衆議院

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第9号 平成28年3月17日(木曜日)

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平成二十八年三月十七日(木曜日)

    午後一時三十一分開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    井林 辰憲君

      池田 道孝君    大串 正樹君

      大西 英男君    岡下 昌平君

      金子万寿夫君    川崎 二郎君

      小林 史明君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      瀬戸 隆一君    中村 裕之君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      水戸 将史君    渡辺  周君

      輿水 恵一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        松下 新平君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   国土交通大臣政務官    津島  淳君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  堂元  光君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   井上 樹彦君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           浜田 泰人君

   参考人

   (日本放送協会理事)   今井  純君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役)            長門 正貢君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  金子めぐみ君     青山 周平君

  中山 泰秀君     岡下 昌平君

  長坂 康正君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     金子めぐみ君

  大串 正樹君     瀬戸 隆一君

  岡下 昌平君     中山 泰秀君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     長坂 康正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役長門正貢君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長今林顯一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 自由民主党の菅家一郎でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 平成二十三年三月十一日の東日本大震災から、ことしで五年目を迎えます。

 あの震災のときは、私は会津若松市長をしておりました。振り返ってみますと、津波で多くの方が犠牲になり、福島県は、原発事故で多くの方々が家を追われ、避難生活を余儀なくされたわけであります。

 当時、福島原発の地元である大熊町長の要請を受けまして、避難先として、会津若松市で大熊町の受け入れをさせていただきました。

 市長室へ大熊町の渡辺町長さんとか教育長さんがお見えになって最初に要請されたのは、当時ばらばらに避難されている子供たちを、ちょうど三月ですから、進学とか進級の時期なものですから、ぜひ会津若松市で学校施設があいていたら貸してほしいというのが実は最初の願いだったんですね。いわゆる大熊町の子供を守るということは大熊町の未来を守ることになりますので、私は大変感動したことが思い出されます。

 会津も、戊辰戦争で斗南に移住して日新館をつくったり、福岡県の育徳館で、郡長正等を人材育成で留学させるんですね。それがよみがえったものですから、しっかりと対応していこうということで、合併したときの空き小学校があったものですから、それをお貸ししたのがいまだに思い出されます。

 ですから、会津での学校ができましたので、子供たちがやはり集まってくる、保護者の方とか、あるいは大熊の方々も会津に集まってきまして、当時六千名ほどになったんですね。当然、大熊の役場ができ上がった。つまり、子供を守ることによって、実は大熊町が守られることになる。

 私は、そのときのあの町長の判断とか教育長さんの判断、初めは、大熊は町を、町民を受け入れしてほしいというふうに言われたと思ったんですけれども、そうではなかったんです。子供を守る、それが結局守られることになった。私は、そういった判断は大変評価していますし、震災のときのそういったリーダーの判断をこの場でちょっとお伝えしたいと思っていたわけであります。

 こういった状況の中で、平成二十三年の六月なんですけれども、京都会津会の総会と旧会津藩士の法要が、京都の金戒光明寺の旧会津藩士の墓地があります西雲院で行われるときに、その日の朝に掲載された新聞で、平成二十五年のNHK大河ドラマは会津を舞台にした「八重の桜」であると初めて知ったわけであります。京都会津会主催で、そして旧会津藩士の法要の日、そして同志社大学のある京都でですから、何か神がかりだというふうに感じて、鳥肌が立ったのがいまだによみがえってくるわけであります。

 当時、担当された内藤プロデューサーにお会いしたときにお聞きしたら、東日本大震災で多くの国民が犠牲になり、被災され、避難生活を余儀なくされている方々に勇気と希望を与えたいと考え、会津のドラマ「八重の桜」にした、このように伺ったわけであります。このNHKの大河ドラマにより、どれほどの方々が勇気づけられたかわかりません。高く評価いたしますとともに、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」も、被災された地域の復興にも貢献されたと思います。この場をおかりして、心から御礼を申し上げたいと存じます。

 風評被害で会津もダメージを受けたわけでありますけれども、この大河ドラマにより、ロケツーリズムとして、観光誘客や経済波及効果などにつながりました。地域に大変貢献をしていただいたわけであります。

 私は、NHK大河ドラマや朝の連続テレビ小説等の優秀なコンテンツを世界じゅうの方々にも見ていただきたい、このように思うわけであります。まさにインバウンドにもつながるものと考えます。

 そこで、海外に向けて、これまで以上により積極的に発信すべき、このように思いますが、NHKのお考えをお示しいただきたいと思います。

籾井参考人 ただいま、NHKの朝ドラあるいは大河ドラマについて大変評価していただきまして、大変ありがとうございます。

 我々としましても、NHKのすぐれたコンテンツを海外に発信しまして、日本に対する理解を促進していくことや、地域の活性化につなげていくことは、極めて重要であるというふうに考えております。

 大河ドラマなど、既に海外には一万本を超える数を出しております。また、フィリピンでは、先ほど申された「あまちゃん」、これをタガログ語に吹きかえて現在放送しております。そのほか、ミャンマーやベトナムでも、現地の放送局に呼びかけて、NHK番組の定時枠まで設けていただいてやっております。

 引き続き、我々としましても、NHKのいろいろなコンテンツを海外に発信し、日本のいろいろな地域のことをお伝えし、ひいては、これが観光客の増加等につながれば大変よろしいかというふうに期待しているわけでございます。

菅家委員 優秀なコンテンツを眠らせておくのは大変もったいない、このように思います。もっと生かすべきかなと考えます。ロケツーリズムとして、観光振興など地方創生にもつながると期待できます。

 そこで、過去の大河ドラマなどの再放送に積極的に取り組むべきと思いますが、NHKのお考えをお示しいただきたいと存じます。

板野参考人 お答えいたします。

 大河ドラマも大変長い歴史がございまして、見ていただけて、さまざまな、優秀な番組と評価されているものもございます。そうしたものの再放送につきましては、積極的に取り組んでまいりたいというふうに思います。

菅家委員 どうしても大河ドラマ等の放送が終了いたしますと観光誘客などが減少しているわけでありますが、やはりもったいないですね、おのおの大河ドラマを誘致すると拠点をつくったりいろいろな投資をしてくるわけですから。

 やはり一過性のものとせず、ロケツーリズムがその地域での持続的な観光資源となるよう支援すべき、このように考えますが、国の考え方を示していただきたいと思います。

津島大臣政務官 菅家一郎委員にお答え申し上げます。

 平成二十五年、委員の御地元、会津若松を私は訪ねさせていただきまして、ちょうどその折「八重の桜」を放送中、多くの観光客が来ている姿を目の当たりにしたのを今でも覚えております。ですから、一過性のものにしてはならないという問題意識を共有するところでございます。

 その上で、このロケツーリズムというものは、観光客の増加や消費の拡大などの効果が大きい、有力な観光振興の方策の一つと認識しております。

 一方で、地域において観光資源として活用するノウハウであるとか、いかに持続させるかという方法というものが課題となっていると認識しております。

 ですから、さまざまな主体、自治体、民間、大学、企業の関係者に参加を呼びかけ、まず、平成二十五年度にロケツーリズム連絡会を設け、先進事例やマニュアルの作成、セミナーの開催による情報交換、発信等を行っております。

 また、二十五年度、二十六年度において、地域の特徴ある資源を活用した取り組みに対し、魅力ある観光地づくりの観点から支援を行っており、その中でロケツーリズムというものを位置づけております。

 また、二十八年度予算案については、ロケ地その他酒蔵等の特定の観光資源に魅せられての日本各地への訪問を促す、テーマ別観光による地方誘客事業を新たに盛り込んでおります。

 こういった事業を通じて、今後も積極的に支援してまいります。

 以上です。

菅家委員 次に、震災から五年たっても被災地福島県は風評被害に苦しんでおります。まだまだ課題は山積であります。

 農林水産物等は、世界一の安全基準、これをクリアしたものだけが出荷されております。環境放射線量も、世界じゅうと比較して全く問題ない地域がほとんどですが、風評被害が深刻であります。

 ことしの二月十九日から二十一日に、今なお水産物等の輸入規制、そして渡航制限を課している韓国のソウルで、風評被害の影響を受けている青森県、福島県及び鹿児島県と連携して風評被害対策海外発信支援事業の開催を予定したわけでありますが、残念ながら、韓国の放射能監視センターなどの団体の反対により、韓国当局から開催の許可がおりず、前日、直前中止になったわけであります。

 震災から五年たってもこれが現実であり、風評被害は深刻だと思っております。早急に風評被害払拭に取り組まなければならないと考えております。

 どうか、科学的なデータも含め、被災地の農作物の安全、安心に関する情報や、被災地での復興に向けた前向きな取り組みを紹介する番組を、国内だけでなく、海外でもこれまで以上に積極的に発信していただきたいと思いますが、NHKのお考えをお示しいただきたいと存じます。

板野参考人 お答えいたします。

 英語によるテレビ国際放送、NHKワールドTVでは、被災地の復興の姿を追ったドキュメンタリー番組「TOMORROW」をこの五年間継続して放送するなど、被災地の実情を正しく伝えますとともに、活力を取り戻す姿を伝えてまいりました。

 大震災から五年となった今月、特別編を集中的に放送して、福島、岩手、宮城、それぞれの県ごとに復興の取り組みを伝えております。例えば福島の回では、農産物の安全性でありますとか、避難した人々の将来について考えるほか、ユニークな方法で福島県産の農産物をアピールしている若い農家の人たちの姿を紹介する予定でございます。

 また、「Heart to Heart」と題しましたキャンペーンを展開して、世界じゅうから寄せられた支援や励ましがどのように被災地の復興に生かされているかなどを伝えております。

菅家委員 なお一層ひとつお力を入れていただきたいと存じます。

 次に、NHK予算に関する総務大臣意見では、NHKの機能の地方移転について具体的な検討を求めております。

 福島県は、原発の廃炉、課題が山積しております。渋谷の放送センターの建てかえにあわせて、NHK福島放送局に、被災地の現場の声をより積極的に取り上げるため、番組制作機能のこれまで以上の充実強化を求めたい、このように思いますけれども、NHKのお考えをお示しいただきたいと存じます。

