衆議院

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第13号 平成26年4月8日(火曜日)

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平成二十六年四月八日(火曜日)

    午後二時三十分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大西 英男君

      門山 宏哲君    木内  均君

      小林 史明君    清水 誠一君

      助田 重義君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    高橋ひなこ君

      中谷  元君    中村 裕之君

      牧島かれん君    松本 文明君

      山口 俊一君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      濱村  進君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           原口 一博君

   議員           鈴木  望君

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        関口 昌一君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   参考人

   (日本放送協会理事)   木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  長坂 康正君     牧島かれん君

  西銘恒三郎君     青山 周平君

  湯川 一行君     助田 重義君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     西銘恒三郎君

  助田 重義君     湯川 一行君

  牧島かれん君     高橋ひなこ君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     長坂 康正君

    ―――――――――――――

四月七日

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)

 地方公務員法等の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二四号)

 地方公務員の労働関係に関する法律案(原口一博君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二五号)

 地方公務員の政治的中立性の確保のための地方公務員法等の一部を改正する法律案(重徳和彦君外三名提出、第百八十五回国会衆法第二〇号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事木田幸紀君及び理事福井敬君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長門山泰明君、情報流通行政局長福岡徹君及び総合通信基盤局長吉良裕臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。きょうもまた質問の時間をいただき、感謝を申し上げたいと思います。

 きょう質問させていただくテーマは、昨年の十一月にも本委員会で関連で質問させていただきました。地方自治体の役割というのは、地方自治法にも書いてありますように、住民の福祉の増進を図ることであります。そして、そのために地方自治体は公務員を雇用し、公共サービスを提供しているということであります。

 ただ、昨今の状況を見ますと、総務省の調査によるわけでありますけれども、平成二十四年の四月時点でありますが、約六十万人、臨時、非常勤職員の人がみえる。これは平成二十年に比べると約十万人増加をしているということであります。そして、この臨時、非常勤職員の人が増加をしているだけではなくて、同時に正規の職員の人が減少し続けているということであります。

 また、これは新聞社の調査でありますけれども、西日本新聞の調べによりますと、これは九州であります、九州では全体で四人に一人が非正規職員となっている。そしてまた、非正規の割合が六割を超える自治体もある、こういう調査が西日本新聞によって公表されております。これは、人件費を削減するために正規から非正規に置きかえられているのではないか、こういうふうに想像するわけであります。

 前回の質問のときにも言及させていただきました。確かに、国全体あるいは自治体でも財政状況が厳しい、そういう状況の中にある。そしてまた、税金でありますから無駄なことはしてはならないということであります。しかし一方で、住民の人たちの福祉を増進していかなくてはならない。こういう中で、私は、職員、正規の皆さん、あるいは臨時、非常勤の職員の皆さんに大変にある種のしわ寄せが来ているのではないか、もちろん、それぞれの皆さんが頑張っておられる、そして、全体でも、今申し上げたように、財政状況が厳しい、しかし、それを個人のある種の負担、そうしたものにやはり追い込んでいってはならないんだと思うんです。

 先ほど申し上げましたが、六十万人の臨時、非常勤の職員の人たち、六十万人のうち全体で七四%、保育士などの分野では九六%が女性となっている、こういう数字も出ております。これは、政策決定の場などを男性に任せる一方、社会福祉など住民に直接対応する仕事は、残念ながら、低賃金の非正規、結果として女性に任せることになっているのではないか、こう懸念するわけであります。

 そこで、大臣にお伺いをしたいわけでありますが、今申し上げたように、正規職員が減少する一方で、臨時、非常勤職員が増加をしている、こうした現状について、大臣の率直な認識をお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 今、近藤委員が御指摘いただきましたように、平成二十年から二十四年にかけて、臨時、非常勤職員は約十万人増加している。一方で、正規の職員が約十三万人減少しているということでありまして、この数字から見れば、臨時、非常勤職員が正規職員の代替といいますか、そういったものになっているのではないかという指摘があるのもまた一面の事実だ、このように思います。

 しかし、個別の行政分野ごとに見てまいりますと、早朝保育ですとか延長保育、また少人数学級の開設という多様化、高度化する行政ニーズに対して地方の現場で対応するために、臨時、非常勤職員の皆さんの働く場がこれまで以上にふえている、こういうことも側面ではあるわけでございます。

 地方公共団体がこうした多様な行政サービスに対応していく必要がある、あわせて、さまざまな働き方へのニーズがある、こういうものも踏まえながら、よりよい地方自治、行政運営のためにさまざまな工夫が重ねられているのではないか、このように考えているわけでございます。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣が今おっしゃったように、個別に見てみると、足りないところに新たなニーズが生まれて、そこに新たな職が生まれているということでもあるのかもしれません。

 ただ、もともと、臨時職員、非常勤職員は確かにそういうところがあったと思うんです。時によって子供さんがふえるとか、あるいはそのときの経済の状況とかでニーズが変わってくる、こういうところがあるんだと思います。そういうところに臨機応変にそうした仕事の提供というものが行われているところもあるんだと思います。

 当初、専門的な知識を持った方が、例えば、精神的な悩みについての相談をする、ですから、月曜日と水曜日、週に二回とか、まさしく臨時で非常勤でそうした方が来てそうした相談に乗ってきた。そういう時代、そういうところも、もともと臨時、非常勤職員の仕事というところにはあったと思うんです。

 ただ、一方で、最近は、これは昨年の十一月にも言及させていただきましたが、ある種、非常に経常的といいましょうか、実は、日ごろから、平常から必要となっている仕事に常に臨時、非常勤ということで仕事をせざるを得ないというところがある。臨時、非常勤でありますから、雇いどめ、そういうような危機もある。

 先ほども申し上げましたが、確かに大臣がおっしゃったようなところもあるのかもしれませんが、全体でいうと、割合としては、そうした臨時、非常勤の人たちが余りにもふえているのではないか、このことを危惧するわけであります。もう一度、大臣、その辺はいかがでありましょうか。

新藤国務大臣 行政の現場においてさまざまなニーズがあるから、それに対してきめ細かな対応をしようとすると、そこに必要な人数が出てくるという側面があります。それから、働き方もどんどんと変わっていって、子供を育てながら働く、また、自分で、家と仕事を両立させるための、そういう限られた時間を有効に活用しよう、こういう方もいると思います。

 ですから、一概に、これで全て万端、万全ですとも言えないし、また、全くもってこれが今非常に不都合である、こういうふうにも言い切れないところがあるから悩ましいわけでありまして、しかし、この非常勤の職員がどんどんとふえていっている、それは、世の中で非正規雇用がふえていっていることと符合する部分があると思います。

 ですから、できるだけ、人間は豊かに生活を送る、そして自分が求める暮らしというものを実現させるためには、やはり行政も、社会的に対応を工夫していかなくてはいけない。こういう中で、地方公務員の世界においてもさまざまな工夫をしていく。それには、まず現場の声をきちんと聞く。実態を踏まえた上で適切な対応をしなければいけない、これはいつも心がけているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 新藤総務大臣もよくそうしたことは御理解をいただいているんだと思いますけれども、本来の、今大臣も言及していただいた臨時、非常勤職員の皆さんが担ってきたところから、もっともっと平素から常にニーズがあるというところに随分と、私は、そうした職場がふえていて、そういう中で働いてみえる方が、ある意味でといいましょうか、非常に厳しい状況の中で働いている。そして、かつ非常勤でありますから、雇いどめのような不安がある、こういうことだと思います。私は、それでは、先ほども冒頭に申し上げました、地方自治体の役割は住民の福祉の増進を図るということでありますから、そうしたことに対して影響が来るんだというふうに懸念をしているということであります。

 それで、大臣、先ほどちょっと女性のことについても触れさせていただきました。非常勤の方の中で特に女性の占める割合が多い、こういう数字が出ているということであります。そういう意味では、安倍政権では積極的な女性の登用をうたっているわけでありますが、臨時、非常勤の立場で政策決定に携わるような場面は少ないのではないか。そういう意味では、女性の登用にはつながりにくいと思うわけでありますが、大臣、その点はいかがでありましょうか。

新藤国務大臣 先ほども触れていただきましたけれども、臨時、非常勤職員の四分の三は女性であります。これは、臨時、非常勤職員が公務運営の重要な一翼を担うとともに、職種が看護師、保育士、給食調理員さん、こういう方々はやはり女性の比率が高くなるのは至極当然のことではないか、このように思いますし、そういった意味で全体的に女性の比率、割合が高くなっている、こういうことは認識しております。

 しかし、これに加えて、臨時、非常勤だけでなくて正規の職員においてもやはり女性の活躍を期待したいと思っているわけです。安倍政権が積極的な女性の登用を図っている、これは成長戦略の一つでもあって、今すぐ推進していこう、こういう大きな項目の一つなんです。

 その上で、私どもとしても、地方公共団体における管理職の女性の割合をふやしていきたい、このように考えています。既に数字は出ておりますし、委員も御承知だと思うんですけれども、既に何度も会議をやらせていただいております。会議の場を通じて、平成二十五年度だけでも女性の登用についての働きかけを全国で九回行わせていただいておりますし、それから、女性の採用についての通知も発出させていただいているわけであります。

 それからさらに、今回工夫をいたしましたのは自治大です。自治大学校の女性の幹部登用研修というもの、これまで年に一回百二十名の定員で行っていたんですけれども、これを拡充しようではないかということで、今年度から年二回二百四十名の定員でやろうと。全国から元気な女性の幹部候補生というか自治大で研修する人、この人たちは、戻って、やがて幹部になることを期待されるわけでありますけれども、そういった皆さんのコースも倍増させていただいて、そしてまた、そういうところでどんどんと張りを持って女性ならではの視点からのすばらしい行政を展開していただきたい、そういう機会を広げていく、そういう努力をさせていただいているところでございます。

近藤(昭)委員 そうした取り組みをぜひ、男女が平等に雇用を受ける中で、そしてまた、それぞれの役割、能力がしっかりと発揮できるように、だからこそ、安倍政権でもそうした女性の登用について積極的な施策をされているんだと思いますが、ある種、現状を打破していくためにはそうした特定の施策、今いろいろと大臣にもお触れいただいた施策が必要なんだと思いますので、そうしたことを積極的に進めていただきたいというふうに思うわけであります。

 さて、もう一度、臨時、非常勤職員の方のことについてお伺いをしたいと思います。

 冒頭でも申し上げ、そして大臣にもお答えはいただいたところでありますけれども、臨時職員そして非常勤職員の皆さんの役割、位置づけというものは、大臣もおっしゃったように、そのときのニーズ、あるいは専門的な知識の必要性でそうした役割、位置づけがあるんだ、こういうことだろうとは思うんです。ただ、申し上げましたように、そういうところでないところに随分と、そうした臨時、非常勤職員という不安定な立場で仕事をされている方が多いのではないか。

 先ほど申し上げたように、臨時、非常勤職員の割合が六割ということは、これはやはり、まさしく臨時の職場に対してそうした方がそういう立場で働いているというものではないんだと思うんですね、六割にもなっているというような状況では。そうすると、こういった自治体では、臨時、非常勤職員の存在なしでは業務が立ち行かないのではないかと思うわけであります。

 そうした場合でも、この六割の人を臨時的、補助的な職と言っていいのか、そしてまた、そういう立場で仕事をしてもらうという状況でいいのかということだと思いますが、大臣、いかがでありましょうか。

