 本制度は、男女の仕事と子育て等の両立支援のみを目的としたものではございませんで、広く女性の活躍推進という視点が中心に置かれているものと理解しております。

 そのような女性の活躍推進という観点からは、配偶者の外国での勤務等に伴う離職の問題というものは、必ずしも子育て世代に限ったものではないということから、全職員を対象として制度を設けるものでございます。

東国原委員 女性の登用、採用というのは、私も大賛成なんであります。

 先ほど来、各委員からの質問でも、男女共同参画、雇用機会均等とか、女性の管理職登用といいますか、社会的地位の向上といいますか、そういったものに尽力をするという話が出ておりますが、なかなか、そういってもこの日本は、先進国の中でも男女の共同参画、位置的に、順位的に非常に低いものがあります。

 例えば、大企業の管理者に女性の登用、そういう率を見ても、先進国、OECDの中では非常に低い位置にあります。例えば、政治家といいますか国会議員、衆議院の中でも、今回政権交代をして女性の比率が、たしか僕の記憶だと一〇%を割っているんですね。前回は一〇%以上だったんですが、一〇%を割っているんですね。そういうこともあります。

 クオータ制等々の議論もあるんでしょうけれども、女性の採用、登用の促進は、現実的にはなかなか進んでいないのが現状かなと思っておるんです。そのためにこの法案があり、この政策があると思うんです。

 これを、まず隗より始めよで公務員から始めようじゃないかということなんですが、今後民間にも拡大するつもりがあるかというのを、橘委員ですかね、お聞きになったと思うんですけれども、私ももう一回聞きたいんです。

 先ほど、何か答弁で、同様の制度は〇・九%、民間企業であると。〇・七%がちょっと聞こえなかったんですが、採用されているみたいなところがあったんですけれども、この数字について、もう一度詳しい数字と、そして、これを民間に広げて拡大するおつもりがあるのか。もしあるのであれば、具体的な政策はどういう政策なのかということをお聞かせ願えればと思います。

新藤国務大臣 まず、男女の共同参画、それから、今委員の方から、仕事と子育ての両立、こういう観点からの御意見をいただきました。

 これに加えて、やはりワーク・ライフ・バランス、その人がどうやって人生を過ごしていくか、仕事と家庭、それから仕事と仕事外の暮らし、そういったものをバランスとっていくか、そういう総合的なものもこの中には入っていると御理解いただきたいと思います。

 私どもの自由民主党の公約においても、衆議院、参議院それぞれにそのようなことを書かせていただいておりますし、特に、ことしの参議院選挙公約の中では、「女性が輝く日本へ」という中で、仕事と子育て、介護との両立支援、そしてワーク・ライフ・バランスの推進等による就業継続に向けた環境整備、これに積極的に取り組みますというのが我が党の公約でもございます。

 こういったものも踏まえて、そして、これまでの男女共同参画、それからワーク・ライフ・バランスの推進、こういう制度が政権内で、政府内で、過去の政権でもずっと進められてきました。その中での一つの施策だというふうに私は位置づけております。

 当然これは、まず隗より始めよで公務員から始めますけれども、それはなぜかといえば、公務員は、法律でそういう制度をつくらなければならないわけであります。民間企業においては、就業規則をそれぞれの会社が整えていただければ、法律の改正は必要ないのでございまして、意識のことになります。ですから、まず公務員がそういう姿勢を示してはいかがかということが私たちのスタンスなんです。

 民間企業においては、配偶者同行休業制度の制度がある企業の割合は〇・九%でございます。それから、うまく聞き取れなかったのは恐縮でございましたが、休業制度がないけれども、従業員の事情に応じた個別措置を認めている企業の割合が〇・七%ということでありまして、そのときのケース・バイ・ケースでおやりになっている企業もあるということであります。

 実際、先ほどの年金や保険の問題もありますけれども、そこの企業に在籍したまま出かけていった方がいいのか、それとも、やめてまた次の就職なりを探す方がいいのか、それはそれぞれの御判断もあると思いますね。ですから、あくまで、ワーク・ライフ・バランスというのは、個人が、また御夫婦でそれぞれお考えになられて、最適な、自分たちの求めるものを得られればいいわけで、政治の方はいろいろな選択肢を御提供すればよろしいのではないか。

 私たちとすれば、まずこの法律を成立させていただいて、国、地方の公務員の中でこういったものを施行してみよう、それから、内閣府や厚労省との協力によって、成功事例というもの、実例というもの、実態というものをどんどんと周知いたしまして、また発信して民間企業への普及促進を図っていきたい、このように考えております。

東国原委員 ありがとうございます。

 先ほどの、これまでのケース、対象事例が、国で十九件、地方で七十七件。国家公務員は、一般行政職で三十数万人、地方公務員は二百数十万人と言われているんです。二百数十万人の中の七十七事例、三十数万人の中の十九事例というのは、民間は〇・九%、〇・七%で低いといいますが、それ以下なんですよね。それより低い。

 これは、公務員が率先するんじゃなくて、公務員は追従しているんじゃないかな、民間の方が進んでいるんじゃないかなと思うんです。相乗効果でこういうのが広がっていけばいいなと思っているんですけれども、率先するのであれば、民間のこの数字ぐらいは超えるぐらいの気概でやっていただけたらなと思っているんです。

 次に移ります。

 休業の期間を三年とした根拠についてお伺いします。

 これは、労働派遣法で、専門性の高い二十六業務以外の、途中で人が交代しても最長三年とか、あるいは、先ほど議論がありましたけれども、任期つき短時間勤務職員の原則三年とか、一般的に公務員というのは三年ぐらいで配置がえになると思うんですけれども、そういったものを参考にされて三年という数字が出てきたのか、お伺いしたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 休業の期間でございますが、休業により職務に従事しない期間が余りに長期にわたった場合には、復帰後の公務遂行に支障を生じる可能性があること、それから、育児休業及び自己啓発休業の取得期間の上限が三年となっていること等も総合的に勘案しまして、配偶者同行休業の期間の上限についても三年とすることとしたものでございます。

 なお、民間におきましても、割合は少ないわけでございますが、本制度と同等の制度を有している企業について見ますと、おおむね三年を上限としている例が多いと承知しております。

東国原委員 ありがとうございます。

 この三年というのは、トータルで三年なんですか。例えば、三年海外に行って、急遽、三年以内に帰ってきて、日本国内で勤務して、また改めて行くときにはまた三年というふうになるのか、それとも、トータル、通算で三年ということなんですか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 行って戻ってきた段階で一回切れるというのが基本的な考え方でございます。

 また、もちろん、再度の配偶者同行休業の取得というのは制度上は可能ではございますけれども、この制度というのは、職員が休業から公務に復帰した後で、行政の各分野の中心となって活躍し、行政のパフォーマンス向上に貢献してもらいたいということを期待して創設するものでありますから、再度の承認に当たっては、配偶者同行休業の後に、例えば五年程度といった一定の在職期間があることを必要とする旨、人事院が現在、運用通知等において承認の基準の例として示す方向で検討中であるというふうに承知しております。

 したがいまして、日本に戻って短期間で再度休業するというふうなことは、制度の運用上、原則認められないということになろうかと思いますけれども、先ほど申し上げたような一定の期間を過ぎた場合には、新たに、再度、三年を上限とした休業を取得することは可能であろうというふうに考えております。

東国原委員 ぜひそこは明確な規定と厳正な運用をお願いしたいと思うんです。

 補充人事についてであります。

 補充人事、先ほどの答弁で、海外に同行休業をした数年間、そのときには、もといた職場の環境の情報、仕事の情報等々を逐一入れて、復帰できるように、復帰しやすいような環境を醸成するというような話があったんですが、普通、公務員、地方公務員もそうなんですが、三年ぐらいで配置がえになる。そうすると、もといた職場の情報を与えても、三年後には、帰ってきて配置がえになったらその情報は無駄というようなことになりやしませんかということです。

 それともう一つ、同行休業で海外に行かれた方の補充人事は、非常勤職員でやるのか、任期つき等々でやるのか。もしこれを非常勤でやるとしたら、有為な、優秀な公務員が海外に同行で行った、その優秀な人間の仕事は非常勤で代替できるのか、それぐらいのレベルの仕事だったのかというような視点もあると思うんですね。いかがでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 同行休業をしている間、いろいろな形で情報提供をしていくということであろうかと思います。もちろん、戻って、同じポストに戻る場合もあろうし、そうでない場合もあろうと思いますけれども、日本国内の最新の動きとかそういったものを送っていって、研さんに努めてもらうというのがやはり必要であろうというふうに思っております。

