衆議院

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第5号 平成28年2月26日(金曜日)

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平成二十八年二月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      尾身 朝子君    大西 英男君

      大西 宏幸君    勝沼 栄明君

      金子万寿夫君    川崎 二郎君

      木村 弥生君    工藤 彰三君

      小林 史明君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      谷川 とむ君    中村 裕之君

      中山 泰秀君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      堀内 詔子君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    山口 俊一君

      山口 泰明君    若狭  勝君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      水戸 将史君    渡辺  周君

      輿水 恵一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   文部科学大臣政務官    堂故  茂君

   国土交通大臣政務官    津島  淳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  市川 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房一億総活躍推進室次長)         新原 浩朗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 浜田 省司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      岩田 一彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐伯 修司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  青木 信之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 井上 裕之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原 章夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   井上 樹彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   今井  純君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  金子めぐみ君     勝沼 栄明君

  鈴木 憲和君     木村 弥生君

  中山 泰秀君     工藤 彰三君

  宗清 皇一君     谷川 とむ君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     堀内 詔子君

  木村 弥生君     鈴木 憲和君

  工藤 彰三君     大西 宏幸君

  谷川 とむ君     尾身 朝子君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     宮路 拓馬君

  大西 宏幸君     中山 泰秀君

  堀内 詔子君     金子めぐみ君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     若狭  勝君

同日

 辞任         補欠選任

  若狭  勝君     宗清 皇一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、専務理事板野裕爾君、専務理事福井敬君、理事井上樹彦君及び理事今井純君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官市川正樹君、まち・ひと・しごと創生本部事務局次長末宗徹郎君、一億総活躍推進室次長新原浩朗君、内閣府大臣官房審議官浜田省司君、大臣官房公益法人行政担当室長岩田一彦君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、大臣官房審議官佐伯修司君、自治行政局長渕上俊則君、自治行政局公務員部長北崎秀一君、自治財政局長安田充君、自治税務局長青木信之君、情報流通行政局長今林顯一君、財務省大臣官房審議官井上裕之君、文部科学省大臣官房審議官藤原章夫君、厚生労働省大臣官房審議官浜谷浩樹君、職業安定局次長苧谷秀信君、職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君及び農林水産省大臣官房審議官山北幸泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民主党の渡辺でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず冒頭、ふるさと納税についてお尋ねをいたします。

 今さらふるさと納税の導入の経緯や仕組みについては、皆様方も御存じのとおりでございますので、余りこうとは申しませんけれども、ふるさと納税が導入をされてそれぞれの自治体が大変な恩恵を受けているということは、私どもも、この制度によって、例えば伊豆半島のある地区なんかは大変な寄附増がございまして、地域の特産品が非常に活況を呈して、例えば知名度が上がったとかPRにつながったとか、若い職員の人たちが地域の宝物を見つけてきてそれを紹介したところ大変な引き合いがあるということで、大変寄与されている部分は否定はしないわけでございます。

 二〇一四年度で、寄附金の総額としてはおよそ百四十二億円が寄附をされている。いろいろ、上限の引き上げであるとか、あるいはワンストップサービスが導入されたことによって、ますます環境整備もされているという反面、その過熱ぶりもいかがなものかということで、総務省からもいろいろな注意といいましょうか、対応についての要請もあったところでございます。

 そこで、最近出てきているのが、ふるさと納税と同様に、地元向けふるさと納税。これは実際は納税じゃなくて寄附ではあるんですが、各地で誕生している。

 それは、何もしなければ流出してしまう、つまり、都市部近郊に住んでいる住民の方が他の自治体に寄附をすることによって、本来なら入るべき税収が地元の所在地に入らないということでは、将来的にこのままいってしまうとどうなるのだろうかということから、例えば神奈川県の三浦市あるいは千葉県の野田市というところで、市民向けのいわゆるふるさと納税制度が始まった。

 これは、市外の人が対象のふるさと納税と違って、その市内に住んでいる方が、地元の、所在する自治体に寄附をした場合には、例えばマグロのセットであるとか、あるいは地域の特産品、商品券のようなものが渡されるというようなことで、地元向けふるさと納税というようなこともあって、これは二〇一六年一月十七日の東京新聞ですけれども、総務省はこういう制度に戸惑いというふうな見出しをつけて紹介をしているわけでございます。地元住民からの寄附は禁止していないと言いながらも、本来の趣旨とだんだんかけ離れてくるのではないかという識者の懸念も紹介されているわけでございます。

 こういう税収減に悩む都市近郊の自治体にしてみますと、今後、こうした制度というのを導入していかないと、何もしなければ流出してしまう、流出を食いとめるためには歳入をふやす必要があるのだという言葉が紹介されているわけでございます。

 このいわゆるふるさと納税の地元版について、総務省としてはどんな御見解をお持ちなのか、その点について、まずは冒頭伺いたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税制度は、寄附金税制の仕組みを通じまして、個人住民税の一部を実質的に移転させることを実現しよう、そういう趣旨で創設されたものでございまして、住所地と異なる地方団体への寄附を念頭に置いて導入されたものではございます。

 ただ、かねてより、地方団体への寄附につきましては、住所地向けも他団体向けも共通の制度とされていたこと、また、地元の教育、福祉、文化等への貢献、あるいは感謝の観点から寄附を行うということは、地方団体への寄附の典型例でもあるかと思います。

 また、転居をした場合といったような税務実務面での課題も考えられることから、あえて住所地団体への寄附をふるさと納税の対象から外すことはせず、制度化したものでございます。

渡辺(周)委員 ということは、禁止はされていないということですね。

 そこで、さらにお尋ねをしますけれども、では、例えば、地元の、住んでいる自治体に対して寄附できるだけの余力のある方、富裕層といいましょうか、本来地方税というのは、住民に対する行政サービスの対価、いわば町内会の会費のようなものであるというように教科書的には我々も理解をしてきたんですけれども、つまり、同じ住民でありながら、寄附できる方は何らかの特典が行政から還元される、にもかかわらず、そうでない方は実は何もないということになるわけなんですね。

 それは、私どもも地域に住んでおりまして、例えば、地元に貢献された方、土地であるとか、あるいは持っている財産を何か寄附されたとか、そういうものが市役所に飾られていたり、時には、顕彰されるような場所、記念館であるとかに飾られた、これはどなたからの寄附であるとか寄贈であるとか。それに対して、例えば感謝状を出すとか、何らかの形で顕彰されることはあると思うんです、あってしかるべきだと思うんです。

 しかし、ここで、禁止しろとは言いません。ただ、やはりあり方として考えていく上で、自分の住んでいるところの自治体に寄附できる人とそうでない方では、市から何らかの形で、特産品や商品券のような形で戻ってくるとなれば、そこで同じ一律の行政サービスを本来受けている地元住民にとって、寄附できる人とできない人では、そこにやはり差があっていいものなのだろうかということを申し上げたいわけでございます。

 その点については私も割り切れないんですが、ただ、禁止はされていない。だめとは言えないけれども、そういう制度がこれからどんどんふえていくと、確かにふるさと納税によって地方に、このままいくとよその自治体に寄附がふえてしまう、自分のところとしては、何とか税収減を食いとめるためには何らかの地元住民に対する恩典も必要だ、だけれども、それはできる人とできない人があって、それを地元の自治体がやるということについて果たしてどうなのだろうかということについて、割り切れない思いがあるんですが、いかがですか、その点については。これから検討するべきではないでしょうか。

 それとも、実態についてもう少ししっかりと把握をされて、あるべき姿、私たちも民主党政権時代に、新しい公共ということで、認定NPOに対する寄附に対しては税額控除制度を設けました。そして、公共の分野で仕事をする人を育てていこう、そういう信念のもとに我々としてはやってきたわけでございますから、寄附税制や寄附文化というものがこれからもっと醸成されることに対しては、決して否定的ではありません。ただ、今のようないろいろな問題が、これから想定し得なかった問題が起きてくる。

 課題が出てきたときにはどう対応していくのかということについて、もう一度お伺いをしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、このふるさと納税制度ですけれども、現実に、そのメリットを受ける受けないは、寄附された方が申告をする等で意思表示をするということによって決まりますので、何らかのメリットを受けずに単に寄附をする、寄附の精神で寄附をさせてくださいというのは当然あるわけでございます。

 その上で、自団体、自分が住んでいるA市に寄附をするということになりますと、そのA市の住民税から控除されるということになるので、A市は、寄附をいただいたけれども、その方から自分のところに入ってくる住民税も減る、こういうことになるわけでございます。委員からは三浦市、野田市の例を御指摘いただきましたが、そうした呼びかけというのが非常に大きく広がっているという状況ではないのではないか。つまり、自分のところの税金が減るということにもなりますから。

 ただ、今委員御懸念のお話というのは、結局のところ、やはり行き過ぎた返礼品ということなのではないかというふうに思います。昨年の四月に、総務大臣の通知によりまして、返礼品について良識ある対応をお願いしたい、こういう通知をさせていただいておりますが、そういう呼びかけを今後ともしっかりしてまいりたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 この返礼品送付への対応についてという資料も、私もいただきました。

 だんだん過熱をしてくると、最近、ホームページであるとか、いろいろな自治体の返礼品の比較をしたサイトがあったり、あるいは、書店に行けば、ふるさと納税でこんなにお得感が得られるというようなものがふえてきて、だんだん、これは非常にエスカレートしていって、懸念をしていたところですが、さすがにそれはまずいだろうと、過去のこの委員会でも取り上げられてきたと思います。

 例えば、換金性の高いプリペイドカード等はだめだ、そういうものを渡したら、ヤフーオークションで出ちゃって、結果的に誰かの小遣い稼ぎになっている。返礼割合が高かったり、あるいは、地元の特産といいながら、地元の工場でつくった例えば腕時計だとか時計だとか、そういうものも出されたりすると、何か本来の趣旨からどんどん離れて、納税する人たちにしてみますと、これでちょっとした小遣い稼ぎ、ちょっとしたお得感を得るための一つのテクニックを競い合うビジネスになってしまうというような懸念があったわけですから、こういう「返礼品(特産品)送付への対応について」というのは時宜にかなっているものとは思います。

 ただ、これからまだまだふるさと納税に対してエスカレートしていくわけでございます。それも懸念されるわけでございます。

 そこで、片山善博元総務大臣が、二〇一四年十月三日の「税務経理」というところで、ふるさと納税について苦言も呈しています。

 これはなぜこういうことができるのかといいますと、実は、税収の場合は基準財政収入額に算入されるから、例えば三万円納税があっても、交付税が二万二千五百円減って、自治体の実質的な取り分は七千五百円にすぎない、しかし、ふるさと納税による寄附であるならば、交付税の算定とは関係がないから、三万円がそのまま懐に入る、よって、返礼をするに当たって少々の豪華なものも出すことができるのだということを寄せているんです。

 基準財政収入額と納税、そして寄附金の認識というのは、この片山さんの理解でよろしいんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 その片山先生の認識で正しいと思います。寄附金を基準財政収入額に入れるというわけにはいかないだろうというふうに思います。

渡辺(周)委員 そうした、ある意味では自治体は交付税を確保しながら、反面で、このふるさと納税を一生懸命アピールするということによって、非常に厳しい地方自治体の自主財源をふやすことができるんだということでございますが、今後、こうした点について、今いろいろなところでふるさと納税に対する再考とか行方ということで、やはりいろいろな方の御意見がだんだん出てきているわけでございます。

 私自身は、先ほど申し上げた、民主党政権、新しい公共という名前でNPOに対する寄附をふやしていこうということで、寄附要件を緩和したりいろいろやってきたんですが、このままいきますと、寄附文化は確かにふえて広がっていく、ただしかし、あそこの町にはこれだけのものが寄附したらもらえるのにこっちは何もないのかということで、どちらかというと、これは政策を競い合うというよりもお得感同士の競争になってしまう。

 そうすると、例えばNPOに寄附する人がいなくなってしまうんじゃないか。NPOに寄附をして、確かに、NPOの掲げる理念であるとか理想というものに対しては非常に賛同するということで寄附してくれる人もいると思います。しかし、片方で、いや、どうせ寄附するんだったらこっちの自治体に、この自治体に出した方がお肉が届くとか魚が届くとかいろいろな特典がある。そうして、寄附文化というものにだんだん、言葉は悪いですけれども、見返りがある方が有利になる、もっと言えば、見返りがあるところにどんどん寄附が偏っていくということになりやしないかということでございます。そういうことを懸念するわけでございます。

 さて、ちょっと個別の話を聞きますけれども、このお返し品というものは、先ほど申し上げた金券はだめよと言うんですが、しかし、地域限定の利用券、これはいいんだということで、どの辺で線引きされるかということをまず確認したいと思います。

 それから、私が地元のある議員さんとお話をしていましたら、介護保険が将来的にパンクしそうなんだと。介護保険の財源としてふるさと納税は使えるのかということを聞きましたら、総務省は、一般財源に入れるんだからいいんだという話、しかし、厚生省では、それはどうなのかということで、ちょっと見解が統一されていなかったんですね。

 個々には、この質問に当たってのヒアリングでは聞いているんですが、統一した見解につきまして、ぜひお答えをこの場でいただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点の、金券みたいなものを返礼品として送付するといったような場合でございますが、過疎地等におきまして、地域への訪問客の増加を図る、そういう工夫をするために施設利用券等の金券を返礼品として送付する、そういうケースもあると聞いております。ただ、その地域で広く買い物等に使える金券というのは、昨年四月の大臣通知の中に書いてあります、返礼品の価格表示、あるいは換金性の高いプリペイドカード等の送付といったような問題事例に該当する懸念もあろうかと思います。

 そういう意味で、そうした問題について、私どもとしては、この大臣通知に沿って適切な対応を進めていただくよう、さらに促していきたいというふうに考えております。

 それから、ふるさと納税として受け取った寄附金の使い方でございますけれども、この寄附金は、一般財源である寄附金収入ということになります。したがって、他の制度において制約がない範囲で、地方団体の判断でさまざまな分野に活用ができるものというふうに理解をしております。

浜谷政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険の給付費につきましては、国、都道府県、市町村による公費と被保険者による保険料で賄われておりまして、公費のうち市町村の一般財源は一二・五%、保険料のうち六十五歳以上の被保険者分は二二%分など、それぞれ法律で負担割合が定められております。

 市町村が法定の一二・五%分を超えて一般財源を繰り入れ、六十五歳以上の被保険者の保険料の減免を行うことにつきましては、介護に要する費用を高齢者も含め国民皆で支え合うという制度の趣旨に照らし適当でないこと、国民健康保険の例に見られるように、一旦一般財源の繰り入れを行いますと、とめることは容易ではなく、将来的に市町村財政を圧迫することになることなどの問題点があると考えておりまして、制度創設時から一貫して適当でないとの見解を示しているところでございます。

渡辺(周)委員 端的に伺いますが、いわゆる自己負担分と自治体の負担分を超えて、つまり減免をして、例えば、行政側がふるさと納税を原資にして負担分を引き下げます、その分は一般財源から持ち出して見るということはだめだということでいいんですね、今の答弁は。

浜谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような自己負担分の軽減あるいは保険料の軽減について一般財源の繰り入れを行うことについては、適当ではないという見解を示しているところでございます。

渡辺(周)委員 ぜひ、使い道について現場の自治体の判断が分かれないように、しっかりとその辺については認識を共有していただきたいと思います。

 幾つか用意をしている質問もございますが、ちょっと時間の関係で、私、午後の一時から締め総もやりますので、その中で触れることも、持ち越すこともありますが、時間の限りで、残りの質問に切りかえさせていただきます。

 さて、マイナンバー導入に伴うセキュリティーの自治体負担についてでありますが、十二月二十五日に総務大臣名による通達がございます。これは通達というのか指示書というのか、それは何かといいますと、マイナンバー導入に伴うセキュリティーに対して、対策をしっかりせよ、三層の構えと言われる方策でセキュリティー対策をしっかりやれということでございます。

 静岡県の市長会が二月の八日、多額の費用負担が生じるということで意見が出たんです。どの自治体も、指示に基づいてセキュリティー対策をやるけれども、国が言うこのセキュリティー対策が一律のものであって、これでは、今まで既にセキュリティー対策をしたところもさらに負担をしなければならないということで、懸念の声、要望の声が上がったわけでございます。

 この、大臣名で十二月二十五日に出た新たな自治体情報セキュリティー対策の抜本的強化ということにつきまして、これは遵守しなければならないものなのか、ここに書かれているような方式しかないのか、その点について確認をさせていただきます。

原田政府参考人 お答えいたします。

 昨年の十二月に大臣名で、自治体の情報セキュリティーのいわば強靱化というものについてお願いを申し上げたところでございます。

 委員御指摘のように、三層の構えということで、マイナンバー利用事務系では、端末からの情報持ち出し不可設定等を図り、住民情報流出を徹底して防止する、また、マイナンバーによる情報連携に活用されるLGWAN環境のセキュリティー確保に資するため、LGWAN接続……(渡辺(周)委員「その辺は読まなくていいです、答えだけ言ってください」と呼ぶ)わかりました。このような三層のものをお願いしているところでございます。

 経費に関しましては、いろいろな御意見がございますけれども、追加の投資をされるところもあれば、見積もりの段階でのいろいろな情報の不足ということもあろうかと思いますけれども、既にこのレベルに達しておる団体につきましては、それ以上のものを求めているわけではございません。私どもは、このレベルを維持していただくことをこの文書でお願いしているところでございます。

渡辺(周)委員 例えば、市長会も、非常に強い要望として今後上げていくというところなんです。なぜなら、補助金が十分ではないのではないかというようなことがございます。地元の静岡県の市長会が言うのは、補助金が少ないということもあります。国の政策なんだから、国の方針によって導入されたものなのだから国が全額負担すべきだという声もございます。

 何よりも、各団体の裁量による独自のセキュリティー対策は、この指示書に沿わなければいけないのか、各団体の裁量による独自のセキュリティー対策は認められないのかということなんですが、もう一度、その点についてお答えをいただきたいと思います。

原田政府参考人 今回の通知につきましては、マイナンバー制度の導入を控え、また年金機構のいろいろな課題を踏まえ、自治体の情報セキュリティーにつきましては自治体の固有事務ではございますけれども、この機会を捉えまして、全体のセキュリティーを向上するために、このレベルのものをお願いするために補正予算も確保をし、補正予算債で自治体の財政負担をできるだけ減らすような中で、こういう仕組みを今お願いしているところでございます。

 独自のというよりも、この水準を私ども各自治体にお願いしているところでございますので、この水準に達しているところであれば、それ以上のものを、こちらからあえてこうしろと言うつもりはございません。

渡辺(周)委員 この点については、今後もぜひ地域の声を聞いていただいて、そして、セキュリティー対策をやりながらも、自治体の負担を減らすということにぜひ取り組んでいただきたいと思います。この点については、またこの委員会で議論をしたいと思います。

 残った時間で、NHKの点について聞きたいと思います。当然、午後にも私は質問時間がございますので、そこでも取り上げさせていただきます。

 まず、籾井会長、積極的にマイナンバーの活用を検討したいと。今議論をしているマイナンバーですね。自民党も、小委員会からの第一次提言の中で、マイナンバーの活用による支払い率の向上に資する制度、仕組みをあわせて検討するようにというふうな要請を総務省に出されておりますが、御自身の発言です、マイナンバーを活用するということは、どのような意図で言われたのか、その点について確認をしたいと思います。

籾井参考人 受信料の公平負担の徹底に向けて、支払い率の向上を図るということは極めて重要な課題でありますし、我々の重要課題として経営計画にも取り上げておりますけれども、マイナンバー制度については、今後どのように具体的に活用されていくのかを注視しながら、我々としては、こういう支払い率の向上にどういうふうに使えるか、あるいは使わせてもらえるかということを研究してまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 放送法の改正に関する小委員会という、自由民主党の情報通信戦略調査会に属するこの小委員会から、九月二十四日に第一次提言が出されました。その中には、要請の五つの中に、マイナンバーの活用ということが書かれております。それを受けた形で籾井会長も発言されたと思います。

 高市大臣、既にこの要請を受けて検討会が設けられておりますが、マイナンバーの活用をNHKの受信料に対して適用するのか否か。そして、義務化という言葉がかねてから議論を、与党は検討されておりますけれども、この点について、当然マイナンバーというものを念頭に義務化をするというお考えなのかどうか。まず、午前中の質問でそれを確認したいと思います。

高市国務大臣 このマイナンバー制度の利活用範囲の拡大については、日本再興戦略においても明記されています。

 しかしながら、NHKによる活用につきましては、まずはNHKにおいて検討を進めていただいて、その状況を聞かせていただきたいと思っております。

 総務省では、私が主宰する懇談会で、国民の皆様が具体的なメリットを実感できるマイナンバーカードの使い方の可能性を示すとともに、その実現に向けた具体方策について検討を行っています。

 また、受信料でございますけれども、これはやはり、NHKが放送法第十五条に規定された公共放送の社会的使命を果たすために必要な財源を広く国民・視聴者の皆様に御負担いただく、公平に御負担いただく特殊な負担金でございます。

 もう既に提出させていただきました、NHKの二十八年度予算に付した私の大臣意見にも書いたんですが、受信料の支払い率をまずしっかりと上げていただく取り組みとともに、また、NHKにおいてその課題等をしっかりと、公平な受信料の確保に必要な方策を検討していただくこととしております。

 今は、総務省として、まだマイナンバーと受信料の関係について結論を出しているとか検討を進めている段階ではございません。

渡辺(周)委員 では、午前中の質問の最後に、もう一回籾井会長に伺います。

 放送と通信の融合が進む中で、いわゆるインターネット環境が向上しました。パソコンであるとかスマホであるとか、いわゆるテレビの受像機以外にもNHKの受信料を徴収する対象として今検討されているのかどうか、最後に伺います。

 また午後にも伺いますけれども、午前中の最後、それを確認して、私の質問を終えたいと思います。

籾井参考人 放送と通信の融合ということで、同時再送信については今我々も実験等々やっておりますけれども、これについて、今後の受信料とどういう関係になるかということは、今一生懸命研究している最中でございます。これはもちろん、我々としましても、今言いましたように、放送と通信の融合等々、放送全般についての研究とともにやっております。

 そういうことで、今後、新しい放送料金、受信料の体系を決めるときには、当然のことながら、インターネットなどの同時配信を踏まえながら、また専門家の意見も聞きながら、十分検討していきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 では、交代します。

 終わります。

遠山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野でございます。

 それでは最初に、地方財政計画について伺いたいと思います。

 地方財政計画につきましては、骨太二〇一五の経済・財政再生計画において、集中改革期間の目安として、注書きで書かれているんですが、「地方の歳出水準については、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、二〇一八年度までにおいて、二〇一五年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。」と書かれています。

 要するに、二〇一五年度地財計画の水準を二〇一八年度までにおいては実質的に下回らないように、こう書かれているわけですが、この「実質的に」というところが気になるんですが、どういう意味なんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 「実質的に」の意味についてのお尋ねでございます。

 若干敷衍して御説明申し上げますと、まず、地方財政計画の性格でございますけれども、これは、多くの行政分野で国と地方の役割分担等を法令等により定めまして地方に支出を義務づけているということ等から、国として地方団体が標準的な行政水準を確保できるよう地方財源を保障すること、そしてまた、国の予算に計上された施策や事業を盛り込んで、これらが着実に実施できるようにしていること等の役割を持つものでございます。

 こうした地方財政計画の役割を踏まえまして、地方財政計画の歳出において、国の制度等の見直しや国の一般歳出の計上の動向、社会保障・税一体改革における社会保障充実分などを適切に反映させまして、所要の一般財源総額を確保するということにいたしているわけでございます。

 このような前提のもと、骨太方針二〇一五では、各年度の地方の一般財源総額につきまして、国の一般歳出の取り組みと基調を合わせつつ、平成二十七年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するということにしているわけでございます。

 すなわち、先日も御答弁申し上げたところでございますけれども、当該記述の意味でございますが、平成二十七年度の地方財政計画を下回らないようにしつつ、その額と全く同額ということではなく、社会保障関係費でございますとか公債費の動向など増減要素を総合的に考慮いたしまして、実質的に同水準となるよう財政当局との間で地財折衝を行いましてその額を決めていく、こういう趣旨であるというふうに理解しているところでございます。

奥野(総)委員 これは、社会保障費の自然増というのは含まれない、要するに、自然増については、含まれないというか、増分として認めるということですよね。そうすると、それについての財源が必要になるということだと思うんです。

 これは恐らく消費税で手当てするということになると思うんですが、軽減税率をこれから導入しようということの中で、地方税収は軽減税率が入ると想定よりは減少します。この社会保障の充実のための財源に影響が出てくるということなんですが、これは地財計画でどうやって手当てしていくんでしょうか。

