衆議院

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第6号 平成13年3月1日(木曜日)

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平成十三年三月一日(木曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 佐藤 剛男君

   理事 根本  匠君 理事 林田  彪君

   理事 五十嵐文彦君 理事 海江田万里君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      大木  浩君    大野 松茂君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      中野  清君    中村正三郎君

      萩山 教嚴君    増原 義剛君

      村田 吉隆君    山本 明彦君

      山本 幸三君    渡辺 喜美君

      江崎洋一郎君    河村たかし君

      小泉 俊明君    中川 正春君

      長妻  昭君    原口 一博君

      日野 市朗君    松本 剛明君

      久保 哲司君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    植田 至紀君

    …………………………………

   議員           河村たかし君

   財務大臣         宮澤 喜一君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村井  仁君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務大臣政務官      大野 松茂君

   財務大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  石井 隆一君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    尾原 榮夫君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君

   参考人

   (日本銀行総裁)     速水  優君

   財務金融委員会専門員   田頭 基典君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  谷口 隆義君     久保 哲司君

同日

 辞任         補欠選任

  久保 哲司君     谷口 隆義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第一号)

 法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案(岡田克也君外七名提出、衆法第二号)




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び岡田克也君外七名提出、特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として財務省主税局長尾原榮夫君、国税庁課税部長村上喜堂君及び総務省自治税務局長石井隆一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。

鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。

 大蔵委員会以来の慣行によれば定例日が火、水、金でございますので、その慣行を踏襲するとすれば、きょうは木曜日で、テレビはございませんが予算委員会においては分科会に入っておりますし、全体の国会の流れを考えまして、我々野党としても、きょうは例外として審議を続けるということに賛成したわけでございます。

 前置きはそのぐらいにいたしまして、ただいま出ております三法、並びにNPO法案関係の、野党三党の提出した法案につきまして、質疑をいたしたいと思います。

 宮澤財務大臣、私の尊敬する大先輩でございまして、これまでにもいろいろと教えていただいてきておりますが、この国税等三法の本会議での提案理由をお伺いしておりまして、私は幾つかの点で、宮澤大臣の御見解を伺いたいのに踏み込んでおっしゃっておられない点があるなと思っておりました。そのうちの一つが証券税制でございまして、特に、株式等の譲渡所得課税については、源泉分離選択課税を二年延期すると言っただけで、本来はどうあるべきなのか、どういうところへ持っていきたいのか、あるいはどういうところが検討課題なのかといったことに一切触れておられませんでした。

 私は、御承知のように株式市場、きょうも前場下がっておりまして、バブル崩壊以来の最低値を一時的に更新しておりました。そういう情勢でありますので、ぜひ証券税制について、この委員会でしっかり将来のあり方を考えなければいけないと思っております。

 それからもう一つ、柳澤大臣。大蔵省時代は、どうしても主税局リード型になってしまって、銀行局や証券局が金融税制について必ずしも十分主張を貫いておられなかったように私はお見受けしておりました。したがって、私はいわゆる財金分離については税制の面においても必要だなと感じていた者の一人でございます。いよいよそれが実現したわけでございますので、そういう点でも、ここで財務金融委員会において、両大臣それぞれのお立場で金融税制のあり方を独立に所信を表明していただく、またそれと私どもとディベートさせていただく最初の機会だなというふうに感じております。ぜひその点、柳澤大臣も御所管のお立場で、あるべき証券税制の姿について御意見を開陳していただければ幸いでございます。

 言うまでもなく、税制は簡素、中立、公平とかといいますが、金融税制について非常に大事なのは、中立というところだと思うのですね。金融の流れ、金融システムというものを税制がゆがめるようなことがあってはならない。しかし、御承知のように、直間金融、直接金融、間接金融に対する税制の影響というのは必ずしもイコールではない。そこに差がある。そのために日本では、幾ら直接金融を発達させなければいけない、いけないと口で言っていても、なかなか思うように市場が発達してこないという問題がございます。

 そこで、市場に対する中立という観点からまず議論させていただきたいのであります。

 直間金融に対してイコールフッティングでない税制は何だろう。まず思い浮かぶのが、利子に対する税制と配当に対する税制が同じではないということでございます。御承知のとおり、年間の配当の受け取りが十万円以下でございますと、利子所得と同じように確定申告不要で二〇%の源泉徴収になりますが、それを超えた配当所得については、これは総合課税になっていきまして、したがって税率は所得水準によりますけれども、利子課税の二〇%よりも高くなってまいります。配当所得に対する税率と利子所得に対する税率にこういう違いを設けている。

 これはいつまでもこれでほうっておいていいものでしょうか。まず、金融担当大臣にお伺いしたいのでございます。これはバランスを失しているではないか、こんなことをしているからいつまでたっても間接金融優位なんだという批判がございます。この配当課税と利子課税の不均衡について、柳澤大臣はどういうふうにお考えでございますか。

柳澤国務大臣 現在日本の金融というのは大変大きな問題を抱えているわけですけれども、そのよって来るゆえんを考えてみますと、やはり間接金融が主体で、金融仲介機能を担う金融機関にリスクが本当に全部引き受けられてしまう、こういうようなことが今日の金融不安というか金融についての不安定性を生んでいる。

 そこで、もっとリスクをみんなに少しずつとってもらう、特に最終の負担者であるところの個人投資家にとってもらうような仕組みが必要ではないか、こういうことで、私どもも、これからの流れとしては間接金融から直接金融への流れというものを促していくべきである、こういう立場であることはたびたびここでも申させていただいておるところでございます。

 そういうものを今先生、中立ということで、完成された暁にはそういう中立ということでよろしいかと私は思いますけれども、今日の実情からある程度我々があるべきと考えているそういうウエートの金融の体制が実現されるまでには、やや、そういう中立というかスタティックなものではなくてダイナミックにそこへまで誘導していくというようなこともまた必要なのではないか、このように考えていることをちょっとあらかじめ申させていただきたい、こう思います。

 そこで、利子所得と配当所得の問題なんですが、これは法人税制そのものにも実はいろいろな問題を包蔵しているわけでございます。法人税については、法人実在説か擬制説かというようなことから始まって、大変根本的な問題がそこに横たわっているわけでございますけれども、そういうものの一つの問題点としてありますのは、借入金に対する支払い利子と株主に対する配当、これが法人税法上、片方は損金に扱われる、片方は利益の処分として課税後に配当が行われるというようなことが問題とされることもございまして、これはある意味で配当が借入金の利子に対して差別待遇を受けている、こういうようなことも実は法人段階でも存在するということを指摘させていただきたいと思うのでございます。

 そして、配当を受けあるいは利子を受け取った個人の所得としての課税については、今先生御指摘のようなことが行われているわけでございますけれども、これについてどう考えるかということでございますが、実は、日本の税制というのは専ら総合課税を志向して、分離課税の今位置づけを受けているものについては、本来はそうであるべきでない形、いわば暫定的な形なんだというような議論が専らでございます。

 しかし、私、この前もちょっと御指摘させていただいたのですけれども、最近の税理論の学者さんの中には、効率性、公平性というような、効率性の議論から、実は、利子だとか配当だとかという資本あるいは資産性の所得と、通常の給与所得のような労働所得というかそういうものについては、それを合算してしまってそれに一律の累進税率を適用するということが本当に正しいのだろうか、非常に疑問がある。労働性の所得というのは、むしろ弾力性が低いというか、そこに課税がなされても、来年もうしゃくにさわるから働かないという選択はない。それに対して、利子だとか配当だとかは、課税が行われると、まあ非常にそのマイナス効果が影響して投資が少なくなるというような効果があるので、効率性の観点からいったらこれは分離して別の税率を適用すべきだというようなことがあるわけでございます。

 そういう意味で、分離課税というのにも十分な根拠が最近はあるとされ始めたということ、そういうことの中で、利子、配当についてはやはり分離課税ということ、それは源泉分離でなくても、配当の場合には調整が要りますから、後で御議論になられると思うのですが、申告分離だとは思うのですけれども、いずれにせよ、これは他の労働所得と合算して総合だというようなことが正しい税制のあり方だという考え方は、もう一度見直されてしかるべきだというように私は考えております。

鈴木(淑)委員 柳澤大臣、大変踏み込んだ発言をしていただきましてありがとうございました。実は後で質問しようと思っていたところまでお話しになっておられますが、最適課税理論ですね、最適課税理論による類別所得課税の方が総合所得課税より合理性ありという議論、それは後で議論させていただきます。

 最初の点ですが、利子所得課税と配当課税の間にバランスがとれていないのじゃないかという議論、これは、所得を得る人の段階の利子課税と配当課税について、利子課税は源泉分離二〇%ですが、配当課税の場合は十万円を超えますとそうはいかなくなってきまして、源泉分離を選択すると三五%もかけられてしまう。そうじゃなくて総合課税の方へ行こうということになりますと、これは所得水準によって大変高い税率になってきます。配当控除を考えても、なおかつそうなってまいります。

 それからさらに、柳澤大臣がおっしゃいましたように、配当というのはそもそも法人課税と所得課税と二重になっているじゃないか、配当二重課税の問題。ヨーロッパのようにこれをインピュートして、インピュテーションをやった方が公平じゃないかという議論もあります。

 そこで宮澤大臣にお伺いいたしますが、今の二点、税制上二つの点で、株式保有あるいは個人の株式投資の方が、預金とか債券という利付金融資産に対する投資より不利になっているのじゃないかという議論について、大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。

宮澤国務大臣 最後におっしゃいましたことは、株式の譲渡益課税と利付債券についての……

鈴木(淑)委員 譲渡益課税ではございません。配当所得と利子所得の間に税法上不均衡があると言っているのです。譲渡益課税の話はまた後でいたします。

宮澤国務大臣 わかりました。

 私は余り税の理論を実は存じませんで、教わっていることを申し上げるようなことになりますけれども、一般的に、利子というのは大量に発生いたしますし、国民の大多数が預貯金を持っておりますから、そういう意味で商品間の代替も可能であることから、ある意味で源泉分離課税がやりやすい。それについて、配当については、説明によりますと、配当権の行使を伴う事業参加的な所得の性格を有するというのです、まあ大量の配当だったらそうでございましょう。そこで、そのまた発生も、利子のように自動的に反復的に発生するのではなくて、法人の事業のできや何かによって配分額が異なる。そういう意味で総合課税を基本とするのだということを聞いております。

 個人の株主というのは七百万人ぐらいだそうでございますので、その点も預貯金の所有者とは異なる。これが扱いを異にするゆえんだというふうに説明を私は聞いておるのでございます。

 しかし、おっしゃいますように、その配当金額もそういう事業参加的な性格を有しないものと申しますのでしょうか、五万円ぐらいのものは二〇%の源泉徴収でいいじゃないか、ここのところは一緒になっているんだ、こういうふうに私は聞いておるのでございます。

鈴木(淑)委員 これまでの大蔵省時代の説明が、ああそうであったというふうに思います。

 しかし、いかがでしょうか。日本は今や千三百兆以上のグロスの個人の金融資産があるわけですが、その中で株式保有のウエートが非常に低い。その理由の一つとして、どうも利付金融資産保有に比べて株式保有が不利になっているじゃないかという指摘なんですね。

 それに対する説明は、まさに今宮澤大臣がおっしゃったように、一回五万円あるいは年間十万円の配当を得られるというのは非常に事業参加的性格の強い株式保有だ、こういうわけですが、これは、昔々のお話ならともかく、現代において、ここまで国民の所得水準が上がり、資産の蓄積が上がってきますと、一回五万円あるいは年間十万円以上の配当を得るような株式保有なんて簡単にできます。割と配当性向の高い電力株をちょっとお考えになると、五百万も買えば十万円を超えちゃうんですよ。ですから、大変古い考えだと私は思います。年間で受け取る配当が、一回五万円、年間十万円を超えたら事業性の保有だなんて、そんな古い定義はもうおやめなさいと言いたいわけです。そうではなくて、やはり株式投資をする層というのは、資産を相当蓄積している高齢者とかあるいは所得水準の高い人です。だけれども、その人たちが自分の貯蓄を株式という形で長期保有するより利子つき金融資産で長期保有した方が税法上有利だ、こういう形はおやめなさいということなんでございます。

 それからもう一つ。株式というと、揚げ足をとるわけじゃございませんが、私は配当のことをお伺いしているのに譲渡所得とお間違えになったぐらい、税当局が、株に対する税制というと譲渡所得、譲渡所得というふうになるんですね。長期保有の配当の方に目が行かないで譲渡所得へ行く、つまり短期の売買による譲渡益に対してどうやって課税するかという方にばかり頭が行くんですが、これもまた、いいかげんに頭を改めていただけないものか。つまり、個人の家計の貯蓄金の長期保有の一形態として株式を持つというのは、もう欧米では当たり前のことで、日本では余りにもおくれている。その一つの原因に、短期の転がしみたいなものを前提にして税制をつくっているからだというふうに私は思います。

 その二点を、ぜひ考え方を改めていただきたいんですが、二番目の点に関連して、さっき出てきた譲渡益課税でございます。

 このたびは、現在のやり方を延期しちゃったわけですから、将来のビジョンとして、正しいあり方として、今の源泉分離の選択課税を続けるのがいいのか、それとも申告分離課税に一本化していくのがいいのか、それとも総合所得課税に持っていっちゃうのがいいのか、三つ選択があると思うんですね。先ほど柳澤大臣のおっしゃった最近の経済学における最適課税理論からいえば、所得の類別に課税していく、この考え方からいわば申告分離課税に一本化してしまえという話になってきちゃう。総合課税に持っていく必要はないねという話になりますね。現在が一番あいまいなやり方をしています。現在のあいまいなやり方を続けるのがいいのか、それとも、総合課税あるいは所得の類別の課税、どっちかにいった方が正しい、本来あるべき姿だ、こういう議論をもう将来を展望してやらなきゃいけない時期だというふうに思います。

 柳澤大臣は、さっきの最適課税理論を引用されたことから拝察して、これは所得類別に分離課税をしていっても効率性及び公平性の観点から合理性ありというお考えのようでございますので、そうだとすれば、株式の譲渡益課税に対する将来のあり方としては、やはり申告分離課税、類別の課税に一本化していく方向がいいんじゃないかということでしょうか。しかも、その場合、他の利付金融資産とバランスをとっていかなきゃいけないと思うんですね。同じ税率じゃなきゃいけないと思いますが、そういうお考えでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、平成十三年度税制改正に対する金融庁の課税当局に対する、税制当局に対する要望、そこに考え方が既に表現されていると思いますが、今鈴木委員が御指摘になられましたように、私は、最適課税の理論からいって、余り考えないで総合課税、所得を合算、総合しまして、それに累進税率を当てはめるのが何でもかんでもいいんだというようなことではなくて、課税が実際経済に対してどういう影響をもたらすかというようなことについて、やはり相当の分析というか、そういうものの上に立った税制ということを考えてもらいたい。特に最近の直接金融がいいか間接金融がいいかということに照らして、私はそのように強く要望をしたいというふうに考えたわけでございます。そういう意味合いで、私は、申告分離課税ということにしてもらいたい。