 それから、補充のお話でございますけれども、同行休業におきましては、任命権者が職員からの同行休業の請求をより承認しやすくするために、育児休業同様、任期つき採用または臨時的任用の措置を講じているところでございます。

 その場合、休業を取得した職員の業務につきましては、穴があくわけでございますから、各任命権者において、職員の配置がえ、業務分担の見直し、あるいは非常勤の採用も含めて、種々の工夫をして業務を処理する体制を整えることがまず基本であるということでありますけれども、それでも対応できないという場合は、仕組みとしまして、任期つき採用または臨時的任用の活用も可能としているところでございます。

 非常勤というのは、そういった業務体制の中で活用もあり得るという話でございますので、今御指摘のような、休業した職員と一対一で対応するような、そういった補充という意味での非常勤というのは想定しているところではございません。

東国原委員 仮に、補充された人材が、海外に同行された方以上に、職場での人間関係を構築して、あるいは業績を上げて、非常に優秀であった、優秀であると認められた場合、三年後、もし同行された方が戻ってこられたら、この補充された方はどういうふうな処遇になるんですか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 任期つき等で補充する場合ということを前提に御説明を申し上げますが、法案の第七条におきまして、配偶者同行休業の請求期間を限度として任期つき採用または臨時的任用を行うことができるということとしておりますので、休業に伴って任用された職員については、任期満了後は退職するということになろうかと思います。

 もちろん、その職員が別のポストに応募するとか、そういったことを妨げるわけではございません。

東国原委員 わかりました。恐らくそういう事例も発生するかと思います。

 時間が来てしまいましたので、ちょっと質問できなかった部分がありました。おわび申し上げたいと思います。

 ちょっと細かい質問で申しわけなかったんですが、やはり、国民、広く社会で公務員に対する目線というのは非常に厳しいものがあるというのも事実ですので、そういったものを払拭するために、公務員は優遇されているとか、そういう御批判とか不信感、不満感等々を払拭するように、また、全体の奉仕者として、公務員として自覚をしていただいて、研さんを積んでいただき、公務に従事していただくことを望みまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、杉田水脈さん。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 本日は、総務委員会で質問をさせていただく機会をいただきまして、心からお礼を申し上げます。

 本日は、内閣提出の二法案について質問をさせていただきます。

 私自身は、三年半前まで十八年間、市役所の職員をしておりました。そしてまた、ちょうど一年半ぐらい前から、民間企業に勤めております私の主人は海外勤務をしておりまして、もし私が地方公務員をやめて国会議員になるぞなんという無謀な挑戦をしないでそのまま市役所の職員を勤めていたら、まさしくこの事例の当事者になるといったところだったかなというふうに考えて、今回は質問をさせていただきたいと思います。

 幾つか、先ほどからの皆さんの御質問と重なる部分もあると思うんですけれども、その点は、何とぞどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、この法案は女性の活力を引き出すために実施するものだという説明があったんですけれども、具体的に、この法案が適用されれば女性活力がどのように引き出されるのか、また、この法案の目標とするところ、どのような状態になればこの法案をやってよかった、目標が達成されたとなるのか、そのゴールイメージをお聞かせ願いたいと思います。お願いいたします。

新藤国務大臣 先ほども東国原委員にお答えいたしましたけれども、まず、多様な働き方、そして、それぞれの生きがいや満足を得られるような、そういう生涯を通じたワーク・ライフ・バランスの実現を図っていきたい。これは日本国民として願いが大きいと思います。歴代の政権がそれについて継続的にいろいろな作業を行ってきたわけであります。

 その中で、特に着目いたしましたのは、公務員の配偶者が海外に転勤をすることになった場合に、これまでは、配偶者に同行したい職員は退職せざるを得ない、もしくは別れ別れに暮らす、こういうことになって、退職せざるを得ないという場合には有為な人材を失う一つの原因になっていたということであります。

 ですから、この法律案によって、配偶者に同行したい職員は三年間を上限として休業することができる、そして願いをかなえることができ、かつ海外赴任が終わったときにはまたもとの職場に復帰できる。本人の希望でもあり、また職場側も有為な人材として迎え入れたい、こういうものに対しての保障を行おうではないかということだと思います。

 そして、これは男女両方で、女性の方が海外に赴任を命ぜられて、男性の場合でもあり得るわけなんです。しかし、女性の方がどうしても子供のことや家庭のことを考えるとなかなか選択の幅が狭くなりますから、その意味において、女性の働く場の拡充につながっていくものではないか、こういう期待を申し上げているということであります。

 何よりも、今、女性の社会進出が目覚ましいと言われておりますが、それでもまだまだ数は少ないですよね。ですから、そういった観点から、我々自民党としてもそういったことを応援していこうと、これは党の公約がございました。そして、与党になった私どもとすれば、その党の公約も受けた上で、政府として実現方のこういった方策を打ち出した、こういうことでございます。

杉田委員 私は、質問するときにはいつも、初めにそういうゴールイメージとかビジョンとかをお聞かせ願うんですね。それに対して、まず現状分析があって、それとビジョンとのギャップを埋めるためにミッションがあるという形で法案というのは組み立てられるべきだというふうに思っておりますので、最初にそういったビジョンの部分を聞かせていただきました。

 次に、現状分析の部分になるんですけれども、先ほど東国原委員の質問の中にもありました。こういう事例が幾つあるのかということだったんですが、その中で、国家公務員が八府省で十九名というふうなお答えがありました。地方公務員のことをあわせて質問されていたんですが、お答えが返ってきたのが、都道府県と政令市のみでした。

 都道府県と政令市だけではなくて、例えば中核市、特例市、またその他の一般市についてはこのような事例はどのようなデータがあるのか、調査はされているのか、そのあたりについてお聞かせ願いたいと思います。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 配偶者の海外転勤によって退職した地方公務員の事例、数ということでございますけれども、先ほど七十七名と申しましたのは、都道府県、政令市の数字でございます。ちなみに、都道府県で六十一名、政令市で十六名、このような内訳でございます。

 私どもで網羅的に聞きましたのは都道府県、政令市のみでございまして、その他の団体につきましては、網羅的な調査はいたしておりませんので、一部の団体にサンプル的にちょっと問い合わせをしたという状況でありますけれども、複数の団体で退職の実績があったというようなお話は伺っております。

 例えば、中核市、特例市で申しますと、兵庫県に伺いましたところ、平成二十年から二十四年の五年間でございますけれども、六団体中二団体で計四名の方がこういった事情で退職をされたというようなことを伺っております。同じく兵庫県内では、その他の一般市町村でございますけれども、一団体で一名、そのような該当があったというような、それぞれサンプルで大変恐縮でございますけれども、そういったようなお話も伺っているところでございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 先ほどから、やめた事例の数とかはお聞きしているんですけれども、逆に、そのような状態にあってもやめずに続けていらっしゃる事例、私の周りにはたくさん、結構いたんですよ。旦那さんが単身赴任で行くけれども、私はここの市役所の職員なので、ずっと働き続けて単身赴任の状況で別れ別れに住んでいますよという方の方がたくさんあると思うんですね。

 ですから、この法案ができたらその対象となる、今やめずに続けていらっしゃる方の例というのを、これも国家公務員、それから地方公務員、できれば地方公務員は、政令市、都道府県、中核市、特例市、一般市といった形で分類してお答え願えればと思います。お願いいたします。

井上政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の場合についてでございますけれども、配偶者が外国で勤務等をしている場合で退職せず勤務している職員の数につきましては、これは職員のプライバシーに関する事柄でございまして、把握はいたしておりません。

三輪政府参考人 同じく、地方公務員につきましてでございますけれども、配偶者が海外転勤をしても退職せずに勤務を続けている地方公務員の数というお尋ねでございますけれども、私どもとしてもこの数は把握できていないという状況でございます。

杉田委員 確かに私も、もし勤めていたとしたら、一々、主人が海外に行きますのでということは人事課には申し上げないと思いますので、把握ができないというのもあると思いますが、ただ、今のお答えを聞いていて、やはり現状分析が十分じゃないままこの法案をつくっていらっしゃるんだなという印象は否めないと思います。