新藤国務大臣 私もこの新聞報道は承知しているわけでありまして、長崎県の佐々町というところでしょうか、非正規職員の割合が六割を超える自治体がある、このような御紹介もあるわけであります。

 法制度上は、臨時、非常勤職員は、あくまで臨時的に、そして補助的な業務に任期を限って任用されるものであって、その業務の内容や責任の程度は正規職員と異なるべきものである、このように承知をしております。しかし、例えば公立保育所の運営に当たって、将来の民営化を見据えたり、一時的な保育需要の増加に対応するために、当面の対応として臨時、非常勤の保育士が任用され、業務に従事するといった、実際の地方行政の現場では行政サービスの重要な一翼を臨時、非常勤職員が担っている、こういう実態は否定できないわけであります。

 こうしたことを踏まえまして、正規職員と同様の本格的な業務に任期を限って従事させるための仕組みとして、平成十六年からでございますけれども、任期つき職員制度を地方独自に整備拡充したところでありまして、この活用実績は、福祉や教育などの対人サービス分野を中心に非常に高い伸び率を示しております。毎年大体二〇%から三〇%ぐらいの割合でふやしている、こういうところであります。

 先ほども申しましたが、高度化し多様化する行政ニーズに的確に対応するために、こうした制度も使って、さまざまな運用がなされるように期待をしたい、このように思います。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 大臣のおっしゃることも、そういう側面もあるんだと思いますが、ただ、やはり六割という町があるというのは、六割というのはかなり普通でない数字だと思います。

 そういう意味では、総務省として、そうした臨時的、補助的な職員の人たちがふえている、そういう中で、行政サービスにどんな影響があるのか、例えばそういう調査をしていらっしゃるのか、あるいは、何らかの聞き取りと申しましょうか、そうした状況が住民サービスに与える影響があるのかないのか、あるとしたらどういう影響なのか、そこについてはどのように認識していらっしゃるといいましょうか、検討していらっしゃるんでしょうか。

新藤国務大臣 地方の現場におきまして、どの業務にどのような任用や勤務形態の職員を充てるか、これにつきましては、住民サービスの維持向上を前提にして、各地方公共団体が、それぞれの実態を踏まえて、責任を持って適切に判断されるべきものだ、このように考えております。

 また、地方団体においては、それぞれの実情に即して、最適と考える任用、勤務形態の人員構成を実現する、そうした中で、最小のコストで最も効果的な行政サービスを提供できるように、このような取り組みをされていると思いますし、そのような努力があるわけであります。

近藤(昭)委員 冒頭にも私も申し上げましたように、税で動いているというところであります。そういう意味では、効率の高い提供の仕方というものがもちろん前提になるわけだと思います。

 ただ、先ほどから申し上げておりますように、ここ数年で、これも大臣もお答えいただいているように、時代の変動の中でそうしたニーズが臨時的に出てくるから、そうしたものに対して対応しているんだというお答えではありますが、一方で、これも今申し上げたように、六割もの人が臨時、非常勤職員で働いているというのは、やはり、そこに何らかのギャップが必ずあるんだと思うんですね。

 それは、財政的に追いつかないといいましょうか、やはり予算の中でどうしても動かざるを得ないようなところがある。予算が限られているけれども、しかし行政サービスをしっかりとしていかなくてはならないから、それぞれの自治体が臨時、補助的なことで職員の人を雇わざるを得ない、そのことによって行政サービスを維持し、あるいは向上させていこうとする。

 しかし一方で、そこのギャップが大き過ぎると、やはり、その方の報酬が非常に厳しいものになってくる。さらに、その人が非常に無理をするというか、負担がかかってくる、こういうところがあるんだと思います。あるいは、職場によっては、現場に非正規職員しかいない、こういう職場もあるようであります。そうすると、非常時の対応や、あるいは業務の引き継ぎ、そうしたことで問題が出てくるのではないか、課題が出てくるのではないか、こういうふうに思うわけであります。

 大臣、まず一点としては、そのギャップというのがかなりあるのではないかという私の危惧、そしてもう一点は、非常勤の人しかいないという中で、引き継ぎ、あるいは非常時の課題、問題があるのではないかと思いますが、いかがでありましょうか。

新藤国務大臣 まず、公務員の働き方の問題につきましては、これは国家公務員も同じです。国も地方も同じなんですが、委員も、役所の中がどういうふうになっているかというのは御承知だと思います。

 よくよく考えてみると、私たちは、行政改革をせよ、そして仕事の効率化を図れと言っておりますけれども、そこで減った仕事はないんですよね。よりサービスをよくするためには、きめ細かく、柔軟に、多様性を持って対応しようと。ですから、仕事はふえ続けているんです。かつ、社会がどんどんと変わって、それぞれの生活スタイルも変わってきて、一人一人が自分たちの満足を追求する度合いは今まで以上にこれからもふえていくわけですから、そうすると、仕事は減らないまま、多様性がふえる。

 一方で、特に公務員については、行政改革の中で、人件費の問題と、それから定数の問題、これはずっと取り組んでいるわけであります。したがって、仕事はふえているが人は減らしている。効率化を図るための工夫をしているが、結果的には、そこにすき間を生じさせるわけにはいかないから、それをどう手当てするかということの今ジレンマがあるということだと思います。

 それから、委員が御指摘をいただいたような、例えば、合併によって市が広域になって、しかし、かつての役所が支所となって、幾つにも業務が逆に分散してしまっている。しかし、かつての役場のように職員はいないわけですから、そうすると、どうしてもそこにすき間が生じてしまう。

 これは、臨時の職員にそこに入っていただくにしても、責任ある対応というのは、当然責任の度合いが違うわけですから、こういうジレンマの中で、では我々はどうしたらいいんでしょうかということをいつも頭に置きながら、できるだけ処遇の改善は図っていきたいと思うし、そしてできるだけ業務は効率化させていきたいしという中で、やはり我々も今、これはずっと課題にしながらこなしてきている、こういうことだと思います。

 ですから、この先に、一つは、ICTによって電子行政を進めることで省力化ができないだろうか。本当の意味で、仕事の質を落とさずに、一人一人の業務量の負担を減らすことで、その浮いた部分を足りないところにいけるのではないか。残業を減らすことにもつながると思いますし、やはり何かしらの工夫をしないと、今のままでいいとは私も思っておりませんので、いろいろな工夫をしていきたい、また研究をしていきたい、このように考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうした、大臣もおっしゃったバランスといいましょうか、一つの課題を解決しようと思えば別の課題が出てくるような、財政的な課題が出てくるような、そういうところもあるんだと思います。

 ただ、もう何遍も繰り返しませんが、そうしたものが個人の責任に帰さないようにしていかないといけないと思います。そういう意味では、あらゆる施策を投じていかなくてはならないと思います。

 それで、お伺いをしたいのは、そういう中で、確かに、課題が百点で全部は解決できないんだ、段階を追って、あるいは今大臣もおっしゃられたICTを利用するような新しいものもやっていく、そういうことで総合的にやっていかなくてはいけないんだと思います。ただ、一方で、非常に厳しい処遇で働いておられる方がいるんだと思うんです。

 これは働く人たちでつくる自治労の調査なんですけれども、二〇一二年でありますが、臨時、非常勤職員の六割以上が週勤務時間で正規職員の人たちの四分の三以上になっている。しかし、賃金については時給平均は八百円台であるということ。平均月給が十四万から十六万が最多層となっていて、多くの臨時、非常勤職員の年間賃金は二百万円前後、それ以下となっているということであります。

 正規職員と質的、量的に同じような働きをしている臨時、非常勤職員が多い中で、つまり、大臣もおっしゃったように、これは確かに臨時的な仕事かもしれない。去年はなかったけれども、ことしはニーズがあるからここに臨時的に職員の人をさらに雇用してやっていくということかもしれない。しかし、仕事の内容が同じであって正規の人との差が大きいということは、やはり不公正であるんだと思うんですね。

 ですから、たとえ臨時、非常勤であっても、同じ仕事をしていれば賃金水準としては同等でなければならないと思うのでありますけれども、臨時、非常勤職員の方の賃金のあり方について大臣はどのようにお考えになるか、お聞かせをいただきたいと思います。

新藤国務大臣 臨時、非常勤職員の処遇については、これは原則でありますけれども、地方公共団体が、この制度の趣旨、勤務の内容に応じた任用、勤務条件を確保できるように、みずから責任を持って適切に対応すべきだ、このようなことが原点です。

 その上で、総務省としても、二十一年の四月でありますが、臨時、非常勤職員の任用に当たっての留意事項を通知を発出させていただいております。まず、報酬につきましては、常勤職員の給料と同様に、職務給の原則を踏まえて、職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべき、さらに、通勤費用の相当分については、費用弁償として支給することができる、時間外勤務に対する報酬について、支給しなければ労働基準法の規定に抵触する等の助言を付した通知を出させていただいているわけであります。

 また、各地方公共団体の人事担当者の会議等の場においても、その内容の周知徹底には努めてきているわけでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうしたものが適切になされるように、通達を出しているということであります。

 そうしたことをしっかりしていただきたいという一方で、ただ、先ほど申し上げました調査によると、残念ながら、変わらないような働きをしている実態がある中で二百万円前後ということで、やはりまだ差がかなりあるのではないかと思うんです。

 もちろん、その二百万円の方が、ほかでの収入があるのかないのか、どういうような状況で働いているのか、いわゆる周辺の状況はさまざまあると思いますが、二百万円前後である、非常に厳しい中で働いている方が多いということ、この金額といいましょうか、そういうことについては大臣としてはどのように思われますでしょうか。通達は出ても、まだ追いついていないところがあるのではないかと思いますが。

新藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、地方の現場で行政サービスが多様化している、そしてそれに対応するための新しい仕事がある。一方で、働く側の方々も、働き方へのニーズというのがさまざまあるという中で、地方公共団体がそれをうまく組み合わせをして効果的な行政サービスを提供されるように、そういう工夫をしているんだというふうに思います。

 先ほども申しましたが、臨時、非常勤の職員の方々につきましても、報酬は、これは常勤職員の給料と同様に、職務給の原則を踏まえる、この原則を大切にしていただいて、具体的な職務の内容に応じて適切な判断をしてほしい、このように思っているわけであります。

 これはまた引き続き、私どもとすれば、そうしたことは地方団体の皆さんに助言をさせていただきたい、このように考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 繰り返しになって本当に恐縮でありますが、これは国でもそうでありますけれども、地方自治体の役割は住民の福祉の増進を図ること、やはりその目的のためにしっかりとした体制をとっていく。そして、その体制を担う方々の働ける状況というものがしっかりと守られていくといいましょうか、しっかりとしたものでなければならないと思っています。そういう意味で、大臣には引き続き、そうした施策をしっかりと推進していただきたい、そう思うわけであります。

 それでは、NHKの受信料についてお伺いをしたいと思います。

 現在では、パソコンにチューナーをつけるとNHKの放送が見られるようになっているということであります。また、ワンセグ対応の携帯電話やスマートフォンでも見られるわけであります。このようなパソコンや携帯電話を持っている人に対する受信料の徴収体制と支払い状況というのはどうなっているのか。また、こうしたパソコンや携帯を持っている人の数はどの程度いると推測あるいは調査していらっしゃるのか。

 特に若い人たちの単身世帯では、据え置き型のテレビを持たない人がふえているわけでありますが、テレビを持たない層がふえて、そうした人から徴収しないのであれば、実質的な徴収率は低下をして、受信料収入が減っていくのではないか、こう危惧するわけでありますが、その対策、対応についてどのようにお考えであるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

