衆議院

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第5号 平成26年2月27日(木曜日)

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平成二十六年二月二十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      あべ 俊子君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大西 英男君

      門山 宏哲君    川崎 二郎君

      川田  隆君    木内  均君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      清水 誠一君    新谷 正義君

      末吉 光徳君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    田畑 裕明君

      中谷  元君    中村 裕之君

      長坂 康正君    福井  照君

      松本 文明君    武藤 貴也君

      山口 俊一君    湯川 一行君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    福田 昭夫君

      上西小百合君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      中野 洋昌君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        関口 昌一君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   財務大臣政務官      山本 博司君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長代理)      富屋誠一郎君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長)         川淵 幹児君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  若生 俊彦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  米田耕一郎君

   政府参考人

   (消防庁次長)      市橋 保彦君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    小島 吉晴君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岡田 憲和君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  本郷 浩二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     大野 宏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 谷脇  暁君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 石田 研一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  上杉 光弘君     あべ 俊子君

  大西 英男君     田畑 裕明君

  小林 史明君     川田  隆君

  田所 嘉徳君     末吉 光徳君

  中村 裕之君     武藤 貴也君

  山口 俊一君     工藤 彰三君

  濱村  進君     中野 洋昌君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     上杉 光弘君

  川田  隆君     小林 史明君

  工藤 彰三君     山口 俊一君

  末吉 光徳君     新谷 正義君

  田畑 裕明君     大西 英男君

  武藤 貴也君     中村 裕之君

  中野 洋昌君     濱村  進君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     田所 嘉徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会会長籾井勝人君、専務理事吉国浩二君、専務理事石田研一君、理事福井敬君及び理事森永公紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長代理富屋誠一郎君、行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長川淵幹児君、人事院事務総局職員福祉局長井上利君、内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君、警察庁警備局長高橋清孝君、総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、人事・恩給局長笹島誉行君、行政管理局長若生俊彦君、自治行政局公務員部長三輪和夫君、自治行政局選挙部長安田充君、自治財政局長佐藤文俊君、自治税務局長米田耕一郎君、消防庁次長市橋保彦君、公安調査庁次長小島吉晴君、厚生労働省医政局長原徳壽君、政策統括官唐澤剛君、農林水産省大臣官房審議官岡田憲和君、林野庁森林整備部長本郷浩二君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、国土交通省大臣官房技術審議官森昌文君、大臣官房審議官栗田卓也君、水管理・国土保全局砂防部長大野宏之君、道路局次長谷脇暁君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

原口委員 おはようございます。

 本日は、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、まず大臣とお話をさせていただきたいと思います。

 その前に、ともに、国家主権と国益を守るために行動する議員連盟を立ち上げさせていただいて、そして、一部は尖閣の国有化等につながり、航海法の改革につながりました。お礼を申し上げたいと思います。

 ただ、まだ、土地の先買いでありますとかあるいは離島振興であるとか課題も残っていますので、これは党派を超えてやらせていただきたい、このことをまず申し上げたいと思います。

 さて、税について、きょうは基本的な認識と立場を議論したいと思います。

 私たちの政権のときは、総務大臣が政府税調の会長代理でした。つまり、それまでは、財務大臣が税調会長、そしてその下に副会長として総務大臣がいるという形だったんですね。しかし、地方に対しても、中央がお金を集めてそれを地方が使うという構図ではなくて、みずからがみずからの税についても責任を持ってもらいたい、そして、財務省だけではなくて総務省、税を集めているところはこの二つですから、地方を所管する省庁がイコールの発言権を持つというのが私たちの政権でございました。

 ぜひ、新藤大臣におかれましても、地方分権改革の担当大臣でもあられて、国の上に地方を置けとか、そんなことを言っているんじゃありません。やはり地方の自治体の皆さんにもみずから責任と自立を促す意味でも、こういう税全体の税調の仕組みというのは大事だと思うんですが、まず大臣に御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 私は、国と地方を対立概念で語ってはならない、こういう信念のもとで大臣の職を、仕事をさせていただいております。

 したがって、国税と地方税、どちらが上位にあるか、優先するか、そういうことではなくて、いずれも国家機能の一部としてこれは連携させなければいけない、こういう趣旨でやらせていただきたいと思っておりますし、地方の立場というものをしっかりと国政において、国の中で発言していく、それが私の役割だと思っております。

原口委員 ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。

 今は大臣は政府税調のどういう役割なのか、お尋ねをしたいと思いますけれども、今大臣がおっしゃったように、国、地方は対立概念ではない。むしろ、国、地方が協力することによっていろいろなことが起きています。

 例えば、大臣の御地元の埼玉県、山口筆頭も御地元ですけれども、埼玉県と佐賀で、今、ハローワークの機能移管の実験をやっていますね。私の選挙区である鳥栖市においては、この間、ハローワークの職員さんが市役所に来てジョブナビというものをやってくれています。そうすると何が起きているかというと、生活保護申請に市役所に来る人たちがジョブナビにも寄って、本来であれば生活保護を受けるその書類を受け取って整えるだけだったこれまでと違って、職業案内に行っています。そのことによって、生活保護申請が鳥栖市では一五%減りました。額にして一億円です。

 これは、今大臣がおっしゃったように、国、地方が協力し合って成果を出している。国全体でいうと生活保護申請が物すごく上がっていますから、その中で一五%も下がるというのは、これは私たちの思いも今の政権に引き継いでいただいた成果だというふうに思います。

 さて、そこで幾つか伺いますが、今回の税制において、三党合意においては、自動車取得税及び自動車重量税については、税制抜本改革法の規定に配慮しつつ、国及び地方を通じた関連税制のあり方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減及びグリーン化の観点から見直しを行うに沿って抜本的見直しを行い、今お手元の一の資料にあるとおりの合意をしているわけです。消費税八%への引き上げ時までに結論を得るとされている。これでよろしいでしょうか。

新藤国務大臣 御指摘いただきましたとおり、三党合意においては、自動車取得税等について、税制抜本改革法第七条の規定に沿って抜本的見直しを行うとし、消費税率八%への引き上げ時までに結論を得る、このようにされているところでございます。

原口委員 今も民自公の、私も税調の役員をしていますけれども、三党で協議をしています。まだやはり積み残した課題があるんですね。

 そこで、きょうは、財務省葉梨政務官にも来ていただいていますね。

 今回の車体課税の見直しについては三党合意に沿ったものになっている、そういう御認識でよろしいでしょうか。

葉梨大臣政務官 お答えいたします。

 昨日、財務金融委員会で、民主党の方から修正案提案理由の説明がございました。それもよく承知をしておるところではございますけれども、この三党合意、今も大臣からお話ありましたけれども、税制抜本改革法第七条の規定に沿って抜本的見直しを行う、消費税率八%への引き上げ時までに結論を得るという内容でございますが、その内容を踏まえまして、今回、エコカー減税を拡充する一方で、その財源の確保及び一層のグリーン化等の観点から、経年車に対する課税の見直しを行うということで、私どもとしては、この三党合意を踏まえた内容になっているというふうに認識をしております。

原口委員 そこで、総務大臣に伺いますが、今回の車体課税の見直しで、自動車取得税についてはどのような見直しを行われたのか、お尋ねいたします。

新藤国務大臣 今回の車体課税の見直しにおきましては、消費税率引き上げの前後における駆け込み需要、それから反動減の緩和も視野に入れまして、自動車取得税について、消費税率一〇%段階で廃止することとした上で、八%段階では税率を引き下げることとし、自家用自動車は五%から三%に、そして営業用の自動車及び軽自動車は三%から二%にそれぞれ引き下げるところにいたしました。

 また、エコカー減税については、現行、税率を七五%軽減する自動車に係る軽減割合を八〇%に、そして税率を五〇%軽減する自動車に係る軽減割合を六〇%に拡充することにしたわけでございます。

原口委員 先ほど、葉梨政務官から修正案のお話がありましたが、私たちも、この地方税のところも修正案を提案して、それは何かというと、今大臣がおっしゃったところではなくて、後段お伺いをする軽自動車ですね。軽自動車については、今回、増税になっているわけです。

 例えば、税抜き車両価格、軽自動車百万円の場合、免税対象車であると、二〇一四年四月、この法案が通れば、五万七千二百円が八万七千二百円になる。それから、非対象車は、九万四千百円が二〇一四年四月からは十一万五千百円になる、こういう形になっているわけです。

 やはり、軽自動車というのは地方の足でもあります。かつてのように、自動車はぜいたくなものであって、そこに一定の課税をしなきゃいけないという時代とはもう大きく違うわけでありまして、そこが、私たちの合意の中身とそれから今回の政策の中で私たちがどうかと思う点であるということを申し上げておきたいと思います。

 税は、言うまでもなく、グッド減税、バッド課税ですね。ですから、エコカー減税というのも皆さんと一緒に議論をさせていただきました。ただ、今回、軽自動車の税抜き、今申し上げたような形でいうと、非対象車は約二万円上がるのに対して、免税対象車が三万円上がるというような形にもなっています。そこで、私たちは、この部分を抜いて、原付についても抜いた、そういう修正案を提案しようと考えているわけでございます。

 総務大臣、軽自動車税の見直しについて、どのような考え方で見直しを盛り込まれたのか、お伺いをいたします。

新藤国務大臣 これは、税制抜本改革法の第七条において、自動車取得税の見直しに伴う代替財源の確保を関連税制の見直しから行うこと、こういったこと等を踏まえまして、自動車取得税廃止やその代替財源が、平成二十六年度の税制改正、今回、大きな課題になったわけであります。

 そして、総務省においては、まず地方財政審議会で検討会を設けました。車体課税全体についての幅広い御検討をお願いしたわけであります。そして、その結果の報告書をいただきましたが、代替財源は、まず車体課税の負担の不均衡の是正による税収確保を検討すべき、そして、その観点から、自動車税の営自格差の是正等とあわせて軽自動車税の見直しを検討すべき、こういう報告をいただいております。

 そして、軽自動車税は、大型化、高性能化が図られているにもかかわらず、小型自動車と四倍以上の税率格差がある、二輪車、特に原動機付自転車について徴税コストの関係からも負担水準の適正化を図るべき、そして、グリーン化の観点からも、軽自動車税においても経過年数による重課を検討すべき、こういう問題提起をいただきました。

 これを受けまして、与党の税調において議論がございました。その結果、地方団体からの御要請もいただいております、市長会ですとか議長会、こういったものも踏まえまして、軽四輪車については、小型自動車との負担の均衡を図る点等から、新税率の適用を平成二十七年四月以降に取得される新車からとするなどの負担に配慮した措置を講じた上で税率の引き上げを決定。二輪車については、徴税コストとの関係から、かねてより市町村から引き上げの要望が特に強かった原動機付自転車を含め、税率の引き上げが決定をした。そして、軽自動車税のグリーン化を図る観点から、排ガス性能や燃費が相対的に低い経年車に対しての重課をすることとして、軽課についても今後検討を行う。このような方針を定めたわけであります。

原口委員 それは承知していますが、私たちは、一方で三党合意といったものを結んで、よく安倍首相が、自民党政権に戻ってからプライマリーバランスも改善したとおっしゃいますが、決算ベースで見ると、私たちの政権の前の麻生政権の数字も、私たちの政権に補正も入れられて、それから今回の増税分はみずからの政権に入れられる。

 悪いのは民主党、いいのは自公、もうそういう議論はやめましょうね。何の意味もないし、財政を健全化しなきゃいけない、今の異次元緩和で財政規律が余計厳しく求められるというのはもうこれは待ったなしの課題なので、何党がこうだった、かに党がこうだったという議論は私たちはもうやめたいと思います。

 もちろん、私たちの時代に反省しなきゃいけないことがたくさんあることも事実です。それをもとに今再生を目指しているわけですが、しかし、今の説明だけではやはり、ああ、そうですねというふうにはいきません。

 もう一つ、三党合意による修正を経て成立した税制抜本改革法においては、今お手元のものですけれども、「森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源確保について検討する。」とされていますが、どのような検討を行い、どのような対応を行ったのか、また、地方からどのような意見があったのか、教えてください。

新藤国務大臣 私も、今、原口委員がおっしゃったように、日本国政府が責任を持って国の運営を行っているわけであります。したがって、どの党が政権を担ったか、これによって、この対比において行うものではなくて、いずれにしても、それは国民の民意の反映で政権ができたわけでありますから、その時々の成果を受け入れ、そしてまた反省を踏まえて、さらによりよい国政運営ができるようにしていかなければいけないということであります。

 もとより、よいものは受け継ぎ、そして改善すべきものは改善する。そして、国全体として、しばらくの間、厳しい時代が続きました。ですから、そういったものを整理しながら、課題を解決して、そして新しいステージに上げていこう、これが私たち安倍政権の目的でありますので、ぜひ、いろいろな観点から御協力いただければありがたい、ともに、またいろいろ議論していきたい、このように思うわけであります。

 そして、ただいまの御質問の、森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源確保についての検討でございますけれども、これは、まずは地方公共団体、これが森林吸収源対策を中心に地球温暖化対策に大きな役割を果たしている、そして、その役割に応じた税財源を確保する仕組みを求めている、こういうことがあります。

 その上で、総務省といたしましては、こうした地方の意見を踏まえて、地財審において検討いただきまして、「石油石炭税の上乗せ分について、地球温暖化対策に果たす役割に応じた一定割合を地方に譲与するなど、地方の財源を確保・充実する仕組みをつくるべきである。」こういう御意見を頂戴いたしました。

 これらの意見を踏まえまして、与党の税調において議論が行われ、石油石炭税の上乗せ税率分の譲与については事業者の理解が得られず適当ではない、こういう意見もございました。それから、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する新たな措置が必要との意見もありました。さまざまな意見が出たわけであります。

 これらを受けて、今般の与党税制改正大綱においては、「森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について、財政面での対応、」これは予算でありますね、それから、「森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みについて専門の検討チームを設置し早急に総合的な検討を行う。」という方針が出されました。

 総務省としては、与党におけるこうした御議論を踏まえながら、私たちとしても適切な対応をしてまいりたい、このように考えております。

原口委員 そこで、これは数字ですから、事務方で結構です。平成二十六年度の地方税収の見込みはどうなっているのか。あわせて、政務官で申しわけありませんけれども、国税の税収見込み、この二つについてお答えください。

米田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度の地方財政計画におきまして、地方税収は三十五兆八百六億円ということで、対前年度比一兆五百八億円の増という見込みになっております。なお、これに地方法人特別譲与税が二兆一千八百二十九億円ございまして、これを含めますと、総体で三十七兆二千六百三十五億円というふうになっているところでございます。

葉梨大臣政務官 お答えいたします。

 二十六年度の税収見込みでございますけれども、二十五年度の補正後の税収、それと政府の経済見通し、さらには消費税の増税分ということで、総額で五十兆十億円でございます。所得税収が十四・八兆、法人税収が十兆、それから消費税収については、プラス四・七兆の十五・三兆円を見込んでおります。

原口委員 やはり財政の健全化、そして、さらなる行財政改革というのは待ったなしだと思います。

 私どものときに、一・一兆円、地方交付税をふやさせていただきました。しかし、それは威張って言える話ではなくて、三位一体改革で疲弊をした地方に一回息をついていただいて、改革の体力を持ってもらおう、しかし、それが終わったら、大胆にまた行財政改革を同時に進めていくんだというのが私たちの基本的な考え方でした。

 ですから、国、地方、協議の場を通して、あるいは国の出先機関も大胆に変えて、もちろん、この間、私は東北整備局に行ってきました。くしの歯作戦のように、緊急事態のときに、ああいう大震災のときに出先機関が果たす役割というのは非常に大きいです。そういったものを緊急事態庁という中で統合をし、しかし一方で、二重行政になっているものは大胆に見直す、そして、日ごろの行財政の改革の中に、財政改革をするモチベーションというか、そういったものを組み込むんだということがとても大事だと思います。

 交付税についても伺いますが、やはり中央の、たくさん税を納めている人たちが、その原資でもって地方を支えていく、所得の再分配機能というのは大事なんですが、しかし、それにいつまでも地方は甘えてはいられないというのが私の考え方であります。

 今回の地方法人課税の見直しによる交付税原資化の基本的な考えを大臣に伺っておきたいと思います。

新藤国務大臣 税制の抜本改革法第七条五号ロの規定におきまして、「地方消費税の充実と併せて、地方法人課税の在り方を見直すことにより税源の偏在性を是正する方策を講ずる」、こういったことを踏まえまして、偏在性の大きい法人住民税法人税割の一部を国税化し、地方の固有財源である交付税原資とすることで、財政力格差の縮小を図るものであります。

 そして、これは、今回の税制抜本改革法に基づく地方消費税率の引き上げにより、交付団体においては増収分が地方交付税の減となって相殺される一方で、不交付団体では財源超過額の増となりまして、地方団体間の財政力格差がさらに拡大する、こういう課題がございます。

 これらを踏まえまして、地方消費税の増収の範囲内で、偏在性の大きい法人住民税法人税割の一部を国税化し、国税化された税収の全額を、国の一般会計を通すことなく、交付税特別会計に直接繰り入れて交付税原資とする、これによりまして、地方団体間の財政力格差の縮小を図ることとしたわけでございます。

原口委員 これは、我が党にも両論あります。象徴的な言い方、ごくごく粗っぽい言い方をすると、東京、愛知対ほかの地方、そういう対立構図になりかねない話でもあります。東京都民はたくさんの税を払い、都市圏の人たちはたくさんの税を払い、それでもって地方が、逆に言うと、その所得の再分配を受けるだけでいいのかという議論は、やはり一方で注意深く踏まえておかなきゃいけないことだと思います。

 そこで、交付税についても私たちは大改革が必要だと考えています。ただ、この交付税をなくしていいかというと、私はそうではないと思います。

 大変申しわけないことですけれども、県には臨財債という形でしばらく借金をしてください、そして、市町村、財政力の弱いところに厚く交付税をという改革を行いました。しかし、この反作用は何かというと、例えば、この間、埼玉の上田知事とお話をしましたが、埼玉県は、一生懸命、行財政改革を徹底的にやっています。しかし、臨財債の部分がふえているために、グロスで見ると、財政が健全化したというふうには見えないんですね。原資である地方交付税の臨財債分がそこに乗ってしまうから。つまり、地方の改革努力といったものを見えにくくする副作用もあるということを私は一方で正直に告白をしておかなきゃいけないと思います。

 ただ、では、交付税をなくしていいかというと、例がどうかわかりませんけれども、ヨーロッパに例えてみると、南ヨーロッパで財政破綻をした国がドイツやフランスにお願いをする、それと完全パラレル、相似形とはいいませんけれども、例えば九州のある県が破綻をした、そうしたら東京の都知事さんに、今でいうと舛添さんに頭を下げて、何とかしてください、こういうやり方がいいかどうか、統一国家としていいかどうかといえば、私は、そこはそうではないだろう、地方交付税の再分配機能といったものはやはりある一定以上残しておかなきゃいけない、そう思うんですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 これはまさに、地方交付税が財源の保障機能とそして財源調整機能の二つを持っているわけであります。そして、きめ細かく、それぞれの自治体の需要に応じて財源を確保するという意味において、私は、非常に精緻な制度になっているというふうに思っています。一方で、まさに特例加算なども含めまして、経済財政諮問会議などでも意見が出ております。受け取るのが当然だ、そして根雪のようになってしまっては意味がない。

 したがって、これから、地方交付税はもちろん地方固有の財源であります、そして財政の基準に従って我々は交付するわけでありますが、それにしても、改革の努力であるとか削減の努力、そして活性化の努力、こういったものをきちんと見られるようなものにしていかなければいけない、このように思っているわけでございます。

原口委員 これで、税の方の、税財政のところの最後の質問にしますけれども、地方の公共団体、特に第三セクターは、やはり責任の所在がかつては不明確であったところの、今、根雪という表現もなさいましたけれども、不良債権がやはり根雪化していました。たしか七兆円ぐらい、私どものときはあったと思いますが、今の政権でも頑張っていただいて、これは事務方で結構ですから、第三セクターの不良債権、今どれぐらいに減ってきているのか、それを教えてください。

佐藤政府参考人 総務省におきまして、第三セクターの抜本改革を進めましょうということで、地方団体の取り組みを促進してまいりました。これは、二十一年度から二十五年度までに集中的にやろうということにしておりまして、現在、その途中でございます。

 そこで、抜本的改革が開始される直前の平成二十年度末と直近の二十四年度末を比べてみますと、平成二十年度末の損失補償や債務保証の総額というのは七兆四千七百八十四億円ありました。これが平成二十四年度末には四兆九千六百三十五億円ということになっておりまして、この間、二兆五千百五十億円減少しております。率にしますと、三三・六%ということになります。

 平成二十五年度も多くの団体においてこの改革が進められておりますので、二十五年度末の数字は、今後調査いたしますが、さらに減少するものと見込んでおります。

原口委員 半減とまではいきませんが、地方の財政の不安定要因であった三セクの問題に一つの方向性が出たということは多としておきたいというふうに思います。

 やはりモチベーションというか、地域に自立性、それから自己責任、みずから責任を負うといったことをしっかりと互いに確認していく、そういう政策が求められるというふうに思います。

 さて、法案については以上で、他の委員に譲るとして、もう一つ、まだ検討の最中だと思いますが、行政不服審査法、これは私たちも五十年ぶりの改正に挑戦をいたしました。ただ、政権がかわったということで、法案提出までは至りませんでした。

 大臣と、基本的なところだけ、きょうは押さえておきたい。

 まだ法案も提出されていませんし、方針を固められて御意見を伺っておられるところだ、それを前提に伺いますと、私たちは、行政不服審査法を考えるときに、こういう考えをしました。つまり、明治以来の官僚機構の中にある一つの、それも根雪のような考え方、つまり、自分たちは間違えないんだ、誤らないんだ、無謬性という、ある意味で神話に近いもの、それがやはり国民と霞が関との間の距離を広げ、あるいは政治不信のもとになっているんじゃないか。

 そのうちの一つが、これも私たち取り組みました、C型、B型肝炎のいわゆる隠されたカルテでした。何回政権に言ってもそれが出てこないんですね。薬害であったにもかかわらず、それが出てこない。それを官僚機構の、一人一人は立派な、本当に日本を代表するような優秀な人たちなんだけれども、組織になったときにそれが出てこない。

 消えた年金の問題もそうでした。あれも、国政報告をしていたときに、自分の年金が来ないからおかしいなと言って、最初、取り上げました。そうしたら、うそを言うな、年金なんか消えているわけないと。国会でうそを言ったらおまえも、もうこの話はしたくないですけれども、メール問題のような、国会でうそを言ったことになるよというのがスタートだったんです。しかし、実際には、五千万件、年金が消えていて、そして皆さんのお力で回復してきたわけです。

 行政不服審査法は、国民との不断の対話によって、行政の今までのそういう根雪のようなものを不断にチェックしていこう、そのためにつくったものでありまして、皆さんがおつくりになった二十年法案に私たちが検討してきたものを足して、今回、提案の準備をされているというふうに理解をしていますが、どれぐらい私たちの考え方を入れていただいたのか、少し大臣から、行政不服審査法というのは余りなじみのない言葉ですし、五十年間改正されていない法律なので、国会の中での議論も、ある意味ではほかの議論に比べると薄いです。少し今の経過を教えていただければありがたいです。

新藤国務大臣 行政不服審査法は、裁判手続によらずに、行政の自己反省機能を生かし、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための法律であります。この制度は、国民から信頼される公正な行政の基盤となる仕組みである、このように思っておりますが、今委員から御指摘いただいたような、明治以来のそういった精神といいますか、そういったものがあるのも私は否めないと思います。

 その中で、昭和三十七年に制定以来、実質的な見直しが行われていないわけであります。我々も、福田内閣のとき、平成二十年に改正法案を国会に提出いたしました。残念ながら、審議されないまま廃案になったわけであります。そして、民主党政権下においても検討が行われたことは承知をしております。

 そして今回、私たち、政権に復帰いたしまして、再度検討を始めました。昨年の六月には見直しの方針を取りまとめて、現在、この方針に沿って法案策定の作業を進めているところなんです。

 お尋ねの、民主党の検討の成果はどのように生きているかということでありますが、私どもも参考にさせていただきました。不服申し立てに対する判断を経た後でなければ出訴ができないとするところの不服申し立て前置の見直し、それから証拠書類のコピー、こういったものについては、参考にさせていただいて、取り入れさせていただいたところでございます。

原口委員 今大臣がお答えになったように、いわゆる不服申し立ての二重前置、これは非常に大きな改革になると思います。また、わざわざこの情報化社会の中に、一個一個書き写さなきゃいけないといったことも、もう合理性を欠いたものでございますし、また私たちは、出訴期間、不服申し立て期間についても、行政事件訴訟法の出訴期間が六カ月でございますので、そういったものも踏まえた上での改革案、改革の考え方といったものを入れております。今大臣がおっしゃったようなところで、私たちの考え方をかなり入れていただいているなというふうに思います。

 ただ、一つだけちょっと気になるのは、その中での審理官の扱いをどうするか。ここに、政権からある意味では独立した、政治権力からは独立した強い権限を持たせて、その中でのインスペクションというんでしょうか、そういう機能を持たせよう、しかもそれは、総務省は総務省、財務省は財務省ではなくて、省庁全体を横串にして、そこでみずからの政権がみずからの政府の中での自浄作用をつくろうというのが私たちの審理官に対しての考え方でした。

 ここのところは、見る資料にはまだどうも出てきていないようですけれども、大臣の基本的なお考えだけ、まだ結論は出ていませんから、それは留保しますので、その上で、言えるところだけで結構ですから、おっしゃってください。

新藤国務大臣 今我々が検討しております中では、審理員という形にしようというふうに考えております。

 そして、現在の行政不服審査法では、不服申し立ての手続を実際に進める者についての法律の定めがないんですね。ですから、一体、誰が手続をするのか、ここの定めがなかったわけでありまして、処分に関与した者がこれを行うことも排除されない仕組みとなっているという課題がございました。

 この点を改めて、処分に関与していない者が責任を持って不服申し立ての手続を行うことを法律上で明らかにすることによって、手続の公正性、透明性を高める必要があると考えているわけであります。その方向性においては、民主党が検討されていた審理官も審理員も共通であります。

 その中で、我々は、不服申し立てに対する最終的な判断の責任は大臣にあるということでありますと、大臣から完全に独立した者が不服申し立ての手続を行うことは、責任の所在を曖昧にして、課題が出るのではないかというようなことから、大臣のもとに置かれる審理員がそれを行うことを適当とするということであります。

 それから、横串のことを御指摘されましたが、これは、特定の府省に一括して設置される者ということであります。よいところもあると思いますが、専門性の面で課題が生じることも心配としてはある、こういった議論をいたしました。

 そして、大臣が不服申し立ての最終的な判断を行うに当たって、審理員が行った手続の適正さも含めて、これは原則として、有識者から成る第三者機関が点検する仕組みをつくり、客観性、公正性を担保したい、このように考えているわけであります。

原口委員 これは半世紀ぶりの大改正ですから、協力を惜しまないということを申し上げておきたいと思います。これができただけでも、国会に送っていただいた、御恩返しという言葉は使いませんけれども、その一つの礎になるんだというぐらいの大改正の法律だと思います。

 さて、経営委員長、連日お見えいただいて、お願いした立場からすると本当に申しわけないという思いです。

 本来であれば二十八日に出ると言っていた十二日の経営委員会議事録、月曜日に出していただきました。多としたいと思います。

 そこで会長が御発言をされていたこと、これは私の推測ですが、NHKの報道にはさまざまな偏向報道があった、だから、安倍首相の意向を体現して、その偏向報道を正すべく自分が送り込まれた、国営放送と公共放送との区別は余りついていなかったけれども、その中で自分の意欲をお示しになったというのがあの会見だったのではないか、私はそのように推測をしています。

 その中で、しかし、放送法ではどんな考えを持ってもいいんだけれども、それを反映することはできないということに後でお気づきになって、個人的な意見だということで全て取り消された、深く反省をされたというふうに理解をしていたんですが、どうも議事録を見ると、そうでもない。どこが悪いのか、そんな大したことを言ったのかというようなことをおっしゃったんでしょうか。

 そして、経営委員長は、これを受けて、二回目の注意というふうに報じられていましたけれども、何を会長におっしゃったのか。

 二点、伺いたいと思います。

浜田参考人 お答えいたします。

 今の委員の御質問の件は、二月十二日に開催をしました第千二百七回経営委員会で行われた一連のやりとりのことだと思いますので、まず概要を御説明いたします。

 経営委員会の最後に、委員の一人から会長に対して、現在のNHKを取り巻く事態に対応するために、今後の具体的な対策や体制等に関する質問がありました。

 これについて、籾井会長は、公式の記者会見で私見を述べたことは申しわけなく思っている、個人的意見として述べたことが記者会見では認められず、発言の真意とほど遠い報道がなされている、会見の記録を通読してほしいという説明がございました。また、委員が記者会見の記録を既に読んでいることを伝えると、それでもなおかつ私は大変な発言をしたのでしょうかという発言がありました。

 会長は、対策として、放送で信頼を回復していくことが、多分長い目で見た場合の方向だと思います、実際にセールスというのは営業でカバーするのが一番の方法だと思っていますなどの発言がございました。

 この発言に対して、二月二十五日の経営委員会で、会長から、私は大変な失言をしたのでしょうかという発言は、自分の真意を理解してほしい一心でのことであったという説明がございました。また、この発言が誤解を生む結果になったことについて、反省と謝罪の言葉がありました。

 これを受け、経営委員長として、就任会見以降、NHKとして事態の収拾に当たっている状況において、経営委員会で再度、誤解を招く発言をされたことについては、御自身の置かれた立場に対する理解が不十分であると言わざるを得ないと、会長の立場についての理解不足を注意し、一刻も早い事態の収拾に向けて、役職員一丸となり誠心誠意取り組んでいただくよう、経営委員長として重ねて要請いたしました。

 概要は以上でございます。

原口委員 この委員会、委員長初め理事の皆さんのお力で、二の資料をごらんください。籾井会長の個人的発言について、総務省見解、これは大臣も決裁をされたものだと思います。

 私たちが求めたのは、籾井会長の個人的発言について整理してくださいということではなくて、一連の、衆議院の総務委員会では、奥野委員でした、どこを取り消すかもお答えにならずに、参議院ではお答えになる。あるいは、私が予算委員会で国際放送について尋ねたときに、それはお取り消しにはならずに、右か左を赤か白というふうに捉えてくれたらわかりやすいと。余りわかりやすくはなかったんですけれども、そういう、議事が混乱をしている、そしてある意味では国会軽視とも言えるような事態が起きているので、整理をしてくださいと。総務省としても、大臣が誠実に対応されて、この二の、深く反省をして何度も謝罪されていますという、この日にまた出た議事録なんです。

 私は、個人を傷つける気は全くありません。予算委員会でも言いました、同じ九州で、多分、九州弁でしゃべると理解できる、大阪弁でしゃべると大阪の人には理解できるというニュアンスもあります。多分、標準語に翻訳されてお話をされているので誤解が生まれているところもあるんだろうなと、同郷からすると思います。しかし、やはり余りにも過ぎている。

 この間の佐藤議員の質問に対して、この委員会でも、次のページをごらんください、議事録を載せています。四ですね。NHKの年金のことについて、NHKの企業年金は制度発足から積み立て不足が発生しておりとおっしゃっているわけです。制度発足から積み立て不足が発生している年金なんというのはあり得ないし、それをやっているとしたら、粉飾決算をしているか飛ばしをしているかなんです。よくよく調べてみると、二〇〇〇年に会計基準が変わって、そこで大幅な積み立て不足ができているというのが事実だ。

 やはり、報道機関も言論機関も私たち国会も、言葉をとても大事にします。こういうことが続いていくと、私は、多くの誤解をまたさらに生んでいくだろうと思います。

 ここで、佐藤議員と一緒に、調べてみると、NHKも努力をして、大体三千億ぐらいの積み立て不足のうちの約一割を、年金の給付のカットと、それから年金の積立金というか、要するに拠出金の増額で賄っているけれども、しかし、退職者については何もさわっていない。あるいは、その残りの九割については受信料で補填する、そのことが明らかになりました。私はそれはどうなのかなと。

 やはり、JALの例を出すまでもなく、三千億の積み立て不足が起きているというのは、これは相当なものです。この話をしたら、係の方はNTTもですと言うけれども、NTTは二十万人を超える連結の会社の中で二千億ぐらいだったんじゃないかと思います。規模からしても、額からしても、異例の積み立て不足をこのような形でやっていっていいのかというのは議論をしなきゃいけない。しかし、その議論の手前が、この四ページをごらんください、制度発足から積み立て不足が発生していると。これは、そのまま見れば、NHK会長みずからが、NHKの制度について最初から不正があった、そういうふうに誤解をされても仕方がないものでございます。

 さて、もう時間があとわずかになりましたので、大臣とICTについて少しお話をしたいと思います。

 ICTによる遠隔医療を随分進めていただきました。大臣にも直接お願いをしましたが、例えば黄川田先生の遠野市、物すごくよく頑張っておられます。ただ、専門医がいないために、東京と結んで、そしてお医者さんが頑張っておられるわけです。しかし、そこは診療報酬の対象になっていないんです。私たちのときは補助を出していましたけれども、三千六百万を遠野市が今、手出しをされているという状況なんですね。そこはぜひ、きょう厚労省からも来ていただいていますけれども、その隘路を突破するリーダーシップを大臣にとっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 今、遠野のことについては私、詳細を承知しておりませんから、今の委員の御指摘を踏まえて、よく研究したいと思います。

原口委員 それから、これからビッグデータの活用、マイナンバーが入ってきます。そうすると、介護は介護、医療は医療というふうな形にしていると、みずからの情報のコントロール、活用という点からも大変大きな隘路になってしまいます。これを全部クラウドで統合して使えるようにする、その決意も伺いたいと思います。

新藤国務大臣 私は、日本を元気にするための三つの方策があるというふうに、総務省の中でコンセプトを定めております。それは、地域の活性化、そしてICTによるイノベーション、それらを国際展開する、今、こういう三つのことを表題にして、それをベースに置いていろいろな政策をつくっていこう、このようにやっているわけであります。その中のICT、特に医療や福祉部門のICTによるイノベーション、これは極めて重要だと思います。

 そして、私たちは、東北メディカル・メガバンク構想でしたけれども、いよいよ始まりましたから、計画に格上げをしました。その中で、患者の医療、介護情報を共有する、それをまさにクラウド化して、例えばそれは被災された方が避難先でも活用できる、それから、災害だけではありません、通常でも、お出かけになったときでも、どこでもそういった情報を共有できる、こういったものを構築しようと思っていますし、それはクラウドが必要なんですね。

 そして今、東北でまず試験的に始めてみよう、一番最初にこの恩恵を受けるのは東北に権利があると思いましたから、東北でやることにいたしました。しかし、それは、最終的には全国に、日本国民全員がそういった新しいイノベーションの享受を受けられるようにしたい、このように考えております。

原口委員 医療はやはり対面が基本だと思います。お医者さん、医療法、医師の存在のもとで対面でやる。しかし、もうそれにも限界がありますね。実際に東北へ行ってみると、半径五十キロ圏内にお医者さん、専門医が誰もいないという中では、やはり、先ほど申し上げたようなことが必要だ、セカンドベストであるけれども大事だというふうに思います。

 もう時間が尽きてきましたので、皆さんにこの五の資料をごらんいただきたいと思います。皆さんもお住まいの衆議院宿舎の契約をしている会社の契約の抜粋です。「医療サービス提供業務」というふうにあります。

 厚労省に伺いますが、この医療というものが、医師の存在なくして医療サービスというものができるのかどうか、まず、厚労省から来ていただいているので、伺います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今資料にございます、これは契約書の中の言葉だと思いますけれども、この医療サービスという言葉が、本当の意味での、通常言われている医療法の対象になるような医療を指しているのかどうか、そこはちょっと詳細にはわかりませんが、一般的に、医師個人あるいは医療法人がみずから医療を提供する場合は、当然ながら、都道府県等への診療所の開設の届けが必要となるというふうに理解をしております。

原口委員 医療サービスとちゃんと書いてあるわけですよ。

 右の下をごらんください。「看護師は保健室に常時一名常駐」、そして「二十四時間三百六十五日急病患者の対応を迅速的確に行える」、その間には「赤坂病院等と適宜連携のうえ、」と書いてあるわけです。

 警備会社とかそういう会社が医療サービスにも出てきて、しかし、現実には、そこには医師の存在がないといったことが起きているんじゃないですか。

 この赤坂病院、私たちもあの九段の宿舎にいたときには医師がいらっしゃいました。当然、医師がいらっしゃるだろうと思っていたんですが、この赤坂病院というのは、もう何年も前に廃院をして、医療機関との提携なんか一つもなかったわけです。それが今の実態です。皆さんの宿舎に非常ボタンがありますけれども、あのボタンを押しても医師は来ません。非常勤の看護師の方が来られて、しかも、救急対応の御経験もない方が、あれほどの、これは年間三千万円、契約期間で八億円ものお金がこの会社に行くわけです。しかし、その中身はこういう実態です。

 私たちは、ICTによって医療を高度化したい、そして国民のものに近づけたいと思いますが、肝心の医師がいない中での、こういう会社を認めてはならない。今、議院運営委員会でもこのことが問題になりまして、各党各会派で御議論をいただいています。

 私の個人的な家族のことがこのきっかけになったわけです。たった五分の虎の門病院に行くのに三時間かかりました。熱中症と間違えられて、そして、五分のところに三時間かけて行きました。亡くなりました。この赤坂病院がなくなっていることさえ事務局は知りませんでした。それが、これだけ大臣や多くの日本を代表する議会の方々がおられる中での実態なんです。これは一つの例です。

 ですから、大臣にお願いをしたいと思います。これから、さまざまな医療改革が行われてきます。しかし、医師の存在、規制改革という中でこういう会社が存在するようなことを私たちは許してはならない、そして、二度とこういう事故が起こらないように願って、きょうの質問を終えたいと思います。

 不服審査法やいろいろなところで私たちも協力しますので、ぜひまたよろしくお願いします。ありがとうございました。

高木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 申しわけありませんが、きょうも順序を変えて、先に籾井会長の方に質問させていただきます。

 きょうは、残された時間で、総務大臣にも先日質問できなかったことをお尋ねしたい、議論したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、最初に、NHK会長の資質と責任のとり方についてお聞きをしたいと思います。

 NHKの会長に籾井会長がなぜふさわしくないのか、その理由を四点考えておりましたが、昨日の我が党の階議員の質問に対する答えを聞いたら、もう一つふえました。まず、それを最初に申し上げたいと思います。

 報道によると、籾井会長は、きのう、日付を入れない辞表を提出させることは一般社会ではよくあることだ、こう話したそうですが、一般社会の株式会社の取締役会とNHKの理事会では大きく役割が違う、権能が違うんですけれども、その違いを御存じですか。籾井会長にお尋ねします。

籾井参考人 お答えいたします。

 取締役のことをおっしゃっているんだと思いますが、民間会社の場合は、取締役は、大体において今は任期が一年になっております。昔は二年でございました。そして、これにつきましては、やはり社長が任免権を持っております。当然、これは取締役会の承認を得るんですが。

 NHKの場合は、経営委員会の承認を経て、皆、役員になります。期間は二年と決められております。

福田(昭)委員 籾井会長、全く答えがとんちんかんです。

 一般の会社、取締役会は、いわゆる社長を解任する権限があるんですよ。クーデターができるんですよ。しかし、NHKの理事には、会長を罷免する、解任する権限はないんですよ、会長。それが一般の会社と全く違うんですよ、会長。御存じなかったですか。どうですか。

籾井参考人 世間一般でも時々起こっていることでございますので、私もそれは承知いたしております。

福田(昭)委員 ですから、まず、理事の人たちが会長を解任できないということを知らないで、あなたは辞職願をもらったということですよ。

 このことについて、実は、日本郵政の西室泰三社長は、私は、今まで勤めたのは三社目で、経済団体の活動もやっているが、一般社会で常識的に行われているとは思っていないと指摘しています。

 西室氏は、御案内のとおり、東芝の会長などを歴任した財界の重鎮であります。その重鎮が、籾井会長が言うようなことは一般の会社でも行われていない、こう言っていますが、どうですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 いろいろなケースがあると思いますが、それは、西室さんはそういう御見解をお持ちだと思います。

 しかし、私は、民間ではこういうことをやることは別に特別のことではないというふうに思っております。

福田(昭)委員 それでは話になりませんので、これから、あなたがNHKの会長にふさわしくない理由をあと四点申し上げます。

 二つ目ですけれども、籾井会長ももう七十歳に近い年ごろの方でありますから、私も籾井会長の考えを変えろなんということは言いません。しかし、今回の一連の騒動の中で、会長は、発言を取り消しただけで、何度も反省していると言っているけれども、考えは全く変えていないわけであります。つまり、全く反省していないということなんです。これが一つです。