 それからもう一つ、次にお聞きしたいんですけれども、なぜ海外勤務に限っているんでしょうか。

 具体的に、海外ではなくても、同じ日本国内でも、御主人がとか、奥様がということで、違う都道府県に住んでいるので単身赴任状態になっている、こちらの事例の方が地方公務員の方は多いんですよ、海外で暮らしているというよりは。でも、ただ別れて暮らすということに関しては、海外であろうが国内であろうが同じだと思うんですけれども、海外に限っている理由についてお答え願いたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 配偶者同行休業につきましては、まず、配偶者が外国に赴任した場合、国内と比較し、交通事情や経済面から職員と配偶者が頻繁に往来することは容易でないこと、それからまた、外国では言葉や文化、生活習慣などが異なるため、そこで生活する者にとって、精神面も含め、その負担は相対的に大きいこと等のため、同行を認める必要性が高いというふうに考えられること、さらに、配偶者の転勤に伴う離職への対応に関しまして、従来、各府省から人事院に寄せられていた要望も、配偶者の外国への転勤に伴い、配偶者に同行するために退職せざるを得ない事例が生じていることを踏まえたものであったこと等から、外国で勤務等をする配偶者に同行するための休業としているところであります。

 それで、この配偶者同行休業制度は、公務員が、配偶者の転勤等への同行という職務とは関係のない、個人的な事由によって休業することを認めるものでありますことから、休業の対象となる職員の範囲につきましては、十分な社会的納得性が得られるものとすることが必要であるところでございます。

 国内の転勤の場合は、単身赴任手当の仕組みが定着をしており、これとは別に配偶者同行休業制度を設けるとの議論は、官民ともこれまではほとんど行われておらず、休業の対象を国内の転勤の場合にまで拡大することについて、社会的納得が得られるような環境は醸成されていないものというふうに考えられます。

杉田委員 先ほどの答弁を受けて、さらにお聞きしたいんですけれども、やはり国家公務員というのを想定しますと、配偶者の方が海外とかというようなことは多数ある事例ではないかと思うんですけれども、地方公務員の場合はなかなかない、これが実際のところじゃないかと思います。

 それから、今回は国家公務員にこういう制度ができるので、地方公務員法も同じように改正して同じような形をとろうというようなものなんですけれども、例えば、地方自治体といいましても、政令市とか都道府県のような大きなところもあれば、数百人ぐらいしか職員がいないような小さな市町村なんかもあるわけなんですね。その中で、国でつくられた法律と同じ法律を適用するのにかなり無理があるところもあると思うんです。

 先ほどもありましたが、休業中なんかは臨時雇用だとか任期つき職員とかを雇うということになっていますが、なかなかそのあたりの人材の手当てが、まあ国家公務員だったら大丈夫だろうけれども、都道府県や政令指定都市だったらそういうことも現実的であろうけれども、規模の小さい自治体だとなかなかそういうことも難しい。

 また、市町村とかの方が行革なんかが進んでおりますから、人員ももう今本当にきゅうきゅうの状態で、一人の方がいろいろな職務を兼務していてというような、いろいろな、多様な住民の方のニーズに応えているというのがあると思うんです。

 そのあたり、国家公務員にこの制度ができますから、同時に地方公務員法も改正して地方自治体にもこの制度をというところは少し乱暴じゃないかと私は考えるんですが、そのあたり、いかがでしょうか。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公務員につきましては、御指摘のように、地方自治体の規模等々、確かにさまざまな状況がございます。

 そういう意味で申しますと、この法律の枠組みといたしましては、地方公務員法というのがまさに枠組みを定める法律でございますので、こういう制度をそれぞれの自治体が導入する、その根拠をつくるというところに今回の改正の意味があるというふうに考えております。

 その上で、地方公務員法の改正がお認めいただけますならば、それを踏まえて、それぞれの自治体で、条例でこの制度を導入するということについて、いろいろな御議論の上、私どもとしては、この趣旨を踏まえて、適切な対応を期待しているというところでございます。

杉田委員 そもそも、国の方でこの法律ができたので地方公務員法はそれに準じないといけないというところが、私は本当に変えていっていただかないといけない部分だと思います。

 先ほどから、東国原委員の議論なんかも、皆さん、かなり細かいなという印象を持たれているんじゃないかと思います。本来ならば、そういう細かいこと一点一点については、それぞれの自治体の中で議論して、これを適用しようとか、こういう場合はこういう形にしようということの議論は、それぞれの自治体がそれぞれの状況に応じて議論をしていくべきことだと思います。

 それを今ここでこの制度についてしていること自体が、本当に私は違和感を感じておりまして、権限移譲というような形で地方にその権限を移譲していただければ、それぞれの自治体で、こういう場合はどうしようということを決めることができると思うんですね。

 そのあたり、もうちょっと今後柔軟に考えていくとかいうような考えとかはございませんか。地方公務員法そのものを見直していかないといけないことになるかと思うんですけれども。

三輪政府参考人 地方公務員法でどこまで規定するかという問題につきましては、いろいろな御議論があろうかというふうに思います。

 今回の休業でございますけれども、公務員には職務に専念をする義務というのがもともとございます。これを、個人的な事情というところから、一年、二年、最高三年まで、長期にわたりましてその義務が免除される、そういう仕組みを導入するわけでございますので、こういったかなり例外的なことが認められるためには法律の根拠というものが必要であろうということで、基本的な枠組みにつきましては、国家公務員制度との権衡を踏まえて、法律の中できちんと措置をするということが必要であろうということでございます。

 それを踏まえまして、それぞれの自治体でしっかりと御議論をいただきたい、こういうことでございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 今後、本当にそういう方向に進んでいくことを、我々は地方分権の中でも議論していかなくてはいけないなというふうに感じております。

 では、ちょっと視点を変えまして、配偶者についていった方の生活のことについてお聞きしたいと思います。

 結局は、公務員の身分を持ったまま同行するわけですから、同行されて海外に行かれた方は、例えば女性だったら、もうそこでお仕事ができない、要するに専業主婦になる、例えば三年間だったら三年間は専業主婦になる。それまでばりばりと仕事をしてきた女性が、同行法によって御主人についていったら、そこで、専業主婦で、御主人の身の回りのお世話だとか、おうちのことばかりをやるような状態になってしまう。

 これが女性活力を引き出すというのに矛盾しないのかどうかという点について、お答え願いたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 この制度は、行って戻って活躍していただくというのが基本にあるわけでございまして、配偶者同行休業中の職員につきましては、まさに円滑な職務復帰を期待する観点から、制度の運用に当たりまして、休業期間中、その能力の維持向上について必要な努力を求める、あるいは任命権者に対しても、職務に関する情報等を職員に提供することを求める、こういったことは必要だろうと思います。こういったことについて、人事院においてルール化する方向で検討しているということを承知しております。

 それから、もちろん、休業中の兼業というのもあり得るわけでございまして、仮に休業中の職員から兼業の申請があった場合には、実際、仕事はしていないわけでありますから、国内の場合と違って、通常の常勤職員よりも兼業を広く認めていくという方向で検討しているところでございまして、そういった兼業の中でスキルアップをしていくということもあり得るかと思います。

杉田委員 確かに、職務専念の義務とはバッティングしないので、兼業というのを認める方向というのは一つの解決策になってくるかと思うんですが、これは今のこの法案にはないけれども、今後検討していかれるということですか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の兼業に関しては、国家公務員法第百四条の兼業許可が必要であるということになっておりまして、その基準あるいは運用の問題であろうかと思います。

 これにつきましては、この同行休業における基準、運用についてこれから検討してまいりたいということでございます。

杉田委員 今後の検討の中で、ぜひ、同行された方も向こうで働けるような形をとっていただきたいなとは思うんです。

 ただ、これも先ほど、国内の転勤についていった場合はすぐ自分の能力を生かして働くことはできると思うんですけれども、海外ではなかなか、言語も違う、英語圏に限らずいろいろな国、いろいろな言語があると思いますし、通訳の仕事ができるのかどうか、そういう能力を持ったグローバルな人材が、また、これは国家公務員の方の中にはいらっしゃるかもしれませんが、地方公務員の方で、そういったグローバルに、海外についていったからすぐ仕事ができる、兼業ができるというような方もなかなか難しいのではないかと思うんですけれども、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 一番重要なことは、まさに休業期間中に能力を維持向上するということでありまして、いろいろなやり方があるんだろうと思います。

 もちろん、その兼業の中で、例えば通訳とかいろいろな仕事をする中でスキルアップをしていくというのもあろうかと思いますけれども、それだけではなくて、いろいろなそれぞれの研さんの仕方、能力の向上の仕方があるんだろうというふうに思っております。

杉田委員 わかりました。

 それでは、これからは、ちょっと細かいですが、実際にこの法案が適用された場合に、運用面についてちょっとお聞きしたいと思います。

 先ほども出ておりましたが、これは必ずしも認めるという形にはなっていないですよね。公務の運営に支障がないと認める場合に、当該請求をした職員の勤務成績その他の事情を考慮した上でということになっております。

