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第4号 平成26年2月25日(火曜日)

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平成二十六年二月二十五日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      川崎 二郎君    木内  均君

      小林 史明君    斎藤 洋明君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中村 裕之君

      長坂 康正君    福井  照君

      福山  守君    船橋 利実君

      松本 文明君    山口 俊一君

      湯川 一行君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      中根 康浩君    福田 昭夫君

      上西小百合君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      輿水 恵一君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務副大臣        関口 昌一君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長)         川淵 幹児君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   吉田  靖君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           高橋  洋君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       加藤 久喜君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 弥元 伸也君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  堂元  光君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 塚田 祐之君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 石田 研一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           久保田啓一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会理事)   上滝 賢二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   下川 雅也君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     斎藤 洋明君

  長坂 康正君     福山  守君

  近藤 昭一君     中根 康浩君

  濱村  進君     輿水 恵一君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     船橋 利実君

  福山  守君     長坂 康正君

  中根 康浩君     近藤 昭一君

  輿水 恵一君     濱村  進君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成二十六年度地方財政計画)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会会長籾井勝人君、副会長堂元光君、専務理事塚田祐之君、専務理事吉国浩二君、専務理事石田研一君、理事木田幸紀君、理事・技師長久保田啓一君、理事板野裕爾君、理事上滝賢二君、理事福井敬君、理事下川雅也君及び理事森永公紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長川淵幹児君、人事院事務総局職員福祉局長井上利君、総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、人事・恩給局長笹島誉行君、自治行政局選挙部長安田充君、自治財政局長佐藤文俊君、情報流通行政局長福岡徹君、政策統括官吉田靖君、消防庁次長市橋保彦君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、医政局長原徳壽君、農林水産省大臣官房参事官高橋洋君、国土交通省水管理・国土保全局次長加藤久喜君及び環境省大臣官房審議官弥元伸也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内均君。

木内委員 おはようございます。自由民主党、長野県の木内均です。

 初めに、今月十四日から十六日にかけまして降りました豪雪による被害を受けられました皆様、そして地域に対しまして、お見舞いを申し上げます。また、とうとい人命が二十名以上失われることとなってしまいました。心から哀悼の誠をささげたいと存じます。

 私の地元でも、北佐久郡の軽井沢町と、隣接をいたします御代田町が、災害救助法の適用となりました。また、新藤総務大臣が昨年夏に御視察に来ていただきました南佐久郡の全ての町村も、災害救助法適用の市町村の隣接地域ということで、大変な被害が出ております。農業を中心に大変な被害が出ているわけでありますが、総務省に対しましても、特別交付税の上乗せとか、具体的な課題で迅速に、そして全力で取り組んでいただけるよう、まずもってお願いをさせていただきます。

 本日は、地方財政の充実強化と地方分権改革の推進、役割分担につきまして、総務大臣の御所見を伺いたいと存じます。

 私自身は、佐久市議会議員を二期、そして長野県議会議員を二期務めてまいりました。ライフワークといたしましては、地方財政の充実強化と地方分権改革の推進、つまり、地方の自立をなし遂げていくということを決意いたしております。そのためには、税財源を伴う権限移譲のより一層の推進と役割分担が重要であると考えております。

 昨年末、自由民主党の税制調査会で、地方自治体の固有財源であります固定資産税の償却資産課税に関する税制措置、具体的には固定資産税の減免ですが、これが議論となりました。

 今回は、固定資産税が市町村を支える安定した基幹税であることを踏まえ、政策目的とその効果、補助金等他の政策手段との関係、市町村財政への配慮、実務上の問題点などが検討されまして、見送りとなりました。

 国の法律改正、制度改正によって、地方固有の財源が議論され、そして、結果として地方税収が上下する。上がるのであればまだ納得できると思うんですけれども、下がる場合が特に問題になってくるわけであります。本来は、こういった国の法律改正ですとか制度改正によって地方固有の財源が上下するなんということは、あってはいけないことだというふうに考えております。

 また、ことし末には、我が党の税調でも、再びこういった地方税、地方の税財源に関することが議論されるということが想定をされます。

 地方政治を経験してきた者とすれば、地方財政の強化、例えば税源交換によって地方税収の安定化を図る、そして地域による偏在性を是正していく、さらには固有財源をより強化していく、こういったことが非常に重要であるというふうに考えております。

 そこで、まず一点目といたしまして、地方財政強化策につきまして、大臣の御所見をお願いいたします。

新藤国務大臣 御答弁させていただく前に、まず、今回の大雪に対して、各地区で大きな被害が出ました。そして、まことに残念なことに、この雪で人が亡くなってしまうということで、本当にこれは痛ましいことであります。お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げ、被害に遭われた地域の皆さんにお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 総務省としても、しっかり役割を果たして、地方自治体が行うさまざまな支援措置に対して、財政上の支障が出ないように、我々も交付税の措置をしっかりしていきたい。

 まずは、普通交付税で除排雪の経費を見ております。足りない分は特別交付税で乗せます。そして、今般、災害救助法の適用地域、適用団体、それから、特に平年に比べて大きな雪が降った、そういう地域に対しては三月分の特別交付税を繰り上げ交付するとけさの閣議で決定させていただきましたので、あした、現金で交付する、このようになっております。

 今後、農家の被害であるとかさまざまな実態を踏まえまして、よく事情を聞きながら、それぞれの所管の官庁がありますから、そこでの支援措置が行われる、これを前提にいたしまして、私たちとしてもしっかりとした支援ができるように取り組んでまいりたい。また、これは安倍総理から、全政府的な対応をしよう、こんなことで御下命いただいておりますから、我々もそれを踏まえて役割を果たしていきたい、このように思っております。

 その上で、今御質問いただきました地方分権の推進、そのかなめとなるのは、一つには、やはり地方税の充実確保ということであります。これは、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築する、このことが重要だと、私も同じように思っております。

 特に、地方法人課税は、税源の偏在性が大きい、そして大きく税収の変動があるということであります。一方、地方消費税は、偏在性が小さくて税収が安定的である、こういう特性があります。例えば、地方消費税は、一人当たりの税収で県別で比較いたしますと、全国に対して一対一・八なんですね。ところが、地方法人課税は五・七倍にまで開くということであります。ですから、国税と地方税との間で法人課税と消費課税の税源交換を検討する、今委員が御提案されたことは選択肢の一つであると私も考えております。

 そして、二十六年度の税制改正においては、地方消費税率の引き上げとあわせて、法人住民税の法人税割の一部を国税化し、交付税原資とすることによって、地域間の税源の偏在性を是正する、地方団体間の財政力格差の縮小を図ることにしたわけであります。

 今後とも、この税制の抜本改革法の円滑かつ着実な実施の中で地方の安定財源を確保するとともに、また、消費税のさらなる、次の段階も含めましての地方法人課税の偏在是正への対応、この取り組みを進めていきたい、このように考えております。

 最後に、固定資産税の償却資産課税につきましてでありますが、これは、税源の偏在性が比較的小さく、税収が安定的である市町村の基幹税だ、このように考えております。今後の税制改正においては、償却資産課税の重要性を訴える地方団体の意見等々を踏まえまして議論がしていただけますように、また税調の方での御議論をいただくと思いますけれども、我々としても取り組んでまいりたい、このように考えております。

木内委員 ありがとうございました。

 引き続き、役割分担についてお伺いをしたいと思います。

 地方分権改革の推進に当たっては、市町村それから都道府県並びに国の役割分担が重要であるというふうに考えております。

 例えば、病院運営を例に挙げさせていただきたいと存じますが、私の選挙区には十七市町村があります。その中に、市立それから町立の病院が何と四つあります。そして、長野県は五つ、県立病院を経営しています。さらに、私の選挙区には、名前は改めましたけれども、旧国立長野病院、今は信州上田医療センターというふうに名称を変更されていますが、国が病院運営に関与をしているんですね。住民にとってみれば、病院サービスを提供していただくのに、市町村だとか県だとか国という区別はないわけなんですけれども、実際のサービスは、市町村がやったり県がやったり国がやったりしているわけですね。これこそまさに二重行政、三重行政の典型ではないかというふうに考えております。

 そして、また例に挙げさせていただきますけれども、実は警察署も、影響が出た一つなんですね。

 私の住む佐久市は、平成の大合併によって、一つの市と二つの町と一つの村が合併をいたしまして、新生佐久市、十万都市を対等合併で発足させました。それは、それぞれの市町村の独自の判断なんですね。今回は上からの押しつけではありませんので、それぞれの皆さんの判断で対等合併をしていったわけです。

 それによりまして、県の守備範囲である警察行政、警察署の運営に支障が出てまいりました。実は、二つの町にも警察署があったわけですね。そうすると、新生佐久市には、何と、十万都市でありながら三つの警察署が存在をするということになりました。県庁所在地の長野市は、三十八万都市でありながら二つの警察署しかないんですね。新しい佐久市は、十万都市でありながら三つも警察署が存在をするということになりました。

 それで、長野県警察本部のとった施策は、旧二つの町にあった警察署を警部交番に格下げするということをやったんですね。これは、ある意味では、その地域に住んでいる県民にとってはサービスの低下につながるわけです。こうやって、市町村が独自の判断で合併をしていったことによって県行政に影響が出たという例もあります。

 さらに、地方整備局を例に挙げます。

 長野県というのは、県土が広いせいもありますけれども、何と、北陸地方整備局、関東地方整備局、中部地方整備局と三つの整備局に関連をしているんですね。県は一つでありながら、それぞれの事業によって北陸や関東や中部にお願いをしていくという実態があります。これも、効率的にやっていくという観点から見れば、県とそれから市町村と国の役割分担、これをやることによって行政の効率化が期待できるわけであります。

 こういった事例をお聞きになって、総務大臣の御所見をお願いしたいと思います。

新藤国務大臣 ただいまのような実態、これはまさに委員が市議会そして県議会、そういった地方自治にずっと携わってこられた、そういう方であればこその把握だ、このように思います。

 そういう地域の実情に合わせて、不合理があれば解消する、さらに、役割分担をしながら、二重行政、三重行政という言葉も今お話しされましたけれども、そういった行政の無駄を解消していかなくてはいけない、これは原点にあります。そして、やはり、地方がそれぞれの自分たちの個性を生かして魅力をつくり、財源と権限を持った、そういう自立の体制を高めていくこと、これが非常に重要だと思っているわけであります。

 国と地方の役割分担をしながら、そして地方自治における役割も適切な分担がなされるように、そういったことを我々も取り組んでまいりたい、このように考えます。

木内委員 これから役割分担というのは、広い意味では道州制も含めて、非常に大事になってくると思うんですね。

 私も市議会、県議会を経験してきましたから、地域の皆さんに訴えかけさせていただいて、国に出たらぜひ検討していきたいというふうに約束をしてきたのが、例えば、福祉サービスというのは、そこに住んでいる皆さんに一番身近なところでやるわけですから、本来は市町村、基礎自治体が積極的に責任を持ってやっていく。施設の運営に関しても、施設をつくることに関しても、サービスを提供することに関しても、あるいは民間の事業者がやることに関しましても、基礎自治体が責任を持ってやっていく。医療は、市に病院がありましても、その市からだけ来るわけではないですね。近隣の市町村からも患者さんが来るわけですから、そういう意味では、中間自治体である県が責任を持って医療はやっていったらどうかというような提言もさせていただきました。

 そうすると、福祉は基礎自治体がやって医療は中間行政である県がやるのであれば、国は一体何をやるんだということが出てくるんですが、国は、北海道から沖縄まで一律のサービスが提供できるように、必要最低限のサービスが提供できるような基本施策を決めること、あるいは市町村や県に対して助成を行っていくことは国がやるというふうに、明確に守備範囲は分けられると思うんですね。

 こういったことをやりたいという約束をして出てまいりましたので、自分のライフワークとしてやらせていただきたいと思っています。

 本日は、質問の冒頭に、豪雪災害の対策について新藤総務大臣に触れていただきました。被災地から選出をいただいている国会議員としては、本当に一刻も早い復旧そして支援をお願いするわけでありますけれども、具体的には、交付税の繰り上げ交付をしていただいております。これは非常に助かっております。もう既に除排雪費が底をついちゃっているわけですね。これから先は特別交付税の上乗せまで含めて検討していただきたいと、改めてお願いを申し上げます。

 そして、私自身も、実は土曜日、日曜日、閉じ込められてしまって、外に出ることが全くできませんでした。そのときに、こうやってテレビを見ていて気がついたんですけれども、長野県というのは県土が広いですから、民放でも、黒枠で、佐久市、軽井沢で車が立ち往生と出るだけなんですね。軽井沢のどこで、佐久市のどこで立ち往生しているかという情報は、残念ながら、広い長野県の民放では出ないんです。それを本来カバーするのが、コミュニティーテレビ、CATVですとかあるいはコミュニティーFMなんですね。

 それこそ身近な情報ですから、佐久市のどこどこ地籍、軽井沢のどこどこ地籍で車が立ち往生していて通行どめになっているので不必要な外出は避けるようにとか、あるいはもっと細かいことを言えば、雪かきすら、ふだんは二、三十センチしか雪の降らない地域でありますから、緊急に雪かきが欲しいといったときに、ここも売り切れ、あそこも売り切れといったときに、コミュニティーFMが、ここであればまだ売っていますよとか、そういう必要最低限、今起こっている災害に関して解決をしていただく必要な情報を提供できるというのが、本来は、有線テレビであり地域のFMコミュニティーの役割だと思うんですね。

 そういうことを実感しましたので、また課題として申し上げさせていただきたいと思います。

 以上をもちまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

高木委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、大臣所信についての一般質疑ということで、ICTをキーワードに質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、医療情報のICT化についてお伺いいたします。

 この分野は、総務省と厚生労働省が連携をとらないとうまくいかない分野であるというふうに思っております。特に、電子カルテにつきましては、導入がどんどん進んでいるわけですけれども、実は、ICTというかコンピューターシステムとしてはさまざまなベンダーがそれぞれの仕様で開発をしておりまして、その上で病院に提供されているわけでございます。このことは皆さんよく御存じのことかとは思いますけれども、これまでは病院完結型の医療であったがために、それで用を足していた、病院をまたがっての情報連携というのはなかなか必要がなかったという状況でありました。ところが、今は地域連携型医療に変わりつつありますので、こういった背景からしても、システムベンダーをまたがっての連携というものが必要になってきておりまして、標準化というものが大事であるというふうに言われてきております。

 ここからがポイントなんですけれども、もう少し突っ込みます。

 業務として標準化していくということも実は必要であるということを訴え申し上げたいんですけれども、どういうことかということですけれども、例としてガンマGTP、皆さん、数値を気になされている方もいらっしゃるかもしれませんけれども、このガンマGTPの測定について例として挙げてお話ししたいんです。

 これは表記の時点で、アルファベット、gammaのGTPと書く場合もあれば、ギリシャ文字のγと書いて表記される場合もある。これが統一されておりません。この表記自体の統一ぐらいであれば何とかできそうであるというふうに思うかもしれませんけれども、実は病院における検査方法も違ってきているわけでございます。

 どういうことかというと、とあるA病院では検査結果が百二十と数値が出ました。ところが、同じ人がB病院に行った場合に検査結果が百十と出てしまって、数字が違って出てくる。A病院では適正な範囲が六から三十八とかと言っているのに、B病院では八から五十と言っているというような形で、実は検査基準が違っているということもあります。これは非常に統一するのが難しくて、検査機器自体を変更したりする必要もあるわけでございます。このことは、医療情報の連携のための標準化のために、病院もそこまではできませんので、かわりに、データ連携する際に標準化された基準に変換してデータ送信をすればよいというようなことも考えられているわけでございます。

 今申し上げた例のように、医療現場におけるICT化というのは連携に課題があるわけであります。ところが、これは連携されれば非常にメリットが大きいんです。遠隔地であったり過疎地であったり、こうしたところはなかなか事例が集まりません。そしてまた、難病といった、症例がなかなかないような事例についても治験が集約できますので、連携されることのメリットあるいは可能性というのは非常に大きいわけでございます。

 大臣の所信の中でも、東北メディカル・メガバンク計画の推進及び全国展開ということがございましたけれども、診療データが電子化されて地域で共有されるわけでございますが、その上で、地域で共有されるだけではなくて全国展開していただきたいというふうに思いますけれども、全国展開するための課題は何であるとお考えか、お答え願えますでしょうか。

吉田政府参考人 御指摘いただきました東北メディカル・メガバンク計画につきましては、医療機関が患者の診療情報を共有することによりまして、平時のみならず、災害時におきましても、切れ目のない医療サービスの提供を可能としていくというものでございまして、こういった先導的なものを全国に展開していくということは極めて重要な課題だと認識いたしております。

 こうした先進モデルを全国に展開していくに当たりましては、各地域におきまして構築したネットワークを維持していくために、一部の中核的な医療機関だけではなく、在宅医療あるいは介護も含めました多くの関係者が参加する体制をつくっていくことが必要だと考えております。

 そのためには、まず、構築、運営に当たりまして、コスト負担のかからない、より低廉なモデルを確立していくこと、先ほど先生が御指摘になりました、システムベンダーをまたがった標準化というようなこともこの中に入るというふうに考えております。それからもう一つは、より多くの関係者の参加を促す、そういう導入メリットを皆が共有していくといったことが必要だというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、総務省といたしましては、先ほど御指摘いただきましたように、厚生労働省等の関係省庁とよく連携いたしまして、これまでの成果を検証いたしまして、またさらに改善を加えまして、こうした先進モデルを全国展開していきたいというふうに考えているところでございます。

濱村委員 ありがとうございます。本当に、平時あるいは災害時にも役立つということでおっしゃっておられました。

 導入のためのコスト負担がなるべく少ないようにということも大変重要であります。これは、中核病院あるいは大規模病院であれば、導入されている電子カルテというのは、ある特定のベンダーが大体二社ぐらいで五割以上を占めている。これまた、他方で、一般的なクリニックとか個人開業医の皆様においては、また別のベンダーが多く入られていたりしますので、そのあたりも含めて、展開するに当たっては、しっかりと標準化していっていただけるように、今後も取り組みをお願いしたいなというふうに思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 次は、マイナンバーについて少しお伺いをしたいと思います。

 マイナンバーの導入に当たっては、地方公共団体における業務システムの改修が必要となってまいります。地公体が対応する費用も含めて、政府は約二千六百億円かけて対応するわけであります。これはまだまだ概算のレベルかもしれませんけれども、それぞれの地公体で、業務ごとに、総務省分あるいは厚労省分として予算が配分されているわけでありますけれども、これが費用として適切であるのか、そしてまたその根拠は適切なのか、対応工数の積み上げなどとともに評価した結果なのかどうか。この評価プロセスについて、ぜひとも御説明を願いたいと思います。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。

 マイナンバーの導入につきましては、円滑な運用に当たって、地方公共団体に御協力をいただくことが必要不可欠であるものと考えております。

 総務省といたしましては、地方公共団体における番号制度の導入のためのシステム整備に当たりまして、平成二十六年度から二十八年度にかけて、国庫補助金により支援することといたしまして、平成二十六年度の予算案においては、約三百十億円を計上させていただいているところでございます。

 本補助金の計上に当たりましては、システム整備に要する事業につきまして、複数の事業者からヒアリングを行った上で検討を行い、システムエンジニアの方の適正なる単価と開発工数を掛け算しまして積み上げをいたしましたとともに、内閣情報通信政策監により、より効率的なシステム整備のあり方等について、数次にわたる指導と助言をいただきながらチェックをいたしまして、政府部内の調整を経た上で取りまとめており、適切に、必要な事業費として計上しているものと考えているところでございます。

 加えまして、今後、予算の執行段階においては、より効率的な執行に留意をしていくことが必要と考えております。

 地方公共団体における各団体自身の中、あるいは複数団体が集まって共同化するということも含めまして、また、その情報そのもののセキュリティーについても無論十分な留意をすることは当然といたしまして、クラウドの活用の促進も含め、より効率的なシステム整備に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

濱村委員 ありがとうございます。

 ちょっとこれ、さらに質問させていただきたいんですけれども、通告にはありませんが、基本的には、これは既存システムの改修に当たるというふうに思っております。既存システムの改修ですので、どうしても随意契約が多くなるのかなというふうには思うんですけれども、この随契に対しての適正評価というのは、総務省として何か、随契の場合はこのように評価をしていきますとか、標準的に評価するような仕組みあるいは制度、そういった知見、こういうものが積み上げられているのか、この点についてちょっとお伺いしたいんです。

 政府CIOを中心とした体制とかもあって、今、政府として全体でICTの導入あるいは改修についての適正化も進められている中ではあるとは思うんですけれども、私が実感したレベルでは、まだまだ専門家は少ないというように実感しております。いろいろな政府の方ともお話しさせていただきましたが、なかなか専門的な知見を有している方が、まだまだこれからふやしていかなければいけないなという状況にあります。

 そういった意味も含めて、随契をやるのは非常に大事なポイントなんですけれども、これを評価できる体制が十分整っているのかどうか。これも含めて、どのように随契を評価されているのか、お答え願えればと思います。

伊藤大臣政務官 ただいまの御指摘は大変重要なところだと思っております。

 いずれにいたしましても、随契と申しましても契約でございますので、政府といたしましては、適正にこれが行われるよう、ただいま申し上げました、積み上げてまいりました判断の基準とか、それから、これまでやってまいりました仕組みを十分活用いたしまして、適時適切に行ってまいりたい、こう思っております。

濱村委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、SE単価あるいは工数、これらもぜひホームページ上で公開されるとかやっていただけると、世間標準的なレベルとすり合わせてどうなのかということが判断できるかと思いますし、公明正大な判断が国民の皆様にとっても非常にメリットがあるのかなというふうに思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 続いて、サイバーセキュリティーについて質問をさせていただきたいと思います。

 ICT化というのは非常に我々の生活を潤すために役立つわけでありますけれども、一方で大事なのは、サイバーセキュリティーの強化も必要であるというふうに思うわけでございます。今、日本におきまして、この情報セキュリティー、サイバーセキュリティーに対する危機感というのは非常に薄いというふうに感じております。

 例を挙げますと、SSLというものがあります。皆さん、インターネットをお使いのときに、セキュア・ソケッツ・レイヤーというものがインターネット上で情報を暗号化してくれる、そういう仕組みがありまして、暗号化した上でデータを送受信してくれるわけでございますけれども、基本的には、プライバシー情報であったりとかクレジットカード情報、こういったものを暗号化してくれるわけですので、インターネットにおけるオンラインショッピングとかで活用されているわけでございます。

 ところが、このSSLの利用というのが国民の皆さん一般になかなか周知されていないんじゃないかというような事例も起きているわけです。大手百貨店が運営するショッピングサイトで、九カ月間SSLがなかった、こういった状態でサイトが運営されておりました。何と六千六十四名の方が気づかずにショッピングをされていたわけでございます。データ暗号化されずに、もうだだ漏れの状態でございました。こういった中で、皆さん、お買い物とかされているわけですけれども、一般の国民の皆さんにおいても、しっかりと勉強していただける、そういった環境をつくっていかないといけないというふうに感じているわけでございます。

 一たびセキュリティーの事故が起きますと、大きな被害となるわけでございます。そのために、自己管理のレベルをどんどん上げていっていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、サイバーセキュリティーの強化についてはどのようなことをおやりになるのか、お示しください。

吉田政府参考人 サイバー攻撃は近年非常に巧妙化いたしておりますので、それぞれ事案に応じた対策を講じていくということが必要だというふうに考えております。

 先生は自己管理のレベルを上げていくことが必要だというふうにおっしゃいましたけれども、まさにそのとおりだと考えておりまして、事業者側が対策を講じることは当然のことといたしまして、利用者側も危険性を十分注意する必要があるというふうに考えております。

 御指摘のショッピングサイトのSSLの件につきましては、総務省では、国民のための情報セキュリティサイトというのを開設しているわけでございますが、その中で、どのような点に気をつけたらいいのかというのをわかりやすく説明いたしております。

 より具体的に申し上げますと、ショッピングサイトで個人情報を入力する際に、サイトのアドレスがhttps、通常がhttpなので、sがついてセキュリティーがプラスされているという意味でございますが、で始まることや、あるいは、ウエブブラウザーに鍵のマークが表示されている、こういったことを確認した上で送信をするということを推奨するように注意喚起をいたしております。

 また、同じショッピングサイトの例で申し上げますと、最近では、IDとかパスワードが流出、悪用されるというような事案が非常にふえてきておりまして、その原因は、利用者が同じID、パスワードを複数のサイトで使っているということにあると考えられますので、総務省では、ID、パスワードを使い回ししないようにといった、これは初歩的なことでございますが、注意喚起を行っているところでございます。

