衆議院

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第9号 平成26年3月25日(火曜日)

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平成二十六年三月二十五日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 西銘恒三郎君 理事 橋本  岳君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      川崎 二郎君    木内  均君

      小林 史明君    清水 誠一君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      高木 宏壽君    中谷  元君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      福井  照君    松本 文明君

      山口 俊一君    湯川 一行君

      吉川  赳君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 塚田 祐之君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 石田 研一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           久保田啓一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会理事)   上滝 賢二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   下川 雅也君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同月二十日

 辞任         補欠選任

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  清水 誠一君     宮下 一郎君

  瀬戸 隆一君     吉川  赳君

  福井  照君     森山  裕君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  宮下 一郎君     高木 宏壽君

  森山  裕君     福井  照君

  吉川  赳君     瀬戸 隆一君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     清水 誠一君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査中、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長福岡徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 日本放送協会の平成二十六年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が六千六百二十九億円、事業支出が六千五百三十九億円となっております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出がともに八百三十億円となっております。

 次に、事業計画につきましては、国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、海外情報発信の強化を目指す国際放送の充実強化、我が国の成長戦略の牽引力として期待されるスーパーハイビジョン、4K、8K等の先導的サービスの開発普及、大規模災害に備えた公共放送の機能の強靱化等に向けた取り組みの一層の充実強化を図ることとなっております。

 総務大臣といたしましては、この収支予算等について、おおむね妥当なものと認められるとした上で、その収支予算等の実施に当たっては、協会の経営が国民・視聴者の負担する受信料によって支えられているとの認識のもと、業務の効率化、合理化に向けたたゆまぬ改善の努力を行うとともに、国民・視聴者に対する説明責任を果たしていくことが重要であるとする意見を付しております。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長籾井勝人君。

籾井参考人 おはようございます。

 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。

 平成二十六年度は、三カ年経営計画の最終年度として、公共、信頼、創造・未来、改革・活力の四つの重点目標の達成に全力で取り組んでまいります。

 正確、迅速で公平公正な情報を視聴者に届けるとともに、いかなる災害時にも対応できるよう、安全、安心を守るための公共放送の機能強化を一層充実いたします。あわせて、東日本大震災からの復興を引き続き支援します。また、世界に通用する質の高い番組、日本や地域の発展につながる放送を充実するとともに、世界に向けた情報発信を強化いたします。さらには、放送と通信の連携が一層進展する時代におきまして、スーパーハイビジョンやハイブリッドキャストなど次世代のサービスを開発、推進します。

 協会の主たる財源であります受信料については、公平負担の徹底に努め、支払い率の向上を図るとともに、一層効率的な契約収納活動を推進します。

 次に、建設計画におきましては、災害時に備えた公共放送の機能強化のための放送設備の整備を一層進めるとともに、安定的な放送サービスを継続するための設備更新等を実施いたします。

 以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千六百二十九億七千万円、国内放送費などの支出六千五百三十九億六千万円を計上しております。以上により、事業収支差金は九十億円となり、このうち八十億円は、老朽化が進む渋谷の放送センターの建てかえに備えて建設積立資産に繰り入れ、十億円は、翌年度以降の財政安定のための繰越金とすることとしております。

 また、資本収支は、収入として、減価償却資金など総額八百三十億八千万円を計上し、支出には、建設費など八百三十億八千万円を計上しております。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、平成二十六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、そのあらましを申し述べました。事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、視聴者の皆様の期待に応えていく所存でございます。

 委員各位の御理解と御支援をお願いし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口泰明君。

山口(泰)委員 おはようございます。自民党の山口泰明です。

 最初に、籾井会長にお尋ねをいたします。

 私は、籾井会長が昨年の十二月、NHKの次期会長に決まったと聞いたときに、胸が躍りました。それというのも、二〇〇一年九月十一日、アメリカ同時多発テロの際、私は、外務大臣政務官を拝命し、日本政府の現地対策本部長をしておりました。ニューヨークで陣頭指揮をとるに当たり、土地カンもなく本当に不安でありましたけれども、そしてあのときは、三千人を超える犠牲者の中に日本人も二十四人含まれておりました。邦人の救助、支援活動に全力で取り組んでいくのが私の使命でもありました。

 そのとき、私を助けてくれたのが、籾井会長、あなたでありました。当時、米国三井物産社長で、ニューヨーク商工会議所の会頭をしておいででありました。混乱する修羅場はまさに、もう筆舌に尽くしがたいことがありましたけれども、籾井会長は民間人の先頭に立って奮闘していたことを今でも鮮明に私は覚えております。

 その籾井会長が、NHK会長の就任会見以来、公共放送の会長として誤解を招くような発言をなさったことは、まことに残念であります。御本人は国会答弁で幾度となく反省の弁を述べられておりますけれども、公共の福祉のためにあまねく日本の内外で放送を提供する責任を有するNHKのトップとして、その発言の重みと社会的責任の大きさを改めて私は理解していただきたいと思います。

 松本前会長は、JR東海という公共性のある会社からNHKに来て、さまざまな改革も進めていただきました。籾井会長は、生き馬の目を抜くような純然たる民間企業でトップを務めた方ですから、その御高見を生かし、さらに踏み込んだNHK改革をしていただけると期待しております。

 みずからの御発言で視聴者から多くの苦情が寄せられるなど大変厳しい環境にある中で、籾井会長は今後NHKの改革にどうやって取り組んでいくのか、御覚悟をお聞かせいただければと思います。

籾井参考人 今、山口委員から御指摘がありましたけれども、思い起こせば、あのナイン・イレブンのときに、私たちは現地にいまして、本当に頭が痛くなるような緊張感の中にいたわけですが、早速に政府を代表して現地に飛んできていただき、我々に率先垂範、本当に先頭に立って陣頭指揮をとっていただいたことは、いまだに非常に記憶に新しく残っております。

 今後ああいう経験はないとは思いますが、あのときの山口委員の、当時の大臣政務官ですが、先頭に立ってやっていただいたことで、我々現地にいる人間としては本当に心強く感じたわけでございます。随分時間もたちましたけれども、改めて厚く御礼申し上げます。

 さて、御質問の件ですが、私、この場でもう何回も言っておりますけれども、言うたびに肝に銘じておることは、やはり、放送法を遵守し、放送法の趣旨に沿った経営を行うこと、これが会長に課せられた最大の任務であると認識しております。公共放送の原点を役職員一同改めて確認し、徹底することが最も重要だと思っております。

 もとより、経営でございますから、人員の有効活用による効率的な経営に当然努めなければなりませんし、また、NHKとしましても、国際放送を充実させて、日本やアジア、また世界の人々にもっと知ってもらう取り組みをこれ以上に進めたいと思っております。

 会長の重みを十分に認識し、さらにNHKの経営に当たってガバナンスをしっかり機能させていくことが大事だと思っております。そのために、透明性を高めてみんなで情報共有を図り、自由闊達で風通しのよい組織をつくりたいと思うと同時に、やはり私は、実行ということを私のモットーとして進めていきたいというふうに思っております。

山口(泰)委員 人間、長所、短所あるものですから、長所を最大限に生かして先頭を切って頑張ってとエールを送って、質問を終わります。

高木委員長 次に、門山宏哲君。

門山委員 自由民主党の門山宏哲でございます。

 NHK予算等に関連して質問させていただきます。

 まず、二十四年度のNHKの決算では、事業収支額が百九十五億円の黒字であったと伺っておりますが、このような黒字決算となった理由を、会長、簡単に教えてください。

籾井参考人 お答えいたします。

 平成二十四年度決算におきましては、受信料収入の当初目標に対して、前倒しで業績の確保に取り組みました。一方の支出面では、番組の制作業務や受信料の契約収納業務を初め、業務全般にわたり、効率的な事業運営を徹底いたしました。

 これによりまして、収支均衡とした予算に対して百九十五億円の黒字を確保することができたと考えております。

門山委員 決算が黒字であったということについては大変結構なことでございますけれども、その中で、特に、受信料の未納者の数、割合、総額、あるいは受信料回収のために提起した訴訟の数、その中の本訴提起の数について、担当理事の方、教えてください。

福井参考人 受信契約を締結した上で未収となっております未収数は、二十四年度末で百五十六万件ございまして、未収の総額は、契約総数に占める割合は四・一%になっております。未払いの総額は、金額で千七百六十四億円となっております。

 それから、二月末におけます支払い督促の申し立ての総件数はこれまで五千三百六十四件ございまして、このうち、異議申し立てによりまして訴訟に至った件数は二千二百四十六件となっております。

 なお、最終的に、支払い督促の申し立ての総件数のうち八割を超す四千四百七十四件が全額支払い等に解決済みとなってございます。

門山委員 お手元にも資料を配らせていただいたんですが、このように訴訟を提起して回収する場合と、訴訟提起までしない場合があるようですけれども、訴訟を提起するか否かの判断基準というものはあるんでしょうか。

福井参考人 民事の手続につきましては、何度も繰り返し訪問して放送法の趣旨を説明するなど、誠心誠意、丁寧な対応を重ねても、なお受信料をお支払いいただけない方を対象にしまして実施しております。

 実施に当たっては、基準はございませんで、準備が整ったものから順次実施をしております。

門山委員 訴訟提起のメルクマールを詳細に公表するということは、かえって受信料の回収率を下げるということになるかもしれないので妥当ではないと思いますけれども、NHKの内部の基準として、未収金の多寡であるとか、時効の関係があるから未収期間、あるいは未収者からの回収可能性や回収の容易性、未収者の悪質性、あるいは特別予防効果、すなわち、訴訟を提起することによって将来の未納者を生むことを抑止できるかといった点を総合考慮して、積極的に未納者の減少に努めるというお考えはございますか。

福井参考人 民事手続につきましては、着実に実施をしまして、未払い者の削減に努めていくことは重要であると考えております。

 このため、支払い督促などの民事手続の基準を定めてこれを公表していくことは御指摘のとおり困難ではありますが、民事手続の実施が未払い者の削減に十分につながるよう、今後とも、その進め方や実施方法等について検討を進めていきたいと考えております。

門山委員 受信料を真面目に支払っている人がいる一方で、何だかんだと理由をつけて支払いを拒んでいる人が放置されるということになると、モラールの低下は避けられなくなるので、例えば弁護士を積極的に使うとか、未納者の減少に向けて、会長、今まで以上に努力していただけますでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 受信料の公平負担を徹底するということは、NHKの重要な責務と認識いたしております。

 不公平感の解消に向けて、民事手続においては、今後とも、必要に応じて専門的な知識と経験を持つ弁護士を活用するなどして、着実に実行していきたいというふうに考えております。

門山委員 ぜひとも、いろいろなことを言って受信料を払わないという人がいますけれども、こういうことに関しては、やはり別の話なので、しっかりと回収のためにちゅうちょすることなく努力していただければと思います。

 以上です。終わります。

高木委員長 次に、湯川一行君。

湯川委員 自由民主党の湯川一行でございます。

 出身は九州鹿児島でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まずもって、質問の機会を与えていただきました理事、そして関係者の皆様に心からお礼を申し上げたいと存じます。

 私は、前職を含めまして、このような場での質問は初めてでございます。全くふなれでございますので、質問の内容にそごがあるかもわかりません。どうぞ御容赦のほど、お願いいたします。

 まず、質問の前に一言申し上げたいと存じます。

 皆さん、今、NHKに何が問題なのでしょうか。会長をスケープゴート化し、これでもかこれでもかとやめろコールが鳴りやまない毎日が続いております。今、何か放送法に抵触がなされているのでしょうか。

 ある月刊誌の特集、メディア誌の中に、放送法と予算の承認に縛られ、政治に翻弄されやすいNHKというくだりがありました。むしろ、国会承認を盾に、今日的な政争の具として、NHKの会長を強引にお白州に引きずり回して、政治ショー化している気がしてなりません。声なき多くの国民もうんざりではないでしょうか。

 同じ月刊誌の中にありますように、政治的に対立するような案件があれば、すぐさまNHKたたきが行われる今日的な状況は、むしろ、公共放送としての報道の独立性を失わせることになりはしないのか、危惧する一人でございます。冒頭申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 まず、最初の質問でございます。NHKの地域活性化への取り組みについてお伺いをいたします。

 そこで、私がNHKの番組を語るときに、母校の高校体育館でその昔行われた公開生番組「ふるさとの歌まつり」を遠く思い出します。この番組を見た方は、今ではもう少数派ではないでしょうか。全国各地の伝統、文化、郷土芸能など、地元の人たちが多く出演し、全国へ発信された番組でございました。

 我が母校の開催によって、それまで全国に紹介されたことがなく、しかし地元では数百年続いている各種の郷土芸能が初めて世に出た番組でありました。そのため、出演者はもちろんのこと、朝八時ごろから、千名以上の地元民が、学校の校庭に新聞紙を敷き、その上に座布団を敷いて、開催時間までまんじりともせずに待っておられたことを思い出します。

 もっとも、地元民の出演とあわせ、当時の人気歌手二人の出演、そして何より当時のNHK随一の人気アナウンサーが仕切っていたこともありましたが、視聴率が高く、当時としては、民放を含めたいわば当代随一の人気番組でありました。

 そこで、当時を振り返りますと、「ふるさとの歌まつり」によって、受け継がれている郷土の芸能、祭りがテレビを使って全国に紹介、発信されたことで、地域の郷土芸能に誇りを持ち、これを長く代々つないでいくことへの大きな橋渡し役となり、また、大人から子供へと伝統を受け継ぐ中で、集落のコミュニティーが再生をされ、活性化されたと思います。

 この「ふるさとの歌まつり」は、当時の担当アナウンサーのNHK退職で番組が閉じられたと思いますが、長寿番組にはならず、惜しまれての番組だったと思います。

 そこで伺います。

 NHKは、本年度の事業計画の中で、地域の放送において、地域の安心、安全、再生、活性化に貢献する、また、地域からの全国発信を積極的に実施するとしております。まさしく、先ほど申し上げました「ふるさとの歌まつり」の性格そのものでございます。ぜひ、再度、制作に取り組んでいただきたい、そう思う次第でございます。

 このように、NHKだからこそ、民放にはなかなかでき得ない、全国各地に眠る伝統、文化、自然などを取り上げ、全国に発信し、地域の活性化につながるような番組を今後多く放送すべきだと思いますが、どのように取り組んでいかれるのか、会長のお考えを伺いたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 今委員がおっしゃいましたように、各地それぞれに眠る伝統芸能や文化、自然などについて、これを放映することは非常に重要だと思っております。

 NHKが番組制作の指針としております国内番組基準では、我が国の過去のすぐれた文化の保存と新しい文化の育成、普及に貢献することを基本原則の一つとしております。

 したがいまして、これに基づきまして、日本各地の芸能や文化を紹介する番組としては、現在、「民謡魂ふるさとの唄」、これは総合テレビでやっておりますし、「民謡をたずねて」、これはFMそれからラジオ第一放送、こういう公開派遣番組や、「にっぽんの芸能」、これはEテレですが、「日本の民謡」などの定時番組があります。また、御承知と思いますけれども、「小さな旅」や「さわやか自然百景」「新日本風土記」などでは、各地の風土や自然の豊かさを全国に向け放送しております。

 今後も、こうした定時番組や特集番組で地域の話題を全国に発信し、地域の活性化につながる番組を企画、制作していきたいというふうに思っております。

湯川委員 よろしくお願いをいたします。

 NHKだからこそなし得る番組の制作、ぜひ取り組んでいただきたい。そのことが地域の再生、活性化につながると思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、災害報道の取り組みについて若干伺います。

 冒頭申し上げましたように、私は出身が災害常襲県と言われる鹿児島でございます。先般、桜島の大正三年の大噴火から数えて百周年の記念行事が行われました。私も参加をさせていただきました。近年、特にこの桜島は活発な活動をいたしておりまして、この先いつ大噴火が起こるやもしれません。また、台風の襲来、豪雨災害などはしょっちゅうでございます。災害に見舞われることの多い我が郷土でございます。おまけに、離島を含めた南北六百キロという長く幅広いエリアを抱える鹿児島でございます。したがって、この広い地域での災害報道にどのように取り組んでいかれるのか、鹿児島を含め、全国各地域の災害報道にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。

 また、NHKは、災害対策基本法で、報道機関として唯一、指定公共機関として定められておりまして、大規模な災害のときには、被災者の生命と財産を守るために、防災情報を正確、迅速に伝える責務を負っております。NHKの平成二十六年度の重点予算の一つとして、いかなる災害時にも対応できる放送設備と体制の強化とありますが、具体的な取り組みはどのようなものでしょうか、お伺いをいたします。

籾井参考人 お答えいたします。

 万一、首都直下地震や大停電等で渋谷の放送センターが機能を停止した場合には、大阪から放送衛星を使いまして全国向けに放送を継続することとしております。そのための設備整備に取り組んでおります。

 なお、大阪からも放送ができない場合に備えまして、福岡から衛星放送で放送を継続するための設備整備を二十六年度に実施いたします。

 首都圏の取材、制作、放送等の拠点として、千代田放送会館やさいたま放送局にも新たに報道別館などの機能の強化を進めております。

 いざというときにはきちんと動けますように、本部や各放送局では、動員の計画を立てて、実践的な訓練も重ねて、運用、実施体制の強化に取り組んでおります。

湯川委員 ありがとうございました。

 今後も、国民の生命財産を守る公共放送として、しっかりこの責務を果たしていただきたい。特に、会長のリーダーシップをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、小林史明君。

小林(史)委員 自由民主党の小林史明でございます。

 本日は、質問の機会をいただきました関係各位の皆様に、まずは冒頭、感謝申し上げたいと思います。

 そして、冒頭、大変個人的な意見ではございますが、本来であれば、番組内容については三宅先輩にお願いをして、あとは本質的なお話をしたいというふうに思っておりましたが、一点、昨今の台湾の件であります。台湾の立法院を百名の学生が占拠するという事態が起こっておりました。これについて、国内での報道が余りにも少ないということがあったように感じられます。ぜひ、こういった重要な海外の案件について、NHKこそ積極的に報道をいただけるようにお願いをしたいと思います。

 それを申し上げた上で、御質問をさせていただきたいと思います。

 予算の中で、4K、8K放送についての研究推進といったところに多くの予算がついているというふうに認識をしております。この意味合いというのは、新藤総務大臣もおっしゃられていたとおり、日本国内のメーカーにとっても非常に大きな利益があることだというふうに考えております。

 現在のNHKの受信料に支えられているシステムというのは、賛否ございますけれども、安定的に収入がある、だからこそチャレンジができる、そして研究開発に自由に投資ができる、こういう体制もあるというふうに考えております。だからこそ、NHKがしっかりチャレンジをし、そして国益に資する投資をしていく、大変重要な案件の一つがこの8Kだというふうに思っております。

 ここでお伺いをしたいのは、この4K、8Kの放送について、国際展開というのが今後大変重要だというふうに思っております。これはどの程度の効果があるのか、想定をお伺いしたいと思います。想定はなかなか難しいと思いますけれども、現在進められている日本方式の地デジ、この推進で実際にどれぐらい効果があったのか、そちらを参考にお答えいただきたいと思います。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、テレビ放送の放送方式というものにつきましては、放送関係機器のみならず、いわゆる放送番組、コンテンツ、さらには、日本の地デジ方式の場合にはデータ放送などもございますので、こういったものを活用した通信との連携のサービスといったサービス市場等々、波及分野の広い重要な技術でございます。したがいまして、我が国の4K、8Kの放送に係る技術につきましても、標準化を踏まえた上で海外に展開し、諸外国に採用してもらうということが非常に重要だというふうに考えてございます。

 委員の方からお尋ねの、国際展開での一つの効果ということでございますが、これは全体としての数字を明確に把握することはなかなか難しいのでございますが、例えば、ブラジルにおきまして、これは最初に日本の地デジ方式を採用していただいた国でございますけれども、これまで投資面では、日本から官民を合わせて七十八億円程度の資金を投入いたしました。その結果といたしまして、ブラジル全体の薄型テレビ及び送信機の市場が約四千五百億円の増加を見たといった数字を、私ども、試算、把握しているところでございます。

