衆議院

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第11号 平成13年5月23日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年五月二十三日(水曜日)

    午後二時三十一分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君

   理事 佐藤 剛男君 理事 根本  匠君

   理事 五十嵐文彦君 理事 海江田万里君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      大野 松茂君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    七条  明君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      竹本 直一君    中野  清君

      中村正三郎君    林 省之介君

      林田  彪君    牧野 隆守君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      渡辺 喜美君    江崎洋一郎君

      岡田 克也君    河村たかし君

      小泉 俊明君    中川 正春君

      長妻  昭君    原口 一博君

      日野 市朗君    松本 剛明君

      谷口 隆義君    若松 謙維君

      中塚 一宏君    佐々木憲昭君

      吉井 英勝君    阿部 知子君

      植田 至紀君

    …………………………………

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務大臣政務官      中野  清君

   財務大臣政務官      林田  彪君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   坂  篤郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   石川 重明君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制

   部長)          房村 精一君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    尾原 榮夫君

   政府参考人

   (国税庁次長)      大武健一郎君

   財務金融委員会専門員   田頭 基典君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  増原 義剛君     林 省之介君

同日

 辞任         補欠選任

  林 省之介君     増原 義剛君

    ―――――――――――――

五月十七日

 大増税路線反対、国民本位の税制確立に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一五〇三号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一五五六号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一五九一号)

 消費税の増税反対、消費税率三%への減税に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一五〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五〇五号)

 高齢者の生活安定を高めるための税制上の措置等に関する請願(大島敦君紹介)(第一五九〇号)

 不良債権処理のルールの確立、金融トラブル解決の第三者機関設置の立法化に関する請願(池田元久君紹介)(第一六五七号)

同月二十二日

 不良債権処理のルールの確立、金融トラブル解決の第三者機関設置の立法化に関する請願(岩國哲人君紹介)(第一七〇九号)

 同(海江田万里君紹介)(第一七一〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一七二六号)

 同(奥田建君紹介)(第一七二七号)

 同(上川陽子君紹介)(第一七二八号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一七二九号)

 同(河野太郎君紹介)(第一七三〇号)

 同(中川正春君紹介)(第一七三一号)

 同(中林よし子君紹介)(第一七三二号)

 同(根本匠君紹介)(第一七三三号)

 同(藤木洋子君紹介)(第一七三四号)

 同(松本善明君紹介)(第一七三五号)

 同(山口富男君紹介)(第一七三六号)

 同(今田保典君紹介)(第一八〇六号)

 同(島聡君紹介)(第一八〇七号)

 同(末松義規君紹介)(第一八〇八号)

 同(田村憲久君紹介)(第一八〇九号)

 同(土井たか子君紹介)(第一八一〇号)

 同(中村正三郎君紹介)(第一八一一号)

 同(長妻昭君紹介)(第一八一二号)

 同(野田佳彦君紹介)(第一八一三号)

 中小自営業の家族従業者等のための所得税法改正等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七六二号)

 同(荒井聰君紹介)(第一七六三号)

 同(石井郁子君紹介)(第一七六四号)

 同(石井一君紹介)(第一七六五号)

 同(小沢和秋君紹介)(第一七六六号)

 同(大幡基夫君紹介)(第一七六七号)

 同(大森猛君紹介)(第一七六八号)

 同(奥田建君紹介)(第一七六九号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第一七七〇号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一七七一号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一七七二号)

 同(北橋健治君紹介)(第一七七三号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一七七四号)

 同(小林憲司君紹介)(第一七七五号)

 同(古賀一成君紹介)(第一七七六号)

 同(児玉健次君紹介)(第一七七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七七八号)

 同(今野東君紹介)(第一七七九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七八〇号)

 同(佐藤敬夫君紹介)(第一七八一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七八二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七八三号)

 同(菅原喜重郎君紹介)(第一七八四号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第一七八五号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一七八六号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一七八七号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第一七八八号)

 同(中林よし子君紹介)(第一七八九号)

 同(原口一博君紹介)(第一七九〇号)

 同(春名直章君紹介)(第一七九一号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一七九二号)

 同(不破哲三君紹介)(第一七九三号)

 同(藤木洋子君紹介)(第一七九四号)

 同(松本善明君紹介)(第一七九五号)

 同(松本龍君紹介)(第一七九六号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一七九七号)

 同(山岡賢次君紹介)(第一七九八号)

 同(山口富男君紹介)(第一七九九号)

 同(山元勉君紹介)(第一八〇〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八〇一号)

 中小自営業の家族従業者等のための所得税法の改正等に関する請願(金子哲夫君紹介)(第一八〇二号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一八〇三号)

 同(土井たか子君紹介)(第一八〇四号)

 同(山内惠子君紹介)(第一八〇五号)

同月二十三日

 国税職員の処遇改善に関する請願(石井啓一君紹介)(第一九三九号)

 不良債権処理のルールの確立、金融トラブル解決の第三者機関設置の立法化に関する請願(植田至紀君紹介)(第一九四〇号)

 同(大森猛君紹介)(第一九四一号)

 同(原口一博君紹介)(第一九四二号)

 同(保坂展人君紹介)(第一九四三号)

