衆議院

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第7号 平成26年3月13日(木曜日)

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平成二十六年三月十三日(木曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      門山 宏哲君    川崎 二郎君

      木内  均君    熊田 裕通君

      小林 史明君    清水 誠一君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      中谷  元君    中村 裕之君

      長坂 康正君    長島 忠美君

      福井  照君    堀内 詔子君

      松本 文明君    山口 俊一君

      山田 賢司君    湯川 一行君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    寺島 義幸君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      中島 克仁君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        関口 昌一君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 宮城 直樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           武井 俊幸君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           高橋  洋君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局次長)           小林 祐一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 谷脇  暁君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     山田 賢司君

  田所 嘉徳君     鬼木  誠君

  長坂 康正君     熊田 裕通君

  福井  照君     堀内 詔子君

  奥野総一郎君     寺島 義幸君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     田所 嘉徳君

  熊田 裕通君     長坂 康正君

  堀内 詔子君     長島 忠美君

  山田 賢司君     井上 貴博君

  寺島 義幸君     奥野総一郎君

  佐藤 正夫君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     福井  照君

  中島 克仁君     浅尾慶一郎君

    ―――――――――――――

三月十二日

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 地方自治及び地方税財政に関する件

 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案起草の件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君及び日本放送協会会長籾井勝人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長福岡徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 皆さん、おはようございます。早朝から御苦労さまでございます。民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、一般質疑ということで、原口筆頭から六十分も時間をいただいたものですから、じっくりNHK会長の問題についてやらせていただきますので、ぜひ簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 質問の順番を変えますので、あらかじめお伝えをしておきます。

 最初に、三番目に質問する予定の、改めてNHK会長としての資質について。そして、四番目の、NHKに寄せられた苦情と責任のとり方について。それから三番目に、二番目の安倍総理の評価について。四番目に、最初の、籾井会長の個人的な考え方について、もし時間があればお伺いをしたいと思います。

 それでは、最初に、改めてNHK会長としての資質についてお伺いをいたします。先日は時間がなかったので一つ一つ確認できませんでしたので、本日、改めてお聞きをさせていただきます。

 まず一つ目は、一月二十五日の発言は取り消したが、考え方は変えていないということを認めておりますが、それでよろしいですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 公共放送、NHKのトップとして、一月二十五日、公式の場で個人的な見解を述べたことは、不適切でございました。

 これまでも、私の個人的見解を放送に反映することはないと繰り返し述べておりますが、NHKは、不偏不党、公平公正などの原則を守って放送していくことに変わりはございません。

 トップの重みをしっかり受けとめ、放送法を遵守し、役職員一同、これまで以上に信頼されるNHKを目指して取り組んでいきたいと思います。

福田(昭)委員 会長、私の質問は、二月二十七日の総務委員会で、あなたはこのように答弁したんですよ。私の考えを取り消したわけではございませんが、私が申し上げたことは、これはもう何回も申し上げているように、取り消したわけでございますと言っているんですよ。

 そのように、あなたは自分の考えは変えていないということを私は聞いているんですが、どうですか。

籾井参考人 おっしゃるとおり、私の考えは変えておりません。

福田(昭)委員 そういう回答でいいんですよ。

 次に、二つ目です。二つ目は、NHKは、戦前の何を反省して戦後出直したんですか。籾井会長の認識をお伺いします。

籾井参考人 お答えいたします。

 前身の社団法人日本放送協会の時代には、放送内容に対する政府からの指示や検閲が行われており、こうした歴史的な経緯を踏まえ、戦後民主主義のもとで、自由な放送を保障するために放送法が制定され、現在のNHKの形になったものと承知しております。

福田(昭)委員 そのとおりだと思いますが、政府のプロパガンダ機関、宣伝機関として大本営発表を繰り返して、国民を戦争へ戦争へと、そして破滅へ導いてしまったことを反省して、戦後、国民のための公共放送として、不偏不党、公正中立、編集権の独立を高らかに宣言したんだと思いますけれども、籾井会長は、そのことについてはどう思っていますか。

籾井参考人 本件につきましても、私、いろいろな場で何回も表明しておりますが、我々は、放送法にのっとり、公平公正、不偏不党、その他もろもろ、放送法に書いてあることに従いまして、放送を続けていく所存でございます。

福田(昭)委員 それでは、次に三つ目でありますが、日付のない辞表を提出させることは一般社会ではよくあることではないかと述べているようでありますけれども、あなたが、籾井会長が今まで勤めてきた会社ではよくあったんですか。お答えください。

籾井参考人 お答えいたします。

 私もずっと、前の会社で経営をやっていたわけではございませんけれども、そういう意味においては、その時代は存じ上げませんが、私の知っている限りにおいては、そういうことはなかったと思います。

福田(昭)委員 おかしいじゃないですか。自分が勤めてきた会社などでそういうことはなかったのに、一般社会ではよくあることだという言葉はどこから出てきたんですか。

籾井参考人 世の中には物すごくたくさん私企業というのがございます。それは、それぞれに組織の運営のやり方や経営者の思想等々は違います。そういうことで、やっている会社もあると思いますし、やっていない会社もあると思います。

 私は、前にも御説明したかと思いますが、私が一月二十五日に就任しまして、やはり役員一同に対して緊張感を持って仕事をしてもらいたい、そういう意味において辞表を求めたわけでございます。

 自由闊達な経営というのが私の信条でございます。巷間、どういう理由か知りませんが、私がそれを人質みたいにとって、おどしの経営をやるんじゃないかと言われておりますが、私は、決してそういうことはございませんで、人事というものは、会長としてしかるべく、普通に判断し、やっていく、全く普通のことをやっていくつもりで、こういうことで人事権を濫用するつもりは全くございません。

福田(昭)委員 それでは、一般社会でよくあることではないことをやらせたということなんですね。

 籾井会長、あなたが副社長を務めていた三井物産、マスコミ報道ですけれども、経営者が役員から辞表を預かるなんということはしていないと広報担当者が答えています。それから、あなたが社長だった日本ユニシスでも、私の知る限り辞表の提出を求めた例は社内ではないと担当者が言っていますが、そのとおりですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 三井物産は百年余りの歴史がございます。その中で、必ずしもなかったとは言い切れない部分があるんじゃないかと思いますし、同時に、日本ユニシスも五十年の歴史がございます。私の時代にはそういうことはございませんでしたけれども、私が、昔のことは知りませんと言ったのは、私が担当者のころに、何が起こっていたかというのは、これは私は存じ上げません。

福田(昭)委員 新聞報道によりますと、あなたが副会長を務めている財団法人日本バドミントン協会でも、そんなことは全然ない、こういうふうに答えております。

 さらに、ちょっと待ってください、手が挙がるのがちょっと早いですけれども、財界首脳も籾井会長を批判いたしております。

 先日は日本郵政株式会社の西室社長の件を申し上げましたが、それは西室さんの考えでしょうなんということでとぼけましたけれども。しかし、その後、経済同友会の長谷川代表幹事は、籾井会長が先日、コンプライアンスやガバナンスが大切なんだ、そんなことを言っておりましたけれども、コーポレートガバナンスをしっかりやるために辞表を提出させるなんということは、まさに問題として適切ではない、こういうふうに長谷川代表幹事も言っておりますし、武田薬品ではそんなことは一切やっていない、こう述べております。それから、日本商工会議所の三村会頭も、自分の知る限り通常の会社では聞いたことがない、異常な状況だということを言っておりますが、どうですか、会長。

籾井参考人 お答えいたします。

 まず、新聞報道に基づくことについてはちょっとお答えを差し控えさせていただきますし、同時に、いろいろな方がいろいろなコメントをされていることについても、それはそれぞれの方の御意見でありましょうから、私としては、ここではそのことについてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

福田(昭)委員 コメントはしなくても、このようにあなたが批判されているということをしっかり自覚をしてほしいと思います。

 四つ目でありますが、あなたが考えを変えずに日付のない辞表を提出させたことは、NHKの公共放送としての不偏不党、公正中立、編集権の独立を脅かすことになると思うんですね。あなたはそういうことをしないと言っておりますが、それについてどう思いますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 これまでも繰り返し述べておりますが、私の個人的見解を放送に反映することはございません。

 NHKは、あくまでも、放送法に基づきまして、表現の自由を確保し、不偏不党、公平公正などの原則を守って放送をしていくことに変わりはございません。

 NHKは、視聴者の皆様からいただいた受信料で成り立っておることは言うまでもないことですが、視聴者・国民のものであります。放送法の精神と規定に基づきまして、視聴者・国民の期待に応えていくことが私の使命だと考えております。

福田(昭)委員 会長、幾ら会長がそう発言しても、考え方を変えていないのでは、信じる人はいないんですよ。

 これも新聞報道ですけれども、一橋大学の渡辺治名誉教授は、籾井氏が就任会見で、政府が右と言っているものを我々が左と言うわけにはいかないということを述べたことに触れて、厄介なのは籾井氏自身が思想統制を悪いと思っていないこと、時代に逆行している感覚がなく、軍国主義的な上意下達が当たり前と考えている節がある、そういうことを心配しているわけでありますが、そういうことについてはどう思いますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたけれども、新聞報道について、それをもとにいろいろ言うことはできませんし、加えまして、私は個人的発言をしたことについて取り消しております。さらに、一月二十五日以降、個人的見解につきましては口を封印しておりますので、それを、ここで個人的見解を述べるわけにはまいりません。

福田(昭)委員 ですから、問題は、取り消したことじゃないんですよ。自分の考えを変えない、そこがみんな、多くの人が危険だと思っているわけですよ。(発言する者あり)ですから、考えを変えろとは言っていないので、黙っていなさい。

 五つ目は、二月二十五日の総務委員会で、籾井会長の要請を拒否し、理事全員が日付のない辞表を提出したことを全国民の前で認めたということは、あなたがNHK会長としてふさわしくないと思っているから正直に答えてくれたと思うんですが、どうですか。

籾井参考人 お答えします。

 そのとおりだと思いますが、私が何も、彼らにああしろこうしろと言っていない証拠でもあると思っています。

 辞表を取りまとめて提出してもらったのは、新しい体制のスタートに当たり、役員一同が緊張感を持って、一丸となって職務に取り組んでもらうためでもあります。先ほど申しましたが、会長として人事権を濫用する考えはありません。今後は、役職員が一丸となるよう、役職員とよく話し合い、これまで以上に信頼を得られるNHKを目指してまいりたいと思います。

 もう一つ、つけ加えたいと思います。

 NHKの役員の任期は二年でございます。今、一般的な会社は全部一年でございます。それは、要するに経営の自由度といいましょうか、弾力性を持たせるために、世の中がそういうふうに変わっているわけでございます。そういう意味で、私も、やはり、いずれは一年に変えてもらった方がよろしいんじゃないかというふうに思っております。これは蛇足でございますが。

福田(昭)委員 それはまさに、会長が民間の会社とNHKの存在意義というのを認識していないから、そういうことを言うんですよ。民間の会社と同じようにやられては、むしろ困るんですよ。NHKは、公共放送として、多くの国民の皆さんの受信料で賄われているんですよ。スポンサー料で賄われているわけじゃないんですよ。

 二月二十七日の総務委員会で、籾井会長は、今答えがありましたけれども、私の意向がどうであろうと、彼らが自由に自分の思っていることを言ったわけでございます、これは、私が何も強制していないことのあかしではないかと思っていますと答えました。今答えた。しかし、私に言わせれば、一月二十五日の臨時役員会と違って、もう籾井会長が理事たちに強制することができない環境になっていたんじゃないですか、これは。

 籾井会長は、聞くところによると、私の質問に対しても答えないようにと要請したと伺っております。その辺が全く、籾井会長と認識が私は違いますけれども、いかがですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 日付を書かない辞任願の提出は、新しい体制のスタートに当たり、役員一同が私のもとで一丸となって職務に取り組んでもらいたかったという私の希望とともに、私は、役員に対して、緊張感を持って仕事に当たってもらいたいということでございます。