 今後とも、セキュリティーの問題につきましては、内閣官房情報セキュリティセンターの調整のもと、関係省庁と連携した上で、情報セキュリティーの強化、さらに国民への周知に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

濱村委員 アドレスバーが緑になりますよとか、そういう具体的な話とかも含めて、ぜひ国民の皆さんに広く周知徹底をいただいて、安全を守っていただきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 まず、今回の大雪では、栃木県においても七十億円を超える大きな被害が生じています。特に、鹿沼市、宇都宮市、日光市においては、サツキ用の鹿沼土が大きな被害を受けております。農業でも工業でもない業として分類をされておりますので、地域の産業でありますが、何の補償も保険もありません。総務省においては、ぜひ特別交付税などにより特別な対応をお願い申し上げます。

 また、総務大臣政務官でありました徳田衆議院議員が辞職願を出したとのことでありますけれども、しかし、国会の方については何の説明もございませんので、元総務大臣政務官でありましたので、総務省として、国会に対してしっかり説明をするよう要請をしておきます。

 それでは、質問の順番を変えて、緊急性の高いNHKの会長の問題について先に質問をさせていただきます。時間が余りましたら、総務大臣にも基本的なことについて質問をさせていただきます。

 それでは、きょうは、NHKの経営委員長、そして会長以下全理事に御出席をいただいておりますので、それぞれ、皆さん、正直にお答えをいただきたい。

 まず、NHK会長としての籾井会長の資質についてお伺いいたします。

 一つ目は、公共放送の不偏不党、公正中立、編集権の独立とは何か、どう考えているのか、籾井会長、お答えください。

籾井参考人 お答えします。

 今御質問があった点は、まさしく我々公共放送の実に基本的な部分でありまして、非常に大事なポイントと考えております。

 放送法は、放送による表現の自由を確保するため、放送の不偏不党や政治的公平を求めております。

 NHKは、放送法に基づきまして国内番組基準を定め、政治上の諸問題は公正に取り扱う、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることを規定しております。

 こうしたことを実現し、公共放送の使命を果たすためには、ニュースや番組が外からの圧力や働きかけによって左右されることがあってはならないと考えております。NHKとしましては、これが編集権の独立だと考えております。

 したがいまして、番組編集の自由を確保し、放送の自主自律を堅持することが、公共放送の生命線であると認識いたしております。

福田(昭)委員 質問の二の方まで答えてくれたようであります。まさに、公共放送の不偏不党、公正中立、編集権の独立を踏まえて、NHKの放送、報道はどうあるべきと考えているかということで、二番目に質問する予定でしたが、そこまでお答えいただきました。

 それでは、NHKの指針ではどのように規定しているんですか。お答えください。

籾井参考人 お答えいたします。

 NHKは、基本的に放送法というのを大きなバックボーンにしながら、放送法に基づき、放送による表現の自由を確保するため、不偏不党、公平公正などの原則を守って放送することを求められております。

 国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持してまいります。

福田(昭)委員 NHKの指針には、放送法の第一条を引用する形で、

 報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない。NHKは放送の自主・自律を堅持する。

  全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。

と書いてありますが、職員からレクチャーは受けていますか。

籾井参考人 我々はガイドラインというものを持っておりまして、その中に、今委員がおっしゃったことが書いてございます。それについては認識いたしております。

福田(昭)委員 それでは、認識しているようですので、次の質問に行きます。

 ことし一月の就任記者会見時の発言等を顧みて、今何を考えておりますか。反省するところはありますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 就任会見で私が個人的な見解を発言してしまったことにより、視聴者の皆様、各方面に迷惑をおかけしましたことについて改めて深くおわびを申し上げたいと思います。

福田(昭)委員 全くよくわかりませんけれども。

 二月十二日の経営委員会で、記者会見のテキストを全部見てほしい、私は大変な失言をしたのでしょうかと持論を述べていたとの報道がマスコミ各社に載っております。全く反省していないのではないですか。十二日の会合の議事録は二十八日に公表されることになっておりますので、うそをついてもだめですよ。正直に答えてください。

籾井参考人 もう一度、二十五日の会見について、私見を述べたことについて改めて深くおわび申し上げます。

 今月十二日に開かれました経営委員会の私の発言につきましては、今委員御指摘のとおり、二十八日に議事録ができ上がると聞いておりますので、私はこの場では発言を差し控えさせていただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

福田(昭)委員 それでは、籾井会長、二十五日の記者会見の発言を取り消したということですけれども、それは考え方を変えたということですか、どういうことですか。答えてください。

籾井参考人 お答えいたします。

 私は、一月二十五日の記者会見において私見を述べました。その私見を、NHKの会長の会見という公式な場で私見を述べたことを大変反省し、これを取り消したわけでございます。

福田(昭)委員 会長、だから、考え方を変えたのかどうかと聞いているんです、取り消したんじゃなくて。(発言する者あり)

高木委員長 不規則発言は御遠慮ください。

籾井参考人 お答えいたします。

 私が一月二十五日の記者会見において私的なことを述べたことを取り消します、こういうことでございます。

福田(昭)委員 それでは、考え方は変えていないということですね。それはよく確認をさせていただきました。籾井会長、イエスかノーで答えてください。考え方を変えていないということですね。イエスかノーで答えてください。

籾井参考人 お答えいたします。

 就任会見で個人的見解を述べたことを取り消しました。

福田(昭)委員 わかりました。では、考え方は変えていないということですな。

 ところで、籾井会長、就任会見後、NHKには一万件を超える批判的な意見が視聴者から届いているそうです。十二日の会合で受信料不払いが起きた場合の対応策について質問されて、営業努力で補うと回答、対策は正直よくわからないと答えたそうですが、どういう対策をとるつもりなんですか。

籾井参考人 十二日はまだ議事録が出ていないのは御承知のとおりだと思います。したがいまして、私がその場で何を述べたかはコメントすべきではないというふうに考えております。

 ただ、もしそういうふうな事態が起こるとすれば、我々は、やはり営業を活発化し、さらに、そういうことがないように努力するとともに、番組をよりよくして視聴者の皆様の信頼に応えたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 籾井会長、一度受信料が大幅に激減をして、それを多くの皆さんの努力で回復してきたんですよ。それを、籾井会長一人の発言で受信料を減らすということになるんですよ。そうしたら、何の責任も感じないんですか。全く責任を感じないんですか、そうなったとして。

籾井参考人 多くの視聴者から、批判的なコメントも、サポートするコメントも、両方いただいております。私としましては、そういう視聴者の意見は十分に考えながら、今後経営をやっていきたいと思います。

 ただ、今委員の減ったらどうするんだということについては、まだ結果も出ていませんし、我々としては、そういうことがないように、最大限の努力をするつもりでおります。

福田(昭)委員 もう既に払いたくないという人がたくさんいるんですよ、会長。

 NHK会長としての資質はないと判断をさせてもらいます。

 次に、NHK会長としての今回の人事権行使の狙いについてお聞きします。

 まず一つ目、一月二十五日の就任初日、臨時役員会を開いて、理事全員に辞表を求めたと報道がありますが、それは本当ですか、会長。

籾井参考人 本件は、まさしく人事のことでございますので、私としてはコメントを控えさせていただきたいと思います。

福田(昭)委員 籾井会長、そう簡単に、人事のことだからといって、あなたが否定することはできないんですよ。

 籾井会長が就任初日に理事らに辞表を預けるように求め、会長の人事権を強調していたことが、二月二十二日、複数のNHK関係者への取材でわかった、現在まで任期途中で辞任した理事はおらず、辞表は籾井氏が預かっていると見られる、関係者によると、当日、あなた方は前の会長が選んだ、今後の人事は私のやり方でやるという趣旨の発言をして、辞表を預けるよう出席者に求めた、そう多くのマスコミが報道しております。

 ぜひお答えください。

籾井参考人 お答えいたします。

 多くの新聞とおっしゃいましたが、そういう新聞が、どこからどういうふうなニュースを察知されたか知りませんけれども、私としては、やはり人事は非常に大事なポイントでございまして、それをこの場で、新聞をベースにコメントするわけにはいかないと思います。

福田(昭)委員 それでは、また最後に聞きますね。時間がなくなっちゃいますから、先に行って、最後にまたお聞きします。

 それでは、二つ目は、国会でうそをついて辞職に追い込まれた会長が過去にいたことを御存じですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 私としては、確認はいたしておりません。

福田(昭)委員 過去に、国会軽視の虚偽答弁をして引責辞任に追い込まれた実力者会長がおりました。

 籾井会長、マスコミ各社の報道にありますように、内部情報がこういうふうに漏れてくるということは、既に籾井会長がNHKの内部で信頼されていないという証拠ですよ。それをどう思いますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 いろいろな組織においては、いろいろな意見があると思います。しかし、我々は、今から、NHK職員、経営者一丸となって、よりよいNHKのために最大限の努力をしてまいりたいと思っております。どうぞよろしく御理解ください。

福田(昭)委員 どうも答えないようでありますが、最後にまた聞かせてもらいます。

 では、三つ目、理事の任期は省略して、四つ目に行きます。

 理事の任期満了前に辞表提出を求めた会長は、あなたが初めてだそうであります。歴代の会長で辞表を提出しろと求めた会長はいなかったそうでありますが、どう思いますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 そういうことは確認いたしておりません。

福田(昭)委員 籾井会長、聞いていますか。あなたが初めてなんですよ、こんな強引なことをやるのは。初めてだと聞いていないんですか。

 それでは、浜田経営委員長、予告はしておりませんが、お伺いいたします。

 放送法第五十二条第三項で、「副会長及び理事は、経営委員会の同意を得て、会長が任命する。」とあります。浜田委員長は、この辞表を預かったことを承知しておりますか。

浜田参考人 そのような報道があるということは承知をしております。

 会長に委任している業務執行にかかわることなので、経営委員長としてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

福田(昭)委員 浜田委員長、では、籾井会長から相談はされていないんですか、相談はされているんですか、どうですか。

浜田参考人 先ほど申し上げましたように、会長の業務執行にかかわる範囲でございますので、相談は受けておりません。

福田(昭)委員 浜田委員長、おかしいじゃないですか。放送法第五十二条第三項で、副会長及び理事は、経営委員会の同意を得て、会長が任命するんですよ。浜田委員長が同意をしなければ任命できないんですよ。そうしたしっかり人事権に同意をする人が知らないでやっているんですよ。それを許すんですか、あなたは。

浜田参考人 理事の任命に当たりましては、委員の御指摘のように、経営委員会の同意を得る必要がありますので、経営委員会としては、個別の人事が提案された時点で適切に判断をしてまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 では、相談を受けていないということですね。初めてなんですよ、こんなことをやった会長は、浜田委員長。

 それでは、副会長、専務理事、理事お一人お一人に、辞表を既に提出したのかどうかお伺いいたします。

 皆さんも、会長と同じで、うその答弁をするとやはり引責辞任するようになりますから、正直に答えてください。しかも、いずれ時期が来れば全てわかってしまうんです。ですから、ここでしっかり正直に答えていただきたいと思います。

 では、副会長から順に、お一人お一人簡潔に答えてください。イエス、ノーで結構です。

堂元参考人 お答えいたします。

 私は、今月の十二日に副会長に就任をいたしました。現時点で辞表は出しておりません。

塚田参考人 私は、辞任届には辞任の日付を空欄のまま、記入せずに、署名捺印し、提出いたしました。

吉国参考人 私も、日付を入れない形で辞任届を提出しております。

石田参考人 何月何日をもってという日付の欄が空欄の辞任届を提出いたしました。

木田参考人 私も、日付の入っていない辞任届にサインして、提出してあります。

久保田参考人 私も、辞任の日付を記入していない辞表に署名捺印して、提出してあります。

板野参考人 私も、日付の入っていない辞表に署名捺印して、提出をいたしました。

上滝参考人 お答えいたします。

 私も、日付のない辞表に署名捺印し、提出いたしました。

福井参考人 私も同様に、日付のない辞任届を提出してございます。

下川参考人 私も、日付は空欄のまま、署名捺印のみして、提出いたしました。

森永参考人 私も、日付なしに署名をして、提出いたしました。

福田(昭)委員 副会長、専務理事、理事の皆さん、大変御苦労さまでした。

 これで、籾井会長のうそがはっきりしましたね。辞表はきちっと提出されている。何も……(発言する者あり)

高木委員長 不規則な発言は御遠慮ください。

福田(昭)委員 要するに、正直じゃないということですな。

 それでは、次の質問に入りますけれども、二月に任期切れの二人の専務理事は再任をされたと聞きますけれども、どうして認めたんですか、籾井会長。その理由を答えてください。

籾井参考人 お答えします。

 ちょうど会長の交代時期が一月二十五日でございます。この日は、三月末という、NHKにとりまして非常に大事な日にちを控えております。そういう中で、やはりこの二人の専務理事の力というものは必要だというふうに感じ、二月に任期が切れる二人の専務理事には尽力してほしいというふうに思い、やりました。

福田(昭)委員 次の質問に入りますけれども、籾井会長は、ことしの四月二十四日または来年の四月二十四日には、専務理事あるいは理事の多くが任期満了となるわけでありますけれども、あえて全理事に任期満了前に辞表を提出させた理由は何ですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 これもまた人事上の問題でございますので、私としましてはコメントを差し控えたいと思います。

福田(昭)委員 籾井会長、会長は、先ほど、発言は取り消したけれども、自分の考えは変えていないんですよね。もう一度答えてください。

籾井参考人 お答えいたします。

 何度も同じ答えで申しわけございませんが、私は、一月二十五日の私的見解、私的発言について取り消しをいたしました。発言したことを取り消しました。

福田(昭)委員 籾井会長、自分が発言したことは取り消したけれども、考え方は変えていないわけですよね。そうすると、辞表を提出させて人事権を行使するということは、俺の考えに従った放送をしろ、俺の言うことに従え、俺の考えに沿った放送をつくれということと同じ意味になるんですよ、籾井会長。ですから、自分の考えを放送に反映させることはないと幾ら籾井会長が言っても、人事権を持っている人が、いつでもお前を首にできるんだぞ、こういう権力を行使したら、籾井会長に逆らう人は誰もいなくなるんですよ、籾井会長。

 ですから、籾井会長が幾ら、自分の考えを放送に反映させることはないと言っても、それは通用しないんです、会長。どうですか。

籾井参考人 何度も申しておりますが、個人的な発言は既に取り消させていただいております。

 また、これも何度も申し上げておりますが、個人的な見解を番組に反映させることはない。放送法に基づきまして、私どもはNHKをやっていくつもりでございます。公平公正、不偏不党、表現の自由を確保しまして、適切に放送を行っていく所存でございます。

福田(昭)委員 会長、会長が幾らそう言っても、私も組織を動かした経験があります、市長、知事、首長として。人事権のある人に逆らう人は、左遷されるかどうかなるんですよ。

 ですから、籾井会長が人事権を振りかざせば、NHKの内部でまさに民主主義がなくなるんですよ。活発な議論がやれなくなるんですよ。放送が、まさに籾井会長が守ると言っている公共放送が、不偏不党、公正中立、編集権の独立、それが脅かされることになるんですよ、籾井会長。それを自覚していますか。

籾井参考人 お答えします。

 私は、NHKのトップとして、放送法の精神や規定に沿って、公共放送の使命を果たしていけるよう貢献していきたいというふうに思っております。

 それから、放送法の中には、民主主義を発展させるということも書いてあります。したがいまして、私は、放送法に基づきましてNHKを経営していきたいと思いますし、同時に、私の個人的な見解を放送に反映させることはないということを改めて強調したいと思います。

福田(昭)委員 籾井会長、自分の考えは撤回していないことだし、また、就任初日に人事権を振りかざすような行為をいたしておりますので、とても籾井会長を信用するわけにはまいりません。籾井会長がこれ以上NHKの会長にとどまることは許されないと思っています。ぜひ、即刻辞任を勧告いたします。

 それで、経営委員長、放送法の五十五条には、経営委員会は、会長もしくは監事が職務の執行の任務にたえないと認めるとき、または会長もしくは監事に職務上の義務違反その他会長もしくは監事たるに適しない非行があると認めるときは、これを罷免することができると規定されております。

 浜田委員長、籾井会長を罷免する考えはありませんか。

浜田参考人 会長は、再三再四謝罪をされ、放送法の遵守をする旨の発言も承っております。そういう意味では、経営委員会としてはそういう考えはございません。

福田(昭)委員 浜田委員長、そうすると、これからさまざまな批判がますます高まってくると思いますし、さらに、本当に受信料の低下など、そうした状態になれば、いずれ判断せざるを得なくなると思うんですよ。ですから、やはり、それは事前の予防が私は大切だと思います。就任早々からこれだけの騒ぎを起こした会長、いましたか。いなかったんじゃないですか。

 浜田委員長、もう一度お答えください。

浜田参考人 先ほども申し上げましたけれども、経営委員長といたしましては、会長に対して厳しく自覚を促し、説明責任を果たすとともに、事態の収拾を速やかに行うよう要請しました。また、会長からは、反省の言葉と、業務執行に当たっては放送法を遵守するとの明言を得、役職員一丸となって事態の収拾に当たる決意も示されました。経営委員会としては、会長に先日、口頭でそういう旨の申し入れもいたしております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 これからこのことについては、質問する機会がまだまだありますので、NHKの予算もありますので、しっかりまたただしていきたいと思います。

 そこで総務大臣、籾井会長は、憲法改正はナチスのようにやればよいと言った麻生副総理の推薦だと聞いております。ふるさとも同郷だ、籾井会長は麻生副総理と同郷だそうです。麻生副総理は、憲法改正はナチスのように、国民にわからないようにやればいい、こう言われたそうでありますけれども、まさにNHKを所管する総務大臣として、籾井会長の今までのやりとりを聞いておりまして、どうお感じになられたか。NHKの会長として適格なのかどうか、その辺について所感をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 これはとても重大で基本にかかわることでありますから、少ししっかり答弁させていただきたいと思いますから、御理解いただきたいと思います。(発言する者あり)

高木委員長 御静粛にお願いします。

新藤国務大臣 まず、今般の就任会見における会長の個人的発言をめぐり混乱が生じていること、これは残念である、このように考えております。

 そして、放送法は、第一条の目的規定において、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保し、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること等を原則として規定しています。

 このような放送法の原則を踏まえ、かつ、放送法の第三条において、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と定めておりまして、これは、政府や議会も含め、何人もこれによって規律されていると私は承知をしております。

 その上で、こうした放送法の規定を踏まえて、放送機関のトップが行った個別の発言について政府としてコメントは差し控えたい、このように考えております。

 さらに、放送法第四条は、放送番組の編集に当たり放送事業者が遵守すべき事項を定めた上で、第五条で、みずから定める番組基準に従って番組編集を行うべき旨を定めているわけであります。

 こうした放送法第四条の規定に基づき、一般論として申し上げれば、会長たる地位にある者が複数の意見のある事柄について個人的発言を行うこと自体が、直ちに放送法違反とは言えないものの、適切とは言えない、このように認識をしております。

 会長は、これまで国会審議の場で何度も謝罪をされて、そして反省の弁を述べられながら、個人的な見解を述べた部分について全て取り消しをしています。私はそのように認識しています。

 そして、現状で、会長が個人的発言に従ってNHKの放送番組の編集を行ったということは承知をしておりません。また、会長自身が、自分の個人的な見解を放送に反映させることはない、この旨は何度も、また本日も国会で述べられております。

 就任会見における個人的発言を発端とした今般の混乱は収束をさせて、私は、NHKが、本来持っている能力を生かして、会長と職員が一丸となって国民に対してよりよい放送を提供すること、そして信頼をさらに向上させること、これを図っていただきたいと、大いに期待をしているところでございます。

福田(昭)委員 大臣からもお答えがありましたけれども、しかし、あくまでも、会長は、個人的な見解を取り消しただけであって、考え方を変えたわけではありません。これは、これから問題を引き起こすことになると私は考えておりますので、今後さらに追及をしていきたいと思っています。

 籾井会長、最後に、先ほど、全理事の皆さんが辞表を提出したことを素直に、正直に答えてくれました。それに対してどう思いますか。

籾井参考人 各理事は事実をそのまま述べたと思います。それはそれで結構ではないかというふうに思います。

 私がどう思うかについては、これはまた別問題でございまして、人事のことでございますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

福田(昭)委員 籾井会長、NHKはあなたのものじゃないんですよ。国民全体のもの、公共放送なんですよ。

 あなたは、選挙で選ばれたわけでも何でもない。たまたま国会で同意をいただいた、それだけなんですよね。したがって……(発言する者あり)

高木委員長 委員の諸君は御静粛にお願いします。

 理事を通じて発言してください。

福田(昭)委員 したがって、やはり、しっかり公共放送としての役目を果たすべき、あなたはその責任があるわけですけれども、とても果たせるとは思えない。ぜひ即刻辞任することを求めますが、いかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 NHK会長の重みをしっかり受けとめ、放送法に基づいて公共放送の使命を果たしていくことで、引き続き会長としての責任を全うしたいと思います。

福田(昭)委員 失礼しました。間違えましたので訂正しますが、国会で同意したんじゃなくて、経営委員会で選んだわけですね。ですから、まさに選挙で選ばれたわけでも何でもない。そういうあなたが個人的な見解に基づいてやるということは、本当に公共放送を私物化するに等しい話でありまして、ですから、何度も申し上げますが、あなたに辞職を求めます。もう一度お答えください。

籾井参考人 NHK会長としての責任の重さをしっかり身に受けて、引き続き会長としての重責を全うしていきたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 籾井会長、先ほども申し上げましたが、あなた、もうNHKの会長として内部からも認められていないんですよ。だから、あなたが辞表を提出させたことについて、ぽろぽろぽろぽろ情報が漏れてくるんですよ。わかりますか。

 あなたも会社の経営をした経験があるわけですよね。そうしたら、そんなことをされたら、あなたは社長として務まりましたか。しかも、会長、これはNHKの内部にそういう批判がたくさんあるということなんですよ。そのこと、よくわかりますか。どうぞ答えてください。

籾井参考人 組織の中にいろいろな意見があることは想像するまでもないと思いますが、私は、放送法に基づきまして、何回も繰り返しておりますが、不偏不党、公平公正、表現の自由を確保して放送を行っていくことはもちろん、コンプライアンスの強化、ガバナンスのあり方なども大事と考えております。

 自分の信念とNHKの役割、期待を考えながら最適な運営を図っていくことが会長としての私に求められていると信じております。

福田(昭)委員 この問題は、今後とも引き続き、籾井会長のNHK会長としての資質をしっかり追及していきたいと思いますから、後でまたやらせていただきます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 大臣の所信に対して、通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 きょうの朝日新聞にちょっとした記事が載っておりました。日本の人口が減少する時代にあって、日本の国の総人口一億を維持したいということで、海外からの移民も政府として本格的に検討するというような記事が載っておりました。

 そこで、まず、日本の国として人口減少する、このことに対しての大臣の危機感といいますか、それをお持ちであれば、伺いたいと思います。

新藤国務大臣 私は、この人口減少が国家の基本的課題である、このように考えております。

 そして、現状におきましても、人口が五万人以下の市町村が全体の七割を占めているんです。そして、三割の地域に八割の人口が集中している。今後人口が減少していくと、自治体を維持することがもう難しくなる、そういう地域がどんどん出てくるということになるわけであります。

 そして、国土審議会の取りまとめました「国土の長期展望」、これは前政権のときに出していただいたものであります。これは非常に私は注目をしています。一キロメッシュで国土の人口分布をチェックしていきますと、二〇五〇年までに、現在、人が居住しているエリアから二割、そこが無居住エリアになっていく、もう自治体が運営できない、こういうことが予測されているわけであります。

 ですから、こういった状態で、まず都市部においては集中することによる都市問題が起き、一方で地方、過疎地はどんどんと人口が減っていく。この開いていくそれぞれに問題を抱えるということになります。

 ですから、人口減少は国家的課題であるとともに、それぞれの地域で、国土に、皆さんが自分の生まれた町できちんと満足して住み続けられるように、そういった政策を打つことは、これは国家的課題である、このように考えております。