 それから、三つ目ですけれども、籾井会長の考えと、日付を入れない辞表を提出させたという行為は、NHKの公共放送としての不偏不党、公正中立、編集権の独立を脅かすことになるんですよ。それは、政府が右と言うことを左と言うわけにはいかないという発言によくあらわれているんですよ、籾井会長。答弁の中でよく、いろいろな意見を取り上げるのが役目だと言っているけれども、しかし、籾井会長は、この発言を取り消しはしたが、考え方は変えていないんですよ。これが三つ目。

 そして四つ目。また、籾井会長の考えに沿った放送、報道がされると、国益を損なうおそれが出てくるんです。せっかく、国営放送としてうその大本営発表を垂れ流した反省に立って、民主主義の発展に寄与する公共放送として戦後再出発したNHKの役割がもとのもくあみに戻ってしまうんです。特に海外の目には、NHKは安倍政権と一緒になって戦後秩序をひっくり返すと見られているんですよ。これが四つ目。

 そして五つ目。籾井会長の要望を拒み、専務理事、理事全員が日付のない辞表の提出を認めたということは、株式会社と違って会長の解任権のない理事が、会長の不信任を決議したと同じ意味なんですよ。理事の皆さんは自分の職を賭して、NHKの公共放送としての不偏不党、公正中立、編集権の独立を守ろうと、腹を決めて国会の場で公表したんだと私は思います。

 よって、籾井会長はNHKの会長としてふさわしくないので、即刻辞任を求めます。籾井会長の考えをお聞かせください。

籾井参考人 お答えいたします。

 私が辞表をとったことについてはいろいろな見方があって、新聞等々にはあのようにいろいろなコメントがなされているんですが、私の思いは、要するに、やはり役員というものはそれぐらいの覚悟でやってほしい、こういう気持ちで尋ねたわけです。私は初めて参りました。だから、みんな辞表を書いてもらいましたよ。しかし、これは一生懸命やってほしいということで、これが一番大きな問題でございます。

 それから、あと幾つかありましたけれども、私は、何回も申しておりますように、私の考えを取り消したわけではございませんが、私が申し上げたことは取り消したわけでございます。

 したがって、もう私も七十一歳になっておりますので、その辺はなかなか変えることも、委員もおっしゃっているとおりでございますけれども、しかしながら、私としましては、こういう自分の思いを番組に反映させることはないということは何回も申し上げてきたつもりでございます。つまり、放送法にのっとって、今おっしゃったように、不偏不党、公平公正、それから自由な表現ということを守りながらやっていくということは何回も申し上げました。

 幾つも不適切とおっしゃったことがあったんですが、あとは、それから、役員がこの場でみんな辞表を書いたと申し上げたことは、これはとりもなおさず、私の意向がどうであろうと、彼らが自由に自分の思っていることを言ったわけでございます。これは、私が何も強制していないということのあかしではないかと私は思っております。

福田(昭)委員 会長、辞表をとったのは、理事の皆さんの覚悟のほどを確かめるためにとったんだというんですね。

 では、籾井会長、あなたも覚悟のほどを示して、経営委員長に日付のない辞職願を出してください。どうですか。

籾井参考人 私としましては、NHK会長の重みをしっかり受けとめて、放送法に基づいて公共放送の使命を果たしていくことで、引き続き会長としての責任を全うしていきたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 それでは納得できません。部下職員にだけ覚悟のほどを示させて、あなたは覚悟のほどを示さないんですか。もう一度答えてください。

籾井参考人 先ほども言いましたように、私は、要するに、役員としての覚悟をみんなに持ってもらうためにそういうことをお願いしたわけでございます。

 ただし、その辞表をむやみやたらと使って役員をおどすようなことは一切いたしません。

福田(昭)委員 会長、そうであるなら、あなたも日付のない辞表をちゃんと委員長に出したらどうですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 日付のない辞任願というか辞表につきましては、先ほどから言っておりますように、一同、一丸となって取り組もうということであります。

 それから、今後は、私の信条であります自由闊達な経営に向けて、役職員が一丸となるよう役職員とよく話し合い、これまで以上に信頼を得られるNHKを目指して、全身全霊で努めていきたいと思っております。

 ぜひよろしくお願い申し上げます。(発言する者あり)

福田(昭)委員 やじの方も飛んでいるようでありますが。

 それでは、浜田委員長、二十五日の経営委員会では籾井会長の罷免論も出たという報道がありますが、本当ですか。

浜田参考人 新聞報道は承知をしておりますけれども、二十五日の会議は、自由闊達な意見を委員相互で述べ合うということで、皆様には対外的に公表しないという前提で行いましたので、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

福田(昭)委員 浜田委員長、前回も指摘をいたしましたが、放送法には、経営委員会は、会長もしくは監事が職務の執行の任務にたえないと認めるときは、または云々とありますけれども、まさに全理事に不信任決議を突きつけられたような籾井会長は職務の執行の任務にこれ以上たえられないと思うんですけれども、いかがですか。

浜田参考人 籾井会長は、業務執行に当たっては放送法を遵守すると繰り返し明言し、不偏不党の立場をとっていく旨も表明しております。反省の上に立ち、会長としての職務を執行していただけるものと期待をしております。

 経営委員会といたしましても、会長の今後の業務執行が、放送法を遵守し、視聴者・国民の皆様の期待に応えるものとなるよう、一層しっかり監督をしてまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 浜田委員長、このまま籾井会長の続投を認めるというようなことになれば、任命権者である経営委員会の責任も問われることになります。その場合には浜田委員長の責任も問われることになりますが、どうですか。

浜田参考人 籾井会長以下が一丸となって、今後とも、NHKが放送法で定められた公共放送の使命を果たすよう、経営委員会として監督する役割を果たすことが責務だと考えており、これに真剣に取り組んでいきたいと思います。

福田(昭)委員 では、改めて浜田委員長にお尋ねをしますが、ぜひ、籾井会長の覚悟のほどをしっかり確認するために、日付のない辞表を今度は浜田委員長がとったらいかがですか。どうですか。

浜田参考人 そういうことは考えておりません。

福田(昭)委員 それでは、浜田委員長、籾井会長がいずれやめざるを得なくなったときには、浜田委員長も一緒にやめるということでよろしいですか。

浜田参考人 仮定の質問にはお答えすることを御容赦いただきたいと思います。

福田(昭)委員 それでは、NHKの籾井会長そして浜田委員長の問題は、これからも追及を続けていきますが、きょうは総務大臣との議論も控えておりますので、この程度で終わらせておきます。しかし、今後、まだこれで追及をやめたわけではありませんから、しっかりその点は誠実にやっていただきたいと思います。

 では、NHKの委員長、会長、帰ってよろしいですよ。(発言する者あり)

高木委員長 会長、委員長、それぞれ退室して結構です。

 静粛にお願いします。

 では、福田委員、質問を続けてください。

福田(昭)委員 はい、わかりました。

 やじもタイミングを見て言ってくださいね。

 さて、次に、総務省の課題とミッションについてこれから議論をしたいと思います。

 一つ目は、アベノミクス、景気対策の実態についてであります。

 アベノミクスの実態は、現在、デフレ脱却どころか、家計を圧迫する悪性インフレ、貿易収支の赤字は最大、国内産業は空洞化、輸入量は変わらないのに円安で燃料輸入費だけが高騰と、悪いところばかりが目立っております。潤っているのは、自動車を初め一部の輸出産業だけ。これでは、アベノミクスで本当にデフレを脱却できるか、甚だ疑問であります。総務大臣の見解をお願いいたします。

新藤国務大臣 委員がそのように御心配いただいていること、これはありがたいことだ、このように思います。

 そして、その上で、私たちは、長い間続いた日本の停滞、混乱、そして、人によっては漂流、こういう状態から脱してデフレを解消して、そして、景気回復をした中で持続可能な経済成長というものを果たしていきたい、このように願っておりますし、それは、党であるとか政権ではなく、日本国民の願いだ、このように思います。

 その上で、我々とすれば、アベノミクスと言われる政策を打ち出して、一定の効果は上がってきている、このように思うわけであります。株が上昇して、円安に振れて、あらゆる経済の指標は上向いております。

 そして、雇用情勢は、昨年十二月の就業率が五七%でありまして、十二カ月連続の上昇なんです。

 これはぜひ御認識いただきたいと思うんですが、十五歳から六十四歳の就業率は七二・五%になりました。これは昭和四十三年以来の最高水準、こういったものを達成しているわけであります。ですから、一定の成果は上がっている。

 しかし、一方で、その経済の回復の流れが全国津々浦々に行っているのか、そして、それぞれの家計や企業が全て全国的に上向いているのかということになると、これはまだまだだというふうに思います。

 ですから、この今の経済成長の兆しを全国津々浦々にお届けするために地域ごとの活性化が必要であって、それから、新しい経済の効果を生み出すためのイノベーションが必要であって、我々は経済を大きくするための国際展開も含めて頑張っていかなくてはいけない、私はそのように考えて政策をやらせていただいております。

福田(昭)委員 政府は否定するわけにはいかないと思いますけれども、ここに、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏の論文があります。「数字で読む「アベノミクスの空騒ぎ」」という論文であります。

 これを読んでみますと、見事に、一九六〇年代からさまざまな数字、指標を使いながら評価をいたしております。

 その中で、金融緩和と連動しなくなった株価、さらには、株価が上がっても消費はふえない、そして、円安で輸出はふえるのかと。実は、円安で輸出がふえなかった。そしてさらに、売り上げ増でも雇用はふえないと。今、雇用がふえたという話がありましたが、それは非正規雇用がふえただけであって、正規雇用はほとんどふえていない、そういう状況であります。そして、日本の競争力の本当の問題とは何かということで、輸出産業をこれからも維持するとなったら、一番の問題は省エネ化だ、そしてもう一つはブランド力を高めることだ、こう言っております。

 私は、なかなか的を得た指摘だというふうに思っております。

 その藻谷さん、最後にこういうふうに結んでいるんですね。

  コストやリスクを直視し、これ以上の効果は乏しいと見切ることができた時点でうまく尻すぼみに収束させていけるか。余り騒ぎにならないようにしつつ「竜頭蛇尾」を実現できるか。怖いのは、そんなはずはないといきり立って今以上のお金を投入し、ついには国債暴落・ハイパーインフレなどを引き起こしてしまうことです。そうなったらもう手がつけられません。その前に、安倍首相にはひっそりと旗を下ろしてもらうというのが、今考えられる最良のシナリオでしょう。

  「アベノミクス、いつのまにか終わっていたみたいだね。言われたほどの効果はなかったけれど、まあいっか」と、多くの国民が思えるうちに、金融緩和や公共投資の旗が静かに下ろされ、成長戦略の中の意味のあるものだけが残ることを、私は強く願っています。

こう結んでおります。

 そういった意味で、アベノミクスが、政府も認めているように、なかなか、地方まで回って、給料も上がって、経済が好循環に回っていないということは実ははっきりしているわけであります。

 そこで、総務省の課題とミッションということで、先日、大臣の方から非常に意欲的な発言がございましたけれども、私は、この安倍政権の方針、特に最初の、経済再生と財政健全化の両立、アベノミクス、三本の矢、成長戦略、この図は、とてもとても理解できるような図ではない。

 そこで、大臣からちょっと説明をしていただければと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。

新藤国務大臣 何がわからないのかがわからないので、言っていただきたいと思います。

福田(昭)委員 総務省の担当者には言ったんですが、では、ちゃんと伝わっていないんですね。

 要するに、この図から見ると、大胆な金融政策が株価を上げて、機動的な財政政策が為替を円安にした、こうとれるんですよね。でも、これは違うんですよね。財政政策で円が安くなったわけじゃありませんね。それこそ、異次元の金融緩和で安くなったわけですよね。ですから、この表は、総務省がつくる表としては、ちょっと間違え過ぎているんじゃないかという私の思いなんですが、いかがですか。

新藤国務大臣 疑問点がよくわかりました。

 委員がお話しされるように、これは、まさに一つの箱の中で、全体として考えていただきたいわけであります。まさか、矢印の脇に書いてあるからこれが因果関係がある、そういう御理解をされているのではないと私は信じます。

 株価や為替というのは、これは金融の用語であります。この二つの矢によってどういう好影響が出たかというものの象徴をここに記したわけであります。

 いずれにしても、それぞれは連関があって、まずは第一、第二の矢を打ち出しました、それによって経済の好循環を呼び起こしつつ、成長戦略でそれをさらに拡大させていこう、こういうことでありますから、委員が御理解されていることと同じことがここに書いてあるわけなので、まさか、ここに書いてあるから、大胆な金融政策と、為替が円安にと書いてあるのが関係ないと御理解されているのではないと私も思いますので、そこは全体のイメージとして捉えていただきたいと思います。

福田(昭)委員 大臣、苦しい説明ですね。

 よろしいですか。これをちゃんと書くとしたら……(発言する者あり)まあ、静かにしていてちょうだい。大胆な金融政策では、やはり円安、株価の上昇なんですよ。機動的な財政政策では、GDPの成長なんですよ。皆さんが、それこそ十兆円を超えるような補正予算を組んで、GDPが上がって、消費税の引き上げを決める要因にしたんでしょう。だから、この機動的な財政政策はGDPのアップを書くべきなんですよ。

 まあ、いいでしょう、議論してもしようがないから。これは余りにも、総務省がつくる資料としては稚拙過ぎるということを私は指摘したいんですよ。ですから、ここはしっかり、ほかに出して恥ずかしくないように直すべきだと私は思います。

 私の考えは、大胆にやるのは、金融政策じゃなくて財政政策、金融政策は機動的にやる、そして、時間をゆっくりかけて民需を育てる成長戦略、それが私は三本の矢として大事だと思っています。少なくとも五年からの平成のニューディール政策、計画をつくってやらないと、簡単にデフレから脱却できませんよ。そのことを指摘しておきたいと思います。

 それから三つ目は、財政健全化に対する国と地方の違いについてでありますけれども、国は、何としても国と地方を通じてプライマリーバランスを黒字化するんだということで、地方のことを含めて一生懸命財政の健全化をするということで主張しておりますけれども、しかし、国と地方自治体、民間企業、家計とは、私は、権限の違いから同じに考えることはできないと思っているんですが、総務大臣、いかがですか。

新藤国務大臣 そもそも、国と地方は同じものではありませんから、それぞれの対応が必要なことは言うまでもないわけであります。その上で、委員がそこは非常に問題意識を持っていただいていると思いますし、こういうことを明らかにするのはいいことだと思います。

 まず、そもそも、経済の政策は、国と地方が連携しなければ意味がありません。そして、相乗効果、それぞれの、お互いの波及というものを意識しながら政策を打っていくこと、これは当然のことであります。

 その上で、国と比較した地方の財政運営ということになりますと、歳入面においては、国は特例公債を発行できる。一方で、地方は、地方債、赤字地方債というのを発行する自由を持っておりません。したがって、収支を均衡させるためには歳出の削減をしなければいけない、こういう性格があります。

 それから、歳出面において、地方において多くの分野で国による義務づけ等の制約があります。それに加えて、毎年度の国庫補助の動向、こういったものにも影響を受けます。したがって、みずからの判断で歳出の水準を決めるという意味では、国と地方には自由度に差がある、こういう側面もあると思います。

 ですから、我々は、地方は地方の財政を健全化させるためのまず歳出削減努力、行政改革努力、そして、地域の活性化によって地方の財政の充実、そういったものを図りながら、それらを相乗的に機能させて地方の経済を活性化する、それは国の経済回復と同じ歩調でやっていかなくてはならない、こういうことだと思います。

福田(昭)委員 済みません。この話も、よく担当者から伝わっていないようでございます。

 私が申し上げたいのは、国と地方自治体、企業、家計との決定的な違い。それは、国は、日銀と連携すれば、お金も印刷して出せる、金利の上げ下げもある程度できる、さらには不良債権の処理までできちゃう。これだけ強力な権限を持っているのは国です。しかし、そうした権限は、地方自治体にも、企業にも、民間のそれぞれ、家計にもありません。ですから、この違いというのをしっかり認識した上で経済の再生と財政の再建に取り組んでいく必要があるということを私は言いたいわけです、基本的に。(発言する者あり)わかり切ったことじゃないから言っているので。

 それで、実は、では日本の国家財政がいつ破綻するんだということを、きのう予算委員会の第三分科会で、麻生財務大臣と議論しました。そうしたら、麻生大臣と私の考えが一致しちゃったんです、基本的に。経常収支が黒字の国で、発行している国債は一千兆円なんて言われていますけれども、この国債が全て自分の国の通貨、つまり全て円建てで発行している、そうした国で財政破綻した国はないということを、麻生大臣は明快に答えました。

 そうしますと、残念ながら、我が政権で、野田政権で消費税引き上げを決めたわけでありますが、基本的に、肝心なのは、デフレを脱却するためにまず最優先で取り組むというのが、実は政府がとる最善の政策なんですよ。(新藤国務大臣「まず何ですか」と呼ぶ)ですから、要するに、基本的に、日本の経済と財政を再生させるためには、何といっても、この十五年から二十年続く、物が下がり続ける経済、デフレ経済から脱却するということが、実は最優先で取り組まなきゃならない課題なんです。

 それで、今回は、残念ながら、安倍内閣も消費税の引き上げを決めちゃったわけですよ。アベノミクスの基本的な考え方からいえば、ここは、デフレ脱却道半ばなんだから、本当は凍結をしなくちゃならない。ところが、引き上げを決めちゃったから、日銀総裁がデフレ脱却と消費税増税は両立すると言ったけれども、それは両立しないから、心配だから、今回五・四兆円の補正を組んだんです。そのことを麻生大臣がしっかり認めたんですよ。

 ですから、今回、そういった意味では、日本の国を、しっかり経済を再生させて、財政再建をさせるためには、また、財政破綻をさせないためには、昨年は最少になっちゃいましたけれども、この経常収支の黒字を維持するように努力をする。そして、国債の円建て発行も維持をしていく。さらには、財政健全化のストックの指標である、分母は名目GDP、分子が、政府は粗債務と言っていますが、私は金融資産を引いた純債務の方がいいと思っていますが、この分母の名目GDPが二十年間一つも大きくならない、ただ分子だけ大きくなってきた、だから財政が悪化したと言われているんですね。ですから、分母の名目GDPを拡大させる、つまり内需を拡大させる、そういう政策。そして、デフレから脱却していく。この四つをやはり総合的に考えて経済政策を打って、経済を再生させて、財政の再建につなげていく。

 ですから、そういった意味では、よく、小泉政権から始まりましたけれども、我が政権でも、プライマリーバランス単年度の黒字化とか、そういうことをうたっていますけれども、それに余りこだわらずに、逆に、もっと長期的に考えて、ストックの借金は減らしていく、こういう大方針のもとに経済をしっかり再生させる。そのためには、まずデフレからしっかり脱却していくんだ、そういう大方針がアベノミクスにないとだめなんですよ。金融緩和だけでは、残念ながら金融バブルで終わってしまうんですよ。

 あるエコノミストが指摘しておりますが、今、大胆に金融緩和をして、そのお金が日銀に積まれているだけで、国内に使われずによその国に行っちゃっているんですよ、数十兆円も。ですから、国内にお金を回す政策、それが金融緩和ではできないんですよ、実は。ですから、そこを踏まえて、大胆にアベノミクスを見直すということが大事であって、そのことで実はきのう麻生総理とは一致したんです。(発言する者あり)失礼しました。麻生財務大臣ですな、一致したんです。揚げ足はとらないように。

 そういうことで、ぜひ新藤大臣にも……(発言する者あり)これは本題なんですよ。こういうことが一番大事であって、それこそ、日本の経済を立て直して財政を再建するということは、与野党を超えた、日本国民の大きな課題であり願いなんですよ。それができなければ、今まで、失われた二十年と言われましたけれども、失われた三十年になっちゃうんですよ、このままのアベノミクスでは。そこをしっかり指摘しておきたいと思うんですが、感想をお聞かせください。

新藤国務大臣 私も、経常収支がどうなるかは、非常に関心を持っておりました。ですから、やはり、貿易収支をいかに早期に改善させるか、これが非常に重要な問題だと思います。

 それから、成長戦略を着実に実施する中で大切なことは、国内外の日本経済に対する信頼というものを醸成させなければならない。そして、期待を裏切ったときには恐ろしい反動が起きる、こういうことも考えております。

 ですから、私どもは、大胆な規制緩和、そして税制も含めて、そういう新しい取り組みをしていかなければいけない。これが国家戦略特区として、これはまず全国でできませんが、そうやって、まず新しい扉を開くためのプロジェクトをやってみよう、こういうことになっているわけであります。

 大事なことは、先ほどの日本総研の何とかさんという方が、あたかもこれで失敗のシナリオをいろいろ教えていただいているようでありますけれども、この人だって、それを願っているんでしょうか。日本経済が破綻したりだめになることを願っているわけではないんだとするならば、私は、必要なのは、ネガティブに、あれがだめだ、これがだめだではなくて、建設的な、こういうことをやろう、ああいうことをやろう、そしてポジティブに前向きに頑張ることが極めて重要だと思います。

 政策の手段は幾つもあるんです。でも、今まで我々が最も反省しなきゃいけないのは、しかも、私たちの政権の前の、その幾つかの政権のときに最も反省しなくてはいけないのは、方針が定まっていなかったんですよ。そして、みんなが何をやるのかがわからないまま、てんでばらばらで、必死で頑張っていた。だから、景気が悪くなって、企業やそれから周りの人たちも、かつてのように週に何回もゴルフに行ったりとか、そんなばかなことをやっている人はいなくなっちゃった。

 必死で頑張っているのに国力が向上しなかったのは、結局のところ、この国の向かうべき方針が決まっていなかった、もしくは、いつもぐらぐらしていた。だから、山に登るつもりが川におりていっていたかもしれない。それも、霧の中に入ってわからない。

 大切なことは、みんなでポジティブに、一つの目標に向かって成果を出すまで頑張り続ける、こういう気持ちが重要だと思います。

 ですから、今いろいろな御指摘をいただいたことも、我々はきちんと頭に入れなきゃいけません。しかし、何か、失敗のシナリオを書いて、だからもうすぐだめになるからとか。

 今みんなで一生懸命頑張って、それは、アベノミクス、安倍政権、安倍総理のための政策じゃないですよ。みんなでこの国を頑張ろうと言っているときに、そういったことで、うまくわからないようにお引き取り願いたいとか、私は、そういうことを言われると、ちょっと声が大きくなっちゃうのであります。みんなで頑張ってやらなければいけない、このように思います。

福田(昭)委員 大臣、心配しているからこういうことを書いているんですよね。やはりこの議論は、四月、消費税が引き上がったらだんだん結論が出てきますから、そうしたらまたやりましょう。

 以上で質問を終わります。

高木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、地方税法等の一部を改正する法律案に対し、原口一博君外一名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。原口一博君。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口委員 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、提案の趣旨及びその内容を御説明いたします。

 本年四月から、消費税を引き上げ、国民の皆さんに御負担をお願いすることになっております。

 本来であれば、今次の税制改正は、逆進性対策、車体課税の抜本的見直し、医療、介護等の控除対象外消費税のあり方の見直しなど、消費税引き上げによる国民生活及び経済への影響を緩和する抜本的な対策を主な柱とすべきところであります。しかし、政府は、そういった対策を講じないどころか、地方税においては、地方の生活の足である軽自動車や原付、二輪車について逆に増税案を出しております。

 よって、所要の修正を加えるべきと考え、本修正案を提出いたしました。

 以下、具体的に申し上げます。

 第一に、軽四輪車、小型特殊自動車、原付、二輪車等の標準税率を引き上げることとする改正規定を削ること。

 第二に、所要の規定の整備を行うこと。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いします。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより両案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 籾井会長、連日お疲れさまでございます。きょうもよろしくお願いいたします。

 まず、法案の審議でございますので、きょうは、法案の方から質問をさせていただきたいと思います。

 今、原口筆頭の方からも我々の案を御説明させていただきました。車体課税、さまざま、我々の提案してきたところを取り入れられているわけでありますが、抜本改革法の方に一つ、先ほども資料に出ていましたけれども、地方法人特別税及び譲与税についてもあそこで規定があって、抜本的に見直すんだ、こう規定されていますが、今般、見直し、地方法人税の創設という形で、半歩前進ということかなということで、その部分については一応の評価をしながら、きょうは説明をさせていただきたいと思います。

 やはり、地方の財政というのは、地方の税収というのは、受益と負担の関係が明確になるように、そこに住んでいる、活動している方と受益者が負担をする、そういう関係にあると思います。ですから、なるべく地方税で賄っていくのが望ましいのは言うまでもありません。

 そして、その地方税の条件としては、やはり安定的な税収ということであります。一定の行政サービスが提供されるわけでありますから、安定的に税収が入ってくる。景気とかの変動が少ない。それからもう一つ、場所によって、地域によって偏在性がないということが大事だと思います。そうした地方税体系を築いていくべきだと私も考えるところでございます。そういった観点から、今回の改正については、半歩ぐらい前進かなと思います。

 そこで伺いたいのでありますが、地方の法人二税、法人事業税と法人住民税があるわけでありますけれども、そしてもう一つ、地方法人特別譲与税があるわけでありますが、これらの税収が地方の財政に占める割合、都道府県税あるいは市町村税のうちのどのぐらいの割合を占めるのかということを直近の決算ベースで教えていただきたい。

 それからもう一つ、来年度予算は、地方税収が大きく伸びたということで、それを理由に交付税が若干減額されてしまっているわけでありますけれども、この税収の伸びが、一つは地方消費税分が伸びているというのはあると思いますが、恐らくこの法人二税の占める割合も大きいと思うんですが、これはどのぐらい寄与しているかということについて、まずは事実ベースで伺いたいと思います。

米田政府参考人 お答えいたします。

 まず、直近の決算ベースということで、平成二十四年度決算の数字を申し上げます。

 地方法人二税の税収に占める割合は、都道府県税におきましては二二・五%、市町村税では一〇・五%となっております。総体、これを合わせますと一五・四%という水準でございました。

 また、平成二十六年度の地方財政計画におきます地方の税収ですけれども、三十五兆八百六億円ということで、対前年度比一兆五百八億円、プラス三・一%で見込んでおります。

 その主な増収要因は、今委員御指摘のありましたとおり、消費税率の引き上げ等のほか、地方法人二税の増加がかなり多くなっておりまして、地方法人二税の税収見込みは、これは直近の都道府県、市町村の徴収実績をベースにいたしまして、国税の法人税の動向も踏まえて推計したものでございますが、二十六年度では五兆三千五百二十二億円、対前年度比で五千四百五十五億円プラスの一一・三%というふうに見込んでおります。

 中身でございますけれども、いろいろな資料から推測いたしますと、大企業の製造業等を中心に企業業績が相当程度向上して所得がふえているということが影響しているものではないかと考えております。

奥野(総)委員 やはりこの二税については、地方財政を支える根幹の税だということが明らかだと思いますし、今般、税収の伸びも、この地方の二税によっていることが大きいというのが今のお話でわかると思います。

 ただ、この地方法人二税というのは、法人所得に依存する部分が非常に大きいわけでありまして、景気に左右されやすいんですね。税率も違いますけれども、一昔前は半分近くを占めていたこともあった。ぱらぱらと見たところでは、そういう時代もあったと思います。

 この二税なんですが、法人事業税については、法人がその事業活動を行うに当たって地方団体の行政サービスの提供を受けている、その必要な経費を分担するために徴収しているんだというふうに書かれていますし、法人住民税についても、地域社会の費用について、その構成員である法人にも個人と同じように負担を求めると。

 行政サービスの対価として、事業性に着目するのか、あるいは、そこに住所があるということに着目するのかということで課税しているというふうな説明になっているかと思いますが、それだけ見ると、やはり法人所得課税というよりは、むしろ外形標準とか、あるいは法人住民税の均等割のような形で徴収するというのが理にかなっているように思うんですが、やはり所得割とか法人税割という形で、法人所得に大きく頼っている部分もあると思います。

 この二税についての性格の違い、あるいは、なぜ法人所得がかなりの部分を占めているのか、税の性格について伺いたいと思います。

米田政府参考人 法人二税の、税の性格についてのお尋ねでございました。

 法人二税に限りませず、地方税の性格でございますけれども、地方公共団体というのが住民に身近なサービスを提供しているということで、やはりサービスの負担と受益との関係が非常に見えやすいということがまず原則としてございます。

 したがいまして、地方税の場合は、サービスの受益に応じた負担を求めるという応益原則に基づいた説明がされることが多い。これは、国税が能力に応じた負担を求めるという応能原則から説明されることとの対照的な点だと思います。

 今、法人住民税、法人事業税についての性格を委員の方からも御指摘がございました。法人住民税は、地域社会の費用について、その構成員である法人にも個人と同様に幅広く負担することを求める税、特に均等割は会費的な性格を有するものということであります。

 一方で、法人事業税は、法人がその事業活動を行うに当たって地方団体の行政サービスの提供を受けているということから、これらのために必要な経費を分担してもらうために課税するものというふうに説明されることが多くなっております。

 したがいまして、このような応益原則をいかに課税標準で求めるかという点で申し上げますと、応能原則を実現するためにふさわしいと言われております法人の所得ということよりも、むしろ、課税標準を、法人の事業活動の規模ですとか資本金等の額に応じて負担を求めるといった、いわば外形標準課税の方が望ましい課税方式ではないかと考えられております。

 特に法人事業税につきましては、沿革的に見ましても、もともとシャウプ勧告における付加価値税というのを原点にしているといった点からも、この点が強調されることが多かったわけでございまして、平成十六年度に法人事業税の一部に外形標準課税が導入されたのも、このような点を踏まえたものというふうに理解をしております。

 ただ、御承知のとおり、このような外形標準課税を行いますと、所得がない法人、いわば赤字法人にも一定の負担を求めるということになりますので、過去、均等割の引き上げですとか事業税への外形標準課税の導入に際しましては、やはり中小企業を中心に強い反発もあったところでございます。

 このような経緯を踏まえまして、法人住民税法人税割、それから法人事業税所得割といったような、それぞれ法人所得を課税対象として、いわば法人の担税力に配慮した税制というものもミックスしてあるというふうな理解をしております。

奥野(総)委員 今の御説明によれば、本来であれば応益原則にのっとって地方税というのは課税するのが望ましいのであるけれども、それだけによっては、赤字の法人とかにも課税しなければならない、なかなか世論の理解が得られないので、応能原則による部分もあるんだ、こういうお話だったかと思います。

 であれば、法人所得課税の部分については、偏在性もあるわけでありますから、きちんと配分できるように交付税の財源としていくのが流れだろうということで、今回もそういう流れの改正だというふうに理解をしています。

 そもそも、地方税、法人税の偏在性ということで問題が提起されまして、平成二十年度の税制改正においては、消費税の一%分、二・六兆円を地方消費税に充てる、そのかわり、偏在度の大きい地方法人二税を国税の方に入れていくんだ、こういう提案が、たしか当時、増田大臣でしたか、なされた。

 これは至極もっともな提案だと思いますが、しかし、結果どうなったかというと、そのとおりにはならずに、御承知のように、今の地方法人特別税というものができたわけでありますけれども、なぜこういう結論になってしまったのかというのをもう一度伺いたいと思います。

米田政府参考人 平成二十年度の税制改正におきましては、この時点での景気回復を反映いたしまして、今問題になっております地方法人二税が大きく伸びていたというような背景がございました。そこで、特に都道府県間の税収の差が拡大いたしまして、財政力格差の拡大が顕著になったことへの対応を早急に行う必要がございました。

 そこで、総務省といたしましては、今委員御指摘のとおり、地方消費税の充実を基本とした税源交換を行うべきと主張したところでございますけれども、消費税を含む税体系の抜本的な改革が見送られたということになりましたので、その税体系の抜本的な改革が行われるまでの間の暫定措置として、消費税一%に相当する約二・六兆円を法人事業税から分離して地方法人特別税を創設、地方法人特別譲与税として、収入額を人口と従業者数を基準として譲与するという形にいたしまして、結果的に、消費税との税源交換を行った場合と近似した是正措置を講じたということになったわけでございます。

奥野(総)委員 いろいろな事情があって、ある程度、東京都の余っているお金を、一兆四千億円ですか、地方に再分配しようという、そこが出発点であったやに聞いていますが……(発言する者あり)応援ありがとうございます。珍しく応援をいただきました。結果こうなってしまった。

 あくまで暫定的な措置ということで当時も規定されているわけでありますし、最初に申し上げました税制抜本改革法の七条においてもちゃんとそこは書かれておりまして、地方法人特別税と譲与税については、税制の抜本的な改革にあわせて抜本的に見直しを行う、これは将来的に廃止をするんだ、その将来というのはいつかというと、地方消費税の充実にあわせてやる、ありていに言うと、こう書いてあると思うんです。

 そこで、伺いたいんですが、今回、ある意味中途半端な結果になっていますね。せっかく、地方消費税の充実、こういうタイミングでありますから、今一気に地方法人特別税及び譲与税を廃止して、全部地方法人税の方に移管するというやり方もあったかと思うんですが、なぜ今回、ある意味、法律の縛りがあるにもかかわらず中途半端な結果に終わったのかということについて伺いたいと思います。

新藤国務大臣 これは税制抜本改革法の規定によりまして、地方消費税の税率引き上げにあわせて、恒久措置として法人住民税法人税割の地方交付税原資化が行われ、一定の偏在性の是正が行われることに伴って、同じく、税制抜本改革法第七条第五号イの規定に基づいて、地方法人特別税・譲与税についても、これに応じた抜本的な見直しが必要であるというふうに私も考えております。

 しかし、この地方法人特別税・譲与税制度については、全国知事会からも、当該制度が有する偏在是正機能を他の偏在是正措置で確保するという条件つきながらも、基本的には廃止すべき、こういう意見もいただいており、また、東京都などは同制度の廃止を強く求めているところでございます。

 その上で、この抜本的な見直しの方向というのは、廃止する方向で検討すべきであるが、税制抜本改革の途中である消費税八%引き上げ時での対応としては、廃止ではなく縮小の方向ということが検討すべきとされました。

 また、今回の交付税原資化による偏在是正措置は、地方消費税増収分への対応を基本としております。地方法人特別税・譲与税制度に代替できるほどの効果を有しないこと、さらに地方税の総額を確保する観点も重要であるということ、こういったものを総合的に勘案いたしまして、法人住民税の法人税割の一部国税化に見合った形の地方法人特別税の約三分の一程度の規模の税源を移すことにより、したがって、地方法人特別税の規模は三分の二に縮小した、こういうことになっております。

奥野(総)委員 今御説明ございましたけれども、地方法人特別税のうちの三分の一の財源を地方法人税の方で賄う、こういうある種妥協案という形になったかと思います。

 恐らく、背景には、東京都は、一刻も早くやめてくれ、一方で、市町村の側は、自分たちのところからというよりは東京都から持ってこい、そういうやりとりがあった中のある種妥協という、これは私の言い分ですが、というふうに理解をしております。

 しかし、与党の税制改正大綱の中では、消費税一〇%段階においては、地方法人特別税と譲与税を廃止するというふうに書かれておられますが、これはそういうことでよろしいんでしょうか。

新藤国務大臣 これは、その方向で検討する、そして代替財源を確保する、こういうことであります。

奥野(総)委員 これは、先ほど申しました偏在性の是正、あるいは変動の少ない税収という意味で、最終的にきちんと交付税化していくということで、ぜひお願いしたいと思います。

 それから、この話題の最後のところで、先ほど外形標準化とかそういう話をさせていただきましたけれども、地方税のあり方としては、そういう方向に、法人所得課税がそっちの方に流れていく、一つは交付税の原資化していく、そして、残りの分についても、だんだん外形標準化に向かっていくんだろうということが、地方法人課税のあり方等に関する検討会報告書の中にも、将来、地方税のあり方ということで、おおむねそういうふうに書かれていたかと思います。

 先ほど局長の答弁にもありましたけれども、外形標準化というのは、一つは、赤字法人にもかけるということで、非常に反発も強い面があると思います。一方で、今問題になっている法人実効税率の引き下げには寄与するということだと思うんですね。諸外国でも、法人実効税率を引き下げて税収がふえた例があるという説明もありますが、こういう場合でも、やはり課税の対象を広げたり、そういうことをいろいろ努力しているということなんですね。

 ですから、外形標準課税については、法人実効税率の引き下げの際にはこれは検討されるんでしょうか。大臣、どのようにお考えですか。

新藤国務大臣 これは、地財審に設置をいたしました地方法人課税のあり方等に関する検討会、これが昨年の十一月に報告書を取りまとめております。

 交付税原資となっている消費税を地方消費税とし、そのかわりに法人住民税を交付税原資とする税源交換を基本的な目標と位置づけているわけです。そして、地方法人所得課税は、税収の偏在性が大きく年度間の税収の変動が大きいこと等から、法人住民税法人税割については交付税の原資化、法人事業税所得割については外形標準課税の拡充を目指すべきというふうに報告されております。

 また、全国知事会からも、偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を図る観点から、まずは、偏在性が小さく税収が安定的な消費税と、偏在性が大きく税収が景気に左右されやすい地方法人課税との税源交換などについて検討すべきとの考え方も示されております。

 総務省としましては、これらの提言も参考にしながら、法人住民税、法人事業税がこれまで果たしてきた役割等を踏まえつつ、先ほどから出ております、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に向けまして、国、地方税制全体を通じて検討してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 最初に申し上げましたように、その方向性自体について私は賛成でありますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 ただ、最後に一点だけ、法人実効税率の引き下げを検討されておられますが、これは三五から二五というふうに言われていますけれども、中国、韓国が大体二五%台ですか、それからイギリスが二四、シンガポールは一七で、アメリカは州によって違うみたいですけれども、財務省の資料を見ると四〇・七五%ということでありまして、アメリカは必ずしも低くはないわけですね。

 これは、日本があと一〇ポイント引き下げるのにおよそ五兆円の財源が要る、こういうふうに理解していますが、下げても、多分、ほかの人件費とかコストを考えたときに、中国とかに比べて勝負になるかというようなところもあると思うんですね。だから、もちろん下げるにこしたことはないんですが、下げたからといって、直ちにそれが、日本の製造業が日本に戻ってくるとか、あるいは成長戦略に大きなプラスになるというわけではないような気がいたします。そこは慎重にお考えいただきたい、これは私の意見でありますけれども。この話題はここで終わりにしたいと思います。

 済みません、余りお待たせしてもいけないので、NHKの経営委員長と会長に来ていただいていますので、伺いたいと思います。

 先ほど原口委員の方からもお礼を申し上げましたけれども、前倒しで経営委員会の議事録を一部、我々が求めていた部分をお出しいただいたことについては、本当に感謝をいたしたいと思います。きょうは、それについて、前に私も質疑をさせていただいたので、続きということで伺いたいと思います。

 最初に、経営委員長に、先ほどの福田委員との質疑の中で一点気になったことを伺いたいんですが、福田委員の質問の中で、会長の罷免について議論があったんじゃないかという質問に対して、それは、忌憚のない意見をするために議事録を残さずというような言い方をされたかと思うんですが、経営委員会については、原則というか法律上、議事録を残せ、こう書いてあるわけでありますが、そことのそごについてはどう御説明なさるんですか。経営委員会の議事録を残さない、そういうことはできるんですか。

浜田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、放送法第四十一条では、「委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない。」というふうに定めています。

 一方、議事録は、原則として発言者及びその発言内容を記載いたしますが、個人情報や人事にかかわる機密情報、それから、公表することによりその審議等が円滑に行われることを阻害するおそれがあるものなどについて非公表とさせていただく場合がございます。

奥野(総)委員 では、先ほどのお話は、それに該当するので議事録は残さないと。そういうことがあったのかということについては、先ほどの答えだと、議事録には残せないんだ、少なくとも、議事録には載せられないような部分があったということですね。

浜田参考人 議事録に残すとか残さないということではなくて、公表しないということを前提で議論しましたので、公表は差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 わかりました。

 それで、公表の部分について、二月十二日の経営委員会の議論についてということで少し伺いたいと思いますが、これを見ますと、美馬委員の方から発言があって、欠陥商品あるいは不祥事などが生じた際には、発生発覚後の対応によっては組織の信頼が失墜することがあるように、今回のことは、公共放送機関としてのNHKの存亡にかかわる事態に発展する可能性もあると考えています、そこで、具体的な今後の対策や組織体制を教えていただきたいと。クライシスマネジメントという言い方をされています。これは非常に真っ当な御意見だと思うんですね。非常にいい質問をされていると思います。