 先ほども同じような質問が出ていたかと思いますが、この勤務成績というのは何をもとに判断されるのか。これは国家公務員の場合と地方公務員の場合とをお答えいただきたいのと、あなたは勤務成績が悪いから行っちゃだめですというような判断は十分あり得るということなんでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 休業の承認に当たりましては、勤務成績その他の事情を考慮するというふうになっておりまして、この勤務成績その他の事情についてでありますけれども、任命権者が配偶者同行休業の承認を行うに当たりまして、公務の運営に支障がないことに加えまして、休業の取得を希望する職員の勤務成績その他の事情を考慮した上で承認の可否を判断するということになるところでございます。

 このうち、勤務成績とは、配偶者同行休業を請求した職員の人事評価結果、その他当該職員の勤務成績を判定するに足ると認められる事実に基づくものをいい、また、その他の事情としましては、勤務成績以外の、制度の目的に照らして承認の可否を判断するに当たって必要と認められる事情のことをいいまして、例えば、配偶者同行休業の終了後に一定期間の在職期間が見込まれる、あるいは職務に復帰し継続して勤務する意思があることなどが含まれるところでございます。

杉田委員 先ほどから、すごく有能な職員の方がやめないためにこの制度があるというふうな形で説明をずっと受けておるんですけれども、今、国家公務員の方なんかも、A、B、C、Dみたいな形で相対評価をしていらっしゃると思うんですけれども、例えばこれでEに当たる人はこれは認められないとか、そういう明確な基準とかはイメージされていらっしゃいますか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 配偶者同行休業の承認、不承認につきましては、先ほども申し上げましたけれども、各任命権者において、この法律の目的、趣旨を踏まえ、休業を希望する職員が、職務復帰後も、それまで培ってきたキャリア、能力を生かし公務での活躍が期待できる人材であり、当該職員に休業を認めることが公務の円滑な運営に資するものであるかどうかについて、勤務成績その他の事情を総合的に勘案して判断することとなるものであります。

 したがいまして、人事評価結果について一律に、例えばA以上でなければならないといった基準を定めることは適当ではないというふうに考えております。

 ただ、他方、配偶者同行休業制度のそういった趣旨を踏まえますと、人事評価結果が下位の評語の場合で、職務復帰後において公務での活躍が期待できる人材でないと判断されるような場合には、休業の承認をすることは難しいというふうに考えられるところでございます。

杉田委員 明確な基準がないということは、多分、手を挙げたら、ここには書いてあるけれども、ほぼ一〇〇%の方は希望すれば行ける制度になってしまうのかなという感が否めません。

 人事評価のところはこれ以上聞いてもお答えがないと思いますので、もう一点、期間のことについてお聞きしたいんです。

 例えば私なんかは、地方公務員をしているときは年度ごとで動いていました。人事の異動なんかも、四月異動、あってちょっと小規模な十月異動というのがあったんですけれども、そのような形で年度ごとに動いているんですが、逆に、一般企業なんかは、そういう余り年度とかが関係なく、非常にイレギュラーな、例えば私の主人なんかは、五月のゴールデンウイーク明けから海外勤務となりました。

 そのような場合に、同行していく配偶者の方の休業の期間というのがどのようになるのか、また、その方がいらっしゃらない間は臨時職員だとか任期つき職員の方を雇われると思うんですが、その方々を雇用する期間というのはどのような形になるのか、お聞かせ願います。

井上政府参考人 配偶者同行休業の期間は、職員の請求に基づき決定することになりますが、配偶者の転勤が急遽決まったような場合におきまして、業務の都合上、配偶者同行休業の開始希望日から休業を認めることは困難であるけれども、数カ月後には可能であるというふうに判断されるようなときには、任命権者と職員が十分に話し合った上で、公務運営に支障のない時期から休業を開始するようにするということが考えられます。

 なお、休業の開始日と配偶者の外国への赴任日等とは必ずしも同一である必要はなく、配偶者が外国へ赴任等をした後、配偶者同行休業を取得するということも認められるところでございます。

杉田委員 ありがとうございました。

 そもそも、先ほどからずっと、この法案の目的で、継続的勤務を維持するというようなことが大きな目的であるというふうにおっしゃっていますが、最終目標としては、やはり組織のためになるかどうかということを考えていかなければいけないと思います。

 その中で、今は、この制度がない中で、この制度がないからやめられた場合は、そのやめた方のかわりに新しい方を雇うということになっていると思います。また、先ほども申し上げましたが、この制度がないがために、別々に暮らして一生懸命仕事をしている方もいらっしゃると思います。

 そんな中で、では、この制度ができたから、ラッキー、休んでついていこうというような、男性、女性にかかわらず、そういう方というのが本当に組織にとって有用な人間かどうかということを私は非常に疑問に思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 同行したいと思うかどうかというのは、それぞれの個人の選択の問題であろうかと思います。

 この制度というのは、やはり、その職員本人が公務において将来活躍が期待されるかどうかという観点から、そういう職員が配偶者の転勤で退職してしまうということは公務にとって損失であるということから設けられるというものであろうかというふうに考えております。

杉田委員 常々、私の問題意識としまして、こういう制度、休業ではなくて、やはり退職、再就職、再雇用という形で持っていく方が、日本の社会にとって、民間も公務員の世界も通じていいのではないかというふうに思うんですね。

 私は、イギリスとかに行政視察に行ったときも、今は市役所の職員ですが、ちょっと前までは何とか県の職員でした、その前は国で働いていましたという形で、非常に公務員の流動化が進んでいるんですよ。

 ですから、ここを、休業という形で有能な人を引きとめておくのではなくて、一旦やめていただく。やめていただいて、今度再就職するときに、私はここの市役所では課長級でこういう仕事をしておりましたから、今度こちらの方に行きましては同じような形で自分の能力を言っていくという形で再就職ができる、いわゆる民間なんかの転職と同じような形を公務員に入れていく。多分、諸外国ではそういうふうな制度になっているかと思うんですが、日本はなかなかそのあたりで流動化が進みません。

 休業というのは、やはり、先ほどの議論にもありましたが、私も育児休暇というのを一年とりました。その間、臨時職員の方がいました。では、臨時職員の方でその職場が回るんだったら臨時職員でいいじゃないかということになってしまうんですね。そのあたり、組織がよくなる方向と反対の方向にどんどん行ってしまうような懸念もあります。

 今また育児休暇が三年となりましたら、三人子供を産んだら十年間、その女性は職場に来ないことになるんですよ。となったら、同じ能力を有する男性と女性が試験を受けに来たときに、どっちを皆さんだったら採用しますかとなったら、男性になってしまう。これは本当に、女性の活力というのと逆行していく結果になってしまう。だから、私は、休業制度というものには非常に限界があるのではないかと思っております。

 それよりは、公務員なんかでもヘッドハンティングなどがあって、自分の持っている能力を生かしていろいろなところに転職できる。例えば、兵庫県庁に勤めていて、旦那さんが東京都に転勤になったので、それに合わせて、私はそこのところの東京都庁に自分の能力を言っていって、そこで採用してもらえるというようなことが日常的に起こるような公務員の制度に改革していくことこそ、女性の活力を引き出して、ましてや、有用な人たちが公務員のところに残ってもらう施策になるのではないかと思いますが、最後にそれについての考え方をお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 委員の問題意識というのは、一面を捉えていると思いますね。でも、やはり総合的なグランドデザインというものが必要だと思います。

 日本の公務員制度と諸外国の制度は、任用の仕方からして違うわけです。それから、日本の公務員制度は、あなたもそうでしたが、私も地方の公務員におりました、世界一だと思っています。そういうレベルを維持するのは、どのようにして成り立っているのかということ、これを承知の上で、そして、出入り自由の場所があってもいい、しかし、公務員の流動化と公務の流動化、これを履き違えてもらっては困るという部分も厳然として残っていると思います。

 ですから、多様な仕組みを加えながら、その人が満足をするワーク・ライフ・バランスを追求しながら、不断の改善を加えていく、それが筋だというふうに私は思いますね。

 その中で、今の御意見は貴重な御意見だと思いますし、また、世代が変わるとどんどん考えも変わってきますから、そういうものも取り入れたものにしていくべきであろうと思います。

 それから、念のために申し添えますが、先ほど、地方は地方で自由にやらせてほしい、自分たちで法律をつくり自分たちでルールを決め、できないところとできるところがあるんだと。