 同(五十嵐文彦君紹介)(第二〇三三号)

 同(岩屋毅君紹介)(第二〇三四号)

 同(大野松茂君紹介)(第二〇三五号)

 同(川田悦子君紹介)(第二〇三六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇三七号)

 同(渡辺具能君紹介)(第二〇三八号)

 同(相沢英之君紹介)(第二〇六一号)

 同(江崎洋一郎君紹介)(第二〇六二号)

 同(柿澤弘治君紹介)(第二〇六三号)

 同(永井英慈君紹介)(第二〇六四号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第二〇六五号)

 同(牧野聖修君紹介)(第二〇六六号)

 同(吉野正芳君紹介)(第二〇六七号)

 同(阿部知子君紹介)(第二〇七四号)

 同(伊藤公介君紹介)(第二〇七五号)

 同(金子一義君紹介)(第二〇七六号)

 同(亀井静香君紹介)(第二〇七七号)

 同(下村博文君紹介)(第二〇七八号)

 同(新藤義孝君紹介)(第二〇七九号)

 同(手塚仁雄君紹介)(第二〇八〇号)

 同(保利耕輔君紹介)(第二〇八一号)

 同(水島広子君紹介)(第二〇八二号)

 同(保岡興治君紹介)(第二〇八三号)

 中小自営業の家族従業者等のための所得税法改正等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九四四号)

 同(石井郁子君紹介)(第一九四五号)

 同(小沢和秋君紹介)(第一九四六号)

 同(大幡基夫君紹介)(第一九四七号)

 同(大森猛君紹介)(第一九四八号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一九四九号)

 同(古賀一成君紹介)(第一九五〇号)

 同(児玉健次君紹介)(第一九五一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九五二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九五三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九五五号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第一九五六号)

 同(中林よし子君紹介)(第一九五七号)

 同(春名直章君紹介)(第一九五八号)

 同(不破哲三君紹介)(第一九五九号)

 同(藤木洋子君紹介)(第一九六〇号)

 同(松本善明君紹介)(第一九六一号)

 同(松本龍君紹介)(第一九六二号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一九六三号)

 同(山口富男君紹介)(第一九六四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇三九号)

 共済年金制度の堅持に関する請願(岩屋毅君紹介)(第二〇三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 税理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)(参議院送付)




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、税理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣塩川正十郎君。

    ―――――――――――――

 税理士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩川国務大臣 ただいま議題となりました税理士法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 政府は、最近の税理士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ、納税者利便の向上に資するとともに信頼される税理士制度を確立するため、所要の見直しを行うこととし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、納税者の利便向上を図るため、租税に関する事項について、税理士が裁判所において補佐人となる制度を創設することとしております。

 第二に、税理士試験において、規制緩和の要請も踏まえ、受験資格要件を緩和するとともに、税理士の資質の確保を図り、税理士制度の信頼を向上させるため、試験科目の免除制度の要件をより適切なものとすることといたしております。

 第三に、複雑化、多様化する納税者の要請に的確にこたえるため、税理士法人制度を創設することとしております。

 その他、税理士からの意見聴取制度の拡充等所要の改正を行うこととしております。

 以上が、税理士法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長尾原榮夫君、国税庁次長大武健一郎君、内閣府政策統括官坂篤郎君、警察庁長官官房長石川重明君及び法務省大臣官房司法法制部長房村精一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉田雅年君。

倉田委員 私は、自由民主党の倉田雅年でございます。

 私は、今回の税理士法の一部を改正する法律のうち、先ほど財務大臣がおっしゃられました提案理由の中の「納税者の利便向上を図るため、租税に関する事項について、税理士が裁判所において補佐人となる制度を創設する」こととする、この点についてお伺いをしたいと思っております。

 こういう補佐人の制度というのは、既に、民事訴訟法のたしか五十四条でございましたか、そこにおいて認められているわけでございます。税理士さんも、税理士さんに限らず一般人でも、裁判所が許可したときには、補佐人となって法廷において意見の陳述をすることができる、こういう制度が既にあるわけですね。

 それからさらに、調査局で調べていただいた、調査局が出している資料がございます。「税理士法の一部を改正する法律案について」という資料の十三から十五にあるのですけれども、最近の国税の異議申し立て事件の発生状況、これを見ましても、資料十三でございますが、平成七年から平成十一年まで、いずれも五千七百件から最大六千件程度。それからさらに、国税の審査請求事件、これも資料十四にございますが、同じく平成七年から十一年までの間に二千七百件から三千件ちょっと。さらに、資料十五によりますと、国税訴訟事件、同じく平成七年から十一年までの間に三百六、七十件から四百件以内。こういうぐあいに推移しているわけです。そういう補佐人制度が既にあり、なおかつ事件の推移というのがさほどこの五年間変わっていない。

 一方、確かに訴訟もこれまで、明治以来弁護士が独占してまいりまして、最近になって弁理士が特許法等の一部の知的財産権の事件について訴訟代理ができるというぐあいに、一部弁理士に譲ったところがございます。そこで、今回は、税理士さんについても、補佐人に単になることができるというだけでなく、納税者が権利として補佐人をつけることができる、こういうぐあいな改正だと思うわけでございます。