 私は、自由闊達な経営ということを信条としておりますが、これに向けて役職員が一丸となるよう、よく話し合い、これまで以上に信頼を得られるNHKを目指して、全身全霊で努めてまいりたいと思います。

福田(昭)委員 籾井会長は何度も、緊張感を持ってやるように日付のない辞表を出してもらったということですが、そうしたら、籾井会長が率先垂範、日付のない辞表をまず浜田委員長に出さなくちゃ、みんな、ほかは従いませんよ、籾井会長。自分は出さずに部下だけに出させるなんて、これは通用しませんよ、籾井会長。

 次に、六つ目に行きますけれども、マスコミ各社のコメントや社説で、籾井氏の会長としての資質を疑問視しておりますけれども、そうしたことについてどう思っていますか。

籾井参考人 マスコミでいろいろな御意見が出ていることは百も承知しておりますが、NHK会長の重みもしっかり受けとめ、放送法に基づいて公共放送の使命を果たしていくことで、引き続き会長としての責任を全うしていきたいと思いますし、そういう御意見につきましては、今後のためにいろいろ参考にさせていただければというふうに思う次第でございます。

福田(昭)委員 なかなか反省の度合いが見えませんけれども、ある新聞は社説で、報道機関の長が上から黙らせようとすることがどれほど致命的なことか、報道人としてのイロハのイの認識がNHKの籾井会長には欠けているのではないか、そう疑わざるを得ないと書いています。

 疑われているんですが、どうですか。

籾井参考人 新聞報道について、私はコメントすることを差し控えたいと思います。

福田(昭)委員 それでは、この問いの最後、七つ目ですけれども、浜田経営委員長は籾井会長を高く評価していると聞いておりますが、籾井会長を選んだことをどのように高く評価しているんですか。点数をつけると、何点をつけたんですか。

浜田参考人 経営委員会といたしましては、NHKの会長任命という職責の重さを重く受けとめ、昨年七月より半年間にわたって審議を行ってまいりました。

 籾井氏が会長候補として推薦された後、経営委員全員で推薦理由、経歴、実績等を確認し、本人からも所信を伺い、実質的審議を行い、会長に任命いたしました。

 しかし、現在、会長の発言等について厳しい御意見が各方面から寄せられていることについては、真摯に受けとめております。

 経営委員長として、会長には二度にわたって注意を行い、また、一昨日の経営委員会で申し合わせを行い、経営委員会の総意として、まことに遺憾であることを確認し、会長にもその旨を伝えております。

 経営委員会としても、一刻も早い事態の収拾に向けて、みずからの責任を自覚した上で、真摯な議論に基づく自律的な運営を行い、監視、監督機能を十分に果たしてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 浜田委員長、点数がありませんでしたけれども、聞くところによると、籾井会長人事は九十点だ、こういう高い評価をしているそうですが、本当ですか。

浜田参考人 就任会見のとき、会長人事はどういうできぐあいだったかということで、そういうふうに申し上げました。

 会長の評価については、経営委員会で実績を評価して任命したわけです。ということで御理解いただきたいと思います。

福田(昭)委員 そうすると、選んだときまでは九十点で、その後は変わっているということですね。どうなんですか。

浜田参考人 今回の会長任命は、経営委員会が十分な時間をかけて、業績評価、業務の現況の確認や資格要件の検討を行いました。また、さまざまな論議を踏まえて、定めた内規に従って、自律的に粛々と行ってまいりました。

 籾井氏が推薦された後は、指名部会においても、推薦理由、経歴や実績を確認し、直接お会いしてお話も聞いた上で、委員全員が、資格要件に合致する方だと判断をいたしました。

 しかし、現在、会長の発言等に厳しい御意見が各方面から寄せられておることについては、真摯に受けとめております。会長任命は経営委員会の最も重要な役割の一つであり、責任は重く受けとめております。

 経営委員会としても、一刻も早い事態の収拾に向けて、みずからの責任を自覚した上で、監視、監督機能を十分に果たしてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 それでは次に、NHKに寄せられた苦情と、責任のとり方についてお伺いいたします。

 まず一つ目ですけれども、三月十一日現在、NHKに寄せられた意見、苦情は何件届いているのか、そのうち批判的な意見は何%を占めるのか、また、受信料の解約、不払いの申し出は何件あったのか、お伺いをいたします。

籾井参考人 お答えいたします。

 一月二十五日からきのうの夕方までに寄せられた視聴者からの意見はおよそ三万一千九百件、内訳は、批判的な意見がおよそ二万六百件、肯定的な意見がおよそ五千九百件、そのほかは問い合わせということになっております。

福田(昭)委員 事前にNHKから報告をいただいておりますけれども、そうした声の中で、受信料に言及したものが、寄せられた視聴者意向全体の三割となっています。そういう回答をいただいています。

 こうしたことを聞いて、籾井会長はどう思われましたか。

籾井参考人 お答えいたします。

 御承知のとおり、受信契約につきましては、受信機を設置している場合は必要となるため、営業現場は、今回の件を理由として解約の申し出があっても、契約が必要なことを説明申し上げております。

福田(昭)委員 籾井会長、私のところにもこんなメールが届きました。

 NHK会長が居座っています。フリーダイヤルに電話をしても全くつながらないので、地元の放送局に連絡をして年間契約の自動引き落としの手続を中止しました。既に九月分までは支払ってしまっており、テレビがある限り払わなければならないとのことで、返金はしてもらえませんでした。九月に二カ月単位の支払い票を送ってくれるそうなので、まだそのときも居座っておれば支払わないと通告しました。担当の女性によれば、このような抗議はひっきりなしで、自分たちも困っていると話していましたというメールが届きました。

 こうした視聴者の意見について、どう思われますか。

籾井参考人 先ほども申しましたけれども、受信契約については、受信機を設置している場合は必要となります。そのため、営業現場は、今回の件を理由とした解約の申し出があった場合、契約が必要なことを御説明もしておりますし、また、お支払いいただけない理由を丁寧にお伺いし、それに対応して説明をしております。

福田(昭)委員 では、これは会長じゃなくても結構ですけれども、仮の話ですが、もし受信契約が三割減ったら、どれぐらい受信料は減るんですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 そういう想定はしておりませんし、また、仮定の話に基づいて計算もしておりません。

福田(昭)委員 簡単に計算できるでしょう。平成二十六年度予算で受信料を幾ら計算していて、三割減ったら幾ら減るか、わかるでしょう。まあ、それはそれとしていいですけれども。

 しかし、もしそれだけ減ったら、NHKの経営は成り立たなくなりますよ。その責任は籾井会長にあるということになるんですよ。

 では、二つ目は、市民団体、NHKのあり方を考える弁護士・研究者の会が、三月三日、籾井会長の即時辞任を求める要求書を提出したということですけれども、NHKとしてはどういう対応をされましたか。

籾井参考人 お答えいたします。

 市民団体、NHKのあり方を考える弁護士・研究者の会から要求書が郵送されてきていることは承知しております。

 私としては、一刻も早い事態の収拾に向けて誠心誠意取り組み、公平公正で質の高いニュースや番組を放送し続けることでNHKの信頼回復に全力を挙げることが、会長としての責任を果たすことだと考えております。

福田(昭)委員 そうすると、全く返事も出さない、無視をしているということですか。

籾井参考人 適切に対応いたしております。

福田(昭)委員 適切じゃわからないんですね。返事を出したか、出さないか、それを聞かせてください。

籾井参考人 適切に対応いたしております。

福田(昭)委員 都合が悪くなると答えなくなっちゃうんですね。いいでしょう。返事は出していないということでしょう。

 ぜひ、返事を出すなら、あなたも、それこそ部下職員に命じたように、自分も日付の入れない辞表を提出して頑張ります、それぐらいの返事を出したらいかがですか。まあ、ここは返事は要りません。

 さて、三つ目でありますが、三つ目は、マスコミ各社の編集委員等のコメントに、籾井会長は、今度は、資質を疑うじゃなくて、やめるべきだという声がありますけれども、どう思いますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 新聞などにさまざまな意見が掲載されていることについては承知しております。

 私としては、一刻も早い事態の収拾に向けまして誠心誠意取り組み、公平公正で質の高いニュースや番組を放送し続けることでNHKの信頼回復に全力を挙げることが、会長としての責任を果たすことである、こういうふうに考えております。

福田(昭)委員 籾井会長、今や籾井会長の件は、NHKだけじゃなくて、NHKの内部はもちろん、OBも、そしてマスコミ界全体の問題として、籾井会長はやめるべきだという声が高まっている、そんなことを聞いておりますが、そうしたことに対してはどう思われますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 私としては、NHK会長の重みをしっかり受けとめ、放送法に基づきまして公共放送の使命を果たしていく、こういうことで、引き続き会長としての責任を全うしていきたいと思っております。

福田(昭)委員 どうしてもやめたくないようでありますが。

 四つ目でありますけれども、四つ目は、会長の発言や全理事が辞表を提出したことについて、NHKのニュースで何ら放送されていないのですが、どうしてですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 NHKは、就任会見での私の発言をめぐっては、就任に当たっての抱負や決意を述べた部分を一月二十五日にニュースで伝えました。その後も、国会での質疑について、正午のニュースやニュース7、ニュースウオッチ9などで放送しております。

 また、御承知のとおり、国会中継は生で実際の質疑を放送しております。理事の辞表提出についての国会での質疑の模様も、国会中継で放送いたしました。

福田(昭)委員 それは違うんじゃないですか。ニュースとして取り扱っていないんじゃないですか。どうなんですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 正午のニュースやニュース7、ニュースウオッチ9などで放送いたしました。

福田(昭)委員 それは後で確認をさせていただきます。

 それでは、五つ目でありますけれども、籾井会長、これは浜田委員長にも、通告しておりませんがお伺いいたしたいと思いますが、NHKの職員が今一番困っていることは何だと思いますか。まず籾井会長から。

籾井参考人 私の就任会見における個人的な見解がもとになりまして社会をお騒がせし、これにより職員の士気や営業にも影響が出るのではないかと指摘がありました。職員にも心配をかけていることを申しわけなく思っております。

 NHKの信頼回復のためには、放送法に基づきましたきちんとした放送を続けることが何より大切だと思っており、その上で、受信料の収納に影響が出るようなことがあれば、営業部門のみに対応を任せるのではなくて、私自身も含め役職員一丸となって、よい放送をすることに加えて、営業活動もやっていきたい、そういうふうに思っております。受信料の収納が落ちないように取り組んでまいりたいと思います。

 一刻も早い事態の収拾に向けて役職員が一丸となって取り組んでいるところでありまして、これまで以上に信頼を得られるNHKを目指して全身全霊で努めていっていること、これを御理解いただきたいと思います。

浜田参考人 多分、役職員の方々は一刻も早い事態の収拾をお望みになっているんだというふうに思います。

 一方で、籾井会長は、業務執行に当たっては放送法を遵守すると繰り返し明言し、不偏不党の立場をとっていく旨も表明をされております。反省の上に立ち、会長としての職務を執行していただけるものと期待をしております。

福田(昭)委員 私から言わせれば、浜田委員長も籾井会長も経営者として失格ですね。今NHKの皆さんが一番心配しているのは何か、全く認識していない。

 今NHKの皆さんが何を心配しているか。平成二十六年度のNHKの予算は国会でいつ審議してくれるんだ、ちゃんと四月一日までに間に合うのか、これを心配しているんですよ。経営委員長も会長も全くそんな心配していないんじゃないですか。今のような状態では、円満に予算の審議に入れるような環境に全くないんですよ。そのことを自覚していないということは、申しわけないけれども、経営者として失格です。即刻やめるべきですよ。そのことをお伝えしておきたいと思います。

 それでは、六つ目の質問は一番最後に回しまして、次に、安倍総理の評価についてお伺いをいたします。(発言する者あり)