 こういう面からも、投資効果、あるいは我が国のメーカー等への経済効果も非常に大きいものと考えているところでございます。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 七十八億の投資に対し、四千五百億という大変大きなリターンがあったということであります。ぜひ自信を持ってこの8K、推進をしていただきたいというふうに思いますし、ぜひ気をつけていただきたいのは、日本の8Kの技術がガラパゴス化しないように工夫をいただきたいというふうに思っております。実際には、イギリスのBBCやアメリカのNBCとも連携をして、そういったことがないように国際標準の獲得にも努められているというふうに確認をしております。

 そこで、これからさらに世界展開を見据えていきますと、先日、東芝での事件でもございましたが、このような特許や知財、どのようにこれを確保し、そしてビジネスとして稼いでいくかが重要だというふうに考えます。どのように対策を進める予定か、お伺いしたいと思います。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 4Kあるいは8Kといった最先端の技術分野におきましては、放送関係でもございますので、技術開発の成果に関しまして特許等の知的財産権を、御指摘のとおりしっかり確保した上で、その技術を国際標準に反映させるということがまず重要でございます。その結果、我が国のメーカーが開発いたしました放送機器等の国際展開がよりスムーズに図られていくものというふうに考えてございます。

 それから、放送関連機器の中に、例えば放送局用のカメラといった業務用の機器がございますが、実は、この分野につきましては、日本のメーカーさん各社が非常に長年蓄積したノウハウもございまして、非常に高い国際競争力、シェアを維持してきているものでございます。こういった分野につきましては、特に特許収入なども見込めるということでございます。こうした付加価値の高い市場で世界を牽引していくということも重要だと考えてございます。

 推進のあり方でございますが、放送事業者、メーカー等から成る次世代放送推進フォーラムという団体がございます。現在、ここが中心となりまして、4K、8Kを推進してございます。今後とも、関係者が知的財産権及びノウハウの確保に留意しつつ、取り組みを進めていく。総務省といたしましても、既に二十四年度、二十五年度それぞれ補正予算も準備をいたしまして、こういった団体等におきます技術開発や実証実験等への取り組みの支援を行っているところでございますし、今後も引き続き続けてまいりたいと思っているところでございます。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 少し話題をかえまして、NHK予算として国民からいただいた受信料を大切にしようとするという観点から、業務の効率化やそしてお客様へのサービス向上を検討すべきというふうに考えますが、総務省として二年後からマイナンバー制度が開始をされます。これは社会的に大変インパクトがあるものでありますし、民間での利活用がぜひ進められるべきだというふうに考えております。こういった点で、NHKにおいては、例えば受信料の徴収や、多くの世代から要望されるのは、紅白歌合戦、こういったところの申し込みも、現在は往復はがきを用意して百万人以上の方が応募をしているところであります。こういったところもネットを活用してできれば、多くの利便性が向上しますし、NHKの皆様の業務も効率化できるのではないかというふうに考えております。

 こちらについての検討状況をNHKに伺わせていただきたいというのと同時に、IT業界出身である籾井会長に、今後のこのマイナンバーの活用について御所見をお伺いしたいというふうに思います。加えて、総務省としての、NHK含め一般企業への利用促進についての働きかけの状況をどのように考えているか、お伺いしたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 契約者の移動把握など、NHKの契約収納活動にマイナンバーを活用することについては、NHKが利用できるかどうか、この辺をよく見ながら、今後の制度運用の動向などを注視しつつ検討していきたいというふうに思っております。

 言うまでもなく、マイナンバーを活用するということができれば、これはやはり我々にとりましても大変便利でございますし、ある意味では、いろいろな事務手続面で画期的なことだと思います。ただ、NHKが提供するサービスや各種事務手続におきまして、本当にこれが活用できるのか、あるいは活用を許されるのか、こういうことをよく見きわめた上で検討していきたい。

 私も、これを使ったら相当便利だろうということは思っております。

福岡政府参考人 マイナンバーの活用につきまして、政府におきましては、現在、いわゆるIT戦略本部の新戦略推進専門調査会というのがございますが、そのもとでマイナンバーの分科会が設置されまして、個人番号カードの利活用方策、御指摘の民間等への広い分野の活用を今後どうしていくかという点についての活用方策や、利活用ニーズについての検討が進められているところでございますし、総務省におきましても、ICT街づくり推進会議の中に共通ID利用のワーキンググループなどを設置いたしまして、ここで現在、放送や通信分野におけるマイナンバー等の活用のあり方について議論をしているという状況でございます。

 したがいまして、こういった議論の動向を注視しながら、適時適切に対応してまいりたいと思っているところでございます。

小林(史)委員 マイナンバーの民間活用が進むことが大変重要だというふうに思っておりますので、ぜひ取り組みのほどをよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

高木委員長 次に、長坂康正君。

長坂委員 自民党の長坂康正でございます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 けさも私、朝七時半からBSで朝ドラの「ごちそうさん」を見てまいりました。逆境に負けないでたくましく生きるヒロインを描いて、本当に勇気づけられる方も多いと思います。NHKには頑張っていただきたいと思います。

 日本の文化、コンテンツ産業や、伝統、文化を海外に売り込むクール・ジャパン戦略の取り組みが今盛んであります。海外で日本というと、まず「おしん」、AKBとか、なでしこジャパンと言われるようでありますけれども、そんな中で、放送のコンテンツの海外展開というのは、日本の放送番組を聴取した海外の方が日本に魅力を感じ、日本のファンになり、日本の製品やサービスを購入することがふえることが期待をされるわけであります。また、観光客、ことしは一千万人、目標を達成され、これから二千万人、三千万人と目指していくわけでありますけれども、そういった意味でも、日本の成長戦略に向けて極めて重要なコンテンツ産業、クール・ジャパンの戦略というのは、取り組みが大変望まれるわけであります。

 きょうは、これはNHKに聞いてもいいわけですが、我が郷土の政務官もいらっしゃいますから、総務省の取り組みをお尋ねしたいと思います。

藤川大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、放送コンテンツの海外展開は、単なる放送番組の輸出にとどまらず、日本の技術や文化、伝統、地方の魅力を海外に伝える大きな大きな手段であります。

 これにより幅広い分野による日本ブームを創出し、日本の製品、サービスへの好影響や、訪日外国人の観光客増加といった波及効果が期待でき、国家戦略としてのクール・ジャパン戦略やビジット・ジャパン戦略に大きく貢献するものと考えております。

 このような観点から、我が国の製造業や各地方の地場産業、伝統産業等の幅広い業種の企業と連携した新たなビジネスモデルの構築や地域の活性化などを目的とした放送コンテンツを制作、発信するモデル事業を支援する補正予算を平成二十五年度に補正事業として盛り込んだところでございます。

 なお、昨年八月、放送コンテンツの海外展開をサポートする官民連携の横断的組織といたしまして、放送局や権利者団体、商社、広告代理店といった幅広い関係者が参画した一般社団法人放送コンテンツ海外展開促進機構、いわゆるBEAJも設立されたところであります。総務省といたしましては、本機構も十分に活用しながら、放送コンテンツの戦略的な海外展開を強力に推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

長坂委員 しっかり進めていただきたいと思います。

 五十分までだと思って焦っておりましたら、皆さんが協力していただいたおかげで五十四分までだと言われております。ありがとうございます。それでは、少し落ちついて進めさせていただきたいと思います。

 そういった中で、今、日本は他国に比べて国際放送の認知度がまだ低いじゃないかと言われております。中国や韓国、フランスなどは、自国のプレゼンスの確立、国策的な観点から、国がしっかりと支援のもとに進めているというふうに認識をしておりますけれども、やはり今の情報コンテンツ、いろいろなこと、そして我が国の立場や我が国の経済、文化といった面で我が国の魅力を海外に積極的に発信する、また、国際社会における日本の立場、日本のプレゼンスを向上させていく意味でも、国際放送の充実は今急務だと思っております。

 冒頭の総務大臣の御説明の中でも、国際放送の充実強化ということに触れていらっしゃいました。どうぞ、ぜひ、これは大切だと思いますので、総務大臣、総務省における取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 長坂委員が御指摘いただいたとおりであります。

 日本の国際社会におけるプレゼンスを高めていく、そのためには、まず日本を知っていただくこと、それから日本の考え方というものを世界の皆さんに理解してもらうこと、とても重要だと思います。それは、コンテンツの海外展開にあわせて、新たな経済を起こすこともできるわけです。

 でも、それに加えて、何よりも、例えば日ごろから日本の放送に接していてファンになった人たちは、そのまま日本を好きになってくれるわけでありますね。日本に対してのシンパシー、愛着を持っている方々がやはり日本に対する好意的な理解をしてくれるであろう。私は、何よりも、日本が安全で平和で豊かに暮らすために、そういう世界の人たちと理解を深めていくこと、これは極めて重要だと思います。その中で、NHKの国際放送における役割というのがどんどんと大きくなっていくということだと思うんです。

 今、二十六年度予算で二十四・九億円をテレビ国際放送に係る交付金として政府は出させていただいております。これはまだまだだという声はありますが、始めたのは平成十九年でありまして、三億円から始めたんですね。そういうことからすると、私としても、さらにこの分野は充実させたい、このように思っているわけです。

 あわせて、二十五年度の補正予算で、テレビ国際放送をどのようにPRしたらいいか、そして、これから番組充実を図るためには何が必要か、こういったものの予算としてNHKへ五億円補正をつけて、そういったことをやってもらうことにもしております。

 そして、今委員が御指摘いただきました総務大臣意見においても、国際放送の充実を図るべし、こういうことで特出しをさせていただいているわけであります。

 さらには、NHKワールドを国内にいる外国人にも見てもらおうではないか。国際向け番組ですから、日本の方も余り見たことがないわけですね。それから、日本に来ている外国人の人たちに見てもらって、よさがわかれば母国に帰ってまた見てもらえるだろう、こういうようなこともやろうということでありまして、ケーブルテレビの事業者に対するNHKワールドTVの番組提供、これは期限つき認可だったんですけれども、今般、放送法の改正案を出しまして、NHKの恒常的業務にしたい、こういったことも考えているわけでございます。

長坂委員 しっかりとやっていただきたいと思います。

 五十四分と言いましたが、五十二分でやめろということでございますので、済みません、あと一問、せっかくNHKの籾井会長もいらっしゃっております。

 先ほども同僚議員からの御発言もありましたし、山口理事からしっかりと御発言をいただいたと思います。本当に、舌禍事件と言っては恐縮ですが、この総務委員会、予算委員会でも、NHKの籾井さんの就任時の個人的発言といいますか、個人的見解をめぐる質疑に随分時間がとられました。舌禍事件というのは政治家ばかりでないということは、会長もこれでよく御認識をいただいたと思いますし、深く反省をしていらっしゃると思います。山口先生おっしゃった、国際的な経済人の登用人事が本当にもったいないなと思って、私ども深く同情しながら質疑も聞いてまいりましたので、ぜひこのことを肝に銘じて、NHKという巨大組織の経営に本来の実力を発揮していただきたいと思います。

 そして、先ほど、災害の話がございました。渋谷の放送センターが、建築してからもう四十八年経過をしているということであります。大阪とかいろいろな代替施設の話がありますけれども、まず渋谷の放送センターをしっかりと建てかえる、そういう計画を、今ようやく想定スケジュールと想定建設費の三千四百億が公表されたばかりでありますが、まだ建設費も決まっておりません。

 大災害時における社会的使命をしっかり果たしていくためには、二〇二五年の運用開始に向けて可能な限り早期に進めていかなきゃいけないと思いますので、その決意のほどをお尋ねいたしたいと思います。それで終わらせていただきます。

籾井参考人 お答えいたします。

 渋谷の放送センターは、御指摘のとおり、もう五十年近くたっていまして、やはり一番心配なのは、大災害のときにあそこの機能が維持できるか。それのバックアップは大阪、福岡等でつくっておりますけれども、やはり放送センターを建てかえて、いろいろな場合に対応できるような体制にしていくことが急務だと思っております。御指摘のとおり、今、場所の選定等々、当局といろいろ打ち合わせをしておりますので、これをできるだけ急いで、早く建設を具体化したいと思っております。

 それから、最初に御指摘がありました私の記者会見におきます私的発言でございますが、私としましては、改めまして、ああいう場所で個人的発言をしたことについておわびを申し上げるとともに、私としては、NHKの会長の重責を十二分に認識しながら、全力を挙げて、よりよきNHKのために頑張っていきたいというふうに思っております。

長坂委員 終わります。ありがとうございました。

高木委員長 この際、湯川一行君から発言を求められておりますので、自由民主党の質疑の時間内でこれを許します。湯川一行君。

湯川委員 さきの私の発言について、一部訂正をさせていただきます。

 NHK予算の国会承認を盾と申し上げました部分を訂正、削除いたします。

 以上でございます。

高木委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 NHK予算について御質問をさせていただきます。

 まず、会長、不偏不党あるいは公平公正という点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 ホームページにも記載されているわけでございますけれども、NHKは、公平公正あるいは不偏不党については、具体的には、政治上の諸問題は公正に取り扱うこと、また、意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱うことと説明があります。こうした基本原則のもと放送をされることでありますので、国民は、NHKを公平公正あるいは不偏不党だと思って視聴するわけでございます。

 一方で、これは一般的な話ですけれども、ジャーナリズムといった場合に、報道姿勢といった観点で論じますと、ある問題があります。この問題について、とある新聞社はAと言う、あるいはとある放送局はBと言う、こういったことが起こり得るわけですけれども、それは、新聞社あるいは放送局がどういった考え方を背景に持つのか、そしてまた、その基盤があっての発言であるということも考慮した上で、我々は情報として受け入れなければいけないというふうに考えるわけでございます。

 もう一つ言うと、放送局や新聞で発言をされている方がどういう思想の持ち主であるのか、こういったこともしっかり見きわめた上で情報を受け入れなければいけない、これが一般的な解釈かというふうに考えております。

 その上で、NHKは、公共放送として、会長の個人的意見とは対立するような意見についても、これを放送すること、これこそがまさに不偏不党であるというふうに思うわけでございます。

 この不偏不党について会長がどのようにお考えなのか、そしてまた、不偏不党の報道のために会長御自身が今後どのような取り組みをされるのか、お聞かせいただければと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 我々NHKといいますか、テレビ業界は、放送法というもので我々の行動を律せられております。私は、今回就任して以降、放送法というものを我々のバックボーンとして守っていくということをずっと発言してきております。そういう意味におきまして、放送法で言っております表現の自由を確保するために、いわゆる不偏不党、政治的公平を求めているわけでございます。

 私がいろいろ言うまでもなく、私の個人的な考えを放送に反映させることはございません。個人的な思いを反映させることはございません。これはもう放送法でもきっちり言われておりますし、私もたびたびこのことについてはこの場でも申しておりますので、そういうことをすることによって不偏不党の精神が守られるというふうに思っております。

濱村委員 ぜひ、その姿勢を貫いていっていただいて、しっかり不偏不党の報道を実践していただきたいというふうに願うわけでございます。

 そしてまた、もう一点、公平公正についてお伺いしたいと思います。

 どのように公平公正を担保していくのか、このことについて、現在、放送法上では、放送番組審議機関というものを設置するように定められております。放送事業者は、審議会からの答申、意見を尊重して必要な措置と報告を行わなければならないですし、また、審議会の出席者と議題、審議の概要等を自社の放送や新聞掲載その他の放送により公開することが義務づけられております。

 ただ、この番組審議機関というものが、放送局の意思で委員を選ぶことができる、こうなりますと、厳しく内容に踏み込んだ指摘を行うことができるのかどうかという疑問が生じてまいります。

 やり方としてどうなのか。これを海外の例でいいますと、英国のBBCについていえば、国民投票を五年おきに課せられていたりしております。それがうまくいっているかどうかの評価は別として、私は、NHKは公共放送として公平公正を標榜しているわけでありますので、さらなる機構改革あるいは仕組みづくりを検討するべきであると考えますが、御意見を伺えますでしょうか。これは総務省にお願いいたします。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、放送法は、放送事業者の自主自律により放送番組の適正を図るということを担保するために、御指摘のような放送番組審議機関を、これは放送事業者がその委員を選定するという前提のもとに設置いたしまして、そこで放送番組の適正を図るために必要な事項を審議し、また、申し出のあった苦情その他の意見の概要等を放送事業者はこの審議機関に報告し、また、その答申や意見につきまして、あるいは措置の内容につきまして、放送事業者がこれに基づいて公表するということになってございます。

 なお、これらの規定は、NHKに限らず全ての放送事業者に対して適用されるものでございますが、一方、NHKにつきましては、これに加えまして、第二十七条でございますが、その業務に関して申し出のあった苦情その他の意見を適切かつ迅速に処理する、あるいは、苦情その他の意見及びその処理の結果の概要を三カ月に一回以上、会長が経営委員会に報告するといったようなことが別途放送法で義務づけられている。そういう意味では加重がされているというところでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、委員御指摘の点につきましては、やはり視聴者の方々が、実際にNHKの放送番組や業務について関心を持っていただいて、意見なり苦情というものをしっかりとNHKに届けていただくというようなことが重要であるのかなと認識してございまして、今申し上げました放送法に基づく自主自律の取り組みとそれから視聴者側からのいろいろな意見、こういうものの相乗効果によって適正化が図られていくというのが重要かなというふうに考えているところでございます。

濱村委員 放送法上、定められているところによると、やはりNHKはNHKでしっかり取り組みをされているというわけでありますが、視聴者、なかんずく国民と置きかえてもいいとは思うんですけれども、国民の皆さんが本当に広く公共放送を信頼できる、そういった改善をしていける継続的な仕組みについてもぜひ今後検討していっていただきたいというふうに思います。

 続いて、受信料の不払い運動について質問をさせていただきたいと思います。

 NHK会長の就任会見での御発言等を受けて、弁護士や大学教授等のグループが、NHK会長の辞任要求と受信料の一時停止、これを求める申し入れを行ったというふうに聞いております。放送法上、六十四条でこのように規定されております。テレビを設置した者に対してNHKとの受信契約締結義務を負わせているが、受信料の支払い義務は規定されていない。NHKの報道に対する国民の信頼があるからこそ、受信料が支払われているという背景もございます。

 NHK会長の御発言が国民の信頼を大きく損ねたということもありますし、不払いの動き、この動きについては今後ますます広がる可能性もあります。これまでNHKが積み上げてきた受信料徴収に対する努力、この努力が水泡に帰すことがあってはならない、このように思うわけでございます。

 そこで確認したいんですけれども、この抗議のための不払いというものは認められる行為なのかどうか、確認をさせてください。

福井参考人 放送法の第六十四条では、NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者はNHKと受信契約を結ばなければならない旨を規定しております。それから、放送法に基づく総務大臣の認可を得て定められております放送受信規約の第五条におきましては、放送受信契約者は放送受信料を支払わなければならないと規定をしてございます。

 支払い拒否のお申し出があった場合も、お支払いが必要であることに変わりはなく、これまで同様、お支払いが必要なことを丁寧に説明して、お支払いをいただくように努めてまいりたいと考えております。

濱村委員 これはちょっと引き続いて聞きたいんですけれども、申し入れに書かれている文言におきまして、東京高裁の判例や電波監理審議会の見解を踏まえて、不安の抗弁権、これは民法上の同時履行の抗弁権の一種でございますけれども、これを理由に受信料の支払いを一時保留することも認められているとしているわけでございます。こうした抗議の不払いは法解釈として妥当かどうか確認されたいんですけれども、総務省、お願いします。

福岡政府参考人 お答えいたします。

 放送法第六十四条の受信契約等の規定につきましては、委員からも、また先ほども御答弁がありましたので、そこは割愛をさせていただきますが、このような規定がされていることからも、受信料は、視聴の対価ということではなく、公共の福祉のために、豊かで、かつ、よい放送番組を放送するという公共放送の社会的使命を果たすために必要な財源を広く国民・視聴者全体に公平に負担いただくという負担金という位置づけがされているというものでございます。

 したがいまして、御指摘のございました、その申し入れの中で、不安の抗弁権を理由とした支払いの一時保留という件でございますけれども、これは特段、受信料の免除基準に定める事項に該当するわけでもございません。そういったようなことから、受信料につきましては、やはり契約に従ってお支払いをいただく必要があるということでございます。

濱村委員 公共放送の社会的使命という発言がありました。この点について、しっかりと国民の皆様に理解をしていっていただかなきゃいけない、こういうことだと思います。

 今後も抗議の不払いが拡大するということになると、経営にも支障が出てくるわけでございます。参議院の総務委員会におきまして、受信料の徴収業務に支障が出てくるということは会長御自身がお認めになっていることでございます。