 一方、訴訟というのは、訴訟自体が大変高度な法的な技術を要するいわゆる弁護士という専門職に任せられてきた分野でもあるわけですね。そうした中で、税理士さんが特段に訴訟技術というものを習得する機会が与えられてきたわけではない、そういう方々でございますところへあえて補佐人を権利として納税者がつけられる、こういうぐあいになさろうということでございます。

 この趣旨の説明におきましては、「最近の税理士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ」こうなっておるわけでございますが、そのように最近税理士さんの補佐人というものを権利化するということの特段の必要性というものがいかように起こっているのか、この辺について大臣にお伺いしたいと思います。大臣は専らマクロの世界のことをお扱いですので、場合によっては当局の方がお答えいただいても結構でございます。

塩川国務大臣 後で、専門の局長あるいは国税次長が来ておりますので、満足する答弁をしてくれると思うのですが。

 弁護士さんの先生にこんなことを言うのもおかしいけれども、確かに、このごろの訴訟は、非常に法律が細こうなりまして、専門的なことがより一層深くなってきております。でございますから、特に会計事務等につきましては税法そのものが複雑になってきた、会計も、そして訴訟案件もふえてきておることは事実でございます。

 今回の改正は、従来は許可をもらわなければ法廷に立てなかったものが、今度は許可がなくても申請することによって法廷に立てる、そういう制度をつくったことで、これは一つの利便ではないか、納税者に対する利便を提供することではないか、そう思うておりまして、もっと詳しいことは、専門家が来ておりますから聞いていただいたら結構やと思います。

尾原政府参考人 お答えいたします。

 今回、税理士に出廷陳述権を付与することにしてございます。

 これは、最近の税務の問題といたしまして、経済の国際化等に伴いまして、その内容も大変複雑なものになってきております、また高度なものにもなってきているわけでございます。

 それで、従来、租税に関する訴訟につきましては、高い専門性、技術性が必要でございますが、これまで、行政上の不服申し立ての手続については税理士の業務として認められているわけでございますけれども、今のような税務の問題の一層の複雑化、高度化に伴いまして、訴訟手続においても、税務の専門家である税理士が、補佐人という立場を通じまして納税者を援助する活動を常に行い得るようにするということが、それまでそのクライアントの方の税務の問題を見てきているわけでございますから、納税者の利便の向上にも資するわけでございますし、ひいては申告納税制度の円滑、適正な運営にも資することになるのではないかという趣旨から、今回、出廷陳述権を認めているわけでございます。

 なお、この五月二十一日に司法制度改革審議会の最終意見というのを私ども目にしてございますが、同じように、税理士については、「税務訴訟において、裁判所の許可を得ることなく、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに裁判所に出頭し、陳述する権限を認めるべきである。」というふうにされていると承知しております。

倉田委員 わかりました。

 そのほか、今おっしゃったとおりだと思うんですが、要するに、税務の複雑化、より専門化、こういうことだと思うんですが、もう一つ、これまで税務訴訟におきましては、国の側、つまり当局の側、課税庁の方は、指定代理人制度が適用できて、弁護士でない税務行政官が訴訟代理ができた。それに対して納税者の側は、専門家である税理士さんが訴訟代理ができない、こういう不均衡があった。これをひとつ対等にしようじゃないかという意図もおありになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさにそういう点にも配慮させていただきました。しかも、先ほど大臣も申されましたとおり、非常に複雑な事案がふえてきておりまして、先ほど言われた審判所の審査請求事案、これは代理人としての税理士が当然やれるわけなんですが、それも非常に内容が複雑になっておる、そういうようなことで、訴訟においてもいわゆる税理士という専門家を補佐人としてつけてほしいという要請が非常に強まってきた、そういう背景があるということだと存じます。

倉田委員 了解しました。

 そこで、その必要性はある、しかしながら、先ほども申しましたように、税理士といえども法廷技術を必ずしも習得しているわけではない。

 例えば証人尋問ということがございます。私も、実は弁護士でございまして、長い間訴訟の実務に携わってきたわけですが、例えば証人尋問をします。相手の弁護士がおります。あるいは相手の検事がおります。裁判官が見ております。この中でこの証人が、私が聞いていきまして、その次にさらに聞いたらどういう答えが出てくるであろうか、聞いちゃって、私の方に不利なことが出てきちゃ困るわけです。聞く前にそれを察知する、そこまでいかないといわゆるプロじゃないわけです。例えばの話でございますが。

 そういった法廷技術の訓練というものが必要なわけでございますけれども、税理士は今のところ、そういう訓練を受けていない。そういうことから、いわゆる今度認められる出廷陳述権にも一定の限界というものが設けられているんじゃないかと思うんですが、どのような点が考慮されているか、お伺いしたいと思います。

尾原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の陳述権の内容等についてのお尋ねがございました。

 今回の改正を受けて、税理士が裁判所に出頭する場合は、先生今御指摘ございましたように、税理士は訴訟事務に関しての専門家ではございません。したがいまして、まず弁護士である訴訟代理人とともに出頭することを前提としておりまして、いわゆる本人訴訟において補佐人となるということを認めるものではないわけでございます。また、裁判においても、陳述するにとどまりまして、尋問することはできないというような形になっているわけでございます。