 これに対して、会長の方からは、議事録を読んでください、ぜひこの前の記者会見のテキストを全部見ていただきたい、ぜひ一回見ていただきたいということを繰り返しおっしゃられて、美馬委員が、もう十分読みましたとお答えになられたのに対して、それでもなおかつ私は大変な失言をしたのでしょうか、こう言われております。

 この部分について、議事録にも出ていますが、この発言の意味というのは、もう一度お答えいただきたいと思うんです。

籾井参考人 お答えいたします。

 御指摘いただいた経営委員会での発言は、就任会見の際の私の発言の真意を経営委員の皆様にしっかりと御理解いただきたい一心で申し上げた部分でございます。

 その真意とは、就任会見の際にも冒頭で述べました、放送法を守り、公平公正な放送を行っていくということでございます。個人的見解の部分がクローズアップされてしまったことで、就任会見で一番伝えたかったことがきちんと伝わらなかったのではないかと思い、申し上げました。

 さらに誤解を生む結果になってしまいましたが、国会における発言の重みについては十分自覚しており、NHK会長としての発言については、慎重かつ誠意を持って行っていきたいと思っております。

奥野(総)委員 そういう答弁を、この議事録の中にも、経営委員会の中で述べられたやに書かれております。

 ただ、この美馬委員へのお答えの中でこういう部分がありまして、「ご承知のとおり私が個人的意見として申し上げたことが、記者会見では認められなかったわけです。認めるも認めないも、私はそういう場であれするかどうかは分かりませんが、そういうことだったので、ぜひ一回見ていただきたいと思います。」ちょっと後段は意味がわからないのであれなんですが、ある意味、正確な議事録を出していただいているのかなと思いますけれども。

 これだけ見ると、自分が個人的意見として申し上げたことが認められなかった、正しいことを言っているんだけれども、それは記者団に伝わらなかったんだというふうにも読めるわけですね。自分が正しいことを言っているのに、なぜそれが殊さら問題として取り上げられているのかというふうにこの部分は読めるんですが、そうではないのですか。

籾井参考人 私は、衆議院、参議院、いろいろな場面で出ていき、いろいろな質問に答えております。要するに、何を言われているかということ、私が個人的に言ったことの一つ一つについて質問されております。

 御承知のとおり、私が個人的意見として申し上げたことが、記者会見では認められなかったわけです。そういうところで、認める認めないも、私は、そういう場であれするかどうかはわかりませんが、そういうことだったのか、こういうふうに申し上げたわけでございます。

奥野(総)委員 そこの意味がよくわからなくて、認められなかったというか、内容について、従軍慰安婦も含めて、正しいことを言っているのに、それを記者団に受け入れられず問題にされたのが残念だというふうにも読めるんですが、そこはどうですか、どういう趣旨として言っておられるのか。

籾井参考人 お答えいたします。

 会見で申し上げたかった私の真意は、放送法を守り、公平公正な放送を行っていくということですが、当時、私の真意とはほど遠い報道がなされていたということに対して、私の真意、気持ちを理解していただきたいという一心で申し上げたわけでございます。

奥野(総)委員 これを繰り返してもまた同じ答えが返ってくるだけなので、もう聞きませんけれども、この部分だけ読むと、自分は正しいことを言ているのにどうしてわかってくれないんだというふうに私は読めるんですけれども、本人は答えていただけないので、これ以上言うのはやめます。

 その後に、国会に行って何回も説明しているんだ、まずこの場を乗り切ろうかと思います、こう書かれています。

 実は、この委員会は十二日なんですが、二月七日の参議院の総務委員会では、発言をちゃんと取り消して、謝罪も済んでいるわけでありますけれども、一方で謝罪しながら、一方で、経営委員会という公の場でこういう発言、国会を乗り切ればいいんだという発言はちょっと国会軽視のような気もするんですが、いかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 国会同様、経営委員会におきましても、私は、何回も、私の個人的な発言についておわびをいたしております。それに対して経営委員長からも厳しいお言葉をいただき、私は、それに対して、それを真摯に重く受けとめて、今後、NHKの会長を全うしていきます、こういうふうに答えております。

奥野(総)委員 この後の議論の流れですけれども、その後、美馬委員が、再度、組織としてどうしていくのかお聞きしますということについて質問していますが、それに対してのお答えが、直近として営業で収入減が起こるとすれば、それを回復していくということです、原始的に思えるかもしれませんが、営業でカバーするのが一番だと思っています、対策をどうするかということについては、正直よくわかりません、こう答えておられるわけですが、これは、これだけいろいろ会長の発言が話題になっている中で、対策はわからないと。

 受信料が減るかもしれない中で、何か対策は考えておられないのですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 そのときに対策がわからないと申し上げましたのは、要するに、通常いろいろなことがあるんですが、例えば不正が起こったとかそういうことについては、私は、十分その対応については熟知しておりますが、こういうふうに私の発言がいろいろな波紋を呼んでいるということは、最初は全く初経験でございましたので、対応はわからないと申しました。

 しかしながら、対応はわからないと申したんですが、あと、受信料が減ったらどうするんだということについては、私は、基本的にこれは本当に営業しかないわけでございますから、営業でやります、こう言ったんです。やはりNHKの信頼回復のためには、放送法に基づいたきちんとした放送を続けることが何より大切だというふうに思う趣旨で発言をしたわけです。

 その上で、営業部門の専門能力を最大限発揮して対応に当たるのが最善の方法だと申し上げました。営業部門のみに対応を任せる意図で発言したものでもなく、私も含め、一丸となっていい放送をすることに加えて、営業活動もやっていき、営業収入が落ちないように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 やはり、トップの発言でこれだけ問題になっているわけですから、それを営業で挽回しろと言うと、営業の方はかわいそうですね。せっかくここまで受信料収入がふえてきている中で、営業の方に、おまえら頑張れ、おまえらやるんだと言われたら、やはり営業の人もがっくりくると思いますよ。むしろ逆効果じゃないですかね。そうじゃなくて、やはりトップが先頭に立って、今回の不祥事についてちゃんと謝罪をして、説明責任を果たすことこそ求められているんじゃないでしょうか。

 過去も、会長が、テレビの前で、NHKの前で謝罪をしたこともあります。某やめられた前の会長ですね。不祥事に際して、トップが頭を下げてNHKの中で謝った例もあるわけであります。ですから、会長、わからないと言うんじゃなくて、やはり、自分の発言でこういう問題が起きているわけですから、そこについてはきちんと、NHKという公器、テレビがあるわけですよね、そこに御自分で出られて、御自分の真意があると言うなら、真意をきちんと説明して、謝罪をして、それをきちんと国民に説明すべきじゃないですか。国民だけじゃなくて、また、国際社会もですよ。これは国益に反するような事態にもなっているわけですから、世界に向けてきちんと発信すべきだ。

 自分の真意はこうだ、百田委員の発言も含めて、会長の発言も含めて、個人的な意見だ、NHKという組織の意見じゃなくて、私見を言ってしまった、自分の本意は、そういうことを番組に反映させることじゃない、放送法にのっとった放送をやっていくことが本意だということをきちんと御自分で国民に訴えたらどうですか。それが、私は、トップの果たすべき道だと思いますし、トップの資質だと思うんですが、いかがでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたように、私は、営業で頑張ると申しましたが、何も営業部門だけに任せるとは言っておりませんで、私も含め一丸となって、営業収入が落ちることのないよう取り組んでまいりたいということで、先ほど申し上げました。

 それから加えて、今の後半の部分でございますが、これについては、仰せのとおり、何らかの形で、私は、視聴者の皆様にきちんと説明する機会を設けたいというふうに思っていますが、今こういう状態でございますので、もう少し待って、国内外に発信したいというふうに思っております。

奥野(総)委員 まあまあはっきりと、国内外に真意を伝えるとお約束をいただきましたので、そこはぜひ、国益に関することでありますし、また、このNHK、せっかく信頼を取り戻したNHK、その信頼にもかかわることでありますので、お約束どおり、きちんとした言葉で語っていただきたいと思います。ぜひお願いしたい。

 そしてもう一つ、やはり、一丸となってとおっしゃるからには、再三申し上げていますが、もしこの発言が原因で受信料収入が下がる、来年度の事業計画が達成できないというような事態になれば、やはり私は、責任をおとりになる、そのぐらいのことをきちんと宣言して陣頭指揮をとるべきだと思います。それがトップの姿勢だと思いますが、改めて、いかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 いろいろなアドバイス、ありがとうございます。いろいろ参考にさせていただきたいと思います。

 現在、一刻も早い事態の収拾に向けて、役職員一丸となって取り組んでおります。私としては、NHKの信頼回復のためにも、放送法に基づいた放送で公共放送の使命をしっかりと果たしていきたい、こういうふうに思っております。全力で取り組んでいくことが会長としての責任を果たすことだというふうに思っております。

奥野(総)委員 私がなぜきょうも重ねて質問をしたかというと、この議事録を読むと、その会長の真意というのが伝わってこないんですよね。国会の場でさえ言っておけばいいとか、そういう雰囲気、これは私のまさに私見なんですが、そういう印象を受けてしまうわけであります。そういったことのないように、きちんと説明責任を果たしていただきたいと思います。この質問については、ここで終わりにしたいと思います。

 それから、もう一点だけありました。受信料の話で、きょうの毎日で、長谷川三千子経営委員が二〇〇五年に受信料の支払い拒否をした、こういう記事が出ておりました。「クローズアップ現代」の中身が偏向報道なので拒否するんだと、「正論」という雑誌の平成十七年に確かに書かれてありますが、これについて、そういうことを言う方が経営委員でおられるということについて、会長、どう思われますか。

籾井参考人 申し上げます。

 経営委員の方には、委員就任時に受信料制度について御説明し、御理解をいただくようになっております。長谷川委員につきましても、受信契約をいただいていると承知いたしております。

浜田参考人 そのような報道がなされていることは承知をしております。本人も反省をしており、かつての自分のように仕組みを知らない人に知ってもらうようになってほしいとも述べられており、特に問題にすることはないという認識を持っております。

奥野(総)委員 そういうNHKに対する理解のない方が経営委員をやっておられること自体、私は、かなり任命に問題があったんじゃないかと思います。また、こういった報道についても、だから払いたくないんだという方が出てこないように、先ほど説明責任と会長はおっしゃいましたけれども、きちんとその説明の中で、国民に向かって説明していただきたいと思います。

 以上で、NHK問題、きょうは終わりたいと思います。

 最後に、地方団体の非正規……

高木委員長 奥野委員、もう終了時間になっておりますので。

奥野(総)委員 済みません。

 これで終わりにしたいと思います。

高木委員長 午後三時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 刻みたばこというものがあります。昔は「みのり」とか「ききょう」とかというものがありました。一服一服、きせるで吸うわけなのであります。今回の委員会は、刻み刻みの質問ということになっております。私の場合は、いい煙が出るような質問はちょっと無理かもしれませんが、通告に従い、地方交付税について順次質問していきたい、こう思います。

 地方交付税制度でありますけれども、これは昭和二十九年度に創設されました。ことしで六十周年を迎える節目の年であります。これほどの歴史を持っていながら、いまだに地方交付税についてはよくわからないといった意見を聞くこともございます。

 そこで、この地方交付税はなぜ普通交付税と特別交付税に分かれていて、それぞれどのような役割を果たしているのか、まず初めにお尋ねいたします。

佐藤政府参考人 地方交付税は、地方団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう、その財源を保障するためのものでございます。

 このうち、普通交付税は、全国普遍的で標準的な財政需要を基準財政需要額という形で算定し、交付するものであります。これに対して、特別交付税は、災害関係経費などが典型ですが、普通交付税の画一的な算定方法では捕捉できない特別の財政需要があることなどの事情を考慮して交付するものでありまして、これは普通交付税を補完する役割を果たしているということでございます。

黄川田(徹)委員 地方交付税、財源調整と財源の保障、そして地方の固有の財源であること、それぞれ役割があるということでございます。

 それで、まず普通交付税についてでありますけれども、普通交付税は非常に複雑だという話をよく聞きます。複雑で誰も理解できないから簡単にすべきだとの意見も多いわけであります。

 確かに、理解するのは骨が折れるわけでございますけれども、もうこれは全国津々浦々、二百人の村から人口一千万を超える東京都まで算式で計算するのでありますので、多少の複雑さはやむを得ない側面もある、私はそう思っております。

 現に、ここまで複雑になったのは、自治体が毎年度総務省に意見を提出するなど、自治体が望んできたことも要因ではなかろうかとも思っております。毎年度の地方側からの要望の積み重ねでここまで複雑になってきたのではないかと私は思うところであります。

 そこで、地方側からの要望の代表例を一つ挙げたいと思います。

 今国会でも、合併算定がえの終了に伴いまして、普通交付税の算定の見直しが行われることが表明されておるわけでございます。合併団体は、国の大きな政策に従って、大変な苦労の末に、血のにじむような思いで合併にこぎつけております。今でも、合併は失敗だったのではないかとの批判も受けながらも、日々の行政運営に苦労しているところもございます。

 そこで、質問でございます。この合併算定がえ終了後の普通交付税の算定見直しに関して、総務省の説明では、旧市町村の役場を支所とみなして、支所の経費を算定するとしております。多少算式が複雑になっても、しっかりと合併市町村の納得感が高い、そういう算定とするべきだと私は考えておりますけれども、総務省の対応はどうでありましょうか。

佐藤政府参考人 合併市町村におきましては、合併時点では必ずしも想定されていなかったような財政需要が生じております。この支所というのが典型的なものでありまして、実態調査をしましたところ、九割を超える団体で旧市町村単位に支所が置かれているということがわかりました。

 この支所は、住民サービスのいわゆる窓口業務ということだけではなくて、旧市町村地域のコミュニティーの維持ですとか地域の活性化というようなものにも取り組んでおりますし、また、災害時の拠点として、小さい単位での拠点が必要だという意味での重要性も増しているというような事情もあります。

 したがって、こうした点に鑑みて、総務省としましては、合併による市町村の姿の変化に対応した交付税の算定をしようということで、基準財政需要額の算定全般について見直しを行うことにいたしました。二十六年度以降、五年間程度の期間で見直しを行いたいと考えております。

 見直しは全体に及ぶわけですけれども、御指摘の支所については、二十六年度から先行してやりたいというふうに考えております。これは、旧市町村役場を支所とみなした上で、標準的な支所に要する経費を設定します。今のところ、具体的には、実態調査を踏まえて、所管区域の人口が八千人、職員の設置などから、所要の経費が二・四億円というふうな標準経費を設定いたします。

 ただ、これも、実態を見ますと、所管区域の人口が多くなれば職員数も多くなるという傾向、それから、本庁からの距離が遠くなればなるほど職員数、仕事の量も多くなっているという実態がありますので、こうしたことに着目をして、標準的な経費を設定した上で補正をしたいというふうに考えております。

 こういう形で、地方団体の御意見も伺いながら、具体的な成案を得ていきたいというふうに考えております。

黄川田(徹)委員 今、その対応をるるお話しいただきましたが、これは通告していないのでありますけれども、この対応について、合併自治体はどのように評価されておりますか。わかっている範囲でいいですので。

佐藤政府参考人 説明会をしましたり、いろいろな場面で、今のところの検討の経緯、それから今のところの我々の案を説明いたしております。

 支所についてはおおむね好意的な御意見をいただいておりますが、細かな点ではいろいろ改善してほしいという意見もいただいております。

 それから、我々、見直しは支所だけではありませんで、来年度以降、さらに実態調査をした上で、人口密度による需要の割り増しでありますとか標準団体の面積の見直しというようなことにも取り組みたいというふうに考えておりまして、支所はその第一弾ということになります。合併した団体からは、第二弾、第三弾の見直しにさらに期待するというふうな声も多く聞かれております。

黄川田(徹)委員 それからもう一つ、算定の複雑さといいますか、ちょっと取り上げますと、小泉政権で三位一体の改革が行われました。その際に、保育所とかあるいはまた養護老人ホームなどの補助金が廃止されて、税源移譲されたところであります。

 そのときも、地方税だけでは格差が生じるから、自治体間で損得が生じないように、地方交付税で複雑な算定方式を導入することによりまして調整することとなったと私は思っております。そのときには、複雑だと批判する人はほとんどいなくて、もっと丁寧にしっかり計算しろ、こういう大合唱であったのではないか、こう思っております。

 そこで、お尋ねいたします。

 普通交付税の算定は、例えば地方の要望で複雑になっているのではないかと考えるのでありますけれども、単に複雑だから問題だとの批判について、総務省、これをどう考えますか。

新藤国務大臣 これは、食わず嫌いといいますか、中身がわからないととても複雑でわかりづらい、こういうことだと思うんです。

 でも、自治体の実際の運営に携わっている方たちからすれば、できるだけ自分たちの町の状況を精緻に把握して、そして、その中で自分たちの求めるものを反映させたいということになれば、これは当然精緻なものにならざるを得ないということであります。

 ですから、無駄があったり形式的なものであってはいけない、このように思いますけれども、しかし、各自治体の実態把握をした上で財政需要を見て、それに必要な財政を調整し、また保障する、こういう観点からすれば、これはこれまでもさまざまな工夫をしていましたし、結局、私も、何かすぐ問い合わせをすると、もうかなりの細かい話を自治体とやりとりしているわけなんですね。そういう中で、よりよい地方自治の進展に貢献をしていきたい、このように考えております。

黄川田(徹)委員 さて、ことし導入する地域の元気創造事業費の算定でありますけれども、これは地方の理解を得て導入しておるのか、ちょっと疑問点もありますので、以下、御質問させていただきたいと思います。

 地域の元気創造事業費は、一つには、行革努力の取り組みを反映するために、職員数の削減率やラスパイレス指数等を使って算定する、二つには、地域経済活性化の取り組みを反映するために、製造品出荷額や農業産出額等を使って算定すると説明されておるところでございます。しかしながら、これらは、これまでの普通交付税の算式とはちょっと違う側面があるのではないか、こう思っております。

 普通交付税は、本来、自治体にどんな財政需要があるのか、すなわち、どんな支出が必要とされているのかを考えて計算式をつくっていくものだ、こう思っております。しかしながら、地域の元気創造事業費は、行革努力による算定に見られるように、自治体の財政需要に着目せずに、自治体の頑張り、そこのところを評価しているように思えてなりません。

 この頑張りなのでありますけれども、例えば、行革努力によりまして職員を削減するのが、本当に評価されるところがあるのかどうかというところなのであります。例えば、東日本大震災でもって、被災地では、震災前には職員を削減するなど、職員の余裕がなくなって、いざというときにさらに対応が大変な状況になったであるとか、あるいはまた、危機管理に対応できるような職員をある程度抱えて行政をするのも、あるいはまた、絞りに絞ってぎりぎりの人数で行政を運営するのも、これは自治体の選択の問題ではないか、こう思っておるわけなのであります。これがいいとか悪いとか、評価というのはどのようなものかというところも一面あるのではないかと思っております。

 これは、経済活性化による算定にも言えるような気がいたします。経済活性化のために企業誘致を頑張るのも、過疎地において高齢者が健康で暮らせるために福祉を充実するのも、これもまた自治体の選択の問題ではなかろうか、こう思っております。

 そこで、お尋ねいたします。

 地域の元気創造事業費における普通交付税の算定は、自治体の自由な政策選択をちょっと損なうようなところもあるのではないかという気がするわけでありますけれども、これはどのような目的で、どのような効果を狙って導入するのか、改めてお尋ねいたします。

新藤国務大臣 まず、この地域の元気創造事業費、これは、今年度は、地域の元気づくり事業費ということで、二十五年度に創設したものであります。それは、地方公務員の給与削減の協力に見合った中で、地域の活力が落ちないように、こういうことで、緊急防災・減災とあわせて、この元気づくり事業費というものを創設させていただきました。これが、三千億円用意したわけであります。

 もう公務員の給与の削減の、これはもとに戻すことになりましたから、財源がありませんので、今年度の制度はもう根拠を失ったわけなんです。したがって、これはもうなくなるわけです。しかし、私とすれば、これは、そもそもが給与削減の見返りで設けた事業ではありません。それはそれで、地域に元気になってもらいたいということでつくったものでありますから、そしてまた、地域の活性化のニーズというのはむしろどんどん高まっているわけでありますから、そういったことで、ぜひ、これを地方財政計画の中で新しい制度として位置づけたい、今年度は給与の削減に見合ったということでありましたけれども、今度は一般行政経費の中で三千億を立てて、かつ、さらに五百億円を増額して、三千五百億円の枠をつくったということであります。

 ですから、委員が今お尋ねの、通常の行政運営に対する財政需要は今までと同じように見ているわけですから、交付税は今までのように行くわけであります。でも、それに加えて、行革努力をやったところ、頑張った自治体、頑張った人が報われる、こういう政策をやっていきたい、それによって皆さんが頑張れるようになってほしい、こういう思いがあります。

 そして、その中で、行革の努力の部分が三千億ぐらいです。それから、あとは、新たに、削るだけではなくて、みんなで頑張っていろいろな経済指標を上げる、人口をふやす、そういったいろいろな、町を元気にするんだ、こういう観点で計画を持っているところには五百億を配分しよう、こういうふうに考えたということであります。

 これは、プラスアルファの部分で、地財計画の全体の枠の中に入っていますけれども、新しい位置づけとして、そういう自治体の自助努力を促すための制度と御理解いただければありがたいと思います。

黄川田(徹)委員 私も、総務委員会しか行くところがないものですから、総務委員会におるわけでありますけれども、総務省は普通交付税についてこのように説明してきたと私は理解しております。

 普通交付税は、人口や面積といった客観的指標により計算している、実際の自治体の予算の収支差を穴埋めしているわけではない、だから、自治体が行革で歳出を減らしても交付税が減るわけではない、行革すればするほど、自治体は手元にお金が残り、自由に使える財源がふえる、したがって、普通交付税は、自治体が頑張って行革を行うほど得をする仕組みであると。だとすれば、自治体が行革努力をするほど普通交付税をふやす仕組みをまたさらに改めて導入するというふうな考え方も、ちょっとひっかかるなというところであります。

 本当はこれに対して答弁をと思ったんですが、きょうは普通交付税だけじゃなくて特別交付税も行きたいと思いますので、時間がないものですから、ちょっとひっかかるな、そのひっかかり方がいいか悪いかはまた別にして、述べてみました。

 もう一つなのでありますが、この地域経済活性化に関する算定でありますが、製造品出荷額や農業産出額をふやすほど交付税がふえる仕組みとなっておりますが、これを公平に算定することが本当に可能なのかなというところもあります。

 例えば、製造品出荷額を考えてみると、これは、企業誘致によってふえることもあるでしょうが、通常は、例えばトヨタが円安で輸出がふえるといった、自治体の努力と関係ない要因の方が大きいのではないか。あるいはまた、農業産出額は、例えば、今回の大雪、関東圏の大雪のような災害があって大きく落ち込むこともある。努力しても、自然災害によって減少したら、交付税は減るのだろうか。その場合、どうするのだろうか。

 そう考えてみると、地域経済活性化の指標は、自治体の頑張りだけではどうにもならないケースがあるのではないか、こういう一面もちょっと指摘させていただいております。

 また、例えば、国による特区の指定などで、特区の指定地域だけが活性化するケースもあるだろうし、仮にTPPで関税が引き下げられれば、地域によって影響が変わってきます。国策により地域によって有利、不利が出てくることは避けられないのではないかとも思っております。

 そこで、地域の元気創造事業費における地域経済活性化の算定は、円安や海外経済などの周辺情勢による影響、あるいはまた自然災害による影響など、自治体の努力によらないことで変動する可能性が高く、この公平な算定は大変ではないかと思うのでありますが、お答えください。

佐藤政府参考人 この地域経済活性化の指標としてどういったものを使ったら適当かということについては、我々、事務的に随分検討いたしました。結果が、今おっしゃったような指標を一応使うという案をつくったわけであります。

 確かに、御指摘のように、これらの指標は、必ずしも地方団体の取り組みがそのまま反映されるとは限らないものでありますし、他の要素で変化するということも十分考えられるものになっています。したがって、これらの指標を使うにしても、算定に当たっては工夫が必要だと我々は考えております。

 今のところの考えとしては、できるだけ多くの指標を採用しようということと、特定の指標に大きなウエートをかけることはしないというようなことで、地方団体の努力を多面的に反映しようと考えております。

 それから二点目は、条件が不利な地域であっても、取り組みの成果がきちんと評価されるように、指標の絶対値ではなくて、伸び率というものを全国の水準と比較するというような方法をとってみてはどうだろうかというようなことも考えております。

 それから、自然災害などの個別要因による年度間の変動ということをできるだけ排除するために、例えば単年度ではなくて三年平均の数字を使うというようなことも考えております。

 こうしたことをあわせて、なるべく御指摘のような懸念が生じないような算定をしていきたいというふうに考えております。

黄川田(徹)委員 よく、地方団体と風通しのよい意見交換をして、よりよいものにしていただきたいと思います。

 それでは、次に特別交付税についてお尋ねいたします。

 実は、昭和二十九年度は普通交付税の割合が九二%で、そして特別交付税の割合が八%だったわけであります。昭和三十三年度に特別交付税の割合が六%に引き下げられ、現在に至っておるということであります。

 これは、普通交付税の算定が、昭和二十九年度に創設されたときよりも精緻になってきたことから、特別交付税で算定してきたことも普通交付税の方で算定できるようになってきたからだと言われております。

 以来、昭和三十三年度から五十年以上にわたり特別交付税の率は六%であったわけでありますけれども、これを四%に引き下げる法改正が平成二十三年に提案されました。四%に引き下げる時期はその後延長されてきたわけでありますが、現在でも、引き下げる規定は残ったままであります。

 そこで、そもそも平成二十三年に特別交付税の率を六%から四%に引き下げようとしたその意図、理由は何だったでしょうか。

佐藤政府参考人 当時、法案を出す前に地方財政審議会から意見が提出されております。この当時、地方財政審議会でこの特別交付税のあり方についての議論が行われた結果としての意見でございます。これによりますと、特別交付税は、算定方法が不透明とか交付額が固定化していないか等の批判もあり、特別の財政需要に対応するという本来の役割に照らして、現在の総額に占める割合が適切な水準かどうかを再点検し、必要な見直しを行うべきであるということでありました。

 したがって、これを受けて総務省内で検討いたしました結果、地方交付税の算定方法を簡素化する、あるいは透明化するという取り組みの一環として、この際、特別交付税の割合を引き下げようということにしたものでございます。

黄川田(徹)委員 平成二十三年でありますよね、交付税を六%から四%に引き下げようとした。その年の三月十一日に東日本大震災が発生しまして、当時、閣法が出たのでありますけれども、議員立法によりまして率の引き下げを三年間延長しまして、平成二十五年度まで、今年度まで六%のままとする形に修正されました。そして、今般また二年延長ですか、現在の六%のまま延長することが提案されておるということでございます。

 そこで、今般、特別交付税の率を六%のまま、あと二年、二十七年度まで延長しようとするその理由をお尋ねいたします。

佐藤政府参考人 特別交付税の中で、やはり年度によって変動が大きい算定項目といいますのは、どうしても災害ということになります。近年、この状況を見ますと、集中豪雨ですとか豪雪などの災害に係る財政需要が増加しております。それから、近年の特殊事情として、東日本大震災に係る経費で、被災団体については震災復興特別交付税で対応していますが、これ以外の団体の経費、例えば職員の派遣に要する経費でありますとか、被災者の受け入れに要する経費、これらについては通常の特別交付税で措置をしておりまして、これらの措置額が全体としますと大幅に増加をしております。

 そこで、こうした事情の中で、今直ちにといいますか、法律に沿って五%、四%ということで下げていいかどうかということでございますが、我々とすればこれについては懸念がありますものですから、平成二十七年度までの東日本大震災の集中復興期間中は、なお現行の六%を維持することが適当だという判断をいたしまして、今回、法改正をお願いしているものでございます。

黄川田(徹)委員 お話しのとおり、東日本大震災だけではなくて、今回の大雪対策を見ても、特別交付税は極めて柔軟な制度でありまして、年度途中のさまざまな事情に対応できる制度だ、こう思っております。

 特別交付税は、自助、共助、公助という災害の三原則がありますけれども、自治体同士の共助の制度だと私は思っております。豪雨や大雪があれば、それ以外の自治体が多少我慢しても、被害があった自治体に特別交付税が多く配分される。しかも、大きな災害があれば、予算措置を改めて、補正予算とか関係なく、すぐに現金交付される仕組みでありまして、自治体にとっても心強い制度である、私はこう思っております。ともに助け合う制度ですか、そう思っておるわけであります。

 このように考えると、私も複雑な気もするわけであります。片山総務大臣のときではなかったですか、複雑だとか、あるいはまた、これを簡素化してもっと透明性を高めるとか、いろいろな議論がありまして、その方向性も私も納得するところがあるわけでありますけれども、最近、世の中の動きといいますか、自然災害等も含め、別に自然災害だけが特別交付税の措置というわけじゃないのでありますけれども、ちょっと世の中が変わってきたところもあるのかなと思って、二年の延長、それから、震災でも、震災復興集中五年間となっておりますので、二十三年度から二十七年度まで復旧復興の集中期間だということであります。

 最後にですが、二十八年度以降といいますか、まだ二十六、二十七も決まっていないのにどうなんだという話をされるかもしれませんが、二十八年度以降、特別交付税の率を引き下げることは、自然災害などの突発的な事情への対応や時代の変化に対応した柔軟な財政措置をやや困難にする可能性も出てきたのかなと思っているのであります。先の先のことは先の大臣に聞いてくださいと言われそうでありますけれども、今の新藤大臣のお気持ちをお尋ねいたします。

新藤国務大臣 まず、昨今のこれまでに経験したことのないような災害、そして雪の降っていなかった地域に大きな雪が降る、さまざまな、竜巻も含めていろいろなことが起きます。そのときに機動的な財政支援ができるという意味で、特別交付税の役割というのはますます大きくなっている、こういう側面があります。ですから、まず、今お出ししております地方交付税法等の一部を改正する法律案、これをぜひ成立させていただきたいというふうに思っているわけであります。

 そして、その上で、二十八年度以降のことにつきましては、それは二十七年度における、そのときの大臣が先頭に立ってそういった検討をするわけでありますけれども、少なくとも、今後の集中豪雨、豪雪などの災害発生状況、それから今委員もおっしゃいました東日本大震災からの復興の状況、そして特別交付税として確保されるべき額、こういったものをさまざま検討して取りまとめることになる、このように考えます。

黄川田(徹)委員 地方の要望を聞きながら、それに何とか応えようということで、普通交付税の算定も大変複雑になってきましたけれども、スクラップ・アンド・ビルドといいますか、時代時代に合ったニーズというのがあると思いますので、当然、簡素化に向けてしっかりと取り組まなきゃいけないということもありますし、それから、やはり透明性といいますか公開性といいますか、皆さんに明らかにするということが一番大事だと思っております。

 ただ、今、三十分ということで早足で質問しましたけれども、交付税もさまざまな歴史がありますし、いや、交付税よりも抜本的に、そんなものよりも別な制度設計はどうなんだという意見もあるでしょう。しかしながら、歴史的にこういうものがあるものですから、抜本的に直すにしてもいろいろな切り口があるということをそれぞれ共通認識としていただきたいということで、さまざまな課題があるということで、きょうは質問しました。

 以上で終わります。

高木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後四時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。百瀬智之君。

百瀬委員 長野県を選挙区としております百瀬智之でございます。

 一昨日に引き続きまして、本日も質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日のテーマ、地方税法等の一部を改正する法律案、また地方交付税法等の一部を改正する法律案でございますけれども、本日も、自動車税を初め、さまざまな税金の問題についてかんかんがくがくの議論がなされてまいりました。私も、国と地方のあり方について考えたとき、やはり税の配分、こういったことからもこの議論は重要だと思ってございます。

 御存じのとおり、先般、東京で都知事選が行われまして、舛添知事は、これから東京の問題についていろいろと進め、また改革も進めていかれることだと思いますし、大阪も改革が進んでおります。また、東京、大阪だけでなくて、日本各地でいろいろな改革派の市長さんたちが、日本をよくしようという思いでいろいろな取り組みを進められていることかと思いますけれども、こういった取り組みをいよいよ地域でも起こしていって、線から面へというステージに来ているのかなという思いをいたしております。

 そこで、まず冒頭に新藤大臣に、地域の元気創造プランにかけた思いについて一言いただきたいわけでございます。

 私も田舎の出身でございますから、私も含めて言うわけでございますけれども、今田舎で何が足りないかということで考えますと、建物かと言われると、建物は割と、足りないところもあるかもわかりませんけれども、そうでもない。お金かと言われると、お金も、足りないところもあるけれども、そうでもない。やはり私は、元気が一番ないのではないかと思っております。

 昔、元気があれば何でもできると言った人もいましたけれども、もっと言えば、こういった元気、よし、やってやろうという心持ちが田舎を持続させていく上でも大事なんだろうと思っております。こういった希望も託しての地域の元気創造プランかと思っております。

 午前中にも、活性化やICTや、それを国際展開するといった思いをいただきましたけれども、改めて、地域を活性化するという観点から一言いただけますでしょうか。お願いいたします。

新藤国務大臣 まず、日本を元気にする。それは、国力を回復して、そして国民が将来に希望を持って、目標を持って動けるようにしよう。これは全国民の願いだと思います。

 我々は、アベノミクスという言葉に象徴されますけれども、まずは経済を立て直すんだ、その中から国全体のものを見直していこう、そういう考えで政権をつくっていただいたわけであります。国民からの大きな期待をいただいている、責任重大だと思っています。

 これは、今回の内閣のみの課題ではなくて、もうずっと、二十年にわたって日本は先を見失ってきた。そういう中で必死でもがいてきたけれども、そしていろいろな問題点が明らかになってきて、私は、残るは実践だ、そして成果を出すことだ、このように思っています。

 一番必要なのが、マクロの経済の指標が上向いても、それぞれの、自分自身にその経済の発展、成長の実感がなければ、国民の満足は得られません。それからまた、企業や個人のダイナミズムというのは生まれないわけです。ですから、そのときに必要なのは、金融政策や財政出動を行って経済を立て直すとともに、それぞれの地域がそれぞれのやり方で元気になれる、活性化できる、そういう方策を進めていかなければいけない、これが目の前の課題です。

 もう一つは、私たちの国は、国家的な課題を抱えていて、少子高齢化の先に人口減少社会が訪れる。そして、国土は、過疎地がどんどんとふえて、地域から人がいなくなっていく。一方で、都市部には人が集まって、集中して、都市問題を起こしつつ、全体として人間が少なくなっていくんですから、これは必ず労働力が足りなくなってくる。消費志向の強い人たちが少なくなってくる。こういう課題に対してどのように対応していくか、こういう大きな、中長期の課題があると思います。

 しかし、これも、解決するのは、日本じゅうの人たちが、それぞれの地域で、自分のその場にとどまって、そして工夫をする。

 今委員がおっしゃったように、地方に足りないのは何かといえば、やる気とともに、その地方の目標なんですね。私はそう思っています。ですから、幾つかのモデルプランをつくって、成功事例をつくることで、それを刺激にして、いろいろな人たちが、自分たちの地域の将来というものを自分たちの手でつくり上げてもらえる、そのお手伝いをしたい。それが総務省の役割だと思っていますし、私は、地域の活性化担当大臣でもあり、地方分権を推進する担当大臣でもあります。そういう中で、研究をまずしてみようというので、大臣になって総務省の中につくったのが地域の元気創造本部です。

 これは、きょうは機会をいただいたので、余り今まで申し上げることはなかったんですけれども、有識者の会議をつくりました。でも、それとともに、実は非常によかったなと思っているのは、役所の中に、地域の元気創造本部の中には幹部をみんな入れたんです。

 それは、総務省というのは、郵政の人もいます、通信の人もいます、統計の人もいます、組織、人事管理の人もいます。旧自治省だけじゃなくて、全部の幹部が入れと。そして、統計がまちづくりに何の関係があるのかと思うかもしれないけれども、とにかく、どんな課題があるのか、みんなで入って勉強しようじゃないかと。その有識者の会議とともに、役所の中の、まさにうちは巨大官庁で、三つの省庁が合わさってできたところですけれども、それらの幹部が合わさって、いろいろなことをやりました。

 そうすると、まちづくりを進めていく上で、ICTでもっと新しいことができるんじゃないか、それから、行政の効率化を図る、地方の自治体の電子化を図るのならば、それは統計がやっていることのノウハウを入れられるんじゃないですか。やはり、総務省の中でいろいろな横串が刺されてくるんですね。

 そういう中で、今回できて、まずモデルプランとしてやってみようと進めているのが、地域の元気創造プランの中の地域経済イノベーションサイクルと、それから分散型エネルギーインフラのシステムと、そしてクラウドシステム、こういうものを入れたわけであります。

 それぞれの一つ一つには特徴があるんですけれども、少なくとも、今、地域の元気イノベーションサイクルの方は大きな効果が出始めています。最初に、モデルプランで六十七地区を指定しました。そこに、国の交付金二十一億、総務省の交付金を出しています。でも、この交付金を受け取るのは前提条件があって、同じ額相当を地域の金融機関から自分たちで融資を受けられる仕事に対して総務省がお金を出しますよ。二十三億円の融資が行われています。我々が考えた事業に対して、もう既に投資効果は倍なんです。

 かつ、地域の金融機関から受けた融資は返さなければなりません。銀行にお金を返しながら、収入、収益が出ていますから、それに対する税金が年間で二、三億払うことになるんです、二十一億の事業で。ですから、二、三億円ずつ各事業が税金を払っていただけるということは、十年間で、私たちが最初に出した二十一億は回収できる。まさにこれも、国の交付金のイノベーションサイクルなんです。

 自立性をつくって、それはいろいろなやり方があります。自分たちの地域の特産を使い、地勢を生かしていろいろな事業をやってもらう。こういう中で、まずはモデルをつくって、その成功事例をいろいろな人に知っていただいて、ああ、そういうやり方ができるのなら、うちの町もやれるよ、こういうことができるなら自分たちもトライしてみよう、こういう地域をふやしていきたい。

 それが、千七百の自治体に、横につながっていけることを期待している。そして、日本じゅうで、過疎地なら過疎地なりの元気をつくる。過疎地を助けて、今困っているから、維持するための支援だけじゃなくて、プラスアルファ、過疎地だけれども元気になる、こういう仕組みができないかというのを持っていろいろ出かけている、こういうことでございます。

百瀬委員 詳細にわたり、ありがとうございます。

 それぞれの地域でそれぞれのやり方が、こういったことは大変賛同するものでありまして、地域の方々も心強く思っているものと思っております。

 そして、今し方、分散型エネルギーインフラプロジェクトの方にも言及していただきました。私、本日は、この分散型エネルギーインフラプロジェクトについてお話をちょっとさせていただこうと思っております。

 エネルギーという観点からしますと、本日も予算委員会で、千葉県付近では天然ガスがとれるというようなお話もありました。今のお話ともかぶりますけれども、地域にあるものをエネルギーにして、効率のよい地域づくりをしていこう、こういった取り組みが今各地で進められていることだと思っております。

 そして、このプロジェクトもその一環だと認識しておりまして、このプロジェクト、マスタープランというものと予備調査実施団体というものが想定されています。そこで、これについて担当者の方にお話をお伺いしていきたいと思っております。

 まず、確認でございますけれども、この予備調査実施団体のモデル、幾つかございます。一から十まであるわけでございますけれども、このモデルごとにマスタープランというものは用意されているわけでしょうか。また、平成二十六年度にマスタープランの策定というものが予定されておりますけれども、このマスタープランはどれくらいの頻度で更新されていくことが予定されていますでしょうか。お願いいたします。

関政府参考人 お答えいたします。

 今、分散型エネルギーのプロジェクトの御質問がございました。

 まず、予備調査でございますが、今お話がありましたように、例えば中山間地のモデル、離島のモデル、あるいは庁舎とか公共施設を使ったモデルとか、十のパターンに分けて、今、三十一の地域で、これは手を挙げていただいたところから選びまして、進めております。

 これを受けまして、先般お認めいただきました二十五年度の補正予算でマスタープランの経費を六億円ほど計上しております。予備調査の結果が来週中にも私どもの方に出てまいりますので、それを踏まえて、マスタープランをどのように策定していくのかということを募集いたします。そこで審査をいたしまして、我々としては、できるだけそういう意欲のある、先導的な取り組みのものを選択したいと思っております。

 ただ、今、十のパターン全てかという御質問でございますが、これは、各自治体がどのように私どもの方にその内容を出してくるのかによって、そこで精査をして、進めていきたいと思いますが、できるだけ、ほかの地域も参考にできる、頑張れるんだというようなものを選んでまいりたいと思っております。