 この抗議の不払い運動に対して、会長はどのように取り組んでいかれるのか、お話しください。

籾井参考人 お答えいたします。

 私の就任会見の発言がもとで営業に影響が出ているということは、やはり、営業の人間が回りましたときに私のことについていろいろ言われてしまうということで、現場にもそういう影響が出ているんだというふうに思っております。

 受信料の収納につきましては、営業部門だけに対応を任せるのではなくて、私も含めまして役職員一丸となって、よい放送に加えて、営業活動も行うことで受信料の公平負担について御理解をいただき、収納が落ち込むことがないように取り組んでいきたいというふうに思っております。

濱村委員 ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、予算についてしっかりと聞いてまいりたいと思うんですけれども、NHKというのは、もちろん政府の広報機関ではないわけでございます。公平公正、不偏不党という原則のもとで多様な意見を尊重している、この姿勢が国際的に伝わることが非常に大事であるというふうに思うわけでございますが、このこと自体が、我が国の成熟した民主主義国家であるという姿勢を国際社会に伝えることにもつながるというふうに考えております。国際的な信頼関係を醸成していくためにも貢献するというふうに思うわけですけれども、その意味から国際放送の強化をさらに図っていただきたい、このように思うわけでございます。

 欧米や中国の同種の放送に比べて認知度は低いと言われていますけれども、どのような課題があるか、そしてまた、来年度予算案におきまして、前年度比九・九%増、百三十五・三億円ということになっておりますけれども、具体的にどのような取り組みをされるのか、お話しください。

森永参考人 お答えいたします。

 認知度がまだまだなのは御指摘のとおりでございます。NHKワールドTVは、現在、二十四時間英語ニュース、情報チャンネルとしてスタートいたしましてまだ五年であります。一方、CNNやBBCは二十年から三十年の歴史があります。また、中国のCCTVの国際放送が政府から資金援助を受けて許可されているのは御案内のとおりでございます。

 こうした中で、NHKとしては、受信料値下げの中でも、国際放送については来年度も予算を増額して充実強化に努めてまいるところでございます。

 具体的には、外国人向けテレビ国際放送、NHKワールドTVにつきましては、来年度は、日本とアジアのニュースの発信をさらに強化いたします。

 また、定時番組の数を今年度の三十四本から四十三本にふやすことにしております。例えば、これまでは権利面の理由で国際放送が難しかった日本映画や歌舞伎を紹介する番組をラインナップに加えます。また、水不足に悩む地域に井戸を掘るなど、すぐれた技術や人材を生かして発展途上国を支援する日本ならではの国際貢献の最前線を紹介する番組なども新たに始めることにしております。

 さらに、放送を見ていただくためのPRや、受信可能世帯の拡大にも一層力を入れて、認知度の向上にもつなげていきたいというふうに考えております。

濱村委員 終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは、質問の時間をいただいたこと、まず感謝を申し上げたいと思います。

 さて、まず最初に、今、濱村委員からも質問がありましたが、受信料と受信契約についてということで、総務大臣とNHKの会長にお伺いをしたいと思います。

 東京高裁は、昨年十月三十日に、NHKが契約を申し込んで二週間たてば、相手が拒否していても自動的に契約が成立するという判断を示しました。ところが、よく似た別の訴訟があります。十二月十八日の東京高裁では、受信者から契約申し込みの意思表示がなければ契約は成立しないとの判断が示されております。二つの判決は矛盾しているように見えるわけであります。

 十月の東京高裁の判決は、判決確定まで契約が成立しないのは不合理とし、契約の相手方が拒んでいても、長くても二週間が経過すれば契約が成立すると判断をしたと解釈されます。契約というものは双方の意思の合致によってのみ成立するというのが近代司法の大原則であり、その意味で、十二月の判決の、裁判所の判決が確定すれば契約は成立するというのは、放送法とのぎりぎりの妥協であったと考えるわけであります。

 そこで、総務大臣にお聞きしたいのは、第一に、この二つの高裁判決に対する見解、第二に、NHKの受信契約が、一方が拒否しても自動的に成立する契約とすると解釈して、放送法改正で支払い義務規定を導入する方向で検討するのか、第三に、最高裁判決が出るまで、NHKは高裁判決に従って、二週間たてば契約成立とみなすのかということであります。

新藤国務大臣 まず、一点目の御質問でありますけれども、NHKでは、平成二十四年度だけで五十一件もの民事訴訟を提起しております。そして、これらの、今のお尋ねの二つの判決も含めて、まだ上級審で係争される可能性もあるわけでありますから、判決の内容についてのコメントは私は差し控えたい、このように考えております。

 それから、二点目でありますけれども、現時点において、今般の判決を受けて放送法を改正することは予定をしておりません。

 受信料について、現在の契約義務から支払い義務に移行させるか否か、これは、支払い義務を課そうという動きはこれまで三回ございました。昭和四十一年、五十五年、そして平成十九年にございました。しかし、四十一年と昭和五十五年のものは審議未了、または法案化が見送られた、これは平成十九年であります。

 こういったことを踏まえますと、国民・視聴者を初めとした関係者間でさらなる十分な検討が必要なのではないかと私は現在考えております。

 それから、三点目の質問でありますけれども、他の係争中の案件のあることも踏まえまして、NHKにおいては、契約収納活動において従来どおり対応していくというふうに聞いております。

近藤(昭)委員 籾井会長、お願いします。

籾井参考人 お答えいたします。

 東京高裁において、受信契約の成立の要件に関して異なる判断が示されておりますが、いずれにしても、受信契約の成立を認め、受信料の支払いを命じる判決であると考えております。

 受信契約の成立の要件につきましては、なお係争中であり、詳細はこの場では控えさせていただきたいんですが、引き続き、司法の判断を注視していきたいというふうに思っております。

 受信契約の成立の要件につきましては司法判断を注視しているわけですが、これにつきましては、NHKとして、現時点で何らかの制度改正を念頭に置いておるものでもございませんし、支払い義務化について言えば、これまで何度か実現が検討されてきた経緯があることは承知しておりますが、今回の一連の裁判とは、直接ないものと御理解いただきたいというふうに思います。

近藤(昭)委員 会長にお伝えしたいと思いますが、十二月十八日の東京高裁は、受信者から契約申し込みの意思表示がなければ契約は成立しない、こういう判決であります。そして、三つ質問させていただきました。最高裁判決が出るまで、NHKは、高裁判決に従って、二週間たてば契約成立とみなすのかということをもう一度確認させていただきたいと思います。

籾井参考人 お答えさせていただきます。

 現在、受信契約の成立の要件に関しましては、最高裁の判断を求めている段階でありまして、判例として確立しているものではないと思います。

 現時点では、従来どおり、受信料制度について御説明し、御理解をいただいた上で御契約をいただくという活動に変わりはございません。

近藤(昭)委員 大臣そして会長からそれぞれお答えいただきました。

 私の方からは、大臣、これからも検討していくというお答えであったわけでありますけれども、やはり公共放送と受信料負担のあり方についてはしっかりと検討していくべき問題だというふうに思います。国営放送ではなく公共放送ということであります。ですから、税金のように法律で規定して受信料を強制的に徴収するということは、私は問題があるというふうに思っております。

 さて、次の質問に移らせていただきますが、国際放送と教育テレビ番組についてということでございます。籾井会長にお伺いをしたいと思います。

 国際放送は、放送法第六十七条によって、国の予算から交付金が支給されており、二〇一四年度予算でも約三十四億五千万円が交付されています。籾井会長は、一月の会長就任会見で、尖閣や竹島という領土問題は、明確に日本の立場を主張するのは当然のことだと述べられると同時に、政府が右と言っているものを我々が左と言うわけにはいかない、国際放送にはそういうニュアンスがあると説明されたわけであります。

 我が国の政府の主張を交付金を得て国際放送で発信することと、番組や報道の公平性を担保することをいかに両立させるのか、それをお伺いいたしたいと思います。

 NHKが他の放送局と大きく異なる特徴として、やはり、教育テレビ放送をチャンネルとして独立して持っている、教育テレビ番組というのを独立して持っている。立法、行政、司法の三権分立とよく言われるわけでありますが、それに教育権を加えて四権分立が唱えられるほどに教育権の独立というものは重要な問題であると思います。

 NHKは、その教育に大きな影響を及ぼす教育テレビ番組を放送しているのでありますから、意見の分かれる歴史認識などの問題には特に慎重で公正公平であるべきと考えます。しかし、それにもかかわらず、撤回はされておられるわけでありますが、個人的な見解を述べられたわけであります。教育番組の内容にまで影響を及ぼしかねない大問題であると思っています。

 第一に、先ほど来からも質問がありますが、会長が報道の公平性についてどのような考えを持っているのか、改めてお聞かせをいただきたいと思いますし、また、従来の国際放送は政府の主張を十分に発信できていたのかについて、NHKの認識もお伺いしたいと思います。第三に、政府の主張と報道の公平性という必ずしも相入れない二つを担保していく体制についてどのようにするのか、また、先ほども質問がありましたが、誰がそのチェックを担うのかについてお聞かせをいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 NHKは、放送法に基づきまして、国内番組基準を定め、政治上の諸問題は公正に取り扱う、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、こう規定されております。NHKは、こうした基準に準拠して放送をしていくというふうに考えております。

 国際放送の実施に当たりましては、これもまた国際番組基準を定めております。この中では、内外のニュースを迅速かつ客観的に報道するとともに、我が国の重要な政策及び国際問題に対する公的見解並びに我が国の世論の動向を正しく伝えるとしております。NHKの国際放送は、この基準に基づいて適切に実施してきたというふうに私は考えております。

 NHKのニュースにつきましては、放送までに、デスクや編集責任者など複数の目で内容をチェックしております。また、組織としましては、考査室がニュースや番組が番組基準などに照らして適切かどうかを評価、検討いたしております。

 放送の内容につきましては、番組審議会の場で御意見をいただき、質の向上にも生かしております。

 今後も、こうした仕組みを生かしながら、放送法と番組基準にのっとった放送をしっかりと実施してまいりたいと思います。

 同時に、教育放送につきましても、我々は非常に重要な責務を担っているというふうに考えております。

 このような放送法の原則に基づきまして、ここから逸脱することがないように放送を実行してまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 ぜひといいましょうか、放送の独立を守り、公平公正、不偏不党、しっかりとその放送法の精神、そして放送法というものにのっとって放送していただきたいと思うわけであります。

 そこで、この間も何回も質疑があるわけでありますが、会長、改めて、きょう予算の審議をさせていただいている中で、籾井会長にお伺いをさせていただきたいと思います。

 籾井会長は、NHKの会長というものの資質をどう考えているのか、そしてまた、御自身が会長に選ばれたこと、なぜ御自身が会長に選ばれたのか、改めてこのことをお聞かせいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えさせていただきたいと思います。

 NHK会長は、もう私が言うまでもなく、経営委員会が選出するものでありますから、私自身が私の資質をどうだこうだと言うことは控えさせていただきたいというふうに思います。

近藤(昭)委員 私は、籾井会長の資質をお伺いしているわけじゃなくて、NHKの会長というのはどういう資質であるべきかということをお伺いしているわけであります。

籾井参考人 お答えいたします。

 経営委員会が会長選出に当たって定めた六項目の資格要件は、いずれも会長職としての重みを示すものと認識いたしております。その重みをしっかりと受けとめ、放送法に基づき、公共放送の使命をしっかり果たしてまいりたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 そうした項目の中で経営委員会が選んだ、判断をしたということであります。

 ただ、この間の一連の発言から、私は危惧を覚えているということ。

 そして、朝日新聞の報道によるわけでありますが、最近、ある通信社の理事に籾井会長が就任される際、加盟五十六社全体の同意が得られなかった、つまり同業他社の何社かの反対があって、これは異例だというふうに聞いておりますが、臨時社員総会が開かれた、そして理事に就任したといいます。

 同じマスコミ、同業他社から理事就任にふさわしくないという判断が、反対が出るような方が、教育テレビ番組を放送する組織の会長としてふさわしいのか、いかがでありましょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 よその通信社のことで何が起こったかということについて私が何か言うのは適切でないというふうに思っておりますが、私は、結果として、その社から、理事になりましたという通知をいただきました。

近藤(昭)委員 他社の通信社のことであるとはいっても、御当人のことであると思います。

 通常ですと文書だけで同意が得られるのに、臨時社員総会が開かれたということであります。そのことに対する、放送人としての危機感と申しましょうか、どういうふうにお考えになっているのかということは、放送法を遵守していく、そういうことを外部から見てきたときに、私はやはり、ひとつきちっと、どういうふうに会長が御認識なさっているのかというのは非常に重要だと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 ただいまも申し上げましたが、その会社の中で何が起こって、どういうふうなプロセスで何が決まったということについて私はコメントするべきではないと思っておりますし、私は、結論としては、その会社から、あなたは理事に選ばれましたという通知をいただきました。

近藤(昭)委員 その会社のことである、自分からはそのことについて言うことはない、こうおっしゃるわけでありますけれども、私は、そうしたことが、今までなかったことが起こったということに対して、やはりそこはきちっとした認識を持つべきだと思います。

 それでは、浜田経営委員長にもこのことをお伺いしたいと思います。経営委員長としてどのように受けとめられているでしょうか。

浜田参考人 私としては、基本的にはコメントする立場にないと思いますし、結果として理事に就任されたというふうにお伺いしております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 会長がどう思われていようと、外部に非常に影響を及ぼしているということであります。そして、外部からも、その通信社から、そうした、今までとは違う反応が出てきているということであります。そうしたことに対してきちっとした認識が必要だと思いますし、認識はされているんだろうとは思います。

 そういう意味では、この間も質問がありますが、NHKの放送と報道の不偏不党そして公平公正、これをいかに担保していくか、そういう仕組みというものは非常に重要だと思います。そして、そういうことをみずからする。

 会長は、御自身の個人的発言だったということで撤回をなさった、また、ここで謝罪をされた。私は、そういう中で、きちっとした、より明確に、御自身と、そしてNHKというところの公平性というものをしっかりと見せていく、こういうことが必要だと思います。

 この間、米国大使館の当初の取材拒否の問題、あるいは、理事の辞表を預かった、こういう問題、こうしたことがあり、ここの委員会でも質疑に何回もそれが出てきたわけであります。そういう意味では、私は、NHKが公共放送として公平性を守っていく、こういうことをきっちりと示すために、みずから、この間の経緯についてきちっと検証した番組をつくるべきだと思います。会長、いかがでありましょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 放送の取材、制作につきましては、コメントを控えさせていただきたいと思います。

近藤(昭)委員 会長、もう一度繰り返します、この間は本当に多くの影響を及ぼしている。先ほども申し上げました。通信社から、今までとは違った、そうした総会を開かざるを得なくなった。通常ではないわけであります。そして、この総務委員会でも何回も質疑に出てきているわけであります。そのことをみずからきちっと説明していく、この間のことを検証していく、そのことが必要だと思います。もう一度お答えください。

籾井参考人 お答えいたします。

 仰せの通信社で何が起こったかについては、私はコメントを控えさせていただきたいと思います。

近藤(昭)委員 通信社のことではなくて、検証する番組をつくるべきではないかということであります。

籾井参考人 お答えいたします。

 一連のことにつきましては、私が前からお約束しているとおり、視聴者に対して説明をするつもりでおります。

 まだ、いつやるか、どういう形でやるかということは最終的に私は決めておりませんが、いずれ適切な時期を見計らってやりたいと思っております。

近藤(昭)委員 会長、今の説明というのは、検証番組をつくるよりも、みずから説明する、それが大事だ、そういう方法でやる、こういう意味でありますか。

籾井参考人 ただいまも御説明しましたが、今、どういう形でいつやるかということについては思考中でございます。いずれ私が適切に判断して決めたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 会長、いずれとか、もちろん、会長がそうしたみずから説明する、その重要さ、しかし一方で、NHK全体もある意味では問われているわけであります。そういう意味では、NHKとして、番組としてそうしたものをつくるということがわかりやすいと思います。

 いかがでありましょうか。

籾井参考人 今のところ、そういうことは考えておりませんけれども、我々は、我々の番組については自主自律で決定したいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 まさしく、私は、独立した放送として、公平公正そして不偏不党、これがもう当然のことであると思います。

 ただ、そういう中で、会長が発言なさったことがいろいろな影響を与えている。ですから、そのことにみずからきちっと応えていく、その方法をしっかりとやっていただきたい、私はそう思っているわけで、番組で示していただきたい、そう思っています。

 以上です。

高木委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 NHKの予算につきましては、前松本会長時代につくった三年計画、平成二十四年度から二十六年度の、この最終年度に当たるわけでありますけれども、平成二十四年の十月より受信料の値下げをしながらも、松本前会長初め全役職員が本当に大変な努力をして受信料をふやすという大変意欲的なものとなっており、予算は大変評価をしたいところでございます。しかし、この予算を籾井会長に執行を任せるというわけにはいかない、そのように考えております。

 そこで、まず、今まで三回にわたって私も、籾井会長の会長としての資質についてただしてまいりましたけれども、本日は、それをまとめる意味で、籾井会長の人事権の濫用、放送法違反の状況についてお尋ねをしていきたいと思っております。

 まず、総務省からお伺いをいたします。

 一つ目は、副会長、理事の任命権についてでありますけれども、放送法第五十二条第三項には、「副会長及び理事は、経営委員会の同意を得て、会長が任命する。」と規定されておりますけれども、その同法第四項以外の条件が何かあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 放送法第五十二条の三項につきまして、御指摘のとおりのことが定められているわけでございまして、会長が副会長及び理事を任命するという点につきましては、この第三項の規定によるものでございます。

 なお、この趣旨につきましては、業務の指揮命令系統を確保するために会長に副会長及び理事の任命権を与えている、一方で、人選をより一層適切に行うため、任命に当たって経営委員会の同意を必要としているものと考えてございます。

福田(昭)委員 質問に十分答えておりませんが、第四項でいろいろ準用規定がありますけれども、それ以外の条件はないということですね。

 それでは、二つ目ですけれども、二つ目は、副会長、理事の罷免権についてであります。

 放送法第五十五条第二項によると、「会長は、副会長若しくは理事が職務執行の任にたえないと認めるとき、又は副会長若しくは理事に職務上の義務違反その他副会長若しくは理事たるに適しない非行があると認めるときは、経営委員会の同意を得て、これを罷免することができる。」とありますけれども、この三つのとき以外でも罷免できるのかどうか、総務省の見解をお伺いいたします。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 罷免の御指摘の条文につきましては、繰り返しは控えさせていただきますけれども、先ほどもございました五十五条第二項の規定、さらには欠格事由に該当する場合ということで、法律でおさめられているとおりでございます。

福田(昭)委員 聞いているのは、この三つのとき以外でも、経営委員会の同意を得れば罷免できるのか、それを聞いているんですよ。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 五十五条第二項の罷免の要件を満たし、かつ経営委員会の同意を得て罷免できるというものでございますが、この趣旨は、詳細は控えさせていただきますけれども、任命権者である会長に対して、罷免について幅広い裁量権を認める等々ということでございます。

 したがいまして、この規定に該当しない場合には、いわゆる副会長もしくは理事の意に反して任期途中において罷免をするということはできないということでございます。

福田(昭)委員 局長、最後の結論を言えばいいんですよ。途中の経緯がちょっと長過ぎて。

 結局、簡単に言うと、自分の考えとは違うとか、気に食わないとか、そんなことでは罷免できないということでしょう。どうですか、局長。

福岡政府参考人 繰り返しになりますけれども、副会長や理事の意に反して任期の途中において強制的に会長が罷免をしようとする場合には、まさにこの五十五条二項に書かれてございますような要件あるいは手続をとっていただくというのが法律の趣旨だということでございます。

福田(昭)委員 どうも言いにくいようでありますが、それでは、多分、この三つのとき以外は罷免できないんですよね。

 それで、三つ目ですけれども、日付のない辞表を提出させたことについてであります。

 まず、日付のない辞表を提出させたことは、会長が、どんな理由でも罷免することのできる絶対的な人事権を実は手に入れたことになると思うんですが、どうですか。

福岡政府参考人 そのようなことには解してございません。

 放送法第五十五条第二項、何度も御指摘、また御答弁申し上げておりますけれども、職務執行の任にたえない、あるいは、職務上の義務違反その他副会長もしくは理事たるに適しない非行があるという事由に該当しているかという点について、経営委員会の同意も求めるということによりまして、会長の恣意的な判断を排除しようというのがこの条文の趣旨であろうかというように認識をしております。