黄川田(徹)委員 今大臣から、人口減少は国家的な課題という認識だということでございます。

 そこで、「二〇四〇年、地方消滅。「極点社会」が到来する」、こういうふうなセンセーショナルな言葉でもって、元総務大臣増田寛也さん、実は私も岩手の人間で、当時県会議員をしておりまして、増田寛也さんは岩手県の知事もされました。これは、昨年十二月の中央公論に発表されたものであります。地方が消滅する時代がやってくる、人口減少の大波は、地方の小規模自治体を襲い、その後、地方全体に急速に広がり、最終的にはすさまじい勢いで都市部をのみ込むというシナリオであります。

 人口減少は、日本では二〇〇八年から起こったわけであります。そこで、この人口減少の時代を迎えまして、長期の人口動態といいますか、二十年後、三十年後あるいはまた五十年後というふうな、そういう見据えた、国と地方のあり方について、所見があればお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 私の理解では、たしか人口減少に転じたのは二〇〇五年だったと思います。それで、トレンドとしては、今の合計特殊出生率を向上させない限りは、これはもう二〇三〇年、四〇年、五〇年と深刻な人口減少を迎えていくわけであります。

 ですから、まず、人口をふやすための、それは、生活を安定させる、それから、社会のいろいろな価値観というのも変わってきておりますけれども、いずれにしても、子供を産み育てられる社会、こういったものを政策として打っていかなければいけないんだろう、このように思っております。

 そして、何よりも、今人口が少なくなっているところ、そこに、皆さんはいたくなくて出ていくのではなくて、いられなくなって出ていく、こういうこともあると思います。ですから、私は、地方自治をお預かりする総務省としては、全国津々浦々に成長の実感を届けるとともに、全国津々浦々が自分たちの工夫で自立性を高められるような、そういう政策が必要だと思っているのであります。

 いろいろと申し上げたいことはたくさんありますけれども、私が一つ注目しているのは、過疎地でありますけれども地域の活性化が成功している町というのは幾つかあります。いろいろなところで工夫をしてやっています。そこは、私が現場に行っていろいろと、また書類等でチェックいたしますと、その地域活性化の成功した町、村では、人口が減ってはいるんです、過疎で。だけれども、社会増になるんですね。人口の、生き死にで自然減になってしまいますけれども、転出入のチェックをいたしますと、これが社会増に転じている地域というのは幾つもあります。

 ですから、これから、長期のトレンドについては、国として、人口をふやしていく、そのための、これは少子化対策もあれば女性対策もあれば国土計画も、いろいろなものが組み合わされて、何よりもこれは経済を安定させること、発展させることが重要だと思いますけれども、あわせて、やはりそれぞれの地域でどうやって工夫をして自立性を高められるか、そこの町にとどまっていられる、そういう状態をつくっていく。また、魅力的な地域には自分たちが移っていこうと。それは、都市から地方に対してのそういった人口移動があってもいいと私は思っていますし、そういうものを実現するための施策を総務省は幾つも持っていますし、鍵となるのはICTだと思いますけれども、そういったものを加味しながら、ぜひこの問題には取り組んでまいりたい、このように考えております。

黄川田(徹)委員 来年は二〇一五年、戦後七十年ということであります。

 地方自治も、この七十年の間に、昭和の大合併、そして先般の平成の大合併と、大きく変わってきたのでありますが、今度は、七十年もたつと、これから日本の人口は半分になるんじゃないのか、そういう大きく動いていく時代となっておりますし、そしてまた、満遍なく、行政サービス、社会保障もしっかりやってきましたけれども、本当に維持できるのか等々、さまざまな課題があると思っております。

 それから、最終的には、大都市にも人口減少の大波が来るということ、のみ込むということでありますので、大都市にも限界集落といいますか、そういう場所場所があるし、その人たちの社会保障をどう支えていくのか、さまざまな課題があると思っております。

 そこで、将来に向けてしっかり取り組まなきゃならないのでありますけれども、増田さんが話された、最初に大打撃を受ける小規模自治体といいますか、中山間地とか辺地とか過疎地といいますか、そういう部分の政策もしっかりやっていかなきゃならないと思っておるわけであります。よく農業で耕作放棄地という言葉がありますけれども、市町村の限界集落、最終的には、増田さんは、自治体自身が限界自治体化していくんじゃないのかということもお話しされております。

 そこで、まず足元の対策といいますか、先ほど大臣もお話しされましたけれども、最も大きな影響を受ける過疎地域、この政策についてお尋ねいたしたいと思っております。

 この過疎対策につきましてのこれまでの取り組みと今後の課題でありますが、お尋ねいたします。

新藤国務大臣 まさに過疎対策を充実させること、これは先ほども申し上げましたが、重要なわけであります。

 これまでの取り組みといたしましては、ハード事業に加えて、地域の課題に応じたソフト事業というものを過疎の支援に加えて充実させてきました。

 ところが、残念ながら、現在、二十五年四月一日時点では、過疎と言われる市町村は四五%ですけれども、今後、今与党の方で御議論いただいております、国会の方で御議論いただいております中では四七%にふえるんですね。ですから、まだ過疎の流れというものは、とめるどころか、少しずつでもまたふえていっている、こういう状況があります。

 ですから、過疎地域自立促進特別措置法、こういったものを平成二十二年に法改正を行いまして、ソフト事業の活用というのを可能にいたしました。そして、過疎事業債の利用率がどんどんと上がっているということで、過疎自治体においても、そういったことに熱心に取り組んでいただいているということだと思います。

 今後は、さらに、過疎地であっても元気になれるような、そういう事業というのをぜひ応援したいというふうに私は思っているんです。

 実は、平成二十四年度、我々、政権に戻りまして、私も総務大臣を拝命いたしました。最初の二十四年度補正において、過疎集落等自立再生対策事業というものを設けました。これは何と、我々、予算額十五億だったんです。それに対して百三十億円の御要望が来ました。枠がそれしかなかったものですから、本当に選定に苦労したんですけれども、そして、百五十件程度の団体を予定していたんですが、それに対して六百十件、御要望が出たんです。そういったことで、皆さんから非常に御要望を賜りました。

 ですので、それを、二十五年度の当初、そして補正、そういう中で、我々もできる限り措置をしながら、そういうニーズの高い事業については充実させていきたい、このように思っておりますし、また、そういう地域に元気になってもらうためには、地域の元気創造本部というものを設けて、そこで、どんなことができるのか研究をしてまいりました。

 少なくとも、今現状で、地域の資産と地域の資金を生かして、産学そして金融もまぜた金官のラウンドテーブルというものを設けまして、その中で、私たちは、それぞれの地域がやりたいこと、そして望んでいることに対して国も応援できるような仕組みも整えながらやろう、このように思っているところでございます。

黄川田(徹)委員 大臣お話しのとおり、平成十二年に過疎地域自立促進特別措置法が制定されまして、十年後ということで、二十二年に、名称は変えませんでしたけれども、一部改正で中身を大胆に変えた。そして、ソフト事業に対する支援措置を追加したということ。これは、過疎市町村の大変な要望でありましたので。そしてまた、そのときに、衆議院の総務委員会の委員会決議、それから参議院の総務委員会の附帯決議におきまして、施行後三年ぐらいをめどに、当時の改正は平成二十二年の国勢調査の結果を反映しておりませんでしたので、それを反映した形で進めなければならないということもあります。

 それからまた、施行後に、また新たな対象事業もふやしてくれというふうな話もありまして、そして、自民党さん初め、我々野党も、過疎法は委員長提案ということでこれまでずっとやってまいりましたし、それぞれの実務者を出していただいて協議するということでやってまいりましたので、その部分が反映されたものがしっかりとでき上がらなきゃいけない、こう思っておるわけであります。

 そしてまた、先ほど来お話ししたとおりでありますけれども、過疎の足元の対策もそうなのでありますけれども、離島振興であるとかあるいはまた半島振興であるとか、さまざまな法律がありますが、全面的に人口が減少する時代にあっての国のあり方あるいはまた地方のあり方、中長期的にしっかりとこれまた同時進行で検討していかなきゃならないと思っておりました。

 それで、ソフトの関係なのでありますけれども、うちの民主党としても、原口先生はうちの方の地域主権改革、皆さんは地域分権改革という話になるかもしれませんが、そういうことで、やはり現場主義ということで、我々は我々なりにいろいろ歩いてきまして、そういう中で、ソフトが十分生かされるようにということ。

 ただ、このソフトにつきましては、それぞれの過疎地域の市町村の認識の高さ低さといいますか、まだまだちょっとありまして、使っているところはもう満額使っているところもありまして、本当はさらに使いたいというところがあったり、そして、今まで手の届かなかったところ、例えば保健医療、福祉の関係、それから地域の足の確保、さらには自然再生エネルギーとか、そしてまた、何といっても、地域で頑張れるようにICTの活用等々ありました。

 具体的に申し上げますと、議事録に載るんですかね、岩手の遠野市というところがございまして、過疎の関係では県のまとめ役ということにもなっておりましたし、特に、医療過疎地といいますか、小児科医であるとか産婦人科医がいなくなってどうやって地域を支えていくかという大変な課題を背負っておりましたので、そういう中で、さらなる過疎の活用の拡大もということで動いておったわけであります。

 いずれ、全体の枠がありますので、そこの枠の範囲内でさらなる融通ができるのであればということ、さらには、二十二年の一部改正のときには、限定列挙といいますか、今言ったような形のものもソフトで認めようということだったのでありますけれども、むしろ地域活性化になるものであれば積極的に認めていくというふうな方向であるとは思いますけれども、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 それから、今大臣もちょっと触れましたけれども、地域おこし協力隊というのが、過疎地域に元気を取り戻すためにということで、たしか二十歳から四十歳までの男女、頑張りたいということで、都市部の方々を主として採用して送り出していると思っておるわけであります。

 私も平成二十三年度に北海道に、札幌の隣に、喜茂別町というんですか、ニセコの隣なのでありますけれども、あそこの小さな町に十人ぐらいの、町長の肝いりなんですか、一生懸命頑張っている姿を見てまいりました。

 この協力隊の実績といいますか、そしてまた、そこに定着する方もおるのかどうなのか。たしか、この制度は二〇〇九年度、二十一年度から始まったと思いますけれども、その辺を、事務方で構いませんので、御答弁いただけますか。

関政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊ですが、都市住民の方が、人口減少や高齢化などが進行している過疎地域などの地方自治体に実際に住民票を移して、おおむね一年以上三年以下の期間、地域の活性化の支援や農林漁業の応援などの地域協力活動を行っているものでございます。

 私どもで把握しているところでは、平成二十一年度の開始以来、年々人数が増加しております。二十四年度は全国二百七団体で六百十七人、二十五年度には全国三百十八団体で九百七十八人の方々が、それぞれの地域に住んで、農林水産業の応援や住民の生活支援など各種の活動に取り組んでいるところでございます。

 また、昨年七月の時点で調べましたところ、昨年六月末までに任期を終了した隊員三百六十六名のうち、約半数の百七十四名が同じ市町村内に引き続き居住されております。さらに、隣接した市町村に定住している方々も加えますと、全体の約六割の方々がその地域に残って定住しているというふうに理解できる状況にございます。

 これらの方々は、例えば株式会社や一般社団法人、NPO法人などを実際に設立されたり、あるいは地元の企業や自治体にお勤めになられたり、あるいは稲作、畑作、林業に従事をされるなど、さまざまな形でその地域で引き続き御活躍をいただいております。

 この地域おこし協力隊は、地域の活性化に資することはもちろんですが、あわせまして、都市地域から過疎地域などの条件不利地域の方に行く人の流れを生み出すことにもつながっておりますので、私たちも、今後もこの取り組みを推進して、地方へ人々が定住、定着する動きをつくってまいりたいと考えているところでございます。

黄川田(徹)委員 実績も出ておるという答弁でございますけれども、まだまだ要望もあると思いますが、来年度の予算措置は万全なのか、ちょっと確認いたします。

関政府参考人 お答えいたします。

 これは、私ども、財源としては特別交付税でルール的に措置しております。この地域おこし協力隊の人数の上限は設けておりませんので、実際に各自治体が取り組みをしましたものに対しまして財源措置を行っていくという仕組みでございます。どんどん御活用いただければと思っております。

黄川田(徹)委員 それでは次に、人口減少で荒波を受けるのは小規模自治体、その後、地方の都市にも襲ってくるということであります。地方都市、四、五万の都市、そしてまた合併の後の周辺との連携とかがある中で、これまた平成二十一年度ですか、定住自立圏構想があるわけであります。

 何としても、この人口減少の荒波からしっかりと頑張れるというふうな形の仕組みが大事だと思いますので、その辺の取り組み、先ほどお話ししたとおり、平成二十一年度からでありますので、取り組み状況があるはずでありますし、それから、今後の課題があればお願いいたしたいと思います。

新藤国務大臣 まず、地域おこし協力隊ですけれども、これは委員もいろいろとそうやって触れていただいたと思います。

 私も、視察に出るたびに必ず、そこの地域にいらっしゃる場合は面会、面談をさせていただいております。きのうもちょうど、青森の佐井村に行っている人たちが、私が行ったときはちょうど赴任した直後だったんですけれども、自分たちで観光開発をして、ワカメを、商品をつくりましたのでというので、大臣室に送ってもらったところなんです。

 そういう各それぞれの地域で、若い人たちや、それから、若い人とは限りません、元公務員の方で、やはり自分が生きがいを求めて、この町を、村を手助けしたいとか、こういう方々もいます。さまざまな方たちが自分のいろいろな生き方を求めて地域に入って頑張ってくれています。ですから、我々とすれば、これをさらに拡充したいと思っておりますから、委員の方も、何かありましたら御支援をいただきたい、このように思っております。

 そして、定住自立圏構想でありますけれども、平成二十一年度から全国展開をいたしました。七十八圏域、延べ三百五十四団体で定住自立圏が形成されております。着実に取り組み団体がふえている、そして、医療や福祉、公共交通などの分野で取り組みも進められているわけであります。

 しかし、一方で、そうはいいながら、地方を取り巻く状況というのは厳しいわけでありまして、地域経済の活性化について、自立圏を組んだ中でどうやって役割分担しながら向上を目指せるか、こういうところが私は課題だ、このように思っているわけであります。

 来年度は、定住自立圏の取り組みに係る地方財政措置を大幅に拡充いたしました。そして、人、物、金の流れがもっと動きがよくなるように、圏域の活性化を図るためのモデル事業も計上させていただいております。市町村の範囲を超えた広域連携が有機的に実績を上げていけるように、そういった取り組みを工夫していきたいと思いますし、支援したいと思っております。

黄川田(徹)委員 定住自立圏構想でありますけれども、隣の福田先生も、総務省においてこれにかかわって、福田先生は日光市でありまして、日光市の昼夜人口が一を超えないか何か、いろいろなことがありまして、当初は認められなかったのでありますけれども、さまざまその後検討されて、認められたということであります。

 第三十次地方制度調査会の方でも、たしか一層の推進で頑張れというふうな答申をされておるかと思いますので、人口減少の荒波にのまれないように、地方都市連携の仕組み、どんどんやっていただきたいと思っております。

 さて、その次なのでありますけれども、次は、大都市にも最後には押し寄せてくるという、のみ込んでしまうということなわけでありまして、何としても踏ん張っていかなきゃならない、そういう中で、地方中枢拠点都市構想というものが出てきたようでありますけれども、これについての中身をちょっとお尋ねいたします。

新藤国務大臣 これは、人口減少社会のもとで、経済を持続可能にする、それから国民が安心をして生活できる、地方を自立させる、そういったために、地方圏、先ほど申しましたように全国の自治体の七割が五万人以下なんですから、その中で、やはりそれぞれの地域で拠点となるような地域をつくって、そして圏域を設定しようではないか、こういうことです。ですから、定住自立圏の精神ともこれは相まみえることになりますけれども、また別途、我々とすれば、こういう制度も立ち上げたということであります。

 地方中枢拠点都市は、政令指定都市、それから人口二十万人以上に今度緩和になりますけれども、新中核市、こういうものであって、かつ、昼夜間人口比率が一以上のもの、そういう吸引力を持っている地域を設定して、全国で六十一市が該当することになります。

 こういう地方中枢拠点都市というものを設定して、その中で自治体間の連携協約というものを結べるようにしよう。議会同士、自治体同士が協約を結んで、そして役割分担や相互の補完をする、こういうような都市圏がつくれないだろうか、こういうことであります。

 この先にあるのは、シティーリージョンです。それは、今度は、議会ではなくて、住民の皆さんが寄って自分たちの地域を考える、こういう取り組みも私はやりたいと思っているんです。それは、例えば県を越える。市町村を越えるだけではなくて県域を越えて、ある一定のエリア、そういった圏域をつくって、そこで役割分担をしてもいいではないかというようなことも考えております。

 まずは、来年度、国費においてモデル事業、これは一・三億円を要求しておりますけれども、先行的なモデルを構築します。そして、平成二十七年度よりは、本格的に地方交付税措置を通じてこの地方中枢拠点都市構想を推進していきたい、このように考えているわけであります。

黄川田(徹)委員 定住自立圏構想、四、五万のを核として、それだけじゃなくて、上から下に押しつける政策ではなくて、やはり自立的に協定を結んで、そしてまた、核となれる、今ある中核市であるとか特例市なんかをまとめた新中核市ということになってくるわけですが、そういうところの中で、圏域の中の産業の活性化であるとか、あるいはまた、行政だけではなくて地域社会に住む方々の意見も取り入れながらということでありますね。

 そこで、財政的な支援は地方交付税ということの制度設計になるということでありますが、いずれ、安倍内閣の地域経済が元気にならなきゃいけないということで、制度設計の位置づけもあるのかなと思っております。

 ただ、各省庁、こういうものを何かいっぱいつくって、ちょっと乱立ぎみではないかというふうな言われ方もしますし、そういうものをつくっていくのであれば、先ほど話をしたとおり、本当に厳しい人口減少の中で、日本として生き抜いていかなきゃいけない、地方として生き抜いていかなきゃならないということでありますので、この辺にしっかりとした財政支援といいますか、資源をしっかりとまとめていく。

 あるいはまた、そういう中で、周辺の協定を結んだ町も、ウイン・ウインといいますか、しっかりと生き残れるというふうな形をぜひともつくっていただきたいと思っております。この辺が、何か増田さんも、しっかりやらなきゃいけないというふうな意気込みでおったようですので、御所見があればお願いいたします。

新藤国務大臣 これは極めて重要な御指摘だと思うんです。今私が委員から御質問いただいたのは総務省の施策ですから。だけれども、これ以外に、農水省もやっている、国土交通省もある、経済産業省もある、文科省だってあります、環境省もあります。いろいろな、地域活性化策というのはそれぞれの省が持っているんですね。

 ですから、これに横串を刺さなきゃいけないということで、新年度から、平成二十六年度から地域活性化プラットホームというものを設けることにいたしました。これは、いろいろな事業を持っている全省庁が自分の予算と仕事を持ち合って、そして、局長級で方針を決めます。課長級で実務の仕事の内容をチェックします。そして、私は地域活性化担当大臣でもありますから、この私のもとにワーキングも置きまして、どの町にどんな仕事があるのかを横串を刺してみようと。

 そうすると、例えば、熱心に定住自立圏でやっている、でも、そこでは農水省もプロジェクトがありますね、では、この仕事をやっているのなら、環境省のプロジェクトも加えるともっとよくなるんじゃないかとか、そういう横の連絡をとりながら、政策を複合的に、集中的に投資できるような、そういう関係をつくろうじゃないかと、初めての基軸でありますけれども、そういう地域活性化プラットホームというものをこれから設けます。

 そして、その前提となる予算を、地域の元気枠という、仮称でありますけれども、各省からの持ち寄りの予算ですが、それをうまく調整できるような仕組みをつくって、今、私たちは総務省としてのこういう仕事がありますが、全政府的に地域を元気にさせるための政策資源を投下できるような、そういう工夫を今しているところでございます。

黄川田(徹)委員 ぜひともしっかりとした横串を刺していただきたいと思います。

 それから、次は、広域圏だけではなくて、みずからの自治体が体力をつけなきゃいけないということでありますので、残り時間が少なくなってまいりましたので、二つほどお尋ねいたしたいと思います。地方債の特例の創設等についてであります。

 まず一つは、老朽化に伴う公共施設の解体に対する財政措置ということでございますが、ちょっとこの中身をお話しいただきたいと思います。

新藤国務大臣 これは、私は、地方をお伺いするときに、知事さんや市長さんや村長さんや、いろいろな方々とお会いするんですけれども、必ず言われるのが、老朽化した公共施設、巨大施設の解体除去の問題なんですね。それは、空き家の問題もありますけれども、大きな、もう必要でなくなった処理場であるとか、そういったもの、これが巨大過ぎて、解体するのにお金がかかり過ぎてできない。だけれども、今まで過疎債のソフト事業で一応対応はできたんですけれども、規模が小さ過ぎちゃって、ほとんど実績を上げることができませんでした。

 ですから、私は、今回、地方債の対象外でありました公共施設の解体撤去に係る費用、これを対象とする、こういうことで地方財政法の改正をしたい、このようにお願いをしているわけであります。そして、そのためには、まず、地方公共団体が計画をつくっていただいて、それに沿って長期的視点から総合的、計画的な仕事が進む、こういう担保をとった上で、財政負担の軽減、平準化が図られるような策として地方債の対象として入れよう。計画策定に要する経費についても特交措置を講じることになりますし、公共施設の除去については地方債の特例措置を創設する、こういう仕組みをつくったわけであります。

黄川田(徹)委員 これに当たっては、総務省としても、解体撤去の公共施設の調査といいますか、レクでは一万二千を超すぐらいの件数があるということも聞いておりますし、公営住宅あるいはまた学校、そして、お話しのとおり、一般廃棄物等の処理施設、これが解体できないでおるということで、どこでも悩みだったはずですし、それから、こういうものに起債できないのかということで、たしか、どこでしたかな、特区をつくってくれないのかということもあったはずであります。

 いずれ、これも自治体からの要望ということでありますので、各自治体に体力をつけさせるためにも、これは一般単独のうちの地方債ということで、当然、解体するのでありますから、交付税措置なんというのはないですよね。ただし、計画づくりにはお金が出るということでありますか。そうですね。

 それでは、次に、第三セクター等改革推進債といいますか、実はこれも平成二十一年度、ずっと今話していたものはみんな平成二十一年度あたりに出てきたものということで、これも五年間やってきたわけでありますけれども、その取り組みと、これまたその課題について、まず初めにお尋ねいたします。

新藤国務大臣 第三セクターの改革につきましては、抜本改革を推進するための特別の地方債を立てて、そして、平成二十一年度から二十五年度まで時限措置としてやってまいりました。約二百件、一兆円弱の許可が見込まれておりまして、第三セクターの抜本的な改革に取り組むためには有効に活用していただいたのではないか、このように思っております。

 一方で、三セクの抜本改革は、着手から整理、再生の完了まで、これはやはり利害関係者との交渉等がありまして、予想以上の時間がかかる場合もあります。一部の公共団体は五年間の時限措置で終わっておりませんで、もう既に取り組んでいるところについて延長の御要望がございます。

 なので、今回、私たちとすれば、そもそもは時限措置で組んだんだ、この趣旨を踏まえつつ、地方公共団体の御要望に応えるためにも、平成二十五年度中に改革に着手した地方公共団体を対象として、二十八年度までの起債を可能とする経過措置を講じたい、このように考えております。

 そして、その旨を含む地方交付税法等の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただいているわけでありまして、ぜひ早期の御審議をお願いしたい、このように思います。

黄川田(徹)委員 当初は五年の制度設計だったんだけれども、さらなる延長ということ。

 それで、損失補償あるいはまた債務保証はかなりの金額になっておりまして、ただ、今お話を聞きますと、着手といいますか、この三月までに計画できたものは三年の延長の部分で救ってやるということなのでありますけれども、どうしてもこれに乗っからないものもあるのではないか、そういう自治体に対してどういう手当てをするかというのが今後の課題になるはずなのでありますけれども、その辺のお考えはどうでありましょうか。

新藤国務大臣 御指摘のとおりでありまして、今年度中に改革に着手する自治体はいいんですが、まだそこまでいかない自治体が持つ三セクについては、これは今後、二十六年度以降に、第三セクターの経営健全化を推進する、そのための経営健全化の手順、それから留意点、こういったものをまとめた新たなガイドラインをつくりたい、このように思っています。

 そして、昨年の十一月の末に行われました経済財政諮問会議においても、この三セクの改革はこのように進めてまいりますということは私から報告をさせていただいております。

 新たなガイドラインをつくって、引き続き、この三セクの改革に向けては努力してまいりたい、このように考えております。

黄川田(徹)委員 これまでの話の流れで、広域圏だけじゃなくて、それぞれの自治体も体力をつけていかなきゃいけない。そういうための措置も、これで終わりというのじゃなくて、しっかりと取り組んでいただきたい、こう思っております。