 大臣の出席は求めていません。

 それでは、これまた籾井会長が何と言おうと批判しませんから、自由にお話しください。籾井会長の考え方を私は批判する考えはありませんから、籾井会長、どうぞ自由に答えてください。

 まず一つ目は、安倍総理の言う日本を取り戻すとはどんな日本だと籾井会長は思いますか、考えていますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 安倍総理が日本を取り戻すという標語を掲げられていることは、もちろん承知しております。NHK会長の立場にある私としては、そのことについて見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

福田(昭)委員 慌てずに、答えなくてもいいと通告してあるんだから、慌てないで。(発言する者あり)

高木委員長 静粛にお願いいたします。

福田(昭)委員 私は、安倍総理は戦前の日本を取り戻したいのではないか、そんな心配をしております。麻生副総理がどこかで言ったように、憲法改正はナチスのように国民がわからないようにやってしまえばいいんだ、そのように進めているような感じがいたします。国民が円安、株高を演出しているアベノミクスに浮かれているうちに、国の形がすっかり変わってしまったということにならないかと心配をいたしております。

 昨年の特定秘密保護法の制定、そして、現在、安倍総理が見直しを検討している集団的自衛権の行使を認める、そんなことになってしまえば、いつの間にか、米軍と一緒ならいつでも戦争できる国ができ上がってしまいます。やがて、自民党の掲げる憲法草案が成立しますと、まさに大日本帝国が取り戻される、そんな悪夢が来ないように私は祈っております。

 次に、二つ目でありますが、二つ目は、同盟国米国から安倍総理がどんな評価を受けているのか御存じですか。

籾井参考人 私は、直接知り得る立場にございません。

福田(昭)委員 私も、別に答えられなければ答えなくていい、ただ、答えても批判をしない、こう言っているわけであります。

 私は、安倍総理が米国のマスコミからナショナリストと評価されていることを心配しています。米国やヨーロッパでは、政治家に対する評価としてナショナリストという評価は最悪だそうであります。日本語に訳すと、国家主義者、国粋主義者と訳されるからであります。

 英国のフィナンシャル・タイムズも、米国の議会調査局も、安倍総理の政治手法に懸念を示しています。特にフィナンシャル・タイムズは、安倍氏は日本の近隣諸国にとって脅威という中国の主張はばかげているが、同氏の政策は日本自身を脅かしかねない、中国の脅威を口実に日本の開かれた社会が打撃を受ければこれ以上の悲劇はない、こう指摘をしております。

 また、国内でも、元自民党の幹部も心配をいたしております。安倍総理は経済の再生に全力を挙げればいいのに、余りにも右寄りになり過ぎて、その右傾化政権を心配している、そのように述べております。

 今までるる述べてまいりましたが、籾井会長が安倍総理と同じような考え方であれば、公共放送としてのNHKが心配になるんですね。むしろ違う考え方だと、籾井会長がNHK会長として、まさに公共放送としての役割を果たすことができるんですね。

 ですから、まさにNHKの役割として、多種多様な考え方がある、そうした考え方をNHKとして取り上げて報道していくというのがNHKの役割であります。(発言する者あり)

高木委員長 各委員に申し上げます。

 質疑をしている最中ですので、質疑をしっかり聞いていただきたいと思います。

福田(昭)委員 ですから、政府が右と言うことに左と言えないというような考えでは、NHKの公共放送としての役割を果たすことができなくなるんですね。そうは思いませんか、籾井会長。

籾井参考人 お答えします。

 NHKは、放送法にのっとりまして、不偏不党、公平公正、表現の自由などをモットーとしまして、放送をやってまいります。

福田(昭)委員 それでは、さらに、四番目の、これは籾井会長も自分の考えはきっと言えないでしょうけれども、日本の国の形がすっかり変わってしまうような大きな思想、考え方についてこれから申し上げます。

 一つ目は、新自由主義の原理原則、株主至上主義、市場万能主義についてであります。

 会長は答えないでしょうからお聞きいたしませんけれども、私は、株主至上主義、市場万能主義は是正しなければだめだと思っています。なぜなら、我が国では、新自由主義の考えのもと、十年以上、株主の配当はふやしても、労働者の賃金は減らされてきました。今、安倍総理も、自分のアベノミクスが危ないので経営陣に賃上げをお願いして、大企業からは少しいい答えが返ってきましたけれども、しかし、この株主至上主義は、まさに我々の国を破壊し始めていたわけであります。また、全て市場に任せれば、強い者が必ず勝って弱肉強食の世界となり、富が集中します。加えて、所得税や住民税を、累進性をなくしてフラット化し、社会保障を削れば、格差が拡大し、社会が不安定となります。

 二つ目は、関税ゼロ、非関税障壁撤廃という自由貿易のルールについてであります。

 私は、さまざまなルールは、世界共通のことわざ、例外のないルールはないに基づいてつくられるべきだと考えています。したがって、TPPのように、関税ゼロ、非関税障壁撤廃という完全な自由貿易はやめるべきだと思います。それぞれの国を破壊します。その例を二つ挙げます。

 昭和二十五年、GHQ政府によって我が国の丸太の関税がゼロにされました。それ以来、山村は荒廃をし、木材業の方々が極減しました。

 また、昨年、アメリカでは、北米自由貿易協定を結んで二十年、自動車の町であったデトロイト市が財政破綻をいたしました。まるで日本の夕張市のようであります。これも、アメリカにはメキシコから安い労働力が入って、アメリカ人の雇用の場が奪われ、それに反対をしたら企業が全てメキシコに行ってしまった、そんなことからアメリカの雇用が奪われました。

 輸出は雇用を創出します。しかし、輸入は逆に雇用を破壊します。輸出と輸入のバランスをとるということがいかに大事かということを教えてくれております。

 あのノーベル経済学賞をもらったアメリカのスティグリッツ博士も、一%の人が世界の九九%を貧困にする経済はやめなければならない、成長の恩恵を公平に再分配させる経済を保障する政治が求められていると言っております。関税ゼロ、非関税障壁という完全な自由貿易は、まさに一部の人だけを豊かにするルールだということを指摘しておきたいと思います。

 三つ目は、閣議決定のみで集団的自衛権の行使を容認することについてであります。

 私は、もし安倍総理が憲法を改正せずに閣議決定のみで集団的自衛権の行使を認めたら、安倍総理の自己否定だと思います。安倍総理は、自由と繁栄の弧という方針のもと、積極的な外交を展開しております。その理由は、自由、平等、人権尊重、法治国家など、同じ価値観を有する国と親交を深めているわけであります。そのことは私も賛成でありますけれども、しかしながら、憲法を改正せずに解釈変更でやるということは、国民主権に基づく立憲主義を否定することであり、法治国家ではなく、人治国家となることであります。まさに安倍総理が主張する法治国家ではなく、人治国家になってしまう。それはまさに自由と民主主義を否定することになるから、やめるべきだと思います。

 さて、いよいよ最後の質問に移りたいと思います。

 それでは、浜田委員長、改めて、籾井会長の進退についてどう思うか、お伺いをいたします。

浜田参考人 経営委員長といたしまして、会長には二度にわたって注意を行い、また、一昨日の経営委員会で申し合わせを行い、経営委員会の総意として、現在の事態はまことに遺憾であることを確認し、会長にもその旨を伝えてございます。

 籾井会長には、反省の上に立ち、会長としての職務を執行していただけるものと期待をしており、経営委員会としてもこれをしっかりと監督してまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 私が今まで、安倍総理の評価、そして日本の国の形をすっかり変えてしまうかもしれないような思想、考え方について申し上げてきたのは、こうしたことに対して日本の国内でしっかりとした議論が行われなければ、また同じ道に、誤った道に進んでしまうかもしれない、そんな心配をしているから申し上げたのでありまして、やはり、日本の国民益、国益を侵すようなことをしてはならない、そういう思いで申し上げました。

 先ほども申し上げましたが、アメリカでも、靖国参拝は信頼を損ねた、米議会の調査局がそう指摘をしております。また、フィナンシャル・タイムズでもやはりNHKのことも触れております。政策への懸念は、官邸が影響力を持つNHKのトップ人事で強まった、籾井会長は十二月の就任記者会見で、政府が右と言うことを左と言うわけにはいかないと発言、従軍慰安婦問題を、戦場地域にはどこの国にもあったと述べ、撤回をしたものの大きな波紋を呼んでいる、そうした懸念を示しております。

 日本が自分たちの国に誇りを持って、自信を持ってやることは大切でありますけれども、しかしながら、諸外国と、同盟国のアメリカやあるいは近隣の中国や韓国とわざわざもめごとを起こす必要は全くないわけであります。そこは、日本という国が大国に挟まれて非常に厳しい国家運営をしなきゃならないことは私もよく理解をしておりますが、しかし、一方に偏ることによってそれが阻害される、実現されないということも十分あるということを考えて日本の国を運営していく必要がある、そのように考えておりますので今まで申し上げてきたわけでございます。

 それでは最後に、私は、籾井会長は、今まで指摘してきたように、思想的にも、また企業統治上も、経営者としても、公共放送としてのNHKの会長としてふさわしくないのではないか、そのように思っております。視聴者の貴重な受信料で賄うNHK予算を任せるわけにはいかない、そのように思いますが、浜田委員長、いかがですか。

浜田参考人 籾井会長以下執行部が一丸となって、今後ともNHKが放送法で定められた公共放送の使命を果たすよう、求めているところでございます。

 経営委員会としても、会長の業務執行を監督する役割を果たすことが責務だと考えており、これに真摯に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 浜田委員長、これでもし四月一日までに予算が間に合わなかったらどういうことになるか、理解していますか。

浜田参考人 はい、理解をしております。

福田(昭)委員 理解をしているだけではわかりませんね。どんな混乱が起きるんですか。

浜田参考人 理解をしておりますけれども、仮定の話についてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 委員長、仮定の話じゃありませんよ、これは。だって、四月には消費税が八%に上がるんですよ。その手続というのは大変なものだと思いますよ。それをとれないんですよ、実は暫定予算になると。

 ですから、ここはやはり、公共放送としてのNHKがしっかり四月から順調にスタートできなければ、公共放送としての役割を本当に果たせるかどうか非常に疑問になってくるんですよ。そのことを残念ながらお二人とも自覚していない。そこについてどう思いますか。

浜田参考人 経営委員会としては、執行部ともども、国会の御理解をいただきまして予算の成立を期したい、実現をしたいというふうに思っておりますし、その実現に向けて、これまた執行部ともども努力をしてまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 先ほども申し上げましたが、浜田委員長は経営委員会の最高責任者、そして、籾井会長はNHKの執行機関の最高責任者、その二人が、この四月から消費税が上がって事務手続が大変になるということをしっかり認識していない。受信料が下がる心配はあるかもしれませんけれども、その心配はしていたようでありますけれども、しかし、まさにこれは経営者として私は失格だと思いますよ。そう思いませんか。

籾井参考人 私の方からもう一言申し上げたいと思います。

 一月二十五日の就任会見で個人的な見解を述べたことは、まことに不適切でありました。改めておわびを申し上げたいと思います。

 それから、先ほど、辞表提出の件につきまして、正午のニュース、ニュース7、ニュースウオッチ9で伝えたと申し上げましたが、誤りでございました。正しくは、国会中継でお伝えしております。訂正させていただきます。

福田(昭)委員 会長、これは重大な誤りですよ。これだけ重大なことをNHKのニュースで取り扱わないということは、どういうことですか。

 浜田委員長、そうしたことに対してどう思いますか。

浜田参考人 ただいまの御指摘につきましては、個別の編集権の話であるかと思いますので、経営委員会としてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

福田(昭)委員 そうですね、今、原口筆頭から話がありましたように、この総務委員会、国会中継はありませんから、国民の皆さんにお知らせしていませんね、基本的に。

 理事の皆さんが全員、日付のない辞表を提出したというニュースは、ニュースステーションを初め、23、いろいろなニュースでやっておりますけれども、NHKではやっていないということであります。