倉田委員 第二条の二の第一項において、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述することができるとありますから、これは反対の読み方をしますと、訴訟代理人と一緒でなければ出られない、つまり、当事者訴訟においては出廷できないんだ。それから、今お答えがありましたとおり、証人尋問権は難しいから与えませんよ、こういうことでございましょうね。

 その点はわかったんですけれども、ただ、納税者の側の需要からいきますと、専門家ではないけれども弁護士がついていてくれればまだしも、当事者訴訟では弁護士はついていないわけですね。そうしたときこそ税理士さんについてもらいたいという要請もあるとは思うんですが、今回の改正ではそこまでは満たせない、その点についてはどのようにお考えでございますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の改正で、税理士が補佐人となれる制度を訴訟代理人とともに出頭する場合に限定したというのは、まず第一に、まさに先生も言われました、税理士は訴訟手続に関する専門的知識を十分に備えているとは言いがたく、訴訟手続の専門家である弁護士がいない場合にも裁判所の許可を要することなく補佐人となれる地位を与えるということは、納税者に不測の損害を与える可能性がある、そういうことに配慮したこと。それからまた、司法制度改革審議会の中間報告におきましても、税理士を含む法律専門職種が今後の司法においてどのような役割を担っていくかは、今後の司法制度改革が現実化した将来において各専門家制度の趣旨等を踏まえ総合的に検討していくべきとされていること。それらを総合勘案した結果でございます。

倉田委員 その点もよく理解できました。

 要するに、まだ、現段階においては当事者訴訟まではつけられない。すなわち、あくまで補佐人であって、訴訟代理人のところまでは行っておりません、こういうお答えでございますね。了解をいたしました。

 それで、その税理士の法廷においてなした陳述ですが、この効果はいかようなものかということがあるのですが、第二条の二の第二項によりますと、税理士の陳述した内容も当事者または訴訟代理人がみずからしたものと同じ効果を持つ、こういうぐあいに書かれているわけです。ただし書きとして、直ちに取り消しまたは更正した場合にはこの限りでない、当事者か訴訟代理人が取り消せる、こういうぐあいに効果も一定の枠が与えられている。つまり、納税者にとって、本人にとって、不測の損害を与えないため、こういうことであろうかと理解をいたすわけでございます。

 そこで、これに沿ってちょっとだけ聞きたいんですけれども、当事者は、弁護士である訴訟代理人に対しては、民事訴訟法のたしか五十七条でございましたけれども、弁護士が事実と違ったことを言ったときには取り消すことができるんです。ただし、それは事実に関する陳述に限られておって、法律に関する陳述については当事者といえども取り消せないとあるわけですが、税理士の発言については税法上の発言についてまでも当事者は取り消すことができるのか否か、この点、一点お願いします。

尾原政府参考人 ただいま二条の二の二項の解釈の問題になってくるわけでございますが、この補佐人というのは、一般的に、当事者または訴訟代理人の陳述を行い、その主張の正当性を明らかにするものでございまして、事実上及び法律上のあらゆる点について陳述することができるわけでございます。

 しこうしまして、当事者または訴訟代理人がこれを取り消す場合の話でございますが、直ちに取り消すあるいは直ちに更正する場合は、法律上の問題についてまで及ぶものというふうに解釈しております。

倉田委員 時間がなくなりましたものですから、これ以上言えないわけでございますけれども。

 明治以来、弁護士が法律業務を独占してきました。しかしながら、独占をしていながら、弁護士が国民に対して全面的にその供給義務を果たしてきたか、十分義務を果たしてこなかったのではないか。そうしたことから最近、特に専門分野においては、司法書士さん、税理士さんに限らず、行政書士さん、社会保険労務士さんにも少し分野を譲るべきではないかという職域問題もあるわけでございます。

 弁護士といえども、自分が法律業務で飯を食ってきたその一部をお渡しするわけでございますので、今回の改正につきましても弁護士側の御意見も聞いてもらいたい、こう思うわけでございますが、今回の改正に当たってはそういう手続がなされておるでしょうか否か、そのことについてお答えいただきたいと思います。

山口委員長 時間ですので簡潔に。大武次長。

大武政府参考人 法務省とも十分我々は協議をし、かつ、日税連と日弁連との間でも一応の合意を得ているというふうに聞いておりまして、また、司法制度改革審議会でもその方向で御審議いただいていると聞いております。

倉田委員 わかりました。これで終わります。

山口委員長 竹下亘君。

竹下委員 自民党の竹下亘でございます。引き続きまして、税理士法の改正案について質問させていただきます。

 そもそも税理士という制度でございますが、税法の専門家である、申告納税制度に乗っかっておりますこの日本の、いわゆる税に対する、国家と国民をつなぐ役割をしている、重要な役割だと私は認識をいたしております。国家に対する信頼がないところに納税はスムーズにいきませんし、あるいは、国の立場に立ちますと、税の徴収というのはうまくいかない。税理士法のたしか第一条でございましたか、独立した公正な立場で納税義務者の信頼にこたえろ、こう税理士法の一条に書いてございますが、まさに国民と国家をつなぐ重要な仕事であるというふうに思うわけでございます。そして、その税の信頼感あるいは公平感というものを確保する、担保することによって、より国家に対する信頼感を増す、国が安定し、社会が安定する役割も果たしておる仕事の一つが税理士という仕事であると認識をしておるような次第でございます。

