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第9号 平成13年3月30日(金曜日)

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平成十三年三月三十日(金曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 佐藤 剛男君

   理事 根本  匠君 理事 林田  彪君

   理事 五十嵐文彦君 理事 海江田万里君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      大木  浩君    大野 松茂君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      小島 敏男君    七条  明君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      中村正三郎君    萩山 教嚴君

      増原 義剛君    村田 吉隆君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      渡辺 喜美君    上田 清司君

      江崎洋一郎君    岡田 克也君

      河村たかし君    小泉 俊明君

      今野  東君    中川 正春君

      長妻  昭君    原口 一博君

      松本 剛明君    谷口 隆義君

      若松 謙維君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    植田 至紀君

    …………………………………

   財務大臣         宮澤 喜一君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村井  仁君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務大臣政務官      大野 松茂君

   財務大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 永谷 安賢君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   岩田 一政君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 衞藤 英達君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 木村 幸俊君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   藤井 秀人君

   政府参考人

   (国税庁次長)      大武健一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊藤 雅治君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次

   長)           青木  功君

   参考人

   (日本銀行総裁)     速水  優君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    藤原 作彌君

   参考人

   (日本銀行理事)     黒田  巖君

   参考人

   (日本銀行理事)     増渕  稔君

   参考人

   (日本銀行理事)     小池 光一君

   財務金融委員会専門員   田頭 基典君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  七条  明君     小島 敏男君

  岡田 克也君     今野  東君

  日野 市朗君     上田 清司君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏男君     七条  明君

  上田 清司君     日野 市朗君

  今野  東君     岡田 克也君

    ―――――――――――――

三月十五日

 消費税の大増税に反対、食料品の非課税に関する請願(穀田恵二君紹介)(第六五七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六五八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書並びに破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告)

 財政及び金融に関する件




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君、日本銀行副総裁藤原作彌君、日本銀行理事黒田巖君、日本銀行理事増渕稔君及び日本銀行理事小池光一君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として国税庁次長大武健一郎君、金融庁監督局長高木祥吉君、内閣府大臣官房審議官永谷安賢君、内閣府政策統括官岩田一政君、総務省大臣官房審議官衞藤英達君、厚生労働省医政局長伊藤雅治君及び厚生労働省職業安定局次長青木功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 去る平成十二年十二月五日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁速水優君。

速水参考人 御説明申し上げます。

 日本銀行は、昨年の十二月、平成十二年度上期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしました。この機に、日本銀行の金融政策運営につきまして総括的に御説明する場をいただきましたことに、厚く御礼申し上げます。

 昨年の報告書提出の後、日本経済の情勢は大きく変化をいたしまして、本年二月以降、日本銀行は、金融政策運営面で機動的、弾力的に幾つかの措置を講じてまいりました。

 そこで本席では、まず私から、最近の日本経済の動向につきましてその認識と、金融政策運営の考え方につきまして申し述べさせていただきたいと思います。

 昨年中の日本経済を振り返りますと、景気は企業部門を中心に持ち直しの動きが次第に明確化してきて、生産、収益、設備投資、これらは増加を続けるなど、緩やかな回復過程をたどっておりました。しかしながら、その後の経済の足取りは、順調というわけにはまいりませんでした。

 その背景としましては、まず、米国経済が、昨年半ばごろまでの五%前後といった高い成長から、昨年秋以降は、大方の予想を上回るテンポで急激に減速、スピードダウンしたことが挙げられます。さらに、米国経済との結びつきの強い韓国、台湾など一部の東アジア諸国でも、景気のスローダウンが明確になってまいりました。

 こうした海外経済の急激な減速を受けまして、日本経済も、昨年末以降、景気回復のテンポが鈍化いたしまして、このところ足踏み状態になっていると判断されます。先行きにつきましても、当面は停滞色の強い展開が続く可能性が高いと考えられます。

 この間、物価も弱含みを続けておりまして、ただいま申し述べたような実体経済の動きを踏まえますと、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が強まる懸念があると考えられます。

 また、金融・資本市場の動きを見ますと、IT関連を中心とする世界的な株価調整の動きに加えまして、日本経済の先行きに対する不透明感の強まりもあって、我が国の株価も、昨年秋以降、下落傾向が目立ってまいりました。為替市場や債券市場でも、円安や長期金利の低下といった動きが進みました。

 こうした市場経済の動向には、ただいま申しましたように、海外経済の減速やこれを受けた国内経済情勢の変化に加えて、不良債権問題の解決を初めとする日本経済の構造改革のおくれに対する内外の懸念も影響しているように思われます。

 このような経済情勢の変化や金融市場の動向を踏まえまして、日本銀行では、本年二月以降、金融政策面で幾つかの措置を講じてまいりました。

 まず、二月九日の金融政策決定会合では、公定歩合により受動的に貸し出しを行っていく、いわゆるロンバート型貸出制度の新設など、幾つかの流動性供給方法の改善策を講じました。その上で、新たにこの貸し出しの適用金利となる公定歩合について、〇・一五%ポイントの引き下げを実施いたしました。

 次いで、二月二十八日の決定会合におきましては、生産の減少といった経済情勢の変化を踏まえまして、コールレートの誘導水準及び公定歩合をそれぞれ〇・一%ポイント引き下げるという金融緩和措置を決定いたしました。

 さらに、先週三月十九日の決定会合におきましては、日本銀行は、通常では行われないような思い切った金融緩和に踏み切ることを決定いたしました。この措置は、日本銀行として、物価が継続的に下落することを防止し、持続的な経済成長のための基盤を整備するという観点から、断固たる決意をもって実施に踏み切った次第でございます。

 金融緩和措置の具体的な内容を説明しますと、まず、金融市場調節の主たる操作目標を、これまでの翌日物コールレートという金利から、日本銀行当座預金残高という資金の量に変更いたしました。

 同時に、この新しい金融調節方式を、消費者物価の前年比が安定的にゼロ%以上となるまで続けていくということを決定いたしました。これは、こうした思い切った政策を継続する条件について明確なコミットメントを行うことを通じて、より長目の金利に働きかけるとともに、日本銀行として、物価の継続的な上昇と同様、継続的な下落も許容しないという強い決意を示すものであります。

 こうした新しい金融調節方式のもとで、それまで四兆円前後でありました日本銀行当座預金残高を、当面、五兆円程度に増額することにいたしました。この結果、翌日物のコールレートは、通常はゼロ%近辺で推移するものと考えられます。実際、その後のコールレートの動きもこうした推移をたどりつつあります。

 なお、資金供給のためのオペレーションに未達、いわゆる札割れといったようなことが多発するケースなども、資金を円滑に供給する上で必要とされる場合には、現在月四千億円のペースで行っております長期国債の買い入れ、これを増額することもあわせて決定いたしました。ただし、言うまでもありませんが、これは、国債価格の買い支えや財政ファイナンスを目的とするものではございません。今回、こうした趣旨を明らかにするため、日本銀行が保有する長期国債の残高は日本銀行券の発行残高を上限とするという明確な歯どめを設けた次第でございます。

 以上、今回の思い切った金融緩和措置の内容を説明いたしましたが、こうした措置がその効果を十分に発揮し、日本経済の持続的な成長軌道への復帰が実現されるためには、不良債権問題の解決を初め、金融システム面や経済、産業の面での構造改革の進展が不可欠の条件であると考えられます。

 実際、過去十年間、日本経済は、景気循環という観点から見て、何度か回復の動きが見られましたが、結局、力強い回復を迎えることなく、景気後退に直面するという事態を繰り返してまいりました。今回、景気が再び足踏み状態となっておりますのは、先ほど申しましたとおり、短期的には、米国を中心とする海外経済の予想以上の急激な減速が主因と見られます。しかし、より根本的な問題は、さまざまな構造的課題が依然未解決のまま残っているということにあると考えられます。

 もとより、構造改革は痛みを伴うプロセスでありますが、こうした痛みを乗り越えて改革を進めない限り、日本経済の持続的な成長を確保していくことは期待しがたいと思う次第でございます。

 日本銀行としては、今後とも適切な金融政策運営に努めてまいる所存でございますが、同時に、構造改革に向けた各方面における抜本的な取り組みが速やかに進展することを強く期待しておる次第でございます。

 御清聴ありがとうございました。

山口委員長 これにて概要の説明は終了いたしました。

 次に、去る九日、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づき、国会に提出されました破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告につきまして、概要の説明を求めます。金融担当大臣柳澤伯夫君。

柳澤国務大臣 去る三月九日、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、平成十二年七月二十七日以降、中央省庁再編に伴い金融再生委員会が廃止された本年一月五日までの間における、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。本日、本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、簡単ではございますが、本報告の概要について御説明申し上げます。

 まず初めに、特別公的管理が行われておりました長銀及び日債銀に係る措置につきまして、概要を申し上げます。

 日本長期信用銀行につきましては、前回御報告申し上げましたように、昨年三月一日、預金保険機構が保有する長銀の既存普通株式約二十四億株を、米国のリップルウッド社が中心となって組成した投資コンソーシアムであるニュー・LTCB・パートナーズ社、以下パートナーズ社と申し上げます、に対して譲渡することにより、同行に係る特別公的管理が終了しておりました。

 その際、昨年二月二十八日、予備的基準日貸借対照表に基づき三兆五千八百八十億円の金銭贈与、損失補てんが行われておりましたが、本年一月五日、基準日貸借対照表の確定に伴い、新生銀行より預金保険機構に対して、金銭の贈与に係る特例資金援助及び損失の補てん額の変更の申し込みがなされ、同日、金融再生委員会等により、金銭の贈与、損失の補てん額を三兆五千八百九十九億円に変更することが承認されました。

 次に、日本債券信用銀行につきましては、昨年九月一日に、預金保険機構が保有する日債銀の既存普通株式約二十五億株を、ソフトバンク、オリックス及び東京海上火災保険を中心に構成される出資グループ、ソフトバンクグループに対して譲渡することにより、同行に係る特別公的管理が終了したところであります。譲渡に当たっては、金融再生法の規定に従い、八月三十一日、預金保険機構より日債銀に対し約三兆二千四百二十八億円の金銭贈与、損失の補てんが行われたところであります。

 また、長銀、日債銀に係る瑕疵担保条項に基づく解除権の行使状況についてですが、本年一月五日現在で預金保険機構が引き取ることとなった案件は、新生銀行については、前回御報告申し上げましたそごうグループのほか三社で、債権額二千百四十一億円、支払い見込み額千百二十二億円であり、あおぞら銀行については、そごうグループほか一社で債権額百六十三億円、支払い見込み額六十三億円となっております。

 次に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた金融機関に関する措置につきまして、御説明申し上げます。

 管理を命ずる処分が行われていた国民銀行、幸福銀行、東京相和銀行、なみはや銀行及び新潟中央銀行の五行の受け皿への営業譲渡については、各行の金融整理管財人により鋭意作業、検討が進められた結果、昨年八月十四日に国民銀行が八千代銀行に譲渡されたのを初め、本報告の対象期間以降の措置も含めますと、幸福銀行が本年二月二十六日に関西さわやか銀行に、なみはや銀行が本年二月十三日に大和銀行及び近畿大阪銀行にそれぞれ譲渡されております。残る東京相和銀行、新潟中央銀行に関しましても、東京相和銀行につきましては、六月十一日に米国に本拠を持つローンスターにより今後設立される新銀行に譲渡される予定となっており、新潟中央銀行につきましては、五月十四日に大光銀行、第四銀行を初めとする六行に譲渡される予定となっております。

 また、協同組織金融機関に対しましては、昨年七月二十七日以降本年一月五日までの間に、二十一信用組合に対し金融整理管財人による管理を命ずる処分及び金融整理管財人の選任が行われております。

 なお、その後において、二信用組合に対し同様の措置がとられております。

 続きまして、預金保険法に基づく金融機関の破綻処理について御説明申し上げます。

 昨年七月二十七日以降本年一月五日までの間に、預金保険法の単独適用案件で金融再生委員会による預金保険法第六十一条第一項に基づく適格性の認定及び金融再生委員会及び大蔵大臣による預金保険法附則第十六条第二項に基づく必要性の認定が行われたものは、破綻金融機関数で見ると五信用金庫であります。

 最後に、これらの破綻金融機関の処理に係る資金を経理する預金保険機構の各勘定の状況について御説明申し上げます。

 まず、一般勘定については、ペイオフコストの範囲内の一般資金援助等の業務を経理することとされておりますが、その一月五日現在の借入残高は一兆七千三百億円となっております。

 次に、特例業務勘定については、ペイオフコストを超える特別資金援助や破綻金融機関の資産の買い取りに係る整理回収機構への貸し付け等の業務を経理することとされておりますが、その一月五日現在の借入残高は三兆七千七百八億円となっております。また、特例業務勘定において、ペイオフコストを超える特別資金援助の原資に充当するために設けられた特例業務基金に交付された国債の償還状況は、累計で七兆八千二百七十五億円となっております。

 さらに、金融再生勘定については、特別公的管理銀行に対する損失の補てん、金融機関等の資産の買い取りを行う整理回収機構への貸し付け等の業務を経理することとされておりますが、その一月五日現在の借入残高は、五兆六百十九億円となっております。

 このほか、金融機能早期健全化法に基づく資本増強に係る整理回収機構への貸し付け等の業務を経理する金融機能早期健全化勘定の借入残高は、一月五日現在で八兆二千七百二十六億円となっております。

 ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理に関しては、これまで金融再生委員会等において、関係法令に従い所要の措置を迅速かつ的確に講じてまいったところでありますが、金融再生委員会の事務を引き継いだ金融庁といたしましても、今後とも、我が国の金融システムの一層の安定に向けて万全を期してまいる所存でございます。

 御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

山口委員長 これにて概要の説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。

 私は、きょうこの日を大変楽しみにしておりました。速水日銀総裁と直接議論ができるのはなかなかありませんので、この委員会ぐらいしかじっくり話ができる機会がないので、大変楽しみにしてまいりました。きょうは、金融政策について速水総裁と真剣な議論を行わせていただきたいなと思っております。

 最初に委員長にお願いしておきたいと思いますが、私は、二時間ぐらいやりたいんですが四十分しかないので、貴重な時間なので、速水総裁だけと議論をしたいものですから、ほかの副総裁や理事の方は党の部会等で議論できますので、速水総裁にのみ答えていただけるようにお願いしたい。ほかの方が出られたら私はすぐにストップいたしますので、その点だけまず最初にお願いしておきたいなと思います。

 さて、新日銀法が施行されて三年がたったわけであります。この間の日本銀行の金融政策の実績というのをどうだと問われた場合、私は、余り芳しくない、むしろ迷走を続けて失敗したという評価だと思っております。

 政策対応が後手後手に回って、九九年二月にゼロ金利ということに追い込まれました。そして、それで少し上向きの兆しを見せた部分があったんでありますが、余りにメンツにこだわる余り、昨年の八月には、確たる根拠もないままにゼロ金利解除を強行して、私はそのときに反対いたしました。緊急提言も出しました。こんなことは時期尚早である、こんなことをやれば、株価は下がって、景気は腰折れするよということを予算委員会で二度にわたって言っていたにもかかわらず、強行されまして、そして、その結果、景気は自律回復するどころか失速した。

 デフレはいよいよ進んでおります。財と資産のデフレ、両方のデフレがどんどん進んでいる。一体、デフレ懸念は払拭されたとは何だったんでしょうか。全くそういう実態はなかったということが今日明らかになって、そして三月十九日、またまた実質ゼロ金利の状態に戻らざるを得ない、そういう醜態を見せているわけであります。

 そこで、まず最初に、速水総裁、ゼロ金利解除議案の提案者でありますが、昨年八月のゼロ金利解除政策というのは失敗だったとお認めになるのかどうか。まずそのことをお伺いしたい。

速水参考人 昨年八月のゼロ金利政策の解除につきましては、御承知のように、当時、経済も二%ぐらいの成長はできるだろうと皆思い始めましたし、市場の方も比較的よくなってきたということで、もう少し早い時期から私自身は解除を考えておったわけですけれども、そごうの問題等いろいろなことがあって、八月になって決断をして、多数決で決定をしたわけでございます。

 昨年八月のゼロ金利政策の解除は、市場でも非常に冷静に受けとめてくれまして、八月いっぱい株は上がっていきました。また、現実に日本経済の回復テンポが鈍化し始めましたのは昨年末以降でありまして、生産やGDPの動き等を見ましても、年内は我が国経済の緩やかな回復基調が維持されたというふうに考えられます。

 昨年末以降、景気回復のテンポが鈍化した最大の要因は、やはり米国経済の急激な落ち込みであったと思います。この点は、十一月のFRBのFOMCを見ましても、十一月FOMCまではリスクバランスの評価としてインフレ警戒という採用をしております。また、米国の民間機関の成長率の予想を見ましても、比較的高目であったこともあらわれております。

 日本銀行としましては、経済、物価情勢を深く点検しながら、その時々において最も適切な金融政策対応を機動的、弾力的に行っております。ゼロ金利政策解除時の判断は、私は誤っていないというふうに考えております。

 それから七カ月たって、今回、新しい方法でまたゼロ金利に到達するような政策をとっておりますけれども、金融政策というのは、先ほど申し上げましたような内外の大きな変化に即応しながら手を打っていくというのが本来のあり方であるというふうに思っております。

山本(幸)委員 ゼロ金利解除は失敗ではなかった、間違いではなかった、そう強弁されるわけですね。その根拠は、要するに、昨年の数字はよかった、株もゼロ金利解除しても月末まで上がったじゃないか、そういうことが一つ根拠。それから、日本経済がおかしくなったのは昨年の末からであって、それは米国経済が落ち込んだからだという理屈のようですね。

 幾つか疑問がありますが、八月、ゼロ金利解除をやって株が月末まで上がったら、それでいいという話になるのですか。ではあなたのモデルでは、金融政策を変更したらすぐに効果があらわれて、その効果は二週間ぐらいで終わる、そんなモデルを使って議論しているんでしょうかね。そんなモデルがあったらいずれ論文で示してもらいたい。そんな、金融政策の効果が、やって直ちにきくなんという実証研究なんて見たことない。大体、金融政策の効果が出てくるのは、二カ月とか三カ月後に出てくるというのがどんな実証研究だって出している話ですよ。

 それから、米国経済が予想以上に落ち込んだ、昨年の末まではだれもそんなことはわからなかったと言っていますが、私は、去年の予算委員会でちゃんと言っていますよ。米国経済はもうおかしくなりつつある、米国経済は落ち込みつつあるよ、そしてアジア経済も落ち込みつつある、こんなことは私はわかっていた。あなたがわかっていなかったというだけの話じゃないですか。そう予算委員会で私は指摘していますよ。みんなわかっていましたよ。当時、アメリカの株価はいずれ暴落する、七千ドルか八千ドルぐらいになってもおかしくない、PERから見て。そんなことはもう普通に言われていたことですよ。それを、いや、私は全くわかりませんでしたというのは、あなたの見通しが、予測能力が足りないというだけの話じゃないんですか。私は、米国経済がおかしくなると。

 私はもっと、もう一個リスク要因があると思っていた。それは原油価格の高騰ですが、これは私が危惧したほどにはありませんで、それはよかったと思っているんですが、原油価格の高騰がそれに加わっていたら大変なことになっていた。原油価格の高騰はそうならなかったけれども、米国経済は予想以上に落ちた。

 しかし、いずれにしても八月の段階で、将来的に見れば、デフレという状況に対して、むしろ下振れリスクのある現象の方が起こる可能性が高いということが明らかだったわけですよ。そういうときに、あなたは、足元がいい数字が出てきたから、今やその足元のいい数字だったのは間違いだったのが明らかになっています。七―九のGDPはプラスどころかマイナスだった、あるいは、ダム論の根拠になった中小企業の所定外給与、特別給与は実はそんなにプラスじゃなかったということが明らかになっています。

 つまり、政府はもうその当時補正予算の話をしていた。政府はもうそういう予測をして、補正予算ということでエンジンをかけた。将来的には下振れリスクしかない、そういう状況でエンジンをかけなきゃいけないときに、あなたはブレーキをかけた、逆噴射をしたんですよ。私は、これが間違いでなくて何が間違いだと言うしかないと思うんですね。

 今回の「金融市場調節方式の変更と一段の金融緩和措置について」という前文のところにはっきりと書いていますよ。「過去十年間にわたり、」云々と書いてあって、いろいろやってきた、「それにもかかわらず、日本経済は持続的な成長軌道に復するに至らず、ここにきて、再び経済情勢の悪化に見舞われるという困難な局面に立ち至った。」はっきりと、これは財政政策も含めてですが、財政金融政策は間違ってきましたということをちゃんと認めているじゃないですか。

 失敗であったか失敗でなかったかという評価は、国民生活に利益をもたらしたか被害をもたらしたかで判断するべきだと私は思います。昨年のゼロ金利政策を解除したときに、ノーベル経済学賞をもらったポール・サミュエルソンさんが大変興味深い論文を書いて、ある新聞に寄稿されました。

 それは、日銀は間違いを犯しただろう、そのときに、しかし流動性のわなにはまり込んでしまった場合には、金利を上げようと下げようと、その変化が通常は実質経済成長率や物価水準に持つ影響力の多くは失われる、こう書いた後に、だが、破産は別だ、支払い不能の瀬戸際に立たされた企業や銀行は、消費や投資の需要がまだまだ正常なレベルまで戻っていないのに、時期尚早に金利を厳しくされると、はっきりとした倒産へとたたき落とされてしまう、サミュエルソンさんはそう書いてある。私は、現実にそのことが起こった。不必要に倒産を余儀なくされた中小企業者がたくさん出た、失業を余儀なくされた雇用者がたくさん出たんですよ。

 あなたは、そういう倒産した企業経営者や失業の憂き目に遭った人たちに対してお断りをしたいという気持ちはないんですか。そんなものは全然私の知ったことではない、グリーンスパンよりも二倍も給料をもらっているからいいや、そういう気持ちなんでしょうか。いかがですか。

速水参考人 まず、山本先生の最初の御質問である、株だけで動かしたのかというお話でございますが、金融・資本市場というのは、やはり反応が非常に早いわけでございますし、すぐに変化を織り込むわけでございます。株の反応がよかったということは一つの例に挙げただけでございまして、その後、ゼロ金利というものは本当に非常態勢のもとでの対応でございまして、金利がゼロということは、やはり資本主義経済では、リスクを持った貸し出しをするのに金利を取らないということはおかしなことでございます。そのほかにも、あのとき以来、金融市場は非常にまた活気を、特に短期金融市場は活気を帯びてきまして、取引高もふえますし、いろいろな形でゼロ金利解除が一般に受け入れられたというふうに私どもは判断しております。

 第二の御質問であります、米国経済のリスクを予測できなかったのかということでございますが、これは、私どもも十月の経済の先行き展望のリポートで指摘しておったところでございますし、リスクの中で二つの点を強調したつもりでございます。一つは、米国、海外の経済がどういうふうに変わっていくかということと、もう一つは、内外の資本市場がどう変わっていくかということをリスク要因として挙げていたつもりでございます。

 このことは私ども十分予測しておりましたが、ことしの初めになってアメリカが動き始めたわけでございまして、それに対応して私どもも素早く二月から緩和体制へ移していったということは御承知のとおりでございます。

 特に、九九年の二月にゼロ金利政策をとったというときは、御承知のように、非常にデフレスパイラルの危機が迫ってきたという危機感がありましたし、大銀行の破綻が起こりつつありましたし、そういう情勢に対してゼロ金利という非常に、普通ではとてもできない異常な金融対策をとったわけで、それはやはりできるだけ早く直していきたい。金利というものはやはり金融の基本にあるものでございますから、そういう意味で、昨年の八月十一日に、金融緩和の微調整をするということで、ゼロ%を〇・二五%に上げたということでございます。このことは、中央銀行としては当然やるべきことであったというふうに思っております。

山本(幸)委員 いろいろ言いわけ、責任逃れに聞こえるようなことばかり申されましたが、しかし、倒産した企業経営者や失業の憂き目に遭った方々に対する言葉が全くなかった、そのことは私は大変残念に思います。

 最近、ある人の話を聞いて、リーダーの条件というのは三つある。一つは責任の所在をはっきりさせること、二番目、失敗は潔く認める勇気を持っていること、三番目、出処進退の潮どきをよく知っていること、こういうことでありまして、それをどう判断するかは人格の問題であるし、人間性の問題ですから、私はもうそれ以上言いませんが、倒産した企業経営者や失業の憂き目に遭った労働者のことを考えて、御自身で賢明な判断をされてもらいたいというふうに思います。

 そこで、次に、今度は本当の金融政策について聞きますが、三月十九日、今回の新しい金融調節方式、新しい金融政策が発表されました。中身は先ほど説明がありましたので、もう私から申し上げません。

 そこで、まず最初にお伺いしたいんですが、この新しい方式、新金融政策、これの最終目標は何ですか。

速水参考人 最終目標は、やはり物価の一方的な下落という最近の動きを見まして、これは安定させるべきであるというふうに考えました。日銀法の二条に書かれておりますように、物価の安定を通じて経済の持続的な成長を図ることが私どもの金融政策のねらい、理念であるということが書かれております。そのことを実行したというふうに思っております。

山本(幸)委員 率直にお認めになったのでびっくりいたしました。つまり、最終目標は物価の上昇率だと。物価の安定が最終目的であるということですね。

 では、この政策は何だ。インフレターゲティング政策そのものじゃないですか。インフレターゲティング政策というのは、あなたは記者会見でインフレターゲティング政策とはこういうことだと言っていますが、それはあなたの勝手な定義であって、いろいろなバリエーションがある。

 しかし、最も大事なことは、最終目標として何を考えているかということが決め手なんですよ。最終目的が物価の上昇率であるということであれば、インフレターゲティングになるんです。インフレターゲティング、字句のとおり、物価上昇率のターゲティングなんだ。つまり、あなたは、今回の政策はインフレターゲティングの一種であるとお認めになったわけですね。

速水参考人 私は、やはり物価というのはインフレでもないしデフレでもないように安定させていくべきだというふうに思っております。

 今回、インフレターゲティングを採用すればよかったではないかという御意見かもしれませんが、通常、インフレターゲティングと呼ばれます手法につきましては、中長期的に望ましい物価上昇率を目標として設定して、先行きの物価上昇率が望ましい物価上昇率から乖離すると予想される場合に政策変更を行っていくというのがやり方だと思います。

 ただし、現在の日本のように、物価に対して、需要の弱さに加えて規制緩和とか流通合理化といった供給面の要因が作用しております状況では、中長期的に望ましい物価上昇率を数値で示すことは甚だ難しいというふうに考えております。

 日本銀行では、こうした形でのインフレーションターゲティングは引き続き検討事項として位置づけております。今回の措置は、あくまでも、通常は行われないような政策を、現実の消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続するという時間軸を決めてコミットしたものでございます。

 したがいまして、いわゆるインフレーションターゲティングとは異なるものでございますが、物価が継続的に下落することを防止して、持続的な経済成長のための基盤を整備するという断固たる決意を示したものでございます。

山本(幸)委員 事務局が書いたものを読まざるを得ないからそういう答えになっちゃうんだけれども、私が言っているのは、あなたが勝手に決めつけているインフレターゲティングというのは、それはインフレターゲティングのやり方の一つですよ。最もオーソドックスなインフレターゲティングでしょう。しかし、インフレターゲティングというのは、いろいろなやり方がある、バリエーションがあるんですよ。

 しかし、何をもってインフレターゲティングと言うかというと、金融政策の最終目標は何ですかと聞かれたときに最終目標は物価の上昇率ですよといった場合に、インフレターゲティングと言うのですよ。それは、どの教科書にも書いてあるインフレターゲティングの定義です。それはいろいろありますよ、バリエーションは。どれをとるかだとかそんなことはあるけれども、でも私はそんなことは聞いていない。

 そういう通常の定義でのインフレターゲティングということからすれば、今回の措置は、あなたは最初、最終目標は物価の上昇率。それは数字はいろいろありますが、ここでは今言っていることだけれども、しかし、物価の上昇率、つまり物価安定。物価の上昇率があるレベルになるようにということを最終目標としてやる政策ですよと言ったんだから、これはまさにインフレターゲティングの一種と言わざるを得ないじゃないですか。違いますか。

速水参考人 最終目標は物価の安定であるということでございます。それは、インフレでもなければデフレでもない、物価を安定させて、それを通じて経済の安定的な成長をもたらすということであります。

 今回の基準は、日本経済にとって中長期的に望ましい物価上昇率というものを示したものではございません。あくまでも、通常行われないような思い切った政策を継続する場合の条件を明らかにする、それと同時に、日本銀行として、物価が継続的に下落することを防止するという決意を示したものでございます。そうした意味でのコミットメントとして、この数値が低過ぎるとは考えておりません。

山本(幸)委員 それじゃあれですか、最初にお答えになったように、最終目標は何かと聞かれたら、あなたは最終目標は消費者物価が安定的にゼロ%以上になることと答えられたじゃないですか。それを今や撤回されるんですか。そして、最終目標はわけがわからない、そういうふうに言われるんですか。どっちなんですか。

速水参考人 今の政策が、時間軸といいますか、いつまで続けるかということに対して、CPIがゼロ、マイナスでなくなるまでということを条件にコミットした次第でございます。

山本(幸)委員 私は、そういうわけのわからぬ政策をやるのはいかぬと言っているんですよ。そんなものを言うんだったら、それはまやかしであり目くらましになっちゃうから、だめだと言っているんです。

 政策というのは、何を目がけてやるんだ、何を達成しようとしてやるんだという目標がなければ、ちゃんとした政策になりませんよ。それを、私から詰められていくとインフレターゲティングの一種だと認めざるを得なくなっちゃうから、途端に、いや、それは時間軸ですよと。

 では、何が最終目標なんですか。

速水参考人 先ほどから申しておりますとおり、デフレの現状が、CPIのゼロ以下ということが安定的になくなってくるというところまで今の政策を続けるということでございます。したがいまして、目標は、物価のゼロでの安定ということが最も望ましいということでございます。

山本(幸)委員 はい、わかりました。お認めになりましたね。物価の安定、つまりゼロでの安定というのを目標にするんだという話ですね。それは、一般的な定義からいって、インフレターゲティングそのものですよ。その一種。

 では、それ以上言っても、ああでもないこうでもないとまた言うでしょうから、次に行きます。

 そうすると、私の定義によれば、日本銀行はインフレターゲティングの一種を採用した。そのときに、じゃ今度はそれが正しいかどうかという検証をしなきゃいかぬですね。正しいというか、より適切であるかどうかという検証をしなきゃいかぬ。

 それでは、あなたは今、CPI、物価が、ゼロ%が最も望ましいというふうに思っているんだ、それがあなたの言うインフレでもないデフレでもない物価上昇率だという定義になるということですね。ゼロ%が望ましいという理由は何ですか。

速水参考人 デフレでもないインフレでもない価格の安定というのが私どもの理想とするところでございます。

山本(幸)委員 インフレでもないデフレでもないというのはトートロジーであって、定義とか説明にならないのですよ。ゼロ%とおっしゃった。数字が出てきて初めて議論になる。ではゼロ%が適切かどうかという話を次にやらなきゃいかぬことになるのです。

 では、CPIでゼロ%が望ましい水準かどうか。日本銀行の調査研究でも明らかになっているし、これは世界各国の実務家の間でも経済学者の間でも明らかになっているのですが、消費者物価指数というのは上振れするのです。それは、バスケットの構成が過去のものを使うし、そして最新の新しいものを反映できないし、技術革新とか、あなたが好きな流通革命とか、起こってきたものがすぐに反映されない。その結果、実際に統計的な数字として出てくる値は、現実の本当の実体の物価より上に出るのですよ。日本銀行の研究者の報告によれば、日本では大体〇・九%上振れする、アメリカでは一・一%上振れすると出ています。つまり、一%前後は上振れして出る。あなたの言っているように、CPIがゼロ%ということは、そういうことから考えると、実際はマイナス一%前後のところになるのです。

 あなたは先ほどゼロ%が望ましいと言われましたが、ではあなたは、実際のところではマイナス一%、つまりデフレの状況が最も望ましいとおっしゃりたいのですか。

速水参考人 今回の基準は、日本経済にとって中長期的に望ましい物価の上昇率を示したものではございません。あくまでも、通常は行われないような思い切った政策を継続する条件を明らかにしますとともに、日本銀行として物価が継続的に下落することを防止するという断固たる決意を示したものでございます。

 中長期的に望ましい率が何なのかということは、私どもとしてもずっと検討を続けておる次第でございます。

山本(幸)委員 全く私の質問に答えていないですね。どうしてですか。私は理論的な話をしているのですよ。CPIゼロ%というのは、実際はマイナス一%ぐらいですよというのが実務家の間でも学者の間でも共通した理解です。それを、ゼロ%というのを主張されるのだったら、実際はデフレ状態であるということを日本銀行は望んでいるとしか思えないのだけれども、それでいいのですかという質問をしているのですが、ちっともそういう質問に答えてくれない。大体、その辺がよくわかっていないということがわかりましたから、次に行きます。

 それでは、今度の政策で、日銀当座預金で五兆円を目指す、つまり約一兆円の積み増しをするということですね。この日銀当座預金の五兆円というのは一体何ですか。これは、いわゆる中間目標というものですか、それとも政策手段というべきものですか。

速水参考人 五兆円というのは、日々の当座預金残高の目標として金融市場局が、資金需給やそのときそのときの市場の情勢を見ながら、口座残高が五兆円になるように資金の供給、吸収を行っていくという目標でございます。当座預金のターゲットにつきましては、最近の残高が四兆円でございます。ゼロ金利のときも四兆六千億ぐらいまでいったように記憶しております。そういうことを考えまして、一兆円を増額して五兆円程度とすることが適当と判断した次第でございます。

 この結果、無担保コールレートは、これまでの誘導目標であった〇・一五%からさらに低下して下がっていくということも、従来のゼロ金利よりも多少弾力的に動いて市場性がそこに出てくるというふうに期待しております。今動きを見ておりましても若干のばらつきがございますし、今後も、リスクの反映といった質の面でも多少の金利の変化は出てくると思います。

