衆議院

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第22号 平成26年5月20日(火曜日)

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平成二十六年五月二十日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 俊一君 理事 山口 泰明君

   理事 原口 一博君 理事 三宅  博君

   理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      川崎 二郎君    川田  隆君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中谷  元君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    松本 文明君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    福田 昭夫君

      上西小百合君    新原 秀人君

      杉田 水脈君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           原口 一博君

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 持永 秀毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           武井 俊幸君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  渡会  修君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (総務省電気通信紛争処理委員会事務局長)     武田 博之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           古都 賢一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           有岡  宏君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           橋本 公博君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 塚田 祐之君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  湯川 一行君     川田  隆君

  百瀬 智之君     杉田 水脈君

  渡辺 喜美君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  川田  隆君     湯川 一行君

  杉田 水脈君     百瀬 智之君

  佐藤 正夫君     渡辺 喜美君

同日

 理事山口俊一君同日理事辞任につき、その補欠として橋本岳君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月十九日

 放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政不服審査法案(内閣提出第七〇号)

 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七一号)

 行政手続法の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

 放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)

 放送法の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出、衆法第三号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事山口俊一君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に橋本岳君を指名いたします。

     ――――◇―――――

高木委員長 内閣提出、行政不服審査法案、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び行政手続法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 各案に対する質疑は、去る十五日に終局いたしております。

 この際、行政不服審査法案に対し、石田真敏君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。石田真敏君。

    ―――――――――――――

 行政不服審査法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石田(真)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提出の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 この修正案は、政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を附則第六条として追加するものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、行政不服審査法等関連法案に対する討論を行います。

 行政手続法改正案は、権限濫用型の行政指導からの救済規定、処分や行政指導の手続についての申し出制度の追加であり、権利救済に資するものとして賛成です。

 しかし、行政不服審査法案及び同法律の施行に伴う整備法案については、行政事件訴訟の改正を踏まえて審査請求期間を延長したこと、審理における口頭意見陳述や質問権を付与したこと、不服申し立て前置を縮小、廃止したこと等の改善点も含みながら、改正の柱の一つである不服申し立ての審査請求への一元化などは、国民の権利利益の救済の仕組みを後退させるものと言わざるを得ません。

 まず、一元化により異議申し立てが廃止されることです。

 公害健康被害補償法では、公害被害に苦しむ患者の多くが、企業や国の責任とあわせ、健康被害の認定、補償給付の決定など県の処分に対する異議申し立てを通して、公害被害に対する県行政のあり方を問うてきました。異議申し立ての廃止は、患者の権利利益の救済に重大な影響を与えるものです。しかも、異議申し立てにかわる再調査の請求は、簡便、簡略な手続で要件事実の当否の確認をするもので、現行の異議申し立ての鑑定の要求、物件の提出要求、処分庁による検証、請求人または参考人の審尋はできなくなるのであります。

 さらに、異議申し立ての廃止と審査請求への一元化によって、基本的に都道府県単位に申し立て先があったものが、大臣宛てへの審査請求となり、審査請求が精神的にも物理的にも国民から遠ざけられていくことも重大であります。

 国税通則法では、税務調査の一環として再調査が導入されています。罰則つきの質問検査権が行使される再調査と不服申し立ての再調査の請求との混同によって、納税者が不服申し立てをちゅうちょすることにもなりかねません。結果として、納税者の権利救済の仕組みを覆い隠すことになることは問題です。

 次に、審理員と行政不服審査会制度です。

 本法案の参考人質疑では、今回の改正によって、公正性が真に担保され、同じ行政内で決定された処分を覆すことが十分に期待できると断言した参考人はいませんでした。審理の公正性を真に担保するのであれば、処分を行った同じ行政庁やその上級行政庁の範囲から完全に切り離され、独立して審理を行う資格と能力、十分な身分保障に裏打ちされた人材による機関が必要なのであります。

 四十九法律に存置となった不服申し立て前置の固定化は許されません。行政事件訴訟法の制定当時も、約五十法律で前置がありました。その後増加した数に相当する分が廃止となっただけであり、今後その増加をとめる具体的な担保がないことも指摘しなければなりません。

 最後に、行政不服審査法案に対する修正案については、施行後五年の見直しという規定であり、賛成であることを述べて、討論を終わります。

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 初めに、行政不服審査法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、石田真敏君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、行政手続法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、ただいま議決いたしました各法律案中、行政不服審査法案に対し、山口泰明君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。福田昭夫君。

福田(昭)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    行政不服審査法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。

 一 今回導入される第三者機関及び審理員制度の運用に当たっては、権利救済の実効性を担保できるようにするため、適切な人材の選任に配意すること。特に、地方公共団体においては、各団体の実情を踏まえ、申立ての分野に応じた高い専門性を有する人材の選任に配意すること。

 二 今回の制度改正の周知の過程において、地方公共団体が行った処分について審査請求すべき行政庁を住民に十分説明すること。

 三 今回の改正によって新たに設けられた「再調査の請求」が、処分庁が簡易に処分を見直す事後救済手続であることを国民に十分説明すること。

 四 審理手続における審理関係人又は参考人の陳述の内容が記載された文書の閲覧・謄写について、審理の簡易迅速性の要請も踏まえつつ検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上であります。(拍手)

高木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

高木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会専務理事塚田祐之君及び専務理事吉国浩二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官持永秀毅君、総務省大臣官房総括審議官武井俊幸君、大臣官房地域力創造審議官関博之君、人事・恩給局長笹島誉行君、行政管理局長上村進君、行政評価局長渡会修君、自治行政局長門山泰明君、自治行政局公務員部長三輪和夫君、自治財政局長佐藤文俊君、自治税務局長米田耕一郎君、情報流通行政局長福岡徹君、総合通信基盤局長吉良裕臣君、電気通信紛争処理委員会事務局長武田博之君、法務省大臣官房審議官萩本修君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、大臣官房審議官古都賢一君、大臣官房審議官有岡宏君及び国土交通省大臣官房審議官橋本公博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 きょうは、一般質疑ということで、さまざまな問題を取り上げさせていただきます。時間の関係で、通告したにもかかわらず質問できないものもあろうかとは思いますけれども、その節は、関係者の皆様には切に御容赦いただきたいとお願い申し上げて、質問をまず始めさせていただきます。

 まず、NHKの関係、きょうは、浜田経営委員長、それから理事の皆さんにお運びいただいております。最初に質問をいたしまして、終わりましたら、委員長の許可を得て退席していただこうと思っておりますので、まずお話をさせていただきます。

 お忙しいところ、ありがとうございます。NHK予算の後、しばらく時間があいておりますから、この後予定されているだろう放送法の質疑の前に、少し、この間のおさらいというか、事情についてきょうは質問したいと思っております。

 まず、この間の報道を見れば、受信料収入は順調に伸びているということのようでありますが、いただいた資料を見れば、総契約数もふえている、むしろ去年に比べてふえているというようなデータもいただいております。これはひとえに、営業の皆さんが、厳しい御批判のある中で、御意見のある中で頑張っておられる成果だというふうに思いますが、一つ気になりましたのは、営業が頑張っておられるのはよくわかるんですが、では、解約数、これが見えてこないんですね。

 解約数がふえているのか、減っているのか、具体的な数字を示していただきたいと思います。

塚田参考人 お答えいたします。

 二月から四月までの三カ月間の、口座振替などから継続振り込みに支払い方法を変更された方の件数ですけれども、二万四千件であり、前年同期に比べて七千件ふえています。

 口座振替などを停止された場合、基本的に払い込み用紙による請求を続けまして、払い込みがない場合、未払い分を回収するために、約三カ月後の四月下旬より順次訪問を開始している段階であります。

 訪問の際、面会できれば理由を把握することになりますけれども、現時点では、件数についてはまだ把握していない状況であります。

奥野(総)委員 私の周りでも、口座振替をやめたという方は何人もいらっしゃるわけでありまして、これから具体的に支払いの意思を確認していくということでありますけれども、確かにふえている、営業が頑張って総契約件数がふえている一方で、こうした、支払わないという予備軍といいますか、そういう意思を示されている方も多くなっているということだと思います。

 ちなみに、去年の数字なんかを見ますと、一昨年、去年、ことしと比べると、一昨年から比べて、昨年は、一月以降は減っているんですね。ところが、ことしはまた戻ってしまったということでありまして、やはりこれは何がしかの影響が出ているというふうに思います。それをまず確認させていただきました。

 それから、視聴者の御意見の数、これも私はずっと、毎回伺っておるんですが、直近のNHKへの御意見の数、プラス意見、マイナス意見ありますでしょうが、その件数、それから、肯定的意見、否定的な意見の割合について伺いたいと思います。

塚田参考人 お答えいたします。

 記者会見のあった一月二十五日から寄せられた視聴者の皆様の意見などは、先週金曜日、五月十六日の夕方まででおよそ四万三千二百件となっています。

 これを月ごとに見ますと、記者会見から二月末までにおよそ二万七千件。三月一カ月間でおよそ一万件。四月はおよそ四千四百件。五月は、十六日まででおよそ千二百件というふうになっております。

 内訳ですけれども、批判的な御意見がおよそ二万八千件、全体の割合で六五%になります。肯定的な意見がおよそ七千百件、一六%。その他が問い合わせというような内訳になっております。

奥野(総)委員 記者会見の後にばっとふえたのに比べて少し落ちついてきているということのようでありますが、しかし、今月も千二百件ですか、大体二、三千件のペースだということだと思います。これは決して少ない数字ではないですね。

 「とっておきサンデー」、私は、この場で最初に会長に、テレビという、放送という公器を使って皆さんにおわびをしたらどうですか、あるいは、自分の真意を、伝わっていないとおっしゃるなら、真意を申し述べて視聴者の御理解を得たらどうですかということで、ここで御提案させていただいて、その場で会長から、やろう、テレビでおわびというか真意を伝えるんだ、こういう答弁をいただいた。それが先日実行されたということであります。

 これで鎮静化すればいいんですが、やはり相変わらず御意見は来ているということですが、「とっておきサンデー」そのものへの評価、その番組を見て、あの放送枠を見て、どういう御意見があったか。何件ぐらい、どういう意見が、それに対して評価する声が多かったのか、あるいはそうでないのか、具体的にどういう声があったのか、伺いたいと思います。

塚田参考人 お答えいたします。

 籾井会長が出演した番組が放送されましたのが四月十三日ですけれども、それから先週金曜日、五月十六日の夕方までに視聴者の皆様から寄せられた御意見などは、およそ四百十件となっています。このうち、批判的な意見がおよそ七五%、肯定的な意見がおよそ一〇%、このほかは問い合わせなどとなっています。

 具体的な御意見としましては、謝るなら辞職してほしい、もっと速やかにこのような番組を放送すべきだった、真摯な姿勢で好感が持てたなどとなっております。

奥野(総)委員 録画で、余り誠意が伝わらなかったというような声も私の周りではありますし、そう感じた方もおられたんじゃないかと思います。

 実際に、これだけまだいろいろな意見が出てきているわけですから、この問題は鎮静化したとは言えない。営業の皆様の御努力、あるいは、塚田専務理事初め皆さん、非常に御苦労されて、NHKという公共放送を支えておられる、その熱意、職責、責任感でもってNHKが今何とかもっているんじゃないかと、こういう国民の声を聞くにつけても感じるところでございます。

 そうした中、経営委員会の中からもいろいろな声が上がっているということでありまして、五月五日付の毎日新聞で、上村達男経営委員長職務代行と記事に、職務代行というクレジット入りで出ておられまして、ここにはっきり、籾井会長は公共放送の本質を理解していないんだ、こうインタビュー記事が出ています。

 少し読み上げさせていただきますが、就任会見の発言を取り消して、個人的見解を公表したことを謝罪したが、テレビでも謝罪したわけですが、自身の考えは変わらないと述べている。

 これも私、この委員会で確認しましたが、明確に、意見は変えていないんだ、謝罪はするが、取り消すが、変えていない、こうおっしゃっています。自身の考えは変わらないと述べている。

 私は、これは上村代行でありますが、個人的見解そのものに誤りがあると考える、こう明快におっしゃっていますね。一つは国際放送について言及した、政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない、もう一つは特定秘密保護法について、もう言ってもしようがないんじゃないかということ、その他の点も含め、こうした見解を持ち続けたまま会長職を続けることはできないはずだ、こうおっしゃっておられます。