 これは、まさに籾井会長がそう指示したと同じじゃないですか。自主規制をさせたということですよ。まさに自主規制が始まったということですよ。(発言する者あり)

高木委員長 静粛にお願いします。

福田(昭)委員 自主規制が始まったということですよ、本当に。

 この問題につきましては、時間が来ましたので、また引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、各党間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。

 この際、委員長から、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。

 御承知のとおり、過疎対策につきましては、昭和四十五年の過疎地域対策緊急措置法制定以来、これまで四度の立法が行われており、現行法に関しましては、平成二十二年に、過疎地域の要件の追加やソフト事業に対する支援措置の拡充等を行った上で有効期限を平成二十八年三月三十一日まで六年間延長する改正法を、平成二十四年に、有効期限を平成三十三年三月三十一日まで五年間延長する改正法を、それぞれ超党派の議員立法として成立させたところであります。

 このうち、平成二十二年の改正の際には、過疎地域の厳しい現状を十分に踏まえ、実効性のある過疎対策を行うため、本法施行後三年を目途として、平成二十二年の国勢調査の結果及び地方分権改革の進展状況等を勘案し、必要な措置を講ずる旨の衆議院総務委員会の委員会決議及び参議院総務委員会の附帯決議が行われたところであります。

 これを受け、会派間で現行法の見直しに向けた協議が重ねられた結果、平成二十二年の国勢調査の結果を用いた過疎地域の要件を追加するとともに、過疎地域の現状を踏まえ、過疎対策事業債の対象施設を拡充することとし、ここに本起草案を提出することとした次第であります。

 次に、本案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、現行法による過疎地域に加え、人口及び財政力に関する一定の要件を満たす地域を過疎地域として追加することとしております。

 まず、人口要件に関しましては、国勢調査の結果によって、平成二十二年人口の昭和四十年人口に対する減少率が三三%以上であること、この人口減少率が二八%以上であり、かつ、平成二十二年人口における高齢者比率が三二%以上もしくは若年者比率が一二%以下であること、または平成二十二年人口の昭和六十年人口に対する人口減少率が一九%以上であることのいずれかに該当することとしております。

 なお、平成二十二年と昭和四十年の間の人口減少率による場合には、平成二十二年人口の昭和六十年人口に対する増加率が一〇%未満であることとしております。

 次に、財政力要件に関しましては、平成二十二年度から平成二十四年度までの財政力指数の平均が〇・四九以下であること等としております。

 第二に、過疎対策事業債の対象施設として、中小企業の育成または企業の導入もしくは起業の促進のために市町村が個人または法人その他の団体に使用させるための工場及び事務所、住民の交通手段の確保または地域間交流の促進のための鉄道施設及び鉄道車両並びに軌道施設及び軌道車両のうち総務省令で定める事業者の事業の用に供するもの、一般廃棄物処理のための施設、火葬場、障害者または障害児の福祉の増進を図るための施設、公立の小学校または中学校の屋外運動場及び水泳プール、市町村立の高等学校の校舎、屋内運動場、屋外運動場、水泳プール及び寄宿舎並びに市町村立の高等学校の教員または職員のための住宅及び生徒の通学を容易にするための自動車または渡船施設を追加することとしております。

 第三に、この法律は、平成二十六年四月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。

 なお、過疎地域にあっては、高齢化が進み、財政状況も厳しく、農林水産業の衰退、維持存続が危ぶまれる集落の発生、身近な生活交通の不足、地域医療の危機など、住民生活にかかわるさまざまな課題が生じています。

 平成二十二年の改正で追加した過疎対策事業債のソフト事業についてはさまざまな取り組みが見られるところですが、引き続き各地の取り組み状況を検証しつつ、過疎地域の実情に応じた主体的かつ創意工夫に富んだソフト対策としてより一層活用されるよう、制度の周知等へのさらなる取り組みが重要であります。

 加えて、日本全体の人口が今後ますます減少する局面に入ることが見込まれる中、国のあり方とともに過疎地域のあり方を中長期的に展望し、対策を総合的かつ抜本的に検討していく必要があります。

 以上、今後の取り組み課題として付言いたします。

    ―――――――――――――

 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 本法案の提出に際しての議員各位の御努力と御熱意に対して、深く敬意を表するものであります。

 政府といたしましては、過疎地域の現状に鑑み、本法律に異存はございません。

 御可決いただきました暁には、その御趣旨を踏まえて適正な運用に努め、過疎地域の自立促進を図るため、なお一層の努力をしてまいる所存でございます。

高木委員長 お諮りいたします。

 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 午後四時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時十分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官宮城直樹君、総務省大臣官房総括審議官武井俊幸君、自治行政局長門山泰明君、自治財政局長佐藤文俊君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、農林水産省大臣官房参事官高橋洋君、農村振興局次長小林祐一君及び国土交通省道路局次長谷脇暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上西小百合さん。

上西委員 日本維新の会の上西小百合でございます。

 おとつい、あの未曽有の大震災から丸三年を迎え、私も、政府主催の追悼式に参列をさせていただき、地震があった午後二時四十六分に一分間の黙祷をささげている間、二度とあのような惨禍が起こることのないように、また、一日も早い復興を願いながら、懸命に立ち上がろうと不断の努力をされ続けていらっしゃる視察先で出会った被災地の皆様方や、復旧活動に精を出されていらっしゃる方々の姿を思い出し、涙をこらえることができませんでした。

 ところで、春闘で、自動車、電機、造船重機業界の多くが基本給を底上げするベースアップ実施で六年ぶりに決着をし、そして、鉄鋼大手も十四年ぶりにベースアップ回答するなど、景気回復の兆しが見られるのではないかと思っております。

 そのような中、二〇一二年度から二年間、東日本大震災の復興財源を捻出するために、特例措置として、手当を含めた総額から平均七・八%引き下げられてきた国家公務員給与も、もともとの期限が経過したこともあり二〇一四年度からは削減が打ち切られるので、官民格差是正を訴える方々が公務員批判をまた繰り返されています。

 まだまだ不十分な東日本の復興支援、そして、とりわけ福島原発事故に伴う被災者の皆様方への支援が足りていない今の現状を顧みますと、削減措置をいきなり全てシャットアウトしてもいいのかと思う反面、昨年、地方公務員の皆様にも同様の措置を求めるに当たって、一年前の三月十九日、当委員会での私の質問に対して新藤大臣がおっしゃられた、「公務員と民間の給与比較も、景気のいいときは自分たちはどんどん給料を上げられて、それでも公務員の給料なんか上がりません。景気のいいときに、公務員給料けしからぬなんて声も出ませんでした。それが、今度は景気が悪くなると、けしからぬと。これも私はいかがなものかなという気持ちもございます。公務員は一生懸命みんなやっている。」このようにおっしゃられたことに対して、私は大変に共感を得ておりまして、公務員の皆さんは本当によく働いてくださっていると思っております。

 本日の私のこの質問に当たりましても、夜中の三時ごろまで電話でさまざまな御調整をいただいたので、本省ではさらに遅くまで多くの皆さんが御準備くださったのだと思っております。本当にありがたいことだと心から感謝をいたしておりますので、いつまでもこういった給与削減措置を続けるのはいかがなものかなと、さまざまなジレンマを痛感する昨今でございます。

 二年間にわたり行われた公務員給与の削減、そして追随した地方公務員給与の削減措置の効果を総務省はどのように捉えられ、そして、どのように評価をされているのか、最初にお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 国家公務員の給与削減は、まさに三・一一の、本当に悲しい、話題にするだけで日本じゅうがみんな気の毒に思い、そしてつらい気持ちになる、そういう未曽有の惨禍の中で、まず率先して公務員が、自分たちも協力をしよう、こういうことで特別措置法をつくって国の公務員給与は削減をさせてもらったわけであります。

 それも、二年間の給与削減の期間が経過いたしますので、これはまた人事院勧告を尊重というもとの体制に戻るという方針を決めて、来年度からは、そのときの人勧によってまた決められていく、こういうことになったわけであります。

 復興の財源につきましては、復興の期間の中で財源は政府としても準備をして、そもそもが、特例措置は臨時異例の措置として二年間でありましたから、国家公務員給与の引き下げをやめることによって復興財源に影響が出ることではない、このように思っております。

 そして、あくまでも公務員給与というのは人事院勧告を尊重する、そして、その人事院勧告は民間準拠が基本であります。ですから、そういうものを前提にしてこれからまた望ましい結果というものが議論なされて、最終的に、総合的に政府が判断をする、こういうふうになっていくわけであります。

 あわせて、地方公務員の給与についても、これは、私どもとしても本当に、地方をお預かりする総務省が地方の自治体の皆さんにこういったことをお願いするのは自分としても心苦しい中で、しかし、今でこそアベノミクスと言われ、景気が上向いてきた、もちろん厳しい状況が続いているにしても、わずか一年半前、二年前のあの状況を考えれば、信じられないような展開が今生じているわけであります。

 我々がちょうど一昨年の十二月二十六日に政権をもう一度運営することになって、そのときには今とは全く違う状況の中で、国全体がみんなで支援をしなければならない、そして地方公務員は、復興だけではなくて、日本じゅうの経済を、もう一度地域を立て直さなければならないんだからそのために協力していただきたいということで、臨時異例の措置でお願いをさせていただきました。

 しかし、それも、総合的な検討の中で、今年度をもって国とあわせて戻すということになったわけであります。公務員給与が上がるのではなくて、戻るのであります。

 ですから、そういう中で、今度は、国家公務員については、民間準拠の立場から全体としての水準が戻るかもしれませんが、地域的には格差がまだ存在している部分がございます。そういったことに関しては人事院においてよく内容を検討してほしいということを、我々は閣議決定をして要請をしております。それから、公務員の給与体系の高齢層の職員の給与についての水準、そういったものも検討がなされて望ましい給与体系というものがこれから生まれてくるということであります。

 国家公務員の給与は国民の血税をもって賄われているわけでありますから、国民の理解を得られるような、しっかりとした水準というものを私たちはつくっていかなくてはいけない、このように思います。

 ですから、国と地方が一緒に力を合わせて、また公務員の皆さんに協力をしていただいた、その思いが少しずつ結実して、国全体が上向いていく中の一助になったことは違いがない、私はこのように評価をしております。

上西委員 御答弁ありがとうございます。

 公務員の皆様方が、みずからが率先して、復興のために、そして日本の経済を再建するためにということで、給与削減ということで対応してくださった。そして、今回削減措置が終わり、公務員の給料がもとに戻る、こういったこともありますが、これも、復興に支障がないということで行われるということで、私は理解いたしました。

 ですので、公務員の皆様方が努力した、努力した方が報われる、そして評価される、こういった環境をつくることによって、公務員の皆様が効率的に国益のために、そして地方のためにしっかりと働いていただけるような制度、そういった評価体系をつくっていただくように、また今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 そして、昨今、官民格差是正というものばかりが声高に叫ばれていますが、実のところ、それ以上に、私といたしましては、民民格差が大きいのが現実ではないかというふうに思っております。

 例えば調理師さんが大きなチェーン店等に就職すれば、保険や年金もしっかりして、お給料も比較的高いのに、同じ資格を持ち、同じ仕事を同じようにしながらも、個人事業主の下で働く方はお給料も低い、そして雇用保険にさえ入れてもらえない場合もある。こういった現状を私は随所、地元の方でも伺っておりまして、問題点の方を感じております。

 しかし、民間にもやはり有能、優秀な人材がたくさんいらっしゃいますので、民間の力を今後もしっかりとフル活用し、そして社会の活性化につなげることは大変に重要だと思っておりますので、こういった問題点も前向きに考えて、民民格差、この状況改善を図っていかなければならないと思っております。

 私が生まれた当時、総理大臣だった中曽根康弘さんは、民間活力導入の合い言葉で、国鉄や電電公社、そして専売公社の民営化等の行政改革を遂行したということを歴史で学びました。また、小泉郵政改革時には、民でできることは民に、このキャッチフレーズが飛び交い、郵政民営化が実現したのも記憶に新しいところでございます。