百瀬委員 このプロジェクトを私も大変応援したいという心持ちでおります。このプロジェクトが成功すれば、ある意味では、この日本でも、エネルギー革命になるのではないかなと思っているところであります。

 今まで、エネルギーというと、それすなわち電力かのように思われる節がありましたけれども、調べたところによりますと、エネルギーから電力にするまでに六割は熱だ、その熱は今まで捨てていた、そこをこれから活用していこうという、これは画期的な話だなと思いました。

 そして、手元の資料で恐縮でございますけれども、二〇一二年のエネルギー白書を調べたんですが、二〇一〇年度の家庭部門のエネルギー利用の内訳は、動力や照明など主に電気で賄えるものは三四・八%なのに対して、暖房二六・八%、給湯二七・七%、厨房七・八%、冷房二・九%、熱利用がほとんどを占めているわけであります。

 すなわち、熱を制する者はエネルギーを、そして経済をも制するのではないかなと思っております。

 もしも、私の地元、そして皆様方の御地元でも、熱を自分のところで供給できるようになれば、その熱は地元で買って、そして地元にお金を落とすということにもなりますし、その分、電気も余分に買わなくても済む、こういうことが言えるわけでございます。これは都市部でも田舎部でも変わらないことでありまして、一層の研究を進めていきたいと思うわけでありますけれども、そういった意味でも、この予備調査実施団体、大変注目しているわけであります。

 この熱の供給を都市部で回していこうというのが、恐らく予備調査実施団体の類型では四、六あたりかと思うんですが、一から五、そして六から八、また九、十といったあたりは、これは見方、類型によって違うのかなと認識しております。この予備調査の実施団体の三あたりでも、おもしろい事例があるのではないかなと思っておりますし、また、地熱も、地熱は地面からふわっと湧き出てくるわけですから、熱を利用しようとすれば、当然それは一番熱にしやすいわけで、こういったところの技術開発というものも進めてほしいなと思っているわけでございます。

 何か、実施団体の調査をしていて、これは有望だなと思われるような事例はあったでしょうか。まだ途中ですか。

関政府参考人 お答えいたします。

 私ども、正式な報告書は三月にいただくということにしておりますので、まだでございますが、今お話がありましたように、やはり一つは、エネルギーというのは必ずその地域にございます。お話に出た地熱もあれば、風力もあります。それから木質バイオマスもあります。やはり地域にあるものを使うということがそれぞれの地域で取り組んでいる一つのテーマになっております。

 もう一つは、熱供給、これが、以前はやはり集積のある地域の事業であると考えていたものが、比較的効率よくできる仕組みのようなものも研究されておりますので、そういうものもあわせて取り組んでいくということで、各地域いろいろ工夫を今しておりますので、それを十分我々も把握して対応してまいりたいと考えております。

百瀬委員 この前は大雪の質問もさせていただきましたけれども、もし町じゅうにそういった熱の配管とかをうまく配備することができたならば、大雪の災害も軽減できたり、そういったようなまちづくりもできるのかなと思っております。

 続けさせていただきますけれども、この熱の供給に関してでございますけれども、簡単に言えば、これは六本木ヒルズの拡張版ではないかと思ってございます。御存じのとおり、六本木ヒルズ内の各ビルのエネルギーのやりとりは、全部、森タワーの地下にあるプラントから二十四時間三百六十五日賄われているわけであります。冷暖房、給湯を行うのに必要な冷熱と温熱の供給と、また電気もそうでありまして、この六本木ヒルズのサイクルをもう少し大きくしていこう、これが都市部における熱供給のやりとりではないかと思っております。

 それを都市部に拡大していったときに、やはりいろいろな課題が出てくるんだろうと思っております。道路を掘り返すことにもなるかもわかりません。設備面からの課題、幾つか出てくると思っておりますし、また、既存の公共施設にも接続してもらいたいわけでございますけれども、そういった場合には受熱設備を整えるとか、そういったことも必要になってくるわけであります。

 そういったものもしっかりとマスタープランの中に組み込まれているのでしょうか。御質問いたします。

関政府参考人 お答えいたします。

 私どもが今進めている予備調査は、今御指摘いただいた項目の細かい詰めまでは進まないで、その手前で出していただくことになりますが、マスタープランになりますと、実際にその事業を進めていかなければいけません。

 そうなりますと、例えば、六本木ヒルズでは成功しているというものが、少し地方の中心的な都市でできるかどうか、そういうものについては、そのマスタープランの中できちっとした計画をつくっていただく必要が出てくると考えておりますので、可能性は十分あると思いますが、その辺をどのように各地域で検討されているのかということを我々十分お聞きして、対応してまいりたいと考えております。

百瀬委員 都市部でもモデルを幾つか挙げられていますけれども、この中でも、具体的にうまくいっているモデルというのはあるんですか。

関政府参考人 お答えいたします。

 モデルの中に、地方中核都市モデルというのが一つございまして、これは現在、五つほどの地域で予備調査を進めていただいております。

 ですから、確たることは正式に報告書を待ってということになりますが、我々の持っているイメージで申し上げますと、例えばその中で富山市さんは、今、全体的に市をコンパクトシティーにするということでいろいろな取り組みを進められております。そういう中で、エネルギーをどのように配置していくのか、それから市街地でのガス発電、熱供給施設の建設をどうするのかということを検討されているというふうに伺っております。

 それから、例えば青森県の弘前市さんでは、今御指摘がございましたが、発電の余熱のエネルギーを融雪、雪を解かすことに活用しようじゃないかということで、今予備調査を進めているというふうに伺っているところでございます。

百瀬委員 都市部でもいろいろな取り組みがもう既に進められているようでございますので、これもしっかりと見守ってまいりたいと思っております。

 続きまして、都市部でのあり方を今ちょっと考えてみましたので、次に、地方に行ったら、田舎に行ったらどういった地域循環になるのかなということをお話しさせていただければと思っております。

 当然のように、田舎は都市部ほど住宅が密集をしていないわけでございまして、もし熱の配管を通そうと思えば、それだけコストもたくさんかかるわけでございます。

 一方、私の地元でも、今、木質バイオマス発電、これはかなり大がかりなものをやろうという取り組みが始まっております。これは地元の会社が先立ってやろうという取り組みでありますけれども、県の方も非常に応援しておりまして、森林資源を原料とした木質バイオマス発電施設を整備することで、化石燃料に依存しない、環境負荷の少ない循環型地域社会の形成を目指すといって県も応援しておりますし、また、地元の市も積極的にこれにかかわっております。また、技術アドバイスとしては信州大学そして東京大学も入っておるようでありまして、これも産学金官でのいい取り組みになるのかなと思っております。

 山間部でありますから、当然、都市部とはいろいろ形が違ってくるわけでありますけれども、私の地元の発電の場合は、山間部に発電所をつくって、そこから熱をつくるんですが、その隣に木材加工所もつくって、森も整備しながら、加工所である程度木材を加工して、県内もしくは県外に広めていって、都市部の方々にも木材のよさを知ってもらおう、もっともっと充実した木材を供給できるようにしよう、こういう取り組みであります。

 こういった取り組み、この予備調査実施団体でいうところの、二中山間地モデルになるかと思うんです。

 この中山間地モデル、幾つか事例がありますけれども、こういったものは全部、木質バイオマス発電を念頭に置かれておるのか、質問いたします。

関政府参考人 お答えいたします。

 今お話のありました予備調査の実施の中の一類型である中山間地モデルでございますが、全部で八カ所をこの中山間地モデルに我々は入れさせていただいております。

 そのうち、今御指摘のありました木質バイオマス、これが一番多うございまして、五つぐらいはこれでいくと思いますが、中山間地といいますと、ほかにも、地熱を使うプロジェクトを進めようとしている地域もございます。それから小水力も使おうということ、あるいは小水力と木質バイオマスを組み合わせてやっていこうということでございまして、まさに地域の特色に応じて、地域にある熱資源あるいは林業の資源、いろいろなものをそれぞれお考えになって、今検討されているところでございます。

 以上です。

百瀬委員 幾つか事例があるということでありましたけれども、私の地元でも小水力発電も今大変進んでいるということでございまして、これからさまざまな地域でさまざまな発電が進められることを祈っておる次第であります。

 また、これは私の地元に限ったことではなくて違った地域のことなんですが、木質バイオマス発電と同時に、木質ペレット製材所をつくって地域の活性化に役立てている会社あるいは組合があるということであります。

 田舎に限ったことではないかもわかりませんけれども、田舎のエネルギー循環というものは、考えてみれば考えるほど非効率だなと思います。私も実家に帰ると、ぼうっとストーブに当たって、ああ、冬は特に暖かいななんてやるんですが、当然、石油はアラブあたりから、よいしょよいしょと持ってきて、山奥まで運んできて、そして結果としてCO2をまき散らす結果にもなっているんだと思っております。

 これから中東で何が起こるかわかりませんし、また、シーレーンで何が起こるかわかりません。やはり身近な木材を使った方が賢明ではないかと考えて、そういった地域で取り組みが進んでいることだと思っております。

 調べてみたら、やはりこのペレット、大変エネルギー効率がいい資材であるということでございます。灯油と同じ値段で、価格変動を起こさない。当然、CO2も余り出さずに環境にも優しい。ただし、これはペレットボイラーというものを買うときに費用がかかるということでございまして、自治体によっては、ペレットボイラーを導入するに当たっての財政支援を行っているようでございます。こういったところの財政支援もこれから考えていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 先ほどもちょっと触れていただきましたけれども、長野県もほかの地域でもそうですけれども、今、日本各地でこういった先行事例が幾つかあるようでございます。ぜひ、こういった先行事例も、予備調査実施団体には入っておりませんけれども、積極的に取り入れていただきたいと思いますけれども、一言いただけますでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 まず、今のお話で、木質チップやペレットを原料としたボイラーを備えなければいけないということで、このボイラーをどうしていくのかということについては、実は、林野庁とも、横串でいろいろ一緒になって、それぞれの制度をはめられないかということで、これ用のプラットホームづくりと言っていいんでしょうか、そういう体制を整えるべく、今、いろいろ相談をしております。

 それから、その原材料となる木質チップやペレットをつくる場合に、先ほど大臣が御答弁されました地域経済イノベーションサイクルの交付金で、まあ、金融機関もお金を出していただくんですけれども、我々も交付金を出して事業を進めていただいているという地域が、既に先行事例の中に出ておりますので、こういうものも、今御指摘のように、状況など広く情報発信をして、いろいろな地域に検討していただく材料を提供していきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、今のお話のように、我々、予備調査がどうなっているのかとか、これから出てまいります、マスタープランも当然つくっていただきますが、それぞれの節目節目において、各地域での取り組みの状況を私どものウエブ上のプラットホームも使いながら各地域に発信し、いろいろ地域で御相談できる材料は広く整えてまいりたいと考えております。

百瀬委員 日本のみならず、今、海外でも、各国ですばらしい取り組みがいろいろあるということで、大臣にもお聞きしたいわけであります。

 本日も予算委員会で問題になっておりました再生可能エネルギーの自給率、日本は四%足らずだということであります。エネルギー先進国、幾つかあると思いますけれども、ドイツ、フランス、一五%あたり、そして、オーストリアやニュージーランド、こういったところは六〇、七〇%ということであります。

 こういったところに、現代版遣唐使というわけではないですけれども、誰でも、研究員でも派遣して、そこのエネルギーのあり方というものを学んで、そして日本に還元できる、こういうようなシステムをお考えいただければなと思うわけでありますけれども、いかがでしょう。

新藤国務大臣 まず、再生可能エネルギーはベースロード電源にはなり得ないんですね。だけれども、私たちが狙っているのは、地域による分散型エネルギーシステムをつくることができないか。それは、今までも、チップを使ったとかバイオマスですとか、いろいろな事業はあるんですよ。でも、それが採算性に乗らないのは、それほどの大きなエネルギーがとれないのと、それから、その地域の暮らしの中が、通常の電力を使う方と混在しているからなんですね。

 例えば、エネルギーを核にしたまちづくりというのを考えたらどうですか。そうすると、それは大都市よりは小規模の都市の方がはるかにやりやすくなりますよ。

 例えば、何かの大きな災害で発電所がとまった、でも、この地域だけは自立電源が確保できている、だから、ここの町の病院は必ず手術用の電気は確保する、それから、朝の調理のとき、それから夏であれば暑い時期だとか、必要なタイミングで電気を自立した地域の中で供給できる、そういう町があったら、災害が心配な人は、この町に移ろう、そういう人は出てこないですかね。

 それで、これをやるためには、徹底したエネルギー管理なんです。だから、ただストーブを配るとかボイラーをつくるんじゃなくて、それを最適に使えるように、またコントロールするように、ICTを徹底的に入れるんです。それによって、今度は電力の自由化が始まりますから、その中で七・五兆円の市場ができるんです。それは、巨大な市場に、どこかへ入っていくというよりは、自分たちの町のことを、自分たちの中で自立してエネルギーを確保して、それをてこにしてまちづくりに使いましょう。その町は、もしかしたら電気がすごく安いかもしれない。そして、自分たちの地域の資源を使ってエネルギーを確保するんだと。すると、それは林業の振興にもなっていきます。

 ですから、今過疎地で苦しんでいるところが、逆にその立地特性を使って自立できるんじゃないですか。それは、フィード・イン・タリフといいますけれども、固定価格の買い取り制度と、それからICTを徹底的に使って最適管理をする。それはセンサーも含めてです。そういう最先端のものを入れて、そして地域の自立を促すことができないかというのが私の大もとの野心なんです。

 そう簡単にはいきませんけれども、でも、これは日本の技術を使えば必ずできる。そして、それだけの技術がどんどんと追いついてきているという状態だと思います。ですから、これはまさに、町の活性化、過疎地であっても自立する、そのためにぜひ使いたいと思っているわけであります。

百瀬委員 全部言われてしまったなというような心持ちでありますけれども、今のお言葉を聞いて、本当に私の地元でもエネルギーを核としたまちづくりをやりたいと思っております。

 大臣、北アルプスの麓、松本、安曇野あたりはお越しいただいたことはありますか。

新藤国務大臣 ありますよ。この間は川上村へ行ってレタスを食べてきましたから、それから小淵沢だとか、あの周辺をずっと私も歩いていますから、よく承知をしております。飯田は今、プロジェクトに入っていますね。

 ですから、ぜひそれぞれの地域で、話を聞けば、私の話は夢も入っていますよ。でも、そういう夢を追いかければ必ず実現するんだ、それが日本はできるんだということをそれぞれの地域で編み出してもらいたい。ですから、どんどんと参加していただきたいと思います。

百瀬委員 そばもお召しになりましたか。そばは大変地元でも名産品になっているんですけれども、昔、地元の人たちは、割と、そばを食べてもらうのが気が引けていたんですね。それは、昔は地元で畑が割と痩せていたものですから、米やアワがとれないということでソバを植えて、そして栄養にしていたわけですけれども、実はそれが、地元にあるものがとても栄養価が高くて、これから将来的には地域の名産にもなるものだったということで、地元でも、そばではないですけれども、林業というものに目を向けて、今は林業を活性化しようということでやっているわけであります。

 今、林業は、間伐を行って森を元気にしよう、木材自給率も上げようということでやっております。御存じのとおり、日本の国土の三分の二は森林でございますけれども、木材自給率は三割を切っているという状況がございます。このエネルギー革命がもしも中山間地で成功したならば、こういったものも改善されるでありましょうし、また、違法伐採の問題も解決されて、日本じゅうの森または山がますます元気になるのではないかと思っております。

 以上、熱源の供給また発電を中心に見てまいりましたけれども、これから各地で発電事業、エネルギー事業が進んでいくものだと思っております。電力の小売自由化、二〇一六年から予定されて、先ほどお言葉をいただきましたけれども、開放される電力市場は七・五兆円ということであります。本当に今、マスタープラン、いろいろ見てまいりましたけれども、さまざまな課題をクリアしていって、ぜひともこれを成功につなげていっていただきたいと思っております。

 安倍首相は、景気回復の波をぜひとも全国津々浦々まで届けたいということをおっしゃっておりますけれども、私は、この取り組みがもし成功するならば、景気回復の波を届けるというよりは、地域で発生させてしまうものだと思っております。それが成功したときは、新藤首相になっているのかもわかりませんけれども、絶対にこれは成功させていただきたい。それほど私も力を入れて応援させていただきたい事業であります。

 もう一度、本日のこの議論をもとに、ぜひとも成功させたいという決意をお聞きしたいので、よろしくお願いいたします。

新藤国務大臣 国会において初めて褒められたわけであります。

 そういうふうに志をともにして、それぞれ役割を果たす。そして、とにかく日本は可能性に満ちている国なんだから、頑張っていこうではないか。そして、あらゆる可能性が広がる中で、しかしそれは気合いだけでは成り立ちません。地道な積み重ねとともに、革命的な変化を起こすようなそういう工夫を起こさなきゃならないわけですね。そのイノベーションは、技術や物づくりの中だけじゃなくて、私はまちづくりの中にもイノベーションを起こせるんだと思っています。ですから、そういういろいろな工夫を研究していきたい、このように思っております。

百瀬委員 ありがとうございます。

 私も、地元でも絶対何かできるはずだという思いで政治家にならせていただきました。これからさまざまな勉強をさせていただく中で、私も尽力してまいりたいと思っております。

 以上で本日の質問を終わりといたします。ありがとうございました。

高木委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会の上西小百合です。

 本日は、地方自治に関する事項に関して質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、二〇〇二年、岡山県新見市で始まり、そして最大十の自治体で今も行われながら、全く広がりを見せずに、むしろ減る一方の公職選挙での電子投票についてお伺いをいたしたいと思います。

 電子投票については、機械操作にふなれなお年寄りや、あるいは点字にかわる投票がどうなるか等の話も解禁前にはございましたが、実際に始まってみると、機械操作は意外に簡単であり、幅広い世代の方々が使用する銀行のATMなどで機械操作になれた現代人には、それほど難しいものではないというふうにアピールをされておりました。

 ところが、普及途上の二〇〇三年七月、岐阜県の可児市で執行された市議会議員選挙で投票機がオーバーヒートするトラブルで大混乱が生じ、そして、結局、司法の場で最終的に選挙の無効、出直し選挙が行われました。

 そこで、お伺いをいたします。

 民法の最初で、取り消しと無効の違いを学びます。取り消しとは、その時点までは有効に成立している法律行為の効果や効力を開始時期にさかのぼって、なかったことにすることなのに対して、無効とは、法律行為の効果や効力を開始時から全くなかったことにする、すなわち、その時点までも何もないものとすることだと学びます。

 ですので、双方同じように見えますが、無効な法律行為は、誰も何も言わなくても無効であるのに、取り消しし得る法律行為は、取り消し権者が取り消さない限り有効である点が異なるというふうに解されております。

 そうすると、選挙無効ということは、選挙の日にさかのぼって議員の身分なども無効ということで、受け取った歳費や、評決等で執行された予算や、決議された条例なども無効になってしまうのが法解釈上、普通だとは思いますが、そうであれば選挙区内が大混乱に陥るのは明らかであるからか、可児市等、無効判決が出た選挙区での実務はそのようになっていないようでございます。

 選挙無効についての解釈論を、まずお聞かせください。

安田政府参考人 地方公共団体の議会の議員の選挙に係る選挙の効力に関する訴訟におきまして、選挙を無効とする判決が確定した場合の効果につきましては、地方自治法第百二十八条に規定がございまして、普通地方公共団体の議会の議員は、訴訟の判決が確定するまでの間は、その職を失わないこととされているところでございます。したがいまして、その間の議員としての行為は全て有効となるところでございます。

上西委員 わかりました。

 今、地方自治法でということでお伺いをいたしましたが、一般的に、国民の皆さんから聞くと、無効という表現はそれであれば適さないのではないかと思いますし、国民の重要な権利の一つ、参政権の根幹にかかわる大切なことでございますので、改めてその解釈の整理をお願いしたいと思います。

 また、この電子投票のシステム導入に当たっては、開票日の役場職員の拘束時間が余りにも短く、従前のような超過勤務手当が受けられなくなると自治体の組合が猛反発するとか、投票用紙がなくなるので、製紙業者や印刷業者の組合が反対の圧力をかけているという話も伺います。

 それに関しましては、単なるうわさであってほしいと私も思いますが、そのような話を聞かれたことはありますでしょうか。

 また、最近の投票用紙は、幾ら折り曲げても投票箱の中で紙が自然に広がる形状記憶用紙が使われています。その用紙が開発されるまでには相当な時間や労力、そして費用がかかったと思いますので、それだけ苦労された製紙業者の皆さんには、確かにこの電子投票のシステムは迷惑な存在なのかもしれません。

 そこで、後学のためにお伺いをしたいのですが、全国全てのエリアの全ての選挙区でこの性能を有する用紙が使われているのでしょうか。お聞かせください。

安田政府参考人 投票用紙についてでございますけれども、公職選挙法施行規則におきまして、投票の秘密保持という観点から、投票用紙を折り畳んだ場合に外部から文字を透視することができない紙質であることが求められているところでございますけれども、その中で、各選挙管理委員会の判断によりまして、開票作業の省力化のために、御指摘のございました、折っても投票箱の中で自然に開く投票用紙が使用されていることを承知しているところでございます。

 選挙管理委員会関係者からは、こうした投票用紙は全国的にかなり普及しているというふうに聞いているところではございますけれども、正確にどの程度の割合で使用されているかということにつきましては、当方として調査を行っておらず、お答えできないことを御理解賜りたいと存じます。

 また、私どもとしましては、圧力等の話は聞いているところではございません。恐縮でございます。

上西委員 どうもありがとうございます。

 今、そういった紙は全国的にかなり普及はしているが、全国全てというわけではないというお話でございましたが、電子投票にするまでは、やはり労力を少しでもなくすために、こういったものをしっかりと全国に普及していただければと思います。

 それでは、次に参ります。

 日本の公職選挙はどれも単記無記名で行われますが、候補者の多い市議会議員選挙の開票立会をされた経験をお持ちの方から、大変興味深いというか、おもしろいお話を伺ったことがございます。

 皆様御存じのように、普通、投票用紙は、片面に印刷され、真ん中へ候補者名を書く枠が設けられ、その用紙の上下というのは、簡単に見ただけで当然判別できます。それだけ丁寧な用紙なのに、ある候補者の名前が用紙の上下逆さまに書かれていたり、あるいは裏面の隅に書かれていたり、あるいは斜めに大きく書かれていたり、何枚かずつ変わった書き方をしているということがあったそうなんです。

 理由を教えていただくと、昔は、鉛筆やボールペンよりも毛筆が普通に使われていた時代には、候補者名を用紙に書いて、その墨を手のひらに写し、出口で待っている陣営の人にその手に写った墨を見せて、約束どおり陣営の者に投票したか否かを証明するそうで、また、それが買収につながるケースがあったりしたそうです。要するに、自分が声をかけた人は裏面に上下逆さに名前を書いたなど、書き方で何人が投票したか確認をしてくれという合図なんだそうです。

 もちろん、これは実にまれな話であり、私は、そのお話を伺ったときに初めて、投票用紙は裏も表も、そして上下もなく、単記で余計なことを書いていなければ有効であるということを知ったわけでございますが、電子投票になれば、当然、そのような不正もできなくなります。

 しかし、機械に万が一ふぐあいが生じる不安があることや、機械の価格、そして投票日前後のオペレーターの人件費だけでもばかにならない、こういったデメリットも指摘されているところです。

 総務省では、電子投票システムの普及をどのように評価し、そして、今、電子投票が実施されている地域ではどのような対策をとられているでしょうか。お聞かせください。

安田政府参考人 電子投票についてのお尋ねでございますけれども、電子投票につきましては、これまで十団体で二十三回実施されているところでございますけれども、現在、電子投票条例を制定している団体数は七団体にとどまり、そのうち、条例凍結中の団体が四団体あるというふうに承知しているところでございます。

 地方公共団体におきまして電子投票の導入を予定していない主な理由といたしましては、私どもが実施いたしましたアンケート調査によりますと、導入経費が高額であること、国政選挙において導入されていないということ、それから機器の技術的信頼性に対する不安などが挙げられていると承知しているところでございます。

 総務省といたしましては、こうしたことも踏まえまして、地方公共団体に対して、電子投票導入の手引の作成でございますとか、機器の技術的条件への適合確認など技術的な支援、それから特別交付税による財政的な支援、こういうことを行っているところでございます。

上西委員 そういった財政的な支援を、今電子投票が実施されている地域で、対策としてとられているということでよろしいでしょうか。わかりました。

 こういったさまざまなデメリットはありますけれども、今、若者を中心として、本当に投票率が低いということは、今の日本の政治が抱える課題ではないかと思っておりますが、若者を中心とした投票率アップに期待ができると言われているインターネット投票への道は、投票者の確認の方法など、まだまだ本当に道のりは厳しいと思いますが、電子投票の普及は大きな礎だと思っております。ぜひとも普及を進めていただきますよう、お願いをいたします。

 また、大雪の影響等もあっただろうとは思いますが、さきの東京都知事選を初め、投票率が半分にも満たない、こういった選挙が随分と続いていると思います。投票率アップのため、諸外国のようにペナルティーを科すなども一策かもしれませんが、いまだ国民のコンセンサスを得るには至っていない。投票率を上げるための総務省の取り組みをお聞かせください。

安田政府参考人 投票率についてのお尋ねでございますけれども、当日の天候でございますとか、選挙の争点など、さまざまな要因が総合的に影響するものであるというふうに考えられるわけでございますけれども、総務省といたしましては、これまで、期日前投票制度の創設などの制度改正を行いましたり、また、各選挙管理委員会に対しまして、駅構内やショッピングセンター等への期日前投票所の設置、中山間地域等における高齢者等のための巡回バスの運行などについて積極的な対応を要請するなど、有権者の方々の投票環境の向上に努めてきているところでございます。

 また、周知啓発という点に関しましては、従来の手法に加えまして、SNSでございますとかバナー広告などのインターネットを活用した取り組みを積極的に行っているところでございます。さらに、出前授業や啓発フォーラムなどの取り組みも推進しているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 今、さまざな啓発活動、あるいはさまざまな対策をとっていただいているというふうにお話をいただきました。そういう対策をとっていただいている中であると思いますが、結果等、何か変わったとか、そういうことはあるんでしょうか。

安田政府参考人 投票率が最近におきまして極めて低いものでありましたのが、平成七年の参議院選挙であったわけでございますが、この参議院選挙の結果を受けまして、投票環境の向上ということで、私どもの方でも研究会をつくりまして、また法改正等を行いまして、当時であれば、不在者投票制度の改正などを行ったわけでございます。それが全て投票率に影響するかどうかということはともかくとして、一定の成果があったのではないかというふうに考えているところでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 本当に御尽力をいただいているということです。ただ、先ほど申しましたように、地方選挙であれば三十何%とか、そういった数字が出ているぐらい本当に低い投票率でございますので、やはり私としては、全ての有権者が投票して意思を示す、この結果こそが、真に国民の意見が反映される政治であると思いますので、今の投票率には本当に大変な懸念を感じているところでございます。

 ですので、今後も、政府を挙げての投票率アップのための御対応をしっかりとお願いいたしまして、次に移りたいと思います。

 一カ月後から消費税が八%にアップいたします。日本維新の会では、消費税の地方税化等を主張してさきの総選挙を戦ってきたわけでございますが、私の地元は商売人の町とも言われる大阪でございますので、本当に多くの方々にとっても税金の話は生活に直結する事項でございますし、私も、地元の皆様方のその切実な思いは本当に実感をいたしているところであります。ですので、今回は、増税が決定して以降、タックスペイヤーであります多くの国民の皆様方から、税の仕組みに関して、どうしても納得ができないと言われる機会が本当に多いことに関しまして、お伺いをいたしたいと思います。

 例えば、ガソリンスタンド等で給油をすると、ガソリン税に対しても消費税、今なら五%をかけた金額も合わせて消費者が支払わされてしまう。これに対して、二重課税ではないのか、こういったことを多くの皆さんがおっしゃいますので、ここで改めて、そのシステムを財務省から国民の皆様にもわかりやすく教えていただけますでしょうか。

山本大臣政務官 委員も御存じのように、揮発油税とか酒税等の個別の間接税に関しましては、消費税の課税標準でございます価格の中に原価の一部として含まれているとの取り扱いになっている次第でございます。

 これは国際的にも確立をした共通のルールでございまして、この枠組みは、欧州各国では一九七〇年代に確立されておりまして、それ以来、価格の高騰や、また付加価値税の引き上げにかかわらず維持されている制度でございます。

 委員の問題意識に関しまして、揮発油税とか酒税に関しまして、税制の抜本改革法第七条の規定に従いまして、こうした国際的なルールを踏まえまして、国や地方の財政状況とか、課税対象となる品目をめぐる環境の変化とか、また国民生活への影響等を勘案しつつ、必要に応じ引き続き検討していきたい、このように思っている次第でございます。

上西委員 わかりました。

 ガソリン税を含んだものがガソリンの価格である、その価格に消費税がかかっているのだから問題ない、そういったふうに今御答弁いただきました。ガソリン税を支払うのは製油所で、消費税を支払うのは消費者で、タックスペイヤーが違う、こういったことも私、レクチャーの方で聞いております。

 ですので、今の御答弁の理論もわかるんですけれども、しかし、国民、消費者の目線で見れば、結局は、ガソリンの価格にガソリン税が含まれており、それを消費者が支払うのであるから、タックスペイヤーは同じじゃないか、お金の出どころは両方とも消費者じゃないかとの厳しいお声をたくさん頂戴しております。

 この国民の声に対してどのような御対応をなさっているのか、また、今後そういった対応のプラン、そういったものがありましたら、お聞かせをいただけますでしょうか。

山本大臣政務官 今お話ありましたように、それぞれ価格というものは、例えば、チーズであれば関税という形が四割ぐらい入っておるわけですけれども、さまざま、価格という形の中に、揮発油税の個別間接税も原価の一部ということで、これは国際的なルールということでございます。

 その意味で、先ほどお話ししましたように、こうした抜本的な改革法に基づきまして、国際的なルールを踏まえて、それぞれ財政状況とか、課税の対象となる品目の環境の変化とか、こういう国民生活への影響等を勘案して、必要に応じて検討していく、こういう形でございますので、その点、よく御理解いただきたいと思う次第でございます。

上西委員 わかりました。

 ただ、今、国際的なルール、そして、財政状況を踏まえてしっかりと勘案していくということなんですけれども、国民の皆さんがどう思われているのか、そういったことも大切になると思いますので、今後、増税に当たり不安を抱える国民が納得できる税体系の構築、そして、国民の皆さんにとってわかりやすい説明、啓発に御尽力をいただければと思います。よろしくお願いします。

 次に、eLTAX、すなわち地方税ポータルシステムについてお答えを願います。

 今、確定申告の時期で、多くの国民の皆さんも、IT化の流れの中、所得税の申告を御自宅からe―Taxでなさっていることであると思います。固定資産税、事業所税等の地方税の納付手続を自宅やオフィスからインターネット経由で電子的に行う、このシステムは実に便利だとさまざまな方々からお伺いをしているんですけれども、軽油引取税、これはこのカテゴリーの中に入っておりません。それはなぜなのか、御説明をお願いします。

米田政府参考人 地方税の電子化につきまして、御質問を頂戴いたしました。

 地方税の電子化につきましては、課税をする側のみならず、納税者側の利便性の向上ですとかコストの削減といった観点から、極めて重要であると考えております。このため、地方税共同電子申告システムであり地方税ネットワークである、いわゆるeLTAXが、平成十七年から順次サービスを拡大して、そのサービスを提供しております。

 提供しているサービスは、電子申告等の受け付けのサービス、年金からの特別徴収、それから国税との連携ということでございます。

 このうち、電子申告サービスにつきましては、今お話ございましたとおり、現在は、法人住民税、事業税、償却資産に係る固定資産税の申告、個人住民税に関する給与支払い報告書の提出などを対象としておりまして、お話のありました軽油引取税につきましては、この対象となっておりません。

 これにつきましては、都道府県におきまして、これまで軽油引取税の賦課徴収に支障がなかったこと、それから、事業者側からも、電子化を求める要望を強く受け取っていなかったことから、運営主体におきまして、今のような取り扱いになったものというふうに承知しております。

 この理由でございますけれども、軽油引取税は、いわば、これの申告に際しまして、軽油引取税の免税手続に必要な免税証という書類を提出していただくということになっております。この免税証がなければ、農林漁業従事者等を中心といたしましたさまざまな消費者が免税を受けるということができませんし、それが不正に流用されるということが確認をされませんので、この免税証を回収するということは必要な手続になっております。

 この免税証も電子化できればいいんですけれども、これは物でございまして、税の申告のところのみを電子的に行っても、最終的にこの紙のところがどうしても残ってしまうということで、これまで対象にしてほしいという声がそれほど出てこなかったのではないかというふうに考えているところでございます。

 以上です。

上西委員 御説明ありがとうございます。

 今まで都道府県で徴収に不備がなかった、そして免税証という実物を確認しなければいけない、扱わなければいけないということ、そういった理由から軽油引取税はeLTaxのシステムの中に組み込まれていない、こういったことでございます。それであれば、IT化が随分と進んでいる現代でございますが、この免税証がある限り、実物がある限りは組み込まれない、そういった御見解なんでしょうか。

米田政府参考人 現在のシステムは、免税証、いわば軽油の取引の業者さんだけではなくて、それを実際に使われる農林漁業者の方々、それからその他の消費者の方々がそれをもって受けたということを証明する書類でございまして、直ちに電子化をするというのは非常に難しいというふうに思っておりますけれども、もちろん、現在のIT化の推進というのがこの分野にまで及んでくれれば、このあたりのことも検討の対象になってくるのではないかというふうに考えます。

上西委員 前向きに御検討いただけるということで、ありがとうございます。

 簡単に素早く申告できるこのシステムを利用し、軽油引取税の申請ができないのかという声を私も多くいただくようになってまいりましたので、ぜひとも、このシステムに軽油引取税を加えていくことを心よりお願いをいたしたいと思います。

 次に移ります。

 東日本大震災でも、多数の犠牲を出しながらも、地域住民の皆様の命、財産を守るために奮闘された消防団員の皆さんの処遇についての質問をさせていただきます。

 消防団員の皆さんは、ほかに仕事を持ちながら、災害時には、消火活動や救助活動など、さまざまな危険がある中で市民の命を守るために身を投じられている。こういった皆様の救助の際の手当等については適切な処遇をしていくべきではないかと私は考えておりますが、二月十五日に、消防庁は、団員に報酬を支払っていない消防団を公表、待遇改善を促す方針を決めた、こういう報道がなされまして、私は非常に驚いたわけです。

 国は、消防団員一人当たり年額報酬三万六千五百円、一回の出動当たりは七千円の手当を支払うこととして、自治体に渡す地方交付税の額を算定し、消防団員の手元に一定額の手当を支給する前提で地方交付税を地方自治体に配分しているのに、実際の支給額はそれよりも低かったり、あるいは無報酬の消防団も数十に上り、これが結局は深刻な団員減少の要因の一つだ、そのように言われる方もいらっしゃいます。

 年額報酬三万六千五百円等の金額自体が消防団員の皆さんの手元に来なかった場合、この地方交付税はどのように使われたのか把握をされているでしょうか。おわかりの範囲で構いませんので、教えてください。

市橋政府参考人 地方交付税は、あくまでも地方の一般財源ということでございますので、それが、この手当分がどのように使われたかというようなことは把握してございません。

上西委員 わかりました。

 ただ、こういったことは、本当に地域の市民の皆さんの命を守るために活動されている、そういった方々、好意の方々のことでございますので、ぜひとも、できる限り現状把握をしていただいて、そして対応に当たっていただく、こういったことをお願いいたしたいと思います。

 年額報酬三万六千五百円という額ですけれども、この金額は命をかけて災害の鎮圧に当たるには少ない金額ではないかとも思いますし、それすらも自治体が消防団に渡していなかったり、消防団員の手元に来なかったり、消防団員の納得のいく使い方がされていなければ、これは本当に深刻な問題だと思っております。

 これについて、公表、処遇改善を促すという御対応をしていただけるということですが、私としては、それではちょっと不十分ではないかなと思っております。例えば、ペナルティーとして、交付税の減額等の対応が必要ではないでしょうか。民間企業がこのようなことをした場合は、指名停止等の厳しい対応をするのは当たり前でございますし、横領等の訴追をされることも多いのではないでしょうか。消防庁のこういった対応の御所見をお聞かせください。

市橋政府参考人 消防団員の報酬及び出動手当は、消防組織法によりまして、各市町村の条例で定めるということにされております。また、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律におきましても、活動に応じた適切な報酬及び出動手当が支給されるよう、必要な措置を講ずるものとされているところでございます。

 御指摘のように、消防団員の報酬及び出動手当につきましては、交付税措置を講じてございますけれども、その実績は交付税措置額を下回るというふうな状況になっておりまして、私どもといたしましては、報酬額が低い市町村や、特に無報酬である市町村に対しまして、個別具体的に単価の引き上げを要請しているところでございます。

 ただ、制度上は、先ほども申し上げましたように、地方交付税は地方公共団体の一般財源でございまして、その使途は地方公共団体の判断に委ねられているものでございます。

 そのような前提ではございますけれども、私どもといたしましては、消防団員の処遇の改善の重要性を理解していただき、交付税措置額より支給額が低い市町村につきましては、ぜひとも単価の引き上げを行っていただきたいというふうに考えておりまして、強力かつ粘り強く要請してまいりたいというふうに考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 今、消防団の皆さんの処遇改善ということで、できる限りの御対応を自治体に対してしていただいているということで、今後も引き続き、命がけで安心、安全なまちづくりに御尽力くださる消防団員の皆様方の処遇改善のために御尽力をいただきますことを強くお願いしたいと思います。

 おとついの当委員会で、私は、町村内に一つも消防署が存在せず、火事等の有事の際には高齢化の進んだ消防団員が消火作業をし、救急患者の搬送は役場の職員が行っている、いわゆる役場消防の改善策について質問をいたしました。御答弁によりますと、診療所などと連携がスムーズに行われ、今まで大過なく救急業務も行われてきた、そういったことでございました。

 しかし、私も調べてみますと、役場救急が行われているエリアの多くは離島や山間部であり、過疎が急激に、本当に深刻に進んでおります。ですので、全くの民間医院が開設されている例というのはまれではないかと思っております。

 そして、現況は、僻地でなくても、多くの国立病院が赤字を原因として閉鎖、統合されています。当然、利用者が少ないために、収入と支出のバランスがとれるわけもなく、赤字経営であることは明らかです。しかし、営利、利潤だけを追求して、赤字だから閉鎖、こういったわけには、病院であるのでいきません。

 行政というのは一定の目的を持って活動するものであり、その目的達成の場合には赤字となっても運営を継続する、こういった必要がございます。効率を追求するだけで、地域の方々の命を犠牲にするわけにはいきません。

 どの地域の皆さんも安心して医療が受けられるように、厚生労働省ではどのような策を講じておられるでしょうか。お聞かせください。

原政府参考人 医療提供体制についてお答えをいたします。

 地域の医療提供体制につきましては、都道府県が中心となりまして、地域の実情を踏まえつつ、関係者の意見を聞いた上で医療計画を策定し、これに基づき計画的に地域の医療提供体制の確保が進められてきております。

 したがいまして、各地域で進められております公立病院の統廃合につきましても、限られた医療資源を効率的に活用するため、事前に地域の方々の意見を十分に聞いた上で、さらに医療の継続性にも配慮しつつ進められているものと承知しております。

 厚生労働省としましては、特に医療が少ない僻地等の対策といたしまして、僻地にございます診療所、あるいはそういう診療所をバックアップいたします僻地医療拠点病院に対する運営費や施設整備費の財政支援、また、無医地区等に対する巡回診療に係る経費への支援、さらには、各都道府県での僻地医療支援の企画調整を担うへき地医療支援機構への財政支援等々を行っているところでございます。

上西委員 わかりました。

 今、財政支援そして医療計画をしっかりと立てられて、そういった対応をしていただいているということでございましたが、私も先日述べさせていただきましたとおり、やはり、離島、山間地域の皆様にとっては、高齢化も進んでおりますので、そういった適切な治療が受けられないということからその地を去って転出していく、それによって過疎化がさらに進む、そして、国防上にもやはり大変よろしくない状態が引き起こされているということがございますので、今さまざま御尽力をいただいているということでしたが、これまで以上に、ちょっと視点を変えるなり、何か新たな対策もお願いをいたしたいと思います。

 今申し上げました整理統合が著しいと言われる公立病院が指定管理者制度の対象になった例もありますが、経営危機に落ち込んだ公立病院の存続に対して、総務省ではどのように捉え、そしてどのような対策をとられているでしょうか、お聞かせください。

