衆議院

メインへスキップ



第5号 平成27年3月12日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十七年三月十二日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    池田 道孝君

      今枝宗一郎君    大隈 和英君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      川崎 二郎君    木内  均君

      黄川田仁志君    小林 史明君

      小松  裕君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      高木 宏壽君    橘 慶一郎君

      土屋 正忠君    中谷 真一君

      中村 裕之君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      武正 公一君    福田 昭夫君

      高井 崇志君    吉村 洋文君

      浜地 雅一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        二之湯 智君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          丸山 淑夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     木内  均君

  金子めぐみ君     今枝宗一郎君

  田所 嘉徳君     小松  裕君

  中村 裕之君     大隈 和英君

  長坂 康正君     宮内 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     宮崎 政久君

  大隈 和英君     中村 裕之君

  木内  均君     大西 英男君

  小松  裕君     田所 嘉徳君

  宮内 秀樹君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     長坂 康正君

  宮崎 政久君     金子めぐみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長籾井勝人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長佐々木敦朗君、自治行政局公務員部長丸山淑夫君、自治財政局長佐藤文俊君、自治税務局長平嶋彰英君、情報流通行政局長安藤友裕君及び厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 地方税法につきまして、質疑をさせていただきます。

 まず、高市総務大臣、大臣就任おめでとうございます。

 こうした質疑をするのは初めての機会となりますし、私も総務委員会の方は久しぶりに戻ってまいりましたので、質疑をさせていただくことに感謝を申し上げたいと思います。

 まず、さきの衆議院選挙について、きょう籾井会長にもおいでいただいておりますので、その報道についてお聞かせをいただきたいと思います。

 まず、総務大臣にぜひお聞きをしたいんですが、過日の衆議院選挙は、投票率が過去最低となっております。選挙を担当する大臣として、過日の衆議院選挙についてどのようにお感じに、あるいはお考えになっておられるか、まず冒頭、伺えればと思います。

高市国務大臣 投票率が非常に低かったことについては、残念に存じます。

 その原因についてはさまざまな要因が考えられると思うんですけれども、しかし、今総務省では、より投票しやすい環境をつくっていくために、研究会を設置し、今月末には中間報告が出てまいりますので、これに沿って、特に期日前投票をもっとしやすくする改革を行っていきたいと考えております。

武正委員 ありがとうございます。

 さきの衆議院解散・総選挙は、急な解散というようなことが言われております。解散権は総理にと言われますが、日本の場合は憲法七条での過日の解散ということでありますので、解散権の濫用ということも言われておりまして、この後、その具体的な問題点、なぜ投票率が下がったのか、るる指摘をさせていただきたいと思っております。

 もちろん我々野党側にも、とりわけ野党第一党の民主党にもその責任の一端はあって、やはり選択肢を示し得なかったといったことの反省に立って、過日代表選挙を行い岡田新代表を選んだところでございますので、国民の皆様に選択肢を示し得る、そうした政党としての活動を国会でも行っていきたいと思っております。

 まず、籾井会長、資料をお手元の方に用意しております。過日、二月の、何度も取り上げられております民主党の総務・内閣合同部門会議でも、私の方から籾井会長にも質問もさせていただきました。

 私も、昨年の衆議院選挙の公示の夜、あるいは翌朝七時のNHKニュースを見て、驚きました。この衆議院選挙の最大の争点はアベノミクスであるということを開口一番アナウンサーが口にしたときに、非常に驚きました。

 なぜならば、やはり争点というものは、政府・与党あるいは政権政党が考える争点ももちろんありますけれども、それぞれの野党がそれぞれの立場で考える争点というものがある、これが選挙でございます。そうした争点設定も、それぞれの選挙で候補者、政党が国民に問うのが選挙でございますので、公共放送が公示の日の夜にこうしたことをニュースの開口一番報じたことに、非常に驚きを感じました。

 これが選挙戦に大きな影響を与えたのではないかとも言われておりますし、また、やはり争点が、国民の皆さんにとって身近な問題、昨年であれば憲法解釈の変更、集団的自衛権の行使容認といったこともありましたし、あるいはまた、ちょうど選挙期間中でありましたでしょうか、十二月十日、特定秘密保護法が施行される、こういったタイミングでもあったので、争点は国民の皆様にとってもたくさん身近なものがあったはずなんです。それが、アベノミクスが最大の争点という形で言い切られてしまうと、果たしてそれで国民の皆さんの関心がどこまで高まるかといったところも、やはり争点設定ということでは、先ほど大臣が答弁された、投票率がなぜ過去最低だったのかの要因になっているのではないかなというふうに思います。

 既に報じられておりますように、報道も、テレビ番組の選挙を扱う報道や番組も著しくその数が減ったということも言われております。これが、自民党による在京キー局への要請、お願い、この文書の影響があったのではないのかということも、何度もこの委員会でも言われているわけであります。

 まず、お手元に用意をいたしました一ページ、選挙の公示日の夜のニュース。ここで書いてありますが、「選挙戦では、安倍政権の経済政策・アベノミクスの評価が最大の争点で、」と、当夜、NHKの七時のニュース、開口一番アナウンサーは口にしております。そして翌朝についても同様で、「最大の争点である安倍政権の経済政策、「アベノミクス」の評価など」ということで、これも口にされております。

 これについて過日の総務部門会議で会長に尋ねましたが、会長は承知していないということで、私が、では、ちゃんと調べてくださいね、確認してくださいねということを申し上げ、もう一カ月たっておりますが、確認をされて、この先ほど来の私の指摘について、会長としての御所見を伺いたいと思います。

籾井参考人 おはようございます。

 この前ありましたけれども、その後、現場に確認をいたしました。

 それによりますと、さきの衆議院選挙では、安倍総理大臣が解散に当たりましての記者会見で、アベノミクス解散だ、こういうふうに表明されたのに対し、野党側は、格差が拡大しているなどといったアベノミクスへの批判を展開されました。こうしたことから、アベノミクスの評価が最大の争点と報じたということでございます。また、さきの衆議院選挙では、野党側がアベノミクスへの批判を展開しただけでなく、集団的自衛権、原発の再稼働、議員定数の削減などを争点に掲げたことも報じております。

 NHKは、我々は、放送法にのっとりまして、事実に基づいて、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずという、この放送法にのっとりまして、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えております。

武正委員 ぜひ参考にということで、二ページをおあけいただきたいと思います。これは、二〇〇五年の郵政解散の選挙のときの同じく公示の日の夜のニュース、そしてまた翌朝のニュースでございます。

 これについては、読み上げますと、「選挙戦の構図」の後ですね、「選挙の争点をめぐっては、与党側は、郵政民営化はあらゆる改革につながる「改革の一丁目一番地」だとして、争点を民営化の是非に絞ろうとしています。 これに対して民主党は、年金問題などを争点に掲げ、年金制度の抜本改革を実現するためには、民主党中心の政権の誕生が必要だと、政権交代の必要性を訴えています。共産党と社民党は、」ということで、他党のことも列挙をしております。これが当夜でございます。

 そして翌朝も、これを見ていただきますと、同じような形で各党のことが書いてあって、それこそ郵政民営化が最大の争点ということは言っておりません。

 二〇〇五年のあの郵政選挙と言われた選挙でもこのように与党、野党の争点を当夜あるいは翌朝も列挙しているといった報道と、なぜ昨年の衆議院選挙の夜と朝のNHKの報道がかくも違うのか、不思議でなりません。このことをごらんになって、会長として、どうお感じでしょうか。

籾井参考人 二〇〇五年の郵政選挙といいましょうか、あのとき、ちょっと、私の就任するずっと前のことでございますので、現場に確認をいたしました。

 それによりますと、平成十七年の衆議院選挙では、小泉政権が継続するのか、それとも民主党を中心とした政権に交代するのかが最大の焦点になります、このように報じました。それにあわせまして、自民、公明の両党は、郵政民営化の是非を争点に掲げ、構造改革を進めていくと訴えています。これに対して野党側は、民主党が、郵政民営化は大きな争点ではなく、年金などの政策論争を通じて政権交代を実現したいとしているなどと伝えたということでございました。

 先ほども申しましたけれども、我々は常に、放送法にのっとって、事実に基づいて公平公正、不偏不党ということで報道し、視聴者の判断のよりどころとなる、そういう情報を多角的に報道しているつもりでございます。

武正委員 先ほど来、放送法を会長は引用されております。これは当委員会でもいつも会長が口にされることでありますが、放送法には今言われたような不偏不党あるいはまた公平なということが列挙をされているわけなんですね。

 放送法四条では、第二号、「政治的に公平であること。」そして四号では「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」あるいは放送法一条では、二号で「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」などが書かれている。

 それをもって先ほど来の答弁になっていると思うんですが、この間、会長がよく口にする言葉に中立ということがあるんですね。中立ということを言われたことはございませんか、公平中立とか、公平、公正、中立とか。いかがでしょうか。

籾井参考人 いつも公平公正と言っておるつもりでございます。

武正委員 この場でも、同僚委員から、中立という会長の言葉について、これは意味が違うんじゃないか、公平公正、あるいはまた、それこそ権力からの独立、こういった意味と中立という意味は違いますよということが指摘をされたと思います、当委員会でも。

 私も同様でありまして、どちらかというと、放送とか報道は、自律という言葉が放送法にあるように、それこそ放送の独立、それこそ権力によらずに、権力からの独立といったことが放送法の趣旨ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

籾井参考人 全くそうだと思います。

 放送法は、もう言うまでもなく、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずということでございますから、これはとりもなおさず、不偏不党は不偏不党でございますし、何人からも規律されずということは、我々が自主的に、独立した形での報道ということを意味しておりますから、今委員がおっしゃったとおりの解釈だと思います。

 ただ、中立という言葉は、私は使っていないつもりでございます。

武正委員 またこれは議事録を精査して、質疑で用いたいというふうに思いますが、ただ、十一月の二十日に在京テレビ局に、「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」、こういった文書が自民党から出されておりまして、こういったことで、中立ということがもし会長が使われているとすれば、これについては、やはり独立といった意味で中立とは違う、それこそ権力からの独立といったことがやはりNHKとしての矜持であろうというふうに思いますので、その点を指摘させていただきたいと思います。

 それでは、NHK会長、どうぞお引き取りください。

 続いて、衆議院選挙について、先ほど大臣の方からは、期日前投票の重要性という御指摘がありました。さきの衆議院選挙について幾つか事実を、数字をもってお伝えしたいと思います。

 まず、三ページをおあけいただきますと、繰り上げ投票所ということで、投票時間を繰り上げるということが、この四回、昨年の選挙も含めまして、投票所数がふえております。つまり、投票時間が短くなる傾向があるということでございます。四回前は一万二千九百五十八カ所、三回前が一万五千四百十三カ所、前々回が一万六千五百九カ所、そして前回は一万七千百八カ所ということで、投票時間の繰り上げが行われるということは、やはり有権者にとっては投票機会というものが制限されるといったことの一例かと思います。

 次をごらんください。

 一方、期日前投票所については、先ほど大臣も触れられたように、回を追うごとにふえております。四千四百五十一、四千五百七十二、四千七百五十五、四千八百四十三ということで、ふえております。

 ただ、期日前投票の推移、これも、投票率はではふえているのかということでございますが、ちょっと先を繰っていただきますと、七ページ、これが過去四回の小選挙区における投票率の推移でございまして、四回前から始まりましたこの期日前投票、八・七、そして一三・四五、前々回は減って一一・五八、そして、昨年ふえまして、一二・六二ということでございます。

 こうした、期日前投票がふえている、しかしながら、先ほど大臣が言ったようにもっとふやすべきだということでありますが、投票入場券が期日前投票にとって必要ない、体一つ運んでいただければ投票できるということなんですが、やはり投票入場券が届くかどうかというのは有権者の皆様にとっても大きなことではないかというふうに思います。

 そういったことからいいますと、五ページをおあけいただきますと、投票入場券の到着予定指定日、これが昨年の衆議院選挙でありまして、公示日に指定をした自治体が六百八十三、一日後、二日後、三日後といったところが大半を占めております。

 私が考えますに、期日前投票に行くにも、皆さん会社、仕事をされておりますので、やはり、土日に行くことが多いとすると、最初の第一週の金曜日までに届いているというのが期日前投票を促すには望ましいというふうに思うんですが、四日後、五日後、六日後、七日後、八日後ということで、このような自治体は、昨年の場合、到着予定指定日を土日以降に指定しております。そして、指定日に到着した団体、特に翌週の月、火、水曜日以降ということがございまして、この指定日にも届かなかった団体があるということでございます。

 かくいう私の選挙区であるさいたま市も、選挙が始まりますと、有権者の方から、投票入場券が届いていないんだということを随分言われました。そして、選挙が土日を越えた二週目に入ってようやく、ちょうどこの中でいえば七日後に指定をされた地域であるわけでございます。

 選挙民からは随分そのことを問われたわけでありますが、こうした到着予定指定日、選挙が始まって一週間もたって投票入場券が届くといったことは、私は期日前投票を促すといった意味からはやはり問題があるのではないかというふうに思っております。この点について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 幾つか御指摘がありました。

 最初の期日前投票に関して、特に投票所の入場券が非常に着くのが遅かったというお話でございますが、市町村の選挙管理委員会は、特別の事情がない限り、選挙の期日の公示の日以後できるだけ速やかに投票所入場券を交付するように努めなければならないと公職選挙法施行令第三十一条第一項で定めております。

 実際の投票におきましては、入場券を持参しなくても的確な本人確認のもとに投票できるものではありますけれども、しかし、投票所の入場券については、投票時における選挙人の整理、確認の迅速化、それから投票日や投票所の場所の周知にも効果がございますので、昨年十二月の選挙におきましても、できるだけ速やかに選挙人に交付するように各選挙管理委員会に対して要請をいたしました。でも、結果として届くのが遅くなったケースがございます。今後とも、しっかりと要請もしてまいりたいと思います。

 ちなみに、到着予定指定日は、各選挙管理委員会によって、さまざまな地域の事情によって、またその体制によって決められております。

 それから、先ほど、投票所の閉鎖時間繰り上げについても御指摘がございました。

 この繰り上げについては、公職選挙法第四十条の規定によりまして、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合などに限って行うことができます。

 しかしながら、投票の権利というのは民主主義の最も基礎的な部分でありまして、投票の機会を広く確保することが極めて重要であります。この規定の運用に当たっては、各選挙管理委員会において、地域の実情を精査し十分な検討を行った上で、厳正に対応していただきたいと思っております。

 総務省としましても、先月、統一地方選挙に向けて開催しました全国の選挙管理委員会の職員などを集めた会議においても、改めて厳正な対応を要請いたしました。

武正委員 六ページを見ていただきますと、先ほど触れましたように、さいたま市とか横浜市とかあるいは大阪などが、投票日の直前の週というのでしょうか、同じ週の月曜日とか火曜日とか水曜日あるいはそれ以降に届くといったことがありまして、このことがやはり期日前投票の投票率でも、七ページを見ていただくと、埼玉県は一〇・七一、神奈川県一一・二八、大阪府一〇・四七ということで、全国平均の一二・六二を下回るといったことになっているのかなというふうに思っております。

 もう一つ、やはり、なぜこのぐらい投票入場券の到着がおくれたかということは、言うまでもなく、解散日と公示日の間が非常に短かったということがあったというふうに思うんですね。過去も、もちろん四十日以内という憲法の規定がありますので、解散と公示日が六日間ぐらいで選挙が始まるということは戦後もありました。ただ、期日前投票が始まったこの四回では最短であります。