 さらに、報道機関としての自主性、独立性を放棄しているし、多様な意見を伝える、民主主義の発展に資する放送法という公共放送の本質的な役割を理解できていないんだ、こう明確におっしゃっているということでありますが、これは経営委員長代行としての発言ですか。要するに経営委員会としての見解なんでしょうか。

浜田参考人 経営委員としての発言だというふうに理解をしております。

奥野(総)委員 おっしゃっておられるのは、経営委員会総意ではないが、経営委員会という職責にある方の公式の発言だ、決して私見ではなくて一経営委員としての発言、もうちょっと言えば代行としての発言ということにもなろうかと思います。

 これはやはり、今、NHKの一つの危機をあらわしていると思います。中におられる経営委員の方がこうしたことを言って、会長に対して公共放送の本質を理解していないと言っていることが、本当に今のNHKの危機的な状況をあらわしていると思いますが、この見解について、委員長自身はどう思われるでしょうか。

浜田参考人 経営委員会は、それぞれの広い経験と知識を持った方々の合議体であります。私としては、経営委員一人一人の発言の重みに差はないというふうに認識をしております。

 経営委員長としては、私は、一人一人の意見を尊重し、委員それぞれが忌憚なく自由な意見交換ができるような委員会運営をし、意見を集約していきたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 まさに公正に、公平に議論されているというのは、議事録を見てもわかります。随分細かいことまで経営委員会の議事録はオープンにされておられるということで、私も、きっちりオープンにしてくださいとお願いしておりますけれども、非常に細かいところまで、中の雰囲気がよく書かれているものだと思いますし、そうした委員長としての、議長役としての差配については、私も、非常によくやっておられるということで、ここで評価をさせていただきたいと思います。

 理事の皆さんあるいは経営委員の皆さんは非常によくNHKのために頑張っておられると思うんですが、そのそばからまたいろいろな記事が出てきまして、もう一つ、四月三十日の理事会の中身ということで、これは朝日ですか、出ておりました。四月三十日の理事会で、理事会というのはたしか原則非公開ですね、オープンにもなっていない非公開なものについて朝日が書いているわけであります。

 番組内容を検証する考査報告の際に、籾井会長が、四月の消費税の増税で不安を抱える高齢者を取り上げたニュース番組に対して、税率が上がって困ったというだけではニュースにならない、買いだめは無意味だと伝えるべきだという趣旨の発言をした上で、低所得者層への負担軽減策の議論も紹介するように求めたと。

 これはそのとおり読みますと、「理事たちは、「努力しており、いろいろな観点を、様々な機会をとらえて報道している」などと反論したが、籾井会長はあくまで同じ番組内で違う意見を取り上げるべきだと主張し、理事会は紛糾した。」ここまで書かれているわけであります。

 塚田理事に伺いたいんですが、これは、理事会でこういうことがあったんでしょうか。ここまで朝日新聞が、社説でもたしかこの問題を取り上げているんですが、二度にわたって取り上げている。ここまで書く以上は何か、こういうことがあったんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

塚田参考人 私は理事会には出席しておりました。ですが、放送番組の編集にかかわることですので、この件についてのお答えは差し控えさせていただきます。

奥野(総)委員 ここでどうだと言っても押し問答になるだけですから、これ以上は、あったかどうかについては質問いたしませんが、朝日新聞がここまで取り上げて書いている以上、何らかのことがあったんだろうというふうに私は理解をしております。

 その上で、こうした、ここに書いてあること自体は、言っていること自体は、低所得者層への負担軽減の議論を紹介しろということ自体は、私はそんなに間違ったことを言っているとは思わないんですが、しかし、会長がやはり個々の番組の中身について指示を出す、それに近いことをするというのは、私は問題だと思います。

 現に、会長自身も、個人的見解を放送に反映させることはないとここで何度も答弁をされているわけでありますから、もしこういうことがあったとしたら、放送法上、まさに公共放送が何たるかを理解していない、放送が何たるかを理解していない、非常に問題だと思います。

 一般論として、こうしたことについて、会長が個々の番組の内容について意見を言う、あるいは指示をするということについて、経営委員長はどうお考えでしょうか。

浜田参考人 放送の公平性を担保するための具体的な施策については、会長以下執行部が議論すべきものと認識しておりますので、コメントについては差し控えさせていただきます。

 いずれにしましても、放送は、放送法にのっとり公平公正に行われるべきものであり、そのためにNHKでは、自律的に番組基準や放送ガイドラインを作成し、その趣旨に沿って執行部が放送を行うものと認識をしております。

 また、会長は、放送法を遵守すると繰り返し答弁しており、また個人的見解を放送に反映させるつもりはないとも言っておりますので、それに沿った業務運営がなされるものと認識をしております。

奥野(総)委員 中身の問題ではないと思うんですね。正しいことを言っているからいいという話ではなくて、人事権を持っている、あるいは、恐らく最終的な編成権を持っているであろう会長が逐一言い出すと、まさに個人的見解が番組に反映されるという非常に大きな問題を含んでいると思います。

 ですから、こうしたことがないように、やはりきちんと経営委員会としても、業務の執行にどこまで口を差し挟むか、どこまで首を突っ込むかという議論はあるにしろ、これはやはり報道機関として、放送機関として根本的な問題だと思いますので、ぜひしっかり監督をしていただきたいと思います。

 この件については、先日、直近の経営委員会では議論があったんでしょうか。

浜田参考人 さまざまな議論があったということは報道で認識しておりますけれども、経営委員会では議論はしておりません。

 この件については、番組基準、放送ガイドラインなどで考え方が確立されているものと私自身は考えております。

奥野(総)委員 今おっしゃっているのは、恐らく、個々の番組というよりは全体として意見の公平を図るべきであって、会長のように個別に番組に口を挟んではいかぬということだと理解をさせていただきます。

 いずれにしても、こうやって記事がばんばん出て、NHKはごたごたしているという印象を与えるのは非常に国民にとっても不幸なことだと思いますし、経営委員会、しっかり監督をしていただいて、事態の収拾に当たっていただきたい。大変だと思いますが、お願い申し上げまして、今回の一般質問、NHKについては終わらせていただきたいと思います。

 委員長、お帰りいただいて結構です。

高木委員長 では、NHKの関係者の方は御退席いただいて結構です。

奥野(総)委員 ここで中身をがらっと変えまして、消防職員の団結権について一問だけ伺いたいと思います。

 ILOの勧告も随分前から再三出ております。また、諸外国を見ても、団結権を付与していない国というのは、全部を調べたわけではないんでしょうが、お隣の韓国とブラジルぐらいなんですね。争議権を与えるとか、あるいは協約締結権という話じゃなくて、あくまで団結権の話ですから、団結権については多くの国で認められている。ILO条約上も、警察、軍隊については国内法制で定める、こうなっているわけでありますが、消防が警察、軍隊に当たるのか、こういう解釈論に恐らくなってくるんだと思います。

 地方公務員法の議論の中では協約締結権について主として議論が集中しておりますけれども、ここで改めて消防職員の団結権について、なぜこれまで認めてこなかったのか、これからどう考えていくのかについて伺いたいと思います。

新藤国務大臣 消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方につきましては、国家公務員制度改革基本法附則第二条において、「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」こととされているわけであります。

 国家公務員の自律的労使関係については、担当の稲田大臣からも、これまでの経緯を踏まえれば、多岐にわたる課題があり、いまだ国民の理解が得られるような段階にはない、引き続き慎重に検討する必要がある、こういう答弁がなされているところであります。

 私どもとすれば、消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方につきましては、今後とも、国家公務員についての動向を踏まえながら、関係者の御意見をよくお伺いして対応する必要がある、このように考えております。

奥野(総)委員 労働基本権の問題あるいは消防の団結権の話というのは、やはり日本が国際的にもおくれている、欧米諸国と比べてでありますけれども、おくれていると私は思いますので、いろいろな事情があるにしても、現政権においてもぜひしっかり御検討いただいて、団結権ですからね、争議権を付与すると言っているわけじゃないんですね。団結権を与えないというのは、先ほども申し上げたように、お隣の韓国ぐらいでありまして、ぜひこれについては前向きにしっかり御検討いただいて、進めていただきたいと思います。

 私も時々委員会でまた議論をさせていただきたいと思いますが、きょうは、この話はこれまでとさせていただきます。

 それから、ちょっと通告はしていませんけれども、きょうの日経新聞に、地方法人課税について知事会の方から大臣に文書が出ていたということが書かれていましたが、総務相は、地方財政に穴をあけて実効税率引き下げを行うことはあり得ない、こうコメントされていると思います。ここをもう一度確認させていただきたい。

 とりわけ外形標準課税、地方団体は、外形標準課税については一方、慎重な対応をしながら、しかし一方では、地方財政に穴をあけるな、こう言っているわけでありますが、外形標準課税の取り扱いも含めて、ちょっとお答えいただきたいと思います。

新藤国務大臣 昨日、全国知事会より、法人税改革に対して御要望といいましょうか、御提案をいただきました。

 そして、その中には、国、地方を通じた法人実効税率の引き下げの検討等を行う場合には、地方の歳入に影響を与えることのないようにすべき、法人事業税の外形標準課税について拡充していく方向で検討すべき、このような御提案をいただいたわけであります。

 私といたしましても、日本企業の国際競争力の強化、そして対日直接投資の促進、これは日本経済を成長させるアベノミクスの効果を全国津々浦々で実感していただくためには重要であって、国としての方向性、内閣としての方針が打ち出されて、それに沿って私どもも協力をしていかなくてはいけない、このように思っているわけであります。

 一方で、法人税の関係は、税収の約六割が地方に関係することになります。したがって、穴をあけたままで実効税率を下げて、その手当てをしないまま、地方税収、地方税財政に穴があいたままでの改革を我々が受け入れられるわけがございませんし、実際に、それでは地方の行政は立ち行かなくなります。

 ですから、さまざまな工夫をしながら知恵を出し合って、そして実現可能性のある策というものをまとめていかなくてはならないんだと思いますし、我々もその役割を果たし、言うべきことは言い、また国としての協力すべきことには協力しなくてはいけないということであります。

 外形標準課税の拡充につきましても、総務省とすれば、提案時の意見というのがずっとございます。政府内での調整の結果、現行に落ちついているわけでありますから、今後、与党の税調プロセス、そして、政府内のさまざまな検討の中でしっかりとした議論をしていただきたいし、我々もそれに参加していきたい、このように考えております。

奥野(総)委員 くれぐれも地方財政にはしわ寄せが来ないように、なかなか難しい作業だと思いますが、しっかりお願いしたいと思います。

 それから、税の関係をもう一問だけ。

 住民税の現年課税について、これは時々話題に上るんですが、私も、役所を退職して、落選した後に、翌年に税金が来てがっくりきたという記憶がございますが、現年課税について、ITも進んでいるわけですから、どうしてできないのか。これは昭和四十三年の政府税調で最初に取り上げられているわけですから、随分時間もたっています。

 現在に至るまでこれが実現していないのはなぜか、あるいは、前向きに取り組んでいただけるお考えがあるのかどうか、伺いたいと思います。

新藤国務大臣 個人住民税の現年課税の問題につきましては、これまでもさまざまな議論がなされていることは承知をしております。

 そもそも、前年所得課税の仕組みは、シャウプ勧告以来のことになっております。そして、所得税の課税資料を活用することにより、個人住民税の調査事務の簡素化、効率化が図られるほか、特別徴収義務者も毎月確定した税額を徴収すればよく、所得税のような年末調整は不要となるなど、納税の事務負担に配慮した、これが導入のそもそもの理由といいましょうか、もとであります。

 昭和四十三年の政府税制調査会の答申では、所得発生時点と税の徴収時点との間の時間的間隔をできるだけ少なくすることにより、所得の発生に応じた税負担を求めることとするためには現年所得課税とすることが望ましい、これはもう数十年前にこういったお話が出ているわけであります。

 今委員も御指摘されましたが、前年よりも所得が大きく減少した方については負担感が大きくなるわけでありまして、現年課税によってそれが軽減されるメリットというものがあるわけであります。一方で、特別徴収義務者等において、事務負担の面でのさまざまな課題があるということであります。

 まず、少しだけ例を申し上げますけれども、個人住民税について、所得税と同様の源泉徴収と年末調整による方式をとることとした場合には、企業等の特別徴収義務者においては、税率や非課税限度額が地方団体ごとに異なることから、より複雑な事務を源泉徴収と年末調整において行わなければならない、こういうことが発生いたします。