 今回の税理士法の改正案は、昭和五十五年以来ほぼ二十年ぶり、内容を見てみましても非常に多岐にわたっておるわけでございます。二十年もやっていなかったのか、もっと早くやってもよかったんじゃないかなという思いはないわけではございませんが、いろいろ評価できる点が盛り込まれているんではないかなと私は感じておるような次第でございます。

 先ほど倉田先生が指摘されました、税理士が裁判所に補佐人として出廷することができる制度の創設もまさにその一つであるわけでございますが、税理士法人の設立が認められるようになった、これも今回の改正の一つの柱だ、率直に言って、いいことだと思います。

 既に、公認会計士ですとか弁理士ですとか、法人化が認められております。これから、当然、司法制度の全般的な改革の中で、弁護士あるいは司法書士、行政書士といったような職種の方々も法人化という方向になっていくのは、これはもう社会の流れかなと思います。いろいろな違う分野の専門的な能力を持った人が、法人化ということで力を合わせることによって納税者の利便を向上する、いいことであるし、さらには税理士の事業の継続性といった点からも適切な改正だと思う次第でございます。

 そこで、どういうねらい、どういう趣旨、そしてどういう形の法人を認めているのかということをお教え願いたいと同時に、法人制度ができますと、巨大な法人が生まれて、寡占化が進むのではないかという危惧が一部にあるということも伺っております。この点はどう考えればいいのかといったことをまずお答えを願いたいと思います。

尾原政府参考人 お答えいたします。

 今回、税理士法人制度が創設されることになっております。御承知のように、経済の国際化とともに、納税者サイドからの御要請は大変複雑な、また多様な、高度なものになっております。こういう要請に的確にこたえるということのためには、税理士業務の共同化を促していくということが大切であると考えるわけでございます。また、そのようなことにより、業務提供の安定性、継続性、より高い業務への信頼性も確保できるわけでございます。

 このようなメリットがございまして、それが納税者の利便の向上に資することになるということが第一点でございます。

 また、第二点といたしましても、御承知のように、規制緩和推進三カ年計画というのが閣議決定で決められてございますが、この中におきましても、複雑な多様なニーズにこたえるために、税理士について法人制度の創設を検討すべきとされているわけでございます。このようなことから、今回、税理士法人制度を創設することにしているわけでございます。

 具体的な内容について簡単に申し上げますと、今回の税理士法人でございますが、社員を税理士に限定した合名会社に準ずる特別法人というふうにしてございまして、対外的な社員の責任でございますが、これは合名会社と同様、連帯無限責任というふうになるわけでございます。また、社員は二名以上ということにいたしまして、従たる事務所を設ける場合には社員を常駐させることとする。また、業務の範囲でございますが、原則として、個人の税理士が行い得る業務と同様の範囲とする等の規定を設けてございます。

 巨大法人についてのお話がございましたが、国税庁の方から答えていただきます。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 ただいま御指摘のございました寡占化の問題というのは、可能性としては否定できないだろうと思います。しかしながら、ただいま局長も申しましたとおり、税理士法人の社員の場合には、他の社員の行為により委嘱した納税者に与えた損害、それに基づきます債務についても連帯無限責任を負っているということが一つ。それからまた、税理士業務においては、納税者との信頼関係、例えば守秘義務などというようなことが重要な要素になっているということなどを踏まえますと、多数の税理士を社員とする大規模な税理士法人が出現して寡占化が進むというおそれは、かなりないのではないだろうかとは想定しております。

 ただ、いずれにいたしましても、制度創設後の実態も、我々として注視してまいりたいと思っているところでございます。

竹下委員 今の答弁にもございますように、まさに国際化が進む、多様化が進む、価値観も多様化する、さらには税法も、いろいろな商品が出てくる中で、いろいろ複雑になってきておるということで、私の知り合いの税理士の中にも、勉強しないとなかなかついていけない、置いていかれちゃうということを率直におっしゃる方もいらっしゃるほどでございます。

 確かに、法人化ということで、複数の税理士が知恵を出し合うというのも一つのそれに対応する方法だろうとは思いますが、税理士個人の資質を高めるという意味で、例えば研修を含めまして、今回の法改正の中ではどうなっておるのか、お答えをお願いいたします。

尾原政府参考人 今先生から御指摘がございましたように、信頼される税理士制度を確立していくという観点からは、その資質の一層の向上を図っていくことが大変大切な課題でございます。

 したがいまして、今回の改正でございますが、税理士の資質の一層の向上を図っていくという観点から、一つは、これは三十九条の関係でございますが、税理士は、日本税理士会連合会及び税理士会の実施する研修を受講し、資質の向上を図るという努力義務があるということを法令上明確にさせていただきます。