板野参考人 お答えいたします。

 東日本大震災から五年が経過いたしましたが、今後とも、被災地の復興への動きや課題、人々の思いなどを伝える番組やニュースを制作、放送していくことがNHKの重要な使命だと考えております。

 このため、福島放送局につきましても、東日本大震災以降、ニュースや番組の制作に当たる要員を増員して対応しているほか、本部や仙台局を中心に全国の各放送局から応援要員を派遣しているところでございます。

 また、衛星伝送中継車を追加派遣するなど、機材や設備も強化して、取材、制作に当たっているところでございます。

菅家委員 時間になりましたけれども、さまざまなNHKの不祥事、これは極めて残念でなりません。一日も早く信頼を取り戻さなくてはならないと思います。国民の信頼回復とともに、NHK職員の信頼も回復しなくてはなりません。

 会長として、まずは職員との信頼回復のためにコミュニケーションを図り、会長の思いをしっかり伝える必要を感じます。会長のお考えと御決意をお聞かせいただきたいと存じます。

遠山委員長 簡潔にお願いいたします。

籾井参考人 不祥事が多々起こっておりますことについては、心からおわびを申し上げたいと思います。

 同時に、視聴者の信頼を取り戻すためには、我々職員、役員一丸となって取り組む必要があると思います。

 私は、これまで以上に、先頭に立ちまして、コミュニケーションをしっかり図りながら、役職員の意識改革とか、グループ全体の抜本的な経営改革、意識改革、こういう課題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

菅家委員 時間になりましたので、これで終わります。本当にありがとうございました。

遠山委員長 次に、橋本岳君。

橋本(岳)委員 自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日、放送法第七十条第二項の規定に基づいて、この委員会でNHK予算が審議をされているわけでございますが、今、菅家委員からも質問がありましたように、残念ながら不祥事が、大小いろいろありますけれども、ありまして、この委員会でもこれまでもずっとそうした議論をされてきたこと、大変残念なことでございました。

 また、NHK予算についての自民党内での手続においても、総務会で最終的には意思決定をするわけですが、三回もかけることになって、橘部会長が大変御苦労されるというようなことにもなったというのは大変残念なことでございます。

 今、菅家委員からも御質問ありましたけれども、やはり、我々自民党においてもそうした声があるんだということは、しっかり会長に、会長のみならず皆さんに受けとめていただきたいと思っておりますが、御所感を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

籾井参考人 ただいま御指摘がありましたように、いろいろな、アイテックの不正行為、それから職員の危険ドラッグ、タクシーチケットの不正使用など、NHKに対する視聴者・国民の信頼を傷つける不祥事が相次いでいること、極めて深刻に受けとめております。改めて深くおわび申し上げたいと思います。

 視聴者の皆様からの信頼を取り戻すために、不退転の決意で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 よろしくお願い申し上げます。

橋本(岳)委員 会長からは、不退転という言葉をいただきました。それはそれで了としたいと思います。

 ただ、やはり相次ぎ続けているという思いというのはこれあります。例えば一般の企業であれば、そうした不祥事だとか横領だとかがある、それは自分たちの会社の業績に響く、関係をする、そして、もしかしたら会社がなくなってしまうかもしれない、そうしたことにもつながるわけで、そうしたものが規律を保つことになっている。一方、NHKは、放送法で受信料として予算が入ってくるということが決まっているような形になっているので、そのことが規律の緩みということにつながっているのであれば、大変残念なことだというふうに思っております。

 何のために放送法第七十条第二項というものがあるのか、そして何のためにNHK予算に国会承認が必要なのかということは、私たちもきちんと肝に銘じておかなければならないと思いますし、そして、NHKの、会長の不退転の決意ということはよしとしますけれども、全ての方がそのことをやはり御認識いただくということも必要だと思いますし、ぜひそのことは求めたいというふうに思います。

 続きまして、ことしの夏には参議院選挙が行われます。NHKの出演者の方と政治あるいは選挙とのかかわりということについて御質問したいと思います。

 このテーマは、実は二年前、平成二十六年二月の衆議院総務委員会におきまして私から質問させていただいて、そのときの石田専務から、勉強させていただきたいというような御答弁をいただいております。

 そのときには、出演者の方もどこまで政治にかかわっていいのか、どこまで選挙運動を手伝っていいのか、あるいはどこからは控えなきゃいけないのか、そうしたことを、事前にルールをきちんと決めておいてほしいというお願いを申し上げました。

 二年たっておりますが、その後、どのようになっているか、お伺いします。

板野参考人 お答えいたします。

 番組出演者が選挙応援を行う場合の対応をめぐりましては、NHKは、放送法に定められた放送の不偏不党を守る観点から、視聴者から政治的公平性に疑念を持たれないように配慮するという基本方針で臨んでおります。

 一方で、NHKの出演者であっても、憲法で保障された政治活動の自由を妨げることはできません。

 こうした状況を踏まえまして、NHKとしては、立候補予定者や政見放送に出演している方の番組への出演は見合わせていただいております。

 他方、歌手や俳優の方が歌謡番組やドラマなどに出演していただくことは、基本的に差し支えないと考えております。

 こうした考えに基づきまして、出演者の選挙へのかかわり方や放送での役割など、視聴者がどのように受けとめるかという観点から総合的に判断をしております。

 また、事前の対応としまして、番組出演者に対して、政治活動の自由を妨げることはできないとした上で、政治的公平性を堅持するNHKの立場を説明し、理解を求めるようにしております。

 さらに、出演者から相談がありました場合は、個別に応じることにしております。

橋本(岳)委員 事前に相談に応じていただくことはいいことだと思うんです。それは、予見可能性を高めるという意味で、どこまでやっていいか悪いかわかる。

 ただ、個別の対応だと、全て客観的にきちんと公平に対応されているかどうかということは誰も保障されません。だから、先に相談をしたらそれに答える何らかの基準みたいなものを頭に思ってお答えになるんでしょうから、それがあるのであれば、事前に明文化をしていただければ、もっとやりやすくなるのではないかという趣旨で質問をしております。

 例えば、国家公務員も同じように政治的公平性を疑われてはいけないわけですが、それは国家公務員法に規定があり、それに基づいて人事院規則一四―七、政治的行為というものがあって、そこで、これをやってはいけないということが列挙してあるわけですね。だから、逆に言うと、そこに書いていないことはやっていい、書いてあることはやってはいけない、それがクリアになっております。

 選挙あるいは政治へのかかわりというのは、憲法で保障されている表現の自由とかそういうことにかかわることですから、どの人でもできるような社会になってほしいし、よりかかわりやすくなってほしいと思っています。

 そういう意味で、ぜひしっかりと、やはりルール化を御検討いただきたいということを要望申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、次の質問に参ります。

 この委員会で議論を聞いておりますと、やはり放送法第四条関係の話というのが結構議論に出てくるわけでございまして、この委員会に限らずいろいろなところで、大臣もあちこちで御答弁をされておられるし、いろいろ報道も出ているわけでございます。

 例えば、高市大臣が電波停止発言をしたみたいな形で表現をされたりすることもあって、ちょっとそれは要約し過ぎで、不本意なのではないのかなという思いもするのですが、そうした、今この議論において、大臣としてお感じになっていること、あるいは、もし言い足りなくて、もっと伝えたいと思っているようなことがあれば、ぜひ御所感を伺いたいと思うんです。

高市国務大臣 高市大臣の電波停止発言と、繰り返し、一部新聞等で報道されましたが、まず、私が電波をとめると言ったことは一度もございません。また、政権批判をする番組に対して大臣としてコメントをしたこともございません。

 きっかけとなった私の発言ですが、二月八日に衆議院の予算委員会で、民主党の奥野議員から、「放送法の百七十四条の業務停止や電波法七十六条についてはこうした四条の違反については使わないということで、今、もう一度明確に御発言いただきたいんですが。」という御質問をいただきましたので、「どんなに放送事業者が極端なことをしても、」「公共の電波を使って、全く改善されない、繰り返されるという場合に、全くそれに対して何の対応もしないということをここでお約束するわけにはまいりません。」と答えたものでございます。既に現行法に規定されている条文を、何が起きても未来永劫適用されない無効なものだとする答弁を、法治国家の法所管大臣がするということはできなかったわけでございます。

 つまり、第四条、番組準則、公安及び善良な風俗を害しないこと、政治的に公平であること、報道は真実を曲げないですること、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにするという、これが番組準則、今話題になっている放送法第四条でございますが、この違反についての放送法第百七十四条、つまり放送の業務停止命令や、電波法第七十六条、つまり無線局の運用停止命令の運用については、これも何度も答弁申し上げているとおり、法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであることに加え、その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり、かつ同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは法律を遵守した放送が確保されないと認められるといった極めて限定的な状況のみに行うとすることなど、極めて慎重な配慮のもと運用すべきであると従来から取り扱っております。

 放送法は、御承知のとおり民主党政権時の平成二十二年に抜本的な改正が行われておりまして、第四条の番組準則が法規範性を有すること、番組準則に違反した場合には総務大臣は放送法第百七十四条に基づく業務停止命令や電波法第七十六条に基づく運用停止命令ができること、そして、先ほど申し上げましたとおり、極めて慎重な配慮のもと運用すべきであることについては、放送法改正の審議の際に、平成二十二年ですが、参議院総務委員会において、当時の平岡総務副大臣も答弁しておられますので、私としては、行政継続の観点から、同様に答弁をさせていただいております。

 なお、この百七十四条の放送の業務停止命令については、この平成二十二年の改正時に新設されたものでございまして、改正法案の採決に当たっては日本共産党以外の各党各会派が賛成されておりますので、憲法違反にも当たらない法律であると考えております。