 期日前投票が今行われるということで、きょう、多くの委員も同じ思いを持っておられると思いますが、公示と同時にそれこそ投票が始まるといったことからいきますと、解散後から、あるいは、間もなく地方選挙も行われますが、地方選挙も同様に、有権者の皆さんの投票決定が非常に前に倒れているというか早まっているといったことが言えようかというふうに思います。

 そういった意味で、先ほど大臣、期日前投票の率を上げたい、あるいはまた機会をふやしたいというのであれば、解散から公示までの期間が非常に短かった昨年の衆議院選挙というものは、やはり自治体において、特に大規模な市町村、政令市などにおいて投票入場券の発送に時間を要したといったことが言えるのではないかと思います。こうした解散と公示の間の日数、このことは特に自治体にとっては大きな影響があると思うんですが、この点についての御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 解散から投票日までの日数が規定されておりますので、それは公示日まで準備期間は長ければ長いほど実務的には楽なんだろうと思うんですけれども、これは解散から四十日以内で投票を行うといった中で行われていることでもあり、また、各選挙管理委員会が有権者に投票所入場券を届けるよう、選管が郵便局などに指定した日でございます。特に公示日などは受け付けもあり、大変忙しいというような事情もあり、おおむね公示日にうまく届くところもあれば四日後ぐらいになるところもある。さまざま地域の事情によって違うんでしょうけれども、これはあくまでも当該地域の選挙管理委員会が決めることでございます。

 解散から公示日までの期間が適切かどうかということについては、法律の範囲内にある限り、私がコメントをするべきではないと思います。

武正委員 ただ、冒頭触れたように、期日前投票をふやしていく、そのための施策を講じる必要があるというふうに大臣も答弁をされておりますので、であれば、やはり投票所入場券が早く届くためにも、解散から公示日までの期間、これは自治体にとっては大変な準備期間、しかも、特に政令市などは大変な作業を要するわけでありますので、この期間をある程度確保していくということが必要ではないかというふうに思います。この点を指摘しておきたいと思います。

 それでは、続いて地方税の方に移らせていただきます。

 このたびの地方税法改正では、二輪車あるいは軽自動車につきましての見直しが行われております。軽自動車はエコ化についての見直しが行われ、当初、軽自動車と一緒に二輪車はことしの四月から一・五倍の増税ということでありましたが、二輪車については一年先送る、そうした改正案が提出をされております。

 民主党は、これは財務金融委員会の方で今審議中でありますが、軽自動車税の増税については、地方の、地域の足としてやはり欠くべからざるものであるので、この軽自動車について、二輪車も含めて、増税を行わないという対案を示しております。

 これについて、特に今回私が取り上げたいのは、新車のみの軽自動車の増税に対して、オートバイ、二輪車は新車も中古車も全てひっくるめて増税だということで、およそ千二百万台が対象となるということでございます。新車のみの課税を要望してきた一昨年の末から、自動車工業会あるいはオートバイの販売組合などがそうしたことを要望してきたということは、政府も、そして特に与党の議員の皆さんも御承知だというふうに思います。

 その中で、八ページの方に、特に新車のみの課税ということができるのではないのかということで、これはことしの四月から引き上がることを前提とした提案が自動車工業会からされました。ことしの三月までに継続して届け出があったもの、市町村を移転して四月以降に移転先で届け出される継続車両のうち既存車証明書があった場合、要は新車ではないといったことがはっきり市町村から発行された場合は現行の税率で、引き上げない、そして四月以降に届け出があったものは新車も含めて新税率にするといった提案がされたわけなんですけれども、このたびの地方税法改正では、引き続き新車も中古車も全て増税だ、ただ、一年先送るんだということでありますが、こうしたことがなぜできないのか、政府の御見解を伺いたいと思います。

高市国務大臣 まず、軽自動車税につきましては、四輪、二輪を問わず、かねてより市町村から標準税率見直しの要請がございました。特に原動機付自転車については、もう徴税コストすら賄えないという声が大きかったわけでございます。

 二輪車に係る軽自動車税については、地方財政審議会の検討会におきまして、原動機付自転車に係る軽自動車税については、徴税コストとの関係の改善を図る必要があるということを踏まえて、他の車種における税負担水準の見直しとも均衡を図りつつ、行政コストと行政サービスの受益に見合った税率水準への適正化を図るべきという意見が出されました。

 これらを踏まえて、平成二十六年度税制改正において、与党税制調査会において議論が行われて、基本的に、徴税コストとの関係で、二輪ユーザーにも行政サービスに見合った負担をいただくという観点から、税率水準を見直すこととされました。基本的に、課税技術的な制約だけが理由ではございません。まずは徴税コストとの関係でという必要性です。

 そして、では何でできないんだということで、技術的な面についても実務的な面についても御指摘がありましたけれども、実務上のことに限って言いますと、軽自動車税の申告において、平成二十七年の四月以降に使用開始された車両かどうかについて正確性を担保するということが必要になるんですけれども、これについては、国において統一的な登録、検査制度を導入する、もしくは市町村が連携して全国統一で車体管理を行うシステムを導入すれば、技術的には不可能ではないと考えられます。

 つまり、軽自動車税というのは保有課税ですから、一定の時点以降に使用開始されたかどうかを基準として新旧の税率区分を適用します。ですから、例えば、平成三十年に中古車を購入されたような納税者の場合に、その中古車が過去のどの時点で使用開始された車両であるか、その時点で確認、証明できなければ正確な徴税はできません。

 そうすると、そこに多大なコストを要することになりますね。システムをつくっていくということについて多大なコストが必要になりますから、その場合には、そのコストをさらに納税者に負担していただく必要があるんじゃないかという新たな問題点も出てまいります。だから、実務面でも現実的ではないという一面はあり、この点については業界団体も理解をしていただいております。

 あくまでも、徴税コストへの対応の観点からの今回の税率改定でございます。

武正委員 ただ、原付バイクは特に千円が二千円にということで、二倍にはね上がるわけなんですけれども、これは、もちろん市町村長からも、抜本的な見直しの中で、特に原付バイクのコストということを挙げております。

 ただ、原付バイクでも、そのコストについて、総務省からいただいた資料では、千円を超えるのは一部の町村に限られるということで、あとはみんなコストについても千円以下。そういったところが一挙に二倍になるといったことも不合理というふうに考えるわけでありまして、今、あくまでも徴税コストが理由だというふうに大臣はおっしゃいましたが、その点についてはいかがかというのが一つでございます。

 また、具体的な提案を今いただきました。仕組みとして、全国一律的なそうした把握が税でもあるいは登録でもできればといったことでありますので、そうした点は、例えば課税台帳、これについて、それぞれ自治体で入力をしているわけでありますが、こういったところに何かそうした移動についての入力をしていくというようなこととか、あとはオンライン化、それこそLGWANなどもありますので、こうしたオンライン化ということもできるのではないのかというふうに思います。

 まずは一点、コストは千円以下がほとんどである、それがなぜ二千円に、二倍になるのかということの説明と、それから、先ほど技術的なものがクリアできればということでありますので、自治体における課税台帳の入力作業での何か見直しで、あるいはそれ用の市町村ごとのオンライン化で対応できるのではないかということについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 一つは、八百六十円といった金額で、五十cc以下の原動機付自転車に係る軽自動車税の徴税費について、団体規模別に抽出して、百五十七団体に対して調査した結果の平均値が八百六十円ですから、それだけを見れば千円を下回っているじゃないかと思われるかもしれません。

 このうち五十二団体については、千円の税率に対して、徴税費の方が税率を上回っています。特に、東京都区部など、都市部ではそうなります。

 それから、税率千円の内数におさまっていても、税率を考える場合に、単に徴税コストが税率を下回っていればよいというものでもなくて、税収は各種政策や事業の財源としての役割を果たせる水準の税率が必要ですから、現にもうコスト割れを起こしている団体が存在しているということは重く受けとめなければ、もう全く税をいただいても何にもならない、反対に徴税コストで出ていってしまうということになります。

 それから、ネットワーク化などで対応できるんじゃないかということなんですけれども、車検制度がない原動機付自転車や軽二輪車について、市町村間の情報ネットワークを構築して全国的に車両情報を一元的に整理して活用をするということは、技術的には不可能じゃないんでしょうけれども、そのためのコストは多大となりますから、それをまた納税者であるユーザーに御負担いただくということになって、現実的ではないと思います。

 そういった事情を総合的に勘案しながら、昨年の法改正で決定された形で引き上げをさせていただくことといたしました。

 引き上げ時期につきましては、先ほど委員もおっしゃっていただきましたが、一年延期して、二十八年度分から実施することを現在提案中の法案でお願いいたしております。

武正委員 総務省と事前にやりとりしますと、特に原付バイクですね、市町村がなかなか徴税コストがかかると言っていることなんですけれども、ただ、実際に持ち主が引っ越しをしていた場合どこまで追っかけていけるのかというと、次の引っ越し先ぐらい追っかけられれば徴税の要求を郵送できる、しかしその先の先まではなかなかできないといったことも含めて、まず実際にどの程度の徴税率かが、特にオートバイに限ってあるいは原付バイクに限ってわからないというのがお答えでした。

 私は、まずこうした実態も把握をして、市町村が本当に徴税できているのか、特に二輪車についてあるいは原付バイクについて、こういったところはやはりしっかりと調べていくべきではないかというふうに思います。

 これは国会でも議論がありますが、軽自動車の中に二輪が含まれているがために、なかなか、軽自動車全部での数字ということで、二輪に限っていろいろな調査が行われていない実態がありますので、ぜひ実際の納税率についてはお調べをいただきたいというふうに思います。

 この点、大臣、どうでしょうか。

高市国務大臣 やはり今後、車両区分ごとの徴税率の把握をするということは有益だと考えておりますので、地方団体の実務上の負担も勘案しながら検討してまいります。

武正委員 ありがとうございます。

 きょうは国交省もお見えでございます。国交省に伺いたいんです。

 こうしたバイクについて、二百五十cc超は車検があるんですが、それ以下は車検がないということで、陸運局、あるいは具体的には陸運支局への届け出というような形で行われているんですが、実際その作業を伺いますと、これも台帳で管理をされている、手書き台帳というのでしょうか。そこで、まず電算入力されていないということにも非常に驚きましたし、加えて、今のような形で全国ネットワークももちろんないといったことなんです。

 先ほど総務大臣も言われたように、税もそうですし、こうした届け出も含めて、千二百万台も国内で流通をしている二輪車について、やはり電算化を進めてオンライン化をして、その移動なども適時把握できるようにしていくべきではないかというふうに考えますが、この点について御所見を伺いたいと思います。

うえの大臣政務官 一般的に申し上げて、データベース化等につきましては、費用対効果を踏まえて検討していくべきものだというふうに考えます。

 御指摘のとおり、軽二輪につきましては、現行は届け出事務のみということでございますが、現段階では、特段それで支障が生じているというような認識はございません。

 ただ、一般的に申し上げまして、今後、さまざまな検査登録業務全体の合理化ということも十分考えていかなければいけませんので、その中でどういった対応ができるか、必要に応じて研究を進めていきたいというふうに思います。

武正委員 ありがとうございます。

 やはり、二輪車の移動について把握ができないということが一つ。今回、新車のみならず中古二輪車も全て課税だということで、当初政府からは説明があったやに伺っておりますので、やはりこうした点、徴税の技術的な面のクリアももちろんですが、届け出について、移動をしっかりと把握するといったこと。

 今、お手元に資料がありますが、これからマイナンバーも導入をするという中で、十ページにありますようなLGWANという総合行政ネットワーク、これは平成十三年から導入をして、もう十四年もたっているわけなんですね。これだけのネットワークがありながら、そしてまた霞が関WANもありながら、なぜこのように電子政府化が自治体を巻き込んであるいは地方支分部局を巻き込んで、実はおくれているといったことは、やはりこの際改めるべきではないかというふうに思います。ということで、あわせて国交省にもお願いをしたいと思います。

 そこで、次に、二輪車の駐車場の拡大なんですけれども、これについては、平成十八年十一月駐車場法の改正で、二輪車もということになっております。ただ、自治体においてそうした動きがあったのは四割、なかったのは四割。また、道路法施行令で路上駐車場が設けられたのは一八・八%ということで、二〇一四年、自治体の自動二輪駐車対策に関する現況調査でも、今のような数字が出ております。これは、政令市プラス二十三区、東京都内の市、六十九団体が対象ということであります。

 こうした点で、駐車場法の改正などで、附置義務駐車場設置といったことも対策に追加をされております。国交省からも通知が発出をされているのも承知をしております。ただ、全国での受け入れ、自転車駐車場での受け入れは二百六十都市、千五百六十カ所、二十六万台、あるいはまた、新たに二輪車専用の駐車場がふえたところは千二百カ所、四万八千台ということで、これは合わせても三十万八千台ですから、千二百万台にはおよそ届かないわけであります。

 こうした駐車場対策がなぜ必要かということなんですけれども、これについては、違法駐車ということで罰金が取られているわけなんですけれども、特に取られている場所というのが、大阪とか神奈川とか埼玉とか、都市部になっております。この都市部で罰金になったお金は、これは総務省を通じて各自治体に、駐車場なども整備しなさいということで交付金となって戻るようになっております、都道府県、市町村。

 こうした点も含めて、私はやはり、国交省そして総務省、自治体、この駐車場の整備ということは喫緊の課題ではないかと思うんですが、国交省、総務省、それぞれお答えをいただきたいと思います。

うえの大臣政務官 委員御指摘のとおり、自動二輪の駐車スペースの拡大というのは非常に大事な課題だというふうに思います。

 国交省といたしましては、自動二輪車の駐車場の整備、これを進めようということと、もう一つは、既存の駐輪場、これは自転車用の駐輪場に自動二輪車用のスペースを設ける、この両面から今対策を進めさせていただいているところでございます。

 この自動二輪車の駐車場の整備につきましては、平成十八年に、先ほど御指摘のあったような駐車場法の改正を行いまして、自動二輪車が利用できる駐車場整備を義務づける仕組みを設けました。これに対しましては、地方公共団体に対し財政支援も行っているところでございます。

 一方、既存の駐輪場につきましても、自動二輪車の駐車スペースの確保につきましては、地方公共団体に対して、平成二十二年と二十三年に、駐輪場で自動二輪車を受け入れるための措置を行うよう要請をしているところでございます。

 こうした取り組みによりまして、自動二輪車の駐車場につきましては、平成十八年度末から平成二十五年度末までの七年間で、二百四十九カ所から千二百カ所というふうに約五倍に増加をしております。駐輪場での受け入れにつきましても、現在、平成二十五年度末時点で千五百六十一カ所というふうになっております。

 その結果、自動二輪車等の取り締まり件数につきましては、近年減少傾向にあるというふうに認識をしています。

 しかしながら、委員御指摘があったように、依然として、その駐車スペースの確保というのはまだまだ十分ではないという状況が続いていると思いますので、今後とも、先ほど申し上げましたような方策によってしっかりと取り組んでまいりたいと思いますし、とりわけ、都市部につきましてはそうしたことが顕在化しているような場合もあろうかと思いますので、しっかりと対応していきたいと思います。