 それから、源泉徴収では、特別徴収義務者が算定した税額を給与所得者ごとに明示した上で地方団体に納入しなければならなくなるということがございます。

 それから、所得税では、源泉徴収した税額を所轄の税務署に納入すればいいわけでありますけれども、住民税の場合には、特別徴収義務者がどの地方団体が納入先であるかを調査しなければならない、こういったものがありますし、報酬や原稿料等に係る個人住民税では、源泉徴収を報酬、原稿料等の支払い者が新たに行わなければならなくなる、こういったようなことがあります。

 そして、税理士会からも、東京地方税理士会からは、ぜひ現年課税制度の導入のための検討を進めることが望ましい、こういう御要望をいただいておりますが、一方で、日本商工会議所からは、現年課税には反対である、全国町村会からは、慎重に検討してほしい、こういうようなことがあって、さまざまな御意見があるということであります。

 私どもとすれば、「個人住民税の所得割における所得の発生時期と課税年度の関係の在り方については、番号制度の導入の際に、納税義務者、特別徴収義務者及び地方公共団体の事務負担を踏まえつつ、検討する。」ということが税制抜本改革法の中に定められております。

 したがって、個人住民税の現年課税化につきましては、番号制度ですとか、それから、今委員もちょっとお触れになりましたが、ICTの活用、こういったものも含めて、企業、地方団体等々の意見を伺いながら、引き続きの研究をしていかなくてはならないだろう、このように考えております。

奥野(総)委員 るるお述べになりましたけれども、なぜできないのかという感はやはり拭えませんので、ぜひこれはしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それから、ICTの話を少しさせていただきますけれども、先週、スマート・ジャパンICT戦略という骨子が公表されました。ICTを活用してイノベーションを創出して、持続的な経済成長につながる。成長戦略の一つ、いわば柱だというふうに私も思います。

 そこで少し伺いたいんですが、盛りだくさんなんですね、まちづくりとかG空間とかスマートアグリとか、いろいろなテーマが掲げられております。確かに、ICTというのはあらゆる分野に横串を通すものでありますから、あらゆる分野について政策があっていいわけでありますが、しかし、やはり優先順位があると思うんですね。プライオリティーをつけていかなきゃいけないというふうに思います。

 医療、教育、防災、交通、いろいろありますが、私の感覚でいえば、例えば医療をもう少し進められないかというふうに思います。あるいはビッグデータ、これをもっと活用できないか。これはプライバシーの問題もあってなかなか難しいとは思いますが、やはり成長戦略というのであれば、もっと前広に活用できないかという思いもあります。

 大臣は、ICTの利活用促進のために、一体どこをまず優先的にやっていくべきか、盛りだくさんですが、どこに力を入れておられるのか、伺いたいです。

新藤国務大臣 先週に発表させていただきましたスマート・ジャパンICT戦略の骨子でございますが、これは、私とすれば、これから改定をされる成長戦略2、日本再興戦略の改定の中に提案をすべく発表させていただいたわけであります。

 大臣就任以来、まず、ICT成長戦略推進会議というものを設けました。もう一つは、ICT国際競争力強化・国際展開に関する懇談会、国内の戦略とそれから国際戦略、それぞれの二つの懇談会を設けまして、そこで研究してきていただいたわけであります。それらを、今度、合同会議を設けまして、あわせて、日本としてどういうパッケージで進めていこうか、こういう戦略を出したということであります。

 私がずっと申し上げておりますのは、ICTはツールです。基盤であって、目的ではないんですね。ですから、行政のICT化が目的なのではなくて、それは手段であって、我が国のICT化を進めることで何をもたらすかということが重要だ。総務省は、その基盤を持っているセクションであります。ですから、どんな状態、それは4K、8Kも含める映像もそうですし、クラウドもそうですし、農業分野や医療分野や教育分野、そして社会資本の管理、いろいろなところにICTを活用して新しいイノベーションを起こしましょうということを提案しているわけであります。

 したがって、これは私たちだけでできることではないし、私たちのみでやろうと思っておりません。そういう戦略を打ち出したことによって、各省との連携をしながら、役割分担をしながら、オール・ジャパンで進めていこうということでございます。

 まず、当面の目標としては、何といいましても、一つは地域の活性化です。地域の活性化、特に過疎地ですとかそういったところにICTを入れることによって飛躍的な、革命的な革新ができるだろう、このように思っておりますし、二〇二〇年のオリンピック、パラリンピック、またその前の二〇一九年のラグビーのワールドカップ、こういったことを目指して、皆さんに、日本にたくさんの方がおいでいただくわけでありますから、日本の技術力、それから新しい社会、国づくりが進んでいるということをアピールしたい、それを機に国際展開も図っていきたいというようなことを考えているわけであります。

 特に、私は、農業において、スマートアグリといいますけれども、決定的にこれまでとは違う効果を出す。もうわかっているんです、同じ農場や圃場で数倍の効果を出すことができるんですね。でも、それには集約と規模が必要です。それと、その必要とする基盤が重要なんです。こういったものをまずやってみようではないかと思っておりますし、準天頂衛星を活用した新しい測位の仕組みがこれからあと数年でサービスインになりますから、こういったものを活用して、これまでとは違う新しいシステムを取り入れたまちづくりができるだろう、G空間シティーと呼んでいますけれども、こういったものをやろう。

 時間がかかって恐縮でありますから、もうやめますけれども、この間皆さんにも御説明したかもしれませんが、多言語翻訳システム、これは言葉の壁を取り払う、世界で誰もやったことのない仕組みなんですけれども、こういったものをオリンピックまでに整備しようではないかとか、さまざまなことを進めながら、冒頭にも申しましたが、各省と連携してオール・ジャパンで、パッケージで国内、国際展開をしていこう、このように考えているわけでございます。

奥野(総)委員 例えばATRなんかですばらしい技術があるというのもよくわかっておりますし、そうしたイノベーションをどんどん進めていくというのは大事だと思いますが、規制改革の観点からいうと、各省、医療とか、非常に前に進みにくいところがあるわけですね。そのあたりをやはりプライオリティーをつけてやっていかないと、大臣の思いもよくわかります、全てやりたいという。全てそのとおりいけば、こんなすばらしいことはないのでありますが、なかなか前に進まないというのも恐らく現状だと思うんですね。

 ですから、私の申し上げたかったことは、きちんとプライオリティーをつけて、例えば医療とかあるいは地方の行政のクラウドの活用、順序をつけてきちんとやるべきではないんですか、その思いを伺いたかったのでありますが、あふれる思いをいっぱい聞かせていただいて、そこは私の中では定かではなかった。

 あと五分になってしまいましたが、最後に、政策評価について伺っていきたいと思います。

 政策評価に関するガイドラインというのが昨年出まして、もう時間がないのでしゃべっていきますが、標準化、重点化していこうということで書かれています。

 ちょっと気になったのが、もともとこの政策評価というのは、この前の行審法の議論と同じような話なんですが、自分で評価するわけですね。自己反省とか、何%進捗していますとか、自分で目標を立てて自分で評価していく、各省が自分で評価をしていく。最後のところで、一応、外部有識者が入ってチェックをする。こういうたてつけになっています。評価書をつくるときに、各省が出してきたものについて外部有識者が目を通すということになっています。

 もちろん、膨大な案件ですので、外部有識者が見るといっても事細かに見ることはなかなかできないのでありますが、一応、そこで客観性を担保しようという仕組みがとられている。行政評価法の中にも、基本計画、方針の中で、外部有識者を入れろ、こう書いてあるわけですから。

 今回、政策評価について、毎年やらなくてもいい、モニタリングをすれば全てやらなくてもいいんだ、こういうことが書かれています。

 そこで伺いたいんですが、これは、モニタリングになった場合は外部評価が入らないんでしょうか。そういう意味で、外部の有識者がチェックを全てについてしなくなるということになるんでしょうか。

新藤国務大臣 私は、政策評価をもっと実効性のあるものにしたいと思っています。私、政策評価を最初に導入したときの担当政務官でしたから、以来ずっとこの問題には関心を持っておりますし、取り組んでおります。

 私が今やっておりますのは、行政事業レビューと政策評価の連携です。行政レビューは、五千の項目を、個々の一つ一つのことをチェックしますね。一方で、政策評価は、事業テーマを五百つくって、その中で、関連する事業を含めて評価していくということであります。

 今委員がおっしゃったような、評価は自分でいたしますが、最終的にはそれは予算編成なり予算査定のときに、別の方が、それを見ながら、指針としながら最終チェックをしていくわけでありますので、それに加えて、評価がそもそも正しいかどうかは第三者チェックも受ける、こういうことになっております。

 五百の項目でありますが、例えば二年に一度でよいというようなものもありますから、現状においても、今、実質三百五十本ぐらいの評価をやっているということなんです。しかし、これが形骸化してはいけない。必要なものは毎年やればいい。しかし、三年に一遍でいいもの、五年に一度で効果が図られるというものについては、むしろ、そういうふうに回数を分けて、一方で、一つ一つをきちんと深掘りしながら、何よりも、その評価が評価で終わらないように、評価した後にどう具体化できたかというものをチェックする、あわせて、その評価をもって予算編成に活用できるようなものにまでしていかなければ意味がないんです。

 そこをぜひ突き詰めていきたい、このように考えて、こういう仕組みにしたわけでございます。

奥野(総)委員 そこは全く同感であります。たしか、昨年の予算委員会で、この話を行政事業レビューの話とともに大臣にさせていただいて、政策評価と行政事業レビューについて連携をとったらどうですかということで、こういう形で結実したんだというふうに思います。

 やはり気になるのは、我が党も予算委員会で少し追及をしたんですが、ゾンビ予算ですね。行政事業レビューとかにかかって落ちたにもかかわらず補正で復活しているものがあったり、なかなかうまく網の目を縫って、結局各省の予算が復活してしまうというようなこともあります。こうしたことを許さないように、やはりきちんと外部の目に触れさせていくというのは、私は大事だと思っているんですね。

 行政事業レビューについて言えば、五千件について、外部の目に触れるのをこれも同じように減らして、五年に一回外部チェックを受ければいい、千件ずつぐらいに減らしたと思うんですよ。外部の目はまず入らなくなった。

 それから、公開仕分け、公開レビューも、数が絞られた上に、公開レビューのコーディネーターを官房長にしているということです。我が政権のときは外部の有識者にやってもらったんですけれども。

 行政不服審査法と同じ話ですが、予算にかかわること、評価に関することを各省に任せてはなかなか前に進まないと思うんです。やはり外部の目をきちんと入れることでこれは進めるべきだというふうに思います。

 最後、結びになりますが、それはそれで外部の目を入れるんですが、この政策評価、あるいは行政評価は非常によくできたシステムで、最後、総務大臣は勧告ができるんですね。評価が不十分であったものについては、もう一度評価をし直しなさい、あるいは、総務大臣が評価もできますし、それでもなお不十分な場合は勧告ができる。あるいは総理に助言ができる。きちんとしたシステムができ上がっているわけですね。ところが、残念ながら、これは恐らく使われていないんだと思うんです。

 これを総務大臣がしっかりやれば、予算当局、財政当局に物を申して、きちんと無駄な予算を省くこともできると思うんです。そのあたり、大臣の御決意というものを伺って、終わりにしたいと思います。

新藤国務大臣 応援をいただいてありがたいと思います。

 私も、大臣になりまして、各局の仕事をチェックすると、行政評価局は物すごくいい仕事をしているんですね。でも、なかなかそれが表に出ない。

 今回の、刑務所の出所者に対する社会復帰支援策もそうですし、社会資本の、特に農林道の管理ですとか橋の維持管理についての評価なんというのは物すごくいいものができているんです。でも、なかなか表に出ない。

 それは、なぜならば、言ったら言いっ放しで、フォローはするんですけれども、それは方向性をチェックしているだけで、言ったことが現実に実現したのかどうかまでをチェックしなきゃだめだ、こういうことで、今、実効性あるものにしていこうというふうに思っているわけであります。

 ですから、フォローアップというのが方向性を追うだけにとどまってはいけないんだ、あくまで実現しなくてはいけない。薬のジェネリックを使いましょうなんというのは、もう十年も前から言っているんですよ。何%にしろという勧告も出しているけれども、こうすればいいんだと勧告するんだけれども、方向性だけで終わっちゃっている。

 ですから、本当に残念なところがあるので、応援していただいてありがたいところなんですけれども、実効性を上げるようにしっかりとしたフォローアップをしていきたい、このように考えております。