橋本(岳)委員 ありがとうございます。

 ですから、私も、大臣今お話しになりました、前の政権のときにできたものでありますということであります。

 議論によっては、属人的な議論をされる方がおられるんですね、高市大臣のあの発言は許せないみたいな。だけれども、実は、私は、今の議論というのは、総務大臣として、放送法なり電波法なりを所管する総務省の長として、その運営というか、こういうふうに適用していきますということを解説していただいているのであって、仮に大臣が別の方にかわられても同じ答弁になるような議論をされているんだと思っているので、まず、属人的な議論になるというのはすごく変なことだなと思っているというのが私の思いであるというのが一つ。

 それと、放送法第四条と憲法の関係、あるいは放送法百七十四条とか電波法七十六条を適用するのはどうのこうのという議論について、私は政府の見解を支持するものではありますが、仮に、憲法二十一条で表現の自由が保障されているということとの兼ね合いというのを考えるのであれば、実は同じ日本国憲法に第十二条というのがございまして、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、」ちょっと中略しますが、「これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」ということがある。

 そことの兼ね合いということを私は常に考えなければならないと思いますし、もし、その上でなお第四条というのは表現の自由との絡みでという議論をするのであれば、第四条そのものが憲法違反なのだという議論をされる方が私はまだ筋が通っている、賛成はしませんけれども、と私は思います。

 そこのところを、第四条は第四条のままで置いておいたまま、その百七十四条だとか電波法七十六条だとかの話をされるというのは、実は、本筋が違うというか、本筋のその原因というところをきちんと話をしないで、枝葉のところで揚げ足をとっているような議論のように私は聞こえるなということを、これは私の見解でございますから、総務省さんの意見と合っているかどうか、そこはわかりませんけれども、申し上げたいと思います。

 いずれにいたしましても、高市大臣には、引き続き、行政の長として、法に基づき、またいろいろな方の御意見にもしっかり耳をかすという姿勢を保ちながら、これからも職務に当たっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂本(哲)委員長代理 次に、鈴木憲和君。

鈴木(憲)委員 自民党、山形二区選出の鈴木憲和です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 冒頭に、まずNHKの皆さんにお願いをしたいのは、NHKの公共放送としてのブランドイメージ、これはやはり信頼というものだというふうに思います。これをぜひ大切にする経営をお願いいたしたいのと同時に、やはり現場で頑張る職員の皆さんの士気が上がるようなことをしっかりと経営陣の皆さんには気配りをお願いいたしたいということを申し上げた上で、きょうは、私は今三十四歳でありますので、三十代、そして二十代、それよりももっと若い十代の皆さんの気持ちに立って、ひとつ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 平成二十六年の放送法の改正で、公共放送においてもインターネットをしっかりと活用していく、そしてこれは、国民・視聴者の多様化するニーズに応えていく、そのためにインターネットをいかに活用していくかということが私はすごく大切な課題の一つになっているというふうに思います。

 例えば、ネットを活用した場合、単に通常の放送を同時配信するだけでなくて、ネット専用のコンテンツをつくったりとか、先ほど菅家委員の方からもありましたけれども、大河ドラマの出演者の皆さんがロケ地でどこに行ったのか、こういった情報もネットの中で配信をしていただくとか、いろいろな工夫ができるというふうに思います。

 また、ニュース番組の中でも、有識者の皆さんのコメントというのが取り上げられますが、編集の関係でカットされてしまう部分があります。本当はもっと聞きたかったのにというような話もあるはずです。

 こういったことで、やはりネット独自の取り組み、そして工夫をできるのではないかということと同時に、諸外国の公共放送と比べた場合に、見逃し配信、これがほとんどの国では原則として無料になっています。一方で、NHKオンデマンドの場合は、原則として、一部のものを除いて有料になっています。

 受信料をしっかりと払っている立場からいえば、これはやはり無料であってもいいんじゃないかというような気持ちの方も私は多いような気がしています。

 そういう観点で、そもそも受信料の徴収のあり方と、そして、インターネットをいかに活用してこれから放送をやっていくのかということについて、しっかりと、いろいろな世代に納得のいく形で説明ができる、そういう道筋をこれからつけていくことが私はNHKにとって大変大切な要素だというふうに思いますが、この点について、ぜひ前向きに答弁をいただきたいというふうに思います。

井上参考人 お答え申し上げます。

 最初の、インターネットならではのコンテンツの制作という面なんですけれども、放送法では、NHKがインターネットで提供できますコンテンツについては、NHKの放送番組と、その理解の増進に資する情報というふうなことに限られております。ただ、こうした制約の中でも、御指摘のような、インターネットにふさわしい、インターネットならではのコンテンツの提供や開発に取り組んでいるところであります。

 一例を幾つか申し上げますと、例えば、国民的に非常に関心の高いニュースですね。去年の十月にノーベル賞、物理学賞の受賞というのがありまして、このときの梶田隆章さんの記者会見をインターネット独自で生中継でやっております。それから、防災上の対応なんですけれども、これはことしの二月になりますけれども、桜島でかなりの噴火がありまして、このときも、放送とは別に、現場の映像、音声等をリアルタイムで提供しております。

 また、コンテンツについても、総合テレビの「データなび 世界の明日を読む」という番組があるんですけれども、このホームページ上で、最近のデータジャーナリズムの手法を活用した映像表現、それから三百六十度カメラによる映像取材など、新しい技術を活用した、番組と連動したコンテンツも載せております。

 今後とも、現行の放送法のもとで、インターネットにふさわしいコンテンツの制作に取り組んでまいりたいと思っております。

 それから、もう一つの、受信料制度との関係でございますけれども、インターネットを活用したこうした放送、サービスのあり方と受信料制度との関係については、今後のNHKとしても非常に重要な課題だというふうに認識しております。

 今の三カ年経営計画に基づきまして、放送と通信の連携など、メディア環境や放送、サービス展開を踏まえて、受信料制度のあり方を現在研究を進めているところであります。

 今後のインターネットを活用した放送やサービスの展開のあり方とあわせて、受信料制度のあり方についても、有識者の専門的な知見なども踏まえまして、視聴者・国民の皆様に十分納得していただけるよう丁寧に研究してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(憲)委員 どうもありがとうございました。

 本当に、若い方はテレビで放送を見るという時代では今はもうありませんので、ぜひそういったこともよく踏まえて、受信料の取り方とあわせて御検討をお願いいたしたいというふうに思います。

 そして、もう時間がありませんので、もう一点、地元の案件で大変恐縮なのでありますが、私の地元、先ほど大河ドラマの話がありましたが、「天地人」の放送をした山形県の米沢市というところです。

 米沢市に、今、NHKのラジオ中継放送所というのが、実はお城のある観光地のど真ん中にあります。その中継所というのは、一九五二年に、当時、多分私有地だった場所を市と無償契約して建てられたもので、今は無人の施設になっていますが、観光地のど真ん中に電波塔がどおんとあるわけです。

 これについては、一九五二年当時は多分そういう議論はなかったんだと思いますが、特に大河ドラマなんかをやっていただいて観光客の皆さんがふえたときに、お城の周りを歩くわけです。そのときに、何でその場所に、多分はたから見たら、この施設は何だろうといって、ぱっと見てよくわからない、そういう施設がある。これはまちづくりの観点から極めてよくない状況にあるなというふうに思っていて、今、地元でもこれを移転させたいという話を進めています。

 ぜひ、これは早期に移転ができますように、米沢市とよく協議をして、移転をするにはやはり予算もかかるというふうに思います。ぜひ、予算の面も含めて前向きに対応をお願いしたいと思いますが、この点について御見解をお願いいたします。

浜田(泰)参考人 お答えいたします。

 米沢ラジオ中継局でございますけれども、米沢市の多大な御協力によりまして、現在の場所に建設して運用してきておりますけれども、平成二十四年度に米沢市から中継局移転の検討を要望されております。

 この要望を受けまして、移転候補地などの検討を進めてまいりましたけれども、平成二十六年十一月に米沢市から具体的な移転候補地の御提案をいただきました。

 この候補地につきまして、サービスエリアの確保ですとか、あるいは国際的な周波数の調整といった技術的な検討を進めてまいりました結果、移転は可能であると判断いたしましたので、移転の具体化に向けまして、今後、米沢市と協議を進めていくこととしております。

 よろしくお願いいたします。

鈴木(憲)委員 前向きな御答弁、どうもありがとうございました。

 これは米沢に限らず、多分、全国を見渡すとそういう場所が多々あるというふうに思いますので、ぜひ時代の流れに合った対応をNHKの皆さんにはお願い申し上げて、私からの質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

遠山委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 早速、内容に入りたいと思います。

 まず、会長にお伺いしたいと思います。

 平成二十八年度のNHK予算案につきましては、この三カ年の経営計画、重点事項とされております報道やコンテンツの充実、あるいは国際放送の強化、スーパーハイビジョン、4K、8Kの推進、インターネット活用事業の充実等に配分をするとされております。前年度比で百六十七億円の増加となる事業支出を見込んでおられます。合計の事業支出六千九百三十六億円ということであります。

 会長、今回の予算案は胸を張って視聴者に対してお願いすることができるものかどうか、お示しをすることができるかどうか。あわせて、六千七百五十八億円を頂戴したいと、受信料としてお願いをすることができるものであるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 来年度は、三カ年経営計画の二年目としまして、挑戦と改革をさらに進めていくための意欲的な予算、事業計画を策定することができたと考えております。

 受信料の公平負担の徹底に取り組み、支払い率七八%、衛星契約割合五〇%の達成を目指し、受信料の増収等で、今年度に対して百八十五億円の増収を目指します。

 増収分につきましては、ビッグデータを生かした防災・減災報道の強化や、スケール感あふれる大型自然番組などコンテンツの充実、さらに、国際放送の独自番組の充実、インターネットの活用や、スーパーハイビジョンの試験放送への対応などに充ててまいりたいというふうに考えております。