 それでは、残り五分という紙が参りましたので、最後の御質問であります。

 東日本大震災発災以来、復興のために被災自治体へ大勢の方々、職員の派遣をいただいております。

 それで、発災直後にも、被災地の市町村にあっては、たびたびお話ししますけれども、例えば、私の地元、陸前高田市では、臨時職員も含めてでありますけれども、百人の職員が亡くなっているということ、あるいはまた、大槌町というところ、どちらも岩手でありますけれども、首長も亡くなって、幹部が亡くなっているということ。本当に、どうやって進めたらいいかということで大変な状況にあったのであります。

 総務省が核となって、地方六団体、しっかりと被災地への職員派遣がされておると思うのでありますけれども、一月、二月になりますと、来年の職員は大丈夫かなということで、それぞれ経験もしておりますので、例えば、姉妹都市であるとか、あるいはまた青年市長会とか、いろいろなところでやりとりはあるのでありますけれども、最終的には、やはり、しっかりとした取りまとめどころで万全な派遣をしてほしいと思っているわけであります。

 そしてまた、職員だけではなくて、さまざまなノウハウを持っている民間の方々とか、本当に猫の手もかりたいといいますか、もっと言えば、来年、二十六年度、再来年、二十七年度は、本当に本格復興の正念場だと思っております。

 残念ながら、五年も派遣いいよなんというところは当然あるわけではありません、みずからの自治体も厳しい中での職員派遣であります。ですから、例えば、六カ月、一年で次の人に仕事を引き継いでいかなきゃならないとか、さまざまな課題があるのでありますけれども、そういう課題も含めて、職員派遣の体制の万全化をしてほしいと思いますけれども、今のところ十分要望に応えていられるのかも含めて、お尋ねいたしたいと思います。

新藤国務大臣 被災地のことを考えますと、本当に胸が痛みます。また、委員も、被災者としてそういった大きな被害にも遭われて、本当にこれはお見舞い申し上げたい、このように思うわけであります。

 そして、私たちとしても、全国の仲間である地方自治体の皆さんが今一生懸命に、少しでもお手伝いしたい、こういう思いで被災地の方に出かけていっていただいております。総務省は、それを全体的に取りまとめをする、マッチングをする、こういう中で御要望にお応えできるように、これは最後までしっかりと取り組んでまいります。

 その上で、職員の派遣を要請するだけではなくて、任期つき職員の採用等の支援、それから市町村OBの情報、こういったものも提供させていただいて、いろいろなパターンで被災地のマンパワーの応援ができるようにしたい、このように思います。

 平成二十五年度につきましては、千四百四十九人の被災市町村からの御要請をいただきました。そして、自治体からは九百三十九人、それから任期つき職員の採用が二百七十八人、OBが四十五人ということでございまして、一月現在で千二百八十八人の人材が確保されている、こういう状態であります。

 それから、私、ぜひ民間企業の皆さんにも協力をしていただきたいと、個別に企業単位でやっていただいているところもあるんですけれども、しかし、総務省として、民間の団体に、八団体でありますが、経団連ですとか同友会ですとかそういったところを含めて、私が直接お願いに上がって、会長さん方と面会をして、これまでも協力要請を行ってまいりました。

 そして、特に、大日本住友製薬、清水建設、鹿島建設からは四名の従業員を派遣いただいております。鹿島は、議員の地元である陸前高田に派遣をさせていただいているわけであります。それから、日本補償コンサルタント協会では、用地補償に係る委託契約というものを締結していただいて、これは人員でいうと五名から七名の方が支援へ行くような、そういうスキームをつくっていただきました。これは大槌町であります。

 ほかにも、今現在、マッチングをやっている最中のところがありますから、民間の団体からも、そういったことで、私どもで働きかけを行った結果というのは、少しずつですが、出ているということであります。

 そして、昨年の十月一日現在で、二千人以上の公務員と二十七名の民間企業の従業員が被災自治体に派遣されている、こういうことになります。そして、二十六年度については、千五百十二人の人材確保の要請が出ておりますから、それに対してしっかり対応できるようにしてまいりたい。

 それから、委員がおっしゃるように、年がかわっていくことによって、必要となる職員の資質もどんどんと変わってまいります。それから、短期でもって、半年で、最初の大混乱のときと今とはまたニーズが違ってきていると思いますから、やはり復興の段階に合わせて必要な方がしっかりと行くように、こういうことを我々は心がけて支援してまいりたい、このように考えております。

黄川田(徹)委員 時間でありますので、終わります。

高木委員長 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 皆さん、お疲れさまです。日本維新の会の馬場伸幸でございます。

 質問に入る前に、委員長、委員会、成立していますか。事務局の方もちょっと確認していただけますか。

高木委員長 定足数は足りております。

 では、続けてください。

馬場委員 今、他党の方から助け船を出していただきましたが、本当に大事な委員会でございますので、きちっと審議に臨んでいただきたいというふうに思います。まず冒頭、そのことを御要望申し上げておきたいと思います。

 私が委員会で質問させていただくということになりますと、その日の質問に関する川柳ということをいつも申し上げております。

 きょうの川柳は、消費税収入ふえずなぜふえる。ストレートな川柳でございますが、私も、地元の方へ戻りますと、やはりアベノミクス効果はなかなか地方まで行き届いておりません。多くの国民がこういう思いを持っているということをまず申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、先般の本会議でも申し上げました。税金というものは、やはり国民の多くの皆さんが額に汗をかいて、そして身を削って納めていただいているというものでございます。我々政治家の務めは、言うまでもなく、この税金を、一円の無駄もなく、そして効率的に使えるよう努力をしていく、議論をしていくということでございます。

 私は大阪府の堺市の出身でございまして、有名な仁徳天皇陵のある地域でございます。

 仁徳天皇といえば、国会でも再三、引き合い、引き合いという言葉はまずいかもわかりませんが、たびたびエピソードが披露されておるようでございますが、自分の屋敷の上から見て、民のかまどに煙が立っていないということをある日確認しまして、三年間課税を停止した。そして三年後、また同じところから見て、民のかまどに煙が立っているのを見て、家来の方が、もういいんじゃないですか、民のかまどに煙が立っているのでもう課税したらどうでしょうかという進言をいたしましたが、まだまだだ、あと三年間引き続いて課税を停止して、もっと国民が潤うように努力をしなければいけないということで、三年間また延長して課税を停止した。そして六年後に、自分の衣も屋敷も大変傷んだ状態の中で、国民が、いよいよ富がたまってきた、国民の方から、税金を納めさせてくださいということで申し出があって、課税を開始したということ。この話は国会でもよく披露されておりまして、皆様方もお聞きになられたことが多いと思います。仁徳天皇は名君だと言われる根拠になっている話でございます。

 先般申し上げましたように、今の日本国の国民負担率は過去最高の四一・六%になったと先般報道がありました。恐らく、一番大きな要因は、いよいよ上がる消費税、これが大きく要因として挙げられているというふうに書いてありましたけれども、再び消費税が上がるようなことになれば、この負担率は再度大きくはね上がるということが予想されます。

 新藤大臣、ちょっと通告をしておりませんが、この国民負担率の現状について、過去最高の四一・六%、今この現状をごらんになられてどういう御感想をお持ちか、まずお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 国民負担は今四一%と御紹介いただきました。しかし、それに社会保障の負担も含めると、五〇パーを超えてしまうわけですね。ですから、私たちは、国民が負担できる範囲、適正範囲というものを設定していかなくてはいけないということ。それから、国民負担の中でも、個人と法人とが負担する割合が、諸外国と差がございます。

 ですから、そういう中身の分析をした上で、やはり税制の抜本改革というのはそこにあるわけでありまして、経済を成長させる、それから企業の国際競争力を高める。一方で、個人の所得をふやす中で、可処分所得をふやす中で税の負担をいただく。こういった好循環をつくっていかなくてはいけないんだ、このように思いますし、これはなかなか、これまでも言われておりましたし、国の基本となる課題であります。

 ですから、いろいろな知恵を出して、そしてきちんとしたビジョンをつくり、それに対する戦略を立て、一つ一つ着実に実現していく、こういう取り組みが必要ではないか、このように思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

馬場委員 国民負担率の適正なラインというのは諸説いろいろありますので、一概に、高いから国民が不満を持つというわけではないと思います。しかしながら、この受益と負担というバランスをいかにとっていくかというのが、これからの、少子高齢化を迎えている日本の一番大きな課題だというふうに思いますので、いろいろ、社会保障の問題についても抜本的な大改革をしなければ、五十年先、百年先、この日本はもたないのではないかという観点で、我々日本維新の会は大改革に取り組んでおりますので、ぜひ、協力できる部分はともに協力し合いながら達成していきたいというふうに考えております。

 それでは、本題の方の質問に入らせていただきますが、ちょっと通告しております順番を時間の配分上変えさせていただきまして、まず、年金業務の関係の御質問をさせていただきたいと思います。

 総務省の予算案の中に、国民生活の安定、充実ということで、年金業務に対する国民の信頼回復という項目があって、三十億六千万の予算がついております。

 まず、この国民の信頼回復の業務、一体どういう業務が行われているのか、お聞かせいただきたいと思います。

樽見政府参考人 お答えいたします。

 総務省の予算の中の年金の信頼回復の経費というのは、第三者委員会の関係の経費というふうに承知をしております。

馬場委員 その業務の中身を、具体的にどういう業務をされているのかということをお聞かせください。これは総務省の予算ですから、総務省の方にお答えいただいた方がいいんじゃないでしょうか。

樽見政府参考人 恐縮でございますが、私からお答え申し上げます。

 第三者委員会、年金の記録問題があったわけでございますけれども、年金の記録が御本人の考えと違っておるというときに、年金の記録の回復というところに向けて、御本人からの申し立てを受け、調査をして、いわば年金の記録をどういうふうに変えるかということについてのあっせんを行っておるという業務をやっております。

馬場委員 業務の中身をお聞きしますと、これは本来、総務省の仕事じゃなしに厚労省の仕事じゃないかなと思うんですが、これは素朴な疑問として、なぜこれが総務省の業務になっているのか、当時の経過がわかりましたら、お答えいただきたいと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 年金記録問題が平成十九年にございまして、私ども厚生労働省、当時の社会保険庁でございますが、それが、お客様からいただいた年金保険料の記録がわからなくなっているという問題の御指摘をいただいたわけでございまして、それを解決するに当たりまして、もちろん社会保険庁、年金事務所サイドでも一生懸命探しますけれども、それでなお御不満があるという方については、厚生労働省そのものではなくて総務省の方で扱うというふうに整理がされたものと承知をしております。

新藤国務大臣 当時の内閣で割り振りが行われました。

 そして、私たちの位置づけとすると、年金記録確認第三者委員会は行政相談による訂正のあっせん、こういう位置づけで、ですから行政相談を行っている総務省がやる、こういうことにしたんですね。それから、年金業務監視委員会につきましては、これは、総務省が行う評価、監視の一環としてこの問題を、国民的関心が高い、しかも、厚労省が、当事者である社会保険庁を含めて国民から大きな疑問を持たれている、こういう状況があって、ですから、私ども総務省の評価、監視業務そして行政相談の業務、こういったものを生かしたそれぞれの二つの組織をつくって、年金記録問題の信頼回復に努めてきた、こういう仕切りでございます。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

馬場委員 総務省からいただいている資料を見させていただきますと、この予算の表記の中に「年金記録確認業務の総務省から厚労省への移管に向けて調整」とありますが、具体的にはどういう調整が行われていて、どういう目標を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 二十三年六月に年金記録確認第三者委員会の報告書というのが出て、そこで提言をいただいているところでございます。いわば、年金記録確認に当たって、先ほど大臣からお答えがありましたように、行政監察、勧告といったような考え方に基づいて整理がされているというところでございますけれども、先ほど申し上げました確認第三者委員会の提言の中で、総務省及び厚生労働省の二省にまたがる体制を年金行政の体系のもとに一元化することで、年金記録確認の取り組み全体をより効率的、効果的に実施する、あるいは司法手続も考慮に入れた年金記録確認の仕組みということに向けて検討すべきという提言をいただいたわけでございます。

 昨年、私ども厚生労働省サイドで年金記録の扱いについての検討会というものを立ち上げまして、年金制度の中でこういういわば第三者的な確認をするような仕組みというものを法律上位置づけるべきではないかというふうな提言をいただいたところでございます。

馬場委員 本来、この年金問題は厚労省の主管ですので、私も、厚労省の方で一元化してこの記録の確認業務はしていただいた方が、より行政コストが下がっていいんじゃないかなというふうに思います。かなり年数もたってきているようですので、早期に厚労省でこういった業務を移管を受けてやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 私も、地方議員時代に市民の皆様方からいろいろ御相談をお受けして、あの問題発覚以前のときは社会保険庁へ御一緒に御案内したこともありました。当時は、何を言っても、木で鼻をくくったような回答しかなくて、何で答えないといけないんですかとか、そういうおとろしい事態がずっと長年続いてきたわけでございますが、国会の方でも、先輩の先生方、いろいろな御指摘をいただいたり、行政の方でもいろいろと努力をいただいて、今、市民の方にお聞きしますと、丁寧に、親切にいろいろと相談に乗っていただいているという高い評価を受けているということをお伝えしておきたいと思います。

 ただ、この年金業務に対する国民の信頼回復で、第三者委員会に持ち込まれるまで、現実的に国民がどういう動きをしているかということを言いますと、まず、自分の年金はおかしいんじゃないかなというふうに思いましたら、いきなり役所へ行ったりとかする方は少ないんですね。どうしたらいいのかなと普通の方が思われたら、どこかへ電話したらええんちゃうかな、こういうふうに思われるんです。

 その窓口も確かに開設をしていただいております。ねんきんダイヤルという名称なんですが、私もホームページで見ました。ねんきんダイヤルというのは、大きく分けると三項目に分かれているんですね。年金のお問い合わせとか現状の確認とか、そういう大項目で三つ分かれているんですね。この三つの項目の中に、お問い合わせ先の電話番号が二つ書いてあるんですよ。一つは、ナビダイヤルというんですね。昔で言うQ2ダイヤルみたいなものですね。もう一つが、固定電話の普通の〇三で始まるお問い合わせの番号があるんですが、なぜ二種類の回線があるのか、まず、そこからお答えいただきたいと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 日本年金機構のホームページをごらんいただきますと、電話での年金相談窓口ということで、ねんきんダイヤル、それから記録に関する番号、それから国民年金保険料専用ダイヤル、その三つの番号があるということでございます。

 それぞれにつきまして、いわゆるナビダイヤルというものと、一般電話、〇三で始まる番号と、二つございます。〇三で始まる番号につきましては、いわゆるIP電話とか、そういうやや特殊な場合からの電話番号ということでございまして、ねんきんダイヤル、ナビダイヤルの方をお使いいただければというふうに思っております。

馬場委員 このねんきんダイヤル、今、そういう仕組みで二回線御用意されておられるということでございますが、直近のデータ、お持ちでしょうか。ねんきんダイヤルにかかっている、その利用状況の資料をお持ちでしょうか。

樽見政府参考人 ねんきんダイヤルの利用状況でございます。

 平成二十五年八月から二十六年一月までの半年間で、総呼数、かかってきた件数でございますけれども、二百五十五万件というふうになってございます。

馬場委員 私も資料をいただきまして、二百五十五万件、うち固定電話が二百万件、携帯電話からが約五十万件という八対二の割合になっているようでございます。

 私の周りでも、高齢者の方も最近、皆さん、携帯をお持ちになるようになりまして、固定電話の設置率というのはだんだん下がってきていると言われています。何かあれば、携帯電話からすぐに電話番号も調べられますので、携帯からかける方が今後どんどんと、年齢を問わずふえていくんじゃないかな。したがいまして、今、固定電話と携帯電話の割合、八対二というものが、やがて逆転していくんじゃないかなというふうに思います。

 固定電話から〇三のダイヤルに電話するということになりますと、普通の電話ですので、通話料金は市内通話料金でいいんでしょうか。例えば、大阪から〇三のダイヤルに固定電話から電話した場合、どういう料金体系になりますか。

樽見政府参考人 御質問の〇三の方へおかけいただきますと、いわゆる市外料金というものがかかるということになります。ナビダイヤルの方におかけいただきますと、固定電話からお電話いただきました場合に、全国どこからでも市内電話料金で利用していただけるように、市外通話料金と市内通話料金の差額というものにつきまして、日本年金機構の方で負担をしておるということになってございます。

馬場委員 それでは、携帯の方からナビダイヤルに電話した場合には、どういう料金体系になっておりますか。

樽見政府参考人 携帯電話からの通話ということになりますと、ナビダイヤルの方におかけいただいた場合にも、二十秒ごとに十・五円の課金ということになってございます。これは全国一律でございます。

馬場委員 まず、二種類の電話があるというのは、もう一つ合点がいかないんですね。恐らく、年金記録の問い合わせ等は、昨今だんだんと減少傾向にあるんじゃないかな。ナビダイヤルが設置された理由が、回線の整理といいますか配分といいますか、そういうものがスムーズにできるように、あいているコールセンターにすぐつながるようにという配慮でされたということはお聞きをしました。

 しかし、だんだんと減少していく中で、このナビダイヤルに電話をされますと、料金が、二十秒ごとに十・五円なんですね。Q2ダイヤルというのが昔ありましたけれども、これと同じような料金体系になっているんですね。

 別に世間話をするために電話をしているのではありませんので、自分の年金の記録を照会したり現状を確認したりということになりますと、とても二十秒では終わらない。恐らく十分とか十五分とか、そういう時間がかかるんじゃないかなというふうに思いますが、仮に十分話をしますと、この単価から考えますと千円になるんですね。これは、高齢者の方は、やはり一度その確認をして千円もの料金を払うというのは、恐らく合点がいかぬのじゃないかなというふうに思いますが、この料金体系について、どういう感想を感じられますか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 今の、携帯電話からの二十秒ごとに十・五円というのでございますけれども、これは日本年金機構の方で特に課金しているということではございませんで、携帯電話からの電話料金ということでございます。ということでございますので、年金機構でということにはなっておらないのでありますが、固定電話に比べますと非常に高いということは、御指摘いただいている状況になっているということでございます。

 携帯電話からの通話、御指摘いただきましたように、これからふえてくるのではないかということもございます。通話の状況というものを踏まえながら、利用負担のあり方について検討させていただきたいと思います。

馬場委員 行政がもっと意識改革してほしいんですよ。税金をいただいているんですからね、国民からは。これは商売でいうと、国民がお客さんなんですよ。お客さんを大事にせぬと、お客さんの信頼というのは得られませんよ。

 この年金制度の確認も、さっき言いましたけれども、昔は、問い合わせしても、もう木で鼻をくくったように、知りません、わかりません、調べられませんと。そういう原因があって、これは問い合わせをしないといけないことになっているんですね。何も、今のように年金のお知らせとか定期的に昔からやってくれていれば、こんな電話をする必要はないんですよ。原因がどちらにあるかということを、もうちょっと審議官も考えていただきたいなというふうに思いますけれども。

 これは、お年寄りは千円もかけて、実際かけた方が、結果がよくなければ非常に落胆すると思うんですね。その上に千円かいと。だから、これはもう年金制度に対する信頼というのが揺らいでいくと思うんですね。

 今、いろいろな企業が御商売していく中で、注文を電話等で受ける場合は、固定電話からでも携帯電話からでも大概フリーダイヤルですよ。冒頭に言いましたけれども、総務省の、年金業務に対する国民の信頼回復、この業務自体、厚労省にやがて移しますという先ほどのお話だと思いますが、これに三十億六千万円、予算がついているわけです。今ほとんど人件費。これは別に、ある程度厚労省の方から要求を出していただければ、フリーダイヤルの金額ぐらい、何十億とか何百億とかするわけじゃないと思うんですけれども。

 どうですか、所管されている厚労省として、電話を切りかえていくというお考えはありますか。

樽見政府参考人 フリーダイヤルの導入ということでございます。

 私どもも、年金の業務、日本年金機構でやっているところにつきましても、今、予算の要求をすればというお話ございましたけれども、そうした点も含めて、公的なお金で運用させていただいているということでございますので、それを踏まえてどう考えるかということを考えなければいけないと思います。

 フリーダイヤルにつきましては、事業費が増加するということのほかに、例えば、通話時間が長くなって、結果としてほかのお客様からの電話がつながりにくくなるというような可能性なども含めて検討していく必要があるというふうに思ってございます。

 ほかの公的なところの相談ダイヤルの状況なども参考にしながら、検討させていただきたいというふうに考えてございます。

馬場委員 しつこいようですけれども、かける原因が役所の方にあるということをぜひ忘れないでいただきたいんですよ。国民が好きこのんで電話しているんじゃないので、ぜひそこは、市場に合わせた、今の世間の常識に合わせた対策を打っていただきたいというふうに思います。

 先般、平成二十五年度の補正予算、国会の方に提出をされました。その金額五兆五千億ということで、我が党といたしましては反対という立場をとらせていただきましたが、その理由は、本会議でも申し上げましたように、不要不急の予算があるんじゃないか、また、基金等に積んで即使わないというような予算がたくさんあるんじゃないかという指摘をさせていただきました。

 国民も、消費税が上がって社会保障が充実して、高齢化したときに、また自分が病気になったときに、そして介護が必要になったときに、安心して迎えられる、そういうことを望んで、消費税の増税については一定理解をしていただいているわけでございます。そういう観点からして、この問題も、国会で見れば小さな話かもわかりません、でも、一国民にとっては非常に重要な問題だと思いますので、ぜひこれについては改善をいただきたい、できるだけかける側の負担を減らすように努力をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。

 現状では、大臣、この国民の信頼回復の業務、これは大変な人を確保していただいて、非常にややこしい問題になったときに、いろいろ調査とか調整をしていただいているわけですが、今の間はまだ総務省の所管業務ということで、当分続いていくと思います。

 きょうの私と厚労省との議論を聞いていただいてどういう感想をお持ちになられたか。また、これはお金があればできる話ですので、こういうことこそ国民は補正予算を組んでやってほしいというふうに思っていると思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 まず、今回、この年金にかかわる記録第三者委員会と年金業務監視委員会、この組織の見直し、これは一つは、年金記録の第三者委員会での取扱件数が、当初六万件ほどございました。しかし、それが今一万二千件まで減少してきたということがございます。この厚労省の検討会においても、年金制度の中に恒常的な年金記録の訂正手続を設けるべき、こういう御提案があって、この厚労省の検討会による方針がそのまま実行されるならば、厚労省と総務省に同じものが二つあることになりますから、これは厚労省の方にやっていただくことになる、こういう仕切りをやっていて、これは、法案が提出されて成立されればそのまま移行されていく、こういうことです。

 それから、年金業務監視委員会についても、総務省は、常時、日本年金機構の業務監視、必要に応じて機動的な調査を実施、これは引き続きやってまいります。が、しかし、厚労の方に年金事業の部会を新たに設けて、これまでの機能を、厚労省の中でもそういったことを御検討されているということでありますから、その形が決まればそのまま移行する、こういうことで、組織的にスムーズな移行をしていこうということであります。

 そして、今の委員の、要するにサービスとしてどう心得るかというのは非常に重要なことだと思うんですね。私も、かつてこの年金記録の問題が起きたときに、どうしてこういうことが起きるのかといろいろと勉強もいたしましたし、問題意識も持っております。

 すごく大枠の話になりますけれども、年金の根本の問題は、申請主義なんですよ。ですから、申請した人が受け取れる。したがって、申請しなかった人は自己責任と。

 かつては年金は紙でしたから、その申請の中身が非常に不備であったとしてもチェックできない。それは恐ろしいほどの、例えば、同じ漢字で、読み仮名、振り仮名をつけていなければ、それを、同じ漢字でもって二種類の読み方が出てしまうというようなこともありました。それから、一億二千万人の国民なのに、たしか三億件の番号ができちゃう。これは国民の方にも、そういう自分の年金というセーフティーネットをどういうふうに維持していくかというのは、やはり意識をきちんと、我々はお知らせしなきゃいけないところもあったんです。

 ですから、そういうものを含めて、第一次安倍政権でした。そして、記録の第三者委員会を設けたときは菅総務大臣だったんです。ですから、我々も、今回また第二次安倍政権ができて、こういったものを、段階的にですけれども、しっかりと対応していくという中で、もともと、それは国民に対して政府がまず基本的に行うサービスなんだ、この観点からいろいろな工夫をしていただきたい、また我々はそうしていかなくてはいけないのではないか、このように考えております。