奥野(総)委員 終わりにします。

高木委員長 次に、杉田水脈君。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 本日は、公務員の労働組合についての質疑をさせていただこうと思って資料を用意してきたんですけれども、この資料を配付することが許されませんでした。

 この資料なんですけれども、労働組合の正体といいます。これは、京都の自治労の方が、自分たちの組合に入っていただこう、新入職員の方に入っていただこうということでつくった資料で、ホームページに公開されております。ですから、きょう御出席の委員の皆さん、これを見ようと思えばホームページで幾らでも見られますし、インターネットできょうのこの質疑をごらんいただいている皆さんも、この資料は幾らでも見ていただくことができます。

 私が故意的につくったりとかいろいろ手を加えたりとかは一切していない資料を用意しておったんですけれども、これを配付することが認められませんでした。まずそのことを、冒頭、遺憾に思いますということを申し上げておきたいと思います。

 この資料を配ることができなかったので、ちょっと皆さんの方にはわかりにくいところもあるかもしれませんが、質疑を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、一般の国民の皆さんは、解雇がない公務員になぜ労働組合があるのかというようなことで非常に疑問に思うということが私のところにもたくさん寄せられるんですけれども、これは、いわゆる公務員の労働組合というのは、労働基準法だとか労働組合法に基づく労働組合ではなくて、職員団体でございますから、そこに所属している人たち、公務員といえども労働者でありますから、その人たちの職務条件だとか福利厚生だとか雇用の要件だとか、そういったことを討議していくということでつくられたのが職員団体であります。

 この職員団体なんですけれども、名称は自由につけられるということですので、地方自治体なんかにおきましては、ほとんどの場合はこの職員団体に、何々労働組合、何とか市労働組合とか、何とか県職員労働組合といった名前がついているので、一般の方々は非常に誤解をしやすい状態にあるということがございます。こういったことを、昨年の内閣委員会でもこのことを取り上げて質疑をさせていただきました。名称は労働組合とはなっておりますけれども、内部は、普通に、一般に言われている企業の労働組合とは全く違ったものであるということです。

 この中で私が今回問題にしていきたいのは、いわゆる公務員の労働組合、職員団体なんですが、これが特定の政党や政治団体を支援することは許されるのかどうかということなんです。

 そこでこの資料を用意させていただいたんですけれども、これは京都市さんのことについて書かれているんですけれども、京都市には二つの労働組合があるそうなんです。この労働組合、二つあるのが、一つが自治労京都市職員労働組合、もう一つが京都市職員労働組合というこの二つなんです。前者の方が自治労系です。後者の方が自治労連系です。

 この資料の中にはその自治労と自治労連の違いについてもかなり詳しく書かれておりまして、その中にこういったページがあるんです。労働組合と政治の関係というのがございまして、労働組合が抱える課題の中には、突き詰めると政治レベルで解決しなければならないときもあり、そのために政界との関係が大変重要になると言われていますと書かれているんです。

 この中で、自治労市職と市職労はという形で、どちらの組合も特定政党とのかかわりを表向きには出していませんが、日ごろの行いを見てみると、どの政党にべったりかはおのずと見えてきますと書いてあるんです。自治労市職は一見、民主党を支持しているように思えますが、それは微妙なところで、そうじゃないという組合員さんも現実におられますので、断言するにはいろいろと問題があります、まあ、組織的なつき合いで見れば民主党とは仲よしですが、いつまで続くかは疑問視する声もと書かれています。これは私が言っているんじゃないんですよ、ここに書かれてあることを読み上げています。

 一方、市職労は、特定政党支持の立場をとらないと清らかな宣言をする傍ら、選挙戦などで推薦や応援をする候補は、必ず共産党が陰で一押ししている人たちばかりです、総合的に判断して共産党とべったり確定ですと書いてあります。これも私が言っているんじゃないです、ここに書かれております。(発言する者あり)

 これはホームページに書いてありますので、私に抗議されてもどうしようもないです。ホームページに書いてありますので。ここのところに、アイ・ラブ民主党、それから共産党命という形で書かれております。

 こういうふうな形でホームページに書いてございますので、ここのところでまず質問をさせていただきたいんですが、職員団体が特定の政党、特定の団体を支援することが許されるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公務員の職員団体は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを主たる目的として組織されるものでありますけれども、一方で、副次的な目的として政治的な行為を行うことは、地方公務員法上禁止されてはおりません。

 もっとも、地方公務員個人が一定の政治的行為を行うことは地方公務員法上禁止をされておりまして、仮に地方公務員が職員団体の組合員として行った行為でありましても、同法に規定する行為に該当すれば、地方公務員法違反となるものでございます。

高木委員長 杉田君にまず申し上げます。

 ホームページに載っている、ネット上で公開してあるものは全て国会でオープンにすればいいという話ではなくて、今、不規則発言でございましたが、国会の議論の場合には、事実を積み上げてやるというのが基本原則だと思います。その確認をいわゆるこの場でするというやり方もありますが、そこのところはいろいろと配慮をいただきながら質問をしていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

杉田委員 私も、十八年間、地方自治体で働いておりまして、この京都のホームページは非常によくできているなと思いましたので、皆さんにわかっていただくには一番いい資料であるというふうに思いましたので、きょうは取り上げさせていただこうと思って用意してきたという経緯がございます。

 先ほどの御答弁なんですけれども、地方公務員法で公務員の政治活動が禁止されているので、それが組合活動であったとしても、政治活動を行ってはいけないという御答弁だったんです。ただ、これは内閣委員会の議論の中の答弁であったんですけれども、職員団体の構成員の中で、公務員じゃない人が行うのはいい。要するに、職員団体が政治活動をしてはいけないということは定められていないそうなんですね。だから、職員団体の中の公務員は政治活動をしてはいけないんですけれども、それ以外の人はしてもいいというような答弁をいただいたんです。

 ここで私、一つ疑問がありまして、ここの部分は内閣委員会で答弁がうやむやになってお答えがいただけなかったんですけれども、これは地方公務員の労働組合に多いことなんですけれども、その職員組合の中で、公務員以外の人というのは存在しているんでしょうか。そこを明らかにしていただきたいと思います。

三輪政府参考人 地方公務員法上の職員団体は、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体でありますことから、職員が主体となって組織する必要がありますけれども、公務員以外の者が職員団体に加入することまで否定されているものではありません。このことは、国家公務員の職員団体と同様の扱いでございます。

 一方、地方公務員法第五十三条が規定をいたします登録職員団体というものがございます。これは、登録を受けますと、例えば、当局は、登録職員団体から適法な交渉の申し入れがあった場合において、その申し入れに応ずべき地位に立つ、あるいは在籍専従の許可を受けることができる、こういった登録による効果が、地方公務員法上、一定発生するものであります。

 この登録職員団体は、同一の地方公共団体に属する職員のみをもって組織される必要がございます。全国の職員団体の中には、登録職員団体だけでなく、非登録の職員団体も存在いたします。平成二十五年の四月一日現在ですけれども、全国で、職員団体二千九十六団体ございますけれども、そのうち、登録が千七百十一団体、非登録が三百八十五団体ほどございます。

 したがいまして、非登録の職員団体の場合、職員以外の構成員が存在し得るわけでありますけれども、具体的な構成員の内容等につきましては、総務省としては把握はしていないという状況でございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 ここで確認なんですけれども、いわゆる組合専従というのがあります。在籍専従の場合は、これは地方公務員法が適用されるので、政治活動、政党活動はできないという認識でよろしいですか。これは確認なんですけれども。

三輪政府参考人 在籍専従をしております地方公務員でありましても、地方公務員の身分を有している限り、政治的行為の制限を定めた地方公務員法第三十六条は適用されるところであります。

 そのため、在籍専従をしております地方公務員が一定の政治的行為を行うことは、地方公務員法上、禁止をされておりまして、仮に、地方公務員が職員団体の組合員として行った行為でありましても、同法に規定をする行為に該当すれば、地方公務員法違反となるものでございます。

杉田委員 私、本日朝も、この質疑をするに当たりまして、自治労連のホームページを拝見してまいりました。そうすると、TPP交渉の立場から即時撤退を、三・三〇大行動とかいうのがありまして、そういうところに参加してプラカードを掲げている人たちの写真が載っておりました。

 この人たちが公務員なのか公務員じゃないのかというのは、私は、その写真を見た限りでは判断ができません。でも、先ほどまでの答弁にありますように、職員団体といえども、そこに所属する公務員は政治的活動はできないということになっております。たとえそれが組合専従をしている方でも、政治活動はできないということになっております。

 ただ、職員団体に所属している公務員以外の人はできるという整理になってくるんですけれども、では、職員団体に公務員以外の人が所属している、でも、職員団体は何によって運営がされていっているかということを、皆さん、一度整理していただきたいと思うんです。

 私も、公務員時代は、組合費というものが天引きされておりました。その組合費というものでそこの職員団体というのが運営されているとは思うんですけれども、その組合費というのは公務員のお給料から天引きされて、そして運営されているということは、そのもとは皆さんの税金なわけです。国民の皆さんの税金が、職員団体で、そこで、公務員の方々が、自分たちの福利厚生とか、そういうことで活動するのはいいとしまして、そこの職員団体の中に公務員以外の人がいて、その人たちが政治活動をすることに税金を使われているというふうになりましたら、国民の皆さんはどう思いますか。そこの部分をはっきりしていただきたいということ、今まで、この部分、誰もきちっと整理をして考えたことがなかったんじゃないかと思うんですね。

 これは、国家公務員の問題でもあります。内閣委員会でも、公務員改革の中でやらせていただきました。地方では、これは地方公務員の方が大きい問題なんです。これを総務省の方でもしっかりと認識を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。これ以上質問しても同じ答弁しか返ってこないと思いますので、これ以上は申し上げません。

 もう一点、お尋ねしたいと思うんですけれども、今、再任用というのがございますね。年金の支給年齢の引き上げに伴って再任用というのがあるんですが、再任用人材の組合専従というのは認められるんでしょうか。

三輪政府参考人 再任用制度でありますけれども、この制度は、定年退職者を、従前の勤務実績等に基づく選考によりまして、一年を超えない範囲内で任期を定めて採用することができる、このようにされているものでございます。

 在籍専従の許可自体は、再任用職員に対して与えることは法律上は可能でありますけれども、再任用は必要な公務に従事させるために一年以内の任期を限って行うものでありまして、再任用職員に対して在籍専従の許可を与えるということは、通常は想定しにくいものと考えられます。

 以上でございます。

杉田委員 法的に禁止はなされていないけれども通常は考えづらいという御答弁でありましたが、現実、存在します。そこの部分を、きのうも質問のやりとりの中で、これを御存じですかと言うと、そういう状況を把握していないというようなお答えでしたので、ここではこれ以上質問はいたしませんけれども、そういったことが実際に存在します。

 おっしゃったとおり、再任用というのは、従前の勤務実績等に基づいて選考されて、そして一年を超えない範囲で任期を定めて、通常勤務を要する職に採用することができるとなっています。

 こういうふうな定めがあるにもかかわらず組合に専従しているということは、これは本当に国民に対する裏切り行為だと思います。このあたり、しっかりと調べていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 それでは、労働組合の問題につきましては、ちょっと時間もなくなってまいりましたので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 皆さんもよく御存じだと思うんですけれども、五月の九日の朝刊に、ショッキングなタイトルが並びました。二〇四〇年には八百九十六の市町村が消滅してしまうのではないかというような、日本創成会議の人口減少問題検討分科会の提言、これがどの新聞も一面を飾ったんですけれども、これに対して、新藤大臣が、記者会見の中におきまして、非常にこれはショッキングであるということで、まずは出生率を改善させていかなければいけない、また、先ほどの御答弁にありましたが、地域活性化をしっかりやっていかないといけないといったようなことをお答えになっております。

 これは多分記者会見の中での大臣の思いというのをおっしゃっていただいたかと思うんですけれども、そこの部分、大臣の思いに沿って、どのように政府は対応していっていただけるのか。これからどんどんパイは縮んでいきますから、やはりこれを、幾ら地域活性化といっても、こっちは活性化した、では、それに対してこちらも活性化したといっても、パイは限られておりますから、そんな、ここもここもということで全部を助けることはやはり不可能な状態になっていくと思うんですけれども、それを踏まえて、今後政府はどのようにこれに対して対処されていくのかということをお聞かせ願いたいと思います。