 公共放送ならではの放送、サービスを強化しまして、視聴者の皆様の期待にしっかり応えてまいりたいと思います。

 これらの重点事項に財源を配分するために、給与の見直しを初め業務全般にわたる経費削減を行って、めり張りのある予算が策定できたというふうに考えております。

 視聴者の皆様に、受信料の支払いを心からお願い申し上げたいと思っております。

桝屋委員 公共放送として、国民の皆さんの負担、受信料をいただき、これからしっかり次の時代を見据えて取り組みたい、こういうことであります。

 続きまして、NHKあるいはNHKグループの不祥事の実態について確認をしておきたいと思います。

 昨年の総務委員会、私も委員長でありましたからよく覚えておりますが、NHKの不祥事などで随分議論され、国会における予算承認のための処理は大変苦労したことを覚えております。

 本年もさらに新しい案件が世に出てきておりまして、この総務委員会での厳しい指摘も行われているところであります。

 先ほど同僚議員からも、与党の事前審査の話もありました。我が公明党におきましても、事前審査におきまして、党の中央幹事会において実に厳しい声が出されたのも事実であります。

 改めて、NHKの執行部にお伺いしたいと思います。

 受信料を負担し、NHKの運営を支えている視聴者の立場から見て、その信頼を失わせしめるような事案、事件は、今の体制になって一体どれぐらいあると認識しておられるのか。コンプラ統括担当理事からお答えをいただきたいと思います。

今井参考人 お尋ねでございます、籾井会長が就任して以降に発生した不祥事でございますが、NHK職員の事案としましては、横浜放送局の職員が職場内で起こした窃盗事案、東京の記者がうその盗難被害の通報をした事案、放送文化研究所の職員が酒気帯び運転で逮捕されました事案、旭川放送局の職員が旭川市内で現金を盗んだとして逮捕されました事案、それから、平成二十六年五月に放送された「クローズアップ現代」で過剰な演出があったとして担当者や上司が処分を受け、会長と役員三人の計四人が役員報酬の一部を自主返納しました事案、ことしになりまして、東京のアナウンサーが自宅に危険ドラッグを所持していたとして逮捕されました事案、さいたま放送局の記者三人が私的な目的で業務用タクシー券を利用していたとして処分された事案がございますほか、会長が私的に使用したハイヤーの代金が業務用ハイヤーと区別されずに経理処理された問題につきましては、当委員会でもたびたび御指摘を受けまして、会長、副会長、職員三人が厳重注意等を受けているところでございます。

 また、籾井会長就任以降に発生いたしました関連団体での事案としましては、NHKアイテックの社員が出張旅費の不適切な経理処理をしていました事案、同じNHKアイテックで別の社員二人が架空発注等の手口で約二億円を着服していた事案、NHKインターナショナルの契約嘱託職員が危険ドラッグを輸入したとして逮捕された事案が起きてございます。

桝屋委員 ただいま報告を、私はあえて、今の体制、籾井会長になってからというふうには言葉は出さなかったわけでありますが、数え切れないぐらいたくさんの不祥事の案件を御報告いただきました。

 予算につきましては、会長が、公共放送としての責任を果たす、こうした内容だと国民にお願いできる、このようにおっしゃったけれども、今のような状況を考えますと、私はここで一つ一つの事案について具体的に取り上げるつもりもありません、こうした状況の中で、視聴者の怒りの声が当然あるわけでありまして、そこは受信料不払いなどの動きになっているわけであります。

 視聴者の信頼を取り戻すために、NHKは視聴者にどのようにこうした事態を説明し、こうした不祥事を再び起こさないためにNHKはどのような改善策を講じるのか、NHK改革をどのように行うのか、お示しをいただきたいと思います。これは今井理事。

今井参考人 お答えいたします。

 一連の不祥事につきましては、先月二十八日、経営情報を伝える番組「とっておきサンデー」に会長が出演をいたしまして、視聴者の皆様に直接おわびをいたしますとともに、再発防止の取り組みを御説明いたしました。再発の防止に取り組み、コンプライアンスを徹底することで、視聴者の信頼を得てまいりたいというふうに考えております。

 これら一連の不祥事を受けまして、関連団体につきましては、出金管理等、基本に立ち戻った不正防止等の徹底を図るとともに、内部監査室の関連団体調査を、二十八年度は十三子会社全社を対象に実施するなど、体制の強化を図ることとしております。

 また、本体につきましても、タクシー券の使用について申し上げますと、チケットの管理体制を強化して複数の目で利用状況をチェックする等、全国に指示をいたしたところでございます。

 これらの措置がしっかりと実行されているか点検をしつつ、あわせまして、NHK及び関連団体の研修を強化いたしましてコンプライアンス意識の醸成に努め、国民・視聴者の信頼の上に公共放送が成り立っていることを、関連団体を含めまして、職員の隅々まで改めて徹底してまいりたいというふうに考えております。

 また、NHKグループの経営改革についてでございますが、NHKの指導監督責任を明確にし、その機能を強化するために、今月八日、内部統制関係議決や関連団体運営基準の改正を行ったところでございます。これにより、具体的には、NHKから派遣する非常勤監査役に専門性のある内部監査室から人材を配置するとともに、本体の各所管部門の子会社に対する指導監督を明確にしているところでございます。

桝屋委員 口早に、当面できる対策、あるいはこれからの二度と起こさないような対策について御報告をいただきました。

 私は、この委員会での議論をずっと聞いて思うことがあります。一連の不祥事はひとり籾井会長の責任ではない、このように私は感じております。籾井会長の御性格あるいは失言癖、失礼な言葉を言いますが、もとより私は会長の責任はないとは言いませんが、大いにあると思っているわけでありますが、そのことにNHKの諸君は甘えている、そう感じてならない。厳しい批判が会長へ集中することによって、それを役職員が他人のように見て、その間に不祥事が繰り返されている、こんなことで一体どうなるんだろう、こう思うわけであります。

 私は、この事態に対して、会長を中心に執行部が一丸となってNHKの解体的な出直しが必要だと考えておりますが、改めて堂元副会長の率直な言葉を伺いたい。

堂元参考人 お答えをいたします。

 まず冒頭、NHK及び関連団体で不祥事が相次ぎましたこと、会長を補佐する立場として、まことに申しわけなく思っております。深くおわびを申し上げたいというふうに思っております。

 今指摘がございました執行部のありよう、体制論ということに関連をいたしまして申し上げたいと思います。

 相次ぐ不祥事によりまして、NHKは今、改革待ったなしの状況にあるというふうに認識をしておる次第でございます。そういう状況の中で、体制の立て直しを図るということが極めて重要な視点であろうというふうに認識をしているわけでございます。

 籾井会長を中心に、役員一人一人が力を発揮する体制づくり、また、役員一人一人が結集できる体制づくりということを真剣に考えなければならないというふうに思っているところでございます。

 もとより、NHKの執行部の役員といいますのは、受信料の重みというものをしっかり受けとめて、その責任の重さを自覚し、果たすべき役割をしっかりと果たすということに尽きるわけでございますけれども、今日の状況を踏まえまして、私を初め役員全員が、今回の不祥事を教訓に、信頼回復、課題の解決というところに全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 私も、会長を補佐する立場から、微力でございますけれども、信頼の回復等々に全身全霊で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

桝屋委員 国民から見ますと、我々国会議員は国民の代表でありまして、そうした我々から見て、NHKの皆さん方が、たび重なる不祥事、先ほどたくさん報告をしていただいたけれども、そうしたものに対して、懸命に会長のもとで一丸となって国民の信頼を回復しよう、こういう姿勢を感じないのであります。

 どうぞ、そこは思い切って、解体的出直しをぜひお願いしておきたいというふうに思います。

 一つ一つは言いませんけれども、私は関連会社アイテックの不祥事の報告書も読みました。先ほど改革の話があった、会計監査をしっかり強化する、いろいろおっしゃっています。必要な監査もしっかりやるとおっしゃっているけれども、あの報告書を見ると、ここで言いたくはないんだけれども、全くサンプル検査であって、このアイテックの問題なんか手もつけられていない、こんな監査法人にお願いして何がよくなるかというふうに私は感ずるわけであります。

 もう申し上げませんが、関連会社だけではありません。先ほどの報告では、NHK本体、一万人の職員の中から大変な不祥事が生まれているということをもう一回考えていただいて、何度も言います、この危機的状況の中で、信頼回復のために解体的出直しをしていただきたい。

 改めて会長に申し上げたいと思います。

 あなたは、NHKの解体的出直しをやっていかなければならない大きな責任がある。余りにも国会で毎回毎回責められるものだから、それは私の責任ではない、その部分はという気持ちが出てきておられるのではないか。やはり組織というのは、長の一念、トップの一念が大事です。私に全て責任があるんだ、こういう決意で、先ほどの堂元副会長のお話ではありませんが、役職員一丸となって国民の信頼を回復する、このことをぜひ大前提として、私たち与党としてこの予算に賛成をしたいと思いますので、最後に会長のお話を伺いたいと思います。

籾井参考人 ただいま委員から御指摘がありましたように、私はNHKの会長として、全ての責任は私にあるということはしっかりと肝に銘じておりますし、ただ、これを私の気持ちだけではなく、今後のNHKの経営におきまして、しっかりと具体的に対策を実行するということでございます。

 また、先ほども委員から御指摘がありましたが、このためには、役職員一丸となって、心を一つにしてこれに対応していく必要があろうというふうに思います。このまとめることも私に責任があるわけでございますが、役員の協力も得ながら全体をまとめて、今後こういうふうなことがないように、ゼロからの出直しということで進めていきたいというふうに思っております。

桝屋委員 籾井会長のもとでNHKが新しく生まれ変わる、そして国民の信頼を再び得る、そして我が国の公共放送として大いに発展をしていただくことを期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 北海道函館から参りました逢坂誠二でございます。

 もうすぐ民進党になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、最初に籾井会長に改めて確認をさせていただきたいんですが、以前にもお伺いしたんですけれども、繰り返しの確認でありますけれども、籾井会長がNHKの会長に就任された時点で、NHKの会長以外にどこかから報酬を得て、何らか別の仕事をしていたということはないかどうか、改めて確認をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