 当面、こういった金利動向を含めまして、当座預金残高の大幅な増加が金融・資本市場や金融機関の行動、ひいては経済全体にどのような影響を与えていくのかということを注意深く見ていくことができるというふうに思っております。

山本(幸)委員 当座預金残高というのは、今のお答えから見ると中間目標だと考えているようですね。(発言する者あり)中間目標でもいいし操作目標でもいいですよ。そう考えているようですね。

 そうしたら、大事なことは、その中間目標、操作目標というものと最終目標との間の関係がちゃんといっているかどうかということが次の大事な課題になるわけですね。

 あなたは、最終目標は物価の上昇率だと言われた。そして、それを実現するための中間目標、操作目標として当座預金を考えると。では、それをやれば最終目標というものが達成できるという関係にあると思っているということなんでしょうね。ところが、これは従来日本銀行は否定してきた考えですよね。それがはっきりと変わったとお認めになるのかどうか。

 それから、私は非常に問題だと思っているのは、積み増しが一兆円という数字になっている。これは、ゼロ金利のときの状態がそうなんですが、一兆円という数字で果たして最終目標を達成できることになるかどうか非常に疑問がある。

 一兆円ぐらいの程度だったら、短資会社に滞留しちゃう。日銀は、去年マネタリーベースの定義を変えまして、銀行の当座預金だけじゃなくて短資会社や証券会社等の当座預金もマネタリーベースに入れたわけですね。その結果どうなるかというと、短資会社に一兆円が滞留していたら、それは銀行の方に行かない。日銀が完全にコントロールできる短資会社でお金を滞留させておけば、銀行には行かないで、結局本当の金融緩和ということにつながらないおそれがあるというのが私が非常に疑念しているところなんです。

 最初の議論でインフレターゲティングというのがなぜ出てきたかというと、そういう操作目標とかと最終目標との関係が不安定になってきた、通常日本銀行が操作できるそういう数字と最終的な物価水準というのが、どうも関係が不安定になってきた。これは日本銀行も指摘していることですね。それは、金融革新とかが進んできたら、そういうことが起こるのでしょう。

 そこで、そういういろいろな混乱を避けるために、もう目標は最終目標一本に絞ろう、そして、あれをやるとか、あれをこれだけに制限するとか、そんなことじゃなくて、その最終目標ということだけを見てできるだけやりましょうというのが本来の姿であるべきだし、私はその方が効果があると思う。これを一兆円ということに限定しているということは、その効果を減殺するというように思います。

 その意味で、今回の措置はとても効果があるように思えない。本当に効果があると思ったら、当座預金というところで一兆円という上限なんかは置く必要ないのです。最終目標であるCPIがゼロ%以上になるということを目指して、幾らでもやればいいじゃないですか。そういうことを考えませんか。

山口委員長 時間が来ていますので、簡潔に。

速水参考人 最終目標という言葉を使われましたけれども、今度の当座預金五兆円というのは、これからの決定会合で、その後の推移を見、状況を見ながら討議して、引き続き据え置くかどうするかということは毎回議論してまいりたいと思っております。そういうふうに固定的なターゲットとは思っておりません。そういう御理解を願いたいと思います。

山本(幸)委員 ありがとうございました。時間が足りないので詰め切れませんでしたが、いろいろ重要な指摘をいただきました。

 しかし私は、やはりはっきりと、しかももっと、デフレ状況じゃない目標をしっかり持って、そのためには別に当座預金とか金額は制限する必要もないし、やれることは何でもやるという方針が一番いいのじゃないかなというように思っていますので、今後ともそういうことで追及していきたいと思います。

 終わります。

山口委員長 次に、若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。

 私はきょうは一般質疑という観点から、十二月の一日、昨年の行革大綱の中に盛り込まれました公会計の見直し、改善について、財務省の対応についてまず質問をさせていただきます。

 この十二月一日の行革大綱ですけれども、この公会計の、特に公会計に係る網羅的な基準の設定ということでこの検討を進めるということですけれども、この公会計基準の設定主体の設置状況についてまずお聞きしたいのと、もう一つは、同じくその行革大綱の中に、特別会計等、いわゆる特殊法人、これがかなりリンクしておりまして、なかなか今まで見えなかったところであります。それにつきまして、ちょうど昨年の十月の特別会計等財務書類作成ガイドライン、これも、これをベースにした改善を図るということですけれども、それについての進捗状況もあわせて御質問いたします。

宮澤国務大臣 行政改革大綱におきまして、特別会計に関する財務書類の改善、それから、特殊法人等の会計処理の見直し等々を行うことにしておりますが、これは、国民に対して、国の財政事情をなるべくわかりやすく開示をし、財政についての透明性、一覧性の向上を図る、説明責任を、いわばアカウンタビリティーということ、公会計の見直しを行うということでございます。

 特別会計に関する財務諸表につきましては、自民党が行革推進本部を持っておりまして、昨年十月に財務書類の作成のガイドラインを提示されました。各省庁も、そのガイドラインに基づいて財務諸表の作成をしてくれないかということがございましたので、その点は、ただいま作成作業を行ってきたところであり、また、自民党においてそれを検討しているというところでございます。

 特殊法人の会計処理の見直しにつきましては、財政制度審議会において、法制・公企業会計部会がございまして、同じように、透明性の向上、特殊法人等が民間企業同様の活動を行っていると仮定した場合の独立行政法人と同様の財務諸表を企業会計原則に従って作成するということにつきまして、鋭意検討を行っているところでございます。

若松委員 もうちょっと具体的に聞きたいのですけれども、まず、公会計に係る網羅的な基準の設定主体、これは今どういう組織で、かつ、やっているということはわかったのですけれども、どの程度の進捗状況なのか、もうちょっと具体的に答えていただけますか。

宮澤国務大臣 ちょっと私、詳しいことを存じませんので、よろしければ参考人から説明をお許しいただきたいと思います。

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 それでは、速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として財務省主計局次長藤井秀人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 それでは、藤井君。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今、先生おっしゃいました特別会計等々についての、いわば現在の審議の主体という御質問かと思いますけれども、特別会計につきましては、ただいま大臣が申されましたように、自民党の行革推進本部というところでガイドラインの提示をいたしました。それに基づきまして、各省庁から、それぞれ特別会計に係る財務諸表をそのガイドラインに基づきまして提出をし、現在それにつきまして種々議論が行われているというように聞いております。

 それから特殊法人、これも大臣から御答弁がございましたけれども、財政等審議会におきまして、法制・公企業会計部会というところで議論がなされております。昨年の末に論点整理が行われまして、具体的にそれぞれの特殊法人に当てはめた場合、どういう論点、問題点がさらにあるのかということで、現在、この部会のもとにワーキンググループを設けまして、そこで議論を行い、審議が行われているということでございます。

 それから、公益法人の会計基準、これはあるいは総務省からのお答えがよろしいかと思いますけれども、有識者あるいは公認会計士を含めました公益法人会計基準検討会というものが昨年の四月から開催され、その中で検討が行われているということで承知をいたしております。

若松委員 そうすると、では、具体的に財務省の中で、公会計というのはいろいろあるわけですから、それに関する網羅的な、かつ行革大綱では、整合性ということで、全省庁にまたがる、もしくは全省庁違う場合にどこかで整合性を図るということで、財務省がそれをやるということで、その公会計に関する網羅的な基準の設定主体、これは財務省がやっているのでしょう。やっていますか。動きが見えないのですよ。どうですか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたように、私ども、まずは、特殊法人等の会計処理の基準ということで、財政制度審議会等で議論が行われているわけでございますが、今先生おっしゃいましたように、それぞれのそれ以外の特別会計、あるいは公益法人等々、公企業会計という一連の中で、さらに議論が進展してくれば、当然おっしゃるように、整合性の問題等々についていろいろな議論というものは考えていく必要があるというように考えております。

若松委員 今ちょうど与党三党として、公益法人運営適正化法案なるものの骨格が合意されました。そこに、公益法人会計基準も古くなったから改正すべきだという議論があるわけですけれども、この改正はどこで行うのかということですけれども、総務省ということですね。それは、イエスかノーか、簡潔に答えてください。

衞藤政府参考人 お答えいたします。

 公益法人会計でございますが、公益法人の健全な運営に資するということで、昭和六十年に一度改正がございまして、それから十五年経過してございますので、最新の問題点等を踏まえて、今検討中ということでございます。

若松委員 それでは、独立行政法人会計基準、これは昨年十二月にできたわけですけれども、そしてそれに関する、独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書のポイントというものができているわけですけれども、これはどこがやっているのでしたか。これはどこが、総務省じゃないのですか。何で答えられないのかな。主宰者は、これは安倍総務政務次官ですよ、官邸ですね。みんなやはり総務ですよ。遠藤和良総務副大臣。総務ですよね。知らないのでしょう。(発言する者あり)それでは、わかりました。知らない、わからないのですね。わからない。

 どうぞ、同じ総務省なんです。

衞藤政府参考人 済みません。

 当方では、公益法人の調整をやっている関係で、独法については承知しておりません。

若松委員 要は、ではまず公会計というのがあるわけですね。独立行政法人というのは、どちらかというと公会計に近いわけです。では、そこを、だれが責任を持って設定主体として決めるかどうか。ルールメーカーですよね。それがさっきの財務省がやりますと。

 ところが、先ほどの独立行政法人ですと、総務省がやっているけれども、では、同じ総務省の公益法人をやっている人は知らない。では、公益法人があります。では、社会福祉法人があります。

 社会福祉法人会計があるわけですけれども、実は、これは厚生省の一つの局の中で、二つの課があって、課それぞれ違うものをつくっているのです、社会福祉法人会計という形で。それで、結局同じ課内でこっちがいい、こっちがいいとやっているわけなんです。こういう状況で果たしていいのか。

 何が問題かというと、結局会計基準設定主体が今まで不明確だったのですよ。今まで大蔵省の中で、企業会計審議会という形になったわけですけれども、今この会計基準の設定主体は、いわゆる民営化しようと。まさに、行政はかかわらないで、それぞれ民間の関係者がお金を出し合ってやっていきましょうと。そこが権威を持って、それでそういう会計基準なりをつくっていくと。これはいいんですね。

 では、公会計はどうなんですか。財務省も答えられない。独立行政法人になっちゃうと総務省になる。総務省も公益法人は答えられない。こういう状況を恐らくよその国が見たら、日本の公会計基準、もしくはいろいろな公益法人的な会計基準、だれが責任を持ってつくって、だれが調整をして、だれが権威づけするのか。

 内閣府は今、政治のリーダーシップという形で、今のときこそ出番だと思うんですけれども、ちょっと、調整機能を持つ内閣府の方、何か答えてください。

永谷政府参考人 お答えいたします。

 一月六日から新しい省庁体制が発足しております。私どもの内閣府に期待されている総合調整の対象というのは、とりあえず、経済財政政策でありますとか科学技術政策でありますとか、そういう特定の政策分野に限られていると。公的会計基準まで及ぶとは、私どもとりあえずは理解しておりません。

 ただ、いずれにしましても、これからの世の中の非常に大きな部分がこの会計基準によって変わってくるところでありますので、総務省でありますとか財務省でありますとか関係省庁の動向について、内閣府としてもウオッチしていきたいというふうに思っております。

若松委員 大臣、事の、問題の本質、大体わかっていただけましたか。これが日本の状態なんです。

 ですから、公会計、さらには公益法人とさまざまな会計のルールメーカーをしっかりと調整機能も含めてどこがやるか。もう財務省がやる時代じゃないんですよ。はっきり言って、やはり内閣府というか上位がやらなくちゃいけないんです。

 それを、ここの場で言いますけれども、去年の十二月のときに、行革大綱をつくるときに、財務省が私のところでやりますと。ところが、やるといったって、公会計、まだ準備も不十分だし、あと、ほかのこと考えていない。何だったのかということなんですよね。

 ですから、これ、真剣に政府として考えてください。だから、内閣府がやるのか、それはお手並み拝見です。ぜひ委員長も関心を持っていただいて。こんな状況をいつまでも続けることはできないと思います。

 次の谷口同僚議員が、恐らくもっと厳しい質問になるんじゃないかなと思っておりますけれども、一応このことをこの財務金融委員会の先生方にも知っていただいて、非常に大きな問題ということを、この委員会でも引き続き取り上げさせていただくことをお話をしまして、質問を終わらせます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、谷口隆義君。

谷口委員 公明党の谷口隆義でございます。

 本日は、まず初めに、日本銀行の金融政策につきまして質問をさせていただきたいというように思います。

 先ほども同僚議員の質問があったわけでございますが、本来、我が党は、日本銀行の金融政策は、日銀の独立性を尊重しなければならない、こういう意味で、従来から、党としても、また与党協議の場でも、それを尊重すべきだという立場を貫いてきたわけでございます。

 先日も当委員会で、内閣府で金融に関する協議がある、討議があるということですから、それは余り好ましくないよ、こういうように言っておったんですが、本日は、このようなことを話す委員会でございますので、私自身の個人的なことも含めてお話をさせていただきたいというように思う次第でございます。

 結論から申し上げますと、昨年八月にゼロ金利の解除が行われたわけでございますが、私は、このゼロ金利の解除についてはやはり問題があったというように思うわけでございます。状況をしばらく見た方がいいというようには申し上げておったわけでございますが、ゼロ金利を解除された後に株式市場の動向を見ておりましても、下落をずっと続けておる、こういうような状況があるわけでございます。

 先ほど速水総裁のお話を聞いておりますと、米国経済の低迷ということで、急遽その状況が変わったみたいなお話があったわけでございますが、本日、総務省の統計局の消費者物価指数というのが出ているんですね。これを見ますと、消費者物価は、生鮮食料品を除く総合指数が、このベースで日銀もやられておるわけでございますが、全国で見ますと十七カ月、この下落が続いているんですね。ですから、昨年の八月の時点におきましても、当然ながらこの下落が続いておったわけでございます。

 あの当時に、デフレ懸念が払拭されたというようなことで行われたわけでございますが、私は当時、先ほど申し上げましたように、しばらく待った方がいいんじゃないかというように申し上げておったんですが、その結果、景気の低迷をもたらしておる一つの原因になっているということは、これは大きな問題であるということで、本日この質問をさせていただくわけでございます。

 一月の三日、四日とアメリカは、景気の低迷が念頭にあって、金利の引き下げが行われました。その後、日銀の金融政策決定会合の状況を見ておりますと、二月の二十九日に、公定歩合の引き下げとロンバート型の貸し出しが行われたわけですね。二月の二十八日に、短期金利の誘導目標を〇・一%下げまして〇・一五にし、公定歩合を、これも〇・一下げて〇・二五に引き下げられたわけでございます。

 そういう状況を見ておりまして、その後、当時の金融政策決定会合の状況を見ておりますと、一月十九日の金融政策決定会合においては、九人の委員のうち三人の審議委員が金利の引き下げにも言及されている、このような状況であったようでございます。また、二月二十八日の金融政策決定会合におきましては、景気減速を懸念する審議委員から激しい追及があったわけです。ということで、いわば、私からしますと、ほとんど効果のない若干の引き下げが行われたというようなことになっておるわけでございます。

 まず、総裁にお伺いいたしたいわけでございますが、先ほども御答弁されましたが、八月のゼロ金利の解除と、その後の金融政策の決定につきましての御見解をお願い申し上げたいと思います。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

速水参考人 先ほども御説明させていただきましたが、ゼロ金利解除の妥当性ということ、今、先生は、消費者物価がずっと下がっていたということを御指摘になりましたけれども、確かに消費者物価は、やはり需要と供給と両サイドでありますのでそれはなかなか難しいんですけれども、昨年の下がり方を見ておりまして、かなり供給サイドの、例えば規制が撤廃になり、流通革命のようなことが起こり、技術革新が起こって、供給サイドのコストが下がっていく、このこと自体は消費者にとってはいいことであったと思います。

 そういうものと、需要が減っていってデフレ現象を起こしていくということとを見きわめるのは非常に難しいわけですし、その辺のところは私どもも十分注意深くウオッチをしてきたつもりでございます。

 昨年の八月のゼロ金利解除につきましては、市場におきまして冷静に受けとめられましたし、長短金利も安定した推移で、八月中はむしろ株価も上昇したということでございました。また、現実に、日本経済の回復テンポが鈍化し始めましたのは昨年末以降でございまして、生産やGDPの動きなどを見ましても、年内は、我が国経済の緩やかな回復基調が維持されてきたと考えております。

 昨年末以降、景気回復テンポが鈍化した最大の要因は、やはり米国経済の急激な落ち込みであったと思います。この点は先ほども申しましたが、十一月のFOMCまでは、FRBも、将来のリスクバランスの評価として、インフレ警戒だということを出していたわけでございます。米国の民間機関の成長率の予想も、比較的高目であったことは、記憶に新ただと思います。

 日本銀行としましては、経済、物価情勢を注意深く見ながら、その時々において最も適切な政策を機動的、弾力的に行っていくという建前で、ゼロ金利政策解除の判断は誤りであったとは私は思っておりません。

 ことしになってからの金融政策、金融緩和措置でございますけれども、昨年末以降、アメリカを初めとする海外経済の急激な減速を背景にして景気回復のテンポが鈍化してきたことは、私ども……(谷口委員「ちょっと時間がないので」と呼ぶ)はい、わかりました。

佐藤(剛)委員長代理 簡潔にお願いいたします。

速水参考人 はい。

 一、二月のこうしたアメリカの動きあるいは株価の世界的な下落といったようなものを受けて、日本もこれまで緩やかな回復を続けていたのが足踏み状態になってきたという判断で、まず公定歩合から緩めていくのだけれども、何か起こったときにロンバート型の貸出制度、いつ来ても受けて立つという貸出制度を初めてここで採用したわけです、担保さえあれば貸すぞと。これは三月十六日から実施されておりますけれども、既に……

佐藤(剛)委員長代理 御注意申し上げます。

 簡潔に御答弁いただきます。時間がありません。

速水参考人 はい。

 既に、借り入れが起こっております。そういうことを見ても、これは、やはりこれからも、金利の上を抑えるという意味では有効であると思います。

 その後もう一回、二月二十八日に〇・一%下げました。そして、三月十九日の、先週の緩和措置を打ったわけでございますけれども、これも、物価が継続的に下落することを防止して少し長期に持続的な経済成長を図っていくためには、やはりこれぐらいのことをしておいて、それで、生産あるいは企業……

佐藤(剛)委員長代理 速水総裁、簡潔に御答弁願います。

速水参考人 企業サイドでの立ち上がりを期待したいといったような声明も出して、この制度を公表した次第でございます。

谷口委員 さっきも申し上げましたように、一月十九日の決定会合でも三人いらっしゃった。だけれども、二月十四日に総裁が定例会見で、ゼロ金利の復活はない、量的緩和はないと明言されているわけですね。二月十四日ですよ。

 また、二月九日のロンバート型と公定歩合の引き下げは市場にサプライズがあったというようなことなんです。私はこれは奇策のサプライズであって、むしろ、日銀に期待されているのは、さっきおっしゃったように、機動性、弾力性でございます。もう既に一月の段階で、アメリカの経済が低迷をしておるというような状況がほぼわかってきたわけでございますから、そういう状況を踏まえて、むしろ日銀に期待されておったのは、弾力的に行う、こういうことなんだろうと思うのです。

 ところが、ことしに入ってからの日銀の金融政策は、市場の圧力があればやる。追い込まれてはやる。だから、三月十九日のゼロ金利の復活、これはほとんど予想されていた、織り込み済みのことであったわけでございます。私は、二月の段階で取材を受けたときに、日銀は三月にやるだろう、三月の株価の動向を見ながらまたゼロ金利に戻すだろうと言っておりました。全くそういう機動性がない。総裁自身も、さっきも申し上げましたように、二月の中旬の段階におきましても、まだそういうことをおっしゃっておった。それが、三月の十九日の政策決定会合で、全く変わったわけでございます。

 冒頭お話ししましたように、日本銀行の独立性は尊重しなければなりません。これを侵害してはならないと僕は思います。ところが一方で、独立性とともに、その裏側には責任というのがあるわけでございます。責任のないような独立性というのはないわけでございますから、私は、今回の金融政策の、昨年の八月以降の一連の状況は間違っておったのではないか。

 私は先日も藤原副総裁に申し上げたのですが、速水総裁の辞任も含めての責任をとってもらいたいというように申し上げたわけでございますが、それについて御見解をお願い申し上げたいと思います。

速水参考人 日本銀行としましては、経済、物価情勢を注意深く見ながら、その時々において最も適切な金融政策対応を機動的、弾力的に講じてきたものと考えております。

 日本銀行総裁として、私の任期は平成十五年三月までございます。健康が許す限り、引き続き、物価の安定と金融システムの安定という日本銀行に課せられました使命を達成するように、全力を挙げてまいりたいと考えております。

谷口委員 やはり、国民生活に多大な影響を及ぼす金融政策を専管事項としている日本銀行の総裁でございますから、私が申し上げておりますように、責任の重要さを認識していただきたい、このように思うわけでございます。市場に追い込まれた形での金融政策ではなくて、市場をリードするような機動性を持った、弾力性を持った金融政策を続けていただきたい、このように思う次第でございます。

 次に、不良債権の問題でお伺いをいたしたいわけでございますが、三月の二十六日に、森金融庁長官が記者会見で、不良債権が三十二兆円弱ある、このうち約二十四兆円が再建の可能性が低いもので、重点的に処理すべきものというような御発言があったようでございます。

 それで、私は何を言いたいかといいますと、前回の質問のときに柳澤大臣に若干申し上げたのですけれども、実は、金融機関から融資をするときに、融資を受けた側というのは、かなりの数の金融機関と取引をしておる。メーンの金融機関は、大変重要な情報が入っているわけですね。ですから、資金回収について疑義があるとかいろいろなことで、不良債権とした。ところが、メーンでないようなところの金融機関は、その情報も十分入っていない。回収も遅滞なく元利も入っているということになりますと、正常債権に入ったりもしくは第二分類の債権とした。一方では、第三分類になっている。こういうようなところの差が現実の問題としてある。ですから、捕捉するのは大変難しいわけでございますが、何とかそのようなところをまず捕捉しながら、不良債権の処理を進めていかなければならないのではないか。

 ですから、森長官がおっしゃった三十二兆円のうち二十四兆円ということについて、これ以外に不良債権の問題はどういうようになったのか。こういうことについて、柳澤大臣の御答弁をお願い申し上げます。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 不良債権の認識が各債権者、各銀行で違うので、これを何とか画一的なものにすべきじゃないかというような御提案も先般いただいたのですが、なかなかそういうわけにはいかないんじゃないかという、こちらが観察している状況もお話しをして、そこのところはちょっと、若干意に沿わないような御答弁をいたしたわけでございます。

 そこで問題は、そういうものを前提にして、この間森長官が二十四兆円を重点にと言ったことなんだけれども、それ以外に何か、今回のスキームに当てはめて不良債権の処理というものを進める枠内に入れるべきものはないのか、こういうお尋ねでございました。

 私どもは、それぞれの金融機関の評価というのは全く同一にはできないまでも、外形的ないろいろな、例えば金利の支払いが滞るだとか、やはりいろいろ相談に乗ってやって貸し出し条件を当初のものから変更するとかというような客観的なものが出てまいりますと、これはいわゆる要管理債権ということになるわけでございまして、ここのところではほぼ各金融機関ごとの評価というものがそろってくるだろう、このように考えておるわけでありまして、さらにその上で破綻懸念先というようなことになった場合にはほぼ同じような認識、評価になってくるだろう、このように考えていいんではないか、私はこういうふうに思います。

 そういうことを前提にして考えますと、今回、森長官は破綻懸念先以下を中心に考えたいということでありますので、そこで同じぐらいに危険な債権が大幅にというか漏れるようなことがあるかと言われれば、それはそういう可能性というのは少ないんではないか、こういうように考える。それは、根拠は先ほど言ったように、客観的にあらわれたもので要管理にもう既になるんですから、そこはそうならないんではないかということでお答えにいたしたいと思います。

谷口委員 UFJですね、例の三和銀行を中心とするグループが一兆円を超える不良債権の処理を行う、それで二千億を超える赤字を今回出したいというようなお話のようでございます。その記者会見の中でこんなことを言っているんですね。不良債権処理は適切に進めておられると言っておられたのになぜ急にふえたのかという問いに対して、三行統合に伴って統一した厳しい査定をしいた結果、厳格に運用し、このようにふえた。これは、私はさっきも申し上げておった、三行の中である同じ会社のところへ融資しておった、これが一方では不良債権になっていて一方でそうでなかったというようなことがあったんではないか、こういうように思うわけで、そういうように今申し上げたわけでございます。

 ですから、大変難しい問題ではあるんですけれども、何とかそれを捕捉できるような方法を考えなきゃいかぬと私自身も考えておりますが、ぜひそういうことも含めて考えていただきたい。

 それで、日銀総裁の方はこの問題に触れて、要注意貸し金も含めて不良債権処理の対象にすべきだというようなお話をされたようでございます。三月七日の会見で、不良債権予備軍である要注意債権についても十分に引き当てる必要がある、このようなことでございますが、これは引き当てのことをおっしゃっているんだろうというふうに思いますけれども、これは若干、柳澤大臣のおっしゃっていることと乖離、相違しているんじゃないかと思うわけですが、これはどういう観点でそのようにおっしゃったのか。

速水参考人 不良債権をバランスシートから早く切り離していくべきだということにつきましては、直接償却ですね、柳澤大臣と意見が一致していると思います。また、引き当てにつきましては、私は、金融庁におかれて定められたマニュアルに従って引き当てを積むように厳しく指導し、ウオッチしていられると思います。

 ただ、それぞれ金融情勢も大きく変わりますし、各行の情勢も変わっていくわけでございますから、債務者、どの分をいつ不良債権として入れていくかといったような銀行サイドでのウオッチングと適切な処置をとっておくということを強調したいということで、ああいう表現のウオーニングをしたつもりでございます。

谷口委員 ちょっとはっきり何を言っていらっしゃるのかわからなかったんですが、いずれにいたしましても、この不良債権の問題、柳澤大臣も本当に前向きに取り組んでいらっしゃるというように評価いたしておるところでございますし、与党でもこれに向かってこれからプロジェクトチームを立ち上げていこうということでございますので、ぜひまた頑張っていただきたいというように思う次第でございます。

 それと、経営健全化計画のことでございますけれども、当期利益が健全化計画を三割以上下回る場合には、業務改善命令を発動するという原則があるようでございます。それで今回は、一応金融庁の方は赤字が出ても認めよう、容認しようというようなことのようで、既に複数の大手行が、不良債権処理のために、この二〇〇一年三月期は赤字決算をやろうというようなことのようでございます。

 そうしますと、公的資金を注入したところの条件といたしておりますこの経営健全化計画と乖離が起こるわけでございますが、これはどのように考えていらっしゃるのか、御答弁をお願い申し上げます。

柳澤国務大臣 谷口先生の先ほど日銀総裁にお尋ねしたところも簡単にちょっと触れさせていただきたいと思うんですが、要するに要注意債権というのは、貸倒引当金をするのは、いわばアンブロークンに一まとめにして貸倒引当金を積んでいるわけでございまして、それを一般貸倒引当金ということで、個別引当金とは区別して考えているわけです。

 その率が一体どのくらいであるべきかというのは、三年ぐらいの間の実績を見まして、過去の要注意債権に分類されたものが一年の周期の終わりにどれだけ破綻をしたかというその確率を見まして、その確率が三つ出るわけですが、それを平均して一般貸倒引当金の率にしているということでございます。したがって、経済状況が非常に悪くなって、要注意債権に分類されたものでも一年間の間にかなり破綻してしまうような企業が多くなってきますと、当然その率が上がりますので、したがって、一般貸倒引当金の比率というのは経済状況を反映したものになっているということでございますので、そこは御理解をいただきたい、このように思います。

 それから、今度の我々の呼びかけに応じてかなり前倒し的に不良債権の処理に当たった結果、経営健全化計画の我々の収益の指標と下振れしたという場合にはどうするかということでございますが、これにつきましては、平成十一年九月三十日に金融再生委員会から「資本増強行に対するフォローアップに係る行政上の措置について」という文書が取りまとめられ、発表されておりまして、そこに定められております。

 そこに定められておるところによりますと、まず第一に、下振れした場合には、これは例外なくまずその理由、それから、それについてどういう方針をとろうとしているかということについて報告をいただくことになっております。それがすべてのスタートなんですけれども、それを見まして、さらに必要を我々の方が感じた場合には、社外流出の抑制策等について求め、それに対してどうするんだという報告をもらうということになります。

 それから、その下振れがさらに市場の信認の低下につながっているような事態の場合には、さらにいろいろ効果的措置のまた報告を求めたり、必要な場合には業務改善命令につながるような改善計画の提出を求めるというようなことになって、段階を追ってそれらについて必要な行政的な措置をしていくということになっているわけでございまして、何はともあれ、とにかく下振れをした場合にはまず報告を徴して、客観的にどういうものであるかということを我々として認識する、これを第一に考えているわけでございます。

谷口委員 この前向きの赤字ですね、これは債権処理を、償却しようということで出た赤字と、また一方、後ろ向きな赤字があるのですね。例えば、有価証券の含み損が顕在化したとか、業況が悪化して赤字になったとか、これは立て分けなければいかぬというように思うわけでございます。今大臣のおっしゃったこともそういうことをおっしゃっているのだろうというように思いますが、ぜひ前向きの、よい赤字と悪い赤字と言っていいかどうかわかりませんが、そのような対応をして、区別をして対応する必要があるというように思う次第でございます。

 これから不良債権処理、いよいよ本格的に取り組むというようなことになるわけでございますが、ぜひまた大臣にも頑張っていただきまして、そういうように私もまた協力をさせていただきたいというように思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

山口委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、民主党の金融問題監視委員会のメンバーとしても質問をさせていただきたいと思います。柳澤大臣と一対一で、きょうは短い時間ですので簡潔に、いつも簡潔にお答えいただいているのですけれども、さらに簡潔にお答えいただければありがたいというふうに考えております。

 まず、不良債権の新規発生分というのは大体どのぐらいあるのでしょうか。

柳澤国務大臣 不良債権の新規発生分というものをどういうふうにとらえているかということでございますけれども、実は不良債権の処理額というものが、前から申し上げておりますように、本当にオフバランス化するものと、実は引当金だけ積んでオンバランスのままにしておくものと、両方の処理が、実は処理損、損失をどのぐらいにするかという観点で見ていますので、そういうことになっているわけでございます。

 具体的に申しますと、引当金を積めば、それは処理損の中に入る。しかし、その対象債権というのはバランス上オンバランスになっている、こういうことでございます。除却をすること、償却をすることも処理損に入るわけですけれども、そうなれば、それはバランスシートからは除かれるということなのでございます。

 そういうようなことで、実は、リスク管理債権を仮に不良債権のメルクマールとさせていただくとして、この残高と今の処理損だけを突合して新規発生額をはかるということが実は技術的にできないのですね。推計をしないといけないということになっているわけでございまして、この前、一部の新聞報道にあった三兆六千億というようなのも、実はその作業をしっかりしてしていないというようなものでございまして、我々も今推計値をここで申し上げられるほど的確な推計ができているかというと自信がないわけですけれども、いずれにしても、三兆六千億よりもかなり大きいものだということは申し上げることができようかと思います。

長妻委員 ちょっと驚くのですけれども、日本の本当に金融をきちっと監督するお役所が新規発生の不良債権の金額というのを把握されていない。これは検査等できちんと、それは銀行からヒアリングをすればわかることですから、把握をされるべきだというふうに思うのでございますけれども。

 日経新聞がこの三・六兆円という推計を出しましたけれども、この推計よりも多いということを今はっきりとお認めになられましたけれども、今後きちんと不良債権の新規発生分を金融庁としてあるいは金融担当大臣として把握をしていく。これはちょっと、新規発生分はわからない、把握していないというのはおかしいと思うのですが、一言その御決意というか、柳澤大臣、さしで。

柳澤国務大臣 実は私、今回またこういうポストに返り咲きまして、真っ先に出した宿題がそれなのですよ。それで、推計はしてあります、正直言って。それもここで公にするほどに自信があるかと言われれば、多分事務当局は迷うだろうと思うのですけれども、私は私なりに持っています、その数字は。持っているのですけれども、しかし、今先生がおっしゃったのは、もっと、推計ではなくて実際の数値を考えろ、こういうことでございますけれども……(長妻委員「把握する仕掛けをつくってほしい」と呼ぶ)仕掛けをつくる。仕掛けをつくるということがちょっと。

 私は、率直に言って簡単にできるのではないかと思うのですけれども、実際は、また技術的に何かいろいろ難しい問題がひょっとしてあるかもしれないものですから、私、だから事務当局の意見を聞いたわけですけれども……(発言する者あり)不規則発言、やめてくださいよ。非常に技術的なお答えを私はしていますから。そういうことで、勉強させてもらいます。

長妻委員 ちょっと、日本の金融、本当にこれだけ問題になっている不良債権問題を管理監督する最高責任者の大臣の今発言とはちょっと思えないのですが。何しろリーダーシップをきちんと発揮して、検査官にそういう新規発生分をきちんと把握させるような手だてをぜひつくっていただきたいということをお願い申し上げますけれども……(柳澤国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください。

 今もう一つ重要な御発言で、三・六兆円という日経の推定ですけれども、これより多いという、多分大臣の個人的な推計の数字をお持ちになられているというお話でありますけれども、とすると、非常に予想よりも大きい昨年の三月期から九月期の増加分でありますので、予想以上の発生だというふうに私は感じているわけなのでございますけれども。

 その意味で、いずれにしても、推定での話をしてはしようがないので、何しろ新規発生がどのくらいかというのもわからないというのは、日本国の不良債権を監督するお役所としてはいかがなものかということを申し添えて次の質問に移りますが、今後きちんとそういう手だてを研究して、勉強ではなくて、せめて一カ月とか、大臣が就任のときからの宿題だと言われておりますので、期限を区切って、ぜひそういう手だてをしていただきたい。