高市国務大臣 交通安全対策交付金は一般財源でございますので、各自治体において必要なところにお使いいただきたいと思います。

武正委員 ぜひそれぞれお取り組みをお願いしたいというふうに思っております。

 先ほども取り上げましたが、これは二〇一三年中の放置車両確認標章取りつけ件数、警察庁調べでいきますと、神奈川県が、要は違反切符を切られた二輪車の数が五万六千二件、東京都が五万三千四百七十二件で、この二つが飛び抜けている。続いて大阪が二万九千五百五十四件、京都が一万六千八百六十七件、私の選挙区の埼玉が一万一千三百三十九件といったことでありますので、こうした交付金が駐車場整備に有効に使われるように、それぞれお取り組みをお願いしたいと思います。

 それでは、もう時間も限られておりますが、続きまして、固定資産税課税について取り上げたいと思います。

 これは、火曜日予算委員会分科会でも取り上げたんですけれども、今、中古住宅市場の流通化、これは我々民主党政権では成長戦略で、そして今の政権でも日本再興戦略で入れております。そのため、今、国交省でもラウンドテーブルということで取り組みをしているわけなんですけれども、中古住宅の価値を上げていけば、当然、固定資産税の価額、税が上がるおそれがあります。

 これについては、十二ページをごらんいただきますと、この二十年の間に、固定資産税収における土地、家屋の割合の推移ということを見ていただければ、土地よりも家屋に税の額を大きくしてきたという経緯がございます。これは当然土地の高騰あるいはバブルへの対応ということが影響しているわけですが、これから中古住宅を流通させよう、そして価格を、評価をしっかり上げていこうといったときに、評価が上がった分固定資産税価額が上がってしまえば、当然、中古住宅の評価を上げることの阻害要因になってしまうというふうに考えるんです。

 こうしたことがやはりないように何らかの施策が必要ではないかと思いますが、総務省の御見解を伺いたいと思います。

高市国務大臣 まず、固定資産税ですけれども、固定資産、土地、家屋及び償却資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目して、応益原則に基づいて、その資産価値に応じて御負担いただくことが原則であります。

 また、地方税における税負担軽減措置につきましては、地方六団体から、税負担の公平確保の見地からより一層の整理合理化を図ること、特に固定資産税の非課税、課税標準の特例措置については抜本的に是正措置を講じることを求められております。

 ですから、一般論としてですけれども、資産価値に対する特例措置のようなものについては、ちょっと慎重に検討する必要があると思います。

 そして、先ほど委員から、土地と家屋の固定資産税の割合について、家屋の負担割合がふえてきているということでお話がありましたが、固定資産税収において家屋の割合が高くなっている理由は、土地につきまして、平成六年度のいわゆる七割評価の導入に伴って、同種の用途の土地間での税負担の均衡化を早期に図るために、住宅用地に係る課税標準の特例を拡充したことや、商業地等に係る課税標準の上限を設定したことなどによるもので、中古住宅の家屋の固定資産税負担によるものではないと考えております。

 いずれにしましても、政府・与党でも、中古住宅市場というもの、これは非常に重要であると位置づけております。

 御質問については、以上のような答弁になります。

武正委員 また、市街化調整区域内の地下鉄トンネルの固定資産税の課税が行われている、一方市街化区域内のトンネルは非課税である、これはやはりおかしいのではないのかといったことも、ぜひ、これは国交省、総務省にかかわるところでありますので、指摘をしておきたいと思います。

 また、十三ページにあります、今回外形標準課税の拡大がされておりますが、与党税制改正大綱、昨年十二月三十日に示された枠組みでは、外形標準課税のところで、二十七年改正の実施状況も踏まえつつ、外形標準課税のさらなる拡大等を検討ということが指摘されておりますので、やはり中小企業への課税拡大が起こってはならないといったことを、特にこうした点も含めて指摘をして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、吉村洋文君。

吉村委員 維新の党の吉村でございます。

 私の方からは、地方交付税について質疑させていただきたいと思います。

 この地方交付税が、本当に今、地方の自立を妨げている制度になっている、そういうふうに私は認識しております。

 かつて、国土の均衡ある発展ということで、道路がない時分であったり、そういった社会のインフラが整っていないときに、この地方交付税制度、もともとこれはシャウプ勧告が一番最初のきっかけでできたわけでございます。その制度がこの国の発展に寄与したというのは間違いなかろうかというふうに思うんですけれども、それが現在、今となっては、地方の自立ということを妨げているような、そういった硬直的な制度になっているというふうに思います。受益と負担の明確化、それを曖昧にするような制度になっているという認識でございますので、ちょっとそのあたりを質疑させていただきたいと思います。

 先々日ですか、公務員制度のことで質疑させていただいたときに、一番最初の問題意識を申し上げました。やはり、超高齢化社会というのが間違いなくやってくる、これは今まで経験したことがないような、そういった社会がやってくるというような中で、本当に抜本的な改革というのが必要になってくるんだろう、自分たちの子供たち、孫たちの世代に残さない、ツケを回さないという政治をしていくためには、抜本的な改革、今必要な改革があるというふうに思っております。

 今の地方交付税制度は、まさに仕送りのような制度になっているわけでございます。ただ、仕送りしている側の親の方も真っ赤っかな状態、そして子供もくれくれと言っているような状況、そういった状況が実態かなと思っています。

 地方創生というときに、今々の課題でよく言われるのは、地方交付税の対国税比率を引き上げましょうと。今回もちょっとありますけれども、それを引き上げてくれという話であったり、あるいは交付税の総額を上げろ、あるいは、おらが町にもっともっと交付税交付金をというような、そういったことが地方創生と言われるようなことが多いわけでございます。

 そういった、いわゆる量的な分捕り合いというのはもう限界が生じてくるんだろうなと思っておりまして、やはり質的な変換が必要な状況に今なっているんだなというふうに思います。

 交付税制度によって、もともとは地方財政計画から始まるわけでございますけれども、ここに国側の過剰な政策誘導があるというふうに思っておりまして、片や地方においても問題がある。地方も国に対して依存して、そして財政に対する責任が欠如している。地方の受益と負担の明確化というのがなくなってきているというふうに思っております。その結果、歯どめのきかないような財政の膨張につながっているというふうに思います。そして、その根源にあるのが、今の地方交付税制度にあるというふうに思っております。

 今回、安倍政権のもとで、根本的な明治以来の大改革だということでございますけれども、国家財政を根本から立て直すという意味での適正化ターゲットは、社会保障と交付税制度、地方交付税だというふうに私は思っております。

 地方を自立させて受益と負担を明確にさせる。そして、住民にも、これは有権者にもなんですけれども、受益を受けるに当たって自治体サービスがどうあるべきか、そしてその受益を維持するためには負担をどうするのか。ふやすのか、それともどうするのか。負担をふやさないためには、徹底した行政改革を目に見える形でやっていくのか。これは、当事者として真剣に、地方も、そしてサービスを受ける側も考えていかなければならない、そういった時代になっているんだなというふうに思っております。

 まず、そういった点から、臨時財政対策債についてお伺いしたいと思います。

 二日前の質疑でしたか、地方財政の借入金残高の状況ということで、資料も配付されました。これについてお伺いしたいと思います。

 まず、地方財政の借入金の残高の状況なんですけれども、平成元年、このころは総額で六十六兆円です。それで、臨財債を除く地方債が約五十兆ぐらい。合計六十六兆ぐらいだったのが、二十七年、現在は臨財債を除く地方債残高でも約九十四兆円と、倍ぐらいに膨れ上がっている。

 そして、交付税特会借入金残高についても、平成元年はほとんどなかった、これが今三十三兆円に膨れ上がっている。

 そして、臨財債、国から地方に回すお金が足りませんということで、半分は地方で借金をしてくれ、後で返済分は回すからということで、地方に借金を負わせて、地方が借金を行っている臨財債についても、平成元年当時はなかった。平成十三年からのあくまでも三年間の臨時の措置ということで臨財債ができたわけでございますけれども、この臨財債も今となっては五十兆円になっているということで、二百兆円という莫大な地方財政の借り入れ状況になっているということでございます。

 まず、この現状について、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 まず、地方の借入金残高ですが、近年、二百兆円程度と高どまりしております。地方財政の健全化を進めることは非常に重要な課題だと認識をしております。

 二十七年度の地方財政対策において、地方交付税の法定率を見直して交付税原資を充実して、地方税が増収となる中で、地方交付税の減少は最小限にとどめ、赤字地方債であります臨時財政対策債の発行を大幅に抑制することで、一般財源の質を改善して地方財政の健全化を進めていく方向に、努力は精いっぱいしました。

 さらに、二十七年度においては、交付税特別会計借入金について、前年度比一千億円増の三千億円を償還することにしております。

 この結果ですけれども、二十七年度末における地方の借入金残高は、前年度比二兆円減の百九十九兆円となる見通しです。

 それにしても非常に大きな金額ですから、引き続き、財政の健全化に向けて、歳入歳出両面においてしっかりと検討を進めていかなければならないと思っております。

吉村委員 大臣、その問題意識は恐らく共通だというふうに思っております。

 今、できることというところで、量的な制限というか、そこでの改革を進めておられるということだと思います。それは当然必要なんですけれども、きょうの質疑の問題意識は、そこに質的な制限を加えられないか、根本的に変える仕組みを考えないと、それじゃもたないんじゃないかという問題意識です。

 借入金の推移なんですけれども、二百兆円で高どまりしているということなんですけれども、この先をどう読むかというのが結構大事だなというふうに思っております。グラフとしては右肩に上がって、今二百兆で高どまりで来ているわけでございますけれども、人口構造というのを考えたときに、そして、今の地方交付税制度の仕組みというのを考えたときに、恐らくは、さらにまた右肩に上がっていく、そういった財政になっていくんだろうな、それを今の段階で制度を変えて食いとめることが必要だろうというふうに思っております。

 臨財債についてなんですけれども、ほんまにこれがちょっと問題だと思うんですけれども、平成十三年から十五年、先ほど申し上げました、この三年間があくまで臨時の措置ということでした。それが、今や五十兆円ともう取り返しのつかないぐらいな金額に膨れ上がっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、これについて、この臨時財政対策債というところに絞った点についての今のこの現状、五十兆に膨れ上がっている、臨時じゃなくなっているというこの状況について、どういう御認識なのか、お伺いしたいと思います。

高市国務大臣 これが二十七年度末に五十兆円程度となる見通しであるというのは、もう地方財政健全化の観点から課題であるという認識であります。

 地方の財源不足は、国と地方が折半して補填することを基本としておりますので、国は一般会計からの地方交付税の臨時財政対策特例加算、地方は臨時財政対策債の発行によって対応してきております。

 だけれども、やはり財政の健全化ということを考えますと、この臨時財政対策債のような特例債になるべく頼らない財務体質というのを確立することは重要でございます。

吉村委員 臨財債についてなんですけれども、平成二十六年の臨時財政対策債の発行可能団体、その数が幾らぐらいあるのかというようなことをまずお伺いしたいと思います。そして、その発行可能団体のうち、何団体が現実にこの臨財債を発行しているのか。それから、発行可能総額、これはあくまでも計算上の、数学ではじき出されることになりますから、発行可能総額が幾らぐらいあって、そして、現実に実績ベースで発行している実績額というのは幾らぐらいになるのか、教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 平成二十六年度における臨時財政対策債の発行可能団体数は、これは道府県、市町村合わせて、千七百十八団体となっております。その発行可能額は、総額で五兆五千九百五十二億円となっております。

 なお、実際に発行した団体及びその発行額については、年度の途中でありますために現時点においては把握しておりません。

 そこで、前年度の二十五年度を見てみますと、発行可能団体数は千七百二十四団体で、そのうち実際に発行している団体は千六百六十六団体ございます。

 また、発行可能額の総額は全国で六兆二千百三十二億円でありましたが、そのうち実際に発行された額は六兆三百七十九億円となっております。

吉村委員 先ほどの御答弁ですと、ほとんど全て、ちょっとすぐには割合は出せませんけれども、九〇%以上になるんですかね。何%か出ていますか。

 では、何%か、ちょっと教えてもらえますか。

佐藤政府参考人 発行団体数でいいますと、発行可能団体のうちで実際に発行した団体は九六・六%になります。

 また、発行額でいいますと、発行可能額のうち実際に発行された額は九七・二%となります。

吉村委員 ありがとうございます。

 結局、発行可能団体のうち九六%が発行し、そして総額についても九七・二%が発行している。すなわち、ほぼ全ての団体がこの臨財債に依存しているというようなそういった状況、これに依存しないとやっていけない、そういった数字だと思います。

 後で市町村の総数をお聞きしようと思うんですけれども、では、市町村の総数はわかりますか。都道府県、市町村の総数、地方公共団体の総数、約千八百ぐらいだと思うんですけれども。

佐藤政府参考人 都道府県の数は四十七団体であり、市町村の数は千七百十九団体となっております。

吉村委員 ですので、千八百弱が全ての地方公共団体の数で、そのうち千七百十八団体がそういった臨財債に頼っているというような状況かと思います。日本全国、ほとんど全ての地方公共団体がこれに頼っている、そして現実に発行しているというのが現実だろうなと思います。

 そして次に、この臨財債を発行しなければ、ではどういった状況になるのかということなんですけれども、経常収支比率というのがございます。これは、地方公共団体において、いわゆる人件費とかそういったもの、経常費用がどのぐらいかかって、そして経常収入に対して経常費用がどのぐらいの割合を占めるのかという割合、すなわち、財政の自由度というか弾力度というのを示す数値、比率、これが経常収支比率というので算出されるわけです。これが一〇〇を超えれば、ほとんど財政の自由度、弾力度がないというような、そういった団体になるわけでございます。

 まず一つ、一点目の質問は、この経常収支比率を出す算式において、臨時財政対策債が分母に入るのかどうか。すなわち、臨時財政対策債を入れれば、経常収支比率がいいような数字になるんじゃないかという問題点が一つの質問。

 そしてもう一つが、臨財債を入れた上での全国の自治体平均の経常収支比率、それと臨時財政対策債を除いた上で計算した全国自治体平均の経常収支比率、それを教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 経常収支比率の概念については、ただいま御指摘があったとおりでございます。

 臨時財政対策債は、地方一般財源の不足に対処するために投資的経費以外の経費にも充当可能なものとして、地方財政法第五条の特例として発行される地方債でありまして、その性質は地方一般財源ということでございます。したがって、経常収支比率の算出に当たっては、毎年度経常的に収入される一般財源として、これを分母に含めております。一方で、その償還額も経常経費充当一般財源として分子に含める扱いとしております。

 そうして算定いたしました経常収支比率は、二十五年度決算におきますと九一・六%ということになります。御質問にありましたように、分母、分子から臨時財政対策債に係る経費を控除して同様の比率を算出いたしました場合には、これは九八・一%に上昇することになります。

 これは、平成二十五年度の決算においては、分母に算入される臨時財政対策債の発行額が分子に算入される償還額よりも相当大きいためでございます。

吉村委員 まず、これはそもそも、当然、赤字債のようなものですから、一般財源にこれを財源として入れるというのも一つどうかなと思いますけれども、まあ、考え方はわからぬでもないから、これを入れた上で見たときに、臨財債を除いた、いわゆる実質的な、これがないとしたときの経常収支比率を見ると、九八・一%なわけですね。それを含む数値が九一・六%。

 そして、全国自治体も臨財債を入れた上で経常収支比率というのを出しているわけでございますけれども、実態が借金である臨財債を除いた上での経常収支比率を見ると、全国でも九八・一%でございますから、自治体においては、臨財債を除けば、臨財債に頼らないという前提に立てば、ほとんど財政の弾力度というのがないような、そういった危機的な状況に今の地方の財政制度は陥っているというふうに思います。