森屋大臣政務官 先生今質問をいただきました、軽減税率が導入されますと地財計画でどのように確保していくかというふうなことだと思います。

 消費税の軽減税率の導入に当たりましては、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえ、先般国会に提出されました税制改正法案において、財政の健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するとの観点から、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置を講ずること等が規定をされているところでございます。

 先生御質問いただきました軽減税率導入の財源につきましては、今後検討していくこととなるため、現時点において地方財政計画への影響についてお答えすることは難しいというふうに思っておりますけれども、地方団体の皆様方から安定的な恒久財源をしっかりと確保してほしい旨の意見もいただいておりまして、今後、税制改正法案の規定に沿って、政府・与党で歳入歳出両面にわたってしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

 その上で、先生御指摘をいただきましたように、社会保障関係費の自然増を含め必要な経費を地方財政計画の歳出に適切に計上することを通じて、地方団体が必要な行政サービスを提供できますよう、地方財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

奥野(総)委員 何を心配しているかというと、軽減税率もそうなんですが、景気が今の状態で本当に続くのか、少し下振れするというような見通しもあります。そうすると、今年度は非常に税収も上がって美しい形で全体が仕上がっていると思うんですが、税収が下振れした場合とか、それから、これも仮の話ですが、一〇%への増税が先送りになった場合とか、さまざま想定されるわけであります。

 こうしたときにも、この縛りがちゃんと生きて、まさに実質的な水準が維持されるのかどうかということを心配しているわけですが、いかがでしょうか。

安田政府参考人 一般財源総額、実質的に同水準を確保するということにつきましては、骨太二〇一五で、二〇一八年度まで確保するということで記述されているわけでございますので、これをしっかり守って、その前提に立って地財折衝を行ってまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 それから、今年度は非常に美しいと申し上げた。折半対象の臨財債は縮減している、少なくなってきているというのは、それはいいと思うんですが、ただし、地方税収が伸びてきているからという面が多分にあると思うんですね。先行きを考えたときに、この状況が本当に続くかどうかというのは非常に心配であります。

 と同時に、確かに臨財債、いわゆる新規発行ですね、折半対象ということは新たな国債で、新発債の部分については減ってきているんですが、要するに、既発債の部分ですよね、借りかえということになると思うんです。

 まず、地方全体の長期債務残高が百九十五・八兆円ありますが、このうち、臨時財政対策債がどのぐらい、あるいは交付税特会の借入金がどのぐらい、内訳を教えていただきたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 通常収支分におきます地方の長期債務残高でございますが、平成二十八年度末には百九十六兆円程度となる見通しでございまして、その内訳といたしましては、臨時財政対策債が約五十二兆円、臨時財政対策債以外の地方債が約九十一兆円、公営企業債のうち普通会計負担分が約二十兆円、交付税特別会計借入金が約三十二兆円となっているところでございます。

奥野(総)委員 交付税特会の借入金については、先日うちの党の小川委員の方から、少しずつ返しているのは評価できるという話がありました。そのとおりだと思います。

 臨財債の方も、これは五十一兆あるということで、これから満期が来て、借りかえをしなきゃいけないと思うんですが、借りかえというのは、ことしは恐らく三兆、四兆近くあったと思うんですが、これから毎年どのぐらい発生してくるんでしょうか。

安田政府参考人 臨時財政対策債の発行額のうち、元利償還分の今後の推移につきましては、平成二十九年度以降の臨時財政対策債の発行額でございますとか今後の金利水準の動向等に左右されるため、その見込みを示すことは現時点で困難でございます。

奥野(総)委員 ここのところ、三兆ずつぐらい出てきているんですね。おっしゃるとおり、低金利だからというところもあって、これが仮に出口戦略に失敗して金利が高騰するとなれば、膨大な額になってしまうということです。確かにおっしゃるとおりなんです。

 要するに、まだそこは返済ができていない。将来、後年度の基準財政需要額に入れて、国がちゃんと返済に至るまで面倒を見るということになっているんですが、確かに新発債は減ってきているけれども、まだ既発債の返済には至っていないというのが現状なんですね。

 ですから、心配なのは、これから景気の動向などによってさらに新発債をふやさなきゃいけない状況もあり得ると思いますし、では、本当に今の仕組みが維持できるのかということを改めて問いたいと思います。要するに、後年度で返すということが維持できるのかということを、改めて。

安田政府参考人 お答えいたします。

 臨時財政対策債の償還につきましては、マクロベースにおきまして、元利償還金の全額を毎年度の地方財政計画に計上することによりまして、所要の財源を地方全体として確保しているところでございます。

 その上で、ミクロベースにおきまして、個別団体における臨時財政対策債の元利償還金につきまして、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入することによりまして、各地方公共団体が確実に償還できるよう、財源保障しているところでございます。

 この仕組みにつきましては、今後も継続させていくつもりでございます。

奥野(総)委員 さすがに、それは不安ですとか違うですとか、お立場上絶対に言えないと思うんですが、ただ、前も申し上げたけれども、やはりこの仕組み自体、抜本的に見直していかなければいけない。

 要するに、まずは法定率の引き上げとか、きちんと地方税収が確保されるようにということを考えていかなきゃいけないと思いますし、今の法定四税というのが本当にそれでいいのか。必ずしも法定四税と地方の財政需要が関連するというわけではありませんから、その四税でいいのかということも含めて、抜本的な見直しをしていかなきゃならない。

 今はいいですよ、ことしは税収が上向いていますからいいですけれども、これが一旦、また税収が下振れしたりするといろいろな問題が起きてくると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 先ほどから委員御指摘のとおり、臨時財政対策債の発行残高の累増というのは、地方財政の健全化の観点からは非常に課題があります。

 やはり健全な運営をしていこうと思うと、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなくて、法定率の引き上げによりまして地方交付税を安定的に確保するということが望ましい方向でございます。

 今年度は何とか、昨年の取り組みによってうまく法定率の見直しということができたんですが、二十八年度の地方財政におきましても、交付税率の引き上げを事項要求にしておりました。しかしながら、国、地方とも巨額の債務残高、財源不足を抱えていることから、二十八年度の地方財政対策においては、国と地方が折半して補填することを基本にいたしました。その上で、地方交付税についてはほぼ前年度同額を確保できました。

 今後とも、法定率の見直しによる交付税総額の安定的な確保につきましては、粘り強く主張を続けて、政府内で十分に議論をしてまいります。

奥野(総)委員 ぜひそこはしっかりやっていただきたいと思います。

 それからもう一問。

 まち・ひと・しごと創生事業費の分の一兆円なんですが、交付税の配賦に当たって、例えば、地域の元気創造事業費においては、行革努力分について、成果について配分するとか、あるいは、人口減少等特別対策事業費においては、取り組みと同時に成果についても交付税の配分に際して考慮する、こうなっているんです。

 トップランナーもそうなんですけれども、そもそも、基準財政需要、財政需要があるところに対して、それを補うために配賦するのが地方交付税だと思うんですが、成果を上げること、例えば、行革をして一体どういう財政需要が生じるのかとか、あるいは、人口がふえたときにどういう財政需要、成果として上がったときにどういう財政需要が生じるのか、そこがはっきりしないんです。

 そもそも、やはりインセンティブ、報奨としてこういう交付税を使うべきじゃないんじゃないか。例えば、単価が設定されていて、その単価より下回る形で行政を行えば、そこは報奨というか、自由に使えるわけですね。そもそも交付税の仕組み自体にそういう仕組みが内在されていると思うんです。

 だから、あえて、こういったトップランナーとか、今の、成果に対して御褒美として交付税を配賦するというのは、交付税本来の趣旨からいって違うと思うんですが、いかがですか。

高市国務大臣 各地方自治体におかれましては、行革によって一生懸命お金を捻出し、また、それを地方創生などにも一生懸命役立てていただいているということでございます。

 人口減少等特別対策事業費の成果による配分につきましては、成果を上げた団体ではやはり全国平均以上の経費が生じるということも考えられますから、この財政需要を適切に反映しようとするものですので、これも財源保障機能を損なうものではございません。

 トップランナー方式についてもさまざま御意見はいただきましたが、法律等によって国が基準を定めている業務ですとか地域振興などの業務というのは対象から除外をしております。また、多くの団体で既に民間委託などの業務改革に取り組んでいる業務を対象としているということ、それから、地方団体への影響などを考慮しまして複数年かけて段階的に反映するということ、小規模団体の地域の事情を踏まえて算定を行うということで、これも財源保障機能を適切に働かせているものでございます。

 二十八年度は、前年度を〇・一兆円上回る一般財源総額を確保できましたし、地方交付税についても前年度とほぼ同額の程度を確保できましたので、今後とも、やはり財源保障機能というのは適切に発揮してまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 ほかの案件もあるので、このぐらいにしたいと思うんです。

 確かに、人口がふえたらそこに少し行政需要があるというのはわからないではないんですが、行革をするということはコストを下げるということですから、その分費用は減るということですよね。そこに対して交付税を厚く配分するというのは、論理的にちょっとぴんとこないところがあります。そもそも交付税の趣旨と違うんじゃないかということを指摘して、この質問は終わりたいと思います。

 それでは、籾井会長にきょうもまたお見えいただいております。

 昨日、予算委員会の分科会で、関連会社、子会社についての監査法人への委託をお認めになりました。一昨日でしたか、先日の高井委員とのやりとりの中では、記憶にないとずっとおっしゃっていたんですが、一夜にして、新聞記事が出た途端に記憶がぱっとよみがえったんですか。

 改めて、記憶にないとおっしゃったことについて釈明をしていただき、そして、違っていたというのであれば、謝罪をしていただきたいと思います。

籾井参考人 まず、前回の委員会におきまして混乱したお答えをして、まことに申しわけございませんでした。

 二十四日の委員会では、委員からのお尋ねの趣旨を、NHK関連団体ガバナンス調査委員会のような形でほかに外部にお願いしたものではないかと受けとめてしまったため、承知しておりません、こういうふうにお答えしてしまいました。

 正確に申し上げますと、NHK内部監査室に対して、NHK出版などと同じような不正案件が他の子会社にないかを調査するよう命じておりました。内部監査室が作業を進める際に人手が足りなかったため、監査法人に人的手助けをお願いした、こういうわけでございます。

 まことに、混乱したお答えをして、申しわけございませんでした。

奥野(総)委員 もう一度確認をしますが、五千万、四千九百五十万円でしたかで監査法人に委託をして、しかし、それは小林委員会とは違うと。

 ただ、小林委員会にこれは使われたわけですよね。小林委員会にこの成果は使われたということでよろしいんでしょうか。であれば、小林委員会の話をしているときにこれを思い出さないわけがないと思うんです。どうぞ。

籾井参考人 この内部監査室調査の結果、内容については、これは小林委員会にも十分に内容は利用してもらっております。

 それから、そういうわけで、利用されておるわけですが、この二つの委員会は、一つはガバナンス調査委員会、一つは不正の調査委員会というわけで、全部別々の、委員会ではございません、内部監査、内部調査でございますから、全く内容的には違う調査でございます。

奥野(総)委員 きのう伺ったところだと、御説明もいただいていますが、小林委員会の中にその結果が含まれているということですね。小林委員会は、ビジネスクリエイトでしたか、そこの不祥事の調査をしていた、そして、関連の子会社についてはこの監査法人がしていた、その成果は一体となって小林委員会の中に書かれているんだ、こういう説明だったと思うんです。

 要すれば、一億円をかけて小林報告書ができ、そして、報道発表だと、再発防止策も書かれていたわけですよ。再発防止策を一億円もかけてつくったにもかかわらず、また今回二億円、一億円かけて二億円の不正が見抜けなかったということだと思うんですね。その責任についてということ。

 一体だからこそ、先日、思い出せなかったはずはないし、そこでなぜ答弁しなかったんですかというのを改めて問います。それが一つ。

 それから、一億円かけて二億円の不正が見抜けなかったという点について、責任をどうとられますか。

籾井参考人 結果としまして、NHKアイテックの不正を見抜けなかったということは事実でございますが、これについては本当に残念なことであるというふうに思っております。

 NHKアイテックの不正が長期にわたり見過ごされた構造的な原因の究明を踏まえて、私も不退転の決意で再発防止の徹底に取り組んでまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 なぜ思い出せなかったかという質問に、もう一度。

籾井参考人 まことに申しわけございません。きのうも、さっきも説明しましたけれども、二つの調査グループ、一つは外部に頼んだもの、一つは内部の内部監査室が調べたものというのは性質が全然違いまして、ガバナンス調査委員会というのは、我々の、NHKの要するに内部監査の方法が適切かどうか、本当にきちっとチェックできるようなシステムが備わっているかどうかというのを調べるのが主たる目的でございます。内部監査は、不正があるかどうかを調べる調査でございます。

奥野(総)委員 もう時間があれなんですけれども、そもそも小林委員会の話をしていて、それに関連して同じような調査をやっていたんじゃないですかといえば、当然この話は出てくる話なんです。それが小林委員会の報告書の中に含まれているのなら、当然、一体の話ですから、それはどこを調べているか、何が対象かという違いはあるのかもしれないけれども、思い出してしかるべきだったと思うんですね。これは、高井さんにあとはまた譲ります。

 もう一点。

 きょうの新聞で、日曜日のテレビで会長が謝罪すると。「とっておきサンデー」に出演して、このアイテックの問題、タクシー券の問題、視聴者に謝罪し、再発防止策を説明すると記事が出ていますが、事実でしょうか。

籾井参考人 あさって日曜日の十一時から総合テレビで放送予定の「とっておきサンデー」に出まして、視聴者に対して、一連の不祥事についておわびするとともに、再発防止策についても御説明させていただく予定になっております。

奥野(総)委員 これはたしか二度目なんですね。一昨年は、たしか会長発言をめぐって、真意を説明してくださいという私の求めに応じて一回やっていますね。今度、こういった形では二回目だと思うんです。

 再発防止策、先ほど申し上げたように、小林委員会の発表のときに再発防止策という項目がちゃんと立っているわけです。再発防止策は一回出したわけです。一億もかけて再発防止策をつくった。にもかかわらず、今回また新たに二億円の不正が出てきた。再発防止策が機能しなかったわけですよ。

 今回またおわびをして再発防止策を皆さんに示すということなんですが、では、これでもう今後新たに不正は出てこないんですね。出てきたらどうしますか、今見抜けなかった不正が新たに出てきた場合。

 会長、これはもう、去年も再発防止策、ことしも再発防止策、それなりの責任があると思うんです。覚悟を持って責任をとる、それなりの責任をとる覚悟を持っておわびをするということでよろしいんですね。

籾井参考人 ガバナンス調査委員会の報告を踏まえまして、我々としては、今、関連企業のリストラも含め、いわゆるゼロからの見直しという形で見直してやっている最中でございます。

 そういう意味におきまして、私としましては、今後、不正が起こらないようにベストを尽くして努力をするつもりでおります。

奥野(総)委員 伺っているのは、今度出てきたときの責任のとり方です。今後何が起こるかわからないということかもしれないけれども、また似たような事案が起きてきた場合、あるいは、再発防止策をとったにもかかわらず過去の事例が出てきた場合、見抜けなかった場合。

 去年、一回それで再発防止策を出して、にもかかわらず見抜けなかった。今回、同じことを繰り返した場合に、それなりに責任はとるんですね、視聴者におわびする以上。ただ謝っていればいいというものじゃないと思うんですよ。きちんと謝ったからには、それに対して結果責任をとる、こういう……(発言する者あり)静粛に。

 お願いします。

遠山委員長 静粛にお願いいたします。

籾井参考人 先ほども申しましたが、再発しないように、私としてはベストを尽くして不退転の気持ちで努力していく所存でございます。

 実際に、六年前から起こりましたアイテックの問題についても、ここに来て発見されたわけでございます。

 そういう意味におきまして、今後とも、そういうことが起こらないように、私としてはベストを尽くしてまいりたいと思います。

奥野(総)委員 六年前からかもしれないですけれども、会長が来られて丸二年半、二年半の間見抜けなかった、しかも、再発防止策を一億円もかけてやったのに見抜けなかったということなんです。これは非常に問題があるし、おわびする以上は私はしっかり責任をとっていただきたいと思います。

 経営委員長、来ていただいていますね。私が伺いたいのは、きょうは議事録の話、もう時間がないので一点に絞って言います。

 十二月八日の経営委員会議事録を見ますと、収支予算編成要綱について取り下げた、こういうことが一行記載されています。福井専務理事からの発言で、平成二十八年度収支予算要綱の提案を見送る、こう一行だけ書かれているわけであります。

 一方、その前回の十一月二十四日の経営委員会議事録を見ると、次回十二月八日は収支予算要綱として事業計画の詳細や予算科目別の内訳などを示して御審議をいただく予定となっております、こういうことが書かれていて、予告されていて、しかし、いきなり取り下げられているということなんですよ。

 後ろを見ると、例の土地の問題の話があり、それから、冒頭、その土地の問題について議論した、土地購入の問題について議論したとあるんですが、多分、恐らく土地の問題に関連してであろうということは前後で推察はできるんですが。

 そもそも、この経営委員会の議事録というのは法律で公表義務がかかっています。公表義務ということは、視聴者に対してきちんとつまびらかにしていく、審議の内容をつまびらかにしていくということだと思うんですね。例外としては、もちろん、個人情報とか相手方の問題があるときは出せないというのはあると思いますが、基本的には全てオープンにすべきだ、こういう議論をしてきました。

 今回、これを見ても、なぜ取り下げられたかが全然明確じゃないわけですよ。議事録としての機能が果たせていないと思います。ですから、この十二月八日の議事録について、放送法の趣旨にのっとって詳細に出していただきたいということなんですが、経営委員長、お願いします。

浜田参考人 お答えいたします。

 経営委員会では、放送法第四十一条の定めにのっとって議事録を作成、公表しております。しかしながら、円滑な議事運営の確保、経営委員会自身のガバナンスの重要性の観点から、内容を一部非公表とさせていただく場合もございます。

 今先生御指摘の十二月八日の議論につきましては、議事録は既に公表しているとおりでございます。

 しかしながら、国会でさまざまな御指摘をいただいておりますので、私の判断で議論のポイントについて御紹介をしたいというふうに思います。

 十二月八日の議論においては、まず、会長と福井専務理事から、関連団体が集まって渋谷の土地を購入する計画について優先交渉権を得たという説明を受けました。

 その後、各委員から、どのような土地なのか、どのような目的で誰が購入する計画なのか、建物をつくる計画はあるのか、一部で報道されたような落札ではないのか、その時点までの手続に瑕疵はなかったのか、NHKが債務保証するような文書があるのか、購入までのスケジュール、期限はどうなっているのか、購入しなかった場合は違約金を払うのか、経営委員会との情報共有についての考え方などについて質疑がありました。

 監査委員会からも、調査中ではあるが、一連の手続や取引内容の妥当性などの面で不明な点が残るという発言がありました。

 したがいまして、経営委員会としては、執行部に対して、この件については慎重に対応することを求めるべきだという結論になりました。

 議論のポイントは以上でございます。

 私といたしましては、今後も経営委員会の透明性を高めていく努力を続けていきたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 時間が来ていますが、もう一点だけ。

 収支要綱を取り下げたということは、収支要綱の中に土地取引に係る部分が含まれていたと。報道されているように、当初、前回の経営委員会で示された予算の額よりも減額されて出てきた、だから差し戻したということでよろしいですか。

浜田参考人 収支要綱そのものが取り下げられておりますので、経営委員会では議論はございませんでした。議事録のとおりでございます。

奥野(総)委員 まだまだ聞きたいんですが、高井先生に譲りたいと思います。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 けさほど委員長から理事会の場で、できるだけ地方交付税、地方税法に係ることを質問してほしいと要請をいただきました。

 しかし、その場で私からは、私も地方税法、地方交付税法の質問をたくさん用意して、毎回総務省の事務方の方には本当に来ていただいて御苦労をおかけしているのに、NHKの回答が極めて不誠実きわまりないものでありますので、これは私に対してではなく、この総務委員会、そして、総務委員会は国民の皆さん、視聴者を代表して質疑を行っているわけですから、それに対して余りにも失礼な、不誠実な回答であれば、これはやはり看過することはできません。私の一昨日の質問に対しても、通告がないから答えられない、記憶にございませんということを何度も答弁をされているわけですが、きょうは通告をしておりますので、改めて、この問題は取り上げざるを得ませんから、まずはお聞きをいたします。

 先ほど、一昨日の私の質問に対して、会長は謝罪をされました。私に対してではなく、これは国民の皆さんに対して、この総務委員会での謝罪でありますので、もうこれ以上繰り返しこのことは求めません。

 しかし一方で、板野専務理事は私の質問に対して三回、記憶にございませんというふうに答弁をされています。この件について、板野専務理事のコメントはありますか。

板野参考人 お答えいたします。

 記憶にないと答弁申し上げたことはおわびを申し上げます。

 二十四日の総務委員会では、委員からのお尋ねの趣旨を、NHK関連団体ガバナンス調査委員会のような形で調査を外部の方にお願いしたものはほかにないかというふうに私の方が受けとめてしまったため、記憶にないということを申し上げました。

 正確に申し上げますと、NHK内部監査室に対して、NHK出版などと同じような不正案件がほかの子会社にないか、調査するように命じておりました。内部監査室が作業を進める際に人手が足りませんでしたために、監査法人に手助けをお願いした次第でございます。

 改めておわびを申し上げます。

高井委員 では、内部監査室が独断で判断をして、板野専務理事が知らないままに、五千万円近い金額で外部の監査法人に依頼をした、そういうことですか。

板野参考人 内部監査室が独断で行ったということではございません。私は当時コンプライアンス担当理事をしておりましたので、私も当然そのことについては報告を受けておりました。

 ただ、先ほども申し上げましたように、高井委員の質問の御趣旨が、ガバナンス調査委員会のような形で調査を外部の方にお願いしたものはほかにないかというふうに私の方が受けとめてしまったために、記憶にないというふうに申し上げた次第でございます。

高井委員 極めて、何というか、レトリック、文言上の話だと思うんですね。

 小林調査委員会のようにと確かに私は言いましたけれども、しかし、内部監査である、しかも子会社に対しての監査でありますから、小林調査会のようにと言って思いつかなかったということを今おっしゃっているわけですけれども、これはちょっと、到底理解しがたいわけであります。

 しかも、五千万円という金額、これはNHK全体で見れば、大したことない、会長や専務理事の扱う金額では大したことないということなんでしょうか。

 受信料は今、一月、地上波で千三百十円、そして、衛星放送も含めると二千二百八十円ですよ。これだけの受信料、五千万円というのは、計算したら四万人分の受信料ですよ。これだけの受信料を使う、しかも、これだけの受信料を集める、四万人分の受信料を集めるのにどれだけNHKの職員の皆さんが大変な思いで集金業務をやっているか。

 そういうことを考えたら、五千万円なんという金額は全然思い出せなかったと。しかも、小林調査会というのは、昨年この場でさんざん議論になって、五千六百万円は高いんじゃないかという議論があって、報告書を出してくれとさんざん予算委員会でもお願いしてようやく出てきた、そういうある意味経緯のあるものです。

 それに対して、それに関連する調査を外部にお願いしたという事実はありませんかと言って、会長は承知していないと答えた。それから、板野専務理事は三回にわたって記憶にございませんと答えた。到底先ほどの説明では納得できないんですけれども、もう一度、板野専務理事、お答えください。

板野参考人 お答えをいたします。

 この五千万円という額は、私自身承知しておりませんでした。

 と申しますのは、当初の発注は、私がリスク管理担当理事をやっておりました平成二十六年の四月でございますけれども、その当時は千七百万円余りの見積もりということで発注をかけております。その後、私は放送総局長に転出をいたしまして、結果としてその支払いの総額が幾らであったということについては、今回のやりとりの中で初めて承知した次第でございます。

高井委員 去年あれだけ議論になったわけでありますから、途中で放送総局長に転出されたのかもしれませんけれども、NHK局内で、協会の中で、当然、この五千六百万円というのはどういう経緯なのか。

 それから、きのう、予算委員会の分科会で会長は、この小林調査会の報告書は、今問い合わせている監査法人、五千万円で調べてもらった監査法人の報告書をかなりの部分参考にしたというふうに答弁をされています。

 つまり、物すごく関連をしているにもかかわらず、それを転出したから専務理事は知らなかったと。でも、前任ですよね。まさに問題になっていた小林調査会を発注したときは板野専務理事が担当していたんですから、当然、NHKの中で、当時のコンプライアンス担当理事にどういう経緯だったのかとか、そういう議論をしないわけがないと思います。

 私は、これは隠しているのではないかと。記憶にないのではなくて、今回の小林調査会とこの外部の監査法人の報告書が似たような内容であるから、それだったら、五千六百万円でも高いと言われているのに、さらに五千万円も使って一億円使っていたということが発覚したら、また国会で追及されるから隠していたのではないですか。板野専務理事、違いますか。(発言する者あり)