 したがいまして、会長が任期途中において副会長や理事の意に反して実際に罷免を行おうとする場合には、例えば、今御指摘の、過去に日付のない辞表が提出されていたかどうかといったことにはかかわらず、あくまでこの五十五条二項の規定に基づきまして、経営委員会において適切な判断がされるものなんだろうということで認識をしているところでございます。

福田(昭)委員 局長、違うじゃないですか。要するに、日付のない辞表を提出させたということは、会長が恣意的に罷免することができる権限を手に入れたということなんですよ。そうじゃないんですか。

福岡政府参考人 御答弁申し上げます。

 個別の、念頭に置いていらっしゃるだろうと思われます今回の特定の状況につきましてのコメントというものは、政府としては、協会内部の人事にかかわる問題でございますので、コメントすることは、まず大前提としては差し控えさせていただきますけれども、その上で、法律の解釈ということもございますので、お答え申し上げます。

 あくまで、罷免という行動をとろうとされる場合には、五十五条二項に明確にございますように、一定の要件を勘案して経営委員会の同意を求めるという意思表示なり手続に入るということをもって実際の罷免にということになるわけでございますので、そういう意味で、私が申し上げましたのは、日付のない辞表が提出されていたかどうかということと、実際に罷免ができる法律上の取り扱いというものとは、これは別のものとして考えるべきであろうということを申し上げている次第でございます。

福田(昭)委員 局長、それは違いますよ。

 いいですか。日付のない辞表を提出させたことは、籾井会長が、職務執行の任にたえないと認めるとき、職務上の義務違反その他、たるに適しない非行があると認めるとき以外でも罷免することができる条件を手に入れたということであって、籾井会長のこれは、まさに放送法に基づく職務上の義務違反じゃないですか。違いますか。

新藤国務大臣 まず、委員、これは、今回の辞表が云々というのは、そもそもが自主自律を認められている、また求められている放送機関のガバナンスの問題であります。ですから、放送法の三条によって、何人からの干渉も受けない、こういう自由を保障された独立した放送機関の人事について、私どもは個別の問題でコメントすることはいたしません。これが第一です。

 それから次に、一般論として申し上げるならば、まず、この日付のない辞表というのは、法的な有効性があるのでございましょうか。そもそも、日付のない辞表の有効性というものがまず疑義がございます。それから、罷免する場合に辞表というのは必要なのでございましょうか。

 ですから、こういった放送法五十五条第二項によって、副会長、理事の意に反して強制的に会長が罷免する場合の規定というのは、それは辞表を求めてやるものではなくて、経営委員会の同意をもって、あなたは職を引いていただきます、こういう指示を出すものであって、辞表を受け取ったから権限を行使できるということとは私は少し違うんではないか。あくまで一般論でございます。

 ただ、これは何度も申し上げますけれども、独立した放送機関のガバナンスの問題について、それは、会長以下、NHKにそこは委ねられていることであると私は考えております。

福田(昭)委員 大臣の発言は、とても組織を管理する人の発言とは思えません。

 いいですか、人事権というのは、その権限を持っている人がしっかり権限を行使することのできる権限であって、それは強大なんです。

 それで、ガバナンスの話も出ましたけれども、経済同友会の代表理事の武田の会長も、ガバナンスを強化するために日付のない辞表を提出させたなんて聞いたことがない、武田薬品でもそんなことはやったことがない、こう言っていましたよ。まさに、ガバナンスを強化するためにそのようなことをやる経営者は多分ほとんどいないと思いますよ、基本的に。

 それはそれとしておいておいて、それでは、法律違反をしていないというのであれば、籾井会長、日付のない辞表を全理事に返したらどうですか、返還したらどうですか。

籾井参考人 お答えします。

 それについては、私はNHK内部の問題だというふうに思っております。

福田(昭)委員 籾井会長、NHKの内部の問題じゃないんですよ、これは。あなたが会長となっている公共放送としての存在意義が問われていることなんですよ。まさに、公共放送としての不偏不党、公正中立、そして編集権の独立が守れないかもしれない、そういう心配があるから、辞表は返せと言っているんですよ。どうですか、返しませんか。

籾井参考人 お答えいたします。

 私はずっと、NHKは、放送法を守り、公平公正、表現の自由、不偏不党、こういうふうな、何人からも指揮命令を受けないということでやっていきますというふうに言っております。

 したがって、そういうことでやりますから……(福田(昭)委員「辞表は返すの、返さないの」と呼ぶ)これは私が適切に判断させていただきます。

福田(昭)委員 籾井会長、今、私はそうは思わないけれども、新藤大臣まで、日付のない辞表は有効かどうかとか言っていますよ。もし無効なものだとしたらば、それは返したらいいじゃないですか、どうですか。

籾井参考人 今、私はここで有効か無効かという議論をするつもりはございませんが、そういう中で、仮に無効だとすると無害ということになりますし、有効だとすればそれはそれで有効だと。

 ただ、私は、何回も申し上げておりますが、人事権の濫用はいたしませんということを繰り返し申しておりますから、少しその辺も御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。

福田(昭)委員 会長、私は、日付のない辞表をとったことは、そもそも放送法に違反していると言っているんですよ。しかも、日付のない辞表をとったことは有効だと言っているんですよ。いいですか。

 ですから、これはまさにNHKの存在意義にかかわる問題だから、辞表は法律違反をしているんだから、ちゃんと理事にお返しをしなさいと言っているんですよ。

籾井参考人 お答えいたします。

 理事に日付のない辞任願の提出をお願いしたのは、前も言ったと思いますが、新しい体制のスタートに当たって、役員一同が一丸となって、緊張感を持って職務に取り組んでもらいたいということでございます。

 新しい会長についた私に対し、理事の皆さんが強い意気込みを表明していただいたものと受けとめております。辞任願を書いていただいた理事一人一人の真摯な気持ちを考えると、これは返すことは考えておりません。

 これまでも申し上げているとおり、会長の人事権を濫用するつもりはございません。

福田(昭)委員 籾井会長は、まさに法律違反を犯しているということ、あなたが何回も守ると言っている放送法に違反しているということです。

 ここで、では、経営委員長、浜田委員長に聞きます。

 今やりとりを聞いていたと思いますけれども、放送法第五十五条第一項に、経営委員会は、会長、監査委員もしくは会計監査人が職務の執行の任にたえないと認めるとき、または職務上の義務違反その他会長たるに適しない非行があると認めるときは、これを罷免することができる、こう書いてあるわけですけれども、まさにこの放送法に違反している会長を、浜田委員長、どうですか、罷免しませんか。

浜田参考人 籾井会長は、委員御指摘の日付のない辞表によって人事権を濫用するつもりはないと繰り返し国会の場で発言をしております。

 理事の任免につきましては、放送法上、経営委員会の同意を得る必要がありますので、個別の提案が出された時点で、放送法の趣旨に沿って、経営委員会としては適切に判断をしてまいる所存でございます。

福田(昭)委員 どうも浜田委員長もよく理解していないようですね。

 ここで整理しておきたいと思いますが、籾井会長を罷免する理由ですね。

 まず一つは、職務上の義務違反、これは日付のない辞表を提出させたこと。それから二つ目、会長たるに適しない非行、政府が右と言うものを左と言えない等の一連の発言。日付のない辞表を提出させ、職務上の義務違反を行ったこと。そして、これからがもっと重大ですけれども、これから職務執行の任にたえなくなると思います。

 先ほど、我が党の近藤委員や、あるいは公明党の濱村委員からも御指摘がありましたけれども、視聴者からまさに契約の解約だとかあるいは不払い、そんなことが起きていって受信料がこれから低下していけば、これは籾井会長もいずれやめざるを得なくなるわけであります。かつて、受信料が下がったときに、居座りを続けた実力者会長がいました。しかし、受信料が下がると同時に、やめざるを得なくなりました。そういうふうになりますよ、これ。

 ですから、私は、浜田委員長は的確に、せっかくこの三年間の経営計画がすばらしい形で進んできたのに、ここで籾井会長のおかげでまた受信料が下がるなんてとんでもない、NHKが経営できなくならないように、これは、浜田委員長、しっかり決断すべきだと思います。

 そろそろ時間がなくなってきまして、次の方の質問になかなか入れませんが、要望を二つだけ申し上げておきたいと思います。

 一つは、地デジの難視地域の解消。私の地元の日光市栗山地区の難視地域の解消状況についてであります。

 地元の方の話によれば、各家庭への引き込み線の工事代、コネクターの購入代、アナログ回線の共聴アンテナ施設の撤去費用など、個人負担が五万から六万必要と言われているということで、総務省とNHKと打ち合わせしましたが、この辺がよく解明できておりません。ここをしっかり対処して、やはり国とNHKの責任において、地デジの電波がきちっと、どんな難視地域も見られるようにやってほしいというふうに思っております。

 それからもう一つは、栃木県の天気予報であります。

 日光市は、栃木県の面積の四分の一を占めております。標高は二百メートルから二千メートル超まであります。そして、広大な面積の中で、奥日光の気温だけが表示されております。しかし、この標高差は、何と八百七十八メートル、下の今市の測候所と、中宮祠、中禅寺の測候所は千二百九十二メートル。これだけの標高差があるので、やはり両方報道してほしい。そうすることによって、原発被害に苦しむ日光、鬼怒川の観光地が、お客さんが来てくれる、そういうことにもつながるので、NHKとしては、この中宮祠の測候所の気温と麓の今市の気温、ぜひ二つ報道してほしい、そういう地元の要望がありますので、それをお伝えして、私の質問を終わります。

 きょうはありがとうございました。

高木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十七分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 籾井会長さんには初めての質問であります。通告に従い順次質問していきますけれども、きょうはテレビ入りであります。どうか視聴者の方々へわかりやすい答弁をお願いいたしたいと思います。

 NHK会長就任会見での一連の籾井さんの発言でありますけれども、大きな波紋を及ぼしたわけであります。やはり視聴者への説明責任は重いと思います。

 そこで、そもそもなんでありますけれども、籾井さんはNHKの会長をなぜ引き受けられたのでしょうか。お尋ねいたします。

籾井参考人 お答えします。

 なかなか難しい御質問でございますけれども、私は、NHKの会長になりましたらば、やはり基本的に放送法というものに準拠しながらこれをきっちりと守っていくということによって、コンプライアンスも強化できるし、透明性の高い自由闊達な組織を醸成することでNHKが公共放送としての役割を確実に果たして、視聴者の期待にさらに応えていくことができるよう尽力できる、また、そういう尽力をしたいと思いました。

 同時に、国際放送につきましても、皆様御指摘のとおり、NHKの国際放送はまだまだスタートして五年余りでございますので、この辺をもう少しきっちりと世界にアピールできるようなNHKの国際放送にしたい。

 まだまだありますけれども、この二つが非常に大きな理由でございます。

黄川田(徹)委員 国際経験豊かな籾井さんでありますから、今国際放送の話をされましたけれども、引き受けるからには大きな問題意識があったと私は思うんですよ。そうでなければ、NHKの報酬も三千万と言われていますけれども、商社におられて、金銭的にはもっといいところがあったはずなんであります。

 ですから、重ねて伺いますけれども、NHKの経営であるとか、あるいはまた放送に関し、どんな問題意識をまず持っていたんでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 どういう組織でありましても、新しい経営者が着任しましたときには、やはりその会社のガバナンスとか透明性とか、そういうことが非常に大事だと私は思っております。そういうことによりまして、やはりNHKの文化というものをよく見て、その文化が非常に自由闊達で、なおかつ透明性が高いということを目指したいと思っております。

 それから、国際放送につきましては、本当に皆さんよく御指摘のとおり、世界各地を旅行しまして、本当にNHKの国際放送というのはこれでいいのかということは、正直に言って、着任前、前の会社におきましても、あちこち旅行したときに感じたわけでございます。

黄川田(徹)委員 今の答弁を聞いていますと、前段の部分なんでありますけれども、自由闊達でないNHK、あるいはまた透明性の低いNHKだから私が変えてやるようなことにもちょっと、聞きようが悪いのか、あれなんですけれども。

 これまで何度も国会に来て、さまざま答弁されておりますけれども、どうもその部分、言葉を集めれば、語彙が足りないなというか、自分の言葉でもっと話してほしいというところが本当にあるわけなんですよ。

 一期三年の任期でありますけれども、これを終えた後、松本会長が続投すると私は思っていたわけなんであります。受信料の値下げにもかかわらず収支の改善を行いまして、そしてまた職員の給与の引き下げにも着手しまして、それから震災を乗り越えて危機防災体制も強化するなど、その手腕は高い、私はこう思っておるわけなんであります。

 ですから、会長の船出といいますか、就任会見以来、大変な荒波を越えて船出したわけですよね、籾井さんは。どちらかというと、背中に重い荷物を背負わされての船出だと思います。ですから、民間経験でもって、決断と実行といいますか、やはり結果を出さなきゃいけないという、その部分があると思うわけなんであります。

 この三年間で、一つだけ、これだけは必ずやってやるというところがありましたらお尋ねいたします。

籾井参考人 私が一番やりたいと思っていることは、NHKの文化を、自由闊達、透明性の高い、また公平な、そういう文化に変えることができればというふうに思っております。

 ただ、企業の文化というものはそう簡単に変わるものでもないということも私はよく知っておりますので、そのために全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

 それからもう一つは、やはり国際放送ですね。これにつきましては、やはり今よりずっとずっと質の高いものにしていきたいというふうに思っております。

黄川田(徹)委員 それでは、NHKは自由闊達に欠けて、透明性が低い、この部分をしっかりと取り組んでいくということがまず大きな柱だということでありますね。結果を楽しみにしております。

 それでは次に、政治とNHKとの距離について、これまでもさまざまな問題が生じてきましたけれども、これに関しまして会長及び経営委員長の見解をお尋ねいたします。

籾井参考人 お答えいたします。

 言うまでもなく、NHKは、放送法に定められているとおり、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守り、放送による言論と表現の自由を確保していくという立場にいささかも変わりはございません。そのためには政治との距離を担保することが必要である、こういうふうに認識しております。この立場は、放送法に基づいてNHKが制定しました国内番組基準の冒頭でもうたっております。

 また、日々の取材や番組制作を行う際の判断の指針となりますNHK放送ガイドラインにおいても、冒頭で自主自律の堅持を掲げております。放送の自主自律を堅持することが公共放送として信頼されるかどうかの生命線である、こういうふうに認識しております。

 職員一同にも、改めて自主自律や不偏不党といった放送法の精神を徹底していきたいと考えております。

浜田参考人 放送法は、放送の不偏不党、真実及び自律を保障し、放送による表現の自由の確保を目的としております。また、NHKは、視聴者・国民の皆様からいただく受信料によって支えられ、財源的にも自律が保障をされております。

 NHKには、放送法によって与えられたみずからの使命を自覚し、何人にも干渉されず、公平公正、自主自律の原則のもとで、視聴者・国民の皆様の安全、安心を守る情報を伝え、多様なニュースや番組を提供し続けていくことが求められていると考えております。

 NHKが今後も公共放送として放送法、番組基準を遵守し、公共放送としての使命を果たしていくよう、経営委員会としてもしっかりと監督をしてまいりたい、そう思っております。

黄川田(徹)委員 視聴者の方々、いろいろな考え方がありますので、確認でありますけれども、NHKは、やはり権力を監視するというジャーナリズムの最も大きな役目を果たしておりますし、そしてまた、先ほど来御答弁されているとおり、不偏不党あるいはまた表現の自由とかしっかり守っていかなきゃならない、こう思っております。

 そこで、三年前は東日本大震災の発災の年でありました、三月十一日。このNHK予算は、委員会で三月二十四日だったはずであります。本会議は三月二十五日。NHK予算承認の際には附帯決議というのを大体つけるわけでありますけれども、私、その三年前の当時の附帯決議を、前文でありますけれども、ちょっと読ませていただきます。

  今般の日本放送協会の新会長選出過程における情報の錯綜及び混乱を招く事態となった経営委員会の体制の不備は、公共放送の経営に関する最高意思決定機関としてあってはならないことであり、国民の信頼を著しく損ねた。

また私、この後質問しますけれども、

 その上、いまだに、不祥事を起こす職員が後を絶たず、由々しき事態となっている。

  協会及び政府は、かかる深刻な事態を厳粛に受け止め、協会に対する国民・視聴者の信頼を回復し、公共放送としての使命を全うできるよう、

云々かんぬんであります。

 もう三年前の附帯決議の前文がまさに当てはまるのじゃないかというふうな状況であります。本当に心配であります。

 続きます。不祥事のことであります。

 NHK放送技術研究所研究員の架空発注で詐欺容疑、NHK出版の架空の業務発注、NHKビジネスクリエイトによる売り上げ水増し、さまざま、これまた不祥事、最近ございます。この不祥事についてどう対応されていくのか、御質問いたします。

籾井参考人 お答えいたします。

 昨年の放送技術研究所の職員による工事の架空発注とか、それからNHK出版の過去の校正業務の架空発注など、最近、新たにこういうことが現実となってあらわれてきているわけですが、私としましては、こういうコンプライアンス違反、不祥事につきましては、断然許しがたいというふうに思っております。

 これも、どこかに何かおかしい部分があるんだろうということで、私自身、起こった後にどうする、こうするは別としまして、やはり、本体、関連会社を含めまして、いわゆるお金の出し入れに対するシステム、これがどこか抜けているところがあるんじゃないかというふうに思っております。そういうことで、今回は直ちに、弁護士、会計士等々を含めまして第三者委員会をつくりまして、一回徹底的に、不祥事を暴くということではなくて、本当にシステムをどういうふうに変えるべきかということに力点を置きながら、今やっている最中でございます。

 不祥事については、絶対にまた起こしてはならないことだというふうに思っております。

黄川田(徹)委員 第三者委員会を立ち上げて、あるいはまたコンプライアンスの確立ということでありますけれども、視聴者の中には、コンプライアンスとは何なんだ、言葉だけが躍っているんじゃないのか、そう言う人もいるはずであります。

 被災地、発災直後、仮設住宅には、日赤の方から、海外からいただいた支援金、これでもって家電六点セットというのがありまして、その中にテレビも入っておりました。そして、受信料の免除、一年ももたなかったですけれども、半年ちょっと免除になりました。受信料で成り立っているNHKでありますから、やはりお金に関してはしっかりと取り組んでいただきたい、こう思っております。

 それでは、あと十分切りましたので、最後であります。

 東日本大震災関連の報道、放送についてお尋ねいたしたいと思います。

 先般、三年目ということでさまざま報道をされましたけれども、これまで報道してきた中身についてお尋ねいたします。事務方の方で構いません。

石田参考人 お答えします。

 NHKは、東日本大震災の発生以降、関連のニュースや番組の放送に力を入れてきました。

 震災三年のことしですけれども、三月十一日前後に、被災地や被災した方々の現状、復興に向けた動きや課題、それから、原発事故の検証などに関するニュースや、NHKスペシャルなどの番組を集中的に放送しました。

 被災地では、高台移転やまちづくり、避難区域への帰還など、復興に向けてはまだ数多くの課題があり、事態が長期化する中で、被災者の方々にも疲労の色が濃くなってきていると感じております。NHKでは、震災三年を経た後、これからも、震災から復興する立場から、被災地に寄り添うニュースや番組を継続的に発信していくとともに、全国の防災の課題、減災に向き合う報道に力を入れていきたい、そのように考えております。

黄川田(徹)委員 これもまた、三年前のこのNHK予算の承認にかかわる附帯決議ですね。私も被災しまして、与党の筆頭をやっていましたから、何としてもこれは盛り込まなきゃいけないということで、当時はまだ東日本大震災という言葉じゃなくて、「今回の東北地方太平洋沖地震においては、放送される情報が被災者に適切に提供されるよう最善を尽くすとともに、その後の被災者の状況を含め被災地の復興過程が国民・視聴者に伝わるよう配意すること。」ということで、これもまた附帯決議を全会一致でさせていただきました。