籾井参考人 私は、平成二十六年一月二十五日に着任しておりますが、そのとき以降、外部から報酬をもらったことはございません。

逢坂委員 了解いたしました。よそから報酬をもらって別の仕事についているということは、NHKの会長になってからないということを改めて確認させていただきました。

 そこで、きょうの本題に入りたいと思うんですが、先ほど来、与党の議員の方からも、さまざまこの二年間のことについて話がございました。これほど不祥事が頻発をする、そしてその不祥事の当事者に籾井会長もなるということもございました。あるいは、失言、これも幾度か繰り返されていたというふうなこともございました。あるいは、こうした籾井会長のさまざまな不祥事など、そういうことに関連して、放送番組の時間を割いて、二度にわたって籾井会長が全国の視聴者の皆さんにその状況を報告し、おわびをしなければならないといったようなことも、この二年間であったわけであります。

 私は、こうした状況を見ると、適格か不適格かというよりも、籾井会長御自身がNHKの会長というのに向いているのか向いていないのか、向き不向き、こういう点から考えてみると、余りNHKの会長に向いてはいないのではないかなという気がするわけでありますけれども、会長、その点、いかがでしょうか。

籾井参考人 事実としまして、私は今NHKの会長であります。

 ただ、私が向いているか向いていないかということについては、私がコメントすることではないというふうに考えております。

逢坂委員 向いているか向いていないか、自分がコメントすることではないということでありますけれども、私は、リーダーたる者、やはり自分がどういう適格性があるかということをしっかり考えた上でやらなければいけないというふうに思っているわけです。

 これほど国会の場で、あるいは内外、週刊誌などにも随分いろいろなことが書かれております。それが事実かどうかというのは私は全部はわかりませんけれども、こういう状況を見ると、御自身が判断できないというのであるならば、外堀、客観的な、御本人以外の事実としては、私は大変厳しい評価が下っているのではないかというふうに思います。この点、また終わりに再度聞かせていただきます。

 さて、そこで、最近、公共放送という言葉、この言葉が、随分いろいろな解釈がされているなというふうに思うわけです。

 NHKは、御案内のとおり、公共放送であります。公共放送に関して、籾井会長、公共放送とは一体いかなるものであるというふうにお考えなのか、御自身の言葉で、国民の皆様にわかりやすくお伝え願えればと思います。

籾井参考人 公共放送は、公共的な事業体によって、営利を目的とすることなく、主として受信料等を財源として運営される放送であるというふうに理解しております。

 また、公共放送でありますNHKは、放送法第十五条にその目的が示されているとおり、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び協会国際衛星放送を行う」などとなっております。

 これを踏まえまして、NHKは、現三カ年経営計画におきまして、公平公正で正確な報道と、豊かで質の高い多彩なコンテンツをさらに強化充実して、信頼される情報の社会的基盤として、健全な民主主義の発達や文化水準の向上に貢献することを明記いたしております。

逢坂委員 いろいろ説明いただきましたが、国民の皆さんには少しわかりにくいのではないかというふうに思いますので、もう少しかみ砕いて質問させていただきたいと思います。

 まず一つ、よく、NHKのことを国営放送だなんということを、半ばやゆをするような言いぶりで言われることがあるんですが、国営放送と公共放送の違いというのは、会長、どのように認識されていますでしょうか。

籾井参考人 一般的な区分になると思うんですが、国営放送は、国が直接管理運営する放送でございます。公共放送は、公共的な事業体によって、営利を目的とすることなく、主として受信料等を財源として運営される放送、これは先ほど申し上げたとおりでございます。

 公共放送のNHKは、先ほども申しましたが、放送法第十五条にその目的が示されております。

 よく国営放送とおっしゃる方もいますが、それは何かの誤解であろうというふうに私は思っております。

逢坂委員 それでは、改めて、国営放送と公共放送の違いについてお聞きしたいんですけれども、国営放送ではこんな番組を流せるけれども、公共放送では流せないというような番組はございますでしょうか。

籾井参考人 公共放送のNHKは、放送法第十五条にその目的が示されているとおり、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送」それから「衛星放送を行う」などとなっております。

 我々は、自主的に放送する番組を決めております。国営放送については、国が云々できるのかどうかよくわかりませんが、我々公共放送は、自主的に放送する番組を決めているということでございます。

逢坂委員 今会長が言った、自主的にというところは非常に大事なことだと思います。自主的、自律的にNHKがまさに判断をしてやっていく。国から指図されることなく、国が右だと言っても左だと言えないなんということのないようにやるということが、やはり公共放送として非常に大事なことだと私は思っております。

 さて、そこで、もう少しこの公共放送について議論を深めていきたいんですが、最近、公共放送の意味、役割が薄れているとか、あるいは、公共放送に対する国民の意識といいましょうか必要性といいましょうか、これが低下しているのではないかという指摘も一部にあるようですけれども、こういった風潮について、籾井会長、どのように思われますでしょうか。

籾井参考人 我々は、先ほどから申しておりますように、営利を目的としているわけではないし、しかも、政府からも独立して、受信料によって運営されている、公共の福祉と文化の向上に寄与するという目的でできているものでございます。

 我々としては、今後とも、公共放送としての自覚、責任、これを持ちまして、その役割を果たしていきたいというふうに思っております。

逢坂委員 それでは次に、公共放送と民間放送の違いについてお伺いをしたいんです。

 NHKにはこれができる、だけれども民間放送にはこれはなかなかやりにくいだろうなというものもあると思う。だからこその公共放送だと思うんですが、この点についていかがでしょうか。NHKにはできる、でも民間放送にはできないということについて、いかがですか。

籾井参考人 先ほどから申しておりますように、我々は、公共放送として自主的に判断し、番組を決め、放送を行っているわけでございます。

 私が民間企業がこうだと言う立場にあるのかどうかわかりませんが、我々は受信料を財源として放送しております。そういうわけで、いわゆる我々が払っていただいている視聴者の皆様のことを常に考えながら放送していかなきゃいかぬことは事実でございます。

 民間放送の場合は、その財源はコマーシャル、いわゆる広告収入だと私は理解いたしております。

逢坂委員 最も大事な、公共放送でしかやれないようなことについて、具体的に余りお話がなかったのは私は非常に残念に思っています。

 公共放送というのは、特定の利益や視聴率、これに左右されないということが非常に大事だと思います。民間放送は、広告収入を得てやっているわけですから、やはり視聴率というものを重視せざるを得ない。NHKの場合は、視聴率が高い低い、もちろんこれも重要ですけれども、必ずしもそれに左右されない放送ができる。これはNHKの公共放送としての役割の一つだというふうに思います。

 具体的に言うならば、教育番組、福祉番組、古典芸能番組、市場性や視聴率だけではかることのできない重要な役割を担うこういう番組を流すのが公共放送としての役割だというふうに思います。あるいは、緊急災害時、そういうときに大幅に番組の編成を変えてニュースをだっと流す、これもNHKの役割なんだろうというふうに思います。

 そのときに、スポンサーや、あるいは政治、そこから距離を置いて、まさに自主的、自律的に放送ができる、これがNHKの役割だと私は思うのですが、会長、やはりこういうことをすぐさま言葉で言えるということは私は大事なことだと思うんですよ。NHKというのは何だと言われたら、やはりここが公共放送の肝なんですね。だからこそ、受信料によって支えられているんだというふうに私は思います。

 さて、そこで、放送に対する最終的な編集責任といいますか、番組の責任というのは会長にあるというふうに認識をしておりますけれども、放送番組について、例えば日常的にどのような情報というのが会長の方へ上がってくるんでしょうか。直接番組の内容には余り会長はかかわっておられないようなことを以前にもお伺いしたことがありますけれども、番組についてどんな意見なんかが部下から上がってくるんでしょうか。

籾井参考人 今までたびたび御説明したと思うんですが、我々、今委員がおっしゃったように、編集権は会長が基本的に持っております。しかしながら、その運用に当たりましては、いわゆる分掌制度というのを採用しておりますし、それに基づいて経営がなされております。

 つまり、番組についていいますれば、番組を決めるとかその内容を云々するということについては、会長には報告も来ません。要するに、放送総局長以下、あるいはさらに局長以下で番組を決め、その内容を決め、私がその内容を知るのは、放送が行われた後、テレビを見て初めてこういう内容だったというのがわかるぐらい、私は内容についてはタッチしないという形で運営を行っております。

逢坂委員 基本的にはタッチしないということでありますけれども、最終責任は会長が負わざるを得ない、そういう仕組みになっているということはよく御理解をいただきたいと思います。

 そこで、受信料についてお伺いをしたいと思いますが、受信料、これを義務化すべきではないかといったような声があるわけでありますけれども、これについて、会長、どうお考えですか。

籾井参考人 受信料について一番大事なこと、我々NHKにとって大事なこと、あるいは社会的にも大事なことは、公平性だろうというふうに思います。

 今現在、我々の支払い率というのは七六%くらいでございます。これを何とか八〇%まで持っていきたいというのが今の三カ年計画の目指すところでございます。

 八〇%でもまだ一〇〇%には届かないわけです。しかしながら、義務化ということが、その言葉の響きというのもまずありますけれども、やはり我々としては、一〇〇%の支払いを目指していくというのが我々の使命だというふうに思っております。

逢坂委員 会長、今NHKの受信料というのは、支払いは義務ではないという認識なんでしょうか。

籾井参考人 テレビの受像機を持ったらNHKと契約を交わすということになっているわけですね。ただ、やはり契約を交わしてくれない方もいらっしゃるし、支払いをしていただけない方もいらっしゃる。これが今の現状でございます。

 したがいまして、今は義務があるのかと言われると、多分義務はあるんだと思うんです。しかし、実際には支払いが行われていないというのが現状だと私は理解しております。

逢坂委員 会長、これは多分ではないんです。義務は明確になっているとNHKも言っているんですよ。

 だから、私は会長に申し上げたいのは、公共放送に対する認識も受信料に対する認識も、少しこの二年の間お勉強が足りないんじゃないかなというふうに思います。その意味で、適格性という点でもう少し自分のことをよくお考えいただきたい。

