衆議院

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第2号 平成26年10月16日(木曜日)

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平成二十六年十月十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石田 真敏君 理事 坂本 哲志君

   理事 橘 慶一郎君 理事 土屋 正忠君

   理事 山口 泰明君 理事 渡辺  周君

   理事 馬場 伸幸君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      川崎 二郎君    木内  均君

      小林 史明君    清水 誠一君

      新藤 義孝君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中谷  元君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      武藤 容治君    湯川 一行君

      小川 淳也君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    寺島 義幸君

      上西小百合君    村上 政俊君

      浜地 雅一君    中田  宏君

      三宅  博君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君    西岡  新君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣府副大臣       平  将明君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務副大臣        二之湯 智君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進室室長代理)        富屋誠一郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     北崎 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           若林 陽介君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十六日

 辞任         補欠選任

  渡辺 喜美君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 正夫君     渡辺 喜美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会会長籾井勝人君及び理事森永公紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、地域活性化推進室室長代理富屋誠一郎君、総務省自治行政局長佐々木敦朗君、自治財政局長佐藤文俊君、自治税務局長平嶋彰英君、情報流通行政局長安藤友裕君、消防庁審議官北崎秀一君、厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君、職業安定局長生田正之君及び国土交通省大臣官房審議官若林陽介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本(哲)委員 おはようございます。自由民主党の坂本哲志でございます。

 十分間の質問の機会をいただきました。

 高市大臣、御就任おめでとうございます。そして、副大臣、政務官、おめでとうございます。

 総務委員会、前大臣も含めて多士済々でございますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、大臣の所信的発言の感想から述べさせていただきます。

 安倍内閣が現状を少しでも打破しようというような意気込みが伝わってまいりました。その中で、その一員としての大臣の意欲も感じたところでございます。地方行財政、それからICTの活用、消防行政、公的統計、さらには、自治体連携、マイナンバー、政策評価、そして過疎地対策、東京オリンピック・パラリンピックの対応、さらには郵政に至るまで、取り組むべき課題がちりばめられておりました。

 具体的対策にやや欠けた感はありますけれども、これは、臨時国会でありますので、所信的発言ということで私は許されるんだろうと思います。通常国会での深掘りした政策、所信を期待しているところでありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 当面の課題は、二十七年度の税制改正であると思います。大臣も所信的発言で述べられておりますように、法人実効税率が来年度から引き下げが開始されます。その一方で、地方法人課税につきましては、安定的税収と地域間の税源の偏在是正が求められます。

 法人税に係る税収の六割が地方の財源であります。法人税の改正は、地方の自治体を本当に左右すると言っても過言ではありません。特に、その中で外形標準課税の問題は、今後論議の対象になってくると思っております。

 外形標準課税、平成十五年度の税制改正で導入が決定をされました。法人事業税のうち、四分の一を外形標準の課税にする、残り四分の三を所得割にするというような税制に改められたところでありますけれども、今後はさらに広く薄く、そして応益的な性格を持つ安定財源というものにして、それを地方としては求めていかなければいけないのであろうというふうに思います。

 ということは、やはり外形標準課税の充実というのが急務であろうと思います。もちろん、中小企業等への配慮、こういったものは欠かせません。

 そこで、法人実効税率が引き下げられていく中で、自治体の安定財源確保のために、外形標準課税基準の引き上げ等も含めて、今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのか、意欲をお聞きしたいと思います。これが一点。

 二点目は、経団連を初めとして経済団体が、昨年の時点ではこの外形標準課税の拡充に反対をいたしておりました。しかし、自治体の財源確保のためには、外形標準課税、さまざまな点からの論議が必要であると思っております。経済団体の理解を得ること、これも、また一方では大切なことであると思います。決意と同時に、経済団体へどういう形で理解を求めていかれるのかも、あわせてお伺いをいたしたいと思います。

高市国務大臣 今、坂本委員からは、私たち政務三役への就任のお祝いの言葉と、それからまた、所信的発言についての御評価、感想も賜り、ありがとうございました。

 まず、日本の立地競争力を高める観点から、やはり国、地方を通ずる法人課税を成長志向型に変革していくというのは非常に重要な課題でございます。その中で、法人事業税の外形標準課税のあり方、これは重要な検討課題の一つでございます。

 外形標準課税の拡充は所得割の税率引き下げとあわせて行う、そういうことになり、こうした改革でしっかりと、黒字を出す企業には減税メリットが及び、日本企業の稼ぐ力を後押ししていく、そういう取り組みになると考えております。

 総務省としましては、法人税改革において、地方の安定的な税財源の確保についてしっかり主張をしてまいりますし、地方経済を支える中小企業に配慮するようにということで今委員からも御指摘がございました、この点も含めて、積極的に取り組んでまいります。

 また、各団体の御理解を求める、これも非常に大切なことでございますけれども、外形標準課税の導入時には、平成十五年度改正のときのことでございますけれども、大企業の中で税制中立ということになっておりまして、今回の外形標準課税のあり方の検討に当たりましても、大企業の外形標準課税の拡大と所得割の引き下げ、すなわち大企業の中で税制中立になるものと考えておりますので、大企業の法人実効税率の引き下げの代替財源を中小企業への課税強化によって賄うようなことは考えておりません。

 この具体的な方策については、いずれにしましても、平成二十七年度税制改正のプロセスの中で、与党税制調査会などで御議論をいただくことになりますけれども、総務省としましても、党税調の議論も注視をしながら、経済団体など関係者の懸念を払拭できるように精いっぱい努力をしてまいります。

坂本(哲)委員 私も、党の税調の幹事をやらせていただいておりますので、税制中立の立場からも、地方の財源確保のためにしっかりと論議をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に移ります。

 地方創生というのが言われました。我が国の喫緊の課題でございますけれども、その対策の一つとして、これは私の案でございますけれども、ふるさと住民を登録し、そして活用するという仕組みを提案したいというふうに思います。人口減少あるいは高齢化、空き家の激増、そして鳥獣害対策、このまま放っておいたら、我が国そのものをむしばんでしまいます。

 一方、ふるさと納税というのは、年々その数をふやしております。そして、大臣が所信でも述べられましたように、東京に住まわれる方々の四割は将来は地方に移住したい、あるいは地方移住を検討しているというようなデータが内閣官房の調査で出ております。こういったふるさと志向、これを今後、やはり活用していかなければいけないというふうに思います。

 地方創生の鍵は、役場と地域住民、住民票を持った地域住民ということだけではなくて、やはり、出身者も含めて、ゆかりのある人たちと一緒になって地域づくりを進めることが大事であると思っております。

 そこで、選挙や税につながる本来の住民登録は一カ所でございますけれども、片方で、ふるさと応援団登録という緩やかな取り組みをやっている自治体があります。しかし、これをやはりもう一歩制度的に進めるべきであるというふうに思います。

 今後は、応援団という立場から一歩進んで、むしろ住民に近い形で、ゆかりのある人たちが地方の自治、行政に参加してもらう、そういう仕組み、制度というものをつくっていくことが大切じゃないだろうかというふうに思います。

 出身者やふるさと納税者、あるいはゆかりのある人たちをふるさと住民として登録をいたします。選挙権や納税義務は発生しませんけれども、行政情報の配布あるいは振興計画への参加、意見聴取の対象として位置づけ、住民的立場で地域づくりに参加してもらう制度とするということにしたらどうでしょうか。

 それから、名前だけのふるさと住民にならないように、毎年一回の会費を徴収し、ふるさと納税者はそれを免除するということも考えられると思います。さらには、ふるさと人口としてカウントして、それをやはりソフトな地方の特別交付税の対象にもするというようなことも考えられると思いますけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 非常におもしろい、興味深い提言だと思いました。

 要は、自治体や地域住民などと一緒に、住民と同じような立場で地域づくりに参加していただいて、地域の活性化を図っていくというのは非常に重要なことでございます。

 地域の活性化という観点で、今総務省として取り組んでいるのは、今お話がありましたふるさと納税制度とか、それから地域おこし協力隊、将来そのまま定住してくださる方も多うございますので、こういった施策に取り組んでおります。

 今の坂本委員の御提言も十分参考にしながら、また自治体への、先進的な取り組みをされている自治体の件も情報発信をしながら、検討を進めてまいりたいと思っております。

坂本(哲)委員 実は、この制度は、東日本大震災の避難住民の方々に対して一度、考えられたことがあります。第二住民票的なもので、避難元と避難先でそれぞれ役割を果たすということでありましたけれども、これも、総務省の見解ではちょっと厳しいということになっているようでありますので、今後さらに煮詰めて、そして地方創生に資するような制度をつくり上げていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたしまして、質問を終わります。

桝屋委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 今国会よりこの総務委員会に所属することになりましたので、皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 高市大臣の所信についての御質問をいたします。十分しかありませんので、もうあいさつはここではやめます。

 大臣の所信を聞いておりまして、地方創生の部分にスポットを当ててお聞きをしておりましたけれども、その中で、いわゆる地方の中枢拠点都市圏、三十万ぐらいの都市、それ以上の都市を予定されていると聞いています。その後、定住自立圏、これは五万ぐらいの都市、その後に、過疎地域などの条件不利地域についても手当てをしていくというような内容でございました。

 よく考えると、これは、今ある、現在ある自治体の姿と余り変わらないんじゃないかなという印象を、ぱっと聞きましたら、私は持ちました。ただ、今後、二〇五〇年に向けて、政府の施策がうまくいっても人口は一億人、それでも今よりも約三割減ってしまう。うまくいかないと八千六百万人と言われておりまして、四割以上減ってしまうわけでございます。

 そうなると、現在の自治体のあり方と、地方の中枢拠点都市とか定住自立圏とか、または過疎地域、条件不利地域が、一つのキーワードとして、集約とネットワーク化ということで結ばれているんですが、そのイメージがもう少し私は湧かなかったというのが正直な印象でございます。

 集約とネットワーク化、大臣のお考えをもう少し具体的に教えていただくと大変参考になります。

高市国務大臣 今、浜地委員から御指摘がありましたように、人口減少といった非常に厳しい状況にある地方圏におきまして、単独の市町村でフルセットのサービスを展開するよりは、やはり集約とネットワークという考え方に基づきまして、複数の自治体で役割分担、連携を図っていく、これは必要であると考えております。

 それで、総務省では、地域の段階に応じてそのための支援策を重層的に展開していく、こういうことを考えています。

 まずは、地方公共団体間の連携を推進するという観点から、前の通常国会で地方自治法を改正して、新たな広域連携の仕組みで連携協約制度を創設いたしました。

 この制度を活用した、人口二十万以上の都市を中心とする地方中枢拠点都市圏ですけれども、これは、中心市が、圏域全体の経済成長の牽引ですとか高度医療や高等教育など高次の都市機能の集積の役割を担う、こういうことが期待されています。

 次に、人口五万人程度の都市を中心とする定住自立圏ですけれども、これは、地方圏における定住の受け皿を形成するということで、中心市と近隣市町村が相互に役割分担して連携協力することによりまして、圏域全体で必要な生活機能を確保するということを期待しております。

 さらに、過疎集落などにおきましては、基幹集落を中心として、周辺の集落との間で集落ネットワーク圏を形成して日常の生活支援機能を確保するとともに、やはり地域の産業を集落間で協力して振興していく、持続可能な集落の活性化を図るということでございます。

 とにかく、しっかりと全国の市町村が基礎自治体として持続可能な形で住民に行政サービスを提供できるようにということで、しっかりと取り組んでまいります。

浜地委員 今大臣より、連携というキーワードが出てまいりました。その中で、私は、この連携、ネットワークといっても、どうしても外れる地域、それはすなわち、本州と陸続きでない離島なんですね。大臣の所信をお聞きしておりまして、ぜひ離島という視点も少しクローズアップをして、当然、元自民党の政調会長でございますので十分おわかりだと思いますが、そのあたりもまた中心に据えていただきたいなというふうに思っております。

 なぜかといいますと、離島といいますと、公明党は離島対策本部というのがありまして、各離島を回っております。私もそのメンバーで、先日、安倍総理が所信表明演説で引用されました隠岐島の海士町、隠岐島四島全て、先月回ってまいりました。

 その中で、私実は、離島というのは、中央からの援助をいつも求めて、かなり将来を悲観されている人が多いんじゃないかなと言ったら失礼ですが、そういうイメージを勝手に持って行ったわけでございますが、正直言って、私の価値観は一変をいたしました。人々は、都会に住まれている方以上に生き生きとされて、非常に連帯感がありました。海士町だからかもしれませんけれども、非常に活気あふれる、私自身の価値観も変えられるような、そういった離島の訪問になりました。

 離島の方に話を聞きますと、なぜここまでできたのかといいますと、それは、ほかの過疎地域は、どちらかというと、自分たちのふるさとが衰退するかもしれないという危機感はあるけれども、離島の人間は、つながっていないので、消滅してしまうんじゃないかという強い危機感を島民全体が共有しているところに、こういった強い離島が生まれている素地があるんだなというふうに、私、感動しました。

 当然、有人離島というのは、国土を守る上、国境を守る上でも非常に重要な位置を占めてまいりますので、高市大臣の、条件不利地域と言ってもいいんですが、半島も含め、離島のようなところに対する地方創生のお考えはどのようなものがあるか、お聞かせいただきたいと思っております。

高市国務大臣 浜地委員も九州、お地元でございますので、離島問題は非常に強い御関心をお持ちだと思います。自民党でも、政調会長時代に、離島の振興を目的とする組織をつくりました。

 離島は、やはり離島振興法の目的規定、第一条にございますとおり、非常に日本にとって重要な役割を担っております。

 総務省では、離島を有する市町村の大半、約七割が過疎関係市町村ですから、過疎対策の支援を活用して離島地域の支援を行っております。

 具体的には、平成二十二年に過疎地域自立促進特別措置法が改正されまして、ソフト事業への活用も可能となりました過疎対策事業債を活用して、観光による交流人口をふやすことや、あと、地域医療、生活交通の確保、それから集落の維持、活性化の取り組みを進めております。

 新規の政策といたしまして、これは必要な額を平成二十七年度の予算に向けて概算要求をしているんですが、過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業、これに取り組むこととしております。

 これは、離島や過疎の集落を対象に、持続可能な集落活性化のために、集落ネットワーク圏を形成して、日常生活支援機能を確保するとともに地域産業を振興する、この取り組みを支援するものです。

 あとは、やはり離島における人材確保のために、地域おこし協力隊、見てきていただいたことだと思いますけれども、都市から地方へという、そしてさらに定住へという人の流れをしっかりつくっていきたいと思います。

 さらには、離島、山間の方々にも雇用の場が生じるテレワーク、大変私は重視をいたしております。

浜地委員 ありがとうございます。

 では、最後の質問に移りますが、さっきのまた離島の話の続きになるんですが、隠岐の島前高校、有名な高校でございます。去年の進学が、三十九人卒業した中で十三人、国公立と有名私立に行ったそうでございます。視察しているときも、公民館で日曜日もみんな集まって勉強しておりまして、非常に優秀な生徒がおりました。

 当然、この海士町が教育に力を入れたのは、Uターン、Iターンするには、自分たちは、親の世代はいいけれども、もう教育も終わって、ちょっと新しい生活を始めようと、しかし、自分たちの子供がいるときに、やはりいい教育を受けさせたい、そういった受け皿がないと安心してUターン、Iターンさせられないということで、やはり教育に力を入れるということでございます。

 この島前高校では、現場では当然、漁業の方、農業の方がいらっしゃって、現場のその苦しみだったりといったものを、生の声を聞きます。しかし、片や、それをどう解決していいかを、ICTを使ったインターネットの教育で、東京あたりのそういった学者であるとか、いろいろなビジネスマンの話を、ネットを通じて授業を受けています。

 ですので、現場のその現状を目の前で見て、かつ、東京の最新の情報をネットで見るということで、例えばAO入試あたりの論文が非常にいいものが書けるそうでございます。そういう意味でございますと、やはりこのICTというのは非常に重要でございます。

 しかし、例えば、離島でございますと、超高速ブロードバンドについては、都心では民間が整備してくれますが、やはりこういった離島や条件不利地域では、どうしても自治体の負担になっております。一部補助はされておりますが、ぜひ思い切って、自治体の負担にならないような、そういった施策も高市大臣にはお願いしたいと思っておりますけれども、最後に一言御答弁いただいて、終わります。