 そしてその次に、ではどうやって返していくのかというところの話なんですけれども、臨財債というのは、さっき申し上げたとおり、あくまでも臨時の対策債ということで、国から出るお金はないんだけれども、一旦地方で借金しておいてください、そして、その借金の返済についてはちゃんと交付税措置しますので、後でけつは拭きますからそちらでやっておいてくださいというような、ざくっと言えばそういうことなんですけれども、では、それがきちっとできるのかどうかというところなんです。

 まず、元利償還金相当額、これが後年度の基準財政需要額に算入されるということですね。ですので、地方公共団体によっては後払い的な性格を帯びる、これがよく言われることなんですけれども、ただ、実際は、これは臨財債の償還時に国が直接支弁するものではないというふうに思っております。

 そうすると、償還財源を基金に積み立てるケースを含めて、地方団体というのは慎重に管理していかないといけないというふうに思いますけれども、地方団体の管理状況について、国として、総務省としてどの程度把握されているのかをお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 臨時財政対策債の償還額については、各地方団体の発行可能額を基礎として、標準的な償還条件に基づいて各年度の元利償還金を理論的に算出しております。そして、その全額を地方交付税の基準財政需要額に算入するということにしております。したがって、この額については、我々、当然ながらこれは把握をしております。

 一方、現実に地方団体がどういうふうに償還したかということにつきましては、毎年度の決算統計に基づいて、臨時財政対策債の当該年度の元利償還額を把握しております。この中には、満期一括償還方式で発行している臨時財政対策債の元金償還に充てるための減債基金への積み立てというものも同時に把握をしております。

 我々の地方団体への注意喚起としては、こういった団体においては、元金償還に充てるための減債基金への積み立てを計画的に行う、いわば原資を確保しておくということが財政運営上適切でありますよということを毎年度注意喚起しているところなんです。

 しかし、そういう中でも、臨時財政対策債の償還累計額、これは交付税に算入された累計額と、実際に償還した額に差がある地方団体もあるということでございます。

吉村委員 交付税措置した額とそれから実際に償還した額とに差があるところもあると。

 そうしたら、減債基金への積み立てというのは、当然これはしなきゃいけない話だと思います。その注意喚起をしているということですけれども、実際それをどこまで把握できるのかという問題はあるかと思います。何より、実際返還するときの、直接国から返済資金を支弁されるわけではないというところが大きな問題なのかなと思っています。

 これは二〇一四年四月三日の新聞にも出ているんですけれども、「二十三道府県三千五百億円財源不足」「臨財債の返済金、他に流用」。

 中にちょっと書いてあるんですけれども、「国が地方に配分する地方交付税の財源不足を補うため、自治体が借り入れる地方債について、二十三道府県が返済を事実上先送りし、累積額が十一年間で約三千五百億円にのぼることが朝日新聞の調べでわかった。返済資金は国が全額負担して地方に配分する仕組みだが、先送りした自治体はその資金を他の施策に回しており、返済財源の不足分は自治体が背負うことになる。」というような報道がされております。

 これについては大阪も含まれておりまして、私も大阪の地方議会出身でございますので、これはどういうことだということの説明を受けて、返済のタームの問題であったりとか、いろいろ細かな問題はあるようではございます。それは大阪の事例、ほかの事例がどこまでかというのは私は把握はしておらぬのですけれども。

 ただ、根本的な問題は、やはり、直接に国が返済金を支弁するんじゃなくて、一旦、一般財源として使ってください、そういった性質のものになるので、場合によっては積み立てを切り崩すというようなところも、かつて、大阪でもそんなこともありましたけれども、さらに返済金が賄えなくなる、雪だるま状態で膨れ上がっていく、そういった状況にも陥るような制度設計になっているんじゃないのかな、これは構造的な問題として、臨財債というのはそういう危険性が、リスクがあるんじゃないのかなという認識がございます。

 ですので、この臨財債というのは、本来一時的な、三年で終わるべき仕組みをずっと今まで続けて、これが五十兆円になっているというのは、制度設計自体は臨時的なもの、しかしながら、実態は恒久的なものになっている、そこでのほころびというのが生じている、そういった状況なんだろうなというふうに思っております。

 そういった意味で、先ほど大臣からは、臨時財政対策債の今の現状が非常に芳しくないという御認識はいただいたんですけれども、これに対する出口戦略をどう考えておられるのか。具体的な制度設計があればそれを教えていただきたいですし、それがもしないというのであっても、政治的な主張というか、思いというか、思想として、この臨時財政対策債、どうあるべきなのかという御意見をいただきたいと思います。

高市国務大臣 基本的に、地方の財源不足というものが生じなければこのような国と地方が折半して補填するような形をとらなくてよいのですが、そのためには、やはりアベノミクスの効果がしっかりと地方にも行き渡って税収がしっかりと上がってくる状況をつくること、それから、歳出、これもめり張りをつけて重点化をしながら不断の見直しをしていくこと、それから、行政の効率化、これも歳出削減に資するんですけれども、ICT技術を使ったり、PPP、PFIの話も御党からもいろいろと御提言をいただいておりますけれども、しっかりと効率化を図っていく、こういった取り組みが必要だと思います。

 平成十九年及び平成二十年度は、ここは国と地方で折半すべき財源不足が解消されて折半分の臨財債を発行しなかった状況でしたので、この状況をなるべく早期に実現することを目指して、歳出歳入の両面から改革に取り組んでまいります。

吉村委員 その歳出についても、地方が本気で削減をするとなれば、徹底した改革派の首長が誕生するかあるいは議会が誕生するか、あるいは、そういうのは千八百団体あるから実際難しいというふうに思っております。

 そういう意味で、構造的に受益と負担を明確化する、これが何より大事だろうと思います。今のサービスが負担に基づいているんだというのを地方公共団体も住民も認識すること、そういった制度に変えていかない限り、本気での歳出削減はないと思います。

 恐らく、こういった国会の場でもそうでしょうけれども、制度改革がなされない以上は、どんどんちょっとうちにお金を国から送ってよみたいな、そんなやりとりをずっと今後も続けていく、そして、子供たち、少子高齢化が進んでいって、最後は立ち行かなくなる、そういったときが必ず来るんじゃないのかなという危機感を持って、今ちょっと大臣に政治的思想というか、そういう意味で、量的問題ではなくて、その質的な変換も図るべき時期に来ているんじゃないのかなというふうに思っております。

 地方交付税の中身の、仕組みの話なんですけれども、そういった意味で、完全にモラルハザードが働くようなそういった仕組みに今地方交付税制度はなっている、そういうふうに思っております。言い方は悪いですけれども、地方が自立しないいわゆる元凶。確かに、冒頭申し上げたとおり、今までの、国土の均衡ある発展というのに資した面は当然あると思うんですけれども、それが、今のルールにおいては、もはや地方の自立を阻害するそういった元凶になっているというふうに思っております。

 地方公共団体のうち、先ほどもちょっとお伺いしました、全国の自治体の数と、幾つが不交付団体で、幾つが交付団体なのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 平成二十六年度の算定における数字でありますが、都道府県については、四十七団体中、交付団体は四十六団体、不交付団体は一団体です。

 市町村については、全千七百十九団体中、交付団体は千六百六十五団体、不交付団体は五十四団体となっております。

吉村委員 不交付団体は五十幾つとおっしゃいましたか。五十四。

 都道府県においては一つだけ、東京都になると思います。日本で第二の都市と言われている大阪府でさえも交付団体になっている、国に頼っているというような状況です。

 市町村を見ても、千七百十九あるうち、千六百六十五団体が交付を受ける団体になっている。五十四団体のみが不交付団体。

 その五十四というのも、内訳は示しませんけれども、例えば大きな発電所があるようなところとか、ちょっと特別なところがこの不交付団体になっているとは思うんですけれども、普通に考えると、もうほとんど全て、日本第二の都市ですら交付団体になっているというような状況です。この数だけ見ても、制度自体が破綻しているんじゃないのかなというふうに思っております。

 そして、その原因はどこなのかということをちょっと考えていきたいんです。

 マクロで見てで結構でございますけれども、基準財政需要額、これは個々の実際の積み重ねにはなるんですけれども、地財計画から発展して基準財政需要額になっていくわけですけれども、この基準財政需要額自体が僕は問題じゃないのかなというふうに思っていますので、マクロで見た上での基準財政需要額の総額、それから基準財政収入額、その差し引きが措置する金額になってくるわけですけれども、基準財政需要額と基準財政収入額の総額の差というんですか、それは過去十年間どういった推移で動いているのか、教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 十年間ということでございますので、平成十七年度から平成二十六年度までの状況について申し上げます。

 基準財政需要額については、平成十七年度は四十四兆九千八百九十七億円でしたけれども、その後、おおむね増加傾向が続いておりまして、平成二十六年度には四十八兆六千三百二十億円となっております。

 一方、基準財政収入額ですが、平成十七年度は二十七兆三千八百四億円でありました。ここから増加していきまして、平成二十一年度には三十兆五千七百七十六億円となりました。しかし、リーマン・ショックの影響によって、平成二十二年度に二十五兆六千七百五十一億円まで落ち込みました。その後、回復基調にありますが、平成二十六年度は二十八兆六千五百六十六億円となっております。

 この結果、この需要額と収入額の差額ですが、平成十七年度は十七兆六千九十三億円でありましたものが、収入額が落ち込んだ平成二十二年度は二十二兆三千九百五十三億円に増加し、平成二十六年度は十九兆九千七百五十四億円になっております。

吉村委員 結局、この基準財政需要額の算定式自体も僕はおかしいなと思うところがあるんですけれども、なかなかこれが減らないわけですね。むしろ、平成十七年から十年の推移を見ていくと、全体では上がっていっている傾向にある。財政が非常に苦しい中でもこれが上がっていっている。そして、片や基準財政収入額、これについてはほぼ横ばいということです。

 大体、本来であればこの基準財政需要額と収入額というのは近くなってこないとおかしい、近くなってこないと財政はよくならないわけでございますけれども、国全体で見たときもそうです。そういったときに、この二十兆ぐらいの差をずっと続けている。これは借金がふえるに決まっている、そういった構造になっているというふうに思います。

 ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、この基準財政需要額がふえ続ける、あるいは全然減らない、そういった原因についてどのように思われているのか、お伺いしたいと思います。

高市国務大臣 この地方交付税というのは、地方団体が標準的な水準の行政を行うために必要な財源を保障するものであります。ですから、全国の地方団体が法令により義務づけられている事務や、全国普遍的に取り組まれている事務に係る財政需要を基準財政需要額として算定しております。

 近年これが増加しているのは、法令等によって地方団体に支出が義務づけられている経費、とりわけ介護保険制度、国民健康保険制度、後期高齢者医療制度、保育所運営費等の社会保障関係経費が大幅に増加しているという要因が大きいと思っております。

吉村委員 結局、原因分析されると、高齢化が進んでいっているということであれば、今後これはますます、例の歳入対歳出のワニの口ではないですけれども、基準財政需要額と収入額のずれが今の計算式を放置しておくと広がっていくのじゃないのかな、そして、今の仕組みを放置しておけば広がっていくのじゃないのかなというふうに思います。

 この基準財政需要額の算定方法なんですけれども、これは非常に複雑だと思います。なかなか、理解するのに時間もかかるでしょうし、地方財政というか、地方議員出身の方はよく御存じだと思うんですけれども、そうじゃない方でも、ちょっとこれを注意して見られている方じゃないと、この算定方法、どういった基準で算定されているんだろうということまでは目が行き届かないようなことになっているんじゃないのかなと思っています。

 どういうことかというと、費用区分、それから測定単位、単位費用、そして補正係数、そういった複雑なものを掛け合わせて、そして、法律で全てが決まるわけじゃなくて、総務省で決められるような係数もあるわけですね。これ自体がほぼブラックボックス化していっているんじゃないのか、もっと透明なルールが必要なんじゃないのかなというふうに思います。見える化を図ることによって初めて批判を受けて、批判を受けて初めて制度は変わっていくと思いますので。

 そういった意味で、恐らくそういった問題意識があったんだろうと思うんですけれども、包括算定ということで、新型交付税が平成十九年に導入されています。これは、人口、面積などの客観基準を用いると。

 これで全てオーケーというわけではないとは思いますけれども、こういった枠を拡大すべきだと思いますし、算定においても、新型交付税じゃない部分についても一定の、客観的なルール化というか規則化を図っていくべきだというふうに思いますけれども、これについてどう思われるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、地方交付税、今は地域間に大きな税源の偏在というものがあります中で、財政力の格差を調整して、全国どのような地域であっても一定水準の行政を確保するために必要な財源を保障するというものです。

 そのために、交付税の算定に当たっては、先ほど申し上げた社会保障ですとか教育など、法令によって一定の基準づけをしている事務事業について、ここは精緻な算定を通じて的確に財源保障するという必要があります。

 一方で、交付税制度については、やはり簡素化をするという視点も重要だと考えております。従来より、補正係数などの簡素化に取り組んできたんですけれども、特に、平成十九年度からは、国の基準づけがない、また弱い行政分野については、人口と面積を基本として簡素な算定を行う包括算定経費を導入しました。これは、委員が御指摘くださったとおりです。

 この包括算定経費の枠を拡充するということに当たっては、やはり地方分権を大幅に進展していくということによって、各行政分野において、国の基準づけの撤廃をするとか、それから大幅な削減をするとか、こういったことをしなければならないと考えております。

 ですから、交付税の算定に当たっては、公正公平な算定を行うという観点に立って、それぞれの経費の性質に応じて、精緻な算定と、それとさっきおっしゃった簡素化のバランス、これを保つことが重要だと考えております。

吉村委員 できるだけ客観的な、わかりやすい簡素な仕組みでやっていくべきじゃないのかなというふうに思っております。

 国がどこまで関与するのか。国がやるべきこと、そして地方がやるべきこと、そこの役割分担、責任範囲をしっかり分けるというのが大きなところでは大事な時代に突入してきているんだろうなと思います。国が保障すべきナショナルミニマムの部分をどこに設定するのか。今は、国が、政策誘導じゃないけれども、これとこれをやりなさいと地方にほぼ言っているような状況だ、そのように思います。

 その大もとになっているのが地方財政計画です。先ほどの基準財政需要額もそうですけれども、この地方財政計画というのは国が決めているような状態だというふうに思いますけれども、この地方財政計画というのは一体、今どこが決めてやっているんですか。

佐藤政府参考人 地方財政計画は、翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込み額に関する書類ということでございまして、地方交付税法第七条に根拠がございます。内閣において作成し、これを国会に提出するとともに、一般に公表するというものでございます。

 具体的に、政府の内部におきましては、総務省設置法に基づいて、総務省が原案を作成し、閣議に付し、閣議決定を行っているところです。

吉村委員 結局、地方の財政の計画、これを全部国が決めているんです。肝心かなめのその執行者である地方については、その決定権について、全く関与していない。意見は当然聞いているんでしょうけれども、意思決定に全く関与できないような仕組みになっている。これをちょっといいかげんどうにかしないといけないのかな、ここが大もとなのかなというふうに思っております。右と左で歳出と歳入を決めて、歳出は国がほぼ全部決めていくというような、そういった状態です。