遠山委員長 静粛にお願いいたします。

板野参考人 お答えいたします。

 ガバナンス調査委員会は、NHKビジネスクリエイトとNHK出版で明らかになった不正事案につきまして、関連団体やNHKがどのように対処したのか、あるいはNHKの指導監督が適切に行われたかを調べていただくものでございました。そのほかの関連団体にも共通する内部統制上の課題、各団体固有の内部統制上の不備など、構造的な問題につきましても具体的に指摘をいただいております。

 一方、先ほどから指摘を頂戴しておりますNHKの内部監査室が行った調査は、NHK出版以外の子会社でも同様の不正事案がないかを調べたもので、調査の目的が異なっております。こうした膨大な証票のチェックを行う業務を行うために、監査法人に手助けをお願いしている次第でございます。

 そういう意味で、おとといのお尋ねの中で記憶がなかったというのは、決して私、何か隠蔽するような意図ではございませんで、本当にその関連につきまして記憶がきちんとしていなかったということでございます。

高井委員 私は、隠していると決めつけているわけではありません。お聞きをしているんです。

 今の御説明のとおり、全く別の趣旨であるものであると胸を張って説明できるということであれば、この監査法人の出した報告書、公開というか、提出していただけますか。公開する必要はありません。この委員会に提出していただけませんか。

今井参考人 今、監査法人へ委託した調査結果の報告を受けているかというお尋ねでございますが、監査法人は、人手が足りませんでしたのでいろいろな作業をやっていただいていますが、監査法人からの調査報告というものは、形のあるものとして頂戴はしておらないというふうに承知をしております。

 内部監査室の行った調査の結果の概要について、役員に対して説明があった、こういうふうに承知しております。

高井委員 会長、協会の、NHKの責任者として、執行の責任者として、今こういう疑いがあるということがこの場で議論されているわけですから、それを晴らすためには、私はこの報告書を出していただかなければ疑いは晴れないと思います。

 会長、出していただけませんか。

籾井参考人 いろいろ答弁の中で疑問に思われる点もあるのかとは思いますけれども、この報告書は内部監査調査報告なんですね。

 先ほどの外部の人たちというのは、これは助っ人として人的不足を補うためにお願いしたわけでございまして、あくまでも内部資料でございます。そのエッセンスの部分というのは、先ほどから申しておりますように、ガバナンス調査委員会の報告にも網羅されているということで、内部監査報告に当たるものは、これは一切外部には公表しておりませんので、あるいは外部には出しておりませんので、ぜひこの点は御了解いただきたいというふうに思うわけでございます。

高井委員 昨日の予算委員会でも、結局、今回五千万円で出したものは、その後五千六百万円で出した小林調査会で網羅されているという答弁なんですが、その網羅されているところが問題じゃないか。

 同じ内容の調査を別々に、五千万ずつ、五千万と五千六百万、出したということは、去年あれだけ問題になった五千六百万の小林調査会は、実は、その前に同時並行でやっていたこの監査法人のお金を、それを使ったんじゃないかということがこの場で今議論になっているわけですから、今の答弁では全く答えになっておりません。

 委員長、私は委員会に提出していただかないとこの問題は全く疑問が晴れませんので、委員長において取り計らいをお願いいたします。

遠山委員長 ただいまの高井崇志委員の資料要求の件につきましては、理事会で後刻協議をさせていただきます。

高井委員 もう次に移りたいんですけれども、私は、やはりNHKの隠蔽体質というのが、先ほどからも、議事録の話もそうですけれども、何度も聞いて、今経営委員長がようやくその概要をお答えになりましたけれども、しかし、何か当たりさわりのない議論だなと思って聞いておりました。

 ぜひしっかりとこの委員会の場で、先ほどの経営委員長のように説明していただきたいと思うんです。そんなに我々は細かな話を聞こうと思っていません。この発言があったのかどうか、イエスですかノーですか、それだけのことを答えるのに、一昨日、板野専務理事は議事録のとおりですという発言をずっと繰り返すだけということですから、やはりこれでは審議が進まない。我々は、受信料を払っている視聴者を代表して、この総務委員会でNHKの皆さんには問うているわけですから、ぜひこの点、板野専務理事、もう一度お聞きをいたします。

 十二月八日の理事会のときに、三百五十億円の金額を聞いたのは初めてだという発言をしたのかしていないのか、そのことだけお答えください。何も詳細なことは聞いていません。その発言をしたのかしていないのか、それだけを答えてください。

板野参考人 お答えいたします。

 十二月八日の理事会で、優先交渉権を得るための買い受け申し込みの提示額を正式に聞いたと記憶しております。

高井委員 それは、買い受け提示額を正式に聞いたと。買い受け提示額というのは三百五十億円ですよね。その三百五十億円を十二月八日の理事会で初めて聞いたと。

 今、正式に聞いたとおっしゃったんですか。そこで使い分けているんですか。また正式、非公式ということですか。もう一度そこを明確にお答えください。

板野参考人 先ほど申し上げましたように、優先交渉権を得るための買い受け申し込みの提示額を正式に聞いたものでございます。

 御承知のように、金額というものは、たとえ金額が同じでございましても、それは取得額なのか、あるいは落札額なのか、はたまた優先交渉権を得るための買い受け申し込みの提示額なのか、意味合いが全く異なってまいります。そうしたことをこの理事会で私は確認を申し上げた、このようなことでございます。

高井委員 正式に聞いたのが十二月八日ということは、先日からの答弁で会長は非公式には伝えていたという答弁をされていますから、では、非公式には聞いていたんですね。板野専務理事。

板野参考人 この土地取引に関する議論というのは、十二月八日の理事会に先立つ形で、何回か我々役員で討議をしていたところでございます。

 そうした過程の中ではいろいろな議論がございましたけれども、この買い受け申し込みの提示額ということにつきましては、八日の日のお話で正式に私は伺ったというふうに記憶しております。

高井委員 板野専務理事は、では、その場で正式に聞いたのは初めてだから、この件には賛成しかねるということで、この議案はその後の経営委員会には諮られないことになったということなんでしょうか。

板野参考人 お答え申し上げます。

 私は、土地の取得そのものを別に反対していたわけではございません。やはり、籾井会長もこの場で御説明申し上げておりますとおり、ばらばらに散らばった関連団体の賃貸契約の問題を一つのビルにまとめるというものは、これは私も大変合理的な考え方だと思いますし、そのことそのものを別に反対しているというわけではございません。

 ただ、さまざまなこうした問題、特に大きな投資を行う場合に、我々の部内的な手続でありますとか、あるいは財源の問題でありますとか、そうしたことについては、きちんと役員間でのやはり合意と申しましょうか、意思の統一というものが必要だというふうに思っておりました。

 そうした意味で、この理事会の場ではさまざまな御質問を申し上げまして、結果的に、その場ではなかなかわからないことが多いので、予算案の提示というものは先に延ばした方がいいのではないかというふうに申し上げました。

高井委員 板野専務理事は先に延ばした方がいいというふうに、議事録にも載っていますから、発言されましたけれども、結局、会長は、予算案は経営委員会に諮ったわけですよね、十二月八日に。それで経営委員会では議論になった。違いますか、経営委員長。十二月八日、議論になったんですよね。

浜田参考人 先ほど申し上げたように、取り下げられましたので、議論はしておりません。

高井委員 全くこの件、十二月八日に経営委員会で、それは正式にとか、議事録に載せるベースでとかじゃなくて、議論していないんですか。

 では、経営委員長は全くこの件を知らなかったんですか。

浜田参考人 時系列に申し上げますと、十二月八日、まず経営委員会で、会長それから福井専務理事においでいただいて、土地購入計画についての概要の説明をお聞きしました。その中で、先ほど御紹介しましたような意見交換がありました。それで、その後の経営委員会で、執行部から予算案のものについては取り下げるということで、私としては、議論を踏まえれば、慎重に対応を求めたいと思っておりましたので、取り下げるという趣旨の提案については了承をしたということでございます。

高井委員 予算案が取り下げられるというのは結構大きなことだと思うんですね。それが何か、議事録にも載っていない。先ほど、ようやく議論の紹介はありましたけれども。

 その前段で、理事会が十二月八日にあったわけですけれども、会長が進めてきた、水面下かもしれません、非公式かもしれません、進めてきたこの議案が、非公式とはいえ板野専務理事には相談を当然していたわけです、にもかかわらず、十二月八日になって、正式には聞いていないということでこの件が議論になって、そして結局、撤回をするという大きな事態になったということは、会長、どういう議論で行われたのかは少しは説明していただかないと、納得できません。お願いします。

籾井参考人 以前にも御説明したような気がするんですが、こういう大きなプロジェクトをやるときには、みんなのいわゆる賛意といいましょうか、賛成、反対という意味じゃなくて、やはり、進めようじゃないかという一体感、こういうものが非常に大事だと私は認識しております。

 午前中に理事会をやりました。その中で、さっきから高井委員が指摘されているように、板野専務理事の意見とか、いろいろ意見がございました。そういうことを踏まえて午後の経営委員会に臨むわけですが、そのときに、やはりこういうものというのはこういう雰囲気の中では進められないんじゃないかというふうな考えも、私はかなり持つようになっておりました。そういう中で予算をここで諮るということについて、もう一度その内容について検討した方がいいなというところで、予算のプロセスを先に進めることを見送ったわけでございます。

 結果として、我々は、予算の内容を変えたことは、七千十六億という数字は一度も変えたことはございませんし、当然のことながら、中での議論においては、いろいろなアイデア、数字があるわけでございます。けれども、それはあくまでも中の議論でございまして、それがいわゆる外でどうこうということになる数字ではないわけでございます。(発言する者あり)

遠山委員長 静粛に願います。

籾井参考人 要するに、経営委員会の意見を聞いて、御存じだと思いますが、特例配当をどうするかとか、こういうことをもう一度検討する必要があるということを考えて、十二月八日の経営委員会での収支予算編成要綱を提案することを見送ったわけでございます。撤回したわけでも何でもないんです。まだ提案していないんですから。

 要するに、提案する前の段階でこれを見送ることとした。理由は、今申し上げたとおりでございます。

高井委員 その理由が、いろいろな意見がありました、総合的に判断したではわからないから、お尋ねしているんです。

 たかだか三十数億とおっしゃるのかもしれません。七千億の中から六千九百何十億。しかし、これも計算しましたよ、受信料にしたら三百二十万人の受信料ですよ。それだけの金額を当初提示して、もう理事会にまで諮って、しかも理事会ではいろいろな議論があったけれども、理事会は会長が押し切って通していますよね。その後に、経営委員会は正式になる前の議論だったということですか。正式になる前の議論であろうと、経営委員からもいろいろな意見が出た、そして執行部からもいろいろな意見が出て、結局は取り下げた。

 これは、内部の話だから何も説明しなくていい、総合的に自分が判断したで済む問題ではない。よくNHKの皆さん、きのう、おとといから、予算編成過程の話は説明する必要がありませんというような答弁が目立ちますが、予算案をこれから審議するときに、予算編成過程でどういう議論があったかを知らなかったら、その予算が妥当かどうかも判断できないじゃないですか。

 もう一度、会長、お答えください。

籾井参考人 たかだか三十七億なんということは思ったこともありません。三十七億は厳然として三十七億で、これは受信料、貴重な受信料の中の一部でございます。これは、ぜひ私は主張しておきたいと思います。

 それから、数字につきましても、終始一貫出している数字は七千十六億でございます。過程で言えないと言っていることは、途中で、例えば七千十六億、これが六千何百億、例えば七千五百億、途中の過程がぶれますともう議論がぐちゃぐちゃになるということは、私が言うまでもないことだと思います。

 したがって、中での議論はいろいろあります。それは、例えば、ある事案に対して賛意もあれば、そうでないこともあると思います。そういう中で、数字は一貫して七千十六億でございます。

 途中で出てきた数字というのは、あくまでも最後の、要するに予算の要綱を決めるためのプロセスでございまして、これについてはぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。

高井委員 途中の検討過程の細かなことをるる聞いているのではなくて、理事会まで諮って、そして理事会も通ったものが、しかしその後、正式に経営委員会に諮ることもなく撤回になった。その間わずか数時間でどういう議論が交わされたかということをお聞きしているのに、それについて一言も答えられないということは、余りにも私は不誠実だと思います。

 これは、監査委員、理事会の場に同席していますよね。監査委員の立場だから監査にかかわること以外は言えない、そういう答弁を繰り返されていますけれども、私は、NHKの情報公開が全然できていない、このことも監査しなければいけない話だし、監査委員としてこのことについても御発言をいただきたいと思いますが、いかがですか。

上田参考人 お答えいたします。

 前回もお答えいたしましたが、私といたしましては、この国会審議の場におきまして、お答えできる範囲で、誠心誠意、正直かつ率直に答弁してまいりたいと考えております。

 しかしながら、監査委員として見知ったことを全て公にすることは、今後の監査委員会の監査、調査への協力を確保するという観点から、慎重にならざるを得ないと考えておりますので、どうか御理解いただきたいと思います。

高井委員 私は、今回の監査のあり方も、この間逢坂委員からもありましたし、非常に監査が甘い、論点が狭いと思っています。この点。

 それと、今回の会長と専務理事とのやりとりは、やはり経営委員長がもっとしっかり、執行部のあり方はどうなっているのかということを問いただしていただかなければならない。

 加えて、この総務委員会における対応、経営委員長は去年から、全会一致を目指してくれ、努力しろというふうに言っているわけですから、それに対して今回のこの対応というのは、経営委員長はどうお考えなんですか。

浜田参考人 一連の不祥事につきましては、経営委員会としても重く受けとめ、執行部に対し、再発防止策、根本的改革を求めております。

 さらに、NHKグループのガバナンス強化に向けた具体的な対応策も検討しているところでございます。具体的には、子会社のガバナンスを規定している内部統制関係議決の強化を検討しております。

高井委員 この件は、NHK予算までまだ時間がありますので、引き続きしっかりと議論してまいりたいと思います。経営委員長、監査委員も、そのためにお二人いらっしゃるんですから、執行部の言うことをそのまま聞く、あるいは執行部をかばうなんということでは存在意義がありませんから、ぜひ、そこは心して答弁いただきたいと思います。

 もう時間がありませんけれども、総務大臣に地方交付税のことを聞くんですけれども、あわせて、今のこのNHKのやりとりをお聞きされて、総務大臣としてどういうふうにお考えになるか。

 それとあわせて、地方交付税については、我々維新の党は、前回の衆議院選挙のときも、もうこれは廃止すべきではないか、マニフェストにはそう書いております。

 また、一足飛びに廃止が難しいのであれば、去年、私はこの委員会でも申し上げたんですけれども、せめて交付税のあり方を検討する、そういう場を省内にでも設けていただけないかということを御質問して、まあ前向きな答弁でもなかったですけれども、承っていただいたと思うんです。

 その後、この交付税のあり方の検討を行う、こういったことはあったんでしょうか。

高市国務大臣 まず、NHKの件から申し上げます。

 NHKは、放送法及びNHK経営委員会が行った内部統制関係議決により、子会社の業務運営について指揮監督を行う立場にございます。

 NHKは、国民・視聴者の皆様の受信料によって運営されている公共放送ですから、その業務を総理する立場である籾井会長を先頭に、子会社も含めたグループ全体の経営改革、そしてガバナンス強化を早急に進めていただきたいと存じます。できるものから着手をしていただきたいと考えております。

 これは、来年度のNHK予算の提出を総務大臣室で受けたときにも申し上げましたし、会長も、先頭に立ってしっかりと、ゼロベースで子会社改革をしていくとおっしゃっています。

 それから、地方交付税の廃止なんですけれども、一般論で申し上げますと、地方の自立を促進していくということを考えますと、補助金はもとより、地方交付税など国から地方への財政移転にできるだけ依存することなく、みずからの財源である地方税で財政運営を行うということは理想ではございます。そのため、地方消費税など地方税の充実を図るということ、これが地方財政の目指すべき姿だとは考えます。

 しかし、地方税の充実を図って偏在性の小さい地方税体系を構築したとしてもなお、やはり税源の偏在はどうしても残ってしまいますから。

 多くの行政分野において、今、我が国では、国と地方の役割分担を法律で決めています。やはり地方団体間の財政力格差というのが存在しますので、どのような地方、地域にお住まいであっても、国が法令で定める一定水準の行政サービスをちゃんと提供できるように財源を保障するということは国の責務だと思っております。仮に、今直ちに地方交付税を廃止するということになれば、そのような国の責任が果たせなくなると思います。

 しっかりと地方税源を充実していく方向、仕事量に見合った税源を充実していく方向というのは、与野党を問わずに皆さんが目指すところであり、こちらもまずは五対五という目標を設けておりますけれども、今はやはりナショナルミニマムをしっかりと確保していくという観点から、地方交付税の重要性というものは揺るがないものだと考えております。

高井委員 きょうは、地方交付税、一問しか聞けませんでした。もう一回、私、チャンスをいただけると思うので、そこで改めてと思います。

 ただ、委員長、先ほどお願いした報告書、あれが出てこないとまたこの話をやらざるを得なくなりますから、ぜひ、委員長の方でお取り計らいをお願いいたします。

 以上で終わります。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 まず、外形標準課税の拡大について伺いたいと思います。

 今回の外形標準課税の適用拡大と、地域経済に与える影響について、高市大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むように促す観点から行うものでございます。また、我が国におきましては、一部の企業に税負担が偏っているという指摘もございますことから、広く負担を分かち合う構造としていくことも必要でございます。

 今回の改正におきまして、この法人税改革の一環として、税収の安定性の確保などの観点から、かねてより地方団体から要望いただいていた大法人向けの外形標準課税の拡大を、法人事業税の所得割の税率引き下げとあわせて行うことといたしております。

 これは、法人事業税の応益性の強化ですとか、税収が安定的で偏在性の小さい地方税体系の構築に資するという大きな意義を有すると考えております。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

梅村委員 先日の総務委員会でも、大臣から、外形標準課税の拡大についてかなり突っ込んだ御答弁があったかと思います。

 そのときも、今もそうですけれども、赤字法人の税負担増という問題は生じるというふうにされながら、今回の法人税改革は、企業が収益を高めて、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう施す観点から行う、また、赤字とか収益力の低い法人でも、業績が向上していけば今回の改革によって税負担が軽減される、これらのことをこの間御答弁いただいていたかというふうに思います。

 そこで、一点だけさらに御確認させていただきたいんですけれども、先日のこの委員会でも、この外形標準課税について、今後、資本金一億円以下の中小企業にも広げていくお考えなのかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 外形標準課税の対象法人につきましては、これまでも大臣から答弁申し上げておりますけれども、与党の大綱に書いてありますように、引き続き慎重に検討していくということでございます。

梅村委員 つまり、否定はされていない、慎重に検討していくということだと思いますけれども、やはり中小に与える影響は大きいと思いますので、これはやはりやるべきではないということをここで訴えさせていただきたいというふうに思います。

 特に、税収の安定化ということが先ほども言われましたけれども、取りやすいところから取るという、そして、大企業に減税し、今回もその穴埋めとしてこの外形標準課税が拡大されようとしているわけですけれども、このやり方というのは、内需を冷え込ませ、逆に、税収の安定化にも逆行することではないかというようにも考えます。

 そこで、次に確認させていただきたいと思いますけれども、この外形標準課税の拡大について、衆議院の財金の方で我が党の宮本徹議員から質問し、総務省から試算を発表していただきました。資料1ですけれども、課税所得別の増減税額がどんなふうになるのか、その特徴点を簡潔に御説明いただければと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の外形標準課税の拡大によります一社当たりの負担の増減につきまして、資本金階級別及び所得階級別に平成二十五年度の課税実績をもとに機械的に計算をしたものが、お手元に委員から出していただいてあります総務省提出資料でございます。

 簡単に中身をかいつまんで御説明申し上げますと、資本金が一億円を超え十億円以下の法人についてでございますが、所得一億円以下では、約六千社、平均三百万円の負担増、所得一億円を超え十億円以下では、五千三百社、若干の負担減、所得十億円を超えるところでは、約千三百社、平均三千四百万円の負担減であります。欠損法人は、約四千八百社、平均三百万円の負担増、利益法人と欠損法人を合わせた全体で一万七千四百社で、平均百万円の負担減となっております。

 また、資本金十億円を超える法人について申し上げますと、所得一億円以下では、約八百社、平均千七百万円の負担増、所得一億円を超え十億円以下では、約千五百社、平均二千九百万円の負担増、所得十億円を超えるところでは、約二千社、平均六千七百万円の負担減でございます。欠損法人では、千六百社、平均五千五百万円の負担増でございまして、利益法人、欠損法人を合わせた全体で五千九百社、平均百万円の負担増となっているものでございます。

梅村委員 この表、大変わかりやすく総務省の方からつくっていただいたというふうに思うんです。

 全企業への影響はよくとんとんだというふうに言われますけれども、もちろん、赤字企業というのはここで見ても負担増になっているわけです。

 赤いところが負担増で、それ以外は負担減でありますけれども、きょう御指摘させていただきたいのは、赤字企業が増税になるだけではなくて、やはり黒字企業にも外形標準課税の影響が大変大きくあるということが、この表で新しく明らかになったかというふうに思います。

 特に、いわゆる課税所得一億円以下の企業については、例えば中堅でいえば、六千社あるわけですけれども、一社当たりが三百万円の増税になる。そして、資本金十億円超になると、八百社ありますけれども、一社当たり平均一千七百万円の負担増になる。それに対して、今御説明いただきましたけれども、大企業、十億円超の企業で課税所得も十億円を超えるところは何と負担減が一社当たりで六千七百万円にもなるということが、この表からも明らかではありませんか。

 この大企業の法人税の減税の穴埋めのために外形標準課税の拡大が行われるということですけれども、しかも、さらにこの中で、大企業がこれだけ、一社当たり六千七百万円も減税されて、一方で、赤字か黒字かぎりぎり頑張っているところが、この表で一目瞭然ですけれども、中堅でも一社当たり三百万円、こういう増税がかかるということは、大変道理がない話ではないかなというふうに思っているところです。

 それで、確認させていただきたいと思いますけれども、これは全体の数字ですけれども、やはりここは総務委員会ですので、地域経済に与える影響、こういうものを外形標準課税の拡大の中でどう分析し、どう議論されているのか、この点を伺わせていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 外形課税におきましては、所得割の税率を下げ、外形課税を拡大し、全体として税収中立で設計をしているということで、平成二十七年度から外形課税の拡大に取り組んできているわけでございます。

 この一つの税制上の措置でどこまで雇用やら経済に影響があるかというのを捕捉するというのは、相当難しいだろうというふうには思っておりますが、そもそも外形課税につきましては、人件費が一定割合以上の企業、これは実は八割の企業に適用されていますけれども、雇用安定控除という仕組みが創設以来設けられておりますし、平成二十七年度の改正では、新たに、一定以上給与を引き上げる企業に対して配慮する所得拡大促進税制を導入しております。

 その上で、中堅企業の負担増につきましては、今回、外形が拡大することに伴います負担増がある場合でございますけれども、軽減する経過措置を講ずることとしておりまして、雇用の安定あるいは負担の変動にも制度の面で相当配慮をしております。

 したがいまして、今回の改正によりまして、雇用や地域経済に大きな影響があるとは考えておりませんが、しかし、二十七年度から拡大をしてきたということでもございます。改正後の税率に基づきます納税の状況、あるいは二十七年度に導入をいたしました所得拡大促進税制の成果等については、可能な範囲で把握をしてまいりたいというふうに考えております。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

梅村委員 影響がある場合は配慮してこの間いろいろな措置をとってきたということで、具体的にはつかんでいないということだというふうに思うんです。

 ただ、この表を出していただいただけでも、これだけの数の企業が、とりわけ中堅企業が増税になるということがわかっているわけですから、とりわけ総務省の調査において。それで、影響はそんなにない、つかんでいない。これでは、少し、少しといいますか、本当に地域の経済をどうしていくのか疑問に思いますけれども、この表が出ているんですから、影響はなくはないんじゃないでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 この表で言う例えば中堅企業が地方の都市で活動していて、非常に資本金が大きい大企業が東京で活動しているというわけではないんですね。東京に本社がある大企業の支店も日本全国にございます。中堅企業もいろいろなところに支店を持って活動しているわけでございます。

 したがいまして、どういう規模のどういう経営状況の企業にどういうような負担増、負担減があるからということが、一律に大都市部と地方部との関係でどうなるかという影響にすぐ結びつくということではないだろうというふうに思っています。

 私どもとしますと、いずれにしても、こうした改正をするに当たりまして、雇用等に悪影響を及ぼさないように、税制としての制度設計の中で配慮をするというのが重要だと考えておりまして、そうした点について、先ほど御説明申し上げたような措置を講じたところでございます。