高市国務大臣 今御紹介いただきましたキャリア教育、それからICT教育、すばらしい取り組みだと思います。

 離島を含む条件不利地域で、市町村が光ファイバーなど超高速ブロードバンドを整備する場合には、情報通信利用環境整備推進事業で事業費の一部を補助しておりますけれども、特に離島につきましては、平成二十五年度から補助率を従来の三分の一から三分の二に引き上げておりますので、今、まだ一〇%余りの離島、三十四島と聞いておりますが、超高速ブロードバンドが利用できない状況ですから、一刻も早くこれを解消すべく取り組んでまいります。

浜地委員 終わります。ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民主党の渡辺でございます。

 大臣のお考えというのは、私もたくさん読んだり、お話を聞いて、また、与党時代も、大臣が質問者として立たれたときに、私も答弁に立ったことがございます。

 そんな中で、基本的なお考え方、政治信条について伺いたいと思います。

 先日の記者会見で、大臣は、靖国神社に参拝をされるということをおっしゃいました。その後に、他党から、これは報道の見出しですけれども、不快感を述べたというようなことがございますが、その点について、やはり大臣は行かれると。

 私も、防衛副大臣になりましたときに、最初に、就任して間もなく行ったのが、靖国神社の遊就館でございました。行ったときに、そこにたくさんの言葉が残っていて、どれも涙なくしては読めないわけでありまして、特に、幼子に残していった言葉の中には、父に会いたくなったら九段にいらっしゃい、そこに父はいますというような、幼き子供に対して残された方の言葉を読み、本当にあそこには、もうここでしか会えない方々が、英霊が眠っていらっしゃる、そういう思いで、国防の意識を改めて強く持って、私も任に臨んでまいりました。

 その方々のおかげがあって今の日本があるということを常に肝に銘じて、私も折に触れて足を運ぶことがあるわけでございますが、まず一点は、揺るぎない信念のもとに行かれるということで、一つ御確認をしたいということ。

 それから、あわせて、靖国について出された本がございまして、これは私も何度も読みました、「日本人なら学んでおきたい靖國問題」という本の中に、高市大臣はこう書かれています。

 「政府見解というのは、その時々の政権の考え方によって変更する事も出来るし、新たな政府見解を発表しても良いのです。」「なぜ、歴代自民党政権が村山談話を踏襲してしまい、閣僚全員が雁字搦めにされてきたのかと、あほらしくなってしまいます。」ここまで書かれています。

 そして、安倍内閣が誕生したときに、「「総理大臣や官房長官の権限で村山談話を否定して、新たな政府見解を発表する」という、私が最も期待していた仕事は出来なかった。これが残念でなりません。」ということを書かれておりますけれども、村山談話に対して高市大臣は、今閣内でこれを、残念であるという思いを持って、やはりここは新たな談話を出していくべきとお考えなのか。

 そして、もう一つは、今回の朝日新聞の謝罪、訂正を受けて、朝日新聞のみならず、その以前からの、いわゆる吉田清治氏の証言から始まった、世界に間違った日本のイメージがつくられてしまったということにおいて、河野談話を、それはさておき、それは歴史的な一つの産物として脇に置きながらも、新たに政府見解というものを出すべきではないのかということを、私も、中央公論であるとか昨日のBS番組の中で申し上げてまいりました。新たな政府見解、村山談話以外にも、河野談話に対して新たな見解を出すべきだ、あるいは新たな、政府としての今の時点でのその後の考え方について出すべきだと。私は、戦後七十年、日韓基本条約締結五十年を前に、一つの区切りとして考えていくべきだと思いますが、大臣はいかがでしょうか。

高市国務大臣 渡辺周委員とは、かなり歴史観、国家観、個人的に共有してきたものがあると思います。

 まず一つ目、靖国神社参拝についてのお尋ねでございますけれども、私自身は、一人の日本人として、国策に殉じられ、そしてとうとい命を落とされた方々に対して、尊崇の念を持って、感謝の誠をささげ続けてまいりました。一人の日本人として、これからも折に触れ参拝をしたいと願っております。これは政府としての考え方というわけではございません。私自身の思いでございます。

 それから、村山談話についてでございますけれども、これは私、先般も予算委員会でも答弁をさせていただきましたが、現在、一人の閣僚として、国民の代表の皆様が集まっておられるこの国会に対して、憲法六十六条に基づき、内閣は連帯して責任を負わなければなりません。村山談話は閣議決定をされたものでございますので、これを踏襲するということで内閣総理大臣及び官房長官がおっしゃっている現在、やはり、内閣という機関の一員として、国会に対して連帯して責任を負うべきと考えております。

 私個人の考え方は別といたしまして、内閣の一員としては、総理、官房長官のおっしゃるとおりである、こういう答弁をさせていただかざるを得ません。

 それから、新たな談話ということでございますけれども、これまで、戦後五十年、六十年と、節目ごとに内閣総理大臣が談話を出してこられたと承知をいたしております。来年、戦後七十年という節目に安倍内閣総理大臣がまた新たな談話を出されるのかどうか、まだつまびらかに私は承知をいたしておりませんけれども、これもまた総理が判断をされることだと思っております。

 それから、河野談話についてお尋ねがございました。

 新たな談話を出すべきかどうかという御趣旨かと思います。これに対しても、これまでも衆議院で予算委員会でも御質問があったかと存じますけれども、これはやはり、現在、内閣の立場としては、官房長官に権限がございます。官房長官が御判断をされることであると考えております。

渡辺(周)委員 歯にきぬ着せぬ、非常に切れのよかった高市大臣が、政調会長のときと違って、閣僚になったら、大変におとなしい答弁になってしまった。別に私は、これで何か言葉尻を捉えて、騒動を起こさせて大臣の足を引っ張ろうなんというつもりは毛頭ございません。

 慰安婦問題めぐり新談話を要請へといって、政調会長のときは、これは八月の時点ですけれども、慰安婦問題は、日本や国民の名誉を将来にわたって傷つける情報が海外に発信されているので、しっかりと打ち消していくと言って、官房長官談話を新たに出すように政府に行くことを決めた、官房長官に要請するというような報道がありましたが、それが今、逆に閣内にあって、そうした大臣の政調会長時代の御功績もあって、内閣改造で入閣されたわけですね。ですから、ぜひ閣内でしっかりともう一度持論を実現するように取り組んでいただきたいと思うんですが、そこはいかがですか。

 何か官房長官の言うことに従うという今の御発言ですけれども、大臣自体はどうですか、能動的に働きかけていくお考えはないですか。

高市国務大臣 河野談話につきまして、自民党の中では、八月に合計四回、会議を開きました。そのうち一回は政調全体会議でございました。その後、政調審議会の議を経まして、自民党政調会のクレジットで官房長官に要望書をお渡しに上がりました。

 その中で、まず、六月に発表されました河野談話の作成の経緯についての報告書、この内容について、やはり広く国内外に発信をしていくべきではないかということ。

 それから、もう一つは、河野談話というのは、発表された当時に閣議決定をされたものではありません、官房長官の談話という扱いでございますので、閣議決定をまた見直すというと、新たな閣議決定をして、また違う談話を発表するということになるんですけれども、その当時のさまざまな事情の中で発表された河野談話であり、しかも、その談話全体が閣議決定されたものではありませんので、それを打ち消してくれというのではなくて、政調会からの提言書には、また新たな官房長官談話を、来年、七十年の機会に発表していただきたい、こういう御要望も書かせていただいたところであります。

 そして、私は入閣をいたしました。これは、別にその要望書を持っていったことが評価されたのではなく、多分、その要望書を持ってきた人を内閣に入れるというのは、大変リスキーなことであったと思っております。

 ただ、現在私は、総務大臣として、地方自治初め消防も郵政も、随分たくさんの仕事をやり抜かなければいけない立場であり、そしてまた、私の権限の中には、官房長官談話を新たにつくるとか見直す、そういった権限はないわけでございます。また、将来そういった立場に私がなりました折に、しっかりと考えさせていただきます。

 現在の内閣の一員、そして私の職責の範囲内では、現在、安倍総理及び官房長官がおっしゃっていることが内閣の方針である、こういう答弁を申し上げさせていただくことになります。

渡辺(周)委員 ぜひ大臣、政治信念をどうぞしまうことなくやっていただきたいと思うんですよ。私は……(発言する者あり)何で余計なことなの。私は、これまでもずっと大臣とはいろいろな形でやりとりをしてきた中で、お考えとしては大変私も似ているところがありますし、ですから、読んだ本にも、歴史観については、ここまで非常に研究していらっしゃるということで敬服しているところでもございます。

 この点についても、この場ではなかなかおっしゃれないのかもしれませんけれども、ぜひ御尽力をいただくようにお願いを申し上げたいと思うんです。

 ちょっと具体的に、大臣が会見でこの間おっしゃいましたけれども、国際放送を充実させていくのだ、国連の公用語にしたらどうかということをおっしゃっていました。まさに今、今回の朝日新聞の慰安婦問題での謝罪、訂正を受けて、国内で幾ら議論をしても、海外には届いていない。

 ちなみに、NHKの国際放送も所管していらっしゃいますから、このデータを見ますと、認知度と視聴頻度というデータの中にあったのが、NHKワールドテレビというものを千人の人を対象に聞きました。これは邦人なのか外国人世帯も含めてなのかわかりませんが、名前を知っている人というのが、アメリカで、ニューヨークで一〇・九%、ワシントンDCで一〇・八%。月に一回視聴している人の割合というのは、ワシントンDCで四・二%、ニューヨークで五・二%、イギリスでは四・七%。

 伺いたいのは、CCTVやアリラン放送はどれぐらいの認知度であり視聴頻度であるかということは、きょうはNHK来ていますから、お答えいただけますでしょうか。

 そして、コンテンツの問題ですね。この中には、日本映画とか歌舞伎とか日本文化を紹介する番組、日本の国際貢献の最前線を伝える番組などを新設したというふうにされていますけれども、それにしても、余りにも見ている人が少な過ぎる。

 放送法には、八十一条の第五項に、「我が国に対する正しい認識を培い、及び普及すること等によつて国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するようにしなければならない。」とあります。

 今、御存じのとおり、アメリカでは慰安婦の像がつくられて、そして、中国や韓国からは、日本は歴史に向き合わない国であるということが戦略的に行われていると言っても過言ではないんだと思います。この点について、まさに国際放送で、どのような形で、言葉だけじゃないですよ、中身のコンテンツにおいて、やはり日本の正しい理解をしてもらうために、正しい認識を培うために、内容についてはどうしていくのか、この点については、大臣に伺いたいと思います。

森永参考人 お答えさせていただきます。

 NHKワールドの視聴状況でございますけれども……(渡辺(周)委員「それはもう知っています。中国や韓国はどうですか」と呼ぶ)はい。ワシントンDCでは、NHKワールドが四・七に対して、CCTVは六・〇でございます。アリランTVは一・四であります。それから、イギリスでは、NHKワールドが三・一、アリランTVが〇・八、CCTVが一〇・〇というところでございます。

渡辺(周)委員 そのデータ、後でぜひ下さい。資料をぜひ要求します。

 委員長、お取り計らいをよろしくお願いします。

桝屋委員長 はい、わかりました。

高市国務大臣 NHKワールドTVの内容でございますが、先ほど朝日新聞の報道を例に挙げられました。朝日新聞の慰安婦検証記事の訂正を朝日新聞が行ったということについては、ことしの九月に放送をされているということでございます。

 このほか、二月に松江で竹島の日の記念式典があったことや、あと菅官房長官が北方領土問題の解決方針に変更がないということを五月におっしゃったこと、あと中国船が尖閣沖の日本領海に侵入した件についても七月、八月と放送されています。ロシア軍の北方領土沖の軍事演習開始、これも八月に放送されております。

 個別の放送番組の内容そのものについて、私が一つ一つ、いいとか悪いとかコメントをすることは差し控えたいのですが、ただ、放送法の第六十五条の規定に基づきまして、毎年、ラジオ国際放送及び外国人向けテレビの国際放送について、邦人の生命、身体及び財産の保護に関する事項、国の重要な政策に係る事項、国の伝統、文化及び社会経済に係る重要事項、その他国の重要事項という、放送法の規定に沿った四つの放送事項を指定した上で放送することを要請することとしておりますので、しっかりこの要請に基づいて、NHKにおかれましても放送番組の編集を行っていただくことを期待しているということでございます。

 先ほどお話しいただきましたが、総務省の中に、NHKの海外情報発信強化に関する検討会、これを八月に立ち上げまして、私自身、所信で申し上げましたとおり、強い問題意識でもございますが、今週も十月十四日に開かれました。これは来年の春に取りまとめをしてまいりますので、特に、英語以外の多言語化ですとか、日本国内で訪日外国人に見ていただけるような体制もつくってまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 例えば日本の慰安婦をめぐる最新の動きについても、これはぜひ定期的に流していただきたいと思うんです、領土問題についても。

 外国に行って、クール・ジャパンの英語番組も見ます、ホテル等で。それはそれでいいんです。しかし、それだけではだめでありまして、やはりこれは、中国や韓国からの情報戦、さまざまな宣伝戦の中で、日本のコンテンツというものについては、きょういらしているNHKの方も含めて、ぜひお考えをいただきたいと思います。

 結びに質問をして終わりますが、今、特区の法案が今月中に出てくるんだろうと言われていますが、そこで、一つあります、外国人の家事支援人材の活用ということについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。

 また改めてやりますが、地方自治体による一定の管理体制のもとで外国人の家事支援人材というものを導入することが検討されているわけですけれども、この一定の管理体制とは一体何をするのか。そして、この家事支援ニーズというものが一体どれぐらいあって、どれぐらいの期間を考えているのか。つまり、出口が見えない、結果としてこれは移民につながるのではないかという危惧もしますが、この点について、大臣、地方自治体を所管する総務省の大臣として、今現在どういう検討がされているのか伺って、質問を終わりたいと思います。

高市国務大臣 まだ、現在のところ、総務省で、外国人による家事支援ということについて詰めた議論を行っておりません。主に法務省の方の所管だと思いますので、しっかりと、これは与党の中でもいろいろと議論をされております、野党の中でも議論が進んでいることと思いますので、そういった各政党の御意見も参考にしながら、地方自治の現場で何を考えていけばいいのか、また税の問題などにもかかわってくるかと思いますので、このあたりは、議論が見えてきてからしっかりと検討させていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺(周)委員 終わります。

桝屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 引き続き、総務委員会で務めさせていただきます。新藤大臣にも随分御答弁いただきましたけれども、今回も引き続き頑張ってまいります。

 高市大臣、御就任おめでとうございます。よろしくお願いをいたします。

 最初に、通告はしていないんですが、靖国参拝問題について見解を伺いたいと思います。

 信念として参拝されると。日本を守ってくださった英霊に感謝をささげるということは、私は個人としては非常に大事だと思いますし、私自身も、八月には参拝を個人的にしているところでございます。

 しかし、やはり大臣ともなりますと、外交に与える影響というのがあると思うんですね。早速、これはきのうの時事かなんかで流れていますけれども、あるいはNHKさんも言っていますね、中国外務省が記者会見で、参拝について牽制したということであります。日本は、歴史問題をめぐってこれまでに示してきた見解と約束を確実に守って、適切に問題を処理するとともに、実際の行動によってアジアの隣国や国際社会の信頼を得るように求める、あるいは、日本は侵略の歴史を深く反省して、いつもの決まりの言葉でこう言ってきているわけでありますけれども、こうした反応を引き起こしている。

 公明党の山口代表も、ラジオでそのあたりを心配されて、個人のいろいろな考えはあるが、外交的に課題を引き出してしまうんじゃないか、こういうふうに、与党内でも心配する声が出ています。

 一方、総理も、所信の中では、今回は、きょうの日経に出ていましたけれども、「日中両国が、安定的な友好関係を築いていくために、首脳会談を早期に実現し、」初めて友好という言葉を使った、こう書かれているわけであります。それに対して中国も、演説を評価しと、評価しというのはちょっと言葉としてどうかと思いますが、総理のメッセージを受けとめたということなんですね。

 こうした中、総理もやはり我慢されていると思うんですね。総理も参拝を控えておられる中で、個人の思いで参拝されるということでありますけれども、外交的な問題についてどうお考えでしょうか。