 そういった意味で、この地方財政計画に地方がどうして参加していないのか、意思決定に地方も参加すべきじゃないのか、そういった制度を構築すべきじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今局長が答弁しました地方交付税法第七条の規定に基づいて、内閣として策定するということなんですけれども、これはなぜかというと、多くの行政分野で国と地方の役割分担などを法令によって定めて、地方に支出を義務づけているということで、国として、地方団体が標準的な行政水準を確保できるように、まず地方財源を保障するということ、それから、国の予算に計上された施策ですとか事業を盛り込んで、これらが着実に実施できるようにしている、こういった役割を持つものが地方財政計画だからです。

 何で地方が参加していないのかということなんですけれども、平成十七年度から、地方財政収支に係る地方団体の予見可能性を高めるために、夏の段階において、翌年度の地方財政収支の仮試算ですとか地方財政の課題について公表していますし、今年度も、二十七年度の概算要求とあわせて公表しました。

 そして、地方とのお話し合い、意見を聞く機会も多く設けております。二十七年度の地方財政対策については、十月二十一日に国と地方の協議の場を設け、十一月七日に全国知事会議で、そして一月八日に全国知事会議、そして総務大臣と地方六団体との会合、一月九日にまた国と地方の協議の場、こういった会合を積み重ねてきて意見交換を行っております。

 ここで出た意見を踏まえて、地方財政対策については決定いたしました。地方六団体からも、地方の要望を酌んで、地方の一般財源総額を六十一・五兆円として、前年度を大幅に上回る額を確保したことを評価するなど、声明をいただいております。

 地方の意見はしっかりとお聞きしながら、適切に反映してまいります。

吉村委員 当然、意見を聞いて協議をする場があるのは当たり前だと思うんですけれども、大事なのは、そこに、決定するその責任にかかわっていないということですよ。結局、その責任の所在が不明確になっているのが、今の地方財政をこれだけ膨らませている原因だと思います。

 当然、地方からすると、甘えもあると思います。地方においても、できれば、国がちゃんと保障してくれるのであればその保障をしてもらって、今目の前にいる有権者に対してちゃんとしっかりする、それでいいじゃないかというふうな、ひっきょうそういう思いになってくると思うので、やはり将来を見越した上では、国が全てを決めていって上からまいていくというような、こういった計画も含めてですけれども、そういった制度というのはどこかできっちり考え直さないといけない、もうその時期に来ているのかなというふうに私は思っています。

 このあたりの問題意識についてなんですが、維新の党は、そういう意味で、消費税の地方税化と地方交付税の廃止というのを主に政治的な主張として掲げています。これは二つでセットです。

 そして、それとは別に、政府の諮問の委員会として地方分権改革推進委員会という、その勧告を受けています。これは、自民党時代につくられて、途中、民主党に政権交代はありましたけれども、政府の諮問機関の意見ということで、こういうことが書かれています。

 中長期的な課題ということで、地方税の充実と望ましい地方税体系はどうあるべきかというところで、みずからの歳出はみずからの財源で賄い、受益と負担の明確化を図ることが自治の原点である、地方の自己決定、自己責任の体制を支える自治財政権を確立するためには、地方自治体みずからが課税権を持つ地方税を充実することが最も重要である、また、地方税を充実する場合には、その税目は応益性を有し、薄く広く負担を分かち合う性質のものであること、さらには、税源の地域的な偏在性が少なく、税収が安定した性質のものであることが望ましい、今後は、このような方向性を明確に掲げて地方税改革を進めていくべきであるというふうに書いています。

 ここで明確には消費税と言ってはいないですけれども、税の種類を考えていったら消費税かなというふうに思うんですけれども、そういった問題意識が提起されているわけでございます。我々も問題意識は共通しておりまして、では、どうするかということで、消費税の地方税化、そして交付税の撤廃ということを掲げているわけでございます。

 では、それが成り立つのかという話なんですけれども、今のこの数字をちょっと分析すると、地方交付税が約十六兆ですね。消費税総額は約十五兆です。平成二十七年度の見込みは、消費税は十七兆のようです。

 地方交付税は、国税五税に一定比率を掛けて算定するわけです。これをもうやめて、交付税は地方に配らない、国税としてそのまま使う。消費税に掛け合わせて交付税分を算定している分が二二・三%ございますけれども、これは約四兆円です。それを除いて、国税としてそのまま使うとなれば、それで国から見れば約十二兆円の財源が生まれてくる。十二兆円浮いてくるわけですね。

 他方で、消費税、これは今八%で、そのうち一・七%が地方消費税、六・三%が国税で、税収は約十五兆なので、全て地方税化すると六・三%の部分、これが十二兆円になるわけです。

 ですので、消費税を地方税化して、消費税の交付税措置されている戻りの部分をもうなくすということにすると、これはほぼほぼ十二兆円でバーターになる。これをチェンジして、交換して、プラマイ・ゼロというような状況になるのかなというふうに思っております。

 当然、幾ら消費税が偏在性が少ないといっても、これはあるわけでございますから、それについては、その地域間格差を是正するという意味では、地方共有税としてそういった水平調整をするような機構をつくって、現在の社会保障の水準、これは将来どうあるべきかというのもあるんですけれども、現在の社会保障の水準を維持する。それによって、受益と負担の関係、これが非常に明確になると思うんです。地方の自立も促されるというふうに思います。

 この点について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 いろいろな御提案がありました。

 まず、消費税を地方税化するというお話でしたけれども、消費税は、社会保障・税一体改革において、現行の地方消費税収一%分を除く消費税収について、全額社会保障財源化されています。

 だから、この消費税を全額地方に移管するとしたら、社会保障について地方に相当大きな責任を担っていただく必要がありますけれども、これが結果的に大きな地域間格差を生じさせることにもなりかねないと思いますので、極めて慎重な検討が必要だと思います。

 それから、水平調整のお話もございました。

 地方税収の一部を財源として、地方団体相互間で税収格差を調整するというようなお考えなのかと思うんですけれども、そうなりますと、ほかの地域の行政サービスに充てるために地方税を徴収するということについてどう考えるのかとか、あと、ほかの地域に拠出する側の住民の理解が得られるのかといった課題があるんじゃないかなと想定いたしております。

 それから、我が国では、多くの行政分野で国と地方の役割分担を法令によって定めておりますから、やはり、地方団体間の財政力格差がある中で、どのような地域でも一定水準の行政サービスを提供できるように財源を保障するということは国の責務だと私は思いますので、これを地方団体相互間の調整に委ねてしまうというのは少し課題が多いのかな、そのように思っております。

 つまり、交付団体や不交付団体など立場が異なる地方団体の相互間で調整するための合意形成を図るというのはすごく容易ではない、そんなふうに感じます。

 それから、課税自主権にも言及がございました。

 地方消費税は、確かに、税源の偏在が小さくて税収が安定していますから、地方税にはふさわしいと思います。現行の仕組みでは、一定税率でかつ国に徴収委託をしているという点で、課税自主権の発揮の余地がないということが指摘されています。

 これは何でかといえば、地方消費税導入の際に、納税者の事務負担を考慮する必要があったということと、あと、多段階型の付加価値税という地方消費税の仕組みから、地域ごとに異なる税率に基づく税収を各地域に適切に帰属させる、そういう仕組みを構築することが困難であったということによるものです。

 でも、一方で、有識者から、カナダの付加価値税である協調売上税、これで州ごとに異なる税率となっていることを踏まえて、将来的に地方消費税に課税自主権を導入すべきだという提言もいただいております。

 ですから、今の時点では、消費税率、地方消費税率の一〇%への引き上げを控えている現時点におきましては、直ちに一定税率を見直すといったことは困難なんですけれども、やはり、地方の基幹税としての地方消費税のあり方で、賦課徴収に関する地方団体の役割の拡大ですとか、あと、課税自主権の拡充ですとか、こういったことについては、今後とも研究を進めてまいりたいと思います。

吉村委員 私、数字を申し上げたのは、財源ベースでいうと、先ほど申し上げた十二兆円のバーターになるので、国税が減るわけではない。ですので、国としてやるべき範囲をしっかり決めてやれば、その財源は生み出せるというふうに思います。国の役割、地方の役割をどこまでにするのかという、そこの受益と負担の明確化をしっかりするということが大切だろうというふうに思っています。

 地域間の調整、これについては、結局、今もやっているわけですよね、国が。地方で上がった税収、都市部とそうじゃない部分、それは地域間格差をなくしていく、なくすというのは大事なことだと思います。その調整というのは今もやっているわけです。その機関をずっと国が地財計画に基づいて国だけがやり続けるとなると、見えないんですね。見える化が図れない。だから、その受益と負担がいつまでたっても明確にならない。そして借金が膨れ上がって、さっきのグラフがどんどん右肩上がりに上がっていくということだと思います。

 水平調整、地方共有税のようなものをつくって、そこで、当然技術的な、テクニカルなところはつくっていかないといけないとは思います。それをしっかりつくることによって、その責任の所在、そして受益と負担を明確にする。そして、今でもこの調整というのはやっているわけですから、それを明らかにしていくということが地方の自立を促すという意味では大切なんだろうと思います。

 この社会保障に関して、何か急に格差が生じるかのような御答弁なんですけれども、今の社会保障制度も地方が負担しているんです。実際、地方が、自分たちがまず担い手としてあって、そして自分たちが負担している部分がある。大体、国が四、地方が六ぐらいの割合でたしか負担していると思います。

 ですので、そういう意味で、今もこれは地方が負担しているわけですから、国がやるべき範囲をしっかり明確にして、この複雑な関係というのを正していく。そして、地方共有税にして地域の格差がなくなるような仕組み、そこをしっかり見える化を図っていく。

 果たしてこの受益が適当かどうか、そういうのを地方間でしっかりと協議してもらう、そういった仕組みが今ないわけですね。それが続いて、今、例えば日本から石油がぼんぼん出てきて右肩上がりだったら別に私もこういうことは言わないですけれども、将来、これは見込めているわけですから、そういった見える化を図るということ。そして税源のチェンジによって税源も確保できるという意味では、しっかりと、国がもうそろそろ地方を手放して、地方が自立的にやっていける、そして受益と負担を明確にしていく、そういった仕組みが必要だと思います。

 大臣の御答弁は、なかなかそれは難しいということだと思いますけれども、日本の将来像についての、地方交付税のあり方について、大臣の政治的な思いというか御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 やはり将来的には、それぞれの地方がしっかりと力をつけて自立していく、自分たちの地方で、地方独自の取り組みについては自分のところで全部賄える、そういう形になればいいんですけれども、他方、やはり、現在、地方創生ということを内閣の最重要課題として掲げて、日本全国どこでも安全に暮らせる、質の高い教育を受けられる、必要な社会保障サービスが受けられる、そういった姿を目指してということを私も所信表明で申し上げました。

 依然、やはり税源の偏在というのがあり、地域間に格差がありますから、国民の生存や、そして健康で文化的な暮らしのために必要なサービスがしっかり受けられる、そういう状態にするための調整機能というのは必要だと思います。

 将来に向けては、先ほど申し上げましたように、消費税というものの扱いについては研究の余地が十分にありますし、前向きに研究課題として取り組んでまいります。

吉村委員 前向きに研究課題に取り組んでいただきたいと思いますし、それほど時間が残されている分野でもないと思います。受益と負担を明確にしないと地方は自立しません。今の地方交付税制度では、地方は自立する仕組みになっておりません。

 我々は、その改善策として交付税の廃止と消費税の地方税化ということを掲げているわけでございますけれども、ここは今後もしっかりと主張していきたいというふうに思いますし、そしてまた問題意識を共通で持っていただいて、新たな策を練っていただきたいとお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

桝屋委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 公立保育所の問題について質問したいと思います。

 前回の質問で、公立保育所が減らされている実態をお伺いいたしました。市町村が減らす理由に、一般財源化で公立保育所の財源確保が難しくなったという声が出されております。公立は、障害児の受け入れ、そして、例えば広島の土砂災害でも一時保育をするなど、採算性にとどまらない、なくてはならない役割を発揮していると考えます。

 公立保育所を市町村が維持する意義について、総務大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 子ども・子育て支援法第三条の規定によりまして、市町村は、子供の保護者の選択に基づき、多様な施設または事業者から、良質かつ適切な教育及び保育等が総合的かつ効率的に提供されるよう、その提供体制を確保する責務が課される、そういうことになりました。

 また、児童福祉法第二十四条第一項によりまして、認定こども園などによる保育のほか、市町村が保育所において保育すべき実施義務が課されております。

 こうした規定に基づきまして、市町村は、地域の幼児教育、保育などに係るニーズを踏まえて、その供給体制を整えるに当たっては、民間の事業者を活用するか、みずから直接運営するかなどを含めて、それぞれの地域の実情に応じて判断されると認識しております。

梅村委員 今ニーズのお話がありましたが、前回の質問でも引用させていただきましたが、公立保育所、認可保育園を希望する声は大変高いものがあると思います。

 それで、三位一体改革のときに、公立保育所に関する運営費や整備費、これが交付税算定となり、一般財源化された経過があると思います。

 そこで、四月からの子ども・子育て新制度で、公立保育所が使える制度があるかどうか、確認させていただきたいと思います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生御指摘のように、公立保育所の整備費あるいは運営費につきましては一般財源化とされましたけれども、一般財源化している経費以外で使える補助金といたしましては、例えば、障害児を受け入れるための必要な改修費ですとか、それから小規模保育を開設するための賃貸物件の改修費、あるいは、保育教諭を確保するため、幼稚園教諭免許状を有する者に対する保育士資格取得に対する費用ですとか、あるいは、家庭におきまして保育を受けることが一時的に困難となった場合におきまして乳幼児を預かります一時預かり事業の運営費などにつきまして、公立保育所も対象としているところでございます。

梅村委員 幾つか確認できたと思います。まだ現場の保育士さんや関係者はそういう制度を知らないと思いますので、ぜひ、適用できるということを私たちも広げていきたいと思いますし、さらに公立保育所への支援も強めていただきたいなというふうに思っているところです。

 それで、公立保育園、地域の保育水準を規定する役割を持ちますし、豊かな保育実践を積み重ねた公立保育所を維持させることは、民間も含めた地域の保育水準を高め、発展させていくと思います。重なりますが、一般財源化で財源の確保が厳しくなった、繰り返しそういう発言が出てきておりますので、他の施設と同じように、国庫負担補助に復活をさせて、自治体の公立保育所の新設や建てかえ、改築、耐震化を支援することも強く検討を要望したいというふうに思います。

 続いて、公立保育所で働く保育士について伺いたいと思います。

 政府は、女性の活躍を目指すとされております。保育士自身が、圧倒的に女性が多い職場であります。さらには、働く女性を支える重要な役割を果たすのが保育所だと思います。高市大臣は所信で、「ローカルアベノミクスの取り組みをさらに加速して、各地域で雇用と所得が拡大し、家計で景気回復を実感していただけるようにしたい」とおっしゃいました。

 それで、公立保育所の保育士は地方公務員であり、臨時、非常勤職員、臨時的任用職員も地方公務員法でその職の位置づけ、任用根拠が示されているかと思います。保育所は非正規に支えられており、補助にとどまらない役割を担ってきております。非正規から正規に促すべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 地方公共団体では、保育士だけでなく教員など女性が活躍しておられる職場がたくさんございます。

 総務省においては、育児休業制度など各種制度の整備拡充、それから、女性職員の登用拡大ですとかワーク・ライフ・バランスの推進などの働きかけ、テレワークの活用事例など女性活躍促進の先進的な取り組みの紹介などを通じて、地方公共団体における女性職員がその職務に応じて働きやすい環境の整備を進めてまいりました。