福井参考人 パソコンそれからワンセグつきの携帯電話につきましても、テレビ放送が受信できれば受信契約の対象になりますことから、テレビを設置している場合と同様に、訪問等によりまして、契約が必要であるということを説明した上で、御契約をいただくように鋭意努めております。

 ただし、受信契約者の方から受信設備の形態まではお届けいただいていないために、パソコン、ワンセグなどの形態別の受信料のお支払いの状況等については把握をしてございません。

 御指摘のとおり、若年層の方々からも受信料をお支払いいただくための取り組みが重要だと認識してございます。このため、新社会人や学生の方々が新生活を始める春から、NHKのホームページとか番組のスポット、それからパンフレット等を通じまして、受信契約の必要性について積極的に周知をしてございます。

 それから、大学に協力をお願いしまして、新入生に対しましても受信料制度について説明をする機会を設けるとともに、NHKに関します講座を開設するなど、NHKに対します理解を深めてもらうためにさまざまな取り組みをして、契約の増加に向けてやってございます。

近藤(昭)委員 そうした啓蒙活動といいましょうか、そうしたことをやっているということでありますが、仕組みとしては、今も申し上げました、最近ですと、据え置き型のテレビを持っていない、テレビとしてはパソコンあるいはスマートフォンで見ている、こういう単身の学生の方、そうでない方もいらっしゃると思うんですが、多いのではないかと思いますが、そういうところにも本来はそうした契約を結んでもらう、こういうことでありましょうか。そして、その状況というのはどういうふうに想像していらっしゃるんでしょうか。

福井参考人 ワンセグ等の受信契約の必要性につきましては、NHKのホームページ、各種パンフレット、それから携帯電話各社のホームページで広く周知して、丁寧な説明に努めてございます。

 ただし、今どれぐらいの数そういう契約があるかということにつきましては、先ほども申しましたように、受信契約形態別に把握していないということで、これは推計も今現在出てございません。

近藤(昭)委員 わかりました。

 きょうはその状況を大まか聞いてということにしておきますが、実態がわからない中で、なかなか対応というのは難しいのではないかということを指摘したいと思います。

 そうしますと、ちょっとまた違う角度からお聞きをしたいと思いますが、パソコンということで申し上げますと、オンデマンドというインターネット配信による視聴が今可能となっているわけであります。

 地上波と衛星放送の受信料については、放送法第六十四条によって規定をされている、支払いは義務づけられていないという特殊な形態になっている。

 一方、オンデマンドは、放送法における放送の定義の外にあると思われるわけであります。その契約については、私も知り合いの人から、周りの人からたびたび、受信料と料金の二重取り、つまり、一度放映して受信料を払っている、そして今度は、オンデマンドということで、それを見るときにまた料金を払っている、二重取りではないかと質問をする方もいるわけであります。

 オンデマンドによって料金を徴収できる根拠は何なのか、お知らせをいただきたいと思います。

福岡政府参考人 御指摘のNHKオンデマンドでございますが、このサービスは、放送法第二十条第二項の規定に基づきまして、通信サービスとして、御指摘のようにNHKの任意業務として行っているもの、そういう位置づけでございます。

 これも御案内かと思いますけれども、NHKの過去のすぐれた、いわゆるアーカイブと言われる番組資産、あるいは見逃した番組などをインターネットを通じて手軽に利用できるサービスということで、国民・視聴者の皆様方にとっても有用なものであるというふうに考えてございます。

 それで、このNHKオンデマンドを具体的に提供するに当たりましては、NHKにおきまして、著作権の処理あるいは通信回線の利用料等々が、放送による提供とは別にかかる、そういうコストがかかるというものでございます。また、これはあくまで、インターネットを通じて利用されようとする特定の利用者の方々のみに対して提供するということでございます。そういうことから、受益者負担を求めることが妥当であり、受信料とは別料金を徴収するというような考え方に基づいているものでございます。

 なお、同じことの繰り返しになるかもしれませんが、外形的にも、今申し上げましたように、オンデマンドサービスは通信サービスでございまして、受信料はあくまで、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者が負担する。したがいまして、ある意味、今申し上げました特定の利用者のみが通信サービスとして受益をするものに対して受信料を充てるということになりますと、利用者間での公平の問題も生じるというようなことから、別の料金を徴収しているものでございます。

近藤(昭)委員 そうした、本来といいましょうか、受信料で受けている趣旨とは違い、新たに提供するサービスに伴う費用である、こういうことだと思います。ありがとうございます。

 それでは、最後に、現在、NHKは、ラジオ放送が三局、テレビがBSとワンセグを含めて五局、さらに国際放送のラジオ一局と衛星テレビ二局を抱え、ここ数年で見ても、番組数を大きくふやしているわけであります。

 NHK全体における、十年前の番組数と現在の番組数を教えていただきたいということ、他方で、職員は、ここ十年で一万三千人から一万五百人以下へと約二割減っているということであります。

 外部委託をふやしているということなのかもしれませんけれども、単純に考えて、番組のクオリティー低下や職員の負担が大きくなっている、こういうことを懸念するわけでありますが、いかがでありましょうか。

高木委員長 申し合わせの時間が過ぎているので、短くお願いします。

木田参考人 お答えいたします。

 毎年四月の番組改定期のタイトル数で比較しますと、平成十五年は、国内のテレビ五波で四百五十八番組、音声三波で百八十五番組でしたが、平成二十五年度は、テレビ四波で四百四十八番組、音声三波で二百十番組となっております。ただし、平成二十三年四月からBS二波化になっておりますので、テレビの国内放送は五波から四波に減っております。

 また、国際放送は、平成十五年度にテレビ二波で百八十番組、音声一波で二百七十番組だったものが、平成二十五年度はテレビ二波で二百五十一番組、音声一波で二百三十三番組となっております。

 御懸念の点でありますけれども、番組制作の多くはNHKの関連団体に委託されておりまして、関連団体へは、出向、転籍等によりNHKのノウハウを移転しております。さらに、外部のすぐれた専門性や創造力の導入、活用を図ることで、高品質な番組の制作を進めているところでございます。

 外部が制作した番組でも、NHKの番組プロデューサーが必ずチェックするという仕組みをとっており、番組のクオリティー低下につながることのないように努めております。

近藤(昭)委員 どうぞよい番組をつくり続けていただきたいと思います。ありがとうございました。

高木委員長 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 皆さん、お疲れさまです。日本維新の会の馬場でございます。

 前回私の総務委員会の質問のときに総務省と少しトラブルがございまして、その後、新藤総務大臣、また高木委員長、各会派の理事の皆様方に特段の御配慮をいただきました。

 総務省の方からも、私の質問内容でありました地方自治体の特別議決の話、また再議の話をその後詳細に御説明をいただきましたので、ここは矛をおさめさせていただきたいと思いますし、御協力いただきました皆様方に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 本日は、私の方からは二点について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 質問に入る前に、一般的に政治家は、特に国会議員は、選挙のときには、国民の声を国政に届けるというようなスローガンであるとか、公約というのをほとんどの政治家の方が掲げておられると思います。我々も、国民政党としてそういう基本理念で頑張っていきたいというふうに思っております。また、消費税が四月一日から上がりました。政府の方では臨時福祉給付金のようなものもいろいろ御用意をいただいておりますが、私は、あらゆる方面から国民の負担を軽減させていく、その可能性を探っていくということが肝心ではないだろうかというふうに考えておりまして、この二点を背骨といたしまして質問をさせていただきたい。

 昔、はやりましたが、小さなことからこつこつと、一国民の声がこの場に届いて、そして実現する、そんな質問を目指してやっていきたいというふうに思いますので、ぜひ御協力をお願い申し上げます。

 先般、私の方から、年金の問題、年金の状況の調査であるとか相談という観点から日本年金機構がされておられますねんきんダイヤルの件で、これはナビダイヤルというんですか、昔でいうQ2ダイヤルのような料金体系の相談窓口になっているという指摘をさせていただきました。

 そのときには、厚生省の参考人の方からも、検討すると。また、新藤総務大臣からも、速記録をきょう持ってまいりましたが、段階的にですけれども、しっかりと対応していくという中で、もともと、国民に対して政府がまず基本的に行うサービスである、この観点からいろいろな工夫をしていただきたい、またそうしていかなくてはいけないのではないか、このように考えておりますという御答弁をいただいております。

 その後、厚労省とも話をしておりますが、検討しているということでございますので、きょうは質問はいたしませんけれども、先般、私のもとに、このねんきんダイヤル並びに行政機関の相談ダイヤルの取り組み事例というものを御報告いただきました。

 これを見ますと、法務省さんが登記とか供託のネット、こういう窓口を持っておられます。また、これも国民の皆さん方から多い相談の一つですが、法テラス、これも窓口を持っておられます。そして、みんなの人権一一〇番というものもございます。そして、国税庁の方は、e―コクゼイというんですか、税金相談だと思いますが、これの窓口を持っておられます。そして、総務省では行政相談ダイヤルという窓口をお持ちでありますし、厚労省さんは労災保険相談ダイヤルという、ねんきんダイヤル以外でも多種多様な相談ダイヤルというのがあるという御報告はいただいております。

 しかし、いずれもねんきんダイヤルと同じような、ナビダイヤルの形式をとっておられます。したがいまして、先般申し上げましたが、通話料が何と二十秒で十・五円、一分しゃべれば三十一円五十銭というような非常に高額な状態になっておりまして、相談される国民の皆様方の負担は非常に大きいものがあるんじゃないかなというふうに私は思います。

 特に、このねんきんダイヤルの方は、相談をするための原因、起因しているのは、元社会保険庁にあるわけでございます。新藤大臣も前回の答弁の中でおっしゃっていただきましたが、社会保険庁がきちっと個人の年金記録を管理していれば、こういうようなダイヤルを設置することもなく、国民の皆さん方が安心して年金を受け取れるという状態であったわけでございます。国民が好きこのんで年金制度をないがしろにしているというわけではありませんので、ほかの相談ダイヤルとは少し意味が違うのではないかな、私はそういうふうに考えております。

 今検討していただいているということでございますので、これは幾らもお金のかかる話じゃないと思うんです、厚労省なり日本年金機構の予備費ぐらいで対応できるようなボリュームの金額じゃないだろうかなというふうに考えておりますので、総務省の皆様方におかれましても、これから年金の相談業務、また状況調査の仕分けを厚労省さんと進めていく、日本年金機構さんと役割分担をきちっとしていくという答弁を先般いただいておりますので、ぜひそういう機会に総務省さんからも強く要望をしていただきたいということを冒頭申し上げておきたいと思います。

 これについては、きょうは質問は控えさせていただきます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 先般来から、我が党の小熊議員そしてみんなの党の佐藤議員、携帯電話の問題についていろいろと御質問がございました。きょうは、その観点を変えて、携帯電話の問題についていろいろとお聞きをしてまいりたいというふうに思います。

 この間、総務大臣が、携帯電話がスタートしたときに、弁当箱みたいなものを担いでいたと。非常に懐かしい、今から三十年ぐらい前の話だったと思います。私も秘書をやっておりまして、あの弁当箱みたいなものでばんと頭を後ろからよく殴られました。非常に思い入れのある携帯電話でございますが……(発言する者あり)電話の使い方じゃなしに、怒られ方の話なんですけれども。