高市国務大臣 私は、一人の日本人として参拝を続けてまいりました。これまでも長く、春、夏、秋、そしてまた折に触れ、参拝を続けてまいりました。一国民として、信教の自由として認められていることでもあると思っております。

 ですから、そもそも日本国の国策に殉じて亡くなられた方をどのようにそれぞれの国民が慰霊をするか、これは国内の問題であって、本来は、私は、外交問題となるべき性質のものではないと考えております。

奥野(総)委員 しかし、現実にはいろいろ問題も起きているということを指摘して、この話はこれで、いろいろ見解があると思いますので、本題に入っていきたいと思います。

 まず、大臣所信におきまして、地方の財源について、平成二十六年度地財計画の水準を下回らないように、実質的に同水準を確保してまいりますと。交付税額を実質的に確保していく、こういうことを述べられていると思います。

 一方で、これは朝日新聞の報道でありますけれども、財務省が、リーマン・ショック後の歳出特別枠、これは今、地域経済基盤強化・雇用等対策費ということでありますね、昨年一・五兆円だったんですが、今一・二兆円まで縮減されてしまいましたが、これを廃止するように求めている。これに対して総務省は、創生枠を一・二兆円より増額することを特別枠廃止の条件にしている。

 振りかえていこう、地域創生枠に振りかえて、ふやしていこうと。これは、ふやさないと確かに意味がないんですね。同じだと地域創生につながっていかないわけですから、ふやしていこうということが記事の内容だと思いますが、これは事実なんでしょうか。

高市国務大臣 現時点におきまして、政府において、来年度の地方財政計画に地方創生枠を設ける方針を固めたという事実はございません。報道にあったような話し合いをしてもおりません。

 地方の創生と人口減少の克服のために必要となる地方財政計画の歳出については、予算編成過程で必要な検討を行うこととされております。

奥野(総)委員 実際に振りかえることを求めているかどうかということはここではおっしゃれないと思うんですが、現実に、財務省としては、従来から、この特別枠は廃止するように、あわせて、これに見合う別枠加算についても廃止をずっと求めてきているわけであります。

 これがもし削られてしまうと、別枠加算も六千億まで減っています。ことし、要求が五千億ですか。これも減らされてしまって、実質的な交付税減ということになりかねないと思うんですね。ですから、ここはしっかり頑張っていかなきゃいけないと思うんです。

 さらに、総理は本会議で、今度、地方創生のための新たな交付金の創設を表明したと報道されています。これは総理みずから、たしか、交付金をつくるとは言っていない、ただ、質問に対して否定していないですね。交付金についてばらまきではないかという質問に対して、交付金をつくらないとは否定していないのでこういう記事になっていると思いますが、新たに交付税のほかにこういう交付金をつくるんでしょうか。そして、つくるとしたら、どういった性格の交付金、いろいろ言われていますね、使い勝手のいい一括交付金的な性格のものとかいろいろ言われていますが、どういった性格のものをつくろうとしておられるんでしょうか。

高市国務大臣 まず、先ほど御質問ありましたような、一・二兆円の振りかえをしてしまって、全くふえない、財源が確保できないということでは何にもなりません。

 総理の御答弁の中の新たな交付金というものでございますけれども、まだ結論が出ているものではなく、石破大臣のもとで調整をされているところだと理解をいたしております。

 ただ、総理から、その本部をつくるときにありました話は、各省でいろいろな補助金があって、同じような目的、効果のもの、こういったものはしっかりと統合したり整理をしていく、しっかりとその財源を生み出して、もっと地方が自由に使える、みずからの創意工夫で使える財源を確保する、そのために省庁の縦割りを排して、省利省益じゃなくてしっかりとやってくれ、こういうことであったと理解をいたしております。

 ですから、地方の歳出は、財政の健全化を進めるために、重点化、効率化、めり張りをつけるということは必要です。一方で、やはり地方創生のために必要な経費を適切に計上していく、これも大変大事なことですので、総務省といたしましては、一般財源総額を確保する、必要な歳出総額を確保する、地財計画についても昨年度の水準を下回らないようにということで申し上げておりますけれども、実質的にという言葉を私は所信の中で入れさせていただきました。社会福祉による増、こういったものもしっかりと加味をしながら確保していく、その予定でございます。

奥野(総)委員 今の御答弁では二つあったと思うんです。一つは、交付税の振りかえではない、恐らくそういうことだと思います。もう一つは、既存の補助金を統合してもっと使い勝手のいい、これがおっしゃっているのは、我々がやっていた一括交付金そのものではないかと思うんですが、一括交付金、沖縄は今も残っていますね。非常に使い勝手がいいと評判がよかった。もっと我々はやろうとしたんだけれども、結局、時間切れでできなかったわけですが、その我々のよさを認めて一括交付金を復活させる、こういうことなんでしょうか。

高市国務大臣 一括交付金につきましては、当時、各省への手続、そしてまた内閣府への手続などなど、その後また各省とやっていかなきゃいけないというようなことで、地方公共団体の方から、少し使い勝手が悪いというお話があって、それで廃止をしたものでございます。

 今後、使い勝手をよくする、一元的に内閣総理大臣が責任を持つような形での交付金、各省のいろいろな施策の寄せ集めではなくて、大きな目的ごとにくくっていくような形の財源をしっかりと地方で確保していただけるように取り組んでいくというものです。少し制度設計的に違う、こういうものになると承知をいたしております。

奥野(総)委員 一括交付金の何が画期的だったかというと、各省またがって使える。メニューを統合して、各省またがって使えるようにしたというのが画期的なところだったと思うんですね。ですから、そこは、その精神はきちんと引き継いでやっておられるわけですから、多少、その申請の仕方とかいろいろ違いはあるのでしょうが、これは実質的には一括交付金の復活と言っていいと思うんですね。

 ですから、もう一度確認をしますけれども、交付税総額はこれで維持をしつつ、交付税は交付税として一般財源として維持をしつつ、既存の補助金を統合する形で、我々が言うところの一括交付金を復活させて地方創生に当たる、こういう頭の整理でよろしいんでしょうか。

高市国務大臣 いわゆる前の政権のときの一括交付金としては、制度の組み立てとしては違ってくると思います。

 そして、今、石破大臣の調整のもとで、どういった形にしていくのか、まさに各省担当者も出まして、それからまた関係者からの、いろいろな関係団体からの御意見も聞きながら制度設計を行っていく、その途上にあると存じますので、ここで断言的なことは申し上げられません。

奥野(総)委員 くれぐれも、単なる一般財源にばらまくというのであれば、交付税があるわけですから、交付税を増額すればいいわけですね。ですから、今言ったように、既存の補助金を束ねてより使いやすくするというには意味があると思いますので、そういうふうに承りましたので、ぜひその方向でしっかりやっていただきたい。

 一括交付金の復活というふうにはなかなか認めにくいんでしょうけれども、精神は引き継いでいただいているというふうに思います。

 それから、外形標準課税、先ほども御質問がございました。重ねてになりますけれども、経団連さんからは、外形標準課税については安易な拡大はすべきじゃない、要するに賃金課税だと。賃金が課税標準の相当部分を占めるので、雇用の維持、創出、所得拡大の方向に逆行するんだということが経団連さんからは出ております。また、日本商工会議所や全国商工会連合会、あるいは中小企業団体中央会などからは、地域の雇用を支え、労働分配率が八割にも達する中小企業への適用拡大は、赤字法人百七十五万社が増税と、その影響は甚大であり、要するに、赤字法人百七十五万社に増税になるということで断固反対、こういう意見が出ています。

 外形標準課税の拡充、これは地域創生の趣旨に反するんじゃないか。賃金に課税していく、あるいは地域の雇用を支えている中小企業に、赤字の中小企業に課税するということになれば、地域創生に逆行するんじゃないかというふうに思いますが、所信的発言において外形標準課税の拡充と言っておられますけれども、これは具体的にどうお考えなんでしょうか。

高市国務大臣 中小企業への外形標準課税の拡大について反発の声が強いということについては承知をいたしております。

 六月の政府税調の取りまとめにおきまして、地方法人課税については、応益課税の観点から、企業間で広く薄く負担を担う構造にすることが必要であるということ、法人事業税における外形標準課税については拡大を行うべきである、その際には、創業会社や中小法人への配慮などを検討すべきであるとされたところでございます。

 私どもといたしましては、外形標準課税のあり方については、やはり地方経済を支えている中小企業、小規模事業者に十分に配慮しながら議論を進めてまいりたいと思います。

 あと、賃金課税ということでのお話なんですけれども、報酬給与額が課税ベースに含まれているということをもって賃金課税という批判があるんですが、課税ベースは単年度損益を含む付加価値でございます。だから、同付加価値の中で給与をふやしても、単年度損益が同額減少するので、税額は変わらないということになります。

 しかも、その付加価値額に占める報酬給与額の割合が高い企業には雇用安定控除という税負担の軽減措置がとられているので、要は賃金の抑制にはつながらないという意味で、賃金課税という形での御批判は当たらないと考えております。

奥野(総)委員 ただ、企業の売り上げが上がったときに、人件費をふやしたときに、そこが課税対象になりますし、控除を下回る場合は一〇〇%増税になってしまうという面は、確かに、税額の絶対額でいえば、ふえるという面はあると思うんですね。だから、その辺は指摘しておきたいと思います。

 それから、もう一度確認したいんですが、やはり法人実効税率は、財源があって引き下げる、財源があって、よそに負担をかけないで引き下げるというならば効果はあると思いますけれども、結局、どこかから持ってきて税制中立でやった場合に、それほど効果が上がるのかというのが、私は極めて疑問なんですね。二九%まで下げたって、中国や韓国はまだ低いわけです。シンガポールなんて一七%ぐらいしかないわけですから。

 ですから、むしろ法人実効税率を下げることで例えば中小企業などに増税することであれば、効果が上がらないどころか、地域の経済を破壊する逆効果になるというふうに思いますので、もう一度確認したいんですね。

 さっき、大企業の間では税制中立とおっしゃっていたと認識しておりますけれども、ということは、資本金一億円未満の中小企業については、これは今回、外形標準課税の対象としないということをここではっきりおっしゃっていただきたいと思うんです。

高市国務大臣 現在、資本金一億円以上の企業について適用されております。全企業数の中で見ると、一%ということでございます。

 広く薄く、応益という考え方に立って負担をするというところで、どういった範囲で、しかも、中小企業の、外形といってもさまざまな判断基準がございますので、具体的な制度設計に向けて、これから中小・小規模事業者、また創業企業に十分な配慮をしながら、どういった形の体系を組み上げていくのか、これは税制プロセスの中で、特に与党税調の議論が今非常に活発な状況でございますので、その議論を注視しながら、最終的には決まっていくものと理解をいたしております。

奥野(総)委員 地方担当の大臣としては、そこはぜひ頑張っていただきたい。

 先ほど大企業の間に税制中立だとおっしゃっていたことをもって、私は、中小企業はこれはないんだなというふうに理解はいたしましたけれども、そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 それから次は、地方分権であります。

 地方分権については、所信発言の中では一行だけ、「国民のための真の行政改革、地方分権改革を進めてまいります。」と、たった一行しか述べられていません。

 これまでは、さきの国会では四次一括法が成立して、新藤大臣と当時やりとりしたんです、いらっしゃいませんけれども。提案募集型の地方分権をやっていくんだ、これまでのやり方は一区切りついて、今度は地方から要望のあるものについて、どんどん分権をして前に進めていくんだ、やる気のあるところ、やれる能力を備えたところに権限を行使していただく、こういうふうに当時新藤大臣はおっしゃっていました。

 ですから、提案募集がこれからの目玉ということだと思いますが、さきに我が党の海江田代表も代表質問とかでも指摘していますが、提案募集、これは五月から七月にかけて行われて、百二十六団体、千六十件応募があったんですね。そのうち、一次回答で各省が実施すると言ってきたものが十件余りということであります。千件のうち十件がイエスという回答が返ってきた。

 ただ、このイエスという回答も、精査すると、本当にイエスと言っているかどうかよくわからないといったものが多いと思うんです。

 地方分権を進めると所信でおっしゃっている大臣に伺いたいんですが、この結果についてどう思われますか。

高市国務大臣 提案募集では、地方から、重複のカウントを除きますと、九百五十三件の提案がなされております。これは地方の熱意を示すものでありまして、これらの提案を積極的に受けとめて、推進することが必要だと思います。

 それで、第一次の各府省からの回答につきましては、九月二十六日の閣僚懇談会におきまして、石破大臣から、政府として地方分権を推進する立場から、これらの提案をいかに実現するかという姿勢を基本にして再検討しなさいという要請がございました。

 これを踏まえまして、現在、内閣府で関係府省から第二次回答を取りまとめている、そういう状況であると承知をしております。

 ですから、総務省も、地方の個性を尊重し、やる気のある、また熱意のある、知恵のある地方を応援する立場から、提案の実現に向けてしっかりと協力をしてまいりたいと思います。

奥野(総)委員 これは、担当大臣が実はかわったんですね。従前は新藤大臣が地方分権改革担当大臣ということで兼ねておられたということで、ここで質問してもちゃんと答えが来やすかったのでありますが、今は、むしろ石破大臣をサポートしていく、こういう答えだと思います。ただ、地方を所管しているのは明らかに総務大臣でありますから、地方の立場からしっかり物を言っていただかなければならないわけであります。

 では、せっかく平副大臣、来られていますけれども、この結果についてどう評価されていますか。鳴り物入りでやった割には成果が上がっていないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

平副大臣 お答え申し上げます。

 担当副大臣でございますが、私、副大臣に就任をして、九月十八日に、地方分権改革有識者会議に出席をいたしました。そこにまさに委員御指摘の件が上がってきたわけであります。

 私といたしましても、不十分だと思います。今までこうやってきたからできませんとか、法律に書いてあるからできませんという回答では、地方分権は進みませんので、どうやったらできるのか、また、できない理由が、法律のフィロソフィーにさかのぼってできないのか、それとも数量とか面積の基準の話なのか、明らかに違うと思いますので、先ほど高市大臣からも御答弁ありましたけれども、石破大臣から各省に対して、しっかりと取り組んでいただきたいということを言っていただきました。

 あしたから、また専門部会で長時間にわたってヒアリングをいたしてまいります。

奥野(総)委員 専門部会で取り上げられているのは大体百五十二件五十八項目と伺っています。ですから、大体一割強ですね。千件のうちの一割強。その中には、A回答、やると言ったものも含まれている、そこを詰めていくということだと思います。

 それはそれでやっていただきたい、今言った保育所の居室面積の従うべき基準とか、従前から懸案事項がありますから、そういったものにしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、では、それ以外の八百五十件、これは一体どうなるのか、もうこれでおしまいかということなんですね。この中にも、従来からの懸案のものが入ってきています。

 では、一体どのような基準で検討事項を選んでいるのか、あるいは、選ばれなかったものは今後どうなるのかについて。

満田政府参考人 私の方からお答え申し上げます。

 今、百五十二件五十八項目という御指摘でございますけれども、専門部会の方におきまして、ヒアリングを行う項目を絞りました。これは有識者会議及び提案募集の専門部会の方で決定をしたわけでございますが、これまでに議論されてこなかった項目、あるいは、議論したんだけれどもその後情勢の変化があったという項目を、まず二類型分けました。その中でさらに、重点分野、あるいは地方創生、人口減少の克服に関連するというもので絞り込みを行いまして、御指摘のとおり、全体九百五十三件のうち百五十二件、大体六分の一程度をヒアリングの対象にはするという形にしたものでございます。

 しかしながら、残りの項目につきましても、地方からお出しいただいたという重要性に鑑みまして、こちらの方は有識者ヒアリングはないんですけれども、年末に向けて、実現のために最大限努力する、そういう扱いでございます。

 以上です。

奥野(総)委員 この選ばれていないものの中に、ハローワークの扱いですね、権限移譲、これはずっと問題になってきて、一応、去年の年末の閣議決定で決着がついた、こう言われていますけれども、しかし、今回、およそ二十件余り、またこのハローワークに関して権限移譲とか要望が地方から上がってきているわけであります。