梅村委員 具体的に調べてもいないのにそういう御答弁というのは、本当に不誠実ではないのか。やはり、現状を分析しないで、そういう対策だとか措置もとれないのではないか。

 私が再三これを聞かせていただいても、分析がないということですので、これはあくまでも独自の私たちの調査ですけれども、きょうの資料の二枚目で、私は北関東選出ですので、埼玉、栃木、群馬、茨城で、いわゆる有価証券発行企業について、三百人以上の企業に限ってですけれども、ちょっとまとめたり調べてみたりもしたんですね。

 このうち、北関東でどういうところがあるのか。大体、対象が八十七社で、茨城で八社、栃木で十六社、群馬で十八社、埼玉で四十五社ということで、総従業員が十九万三千三十六人というふうになりました。

 そして、この下にまとめた結果を書かせていただきましたけれども、今回の所得割の引き下げ、付加価値割、資本割の引き上げを差し引きしてみると、全体として四億円の増税となっています。特に、所得割は百三十五億円の減税に対して、付加価値割は八十四億円の増税、資本割は五十六億円の増税になっていくわけですね。

 特に大事だと思ったのは、差し引き増税になる企業、差し引き減税になる企業に分類してその従業員数を集計していくと、増税になる企業の方が従業員数が多い、十万八千三百八十四人。さらに、従業員の内訳に注目して見ると、正規、臨時職員の比率では正規比率の方が高い、今度増税になるということだというふうに思います。

 これはあくまでも、ないということなので、私たちなりにどういう分析ができるかということを努力してみた結果なんですけれども、やはり今度の外形標準課税は付加価値税の増税であり、従業員の多いところほど増税ですから、外形標準課税が強化された場合、賃金の抑制や一層の非正規化が地方ではかなり強く進む可能性があるのではないかという危惧があるんですけれども、その点はいかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど、企業、特に中堅企業の点について注目をされているというふうに伺いましたが、いただいている資料の一ページ目ですけれども、中堅企業全体を見れば、出していただいた資料でも平均では負担減になっているということにも注目いただきたいと思います。

 その上で、人件費等への影響についても御言及がございましたが、外形課税は、付加価値割につきましては付加価値額とそれから当該年度の収益を足しております。

 したがいまして、仮に、何らかの形で収益が上がってきたので、ボーナスなり職員の給与引き上げに使おうということになりますと、人件費部分がふえて付加価値額が計算されますが、収益の方がその分マイナスになりますので、全体としては変わらないということになります。逆に、人件費を下げて利益を多く出しても、実は変わらない。

 そういう意味で、そもそも人件費との関係では、中立的な設計が付加価値割についてはなされているということでございます。

 その上で、先ほど申し上げましたような雇用安定控除、人件費の割合が一定程度多い企業に対する配慮、それから実際に給与を引き上げた企業に対する配慮もしているというところについて、御理解賜りたいと思います。

梅村委員 質問は、地域経済にどういう影響を与えるのかということを質問しているのであって、御主張を繰り返されるというのは誠実に答えていただいていないというふうに思います。

 それで、一枚目の表に戻って今御答弁いただいて、差し引きしても負担減だと言いますけれども、私は、そもそも、黒字か赤字かぎりぎりのところで努力して、もう少しで抜け出せるような方々に対して、こんな三百万円も増税するんですかということを言っているんですよ。数字の机上のすり合わせなんかで、実態、地域の企業の方々はやっていないわけで、そこの苦労をどう見ていらっしゃるのかということを言ってこの表を出しているのに、もとに戻って、差し引きとんとんで減税ですなんということは、やはり答弁としていかがなものかなというふうに思います。

 先ほどの影響がないということも、それは税率が変わらないときにはそういうことがあるかもしれませんけれども、付加価値割と所得割のところでそれぞれ利益が入る中で、所得割では減税、付加価値割では増税となるわけですから、それは今後増税を前提にした場合には影響が出るという、大変なすりかえのことを言っていらっしゃると思います。

 これは、経団連さん自身も外形標準課税は賃金課税だということを言っているわけで、そこをしっかりと見て、地域の中小企業の皆さんに本当にどういう影響があるのかということを深刻に、重大に捉えてこの外形標準課税の問題はやらなければ、地域経済は破壊してしまう、そんな議論でこれを進めるというのは大変危険ではないかなというふうに私は思っているところです。

 地域経済の問題でいうと、先ほど御紹介した上に、私自身、例えば、増減税で増税になる企業、北関東で二十社を調べてみたんです。そうすると、トップ二社というのは電器のいわゆる大規模小売店が続いておりますし、あと、北関東は自動車の部品メーカーが大変多い状況があります。

 例えば、そこを見ていきますと、桐生で、自動車メーカーなんかでありますけれども、そこの会社というのは正職員を地域で三千九百八十二人雇用しているんですけれども、そこは付加価値割による増税によって一・四億円の増税にもなっていくわけですね。そして、群馬に本社のある電器の会社でいっても、付加価値割だけで十一億円の増税になっていく。そういう調査を私たちもさせていただきました。

 この付加価値税への増税ということを見ますと、これはやはり賃金、そして正規から非正規への影響はなくはない、調べれば調べるほどそういうことを思うわけですよ。

 ですから、きょうはそれを指摘させていただきつつ、総務省として、そういう調査をもっとすべきじゃないでしょうか。外形標準課税でどういうふうに地域の企業に影響があるのか、どの地域にどういう影響があるのか、それをせずして、大企業の法人税の減税の財源のために拡大していくというのは余りにも安易なやり方で、地域からGDPを押し上げるということとは逆行するのではないかなというふうに思います。いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員はお話の中で中小企業という言葉も使われたので、中小企業については、先ほど冒頭申し上げましたが、与党の大綱に書いてあるように、対象法人については慎重に検討するという立場は変わっておりませんので、それを前提にしつつでございますけれども、この外形の対象となっている法人について、外形課税を拡大することによってどういうような企業がどういうようなことになるだろうかというのは、それはそれなりに分析はできるわけでございます。所得がこのぐらいあれば結果こうなりますね、それはわかるわけでございます。

 問題は、その一つのことをもってある地域の経済にどういう影響がというのは、それをどうやって分析するのかというのは、そこは、ある企業に係る税制上の措置がその当該企業に影響することはもちろん税制としてはありますけれども、それ以外に、グローバルな環境なりいろいろな環境も含めて当該企業の企業行動というのに影響されるわけでありまして、そういうことも含めて地域経済に影響していくというわけでございます。

 したがいまして、外形課税の制度の改正が地域経済にどういうような影響を及ぼすかということを、相当遠い距離がある話であるわけでありますから、その直接的な結果を分析するというのは難しい、困難だとは思います。

 したがって、こういうような税制改正をさせていただく以上は、そのことの影響ができる限り及ばないように、問題がないような解決策を考えなければいけないという中で、実際に、所得割は下がるけれども外形課税は拡大をする、この改革の中で、負担がふえる企業がございますから、その負担がふえる企業に対しての措置については、経済界からの御要請なり経産省からの御要請を受けて、経過的に軽減措置をする、かなり思い切った軽減措置も講じているわけであります。

 そういうことで、我々としては、今後は、この税制を改正した結果、それぞれの企業がこの税制のことでどういうような状況になっているのか、所得拡大税制がどういうように措置されたというふうになっているのかということを分析していくという立場だろうと思っております。

梅村委員 分析していないということだというふうに思います。ですので、地域経済に与える影響をしっかりと議論しなければ、慎重だとはいっても、さらに拡大を検討しているということですから、私は、やはりしっかりと分析していただきたいということを求めたいと思います。

 この北関東だけではなくて、全国的にちょっと調べてみましたけれども、東京や愛知に大企業の本社があるところは減税という傾向がありますけれども、北関東だけではなくて、九州や沖縄や北海道や東北など、地域ごとに見ていきますと、やはり地域に行けば行くほど大変厳しい状況もあるということも調査で感じておりますので、ぜひそこら辺は分析をしていただきたいというふうに思います。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 次は、総務省が地方行政サービス改革として推進している、民間委託などアウトソーシングの問題について伺いたいというふうに思います。

 今度は、地方交付税の基準財政需要額の算定に、民間委託などの歳出効率化に向けた業務改革を進めている他の団体のモデルとなるようなものを反映するとしています。

 しかし、地方財政審議会では、「給与関係経費」のところで、地方公務員は大幅な減となっている、今後、少子高齢化への対応や社会的な支援が必要な人々へのきめ細やかな対応がますます求められていることを考えると、これまでと同じように地方公務員の数を減らすことに限界が来ているとの指摘もあります。

 このような指摘をどのように認識していらっしゃるか、また、交付税算定にその関係でトップランナー方式を導入しようとしているのか、目的について大臣に伺いたいと思います。

高市国務大臣 近年の地方財政計画におきましては、地方団体における定員の純減幅が縮小しているという実態等を勘案して、職員数の削減が抑制されてきています。

 一方、地方財政が依然として厳しい状況にある中で、引き続き行政の効率化を進めるために、民間委託などの業務改革の推進に努めることも必要だと考えております。

 こうした中で、地方交付税の算定におきましても、平成二十八年度からトップランナー方式を導入しまして、多くの団体が取り組んでいる業務改革について、その経費水準を基準財政需要額の算定基礎とすることにいたしました。

梅村委員 この間、やってきたこともあります。ですので、公的な業務を切り出すことが、公共サービスが生命線の地方にとって、本当の意味で住民にとって改革になっているのか、そういう検討をした上で、これも今後のトップランナーなどを検討すべきだというふうに私は思います。

 そこで、窓口業務について伺いたいと思いますけれども、トップランナー方式でも、来年度以降の検討業務としてこの問題が挙げられております。その中には、戸籍業務、住民基本台帳業務、税証明業務、福祉業務まで入っております。その際の留意事項について御説明いただきたいというふうに思います。公共サービスを切り出して業務委託を行う地方公共団体で、労働法上違法となりかねないケースはどのようなケースなのか、お答えいただきたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、労働法上生じ得る問題ということでございますけれども、労働者派遣法との関係で生じ得る問題ということでございます。

 地方公共団体の窓口業務などの公共サービスを民間委託される場合に、地方公共団体の職員である公務員の方が委託先の民間事業者の労働者の方に対しまして、業務の遂行あるいは労働時間等に関します指示を直接行った場合というようなケースにつきましては、いわゆる偽装請負ということになりまして労働者派遣法に違反するというケースが、生じ得る問題ということとしては考えられるということでございます。

梅村委員 きょうの配付資料3のところで、厚生労働省が公共サービスイノベーション・プラットフォームに提出した資料ですけれども、「公務員が実施すべき業務」として「交付決定等の「判断」」があり、それ以外を委託可能だというふうにしております。

 わざわざフローチャートを出して、ここまではできるけれども、ここはというような分類もされているわけですけれども、やはりフローチャートを出さなければいけないぐらいこういう問題がこの間現場ではあるのか、その点を伺いたいと思います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な実態の件数の把握ということではございませんけれども、労働者派遣法上、こういう民間委託をするということについては、先ほど申し上げましたような問題が生じ得るということでございますので、そういった問題が生じないようにということでの留意事項ということで、委託する業務の範囲を明確にするというような点についてしっかり留意をいただきたいということで、資料として御提出をさせていただいたというものでございます。

梅村委員 ですから、制度上こういうことが危惧されるということはやはりあるというふうに思うんですね。

 それと同時に、この今のフローチャートにも、民間委託は、「民間事業者が独立して完了することができる業務を委託すること」というふうにかなり明確に書いてあります。しかし、先ほど、地方財政審でも言われているように、支援が必要な人にきめ細やかな対応をしていくと。

 やはりこの窓口業務というのは、私たちも役所に行って思いますけれども、一番の住民サービス、住民の福祉増進の最前線にあるわけでありまして、こうした窓口業務ですら検証しなければならない点が生まれていると考えると、やはりこれはもう少し慎重に当たっていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。効率化だからどんどんやっていい、そういうことなのかということですね。

 例えば、以前、東京の足立区でも戸籍届け業務などを委託したんですけれども、東京法務局からの見直しを求める指示があって、東京労働局からも、偽装請負として、契約、判断基準書、業務手続書でエスカレーションと称する疑義照会が想定されていることへの是正指導がされてきております。

 こういうものが広がっていくと、やはりこういう危惧というのは生まれていくのかどうか、その点をお聞かせいただきたいというふうに思います。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 国、地方を通じまして厳しい財政状況のもとで、質の高い行政サービスを効率的、効果的に提供する観点から、民間委託などの外部資源を有効に活用することは重要なことだと認識しております。

 しかしながら、御指摘のように法令違反があってはならないわけでございまして、昨年八月に発出いたしました、地方行政サービス改革の推進に関する留意事項という助言通知がございますけれども、その中の「民間委託等の推進」の項目のところで、まず、「委託先の事業者が労働法令を遵守することは当然であり、委託先の選定に当たっても、その事業者において労働法令の遵守や雇用・労働条件への適切な配慮がなされるよう、留意すること。」そして、「委託した事務・事業についての行政としての責任を果たし得るよう、適切に評価・管理を行うことができるような措置を講じること。」というふうに示しておりまして、御指摘のような法令違反の事態が発生しないように、私どもも助言してまいりたいと思っております。

梅村委員 同じような危惧は、この窓口とともに、学校給食についてもあろうかというふうに思います。

 ただ、学校給食については、今、食育ということで大変現場でも御努力が広がってきていると思いますので、まず、その辺の御努力の方から伺いたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 学校における食育は、児童及び生徒の望ましい食習慣の形成及び健全な心身の成長を図るために極めて重要なものでございます。そして、学校給食はその中心的な役割を果たすものでございまして、食育の生きた教材として活用されているところでございます。

 文部科学省といたしましては、学校における食育の中核的な役割を担う栄養教諭の配置を促進いたしますとともに、学校教育における食育の内容を体系的に整理し、食事のマナーや正しく食事をすることの大切さといった基本的な内容や、食品の生産、加工、流通、食事と健康の関係、我が国の食文化といった食生活に関連する内容をまとめた教材の作成、配付などを行っております。

 また、さらに、地域と連携し、食育を重点的に推進するモデル校の指定などによりまして、食育の強化充実に努めているところでございます。

梅村委員 そういうのをやっていこうと思えば、やはり調理していらっしゃる方々と栄養教諭との連携というのは、アレルギーの問題だとか地産地消の問題だとか、大変大きくあるというふうに思いますけれども、その関係はどんなふうになっているんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 学校給食の業務を民間委託するに当たりましては、学校給食の質の低下を招くことのないように十分配慮するということが必要でございますけれども、これとあわせまして、献立の作成は委託の対象にしないこと、衛生、安全の確保については学校設置者の意向を十分反映できる管理体制を設けること、設置者が必要と認めた場合に受託者に対して運営改善のための措置がとれるようにすること、受託者の選定を行うに当たっては、学校給食の趣旨を十分理解し、円滑な実施に協力する者であることの確認を行うことなどが必要と考えておりまして、こうした指導を行ってきているところでございます。

 また、そうした中で、ただいま先生の御指摘にありましたアレルギーの問題、それから地産地消の問題、そうしたものにつきましても、学校設置者側が委託をするに際しまして、受託会社側に明示をしておくということが必要になってくると考えております。

梅村委員 非常に密な連携が子供たちの健康、命にとっても大事だというふうに思うんですけれども、この分野も、そういうことがありながらも、民間委託ということで、いわゆる請負偽装問題、こういうことがこの間幾つか問題になってきたと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 こうした民間への委託ということに当たりまして、先生御指摘のように、関係法令に則して適切に運営される必要があるというふうに考えておるところでございます。

 また、こうした委託を行う場合でありましても、先ほど申し上げましたように、献立の作成は委託対象にしないということになっているわけでございますけれども、栄養教諭などが、地場産物の活用やさまざまな観点を考慮しながら給食の献立を作成し、また学級担任等と連携をいたしまして、給食の時間等で適切に食育の指導を行ってまいっているものというふうに考えております。

梅村委員 確認なんですけれども、幾つか事例はあるということでよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 具体的な事例については、これはむしろ制度所管官庁の厚生労働省の担当かと思いますけれども、私どもとして具体の事例について現在把握しているわけではございません。

梅村委員 ただ、この間、幾つかもう問題になってきていることだと思います。

 やはり、そもそも学校給食に民間委託がこのままずっと広がることがなじむのかどうかということも、改めて、今食育との関係で問い直さなければいけない、その上で検討していかなければいけないというふうに私は思います。

 そもそも、学校調理の民間委託を実施している市町村は五割強で、やはりそこには、先ほどの業務の関係とともに、現場から、父母や子供たち、地域の人たちから、温かいものを地産地消で、そういう願いがある、そういう取り組みの結果でもあるというふうに思います。

 先日お話を伺ったんですけれども、地方に行けば行くほど、給食が民間委託できるんだろうか、採算がとれないところに業者は入ってきてくれない、にもかかわらず、トップランナー方式で、頑張っている自治体が、そういう算定基準で挙げられ、自力で何とか給食を頑張っているところには光が当たらない、こういうやり方では、やはり地方をさらに痛めつけるものではないか。こういう声も伺ったところです。

 ですので、ぜひ、こういう問題をさらに捉えていただいて、このトップランナー方式というのはやはりやめるべきだと思いますし、安心した住民サービスを広げていただくことを最後に訴えまして、質問を終わりたいと思います。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、法案審議ということですので、しっかりと最初は法案について質問させていただきたいと思います。

 ずっと予算委員会等でも取り上げてきているテーマに、やはり臨財債の問題があります。

 最初に先に申し上げておくと、きょう午後、対総理質疑もございます。きょうは、四つ五つ、問いの通告を事前にさせていただいておりますが、この二十分の間にできる限り御答弁をいただいて、私の、質問者の立場から見てまだ物足りないなというふうに感じましたものについて、午後の対総理で質問させていただく所存でございます。一言、事前に申し上げておきたいと思います。

 最初の臨財債ですが、臨財債については、申し上げるまでもなく、あくまでもこれは地方債でありますから、償還の責任は個々の地方公共団体の責任であることは言うまでもありません。

 しかしながら、一方で、その償還財源については交付税措置で担保されることが国の法律で決まっております。私は、これは責任が非常に曖昧じゃないかということをるる申し上げてきているわけでありますが、要すれば、この法律が変わらなければ問題ないんです。

 しっかりと国が、またそこで国がと言うとややこしいかもしれませんが、国が、国が定めた法律に基づいて、その償還財源をしっかりと交付税措置で担保していく。これが将来にわたって変わらないということであれば、地方公共団体は不安に思うことはありませんが、これは大丈夫かなと私個人は心配をしておるわけであります。

 この辺の懸念、総務大臣の方から払拭いただくよう御答弁いただきたいと思います。

高市国務大臣 臨時財政対策債の償還につきましては、マクロベースにおいて、元利償還金の全額を毎年度の地方財政計画で計上することによって、所要の財源を地方全体として確保しています。

 その上で、ミクロベースにおいては、個別団体における臨時財政対策債の元利償還金については、その全額を、後年度、地方交付税の基準財政需要額に算入するということによって、各地方団体が確実に償還できる財源保障をしているということでございます。

 各地方団体が臨時財政対策債を確実に償還できるように、この財源保障については、今後とも、地方財政計画の策定、それから地方交付税の算定を通じて、継続していくということになります。

足立委員 今大臣から、継続をしていく、こう御答弁いただきましたが、これは、法律を改正すればその担保を外すことは技術的には可能ですか。事務方でも結構です。

安田政府参考人 お答えいたします。

 臨時財政対策債の償還金につきましては、法律で規定されている、何年度分の臨時……(足立委員「技術的に可能かどうかだけ」と呼ぶ)はい、技術的には可能だと考えております。

足立委員 要すれば、立法府があるいは政府が法律を改正してこの担保を外そうと思えば、そういう法改正を閣法として御提出され、国会の過半数の承認をとれば、それは実現するわけでありまして、これは法技術的には全く問題ないわけであります。

 未来永劫そういうことはしないと断言できますか、大臣。

高市国務大臣 どこかで聞いたような議論がよみがえってまいりましたけれども、現在の制度設計は先ほど申し上げたとおりでございます。

 しかしながら、今私たちが目指しているのは、本来は、臨時財政対策債のような赤字債に頼らずに、できたらしっかりと財源を地方で確立していく、体質強化をしていくということでございます。できるだけ国と地方の折半分を減らしていこうということでございます。

 ですが、将来にわたってといいますと、今の臨財債の制度を続行している間はしっかりと財源保障をしていくということでございます。だけれども、臨財債の制度そのものが遠い未来になくなるとかいうことであったら、また別の方法があるとか、臨財債を発行しなくても十分に回っていく、そういう体制ができたときに、そのころの総務大臣は足立委員かもしれませんけれども、その総務大臣が新たな仕組みをつくっていかれる、そういう提言をしていかれるということはあり得るかと思います。

足立委員 今の総務大臣の御答弁、大変恐縮というか僣越でございますが、単なるトートロジーでありまして、何も言っていない、答弁としては意味がない、こう思います。もしもう少し内容のある御答弁が可能であれば、いつでも挙手をいただければ結構ですが、なければ、午後の対総理で総理大臣に同じ質問をいたしたいと思います。

 次に、二問目ですが、前回も萩生田副長官にもおいでいただいて議論した中央省庁の所在地であります。中央省庁の所在地について、改めて法律で規定すべきではないかという通告をさせていただいています。

 総務大臣が御担当される総務省設置法に、行政制度一般に関する基本的事項の企画立案に関することは総務大臣と。総務大臣、規定すべきではないかという私の問いに対する答えの内容、これはちょっと脇に置いておいていただいて結構です。これは総務大臣の管轄であるということでよろしいですね。

高市国務大臣 きのう、その議論が予算委員会の分科会であったかと思いますけれども、総務大臣一人で決められることではないと存じます。

足立委員 ちょっとおかしいですね。おかしいですねと言うのも変ですが、中央省庁の所在地については改めて法律に規定すべきではないかという私の問いについて、きのう事務方からは、三つの役所で調整をした結果、これは、総務省設置法の先ほど御紹介をした条文に基づいて総務大臣が担当すると。

 ちょっと私のあれが不正確かもしれませんが、そう承知をしておりますが、事務方で結構です、それは違いますか。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 先ほど総務省設置法の規定の御紹介がございましたけれども、その規定がございます、所掌しております国家行政組織法におきましては、国の行政機関の任務とか所掌事務については法律事項というふうに定められておりますけれども、その位置については、そういう規定はないというふうに承知しております。

足立委員 全くゼロ回答ですね。これも午後、総理に質問をいたしたいと思います。

 次に、三問目は、首都機能のあり方について、一元的に所掌する組織が必要ではないかという通告をさせていただいています。御答弁をお願いします。

津島大臣政務官 足立康史委員にお答え申し上げます。

 首都機能の移転については、一貫して国会主導で検討が行われてきたところでございます。

 その中で、平成十六年十二月に国会等の移転に関する政党間両院協議会において座長取りまとめがされた後、国会での議論自体がとまっている状況であると認識しております。

 その「座長とりまとめ」では、同協議会は、政府その他の関係者の協力を得て、分散移転や防災、とりわけ危機管理機能、いわゆるバックアップ機能でございますが、その中枢の優先移転などの考え方を深めるための調査、検討を行うとしております。

 このような点を含めまして、御指摘のように、今日、改めて首都機能移転のあり方を検討する場合には、国家的課題として、まず国会での議論が深まることが必要であると考えておりますが、国会等の移転に係る調整事務を担当する国土交通省として、国会からの要請に基づいて必要な協力をしてまいります。

足立委員 では、これも午後、総理に、自民党総裁としての安倍総理に、国会でしっかり組織をつくって討議を深めていくべきであるという提案をしてまいりたいと思います。

 次に、平成の大合併についても質問をさせていただいてきました。平成の大合併は、行財政基盤の脆弱性を解消するという観点からいえば、行財政基盤の脆弱性を有する小さな町村が依然として残っていることを踏まえれば、平成の大合併は失敗であったと言わざるを得ないと思いますが、総務大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 平成の大合併につきましては、実際に合併をされた公共団体に対するアンケートを行いましたけれども、一定程度、行政の効率化も図られ、そしてまた専門職の充実など地方の行政執行能力の向上も図られた。そしてまた、もう委員も御承知だと思いますけれども、各議会の議員の数も非常に大幅に減りました。一定の効果は出たと思っております。

足立委員 いや、私が質問しているのは、行財政基盤の脆弱性を解消するとの観点からいえば、行財政基盤の脆弱性が残っているのは失敗と言わざるを得ないのではないかと申し上げているわけです。