佐藤政府参考人 公立病院は、御指摘のように大変重要な役割を持っております。民間病院の立地が困難である僻地などにおける医療の提供でありますとか、それから、救急、周産期、災害など不採算部門あるいは特殊部門に係る医療などを提供する役割があります。

 こうした役割を適切に果たして地域に必要な医療を確保するためには、やはり公立病院の経営そのものがしっかりしていなければならないというふうに思います。こうしたことから、総務省におきましては、平成十九年に公立病院改革ガイドラインというものを策定いたしまして、これに基づいて各地方団体において公立病院の改革を進めてくださいということをお願いしてまいりました。現在まで約五年たっているわけですが、このガイドラインのもとに、ほとんどの病院において改革プランを策定し、経営改革に努めているところです。

 他方、最大限の経営努力をしてもなお、立地条件によって採算をとることが難しいというところもあります。こうしたものについては、一定の要件に該当する場合には、不採算地区病院として特別交付税による財政措置を講じております。

 具体的に言いますと、二十五年度は、全国で三百の病院に対して百八十六億円の特別交付税措置を講じているところです。

 今後、高齢化が進展します、それから人口減少も進んでいくということになりますと、さらに経営が厳しくなるケースも予想されます。したがって、総務省としましては、厚生労働省と連携をとりながら、新しい公立病院の改革ガイドラインを来年度中を目途に示したいというふうに考えておりまして、条件不利地域であっても地域の医療提供体制を適切に確保できるように、今後とも支援をしてまいりたいと思います。

上西委員 ありがとうございます。ガイドラインの作成、そして三百の病院に百六十億円のお金を投じていただいているということで、本当に最大限努力をされているということをお答えいただきました。本当に、日本全国、全国民がしっかりと適切な医療を安心して受ける、そして安心して暮らせる日本にしていただきますように、お願いをいたします。

 そして、最後になりますが、私が今回質問させていただいた中で一つ思いますのが、国民の皆さんに対してもっと広く理解をいただけるような、そういった取り組みをしっかりとしていただくことが重要なのではないかと思いますので、今後とも、その点に関しましては、どの分野に対しましても御尽力の方をよろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 皆さん、お疲れさまです。大変お疲れだと思いますが、あと数時間、元気を出して頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 本日の午前零時をもちまして、我が党の代表であります橋下徹大阪市長が失職をいたしました。この出直し選挙というものについては、諸説いろいろメディア等でも流れております。

 辞職願というものも早くに出しておったんですが、通常、議会にかけられて処理をされる、そういった方法ではなく、自動失職をさせるという手だてがとられまして、その結果、退職金が、わずか数日のことで十七万円ふえてしまいました。たかが十七万円と思われる方がいらっしゃるか、十七万円もの無駄なお金が出ていったなと思われる方がいらっしゃるか……(発言する者あり)選挙費用はまた後で言いますけれども、その辺はよくお考えをいただきたいと思います。

 そもそも、この国会で、我が維新の会が打ち出した大阪都構想をバックアップしてやろうということで、一昨年の国会で、大都市特別区設置法という法律が、ここにいらっしゃる国会議員の多くの皆様方の賛成で成立をいたしました。それを受けて、事実上、大阪都構想というものがスタートしたわけでございますが、以来、制度設計等、法定協議会の中で何度も何度も議論を重ねてまいりました。

 いよいよ、階段も数百段上がってまいりまして、残り三段。その三段と申しますのは、一つは法定協議会での議決であります。そして、もう一段は、大阪府、大阪市議会での議決というものが第二段であります。そして、最終の階段は大阪市民による住民投票ということです。

 最近は、地方のことは地方で決める、そういう言葉を皆さんおっしゃいます。そして、地方の自治体のことはそこの住民が決める、ニア・イズ・ベターという言葉も最近はよく言われます。日本で初めて都道府県と市が合併をするということについては、今までできなかったことが国会議員の皆様方の御協力で、法律の裏づけに基づいてできるような体制が整ったわけでございますので、ぜひ、地方分権、地域主権とおっしゃる政治家の皆様方は、あと三段の階段を上がらせていただく、そういうためのサポートをお願い申し上げたいと思います。

 ここにいらっしゃる皆様方は、我々の考えに御同意をいただいている方ばかりだと思いますが、大阪へ戻りますと、皆様方の政党の大阪の地方議員の皆様方が、なぜか、議論が足りない、まだまだ議論を深めなければならない、そういうことを決めるのは時期が早急である、そういう理由をおっしゃって、引き延ばし作戦に出られております。

 都道府県と政令市の確執というものは、皆様方の御地元でもよく言われているんじゃないかな、都道府県と県庁所在地の確執とか、多分、皆様方も地元へお帰りになれば、いろいろな苦情であるとか不満であるとか、そういうことをお聞きになられていると思います。したがいまして、日本で初めてのこの大改革、ぜひ皆様方にも御尽力を賜りますよう、冒頭お願いを申し上げたいと思います。

 そして、我々の大阪では、大阪独自でも、今までできないと言われていた改革をいろいろ行ってまいりました。教育委員会の改革の問題、今国会でも議題になっております。そして、地下鉄民営化の問題、水道事業の民営化であるとか、いろいろな問題が今までも成果として上がってまいりました。この改革をぜひ東京に持ち込んで、日本全体にこれが波及していくように考えて、我々は国政に挑ませていただきましたので、ぜひそういう観点で我々は一歩ずつ改革を進めていきたいと思います。

 そういう観点で、本日は、国家公務員制度の改革について、これも大阪では、後ほど申し上げますが、幹部職員の登用とか、天下りの禁止、また人事評価制度の抜本的な見直しというものを実際に行いまして、府民からも大きな評価をいただいておるところでございます。

 この問題につきましては、昨年四月に、昨年三月でしたか、私も総務委員会等で質問をさせていただきました。まず、この国家公務員制度の改革について、私が昨年質問させていただいて以降の大きな流れで結構でございますので、まず御報告いただきたいと思います。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員制度改革につきましては、平成二十年に成立いたしました基本法に基づきまして、それまで政府から三度法案が提出されたわけですけれども、さまざまな議論があって、いずれも廃案となった経緯がございました。

 また、近年の公務員をめぐる状況、環境の変化を踏まえまして、時代に応じた新しい公務員制度を構築する必要があるということに留意いたしまして、昨年、稲田公務員制度改革担当大臣のもとで、改革の具体的内容を総括的に検証し、関係者と丁寧な議論を行ったところでございます。

 こうした議論を積み重ねた上で、昨年六月二十八日に、国家公務員制度改革推進本部におきまして、「今後の公務員制度改革について」という決定を行いまして、そこで、平成二十一年に政府が提出した法案を基本といたしまして、また基本法の条文に即し、機動的な運用が可能となる制度設計を行うということとされました。今般の法案は、これに沿ってさらに検討を進め、昨年の十一月五日に国会に提出をいたしたところでございます。

 この法案では、一つが、政府としての一貫性ある人材戦略を強力かつ機動的に推進するため、内閣官房に幹部職員人事の一元管理等必要な機能を有する内閣人事局を設置すること、また、内閣総理大臣や各大臣を直接支え、その指導性を強化するための体制を整備することを主な内容としているというところでございます。

馬場委員 ありがとうございます。

 実は昨年、我々もみんなの党さんと協力をいたしまして、野党時代の自民党さんが提出された、いわゆる甘利法案をさらにブラッシュアップした、そういう法案を提出させていただきました。

 昨年、先ほど御報告いただきました政府提出法案と我々が出させていただいた法案、この違い、大きな違いで結構ですが、把握されているようであれば、お答えいただきたいと思います。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 現在政府から提出している法案の主な内容については、先ほどお答え申し上げたところがポイントでございますが、維新の会、みんなの党、また民主党から提出された法案につきましては、一つは、国公法の一部改正、それとともに幹部公務員法案が提出されているというふうに承知しております。幹部職員の特別職化、あるいは事務次官の廃止、それから幹部職員の降任の弾力化についても、政府案とは違った考え方でつくられておるというふうに承知しております。

 政府といたしましては、今回出している法案が、今の状況におきましては最善のものであるというふうに認識しておりまして、この法案につきまして、現在、衆議院の内閣委員会の方で御議論いただいているところでございますけれども、これまで三度も法案が廃案となっておりますけれども、この改革の集大成を実現すべく、速やかな法案成立をお願いしたいというふうに考えているところでございます。

馬場委員 今おっしゃっていただきましたように、我が党、民主党さんも加わっていただいておりましたが、先ほど御紹介が漏れてしまいましたが、特徴は、政府の方から出されている法案との大きな違いというのは、幹部職は特別職という位置づけになる、公募をする、その公募の制度化、数値目標を設定する、また、国家戦略スタッフ、政務スタッフの規定を追加で設けたということでございます。

 私たち維新の会は、公務員は身分から職業へということを挙げておりまして、一度試験で通れば、よっぽどのことがない限り首にならない、また退職するまでずっと続けていけるというような制度を見直したいということでございますが、実は、この法案は、平成二十二年に自民党とみんなの党さんが提出された法案にほぼニアリーイコールでございます。それから比べて、昨年出された政府の提出法案は随分ハードルが下がってしまっていると思いますが、大臣、どういうお考えをお持ちでしょうか。

新藤国務大臣 これは稲田大臣の方でお出しになっている法案であります。政府としては、さまざまな観点から最適の、これまで出した法案がございます。そして、今までの流れもあります。そういった中で検討した結果、出した結論として、今回の法案を出させていただいた、こういうことであります。

馬場委員 最適のものを出されているということですが、ハードルが下がった法律がそういう評価を得られるかどうかということは甚だ疑問だというふうに思います。

 そして、何度も、今まで公務員制度の改革法案、三度でしたか、提案をされて廃案になった、そういうことを繰り返してきまして、私は前回の質問で、これは不作為じゃないかと。自分たちで決めた法律を自分たちで守れないという状況になっておりますので、ぜひ積極的に、政府また与党の皆さん方はこの法案を進めていただきたいというふうに思います。

 たしか私の記憶では、過去三回の法案の中では、労働組合とのいろいろな関係、これに対する労働協約締結権の付与とかいうことが議論されましたが、しばらくその項目についてはうわさにも出ないという状況でございますが、今これはどういうふうになっているんでしょうか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 今回政府から提出している法案では、自律的労使関係についての措置の規定は入っておりません。

 基本法の十二条におきましては、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と規定されているわけでございます。政府は、これに基づき自律的労使関係制度について措置する責務を有しているわけでございますが、民主党政権下の二十三年六月に国会に提出された国家公務員制度改革関連四法案、これが廃案となった経緯、それからその後の状況、環境の変化を踏まえれば、多岐にわたる課題があるものというふうに考えております。

 また、稲田担当大臣のもと、昨年開催した、今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会におきましては、自律的労使関係制度についてもテーマとしたところでございますが、有識者の方々から、また、使用者、職員団体の双方からさまざまな御意見をいただいたところでございます。

 これらに鑑みまして、自律的労使関係制度については引き続き慎重に検討をする必要があると考えまして、昨年秋に提出いたしました法案では、措置しないこととしたというところでございます。

馬場委員 自律的労使関係をどう考えていくかというのはかなり幅広い意見があって、なかなか、政府の方でどういう方針を出すかということは難しいだろうということは想像ができます。

 しかし、この問題については、過去の政権において、きちっと位置づけられたものがあるわけでございますので、たなざらしになるということはまずいんじゃないかなというふうに私は思っておりまして、ただいまの御答弁をお聞きしても、どういう方向性でいつごろどういうふうにするかということが全く伝わってきませんが、何かお考えはないんでしょうか。

川淵政府参考人 今回の法案の中では、自律的労使関係制度に関する中身は入っておりませんけれども、基本法十二条、これについては引き続きございまして、政府は、この規定に基づきましてこの措置について検討するという、この責務は有しておるというふうに認識しております。

馬場委員 これは、総務大臣、稲田大臣とともに、ほったらかしにしないで、白黒つけると言うとおかしいですが、きちっと方向性を定めて、それを推進していっていただきたいと思うんです。その問題は要望いたしまして、終わらせていただきます。

 大阪の公務員制度の改革の中で最も特徴的だと言われておりますのが、人事評価の方法でございます。人事評価の方法については前回も御披露させていただきました。そして、きょうも、お手元に資料を配らせていただいておると思います。

 前回のときに、総務大臣に、人事評価のやり方とか結果とか、そういう部分で議論をさせていただきまして、そのときには、国家公務員さんの人事評価の数字はまとまっていないんだということで、ぜひ、まとまったら私にもいただきたいということをお願いしておりました。

 今月、人事評価に関する検討会の報告書が出されまして、この中に、人事評価の数値について報告を書いていただいております。それを私が一枚のペーパーにまとめましたのが、皆様方のお手元にお配りさせていただいている、人事評価の実態というものですが、一番上が、私が所属をいたしておりました大阪の堺市の管理職の皆さん方の人事評価の分布でございます。

 一番上に点数と書いてありますが、これは無視していただいて、S、A、B、C、Dと見ていただいたらいいと思いますが、何と堺の場合は、Bに九割、九割の職員さんがBなんですね。AとCでやっと一割。SとDについてはゼロなんですよね。

 こんなので人事評価になっていますかと堺の市議会で聞きましたら、当時の堺の市長さんが、そんなDとかつくような劣悪な職員はいてませんという答弁をしましたけれども、ちょっとおかしいんじゃないかなと、そのときみんなが首をひねっておりました。

 そして、真ん中の段、これが国の方での能力評価の分布図でございます。これも、大臣、見ていただくとおわかりいただけると思いますが、堺市と大差ないんですね。真ん中にばんと、AとBに集中していまして、ほとんどが難のない評価ということになっています。業績評価の方においても、同じようなトレンドが読み取れるわけでございます。

 こういうことを基本に、我々は、公務員さんの評価、現在絶対評価で行われているものを相対評価で行うということを打ち出しをいたしました。相対評価については賛否いろいろありますけれども、国の方でやっているような二段階で、まず相対評価でやって、それをいかに報酬また昇給また昇格、そういうものに反映していくかということは制度設計をすればできると思うんですが、総務大臣、これをごらんいただいて、どう感想をお持ちでしょうか。

新藤国務大臣 これは、昨年の国会で委員から質問を受けて、私どもも、今、これは問題意識を持って、そろそろ実施してから五年目になるわけだから、そこでまとめたい、こういうお約束というかお答えをいたしました。そして、私どもとすれば既定の予定でありましたけれども、このような報告書がまとまったわけであります。

 まず、一般職員について、能力評価、業績評価ともにAが五割、Bが約四割、こういうことで、これらについても、人事評価に関する検討会を開催して、評価結果の分析や課題の抽出、そしてさまざまな御検討をいただいたわけでありまして、まずは現状がこうだということであります。

 そして、人事の評価というのは、される方も大変ですけれども、する方も大変なんですよね。この評価をどのようにより有効的に精度を高めていくかというのは、さまざまなまだ工夫が必要なんだろうな、このようには思っております。

 ただ、今までこういったこともなかったわけですから、その意味では、やはり、まずは現状を把握するという意味、そして、ここからいろいろなものを酌み取っていかなくてはならない、このように考えております。

馬場委員 今大臣がおっしゃっていただいたように、画期的といいますか、今までやれなかったことが行われるようになったわけでございますが、評価をきちっと行わなければ、せっかくやっても意味がないということであろうかと思います。

 このまとめていただいた報告書、民間の方、また連合の皆さん方とか組合の皆様方もお入りいただいた中でまとめていただいているんですが、これは事務方にお伺いをしたいと思いますが、この結果を分析して、主な改善点、どういうことがあぶり出されたか、御報告いただきたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 先日、委員会の報告書が出されたわけでございますけれども、その検討会の報告書におきましては、現行の人事評価制度そのものは円滑に実施されているという評価ができるものの、やはり、評価者間で評語区分の理解へのばらつきがある可能性があるとか、あるいは評価結果の人材育成等への一層の活用の必要性があるといったような指摘がなされたところでございます。

 このため、検討会の報告書におきましては、現行の絶対評価を前提にしまして、任用、給与等の人事管理の基礎としての機能をより一層果たすために、評語区分の趣旨の明確化及びその徹底、あるいは人材育成等に活用するための評価者訓練の充実等の提言をいただいたところでございます。

 総務省といたしましては、この提言を踏まえまして、今後、必要な改善措置を講じまして、引き続き人事評価の適切な運用を図ってまいりたいと考えているところでございます。

馬場委員 先ほど大臣の方からも話が出ましたが、私はこの報告書を読ませていただいて感じましたのは、やはり評価者のトレーニングが余りできていないんじゃないかなと。

 人間らしい意見が出ているんですが、Bをつけるのをためらう、意味もなくBというのはちょっとまずいかな、そういう御意見とか、C、Dという下位評価をした場合に、その後どういう対応が必要になるのかわからない、だからC、Dをつけるのには消極的でしたという、本当に人間らしい、いろいろな御意見が載せられております。

 そういうところから考えても、もちろん、人間ですから、こういう意見が出るのは当たり前で、やはりこれは制度を変えないと、絶対評価であるからそういうことにつながっていくわけで、これを相対評価にすれば、機械的に、このランクは五パーとか、このランクは三〇パーとか決まっているわけですから、もう部下からいろいろ言われても、いやいや、しゃあないねん、もう五パー決めなあかんからと言うことができるわけなんですね。そうしたら、評価者のストレスというんですか、そういうものが随分軽減されるんじゃないかなと。

 そして、C、Dをつけられた職員の皆さん方も、何年か、大阪の場合は、二年連続つくと研修制度へ移行して、それでも改善しない場合は分限になるということが条例で定められているわけですけれども、そういうある程度オートマチックな制度をつくってあげないと、評価者の負荷というものがなかなか軽減されないというふうに思いますので、この制度もまだ生まれて間もない制度でございますので、より効果的で、より効率的な制度に、努力をしていただいて変えていただきたいというふうに思います。

 続きまして、私の周りの人間は、公務員さんのいろいろな話をいたしますと、これは一般の方ですね、公務員がなぜ労働組合が要るのかよくわからない、そういうことをおっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。一般の企業で労働組合が要るというのはよくわかる、でも、公務員さんは法律に身分も全て守られてやっているんじゃないんですか、だから、なぜ労働組合が要るんですかという質問を受けるんですが、これは法的な部分で一度ちょっと御説明いただけますか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 公務員の労働基本権の関係につきましては、昭和四十八年の全農林判決が我々の考えの整理の基礎になっているわけでございますが、その中におきましても、憲法二十八条の労働基本権の保障、三権あるわけですけれども、これは勤労者たる公務員に対しても及ぶとされているところでございます。

 具体的にどのように基本権を付与するかということについては、立法政策があるわけでございまして、公務員の団結権につきましては、警察職員等を除き、国家公務員法により、国家公務員は職員団体を組織することができるとされているところでございます。

馬場委員 ありがとうございました。

 今御答弁の中にもありましたが、公務員さんの中でも、警察官また消防の職員さんというのはその権利を認められておりません。それはなぜですか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、それぞれの職務に応じまして、基本権の付与の仕方が変わっているわけでございますけれども、やはり警察職員等につきましては、勤務の仕方、上司の命令に従って仕事をするといったような勤務の仕方が、一般の公務員と違って、労使関係で議論するというようなことが想定され得ないということで制約をしているというふうに考えていると思います。

馬場委員 私は、これを堺市で聞きましたら、警察、消防の方は、いつ、どんな仕事が起きるかわからないので、そういう組合活動をしていただく余裕もない、そういう御答弁でありました。今の御答弁も、その中に、上司の命令に従って仕事をする、そういう御答弁があったんですが、そうしたら、普通の公務員さんは上司の命令に従って仕事せぬでええんかということなんですね。そこに矛盾があるんですよ。

 公務員さんが組合をつくれるかどうかというのは、法的な根拠はありますよ、もちろんあるんですけれども、そういうところで一般の方、国民の方に理解を得られにくいということが端的にあらわれているんですね。

 私、個人的には、公務員さんの労働組合、権利として認められているのはよくわかりますが、やはり仕事第一で、公共の福祉のために仕事に邁進していただくということが肝要だというふうに思っております。

 そこで、皆様方のお手元の資料、これが公務員さんの労働組合の組織状況になっております。これを見ると、もともとの在職者数が少ないという関係もありますが、組合員さんがゼロというところもあるんですね。そして、極端に組織率が高いというところもあります。これはどういうふうに分析されておられますか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 各省別の労働組合の組織率というのは、それぞれの職務の実態とか歴史的な経緯があるんだろうと思います。

 ここで見ますと、文科省のように組合がないような、組織率がないようなところもありますし、歴史的に組合の組織率の高い農林水産省とかいったものもあるわけでございまして、それぞれが各省で実態があるということだろうと思います。

馬場委員 文科省、千六百八十一人職員さんいらっしゃいますが、ゼロということで、何か腑に落ちないですよね。先ほど、警察また消防の職員さんに組合はないというお話がありましたけれども、なぜこれだけ差があるのかというのは、なかなか腑に落ちません。

 また、たくさんの登録者数がいるということも非常に疑問に思うところでありまして、何か組織的にいろいろと活動をしたり、勧誘をしたり、そういうことをしている結果がこの数字にあらわれているんじゃないか。簡単に言えば、組合活動が好きな職員さんが集まっている役所は組織率が高いんじゃないかなというふうに読み取れるんじゃないかなと思います。

 これは全国的に、地方公共団体にもありました。職員労働組合の中に、組合活動をするために専従で活動してよいということが認められている、そういう職員さんがいらっしゃいます。これは、法的にも認められているので、問題がない部分ではありますけれども、その数字が、これはお手元の資料にはちょっとついていないかもわかりませんね。在籍専従状況という平成二十四年十二月三十一日現在で調べていただいた専従者の資料がついていないですか。ついていなければこっちから申し上げますけれども、国税庁の四十二名を筆頭に、何と百四十四名の専従者がおります。これは全国に出先機関等もありますので、一概に多いか少ないか簡単には言えないと思いますけれども。

 こちらの資料では二枚目になりますが、総務省さんがおつくりになられました平成二十一年の資料、これが、全国的に大変な問題になりました無許可専従者の一斉調査の結果であります。

 これは俗に闇専と言われておりまして、地方の自治体にも必ずおりました。どこかに在籍をしたまま、毎日毎日朝から晩まで組合の活動をしている、組合活動の仕事をしている、そういう職員のことを闇専といいます。

 そして、この闇専は、在籍しているところの違う職員さんがタイムカードを勝手に押したり、そういう非常に違法行為と言えるような活動をしているということで大変問題になりまして、国の方でも、総務省さんの方の調べによりますと、何と千四百六十六人という、これは国民が払った税金をただ単に労働組合の活動に流しているというだけの職員さんでありまして、非常に論外でありますし、いろいろ給与の返還請求とかそういう法的な措置もとられたことは皆様方の御記憶にもあろうかと思いますが、これは平成二十一年に全部の調査をされて、その後、アフターフォローというのはどういうふうになっていますか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のあった調査でございますけれども、これは平成二十年三月の社会保険庁における無許可専従の実態が明らかになったということを受けまして、全省において一斉調査を行ったものでございまして、その結果、農水省、厚労省及び国交省で無許可専従等の不適正事案を把握しまして、総務省として、平成二十一年八月に結果を取りまとめて公表したところでございます。

 それから、このような不適正事実が明らかになった省庁におきましては、それぞれ懲戒処分や給与の返還など厳正な処分が行われたと承知しております。

 総務省といたしましては、各省における厳正な服務規律の確保と適正な労使関係の構築につきまして、平成二十一年八月二十六日付で総務次官通知を発出しまして、職員団体のための活動に係る職員の勤務時間管理等の徹底を図ったところでございます。

 それから、その後におきましても、毎年度、総務大臣が定める人事管理運営方針というのがありますが、この中で、職員団体との交渉におけるルールの適正な適用、違法、不当な活動に関する厳正な対応等を徹底することとしているところでございます。

馬場委員 フォローは行っていただいているようではありますけれども、いわゆる闇専が完全になくなったかどうかということは、今のそのやり方でははっきりとはわからないという状況だと思います。

 平成二十一年に調査をされて以来もう約五年がたっておりますので、もう一度調査をし直すとか、やはり時々牽制球を投げておかないと、一部の公務員さんは何をするかわかりませんので。一部の公務員さんですよ。(発言する者あり)今、定期的にやれという大西議員のお言葉もありますように、やはりきちっと目を光らせておくということは大事だと思うんですね。

 ですから、また近いうちにこれはきちっと一斉調査等をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、平成二十一年の調査のときはかなり大きな問題になりまして、それを受けて、各省も厳しい処分を行うとともに、それぞれ厳しいルールを定めて運用しているというふうに理解をしております。こういったことは当然あってはならないことであります。

 先ほど申し上げたように、我々もいろいろな周知徹底を図っているところでございますけれども、各省においては、それを踏まえまして適正に対処しているというふうに我々は理解しておりまして、我々としましては、服務規律の確保、適正な労使関係の構築という観点から、引き続き適切に対処してまいりたいということでございます。

馬場委員 ちょっと調査されるかどうかわからぬような御答弁でしたが、ぜひそういうことにも取り組んでいただいて、我々政治家もそうですが、公務員さんの中にも、一部の心ない方々のせいで、政治家全部が悪いとか公務員みんなが働けへんとか、そういう評価を受けているということは事実だと思いますので、きちっと自己改革をやっているなということを国民に知っていただくためにも、ぜひきちっとした調査をお願い申し上げたいというふうに思います。

 公務員制度の改革の問題はこれぐらいで終わらせていただきたいと思います。

 次に、税の仕組みについて御質問をさせていただきます。

 税の仕組みについては、先日の地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明の中に、後段で、「税負担軽減措置等の整理合理化等を行う」という文章が書いてあります。これは、税負担軽減措置だけじゃなしに、私は、税金というものは、先ほどうちの所属議員からの質問でもありましたように、昨今複雑になり過ぎている、また出と入りがよくわからない、そういうところでなかなか、税金を払うということについて信頼が置けないという国民が多いんじゃないかなというふうに思っておりまして、我が党としましては、歳入庁法案というものも出させていただいたり、できるだけ一括して税金をいただいて、出と入りをわかりやすくする、構造も簡素化するということを目標にしております。

 これをすれば、国民の信頼を得られると同時に、行政コストも非常に軽減されるんじゃないか、行財政改革につながっていくんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひこれは、いろいろな分野があります、いろいろな税目がありますので、順次我々の方からも指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 きょうは、去年の国会でも質問させていただきました事業所税について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この事業所税、法的根拠をお答えいただきたいと思います。

米田政府参考人 事業所税につきましては、昭和五十年度の税制改正におきまして地方税として創設されたものでございますけれども、これは、その前の昭和四十五年十一月に、地方制度調査会の答申におきまして、大都市における営業所、事業所等に対して特別の税負担を求めることを検討する等の必要があるとの答申がございましたので、その具体化の検討が進められたということ。当時の自治省のみならず、建設省、通産省、国土庁などそれぞれの省庁で複数の案が提案されるなど、数年にわたって議論、検討がなされた後に、今申し上げました昭和五十年度の税制改正で実現をしたというものでございます。

 事業所税の課税の根拠等でございますが、事業所の集中立地に伴って増加する都市環境の整備や改善に要する財政需要に対応するため、地方税法第五条第五項及び第七百一条の三十に基づきまして、事業所と都市の行政サービスの応益関係に着目して課税する目的税であります。

 道路等の交通施設、公園、水道、河川、学校、病院、公害防止、防災、その他都市施設の整備や改善に必要な事業の費用に充てることとされているものでございます。

馬場委員 おっしゃっていただきましたように、昭和四十年代後半から五十年代にかけて、高度経済成長期のときに、特に都市部のインフラの整備が追っつかないということで新たに創設をされた税金であります。

 地方の公共団体からいいますと、何にでも使えるジョーカーカード、そういうカードの思いを持っている。ほかの税目でいいますとたばこ税のような、何の努力もしないでも、何のサービスを提供しないでもいただける税金ということで、地方では随分喜ばれておるわけでございますが……(発言する者あり)いや、喜んでいるんですよ。すごい喜んでいますからね。

 私は、これは、市議会議員当時に、議会で質問をしました。これはもう役割が終わっているんですよ。一定の基盤的なインフラ整備というのは、都市部では終わっているんです。今やろうとしているのは、グレードの高い、ハイグレードのインフラの整備、そういう時期を今迎えているんですね。ですから、もう一定役割を終えた税目は廃止するのが当たり前じゃないですかと質問しましたら、市の職員は、いやいや、これは法律で決まっているから、私ら何にもできませんねん、こう言うんですね。

 去年、国会でこの質問を行わせていただいて、もう廃止すべきじゃないですか、当初の目的は達成されているんじゃないですかと聞きましたら、いや、そんなんやったら、地方自治体が黙っていないんですわと。

 これは臨財債と同じ理屈なんですわ。臨財債も、地元に聞けば、いやいや、これは国がやれと言うてますから、国の借金なんですよ、こう言うんですね。それで、国へ来て聞けば、いやいや、これは地方交付税の不足分をどうやらこうやらして、これは地方の借金なんですわ、こう言って、仕組みが全く同じになっているんですね。

 ですから、私は、この事業所税、ほかにもいっぱいあると思いますよ、今例示の一つとして申し上げているんですが、自民党の方でも、税制調査会等もありますので、ぜひ、そういう検討をしていただきたいと思いますし、大臣の方からもそういう強い指導をしていただきたいというふうに思います。

 これは、大臣の御地元、川口市ですよね、ここも入っているんですね。全国で、ことしの一月一日現在で七十六団体しか、しかと言えばいいのか、のみと言えばいいのか、どちらかわかりませんけれども、七十六団体が課税団体になっています。これは、二、三年前から比べれば減っていると思うんですが、それは把握されていますか。

 済みません、その前に、もう既にうちの三宅議員の質問の時間に入っておりますが、ボーナスとして私に時間をいただいておりますので、御心配なきよう、よろしくお願いしたいと思います。

米田政府参考人 今手元にちょっと資料がございませんのであれですが、昨年の御質問のときには七十七団体ということでございましたので、一団体減っております。

馬場委員 調べてきました。青森市が抜けているんですね。青森市、何でかなと理由を調べましたら、この五番、人口三十万人以上の政令で指定する市というところに入っていたんですが、人口三十万人を割ってしまったらしいんですね。三十万を割ったら自動的にもう政令から外されて、課税団体じゃないということなんです。

 先ほど自民党の議員さんからも御意見がありました。私、実は、こういう自分の後援会の新聞で、事業所税のことについて皆さん方に御報告させていただいたんですね。そうしたら、やはりあちらこちらから電話がかかってきて、よう言うてくれましたなと。社長、何ぼぐらい毎年払っているんですかと言ったら、三百万とか五百万とか。

 大企業はいいんですよ。全体の納税するパイが大きいですから、数百万ぐらいどうでもええわという思いを持っているのかもわかりませんけれども、中小零細企業にとっては非常に大きい。三百万の納税、これがなければ、アルバイトでしたら三人か二人か、それぐらい雇えるんですからね。アベノミクスで何か、報酬上げたれ、給料上げたれとおっしゃっていますけれども、そうおっしゃるのであれば、上げられるような体制を企業に与えてあげるということが非常に大事なことだというふうに思います。

 そしてまた、先ほどの御意見にもありましたように、新しく企業を起こそう、事業を起こそうという会社にとりましては、よくわかっている会社は、事業所税があるから隣の自治体にしておこうかというところも実際にあるんですね。また、実際、景気が悪くなってきたときに企業の改革をしようというときには、この税金が重荷になって、この市から出ていこうかなというところもあるんです。

 何かコンパクトシティーとか、今いろいろ、中心に町をつくろうとしておりますけれども、私は、これは逆行する税制になっているんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひこれは、特に自民党の与党の皆さん方、きちっと税制調査会等で、私も呼んでいただいたら説明に行きますので、ことし御検討いただきたいと思います。

 今議論を聞いていただいて、大臣、どうですか。

新藤国務大臣 税は政治の根幹ですね。ですから、これを一生懸命勉強していただいて、いろいろな御提言をいただくことは非常に重要だと思います。

 私も、国会議員になったばかりのころ、与党の税調、自民党税調に参りまして、わあわあきゃあきゃあやりました。今、泰明さんだとかこの辺のみんなも、大体、新人議員が、あいつは誰だと思われるのは、税調で、各それぞれの部会の専門分野で、この税制が必要だ、これを変えろ、こういうところで名をはせるんですよ。ですから、ぜひ、いつか機会があれば、馬場さんもうちの自民党税調に来てがんがんやってくれるといいな、こういうふうに思うんです。

 ただ、役割を終えたといいますけれども、確かに、所期の、最初の投資という意味においての目的は、かなりの部分で普及がなされている。しかし一方で、老朽化した都市施設、それからバリアフリー、耐震化、都市災害、環境問題、こういった問題に対する需要というのは、まだあるというよりも、これからさらにふえるわけです。

 そして、何よりも、事業所税を充てることとされている道路、公園、水道、河川、学校、病院、公害防止、防災、必要な事業費は、二十四年度の決算で一兆九千四百七十五億円であります。一方で、事業所税の税収は三千四百九十八億円。ですから、本来の目的からすれば、まだ足りない。

 でも、御意見がありましたように、中小企業だとか、いろいろな配慮をなされている。逆に、この事業所税の減免措置を売り物にして企業誘致を図る自治体もございます。条例で減免することもできるし、事業所税はいただくけれども、逆にその事業所税分を補助金として出して、実質の事業所税の負担を軽減することでみずからの町に企業誘致を行っている、そういう自治体もあります。

 いろいろな工夫の余地があるということでありまして、税は、いろいろな多方面から検討していかなくてはいけない。簡素、公平、中立、私は、それに加えて戦略性というのを持つべきだと思っておりますけれども、ぜひ、こういう税というのはしっかりと、これは非常に緻密な議論になりますから、今の馬場委員の意見というのはとても貴重だと思いますが、もう少し多方面からも御検討いただきたい、このように思います。

馬場委員 釈迦に説法ですが、先ほど大臣の御答弁の中にもありました、税金をいただいて、またその分を返す、これは、仮に一万円いただいて一万円返せば、そこに行政コストがかかりますので、一万円が一万二、三千円になってしまうんですね。ですから、そういうことは、もう根本をやめた方がいいんですよね。

 この事業所税というのは、重ね重ねしつこいようですが、不均一課税でありますし、冒頭に申し上げたように、多重課税なんです。これはもう、皆さん方、プロの方ばかりなのでよくおわかりいただいていると思いますが、まちづくりにかかわる税金というのは、固定資産税もあります、都市計画税もあります。そして、下水道の整備をするときには、受益者負担といいまして、一平米当たり数百円の単価を掛けて、その分、下水道の整備費用としてまたいただいているんですね。経営者からしたら、どれだけまちづくりにお金を払ったらええねんというような思いを持っている方がたくさんいらっしゃいます。

 そして、自民党の議員の皆様方、大体、都市部の方もたくさんいらっしゃいます。先ほど大臣にも申し上げました。大臣の御地元の川口市もそうです。ですから、これは自民党が正面切ってやっていただいたらまた票がふえますから、地元へ帰って、私らがこれをなくしましたよと言えば票がふえますので、ぜひ真剣に御検討いただきたいということを要望いたしまして、きょうの質問は終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 日本維新の会の三宅博でございます。

 残された七時四十分までの間、質問をさせていただきたいと思います。

 それで、質問要旨の順番をちょっと変えさせていただいて、NHKの方から入らせていただきたいと思います。

 今回、松本前会長から籾井会長に会長がかわった。これは、どのような経営状況といいますか背景で籾井会長に白羽の矢が立ったのか、何を籾井会長に期待されて選ばれたのか、その辺のところを経営委員長にちょっとお聞きしたいんですけれども、経営委員長はいないんですか。

高木委員長 きょうは、三宅先生は経営委員長はお呼びになられていないので。

三宅委員 ああ、そうですか。

 では、会長、あなた自身、どのような期待を担われているか、御認識をお聞かせください。抱負もあわせて。

籾井参考人 お答えいたします。

 まず、放送そのものにつきましては、放送法に基づきまして、不偏不党、公平公正、表現の自由を確保して放送を行っていくということはもちろんでございますが、コンプライアンスの強化、ガバナンスのあり方なども大事だと思っております。

 自分の信念とNHKの役割、期待を考えながら最適な運営を図っていくことが、会長としての私に求められると信じています。

 また、国際放送につきましては、放送法や国際番組基準に基づき、充実を図っていきたいと思っております。

 同時に、やはり、経営の合理化、コスト削減等々、経営に課せられた課題は多いと思っております。

三宅委員 会長、今回、会長職を引き受けられた。それなりの危機意識というものは当然あったと思うんですけれども、そのあたりはいかがですか、あなた御自身。

籾井参考人 お答えいたします。

 私としましても、NHKにつきましては初めての経験でございますので、中のことを余り知らずにいろいろ言うことはちょっと避けたいと思いますが、やはり、こういう特殊法人という中で、果たしてガバナンスがどういうふうにきいているのか、コスト問題がどういうふうになっているのか、この辺については、私としても、一応、知らないまでも、そういう意識を持って着任いたしました。

三宅委員 これは「別冊正論」という雑誌なんですけれども、「NHKよ、そんなに日本が憎いのか」「亡国の巨大メディアを撃つ!」というふうに題して、特集号で出されているんですね。国内から、NHKに対して相当な批判が渦巻いてきている。

 それは、いつも私が言っているように、あの法外な人件費もそう、それから反日偏向報道の数々、こういったものに対して、NHKに対して、本当にかつてないほどの批判が今高まってきているということですよね。してみると、これは金銭的な部分で今即座に危機的状況にあるとは言えないけれども、しかしながら、NHKの、組織としての内容、この腐敗、堕落した部分に対して、相当な批判がずっと重ねられてきたということなんですね。

 そこで、きょうお越しの各理事さんにちょっとお聞きしたいんですけれども、きょうは、理事さんは、石田専務理事、それから福井理事、森永理事が来られているんですね。

 NHKは今危機的な状況にあるというふうな御認識はないんでしょうか、あるんでしょうか。それぞれお聞かせください。

石田参考人 お答えします。

 ことし、年が明けてからいろいろな形でNHKに対する批判があるということは承知しております。いろいろ組織的にも、いろいろ視聴者からも声が寄せられるということで、この間、経営委員長も、容易ならざる事態だということをお話ししていましたので、そういう面では、職員、役員、危機感を持って今の状況を受けとめております。

福井参考人 私は、営業と財務を担当しております。

 営業の方は、直近、雪害等があって今非常に困難をしてございますが、二十五年度の業績につきましては、今順調に推移しておりまして、目標総数四十九万に対しまして、今、五十四万件の増を果たしております。

 財政的にも、今後センターの建てかえがございますが、今は無借金経営ということでやっておりまして、過去のNHKの財政においても非常に好調な内容となっております。

 そういう状況でございます。

森永参考人 お答えします。

 私は、国際と、それから災害の機能強化等を担当させていただいていますけれども、国内だけではなく、海外からも厳しい意見が寄せられております。現在の状況は、年が明けて極めて厳しい状況にあるというふうに認識をしております。

三宅委員 そういう中で、一昨日この総務委員会でも問題になったんですけれども、お隣の先生が問題にされたんですけれども、籾井会長が各理事から、日付は入っていないけれども、辞表を集められたということですよね。

 出された理事さん、きょう三人いらっしゃいますけれども、辞表を会長に提出した、このことについては、合意の上といいますか、得心、納得した上で出されたのか、それとも嫌々出したのか、どっちですか。これは肝心な点ですよ。

石田参考人 会長から辞任届を出すようにというお話がありましたので、上司の命令ですので、それを受けとめて提出いたしました。(三宅委員「納得したのか嫌々か、どっちか、それを聞いています」と呼ぶ)上司からそのように言われましたので、出しました。

福井参考人 私も、会長からそういう指示がございましたので、指示に従いまして出しました。

森永参考人 お答えします。

 会長から求められました。正直言いまして、驚きました。しかし、求められたものですから、指示に従って出しました。

三宅委員 今のお話を聞いていますと、今のNHKの危機的状況といいますか、全く責任感がないというふうに私は受けとめましたよ。嫌々、会長から言われたから出したんだと、異口同音に三人ともそうおっしゃったでしょう。あなた方の責任、どう思っているんですか。全くそういうふうな部分については何ら恥じるところもないし、危機意識もないというふうに、今の答弁からしますと受けとめられるんですね。