 ただ、申告分離課税というふうに申し上げるわけですけれども、株式の保有期間が一年弱で、はっきり言うと、売ったり買ったり、売ったり買ったりしているデートレーダーみたいな人にとっては、これはキャピタルゲイン課税として考えるべきなのか、もうインカムの税制として、そういう事業をある種やっているような税制として考えるべきかというところは私はあろうかと思うわけであります。キャピタルゲイン課税というふうに本来とらえるべきなのは、やはり長期の保有株式、有価証券のキャピタルゲインの場合に限ってよろしいんではないかというように考えておりまして、そういう考え方から我々の金融庁の要望もつくらせていただいたわけでございます。

 そして、キャピタルゲイン課税が行われたときには、今度はこれは他の所得との合算ということは、これは仮に損益の通算というんですか、そういうことはやはり遠慮すべきであって、私は、損が出たときには次年度以降に繰り越させていただくということがやはりとられるべき課税の方式ではないか、こういうふうに考えるのが一つ。

 それからもう一つは、税率がいかにあるべきか、これは非常に私は悩ましい問題だと思います。率直に言って、昔から、インカムに対する課税とゲインに対する課税というのは本来違う、そういう哲学に立っているヨーロッパ諸国の課税方式もありまして、ドイツあたりでは、ゲインに対しての課税というのは、本来そんなものは、大体ゲインというのはインフレが多い。そうすると、本当に実質価値が同じものを考えるんだったら、そこへ税金を取っちゃったら実質価値の維持ができないじゃないか。それは資本に対する課税、元手に対する課税と同じじゃないかというような考え方で、実はゲインに対する課税についてはしない、非課税である、こういうような立場をとっているところもあるわけであります。

 私は、それが絶対正しいとまでここで言うつもりはありませんけれども、しかし、今直接金融というものがやせ細って、そして個人投資家がすっかり衰退してしまったものをもう一回本来の姿に回復するということを考える場合には、非課税とまでは言わないまでも、税率は極力低くしていただけたらいかがだろうか、こういう考え方を持っているわけでございます。

鈴木(淑)委員 柳澤大臣の考え方は非常に私の考え方に近うございまして、やはり最適課税理論の立場に立って考えるべきだと私も思っておりますから、一定期間以上保有した場合は申告分離課税でいく、ただし、その場合に、益と損の調整はこれはちょっとまずいので、それはほかの利付金融資産との均衡という観点からも出てくると思いますから、そういう考えは私は大いに賛成でございます。

 よく、納税番号の議論をするときに、納税番号制を入れたら即総合課税に行くんだというふうに、もう当然のように直結させる人がいるんですが、私は必ずしもそう思っておりませんで、納税番号を入れるということは、税源をしっかり把握する、公平に税源を把握する、所得を捕捉する、そのための手段であって、捕捉した後は当然総合課税がベストだというのは違うんじゃないの、最適課税理論を勉強してごらんなさい、こういう感じなんでございます。

 御担当の宮澤大臣に同じことを伺うのでございますが、今のような選択制、とりあえず二年続けるわけでございますが、将来のあり方として、やはりこういうあいまいではあるが便法、これを続けるのがいいとお思いか、あるいは、類別の所得課税で行くという意味で申告分離課税に一本化していくのがいいのか、それともやはり総合課税がいいのか、宮澤大臣御自身はどういうふうにお考えでございましょうか。

宮澤国務大臣 さっきも申し上げましたように、私は税のこと、決して詳しくないので、ちゃんとお答えできないかもしれませんが、私も、若いときといいますか、戦後間もなくでございますかしらん、総合課税というものが大変にいいことなんだ、これはアメリカ軍が入ってきたときにそういうことを教えたのかもしれませんけれども、そういうふうにいっとき教わってまいりました。

 しかし、それは、ちゃんとやるのには納税番号が要る要らないといったような議論がまたあったりして、このごろは必ずしも総合課税がこれは一番いいんだというふうには専門家の諸君は考えていないのかもしれません。

 殊に、今のキャピタルゲインのようなものになりますと、利子とか配当とかいうのはもう発生時期が決まっているわけでございますが、キャピタルゲインはその発生が、何と申しますか、あらかじめ決められていないので、偶発的に発生するわけでございますから、そういう二つの種類のインカムが、同じ性格のもので同じに総合されていいかどうかというのは、きっと専門家の間にも議論があるんではないかと思っております。

 そこで、しかし現実の問題としまして、今回、源泉分離課税制度を引き続き二年間延長をするということをお願いしておるわけですが、そのキャピタルゲインそのものについては、これは戦後いろいろな変遷がありましたことを私自身も記憶しております。

 殊に、証券民主化というような運動が、戦後、財閥解体の後起こったようなこともあって、なるべく証券というものを国民のみんなに持ってもらいたい。それはもうかるよということでなければいけないわけでございますし、かたがた、ここは税からいえば邪道でございますけれども、余りつっつかれたくない。源泉であればそこの問題は片づくものですから、何となくそっちの方へ置いておきたいという、これは税務当局としては決して好ましいとは考えていなかったんだと思いますけれども、証券行政みたいなものが入ってきて、国民にもっと株を持ってもらいたい、そのためにはもうけてもらいたい、そのためには税金もどこからそのお金が出ましたとか幾らとかおっしゃらないで、とにかくなるべく穏便に払わせてくれといったような、ちょっと表現が悪うございますが、そういう流れがあったりいろいろにしまして、それで、十三年四月からやろうとしておりました今度のことでございますが、これも正直を言って、経済状況もあり、株式市況のこともあり、政府の税制調査会もこの際二年ぐらい延ばさせていただくかというような意見になった、こういうことでございますけれども、これなんかも、本当の税本体で物を考える人たちからいえば、きっとこの二年延ばすというのは余り気乗りがしたことではなかったんだろうと私は思っています。

 早くその姿に行きたかったということなんでございましょうから、本来なら、源泉分離じゃなくて申告分離課税にするというのが、まあ長い間いろいろ議論がありましたが、それが税としては一つの決着なんではないかな。私もそれ以上のことをちょっと自分で十分考えるだけの知識がないものでございますから、今そう思っております。

鈴木(淑)委員 オーソリティーの宮澤大先輩が大変謙遜して言っておられますが、私は今のお言葉を聞いて、財務大臣、金融担当大臣、おそろいで将来の方向として、今までのように何となく利益あるいは資産保有を隠しちゃうための源泉分離ではなくて、きちっと申告した分離課税、所得類別の分離課税、こういう方向にお二方のお考えが向いているということを知って、大変うれしく思います。

 最初にも言いましたように、今株価が大変下がっておりまして、私の見るところ、一万二千円台というのはまさに危険なゾーンでございまして、ここを突破されたら本当に三月期決算大変なことになるなと思って、はらはらして見ております。

 こういう情勢なものですから、自民党さんの中にも、私存じ上げている方は大勢いらっしゃいますものですから、何か知恵はないかなみたいなことがよくございます。そのときに、私いつも申し上げるんですが、やはりオーソドックスな税制のところで株式保有が不利になっている、そこを直してあげる、あるいは将来、株式の譲渡益課税というのはこうなるんだというのをはっきりさせてあげる、そのことが大事なんじゃないでしょうかといつもお答えしております。

 今問題にいたしました、配当所得に対する課税を利子所得と等しくしてあげなきゃいけないじゃないか、あるいは二重課税と言われている部分についてはインピュテーションの方式をもう少し真剣に考えて、その導入は日本で行えないものだろうか、そしてさらに譲渡益課税については、今とりあえず二年延期しちゃったんですが、将来の方向は総合所得じゃないよ、所得水準の高い人は総合所得を怖がっているわけですね。そうじゃない、類別課税でいくよということをはっきりさせてあげれば、この三つの税制の改正、ないしはその方針の明確化だけでも、私は、今まで打ち出された株価対策と称するものよりはるかに有効ではないかと思っておりますよ。これは、私も大勢株式関係者の友人がおりますから、自信を持って申し上げますが、よっぽど有効だと思いますね。ぜひとも真剣にお考えいただきたいと思います。

 自民党さんは税制調査会という大変権威のある機関がございまして、その税制調査会が一年に一回しか税制改正のことをお考えにならないという慣行があるらしゅうございますが、今みたいに危機的状況になっているときにそんなことはおっしゃらずに、今言った三点の税制改正の方針ぐらい自民党さん打ち出せなきゃ、もう政府主導ででも打ち出していただきたい。そうすれば、私ども野党の立場でありますけれども、今の三点の税制改正の方向なら賛成いたしますよ。ですから、ぜひ真剣にお考えいただきたいというふうに思います。

 それで、総合課税に持っていった方がいいんだ、例えば海外では総合課税の国が多いよとかいう議論、時々耳にするわけでございますけれども、しかし、総合課税に金融関係の所得を入れてしまう場合には、今の日本のように、限界的な所得課税の税率が住民税込みで五〇%というほど高いと、これは所得水準によって全然税引き後の利率が違ってきちゃうものですから、まさに最適課税理論からいうと逃げ出しちゃいます、これは。

 だから、総合課税をにらむ議論をされる方、あるいは、総合課税に持っていくかどうかに関係なく我が自由党は、もっと日本の所得課税というものを、簡素で、薄く広くみんなが納めるような低い税率のもの、したがって一番高い限界税率ももっと下げちゃう、そういう簡素化と税率の引き下げを早くやるべきだという主張をしております。そうしませんことには、総合課税にしたときの捕捉率の低下というのは物すごく大きなことになっちゃって、私は総合課税反対ですよ、だけれども総合課税へ持っていきたいという議論をされるなら、これは所得課税をもっと簡素化して税率を下げるべきだと思っております。

 私ども自由党が常日ごろ主張しておりますのは、今の所得課税は控除の種類が多過ぎる。実にさまざまの控除があります。申告納税するときに、税務署から送ってきたものを見ると、初めての人はまず気が遠くなっちゃう。これは自分で計算できないと思います。それぐらい複雑怪奇に控除があります。所得控除あり、税額控除あり、それが組み合わさっているんです。数式を立てて計算してみないと、その影響というのはわからないような仕掛けになっていますね。

 私は、これはよくない。やはり納税についての義務の意識、それから自分が納めた税金の使い道を監視するという権利の意識、国民の納税をめぐる権利と義務の両方を高めるためには、私は、わかりやすい所得税制にして、自分で計算して申告できる、だれでも申告できるような、そういう税制にしなければいけないと思っております。自由党もそういう主張をしております。そのためには、やはり諸控除を原則的に整理してしまう。しかし、諸控除を整理すれば、これは課税最低限がどんと下がってきますね。そのときに、税率そのものも下げていく。だから、薄く広い税率にする、税率の刻みももう少し簡素にしていく、それが簡素で税率の低い所得課税という私どもの所得税制の改革論でございます。

 これはまさに税制そのものでございますので財務大臣にお伺いしたいと思いますが、諸控除というのは、申すまでもなくある程度所得水準が高くないと、税金を納めていないとこの恩恵に浴せないわけですね。税額控除というのは、税金を納めているから税額控除の意味が出てくる。だけれども、諸控除は整理しちゃって政策目的からいって本当に必要なものであれば手当で出すという方が、よっぽど政策のターゲットの人のところへ恩恵が回っていきます。他方、諸控除を整理しているんですから、簡素化してわかりやすくなる、税率も下げられるというふうになると思うんですが、こういう我が自由党の考え方について、宮澤大臣はどのようにお考えでございましょうか。

宮澤国務大臣 これも私、十分な知識がなくてお答えをいたすわけですけれども、例えば公明党では、児童手当というものは、控除という形でなく歳出という形でする方がいいということをおっしゃる方が多うございますし、諸外国の中でも、児童手当は、歳出で行っているところと歳入といいますか税制で行っているところと両方あるようでございます。また、両方チャンポンにしているところもあるようでございます。

 この問題は、私どもの専門家諸君の議論を聞いていますと、その控除はそれでいいかもしれませんが、しかし、例えば扶養控除の中でも、年齢、家族の構成であるとか、あるいはいわゆる担税力の問題とか、そういったようなものが実態にはあって、そういうものを考慮するという形で控除が意味を持っている。ですから、そういう諸君は、控除というのは税率なり税率構造をつくりますときに担税力との関係あるいは家族構成等との関係で不可欠に近い要素だ、こういうふうに考えているように私には話をしてくれるわけでございます。

 例えば今、公明党は、いっとき、児童手当については、全部手当に振りかえた場合の所要経費は二兆円ぐらいになるかと言っておられたことがございますが、その話は、与党との間でまだ一種の打ちかけになっているようなことでございます。したがって、それは宿題として私どももらっておるわけですが、ただ、将来、税制改正、所得税改正を抜本的にいたしますときに、本当に控除というものを一切やめてしまうかという発想には、私どもの方の伝統的な税金の専門家の諸君は、ちょっととても考えにくいというふうに思っているように私は聞いております。

鈴木(淑)委員 今お話に出ました公明党さんの児童手当の話でございますけれども、私ども、これに反対した理由は、諸控除を整理して簡素な、そして税率の低い税体系へ持っていくということをしないで、複雑怪奇な今の税制のままでただ手当だけ上げていこうということに反対をしたのでございます。

 諸控除を整理する方向でみんなで議論しながら、しかし子育て支援等々の政策目的はしっかり達せられるように手当を入れていく。そうすれば、所得控除方式でやっていたやり方よりも手当でやっていった方が、恐らく間違いなく対象となる人たちに恩恵が行きますから、そこを総合的に議論するのであれば、私どもも同じ土俵で議論できるのになという考えでございます。

 ぜひ、所得課税について簡素で税率の低い制度へ持っていくというこの将来展望、ビジョンについても、宮澤大臣に前向きに御検討をいただきたいと思います。

 先ほどから出ていることで、もう一つ宮澤大臣のお返事をはっきりいただいておりませんでしたのは、インピュテーションなんです、配当二重課税に関連した。ちょっと行ったり来たりしちゃうんですが、インピュテーションについては財務大臣としてどうお考えでございますか。

宮澤国務大臣 これはもう柳澤大臣に実はかわりたいんで、法人と個人なんて話になりますと、とても私の知識に負えないんでございますけれども、法人が実在するとかしないとかいういろいろな難しい議論があって、結局我が国はああいう形での調節をやっているわけですけれども、それは精緻なインピュテーションというわけではございません。事実上の、一種の現実の処理としてやっておるんだろうと思っていまして、これはいいかどうか、ちょっと私自身ちゃんとお答えをできます自信がございませんので、ちょっとやってください。