 そのことを申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございます。

遠山委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也です。

 NHKに関連してお尋ねをいたしますが、その前に、委員長、御高配まことにありがとうございました。日本郵政から長門ゆうちょ銀行社長にお越しをいただいております。

 先般、西室現社長に当委員会出席の要請を申し上げましたところ、体調の関係で来られないということでありました。その後、注視をしておりましたが、昨日の取締役会で社長交代が内定したという報道を受けております。

 御就任前ではございますが、この大変厳しい事業環境に際し、日本郵政を率いるということには、大変な緊張感の中で過ごしておられることと思います。

 社長就任を前にして、抱負なり決意をお述べいただきたいと思いますし、マイナス金利という事業環境の中で、事業向け貸し出しや住宅ローンを含めた自在な事業展開ができないという制約、これをどう両立していくのか。金融の御経験が長いだけに、大変憂慮しておられると思います。

 そのあたりも含めて、展望なり、あるいは郵政事業改革に向けた思い、ぜひお述べをいただきたいと思います。

長門参考人 長門でございます。

 先生がおっしゃったように、四月一日付で日本郵政株式会社の社長に就任することになりました。身の引き締まる思いでございます。これまでの西室体制を継承いたしまして、グループ一丸となって郵政グループ全体の上場企業としての価値を一層向上せしめるというのが私の使命、ミッションというふうに考えてございます。全力全霊で頑張りたいと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 マイナス金利の問題でございますけれども、現在、ゆうちょ銀行の社長でございますので、ゆうちょ銀行社長としてお答え申し上げます。

 マイナス金利が導入をされまして、御案内のとおり、金利全体が低下いたしました。資金運用の利回り、企業貸し出しの金利、運用面でも融資面でも、全ての利回りが落ちてきておりまして、ひとしく、あらゆる全ての金融機関に相応のインパクトが出てきております。

 私どもゆうちょ銀行も同じようなインパクトがございまして、これを一体どういうふうに打ち返すのかという御質問かと思いますけれども、私どもゆうちょ銀行、昨年の四月に、今年度から始まる三カ年の中期経営計画を発表申し上げました。

 主な施策が三つございます。運用を深掘りして、これまでの国債だけではなくて、その他の外国の社債等も含めて運用を多様化するというのが一点目。二点目は、役務手数料を深掘りして、一層営業を拡充する。三番目は、コスト管理を徹底する。この三本でございまして、今回のマイナス金利下、厳しい環境ではございますけれども、こういう施策をむしろスピードアップして実行して、これまでどおり安定した業績を計上していきたい、このように考えてございます。

 よろしくお願い申し上げます。

小川委員 大変かくしゃくとした雰囲気の中にも的確、簡潔な御答弁、まことにありがとうございました。

 ぜひとも、これから難しい時代だと思いますが、的確なかじ取りを御期待申し上げたいと思いますし、先般の委員会質疑においては、高市大臣の郵政事業改革に向けた御答弁、私としては、非常に不十分だ、つれない御答弁だったというふうに感じております。貸し出しの拡大も含めて、ぜひ積極的な御検討をこの場をおかりしてお願い申し上げたいと思います。

 どうぞ御退室いただいて結構です。ありがとうございました。

 籾井会長、ごらんのとおり、民間部門での御経験が長い方が公共経営体の責任者としてお見えになるという傾向は最近非常にふえています。籾井会長もそのお一人であります。

 先ほどの逢坂委員の質問にも関連いたしますが、少しお聞きしてみたいのは、御就任から二年たちました。会長は、大手商社、そして大手システム会社で経営トップ、あるいはそれに準ずる形での御経験豊かな方であります。しかし、この二年間、先ほど桝屋委員の御質問の中でも、耳を塞ぎたくなるような不祥事、多々ございましたし、日常の言動に対する批判も大変厳しいものがあります。

 会長、いかがですか。民間の商社での経営と公共放送体であるNHKでの経営は、何は同じですか。どこが違いますか。二年間、率直に振り返っていただいて、根本的な認識をお聞かせいただきたいと思います。

籾井参考人 一番違うところは収入源でございます。我々は、受信料で経営を行っております。民間は、自分の利益で、それを積み重ねていきながら経営が行われているということ。

 さらに、もう一つ違うのは、ボトムラインというものが民間にはありまして、ここで利益が出てこれで判断されるということでございます。我々は、予算というもので、この予算の中で運営していく。

 この二つが一番違うところではないかというふうに思っております。

小川委員 立派な御答弁だと思います。

 やはり、お客さんを相手に商売をしていた時代と、国民を相手に事業を展開しなければならない、せざるを得ない環境とは、根本的に異なるだろうと思います。

 それは、実体面でも、放送法を初めとしたさまざまな規制があります。そして、総務大臣の許認可権限のもとに置かれています。そして、経営委員会の統制があり、予算や人事に対する国会の統制があり、その分、手続面が非常に重くなっているんですね。

 ですから、時折会長のお話を党の部会等でお聞きしていますと、非常に、民間企業におけるワンマン経営時代の積極果敢な決断ぶり、あるいは部下や関係者に対する物言いが、当時はそれでよかったのかもしれない、しかし、現状置かれている環境下ではとても通用しないということが、多々ハレーションの原因になってきたのではないか。

 この間、見ておりまして、割と民間から転じられた方は、数カ月でそこをのみ込まれているなという印象を私は受けてきたんですよ。しかし、残念ながら、籾井会長の言動をこの間長く拝見していて、そこののみ込みが極めて遅い。二年たってもまだのみ込まれていないんじゃないかと思うことがよくあります。

 そこで、これは個人的にどうこうではありません、しかし、会長の御発言の後始末をしておられる理事の方々、部局の方々の混乱ぶりあるいは疲弊ぶりを拝見していて、私は看過できないというふうに感じています。

 経営委員長、率直にお尋ねします。この間の二年間の籾井会長の仕事ぶり、どう評価していますか。

 そして、経営委員会には解任権があります。世上、マスコミ等も含めて、この予算の審議、あるいは議了、今年度末を機に解任ということはあり得るんじゃないかというようなことも飛び交っています。

 浜田委員長、どう評価をされ、そして、この年度末における解任の可能性というのはないのか、率直に御答弁いただきたいと思います。

浜田(健)参考人 まず、NHKやNHKグループの職員の一連の不祥事が発生したことは、遺憾なことだというふうに思っております。

 NHKは、昨年度新しい経営計画を策定し、今年度はその初年度に当たりますが、会長以下執行部のもとで、国際放送の充実や放送と通信の融合時代の新しいサービスなど、取り組みが進められてきているというふうに認識しております。

 会長には、これらの取り組みをさらに進めていくとともに、公共放送のトップとしての責任を再確認し、さまざまな御指摘をいただいていることも真摯に受けとめていただいて、誠意を持って対処するように努めていただきたいと思っております。

 経営委員会といたしましても、引き続き、監視、監督の役割を果たしてまいりたいというふうに思います。

小川委員 解任の意思はないという御答弁だと受けとめました。

 であるならば、監督責任、より大きいと思いますよ。任期はあと一年だと思いますが、どうあれ、的確な御指導をこの場をおかりしてお願い申し上げたいと思います。

 それを前提に、籾井会長に二点具体的にお尋ねしたいと思います。

 一つは、やはり御見識にかかわる問題でありまして、くどいようですが、高市大臣の免許停止にかかわる発言を、当の免許を受ける側としてどう受けとめているか、聞かせてください。

 それは、会長は過去に、政府が右と言うことを左と言うわけにはいかないと御就任直後に御発言なされました。それから、先般、これもつい先日のことでありますが、自民党の部会ですか、身内、解説委員の中にも偏った人間がいると御発言されました。

 これは、何を基準に、どう判断、評価をしてこんなことを言われたのかわかりませんが、こういう御発言から類推いたしますと、事と次第によっては、放送内容によっては免許の停止もあり得ると御発言された高市大臣の御答弁とは非常に親和的といいますか、それは当然のことだと受けとめておられるのかなと想像していますが、当の免許を受けた側の責任者として、どう受けとめていますか。

籾井参考人 私どもは、放送事業者でございます。要するに、番組をつくって放送する、これが我々の仕事でございますけれども、そういう立場では、我々は、放送法を遵守して、公平公正、不偏不党、いつも言っているとおり、何人からも規律されず、みずからを厳しく律して放送に当たっている、この姿勢は今後とも変わりません。

 したがいまして、我々が直接かかわり合っております放送法というものを、引き続き遵守していきたいというふうに思います。

 それから、今、解説委員のことをおっしゃいました。これは、言ったのは、解説委員といえども、皆同じ考えを持っているわけではないわけです。Aさん、Bさん、Cさん、みんな考え方が違うわけですが、放送になったときには、皆、放送法にのっとって仕事をします、こういうことでございます。

 右のもの、左のものについては、これはもうあえてコメントいたしません。

小川委員 みんなそれぞれ違うと、偏っているという日本語の意味は、違いますからね、会長。偏っているというのは、価値判断が入っている、違うというのは、違うという事実しか言っていない。

 こういうところにもっと繊細な感覚を持たないと、公共放送体の責任者としては常に疑義を生じますよということを申し上げているわけです。最初の問いと重ね合わせて申し上げますが、この点、よくよく御自覚をいただきたい。

 時間がありませんが、最後に、高市大臣、今回、予算案について総務大臣意見を付されました。その中で、これは異例だと思いますが、この間のアイテックを初めとした子会社の不祥事に関連をして、子会社改革の推進が必要であるということをわざわざ一項立てられた。異例のことだと思います。

 これは当然の問題意識だと思いますが、であるならば、籾井会長がみずから発注された、二十六年八月のNHKの関連団体のガバナンスに関する調査委員会、五千万円の委託費を払って、外部有識者の知見を踏まえてまとめたこのみずからの自己評価は点検した上で、こういう総務大臣の意見を付しておられるんですよね。この点をちょっと確認させてください。

高市国務大臣 まず、冒頭に申し上げますが、先ほど来委員が、免許停止と私が言ったとおっしゃっているんですが、免許停止などという言葉を使ったことは一度もございません。

 ガバナンス調査委員会の報告書で、つまり、黒塗りのない分について把握しているかどうかということだろうと思いますが、放送法上、総務省はNHKに対して提出を求める権限は有しておりませんので、黒塗りされていない報告書は持っておりません。