 一方、地方公共団体におきましては、多様な行政サービスに対応していく必要がございます。例えば早朝保育だったり、延長保育だったり、少人数学級だったり、こういったニーズはあると思います。

 それとともに、さまざまな働き方へのニーズもあるかと思います。パートタイムもしくは隔日で勤務をしたいというようなことで、御家庭の事情ですとか自分の体力に応じた働き方、これを選択することによって公務の場において仕事を得たい、こういったニーズもあるんだろうと思っております。

 ですから、地方公務員法において、正規職員、それから任期つき職員、臨時、非常勤職員など多様な任用形態そして働き方を用意しているということでございます。

 地方公共団体におきましては、任命権者がつけようとする職務の内容等を判断し、必ずしも正規職員によることを要しない場合には、臨時、非常勤職員などの多様な任用、勤務形態を組み合わせることにより、組織において最適と考える任用、勤務形態の人員構成を実現し、最も効率的な行政サービスの提供を行うということが重要だと思います。

 総務省としましては、臨時、非常勤職員等の任用について、制度の趣旨に応じた任用、勤務形態が確保されるように、昨年の七月に地方公共団体に対し通知を発出したところであります。女性の活躍を促進するという観点から、今後とも、この通知に基づいて必要な助言を行ってまいります。

梅村委員 多様な形態が必要だというふうにおっしゃられました。

 今働いていらっしゃる保育士さんは、本当に正規と同じような職種をしながら、もう補助ではなくなっているにもかかわらず待遇が違い過ぎる。正規になりたいと思っていらっしゃる人もなれないというところが私は問題だというふうに思います。

 この間の臨時保育士の増加は、私たちの予想を超えるスピードで広がっていると思います。実際、市町村が定員をなかなかふやせないもとで起こっている。総務省が二〇〇五年から二〇〇九年まで行った集中改革プランを初めとする行革が、保育士も含めた必要な人材確保の障害になっているのではないかということも思います。

 ことし二月、都道府県財政課長・市町村担当課長会議で総務省の財政課長さんが、定員削減というのが難しい状況になりつつあるという現実を踏まえて対応していることだが、だからといって、やはり行革の努力というのは続けていただかなければいけないので、そういう努力は今後もお願いしたいと思っていると発言されました。

 こうした姿勢、やり方は、現場の非正規の方が、同じような仕事をやっているんだから私も正規になりたいと願っていらっしゃる方は、実際たくさんいらっしゃるんですね。そういう願いのやはり障害になる、壁になる、そういう役割を果たしているのではないかとも思いますが、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の職員数につきましては、先生御指摘ございました、平成十七年から平成二十二年の五年間、行革推進法などに基づき、各地方公共団体に対しまして、具体的な削減目標を掲げました集中改革プランを策定するよう要請していたところでございます。

 この結果、地方公共団体の職員数につきましては、平成十七年から平成二十二年までの間、約二十三万人減少しており、公立保育所の保育士につきましても、保育所の民間委託や民間移譲の進展等によりまして約一万一千人減少しているところでございます。

 ただ、この集中改革プランの期間終了後につきましては、総務省として、各地方公共団体の定員管理につきまして、地域の実情を踏まえつつ、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むよう、助言をしているところでございます。

 例えば、仙台市、さいたま市、広島市など保育需要の高い大都市におきましては、保育士をふやしている地方団体も見受けられるところでございます。

 各地方公共団体におきましては、地域の行政需要の変化に対応しためり張りのある人員配置を行うなどいたしまして、適正な定員管理の推進に取り組むことが重要であると考えてございます。

梅村委員 今、ふやしているところもあるとおっしゃいましたが、これは前回も質問させていただきましたけれども、待機児童解消などでお母さんたちが役所に行って、保育園をつくってほしい、保育士をふやしてほしい、やはりこういう声に応えられたものでもあるというふうに思います。

 それで、次にお伺いしたいのは、それでは公立保育所の臨時職員の人数、その割合などはどうなっておりますでしょうか。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 地方公共団体における臨時、非常勤職員は、地方公共団体のさまざまな業務に従事していただいております。このため、臨時、非常勤職員である保育士の数だけを区別して把握することは行っておりません。

 なお、保育士のほかに、施設内介護職員、介助員、ホームヘルパー等を含めました保育士等という区分では調査しているところでございまして、この保育士等と区分されている職員数につきましては、平成二十四年四月一日現在で、約十万三千人となっております。

梅村委員 今の御答弁では、非正規の保育士さんだけではつかんでいない、介護職員と一緒の統計になっているということでした。

 やはり、これだけ政府を挙げて保育士の確保プランなどをしているわけですから、私は、しっかりと保育士と介護職員などを分けて、そしてそれぞれの実態も違うわけですから、ぜひ施策をしていただきたいなというふうに思います。

 私たちが調べたところによりますと、埼玉県の保育問題協議会の調査では、町村と一市を除く三十九市がつかむ限りで、非正規率は四六%になってきております。

 そして、自治体の中でも、実数で比べると、約半数の自治体で正規よりも非正規の方が多くなってきております。東京の自治労連と明星大学の垣内国光研究室がまとめたアンケートによりましても、東京の二十三区以外の市町村部だけで見ると、何と非正規率は五七・六%になっている。だから、補助的な役割だけではなくて、この数字から明らかなことは、東京の二十三区以外のところでいえばもう六割近くが非正規で保育所が支えられているという実態があるわけです。

 今回、私は、こうした非正規の方々がどんな思いで保育士をされているのか聞いてみました。

 茨城県のある保育士さんに聞いたところ、この方は、半年ごとの更新、いつ雇用が切られるかずっと不安な思いを持ちながら働いている。そして、正規保育士との関係の難しさも出てくる。先輩の臨時保育士さんからは、退職金はないと聞いた。時間給で働いても、月十一万円から多いときで十二万円。産休、当然育休もありません。年休は半年で五日、あと休むと欠勤。未満児を特に保育する場合は、小さいだけに保育士とのかかわりが大事で、半年で保育士が変わるというのは子供自身にとっていいのか不安になります。そして、臨時とはいっても、資格のある保育士としてのプライドがあります、もっと認めてもらいたい。

 こういうふうにおっしゃっておりますが、この保育士さん自身も、小さなお子さんを子育て真っ最中。そして、これからを担う、意欲ある保育士さんがこのような中で働いていらっしゃることをしっかりと受けとめなければいけないと思っております。

 保育士は、その人の一生の土台を築く最も大事な乳幼児期の子供の成長をつくるとともに、大事な命を預かる、責任が重く、専門性が問われる仕事だと考えます。だからこそ、保育士自身が経済的にも不安から解放されて安心して働き続けられる身分、条件であることが大事だと思います。

 安倍首相自身が、我が党の公務職場の非正規問題に関する質問に対して、正規に移りたい人が正規に移っていくことができる道をしっかりと広くしていきたいと考えていると答弁されているわけですから、先ほど質問させていただきましたが、やはり、自治体職場、公務職場である公立保育所から、非正規から正規への流れをつくり、民間を引っ張るような、保育士全体を引っ張るような、そんな努力を政府としてつくり出していただきたいと強く思うところであります。

 国は、先ほど御紹介しましたけれども、待機児童解消加速化プランの中で、二〇一七年までに、必要となる保育の確保を目指すとされて、これから六・九万人の保育士を確保するという計画ではありませんか。今、全国の保育園の中で約半数が公立保育園になってきているわけですから、ここに働く非正規の数と実態をつかまずして、どうやって六・九万人の保育士を確保するのかというふうに思います。ぜひ、公立の保育士の非正規の実態をつかんで、このプランを進めていただきたいというふうに思います。

 そこで、次に伺いますが、非正規の給与実態と、それにどのように対策を打たれているのか、伺いたいと思います。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 非正規とおっしゃいましたけれども、臨時、非常勤職員の任用、処遇につきましては、本来、地方公務員法に基づきまして、地方公共団体が任命権者として責任を持って適切に判断いただくべきものと認識しております。

 先ほど委員より、非正規の割合というようなこともございましたけれども、臨時の方は臨時の職に充てられるものでございますけれども、具体的にそこで働いていただく内容については、フルタイムの方もいれば、極めて短時間の方もいると思いますし、さまざまな形態があり、そういった方が含まれている中で、一律に割合、人数をもって判断することはなかなか難しいと考えております。

 私ども、地方公務員法の立場では、地方公務員の給与につきましては、地方公務員法第二十四条の規定によりまして、職務と責任に応じて決定するという職務給の原則が適用されるところでございます。

 臨時、非常勤職員の場合は、任期を限って臨時的、補助的な業務で任用されるものであることに鑑みまして、それに対して適正な報酬を支給するということになってございます。

 こういった趣旨につきましては、これまでも通知によって自治体に伝えているところであり、今後も適切に助言を行っていきたいと考えております。

梅村委員 御答弁で、適正に図っているということでしたが、実態は、私はそうではないというふうに思います。

 埼玉県労働組合連合会の自治体への聞き取り調査でも、大体、時給平均九百七十円、一番低い市町村ですと八百三十八円、さきに紹介した個別アンケート、東京の中の非正規の皆さんを対象にしたアンケートでも、年収二百万円以下が八〇%、八割になっているわけです。まさに、働くワーキングプア、公務といえども深刻な実態があることをぜひつかんでいただきたいなというふうに思います。

 さて、繰り返し任用の問題も重大になってきていると思います。

 先ほどの東京自治労連がまとめたアンケートでも、五年以上が五六・七%、十年以上で三二・五%いらっしゃるとのことです。これもお話を伺ったんですけれども、ある半年更新を繰り返している非正規の保育士さんは、半年更新なんですけれども、クラス担任を持っているわけですね。補助的な仕事ではないわけなんです。正規職員と同じように、指導表や児童票などの担当もされている。

 また、埼玉のある市では、繰り返し任用されている保育士さんが、障害児の担当となって責任を果たされていると聞きました。

 昨年十月、我が党の吉良議員の質問に対して、高市大臣は、繰り返し任用されている非常勤職員の状況について、勤務の内容に応じた条件を確保していくことが必要とおっしゃいました。ふさわしい処遇改善がなかなか進んでいないのではないかなというのを私たちが聞いたところで感じるのですが、そこら辺の御認識を伺えればと思います。

高市国務大臣 先ほど部長から、地方公務員法第二十四条の話を申し上げました。職務と責任に応じて決定するという職務給の原則、これが地方公務員の給与については適用されます。

 臨時、非常勤職員は、任期を限って臨時的、補助的な業務に任用されるものということに鑑み、純粋な労働の対価としての報酬を支給するということになっています。

 一方で、正規職員は本格的な業務に従事し、長期継続雇用のもとでさまざまな職務を経験していくということが想定されており、昇給の仕組みがあるということで、正規職員と臨時、非常勤職員は、職務の内容、性格を異にしておりますから、給与の体系や給与の水準も異なります。

 しかし、臨時、非常勤職員が正規職員と同じ仕事をしているのに待遇が異なるという声がある、こういったことについては、仮に、正規職員と同様に本格的な業務に任期を限って従事させるという場合には、それに見合った給与の支給、これを可能にしなきゃいけませんから、それを可能にするための任期つき職員制度を、平成十六年以降、地方独自に整備拡充しております。ですから、総務省は、この制度の活用を各地方公共団体に助言しているところであります。

梅村委員 適正な対応が必要だということを確認できるとは思いますけれども、同時に、であれば任期つきがいいかといえば、先ほどの声で御紹介したように、やはりずっと働き続けたい、そういう思いが現場の保育士さんにはたくさんあるわけですから、そういう現場の保育士さんの願いとの関係でいえば、やはりしっかりとした正規につかせていただくという道を広げていただくことが大事かというふうに思っております。

 それで、先ほど御紹介した個別アンケートでは、この労働条件について改善したいこととして、今の待遇の違いとも関係あるんですけれども、ボーナスの支給、退職金の導入、改善が、四割の方から強い要望が寄せられております。

 例えば、先ほど紹介した埼玉県の保育問題協議会の調査では、埼玉県内で把握できた五十一町村のうち、五一%で非正規には一時金がないという結果になっております。例えば、臨時保育士歴十六年という方から、毎年一年ごとの更新となり、一カ月の待機期間を経て再任用されるので、連続雇用ができない、一時金は年二回とありますが、再雇用月によって二回もらえることがないと伺いました。

 雇用の継続の実態があるにもかかわらず、一時金は支給できないのでしょうか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 臨時的任用職員は、臨時的な業務を処理するために、最長一年以内の任期で任用されるものでございます。

 期末・勤勉手当についてでございますが、フルタイムの臨時的任用職員にも支給できるものとなっておりますが、その在職期間が、期末・勤勉手当の基準日、具体的には六月一日及び十二月一日ということでございますが、その基準日時点で六カ月未満である場合には手当額が減ぜられる、あるいは基準日前一カ月より前に退職された場合には手当が支給されないということになるものでございます。

 ただいま申し上げました取り扱いについては、フルタイムの臨時的任用職員であっても、いわゆる正規職員であっても、同一の取り扱いとなっております。

 この点は、要すれば、臨時的任用職員の任期をどのように設定すべきかという問題にかかわるものでございまして、総務省では、臨時的任用職員の任期について、業務の遂行に必要な期間を考慮して適切に定めることが必要であると助言しているところでございます。

 言いかえますと、業務の遂行に必要のない期間については任期とする必要がありませんので、そのような期間がある場合には、当該期間に任期の設定をしない期間が生ずることはあり得るものと考えております。

 いずれにいたしましても、臨時的任用職員の任用につきましては、通知の内容を踏まえ、任命権者において適切な任期の設定が行われるよう、私どもとしても引き続き地方公共団体に助言をしてまいります。

梅村委員 先ほどの方も、もう十六年働いている。そして、今お話もありましたけれども、半年から支給できる、ただし空白期間中であれば支給できない、こういう矛盾があるわけです。

 今お話もありましたけれども、この通知で強調されている空白の是正が、この強い要望の一時金との関係でも大事だというふうに思います。ぜひ、強く是正を図っていくような御努力をお願いしたいと思います。

 そして、この問題は、賃金の問題、経験加算がされないという実態もあります。先ほど御紹介いただいた臨時、非常勤職員及び任期つき職員の任用などに関する通知、いわゆる七・四通知では、報酬などの制度や水準を定める際には、職務給の原則の趣旨を踏まえ、職務の内容と責任に応じて適切に水準を決定されるべきとあります。この内容には、経験加算も含まれるのでしょうか。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 地方公務員の給与につきましては、地方公務員法第二十四条の規定に基づきまして、先ほど来お答え申し上げているように、職務と責任に応じて決定するという職務給の原則が適用されるところでございます。

 臨時、非常勤職員については、任期を限って臨時的、補助的な業務に任用されるものであることから、純粋な労働の対価としての報酬を支給することとされております。

 職務給の原則によりますと、臨時、非常勤職員は、一般的には同一の職務に従事されておりますので、昇給等がございません。報酬額は、同一、定額となるところでございます。

 一方、仮に正規職員と同様の本格的業務に従事される場合には、地方独自の制度として任期つき職員制度を設けておりまして、これによれば、本格的業務に見合った給与の支給が可能となるところでございます。

 また、任期つき職員のうち、公的な資格を有するなど一定の専門的な知識経験をお持ちの人材の確保のため、特に必要な事情が認められる場合につきましては、昇給や過去の経験を踏まえた給与の決定を行うことも否定されないものと考えております。