鈴木(淑)委員 御謙遜でございますので、柳澤大臣どうぞ、インピュテーションの導入について。

柳澤国務大臣 インピュテーションは、私がまだ役所の方にいたときにインピュテーションの話が出始めたころで、これはもう本当に、法人擬制説に立ちまして、法人税というのは所得税の前払いである、したがって、所得税段階で配当に課税するんであれば、その先取りされた法人税部分はそこから控除されるべきである、こういう話であったというふうに理解をいたしております。

 これがどういう作用を果たすかということでございますけれども、これは配当を総合課税するときには、まさに二重課税の調整ということで、それが一定の控除云々というような話に結びつくわけです。けれども、先ほど来の、先生がいみじくも指摘された新しい理論、最適課税理論というらしいんですけれども、そういうようなもので分離課税をするということになると、それは控除をするということも観念的にはもちろん成り立ち得て、うんとそこは議論がなされ得る問題ですけれども、そんなものはもう税率で処理しちゃえば足りるじゃないかというような話も、あるいはあるかもしれないなという感じも率直に言っていたします。

 いずれにせよ、インピュテーション方式という格好で厳密な二重課税の調整をするといっても、それはどうも話を聞いていると、留保金の部分までは調整をしないわけでして、部分的二重課税調整論でしかインピュテーション理論といえどもあり得ないということのようでございます。

 ですから、部分的な調整論であれば、今日本でやっているのも部分的調整論で、そこにどれだけの議論の違いがあり得るかというような話になるというふうにも考えておりまして、インピュテーション理論というような形で事務にすごいロードを課するのがどうなのか。ドイツなども、そのあたりのことを考えたのかどうか、とにかく最近はインピュテーション理論を放棄しまして、要するに、配当の二分の一控除ということでインピュテーション方式における控除にかえてしまうというようなことが行われているようですので、ここのところは、私は、大議論をしても余り実益というか、課税の方式を考えるときにはそういうことを頭に置かなきゃいけませんけれども、どうなのかなという感じがします。

 もうちょっと申しますと、法人税は転嫁するかという議論もしょっちゅう我々しました。利益がある限り転嫁しているんだというように見るべきだと、転嫁論というのを始めますと、もうエンドレスでございます。そんなこともありまして、正直言って私、要すれば、インピュテーションの議論をそんなに厳格にやる実益がどれだけあるだろうかという気がいたしております。

鈴木(淑)委員 おっしゃるとおり、法人擬制説とかそういう哲学論争をしてみたり、あるいは転嫁しているかどうかという議論をしたりすると、これは泥沼に入りますね。もう少し私は実際的な観点から考えているんでございます。

 それは、やはり企業が資金調達するときに、増資よりも借り入れ、社債発行の方が有利だというのはいかがなものかな。それから、個人が株式で自分の貯蓄を長期保有しようとしたときに、これは二重課税になっているとかいう議論を聞いて、それが阻害要因になっていたらちょっとまずいねとか、そういう実際的なアプローチでございますから、えいやと、二分の一でも、やった方がやらないよりましじゃないかということなんでございます。そういう意味で、さっき、三つの税制改正の方向をぼんと打ち出すだけでも株価対策としては今までのよりもはるかに有効と申し上げたわけでございます。

 最後に、河村提出者、急遽お越しいただきましてありがとうございます。

 私は、河村さんと新進党で御一緒しておりましたときから、NPO税制について一緒に議論してきております。したがいまして、今度野党三党が出してきましたNPO法案の考え方は十分理解すると同時に、賛成なんでございます。

 よく河村提出者がおっしゃいますように、国民は、自分の税金の使い道を国に任せるか、あるいは自分で指定するか、これはそういう問題ですよと。NPOに寄附したら国への税金から控除してもらえるというのはそういう思想が背景にあるというのも、私は、民主主義のあり方として、それから個人の自立の問題からいっても、よく理解できるところでございます。

 したがって、政府の今出ております租特法改正案ですと、大分この恩恵に浴するNPOの対象は絞られる、それに対して野党案だともう少し広いという意味で賛成なんでございますが、たった一点、あの案に反対のところがございます。

 それは、そういう適格NPOの判定を三条機関をつくってやるというところですね、行政法上の三条機関をつくってやる。第三者機関というと何か格好いいんですが、これは要するに三条機関をつくってやるということのようでございます。

 私は、三条機関というあの思想は、戦後木に竹を接ぐようにアメリカから持ち込まれたけれども、日本ではうまく機能していないと思っております。ついこの間は金融再生委員会がございましたし、それ以外にも、公安委員会にいろいろな批判が集中しているということもある。責任の所在がはっきりしてこない、それから本当にいい人材をちゃんと集められるのかねという問題があります。本当に自分が政権をとった、政権党という立場で考えると、あの法案、第三者機関をつくれと言われたときに、はたと、これは本当にこんなことしていいかなというふうに考えざるを得ません。それで私どもは共同提案に乗っていないわけでございます。

 この点は、河村提出者はどうお考えでございましょうか。それ以外のところは賛成でございますから、それはおっしゃらなくていいです。

河村(た)議員 お答えを申し上げます。

 本当に世の中、正直に言っていいかどうかわかりませんが、鈴木博士、ずっと一緒に新進党で、反対に教えていただいたこともたくさんある方でございますので、この際正直に言いますが、一応私は、実は反対です。ですが、一応党として法案を出しますので、そういうことでは悪いことではない。

 きのうもちょっと言いましたように、三つの議論がございまして、こんなところは正直に国税がやったらどうだというのが一つ。それからもう一つは、都道府県で、これはちょっと違和感を感じられるかわかりませんけれども、新進党の提案は知事でした。今でも特増が、現にすごい数、知事がやっているんですよ、特増の場合。この方が実は、それは役人のようですけれども、知事には議会もありますし、それから選挙もあります。そういうことで、変なことをやったら監視が行くから国税よりいいじゃないかという考え。そして第三者機関の提案もあったんですけれども、弱かったですね。だけれども、今回いろいろな議論があって、わずか一票差ほどでございますので、ぜひ。またここは、特に自由党さんが一緒に新たな、政権奪取すると思いますけれども、その中に入っていただければ、十分そちらの方が説得力ができると思いますので、変えることはできると思います。

 第三者機関は、いいようですけれども、どうもイギリスのチャリティーコミッションの話も聞いておりますと、何かわざと自分たちの仕事をつくるんですよ、あれ。それで、役所でもない、民間でもないということですから、かえって民間の領域に入っていっちゃって、余分なことまでその第三者機関がやるようになる。

 変な言い方をしますと、本当は民間の評価機関がやらないかぬですね。アメリカなんか見ていると特にそうです。この団体はどうかということで、要するに星が一つ二つとか、いろいろやるわけですよ。これは民間でみんなやるんですけれども、そういうことまでやってしまうということ。

 それからまた、じゃ実際にそのメンバーは何かいといったら、役人ばっかりになっちゃうんですね、これ。イメージとしては、それじゃ日本で例えば厚生省が、何か第三者機関みたいなのをつくって、レストラン、焼き鳥屋に一つ星、二つ星とか、こんな評価つけたらどういう気がしますかね。

 そんなようなことになってしまいますので、私は、どちらかというと行政改革に反するのではないかということがありますので、これは一緒にまたやって、なるべくスリムな格好で、できれば民間の評価機関にすべて、すべてというか、一応ベーシックなスクリーニングだけは国税なり、あるいは都道府県知事というのはおもしろい仕組みですけれども、そういうようなところがやって、あとは民間の評価機関がどんどんやっていく。そういうシステムを自由党の方からも強く言っていただければ、みんなで直せるのではないか。

 わずか本当にちょこっとだけの差でございましたので、こういうことを余り言っていいかどうか知りませんけれども、あえて正直に言うのも、これも一つの議会のあり方ではないか。僕は、もっと根本的に自民党のはだめですから、与党案が。根本的に特定公益増進法人に対抗するという意味ではこちらの野党案の方がはるかにすばらしい案ですので、そこらにぜひ御注目をいただきまして、御理解をいただければというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

鈴木(淑)委員 大変率直にお話をいただきまして、ありがとうございました。

 政治家河村個人は、私どもと同じように、第三者機関、三条機関としてつくることに疑問を感じているということでございましたので、どうぞ党内でいじめられないように御注意いただきたいと思いますが、野党としては、それを伺って大変力強く感じた次第でございます。

 長々と質疑をさせていただきましたが、私はきょう、宮澤財務大臣、柳澤金融担当大臣のお話を伺って、少なくとも二つのことを大変重要な御発言をいただいたというふうに思っています。

 一つは、お二方とも、株式の譲渡益課税についての将来の方向としては、申告の分離課税を見ている。最適課税理論に裏づけられた所得類別の課税制度の一環ということを頭に置いている。柳澤大臣ははっきり頭に置いておられる、宮澤大臣はそれにかなり理解を示されたと思いますが、このことは私にとって大きな収穫であった、また、この委員会での議論としても一つの収穫だったように思います。

 それからもう一つは、私のお願いでございますが、さっき言った三点の税制改革をはっきりさせるだけでも、この危機的様相の株価対策になると私は信じております。ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 では、時間でございますので、これで終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。きょうは最初に、速水総裁に来ていただいておりますので、二つのことを伺っておきたいと思います。

 一つは、今回の追加利下げでどれぐらいの民間の資金需要が出ると思っておられるのか、大いに疑問なところもあります。今回の措置は、これにとどまらないで今後の金融の量的緩和、ひいてはインフレ政策への地ならしとも言えるものになるのではないか。この点について最初に伺っておきたいと思います。

速水参考人 お答えいたします。

 今回の公定歩合及び政策金利の引き下げでございますけれども、これは九日に、市場に流動性をさらに供給するという、ロンバート方式といったような新しい貸し出し方式をも含めて公定歩合も下げ、新しい三つの供給のルートを積極的に進めていくということを決めました。

 その後、公表された経済指標を見ますと、やはり輸出の減少傾向がはっきりしてきておりますし、生産の足踏み状態といったような数字も出てきましたし、設備投資の先行きについてもやや懸念される材料が出始めているように思いましたし、金融・資本市場、すなわち株価の低迷といったようなこともありまして、これらを踏まえて、景気の回復テンポは一段と鈍化している、先行き不透明感も強まっている、物価の方もやや弱含みで進んでいるといったようなことで、前回の措置に加えて、今度は政策金利すなわち翌日物無担保コールのレートを〇・一五にして、同時に、この間決めましたロンバート貸し付けが公定歩合を限度にしておりますので、どんなことが起こっても今度下げた〇・二五%という新しい公定歩合以上には上がらない。そこで、日銀にとにかく飛び込んで借りればいいんだということをきのうの決定会合で決めたわけでございます。やはり、景気が下向いていく可能性もあるし、今緩やかに上昇しているというところが変わってきては困るというふうに思いましたので、ああいう措置をとりました。

 これは、そういう金融政策も大事なのですけれども、私どもとしてはむしろ、日本経済が民間需要主導の自律的な回復軌道に乗ってほしい、今後とも機動的、弾力的な金融政策運営でそういったものをできるだけ支えていきたい。金融システムの問題についても、経済、産業面での構造改革が不可欠な条件である、日本銀行としてはそういった構造改革に向けた取り組みが一層速やかに進展するように強く期待しながら政策を決めたわけでございます。今度〇・一下げたからといいまして、どれだけ資金需要が起こるかということは、むしろ今申し上げた金融システムとか産業面での構造改革がどれぐらい進んでいくかということにかかっておるように思います。

 私どもとしては、インフレ政策はもちろんとりませんし、デフレでもインフレでもない物価政策、物価の安定をキープして生産性を上げ、経済が拡大していくことを期待しておるわけでございまして、次にどういう量的緩和をやるのかといったようなことは今考えておりません。

 お答えになっていたかどうかわかりませんけれども、今度の政策の目的と、私どもが今目標としておりますことを申し上げて、お答えにかえさせていただきます。

吉井委員 もう一言お聞きしておきたいと思うのですが、今回の公定歩合、短期金利の誘導目標、両引き下げとも民間銀行に対して利ざやを拡大させる優遇措置という面がありますが、これによって、庶民や中小企業への貸出金利や、庶民の住宅ローン金利の引き下げというのは、これまでからの民間銀行の姿勢から見て余り期待のできる話じゃない。一方、庶民の預貯金金利は一層引き下げられる可能性もあります。

 日銀は、今回の利下げの目的として、「金融面から景気回復を支援する」「民間需要主導の自律的な回復軌道に復することを目指し」、これは発表された文章を読みますとそうなっておりますが、こうした景気回復のかぎを握る一番今問題になっている家計消費、庶民の個人消費、あるいは中小企業の生産活動にプラスになるのかということを考えてみたときに、それはそうはならない。

 こういう点で、一体景気回復につながると考えていらっしゃるのかどうか、この点をもう一つ聞いておきたいと思います。

速水参考人 今回の〇・一%の引き下げで預金金利が下がっていくかどうかということも、私、これはそれぞれの金融機関が決めることであって、わかりませんが、そんなに下がることはないと思います。今おっしゃった住宅金融とかそういうものも、ある程度家計の債務の面では下がってプラスになる面もあるとも思います。

 今申し上げたように、この時期に政策金利と公定歩合をそれぞれ、わずかでございますけれども、〇・一%下げることを決断いたしましたのは、いろいろ先行きが不透明でございますし、アメリカの経済がどう動いていくのか、株価がどうなっていくのか、それから今よく議論されております金融機関の不良債権の直接償却といったようなことがどの程度のスピードで進んでいくのか、そういうことも先行きがまだ読めません。しかし、いずれにしても、そういうものがどう起こってきてもそれに耐えられるように金融政策を整えておいた方がいいという判断で、最近の少し暗くなりつつある日本の景気に対して金利の低下ということで、私どもの今やるべきことはこれだと思って決定した次第でございます。

吉井委員 民間銀行の利ざやの拡大につながる面はありますが、しかし、個人消費の拡大によって今日の景気を回復させていく方向に進む、そういう効果は余り期待できないというふうに今のお話を伺っておっても思いました。

 大変お忙しいところをお越しいただきましたけれども、この二つのことだけにしておきたいと思いますので、どうぞ御退席いただいて結構でございます。

 次に、私は消費税の問題について伺いたいと思いますが、これは財務大臣に伺います。消費税導入を議論したとき、あのとき竹下総理は九つの懸念ということ、最初六つで、プラス三つで九つの懸念ということを語られましたが、これは全部見ておりますととても時間がありませんので、最初の三つだけ伺っておきたいのです。

 第一の懸念というのは、逆進的な税体系となり所得再配分機能を弱めるという問題でした。この十二年間で、ジニ係数を見たときにこの懸念は的中しています。第二の懸念の、四、五十代の中堅所得者の税の不公平感を加重するという指摘でしたが、まさにそのとおり。第三の懸念として、所得のかからない人たちに過重な負担を強いるという懸念が語られておりましたが、まさにその指摘のとおりで、今所得の低い人たちは本当に悲鳴を上げるという状態になってきております。