 このような流れも顧みつつ、官民の公平性、そして格差是正といったものに対する大臣の御所見をお願いいたします。

新藤国務大臣 中曽根総理のことを歴史で学んだと言われると、年代間格差を感じるわけでございますが。

 しかし、今委員が御指摘になりましたように、格差社会というものは確実に広がっていく、しかも、一次産業から二次産業へ、二次産業から三次産業へと、そして社会がどんどんと変わっていく中で、格差が広がっていくことは防がなければならないことであります。

 雇用においても、正規と非正規、そういったものも、この問題は厳然たる事実としてあるわけであります。どうやってそういう社会的課題を解決していくか。簡単な、一つ二つの解決策ではないと思います。総合的な工夫が必要であって、その根本となるのは、国の経済の発展とそれから安定です。国が安定をして、皆さんの心が一つになって、そしてみんなで努力することによって、私たちの国は発展していけるんだと思います。

 ですから、自分たちの国を大切にする心、こういったものもあわせて醸成していかなくてはなりませんし、そして、国を大事に思う心があるならば、自分の目の前の人を大事に思う心も同じでありますから、そういう中で、いかに困っている人や弱っている人を助けていくか、こういう工夫をしていかなくてはいけないんだというふうに思います。

 それから、大切なことは、教育水準を高めることとともに、倫理観といいましょうか、一人一人の、自分さえよければいいんだ、そういう風潮を改めなければいけない。

 これもみんなに言われているけれども、実際、もう委員も、幾ら若いといっても、これから自分の考えを変えることはありませんね。やはり子供のうちにいろいろなものを見て、また親や周辺の人たちから影響を受けたもので人間形成されていくわけでありますから、私は、格差社会の是正のためにも、根本的には経済と教育だ、これは非常に重要なことだと思っています。

 特別にそれは、格差を是正するための施策は、各省において、政府、自治体、あらゆるところでいろいろな施策がありますから、総合的なベストミックスをしなければいけないわけでありますけれども、やはり、皆さんの政党もそうだと思います。私たち自民党も、頑張った人が報われる、そして、国を大切にして、歴史や自分たちの国に誇りを持って、その上でみんなで助け合いながら頑張っていこう、こういうことを実現する、そして、独立国家としてしっかりとした主権を確立する、これが私たち自由民主党の党是であります。

 そういったものを含めて、ぜひ、委員は委員で、自分のそういった信条と、それから今勉強されている政党における政策、そういったものをいろいろ検討していろいろな御提案、また活動していただきたいな、このように思うわけであります。

上西委員 わかりました。

 今大臣の方から、正規、非正規、そういった格差是正のためには、国の経済発展、そして教育をしっかりと見直していく、そういったものに取り組んでいくことが課題となるというふうに御説明いただきました。私も本当にそのとおりだと思っております。今、先ほど申しましたように、国民の間では、官民是正しろ、そういった声が聞かれます。ですので、官で働く人、民で働く人が同様に活躍できるチャンスを与えられ、そして公平な処遇を受けられる、公平に扱われることを願いまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 我が国の救急救命士制度は、国民の命を守る重要な制度でありまして、三年前にも大活躍をした、必要不可欠な存在として定着を今しておるところでございます。この制度が消防機関に導入されて以降、実に多くの国民の命が守られてきました。しかし、法制定から二十三年以上経過し、今や救命士のタイトルを所持する方々は約四万七千名以上になると言われており、その時代の変遷とともに、救命士に関する制度疲労や問題点がいろいろと指摘をされているのも事実でございます。

 そして、それらの諸問題を検討する場として、厚生労働省に、救急救命士の業務のあり方等に関する検討会、この会が必要に応じて設置され、処置範囲の拡大等も含め、現状の状況に即した問題解決策を模索してくださっています。

 そこで、この救急救命士の業務のあり方等に関する検討会についてお伺いをしたいと思います。

 直近の委員の人数、そして就任通算年数、委員における医師、看護師、救命士等の職業種別と、それぞれの委員の通算在任期間の最長、最短及び平均を教えてください。また、私は、その方々が繰り返し就任されるケースが多く、通算就任期間が長いというふうに聞いたことがあるのですが、厚生労働省は現状をどのようにお考えでしょうか。また、任期制を設ける、こういったお考えはありますでしょうか。

高島政府参考人 お答えいたします。

 救急救命士の業務のあり方に関する検討会につきましては、救急業務の拡大の要請というものを受けまして、平成二十一年三月から平成二十五年三月まで、間に実証研究を挟みながら、四年間にわたって計五回開催をいたしました。

 検討会が終了したときの検討会の構成員、これは十二名いらっしゃいます。内訳としましては、医師が七名、救急救命士一名を含めた消防職員が二名、看護師が一名、その他、法学者及び新聞記者が各一名となっております。

 在任期間でございますが、委員ごとに、最短で二カ月、長い方で四年でございます。平均すると三年二カ月ということでございます。

 今回のこの検討会ですが、これは厚労省の医政局長のもとに設けました私的な懇談会ということでございます。こういった懇談会につきましては、議論の継続の観点から、開催から終了までの間、同一の構成員によりまして検討いただくことを基本としております。

 今回任期が長くなりましたのは、この間に、救急救命処置の有効性と安全性を確認するということで、医療現場におきます実証研究というのをやりました。これを二年十カ月やりました関係で、全体として非常に長い、四年間になってしまったということでございます。

 それで、期間が二カ月で短い方がいますが、この方は、その実証研究が終わった後の検討会から参加していただいた方が短い期間ということになっております。

 それから、委員の方から任期制というような話がありましたが、厚労省の中にも、制度として設けている、厚生労働審議会とかそういった審議会がございます。こういった審議会につきましては任期制をとっているところでございますが、こういった個別個別のテーマごとの検討会につきましては、報告書が出るまで、基本的には同一の方々にお願いしているということでございます。

上西委員 わかりました。

 今お答えをいただいたんですけれども、そうしたら、この検討会は、個別のテーマが、一つのテーマが終わるごとに委員の方がかわられるということでよろしいんでしょうか。

高島政府参考人 はい、そのとおりでございます。

上西委員 ありがとうございます。

 今、構成の職業種別をお答えいただきましたが、医師七名、そして次に消防職員の中の救命士の方が一名ということでお伺いをいたしましたが、こういった救急救命士の業務のあり方を検討する場に民間の救命士の委員が存在しないというのは、官民の公平性の観点からちょっと疑義を抱かざるを得ないのですが、これに関してはどのように思われているでしょうか。

 また、これは一体誰のための制度なのかと思わざるを得ないような構成なんですね。ですので、実際に救命士の方々から、そういうふうな構成に関して見直す必要があるのではないか、こういった声もいただいております。そのような観点に立って、将来を見据えた救命士の業務のあり方等を検討していただきたいと思うんですけれども、御所見をお聞かせください。

高島政府参考人 今回の検討会でございますけれども、この検討会を設けた趣旨が、救急医療体制におきます救急搬送の強化というものを目的としまして、消防機関に所属する救急救命士が行う救急救命処置に関する範囲を拡大する、こういうことで検討を始めたものでございます。

 このため、消防機関に所属する救急救命士とか、それから、救急医療にかかわる医師などを中心に委員の選定をしたところでございます。

 今後の話でございますが、検討会におきましては、その時々の検討会で議論すべき課題に応じまして、専門性なり、当事者性なり、中立性というのを考慮しながら委嘱を行っていくべきもの、こういうふうに考えております。

上西委員 今、専門性がというふうにおっしゃいましたが、救急救命士の資格を取られている方はどなたも専門性をお持ちだと思います。

 そして、私が申し上げたいのは、今は官から救命士の方一名を選んでいただいているということですが、民の方から選ぶというようなお考え、そういった基準というのは考えられなかったんでしょうか。

高島政府参考人 これは今も申し上げましたけれども、今回のそもそもの検討の趣旨というのが、救急医療に携わっています救急救命士が特定行為ということで医師の指示のもとに特別な行為をやる業務を拡大するということを検討いたしました。このために、救急医療の専門家である医師の意見が最も大事ということで、こういった方々に多く入っていただいたわけでございます。

 繰り返しになりますけれども、どういったテーマで検討するかということでございますので、また違うテーマ、テーマに応じて、そのときに必要な人選というものがなされるべきだ、こういうふうに考えております。

上西委員 わかりました。

 テーマごとに人選をされているということですが、これはあくまでも救命士の制度を設計する検討会だということを念頭に置いて、救命士の方々もしっかりと、今、医師が七名に対して救命士一名、そういった構成というのはやはり改めていただく必要もあるのではないかというふうに思っております。

 今は、まさに医師が救命士の制度を設計するような状況に陥っているような気がしてなりません。民の救命士が検討会に所属していない、またあるいは本当に少ない割合でしか所属していない、こういった現状は、救命士が救命士の視点に立ち制度を設計する、こういった医療専門職の自立を妨げるようなものではないでしょうか。当然、救命士みずからが中心となり業務のあり方を検討する、こういったのが本来の検討会の形であると考えますが、いかがでしょうか。御所見をお願いします。

高島政府参考人 救急救命士でございますけれども、救急救命士は、救急救命士法に基づきまして、医師の指示のもとに、重度の傷病者が病院等に搬送されるまでの間に救急救命処置を業として行う者であります。また、実際に救急救命士が救急搬送を行うに当たりましても、病院等の医師や看護師と一体となって業務を進めることが重要となっております。

 このように、救急救命士の業務は、救急救命士のみの判断で行うことができない、医療関係全体で調整すべき性質の業務となっております。救急救命士みずからだけで業務のあり方を検討するということではなく、やはり医療関係全体で検討していくべきものだと考えております。

上西委員 わかりました。

 もちろん、医師の指示のもと救命士が活動するということは重々承知しておりますので、医師が検討会に入っている、こういったことには私は異議ございませんが、救命士の割合も少しふやしていく。そして、せっかく資格をお持ちの方、国民の生命を守るために活動できる能力、資格を持った方々が宝の持ち腐れにならないように活躍できる機会、そういったものをしっかりとつくっていただけるようにまたお願いをいたしたいと思います。

 ちょっと時間がないのですが、次に移らせていただきたいと思います。

 先日、独立行政法人情報通信研究機構がJR大阪駅で四月から行う予定だった顔認証追跡テストの実験を延期する、こういった旨の発表がございました。

 JRや地下鉄、私鉄のターミナルであるとともにデパート、シアター機能などを有する大阪駅周辺の梅田で人々がどのような行動パターンを示すか調査する、こういうふうに発表されて以来、プライバシー保護の観点から反対を表明する投書を数件見たことがございましたが、それほど反対の動きが活発なものだとは思っていなかったので、今回の延期発表には正直驚いたというのが私の本音でございます。

 延期になった経緯を御説明いただけるでしょうか。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねのありました情報通信研究機構、NICTの実験ですけれども、これは、映像センサーから得られる情報を用いまして、大規模複合施設内における人の流れなどを把握いたしまして、災害発生時における迅速かつ適切な避難誘導等の安全対策に資する情報が得られるかどうか、この検討を行うということを目的といたしまして、情報通信研究機構、NICTが大阪ステーションシティでの実施を計画していたものでございます。

 NICTでは、実験に当たりまして、取得した映像を解析処理が終わった後に直ちに消去するなど、個人情報の保護ですとかプライバシーへの配慮に特に注意しているほか、弁護士等の外部有識者から成る第三者委員会を設置いたしまして、実験計画や取得データの取り扱い方法などが適切か確認を行い、それを踏まえて四月から実験を行うべく準備を進めていたところでございます。

 一方、実験に係る報道発表、新聞報道などを受けまして、市民の方々から本実験に対する懸念の声が寄せられていた、こうしたことを踏まえまして、NICTでは、さらに幅広く御意見を伺いつつ慎重に検討を行うため、課題が解決されるまで実験を延期することといたしまして、一昨日、NICTからその旨報道発表をいたしたところでございます。