 では、大臣、行財政基盤が脆弱な市町村はもうなくなったという理解ですか。

高市国務大臣 自治体の規模にかかわらず、地方分権の担い手となる基礎自治体の行財政基盤の確立をもともと目的としたのが平成の合併でございます。

 市町村の規模も総じて一定の拡大も見ておりますし、先ほど少し例も挙げましたが、一定の行財政基盤の強化も図られたと思っております。

 今後も、自主的な合併の円滑化というものを図ったり、それから、市町村間の広域連携なども図りながら、多様な手法の中でやはり自治体の行財政基盤の強化や効率化というものも図っていきたいと思っております。

足立委員 御答弁になっていないので、これも午後、午後は十分しかないのでこれだけ入るかなと思いますが、総理に同じ質問をする予定でございます。

 大臣、大丈夫ですか。気をつけて、大事にされてください。恐縮でございます。何よりも健康が大事ですので。

 もう最後になりますが、公営地下鉄の民営化についてもるる質問をしてまいりました。先般の議論で、そもそも、日本にある法令全てを見渡しても、地方自治法の、特に重要な公の施設に係る特別多数議決、この規定は、ほかに類を見ない、ほかに例がない規定であり、日本の法令の体系の中で極めて均衡を失しているものであると考えていますが、事務方でも結構ですよ、どう考えますか。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法も、一定の法的効果を発揮するために、手続要件というものを定める規定と、そして具体的な効果を発生する条項がございます。こういった仕分けをしている法令は多くございます。会社法も、例えば株主総会で単純多数決、それから、幾つかの類型の特別多数議決を定めております。

 それで、先日のやりとりの中で、実行要件と手続要件との重さの違いの御指摘がありましたけれども、例えば、会社法も、役員の責任の免除の規定については、原則は株主総会で全員の同意といいますか、一番重たいものが原則でございますけれども、定款で定めることによりまして、例えば、各種委員会の設置会社においては取締役とか監査役の過半数でも一定の範囲内で免除できる、こういう規定もございますので、そういう意味では、手続要件と実行要件を別に定めて、そして、その重さが違う例はあるというふうに認識しております。

足立委員 もう高市大臣のことが心配で、ほとんど今の御答弁が聞こえなかったんですけれども、でも、大変中身のある御答弁をいただいたと思いますが、ただ、私は今の事務方の答弁に対しては異論があります。

 会社法では、特別多数を定款で定めて、例えば分割等の組織再編についてこれを三分の二の特別多数を求めるとした場合に、それを定款でもう一回二分の一に戻すことができないように、定款で改めて縛りをかけることも会社法は認めています。

 ところが、地方自治法は、三分の二の特に重要なグループから、当該施設を、公の施設を外に出すことが二分の一でできちゃう。これを三分の二で縛ることは地方自治法が禁止しているんですよ。

 会社法はそういう手だてを株主に与えているのに、地方自治法は地方議会の議員にそういう力を、権能を与えていないんです。これは、特にそういうふうにしている理由は何ですか。

渕上政府参考人 国と違いまして、地方公共団体は住民に対するサービスを提供する主体でございますので、特に住民の利便性ということを法律上明記しながら要件を定めているわけでございます。

 先ほどの会社法の特別多数議決は、会社の存続とか重要な事柄であるために、特別な多数議決を要するということであろうかと思います。

 公の施設の特に重要と定めたものについて、住民の利便性の確保等々の観点から特別な要件を定めたものと認識しております。

足立委員 午後にまた総理に質問させていただく際に、これは、日本にある法令の中でほかに類例を見ない、ほかに例がないぐらい強い枠組み、制約を地方自治体の議会に与えているこの地方自治法の、そういう措置を国として講じている合理的理由、合理的な根拠、これを総理に質問することをお約束して、まあ約束してもしゃあないですね、質問を終わります。

 大臣、お大事にされてください。

 ありがとうございます。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 きょう、通告を幾つかしておりますが、通告の際の順番を少し変えまして質問をしたいというふうに思いますので、大臣、体調が悪ければお休みになられて。そういう形で質問していこうと思っておりますので。

 それではまず、農地バンクに関連してお聞きをしたいというふうに思います。

 今回の地方税の税制改正の中で、農地保有に係る税制の見直し、今回の改正では、農地中間管理機構、いわゆる農地バンクの遊休農地の取得に関して、農業委員会から勧告を受けたものについては、農地の資産評価の際に乗じられている係数〇・五五を適用しない措置が入っております。これは、実際に行われますと、勧告を受けた農地保有者は一・八倍の固定資産の増税になるわけです。他方、農地バンクと賃借権を新たに設定した農家については課税標準を二分の一にする、減税をする、そういう措置が盛り込まれております。

 要は、農地バンクを通じて、農地の貸し出しを渋る農家については増税をする、それから、農地バンクに土地を貸しますという農家については減税をする。まさにあめと、あめというよりも、むちとあめですね、という内容だろうと思います。後ほどこれは質問いたしますけれども、税制の簡素、中立、公正という大原則から大きく逸脱したものだと言わざるを得ません。

 そこで、最初にお聞きいたしますけれども、農地バンク、二〇一四年からスタートし、農地を貸し出せば面積に応じて協力金が支給されるというふうに承知をしております。このような措置があって、実績は一体どうなっているのか。二〇一四年度の借り受け見込みと実績の数字、それから、同様に、二〇一五年度はまだ終わっておりませんけれども、予想実績について、それぞれお答えください。

山北政府参考人 お答えいたします。

 農地中間管理機構の初年度でございます平成二十六年度でございますけれども、実績は、借入面積が二万九千ヘクタール、転貸面積が二万四千ヘクタールとなっているところでございます。

 平成二十六年度の担い手の農地利用面積は前年度から六万ヘクタール増加いたしておりまして、集積率は四八・七%から五〇・三%へと一・六%上昇したところでございます。

 このように、機構を整備いたしまして、近年停滞していた農地の流動化は再び動き出したというふうに思っておりますが、初年度の実績、今後十年間で担い手の農地利用の割合を現状の五割から八割に引き上げるという目標に照らしましては、十分ではなかったというふうに思っているところでございます。

 このため、事業開始二年目、本年度でございますが、問題点を踏まえまして、機構の意識改革、役員体制の改善ですとかあるいは現場でのコーディネートを行う担当者の増員、担い手との話し合いの推進、あるいは農地整備事業との連携の強化といったような対策を進めてきておるところでございます。その結果、今年度、県によってかなり濃淡はありますけれども、多くの県で初年度の手探り状態を脱しまして、自信を持って取り組むようになってきているというふうに認識しているところでございます。

 本年度の機構の借入面積、転貸面積の実績、これは見込みでございますが、昨年度の実績に比べて大幅に増加して、約八万ヘクタールとなる見込みというふうになっております。

 今後とも、全都道府県で機構を早期に軌道に乗せるべく、全力を挙げてまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 聞いたことを一つ答えていません。見込みはどうだったのか、二〇一四年の見込みをどういうふうに考えていたのかというのは答弁されていないと思います。

山北政府参考人 一五年度の見込み、今申し上げましたように、八万ヘクタールを見込んでいるということでございます。

吉川(元)委員 二〇一四年度の見込みですね、二〇一四年度の見込みはどうだったのかというのを質問したんです。

遠山委員長 正確にお答えください、年度を言って。

山北政府参考人 一四年度は平成二十六年度でございますので、冒頭申し上げましたように、借入面積二万九千ヘクタール、転貸面積二万四千ヘクタール、これが二〇一四年度の実績でございまして、二〇一五年度は、先ほど申し上げましたように、八万ヘクタールを見込んでいるということでございます。

吉川(元)委員 私が聞いたのは、二〇一四年度を当初どういうふうに見込んでいたのかというのを聞いているんですよ。

山北政府参考人 先ほど言いましたように、今の、担い手への集積面積、五割から八割に引き上げていこうということを達成していくためには、毎年度十四万ヘクタールを目標として実績を上げていきたいということで計画をしているところでございます。そういう意味で、先ほど、十分ではなかったということで申し上げたということでございます。

吉川(元)委員 時間が余りないので、聞いたことを正確に答弁していただければすぐに終わる話であります。つまり、十四万強、十五万近い見込みをしていたけれども、初年度はその二割程度しか実績が上がらなかったというお話だろうと思います。

 利用が進まないというのは、遊休農地の活用に向けた政府の政策全体に私は問題があるんだろうというふうに思います。

 農家の方々が、貸し付けといってもなかなか、先祖伝来の土地でもあります、農地を手放すことに積極的になれないということであれば、その原因がどこにあるのか、そういうことをきちんと突き詰めて考えていくことがまず先決だろう。

 先ほど、今回の税制改正はむちとあめというふうに言いましたけれども、こういうことでやっていくというのは私は本末転倒だろうというふうに思いますし、日本の場合、平地と中山間地域では耕作条件は大きく異なります。私の地元の大分、選挙区は二区でありますけれども、ほとんど中山間地域であります。中山間地域で飛び地になっているような農地を借りろと言われても、なかなか、借り手側も困惑をすることも目に見えております。

 そのような問題を解消せずに、農地バンクの利用が進んでいないということを理由にしているのかどうかわかりませんが、貸し渋る農家には懲罰的な増税、それから、新たな賃借権を設定した農地所有者には減税という非常に差別的な措置を設けることには、私は首をかしげざるを得ません。恐らく、このようなやり方では遊休農地の解消にはつながらないだろうということをまず指摘させていただきます。

 そこで、次の質問に移ります。

 固定資産税で一・八倍もの課税強化につながるような遊休農地に対する勧告ですけれども、これは農業委員会が行うというふうに農地法上なっております。

 農地法を見ますと、確かに、三十条で年一回調査をして、三十二条で農業委員会が農家の意向を調査できる条文が規定されております。そして、三十六条で、耕作をしない、あるいは耕作する意思を示さない、回答しない、そういうことがあった場合には農地バンク側と協議せよとの勧告をすることになっております。そういう規定になっております。

 しかし、一・八倍もの増税につながる勧告、これは現場の、つまり農業委員会が勧告をするかしないかで、一・八倍になるのか、係数〇・五五を掛けられた状態になるのか、決まってしまうわけです。

 これは、農業委員の皆さんにその判断をしろというのはいかにも荷が重いというふうに思いますし、そもそも我々は農地法の改正は反対でありますけれども、この農地法の改正を行った際の農業委員のこの規定ということについていえば、当初、こういうことをやるためにつくった規定ではないというふうにも思います。

 事実上課税の強化、例えば、よく知っているおじいちゃん、おばあちゃんのおうちの資産課税、これを一・八倍にするということを現場の農業委員に判断しろという規定、このことについて、その判断を委ねることについてどのように考えているのか、お聞かせください。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど委員から御指摘がございましたように、二十六年の四月の改正農地法に基づきまして、まず農業委員会が利用状況調査をする、あるいは利用の意向調査をする、それから意向表明どおりに実行しない場合に農地中間管理機構との協議の勧告を行う、こういう形になっているわけでございます。

 この遊休農地に関する措置につきましては、改正農地法の施行から二年近くが経過をいたしたところでございまして、各農業委員会の現場でも定着してきているところというふうに認識しております。

 今回の課税強化は、確かに御指摘のとおり、機構との協議の勧告が行われた農地、勧告にまで至った農地のみが対象になるということでございますが、現在実施している農地法に定められた遊休農地措置、農業委員会については、現在の遊休農地の防止措置、これを適切に実施していただけるだけということでございますので、現場で十分対応いただけるものというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 現場で対応できる、定着していると言いますけれども、これまでやってきたのは別に懲罰的な増税がかかるという話ではなかったわけです。そういう意味でいえば、勧告をする際にも、農地の集積等々も含めまして、遊休農地をとにかく出さないようにということでの勧告だったのが、今度、勧告をすると増税になる、一月一日の段階でということになろうかと思いますけれども、そういう今までなかった規定がこの勧告に盛り込まれたわけです。

 今まで定着していて、まあうまくいっているとはとても思えませんけれども、とりあえずやっているものが全く別なものになる、それによって懲罰的な増税が行われてしまう、この点についてどう考えているのかというのを聞いているわけです。

 今までやってきてうまくいったから、これから先もうまくいくんだという話ではなくて、新たにそういうものがついたことについてどう考えているのか、お聞きしているんです。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 勧告の対象になりますのは、今申し上げましたように、まず意向調査を、本人の意向を確認いたしまして、その上で、みずから耕します、あるいは人に貸します、あるいは機構に貸しますといったような表明をされる、それでもなおかつ一定期間を経てその意向のとおりに実施されない場合に限って勧告に至るということでございます。

 そういう意味では、今回、確かに勧告に至った場合には課税強化になるということでございますが、必要なことは、現場において、やはり遊休農地を発生させない、農地を有効利用していこうというような話し合いを通じまして、そういった取り組みが活発になるということを今回の制度の目的にしているところでございます。

吉川(元)委員 では、ちょっと別な角度からお聞きします。

 例えば、遊休農地、農業委員会等とお話をしながら、では農地バンクに貸し出しましょうと決めました。その土地については全て農地バンクは受けなきゃいけない規定になっているんですか。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 必ず受けるということではなくて、それぞれの機構の業務規程に基づいてということで、どうしても借りられないような農地というのは出てくることは御指摘のとおりでございますが、今回、意向を表明するということでありますならば、実際、結果として借りる、借りられないということではなくて、勧告の対象にならない。本人がもう機構に貸しますという表明をしていただければ、勧告の対象にはならないということでございます。

吉川(元)委員 仮に、貸し出さないといって農業委員会とお話をして、なかなか結論が出なかった、法の規則に従って農地バンクに協議の勧告を出しました、それが一月一日をまたぎました、ところが、話し合いをした結果として、農地バンクの方がこの土地はうちの規程では借りませんといった場合には、税はどうなるんですか。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、貸すという意向表明をしていただければ、勧告にまず至らないということでございます。

吉川(元)委員 私が言っているのは、貸すという意向を出さずにそのまま勧告になった、その中で協議をしていく際に、農地バンクの方から、農振地域であっても借りていない農地というのはいっぱいあるわけですよ、ここが貸し出されてもなという、その判断というのは農地バンクの側にあるわけでしょう、それを借りるか借りないかというのは。ところが、結局借りないという判断をしたとしても、勧告が出た時点でそれが一月一日であれば増税になるわけですよ。その後に、いや、農地バンクは借りませんよといったら、これはおかしなことにならないですか。

山北政府参考人 一月一日時点で勧告になっているものについては、御指摘のとおり、それに基づいて課税上の措置がとられるということになります。

 その後、その状況で、またみずから耕す、あるいは貸すというようなことになっていったならば、また次の時点で、それを解除していくというような仕組みになっていくということでございます。

吉川(元)委員 私が聞いていることに答えていただかないと前に進まないんですけれども、もう時間がありませんので、ちょっと次の質問に移りたいと思います。

 今度は、別な、あめの方のお話です。

 今回、新たに農地バンクと賃借権を設定すれば減税になるわけですけれども、農地の賃借、農地バンクを利用する以外にもさまざまに存在をしているんじゃないでしょうか。農地法の三条に基づいて農業委員会から許可を受けた農地を貸し出す場合、あるいは農業経営基盤強化促進法に基づいて利用権を設定する場合など、農地バンクを通さずに貸し付けるということができると思います。農地バンク利用以外にも農地を貸し借りする手だてが実際にありますし、私の地元でも、そうやって農地の貸し借りが行われております。

 ところが、今回の法案では、この農地バンクを利用したときだけ減税になるというのは、そもそも、この法律の目的は一体何なんですか。遊休農地を出さないというふうにするための目的であれば、別に農地バンク以外で貸し借りをしてもいいでしょう。その点、なぜ農地バンクに限っているんですか。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 農地中間管理機構の制度は、機構自身が農地を借り受けて、法人経営体ですとかあるいは大規模家族経営などの担い手に対して集積、集約化の意向に配慮して転貸していくスキームでございます。

 現状は、大規模経営体といっても、多数の分散した圃場を利用しているということでございまして、これが生産性向上の阻害要因になっているところでございます。このため、農地を集積するということとあわせて、集約化を進めるということが大事になっているというふうに認識しているところでございます。

 機構を活用しないで、相対ですとか、あるいは先生が御指摘になったような円滑化団体の仕組み、そういった仕組みで農地の集積を進めることは可能というふうに思っておりますけれども、この方式ですと、担い手への農地利用の集積はされても、まとまった面積で利用できるようにする集約化ということが難しいというふうに考えているところでございます。

 このため、機構が農地を借り受けて、これを担い手にまとまった形で転貸していくことが重要だということで、機構に農地を貸し付けた場合に限定して固定資産税の軽減措置を講ずることとしたものでございます。

吉川(元)委員 そういうふうに言うのであれば、二〇一四年度の実績、見込みの二割しかできていないんでしょう、簡単に言えば。できていないじゃないですか、バンクにおいても。

 同じように集積するほかの手段があるのに、なぜ、いや、ほかのものも、私、これは反対ですよ、だけれども、もし仮にやるとすれば、ほかのやり方でも減税をしないとおかしくないですか。なぜ、こっちでやると減税になって、ほかのやり方でやると減税にならないのか。おかしくないですか。

 現実に二割しか実績がないということは、農地バンクにおいて十分に集積できていないということでしょう。そのときになぜこういうことをするのか。もう一回答弁してください。

山北政府参考人 今御指摘ございましたように、相対ですとかあるいは基盤強化法、これは、集積ということで、一定の面積だけは拡大していく、そういったことは可能なのでございますが、隣接したまとまった形、広域な形でまとめていくためには農地中間管理機構の制度を使っていく必要があるということで、今回、農地中間管理機構を経由したものに限定をしたということでございます。

 確かに、二十六年度実績が小さかったのではないかという御指摘ございましたが、冒頭申し上げましたように、そこには問題があった、その問題を解消するための取り組みということを今進めておりまして、そういったところで、農地中間管理機構の制度がきちっと動くようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 もう余り時間がないんですけれども、聞いておりますと、結局、農地バンクの利用は非常に低調であると。本当に実際に現場へ行けば、いろいろな事情があるわけですよ。その中で、こっちでやると減税をする、こっちだと減税はしないというやり方というのは、結局、今農地バンクの利用率が低いからそれを引き上げるために、きのう質問をとりに来られた役人の方とお話ししたら、まさにそう言いましたよ、バンクを利用していただくためにこういう制度を設けましたと。そういうことなんですか。

山北政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますが、今回の機構の制度、機構を使わないと、言ってみれば、そこで、例えばばらばらに分散錯圃の状態を、この農地とこの農地をかえることによりまして、かえてまとめた形で担い手にお渡しする、そういった仕組みがこのバンクの仕組みを通じて行うことによって可能になるということでございますので、そういったことから進めるもの。

 まさしく、担い手における生産性の向上をどういうふうに上げていくのかといったときに、農地の問題をそういう形で解決していく、そうしたことによって生産を向上していくということの目的のために講じていることでございます。

吉川(元)委員 もう時間が来ました。やはりこれは税の中立公正という原則から大きく逸脱しているということを最後に指摘させていただきまして、私の質問を終わります。

 以上です。

遠山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

遠山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 午前中に引き続きまして、本日発言をする機会をいただきました。関係各位に感謝を申し上げます。

 まず、総理、本日、総務省から平成二十七年の国勢調査人口に基づく試算結果が発表されました。本日、この国勢調査を受けて、一九二〇年以来、この統計が開始されて以来初めて日本の人口が減少した、初の人口減という調査結果が出ております。

 日本の総人口が初めて減ったということについて、本日のこの国勢調査の結果をどう受けとめていらっしゃるのか、総理にまず御見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 日本の人口が、国勢調査によって、減少したということは初めてのことになるわけでありますが、少子化が始まってから、どこかの段階において人口の減少に直面するということは予測できたわけでございます。

 また、生産人口は既に減少に至っているわけでございますが、その中で、我々、一億総活躍社会をつくっていく、人口一億人を維持していくという新たな人口的な課題にしっかりと真正面から取り組んでいくということを表明している次第でございますから、こうした国勢調査の結果を受けて、人口一億人の維持のための政策をしっかりと進めていきたいと決意を新たにいたしたところでございます。

渡辺(周)委員 これは大変ショッキングな数字でありまして、少子高齢社会の進展、そして何よりも、やはり今の日本の国の未来、今後どうなっていくんだろうかという中で、世界でも非常に好ましい民族と言われている日本の人口が今後減っていくようなことがあってはならない。その点について、今後、我々も具体的な施策を出してまいりますので、ぜひとも政府においても謙虚に、日本の人口減を食いとめる、増に転じるという形で取り組みをともに進めていきたい、そのことをまず申し上げたいと思います。

 そして、この本日の国勢調査の結果を受けまして、やはり総務省が、いわゆる一票の格差についての数値もあわせて出しております。

 今回の調査で、人口の上位、選挙区で割りますと、平成二十七年国勢調査速報値で最も人口が多いところは、選挙区で東京一区、六十三万五千九十七人、続いて東京三区の五十九万九千五百一人となるわけでございまして、人口が下位、一番少ないところが宮城五区、二十七万二千七十七人、続いて福島四区の二十七万七千八百六人とあるわけでございます。平成十七年、十年前と比べますと、随分選挙区の人口の増減が変わってきております。

 ちなみに、最大格差は、東京一区と宮城五区では二・三三四倍となっておりまして、五年前、平成二十二年の国勢調査と比較をしますと、当時は東京十六区と鳥取二区で一・九九八倍であったものが、今回このような差になっておりまして、平成二十二年国勢調査では格差が二倍以上となる選挙区の数がゼロ選挙区だったのに対して、今回三十七選挙区とふえているわけでございます。

 当然、選挙区の定数是正、選挙制度の改正は待ったなしでありますけれども、自民党は二十四日、衆議院の選挙制度改革に関する合同会議で、比例定数四減と小選挙区の〇増六減などを盛り込んだ基本方針案を大筋で了承したとあります。

 本日のこの結果に基づきますと、アダムズ方式で当初言われていた七増十三減から九増十五減というような試算になるわけでありますけれども、自民党総裁でもある安倍総理、今回のこの速報を受けて、この新たな議席配分についてどうお考えか、その点についてお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今後、大島議長のもとで各党協議が行われるわけでありますが、定数十削減については、本日公表された平成二十七年国勢調査、これは中間年に実施される簡易国勢調査でありますが、その結果に基づく区割りの見直しを行う際にあわせて実施をする、そしてまた、平成三十二年の国勢調査まで先送りするようなことは決してしないとの方針を既にお示ししているところでございますが、この定数削減の具体的な方法については、現在、自民党において、考えを取りまとめるべく、党内での調整を進めている最中でございます。取りまとまり次第、大島議長にしっかりとお示しすることとしたいと思います。

 調査会の答申においては、一票の格差是正について、アダムズ方式による都道府県への議席配分の見直しは、制度の安定性を勘案し、十年ごとに行われる大規模国勢調査に基づき行い、中間年に実施される、今回の調査、発表された調査はそうでございますが、中間年に実施される簡易国勢調査の結果、格差二倍以上の選挙区が生じたときは、格差が二倍未満となるよう、都道府県の議席配分の変更は行わずに、選挙区の区画の見直しを行うとの考えが示されたものでございます。

 この答申の趣旨を現状に当てはめれば、アダムズ方式による都道府県への議席配分の見直しを伴う大規模な選挙区の見直しについては、平成三十二年に行われる大規模国勢調査の結果により行われることとなるわけでありまして、今回の平成二十七年の国勢調査、すなわち中間年に実施される簡易国勢調査を受けて行うべきは、一票の格差を二倍以内とするための都道府県内の選挙区の区画の見直しということになるものと考えております。

 答申には、制度の安定性を勘案し、中間年には都道府県への議席配分を変更する大規模な選挙区の見直しは行わないこととしているのでありまして、今述べた考え方が答申の趣旨に合致するものと考えております。

 いずれにせよ、答申を尊重するという観点に立って、自民党内において議論が取りまとめられるものと考えております。

渡辺(周)委員 当初は、二〇二〇年の大規模国勢調査以降に先送りするというような自民党内での意見が大勢であった。しかし、十九日の我が党野田佳彦前総理との質疑で、総理は、二〇一二年の党首討論でのあのやりとり、あのときのことを思い出されたのか、あるいは、その後実現していないという、そのことを恥じたのか、前倒しを党に指示したというふうに報じられているわけでございます。

 なぜ、今回、衆議院議長の諮問機関が答申で導入を求めたアダムズ方式が自民党内では採用されずに、別の計算式が出てきたのか。その計算式については、自民党内からも、わけのわからない計算式だというような声もあったと報道されております。

 このアダムズ方式の採用が見送られた、そのことについて、先ほど答申が遵守されるものと総理はおっしゃいましたけれども、なぜアダムズ方式はだめなのか、答申の遵守を求めるよう指示はしていなかったのか、その点について確認をしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、十削減する、定数を削減するというお約束をした二〇一二年の党首討論においては、これはまさに野田総理との共同責任としてしっかりとやっていこうということにしたわけであります。これは定数の削減でございます。