 そこで私は、これは懸念と言われたことは的中していると思うのですが、宮澤大臣は、消費税導入論議のときのこの懸念が的中している、この点に関しては的中しているというふうにお考えでいらっしゃるかどうか、この点を最初に伺いたいと思います。

宮澤国務大臣 まず、消費税そのものが逆進的であるということ、それは累進的でございませんからそれを逆進的と言うことはできるのだと思います。ただ、税体系の中で消費税だけが無論あるわけではございません。所得課税、消費課税、いろいろな課税がございますから、それだけを一つとって、したがって全体として逆進的だということについては、私は、正確ではない。我が国のようにいろいろな税法の中で、課税の中で消費税というものがあるということ、そういうふうに考えますと、今行われている消費税が逆進的だと申すほどには当たらないのではないか。殊に税率相当からもそう思います。

 第二に言われましたことは、中堅所得の人に重荷になると……

吉井委員 不公平感を加重するというのがあのときの二つ目の懸念でしたね。四、五十代の中堅所得者には不公平感を加重する、そういう問題を持っているということがあのときの二つ目の懸念で挙げていらっしゃいましたけれども。

宮澤国務大臣 中堅所得者には消費税が不公平感を呼ぶ、こう言われる……(吉井委員「消費税が不公平感を加重する」と呼ぶ)それは、やはり所得課税が中堅所得層に対してどういうふうにあるかということとの関連でなければ議論できないのではないかと思いますし、殊に、そう高い消費税ではありません、今の程度のものでございますと、まあ非常な高額所得者に負担感がないということならともかく、ともかく中堅所得層と言われる人々にそんなに大きな負担があるということではないのではないかと思います。

 それから第三は、低所得者の負担増。これは低所得者の中で、殊に課税最低限以下の人々には負担になるねと言われますことは、それはそれとして事実であろう。非常に重い負担かどうかは別といたしまして、いずれにしても、低所得者にはこういう形での新しい負担がかかってくるということはそのとおりであろうと思います。

吉井委員 やはりこの消費税、当時の竹下総理の懸念ということで当初語られておりましたことが実態として進んできたということは、例えば八七年と九六年のジニ係数で見てみましても、ジニ係数が〇・四〇四九、これは当初所得に関してですが、それが〇・四四一二というふうに大きくなっている。これは、税による再配分所得、社会保障による再配分所得などで見ても大きくなっているのですね。ですから、この点では、消費税導入以降、ジニ係数から見る限りやはり所得再配分機能が弱くなってきているという動きがあるということは、一つの事実として、これは当時の懸念が当たっていったということを見ておかなければいけないと思います。

 それからもう一つ、財政規律ということを考えたときに、八九年から消費税が導入されたわけですが、八八年までの国債発行残高は百五十七兆円でしたが、八九年から〇一年までの九〇年代で三百八十九兆円へ二・五倍伸びているのですね。ですから、この点では、消費税を導入して、借金をしても最後は税率を上げれば何とかなるさという、財政規律が失われていったということは一つの事実として、実際に国債発行残高が急増していることなどに見ることができると思うのですが、この点は大臣も別段否定はされないと思うのですが、どうですか。

宮澤国務大臣 現象としてそういうことがあったといたしましても、その消費税との間の因果関係はちょっと私には何とも、必ずしも納得できません。

吉井委員 次に、消費税増税なしの今日の財政再建を進めていく、そういうお考えを持っていらっしゃるのか。とにかく今非常に大変な状況ですから、財政の立て直しの上では消費税の増税もあるんだというお考えなのか。この点も伺っておきたいと思います。

宮澤国務大臣 せんだって衆議院の予算委員会において御質問がありまして、たまたま質問者が先々消費税の税率等々を複数にすべきだという論者でいらっしゃって、その方が財政再建との関係でそういう議論を展開なさったものですから、私も、消費税そのもののお話と思いましてお答えをしておりますうちに、財政再建の方にちょっと話が引き込まれてしまったようなことになりましたので、それは私の真意ではございません、財政再建について今当面何も考えておりませんとお返事をいたしたわけでございます。

 ただいまもそのことを前提にしてお答えをいたしますが、今財政再建は具体的に考えてはおりません、必ず始めなければならない課題だとは思っておりますけれども。したがいまして、今具体的にお答えをすることができませんが、抽象的なお答えをいたしましたときには、財政再建ではいかなる歳出もいかなる歳入もいわば聖域はない、そういうことで取りかからなければならないだろうと思っております。

吉井委員 それで、先日来、この消費税の話になりますと、シミュレーションを今行っていて、その結果なども踏まえてというお話がずっとありますが、経済財政諮問会議が同会議の事務局と研究所に作成を求めている、いわばこれについてはシミュレーション待ち、こういうふうに見ておいていいのですか。

宮澤国務大臣 前にも申し上げましたように、財政再建といいましても、税制もございますし、中央、地方のこともございますし、なかんずく社会保障諸施策と密接に関係をいたしますから、どうしても、真剣に財政再建に取り組む際には、それらのものを全部サイマルテニアスに満足できるようなシミュレーションをしなければならない。また、それ以外に、これだけ大きな債務を抱えて諸制度の現状をそのままにして、あるいは将来を考えずにやるわけにはいかない。そう思いましたので、どうしてもシミュレーションをするためのマクロモデルをつくって、その上で、一つは例えば抽象的には負担と給付といったようなことでございますけれども、そういうもののおのおのの問題についての答えを、一義的にサイマルテニアスに政治としては選択をしなければならない、そう考えまして、マクロモデルの着手をお願いしたわけでございます。

 したがいまして、半年近く作業にかかるということを聞きましたので、それができましたら具体的な問題の検討に入らなければなりませんが、その前でも、例えば社会保障につきましては、三党間の社会保障関係協議会というのができまして、一応三月末ぐらいまでには従来懇談会の答申のありましたような方向を確認できるかどうかといったような作業は、既に出発をいたしております。

吉井委員 そうすると、そのシミュレーションに当たっている方たち、つまりどういう研究者、論者が、どういうスタンスの方がシミュレーションなさるかによってかなり内容が変わってまいりますが、伺っておきたいのですが、そのシミュレーションに当たる研究者の中で、消費税については現状維持とかあるいは消費税減税を考えているという研究者はいらっしゃるわけですか。

宮澤国務大臣 研究所の研究者としては、いわば中立的な立場でモデルをつくってくれるということでございますから、いるかいないか存じませんけれども、むしろ、そういうモデルができましたときに、モデルをどういうふうに動かすかについては、やはり経済財政諮問会議の議員たち、その人たちが動かすことを考えなければならないと思います。

吉井委員 そのときに、このシミュレーションをやっている経済社会総合研究所ですが、これは今内閣府にありますが、これまで経済企画庁のもとに置かれていたわけですね。その経済企画庁の方で昨年「財政赤字の経済分析 中長期的視点からの考察」というのをもう既に出しておりますが、まさにここが今度のシミュレーションをやるわけですが、それを見ておりますと、二〇〇三年度には二六%、二〇二七年には最高四五%の消費税率でないと日本の今日の財政は、深刻な財政危機の問題は解決できない、そういう試算などを行っているわけです。

 こういうスタンスでこの研究所の方たちがシミュレーションをなさるとなると、当然かなりの消費税税率引き上げという問題が出てこようかと思うのです。最終判断は経済財政諮問会議の議員でというお話でしたが、それにしても、当然そういう消費税のかなりの引き上げのシミュレーションが出てきたときには、それを念頭に置いての議論ということになるわけですね。

宮澤国務大臣 恐らく、まだこれからのことですが、消費税を上げるといったような、そういうシミュレーションまでいきなり出てくることは恐らくありませんで、全体として給付の水準と負担の水準といったようなものが出てくるのではないか。負担の水準は、申し上げるまでもなく保険料と税金でございますが、その負担の上限はどこまでが適当であるかというようなこと自身は、これは経済財政諮問会議の我々が、委員が決めなければならないことであって、さらにその負担をどういうふうに保険料、税、税の中でどういう税にと、割り当ては、その次の下部の作業になると思いますので、いきなり消費税がこれだけ必要だといったような答えが出てくる種類の作業ではなかろうと思います。

吉井委員 先ほどの研究所のレポートも、今おっしゃった、まさに社会保障に関する負担割合であるとか、そういったさまざまなケースを置いて、ケースごとに何%の消費税率引き上げ、それをみんな出しているわけです。ですから、当然の形にしても、そういう形での消費税のかなり大きな引き上げなしには今日の深刻な財政危機の立て直しはできない、そういう方向に行こうとしていることは、経企庁時代のレポート、シミュレーションを見る限りそういうことになってくると思うのです。

 あわせて、経済財政諮問会議の議員の中で、これはもちろん大臣クラスの方と先ほどの速水さんは別として、牛尾さんにしても奥田さんにしても、本間、吉川両教授にしても、例えば経済同友会の方では既に消費税率引き上げを考えていく必要があるという見解を発表していらっしゃったり、それから日経連の方では税制改正に関する要望の中でもそのことを触れておられたり、そういう団体からの御代表でもありますし、このほかに経団連の方は、別に提言で、五つのケースを想定して、そこで、あるケースでは二五・五%の消費税率とか、低いものでも一〇%台とか、さまざまなケースごとに出しておられます。

 つまり、この経済財政諮問会議の議員の中にも、本間さんにしても吉川さんにしても、消費税を複数税率化するためのインボイス方式の考えを述べておられたり、消費税率が有力な選択肢だというのが本間さんのお考えであったりとか、つまり経済財政諮問会議の議員の皆さんがみんな消費税増税のお考えというのでは、シミュレーションはこうだ、それを議論して出てくる答えは、やはり消費税の税率引き上げということになっていくのは自然な流れだと思うのです。

 私はそういうふうにこの諮問会議の議員の方の構成を見ておりまして思ったわけですが、この議員の方の中で、明確に消費税率は現状維持をするべきだというお考えの方、ないしは消費税率の引き下げを考えるべきだというお考えの方がもしいらっしゃれば、この機会に伺っておきたいと思います。

宮澤国務大臣 まだ一切こういう議論をいたしておりませんので、各委員がどのような御所見をお持ちかについて存じません。

 また、従来何かの御所見を発表されたお方がいらっしゃいますとしても、それをどのような連関において、つまり、社会保障にどのような給付を与える、与えない、地方、中央にどういう財源を与える、与えない、どのような連関においてそれをおっしゃいましたかが必ずしもいわゆる一定ではないでございましょうから、特に私はそれに、そういう方がおられましても、こだわってそのことを考えなければならないとは思いません。

吉井委員 シミュレーションをやるところが既にかなり高い率の消費税率引き上げというのをシミュレートしているところですし、そこから出てきたものに基づいて議論するこの諮問会議の議員の方たちもそういうお考えの方なのですから、これはかなり消費税率の引き上げという問題が具体化してこようという動きにあるというふうに思いますが、このシミュレーションの結果は、半年ほどというお話ですが、これは率直に申し上げまして、ことしの参議院選挙の前に出るのか出ないのか、どういうふうな見通しですか。

宮澤国務大臣 モデルをつくりますのにこれからほぼ半年かかるというふうに伺っておりますので、到底その選挙の時期以前にそういう議論を始めるわけにはまいらない、後になると思います。

吉井委員 私は、それは増税隠しということにならざるを得ないというふうに思いますよ。やはり参議院選挙の前にきちんとシミュレーションの結果も出して、そして、政府の方としては、経済財政諮問会議の議論の中で、財政再建を本当に見据えたときには消費税率は何年には何%に、何年には何%にするという考えなんだということで、これでもって国民に信を問うていく。国民的な判断も何もなしに、選挙が終わったら引き上げるというのは、やはり私は筋が違うというふうに思います。

 税経通信のことし二月号に、「平成十三年度税制改正をめぐって」という鼎談で、自民党税調会長の武藤嘉文氏は、消費税を二つに分けるべきだというお考え、それは福祉目的税と一般財源のための税、さらに、消費税を上げなければならないと思っているということを言っておられて、生鮮食料品等の生活必需物資は複数税率にして、間接税を中心としていく税体系が望ましいということをなかなか率直に語っておられます。

 宮澤大臣、先ほど予算委員会でのお話をされましたが、先日の田中眞紀子議員の質問に対する宮澤大臣の答弁と、この点では田中さんのお考えと大体同じスタンスで税調会長武藤さんがお話しだなというふうに見ておりましたが、やはり複数税率と消費税増税の考えというものを大臣自身は率直に言って持っていらっしゃるのじゃないか、この点を最後に伺っておきたいと思います。

宮澤国務大臣 実は、その種類の御質問を田中委員が財政再建との関連でなさいましたので、その部分、財政再建というのは私は今考えておりません、現実の話題ではございませんと申し上げましたが、しかし、その部分についてお答えをいたしましたために、その両方がやや混同された嫌いがございましたので、同じ過ちをいたしてはなりませんので、私は、財政再建というものとの関連でその話を議論したことは一遍もございません。また、今その段階でもございません。

 ただ、財政再建となれば、どのような歳入歳出ももう聖域というものは置けないだろうということだけは申し上げられますけれども、今消費税の問題をそのような具体的な形で考えてはおりません。

吉井委員 時間が参りましたのでもう締めくくりたいと思いますが、やはり、もともとここまで財政がひどくなったその出発には、消費税を導入して、どんなに借金したって最後は消費税があるさ、税率を引き上げれば何とかなるというこの発想が、私は、日本の国の財政規律というものを本当に失わしめて、今日ひどいことになってしまったというふうに思います。

 それをさらに、その解決を消費税率の引き上げで進めていくというのは、それは私は正しい方向じゃない、間違っていると思います。参議院選挙が済んだら消費税増税、そういうことではやはりだめなわけで、参議院選挙の前にきちんと、この財政再建のために消費税の税率引き上げを考えているのか、あるいは全く違う、消費税を引き上げないで解決をしようと考えているのか、やはり私は、そこのところをきちっと明確にするべきで、きょうのお話を伺っている限りは、これは参議院選挙が済んだら消費税税率引き上げ、それをお考えだなということを感じました。

 以上で、時間が参りましたので、質問を終わります。

宮澤国務大臣 ただいまそういうことを考えておりません。

吉井委員 終わります。

山口委員長 次に、植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 まず最初に、法人税法の一部改正案にかかわって、特に労働者の保護の観点からお伺いしたいと思います。

 商法の改正が昨年五月に成立いたしまして、それで会社分割法制が創設された、当然それを受けた今回の法改正であるということは理解しているわけですけれども、昨年のその商法改正の議論のときにも、会社分割に当たって大量に整理解雇が実施される懸念があるんやないかということがかなり大きな一つの争点になっていたと思います。会社分割が、言ってみれば人員削減の手段として使われる場合、そういうことが懸念されるのじゃないか、そういう意見がかなりあったと思うのです。