 本当に、NHK、一生懸命この三年間、さまざまな切り口で、さまざまな分野で報道してきたと私も思っております。

 三年を過ぎて四年目となります。私も、土日は地元に戻り、そしてまた平日は東京ということなんでありますけれども、この震災の風化を強く感じておりますし、同じ震災でも、岩手、宮城は地震と津波ということで、今年は本当に、本格的な復興、被災者の方々が実感できる復興ということで、与野党にかかわらずしっかりやっていかなきゃいけないし、その部分も感じ取れるはずであります、被災者も。

 しかしながら、福島であります。この福島の復興に関しては、本当に、私も何度も行っておりますけれども、まだ出発点にもなかなかついていないような思いをする被災者、やはり大勢いるわけなのであります。これからの報道が本当に大事だと思っております。津波、地震はいいというわけじゃなくて、四年目を迎えても、まだまだ報道されるべきものがたくさんあると思っております。

 先般、地元のNHK盛岡放送局の取り組みということで、ふるさとの記憶、復元模型展というのがありまして、昔の町並みを大学生の皆さんに模型でもってつくってもらって、私のうちもここにあったなと、模型で私のうちもありましたけれども、そういう形で、やはり被災者、被災地と歩むといいますか、そういうNHKになってほしいと思うわけでありますけれども、風化をさせずに、国民一体となって復興に取り組めるような、今後のNHKの震災に関連する報道、どういう方向で持っていくのか、お尋ねいたします。

籾井参考人 先般私も福島に行ってまいりまして、実は、その現状を見て大変に驚きました。同時に、人の住んでいない町とか、そういうことがいまだにたくさんあるわけで、そういう中で、やはり我々がこの問題を風化させてはいけないという意を強くしたわけでございます。

 そういう中で、やはり、先ほど総局長が言いましたけれども、今後とも引き続き、震災のことにつきましては継続的に報道していきたいと思いますし、同時に、被災者の皆さんの現状を全国に報道していきたいというふうに思っております。

黄川田(徹)委員 残りわずかでありますので、ちょっと前段の質問に戻ってお話ししたいと思います。

 NHK執行部、会長をトップとする執行部と経営委員会と、いい意味での緊張感がなきゃいけない。あるいはまた、先ほどの不祥事の関係でも、NHK本体と子会社とか関連会社とかそういうところも、やはりいい意味での緊張感がなきゃいけないと思っておりまして、過去においては、放送法の一部改正ということで、経営委員会の組織強化であるとかさまざまやってきたわけでありましたけれども、別に個人的に会長とか経営委員長とか経営委員がどうのこうのというわけではなくて、会長が選任される、あるいはまた経営委員が選任される、もちろん国会の同意人事でありますけれども、この選定に当たる中で何らかの仕組み、新たな仕組みが必要ではないのか、こう思う次第であります。

 いずれ、放送法の一部改正であるとかいろいろなところが出てくるでしょうから、議論はそれにまたお願いしまして、時間でありますので、これで終わります。ありがとうございます。

高木委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 今回で、籾井会長、浜田委員長には四回目の質問ということになりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まずは、先ほど会長の方から、国際放送に力を入れていきたいという抱負がございましたけれども、NHKワールドTVについて少し伺いたいんです。

 視聴可能世帯数が、昨年末で大体二億七千万世帯ということでありまして、CNN、BBC並みだということで、先ほどもございましたけれども、開始五年にしてはよくやっている、この数字だけ見ればよくやっているなというふうに感じるところでございます。一方で、NHKの調査を見ますと、認知度がまだまだ足りない。あるいは、月一回以上の視聴を見ると、アジアではよく見られていますが、ワシントンやニューヨーク、イギリスではかなり数字も低い。アルジャジーラなんかにも負けている。全般的にCCTVにも負けてしまっていて、やはり国益上もっと頑張ってもらわなきゃいけないというふうに私も思うわけであります。

 これは具体的にこの予算でどう対策をしようと考えられているのか、原因、なぜCCTVにも負けているのかということと、今回これをどういうふうに強化していこうかということで、まず伺いたいと思います。

籾井参考人 CCTVになぜ劣るのかということだろうと思いますけれども、BBCやCNNというのは歴史が一つ違うということもあります。それからCCTVにつきましては、これは御承知のとおり国丸抱えでやっております。局数も全然違いますし、そういう意味でCCTVは大変にアグレッシブにやっております。

 別に弁解ではないんですが、我々はまだ五年と今言っていただきましたけれども、やはり今後は、内容をもう少し、みんな、視聴者が興味を持ってくれるような番組にしていく必要があろうというふうに思っております。今現在は、とりあえず、従来、四時間で一回り、これを六回やっていたんですが、今度は、六時間で一回りする、これを四回やるというふうな形で番組を充実していきたいというふうに思っております。

 でも、今委員御指摘のとおり、やはり知名度、認識度が非常に低いということで、これについて焦点を当てながら、もちろん番組の充実もさることながら、そういう認識度を高めていくような努力をしていきたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 ここはしっかり私も応援していきたいんですが、例えば、著作権の関係があって難しいのは承知していますが、Jポップを流すとか、ドラマも売り物なのでなかなか難しいと思うんですが、NHKのドラマあたりを合間に流すとか、そういうクール・ジャパン戦略の一環としてもこのNHKワールドTVを使えないかというふうに私は常々申し上げているんですが、そういったところもぜひ御検討いただきたいと思うんですね。

 今会長からもございましたけれども、BBCは長年の信頼があるわけですね。第二次大戦前からラジオを含めてずっと国際社会に放送してきたBBCのブランドと信頼があるわけでありますけれども、NHKも、公正中立、NHKの公共放送としての実力というのは世界も認めるところだと私も思うんですね。これは大きな財産でありまして、やはりここを国際社会に訴えていかなければならないと思うんです。

 ここから少しいつもの方に話が入ってきますが、そうした中で、NHKは信用、信頼を守らなきゃならないんですが、百田委員のいろいろな発言、都知事選のときにございました。今度はイランに行かれたというニュースが流れています。イラン・イスラム共和国放送のイラン・ラジオの日本語ホームページに出ているわけです。NHK経営委員という肩書もちらっと出ているんです。「日本の作家でNHKの経営委員も務める百田尚樹氏が、イランを訪問しています。」こういう書かれ方をイラン・ラジオの日本語ホームページでされています。一連の記事があるわけです。

 その中で、百田さんの発言が取り上げられていまして、「イランと日本の両国が、これまで以上に様々な分野で協力を拡大することができる」とか、あるいは「広島と長崎の原爆投下について触れ、「私は、あるときアメリカのやったことを強く非難したが、彼らはこの私の言葉に不快感を示し、私を普通ではないといったが、私は、普通ではないのはアメリカ人のほうだと思う」と述べました。」こう日本語ページの方に記載されているわけです。

 国際社会から核開発疑惑を受けている国に行ってこうした発言をするというのは、イランもやはりこれを利用しようとして、わざわざ、作家といいながらもNHKの経営委員でもある、こういうクレジットを使っている、公人として言っていると印象づけようとしている。こういうふうに利用をされてしまっているわけです。

 これは、国益、とりわけ日米関係にも大きな影響を与える行為だと思うんですが、これが経営委員会で申し合わせをした節度ある行為と言えるかどうか、処分の対象になるかどうかと言ってもいいと思うんですが、経営委員長、どうお考えですか。

浜田参考人 御指摘のように、経営委員会では、二月の経営委員会で、公共放送の使命と社会的責任を深く自覚して、みずからが行動を律し、一定の節度を持って行動していくことを改めて申し合わせました。

 一定の節度は、経営委員一人一人が自律的に判断するべきものと考えており、本人も一定の節度を意識しているものと認識をしております。

 しかし、さまざまな御意見があることは承知しております。御本人はあす経営委員会のために上京されますので、その際にも、また意見交換をしてみたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 それは、経営委員会の場で経緯について説明を求めるということをおっしゃっているんでしょうか。

浜田参考人 多分そうなろうかと思います。

奥野(総)委員 その内容によっては、注意とかしかるべき対応もあり得るということでよろしいでしょうか。

浜田参考人 まずお話を聞いてから、その先に判断したいというふうに思っております。

奥野(総)委員 今申し上げましたけれども、これはNHKの肩書を使われてしまっているわけでして、私は非常に残念な結果になっていると思うんですね。完全に個人というならともかくも、やはり、そこで肩書を使われてしまっているのは、節度の範囲を超えた行為だと私は思います。しっかり話を聞いていただいて、また議事録で公開をしていただければというふうに思います。

 続きまして、一連の会長発言、またこうした経営委員の発言について、NHKにどれだけ、どういった意見が寄せられているか。

 これは、私は一番最初に二月四日の時点で質問をいたしました。その時点では合計一万二千三百件ということでありましたけれども、今現時点で、NHKに寄せられている苦情の件数、そして、そのうち、肯定的なもの、否定的なものの割合、またさらに、その中で受信料をもう払わないといったような意見がどのぐらいあるのかということについて伺いたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 記者会見のありました一月二十五日からきのう三月二十四日の夕方までに寄せられた視聴者からの御意見は、およそ三万五千五百件でございます。

 内訳は、批判的意見がおよそ二万二千九百件、六四%、肯定的な意見がおよそ六千四百件、一八%、その他は問い合わせなどとなっております。

 主な批判的な意見としましては、偏った放送になるのが心配だ、もう受信料を払いたくないといったものがあり、また、肯定的な意見としては、日本の立場にはっきり言及したことは大変よかったといったものがありました。

 お一人の声の中にさまざまな意見が入っていることなどから、具体的な内容を正確に集計することは難しいですけれども、受信料に言及したものは、寄せられた視聴者意向全体の三割となっております。

奥野(総)委員 二月四日ですからおよそ一カ月半ちょっと前ですが、それから、それが一万二千三百件から三万五千五百件と。そのときは、否定的な意見は六割、肯定的な意見が三割、こういうふうに伺いました。肯定的な意見が減って、否定的な意見がふえている。その他もありますけれども、件数もふえ、肯定的な意見が減っているということだと思います。

 なぜ、引き続き苦情が来ているんだと思われますか。五項目も撤回をし、再三こうやって国会で会長も、謝罪というか、御迷惑をかけたと答弁を繰り返しているわけですけれども、なぜ引き続きこうした苦情がふえているんだというふうにお考えになりますか。

籾井参考人 委員御指摘のとおり、今回の問題で、視聴者の皆様から厳しい御意見をいただいていることは十分承知いたしております。

 就任会見では、今となってふなれと言えるかどうかわかりませんが、ふなれだったこともあり、会長としての発言と個人的な見解をきっちり整理し切れないまま発言してしまいました。NHK会長という公人としての自覚が十分でなかったということは十分に反省いたしております。

 私の個人的な見解を放送に反映することはございませんし、今後は、NHK会長の重みを十分に自覚し、慎重に発言させていただきたいというふうに思います。

奥野(総)委員 繰り返しそういう答弁はされているんですが、残念ながら、苦情は相変わらず来ているわけでありますね。

 なぜかとちょっと考えましたけれども、合間合間に、例えば、二月十二日の経営委員会で、それでもなおかつ私は大変な失言をしたのでしょうか、こういう発言があったり、先日、三月の予算委員会では、記者から質問を受けたために言わされたんだ、こういうような発言を国会でもされているわけでありまして、取り消したと言いながらも、自分の信念は曲げていないというところが見えるわけであります。

 実際、国会の方でも、参議院の片山虎之助先生への答弁でも、取り消したけれども、個人的見解は変わっていない、こういう趣旨の答弁をされているかと思いますが、個人的見解は変わっていないということでよろしいんですね。

籾井参考人 お答えいたします。

 今、二月十二日の経営委員会でのお話がございましたけれども、そのときの発言については、二月二十五日の経営委員会で、自分の真意を理解してほしいという一心でお答えしたわけでございますと。この発言が誤解を生む結果になったことについて、私は反省と謝罪をしたわけでございますが、その反省の上に立ち、放送法を遵守し、会長としての職務を執行していくというふうに決意をしております。

奥野(総)委員 もう一度伺いますが、今の質問の趣旨は、個人的見解は取り下げていないということで、そこはよろしいんでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 発言は取り消しました。ただ、私は、その中身についてまで変えておりません。

奥野(総)委員 そこは個人の思想、信条の自由ということだと思いますが、五項目、特定秘密保護法、靖国参拝、番組編集権、国際放送、それから従軍慰安婦の問題だったと思いますが、それについての個人的見解は変えていないという御答弁だったと思います。

 もう一度伺いますが、それではなぜ取り消したのかというのをまた伺いたいと思います。

籾井参考人 公式の就任会見において私的発言をしたこと、これは適切でなかったということで取り消しをさせていただきました。

奥野(総)委員 きょうは予算の場なので、これまで質問したことをまた繰り返すことになると思いますけれども、前もした質問でありますが、私見でも、取り消さなくていい私見と取り消さなきゃいけない私見があると思うんですね。先日来おっしゃっている、例えばインターネットのリアルタイム放送、これは制度の壁があってなかなか難しいというのは私もわかっています。ただ、それをやりたいというのは私見だと思うんですね。私もそこは賛成だし、そこは取り消す必要は全くないと思うんですね。私見においても、会見でしゃべっていい私見とそうでない私見があると思うんですよ。

 この五項目について取り消さなければならなくなった理由というのは、それは放送法上の問題があるからではないんでしょうか。単なる個人的意見だから問題だというんじゃなくて、個人的意見の中で放送法に抵触する可能性があるから取り消したということではないんでしょうか。

籾井参考人 公式の場で私見を述べたということが適切ではなかったということで、取り消しをさせていただきました。

奥野(総)委員 これは毎回伺っても、私見。私見の中にいろいろな私見があって、なぜこれを取り消したかということについてはお答えはいただけないわけでありますが、放送法四条の話を再三我々の方もしているわけです。放送法四条というのは、放送事業者は、放送番組の編集に当たっては、いろいろ各号書いてありますが、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすべし、こう書いてあるわけでございますね。

 この話は、会長の発言についてこれだけいろいろな苦情とか意見、賛成ももちろんありますし、反対も、多様な意見が来るわけでありますから、この五項目については、まさに意見が対立している、多様な意見がある問題だと思うんですよ。ですから、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしなければならない、これに該当すると思うんですね。

 会長の信念は信念として、信念をお持ちであるがゆえに、放送番組の編集権をお持ちですから、NHKの放送番組に会長の信念が影響を与えはしないか。要するに、多くの角度から論点を明らかにすべし、この放送法に従って番組編集が行われないんじゃないか、こういう懸念を招いているからこれだけ苦情がふえ続けている、そして会長が取り消さなければならなくなった、こういうことじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 御質問いただいた就任会見での私の発言については、既に取り消させていただいたということは何回も申し上げたわけでございますが、また、国会という公の場で再び私の個人的見解に触れることは不適切だと考えるため、差し控えさせていただきたいと思います。

 同時に、放送について、私の個人的見解を放送に反映させることはございません。なぜならば、私はずっと放送法を遵守するということを申し上げてきておりますし、放送法を遵守すれば、私の個人的見解がそこに入る余地はないのでございます。

 したがいまして、NHKの組織を通じましてそういう放送の編成がなされるわけで、私の個人的な見解が番組を左右することは決してございません。

奥野(総)委員 そこが分かれ目だと思うんですね。会長の意見を反映させない、編集権を行使して信念を一方的に取り上げないということが私は大事だと思います。そこに対する疑念があるからこそ、これだけ苦情が続いているんだと思うんですね。そこをしっかり御理解いただきたいと思うんです。ですから、放送法に違反するおそれがある、それを踏みとどまっていただきたいということでございます。

 もう時間がなくなってまいりましたけれども、受信料収入について。

 これは予算でありますから、受信料の見通しが違えば事業もできないわけであります。立派な事業計画を立てても事業はできないわけであります。受信料収入に与える会長の発言の影響は極めて大きいと私は思うんですよ、これだけ苦情が来ているということは。

 先ほど冒頭で会長の発言がございました。来年度予算については支払い率の向上を図る、こうおっしゃっていますが、果たしてこの状況で可能なんでしょうか。もちろん、頑張ってやられるとおっしゃると思いますけれども、来年度予算の収入見込み額六千六百二十九億円、これが支払い率の低下等によって予算を下回った場合、どのように責任をとるおつもりか。これは毎回聞いておりますが、改めて伺いたいと思います。

籾井参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、受信料の収納というのは我々にとりまして極めて重要でございまして、今後、営業部門だけに対応を任せるのではなくて、私も含め役職員一丸となって営業活動にも取り組み、受信料の収納は落ちないようにしていきたいというふうに思います。

 視聴者の皆様から厳しい御意見をいただいていることは十分に承知しております。一刻も早い事態の収拾に向けて努力をしていきたいと思いますし、私自身も、会長としての重みをしっかり受けとめて、放送法に基づいて公共放送の使命を果たしていくことで責任を全うしたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 先日の私へ答弁いただいた中で、何らかの形で視聴者の皆様にきちんと説明する機会を設けたい、もう少し待って、国内外に発信したいというふうに思っておりますと。私は、NHKという公器を使って、まさに自分のNHKのネットワークを使って、みずからの言葉で語られたらどうですかということに対して、こういうお答えをいただいたわけでありますが、これは具体的にはいつどのようにやられるのか。

 年度がかわれば、実際、次の年度に入るわけですから、すぐにやらないと遅いと思うんですね。ですから、できるだけ速やかに、みずからの言葉でオープンな形で語っていただきたい。できれば生で、これは中身になりますから私が言う話じゃありませんが、オープンな形で語っていただきたいということが一つ。いつ、どんな形で。

 それからもう一つ、これもずっと申し上げてきていますが、報酬の返上、過去、報酬返上を会長がやられた例がございます。ですから、けじめをつける、責任をとるという意味であれば、きちんと報酬の返上をその場で説明して、視聴者の方に申し出る。これは、私、責任のとり方として非常に必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 さきにも委員に答弁いたしましたけれども、何らかの形で視聴者の皆様に御説明するということを申し上げております。このタイミングがいつかということとどういう形でということにつきましては、今一生懸命考えておりますので、適切なタイミングをもってやらせていただきたい、この辺についてはぜひ私に任せていただきたいというふうに思うわけでございます。

 それと、報酬の件につきましては、今のところは考えておりません。

奥野(総)委員 きちんと出処進退も含めて御判断いただきたいと思います。受信料収入は結果がはっきり出ますから、そのときにはまた改めて伺いたいと思います。

 経営委員長にも伺おうと思いましたが、以上で時間が参りましたので終わりたいと思います。

高木委員長 次に、中田宏君。

中田委員 維新の会の中田宏でございます。

 NHKの予算審議ということで、私も久しぶりに、かつての逓信委員会以来、この場に立たせていただいたということでありまして、きょうは話題の籾井会長にもお越しをいただいておりますから、お伺いをしたいと思います。

 しかし、籾井会長におかれましては、この総務委員会、NHK予算審議だけではなくて、ことしは予算委員会含めて相当な時間を国会で費やされているという状況でありますから、やや、この総務委員会で番組の話とか闊達に、本来だったら議論したいところが、むしろ籾井会長の口が閉ざされた状態になっていて、やりにくいなというふうにも逆に感じているわけでありまして、早く籾井会長御自身の、ある意味では謙虚な姿勢というものをしっかりと出していただいて、NHKの議論がタブーじゃないように環境を整えていただくということを会長にはぜひ意識していただきたいというふうに思います。

 さて、その上で、私も番組内容について幾つかお伺いをしたいんですが、番組内容といっても、ことしの国会で出てきたような論調とは私の場合は違うかもしれません。NHKの番組がどうも、一言で言うと低俗になっていないかというこのことについてです。

 もちろん、私は高尚な人間ではございません。そのことは皆さんがうなずいておられますから、私が偉そうにNHKを低俗だと決めつけるわけにはいかないわけでありますけれども、ある種の一般論として、ぜひ実例を挙げながらお伺いをしていきたいと思うんです。

 評論家の大宅壮一さんの五十年以上前の言葉、御記憶ですかね。テレビによる一億総白痴化ということを言いました。私も久しぶりにひもといてみると、こうおっしゃっているんですね。一九五七年二月。テレビに至っては、紙芝居同様、いや、紙芝居以下の白痴番組が毎日ずらりと並んでいる、ラジオ、テレビという最も進歩したマスコミ機関によって一億白痴化運動が展開されているというふうに、大宅壮一氏がテレビ時代の幕あけのころに発言をしていました。