馬場委員 時間が来ましたので、残余の質問についてはまた次の機会に預けるといたしまして、新藤総務大臣も小さな子供さんをお抱えになられておられます。私もまだ小学校三年生の子供がおりますので、子育て世代としては恐らく大臣と私と同じような状況にあると思いますので、我々の子供たちが五十年後、六十年後によかったなと言っていただけるような社会をやはりつくっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会、上西小百合でございます。

 前回の質問では、経済財政的な地域間格差を解消するための質問をいたしましたが、今回は、命の地域間格差を解消するための質問を通告に従ってさせていただきます。

 最初に、いわゆる役場消防について質問をさせていただきます。

 日本は、全国津々浦々、一一九番通報をすれば消防車や救急車が来る、世界有数の消火、救急システムが確立している国でございます。

 また、平成の大合併で自治体数が半減したのに比例して、市町村内に消防署がないため、消防法に定める救急業務が実施できず、役場の職員がかわりに搬送業務を実施している、いわゆる役場消防の数は三十六町村になったと聞いております。減った減ったと言われながらも、やはりまだ三十六もあるのかというのが私の正直な感想でございます。

 そこで、何点かお伺いをしたいと思います。

 これらの町村でも必ず消防団は結成され、火事などの有事に備えているということですが、消防署のもう一つの重要任務でございます救急患者への対応は、問題なく、そつなくこなされているのでしょうか。

 また、例えば、大手通信教育会社がレジャー施設を有し、そして、先日は瀬戸内芸術祭で話題になるなど、観光客が多い香川県直島町は、香川県本土までは船で約一時間かかるものの、対岸の岡山県玉野市まではわずか約数キロです。都道府県境を越えた連携はスムーズにされているのか、お聞きをしたいと思います。

 そして、宮崎県の高千穂峰周辺の四自治体は、合わせると県土の約四分の一、東京都の面積並みのエリアに消防署が一つも存在していない。しかも、超高齢化地区であり、現状をそのままにしておいていいはずがございません。先般も、大雪で孤立した人々の御苦難が大きく報道されました。ここは慢性的にあれと同じような状態のエリアだと称しても過言ではございません。国としてこういったエリアに対して何か改善計画をお持ちか、プランがあればお聞かせをいただきたいと思います。

 また、離島や僻地では若者の転出が進んで超高齢化も生じ、病院前救護が受けられない不安から老人の転出者もふえ、無人島化が進んでおります。島根県の竹島にしろ、沖縄県の尖閣諸島にしろ、無人島であるがゆえに韓国の不法占拠や中国の不法領海侵犯が続いているわけで、国防に関する重要な問題にもつながりかねないと考えております。現に、離島の土地を外国人が買いあさる、こういったゆゆしき事例は枚挙にいとまがございません。

 役場救急の現状や対策、そして今後の取り組み等をお聞かせいただきたいと思います。

市橋政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年二月一日現在、市町村に消防本部が設置されていない、いわゆる非常備消防となっている町村は三十六町村ございます。

 これらの町村のうち、他の消防本部に救急業務を委託しております一団体を除いた三十五町村におきましては、消防職員が配置されていないため、町村の役場職員などが医療機関へ搬送業務をする、いわゆる役場救急を行っているところでございます。

 これらの団体は、常備消防と比べまして体制が脆弱であるということは否めませんが、消防団や診療所の協力を得るなどにより対応し、また、緊急性の高い場合には消防防災ヘリ等も活用しているところであり、大きな問題が生じているというふうには聞いておりません。

 私ども消防庁といたしましては、消防の広域化、これを推進しておりまして、非常備消防市町村のうち、平成二十六年度中には一村が常備化いたしまして、また、二十七年度中には四町が常備化する方向で検討しているというふうに聞いております。

 今後とも、広域化に係る所要の財政措置や、必要な情報提供、助言を行うなどしまして、非常備消防の常備化に努めていきたいというふうに考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 広域化の対応ということもしっかりと行っていただけるということですが、これは県境を越えた連携等もスムーズにされているということでよろしいのでしょうか。

市橋政府参考人 御指摘のありました香川県直島町の件でございますけれども、これは、通常は船による搬送を行っておりまして、特に重症事案につきましては、岡山県の玉野市へ搬送するというのも年間三十件程度あるということでございますし、また、岡山市の方に搬送しているというふうな事例もあるというふうに聞いております。

 また、宮崎県内の市町村につきましても、それぞれ対応しておりまして、緊急の場合にはドクヘリや消防防災ヘリ等を活用しているというようなことでございます。

 また、離島などにおきましても、海上保安庁ですとか自衛隊、あるいは県の消防防災ヘリというのもあると思いますけれども、それぞれ地域の実情に応じた形で救急事案に対応しているというふうに聞いておるところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 合理的な対応をしていただいているということで、安心をいたしました。

 今の御答弁で、防災ヘリということで、ヘリを使った対応を御説明いただきましたが、今私が列挙をした地域は、離島であったり、広範なエリアであったり、山間部であったり、移動が不便な地域が多いわけですので、今お答えいただきましたようなドクターヘリ、こういったものが非常に効果的でございます。

 また、そのドクターヘリなんですが、有視界飛行に頼るヘリコプターは夜間運航ができない等の話もあり、そしてまたヘリの購入費そして維持管理費等も高額であること、救急医の待遇面が余りよくなく、医師が絶対的に少ないER現場の実態、そして高速道路周辺でさえヘリポートが少なく、救急車との連携がうまくいっていない現状、無線などの通信網の未整備など、まだまだドクターヘリが一般化しているとは言えない状況だということを私はお伺いしているんですが、やはり、こういったときに頼りになる、効果の高い救急手段であることは疑う余地もございません。

 ドクターヘリ運航の実態や直面している問題点を、とりわけ役場救急エリアを中心に御説明いただけますでしょうか。

原政府参考人 ドクターヘリについてお答えをいたします。

 ドクターヘリの場合は、医師等が同乗して現場で速やかに処置を行うことができるということで、有効な患者搬送また医療の手段の一つであると考えております。

 平成二十六年二月一日現在で、三十六道府県、四十三機が導入され、また、平成二十四年度の搬送実績ですが、一万七千五百二十二件となっております。

 要請件数が年々増加してきておりますけれども、例えば要請が重複することによって出動できない応需不可の件数が増加してきておりまして、このようなために、厚生労働省としては、各都道府県における広域運航を行うための都道府県間の協定を結んでいただくよう、必要な助言を行っているところでございます。

 また、ドクターヘリの出動要請につきましては、基本的には消防からドクターヘリの基地病院への要請に基づいて行われておりますが、御質問にありました常備消防がない町村におきましては、役場の担当者あるいは隣接する消防からドクターヘリの出動要請が行われていると聞いております。

 厚生労働省としましては、都道府県とともに、今後も、常備消防の有無にかかわらず、適切にドクターヘリが運航されるよう努めてまいりたいと考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 お答えいただきましたが、私申し上げましたように、まだまだ、さまざま問題点を本当に抱えておると思いますので、何とぞ、過疎化の地域の皆様も安心して暮らせるように、解決策、今後もどんどんと御尽力をいただきたいと思います。

 私は、このように役場救急に頼らざるを得ない地域では、救急措置に当たるため、看護師や救急救命士の資格を有する職員を常駐させ、義務づけるべきだと考えますが、現状は必ずしも有資格者を備えていないと聞いております。このような地域での救急業務にかわる仕組みづくりや人材育成について、総務省の取り組み、また、有資格者雇用の義務づけ等を検討していただけるか否かをお答えください。

市橋政府参考人 非常備の町村の中には、救急救命士の資格を有する職員を配置し、搬送業務などに従事させている例もあるというふうには聞いております。また、診療所の医師、看護師の協力を得ながら役場救急を行っている町村もございまして、いずれにいたしましても、地域の実情を踏まえながら、それぞれ対応いただいているものというふうに承知しているところでございます。

 御指摘の看護師、救急救命士の雇用の義務づけにつきましては、役場救急実施町村が小規模なことなどから、なかなか難しいというふうに考えているところでございます。

 私ども消防庁といたしましては、非常備消防の常備化を推進することによりまして、その地域の救急業務体制の充実強化というものを図っていきたいというふうに考えているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 義務づけは少し難しいのではないかということですが、やはり、先ほど申し上げましたように、病院前医療に関しまして不安を持ち、そして転出していく、そういった方々も過疎化の地域ではふえておりますので、ぜひ、こういったことを前向きに御検討いただきまして、過疎地域にお住まいの方も、全国の国民が医療に不安なく暮らせる日本を実現していただきたいと思います。

 また、私の地元吹田市では、国立循環器病センターの誘致も決まりましたが、自治体が市民の健康のためにさまざまな施策を打ち出しやすい仕組みをつくってくださることを加えて要望させていただきまして、次に移りたいと思います。

 一昨年、東京の調布市の学校給食のチーズチヂミを食べた乳製品アレルギーを有する児童が、アレルギー発作のアナフィラキシーショックを発症し、死亡した事案がありました。今月五日にも、愛知県で、小麦アレルギーを有する児童が小麦入り豆腐ハンバーグを食べアレルギー症状を発症し、養護教諭が緊急治療薬エピペンを使用して一命を取りとめたとの報道がなされました。

 アナフィラキシーショックは、非常に急速に症状が進行し、血圧が下がって意識がなくなったり、喉の奥が腫れ上がり呼吸ができなくなったりすると聞いております。

 エピペンは、患者本人が医師によって処方され、そしてアナフィラキシーショックに陥った際に自分で注射するアドレナリンの自己注射製剤ですが、子供の場合は自力で注射をするのが困難で、本人が注射をできぬ場合は、学校教職員、救急救命士、保育士等が注射を代行しても医師法違反にはならないとの見解が示されていると伺っております。

 近年、学齢期のアナフィラキシーショックの有病者数が増加していることが文科省から報告されており、子供の生命を守るため、対応は待ったなしの状況ですので、大人にも同様にこの対策が必要だと考えております。

 症状が急速に進行していくことを考えると、最初に居合わせた方の対応が生死を分けると言っても過言ではございません。

 近時、一一九番通報すると、救急車よりも先に消防車が到着し患者に対応するという事例が東京都内ではしばしば見られるとの報告がある中、真っ先に患者に対応する救急救命士でない消防隊員が患者に対応した場合の、エピペンを含めたアナフィラキシーショックに対応する応急処置の実際と教育体制、また、市民向けの救命講習での対応状況について、消防庁から現況を御説明ください。

 また、学校教職員、救急救命士、保育士以外によるエピペン使用について、厚労省の御見解をお願いできますでしょうか。

市橋政府参考人 救急業務におきましては、救急車だけではなく、より近くの署所のポンプ車を同時に出動させまして救急活動を支援させる取り組みが全国で行われておりますが、これは、心肺停止などの緊急性が高いと判断された傷病者に対して行われているものでございます。

 エピペンの投与の関係でございますけれども、救急救命士以外の救急隊員や消防隊員につきましては、法令上、応急処置としてのエピペンの投与は認められていないところでございます。したがいまして、そのための研修等は行われていない状況にございます。

 また、消防本部が行います市民向けの救命講習におきましても、同じく、エピペンの投与については対応していないところでございます。

 なお、救急救命士ではない救急隊員がアナフィラキシー事案に対応する際のエピペン投与以外の応急処置といたしましては、酸素投入や人工呼吸等が行われておりまして、そのための教育といたしましては、二百五十時間の救急標準課程を初めとした研修が行われております。

 また、一般市民向けの応急手当ての講習の中でも、ショック症例に対する体位管理などについて啓発を行っているところでございます。

原政府参考人 エピペンの使用についてお答え申し上げます。

 御質問にもございましたように、学校の児童の方々が、お医者さん、小児科医からエピペンの処方を受けて持っておられる、そういうような方々につきましては、医師から十分な使用に当たっての注意事項等の説明を、当然ながら保護者ともども聞いておられるわけでありまして、そういう方々が、もし万一、学校においてショックを起こした場合にどうするかについて、例えば担任の教員の方々と十分なお話し合いをされるという状況のもとで、たまたま給食でアナフィラキシーショックを起こしたという場合には、こういうような使用が認められるということは十分に考えられるわけでありまして、それについては、医師法に言うところの違法性というものは阻却されるのではないかと思います。

 ただ、もともと、アナフィラキシーショックを起こす状態かどうかというのは極めて難しいといいますか、倒れられている人を見て、この人がアナフィラキシーショックかどうかという判断はその場だけではできないものですから、御質問にありました、例えば火事の現場において意識を失っている方がおられた場合、それがアナフィラキシーショックなのかどうかということは全く判断もつかないような状況ですので、一概に、いいとか悪いとかというのはちょっとお答えしにくいという状況であります。

 いずれにしても、例えば、御本人が親しいお友達に、そういう場合はお願いねと言っている場合にそういう状況が起これば、阻却される場合もあり得るかと思いますが、一概に、これこれの場合についていい悪いというのは、ちょっとお答えしかねるということでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 今のお答えですと、やはり一般の方々には判断が難しいような状況かと思うんですけれども、今、厚労省、そして消防庁、両方からお答えをいただきましたが、今のお答えを聞きますと、緊急事態のときは、無資格者や各省が定めるところでない方がエピペンを打っても訴追されるようなことがないとの厚労省の御答弁と、救急救命士ではない、消防車で駆けつけた消防隊の方は打つことができないという消防庁の御答弁は、矛盾するところがあると思うんです。

 やはり人生、いつ何どき何が起こるかもしれませんので、各省が連携して、きっちりと、こういった不幸が起こらないように御配慮をいただけるとありがたいと思います。

 また、この問題は、AEDと同様に、迅速で適切な使用が患者の救命にとっても重要だと考えております。国民の命を守るための施策、特に、我が国の将来を担う子供の命を守るための施策でもございますので、今後もさまざま御検討をいただければと思います。

 以前には、保護者からエピペンを預かっていた教師が使用せず、保護者が来るのを待っていたという事例なども報告されています。要するに、医師法違反での訴追リスクや訴訟リスクを回避しようとの思いが強いのだと思います。

 人命救助のため、さまざまな違法性を阻却する立法や通達の整備をしっかりと行っていただき、一般の方への啓発活動をしっかりとよろしくお願いいたします。

 次に参ります。

 今回の新藤大臣の所信では、情報通信技術、ICT成長戦略推進や、電波利用料変更などの電波法改正や、放送・通信連携サービスの進展のための放送法改正などにウエートが大きかったと思いますので、少しお尋ねをいたします。

 今月、現在のベートーベンと絶賛されていた佐村河内氏のレジェンドがほぼうそだったことが判明し、今世間では騒ぎになっておりますが、昨春放映されたNHKスペシャル「魂の旋律 音を失った作曲家」、これは実に感動的でございました。ゆえに、余計、その虚構がわかった現在、憤りを禁じ得ない国民は多いと思います。

 今から思えば、NHKスペシャル番組のシーンなどは、明らかに過剰な演出と感じられた部分もございましたし、著名な作家が多く称賛のコメントを出したことが余計に感動を生んだのだと思いますが、実際に音符を書いているシーンとかそういったものはないなど、おかしなところも多々ございました。

 そして、このうその多い番組が、フリーランスのディレクターが持ち込んだものであると一部話題になっておりますが、実際はいかがなものでしょうか。

石田参考人 お答えします。

 いわゆるフリーランスが持ち込んだ企画ではなく、NHKで三年近く番組制作の仕事をしていた契約ディレクターが提案したものです。

 契約ディレクターは、日ごろから職員のディレクターと同じ職場で仕事をし、みずからの企画を提案する場合も、職員と同様の審議を経て採択される仕組みとなっております。

上西委員 契約をしているディレクターということなんですかね。ちょっとよくわからないんですけれども。

 こういった形で、契約のディレクターから持ち込まれた企画で、中の方とも連携はとられていたということですが、これまで委員会でのNHKの答弁でもございましたように、職員の給料が高いのはより優秀な人材を雇うためだという答弁と照らし合わせると、中の方がしっかりとやっていただければいいのかなと思いますので、少し違和感がございますが、次に進めさせていただきたいと思います。

 NHKの職員数は約一万人にも上り、一般には民放各社よりも格段に多い。この番組も、放送前、多くのNHKのプロデューサーが取り組み、そして、試写をごらんになった関係者も多いはずでございますが、結果的にNHKがフィクションのドキュメンタリー番組を放送した。こういった事態をどのように捉え、どのような再発防止策を講じていらっしゃいますか。

 また、担当ディレクターの聴聞をされているというような報道もありますが、果たして責任はその方だけにあるのでしょうか。責任はNHKの体質そのものに起因するのではないかと考えますが、公共放送であることを踏まえ、御見解をお聞かせください。

石田参考人 お答えします。

 提案から採択、現場の取材、編集、試写のそれぞれの過程で検討とかチェックをしましたが、本人が作曲していないことに気づくことができませんでした。番組のつくり手として、大変重く受けとめています。視聴者を初め、番組の取材で協力していただいた方、関係者の方々に大変申しわけなく思っております。

 現在、提案者の契約ディレクターだけでなく、番組制作に当たった職員のディレクターなどからも話を聞いていますが、いずれも、別人が作曲しているとは思わなかったと話しております。また、佐村河内氏自身も、契約ディレクターはゴーストライターのことは全く知らないと話しています。

 今の時点で、こうすれば今回の事態が防げたという確かな答えはまだ見つかっていないんですが、いずれにせよ、番組内容をチェックする精度をさらに高めていくことが重要だと考えています。

 そのためにも、提案から放送に至るまでの経緯をきちんと調査する必要があり、今その作業を進めているところです。

上西委員 今後の再発防止策、そういったものは今のところ出していないということですが、体質の話で、NHKでは、記者なら記者、アナウンサーはアナウンサー、プロデューサーはプロデューサーなどと、入局時から最後まで限られた分野を専門的に担って仕事をし、取材部門と番組制作部門が別会社であるかのように完全に分離しており、人事交流どころか情報交換もない、こういったことが今回のような結果を未然に防げなかった原因ではないのかと言う専門家もいらっしゃいました。ですので、私は、こういったことをしっかりと改善していただく必要もあると思います。

 また、今回の番組は、国民の血税と本質は同じ受信料で制作された、それが虚構番組となってしまったわけでございます。真相を究明する検証や訂正などのスペシャル番組の予定等はお持ちでしょうか。

石田参考人 お答えします。

 私自身も記者の出身なんですが、NHKでは、記者やディレクター、アナウンサーなど、違う職種の人間がそれぞれの専門性や経験を生かして連携して一つの番組をつくるというのは、ふだんから行っているところです。今回のNHKスペシャルも、制作部門だけでなく、報道の人間も提案の採択、試写などにかかわっています。

 今御指摘ありましたように、より品質のよい番組を視聴者に届けられるよう、職種の垣根を越えた番組制作を今後も進めていきたいと思っています。

 今回の問題の経緯につきましては、まだ調査すべき点が多くて、佐村河内氏自身にも改めてお話を聞く必要があると思っています。

 視聴者にどのような形で説明するかについては、調査の結果を見て考えたいというぐあいに思っております。

上西委員 NHK内で各部局、連携はしているということですが、優秀な人材をお持ちだということですので、今後こういったことがないように、しっかりと対応をしていただきたいと思います。

 先日、我が党の三宅委員も、NHKの偏向放送等の放送のあり方、そして高額な人件費等を追及させていただきました。これは国民の多くも同感のことではないかと思います。今後、国民の皆様からいただいた受信料で報道される公共放送として、日本国民が恥じることのないように御尽力をいただきたいと思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。百瀬智之君。

百瀬委員 長野県を選挙区としております百瀬智之です。

 私からは、まず、二月の十四日そして十五日に関東甲信越を中心に豪雪、大雪があったことから触れさせていただきたいと思っております。亡くなられた方々には心からお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げ、いち早い復旧を望んでいるものであります。

 その関係で、本日は、防災及び消防行政について議論させていただければと思っております。

 午前中には、同じ長野県内の木内先輩から建設的な御意見を頂戴いたしました。さきの大雪では、孤立集落が生じたり、また自衛隊が派遣されたりなど、並々ならぬ状態だったわけでありますが、特に、交通機関が渋滞したとか麻痺した、このようなことはテレビでも多く報道されておりました。

 そこで、そういった方々に対する情報伝達の点から触れさせていただきたいなと思っております。

 これに対する各自治体の情報伝達方法もさまざまだったようでございまして、例えば、避難所とか除雪の状態、そういったものを屋外スピーカーや町のホームページなどで発信したり、また、チラシなどでそういった情報を提供したところもあったようであります。

 とりわけ、携帯電話各社が提供する緊急速報メール、これは大変有効だったようでありまして、ラジオとかインターネットというものは、こちらからアクセスしないと情報が得られないわけでございますけれども、この緊急速報メールは自動的に携帯に情報が入ってまいりますから、こういったものが人々の助けになったと聞いております。

 そこで、本日は、まず先に消防庁に対して、緊急速報メールの普及率について、これに先立ってお問い合わせしたわけでありますが、今、集計中ということでございました。手元の集計によりますと、どうやら都道府県ごとにこの緊急速報メールの普及率もかなり差があるといいますか、ばらばらであるようでございます。普及率の低い地域には、ぜひとも導入が促進されるように働きかけていただければと思っております。

 また、木内先生からも、佐久市に二日間、閉じ込められたというようなお話がありましたけれども、うちのスタッフも、金曜日はちょうど東京から長野に帰る途中でありまして、山梨で高速道路をおりざるを得ない状況になりまして、車内泊を四日間連続で強いられたという状況になりました。コンビニとか公民館で避難して、いろいろ食いつないだりして、何とかしたということでありましたけれども、大変な目に遭ったということでございます。

 そこで感じたことをちょっと聞いたんですが、やはり屋外の放送ですと、本日の何々のイベントは中止ですというような放送はよくされていたらしいんですけれども、被災者の方というか、除雪の状況ですとかここに避難するとこういうことがありますというような情報は不十分だったのかなと申しておりました。

 各自治体によって対応もさまざまだったかと思いますけれども、携帯電話を持っていない人も困らないように、災害時の情報伝達、こういったものを組織的に充実していただくようにお願いしたいと思っております。

 午前中の答弁では、新藤総務大臣から、特に財政措置を中心に強力に御支援をいただけるという力強いお言葉をいただけたわけでありますが、所信の表明でも、公共クラウドを整備するとかオープンデータを活用するとかICTを活用した災害に強いまちづくり、こういうことがうたわれているわけでございます。

 そこで、情報伝達の観点から、二十六年度の方針に従えばこういった防災、減災が可能であるというようなことを一言いただけますでしょうか。

市橋政府参考人 御指摘のように、災害情報を迅速かつ正確に伝達するということは極めて重要な課題でございます。

 お話のありました緊急速報メール、これは私ども今、数値を精査中でございますけれども、携帯各社の調べによりますと、二十六年の二月現在で、NTTドコモ社が八八・九%、KDDI社が八五・二%、ソフトバンクモバイル社が八〇・二%というふうに、地方自治体緊急速報メールの契約を結んでいるところでございます。

 私どもといたしましては、この緊急速報メールにつきましては、各個人の携帯電話に直接伝達され、また、市町村の活用につきましては費用負担もないということで、緊急時の情報伝達手段として非常に有効だということで、強くこの活用を働きかけているところでございまして、これまでも文書あるいは会議あるいは直接の電話等々で働きかけを進めてまいりました。急速に広まりつつあります。今後とも、一層強く働きかけていきたいと思います。

 また、情報伝達全般につきましては、さまざまな方がいらっしゃいますので、多様な手段で災害情報を伝達するということも重要でございますので、この災害情報伝達システムの多様化ということにつきましても、力を入れて進めてまいりたいというふうに考えております。

百瀬委員 私も調べさせていただきましたけれども、やはり海岸の近くの自治体はかなり緊急速報メールも加入しているようでございますけれども、長野県もそうなんですけれども、そういったところはまだまだ加入率が低いといった状況にあるようでございますので、そういった普及にも取り組んでいただきたいと思っております。

 この関連で、次に、消防団を話題にしていきたいと思っております。

 昨年末、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が成立いたしました。消防団の加入促進、処遇改善、装備、訓練の充実を図るということを大臣からもおっしゃっていただいているわけであります。そして今月の十五日、消防庁は早速、団員に報酬を支払っていない消防団を公表する、そして待遇改善を促す方針を決めたと発表しております。