 政府のページを見ると、一体的実施をやるんだと大々的に出ていて、これは大々的に宣伝されています。

 私の地元の千葉市でも一体的実施をやっていまして、千葉市では二カ所やっています。一つは、千葉市自立・就労サポートセンターということでありまして、生活困窮者を対象に一括的に対応している。生活保護の申請に来た方に職業紹介をして、生活保護に陥らないようにしている。これで、昨年ですと、たしか年間八十件弱ぐらい実際に成果が上がっている。一体的実施の非常にいい例だと思うんですね。

 こうした試みは、実は民主党政権のときに一体的実施についてはやっていまして、特区もそうですし、この一体的実施についても、我が政権のときに始まったものであります。ですから、こういういいものをどんどんやっていくのはいいんですが、さらに進めて、例えば千葉市は、雇用保険の認定、給付業務、支給認定、給付についてもワンストップでできないのか、こういうふうに言ってきているわけであります。

 権限そのものを下さいと言っている、大阪府なんかはたしか言ってきていたと思いますが、厚労省側は、権限そのものは難しい、保険者と実施者が違うと保険財政が破綻する、こういう言い方をしていますけれども、一体的実施の場で、厚労省のハローワークの人は来ているわけですから、雇用保険の認定、給付ぐらいやったっていいんじゃないでしょうか。まだまだ改善するべき余地があると思うんですね。

 あるいは、望めば、権限移譲、禁じ手かもしれませんが、法定受託で地方におろすということだってできるはずであります。昨年権限移譲した中で、法定受託が結構あった。それは質問したんですけれども、六十件のうち十件ぐらい、たしか法定受託事務だったんですね。法定受託をやっちゃいかぬと昔から言われていましたけれども、国が押しつけるからやっちゃいかぬのであって、地方が望む場合に受けるのは私はいいと思うんですね。

 ですから、まだまだこのハローワークについてはできることがあると思いますが、この点についていかがでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘の国と自治体の一体的実施につきましては、十月一日現在で、百二十七団体、それから二百三十カ所でやっていまして、利用者の方、労使の方あるいは実施自治体からも非常に評価をいただいております。

 雇用保険の認定、適用、給付などの業務につきましては、自治体の希望を踏まえまして、利用者から十分なニーズが見込める場合につきましては、一体的実施事業の対象として取り組むという考えでございます。

 このために、自治体から現在の状況を踏まえました具体的な御提案がございましたら、どの程度利用見込みがあるかや、あるいはその実施体制などを十分に精査して、実施の可否を検討していきたいというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 このように、まだまだできることはいっぱいあるわけですね。ですから、千六十件の案件全てにわたってもう一回目配りをして、何が必要かということをしっかり考えていただきたいと思います。

 最後に一点だけ大臣に伺いたいんですが、やりにくくないですか。財政、税制は総務大臣、分権は石破大臣、それから地方再生も石破大臣。ちゃんと連携をとってやれますか。私は、総務大臣が全部を兼ねて、国の代表である総理と地方の話をするのが一番シンプルだと思いますけれども、石破大臣は要らないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

高市国務大臣 石破大臣は、安倍総理が、総合調整機能を持っていただく、各省の縦割りを排除して、本当に地方創生のために有効な政策を組み立て、予算の重複などを省いていくために必要な方だと思って任命された方でございます。

 私が就任いたしましたときに、安倍総理から、石破大臣としっかりと協力をして、元気で豊かな地方創生のため、地方の行財政改革などに積極的に取り組むようにという御指示をいただきました。

 しっかりと協力をしながら、しかしながら、総務省設置法三条、四条に書いてございます、総務省がやらなきゃいけないこと、そしてまた、総務省というのは、自治法など、我が国の地方自治制度の根幹となる法律を所管している省でございますので、私どもでしかできないこともあるかと思います。しっかりと連携をしながら、しっかりと地方創生に取り組んでまいります。

奥野(総)委員 これで終わりにしたいと思いますが、くれぐれも地方が混乱しないように、本当の意味の地方創生になるようにしていただきたいと思います。

 以上です。

桝屋委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 維新の党の上西小百合でございます。

 これまでも幾度か申し上げましたが、私が政治家になろうと志したきっかけは、我が党の橋下代表が、大阪府知事に就任するや否や、それまでの政治家が手をつけなかった既得権益を打破し、そして規制緩和を進め、大阪が大改革をなし遂げた、こういった姿を見まして、地方の声なき声を集めて大きな声にする、それによって日本をよりよくしっかりと変えていきたい、こういうふうに思ったことでございます。

 安倍総理も、さきの所信表明で、岩盤規制改革、がんじがらめの規制の改革、こういった表現を用いられ、規制緩和の必要性をるる列挙されていましたし、加えて、総務大臣も、一昨日、当委員会で、国民のための改革を進めると宣言をなさいました。

 ここで改めて、総務大臣が、国民のための真の行政改革、地方分権改革、これらの中のとりわけ行政の評価、監視について、国民の立場に立って積極的に改善を働きかけると述べられた点について、もう一度、具体的な御説明をいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。

高市国務大臣 行政評価局が行っております行政の評価、監視は、行政の現場での運用状況を調査して、その改善を図るものでございます。

 私の方から関係大臣に対して改善を求める、こういった位置づけになるんですが、私が所信的発言の中で、国民の立場に立って積極的にと申し上げましたのは、この評価と監視について、まず、結論として出す改善の方向性につきましては、常に国民の希望、利益を優先するという考え方に立つこと、それから、調査すべき事項の選定、次回の調査で何をテーマに取り上げていくかということなんですけれども、これも、国民の皆様の御意見を伺ったり、行政相談のあった事柄などに配慮するということでございます。ちなみに、次のテーマのアイデアを今ホームページで募集している最中でございます。そして、調査の際にも、現場における国民の皆様や地方公共団体など行政の相手方、こちらの声にも耳を傾けて、霞が関の独善とならないようにする、こういう考え方に立つことが重要である、この思いを込めて申し上げました。

上西委員 今大臣のお答えをお伺いしますと、広く国民の希望、そして利益を優先する、行政の立場に立ってではなく、しっかりと国民の希望を聞いて、行政相談等も設けて、しっかりとそういったところから意見を聴取するということでお伺いをいたしました。

 それを受けまして、次の質問に参りたいと思います。

 総理大臣を初めとする官僚の皆様がこぞって口にされる、あらゆる分野での規制緩和、自民党の公約にも提示されておりますが、大胆な規制緩和ということで提示をされております。私は、この規制緩和が国民の皆様のために有言実行されることを願い、私自身も全力で推し進めているところでございますが、それは大臣も同じ思いということでよろしいでしょうか。端的にお答えをいただければと思います。

高市国務大臣 規制緩和につきましては、その規制が、規制を置いておくことについて合理的な説明ができない場合、これはしっかりと緩和をしていく必要があると思います。国際先端テストということを自民党の公約などでも書かせていただいておりましたけれども、諸外国に比べても、何で日本だけこの規制があるんだ、それを合理的に説明できなかったら、それは見直していく。

 その合理的にというのはどういうことかというと、やはり国民の命にかかわる、安全にかかわる、だからこそ必要だ、こういったものを除くと、私は、経済の活力を高めていくためにも、国民の利便性を高めていくためにも、大胆な規制改革というのは必要だと考えております。

上西委員 合理的な説明ということで、さっき大臣も触れていただきましたが、そこにはいろいろな判断があると思うんですけれども、私は、これまでも、総理の所信表明で、あらゆる分野での規制緩和ということで、あらゆるは、要は、全ての、あらゆる限りのということでありますから、これは規制緩和をすると言ったのですから、しっかりと規制緩和をしていただきたい、こういう立場でこれからも進めてまいりたいと思います。

 それに続きまして、最近、小泉構造改革でせっかく進んだ改革が、なぜか、政府・与党の皆様方が目指されているはずのところとは反対に、もとに戻ったり、例えば、ひどいものでは、前よりもさらに規制が強化される、そういったことで、国民の不満が増大しているものも多いように思えてなりません。

 その一例が、さきの通常国会で成立をしましたタクシー特措法でございます。それにより、タクシー会社の保有台数が国により厳しく制限され、ワンコインタクシー等々、親しまれた格安タクシーの運行が国により規制され、私が生まれ育ちました大阪の町からも、格安タクシーはほぼ消滅してしまいました。

 大臣も、私と同じ関西を地元としていらっしゃいますので、格安タクシーが消滅した後の、一般の国民の皆さん、そして、特に車をお持ちでない高齢者の方々に密に接していらっしゃると思いますので、そういった方々から、運賃が高くなると乗られへんな、こういう嘆かれる言葉をお聞きになったこともあるのではないかなというふうに感じております。

 小泉構造改革でタクシー事業への新規参入がたやすくなり、町のタクシーがふえ過ぎて飽和状態になったから、ドライバーの仕事が減った。あげくの果てには、格安タクシーでは安全性が確保できないという、余りに理不尽で、少しでも安くよいサービスを提供しようと努力する事業者を侮辱する暴論までもが並べられて、タクシー特措法による規制強化がことし進んだわけでございます。その結果、例えば、大阪キタの中心の梅田駅周辺からミナミの中心部、道頓堀までの約五キロ弱の距離をタクシーで移動するのにも、従前の格安タクシーを選べば約千三百円前後で済んだものが、今、規制強化後は、どのタクシーを選んでも約千七百円前後までメーターが上がる。言うなれば、カルテルのような状態になってしまっているわけです。

 特措法により、一般の利用者、国民の皆様から、格安タクシーにするのか、それとも通常価格のタクシーにするのか、こういった選択権を奪い、これまで格安タクシーを選んでいた方が、国に強制的に大きな負担をさせられてしまっている、こういう理不尽な結果が生じているのが現状であります。

 高市大臣は、私と同じ関西圏の出身の方でいらっしゃいますので、ワンコインタクシーなり格安タクシーを御利用になったことがおありだと思います。こういった国民の皆様の声も受けて、今回のタクシー業界の規制強化に対する大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 私も関西ですけれども、奈良県なので、なかなか格安タクシーに乗ったことがございません。新大阪で並んでいても当たりません。

 ただ、タクシー特措法等改正法については、これは自民党、公明党、民主党の三党による議員提案で出てまいりまして、先ほど委員もおっしゃったように、タクシーの供給過剰を効果的に解消するということ、それからやはり運転者の労働条件を改善する、それからタクシーのサービス水準も向上させるということで、利用者にとってさらに安全な環境をつくろう、安心して乗れる公共交通機関として進化させる、これを目的とした法律だ、このように私は承知をいたしております。

 ただ、この新しい制度はことしの一月からスタートしたところで、今、上西議員が御指摘されたような点も含めて、やはりこの実施状況、影響についてはよく見ていく必要があると思います。

 衆参の附帯決議で、この改正法については、「施行後における施行の状況や効果について、三年毎に総合的に検証を行い、その結果を両院に報告すること。」とされておりますので、この検証作業が適切に行われること、それによってまた対応を考えるということは重要なことだと考えております。

上西委員 今、大臣からさまざま御答弁をいただきました。

 ただ、私は、これまでも総務委員会でも申し上げましたし、国交委員会でも申し上げましたが、安いから安全性が保証されない、こういった理論はおかしいのではないかと思っております。

 なぜならば、安くよいサービスを提供しようとする業者さん、いろいろお話を幅広くお伺いしますと、例えばエコカーにかえて燃料費を安くするだとか、そういった企業努力をなさっている、こういうことが背景にもございますし、安ければ安全性が保たれないというのであれば、LCC、格安航空はいかがなものなのか、そういうふうにも思うわけでございます。私もこれまで質問いたしましたが、これに関して、はっきりとした御答弁をいただいたことはございません。

 そして、労働者の皆様方の環境ということでいただいていますが、確かに低賃金であるということが指摘をされておりますが、タクシー事業、会社自体は利益があるというような状況でございます。これまでも事業者が、例えば、趣味は納税ですだとか、あるいは大きな大仏を建立するだとか、非常に潤っている様子を私もお伺いしておるところでございますので、そういったことを改めて精査いただき、本当にこの規制が必要だったのか、適正なものだったのか、こういったことを御考慮いただく。

 そして、冒頭、大臣がおっしゃいましたが、幅広く国民の皆様の利益、希望をしっかりと受け取っていただけるのであれば、しっかりと国民の皆様のお困りの意見、そういった声も受け取っていただきたいと思います。

 実際にマスコミ等でもいろいろ取り上げられていますが、先日、私の事務所にもファクスが参りまして、タクシー値上げ強制法は市場経済を無視した天下の悪法だ、こういった記事もございます。それは、何もこの記事に関したことではなく、さまざまな新聞で取り上げられておるところでございます。

 私は、今まで、過度の規制強化で消費者、利用者の利便性を損なう、こういった危機感を抱き、特措法が議題になった際、いろいろな場所で反対の意見を述べてまいりました。規制強化実施から既に半年がたちましたが、今大臣は調査をしていくとおっしゃいましたが、規制強化後、本当にドライバーの収入増の現象は起きているのか、減車の行き過ぎでタクシーがつかまりにくくなっている、こういった国民の声が国に本当に今届いているのか、こういうのを常時気にしておるところでございます。

 私は、多くの大阪府民の皆様方と連日直接接して、親しく意見交換をさせていただいておりますが、タクシー業界の規制強化、特に格安タクシーの運行を国が強制的に排除したことに不満を持つ方にしか出会えず、誰一人として強化に賛同する方にめぐり会うことはできません。小泉改革が見直されるとすれば、改革後が改革前より劣悪になったからであるはずですが、小泉改革後、そのような感想をお持ちの方が果たしていたのだろうか、国民の皆様の中にいたのだろうかと思います。

 ことしの規制強化から半年以上経過して、国交省は、このたびの規制強化を、三年という長い期間じゃなくて、今現在の状況でどのように総括をされているのか、国交省から御所見をお聞かせください。

若林政府参考人 お答えいたします。

 タクシーにつきましては、平成十四年の規制緩和により参入や増車が自由化されたものの、サービスの多様化などを通じて需要が増加するという効果が発揮されておりません。逆に、多くの地域では、景気低迷などにより需要が落ち込んだため、供給過剰の状態が生じております。

 このため、国交省では、平成二十一年に施行されましたタクシー適正化・活性化特別措置法に基づきまして、地域及び期間を限定して、供給過剰の削減や需要の開拓などの取り組みを促進してきました。その結果、運転者の賃金が上昇するなどの一定の成果は上がりましたが、なお多くの地域では供給過剰の解消に至らなかったなど、タクシーをめぐる諸問題の解決が十分に行われてはいなかったというふうに認識しております。

 このことが、このたびのタクシー適正化・活性化特措法が議員立法により改正された背景であると考えている次第でございます。

 この改正法は、規制緩和の方針は堅持しつつ、タクシーの供給過剰により弊害の生じている地域のみを対象として、期間限定で、供給過剰を解消するための効果的な措置などが盛り込まれていると承知してございます。

 今回の議員立法は、タクシー事業をめぐるさまざまな意見がある中で議論がなされてきたところであります。

 タクシー事業においては、歩合制賃金が一般的であるということもありまして、需要の減少に際して車両数をふやして売り上げを確保するという結果、供給過剰、かつそれが長期化しやすいといった事業特性がございます。

 供給過剰が発生すると、先生御案内のように、運転者の労働条件が悪化し、安全性やサービスの質などの低下をもたらすために利用者の利益が損なわれることとなりますために、今回の議員立法により改正されたものと承知しております。

 今回導入された制度は、先ほど申し上げましたとおり、地域と期間を限定して供給過剰を解消するものでありまして、規制緩和の考え方自体について十分に考慮したものと考える次第でございます。

上西委員 今るる御説明をいただきましたが、まずは、現状がどうなっているのか、ちょっと時間もありませんが、国民の皆様方の声をしっかりと受けとめていただきたい。車がなくてタクシーを利用しなければいけない高齢者の方々、あるいは障害をお持ちの方もいらっしゃるわけですから、幅広い皆様に御利用いただける公共交通機関であるのでありましたら、そういったこともしっかりと配慮をいただく必要があると思います。弱者の目線に立って、しっかりと政策を行っていただきたいと思います。

 そして、景気低迷のため供給過剰だということをお伺いいたしましたが、それは、どこの業界、例えばコンビニエンスストアだとしても、例えば美容室、理容室だとしても、非常に多く店舗がございます。一つの通りに何店舗もあるということがございます。それを鑑みますと、タクシー業界だけ随分と保護されたものだな、こういうふうな素直な実感を持たせていただく、こういうことをお伝えしたいと思います。