 それからどんどんどんどんとこの三十年間で進化をいたしまして、我が党の小熊議員が申し上げました、もう携帯電話というのは必需品なんですね。別に高級品でもないですし、国民があまねく所有するというようなレベルにまで今達してきております。短期間ですごい技術的な進歩もありましたし、普及をいたしましたので、そのひずみとして、やはりいろいろな部分で今問題が出ているというふうに言われております。

 総務省の方では、この問題に対応すべく、ICTサービス安心・安全研究会、特に消費者の保護という観点に立ってこの研究会を立ち上げたというふうにお聞かせをいただいておりますが、ICTサービス安心・安全研究会、まず、この研究会の目的、また検討事項について御答弁いただきたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、研究会の目的でございます。

 携帯電話サービスに関する諸課題への対応につきましては、料金低廉化それからサービス多様化のための競争政策の見直しとともに、それと車の両輪をなす利用者視点に立つ課題についても、二〇二〇年代を見据えた対応が必要であります。

 そのため、総務省では、消費者保護ルール等の直面する課題への対応を初めといたしまして、中長期的視点から対応が必要と見込まれる事項について検討するために、ICTサービス安心・安全研究会を設置することとしたものでございます。

 検討事項でございます。

 当面の具体的な検討事項としまして、消費者保護ルールの見直し、充実、それからICTによる二〇二〇年代創造のための青少年保護、育成のあり方、それから料金等の提供条件のあり方といったICTサービスの進展に応じた課題への対応を取り扱うこととしておるところでございます。

 このうち、直面する課題であります消費者保護ルールの見直し、充実につきましては、新たにワーキンググループを設置して検討しているところでございます。

 また、販売奨励金等のあり方や利用者ニーズを踏まえました料金体系の実現の課題につきましても、必要に応じ、当該ワーキンググループに新たに構成員を加えたアドホック会合を開催する予定でございます。

馬場委員 私も時々携帯電話のショップなんかに行きますが、窓口でいろいろ係の方から説明を聞いても、大体、私自身がアナログ人間でございまして、用語がまずわからないんですね、何を言っているのかよくわからない。そして、いろいろなセットプランみたいなものをお勧めしてくれるんですけれども、一体どれが私自身にとってメリットがあるのかということも、基礎的な知識がありませんのでよくわからないということでございます。恐らく、私のような方が、代理店へ行かれている方の半分ぐらいはいらっしゃるんじゃないかな、感覚的にそういうふうに思います。

 そういう意味で、このICTサービス安心・安全研究会、非常に国民側に立ったよい取り組みだというふうに思いますが、この研究会の今後のタイムスケジュール、これについてお聞かせいただきたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 スケジュールでございますが、直面の課題であります消費者保護ルールの見直し、充実につきましては、ワーキンググループを設置して検討しているところでありまして、関係団体、事業者からのヒアリング等を踏まえまして、六月から七月ごろには中間的な取りまとめをいただく予定というふうになっております。

 取りまとめた内容は、今現在、情報通信審議会の中で、二〇二〇年代に向けた情報通信政策のあり方が開始されておりますけれども、これにおける議論に貢献していくということにいたしております。

馬場委員 いろいろと御検討いただいて、中長期的な部分について活用していくということです。

 ここで、皆様方のお手元に、きょうは、総務省の方からいただいた資料、主な携帯電話事業者の営業収益と費用という表題の資料を配らせていただいております。これは、NTTさんとかKDDIさんとかソフトバンク、会社ごとに、営業収益、営業費用、営業利益と当期純利益という項目で列記をさせていただいております。

 純利益というのはすごいあるんだな、私がぱっと見た感想としては、営業収益の一割前後が純利益として残っているんだなという感触を持ちました。また、営業費用に占める電波利用料負担額、これが非常に安いんじゃないかなという一般人としての感覚を持っておるわけでございます。

 この電波利用料負担額、この委員会でもいろいろな面から議論がありましたけれども、この電波利用料の負担額というのをどういうふうに決めているのか、申しわけないですが、もう一度御説明いただけたらというふうに思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料制度は、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用を、無線局の数だとかあるいは周波数の幅に応じて算出された金額を納付する制度でございます。営業収益の規模等に応じて徴収される性格のものではございません。マンションに例えれば、管理組合に残すべき月々のマンションの管理費が、各区分所有者の年収の規模等に応じて増減されるものではないというのと同様でございます。

 この算定の考え方でございますが、電波利用料の料金算定に当たりましては、三年間に必要な電波利用共益費用を、その性格に即しまして、電波の経済的価値の向上につながる事務、これをa群と称しておりますが、これに要する費用と、それから電波の適正な利用を確保するために必要な恒常的な事務、これをb群と称しております、この二つに分けまして、前者につきましては、これはa群に要する費用でございますが、各無線局が使用する電波の帯域幅の経済的価値、すなわち、言いかえれば使用周波数帯の逼迫度合いに応じて配分しまして、後者、これはb群と言っておりますが、これにつきましては、無線局数で均等に配分して、携帯の場合も今年間二百円でございますが、それらを合計して各無線局の料額としております。

 今申し上げました電波の利用価値の向上につながる事務につきましては、これが経済的価値の向上につながる事務というようなことから、使用周波数帯の逼迫度だとか使用帯域幅、出力、それから設置場所の違い等を勘案しまして、それぞれの無線局が使用する電波の相対的な経済的価値に応じて費用を配分しているところでございます。

 一方、b群につきましては、各無線局の使用帯域幅、出力それから設置場所の違いによらず、基本的にはひとしく受益するものであることから、原則、無線局数で費用を均等しております。

 以上でございます。

馬場委員 先般の佐藤正夫議員の質問の中でもございました、我が党の小熊議員の質問の中にもございました、一般のエンドユーザーの感触というのは、携帯電話の利用料は高いなというのが多くの感想だというふうに思います。

 この表を見ていただいても、三社合わせると営業収益は十一兆円あるんですね。電波利用料は三社合わせて五百四十億円しかない。えらい電波利用料も安いものやなというような感覚を国民の皆様方は持っているんじゃないかなというふうに思いますし、いろいろなところを削減また改革すれば、エンドユーザーの利用料はもっと下がるんじゃないかなというふうに考えておるわけでございます。

 そういう状況の中で、先般、佐藤正夫議員の質問の中にもございました、代理店が行っているキャッシュバックサービス、これがメディアの方で特集がございました。私もたまたまそれを見ていたんですが、佐藤議員は何か、自分がキャッシュバックを受けられなかったということでさっきも怒っておられましたけれども。

 私の地元の秘書さんが、この間私と話しているときに、家族五人全員、携帯を乗りかえたと言うんですね。ああそうと。そうしたら、そのキャッシュバックで十五万円もらったとか言うんですね。私、何を言うているのか、そのときはちょっとぴんとこなかったんですね。東京の方へ参りまして、うちの東京の秘書さんに聞きますと、その秘書さんの妹さんが一台携帯を乗りかえた、それで何とキャッシュバック六万円もらったと言うんですね。これは、もらった方はみんな手放しで喜んでおられるんです。

 ところが、この仕組みをよく考えてほしいんですね。お金というのは湧き出てきているんじゃないので、恐らく、キャッシュバックサービスでキャッシュバックされたそのお金というのは、エンドユーザーの利用料に上乗せされているんじゃないかなと私は思いますけれども、お役所の方の見解はいかがでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 キャッシュバックを行っていることが直ちに利用者料金の上乗せ要因になっているかは明らかではございませんが、利用者からの料金による収入がキャッシュバックの原資になっているということは事実であろうというふうに思っております。

 この点は、携帯事業者を頻繁にかえる人と長期契約者との間の公平性にかかわる問題としまして、先ほど申し上げましたICTサービス安心・安全研究会において御議論いただくものでございまして、その結果を踏まえて、通信サービスの料金や提供条件が利用者にとってよりわかりやすく、公平なものになるように努めてまいりたいというふうに思っております。

馬場委員 私は個人的には、いちずな男でございまして、最初に契約した会社とずっと、もう二十年余りずっとおつき合いをさせていただいております。恐らく私の利用料の中にもキャッシュバックされたその部分が上乗せされているんじゃないかなと思うんです。

 そこで、先ほどの各社の営業収益、費用の一覧表、ここへ戻らせていただきますと、この営業費用、主な費目を中段のところへ挙げていただいておりますが、キャッシュバックサービスというのはどの項目に当たっているか把握されておられますか。お答えいただきたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 この中に販売費という項目がございますが、その中に入っているというふうに思われます。

馬場委員 販売費というのは、ドコモさんの場合は一兆一千六百十七億円、ソフトバンクさんの場合は一兆四百二十六億円、KDDIさんはちょっとそういう項目での計上はしておりませんが、恐らく営業費の六千七百十八億円というところに含まれているんじゃないかなというふうに思います。

 このテレビの番組は、テーマはどうなっていたか。携帯電話による錬金術というテーマがついていたんですね。具体的に、先ほど申し上げたような、家族で五台も六台も一斉に乗りかえるというようなことも取り上げておりましたし、地方から東京へわざわざ出てくるんですよ。

 インタビューしているんです。何で地方からそんな、東京へ乗りかえるためにやってきたんですかと聞いたら、地方と東京ではレートが違うというふうにおっしゃっているんですね。本人が二、三台携帯を持ってきて、一日一台ずつ乗りかえていくんです。そうしたら、二万円ぐらいのキャッシュをもらっているんです。

 ところが、地方から出てきているもので、そこに経費がかかっていますので、単純に比較したら経費倒れになっているんですね。またインタビュアーの方が聞くんですよ。これは経費倒れになって赤字ですけれども、どうなっているんですかといえば、乗りかえて新しい機種になったその端末機を、今度は中古の買い取り専門業者のところへ持っていっているんですね。車でいえば新古車ですわ。新古電話を専門の業者に持ち込んで下取りしてもらっている、その分がもうかるんだという説明をしていました。

 恐らく、テレビでやったので、これまた悪いお手本で、どんどんどんどんとそんなことをする人間が出てくるんじゃないかなと。(発言する者あり)いや、NHKではありませんでした。民放でした。いつもNHKさんが悪いことをしているわけではないと思いますけれども。

 そういうことが子供にまで広がっていきますと、親の署名を自分でやって、判こを押すようなことを今の子供は簡単にやりますので、どんどんどんどんとそんなことが若年層にまで広がっていくと、またこれが単純な携帯電話の営業という問題を超えて、いろいろな事件や事故につながっていくんじゃないかなと非常に、この番組を見て私は危惧をしております。

 そして、その番組の中では、各三社の事業者のコメントというものも放送をされておりました。どこがどう言っていたかということを言いますと差し支えがありますので、ある一社は、できるだけ速やかに適正化に取り組んでいく、今後、高額のキャッシュバックは業界として縮小する方向へ向かうだろう。これは、ある一社のコメントなんですね。もう一社のコメントは、過剰なキャッシュバックにより一般のお客様との不公平が発生していることは問題だと認識している。事業者はもうこれを認識しているんですね。最後の企業は、一番最悪なコメントですが、現状は健全な状態ではない、他社との競争対抗上やむを得ない部分もあるが、長期利用者優遇を軸に、お客様に提供する価値を向上させる戦いへシフトしたい。

 これは、三社の共通した思いというのを酌み取れば、こんなんやってもあかん、人道的にどうなのかなという思いも持っている、倫理観にも欠けているような気がするということをおっしゃっていると思うんですね。ただ、これはみんながやっているから、うちだけやらぬというわけにいかぬのですわということを言っていると思います。