 会長、こういうふうな理事さん、即座にやめてもらったらどうですか。集めた辞表の執行をしたらどうですか、会長。どうぞ。

籾井参考人 私は、辞表を出してくださいというお願いをしたときに、私の気持ちは、けさも申し上げましたけれども、役員にやはり役員の自覚をきっちり持ってもらいたいということで出してもらったわけです。それと、やはり私がフレッシュ、来たばかりなので、みんなに、一緒になってやろう、こういうことでお願いしたわけでございます。

 今の役員たちの答えが委員にどういうふうに聞こえたかということは別としまして、今我々は、私に端を発するこの問題について一丸となって当たっておりますので、ぜひその辺をお酌み取りいただきたいというふうに思うわけでございます。

三宅委員 会長、あなたは、そうして理事さんをかばっていらっしゃる。ところが、各理事なんかは、会長に対して非常に冷たい思いを持っているんじゃないですか。今会長が、自覚を持ってと。各理事さんなんかは、自覚、ないんじゃないですか。だから、ああいうふうな答え方になるんでしょう。

 私は、本当に、全理事に、恥を知れと言いたい。ここまで腐敗、堕落させた責任はあなた方にあるんでしょう。にもかかわらず、上から言われたから出しました、上から言われたから出しましたと。何なんですか、それ。

 しかも、法外な人件費をつかみ銭みたいに取って、放送する内容を見たら、もうとんでもない偏向、反日報道の数々をずっとやってきた上で、何らそれに対して責任意識というものが見られない。とんでもない話ですよ。

 先日も私は申し上げましたけれども、今デジタル化の中でスクランブルは幾らでもかけられるんでしょう。かければいいんですよ。放送料金、見たくない人から無理やり取る必要はないんです。

 わかりやすい例で言いますけれども、水道、ガス、電気、これはライフラインですよ。しかし、これは、料金を払わなかったらどうなりますか。とめられるでしょう。水道も、ガスも、電気も、とめられたら、これは生きていけない。ひょっとしたら、命にかかわるようなことにつながるかもわからない。こういった料金は、払わなかったらとめられるんですよ。それで、見たくないNHKは、料金を何ぼ払ってもとめられないんです。こんな理不尽な話、ないですよ。

 本来、公的機関といいますか、国も自治体も、基本的な姿勢は、正々堂々とせなあかん。ところが、NHKの料金に見る姿勢、あるいはその他の公共料金との徴収の仕方、極めてこそくなんですな。

 そういう部分で、本当に、言ってみれば、見たくない人が続出したらNHKはもう成り立たないということを語るに落ちるみたいなことなんですよ。

 大臣、公共料金の取り扱いについて、今の話をお聞きになって、あるいは一連の理事さんのお話をお聞きになって、どう思いますか。

新藤国務大臣 まず、受信料をいただいて運営している、その公共放送としての使命、それから自覚、これは強く感じてNHKは放送を行っていただきたい、このように思います。

 その上で、これは、自主自律を保障された放送機関のコンプライアンスの問題でありますから、私が個別の立ち入ったことをお話しするつもりはありません。

 ただ、一般論で、しかも、今のやりとりを聞いていて私が感じたことは、理事さんたちは組織人として自分の役割を自覚しているな、このように思います。これは、会長に身柄を預けて、一緒にやっていきましょう、こういう意思のあらわれだと私は思いました。

 そして、理事の罷免は、会長の専管事項ではありません。これは、経営委員会の同意を得て行うものでありますから、そもそも、日付の入っていない辞表は、効力のないものであります。そして、なかなか、こういう場で理事さんたちも会長も率直な話ができないんだと思いますけれども、自分が新しく来たから、一緒に心を合わせてやってくれ、それにはまずみんなの身柄を預かるから、そしてやっていこうじゃないかと。

 私は、その心意気は、前向きに捉えれば、そういうことでみんなで頑張るんだ、そのように感じたし、今こうやって国会でいろいろな厳しい御指摘をいただいても、理事さんたちが淡々と、私はこの指示に従ってやりました、この姿勢というのは、そこで自分の何か思いを出すのではなくて、これは放送法に準じて、そして組織の一員としてやるんだと。会長も、放送法に準じて自分の責任を全うする、そういう重い責任があるんだということを理解していただいたと思います。

 いずれにしても、自分の個人的見解ではなくて、求められる公の立場を全うするんだ、私は、今の話を聞いていて、その自覚といいますか、その気持ちというものは伝わってまいりました。

三宅委員 個人の受けとめ方というのはさまざまでして、私は、全く大臣と違う受けとめ方をしたんですね。大臣も、あるいは籾井会長も、非常に善意に成り立つような受けとめ方をされている。私、人間は別に悪いことはないけれども、悪意に受けとめられるような受けとめ方をしているのかもわからぬけれども。

 それと、今ちょっと、大臣、公共料金の取り扱いとの差異、これについての御印象もお聞きしたいんですけれども、いかがですか。

新藤国務大臣 公共料金はサービスの対価であります。一方で、受信料というのは、NHKが国民によりよい放送をあまねく全国に提供するために、それは、受信機を持っている方たちが共益費として、一緒にその放送を保障するためにいただく、また、払っているものであります。ですから、性格の差というのはあると思います。

 ただ、いずれにしても、皆様から、そういった貴重な自分の収入の中からお支払いいただくわけですし、放送というのは国家共通の基盤ですから、NHKという意味合いというのは非常に重い。

 ですから、その受信料の重さというものをしっかり受けとめて、厳正、中立、そしてよりよい番組をつくっていただきたい、このように思います。

三宅委員 あまねくよい放送があれば、こんな問題になっていないんですよ。

 今大臣は、公共料金その他の料金は対価であるというふうにおっしゃいましたけれども、いかに表現を巧みにしようとも、大臣の言葉をおとしめているんじゃないですよ、いかに表現を変えようとも、国民の受けとめ方というのは、やはり、私がさっき言ったような、極めて素朴な感覚で受けとめているんですね。

 そういった中で、NHKの料金を払うということに対して、ばかばかしいというよりも、腹が立つといいますか、こんなところに料金を払ったらえらいことになるというふうな思いもあると思いますね。

 それから、会長、あなたがいろいろと就任会見で、取り消されたけれども、いろいろな発言をされて、それが非常に大きな批判を呼んでいる。あるいは、百田尚樹経営委員もそうですけれども、あるいは長谷川三千子さんもそうですけれども、私は、そういう個人の考えとか思想とかいうのは、やはりどんどんおっしゃればいいと思うんです。

 なぜ、籾井会長が指名されたのか。なぜ、百田尚樹にお声がかかったのか、長谷川三千子にお声がかかったのか。彼らの日ごろの言動を見て、お声がかかったんでしょう。だから、その人格なり言動というのは放送に反映していけばいいんですよ。

 ただ、これは、籾井会長に対して、私、何といいますか、悪口を言っているんじゃないですけれども、見た目が、籾井会長、ちょっとこわもてといいますか、不敵な面構えで、何か印象が悪いというふうにとられる方も中にはいるかもわからないけれども、私自身は、会長のその雰囲気とかは非常に、なかなかええ男やなというふうに、本当に心から思っているんですよ。だから、期待しているんですよ、本当に。

 さっき、私は理事さんを批判した。会長、あなたはその理事をかばった。リーダーたるもの、そうでないといかぬねん。やはりそういうところはさすが九州の男やなというふうに、本当に感服しました。いろいろな批判にめげずに、その信念に基づいて、NHKをよくしていただきたい。

 私自身は、NHKは国鉄と一緒や、解体せなあかんと思っているけれども、立場は異にしますけれども、そういう部分では敬意を持ってあなたのことを見ているということは正直に申し上げますよ。おべんちゃらでも何でもないですよ、これは。

 次に、時間もなくなってきましたので、地方税の方に話を移させていただきたいと思います。

 今回の地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、これに対して、我々も、党としてもこれから姿勢を示しますけれども、さっき、新藤大臣、税は国の根幹であるというふうにおっしゃいましたよね。税体系と国家理念というのは表裏一体のものですから、本当に。

 そういった中で、せんだっても言いました、今や、地方税の中で固定資産税がもう最大の収入の柱に来ている。にもかかわらず、その一部に、その運用に誤りがあるんじゃないかということで言っている。その運用の誤りというのが、朝鮮総連の施設に対する固定資産税のことなんですね。

 先日もお示ししましたけれども、「内外情勢の回顧と展望」、この中でも、朝鮮総連に対して非常に、これは破防法の要監視対象団体ということで、危険団体であるということなんですけれども、この朝鮮総連という団体というものに対して、警察それから公安調査庁はどのようにお考えになっているか。それと、日本人の拉致事件と朝鮮総連の関係、これもあわせて、警察と公安の方にお聞きしたいんですけれども、いかがですか。(発言する者あり)

高木委員長 静かにしてください。静粛に。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 朝鮮総連は、過去に工作員の密出入国や拉致容疑事件を引き起こし、さらに、国際テロ事件を敢行した北朝鮮と密接な関係を有する団体というふうに認識しております。これまでも、朝鮮総連組織が北朝鮮向け大量破壊兵器関連物資等の不正輸出にかかわった事例を確認しているところであります。

 警察としましては、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から、朝鮮総連の動向について重大な関心を払っているところであり、具体的な刑罰法令に違反する行為があれば、これを看過することなく、厳正に対処していく所存でございます。

小島政府参考人 お答えいたします。

 朝鮮総連は、北朝鮮の強い影響下にありまして、その活動につきましては、随時、北朝鮮の指示、指導を受けつつ、北朝鮮に対する支援活動や我が国に対する働きかけなど、さまざまな活動を行っているものと認識をしております。

 その中には、先ほど警察庁高橋局長からの御答弁もありましたとおり、さまざまな犯罪にかかわってきた行動もあったものと承知をしております。

 当庁におきましても、このような朝鮮総連の諸動向につきまして、引き続き、重大な関心を持って、鋭意調査に努めていきたいと考えているところでございます。

三宅委員 いつも私が言いますように、日本国内における多くの拉致事件の主犯は朝鮮総連である、実行部隊だ。

 その前に、委員長、私自身はもうNHKの方は結構ですので、委員長の御指示に従います。

高木委員長 では、NHKの関係者は、これで退席してください。

三宅委員 今も申しましたように、多くの拉致事件の主犯、実行犯は朝鮮総連であるということなんですね。

 北朝鮮に拉致された日本人は、今に至るも、あらゆる自由を奪われて、日本に帰ってくることができない。ところが、日本にいる在日朝鮮人の方々は、人道的配慮や何や、墓参や何やとかいって向こうと行き来しているんですけれども、法務省の方にその辺の現状をちょっとお聞かせいただきたいと思います、把握されていたら。

 それから、せんだって、COIといいますか、国連の北朝鮮における人権に関する調査委員会の報告書、この簡単な説明をちょっと外務省の方にお聞きしたいと思います。

木原(誠)大臣政務官 お答えを申し上げます。

 法務省の方から別途お答えがあるというふうに思いますから、私の方からはCOIの調査報告書について御答弁申し上げます。

 北朝鮮における人権に関する国連調査委員会、今御指摘いただきましたCOIが報告した報告書におきましては、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況の深刻さをるる詳しく記述をしていただいており、我が国としてこれを歓迎しているところでございます。

 同報告書を踏まえながら、関係国及び国連とも一層緊密に連携をして、北朝鮮に具体的な行動を求めていきたいと考えております。

三宅委員 法務省の方、答えられますか。

小島政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮によります日本人の拉致被害者につきましては、我が国政府が認定をしております十二件十七人以外にも、北朝鮮による日本人拉致被害者が存在をする可能性があるという認識を持っておりまして、引き続き、重大な関心を持って、鋭意調査に努めているところでございます。

 拉致被害者の存在につきましては、政府に設置されております拉致問題対策本部会合における協議に基づきまして、政府全体として認定すべき問題でありますので……(三宅委員「そうやなしに、日朝間の行き来を言うている。在日朝鮮人が北朝鮮と日本との間を行き来しているでしょう、それを聞かせてくれと言うている」と呼ぶ)

 もちろん、現在、北朝鮮に対しまして制裁を科しておりますので、北朝鮮の政府関係者等にかかわりがあると思われます在日朝鮮人の行き来、渡航は禁止されておりますけれども、それ以外につきましては、それぞれ、在日朝鮮人の北朝鮮への渡航歴というのは現にございます。

三宅委員 それがいかがなものかということを言いたいんです。

 いまだに複数の朝鮮総連施設に一部減免が実行されているということなんですけれども、地方自治体による減免の適用というのがなぜいけないかというのは、一部には、これはやはり公的なお墨つきを与えることになるんですよ。向こうに、公的な集会所や公民館施設、こういうふうなお墨つきを与えることになる。

 いろいろな裁判で、朝鮮総連の施設はそういうふうな性格のものじゃないということが幾つも出ているにもかかわらず、そういうふうに、一部の自治体はいまだに継続してやっている。これは、できる限り速やかに撤回をしていただきたいと思います。

 最後に、大臣、ちょっとそのあたりのお考えをお聞かせください。

新藤国務大臣 これは、法律を厳密に適用していただきたい、このように考えております。

 そして、地方税法第三百六十七条、固定資産税を減免できる規定としては、天災その他特別の事情がある、貧困により生活のため公私の扶助を受ける者、その他特別の事情がある者、こういうことを定めているわけです。

 ですから、総務省としては、地方公共団体に対して、朝鮮総連関連施設に対する固定資産税の減免の取り扱いについては、対象資産の使用実態を的確に把握した上で、公益性の有無等条例で定める要件に該当するかを厳正に判断するように、総務大臣通知を出させていただいております。

 現状、今、全国にある百二十八の朝鮮総連関連施設の中で、一部減免が十団体、残りは全て固定資産税をいただいている、こういう状態であります。

三宅委員 質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 質問に入らせていただきます。

 我々みんなの党は、増税する前にやるべきことがあるだろうと言い続けてまいりました。その一つに、我々は天下り禁止などいろいろなことを言ってまいりましたが、きょうこの質問の中にも、昔で言っていた、わたりというようなこともちょっと触れさせていただきたいと思います。いまだにわたりが残っているということ、そのわたりをしながら退職金をまたもらっていくというような制度がいまだに残っている、この問題については後ほど質問をさせていただきたいと思います。

 本日の議題、地方交付税法改正案、地方税法改正案の質問に入らせていただきますが、そもそも地方税とは何なのか、お答え願いたいと思います。

米田政府参考人 お答えいたします。

 地方税は、地方税法及び地方税条例により地方団体が課税権を有する税である。

 これに対しまして国税は、所得税法等の法律の規定によって国が課税権を有する税であるというふうに認識しております。

佐藤(正)委員 地方税は何ですかと聞いて、国税はその後に聞こうかなと思ったら、一緒に答えていただき、ありがとうございます。

 いわゆる、地方が自分で課税権があって集める地方特有の財源である、国は、国が課税権を持って国特有の財源であるというふうに解釈してよろしいですか。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

米田政府参考人 地方税の部分につきましては、おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、国税は、課税権は国が有しておりますが、当然このうちには地方交付税の原資になる部分もございますので、国が全てを使うということではないというふうに認識しております。

佐藤(正)委員 実は、そこが、今までここの中でいろいろ議論をされてきた大きな問題点だと思うんです。

 国が集めて、そして、本来、地方が地方の財源として独自に自分でいただいて、そして必要な仕事にそのお金、財源を使うということだろうと思いますが、そこが俗によく言われる四対六とかという数字が出てきて、地方の方が国よりも仕事をやっている。その中身は何かというと、国の仕事を地方が請け負っているという部分があるということだと思います。

 そこで、もう一点お尋ねをさせていただきたいと思いますが、地方交付税交付金について教えていただけませんか。

佐藤政府参考人 地方交付税は、国税五税の一定割合とされておりまして、その機能は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるように財源を保障するためのものでありまして、地方の固有財源というふうに観念をされております。

佐藤(正)委員 であるならば、地方固有の財源であるということでよろしいですか。

佐藤政府参考人 そのとおりと考えております。

佐藤(正)委員 総務省のお金でも何でもないですよね。基本的には地方の固有の財源であるということをまず確認させていただきたいと思います。

 そこで、大臣がいつも、頑張ったところが報われる、本当に私はそうだと思いますし、これまでもそうですけれども、今、交付税は地方固有の財源でありますし、たまたまと言ったらいいんでしょうか、総務省がそれをしっかり地方に配分しているということなんでしょうけれども、いろいろな議論があるんですよね。

 例えば、昔は、地方にもいろいろな改革を国から言われました。集中構造改革プランというのがあって、ちょっと目が少し合ったんですが、前に福岡県庁におられた方もおられますけれども、実は、地方はそのときにすごく頑張ったんですね。頑張ったというのは、定数もこれぐらいにしろと言われて、定数削減の目標を国から言われて、一生懸命やった。

 ところが、国の方は例えば何%と一律ぼんと来るけれども、例えば県だったら、学校の先生がいるとか警察官がいるとか、それもグロスにして削減しろと言われても、地方は非常に困ったんです。議会の中でも、削減するのにどうするんだと。逆に、福岡県なんかは警察官をふやせよという声がたくさんあったんですね。だけれども、総体的に全部下げろと言われるものですから、どこが一番しわ寄せが来たかというと、知事部局。ここは目いっぱい削減をするけれども、どうしても削減できないところがある。

 そういう中で、地方は、定数を削減するために採用を抑制したんです。自然に減少していくためには、下を雇わない、そして退職していっていただく。これをやると地方がまた、数字は見えるんですけれども、実は非常に困ったことがある。それは、職員の年齢構成がいびつになったということがありました。

 その当時、地方はそこにまた知恵を絞って、いろいろなことをやったんですね。それは、我々は余り賛成していなかったんですけれども、民主党政権時代にやった現役出向的なことをどんどんやったんです。現役出向的にやると、行ったときには実は定数に入れない。地方の実態を言っているんですけれども、それぐらいに大変なことを地方はやったんです。これが現実なんです。

 そうやって頑張っても、結局、交付税は、前から、総務大臣が言われるように、地方の方から、これだけの仕事量があって、これだけのものが要るんですよ、当然、減っていればそれに対しての仕事量ですから、それに見合うお金を今度は調整して交付税で措置するんです。

 しかし、そこは頑張ったんですよ。ところが、逆に言ったら、余り頑張っていないところも実はあるんです。しかし、頑張っていなくても、そこはそれなりの仕事の量を持っていますから、それに対してやはり要求するわけですね。そうすると、今度、頑張ったところにまたさらなる目標を与えると、非常にきついというよりも、当時よく言ったのは、雑巾を絞ったら水は出るけれども、から拭き雑巾を幾ら絞っても出ませんよというようなことがあった。

 そういうことを考えたときに、恐らく、大臣は、頑張っているところにそれなりのものを手当てしたいということなんでしょう。その頑張りの評が、大臣なりに考えた評があるんだろうとは思います。

 しかし、よくよく考えてみると、先ほど、地方交付税とは一体何ぞやという御質問をいたしましたが、地方交付税は地方固有の財源であって、頑張ったところにもしそういう手当てをするのであれば、これは実は一つ考え方が、地方交付税の性格からしたらちょっと違うのではないかな、だったら、別財源で、交付税措置ではなくて別財源で、例えば補助金で上げるとかいうことの方が、大臣が言われる目的に実は物すごく適合しているのではないかな、このように私は思いますが、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 目指すべき目的といいますか事業の趣旨は、委員も御賛同いただけると思います。

 あとは、その手段の問題として、交付税ではなくて、別途、別の財源と制度をつくったらいいではないか、これも一つの考え方だと思います。しかし、今現状でそういう制度はありません。

 そして、私たちが、地方交付税という、地方自治体が適切に、全国標準的にどこの自治体においてもそこの住民がサービスを受けられるように、行政が施されるように、こういうことでつくった制度でありますから、その趣旨の中で、特に、地方交付税を全て、頑張ったか頑張っていないかという評価をしてやるのではなくて、標準財政の需要はきちんと見るわけであります。

 それに加えて、行革努力で捻出した、もしくは景気回復で確保することができた、そういう財源の中の一部を、頑張った自治体、それは行革努力をして頑張った、それから、逆に、削るのではなくて町の勢いをふやすことができた、そういったものに充てることによって、それにさらに拍車をかける。そして、各自治体の努力というのを多面的に取り入れる必要があるということで、さまざまな工夫をしているわけであります。

 そういう地域の活性化のために資する、それは、ひいてはその地域の住民のサービス向上につながっていく、こういう観点で我々は制度設計をさせていただいている、こういうことでございます。

佐藤(正)委員 総務大臣が言ったように、趣旨は物すごく賛成です。ただ、財源的には、やはりちょっと違うのではないかなと私は思います。ここは別途検討をしていただいて、大臣の思いがもっと、別財源の分でとってきて、しっかり充ててあげるというぐらいのことをやっていただきたいなと思います。

 本当に元気が出る話だと思いますよ。要するに、いろいろな投資もやって、成功もして、頑張って税収も上げている、もっと頑張れということだと思うんですね。人間というのは、褒められるともっともっとやる気を出す動物だと思います。僕は、質問のとき、余り褒めた質問をしていないんですけれども、今の大臣の思いというのは、僕は本当に伝わってまいります。

 先ほど言ったのは、私は福岡でしたけれども、福岡でも本当にやれるだけのことはやっていた部分も認めざるを得ないというか、よく頑張ったという評価も僕はしています。足らざるところは確かにあるけれども、しかし、頑張ったところに何の手当てもないというのは、やはり糸が切れるという部分もあるので。この事業の精神は僕は大賛成です。しかし、ぜひ、今言った交付税という性格からして、もう一度、今後の検討課題に上げていただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。

新藤国務大臣 これは、不断の、さらなる改善のための研究というのはやっていい、このように思います。

 さらにつけ加えて言うならば、それを交付税で得るか。

 我々は支援をしようと思っています。しかし、地方自治体が本当に頑張って、自分たちで地域を活性化させることによって自分たちの地域の税収を上げる、これが一番です。そして、それによって地域が伸びていく。

 我々は、財源の調整と保障、こういう観点で交付税というものをしっかりと均等に、それぞれの地域ができるだけ平準化するように、こういうことが制度ですから、しかも、その制度の中でインセンティブを少し、元気になってもらうためのこういうものをつけ加えたということであります。

 委員の御提案というのは、我々は、いつも頭にとめて研究はしていきたい、このように思います。

佐藤(正)委員 やはり地方交付税はちょっと違う性格のものなんですね。だから、そこは新たなものをまたやっていただきたいと思います。

 それとまた、財源は今考え方がちょっと違うんですけれども、事業は僕は本当にいいと思いますが、大臣、今後、これをどのように持っていかれますか。大臣の構想は、いわゆる元気創造事業を今後どういうふうに持っていかれようと思っていますか。

新藤国務大臣 そもそも、この発端は、昨年我々が政権についたときの、きょうはさまざまな御議論をいただいております、よりよくするためにはどうしたらいいんだ、こういうことで各委員の皆さんから御質問をいただきました。だけれども、安倍政権ができる前の状態はどうだったんだ。まだ一年ちょっとですよね。そのころのことを考えれば、本当に厳しい、崖っ縁の、後がないぞ、こういう状態で、そして、まずはこれ以上落ちないようにてこ入れをしようというので、補正を含めてさまざまな経済の対策を打ちました。

 また、そのときに、東日本の復興のために国家公務員が協力してくれた。これだけ疲弊した地域経済を活性化するために公務員の皆さんもぜひ協力してほしいということで、自分たちの地域を元気にするために、そしてこの国の財政再建をしていくために、給与の削減の協力要請というのをいたしました。私は、本当に総務大臣として心苦しく思いながらも、しかし、ここはみんなで頑張るしかないんだ、こういうお願いをさせていただいたのが、私が就任した直後のことであります。

 そのときに、その給与の協力をしていただいた額を、そのままではありません、それに見合うものを、地域の元気づくりということで、その地域にきちんと反映できるようにというのでつくった事業が発端であります。

 しかし、それは、今年度はもう原資がなくなったんです。このまま、通常でいけば、もう制度はなくなるんです。しかし、いまだにこの国の経済再建は途上である。ですから、当面の間、まずは今年度、地方の皆さんの大変な努力によって財源を捻出することができました。我々も、財務省との折衝の中でこの枠をきちっと主張してとることができました。それを地方の皆さんに使っていただこうと思っています。

 ですから、これは、当面の間は、このようなことをしなくても、そもそも地方が自分たちの力で、そして交付税が本来の機能のままで大丈夫なことになれば、これはそのときに役割を終えるものだと思います。

 今、みんなで頑張って地域を持ち上げるんだ、そういうときのインセンティブとして、これは、行政改革と財政再建と経済成長、これを両立させるための一つの呼び水としてお使いいただける。いずれ役割がなくなるときがあれば、そのときに制度もなくなる、こういうことだと思います。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤(正)委員 やはり交付税でそれを持っていくというのはちょっと違うと僕は思いますよ、今の話でいったら。やはり、さっきから御説明を受けたように、それは地方固有の財源ですから、地方固有の財源を、一回総務省の方で見て、頑張ったか頑張っていないかとかいうのは、ちょっと違うと私は思います。

 なぜなら、みんな足らないんですよね、そもそもが。そもそもが、財政需要額をいっても、足らない。足らないから、後で言いますけれども、先ほど馬場さんがもう言ったけれども、いわゆる臨財債とかが出てくるんですよ。そもそも論が、そこが違う。

 要するに、何を一番やらなきゃいけないのか、地方も元気にするためにはどうするかといったら、やはり景気しか、景気を上げるのがやはり一番、税収を上げるのが一番。そういう意味では、アベノミクスの異次元の金融緩和、これはもう我々は大賛成でした。

 実は、私、手前みそですが、県議のときからそれを言っていたんですね、金融緩和をやった方がいいと。すごくみんなからひんしゅくを買ったんですよ。おまえ、金を刷って、誰が使うんだとか、すごく言われました。多分、国会、国政の中でも、金融緩和を言うと、いろいろな議論があったんだろうと思います。日銀とのやりとりも僕は国会中継で何度か見させていただきましたけれども、その当時はそういう論法を張る人は主流ではなかったと思うんです。

 しかし、結局、デフレがずっと続いていって、アメリカはドルをいっぱい刷るわ、日本は円は刷らないわ、そうすれば当然、円が希少価値になりますから、円高になるのはもう至極当たり前。これをずっと繰り返してきて、安倍政権が生まれる前に、我々も選挙を戦っていましたけれども、同じことを言われてつらいなと思ったんですね。つらいなというのは、政策は賛成なんです、だけれども、これはとられたなぐらいに思いました。

 結果的に、やはり僕は間違っていなかったと思っています。その当時、自民党の中でも大いなる議論が実はあったんだろうと思いますけれども、結果、異次元の金融緩和は間違いなかったと私は思っています。

 ただし、さらなる金融緩和をやるべきだというのが、今、我々みんなの党の考え方であります。

 ただし、お金の方は、金融の方はうまくいきましたけれども、いつも言われますけれども、地方にはその恩恵がまだまだ来ていないというのも事実です。だから、総務大臣が元気になれ、元気になれと言われても、なかなか、まだその元気が出ていないのも実態なんです。

 そういう意味では、この元気創造、名前が僕は大好きですね、元気という言葉が一番よくて、それをもう少しかみ砕いて、市町村まで伝わるような努力をより一層していただきたいと思いますが、大臣、どういうふうにやったら届きますかね。

新藤国務大臣 それは、言葉で説明することも大事でありますけれども、成功事例をつくることだと思います。そして、その成功した事例を広くいろいろな方々に知っていただく。そして、どうしてうちの町でできないんだ、あの町でやっているじゃないか、うちの町の議員は何をやっているんだ、市長は何をやっているんだと、また、住民が、自分たちもやろうじゃないかと、そういうふうな機運をつくっていくこと。そして、いろいろな、全国的に御紹介できる、そういう機能は我々が果たしていかなくてはいけないんだと。

 いろいろございますけれども、まず第一にやることは、予算を用意して、制度や事業をつくります。しかし、これをやることが成果が上がることなんだ、それは何のためにやっているのか、こういうことをはっきりさせて、国民に広く共有していただくことが重要ではないかと思います。

佐藤(正)委員 何でもそうなんですけれども、やはり、いい事例を大いにPRするというか、出した方がいいと思うんです。

 ちょっと話は違うんですけれども、教育委員会制度とか、いろいろよく言っていますけれども、実は、学校現場でもいいことを見つけた運動をやろうと僕は言ったことがあるんですよ。教育委員会の、文教委員会というところで手を挙げて、いいことを見つけた運動をやろうと言ったら、県の教育委員会はすぐ動いたんですね。これは余談ですよ。動いたら学校がびびってしまって、教育委員会から電話があった、何か悪いことがあったか、何かあったかと。そういう上から来るものに対しては逆にすごく弱い。

 地方は、逆に言うと、国から何かを言われると少し引くんですよ。本当は対等でなきゃなりません。しかし、現実はそういう仕組みになっていないんです。だから、ぜひ大臣には、そうやっていいものを見つけたときに、やはり対等な中で拾い上げられるようなことをやってもらいたいと思うんです。

 総務省には、すばらしい職員がたくさんいらっしゃいます。そして、地方で大活躍をしてこられた、地方に行って財政課長をやられたり局長をやられたり、いろいろな経験をされてきて、各地方のいいところをかなり、まあ、悪いところも知っていると思いますよ、しかし、かなりいいところもたくさん知っていると思うんです。そういう情報を集めたら、結構いろいろなことをやっている、いろいろなアイデアが出てくる。ぜひ、総務省の中に、職員から情報を集める、そんな仕組みを、もう今もされているかもわかりませんが、されたらどうかなと思いますが、大臣、どうでしょうか。

新藤国務大臣 たしかインドの格言だったと思いますけれども、一つのともしびという言葉がありますね。これは、たくさんの炎があるけれども、その大もとは一つである、誰か一人、一つの熱い思いが伝わっていくことによってたくさんの思いになる、でも、大もとは一つということです。

 ですから、優良事例をつくって、成功モデルというものを皆さんにお知らせする、そういう手段も必要です。でも、私は、委員もそうだと思いますけれども、国、県、市というのは上下ですか。役割分担でしょう。市役所にだって、町役場にだってすごいやつがいますよ。それから、国にだって、もちろんすごいのがいます。市議会にも、県議会にも、町村議会にも、国会にも。それぞれ、結局、その場で、自分で頑張って、体を張っている人たちがいるわけですよ。俺はこの地域で誰にも負けないで頑張るんだと志を高く、そしてそういう人たちを受け入れる組織、それから育てる土壌、その繰り返しで私たちは国が発展してきたと思うし、地域が発展したと思います。

 ですから、今、国に言われて地方が萎縮するというのは、それはだらしないじゃないか。正しいことならば、地方の連中ががんがん言えば国は動きますよ。私もかつてそういうことをやったことがあります。別に武勇伝とかではなくて、それだけの場所を与える、またそういう人材を育てるのは、上がそういう気合いがなけりゃ下は育ちませんよね。

 ですから、今私たちは、本来の、日本がみんなで努力してきた、そういう原点に戻らなければならないんだ。そこで、とにかくやらなければならないんですから。なし遂げなければ子供や孫にこの国を、安心したものを渡すことができない状態まで今、日本は瀬戸際になっていること。これは、アベノミクスが成功して、一年、二年でもってその瀬戸際から脱するような甘いものじゃありません。ですからこそ、最大限の力を発揮して、今なら幸いにして私たちはまだ力があるんです。世界に冠たる経済力も持っています。技術力もあります。過去の貯金といいますか、いろいろな資産があるわけなんだから、そういうものを使って前に進んでいこうではないか。

 ちょっと大げさな話になって恐縮ですけれども、そういう気合いで、各所、全てのそれぞれの場所に誰か一人そういうのがいれば、その思いは、炎のように、一つ一つ、ちっちゃな、最初の一本のろうそくだけれども、私はつながっていく、このように思っています。

佐藤(正)委員 もう一点今言ったのは、総務省の中で、職員からアイデアを集める、そういうのは何かやっていないんですか。

新藤国務大臣 私は、総務省に来て、とにかく巨大官庁なんだけれども、総務省の中でやはり縦割りになっちゃうんです。縦割りと役割分担は紙一重なんです。自分のところに責任を持てないような人、自分の仕事に精通していない人は、ほかのところに口を出したってうまくいきません。でも、自分のことしかわからない、自分のことしか気にしない、それでは仕事はうまくいかない。だから、あらゆる機会を捉えて、幹部やいろいろな人間を集めて、自由に言ってくれ、大臣が言ったからといって、はいはいと言わなくていいよ、おかしけりゃ言ってくれ、そういうのをやっています。また、幾つもの研究会をつくってやっています。

 それから、総務省は事業官庁になろうじゃないか、私が最初に言った言葉です。

 我々は許認可を持って、そして申請があればそれを交付する、巨大なお金をさわりますけれども、自分たちが直接やる事業というのは幾らあるんだ。余りないんです。ですから、人のお世話をするのに加えて、自分たちも実際に現場に入って仕事をする、そういう事業官庁になろうじゃないか。それは、テレコムにおいても、自治においても、全ての分野でそうです。そういったことを心がけて、その中からアイデアを出してもらう。

 私は、このぐらいのことはできるだろうと言うだけで、根拠はないんですから。そうすると、やろうと言うんだったらば、それを本当にやらなきゃいけないのならば、では、こういう手段がありますよ、これを整備しましょうと、いろいろなものが出てきて、しかも、それは自分たちでやるんだという自覚が芽生えれば、これは活性化するんじゃないか。

 それを、総務省だけではなくて、政府の中に横串を通さなきゃいけないわけですから。それは総理が今、陣頭指揮に立ってやっていただいておりますけれども、我々も、横の連絡をとって、エネ庁とも、金融庁とも、環境省とも、国交省も、いろいろなところに口を出して、総務省がこういうことで情報基盤を出すから、おたくの省でこの仕事をやろうと、がんがん人の仕事まで出かけていってやっているんです。そういう中で新しいアイデアが出てきたり、それを研究した成果が、ことしの予算やそういったものに、少しずつですけれども出させていただいているということでございます。

佐藤(正)委員 今、少し、大臣から言われて、総務省の中がいろいろ、がちゃがちゃ、わあわあやっているような雰囲気を感じました。実際、それぐらいでなきゃいけないと思います。ただ、余りがんと言うと、ぎゅっと萎縮する人は結構多いので、実際が。

 そういう意味では、確かに役割分担なんですよね、国も市町村も。ところが、今までの歴史からいくと、参勤交代制度のごとく、地方は国にずっと陳情に上がっていたんですよ。

 昔は、御存じのように、地方の農産物をたくさん持っていって、廊下にだあっと積んであったりとか、やっていたじゃないですか。それが、やはりおかしいぞと言われて、縮小されていったわけですね。地方は、それを持っていって、会ってもらって、地方の物産なりを、おいしいものがあったり、おいしい焼酎がありますよとか、これも一つのやり方かもしれませんが、しかし、それはもうだめなんだということで、随分変わったと思うんですね。変わってきて、中央に地方から陳情に上がるのも随分数が減ってきたはずなんです。

 それはいろいろな部分で財政的なものも考えていくと、私は一度、全国の市町村、都道府県、それから議員の方々が東京に上るために年間どれぐらいお金を使っているのかなと。これは雑駁な言い方で申しわけないんですが、年間一兆円ぐらい使っているんですよ、北は北海道から南は沖縄まで、市町村、都道府県、議員含めて。その当時は、一人で済む話でも十人ぐらい来るんですよね。そして、各省庁に名刺をずっと置いていくんですけれども、こういうことをずっと今までやっていた。

 この名残がやはりあるんですよ。やはり地方は、東京に上って、頭を下げて、お願いしますというのがしみついているのも事実なんです、幾ら役割分担といっても。それはなぜかといったら、やはり財源なんですよ。財源がないから、財源が欲しいから、こぞって皆さん行くんです。行ったからといって、それで財源になったかどうかは、最終的にはよくわからないというのが今までだったんです。

 だから、私は何が言いたいかというと、やはりそういう文化がずっとあるという現実もあります。そこで、今、総務大臣が言うように、総務省で、いろいろなところに出向して、地方をわかってきて、地方の問題点もよくわかっていらっしゃる、そして地方の成功事例もよくわかっていらっしゃる、そういう方々の意見というのは、僕は本当に大事だろうと思いますね。そういう意見を、いいものは返してあげると、逆に、そこはまた伸びる可能性もある。いいことをやっているんだけれども、誰も認めてくれないというか、光が当たっていないというか、そういうところもあります。

 ですから、大臣、今私が申し上げたのは一事例ですけれども、ぜひ検討していただいて、それでまた一ついい事例が、元気なところができたら、その職員は三倍のやる気を出します。ぜひ、大臣の手腕に期待をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 そこで、地方交付税なんですけれども、地方交付税交付金は、長年にわたってずっと財源不足ですね。実際、先ほど来からありましたけれども、毎年続いて、何年かして、三年ごとにまた切りかえたりやっているんでしょうけれども、この財源不足がいつも議論になるのは、地方が国の分まで仕事をやるためにこれだけお金が要るんだといっても、実は足らない、これが借金として積み上がってくるということに今なっているんですね。

 そこで、昨年、私は、登壇物で、総務大臣と麻生財務大臣にお尋ねをしたんですね。法定率を変えてくれ、そもそもそういうたてつけになっているわけだから、地方の財源が足らないというのは、そこをいじらないと無理じゃないですかと総務大臣に聞いたら、地方固有の財源だからそれは頑張ると。しかし、麻生大臣にしてみれば、そんなことを言ったって、おまえ、払えるか、簡単に言えば、そういうことですよね。だから折半ルールがあるじゃないかというような話なんですけれども、実は、法定率を改める、また改めなさいという法律のたてつけになっていますから、そこはもう一度大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。

新藤国務大臣 地方交付税の法定率の引き上げは、総務省の悲願でございます。ですから、安定的な地方財政の運営をするためにも、これはぜひなし遂げたいということで、毎年要望を出しております。財務省とも折衝しています。

 しかし、現状、残念ながら、地方交付税の法定率を上げるということは、国に残るお金が少なくなるということで、結局、そこが足りなくなるということであります。

 ですから、やはり、先ほど委員もおっしゃいましたけれども、景気をよくすること。

 それから、かつて我が国は、税収が六十兆ぐらいありましたでしょう。そのときは、歳出も六十兆ぐらいだったときがあったんですね。赤字国債を出さずにできたときがありました。そして、そのとき、当時の竹下総理は喜んで、ようやっと戦災復興も終わり、それぞれの村に、井戸だったのが水道が通り、ランプだったのが電気になり、しかも、日本は借金がなくなったか、よかったといって、ふるさとの、一億円ずつの。そのときに、ある程度均衡だったんですけれども、そんなに余裕があるのならばもっとくれといってふやし、歳出はどんどん上がり、逆に、歳入、税収の方はずっと落ち込んできて、今、ワニの口になっているわけです。

 ですから、この構造を直さないと、国と地方の対立ではなくて、国のそもそもの財政を健全化させる。それは、無駄を排して歳出をカットすることと歳入をふやすこと。今だって、百兆近くの歳出を組まないと、景気も含めて、社会保障も含めて立ち行かないのに、税収はようやっと五十兆いくか、こういう状態なんですから、ここのところを、やはり根本の解決をしなくてはいけない。

 今の現状ではとても難しいように見えますが、かつて私たちはそういうことをやった時期もあったんですから、今、これから我々はまた工夫をしなきゃいけないと思います。人も少なくなっていますしね。

 ですけれども、私たちはそれを可能にできるのではないか、それは、戦略を持って、しかも、一歩ずつ進めながら、きちんとした将来の目標を一つ一つクリアしていくこと、こういうことだと思います。

佐藤(正)委員 基本的に、税収が上がるのが一番ですよ。これは間違いない。しかし、それは、すぐ来年から税収が四十兆円上がりましたとかいうことは絶対あり得ない。

 そこで、さっきから私が言ったように、地方の方は多分言っていると思いますよ、だったら地方が受け持っている国の仕事は国がやればいいじゃん、そんなことを言うなら、どうぞ国でやってください、我々は我々のことをしっかりやりますからということじゃないですか、結果的には。

 ところが、そうはいったって、国も借金しているから、お互い借金だらけで、ない袖は振れぬのよということだろうと思うんですね。とはいえ、地方からすると、それは困るよということで、いろいろな知恵を絞って、臨財債というのができたんだろうと思います。

 馬場先生が言われた臨財債、結局、その臨時財政対策債を出したときに、誰が言ったかわかりませんけれども、これはちょっと借りとき、後でちゃんと交付税で措置してあげるからというふうに信じている地方団体は物すごく多いですよ。これは去年も私質問させていただきましたけれども。しかし、国は、いやいや、それはあなたのところの借金よと言われているわけです。では、どうして返そうかなとしたら、借換債をずっと繰り返させているだけなんですね。