 民間が行うどの御商売もそうでありますが、民間が運営するタクシー事業の運賃は事業者が自由に決められるのが当然であり、その方が国民にとって有益であり、国が民間事業者に命令を下して、国が強制的に決めた価格で需要の調整をするということは、資本主義の日本では考えられないくらいナンセンスだと思います。

 こういった主張は、何も私に限ったものではなく、タウンミーティング等で頻繁に消費者である住民と直接接する機会の多い、首長である橋下大阪市長も同じような思いに駆られている一人でございます。

 その思いが高じて、本年八月末、タクシー料金や台数に関する国の規制緩和のため、大阪府市は、政府が大阪に限定をして規制緩和を進める国家戦略特区の指定を目指して提言をいたしました。特に良好なタクシー業者をそろえて、地方に国内外から観光誘致を図ろうとする取り組みは傾聴に値すると確信をしていますし、日本のタクシー料金が外国と比較し高いというのも事実であります。

 大臣の御地元も観光客誘致のためのさまざまな取り組みをなさっていますから、そういった地方の声、要は、交通手段に利便性を持たせ、観光客の皆さんに多くの場所をめぐってほしいという、こういった地方のお声、自治体のお声を御理解いただけると思いますが、いかがでしょうか、再度、大臣の御答弁をお願いいたします。

高市国務大臣 タクシーの運賃についてさまざまな声をお聞きのことだということで、今、拝聴しておりました。

 このタクシー特措法改正案、私、直接の所管でないので恐縮ですが、議員立法で、さまざまな関係者の意見を聞いてつくられたものと承知しています。

 しかも、縛りはかかっていまして、国土交通大臣が、特定の地域において供給過剰であるという要件を満たす場合に、運輸審議会に諮問の上、地域を指定して、新規参入や供給輸送力の増加を禁止するということ。あと、運賃も、そういう地域では、国土交通大臣が運賃の範囲を指定して、事業者がその範囲内で運賃を定める。幾らにしなさいということじゃなくて、その範囲ということで、緩やかになっている。それからまた、労働条件の改善というものも求めている。

 さらには、さっき答弁がありましたけれども、附帯決議によって、しっかりとした調査をして、また国会に検証した報告があるわけでございますから、これは、その時々、検証の結果に応じて、またこの国会の場で議論をされるべきものだと思っております。

上西委員 諮問会議ということで、いろいろなところからお話を聞いていただけるということでありますが、やはり、地方創生ということを頑張って与党の皆さん取り組んでおられると思いますので、今回、大阪府市、自治体から出た意見でありますから、ぜひとも地域の意見をしっかりと取り上げていただきたい、このように思います。

 それと、国が強制的に価格を指定しているわけではないということでありますが、その幅といっても、大阪では六百六十円から六百八十円という、二十円しか幅がないんですね。ですから、これは国が強制していないと言えるのか、私は疑問を掲げたいと思います。

 次に、ちょっとテーマをかえまして、近年急激に出動件数がふえた救急搬送などの緊急時の処置について質問をさせていただきます。

 消防庁が一九七八年七月一日に告示した救急隊員の行う応急処置等の基準の中で、手動式、自動式を含めて人工呼吸器を使った応急処置ができることになっていますが、その第六条第三項では、救急救命士の資格がある隊員は救急救命士法の定めに従うことが明記されており、しかも、救急救命士法が定める処置範囲三十三項目の中には人工呼吸器の使用が含まれていません。

 民事法では特別法は一般法を破るのが原則ですが、その法理に基づけば、救急車に乗務している救急隊員の救命士の資格を持たない者は人工呼吸器の使用ができるのに、高度のスキルアップをして資格を取った救命士はそれができない矛盾は生じていないでしょうか。消防庁の御見解をお聞かせください。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 救急隊員が行います応急処置の方法については、先生御指摘の救急隊員の行う応急処置等の基準第六条第一項と第二項におきまして列記をされておりまして、その中に人工呼吸も含まれておるところでございます。

 さらに、同基準の第六条第三項におきましては、救急救命士の資格を持つ救急隊員は、今申し上げました一項、二項に掲げるものに加えまして、救急救命士法の定めるところにより、応急処置を行うものとするとなってございますので、救急救命士の資格を有する救急隊員は、救急隊員が行う応急処置もできます。

 したがって、救急救命士の資格を有する救急隊員は人工呼吸を行うことができるという実態にございます。

 以上でございます。

上西委員 そうしたら、救急車に乗務していない救急救命士の資格を持っている方、普通の一般的な救急救命士の資格を持っている方は人工呼吸器の使用ができるということでよろしいんでしょうか。

北崎政府参考人 民間で救急救命士の御資格を持っている方につきましては厚労省の方から御答弁があるものと承知しておりますが、私どもの消防本部におります救急隊員につきましては、できるということでございます。

 以上でございます。

上西委員 そうですね、ちょっと答弁をいただくところが違いますね。

 それでは、実際に、救急隊員ではない救命士、例えば自衛隊員や海上保安庁にも救命士は当然いらっしゃいます。そのほかにも、今おっしゃいました民間医療機関等に勤務される救命士も大勢いらっしゃるわけでございますが、救急隊員ではない民間の救命士の場合の実務の御説明をお願いしたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 救急救命士は、救急救命士法に基づきまして、医師の指示のもとに救急救命処置を行うということになっておりますけれども、その範囲は通知等で示しておるところでございます。

 また一方、救急隊員については、先ほど消防庁からの御説明にあったように告示で示されておるということですけれども、人工呼吸器の使用につきましては、手動式のものにつきましては、救急救命処置と応急処置の両方に含まれておりまして、救急救命士の方も救急隊員も使用できるということでございますけれども、自動式の人工呼吸器によるものについては、応急処置には含まれておりますけれども、救急救命処置には含まれていないということでございまして、救急隊員でない民間の救急救命士の資格のみを持っていらっしゃる方の場合には、使用できないということになっております。

上西委員 という御答弁でありましたら、救急救命士の資格を勉強してスキルアップされた、そういった資格をお持ちの方は、民間で働いていると使えないのに、消防車、救急車に乗っておられる職員の方であると、資格を持っていなくても自動式の人工呼吸器が使えるということでありますから、それであれば、その分野に関しましては、資格の意味が、資格の扱いを少し考えていただかなければならないのかな、そういうふうに指摘をさせていただきたいと思います。

 これから、今この日本は少子高齢化社会でありますし、特に東京一極集中がとまらない、地方では過疎が進んでいる現状を鑑みますと、この救命士の処置範囲、こういったものをしっかりと適正化して拡大をしていく、そして国民の皆様の命、暮らしの安全を守っていく、こういったことが大変に大切な問題であると思いますので、この点は、私は以前から追及をさせていただいておりますが、日本の現状に合わせて処置拡大、しっかりとお願いをしたいと思います。

 それでは、終わりたいと思います。ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 おはようございます。維新の党の村上政俊です。

 今国会から初めて総務委員会に所属させていただきました。高市大臣初め政務三役の先生方、そして、桝屋委員長初め委員の先生方の御指導を賜りたいと思います。

 さて、最初に、靖国参拝について伺いたいと思います。

 通告いたしておりませんが、大事な点ですので、あしたからの秋季例大祭に合わせて、大臣は靖国神社を参拝されるという意向を表明されました。大変結構なことだと思います。参拝される際にどのような立場で御参拝をされるのでしょうか。大臣が繰り返し述べておられたような一人の日本人として参拝されるのか、あるいは国務大臣として参拝されるのか。

高市国務大臣 これまでも一人の日本人として参拝をしてまいりました。第一次安倍内閣で閣僚であったときも、一日本人として参拝をしてまいりました。

 現在の私の肩書はたまたま総務大臣でございますが、一人の日本人として、将来にわたっても参拝をさせていただきたいと思っております。

村上(政)委員 ほかの大臣は、野党の追及を雑音というふうにおっしゃった方もいらっしゃいましたが、高市大臣におかれましては、外国からの雑音に惑わされず、しっかりと信念を貫かれることを希望したいと思います。

 さて、本題に移りたいと思いますが、六日午前の予算委員会において、安倍総理は、二重行政の解消を目指す都構想の目的は非常に重要であるというふうに評価されました。高市大臣も同じ立場に立たれますでしょうか、認識を伺いたいと思います。

高市国務大臣 二重行政の解消という目的には資するものであると考えております。

村上(政)委員 他方、自民党の大阪府議団は、同じく二重行政の解消を目的として、先般の通常国会において改正された地方自治法の中では、指定都市と都道府県の調整会議という規定が設けられたわけですが、この規定に基づいて大阪戦略調整会議というものを設置する条例案を出されたというふうに承知いたしております。

 同じ二重行政の解消ということを目的とした場合、いわゆる都構想とこの大阪戦略調整会議を比べた場合に、都構想にはどういうふうなメリット、利点があるか、この点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 都構想は、大都市地域特別区設置法に基づいて、大阪市を廃止して特別区を設置する、これによって二重行政を解消していこうということで、今村上委員からお話があった、大阪府議会で条例案が提案されているという大阪戦略調整会議、これもまた、さきの通常国会で成立した地方自治法改正法におけるものでございますので、二重行政の解消を目的とするという点では同じでございます。

 だから、いずれも大都市制度改革の一つの方策として理解しておりますので、どちらがメリットがあってどちらのメリットが少ないとか、そういった判断は私にはしかねます。地方の実情に応じて、やはりそれぞれ地域の判断に委ねられるべきものだと考えております。

村上(政)委員 それぞれの地方の実情に合わせて、住民がそれぞれの立場において、あるいはそれぞれの地方の実情を鑑みて選択をしていく、判断をしていくというのは、住民自治の本旨にかなうことだと思いますので、大臣の御答弁のとおりだと思うのですが、他方、総務省としては、地方自治の制度設計をなさる大変重要な任務を持っておられる官庁だというふうに思います。

 その総務省から、さまざまに制度をつくって、また、地方に対して選択肢を提供する。今大臣がおっしゃってくださったように、大都市制度という中で選択肢が、大都市地域における特別区の設置法というものがあり、また他方、先般の国会において、指定都市と都道府県の調整会議を設ける、こういうことを含んだ改正地方自治法というものができた。要するに、総務省の方から、大都市制度についてさまざまな選択肢を示されているわけですね。

 一般的に考えれば、例えば、ある企業が商品を売り出すときに、Aという商品があってBという商品がある。その点について最終的に判断するのは消費者であるという点、これは、今お話しした、総務省が制度を示して、それぞれの地方の住民が考えて選択するという点と同じだと思うんですが、提供する側、今の例であれば、ある企業がAという商品、Bという商品を提供する、その際に、このAという商品はこういう点がよくて、Bという商品はこういう点がよくて、最終的には消費者の皆さんが買ってください、判断してくださいというふうな判断を委ねるという点はいいんですが、その前に説明というものがあると思うんですよね。

 総務省としても、制度を最終的に判断するのは、選択するのはそれぞれの住民であるという点はそうだと思うんですが、その前に、総務省としてあるいは大臣として、それぞれの制度がどういうふうないい点があって悪い点があってということを説明される責任というものは私はあるんじゃないかと。その説明責任を果たされた上でそれぞれの地方が判断するというふうな流れが、地方の方も選びやすいというふうな流れになるんじゃないかなと思うんです。

 改めてそういう観点でお聞きしたいと思うのですが、この大都市制度、都構想なり、あるいは改正地方自治法に基づく考え方なり、それぞれのメリット、特に、二重行政の解消を目的とした場合、都構想にどういうメリットがあるかという点はどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 両方ともメリットはあると思います。目的というのは、二重行政を解消するということ、それから、大阪都構想にしましても、大阪都構想の根拠となっております大都市地域特別区設置法にいたしましても、それから改正地方自治法にいたしましても、やはり住民自治を強化するというメリットはあります。目的は共通していると思います。

 ただ、そのアプローチの手法が違うだけで、それは地方で選択をしていただけるものだと考えております。

村上(政)委員 次に、もう一つの目的というものがありまして、この点も安倍総理が同じ六日の午前の予算委員会でおっしゃっていることですが、住民自治の拡充という点が都構想の目的として重要であるというふうに同じく安倍総理が答弁しています。

 この点も、大臣、同じ認識、同じ立場に立たれますでしょうか。

高市国務大臣 住民自治の拡充を図ろうという目的で、その目的は重要であると考えております。

村上(政)委員 この住民自治の拡充という点を考えた場合にも、先ほど私が引き合いに出させていただいた、さきの通常国会で成立した改正地方自治法の中で、指定都市の中に総合区を設置できる、総合区を置いて区長を特別職として選任することができる、こういう制度が設けられました。

 この考え方というのは、特に指定都市の中においてですけれども、都市内において分権を図っていく、そして住民自治の強化を目的としていくという点だというふうに承知いたしております。この点からしても、住民自治の拡充、安倍総理がさきの予算委員会で答弁した目的、これがまた重なってくる。

 住民自治の拡充ということを目的にした場合、都構想によって特別区を設置するという場合と、それから、さきの改正自治法において総合区を設置するという場合と比べてどのような利点があるのか、この点は大臣はどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 そもそも両方とも、目的は、先ほど来申し上げておりますように、共通したものであり、それはとても重要だと思っております。

 指定都市は本当に規模が大きくて、基礎自治体であるにもかかわらず、都道府県並みの人口規模があって、そのカバーするサービスも非常に広くなってまいります。ですから、都市全体の経営を一元的に行う必要がある。しかし、やはり住民の一番身近なのが基礎自治体でございますよね。そんな中で、住民自治の拡充を図ろうという大阪都構想の目的、これは地方自治法における別の方法とも共通していると思います。

 大阪都構想とそのアプローチが違うんですが、大阪都構想の場合は、大阪市を廃止する、非常に大きな決断であり、大阪市を廃止して特別区を設置する、それで住民自治の拡充を図る。

 一方で、地方自治法を改正してできるのは、住民自治を強化するために、政策や企画の立案を含めて、住民の身近なところで住民に身近な行政を包括的に行えるように、議会の同意を得て選任される特別職の総合区長を置くことを選択できるという総合区制度ですね。これもまた別の手法でございます。

 目的は共通していると思うんですけれども、どちらの手法が自分たちの住んでいる地域、都道府県に合っているか。東京都の場合はもう区になっていますけれども、どれがどの地方に合っているかというのは、やはり地域で判断をされて決めていただくべきことだと思います。

村上(政)委員 指定都市の役割について今ちょっと大臣から御紹介がありましたので、その点について伺いたいと思うのです。

 指定都市も基礎自治体として含まれる。しかしながら、今大臣から御答弁があったように、指定都市というのは、非常に都道府県に近いような役割も果たしている、広域行政の役割も果たしているという点で、非常に役割が複雑になってきている。

 一般的に、例えば道州制というものを念頭に置いた際に、基礎自治体に期待される役割というのは、広域行政というよりも、やはりきめ細やかに住民の皆さんに住民サービスを提供していくという点だと思います。

 となってくると、指定都市制度というものは、基礎自治体に期待されているような住民の皆さんにきめ細やかなサービスを提供していくという点になかなかそぐわないという点もあるんじゃないかなというふうに思うんですが、この指定都市制度と基礎自治体との関係、どのようにお考えでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法第二条第三項で、市町村は、基礎的な自治体として、都道府県が処理するものとされているものを除いて、一般的に、地域における事務及びその他の事務で法律またはこれに基づく政令により処理することとされるものを処理するということになっておりまして、指定都市もこの中に含まれてございます。

 指定都市につきましては、人々の暮らしを支えて、経済を牽引していくというために、都市全体の経営を一元的に行うということが求められておるわけですが、一方で、基礎自治体でございますので、大都市におきましても住民に身近なところできめ細かな、住民に身近な行政を円滑に行う必要がございますので、法律におきましては区を設けるということになっているわけでございます。

 住民に身近なところで、住民がより積極的に行政に参画しやすい仕組み、身近な行政というものを執行していくために、さらに指定都市の区の役割を強化する必要があるということでございまして、先般、総合区制度の導入を初めとした地方自治法の改正を行ったところでございます。