柳澤国務大臣 大変恐縮ですが、ちょっと補足的に先生に申し上げたいことがあります。

 一つは、今先生、検査のというふうにおっしゃられましたけれども、これは検査でももちろん、日ごろやってあればちゃんとできますけれども、検査で徴求するというよりも、いわばもっと開示情報としてそういうことをその中に入れることができるかというふうに私はとらえておるわけでございまして、それは今先生おっしゃられるとおり、少し検討させていただくということにいたしたいと思います。

 それから昨年の九末の、半期の、いわば新規発生額というか期中増加額というか、そういうものが非常に多いようなお感じのお話をなさったのですが、それはそうではなくて、これは推計の上での話なのですけれども、やはりこれは十一年三月期から十二年三月期、それから十二年九月期の仮に二倍、若干多いということにいたしましても、かなり趨勢的に新規発生額は減少しております。そのことだけちょっと申し上げておきたいと思います。

長妻委員 今本当に前向きな一部お話があって、開示情報に新規発生分を入れる検討を早急に進めるということはぜひお願いを申し上げまして、次のテーマというか質問に移ります。

 担保の評価額というのが今日本の銀行というのがかなり低過ぎたのではないかなという印象を実は持っておりまして、例えばおとついですか、三月二十八日に福岡銀行が業績予想の修正をいたしました。それは、当初の引当金が三百億円だったものを千七百三十億円にがあんと積み増しをしております。これは一千四百三十億円増加しましたから、当初の予想の引当金の五倍も積み増しをした。

 その内訳を聞きますと、担保の評価を最終処理見込み額まで厳しく見ると、九百四十億円も担保保全分の評価が下がってしまったと。つまりは、九百四十億円、引当金を増加しなきゃいけないというような判断をしたということと、あと厳格な自己査定による積み増し分、これが四百七十億円あった。それをプラスして、五倍ぐらいの増加の引き当てをする措置をしたと。私は、これは福岡銀行は一つの見識を持ってされたというふうに感じております。

 こんなような大幅な、特に不動産担保評価、担保で保全している部分が積み増しをするというような事態があるわけでありますので、これはほかの日本の都市銀行、大手行もこういうようなことがあるというふうに感じておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 担保の評価というのがどうなっているかということは、先般来私お話し申し上げておりますけれども、まず、担保が問題になるのは、一般貸し引きの対象債権ではなくて基本的に――一般貸し引きの対象債権の場合には、担保部分も含めて全債権残高に対して引き当ての率を計算していますから、そこでは問題にならないわけですけれども、個別引き当てになりますと、担保部分以外のところについての引き当てというようなことになりますので、担保価値というのが非常に重要な要素になってくるということでございます。

 その評価をどうしているかといいますと、これは検査マニュアルにきちっと書いてあるわけですけれども、やはりまず基本的に、常にアップデーテッドしなさい、一年に一回、公の公示地価であるとかあるいは相続税の路線価であるとか、そういう公のもの、それがなければ不動産鑑定士の……(長妻委員「それはわかりますけれども、甘いんじゃないですか」と呼ぶ)甘いと言われても、それは公の数字でございますから。それをアップデーテッドしたものを利用して見る。そして、今言った処理の問題で、どうしても売り急ぎます。足元を見られます。そのことのディスカウントというのは、常に七割以上しなさい、最低でも七割しなさい。そういう二重構造でもって評価の適正さが図られているということでございます。

 ですから、それが甘いんではないかというようなことになると、それではどういう標準でやるんだ。これはもう、路線価だとか公示価格だとかというのはほかの公の世界でほとんど共通して使用されている指標でございますので、そういうことをやっているということでございます。

長妻委員 柳澤大臣が、今、わかって御発言されているのか、ちょっとごまかされて発言されているのかわかりませんけれども、柳澤大臣は、全く、当委員会における所信表明でも、各金融機関は引き当てなど適切な処理を行っている、適切だと。今のお話でも、きちっとした数字だから、掛け目も七割とかいろいろ決まっているから大丈夫ということを一貫して言われておられるんですね。これは我々の立場と違いますので。

 今のお話だと、担保の評価額というのは何か本当にきちんとした数字だというようなお話がありましたけれども、私、現場にいろいろ聞きました、銀行に、どうやって担保の評価を出すんだと。そうすると、やはり、支店におりてきて、担保評価シートという紙が配られて、担当の営業マンがその土地を見て、それも不動産鑑定士に頼むのは本当に大規模な土地でありまして、大体が営業マンが地元の顔なじみの不動産屋さんにちょっと電話して、ここら辺、幾らで売れるのかというようなことを聞いて、それで評価をしていると。ちゃんと審査部とかはやるんでしょうけれども。

 その評価をしたときに、やはり、例えばゴルフ場とかいろいろな物件では、権利がいろいろごちゃごちゃついてすぐに売れないというのがいっぱいあるんです。ただ、そういう評価のときにはそこまでの発想はないから、非常に、ただ土地があって、それがぱっと評価したときにどのくらいの価値になるかというような形での評価額はどんどん上がってきて、銀行もそれをある程度、全部とは言いませんけれどもそのままやっているケースも多いという意味で、今、福岡銀行の事例等々、ほかにもありますけれども、担保の評価というのを最終処理を見込んだような形までかなり厳格にするような御指導をされた方がいいんじゃないか。これは破綻懸念先は特にそうですね。要注意じゃなくて破綻懸念先になった場合はもうきちんと、年二回担保評価を見直すということはありますけれども、さらにきちんと検査官に言い含めて、そこをよく見ろというような御指導をされたらどうなんですか。

柳澤国務大臣 要すれば、先ほどの福岡銀行のケース、最終処理価格でもって評価しましたというような場合は、私もつまびらかにしませんけれども、現実に今期売り払うというような場合にはそういうことがあり得ると思うわけでございますけれども、一般的に担保の評価をいわゆる清算価値でやる、ゴーイングコンサーンでしないというところまでやれということが、公正なる会計基準というようなものに当てはまるのかどうか。やはり、これは世間で一般に公正妥当と認められる会計基準というものが会計処理の大原則でございまして、それには当然ゴーイングコンサーンとしての会計処理というものが私は主流だろうと思うんですよ。それを、この件についてだけは清算価値でやらなければならないということになったときに、そういうものは、これはもう一般の企業処理にも全部影響しますね。そういう場合に、それを一般に公正妥当と認められる会計基準という会計学の大原則が是認するんだろうか。私は、にわかにここでお答えするはっきり言って用意がありませんね、そのお話については。

長妻委員 私は、柳澤大臣の今のお話のところに日本の最大の不良債権問題が、疑惑の目で海外等から見られる最大の原因が今の発言にあると私は思っているんです。なぜかといいますと、まだ企業がゴーイングコンサーン、継続、存続している、そのときに最終処分をするような形での担保評価というのはいかがなものかというお話でありますけれども、それは実際に、もうちょっと頭を柔軟に考えていただいて、これは本当に危機的な状況だというふうにも見られておるわけでありまして、現に福岡銀行はこういう措置をしている。

 そして例えば、この前も申し上げたわかしお銀行の事例でありますけれども、大臣は私の質問に、的を得ていないというような御指摘もいただいたんですが、私は的を得ていると思うんですけれども。

 このわかしお銀行の例というのは、三百八十億円の担保保全分、これが整理回収機構に売り払うときに三十億円とか、十分の一ぐらいの価格にまでたたかれた、たたき売られた。これはさきに価格審査会でほぼそういうような状況で決定したというふうに聞いておりますけれども。

 こういう例が、わかっているだけでもいろいろあるわけで、枚挙にいとまがないと思うんですよ。ですから、本当に最終処理、最終処理と言われているんでありますから――最終処理したときに予想外の損がずどんと出る。わかしおの場合は、初めは五十億円の損だと思っていたものが四百億円に拡大したわけです。何の引き当ても手当てもしていない損がどんと出たわけです。これは、わかしお銀行のようなある意味ではメガバンクでないところでありましたから、全体には影響ないんでしょうけれども。

 ですから、本当に直接償却と言われるんであれば、きちんと最終処理したときに予想外の損がどんと出ないような指導をこれはやはりした方がいいと思うんですけれども、それでもまだだめですか。

柳澤国務大臣 いや、要すれば、これは会計処理一般の問題ともかかわりが非常にあるわけで、したがって、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準というものがあるものですから、それとのかかわりでそういうことがどうなるかという問題があるのではないかということを私は指摘させていただいているわけですね。

 そして、もう一つは、私は今先生のお話をお聞きしながらつくづく思うんですけれども、今度私どもが不良債権のオフバランス化をするということを申し上げたのも、結局今先生が言われたような、本当に処理をしちゃった場合に追加損失が生まれるような資産を、それも全部なくしちゃうということは生きている経済の場合にはできないわけですが、今のように六%とかなんとかということで持っているんじゃなくて、やはり、アメリカのように一・〇五とかそこまではいかぬにしても、そのウエートを低めていく。

 しかも、一般貸し引きの分野ではなくて個別貸し引きの分野、担保の評価が非常に大きく影響するような部分について特にオフバランス化を進めていくということで、結果においてバランスシート全体の健全性というかそういうものの向上を図っていく、こういうようなことにつながっていきますので、一般に清算価値で全部評価をして、そしてそれに必要な引き当てをすべきだという議論には、私は、引当金会計というものを、全体とのかかわりでそういうことが果たして受け入れられるものかどうか、それを私は専門家ではありませんのでにわかにちょっと御答弁できないんですが、後者、第二点、私が申し上げたようなこと、それは結果においてそういうところに帰着していくのではないかということを申し上げたいと思います。

長妻委員 今、専門家でないというお話がありましたけれども、ぜひ研究をいただきたいと思うんですね。

 目的は、一部の評論家の方とか海外の一部から金融危機というのが言われているわけでありますから、そういう意味では、最終処理したときに予想外の損失がどんと出る、これは避けなきゃいけないというのは、大臣も御認識は同じだと思うんですよね。最終的な処理のときに予想外の損失がばんと出てしまう、これは避けなきゃいけない。

 そのためには何をしたらいいか。何か会計基準がどうでこうでああでと、そういうことも、私は会計基準というのはそういうものではないというふうに認識しているんですけれども、そういうように固定観念を持って、もし本当に会計基準がそれでおかしければ、それは柳澤大臣の基準でいう会計基準を変えるというような御決断もあると思うのですけれども。

 それともう一つ、基本的な大臣の認識をお伺いしたいんです。

 いろいろなところで、先ほど申し上げたように引き当てというのはもう十分になされている、適切な引き当てがされているということをずっと言われておるのですが、これは、適切な引き当てがされていないというような見方をいろいろな評論家の方とか海外がされているから、いろいろな、危機じゃないかとか何でないかとか、そういうことが私は起こっていると思うのですけれども、柳澤大臣、本心から引き当ては適切で十分にされていると本当に思われているんですか。もし少しでもそうでないというふうに思われているのであれば、その本音を言っていただいて、そして、例えば、我々民主党が言っていますのは、緊急検査を都銀にはきちっとして厳しくやる、あるいは金融検査マニュアルもちょっと見直すとか、いろいろな対策を持っているんですけれども、大臣が一切、引き当ては十分だと頑張られていると、全然そういう対策が部下の方も一歩も進まないという弊害も私はあるんじゃないかなと思うのですが、本当に一円たりとも引き当てはもう足りないことはない、十分だ、こういうふうにずっと言われるんですか。

柳澤国務大臣 引き当てというのは、しょせん評価の問題なんですよ。しょせんという言葉が適切かどうかはともかくとして、基本的に評価の問題であります。したがって、先生と一円たりとも違わない評価が私にできているかと言われれば、そこまで私は言うつもりはないわけですけれども。

 ただ、今の引き当てというのは、これは公認会計士の人たちの実務指針というものに基づき、またさらに、我々が検査に当たって、検査官がマニュアルとしている検査マニュアルなるものはつい最近つくられ、そして実際にこれが有効性を持ってワークするに至るまでとしては、パブリックコメントにかけて、そして何でも御意見を言ってくださいということをやって制定したものなんですね。そして、それに基づいて、十一年三月期ではなくてその前提になった十年九末ですか、そのときにはまだ正式には金融検査マニュアルはそういうプロセスで制定されて公式に発効はしていなかったんですが、大体、金融検査マニュアルがどうなるかということを踏まえて実際の決算がされ、また一斉検査が行われたという事実がある、こういうふうに言われるわけでございます。

 したがいまして、私どもは、パブリックコメントに付した金融検査マニュアルに基づいてやっているということは、チェックしているということであれば、私の言い方だったら、それは適切な引き当てがなされていると言う以外にはないわけですね。

 では、外国の人たちとか時に日本の方々も、そういうように、そこのところはどうなんだというようなことをおっしゃって、いや、金融検査マニュアルに基づいてやっていますよと言ったら、じゃ金融検査マニュアルが甘いんじゃないかと。では、あなたはなぜコメントしなかったんですかと私は言ったわけでございます。

長妻委員 ちょっと今、御答弁が多少、何か金融検査マニュアルという方に重点を移すというか、責任転嫁と言ったらちょっと失礼で言い過ぎかもしれませんけれども、金融検査マニュアルは、あれはただ紙で書いてあることでありまして、当然いろいろな解釈があるわけであります。

 基本的に私が申し上げておりますのは、金融検査マニュアル、じゃ今あるので対応できる部分もありましょう、もっと厳しく、先ほど私が申し上げたようなところを査定して、大臣がまず初めに全く問題ありませんと宣言しちゃいますと、検査官の方も含めて銀行も含めて、今までのままでいいやというような雰囲気が実際今出ているわけでありますので、そういうような答弁を続けられない方が、日本の金融問題の解決にはいい影響が出てくるというふうに私は思います。

 それではもう一点、今の絡みで聞きますと、例えば、本当に今査定が甘くて不良債権の額がかなり、あるときどんと表面化をして公的資金を導入せざるを得ないというような、そこまでの金融の状況に仮になったとすれば、これは、柳澤大臣が今とられている政策が間違いだったということになりますから、歴史に本当に汚点を残すような大変な事態になると私は思うんですが、本当に、仮にそういうような事態というのは絶対あり得ないというふうに確信を持たれているんですか。

柳澤国務大臣 ちょっと前の答弁の補足から入らせていただきますが、今回、私どもが不良債権のオフバランス化、特に下位に位置づけられるものを中心にやるんだということで、それならばといって追加の引き当てをしている。つまり、本当に除却するときの追加損失をあらかじめ前倒ししてそれを表現するというような動きもあるようでございます。

 いずれにせよ、そういうことで、先ほどちょっと申し上げたように、オフバランス化そのものが、今先生が御指摘になられたような、いわば実感的引き当て論というかそういうようなものと、我々の規範的引き当て論との乖離が非常に縮まっていくということに資するだろうということを申し上げたいと思います。

長妻委員 今の質問にお触れにならなかったわけでありますけれども、ぜひ、引き当てはちょっと本当に完璧でないということをやはりお認めになっていただきたいというふうに思います。

 最後、一問でありますけれども、麻生大臣がアメリカに行かれて、三月二十七日の九時四十三分から記者会見をされた議事録がここにありますけれども、麻生大臣は、ブッシュ大統領等とのランチミーティングで、不良債権処理を含めて半年間で骨太の結論を出したいというような発言をされたということを麻生大臣みずからが記者会見で認めておられるわけでありまして、柳澤大臣は当然、国際公約なのかどうかというのは私はわかりませんけれども、本人がブッシュ大統領の前で発言したと言っているわけでありますので、その意味では、麻生大臣によく話を聞いて、お打ち合わせをされて、では半年で本当に出さなきゃいかぬなという御認識を今持たれておられますでしょうか。

柳澤国務大臣 先ほどは失礼しました。ちょっと先生の質問にお答えしないままに座ってしまいましたのですが、まず第一に、追加の資本注入が必要になるかどうかということでございますが、私は、当面そういうことを考えているというわけではないのですが、あの資本注入なるものは、システム危機のための、本当に臨時異例の措置だったという整理をさせていただいているのです。A、B、C、D、たくさんの銀行がある中で、一行が資本不足に陥った、さあ、それに公的資金を入れてやるか、私はそういう問題じゃないと思います。それは、自分が早期是正措置を受けて、そして自分に信頼を寄せてくれる人たちから第三者増資なりなんなりをやって、自分自身が自助の努力をしていくべきことである。ああいうように、公的資金が申請に基づいてどんどん入れられるというのは、あれは日本の金融システムが全体として非常に危険だったということからくるわけでありまして、我々は資本注入というものが個別金融機関の救済だというようには初めから思っていませんでした。

 そういう意味で、金融システムの危機が来るか来ないかということになると、例えば、来る場合にはもう既に制度上用意が行われておるということは、先生つとに御案内のとおりでございます。

 それから、麻生大臣のこの記者会見ですけれども、私は最初、私の方から出張随行した職員のこの記録等に関する彼のリポートを踏まえて御答弁をしてまいったわけでございますけれども、改めて、麻生大臣が先般、朝日新聞の報道があった直後において記者会見をされたようです。私、本人にまだ確かめておりません。確かめていないのですけれども、これを読む限りは私はこういうふうに思うのですね。

 つまり、構造改革なりなんなりをやって、国と地方の関係あるいは社会保障の関係というようなものを全部一つのモデルに組み込んで、宮澤大臣がよく言うそういうモデルから、一つのこれからの財政、焦点は財政ですけれども、そこには構造改革、いろいろな面の構造的な改革のものが全部盛り込まれるわけでございますね。そういうものの作業が半年ぐらいかかりますよということを言っている。

 その中には、麻生大臣の頭の中にインプットされる構造改革の一環として不良債権問題があるということであって、不良債権問題が半年で解決されるということじゃない。不良債権問題を盛り込んだこのモデルのコンピューターの結果が半年後生まれるということを大臣はおっしゃったんじゃないかな、このように考えているということでございます。

長妻委員 また驚くことなんですが、麻生大臣がみずからそういうふうに言われているのに、まだ連絡をとり合っていないというのは、これはちょっとどうなっているんだという気がいたしますけれども、閣僚同士でありますので、最後に委員長にお願いは、麻生大臣を私はきょうここにお呼びして、こういう重大問題でありますので、財務金融委員会にふさわしい問題でありますからというお願いを申し上げておりましたけれども、実現はできませんでしたので、次回、麻生大臣にぜひ来ていただいて、柳澤大臣と隣同士でお互いの見解を同時にただしていきたいなというふうにも思っておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 以上でございます。

山口委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十七分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 まず、日銀総裁にお伺いしたいと思います。

 お聞きする前に、最近、日銀バッシングというのがかなり行われておりまして、午前の議論の中でも一部そういうことがありました。今、景気がなかなか厳しい状況にある、そのことの責任をすべて日銀に押しつけるという、極めて私は無責任な態度だと。政治家であれば、やはり自分が責任を感じろ、そういうふうにまず申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、日銀総裁に幾つかお聞きしたいと思います。

 まず、十九日にお決めになったことの中で、「実施期間の目処として消費者物価を採用」というところがございます。「新しい金融市場調節方式は、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、継続することとする。」というところでございます。私は、これを見まして心配事といいますか、二つありますので、お聞きしたいと思います。

 一つは、これはある種のインフレターゲットなのか、それとも、ただ単に消費者物価指数が前年比ゼロになるまでこの新しい調節方式を続けるという意味なのか、どちらなのかということであります。

 そして、もう一つは、過去のバブルの時期を振り返りますと、もちろんゼロではありませんでしたが、かなり消費者物価は安定をしておりました。安定していて安心だと思っていたら、土地や株価やゴルフ会員権といった資産インフレが起こりまして、気がついたら取り返しのつかないところまで来ていたというのがバブルのときの反省だったと思います。そういう意味では、消費者物価のみに着目しておりますが、それで果たしていいんだろうか、そういう疑問もあるわけです。

 以上の二点について、お答えをいただきたいと思います。

速水参考人 お答えいたします。

 今回の措置は、まず物価の継続的な下落を防止して、持続的な経済成長の基盤を整備するという観点でとった措置でございます。

 資産価格との関係で申しますと、一般的には、資産価格が大幅な上昇を示す場合というのは、消費者物価が長期間にわたってマイナスを続けるといった事態は余り考えられないんじゃないかと思います。

 したがいまして、今回のコミットメントの時間軸によりまして、資産価格の上昇を起点とする経済活動の行き過ぎや、インフレといったようなものに対応できなくなるというリスクは、余り大きくないのじゃないかと考えております。

 もちろん日本銀行としましては、資産価格の動向とか経済、物価への影響につきましては十分注視してまいりたいというふうに考えております。

岡田委員 次に、長期国債の買い入れの問題であります。

 銀行券発行残高を上限として、必要があれば長期国債も買い入れを増額するということであります。

 しかし、これも、まず銀行券発行残高まで長期国債を買い入れていくということが非常に大きなことでありますし、あるいは銀行券発行残高に限定をするというのも、ある意味では何の根拠もないことで、これが一つの歯どめとして意味があるのかどうか。下手をすれば、それをさらに超えてどんどん長期国債を買っていくことになる。いわば日銀の国債の引き受けと同じようなことになってしまうのではないか、こういう心配もあるわけですが、この点、どのようにお考えでしょうか。

速水参考人 御承知のように、長期国債はこれまでも毎月四千億買っておりましたけれども、今回新しい措置をとりましてから、まだ追加的な買い入れというのはやっておりません。

 これを入れましたのは、いわゆる札割れといったようなことが起こって買えなくなるというようなことが生じた場合に、長期国債を、非常に多様化しておりますから買えるだろうということでございます。したがいまして、今後とも、国債価格の買い支えあるいは財政ファイナンスを目的としたような長期国債の買い入れはやるつもりはございません。

 もう一つは、やはり現金通貨との関係という意味で、銀行券の残高を限度とする。これはかなりまだ余裕がございます。従来の考え方を踏襲して、銀行券発行残高を上限とするという条件をつけました。

 第三には、先ほどから申しております、CPIが安定的に前年比ゼロ%以上になるまでということでございます。

 この三つの条件を入れておりますから、十分な歯どめを設けたというふうに思っております。

岡田委員 私は、今回のこの十九日の措置というのは、日銀も恐らくいろいろな思いがあるだろうというふうに思うのですね。総理が訪米する、その手土産が必要だという意味で、政治的なプレッシャーもかなりあったと思います。

 そして、本来であればこういう決定は、今問題になっている不良債権の処理、そのことの具体的な政策とセットで出されるべき話だったのではないか、そういうふうに思うわけであります。不良債権を処理していけば、いろいろな意味でデフレ的要素が強くなる、そのことを中和するための政策であるべきだったのじゃないか。ほかに日銀がとれる政策というのは非常に限られておりますので、そういう意味では、同時にといいますか、日銀はこの決定を政府の不良債権の処理策の決定とほぼ同じタイミングで行うべきだった、しかし、それが先ほど言ったようないろいろな事情の中でできなかったというのが実態ではないかというふうに思っております。

 最後に総裁はこの十九日の決定の中で、「日本銀行としては、」という書き出しになっておりますが、「構造改革に向けた国民の明確な意思と政府の強力なリーダーシップの下で、各方面における抜本的な取り組みが速やかに進展することを強く期待している。」こういうふうに書いてあるわけですが、ここのところはどういう思いでこういう表現になったのか、総裁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

速水参考人 何かいささか条件をつけたような感じに受け取られるかもしれませんけれども、私どもはやはりこの十年、財政もそうでございますし、金融の方、特にやるべきことを随分やってきたわけですけれども、幾らマネタリーベースがふえていっても、実体経済の方が一向によくなっていかないという経験を重ねてきたわけでございまして、今回のこのかなり思い切った金融緩和策と同時に構造改革が、金融面はもとよりのこと産業面でも起こってくることが、これが起こらない限り金融面での緩和効果も余り期待できないというふうな気持ちを持っております。

 したがいまして、なるたけ早く民間主導の構造改革が起こってくる、それを政府がうまくリードしていくといったようなことになっていければよいがというふうに考えております。

岡田委員 非常に一般的な言い方をされましたが、もう少し思いを込めて、ここのところ、国民も見ておると思いますから、総裁の、政府のリーダーシップのもとでというところを、どういう思いでこういうふうにお書きになったのかおっしゃっていただければと思います。

速水参考人 構造改革ということも随分言われて長いのですけれども、やはり実際に動くのは、金融機関にしてもそうだし企業にしても、民間が動き出さなければいけないわけですが、それには、やはり相当先が読めて、これなら大丈夫だということがはっきりしてきて初めてそういう構造改革への飛び上がりというのが出てくるのだろうと思うのですね。

 その辺のところを、やはり政府も、官民も一体になって動いていかないと、かつてのイギリスで見たサッチャリズムあるいはアメリカで見たレーガノミックスといったような、十年ぐらいかかりましたけれども、ああいうすばらしい効果は期待できないというふうに思いますので、この際ぜひ政府が強いリーダーシップをとっていただきたいと思っております。

岡田委員 それでは次に、日米首脳会談についてちょっとお聞きしたいと思います。

 宮澤大臣にお聞きしたいと思いますが、この日米首脳会談の中で、財政構造改革の問題が議論されたということであります。

 参議院の本会議での三月二十三日の議事録によりますと、ここのところについて森総理は、こういうふうにお答えになっているのですね。我が国の財政を含む構造改革の方向性について半年程度で議論の成果が得られるのではないかと考えて申し上げたものでありますと。

 日米首脳間でこの財政構造改革の問題はどういう議論があったのでしょうか。宮澤大臣も直接御出席になったわけではないので、総理からどういうふうにお聞きになっておられるかということでありますが、ここで総理が言っておられるのは、半年程度で議論の成果が得られるということでありますが、これは具体的にどういうことなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

宮澤国務大臣 当初いろいろな報道がございましたし、必ずしもお話そのものが箇条書きで話されたわけでもなかったのだと思いますので、いろいろございましたけれども、こういうふうに今聞いております。

 先般の日米首脳会談においては、総理から、財政問題に関し、国、地方合わせて六百六十六兆の債務残高を抱えていることを説明した後、本年一月に発足した経済財政諮問会議の議論において、社会保障のあり方、社会資本整備の方向性、国、地方の関係など我が国の財政を含む構造問題の方向性について、今後半年程度で議論の成果が得られるのではないかとの趣旨の発言がなされたと。

 これは、岡田委員にも前にもお聞き取りいただいたことがあると思いますが、経済財政諮問会議で、例の私が申し上げておりましたマクロモデルをつくるということを経済研究所長に指示をいたしまして、その作業が、やってみないとわからないが、夏過ぎごろにはできるのではないかという答えでありました。

 それができますといろいろなシミュレーションができるわけでございますが、それはやはり財政改革というものを、どこから切り口をしましても同じでございますけれども、要するに、今後の社会保障のあり方、あるいは国、地方の財政関係、社会資本整備等々、いろいろな問題を現実にシミュレーションとしてとらえるための準備、それが、このモデルが多分その時期にはできてくる、それまでにいろいろな議論もしておりますし、それからも当然するのであるがというようなことで、半年程度で議論のいろいろ道筋がついてくる、こういうことを言われようとしたというふうに私は理解しております。

岡田委員 今の御説明、ちょっとわからないのですが、半年程度でモデルができる、あるいはいろいろな前提を置いてシミュレーションをするということなのか、それとも、そういったモデルを動かすことも踏まえた上で、財政構造改革についての一定の結論が出るということなのか、いずれなんでしょうか。

宮澤国務大臣 それは、きちっと申しましたら、岡田委員の言われるように、前者だと考えるべきだと思います。ただ、非常にきちっきちっと箇条を分けて物を言っておられませんので、そういう準備もしていて、大体半年ぐらいでそういうものもできてくる、したがってそのころからいろいろ議論が具体的になっていくのではないか、こう言おうとされたのではないかと私は解釈しています。

岡田委員 そうすると、総理は、日米首脳会談という場で、とにかく半年でモデルをつくるんだということだけをお約束されたということですね。

 しかし、モデルができるかどうかというのは、これは非常に実務的な話でありまして、政治家が首脳会談で話すときには、政治家の意思としてこうするんだというのがなければ、それは話したことにならないんじゃないですか。いや、モデルが間に合うようです、半年でできるようですよという、そんなことは首脳会談で話すような中身じゃないんじゃないでしょうか。私はどうしてもそこがわからないのですが、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 そう言ってしまうとふたも身もない話なんですが、総理自身は、モデルとかいうことを言葉に出して言ったのではないらしいのです。しかし、そういうものもできてくるし、本格的な準備がこう、やっております、したがってそれは半年のと、こういうことを言おうとしたのではないだろうか。

 もとより、岡田委員の言われますように、モデルができましても、それはどういうふうに使えるか、シミュレーションでどうするか。シミュレートした答えをどうするかが、一番大事な部分は、到底そんなところでは出てくることは難しいのでございましょうから、議論が具体化するといったようなつもりで言われたのではないでしょうか。

岡田委員 そうすると、もう一度確認しますと、半年で結論というのは、モデルができることであって、そのモデルを使っていろいろシミュレーションをして、そのシミュレーションも踏まえながら財政構造改革の具体的姿が出るのはもっと先である、こういうことですよね。

 しかし、アメリカはそういうふうに理解しているんでしょうか。恐らく、半年で方向性がきちんと出るというふうに当然理解していると私は思いますが、これは日米のかなり大きなそごがあるんじゃないでしょうか。もしモデルをつくることを言っただけだということになれば、ブッシュは相当びっくりするんじゃないでしょうか。

宮澤国務大臣 経済財政諮問会議では、もう現にそういう議論をいたしておるわけでございますし、それをもっと具体化するためにモデルが要るな、それは半年ぐらいかかるかなというふうな、今そういう議論をしているわけですから、モデルができたら急に話を始めるというのではないので、それはいろいろな話の中からモデルというところに立ち至ったわけですから、今何にもしていないわけではない。それから、モデルができてくれば一層それが具体化するであろう、こういうようなことだと思います。

 アメリカ側が誤解をしただろうかというのは、聞いてみないとわかりませんが、そう長いこと事を分けて言われたわけではないし、かなり一種の大づかみな話をしておられますから、恐らくそこはそう具体的にわたっての誤解はなくて、大体言われるところは向こうも恐らくそう受け取っておるのではないか。そういう種類の、かなり大づかみな、高次の話であったというふうに私は理解しています。

岡田委員 私には理解不能であります。

 日米のトップが会って、そこで議論をするときに、いや、モデルができますよということで話が終わっていたという、それはちょっと信じがたいことでありまして、それなら私は、本当にアメリカに行かない方がよかった、そういうふうに改めて申し上げておきたいと思いますし、この点について日米で食い違いがあるとすると、むしろ一たん期待を持たせただけに、後々大変な摩擦になるんじゃないか、そのことを非常に心配をいたします。

 それでは、この問題を余りやっていても、大臣の方から率直にお話しいただいたので次の問題に移りたいと思いますが、もう一つ、日米首脳会談の中で麻生大臣の発言ということをどう考えるかということであります。

 これは不良債権処理の問題で、むしろ柳澤大臣にお聞きしたいと思いますが、朝日新聞の記事によりますと、個人的な意見ではあるがと断った上で、不良債権処理も含めて半年で骨太な結論を出したいというふうに述べたと報道されております。こういう事実があるというふうに大臣はお聞きでしょうか。先ほど、午前中少し議論があったのを私も聞いておりましたが、その後、何か確認されましたでしょうか。

柳澤国務大臣 半年云々という話は、先ほど来御議論のマクロ経済モデルに関する御議論だ、このように理解をいたしております。

岡田委員 この麻生大臣の議事録を見ると、大臣も余りはっきりは言っておられないのですが、しかし、その中で、半年というのは余り明確ではないのですが、三年ということは認めておられるようなんですね。不良債権処理を含める緊急対策は、景気が浮上するのにいろいろなことをやれば、三年ぐらいをめどにと言って、個人的に言ったと思う、そういうふうに言っておりますが、三年で不良債権を処理ということについて、麻生大臣はこういうふうにおっしゃったということについて、大臣はどうお考えでしょう。

柳澤国務大臣 私も、二十七日朝、朝日新聞の報道を見て、記者の質問に答えて麻生大臣がお話しになられているこの記録を見ておるわけですけれども、特に今岡田委員のお話との関連で申し上げますと、三年度で処理ができるというようにも発言されているのですけれども、それは、答え、景気回復やるのに三年、問い、債権処理です、答え、不良債権処理が完了するのに三年、いや、そんなことは言わないよ、これが麻生大臣の記者会見の模様でございますので、その点についても、時期の点は触れていない、このように理解をいたしております。

岡田委員 よくわからないのですけれども、朝日新聞を褒めたりしているのですよね。珍しくまともなことが書いてあるとか、自分のことを書いた記事を褒めているわけなんで、全体として肯定されている可能性が十分あると私は思うわけですね。

 私は、ここで麻生大臣のことを、いらっしゃらないから言うつもりは余りありませんが、ちょっと話を聞いていて驚いたのは、こういう非常にあいまいな問題について、同じ大臣同士がきちんと確認しておられない。議事録を読んでおられるかもしれませんが、直接聞いて、どうだったんだということをなぜ確認しておられないのか。同じ内閣の中で大臣同士で、そして不良債権の処理の問題は、基本的には柳澤大臣が所管であります。それにもかかわらずほったらかしになっているというのは、もう内閣として機能していないのではないかと私は思うのですね。いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 確認はいたしております。それで、半年云々は不良債権の問題ではないということが明確になっております。

岡田委員 私も午前中の同僚議員の質問を聞いておりましたが、その後確認されたということですか。

柳澤国務大臣 いや、そこにいらっしゃった方から直接私はお話をいただきました。

岡田委員 繰り返しになりますけれども、こういう非常に大事な問題、日米首脳会談で出た問題ですね。しかも、麻生さんは個人的な意見と言っていますが、大臣である人が個人的にというのは私はないだろうと思うんです。しかも、隣に森総理がおられて、森総理が麻生大臣に振ったわけですね。それで麻生大臣がお答えになった。森大臣はそれに対してコメントしていませんから、これは、そういう意味では、森総理も含めて日本国としてこういうことをいろいろお話しになったというふうに受け取るのが普通の考え方だと思います。