 この定数の削減につきまして、定数の削減も含めて第三者委員会にお願いをさせていただいたところでございますが、第三者委員会の答申は、基本的には定数を削減する必要はないという考え方を示しつつ、同時に、各政党が国民との約束の中で定数を削減しているということに鑑み、十という案を出しているわけでございます。

 と同時に、先ほど答弁をさせていただきましたように、五年ごとの簡易国調においては、県は越えずに、県内のそれぞれ選挙区の区画の変更を行うことによって二倍以内にしなさい、これは五年ごと。一方、県をまたぐ、彼らは、考え方としてアダムズ方式という数式を使って行うという提案として、十年ごとの国勢調査において行うべきであるということ。同時に、それをなぜ十年ごとかといえば、五年ごとにやっていたのでは安定性を失うということにもなるわけでございまして、大きなものは、県をまたぐものは、アダムズ方式にのっとってやるものは十年ごとの国勢調査で行うということを言っているわけでございます。

 そこで、私が先般野田総理に申し上げたことは、十を削減するという中において、六選挙区を減らし、そして比例区四、合わせて十を行う。今申し上げたとおり、それを行うことは、いわば三十二年の国勢調査を待たずに行いますよ、先送りをしませんよということを申し上げたわけでございます。それは、今度の簡易調査において選挙区の区画を変更する際にあわせて行うということを申し上げたところでございます。

 その計算式においては、これはちょっと細かい話になっていくわけでありますが、アダムズ方式において減らすということではなくて、アダムズ方式は、あくまでも増減を行っていくという方式で定数の是正を行っていくものでございました。

 今回は六を減らす。これは、自民党内で議論した結果、各県から一引いた影響が小さい県から並べて六をとる。この六県は、たまたまアダムズ方式で既に示されている県、その段階で、七増十三減という案が、これは平成三十二年の案として当初出されていたものでございますが、その中に既に入っているということ、その中の六県とこれは合致をするということもあり、その方法をとったということだと承知をしております。

 そして、いずれにせよ、アダムズ方式を尊重し、三十二年の国調において行うということも含めて、しっかりとこの答申を尊重しながら、今自民党内において議論がなされているものと承知をしております。

渡辺(周)委員 正直、恐らく、聞いている方も余りよく、すとっと落ちていないんだろうと思います。

 民主党、維新もそう、そして連立与党である公明党も、二月二十五日付の産経新聞、北側一雄副代表のコメントとして、自民党と折り合いをつけるのは難しいとも言われているわけでございます。

 各党が、アダムズ方式を受け入れる、議長のもとでできた諮問機関の答申を尊重すると言っているわけでございます。この議長のもとでの議論が平行線になった場合に、これは総理、官邸が乗り出して、官邸主導で決着をつけるというようなお考えはありますでしょうか。

 といいますのは、大島議長は、先日、読売新聞の単独インタビューに答えて、三月中に何とか成立をさせたいというようなことを言っております。アダムズ方式を自民党も受け入れることに期待感を表明したとも報じられているわけでございますが、これは、各党が調整がつかないということになった場合には、官邸として乗り出すお考えはあるのかどうなのか、その点を伺います。

安倍内閣総理大臣 ここで議論を少し整理する必要があるわけでございますが、いわば十の削減につきましては、今回の簡易調査によって行う選挙区の区画の変更において二分の一以内にする、この定数の是正を行っていくことにあわせて行っていくということは申し上げたとおりでございます。

 そこで、例えば、いつアダムズ方式を含め大規模な、定数是正のため県を越えて行うということにつきましては、これは、いわば十年ごとに行われる国勢調査で行うべきであると私も考えているところでございます。でなければ、一五年はまさに簡易国調でございますから、簡易国調でやったら、今度、二〇年に、五年後にはもう既に国勢調査、十年ごとの本調査の数字が出てくるわけでございまして、そこでまた合わせなければいけない。

 かつ、一五年の国調にあわせて選挙を行うといっても、手続等をやっていきますと実質は来年以降でございますから、三年後にはその次の見直しに既に取りかからなくてはならなくなってくるということになるわけでございます。二一年以降ということになるかもしれませんが。

 しかし、第三者委員会が求めているのはそういうことではなくて、むしろ、そうではなくて、十年ごとの国調でアダムズ方式をやりなさいということでございます。

 そこで、私は、基本的に、何回も申し上げておりますように、第三者委員会の答申を尊重し結論を出すべきだ、このように考えているわけでございますし、党にもそのように申し上げているところでございます。大島議長のもとで調整が行われ、そこでまとまることを期待したいと思います。

 同時に、私も、自民党の総裁でありますから、しっかりとこの答申を尊重する形でまとまるようにリーダーシップも発揮をしていきたい。

 しかし、当然、まずは議長のもとで、尊重する形で案がまとまることを期待したいと考えております。

渡辺(周)委員 では、この質問の最後に確認ですけれども、今、リーダーシップを発揮されると言いました。もし与党、野党の中で決着がつかない場合には、自民党総裁でもある安倍総理がそこでリーダーシップを発揮されるというふうに私どもは理解をいたしました。

 とにかく、最高裁が格差を生む要因として廃止を求めた一人別枠方式が温存されないように、そしてまた、アダムズ方式が答申の柱でありますので、ぜひこの点について、総理が自民党総裁として関与される、アダムズ方式も含めて対応を最終的に考えるということでおっしゃったということで理解してよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 今、渡辺委員がおっしゃったように、アダムズ方式という考え方を第三者委員会では示したわけでございまして、このアダムズ方式という数式を用いて定数の是正を行うという答申が出た以上、これを当然尊重しながら我々は取りまとめなければならない、このように考えております。

渡辺(周)委員 では、少し視点を変えて伺いますが、総理の解散権であります。

 この選挙制度改革が万々が一難航した場合、議長がおっしゃるように、今国会中で各党が知恵を出して汗をかいて、汗をかいてとにかく合意に結びつける、これが望ましいわけでありますが、たとえそれが果たせない途中であっても、総理は解散権は縛られないというふうにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これはもう既に民主党政権のときにもそういうお答えを政府としてしているわけでございますが、解散権は縛られない、このように考えております。

渡辺(周)委員 つまり、定数是正の合意がなされなくとも解散はできる、縛られない、総理はそうお答えになりました。

 そして、もう一つ聞きますが、二十四日の財務金融委員会で、世界経済の大幅な収縮が起きれば消費税の増税を中止するという政治判断もあり得ると総理は新たな条件を示したというふうに報じられております。

 世界経済の大幅な収縮というのはどのような状況を想定しているのか。

 よく引き合いに出されるリーマン・ショックの場合は、これは日経平均株価が大暴落を起こした。リーマン・ショックの際は、九月十二日の終わり値が一万二千二百十四円だった株価が、十月二十八日、約四十日、一カ月半後に六千円台まで、六千九百九十四円まで落ちた。一カ月で約五千数百円下落をしたわけであります。

 この点について、リーマン・ショック並みというのは、例えば株価でいえばこういうことである、そして、今回総理がおっしゃったような、いわゆる世界経済の大幅な収縮というのは、どのような状況を想定したのか、その点について伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先般お答えをいたしましたのは、来年四月の消費税率一〇%への引き上げは、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施をしていく。そして、御指摘の私の発言は、先日の財金委員会におきまして、リーマン・ショックのような重大な事態とはどういったものを指すのかを問われた際に、単に個人消費の落ち込みということのみではなく、その背景に世界経済の大幅な収縮が実際に起こっているかどうかということについて申し上げたわけでございます。

 そこで、今、その世界経済の大幅な収縮とは何か、このように御質問をいただいたところでございますが、これは、株価、いわば市場の変動のみではなくて、実体経済にどういう影響が出てきているかということも含め、考えなければならないと考えておりますが、しかし、その際、先般もお答えをさせていただいたわけでございますが、専門的な見地から行われる分析も踏まえて、そのときの政治判断において決める事柄である、こう思うわけでございまして、今、この段階で、私はつまびらかに、こうこうということを申し上げるわけにはいかない、このように思っております。

渡辺(周)委員 消費増税をすべきでないという、総理のブレーンと称される方々から、いろいろ、論文やら寄稿やらを私ども見ております。それは当然総理の耳にも入っているということを、その財務金融委員会の席でも御答弁されております。

 いずれにしても、来年四月からの消費税一〇%を想定して、政府も地方自治体も消費税増税による税収の増ということを考えて、これから夏、秋と、今後は二〇一七年度の概算要求や予算編成を組み立てていくわけでありますけれども、それを考えれば、消費税を上げないという政治判断というのは、タイムリミットはいつなのか。

 総理がおっしゃるような、経済状況が、我が国のみならず世界の経済がどのように縮小しているか、あるいは経済が悪化したかというのは、どの時点で判断をする、つまり、制度設計や、それぞれの自治体もそうですけれども、消費税増税がないということを前提に、これは組み直さなきゃいけなくなるわけでございます。

 そうしますと、そのタイムリミットというのはいつなのか、総理が最終判断される時期はいつなのか、その点はどうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 私は、また政府としては、現段階では、消費税を来年四月引き上げていく、この考え方を変える必要はない、こう考えております。

 先ほど答弁いたしましたように、リーマン・ショック級、あるいは大震災級の出来事がない中においては消費税を引き上げていく、この考え方には現在のところ変わりはないわけでございまして、よって、我々は、現段階において、いつまでに判断するということについて何か計画を持っているわけではないということでございます。

渡辺(周)委員 非常に慎重な言い回しに終始をされているんですが、いずれの時点で、では、判断をしたときに、消費税は上げないという政治判断をする場合、その場合、やはり総理は国民に信を問う、つまり、衆議院を解散するということも含めて、お考え、そういう決断をされることはあるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 現段階では、消費税を予定どおり引き上げていく、こういう考え方でございまして、よって、解散ということは頭の片隅にもないということでございます。

渡辺(周)委員 このことについては、また別の委員会や、また別の機会で私も質問をさせていただきたいと思います。

 それで、次の質問に移ります。

 先日、二月の二十二日に、私、島根県の松江に行ってまいりました。竹島の日でございました。この式典に出席をいたしました。

 この竹島の式典の前に初めて対話集会というものが行われまして、どうしても、大きい会場で来賓の挨拶で、会場の方々はいろいろなお考えの方もいらっしゃいますから、整然と進めるために、なかなか意見交換ができないということで、ことしから竹島の日の式典の前に、皆さん方と、地元の県議さん、あるいは各党から来られた議員さんと一緒に車座集会のようなことを行いました。

 その際出た意見の中に、自民党は、二〇一二年のマニフェストで、政府主催で竹島の日を行いますと書いたではないかと。二〇一三年の参院選のマニフェストでは削られているんですね。

 総理は、韓国との関係を考えて政府主催にしないというふうにお考えでしたら、北方領土の日はこれまでも、先日も、二月七日、私も総理も日比谷公会堂でともに出席をしております。北方領土については、だからといって、ロシアとの関係が決して悪化しているとは思えない。総理はプーチン大統領との会談、あるいは、岸田外務大臣が春に外相会談を行うということになっているわけでございます。

 私は、やはりしっかりとした国民の総意を背景に、韓国と竹島問題を交渉すべきだと思いますが、この竹島の日を政府主催でやるというお考えはないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も明らかに我が国固有の領土であります。

 政府としては、竹島の領有権の問題に関する我が国の立場を主張し、問題の平和的解決を図る上で何が有効な方策であるかについて不断に検討してまいりました。

 今回の竹島の日記念式典への対応は、そうした基本的な立場のもと、諸般の情勢を踏まえて検討し、総合的な判断を行ったものでございます。

 北方領土問題と竹島問題に関する政府の取り組みについては、それぞれの領土問題をめぐる経緯及び状況等が異なることから、これらを単純に比較することは困難でありますが、今後とも、竹島に寄せる地元の皆様の思いを重く受けとめ、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守るとの決意のもと、竹島問題の解決に向けて全力で取り組んでいきたい。

 その観点から、どのような形で主催をするか、あるいは誰が出席するかということについては適切に判断をしていきたい、このように考えております。

渡辺(周)委員 島根県のふるさと納税の寄附で、竹島の領土権の確立という事業で、ことし一月までの寄附の件数と金額は過去最高になったんですね。また、属する隠岐の島町でも、竹島の領土権確立事業を指定したふるさと納税がされているんです。

 領土権の確立事業というものを、私は、自治体に任せるというのはおかしい。相手は国が前面に出てきているのに、こちら側はふるさと納税で島根県と隠岐の島町が行っている。これは非常に非対称であります。

 そういう意味では、ぜひ竹島の日を政府主催でやるべきだというふうに思いますし、また、領土権確立については政府が中心になって取り組むべきだと思いますが、総理、もう一回伺います、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今、渡辺委員から大変心強い御発言があった、このように思っておりますが、いずれにいたしましても、竹島の日の記念式典への対応については、この問題の平和的解決を図る上において何が有効であるかということを検討し、その上で適切に、総合的に判断をしていきたい、こう考えております。

渡辺(周)委員 「日本を、取り戻す。」といってマニフェストが書かれた。二〇一二年にそのことが書かれて、二〇一三年の参議院選挙ではそこは削られたということでございます。

 地元の方々の意見の中からそういう声が出る。いつまで同じことを繰り返されるんだという御意見もございます。ぜひ、この点について島根県と連携をしながらやっていくべきだというふうに思います。

 ほかにもNHKへの質問がございましたけれども、時間の関係でできなくなりました。答弁を準備されていた方々、大変申しわけなかったんですが、また改めての機会にNHKに対して、午前中の続きをやりたいと思います。

 私の質問はこれで終わります。

遠山委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民主・維新・無所属クラブの水戸将史でございます。

 きょうは、せっかく総理がこの委員会にお見えいただきますので、総理一本に絞って御質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 私も、去る一月十三日の予算委員会でも有効求人倍率のことを取り上げさせていただいて、これを押し上げる要因は、やはり労働力人口の減少が一つの要因になっているということの問題提起をしましたところ、総理は、それに対しましては、地方税収とか就業者数がふえているということで反論されております。

 私の質問の真意がなかなか総理に伝わっていかなかったかなという自省も込めて、また改めて、丁寧にこのことについて掘り下げながら質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 総理も、大体大ざっぱに、地方税収が上がっており、それは働く人々の待遇がよくなったからということの趣旨を述べられておりますけれども、地方税収にはいろいろな種類があります。個人にかかるものもありますし、法人にかかるものもありますし、また、個人といたしましても、地方だけでなく、東京というような大都市の住民も納めていらっしゃいますから、これは地域ごとの分析も必要だと思っているんですね。

 そこで、まず、お手元にお配りした資料一でございますけれども、これは地方税収の全体的なトレンドであります。十年間ですね。

 これを見ると、リーマン・ショックがありました時期を境に一旦かなりダウンをしておりまして、そして、これが底をついて、だんだん徐々に上がってきてはいるんですね。しかし、上がってきてはいるというものの、総理が第一次安倍内閣のときですけれども、これは平成十八年、平成十九年でありましたけれども、こういうときに比べれば、まだまだ回復途上にあるということが一目瞭然であります。

 これからやっていかなきゃいけないというのは、まだそういうスタート地点に立っているというふうにしかすぎないと思われるんですけれども、このトレンドを見て、総理はどのような御感想でしょうか。

安倍内閣総理大臣 今、水戸委員の出していただいた資料を拝見させていただきました。

 これは、十九年が大きく地方税収が上がっておりました。ちなみに、このときも第一次安倍政権であるということは申し上げさせていただきたいと思うわけでございますが。その後、リーマン・ショックによってこれが減ってくるわけでございますが、二十六年まで書かれております、だんだん上がってまいりました。

 そこで、二十八年度の地方税収はどうなったか。これは間に合わなかったんだと思いますが、二十八年度の地方税収は、政権交代前から五兆円以上増加をいたしまして、過去最高となる四十一兆九千億円を見込んでいるところでございまして、この要因は、消費税率引き上げによる地方消費税の二兆円の増収もさることながら、これに加えて、企業収益の伸びによる法人関係税の増加や、給与や配当の伸びによる個人住民税の増加が約三兆円に上ったことが大きいんだろう、こう思うところでございます。

 今後もしっかりと、地方も税収が上がっていくように、地方の産業が盛んとなるように活性化を目指していきたい、このように考えているところでございます。

水戸委員 総理、今の話は二十七年度だと思います。二十八年度じゃなくて、二十七年度じゃないですか。来年度の推計という話ですか。(安倍内閣総理大臣「八、予算ベース」と呼ぶ)わかりました、試算だと。二十七年度、二十八年度、推計でありますから、これから、実際のところ、二十八年度はまだ始まっておりませんから、それがそのとおりになるかどうかはまだ未定でありますよね。

 今いろいろと総理は言われておりますけれども、実際のところ、地方とか中小企業にはアベノミクスのトリクルダウンということが、効果が出ているのかどうかということは、まだまだ私は懐疑的だと思っているんですよ。

 それは、一昨日の二十四日の予算委員会の中央公聴会におきましても、自民党推薦の公述人でありました大和総研の熊谷亮丸先生も、なぜ地方や中小企業がアベノミクスに対して、恩恵を受けていない、格差を感じているのかという問いに対しまして、やはりそのトリクルダウンと言われるものがなかなか起こりにくくなっているということを述べられておりまして、さらに、円安で全規模の産業では四・三兆円のメリットがあるけれども、中小企業だとか非製造業は相対的に少ないということに言及されているんですね。

 ですから、この現状をもって総理が地方も非常によくなっていると言うのは、やはり国民生活やその実感、地方の実感とはずれているというふうにしか思わざるを得ないんですけれども、総理、こういうことに対してはどうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど二十八年と言ったのは予算ベースで、予算をつくりますから当然税収を出しているところでございますが、予算ベースでは約四十二兆円でございますので、これはこのグラフの天井に当たっているという状況になっていくということは皆さんにも御認識をいただきたいところでございます。

 いずれにいたしましても、ただ同時に、まだまだ実感がないという方がたくさんおられることも我々も承知をしておりますので、しっかりと地域の皆さんがこの地域で頑張っていこうと思ってもらえるように、実感を感じていただけるように、地方創生を進めながら地域の活性化を目指していきたい、こう考えております。

水戸委員 総理がおっしゃるように、日本全体というパイを考えるならば、これは上向いていることは確かなんです。私は、地方にこれがうまく伝わっているのかなと。いみじくもおっしゃったように、地方の実感としてこれが本当に皆さんがお持ちになるかというと、これはずれているということを申し上げているまでであります。

 これは、資料二、資料三をごらんいただいてもわかるとおり、総理は昨今の予算委員会でもしばしば高知県の現状について言われておりますし、また、わざわざ自民党立党の六十周年記念式典でも総裁として高知県を特出しして挨拶されているものですから、あえて今回も高知県と、また青森県を一つの例にしてこのグラフを示しているわけであります。

 この二ページ目の高知県、三ページ目の青森県のいわゆる市町村税の税収、個人と法人に分けてのグラフのトレンドであります。もちろん、二十六年度までしかありませんけれども、昨年度までしかありませんけれども、この流れというのは、このトレンドを見てよくわかるとおり、総理が胸を張っておっしゃっている高知県ですら、このような形でほとんど個人の税収は伸びていってはいない。青森県は、むしろ、それよりも若干微減なんですね、減ってしまっているというような現状なんですよ。

 これは、日経新聞、新聞報道では、全国的な個人住民税の伸びは配当割によるところが大きくて、業績が好調な企業を中心に配当をふやしたその影響が出たと指摘しているわけでありますものですから、結局、労働市場がよくなって待遇がよくなった結果、その労働の対価としての収入は上がっているという総理みずからのお言葉とは到底思えなくて、とりわけこの地方においてはそうした環境が全く整っていないというふうに、その証左ではないかと思うんですけれども、このグラフを見て総理はどう思われますか。

安倍内閣総理大臣 私どもがつくっている資料は、二十八年度の予算ベースでつくっておりますからこの先ということにもなるんですが、市町村税と県税、若干これは違いがあります。

 各都道府県の平成二十八年度当初予算においても、平成二十四年度当初予算と比べて、全ての都道府県で税収が増加をしており、特に法人関係税については全ての都道府県で二桁増の収入を見込んでいるところでございまして、委員が示された、これは高知県と青森県ですか、高知県と青森県二県で見ても、平成二十八年度当初予算と平成二十四年度当初予算を比べ、いずれも、県税収入は二割近く、法人関係税は三割以上も増加をしております。

 青森県では地方税収が一九・三%増、法人税関係は三二・七%、高知県は地方税収が一九%、法人関係税が三三・二%増ということでございますから、これは明らかに、まさに私どもの政策によって地方も、今まではなかなかよくならなかった高知県、青森県、これは長い間よくなりませんでして、例えば、あのバブルのときにも、あるいはまた高度経済成長のときにもなかなかよくならなかったものが今回はしっかりと。よくならなかったというのは例えば雇用においてそうなんですが、今回は、雇用においてもそうなんですが、地方税収においてもそうしたことになっているということではないか、このように思うところでございます。

 しかし、今後ともしっかりと地方の状況については目配りをしていきたい、こう考えております。

水戸委員 お互いに都合のいい資料を出し合うということで、そのレベルで言っているときはわかるんですけれども、あえて県税を取り上げる、何かそれは意図するものがあるかなと思うんですけれども。

 いずれにいたしましても、私は市町村税をあえて取り上げさせていただきましたけれども、こういう状況であるということだけは、総理ももちろん御承知の上でおっしゃっていると思いますけれども、よくわきまえて、御答弁に細心の気配りをしていただきたいと思っております。

 税収以外にも総理が一つの材料として取り上げているのは、就業者数なんですね。総理は、御答弁でも、二〇一二年の就業者数と二〇一五年、直近ですけれども、七月―九月の就業者数を比べて、百十七万人もふえているということをおっしゃっています。だから、いわば、求職がふえた結果、有効求人倍率が高くなっているということではないか、こう強弁されております。

 この百十七万人というのは、やはりこれは全国的な数字でございまして、またあえて高知県の話をさせていただきますけれども、高知県の就業者数は、二〇一二年が三十五万四千人であるのに対し、同じレベルの二〇一五年の七月から九月の期は三十五万六千人、わずか二千人程度ふえているわけでありますが、ほぼ、大体横ばいという形になります。有効求人数でいうと、一万一千人台だった二〇一二年度に比べて、二〇一五年の十二月は一万三千人台へと一千余りの増となっているにすぎないんですね。しかし、他方で、同時期の求職者です、求人数じゃなくて求職者を見ると、一万八千人から一万二千人に減っちゃっているんですよ。五千人以上減少しているんです。

 つまり、何を言いたいかと申し上げるならば、結局、仕事の数は少しふえたように見えるけれども、それ以上に仕事を求める人が大幅に減っている。これがちょうど均衡して、いわゆる有効求人倍率が一・〇を上回るような、求人数と求職者の双方は大体一万二、三千人台で均衡がとれているものですから、結局これがいわゆる有効求人倍率を一・〇に押し上げる結果となっていると私は思えるんですね。

 ですから、こういうことを含めて考えると、結局、有効求人倍率がバブル期を超えて過去最高になっていると胸を張って言われていますけれども、しかし、地方の実態を見れば、やはりこういう人口減少等々を含めての求職者の減少というものがかなり有効求人倍率を上げることに寄与してしまっている、こういう証左じゃないかと思っているんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは、まず、高知県の皆さんは有効求人倍率が初めて一に到達したときに県庁で祝杯を上げたという事実があることはまず申し上げておきたい、このように思います。

 有効求人倍率は、分子である有効求人数、仕事の数が増加するか、分母である有効求職数、仕事を求める人の数が減少することによって上昇するわけであります。これは委員がおっしゃったとおりでございます。

 まず、結論から申し上げれば、この三年間の有効求人倍率の上昇は、仕事がふえて、人口減少の中でも就業者数がふえていることによるものと考えています。

 有効求人倍率は全都道府県において政権交代前より上昇しておりますが、分子である有効求人数についても全都道府県で上昇しているんです。つまり、人口だけが減って、いわば求人数は変わらなくても上がるんですが、求人数自体が上がっているということはまず申し上げておきたいと思います。

 分母である有効求職者数は全都道府県において確かに減少しておりますが、これは、人口減少が原因というよりも、求職者が就職に結びついていっている結果によって、いわば求職者が減っているということもあるわけでありまして、そういう結果であると考えております。