上西委員 わかりました。

 安全対策のために行われるテストで、そしてプライバシーをしっかり守るために第三者委員会も設置されるということで、私としては特に問題はないのかと思っているんですけれども、本システムは、データを災害避難誘導時に生かし、そして映像は個人が特定できぬように処理したり、データも早期に消去すると発表されていたにもかかわらず、国民のコンセンサスを得るには至らなかったというわけですね。

 しかし、多くの凶悪犯罪が発生している今の日本の現状を鑑みますと、このシステムは防犯、防災のためにはもちろん有効でございます。しかし、今おっしゃいましたように、国民のプライバシーは守らなくてはならない。まさに公共性と個人情報保護というジレンマを感じる事案でございますが、こうした二重の側面のバランスを、総務省はどのような見解そして基準でこれまで実務に当たっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

 また、今回の情報通信研究機構の顔認証追跡の取り組みに関しましてどのように評価をされているのか、お聞かせください。

高木委員長 武井審議官、ちょっと大きな声でしゃべってください。

武井政府参考人 はい。失礼しました。

 お答え申し上げます。

 本実験は、防犯目的ではなくて、人流解析実験のために設置した映像センサーから得られる情報を用いまして、大規模複合施設内における人の流れなどを把握し、災害発生時における避難誘導等の安全対策に資する情報が得られるか、技術的に検証しようということを目的として行うものでございます。

 NICTの方では、実験に当たりまして、弁護士等の外部有識者から成る第三者委員会を設置いたしまして、実験に係る個人情報、プライバシーの保護上の課題の検討、個人情報、プライバシーの保護の観点から実験計画が適切であるかどうかの確認、そして、実験成果を施設管理者に提供する際に個人情報が含まれていないことの確認等を行うなど、個人情報やプライバシーの保護に最大限配慮しながら準備を進めているところでございます。

 総務省といたしましては、このNICTにおける検討状況を注視しているところでありますけれども、個人情報やプライバシーの保護の観点は非常に重要でありますから、今後、必要があれば、NICTに対して適切に対処するよう指導してまいる所存でございます。

上西委員 わかりました。

 もう時間が来ましたので、またの機会に質問させていただきたいと思いますが、防犯カメラの画像が約一週間程度で消去されるという短い定め、警視庁は定めていらっしゃいますので、犯罪等の検証に当たってその期間が支障を来すものではないか、さまざまな懸念がございますので、またの機会に質問させていただくことにいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 質問に入る前に、ちょっと委員長に申し上げたいことがあるんです。

 きょうの委員会の一般質疑が決まりましたのは、きのうのたしかお昼過ぎだったというふうに思います。私が党内できょうの質問バッターに選抜をされまして、夕方に総務省の方に質問の通告をいたしました。中身がなかなか難しい案件でございましたので、総務省の方も、すり合わせの際に、ちょっとよくわからないので、調べてまた連絡させていただきますということでございました。

 余り質問までの時間もありませんでしたので、私は、わざわざその職員さんに携帯の電話番号まで教えて、何かあれば連絡くださいというふうに申し上げましたが、いまだもって一度も連絡がありません。これは、野党だからといってなめているんですか、総務省。

 こんな不適切な対応をされて、質問できません。時計をとめてください。委員長、事実関係を調べてください。

高木委員長 この問題につきましては、理事会で協議をさせていただきます。

 今、維新の会の三宅理事からもお話もいただきまして、この問題につきましては理事会で協議をさせていただきますので、質疑の方はそのまま続行をお願いしたいと思います。

馬場委員 それでは、きちっと答えてくださいね、総務省、必ず。これは非常に重要で、かつ、難しい問題なんですよ、私がお聞きするのは。いいですか。もし不適切な答弁、不十分な答弁があれば、またそこで委員会をとめてもらいますからね。(発言する者あり)それだったら、一回理事会を開いてください。休憩してください。

高木委員長 各委員に申し上げます。

 今申し上げましたように、この問題は理事会で協議をしますので、その事実関係等々も含めて理事会で行います。

 不規則な発言は慎んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

馬場委員 ちょっとたるんでいるんじゃないですか、役所の方も。来年度の予算が予定どおり進んでいるから、気が緩んでいるんじゃないですか。

 私のところへお見えになったのは係長なんですよ、名前は言いませんけれども。その係長はどういうふうにこの質問を処理したか。これは非常に、役所にとっても危機管理の問題だと思うんですよ。違いますか。

 まず、そのことについてお答えください。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 質問を御通告いただきました後の私どもの対応に不適切な点があったといたしますならば、まずおわび申し上げたいと思います。

 ちょっと私も状況を把握しておりませんでしたので、戻りまして、状況につきましてはきちっと把握したいと思います。

馬場委員 きちっとやってくださいね、本当に。

 それでは、質問の方に入ります。

 きょうのテーマは、地方分権から見る成長戦略についてということで、行政の財産はいろいろあると思うんですが、我々日本維新の会は、これを、ストックの開放ということで、民営化できるものとか財産を処分できるもの等についてはどんどん積極的にやっていくということで、大阪ではいろいろな取り組みをさせていただいております。

 そういう中で、地方議会では、通常案件は多数決です。予算も多数決なんですね。ところが、財産を処分するとか、ほか、いろいろあります。きょうはお手元に一覧表を配らせていただいておりまして、合計九種類ある。これは、漏れているかもわかりませんが、九種類のケースがあるんですが、このケースに値しますと、特別多数議決ということで、この表の中にありますように、三分の二もしくは四分の三以上の賛成が要るということになります。

 これは、どういう法的根拠でこういうことが決まっているんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の議会の議事につきましては、地方自治法の第百十六条におきまして、原則として出席議員の過半数で決するということにされているわけでございますが、同じ地方自治法に特別の定めがある場合には、その特別の定めによるということになっております。

 そして、地方自治法における特別の定めの例でございますが、一つは、地方公共団体の事務所の位置の決定あるいは変更に関します条例の制定、改廃、それから二番目に、条例の制定、改廃または予算に関する議決が再議に付された場合、三つ目に、条例で定める特に重要な公の施設の廃止または条例で定める長期かつ独占的な利用に供する場合などにつきまして、それぞれの規定におきまして、出席議員の三分の二以上の同意を要するという規定がございます。

 また、長に対する不信任の議決、あるいは、副知事、副市町村長等の解職請求、リコールでございますが、リコールの請求があった場合の解職に関する議決などにつきましては、議員数の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意を要するということが、それぞれ個別に規定されているところでございます。

馬場委員 三分の二ということは、パーセントでいうと六六%なんですね、六六・六六六ということで。四分の三であれば七五%という、かなりハードルが高いというふうに私は感じています。

 それぞれの項目をつぶさに見ますと、それなりの重要な項目であるということはわかるんですが、ストックをどんどん開放していくということになりますと、利害関係もあります、そこに労働組合等がついている場合もあります。したがって、なかなか、この六七%であるとか七五%であるとか、これは、都会ではやはりちょっと難しいんですね。都会の地方議会というのは、大体、各政党、拮抗しているところが多いです。ですから、これだけの数をまとめるというのは、首長さんとしても本当に至難のわざなんですね。

 ですから、私は、こういう一年間の予算も過半数の多数決で決めるということになっていますので、もう一度これはよく精査していただいて、半分でいいものもあるんじゃないかなと思いますので、ぜひ総務省さんにおかれてはそういう検討をしていただきたいというふうに思います。

 そして、次の問題に移りたいと思いますが、この一覧表の中の下から四番目なんですね。「長が議会における条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決について異議に基づいて再議に付した場合」、これは、ここにも地方議会経験者の方がたくさんいらっしゃると思いますが、再議を経験された方というのはなかなかいらっしゃらないと思うんですね、頻繁に行われることではありませんので。私も、市議会議員時代に、二十年間で一度だけ再議というのがありました。

 この再議という制度について御説明いただきたいと思います。

門山政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法に定めております再議に関する制度でございますが、これは、議会が議決した事項につきまして、長が再度の議決を求める制度でございまして、長が議会の決定につき異議がある場合のいわゆる一般的拒否権と、それから、特別の要件に該当する場合のいわゆる特別的拒否権と言われている二種類に大別されております。

 最初の一般的拒否権としての再議でございますが、これは、地方自治法第百七十六条第一項の規定に基づきまして、長が議会の議決に異議がある場合に再度の議決を求めるものという広い意味での拒否権でございます。

 もう一つの種類でございます特別的拒否権でございますが、この特別的拒否権としての再議は、その要件に該当いたします場合には長が必ずこれを行わなければならない、そういう制度でございまして、具体的には、地方自治法第百七十六条第四項に基づきまして、議会の議決がその権限を超え、または法令などに違反すると長が認めた場合に行うものというのがございます。

 そしてもう一つ、地方自治法第百七十七条第一項に基づきまして、法令により地方公共団体の負担に属する経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費、あるいは非常災害対策のための経費などを削除し、または減額する議決、こういうものがなされた場合に行うものがございます。

 いずれの制度におきましても、長が議会に再度の議決を求めるものでございますから、理由を付して再議に付するということとされているものでございます。

馬場委員 これは、今聞いていただいて、すぐわかる委員さんはいらっしゃらないと思うんですよ。ですから、きちっとすり合わせに来てほしかったんです。これは、今聞いてすぐ、突っ込んだ質問をできませんよ。できますか、こんな複雑な仕組み。

 続けてやりますけれども、私が特にお聞きしたいのは、再議に付す場合、例えば、この下から四番目の「条例の制定若しくは改廃」という項目がありますね。これは、条例の制定もしくは改廃を議会に諮った、そうしたら議会で否決をされた、それで首長が再議に付すということが考えられると思うんですが、これは、再議に付したら今度はどうなるんですか。もう一度議会側が否決する場合は、どれだけの否決するパーセンテージが要るんですか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御質問は、地方自治法第百七十六条第一項に規定する一般的拒否権としての再議に付する場合に該当するお尋ねかと存じます。

 この百七十六条第一項の一般的拒否権としての再議の趣旨は、その議決が効力を生ずることについて、あるいはその執行に関して異議もしくは支障がある議決、こういうことを指しております。

 一方で、否決された場合でございますが、これにつきましては、否決でございますから、新しく効力とか、あるいは執行上の問題が発生することはないというふうに整理されますので、否決の場合には再議に付することはできないというのが一般的な考え方でございます。

馬場委員 ちょっと、どういうことをおっしゃっているのか、よくわかりませんけれども。

 それでは、具体的にお聞きします。

 大阪市の市営地下鉄を民営化するということで、議会に諮られたとします。これは過半数ですか、三分の二ですか、四分の三ですか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの大阪市の市営地下鉄の廃止に係る議案ということでございますが、恐らく、今、継続審議になっている議案のことかと存じます。

 このようなケースでございますと、地方自治法上の重要な公の施設の廃止につきましての議決ということが、その議決の内容になろうかと存じます。これは地方自治法の第二百四十四条の二に規定がございまして、条例で定める特に重要な公の施設を廃止するという場合には、出席議員の三分の二以上の同意が必要という規定がございます。

 したがいまして、お尋ねの場合は、出席議員の三分の二以上の同意が必要というケースに当たるものかと存じます。

馬場委員 それでは、三分の二以上の賛成が得られずに否決をされました、首長が、これはおかしいということで再議にかけるなら、これはどうなりますか。議会での対応というか、もう一度再議にかけて逆転するという場合は、幾らの賛成なり、反対なりの数が要るんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの趣旨が、議員提案で重要な公の施設を廃止するという条例かと存じますが、そういう場合ですと、やはり法律上の要件は一緒でございまして、出席議員の三分の二以上の同意が必要という規定が適用するものと考えております。