新藤国務大臣 私はショッキングだと申しましたが、しかし、それはもう既に何度もいろいろな場所で、今、日本が人口減少社会に向かっていく、それは、人口の少ない地域からさらにこの傾向は顕著になっていく、そして、都市においては今度は急速に高齢化が進むことになるんだということでございまして、これらは織り込んで、かつ国家的課題として、我々は中長期に向けて断固たる決意を持って取り組まなければいけない問題だと。

 結局のところ、皆さんが、人口減少を食いとめるためには人口をふやすということですから、長生きしていただいているので、新しく生まれる方をふやしていかなければならないわけですね。でも、その新しく生まれる方がふえるためには、安心して家庭を持って子供を育てられる環境をつくらなければいけない。また、そういう気持ちの人をふやさなければいけない。また、そういうことができる場所をつくらなければいけない。それは地域の活性化だ。こういう全てが連関して回っていくことになります。

 委員がおっしゃったように、どこか都会に行った人を戻せばいいのではなくて、それぞれの地域で、自分たちの町でとどまって、そこで堂々と生活していける、そういう形をつくらなければいけないという意味において、過疎地には過疎地なりのやり方が、そして人口規模に応じたやり方があるという意味で、過疎の集落支援であるとか、また地域のイノベーションサイクルというものを既に実施しています。

 それから、定住自立圏というのは五万人以上でありますし、中枢都市圏構想というのは、二十万人程度の都市が中心となって、周辺の地域と一体化していこうと。また、シティーリージョンという、地域の住民が一緒になって、周辺の自治体にこだわらずに、地域としていろいろなものを考えられる、そういう仕組みを取り入れたいということで、順次制度を整えているということであります。

 何もしなければこうなるのであって、そのために今から行動しようというのがこの提言だと思いますし、私どももそう思っています。座してわざわざ衰退していくのをそのまま認めていいわけがありませんから、さまざまな工夫によって我々は克服できる力と技術がある、このように思っています。

杉田委員 大臣を初め、我々もこのことについては危機感を持っていますが、一般の人たちが危機感を持って、ああ、困ったと思うようになってしまっては、もう既に私は遅いと思うんです。

 先ほどのことから、なかなかまだ具体策に落とし込んでいく段階になっていないかもしれないんですけれども、やはりスピードを上げて考えていっていただかなくてはいけない問題だと思いますので、今後、この地域の問題、しっかりとお話し合いをしていきたいと思います。

 最後になりますが、これ、先ほどから申し上げましたが、皆さんで見ていただくことができます。何度も何度も不規則発言で、事実に基づかない発言じゃないかというふうに言われておりますが、ここに書かれていることが事実なのか事実でないのかどうかは、いま一度、皆さんでごらんいただいて判断をしていただければと思います。

 以上で私の質疑を終わります。どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 皆さん、お疲れさまです。日本維新の会の馬場伸幸でございます。

 週末、大阪の方へ帰りますと、企業経営者の方また商売人の皆様方にいろいろお話をお聞きしますと、昨年あたりからかなりお金が回るようになってきたという感想をよく聞くようになりました。しかし、その話をよく分析しますと、実は、これは同じ水槽の中でぐるぐる回っているんじゃないかなというふうに思います。すなわち、どの分野、どの業種も、戦後七十年たって硬直化しているという感がいたしております。

 これは、水槽を割って水を外にまかないと、なかなか全国民が景気がよくなったなという感想を持っていただけないんじゃないかなというふうに感じておりまして、そのためには、アベノミクス第三の矢、成長戦略、また、今までにはなかったいろいろな手法というものを取り入れてこれからやっていかなければならない、そういった観点で、きょうは、PFI法と水道事業について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、冒頭、昨日、五月十九日に、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議があったというふうに聞いております。そして、その中で、PFIについて民間議員から要望があり、政府側からそれを受けた答弁があったというふうに聞いておりますが、その中身をまずお答えいただきたいと思います。

持永政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日夕方でございますけれども、御指摘のとおり、経済財政諮問会議、それから産業競争力会議の合同会議がございました。その中におきましては、産業競争力会議の民間議員の方から御指摘があったところでございます。

 具体的に申し上げますと、PFIの一方式でありますところのコンセッション方式につきまして、今後三年間、二十八年度までですけれども、これを集中強化期間にするということ、それから、その間の重点分野ということで、空港、上水道、下水道、道路の四つについて案件の目標数を設定すること、それから、それらの事業規模について二、三兆円という従来の目標を前倒しして実現することなどの御提言がございました。

 これを受けまして、会議の最後になりますけれども、総理からの指示がございまして、少しかいつまんで申し上げますと、コンセッションの拡大に向けて、関係閣僚においては、自治体の協力も要請しながら、具体案件の創出に努力してほしいという指示があったところでございます。

馬場委員 このPFIのコンセッション方式というものについては、安倍総理が、特に力を入れてやってくれ、平成三十四年までの十年間で実施するという目標を前倒ししてどんどんやってくれという強い御意向だということが今の御答弁でよくわかりました。

 このコンセッション方式については、新しいPFI法で位置づけられたものと認識をしておりますが、この方式の必要性、そしてメリット、いま一度おさらいをさせていただきたいと思います。

持永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御存じのように、昨今、公共におきましては、予算、それから体制においていろいろ制約が強まっておりますが、こういった中において、一方、インフラにつきましては、老朽化の対策でありますとか、より効率的な運営、さらにはサービスの向上などが課題となっております。

 こういった中で、利用料金で費用を回収するような、一種独立採算に近いようなインフラ事業については、これまで以上に民間の活力を導入していくことが重要であろうと認識されたところでございます。このために、平成二十三年六月でございますが、PFI法を改正いたしまして、いわゆるコンセッション方式の導入に至ったものでございます。

 具体的に申し上げますと、民間にインフラの運営権を設定いたしまして、その運営を全面的に委ねて、施設の老朽化対策、維持管理、サービスの向上などについて民間のノウハウを最大限活用しようというものでございます。

 メリットでございますが、今申し上げたことと若干ダブりますけれども、公共サイドにおきましては、運営権売却による収入が得られること、それから、インフラサービスの効率化でありますとか質的な向上が図られること、それから、空港において特に目立っておりますが、路線の拡大等々におきまして、地域活性化、観光振興などに貢献するということなどが挙げられているところでございます。

馬場委員 国としては、私が冒頭申し上げた、水槽のガラスを割って水を周囲にまくばるということがメリットとしてあるというふうに御認識をされておられると思います。そして、一番力を入れていくのが、上下水道、空港、道路。空港の方は、大阪では関空と伊丹が公共施設等運営権の方法でやっていくということで、今、種々御協議をいただいているというふうに聞いております。

 国として、やはり地方公共団体に対して、これをどんどん導入するようにというような働きかけが要るんじゃないかなと私は思いますが、具体的に国としてどういう働きかけをされておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

持永政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、コンセッションの方式につきましては、空港、上下水道、道路などにおいて活用を期待されておりますし、関空、伊丹、それから仙台空港などにおいても具体の検討が進んでおります。

 こういった方式を拡大していくためにということでございますけれども、内閣府といたしましては、各省と協力させていただきながら、各自治体等に対しまして、コンセッション方式のメリットでありますとか考え方をあちこちで説明する、または普及するという一種のPR活動をやっております。それから、個々の具体の実務手続をガイドラインといった形でまとめまして、そういったものも自治体にお示しするといったことを続けてきておるところでございます。

馬場委員 ぜひ、そのメリット等を、手法を、今御答弁いただきましたように、そういうことをどんどん地方自治体にPRまたは説明していただいて、地方公共団体がこういうことを積極的に取り組むように、今後とも御尽力をお願い申し上げたいと思います。

 この公共施設等運営権の対象事業であります水道事業、きょうの本題でございますが、今、世界において水道インフラというものが非常に注目をされています。日本企業もそういったノウハウを持っている、また高度の技術者を抱えているという企業もたくさんあるやに聞いておりますが、今現在、日本の取り組み状況を御答弁いただきたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 日本の高い水道技術を海外展開していこうということで、さまざまな取り組みが行われております。

 まず、従来からODA、国際協力という形で日本の技術を途上国等に普及してきたところでございますが、それに加えまして、今委員御指摘のように、成長戦略の中でビジネスという観点からもしっかり取り組もうという考え方でございます。

 政府全体といたしまして、今、経協インフラ戦略会議におきましてインフラシステムの輸出戦略というものを定めております。この分野の中で水分野も非常に大きな分野ということで、水分野におきましてポテンシャルを有する企業、これは中小とか中堅企業でございますが、その企業とか地方自治体の海外展開を政府全体で後押ししていこうということで対応しております。

 そうした取り組みの中で、今、各水道事業体、地方公共団体で行われていますが、そういった事業体を中心に海外展開がかなり進んでいるという状況でございます。

 具体的に申し上げますと、例えばカンボジアとかタイ、そういったところで無収水対策事業、これは料金を徴収する仕組みでございますけれども、そういった事業とか、ベトナムにおきまして、浄水施設における日本技術の導入といったものにつきまして、北九州の水道局とか東京の水道局が中心になりまして、日本の企業と一緒になって協力をしているところでございます。

 厚生労働省としましても、アジア各国におきまして水道セミナーをやるとか、それから案件発掘調査などの実施をやっておりまして、民間企業、地方自治体の海外進出というものを支援しているところでございます。

馬場委員 実態としては、地方自治体は、公営企業の形をとって、民の力またノウハウをかりながら水道事業というものを進めてきたという歴史的な経緯がありまして、そういった分野での公共性の維持とかそういうことについて非常に実績があるということが言えると思います。

 そういう中で、国内で水道事業をコンセッション方式を使って民営化を行った場合、デメリットというものは何があるというふうに想定されておられるでしょうか。

高島政府参考人 民営化の問題でございますが、水道事業におきまして、やはり民間活力を使おうということで、官民連携ということでずっと対応してきております。これは、個別の委託から、包括委託という形で全体での委託、それから民間資金を調達するような形でのPFI方式の事業をやってきておりますが、まだコンセッションという形での民間事業化ということは実例がございません。

 これは、一つにはやはり、コンセッションというのはもう一歩次元が違っておりまして、事業者自体が民間になるということで、今までの対応とは大きく違う場面がございます。

 それで、今委員の方からデメリットというお話がございましたが、これはコンセッション方式、制度そのもののデメリットということではないんですが、現状におきましては、官がやる事業との違いということで、若干導入が進まない理由がございます。

 これは競争力会議等でも御指摘を受けているんですが、一つは補助金の話がありまして、例えば水道事業ですと水道補助金が公共事業体の場合には出る仕組みになっていますけれども、民間に出す仕組みというものは現在のところありません。そういう意味で、一つそれが阻害要因になるのかなという話とか、それからあと、法人税がかかるようになった場合には、今まで税金を払っていないのに払う必要があるのかとか、それから、実際導入するとき、今非常に膨大な手続が必要になりまして、そういったコストだとか費用をかけてまで導入する必要があるのか、こういった問題点がいろいろ指摘されているところでございます。

馬場委員 今御答弁いただいたのは制度設計の話だと思うんです。実際やってみて、足らざる部分、また整合性のとれない部分については、きちっとその都度、制度設計をやり直せばいいんじゃないかな。水というものを日常、飲用したり料理に使ったり、そういうことをしている国民にとっては、私は何のデメリットもないんじゃないかな。また、この水道事業をずっとやっていくということについてもデメリットはないんじゃないかなというふうに思うんですが、この問題についてこういうことをおっしゃる方々がいらっしゃいます。

 この水道事業の民営化案が、真に水道の将来を見据えたものではなく、水道料金の値下げと職員の非公務員化による合理化をアピールするだけの政治的パフォーマンスにすぎないのではないか、こういうことをおっしゃる方がいらっしゃるんですね。また、ある方は、この水道事業民営化案ではメリットばかりが強調されている、あくまでもシミュレーション上の話であって、このメリットが何ら担保されるものではないということをおっしゃったり、水道は市民の命に直結する事業だ、したがって民営化することについては断じて反対であると。

 また、これは後ほど申し上げますが、大阪市が今民営化をやっていこうとしているわけですが、大阪市水道局のような規模の会社が国内には全くありませんと。これは意味がもう一つわからないんですが、市が立ち上げた会社の一社独占になり、競争性が働かないことは明々白々であり、民営化の意義は全くありません、なおかつ、民間企業は利益を追求するのが目的で、経営が厳しくなれば安心、安全は担保できませんと。

 こういう御意見に対して、どんな感想をお持ちでしょうか。

高島政府参考人 このコンセッション方式の推進につきましては、政府を挙げて検討を進めておりまして、メリットはあるということで、全体としてこれから推進していこうという方向で整理をしているところでございます。