 これも、大臣が言うように、どうしたらいいんですかといったら、それは税収を上げなきゃと言えば、それで終わっちゃう話ですけれども、現実には、今そうやって借換債で臨時財政債をずっと繰り返しさせているということに対して、大臣はどのように思いますか。

新藤国務大臣 まず第一番として、さらなる借金をできるだけ減らすという意味で、臨財債の新規発行をできるだけ抑制する、これが重要ですね。来年は、日本じゅうで頑張って、少し景気がよくなって、税収が見込めますから、臨財債の発行は六千億抑制できたわけですよ。ですから、そういう努力を続けていくこと。

 それから、過去の借金については、これは今既に法律でもって返す、これは委員も質問しているから問題はわかっているけれども、でも、まずは決めたことをやっていくしかないじゃないですか。この着実なことを続けていくしかないのではないかと思います。

佐藤(正)委員 先に言われたんですけれども。

 その借金返済計画が、もう本当に、普通に考えたら考えられないような借金返済計画なんですよ。あり得ない。こんなんだったら、例えば僕が銀行だったら、絶対貸さないですね。こんな借金返済計画があるか。一千億返して、それから二千億になって、それから最後は一兆円になって、こんなの誰が信用するんですかというような返済計画です。

 大臣が言うように、法律になっているからやっていかなきゃいけないと言っているけれども、普通に考えたら眉唾物ですよ、正直言って。だから、ちょっと信じがたい、いわゆる数字合わせの返済計画だと私は思っています。だからといって、それに向かってやらなきゃいけないこともよくわかります。しかし、ちょっと無謀な返済計画だな、このように思います。

 ちょっと飛びますけれども、三セクだとか、いろいろなところで自治体がやったりすると、絶対失敗するんですよ、間違いなく。なぜかといったら、返済計画はむちゃくちゃ、経営方針はむちゃくちゃ。それでも、結局、親方日の丸じゃないけれども、バックボーンがついているからといって、必要もないようなことをどんどんどんどんつくった。

 間を抜きますけれども、そういう中で、今回、その三セクに対する、私からしたら甘いなと思うようなことなんですけれども、それも、破綻をして、銀行に一遍に返せと言われたって、そんなもの困るよということで、それで財政破綻したら困ると。まあ、親心みたいなものですね。しかし、現実は、そうやってやったって、借金の返済を延ばしただけの地方債なんですよね。

 私が思うのは、地方の方も目を覚ましていただかなきゃいけないことはしっかり言わなきゃいけないと思うんですね。それも、例えば首長さんにしたって、それを選ぶ地域の方々に対しても、こういう失敗をしたら、こんな借金が我々に降ってくるんだ、かかってくるんだというようなことはしっかりわかってもらわないといけないと思うんです。

 ちょっと質問しますけれども、この地方債は何年債なんですか。どうぞ。

佐藤政府参考人 第三セクターの改革推進債は、今、基本形は十年の償還期間で認めております。

佐藤(正)委員 十年で認めているということは、二十年は認めないということですか。

佐藤政府参考人 基本は十年ということですが、団体によっては、団体の財政規模に対して三セクの改革推進債が非常に多額になる場合があります。この場合に、十年で返すということが無理だということになると、個別の事情をお伺いして、それを延長することはございます。

佐藤(正)委員 今希望するところをずっとお集めになっていますが、これぐらいにしてほしいというのは最長で何年ぐらいあったんですか。これは通告していないので申しわけないけれども、わかれば。

佐藤政府参考人 これまで、ほぼ一兆円に近い額の発行を認めておりますが、最長は三十年になっております。

佐藤(正)委員 三十年。十年が三十年ということですね。民間から見たらうらやましい、三十年返済。実はこれまで、地方でも大体、いろいろな都市高速をつくったりなんかすると、三十年返済がマックスだったんですよ。ところが、今や五十年返済なんです。借りかえして五十年、これが現実です。

 そこで、どこかでやはり歯どめをかけるようなことは絶対必要だと思うんですね。今、総務省の方が、出されてきたところをすごいチェックされていると思うんですが、そのチェックする基準は何なんですか。大体教えてもらえれば、それを認める基準を。

佐藤政府参考人 三セク等改革推進債を認める前提として、それぞれ、どういう処理といいますか、改革をするのかという計画を出していただいて、その内容を見ます。もちろん、その計画は各団体がつくりますけれども、議会に説明したり、対外的な公表を経たものでありますから、それなりの計画になっているはずですけれども、その計画の中に将来の財政計画みたいなものも書くことになっておりますので、それによって、償還が可能かどうかというふうな判断をしながら、地方債を、改革推進債を認めるということにしております。

佐藤(正)委員 そこで、よく考えていただきたいのは、最初の計画をやったのもそこなんですよ。最初の計画は、ちゃんとできるような計画をやっているんですよ。それがこういう状況になって、出してこなきゃいけない、そういう体質があるんですよ。

 だから、先ほど私が言ったように、役所が入って三セクをやったって失敗しますよというのは、経営感覚がないからなんです。もともとの計画が違うんですね。空港なんかでよく例えられますけれども、年間五百万人対応の空港をつくりますよといって、お金がこれだけかかります、そして財源はこれぐらいありますよ、返済できますよとかいって、その数字どおりになった例を私は見たこともないし、聞いたこともない。大体、目標数字が、半分とまではいきませんけれども、それに近い数字で推移しているというような実態なんですよ。

 そこで、私が申し上げたいのは、これを認めるときに、しっかりともう一度、本当に経営をしっかりやれるのかどうかというところは、私は経営計画の中で見ていただきたいと思うんです。

 というのは、最初に計画してだめな人が、また同じようなものを持ってきたって、多分だめですよ。そこはしっかりやっておかないと、例えば、今言うように、十年で返済しますと言っていて、済みません、十年ではだめでした、途中で、もう十年にさせてくださいと言ってきたら、これはどうなるんですか。十年債だったんだけれども、途中で、もうあと十年だと言ったときはどうなりますか、認めるんですか。

佐藤政府参考人 私の受けとめが不十分で、ちょっと話が混乱していると思います。

 私が、基本が十年で最長三十年で認めるというのは、特例債としてただいま特別な法律の手当てをして認めていただいている三セクの改革推進債ということで、第三セクターを廃止したり、整理したりするときの始末として地方団体が発行する地方債のことを申し上げました。

 今お話を伺っていますと、委員のおっしゃることは、三セクが一定の事業計画のもとに借金などをして投資などをした場合のことをおっしゃっているように思いますが、それは三セクの借金ですから、地方債と違いますから、我々がそれについて認めるとか認めないとかということをしているわけではございません。

佐藤(正)委員 わかりました。要するに、地方が出すお金だからということなんでしょうけれども、その地方が問題なんですよ、そういうときに。要するに、そういう安易な計画でつくっているからそうなっているんですよと僕は言いたいんですよ。

 だから、そこは明確にしておかないと、結局、三セクであって負債があって、それが倒産したときに、何々市が金融機関の保証人になっている、その市がお金を返さなきゃいけないので、それをどうするかということで考えられたんだろうと思いますけれども、それはわかっていまますので。

 何か答弁しますか。どうぞ。時間はまだゆっくりありますから。

佐藤政府参考人 今委員がいろいろおっしゃったことのいわゆる問題意識は、我々全く共通でありまして、そうした三セクは、例えば、ともすれば、安易に設立され、安易な計画のもとに大きな投資がされ、それに対して出資している地方団体が損失補償をしたりする場合がある、それが思わぬリスクの顕在化を招いて、その自治体本体の財政運営に大きな影響を与えるおそれがある、こういうことを考えた。したがって、そういったことを新しくこれからやる場合は、もちろん、よくよく考えてやっていただかなくちゃなりませんけれども、過去にそういったことがあったものですから、たくさんの三セクにおいて問題が生じているという実態を前にして、これは何とかしなくちゃならないというふうに考えたわけであります。

 そこで、地方公共団体財政健全化法というのがつくられまして、これで地方団体の財政のチェックをしていくことになるわけですけれども、これを機会に、集中的に第三セクターなどの改革を推進しよう、場合によっては存立そのものも含めて見直しをしてくださいよということにしまして、そのための指針をつくり、助言をしながら、そのための手段として、さっき申しました第三セクターの改革推進債という特別の手当てもしながら、これを進めてきたということでございます。

佐藤(正)委員 それで、せっかくこういう制度をつくっても、これに気づいていないところはありませんか。

佐藤政府参考人 二十一年度から五年間やってまいりました。この間も何度も注意喚起をしてまいりました。したがって、三セクの改革が必要である、そのために総務省において抜本的改革の推進を要請している、その手段として三セク等改革推進債という特別の地方債も認めているということを今の時点で知らない団体は、私はないというふうに考えております。

佐藤(正)委員 では、もう一度教えてください。

 二十一年度から五年間ですから、二十五年。これはもう延長は絶対ないんですね。

佐藤政府参考人 二十一年度から二十五年度までということで推進してまいりまして、今、有識者から成る検討会で、この評価ということもしていただいています。全般的な評価としては、相当程度改革は推進したという評価です。例えば、この間、法人は、二十年度から二十四年度までを見ますと、一割近く減少しております。それから、地方団体が法人に対して損失補償などをしている額は三三%減少しています。それから、補助金などを出している額も三〇%ぐらい減少しているというふうに、全体として改革は相当進展したと考えております。

 ただ、例えば林業公社なんかの場合には、分収林契約などをたくさんの山林地主と結んでおって、この改革を終了させるまでに相当時間がかかるという状況もあります。したがって、二十五年度までに着手していながら完了していない団体も幾つか存在しますので、そのために、この三セク等改革推進債の延長を、今回、法律改正でお願いしているところでございます。

佐藤(正)委員 その延長というのは、今申し込みをして、いろいろな諸事情で今できないんですよ、しかし、これはやらなきゃいけないと思っていますというところだけが延長ということで考えたらいいんですか。

佐藤政府参考人 我々は、今の三セク等改革推進債の特例的な制度をだらだらと延ばすということは考えませんでした。ただし、今言ったような事情が幾つかの点で見られましたので、二十五年度までに抜本的改革に着手したけれども終了できなかったという団体に限って、三年間起債を可能とする経過措置を講じたいということでお願いしているものでございます。

佐藤(正)委員 そうしたら、二十五年度、三月末までに来ればということなんですか。どういうふうになるんですか。

佐藤政府参考人 法律上は若干の余裕を見まして、二十六年五月中までに総務大臣に計画を出してください、その場合には、三年間の期間、起債が可能となるようにしますということにしております。

佐藤(正)委員 二十六年の五月までに持ってくればということですか。

 今、どうですか、状況は。僕から言わせれば、駆け込みで来ているような気がしてしようがないんですけれども、今ごろばあっと来るというのは。いかがですか。

佐藤政府参考人 今そのための経過措置を設ける法律改正をお願いしていますので、今の状態というのは、二十五年度をもって地方債は発行できなくなるという制度です。

 これもありまして、我々は昨年から随分、地方団体に、もう期限が切れるから、早く改革に着手してやってくださいということを要請してまいりました。その結果、最終年度である二十五年度にも相当の団体でこの改革が進んだというふうに考えておりまして、その上でなお残る幾つかの団体というふうに御理解いただきたいと思います。

佐藤(正)委員 北九州市が申請してきていませんか。

伊藤大臣政務官 ただいまの委員の件でございますが、北九州におきましては、港湾整備特別会計のうち埋立事業について、清算も視野に事業を見直すとして、その際、第三セクター等改革推進債の活用も検討しているとの報道がなされたことは承知をいたしておりますが、現時点におきまして、北九州市から具体的な相談等はいただいておらず、詳細は承知をいたしておりません。

 以上でございます。

佐藤(正)委員 そうなんですね。

 地元で新聞にぽこっと出ちゃって、僕は、これが出る前の日に総務省の方とこの議論を、レクも受けながら話を聞いていたところなんですよ。北九州は来ていないかと僕が聞いたら、いや、来ていませんよと言った次の日にぽこっと出たので、びっくりしたというのが現実なんです。だから、こうやって駆け込みで来るのかな、知らない間にいつの間にかぽっと来たりするのかなと思って、今ちょっと質問をしたんです。

 やはり、私は、このままずっと、いつ潰れるかわからない状況で、そして、潰れたときに、市が保証人になっていたり県が保証人になっていたりしたのが、さあ返せと言われたときに困るから、そういう手だてをしていただくというのは地方からすれば本当にありがたい話ではありますが、債務をどこで一旦切るかという考え方からすれば、これもありだろうと思います。だから、否定はしないんですよ、否定はしないんですが、たまたま僕の地元のことだったので、ちょっと気になって質問をさせていただきました。

 というのは、地元では、こうやって地元紙に出たんですけれども、ところが、どうも、中身を聞いてみると、するかしないかまだわからないというような状況であるというのがまた情報として入ってきたんです。それでちょっときょう確認をさせていただきました。政務官、ありがとうございました。

 それから次に、公共施設の解体をするときの地方債の特例について、どういうものか御説明願えたらと思います。

佐藤政府参考人 地方債についてですが、地方財政法第五条では、地方債の発行ができる場合を制限しております。基本的には、世代間の負担の公平性を確保するという観点から、後世代にも効用が及ぶ建設事業に限定して地方債は認められているということでございます。

 一方で、今回法改正をお願いしております特例としての解体撤去、除却に要する経費に対する地方債ですが、こうした経費は、本来は一般財源で賄うべきものであります。ただし、地方団体において、過去に建設された公共施設がこれから大量に更新時期を迎えまして、これが非常に多くなるという可能性があります。単純に、更新時期を迎えたからつくり直すということではいけないんだろうと思います。もちろん、あるものは更新をしますけれども、あるものは統廃合を考える、あるものは長寿命化の手を打って寿命を延ばすというようなことを、総合的に考えていかなければならないと思います。

 したがって、我々は、新年度に、地方団体全体に対して、公共施設の総合的な管理計画をつくってください、それのもとに長期的な視点で適切なマネジメントということを進めてくださいということをお願いしようと思っています。その場合に、これは廃止する、したがって解体撤去しなくちゃならないという場合については特例的な地方債の発行を認めたいということで、今回、法改正をお願いしております。

佐藤(正)委員 今御説明があったように、地方債の目的からすると、全然違う方向のものだと思いますよね。物がなくなってしまうんですから、本来の、地方債で建設するためのものとは全然違うということですよね。

 それで、特例措置をつくってやるということですが、これは、見ますと、当分の間というふうに書いていますが、当分の間というのは、どれぐらいが当分の間なんですか。

関口副大臣 今御指摘いただきまして、特例措置で当分の間というのは、先が見えないじゃないかということであるかと思います。

 今後、過去に建設された多くの公共施設等が老朽化してくる。そして、地方公共団体では、建てかえをせずに除却することも想定をされております。

 そうした中で、除却の需要については長期間にわたることが見込まれて、現時点においてはピークが正確に見込めないため、特例の期間を当分の間としているところでございます。

 将来的には、地方公共団体が一般財源で除却が行える程度に、公共施設等の除却の需要が減少するか、または、財政状況が好転した段階に、見直しや廃止を含め検討してまいりたいと思います。

 当分の間ということで、まだ、申しわけないんですが。

佐藤(正)委員 済みません、よくわかりませんでした、全然。いつまでどうするこうするというのがわからなかったんですよ。いつまでするんだろうな、では早目に終わるのかな。ちょっとわからなかった。もう一度、済みません。

関口副大臣 例えば、除却の特例措置が必要となる期間については、地方公共団体における施設の状態や利用頻度、また長寿命化対策の実施の有無などによって異なってくるものでありますので、現時点では見込むことが困難ということで、当分の間としているところであります。

佐藤(正)委員 要は、わからないということですね。今のところ、よくわからない。もう一回。ちょっとよくわからなかった。

関口副大臣 舌足らずであれですが、実際に、総務省として、公共施設等の解体撤去事業に関する調査を行いました。解体撤去の意向のある施設が約一万二千件、四千億円あるうちの、時期が未定となっているものが五千件、そして一千六百億円あるという回答がなされているということ、こうしたこともあって、当分の間ということになっているわけであります。

佐藤(正)委員 実は、地方は今からそういう公共施設がいっぱい出てくるんですよね。東京オリンピックから建ってきたり。僕は北九州ですけれども、北九州は実は全国一公共施設が多いところなんですよ。五市合併だったものですから、それぞれの市がそれぞれの公民館をつくったり、いっぱいつくっているんですね。それがちょうど建てかえ時期、耐用年数を超える時期になっているんです。これが、北九州市にとってみればすごく頭の痛い、悩ましい問題なんですよ。解体するにしてもすごい費用が要るし、ではそれをどうするのかといったら、多分財政で賄えない。

 ところが、もう御承知のように、どこの町でも余り財政は豊かじゃありませんので、さあどうしたものかということが、これから多分、北九州だけではなくて全国で起きてくると思うんです。

 今調査をされたもの以外にも、実はそういうもので悩んでいる地方の団体というのはたくさんあると思うんです。ですから、そこも含めて一度調査された方がいいと思いますよ。

 今後、これは大きな財源になってくると思います。そのときに、現金資金じゃありませんけれども、どれだけ知恵を絞り切るか。この知恵の絞り方にはいろいろなやり方があります。公共施設、公民館でも、パブリックスペースとしてどういうふうに使ったらいいかとかあるんですよ。いろいろなやり方があると思います。ただし、それをやるときには、今までの条例だとかそういうものを度外視したものをつくらなきゃいけないとか。

 公共施設のスペースを使った建築をやる、そんなことをやっているチームがあって、そこに実は商業施設を入れたり、それから公共施設とダブらせたりとか、いろいろなことをやっている若い設計士の団体があるんですね。たしか、横浜かどこかで一つやったことがあるんです。今そういった、リフォームをしたり解体をしたり、いろいろなことをやりながらやっていこうというところがあります。

 ただ単に解体をするのではなくて、調べたときにそういうまたいいものがあったら、総務省の方からも、こういうやり方をすれば実はできるんですよと。これはいろいろなやり方がある。それは、行政の方に知恵をかりないとできないことが実はたくさんあります。そこは、ただ単に解体だけではなくて、今後の大きな課題、地方の課題になってまいります。どうぞ、大臣。

新藤国務大臣 これは、北九州のような大都市だけでなくて、過疎地でも深刻な問題なんですね。私は全国を、機会あるごとに現地にお邪魔させていただいているんですけれども、どこに行っても言われる話です。

 それは、小さな規模でいえば空き家です。そして、大規模なものは、やはり焼却施設とか公共施設。これをそのまま置いておくことが、今度は防災対策上も問題だ、ですから、何とかこの除去についての支援をしてほしい、そういう地域からの御要望に応えて、我々とすればかなり素早く動いたと思いますよ。我々がこの一年間で御要望いただいて、もう翌年度にこういう措置をとるんですから。そういうふうに役所の方も即座に動いた、こういうことです。

 制度としては過疎債のソフト分であるんですけれども、規模が小さ過ぎちゃって使えなかったんですね。制度としてはあったが、実態としてはなかなか使いづらかった。したがって、今回特例を設けた。

 私は、ただ単に除去するだけじゃなくて、空き地にした後どうするんですか、そういうものもあります。ですから、もし使い道がないのならば、それは防災空地として、日ごろは通常のコミュニティーとして、いざとなればそれが防災拠点になるような、ほんのちょっとしたことでも空き地をつくっておいて、昔の江戸時代でいえば火よけ地ですよ、その中に防災倉庫ですとかそういうものを設置して、しかも、太陽光パネルとかで、換気扇とか、必要に応じてエアコンとか、そういうものを、ちゃんと自立できるようなものに工夫して、そういうことをぜひやってもらいたいなと。

 いずれにしても、これは公共施設の管理計画を出していただきますから、調査をするというよりは、そもそもが、こういうことも含めて、一体全体、全国の市町村にどれだけの公共財があるんだということを私たちは把握しようと思っています。それを長寿命化させる、もしくは修繕する、建てかえする、壊す、これがどのぐらいの計画があるかということを把握して、少なくともこの先の需要というものを見込んでいかないと、それに対する財源措置もやはり考えていかなければいけない、こんなふうに私は考えているんです。

佐藤(正)委員 大臣、そのとおりで、すごいものが出てくるんです、財源的に。こんなに要ったのかと。調べれば調べるほどすごい財源が出てくる。それで、地方の団体は表に出したがらないんですよ、現実は。それが出てくると、うわっとなっちゃうから。しかし、現実には必要なものなんですよ。ですから、そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 では、最後の質問にします。

 最後の質問は、先ほど私が言った、わたり等々についてちょっとお尋ねをしたいんです。

 天下りという定義がどこにあるかということになってきますと、あっせんがあればだめなんですよということで、今は公募という形で行かれれば、これは天下りではないという何か定義になっているようですけれども、我々とちょっと考え方が違うんです。

 そこで調べてみると、例えば、国家公務員を退職後に独法に行く。退職したときには退職金は一度いただける。そして、独法に行くと、実は独法でも、理事長なり役員になると、また退職金をもらえるんですよね。

 実は、福岡県は、福岡県の出資団体に福岡県OBが再就職しても、退職金はもらえません。それは、ちょうど私が県議のときに、この問題を初当選以来五年ぐらい議会でやって、最初は白い目で見られましたけれども、五年かけてやっとそういうことを当時の麻生知事さんが取り入れて、取り入れたというか、僕は無理やりやったんですけれども、議会でがんがんやって。最終的にはのんだんです。

 のんで、どういうことをやったかというと、福岡県は通知書を出したんです、その団体に対して。出資団体の方々には、福岡県のOB、福岡県で退職金をもらった方々については退職金を支払わないようにしてくださいねというようなことで通知を出した。そして、福岡県が一番に退職金をもらえないようにしたんです。

 わかりやすく言うと、当時、福岡北九州都市高速道路公社というのがあります。これは福岡県、北九州市、福岡市が出資している道路公団みたいなものですね。そこに県の職員が天下ったときに退職金が出ていたので、おかしいだろうとやったときに、どういう返事が来たかというと、両政令市の方々がもらっているのに、福岡県だけもらわないのはおかしいでしょう。それは反対でしょうと僕は言って、そして結果的には、北九州市も福岡市も、北九州市が一年後、福岡市が二年後、同じような通達を出して、今福岡県の中では、そういう出資団体に天下った場合は退職金は一円ももらえません。

 ところが、国はまだそういう退職金制度が残っているんですけれども、同じようにできないんですかね。その辺はどうなんでしょうか。

新藤国務大臣 独立行政法人の役職員については、法令に基づいて、法人の業務の実績、社会一般の情勢への適合などを考慮の上で、各法人において退職手当の支給の基準を定めることとしている、これが基本であります。

 そして、退職手当は、この趣旨を踏まえ、各法人において適切に判断されている、このように思いますが、例えば同じ法人の役員で、前職が公務員であった人とそうでない人がいて、同じ仕事をして、前職が公務員であった者だけが退職金を受け取らない、これはなかなか、取り扱いを異にするというのは慎重な検討があるという、制度上の問題があります。

 それから、現実問題として、独法の役員に占める退職公務員数、これが非常に割合として減少しています。今、二十五年、去年の十月一日現在でありますが、役員に就任する状況として、独法の役員のうち、退職公務員の割合は全体の三%です。それから、特殊法人で一〇%。そして、独法や特殊法人の長になる方の退職公務員の割合は、独法が一四%、特殊法人が六・一%。そして、現役出向の場合には、法人退職時に退職手当は支給されない。こういうことになっています。

 ですから、法人における適切な判断、こういうものが行われることを私は期待したいと思います。

佐藤(正)委員 実は、NHKの問題もそうなんですけれども、NHKから子会社に行って、前は子会社で退職金を払っていたんですよ。それが平成十八年に退職金を払わなくなった。なぜかといったら、わたりの問題が全国的に大問題になったものですから、やめたんですよ。

 福岡市、福岡県はもっと早く、平成十二、三年にやったわけですけれども、今言われるように、例えば国家公務員が行っていて、その人は退職金もらえませんよ、そしてプロパーで来た人はもらっていますよ。別に、全然おかしくないと私は思います。なぜなら、そこに国のお金が入って、出資をしてやっていますから、国というところから一旦もらっているわけですから、それは全然僕はおかしくはないと思います。そういう論点が一つ。そういう論点で、実は、福岡県はそうやったんです。

 もう一つの論点からいうならば、退職金制度も本当にいびつなんですね、役員の退職金というのは。これもたしか平成十八年ぐらいだったと思いますけれども、独法の退職金規程は変わったんですよ。前の率から下がったんですよ。ちょっと年数ははっきり覚えていませんけれども。それはやはりそのときにこういう問題が起きて、退職金規程を変えたんですよ。

 総務大臣、例えば、やり方として、退職金じゃなくて役員は年俸制にするとか、そういうやり方だってあると思うんですよ、役員だけは。そういう考え方もとれるのではないかと私は思いますが、今後、ぜひ検討していただきたいと思います。

 最後、答弁をいただいて、終わります。

新藤国務大臣 いろいろな研究は日々行っていった方がいい、このように思います。

 ですから、無駄遣いであったり、それから世間一般の常識からして過大に出されている、かつて、何か幾つも法人を渡り歩いてなんということがありましたね、ああいうことはやはり国民の理解を得ることはできないだろうというふうに思います。しかし、一方で退職金の制度というものがあって、年俸制にするということは、退職金も含めた年俸ということにもなりかねません。

 ですから、いろいろなことを含めて研究はしていきたい、このように思います。

佐藤(正)委員 ぜひ研究をしていただいて、一回退職金をもらった人が、そこが出資している会社でまた、独法だと大体、三年ぐらい過ぎると一千万近くもらうんですよ。これは国民的に見たらおかしい、このことだけ指摘して、終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 激励も受けましたので、しっかりと、時間いっぱい議論したいと思います。

 NHKの予算審議といいますと、四時間、五時間ありますと、録画なんですよ。ですから、私の出番というのは最後の方ですから、午前四時ぐらいに放映なんですが、これをまた見ていらっしゃる方がおられるんですよね。いやあ、見ていました、あんな時間まで頑張っているんですね、国会議員の先生も大変ですねと。

 これは録画であるわけですけれども、現実に十時過ぎまでこんな国会審議をやっているということは、私、十年間総務委員会にいますけれども、ありませんよ。異常じゃないですか。何でこんなことをやっているんだと。だから、私たちは、一定の時間で、あした以降に回せと言ったんですよ。そうしたら、御希望どおり早く終わっていたんです。そういう点でも、この間の与党の運営はおかしいということは厳しく言わざるを得ない。

 そういう点でも、こういう審議日程を職権で行った委員長の公平公正の問題というのも厳しく問われてくるんじゃないでしょうか。

 こういう問題について、今後禍根を残すようなことになりかねないこういう運営そのものは厳しく批判をして、質問に入ります。

 地方財政ということですので、先日も質問をいたしました大雪被害対策について、関係の役所から答弁をいただきます。

 最初に、災害救助法について内閣府にお尋ねいたします。

 今回の災害は、集落が孤立化した場合など、多数の者の生命または身体に危害を受けるおそれが生じた場合には災害救助法を適用するということで、障害物の除去といった一連の応急救助のメニューとして除雪の実施なども可能だと思うんですけれども、その点について、内閣府防災の方からお答えいただけますか。

佐々木政府参考人 災害救助法によります障害物の除去は、災害によって日常生活に著しい支障を及ぼしているものの除去とされておりまして、大雪で住家の入り口が閉ざされたり雪の重みで住家が倒壊するようなおそれがある場合であって、高齢者等でみずから除雪を行うことができない場合は、屋根や玄関回りの除雪を障害物の除去として実施することが可能であります。

塩川委員 災害救助法ですから、実施主体の市町村がしっかりと頑張れるように国と都道府県が財政措置を行うということであります。

 そういう点では、市町村道であっても、障害物の除去として除雪を行うことは可能なんじゃないのか。

 例えば、その地域におきまして、避難所がある、公民館がなっている、しかし、その避難所に行く市町村道が除雪されていなければ、行けないんですよ。

 ですから、いわゆる住家の敷地内だけではなくて、避難所に行くような場合においても、市町村道の除雪の経費は災害救助法の障害物の除去としてしっかりと措置することが可能だと思うんですが、その点、いかがですか。

佐々木政府参考人 市町村道につきましては、管理者である市町村が責任を持って除雪をするということになろうかと思っております。

塩川委員 応急救助の立場として、避難所に行けなければ困るじゃないですか。そういう経費を含めて、やはりしっかりとした災害救助法のスキームで見るということは、これはきちんと考えるべき点じゃありませんか。

佐々木政府参考人 救助法あるいは道路の管理者の責任といったことを、分担をきちっと踏まえて、災害時にも対応すべきものと考えております。

塩川委員 この辺はしっかりと考えていくべき点だということを申し上げたい。

 埼玉県では、秩父郡市に災害救助法が適用されましたが、県北地域は適用になっておりません。災害救助法が適用されれば、特交の前倒しの交付が受けられたり、今言ったような障害物の除去なども、大雪被害では対応できるわけであります。

 災害救助法の適用で一連の応急救助措置がとれるわけで、国としても、初動に当たって、災害救助法の積極的な適用を促す働きかけをぜひとも該当する都道府県などにやっていただきたいと思うんですが、その点についてお答えください。

佐々木政府参考人 私どもといたしましても、災害が発生したと考えられる場合には、積極的に各都道府県に災害救助法の適用について照会をかけるなり助言をいたしております。

 今回につきましても、翌日十五日に、関係県に担当者から災害救助法の適用について助言等をさせていただいているところでございます。

塩川委員 そういう点では、こういう大雪被害などは初めてという経験の自治体、市町村も多いわけですから、こういう災害救助法の適用の問題について、しっかりとした初動での対応、アドバイス、助言というのを国の責任で行うということを改めて強く求めておくものであります。

 そこで、除雪の経費についてお尋ねをいたします。

 国交省の補助事業で除雪経費も組まれております。国交省にお尋ねしますが、今回、観測史上最高という積雪が山梨や秩父あるいは前橋、熊谷などでありました。こういった日ごろは雪とは御縁がないような地域で、過去最高と言われるような積雪があった。こういう地域において、国交省の補助事業というのはしっかりと対応できているんでしょうか。

谷脇政府参考人 お尋ねございました国土交通省としての措置でございますけれども、まず一点目は、いわゆる雪寒法におきまして、積雪あるいは寒冷が特に甚だしい地域におきまして、特に道路交通の確保が必要であると認められる道路を指定いたしまして、その道路における除雪費用に対しまして補助を行ってきたところでございます。

 この補助につきましては、積雪が特に甚だしい地域、いわゆる積雪地域と言っておりますけれども、これにおける路線指定があるということが前提になってございます。

 今お話のございました山梨県、埼玉県につきましては、積雪地域に含まれていないということでございまして、この雪寒法に基づく補助の対象とは現在の制度ではなっておりません。

塩川委員 使えるものがないということなんですか。秩父市だけでも三億円近い除雪の経費がかかっているんですよ。こういうのについて、国交省のメニューというのは何にも使えないということなんですか。

谷脇政府参考人 もう一つ、雪寒法に基づくもの以外の制度といたしまして、市町村道の除雪費につきまして、これは通常、普通交付税なり特別交付税により財政措置されているところでございますけれども、全国的な豪雪の年で、地方財政措置だけでは間に合わないような場合につきましては、国土交通省におきまして、幹線市町村道の除雪費につきまして、臨時特例措置を講じてきたところでございます。

 今回の大雪に関しましては、これからの検討ということでございます。

塩川委員 ですから、全国的に豪雪で、通常の除雪の費用を上回るような事態が生じた場合に今言った市町村の補助を考えるということなんですけれども、基本は豪雪地域の話なんですよね。ですから、熊谷とか秩父とか前橋とか、山梨、甲府ですとか、こういうところというのは何らの支援の制度もない。だったらつくるしかないんじゃないですか。工夫をして、こういった地域は莫大な経費がかかっているんですから、前代未聞の災害なんだから、これに対して国交省としてしっかりとした制度をつくる、あるいは現行制度をさらに拡充する、こういうことについてはっきりと約束してもらえますか。

谷脇政府参考人 今お話しいたしましたように、市町村道の部分の特例措置につきましては、雪寒の積雪地域の指定にかかわらず、全国的な大雪があるというような場合に、従前、特例措置を講じてきたというところでございます。

 今回の大雪に関しましてどういうふうにするのかという部分につきましては、これから検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 平年を上回るような豪雪の場合適用するというんだけれども、全国的に見たら、ことしは、例年の八割程度なんですよ。だとしたら、このままじゃ使わないという話なんでしょう。それはおかしいじゃないですか。局地的な豪雪なんだから。そういう局地的な、過去ないような豪雪に着目をして、しっかりとした市町村への補助を行うと、はっきりと約束してください。

谷脇政府参考人 確かに、今お話ございましたように、今回の大雪はこれまで臨時特例を発動してきた場面とは特色が違っておりまして、ことしの雪は地域的には大きな広がりというものはないわけでございますけれども、一方で、日ごろ降らない地域に集中的な降雪があって大きな被害が出たということでございます。

 こういうような特徴というものも踏まえつつ、こういうような制度の特例というものをどうしていくのかということについて、これから検討させていただきたいというふうに思っております。

塩川委員 ぜひ、大臣、副大臣の方からも国交省にしっかりと言ってもらいたいと思うんですが、一言。

新藤国務大臣 制度上のチェックをすればこういうことになるわけであります。

 ですから、その上で、今回、雪の降っていない地域に大きな雪が降ったわけでありますから、それについてどのような対応をするか。それは、各省間でまず協議をした上で、また、政府としても、この問題にはきちんと研究をして取り組まなければいけない、このように思っております。

塩川委員 今までにない災害ですから、今までにない制度をつくる、こういうことで臨んでもらうのが、今の問題を解決する力だということです。しっかりとした除雪経費への支援策をとっていただきたい。

 なお、気温が上がって雪崩の危険などもあります。屋根からの落雪についての心配もあります。今回、大雪の被害の出ました関東甲信地方というのは、豪雪地帯で行われているような雪崩危険箇所の調査などは行っていないわけです。

 そこで、国交省にお尋ねしますが、人命にかかわる問題であり、こういった雪崩危険箇所のチェックなど、しっかりとした対応、早急な実態把握、この点について求めたいと思いますが、いかがですか。

大野政府参考人 委員御指摘のとおり、今般の大雪におきましては、豪雪地帯のみならず、これまで大雪の経験の少ない地域におきましても大量の積雪があり、雪崩の発生が心配されております。

 豪雪地帯では、各都道府県において、雪崩危険箇所が調査され、既に市町村に周知されていますが、今般の大雪を踏まえ、雪崩危険箇所のない都県に対しましても、雪崩の危険性について周知を行い、雪崩に対する警戒を強化するよう助言をいたしたところでございます。

塩川委員 例えば、その雪崩危険箇所の洗い出しについて、秩父の中津川ですとか、やっと孤立集落解消までの除雪が行われたようなところもあるわけですけれども、そういったところなんかも、きちんと市の方に対するアドバイスとかも行っているんでしょうか。

大野政府参考人 今、埼玉県、群馬県、山梨県など要請のありましたところにつきましては、国土交通省及び独立行政法人土木研究所雪崩・地すべり研究センターの雪崩災害の専門家を、今までのところ延べ十三人派遣いたしまして、気温の上昇とともに起こりやすくなります、いわゆる全層雪崩というのがございますけれども、この全層雪崩に対する注意事項を助言するとともに、特に集落付近で雪崩の危険性が心配されている箇所につきまして、現地で雪の亀裂の状況なども調査し、雪崩被害を避けるためのポイントを助言いたしております。

塩川委員 ぜひ、そういう危険箇所の洗い出しについて、市町村、県への支援をしっかりお願いしたいと思います。

 それと、先日の質問でも関口副大臣が御紹介された、日窒鉱山における坑廃水の流出の懸念の問題であります。

 経済産業省にお尋ねします。

 今回の大雪で、埼玉県秩父市の、ニッチツが管理する秩父事業所の休廃止鉱山の坑廃水が処理できず、外部に流れ出す可能性があると言われております。坑廃水が処理できないという状況がどんな状況なのかについて、まず説明してもらえますか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 今回の大雪と寒波の影響で、秩父鉱山の発電機が故障してとまりました。この結果、坑内にある坑廃水をくみ上げるポンプが停止をし、さらに水処理装置もストップした状況にございます。この結果、坑内の坑廃水が徐々にたまっていくという状態にございます。

 ただ、すぐに外に流出するわけではなくて、坑内にスペースがございますので、私どもの試算では、二週間程度の貯水能力があるというふうに考えております。私ども、この二週間の間に、一日も早く坑廃水の処理が再開できるよう努めているところでございます。

塩川委員 休廃止鉱山であっても坑廃水が出るとなれば、その中に有害物質が含まれるということもありますので、こういった坑廃水の流出によって、健康への影響ですとかあるいは環境への影響がどうなるのか、このことが懸念されるんですが、この点についてお答えください。

寺澤政府参考人 私どもとしては、そういう環境への悪影響がないように外部への流出を防止するということでございますが、万一の場合についてお答えします。

 坑内の坑廃水の水質ですけれども、亜鉛や鉄の濃度が基準値の四倍から五倍ございます。こうした鉄とか亜鉛が坑廃水の形で流出した場合、一分当たり一・三トンのスピードで流れ出すというふうに推定しています。他方、近くを流れる中津川の水量というのは一分当たり三十トンと二十三倍ございます。この段階でまず希釈されます。さらに、十一キロ下流の滝沢ダムの貯水容量が四千七百万トンございます。利水はこの滝沢ダムのさらに下流で行われるので、その段階における濃度というのは相当程度薄められるというふうに考えています。

 こう申し上げた上で、環境に対する悪影響防止のために、私どもとしては、こういう事態にならないように、一日も早く坑廃水の処理に努めてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 川の水やダムの水で薄めればいいという話じゃありませんから、しっかりとこれを流出しないようにするという点では、今後の対策としてはどうなんでしょうか。

寺澤政府参考人 冒頭申し上げましたとおり、発電機の機能を回復することがまず重要でございます。このために、故障した発電機を修理するための資機材を既に準備していますし、さらに、代替すべき移動可能な緊急発電機も用意しています。

 問題は、それをどうやって持っていくかということでございます。いろいろ検討したんですけれども、やはり陸路で持っていくしかないというふうに考えています。

 そういう意味では、今、埼玉県と国土交通省におかれては、懸命な除雪作業を行っていらっしゃいます。その除雪が完了し、鉱山にアクセスした段階で、速やかに機材を投入し、一刻も早く坑廃水の処理を再開したいと考えています。

 ちなみに、除雪の状況ですけれども、今、鉱山の一番手前の段階まで、きょうの段階で残り一・五キロになっています。実は、特に国土交通省の長岡事務所から除雪車と除雪チームの投入が本格的にございまして、きょう一日で五百メートル除雪が進んでいます。しかも、残されたトラックとタンクローリーを取り除くのに二時間タイムロスがあった上で五百メートル強を進行しています。

 私どもとしては、埼玉県と国土交通省の懸命の除雪作業が進むことを強く期待していますし、同時に、除雪が完了した段階で速やかに坑廃水の再処理ができるよう、万全の準備をするように鉱山会社に対しては強く指導しているところでございます。

塩川委員 私も中津川の除雪のところの際まで行きましたけれども、新潟県の除雪車が来ていまして、非常に活躍をしているということで、地元の方も大変信頼を寄せておられました。さらに投入ということですので、しっかりとした万全の対策を求めたいと思います。

 次に、環境省に、災害等廃棄物処理事業費補助金について、一昨日の質問を踏まえて確認をしたいと思います。

 この災害等廃棄物処理事業費補助金について、積雪の適用要件について質問をしたわけです。積雪の深さが、過去十年間の最大積雪の深さの平均値を超え、かつ一メートル以上という要件というのは、九十八センチの秩父でも適用されないというのはおかしいじゃないかという話をしました。

 そのときに、環境省の答弁は、しゃくし定規ではなく柔軟に対応したいということでしたけれども、その後、要件の見直しはどうなりましたか。

梶原政府参考人 先生御指摘のとおり、環境省では、災害により住宅等から発生いたしました廃棄物につきましては、市町村が生活環境保全上の観点から行う収集、運搬、処分に対しまして、災害等廃棄物処理事業費補助金というものにより財政的な支援を市町村に対して行わせていただいて、その瓦れき等の処理が円滑に進むよう支援を行っているところでございます。