 このことは、テレビマンと言われるようなNHKの方々を含めて、大いに意識をして番組制作というものをしてもらいたいなと思うんです。

 これもまた、言い方を、乱暴に片づけてはいけないのですが、民放の番組を見ていても、本当にひどいですよね。うまい、まずいというようなグルメ番組だったり、それから、これも、私ができがいいわけじゃないので余り言いたくはないですけれども、どっちが物を知らないかを競い合うようなクイズ番組だったり。本当に、民放を見ていても、余りにもくだらないなと思う機会がふえ過ぎております。それでも、スポンサーをとって視聴率を稼ぐということのためには、おもしろければいい、視聴率さえとれればいい、こういう形で民放の番組が展開をされているのは、これは想像にかたくないわけであります。

 さて、翻ってNHKなんですけれども、NHKの番組というのも、何だこれはと思うような娯楽番組が幾つもずらりと並んでいるんですね。娯楽番組全てを私は否定するつもりはありません、NHKにおいても。しかし、NHKがやる意味があるのかねと思うような番組が、中には並んでおります。例えば、「ケータイ大喜利」「コントの劇場」「七人のコント侍」、こういう番組、私も、NHKで流れていればチャンネルを変えてしまいますから、そういう意味では、番組名まで確認に至らずにやり過ごしている番組と言えますが、今回調べてみて、この種の番組を見てどう思うかというのを何人かに聞いてみると、NHKがわざわざやるような番組じゃないですよね、こういう答えをもらってきました。

 もしも民放が、この種の番組を通じてとにかく数字を稼ぐ、そしてスポンサーを見つけるということに精を出しているとするならば、NHKは一体何のためにこういう番組をやっているんでしょうかね。NHKは数字を稼ぐということにその問題意識というものを持つのではなく、何のために公共放送として国民から、ある意味では義務的な意味を含めた受信料というものを徴収しているのか、ここについての自覚というものが疑われるというふうに私は思うわけであります。

 NHKは、総務省が所管をしている特殊法人でありますから、放送法が規定をしている視聴者からの受信料の徴収によって、当然、経営そのものが成り立っているということになるわけであります。

 さて、NHKがやるべきことというのは、ある意味では民間がやらないことをしっかりとやってもらうというのが第一義的には重要な視点だ、そこにNHKの誇りを持ってもらわなければいけない、こう思うわけでありますけれども、このお笑い番組、余りにも民放のまねをし過ぎじゃないかというふうに思えてならないわけでありますけれども、新藤総務大臣、ここは所管大臣としていかが思われますか。

新藤国務大臣 中田委員が放送のあり方についてそういう整理をしていただくという意味においては、とてもいい質問だと思っているんです。

 まず、私、少しお時間は頂戴しなければならないと思います。

 公共放送は、法律に直接その存立の根拠を置いて設立した事業体によって、営利を目的とすることなく、受信料等を主として財源に運営されるものである。他方、民間放送は、営利を目的とする私企業により、広告収入等を財源とし、運営されるもの、こういうことであります。これはみんなが共有できると思うんです。

 しかし、私は、ここではっきりさせておかなければいけないのは、第四条の番組編集準則というのがあるんですが、これは、善良な風俗を害しない、政治的に公平であること、報道は事実を曲げない、意見の対立はというものです。これは、民放も含めて放送事業者全てにかかっているわけであります。ですから、民間放送なら何でもよくて、NHKがというふうに言われる方が時々いるんですけれども、民放といえども放送事業者というのは、放送法で独立が保障されているとともに、みずから自主的な番組基準によって公平中立な報道をしなければならないとか、そういったことはNHKも民放も同じなんだ、こういうことを私たちはきちっと知るべきだ、このように思っているんです。

 その上で、民間と公共放送の差というのはあります。

 例えば、NHKはあまねく普及義務があります、放送ですね。民放は、あまねく普及するように努力義務になっている。でも、いずれにしても、全国に番組を配信しなさい、あまねく普及してください、これは義務か努力義務かの差であって、どちらにしても同じようにやらなければいけないわけであります。

 そして、質的水準、こういった観点からいきますと、受信料という特殊な負担金、NHKはそういった財源を持っておりますから、豊かで、かつ、よい放送番組を提供するという要請には比較的対応しやすいんじゃないか、このように思うわけですね。

 そして、今、前置きが長くなって恐縮なんですが、お笑いのところです。これは、NHKが放送するか否かは、まず放送番組の編集に係る事項なんですから、自主自律、NHKが編集をもって放送法に準じて判断されればよいということであります。

 そこで私が申し上げたいのは、NHKは、「豊かで、かつ、良い放送番組の放送を行うことによつて公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与する」、こういった放送法の第八十一条一項という規定があるんです。

 ですから、民放であろうがNHKであろうが、こういう豊かでよい放送番組、公衆の要望を満たす、ここが重要なのでありまして、今委員がおっしゃっていることも国民の意見であります。また、そういったものを見たいという、やはり放送というのは国民の意識の鏡でもあるわけであります。ですから、今いろいろな御意見があったこと、私も大体同じような意見を持っていますが、それは、お互いに年代がだんだんそうなってきたんだなということもあるんだなと。かつては、今の若い者はと我々が言われていたのに、いつの間にか今度は自分たちが、若い者はと言うようになったのかなというふうな気持ちもあります。

 何よりもやはり、豊かな番組、そして公衆の要望を満たす、文化水準の向上に努める、こういう意味で、NHKにはよい番組を提供していただきたい、このように考えております。

中田委員 今、新藤総務大臣、御丁寧にお答えをいただきまして、大体、私が本来触れなければいけないなと思っていた放送法第四条第一項、これのおさらいをしていただきました。民放、NHKともにこれは課せられていることである。そしてまた、NHKについては、さらに第八十一条第一項ということで、今お話しいただいたとおり、公衆の要望を満たすとともに、文化水準の向上に寄与するよう最大の努力をすることということも触れていただきました。さらに、八十一条第一項には、「全国向けの放送番組のほか、地方向けの放送番組を有するようにすること。」「我が国の過去の優れた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つようにすること。」等々、NHKに求められているものがあるんです。

 大臣、ちょっともう一回、率直に、これは感想でいいんですけれども、「ケータイ大喜利」「コントの劇場」「七人のコント侍」、これは今言ったようなもののどこに属するんですかね。

新藤国務大臣 全くの感想でありますが、よい悪いというよりも、さまざまな公衆の要望がある、そういう国民の声があるんだ、一方で、こういうものは要らないよという声があるならば、そういった声をNHKはよく聞いて、これから自主的に番組を編集また制作していただきたいな、このように思うわけであります。

中田委員 NHKは、放送法の規定を踏まえて、二〇一四年度の国内放送番組編集の基本計画というものを定めておりますが、この中で、総合テレビの部門別編成比率について以下のように定めているんですね。教養番組二〇%以上、教育番組一〇%以上、報道番組二〇%以上、娯楽番組二〇%以上ということでありまして、おおむねこういうふうに番組の編成をしていこうということを定めています。

 娯楽番組という中に、先ほどの私が幾つか挙げた事例も入ってくるんだろうと思いますけれども、国民の声もNHKに届いていると思いますから、そういう意味では、本当にこういう国会という場において、私が先ほど前置きしたように、低俗というようなことを誰かが勝手に決めつけられるものではないんですけれども、やはり、例えば娯楽番組一つとってみても、もっともっと地域性とか、日本のいろいろな歴史や文化といったものをひもとくような娯楽番組であったり、そこに若い人たちが関心を持てるような娯楽番組であったり、こういうことをやってもらいたいというふうに思うんですね。

 同じ娯楽番組でも、どたばたどたばたステージで暴れて人の頭をたたいて笑いをとっているような、こういう娯楽番組ではなくて、なるほど、日本の歴史ってこうなっていたのか、なるほど、日本のよさというのはこうなのかというような、別に日本を誇るような番組だけをつくれと言っているわけじゃないけれども、やはりNHKが目指すそのほかの、例えば教養とか教育、こういうふうにパーセンテージもあったわけですね、そういうところと合わさったような娯楽番組をやっていただくことを本当に切に期待したいと思うんですね。

 そうじゃないと、何で我々はNHKに受信料を払っているんだろうか、その種のどたばたな番組は民放でやってもらえば十分だよというふうに多くの視聴者は思う、NHK離れというのはどんどん進んでいってしまうように私は思えてなりません。

 籾井会長、いかがでございますか。

籾井参考人 お答えします。

 NHKの娯楽番組ということでございますけれども、余りかたいことを言うつもりもないんですが、実は、放送法第百六条第一項におきまして、NHKを含む基幹放送業者に対して、テレビ番組の編集に当たって、教養番組か教育番組、それに報道番組と娯楽番組それぞれ設けて、相互の間の調和を保つように、こういうふうに言われているわけでございます。

 そういうことで、これを基本的には守っていかなきゃいかぬと思いますが、今委員が言われた御意見について大変参考にさせていただいて、今後のNHKの娯楽番組のあり方というものをいろいろ研究させていただきたいというふうに思っております。

中田委員 NHKにも直接いろいろな声が届いていると思います。それから、国会という場において私も国民の代表として発言をしているということも踏まえて、籾井会長におかれましては、本当に一つ一つの発言に注意をして、木で鼻をくくったような答弁しか出てこないのはわかっておりますから、NHK局内においても、番組をこうしろとは言えないでしょうけれども、国会でこういう議論があったよ、ひとつ職員の皆さん、真摯に議論を一回してよ、こういうことは当然リーダーとしてやってもらわなければいけないことですから、今の件は、今の御発言は、ある意味ではお約束をいただいたと思って、NHK局内で大いに議論をしていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、くだらないと簡単に片づけるつもりはありませんが、時折話題になっていることを、これも質問させていただきます。

 いわゆる外国のドラマというものも花盛りになっております。特に韓流というドラマですけれども、火つけ役はどこかというと、NHKなんですね。何が火つけ役だったかは、タイトルは私でも知っている、皆さんも知っている「冬のソナタ」というドラマですね。これが、NHKBS2で二〇〇三年、平成十五年から、そして総合テレビでは二〇〇四年、平成十六年から放映をされました。その後も、総合テレビやあるいは衛星放送において、「宮廷女官チャングムの誓い」あるいは「トンイ」など、数々の韓国ドラマをNHKは放映しています。

 韓国ドラマというのは、日本よりも制作費がかなり安くできているという現状もあり、さらには、少し是正されたとはいえ、通貨安、ウォンと円との関係もあり、そしてまた何よりも、韓国が国を挙げてコンテンツを輸出している、こういう経緯もあり、その意味においては、日本に限らずいろいろなところに韓国のドラマが出ていっているという現状は、私も理解をしております。

 その上で、二〇一〇年でありますから、今から数年前、こういう記事が日本経済新聞に載っておりました。「韓国ドラマを買い付けると買い付け額以上の補助金がもらえたときもあった」というコメントなんですが、これは誰が出したのかというと、台湾のテレビ番組の大手幹部のコメントでありました。

 実際、韓国は、申し上げたように、国を挙げてコンテンツの輸出に取り組んでいる、こうした一面があります。ここは、日本もある意味で見習う必要があって、新藤総務大臣も力を入れていただいているというふうに思いますけれども、それにしても、今のコメントというのは台湾の幹部のコメントでありますけれども、日本の民放でもこの種の話というのは長らく言われてきたことでもございました。すなわち、普通だったらコンテンツの制作にお金をかけるところが、買い入れどころか、お金をもらって放映できる、こういうような実態というものがどうもあるようなのであります。

 民放でも、お金を受け取って韓国ドラマを垂れ流していたということであれば、放送機関にあるまじき行為だというふうに私は思いますけれども、ましてやNHKであるならば、これは私は大問題だというふうに思います。

 この点、NHKは韓国のドラマに関してはいかほどで買っているのか、それとも、果たして、お金もついた上でこれを放映しているのか、ここら辺ははっきりさせたいと思うわけでありますけれども、御答弁を願いたいと思います。

石田参考人 お答えします。

 NHKが韓国のドラマを購入して放送する場合、韓国から補助金をもらうということはありません。そういう事実はございません。

 放送権料や日本語版の制作費など国内で放送するためにかかる経費は、受信料で賄われております。

中田委員 これは韓国に限らず外国のコンテンツを使う際において、お金をもらって放送するということはないということで断言していただいてよろしいですか。

石田参考人 そういう事実はございません。

中田委員 これは確認でありましたから、それで結構でありまして、当然このことはしっかりと、NHK自身、矜持として守っていただかなければいけないことだろうというふうに思います。

 先ほども紹介をしましたように、NHKの役割というのは何かと考えれば、文化水準の向上や、新たな文化の育成、普及などである、こういうふうに解釈をされなければいけません。そういう意味では、買うということも含めて、民放よりも気を使って番組を選んでいただきたいと思うわけです。

 ある意味では、安くて、いいコンテンツがあるというものに関しては、これも、民放がやる分には大いに結構だけれども、何もそこにNHKが一緒になって群がる必要はないわけです。NHKは、むしろ、日本ですばらしいコンテンツをつくって外に出していくということをもっと意識してもらわなければなりません。

 例えば、一九八〇年代に「おしん」というNHKの大ヒットドラマがありました。これは海外で人気を博した時期もございました。しかし、これ以降は、NHKの制作したドラマが外国で話題になっているというようなことはめっきり聞かないようになっているわけであります。

 事前に私がNHKにチェックをしましたところ、NHKが購入している海外番組の合計は、二〇一二年、平成二十四年でありますけれども、この年度の決算で約二十五億円です。いいですか、NHKが購入している海外からの金額が二十五億円です。これに対して、逆に、NHKが海外に販売をしているコンテンツの売り上げ、この総額は幾らぐらいか。これは約十億円だそうであります。すなわち、半額以下、半分以下ということになるわけですね。

 これは私は大いに頑張ってもらいたいというふうに思うんです。別に、半分だから何らかの基準を下回っているということで厳しい批判をしようというふうには思いません。しかし、新藤総務大臣にも力を入れていただいているとは思うけれども、日本のコンテンツをもっともっと外に出して日本のよさを伝えていこうじゃないか。日本に対する間違った誤解ではなくて、なるほど、日本というのはいい国だと。

 やはり、日本人の、私たちの平和を愛する気持ちであったりとか秩序正しさであったり礼儀正しさであったり、こういったことも含めて、単なる報道番組だけではなくてどんどん外に出していこうかというときに、それこそドラマであったりあるいは物をひもといていく番組であったり、こういうものをもっと外に出していきたいときに、NHKは二十五億円海外から買っているけれども十億円しか売れていないというのは大いに反省をし、もっともっと自分たちがその担い手であるということの自覚を持っていただきたい、私はそう思うんですね。

 ここをしっかりと、今後取り組んでいただけませんか。御答弁を願います。

新藤国務大臣 非常に大事な質問だと思っています。

 私たちは、日本のコンテンツ産業、これは世界で第二位の市場があるということを共有したいと思います。実は、日本はアメリカに次いで世界で第二位のコンテンツ市場を持っているんです。だけれども、海外輸出比率が、アメリカが一八から二〇%です。日本はせいぜい五%です。ですから、よいものを持っていても外に出していない。国内市場で全部賄えちゃう、そういう状態だったということであります。

 そして、今、中田委員からいろいろ御指摘いただきましたが、国内で受けた番組をそのまま海外に出して言葉を翻訳しただけでは、海外では受けません。やはり韓国をいろいろと見習うべきは、それぞれの国にどうやって売れるか、それぞれの国にどうアピールするかというものを研究しながら番組をつくっている、こういう事実もあります。

 ですから、私たちはすごく大きな市場を持っていて、そして技術的にもすばらしい番組制作能力があるならば、海外展開を前提にしたそういう番組づくりというものもやっていかなくてはいけないというふうに思っていて、NHKにはぜひそこの部分も、海外というよりも、何よりも国民・視聴者の多様な要望に応えられる番組の提供、そしてそれは公共放送としての社会的使命を認識した上でつくっていただきたい。これは今年度の私の総務大臣意見でありますが、これは国内番組でありますけれども、やはりこれから新しい展開をしていかなければいけないんだということは十二分に認識すべきだ、このように考えております。

中田委員 総務大臣、そこはNHKともコミュニケーションをよくして、こうした問題意識をNHKにしっかり持っていただくような、所管大臣としての取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 時間も少ないので、少し古い話をしますが、二〇〇〇年、平成十二年でありますから今から十四年前、私は衆議院逓信委員会でこういうふうにNHKに要望いたしました。まさにこの総務委員会の前身である逓信委員会でありましたけれども、この年はシドニー・オリンピックの年でした。

 このシドニー・オリンピックで、パラリンピック、障害者のスポーツに関してまだまだ扱いが少ない、その前には長野のオリンピック、このときにも日本じゅうに大きな感動を呼び起こしたにもかかわらず、実際にはまだまだ競技としてしっかりと放映はされていなくて、ニュースでメダルを幾つとったという結果だけが報じられるような状況であったので、大いにこういうところに、これはノーマライゼーションの観点からも力を入れるべきだというふうに、私は十四年前に逓信委員会でNHKに対して要望したわけであります。

 そのとき、肯定的な見解というもの、表情というものをいただいたわけでありましたけれども、さて、翻ってみると、一九九八年長野オリンピックの際のパラリンピック放映時間は二十九時間五十九分、二〇〇二年ソルトレーク二十時間三十六分、二〇〇六年トリノ二十二時間、二〇一〇年バンクーバー二十八時間、そして二〇一四年ソチ三十時間ということで、ほとんどふえていないんですね。私は、こういうところは、それこそさっきも言ったようにNHKの使命だと思うんですよね。

 ソチ・パラリンピックで、御案内のとおり、日本勢は、金メダル三つ、銀メダル一つ、銅メダル二つ、六つのメダルを獲得しました。もちろん、メダルを獲得するだけが至上主義ではなくて、惜しくも逃した方、いっぱいいらっしゃるわけですけれども、しかし、すばらしい活躍だったというふうに思いますね。

 BSも二チャンネルあります。ところが、このBSに至っても、こういったものを競技として放映するというようなことは今回も結局ありませんでした。

 これは結果論です。結果論として聞いていただきたいと思いますけれども、例えばアルペンスキー男子回転座位で鈴木猛史選手が見事に金メダルを獲得したわけでありますが、この鈴木選手、十七年前の全く同じ日に両太ももを切断する交通事故に遭ったということでもありましたから、その意味においても国民には大きな感動を持って報じられましたし、感動を得た国民は私だけではないと思います。

 これは結果論ですよ。結果論だけれども、この鈴木選手が決勝戦をやっているそのとき、NHKは何を放映していたか。御参考までに申し上げますと、BS1では、サッカー、プレミアリーグのチェルシー対トットナム、これは録画中継を流していました。そして、世界ドキュ、ミニマルな生活と建築という番組。さらには、サッカー、ブンデスリーガ、マインツ対ヘルタ、これに至っては再放送。こういうものを流しているんですね。

 もちろんこれは結果論です。たまたま、鈴木選手がとったときにそういう番組、再放送じゃないか録画じゃないかなんて難癖をつけるんじゃなくて、結果論でしかありません。しかし、申し上げたいことは御理解をいただけていると思いますけれども、もっともっと、公共放送としてこういうものを広くNHKは放映してほしいんですね。ソチにまで行けない障害者の御家族、応援している知人の皆さんもいっぱいいるんですよ。そのときに録画や再放送のサッカーをやったりすること、こちらの方にNHKは重きを置きますか、そういうふうに言われてしまう。

 ここは、NHKの使命が何なのかと冒頭から私は言い続けていますけれども、よくよくこれからのパラリンピック、障害者スポーツ、こういったことについての見解をNHKは、局として、特殊法人として認識を改める必要があると思いますよ。いかがですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 放送時間の問題についてはちょっと後で申し上げたいと思うんですが、おっしゃるとおり、パラリンピックというものが非常に世間の脚光を浴び、また日本の選手も随分と活躍するようになりまして、やはりもう少し我々もパラリンピックというものを見直していかなきゃいかぬだろうというふうに思っています。

 私自身、確かに放送時間は少しずつは伸びてきていて、実際にホームグラウンドである長野のオリンピックよりも多いという意味においてはそんなに少ないとは思っていませんが、やはり、今後、パラリンピックに対する放送をどういうふうにしていくか、競技の難しさというのもあるものですからなかなか生放送でできなかったという言いわけもあるんですけれども、今委員が御指摘のとおり、パラリンピックにはもう少し焦点を当ててやっていきたいというふうに思っております。