 これは、そのために法律があるんだと思います。地方公務員という法律で枠を決めて、その先に地方の議会があり、条例によって自治体の意思を示すことになるんですから。自治体が勝手に法律を超えて条例を制定できるんでしょうか。そのために法律があるわけですから、その枠をきちんと捉えた上で、制度の趣旨を理解し、そして、それぞれの地域が自分たちの自治をやっていっていただきたい。ここをきちんと認識していただきたいなというふうに思います。

 御承知だと思いますが、主権というのは国民にございますから、これはぜひ共通理解をいただきたいと思います。

杉田委員 そのあたりの法律のたてつけについては、今後進んでいくと思われます道州制なんかの議論の中でもまたさせていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 配偶者同行休業制度の議論は、ある程度、賛成という方向で皆さん、議論がなされたんだろうと私は思っております。

 それともう一つ、実は私も地方議員をやっていました。約十八年前に、福岡県なんですけれども、バンコクに支所をつくりまして、そのときに赴任した例を思い出したんです。当時、やはり御夫婦で県庁職員さんだったんですけれども、どちらも本当に優秀な方でしたけれども、奥さんは退職しました。退職してバンコクに行かれたんですね。それにはかなり悩まれたわけですが、本当にこういう制度がその当時あればよかったな、私はこのように思っております。ですから、ぜひ前に進めていただきたい、このように思っております。

 それと、先ほど新藤大臣が言われたように、やはり、枠をいただければ、そこで、その地方によって決めることができるわけですから、当時あれば福岡県も率先してやったのではないかな、このように思っております。ぜひ、私の立場としては賛成の立場でこの問題については取り組んでまいりたい、このように思います。

 そこで、この法案についてはもうるる議論がありました。そして、私も質問通告をしておりましたけれども、もうその手前に全部答えられてしまいまして、この問題とは違う観点から別の点について御質問させていただきたい、このように思っております。

 まず、東日本大震災を受けて、当時、携帯電話や固定電話がなかなか通じないというようなことがありました。そこで、総務省としてはそれを受けてどのような対策をとってこられたか、お尋ねをしたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話事業者によりますと、東日本大震災時、東北地域におきます携帯電話の音声トラフィック量は地震発生直前の約五十倍でありまして、最大で九五%の通信規制を実施したというふうに承知しております。

 東日本大震災では、大規模な停電等によりましてサービス提供に多大な支障が生じたというようなことから、総務省では、平成二十三年四月から、大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会というものを開催いたしまして、今後の大規模災害等に対応できるよう、通信手段の確保に焦点を当てた検討を実施したところでございます。

 平成二十三年の十二月の検討会の取りまとめを受けまして、通信サービスの耐災害性の強化を図るというようなことで、一つには、十分な燃料の備蓄それから補給手段の確保といった停電対策の長時間化、それから二つ目には、電気通信回線の複数経路化などの技術基準の見直しを行いまして、昨年九月に改正省令を施行したところでございます。

 総務省といたしましては、引き続き、電気通信事業者等と連携しまして、通信サービスの耐災害性の強化に向けた取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 説明ありがとうございました。

 皆様方のお手元の資料、ナンバー一の資料のポンチ絵がありますけれども、これが全部網羅したものであります。また見ていただければと思いますし、これで一〇〇%とは言わないけれども、ほぼ、震災が、東日本大震災ぐらいの規模が起きても十分対応できるような設備になったというふうに聞いておりますので、ぜひまた頑張っていただきたいと思います。

 これは携帯電話、通信なんですが、では次に、AMラジオは一体どうなっているのかなということなんです。これまでAMラジオの難聴対策をずっとやられてこられたとお聞きしておりますけれども、どのようなことをやられてまいりましたか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでもAMラジオは、御案内のとおり、災害時の情報提供手段として大変重要でございますので、事業者の自主的取り組みを従来から支援申し上げてきたところでございます。

 具体的には、地方の総合通信局における住民からの個別の相談にも応じてまいりましたし、難聴解消を目的とした、AMの中継局によって整備する、これを自治体によって整備していただく場合に経費を補助するという仕組みを平成四年から平成十七年度まで実施をしてきたところでございまして、事業実績としても、全国で三十中継局ほど経費補助で整備を進めていただいたところでございます。

佐藤(正)委員 そうなんですね。ところが、事実、平成十四年から平成十七年は実績がないんですよね。ありますか。どうぞ。

南政府参考人 御指摘のとおり、後半の最後の数年間はニーズが上がっておりませんので、支援実績はございません。

佐藤(正)委員 そこで、資料六を見ていただければ、ここに、平成十七年、実績がなくなったということで、ラジオ放送やテレビ放送の視聴が可能なため、災害情報の伝達等にも重大な支障は生じないことなどから、要望が極めて少なくなったということで事業をやめたということですよね。これは総務省の資料ですが、ちゃんと書いてありますけれども、こういうことなんですね。

 そこで、まだAMの難聴解消はしていないと思いますが、今現在はどうなんですか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどニーズがなくなったというふうに申し上げましたけれども、AMの難聴解消のために同じAMの周波数を使って中継局を整備するということになりますと、AMの中継局の場合、FMの中継局と比べまして、非常に整備費用が高い上に広い土地も必要とする、あるいは新しい周波数を用います場合、国際的な調整ということで非常に時間と手間がかかるということもございまして、費用対効果の面でなかなか踏み切れないということで、端的に言うと、使い勝手が悪くなったので最後の方はもうニーズがしぼんできたという実態でございます。

 では、難聴解消が全て解決したのかということになりますと、例えば日本海沿岸の地域でありますと、外国波の混信を今でも時々受けて難聴の実態というのは残ってございますし、地形的な難聴ということで、山合いの村々等ではいまだにAMが聞こえないというエリアも一部まだ残されております。

 それに加えまして、都市部におきましては、ビルが非常に林立をいたしまして都市環境が悪化をしておりまして、電子機器も普及をしておりまして、雑音が非常にふえておりますので、そういう新しい難聴の形態にも対処をする必要があるという実態は非常に深刻化しているというふうに認識をしております。

佐藤(正)委員 今の答弁であった中で、いわゆる費用対効果、確かに、アンテナ百メーターぐらい建てられる広い敷地が要ったりとか、そういった部分で費用対効果が合わないんだろう。それからもう一つは、恐らくもう設備が老朽化した。それともう一つは、ニーズが減ったのも事実だろうと思うんですね。

 AMというのはいわゆる民間がやっているわけでありまして、そして、ここからは基本的には電波利用料をいただいているわけですよね。

 電波利用料をいただく上において、どういう基準で放送局が払っているのかとなると、いわゆる各無線システムの負担の割合というんですか、配分、そこで軽減をかけている、係数を掛けたりなんかする。その中で、いわゆるAMについては、特性係数〇・五、二分の一軽減するんですけれども、国民への電波利用の普及に係る責務など、そして、内容としては、電波利用を広く国民に付与するため、通常の市場活動を超えてユニバーサルサービス、これをやりなさい。だから〇・五という掛け数、係数が出ている。

 これは間違いないですか。

南政府参考人 御指摘のとおり、放送法に基づきまして、AMラジオにつきましても、あまねく普及努力義務と言われる規定が課されているところでございまして、それに基づいて、エリア全体をあまねくカバーするための置局というものを求められているというのは、御指摘のとおりでございます。

佐藤(正)委員 そこで、難聴対策ということは、聞きづらいわけですね。それは民間ですから、当然民間の力でやっていただかなきゃいけないんじゃありませんか。

 先ほど、通信事業の改革案、総務省がつくられました。これは事業者が自分の費用でやっていますよ。

 しかも、通信事業者の方は、このあまねくユニバーサルサービスというのは、実はありませんね。義務づけもされていませんね。しかし、総務省は、東日本大震災を受けて、必要性がある、なぜ必要性があるかというと、利便性があり、しっかりとした情報が伝わる、いわゆるスマホであったり携帯電話であったり。災害対策特別委員会でも古屋大臣は言われていましたよ、スマホというのはすごいんだよと。

 そうだと思います。だからこそ、民間だから当然、震災が起きて、電話がつながらない、ネットが見られないといったら、各社競争しますよ。これが当たり前の市場原理だと私は思います。

 では、なぜこのAMだけはそうやらないんですかね。

南政府参考人 先生御指摘のとおり、法律に基づくあまねく普及努力義務と申しますのは、当然、AMラジオの基幹放送としての公共性に鑑みて、そのような規定が置かれているというふうに理解をしておりまして、通常の市場活動、経営判断の枠を一部超えてでも、ユニバーサルサービスあるいはこれに準じた義務を果たせという要請であろうと思っておりまして、現在、平均世帯カバー率、全国の民放を調査いたしましたところ、ラジオにつきましても約九八%カバーをしているということでございまして、努力をすべきであるという部分におきましてはそれなりの努力をしているというふうに私どもは評価しております。