 先ほどおっしゃっていただいたように、安心・安全研究会の方でこういう議論も出ているということは、きょうも御答弁いただきましたし、佐藤議員の質問に対する御答弁でもおっしゃっておられますが、電波というものは、この場でもいろいろな議員さんが御指摘をされておられますように、私は公共の財産だと思うんですね。公共の財産を使って企業が商売をしているということで、その事業者があかんと思うている、こう言うているわけですね。ここはやはり行政としてぴしっと行政指導なりをして、適正化に向かっていくと。

 真面目に、私のようにいちずに携帯電話をずっと一社でおつき合いをしているような、そういう人の立場もおもんぱかって、私は、きちっとした指導を、この研究会の結果を待たずに行うべきではないかなというふうに思いますが、どんな御感想をお持ちでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯利用者に対しどのような販売促進施策を展開していくかというのは、一義的には携帯事業者の経営判断に属するものではございます。

 しかし、国民生活に深く浸透している携帯電話の料金について、やはり利用者にとって公平、さらに、できるだけ低廉な料金で提供されるということが望ましいと考えておりますが、長期利用者に不公平感を醸成するようなキャッシュバックについては、望ましくないというふうには考えております。

馬場委員 局長もそういう御認識だという御答弁だと思いますので、研究会の結論を待たずに何らかのアクションを起こすべきだと先ほども申し上げましたが、私はそういうふうに思いますが、その点についてもう一度御答弁願います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 この問題につきましては、先ほどから、情報通信審議会での議論に加えまして、ICTサービス安心・安全研究会において議論が進められておるところでございまして、総務省としてはその推移を見守っていきたいというふうには思っております。

馬場委員 何度も申し上げますけれども、やはりこういうことで、お金を生み出す錬金術として事業者を乗りかえていくとか、また、真面目におつき合いしている人間に負担をかけるとか、こういうことになっているわけですね。回り回ればエンドユーザーの利用料にもはね返って、それが料金の高いなと感じる部分につながっているわけですので、安穏としていられないと思うんですよ。すぐに何らかの手を打つべきです。

 この研究会、先ほどタイムスケジュールをおっしゃっていただきましたが、六月から七月までに、夏までに取りまとめを行う予定やということですが、先ほどの御答弁でも、二〇二〇年代に向けた、そういう観点でやっていくという御答弁でしたので、ずっと野方図で、いつまでもいつまでもこういうことが行われていくということは大変な問題であると思いますし、大きな事件や事故につながる、そういう可能性があると思いますので。

 局長は行政マンですから、研究会を設置した以上、その回答を待たなければならないというお立場であることは百歩譲って理解をいたしますが、これは政治家である大臣、いかがでしょうか、きょうのこのやりとりを聞いていただいて。私は、早急にこれは何らかの手を打つべきだと思いますが、大臣の所見をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 まず、日本は、世界に誇るICTの、また通信の基盤というものをつくってきたわけです。ですから、これは非常にハイレベルの整備が進んでいる、こういう部分もございます。ですから、結果、それだけ設備を整えてきたので料金が高くなっているということもあるわけですね。

 これからの料金は、二つポイントがあると思っているんですけれども、一つは、総体的にどう料金を下げるかということ、もう一つは、安い料金で使える通信、こういったものを開発すべきだ。

 これは既に、MVNOという仮想移動体電気通信事業者、これは例えばスピードは遅いけれども安いとか、容量制限があるけれども安く利用できるとか、こういうような条件つきのものもございます。それから、そもそも、携帯電話の事業者三社の定額データ通信料金というのも、これは七ギガまでの定額になっているんですよ。だけれども、通常のユーザーというのは、せいぜい二ギガなんですね。ですから、オーバースペックになっているわけです。でも、どうしても、私も、買うんだったら一番ハイスペックのものを、何かのときに遅くちゃしようがないとかと。実は全然関係ないんですけれども、そういうものがございます。ですから、利用しやすいような料金体系をつくることが一つ。

 もう一つは、やはり構造的な改革をしないと。

 例えばさっきのキャッシュバックの話も、これは端末と通信サービスをセットにして日本は売っているわけなんですよ。端末は端末で売っておいて、そしてその端末に自分の権利を、SIMカードといいますけれども、要するに、通信パックは別に契約をしてやることだって、そういうことができる国もあるんです。ですから、いろいろなことを考えなきゃいけなくて、現実には今、三社で収れんされておりますから、そこにいかに公正な競争をもたらすか、そして、国とすれば、そういういろいろな観点からの制度を整えていくか。

 これは今、必死で考えているわけです。研究会や検討会の報告を待たずしてというふうに今委員はおっしゃるけれども、しかし、六月から七月には中間取りまとめが出ます。それから、二〇二〇の、将来の、要するに二〇二〇年オリンピックまでにどうやって、世界で最高の環境を維持しながら、低廉な、最も使いやすい通信形態をつくるかというのは、これは我々の課題でやっているわけです。これは十一月に結論が出ます。やはり、国民の声や専門的な意見も聞いた上で、これは制度を図っていくわけですから、私とすれば、これは今最速でやっているつもりなんでございます。

 もちろん、できることはどんどんやっていくし、何よりも、こういう問題点があるんだということは、関係者、これは電話の事業者さんも含めて、それから、これからIT業界をどうやって組み立てていくかというのは、まだまだいろいろな課題があると思っていますから、そういったものを総合的に取り組んで、できるだけ早くに結論が出て、成果をきちんと国民に実感していただけるような、そういう取り組みをしていきたい、このように考えております。

馬場委員 大臣のおっしゃることは、大きな大局観でおっしゃっておられますので、ごもっともな部分もあると思いますが、私は、携帯電話を乗りかえて十五万も十八万ももらえるということ、これは、この中継をごらんになられている方がいらっしゃれば、絶対おかしいと言うと思うんですね。考えられますか。携帯電話を、何も変化がなく、契約会社をかえるだけで十五万とか十八万とかもらえるんです。これは異常な世界ですよ。その分が利用料に上乗せされているということは、もう自明の理であると思いますしね。

 昔は、私もずっと同じ会社を使っていますので、長く使えば使うほどポイントがたまったりとか、また料金が下がったりとか、そういうのがあったんですよ。真面目な人間にちゃんと報いるような制度になっていたんですね。ところが、今は、短期間でぱんぱんぱんぱん乗りかえれば、逆にそういう人間の方が得をする。人道的にも私は本当におかしいと思うんですね。

 ですから、その携帯電話の錬金術という特集の番組の中では、二十過ぎの青年が、あなたは何台、何回線、携帯を持っていますかとインタビューされているんですね。一人で十回線持っていると言うんですね。恐らく、契約して、時がたてばどんどんどんどん順番に乗りかえていって、それをどんどんどんどんお小遣いにしていくということになっていると思いますので、まあ、この問題に特化して、アドホック会合、こういう名称もワーキンググループの部分で出ています。このアドホック会合を、行政側と事業者三社ですぐぱっと寄って、こういうことはだめだよ、あかんよ、すぐに是正しなさいというようなことをすべきだと思うんですね。

 大臣がおっしゃった大局的な部分はそれでいいんですよ。でも、人道的な部分から考えて、こういうことがまかり通る社会というのはよくない社会だと思いますので、もう一回ちょっと局長、どうですか。

新藤国務大臣 今のキャッシュバックの観点からいえば、これは私たちは、私もこの場で申し上げたいと思いますけれども、国民生活に深く浸透している携帯電話の料金が、利用者にとっていかに公平かつわかりやすく、そして低廉な料金で利用されるか、その実現をしていかなければならないわけであります。

 したがって、今委員が指摘されたような、長期利用者に不公平感を醸成させるような、それからまた、その後の事態が、何か過剰な営業競争、こういったものについては望ましくない、このように考えているわけです。

 そういったことを踏まえて、今私たちも作業、検討をしております。また、そういった関係の業界の皆さんも、そういう国民の声を踏まえていろいろな検討をしていただいている、このように承知しておりますから、結果的にきちんとした結論が出るのではないかと私は期待をしております。

馬場委員 大臣からの御答弁ですので、そういう結論が出て、誰が聞いても、それはそうだなという状況になることを期待申し上げておきたいと思います。

 携帯電話の利用料が下がることによって、いろいろな無駄な部分を排して下がることによって、その部分が恐らく消費に回る。消費税も増税になって、冒頭にも申し上げました、ありとあらゆる局面を見て国民の負担をできるだけ減らしていきたいと我々は考えておりますので、ぜひ大臣からもこの研究会に対して積極的なアプローチをお願いいたしまして、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 真面目なユーザーです。みんなの党の佐藤正夫です。

 質問に入らせていただきたいと思いますが、きょうはNHKの方は来ていただいていないんですけれども、これまでNHKの方々にずっと質問をしてきたことを、今度は総務大臣そして参考人の方々に御意見を聞かせていただこうと思って、質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、お手元の資料の一ページ目なんですけれども、新藤総務大臣は、NHKに対して、経営計画のさらなる推進が必要である、そして、「給与等について、平成二十五年度から開始されている「給与制度の改革」を引き続き着実に推進し、適正化に努めるとともに、国民・視聴者に対する説明責任を十分に果たすこと。」と言われているわけであります。そこで、本当に十分に情報開示をし、説明をしているかという点についてお尋ねをしたいのであります。

 情報開示でNHKに、平均月収や平均年収及び開示を求めた分野別開示率、いわゆる、いろいろな項目で、いろいろな分野の部分で開示を求めましたが、そのうちどれぐらいの率が開示請求にお応えしたのかというような開示請求があったわけでありますけれども、実はNHKは、そういう点については不開示でありました。この点について、総務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、橋本(岳)委員長代理着席〕

新藤国務大臣 まず、御指摘いただきましたように、二十六年度のNHK予算に関する総務大臣意見におきましても、給与等について、引き続き給与制度の改革を着実に推進し、適正化に努めるとともに、国民・視聴者に対する説明責任を十分に果たすことと、これを毎回、しかもまた、もう少しことしは念入りに付させていただいたところであります。

 その上で、NHKは、職員の給与と退職金の支給の基準を定めて、これを公表しなければならない、これは法律の規定がございます。職員の給与等の支給の基準をみずから定めて、それによって公表しているわけです。結果として、大卒者のモデル年収や管理職の基本年俸等は記載されている、こういうことがございます。

 この給与をどこまで開示するか、これは、やはりNHKが自律的に判断するべきであります。しかし、冒頭申し上げましたように、また委員が再三御指摘されているように、国民からの受信料によって成り立っているNHKにおいては、国民に対する説明責任を十二分に果たしていただきたい、また、そうした情報の公開のあり方についても検討してもらいたいと私は期待をしているところでございます。

佐藤(正)委員 きょうは、NHKの方に来ていただいていないんですけれども、恐らく聞かれていると思うんですね。大臣の私に対する答弁もかなり痛烈に感じていただければと思っています。

 今大臣が言われた言葉は、私がこの委員会で何度も何度も、そして理事会においても、給与の平均値等も含めて資料要求を、理事会で承諾を得て、両筆頭が中心になり、そしてまた委員長の御判断で、資料要求に対してNHKが出してきた。それもこれも、かなり何度も何度も言っても、なかなか出てこなかった。