村上(政)委員 大臣に、もう一点お伺いしたいんですが、九月二日に、先月ですが、新藤前大臣は、特別区の設置協定書案に対して、大都市地域特別区設置法第五条第五項の規定に基づいて、その内容について検討したところ、特段の意見はありませんというふうに意見を述べられました。

 高市大臣もこの意見を踏襲されるお考えでしょうか。

高市国務大臣 私が就任する前日に、特段の意見なしということで、前大臣が意見を出されました。

 この大都市地域特別区設置法第五条第五項の規定に基づく総務大臣の意見というものは、法律に基づいて行政機関の長として行ったものでございますから、私もこの意見を踏襲することになります。

 所信で私は、行政の信頼性と安定性、これを大切に考えている旨申し上げました。

村上(政)委員 その新藤前大臣の今御紹介した意見に、さらに技術的な助言というものが付言されていたというふうに承知しています。

 地方自治法の第二百四十五条の四に基づくこの技術的助言というものには法的な拘束力というものはありますでしょうか。

佐々木政府参考人 委員御指摘の、地方自治法第二百四十五条の四第一項の規定に基づきます地方公共団体に対する技術的助言でございますが、これにつきましては法的な拘束力はないものでございます。

村上(政)委員 今局長からおっしゃっていただいたこの技術的な助言というものには、関係者間で十分な議論を行いながら、地域住民の意思を的確に反映し、合意形成を進めていくことが地方自治の本旨、とりわけ住民自治にかなうものと考えております、関係者において、このような考え方をしっかり共有した上で、法令を遵守し、この問題について、関係者間での真摯な議論に努めていただくようお願いしますというふうに書かれています。

 議論が真摯であったり十分であるというふうなことは、誰がどのように判断されるのでしょうか。

佐々木政府参考人 委員の今の御指摘のように、大都市地域特別区設置法に基づく意見を述べますとともに、意見に当たりまして、地方自治法二百四十五条の四第一項に基づく技術的助言を行ったところでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、今般の技術的助言につきましては法的な拘束力がないものでございます。したがいまして、例えばこれに該当するかどうかをどなたかが判断をして、その結果、何らかの法的効力が新たに発生するというようなものではございません。

 したがいまして、総務省といたしましては、真摯な議論に努めていただくようお願いします、こういう助言の趣旨を踏まえてそれぞれの関係者においてしっかりと対応していただくことを期待しているものでございます。

村上(政)委員 時間が来たので終わりたいと思います。また時間をいただいて、質疑させていただければと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、中田宏君。

中田委員 次世代の党の中田でございます。どうぞよろしくお願いします。

 高市大臣、御就任おめでとうございます。もう高市さんとは長いおつき合いをさせていただいておりますけれども、何とぞ、総務大臣という絶好の、これはやりがいのある立場でありますから、日本の諸懸案というものをぜひ解決するべく、大いに張り切ってやっていただきたいと思いますし、そのことについては、これは是を是とすることについては、我々は大いにエールを送りますし、また水も向けていきたいというふうに思いますので、その意味において心から期待をいたしているところであります。

 きょうは、土地の問題についてお伺いをしていきたいというふうに思っています。

 これについては、高市大臣も、自民党の政調会長時代もかなり御尽力をいただいてきた問題でありますから、この間ちょっと雑談をする機会がありましたけれども、総務大臣になっちゃったからちょっとやりにくいわなんておっしゃっていたわけですが、むしろ、これは省庁にまたがることを整理していくというようなことも含めて、閣議なんかで積極的に取り組んでいただきたいと思うんです。

 ちょっと最初に、やる気、覚悟、そういったことだけお伺いできますか。

高市国務大臣 土地法制につきましては、御党でも立派な法律案を用意され、そしてまた自民党内でも、議員立法のための組織を政調会に設置して、作業を進めているものと承知をいたしております。

 私自身も、言い出しっぺとして、一議員としてかかわってきたことでございます。今は政府の役職にありますので、議員立法で御一緒することはできませんけれども、しっかりとまた各党での御議論を注視しながら、もしも総務省で対応できることがあったら、しっかりとその結果を受けて取り組んでまいりたいと思っております。

中田委員 そういう意味では、きょうはちょっと総務省に関係する、この土地についての話を進めていきたいと思うんです。

 土地がいかに大事かということは、これはもう論をまたないわけでありまして、それこそ、私たちの暮らしの基盤でありますし、唯一無二、これはもう代替性がない、それが土地というふうに言えると思います。そういう意味では、土地の課題というものを先送りするということは、将来の我が国、次世代に対しても非常に禍根を残すというふうに思いますから、この点についてお伺いをしていきたいと思うんですね。

 アベノミクスの効果か、都市部においてはかなり土地が動いてきました。地価も上がったり、また空室率も下がって、東京だと五%ぐらい、これは東京だからと言ってもいいかもしれませんけれども、五%。五%ということは、いわば需給がちょうどバランスがいいというような状態になっているというふうにも言えるわけでありますが、一方では、山間部では土地がもう余りに余っているというか、こういう実態も見られているわけでありますから、ある意味では放置された土地ということについてしっかりと対応していくことも私たちの課題だというふうに言えます。

 さて、総務委員会でありますから、この土地について、特に固定資産税についてお伺いをしたいというふうに思います。

 固定資産税、私も横浜市長を務めておりましたけれども、地方自治体にとっては大きな税収源というふうに言うことができるわけでありまして、例えば平成二十四年度決算で地方全体の固定資産税、その税額は八・六兆円、税収の四二・三%を占めるということですから、いかに大きな割合であるかということは、これは皆さん、誰もが同じ認識を持っていただけるというふうに思います。

 ところが、この固定資産税を、各自治体が、地方公共団体が課税をするに当たっても、なかなか困難が多くございます。滞納ということについて向き合うということも、これは困難な問題がたくさんあるわけでありまして、私、横浜市長時代を振り返っても、例えば健康保険を滞納している方と、それから固定資産税を滞納している方とか、その突き合わせというものを、横浜市は市役所の中で突き合わせて、そして情報を交換したりしながら役所全体として対応するというようなことなどもやってまいりました。

 こういう取り組みというのは、一つの市役所という中だからこそある意味ではできるわけでありますが、そういう意味では、先ほどもちらっと申し上げましたけれども、後ほども申し上げますが、国としても土地についてはいろいろと実はまたがります。そこを整理していく必要があるんだろうというふうに思います。

 きょうは、特にお伺いをしたいのは、まず相続なんですね。

 相続、当然、高齢社会の中において相続案件がふえている、これはもう当たり前のことであります。そして、今度は相続するという段になった場合には、司法書士の委託費がかかります。相続人の調整がつかなければ家裁へ申し立てて、調停の費用もかかります。それから、土地の測量であるとか、コストと手間暇、時間、いろいろなことがかかってくるわけでありまして、非常にある意味では面倒な作業にもなります。

 そもそも、土地について課税台帳の基礎となる登記、これは任意なんですね。任意でありますから、いわば変更されないまま所有者がわからなくなってしまっているというような土地などもかなり多く出てきているというふうにも言えるわけであります。

 それから、過疎地などでの土地、これは相続地の経済価値の下落といったことなどもありますから、恐らく経済的な理由だというふうには思いますけれども、相続人をあえて不在、家族みんながもう要らないというような、こういう状態になってしまっているようなのもある。この場合は、家庭裁判所が相続財産管理人の選定事件という形で扱うわけですが、平成二十五年度で一万七千件。これは、この十年で実に二倍にふえているという状況にもなっているわけです。要は何かということになれば、相続人が不在、もう要らない、放棄という状態がどんどんどんどんふえてしまっているというのがこの件数で明らかになっているわけですね。

 それから、所有者の市町村外、果ては海外への移住、また転売といったことなどがあれば、どんどんこれはわからなくなってしまうという事態になっているわけであります。

 さて、そこでお伺いをしていきたいというふうに思いますが、先ほども申し上げたように、固定資産税は、特に市町村にとっては大きな財源、税源ということになるわけでありまして、公平公正で、そして徴税率も高い。次世代でも確実な財源であるということをしっかりと今時代につくっていく必要がありますけれども、この固定資産税の現在と、今後の社会変化も視野に入れた問題、課題ということについて、まず担当省としてどういう認識をされているのか、自治税務局長にお伺いをしたいというふうに思います。

平嶋政府参考人 中田委員の御質問にお答えをいたします。

 今現在の固定資産税の抱えている課題ということでお話をいただきました。特にお話をいただいたのは、土地ということであろうかと思います。

 今、相続に伴う問題、いろいろと御指摘をいただきましたが、私ども、過去の十年間、二十年間を考えたときに、今までの土地に関する固定資産税で最大の問題は、あのバブル時期に高騰した地価が大きく下落をした。その後、その負担についてずっと調整措置を講じてきておりますので、この調整措置をどうしていくかという課題がまず第一にございます。

 その上でもう一つございますのは、その調整措置をどうしていくかということに対応して、三年に一度、必ず土地については評価がえということをして、適正な価格にしていかなければいけないという課題を抱えております。

 それから三点目に、今、中田委員から御指摘がありました相続とか、そういう課税の適正化を図っていくという問題も当然抱えておりまして、これらについては私どもも研究会等を設けながら勉強させていただいているところでございます。

中田委員 先ほど申し上げたように、相続人不在で土地が宙に浮いているというようなこういう実態、特に相続がふえている今日的な課題として、これについての状況把握というのはしていますか。あるいは、地方からいろいろな声というものをつかんでいるかということでありますが、そこら辺はいかがですか。

平嶋政府参考人 相続関係についてのお話でございます。この点につきましては、実は地方からも意見を伺っております。

 まず、原則を申し上げますと、固定資産税の納税義務者は、原則として、それぞれの土地の登記簿上の所有者になっている。ただ、その登記簿にきちんと把握されているのとは違う所有者だということになりますと、補充台帳の方に登記をいたしまして、そこで課税をするということになってございます。

 相続が発生した場合には、登記簿が変更されれば変更後の所有者になりますけれども、賦課期日現在で登記簿に載っている人、一月一日で載っている人が亡くなっているということになりますと、その時点で、補充台帳の方に所有者を書いて、そしてその方に賦課をするということになります。

 通常の場合は、死亡の事実がわかれば、そのことで例えば賦課したものが返ってくれば、新たに賦課をし直した上で、相続する方に払っていただくということでございます。

 ただ、相続人の数が、お子様がおられて、すぐに、はっきりしているようなケースはいいのでありますけれども、相続人が多数にわたる場合等について、いろいろな問題がないわけではございませんので、私どものところで、昨年、東大名誉教授の金子宏先生に、地方税における資産課税における調査研究委員会というのをやらせていただきました。その中で、所有者実態が不明確な土地、家屋に対する固定資産事務の現状ということで研究をお願いいたしまして、相模原市さんなんかからお話を聞いたり、東京都さんからお話を聞いたりしております。

 また、もう一つの問題として、外国人の方とか、外国に行かれた方の土地の課税をどうするかという問題もありまして、これについても、昨年度、グローバル時代に対応した地方税制のあり方に関する研究会というのをやらせていただいております。その中では、外国人の保有が多いのではないかと思われた東京都、横浜市さん、それからニセコ町、オーストラリアの方がたくさん持っておられるということで、そういうところからちょっと実態をお話を伺いまして、いろいろな研究をさせていただいているところでございます。

中田委員 私も、現場から市長時代もいろいろな話を聞く中で、こういう案件が最近ふえているということを聞いた一例を申し上げますと、亡くなった、亡くなったけれども、先ほど申し上げたように、宙に浮くというケースがかなりあるわけです。いわば、相続しても困ります、土地をもらっても相続税を納めることができませんというような話の場合なども含めて。

 それから、さっき申し上げたように、いろいろな煩雑な手続もあるなどというケースもあって、そういう場合どうなるかというと、名義が変更されないんですね。変更されないとどうなるかというと、死んだ方の名義がずっと残っていくわけですね。そうなるとどうなるかといいますと、市町村は、死んだ人に課税をする、こういう状態になるんですね。このケースは各市町村で相当今あるわけです、現実には。これは把握していますか。

平嶋政府参考人 今の御指摘の件でございますけれども、市町村側で被相続人の方が亡くなっているということを把握した場合は、その場合の所有者の方を特定した上で、登記簿でなくても補充台帳でそれを載せればいいことになっておりますので、その方にすればその方にかけるというのが原則でございます。

 今、中田委員がおっしゃったのは、多分、市町村当事者が、被相続人が亡くなったことがわからずに、旧被相続人の方に対して納税通知書を送ったというケースに、そのまま相続人の方が所有者として払ってしまったというケースがあるんですけれども、それは、なかなか市町村側ではそのことがわかっていないというケースはあるというふうなことは聞いたことがございます。

中田委員 死人に納付書が届いて、そして家族が払うというようなケースも実態としてはかなり出てきているということも、これは現実だと思いますし、それから、外国人の話がさっき出てきましたけれども、外国人で、さらに亡くなっている場合などというのは、まさに補充すらできないまま、そのまま放置されているというケースが多いと思うんですね。

 私は、ことし沖縄に行きまして、石垣に行きまして、そしてそれを調べに行ったんです。例の、御承知の方は御承知だと思いますけれども、石垣から船で行ったところに外離島とか内離島とかあるんですけれども、ここを外国人が所有するというような話が出てきていて、ここは非常に交通の要所にもなっているところであり、この土地を外国人がそっくりそのまま所有するというのは、日本の安全保障上も極めて重要な課題だというふうに認識して、そして現地の法務局にも行きました。

 内離島なんて本当に小さな島なんですが、これは静岡の不動産会社が持って、今五億円で売り出したりしているんですね。

 また、外離島は、台湾人の陳進福氏という、これは亡くなっているんです、去年。亡くなっているんです、殺人事件です。実は、この亡くなり方にも大きな背景を感じざるを得ないわけで、というのは、土地を売ってくれということを中国の香港の会社から言われていたそのさなかに、売ることを渋っていたら、やがて殺されていた。そのことの直接的な因果関係はともかくとして、そういう背景があった中で殺されていたというケースがあるわけですね。この人の名前のまま、まだ登記されているわけですよ。亡くなっているけれども登記されているというのは私自身も確認をしてきたわけですけれども、こういう一つ一つというのは非常に重要なことであるという認識を我々は国として持たなければいけないというふうに思います。

 今のケースは一例として御紹介しただけでありますけれども、例えば外国人が所有している場合に、では、納税が滞っている。そもそも、外国人が所有をしていて、外国に暮らしている人にどうやって課税をしていくのかということなどは、現状どうなっていますか。

平嶋政府参考人 今のお尋ねは、外国に居住しておられる方という意味だと思います。

 外国に居住しておられる方には、実は二通りございまして、外国の本籍の方は、本当に外国にいて、たまたま日本に来るために、例えば先ほども申したニセコ町にマンションを持っているようなケースとか、そういうのもございますが、もう一つは、日本人の方が家を持っていて海外に赴任しているというケースも実はございます。

 そういった市町村では、自分の域外に住む方については、外国も含めてですけれども、原則として納税管理人を置いていただくということを前提としております。納税管理人の方が大体払っていただくということなんですが、もう一つのパターンは、基本的には、その方が、本人が銀行口座を持っていて、口座振替にしているので自動的に納税されているというケースが相当多いというふうに聞いています。

 それで、例えば、先ほどのニセコ町の事例などでいきますと、オーストラリアの方に不動産をあっせんするときに、納税管理人を置かなきゃいけないんだということとか、そういったことを必ず土地取引の関係をやっておられる方のところにお願いをして、納税管理人を置いていただくというような作業をしているというふうに聞いております。

 それから、ちょっと一点訂正させていただきます。

 先ほど補充台帳というふうに申しましたが、固定資産課税台帳でございます。よろしくお願いいたします。

中田委員 特に、外国人が所有をしているケースに関して、滞納率であるとか、こういったものというのはデータとしてはあるのですか。

平嶋政府参考人 その件については、全国データとして、外国人かどうかというのはなかなかわからないということもありますし、ちょっとないので、それで実は、先ほど申しましたように、昨年、二十五年度に、グローバル社会における地方税の検討会の中で、東京都と横浜それからニセコ町の状況についてはお尋ねをした。その中で、外国人の特定というのは大変難しゅうございまして、片仮名で書いてあるとか、先ほどおっしゃったような漢字とかで、ひょっとしたら外国籍ではないかということはやりますけれども、そのときに本当に実際そうかどうかというのはなかなかわからないケースもあるというふうに聞いております。