 ただ、AM放送がカバーしているエリアでありましても、先ほど来から御説明申し上げております、外国から飛び込んでくるような混信、これは、季節によるフェーディングの影響で、本当に受けたり受けなかったり、予測できない要因でそういうものが入ってくる。あるいは、建築物の高層化、堅牢化あるいは電子機器の影響というところは、当初、置局をした時点では想定していなかったような、要するに、放送事業者の努力によってはもうカバーできない、いわば外部的な要因によりまして雑音その他の障害が生じている。

 これは、ある意味でユニバーサルサービスの責務で果たすべき部分の若干上乗せの部分の、放送事業者の努力によってはいかんともしがたい部分が一部残されているのではないかというふうに思っておりまして、その部分につきまして、やはり難聴解消のための一定の支援が必要なのではないかというふうに考えておるところでございます。

佐藤(正)委員 だったら、先ほど言ったように、総務省がせっかく平成四年からつくった制度でありながら、平成十四年から平成十七年の間、実績ゼロというのはどういうことなんですか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 従来のスキームは、AMの難聴解消のためにAMの周波数を使うというスキームでございました。それにはやはり費用対効果としても限界があるということで、実は、FMバンドを使えばよりクリアにその辺の問題が解決できるわけなんでございますけれども、地デジが移行するまでの間は周波数がなかった、FMバンドしかなかったという事情もございまして、地デジの跡地としてV―LOWの周波数帯が一部開放されることに伴いまして、そこを活用できるチャンスが生まれてきたということ。

 加えまして、やはり三・一一を契機としましてラジオの有用性というものが国民の間に再度認識をされてまいりましたので、そういったニーズの高まりに応じて新しい手法で、FM方式によって難聴を解消する、これまで実現できなかった新しい方式によって問題を解決してまいりたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 それは、放送ネットワークの強靱化に関する検討会で、ことしの二月から始まった、今お答えのあったようなことだろうと思いますが、実は、この難聴対策と同時に必要とされていたのは、災害時にいわゆるラジオが有効だということで一般財源を充ててきたわけですよね、これまでずっと。今までの制度はそうだったんですよね。それは間違いありませんか。

南政府参考人 御指摘のとおり、ラジオのAMを使った中継局整備事業につきましては、全て一般会計の財源によって措置をしてきたところでございます。

佐藤(正)委員 それは、基本的には、命を守る手段としてラジオが有効だったということですよね。間違いありませんね。

 だったら、今回、この周波数が、枠があいたということなんですね。それで、事前にお聞きしたところによれば、FMの新たなる枠として、九十メガヘルツから百八メガヘルツの帯域を使うんだということでありますけれども、いろいろなところに問い合わせをしてみて、今の普通のラジオで、AM、FMよくついています、災害時の懐中電灯にもついているんですけれども、そういうラジオはこの域は聞けるんですか。

南政府参考人 先生から御質問の、九十メガヘルツから百八メガヘルツ、いわゆるV―LOW帯、このようなAMのFM活用に、これは実は全てを使うわけではなくてその一部なんでございますけれども、ラジオの今出回っている受信機でそれに対応しているものがどのくらいあるのかということなんです。

 御案内のとおり、ここの周波数は、国際的に言うと、全ての国でFMラジオとして使っている帯域でございます。その意味で、国外に出荷するメーカーにとりましては、同じモデルを日本でも出荷しているということもございますので、共通モデルとしまして、そこのバンドまでカバーしている受信機というのは相当数普及をしておりまして、まとまった統計データはありませんけれども、その重立ったメーカーにヒアリングをしたところ、現在出荷しているFMラジオのうち七〇%から九〇%がこの周波数をカバーするというふうに伺っております。

 特にアナログテレビの時代は、ここの周波数はテレビの一から三チャンネルに使っておりましたので、特に関東地域はNHKのテレビの音声も聞きたいというニーズもございましたので、古い機種であればあるほど対応している受信機は多いというふうに伺っております。

佐藤(正)委員 今、質問をやりとりしてきましたけれども、基本的には、災害に対応するためにラジオが重要であるという一緒の認識だと私は思っています。

 では、この検討会でこういう事業をやろうとしたときに、その財源はどういう財源を使う予定なんですか。

南政府参考人 強靱化検討会の提言を踏まえまして、AMラジオの新しい難聴対策、FM波を活用した新たな難聴対策を実施したいというふうに考えてございますが、これは、難聴を解消することが目的ではございますけれども、それによって、先生御指摘のとおり、災害対策としての効果というものも非常に大きいというふうに期待をしているところでございます。

 今回のこの施策は、AMラジオのパワーを上げることによって、大出力化によって難聴を解消するという従来の手法と比べまして、FM中継局という、パワーを抑えて、必要最小限の電力によってFM中継局によって補完をするという考え方をとっているものでございますので、既存の局を大出力化する場合に比べて電波の有効利用、節約につながるという観点で無線局全体の受益にかなうという事業の事柄の性格上、電波利用の財源として考えられております、電波利用共益事務に該当する、その理屈にかなうものについては、電波利用料財源から支弁することが適当ではないかというふうに考えているところでございます。

佐藤(正)委員 そこで、電波利用の見直しに関する検討会が何度か開かれて、八月に答申を出されたわけです。私も、この委員会で電波利用料について何度か質問をさせていただき、前の副大臣からもいろいろな御答弁をいただきました。

 その検討会の議事録を見ますと、副大臣も入られた検討会でありますけれども、その検討会の中でいろいろな議論がありましたよね。その中で、資料四を見ていただければと思うんですけれども、資料四の中で、これは議事録の部分を一部抜粋させていただいた。赤ペンでアンダーラインを引いています。

 柴山副大臣は、この問題についてはまだまだ精査が必要ではないかとか、さらには、多賀谷座長さんが言われたのは、ラジオ難聴解消事業を電波利用料財源から支出することについて、必ずしも否定的ではないが、幾つかの厳しい条件を附帯しということで、この下の方に、難聴の実態について精査を行わなければならない、行うべきだ、難聴が解消される世帯数について数値化及びデータ化しなきゃならない、こういう指摘をされた答申が出ていると思うんです。

 これが、八月の三十日に検討委員会が開催され、その日に終わり、そして、総務省の方にこの結果をお出しした。同じ日に、実はもう総務省は概算要求をしているんですよね。

 だから、その間にどういうところで議論がなされたのか。普通に読み取ると、ネットで見ますと中間省略したような感じがするのか、もしくは、今後さらなる検討をしていくのか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。

南政府参考人 利用料検討会に私も常時参加をさせていただいておったところでございまして、特性係数の問題あるいは全体の歳出歳入の見直しの議論が中心テーマで、最後の局面でこのラジオの問題を取り上げていただいたのは事実でございます。

 これは実は、大臣の方の御指示を受けて立ち上げましたラジオの強靱化の検討会の方の結論がまとまったのが、七月を過ぎていた。その結論を踏まえて、ではその財源をどうするのかということを、私ども省内でもいろいろ検討していった検討結果を積み上げた中で御提案をさせていただいたということで、非常に間際になりましたのはそのとおりでございますけれども、それを踏まえて、関係者の皆さんから、時間をかけて、最終局面ではございましたけれども御議論をいただいたというふうに理解をしております。

佐藤(正)委員 要は、こういう提言が出て、精査をしなさいよ、データ化をもう一つやりなさいよということなんです。

 では、やられたんですか。もう全部しっかりわかっていらっしゃる、お答えできるんですか。

南政府参考人 先ほどの難聴の実態を精査せよという検討会の御報告を承りまして、現在、客観的に、あるいは全国統一的な物差しとして、ラジオ放送の電波の強さがどの程度弱っているのか、あるいは電子機器等からの雑音によってどういう妨害を受けているのか実測するための客観的な物差しづくりを今進めているところでございまして、それを放送事業者に提示して、それに基づいて、地域ごとに実態は異なると思いますので、ラジオ放送事業者に難聴実態を正しく緻密に精査していただいた上で、実際の執行を考えてまいりたいと思っております。

佐藤(正)委員 あと一点だけ。

 今やっているということですから、その結果を見させていただきたいと思いますけれども、では、今の電波法の百三条の二第四項に定められた電波利用料の使途に今のこの問題は当てはまるかどうかだけお答え願えれば、それで質問を終わります。