 そして、その中身は重大だけれどもはっきりしない問題について、担当大臣が直接総理やあるいは麻生大臣に対して確認をしておられない。それも私は、極めて、何といいますか、本当にこれでこの国は大丈夫なのか、そういう気がしますが、これからでも遅くはありませんから、事実関係を確認されるおつもりはありますか。

柳澤国務大臣 岡田委員のお話でございますが、もうこれ以上もない形で私は確認いたしておりますので、御心配には及びません。

岡田委員 それではお聞きしますが、麻生大臣が個人的といって言われたことについて、政府としてこれは拘束されるというふうにお考えですか。

柳澤国務大臣 ちょっと整理しますと、麻生大臣に確認しましたかという御質問に対しては、麻生大臣には確認していません。しかし、私はその場にいらっしゃった方からちゃんと聞いておりまして、半年云々は不良債権の問題ではない、これはもう明確であります。

岡田委員 これ以上ちょっと聞く気がしませんが、本当に大事な問題ですから、意思疎通をよくしてやっていただきたい。野党の私が言うのは非常に変かもしれませんが、そういうふうに御要望申し上げておきたいと思います。

 そこで、次の問題に行きますが、日銀総裁にちょっとお聞きをしたいと思います。

 三月十四日の経済財政諮問会議における議論でありますが、今、私どもの手元には議事の要趣しかないわけですけれども、その中で速水総裁は、不良債権問題について、金融システムをさらに強固にするため不良債権をバランスシートから切り離す必要があり、同時に要注意債権について適切な引き当てを講ずることが重要であるという趣旨のことを述べられております。私は議事要趣しか持っておりませんが、正確に、この場でどういう御発言をされたのか、そしてその意図は何なのかということをお聞かせいただきたいと思います。

速水参考人 諮問会議で申しましたのは引き当てに関する点だと思いますが、刻々と変化していく金融経済情勢を踏まえつつ、債務者の足元の経済状態とか先行きの見通しを勘案して適切な引き当てを講じることが重要である、金融機関にはこうした観点から適切に対応してもらいたいということを言いたかったわけでございます。

岡田委員 その先行きの見通しを勘案して引き当てをするというのは、具体的にどういうことなんでしょうか。今引き当てがきちんとなされていないという前提でおっしゃっているんですか。

速水参考人 御承知のように、不良貸し出しの残高はここのところずっと変わっておりません。償却は随分銀行はしておるわけですけれども、それで減っていかないというのは、やはり、その予備軍といいますか、そういう不良貸し出しになるものがふえていっているということではないかと思います。金融庁の方は、金融検査マニュアルに即して、債務者の経営実態とか、それを踏まえた引き当てについて注意深く不断の見直しを行って、適切に対応しておられると思います。

 いずれにしましても、この不良債権処理に適切に対応する必要がある、こうした点に関して、私どもとしては、今後とも、考査等の機会をとらえて金融機関経営者に対して繰り返し申し入れていきたいと考えております。

岡田委員 この後、柳澤長官にかなり厳しく反論といいますか、御発言がありますので、そういう意味で総裁として少し遠慮されて言っているのかなというふうに思いますが、しかし、ここで総裁の言われたことを額面どおり受け取ると、引き当てが適当になされていないという前提で言われているとしか受け取れないわけですね。

 不良債権について、要注意債権について適切な引き当てを講ずることが重要であるというふうに要約されているわけです。ですから私、先ほど、正確に言われたことをおっしゃってくださいと申し上げたのは、もしこの要約が間違っているのであれば、それはそれで一つの考え方として成り立ちますが、この要約が正しいとすると、総裁としては、要注意債権について適切な引き当てがなされていないというふうに考えない限り、引き当てが重要だという答弁にならないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

速水参考人 私があのときに申しました言葉は、金融システムをさらに強固にするために不良債権をバランスシートから切り離す必要があり、同時に、将来償却が必要となる可能性のある債権についても適切な引き当てを講じることが重要であるというふうに述べたつもりでございます。私のその発言の趣旨は、刻々と変化していく金融経済情勢のもとで、各金融機関とも引き当ての現状を絶えず見直す姿勢が重要であると。取引先の経営状態も変わっていくわけですし、客観情勢も変わっていくわけでございますから、各金融機関とも引き当ての現状を絶えず見直す姿勢が重要であるということに重点を置いたつもりでございます。

 この点につきましては、柳澤大臣との間で基本的な見解の相違はないと私は思っております。

岡田委員 恐らく、これ以上お聞きしても総裁からは今の答弁以上のものは出てこないと思いますが、それじゃ、柳澤大臣にちょっと何点かお聞きしたいと思います。

 午前中も少し議論になっておりましたが、不良債権の額についていろいろな議論がございます。政府が述べている不良債権の額、例えばリスク管理債権であれば全国銀行で三十一兆八千億ということについて、実態はもっとあるんじゃないかということが、マーケットからもそういう声がかなりあるわけであります。実は、私もそういうふうに思っております。そのことについていろいろお聞きしたいと思います。

 まず、不良債権を区分する際の債務者の区分の問題がございますね。私は、本来、破綻懸念先に区分されるべき債務者が要注意先に区分されたり、あるいは要注意先に区分されるべき債務者が正常先に区分されているということが実態としてかなりあるんじゃないか、そういうふうに考えております。大臣は、それは金融検査マニュアルに沿って客観的にやっているんだ、こういうことでありますが、では金融検査マニュアルが必ず、例えば科学で言う実験みたいに、常に同じ条件なら同じ結論が出るような客観的なものになっているかというと、かなり判断の要素を含んでいると思うんですね。そういう意味では、現場の判断でかなり幅がある。

 そういう意味で、大臣のおっしゃるような、マニュアルに従っているから正しいんですというその言い方は、私は実はそうじゃないんだろう、こう思うわけですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 私も、この問題については評価の要素があるということは、かねてここでも何度も申し上げているわけであります。そのことは否定しないわけでありますけれども、しかし、そもそも自己の査定は公認会計士の実務指針というものでやるし、それから引き当ても監査法人の監査のもとで行われるし、それからまた全体として、監査があるときには、最近では特に公認会計士の方々も誤ったことをやっていればその責任を将来追及されるというようなことで、公認会計士の監査をめぐる土壌というか環境も随分変わってきているわけであります。その上に、検査官が行きまして、債務者区分、分類、こういうようなものについて論争をするわけですね。議論をそこで行う。

 したがって、金融機関にとっては、本当にそれはある意味で生きるか死ぬか、自分の、自己資本比率に最終的に集約されるわけですけれども、それがどういうレベルに落ちつくかということは、まさに債務者区分と分類それから引き当てのレベル、こういうことで決まってくるわけでございますから、何重にもチェックが働き、また議論が行われる。しかも、一応基準となっている検査マニュアルでもって、そういう基準に基づいてお互いに論争をする。

 これまでのことをやっているということを踏まえて、あえて私に、それはどういうふうに評価されるかといえば、私としては、やはり適切に債務者区分が行われ、分類が行われ、引き当てが行われています、そういうふうに答えるのは当然ではないでしょうか。御理解いただけるのじゃないでしょうか。

 それを、そういうことをやっていても、なおまだ違うものがあると言うとしたら、それはどこで違うのだということをやはり明らかにしなきゃならぬと思うのですね。そういうことを全部総体として評価して、私はこれまで申し上げてきたようなことを言わせていただいた、こういう次第であります。

岡田委員 いろいろな疑念が出るのは、過去の不幸な歴史といいますか、例えば公認会計士がちゃんとチェックしていないとか、その評価自身ももう地に落ちている感じが私はいたしますが、そういうことも踏まえて、そういう疑念が出てきているというふうに思います。

 ちょっと具体的に申し上げますと、例えば今の金融検査マニュアルの中で、破綻懸念先と要注意先を分ける一つの考え方として、形式的には破綻懸念先に当たるようなものであっても、五年から十年の経営改善計画を持ち、そしてその計画終了後原則として正常先になるという計画があれば、破綻懸念先ではなくて要注意先でいい、こういう基準がございます。しかし、これなども、計画をつくるのは、全く客観的に計画ができているわけではありませんので、かなり恣意的に動かし得ることではないか、そういうふうに思うわけですね。

 そういった幅広く読み得るところについて、いろいろな条件がつけてあるわけですけれども、もう少し整理をして、考え方によって結果がもっと動かないように、金融検査マニュアルをお変えになるおつもりはありませんか。

柳澤国務大臣 これは、まず正面から答えますと、岡田委員が御指摘になられるようなくだりが確かにあるのですけれども、これはやはり、合理的でありその実現可能性が高いということが確認されることが必要だということに、当然のことながらなっているわけです。

 翻って、もう一つちょっと申し上げたいと思うのですけれども、実は、私ども今度オフバランス化というものを進めるに当たって、それのある種のインセンティブとして、私的な整理の場合にはここにも書いてあるわけですが、法的な整理をした場合でも、残債と申しますが残った債務について、それを今までどおり破綻先だから一〇〇%引き当てを積めとかというようなことをいいますと、これはもう全然インセンティブにならないですね。しっかり再建計画というものができて、これでいこう、あなたはここはバイアブルですから、ここの事業を進めてくださいとやっていたときに、場合によってはニューマネーが出るかもしれませんが、そのニューマネーが、相変わらず低い区分けになって、すごい引き当てを積まなければならないということになったら、そんなこと、もうやる意味がないというのが金融機関の側の利害関係になると思うのですね。

 ですから、我々は逆に、しっかりした再建計画が立った場合には、それは法的整理の場合でも、やはり残債についてそんなに引き当ては要しないんだというようなことでインセンティブを与えない限り、オフバランス化はうまくいかないのじゃないかというようなことで、このくだり、実は参議院でも議論があったのですが、我々は逆に今そういうことを考えている。

 ですから、要は、再建計画の確実性、信頼性の問題だ、このように考えているのです。

岡田委員 私も最後の結論はそのとおりだと思うのですが、では、本当に確実な再建計画が立てられているかどうかという問題であります。

 これも既に他の委員会で何度も取り上げられておりますが、そごうの問題を考えたときに、長銀の持つそごうに対する債権は、何と平成十年三月期の決算までは正常先になっていた。それが新四カ年計画を策定するという事態を踏まえて要注意先になったということであります。しかし、そごうがつぶれたときに、その主たる取引銀行の責任ある立場にある人が、いや、数年前から債務超過だったんだというふうに発言したと私は記憶しております。ということは、四カ年計画をつくっていたかもしれないけれども、実際は銀行も債務超過だと知っていた。本来、破綻先か、せいぜい破綻懸念先ぐらいに分類しておくべきことだったのだと思うのですね。

 こういう実例を見ますと、単に計画があるからといってとても信用できない、そういうふうにマーケットが反応するのは当然だと思うのですね。この点について、いかがお考えですか。

柳澤国務大臣 この問題は本当によく御議論があるところでございますけれども、成り行きは今岡田委員御指摘のとおりでございます。

 計画が出ていたから長銀としては正常先に分類したものを、検査に入って、少なくとも要注意先ではないかというふうに言ったということでございます。平成十一年二月の資産判定は、その検査結果を踏まえて要注意先というようなことになると同時に、平成十年二月期の決算が黒字であった、それから新四カ年計画の計画どおり返済が行われておった、この二つの事実で要注意先Aというふうに資産判定がなされた。これはもう特別公的管理に入ってからですけれども、そういうふうになされたわけでございます。

 そして今度は、長銀の特別公的管理下における最初の決算においても要注意であったわけですけれども、十一年九月の中間決算のときには、実はそごうの事業の方が四カ年計画の大幅未達というようなことを受けて、ここで初めて破綻懸念というふうに十一年九月期になるわけでございます。十二年二月の譲渡時には、資産判定のときは要注意であったのですけれども、譲渡時には破綻懸念ということで、破綻懸念相応の引当金を積んだ形で譲渡が行われたということでございます。しかし、最終的には、今委員も御指摘のように、現実に破綻に至ったということでございます。

 これは、何とも私も、それぞれの手続が、フォローしてみるとそんなに大きな過ちを伴った判断が行われていたとも思えないわけでありますけれども、結論においてこういうことになったということで、それではそれをどうしたら回避できたのであろうかということでございますけれども、検査においての議論あるいはかける時間というようなものをより充実していって実体に肉薄していくということが、結局は、基準にはぴたっと合ったことをやっているわけで、それを突き破った実体判断をしろということに当然なるわけですので、そうした方法しかないのではないか、このように私は思うわけです。

岡田委員 私は、基本的には、これは主たる取引銀行のモラルの問題だというふうに思うのですね。こういうことがありますと、本当に信用できぬ、マーケットはそういうふうにみなすわけで、私は、それに対してもし反論するのであれば、現実を示して反論するしかないと思うのです。

 例えば、こういうことはおやりになるつもりはありませんか。過去二年間で倒産をした規模の大きいものから十社の例について、それぞれ倒産前にどのような債務者の分類になっていたかということを金融庁が発表する。確かにちゃんとこういうふうにやっていましたということを立証する。そうでもないと、ほかもみんな同じだということになってしまいますよね。そういうお考えはありませんでしょうか。

柳澤国務大臣 破綻をしてしまったものですので、個別の問題についてもある程度公表、開示できるかと思いますけれども、ちょっと頭に浮かぶことは、企業の取引先とかその他の関係等を考えますと、個別問題についてどこまで開示できるかというとき、常にそういう懸念を我々は持つわけです。これは隠しておこうとかそういうことじゃなくて、やはり全部、企業の間というのは信頼で、信用の供与、それからまた、それをまた受けるとかというようなことのつながりでございますので、大変貴重なサジェスチョンだというふうに承りますけれども、今ここですぐにどうこうするというようなことを申し上げられないという気がいたします。

 いずれにせよ、せっかくのサジェスチョンですので、少し勉強させていただきたい、このように思います。

岡田委員 今大臣おっしゃいましたように、もう破綻した後ですので、私は、その影響というのは余りないというふうに思うのですね。そのぐらいのことをしないと、なかなかマーケットの信頼は戻ってこない。そういうふうに重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、この不良債権の塊が表に出ている以外にたくさんあるのじゃないかというふうに思わせるもう一つの理由は、不良債権の残高が全然減らないということですね。

 平成十年三月に二十九・八兆円あったものが、十二年九月に先ほど言った三十一・八兆円ということで、多少ふえている、基本的に横ばいですね。しかし、その間に約四十兆円の処理を行っている。ということは、この平成十年三月と十二年九月の時点で見れば、一たん不良債権は六十九・八兆円にふえた、しかし、そのうちの約四十兆円を処理して三十一・八兆円になっている、こういうことですね。毎年毎年で追えば違う数字になりますが、マクロで見ればそういうことだ。つまり、平成十年三月に二十九・八兆円だった不良債権が、処理した額も含めると、十二年九月には六十九・八兆円、倍以上になっているということであります。

 それは、その間、景気が悪化をしたりしてつぶれる企業がふえたとか、あるいは貸している先の経営状態が悪くなって分類が変わったということはあるかもしれませんが、それにしても、この短期間で倍にふえるということは、それは現実に倍にふえたのではなくて、隠してあったものをその間それだけ出してきたというふうに見られても仕方がないと思うのですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 まず、ちょっと今手元に数字がそのままなくて恐縮ですけれども、大手行については、岡田委員、やはり減少しています、はっきり減少しているのです。しかし、全国銀行ということになって、地方銀行、第二地方銀行を入れますと、今言ったようにふえている。私もここで、減っているのだ、減っているのだというようなことを言うつもりはありませんけれども。

 ただ、その一つの理由として、リスク管理債権の定義を変えたのですね。つまり、条件変更の、条件を、かつては国税当局が損金に認めていないというようなことを反映して、それでもう、何というか不良債権と見ないというような評価をしておったのですけれども、国税の方が扱いを変えてくれたものですから、今度はこっちの方の扱いも変えて、リスク管理債権にそれを取り込むというようなことをやりました。それが今ちょっと手元になくて恐縮ですけれども、それがかなりの数字になったというようなことも、特殊な要因としては率直に言ってございます。

 しかし、今ここに来まして、結論において全国銀行ベースで微増というようなこと、この微増も、一兆もふえて微というようなことでもないじゃないかというような話も我々しているわけですけれども、基本的に微増の傾向にある、こういうようなことでございます。

 それがどういう背景を持って生まれてきているかということですが、これは先ほど、いわゆる新規発生額は幾らかという議論でもあるわけですけれども、推計なのですけれども我々一応の数字は持っておりますが、その数字の推移を見ると、十一年三月期、つまり、資本注入をして大いに不良債権を出した、表にして処理をした、そういう時期から、十二年三月期は非常に減っていますし、十二年九月期は、半期でございますけれども、これを仮に倍、今度はまたオフバランス化を進めますので倍ではとどまらないかもしれませんけれども、まあ十二年三月期よりも多分大幅に少なくなるだろう、このように思っておりまして、新規の発生額というものもかなり減っております。それをどういうふうに見るかということでございますけれども、やはり十一年三月期のときの処理というのが大いに貢献しているのではないか、このように考えております。

 ですから、今言った、何というか過去のうみというものは、私は、十一年三月期というものでかなり出たのではないか、出たと評価していいのじゃないか、このように見ているわけです。

岡田委員 今の御説明でも、私の質問にはお答えになっていないのですが、要するに倍になっているということですね、不良債権の額が、処理したものも含めれば。

 つまり、スタートのときに、平成十年三月に二十九・八兆だった。それで処理額が、この平成十年三月から十二年九月の間に約四十兆処理をしているわけですね。ということは、処理をした額も含めれば、その四十兆が乗っかるわけですから倍になる、こういうことじゃないかと思うのですが、私の計算、間違っていますか。

柳澤国務大臣 どこがどう間違っているか、ちょっとこの問答の間ですので的確に御指摘できませんけれども、少なくとも、不良債権処分損六十八兆、六十七兆九千八百九十六億というものは、平成四年度からの累計でございます。そんなことなものですから、ちょっと先生の今御指摘の数字とは突合しないのではないかと思いますけれども。

岡田委員 私は、六十八兆という平成五年三月期からの累計の数字を申し上げたのではなくて、平成十年三月期に十三兆三千億、十一年三月に十三兆六千億、十二年三月に六・九兆、そして十二年九月に二・三兆、合わせて三十五兆ということを申し上げたわけです。ですから、当初大体ラフに言って三十兆あって、今も三十兆だと。ということは、この処理三十五兆を合わせれば、三十兆が六十五兆になって、そして三十五兆処理したから三十兆だということじゃないのでしょうかと申し上げているわけです。

柳澤国務大臣 ちょっと、何というかそういう計算が、岡田委員、実はできないのです。というのは、処分損というのがオフバランス化とぴたり一致しませんので。

 かねて申し上げているように、処分損に立てるものの中に、本当にオフバランス化するものと、実はオンバランスのままに残しておいて引当金を積む、その引当金が損益勘定の損になるというもので、損としては引当金は入るんですけれどもオフバランス化にならないということがありますので、今のそれを、ではどこがあれで、その議論でいうとどういう推移をたどるかということは、私ちょっと答える用意がないのですけれども、少なくとも今のような計算にはならないということを御指摘させていただきます。

岡田委員 余りここで細かく言うつもりはございません。

 しかし、それにしても、これだけの三十五兆という数字があって、ダブルカウントの部分はあるにしても、随分規模が膨れ上がっているなということなんですね。そういう意味では、私は、恐らく実態は、不良債権の絶対額が大体三十兆で、まずそれが先にありきで、あとは業務純益の範囲で、三十兆で数字は動かさずに業務純益が上がった分だけ処理していくというのが実態に近いんじゃないかとすら思えてくるわけでございます。

 いずれにしても、これだけ不良債権の額についていろいろな議論がある。そのときに一体だれが立証責任を負うのか。つまり、不良債権はもっとあるんじゃないかと言う方が、ありますということを示す責任があるのか。あるいは、いやありませんということを、これでちゃんとやっていますということを政府の方が立証する責任があるのか。通常であれば、それはあるという方が示すべきなのかもしれません。しかし、先ほどのそごうの例などを見ましても、私は、いろいろな疑いがかかるにやむを得ないだけの理由があるんだと思うのですね。

 そういう意味で、私は、政府の方が、これがきちんとした不良債権の額でこれ以外ないんだということをもっときちんと説明をされる責任があるんじゃないか、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 何と申しますか、こういうところでそういうことを申し上げるのはどうかと思うのですけれども、経済は一種の生体ですね、生きている体でございまして、刻々変わっているということが大前提に実はございます。

 それで、我々としては、かつての大蔵省時代の検査の方式から、本当に債務、負債の側もきちっと見るというような検査をやっておりますし、それから検査の手法についても、これはすべてオープンにしているわけでございます。

 しかも、その検査のマニュアルを決めるときには、行政部内で自分たちだけで取りまとめるということを避けまして、パブリックコメントを求めたわけです。ですから、今岡田委員もしばしば、多分念頭にあってのお話だと思うのですが、外資系のアナリストの皆さん、こういうような人も、この検査マニュアルについてはいつでも、ここが甘いからこう直してみることを検討したらということを言えたわけでございます。

 ですから、そういうようなことでパブリックコメントにかけてやった基準、マニュアルですから、これを我々運用する側がいかに的確に運用していくかということに尽きるだろうと思います。

 一斉検査というお話も、特に御党から出ていることも私知ってはおりますけれども、私どもとしては、一斉検査というものは、平成十一年三月期に資本注入をするときの前提として既にやりました。そのときには、必ずしも金融検査マニュアルが公式に決定というところにはいっておりませんでしたけれども、実際にはその検査マニュアルに基づく形での検査が行われたというのが実態でございます。

 ですから、それを土台にして我々の不良債権処理というのは進んできましたし、今度新たにまたオフバランス化ということをやって、これをさらに圧縮していくということをやってまいりますので、そういうことの中で、それをきちっとやるということの中で我々の金融機関に対する信頼を上げていくしかないだろう、私はこのように思っております。

岡田委員 この不良債権の処理の具体的中身まできょう余り議論する時間がなかったのですが、この議論をする前提が、不良債権がどれだけあるかということですね。ここの認識が違っていると、全然手法も違ってくる、あるいは全体の時間的な、時間軸のとり方も違ってくるわけであります。そこで、政府のおっしゃることと、マーケットの一部かもしれませんが外国の、恐らくアメリカ政府にも同じように、不良債権の額が違うんじゃないかと思っている人はいるんじゃないかと思うのですが、そこに差があるというのは大変不幸なことですね。

 そのことについて、いやいやパブリックコメントを求めているしという御説明だけではなくて、先ほど、破綻した企業についてどういうふうに引き当てがされていたか公表したらどうかというふうに申し上げましたが、それは一つの例ですけれども、もっと政府の方で、自分たちのやっていることは正しいんだということをきちんと立証される、証明される責任があるんじゃないか、私はそういうふうに思っております。

 最後にもう一度、大臣のお考えを聞かせてください。

柳澤国務大臣 不存在のものを証明する、極度に抽象しますとそういうことを今岡田委員はおっしゃっているように思います。これはなかなか難しいと思います。

 私はやはり、要するに的確にやることを時系列的にしっかり続けていく。時系列的に追いかけられるというのは、これはどこかで、うそをついたら逃れられない証拠が挙がるでしょうから、私どもは、そこのところを本当に容赦しないできちっとやっていくということでもって、我々の検査に対する信頼あるいは検査の対象になった民間金融機関、そのシステム全体の信頼を上げていくしかない、このように思います。

 ですから、こうした場を通じて御議論をいただく、御批判をいただくということは、大いに私どもやっていかなきゃいけない、このように考えています。

岡田委員 我々も、政府の言っておられることを信用したいというふうに思っておりますけれども、後でそれ見たことかということにならないように期待をして、私の質問を終わりたいと思います。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として財務省大臣官房審議官木村幸俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 次に、上田清司君。

上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。民主党版ペコラ委員会のメンバーにもなっておることをあらかじめ申し上げておきたいと思います。

 わずかな質問の方から優先的に進めさせていただきます。

 まず、次に予定されております税理士法の一部を改正する法律案について、概要をちょっと御説明いただいておりますので、あらかじめもう少し検討した方がいいのじゃないかということを申し上げたいと思います。

 試験科目の免除についてでありますけれども……(発言する者あり)いいのです。ちょっとあらかじめくぎを刺しておきたいもので。

 学位取得におけるいわゆるダブルマスター、この二科目を、それぞれ当該科目のうち一科目の試験をすること、このことは非常にいいことだというふうに私は思いますが、税務官公署職員の試験科目の免除について、引き続き指定研修という制度でやっていくことがいかがなものか。私は、実力者がそろっていらっしゃるわけですから、やはりきちっと試験を受けてやった方がいいのじゃないかということをあらかじめ申し上げておきますので、この点について、ぜひもう一回研究していただきたいということの御答弁をいただきたくて、きょう大武次長においでいただいております。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今通常国会に提出しております税理士法の一部改正法案につきましては、我々国税庁と日本税理士会連合会の要望等の協議を行いまして、私ども、要求官庁としまして法律改正をお願いいたしましたので、そうした要求官庁の立場として今回の考え方を御説明させていただきたいと存じます。

 今先生から御質問がありましたダブルマスターに対して、税務職員の試験免除制度というのを見直さないのはいかがか、こういう御趣旨のように承ったのですが、今般のダブルマスターの試験免除制度の条件見直しの趣旨といいますのは、実は近時、修士の学位取得に対する免除制度が税理士試験の回避目的に使われているという御指摘、さらにはインターネットで修士論文が売買されている、売買広告があるというような不正手段による修士の学位取得のおそれもあることから、これを放置いたしますと、やはり税理士制度への信頼が大きく失われるのではないか、これを防止するための必要な見直しということでございます。

 したがいまして、このダブルマスターにつきましても、いわゆる修士の学位取得による試験免除制度の条件を厳しくするとか、規制緩和の流れに反して垣根を高くする、そういう趣旨によるものではないということはまずお断りしておきたいと思います。

 一方、税務職員につきましては、今先生から御指摘がありましたように、相当年数の実務経験を試験免除の要件、例えば会計学ですと二十三年ですとか二十八年税務職員として勤務するということを要件としておりまして、税理士試験の回避目的で免除制度を利用するとか、不正手段による免除といったことはおよそ想定できないわけで、修士の学位取得者に見られるような問題は生じていないだろうというふうに思うわけでございます。したがいまして、御指摘のような税務職員の制度を、いわば同じレベルで見直さないという趣旨の御指摘は当たらないのではないかと思う次第です。

 ただ、今回は、税務職員の試験免除のうち、会計科目の免除につきましても、免除要件に係る指定研修制度については、制度の公正性、透明性を確保するために、省令におきまして、所定の試験合格が研修修了の条件であるというような要件を明らかにするとともに、指定した研修の実施状況、さらには所定試験のレベルが税理士としての必要な学識として十分なレベルであるかなど、国税審議会でこれを検証していただくというようなことを定めるということにしたいと思っているところでございます。

上田(清)委員 御答弁でありますが、ダブルマスターとの関係からいえばやや公平性に欠けると思いますので、税務職員に関しても、税法あるいは会計法、どちらか一科目試験を受けさせることを検討していただきたいというふうに申し上げておきます。

 それでは、ちょっと欄外に走ったことを恐縮しておりますが、本日の議題にさせていただきたいと思います。

 まず、「KSDに係る行政処分等について」ということで昨日金融庁から出された案件でありますが、これは一応三つの処分、業務改善命令、報告徴求、そして指導という形になっておりますが、業法違反という部分はなかったのでしょうか。

村井副大臣 私どもも既にいろいろな機会に御答弁申し上げておりますように、KSDの問題に関連いたしまして、御案内のとおり、約八百の金融機関につきまして調査をいたしました。それから、さらに正式に報告徴求をいたしまして、かなり徹底した調査をしたつもりでございます。

 しかしながら、ずっと精査をいたしましたけれども、他業禁止というのをどういうふうに解釈するかという問題ももちろんございますけれども、その得た収入、それから実際にやった業務といいますのでしょうか行為、そういうものを総合勘案いたしまして、これを他業ということで、いわゆる銀行法による他業禁止の規定に反するというところまではなかなか言い切れない。

 そこで、私どもといたしましては、これはもう少し具体的に申しますと、例えば収益の規模等いろいろな要素を勘案したわけでございますけれども、それで、他業禁止に違反するとは言えないが、他業禁止の精神と申しましょうか、そういう趣旨にはいささか抵触するものがある。そこで、銀行法二十六条の一項に基づきまして、きちんとした業務の執行の体制をとれということをまず一つ命令し、そして報告を徴求するというのがカテゴリー一でございます。それから、若干の報告を求める、これが第二のカテゴリー。それから第三のカテゴリーは指導、こういうような対応にいたした。

 ちょっと簡略に申し上げましたが、そういうことでございます。

上田(清)委員 どうして、KSDの会員になるのを一生懸命勧誘する仕事が業法の範囲に入るのですか。だれが考えてもおかしいじゃないですか。全く違う業種じゃないですか。

村井副大臣 もう少し丁寧に申し上げさせていただきますと、他業禁止に反するかどうかということについて、一般論で申し上げますと、金融機関の勧誘が積極的であって、組織的、集団的、反復継続して行われて、かつ金融機関が当該勧誘行為の対価として相応の金銭を得ている場合、この場合は他業禁止に違反する可能性が高い、このように私どもとしては判断をしております。そして、確かに、キャンペーンの実施等を通じまして加入者獲得報奨金等を得ている事実はございます。

 しかしながら、いずれの金融機関も、その得た収益の規模等につきまして、現実にその金融機関が得ているその他のもろもろの所得等と比較いたしまして、他業禁止に抵触するというところまでは私どもとしては判断できない、そこまでの規模にならないということでございます。

上田(清)委員 問題は収入のいかんじゃないでしょう。収入が多ければ違反で、収入が少なければ違反じゃないというのはおかしいじゃないですか。意図的、反復的、組織的、そうして報奨を得ている、明らかに業法違反じゃないですか。納得できません。

村井副大臣 私ども、このKSDの問題が生じましたので、KSDの問題に絞りまして八百につきまして調査をしたということは、累次申し上げているところでございます。

 そこで、その過程で、実はいろいろな問題が出てまいりました。例えば、全労済という団体がございます、あるいは県民共済というようなものがございます。こういうもののいわゆる共済金、これを徴収いたしまして、その経費を得ているというような例も出てまいりました。そういうものとこのKSDの場合と、どういうふうに違うのか。

 そして、県民共済などの場合、これは非常に広く行われているのはまた一つの例でございまして、そういうものとの類似というものを見てまいりまして、そこで、私どもとしましては、KSDにつきまして、得ている現在の対価等々、それから、そういう類似のものがある、そこでKSDについて、これだけやっているから、だから他業禁止に反するというところまでは、とてもこれはちょっと言い切れないのではなかろうかと。

 しかし、その精神において、他業禁止の規定が置かれました趣旨、こういうものにかんがみまして、私どもとしては、きちんとした処分をしなければいけないという判断に立ち至ったということであります。

上田(清)委員 県民共済であろうと何であろうと、もし業法違反であれば、きちっと摘発したり指導したりするのが筋であって、そちらに配慮をしてこちらを軽くするんだというような、何かそういうニュアンスのことを言われましたけれども、それは余りよろしくない。我が国の金融行政で、いかに公平か、あるいはきちっとやっているかということが常に疑いの目で見られているわけですから。

 そういう点においても、今回の発表に関して極めて納得できないものを感じますし、この報告についても、細かく具体的に金融機関の名前を挙げておられることは高く評価いたしますが、どれだけそうしたあっせん料金を、総額でどうなったのかとか、そういったところも明らかにすべきだったんではないかなというふうに申し上げておきます。

村井副大臣 それぞれの機関においてどれだけの手数料等を収受したかというようなことを明らかにできるかどうかということにつきましては、ちょっとまた検討させていただきますけれども、いわゆるフィービジネスと申しましょうか、料金を収受するというのはいろいろな形であるわけでございまして、その全容を、私どもとしまして、到底時間的にも確認するに至らなかったというのが実態でございます。

 KSDの問題につきまして集中してやっただけでも、率直に申しまして、昨年来これだけの時間がかかったわけでございまして、私ども、行政の執行というのは、やはりある程度の公平性というものを維持しなきゃなりません。同じような実態があって、KSDにかかわったことだけ他業禁止に抵触するということで罰する、他の機関にかかわって同じことをしても他業禁止に抵触しないというようなことではいかがかということでございまして、KSDについてのみ着目した場合、これはとても、金融機関の本来のビジネスに対しての比重という点では、私ども、ちょっと他業禁止違反というところまで断定するところにいかない。

 しかし、精神にかんがみ、注意を喚起し、金融機関それぞれにおいて対応を考えるということにしたんだというのが今度の処分の趣旨であります。

上田(清)委員 納得できませんが、これ以上議論しても先へは進みませんので、納得できないということ、それから、金額についても明らかにできる部分は早急にまた御報告をお願いしたいというふうに要望して終わります。

 それでは、日銀総裁にお尋ねをいたします。

 三月十九日に一段の金融緩和措置をとられたわけでありますが、一から四まで各項目ごとに私なりに判断させていただいて、もう何か、景気対策として日銀が行うことができる仕組みの中で、日銀が持つ機能の中でできる部分はもうこれで終わりかなという感があるんですが、もし一段と日本経済の状況が悪くなったようなときに、日銀としてできることがあるのかどうか。この点を率直にお伺いしたいと思います。私はもう打ちどめかなというふうに思っておりますけれども。

速水参考人 三月十九日の私どもの決定会合で決めました措置につきましては、この時点でできるだけのことをやったつもりでございます。日本銀行としては、やはりかなりの決意を持って実施に踏み切ったわけで、今回の金融政策運営面で見まして、現時点でなし得る最大限の措置を講じたというふうに考えております。