 そんな難しい話では実はないわけで、国民の皆さんから見ると、ある意味では、年齢によって給与がどれぐらいなのかな、平均が。国家公務員であれば五十五から給与が頭打ちになりますよ、民間の企業だと大体五十ぐらいから給与を削減していく、こういう計画をやっていくんですね。ところが、それを見るのには、やはり給与の推移を見ないと、今現在がどうなっているかというのはわからないと物が言えない。そういう意味でも資料を出してくださいというお願いをしてきましたけれども、まだ実は万全に出されていないんです。

 そうすると、何となく、隠すのかなという変な疑いを持ってしまいますので、この辺はまた、大臣が今言ったことをNHKにしっかりと伝えていただいて、今後もNHKには、この給与問題も含めて経費問題についてずっと質問をこれからもさせていただきたいと思います。

 というのは、やはり受信料一〇%を一旦はお約束して、その後の三カ年計画では七%になった。しかし、これはあくまでもこの三年間の計画でありまして、来年また新しい三年計画が出るわけですから、受信料については真摯にまた検討していくというふうに附帯決議をつけていただきましたので、それについても、この一年間またしっかりと、もうしつこいなと言われるぐらい、NHK男と言われるぐらい、また取り組んでまいりたいと思います。

 そこで、今の給与の問題なんですが、前回、維新の三宅先生が出された総人件費割る人数、従業員数というところで数字を出されました。それも私が取り上げさせていただいたんですが、一〇%削減に向けて五年間で頑張るよと言いつつも、総人件費を総従業員で割ってしまうと一万円しか実は変わっていない、平均値ですよ。だから、本来ならもっと、普通に考えたら下がっていくはずなんですが、それが下がっていない。その下がっていない理由を局長の方からお答え願いたいと思います。

    〔橋本(岳)委員長代理退席、委員長着席〕

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員から御指摘の、いわゆる総人件費とおっしゃいましたように、これは、給与制度の改革の対象となっております、例の五年間一〇%のでございますが、その給与の費用のほかに、退職手当、厚生費も含めた費用であるということでございます。

 このうち、厚生費の方はほとんど変わっていないわけでございますが、退職手当の関係で、退職給付債務の試算の基礎となります期待運用収益、いわゆる年金資産の運用収益やあるいは割引率の見直しといったようなものを二十六年度予算から適用するということで、これの見直しによりまして、退職給付費が、二十五年度予算と比べまして十七億円増の六百三十一億円という形になってございます。これが人件費の総額をまさに押し上げる要因となっているということでございます。

 したがいまして、この数字をもとに、各予算年度の要員数で割り戻しますと、今御指摘のように一万円の差にしかなっていないということでございます。原因はそういうことでございます。

佐藤(正)委員 いわゆる退職金の手当が違った、ふえた。端的に言ったらそういうことですよね。

 退職手当については、これまでもいろいろ議論をさせていただきました。例えば、退職積立引当金というか、確定拠出かという話もさせていただきましたけれども、そのときに、実はこれまで、退職金の問題は、積み立て不足ですか、平成十五年度から平成二十四年度までに、三千六百九十五億円を受信料とそれから税によって引き当ててきたという経緯もあるんですね。

 これは何度も申し上げましたけれども、普通だったら、今現在退職金をいただいている、確定の部分ですね、OBの方々に、実はこういう状況で厳しいから少し協力をしてくださいよとお願いをするんです。それはなぜかといったら、受信料ですから。そういう努力を実はNHKにお聞きしたんですけれども、やっていないということなんです。

 ですから、私が今申し上げたのは、受信料の一〇%削減に向けて、さらなるさらなる努力をほかの部分でやらないといけないというふうに思っています。このことについてはもう総務大臣にお聞きはいたしません。今度またNHKに来ていただいて、詳しいところはお尋ねをさせていただきたいと思います。

 ただ、一般的に見ると、一〇%削減を五年間でやりますよといったら、受信料を払っている方々がこの決算なり予算なりを見ると、何だ下がっていないよというふうにしか映らないんですよ。そして、片や、さっき申し上げましたように、年金の積み立て不足分が、三千億円を超えるお金が受信料から流れているというのは、なかなか受信料を払っている方からすると納得いかないですよ。だから、こういうところも再度私はNHKにお尋ねをして、さらなる改革を進めていただくようにしたいと思っておりますので、また総務大臣の方からもしっかりと御指導願いたい、このように思います。

 それから、これまで私は何度も何度も質問をしてきましたけれども、NHKの三カ年計画、それから予算、決算を見ると、余りにも額のずれがあり過ぎるんですね。

 例えば、この三カ年で、NHKの二十四年度予算は、当初計画では、利益が出ない、プラス・マイナス・ゼロだと。その理由はなぜかというと、減免措置の方々がふえるんだ、それと同時に、七%の削減をすることによって利益が出ないということでしたが、実は決算を見てみると、二十四年度は百九十五億円の黒字です。

 さらには、二十五年度の経営計画では、もともとは四十七億円の赤字を見込んでおりましたけれども、途中でプラス・マイナス・ゼロだという修正をしました。しかし、中間決算では、何と百八十億円。まだ最終決算はわからないのでこの中間決算で見るしかありませんが、恐らく、これまでの決算を見てみますと、大体、この中間決算から後に経費が出てくるのが多いんですね。年払いでいただくお金が先に上がってきますから。だから、百八十億円という黒字が出ていますが、これまでの感覚でいくと約半分ぐらいでしょうかね、大体、純が九十億円ぐらいの利益は多分出るんだろうと思います。

 だから、これぐらい見てみますと、少し経営計画がずさんなような気がしてなりません。その辺について、大臣はどのように思われますか。

新藤国務大臣 確かに、御指摘のように、見込みに対して上方の修正がなされているということであります。しかし、私は、これは下方修正することになればさらに問題があるわけでありますから、下方に修正するよりは上方に修正する方がいい。かつ、それは、状況を見ながらNHKがいろいろな策を講じていき、また、当該年度において経営努力をやる、みんなで頑張る、こういう意味において、私は、数字がいい方に出るということは一方で評価していい。また、そういう士気を高めるといいますか、頑張ってみんなで成果を出すんだ、こういうふうな組織であってほしい、このように思っております。

 しかし一方で、それが、今委員が御指摘のように、まだ余地があるにもかかわらずということになれば、そこは問題である。だから、私としては、意見の中で、経営の合理化に努めてほしい、そして、適正化の中で国民にきちんと説明を果たせるようにしてもらいたい、こういう意見を付しているわけであります。

 私とすれば、ここの二十四年度、二十五年度になりますと、契約増加、契約件数が、衛星で八十四万件であります。しかも、全体でも四十五万件のプラスになった。それから、二十五年度においても、衛星が六十九万件のプラス、こういうことで、何よりもやはり受信料をきちんとお払いいただく、契約件数をふやしていくことが基本であって、受信料をきちんと払おう、そういう理解を得るための努力をする、立派ないい放送をあまねく全国に普及させること、これをもってNHKが成果を出してもらいたいと私は心から期待しているわけであります。

佐藤(正)委員 私も期待はしているんですよ。ただ、なぜこうなっているかという原因をしっかりつかんでいただきたいんです。

 それは、いわゆる減免措置をされる、全額免除をされる方がふえますよと言っているんです。ところが、やはり景気はよくなっているんですよ。そのことによって生活保護受給者の方々が生活保護から脱却をされて、払えるようになった方というのがいっぱいいるんですね。そういう見込みが、払えるようになった人の部分をこの計画の中には入れていなくて、最初から下がっていく人だけの計画を見ているからこういう大きな誤差が実は出るんです。これが、厚生労働省の数字を見てもわかるように、NHKの数字を見てもわかるように明確なんです。

 だから、NHKが完璧な努力をしたということよりも、やはりこれはあくまでも景気に左右されるということがこれでよくわかると思うんですね。だから、前も大臣にも言いましたけれども、やはり景気をよくすることが一番大事なんですね。それに向かって今やっていることは間違いないんです。これから消費税が上がりますから、ちょっと心配なところはありますけれども、実際はそのことによって、大震災があったにもかかわらず伸びてきた。

 さらには、大震災で全額免除をされた家が復活したんですよ。そして、一部に限られてきたんです。これは、原発事故の地域が、住めませんから、その部分は固定したんです。その数字もNHKは下方修正をしました。ということは、当然利益が出るんですよ。こういう仕組みをこれまでずっとこの委員会で私は質問をしてきました。だから、実は、それ以上にまだまだやれることがある。

 というのは、例えば、籾井会長が、私が、天下りわたり好循環システムというのをきょう資料でもお出ししていますけれども、こういう天下りわたり好循環システム、こういう実態を見るとまだまだ改革するところは実はあるし、さらに言うなら、連結している子会社から利益を本社に還元するということも、これまで実は会計検査院からも指摘をされているんですね。ところが、中身を見てみると、これがマイナスに、マイナスにというのは前年度に対してマイナスになっているということを会計検査院からも指摘を実はされています。こういうところを見ると、まだまだやるべきことは本当はあるんだろう、このように思っています。

 そこで大臣にお尋ねをしたいんですが、子会社からNHK本体への利益還元に関して、今申し上げたように会計検査院からも指摘をされていますが、平成二十五年度では九十二億円だったのが、今回の予算では何と七十九億円とマイナス予算を組んでいる。このことについて大臣の所見をお尋ねして、質問にかえたいと思います。

新藤国務大臣 NHKの二十六年度予算が、副次収入において、DVD市場の低迷、そして番組提供の伸び悩みなどを踏まえて、二十五年度予算に対して十二・七億円の減少となる七十九億円を予算計上していたわけであります。

 私どもとすれば、NHKがグループとしてのガバナンスを強化した上で、事業戦略に基づいて子会社からの適切な還元の推進に努める、こういうことを期待しているわけであります。

 ですから、今後、いわゆるBEAJ、放送コンテンツ海外展開促進機構、こういったものによって、オール・ジャパンの活動と連携をして、放送コンテンツの海外展開、こういうものに、より大きな効果を上げてもらいたい、こういうことも期待をしているわけであります。

 私は、二十六年度の予算において、総務大臣意見として、現地のニーズに合致したきめ細やかな対応を行うなど、戦略的かつ積極的に取り組むことをNHKにおいて期待をしているわけでありまして、所要の成果を上げられるように、そしてまた、それはいつも、NHKにおいては国民に対する説明責任があるんだ、こういうことを意識した上で事業運営に当たっていただきたい、このように思っております。

佐藤(正)委員 最後の言葉が一番大事なところだと思っています。NHKは国民に対してきっちりとした説明責任を今後も果たしていただきたいと思いますし、これまでの議論で見ますと、どうも少し、お役所よりもお役所かなというような感じがしてなりません。ですから、これからもNHKについてはしっかりと議論を重ねてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、保健所を例に挙げて、権限移譲の問題点について質問をいたします。

 第三十次の地方制度調査会の答申では、中核市、特例市制度について、「人口二十万以上であれば保健所を設置することにより中核市となるという形で、中核市・特例市の両制度を統合することにより、一層の事務の移譲を可能とすべきである。」「移譲すべき事務としては、例えば児童相談所の事務などが考えられる」、このようなことを指摘し、これらを踏まえて地方自治法の改正案を提出されているところであります。

 総務省にお尋ねいたしますが、この地制調の答申を踏まえた法案の中身ということでは、中核市の人口要件が二十万以上に引き下がるということだと思いますが、その点、確認をさせてください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 中核市制度と特例市制度でございますけれども、これはいずれも、市町村への権限移譲を規模、能力に応じまして段階的に進めるということで設けられたものでございますけれども、今お話ございましたように、昨年六月の第三十次の地方制度調査会の答申におきまして、中核市、特例市の両制度を統合することにより、一層の事務移譲を可能とすべきとされたところでございます。