 いずれにしても、地方公共団体が、法令に基づき、職務の内容、勤務形態等に応じた任用、勤務条件を確保できるよう責任を持って適切に対応していただくことが肝要でございまして、総務省として、今後も引き続き必要な助言等を行ってまいります。

梅村委員 繰り返しになりますけれども、先ほど御紹介しました臨時保育士の方の保育歴は十六年あられるわけです。実際には雇用が継続されている実態があるにもかかわらず、自治体から空白を求められているわけであります。三歳以上のクラス担任を持つことがあるというのに、一カ月クラス担任から外される。そのことによって一時金の支給もない。こういうことは、やはり是正が求められるというふうに私は思います。

 賃上げにつながる加算などの要望に応えることが求められていると思います。この空白に根拠がないことを確認したいと思いますが、それでよろしいのでしょうか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 再度の任用の場合であっても、新たな任期と前の任期との間に一定の期間を置くことを直接求める規定は、地方公務員法を初めとした関係法令において存在しないと考えております。

 このことにつきましては、昨年七月の通知においても明記しているところでございます。

梅村委員 そういう通知を出して御努力をしているということでありますが、まだそういう実態がたくさんあり、強い要望が上がっておりますので、ぜひ一日も早い改善などを重ねて申し上げたいというふうに思います。

 最後になりますが、非正規も正規の保育士さんも、やはり皆さんの共通した思いは、いい仕事がしたい、こういう願いだというふうに思います。

 先ほどの個別アンケートでは、講習や研修の経験がないという方が公立保育所でも五七・五%にもなっております。キャリアアップ、そういう中身を充実させていくということは大事だと思いますが、このような施策はどのように保障されているでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生がおっしゃいましたように、専門職である保育士も、やはりキャリアアップのための研修というのは非常に大事だと思っております。

 私どもとしましては、都道府県ですとかあるいは市町村が実施をいたしますさまざまな研修に対する補助をいたしております。

 例えば、初任者の研修ですとか、やはり一定の期間を得て、経験年数を得てさらにキャリアアップをしたい人たちの研修、あるいは管理的立場にあるような方々についての研修、そういった研修を実施し、それに対する補助を行っております。また、アレルギー対応ですとか事故予防といった専門性を高める研修も行っております。

 これらは、今御議論いただきました正規ですとかあるいは非正規に限らず、あるいは公立、私立に限らず対応しているというところでございます。

梅村委員 本当にいい保育がしたい、そういう願いに応えるような施策が広がることをぜひ要望したいというふうに思います。

 きょうは、公立保育園で働く非正規の保育士さんについて聞きましたが、これは、民間も含め、保育士全体の実態は極めて切実だということです。多くの保育士さんが、御自身の御家庭があり、子育てと両立しながら必死に情熱を持って仕事をしている、そしてその役割を果たされておりますし、そういう御努力があってこそ、私自身も含めてですが、働きながら子供を育てることができる、支えられているというふうに思います。

 そんな思い、この声に応えて、保育士さんの中での非正規職員の正規化と労働条件、待遇改善を強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 最初に、地方財政計画について何点か質問させていただきます。

 来年度の地方財政計画の規模を見ますと、今年度に比べて約一・九兆円ふえております。とりわけ、地方税と地方交付税などを合わせた一般財源総額は今年度より一・二兆円増で確保できたということは、一定程度評価ができるのだろうというふうに思います。

 ただし、来年度の地財計画について、民主党政権時代の二〇一二年に策定された中期財政フレーム、さらに、現政権のもとで二〇一三年に閣議了解された中期財政計画の双方において、二〇一五年度までは実質的に二〇一三年度の水準を確保する旨が決められております。

 一方、政府は、ことしの夏をめどに新たな財政健全化計画の策定を目指しているものと承知しております。

 二月に内閣府が示しました経済財政の中長期試算では、二〇一五年度に、二〇一〇年度と比較して、基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの対GDP比の赤字比率を半減させる、この目標については何とか達成できる見通しというのが示されております。

 問題は、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化です。

 総理は、事あるごとに、この目標について堅持するということを言明されております。しかし、消費税率が一〇%に引き上げられ、なおかつ、毎年名目で三%、実質では二%という、現時点ではとても、非常に高い経済成長率、私はなかなかこの実現というのは難しいと思いますけれども、仮にこれが達成されたとしても、二〇二〇年度には九・四兆円の赤字が残るという実態にあります。そういたしますと、この九・四兆円、歳出部分で削減すべきという声が当然高まってくるのだろうというふうに想像できます。

 実際、一月三十日の経済財政諮問会議の議事要旨を見させていただきますと、民間議員の方から、「財政分野について特にターゲットにすべきは、地方行政サービスの改革と社会保障サービスの改革である。」改革という言い方をされておりますけれども、簡単に、もっとわかりやすく言えば、地方財政の経費、それから社会保障費の歳出削減、これをターゲットにするということは、私は一目瞭然なのではないかというふうに思います。

 歳出削減圧力が強まる中、この圧力にどのように対応していくのか、そして、中期財政フレームや中期財政計画から外れる二〇一六年度以降の地方財政経費についてどのような規模を想定されているのか、まずお聞きいたします。

高市国務大臣 我が国の財政は、国、地方を通じて巨額の公的債務が累積して、大変厳しい状況にございます。内閣としては、経済再生と財政健全化の両立を目指しているところであります。

 先ほど委員がおっしゃいました、国と地方のプライマリーバランスを二〇二〇年度に黒字化するという財政健全化目標、これは堅持するとした上で、当然、相当厳しい試算が出ていることも承知をいたしておりますけれども、その前提に立って、経済再生と財政健全化の両立を実現するために、本年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定することとしております。

 ただし、どのような項目をどのように盛り込んでいくかということは、今後の検討課題ということでございます。

 地方財政ですけれども、借入金残高は二百兆円程度で高どまりしていますから、財政健全化に向けては、歳入面でも歳出面でも最大限の努力が必要であります。歳入面では、本日も申し上げておりますが、アベノミクスの成果を全国に行き渡らせて地方税収の増を図るということが必要です。歳出面につきましては、これは国の取り組みと歩調を合わせて、めり張りをつけて重点化、効率化を図る、そして歳出構造を見直すということが必要であります。

 確かに、経済財政諮問会議で、地方行政サービスの改革ということに民間委員は触れられました。既に議事録で公表されているものでございますけれども、その中には、やはり地方行政、まだまだ生産性が低いじゃないか、効率的にやっていないじゃないか、無駄がたくさん発生しているじゃないかといったことも当然含まれます。

 例えばICT化、これなども、今、日本はブロードバンドの整備率はもう世界一という環境にあるけれども、利用率は国民全体で見ても半分ちょっとということです。

 ですから、もっともっと地方行政でも効率化するところは効率化していく、また民間の活力を活用できるところは活用していくといったところで、歳出削減に向けた、質を落とさずにいかに歳出を削減していくかといったところについて精いっぱいの努力を行っていくということです。

 その上で、地方団体が自主性、主体性、これを最大限発揮しながら地方創生に取り組んで、安定的に財政運営を行えるように、地方が自由に使える一般財源総額というものはしっかりと確保していきたいと考えております。

吉川(元)委員 しっかりと財源の確保をよろしくお願いしたいと思います。

 ただ、地方自治体の公共サービスといった場合に、もちろんICT化等々で省力化というのができる部分もありますけれども、圧倒的多くはやはりマンパワーに頼らざるを得ない、そういうニーズが非常に多いんだろうというふうに私は思います。

 経済財政諮問会議の二月十二日の会議での大臣の発言も読ませていただきました。その際には、民間委託やアウトソーシングの余地はまだあるというようなこともおっしゃっておられます。後ほどまた質問させていただきますけれども、この後、来年度の交付税の算定においては、行革努力あるいは地域経済活性化の成果を勘案している旨も強調をされております。

 以前もお話しいたしましたけれども、私の選挙区というのは中山間地域でありまして、例えばアウトソーシングや民間委託といった場合に、それを担い得るだけの民間がそもそも存在をしないという中で、自治体が果たす公共サービスというのは大変大きな位置を持っております。恐らく、東京を含めた大きな都市とはまた全く意味合いが違ってくるようにも私自身は感じております。

 そういうところがやはり元気になっていくというのが地方創生の大きな鍵になるんだろうというふうに思いますし、そこを重点課題とするのであれば、民間委託あるいは行革競争を奨励するのではなくて、地方に必要な経費、これをまずしっかりと確保していくということが大切なのではないかということを指摘させていただきまして、次の質問に移っていきたいと思います。

 それで、来年度予算の編成に当たって、財務省の方は、危機対応モードから平時モードへの切りかえということを強調しております。地財計画では、歳出特別枠と交付税の別枠加算の廃止というものが求められたというようなことも報じられております。歳出特別枠でいいますと、今年度の一・二兆円が八千五百億円に削減をされ、残りの三千五百億円が地方創生事業と公共施設の老朽化対策の一部に組み込まれ、結果的には今年度の水準が維持されております。他方、交付税の別枠加算については、六千百億円から二千三百億円へと削減をされてしまいました。

 歳出特別枠についてきょうはお尋ねしたいと思いますけれども、これは、リーマン・ショック対策として二〇〇九年に地方雇用創出推進費として五千億円の経費が計上され、それ以来、地域活性化・雇用等臨時対策費あるいは地域経済基盤強化・雇用対策費などと名称を変えながらも、多い年では一・五兆円規模の経費が措置をされてまいりました。発端はもちろんリーマン・ショック対策、そういう危機対応であったことは否定をいたしませんけれども、この間、ずっと続けられてきたという中において、一般財源を支える包括的な経費としての役割も私は担ってきたのではないかというふうに思います。

 歳出特別枠といっても、交付税の算定において需要額全体をかさ上げする役割を果たしてまいりました。大変厳しい地方財政の中で、自治体は、歳出特別枠を活用しながら、地域のニーズ、雇用対策や地域活性化も含めて努力してきたことは間違いありません。だとすれば、このいわゆる歳出特別枠、そういう臨時的で不安定な財源ではなく、自治体の基準財政需要額の積み上げを通じて必要な経費を保障していくことが必要ではないかというふうに考えますが、この点について、どのようにお考えでしょうか。

二之湯副大臣 平成二十七年度の地方財政計画におきましては、今おっしゃいましたように、めり張りをきかせた歳出の重点化、効率化を行うことといたしまして、地方の喫緊の課題である地方創生及び公共施設の老朽化対策について三千五百億円の財源を確保したわけでございます。

 一方、歳出特別枠一兆二千億につきましては、リーマン・ショック後の危機対応モードから平時モードへの切りかえを進める観点から、重点的に確保した歳出と同額、三千五百億円を減額いたしまして、八千五百億円といたしたわけでございます。

 これらをあわせて考えますと、歳出特別枠は実質的に前年度と同水準を確保しておりまして、臨時的な歳出を恒久的な歳出に見直すことができたところであります。

 平成二十八年度以降でございますけれども、経済再生の進展を踏まえて検討することになりますけれども、地方の喫緊の課題に対する財源の確保の必要性も十二分に考えていきたい、こういうことでございます。

吉川(元)委員 総額として、全体として確保できたということについては、それはいいんですけれども、結局、特別枠という形での、少し減っているということではありますが、こういうものがあると、いわゆる財務省からここは削れという圧力というのが出てきますし、実態としては平時モードにおいても必要なものだろうというふうに私は思いますので、引き続き、特別枠ということではなくて、恒常的な財源として財源化を目指していただきたいということをつけ加えさせていただきます。

 次に、地方創生事業についてお伺いします。

 今回、一兆円規模の地方創生事業費があります。昨年末に国の地方創生総合戦略が策定をされ、自治体は来年度中に五年間を見通した地方版の総合戦略を策定するよう求められております。つまり、今後五年間を見通すということでありますから、中長期的に取り組むべき課題という位置づけだというふうに思います。

 来年度、地方創生事業は一兆円の事業規模となっておりますけれども、これは先ほども言いましたが、中長期的に取り組んでいくということでありますので、それ以降、二〇一六年度以降どうなっていくのかということ、これは非常に重要なことだろうというふうに思います。どの程度の規模で事業費を計上していこうというふうにお考えなのか、お聞かせください。

高市国務大臣 二十七年度の地方財政計画の歳出に、新たにまち・ひと・しごと創生事業費を一兆円計上することとしまして、その財源は、既存の歳出の振りかえ〇・五兆円及び地方の努力による新規の財源確保〇・五兆円によって確保することとしました。

 このうち、新規の財源確保分の〇・五兆円については、やはり財政健全化と地方創生両立の観点から、地方の御努力によって確保いたしました。

 これは、大変厳しい国の財政状況に配慮するとともに、地方団体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地方の実情に応じたきめ細やかな施策を可能にする観点からは、使途に制限のない一般財源により各地方団体の取り組みに要する財源を保障することが望ましいという考え方によります。

 また、この新規の財源確保分の中に、臨時の財源であります地方公共団体金融機構の準備金の活用三千億円も含まれております。これも、地方創生は実際に取り組みを始めてからその成果が生じるまでに一定の期間が必要となるということで、息の長い取り組みが必要だと考えております。

 ですから、平成二十八年度以降について御懸念がおありかと思うんですが、地方法人課税の偏在是正をさらに進めることなどによって恒久財源を確保していって、継続的に、少なくともこの程度の規模の額を維持できるように、まち・ひと・しごと創生事業費の安定的な確保に努めてまいります。

吉川(元)委員 今ほど、安定的に確保していくというお話でありました。

 あわせて聞けばよかったんですけれども、財源として新たに五千億ということで、見ますと、中には、法人住民税法人税割を使うだとか、あるいは偏在是正効果で約一千億、それから金融機構の公庫債権金利変動準備金等々も使うというふうにされております。

 この公庫債権の金利変動準備金というのは三年間しか使えないという状態でありますし、とてもではありませんけれども、安定した財源とはなかなか言いにくいのではないかというふうにも思います。しっかりと確保していただくことをお願いしたいと思います。

 関連して尋ねますが、地方創生事業の新規財源で、今ほども触れましたが、法人住民税法人税割の交付税原資化に伴う偏在是正効果として一千億円が確保されております。これは、先ほど答弁が少しございましたけれども、さらに進めるということで確保していくということをおっしゃられました。総務省の資料でも、米印で「今後、偏在是正を更に進めること等により恒久財源を確保する方針」と書かれております。

 今現在、税率の四・四%に相当する部分を国税として交付税原資としているわけですけれども、これをさらにどの程度まで引き上げるお考えなのか、この点について答弁をお願いいたします。

平嶋政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十六年度の税制改正で行いました消費税率八%段階の地方法人課税の偏在是正でございますけれども、社会保障財源の確保を目的とする地方消費税率の引き上げによって、社会保障制度の拡充による負担増を相当程度上回る増収が不交付団体に発生することを踏まえまして、地方消費税率引き上げによる不交付団体の実質的な増収の範囲内で法人住民税の交付税原資化を行ったものでありまして、税制抜本改革法の規定に沿ったものであるというふうに考えております。

 その上で、平成二十六年度の与党税制改正大綱では、消費税率一〇%段階における地方法人課税の偏在是正については、御指摘のとおり、法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進める、また、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに、現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行うとされております。

 今回、消費税率一〇%への引き上げの時期の変更に伴いまして、これらについては平成二十八年度以後の税制改正において具体的な結論を得るということとされましたので、その方針に沿って検討していくことになると思います。