 平成二十四年と二十七年の第三・四半期で比較しますと、全国的には十五歳以上人口は〇・二%減少した一方、就業者数は一・八%増加をしているわけでございます。

 なお、分子の有効求人数も分母の有効求職者数も景気回復要因による寄与が大きいと考えておりますが、どちらがより大きく寄与しているかを見ると、全国計の有効求人倍率の平成二十四年十二月から昨年の十二月にかけての改善について、有効求人数は二四・七%のプラスであります。有効求職者数は一八・五%のマイナスであり、全国ベースで見ると、景気回復による求人数の増加の方が大きく寄与している、二四・七対一八・五ということでありまして、大きく寄与しているというふうに考えているところであります。

 このように、労働力の減少により供給が細っているから改善しているだけとの御指摘は当たらないのではないか、このように考えております。

水戸委員 先ほど総理があえて触れたから私も言いますが、高知県で、県庁で祝杯を上げたという話を自民党の六十周年でおっしゃっているようですけれども、東京新聞によると、高知県の雇用担当者は、祝杯なんて聞いたことがない、都市伝説ではないかと首をかしげているというような話もありますので、どこからその話を聞いてきたのかよくわかりませんけれども、余りそういうことは聞きかじりで言わない方がいいかなという気もしないではありません。

 それで、今いろいろな話をされましたけれども、やはり、全体的には伸びているんですけれども、結局偏在しているということなんですよ。

 資料四を見てわかるとおりに、東京の偏在というものがここに、このグラフであらわしているんですけれども、結局、いわゆる東京一極集中、よく俗に言われる東京一極集中ということが如実に、これは年を経るごとにどんどんと高まってきている、これをあらわすトレンドであります。これは二十五年度までしかありませんけれども、東京のシェアは、法人住民税法人税割で三一・三%、法人事業税で二四・五%であるというのが、この二十五年度の数値なんですね。結局、リーマン・ショック後下がっているにもかかわらずまた上昇しているということは、先ほど資料一で挙げた税収の伸びと見事に符合していくトレンドなんです。

 他方で、法人二税というものを各都道府県別の人口一人当たりの税収額で見てみますと、全国平均値を一〇〇とした場合、一〇〇を上回っている地方公共団体は東京を初めわずか五団体、あとの四十二団体は全て平均以下なんですね。県名は言いませんけれども、一番最小なのは四一・三で平均の半分以下。最高は今言った東京でありますけれども、これは二六〇・二でありますから、平均の二・六倍です。つまり、最小の県と最大の東京の税収の格差というのは一人当たり六・三倍にもなってしまっている、こういうような現状がここにあるんです。

 ですから、結局、東京は非常に、これからオリンピックにも向けていろいろな形でやっていくわけでありますけれども、ますます東京への偏在が高まっていくんじゃないかということを、よくこれを見ても読み取れるわけであります。こうした構造にいかにある程度歯どめをかけながら、地方に、総理がいみじくも言うようなトリクルダウンがもたらせるかということが、本当にできるのかどうかということなんですけれども、こういうグラフを見て、総理はどうお感じになりますか。

安倍内閣総理大臣 先ほどの祝杯の話は、官房長官が知事から直接聞いた話でございまして、水戸先生は東京新聞を読まれたわけでございますから、我々の方が第一次資料に当たっているということではないか、このように思います。

 平成二十八年度税制改正において、地方消費税率の引き上げにあわせて、法人住民税法人税割の交付税原資化などの偏在是正措置を講ずることとしております。

 これによって、都市に偏りがちな税収の再配分を行うことで、過疎に直面する地方でも財源をしっかり確保していく考えであります。

 今後とも、地方税の充実と、偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に努めていきたいと考えております。

水戸委員 もう終わりになりますから申し上げますけれども、一連のこうしたやりとりをしても、地方税収とか就業者数は、やはり地方に行けば行くほど、まだまだ現状は厳しいんじゃないかということがかいま見られるわけでありまして、やはり、円安によって、確かに輸出関連産業の業績はよくなって、それが法人関連の税収増にはつながっております。しかし、そこから個人へのトリクルダウンにはなかなか通じていない。先ほど言ったように、株式の配当以外、なかなかこうした、現実的にプラスアルファはないというような、そういう現状ではないかと思います。

 ですから、有効求人倍率の上昇も、やはり、全体的に考えれば、もちろん日本全体ということになるならば、先ほど総理が言われたそうしたこともあるかもしれませんけれども、やはり地方に行けば行くほど、こういう深刻な状況に拍車がかかっているんじゃないかということが非常に懸念されます。

 だからこそ、やはり地方のことを考えるならば、小手先のことじゃなく、地方全体の受け皿をどう変えていくかという、地方分権、地域主権ということにもなりますけれども、そういうことを含めてやっていく必要があると私はあえて強調したいと思います。

 それについて、最後に総理の御答弁を求めておきたいと思います。

遠山委員長 簡潔に御答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 しっかりと地方創生に向けて政策を進めていきたいと思います。

水戸委員 どうぞよろしくお願いします。

 以上で終わります。

遠山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 総理、私からは、東京圏への一極集中の是正について質問したいと思います。

 総務省の二〇一五年の人口移動報告によりますと、東京圏、埼玉、千葉、東京、神奈川、この転入超過が十一万九千三百五十七人となりました。東京圏への転入超過は二十年連続で、東京一極集中に歯どめがかからない状況となっています。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略では、東京一極集中の是正として、二〇一三年を起点に、東京圏から地方への転出を年間四万人増加させ、地方から東京圏への転入を年間六万人減少させて、二〇二〇年時点で東京圏から地方への転出、転入を均衡させるとしています。しかし、現状はそうなっていません。

 資料をお配りしています。1をごらんいただきたいと思います。

 住民基本台帳をもとにした東京圏転出入の推移についてグラフにしました。政府の目標では、二〇一三年から転入超過数は下降するはずでありました。しかし、この破線の赤に至らず、青の線のように上昇を続けているわけであります。

 そこで、総理に伺います。

 この推移についてどうお感じになっておられますか。二〇二〇年までに均衡させる目標、これはかなり厳しいのではないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、この東京一極集中の流れを変えるというのは、そう簡単なことではないわけでございます。

 他方、東京に住んでいる方々の中でも、約四割の方々が、仕事があれば地方で住みたいという希望を持っておられる方々がいるのも事実でございまして、そういう方々の希望が実現されるような状況をつくっていくことによって流れを変えていくことができるのではないか、こう考えております。

 東京一極集中を是正するため、地方における若い世代にとって魅力ある仕事の創出、企業の本社機能移転、政府関係機関の移転を進めていきます。

 具体的には、今年度より、企業の東京からの移転を税制措置により促進するとともに、移住先の生活に関する情報をワンストップで提供する窓口を開設しました。昨年末には、まち・ひと・しごと創生総合戦略を改定し、地方の自主的かつ先駆的取り組みを支援する新型交付金や企業版のふるさと納税制度などの財政支援、そして情報支援、人的支援等を盛り込んだところでございます。

 各自治体は、国の総合戦略を勘案しながら、みずからの人口動態を分析し、将来展望を示す地方人口ビジョンと、これを踏まえた今後五カ年の目標や施策等を提示する地方版総合戦略を策定しています。

 これらは、人が生きがいを持って生活し、この地域に住んでよかったと実感できる地域社会を示し、都市部の人々を引きつけることで、国の施策と相まって、東京一極集中の是正を目指すものであります。

田村(貴)委員 総理、私の質問は、二〇二〇年に均衡をとるというのは難しいんじゃないんですかと言ったんですけれども、お答えがありませんでした。

 全国の地方自治体においては、人口ビジョン、地方版総合戦略を今年度中に策定するということで、既に都道府県の計画はそろっています。都道府県の人口ビジョンを見ますと、いずれも政府の手引どおりにつくっているので、大体似たような傾向となっています。

 東京を除く各道府県が立てた人口ビジョン、これは、東京一極集中の是正が大前提となっています。つまり、安倍内閣が目標としたこの二〇二〇年までに東京圏と地方の転出入について均衡を図らなければ、各道府県のビジョンやあるいは戦略についても、これは達成できないということになってしまうんです。

 総理は、そのように認識されておられるでしょうか。

 もう一つ。

 政府が地方に対して総合戦略をつくれ、あるいは人口ビジョンを示せと言っても、この東京一極集中が進むもとでは、実現可能な計画とはなり得ないのであります。

 東京圏への流入がとまり、地方への流出がふえる、それを可能とする具体的な根拠はどこにあるんですか。いろいろな施策は先ほどお述べになられたからいいです。具体的な根拠はどこにあるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 各自治体は、国の総合戦略を勘案しながら、みずからの人口動態を分析して、将来展望を示す地方人口ビジョンと、これを踏まえた今後五カ年の目標や施策等を提示する地方版総合戦略を策定しているわけでございますが、委員がおっしゃったように、東京一極集中を前提としてということではなくて、この流れをまさに変えていく上において、地方がしっかりと地方版総合戦略を策定していくことが求められている、このように思うわけでございます。

 今後、先ほど私が申し上げましたように、しっかりと地方の意欲を酌み取りながら、地方がみずから描く未来を実現できるように国が支援をしていくという新しい地方創生をしっかりと進めていきたい。そのことによって、東京への一極集中の流れを反転させていきたいと考えております。

田村(貴)委員 地方自治体に対して、政府は、人口ビジョンを実現する事業ごとにKPI、重要業績評価指標、これを求めています。例えば、移住の促進を進めるとして、専門相談員を配置するならば、その移住者を何名と見ているのか、事業ごとに細かくKPIをちゃんと持ちなさい、記しなさいと言っているんです。

 ところが、東京圏の一極集中、この是正に向けたKPIはないわけなんです。政府としてKPIを持ったらどうかと私は思うんですけれども、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今の御質問について、事前に通告がございませんでしたので、私もその数値についてつまびらかに承知をしていないところでございますが、いずれにいたしましても、基本的にKPIを重視しているわけでございまして、各地域がそうした数値目標をしっかりと設定しながら、それに向けて結果を出していくことが求められている、このように思うところでございます。

田村(貴)委員 昨年、我が党の議員が衆議院の委員会で次のような質問をしました。

 東京で相次いで計画されている再開発について取り上げたんです。ビル群をつくれば昼間人口はふえるのだから流入人口もふえるのではないかと問いましたら、石破大臣が、普通に考えればそういうことになろうかと思いますとお答えになりました。そして、国土交通省は、再開発による人口転出入の予想はしていないと答弁されたわけなんですね。

 これからの大規模工事、それから再開発、またインフラ整備が人口の転出入にどのように反映していくのか、こういう数量は具体的に試算されておられるのか。東京一極集中問題を考えるときの大事なことだと私は思うんですけれども、こうしたことは試算されているのかどうか、お伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 グローバルな都市間競争が激化する中で、海外から人材や投資を呼び込み、我が国経済を牽引していく上で、再開発などにより都心などの国際競争力を強化していくことは大変重要な課題だと考えています。

 一方、地方部を含めた全国の都市においても、その再生を図るため、再開発も含め、まちづくりに資するプロジェクトに対し財政金融支援などを講じており、数多くの地方都市で取り組みが進められています。

 都市政策は、東京等の大都市のみを対象として行っているものではなく、引き続き、大都市、地方都市双方について、必要な都市機能の維持強化に向けてしっかりと支援をしていきたいと思います。

 大規模な再開発については人口の転出入について数字を試算していくべきではないかという趣旨の御質問をいただきましたが、都市の再開発は、個々のプロジェクトにおける需要効果や、目指すべきまちづくりとの整合性を考慮して実施されるべきものであり、民間の都市開発において、都市全体の人口の転出まで試算することは現実的ではないと考えております。

田村(貴)委員 人口転出入の計画すらない開発、これがどんどん首都圏中心に進んでいくわけなんです。そして、天井知らずの企業群の集積。そういうやり方をやはり変えていかないと、この一極集中の問題は解決しないというふうに思います。

 総理が掲げる世界で一番企業が活動しやすい国というのと、東京一極集中の是正が両立するのか。人も金も、そして物も注げば、巨大都市はさらに膨張し続けていくというふうに思うわけであります。

 こうしたやり方をやはり思い切って見直していくときに来ているんじゃないか、見直さないとこのカーブはいつまでたっても上昇を続けていくというふうに私は考えますけれども、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 例えば、国際都市である東京と地方とを対立概念として考えるのではなく、車の両輪として考えなければならないと思っています。

 まず、東京は世界の都市間競争に勝ち抜いていく都市でなければならない、そういう条件を整えていく必要はあるんだろう、こう考えています。

 と同時に、まさに地域は国土形成において極めて重要な役割を担っているわけであります。環境、そして文化、伝統の維持、そして住みやすい国をつくっていく上においても、美しい景観を維持していく上においても、地方の存在というのは絶対的に不可欠であろう、こう思っております。

 地方と東京圏がパイを奪い合うゼロサムではなく、地方と東京圏がそれぞれの強みを生かして日本全体を引っ張っていくプラスサムでなければならないと考えておりまして、それが目指すべき将来の方向である、このように考えております。

田村(貴)委員 やはり一極集中を是正させる具体的な施策を真剣に検討していかなければ、この問題は解決いたしません。

 したがって、今申しましたように、人口転出入の計画すらない巨大開発、それから、今、総理は国際競争力というふうに言われましたけれども、世界じゅうの企業を東京に集中させていく、この天井知らずのビル群をつくっていく、こうしたことがやはり地域と東京圏との差につながっていく。ここに仕事がある、ここに行ったら稼げる、この流れがずっと続いているわけなんですよ。

 資料2というのをお配りさせていただいています。これは、高度成長期以降の東京圏における二〇二〇年時点での転出、転入の均衡予測であります。

 ごらんになっていただくとわかりますけれども、転入超過数がゼロを下回るときというのはわずか一時点であります。そして、ずっと転入超過数はプラスであります。

 全体で、転出入の中で、転入増から転出に変わる時期があります。グラフの下がり坂のところなんですけれども、これは、大きくいろいろな事件がありました。例えば石油ショックのとき、あるいはバブル崩壊のとき、あるいはリーマン・ショックのとき、いろいろあったんですけれども、経済政策が大きく崩れたときにこういう状況になります。

 換言すれば、よほどのことがない限り東京の超過数というのはプラス、そしてこの流れは変わらないということなんです。だから、総理、私は、今までの、言葉はあれですけれども、開発至上主義、こうしたところは大きく見直していく必要があるんじゃないかというふうにお尋ねしたわけであります。

 私は、今のこの問題を解決するときに、いろいろな大事なポイントがあるというふうに思います。

 一つは、やはり地域の力をしっかりつけていくということであります。

 それは、何といっても、地場産業を温め、そして地方の主力である中小企業に厚い支援を送っていくということであります。しかし、中小企業対策費、これは二〇一二年以降マイナスではないでしょうか。それから、日本の中小企業対策予算は米軍の思いやり予算よりも下回っている、こういうお寒い状況であります。

 ここを改善して、やはり地域の主力をしっかりと応援していく、この流れをつくっていくことが雇用を生み出し、そして安定して人口減少対策に地方自治体が取り組めていくのではないかというふうにも思います。

 もう一つは、雇用の創出と安定であります。

 安倍政権は、格差是正、それから同一労働同一賃金なども今度掲げておられます。私、一つ提案したいと思うんですけれども、やはり最低賃金の改善、これは大事ではないかというふうに思うわけです。

 私は福岡なんですけれども、福岡が、これは上がったとしても七百四十三円。これでも全国平均より下回っているんですね。東京の九百七円より百六十四円安い。九州は、福岡以外の県はさらに低くて、東京との差は二百十四円という差になります。これだったら、外に出ていこうかな、にぎわいのあるところ、都会に行ってみようかなと人が流れていくのも当然な流れなんですね。

 より高いところへ、より仕事があるところに行こうとするその流れを変えるんだったら、私は、今度の委員会で我が党の議員も主張しましたけれども、全国一律の最低賃金、これを実行していただきたいというふうに思います。

 それから、地方自治体への対応であります。

 人口ビジョン策定の手引という、こういう手引があるんですけれども、手引に基づいて各自治体に人口推計をやりなさい、人口ビジョンを示しなさいというふうに今やっています。

 それから、国が認めた取り組みについて金をつけるというやり方、いわゆる傾斜配分、こうしたやり方が拡大しています。

 交付税についても同じことが言えるんです。私は、予算委員会で高市大臣にも要求しました。トップランナー方式のことであります。道路維持や学校給食などについて、業務委託の内容を民間委託だけに限ってしまう、そして経費を節減したところを標準として交付税を算定していくというやり方です。

 もう一つ尋ねました。人口減少等特別対策事業であります。取り組みの必要度というのはわからぬでもないです。しかし、取り組みの成果分というのがあるんですね。こちらの傾斜をこれから大きくしていこうというんです。いわゆる行革の努力に応じて交付税をふやしていくというやり方が安倍内閣のもとで導入されています。

 トップランナー方式については、全国知事会、それから地方六団体、これは反発していますね。総理も御存じだと思います。

 そこでお伺いしたいのは、総理、地方の固有財源である地方交付税のこの姿を変質させてはいけません。そして、地方交付税を政策誘導に使うべきではないというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 平成二十八年度から、自治体が民間委託等の業務改革を行う場合は、その経費水準を交付税の積算基礎とするトップランナー方式を導入するとともに、引き続き地方財政計画にまち・ひと・しごと創生事業費一兆円を計上し、その一部について、地方創生に向けた取り組みの成果に応じて配分することとしています。

 これは、地方財政が依然として厳しい状況にある中で、地方団体においても、引き続き行政の効率化を進めつつ、地方創生に積極的に取り組んでもらうことが重要であるとの観点から行うものであり、必要な取り組みと考えています。

 来年度の地方財政計画においては、地方団体が安定的な財政運営を行えるよう、前年度を〇・一兆円上回る一般財源総額を確保し、地方交付税についても前年度とほぼ同程度の額を確保しているところでありまして、御懸念は当たらない、このように考えております。

田村(貴)委員 懸念は深まるばかりであります。

 政府がそういうことを持ち出してくるのは、やはり交付税そのものを減らしたいのではないだろうかというように全国知事会の会長もおっしゃっています。

 こういう、例えばお金も出し、努力もし、そして一生懸命人口減少対策をやったんだけれども、成果が出なかったら交付税を減らすというやり方は、これはやはり地方交付税の本旨にもとるやり方です。やってはいけませんよ。そのことを重ねて要求したいと思います。

 きょうの質疑で、東京一極集中について、その是正を、実効ある提案としては総理の方からは聞かれませんでした。

 大企業が潤って、そして地方がかれるアベノミクス、これをやはり改めて、そして地方再生の取り組みを抜本的に強めること、そのことを心からお願いして、質問を終わります。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、対総理の法案審議、質疑ということで、限られた十分という時間でございますが、五問、総理宛てに通告をさせていただいております。

 しっかりこの十分の間に、何としてもこの五問、全て質疑をさせていただきたいと思いますが、その前に、総理、きょう午後にも、民主党と維新の党が、維新の党が民主党に合流をするそうで、正式合意をするということがほぼ決まったということを承知しています。

 我々おおさか維新の会としては、松井代表はよく偽新とか言っていますけれども、紛らわしい名前がこの国会から消えるということは大変すばらしいことだと思いますが、ただ、よくわからないのは、民主党と維新の党と、そしてその後ろで、選挙になると共産党が応援をすると。よくわからないですね。

 ちょっと総理、この野党共闘、野党五党の共闘というのは一体何なのか。私は、単なる野合である、こう思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 少なくとも、世論調査において、維新の党とおおさか維新の党、どっちがどうだろうという、迷わなくて済むということにはなるんだろうと思いますが、これは他党のことでございますから、コメントは差し控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、政党というのは、名前とかそういうことではなくて、しっかりとした理念と政策を持っているか、そしてそれをしっかりと信頼に応えて実行していくかということが問われるのではないか、このように考えております。

足立委員 まさに政党政治でありますから、政党の枠組みは大変重要であります。

 その政党の憲法たるものがいわゆる綱領で……(発言する者あり)何かうるさいですね。ちょっと委員長。

遠山委員長 御静粛にお願いいたします。

足立委員 総理、やはり政党の柱は綱領です。

 今、どうも伺っていると、維新の党などが合流する民主党、新しい装い、私は、食中毒を起こしたレストランが看板をかけかえる、こう申し上げていますが、その看板をかえた後に、合流をきょうの午後決定した後に、彼らはこれから綱領を検討すると言っているんですね。

 普通は、旗を掲げてからそこに集うわけでありますが、先に合流を決めてから、では、どういう綱領をつくるか、そういう議論をしていると仄聞しますが、きょうの委員会と関係ありませんから、話をかえたいと思います。

 さて、総理、一昨日の衆議院予算委員会の中央公聴会、ここに郷原公述人という方がお越しになって、甘利前大臣について、あたかも甘利前大臣があっせん利得処罰法の有罪であるかのような決めつけを一方的にしました。

 衆議院規則、皆さん、読まれたことはありますね。衆議院規則には、総理、こう書いております。

 「その案件に対して、」その案件に対してというのは、衆議院規則の「公聴会」に関して書いてあって、「予め申し出た者の中に、その案件に対して、」その案件、すなわち、一昨日の中央公聴会は来年度予算について、来年度予算について、「賛成者及び反対者があるときは、一方にかたよらないように公述人を選ばなければならない。」と書いてあるんです。

 当たり前ですね。なぜならば、これは当たり前です、公述人が決めるんじゃないんです、国会議員が、国権の最高機関たる国会議員が、国会で決めるんです。そのための参考意見をバランスよく、国民の意見は多様でいらっしゃるので、その多様な意見をバランスよく聴取するために、公述人、参考人を呼ぶわけであります。

 ところが、一昨日の予算委員会中央公聴会、なぜか、来年度予算についての場所であるにもかかわらず、あの民主党が推薦した郷原公述人は一人、ほかの方は全員経済問題、消費税、予算について議論したにもかかわらず、郷原公述人だけ一人、民主党とまるで示し合わせたかのように、甘利問題を追及したわけであります。

 私は、この衆議院規則、賛成者と反対者があるときは、一方に偏らないように公述人を選ばなければならないという衆議院規則に違反をしている、こう思ったわけであります。

 また、郷原さんは、私は個人を批判しませんよ、ところが、郷原さんは、けさになって、「看過できない重大な「国会のコンプライアンス問題」」と題して、我々を批判する、私を批判する、私だけじゃないんですよ、国会はコンプライアンス上問題があるという、国会のコンプライアンス問題という記事をブログに公開しています。

 国会のコンプライアンス問題を引き起こしたのは彼、そして、彼を推薦した民主党です。

 いいですか、もう一度。

 賛成者、反対、要は、あっせん利得処罰法の解釈について、そんなもの、しかるべき場所で議論したらいいんです。それを……(発言する者あり)いや、ちゃんと五問用意しているんですから、心配しないでください。それを、来年度予算を審議する中央公聴会で、一方的な意見を公述し、まるでそれが公正公平な意見であるかのように装った。

 特に、郷原さんの問題は、自分はこう思うじゃないんです。私は、私というのは郷原さん、私は弁護士です、私は法律家です、私はコンプライアンスの専門家でありますと言って、あたかも彼の意見が公正公平な意見であるかのように振る舞っていますが、彼は政治的意見を述べているので、私は一昨日の中央公聴会で、あなたの意見は政治的に過ぎる、こういうふうに指摘をしたわけでありますが、ちょっと言葉が過ぎて、竹下予算委員長からお叱りをいただいて、行き過ぎた言葉については、場合によっては議事録から削除をさせていただきますが、しかし、総理、私がこの問題にコンシャスになる理由は、去年の安保国会なんです。

 思い起こしてください。去年の安保国会で、憲法審査会で、六月四日の……(発言する者あり)まだ時間があるんだから、ちょっと静かにしてくださいよ。ちょっと、あなた、邪魔ですよ、邪魔。委員長は何も言っていないでしょう、委員長は。

 総理、去年の安保国会で……(発言する者あり)物事には事の軽重というのがあるんです。国会のコンプライアンスが問題になっているときに、みんな、黙っていていいんですか。こういう機会に議論しようじゃありませんか。

 総理、それで、昨年の安保国会、六月の四日の憲法審査会で三人の参考人が安保法制は違憲だと言ったので、それを取り上げて、民主党を初めとする野党五党は、違憲だ、違憲だと言って、国会の外でプラカードを掲げて、国会の中でプラカードを掲げて、暴力を振るって、混乱させて、我々が対案を出したのに、しっかりと議論ができないことになってしまったわけであります。

 私は、去年の憲法審査会の問題は、安保法制が違憲だという問題じゃなくて、むしろ三人の選定が、三人の参考人の選定のバランスが悪かったということにすぎない。

 むしろ、安保法制を違憲だと言う人がいれば、合憲だと言う人も呼ばなければならなかったんだと思い、これは、きょう、同じ問題だと思うんです。総理、ぜひ御答弁をお願いします。