中田委員 もう時間がありませんから、最後に言いっ放しで終えたいと思いますけれども、申し上げたように、十四年前に私はそういう要望もして、残念ながら改善はされていないねということを申し上げたわけであります。

 そして、先ほど来、NHKの使命というのは何なんだろうかということを私はきょうの質疑でさせていただいて、先ほど籾井会長からは、こういう意見があったということを大いに議論していくというふうにもお答えをいただいたやに理解しております。そういう意味では、それも言葉に終わるのではなくて、本当に籾井会長が会長として、番組をこうしろと言う必要はない、だけれども、こういう意見が国会で出ているぞということは必ず議論に供していただきたい。そうでないと、また十四年後、私は国会議員をやっていないでしょうけれども、あのとき私はこう言ったんだけれどもという話になっちゃいますから。ぜひ、しっかりと、新藤総務大臣、今の大臣にお取り組みをいただくことも御要望申し上げて、私の質問とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 ありがとうございます。日本維新の会の新原秀人でございます。

 今年度前半、言ってみれば、籾井会長という形で日本のマスコミを騒がせておりますけれども、私自身は、この一カ月、二カ月を見ていると、籾井会長の顔がちょっと変わってきはったなと思っています。何か前はへの字に口を曲げて難しい顔をしていましたけれども、最近は、いわゆる、笑っているのがいいのか悪いのか、どちらかというと謙虚な姿をやはり体全体から感じておりますので、頑張って今後はやっていただきたいということも含めて質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず、NHKの三カ年の経営計画の中で、重点目標ということで、公共、信頼、創造・未来、改革・活力ということで四点挙げられておりますけれども、今問題になっているのは、公共という意味と信頼という意味で非常に問題になっていると思います。

 そういった中、一万人強、一万人おられるNHKという大企業が、会長一人の意見で番組が簡単に変えられたりとか、言うてみたら、簡単に理事を首にできたり、そういったことが何かあるような質問にずっとなっていますけれども、そういったことがあっては公共放送としてはだめでありますし、そういったことは本当に可能なんですか、専務理事と会長の方にお聞きしたいんです。

 そういったことが起きないように、やはり二重三重の、言うてみたら、そういったことをちゃんとしているはずなんですよね。それをあたかも、会長が一人で、何か意見を言ったら変わって、理事も首にできるみたいな形に、質問で聞こえるんですね。僕は一期生なのでわからないので、そういった意味ではそういうふうに聞こえるんですけれども、それでは、逆に、公共放送として、NHKとしてはだめなので、そうなのだったら、そっちを変えなあかんはずなんですよ。

 だから、どういった形で、会長という意味では、もちろん、意見も言う、いわゆる理事会で意見を言う場もある、それは当たり前で、皆さん、けんけんがくがくとすると思います。

 だから、そういった意味で、例えば、過去に会長の独断でそういうことをやって問題になったとか、会長の独断で理事を一人いわゆる首にしたとか、そういったことは僕はなかったと思うんですけれども、そういったことはないはずなんですけれども、その辺は、専務理事の方は経験としてどういうふうに。質問なんですけれども。

吉国参考人 お答えいたします。

 私の記憶では、ございません。

新原委員 そうなんですね。

 だから、結局、もしそういうふうな可能性があるならば、そういうシステムをつくってといいますか、言うてみたら、僕らが監視していかなければならないという方が大事であって、別に籾井会長が言ったことを僕は全然フォローする気はないですよ。ミスはミスだ。だけれども、やはり今回籾井会長が選ばれた理由は、三カ年計画の、経営計画の重点目標の改革・活力というところをやってもらいたいという形で、NHK内部からではなく、民間から登用されてきて、今までの経験を重視されたと思うんです。

 だから、こういった入り口で、ミスはミスといいますか、悪かったのは悪かったと思います。しかし、そういったことでこれを、言うてみたら、余りに慎重になり過ぎて、活力それから改革という気持ちを忘れられては、私は、籾井会長の役目はないと思うんですね。だから、そういった意味での今現在のお気持ちはいかがですか。

籾井参考人 お答えします。

 いろいろ言うと、ちょっと言葉が余りうまくないものですから、うまく表現できないかもしれませんが、私は、やはりNHKの活力をきっちりと出していくためには、私個人がどうだとか、私の考えがどうだということではなくて、組織として、きっちりチェックもでき、それからみんなの意見が吸い上げられていきという、私は組織で物事を解決していきたい、これが今の私の非常に大きなポイントで、どこの会社も、やはり組織がしっかりしているところはいい会社、NHKが今だめというわけではないんですが、やはりその辺をよく検証しながら、組織がきちっとできて、それにのっとって番組の編成もでき、コンプライアンスもチェックされという形になるのが一番いいと思っていますので、そういう面でやりたいと思っています。

 もちろん、今おっしゃったように、僕が番組に介入することはありませんし、それから人事の話でも、おまえ、首じゃといって首にできるような組織でもありませんし、これもやはり人事制度に乗っかってやっていかなきゃいかぬものだというふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 その気持ちを忘れずに頑張っていただきたいと思います。

 そういった中で、今のお言葉にありましたけれども、いわゆる要望を吸い上げてというんですね。だから、言うてみたら、受信者等に、国民の方々の意見を吸い上げるということは非常に重要なことだと思います。先ほども我が党の中田委員から言われていたことも、僕もその年齢に入ってきていますので、そうかなという気持ちはあります。

 そういった中で、多角的な評価指標を用いた評価、管理ということで、半期ごとに世論調査を実施しているということですね。これは一応資料に入っているんですけれども、それを見ますと、七月、一月にずっととっているんですけれども、二十四年七月、二十五年一月、二十五年七月の指標を見てみますと、一番期待度が低いのが受信料の公平負担、しかも、実現度も低いんですよね。

 もちろん、これは当然のことだと思うんですけれども、何か国会で話し合われているのは、どないして取るかとか、どないして受信料の払い漏れがないようにするかとかいうテクニック的なことであって、NHKの信頼なり、NHKの番組をよくすれば、やはりそういった意味での、言ってみたら、対症療法ではなくて原因療法ももっともっと議論していかなければならないと僕は思っているんです。

 だから、やはり、払わない人は払わない。だけれども、僕自身は、NHKを見る家でしたから、小さいころから大河ドラマは、日曜の八時には絶対見ていたと思う。一時期、ちょっとううんと思うような、最初が悪かったら、やはりずっと見ないですよね。ことしの「軍師官兵衛」は、僕はずっと見させていただいておりますけれども、そういった意味で、やはりそういった番組も非常に効果的だと思います。

 そういった中で、こういった受信料の公平負担という中で、やはり説明責任といいますか、こういった経営をしているといったことがあって、先ほど、いつおわびするんやとかいう話もありましたけれども、そういったことも含めて、もっとテレビを使ったらいいと思うんですよね。

 それはなぜかといったら、受信料をもらった方々にそういったことをわかってもらう広報をするためなので、例えば、朝の連ドラの後の一分、大河ドラマの前の一分、そこを使って実際やったらいいんですよ。言ってみれば、受信料をもらっている方々に対してやはりそういったことを知らせる、告知するというのは義務だと思うんですよね。

 だから、そういったことをもっともっとして、NHKはこういう改革をやっているというふうなことをもっともっと広報していただきたいと思うんですけれども、その点について、今後どのように考えられますか。

上滝参考人 お答えいたします。

 今の御質問でございますが、NHKは、公共放送としての存在意義、その使命や取り組みでございますね、これについて、今お話しのように、放送はもちろん、インターネットのホームページ、それとかパンフレット、さまざまな方法によって御紹介しているわけでございます。

 総合テレビ、毎週日曜日の午前十一時から、「NHKとっておきサンデー」という広報番組を編成しております。この中で、NHKの予算や事業計画それから災害報道などの取り組みを、役員とか担当の職員が出て、わかりやすく説明をしております。

 先ほど、もっと見やすい、よりたくさんの方にごらんいただける時間帯にどうかというお話だと思いますけれども、それにつきましては、NHKワールドTV、これは、英語による国際放送とか、公共放送としての取り組みを一分間で紹介するミニ番組をつくっております。毎年、春と秋に集中的にお伝えしております。ことしも既に今週からお伝えしておりますが、来月には、先ほどのお話のように、平日夜八時前のたくさんの方にごらんいただける時間帯に放送することにしております。

 こういったことで、放送を初めさまざまな手段を用いて、NHKの事業とか予算の使い方などについて丁寧に説明していきたいというふうに今後とも思っております。

新原委員 ぜひともそうしてもらいたいと思います。

 やはり国民の方々にもっともっとアピールして、頑張っているところ、悪いところ、実際、こういったことでおわびする、それでいいと思うんですよね。そのための公共放送なので、そういったことはぜひとも視聴率の高い時間にやっていただきたい。日曜の十一時にやっても、見ている人が少なければ結局伝わっていませんから。だから、そういう意味では、そういった時間を活用していただきたいと思います。

 最後に、一点だけなんですけれども、ちょっと気になることがあるんです。経営委員会の中に監査委員会というのがあるんですよね。監査する人は経営委員会の中から三人出ているんですよね。これはちょっと、組織という意味で考えていく意味で、経営委員会を監査する役ですから、やはり経営委員会でない方を監査委員にすべきだと私は思いますので、これは今後検討していただいて、監査と経営は別にする。経営委員会の中におられる三人が監査するということは、自分を監査することになりますから、そういったことは今後考えていただきたいと思いますので、要望として終わらせて、会長、頑張って、応援していますので、よろしくお願いします。

高木委員長 次に、上西小百合さん。

上西委員 日本維新の会の上西小百合でございます。

 本日は、NHK予算に関して、国民の皆様が疑問視されていることをさまざまな観点から質問させていただきたいと思います。

 今から千四百年以上前に聖徳太子が発布した十七条憲法の第一条は、有名な和をもってとうとしとなすから始まり、協調、親睦のとうとさを唱えているわけでございますが、その六条には、日本古来の勧善懲悪を礼賛し、よいものは褒め、悪い人には悪いと言ってやりなさい、このように唱えられております。

 私も、よいことはさらに伸ばし、国民の皆さんにとって悪い法案、よくない法案などに対しては、ただ単に反対をするだけでなく、対案を持ってしっかりと臨むスタンス、これを貫いていきたいと日々精進をしておるところでございます。

 さて、皆様も御存じのとおり、新聞等でも籾井NHK会長の諸発言をめぐる報道がやみません。石田放送総局長みずから、十九日の定例記者会見で、事態はまだ鎮静化していないと危機感をあらわになさったとおり、NHKに寄せられた視聴者の意見が会見前日までに約三万三千六百件に上り、うち約二万一千五百件が否定的な意見でありました。そして、それを受けて石田放送総局長が、しっかり仕事ができる状況をつくらなければいけないと述べられた旨と、籾井会長就任時、日付空欄の辞表を預けた件に関して、福地元会長のときにも理事が同様のものを出したと聞いたので出したと述べられた旨も報道されています。

 それを聞いた国民の多くは、ならば、今現在、NHKはしっかりと仕事をしていないのか、NHKは、よいことか悪いことか判断もせずに、前例に従って行動する古い体質のままであるのか、このように受け取っており、私も、正直なところ、この記事を読んだときにはそのように感じ、そして、先ほど申し上げました、冒頭の十七条憲法のうたうところとダブってしまったわけでございます。

 蛇足ながら、福地会長当時は、責任の所在が誰とも特定できないような不祥事続きの時代であり、全役員が連帯責任を自覚されていた背景があり、現在とは全く違う職務環境ということを説明させていただいておきます。

 また、今現在のNHK会長の年間報酬総額は三千百万円に近く、さらに専用車での送り迎えがあり、平理事でさえ二千二百万円を超えるかなりの額の報酬を受けられており、その原資は、国民の血税と限りなく同様の受信料で賄われています。

 一般の国民感情からすれば、厚遇過ぎる報酬を受け、待遇を受け、なおかつ、先ほどから申し上げておりますように、国民感情から余りに乖離した所作や発言が続いているのは、もはや憤りを超えてあきれ返るだけだ、このような声さえ、私も、日々聞こえてきております。

 また、領土問題や歴史認識、そして靖国神社関係の報道では、明らかにバランスを欠いた報道が続いているとの指摘も、当委員会で各委員から何度も繰り返し出されておるところでございます。

 国会の参考人招致も例年になく多く、こうした騒動のピリオドが見えそうにもない今の現況について、報酬規定の感想も含めて、NHKの御所見をお願いいたします。

籾井参考人 お答えいたします。

 視聴者の皆様から厳しい意見をいただいていることは、何度も申しておりますが、十分承知しております。私自身、業務に全力を挙げることで、会長としての責務を果たし、公共放送の使命に基づいた、よりよい放送とサービスを視聴者の皆様にお届けしたいと思っております。その結果が、一刻も早い事態の収拾と、NHKの信頼回復につながると考えております。

 役員の報酬につきましては、経営委員会の議決事項なので、私が勝手に決めているわけではないのでコメントする立場にはございませんが、平成九年度以降、三回にわたって引き下げられており、平成八年度と比べると二四%から二六%の減額となっていることを御報告したいというふうに思っております。

上西委員 わかりました。

 今、会長の方から、業務の向上にしっかりと取り組んでいくということでお聞きかせをいただいたわけですが、現状といたしまして、受信料徴収率もそんなには上がらない、また、会長の諸発言をめぐる騒動もおさまらない、こういった状況を受けて、会長自身が報酬を例えば一部返納するだとか、そういったことはお考えではないでしょうか、お聞かせください。

籾井参考人 お答えします。

 私も、一刻も早い事態の収拾を図ることがNHKの経営にとっても大事なことだと考えております。放送法に基づき、公共放送の使命を果たしていくことで、NHK会長としての責任を全うしたい、こういうふうに思っております。

上西委員 今、一刻も早く状況収拾に取り組むということでございますが、私の質問は、会長みずからが、こういった騒動を受けて報酬を一部返納されるおつもりがあるのかどうかということをお伺いしたかったんですけれども、よろしくお願いします。

高木委員長 籾井会長、報酬を返納するのかどうか、そういう質問ですので、しっかり答えてください。

籾井参考人 今の段階では考えておりません。

上西委員 今、会長の方から、報酬の返納、こういったことは考えておられないという御返答をいただきましたが、まず、NHKの皆さん、頭に置いていただかなければいけないのは、あくまでもNHKの経営、そして皆さんへの報酬、社員の皆さんへの給料、こういったものは、国民の皆様から、血税と等しい受信料、こういったもので賄われているということをしっかりと頭に入れていただきまして、こういった騒動、そして受信料の徴収率も上がっていないといったことを考えると、しっかりと報酬を返納していくだとか、報酬の規定も見直していくだとか、そういったことも検討をいただく必要があるかと思っております。

 それでは、次に参ります。

 私自身も、以前は地元の大阪で民間株式会社で勤務しておったわけですけれども、株主にかわってそれぞれの取締役が経営を監視し、それが役員の任務だ、このように理解をしております。

 ですから、その方々の自由を束縛したり、あるいは制限することがあってはならない、このように教わってきましたので、今回の籾井会長の、事前に辞表をとり、そして、何かあれば首にするぞと言わんばかりの姿勢はいかがなものかなと思うんですが、提出された辞表を返却する御予定はおありではありませんか。また、今後何か対応するおつもりがおありでしたら、お聞かせをいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えします。

 辞表を今返却するつもりは毛頭ございません。また、何回もこれも申しておりますが、私は辞表でもっておどしたり、そういうことをするつもりもございませんし、人事権の濫用をするつもりもございません。

上西委員 籾井会長の方から、辞表をとったことで、決しておどしたりだとか、自由を束縛するとか、そういった意図はないというふうにお答えをいただいたわけですが、会社で私も勤務しておりましたが、一般の人間が辞表を出せと言われて日付がない辞表を提出する、これは本当に怖いことだと思うんですね。いつ首を切られるかわからない、こういった状況はやはり余り好ましいというような状態ではないと思います。先ほど、福地元会長のときもあったということで、私の方から申し上げましたが、このときは全く現在と職務環境が違う、こういった状況で出されたわけですから、前例にはそぐわない。

 そして、私が申し上げたいのは、辞表を提出させる、一般的に見れば圧力をかける、こういった環境の中で理事の方々を勤務させるのではなく、自由に適正な環境で籾井会長の純粋な統率力、指導力を発揮され、そしてNHKの再建、健全な公共放送の経営に尽力をしていただきたい、このように思っておりますので、ぜひ、今回受け取られています辞表、これに関して改めて御検討いただく、そして、しっかりと労働ができる環境をつくっていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 それで、次に申し上げますが、今、NHK役員の方々の話に触れさせていただきましたが、我が国の商法や労働法には競業避止義務、この規定があり、会社である程度の地位や責任、そういった職責を担っていた者は、ライバル企業にはすぐに転職はできません。競業避止義務が有効であるか否かについては、憲法の職業選択の自由、こういった関係が問題とはなってきますが、職業選択の自由は絶対無制約ではなく、公共の福祉による制約を受け得るものというふうに解釈をされているようですので、これを踏まえて、次の質問をさせていただきたいと思います。

 NHKの職員になるのはマスコミ志願者にとって憧れであり、競争率も難易度も高く、難関企業であるのは皆さんも周知のとおりでございますが、その分、入ってからの給与面は本当に待遇がよく、例えば私が選挙の折、事務所で取材を受けた際にも、ローカル新聞の記者さんが公共交通機関を乗り継いだり、あるいはバイクやマイカーを運転してこられるのに対して、NHKの記者さんはハイヤーで取材に来られるなど、そういった風景をよく目の当たりにさせていただいておりました。

 言うまでもなく、先ほども申し上げました、そのような取材費用の原資は、国民からいただく受信料、国民が負担をしている受信料でございます。その受信料でNHKの記者の皆様方は原稿を書き、そしてアナウンサーはその原稿を読む。そういった積年の所作の中で、知識が増し、話し方等がうまくなるのは当然であり、これは本当に喜ばしいことなんですが、最近、人気が出れば早々に退職して、高額な契約金を受け取りフリーランスに転向されるアナウンサーや、NHK職員時代に蓄積した知識や人脈をもとに多くの著書を書いたり、番組を持つ元職員が民放で大活躍している、こういった方々の報道が随所に見られておるところでございます。

 定年退職を除けば、NHKからすれば、こういった方々の転向は宝の損失と称しても過言ではございませんし、国民の皆様からすれば、受信料でここまで成長して、ずっとNHKで日本の公共放送のために活躍してくれるだろう、頑張ってくれるだろう、こういうふうに思っていたのにという国民の思いは本当に強いものがあると思いますし、私も、地元で、またNHKの人がやめたな、NHKは踏み台なのかというふうに聞かれたことも実際にございます。

 国家公務員の皆様方は、国費で留学研修をした場合、一定期間転職はできないか、もしくは、転職をする場合は留学研修費用の大部分を返納する、こういった規定がございますが、NHKは、退職時に競業避止義務に相当するような何らかの規制を設けてはいないのでしょうか。ないとすれば、血税と限りなく似ている、国民が負担する受信料で成長された社員の方々には、公務員の皆さん同様、何らかの制約をつけるべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。

吉国参考人 お答えいたします。

 現状でいいますと、私どもは、競業避止義務のようなものは設けておりません。

 先ほど委員が御指摘になりましたように、競業避止義務は、憲法に定める職業選択の自由との関係から、その適用に当たっては限定的に解し、合理性が認められる場合のみ有効になるとされております。

 確かに、協会が長年かけて育成しました有為な人材の流出は、良質な放送サービスの維持などの観点から非常に残念ではありますけれども、協会として、そこで退職者に対して競業避止義務を課すことまではまだ今のところ考えておりません。もう少し慎重な判断を要すると思っております。

上西委員 ありがとうございます。

 今申されましたように、優秀な人材が流出していく。これまでの委員会でも、ほかの委員の方々より給料の高さを指摘され、優秀な人材を雇うには高い給与が必要だ、こういった旨の答弁を何度も繰り返されていました。でありましたら、なおさら、NHKで力をつけた、そういった優秀な方々が出ていかれる状況には制約が必要だと思います。このような言い方は適切かどうかわかりませんが、国民から、優遇され過ぎだ、改善しろとやゆされている公務員の皆さんでさえ制約がある、こういったことを申し伝えておきたいと思います。