 そこで、まずお尋ねしたいわけでありますけれども、今、地方交付税算入額は年額で消防団員一人当たり三万六千五百円、一回の出動手当が七千円というふうになってございます。満額が団員の手に渡ることを働きかけて、報酬、出動手当に係る交付税措置額については据え置きとのことでありますけれども、これに間違いはないでしょうか。

市橋政府参考人 消防団員の報酬につきましては、ただいま御指摘の交付税措置を講じているところでございますが、市町村によって金額がまちまちでございまして、その実績、平成二十二年度の決算ベースで申し上げますと、報酬、一般団員につきましては二万五千円程度、それから出動手当につきましては二千五百円程度というふうな形になっておりまして、いずれも交付税措置額を下回るというふうな状況になっております。

 今、各地方公共団体に対しまして、この報酬額の引き上げにつきまして働きかけを行っているところでございます。

百瀬委員 やはり問題意識としては、三万六千五百円が団員の手に渡っていない、二万円くらいになってしまっているということであります。私も周りに消防団員がいますけれども、二万円ももらっていないな、一円ももらっていないという人も少なからずいるわけであります。

 そこで、今回、そういったところに問題意識を向けて、こういったことの取り組みをされているのだと思いますけれども、今後、団員の手に渡る支給額がふえていけば、この交付税措置額を引き上げることも視野に入っておられますでしょうか。

市橋政府参考人 まずは交付税措置額まで何としても持っていってほしいということで強く働きかけてまいりたいと思います。その後につきましては、まずその状態を達してからちゃんと検討していきたいというふうに考えております。

百瀬委員 加入促進を考えたとき、やはりそういった報酬額という面もあるかもわかりませんし、もう一つ、消火活動、防災活動におけるやりがいを感じられる場をつくる、こういうことも大変重要ではないかなと考えております。

 消防団員の方々、人命を守りたいとか地域を守りたい、こういった思いで参加している方もたくさんおられると思いますけれども、しかし、法体系上、消防団員が直接人命救助活動をする事態は恐らく想定されていないんだろうなと思っております。私の理解では、そういった火災現場における直接的な人命救助、また鎮火活動等は消防士に任されていて、その後方支援とか初期消火、そういったことが消防団員に期待されている役柄であると思っております。

 基本的にこれでいいと思うんですけれども、もし、人命をどうしても守りたいんだとか、地域のために働きたいという崇高な理念で消防団に参加していた方がいて、この方にそういった実力もあったとすれば、消防士じゃないからだめとか、消防団員だからこれをやりなさいとかいうことではなくて、場合によっては現場の最前線にも立てるというような弾力的なシステムもつくっていけるのではないかなと思っております。

 消防団員でも、しっかりと消防学校などに通って、消防士に引けをとらない技術と知識を身につけていただいて、消防士に引けをとらないそういった知識のある方は一定の資格を付与するとか、報酬額にインセンティブを持たせるとか、また、今、消防団員の序列というのは、団長がいて、分団長がいて、班長がいて、団員がいてというような形でほぼ年功序列になっていると思いますけれども、ある程度実績主義も導入していく余地があるのではないかなと思っております。

 この点について、一言、御意見をいただけるでしょうか。

市橋政府参考人 まず、消防団の役割についてでございますけれども、確かに、都市部などでは常備消防が充実しておりますので、消火は常備が行って、後方の活動を行うというふうな例もございます。ただ、都市部以外のところでは、消防団が第一線に立って消火活動も実施するというふうな事例もございます。

 また、大規模災害時を考えた場合には、例えば大地震の際に、消防機関が救助になかなか向かえないというふうな状況になります。そういう際には、やはり地元で密着して、人数も多い消防団、この方々に活動してもらうということが非常に重要であるというふうに考えております。

 したがいまして、私ども、消防団の教育訓練の充実あるいはそのための装備の充実ということは大変重要であるというふうに考えております。

 特に、ただいまの御指摘にもございました、やる気を持っていただく等のために、現在、現場のリーダーであります消防団の中堅幹部に対しまして、実践的な現場指揮や安全管理を中心とした教育訓練を行うというふうなことで、消防学校の教育訓練の基準の見直しを進めているところでございます。そして、この教育課程を修了した消防団員に対しましては、士気の向上というふうなことを踏まえまして、活動現場において、災害対応能力を有していることを何らかの形で明らかにする、そういう方策などにつきましても検討を行っているところでございます。

百瀬委員 今、訓練や装備のお話も出していただきましたので、この話を続けさせていただきたいと思っております。

 ちょっと調べたところによりますと、アメリカの場合は、消防士と消防団員の違い、これは給料をもらっているか、もらっていないかということが大きいと言われております。例えば、うちの消防署には五十人消防士がいる、そのうちの五人は給料をもらっている消防士で、残りの四十五人が給料をもらっていない消防士だ、残りは、訓練や装備は同一のものを使っている、訓練も同様のものだということであります。

 しかし、日本では、特に訓練においては、消防士と消防団員、年に一、二回、合同訓練があるのだと思いますけれども、基本的には、別々に訓練を行い、消防士が消防団員を指導するという形が実態ではないでしょうか。また、消防団員は自分の仕事を持ちながらの活動になっておりまして、朝は早く起きてこいとか、休日を返上する日も少なくないわけでありまして、また、日本の場合は、規律訓練に傾斜し過ぎているという指摘もあるわけであります。

 そこでお尋ねしたいんですが、現状として、今の消防団の訓練における課題を一言いただきたいのと、もう一つ、装備のお話も出ましたので、こちらについてもお尋ねしたいと思っております。

 今回、装備の拡充もされるということでありますけれども、基本的には、東日本大震災の教訓を生かして、消防ポンプ自動車のような比較的大きいものが念頭に置かれているのかなと思っております。今後、消防団員個人個人の、はんてんだけじゃやはり足りないと思うんですね。防火服ですとか帽子とか長靴とか、そういったものも充実させていくおつもりであるか、二点、お願いいたします。

市橋政府参考人 まず、消防団員の訓練の関係でございますけれども、御指摘のように、消防団員の方々は本来の仕事をお持ちでございます。したがいまして、訓練の時間がなかなかとれないというようなことがございます。したがいまして、私ども、消防学校で消防団員の方々の訓練を行う際にも、土日を活用したりとかして、何とか時間をやりくりしていただきながら対応しているところでございます。

 そういう状況も踏まえながら、今後は、例えば、消防学校に出向かなくても、Eラーニング等で訓練を行って、実際の実技の部分については消防学校で行うとか、そういう時間に制約のある消防団員の実態に合わせたような訓練の方策ということも検討していかなければならないのかなというふうに考えております。

 そういう中で、先ほど申し上げました、消火のみならず救助、これにも力を入れた訓練というふうなものを展開してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、消防団の装備の関係でございます。これにつきましては、東日本大震災の教訓も踏まえまして、トランシーバー等の双方向の情報伝達が可能となる情報通信機器の充実、それから安全靴やライフジャケット等の消防団員の安全確保のための装備の充実、またチェーンソーや油圧ジャッキ等の救助活動資機材の充実、これを図るために、本年二月七日付で、消防団の装備の基準の改正を行ったところでございます。

 改正後の基準に基づきまして、平成二十六年度、来年度の地方交付税措置を大幅に増加させる予定としておりまして、各消防団においてこれらの装備の充実が図られるよう、しっかりと働きかけてまいりたいというふうに考えております。

百瀬委員 ぜひ、訓練また装備を充実させていただいて、現場の方が働きやすい環境をつくっていただきたいと思っております。

 それを踏まえて話を先に進めたいと思いますけれども、今回の大雪におきまして、残念ながら、消防団の方々が大活躍したということは、少なくとも私の耳には届いておりません。ただでさえ田舎は人手不足でありますし、また、補助金が少なくなって、自治体が雪かきを業者に依頼するのも難しい状況がございます。

 そこで、消防団の方々、御自身の担当の消火栓のところの雪かきというのはやっているとは思いますけれども、そういったものや生活道路以外にも、例えば、高齢者の方々とかひとり暮らしの方々のところに消防団の方々が雪かきを手伝いに行く、こういうことがあっても、また活躍の幅が広がるのではないかなと思っております。

 日本には水防団というものもありますけれども、消防団の地域防災力ということで考えれば、水害があるところはそういった水防団が活躍されるところもあるでしょうし、また、犯罪の多いところでは自警団的な意味合いを持つことがあるのかもわかりません。そういった意味では、雪害が予想されるところは、ぜひ消防団の方々がそういった組織を立ち上げていただければ、なおかついいのかなと思っております。

 ちょっと話はかわるんですけれども、今回の所信を見させていただいている中で、とても気を引くフレーズがありまして、それが、新藤大臣の使われたドラゴンハイパーコマンドユニットですか、本当に天才的なネーミングだなと思ったわけでありますけれども、それについて、どういった経緯であれをネーミングしたのか、ちょっと一言いただけますか。

新藤国務大臣 これは、東日本の大震災を契機にいたしまして、コンビナートですとか特殊な火災が起きて、それを消火、鎮圧するための、それに対応した特殊な部隊が必要だ、こういうことを消防の方で検討したわけであります。正式名称はあるんですけれども、せっかくですから、これはやはり皆さんによくわかりやすいもの、そして覚えていただくものにしたいということで、何かいい名前はないかというので、大臣室でいろいろ、みんなで検討しました。

 実は、もともとの、昔の消防団は、消防のポンプというのは、手でやるんですね。手こぎなんですよ。水をためるものがあって、かごのようになっていて、両側でかきながら水を吐き出すんですね。水を吐き出す口は竜の口になっておりまして、ですから、昔の消防用ポンプを竜吐水というふうに呼ぶんです。竜吐水というのは、竜ですから、これはドラゴンだ、こういうふうにイメージしまして、そして、ドラゴンハイパーコマンドユニット、特別なそういう消火活動を行う、そういう隊員たちの集まりだ、こういうことで、直訳すればそのままなんです、ドラゴンハイパーコマンドユニット、こういうふうにしようじゃないかと。

 実は、消防士というのは、子供たちは憧れなんですよ。子供から憧れられて、すごいなと言われて、そういうふうに言われた大人がどれだけ張り切るか。命をかけて、本当に大変なときにみんなのために働いてくれる人たちなんですけれども、まあ、それはイメージとして、そういうような特別なものなんだよということとあわせて、私は、子供だとか一般の人に、へえと言って、その認知度を上げて、特に、すごいな、格好いいなと言われたその人たちが、消防士たちがとても誇らしい気持ちで活動してくれることを私はよく承知しています。

 ですから、やや子供が反応してもらえるような、そういう思いも込めてつけたのは事実でありますが、いずれにしても、もとは竜吐水です。それからイメージをした、こういうことでございます。

百瀬委員 ありがとうございます。大変勉強になりました。

 私も、まだ政治の世界に入って日は浅いですけれども、政治の世界でもこういうことはありなんだなというのを痛感させていただきました。

 世の中には、こういったことを期待している若者というのが結構いると思うんですよ。豪雪の被害でも、そういった雪害に対する特別部隊を編成して、それにネーミングを新藤大臣が何とつけるかわからないですけれども、私だったら、スノーリムービングスペシャルタスクフォースとか、そういった形でやれば、ああ、そういう組織があるんだということにまず目を向ける。そこで実際、大人たちが格好よくがさがさと仕事をしていれば、これは地域のためになると思うんです。

 ちょっとネーミングのことで話の話題はそれましたけれども、こういった形で消防団の活躍の場を広げる、こういったことが地域防災力の向上につながるのではないかと考えておりますけれども、この点について、消防庁で一言いただけますか。

市橋政府参考人 まず、消防団の今回の大雪における活動でございますが、一般の住民としての活動と区分しづらいところがあって、余り大きく報道されるようなことがないわけなんですけれども、私ども、聞き取りしましたところ、消防団におきましても、住民の安否確認、食料品の配布、渋滞箇所の交通整理、防火水槽など水利の除雪、さらには寸断された道路や孤立集落内での除雪、またヘリポートの除雪などの活動を行っていただいているところでございます。

 また、埼玉県内においては、渋滞といいますか、雪のために常備消防の消防車が接近できない、二、三時間かかるというふうな事例におきまして、消防団が、あるいは消防団と自衛消防隊が火災を鎮圧したというような事例も報告しているところでございます。

 いずれにいたしましても、消防団、地域防災力のかなめでございますので、法律も先生方につくっていただいたところでございますので、この法律に基づいて、消防団の充実強化ということ、消防庁を挙げて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

百瀬委員 ありがとうございます。

 視点を変えまして、次に、地域づくりという観点から、集落支援員の制度について若干お尋ねしたいと思っております。

 集落支援員の制度、年々とその支援員の数がふえているようでございまして、平成二十五年度は、専任の集落支援員七百四十一人、兼任の集落支援員三千七百六十四人ということでございます。この方々、もしくはこの事業における財源の手当ての状況はどのようになっていますでしょうか。

関政府参考人 今お尋ねいただきました集落支援員でありますけれども、その集落の実情に詳しく、集落対策の推進に関してノウハウ、知見を有した方々が、地方自治体からの委嘱を受けまして、市町村職員と連携して、まず集落を巡回、状況把握、点検、さらには、集落の方々とのお話し合いを通じまして、その施策によっては、本当に必要な施策を一緒になって、あるいは支援してやっていく、そういう役割を担っていただいておりまして、今先生御指摘のように、人数的には、専任七百四十一人などとなっているところでございます。

 財源手当てでございますが、総務省では、設置している自治体に対しまして、専任の方の場合は、活動費なども含めまして一人当たり三百五十万円、兼任の場合は、一人当たり四十万円を上限に特別交付税で措置をし、交付しているところでございます。

 引き続き、この集落対策は推進してまいりたいと考えております。

百瀬委員 これも、実際にその支援員の方々に回っている額というのはおわかりなんですか。

関政府参考人 実際にどれだけかかったかというデータはいただいておりますが、一応、我々としては、活動費も含めて集計をして交付しているということでございます。(百瀬委員「幾らなんですか、一人当たり」と呼ぶ)ですから、一人当たり、上限は三百五十万円ですが、大方その中におさまっているところでございます。

百瀬委員 この集落支援員の制度、私も、財源の話を抜きにすれば大変いいお話だなと思っておるんですけれども、果たしてそれだけの税金をつぎ込んでやるべき事業なのか、費用対効果は薄いのではないかなと思うところもあるわけでございます。

 例えば、集落支援員は、市町村職員とも連携して、集落への目配りとして、集落の巡回、状況把握等を行うということでございますけれども、それは、これまで市の職員とか民生委員の方々もやられてきたことだと思いますし、きょう話題になっております消防団員の力を駆使すれば、集落の巡回とか、消防団員の方々は田畑の見回りもやっているところが数多くございますので、そういったところで賄えるところもあるのではないかなと思っております。また、集落支援員の方々は、集落のあり方についての話し合いを促進するということもありますけれども、しかし、田舎に行けば、常会とか話し合う機会というのはどこでもあるわけでございまして、要は、そこで出た意見をどうやって集約していくかとか、議会をどう活性化させていくのかとか、そういったことが大事になってくるのではないかと思っておりまして、意見や機能を分散させるよりは、今ある制度をどうやって充実させていくのかを考える方が重要なのではないかなと思っております。

 そこで、最後に質問させていただきたいと思いますけれども、単純に比較はできないとは思いますけれども、消防団の方々の年額の報酬は三万六千五百円。一方の、集落支援の方々は年額三百五十万円。百倍の差もあるわけでございます。それは、専任とか兼任の違いもありますし、兼任となれば四十万円ですけれども、同じ地域のために頑張っていきたいという人の中でこういった差があるというのはどのようにお考えですか。

高木委員長 時間が過ぎていますので、簡潔に。

市橋政府参考人 消防団員の報酬、本当に低いレベルにございます。ただ、お金ではない、俺たちは地域を守るんだという気概を持って消防団員が長年にわたり活動してきた歴史がございます。

 中には、払っていないというふうな団体もあるわけでございまして、私どもは、いかにもそれは問題ではないかということで今お願いしているところでございますが、消防団員につきましては、少なくとも交付税措置額というふうなことを目標に頑張ってほしいということを、しっかりと今後とも働きかけていきたいと思います。

百瀬委員 また次回お尋ねしたいと思いますけれども、時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 NHKについて御質問をさせていただきたいと思いますが、これまで何度もNHKの、私の場合は、一〇%、視聴者に受信料を還元するということの一点にこだわってこれまでずっと質問をさせていただきましたが、またその点につきまして、きょうは御質問させていただきたいと思います。

 まず、会長に御質問します。

 この間の集中審議の際に、受信料の一〇%還元についてはもう決着済みだと答弁されました。そこで、再度確認をいたしますが、その決着された中身について御説明願いたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 受信料の値下げにつきましては、現在の経営計画を、平成二十四年度から二十六年度でございますが、策定しました当時の執行部と経営委員会の間で、大いなる議論の中で経営の責任として決めたもので、経営委員会の正式な議決を経たものであります。これにつきましては、前会長からも、区切りがついていることだというふうに引き継ぎを受けております。

佐藤(正)委員 それは、あくまでも二十四年から二十六年までの三年間の事業計画についてなんですよ。未来永劫まで一〇%還元はしないとは決めていないんです。そんなことはどこでも決まっていない、どこにも書いていない。これは、会長、認識をしていただかなければならないと思います。

 そこで、一〇%の還元の財源について、これまでも何度も御質問をさせていただきましたけれども、まず、そもそも、原資として今七%分は、一千百六十二億円あります。それ以外に、全額免除等の拡大という四百二億円について、これはあくまでも、生活保護受給者がふえたとか、それから震災によって被害を受けたとかという方々の免除ですよね。

 この免除をすることが、どうして受信料を払っている方々の還元になるんですか、お尋ねします。

籾井参考人 お答えいたします。

 まず、受信料の還元は、二十四年十月から七%の値下げを実施しましたが、受信料全額免除の拡大、四百二億円は還元ではなくて、値下げが提起された当初、これは平成二十年でございますが、当時の想定を上回って発生した減収額でございます。

佐藤(正)委員 会長、これまで何度となくここで質問をさせていただいたときに、NHKの執行部の方々は、これも含んだ中での還元だと何度も言ってきているんですよ。だからこだわっているんですよ。そうでなければ、こだわりませんよ。そういう説明も私は受けています。

 だからこそ、受信料を払っている方々が、例えば、景気が悪くなって受信料を払えない方々がふえた、その方々の分を、受信料を払っている方々が還元するという話ではなくて、逆に負担をするという話になるんですよ。全く今までの説明と違うことを今会長は言われたんですよ。

 普通は、会長、会長が言われるのは正しいと思うんですよ、私でもそう判断する。しかし、これまでそういうことの説明をしてきていないんですよ。これを合わせて、トータル一〇%。だったら、この一ページ目の資料を見てくださいよ。七・六の〇・六の、それから四百二億円を足した二・四%分で一〇%と書く必要ないじゃないですか、今の御説明だったら。

 一〇%の還元はどうなっているんですかという表が、これはNHKがつくった資料ですよ。そこで、足して一〇%になっているのに、今の説明じゃ全然違うじゃないですか。今までの説明は、これに伴って説明をされてきたんです。

 ですから、では二・四%の四百二億円というのは本当にそうなのかなという議論をしてきたんですよ。会長、どうですか。

籾井参考人 値下げにつきましては、先ほども申しましたけれども、当時の執行部と経営委員会の間での議論の中で経営の責任として決めたものであり、区切りがついているというふうに私は前会長から引き継いでおります。

 我々としましては、支払い率の向上に今後とも努めていくわけですが、受信料の公平負担を進めるためにも、今後とも、これを引き続き推進していきたいというふうに思っております。

佐藤(正)委員 会長、それは答弁になっていないですよ、全然。質問に対する答弁じゃないですよ。

 このNHKさんがつくった資料をもとにして、私は質問をさせていただいています。そこで、何度も申し上げますが、今の会長の答弁でいけば、こんな資料は要らないですよ。ここの、七・六%しかできませんという資料だけでいいんですよ。

 これをあえて、こういう資料をつくって、コンマ六%が大震災に伴う緊急の設備投資ですよ、そして二・四%が全額免除の拡大なんですよ、トータルして一〇%なんですよと言ってきているんですよ。全然、言っていることがこの資料に伴わないんですよ。だったら、最初から、七・六%しかできませんと言えばいいじゃないですか。

 現に、経営委員会の議論の際に出ているわけですよ。NHKの執行部は、こういうものを含まないと一〇%は無理ですよと。しかし、その当時、先ほど会長が言われたように、いろいろな議論があった中には、経営委員の方も、いや、この全額免除については還元の項目に入れるのはいかがなものかという議論が出ているじゃないですか。それを踏まえてこの一〇%の表をつくってきたということは、紛れもなく、今会長がおっしゃったのとは違うと思いますが、いかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 先ほども申しましたけれども、四百二億円は収入の減少でございます。これは、還元ではなくて、値下げが提起された当初の想定を上回って発生した減収額でございます。これは、経済状況の悪化であるとか、そういうことを全部含んだ上での減収でございます。

 したがいまして、その結果、一〇%の値下げをしようということだったんですが、結局、こういう状況のために七%の結果におさまったということでございます。

佐藤(正)委員 百歩譲りましょう。

 では、もし会長が言われるとおり、そうだとすれば、では、原資が違って、この四百二億円がもっと圧縮されたとするならば、それは還元をするということですね、今の話でいけば。それでよろしいんですか。

籾井参考人 お答えします。

 ただいま申し上げましたように、四百二億円というのは、これは減収だと申し上げました。もし減収分が四百二億円を下回っておれば、当然のことながら、七%ではなくて、もう少し上に行ったと私は理解いたしております。

佐藤(正)委員 共通でよかったですね。実は、下がっているんですよ、四百二億円。四百二億円にならない。

 実は、皆さんのお手元に資料をお渡ししておりますけれども、例えば三ページの資料を見ていただければと思うんですが、二ページ、三ページとなるんですけれども、災害免除、廃止、これは三十一億円を見ていたんですが、現実には十八億円になっているんですね。これは、どうして三十一億円が十八億円になったんですか。

籾井参考人 お答えします。

 当初三十一億円だったものが、東日本大震災もあったこともあり十八億円になった、こういうことでございます。

佐藤(正)委員 会長、それは逆ですよ。震災が起きてこういうふうになって、あれでしょう、今会長が言いたかったのは、この十八億円というのは、いわゆる原発事故等が残って十八億円ということなんです。だから、ここでもう原資が出てきたんですね、まず少なくなった。

 それから、今度、もう一つは、三ページの二十三年度から二十四年度、二十五年度、二十六年度、毎年毎年全額免除の世帯が十七万件ずつふえてくるとなっています。しかし、NHKの資料を見させていただきますと、実は、十七万件ではなくて、結果的に全額免除の件数がふえたのは七万件なんですよ。これはおたくの資料から出ていますからね。七万件なんです。これはどういうことですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 三カ年計画では、有料契約から全額免除となる世帯数を毎年十八万件と見込み、二十四年度の実績は十七万件となりました。

 御指摘の七万件は、全額免除の単純な増加数であり、全額免除の拡大による影響額の積算には直接的には関係がない数字でございます。

佐藤(正)委員 それも不思議なんですよね。

 四ページを見てください。これは、NHKが全額免除の件数を書いているのに七万件、全額免除の件数はちゃんと出しているじゃないですか。七万件とNHKが書いているんですよ、調査して。この金額、この件数になるのは当たり前じゃないですか。当然じゃないですか。

 また、あえて言うならば、その下の生活保護世帯数が幾らふえているか。これは厚生労働省の資料です。五万件ですよ、ふえているのは。だから、生活保護者世帯の件数プラス二万件というのは、また別の要因があった分でしょう。これは、NHKは三つの項目で全額免除をやっていますから、わかります。その中の一番大きなのが生活保護ということです。

 だから、五万件と七万件が違うのはよくわかりますが、実質全額免除の件数七万件と書いてあれば、原資として減るのは七万件じゃありませんか。会長、どうですか。

籾井参考人 全額免除の影響額は、有料契約から全額免除となる件数により積算しております。単純な増加数とは直接的に関係がないこととなります。

佐藤(正)委員 これはNHKの方とも随分議論をしたんですけれども、やはりちんぷんかんぷんですよ。現実に七万件という数字が出ているんだから、これだけは収入が減ったんじゃないですか。

 今言ったように、実は、四百二億円というのは件数じゃないんですよ、金額なんですよ。だから、NHKの、例えば三ページの資料を見たって、件数が出て数字が出ている。ということは、例えば十七万件で八十五億円になる。先ほど、三十一億円が十八億円になる。だったら、この八十五億円だって減るはずじゃないですか。数字の根拠からすれば減るはずですよ。