 第二番目に、税理士会は会則において会員の研修に関する規定を定めなければならないというふうな規定を新たに設けているわけでございます。

竹下委員 今回の税理士法の改正とは少し離れますけれども、まさに今、世の中IT社会。コンピューター、インターネットを使いまして電子申告あるいは電子納税といったようなことは、当然間違いなく近い将来にやってくる問題であるというふうに思います。まさに我が国では、IT戦略ということで、国家の基本戦略としてIT化というものを急いでおるわけでございます。納税制度ですとか納税行政という面も、当然そちらに向かってかなりのスピードで動いていくのではないかというふうに思います。

 税務当局としても、研究会などこれまでいろいろ検討を重ねてきておられまして、平成十五年度には一部の税目について運用を開始する予定であるというふうには伺っておりますが、現実にこの電子申告、どんな状況にあるのか、何が問題なのか、あるいはどんなタイムスケジュールを考えていらっしゃるのか。さらに、もっと言いますと、何せ税という個人の一番大事な情報を扱いますので、セキュリティーの問題がどうなっているかといったようなことを含めて、お教えをいただけるとありがたいのですが。

大武政府参考人 まず第一点は、電子申告の課題という点からお話をさせていただきます。

 納税者等の本人確認と申告意思の確認等を行うために、現行税法におきまして、申告書の提出に際し、納税者等の記名、署名ですね、押印を求めております。電子申告におきまして、そうした申告手続が真にその名義人によってなされるものなのかどうか、あるいは申告内容が改ざんされていないかどうか、それから電子的に確認する仕組みを講じる必要がある。そういう意味で、デジタル署名が、社会への定着状況あるいは納税者等の使い勝手の観点から採用可能かどうかというあたりを見きわめていく必要があるということなんだろうと思います。

 そこで、今お尋ねの次のスケジュールでございますが、そうした課題を解消するために、ただ一方で、今先生からお話がありましたように、ミレニアムプロジェクトのほか行政改革大綱でも十五年度までの導入が掲げられておりまして、我々今鋭意検討しているところでございます。

 平成十一年の六月から、申告手続の電子化等に関する研究会というのを開催いたしまして、昨年の四月の取りまとめで、電子申告制度につきまして一応の方向性を取りまとめさせていただいてあります。

 これを参考にしながら、昨年の十一月から東京国税局の麹町税務署と練馬東税務署で、納税者の方々等の協力をいただきながら、所得税、法人税、消費税につきまして、電子申告の導入に向けた実験を実施させていただきました。

 こうした実験結果等を踏まえまして、今、十五年度導入に向けまして、一部の税目等につき運用を開始するということで、今後のシステム開発、法令改正あるいは納税者に対する周知等々必要な措置を講じていきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、第三点目、セキュリティーの御質問がございました。まさにこのセキュリティーというのが電子申告の最大の課題でございます。

 やはりインターネットで電子申告を行う場合には、改ざん、盗み見あるいは成り済ましといったような問題がございまして、プライバシーの保護を含め、セキュリティーが確保された、納税者の方々が信頼できるシステムをどう構築するか、そこが最大の課題と考えておりまして、暗号化等適切な措置を講じていきたいというふうに考えているところでございます。

竹下委員 冒頭にもお話をいたしましたように、税理士法の改正というのは、税というものを通じて国家への信頼に直結する問題、申告納税制度というものをどう支えていくかという問題でありますだけに、正直者は絶対にばかを見ないんだ、そういう基本的な考えに基づきまして法改正もしなければなりませんし、それに引き続いて、税理士さん自身もみずからを磨いてもらわなきゃならない、税務当局も国民の信頼をかち取っていただきたい、そう願う次第でございます。

 以上で質問を終わります。

山口委員長 若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。

 きょうは、税理士法改正ということで、私も、弁護士の通知税理士という方もいらっしゃいますが、それ以外の、税理士では国会議員では私と同じ党の谷口議員、この二人だけでありまして、大変感慨を持ってきょうの税理士法改正の審議に臨ませていただいております。

 そこで、塩川財務大臣、いつもすてきなスマイルで答弁に向かわれておりますが、財務大臣にお伺いしたいのですけれども、この税理士法改正、これは国民の目から見たメリットというのは端的に何なのか、それについてまずお聞きします。

塩川国務大臣 一つは、私は全く素人の観点からいいまして、このごろ税務訴訟が非常に多いということ、そしてまた、税務問題で、ただ単に企業と税務署との対立だけではなくして、企業間の取引の中から起こってくる税務上の問題があって、企業間の懸案というものも非常に多くなってまいりました。

 その場合、訴訟並びに訴訟に準ずるようないわゆる法廷論争が非常に多くなってきたということがございます。したがって、これから税理士さんも、弁護士さんと、あるいは公認会計士等いろいろな分野と共同で作業しなければならぬだろうと思っております。また、現にそうなってまいりました。

 その意味において、税理士さんがふだんに法廷にも出られて、参考人として意見を述べることができる、補佐人として活躍できるということは、これは当然開ける道としていいのではないかということ、これが一点。

 それからもう一つは、法人を組織されまして、いろいろな近隣業種、近隣専門職と申すのでしょうが、そういう方々が集まって、一つのコンサルタティブな意味も持った事務所を持っておられるということは、これは非常に便利だろうと思っております。