馬場委員 まことに申しわけございませんが、先ほどいろいろな問題を指摘された、これは実は、先週十三日に行われました大阪市議会の中での議論の一こまであります。そして、これを発言された議員さんが所属されておられる政党は、政権与党である自民党さん、そして公明党さんでございます。

 これは何かねじれているような気がするんですね。きのうの夕方も、安倍総理が、先頭に立ってやるんだ、こう言っているのに、地方へ行けば、その政党に所属している議員さんが、そんなことはやったら絶対あかん、だめだということを盛んにおっしゃっておられるんですけれども、水道事業の公共性を確保すること、経営の自由度を発揮して事業の持続性、発展性を目指すこと、これを両立していけるということは、私は、きょうの答弁で明々白々ではないだろうかなというふうに思います。

 先月、大阪市では、水道事業民営化基本方針というものがつくられました。これは、関係省庁とも調整をして、運営権の導入のモデルとなると言われています、精微な制度設計でございます。これにかかわられた方はきょう御出席いただいていると思うんですけれども、これをごらんいただいて、この成果品、どんな感想をお持ちか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。

高島政府参考人 大阪市で本年四月に水道事業民営化基本方針について作成されたということは存じ上げております。

 その作成に当たりましても、以前からずっと、大阪市からは、コンセッション方式の導入に当たりまして、技術的、制度的な助言というものを厚生労働省に対しても求められ、適正な対応をしてきたところでございます。

 今回の基本方針におきましては、そこの過程で整理されたものも含めて、対応策や方向性、また経営形態による公共性、効率性、発展性の比較分析とか、それから民営化のメリットが整理されておりまして、精力的な検討の上にできたもの、こういうふうに考えております。

馬場委員 我々日本維新の会も、政権に対しては是々非々ということをいつも申し上げてまいりました。本当に国民のためになること、そして次世代のためになることについては協力していく。憲法の国民投票法の問題、また、今大きくマスコミにも取り上げられております集団的自衛権の問題、こういうことについては、積極的に我々も賛成の意を表して、そして、これらが推進するように十分協力はさせていただいておるというふうに思います。

 内閣総理大臣そして自民党の総裁でもある安倍さんがやろうと言っていることについては、党を挙げて、組織を挙げて、田舎だから違うんだよということではなしに、ぜひ御協力をいただきたいと思いますが、最後に、きょうの議論を総務大臣に聞いていただいて、どんな感想をお持ちか御答弁いただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

新藤国務大臣 水道事業を初めとして地方公営企業について、これから大量に更新時期を迎える、高度経済成長時代に整備されたものの更新があるわけでありまして、そういった中で、やはり、公共性を担保しつつ、経営の効率性を追求していく、また健全性を維持する、これは重要なことだと思います。

 だから、その中で、きのうも総理から御発言がありましたが、コンセッションを初めとして、そういった新しい取り組みについては積極的に推進していきたい、このように思っているわけであります。

 あわせて、水の問題は、日本は世界的な規模で考えていかなければいけない、このように思っているんですね。

 これは委員にぜひ、御理解いただいていると思いますけれども、地球上の水は十四億キロ立方メーターです。そのうちの九七・五%は塩水で、二・五%しか淡水というのはないんですよ。かつ、人間が使える水というのは〇・〇一%しか地球上にないんです。

 これから世界は、人口爆発をし、温暖化する中で、水需要が増す。日本の水道技術というのは世界一なんですよ。ですから、国内の水道事業を充実させるとともに、私たちは、今政府で、水のビジネスを国際展開して、世界に出していこうではないか。一番このノウハウを持っているのは、実は自治体であり、それを支えている民間企業の技術なんですね。

 私も、モルディブに行って、民間の水道会社でありますけれども、漏水率を格段に低減させて、そして管路管理をし、料金徴収の新しいシステムを入れることで物すごく経営を効率化して、おいしい水を提供しているところを自分で見てきました。

 ですから、こういうビジネスを、公共性を持ちつつのことでありますが、そういう展開もできるんだ、そのためにも、まず国内で積極的にこういったことは進めるべきではないかと私は考えております。

馬場委員 理念、信念は同じものだと思いますので、このねじれを解消していただいて、本部の方からもよく御伝達をいただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 早速質問に入らせていただきますが、質問の順番を変えることをお許し願いたいと思います。

 まず最初に、新聞報道を質問するのはどうかなとは思うんですけれども、昨日の朝日新聞に、社会福祉法人売買が横行だとか、理事長ポストを数億円で売買するとか、こういった生々しい記事が出ておりました。

 そこで、きょうは、参考人で厚生労働省の方がお見えになっておりますので、先にその質問から入らせていただきたいと思います。

 昨日の朝日新聞の記事は、当然、厚労省の方も読まれたと思いますが、実態は何か把握をされておりますでしょうか。

古都政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の新聞報道は、私どもも承知しております。

 一般論といたしまして、社会福祉法や厚生労働省の通知におきまして、社会福祉法人の業務ですとか理事長の選任といったものは理事会などにおいて公正に決定される必要があります。理事長の独断による意思決定あるいは選任過程における金銭の授受などがある場合は、大変不適切であるというふうに認識いたしております。

佐藤(正)委員 介護保険ができて最初に特養ができるときに、全国でいろいろな問題が起きたんですよ。一番は彩福祉法人。まだ御記憶にある方がいらっしゃるとは思いますが、実は、福岡でも同じようなことがありました。

 特別養護老人ホームをつくるときに、基本的財産が必要ですよね。今は一億ぐらいなんでしょうか、土地なり何なりが要るわけですが、その当時は、いわゆる土地のお金を銀行から融資を受けてきて、なおかつ、今度は設備資金が融資を受けられるということになっていますよね。その融資が九〇%以上の融資だということで、俗に言うと、そこで資本の分を調達する、付加するというようなことが全国で横行したんですね。今回のこの記事を見てみますと、まだそういった根っこが残っているんだろうなというふうに思ったんですね。

 これは、ちょうど私が福岡県議をやっているときに、この社会福祉法人の問題を取り上げて、結果的には、全理事が交代をして、別のところがその法人を受け取っていただいた。なぜなら、本来ならおかしいんですけれども、入所者がもう入居をされておられるということで存続しようということで、いろいろな医師会等にもお願いをして引き受けていただいたという経緯があった。当時、本当に全国いろいろなところでこういう問題が起きました。

 しかし、この記事を読むと、まだそういったものが残っている。いわゆる理事会のメンバー構成を意図的につくればできるということが書かれているわけですよ。だから、理事長職とか理事をもらえれば、そこで、理事会の話の中で理事長をかえられるよ、そのために、理事長ポストとして三億円裏金をくれというようなことが書いてあるんです。

 そこで、この社会福祉法人なんですけれども、基本的に、今いろいろなところで問題点があぶり出てはおるんですね。この社会福祉法人で、これも全体で大体五千億円ぐらいの黒字が出ているんですよという試算もありますが、その点については御存じでしょうか。

古都政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、社会福祉法人自体について、これまでさまざまな問題があり、そして今般もこのような問題がある。自治体でもいろいろ監査をやっておりますけれども、なかなか追いつかないところがございます。

 社会福祉法人の中でも、いろいろな推計がございます。中には、会計検査院の調査でも、きちっと将来に備えて修繕とかに積み立てをしているところもあれば、ほとんどないところもあるというところですので、いろいろ、まちまちだというふうに思っております。

 私どもは、こういった問題についてはきちっと透明性を確保していく必要があるだろうというふうに考えておりまして、規制改革会議での議論、あるいは、それを踏まえて、社会福祉法人のあり方についても現在、有識者で検討を行っております。その中では、ガバナンスの強化、それから財務諸表の開示など透明性の確保、あるいは地域貢献がしっかり進むような必要な制度の見直しを現在検討しているところでございますので、そういったところで、より透明性の高いものにしていきたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 今私は、約五千億円の黒字がありますよというところを申し上げたんですが、その辺は把握されているんですか。

古都政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の五千億、これは、ある学者の方が一部のデータに基づいて全国を推計されたということでございます。

 現在、社会福祉法人の監督は、国、都道府県、政令市、中核市まで広がっておりますので、それぞれが管理監督しておりますので、それをまとめたようなデータは私ども持ち合わせておりません。今後、財務諸表の開示を義務づけてまいりますので、今後はそういったことは具体に明らかになるであろうということ。

 それから、五千億と申しましても、その内容、建物の資産になっている部分もございますし、例えば将来の退職手当の引き当てのお金もあるだろうとか、いろいろな用途がございますので、一概に五千億円がどうかということは言えないと思いますけれども、我々としては、今後、透明性を確保する中でしっかり把握をしていきたいというふうに思っております。

佐藤(正)委員 では、特養等の内部留保金等については、何か調査をされたとかということはありますか。

有岡政府参考人 お答えいたします。

 特別養護老人ホームの内部留保の額でございますけれども、私どもの調査研究事業の中で、全数ではございませんが、約千七百弱の老人ホームについて調査を行いました。この結果、これは二十五年、昨年の五月に公表した数字でございますけれども、いわゆる過去の利益の蓄積額、これにつきましては、一施設当たり約三億一千万という数字が出ております。

 ただ、この中には、先ほど古都審議官からも話がありましたが、再投資をした部分あるいは引当金に充当した部分もございますので、現在保有している、いわゆる使用可能な現金、預金等といたしましては、一施設当たり約一億六千万円という数字が出ております。

佐藤(正)委員 先ほど申し上げたように、社会福祉法人ですから、内部留保金は別に転用することができないから、自分のところの事業を例えば拡大するとかいう部分には使えるけれども、使えないんだということですよね。それだけのお金があって社会福祉法人が今運営をされているわけですよ。

 しかし、社会福祉法人については、普通の民間企業と比べて、随分利点が、メリットがたくさんありますよね。例えばどういうものがありますか。

古都政府参考人 お答え申し上げます。

 社会福祉法人の優遇措置といたしましては、例えば、税制上の非課税措置、法人税でありますとかあるいは地方税の非課税措置といったものを講じております。あるいは、寄附税制での一定の優遇というものもございます。

 一方で、かなり厳しい管理監督をしているということでございますので、さまざまな、例えば措置入所を受け入れるとか、一定の義務を課しているということもございます。

佐藤(正)委員 税の控除があったりしますよね。

 実際に、特別養護老人ホームで、すごい数の方々が、待機者がおられます。そういう中で、例えば、内部留保金、僕は、一番大事なのは、そこで働いている方々のいわゆるスキルアップするための給与体系とかこういったところにやはりしっかり使うべきだと思うんです。

 どうしても、介護保険ですから、保険で入ってきますから、今、いろいろなところで介護をされている方々が、ほかの収入に比べて、給与に比べて安いんですね。こういう内部留保金は、実はもっと人的なものに使ってやれるということが僕は大事だと思うんです。

 今後、社会福祉法人改革にいろいろ取り組んでいかれるとお聞きしておりますが、そういった点も兼ね備えて改革に取り組んでいただきたいという思いの質問なんです。これについてどう思われますでしょうか。

有岡政府参考人 内部留保金の活用のあり方でございます。

 現在も、先ほど申し上げましたように、施設改善等に使われているわけでございますけれども、今後、いわゆる社会福祉事業を遂行する上で、こういった建物修繕のみならず、人件費等に活用することも重要だと考えております。あるいは、地域において、生活に困窮している、困難を抱えている高齢者への支援、こういったものにも活用していただければというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、先ほど来申し上げております社会福祉法人の在り方等に関する検討会で今検討が進められておりますので、この議論を踏まえながら、必要な制度改正を行ってまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 株式会社が参入してやれるわけですから、例えば、僕がもし利用者だったら、今、ここが保険以外にいいサービスをしてくれるから、これだけ私は余分に払ってもいいよというぐらいの方もいらっしゃるわけですよ。そういった展開も含めて、今後、介護事業等々については、かなりの成長戦略の一部を担う分野だと私は思っておりますので、民間が参入して、そして利用者の方々がしっかり選べて、いいサービスが受けられる改革をぜひやっていただきたいと思います。

 これで厚労省に対する御質問は終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 次に、せっかく資料を皆様のお手元にお配りしておりますが、資料三ページの方を見ていただければ、例えば、総務省所管の審議会等々があるわけです。国地方係争処理委員会、平成十二年に設置されて以後の処理件数は二件、二十五年度はゼロ件なんですね。それから、四ページの電気通信紛争処理委員会においても、答申件数は一件、あっせん処理件数は三件というような実態なんですね。