遠山委員長 安倍総理の御答弁の前に、一言足立委員に申し上げます。

 けさの理事会で申し上げましたとおり、なるべく委員会の議題に沿った御質問を中心にということでございますが、いずれにしても、足立委員の持ち時間が超過しておりますので、大臣、最後に簡潔な御答弁、よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 委員会の運営についてはしっかりと委員会で御議論をいただきたい、このように思います。

足立委員 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 私は、総理にしっかりと質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、総理、施政方針演説の中で、同一労働同一賃金に踏み込むというお話がございました。このときには、非正規雇用の皆さんの均衡待遇の確保というお話がされました。

 二月五日の予算委員会の場においては、仕事の内容や経験、責任、人材活用の仕組みなど諸要素が同じであれば同一の待遇を保障すると。非常に狭い意味ですけれども、均等待遇ということも読めなくはないんですけれども、非常に狭い意味であります。そういうことを明言されました。この際には、必要があれば法律をというようなお話もされました。

 さらに、二十三日の一億総活躍国民会議では、ちゅうちょなく法改正の準備を進めますと。少しずつ前向きに進まれているというふうに思います。

 一連の総理の答弁を聞きますと、この同一労働同一賃金の検討というのは、正規、非正規のように雇用形態が異なっていても均等待遇を保障する、それを法制化することによって、働く者の処遇全体を引き上げることを目的にしたものだというふうに理解してよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 多様で柔軟な働き方の選択を広げるためには、非正規雇用で働く方の待遇改善は待ったなしの重要課題であります。このため、同一労働同一賃金の実現に踏み込むことといたしました。

 我が国の雇用慣行には十分に留意をしつつ、同時に、ちゅうちょなく法改正の準備を進めていきます。あわせて、どのような賃金差が正当でないと認められるかについては、政府としても、早期にガイドラインを制定し、事例を示していく考えであります。

 このため、法律家などから成る専門的検討の場を立ち上げ、欧州での法律の運用実態の把握等を進めていく考えであります。

吉川(元)委員 後で時間があれば、均等待遇というのはどういうものなのかというのは少し議論をさせていただきたいと思います。

 まず、その上でお聞きしたいんですけれども、今、自治体の職場では、臨時、非常勤、いわゆる非正規雇用が非常にふえております。職員団体の調査では、二〇一二年、ちょっと古い調査ですけれども、その調査では、職員全体の三割が非正規という結果が出ております。それから、総務省の調査、これは二〇一二年、同じ年なんですが、数字がちょっと違うんですけれども、一八%が非正規雇用で、二〇〇五年の調査と比較をすると、七年間で十五万人、非正規がふえております。

 一億総活躍社会で、総理は、保育の受け皿を五十万人にまで拡大することを目指すというふうにされておりますが、それに応じて保育人材の確保、育成を図るとしております。

 ところが、公立の保育園の職場では、職員の半数以上が臨時、非常勤の方々、そういう職場も珍しくはなくなっております。仕事は正規と同じ、ところが月の賃金は約半分で、ボーナスもない、こういう極めて劣悪な労働条件となっております。

 また、ことしで五年目を迎えました東日本大震災。陸前高田市においては、職員百十一人の方が亡くなられ、犠牲になられました。正社員六十二人については、補償が一・五倍出る特殊公務災害に認定されております。ところが、非正規の方々四十四人、この方々については通常の公務災害にとどまっている。

 非常に私はこういうのは許せない気持ちになるんですけれども、こうした格差といいますか、差別と言っても私は過言ではないというふうに思いますけれども、待遇格差が歴然と存在をしております。

 総理が同一労働同一賃金で均等待遇を実現するということであれば、この正規、非正規の格差を解消されようとしているのであれば、地方自治体における非正規職員の処遇改善も待ったなしだと思いますが、この点、いかがお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 地方自治における行政ニーズにおいては、大変多様化し、そして高度化をしているというふうに認識をしております。また同時に、働く側においても、さまざまな働き方へのニーズがあるんだろうと思います。

 これらの職員の勤務条件等については、それぞれの地方自治体で適切に対応していただくべきものであると考えておりますが、政府としてはこれまでも、非正規職員を配置することとしている制度の趣旨や職務の内容に応じた処遇の確保を図っていただくよう、地方自治体に対し検討を要請してきたところであります。

 具体的には、報酬等については職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべきこと、そして、時間外勤務に対する報酬の支給や通勤費用の費用弁償について、適切な取り扱いがなされるべきであること等の助言を行っております。

 引き続き、周知徹底に努めていきたいと考えております。

吉川(元)委員 今総理がおっしゃられた中身でいいますと、二〇一四年の七月四日に総務省が臨時、非常勤職員の任用などに関する通知を出しておりますが、恐らくそのことをおっしゃられているんだろうと思います。

 通知では、一般職の適用を促し、また、今おっしゃられた時間外などの報酬や交通費などの費用弁償のあり方、これらについて通知するものでありまして、このこと自体は私は必要なことだろうというふうに思います。

 ただし、抜本的に非正規の公務員の処遇を改善しようとするのであれば、これについても何らかの法改正を伴った措置というのが必要になるのではないかというふうに思います。

 これまで二回、非正規公務員の処遇を改善するため、勤務形態が常勤職員に準ずる非正規公務員については条例で時間外手当や期末手当、通勤手当の支給を可能とする、できる規定ではありますけれども、そういう地方自治法の改正案、我が党を含めまして他の野党の皆さんとも一緒になりながら提出させていただきました。残念ながら、二回提出いたしましたが、二回とも廃案となっております。

 そういう観点から、総理は御存じかどうかわかりませんけれども、我々が出した地方自治法の改正、その内容も参照していただきながら、非正規公務員の処遇を改善する法律の策定を検討していくお考えはあるのかどうか、お答えください。

安倍内閣総理大臣 各地方自治体においては、先ほど申し上げました政府からの助言を受けて、臨時、非常勤職員の職務の内容等に応じた処遇の確保等について、それぞれの実情を踏まえつつ御検討をいただいているところであります。

 このような検討に当たっては、関係各方面とのさまざまな調整に一定の期間を要するものと考えられます。

 このため、立法措置というよりも、今後の取り組み状況を見きわめ、適切な時期に実態について調査を実施して、取り組みの進捗状況についてフォローアップを行いながら、臨時、非常勤職員の必要な処遇の確保に取り組んでまいりたいと思います。

吉川(元)委員 もう余り時間が残っておりません。

 先ほど、保育所の例を出しました。今、半分ぐらいが非正規になっている職場はたくさんございます。やっている仕事は本当に全く同じであります。にもかかわらず、月の賃金でいうと二倍違う、それからボーナスも出ない、ボーナスを出すと逆にいろいろなところで訴えられてしまう。こういう状態に今、公務員の職場で働く非正規の方々は置かれているわけです。

 同一労働同一賃金、これは先ほど非常に狭い意味合いで捉えているのではないかというお話をさせていただきましたけれども、少なくとも仕事の内容が全く同じであって、これだけの格差が果たして許されるものなのかどうなのか、その点も踏まえて法制化が必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、今の保育所の事例も含めて、もう一度答弁いただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 公務員といわば民間の職員というのを同列に論じることはできないのでございますが、これは繰り返しになるわけでありますが、臨時、非常勤職員の職務の内容等に応じた処遇の確保について、それぞれの事情を踏まえつつ、御検討を現在いただいているところで、各自治体において御協力をいただいているところでございます。

吉川(元)委員 今、民間の労働者と公務員とは同列に置けないと。確かに、法律上はそういう形になっておりますけれども、例えば保育においては、民間の保育所もあるわけです。そういうところも含めて同一労働同一賃金ということを言うのであれば、やはり公務の職場においても同じようにしていかなければいけないということを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

遠山委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。

 質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 終わりではありません、あと三十分ありますので。メディアの方もいらっしゃっても結構でありまして、終わりではありません。もう一回叫んで、内容に入りたいと思います。

 今から申し上げることは、実は総理にも聞いていただきたかった内容なのでありますが、また大臣からもお伝えいただければ。大臣、余り無理されなくて、もしあれだったら答弁は副大臣でも結構ですから。

 きょうは、先ほど同僚議員からもお話がございました、今引き揚げられました総理が一億総活躍社会実現というふうに叫んでおられて、二つの明確な目標をお立てになりました。一つは、国民希望出生率一・八を目指そうということ。それからもう一点が、介護離職ゼロという目標であります。

 きょうは、このうち国民希望出生率一・八の目標についていささか議論をしてみたいと思います。

 先ほどから同僚議員から、一億総活躍あるいはまち・ひと・しごと、さまざまな計画が進んでいるが、本当にきちんと実行できるのかというような論点もあったと思いますが、この国民希望出生率一・八は、遠い目標ではなくて、今全国で、それぞれの自治体が人口ビジョンをつくり、そして当面五年間の地方版の総合戦略をおつくりになっているわけであります。

 資料をお配りしました。既に今も、この希望出生率一・八、合計特殊出生率一・八を実現している地域もあるということでありまして、私のお配りしました資料で、今既に直近のデータで拾えるものから見ますと、合計特殊出生率が一・八以上の市町村が全国で百二十団体ある、こういうことであります。

 これをずらっと見ていただいて、これは予算委員会でも議論いたしましたけれども、決して大規模な自治体ではないわけでありまして、我が中国で見ますと、島根県益田市は人口が五万であります。美郷町が五千三百、邑南町が一万一千、広島の三次市が五万六千、庄原市が四万、神石高原町が一万ぐらいですね。いずれも中国山地の山の中の小さな自治体でありますが、既に希望出生率一・八は実現できているというふうに自分たちも思っているわけであります。

 全国的な傾向、九州が多いというのもなぜかという疑問もあるわけでありますが、まず、これを見られて、出生率の話はなかなか政治の舞台で議論するのが難しいわけでありますが、大臣、答弁は大丈夫ですか、大臣はどういう認識をお持ちなのか。

高市国務大臣 平成二十年から平成二十四年の市町村別の合計特殊出生率では、一・八〇以上が百二十団体もあるうち、二・〇〇以上が二十七団体ある。一方で、一・〇〇未満が十二団体あるということですけれども、一覧表を見せていただいて、出生率は、一般的に言えば、何か地方の方がすごく高くて、大都市の方が低い、こういう傾向が見られるんですけれども、より細かく見ていくと、割と地域によって出生率が大きく異なっているなと思います。だから、それぞれの地方公共団体が、相当地域の実情を踏まえながら、さまざまな工夫を凝らして、出生率の向上に向けた取り組みを進めていただいていると思います。

 ですから、総務省としましても、やはり関係省庁とも連携をしながら、若い方々が住みやすい町村づくりですとか、働く場所をちゃんとつくらなきゃいけない。子供を連れて移住しても、しっかりとした質の高い教育が受けられる、必要な医療や福祉サービスが受けられる、何よりもやはり働く場所があるということなんでしょうけれども、そして安全な地域、この環境づくりに取り組んでまいりたいと思います。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今、大臣、それぞれの自治体によって、地域によって、実情は異なるということは確かにそのとおりでありますし、私もそうだと思っております。

 総理が、国民希望出生率一・八を目指す、こうおっしゃっているわけでありまして、我が党も推進本部を立ち上げていろいろ全国を回ってみて、私も、既に一・八に行っているところはなぜできているのか、現場をずっと回ってまいりました。

 おもしろいことに、えっ、うちは一・八に行っているのというふうに議会の議員も執行部もびっくりするようなところがあったり、なぜだろうという、これはちょっと論外でありますが、実は懸命に取り組んできたんだ、こう訴えられる、今私がずっと取り組んでいる例えば子供医療費の助成制度なんかも一つの方途になるわけでありますが、そうやって取り組まれている自治体もあります。

 そこで、私は総務大臣にぜひ声を発してもらいたいのでありますが、総理が、国民希望出生率一・八を目指す、こう言われて、そして今自治体が取り組みを始めたという中にあって、既に一・八に行っているところは何らかの形で評価してあげた方がいいんじゃないか。国民希望出生率一・八達成自治体とか、色をつけて、そこは地方交付税で評価してあげるとか、あるいは、今、地方創生交付金、その配分に十分留意するとか配慮してあげるとか、そういうことがあっていいのではないか。そういう地域を回りますと、我が地域の鉄道はやがて廃止される、そんな話題しかその地域にないわけでありまして、明るくない。ぜひ、頑張っているところをしっかり評価したい。

 私の問題意識は、多分、人口ビジョンをつくり、地方創生の総合戦略をつくって、人口ビジョンに基づいて、当面五年間どうするか、この流れを変えるぞ、こういう取り組みは始まっているわけであります。ことしは実行の年。だけれども、既に行っている、俺は頑張ってきた、長く頑張ってきて既にそこのレベルにあるんだというところがちょっと評価されないんじゃないかな、こういう問題意識であります。

 今から頑張るところは、さっき申し上げた地方創生交付金、これをうまく活用する方途もあるわけでありまして、ちょっとこういうことも、総務大臣、どこかで声を発していただきたいな、こう思うのでありますが、何かお話があれば。

高市国務大臣 もう今、桝屋委員が十分声を発していただいたと思います。私や厚生労働大臣の表彰状でしたら、何枚でも差し上げられるかと思うんですけれども。

 人口減少等特別対策事業費の算定に当たりましては、少子化対策の観点から、御指摘の出生率を指標に用いるということも一つの考え方ではございます。

 なお、昨年、この算定を導入した際なんですが、出生率については、どうしても出産という個人や御夫婦の選択に委ねられる事項に左右される指標でありますことと、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略において、出生率の目標がなかったということも踏まえまして、子育て支援の充実などの財政需要については、自然増減率や年少者人口比率の指標を用いるということにいたしました。

 今後についてなんですが、まち・ひと・しごと創生総合戦略における位置づけ、地方版総合戦略の内容、地方団体の御意見などを踏まえながら、指標のあり方につきましては引き続き検討してまいりたいと思っております。

桝屋委員 簡単な話ではないというふうに私も思っておりますが、今大臣、表彰状とおっしゃったから、それは表彰状でも喜びますよ。ぜひお考えをいただきたいな、こう思っている次第であります。

 事務的な話を一点。

 前回、時間が足りませんで届かなかった話でありますが、地方債計画について確認をしたいと思います。

 平成二十八年度地方債計画、退職手当債の特例期間を十年間延長するというふうにされておりますが、これは各自治体から強い要請があった、これを受けてのことだと思っております。

 私の地元でも、特に教員が退職のピークを迎える、これから三十一年、三十二年ぐらいがピークだという声も聞いておりまして、引き続き退職者数の高い状況が続くというふうに聞いております。

 地方団体の今の退職手当の今後の見通しといいましょうか、これは事務方で結構ですから、お願いします。

安田政府参考人 お答えいたします。

 この十年間で団塊世代の大量退職期を経まして、地方全体といたしましては退職手当額のピークは越えたところではございますけれども、個別には退職手当の負担の大きい団体が依然として残っております。また、教育職員の退職のピークをこれから迎えるということによりまして、退職手当額は高どまりする状況にあるところでございます。

 特に、都道府県及び指定都市、指定都市は今後県費負担教職員の給与負担が移譲される予定でございますので、指定都市も含めてでございますが、これにつきまして試算いたしましたところ、全体として教育職員の退職手当額のピークが平成三十年度ごろに到来する見込みでございます。

桝屋委員 そういう状況の中で十年特例措置を延長する、それは結構でございますが、地方自治体は、そうした場合に発行可能額の見直しがなされるのではないかという懸念を持っている声も聞いております。

 確かに、地方団体にとって退職手当債に依存しない財政運営ということが非常に大事だろうとは思っておりますが、今のような状況、三十年ぐらいに退職のピークが来るというようなことも含めて、地方団体の財政運営に支障がないように配慮するということも必要ではないかと思います。もう一度局長の御答弁を伺いたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 今回、退職手当債の特例期間を延長するに当たりまして、退職手当債に過度に依存することのないよう、その発行抑制を図る観点から、発行可能額の算定方法を見直すこととしております。

 具体的には、退職手当債の発行可能額につきましては、実際の退職手当額から標準的な退職手当額を差し引いた額というふうにしているわけでございますけれども、退職手当債に頼らずに負担する額、この標準的な部分をふやしまして、発行抑制につなげようというものでございます。

 一方で、この見直しによりまして地方団体の財政運営に支障が生じないよう、所要の激変緩和措置を設けることにしているところでございます。

 こうした措置などを通じまして、地方団体の安定的な財政運営に配慮しつつ、退職手当債に過度に依存しない財政運営への転換を促していきたいと考えているところでございます。

桝屋委員 十分な配慮をよろしくお願いいたします。

 次のテーマに参りたいと思いますが、これはこの委員会でも、二十四日の委員会質疑で吉川委員がテーマに挙げられた点であります。二十八年度の地方財政対策における重点課題対応分の内容でございます。

 特に、二十八年度地財計画の中で、重点課題対応分として二千五百億が予定をされております。その中に、高齢者の生活支援等の地域の暮らしを支える仕組みづくりとして五百億という予定がされているわけでありますが、この中で、先日の二十四日の吉川議員との議論で、地域運営組織というものが新たに地方交付税の算定ベースの中に入ってきますね、この地域運営組織とは何ですかというような議論がたしかあったと思います。

 この点は私ども公明党も非常に重要に考えておりまして、地域における高齢者等を中心に、多様な活動の場、多様な働きの場、そうしたものをぜひ住民参加のもとにつくっていく必要があるし、現にたくさんありますから、この前の委員会では全国で千六百五十六団体という数字もお示しいただいたわけでありますが、こうした活動が非常に大事だというふうに思っているわけであります。

 そこで、私の地元の中国地方でも、この前も紹介がありました雲南市、小さな町が三つ集まって市になったんですが、小さいところばかりが集まって、ある意味肩を寄せ合って、この十年間、大変苦しんできた。そして、合併前のそれぞれの地域といいましょうか、十六の自主組織といいましょうか自治組織をつくって、この十年間、一生懸命さまざまな地域課題に取り組んできたという話も聞いておりまして、そうしたところでは小規模多機能自治組織という位置づけの組織が必要ではないか、こういう勉強会を全国的におやりになっているという話もあります。

 あるいはまた介護保険、これは民主党の山井さんからいつも厳しく言われている部分でありますが、御案内のとおり、介護保険制度も、軽度者については個別給付から市町村の支援事業に移行する、事業としてやっていこうと。そこは多様な担い手が支えるというポイントでありまして、そうした事業を考えるときに、やはりこうした地域の運営組織という形は、私は非常に大事だろうと。

 そこを改めて地方交付税算定ベースの中にこの地域運営組織というものを位置づけていただいたということは非常に大事だろうと思っておりますが、私が申し上げたぐらい大きな期待を持っているんですが、そういうニーズに応えようという代物なのかどうなのかということをお答えいただきたいと思っております。

高市国務大臣 今、委員が島根県雲南市のお話をいただきましたけれども、この市内三十地域に自治会、町内会、消防団、PTA、さまざまな関係主体で構成される地域自主組織を設立された。

 今のように、人口減少ですとか高齢化が進んでいる、地域課題が多様化している、そしてまた広域化もしているという中で、やはり自治会や町内会で対応できない問題というのはさまざまあるかと思います。だから、既存の自治会や町内会を補完しながら住民自治を充実するための新たな仕組みということで、主に小学校区や旧小学校区で形成が進められているものと承知しています。

 こうした地域運営組織の形成については、これから、やはり御高齢の方々の交流ですとか、また声がけですとか見守り、配食支援、それから買い物支援、こういったことでも、将来、そこに若いうちに移住してもこういうコミュニティーがあったら安心して年を重ねていけるな、そういうきっかけにもなりますし、実際にそれまで地域に尽くされた方々をそうやって地域で支えて恩返しをしていく、すばらしい意義があると思います。

 この二十八年度地方財政計画で、市町村が地域運営組織に対して運営交付金等の支援を行う経費につきまして、高齢者の生活支援等の地域の暮らしを支える仕組みづくりということで、五百億円の中で措置したんですけれども、普通交付税と特別交付税を組み合わせた措置を講じることにしておりまして、特交による措置は、地域運営組織の立ち上げ経費などを想定しています。具体的な内容につきましては、地方公共団体の御意見も踏まえながらしっかりと検討してまいりたいと思いますので、ぜひとも多くの委員の先生方の御理解と御支援をお願いいたします。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今、次にお尋ねしようと思ったお答えまでいただきました。

 これは、普通交付税の中に、基準財政需要額の中に位置づけられたというのはよくある話でありまして、地財計画の中に入ったよというだけで、交付税の中でよほど首長さんの思いがないとその部分というのは実際に膨らまないわけでありますが、場合によっては特交まで活用しようということで、立ち上げ経費等については特交も活用できる。

 詳細はこれから検討されるんでしょうが、であればなおさらのこと、大臣、これはお願いでありますが、さっき申し上げたまち・ひと・しごとの交付金、あっちも今まさに検討されておりますが、あの交付金でありますとか、あるいは、あの中でも、日本版のCCRCとか、国土交通省がやっている小さな拠点でありますとか、あるいは、さっき申し上げた介護保険の総合事業、地域支援事業、そうしたものとこれがうまく組み合わさるように、恐らくそういう知恵を出す自治体があるだろうと思いますので、ぜひ御支援をしていただきたい、そうしたきめ細かな配慮をお願いしたい。

 同時に我が党は、実は、こうした地域の運営組織、この形態を、新たな法人化を求める声もありまして、ぜひ党内で議論を進めたいと。NPOであったり、あるいは地方自治法に基づく合併の際の自治組織、そういう位置づけもありますが、例えば、地域で問題解決のためにさまざまな組織を立ち上げて頑張ろう、多様な方々が集まって頑張ろうとしても、既存の法人化がなかなかフィットしないという声もありまして、ぜひ、公明党は、そうした新たな法人化、多様な方々の多様な活動の場、多様な働きの場ということで、ここは新たな法人化の作業を進めたいというふうに思っておりますので、大臣、また総務省のお知恵をかりて、御協力もお願いしたい。邪魔しないように、よろしくお願いをしたいというふうに思う次第であります。

 では、もう一点だけいいですか。もう一つのテーマとして、できるだけ早く終わりたいんですが、今回、同じ重点課題対応分の中に森林吸収源対策の推進として五百億入っておりますが、この点について、新たに、まさに市町村の森林整備、吸収源対策として森林整備を取り組もうということで、これに充てる財源として検討されたものだろう、こう思っております。

 実は、昨年十二月の税制改正大綱の中で、ここは我が党も随分いろいろ与党の中で議論させていただきましたが、ここは地方団体からも、ぜひそうした財源を税制改正によって確保してもらいたい、しかも、それは、石油石炭税の上乗せ分があるじゃないか、これをぜひ市町村の森林整備の事業として使えるようにしてもらいたい、こういう声もあったんですが、これは林野庁と経産省と環境省でなかなか激しい議論があるわけでありまして、しばらく、新たな森林環境税を導入するという方向は決まりましたが、時期等について改めて判断をするという宿題になっているわけであります。

 宿題でありながら、なおかつ今回、重点課題対応分としてお取り組みになるというこの背景、それから、これから決めるでありましょう財源、税制改正による財源はどうあるべきか、税制はどうあるべきかという御見解があればお聞きして、質問を終わりたいと思います。

高市国務大臣 背景ですとか、財源の話が出ました。

 地球温暖化対策については、我が国は、二〇二〇年度の温室効果ガス排出量として、二〇〇五年度比で三・八%削減するということを国際約束しています。その達成のためには、やはり、国、地方を通じた適切な森林整備によって、森林の温室効果ガス吸収量を増加させる取り組みが必要です。

 また、二十八年度の与党税制改正大綱については先ほど桝屋委員がおっしゃってくださったとおりで、また新たな仕組みを検討して、時期についても適切に判断するということでございますので、今後、与党の税制調査会を中心に議論が進められると理解しています。

 ただ、今後、税制等の新たな仕組みの検討によって確保される財源を活用して、市町村が主体となった森林整備が円滑に実施されるまでの間、その環境整備に必要となる地域の主体的な取り組みに要する経費について、地方財政計画に新たに重点課題対応分として五百億円を計上したわけです。

 具体的には、もう御承知かと存じますけれども、森林整備に必要な基礎情報を記載した林地台帳の整備に要する経費ですとか、森林の所有者の確定、境界の明確化、施業の集約化に要する経費、そして担い手対策に要する経費などについて地財計画に計上して、地方交付税措置を講ずるということでございます。

 与党大綱に示されました、都市、地方を通じて国民にひとしく負担を求めるという観点ですとか、確実に市町村の森林整備などの財源とする仕組みのあり方といったことについて議論を進めて、その内容や時期についても幅広く検討していく必要があると思っております。

桝屋委員 五分前でありますが、終わりたいと思います。

 おつき合い、ありがとうございました。

遠山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十六分散会


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