 とにかく、世の中がこれだけ多様化し、また専門化してまいりますと、それだけのいろいろな権限をつけておく方が納税者にとって利便性が増すものだ、私はこう思っております。

若松委員 極めて適切な御理解じゃないかなと、私も今、率直に言って感嘆いたしました。

 もう一つ大臣にお聞きしたいのですけれども、今回の改正は昭和五十五年以来ということで二十年ぶりの大改正になるわけですけれども、特に税理士というのは経済界に強く関係する法律ですので、経済環境変化が激しいこういう士業の法律改正の頻度はちょっと少な過ぎるのではないか。特にこれから恐らく法人化ということで、やはりそれなりの大型のも出てくるだろうし、既にアメリカ等では、LLP、リミテッド・ライアビリティー・パートナーシップ、そういう有限責任の法人化というのも出てきているわけですね。ですから、私は、二十年に一回というのはちょっと何もしなさ過ぎだ、もっと時の変化に応じて改正はタイムリーにすべきではないか、そう思うんですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

村上副大臣 若松委員の御質問にお答えします。

 今おっしゃられるように、前回の改正は昭和五十五年でありまして、約二十年ぶりの改正でありました。

 そういう中で、非常に経済のボーダーレス化、グローバル化が顕著になってきたのは実はバブル崩壊後でありまして、正直言って、御承知のように、きょう先生方お見えですけれども、そういう納税者のニーズの変化等を踏まえまして、日本税理士会連合会、日税連の皆さん方が税理士法の改正に関する意見というのを平成九年に公表されました。そして、同じころ、同じ平成九年ごろから、規制緩和の議論の中で法人制度の創設などの資格制度の見直しが閣議決定されるなど、非常に行政としても税理士制度の見直しについて検討する必要が生じてまいりました。

 その間、平成九年、今十三年ですから四年間でありますが、国税庁と主税局と日税連で実は二十六回にわたる勉強会をさせていただきまして、昨年の九月に日税連から提出された改正要望書も踏まえて、今回の改正法案を国会に提出させていただいたものであります。

 なお、私見でございますが、若松委員がおっしゃるように、これから非常に経済のボーダーレス化、グローバル化によって会計基準等もどんどん変わる可能性がありますので、今後はそういう変化に敏感に反応できるようにしていきたいと考えております。

若松委員 ということで、法律改正をおっくうがらずによろしくお願いしたいと思います。

 それでは次は、弁護士のいわゆる通知税理士制度というんでしょうか、これについてお伺いしたいんですけれども、法務省、内閣府、そして財務省という順番でお聞きしたいんです。

 なぜこういう質問をするかというと、今回の税理士法改正で、許可公認会計士制度、これが三年後になくなることが決まりました。では、弁護士はどうなっているかというと、弁護士は、これは税理士法にもありますけれども、国税長官ですか、に通知することによって税理士業務もできる、いわゆる弁護士の通知税理士制度というんですか、これがそのまま存続されております。

 これはこれでよしとしても、ちょうど今回の参議院で出されました附帯決議では、税理士の資質の維持向上のために研修制度の一層の充実を図りということで、これからの専門家は、継続的な研修制度というのが重要になってきております。特に諸外国ではこれは当たり前のごとくなってきております。私も同じく公認会計士も登録をしておりまして、半年に一回CPEという、継続研修実績というものを申告しなくちゃいけません。今のところテスト、トライアルでやっているわけですから、申告しなかったら、じゃ会計士登録の抹消になるかといったら、なっておりませんけれども、恐らく近々これは強制的になろうかと思います。

 そういう時代に、じゃ、弁護士の通知税理士の方は、通知するだけで税理士業務ができる。ところが、税理士の登録をしないということは、税理士会が主催するそういう研修制度の対象外になるんですね。かなり税務というのは、判例とか時の時代の流れを非常に敏感に反映するものですから、それだけに私は非常に矛盾を感じてならないんです。

 ですから、私ははっきり申し上げて、この際、税の専門家としての質の維持が図られないということになっていれば、私は、弁護士の通知税理士制度は、この際、許可公認会計士制度が廃止されるようにこれも廃止すべきではないかと思いますが、まず法務省、そして内閣府の考えをお伺いします。

房村政府参考人 ただいま委員御指摘の通知弁護士制度、これは税理士法において規定されている制度でございまして、これを廃止すべきかどうかという点につきましては、同法を所管しておりません法務省としてはお答えすべき立場にございませんので、その点を御理解いただきたいと思います。

坂政府参考人 私ども内閣府は四月から規制改革の関係も担当しておりまして、その立場からのお尋ねと思います。

 先生は御承知かと存じますが、先般、規制改革推進三カ年計画が三月三十日に閣議決定されたわけでございますが、ここで資格制度の関係についてかなり詳しくいろいろなことを扱っております。基本的な発想は、各種業務分野における競争の活性化を通じた、資格を有しておられる方たちなんかの国民やお客様に対するサービス内容の向上あるいは価格の低廉化、国民生活の利便向上を図る。いわば垣根をやや低くして競争を活性化してほしい、そういう発想で方針ができております。