 次に、NHKが放送開始百年を記念して渋谷区神南の放送センターの建てかえの計画をしていらっしゃることについてお伺いをいたしたいと思います。

 報道されているところによりますと、まだ移転場所は未定である旨を常に述べられていますが、それだけの大事業がイロハのイの字も決まらぬうちに公表されるのは、私にとっては大変不可解だと言うほかないんですが、本当に場所すら決まっていないのでしょうか。また、場所すら決まっていないうちに本当に公表されたんでしょうか。お答えをよろしくお願いします。

塚田参考人 お答えいたします。

 新しい放送センターの建設用地につきましては、現在、東京渋谷の現有地及び協会の保有地を含めて、建設予定地の選定作業を続けています。ただ、まだ決定には至っておりません。

 今回、平成二十六年度の予算で新放送センターのスケジュールを公表しましたのは、建設のために多額の資金が必要となるということがありまして、一定の想定をもとに、二十六年度予算に建設積立資産として積み立てを行う必要があるということをお示ししたものでありますので、御理解いただきたいというふうに思います。

上西委員 私も以前、そういった今申し上げられましたスケジュール、そして積み立て予算の必要があるというふうにお伺いをいたしました。ただし、現状は選定作業中ということでございます。

 本当に場所すら決まっていないのであれば、建てかえの予算が、国民から徴収した受信料で行われる、そして額は約三千四百億円、本当に高額なんですね。こういった大きい工事、国民の皆さんからいただいた受信料で、そういった意識があるのかどうか、そういったことを考えていただかないといけないと思いますし、また、場所すら決まっていないのに予算を組んだ、これは丼勘定でいいかげんなものであるということを証明しているようなものだ、そういうふうに私は思っているんですが、いかがでしょうか。

塚田参考人 お答えいたします。

 新しい放送センターにつきまして、今回お示ししました想定スケジュールが平成二十五年度に移行するというようなことを想定して、今回、積み立てについての想定表をお示ししました。

 具体的には、建設経費として千九百億円、それから機械、設備経費として千五百億円、合わせて三千四百億円というふうに想定をしまして、こういった多額の資金がかかりますので、今回、その積み立てについてお示しをしたということであります。

 なお、建設用地、それからどういう形で平成二十五年の業務スケジュール、そのことも考えながら、新しい放送センターについては今建設地を含めて検討しておりますので、もう少しお時間をいただいて、必要なときにはぜひ御説明させていただきたいというふうに思っております。(発言する者あり)

 私の答弁から、平成二十五年と今申し上げましたけれども、二〇二五年の誤りですので、訂正させていただきます。

上西委員 わかりました。今お答えいただきましたが、やはり丼勘定だなと本当に私思っておりますので、ぜひ、きっちりと、しっかりとした予算組みをしていただきたいというふうに思っております。

 また、民放キー局が今全て港区へ集中している現状を鑑み、一極集中を回避するという観点で、NHKも港区愛宕山が発祥の地ではありますが、できればなじみの渋谷区神南で、最低でも渋谷区内での移転を求めるとの話が私のもとには多く届いておりますことをお伝えいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 日本維新の会の三宅博でございます。

 NHK予算について質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、籾井会長の過去の言動、ずっとこれは攻撃されていらっしゃるんですけれども、籾井会長の就任会見のときの発言、ほとんど私は問題ないと思うんですよ。

 ただ、一点だけけしからぬ点がある。これは、あなたがあのときおっしゃった、何か日本だけが強制連行しているみたいなことを韓国が言うというふうにあなたはおっしゃったでしょう。強制連行なんかしていないんですよ。これは先日の予算委員会で、当時の石原官房副長官が参考人として呼ばれて、強制連行はなかったということがもう明らかになっているんですね。その部分については、私は、あなたの会見の発言というのはやはり問題があると。それ以外については、殊さら問題にするようなことはないというふうに思います。

 それから、あと、百田委員さんとかあるいは長谷川三千子経営委員、両委員の発言とかあるいは過去の論文、こういったものも俎上に上げられて、一部これが批判されているんですけれども、こういう部分も、今、安倍さんを初めとして現内閣は、なぜ籾井会長に白羽の矢を立て、百田経営委員、長谷川三千子委員を指名されたか。これはやはり、NHKに対して本当の新しい風、社会一般の常識が入るように、そういうふうな大きな期待を抱かれて、皆さんに白羽の矢が立ったというふうに私は思っております。

 今、うちの上西委員もちょっと言いましたけれども、籾井会長が各理事から日付のない辞表を預かった、これは非常に怖いじゃないですかと言いましたけれども、同じ党なんですけれども、うちは自由な党ですから、同じ問題をとりましても全く考えが違う部分がありまして、私は、籾井会長がとられた、これは一般の法人でもよくあることですので、別に問題ないんじゃないかな。

 私としては、残念なのは、その辞表の執行をされなかった、この部分がちょっと残念なんですね。だから、やはり今こうして、NHKのいろいろな体質の問題とか、こういうことが問題になっている。これはほかの現理事さん方に多くの責任があったので、本来ですと、やはり預かった辞表を執行された方がよかったんじゃないかなというふうに私は思います。

 今の会長の発言等について私がまた答弁を求めると、ちょっと籾井会長も時において勇み足の答弁をされることがあるので、またそれが、言葉尻を捉えたりとか揚げ足をとられたり、こういうことは私は絶対に望みたくないんですね。ああいうことをやはり日本人は余りしたらあかん。弱い者いじめとか揚げ足取りとか、こういうことは余りしない方がいいと思うんですよ。やはり正々堂々と、批判するときは批判する方がいいんじゃないかなというふうに思います。ただ、その部分について会長の御答弁を、申し上げませんけれども、後々、ほかの部分については一つ一つまた答弁をいただきたいと思います。

 次に、やはり人件費の問題。何度も私もこの問題をただしているんですけれども、NHKの高額の人件費、これはもう並外れた高額、社会一般の常識を逸脱しているんじゃないかなというふうに思うんですね。

 これは二十六年度予算ですよ、これを参考にちょっとお話をさせていただきます。

 国家公務員が五十七万六千人おります。そして、人件費が五兆九百九十六億円。一人当たり人件費としては、八百八十五万三千四百七十二円というふうになっているんですね。八百八十五万ですよ、これが国家公務員です。地方公務員も大体、ほぼ似通ったようなレベルであります。

 次に、海上保安庁ですね。海上保安庁は、人員が一万三千二百八人、人件費は九百六十億円なんですね。してみると、一人当たりの人件費、これは、いろいろな手当も含めて、退職手当も含めて、七百二十七万一千八百八十一円というふうなことになるんですね。人件費だけで九百六十億円なんですけれども、総予算は一千八百三十三億九千四百万。その総予算の中には、巡視艇の整備費とかあるいは航空機の整備費、あるいは運航費とか情報通信とか、ありとあらゆる経費を含めて千八百三十三億円なんですね。一人当たりは七百二十七万。

 今、日本の領土が非常に危機的な状況にある中で、あの中国の執拗な、あるいはまたその他の、竹島の問題もそうなんですけれども、日本の領土、主権というものが非常に危殆に瀕しつつある。この中で、海上保安庁の人たちは、昼夜を分かたず、本当に日本の国益、領土、主権を守るために頑張っていらっしゃる。その海上保安庁の一人当たりの人件費が七百二十七万円、総予算が千八百三十三億円なんですね。

 翻って、NHKはどうかといいますと、人件費だけでほぼ海上保安庁の総予算と匹敵する千八百二十八億円。しかも、人数は、海上保安庁は一万三千二百八人、NHK予算は一万二百九十二人。人数ははるかに少ない。しかし、海上保安庁の総予算とほぼ匹敵するといいますか、もう同額と言ってもいいぐらいなんです。一人当たりの人件費、これは、退職手当とか福利厚生費とか含めますと千七百七十七万円。地方公務員、国家公務員の倍、海上保安庁の職員さんの倍以上なんですね。

 これについて、NHKの方の考えをちょっとお聞きしたいと思います。いかがですか。

吉国参考人 お答えします。

 人件費につきましては、やはり、それぞれの団体の職員の構成とか業務の内容によってもいろいろ変わってくるものだと思っております。

 NHKの場合は、これもさんざん申し上げていることでございますけれども、放送の質を維持するためには人材というのがすごく重要なものになっていますので、やはり優秀な人材を採っていくための、そういった意味での給与の考え方があります。その場合には、当然のことながら同業他社ということになりますけれども、もちろん、私どもも、それと全く同じぐらい高いものを求めているわけではなくて、一定の水準で、今でいいますと、多分、一、二割低いということだと思いますけれども、そういう水準であるということです。

 それから、NHKの場合は、かなりの部分、既にもう本体の業務から関連に移っていたり、それからいろいろな外部パワーを使っておりますので、職員の学歴の構成でいいますと、大卒が八割という形になっています。仕事の内容からいっても、非常に不規則な仕事ですので時間外が多い。それから、全国転勤がありまして、二、三年で転勤する人がたくさんいて、単身赴任者も多い。そういうことからいいますと、時間外が多いし、それから住居関係の費用もやはり必要になってくる、そういう要素があるということは御理解いただきたいと思います。

 それで、公務員との比較も非常に難しいんですけれども、ですから、モデル賃金という形で比較するしかないと思うんですけれども、その場合、公務員のキャリアの方々と比べて、三十五歳で比較しますと、NHKが七百万、公務員の方が、これまでの減額措置があって七百万円弱ということですので、そんなに大きな差はないというふうに考えております。

 今までも、ジャーナリズムを志望する学生等も減ってきておりまして、非常に仕事がきついということで、いわゆる三K職場というような形の部分も出ていますので、やはり一定の処遇をして人材を確保していくということが大事だと思っておりますので、何とぞ御理解いただきたいと思います。

三宅委員 また同じような答弁をされますね、放送の質の維持とか。その放送の質が今問題になっているんですよ、余りにもその質が悪いと。うちの中田委員も言ったでしょう。にもかかわらず、優秀な人材を確保するためにとか、特殊な事情とか、いろいろと抗弁なさるけれども、私が今言った数字に誤りはないでしょう。だから、これを言っているんです。

 余りにも、他の公務員の方と比較して高額過ぎる。公共放送と言うのであれば、みなし公務員みたいな感じで計算すればいいんですよ。してみると、余りにも高額な人件費をとり過ぎだ。これは、言ってみれば、私の個人的な考えからすると、犯罪行為に等しいんじゃないかなというふうな思いまで本当にしますよ。つかみ銭で、天から降ってくる金やから、これはみんなで山分けしていいんじゃないかなというふうな思いで、このような高額の人件費を計上していらっしゃるのじゃないかなというふうに思えてしようがないんですね。

 次に、それでは、優秀な人材がつくった番組内容の方にちょっと入っていきますけれども、反日偏向報道の実態について、またこれもお話をさせていただきます。

 この本をちょっと紹介したいんですけれども、「これでも公共放送かNHK!」といって、神奈川大学の小山和伸さんという教授が先日上梓された本なんですけれども、この中に、NHKのとんでもない反日偏向報道あるいは捏造報道、こういったものがずっと羅列されているんですね。NHK問題に関心がある方は、ぜひともこれを読まれたら、えっと、本当に目からうろこ、あの、いいと思っていたNHKがこんなことをしていたのかというふうに思われると思いますよ。

 その具体的事例につきまして、一つは、五十一年目の真実という番組なんですけれども、平成八年の五月二十日に放送されました。これは、軍が慰安婦の募集について強制的にやったというふうなことを放送の中で言ったんですけれども、事実は全く違うんですよ。悪質な女衒といいますか業者が不法な行為をして慰安婦を集めている、これをやめさせなあかんとして指導をした。それをやめさせようとしてそういうふうな文書を出したのに、その中から適当に継ぎはぎして、強制的に慰安婦を募集するのに軍が関与したというふうに、極めて悪質な番組内容をやってしまったんですね。

 次に、女性国際戦犯法廷、これも前にも紹介させていただきましたけれども、これは平成十三年の一月三十日に放送された番組で、この女性国際戦犯法廷、被告は誰かというと、昭和天皇陛下なんですね。昭和天皇陛下を、いろいろありますけれども、強姦による罪で、この法廷は最終的には死刑というような判決を宣告したんですけれども、これはとんでもない反日集団の茶番劇なんですね。これをNHKは大々的に報道した。

 しかも、NHKを挙げてこれを宣伝したんですよ。七時のニュースであるとか、あるいは「おはよう日本」であるとかその他のニュースをもって、一カ月以上も前から、今度こういう放送があるんですよというふうなことを放送したんですね。これは本当にとんでもない番組であります。

 次に、今度は「JAPANデビュー」ですね。これは平成二十一年の四月五日。台湾の方々をロンドンの博覧会に人間動物園として連れていった、見せ物にしたというんですけれども、そうじゃない、これはあくまでもその文化を紹介するという意味でやったんですね。

 それから、申し忘れましたけれども、さっきの女性国際戦犯法廷、これは、単にNHKはこれを紹介したのみならず、本当にそういうふうな反日集団と連携してこの番組をつくったんですね。その証拠に、この法廷集会の運営委員に名を連ねていた池田恵理子なる人物は、何とNHKエンタープライズ21のプロデューサーである。NHKのプロデューサーが反日集団と一緒になってこんな番組をつくったんですよ。

 どう思うんですか、これ。事実でしょう。うそと言うのであれば、おっしゃってくださいね。

 それから、今お話をしておりました「JAPANデビュー」、こういうふうな台湾の方々に非常に、しかも報道姿勢そのものに非常に問題があって、後で編集して悪意に満ちた番組をつくったという許しがたい部分があります。こういうふうな偏向反日報道、捏造報道をずっとし続けている。

 また、反対に、保守系の方のいろいろな動きについては全く報道しないんですね。平成七年の四千人デモ、これは戦後五十年の謝罪決議に抗議する四千人デモを報道しなかった。あるいは、五年ほど前なんですけれども、中国大使館に対しての抗議デモ、これは警察発表で五千八百人、これも全く報道しなかった。余りにも偏った報道をずっとし続けてきているんですね。

 ここで、総務大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、総務大臣、きょうのNHK予算の提案理由につきましても、協会の経営が国民・視聴者の負担する受信料によって支えられているとの認識のもと、業務の効率化、合理化をするとともに、説明責任を果たすというふうにきょうの提案理由の中でおっしゃっているんですけれども、先日いただいた総務大臣の意見の中で、「国内放送番組の充実」として、「我が国の公共放送としての社会的使命を認識し、国民の生命と財産を守る正確で迅速な報道の確保や国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える番組の提供等を行うとともに、我が国の文化の向上に寄与する」、あるいは、「国民各層の中で意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにするなど、」できるだけ多くの角度からですよ、「放送法の趣旨を十分に踏まえ、正確かつ公平な報道に対する国民・視聴者の負託に的確に応えること。」というふうな意見を付されているんですね。

 これは、今までのこの委員会でのやりとりを大臣そのものもかなり深刻に受けとめて、今までになかった踏み込んだ大臣意見をこういうふうに記されたと思うんですけれども、ここについて、大臣の所感といいますか、これをお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 私としては、放送法を遵守して、そして国民にとってよりよい公共放送となってほしい、こういう思いを込めて、それはどういうことが必要なのかということを少し細かく記述させていただいたわけであります。

 これまでのところは、委員が御指摘のように、二十五年度においては、これは「放送番組の充実等」という一くくりでくくられておりました。それを今回、私は、「国内放送番組の充実」と、それから「国際放送の充実による海外情報発信の強化」、こういうふうに二つに分けて、それぞれ今委員が御紹介いただいたような、これは放送法に書いてあることで、やらなければいけないことなのでありますが、そういったことをしっかりと意識してください、こういうことを申し上げました。

 それから、放送コンテンツの海外展開も、それから女性職員の採用、登用、そういったもの、それからスーパーハイビジョンについては、平成三十二年の東京オリンピック・パラリンピックの目標、こういったさまざまな新しいものを今回の意見では付させていただいております。

三宅委員 どうもありがとうございます。

 大臣も本当に深い問題意識を持たれて、このような意見になったと思います。

 先ほど来、放送法についてずっと論議されておりますが、NHKがずっと、過去、放送法に対して違反してきたというふうに私は思うんですね。

 もう一度これは紹介しますけれども、放送法の第四条に何が書かれているか。「放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。」として、第一項、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」NHKはこれを害していると思いますよ。それから二番、「政治的に公平であること。」これは不公平だと私は思いますよ、NHKがね。それから三番、「報道は事実をまげないですること。」平気で曲げてやっているんですよ、さっき言いましたように、軍のああいう書類。それから四番、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」意見が対立している片っ方の保守系の方の動きについては全くこれを報道しない。この放送法第四条全てに違反しているというふうに思います。

 今度は、放送法の第十五条ですね。日本放送協会、「公共の福祉のために、」というふうになっているんですね、「あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行う」となっているんですけれども、ここにも違反しているというふうに私は思っております。

 こういうことをずっと長年にわたって、最近は特によりひどくなってきているように思うんですね。

 以前、どちらかといいますと左翼の方々といいますか反日の方々は、国旗・国歌の放送を番組終了時にやっていましたよね、あのときに、それを反対といいますか、それがいかぬと言ってずっと不払いをされてきたんです。ところが、一時期、またあれが中止された。NHKが、自律した編集のもとに全然やっていないというふうに思います。このように、明らかな、もう時間も余りないので、答弁もいただきませんけれども。

 それから、受信契約、受信料について。

 これも今いろいろな学説があり過ぎるんですね。言ってみれば、慶応大学の平野裕之先生とかあるいは東海大学の谷江先生なんかは、この受信料については、これは訓示規定だ、だからお願いするんだ、強制的に取るのは間違いだというふうなことをおっしゃっている。それはいろいろと裁判にもなっていますよね。朝日新聞の本多勝一記者、これは有名でしょう、慰安婦問題であるとか、言ってみれば反日記者なんですけれども、彼はNHKの受信料を払っていないんですね。それはなぜかというと、「NHK受信料拒否の論理」という本を彼は上梓しているんですね。へえと思いましたね。NHKと本多記者というのは仲間内かなと思ったら、そうでもないのかなというふうな思いが私はいたしました。

 こういうふうなことをずっとやってきたということなんですね。

 放送法の六十四条、このことは、ちょっとこの部分については、もう一度国会でやはり論議をしていかなくてはならないんじゃないかな。

 NHKは、放送料のことについて、いや、これは特殊な負担金なんですよという言い方をしているんですね。我々からしたらこれは税と一緒でしょうと言ったら、いや、これは特殊な負担金なんですというふうにNHKの方は反論しているんですね。

 特殊な負担金。それでは、なぜ、税と特殊な負担金と違うかといいますと、税であるならば、もっと厳格な法の規定というものがやはり必要になってくるんですね。ところが、特殊な負担金ということでNHKはずっとこれを逃げているんじゃないのかなというふうに思いますけれども。

 これはやはり、今みたいな形で、見たくないのに、NHKの番組なんかもう見ていない、にもかかわらず受信料を払わされる。あるいは、NHKのその報道内容がけしからぬといって、こんなのはとてもじゃないけれども払いたくないというふうにおっしゃっている、こういった方も払わざるを得ない。これは、憲法の第十九条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という、その憲法に違反しているんじゃないかな。まさにこの論点が、今、NHKの受信料の裁判でずっと主張されているんですね。

 これは、もう一度言いますけれども、わかりやすい例で言いますと、私がおなかがすいて、そば屋へ行って、てんぷらそば定食を注文した、出てきたのが中国の毒ギョーザだった、これで金を払う人はいないでしょう。NHKの受信料もそうなんですよ。あまねく良質でいい放送を期待しているにもかかわらず、まあ、言うたら、とんでもない反日偏向番組がずっとし続けられている。だから、NHKに対して受信料は払いたくないということを言っているんですね。

 これも、前回も言いました。私の結論ですね。NHKは本当に日本と日本人の敵だ、今のあの放送内容からしますと。もう旧国鉄と一緒。自浄機能、自己回復能力、これがないんです。ここまで腐敗、堕落したNHKというのは解体するしかない、それが日本のためである。その具体的な方向、姿について、これからも国会の英知を絞ってやっていかなくてはならないということを申し上げて、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

高木委員長 次回は、来る二十七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


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