中田委員 登記に関しては、実は国籍は別に書く必要がないので、現実にはわからないケースも多いというのは当然のことと思ってお聞きはしたんですけれども、また別の観点からの、すなわち国の安全保障、こういった観点からは何とかしなきゃいけないなというのは、先般も「正論」の対談のときに高市さんとこれは議論をした、そういう箇所でもありました。

 さて、我が国の土地の関係法が実に多岐にわたっているというのを後ほど紹介しますがと先ほど言いましたけれども、本当にこれはいろいろなところにまたがっているんですね。

 地籍調査は国交省です。この国交省の地籍調査、どのぐらい進んでいるかといえば、進捗状況は五〇%。六十年かかって五〇%ですから、これから先、では一〇〇になるのかといったら、恐らく遅々として進まない。特に、これは地方公共団体がやりますから、それをやるに当たっては、人手が十分に確保できている状況では当然ないわけであって、よほど督励をしないとやらないであろうというふうに思われます。

 自治体に予算がない、それから住民それぞれの理解が必要になりますね。都市部の住民などは特にそうです。それから山村部は、所有者の高齢化なども原因だと思います。

 それから、同じく国土交通省には、土地の売買届け出というのがある。法務省は、台帳の基礎となる登記制度がありますけれども、登記や住所変更、これは先ほども申し上げましたけれども、任意ですから、現在の台帳課税主義ではどんどん本当の所有者の不明というのがふえて、その結果、固定資産税の未収というのがふえるということを心配もいたしております。それから、農水省には農地基本台帳がある、林野庁には森林調査簿というものがある。今挙げただけで、国交、法務、農林、林野、こういった省庁にまたがっているわけであります。

 昨年の十月二十二日の予算委員会で、私は、国にとって重要な土地を他の国はどういうふうに規制しているのかというふうに実は質問をしようとしたところ、所管している大臣はありませんということで、他の国で、土地に対する、外国人に対しての土地だとかその売買、これを調べているところはあるのかといったら、所管大臣はいないという話にもなったんですね。

 高市大臣は、平成二十三年成立の森林法改正にも多大な尽力をされて、たしか自民党の野党時代に高市さんが中心になってやったものを、その後、民主党政権のときに、結果としては妥協された部分もあるけれども成立をさせた。本当に御尽力をいただいた第一人者だと思いますけれども、今私が申し上げたように、土地の法律というのは、古くは明治期の制度設計のままで、関係する省庁も多過ぎるんですね。

 その意味では、今後、先ほど申し上げたように唯一無二の、我が国にとってのある意味では財産、安全保障上も重要、こういう土地について、もう少し一元化していく必要があるというふうに思いますが、大臣、いかがお考えですか。

高市国務大臣 私一人でとても結論を出せない、非常に大きな御指摘であったと思います。

 ただ、中田委員は、安全保障上の課題がある土地などについて、一定の取引規制をかけることも可能にする、また国有化などを進める、こういった方向性で検討をされていることだろうと想像をしているんですけれども、非常に難しいのは、個人の財産権保護の問題ですとか、土地取引を留保した国際条約の問題ですとかあって、各党がいろいろな議論をしてもなかなか議員立法で成案を得られない、こういった状況にあると思います。

 割とばらばらになっちゃっている土地の管理のシステムなんですけれども、まずは固定資産課税台帳を、例えば土地の所有者が登記簿上の所有者と違った場合に活用したいといった御意見をいただいたりすることもあるんですけれども、この課税台帳に記載されている情報のうち、市町村による調査によって知り得た情報は、地方税法第二十二条に規定する秘密に該当するものですから、一般の情報より厳しい守秘義務が課されております。なかなか情報提供できない。

 ただ、先ほど紹介してくださいました、議員立法で最初つくらせていただいた森林法の改正では、新たな所有者に市町村長への届け出を義務づけて、当該市町村長が所有者の把握に関して必要な情報提供を他の行政機関の長に請求できるということで、これで固定資産課税台帳の情報も提供できるということになったんですね。

 さまざまなツールがあるんですけれども、何を主にしてやっていくか、ここは非常に大きな宿題であると思います。今すぐ結論を出して答弁をすることはできません。

中田委員 今すぐ結論を出して答弁するわけにはいきませんという正直なお答えでありました。

 もう質疑時間がなくなりますので最後にしますけれども、安全保障という観点、私も触れましたし、大臣からも、それが念頭だろうというふうにおっしゃっていただきました。それもあります。一方では、例えば森林伐採ということもあります。さらには、水源ということも最近は言われています。

 こういうことを考えると、先ほど申し上げたように、情報や対応策の一元化というのは、やはり国として図っていく必要があるよねというのは、そういう意味で多岐にわたる問題がそこにあるから、各省庁でそれぞれ、いわば縦割り的にやっているのでは限界があるよねということでもあります。

 そして、最後に申し上げますが、いわば議員立法で高市さんもこれまで、大臣就任前、御尽力をいただいてきたわけでありますが、裏を返せば、政府の動きがなかなかできていないから議員立法でやってきたというところがあったはずなんですね。

 ぜひ、今閣僚の一員となった高市大臣には、今後、各大臣と連絡を密にとってこういった土地についての対応策というものをひとつ政府が一元化するような、面的な取り組みというものを進めるべく努力していただきたいということを私からはお願いを申し上げたいと思います。

 最後、もし何かあれば。

高市国務大臣 組み合わせを考えながら、私の方から発案をし、検討を進めてまいります。大きな宿題をいただきました。ありがとうございます。

中田委員 終わります。

桝屋委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 新大臣初め、副大臣、政務官の御活躍を御祈念申し上げますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 きょうは、参考人でNHKの籾井会長、御無沙汰しております、お忙しいところをわざわざ出ていただき、どうもありがとうございました。NHKの問題を取り上げさせていただきます。

 そしてまた、大臣の方にも二点ほど通告をさせていただいておりますが、最初に大臣の方に、先ほども公明党さんの方からも御質問がありましたけれども、総務省が掲げておられます地方中枢拠点都市圏構想、国交省もまた同じように高次地方都市連合というのがありますけれども、この二つをどのような関係でどのように進めていこうとしているのかだけ、まずお尋ねをしたいと思います。

高市国務大臣 国交省の国土グランドデザイン二〇五〇に位置づけられている高次地方都市連合でございますが、例えば、人口十万人以上の都市から成る複数の都市圏が、高速交通ネットワークなどによって相互に一時間圏以内になることによって一体となって形成されるおおむね人口三十万以上の都市圏。他方、総務省の方で取り組んでおります地方中枢拠点都市圏ですが、地方圏で相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市、具体的には政令指定都市、新中核市、人口二十万以上でございますが、ここが近隣市町村と連携して形成する。

 こうして見ますと、両方とも、複数の都市が集約、コンパクト化、ネットワークの考え方によって、民間事業者も含めて魅力的なまちづくりをしていこう、都市圏を形成していこうということで、地方中枢拠点都市圏構想と高次地方都市連合、問題意識を共有するものになっていると思います。

 九月に、まち・ひと・しごと創生本部で決定された基本方針の中で、同じような目標、手法の施策というのは統合して、効果的に、効率的に実施することとされたことから、今、この基本方針を踏まえて、割と似たような、目的の共通したものでございますので、具体的な対応策について、まち・ひと・しごと創生本部と国土交通省と総務省で検討をしているところでございます。

佐藤(正)委員 今、いみじくも大臣が言われたように、目的は大体一緒なんですよね。人口の流出をとめようという部分ではほとんど一緒だと思います。

 まち・ひと・しごと創生本部でしっかり調整をするということでありますが、こういう事業が意外と多いものですから、ぜひ前向きにやっていただきたい。国が二つの方針を出したって地方は一つですから、そこをしっかりやっていただくことを要望して、この質問は終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、NHKの籾井会長がお見えですので、NHKについて御質問をさせていただきたいと思いますが、大臣、これまで私、この委員会でこのNHK問題をずっと取り扱ってきたんです。新藤大臣にも随分御協力をいただきまして、御意見もいただきました。委員の皆様方にも随分とお力をいただいたことも事実であります。

 なぜこれを取り扱ってきたかというと、皆様方のお手元の資料の七ページにありますけれども、いわゆる国民との約束で、徴収料を一〇%値下げしますよというようなお約束を、今の菅官房大臣が総務大臣のときに、これを掲げておられたんですね。ところが、現実にふたをあけると、約七%しかできていなかったということで、国民との約束を果たしてくださいよということから、財源問題も含めてNHKの問題を取り扱ってまいりました。

 また、その際には、いろいろな不祥事がNHKでありました。国民にとって信頼たるべきNHKでなければならないのに、国民が首をかしげる、こんなことがたくさんあったわけです。

 そういう中で、私は、このNHK問題を取り扱ってきて、先ほど申し上げましたように、あと三%の値下げ分の財源はありますよ、なぜなら、NHKがこれまで予算を組みながらやってきて、例えば、次の八ページを見ていただければわかると思うんですけれども、平成二十四年度予算では、見込みはプラス・マイナス・ゼロだった、ところが、ふたをあけたら黒字が百九十五億円だった、こんなことが多々あったわけですね。

 それで、いつの間にか、実は建設積立金にその利益を振り分けたりなんかしてきた。その当時は、まだ実は建設は明確ではなかった。新しいNHKの放送センターは、籾井会長が就任したときに何を言われたか。どこに建てるか、どういうものを建てるかわからない、そんなものを勝手に決められたら困る、これぐらいのことを籾井会長は発言されたので、私は大拍手をいたしました。就任して、いっときしたらちょっと変わっちゃったので、ちょっと残念だなと思っておりますが。

 そういう経緯で、高市大臣、ずっとこの問題を取り扱ってまいりました。このお手元の資料にも、私の資料の特徴なんですが、それぞれいろいろな方々の写真を使わせていただいて恐縮でありますけれども、今回は、新藤前総務大臣の顔写真を使わせていただきます。先ほど御了承をいただきましたので、ありがとうございます。

 そこで、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 ことしの予算前に、実は、NHKではいろいろな不祥事がまた発覚していた。この予算に対して新藤大臣がしっかりと、この三ページに書いてありますように、「経営計画の更なる推進」「平成二十五年十月に発覚した架空発注の」云々と書いています。要するに、コンプライアンスを一層確保するように、さらには、子会社等に関するガバナンスの強化、経営、業務に係る情報の公開を推進するように、こういう新藤前大臣からの意見も加えられているわけです。

 そういう中で、実は、ことしの三月に不祥事が発覚をしたということでありますが、この不祥事について、どういうものだったのか、御説明を願いたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 不祥事が過去にわたっていろいろ起こったことについては非常に残念に思っております。私としても、着任以来、何とかこういう不祥事をなくすべく、局内において徹底を図っておるところでございます。

 今委員から御指摘のあった二つの件につきましては、一つは、NHKビジネスクリエイト、ここで起こりました。平成二十三年三月、これは印刷関連事業を担当していた部長と顧問の契約をしていた社員の二人が、およそ一億四千万円に上る売り上げの水増しを行っていたことがわかりました。担当の部長は懲戒解雇、顧問の社員は契約を解除したということでございます。

 このほかにも、多額の売掛金が未回収になっておることがわかりまして、合わせておよそ二億七千万円を特別損失として二十三年三月期に処理いたしました。

 二番目のNHK出版につきましては、放送・学芸図書編集部の編集長が、平成十五年から二十五年にかけて、親族二人に対して、本の校正業務を架空発注し、NHK出版から合わせておよそ九百万円を支払わせておりました。この編集長は、ほかにも、私的に利用した飲食代を作家などとの交際費としてNHK出版に請求するなど、合わせて四百五十万円余りの経費の不正請求が見つかりました。

 このため、編集長をことし三月に懲戒解雇しました。ちなみに、金額の半分は返金をさせ、今、さらに残りの半分について順次返金をさせております。

佐藤(正)委員 今お聞きになったとおりなんですよね。この不祥事の問題は、ずっといろいろなところで、この総務委員会でも議論をさせていただきまして、総務委員会の場でも、この予算を通す上においてもこういう意見書も出ている、我々もその意見書に賛同いたしました。なのに、このさなかにこういう問題が起きていた。いつになったらなくなるんですかね。

 それで、その後、調査をするようなことを実施されませんでしたか。その点について御説明願いたいと思います。

籾井参考人 委員が仰せのとおり、ことしの三月五日に、新聞において、NHKビジネスクリエイトでさらに不正があるというふうな報道がなされました。私は、直ちにこれについて、外部の調査委員会に頼んで調査をしてもらうということをすぐに決めまして、三月からことしの八月まで調査をしていただきました。

 結果については、事件性というものはなかったんですが、いろいろ我々としても、今後のコンプライアンスの徹底について、こういう意見書も参考にしながらやっていくつもりでおります。

佐藤(正)委員 事件性がなかったと言っていますけれども、空出張をやったりしている部分があるんですよ。事件性があるじゃないですか、実際は。今言ったのは出版の方だけでしょう。出版じゃないかな。二件出ていますよね。空出張して懐に入れていたんじゃないですか。

 だから、それと同時に、総務省に今出していますか、報告書は。大臣、いただいていますか。

高市国務大臣 発表された概要は拝読をいたしましたが、報告書そのものはいただいておりません。

佐藤(正)委員 おかしいじゃないですか。なぜその中身、報告書を出さないんですか。要旨についてはここにちゃんと資料でつけていますよ。

 せっかく報告書ができ上がった、その調査費用は誰が払っているんですか。籾井会長、どなたが払っているんですか、このお金は。

籾井参考人 平成二十二年に起こったことで、これにつきまして、私はことしの三月にそういうことがあったということを知りまして、それで直ちに調査に入ったわけですね。

 やはり、私が一番心配しましたのは、本当に報道のごとく中でさらに不正があるのではないかということで調査をしました。その結果、不正はわかっている以上にはないということがはっきりしましたので、私は、調査委員会の報告書を大体の概略の報告でとめたわけでございます。小林弁護士からも、各メディアには一応口頭で概略の報告はなされておると思います。

 よって、私は、これは我々は調査をやって、結果として不正がなかったということで、御報告しておりません。

佐藤(正)委員 不正がないって、決算はごまかすわ、何が不正がないんですか。これはやっているじゃないですか、事実。

 そこで、大臣、この報告書は大臣の手元にあるべきですよね。我々も、その報告書は中身を見せていただきたい。なぜなら、これまで新藤大臣が意見書をつけているように、子会社に対するガバナンスもしっかりしなきゃいけない、できていないからこういうことが起きるんです。

 なぜこういう問題が起きたのかということを、私が言いたいのは、この報告書をもって次なることが起きないようにするためにも、我々はNHKの経営についてもしっかりチェックをさせていただいている立場ですから、これは報告書をしっかりと我々が吟味させていただくのも当然のことだと思います。大臣、どうでしょうか。

高市国務大臣 会長の御指示によってその調査委員会が設置されたものですので、その報告書の全文を公開するかどうかというのは、やはりこれは会長の御判断によるものだと思います。

 といいますのは、私自身も報告書を受け取っておりませんから、そこに書かれてある中身、想像ですが、例えば個人のプライバシーでありますとか、何かその全文を出せない理由があるのかないのか、このあたりも反対にNHKの会長にお答えいただければいいかと思うんですけれども。

 いずれにしましても、委員が御指摘のとおり、NHKというのは、国民それから視聴者の視聴料によって運営されていて、特殊法人として社会的な責任の重さというのは格別のものがあると思いますから、子会社を含めて適切な運営もされなきゃいけませんし、やはり国民・視聴者から信頼が得られるNHKにしていただく、この必要性があるかと思います。

 あと、報告書の全文公開の是非については、私から何かを命じる権限は残念ながらございませんので、会長の御判断を伺いたいと思います。

佐藤(正)委員 情けないですね。これまでに何度もあっているから言っているんですよ。今回が初めてじゃない。

 しかも、この中身を見たら、個人的なプライバシーだったら消してもらっていいですよ、そこは。全然問題ないですよ。この要旨を見たら、いわゆる今のNHKの子会社を含めて体質改善をもっとやらなきゃいけない、こういうことが書いてあるんですよ。そして、NHKから受託業務をもらう、また、収益事業をやる、この収益事業が本当に今の実態として合っているのかどうなのかということなんです。ここには、収益事業をするところは、今の子会社をもう一度見直して、スリム化して、一本化したらどうかと書いていますよ。まさに、この委員会でいろいろな議論をしてきたことじゃないですか。