 NHKの子会社の業務運営の指導監督は、放送法の規定などに基づきNHKが行うこととされておりまして、また、NHK執行部の業務執行の監督は、経営委員会や監査委員会の権限とされていますので、総務省としては、法に基づき、自主自律的に再発防止が図られるということを期待いたしております。

小川委員 残念ながら、時間です。

 大臣、申しわけございません、停波の件については訂正して、謝罪、おわび申し上げます。

 その上で、大臣、これは一度ごらんになってくださいね。五十ページの報告書中、二十三ページが真っ黒塗りで、一字も判別できません。こういうものを提出している。

 これを見もせずに、子会社を改革せよと総務大臣は今回言っているわけです。これは一般的に、許認可権限あるいは行政指導権に基づいて提出させるべきだと思いますよ。この内容をよく分析した上で、総務大臣としての意見を付していただきたい。

 交代の時間ですから答弁は求めませんが、指摘して、終わりたいと思います。ありがとうございました。

遠山委員長 高市総務大臣、簡潔に御答弁ください。

高市国務大臣 はい、済みません。

 法的に提出を求める権限を持っていないということを先ほども申し上げました。

 昨年の、「クローズアップ現代」、再発防止策が具体的ではないということについて、行政指導、つまりこれは処分でも何でもない、要請を行っただけでも介入だという批判を受けました。でも、行政指導は法律に基づく対応でございます。

 今回は、法的な権限を持っていないので、提出を求めることはできません。

小川委員 大変残念です。また改めて議論したいと思います。

遠山委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主・維新・無所属クラブの近藤昭一でございます。

 早速でありますが、質問させていただきたいと思います。

 私の方からも、やはり高市大臣の二月八日の衆議院予算委員会における電波停止につながるような発言、ほのめかすような発言につきまして、いろいろな角度から質問がありますが、私の方からも質問させていただきたいと思います。

 まず、放送法第四条一項は、放送事業者に政治的公平性、つまり公正原則を課しているわけでありますが、プリントメディア、いわゆる印刷媒体には課されていない公正原則が放送事業者にのみ課されている、これはなぜでありましょうか。

高市国務大臣 放送事業者は、新聞や出版などの紙のメディアと異なって、放送法第四条に定める番組準則を遵守するということが求められております。つまり、公安及び善良な風俗を害しないこと、政治的に公平であること、報道は事実を曲げないですること、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることの四点です。

 この理由ですが、放送は、不特定多数に対し同時に同じ情報を安価に提供可能であり、かつ御家庭において容易に受信が可能であるという物理的特性から、大きな社会的影響力を有しているとともに、特に無線の放送は、有限希少な国民的資源である電波の一定の帯域を排他的かつ独占的に占有しているということから、公平及び社会的影響力の観点から、公共の福祉に適合していることを確保するための規律を受けることとされています。これは放送法第一条にも書かれております。

 いずれにしましても、放送法は放送事業者の自主自律を基本とする枠組みですので、放送番組は、そのもとで放送事業者がみずからの責任において編集していただき、また放送法を遵守していただくべきものと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうした今御説明いただいた中で、電波は希少なものだ、ですからきちっと公正原則を守れということだと思うんですが、そこでお伺いをしたいと思います。

 衛星放送またケーブルテレビのみならず、インターネットがテレビ放送と同様の情報伝達手段として非常に普及してきているわけであります。そういう中で、果たして電波の希少原則が成り立つのかということであります。

 最初に確認したいと思うんですが、ケーブルテレビとかインターネットによる動画配信にも放送法第四条一項は適用されるのかどうか、お伺いしたいと思います。

高市国務大臣 放送法第四条第一項に規定される番組準則は、全ての放送に適用されます。

 放送とは、放送法第二条第一号において、「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信をいう。」と規定されています。つまり、不特定多数の者に対して情報を同時かつ一斉に送信するものについては放送に該当します。

 ですから、委員お尋ねのケーブルテレビによる放送は、放送法における有線一般放送に該当し、ケーブルテレビ事業を行う放送事業者に対しても放送法第四条第一項に定める番組準則が適用されます。

 他方、インターネットの動画配信でございますが、これは法律上、不特定多数の者に対して情報を同時かつ一斉に送信する放送ではなく、情報を受信者からの要求に応じてその都度送信するものとされておりまして、一対一の情報伝達の通信に該当することから、放送法の規律は受けません。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 インターネットの動画配信には適用されないということであります。

 ただ、インターネットの動画配信、急速にシェアが広がっているわけであります。政府としては、そうすると、この放送法四条一項の将来的な適用を検討するとか、そういうことはお考えでありましょうか。

高市国務大臣 放送と通信につきましては、他人の通信を媒介する通信事業と、みずから編集した情報を直接公衆に送信し言論報道機関としての性格を持つ放送という、事業の特性に応じた制度となっておりまして、憲法上の要請も、それぞれ、通信の秘密の保護と表現の自由の確保ということになっております。

 確かに、近年の情報通信技術の発展に伴いまして、情報通信分野におけるサービスの多様化は進展しているんですが、通信と放送、それぞれの基本的な特性には変化がございませんので、少なくとも現時点で、インターネット動画配信のような通信に該当するサービスについて、放送法に定める番組準則などの規律を適用させるということは考えておりません。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 インターネットの動画配信は通信だということであります。

 それで、ちょっと議論を進めていきたいと思うんですが、メディア法の第一人者であります清水英夫先生、故人ではありますが、その著書「表現の自由と第三者機関」という本がありまして、そこでこのように書かれておられるわけですね。ちょっと紹介をさせていただきたいと思います。

 そもそも、政治的公平に関するこの規定、この規定というのは放送法第四条の第一項のことでありますけれども、当初は選挙放送、選挙に関する放送に関して定められたものであり、かつNHKに関する規定であった。つまり、NHKが主に放送していたという時代でありますが、それが、放送法の番組準則に盛り込まれた。そしてその後、民放が出現、ふえてくる中で、ほとんど議論もなく番組の一般原則となったものであり、違憲性の疑いのある規定であるとおっしゃっているわけですね。

 しかしながら、今では、民放だけではなく、衛星放送、ケーブルテレビまで適用が拡大をされているのであります。政党と一体化した行政権力が許認可権を盾に監督権限を際限なく拡大させていくのは、非常に私は憂慮すべき事態だと思っているわけであります。

 また、別の憲法学者の渋谷秀樹先生が、その著書「憲法」という書の中で、こちらはこういう言い方をされておられます。

 多チャンネル化の時代に入った今、電波メディアも印刷メディアと同様、その内容による淘汰は視聴者の手に委ね、立法目的が曖昧で、かつ時代おくれとなった内容規制は違憲として、もはや撤廃すべき段階に入ったのではないかと。

 政府が主張する電波希少性、先ほど大臣からも御答弁がありましたが、今、メディアが大変に多様化をしております。そして、インターネット、まあ、通信とはおっしゃられますが、非常にそれで情報が媒介されて伝達をされている、広まっている。そういう中で、まさしくメディアが多様化するという中で、立法根拠を失っているのではないか、また、行政権の肥大化と拡大解釈の温床になりかねない状況になっているのではないかと大きな懸念を持つわけであります。

 御承知のとおり、アメリカでは二十九年前です、一九八七年に放送の公正原則を廃止している。また、放送法の公正原則が適用されていないプリントメディア、紙の媒体において、自主規制、そして民主主義社会の中で、公正な原則が日本でも保たれているわけであります。そうした中で、放送事業者にのみ同原則を課すことの、ある種の不合理性、そして必要性の欠如が出てきているのではないかと私は思うわけです。

 そういう意味で、大臣、お考えを聞かせていただきたいわけでありますが、私は、放送法を改正して四条一項そのものを撤廃する、あるいは、この間いろいろと議論が出るわけでありますが、同条の解釈を明確な倫理規定だとする、そうした議論をしっかりと始めるべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 まず、放送法でございますけれども、昭和二十五年に放送法が制定されてから、累次の改正がございました。けれども、その中で、やはり平成二十二年の民主党政権の折に行った改正が最も抜本的で大きなものであったと思います。

 その折に、日本共産党を除く全ての各党各会派が衆参で賛成されて成立をされた。しかも、その中で、やはり、政府答弁として、第四条については、これは倫理規定ではなく法規範性を持つということ、そして四条に違反した場合に、電波法七十六条もしくは放送法百七十四条、それぞれ対象は違いますけれども、その適用があり得るということ、それから、その運用に当たっては非常に慎重に行わなければならない、極端な場合に限って、慎重に行わなければならないという答弁がございました。その上で、日本共産党以外の全党が賛成して成立した改正放送法でございます。

 そしてまた、閣法でもございましたので内閣法制局の審査も受けておりますので、違憲の状態で成立したとは考えておりません。

 また、私も政党の一員ですから、放送法上の主語は総務大臣は何々をするということで書かれているんですけれども、それについて公平性が本当に担保されるのかという御懸念かと思いますが、日本国憲法は第五章で内閣に行政権の主体としての地位を認めています、さらに議院内閣制でございますから、やはり大臣が責任を持ってしっかりと法律を執行していくということになろうと思っております。

 アメリカの例もおっしゃいましたけれども、アメリカの方もまだ候補者への同等機会の提供義務は残っております。

 それから、各国を見ましても、日本で言う番組準則に当たるようなものに違反した場合に、刑事罰がございます。日本の場合は、刑事罰はございません。

近藤(昭)委員 大臣、答弁ありがとうございました。

 ただ、非常に、この間、大臣の発言をめぐって、何回も国会で議論が行われているということであります。そして、やはり日本は、ちょっとこの後指摘させていただきたいと思いますが、監督の仕組みが非常に独特なところがあるんだと思います。