馬場委員 そうなると、再議に付しても三分の二以上の賛成がないとだめと。

 どういうことですか。もうちょっとわかりやすく説明してください。

門山政府参考人 失礼いたしました。前段の御説明が不足していたと思いますので、改めて御説明申し上げます。

 今のお尋ねは、地方自治法第百七十六条の第一項に規定いたします一般的拒否権としての再議ということに該当するということになると思いますので、否決された場合につきましては、再議に付することはできないという解釈でございます。

馬場委員 ちょっとその辺の、詳しい、先ほどからおっしゃっている一般再議とか特別再議ですか、それの資料が私の手元に全くないんですね。これは突っ込んだ議論ができないんですよ。

 だから、持ってきていただけますかね、それまでちょっと質問しにくいんですけれども。そのためのすり合わせだったので。

高木委員長 馬場君、もう一度、馬場君の質問したいものを質問してください。

 それについて門山局長がちゃんと答える、こういう形をちょっととりたいと思いますので、もう一度質問を。

馬場委員 再議というのは、さっきから御説明いただいているように、特別再議とか一般再議、いろいろあるんです、再議といっても。それが、どのケースがどれに値するかというのは、多分お手元にあるんでしょうけれども、私の手元にはないんですよ、その資料は。その資料を下さいとお願いしていたわけです。

 これがないのに、質問できへんのですわ。今もらったって、そんな、今から見て、すぐ質問できますか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問ございましたが、再議につきましては、どういう場合に再議ができるかということで、一般的拒否権としての場合、特別的拒否権としての場合という御説明をいたしましたが、直接根拠となっておりますのは、地方自治法の条文そのものでございます。

 それぞれの規定を申し上げた方がよろしければ申し上げますが、百七十六条の規定は、「普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。」これが一般的再議と言われるものでございます。

 そして、特別的再議というふうに申し上げましたのは、地方自治法第百七十六条第四項でございまして、「普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない。」という規定がございます。これが特別的再議の一つでございます。

 もう一つが、地方自治法第百七十七条でございますが、「普通地方公共団体の議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。」ということで、各号列記が二つございます。一号といたしまして「法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費」、二号といたしまして「非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費又は感染症予防のために必要な経費」というものが定められております。

 再議といいますのは、今申し上げました条文によるものが全てでございます。

馬場委員 今、御丁寧に御説明いただきましたけれども、すぐぱっとわかる人は少ないんですよ。ですから、そういう資料がないと、これ以上質問できません。こちらも、勉強する時間なしに、いきなり細かい質問というのはできませんので、きょうは、もうこれ以上質問することはできませんので、ここで質問は打ち切らせていただきたいと思います。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、日の入り前に終わりそうですから、結構な話であります。

 きょうは、最初に、この間取り上げてまいりました二月のあの大雪被害対策について、現時点での新たな要求、要望も被災者、被災自治体からも出されておりますので、その内容について、まずお尋ねしたいと思っております。

 農水省においでいただいていると思うんですが、最初に、農業被害額の実態がどういうふうに把握されているのかということなんです。まず、この二月の大雪による農業被害の状況、被害額がどうなっているのかについて、簡単に説明してもらえますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 三月七日現在の都道府県からの報告でございます。農と林と水がございますが、被害総額にして一千二百九十三億円。そのうち、例えば、農作物等の損傷の被害あるいはビニールハウスの損壊といった、今回の一番大きな被害ですね、こちらの金額が一千百七十九億円となっておりまして、件数で申し上げると、ビニールハウスの損傷が二万五千二百八十七件となっております。

塩川委員 最初の総額のところは一千二百二十九億円ですね。(高橋政府参考人「二十九億円でございます」と呼ぶ)

 そういう金額で出て、施設については一千百七十九億円という大変大きな金額になっているわけですけれども、こういった農業施設の被害金額の集計方法については農水省はどのような基準で行っているのかについて御説明いただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、自然災害による農業関係の被害額については、農林水産業被害報告取りまとめ要領という通達に基づいて把握をすることといたしております。

 具体的には、今お尋ねの農業用ハウス等の被害額ですが、都道府県に対しては、その再取得価額または復旧額で被害額を算定した上で、地方農政局を通じて当省に報告をしていただくということにしております。

 したがいまして、今回も、減価した現有価格ではなくて、再取得価額または復旧額により算定して報告していただくよう、都道府県に対して改めて通知をしたところでございまして、引き続き、この考え方に基づいて的確に報告がなされるように、都道府県に要請していきたいと考えております。

塩川委員 減価した現有価格ではなくて、全損の場合であれば再取得価額であり、一部損壊の場合であれば復旧額ということになるわけであります。

 改めて通知をしたということですけれども、二月の二十六日、今冬の豪雪による農業関係被害の報告についてという通知を地方農政局等に発出し、県、市町村を通じて被害額の把握を三月五日までに行うとしております。

 では、実際、先ほどお答えいただいた施設についての一千百七十九億円という額というのは、農業用ハウスなどの施設の被害額については再取得価額にそろえて把握をしている数字ということでよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 現在、三十四都道府県から報告を受けております。そのうち七つの県からは、施設の被害について、まだ現有価格での報告となっております。それ以外の県については、農林水産省として報告を受けているものは再取得価額ないしは復旧額となっておりますので、まだそういう形になっていない県については、再計算をして報告していただくように引き続き要請をしてまいります。

塩川委員 それぞれ事情があるんでしょうけれども、減価した現有価格で算定している七つの県というのはどこか、教えてもらえますか。

高橋政府参考人 各県からの報告については、その県がみずから公表している場合は、農林水産省としてもその県ごとのデータについて公表できるということになっておりますけれども、今申し上げた県については、必ずしもその県自体として被害額の公表をまだされていない県もございまして、それについて、各県の事前了解というのもとっておりませんので、ちょっと今、七つと申し上げた県の個別の県の名前は、できましたら控えさせていただければと思います。

 なお、ただ、改めて、再取得価額ないし復旧額での再報告というのは、先ほど申し上げましたように、きちんと要請してまいる考えでございます。

塩川委員 例えば埼玉県の場合ですと、これは県議会の執行部の答弁ですけれども、県の農業災害対策特別措置条例に基づき、市町村から出てきたものを積み上げたのが二百二十九億円、今公表している数字であるわけですけれども、この根拠とする条例というのは、減価償却に基づく把握の仕方になっているわけですね。ですから、実際、それが今の段階での埼玉県の公表の数字ですから、農水省が把握をしている再取得価額に基づいていないという七つの県の一つに当たるんだろうと思っているわけです。

 この点では、例えば、私が秩父市にお尋ねしましたら、農業用ハウスの被害額についてどうですかということについては、県の方から照会のあった減価した現有価格で算定すると八千二百四十七万円、一方、再取得価額でやると、それはもう一回つくり直すということが前提になるわけですから、当然額もふえて、二億四千五百万円ということで、三倍の開きになってくるわけです。

 当然、農水省とすれば、農業用ハウスの再建の補助ということで五割まで引き上げ、この後お尋ねしますけれども、自治体にも積極的に協力も求めるという形で、被災農家の負担を軽減するという措置をしているわけですが、その際に、補助の額が目安とするというのはやはり再建をする経費に当たるわけですから、そういった点でも、再取得価額に基づく被害額の把握というのが重要だろうと思っております。

 そういう点でも、実態を反映した被害額を把握して、それに見合った予算措置をしっかり確保する、このことが求められているわけですけれども、引き続きしっかりとした把握に努めるということと同時に、それに伴う予算措置をしっかり行うということについて答弁いただけるでしょうか。

高橋政府参考人 まず、被害額の再報告、こちらについては、先ほど来申し上げておりますように、しっかりと求めてまいりたいと考えております。

 それから、予算額の確保につきましても、実際、対策の発動をまず速やかにということで、要望調査などはこれからとなりますが、そちらを積み上げた上で、必要な事業が円滑に執行されるように取り組んでまいりたいと思っております。

塩川委員 次に、農業用ハウス再建補助について、経営体育成支援事業で、かさ上げや、さらに撤去などについての新たな支援策も設けたところですが、再建補助について、三割を五割に引き上げたということであります。農水省の支援策の通知の文書には、「地方公共団体の補助が十分の四となった場合には、農業者の負担は十分の一となる」と記載をしております。この間、国の支援策の拡充を踏まえて自治体が補助のかさ上げを行った、こういう事例があれば紹介していただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、ハウスの再建につきましては、国の補助率を当初十分の三としていたものを二分の一とし、残りの部分に対する地方公共団体の補助について、その七割について特別交付税措置を講ずるという形をとっております。

 現在、都道府県及び市町村それぞれの補助割合については各地方公共団体で検討中と認識しておりますが、私どもで確認できている地方公共団体での負担割合として、一つは、栃木県では、市町村が十分の一以上補助する場合、県が十分の二を補助、それから群馬県においては、県が二七%補助し、市町村に対しては一三%補助するよう依頼、それから埼玉県、山梨県、長野県、この三県については、県と市町村の合計額が十分の四の範囲内、それで市町村と県が同額を補助という方針というふうに承知をしております。

塩川委員 ハウスの被害などが出ている茨城県や千葉県の状況というのをお聞きになっているでしょうか。

高橋政府参考人 千葉県、茨城県とも、聞き取ったところ、検討中という回答でございます。

塩川委員 支援策がなかなか固まらないと、被災農家の方が前に踏み出すという意欲につながらないということもありますので、そういう点でも、ぜひ、関係の自治体との連絡等々、しかるべく対応をお願いしたいと思っております。何よりも、地域が面的に大きな被害を受けている今回の災害ですから、地域の農業従事者の営農再建につながるような支援策となるように、自治体との連携した取り組みを改めて求めるものであります。

 そこで、再建をしようと思った場合でも、資材不足という現状がありまして、なかなか調達ができない。これは、農水省としても、あるいは経産省を通じても、メーカーの方に増産等々の要請もしているということですけれども、四月を前にしての駆け込み需要も、消費税増税等の対応もありまして、なかなかすぐの調達が間に合わない。実際に再建するとしてもかなりかかるんじゃないのかという声が被災農家の方から上がっているわけであります。

 そういったときに、やはり、支援のメニューの期限が、当然単年度で行われますので、今年度で届かない場合は当然来年度の予算措置もあるわけですけれども、来年度中に本当に終わるんだろうかという不安が農家の方にもあるわけです。そういったときに、被災農家の人が希望する限りは、場合によっては来年度中でなくても執行するような、そういうことも当然考えられることだと思います。

 一刻も早く資材の調達、それが大前提でありますけれども、しかし、被災農家の都合ではない、都合によらない条件で再建に至らないような場合についてのしかるべき対応というのを考えていただきたいと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今回の対策は、豪雪により産地が壊滅的な被害を受けているという状況に鑑みまして、早急に産地の復旧を図る観点から、特例的な措置を集中的に講じていこうという考えでございます。

 このため、農業用ハウスなどの被災施設の再建を支援する事業におきましても、平成二十五年度及び二十六年度予算を活用して、復旧が速やかに行われるよう支援していく必要があると考えております。

 このように、平成二十六年度末までに行うのが基本と考えておりますが、これで対応できないことがあれば、そこは、事情をよく伺った上で検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 当然、財政上、繰り越しということも可能ですから、そういった措置も含めて、被災農家が希望する限りはしっかりと手当てをするということでよろしいですね。

高橋政府参考人 二十七年度以降の対策、予算について、現時点でなかなか確たることを申し上げがたいわけですが、今申し上げましたように、二十六年度末ということで対応できないという事情があれば、そこは、しっかりお伺いをした上で検討していきたいと考えております。

塩川委員 営農を続けようという農業者の方に見通しを示すということが必要ですので、当面、ハウスが建たなくても、露地栽培だけでもまずやろうかという気持ちもあるわけですから、そういった気持ちをしっかり酌み取った支援策につながるように、見通しが見えるような施策をきちっと示すということを重ねて求めておくものであります。