 私どもとしましては、今回の措置が持つ金融緩和効果が十分に発揮されてまいりますためには、金融だけではこれは無理でございまして、不良債権の問題の解決を初め、金融システム面とか経済、産業面での構造改革の進展が不可欠の条件であるというふうに考えております。

 グローバリズムが進んでおります。こういう情勢の中で、世界が一つの市場になっておるわけで、私どもは、世界第二の経済大国と言ってまいったわけでございますけれども、ここで構造改革の時期を失したら、やはり競争に負けて世界経済の流れから取り残される懸念があるといったような心配を持って今回の決断をしたつもりでおります。

上田(清)委員 昨年の秋口のゼロ金利解除、この判断についてはいろいろ判断がありますので、今さら後追いしたり後知恵で言ってもしようがないと思うんですが、私が今お尋ねしたかったのは、今の議論は議論として、正しい認識だというふうに私は思っております。

 ただ、もう私は打ちどめじゃないかなと。日銀として、もう政策上行えることはこれで終わりだよということであれば、一層、今総裁がおっしゃられたように、経済産業構造の転換なりさまざまな構造改革を行っていかなくちゃいけないというその論理はわかるんですが、しかし一方では、まだまだ日銀として行われることができることがないのか。このことについて、仮定の話になりますが、もし一段と経済状況が悪化したときに、日銀としてとり得る策というのはあるのかどうか。これをちょっとお尋ねしたいんです。

速水参考人 これから先、何が起こっていくかわかりません。特に構造改革ではかなりの痛みがいろいろな面で出てくると思います。そういうものを、痛みをどうやって最小限にとどめていくかというようなことは金融の仕事であると思いますし、これから起こってくる、特に民間の企業などが飛び出ていく場合に、そういうものを何とか金融サイドからも支援していきたいということでは、やるべきことはまだ残っている。そのときの情勢によって、考えて政策を決めていきたいというふうに思っております。

上田(清)委員 もう少し踏み込んだ話ができないんでしょうか。それはもう抽象的な話であって、これ以上の話が何かできるのかどうか、それとも打ちどめなのか、こういうお話です。

速水参考人 今ここで打ち出す政策としては、これで全部出したというふうに思います。

上田(清)委員 私も、基本的にはそういう方向じゃないかなというふうに思っております。認識は同じだと思います。

 そこで、別に日銀総裁だけではなくて、多分この委員会に課された課題の一つでもあると思いますが、不良債権の処理が一向に進んでいない。それぞれ、それぞれの機関が努力をされたことも事実でありますし、私たちもいろいろな角度から議論をしてきたことも事実でありますけれども、金融庁の発表や日銀の考査局のものを見ていきますと、いまだに問題債権が十二年九月末で六十三兆九千億、問題債権が現にあるということでありますし、また、いわゆる第三分類、第二分類、第四分類、この部分、一向に減る気配が見えない。

 この条件について、やはりきちっと議論をしなければならないというふうに私は思っておりますが、その前に、まず、ペイオフ延期をしておりますが、技術的に、来年の四月で名寄せを初めいろいろな技術的な手法について実際できるのか。たまたま私どもの同僚議員の中に財務省のOBもおられまして、そういう仕事をしていた立場からいえば、技術的には不可能じゃないかというような、こういうお話も承りましたので、改めて、技術的にきちっとできているのかどうか、あるいはきちっとできる見込みなのかどうかを含めて、お答えをいただきたいと思います。

村井副大臣 来年四月のペイオフ解禁を念頭に置きながら、私どもとしましては揺るぎない金融システムを構築するための努力を重ねているところでございます。

 各金融機関の対応につきまして手短に申し上げたいと思いますが、ペイオフ解禁まで一年余りというタイミングでございますので、実務的な準備を含めて取り組んできておりまして、顧客との関係改善や預金流出時の危機管理計画の策定などを進めているというのが一つのポイントでございます。もうちょっと申し上げますと、各金融機関の持っております預金規定の改定をいたしまして、破綻時に顧客が預入しております預金と借入金とを期限が来てなくても相殺できる、そんなような預金規定の改定をする、こういうような体制を組んでおります。これは全銀協のベースでやっていることでございます。

 それからもう一つ、その主な顧客に対しまして、つまり大口預金先ですとかそういうところに対しまして、支店長などが参りまして、自分のところの財務状況はこうなっているよという説明などをいたすというようなことも、現在、一生懸命やらせているところであります。

 それから、名寄せ等につきましてもお触れがございましたけれども、これは、改正預金保険法におきまして各預金者の預金額等の情報に関するデータベースの整備を金融機関に対して義務づけているということは、委員もう御承知のとおりでありまして、こういった点を踏まえまして、私どもといたしましては、各金融機関がペイオフ解禁に向けてきちんとした作業を現に進めつつある、このように確信しているところでございます。

上田(清)委員 来年の四月一日、問題ないという判断でよろしいんでしょうね。

村井副大臣 そのように御理解いただいて結構でございます。

上田(清)委員 間違いのないように頑張っていただきたいと思っております。

 それでは、不良債権の話に入るんですが、実は、検査はそれなりにきちっとしたものができているんじゃないかなというふうに思っておりますが、余りにも政治的な判断でその時々の検査の結果を必ずしも十分生かすことができずに、ある意味では政治的に配慮をし過ぎて、問題の先送りをすることによって今日までまだ膨大な不良債権や問題債権が残っているというふうに理解しているんです。

 例えば、これも本会議などで問題にしましたけれども、協栄生命、千代田生命が破綻したときに、当局の発表と実際出てきた債務超過額が全然違う数字になっているわけですね。協栄は、当局が発表したときは債務超過は四十五億だった。それで金融監査が、管財人とかが入ってきちっと調べたら百五十三倍の六千八百九十五億、こういう数字になること。あるいは千代田も、当局の発表は三百四十三億。我々の仲間も言いましたよ、こんなので終わるわけないよ、最低でも十倍はあるよと。実際、五千百十一億というような数字なんかが出ております。東京生命についても、多分にそういうことになるのではないかなというふうに思います。

 金融担当大臣、金融庁長官、こういう数字がなぜ乖離してくるんですか。三倍か四倍ぐらいだったらまだしもわかるんですけれども、百五十倍だとか十五倍だとか。どういう発表をしているんですか。そういう理解について、なかなか理解しがたい。当局が発表した数字から百五十倍違ってくる。では当局というのは何なんだということになっちゃうじゃないですか、国民から見れば。私は、この点について改めて柳澤大臣に、なぜこうなるんですかと、率直な意見を聞きたいと思いますね。

村井副大臣 とりあえず、事実問題だけ申し上げたいと思います。

 御指摘のように、これまで破綻した保険会社の債務超過額、当初公表された額よりも拡大している、それは事実でございます。

 その要因でございますが、一つは、私どもが把握しているこの時点でこうだという額でございますけれども、これは、やはりそれよりも少しさかのぼった時期における私どもの検査実績なりなんなりをベースにした数字と、それからそれぞれの生命保険会社の方から言ってまいりました数字とをベースにして積み上げたものでありますが、通常このような場合に、大変遺憾なことでありますけれども、解約などが続きまして実態がかなり毀損されているような事実があるというのが一つございます。

 そして、さらには、いよいよ最終的な段階で、更生手続の中で、管財人等によって評定が行われ、受け皿会社に引き渡されるというようなことになりますと、受け皿会社が、想定する営業再開後のポートフォリオを前提に、資産の一部を売却価格とか売却予定価格に基づいて非常に低く評価するというようなことがございまして、そうなりますと、これはある意味では非常に弱みのある形でございますから、非常に低い金額にならざるを得ない。そこで、今委員御指摘のように、落差が非常に大きくなるという大変残念な結果が生ずるということであります。

上田(清)委員 村井副大臣もわかっておられるのでつらいんですけれどもね。

 それは三倍か四倍だったらわかるんですよ。やはり、木津信だとか兵庫銀行で二十五倍だとか、あれも異常ですね。なぜそうなるのか。検査に手心を加えたか、あるいは何らかの形で隠ぺいしたか、そうとしか思いようがないじゃないですか。普通だったら、銀行だって破綻して三倍から四倍ぐらい債権額がふえるのはわかりますよ、どんどんその時点で不良化していきますから。しかし、この協栄の百五十倍というのもひどいし、千代田の十五倍もひどい。こういう仕組みになること自体が当局の信用というのをなくしていく。

 だからこそ、我々は本当にきちっとした検査、検査は多分私はなされていると思います。平成八年の幸福銀行の検査も、ちゃんと示達書そのものには、偶然私は手に入れることができましたけれども、たまたま債務超過額もきちっと、示達書ではちゃんと書いてある。しかし、健全行という位置づけのもとにそのまま傷口を大きくしていく、こういう仕組みがずっとなされてきているんですよ、この間。佐々波委員会のときもそうですよ。債務超過でないと一生懸命言っておられた。しかし、後で債務超過だと言う。

 当局は、その場その場でひたすら健全行だとか健全な状態だということばかり言っておられて、後であけてみるととんでもない話だということになって、だから我々は、きちっとやるべきだ、こんなふうに思います。

 そこで、日銀に、お帰りになる前にこれだけちょっと確認したいんです。あるいは御承知だと思いますが、以前この委員会で、雑誌の「選択」というものに正味自己資本比率一覧というのが載っていますけれども、これはあるんですか、ないんですかというようなことを聞いたら、当時、日野長官が、全く知りません、見たこともなければ聞いたこともないというようなことを言って、一切関知していない、こんなことを言っておられます。

 それから、先般の参議院での予算委員会総括締めくくりで、私どもの峰崎議員から、金融再生大臣の方にもこの問題について質問をされておられますが、私もこの発言を変える必要はない、日野さんが発言したことに関して変える必要がない、こんなふうにお答えをされておられますし、にわか、資料をここで拝見したと。もうその後しっかり拝見されたというふうに私は思いますので、後でまた長官にお伺いしたいと思います。

 いわゆる日銀考査だとかの中で、この正味自己資本比率、これは総裁でなくても結構でございます、一番詳しい方がおいでになっていただいていればその方で結構でございますが、こういう概念、あるいはこういう判断をして金融機関の健全性とかを確認する方法、手法というのはあるのかないのか、具体的に教えてください。

黒田参考人 お答えいたします。

 ただいま先生からの御指摘は、金融機関の健全性についての判断基準ということかと思います。先生御指摘のとおり、その判断基準をいたしますについては、自己資本比率等の財務比率を重視することは当然でございます。これにつきましては、金融庁さんにおいてつくっておられるマニュアル等に準拠いたしまして私どもも考えているところでございます。

 ただ、金融機関の健全性あるいは状況を判断いたすにつきましては、そうした財務上の比率ということだけではなく、私どもの実地考査で得られたさまざまな状況についての情報等、その他の要因も考慮しながら、総合的に判断していくという方法をとっているところでございます。

上田(清)委員 質問に答えてよ、ちゃんと。だめだ、答えないと。使っているか使っていないかということを聞いているのですよ。正味自己資本比率について、こういう概念、あるいはまたこの概念を使用しているかどうかということだけ聞いているのですよ。

黒田参考人 正味自己資本比率というものについて、具体的にどういうことをおっしゃっていらっしゃるか、現時点で理解できていないかもしれませんが、そういうものを、特別のものを持ち出して使っているということではございません。

上田(清)委員 概念があるということは御存じですか。

黒田参考人 今、正味自己資本という御質問だったと思いますが、自己資本というのは、確かに、資産から負債を引いたという意味では正味という概念でございますが、今先生がおっしゃった意味が、特定の意味、定義といいますか、における正味自己資本という意味でございますと、私どもは、格別そういうことを使っているということではないというふうに考えております。

上田(清)委員 総裁以下日銀の方々、次の方がお呼びしていれば、どうぞお休みください。

 それでは柳澤大臣、お伺いしますが、二〇〇〇年九月末の主要十六行の自己資本は二十二・八兆、それから貸出総額は三百五十六兆四千億、概数ですけれども、これは概数として、事務方大丈夫、出ない――ではいいですよ、後で。今のうちに調べておいてください。

 それでは柳澤大臣、峰崎参議院議員が出した資料は、その後、拝見されましたか。

柳澤国務大臣 ちょっと忙しくて、なかなかあれ自体は実は拝見をしていないのですけれども、私どもの問答を事務当局は当然聞いておりまして、私が、金融再生委員会の席上に提出された記憶がないということを、記憶で必ずしも明確でないけれどもという留保つきで申し上げたのですけれども、その後、鋭意調べてくれておるのですが、完全には調べ切ったというわけではないのですけれども、そういうものは提出されていない、こういうことでございまして、議事録にもそういった関係のくだりはないということでございます。

上田(清)委員 峰崎参議院議員が出した資料は、当該監督庁の資料以外の何物でもありませんよ。どこからどこを読んでもそうですよ。こんなものが第三者に流出すること自体問題ですけれども、この中には、すごいことが書いてあるのですよ。

 主要行から地方銀行に至るまで、各金融機関の倒産の確率まで何%だと全部書いてある。それで、そのとおりになっていっている。そういうすごいものなんですよ。御丁寧に、ちゃんと文責、金融庁のさる、名前まで出ている、あえてここで言いませんけれども。たまたま他のところからの出向者ですけれども。(発言する者あり)後でちゃんとそれは言いましょう。こういうことをちゃんと書いてある。極めて正式に書いてありますよ。

 きちっと検査はされていますけれども、それはそれで、引き受け条件、これは資本注入の条件ですけれども、その水準は、金融界、政界等から低位とするよう要請が表明されている一方、法律上、引き受けを行った優先株等の処分が著しく困難でないこととされているとか、ちゃんと、金融界からと政界から余りきつくするなという要請があるということも書いてあったり、さまざま、細かく言えば切りがないぐらい書いてあるのですよ。

 大手十九行のうち信用度の最も低いグループ、この名前もあえて言いません。しかしこれも、どういう基準でやるかといったら、ロンドン銀行取引金利のプラス一%でやるとか、これは全部、物の書き方からして、「最終的な引き受け条件は上記で得られた条件に、早期健全化法の政策的意図を帯した調整を加味」とか、この文面そのものは、明らかに当時の金融監督庁の、監督する立場から、あるいは検査する立場から書かれたものでありますし、ちゃんと文責も金融監督庁の別室の何々という名前で書いてあります。

 もう時間がなくなってきましたけれども、これからすると、最初から、九九年の三月でしたか、私が大蔵委員会で日野長官に、正味自己資本比率があるというのだったらちゃんと教えてくださいと。そういう仕組みの中でどの銀行が大変だということをわかっていたにもかかわらず、あなた方は、あの後、資本注入を、ある意味ではわずか七兆五千億でとどめて、問題を先送りし、あるいはその前の佐々波委員会のときも、もうこの部分の一部がわかっていたにもかかわらず、あのような形で資本注入をした。

 こんなことを考えると、一体何のために、そういうきちっとした検査をしながらも、あえて緩やかに評価をし、問題の先送りをしてきたのか。こんなふうに私は思いますし、まさにこれは、銀行経営者が責任をとることをしたくない、責任をとりたくない。あるいは、さっき言ったように、政界からの要請があった、この部分を踏まえ過ぎた。こういう、明らかにきちっとした査定をしない、この体質が問題を先送りしたという意味において、当時の初代金融庁長官である柳澤長官の判断というのは間違っていたんじゃないか、私はこんなふうに思わざるを得ないのです。

 明らかにこのものが金融庁のものでないというのであったら、また改めてこの議論をしたいと思いますけれども、あくまでしらを切られて、この資料は金融庁のものじゃない、こんなふうに言われるのかどうか。もう時間がありませんので、その答弁だけ確認しておきます。大変なことになりますよ、うそをついたら。

柳澤国務大臣 当時の金融庁長官は日野長官でございました。日野長官が、この問題の資料について尋ねられたときに、これを否定なさっているわけですけれども、積算の基礎になるもろもろの数字が自分たちが使っている数字ではないのですということ等を挙げまして、したがって、金融監督庁として、これに対して何らかのコメントはできないのだという趣旨の答弁をなさっております。

 それからまた、この間聞かれたのですが、私が所管をしておりました金融再生委員会の場にこういう資料が提出されているという記録もない、これは私の記憶とも一致しているのですけれども、そういうことでございますので、それはいろいろの方が、篤学の方というか、アナリストとか、そういう方がいろいろな数字を挙げていらっしゃるのですけれども、それに対して一々コメントを政府がするというのは、なかなか実際上困難だと私は申し上げたいと思います。

上田(清)委員 先ほどちょっと言いました、自己資本の十六行の総額と貸出総額は出ましたか。確認です。(発言する者あり)大丈夫、同僚議員のをいただきました。

柳澤国務大臣 大変恐縮ですが、ちょっと急のお話でございましたので、特に、先生、数字そのものについて重要でございますか。あるいは考え方でしたら、私、お話し申し上げますけれども……(上田(清)委員「いや、私の方から申し上げます」と呼ぶ)

山口委員長 時間ですので、簡潔に。

上田(清)委員 実は、同僚の池田議員が確認しているのですけれども、自己資本が二十二・八兆、貸出総額が三百五十六兆四千億、これだけでやっても自己資本比率は六%になってしまう。こういう形になりますし、もし、資本注入した公的資本の部分だとか繰り延べした税金の部分だとか土地の再評価の部分だとか、こういうのを差し引いた、俗に言う、俗に言うという言葉を使いましょう、正味資本を見れば、十兆になってしまって、これはもう十六行が三%台になってしまう。こういうことについて、どのような認識をされているのか。

山口委員長 時間ですので、簡潔に。

柳澤国務大臣 はい、簡潔に。

 それは、国際的にバーゼル委員会で認められたもの、例えばティア1で申しますと、公的資本であるとかあるいは税効果の資産であるとか、こういうものを除いて考えればこうなるというのだったら、それはそのとおりでしょう。しかし、その公的資本も税金繰り延べ資産も、ちゃんと認められておるわけです。先生に至っては、先ほど、もっと公的資本を入れるべきだったという御議論をされているわけですから、公的資本を自己資本から引いて、その金額が少なくなります、その比率が低くなります、これでどうだと言われても、私どもとしては、そういう計算をなさればそういう結果でございましょうと言うしかございません。

上田(清)委員 実体が弱いということを本当に確認しておられるかどうかということを私は確認したかったのですよ。そういう議論の仕方ですから、一生懸命そういうことを言われてもだめなんですよ。だから間違ってくるのですよ、ずっと。

 これはもう時間がないので……

柳澤国務大臣 そういう議論をされながら、先ほど自己資本の、七兆五千億が少なかったという議論は、どういう論拠でなさるのでしょうか。私は質問するわけにはいきませんから、しませんけれども、余りにも、あっちの議論のときはここをとる、こっちの議論のときはここをとる、こういう議論は、私にとって非常に不本意だと思います。

上田(清)委員 実体が弱いから、自己資本を充実させるために注入額をふやせ、こういう議論をしているんじゃないですか。筋が合っているじゃないですか。あなたが筋が間違っている。

山口委員長 時間ですので、終わってください。

柳澤国務大臣 上田委員は、今おっしゃるのは、自己資本の中で公的資本が多かったら、それだけ実質脆弱だとおっしゃったでしょう。私もそのとおりだと思うのですよ。ですから、あなたのように、もっと自己資本を公的資本で増強すべきだったなんというような議論を私はとりませんということを申し上げたのです。

上田(清)委員 終わります。

山口委員長 次に、小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。

 前回、三月二日の財務金融委員会におきまして、幾つかの質問を通じ、大臣とか官僚の皆さん、政策決定の権限を持っている方たちの感覚と、一般の国民の感覚に大きなずれがあるとともに、経済の実態の把握が不十分であり、ここに、すべての政策がおくれがちであったり、やるべき時期を間違え、いつまでたっても一向に日本経済が回復しない原因があることを指摘させていただきました。

 そして、質問のその具体例として、株式投資の経験が全くない人たちが株式市場の活性化を図ることは難しいのではないかという指摘に対し、柳澤大臣からは、村井副大臣からも、全く何もやっていたことのない人間が政策の企画立案をするというのはおかしいのではないか、特に、公務員や政治家に対しても規制が厳し過ぎて、実態からどんどん遊離していくということが問題ではないかという主張をされているが、そういうことがあり得ると考えているという旨を発言いただきました。

 また、九七年十一月二十八日に成立いたしました財政構造改革法がわずか一年で凍結されました件につき、財政構造改革法をつくる段階で最初から現状認識が甘く、そのときの経済状態を見誤っていたのではないかという指摘に対し、宮澤大臣からは、「委員がおっしゃいますように、その間における日本経済の実態についての分析が十分でなかった、今でもまだございませんけれども、やはり検証するとすればそういうところに原因があったと考えるべきだろうと思います。」とのお答えをいただきました。

 ここで時間が来ましたので、また引き続き御質問させていただきます。

 まず、前回の私の質問に対する宮澤大臣のお答えの中に、事実の誤認と思えるお答えがありましたので、もう一度御確認させていただきます。

 どんな原因で、九七年、平成九年十一月二十八日に成立した財政構造改革法がわずか一年で凍結されたのかという質問に対し、宮澤大臣は、議事録に載っておりますが、「一九九七年に東南アジアの為替危機がありました後、我が国自身で、三洋証券が倒れ、あるいは山一が、北海道拓殖銀行がという御記憶のようなああいう状況がいわば続いて起こりました。そこからきた経済の極端な、恐らく金融不安に近いような状況が到来いたしましたので、それまでの財政再建路線というものはここで思い切って転換せざるを得なかった、こういう事情と思います。」と、あたかも財政構造改革法の成立の後に事情が変わったような発言をされております。

 しかし、これは時系列で見ますと明らかなんですが、アジアの通貨危機は九七年の七月、三洋証券の倒産は十一月三日、北海道拓殖銀行は九七年、同年の十一月十七日、山一証券の自主廃業は同年、九七年十一月二十四日であります。そして、同年のその四日後の十一月二十八日に財政構造改革法が成立しているわけであります。つまり、既に金融危機が現実化しているにもかかわらず、財政構造改革法を成立させてしまったわけで、いかに現状の認識の分析が甘かったかということだと思いますが、宮澤財務大臣、いかがでございましょうか。

宮澤国務大臣 財政改革法を議論しておりまして、それを国会で御審議を願って、成立をいたした。その時系列の中で、今おっしゃいましたようなことが一つ一つ起こってまいったというのは事実ではないかと思いますが。

 御質問の趣旨は。

小泉(俊)委員 先ほど述べましたように、大臣とか総理とか政策決定の権限を持っている方たちが、経済の実態の把握が不十分なために、大きな制度の変更や政策の転換を適切な時期にやってこなかったことが、今の日本の経済に大きな影響を与えていると私は思うのであります。

 この点につきまして、幾つか質問させていただきます。

 まず、GDPの六割を占める個人消費に大きな影響があると言われております消費税についてでありますが、宮澤財務大臣、消費税三%を五%に引き上げた時期について、もう一度確認させていただけますでしょうか。いつでしょうか。

宮澤国務大臣 あれは九八年の二月か三月でしたと思います。平成九年、九七年です。失礼しました。

小泉(俊)委員 おっしゃるとおり九七年、平成九年の四月一日でありますが、消費税を三%から五%に引き上げたこの時期なんですが、大臣、これは今からお考えになられて適切だったと言えますか。いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 それがその年に九兆円国民から購買力を移転したと言われる時期でございます。ですから、そういう意味から見れば、三兆円も、当時はたしか健康保険の保険料も上がりましたし、それまでやってまいりました減税も取りやめるということがあって、たしか全体で九兆円と言われました。その中の、消費税というものはそういう意味で国民の購買力を移転したという議論は確かにございます。

小泉(俊)委員 バブル崩壊後ちょうど七年経過しまして、その後遺症で本格的に経済、特に金融が回復していなかったわけですね。引き上げました三カ月後に、タイ・バーツの暴落により、その影響で簡単に国内、先ほど財政構造改革のときも出ましたが、三洋証券のデフォルトに始まりまして金融危機になったわけですね。そういう極めて脆弱な経済状態だったわけですね。それでまた、本当は消費も十分回復していない段階でこれを引き上げたのじゃないでしょうか。

 また、財政構造改革法と同じように、宮澤大臣、前回の質問のときに、やはり実体の経済の把握が不十分だったということを先生みずからお話しされておりますが、消費税を引き上げた時点でもやはり現実の実体経済の把握が不十分だったのではないのでしょうか。

宮澤国務大臣 それは、衆議院選挙がございましたころ、かなり日本経済は回復しつつある、また指数の上でもそれがそう出ておりましたので、ここはやはり財政再建に移るべき時期であろうという判断が大方の判断であった。したがって、またあの再建の法律もできたわけですが。

 ですから、ある意味で、この大きな経済の動きを多くの人が見誤った、無論政府が見誤ったことが一つの一番大きな責任ですが、大体そういう見方が支配をしておった中での出来事でありました。しかし、それは結果として誤ったということでございます。

小泉(俊)委員 三%から五%の消費税に上がっていまして、今も五%のままでございます。このパーセントはいいのですけれども、GDPの六割を占める個人消費がなかなか回復しない。私は、やはりこの引き上げが今でも実は足かせになっているのではないかと思うのですが、この点について、大臣いかがお考えでございますか。

宮澤国務大臣 それは、殊に共産党の方々は今でも、内需をあるいは家計を一番力づけるのは、現在あります消費税を三%分減らすことであるという主張をしておられまして、それは、それに関する限り一つの主張であろうとは思うのです。

 ですけれども、それはそれだけにとどまりませんものですから、政府としてはなかなかそう簡単にいけないということでございます。

小泉(俊)委員 私も、税制の中立性と公平性を考えまして、引き上げ自体を否定しているわけではありません。

 ただ、今までの日本の政府の政策を見ておりますと、やはり非常に時期が悪いタイミングでいろいろなことがなされて、そこで今ちょっと確認のために御質問させていただいております。

 ただ、御指摘でございますが、実は大分設備投資もおっこちてきましたし、今日本経済を引っ張っていく最後のかなめが住宅にあると私は思います。

 確かに、数字上はGDPで五・五%しか貢献度はないと言われておるのですが、家を買うときには、いろいろカーテンを買ったり電化製品を買ったりしますので、大変波及効果が大きい。

 その中で、住宅の購入者についてはやはりこの五%の消費税が非常に足かせになりつつある、その点については私はそう思っております。簡単なコメントで結構でございます。

宮澤国務大臣 住宅が、経済、不況脱出に寄与していることは間違いございませんが、それは、一つはやはりかなり思い切った住宅減税をやったからであって、それはある意味で、言葉はよくありませんが、いわば駆け込みをちょっと奨励したというような点もございますので、今度少し改めさせていただきますが、住宅は依然として経済復興のプラスの要因、助ける要因でございます。

 消費税をかけておることが住宅需要にどれだけ障害になるか。それは、なければやや障害が減るという程度のことは言えるかもしれません。しかし、住宅需要は十分に堅調であるというふうに私は思っています。

小泉(俊)委員 消費税の問題はこの辺にします。

 いずれにしましても、私が申し上げたいのは、景気が、いろいろな政策抜きに、本格的な回復をしてないにもかかわらず、例えば源泉分離課税の廃止の問題も大蔵省は必死にやろうとしていました。非常にそのタイミングを、現実を見ないでやるということのないように、過去の失敗をやはりきちっと分析しなきゃいけないということで、私は御質問させていただきました。

 次に、戦後の我が国の金融における護送船団方式の大転換となりました金融の自由化についてお尋ねいたします。

 まず、外為法の改正を中心とする金融の自由化の必要性と重要性なんですが、財務大臣、これはどのように御認識をお持ちでございましょうか。

宮澤国務大臣 一九九八年の外為法の改正は、あのときからいわゆる日本版ビッグバン、こう言われて、これが金融システム改革のいわばファーストランナーであった、外国為替管理制度の根本的な見直しをいたしました。

 これは、いろいろな事情がありましたのですけれども、日本の金融制度を何とか変えなきゃいけないという声がいろいろある中で、具体的に法律としてそれを実行した最初の着手でありまして、日本がいわば、それこそ今の言葉で言えばグローバライゼーションですが、対外取引におけるグローバルスタンダードというものを、日本の金融・資本市場のスタンダードとして取り入れた。そういう意味で画期的な意味があったというふうに私は判断しています。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

小泉(俊)委員 柳澤大臣はいかがでございましょうか。

柳澤国務大臣 金融の自由化というか、ビッグバンが一九七五年にニューヨークの株式手数料の自由化から始まりまして、それからおくれることほぼ十年、一九八六年にサッチャー英首相の率いるビッグバンがありました。

 日本も、その一九八六年ごろに、金利の自由化ということで、実は金融ビッグバンの世界の潮流に乗る、そういう姿勢を持っていたわけですけれども、その後バブルに突入しまして、みんなある意味で金融自由化の重要性というものを忘れてしまって、特に金融機関は反省すべき点が多いと思うんですけれども、自分の業務をその自由化に向けて再編成するというような努力をやや怠ったということは否めないと私は思っております。そういう中で、バブル崩壊後、日本のおくればせながらの自由化を進めていくというその突破口になったのが、今宮澤大臣の御言及した為替の自由化でありました。

 そういうことで、それをスタート、もう一回再スタートです。実は、金利の自由化はそのもう随分前にありましたので、いわば本格的日本における金融ビッグバンの再スタートの第一歩ということで始まったわけでございまして、それ以後、規制緩和何カ年計画、三カ年計画というものが次々ローリングシステムのもとで進められておりまして、金融の自由化というものが最近非常にいろいろな金融機関の広範な多角的な活動を呼び起こしているということは、私は認めるべきだと思うんです。

 しかし、そういうものをやるにしては、余りにも日本の金融機関はバブルの崩壊で大きな痛手をこうむってしまいましたので、その痛手の処理ということと金融ビッグバンへの対応ということを同時にこなさなきゃならないということでは、やや同情すべき面があろうかと思うんですけれども、幾ら困難であってもこの両方をやっていくということが日本の金融に課せられた課題だ、このように受けとめております。

小泉(俊)委員 今柳澤大臣にお答えいただいたんですが、アメリカにおきましては、今おっしゃいましたように一九七六年、八〇年代前半にもう自由化は完全に完成しているということで、それでまた、今聞こうかと思いましたんですが、大臣にお答えいただきましたように、ヨーロッパでも大体八〇年代後半ということで、イギリスが一九八六年、証券ビッグバン、今お話しいただいたとおりなんですが、もう一度確認しますけれども、日本の外為法の改正というのはいつでしたか。

宮澤国務大臣 九八年です。

小泉(俊)委員 九八年四月一日からですね。

 最近、実は日本経済新聞を見ていますと、一週間前ほどの新聞ですけれども、旧大蔵省の榊原元財務官が、外為法の改正に九六年から取りかかって、本来ならば二、三年かかるところを一年でやったというような、いかにも誇らしげに自慢するような記事が載っていました。

 しかし、今柳澤大臣がお話しいただきましたように、実はバブル崩壊後もう八年経過していて、膨大な不良債権、さっき上田先生からもお話ありましたが、問題債権六十何兆円という、金融機関の体力が一番弱っているときだったんですね。それも、すべて欧米の金融機関は、アメリカなんか二十年以上も前から金融自由化していまして、金融技術も二十年も進んでいるわけですね。このアメリカの金融機関と同じ土俵で戦えば、まさに大人と子供の戦いなんですよね。どうなるかは火を見るより明らかですよね。

 私が聞きたいのは、外為法の改正がなされたこのタイミングというのは、これは最悪なんじゃないですか。宮澤大臣、いかがでございましょう。

宮澤国務大臣 それはいろいろな考え方があると思うんですが、今御紹介になりました榊原君の言っていることは私は本当だと思っています。

 実は、外為法の改正が九八年に行われましたときに、日本の大半の人はそういうことが行われるということをほとんど知りませんでした。不思議なことですけれども、今度は外国へ預金ができるそうだというような話は実は余り語られなかったし、意識されていなかったんですが、ちょっと実際のことを申しますが、外為法というものは大蔵省におきましてその局の主管事項であって、その局はそういう問題について絶えず外国としょっちゅうしょっちゅうやりとりをしておりますものですから、かなり早い時期に、それは九六年ですが、そういう約束が既にできておりまして、そしてそれが二年後に実現をした。

 実際は金融界全部を巻き込むような出来事であったけれども、何となくみんなが意識していないままにその部分が突然実現した。突然というのはよくありませんが、そこからいわば自由化の突破口が開けた、私などはそう思っておるわけでございますけれども、さっき柳澤大臣が言われましたように、そういうことが起こってきている、それへ備えなきゃという金融機関側の対応というのが十分でなくて、きょうから外国に預金ができますとかなんとかいうようなことで国民生活の方とつながっちゃった。

 そういうことでありますから、今、それはタイミングが早過ぎたねとおっしゃる点は、ほかのことと確かにタイミングが合っておりません。それをそうおっしゃったので、私は、早過ぎたから、それでもあそこから食い破ってよかったなというふうに私は見る方ですが、いずれにしても、両方がシンクロナイズされていなかったという感じは確かにございますと思うんです。

小泉(俊)委員 実は大臣、私が申し上げたいのは遅かったということなんですね。もう少し、これは戦後、大蔵省が金融行政をかなり護送船団方式でやってまいりまして、要するにぎっちり手足を縛っていたわけですよね。手足を縛って、泳ぐ練習もさせない段階で、今お話しいただきましたけれども、余り、金融業界自体が自由化というのをぼうっとしていたわけですよね。それを突然、九六年から実は橋本総理が宣言されて、二年後に、九八年の四月一日にこれを施行したわけでございますが、これは余りにも突然で、準備が何にもない段階で手足を縛って海にほうり出しちゃったようなものじゃないか、私はそう思うんですね。

 特に、これは実は自動車産業と比較していただければ一番わかりやすいかと思いますけれども、自動車産業は、完全に関税の自由化を五十三年ですか、する前に、もうずっと長い間準備して守ってきまして、体力がついてから戦い始めたわけですよね。ところが、金融機関に対しては今まで大蔵省ががちがちに手足を縛っておいて、それで、海外との合意をしたから九八年に自由化だ。ところが、全然わかっていなかったから準備を全然していないわけですから、僕は、圧倒的に金融機関が傷んでしまうんじゃないか。