 そして、先ほど同僚議員の小川淳也議員も指摘をしたところなんですが、実は、そういう中で、大臣もよく答弁される平岡副大臣のことが出てきます。

 平岡副大臣、当時副大臣、平岡さんはネット上でツイートをしておりまして、こんなことを言っているんですね。高市大臣の発言は、政治的中立性の欠如を理由に放送の業務停止をさせることがあり得ると言わんばかりだと。どういうふうにお感じになるかは別ですが、言わんばかりだと。しかしながら、自分が言ったのは、政府当局が放送の業務停止という権限行使を行うことに対する慎重姿勢を示したと。まあ、どちらから見るかということかもしれませんが、ただ、それほどまでに、ある種、幅があるのではないか。

 私が指摘させていただきたいのは、日本におけるそうした監督の仕組み、欧米に対して独特だ。国家による許認可権を有する圧倒的に強い立場にあり、同時に政党の一員という政治的中立性が担保されない国務大臣が言論機関の監督規制を担うというものであります。

 ドイツでは、民放放送の番組編成を国家が直接監督することは憲法違反だと考えられているそうであります。ドイツはもちろん、先ほどアメリカのことを申し上げましたが、アメリカ、イギリスでも、放送の規制、監督は合議制の独立行政機関が行っているわけですね。また、最近では、韓国でも二〇〇〇年に、放送行政を担う放送委員会が設置されました。台湾でも二〇〇六年に、アメリカのFCCをモデルにした通信放送委員会というものを設置されています。

 日本でも、一九五〇年でありましたが放送法と電波法が成立したときであります、米国の機関に倣って、電波監理委員会というものが設置された。しかし、二年後、五二年には廃止された。そして、その監督は郵政大臣に移行されたわけでありまして、その間、そして今日に至っている。

 民主党も、政権のうちになし得なかったわけでありますが、日本版FCC構想を検討したのであります。残念ながら実現に至っておりませんが、そうした独立機関による規制がまさしく世界の潮流だと思います。

 そういうことで、独立行政機関であるべきだ、このことを私は検討すべきだと思うんですが、大臣の所見はいかがでありましょうか。

遠山委員長 簡潔な御答弁をお願いいたします。

高市国務大臣 放送行政に関する組織のあり方については、やはり国によってさまざまだと思います。

 米国でも、大統領が任命する委員から構成するFCCが放送行政を所管しています。フランスでも、大統領が指名する委員長及び上下院が指名する委員から構成されるCSAが放送行政を所管。イギリスの場合は、BBCへの特許状の付与など、こういったものについては大臣を長とする文化・メディア・スポーツ省が所管、放送内容に関する規律に関しては、やはりメディア・スポーツ省の大臣が任命する委員から構成されるOFCOM。こうやって、各国の事情はさまざまなんです。

 戦後、我が国においても、委員がおっしゃったとおり、行政委員会が広く導入された時期がありましたが、日本が主権回復を果たした昭和二十七年以後、責任の所在が不明確だという理由で、その多くが廃止されました。

 私は、情報通信分野というのは、技術革新が物すごく激しく、国際競争も激しいものですから、機動的、一体的、総合的な対応を可能とする独任制の省の形態で、大臣が責任を持って迅速に行政を執行する制度が適当だと考えます。

遠山委員長 時間が過ぎております。

近藤(昭)委員 はい。いろいろと課題があるわけですが、きちっとそうしたものを公正中立にやる機関を設けるべきだ、このことをもう一度発言させていただいて、終わります。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。よろしくお願いいたします。

 今、電波法をめぐるやりとりがございましたが、付言をしてまいります。

 民主党はかねてより、通信・放送委員会設置法案、第三者機関としての国家組織法第三条委員会、この設置を求め、議員立法を何度となく提出しております。

 また、高市大臣が今触れられました各国の例でありますが、例えばアメリカのFCCなどは、その委員については共和、民主両党について同じようなバランスでという、そうした形で中立性が担保されているということを冒頭付言しておきたいと思います。

 それでは、質問に移りたいと思います。

 まず、お手元の方に資料も配らせていただいておるんですが、これはNHKの子会社の役員の内訳でございます。ごらんをいただきますと、一様に、NHK出身者あるいはまたNHKの在職の方が常勤取締役、常勤監査役を占めていることがおわかりいただけると思います。

 常勤取締役については、七十八人中七十七人がNHK関係者でございます。常勤監査役については四人中四人。つまり、常勤の取締役、監査役でNHK以外の人材は、十三社の子会社中わずか一人しかおりません。

 非常勤取締役は、四十四人中三十七人がNHKあるいはNHK関係者、ですから七人がNHK以外の人材でございます。非常勤監査役については、二十一人中十三人がNHK、NHK関係者、八人がNHK以外。しかし、その八人はいずれも、みずほ銀行、みずほ総合研究所で占められているということでございます。

 かねてより、NHKアイテックをめぐる不祥事、そしてまたNHKビジネスクリエイトによる土地取得など、子会社をめぐる不祥事が相次いで報じられております。これについての改革が今NHKでは進められているんですけれども、まず会長には、子会社、ほとんどがNHKの役員によって占められている常勤取締役、監査役については前回お聞きをしておりますが、この実態についてどういう御認識を持ち、また、お手元の二ページ目にある資料はアイテックについての資料でありますが、あわせて、二月九日にNHKグループ全体としても取締役に外部人材の活用ということを決めておられます。その中で、どういうふうに子会社の常勤取締役についてお考えかを伺いたいと思います。

籾井参考人 今御指摘がありましたように、子会社十三社中、四社でNHKグループ以外から取締役に就任してもらっています。これは、エンタープライズであり、日本国際放送、NHKプロモーション、NHKアイテックでございます。社外取締役には、当該子会社の事業に密接に関連する知見や会社経営の経験を子会社の経営に生かしてもらっております。

 今回まとめましたグループ経営改革の具体施策の中では、外部人材の起用を進めて取締役会の機能を強化していくことになります。

 やはり、今まで社外取締役が少なかったということは、委員御指摘のとおりでございます。こういうことをおいおい改めてまいりますが、それもやはり状況を見ながら弾力的にやっていきたいというふうに考えております。

武正委員 前回も指摘しましたが、今の御答弁でもおいおいとか状況を見ながらとか、実際、本当にやる気があるのかというふうに言わざるを得ません。先ほども触れましたが、二月九日にNHKとして、今回のアイテックの事案を踏まえて、NHKグループ全体でも、子会社も含めて、取締役、外部人材の活用ということを明確にうたっているわけですから、今のような御答弁では一体やる気があるのかというふうに言わざるを得ないんです。

 上田監査委員もお見えでありますが、監査委員会は今回、内部統制関係議決を見直すというようなこと、これは経営委員会が決めるということですが、そのほかさまざま改革を打ち出して、今、緒についているというふうに理解をしております。

 内部監査室、そしてまた内部監査室を中心に各グループの監査役会議あるいは取締役連絡会などもやっておりますが、今のこの資料を見ていただいて、当然、外部からの常勤監査、これは常勤監査も少ないんですね。

 非常勤を常勤監査にする、あるいは外部から常勤監査役をということはお聞きしておりますが、当然、内部統制からいえば、企業において、取締役がみんなNHKグループであるというのは、やはり内部の統制からいってもいかがなものかと私は思います。ですから、監査役だけ常勤で外部の人を入れればいいという話ではなくて、コンプライアンス、ガバナンスを確保するには、取締役もやはり外部から人材を入れるべきである。

 これはNHKも言っているんですが、監査委員としての御所見を伺いたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 関係子会社の問題に関しましては、やはり一義的に内部統制の仕組みをしっかりと構築していくことが大事だと思いますが、とりあえず、今先生の方から御質問があった点に関しましては、執行部の取り組みをしっかりと注視していきたいというふうに考えております。

武正委員 監査委員会には、先ほど触れました内部監査室というのは会長直属なんですね、ただ、監査委員会指示監査ということであれば監査委員が直接指示をすることができる、こういった強い権限を持っていますので、やはりこれだけNHKのガバナンス、グループのガバナンスが問われているわけですから、監査委員としての監査委員会指示監査も含めたお取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、「クローズアップ現代」が、行政指導を総務大臣からも受けたわけでありまして、BPOからも報告書が出て、BPOは、しかしながら、この「クローズアップ現代」について、「テーマや着眼点は興味深く、相談場面を除けば取材も手堅く、報道番組として高く評価すべきものがある。しかし、この相談場面だけは、視聴者に著しい誤解を与える致命的な問題があった。」というようなことが書いてあります。

 私は、やはり、二十三年間続いてきたNHKの看板番組、月曜から木曜午後七時半から三十分、三千七百回も続いてきたこの番組、行政指導三十五回中の今回一回受けましたが、これをもって今までの看板番組の形態が壊れてしまうというのは非常に問題だというふうに思います。それだけのやはり実績があるというふうに思うんです。

 春の改編で午後十時に移ろうというようなことも聞いておりますが、今後の「クローズアップ現代」について、会長の今後の方針というか方向性、NHKとしての御所見を伺いたいと思います。

籾井参考人 今、委員からもお話がありましたけれども、「クローズアップ現代」は、日本や世界の動きやその背景を詳しく、わかりやすく伝える、こういう番組でやってまいりましたが、今度の新しい番組におきましても、その核心に迫る新たな報道情報番組を目指しております。

 夜十時に移したという狙いを踏まえ、日中働いているいわゆる現役世代の方々に、より多く見てもらえる番組となることを期待いたしております。

 これまでの「クローズアップ現代」が培ってきました精神を引き続き継続し、常に真っ正面から物事の本質に迫る、視聴者の関心にしっかりと応えるなど、さらにパワーアップした番組を目指すというふうに聞いております。

武正委員 「クローズアップ現代」が午後十時に移ってしまうということなんですけれども、私は、七時半に見られない方でも、夜中、今も再放送をやっていますので、夜遅く帰ってこられる方は十分見ておられますし、先ほど同僚委員からもありましたが、オンデマンドだったり、いろいろなやり方がありますので、午後十時に移すということは、果たして、これまでの七時半という大変多くの方々が視聴できる時間を移すということはいかがなものかというふうに思うわけでございます。

 質疑時間が参りましたので、以上で終了させていただきます。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十八分散会


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