高木委員長 南大臣官房審議官、時間が過ぎていますので、短く。

南政府参考人 現在、類似の、数々のスキームにこの新しい使途が該当するかどうかというのは、関係部局と精査をしているところでございます。

 仮に、既存の規定では読めない、使途として明確化する必要があると判断された場合には、電波法の改正の中に追加をさせていただくつもりでございます。

佐藤(正)委員 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 法案について質問いたします。

 国家公務員の一般職、地方公務員などに配偶者同行休業制度を創設する関連二法案については、私ども賛成であります。制度の趣旨を生かしてよりよいものにという立場から、何点か質問をいたします。

 この法案の目的として、「この法律は、配偶者同行休業の制度を設けることにより、有為な国家公務員の継続的な勤務を促進し、もって公務の円滑な運営に資することを目的とする。」とあります。

 国家公務員の同様の休業制度に育児休業制度や自己啓発休業制度がありますが、有為なという文言が法文上、目的規定に明記されているものは今回の法案だけと承知をしております。

 有為という言葉は、辞書で引けば、才能があり、役に立つという言葉になるわけですけれども、公務員の皆さんは誰もが才能があり、役に立つとは思いますが、この同行休業を申請する職員の対象が限定されるように受けとめられる、こういうことを思うわけです。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、同行休業制度の利用希望者は、そもそも退職しないで勤務を継続したいがために申請をするわけで、利用を希望する職員が原則利用できるものにする、こういう趣旨のものであるべきだと思いますが、この点についてお尋ねをいたします。

新藤国務大臣 今回創設いたします、配偶者同行休業制度を御提案いたしましたが、職員が休業から公務に復帰した後に、各分野において活躍をし、行政のパフォーマンス向上に貢献をしてもらいたい、こういう期待を持って、有為なという表現を用いているわけであります。この趣旨を踏まえた上で、これは任命権者が裁量において適切に承認をなされる必要があるということになります。

 そして、その制度の運用に当たっては、やはり何らかの基準が必要だということになります。今御指摘いただきましたような自己啓発等休業同様、こういったものも人事院から各府省に承認基準例を示していただいておりますけれども、そういった、職員にとっても透明性や納得性の高い運用が図られるように期待をしております。

塩川委員 利用を希望する職員の方にとって透明性、納得性が高いものにということでの対応をお願いしたいと思います。

 あわせて、地方公務員法の改正ですけれども、条例で定めるところにより、職員の勤務成績その他の事情を考慮した上でとなっております。地方公務員法ですから、目的規定に有為なという文言はありませんけれども、自治体が、その実情に基づいて、利用を希望する職員が原則利用できるようなものにする、そういう趣旨で立法されるということだと思っておりますが、その点についても確認でお尋ねをします。

新藤国務大臣 地方公務員に関しましても、職員の休業申請に関する承認、これは、今般の配偶者同行休業の制度の趣旨、それから国家公務員制度における取り扱いを踏まえて、地方公共団体において適切に判断をしていただくべきものと考えております。当然のことであります。

 それから、単に勤務成績で固定していいかというと、例えば、何らかの事情があって、ある期間に勤務の日数が少なくなっているとか、そういういろいろな事情があると思いますよね。ですから、基準は基準として、まずは勤務評定というものがございますけれども、それらも含めた諸事情を勘案した任命権者による適切な裁量がなされるということ、そしてそれは、地方公共団体においてそのような運用が図られていくように、国としても適切な助言、またいろいろな情報提供をしてまいりたい、このように考えます。

塩川委員 地方公務員の同行休業制度については自治体が判断すべきもの、そういう点では、細かな点まで国が口を挟むようなものではないということを、ぜひとも趣旨として対応していただきたいということであります。

 そういう点では、国の技術的助言とかで今問題となっているのが、地方公務員にかかわっては、給与削減の問題であります。

 そこで、地方公務員給与削減に関係して、何点かお尋ねをいたします。

 今年度七・八%の賃下げに関して、地方六団体は、来年度の予算概算要求の文書において、以下のように述べています。「平成二十五年度の地方公務員給与削減要請は、臨時的・例外的な措置であり、地域経済再生に向けた取組みを国・地方一丸となって進める必要がある中で、地域の消費腰折れを回避しなければならないとの観点からも、平成二十六年度以降二度とあってはならないこと。」このように述べております。

 ここには、公務の賃下げがもたらす地域経済への否定的な影響への懸念と、地方自治を侵害するような地方公務員給与削減の要請そのものへの批判が込められているわけであります。

 まず、地域経済への影響についてお尋ねします。日銀にお尋ねをいたします。

 十月二十一日公表の地域経済報告、さくらレポートを見ますと、先行きの個人消費における地方公務員の給与減額の影響について記述をしております。

 地方公務員の給与減額の影響について調査した経緯及びその結果について御説明をいただけますか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 私ども日本銀行が四半期ごとに公表しております地域経済報告、通称さくらレポートでございますけれども、毎回、その時々のテーマを定めて、本支店において調査を行っております。

 今回、十月は個人消費をテーマとして取り上げましたが、委員御指摘の部分につきましては、企業の見方の一つとして、地域経済に影響の大きい公務員給与の減額による消費への影響が懸念されるとする声が複数の支店から寄せられましたので、それを掲載したものでございます。

塩川委員 個人消費についての実態調査を行う、そういう中で、企業の見方の一つとして、「地域経済に影響の大きい公務員給与減額による消費への影響が先行き懸念される。」というのが複数の支店から声が上がったということであります。これは、先行きの懸念という書き方になっているのも、調査時点が七月、八月ということで、実際、七月から下げ始めていますから、影響が出ている段階ではまだないということもありますので、先行きの懸念という書き方をしているわけですが、そもそも、こういう調査項目に挙げられているように、やはり個人消費の落ち込みについての懸念というのは大変強いわけであります。

 そういう点では、自治体の側からもこういう影響についての試算なども行っている。例えば高知県は、県としてそういう試算を行いました。地方公務員の給与削減を前提にした地方交付税削減について、政府の要請どおり県と県内市町村が削減した場合に、本県経済へのマイナス波及効果は約五十六億円で、六百七十四人の雇用が失われる、こういった試算も出しているわけです。

 そういう点でも、地方公務員給与削減が地域経済、個人消費の落ち込みに影響を与える、このことを心配する声というのが多くあるということも、こういう事例にあらわれていると思います。

 大臣にお尋ねいたしますが、地方公務員給与削減が地方の個人消費の落ち込みに悪影響を与えるのではないのかと率直に思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

新藤国務大臣 地方の公務員の給与の削減が個人の消費に影響がある、これは何らかの影響というのは必ずあるというふうに思います。よくも悪くもあると思います。ですから、そのような御懸念があるということもたくさんの方々から、地方団体の皆さんも含めて、私、頂戴しておりますから、そういう御懸念があることは承知をしております。

 しかし、一般論として、今委員も調査の時期について言及されました。それから、企業はそれぞれその企業の経営方針や経営状況によって環境が違ってまいります。したがって、その企業の業績。それから、その地域のいろいろな産業が、独特の産業があると思いますから、さまざまな動向によって条件が変動するわけでございます。

 したがって、私といたしましては、今回のことは非常に、我々とすれば、要請をするに当たっていろいろ考えました。そして、国家公務員が復興に対する貢献をしていこう、そしてそれは公務員がまず隗より始めよで示そう。それに合わせて、地方公務員におきましても、一年はおくれましたけれども、これはまず地域経済の再生のために公務員にも御協力いただこうということを閣議で決定いたしまして、そして地方にまずこのような趣旨をお願いし、要請をさせていただいたところであります。

 そして、給与の削減と同様に、地域経済に対する配慮、これにつきましては、この給与削減に見合う額です。同額ではございません。見合う額につきましては、防災・減災事業、そして地域の元気づくり事業というようなことで、地域経済への影響を最小限にする、こういうような形で工夫をさせていただきながら、配慮をさせていただいたわけでございまして、総合的な判断をさせていただいたわけでありますので、一面の原因にはとどまらない、このように思います。

塩川委員 地方団体からの懸念の声も上がっているということで、それは実際にそういう影響が出るだろうということを多くの方が感じておられるあかしでもあります。

 第一生命経済研究所のマクロ経済分析のレポートなどでも、個人消費への影響は小さくない、個人消費へのマイナスのインパクトが及ぶことになる可能性は高い、このように言い、また、雇用者報酬総額に占める公務の割合が大きい地方経済への影響は相対的に大きくなるということで、内閣府の平成二十二年度県民経済計算を引用して、雇用者報酬に占める公務の割合は、関東や中部、近畿が八%前後に対して、北海道・東北とか中国、四国、九州は一〇%を超えますので、地方であるほどこの公務の給与削減というのが個人消費に影響も与える、これがひいては地域経済にも影響を与えるということを指摘しているわけであります。