 現在、非常に今までいろいろな議論がされていますけれども、私は、金融機関がいつまでも立ち直れない本当の原因は、その金融の自由化が実はバブルの体力あるときにやればよかったものを、まだ耐えられたわけですよね、それが余りにも、アメリカに比べて二十年、イギリスに比べても十何年もおくれているわけですよ。何でこんな時期までやらなかったのか、それを聞きたいんです、大臣。

宮澤国務大臣 これは、私は素人でございますので、柳澤大臣の方がよく御存じでお答えになられると……。それは、いや、本当のことを申しているんです。

 私の思っておりますのは、確かにおっしゃったようなことがありましたが、しかし、例えばプラザ合意が一九八五年でございますが、あのころには日本の銀行は全部世界のトップのテンの中のほとんどだと言われて、えらいものだと言われておったんですね。ところが、その銀行が、おっしゃっている出おくれというところが、インベストメントバンキングということを何にもやっていない、何のノウハウもない、そういう状況で預金だけは世界の第何番目でございます、みんな各地にたくさんいるわけですよ、支店があって。だけれども、インベストメントバンキングなんということはやっていない。

 これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、実際そうであるから、今になって日本に人材がいないわけでございましょう。ですから、そういうふうについての銀行の国際的なアクティビティーというものは、確かに私は、日本の銀行はやっていなかった、証券会社も大体やっていなかったということじゃないかと。これは素人でございますが、私は、ですから、出おくれたと言われるのはやはり本当じゃないでしょうか。

小泉(俊)委員 それでは、プロの柳澤大臣にお答えいただけますでしょうか。

柳澤国務大臣 宮澤大臣のおっしゃられたとおりだと私も思います。

小泉(俊)委員 実は、金融が物すごく重要、これから特に、日本のように成熟した国家で、国民金融資産を一千四百兆円近く持っている、この国の、私は施政方針演説とかいろいろなものを聞いていて、皆さんITとかいろいろおっしゃるのですが、一つ欠落しているものがあると思うのですね。これは、金融立国を目指すという視点をしっかりだれも打ち出していないのですね、日本は。

 ですから、一連の流れを見ていますと、どうも日本の金融をこれからこうしていくんだという戦略が全く、銀行とか証券の責任じゃなくて、国自体、ですから、大蔵とか財政を担当した人自体にそういう責任があるんじゃないかと私は思っているのですね。

 特に、今金融と実体経済が、御案内のように九対一で、実際は金融が実体経済を大きく動かすのが、これが今現状でございますよね。その中で、アメリカやイギリスはいち早く金融立国を目指したのですよね、きちっと。これはなぜ金融立国になったかというと、偶然なったわけではなくて、きちっと戦略的に、これから、成熟してきた国については金融立国を目指すという視点があったからこそそれができた。

 ところが、私は今のお答えを聞いていても、全く政府当局に、特に宮澤先生は、何しろ総理も御歴任され、日本でも有数の政治家で、その方のお答えがそういうことでは、やはりかなり金融面では日本は大きくおくれをとっている。

 例えば、今何と言われているか。金融植民地と今言われていますよね、日本が。特に、今東京の不動産をだれが買っていますか。七割、ほとんど外国の会社が買っているのですよ。こういう状況に関して、いかがお考えでございましょうか、大臣。

宮澤国務大臣 大変に私は、余り言われていないことをおっしゃっていると思うのは、ドイツの首相をしましたヘルムート・シュミットですが、この人は随分前から私には、日本の二十一世紀は金融であるということを言っているわけです。それは日本の金融機関が非常に勢いのいいときの時代を彼は言っていたわけですから、昨年、たまたま昨年日本がこうなりまして、私はヘルムート・シュミットに、おまえ、もう一遍今でもそう思っているかと言ったら、今でもそう思っていると言うのです。なぜと言ったら、これだけ国内でキャピタルを生む国民というのは世界にいないんだ、だからその国民がそうなるのが当たり前なんで、挫折は今のことで、自分はやはりそう思っていると言いました。

 今おっしゃることは、日本のディベロッピングなりインベストメントが九割方外資によっているというのは、先ほど申しましたように、それこそ為替でビッグバンで、皆さんいらっしゃい、インベストメントバンキングを日本もどこかがやりますといったときに、東京にいる外銀の人たちは、どこにそういうエキスパティーズがあるのと聞きました。私も知らないわけです。かつてなら、三菱銀行にあったろうとか、あるいは野村証券にあったろうとか、興銀にあったろうとか、昔のことでございますよ。しかし、実際には、それまでやっていないのですから、なかったんですね。ですから、インベストメントバンカーがたくさん高い給料で東京に参りましたね。それは、日本にそういうノウハウがなかったわけですから。

 ですが、やはりシュミットの言うように、日本の将来はそこにあるんだというのは、私は卓見を伺っているというふうに思います。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

小泉(俊)委員 柳澤大臣、いかがでございますか。

柳澤国務大臣 実は、御指摘のとおりでして、特に世紀が変わる変わり目に当たりまして、アメリカ、それからイギリスは、それぞれ財務省、大蔵省が学者に委嘱しまして、我が国金融はいかにあるべきなんだ、あるいは広く二十一世紀の金融業というのはいかにあるべきなんだというリポートを求めて、立派な書物になって出版をされております。

 私は、そのことを事務方にも申しまして、金融審議会はあるけれども、金融審議会は現実的ないろいろな問題の調整というものにやはりかなり時間を割かざるを得ない、そこに今言ったような非常に高次のビジョンを描かせるということはやはり無理なんで、これをどなたかに委嘱をして、その委嘱された先生が、自分の気心が知れ、かつ専門知識に対して敬意を払っているような方々とチームを組んで、日本の金融の将来ビジョンというものを固めるように、そういうことを構想してもらいたいということを実は既に指示を出しております。恐らく、その後確かめてはおりませんけれども、その人選に当たってくれているんだろう、このように考えております。

 いずれにせよ、今宮澤大臣もおっしゃられたし、また先生もおっしゃられたのですけれども、私も、金融サービスというものは、これはもうまさに知識集約産業の最たるものでしょうし、我々の国が将来サービス産業というものを非常にもっともっとウエートを増していかなきゃいけないということの中では、非常に重要な産業の一つであるというように考えておりまして、ぜひまたいろいろ御教授を賜りたい、このように思います。

小泉(俊)委員 いずれにいたしましても、今の、国のこれから二十一世紀、特にこれは、十年、二十年、三十年先をどうするかという本当に日本全体の命運を左右するものなんですよね。そうしますと、やはり今各お立場の大臣が政治的意思決定をしない限りこれは絶対実現しない、私はそう思っておりますので、ぜひとも勇気と決断を持ってこの道をきちっと進んでいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 次に、実体経済にまた大きな影響を持ちます株価の問題なんですけれども、本日幾らかといいますと、またちょっと下がりまして、一万二千九百九十九円。

 まず、一般論といたしまして、株価が日本経済全体に与える影響をどう御認識されているのかということを、宮澤大臣、いかがでございましょうか。

宮澤国務大臣 具体的な株価の水準について申し上げることは、またお求めではないのでございますが、やはり金融機関もそうでございますが、事業会社もかなりの株式を持っておる。御承知のように、個人の資産におけるエクイティーの保有はもう一〇%以下でございますので、したがって、決算をすべき銀行及び法人が株式を非常に多く持っているということは、その水準によって決算内容が容易に左右されるということでございます。殊に金融機関の場合にはそういうことがあろうと思いますので、そこはやはりどうしても株価というものが必要以上に意識される結果に、そういうふうな仕組みにできておる。

 私は、やはりその仕組みというものは、殊に金融機関の場合変わっていかないといけないと思いますし、個人につきましても、銀行預金どまりという話ではなくて、やはりエクイティーキャピタルを持てるようにいろいろな制度をこれから改めてまいりたいと思います。

 それによってまた銀行も、金融機関からの借り入れでなくエクイティーキャピタルを充実できる、そういうことにあるべきだと思っておりますが、そうでございませんために、株価というものが非常に企業の決算を左右するということのほかに、やはり株価がどうあるかということがいわば経済の象徴と思われるようなことにもなっておりますので、願えれば、もっといわゆる個人が資産運用の対象として株を持ってくれるようになればいいということを非常に強く感じております。

小泉(俊)委員 今のようにお話しいただくと、大臣おっしゃっている意図が非常によく伝わりますし、理解できるのですね。ところが、私が六月当選しましてから、実はかなり旧大蔵委員会で株価の話が出たわけですよね。当然、これは株価、危ないのではないか、半年、三カ月前、みんなこれを言ったわけですね。

 そのとき、例えば昨年十一月二十九日の海江田議員の質問に対しまして宮澤大臣は、市場経済でも株は一番、ああいうものでございますから、なかなか思うようにはいかないものだなと感じてはおりますくらいの、ほとんど御答弁の内容が株価って全く関係ないじゃないのというような、問題視していないように、どうしても大臣がお話しになる言葉が外に響くのです。

 だから僕たちも、実は今みたく言っていただければ大臣の株価に対する意識とかわかるのですけれども、株は株ですからみたいな話を余りお話しされますと、大臣はきっとお話しになることがかえって株価に響くのではないかということで、例えば為替の問題にしろ株価には触れないのだと思うのですが、かえってマイナスの効果を市場に発している、私はそう思うのですね。

 ですから、今のように、お話しになるときにマスコミとかにもきちっとおっしゃっていただかないと、私はこれは財務大臣としてのお立場が、責任が、余りにもちょっと発言が軽いのではないかと今まで思ったわけであります。

 先日、二月にあるパーティーがありまして、日本経済新聞の社長が主催者だったわけですね。社長は、三月決算時点で日経平均がもし一万四千円を割るような状態になれば、これは日本経済は大変なことになると。当然、日経のパーティーですから、これは日本全国の超一流企業の方たち、みんな来ていたわけですよね。その中で、そうおっしゃっている中で、大臣がたびたび大蔵委員会とか外に発される言葉が余りにも、株は株ですからみたいな話になってしまうのですね。

 ですから、そういう株自体のお話をなされるときに、ぜひとも、株は株ですからと言うよりは、先ほどのようにある程度全体的なお話を含めてのお話をしていただけないかと思うのですが、いかがでございますか。

宮澤国務大臣 それは大変ありがとうございます。私も十分思いが至らないかもしれません。自分が思っておりますことは、なるべく株のことは申したくないわけでございますから、お尋ねがないことを非常に幸せといつもしているわけなのですが、お尋ねがあったときに大変にそのお答えに困るわけでございます。

 私は、もう基本的にあれはああいう市場で形成されるものであって、あるときの状態は非常に心配だと思うこともないわけではございませんけれども、しかし市場に影響を与えるということはやはり間違いだと基本的に思っておりますものですから、それがもし無関心であるように聞こえましたら、それは私の申しようが悪いのでございます。よく気をつけます。

小泉(俊)委員 今大臣の方からそういう言葉がありましたが、ほとんどの国民は無関心のように、大臣、これはとっています。ですから、これはぜひとも注意していただきますよう、よろしくお願いします。

 それと、なかなか本論に入れないのですが、時間がなかなかありませんので。今ごろになって、いずれにしろ、自民党は金庫株とか優遇税制とか不良債権の直接償却とか、急に言い始めたわけですね。今度は株価の問題なのですけれども、これは何度も私この質問の中で、実は一番話したいことが、何でこんなにタイムラグがあるのだと。実は、何で自民党の皆さんももっと早くこういう対策を打ち出さないのだと。あの株価対策見たときにいろいろ賛否両論ありますけれども、やらないよりは今やらなければいけないときなのですね、火事場ですから。

 そんな中で、何で平均株価が最低のラインを切ってから、わざわざ三党の合意を出しまして、株価対策をやっているのですかね。これはもっと、三カ月から半年きちっと早くやっていればこんな悲惨なことにはならなかったと僕は思います。この点について、大臣、いかがお考えでございますか。

宮澤国務大臣 今この時点で、その問題について議論をされております焦点はだんだん絞られてきておりますけれども、日本の銀行が非常にたくさん株を持っているということはもともと問題なので、これはやはりやや中長期的には直すべきではないかという発想からスタートいたしまして、この際、それならば銀行の持っている株に限って、何かの機構の中へそれを受け入れて、そしてそこから先はいろいろな考えがあるわけでございますけれども、それをETFみたいにして外へ出すとか、何かそういうことはないか。これは今銀行が株を持ち合っているということから最近の株価の下落に非常にそれが影響したという事実がございますが、そのことよりも、もともと銀行がそんな株を持っていることに問題がある、そういう問題意識として取り上げられている、その点が一つございます。

 それからもう一つは、先ほど御議論になりましたように、今のことというよりは国民がエクイティーキャピタルを持たないようにしてある税制その他の制度が間違いなので、これを改めていこうという、これは目先の問題とは違いますが、その二つを中心に議論をされております。

 いずれの場合にも、いわば俗にPKOと言われるようなことではない、そうではないのですということを政党としてはやはり正面に立てながら、しかしやるべきことはしなければいけない、こういう立場にあるわけです。

小泉(俊)委員 個々の対策よりは、なぜやはりこんなおくれた段階で、今大臣おっしゃっていることをもっと、半年前とか一年前とか、その段階で私は取り組むべきだと思うのですね。

 いつも本論のときに時間がなくなるのですが、実はここからが本当のお話で、時間がありませんからちょっとさわりだけやりますけれども、宮澤大臣が、私の三月二日の質問のときにお答えいただいたのですね、財政構造改革法のときに。これは日本経済の実態についての分析が十分でないから、私はいろいろなそういう政策のタイムラグが出てくると思うのですね。

 大臣、それでは、何でこれはこんなに、例えば、緊急経済対策を聞こうと思ったのですが、大臣が総理のとき以来、今回の緊急経済対策、平成四年から何と九年間にもう十四回目なのですよ、緊急経済対策。こんなに経済対策やっている国、日本だけですよね。

 これは、その政策の内容が悪いのではなくて打つタイミングが全然ずれているために、その実効性がある段階では状況が変化してしまって効果が出てこないから、こんなにいつまでたっても、毎年毎年、一年に二回くらい経済対策やるのですよね。ですから、大臣、これは何でこんなに現状認識が不十分なのでしょうか。この原因自体がまずどこにあると思われますか。

宮澤国務大臣 もうだんだん難しいお尋ねになってくるのですが、やはりできるだけ政府が市場経済というものに忠実であろうとしていることが片っ方でございますが、実体の経済はいろいろな統制だのしきたりだので動いている部分があって、そこのところにいろいろ矛盾があるのだろうと私は思います。

 ですから、規制緩和ですべてが済むのだというお話になるのですけれども、なかなかそんなに規制を一遍に緩和できないものですから、そこに十分にメスが入らないうちに経済が悪くなると、市場経済なのに、政府は何とか市場に一種のスピンをかけようとする、そういうことの矛盾で、しかし、今度で随分懲りましたし、国民も真相を御存じになって、これで少しずつやはり規制がなくなって、市場経済らしくなってということにぜひなっていきたいというふうに思っています。

小泉(俊)委員 ここからぜひとも、時間がありません、次回議論させていただきたいと思いますが、私は認識が大分違っていますので。やはり今日本政府が一番取り組むべき問題というのは、何でこんなに政府が事実の認識がずれているか、これほど人材がいながら事実が正確に把握できていないか。そこを直さない限り、いつまでたってもこの緊急経済対策がずっと続くわけですね。

 ですから、私は、次回にもう一度これは議論させていただきますので、一応時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、鈴木淑夫君。

鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。

 ただいまの小泉委員と両大臣の日本の金融改革の歴史に関するディベートを聞いていて、許されるものなら手を挙げて参加をしたいという思いに駆られましたがここはぐっと抑えまして、やることたくさんあります、二十五分間しかないからぐっと我慢をして、もっと大事だと私思っております当面の金融政策、財政政策と景気の関係について質疑をいたしたいと思います。

 私の判断では、日本経済、残念なことながら、ことしに入って新たな景気後退局面に入った可能性が非常に高いと思います。それをはっきり示していると思われるのは、鉱工業生産、出荷、在庫の動きでございます。

 昨年までの緩やかな景気回復というのは、御承知のように製造業がリードしておりました。その背後には輸出と設備投資の回復があった。御承知のように、輸出はマイナスに転じてくる、設備投資についても、先行指標の機械受注、民需除く船舶、電力は、ことしの一―三についに二年ぶりにマイナスになるかもしれない。こういう状況をバックにして、生産指数が、増勢が昨年の十―十二までに少しずつ鈍化しましたが、おととい、二月の実績、三月、四月の予測指数が出ましたが、この三月の予測指数を使って一―三月を計算しますと、御承知かと思いますが、前期比マイナス三・三です。これは年率にしたら一二、三%強、がたっと落ちるわけですね。

 その結果、四月の予測指数は、早くも前年同月比でマイナスになります。急激に落ちてきている。しかも、在庫率が上がってきていることから考えると、在庫調整がありますから、これは少なくとも四―六、場合によっては七―九、まだ続いていきますでしょう。こういうわけですから、私は、景気後退に入ったな、その可能性は極めて高いと判断をしております。

 その理由は、午前中の山本委員の御議論ですと、金融政策がゼロ金利政策を解除したからだ、その間、財政政策といいますか、政府は補正予算などを組んで一生懸命支えていたのに金融政策が悪い、こういう感じで言っておりましたが、私は、全く認識は逆でございまして、あのゼロ金利政策の解除が景気後退をもたらしたのではなくて、政府の経済政策の破綻、財政政策の失政、これがこの景気後退をもたらしたと判断しております。

 一番わかりやすい数字を一つずつ申しますよ。金融政策、ゼロ金利を解除した。確かに、一番短期のコールレートはゼロ金利解除で〇・二五%ぐらい上がりました。しかし、景気に最も関係の深い金利は申すまでもなく長期金利ですよ。長期金利の中心の金利というのは、今自由化されていますから市場の長期金利、すなわち政府の長期国債の市場利回りであります。これが、ゼロ金利政策を解除したときは一・八%から二・〇%ぐらいのところにいた。その後、それがずっと下がってきている。一・〇から一・二ぐらいまで下がっちゃっている。長期金利が一貫して下がっているときに、金融政策のせいで景気後退が始まったとは何事ですか。

 他方、GDP統計をごらんになってください。GDP統計の公共事業はどうなっているか御存じですか。補正予算を組んだから支えていたなんてとんでもない話。一昨年の十―十二月期から昨年の十―十二月期、最新の数字、五四半期連続して公共投資の前年比はマイナスですよ。そして、昨年の暦年だけとりましても、前年比、暦年全体でマイナス五・三%、寄与度にして成長率を〇・四%ポイント下に引っ張っています。財政政策と金融政策を比べてどっちがギルティーかというと、これは財政政策に決まっている、この数字を見たら。

 しかも、これだけではないんですね。僕は、公共投資だけで財政政策全体を判断しようなどとは思っておりません。もっと大事な、例えば消費を直接刺激する政策がないとか、それから構造改革が進んでいないという、財政政策だけじゃない、もっと大きな森内閣の失政の問題もあります。

 これはこの後申しますが、いずれにしても、私は、ゼロ金利政策の解除のせいで景気後退が起きたとは全然思っていないし、逆に言いますと、今度の新しい金融緩和措置によってまた景気が上がってくるとも全然思っていない。そんなに金融政策はこの局面では効果はありません。この局面でなぜこんなに景気が沈滞しているかというと、御承知のように、構造改革が進まないで構造的な経済の停滞が起きている。金融は一生懸命緩めたって、ケインズのいわゆるリクイディティートラップに陥っちゃって、効果が発揮できない状況ですから、こんなときはゼロ金利政策を解除しようが、またちょっとゼロ金利に近づけてみようが、ほとんど効果は発揮できないというふうに思います。

 そこで、速水総裁に日銀の見解をお尋ねしたいのですが、せっかく思い切っておやりになった政策でありますが、私は、あれでどういう理屈で経済の拡張効果が出てくるのかな、ちょっとその点をお伺いしたいと思いますけれども、全然ないと思いますよ、多少あるとして、どこに期待をかけておやりになっているのか、お答えいただきたいと思います。

速水参考人 今回の緩和措置の効果に何を期待しているかという御質問だと思いますが、並べてお答えしてみたいと思います。

 まず、コールレートはゼロ近辺となる日が多くなると考えられます。次に、消費者物価の前年比伸び率が安定的にゼロ%以上になるまで続けるという、この明確な時間軸のコミットメント、この効果が強力に働きますと、長短の金利水準全体が低下する効果が期待されます。三つ目には、日本銀行の物価下落の防止に対する断固とした決意を示すことによって、人々の、企業や家計の期待に働きかける効果も考えられます。このほかに、中央銀行の当座預金の量が増加していきますと、通常は他の資産へのシフトが生じて、この面から長短の金利水準や株価あるいは為替レートに影響を与えて、実体経済活動に働きかけていくことも期待できると思います。

 これが並べられる効果の期待でございますが、ただ、こういうことを並べただけでは、おっしゃるとおりに、金利の効果がどれだけあるか、あるいは金融面でどれだけのものが出てくるかということになるわけで、既に長短金利水準が非常に低くなっておる現状で、この面からの追加的な影響は非常に限られている可能性はあります。

 また、金融機関の信用仲介機能が低下しているもとでは、日銀の当座預金をさらに増加させることの効果も必ずしも確実とは言えない面があります。しかし、金利低下余地をほぼ使い尽くした中で景気が悪化しつつある情勢を踏まえますと、先ほど申し上げましたような効果に期待しつつ、今回の措置に踏み切ることが必要な局面に至ったと判断いたしました。

 同時に、今回の措置が持つ金融緩和効果が十分に発揮されるためには、御指摘のように、不良債権問題の解決を初め、金融システム面や経済、産業面での構造改革の進展が不可欠の条件であると考えております。

鈴木(淑)委員 ありがとうございました。

 おっしゃいました幾つかの効果のうちで、私がそれはおっしゃるとおりだと思いますのは、主に二つございます。

 一つは、人々の期待に対する働きかけです。日本銀行の金融緩和にかけるこのスタンスを明示するということによる、もう金融はとことん緩めるところまで緩んだ、金利も下がれるところまで下がったというそのことが、人々の期待に働きかけて何がしかのプラスの効果を持つかな、ここは全くそう思います。

 それからもう一点おっしゃるとおりだと思うのは、これはやはり長短両金利が下がってくれば為替相場に対しては円安の効果を明らかに持つ、その面から輸出に多少プラスになってくる。それから、長短金利が下がればその限りでは、他の条件について一定なら、株価水準はある幅、上方修正されるはずだ、そこからプラスの資産効果が出てくるだろう。この点も私は賛成をいたします。

 ただ、それをトータルしてどのくらい大きな影響があるのかなという話になりますと、やはり、総裁もおっしゃいますように、構造的な要因で経済が停滞をしている、そのために流動性のわな、リクイディティートラップに陥っちゃっているような状況では、金融政策の緩和の効果というのは知れたもんじゃないかというふうに思います。特に、当座預金に一兆円余計積んで五兆円にするということでありますが、しかし、この当座預金のコスト、値段は何ぼかといえば、ゼロ%なわけですよ。これはゼロ%じゃなきゃ、遊ばせておいちゃまずいな、何とか使わなきゃということで銀行行動に働きかけることができますが、このお金は遊ばせておいたって損はない、オポチュニティーコストはゼロだ、こういうことになると、まさにこれは流動性のわなで、きかないだろうなというふうに思います。

 そういうわけで、総裁も私と同じ御意見のようでございますが、一生懸命、やれるだけのことはやったが、効果は知れていると。

 私、その中で一つ非常に注目しておりますのは、操作目標ですね、オペレーティングベリアブル、日本銀行は長いことコールレートに置いてきたわけです。海外ではもう、アメリカでは一九六〇年代に、操作目標と中間目標を金利指標から量的指標に切りかえるべきじゃないかという論争をずっとしていました。それで、ヨーロッパも巻き込んで、七〇年代、八〇年代、だんだん変わってきたわけです。

 その中にあって、日本銀行は、中間目標についてはマネーサプライ重視政策というのを打ち出しましたが、手前にある操作目標については、先日まで、金利指標であるコールレートにずっと固執してきたわけです。先進国の中央銀行の中でも、中間目標については量的指標に足並みをそろえておきながら、操作目標だけは金利指標と言って頑張ってきたのは日本銀行だけだなと思います。その日本銀行が日銀当座預金という量的指標に切りかえたということに私は非常に注目をしているわけでございます。

 アメリカでさんざん議論したときも、操作目標としての量的指標は何だろう。それまでは、やはりフェデラルファンドレートないしはその背後にあるフリーリザーブを見ていたわけです。エクセスリザーブから借り入れを引いたところを見ていたんですね。これは需給指標ですから、金利指標と同じです。それが、それじゃだめだということになって、アンボロードリザーブ、リザーブ全体から借り入れを引いたもの、あるいは、もう借り入れなんか引かないで、トータルリザーブ。このトータルリザーブを見ましょうというのがだんだんアメリカの主流になってきていますが、今度の日本銀行の当座預金を見ましょうというのは極めてこの思想に近い。トータルリザーブを見ましょう。ただし、キャッシュ・イン・ボールトといいますか、金融機関が手元の金庫に持っている現金もリザーブに入っちゃうんですが、これはよくわからないから抜いちゃって、日本銀行からよく見える当座預金のところだけ見る。

 こういう意味で、私は、ついに日本銀行もトータルリザーブに近い量的指標をオペレーティングベリアブルに採用したかと。この歴史的な意義は非常に大きいと思うんですが、発表文を見ますと、これも含めて、消費者物価の生鮮食品を除いた部分が前年比で安定的にゼロを上回るようになるまでとなっております。

 そこでお伺いいたします。私は、この点については、消費者物価の上昇率がゼロ%を上回るまでという条件をつける意味がないのじゃないか。それよりも、やはり、将来の予想インフレ率がボラタイルで見当がつかないときには金利指標よりも量的指標の方がすぐれているという、この何十年来の世界の先進中央銀行の標準的な思想を日本銀行が受け入れたという解釈をとった方が、私はわかりやすいですね。どういうおつもりですか、総裁。ほかの、今度おとりになった一兆円余計に積むとか、そのためには長期国債の買いオペをもう少しふやすとか、その結果としてゼロ金利になるでしょうとか、その辺のことは消費者物価がゼロ%を上回ったらやめるというのはわかるけれども、操作目標をコールレートじゃなくて当座預金に置くという、これもやはりやめちゃうんですか。もとの金利指標に戻っちゃうんですか。それとも、ここのところは続けていこうという考えなんでしょうか。総裁じゃなくて担当の理事でも。副総裁、どうぞお答えください。

藤原参考人 お許しを得て、私からお答えさせていただきます。

 今回のコールレートから当座預金に操作目標を設定した措置は、先生御存じのとおり、このような景気、物価の情勢にかんがみて、通常では行われないような思い切った金融緩和措置をとろうということで踏み切ったものであります。その時間軸として、消費者物価の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上になるまで続けるという条件をつけたわけです。したがって、CPIが安定的にゼロ以上となるような局面になりますれば、こうした措置は必要ではなくなるわけです。

 一方、御指摘の金融調節手法のあり方につきましては、去年の十月の物価安定レポートのときも検討してまいりましたけれども、まず量的な指標と実体経済との関係が安定しているかどうかということを見るという点が一つ、それから、量的目標のいわゆるコントローラビリティーというものをどう考えるかといった点などを踏まえながら、今後とも勉強を続けてまいりたいという考えでおります。

鈴木(淑)委員 ぜひ研究を続けていただきたいと思います。

 ただ、研究するまでもなく明らかなことは、実体経済と関係のある金利は実質金利ですよ。ところが、皆さん方が見ているのはノミナルな方の、名目金利しか見ていない。実質金利が幾らかというときは名目金利から予想インフレ率を引くわけだけれども、予想インフレ率の見当がつかなかったら実質金利がつかめないでしょう。そういう意味で、実質金利よりも、量的な指標である例えば当座預金残高というものを使うというのは一つの判断ですから、当座預金残高と実体経済の関係などを大いに研究して結論を出していただきたいと思いますが、簡単に金利には戻らないでいただきたい。特に今の日本経済の情勢では、この先、物価がどうなるかというのはだれも見当ついていないんですから。だから、物すごく、予想インフレ率というのはわからない指標ですからね。そうしたら実質金利もわからない。そのことを日本銀行に申し上げておきたいと思います。

 日本銀行には質問は以上でございますので、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。

 さて、そうなると、私さっき申しましたように、今のこの景気後退はやはり政府の方の政策の失敗だと思っておるんですよ。

 何を失敗したのかといいますと、予算委員会やこの委員会でも何回も申し上げて、やや繰り返しで恐縮でございますが、一つは、補正予算を組んだとかなんとか言っているけれども、とにかくGDP統計で見たら五四半期連続して公共投資が落ちているんですから。もう一つは、僕はその公共投資の中身もよくないと思っている。予算を見ると、やはり地方に偏っている。大都市圏の交通の関係とか防災の関係とか環境の関係とか、非常に経済効率の高いところにもっと金を持ってこなきゃいけないと思うんですが、それが不十分だということがあります。

 しかし、一番いけないのは、製造業を中心に景気回復が続いて、製造業の収益が収益率で見たら前回のピーク、前回というのは九〇年代の前のピークを超えて、バブルのころに近いぐらいこの三月決算は収益率が高いんですよ。なのに、今どうして消費にお金が回ってこないんでしょうか。そのお金が雇用や賃上げに回ってこないんでしょうか。

 この原因は、言うまでもなく、今のバブル崩壊以来のバランスシートが壊れた。バランスシートの資産側が値下がりしちゃった、負債はそのままだ、債務超過だ。このバランスシートを直すために、まず借り入れの返済に使うわけですよ。もうかると借り入れの返済。だから、今貸し出しがどんどん減っていますわな。それから、値下がりしちゃった不動産、もうかったらこのもうけを使って損切り売りをしちゃうわけですよ。そして、金融機関や何かであれば、もうけを使って目いっぱい不良債権の償却をしていく。引き当てを積む場合も含めて、直接間接の償却をしていく。そういう方にもうけを使っちゃうわけですね。なものだから、今に消費が出てくる、今に消費が出てくると言いながら消費が出てこないでいるうちに、とうとう引っ張っていた輸出と設備投資がおかしくなっちゃった。輸出はマイナス、設備投資は先行き危なくなっちゃったわけですね。

 ですから、政府がおやりになる政策の中に直接消費に働きかける政策がなきゃ絶対いけないんですよ。平成十三年度予算にもそれがない。今度の緊急経済対策にもそれがない。こんなことをやっている間はだめですな。

 ないどころじゃない。平成十三年度予算では、もうあさって、この四月から雇用保険の保険料を上げますね。十月から介護保険の保険料を倍にしますね。あれ全体で、大蔵省の推計を見ると、国民負担率が〇・四%ポイント上がることになっていますよ。僕がさっと金額を計算してみたら、二・五兆円ぐらいになりますかね。

 社会保険料引き上げというのは、経済効果は所得増税と同じですよ。二・五兆円増税しようとしているんですよ、あの平成十三年度予算は。消費を刺激するどころの話じゃない。そういう自覚がないんですかね、財務大臣。あなたがやっていることはデフレ政策なんです。少なくとも消費のところから持ち上げない限りだめだという自覚が全然ない、十三年度予算にも今度の緊急経済対策にも。これじゃだめですよ。いかがですか、財務大臣。

宮澤国務大臣 ずっとお話を伺いまして、裨益しましたが、さて、最後のところになりまして、企業の利益率、今確かに、ちょっと、そうしょっちゅうないような高い利益率になっております。それが確かに過去の債務の返済に充てられておる。そのとおりで、バランスシートを直さなきゃならない。

 しかし、そうではありますが、もし労働側の事情が、今のように雇用の心配があるために賃金要求にはどうも強く出られないというのが事実だと思いますが、しかしもし賃金要求に出られるような状況であれば、企業はそう旧債の返済ばかりにするわけにはいかないだろう、ある程度はやはり労働の分配をしなきゃならない。しかし、それだけの、いわば労働側がそういう強い体制にない。それは雇用不安があるからだと思います。

 ですから、それは、やはり私は、ITという革命の中で日本の雇用の形あるいは慣習が変わってくるということが、普通の景気回復に加えて今回の特徴ではないかと思っておりますものですから、これにはやはり多少の時間がかかる。金券を出したりすることではないので、やはり時間がかかって、少しずつでも労働の方に分配がふえていくという、そういつまでも借金を返してばかりというわけにはいかないはずでございますから、そういうふうに多少の時間がかかることはやむを得ない。

 やはりここは、御意見と一緒ですが、家計の収入がふえなければ支出というものはどうもふえない。限界消費性向はどうも向上していないと思います。ですから、少しでも収入がふえるようなこと、それは、結局は企業側がそれだけの分配をするということに持っていくよりほかはないだろう。それは、やはり地味でもいろいろな政策を続けていくことではないか。

 さしずめ、見ておりまして、十―十二はこの間のようなことでございました。ともかくもプラスになりました。一―三は、私はプラスになると思うのでございますね。一―三は、恐らく消費もポジティブになるのではないか。これはいずれ六月になればわかることでございます。

 それからあと、夏ごろになりますと、鈴木委員の言われるように、どうも設備投資が、かなり長いこと続きましたから、弱ってくるかな。そのころまでに家計がという、そこはやはりある程度の時間というものはやむを得ないのではないかというふうな見方をいたしております。

鈴木(淑)委員 大臣がちらっとおっしゃいましたように、いずれは雇用をふやさざるを得ない、あるいはいずれは賃上げ要求が通るような状況になってくる、もし生産が上昇を続ければですよ、そういうことだと思う。