 その規模ということに関しましては、最初に申し上げましたように、社会保障財源の確保を目的とする地方消費税率の引き上げで、社会保障制度の拡充による負担増を相当程度上回る増収が不交付団体に発生する、それは一〇%段階でも同じことが発生することでございますので、その規模を見ながら検討していくことになろうと思います。

吉川(元)委員 偏在是正をすること自体については、私もそれは必要だろうというふうに思います。

 ただ、今おっしゃられていたやり方、不交付団体のところでお金がある、だからこれを国税化するということについては、私は、独自財源である地方税を国税化して、それでもって何かやるというのは、やはりこれは地方税の軽視ではないかというふうに思いますけれども、この点についてはどのような認識をお持ちですか。

平嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今申し上げましたとおり、地方法人課税の偏在是正の法人住民税の交付税原資化と申しますのは、単に取り上げているということではなくて、地方消費税が相当程度不交付団体でふえている、その部分と相殺するということではありませんけれども、その範囲内で行わせていただいておりまして、税制抜本改革法の規定にも沿ってございます。

 そういった意味で、不交付団体を初め財政力の高い地方団体から御意見があることは承知しておりますけれども、社会保障財源の安定的確保と地方財政の健全化を図る観点から必要な措置でございますし、また、国税化された法人住民税、地方法人税の税収全額が地方の固有財源である地方交付税の原資とされておりますし、また、しかも特会直入という措置を講じておりますので、ぜひ御理解を賜りたいというように考えてございます。

吉川(元)委員 そういうお話は以前も伺ったことがありますけれども、やはり偏在是正をするのであれば、こういうやり方ではない、別の財源を含めての、国と地方の間の税源の交換も含めながら私はやるべきではないかと思います。これがどんどん大きくなっていくということは、豊かになった自治体からちょっとお金をいただいて回す、こういうやり方というのは地方自治の本旨に果たして適しているのかどうかというのは、私は疑問に思わざるを得ません。

 次の質問に移っていきたいというふうに思います。

 今回、一兆円規模の地方創生事業ですけれども、地域の元気創造事業費四千億円程度と、それから人口減少等特別対策事業費六千億円程度の二種類に大別をされております。

 地域の元気創造事業では、そのうち一千億円が地域経済活性化分として、自治体の地域経済活性化の成果を反映して配分するものとされております。他方、人口減少等特別対策事業費でも一千億円、これが取り組みの成果として地方に配分をされる。

 この成果ということですけれども、どちらも総務省が設定した指標を使って、自治体の伸び率と全国の伸び率の差に応じて需要額の割り増しを行うものと推察いたしますが、この指標を見ておりますと、雇用関係の指標、例えば若年者の就業率あるいは女性の就業率というのは、地域経済活性化分とそれから人口減少等特別対策事業費、両方に同じような指標が重複をしております。なぜこういうふうになっているのかについて、説明を求めます。

佐藤政府参考人 地域の元気創造事業費は、地域産業の振興や雇用の創出などの地域経済活性化に取り組むための財政需要を算定しようというものでございまして、そのために、製造品出荷額などの産業関係や、あるいは従業員数等の雇用関係の指標を用いているということです。

 一方、人口減少等特別対策事業費は、結婚、出産、子育て支援の充実や移住の促進などの人口減少対策にウエートを置いて財政需要を算定しようというものでございまして、したがって、人口増減率などの人口系統の指標を用いるということにしております。

 おっしゃるとおり、この二つの算定において、若年者の就業率と女性の就業率を双方に用いているものでありますけれども、これは、地域の元気創造事業費におきましては、雇用の場を創出しようとする中で、特に、若年世代や女性の雇用機会を確保することが重要な課題だという認識から、その取り組みの成果をはかりたいと思いました。

 一方、人口減少等特別対策事業費においては、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるための前提として、若年者の雇用の安定や、それから仕事と家庭が両立できる働き方の実現を図るということが重要であって、その取り組みの成果をはかりたいと考えたものでありまして、それぞれ、一つの指標ではありますが、二つの面からそれを使いたいということでございます。

吉川(元)委員 そもそも、成果に応じた配分ということ自体に私は実は問題があるのではないかというふうに思います。

 一つは、人口減少対策ということでいうと、これは一年ごとに簡単に成果がはかれるようなものなのかというふうに思いますし、また、それを交付税で配分を行うということについても疑問に感じざるを得ません。

 地方交付税法の第一条では、財源の均衡化を図るとともに、交付基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障し、地方自治の本旨と地方団体の独立性を強化することを目的としております。

 成果配分という考え方というのは、これは財源の均衡化ということにはならないというふうに思いますし、また、自治体の数値の伸び率と全国平均の伸び率を比較して成果の度合いをはかるわけですから、個別の自治体が一生懸命頑張ってやったとしても、全国平均の数値との比較、相対評価ということになるのかというふうに思いますけれども、そうなると、これは成果にならないというふうにも見えてしまうわけで、その意味では、自治体行政の計画的な運営ということにも支障を来すのではないかというふうに思います。

 さらに、交付税法の三条の二項においては、「国は、交付税の交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」というふうにされておりますが、国が設定をした指標で成果をはかるということは、これは一種条件づけではないかというふうにも思いますし、成果が上がる分野に自治体の政策や財政を誘導することで、事実上使途の制限が行われているのではないかというふうにも思います。

 交付税法と照らしてこの成果配分は妥当であるということに対する根拠をお示しください。

佐藤政府参考人 この二つの算定は、いろいろな指標は用いますが、あくまで財政需要をはかるということでございまして、どちらも人口を基本とした配分にすることにしております。その上で、いろいろな成果をあらわす指標を加味したいというものでございます。

 地域の元気創造事業費につきましては、地域経済活性化に積極的に取り組んで、指標を全国標準よりも伸ばしている団体は、地域経済活性化に全国標準よりも多く取り組んでいて、財政需要が多いんだろうということを考えているわけであります。

 それから、人口減少等特別対策事業費も同様ですが、こういった対策に積極的に取り組んで数値を伸ばしている団体はやはり全国標準よりも多くの財政需要があるんだろう、こういう考え方で算定をしようとするものでございます。

 したがって、個々の団体の予算が実際にどう使われているかというようなことを捉えるのではなくて、あくまでその成果指標というのは客観的な指標を用いてはかりたいということにしております。

吉川(元)委員 人口がふえたり、あるいは若い人たちがふえたりしてくれば当然財政需要が新たに発生するというのは、これは私は理解をいたします。

 だとすれば、そのように書けばいいわけで、成果に応じて配分をするという書き方自体が、これは表から見るか裏から見るかという見方の問題なのかもわかりませんが、意図が含まれているように思いますし、また、財政需要に着目をして配分していくということと同じことなんだということであれば、それは全国平均との比較ということは私はなじまないのではないかと思いますけれども、この点についていかがですか。

佐藤政府参考人 我々は、成果に応じて配分ということではなくて、成果指標を加味して算定するということにしておるわけであります。

 それから、全国的に比較がなじまないということは、例えば絶対値で比較しますと、もともと条件が不利な地域というのは、幾ら数字を伸ばしても他の団体よりも劣るということであれば、それは評価されないということになります。我々は、条件が不利な地域で数字が悪い団体も、頑張って努力したなりに数字が上がった場合には、それは正当に評価することが正しいのではないか、適切ではないかと考えていましたものですから、指標の絶対値ではなくて指標の伸び率を捉えて、それを全国の水準と比較する、こういうことを考えているところでございます。

吉川(元)委員 説明されていることが少し矛盾をされているのではないか。

 財政需要が新たに発生をする、成果が上がれば新たな財政需要が発生をするからそれを配分するのだという説明がある一方で、だとすれば、私は絶対評価だというふうに思うわけであります。全国が伸びていて、それに比べて伸びが低いとか高いとかというのは、現実にある財政需要と直接的に関係をしているというふうには私は思えないんですが、もう一度答弁をお願いします。

佐藤政府参考人 ちょっと言葉が足りなかったかもしれません。成果が上がって例えば人口がふえたということになれば、それは、交付税の算定上、そのふえた人口ということで需要額が算定されるわけです。

 私が申し上げたのは、今回の算定は、結果が出るまでのプロセスにおいて、そういう取り組みをしている団体、その結果として実績が上がった団体というのは、そのプロセスでそれなりの財政支出といいますかをしているんだろう、それを指標の改善というところから見て評価をしたいということでございます。

吉川(元)委員 ますますわからなくなってきたんですが、結果が出るまでのプロセスを見るんだと今おっしゃられましたけれども、これを見ますと、成果を反映と。成果というのはプロセスではなくて結果ですよね。なぜそういうふうになるのか。プロセスを見て、結果を予想して配分するということなんですか。

佐藤政府参考人 その団体がそういった取り組みをするのにどういう努力というか取り組みをしているかということを、そのものずばりを捉えることができれば、それはそうしたものが適切かもしれません。

 しかし、交付税の算定上、客観的な数値を使ってやろうという以上は、やはりそこに一種の制約があるわけでございまして、出てきた成果を、例えば人口の増減率ですとか、そういう形で客観的にはかるという方が適当だろうと考えております。

吉川(元)委員 ちょっと時間がないのでまた次回に譲りますけれども、先ほどはプロセスというふうに言われていて、プロセスというのはまだ結果が出ていない途中の経過なわけですが、ところが、今度はまた結果だ、客観的指標で結果だと言うのは、これは何か私自身はなかなか理解できないというふうに思います。

 もう時間も余りありませんので、次の質問に移らせていただきます。

 過疎化や人口減少、あるいは商店街の衰退というのは別に最近始まったわけではなくて、地方の自治体であればどこでも非常に頭を悩ませて、さまざまな対策というものも講じてきております。単年度で経済活性化や人口増加の成果が出るというのであれば、もう既に、どこの自治体でもとっくにやっていて、そういう面でいうと、そもそもそんな問題は解消されているはずです。

 にもかかわらず、今回、成果配分、今少しお話ししましたけれども、成果の配分の経費、一年間でそれを見るということ、これが先ほどとの関連でちょっとよく理解できないんですが、その点についてはいかがなんでしょうか。

佐藤政府参考人 おっしゃるとおり、この種の取り組みは、成果が生じるまでに相当の期間を要するというふうに認識をしております。したがって、地方財政計画上の計上というのも一定期間継続していく必要があるだろうと思いますし、また、交付税を算定する上でもそのことに十分考慮する必要があるだろうというふうに考えております。

 我々、数値、成果指標のいわゆる改善を見るときに、ある一年だけでどうなったかということを見ようとは思っておりませんで、一定のところを起点として、その後の変化を息長く見るような形で算定をしたいと考えております。

吉川(元)委員 だとすれば、昨年からスタートしているとはいえ、事実上来年度からやっていくわけで、その時点で成果を反映させた指標を用いて配分をするということは、これは先ほども言いましたとおり、成果の配分なのか、それとも現実にある財政需要に応じた配分なのかということ、これは表裏一体の関係にあるかとは思いますけれども、少なくとも来年度については、成果の配分ということはせずに、まずは、もう一つのあれである必要性ということに全体的に着目をして配分を行うべきではないのかというふうに思いますけれども、この点はどうですか。

佐藤政府参考人 御指摘はよくわかります。

 そこで、私たち、二十七年度から算定する人口減少等特別対策事業費については、総額で六千億円を予定しておりますが、そのうち五千億円は取り組みの必要度で配分をし、一千億円を取り組みの成果で反映したいというふうに考えております。

 といいますのは、今から、さあ、地方創生についてみんな頑張りましょう、成果を出しましょうということでありますから、今から起点にするのが本当はいいんだと思いますけれども、ではこれまでも地方団体は何もやってこなかったのかということではなくて、やはりいろいろ努力してきた団体はあるわけでありまして、その成果が現状の数値になっているというところもあります。

 したがって、その点はその点として正当に評価するということが必要だろうと思いましたので、これまでの取り組みの成果ということをあわせて算定することにしたわけであります。

 ただし、そのウエートづけは、取り組みの必要度の方を手厚くするということで、五千億、一千億というふうに考えたわけでございます。

吉川(元)委員 これまでも取り組んできたというのは、それは事実ですし、そこでさまざまな成果が出ている自治体もあります。それに対して、成果の配分ということではなくて、必要な財政需要に対してきちんと保障していくということで、私はそれで十分なんじゃないか。特に、一年目のときからいきなり急激に変わるような指標ではないわけで、一年目からこの成果配分というようなものが出てくるというのは、やはりどうしても使途の制限あるいは条件づけというふうに私は見ざるを得ません。

 次の質問に移ります。

 また取り組みの成果ということとの関連で質問させていただきますが、これは果たして自治体単独で何とかできるような指標なのかという疑問を思わざるを得ません。

 例えば農業の関係でいいますと、昨年の秋以降、米の価格というのが大変暴落をしております。これが農家の経営を直撃している事実というのはもう皆さん御存じだというふうに思います。

 加えて、戸別所得補償額が半減され、農家への打撃というのはより増幅をされた形になっております。選挙区を歩きましてお話を聞くと、ことしの春の作付をどうしようかというのもありますし、とても息子や孫たちに後を継いでくれなんて言えない、これでは生活ができないという、悲鳴にも似たような訴えも耳にいたします。

 さらに、今後、TPPが締結されますと、農業は大きな打撃をこうむるわけです。これについてこの場でいい悪いというお話をするつもりはありませんが、もし仮に、例えば自治体が、農村回帰宣言という宣言を出されている自治体もありますけれども、農業従事者をふやそうということでさまざまな施策を講じたとしても、例えば米の価格が大暴落をするあるいはTPPに参加する、これはある意味でいうと国の政策と非常に関係の深いところであります。そうなりますと、幾ら地方がここで頑張っていこうというふうにやって施策を講じたとしても、国の政策によっては全くそれが無に帰してしまうということもあり得るだろう。今のは悪い例ですけれども、いい例でもそういうことは起こり得るだろうというふうに私自身は思います。

 そういう面でいいますと、地方の努力だけではなかなか成果にあらわれにくい、そういう指標をなぜ経費配分の中で盛り込んだのか、この点について尋ねます。

佐藤政府参考人 我々、この算定方法の案を考えましたときに、いろいろな統計データを集めて幅広く検討を行いました。

 確かに、おっしゃるように、決まった指標を見ても、必ずしも地方団体の取り組みがそのまま反映されるとは限らないものでありまして、他の要因で変化することも十分にある指標です。したがって、これを使うに当たっては、我々、工夫が要るだろうと思いました。

 そこで、一つは、できるだけ多くの指標を採用して、一つの指標に大きなウエートをかけないようにするというようなことですとか、それから、条件不利地域などの取り組みの成果も適切に評価されるように、指標の絶対値を用いるのではなくて、指標の伸び率を全国の水準と比較するというような方法をとってはどうかということや、あるいは、自然災害や事故などの個別要因で単年度の影響というのがありますから、そういったものを排除するために三年間の平均の数値を用いるですとか、こういう工夫を行おうと考えているところでございます。

吉川(元)委員 やはり、いろいろ聞いていますと、矛盾をするというか、筋が通っていないお話がいっぱいこの成果というのはあるのかなというふうに思います。

 やはりそれは、先ほども言いましたとおり、成果が出て財政需要が出たのであれば、そこに対してちゃんとやるということであって、成果という言葉を使ってやろうとするから、今言ったように、客観的にどうなるかということや、あるいは国の政策との関係というのでいろいろ問題が出てくるんだろうというふうに思います。

 きょうは時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、また引き続きこの点についてはただしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.