 昨年も、そういう意味では私どももその点についてはかなり関心を持っていましたので、かなりいろいろな答弁をとったわけですけれども、当時の法務大臣の答弁でいけば、会社分割の労働者の雇用への影響については、労働契約上の地位も、分割計画書等に記載することによりそのまま承継されることとされており、また、労働契約承継法案によって適切に労働者の保護が図られると期待できるので分割自体が雇用に悪影響を及ぼすものではないとか、現行の労働関係法規、雇用、解雇に関する判例法規などにより適切に対応し得るものだということは答弁としてありました。

 そしてまた、その経緯を受けて、衆参でも、会社分割を利用した整理解雇はあってはならない、そういう附帯決議もなされているところでございます。

 ただ、その意味で、今回の法人税法の一部改正案、企業組織再編成における譲渡損益の取り扱いに関して、適格合併もしくは適格分割に該当する再編成については譲渡損益の繰り延べを認めるとあるわけです。そして、ここで問題になってくるのが、適格であるか否かの要件として何点かあるわけですけれども、従業員の数において、おおむね百分の八十以上がその合併法人、分割法人の業務に従事することが見込まれていることというふうにされているわけです。

 ですから、この法律を素直に読みますと、八割の労働者を分割、合併に当たって承継すれば、会社分割、合併に対して税制上の優遇措置が受けられるように定められていると読めてしまうわけでございます。そうすると、言ってみれば、これまでの法務省の答弁なり、また、附帯決議の中身とも矛盾するのじゃないだろうかという疑問が出てきても、これは不自然ではないと思うのです。

 なぜなら、逆に法律を読めば、八割以上を承継すればええん違うか、あとの二割はリストラしても構わないのじゃないかという理解にやはりなりかねないと思うのですが、その点について、この適格合併そしてまた適格分割の要件について、何で百分の八十以上というふうに定めたのか、まずその根拠、理由は何なのかということをお伺いしたいのです。だったら百分の百とか百分の九十以上でも、労働者保護、雇用を守るという観点からすれば別に構わなかったのじゃないかと思うのですけれども、まずその点についてお伺いしたいと思います。

尾原政府参考人 ただいま委員からお尋ねがありましたとおり、今回の組織再編税制におきまして、適格の分割、適格の合併等に該当する要件を、御指摘のような要件を一つとしているわけでございます。これは、なぜそうかといいますと、今回の適格になるものは譲渡損益の計上が繰り延べられるわけでございまして、これは通常の資産の売買取引あるいは買収と一線を画する必要があるわけでございます。

 そう考えてみますと、他の要件も当然決めているわけでございますけれども、事業単位で移転するということを考えますと、従業員も移転していただく必要がある。ただ、御指摘がございましたが、一〇〇%引き続き業務に従事するということになりますと、分割なり合併の前後で、従業員御本人が労働契約の承継を望まない場合までこれが認められなくなるというようなこと、別途の問題が出てくるなということで八割にしてございます。

 なお、今回の改正では、合併も現物出資もあわせて体系の整備を行っておりますが、この八割の要件というのは合併や現物出資にも適用がございまして、これは今まで何の要件もなかったわけでございますから、そういう意味から考えますと、税法が、労働者保護という観点からの要件ではございませんけれども、結果的に労働者保護に資する面もあるのではないかというふうに思っております。

植田委員 といいましても、お話はわかるのですが、やはり素朴な話、百分の八十というふうに定めれば、会社分割、合併を契機に整理解雇というものを誘発、促進することになってしまう場合もあるとは思うのです。

 確かに、これまでの判例でいけば、会社分割のみを理由とした解雇というのは許されないということになっているわけですけれども、それは、そうおっしゃいますけれども、万が一そういう場合、例えば百人の会社を分割しました、四十人、四十人になりましたといったら、二十人はどこかに消えてしまうわけですね。会社側は、これは何も会社分割を理由にしているわけじゃないんですよと言っても、実際それは、そうかもしれないというケースだって出てくるわけですよね。

 だから、ほかにも要件はいろいろあるわけでございますから、なぜ百分の八十という要件を定めなければならない必然性があったのかというのがいま一つ私には、ちょっと理解に苦しむところなのです。もし要件をつくるのであれば、原則としてそこにいる従業員全員を承継する場合、としても、普通別に支障がないと思うのですけれども、それだったら支障があるのでしょうか。

尾原政府参考人 要件が幾つかございますが、単に主要な資産の移転というふうにいたしました場合には、事業単位、やはり従業員がないと事業が行えないわけでございますから、従業員についての何らかの要件がございませんと、単なる資産の売買と区別がつかなくなってまいります。

 それで、仮に一〇〇%とすればどうかというお話がございましたが、実は、通常の資産の売買とどう違うのかというメルクマールが今回の要件でございまして、それを見る場合、従業員御本人が労働契約の承継を望まない場合も現実にあるようでございます。そうなってまいりますと、通常の資産の売買との区別という意味では、おおむね八割以上というのが適切ではないかということでございまして、もとより、税制で二割の方を雇用の場から奪うようなことをしてくれと言うつもりは全くございません。資産の売買と、通常の取引とどこが違うかということを税務上見させていただくとき、おおむね八割以上あるかどうかということが一つの要件になっているということでございます。

植田委員 実際、分割したり合併したりするときに、それを機会にやめられる方もいらっしゃるかもしれない。だから、全員承継する場合ということになると大変ですねということもわかるのですが、そこはだから、原則としてそうだ、そういう場合はその原則に当たらないということで考えて問題ないと思うのですけれども、それはどうなんでしょうか。

 要するに、原則としては全員承継しなければいかぬけれども、自発的な意思でその機会に、私はもうやめますわという人も当然出てくるのでしょう。そのことを考えるならば、そういう場合はその限りでないということさえはっきりさせておけば問題ないのじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

尾原政府参考人 今、この八割という要件が従業員解雇の原因になりはしまいかということの御懸念のお話がございましたが、税法は、通常の売買と何が違うかということをある程度客観的に判定していく必要があるわけでございます。したがいまして、原則として一〇〇%ということになってまいりますと、個々のケースが非常にふえてまいりますし、先ほども申し上げましたように、通常の資産の売買取引と今回の適格分割、合併、どこが違うのかということを考えますと、何よりも従業員でございまして、それは、事業単位でやる場合一〇〇%でなくてもいい、それなら八割以上であろうということでこういう決め方をさせていただいているわけでございます。

 また、重ねて申し上げさせていただきますが、これまでの合併、現物出資にはこのような規定は全くなかったわけでございまして、そういう意味でも、今回の税制整備がリストラの手段を与えるようなことを、今先生のおっしゃられているような意味での、そういう観点からの法改正をお願いしているわけではないということが言えるのではないかと思います。

植田委員 もちろん私どもも、これは商法が改正されて、そうした制度が創設されて、当然ながら、それを個別法できちんきちんと手当てをしなければいかぬということは十分理解しているつもりなんです。

 しかもまた今回の中身が、何もリストラを目的にしてこういう改正が行われている、私はそういうことを言っているわけじゃなくて、この結果、場合によってそうした状況というものを誘発したり、そうしたものを促進する、そういう危険というものがあるのじゃないだろうかというところで懸念をやはり持つわけです。現実にそういう、特に中小の方々なりとかいろいろな企業で働く方々の中で、このことについてそういう心配というものをかなり持っておられる方々もたくさんいらっしゃいます。ですから、今後その辺が問題になってくる場合もやはり出てくるでしょうから、そのことも念頭に置いて、引き続きあれしていただきたいなというふうには思っています。

 ですから、このこと自体は私ども、反対はできないだろうと思うのです。ただ、そうした心配がある。その心配を払拭したいということでお伺いしているわけです。ただ、今のお話を伺う限りでは、まだ私としてはその心配をなかなか消すことはできないということは正直申し上げたいと思いますので、この前提となるところの商法の改正の議論の中で、この件について我が党の議員もやりとりしていると思います。そうした議事録も残っていますでしょうし、衆参でも附帯決議がちゃんとあるわけですので、そうしたこともきっちりと遵守して法の執行に当たっていただきたいということを強く要望したいと思います。

 そして、これは私の一つの意見でございますけれども、実際こういう心配が出てくるというのは、やはり高い失業率の中で、そしてまた、それに追い打ちをかけるようにリストラのあらしが現実に吹き荒れている。そして特に下請の、中小の整理淘汰がかなり進んでいるという、現場でのしんどい状況があることが念頭にあるということは理解していただけると思うわけですけれども、これは商法等ほかの法律とのかかわりもありますから、税制だけではどうにもならへんということを十分理解した上で、あくまで意見として申し上げまして、次の質問に移りたいのですけれども、ぜひ検討いただきたいという思いですね。

 といいますのは、現に、倒産して経営者が経営を放棄した企業や事業所の一部では、労働組合とか、そこで働いていた労働者の方々が自主生産、自主営業ということを行っている、そういう例も間々見られると思います。経営者サイドの場合は、商法改正によって、今回の会社分割、合併の制度が創設された、そしてまた産業再生法もある。そういう意味で、経営者サイドは強いし、強力な手段というものを手に入れているわけですけれども、やはり日本の場合、労働者の権利保護という点で非常に弱い点もあるわけで、特に、史上最悪の失業率というものが続いている、そういう中で、さっきも、せめて税制の中では整理解雇を誘引するような、誘発するような仕組みはやはり改めてほしいなという気持ちも申し上げたところなんですけれども、ここでちょっと踏み込んで、倒産の危機に瀕した事業所、企業などに対して従業員側が、経営者の側はいろいろな手当てが今回もうできましたし、産業再生法もある、従業員の側がイニシアチブを発揮する場合の、税制や財政でそれを支援する仕組みというものも知恵として考えていく必要があるんじゃないかということを申し上げたいのです。

 確かに、ドイツの共同決定制度とかとは違って、日本の場合の経営風土というのは、どうも会社一家的なところがあると思います。そういう意味では労使協調というのがかなり一般的なんですが、それもプラスとマイナスの面があるでしょうが、プラスの面にまなざしを向けるのであれば、例えば、倒産に瀕したような企業の従業員なりそこで働いていた人の何人か有志なりが、もとの経営者から売却などの形で事業を継承できるような制度、従業員買い取り制度みたいなシステムとか、それに対する税制上の優遇措置とか国庫なんかによる低利融資、また債務保証なんかの支援措置も、これからやはりこういう時代ですので検討していく必要があるんじゃないだろうかということを一つ意見として申し上げさせていただいて、そして次の質問の方に移らせていただきたいと思います。

 次に、租税特別措置法にかかわってですけれども、まずNPOの税制にかかわってお伺いしたいと思います。

 野党、民主、共産、社民で法人税法、地方税法の一部改正案をそれぞれ提案をしていて、私自身提出者の一人となっているわけでございます。先ほどの御質疑の中で、提案者の方からの率直な御発言も伺ったところですけれども、そのお話を伺って私がまた率直にお話を申し上げますと非常に不細工な話にもなってしまいますので、ただ一言申し上げれば、私も一年生議員でございますけれども、法案の提案者、賛同者になるということは、少なくともその法律の中身すべてに賛同している、理解を示していることが当然ながら前提になるんじゃないかということは、私、やはり申し上げたいと思います。

 その意味で、先ほども議論がありました、いわゆる認定権者が国税庁か第三者機関かという議論につきましては、私は、やはり第三者機関であるべきだという立場でまず御質問をしたいわけでございます。これは財務大臣にお伺いしたいわけですが。

 何で国税庁やのうて第三者機関かというのは、これはやはりNPOというものの持っている性格なり、また社会的な役割というものに根差していると思います。

 なぜここに至ってNPOというのがこれだけクローズアップされてくるかというと、政府や地方自治体の行政で、例えば教育や福祉や地域の町づくり、そうしたことが十分フォローできないような、また十分でき切れていない、それを単に行政なりに要求するのではなくて、地域での主体的なボランティアないし地域での主体的なそうした活動が、ある意味で行政の足らざる部分を補完している、言ってみれば、社会の新たな第三セクターといいますか、新しい社会セクターとしてやはりNPOというものの存在理由があるんじゃないか。それは既に海外で先行事例があるわけですけれども。そうしたNPOをどう支援しようか、日本でも既にあるそういう活動を、活動しやすい条件をどうやっていこうかということで、既にNPO法というのが制定されたというふうに私は理解いたします。

 当時、NPO法は、私どもの立場からすれば準則主義でやってほしいなと思ったのですが、いろいろな議論の中で、民法とすみ分けながら、ややいびつだなと思うのですが、認証という形をとっているわけです。そして、そのときに、税制優遇措置についてもかなり議論されたのですが、やはりその件については先送りになって今に至っているという状況にあるわけです。

 今回、確かに政府の方でも、一定の条件を満たすNPOを認定法人として、NPO法人に対する、個人が支出した寄附金についての寄附金控除の適用と、法人からの寄附金の損金算入を認めるということになったことは、これはやはり大きな一歩だろうということで、この点は、私は率直に評価すべきだとは思っています。

 しかし、これではまだまだ不十分だと私は申し上げざるを得ないわけです。やはりそれは、新しい社会セクターをどう育成していくのかという観点のまなざしが弱いのではないかと思うのです。

 ちょっと話がそれますけれども、よく教育改革国民会議なんかで、いわゆる奉仕活動の義務化なんということが言われています。義務化なんかしなくたって、地域で主体的にいろいろな形で、しかもいろいろな分野で活動しているNPOがあるわけです。そうしたものに対する、主体的な、自立した、そうした市民の活動を、具体的にその活動をしやすい条件をどれだけつくっていくかということをまず考えることの方が、少なくともボランティアを義務化したらこれはボランティアではなくなるわけですから。そんなことよりも、まずこっちの方を先にやらなければいけないのではないか、私はそう思うわけです。

 その意味で、では税制優遇措置、わずかでも、一つ、大きな一歩だったと思いますけれども、この認定権者が何で国税庁なのかというのが、どうも疑問に思うわけです。やはり新しい社会セクターなわけです。それを、市民の主体的な、自立的な活動を、何でお上が、これは措置する、しないということを認定するのか。ある種、お上が抱え切れへんような活動をやっているのがNPOなんですから、端的に言えば。そのNPOを仕分けするのにお上がやります、まして国税庁がやるというのは、その認定が公正で信頼されるようなものになるのか、私はやはり疑問の余地があるのではないかと思うわけです。

 やはり、そうした実際に活動しているNPOの中でも、そういう心配を強く言われる方々もたくさんございます。その意味で、私たちは、行政から独立した第三者機関の中でやればいい、その中に国税の人も入ったっていいわけです。国税の立場から認定機関の中に、それを認定する立場の方に入ったって構わないわけです。ただ、国税庁が丸ごとやるというのは、どうも私としては首肯できない。これについては後でも伺いますけれども、まず私自身、払拭できない。