 ただ、そうなるまでにまだ時間がかかる。その間に一生懸命バランスシートを直している。でも、いずれは、バランスシートを直し終われば普通の好循環が出るんですよ。それは大臣が示唆されているとおり。だからこそ、バランスシートが直り終わるまで、それから雇用が回復し賃上げをせざるを得ない状態になるまで、政府は景気を支えなきゃいけない。それをやっていないと私は言っているんです。それをやっていないからこんなになっちゃった。いずれはと言っているうちに、そのいずれはが来ないうちにポシャっちゃった。それが現状だと思いますね。

 なお、不動産税制、証券税制については、私ども新進党時代から、例えば不動産取得税、登録免許税なんというのはやめて、不動産の流通コストを下げなきゃいけないと言っておりますが、それが入っている。それから、証券税制についても、前回この委員会の席で、少なくとも三つ、証券税制の改革をやらなきゃいけませんよと私は申し上げたことがあります。譲渡益課税について、これは二〇%にしなきゃだめだ、二六はだめだ、申告分離のとき。それから、配当についてもそうだ、総合所得になっちゃったら高くなっちゃう、これも分離で二〇%にそろえなきゃだめだ。それから、配当二重課税の問題も、何か手を打たなきゃだめだ。配当二重課税の点は、何か入っているのか入っていないのかわかりませんが、そういう方向に向いているのも、遅きに失したとはいえ結構だと思います。

 ただ、これは、いずれにしてももっと早くやらなきゃいけない改革、税制改革であったので、景気に対する対策にはならぬということを申し上げておきたいと思います。

 時間でございますので、ありがとうございました。

山口委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 午前中からずっと議論を聞かせていただいていたわけですが、日米首脳会談の話からまず伺いたいなと思うのです。

 半年以内に云々かんぬんというのは結局のところ一体何なのでしょうか、半年たつと一体何が起こるのでしょうか、宮澤財務大臣に伺いたいのです。

宮澤国務大臣 先ほど岡田委員にも申し上げたことですが、この部分は初めの部分らしゅうございますけれども、お互いにいわば箇条書きで物を言うというような状況でないものでございますから、一種の大まかな概況について話し合う、そういう部分であったということを御理解いただきたいと思います。

 したがいまして、一つ一つの言葉がどれだけの意味を持つかということをせんさくいたしましても余り意味がない。むしろ全体の運びとしてお互いにどういう理解を与え、どういう理解を得たかということだ、そういうふうに全体の問題をお考えいただきたいと思うのです。

 総理が半年云々ということを言われましたのは、今の不良債権の問題を話されて、そして経済財政諮問会議でいろいろな議論をしていて、殊に社会資本の整備だとかあるいは社会保障と我が国の財政の関係、中央、地方の行財政といったようなことを議論しているうちに、やはりそれはマクロモデルできちんとした議論をしなきゃならないということで、既にマクロモデルの構築作業は進んでおる、夏過ぎごろにはそれが出てくるので、それでさらに議論を詰めていくことができるだろう、したがって、そのときまで半年ぐらいということを言われた。それは、何と申しますか、どっちかといえば財政再建に関してのことであって、一時不良債権の処理について言われたのではないかというのとは違うコンテクストであったということははっきりいたしました。

 ただ、全体を大づかみに話しておられますから、正確に一つ一つの言葉を定義づけてこうだったなと言うことはかえって正確な理解ではないかもしれない。むしろ大まかな問題意識としてそれを先方に伝えられた、向こうもまたそういう話をされたようですが、そういう雰囲気だということを基本的に御理解いただくことが大事であろうと思います。

中塚委員 それで、麻生経済財政担当大臣が不良債権処理も含めて半年間で骨太の結論を出したいというふうに発言したという新聞報道があるのですが、柳澤大臣に伺いますけれども、この半年間で結論を出すということについて、まずもって大臣の御所見というのはいかがなんでしょうか。

柳澤国務大臣 日米首脳会談における麻生大臣の御発言というものがございまして、六カ月云々というようなことに関連しておっしゃられたことは、あくまでもマクロ経済モデルによる主として財政再建に焦点を合わせたプロジェクトというか、そういうものを改正する時期としてそういう御言及がなされたものだと私ども考えておりまして、不良債権の問題は六カ月云々とは直接かかわりを持っていない、このように考えます。

中塚委員 マクロ経済モデル自体にしても、これだけ変化の速い時代に、六カ月かけてつくったマクロモデルがそのとき動かして本当にそれでちゃんと当たるのかなという気もするわけですけれども、そのことはさておいて、ただ、ブッシュ大統領が不良債権のことについてメンションしてきたということは恐らく事実なんでしょうね。

 そういう意味で、今まで柳澤大臣は、日本の金融機関の不良債権というのは引き当ても十分だし、引き当てが十分だから直接償却を行っても問題はない、日本の金融システムというのは健全であるというふうにずっとここでも御答弁になってきたと思うのですけれども、であるとしたら、どうしてブッシュ大統領が不良債権問題というのを日米首脳会談で取り上げなければならなかったのでしょうか。いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 いきさつがあると思いますので、私から申し上げます。

 我が国の、いわゆる金融国会以来、この両三年ですが、引き当てをするということについて、グリーンスパン、ルービンもそうでしたが、絶えず引き当てただけではだめなんだ、バランスシートから落とさなければということはその当時聞いたのですが、彼らもSアンドLの処理をした経験があるものですから、どうもそういう意味では、ノンパフォーミングローンを乗っけておくということは金融機関の本当の活動にならぬのだということをあのころから私にしきりに言うのです。

 こちら側の問題は、引き当てておけばそれで勘定はよろしいわけだということのほかに、不良債権ということは債務者に対してそれだけのインパクトを与えることでございますから、ああいうみんなが非常な不況になったときにそう理屈のとおりどんどん行けるわけではない、債務者はもういるじゃないか、お客さんもいるじゃないか、そういうこともございましたと私は思うのです。ですから、わかってはいたけれども、それがあの人たちの言うようにすぐにやれるわけでもない、そういう時代がございました。

 しかし、その後時間がたちまして、財政も随分金を使いました。それから日本銀行も、二月の初めでございますか、新しい措置も出されました。それで、二月の中ごろ、十八日ごろにG7がございましたときに、やはり問題は我が国であったわけですが、その我が国は、財政も随分金を使っている、日本銀行も一生懸命やっている、そうすると残った問題は何だろうかというときに、金融機関の健全化ということではないのか。つまり、財政も日銀も一生懸命やったが、結局金融機関がしっかりしていないものだから出るべき金が出ない、そういう結論がいろいろ議論をしているうちに二月十何日かのG7の最後の部分になった、ごらんになりますとそう書いてございます。

 それが何となくみんなの認識になり、ブッシュ大統領も恐らく、日本の問題と聞かれたときに、結局そこなんだなと。片方で、柳澤大臣が既にそのときにはこの問題をよく気づいておられて、何度もお話をしていらっしゃいましたから、アメリカ側としては、日本がアタックすべき問題はここなんだなと。こういうのが、不良債権というお話が出た、出るべくして出たのですけれども、いきさつだと思います。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

中塚委員 今のお話の中で、当時は債務者がいるじゃないか、お客さんがいるじゃないかということを大臣おっしゃっていましたけれども、今でも債務者もいるしお客さんもいると思うのですが、それでも直接償却、最近は最終処理とかいう言葉になっているようで、よりおどろおどろしい名前になっておるわけですけれども。

 その直接償却、あるいは最終処理でもいいのですが、これは柳澤大臣に伺いたいのですが、破綻懸念先よりも悪い債権のことということでよろしいのですか。例えば、要注意先ということについては従来の間接償却でもいいというふうにお考えなんでしょうか。

柳澤国務大臣 実はまだ、我々のオフバランス化の進め方ということについて完全に詰め切っているわけではないのですけれども、やはり、例えば要注意先というようなことになりますと、たまたま赤字の年度があった、今それが新しい年度を走っているというようなことから、必ずしもそれが、構造的に少し景気がよくなっても直らないというような事業者ばかりでは当然ないわけでございます。そういうものをすぐにオフバランス化するために云々というようなことは考えにくいということで、再生への期待というのがなかなか難しい破綻懸念先よりも悪い先というようなものが今度の中心になるのではないかということでございます。

 なお、余分なことのようですけれども、一つだけまたつけ加えさせていただきますと、要注意先というような先には、これからは何も下に行くばかりが勢いではありませんから、それがもっとよくなるように、要注意先だったら正常先になる、あるいは要管理先でも要注意先になるというような債権の管理の仕方もあり得るはずなので、それは現にこの前もちょっと西川全銀協会長が言及されておりましたけれども、そういったことも実はオフバランス化というものの一つの局面というふうに言っていらっしゃいました。

 私ども、そうしたことも念頭に置いてこの問題に対処しようとしておりますが、重ねて申し上げますけれども、まだ今ここで詰め切ったスキームというものがないものですから、大変恐縮ですが、決定的な言葉は差し控えさせていただきたいということでございます。

中塚委員 それでは、そういう金融機関の不良債権の話はもういいのですが、次にちょっと、一般質疑ということで、財政投融資のことを伺いたいというふうに思います。

 もうすぐ新財投がスタートしますね。今までは、特殊法人に貸し付けられていたこの財投の原資というものが、郵貯であったり簡保であったりあるいは年金であったり、そういうことになっていたわけですが、その特殊法人が赤字になっている例というのは大変たくさんありまして、それこそ本四連絡橋公団とか関空会社、道路公団、あと中部国際空港会社ですか、そういったところが赤字になってしまっているわけです。累積欠損が出たり純資産額がマイナスになっているというようなこともあるわけですが、これは、言ってみれば国の不良債権というのでしょうか、郵便貯金が不良債権になってしまっているということではないんでしょうか。財務大臣、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 それは、財投を今まで受けておりました特殊法人が、赤字経営と申すのですか、全部が非常にいい経営状態であるわけではありません。しかしながら、今までそういうことで資金運用部に対して延滞が起こったというようなことはもちろんございません。

 それは、郵貯に対してもきちんと、かなり長い期間でございますから、返済されておりますけれども、恐らく問題は、そういういわゆる財投法人というものがみんな大変いい経営状態にあるかということになりますと、それはなかなかそうは申せないのが実情でございます。

中塚委員 例えば無利子融資にしたり、あるいは利子補給金なんかにしても、利子補給金というのは、ひょっとしたら政策的に、例えば政府系金融機関の利子を切り下げるためにやっていることなのかもしれませんが、無利子融資なんかをするというのは利子分は上げてしまうということになるわけでしょうし、そういう意味では、特殊法人の赤字というのをやはり税金で埋めるということになってくると、入り口、出口、全部見直していかなきゃいけないとは思うのですが、トータルで見れば、私は財投の原資というのが腐っているのではないかなというふうに考えているわけですね。

 もうすぐ財投改革が始まって、財投機関は機関債を発行して、マーケットにさらされることになります。まだまだ額は少ないなというふうに思っておりますけれども。原資である郵貯、簡保、年金というのは、どんどんと自主運用になっていくというか、経過措置がありますので、その間、既往の貸付残高がゼロになるのに三十五年かかるのですか、その間も、やはり財投債を購入したりして、この財投債というのがほとんど国債と同じ債券で売られるということですから、やはり、現状、減っていくとはいうものの、今の財投の部分が何となく残っていくんだろうなというふうなことが事実だろうと思うのですね。

 それで、三十五年までに既往の貸付残高がゼロになるということなんですが、そのときまでに、出口の財投機関というのは財投機関債を発行するということになりますけれども、例えば、入り口の方の郵貯、年金、簡保というもののあり方につきまして、このままでいいのかどうかということになってまいりますと、私は大変疑問を抱かざるを得ないのですが、財務大臣の御所見はいかがでございましょうか。

宮澤国務大臣 いわゆる財投改革というものは、郵便貯金資金につきましては、義務預託というものが廃止される、全額自主運用ということになるわけでございます。

 まず最初に、財投の方からだけ申し上げますなら、いわゆる財投の融資を受けていた各特殊法人、これはおのおのが法律によっておのおのの任務を遂行するためにつくられておりまして、全部が健全な経営をしておるとは言えない状況でございますので、今回、とにかく財投機関債を出して自分で市場で生きられるように努力をしろ、そういう努力をしなければいつまでたってもなかなかよくならないということで、ともかく財投機関債を発行してもらうことにいたしましたが、これは、ごらんのように、総体で一兆円ぐらいでございましょうか、二十機関でございますけれども。

 しかし、なかなかこれで改革をしろといったって、それは微々たるものでありますし、それならもう閉鎖しろと言うことができるかといえば、いろいろな意味でなかなか容易ではございません。行政の上でも容易ではありませんが、政治的にも容易でないという問題がございます。それはこちらの方でございますが。

 こちらの方、今度は郵便貯金事業の方でございますが、これは、もう御存じのように、平成十五年中に新しい公社になって、そうして独立採算で新しい経営に入るということでございます。

 今お尋ねになりましたのは、これだけ膨大な資金を果たして適正に運営できるかということは、もちろんそれだけの準備をし、それだけのエクスパティーズを備えてやるわけでございますけれども、極めて大きな資金でございますから、そこは関係者が最善を尽くさなければならない。

 これは、実は私がお答えする立場にないものでございますから、それ以上詳しくは申し上げられませんけれども、非常に大きなチャレンジであることは間違いないと思います。

中塚委員 では、続きはまた。済みません、終わります。

佐藤(剛)委員長代理 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 昨日、金融庁はKSDに係る行政処分を発表しました。私は、昨年の十一月二十九日の大蔵委員会でこの問題を取り上げまして、前金融担当大臣が調査を約束されていたものであります。そういう経緯もありますので、まず初めにその点についてただしたいと思います。

 発表文書によりますと、「三百九十三の金融機関に対し、業務改善命令等の監督上の措置を講じた。」とされています。大変な数でありますが、そのうち、特に九十二の金融機関で「不適切な業務運営が認められた」というふうに書かれております。

 柳澤金融担当大臣にお伺いしますが、まず、この「不適切」というのはどういう意味で、その内容は具体的にどういうものだったか、お示しをいただきたいと思います。

村井副大臣 昨年以来、大蔵委員会あるいはこの財務金融委員会でもしばしばいろいろ御指摘をいただいた経緯もございまして、私ども調べたわけでございますが、一つの着眼点は、銀行法上の他業禁止という条項に抵触するかどうかという観点でございます。

 その観点から、私どもなりにいろいろ検討をさせていただいたわけでございますけれども、率直に申しまして、いずれの金融機関の行為を見ましても、一つの観点は、他業と呼べるほどの対価を得ているかどうかというような問題意識、それから、KSDの代行行為をしているといいますか、KSDのいわば集金をしたというようなことがあります一方では、他のさまざまの類似の機関からの集金をしているというような観点もございまして、これを要するに他業禁止ということをもろに適用するのにはちょっと問題がある。

 しかしながら、例えば、キャンペーンを相当頻繁に行いますとか、あるいはキャンペーンの態様でございますとか、そういうものを、頻度でございますとか、あるいはその態様でございますとかという点を見ますと、銀行法上規定しております他業禁止の趣旨に照らしていささか不適当ではないだろうかというような判断をいたしまして、昨日、処分をいたしましたような結論を出した次第でございます。

佐々木(憲)委員 この問題の発端は、銀行が本来の業務以外のほかの業務を、不特定多数を相手に集団的、組織的に、かつ繰り返して行われていた、そして対価を得ていた。これは、他業禁止ということになるわけであります。ところが、今の御説明ですと、対価がそれほど大きくはない、それを唯一の判断基準にして、そこに着目して他業禁止違反とは認めない。これは私は非常におかしな解釈だと思うのです。

 つまり、銀行法には、第十条で業務の範囲が規定されているのですね。第十二条で、「他の業務を営むことができない。」明確にこれが書かれているわけであります。それで、違反した場合は、百万円以下の過料とか、あるいは業務改善命令、場合によっては業務停止、免許の取り消し、こういう処分が規定されているわけです。信用金庫法でもほぼ同様であります。ですから、対価が多い少ないなどというのはどこにも書いてない。それは金融庁の勝手な解釈であって、銀行法にはそういう規定はありません。ほかの業務をやることによって、これは銀行法違反と認定されるわけであります。

 そういう意味で、先ほども上田議員の質問に対して同じような答弁がありましたが、他業をこれだけ組織的にやっている、繰り返しやっている、そういうことであれば、当然本業がおろそかになるわけですね。そういう意味で、これは銀行法からいって明確に違反していると言わざるを得ない。金融庁の態度というのは、抜け穴をつくって違反と認めないという、本当に甘い処分をしたというふうにしか言いようがない、このことを私は申し上げておきたいと思います。

 次にお聞きをしたいのは、今回の処分に当たって、金融庁が銀行法第二十四条一項に基づいて実態の把握を行ってきたということですけれども、もしも今度の金融機関に対する調査が、金融機関の側から事実と異なる報告があったり、あるいは事実と異なる資料の提供があるということをした場合、これはどういう処分がありますか。

村井副大臣 まず、お尋ねのポイントにお答えする前に、一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますのは、銀行法上、他業禁止という規定がありますのは、私は多分二つのポイントがあると思います。

 今委員たまたま仰せになりました、本来業務が妨げられるというようなポイントもございますが、もう一つは、他業をやることによりまして、ある意味では銀行業以外の新しいリスクが加わりまして、それによりまして銀行経営が脅かされるというようなことになる、これがいかぬ、これが一つの視点。それと、先ほどお触れになりました、本来業務である銀行業務に支障を来すような、本業がおろそかになるようなことがあってはいかぬ。恐らくこの二つの視点。

 そういう視点から見ますと、私どもは、このたびのKSDの問題というのがそれに当たるとまではちょっと言いにくい水準なのではなかろうか、単なる代金収納の代行、そういう範疇ではなかろうかという判断でございます。

 今お尋ねの、報告につきまして虚偽がありました場合でございますけれども、第六十三条第二号で、一年以下の懲役または三百万円以下の罰金という法定刑が虚偽の報告につきまして規定されております。

佐々木(憲)委員 今の前半の御答弁で、本来業務がおろそかになる、新しいリスクを負うことになると。この点から見ても、KSDの会員募集を年何回もキャンペーンをやって、集団的、組織的に反復継続して行って対価を得ている、これは明らかに他業務をやって本来業務をおろそかにしているということになるじゃありませんか。全くそういう点でいいかげんな対応だとしか私は言いようがない。

 次に、先ほどの後半の答弁ですが、罰則があるということですね。私は、金融機関が金融庁に対して、今回の調査に対して正確に報告していないのではないかという疑念を持っております。

 例えば、KSDが会員募集の見返りに金融機関に支払った報酬、この中には、口座振替基本手数料という名目があったり、あるいは保有維持協力金という名目があります。これはまさに、KSDの会員を金融機関が募集し、その見返りとして支払われた項目でありますが、例えば、そのうち保有維持協力金というのがあります。

 ここに、平成十一年度のKSDの事業報告書、決算書があります。この中に、金融機関に対して保有維持協力金として四千九百万円支払った、こういうことが明確に書かれております。ところが、昨年末金融庁が任意のアンケート調査を行ったわけですね。そのアンケート調査の集計を見ますと、七十九の金融機関で合わせて四千五百万円の保有維持協力金の支払いが行われたということになっております。つまり、アンケートの金額の方が四百万円少ないわけであります。金融機関が正確に報告をしていれば、こういう格差は出てこないわけであります。

 今度は任意の調査ではなくてまさに罰則つきの調査でありますから、当然、正確に報告しなかったら処分の対象になると思うわけであります。したがって、保有維持協力金というのが実際に合計幾らになっていたか、その数字を示していただきたい。

村井副大臣 大変申しわけございませんが、突然のお尋ねでございまして、私ども、今委員御引用になりました任意の調査の数字以外ちょっと今手元にございません。なお、これをお示しできるかどうか、ちょっと検討させていただきたいと存じます。

佐藤(剛)委員長代理 それでは、後ほど委員にお教えください。

佐々木(憲)委員 今、検討するとおっしゃいました。

 今回の実態調査、今回の調査は、まさに個々の金融機関に対して行われていて、この保有維持協力金についても当然調査が行われ、個別の数字はすべて出ているわけでございます。したがって、それを集計すれば幾らになるかは明確で、それとこのKSDの側の決算書と合っているかどうかを調べれば、もしその違いがあれば虚偽の報告があった疑いがあるということになるわけですから、必ずその結果を報告していただきたいというふうに思います。それをお約束していただきたいと思うんですけれども。

佐藤(剛)委員長代理 では、御検討ください。

村井副大臣 先ほど申し上げましたように、報告徴収の通常の手続等々をいろいろ勘案いたしまして、どのようなお答えができるか検討させていただきます。

佐々木(憲)委員 次に、今回処分されたのは、個々の金融機関だけではなくて金融機関の業界団体、例えば信用金庫協会あるいは信用組合協会などがあります。どのような行為が処分の対象になったか、その中身を具体的に教えていただきたいと思います。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 業界団体等がどういうことをやったか。例えば、傘下の金融機関に対しまして統一キャンペーンの実施を慫慂していたケースだとか、傘下の金融機関の業務推進担当者とKSDとの意見交換会を開催していたとか、あるいは、KSDの方でPR強化月間とかいったものを設けているわけですが、それへの協力を傘下の各信組等に要請したとか、そういったことでございます。

佐々木(憲)委員 処分の対象になった団体の中に、東海地区の信用金庫の業界団体である東海地区信用金庫協会、これは入っていないわけでありますが、そういうKSDの会員勧誘への関与、これはなかったという判断でしょうか。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 ここにインフォルモという雑誌があります。これはその一部ですけれども、金融庁が調査したときに、東海地域の各信金からは一様にこのような雑誌を勧誘の手段としていたという報告があったはずでありますが、そういう事実はつかんでおりませんか。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、東海地方の信用金庫の中には、すべてではないんですが、KSDの会員勧誘に当たりましてインフォルモという雑誌を活用していた信用金庫があることは承知いたしております。

佐々木(憲)委員 東海地域の各信金が、押しなべてインフォルモを使って会員勧誘をしているわけであります。そういう事実があります。東海信用金庫協会が関与しているということは極めて明確でありますが、そういう事実をつかんではいないと今おっしゃいましたね。どうなんですか。

佐藤(剛)委員長代理 高木監督局長、もう一回正確に答えてください。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 私が申し上げましたのは、東海地区の信用金庫がそのインフォルモを使って勧誘していたケースがあったということを申し上げたわけで、信用金庫協会のことを申し上げたわけではございません。

佐々木(憲)委員 ちょっとそのままで。

 つまり、信用金庫協会は関与していなかったんですか、いたんですか。その辺はどういうふうにつかんでいますか。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも調査の過程でインフォルモについていろいろ調査を行ったわけでございますが、その中で私どもが承知いたしておりますのを具体的に申し上げますと、株式会社インフォルモが出しているわけですが、そこと信用金庫協会との間に資本関係はない。それから、雑誌のインフォルモは年四回発行されております、平成五年ごろから発行されておりますが、その経緯等についてはよくわからなかった。株式会社インフォルモから直接その雑誌が各信金の営業店に送られてきていたということ。それから、その雑誌の中には毎回、古関前理事長の対談記事とかKSDの広告が掲載されていたということは把握をいたしておりますが、東海地区の信用金庫協会とインフォルモとの間に何か特別の関係があったかどうかということについては把握はできておりません。

佐々木(憲)委員 私は全く調査が不十分だと思いますね。

 ここにKSDの稟議書があります。これはKSDの東海支局がつくったもので、インフォルモの活用について本部の決裁を求めたものであります。この「目的」の欄に、「東海地区信用金庫協会の関連会社であるインフォルモ発刊の季刊誌を利用することにより、さらなる口座振替獲得を図って行く。」こういうふうに書かれております。

 また、別紙を見ますと、「東海支局管内(愛知、岐阜、三重)における信用金庫のKSD会員獲得推進は、平成六年度から(社)東海地区信用金庫の協力により、季刊誌「インフォルモ」を利用し実施してきた。現在各信用金庫では、このインフォルモを媒体とした新規加入手続きが定着しており、平成十二年度においても引き続きこの方式を採用することにより、さらなる口座振替獲得を図って行きたい。」

 もうはっきりと、このインフォルモは東海地区信用金庫協会の関連会社であり、それをその信用金庫協会の協力により活用してきたと、明確にKSD内部の稟議書で書かれているわけであります。

 もちろんこの中には、古関理事長のインタビューが延々と毎回載っている、あるいは口座振替申込書が毎回載っている。こういう形ではっきりと関与がされているわけであります。

 しかも、この配布方法を見ますと、インフォルモから、東海地区信用金庫管内四十七信用金庫、静岡県十五金庫、岐阜県八金庫、愛知県十七金庫、三重県七金庫へ一括送付。インフォルモから一括送付し、その後、各信用金庫から取引先事業所へ配布する。つまり、信用金庫がこの雑誌をどんどんばらまくという形になっている。しかも、この稟議書を見ますと、KSDがこのための資金を二千百四十万円払うのだということも書かれております。

 これが実際に実行されているわけですから、東海地区信用金庫協会としてKSD会員獲得を推進してきたことは明らかであります。東海地区の信金から統一的にこのインフォルモを使っているのだということが明確ですから、これは協会の関与を疑うというのは当然のことだと思うのですね。私は、こういう点について、明確な調査をもう一度やる必要があると思います。再調査をやるべきだと思います。

 柳澤金融担当大臣にお伺いしますが、これだけの事実があるわけですから、全く関係がないということは私は言えないと思います。そういう点で、大臣としての、この問題についての再調査をここでお約束をしていただきたい。

村井副大臣 先ほど監督局長からお答え申し上げましたように、いわゆる信用金庫の団体がいたした行為ということで、私ども確認できた限りで処分をいたしたという事情でございますので、今委員から御指摘のありました点につきましては、なお検討させていただきたいと存じます。

佐々木(憲)委員 今回のこの協会に対する調査というのは、民法六十七条に基づいて行われておりまして、不実申し立て、事実隠ぺいには罰則が科されるわけでありまして、こういう事実がある以上、検討というよりも、もう一度調査をする。

 柳澤大臣、これはちょっと大臣の姿勢をお伺いしたいのですが、この点についてきちっと再調査をして、本当に疑いがないのかあるのか、ここを明確にするというのは大事じゃないですか。いかがですか。

柳澤国務大臣 先ほど高木監督局長は、協会は何も金を出していない、つまり、資本の関係がない、人的関係もない、それを今佐々木先生の方では、KSDは協会の関連会社だと言っておる、こういう話ですね。そして、その関連会社の協力をいただいてきたと言っておる、こういうことですね。それだけの話なのです、今先生のお話を聞いてみても、それからまた、こちらの話を聞いてみても。

 ですから、これは、何の関係もなくても両方成り立つ事実なのですよ。何の関係もない。そちらはそちらで勝手にそういうことを言っている。これは両方、そのことは同時に成り立つことなのです、論理的に。論理的に成り立たないというのなら、成り立たないことを言ってください。

佐々木(憲)委員 委員長、でたらめな答弁だよ、それは。

佐藤(剛)委員長代理 ちょっと待ってください、議事進行。

 詳細についてやる場合には、先生のところから所管庁のところへ要求してやってください。みんなわからないですから。

佐々木(憲)委員 ちょっと待って、委員長、おかしいよ、それは。そんな整理ないですよ。(発言する者あり)そんな整理ないじゃないですか。おかしいよ、それは。(発言する者あり)

佐藤(剛)委員長代理 記録を消してください。――記録を外してください。

 佐々木君、続けてください。

佐々木(憲)委員 私は、具体的な事実を示して、KSD側の内部資料も示して具体的な再調査を要求しているのですよ。ないならないで、もう一回調査して、明確にすればいいじゃないですか。そのことを確認していただきたいということなのです。

佐藤(剛)委員長代理 だれが確認しますか。

 柳澤金融担当大臣。

柳澤国務大臣 調査というお言葉は、法令に基づく調査というふうに私は受け取りました。そうだとすると、再調査ということになると、相当これは事実に反したことを相手方はしているということが前提にならざるを得ません。

 ところが、今先生が言っていることは、こちらの言っていることと両立可能のことをおっしゃっているのです。先生がおっしゃる……(佐々木(憲)委員「両立可能」と呼ぶ)両立可能です。関連と言っているだけだ、協力を得たということだけだ。こっちは、資金的な関係もない、人的関係もないというのが調査結果ですというふうに言っている。両方成り立ってしまうのです。

 ですから、我々は、そういう程度のことだったら、法令に基づく再調査をかけるというのははばかられることだから、よく検討してみますということを副大臣が言ったわけです。

佐藤(剛)委員長代理 今の大臣の発言に対して何かありますか、佐々木君。

佐々木(憲)委員 あります。

 私は、具体的な資料を示して……(発言する者あり)

佐藤(剛)委員長代理 やじはやめてください。

 どうぞ、佐々木君。

佐々木(憲)委員 私は、具体的な事実を示して、今までやられた調査が不十分だったのではないか、このことを指摘しているわけであります。

 つまり、協会としてKSDの会員を拡大していくということを奨励し、協力し、そういうことをやってきたという事実がここにある。したがって、再調査をすべきだ。検討するというのだから、再調査の検討をきちっとやっていただきたい、再調査していただきたい、このことを要求しておきます。

 次に、時間がもうありませんので……

佐藤(剛)委員長代理 要求ですか。

佐々木(憲)委員 要求です。何を言いたいのですか、委員長。

佐藤(剛)委員長代理 高木監督局長が担当の局長なのですから、大臣、副大臣がおっしゃっているのだから、もしそういう話だったら、高木監督局長に確認しておいてください。

佐々木(憲)委員 そういう問題じゃないだろう。進まないじゃないか、そんなこと言っていたら。(発言する者あり)

佐藤(剛)委員長代理 円滑に進めるために、私は委員長として言ったのですよ。

佐々木(憲)委員 円滑じゃないよ。議事の妨害だよ。質問の妨害だよ、それは。

佐藤(剛)委員長代理 それは見解の相違ですよ。

佐々木(憲)委員 大体、そういう形で時間がどんどんたっていくわけで、委員長、質疑の時間を多少延長していただかないと、私はこれ、枠にはまらないですよ、こんなことをやっていたら。そうでしょう。

 では、次に話題を変えます。景気対策の問題についてお伺いしたいと思うのです。

 政府、内閣府の三月の月例経済報告は、日本経済は緩やかなデフレにあると述べて、初めて現状をデフレと認定しておりますが、議論の前提として内閣府にただしたい。なぜ現状をデフレと認定したのか、その理由、端的にお伺いしたいと思います。

岩田政府参考人 ただいま御指摘がございましたように、三月の月例報告におきまして、今日本の経済は緩やかなデフレにあるという認定をいたしました。

 これまで内閣府では、物価の下落を伴った景気の低迷、特に景気の低迷を、実質の成長率がマイナスになるという事態を景気の低迷というふうに考えておりまして、実質成長率がマイナスで、しかも物価も下落しているという事態をデフレとかつては定義しておりました。その定義に従うとしますと、日本の経済は昨年一・七%成長しておりますので、必ずしもデフレでないというふうにしてまいりました。

 しかし、デフレの定義をいろいろ調べますと、物価の持続的下落を指すものとかあるいは景気後退を指すもの、いろいろな使われ方がしております。今回、デフレというように認定いたしましたのは、国際的な基準、特にIMF等の国際機関で使われている用法、あるいは現在の経済状況にかんがみまして、従来の定義を改めまして、今後は持続的な物価下落ということをもってデフレの定義として採用することにいたしました。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 財務大臣にちょっと見解をお伺いしたいと思います。

 問題は、持続的な物価下落というのをデフレの定義として今回示したということですが、その物価下落の原因が問題だと思います。一般に消費者物価が下がる理由としては、一つは、技術革新が進んで生産性が向上し、その結果としてコストが低下し、製品価格が下落するというのがあると思うのですね。二つ目は、最終需要部門が低迷して、需要の低迷によって事実上供給過剰となり、価格が下落する。それから三つ目に、アジアからの低価格製品がどんどん大量に輸入されて、それが国内市場に流入して物価を下げるという場合もあると思いますが、大きく言ってこのぐらいが消費者物価を下落させていく要因だと思うのですけれども、一般的に言って大体そんなような認識でよろしいかどうか、財務大臣の御見解を伺いたいと思います。

宮澤国務大臣 私は結構です。

佐々木(憲)委員 そこで、現状をどう見るかということでありますが、財務大臣認めておられるように、企業部門は回復の過程にある、設備投資も伸び、利益も出ている、最近ちょっと陰りがあるとも言われておりますが。しかし、GDPの六割を占める家計消費、これは一向に回復をしていないわけでございます。

 総務庁の家計調査によると、全世帯の実質消費支出は、平成五年以来連続八年間マイナスであります。九二年をベースにしますと七%落ち込んでいるというのが家計消費の実態でありまして、内閣府の報告も、個人消費はおおむね横ばいの状態だというふうに言っています。

 これらは、今日の持続的な物価下落、つまりデフレの原因を明らかにする上で大変大事な視点だと思うのですけれども、財務大臣にお伺いしたいのは、今の持続的物価下落の最大の要因、これは、家計消費が伸びない、そのことによって供給過剰状態となっているというところにあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

宮澤国務大臣 いろいろな統計では、消費は当然金額であらわせますので、したがいまして、佐々木委員の言われました幾つかの原因、技術革新で同じものでもコストが下がったとか、あるいは安い製品が入ってきたとかいうものも、同様の消費をいたしましても、金額で表現しますと小さくなるということはあり得るわけでございます。

 しかし、そういうことはあるであろうけれども、私はやはり、佐々木委員の言われるように、どうも収入が目立ってふえていないし、限界消費性向が上がっていないとなると、やはり消費が伸びないのは収入が伸びていないというのが、どうも家計調査を見ていますと、いろいろ原因のある中で、今回特徴的なものではないか。殊に、企業が利益を上げているのに収入が伸びていないということには、それなりの理由があるというふうに私は思うものですから、その点を重大に私も考えます。

佐々木(憲)委員 家計消費が伸びないというのが大変大きな要因だということなんですが、それも、収入も減っているということでです。その原因を突きとめるということが、もう一つ突っ込んだ対応としては要ると思うのですね。