 そして、NHKは、これまでいろいろな子会社をたくさん持っていたけれども、これを改革していったわけじゃないですか。それは、総務委員会であり、国民の声であり、やらなきゃならないということでやってきたことなんです。だから、僕は言っているんです。

 要するに、大臣、プライバシーのことなんて、僕はそんなことを言っているんじゃないんです。改善して、よりいいNHKにするために必要でしょうと言っているんですよ。プライバシーは消してもらっていいですよ、別に。これを見ると、中身がそういう要旨になっています。すごくいい中身を書いていますよ。だったら、これを見て大臣が、これだけでいいですよ、あとは会長さんが言うんだったらしようがないですねなんて、とんでもない話ですよ、そんなの。何かありますか。

高市国務大臣 その提出を強制する法的権限が私にはないということを申し上げました。

 この二十六年度のNHK予算に付した総務大臣意見、これは新藤大臣が付してくださったものでございますけれども、業務の合理化ですとか効率化ですとか、給料の適正化ですとか、こういったものについては総務大臣意見として要請しているものでございますから、NHKについては、この総務大臣意見についてはしっかりと踏まえて対応していただきたい。

 不祥事についても、このたび調査報告をつくられたわけですから、その内容をしっかりと踏まえて再発防止に努めていただきたいということです。

 その報告書の全文を出せと命令する法的権限については、繰り返しになりますが、私にはございません。

佐藤(正)委員 国民の皆さんがネットでも見ていただければ私と同じ意見になるんだろうと思いますが、もう質疑時間が終わりましたけれども、九十数%の運営が、視聴料、国民のお金で経営されている。そういう中で、こういう調査をかけたお金は誰のお金なんだと。見ている方々が払っている視聴料じゃありませんか。

 そういう意味からしても、やはり、よりよいNHKにするためには、委員長、お願いですが、できることであれば、委員会資料としてNHKにこの報告書の提出をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

桝屋委員長 ただいまの話は、後刻理事会で協議をいたします。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今国会のまち・ひと・しごと創生本部に係る法案についての審議も行われております。それとの関係で、この委員会におきましても、関連する質疑に入りたいと思います。

 昨日のまち・ひと・しごと創生の特別委員会の質疑で、法案で規定をしております総合戦略に盛り込む施策の一つとして、公共施設等総合管理計画も含まれるという御答弁がありました。

 そこで、総務省が自治体に発出しております通知、公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針に関して質問をいたします。

 お尋ねしますけれども、この公共施設等総合管理計画策定指針は、創生法案に基づき作成をされる長期ビジョン、総合戦略と整合的なものとなるのかどうか、この点についてまず確認をしたいと思います。

高市国務大臣 基本的に整合性が図られるものと考えております。

塩川委員 基本的に整合性が図られるものということです。

 この指針におきましては、総合管理計画策定にあたっての留意事項が記載をされております。ここの一つ目に、行政サービス水準の検討とありまして、「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進の前提として、当該団体としてあるべき行政サービス水準を検討することが望ましいこと。その上で、個別の公共施設等において提供しているサービスの必要性について検討するに際しては、当該サービスが公共施設等を維持しなければ提供不可能なものであるか(民間代替可能性)など、公共施設等とサービスの関係について十分に留意することが必要であること。」とあります。

 ここで総務省にお尋ねしますが、民間代替という場合に、指定管理者方式ですとか、包括的な民間委託とか、サービス購入型PFIなどがあるわけですけれども、この民間代替というのはどのような形態が念頭にあるのかについて、少し説明してもらえますか。

佐藤政府参考人 御指摘の指針のその部分で言っていることでありますが、その公共施設をつくった時点においては、なかなか民間にそういう施設がなくて、やむを得ず行政がつくらざるを得なかったというようなものがあっても、その後二十年、三十年経過する中で、例えば駐車場でありますとかレクリエーション施設などのように、民間にも同様の施設ができているというようなことがあった場合には、やはりそこには公共施設としてなお維持する必要があるのかという観点からの検討が必要だろうということでありまして、そのことをここの民間代替可能性ということで、これに気をつけて検討はしていただきたいということを申し上げているのでございます。

塩川委員 質問にはお答えになっていないんですけれども、要するに、民間代替可能性は民間代替と言っているわけで、その形態はいろいろあるわけであります。民間代替が妥当かどうかという議論はそれはそれとしてあって、それは置いておきますけれども、ただ、今回のこの指針においては、具体的な民間代替の事例として、PPP、PFIの特出しをしているわけであります。

 つまり、民間代替可能性に関して、指針が活用を促しているのがPPP、PFIで、これは留意事項の五番目にPPP、PFIの活用とあって、そこでは、「公共施設等の更新などに際しては、民間の技術・ノウハウ、資金等を活用することが有効な場合もあることから、総合管理計画の検討にあたっては、PPP、PFIの積極的な活用を検討されたいこと。」とあります。

 大臣にお尋ねしますけれども、複数の民間団体のスキームがある中で、なぜPPP、PFIについて積極的な活用を呼びかけているんでしょうか。

高市国務大臣 やはり民間のノウハウ、資金など、民間活力を利用することで、財政負担の軽減、平準化、それからサービスの向上を図る、これができると考えているからでございます。ですから、その計画策定に当たっては、PPP、PFIの積極的な活用について、助言でございますけれども、助言をしたところでございます。

 ただ、PPP、PFIは、それを導入するかしないかというのは各団体ごとに判断を行うものであって、義務づけをするようなものでもないし、具体的な導入の数値目標を課すようなものでもございません。それが有効だと考えていただいたら、コンセッション方式なんかも含めて検討を行っていただく、それが望ましいと考えております。

塩川委員 民間のノウハウですとか資金を積極的に活用することは重要だ、その点でPPP、PFIについて助言として出されているものだということであります。

 後段の御答弁の部分はまた後でお話ししたいと思いますけれども、幾つか確認で総務省にお聞きしますが、このPPP、PFIの検討については、全ての公共施設が対象となるということでいいんでしょうか。

佐藤政府参考人 一応、指針の中では、特にどの施設についてということは申し上げておりませんので、全般について検討していただければいいと思いますが、これは大臣からも申し上げましたけれども、おのずとこういった手法が妥当する分野というのは、それは公共施設の性格によってはあるんだろうと思いますので、そういう点も施設の性格なども含めてこの活用を検討していただきたいということを考えております。

塩川委員 再度確認ですけれども、このPPP、PFIの活用に当たっては、料金収入に依拠するような公共サービスですとかあるいは公営企業、こういうものも検討対象となるのかどうか、この点についてもお聞きしたいと思います。

佐藤政府参考人 PPPやPFIが妥当する分野と今申し上げましたが、どちらかというと、今御指摘があったようなところの方に妥当するのであって、例えば道路ですとか、そういうインフラ系のものについてはPFIみたいな手法というのはややとりづらいのかなというふうに考えております。

塩川委員 料金収入に依拠したようなそういうサービスですね、公営企業などもそうですけれども、そういうのは当然妥当するということですね。

佐藤政府参考人 そのとおりでございます。

塩川委員 それで、道路などはなじみにくいというお話がありましたけれども、先ほど大臣の御答弁にもコンセッション方式の話がございました。これは、昨年から、PPP、PFIの抜本改革に向けたアクションプランでも、従来の延べ払い型のPFIからの抜本的な転換を目指し、公共施設等運営権制度、コンセッション方式の活用を推進するとあります。

 ですから、ここで指針で書いているPPP、PFIにはコンセッション方式を含むということも大臣はお答えになっておりますので、先ほど局長が御答弁された、道路などはPFIになじまないというのはそうではないんじゃないかな。道路等も含めてこのコンセッション方式にはのってくる話なんじゃないかなと思うんですが、その点、どうですか。

佐藤政府参考人 ちょっと今の答弁は粗かったかもしれませんが、コンセッション方式になじむのは、多分道路であれば有料道路で、料金収入が見込まれるものについては、これはコンセッション方式ということが考えられるんだろうと思います。

 一般の、通常の道路については料金収入ということ自体がありませんから、そこにおいてはなかなかコンセッション方式というのが適用されることはないのではないかというふうに考えております。

塩川委員 この辺はいろいろ事業者の方が提案をしていて、シャドートール方式みたいな格好で、あり得べき料金収入というのを仮定する形で、一般の道路であってもこういうコンセッション方式や運営権方式でやれるんじゃないのか、こういうことなども出されておりますので、そういうことも当然視野に入ってきているんだろうなということは申し添えておくものであります。

 それで、そういう点では、新藤前大臣は、ことし六月四日における経済財政諮問会議、これは文書発言ではありますけれども、「コンセッション方式の投資が前倒しで実現できるよう、総務省としても前向きに取り組んでまいりたい。」と発言をしております。

 しかしながら、このコンセッション方式は実績そのものがそもそもないわけで、効果も実証されていないのに、総合管理計画を通じて、コンセッション方式についてもぜひ検討対象にというのは、これはちょっと自治体に対する押し売りになるんじゃないのかなと思うんですが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 あくまでも技術的な助言でございます。

塩川委員 いや、技術的助言でそこまでアドバイスをする意味が何なのかということであるわけです、コンセッション方式も含むと。政府とすれば、アクションプランでもコンセッション方式、もともと三年前にPFI法の改正も行って新たにできるようにもしてきた。そういうのを政府を挙げてやりましょう、国もやるけれども地方にもよろしくというのがこの通知の中身になっているわけですから。

 こういう、実例もない、実績もない、そういう意味では評価のしようもないものについても自治体によろしくというのは、ちょっと押し売りに過ぎるんじゃないかなと思うんですが、もう一回、いかがですか。

佐藤政府参考人 今御指摘のように、コンセッション方式というのは近年のPFI法の改正で新しく導入された仕組みでありまして、これについては今のところまだ実績がないということでありますが、この指針で言っておりますのは、コンセッション方式も含めたPFI全体について活用を検討してくださいということをお願いしておりまして、ここでコンセッション方式を除くというようなことではないという意味で、広くここを捉えて書いているということであります。

 それからもう一つは、政府全体とすれば、成長戦略の一環としても、このPPP、PFI、中でもコンセッション方式を積極的に進めていこうということを決めておりますので、我々としても、その方法に基づいて、地方団体においても活用を検討してもらいたいという気持ちは持っております。

塩川委員 ですから、諮問会議の場でも、国としての案件は空港なんかもありますし、同時に地方が持っている案件が当然あるわけで、上下水道ですとか空港なんかもあるわけですよね。

 今回、そのコンセッション方式の導入に当たって、十年のところを三年のところで前倒しをして、それぞれ分類ごと、類型ごとに幾つと数も出して、当然、そこでは、自治体でいわば玉出しをしてもらわないと、案件を出してもらわないと成り立たないような状況もあるわけですから、そういう点では、総務省が旗を振りましょうということを国が方針として持っているということでありまして、そういう点でも、自治体に対しての押し売りになるんじゃないのかという指摘というのは的を射ているものだと考えます。

 そこで、そもそも、このPFI事業そのものがどうなのかということがあるわけであります。

 今回、公共施設等総合管理計画は、まち・ひと・しごと創生法案の中の総合戦略にも盛り込まれる、そういう意味では施策の一つになるわけですけれども、地域の活性化を図るということなんですが、ただ、過去のPFI事業を見ますと、実際には大手ゼネコンが受注しているのが多いんじゃないですか。

 ですから、こういったPPPやPFIを推進するとなると、従来の公共事業、公共発注にかえてPFIを推進するということになれば、結果として、大手ゼネコンはどんどん出張ってくるけれども、地元の業者が排除されることになりはしないのか、このことが地域経済の活性化にも逆行するんじゃないのか、こういう懸念が当然浮かぶんですけれども、この点、大臣はどのように受けとめておられますか。

高市国務大臣 必ずしも大手企業だけが潤うという話でもないと思います。

 例えば、ジョイントベンチャーでやっていく、それからまた、大手企業、元請が受注された場合に、非常に広がりが大きい、御一緒に仕事をされる方々の広がりも大きい、そしてまた納税者のためにもなることだと考えております。

塩川委員 官公需法というのがあるぐらいで、地元業者に、優先的に中小業者に発注しようじゃないかということで、今回、経産省の方でも出されている法案でも、新規創業の事業者に対しての官公需発注というものを出せる。それは、まさに地域で新しく仕事興し、産業興しを図っていくというところに着目した改正であるわけで、そういう点で、今回のPFI事業についてどんどんやってくれというのは、逆に地元業者が伸びるのにふたをするようなことになるんじゃないのかという懸念というのは当然浮かぶわけなんですよ。そういうふうに思いませんか、大臣。

高市国務大臣 全くそうは思いません。

 PPP、PFI事業の採用以外でもたくさんやるべき仕事はあります。特に、現在の国土強靱化を進めていく中で、私たちの命を、財産を守っていく中で必要な事業もございます。

 そしてまた、必ずしもこの方式を採用しなきゃいけないと義務づけるものではありませんので、各地方の団体においてそこは配慮をされ、また、地方で、できるだけ地方の事業者に発注をしてほしいということで、議員立法などの活動も行われているわけでございますので、ここは地方の公共団体が的確に判断をされるべきことだと考えております。

塩川委員 そういう点では、近年、PFIの大宗を占めるサービス購入型のPFIの新規事業件数というのは伸び悩んでいるわけで、単年度当たりのPFIの事業数、事業費というのは、二〇〇九年以降ずっと減少傾向なんですよ。なかなかうまくいっていないというのが率直な自治体の受けとめであるわけです。

 総務省によるPFIを企画、実施した自治体アンケートの調査報告でも、今後PFI事業を予定していますかという問いに対して、特に予定がないという回答が七三・二%なんです。つまり、これまで企画をしたり、既に実施をした、そういう自治体に、もう一回、次やりますかと聞いても、七割以上がもう考えていないという回答なんですよね。これが実態であるわけです。PFIには懲りたというのが自治体の声だということであります。

 大臣の御答弁の中で、各自治体、各団体ごとの判断であり、義務づけではない、導入の数値目標を課すものではないというお話がございました。

 ただ、今言ったように、多くの自治体ではPPP、PFIについて検討対象としていないにもかかわらず、今回、除却を行う場合に、地方債の起債の仕組みをつくったわけですけれども、この除却に伴う地方債の起債を求めるときに、総務省が提出を求めているチェックシートがあるんですよ。公共施設等総合管理計画確認リストというのがありまして、このチェックシートには、PPP、PFIの活用を検討したかどうかということをチェックして出すようになっているんです。

 ですから、除却のために地方債の特例措置を受けたいと思ったときには、一連のこういった指針に基づく項目について検討したかどうかというのをチェックして出せということを総務省がやっているんですよ。そういう意味では、さらにはこの計画の策定状況についてフォローアップ調査を実施し、点検まで行っているわけで、これは自治体の自主性、判断に対して口を挟むようなやり方じゃないかな、おかしいんじゃないかと率直に思いますが、大臣のお答えをいただきたい。

佐藤政府参考人 我々から地方債の発行に際してのいわゆる確認リストというのを出しておりますが、この中に、おっしゃるように、PPP、PFIの活用について検討がされているかどうかというのを項目で挙げております。

 ただし、これは必須項目とはしておりませんので、これをしなかったからといって地方債が認められないということにはならないということでございます。

塩川委員 チェックすることにはなるんですよ。検討したかどうかということを書いて出しなさいということにはなるわけであります。

 行政サービスの集約と経済活動の活性化を目指す創生法案が進める総合戦略に、ビルトインされているのが公共施設等総合管理計画ですが、これがPPP、PFI推進のために対象公共施設のリストアップを図る計画となっているというのが実態であります。PFIの過去の事例を見ても、財政健全化に資するどころか、かえってコスト高になった事例もありますし、経営破綻で市民サービスが提供できなくなり、多くの労働者が解雇されるような事例もありました。

 このような事例のまともな総括もなしに、公共施設等総合管理計画策定指針によるPFI推進は極めて重大だ、問題があるということを述べて、質問を終わります。

桝屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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