 認定は、公正で信頼の置ける行政から独立した機関でという、実際に活動しているNPOのそういう声を受けとめてみて、今回、やはりそれでも国税庁の方がよかったというふうにおっしゃるのであれば、その辺についての理由づけということをちょっとお聞かせいただければと思うのですが。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

尾原政府参考人 今回私どものお願いしております改正案でございますが、NPO法人の税制上の優遇措置を受けるための認定機関といたしまして、国税庁にしているわけでございます。

 まず、国税庁の理由についてということでございますが、NPO法人というのは公の関与から自由であるということを踏まえまして、この基準といいますのは、できるだけ明確、客観的な基準をつくることとしていることをまず御理解いただきたいと思います。

 そうした上で、この認定機関を国税庁といたしましたのは、まず、今回の寄附金税制あるいは相続税、いずれも国税に関する支援措置の対象を審査するものでございます。それからまた、NPO法人、全国に展開されておりますが、全国一律の基準でこれを適用していく必要がございます。また、基準に基づきまして、現実にこの活動実態のチェックも必要でございます。また、国税庁、御案内のように税務署が各地にございまして、手続上も利便性があるとも言えるのではないかと思っております。

 なお、今回の税制を検討するに当たりまして、諸外国の実例も調べさせていただきましたが、諸外国におきましては、こういう認定を国税当局が行っている例がほとんどであるというふうに承知しておりまして、国税庁が行うことが適当であるというふうに考えたものでございます。

植田委員 今のお話、よくわかりますよ。わかりますが、国税庁がやるということで、要は、ただ役所がやるから心配やということじゃなしに、どうもやはり認定要件を見てみますと、これの認定要件で国税が判断するんかいなという疑問があるので、その辺、ちょっとお伺いしたいんです。

 ことしの一月十六日に閣議決定された税制改正要綱で、認定NPO法人の認定要件について幾つも定められておりますね。その中で、その要件の一つに「事業活動の相当部分(百分の五十以上)が次のような活動でないこと。」というふうにされているわけなんですね。そして「会員等に対する財又は役務の提供活動。ただし、対価を得ないで行われる会員等に対する財又は役務の提供活動を除く。」と書いてあるわけですが、この規定は、やはりサービスの対象者を特定の方に限定している団体を除外する規定だというふうに考えられるわけです。

 そうすると、在宅福祉のサービスなんかをやっている団体、これはやはりほとんど会員制を採用しておりますね。ただ、これは、会員制度というのは、何も十人なら十人の会員の皆さん方にサービスの対象者を限定するために会員制をとっているわけではなくて、例えばそうした在宅福祉、介護サービスなんというのは、やはりサービスを継続的に行うために、便宜的にそういう形をとっているということにすぎないわけですね。ですから、そういう意味で、特別な資格なんかを限定せぬと、だれでも会員になれるような方法をとっている。要するに、あなたはだめよとかいうのであれば別ですが、会員になると言えばみんながなれるようなNPOの場合というのは、こういう規定からはそもそも外すべきだと私は思うんです。

 実際NPO法でも、サービスの対象として会員制をとっていても、だれでもが会員になれる、簡単に会員になれる会員制をとっているとするなら、それは不特定多数へのサービスを提供しているというふうにみなされているわけですから、そうした規定を踏まえて、例えばこうした在宅福祉サービスの団体等々には、やはりこうした問題を除外しないで、きちんと認定する対象に据えるべきなんじゃないかと思うんですけれども、NPO法のそもそもの規定を踏まえた対応をなさっていただけるのかどうかという点についてお伺いしたいと思います。

尾原政府参考人 ただいま、この認定要件の中の事業活動の相当部分の箇所についてのお尋ねがございました。

 これは、NPO法人自体がそうでございますが、御承知のように、「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする」、こういうことになっているわけでございます。さらに、今回国税で支援することにしてございますが、国税の支援を考えます場合、やはり国民共通の経費を国民全体で負担するという国税の性格を踏まえますと、活動や受益についてはある程度の広範性が必要ではないだろうか。そういう観点から、その活動が特定の範囲の方によって行われていたり、あるいは受益が特定の範囲の方のみに及ぶものについては、国税としての支援の対象としてはいかがであろうか、こういうふうな見地からこのような要件になっているというふうに考えているわけでございます。

 ただ、読んでいただければおわかりになりますように「事業活動の相当部分(百分の五十以上)」でございますから、逆に言いかえをすれば、ここについて言えば、百分の五十まではこういうことがあってもよろしいということかと思います。

 また、このイで書いてございますように、「対価を得ないで行われる会員等に対する財又は役務の提供活動を除く。」こういうふうにもなっているわけでございまして、今回基準を定めるに当たりましての、ただいま申し上げました国税での支援の対象としてどのようなものがふさわしいかという観点から、このような決め方になっているわけでございます。

植田委員 いずれにいたしましても、実際に具体的な活動をどういうふうに国税が判断されるのかわかりませんけれども、NPO法できちんと規定されている、そうしたことを踏まえて対応される、そういう意味では、ここで言われているような認定NPO法人の認定要件について、例えば、そうした在宅福祉サービス、介護サービスをやっている団体だって常に不特定多数へのサービスの提供を目的としているわけでございますから、当然そこはやはり十分配慮する、そしてまた、先行しているNPO法を踏まえて対応するということをまず求めておきたいと思います。

 それで、同じくこの認定要件について、「事業活動の相当部分が次のような活動でないこと。」といって、ここで注釈が入っていまして、「この場合の会員等には、社員や会員であるのと同様に財又は役務の提供を受ける者を含む。」というふうなことが書いてあるんですけれども、これはどういう意味なのかということをちょっとまず教えてほしいんです。

 要するに、例えば、あるNPOが手話のセミナーをやりましたとかいうときに、百人参加者がいましたとしましょう、その中に一人でも会員がおったら、ほかの九十九人も会員とみなしてくれるのかということですよ。一般の人にオープンな図書館事業をしている法人があったとする場合、会員が図書館を利用できるとしたら、他の会員じゃない利用者も全部会員としてみなされる、そういうことなのか。そんなことになってしまうと、NPOなんかがセミナーを開催したいといっても、逆に今度は会員はお断りですというふうに言わなきゃならない、そういう矛盾に陥っちゃうんじゃないかと思うんですよ。当然、こうなるとNPOの運営を阻害しちゃうことになりはしないかという疑問が出てくるのも自然だと思います。

 特定者だけにサービスを提供している団体をまず除きたいということであれば、この規定が乱用されないような、明確でまた制限されたガイドラインというものをきちんと設けておくべきではないかというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

尾原政府参考人 この注の1についてのお尋ねがございました。「この場合の会員等には、社員や会員であるのと同様に財又は役務の提供を受ける者を含む。」こういうふうになっているわけでございますが、要は、これはまさに社員、会員ということを問わず、実質的に固定的にその範囲を決めてやっておられる場合には、この「会員等」には含まれますよということを申し上げているわけでございまして、したがいまして、このただし書きで書いてございますように、対価を得ずに、みんなと同じようにやられているようなサービス役務の提供活動はそこからは除かせていただく、こういう考え方になっております。

植田委員 余りしつこく聞いちゃうと、ますます認定の適用の範囲が狭められるような答弁ばかり出てきそうで、ちょっと恐ろしいんですが。私、最後に聞きましたように、特定者だけにサービスを提供している団体を除外したいということだけなんであれば、やはり別途この規定が乱用されぬようなガイドラインを設けてもらった方がええんちがうかということを伺ったと思うんですが、その点はどうなんですか。

尾原政府参考人 この基準でございますが、五割まではそういうことがあってもよろしいということを言っているわけでございまして、五割以上はだめですよということでございますから、この会員等に対する財または役務の提供活動は、五割まではどうぞやっていただいても結構です、ほかの部分は不特定多数の方に同じようにサービスをしていただけませんかということでございます。

 なお、今回の基準でございますが、なるべく通達では書かないように、できる限り政令、省令で書くようにということを心がけておりまして、今後このような基準を、御審議を経まして、政令、省令、場合によっては通達も出てくるかと思いますけれども、きっちりと基準が明らかにされるように書いてまいりたいと思っております。

植田委員 そこで、五割以上やったらあれやと、五割までならええということですけれども、では、その事業活動の相当部分なるもの、五割をラインにするわけですが、具体的に一体何でチェックするわけですか、これが五割以上です、五割以下ですというのは。支出とか収入とかいうことでチェックするんでしょうか。それとも何か、書類とか監察でもしてチェックするんでしょうか。また、申請するときにチェックするんでしょうか。いろいろなチェックの仕方があると思いますが、どんなチェックをするんですか。

 要するに、私が冒頭に国税の話をいたしましたけれども、その運用のやり方いかんでは、税務署が恣意的にNPOを選別するようなことにもなりかねぬのと違うかという心配があるわけなんですよ。だから、さっき第三者機関の話もしたと思うのですけれども、では、この事業活動の相当部分をチェックする明確な基準とか運用の方法というものはどういうものなのか、ちょっとお示しいただけますでしょうか。

尾原政府参考人 今回のNPOの新しい制度に当たりましては、一定の書類を出していただくことになっております。例えば、資金につきましては収入源泉別に収入額を出していただく、あるいは取引関係も出していただく、ちょうど要件の「情報公開」のところに出てくるところでございますが、事業報告書等々がはっきりと明記されているわけでございます。

 したがいまして、事業内容がどの程度にどうなっているかというのが、このような客観的な書類の中からおのずと判断ができるだろう、こういうふうに考えているわけでございます。

植田委員 いや、その書類でここまでで五割、ここからは五割以上というのはおのずと判断、そう簡単にできるんでしょうか。

 例えば、活動の項目の活動が、五つぐらいの活動があったとしましょう。でも、そのうちの四つまでが、言ってみればここに該当しない、「次のような活動でないこと。」と書いてある、ここで、イで書いているような「財又は役務の提供活動」を除いた活動が五つの活動のうち一つしかなくて、あとの四つは何らかの形の対価を得て行われるような活動であったとしても、その活動の規模なりなんなりということでいけば、それを見ただけではわからへんような気もするんですが、その辺どうなんでしょうか。

尾原政府参考人 ただいまの判断の仕方についてのもう少し詳しいお尋ねがございました。

 一定の書類を出していただくということを申し上げましたが、そうなってまいりますと、非営利活動についての対価の額あるいは経費の額というのが当然判明してくるわけでございます。もちろん、それだけではなく、その他合理的な方法というのがあり得るかもしれませんけれども、私どもは、その対価の額なり経費の額によりまして、おのずとその辺は客観的に判断できるというふうに考えているわけでございます。

植田委員 要するに、活動している予算の中の金の動きで判断する、それが五〇パーで切る、切らないということで、言ってみれば、支出と収入を見てそれで判断しますよというのが唯一の基準だということですね。そういうことでいいですね。

尾原政府参考人 先生が今おっしゃられたことが基本になろうかと思います。

 ただ、それ以外の合理的な方法があればまた別でございますけれども、基本は今おっしゃられた方法というふうに考えております。

植田委員 いずれにしても、恣意的に選別する結果にならないように、そうした客観的指標を厳格に、的確に運用することが必要だろうと思いますけれども、問題が出てくる場合、またここのところについて議論せないかぬ機会もあろうかと思います。

 さて、もう一つ、認定要件のうちで「事業内容の適正性」というところがあったと思うのですが、ここで、「海外への送金又は金銭の持出しを行う場合は、その金額・使途及び送金等の予定日をあらかじめ国税庁に届け出た上で、自ら開示すること。ただし、災害等の緊急を要する場合で事前の届出等が困難なときは、遅滞なく届出等を行うこと。」とあるわけですけれども、海外への送金、金銭の持ち出しを行う場合はとあるわけですが、海外協力活動なんかをやっているNPOの場合、毎週海外に資金を送ったり、資金を持たせていろいろな災害が起こったらばあっと行ったりするわけですわね。ここでも、一円、一銭でも持ち出すなら全部事前に届け出なさいといっても、それはちょっと現実的に難しいんじゃないか。

 特にこうした海外協力活動というのは、いろいろな問題が起こったときの緊急な対応というのが要請されるわけで、そうした活動をしているいろいろなNPOもあるわけですから、そこは、例えば、一定の金額を送金する場合とか、年間一定金額以上を送金した場合に事後に届け出るとか、そうした対応をするのが現実的ではないか。

 この適正性でこういうふうに書かれていますと、やはり海外協力活動をやっているようなNPOの活動がやりにくくなるん違うかというふうに思うわけなんですが、その点、もうちょっと現実的に対応していただきたいと思うのですが、その辺、検討の余地はあるのでしょうか、やはり検討していただきたいと思うのですが。

尾原政府参考人 今回の要件の一つとして、今先生のおっしゃられましたように、海外への送金、金銭の持ち出しの場合は、基本は事前届け出、ただ、緊急やむを得ない場合は後で結構ですよ、こういうふうにしてございます。

 実は、この海外への送金あるいは金銭の持ち出し、性善主義に立てばいいのかという考え方もあるのかもしれませんけれども、やはりNPO法人自体、国民のサポートを得る必要がございますし、国民の評価にさらしていただくという面があるのだろうというふうに思っております。

 そこで、今回の送金、金銭の持ち出しは、一つは、市民の方にも同じように出していただく、それを、原則は届けていただく、緊急の場合は後からという趣旨のものでございますので、ここで限度額を設けるということは私どもは今考えていないわけでございます。

植田委員 これも実際にこれからNPO法人がそういう具体的な活動をしていく中でいろいろと不便を感じてくる局面がたくさんあると思います。

 現段階でこういう認定要件にされていますけれども、これは、そうした実際にNPO活動というものを促進するという観点から、引き続き、やはり弾力的に、常に検証しながら検討を加えていただきたい、そういうふうに思っております。

 さて、もう幾つかNPOにかかわって、ちょっと時間もありませんので次の質問に移りたいのですが、確かに、今回、税制の措置、少しでもされたことはされたということ、その点においては評価いたしますけれども、いわゆる認定NPO法人の収益事業による所得を非収益事業に支出した場合、みなし寄附金として損金算入を認める制度の創設というのは見送られた。これは、強い要望があったにもかかわらず今回このことが見送られたことによって、実際の活動資金を事業で賄わなきゃいかぬ、そういうNPOにとってはメリットが余りなくなってしまっている、これはお認めにならざるを得ないと思うのです。

 現実に政府税調の中期答申でも、NPO法人は、非営利活動の担い手の一つとして、二十一世紀に向けて活力のある経済社会を構築していく上で今後その役割を果たしていくことが期待されていますと、えらい高く評価していただいているわけです。