 それで、家計消費が低迷して市場が収縮すると、それに伴って物価が下落し、そうすると企業利益にも、全体にはマイナスに作用する。一層のリストラ促進になって、さらに労働者の収入が減る。さらに消費が冷え込む。まさにデフレスパイラルに落ち込んでいく危険性があるわけで、これを阻止しなければならぬと思うのです。

 そこで、日銀にアンケートの調査結果をお伺いしますが、昨年九月に、一年前と比べて支出を減らしていると答えた人の割合、ふやしていると答えた人の割合、これは私の方から、時間がありませんからここだけ言いますと、減らした人が三八・九%、ふやした人が六・五%で、全体として支出を減らした人がふやした人の六倍もあるという現状でありますが、そこで、この支出を減らしている理由、これを多い順に四点挙げていただきたいと思うのですが。

増渕参考人 私からお答えさせていただきます。

 このアンケートの調査結果で、支出を減らしている理由につきましては、九つの選択肢から複数回答を認める形で質問しております。その回答、上位四つは、第一番目が、将来の仕事や収入に不安があるからというもので、これが五九・三%でございます。二番目は、今後は年金や社会保険の給付が少なくなるのではないかとの不安からというものでございまして、これが五四・八%。三番目は、不景気やリストラなどのために収入が頭打ちになったり減ったりしているからというもので、四九・二%。四番目は、将来増税や社会保障負担の引き上げがあるのではないかとの不安からというもので、三五・七%となっております。

佐々木(憲)委員 この日銀のアンケート結果は、先ほどの財務大臣の御答弁とほぼ一致しているというふうに私は思います。

 問題は、そうすると、この消費支出を、家計消費をどうすればふやすことができるか、これが大変重要だと思うのですね。その点について、財務大臣としてはどうすればいいというふうに思っていますか。端的に。

宮澤国務大臣 またいつものところへ近づきましたが、つまり、普通でございましたら、これだけ企業が利益を上げておりますので、また普通不況打開のパターンもそうですが、それが賃金を引き上げ、家計をよくするという、そのパターンが今回そのとおり起こっていない。

 私はおくれがあると考えておりまして、その原因は、企業利益は上がっているのにそれが労働に回っていかないのは、労働側にやはりそれなりの不安がある。つまり、リストラの最中でございますから、やはり雇用が大事で、賃金要求は、どうしてもこれは二の次になりやすいということはございましょうから、やはり思い切った賃金要求というものになっていない。それは、雇用というものに不安があるということが基本だと思います。

 つまり、ITの革命というものは、いつかも申し上げましたが、アメリカはレイオフで済ませてしまえるわけですが、我が国はそれはできませんので、やはり年功序列だとか終身雇用だとかいうものが崩れていくのに時間がかかっている、その間、なかなか企業の利益が家計に回っていかない、そういうふうに私は思います。それに対する対応は、もちろん、雇用の創設でありますとか、基金をつくって失業の対応であるとか、あるいはミスマッチを解消するとか、いろいろなことがございます。これはみんな知られていることでやっておりますし、あるいは経済政策を政府が間違いなくやっていくこと、そういうことで全体的な景況の回復、それを待つのがやはり一番常道である。

 消費税を下げたらいいかというと、それはきかないとは申さないのですが、なかなか簡単なことではないなと思っておるわけです。

佐々木(憲)委員 大分先走った答弁をされたわけでありますが、一番大事なのは、家計消費をふやすためにどうするかということについて考える場合、国民の側の要望というのに耳を傾けるというのが大変重要だと私は思うのですね。

 そこで、日銀のアンケートをもう一回お伺いしますけれども、どうすれば支出をふやすというふうに答えているか、多い順に三点挙げていただきたいと思います。

増渕参考人 お答え申し上げます。

 同じアンケート調査の結果でございますが、どの項目が実現すれば支出をふやすと思うかという問いを八つの選択肢から複数回答を認める形で質問いたしております。

 この質問に対する回答、上位三つでございますが、一番目は、雇用や収入の不安の解消で全体の四五・九%、二番目が、消費税率の引き下げで四二・六%、三番目は、年金改革や財政赤字などに対する指針を示し、国民負担の将来像を明確化することで、三五・〇%となっております。

佐々木(憲)委員 私は、国民の側の要望、これにどうこたえるか、ここにやはり政策の焦点を当てるべきだと思うのです。

 今のアンケートでも、雇用や収入の不安の解消、こういう点では、大企業のリストラ、こういう問題については歯どめをかける、あるいはサービス残業をなくして雇用を拡大する、そういうような方向に転換するということが、やはりこのアンケートでも実際は要求されているのではないか、要望の実態ではないか。

 二つ目に、消費税率の引き下げ、これがはっきりと日銀アンケートにも出されている。消費税率の引き下げに対して、何度も宮澤財務大臣はこの委員会で、それは財政問題その他の要因がいろいろあって難しいとおっしゃいますが、しかし、今までの財政の、予算の仕組みをもう一度再検討する必要があるのではないか。

 つまり、ゼネコンあるいは大銀行に向けては大変な予算が組まれております。七十兆円という枠で銀行支援が行われております。返ってこない分だけでも七兆円以上ある。そういう部分、これは必要だというふうにおっしゃいますが、金融機関、大銀行の自己責任、自己負担、こういうことがやはり大事であって、そこに税金をどんどん注いで果たしてまともな金融機関が生まれるか、根本的に私は疑問に思っております。仮に、その資金を消費税率の引き下げに回せば、三%に引き下げというのは十分可能になるわけであります。ですから、財政構造の改革ということをこういう角度からも考えていく必要があるのではないか。

 あるいは、年金改革や財政の将来像の問題についても、今の日銀のアンケートでも、大変大きな要素として、国民の側の将来不安の要因として出されております。そういう点では、年金ですとか医療ですとか介護ですとか、こういう分野に本来予算を厚く回していく、ここに姿勢を転換するということが大変重要だと思うのですね。

 四月の初めに緊急経済対策を出されるというわけですけれども、こういう国民の側の要望にこたえる政策がまさに家計消費拡大の一番の王道だと私は思うのですけれども、その点について宮澤財務大臣の御見解を伺いたいと思います。

宮澤国務大臣 これは、真剣に申して非常に難しい問題だと思っておりますけれども、財政の方のことは確かにございますが、これを今ちょっとないことにいたしましょう。

 それで、消費税を仮に減らしましたときに、当座きっと消費はふえると私は思うのです。しかし、これを契機にしてずっと消費はふえ続けることになったというストーリーなのか。一遍はふえたけれども、そこからはまた同じになっちゃったというのか。つまり、高いから買わないのだと消費者は今必ずしも言っていないので、そうかといって、アンケートは消費税と言っておりますから、あるいは佐々木委員の言われる手もあるかもしれない。どうもしかし、私は、一般に高いから買わないというのではない、ほかの理由があるものですから、下げると、一遍はふえるがということはないのかな。しかし、ここはいろいろ議論のあるところだと私も思っています。

佐々木(憲)委員 最後であります。これで終わりますが、今、高いから買わないではないというふうにおっしゃいましたけれども、いろいろなアンケートを見ましても、高いということについて、若い人であればあるほど大変敏感なんです。つまり、買いたいものがあるけれども、収入が少ないからどうしても買えないという回答が青年の中には大変多いですね。同時に、年齢が上になってきますと、将来不安の方が大変気になって、先ほどおっしゃいましたように貯蓄性向が非常に高くなる、貯金に回してしまうというような傾向が非常に強くなる。

 ですから、消費税の引き下げというのは、これは一時的ではなくて大変重要な、その部分については例えば五兆円ということになるかもしれませんけれども、そのことが全体の消費刺激につながっていくという点で波及効果は非常に大きいと私は感じておりますし、それだけではなくて、それ以外の、リストラ規制とかあるいは将来の安心を提供する、このことが全体として景気回復の軌道に乗せていく大変重要な政策の枠組みではないのか、そのことを私は申し上げたかったわけでございます。

 時間が大変なくて、金融の量的緩和についてもお聞きしたかったのですけれども、日銀の皆さんに大変お待たせしながら実際質問できなくて、申しわけございませんでした。

 以上で終わります。

佐藤(剛)委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。

 皆様、大変遅い時間まで御苦労さまです。特に宮澤財務大臣並びに速水日銀総裁においては朝から長い時間でお疲れかと思いますが、私で最後ですのでよろしくお願いいたします。

 宮澤財務大臣がお席を離れる前に一点だけ、申しわけありません。

 私は、先ほど来のお話を伺いまして、特に鈴木淑夫議員の御質問の際に、日銀の速水総裁と宮澤財務大臣の間で、今般起こっております、日銀は出血サービスで量的緩和をした、簡単に申しませば、そこほどに私たちにはもうこれ以上打つ手はないのだという形で出されておりますが、宮澤財務大臣の今般の景気に対する認識は、よくはないけれども芽もないわけでもないし、まあまあという程度の、逆に経済政策上の認識がやや薄いかなと失礼ながら存じまして、二点だけ、ごめんなさい、質問通告していないのですが、宮澤財務大臣は何でもお答えが可能ですから、お答えいただければうれしく思います。

 まず一点目は、先ほどの佐々木委員の御質問にありましたいわゆるデフレ認識ですが、内閣府は、従来であれば、一応成長率はプラスなので物価の下落があってもデフレとは呼んでいなかったけれども、今般は、成長率はプラスであっても物価の下落傾向が続いているのでデフレと呼ぼうと、簡単に言えば、同じ事態を見て認識を変えたかの、定義を変えたかのお答えでございましたが、やはり定義を変えるには何かの理由があると思うのです。同じものを見て、急に定義をある意味で変えたわけです。

 その辺の認識について、恐れ入りますが宮澤財務大臣に、先ほど来、経済成長率がプラスであれば旧来はデフレと呼ばなかった、しかしながら今般、今からはデフレと呼ぼうというふうに定義をお変えになった一番の現実的な理由は何でございましょう。

宮澤国務大臣 それで全部ですか。(阿部委員「もう一つあります。続けていいですか」と呼ぶ)

佐藤(剛)委員長代理 阿部君、続けて言ってください。

阿部委員 では、時間省エネのために続けさせていただきます。

 二番目は、今のお答えが、もし先ほど来宮澤財務大臣がお答えの、今般の雇用不安はどうもやはりちょっといかぬなというお答えであるならば、私は、雇用不安ということに関しまして社民党的提言がございます。

 実は、今般さまざまな雇用不安、リストラに対しまして極めて受け身的な政策、例えば雇用保険の延長ですとか、それから今も労働委員会にかかっておりますような転職前一カ月のいわば訓練期間の設定とか、極めて受け身的な雇用政策しか打っておりませんが、もし今般の事態を、かなりが雇用不安こそが問題であると内閣担当者の方で認識なさいますのであれば、例えばヨーロッパ諸国、イギリス、フランス、ドイツ等々でとられておりますような積極的な、直接的な雇用の創出策をおとりになるべきと思っております。

 これはもちろん宮澤大臣の、私の担当ではないがとおっしゃいますでしょうが、しかしながら、内閣きっての実力者でもございますし、この金融財政問題、恐らく労働問題と離しては解決がいかないだろうというのが私の結論ですので、その点も含めての御答弁をいただければ大変ありがたいと思います。

佐藤(剛)委員長代理 御通告がないようでございますが、宮澤大臣、よろしくお願いいたします。

宮澤国務大臣 まず最初のことでございますが、これは十何年前にもございました。

 大変にみんなが不景気不景気と言っているときに、経済企画庁は景気は緩やかに上昇していると報告し続けたことがありまして、それは私もいかにもおかしいと思って、そういうことを実は申しましたのですが、経済企画庁からいいますと、景気が後退しているあるいは動いていないときはともかく、少しでも上がっているときは上がっている、こういうことになるわけなんですね。しかし、少ししか上がっていないと言うと緩やかに上がっていると言うので、その上がっているという部分がどうしてもついてくるので、そうでなきゃとまっているか落ちているしかない。

 そこが、学者が考えられることと、俗に我々が言う言葉とが違っている原因だと私は思っていますが、今度の場合、そのデフレですが、明らかに国民はみんなデフレということが実感でございましょうね。それで、二期続いてマイナス成長ならデフレ、これはちょっときついですね。今度のように二年続いて消費者物価がマイナス、マイナスだったらデフレ、私はごくごく常識的な答えだ。

 別に我々は、学問に反してはなりませんけれども、学問の定義でしょっちゅうやっているわけにもいきませんで、大きな地震でもマグニチュードは小さかったなんというときもございますから、やはりそれは実感というものは私はあるんだろうと思うので、したがって私は、政府がこれをデフレぎみと言ったか何と言ったか忘れましたが、私も賛成で、ちなみに、日銀はできるだけのことをすべてやられたというふうに私はお見受けしています。

 それから、次の問題は、実は私の責務でないわけはありませんで、大切な責務と思っていまして、平成十年の補正予算から、一番大事なのは雇用対策だと思ってまいりました。幸いにして労働省が大きな特別会計を持っていましたから、かなりそれも助けになりまして、やはり一番大事だと思ったのはジョブクリエーションなのですが、ジョブをつくるということ、しかし、我が国は戦後本当のこういう状況はなかったもので、比較的労働政策、ジョブクリエーションなんというのはしたことがございません、成長してきましたから。しかし、それをやる、ミスマッチを解消する、おまけに今度はITの社会になるというのなら、そのための教育を積極的にしなければならない。

 最初から私は、雇用の問題だ、大事なことだと思っていましたし、したがって、一般会計のみならず、雇用保険がそのころ非常に裕福であったということも助けになりまして、随分これはやってきておりますつもりですし、これからもいたしませんと、というのは、我々は二十一世紀の、ニューエコノミーかどうかわかりませんが、そっちへ向かって入っていくための、この間に態勢を整えなきゃならないと思いますから、やはり雇用というのは大事だというふうに思っておるわけでございます。

阿部委員 予定外の質問に御返答ありがとうございます。

 なお雇用の促進に向けて、内閣として総体でお取り組みいただきますればありがたいと存じます。どうもありがとうございました。

 では引き続いて、ちゃんと予告いたしました質問に入らせていただきます。

 私は、先ほどの宮澤財務大臣のお答えを受けても、やはり端的に事象だけを読んだ方がいいと思うのです。起きていることは雇用の不安と物価の下落。そしてこれをデフレ認識するか否かについては、やはりそのことがいろいろに派生させますいろいろなイメージがございますので、とにかく現実を的確に表現する言葉を使ってそのことに対処していくべきであると思っております。

 そこで、速水総裁が日銀関係のいろいろなオフィシャルペーパーでお述べいただきましたことを、去年の十二月から本年の三月十九日でございましたか、最終的な金融の量的緩和に至るまでのペーパーをずっと眺めて、私なりに速水総裁に質問をさせていただこうと思います。

 ちなみに、昨年の暮れまでは、全般的にはまあまあ緩やかな景気回復、それは鈍ってはおるが緩やかな景気回復であるという認識で、そしてまた、三月七日にいただきましたペーパーにおいても、必ずしも今般の量的緩和に積極的に立ち至らなくてもよいのかなと思うようなコメント程度のものであるようにも思われます。

 もう少し内容を突っ込んで読ませていただきますと、これは文面からの引用でございますが、例えば、実は日本はマネタリーベースはかなり高いペースで伸び続けている、そしてマネーサプライの伸びはしかしながら一向によくない、ここにあるものは、いわゆるマネタリーベースはあってサプライが伸びない理由というのは、マネタリーベースの供給量の割には経済活動が活発化しにくくなっているという状況をあらわしていますという、これは速水総裁の認識でございます。

 いわゆるお金はあってもそれが実際の経済の活性化に回っていっていない。簡単に申しませば、私のような素人が考えますれば、今般の量的緩和は、お金の総量は出しました、その次、実際の経済活動に回っていくための策でございますね。これについて、日銀総裁の方からの御意見もあわせて、今般のこの出血大サービスに踏み切られた背景を教えてくださいませ。

速水参考人 御指摘のように、過去五年をとってみますと、マネタリーベースでは年平均プラス七・三%、マネーサプライ、M2プラスCD、これで見ますと、銀行貸し出しが伸びていないのですがプラス三・三%、名目GDPで見ますと、ほとんど上がっていない、プラス〇・四%。こういう状態を見てみますと、やはりただ金を出しただけではなかなか景気がよくなっていかないということを強く感じます。

 しかし、そうかといって、今金融の緩和をして、これから起こるであろう経済、特に金融の構造改革、あるいは不良貸し出しの償却、そういったものが企業に与えていく影響を考えますと、相当思い切った緩和政策をとらないと、下手をすると、またかつて九九年ごろ心配しましたようなデフレスパイラルといったようなことが起こる可能性が強い。

 特に、そういうふうに私ども変わってまいりましたのは、最大のものは、やはり米国を中心とする世界経済の急激な減速が起こっているということで、日本にとってもこれで輸出の減少が生じておりますし、生産は弱含みになってきております。設備投資の先行きにつきましても、先行指標であります機械受注の下振れなどが懸念材料で出始めております。

 こうしたことで、景気はここのところ足踏み状態と言ってもいいかと思いますが、先行きにつきましても、ここしばらくの間、停滞色の強い展開を続けていくのではないかというふうに予想されます。このため、今後需要の弱さを反映した物価低下圧力が強まっていきますと、このままではデフレスパイラルに陥る懸念が出てきているというふうに判断しております。

 御指摘のように、供給サイドのコストダウンによる内外価格差といったようなことが日本ではまだ続いているのかもしれませんけれども、そちらの方はかなり下がってきております。同時に、これと需要サイドでの需要の減少が起こっていきますと、これはやはりほっておけない事態になっていくということを心配している次第でございます。

 ここで必要なことは、やはり金融だけでなくて、経済自体を上向けていく民間主導の構造改革というものが、これ以上先延ばしできない状態に来ているというふうに考えております。

阿部委員 今のような速水日銀総裁の御意見は、恐らく国民の多くが共有するところではあると思うのです。金融の量的緩和に伴って、ただこれだけでは経済の改善は得られないだろう。そこで、政府サイドの経済政策が重要にもなってくるわけですが、その点についてはまた後ほど柳澤金融大臣にもお尋ねいたしますので、その前提に立ったといたしまして、量的緩和を円滑に行えるような経済政策もうまく運んだとしてでございます。

 まず、物価の下落という現象についてですが、これは今速水総裁も御指摘のように、我が国が生産点を中国等々に移しておりますことによるユニクロあるいは加ト吉、これは冷凍食品の価格安でございますね。輸入デフレと申しましてもよいかもしれません。それと、資産デフレ、資産価値が下がったということと、あとは雇用不安や生活不安による不安デフレ要因が、大きく今般の物価の下落には関係していると思います。

 そして、恐らく経済のグローバル化という現象も、あるいは高齢化という波も、我が国がこれまで経験したことのない事態でもございます。あわせて、商品の売り方も、百円ショップ等々ではばんばん売れる。あるいは、回転ずしはどんどん回る。要は、単価当たりのコストを安くして、薄利多売方式になっておりますから、その中では、恐らく物価の動向というのは非常に簡単ではないように思うのです。あるいはまた、量的緩和をしても物価は下落を続けるやもしれません。

 ここでお尋ねです。この二年間、ゼロ金利、いわゆる金利による緩和によって、市場に出回るお金をふやすという政策をとりましたが、物価は緩やかに下落を続けました。量的緩和に変えた場合に何が期待されますでしょう。速水総裁にお願いします。

速水参考人 やはりこの量的緩和で、日本銀行から市場にできるだけ資金を豊かに出していくということが、これが金融サイドではなし得る最大のことだと思っております。

 それで、ゼロ金利というのは、かつて一年半ほどやったわけでございますけれども、やはりこれから私ども考えておりますのは、もう少し、ゼロになってしまったらそれ以上は下がれませんし、量の面で金利がたとえ〇・二五がゼロになったといっても、そう大きな変化はございません。しかし、市場に金を多く出していくという方法をつくっておかないと、どういうことが起こるかもわかりません。

 それと同時に、金融ということは、やはりリスクのあるものでございますから、それにはやはり金利というものがある程度ついていかなければ市場が動き出さないわけで、そういう意味でも、この際は、金利は市場に任せて、量の方で日銀に取引先が預けている当座預金の残高を四兆を五兆に目標を変えて、目標を新たに設定して、それを見ながら、必要な日々の資金の供給をし、あるいは、場合によっては吸収をするというような調整をしていきたいということで、これまでと考え方を変えて、その操作の目標を変えて、金利から量に移した。このことによって、少し中期に今の状態が続いていくというようなことを一般の市場や家計が感じてくださると、消費の方にもいい影響を与えていくのではないかというふうに考えております。

 それと同時に、これから起こるであろう構造改革等につきましても、やはり競争力のあるものが伸びていくということが資本主義経済でございますので、その辺のところは、競争を通じて経済が伸びていくということをやっていかないと、世界経済におくれをとるということを心配しておるわけでございます。

阿部委員 先ほどの鈴木委員の御質問とあわせて、速水総裁のお返事等々を伺いますれば、今の点については、一応先ほど、了解というと変ですが承りましたのですが、私があえてお伺いしたいのは、この経済状況の改善見通しに、短期に物価という指標を置かれることは非常に問題が大きいのではないかと思うのです。

 先ほど鈴木委員は逆さに、ゼロベースというところになったら量的緩和をやめないでどんどんお続けなさいというふうな御提言でしたけれども、それも考え方で、私は一理あると思うのです。でも、私は、同じことの違う側面、物価を五年とか十年とかの長い目で見たときに安定策に持ち込むのが、日銀本来の考え方ではなかったかなと思うのです。

 そして、こうやって量的緩和をして、すぐ金利で判断いたしましょうとした場合に、逆の弊害、先ほど申しました、まだグローバル化経済の行方もわからない中で、ちょっと物価の動きというのはなかなか読めないと思います。そのことを恐らく表現されたのだと思いますが、速水総裁のお言葉の中に、これは三月七日のペーパーですが「他方、数か月から数年間といったもう少し短めの期間では、物価の変動には、通貨以外の様々な要因も影響を及ぼしています。」要するに、数年や数カ月では、物価変動はさまざまな要因があるから指標にはなりませんと、ここのペーパーでは速水総裁が述べておられます。「経済全体の需給バランス、人々のインフレ期待、国際商品価格、あるいは為替相場などが複雑に関係しています。」ということです。今の為替の問題も、速水総裁も先ほどおっしゃったように、日本の物価に非常に影響していると思います。

 さて、ここでなぜ、こうした指摘をされながら「金融政策で物価をどこまでコントロールできるか、また、すべきかは、なかなか難しい問題です。」私も、この方が妥当な展開だと思うのです。今回の量的緩和の成果を物価ではかろうとお考えになる根拠ですね。このことをもう一度、この速水総裁が書かれた、私はふむふむなるほどと思いましたが、このこととあえて言えば指標の設定の仕方が少し違うと思います。これを五年、十年のタームでお考えなのか。今量的緩和しておけば、十年後には物価は安定しますよという意味で指標に置かれたのか。恐らく、そうでもないお考えなのだと思いますが、短期に置くことは変数が大き過ぎて合わないのではないかという御指摘があることを踏まえて、今回の政策の目安を物価のゼロベース、ゼロ線に置かれたことの意味をもう一度お聞かせください。

速水参考人 今回の基準は、日本経済にとって中長期的に望ましい物価水準の上昇率を示したものではございません。あくまでも、通常は行われないような思い切った政策を継続する条件として、日本銀行として、物価が継続的に下落することを防止するという断固たる決意を示したものでございます。

 インフレでもデフレでもないところで物価を安定させていくということを当面の目標にしてやっていくつもりでございます。手段は量を使っていくということでございます。それが、物価の下落がとまってゼロのところまで行って安定するようであれば、次の政策はまたそのときに考えるということでございます。

阿部委員 何度も繰り返しますのは恐縮ですから、以前に速水総裁からいただいたペーパーによれば、そういう短期の物価の変動は指標としては問題があろうという御指摘のように私は拝読いたしました。

 そして、なおかつ私の考えを申し述べなくてはいけないと思いますが、私自身は物価の今後の見通しというのは、先ほど来申しますように、多様な要因が絡まってなかなか一筋縄ではいかないと思います。でも、生活者にとって望ましい物価とは何かということを考えてみたいと思います。

 どういうことかといえば、諸外国、アメリカと比べてさえ、我が国は日常の必要な生活物資にかかわる物価はコスト高にできております。これは国民生活局からいただきました資料におきましても、例えば食べ物類でも、日本はアメリカ等々に比べますと平均一・五倍くらい、生鮮食料品は除くという物価の指数はございますが、毎日の生活に必要なものの値段を考えてみますと、食料品でも一・五から二倍、被服でも一・三から一・五倍くらいいたします。

 そして、もっと高いものが公共料金でございます。これはガス、水道、電気、例えばアメリカと比べましても、私がアメリカと比べましてもと申しますのは、アメリカはあれだけいろいろな競争の国であって暮らしにくいだろうなと思われるかもしれないが、その暮らしにくいアメリカでも、いわゆるそんなにリッチじゃない人が暮らしていける要件の大きなもとが、公共料金が安い、あるいは毎日の生活費が安いということだと思いますからあえてアメリカを引きますと、電気は日本の場合がアメリカの一・一七倍、ガスは一・九六倍、水道二・五四倍、公共料金でございますね。

 こういうこと等々、これ全部が込み込みで物価という形にあらわれているわけですから、むしろ今後の我が国がとるべき政策は、例えば、御高齢になり収入が少なくても安心して暮らせるような形態。もちろん、たくさんの年金が給付できればよろしゅうございますが、これはもうだれも気がついているように、もともとに限度がございます。そうなりますと、ある程度安定した低い物価で、特に生活必需品、公共料金が低い形で暮らせるような姿が望ましいというふうに私は考えております。

 ですから、あえて日銀総裁に伺いますが、物価をなべてゼロベースでという判断をなさいまして、それでこの金融緩和策をやめるか継続するかをお決めになることは、もしかして判断を過たせるのではないかという私の懸念についてお答えくださいませ。

藤原参考人 お答えいたします。

 今回私どもがとりました政策の中に、時間軸として、消費者物価の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまでという基準を示しております。先生がおっしゃった疑問も、それはいつまで続くのか、これをどう考えるのかということだと思われますけれども、今回の措置は、通常では考えられないような思い切った政策をとったわけです。そして、ゼロ%以上の物価の基準が満たされるまでこれを続けるというふうにいわばコミットしたものであります。

 しかし、これが中長期的に望ましい物価上昇率であるというふうに考えているわけでは決してございません。現在、我が国の物価状況は、需要の弱さに加えまして、技術革新や規制緩和、流通革命など供給面の要因も物価低下圧力として作用しております。このため、現時点では望ましい物価上昇率を具体的な数値で示すことはなかなか難しいというふうに考えておりまして、物価目標の数値化の問題は、したがって、引き続き検討課題とさせていただいているわけです。昨年の十月に物価レポートを出しましたけれども、私どもはこの問題を、さらに検討を続けていくこととしております。

阿部委員 ぜひこれは検討を続けていただきたいと思います。

 きょうの新聞でも、牛どん吉野家二百五十円、すき家二百何十円と出ておりましたが、一度下がった物価に対して、国民はやはりそのことを歓迎いたしますし、ユニクロのシャツにしてもそうでございます。ですから、なかなか物価の問題というのは、今般の量的緩和に伴って変動するかどうか難しい要因がございます。

 そしてなおかつ、私が手元に持ちましたデータでは、前年度の賃金の上昇に伴って物価が上がるような線を日本は描いておるかというと、これがやや乖離がございます。例えば二〇〇〇年度ですと、前年度賃金比は上昇のプラス二・〇%ですが、消費者物価指数はこのとき下がっております。となると、我が国の物価というのは企業活動とも必ずしもパラレルではない、あるいは賃金とすらパラレルではないという動きを今新たに示しているのやもしれませんので、何度も繰り返しますが、この指標を置かれたことについては、よりさらに詳しい検討をぜひともお願いいたします。

 そして引き続き、経済、金融担当大臣の柳澤さんにお伺いをさせていただきます。

 私が先ほど来申しますように、一応、日銀の金融政策はこれで打つ手はすべて打った、速水総裁も、あとは政治の責任だとボールを投げられたのだと思います。そして不良債権処理問題も、六カ月と言った、いや、それは景気上昇までの時間だと、いろいろに見解の差がございますようですが、そのことはさっきからやっているので横におきまして、これまで不良債権処理が、アメリカから言われているのはずっと数年来ですが、うまく運んでこなかった大きな原因、あるいはうまく運んできたけれどもまだ足りないというふうに認識されているのか、うまく運んでこなかったとすればその原因は何であるのか、そのあたりをもう一度お教えください。

柳澤国務大臣 阿部委員がまだこちらに御登場になられる前に、一九九七年から九八年まで、日本は大変な金融危機ということが言われておったわけです。そのときに一番言われたことは、金融機関のあるいは金融システムの健全性、もっと具体的に言うと、資本が十分ではないのじゃないかということが中心的な課題であったと私ども思っております。そうして、それがために再生法と早期健全化法がつくられたわけですけれども、特に早期健全化法では、本当に異例なことだったと思うのですけれども、金融機関の過少資本を修復するために、金融機関が発行するところの優先株を中心とするエクイティーを国が応募するという形で資本の増強に努めたわけでございます。

 そういうことで、健全性というものに非常に焦点が当たっておりましたので、不良債権の処理についても、とにかく健全性が確保できればということで、処理の方式というものについて、どちらかというと、日本の場合にはとりあえず引き当てでもいいということでございました。アメリカからは、その当時から、私も速水日銀総裁からもたびたび伝言という格好で聞きましたけれども、いや、バランスシートに残しておいてはだめなんだというようなことを言われておったのですが、とりあえずは、とにかく健全性の観点から十分な引き当てをするということで処理に当たってきたということでございます。

 それが、先ほど宮澤大臣が言われたように、アメリカはオフバランス化ということにずっと関心を持っておりましたので、ここに来まして、財政政策ももう出すべきものは出した、金融政策も出すべきものは出したということから、不良債権のオフバランス化ということに話が移ってきておる、このように理解いただければよろしいのじゃないかと思います。

阿部委員 では、第二段階に入ったというふうに承った上でですが、不良債権処理の場合、特に直接償却と申しますかそういう手法をとりましたときの、それに伴います先ほど来の雇用不安、リストラの問題等々ございますが、柳澤金融大臣といたしましては、そこの点についてはどういう対策をお考えでいらっしゃいましょうか。

柳澤国務大臣 日本銀行総裁が先ほどまででお使いになられたお言葉ですと、競争力のある企業あるいは部門を残して、競争力の落ちているあるいは失われている部門についてはこれを整理していくということが不良債権のオフバランス化を通じての構造改革として期待されているところ、こういう認識なわけでございます。

 したがって、私は、雇用の問題というのは、今既に非常に不良債権化している不稼働部分について、それほど雇用が張りついているということ自体について若干留保したい気持ちもあるのですが、仮に、形式論理に従ってそこをとにかく切り捨てる、整理するということになったら、どうしてもそこに張りついている雇用というものが、機会が失われるということを認めざるを得ないのではないか。これはそういうことになろうと思うのです。

 したがって、私は、今特に産業政策の面で非常にお願いしたいのは、アメリカあたりのこの問題の処理の経緯などを見ても、とにかくもっと新規産業が出てくれる、新規の雇用の場が出てくれる、こういうことが非常に必要なんだということをかねがね思っているわけでございます。

阿部委員 新規産業、本当に出てくれればみんなうれしいわけですが、なかなかそこが、これといったものがまた一本、一つには見つからないというのが現在の過渡期の日本かと思います。

 そこで、厚生労働省、せっかく来ていただきましたので、お伺いいたします。

 一応不況三業種でございますね、建設業、不動産業、流通業等々、今回不良債権処理に伴っても一番リストラとかが起こりやすい分野でございますが、不良債権処理を政府、金融が一生懸命やるとして、厚生省サイドとしてこれらの不況三業種についてどういう雇用労働対策を裏打ちしていくのか、そのことについてお答えをお願いいたします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用問題についてのお尋ねでございますけれども、特定の産業から大勢の方が失業者として出されるというケースを想定した場合でもありますけれども、私どもといたしましては、三つの観点から対策を講じなければならないと思っています。

 一つは、解雇、倒産等によりまして失業をされた方々のセーフティーネットの確立でございます。

 この点につきましては、昨年の通常国会で改正をいただきました雇用保険法、この法律によりますと、倒産、解雇等により離職する労働者の方々に対する給付日数を延ばすなどセーフティーネット機能を強化しておりますので、この円滑な施行を図ってまいりたいと思います。

 それからもう一つが、労働移動の円滑化でございます。

 失業を余儀なくされるというケース、私どもとしてはそういった事態が切迫した場合に、でき得れば本当に失業する前に次の仕事に移っていくような、そういうサービスを心がけたいと思います。また、仮に失業したとしても、その期間が最小になるような対策をいたしたいと思います。その意味で、先ほど先生お触れになりましたけれども、雇用対策法等の改正案を今国会に御提出し、現在御審議をいただいているところでございます。

 また、もう一つは、働く場が生まれること、そしてその働く場に、失業した方あるいは転職せざるを得ない方々がうまく適合することでございます。

 そういった意味で、中小企業の新規分野への進出等の場合に、そこに見合うように能力開発を充実すること、それから創業時の企業につきまして、中小企業の場合にはさまざまな点で雇用のノウハウとかいうのがございませんけれども、そういう立ち上がり時の支援を強化して、失業者の方々を雇いやすくする。こういった三つの観点から対策を進めてまいりたいと存じます。

阿部委員 あわせてでございますが、デンマークでは、地方市場労働評議会のような地方単位に権限を持たせた労働市場の雇用移行システムに力を注いでいると承っております。労働省でも、地方労働局ですか、おつくりになりましたし、ぜひとも雇用における地方分権化をさらに率先してお進めくださいまして、雇用不安なき不良債権処理に内閣挙げてお励みくださいますように、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

佐藤(剛)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十九分散会




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