 そこで、お尋ねをしたいんですが、平成十一年の四月二十七日、小渕内閣の閣議決定で、審議会等の整理合理化に関する基本的計画というのが出されて、そこには、審議会も含めて、活動不活発な審議会等は基本的に廃止するということがうたわれているんですね。

 そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですが、国地方係争処理委員会、今申し上げた審議会等々は、活発に活動しているんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 国地方係争処理委員会でございますが、これは、地方自治法の規定に基づきまして設置されている第三者機関でございまして、仕事の内容は、地方自治体に対します国の関与について、自治体の長からの申し出に基づいて審査する、そして、国の関与が違法または不当と認められる場合には、国の行政庁に対して必要な措置を講ずべき旨の勧告などを行う、こういう機関でございますので、自治体の長から国の関与が違法とか不当という申し立てがあって初めて動くという性質でございます。

 したがいまして、これまでの審査実績は二件、横浜市からの申し出案件と新潟県からの申し出案件、二件でございますが、こういった案件が出たときに対応するという組織でございます。

武田政府参考人 今御指摘ございました電気通信紛争処理委員会でございますが、こちらは、電気通信事業者間、放送事業者間の紛争を迅速、公正に処理するため、電気通信事業法第百四十四条の規定に基づき、総務省に設置された機関でございます。

 具体的には、やはり、紛争が起こってから、当事者から申請を受けましてのあっせんまたは仲裁を行うとともに、総務大臣が事業者間の紛争に係る裁定など一定の行政処分を行う際の、諮問を受ける役割を担っております。

 今御指摘の実績でございますが、あくまでもそれは二十五年度の実績でございまして、こちらの委員会、平成十三年十一月に設置されておりますが、これまで、あっせん六十一件、仲裁三件、諮問答申九件、それから大臣への勧告三件、以上を処理しております。

 以上でございます。

佐藤(正)委員 それにしても少ないですね。それだけないんでしょう。

 要するに、何が言いたいかというと、これも、もともとは常勤の委員を設置することができるということでした。しかし、現実には非常勤で対応されているわけです、実際は。だから、これは法律を変えなきゃいけない話なんでしょうけれども、せんだってあった行政不服審査法、我々は賛成をさせていただきました。しかし、それでいきますと、そこも年間大体二百件ぐらいだそうです。そうすると、少し見直しをされても、例えば、今言ったものも一つにまとめて。要するに、非常勤で、発生したときだけ呼んで審議をされるわけですよ。

 今回の質問の内容で、地方にはそれぞれの第三者委員会があるけれども、新たにそれをまた設置するようなことをせずに、そこに足してもらってやったらどうだというのが総務省さんの地方に対する御意見でした。そうなると、国の方もそういう発想で、法律が何本かあるんでしょうけれども、切りかえていくということも、同じ総務省の中にありますので、考えられないのかなというのが私の考えであります。(発言する者あり)

 いわゆる第三者委員会の中身が、今いろいろ、違うとか言われていますが、要するに、常勤ではなくて非常勤で呼ぶわけですから、そのときに発生するだけのことですから、実際は。だから、もう少し幅広く考えることは、法律を変えればできるはずなんですね、これは法制局にも聞いておりますが。だから、できないことはない。そういった発想も必要ではないかなと私は思っております。

 それから、質問が何本も書いてあるので、次に行きたいと思うんですが、もう時間がなくなりまして、宝くじにちょっと行きたい。いろいろ飛んで申しわけないんですが。

 宝くじの問題、もともと宝くじの趣旨は、地方自治体が使える財源をつくろうということで始まったわけですけれども、せんだっても一度総務大臣に御質問したときに、地域貢献広報何とか費というのがあるんですが、社会貢献広報事業、これが一・数%、一・二%ぐらいあったんですかね、これぐらいはあってもいいんじゃないかという御答弁でしたが、これぐらいがあってもいいんだったら、これぐらいなくてもいいんじゃないかなという発想も実はあって、地方自治体に全てお任せする部分をふやす方がいいのではないかなということを思っております。これを質問したら、また大臣は長くなるのであれですけれども。

 次に、それを踏まえながら、いわゆる地方自治体並びにいろいろなところが財源が不足しているということで、一番最後のページに、また顔写真を入れさせていただきましたが、片山元総務大臣がこういうことを述べられております。

 今、自治体と一部スポーツでやっていますけれども、宝くじとかtotoとかですね、私は、強制的な課税権を持っている自治体がこういう宝くじ発行権を独占することはないとかねがね思っているんです。自治体は、本当にお金が欲しかったら課税をすればいいんですから。むしろ、課税権がないチャリティーとか、文化とか、芸術とか、科学技術とか、政党とは言いませんけれども、課税権のない公益的目的を持ったところが、やはりこういう浄財を集める仕組みがあってもいいのではないかというようなことをコメントされております。

 これについて総務大臣のお考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。

新藤国務大臣 宝くじでございますが、刑法により一般的に禁止されている事項、富くじ発売等の禁止の特例として、地方財政資金調達に資することを目的とし、総務大臣の許可により、都道府県及び政令市が発売することが認められているということであります。

 自治体以外が宝くじを発行することができるようにしたらいいではないかと。もしそういうことをする場合には、刑法上の禁止を解除するということになりますから、目的の公益性、運営主体の性格、健全性、公的監督体制の課題、そういったものがあるということであります。

 例えばtoto、スポーツ振興くじなどは、やはりそのための法律を別途つくって運営をされているということになっているわけであります。

 いずれにしても、昭和二十一年以来、宝くじの収益金が地方公共団体の貴重な自主財源になっている、こういったことは踏まえなければいけないと思います。

 また、片山元大臣の御発言でありますが、これは、正確に言いますと、大臣就任前に行政刷新会議の委員としてその中でお述べになられたことであるわけでありますが、約一年間の大臣就任中にこうしたことについてのコメントというものは、大臣としてのコメントは出されておりません。

佐藤(正)委員 時間が来ましたので終わりますが、検討する余地はあると思っております。

 以上です。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に、群馬県上空における米軍機の低空飛行問題について質問をいたします。

 五月十四日、群馬県が防衛大臣宛ての要望書を提出いたしました。それは、「県民生活に深刻な影響を与える米軍機飛行訓練に関する要請について」というものであります。

 群馬県上空では平成七年以降、米軍機の飛行訓練が行われており、本県としては、防衛省及び米国に対して、県民生活に深刻な影響を与えるような飛行訓練を行わないよう、これまでも再三、申し入れを行ってまいりました。平成二十四年度に米軍機の飛行訓練に伴う県民からの苦情が大幅に増加したことを受け、県独自の取り組みとして、平成二十五年四月から前橋市及び渋川市内の二カ所で騒音の測定を開始したところです。平成二十五年度の騒音測定の結果、米軍機と思われる七十デシベル以上の騒音は、前橋市で計三十九日、渋川市で計四十九日計測されており、県民からの苦情も八百九十三件と高水準となっている、このように述べております。

 若宮防衛大臣政務官においでいただきました。

 こういった群馬県上空における米軍機の低空飛行被害について防衛省としてはどのように把握をされておられるのか、こういう現状についてどのように認識しておられるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今委員が御指摘になりました内容でございますが、私どもが作成をいたしております米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表、これをつくっておりますが、平成二十五年度の全体の苦情件数は四百二十八件、そのうち群馬県が二百十三件と約半分を占めてございます。群馬県の関係自治体や住民の方々から米軍機の飛行に伴う苦情が、おっしゃるとおり多数寄せられているのが現状でございます。

 私ども防衛省といたしましては、米軍機の飛行に伴います地方自治体や住民の方々からの苦情を受けた場合には、米軍に対しまして、その内容を通知し、飛行の有無等の事実関係を問い合わせいたしますとともに、その結果を地方自治体の皆様に情報提供させていただいているところでございます。

 私どもといたしましては、今後とも、このような取り組みをしっかりと行う中で、地域にお住まいの皆様方の騒音に対します苦情に丁寧に対応するとともに、米軍機の飛行に際しましては、安全面に最大限の配慮を行うとともに、地域住民の方々に与える影響を最小限にとどめますよう、引き続きアメリカ側には働きかけてまいりたい、このように考えているところでございます。

塩川委員 今、若宮大臣政務官が紹介されました防衛省集計の米軍機の飛行に係る苦情受付状況表、これなど見ますと、具体的な住民の苦情が書かれているわけですね。赤ちゃんが寝つかれないですとか、また、うるさくてテレビの音が聞こえないとか、住宅地の上空を飛んでもいいのか、事故になったらどうするのか、こういう厳しい苦情、意見が寄せられているわけであります。

 そういう点では、先ほど、影響を最小限にとどめる云々とおっしゃられましたけれども、そもそも、こういう人口密集地の上空でこういう米軍機の低空飛行そのものをやめるべきだというのが県民の総意であるわけで、その立場で県も申し入れを行ったところですから、米軍機の人口密集地上空での訓練はやめよう、こういう立場でアメリカにしっかりと物申す必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

若宮大臣政務官 ただいまの塩川委員の御指摘でございますが、米軍が行っております飛行訓練につきましては、その部隊の練度の維持あるいは向上を図る上でやはり不可欠なものである、日米安全保障条約の目的達成のためには極めて重要なものであるという認識を持っております。

 他方、この訓練を全く自由に行っていいというわけではございませんで、我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきということは、これはもう申し上げるまでもないことだと思っております。

 いずれにいたしましても、先ほども申しましたけれども、地域の住民の方々には本当に最大限に、十二分な配慮をするとともに、引き続きアメリカ側にはこのように働きかけてまいりたい、このように思っているところでございます。

塩川委員 そもそも、アメリカ本国で人口密集地上空で訓練なんかやっていませんよ。そういう点でも、日本でのこういう米軍の訓練というのは余りにも異常だ。こういう異常を正す、少なくともアメリカ本国並みの基準でやるということこそ求めるべきだ、このことを重ねて申し上げておくものであります。

 あわせて、今回の群馬県の要望書の中には、騒音測定器をぜひ国として設置してもらいたい、こういう要望が出されております。これについては、防衛省としてはどのように対応されますか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今委員が御指摘になりました群馬県への騒音測定器の設置につきましては、本年二月十八日の衆議院の予算委員会での質疑におきまして、私どもの小野寺大臣の方から、関係自治体や住民の方からの御要望が出た中で、状況を踏まえて対応を検討していきたい、このような旨、御答弁をさせていただいているところでございます。

 その後、委員も御承知だと思います、今月の五月十四日でございますが、群馬県の方から要望書が提出されまして、その中で、飛行訓練が多く確認されている地域で騒音測定器を設置するなど、飛行実態を調査し、その結果を公表するよう要請を受けているところでございます。

 群馬県への騒音測定器の設置につきましては、こうした予算委員会におけます小野寺大臣の答弁、そしてまた、五月に入りましてから群馬県からの御要望をいただいていること等を踏まえまして、今後適切に検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

塩川委員 二月の予算委員会、私が質問したわけですけれども、騒音被害の大きい島根それから広島には、防衛省が騒音測定器を設置しました。一方で、先ほど言った、苦情の半数以上を占めるような群馬県上空では設置していない、なぜなんだと聞いたら、広島、島根からは県から要望が来ているけれども、群馬県からは来ていないからだという答弁だったわけで、今回、改めて、群馬県からしっかりと正式に要望が出されたわけですから、もうつくると言っていただきたいんですけれども、いかがですか。

若宮大臣政務官 今、塩川委員の御指摘のとおり、広島県それからまた島根県におきましては、騒音測定器は設置をしてございます。確かに、御要望がございまして、そういった措置をするような形をとりました。

 こうした形で、やはり、群馬県からも日本国全体の中での苦情の約半数が、数多く来ているという現状を踏まえまして、私どもといたしましても、これから十分に検討させていただきたい、このように思っているところでございます。

塩川委員 ぜひつくるという立場で求めていくものです。

 騒音測定器の設置、国として被害を把握するということが趣旨ですから、そういう点での設置を改めて求めると同時に、そもそも米軍機の訓練そのものをやめろというのが県民の要望だということも重ねて申し上げておきます。