 では、それを本当に育成してフォローアップしていくという観点からすると、やはり税制上の優遇措置というのは効果的だと思いますし、現に多くのNPOが、それがあればもっと活動できるのにと言う人たちはたくさんいるわけです。だから、今回は見送られたわけですけれども、今後、その辺のところを引き続き検討していただきたいと思うわけですが、これは現段階というよりは、NPOだって生き物ですから、いろいろな活動がこれから生まれてくると思います。恐らくNPO法で規定している十幾つのその活動を超えたところで、やはりNPOで認めていこうやないかということも出てくるだろうと思うのです。

 ですから、これは恒久法だけれども、固定したものではなくて、やはりその都度その都度、毎年でも検討を加えていく中で、少しでもNPOが活動しやすい条件というものをどうつくるかという観点で常に検討していただきたいと思うわけですが、その点についてはいかがでしょうか。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

尾原政府参考人 今回の優遇措置は、寄附金とそれから相続税に限っておることは確かでございますが、これは、NPO法人が財政基盤が非常に脆弱である、必要な資金を外部から受け入れやすくする必要があるということで、そういう観点から考えた場合、この二つが最も有効ではないかということによるものでございます。

 確かに、みなし寄附金というお話があったことは私どもも承知しておりますが、今回、この税制上の特例措置を講じるに当たりまして、内閣府におきまして実態調査をやったわけでございますが、その現状は、ほとんどのNPO法人が、こういう収益事業による所得がない、あるいは法人税を負担していないというような現状が判明いたしまして、こういう措置が有効な措置とは考えがたいなということから、今回はこの二つに絞ってございます。

 いずれにいたしましても、このみなし寄附金、実は公益法人についての課税のあり方とも関連する問題でございますけれども、今後、認定NPO法人の実態を見きわめました上で、公益法人に対する措置をどうするかというのとあわせて、幅広く検討していくことが必要だというふうに認識しております。

植田委員 ちょっとのんびりやっていると時間がえらい詰まってきまして、まだぎょうさん質問が残っておりますので、ちょっと早口になりますが、済みません。

 NPOでもう一点だけ。これは地方税にかかわる問題ですのでお伺いしたいのですが、現実に活動領域が二県以上にまたがっている、そういう団体というのは、全体の中でかなりウエートが少ないわけですね。ことしの二月の段階でも、全国のNPO法人が三千三百五十二あるわけですが、二県以上にまたがっている、いわゆる内閣府の部分が二百八十五ということになっています。ということは、ほとんどが小さな地域でやっているNPOだというわけです。にもかかわらず、そういう人たちがほとんど網にかかってこないわけですね、地方税についての減免措置が考慮されていないとなると。これはいかなる理由によるのか、それをちょっと一点だけお伺いして、次に進みます。

石井政府参考人 お答えいたします。

 NPO法人に対します地方税の優遇措置につきましては、まず法人住民税、法人事業税につきましては、認定NPO法人に対する法人からの寄附金の損金算入措置が、これは法人税に準じて認められているところでございます。また、個人住民税の寄附金控除、この点をお尋ねなのかと思いますけれども、これは、個人住民税が地域社会の会費ということで、住民が広く負担を分かち合う性格の税である、極力政策的な控除を行うべきではないというふうに従来から考えられてきておりますのと、実際問題、所得税と違いまして、国ですとか特定公益増進法人に対しましても控除対象にしていない。こういったことから、NPO法人については対象としないというふうにしたものでございます。

 なお、地方団体につきましては実際には、これは委員も御存じだと思いますが、各NPO法人の活動実態に応じましてさまざまな形で支援をすることが可能でございますし、現に、みずから設置した基金への寄附金等を活用して補助金を出すとか、あるいは拠点施設の整備、貸与を行っているとか、情報提供をしているとか、いろいろな形で支援を地方団体はやっておりまして、何とか地域の実情に応じた対応がなされているのではないか、こんなふうに理解をしております。

植田委員 これも私どもは法案を出しておりますので、あの法案の中身をもう一度見ていただいて、結構いいやろなと思っていただければありがたいので、引き続き検討課題ということにさせておいてください。

 時間がありません。次に、住宅税制にかかわってお伺いしたいのですが、財務省でも、この住宅ローン控除制度の政策目的はほぼ達成されたということで、主税局の方も慎重やったと私は聞いているのです。しかも、今回の改正案では、改正要件は三千万以下ということで上限五千万までローンが組めるということで、これで減税枠を使い切れる措置になっているわけですけれども、これやったらやはり金持ち優遇の税制やないかという批判があっても、抗弁し切れぬのじゃないか。しかも、財務相御自身が、政策目的はほぼ達したとおっしゃっているわけですね。まずこの点について、税制に要請されるのはやはり公平性の担保ですから、これはやはり逸脱しているのと違うかと思うのですが。

 それともう一点、今回、新住宅ローン減税で、二〇〇三年の年末、十二月三十一日までの居住の用に供する時期と定めているわけですが、そうなると、今度二〇〇四年からお住まいになる部分は、推測すれば、旧大蔵省時代でやっていたのでいけば、六年間で大体百五十万程度ですね。しかし、新住宅ローン減税制度では六百万近くなる。これはやはりかなりギャップがあると思うのですが、この点、やはりどういうふうに納税者に説明されるのでしょうか。その点、ちょっとお伺いしたいと思います。

尾原政府参考人 住宅ローン減税制度についてお尋ねがございました。

 今適用されております制度でございますが、平成十一年度に創設されたわけでございます。当時、大変深刻な経済情勢でございまして、何としてでもこの経済を回復軌道に乗せていくということで、その後半年延長されて今日に来てございます。

 一般的にいいますと、政策税制といいますのは、公平、中立、簡素という税制の原則を、政策誘導のために、ある程度この原則を犠牲にするといいましょうか、そうでございませんと政策措置の意味がございませんので、そのようなものであろうというふうに理解しているわけでございます。

 今回の税制でございますが、平成十一年度とは経済情勢も若干変わってきています。しかし、今の経済情勢はやはり厳しい情勢にあるということもまた否めない事実でございます。そこで、税制のあり方の観点からも検討をいたしまして、御承知のように、これまでのこの期間につきまして十五年間であったのを十年にする、あるいは最大控除限度額が五百八十万から五百万になるというようなことにしているわけでございます。

 それから、その次のお尋ねが、制度が違うとギャップが生ずるではないかということでございました。実は、平成十一年のときにも同じような議論をいただいたと承知しておりますが、いわば景気に最大限配慮するということでございますと、景気に配慮するためには、ある程度期間を限定して措置を講じませんと効果がないわけでございます。したがいまして、今回も現在の経済情勢に合わせて期間を決めておりますが、そういう景気対策というような観点からの拡充措置であることを考えますと、適用期限の前後で控除額に差が出るのは、これはやむを得ないということに考えております。

植田委員 住宅ローン減税というよりは、今のこの状況の中で、特に中低所得者に配慮するのであれば、むしろ賃貸住宅への手当てという方が私は必要だと思っています。それは、当然ながらそこでの、家賃控除等々を含めて、賃貸住宅を選択した納税者に対しても御高配を賜れるような、そっちの方がむしろ私は今必要な住宅税制ではないかというふうに思っております。それは意見だけです。答弁を聞いても、あきませんとおっしゃると思いますので、それは伺いません。

 次に、ちょっともう時間がないので、あと二問ぐらいになるのですが、自動車税制のグリーン化にかかわって二点ばかり。

 一つは、これは総務になると思うのですが、今回の自動車税のグリーン化というのは、やはり自動車の買いかえ税制と違うのかという疑問は持つわけです。というのは、ディーゼル車の場合、登録してから十一年を超える車、ガソリン車は十三年を超える車、これに重課を行う。そして、低公害車、低燃費車は軽課を行うということですけれども、実際、登録してから十一年から十三年の登録台数は何台ぐらいあるのかということが一つありますし、実際十一年も十三年も、それだけもう車に乗っている人というのは、一度車を買って、ずっと長いことその愛車を大事にされてきた方々やと思うのですわ。むしろ、それこそ、ちょっと車を当ててへこんだぐらいで買いかえられるような、そういう人らの方が実は金持ちなわけですね。

 だから、そういう意味で、これはやはり、実際、まじめに車に乗っていた人にはなかなかしんどいし、一方で、しかも政策効果というのはどれだけあるのかというのも疑問ですし、また、実際、やはりグリーン税制というからには環境政策の一環としての効果も見込んでおかなきゃならないと思うんですが、どうもそんな気もしない。

 その点、ちょっと、簡単で結構ですから、一言で結構ですから御説明いただけますか。

石井政府参考人 委員も御承知のとおり、グリーン化税制につきましては、窒素酸化物でごさいますとか粒子状物質とか、地域環境汚染の社会問題化、それからまた、そういうことについての自動車の寄与度が相当大きいという点にかんがみまして、今回、地方税法改正に盛り込んだわけでございます。

 一体、対象になる車が何台ぐらいあるんだということでございますけれども、御承知のように、重課対象となるのは、標準税率より一〇%重課するということなんですけれども、対象となりますガソリン車は百七十四万台、それからディーゼル車は百七十九万台。ですから、両方合わせますと三百五十五万台でございまして、登録車全体の七%ぐらいということでございます。

 それから、結局、しょっちゅう車を買いかえるお金持ちのためになるんじゃないかというようなお話もございましたけれども、私どもとしては、環境問題というのは非常に喫緊の課題になっておりますので、極めて厳しい地方財政の状況のもとではございますけれども、税制として最大限の工夫をしまして、税制中立の考え方で、環境に負荷の小さい車は軽課する、それから環境に大きな影響を与えるものについては重課する、こういうふうにしておるわけでございます。

 こうすることによりまして、自動車税という、多くの国民の皆さんに、国民の身近な税金でございますので、国民の皆さんの環境に対する意識が高まってくるんじゃないかと期待もしております。

 それから、じゃ、どういう方が対象になるかということですけれども、この軽減の対象となります自動車の車種とか価格も、今どの車がどうとは私の口から申し上げにくいですけれども、一般に高級車と言われているようなものだけではなくて、幅広い方々が割に気軽にお買いになれるような車も軽課の対象になっておりますし、したがって、それをお買いになる方々が相当幅広い方々ですので、決して金持ち優遇とかそういうことにはなっていないんじゃないか、こんなふうに思っております。

植田委員 ありがとうございます。

 そこで、ちょっと、一言ぐらいやはり大臣の声も聞かないとあれなんで、一つ、このかかわりでお伺いしたいんです。

 そもそも、やはり自動車の排ガスによる環境の負荷というのは、新車とか旧車とかそういうことじゃなくて運転者が適正に負担すべきと考えていますから、私としては、そういうグリーン化を図る手法として、自動車関係の税金に手をつけるよりも、自動車のグリーン化を図るということの観点からするなら、車を利用する人がその利用に応じて、言ってみれば環境に負荷をかける程度に応じてそれは負担するという意味で、やはり炭素税みたいなものを導入するべきだと私どもは考えておるんですが、その点は、大臣、お願いしたいのですが。

宮澤国務大臣 昨年七月に税制調査会でこの御議論がありまして、広く国民に負担をお願いすることになる問題でございますから、国民的な理解があるということ、それから税制がどういう部門になるべきか、恐らく、負担を求めるとすれば、これはポリューターペイでございますから環境負荷の原因者に対して求める、こういうことであろうといったようなことについて、税制調査会から基本的な考え方を示してこられました。

 私どもとしても、それを踏まえまして、これから税制を検討する中で、そういう観点から検討をしてまいりたい、そういう項目として考えております。

植田委員 やはり、二十一世紀は人と自然と、いわゆる環境との言ってみれば共生時代ですから、そういう意味での炭素税というのを今おっしゃったように鋭意検討していただきたいと思います。

 最後に、財務大臣に、全般として国家の基盤としての税制改革への取り組みにかかわって、一点だけちょっとおかしいなと思ったことがありましたので、最後、お伺いして締めにしたいんです。

 昨年でしたか、新聞を読みますと、政府税調の会長の石一橋大教授がインタビューに答えて、どうも、税調での検討結果を踏まえて、この間の住宅ローンの減税延長とか政府の景気に配慮した内容が目立つ点に触れていろいろな意見を述べられているということなんですが、住宅ローン減税については、景気対策として二年間大盤振る舞いしてきたけれども、これ以上やる必要があるのかどうか、税制の本質をゆがめるような議論は断ち切った方がいいとか、株式譲渡益課税についても、申告分離課税への一本化を見直すほどの理由はないと、もうほとんど今回出されている中身について一刀両断されているわけです。

 私の理解では、政府税調というのは、やはり国家の基盤たる税制を方向づける権威ある機関だと思っています。しかし、今回の税制改正案を見ますと、政府税調の責任者である会長の期待すら裏切っている。これだったら、やはり何のための政府税調だと言われるんじゃないかと思うんですけれども、最後、その点だけ大臣の御所見をお伺いいたしまして、終わりにしたいと思います。

宮澤国務大臣 そういったような御批判があるかもしれませんが、政府税調のおっしゃいますことは、非常に長い時間御議論をいただきお話を伺っておりますので、よくそれを体して私ども行政をやっておるつもりでございますが、なお十分注意いたします。

植田委員 終わります。

山口委員長 次に、佐藤剛男君。

佐藤(剛)委員 自民党の佐藤剛男でございます。連日、宮澤大臣、柳澤大臣、副大臣、御苦労さまでございます。

 私は、時間が限られておりまして、一時間分の用意をしていたんですが、三十分そこそこになりましたので、主としまして、日本銀行の速水総裁をお呼びいたしておりますので、中心にお話をさせていただきます。

 この委員会でそれぞれの先生が指摘しておりますように、日本の国、地方の長期債務残高というのは六百兆を超えて、財政は極めて厳しい状況にある。また、今後の高齢化、人口の減少を考えると、歳出と税収面を含む歳入構造の改革の双方について、バランスのとれた取り組みを国、地方ともで取り組むことが極めて重要である。そして、そのときに、経済成長と財政というのは両輪でございまして、経済を支える両輪として相互に依存関係にあるわけであります。

 経済成長を犠牲にした増収一辺倒の政策も好ましくないし、また、財政を犠牲にし続ける経済政策の継続も現実的に不可能であります。財政再建をなし遂げました欧米主要諸国の現状を見ましても、経済構造改革を実行して、そして、ある程度の高い経済成長のもとで初めて財政バランスが改善される、こういうことがわかるわけでございます。

 そのため、日本においては、雇用それから年金改革も含めまして当委員会で議論されておりましたが、中長期的な経済成長のためのシナリオを両立する税財政構造改革を進めるべきであると考えるわけであります。また、実施のタイミングでもありますが、これは、二〇〇四年度までに国民年金の国庫負担の割合を二分の一に引き上げるに際しまして、必要な財源をどのようにするかというようなことを決定しなければならない状況も念頭に置いておくべきことではないかと思うわけでございます。