 今先生おっしゃられるように、積雪によります被災につきましては、積雪の深さ、積雪深が、過去十年間の最大積雪深の平均値を超え、かつ一メーター以上の積雪を採択要件としてきたところでございます。今回の大雪の被害につきまして、一昨日の委員会で、柔軟に検討してまいりたいというお答えをさせていただいているところでございまして、今、関係省庁と真剣に、どういったことが可能かということを検討させていただいているところでございまして、できるだけ早い段階で結論を出していきたいと思っております。

塩川委員 要するに、自治体の方にしてみれば、どういうメニューが使えるのかというのが一番の関心ですから、使えるのか使えないのか早く知りたいという点でいいますと、例えば、観測史上最高の、そういう雪が降ったところは使えるよとか、何らかのアナウンスはしてもらわないと、実際どういうメニューでやろうか、先ほども言ったように、除雪についても国交省の方はまだ決まっていないだとかいう話なんかも含めて、しっかりとした自治体に対してのメッセージが必要だと思うんです。

 例えば、今言ったように、過去最高の雪が降ったという地域であれば適用しますよとか、そういうことぐらいは言えませんか。

梶原政府参考人 今先生がおっしゃられたことも一つの考え方だと思います。そういったような点につきまして、今関係省庁との間で、できるだけ早く結論を出すと。

 今おっしゃられるように、農家の方々あるいは市町村の方々が安心できるように、農林水産省とともに適切に瓦れきの処理を進めていくという方向で、できるだけ早くアナウンスができるような形で今検討しておるところでございます。

塩川委員 被災自治体が希望する場合は原則適用する、こういうぐらいの姿勢でぜひ当たっていただきたい。

 そういう点では、カーポートが壊れるですとか、農業用ハウス、鶏舎や豚舎や牛舎なども壊れるということが相次いでいるわけですから、そういうときにしっかりと、運搬、収集も含めて、必要な財政措置が行えるということが迅速な復旧の道にもつながっていくという点での積極的な対応をお願いしたいと思います。

 次に、農水省に、農業生産施設等の再建、修繕についてお尋ねいたします。

 この間、いろいろ自治体からの要望書も国の方に寄せられていると聞いております。今言ったように、さまざまな畜舎などの被害とともに、農業用ハウスの被害が大きいわけです。山梨県はハウス全体の七割が被害をこうむっている。群馬県も六割程度が被害を受けているという状況で、栃木県などもハウスの大半が損傷しているというふうに報告があります。

 要は、今回の農業用ハウスの被害というのは、点とか線じゃないんですよ。豪雪のために、面として被害をこうむっているんです。ですから、地域経済、地域の農業全体が大きな損害をこうむっているという、そこに着目をした、より突っ込んだ支援策が必要だということで、そういう認識で支援策を行うべきだと申し上げたい。

 そこで、先日もお聞きした経営体育成支援事業についてですけれども、被災農業者の方からは、ローンの据え置きをお願いできないかという要望があるわけです。つまり、壊れた農業用ハウスを借金してつくった、その既往債務がある。それに加えて新しいものを上乗せするということではとても耐えられないということだから、少なくとも、残債を返済した後に新しいハウス建設のローンを充てられないか。そういう点では、新規融資に当たって五年ぐらいの元利償還の据え置きができないか、こういう要望が出ているんですけれども、これにぜひ応えていただきたいんですが、いかがですか。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 被災農業者の経営再建に向けた取り組みを行う場合には、日本政策金融公庫の長期、低利の融資の利用が可能でありまして、これらの資金につきましては、貸し付け当初五年間を無利子化する措置を二月二十四日に決定したところでございます。これによりまして、スーパーL資金等の新規融資を受けた当初の負担軽減が図られることとなっております。

 また、御質問の据置期間につきましては、スーパーL資金は十年以内、経営体育成強化資金、農林漁業施設資金は通常三年以内で、果樹の場合は十年以内というふうになっておりますので、具体的な貸し付け条件の決定に当たりましては、特段の配慮を行うよう、関係金融機関に要請したところでございます。

 引き続き、被災農業者が意欲を持って経営を継続できるよう、十分配慮していく考えでございます。

塩川委員 五年間の無利子化というのは結構ですけれども、元金の方があるわけですけれども、長期資金の話もありました。でも、二十五年で返すというか、そんなに大きなものでなくて、そういう意味では、息子の世代まで引き継がないでもいいような、そういった期間で適切に融資を受けられないか、そういう期間での元利償還についての据え置きという点での要望があるわけです。

 そういう点でも、二重ローンについて、ダブルでは対応できないという声が上がっているわけですから、そういう声に対しての踏み込んだ対応策について、もう一歩ぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げておくものであります。

 あわせて、この経営体育成支援事業については、要は、同規模のものをもとに戻すということではなくて、今回豪雪があったわけですから、今まで以上に耐えられるような、そういう施設をつくりたいという要望が出ているわけですよね。ですから、そういった、今回のように大きな災害に対応できるようなものをという要望があるんですが、これに沿ったような形にできるんでしょうか。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の被災農業者向け経営体育成支援事業につきましては、被災前と同程度の生産施設の復旧を目的としておりまして、助成対象は復旧部分でございますけれども、これとあわせて、今回のような災害に耐えられるような施設を整備するということを認めたところでございます。

 適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 例えば、深谷市が国に要望書を出して、農水省に要望書も出しております。関口副大臣のところにもいらっしゃったということなんですけれども。

 関口副大臣にも一言いただきたいんですが、その深谷市の国への要望書には、農家の廃業や農業生産地の衰退にもつながることが危惧されますというふうに訴えておられます。先ほど言ったように、今回の災害というのは点や線じゃないんです、面での被害ですから、まさに農業生産地そのものが大打撃を受けている。こういう現実を踏まえた、踏み込んだ積極的な支援策が必要だ、こういう立場でぜひ事に当たってほしいと思うんですが、そのこと、被害の現状についての所感とあわせて、決意のほどをお聞かせください。

関口副大臣 まず、被災地の地元の一人として、塩川議員が早速視察をしていただいて、現地の状況を委員会で報告していただいたことに、改めてお礼を申し上げる次第でございます。

 私も、今、総務省の副大臣という立場で、地元に限らず多くの被害を受けた地域に対してどのような支援ができるかということ、新藤大臣の御指示のもと、懸命に取り組んでいるところでございます。

 きょう、補助のあり方等もいろいろ各省庁に質問をしていただいて、私も、こちら側へ座っておりましたので声を張り上げることはできなかったんですが、ありがたかったのは、大西先生や土屋先生が偏在是正にも負けずに声を上げて応援をしていただいたということ、本当にありがたい限りであります。

 これは今、埼玉の話が出ているんですが、山梨、群馬、東京の檜原も含めてそうでありますけれども、農業用ハウスの問題、深谷の話も出ましたけれども、これはもう全般的に関東近郊の農家の施設がやられたということでありますので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

 以上であります。

塩川委員 ぜひ、そういう立場で、今申し上げたような経営体育成支援事業についても、ローンの据え置きの話ですとか、あるいは現行よりもさらに丈夫なものを、こういう要望にしっかりと応えられるような施策につなげるように働きかけをお願いしたいと思っておりますし、やはり、三割の補助をぜひ五割にというような強い声なんですよ。こういうものを実現できるような、そういう見通しというのも、ぜひとも示していただきたいと思っています。

 次に、林野庁にお尋ねいたします。

 栃木県から要望が出ていると思うんですけれども、倒木処理に対する支援の強化拡充や保安林整備事業の採択要件の緩和ということで、日光市を初めとしまして、雪の多かった県西地域というのは杉の植林地が多いところであります。それが雪の重みで枝が折れて、倒木が広範囲に生まれているような状況です。こういった森林の環境をどう整えていくのかというのは、大きな問題であります。

 そういう点で、こういった栃木県を初めとした自治体からのこういう倒木処理に対する支援の強化拡充などの要望に、今、林野庁としてはどのように対応を考えているのかをお聞かせください。

本郷政府参考人 お答えいたします。

 今般の大雪により、各地の森林において倒木等の被害が発生していると承知しているところであります。現時点においては、積雪のため現地に入り被害を把握することができない状況にございますので、被害の全容の判明は雪解け後になるというふうに考えております。

 これらの森林被害については、早期に復旧し、被害森林の公益的機能の維持、確保を図ることが重要でありますので、林野庁として、森林整備事業や治山事業などにより、被害木の伐採、搬出、再造林の実施等について可能な限りの支援をしてまいりたいというふうに考えております。

 なお、復旧に係る事業の実施に当たっては、各自治体などの御意見も十分に伺いながら、円滑に実施できるように対応してまいりたいと考えております。

塩川委員 自治体の要望を聞きながら円滑に運営していきたいということで、質問としては、保安林整備事業の採択要件の緩和ということも申し上げたんですが、採択要件が一定規模以上となっているということなんですけれども、実際には、飛び地、飛び地で被害が出ているわけですよね。ですから、そういうものを一体のものとして、被害を受けたという形で拾えるような要件緩和というのはぜひともというのが強い要望だと思うんですが、その点はいかがですか。

本郷政府参考人 お答えいたします。

 保安林整備事業につきましては、今先生おっしゃられたように、幾つかの分散したものを取りまとめて一施行地とするような運用も可能でございますので、そのように対処してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 ぜひ実態に見合った支援策をお願いしたいと思っています。

 大雪被害対策の最後に、新藤大臣にお尋ねします。

 今申し上げましたように、各省庁でいろいろメニューを使って行っているわけですけれども、要は、過去に例がないような大きな被害ですから、過去にないような制度もつくって、しっかりとした支援策を行うべきじゃないか。点とか線の被害ではなくて面の被害なわけですから、そういう地域社会、地域経済、地域の産業にかかわるような大きな被害への支援策ということでは、踏み込んだ対応をぜひとも総務大臣として働きかけもしていただきたい。その決意について、お答えいただきたい。

新藤国務大臣 過日も申し上げましたけれども、これは委員の指摘のとおり、過去に例のない事態が起きておりますから、それに対応する策が不足がある、これは当然のことになると思います。

 したがって、政府として、今回の災害、また、それ以前にも、竜巻も含めて今までにないことが起きていて、そのときにやはりどうしても既存制度と折り合わないところがあります。ですから、こういう突発、異例に起きた災害についてどのように対応すべきなのか、こういったことも含めて、全政府として対応を検討しなくてはならない、総務省としても、ぜひそれを働きかけてまいりたい、このように思います。

塩川委員 しっかりと対応をいただきたいと思います。

 それでは、こんな時間ですから、災害対策関係の方は、ここでお引き取りいただいて結構です。

高木委員長 そういうことで、退席されてください。

塩川委員 それでは次に、補正予算で措置をしました、がんばる地域交付金について質問をいたします。

 アベノミクスが及んでいないような地域を対象にということで、対象となる景気回復が波及していない財政力の弱い市町村、これはどんなところなのか、その辺について少し、内閣府から説明いただけますか。

富屋政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねのございました、がんばる地域交付金は、アベノミクスによる景気回復の効果を全国に波及させるため、財政力の弱い市町村であっても、地域活性化に向けた事業に取り組めるように支援をするものでございます。

 御質問の、本交付金の交付対象となる市町村の範囲、その詳細につきましては、二十五年度の補正事業の地方負担の状況を踏まえまして今後確定していくことになりますが、財政力の弱い市町村に重点化して支援していく方針となっております。

塩川委員 はっきりとはわかりませんけれども、財政力の弱い団体だということですが、大臣にお尋ねしますけれども、去年、地域の元気臨時交付金というのがありました。これは兆円単位の規模で、地方負担分についても、いろいろ数字をいじりながら、七割から九割という手当てもしたわけですけれども、ことしのがんばる地域交付金は、額も小さいですし、財政力の弱い団体に重点化をするということであっても、それでも、その地方負担、最大でも四割ということです。

 このスキームそのものが、国の公共事業におつき合いをすることが前提になっています。私は、そういう点では、財政力の弱い団体にはそもそも活用が難しいんじゃないかなと思うんですが、この制度設計についてはどのようにお考えですか。

新藤国務大臣 お答えする前に、ちょっとこれは国の安全保障にかかわる情報でありますので、皆さんは御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、御報告だけしておきます。

 本日二十七日午後五時四十二分、北朝鮮の江原道から北東方面、日本海側に向けて、短距離弾道ミサイルと推定される発射体四発が発射された。射程距離は二百キロ以上ということで、未確認でありますが、スカッドミサイルの可能性もあるということであります。そして、韓国軍は、今、北朝鮮による発射体の追加発射や挑発の可能性に備え、監視を強化し、万全の態勢を維持している。これは聯合ニュースの配信であります。

 官邸といたしましては、我が国への飛翔は二十時二十五分時点で確認はできていない、引き続き情報収集を行っているということであります。

 一応皆さんに、念のため御報告だけさせていただきます。

 それから、がんばる地域交付金でありますけれども、昨年度の地域の元気臨時交付金、これは、予算編成がおくれた、政権交代が、十二月の二十六日に首班指名があったわけでありますから、それから予算を再度練り直してということでございました。この予算編成の遅延という状況に加えて、そのとき予定をした経済対策において追加される公共投資の地方負担が約一兆七千億円という大規模であった。これに合わせまして、地方の資金調達に配慮し経済対策の迅速かつ円滑な実施を図るためのそれ相応の予算額を措置したということで、約一兆四千億円弱、こういうものを用意させていただきました。

 そのときに比べまして、今度の補正予算のがんばる地域交付金は、景気回復の効果を全国に波及させるため、財政力の弱い市町村であっても地域活性化に向けた事業に取り組めるように支援することを目的に創設するということであります。二十五年度の補正予算計上額は八百七十億円ということでございます。

 そして、補正事業に伴う地方負担への支援については、補正予算債の元利償還金額に対する交付税措置、これは措置率五割と合わせて、本交付金を財政力の弱い市町村に重点化して支援することにより、財政力の弱い市町村であっても地域の活性化に向けた事業に積極的に取り組むことができるのではないか、このように考えているわけであります。

塩川委員 北朝鮮のロケットの発射の問題、事実とすれば、国連安保理決議違反の重大な暴挙であり、こんなことは許されないということは強く申し上げておくものです。

 それで、要するに、今回のがんばる地域交付金ですけれども、補正予算の国の国庫補助や直轄の執行との関係で、地方にもおつき合いいただきたい、その際に、財政力の弱い団体についてこういう交付金を手当てしましょうということですが、そもそも財政力の弱い団体、例えば過疎団体なんかにすれば、補正におつき合いすること自身をもう勘弁してもらえないか、こういう声もあるんですけれども、そういう声というのは耳に届いていないですか。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

新藤国務大臣 前回のときもそうでございましたけれども、これは、それぞれ地域からの御要望を承ることになりますが、そのように消極的に、結構ですというところがあれば、それはそれなりの対応をさせていただくことになると思いますけれども、しかし、大概、これはぜひ自分たちの町にも、こういう期待をしている市町村が多いのではないか、このように考えております。

塩川委員 過疎団体におきましては、やはり補正予算債ではなくて過疎債が使えないかと。今大臣が説明されましたけれども、確かに補正予算債は五割から、さらに単位費用で見るという部分もありますから、七割近くまで行くという話もお聞きしますけれども、でも、過疎債の場合であれば、七割、元利償還部分の交付税措置ですから、やはりこういう過疎債の手当て。

 ですから、しっかりと地方としても公共を行うということであれば、国の景気対策として進めるというのと一体として行うのであれば、過疎団体に対しては、過疎債の枠の拡大も含めて、そういう形で対応することこそ実態に合ったものじゃないかと思うんです。

新藤国務大臣 過疎市町村は、過疎地域自立促進特別措置法によりまして、過疎地域自立促進市町村計画に基づいて行う事業について、その財源として過疎対策事業債、充当率が一〇〇%、そして交付税措置が七〇%、こういう有利な特別の財政措置が講じられて、その所要額については毎年度の地方債計画において確保しているわけであります。

 国の経済対策に伴って追加的に生じることとなる地方負担については補正予算債等による措置が講じられることになりますけれども、御指摘のように、財政力の弱い過疎市町村においては、国の経済対策に取り組むに当たり支障が生じないように、過疎地域を対象とした経済対策事業に必要な地方負担額を確認した上で、地方債計画を改定し、過疎対策事業債の所要額を確保したい、このように考えております。

塩川委員 過疎団体の実情も見ながら、適切な対応をお願いしたいと思います。

 次に、地域の元気創造事業費についてお尋ねいたします。

 一月二十四日の全国の財政担当者の会議におきまして、交付税課長は、基本的に二〇一三年七月現在の指標を用いると考えている、七月以降に給与削減を行った自治体も存在しており、その取り扱いは今後検討したいとしております。

 総務省は、昨年、地方公務員の賃金について、二〇一三年七月一日より国並みに七・八%引き下げてくれということを重ねて要請してきたわけであります。今回のこういう措置というのは、削減に応えなかった自治体への財政上のペナルティーととられても仕方がないんじゃないでしょうか。

新藤国務大臣 この地域の元気創造事業費の算定に当たりましては、地域経済活性化に取り組むための財政需要を算定するために、人口を基本とした上で、各地方団体の行革努力また経済活性化に対する成果指標を反映することにしております。

 その際に、各地方団体が行革により捻出した財源を活用して地域経済活性化の取り組みを行っていると考えられることでありますので、各地方団体の行革努力を多面的に反映するために、職員数の削減率それから給与水準、人件費削減率、人件費を除く経常的経費削減率や地方債残高削減率、こうしたものを指標として用いることにしているわけであります。

 したがって、御指摘の二十五年度の給与減額の要請に応じて減額を行わなかった団体に対してのペナルティーということで算定するものではございません。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 職員定数や職員給与削減などの行革努力分を交付税算定の基準として持ち込むこの地域の元気創造事業費を一般行政経費の中に新設したということは、地方の固有財源としての地方交付税の性格をゆがめて、地方交付税の補助金化を図る、国の政策誘導の手段に使うという実態にならざるを得ないということについても申し上げておきたいと思います。

 総務省に確認ですが、この国の要請に応えて昨年七月時点で給与削減した自治体数は幾つか、その後に給与削減した自治体数は幾つか、お答えください。

三輪政府参考人 平成二十五年度における地方公務員給与の減額要請に対する地方公共団体の取り組み状況でございますけれども、昨年の七月一日時点において、既に給与を抑制済みまたは給与減額を施行済みの団体は、都道府県で四十一団体、指定都市で十二団体、市区町村では九百八十五団体、全体では千三十八団体でございました。

 それ以降の取り組み状況につきまして、本年の一月までに抑制済みまたは施行済みとして把握できているものは、都道府県では三団体ふえ四十四団体、指定都市では六団体ふえ十八団体、市区町村では二百六十四団体ふえ千二百四十九団体、全体では二百七十三団体ふえて千三百十一団体という状況でございます。

塩川委員 来年度の地域の元気創造事業費が三千五百億円で、そのうち三千億円が行革努力分となります。

 そうなると、やはり、全体として見れば、この行革努力を強く反映させる仕組みとならざるを得ないんじゃないのか、このことを申し上げたいんですが、この点についてはいかがでしょうか。

新藤国務大臣 これは今、私たちとすれば、地域経済活性化に取り組むための財政需要を算定するため、平成二十六年度は行革努力分で三千億円程度、地域経済活性化分で五百億円程度、このように配分をしようと思っております。

 このように設定いたしましたのは、行革努力分につきましては、平成二十五年度の地域の元気づくり推進費、これは人件費削減努力を反映して配分した、その算定額が三千億円であったということであります。

 そして、地域経済活性化分については、平成二十六年度が算定の初年度ということであります、今回、創設するわけでありますので。平成二十五年度以降の各地方団体の地域経済活性化の取り組みの成果がまだ十分に成果指標に反映されていない、こういうことを踏まえたものであります。

 したがって、地域経済活性化分の算定額については、今後、成果指標の反映度合いが増していくのに合わせて増額することを検討しております。行革指標に係る割合を高くして、各地方団体にさらなる行革を促すことを考えているわけではございません。

塩川委員 地域の元気創造事業費三千五百億円のうち三千億円が行革努力分ということになりますと、財政力の弱い団体ほど、地方交付税の算定を積むために、職員定数と給与削減による行革を推進することになりはしないのか。仕事量は減っていない、職員も給与もこれ以上削減できないというのが地方団体の共通の声だということを申し上げるものです。

 もう一点、お尋ねしたいのが、総務省は今後、この地域の元気創造事業費の枠を拡大するとしておりますが、その財源はどのように考えておられるんですか。

新藤国務大臣 二十七年度以降、増額を検討しております。そして、地域経済活性化に向けた地方団体の取り組みを息長く支援する、そういった観点から、昨年から始めた仕事ですから、それは昨年は、そもそもの財源といいますか、もともとの金額がございました。

 今回は、経常的な一般行政経費の中で改めて計上させていただいたわけであります。したがって、それは、昨年の経済運営によって来年度の税収がふえて、そして地方財政が少しずつでも向上している、そういう中で生み出せたものであります。

 ですから、平成二十七年度以降につきましても、税収の動向を踏まえつつ、そして、この地域の元気創造事業費の効果の度合い、こういったものを勘案しながら検討してまいりたい、このように考えております。

塩川委員 この偏在是正で生じた交付税財源を行革努力促進のひもつきにするような形になるんじゃないのか。一般行政経費の中でその枠を拡大していくやり方というのは、私は、行革、リストラへの政策誘導と言われても仕方がないということは重ねて申し上げておくものです。

 次に、公共施設除却への地方債の特例措置に関連して、質問いたします。

 地方財政法を改正し、地方自治体の公共施設等の除却、取り壊しに地方債を充当することができる特例措置を設けるとしております。総務省は、地方自治体に公共施設等総合管理計画の策定を要請し、総務省の指針に沿った計画策定を求めております。

 現在示されている指針案では、財政負担の軽減、平準化や、公共施設等の最適な配置の実現のために、公共施設の民間代替可能性、PPP、PFIの積極的活用などを検討することとされ、また、市町村間の広域連携を推進する立場からも計画を検討することとされております。この公共施設等総合管理計画は、インフラ長寿命化計画の行動計画として位置づけられております。

 これは内閣官房なのかもしれませんが、事務局が国交省ということですので、お答えいただきたいんですが、このインフラ長寿命化基本計画は政府の日本再興戦略に位置づけられていると聞きますが、どのような位置づけとなっているんでしょうか。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 日本再興戦略におきましては、成長戦略を実行、実現するものとして、三つのアクションプランを打ち出しております。インフラ長寿命化基本計画は、その三つのアクションプランのうち、戦略市場創造プランというものにかかわっておりまして、さらに、その中のテーマの一つであります安全、便利で経済的な次世代インフラの構築というような、そのための施策の一つとして位置づけられております。

 再興戦略の中では、この基本計画の内容につきまして、生活インフラを初めとしますインフラデータの把握、蓄積、活用、あるいは信頼性、経済性の高い点検、補修技術の採用、こういったことをインフラ管理の標準とするために、インフラ管理のあり方あるいは方向性、そういったものを内容として基本計画を策定するというように位置づけられたものでございます。

塩川委員 今、日本再興戦略の中身も紹介していただきました。

 昨年六月五日に安倍総理が、成長戦略の第三弾のスピーチを行いまして、その中で、インフラ分野での民間の力の活用のために、インフラ長寿命化基本計画を取りまとめますとあります。

 重ねてお尋ねしますが、そうしますと、このインフラ長寿命化基本計画は、安倍内閣の成長戦略、産業政策として、その一環として位置づけられているということですね。

栗田政府参考人 政策の位置づけとして、そのような政策の位置づけの中にあるということも、一つ確かであろうかと思います。

 ただ、この基本計画が最終的に目指していきますものは、やはり事故を未然に防いで、安全で強靱なインフラが実現されている社会、そういったことを目指すということが、目指すべき姿というように考えておるところでございます。

塩川委員 安倍内閣の成長戦略、産業政策の一つとして位置づけられているということです。

 そこで、この基本計画では、この文書を読みますと、メンテナンス産業によるインフラビジネスの競争力強化とあります。メンテナンス産業というのは余りなじみのない言葉なんですけれども、このメンテナンス産業というのは何なのか、いかなるものか。これは誰が命名したんでしょうか。

栗田政府参考人 メンテナンス産業についてでございます。多少耳なれない名称だということでございますが、インフラ長寿命化基本計画の中では、インフラの維持管理、更新等に係る産業ということをメンテナンス産業と位置づけております。厳格に計画の中で定義を持っているということではありませんが、インフラの維持管理、更新等に関連する産業を幅広く含む概念と考えております。

 例えばということで申しますと、点検、診断結果等のデータの収集、蓄積等に関連する情報通信産業、あるいはセンサー、ロボット、非破壊検査等を活用した点検、補修等の関連産業、そういったものが幅広く該当するというように考えております。

塩川委員 維持管理、更新に係る産業だと。インフラビジネスの柱の一つという説明ですけれども、そもそも、メンテナンス産業という言葉自体がいつ、どこでできたのかというのは、その点はどうですか。

栗田政府参考人 メンテナンス産業という固有名詞的なこと自身、このインフラ長寿命化基本計画の中で、政府としては、事によると初めて使っているということかもわかりませんが、メンテナンスということ自身、インフラの一般的な流れの中で維持管理、そういったことに使っております。そういった意味で、メンテナンス産業というような名称をこの計画の中で付与したということでございます。

塩川委員 拝見した文書の中に、新たなICT戦略に関する提言というのがありまして、これは日本再興戦略の前の五月の二十一日で発表しているものです。「ICTによる国土強靱化と経済成長 コンクリートにICTを」では、高度なメンテナンス産業が創出され、強靱化とともに経済成長が期待できるとありますけれども、新たなICT戦略に関する提言でメンテナンス産業という言葉を使っている、この文書は自由民主党の文書であります。ですから、こういうイメージということでよろしいんですか。

新藤国務大臣 まず、これは背景を申し上げますと、私どもの総務省において行政評価をやりました。そして、橋や道路、農林道、こういったものについての維持管理状況のチェックをしたんです。そういう中で、このまま何もしなければ、大量に整備された公共施設が大量に老朽化して、それにかかる経費を算定すると、それだけで予算が終わってしまう、こういうようなことも想定されました。

 したがって、危険な箇所はすぐに修繕をする、それから改修する。しかし一方で、長寿命化という新しい技術です。これは簡単に誰でもできるわけじゃありません。専門的な技術が必要です。こういったものを使って、できるだけうまく管理をして、全体的に財政負担可能な範囲でおさめられるようにしようではないか。こういうことがあって、準備を進めてきたわけでございます。

 それに加えて、公共施設をどのように管理していくかということは、これから極めて大きな行政改革の中の一つの項目になると思っています。そこで、ICTを使って、高度な、そして総合的な管理をできないだろうか、そういうことを私たちも考えています。

 それは、例えばイメージとしては、この間、中央高速のトンネルで落盤しましたね。(塩川委員「笹子トンネル」と呼ぶ)笹子トンネルですね。ですから、そういう落盤の危険性のある箇所ですとか、いろいろな公共施設にセンサーを設けて管理をする。そして、危険をチェックしながら、そういった効率的な修繕や維持ができるようにならないだろうか。こういったことを総務省としても研究させていただいております。

 その前提となるセンサーについては、普及を促進するために、電波利用料の見直しのときに、このセンサーについては実質の負担ゼロという形のものを打ち出させていただいております。そして、関連のコンピューター、ソフトもつくってもらわなければなりませんし、こういうメンテナンスをする、そういう仕事にも新しい分野をつくれるのではないか。それは経済成長にも資することになりますし、それから財政再建の中にも役立つことができる、このようなふうに考えて位置づけているわけでございます。

塩川委員 インフラの維持管理、更新というのは重要で、しっかりとして取り組みを進めていくことが大事ですし、またそのための技術開発が当然のことながら求められているわけであります。

 ただ、このメンテナンス産業といい、このインフラ長寿命化基本計画が成長戦略、産業政策として位置づけられることによって、本来の維持管理、更新のそもそもがゆがめられることになりはしないのかという点での懸念を覚えているわけです。

 そこで、基本計画の文言の中で「体制の構築」というところがありまして、「地方公共団体をはじめとする各インフラの管理者」という部分があります。そこを少し引用しますけれども、地方自治体の

 各インフラの管理者は自らの責務に鑑み、維持管理や更新、統廃合等を含めた取組実態を再確認するとともに、積極的に国の支援制度や民間のノウハウ、新技術等を活用しつつ、インフラの健全性の把握や、必要な対策等を進めることが必要である。

  その取組を進める中で、維持管理や更新、統廃合等における課題を明確化し、組織・人員の維持管理・更新部門への適正な配置について検討するほか、インフラ全体を総合的かつ計画的に管理するための体制を組織全体で構築することが重要である。必要な技術職員がいない場合には、必要とするノウハウのアウトソーシングを図るなどにより、人員・人材の両面から体制を構築することも検討していく必要がある。

と書いてあります。

 そこで、国交省の方にお尋ねしますけれども、ここで書いてあります「組織・人員の維持管理・更新部門への適正な配置」というのは、どういうものなのか。

森政府参考人 お答えいたします。

 特に、例えば今、二メーター以上の橋梁、これは全国七十万橋ございます。この中で、実際には六八%の橋が、自治体、市町村が管理をしている、そういう状況にあるわけでございまして、とりわけ膨大な社会資本を管理する地方自治体、こういった取り組みが今後のインフラ長寿命化を進めていく上で極めて重要であるというふうに認識をしております。

 特に、地方公共団体において、その組織あるいは人員がまだ十分でないということもございまして、そういう意味で、組織、人材の配置を体制の強化という形で、ここで記述をさせていただいているという状況でございます。

 以上でございます。

塩川委員 まだよくわからないんですけれども。

 もう一つ、「必要な技術職員がいない場合には、必要とするノウハウのアウトソーシングを図る」と書いてある部分は、どういう意味でしょうか。

森政府参考人 実際に、職員がそういう橋梁を点検したり、あるいは、その点検のデータをもとに、これが至急対応しないといけないのかどうかということを判断する。診断をしたり、判断をしたり、そういうような技術的な知見を持ち合わせている職員が必ずしも全ての市町村におられるというわけではございません。

 そういうことも踏まえまして、状況に応じて、点検、診断といったような業務を民間の方々に委託して、そういう業務をお願いして、長寿命化というようなものに結びつけていただくということを記述させていただいているものでございます。

 以上でございます。

塩川委員 このインフラ長寿命化基本計画は、政府の各府省庁でもそれぞれ行動計画をつくります。総務省経由で地方団体も行動計画をつくることになっております。その指針案は総務省の方で出しているわけですけれども、このインフラ長寿命化基本計画に基づいて府省庁がつくる行動計画で、それぞれいわば縦割りに、それぞれ公共施設がありますから、地方と御縁があるわけで、そういった施設についてどうするかについては、各府省庁が適切に要請を地方に行う、通知を出すということも、連絡会議でしたか、事務局の会議で確認をしているわけですけれども、ここの今紹介をしました各自治体もかかわるようなインフラの管理者について、自治体の組織をいじるような趣旨の部分もあるわけですけれども、ここの部分に該当するような通知とか技術的助言とか、こういうものというのは出されているんでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 通知自身は、まだそういうものを発出したというものはございません。ただ、先ほど来お話をさせていただいておりますように、技術的な知見を高めるという視点で、各地区で、例えば講習会だとか、あるいは、私どもの方が一緒に参っての合同の点検会といったようなことを実施してきているというところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 まだ出していないということですから、今後は頭にあるのかもしれませんけれども。

 この間も、この委員会でも、技術的助言が山ほど出ているという問題をずっと議論してまいりまして、技術的助言は技術的助言だから、ただ、実際には、これが金目のものと一体となって動くために、実質、地方を縛っているという実態があって、この技術的助言そのものを減らそうじゃないかということは、これまでも、以前の自公政権でも掲げてきた話ですよね。そういう点で、この中身の問題というのも今後問われてくるわけであります。

 では、例えば、今言ったような地方の組織、人員の適正な配置とか、あるいはアウトソーシングの話については、この点でも、民間の知見を生かす、ノウハウの活用ということがありますけれども、みずほ総研などが、「公共サービスアウトソースの新時代へ 民活事業十年の総点検と今後の公共サービス調達の考え方」、こういうレポートを出しております。

 そういう中で見ますと、「日本版PPPの創造に向けて(官主導の民活から民主導の民活へ)」、こういうことを掲げて、「「お役所」改革の重要性」、自治体の役割改革、機構改革、そういう中で、「職員の役割改革および機構改革」、こういう文言があって、この文言を見ると、財政健全化のための財政支出抑制と、あわせて公務員数の減少、これに対応が求められるということで、民間事業者からの公共サービスの調達に対応して自治体職員の役割分担を見直していく、事業部署の余剰人員の配置転換などを進める必要がある、こういうことなんかも掲げているわけであります。

 そういう点でいいますと、この一連の計画そのものが実質公務リストラのてこになるんじゃないのか、こういう懸念というのがあるんですけれども、その辺については……(新藤国務大臣「何のてこですか」と呼ぶ)公務リストラのてこになりはしないのかと。

新藤国務大臣 そのようなことにはならないというふうに思います。そして、現状においては、長寿命化を担当するセクションを設けている自治体というのは余り聞いたことがないんです。

 太田国交大臣は、今回をメンテナンス元年にする、このようによく会議でおっしゃいます。今まで、道路を、壊れたものを直すと。ですから、道路維持課というのはあるんです。だけれども、長もちするようにもう一度つくり直そうとか手を加えようという観点でのすごく高い技術が必要なんですね。ですから、そういうノウハウを持った、またそういう意識と、それを担当するセクションを全国で整備していかなければならない。まだ、最初、国が実験でやっていたようなものですから。しかし、これを総合的に、計画的に、戦略的にやることによって、我が国の財政の効率的な運営に資することができるだろう。

 それから、先ほども申しましたけれども、ICTを使った新しい施設の維持というものを考えていく中で、それは産業も出てくる。ですから、メンテナンス産業というのは定義としてあるわけではありませんが、そういうノウハウを持った、仕事をできる人たちがふえてくるだろう。もちろん、そこに民間の知見も生かさなければならない。こういうことをそこにうたっているのであって、ゼロ、一〇〇で、民間を入れることで公務員をリストラするとか、それとは全然次元の違うところで、これは国家的課題に取り組むという意味で、官も民もあわせてこういったことを進めていくべきだ、そういう趣旨に御理解いただきたいと思います。

塩川委員 自治体の自主性を損なうようなことがあってはならない。

 もともと、公共施設をたくさん持っているというのは、自治体の独自の判断の部分もありますけれども、過去の国の公共事業を景気対策として地方におつき合いさせてきたことによって山ほど抱えている側面もあるわけですから……(発言する者あり)いや、でも、九〇年代も含めて、こういったことが実際行われてきたわけですよ。公共事業推進の部屋まで自治省の中に設けてやったりなんということを過去やってきているわけですから、そういう点について、やはり胸に手を当てるということが必要なんじゃないのかということを申し上げておきたいと思います。

 この基本計画を踏まえて自治体が行動計画としてつくる公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針案を総務省が出しております。

 そこで、総務省の方にお尋ねしますが、この指針案の「第二 計画策定にあたっての留意事項」について幾つかの項目をお尋ねいたします。

 「三 数値目標の設定」のところでは、「計画の策定にあたっては、財政負担の軽減・平準化に向けてできる限り数値目標を設定するなどに努める。」とあります。ここで言っています数値目標とはどのようなものなのか。これは何らかの目安を示すのか。あるいは、総務省が別に示さなくても、縦割りで各府省がやっているわけですから、各府省がこういう何らかの数値目標というのを示すということはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

佐藤政府参考人 ここで言っています数値目標というのは、何か国が一律にこういう目標でやれというようなことを想定するものではありませんで、それぞれの団体においてこの計画をつくる場合には、目標というのは定性的なものだけじゃなくてできるだけ数値を盛り込んだ方がいいでしょうと。これは、一般的な計画をつくる場合の、効果的な計画にするための手段だと思います。

 さらに、総合管理計画はまちづくりにも影響しますし、住民へのサービス提供にも影響します。したがって、この計画をつくる段階では、広く住民の理解を得ていくことも必要だと思っています。そうした意味では、わかりやすい形で住民に示すことというのも重視する必要がありまして、そうした観点から、数値目標の設定が適当じゃないかということで、こういう留意をしてくださいということを申し上げているのでございます。

塩川委員 次に、「四 当該公共施設等において現在提供しているサービスそのものの必要性の検討」というところでは、「公共施設等において提供しているサービスの必要性について再検討することは勿論、当該サービスが公共施設等を維持しなければ提供不可能なものであるか(民間代替可能性)など、施設等とサービスの関係について十分に留意することが必要。」とあります。

 この現在提供しているサービスの必要性について再検討とはどういうことなのか、また、民間代替可能性というのはどういうものかについて説明いただけますか。

佐藤政府参考人 この計画の趣旨は、公共施設を全体として、そういう意味では総合的に管理をする、しかも長期的な視点からやっていくということを通じて財政負担を平準化する、あるいは軽減しようということと、それから、施設の適切な配置を実現しようということに主眼があります。

 人口が減っていくような社会にあっては、今まで一定のサービスを提供していた施設であっても、例えば人口の動向によってはもう不要になるということもありましょうから、そういったことは当然考慮に入れて考えてもらいたいということ、あるいは、最初、つくったときにはその施設しかなかったものであっても、その後、民間の同様な施設、例えば駐車場でありますとかレクリエーション施設みたいなものができたということであれば、あえてそこに公共施設としてのそういった施設を置く必要があるのかというようなことも問題になってこようと思います。

 そうしたことを、官といいますか、行政の中だけじゃなくて、外も含めて広く考えてくださいという趣旨のものでございます。

塩川委員 次に、「六 市区町村域を超えた広域的な検討等について」の部分ですが、「市区町村間の広域連携を一層進めていく観点から、定住自立圏形成協定をはじめ隣接する市区町村を含む広域的視野をもって計画を検討することが望ましい。 また、都道府県にあっては、圏域の市区町村の所有公共施設等も念頭に広域的視野をもって計画を検討していくことが望ましい。」とあります。

 これは、定住自立圏の協定を結んでいる自治体の範囲でこういう公共施設の除却などについての連携を図るという趣旨なのか、また、都道府県が出てくるような場合に、都道府県と市区町村の間での公共施設についての調整を図る、こういうものなのか、その辺について少し説明いただけますか。

佐藤政府参考人 このくだりもごくごく常識的なことを申し上げているのでありまして、道路網の整備ですとか交通機関の整備ということを考えますと、非常に住民の日常生活圏あるいは経済活動のエリアが広がっております。そうした場合に、個々の市町村が行政サービスの提供に必要な全ての公共施設をフルセットで所有し提供するというのはもう現実的ではないというふうに考えます。

 したがって、住民のそういう生活圏、経済活動圏に対応した形で、自治体、これは市町村間もありますし、都道府県、市町村の間もあります、これが適切な役割分担をしてこういったことを考えていってくださいということを申し上げております。

塩川委員 もともと、公共施設除却への地方債の特例措置、その特例措置を受けるためには計画をつくるわけです。その計画の中にこういった広域連携の中身が盛り込まれているということについては、これ自身が、今、地方自治法の改正案を用意されておりますけれども、新しい広域連携の枠組みなどをつくる、定住自立圏もありますし、中枢拠点都市というのもありますし、都道府県とその他の市町村との連携もありますし、また三大都市圏周辺の自治体においての連携などもあるんですけれども、私は、そういう枠組み全体というのが新たな市町村の再編につながるようなきっかけにならないのか。

 率直に言って、私は、そういう流れというのは、今の自民党さんが用意しようとしている道州制に向かうようなものになりはしないのか、こういった自治体の再編のものと結びつくことになりかねないんじゃないのかという強い懸念を持っているんですけれども、その点について一言いただいて、終わります。

新藤国務大臣 全く何かを意図してやっているわけではなくて、当然行うべき機能であります。そして、今委員が一つ一つを確認していただきました。結局、それは、私たちの地域活性化やまちづくりの方向性と完全に一致していることが御理解いただけたと思います。

 ですから、まちづくりはまちづくり、公共施設は公共施設の維持ではなくて、これはいろいろなものが連関して、地域活性化や国土強靱化、そして何よりも国の発展につなげていこう、そういう一つの流れの中で計画している、こういうことでございます。

塩川委員 かつて、財政措置が合併への誘導に使われたこともありますし、あめとむちとなったこともあります。

 そういう点では、全国町村会などが強く反対をしております道州制に向かうような流れなどに決してつながってはならないということを強く申し上げて、質問を終わります。

高木委員長 各委員に申し上げたいと思います。

 夜遅くまでこういう委員会となりましたけれども、本当に最後まで真摯な質疑をしていただき、また、委員各位も、最後までその質疑を聞いていただいたことに対して、改めて御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後十時二十三分散会


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