 今まで払っていた方が払えなくなりました、その件数が約七万件ですといったら、その分だけ収入が減るんですよ、当たり前じゃないですか。

 では、その減るのが幾らなんですか。この七万件で幾らなんですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 三カ年経営計画で見込んでおりました四百二億円は、東日本大震災による影響額と生活保護世帯など全額免除の拡大による影響額を合計したものであります。

 二十六年度予算編成時におきましては、東日本大震災による影響額と全額免除の拡大による影響額は三カ年合計で三百八十二億円と見込んでおり、ほぼ計画どおりの規模となっております。

佐藤(正)委員 よくわからないですね。七万件だから、七万件が幾らになるんですか。七万件、決算が済んでいるじゃないですか、二十四年度は。これは何度もやっているんです、NHKの執行部の方々と。何度も打ち合わせをやっている。きょう今聞いた話じゃないんです。何度も何度もやって。

 そのときに出たのは、あえて言いましょうか、言うならば、十七万件、確かに、今まで払っていた方が払えなくなった。しかし、逆に、生活保護世帯等々を調べてみると、実は、復活した、生活保護から脱却した、そういう方々がいる。その差も約七万件なんですよ。当然ですよね。この七万件と合うはずなんです。ということは、生活保護世帯から脱却をされた方々は、当然受信料はお支払いするんですよ。ところが、NHKのこの試算には、その復活した方々の収入を一切載せていない。全てがマイナスで計算している表なんですよ。

 だから、会長、会長もおかしいと思いませんか。おかしいですよ。NHKの執行部の説明自体がおかしいんですよ。そのときもその話をさせていただきました。そうしたら、納得して帰りましたよ。おかしいでしょう。そんな報告をしっかりやっていないから、会長が明確に答えられないんですよ。後ろで、ほら、何か言っているの。

 だから、会長、もう一度、そこは会長がやはりリーダーシップを今こそ発揮してください、きちっと。経営手腕を発揮していただきたいんです。いかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 全額免除が有料契約に変更となる影響については、当初より、三カ年計画で見込んでいるものです。そのように考えております。

 それから、受信料の値下げにつきましては、現在の経営計画を策定した当時の執行部と経営委員会の真摯な議論の中で経営の責任として決めたもので、経営委員会の正式な議決を経たものであります。

 何回も申し上げて申しわけございませんが、本件につきましては、区切りがついていることだというふうに前会長から引き継いでおります。

佐藤(正)委員 区切りがついたっていいですよ、いいけれども、この数字がおかしいでしょうと言っているんじゃないですか。普通の会社で数十億円の利益が、欠損が変わったら、三カ年計画は修正するでしょう、普通に。当たり前じゃないですか。

 経営委員長はお見えですね。今のやりとりを聞いていて、経営委員長、どう思いますか。

浜田参考人 受信料の値下げにつきましては、現在の経営計画を策定した当時の執行部と経営委員会の真摯な議論の結果として経営委員会で正式に議決を行ったものであり、一つの到達点だと認識をしております。

佐藤(正)委員 そんなことを言っているんじゃないんですよ。全然違うよ。

 今がこうだから、執行部から、経営委員会の方、監査の方々は、財務内容とか、ちゃんと報告を毎年聞かなきゃいけない。聞くんですよ。

 では、一回決めたらそれが全て正しくて、今の経営委員会の方々は、この二十六年度までの計画は、あなたたちは責任がないと言うのか。二十六年度まで、今ずっとやっているんですよ。その中で報告を聞いているのに、もう一旦決めたから私どもは関係ありませんと言うんですか。受信料を払っている方々は納得しませんよ、そんなことでは。どうなんですか。

浜田参考人 毎年度の予算の論議の中で、私どもとしては、審議をした結果、今の予算案を決めておりますので、そういう意味では毎年毎年議論をしているというふうに思っております。

佐藤(正)委員 議論をしたときに、こういう話は出ないんですか。スルーですか、ここは。そんなことはないでしょう。何のために経営委員会があって、監査がいて、やっているんですか。そこはやはり、経営委員長、しっかりやっていただかなければならないと思いますが、再度答弁願います。

浜田参考人 私どもといたしましては、今委員の御指摘のテーマは、次期の経営計画の中でさまざまな観点から論議されるべき事項であるというふうに思っております。

佐藤(正)委員 もう一回戻ります。

 会長がさっき言ったように、この四百二億円、百六億円、五百八億円、これは本来は還元すべきだけれども、こういう理由だったのでできないんです、しかし、それが圧縮できたのなら、当然、還元する財源に当たるんですと、会長、さっきおっしゃったじゃないですか。ということは、こうやって余ってきた、余ったじゃないね、還元できるお金はどこに行くんですか。本来、還元しますとお約束したお金が、今の数字だけでも、圧縮できるんですよ。

 では、そのお金は、その財源は、還元しなくてどこに行くんですか、経営委員長。

浜田参考人 先ほども申し上げましたけれども、NHKの将来を考えますと、センターの建てかえ、災害対応、それから放送と通信の融合、そういうさまざまな要素を考える中で受信料というのは決められるべきものだというふうに思っております。

佐藤(正)委員 だったら、一〇%還元、こんな表を出しちゃいけないでしょう、そもそもが。七・六%しかできませんと、多分、現会長だったらそれぐらい言ったかもしれませんね、実際は。でも、そうじゃないんです。ないから、私が問題にしているんです。

 そして、先ほど会長が申し上げたように、その還元の、圧縮したものは還元しますと言ったんだから。今、経営委員長は違うことを言ったんですよ。それはあくまでもセンターの建設資金に回しますとか。全く違う、言っていることが。会長と経営委員長が言っていることが全く違う。これは問題ですよ。おかしいと思いますよ。もう余り時間がないので次へ行きますけれども。

 では、NHKは企業年金がありますよね。それで、企業年金についてちょっとお尋ねをしたいんですが、これまでも総務委員会等で、何度かこの企業年金の問題が議論をされています。その議事録も読ませていただきました。

 そこで、まず資料五ページを見ていただければと思います。この資料五ページの文言は、経営委員会の議事録から引っ張り出したものですけれども、そこに書いてあるのは、端的に言うと、企業年金の積み立て不足が発生しました、現在では積み立て不足が二千六百四十億円です、そしてこの積み立て不足は十年後にほぼ解消できる。ということは、どこかから財源を持ってきてそこに積み立てるんでしょうね。

 そもそも、この企業年金、なぜ積み立て不足が起きたのか、御説明願いたいと思います。

籾井参考人 お答えします。

 NHKの企業年金は制度発足から積み立て不足が発生しており、平成十五年度から、退職給付会計を適用しまして計画的に償却を行っております。事業収入全体を財源として償却いたしております。

佐藤(正)委員 事業収入とは何なんですか。会長じゃなくて経営委員長の方がいいかもしれません。経営委員長の方が、経営委員会のこの資料に基づいて、議事録に基づいて私、質問しておりますので。経営委員長、この財源は何なんですか。

浜田参考人 受信料を含めたその他の事業収入全体だというふうに思っています。

佐藤(正)委員 事業収入を含めたその他の財源、ほぼ受信料じゃないですか。NHKは受信料じゃないですか、九七%。

 だから、企業年金の積み立て不足が出て、当初からではなくて、ここに書いてあるように、運用利回りが思ったよりも低かったとか、いわゆる割引率、物価上昇率も掛けての率、これも高目に見ていたとか、そういう要因と書いてあるじゃないですか。それが間違って、失敗して、変更した分、積み立て不足はふえたと書いてあるんです。

 何でそんなものを、受信料を払っている方々が払わなきゃならないんですか。まずやらなければいけないのは、年金を今もらっている方々が減額をするのか、これはJALのときもあったじゃありませんか。

 では、今、年金の積み立て不足は二千六百四十億円で間違いないですか。

籾井参考人 先ほどもお答えしましたけれども、平成十五年度から、退職給付会計を適用して計画的に償却を行っている。財源は、今委員長からもありましたように、全体の事業収入を使ってやっている。それから、我々としましても、民間企業同様の退職給付会計を適用しておりまして、積み立て不足については、会計基準に従い償却を行っております。

佐藤(正)委員 いいですか、受信料で、これまで三千億円を超える積み立て不足を受信料が賄っていくんですよ。二十四年度のこの議事録で見たら、二千六百四十億円、これを十年間で償却するとすれば、年間二百六十億円以上の受信料が補填をされるということなんです。

 では、お聞きします。

 なぜ、私が会長と経営委員長をという御指名をしているかというと、実は、前、予算委員会の中で私は、執行部の方から言われたので、ぜひ執行部の方に来てもらいたいと言ったのですが、予算委員会では、とんでもない、NHKを代表するのは会長と経営委員長、この方に質問をしてくださいと却下されましたよ。だから、あえて言っているんです。そうでなければ、私は、そのとき、予算委員会で、NHKの方に来てもらって、細かい数字がもし出たらと思って、要求しましたよ。

 それぐらいにNHKの会長と経営委員長は責務が重たいというふうに自民党の方から御指導を受けたので、あえて私はそうさせていただいているということなんです。

 ですから、再度聞きますが、この十年間、受信料を幾ら補填するんですか、幾ら積立金に回すんですか、毎年幾ら回していくんですか、十年間でと書いていますよ、この経営委員会の議事録に。

籾井参考人 積み立て不足は、二十四年度末で二千六百四十億円でございます。今後も、会計基準により、着実に償却してまいります。

 平成二十九年度まで毎年約三百億円を償却し、三十年度以降、毎年百五十億円償却する見込みでございます。

 今後の年金資産の運用が予定どおり推移した場合、積み立て不足は十年ほどでほぼ解消する見通しであります。

佐藤(正)委員 受信料ですよ、皆さん。NHKの方はよく考えてください。

 では、NHKの年金をもらっている方々の受給額は減ったんですか、それとも、今現役で年金を掛けている方の掛金は上がったんですか。どういう努力をしたんですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 年金につきましては、財政負担軽減のため、制度の見直しを行い、平成二十二年四月に、従来の年金制度の一部、約四割でございますが、それを確定拠出年金へ移行いたしました。

佐藤(正)委員 そんなことは当たり前でしょう。年金でこうやるだけのことじゃないですか、確定にするか拠出にするかというだけのことであって。

 今もらっている方々は減ったんですかと聞いているんですよ。

 いいですか。NHKのOB、現役はしっかり守りながら、その守るためのお金は受信料で賄う。そして、受信料の一〇%の還元はいたしますと言ったところが、それすらできない。受信料を払っている方には負担ばかり与えて、ぬくぬくと年金をもらい、この実態が今のNHKじゃないですか。

 年間数百億円もの、いいですか、数百億円もの受信料をそこに補填しているということになるじゃありませんか。これが皆さん、当たり前だと思いますか。普通の売り上げとは違いますよ、受信料は。

 会長、何か答弁があるんだったらどうぞ。

 私はやはり、それぞれの年金の運用利回りを間違った、失敗した、その補填を受信料で払うのはおかしいと思いますね。

 それから、もう一点ですが、まだまだあるのは、NHKにおいて、僕は天下りと思いますが、NHKを退職して退職金をもらい、NHKの子会社に行ったら退職金はもらえない。そして、またNHKの本体に戻ってきたら、また退職金をもらう。このことに関して、資料で、実は、幾らぐらいの退職金なんですかというのもお出しくださいとお願いしたんですが、私の方には、出せません、個人情報のため出せないと。そこで、委員長の御配慮で、理事会の皆様方の御配慮で、数字を出していただくことが可能になりました。

 きょうは、もうここに、数字は理事会でいただいたんですが、例えば、本来なら、この九ページを見ていただければ、NHK衛星ハイビジョン局担当局長、ここで一旦退職金をもらい、そしてNHKの理事になり、ここでまた退職金をいただき、それからNHKエンタープライズ社長になったときは退職金がない。そしてまた、NHKの副会長になったら退職金をもらう。そしてまた、NHKのエンタープライズに下っている。循環型のまさに天下りシステムですよ。

 そこで、お尋ねをしたいんですが、なぜ子会社では退職金が出ないんですか。

籾井参考人 お答えします。

 まず一つ、これが我々NHKの中のルールであるということ。それから、二つ目には、やはり子会社群というのは、民間で言うところの連結対象、つまりグループということでございますから、その中で何回も何回も退職金をもらうということは実に不都合だ、これは私の見解ですけれども、そのように思っております。

佐藤(正)委員 会長、実は、これも随分議論をさせていただいたんですよ。何で子会社がもらえなくなったの。平成十八年、当時、天下りだ、わたりだとすごい問題になったときなんですよ。それまでもらっていたんです。出していたんですよ。そして、そういう問題が起きたので、子会社は、NHK本体から来られた方は退職金を出さないというふうに変えたんですよ、おくればせながら。それはいいですよね。よかったと思います。

 ところが、また戻ったらもらえるんですよ。これもまたおかしくないですか。どうぞ、会長。

籾井参考人 お答えします。

 途中で区切れているので、何回ももらっているように見えますが、例えば、このA氏、資料の中のA氏ですが、NHKエンタープライズ社長というのをちょっと抜けていただきますと、NHK理事から副会長になった、こういうふうに御理解いただけるんじゃないかと思います。民間会社でも、取締役から、例えば社長だ会長だになったときに、それを含めて退職金をもらうわけですね。ですから、二回もらっているということではなくて、これは確かに、エンタープライズの社長で終われば、そこでもうエンタープライズの時代の退職金はないわけです。これで終わりなんですが、中には、やはり戻ってきてやってほしいという方もおられるわけですね。そういう意味におきまして、小野前副会長かどうかは、ちょっとA氏と書いてありますから、A氏は、エンタープライズの社長からNHK本体の副会長に戻ってこられた、そして、その中で副会長としての仕事をされましたので、先ほど言いましたように、理事からあたかも続いて副会長をやられたがごとく、ここで退職金を差し上げたというか、ルールに従って差し上げました、こういうことでございます。

佐藤(正)委員 会長、それは違うんですよ、絶対。NHKから出て、子会社であれ出て、それは出た段階で切れるんですよ、切れて、また今度、NHKに行ったんです。これが普通なんです。

 だから、要するに、NHKで、本体では二度も退職金が出ている。本来、さっき言ったように、一〇%還元できないと言っているのに、こんなことをやっているから、こんなちっちゃなことと思うかもしれませんが、受信料を払っている方々から見たら大きな大きな金額ですよ。そういうことをしっかりと考えてやって、ぜひこれは改善していただきたい、このように思います。

 時間が来ました。総務大臣に御答弁、感想を一言でもいいです。もういいですか。本当は聞きたかったんですけれども、時間がなくなりました。これで時間が来ましたので、質問を終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に大雪被害対策について質問をいたします。

 関東甲信地方を初めとして、雪になじみのない地域で大雪が降り、多大な被害が発生しております。亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、また、被災をされた方々にお見舞いを申し上げるものです。

 私も埼玉の所沢で、大きな雪が降りまして、自宅周辺でも、カーポートが壊れたというお宅が半径三十メートルぐらいでも三軒ぐらいあるんですよね。おひとり暮らしのお年寄りの、そういう家庭でのカーポートが一つ潰れて、もう一つも潰れそうという状況で、近所の人と一緒に雪おろしをするというようなことなんかもありました。これが、所沢では、ホウレンソウが産地でありますから、トンネルハウスが潰れて大きな打撃にもなっているということなんかもお聞きをしております。

 私、この週末は、群馬県の高崎市と、それから秩父に足を運びまして、被災の状況について現地でお話を伺ってまいりました。

 高崎市では、農業用ハウスが倒壊した施設園芸農家を訪問し、花の苗がもう寒さに縮こまっているような、小さなポットがたくさん並んでいるということがありましたし、解体撤去にも時間がかかる、業者がすぐ来てくれないということで、何よりもハウスの資材そのものが不足をしている、それが深刻だという話を聞いたところです。仕事を続けていこうという気持ちを後押ししてくれる支援をお願いしたいというのが訴えでありました。

 きょうは、秩父地域の大雪被害の調査などを踏まえて、質問をいたします。

 秩父市役所と県土整備事務所で被害状況や除雪、孤立集落解消対策などをお聞きし、その後、秩父市内で農業用ハウスが倒壊しましたトマト農家やイチゴ農家を訪問いたしました。その後、小鹿野町に行きまして、役場で御説明を受けてから、ブランド品となっております秩父キュウリの生産農家の方から要望をお聞きしました。最後に、孤立集落が残されています中津川の、中双里といいましたか、まさに除雪をしている現場のところまで足を運んで、状況について聞いてまいりました。

 今なお、埼玉、山梨では孤立されている方もいらっしゃるということで、この解消のために全力を挙げていただきたいと思っております。

 また、気温が上がると言われておりますので、雪崩の心配もありますし、屋根からの落雪も心配だということで、必要な危険箇所の洗い出しなどの注意情報などもぜひ心がけていただきたいと思っております。

 そこで、関口副大臣にお尋ねいたします。

 地元秩父の被災者の状況については、具体的にお話も伺っていると思います、どのような状況か、このことについてのお話を伺いたいのと、総務省としてどのような対策を考えておられるのか、この点についてお答えいただけますか。

関口副大臣 冒頭、地元の一人として、塩川議員には、早々に地元を御視察いただきましたこと、お礼を申し上げる次第でございます。

 私の住んでいる秩父市は、歴代一位の積雪量九十八センチを記録するなど、大変な状況に追い込まれたわけでございますが、国を挙げて、また県、そして市町村を挙げて支援をしていただいたこと、地元の一人としてもお礼を申し上げる次第でございます。

 なかなか、まだ再建途上ということで、大変厳しい状況でありますし、御指摘の中になかったのですが、例えば鉄道も、秩父鉄道の影森から三峰口までまだ復旧ができていないということ、長い距離が、まだ鉄道が再開できていないという大変な状況もございます。

 さらに、旧日窒鉱山の方の坑廃水の処理ができないということで、今ちょっと大変な問題が起きておりまして、経産省を挙げて、御支援をいただいているということでございます。

 特に、幸いにもこの地域が災害救助法の適用を受けたということでございまして、除雪に関して、特別交付税の繰り上げ交付をしていただくということになっております。今、除雪の話も出てまいりましたけれども、地方団体の除排雪の経費については、普通は普通交付税で措置するわけでございますけれども、実際の所要額の見込みが大幅に超えた場合は、三月の特別交付税で処理するということになっております。しっかりと現場の状況を把握しながら対応してまいりたいと思っております。

 さらに、きょう大臣が冒頭でお触れいただきましたけれども、今回の大雪によって災害救助法の適用を受けた団体、さらに、平年を上回る大変な大雪に見舞われた団体に対して特別交付税を繰り上げて交付するということを本日決定して、あす、四十九市町村に対して六十七億円を交付する予定になっております。

 とにかく、議員が御指摘をいただいておりますとおり、財政状況が大変厳しい市町村に対して、特別交付税等を含めてしっかりと対応をしてまいりたいと思う次第でございますので、今後ともよろしくお願いいたします。

塩川委員 そこで、この秩父市や熊谷市など、埼玉県北や秩父地域の八市町の市長、町長が、この大雪による農業被害に対する支援を埼玉県に要望いたしました。

 この要望書を拝見しますと、県北部及び北西部は、県内有数の野菜生産地として、首都圏を中心に野菜を供給する重要な地域となっており、ビニールハウスでの施設野菜や花卉栽培、各種の露地野菜の栽培、また、畜産、果樹栽培が盛んに行われています。こうした中、今回の未曽有の大雪により、手間暇かけて育てた農作物が収穫できなくなったり、費用をかけて設置した農業施設の倒壊や除去等に農家の方は非常に苦慮しており、その無念さや絶望感は極めて大きなものとなっています。このことで、農家の方の生産意欲の低下、ひいては、担い手農家の減少、耕作放棄地の増大等、農村社会の衰退にもつながることが危惧されます。

 このように訴えておられます。これは、国への訴えでもあるわけであります。

 そこで、農水省にお尋ねいたします。

 これが、今紹介したのが、大雪被害の被災農家の置かれている実態であります。このような農家を励ます支援策が必要です。大雪による農業被災者への支援をどうするのか、この点についてお答えください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 この冬の大雪は、通常、降雪量の少ない地域を中心に、農業用ハウスの倒壊などにより、一昨年を上回る甚大な被害をもたらしております。特に、創意工夫で経営を発展させてきた担い手が各地で多大な被害を受けており、被災農業者が今後も意欲を持って農業を継続していけるように、万全の対策を講じていく考えでございます。

 このため、昨日、農林水産省内の対策本部、大臣が本部長でございます、ここで決定をいたしました。融資、農業共済での対応に加えて、以下の対策を実施することといたしました。五点ございます。

 一つは、災害関連資金を貸し付け当初五年間無利子とする。

 二つ目に、農業用ハウス、棚などの再建、修繕及び再建の前提となる倒壊したハウスなどの撤去に対する経費を助成する、被災農業者向け経営体育成支援事業と呼んでおります、これを発動いたします。

 三つ目に、災害を受けた産地に対し、強い農業づくり交付金、これに別枠を設け、果樹の共選場など共同利用施設の整備を優先的に支援いたします。

 四つ目に、被害果樹の植えかえ、それからこれに伴う果樹棚の設置に必要な資材導入、こういった経費、それから、植えかえによって生ずる未収益期間に要する経費の支援策を講じます。

 最後に五つ目、被災農業法人などの雇用の維持対策として、施設の復旧までの間、従業員をほかの農業法人などに研修目的で派遣する場合に必要な経費を支援いたします。

 今後とも、詳細な被害状況を把握し、現状のニーズを伺った上で追加対策を検討することとしており、被災農家の目線に立って、必要な対策を適切かつ迅速に講じてまいります。

塩川委員 一通り御説明をいただきましたけれども、これで支援策が十分だということじゃありません。

 秩父市内のトマト農家の方は、六十センチの雪までは耐えられるというハウスだったけれども、九十八センチの雪で潰れてしまった、全部で三千万円ぐらいの損害になる、このように訴えておられました。

 また、埼玉県一というイチゴ農家の方のお話を伺いました。父の代から始めて、五十二年で六千平米まで大きくした、人気のある「やよいひめ」のハウスが全壊をしてしまった、夜通しボイラーをたいて温めたのに、結果としてハウスの半分以上が壊れてしまったということを訴えておられました。もうイチゴをやめて、調理師の免許もあるのでラーメン屋を始めようかとか、あるいはコンビニでもつくろうかとか考えたけれども、やはり父の代から一生懸命やってきたこのイチゴでやっていきたい、こういうことを訴えておられて、ぜひハウスの復旧費の補助、ここのところにしっかりと手当てをお願いしたいということを強く訴えておられたわけであります。

 農水省にお尋ねしますが、先ほど紹介のありました、農業用ハウス、棚等の再建、修繕及び再建の前提となる倒壊したハウス等の撤去に要する経費を助成する被災農業者向け経営体育成支援事業、これは被災農家の営業再建の力になるんですか。その中身について説明してください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の被災農業者向け経営体育成支援事業は、被災した農業用ハウス、棚などの再建、修繕に要する経費について、補助率十分の三の助成をしてきたところであります。

 今回措置した内容では、従来の助成対象に加えて、倒壊したハウスなどの撤去に要する経費についても助成をすることとしております。

 また、都道府県や市町村が補助金を上乗せして本事業を実施するということも可能になっております。

塩川委員 これで新たに支援の対象としている資材の費用ですとか撤去の費用、これの補助率というのはどういうふうになっているんですか。

高橋政府参考人 新しいメニューであります倒壊したハウス等の撤去、これについても、補助率は再建の部分と同じく十分の三の助成でございますが、先ほど申し上げましたように、この撤去部分についても、都道府県や市町村が補助金を上乗せして実施することは、これもまた可能でございます。

塩川委員 資材についてはお答えいただけましたか。

高橋政府参考人 恐れ入ります。

 資材の経費につきましては、再建の費用の中で、資材を購入する分、あるいは外注する分、全て含んでおりますので、資材購入費に対しても、今申し上げた十分の三の助成が出ます。

塩川委員 農業用ハウスの復旧のために、例えば軽量鉄骨なんかのハウスですと、大体撤去に百万から二百万かかるとか、再建のためにやはり一千万円の上かかるとか、こういうことが言われております。そういった場合に、仮に再建に一千万かかるとした場合には、再建費用に対して三百万円の補助ということになります。残りをどうするかということなんですよね。