 そこで、私は、今日本の経済の状況を例えれば、世界の中に、フロリダ沖近くに魔の三角形というのがあります、バミューダ・トライアングル。そこの中に入ってしまいますと、飛行機が飛んでいたのが突然墜落したり、船が沈没しちゃったり、こういう魔の、悪魔の三角形とでもいいましょうか、その中に今日本が入っている。

 その三角形の一番上が、デフレーション、インフレーションとデフレーションと対比したときのデフレの問題だろうと私は思っております。

 それから、第二の、底辺のところの、三角形のこちらにあるのが、いわゆる一九八八年にあれしましたバーゼル基準、BIS基準。

 このBIS基準の中で、海外に拠点を持って海外活動する銀行の場合に、百分の八、自己資本比率八%以上なきゃいかぬ。そのときのこの分子が、株式の含み益掛ける四五%というのが入っちゃった。ここなんですね。ここで今私どもは非常に苦労しておるわけです。株が下がる。二万円で当時銀行が持っていた株が一万三千円、また一万三千円を割る、ここのときの含み損というものに掛ける四五%が下がっていくということは、分子が小さくなるということなんです。

 ですから、我々がずっとやってきました政策というのは、分母をできるだけ小さくする、つまり百億貸せば分母が大きくなる、百になるわけですが、政府系金融機関であれば一〇%、リスクアセッツを下げる、そして分子を大きくするという対策をやってきたわけだと思います。

 そして、第三の底辺の、もう一つのトライアングルのところにあるのが土地、土地が、約八百七十兆円の資産がこの間なくなっちゃった。それから株式が、最近の株式まで入れますと私は三百兆ぐらいだろうと思いますが、二百三十兆、合わせて千百兆円の資産デフレの状況がある。

 こういう中で、株というもののウエートが大きくなっている中で、どうしてもこれを解決する方程式を見つけなければならない、ここなんですね。

 そこで、私はきのう、実は日銀の総裁に御出席いただきまして、日銀が今までとってまいりました対策というのは、特に九九年の二月にデフレ圧力が高まる可能性に対処しましてゼロ金利政策を導入したわけであります。そして、そのデフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になったということで、昨年八月に本政策を解除すると説明したわけです。私ども自民党の、私当時財政部会長をやっておりましたが、この中においては、これは果たしていいのか、違うのじゃないのか、見通しが違っちゃうのじゃないのかということを言い続けてまいっていたわけでございます。

 といいますのは、消費、卸売の物価指数、これをずっと、九八年度それから九九年度をとっていきますとマイナスであります。九八年度と九九年度がマイナスなんです。そして、卸売物価は、日銀がゼロ金利の解除を行った八月までは、五月を除きましてプラスだったのですね。ところが、九月以降またマイナスに転じてしまった。それと同時に、消費者物価は一貫してマイナスであった。

 これが、私は、デフレ状況に日本というのが入ってしまっているのだ、デフレ対策をやらなきゃいけないよ、こういうことが今の日本の非常に大きな課題である、こういう認識のもとで、日銀総裁に御質問させていただきます。

 まず、お手元に、パレルモのステートメント、G7ファイナンスミニスターとセントラルバンクガバナーの、二月十七日の会議声明がございます。

 そこで、私はあえてこの英語の部分を引き出してまいりました。そして、そこには「プライシーズ コンティニュー ツー ディクライン アンド ダウンサイド リスクス リメイン」となっているのですね。これは、G7の中で、日本の現状というのは、これはデフレなんですよ、デフレ対策というのをきちんととりなさいよ、政策転換をそういうふうにしなさいよと。

 そして、それと同時に、マネタリーポリシー、金融政策は、潤沢な流動性供給を引き続き確保すべきである、「マネタリー ポリシー シュッド コンティニュー ツー エンシュア ザット リクイディティー イズ プロバイディッド イン アンプル タームズ」、そのような形で、G7が、あるいは中央銀行が日本に対しましてシールした、日本は今デフレですよとエンドースした、裏書き保証したと私は理解いたしておるのでありますが、日銀総裁、これにつきましてどのような御見解をお持ちでございましょうか。

速水参考人 お答えいたします。

 私も、このパレルモでのコミュニケの日本に関する事項につきましては、ここに書かれているとおりだと思っております。

 物価は下落傾向にあります、金融政策は潤沢な流動性供給を引き続き確保すべきであると書かれておりますが、そのとおりにいたしております。金融セクターをさらに強化する努力がエンハンスされるべきである、これも、これからの課題ですけれども、心がけてまいりたいというふうに思っております。

 御指摘の、デフレ傾向ということにつきまして、私どもの考えを申させていただきますと、いろいろ物価指数がございます。全般的にやや弱含みの動きであることは間違いございません。

 その背景としては、景気の回復が緩やかなものにとどまっているという需要サイドの要因に加えて、もう一つ、技術革新とか流通合理化とか規制の緩和、これは特にサービス部門でそうだと思いますが規制の緩和とか、こういった供給サイドのコストダウンといいますか、物価が下がる要因が寄与しているというふうに見ております。

 こうした状況につきまして、現段階では、物価の低下が企業収益とか家計所得を圧迫して景気と物価の悪循環をもたらしていくという、いわゆる九九年の初めごろに見られたようなデフレスパイラルに至る危機といったようなものはないと思っております。

 ただ、ここに来て景気回復テンポが一段と鈍化して、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が再び強まる懸念もあると思われますので、物価動向につきましてはこれまで以上に入念に点検してまいりたいというふうに考えております。

佐藤(剛)委員 きのう発表になりました日銀の「金融市場調節方針の変更および公定歩合の引き下げについて」、方針の変更、そして公定歩合の引き下げについて、この中の文章、五つにパラグラフが分かれているのでありますが、その三番目の中に、物価の安定に資することを目的として行うんだということを、ずっと従来どおり引き続き出ているのですね。

 今やらなきゃならないことは、先ほど申し上げましたように、九八年度、九九年度というのは消費、卸売物価ともマイナスが続いておる。そして、デフレの懸念が払拭されるという情勢で八月に解禁して以降どうなったかといったら、九月以降には卸売物価はまたマイナスだった。そして、七月―九月のGDPの伸びも大幅に下方修正された。つまり、景気の下降局面で政策転換をしてしまった。景気の下降局面でゼロ金利の解除をしてしまった。そこに、今回の一つの大きな経済政策の状況があるということを私はあえて申し上げさせていただきます。

 そして、これからやはりやっていかなきゃならない部門というのは、デフレを回避するには金融政策が最も効果的なわけであります。したがいまして、これは今総裁のお言葉からは、きのう決まった話でそんな話ができる話じゃないと思いますからお答えは結構でございますが、金融政策が効果的であるか、ゼロ金利政策に復帰するというのは、私も、復帰すべきだと思っているわけであります。この点につきまして、総裁、御意見ございますれば、お話を伺いたい。

 それから、続けまして申し上げさせていただきますと、ゼロ金利復帰以外にどのような対策があるのか。欧州の連銀で、マネーサプライの増加というものを金融政策のターゲットとして置いております。なぜ日本銀行がマネーサプライを金融政策のターゲットとして置かないのか、これをまず一つ御質問させていただきます。

速水参考人 ゼロ金利政策につきましては、日本銀行は従来から、その時々の景気や物価情勢を踏まえまして、中央銀行としてとり得るさまざまな政策運営を、その中で選択肢を幅広く検討しておるつもりでございます。この中で、ゼロ金利政策といった通常では行われないような政策につきましては、その効果や副作用につきまして十分慎重な検討が必要であると思っております。そうした政策に踏み込むべきかどうかは、つまるところ経済や物価の情勢判断の問題に帰着すると思っております。

 現在、日本経済は、回復の動きが一段と鈍化し、先行き不透明感が出てきております。いわゆるデフレスパイラルに陥るような状況になっているかどうかということになりますと、私は、今の状況は、不透明ではございますけれどもまだデフレスパイラルに陥るような状況ではないと思っております。こうした情勢を踏まえまして、日本銀行は昨日、オーバーナイト金利と公定歩合とを〇・一%引き下げる措置をとったわけでございまして、これは、今後の構造改革やあるいは経済の前向きな前進を踏まえて、ここで一段の金利の引き下げをして金融面で下支えをしていくようにしてまいりたいと思った次第でございます。

 第二の、ほかに方法がどういうものがあるのかということでございますが、政策委員会では、金融政策運営上のさまざまな選択肢について真摯に検討を行っております。これまで得られました結論は、例えばゼロ金利政策とか国債の買いオペの増額といった政策について、効果や副作用について十分慎重な検討が必要でございまして、そうした政策に踏み込むべきかどうかということは、つまるところ経済や物価の情勢判断の問題に帰着するというふうに考えております。

 日本銀行としては、その時々の金融情勢を踏まえまして、中央銀行としてとり得るさまざまな選択肢の中から最も適切な政策運営を行っていく考えでございます。

佐藤(剛)委員 私は、デフレスパイラルの話を申し上げているわけじゃございません。現状をデフレーションと見て、デフレ対策を推進すべきであるということを言っているわけであります。そのデフレ圧力を緩和するためには、量的緩和、これを一体として、果敢に量の問題として行うべきではないか、こういうことでございます。

速水参考人 資金の需要をふやしていきますためには、今のままではこれはふえていかないように思っております。その辺のところは、経済自体がもう少し民間主導の経済構造改革という方向で歩み出していけば、おのずから資金需要はふえていくものだというふうに思っております。(発言する者あり)

山口委員長 御静粛に。

 佐藤君。

佐藤(剛)委員 日銀総裁、ありがとうございました。この点につきましては、昨日、一つの、一歩の対策が出たわけでございますので、これを見守らせていただきます。

 それから、今国会で衆法としまして野党案、先ほど来NPOの問題についていろいろな質問が集中しました。それについて、まだ自民党から自民党としての質問をいたしていないわけでありまして、これが初めてでございますので、一、二、時間の限られた範囲で質問をさせていただきます。重複いたします、恐らく。

 聞いておりまして、いろいろ、認定基準の問題とか、それから第三者機関としてのものを新たにつくることについての見解も、野党側の先生方においては必ずしも一致していないというところでございます。そこで、河村たかし先生初め、非常に熱心な、政治生命をかけてやられるということでございますので、これには敬意を表します。表しはしますが、まず一つ、政府側の主税局長からお聞きいたした方がいいと思いますが、認定基準、これについての基本的な哲学というのは極めて大事な問題であると私は思います。認定基準の基本的な考え方を簡明に、確認の意味を含めて、お答えいただきたいと思います。

尾原政府参考人 今回の認定基準についての基本的な考え方についてのお尋ねがございました。

 まず、NPO法人制度ですが、公の関与からなるべく自由を確保するという枠組みになっております。つまり、その設立については、一定の要件を満たす場合にはNPO法人として所轄庁は認証しなければならないこととされております。このようなNPO法人制度のもと、その態様は非常に区々でございまして、高齢者への福祉サービスの提供を行うものから、会員相互の親睦を図るもの、趣味、娯楽の活動を行うものなど、さまざまなものが認証されております。

 他方、税制上の優遇措置でございますが、公的サービスの財源となる租税を減免するものでございますから、この措置の対象となる法人は、それにふさわしい公益性を有するものである必要がある、こういうことでございます。

 こうした点を踏まえまして、今回、認定基準を定めることとしておりまして、事業活動について一定の情報公開を行っている等々の基準を決めております。この基準は、このようなNPO法人制度の性格にかんがみまして、客観的かつ明確な基準を法令において設けることとしているわけでございます。

 この基準の中での公益性について一言申し上げますと、ただいま申し上げましたように、NPO法人制度には、そもそも公的部門が監督するということはございません。したがいまして、公益性をはかる方法といいますのは、国民一般からどのぐらい幅広い支援が得られているかというような指標を認定の主な要件としているわけでございます。具体的には、収入のうち広く一般からの寄附金や助成をどのぐらい受けているか、いわゆるパブリック・サポート・テストを活動の公益性を推測し得る指標として設定しているところでございます。

佐藤(剛)委員 あと一つの大きな課題は、河村先生御高承のように、認定機関の問題です。三条の形でこの案が出ております。御承知のように、三条というと公正取引委員会なり国の機関ですね。そういう形の中で、今既存の機関で行う国税庁、国税庁というのは適正な課税の執行機関であるわけでありますから、不正を行う者には厳正に応じますが、そうでない一般の人たちには納税者に高く評価されている機関であります。

 そこで、やはりNPO法人側の利便性を考えて、私は国税庁こそ適当だと思っておるわけでありますが、村上副大臣にひとつ御答弁をお願いしたいと思います。(発言する者あり)

村上副大臣 ちょっと静かにしていただけますか。御静粛にお願いいたします。

 佐藤先生の御質問にお答え申し上げます。

 先生の御質問に対しまして、やはり税制上の優遇措置の対象となるNPO法人の認定につきましては、まず第一点について国税に関する措置であること、それから二番目に全国一律の基準で適用する必要があること、そしてまたNPOの法人にとっても手続等の利便性、そういうことから考えまして、諸外国におきましても、こうした優遇税制措置の認定は国税当局が行っている例がほとんどであります。そういう面で、今先生がおっしゃられるように、国税庁長官が一番適当である、そのように考えております。

 それからもう一点、第三者機関の設置について、行うべきだという対案についてどう思うかというお考えでありますが、まず第一点は、その創設のコストがかかる面におきまして行革の流れに逆行するのではないかという考え方と、もう一点は、新たな組織をつくり運営を軌道に乗せるにはどうしても時間がかかってしまう、そういうことを考えた上で、やはり施行がかなりおくれることが想定されることを考えまして、適当ではないというふうに我が方は考えております。

 以上であります。

佐藤(剛)委員 NPO法人については、ここでもう時間になりますから切らせていただきますが、この税制については幾つかの哲学についての議論がなされました。こうした点を含めまして、自民党あるいは与党の税制調査会においてきちんとした議論を踏まえまして政府案ができていることを私は高く評価いたしまして、NPO法案についての関連質問を終わります。

 最後に一つ、今回の法人税法の改正というのは昭和四十年以来の大改正でありまして、これは法制的に幾ら実態を踏まえましても、税制を構築しましても、現場レベルで解釈や運用で企業側と混乱が起きたり、そういうようなものもないようにしなきゃいかぬ。そして、各党からの御意見をごもっともだなと聞いておりましたが、この高度情報化社会の中では、国際化とかあるいは滞納処理についての事務量の増大だとか、そういう納税環境、業務の一層の複雑化が見られる中でありますから、そういう中で高度の専門知識を有する職務に従事する国税職員について、この委員会において適切な質疑を行って処遇することが皆さんの御意見を収れんすることかな、かように聞いていた次第でございます。

 時間が来たようでございますので、これをもって終わらせていただきます。

山口委員長 次回は、明二日金曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会




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