 この内容でございますが、中核市制度と特例市制度、今回の地方自治法改正案におきましては、答申を踏まえまして、特例市の制度を廃止し、中核市の人口要件を人口二十万人以上とする形で、中核市制度と特例市制度を統合するということと同時に、現在の特例市につきまして必要な経過措置を設けるというものでございます。

 これによりまして、人口減少社会において、暮らしを支え、地域経済を牽引していく核となる都市の形成に資するという考え方でございます。

塩川委員 特例市の制度をなくして、中核市の人口要件を二十万以上に引き下げるということでした。

 この新中核市は、当然のことながら保健所必置ということだと思うんですが、その点も確認させてください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 中核市につきましては保健所を必ず置くということになっておりますので、人口二十万人以上の新しい中核市につきましても保健所を置くということになります。

塩川委員 特例市と中核市、事務、権限の移譲の範囲というのは異なるわけですけれども、一番違うのが保健所の設置の有無であります。

 あわせて、特例市についての必要な経過措置を設けるというお話もございました。その点について教えていただきたいんですが、現行の特例市が現行の権限移譲の範囲でいいという場合についてはどのように対応することになるのか。特例市という名称を使えるのかどうか、その点も含めてお答えください。

門山政府参考人 お答えいたします。

 中核市制度と特例市の制度を統合した後でございますけれども、現時点で特例市であります市が中核市になるためには、それぞれの団体の判断に基づきまして、地方自治法の規定により指定を受けることが必要でございます。したがいまして、特例市という制度が廃止された後も、現在の特例市である市のうち、中核市に移行しないという団体は存在し得るわけでございます。

 その場合に、これまで特例市として担ってきた事務について、これを都道府県に戻すということではなくて、引き続き、やはり現在の特例市である市が処理することが適当と考えられますので、この二つの制度を統合する際に、特例市であります市が特例市固有の事務を引き続いて処理することができるようにということで、経過措置を設けることとしております。

 なお、中核市に移行しない特例市でありましても、法律上は、附則に施行時特例市という規定を置いておりまして、そういう位置づけを行うことによりまして、現在特例市である市が、法律の改正後も引き続き特例市であり続けるということになるものでございます。

 また、名称でございますけれども、例えば特例市の市長会といったようなものもございますけれども、それについては、特例市市長会というふうにおつけになるか、新しいお名前をおつけになるかといったようなことはそれぞれの団体で御判断されることと思っておりますが、名前としては、特例市というふうに使っていただくことは可能なものと思っております。

塩川委員 特例市という名称を使うことは可能という話でした。

 あわせて、地制調の答申には、移譲すべき事務として児童相談所の例示があるんですけれども、この児童相談所を例示している理由というのは何なんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 児童相談所につきましては、政令指定都市の側からも、政令指定都市で実施することが適当ではないかという御意見もある事務でございます。そういうことで、答申の中では、「今後、都道府県から中核市・特例市に移譲すべき事務としては、例えば児童相談所の事務などが考えられる」というふうに言っておられるわけでありますが、この場合も、条例による事務処理特例制度というのは使えますので、答申の考え方としては、そういうことを活用することで対処できるのではないかというふうに整理されたところかと思っております。

塩川委員 さまざまな制度に基づく保健所あるいは児童相談所、当然、人手もかかるし、お金もかかるし、専門性も発揮されなければいけないという点では、なかなか、市にしてみると、引き受けるについてもちゅうちょするような状況があるというのが現状でもあるわけです。

 全国特例市市長会が全特例市を対象とした権限移譲に係るアンケートを去年実施しているわけです。保健所設置に関しては、保健所設置を積極的に検討している、あるいは検討していく市は四十市中九市、既に設置している市を含めると十二市ということですが、ここにとどまっているのが現状だとのことであります。

 お尋ねしますが、現状、特例市の多くはこの保健所設置には消極的なんじゃないのかと思うんですが、その点、いかがですか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 特例市の市長会、今先生がおっしゃったようなアンケートがあるということでございますが、私どもは直接、特例市の市長さんからいろいろな機会にお話を伺うことがございます。その際も、やはり保健所を持つというのは大変なことであるという声は非常に多くの市長さんからお聞かせいただいております。

 その要因としては、一つは、保健所というのは現在県が行っておりますので、これをスムーズに移管してもらうことができるのかどうかとか、あるいは、大きな運営経費がかかる機関でございますので、財政的にどういう措置がされるのだろうか、それから、保健所長さんについてはお医者さんでなきゃならないという規制がございますので、お医者さんの確保をどうしていくのかといったようなことで、課題があるということは伺っております。

 したがいまして、移行して保健所を設けようとする際には財政措置も含めてできるだけ対応措置も考えてほしいという御要望はいただいているところでございます。

塩川委員 人的、財政的支援をしてほしいという要望とセットで今のような実態についてのアンケートになっているわけですけれども、これまでも保健所の市への移譲などが行われてきていますが、そういった中でいろいろな問題点が出ているということの指摘があるわけです。

 例えば、自治労連の調査で、都道府県職の部会の調査が二〇〇八年に行われておりましたが、保健所の市への事務移譲で評価された点という点でいえば、対人保健業務は連携がよくなり一元的なサービスが提供できるようになったとか、意思決定が早くなった、こういう例もあるということは取り上げながらも、問題点としては、分権と並行して規制緩和が進んで、かつ、保健所の市設置の拡大で保健所間の業務水準に格差が生じているということ。

 また、監視や指導業務の内容、水準で後退が見られる。これらは、各自治体の方針や基準設定、試験検査能力、監視員の専門性などに関連しますし、この点では、食品衛生法のいろいろな規制緩和もあったというふうにお聞きしておりますけれども、一市一保健所では体制や専門的な蓄積が弱く、業種別の立入検査等でも、県では年一回となっていたものが、ある市の保健所では実情に応じてという形で後退をするということなんかもある。

 また、専門職配置では、県職員の派遣等も行われていますが、医師や獣医、薬剤師等の安定的な確保が大変で、年齢、経験のアンバランスもあること、また、スタッフの厚みがないと専門職としてのレベルアップや緊急体制がとれない、異動の範囲も限定され、専門職としてのモチベーションの維持が懸念されること。

 さらには、県の保健所の管轄地域に飛び地ができてしまう。市が設置をする場合には、その一帯をエリアにしていた県のエリアが崩れてしまって、飛び地が生まれるとなると、実際には住民の利便性が低下をするという事態も生まれる。

 こういう点で、現在の人口三十万程度という運用規模での保健所の権限移譲でも課題が山積しているわけです。

 そういったときに、保健所設置に伴ってこういうような重大な課題が生じているわけで、三十万でもいろいろ問題が出ているときに、二十万以上の市に引き下げるというのでは、問題が一層深刻になるだけじゃないのか、このように考えますが、大臣、いかがですか。

門山政府参考人 保健所の行政というのは重要な行政でございますので、そういう意味でもいろいろな御意見があるということは承知いたしておりますが、現に、中核市になりますと、飛び地の問題なんかは今でも生じる問題ではございます。

 それぞれまた、体制をどうしていくか、一市一保健所の体制でどうやっていくか、専門家の確保をどうやっていくかというのは、やはり具体的にもお聞きすることでございますけれども、これは現在、都道府県の保健所が存在し、そこで仕事をしているわけでございますので、都道府県との間でどうやって円滑な引き継ぎといいますか連携をしていくのか、あるいは一市体制の保健所にするのがいいのか、圏域で協力したような形で保健所の事務を行っていくのがいいのかといったようなところを含めて、実際に保健所を設置していただくに当たりましては、都道府県、関係市町村でよく御相談いただく。私どもも、必要なアドバイス、できることについてはさせていただきたいと考えております。

塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、例えば神奈川県の相模原市が、これは地域保健法に基づく保健所政令市で保健所を設置しました。これまでは県が、先ほど言ったように、年に一回の立入検査を行っていたようなところが、実情に応じてということで、実質、六、七年に一回の立入検査という形で、実際の現場における取り組みが後退をすることにもなっているという話もお聞きしています。

 そういう点で、県から市への権限移譲によって住民福祉が後退する事例も生じているわけですから、保健所の例を見ても、事務、権限の移譲については問題点も明らかになってきているわけで、改めて、事務、権限の移譲について立ちどまってしっかりと検証する必要があるんじゃないのか、このように思いますが、大臣はいかがですか。

新藤国務大臣 まず、今回の中核市制度の見直しは、地制調において、各団体からの御意見等も踏まえて地制調の答申を得て、私たちとすれば進めていくというわけであります。実際に、中核市への移行準備のアンケート調査等も行っております。

 ですから、何か変化をするときには不安がつきまとうものでありますけれども、それが行政の後退にならないように、こういういろいろな工夫やよくよくの協議をしていくべきだ。これを原点に置いて、しかし、制度としては新しい形で前に進んでいこうということでありますから、これが円滑に推進していくことを私どもも取り扱っていきたい、このように思っています。

 そして、今委員の方から、立ちどまって検証すべきではというふうにお話をいただきました。

 その言葉遣いが問題なのでありますが、お気持ちとして、要するに、全体を見渡して、総括してきちんと進めていくべきだ、こういう趣旨だと私は受けとめさせていただきました。

 まさにそのとおりに、ちょうどことしが二十年目に当たるわけですから、この二十年の地方分権の歩みの中で、これまでの、テーブルに上げて、かつ、まだ上げ切れなかったものを、委員の言葉をおかりすれば立ちどまって、私からすれば全体を見渡して、その上で、上げられるものは上げようではないか。それが、約六割については、これまでの積み残しのものに道筋をつけることができたという意味では、非常にこれは努力がなされました。現実に、ただ単に簡単な話し合いでこのようになりませんので、かなり事務的にも、我々のスタッフも中身を詰めてやってきたわけであります。

 私が今回御提案をしているのは、第四次の一括法で上げられるものはきちんと上げましょう、それから、今回間に合わなかったものについては引き続き協議を続けていきます。その前提で、それに加えて、これだけ地方自治が多様性を持ってきている。私は何度も申し上げますが、人口五万人以下の都市が全体の七割でありますから、今、二十万以上です、三十万以上ですと、こういう議論をしておりますけれども、全体の七割は、はるかに及ばない五万人以下なんです。しかも、その五万人以下の都市は一律で活性化できないんです。

 だから、分権を進めるに当たっても、私は、今までの個性ある自立した地方をつくることに加えて、多様性と参加性を持ってこれを推進しようではないか。それが提案募集方式であり、また、取り決められた権限移譲を、手挙げ方式で、やる気のあるところにはできるようにする。こういう仕組みを取り入れて、また、さまざまそのほか工夫をしておりますけれども、そういう新しいステージに上げようではないか。今までのものを置いていくとかそういうことではなくて、全体をどうやって一緒に運んでいけるか。それには多様性と自立が必要だ、こういうふうに考えているわけでございます。

塩川委員 手挙げ方式という話がありましたけれども、でも、今回の地方自治法改正案では、特例市の制度をなくすという形で、特例市の二十万以上のところについてはぜひ保健所もやってよという話ですから、これは制度としては逆なわけで、要らないと言っているものをやってくれという改正という点では、私は重大な問題があると思います。