 それから、経営体育成支援事業でこういう倒壊したハウスなどの撤去の費用を見ているわけですけれども、撤去の方は定額補助になっているわけです。

 実際に、ハウスで、ボイラーで重油など燃油をたいて暖をとるという形をとっている、そのボイラーも潰れて、重油などの燃油が漏れて土壌を汚染する、こういう事例というのも現に生まれているわけです。そうなれば、当然、汚染した土壌を除去し、そこのところにまた改めて埋め直すようなことも必要になってくるわけですけれども、撤去の定額補助では当然そこは対応できないということにもなるわけです。

 このような土壌が汚染した場合について、施設撤去に係る現行の定額補助では不十分だと考えるんですが、この点についてはどのように措置する考えなのか、お聞かせください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 今委員の方から御指摘がございましたように、今回の豪雪によりまして、農業用ハウスが倒壊しまして、ボイラー用の燃料配管、あるいはハウスを覆いますガラスの損壊する例が見られたところでございます。

 この結果、耕作土に重油が流れ出したり、あるいは細かなガラス片が耕作土に混入するなどの被害が発生し、現在までに、埼玉県それから群馬県におきまして合計十カ所、合わせまして約〇・六ヘクタールの被害が報告されておるところでございます。

 こういった重油等の耕作土への混入によりまして営農に支障が生ずるケースも考えられますが、この場合におきましては、人力での除去が困難で土木的な対応が必要となって、また一カ所当たりの復旧費用が四十万円以上となる、こういった場合には、国庫補助の農地災害復旧事業の対象とすることが可能となっておるところでございます。

 なお、農林水産省といたしましては、既に、埼玉県の深谷市でありますとかあるいは寄居町でありますとかには、関東農政局の担当官を派遣し、被災状況等を調査するとともに、この事業につきまして説明を行っているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 その場合に、実際に対象となるような事業の場合に、農業者の方の負担がどのようになるのか、その辺はどうですか。

小林政府参考人 先ほど申し上げました農地災害復旧事業の補助率でございますが、基本は五〇%というような形になっておりますけれども、農家一戸当たりの復旧事業費が一定以上になる場合には、段階的に補助率が増嵩されるというような仕組みになっております。

 もっと具体的に申し上げますと、農家一戸当たりの復旧事業費が八万円未満の場合には当該部分について二分の一、それから、それを超えまして八万円から十五万円になった場合には当該部分について八〇%、さらには十五万円以上となった場合には九〇%というような補助率が規定されておりまして、これを合計して出したものが総合としての補助率になるわけでございます。

 以上でございます。

塩川委員 そういう点でいえば、四十万円以上という金額ベースの要件もありますし、その適用が可能となった場合でも、農業者の負担も発生するということは当然あり得るわけです。高率の補助ということもおっしゃるのかもしれませんが。

 一方で、新たに措置をした経営体育成支援事業の撤去については、国と地方自治体が折半をして、自治体については特別交付税措置も行うということであります。

 そういう点では、撤去についての新たな措置をさらに深掘りするような形で、こういった土壌汚染などについても、農家の負担をなくす、さらに軽減をする、要件についてもさらに適用を可能にする、小さい規模でもしっかり対応できるようにする、そういうことが求められるんじゃないかと思うんですが、その方向で具体化する考えはありませんか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、農地災害復旧事業に係る負担割合は段階的に決まる、階段的に決まると申し上げたところでございますが、これを総合いたしますと、全国平均で申し上げますと、八割以上が国の補助というような形になっております。

 それからさらには、これから現場において考えていただく、あるいは県、市町村において考えていただくということになりますけれども、全国の例で見ますと、国庫補助残に市町村がまた上乗せするというようなケースもございます。

 以上でございます。

塩川委員 ぜひ現場で、自治体との連携も含めて、被災農業者への支援につながるような施策ということで、さらなる取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、国土交通省に除雪経費の補助についてお尋ねします。

 前回質問しましたように、山梨や埼玉や群馬、栃木などの自治体では、観測史上最高の積雪を記録して、多額の除雪経費が発生をしております。

 現行では支援スキームがないというのが前回の答弁でしたけれども、その後の対応についてお答えいただけますか。

谷脇政府参考人 除雪費の支援の検討についてでございますけれども、いわゆる雪寒法に基づきまして、社会資本整備総合交付金による除雪費の支援につきましては、積雪地域の道路が対象となってございます。

 一方で、全国的な豪雪の年で、地方財政措置だけでは間に合わないような場合には、国土交通省におきまして、幹線市町村道の除雪費について、積雪地域であるかどうかということにかかわらず、臨時特例措置を講じてきたというところでございます。

 今般の大雪でございますけれども、全国的な豪雪とは言えませんけれども、ふだん雪の降らない地域における大雪、こういう特徴がございました。こういう特徴を踏まえまして、三月の五日から、除雪状況でございますとか除雪費の執行状況などを把握する調査を開始したところでございます。今後、調査の結果を踏まえまして、臨時特例措置について検討してまいります。

 なお、今回の調査につきましては、市町村道のみならず都道府県の管理道路も対象としてございまして、今後、調査の結果を踏まえて措置を検討したいというふうに思っております。

塩川委員 確認ですけれども、全国的な大雪、平年を上回るような大雪のときに市町村道の除雪費補助を適用してきたわけですけれども、今回、局所的な大雪ではあるけれども、市町村道の除雪費補助を適用する考えなのかということと、調査の対象に入れていると言いますけれども、都道府県道についても同様に補助の対象として考えているのかということについて、再度お答えいただけますか。

谷脇政府参考人 三月の五日から調査を開始したということでございまして、臨時特例措置についてどうするのかという部分につきまして、この調査の結果を踏まえまして検討させていただきたいというふうに思っております。

塩川委員 都道府県道を含めて調査をするということであれば、当然のことながら、県道に対しての除雪費補助にもつなげていくということでは、さらに一歩前に出るような対応をお願いしたいということであります。

 大臣にお尋ねします。

 今のように、自治体のさまざまな、大雪に伴うような費用が発生をしているところであります。そういったことについて、一連の支援策、特別交付税措置を行うということなども含まれております。

 一方で、大雪被害の自治体では、まさに年度末のこういう被害ということもあって、今年度発生したような経費について、今年度の特別交付税で十分措置されないのではないかという声なんかも上がっているわけです。

 こういうことについては、当然、翌年度を含めてしっかりと特別交付税で措置をするということが求められていると思うんですが、その点について、ぜひお答えいただけますか。

新藤国務大臣 まず、塩川議員の御質問にお答えする前に、馬場議員には、総務省の方の対応が十分でなかったということであります。

 私も、今議員が質問に立つまで、そういう事態を把握しておりませんでしたから、よく実態を把握して、行き違いがあったようでございますし、また、今後こういうことのないようにしっかりと対応させたいと思いますが、まずはおわびを申し上げたい、このように思います。

 後ほど、担当課長からきちんと説明をさせに参りますので、どうぞいろいろと、おかしなことを、疑義があることをただしていただきたい、このように思っております。

 その上で、塩川議員に対しましては、今御案内のように、今回、最終的にどの程度の事業費が必要になるのか、それは今後、各地方団体が把握して明らかになるものと考えております。実際に、交付税においては、やはり最後まで、精査する段階で多少の変更が出てくる場合もございます。したがいまして、これらの地方団体の財政需要にきちんと対応していくために、全体の事業費が確定し、実際に財政需要が生じる平成二十六年度分の特別交付税でしっかり措置をしてまいりたいと思います。

 また、これ以外の事態につきましては、関係省庁と連絡をとりながら、しかし、私たちは、今回、新しいタイプの、今まで経験したことのない災害でありました。これについてはしっかりと対応していこう、これは内閣として、全員の合意をしておるところでございます。

塩川委員 しっかりとした対応をお願いするものです。

 残りの時間で、本日、過疎法の改正案が委員長提案で可決をされました。私どもも賛成であります。

 全国過疎地域自立促進連盟、過疎連盟の過疎債の対象事業拡大の要望についても、そのほとんどについて積極的に追加するという中身になりました。ただ、廃校舎等の公共施設の解体撤去は追加となっておりません。

 公共施設の除却については過疎債のソフト事業が使えるとか、新たに地方債の特例措置を設けるとかいうことがありますけれども、過疎債のハード事業で活用できるようにすることが過疎団体の要望だったことは、明記をしておくべきことだと考えております。

 そこで、質問は、関連して、辺地法、辺地債についてお尋ねをいたします。

 総務省の方にお聞きしますが、辺地数のこの間の推移及びそのうちの計画を有する辺地の推移がどうなっているのかについて、二〇〇〇年度末、二〇一二年度末の数の比較を御紹介いただきたいのと、実際、減少しているわけですけれども、その減少の理由が何なのかについても一言触れていただけますか。

佐藤政府参考人 辺地の数の推移でございますが、平成十二年度末では七千五百三十四カ所ありました。これが、平成二十四年度末には六千三百九十二カ所となっております。

 このうち、辺地総合整備計画を策定しているところは、平成十二年度末では四千七百九十三カ所、平成二十四年度末には二千四百二十カ所となっております。

 それから、辺地の数は減少傾向にありますが、毎年、増減があります。このうち、減少している要因として考えられますのは、辺地対策が功を奏して、交通条件の改善ですとか公共施設の整備がなされたということによって、へんぴの程度が軽くなったということで、要件を満たさなくなったということもあります。

 それから辺地の要件として、当該地域の中心部を含む面積五平方キロに人口五十人以上いるという要件もございますが、人口の減少によってこれを満たさなくなったということも考えられます。

塩川委員 最後に、大臣にお尋ねしますけれども、今言ったように、公共施設の整備や交通条件の改善、こういう面も当然あります。同時に、やはり五十人要件を切っているというところがある。

 私も、今回の大雪被害で秩父市に行きまして、旧吉田町などでは五十人を切って辺地債の対象外になった、そういう場所なんかもあったということも改めてお聞きしてまいりました。

 そういう点では、全国的に見ても、このような要件で達していないところも生じているのも当然でありますので、五十人要件の見直しについて、大臣としてどのようにお考えなのか、一言伺って、終わりたいと思います。

新藤国務大臣 まず、辺地でございますが、昭和三十年代を考えると、相当数の住民が石油ランプを用い、天水を飲み、医者の手当てすら満足に受けられない状況、こういう地域が昭和三十年代にはあって、そういったところに対する対策として始まったものだということであります。そして、今、少しずつですが、解消している場合もある。それから、要件に合わなくなってきた、こういう状況があるわけであります。

 私とすれば、辺地の人口要件については、これは、施設整備には一定の受益人口が必要である、こういうことで設定されているというのが制度の根拠であります。したがって、そういう投資効果の観点から、現在の人口要件の基準を緩和すること、これはよくよくの研究が必要であろう、このように考えます。

 ちなみに、過疎債は、これは議員立法でやっていただいております。そして辺地債については、これは財政上の特別措置法がございまして、閣法であります。ですから、そもそもの制度の成り立ちを考えながら、委員の今の御指摘も踏まえて考えてまいりたい、このように思っております。

塩川委員 国土保全の積極的な役割も果たしているような辺地でもありますので、この点についても引き続き議論していきたいと思っています。

 終わります。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律は、成田国際空港の周辺地域における公共施設その他の施設の計画的な整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置を講ずることを目的として、昭和四十五年三月に制定されたものでありますが、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととなっております。

 政府としては空港周辺地域整備計画に基づく整備事業の推進に努めてきたところでありますが、諸般の事情により、一部の事業が、法律の有効期限内に完了できない見込みであります。また、空港整備の進展等に伴う周辺地域の状況の変化に対応するため、新たな事業を空港周辺地域整備計画に追加する必要があります。

 このような状況に鑑み、空港周辺地域における公共施設等の計画的な整備を促進するため、この法律の有効期限を延長し、引き続き、国の財政上の特別措置を講じていく必要があると考えております。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限を五年間延長し、平成三十一年三月三十一日までとすることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十七分散会


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