 そのときに、今のこの農水省の補助事業でいえば、その残り分について、例えば、融資を受ける、自己資金を充てる、さらに自治体からの補助というのもそこには充てられるということでよろしいですか。

高橋政府参考人 十分の三の補助の、それ以外の部分につきましては、一つには、御指摘のとおり融資。この融資につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、五年間無利子にする措置を講じますので、その無利子資金を充てることができます。それから、自己資金を充てるということ以外の場合には、また御指摘のように、都道府県、市町村が補助金の上乗せで農家負担を減らすということも可能でございます。

塩川委員 もともと借金をしてハウスを建てるということでいえば、さらにまた融資などを受ければ、ダブルローンということでの負担の大きさというのは当然あるわけであります。もともと自己資金が大きくない生産農家の方への支援ですから、ここに対する手当てというのをより一層強める必要がある。

 そういう点では、小鹿野町の秩父キュウリの生産農家の方のお話、急なお願いでしたけれども、たくさんの方が集まっていただいて、お話をお聞かせいただきました。

 小鹿野町は、品質の高さで人気の高い秩父キュウリで知られております。もともと養蚕業からの転換で栽培が始まった秩父キュウリというのは、土づくりやあるいは栽培方法を工夫して、半世紀かけてブランドとして立ち上げてきた。市場からも高く評価されていると聞いております。生産量が限られているために、地元でもなかなか流通しないような、大変貴重なキュウリとして承知をしております。

 聞くところによりますと、国会の議員会館の食堂にもかつてこの秩父キュウリの鉢物が置かれていたりですとか、四年前には自民党本部の前で秩父キュウリの試食PRも行ったということがあったそうであります。

 関口副大臣にお尋ねしますが、秩父キュウリは全国に誇れるブランドだと思うんですが、いかがですか。

関口副大臣 今、塩川議員の質問を聞いて、何か自分の分身で質問していただいているような気持ちになったわけであります、地元の一人として。

 ただ、我々にとってキュウリは本当に大きな産業の柱としての位置づけで、秩父も今取り組んでおりますし、きょうは山口筆頭がおりますけれども、吉見のキュウリも秩父に負けないぐらい有名なキュウリでありまして、そうした農産物が大分、これはもう埼玉県に限らず、大変な被害に陥っているということでございまして、何とか支援をしてまいりたいと思います。

塩川委員 埼玉県はキュウリの生産が全国二位ですので、そういう点でも大いに産地として健闘しておられるわけです。

 そういう点でいいますと、小鹿野町なども、やはり高齢化の中です、しかしそういう中で、地域の産業の担い手として、新規の就農者の応援をしてきているわけですね。就農者の高齢化の中に、若い担い手づくりということでも頑張ってきた。

 そういう中では、この町の支援事業で新規就農して二年目という四十代の若手の方からお話を伺いました。一年目のキュウリの作付で手応えを感じていたんだけれども、そのやさきに二百七十坪のハウスなどが全壊してしまった、ほかの仕事も考えなければいけないかなと思っていた、手応えがあっただけに悔しいと訴えておられました。集まった方々は皆さん口々に、秩父キュウリの名前を守れるかが心配なんだ、農家が意欲を失わないうちに応援してほしい、こういうふうに訴えておられたわけです。

 そういう点でも、従来にない被害の規模なんですよ。雪が降ったことがないというのがこの秩父を初めとした関東の各地域の現状で、大規模な災害が起こっているんですから、従来やってきたような支援の規模を超えた支援策を行う必要がある、十分の三を上回るような国としての助成策をしっかりと今からでも具体化すべきじゃありませんか。農水省、いかがですか。

高橋政府参考人 御指摘の事業につきまして、先ほど来答弁させていただいておりますように、これまで実施されてきたこの事業の補助率と同様に十分の三としておりますが、御指摘のように、今回のハウスの被害はかなり大きい、それから、まさに創意工夫で経営を発展させてきた担い手が極めて大きな損害を受けているということで認識しておりますので、この補助率で復旧に要する事業費の大きい担い手の経営再建に十分でないということも考えられますので、この補助率の点については、ただ、先ほど来申し上げている、地方自治体の方に上乗せをしていただくことをやりやすくするというやり方もあろうかと思いますが、それも含めて、より農家負担を減らす方策についてさらに検討したいと考えております。

塩川委員 まず、国としての補助率を引き上げることが、自治体も大いに上乗せをするということにつながるわけですから、こういう点で、ぜひ踏み込んだ対応をお願いしたい。

 先ほどの答弁にもありましたように、自治体による補助のかさ上げというのも可能だと。現に、例えば日光市などでも、この十分の三の補助に対して二割のかさ上げの措置ということなんかを行って、現にもう市町村の方で動き始めているわけです。こういった取り組みというのを大いに応援する必要があるわけで、こういった被災農家への自治体による独自の支援策について、しっかりとした地方財政措置ということを行う必要があるんじゃないのか、こういうふうに思うんです。

新藤国務大臣 自治体が独自におやりになる、そういう自主財源でおやりになっていること、またさまざまな工夫があると思います。いずれにしても、我々とすれば、今回の経験したことのない大きな雪が降った地域、そして想定していない事態であったがゆえに多大な被害が出ている、こういうことであります。これは、総理が先頭になって、今回の問題には前向きに取り組もうではないか、この政権としてもそういう方針を打ち出しております。

 ですから、まずは一義的に、各それぞれの役割分担がありますから、各省での支援措置を考えていただき、また自治体で、今御提案のあったようなことにつきましても、我々も、事情をよく聞きながら、財政運営に支障の出ないように、さまざまな工夫はしなくてはならない、このように考えております。

塩川委員 今回のハウスなどの支援策というのは、単に個々の農家の支援にとどまらないわけです。まさにその農家の方々が、地域の産業の担い手であり、ブランドもつくり、地域づくりを担っているわけですから、まさに地域づくりそのものであるわけで、こういう点でも、総務省も挙げてしっかりとした支援をするということを強く求めたいと思っておりますし、当然、いろいろな財政措置の中には、過疎債の活用などもあるわけです。ソフト事業などでこういった独自の被災者の支援策を行うということは当然可能だと思いますし、こういうことについて大いに促していくということについても、ぜひ総務大臣の方からも訴えていただきたいと思うんですが、改めて。

新藤国務大臣 今の過疎債、過疎対策事業債について、これはソフト事業の活用ということで、地域医療、生活交通の確保、そして集落維持、活性化、住民の安心、安全な暮らし、いろいろな要素があります。ですから、制度として、過疎対策事業債はソフト分の対象となり得るわけであります。

 ですから、よく自治体がそれぞれ工夫をいただいて、そして、もしやるとするならば、やはり過疎地域自立促進市町村計画、こういったものは位置づけなければなりません。こういうさまざまルールもありますから、それらも研究していただいて、そして適切な判断をいただく。その上で我々は、それに対して対応をきちんと考えていきたい、こういうふうに考えているわけであります。

塩川委員 そういったスキームについて、しっかりしたアドバイスを国として行う、ある意味では、自治体も頑張るけれども国も頑張るんだ、こういった地域づくりを支えるんだ、こういうメッセージをしっかり送っていただきたい。この被災農業者支援については、引き続き取り上げていきたいと思っております。

 次に、今回の大雪の被害で、カーポートが潰れるですとか自転車置き場が潰れるですとか、もちろん農業用ハウスの被害なども相次ぐ。そういう形で、大雪による災害廃棄物が発生をしております。

 こういった、例えばカーポートの廃材については、埼玉の県北の本庄や深谷、熊谷などは、それぞれ各処分場において無料での受け入れを実施しているそうです。熊谷市の担当者は、どれだけの量の廃材が持ち込まれるのか見当がつかない状況だ、戦々恐々としている、こういう報道もお聞きしました。自治体の負担が当然そこに発生をしてくるわけであります。

 そこで、環境省にお尋ねいたします。環境省のメニューとして、災害廃棄物処理事業費補助金というのがあります。これは今回の大雪被害には活用できるんでしょうか。カーポートや倉庫ですとか民間の事業所などについても、雪で壊れたような場合は災害廃棄物の対象となるのか、この点についてお答えください。

弥元政府参考人 環境省では、災害により住宅等から発生いたしました廃棄物につきまして、市町村が行う収集、運搬、処理、これに対しまして、災害等廃棄物処理事業費補助金により財政的な支援を行っております。これによりまして処理が円滑に進むよう支援を行っているところでございます。

 中小の民間企業者につきましても、中小の民間企業者や個人商店から排出されます災害廃棄物につきましては、住宅等から排出された災害廃棄物と一体となって集積されている場合もございますので、市町村が処理を行った場合には補助の対象となります。

 今回の大雪によりまして住宅等から発生した災害廃棄物の処理につきましては、この補助金の補助対象となり得ます。

塩川委員 そうしますと、熊谷ですとか秩父とか前橋とか、こういうところも今回の大雪で対象になるということでよろしいですか。

弥元政府参考人 大雪によって被害を受けたところについては、補助の対象になり得ます。

塩川委員 確認ですけれども、環境省からいただいたこの災害廃棄物処理事業費補助金の概要ペーパーですと、要件として、積雪の場合に、一メートル以上というのが要件だと書いてあるんですけれども、これはどうなっているんですか。

弥元政府参考人 補助の要件といたしまして、積雪につきましては、積雪の深さが過去十年間の最大の積雪の深さの平均値を超え、かつ一メートル以上という要件が一応かかっております。

塩川委員 そうしますと、秩父の雪は九十八センチなんですよ。一メートルに届いていないんですけれども、それでも、今の要件との関係ではどうなるんですか。

弥元政府参考人 お答えいたします。

 秩父の雪が、九十八センチという測定点のみならず、ほかでも測定をしておりますので、その地域、被害の大きかった地域の積雪量が幾らかというのを見まして判断してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 では、ちょっと確認ですけれども、公的な観測点、つまり気象台や測候所などがあるような観測点、熊谷とかあるいは前橋とか秩父に観測点があるわけですけれども、その積雪量が、秩父の場合では九十八センチですし、前橋市は七十三センチ、熊谷は六十二センチですけれども、これらのところも、例えば熊谷が六十二センチとかであっても、それは対象にするということですか。

弥元政府参考人 お答えいたします。

 その一メートルという要件を固定的に、しゃくし定規に運用するのではなくて、柔軟に対応できるように検討してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 ですから、この一メートルという要件そのものが機械的なんですよ。もともとは、これは公共の復旧に係るような法律に基づく規定なんですよね。

 ちょっと国交省にその点、この一メートルの根拠の部分だけ簡単に説明していただきたいんですが。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 異常積雪による災害復旧事業として、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法による国庫補助の対象になるのは、主にガードレールなどの道路附属物ということになっております。

 道路のガードレールなどの防護柵の設置基準では、一メートルの積雪がある場合は、雪の荷重により被災することを想定して補強をする、一メートル以下の場合は補強しないというようなことになっておりまして、この基準にも示されるように、一メートル以上の積雪においては、そのような施設が被災されることが想定されるということで、異常積雪による災害復旧事業では、一メートル以上の積雪などを採択要件にしておるところでございます。

塩川委員 ですから、環境省が援用しているこの一メートルというのは、公共施設の耐雪の基準でしかないんですよ。つまり、一メートルの雪で耐えられるように構造物をきちっと強化しましょうねという基準でしかないんです。それを、災害廃棄物を処理する事業の要件にすること自身がおかしいんですよ。こういう機械的な適用こそやめると。

 柔軟にと言いましたけれども、この一メートルそのものにまともな根拠がないんだから、取り払って、しっかりとした対応を行う、そういう改正、検討こそ行うべきじゃありませんか。

弥元政府参考人 柔軟に対応できるように検討してまいりたいというふうに思います。

塩川委員 こういう公共の災害復旧事業の基準を機械的に当てはめるということで、実態を反映しないわけですから、柔軟にというと、それこそお手盛りでどうするのかという話になるわけで、基本的には、災害の状況にふさわしく、迅速に適用できるような基準であるべきだ。自治体がこれでちゅうちょするようなことになりかねないわけですよ、一メートルというのは。

 大体、秩父だって、過去の十年間の最大の積雪量を平均しても十二センチですよ。それが今回は九十八センチなんですから、いかに異常かと。そういうのが、この機械的な基準だったら対象外になりかねないわけで、私は、ここはきちっと、ふさわしく見直す、柔軟にというだけではなくて、要件そのものをしっかりと実態に合わせて見直すということを強く求めておくものであります。

 ぜひ、総務大臣の方からも一言、環境省の方に言ってもらいたいんですが。

新藤国務大臣 これは、政府として今回の災害対策に万全を期そうではないか、こういうことで既に閣僚間での合意がなされております。

 ですから、運用に当たって柔軟に、しかしそれは、やはりルールをつくっていかなくてはいけませんから、過去の災害、いろいろなことがこれまでもありました。そういったものも踏まえながら、今度のことについてもしっかりと対応してまいりたい、このように考えます。

塩川委員 機械的な要件そのものを改めるべきだということを申し上げます。

 自治体側の独自の支援策という点でいいますと、今、農業用ハウスの支援策の話なんかもしました。

 群馬県の太田市は、被災した市民の住宅や車庫など附帯施設についても、復旧、撤去する場合に上限十五万円の補助金を交付するという取り組みなども行っています。同様のものが、群馬県内では高崎市や前橋市や伊勢崎市、館林市でも行われているとお聞きしております。大体十万から二十万円の上限の補助という制度です。

 さらに、高崎市でお聞きしてなるほどと思ったのが、事業所に対しての支援があるんですよね。大雪被害事業用施設復旧支援金というのがあって、上限が百万円なんですよ。もちろん、一千万の規模とかでの被害も出ているわけですけれども、でも、再建しようということについては市の方も応援してくれるということで、大変歓迎をされておられる。ただ、予算枠が限りがあるから早い者勝ちと言われても困るということを、事業者の方、金属加工の経営者の方の話なども伺いました。こういうことへの復旧支援策の拡充というのは重要だと思っています。

 そういう点でも、これら独自の支援策について行う自治体をしっかりとサポートする、地方財政措置の面でも応援するということについても、総務省としてもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思うんですが、その点についても、新藤大臣、いかがですか。

新藤国務大臣 先ほども申しましたけれども、既存の制度でまず対応できるもの、これを処理しながら、その上で、自治体のそれぞれの個別の事情があると思いますから、そういったものはよくお聞きをして、地方財政の運営に支障が出ないような、そういったことも配慮しつつ、適切に対応していきたい、このように考えます。

塩川委員 引き続き、この大雪被害の問題については取り上げてまいります。

 次に、NHKの問題について、経営委員長にお尋ねをいたします。

 会長指名に当たっての経営委員会の役割との関係で、その討議の状況というのが視聴者の代表である経営委員会から視聴者に十分伝わらないというのが、会議の議事録の公開の問題としてあらわれております。

 一月二十八日に、会長の就任記者会見での発言について経営委員会で議論が行われております。そこでは、議事録を拝見する限り、意見交換とはあるわけですけれども、誰が発言したかということについては記名がない。無記名で、項目そのものは箇条書きになっているわけであります。

 ですから、どういう議論をしたかということが視聴者の方にはよくわからない。経営委員会が視聴者の代表として真摯な議論をしているのか、こういうことがそもそもわからないという状況になっているわけであります。

 浜田経営委員長にお尋ねいたしますが、こういった意見交換について、無記名で箇条書きということでは、経営委員会が真摯な議論をしたということを視聴者に示すことができないんじゃないでしょうか。この点について、お考えをお聞かせください。

浜田参考人 お答えいたします。

 放送法第四十一条では、「委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない。」と定めております。

 議事録は、原則として、発言者及びその発言内容を記載いたしますが、個人情報や人事にかかわる機密情報、公表することによりその審議等が円滑に行われることを阻害するおそれのあるものなどについて、非公表とさせていただく場合がございます。

塩川委員 非公表の基準要件を定めているんだという話です。それは必要な内容もあると思います。ただ、今回の会長人事というのがまさに焦点となっているわけですね。それは、そもそも、次期会長の資格要件に照らして今の会長がふさわしいのかどうかということが問われているわけで、審議の内容そのものが明らかにならない以上は、経営委員会の責任を果たしているのかという問題になるわけです。

 ですから、個人情報について一定の配慮をするというのも当然のことでありますけれども、人事であるからそもそも非公表の対象とするということそのものは改める必要があるんじゃないですか。

浜田参考人 一月二十八日の意見交換に当たりましては、まず、委員及び会長の忌憚のない発言を促すべきだと考えました。詳細に公表されることにより発言が抑制されることのないようあらかじめ概要を公表することを申し合わせて議事をとり行いましたため、そのようにさせていただいております。

塩川委員 その、発言が抑制されることがないようにということで非公表というところがよくわからないんですが、個人的な中傷に当たるような文言を言っているのであれば、当然そのこと自身は、まさに発言をする経営委員の姿勢そのものが問われるわけで、そこは、当然のことながら、皆さん、節度を持って発言をされておられるわけですね。

 それは、何よりも、次期会長の資格要件に照らして会長の記者会見の発言が妥当だったかどうだったか、あるいはその後の対応がどうだったのか、こういうことが行われるわけで、こういう問題について明らかにしないというのは不思議でならないんですけれども、もう一回、いかがですか。

浜田参考人 議事録につきましては、放送法第四十一条に、経営委員会の定めるところにより公表しなければならないと定められております。これに基づき、議事録の内容については、円滑な議事運営の確保、経営委員会自身のガバナンスの重要性の観点から、経営委員会が自律的にその都度判断させていただいております。

塩川委員 ですから、自律的にという、その際の要件の問題になるわけで、そもそも、今回の事件、一連の発言について厳しい批判の声が国民から上がっているわけですから、こういうことについて真摯な議論が経営委員会で行われているかということが、大いに関心が集まっているわけです。

 そういう点でも、意見交換というのも、これは経営委員会の会議の一部なんですよね。何か別個に内密にやっているような、そういう場ではない。経営委員相互の意見交換の場であれ、それは経営委員会そのものなんですよね。

浜田参考人 先ほど申し上げましたように、あらかじめ、経営委員会の中でも、人事案件等につきましてはそういう区分けをしておりますので、本件につきましては、委員と会長の間の自由な意見交換ができるという、最初に、非公表という前提で、概要を発表するという前提で自由な意見交換をやっていただきましたので、そういう取り扱いにさせていただいております。

塩川委員 その、最初に非公表ということ自身も納得がいきませんけれども、例えば今後の話ということについて、人事案件であれ、個人情報に係るものはさておき、会長の資格要件についての議論については、しっかりと開示する必要があるんじゃないですか。そういった対応を経営委員会としては考えないのか。この点を改めてお聞きしますが、いかがですか。

浜田参考人 経営委員会の議事録につきましては、平成十二年からインターネットで公表し、さらに、平成十六年から公表時期の早期化、議事録の詳細化、平成十八年から発言者名の記載と一層の議事録の詳細化を行い、また、平成二十年の改正放送法の施行により経営委員会議事録の作成、公表が法定化されたことにあわせて、会議資料を公表し、経営委員会の透明性の向上を図っております。

 いずれにしましても、議事録の開示につきましては、円滑な議事運営の確保や、経営委員会自身のガバナンスの重要性の観点から検討する必要があると考えております。

塩川委員 透明性の向上を図ってこられた、そこのところはわかります。

 その上で、ですから、次期会長の資格要件に照らして会長の言動というのがいかなるものだったのかというのは、まさに根幹にかかわる問題だから、こういった経営委員会での議論について明らかにしないということは、視聴者の不信を広げることになりはしませんか。この点についてはいかがですか。

浜田参考人 経営委員会としては、NHKの会長任命という職責の重さを深く受けとめ、昨年七月に指名部会を設置し、半年間にわたり審議を行ってまいりました。その中において資格要件の議論はございました。

 今回の会長任命は、経営委員会が十分な時間をかけて、業績評価、業務の現況の確認や資格要件の検討を行い、内規に従って自律的に粛々と行ってまいりました。

塩川委員 これでは、経営委員会の議論について不透明だという疑念が生じる。

 例えば、過去、例として、二〇〇一年から二〇〇七年まで二期六年間経営委員を務めた小林緑さんがいらっしゃいます。二〇〇三年の会長選考のときに、その対象となったのが、当時三期目を目指す海老沢勝二氏でありました。そのときに小林氏は、不祥事をうやむやにして長期独裁を狙う海老沢さんには反対、おかしいと経営委員長に言いました。しかし、こうした意見は公表されず、全会一致で承認にされたということを報道でも訴えておられます。

 こういった事実関係については御承知なんでしょうか。こういうことについてしっかりとした総括なしには、経営委員会の信頼が得られないんじゃないですか。

高木委員長 申し合わせの時間になっておりますので、簡略にお願いします。

浜田参考人 記録を見て、承知しております。

塩川委員 こういう問題について、しっかりと検証も行い、議事録を開示して事実関係を明らかにすべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成二十六年度地方財政計画について説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 平成二十六年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、国の取り組みと歩調を合わせて歳出抑制を図る一方、社会保障の充実分等を含め、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行うとともに、防災・減災事業や地域の元気創造等の緊急課題に対応するために必要な経費を計上しております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等の全額を措置する震災復興特別交付税を確保するとともに、全国防災事業について、所要の補助事業費等を計上しております。

 以上の方針のもとに、平成二十六年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ一兆四千四百五十三億円増の八十三兆三千六百七億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ三千七百三十億円減の一兆九千六百十七億円、全国防災事業が、前年度に比べ四百九十億円増の二千五百二十一億円となっております。

 以上が、平成二十六年度地方財政計画の概要であります。

高木委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現下の経済情勢等を踏まえ、デフレ脱却と経済再生、税制抜本改革の着実な実施、震災からの復興支援などの観点から、地方税に関し、所要の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、地方法人課税の改正であります。地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率の引き下げを行うとともに、地方法人特別税の税率の引き下げ及びこれに伴う法人事業税の税率の引き上げを行うこととしております。

 その二は、車体課税の改正であります。自動車取得税の税率の引き下げ及び環境への負荷の少ない自動車を対象とした税率の軽減等の特例措置の拡充、自動車の環境に及ぼす影響に応じた自動車税の税率の特例措置の拡充並びに軽自動車税の税率の引き上げ等を行うこととしております。

 その三は、固定資産税及び都市計画税の改正であります。東日本大震災に係る津波により被害を受けた土地及び家屋について、平成二十六年度分の固定資産税及び都市計画税の課税免除等の措置を講ずることとしております。また、耐震改修が行われた既存建築物に係る固定資産税の減額措置を創設することとしております。

 そのほか、国際課税原則の総合主義から帰属主義への見直し、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用等を改正することにあわせて、東日本大震災の復旧復興のための財源として震災復興特別交付税を確保するほか、地域間の税源の偏在性の是正等のため、地方法人税を地方交付税の対象税目に加える等の必要があります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成二十六年度分の通常収支に係る地方交付税の総額につきましては、地方交付税の法定率分に、地方の税収の状況を踏まえて行う等の加算額、法定加算額等及び臨時財政対策のための特例加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払い額等を控除した額十六兆八千八百五十五億円とすることとしております。

 また、平成二十七年度から平成四十一年度までの間における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例を改正することとしております。

 さらに、地域経済活性化に要する経費の財源を措置するため、当分の間の措置として地域の元気創造事業費を設けるほか、平成二十六年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正することとしております。

 あわせて、平成二十六年度分の東日本大震災に係る震災復興特別交付税の総額につきましては、平成二十六年度において新たに五千七百二十三億円を確保することとしております。

 次に、地方交付税の総額に係る制度改正としまして、地域間の税源の偏在性の是正等のため、地方法人税を地方交付税の対象税目に加えることとしております。

 また、地方法人税の収入については、交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入とし、同特別会計に直接繰り入れることとしております。

 次に、平成二十六年度から平成二十八年度までの間に限り、地方財政法第五条の規定により起こす地方債のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため、地方債を起こすことができることとする旨の特例を設けることとしております。

 また、平成二十一年度から平成二十五年度までの間、公営企業、第三セクター等の抜本的な改革に伴って必要となる一定の経費の財源に充てるために発行できることとされている地方債について、抜本的改革に着手している地方公共団体を対象に、平成二十八年度まで発行を可能とすることとしております。

 さらに、当分の間の措置として、地方公共団体における公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する計画に基づいて行われる公共施設等の除却に要する経費の財源に充てるため、地方債を発行できることとしております。

 そのほか、地方交付税総額における特別交付税の割合について、平成二十七年度までは六%、平成二十八年度においては五%とする等、現行の経過措置を延長することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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