 こういうときに、権限移譲の拡大について考えなくちゃいけないのは、基礎自治体のさまざまな権限を拡大するという議論ばかり出ますけれども、私は、今言ったように、五万程度の自治体が七割を占める、そういう自治体が本当に生き生きするときに、では、何でもかんでも受け皿になってくれという話じゃないわけですよ。中には、当然県がやるべき仕事もあると思うんです。

 ですから、こういう権限移譲の拡大ではなくて、広域自治体の県が担うべき仕事は何なのか、県の役割、機能が何なのかという議論が必要なんじゃないのか、そういう立場での検証も行うべきではないのかということを申し上げているんですが、その点はどうですか。

新藤国務大臣 それはまさに、県ができること、それを例えば村の事務まで県がお手伝いできるようにしようではないかと。

 それから、今回の中枢都市圏というのは、牽引力のある町が周辺の地域と協力していろいろな負担をしていこうではないか。それから、自分たちでやり切れないものはお互いに助け合ってやろう。これは人口要件にかかわらず連携協約というものを自治体が結べるようにしよう、合併ではなくて、それぞれの自治体がありながら事務の連携をできるような、そういう協約も結ぼうではないか。これは、私どもは今、その先にあるのはシティーリージョンの考え方であります。

 それぞれの地域が生活圏に応じて自立性をどう発揮するか、そして自治を確立するか、こういういろいろなメニューをそろえたい、こういう思いでやっているわけでありまして、まさに今県としてやるべきこと、人口が少なくなって、これからさらに自治体を維持するのが難しい市町村がふえてくるんです。そういうものに対するきちんとしたセーフティーネットといいますか、お互いが協力し合ってその地域を維持していく、こういう工夫をしなければいけない。委員の問題意識は私は共有している、このように思っています。

塩川委員 離島や山間地の団体を支援するという点で県が積極的な役割を果たしている、これはこれとしてあると思うんですけれども、それに限定するような話じゃないわけで、もう一度立ちどまって、県がやるべき仕事があるんじゃないのか、その機能や役割は何なのかという議論が必要じゃないかという点については、全体としての検証も行われていない、率直に検討も行われていない。

 私は、それは、背景には道州制の議論があるんじゃないかと思うんですよね。その点についてもお聞きしたいのと、そもそも今回ので、大臣はこの間の答弁で、地方分権と道州制などの統治機構の改革は同時並行で進めながら最終的には一致すると。ですから、道州制と地方分権というのは改革の方向が最終的に一致するというふうに言っているわけですけれども、では、今回の地方自治法改正案と道州制の関係というのはどうなんでしょうか。

高木委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、短くお願いします。

新藤国務大臣 分権を進めて、まさに、私何度も申しますけれども、個性ある地方、そして自立した地方をつくるための、国民の生活を支援する地方自治の制度が必要だ、一方で、それは国全体の統治機構の強化にもつながるものにならなければいけない。その大きな解決策として道州制という議論がございます。

 その議論を進めていく上では、その前に、まず、今目の前でできること、これは分権はどんどん進めていきましょう。そして、いつかの時点で、仮に道州制になるのか、道州制にかわる別の統治形態になるのかわかりません、だけれども、今私は、道州制というものを推進していこうという形で研究を進めているわけです。

 そうすると、道州制を導入する段階においては、そのときに行われている地方分権をきちんと反映された道州制になるわけでありますから、ですから、作業は別々のように見えて、最終的には、分権をする、そして望ましい国家の統治機能をつくるという意味においては、そこで一致するということを私は申し上げているのであります。

塩川委員 その関連があるという点について引き続き議論していきたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案、第百八十五回国会、原口一博君外三名提出、地方公務員法等の一部を改正する法律案、地方公務員の労働関係に関する法律案及び第百八十五回国会、重徳和彦君外三名提出、地方公務員の政治的中立性の確保のための地方公務員法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方公務員について、人事評価制度の導入等により能力及び実績に基づく人事管理の徹底を図るとともに、再就職者による依頼の規制の導入等により退職管理の適正を確保しようとするものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、能力及び実績に基づく人事管理の徹底に関する事項であります。

 まず、任命権者は、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び上げた業績を把握した上で、人事評価を定期的に行うこととし、その結果を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとしております。あわせて、職務給原則を徹底するため、地方公共団体は、給与に関する条例において等級別基準職務表を定め、等級及び職制上の段階ごとに職員数を公表することとしております。

 第二は、退職管理の適正の確保に関する事項であります。

 離職後に営利企業等の地位についた職員が、地方公共団体の執行機関の組織等の職員に対して、当該営利企業等が関係する契約または処分であって離職前に関係していた職務に属するもの等に関して働きかけを行うことを規制することとしております。さらに、地方公共団体は、国家公務員法における退職管理に関する規定の趣旨及び当該地方公共団体の職員の離職後の就職の状況を勘案し、退職管理の適正を確保するために必要と認められる措置を講ずるものとしております。

 第三には、特定地方独立行政法人の役職員について、原則として、地方公務員と同様の措置を講ずることとしております。

 このほか、罰則等についての所要の規定を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 次に、原口一博君。

    ―――――――――――――

 地方公務員法等の一部を改正する法律案

 地方公務員の労働関係に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口議員 ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合共同提出の地方公務員法等の一部を改正する法律案及び地方公務員の労働関係に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び主な内容を順次御説明申し上げます。

 最初に、地方公務員法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、地方公務員に係る制度の改革を進めるため、人事評価制度の導入等により能力及び実績に基づく人事管理の徹底を図るとともに、再就職者による依頼等の規制の導入等により退職管理の適正を確保し、あわせて自律的労使関係制度の措置等に伴う勤務条件等に係る人事委員会勧告制度の廃止等の所要の措置を講ずることとするものであります。

 次に、法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、自律的労使関係制度に関する事項であります。

 自律的労使関係制度の措置等に伴い、人事委員会勧告制度を廃止し、職員の採用は原則として任命権者が行うこととする等、人事委員会の所掌事務について規定の整備を行う等の所要の措置を講ずることとしております。また、人事行政の公正の確保を図るため、職員に関する人事行政は、全体の奉仕者としての職員の職務遂行が確保されるよう、公正に行わなければならないこととしております。

 このほか、消防職員についても、労働基本権を付与することとし、勤務条件の維持改善を図ることを目的として団体を組織し、交渉を行うことができることとしております。

 第二は、能力及び実績に基づく人事管理の徹底に関する事項であります。

 まず、能力本位の任用制度を確立するため、任命権者は職制上の段階の標準的な職とその職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として標準職務遂行能力を定めるとともに、職員の任用は受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づき、標準職務遂行能力と適性を有する者の中から行うこととしております。

 次に、職員の人事評価については公正に行われなければならないものとし、人事評価の基準及び方法に関する事項は任命権者がこれを定めることとするとともに、任命権者は人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとしております。

 第三は、退職管理の適正の確保に関する事項であります。

 離職後に営利企業等の地位についた再就職者が、地方公共団体の執行機関の組織等の職員に対して、当該営利企業等が関係する契約または処分であって離職前に関係していた職務に属するもの等に関して働きかけを行うことを規制することとしております。さらに、地方公共団体は、国家公務員法における退職管理に関する規定の趣旨及び当該地方公共団体の職員の離職後の就職の状況を勘案し、退職管理の適正を確保するために必要と認められる措置を講ずるものとしております。

 第四に、これらに関連して、消防組織法、教育公務員特例法、労働組合法等について所要の規定の整備を行うこととしております。

 続いて、地方公務員の労働関係に関する法律案について御説明申し上げます。

 新たな政策課題に迅速かつ果断に対応し、効率的で質の高い行政サービスの実現を図るためには、労使が職員の勤務条件について真摯に向き合い、当事者意識を高め、透明性を確保しつつ、みずからの働きぶりに対する住民の理解のもとに、自律的に勤務条件を決定し得る仕組みに変革し、社会経済情勢や政策課題の変化に対応した人事給与制度の改革に取り組むことにより、有為な人材を確保、活用していくことが必要であります。

 このため、非現業地方公務員に協約締結権を付与するとともに、これに伴い、団体交渉の対象事項、当事者及び手続、団体協約の効力、不当労働行為事件の審査、あっせん、調停及び仲裁等について定めるこの法律案を提出した次第であります。

 次に、法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、非現業の一般職の地方公務員が主体となって自主的にその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体またはその連合体である労働組合について、その組織、認証及び労働組合のための職員の行為の制限について定めることとしております。

 第二に、認証された労働組合と当局とが団体交渉を行い、団体協約を締結することができる事項の範囲、団体交渉を行う当局及び団体交渉の手続を定めるとともに、認証された労働組合と当局との団体協約の効力等について定めることとしております。

 第三に、職員に対する不利益取り扱い、団体交渉拒否等の不当労働行為を禁止するとともに、禁止規定に違反した場合の労働委員会による審査手続を定めることとしております。

 第四に、労働委員会によるあっせん、調停及び仲裁の制度を定めるとともに、仲裁裁定の効力について所要の規定を設けております。

 以上が、両法律案の提案理由及び主な内容であります。

 何とぞ、十分に御審議の上、両法律案に御賛同くださいますようお願い申し上げます。

高木委員長 次に、鈴木望君。

    ―――――――――――――

 地方公務員の政治的中立性の確保のための地方公務員法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木(望)議員 ただいま議題となりました地方公務員の政治的中立性の確保のための地方公務員法等の一部を改正する法律案につきまして、日本維新の会を代表いたしまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 まず、本法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 近年の地方分権の進展に伴い、地方公務員の権限及び裁量の範囲が従前に比べ著しく拡大しつつある現在、地方公務員の政治的中立性の確保の重要性は一層重要となっております。これを害する形で行われる政治的行為は、住民、国民の信頼を失わせるものであります。

 また、地方公務員については、現行制度上、政治的行為の制限の範囲が概して国家公務員よりも限定的であり、しかも、違法な行為に対する罰則もないため、その政治的行為が放任される傾向にあり、その結果、職員と特定の政治勢力との癒着を通じた労使の癒着、職員厚遇問題といったさまざまな弊害が噴出してきております。

 このように、地方公務員の政治的中立性や行政の中立的運営とこれに対する住民、国民の信頼を確保するという住民全体ないし国民全体の重要な共同利益が損なわれるおそれが増大してきていることから、本法案は、地方公務員の政治的行為についても、国家公務員と同様の制限を設けることによって、このような共同利益を擁護しようとするものであります。

 次に、本法案の主な内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、地方公務員の政治的行為について、国家公務員と同様に制限するため、当該地方公共団体の区域の内外を問わず制限することとするとともに、地方公務員法に定めるもののほか、職員の政治的行為の制限については、国家公務員の例によることとしております。あわせて、地方公務員の政治的行為規制に対する違反行為に対し、三年以下の懲役または百万円以下の罰金という罰則を設けることとしております。

 第二に、公立学校の教育公務員、単純労務者である地方公務員、地方公営企業の職員及び特定地方独立行政法人の職員の政治的行為についても、国家公務員と同様の制限に服し、かつ、罰則が適用されることとするため、これらの者の政治的行為の制限に関する特例規定を削除することとしております。

 第三に、単純労務者である地方公務員、地方公営企業の職員及び特定地方独立行政法人の職員について、他の地方公務員と同様に、その地位を利用して、政治的活動に関する寄附または政治資金パーティーの対価の支払いに関与等をしてはならないものとするとともに、在職中、公職の候補者となることができないものとすることとしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。

高木委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十七分散会


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