 今、安倍総理は民間企業に対して賃上げを要請しております。経済界に要請という場を、例えば九月二十日の政労使協議の場におきましても、経済はデフレ脱却の方向に向かっている、この動きを企業収益、賃金、雇用の拡大を伴う好循環につなげられるかどうかが勝負どころだ、このように述べて、民間企業への賃上げを要請しております。

 私は、何よりも、デフレ脱却というのであれば、賃上げこそ必要だ、個人の所得が落ち込んでいることこそ問題だ、そういう点でも、賃上げそのものは大いにやるべしということを求めているわけですが、政府挙げて民間企業に賃上げを要請しているときに、公務、国公、地公の賃下げを要請するというのは、これは矛盾しているんじゃありませんか。

新藤国務大臣 我々は、デフレの脱却、日本経済の再生、あわせて財政再建、これを同時になし遂げなければいけない、そういう困難な課題に直面しているわけであります。その中で、アベノミクスを打ち出しました。総理の御提案による異次元の金融政策、財政出動、そして成長戦略を打ち出していこう、こういうことで、今、マクロ経済の指標が上がっています。しかし、現状において、それぞれの地域における成長の実感がまだ得られていないということも、私も実感をしております。

 しかし、あらゆる経済指標は上向いております。とても大枠のお話をいたしますが、全国の自治体で、三分の二を超える七四%の自治体が給与の削減に御協力をいただきました。今委員の御指摘のように、それがそのまま地域経済への悪影響を及ぼすならば、全国の七四%の地区で景気は下向いていなければいけません。現実は、全ての地域で、緩やか、もしくは穏やかに持ち上がっているわけであります。

 ですから、この給与の問題は一面でございますから、影響があることは事実であります。しかし、いろいろな経済政策と相まって、全体として国民の所得を、またその可処分所得をふやしていくことが重要でありますから、そのための賃上げ要請を民間企業にいたしました。

 しかし、一方で、財政再建のために、まずは隗より始めよで、公務員はその模範を示そうということで、ことし、地方公務員については一年間の臨時異例の措置をお願いいたしました。来年以降については、ただいま申し上げましたような、地域経済そして国家の経済、さらには税収動向であるとか今後の成長見込み、いろいろなものを見越しながら、また財政再建という観点も踏まえての議論を今、閣僚間で精力的にやらせていただいております。

 国の公務員の給与の方針が出ましたならば、あわせて、地方の公務員につきましては、地方団体からの御意見も精力的に今お伺いをしているところでありますけれども、そういったもろもろのことも踏まえて、総合的な判断をさせていただこうと考えております。

塩川委員 財政再建というのであれば、私は、黒字企業に対する法人税減税、そのあり方そのものが今問われているんじゃないでしょうか。しっかりとした財政の確保という点では、本来取るべきところから取らないで、庶民に負担が大きいような消費税増税のやり方もおかしいし、また、地方公務員、国家公務員を含めて、給与削減というやり方も本来おかしいということを申し述べ、そもそも、やはり勤労者の所得が落ち込んでいる、今でも勤労者の所得がふえているわけじゃないですから、そこのところの手当てがしっかりない限りは、国民的な経済の発展もないということを言わざるを得ません。

 そういう点でも、地方公務員の賃下げの継続はそもそもやるべきではないし、賃下げを押しつけるような要請も行うべきではない。

 そういう点では、地方六団体との意見交換会の場でも、全国町村会の藤原会長も、やはり地域の商店街など、個人消費の落ち込みで大変なんだ、こういう具体の話もしておられるわけで、こういう地方の声に耳を傾けていただくときではないでしょうか。

 そこで、大臣は、この地方公務員の給与の減額要請について、引き続き継続をしております。先週の委員会答弁でも、十二月議会のチャンスがあるから、そこまで丁寧に、そして細やかに協力のお願いをしたいということをおっしゃっておられます。

 そういう点でいうと、実施予定なしとしている団体というのも二百五十五団体あるわけですよね。こういう実施予定なしとみずから決めているような団体に対しても要請するのかということが問われるんじゃないでしょうか。もうきっぱり給与削減の要請そのものをやめたらどうですか。

新藤国務大臣 私どもは、望ましい給与水準というものを閣議決定いたしました。これは、私たちが国民からお預かりをしている政権においてそのような方針を決めさせていただいて、それに基づいて地方団体に御要請させていただいているわけであります。

 そしてそれは、私がいただいた時間の範囲で、それを途中でやめる、もしくは、ある団体はお願いします、ある団体は結構ですよ、こんな不公平があっていいわけがありません、強制はできませんし、最終的に自主的判断に委ねているわけでありますが、事情を私たちは聞かせていただき、また、趣旨を御理解いただけるように、最後までこれは懇切丁寧に御説明を、御要請をさせていただきたい、こんなふうに考えております。

塩川委員 要請は一律にやっているわけで、その要請を踏まえても、実施しませんと決めた団体に繰り返し繰り返し働きかけるということ自身は、これはもう強制になってくるということを言わざるを得ません。

 実際、総務省が現場のヒアリングにおいて、各都道府県の市町村振興課を通じて連絡している内容が重大であります。ある地方団体に対してこのような要請があったという話をお聞きしました。

 総務省の言い方として、地方公務員の給与は地方が自主的に決めるものという原則はそのとおりだが、そういった入り口論に終わるのではなく、今回の要請の趣旨を繰り返し説明してきた中で、一歩踏み越えて御検討いただきたい、要するに、実施についてしっかりとやってくれ、給与削減してくれ、一歩踏み越えろ、こういう要請をしている。

 地方公務員の給与は地方が自主的に決めるものという原則論で終わるんじゃなくて、一歩踏み越えてしっかりやれ、そういうのはそもそも言い過ぎじゃないですか。一歩踏み越えろなんということは許されない、こういうことはもうやらないとはっきりと言っていただきたい。

新藤国務大臣 ある団体のある言葉を言われても、大体、そのやりとりの文脈、それから具体の言葉のやりとり等が不明でございますので、私とすれば、私の思いは既に手紙にしたためて、これも臨時異例のことでございますけれども、差し出がましいことをしたのかもしれませんが、私とすれば、単なる事務通達ではなくて、そういう思いを感じていただきたいと。

 何度も申し上げておりますけれども、誰だって給料を下げることを喜ぶ人はいませんから、一生懸命働いている人たちに対して、それに報いてあげたいのは誰だって同じですから、その中で、みんなで努力するために、まずここを乗り越えなきゃいかぬということでやった措置である。

 今、この日本全国が、気持ちが上向いて、そしていろいろな指標が上向いて、頑張ろうという気になっている。だけれども、去年の今ごろはどうだったのか、その夏はどうだったのか、そういうことを考えて、私どもは、とにかく、まず一回お願いしたことは、その趣旨が御理解いただけるように丁寧にお願いをしよう。

 それから、実施の予定なしというところもあると言いますけれども、実際に御提案していただいた、議会に条例をかけていただいたけれども、いろいろな事情があって否決された団体もございます。ですから、そういった議会の御事情等も聞かせていただいて、それに対してどんな対策をおとりになるんですか、もし私たちに必要な助言があるならば、まずそれを聞かせていただきたいということもあります。

 あくまで、介入もできませんし、全ては議会でもって条例で決めていただくことなのでありますから、それは、私の意思は、全職員が同じようにやっていただいていると思っておりますし、懇切丁寧に誠意を持って私どもは最後までお願いを続けさせていただきたい、このように考えております。

塩川委員 やらないと言っている団体に繰り返しということ自身が、地方自治の趣旨からいっても、本来あってはならないことだと改めて申し上げ、実際、そういう要請、一歩踏み越えろという働きかけというのがあるということは、例えば私どもがお話をお聞きしている労働団体の自治労連の現場でお聞きした話として、これはもう総務省の事務方とのやりとりで、その文言を含めて、こういうことがあるでしょうというやりとりというのは現にやっているわけですよ。

 そういう具体の話として指摘をしているわけで、そういう点でも、大臣が繰り返しやっているということが、現場ではさらに一層ひどい形であらわれている。こんなことはもうやめてもらいたい、きっぱりと給与削減の強制そのものはやめるべきだし、来年度以降の継続などもとんでもないということを重ねて申し上げて、質問を終わります。

高木委員長 ただいま議題となっております各案中、内閣提出、国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、国家公務員の配偶者同行休業に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方公務員法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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