 それでは、委員長のお許しがあれば、若宮大臣政務官、御退席いただいて。

高木委員長 それでは、若宮防衛大臣政務官は退席して結構です。

塩川委員 次に、NHKの子会社の不祥事問題についてお尋ねします。

 NHK放送技術研究所の元職員の逮捕に続き、NHK出版の不祥事が発覚し、NHKビジネスクリエイトの不適切な経理処理が指摘をされました。NHKの関連団体におけるコンプライアンスや適正経理の状況を再度検証する必要があるとして籾井会長が発足させたのが、NHK関連団体ガバナンス調査委員会です。これが、具体的に、必要があれば、NHKに対するガバナンスのあり方についても提言を出すということも述べているということであります。

 そこで、NHKに確認いたしますけれども、NHK出版の不祥事というのは、NHKの業務とは直接かかわりのない、子会社が独自に行っている自主事業、営利事業において行われたものではないかと思いますが、NHK出版についてですけれども、いかがですか。

吉国参考人 御指摘のとおりです。あくまで出版の自主事業ということでございます。

塩川委員 いわゆるNHKの委託業務とか、NHKの業務とかかわりのない自主事業を子会社は行っているわけですけれども、その子会社が行う自主事業の整理として、NHKのコンテンツや設備を活用した自主事業、営利事業とともに、そういうNHKとの関係もないような独自の自主事業、おおよそ分けるとこういう二通りというのがこの自主事業の中身かなと思うんですが、そういうことでよろしいですか。

吉国参考人 まず、出版のものですけれども、自主事業ですが、NHKの大河ドラマのガイド本とか、そういうものも含めた、あるいはNHKの番組ともかかわったものでございます。

 それから、基本的には、NHKの関連団体というのは、NHKのソフトとかいろいろな資産を活用して、それを社会的に還元するというのが目的になっていまして、それにかかわった形のものを中心にして自主事業を行っている。そういうような形で、既に総務省の子会社ガイドライン等でも業務範囲が決められておりますので、あくまでやはりNHKの業務に関連する形のものをやっていくというのが基本だと思っております。

塩川委員 中心とおっしゃいましたけれども、NHKのコンテンツとか設備を活用していない、いわば本当の独自の自主事業というのもあるということですか。

吉国参考人 基本的には、何らかの形で、NHKの業務に必要な資材とかあるいは実際につくったソフトとか、そういうものを活用していくというのがNHKの関連団体。実際に、ガイドラインの中で十三項目の業務というのが決められておりまして、それはあくまで、NHKの業務を補佐するというような形のものになっております。

塩川委員 今言った総務省のガイドラインの中で、政令で定めるような十三項目に加えて、十四項目があって、そこでは、「密接に関連する事業で、特に社会的に意義があり、かつ協会の目的に照らして適正な事業」という言い方ですけれども、そういう意味では、NHKのコンテンツとか設備を使ったような自主事業と同時に、それ以外でも、今言ったこの十四項目の趣旨に合ったものであればそれは可能だよということで、それが自主事業としても行われているということであります。

 そこで、六月十一日の経営委員会において、平成二十四年度の関連団体の事業運営状況等についての議論が行われております。そこで吉国専務の方も発言をしておられます。二十五年度も引き続き、自主事業の強化に取り組んでいきたい、自主事業の強化に重点を置いた目標を掲げてもらうよう指導を強めていると発言をしております。

 そこでお尋ねしますが、こういった関連団体の自主事業の強化について、NHKはどのような目標を子会社に求めているんでしょうか。

吉国参考人 関連団体に対しましては、NHKは、年度当初にそれぞれの経営目標というのを示してもらいまして、それの結果を見て、トップの報酬等に反映させるという形をとっています。

 その中で挙げていただく項目として、自主事業の中の、特にNHKに対する副次収入とか、そういうものについての目標を挙げていただくことがあるということであります。

塩川委員 経営目標を挙げてもらう、その中には副次収入の目標を挙げてもらう、そういうところもあるというお話であります。

 こういった副次収入の目標について具体的にその金額などを示す、そういうことが行われているということでしょうか。

吉国参考人 そういうケースもございます。

塩川委員 そういうふうに、副次収入を追求する、自主事業の拡大を図っていくという点での取り組み。ですから、自主事業という場合でも、まあ、副次収入は自主事業ということでしょうから。そういった点で、今回の子会社の不祥事というのは、いわば、経営目標として副次収入をふやしていきましょうね、数字も示して目標を達成していきましょうね、こういうのが子会社とNHK本体の間で行われてきた、それが背景、前提にあるわけです。

 NHKにお尋ねしますが、今回のこういう子会社の不祥事というのは、関連団体の営利事業の強化を求めるNHKの方針の結果、生じたと言えるのではないかと思うんですが、この点についてはいかがですか。

吉国参考人 まず、我々が自主事業の強化と言っていますのは、先ほど言いましたように、関連団体がグループの一員としましてNHKのソフト資産とかノウハウの社会的還元を行う、それによって副次収入を得て、NHKへの財政的寄与、視聴者負担の抑制を目的としているということでございます。

 副次収入というのは、あくまでNHKのそういう資産を使っているから関連会社がその使用の料金として払っているものですので、そういう形では、全てNHKの資産の活用ということになります。

 そういう形で、そういうものについてはやはり財政的貢献ということをやってもらいたいと思っておりますが、ただ、これも、何でもやっていいという話ではなくて、先ほど申し上げましたように、放送法それから総務省の子会社等ガイドライン、関連団体運営基準などで事業範囲も規制されておりますし、やはりそういうものをきちんと守って、公共放送グループとしての展開にふさわしいかどうか、それから、その事業の採算性などもチェックして指導を行っていますので、ただ単に金額を上げればいいというふうな指導は行っておりません。

塩川委員 何でもやっていいわけではないと。当然、業務範囲も限定をされているし、公共放送グループの一員としてふさわしいものかどうかというところが問われるということであります。

 そういう点で、NHK本体は非営利の団体であります。しかし、子会社は営利を追求する法人ということが出てくるわけです。

 NHK関連団体ガバナンス調査委員会が調査を行っておりますけれども、その委員長を務める小林英明弁護士は四月二十五日の会見で、関連会社、関連団体には共通する問題がある、NHKが非営利団体なのに、関連団体が営利団体であるところに共通の問題があると指摘をしております。

 そこでNHKにお尋ねいたしますが、三月十一日の経営委員会で吉国専務は、関連団体の自主事業については、受信料を財源にして関連団体の自主的な営利事業を監査することには議論がありますと発言をしています。

 営利を目的としてはならないNHKが、子会社が行うNHKの業務に関連しないような自主事業、営利事業についてどういう見地で監督をするのか。これについてのお考えをお聞かせいただけますか。

吉国参考人 営利とか非営利に関係なく、法令を遵守して事業活動を行うというのは当然でありますし、また、NHKグループの一員としての責務もありますので、NHKが、親法人として、関連団体のコンプライアンス体制全般について、構築について厳しく指導するというのは当然のことだというふうに認識しております。

 先ほどの私の発言ですけれども、具体的な内部監査をどこが行うかというところの議論でして、そこは、我々としては、やはりそれぞれの主体となる子会社が行えるような体制をつくるべきだということで、それはそういう形で要請をして、今その準備を急いでおります。

 ただ、それだけではなくて、そういうものがきちんと運用されているかとか、内部統制が働いているかというところについては、やはりNHKとして指導監督していかなきゃならないということは当然でございます。

 それにつきましては、NHKでは、いろいろな業務運営状況の調査とか、NHK職員が監査役となり監査を行うとか、定期的なさまざまな、いろいろな各種の打ち合わせ等を通じてそういう点検もしておりますし、それから、リスク管理全体についても、NHKグループとして取り組むリスクの抽出活動を行いましたり、年度ごとにそういったコンプライアンスの重点課題を定めて、グループ全体としての周知活動も行っております。

 そういう形で、グループとしての形の不祥事の防止に努めているところであります。

塩川委員 最後に、大臣にお尋ねします。

 NHK本体は非営利であります。しかし、子会社を通じて営利事業を行うという点におきまして、今回のように、自主事業において不祥事が起こったという際に、NHKの看板をしょった子会社が、NHKと直接関係がないような自主事業において不祥事を起こし、結果としてNHKの信頼を傷つけることになったわけで、NHKと関係のない自主事業の強化を図るというNHKの方針というのが公共放送のあり方として適切なのか、非営利のNHKが子会社を通じて営利事業を行うというゆがみの問題が今回改めて問われているのではないかなと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

新藤国務大臣 NHKの子会社に関しましては、放送法の第二十二条及びこれを受けて定められている放送法の施行令の第二条に基づいて、NHKが出資可能な事業について、NHKの必須業務または任意業務に密接に関連するものに限定されているということであります。

 そして、総務省において、日本放送協会の子会社等の業務範囲等に関するガイドラインを定めて、子会社の業務範囲についても限定をいたしました。これはもう申しませんが。

 そういった中で、これら子会社の業務範囲を限定している趣旨ですとか、それから、何よりも、国民・視聴者からの受信料によって支えられているNHKが出資しているそういった子会社の自主事業につきましても、NHKみずからが定めている関連団体運営基準等にのっとって適切な業務遂行が行われるように、執行部において子会社を指導監督するとともに、不祥事が発生した場合には、その原因の究明と再発防止策を講じていただきたい、このように考えております。

塩川委員 非営利のNHKが営利事業を行う子会社を監督するというその矛盾点については、必要な検証と対応策が求められているということを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、放送法及び電波法の一部を改正する法律案及び原口一博君外三名提出、放送法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法及び電波法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 放送法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年における放送をめぐる社会経済情勢の変化等を踏まえ、日本放送協会がインターネットを通じて提供する放送番組等の対象を拡大するとともに、民間の基幹放送事業者の経営基盤強化計画の認定に係る制度の創設、認定放送持ち株会社に係る認定の要件の緩和等の措置を講ずる必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、日本放送協会がインターネットを通じて放送番組等を提供する業務をより柔軟に行えるようにするため、現行の、放送した番組のみならず、現在試行的、限定的に実施しているラジオ等の、放送と同時の提供も恒常的な業務とするとともに、その実施について、日本放送協会が実施基準を定め、総務大臣の認可を受けなければならないこととしております。

 第二に、外国人向けテレビ国際放送について、国内における視聴環境の拡大を通じ、その認知度の向上を図るため、その放送番組を国内の放送事業者に提供する業務を日本放送協会の恒常的な業務として位置づけることとしております。

 第三に、地域経済の低迷等に起因して民間の基幹放送事業者の経営状況が悪化している中、経営基盤の強化に取り組む放送事業者の放送が、災害時を含め、地域住民の生活に必要な基幹メディアとしてできる限り長く存続することができるよう、放送事業者の作成した経営基盤強化計画が総務大臣の認定を受けた場合に、放送法及び電波法の特例措置を講ずる制度を創設することとしております。

 第四に、地域経済の低迷等により、既存の株主が放送事業者の株式を保有し続けることができない事態が発生していることを踏まえ、認定放送持ち株会社のもとで放送事業者の議決権保有が可能な範囲を拡大することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

高木委員長 次に、原口一博君。

    ―――――――――――――

 放送法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口議員 ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、国民の知る権利、公共放送の自主性、自律性を守るため、日本放送協会の役員人事の透明性、中立性を確保する観点等から見直しを行うものです。

 以下、その概要を申し上げます。

 第一に、日本放送協会の経営委員会については、これまでの委員十二人とともに、新たに会長を加えて組織することとし、経営委員会の議決は、原則として、会長も加わった形で出席者の過半数をもって決することとすることとしています。

 第二に、経営委員会の委員の人事について、総務省内に第三者委員会を新設し、総務大臣から候補者選定を諮問することとしています。

 第三に、経営委員の資格について、同じ政党等に属してもよい人数を三人までに引き下げ、政党に限らず、政治団体の役員であってはならないことを明記しています。

 第四に、経営委員会の議事録は、経営委員会の終了後、総務省令で定める期間内に、できる限り詳細に作成し、公表されなければならないこととしています。

 第五に、会長人事について、経営委員会内部に会長指名委員会を設置することや、選定基準等の作成及び公表義務を法定するとともに、経営委員会の定めるところにより、会長指名委員会の議事の経過の要領及びその結果を公表しなければならないこととしています。

 第六に、役員の服務に関する準則に含まれるべき事項として、法令遵守や不偏不党等に関する信頼確保を明記しています。

 第七に、いわゆるクロスオーナーシップ規制について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき所要の措置を講ずることとしています。

 以上が、本法案の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

高木委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することといたします。

 なお、内閣委員会との連合審査会につきましては、明二十一日水曜日午前九時から開会することとなりましたので、お知らせいたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十四分散会


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