 こういった基本方針に基づきまして、それぞれいろいろな資格関係につきまして各省所管があるわけでございますが、所管の各府省庁において横断的に見直しをしてください、こういうことを言っております。

 私ども規制改革を担当しております内閣府といたしましては、この三カ年計画の考え方に基づいて、例えば、今御指摘の税理士制度のあり方あるいは弁護士制度のあり方、そういったことにつきましても、この方針に基づいて適切に対処していただきたいというのが私どもの立場というか考え方でございます。

若松委員 内閣府の方、さらにお願いしたいんですけれども、その規制緩和の観点はいいとして、当然、士業の方はもっとレベルアップすべきだ、そういう指摘もされているわけで、そうした観点から、個人的な見解でも結構ですけれども、今の制度ですと、弁護士の通知税理士というものは研修の対象外になるので、それについては率直にどのように考えていますか。

坂政府参考人 研修等につきましては、実は、先ほどの三カ年計画の別紙というのに、研修や何かの要請が参入障壁になるほど高くては困るという方向からの話はございます。

 ただ、今おっしゃいましたように、資格を有する方については当然能力が高い方がいいというのは、それは私どもの仕事というよりは、いわば当然ということなのかなという感じでございます。

若松委員 今、当然ということですので、ぜひ法務省も、やはり安易に、今回は弁護士の通知税理士というのは議論されませんでしたけれども、私は今後引き続き自助努力としてしていただきたいと思いますので、ぜひ本省に帰って、またそれぞれの関係の団体の方としっかり議論していただきたいと思います。

 そこで、管轄する財務省は、この弁護士の通知税理士について、どういう議論で今回どうしてこのようになったのか、今後どのようにしていこうとしているのか、端的にお願いいたします。

大武政府参考人 それでは、当方から、税理士の監督官庁としての国税庁という立場で御説明させていただきます。

 現在の通知弁護士制度、これは弁護士法第三条第二項に、弁護士は当然に税理士の事務を行うことができると明定されておりまして、その税理士の考え方と税理士業務を税理士に限定する税理士法の考え方の調整を図るために設けられているものというふうにとらえております。

 通知弁護士は、税理士会に入会することなく税理士業務を行うことができますので、税理士会が行う税法等に関する研修に出席する権利及び義務は有していないわけでございます。

 しかし、我々としては、弁護士といいましても、税理士業務を行うに当たっては税務の専門家としての資質の維持向上を図るべきでありますので、本来は税理士登録をしていただいて、税理士会の会員として税理士が行う研修をしていただくのが我々国税庁としては望ましいと考えている次第です。

 なお、今先生が言われましたとおり、弁護士は本来法律の専門家として高い学識を有しており、やはり通知弁護士として税理士業務を行う場合にも、委嘱者の信頼にこたえるべく、ぜひ自己研さんに努めていただきたいと願っている次第でございます。

若松委員 今の大武国税庁次長ですけれども、私もアメリカに二年間、現地の会計事務所に勤めまして、アメリカの会計事務所には当然税務部門というものがしっかりとありまして、そこにアトーニーといういわゆる弁護士がたくさんおります。彼らは弁護士事務所で税務の業務をやるのじゃなくて、会計事務所で弁護士が税務の業務をやるということで、私はこの方が当然質の高いサービスの提供はできると思いますので、今次長が答弁したような形が本来の姿ではないかと思っております。ぜひ、それは今後とも諸関係省庁並びに団体の議論を期待することとして、次の質問に移りたいと思います。

 続きまして、国税庁と税理士というのは別のものですけれども、別のものだけれども別のものでもないというのですか、二つにして二つにあらずというのですか、そういうような関係にありまして、特に、毎月一回、税理士の支部は勉強会をやりまして、税務署の方から講師を呼んで勉強しているとか、毎月一回だと、半日つぶすのでよくやっているなと私も思って、ずっとサボっているとまた支部長から怒られたりするのですけれども、それほど税務署と税理士は非常に関係が深いわけです。

 では、税務調査、これについては、現場でかなり、いわゆる納税主権者といいながら、納税民主主義という言葉も、いろいろな言葉があるわけですけれども、いずれにしても、この税務調査のルール化というのでしょうか、これが私は適正に整備されていないのではないか、ずっと疑問を持っております。

 特に、税務署は調査権があるわけですから、そこで調査をします、なかなか思うようにいかない、そうすると、では、関係会社十社ありますから、ぜひではここも調査させてくださいということで、当然、納税主権者というか納税民主主義という観点からすると、調査を受ける納税者からすれば大変な負担になるわけですね。かといって、何も税務署がしなければ当然脱税等の横行になるわけですから、それは税務署として調査権が与えられるのはしかるべきだ、当然だと思っております。

 ただ、大事なのは、一つの会社を調査します、特に何も出てこない、さらにさらに調査の範囲を広げる。そういったいわゆる税務署員の個人に与えられた裁量権というのですか、調査の範囲を決めたりとか期間を決めたりという裁量権が非常に強過ぎるのではないか。ですから、やはり納税者側から見て、それなりのルール化というものを国民に提示して、それをもとに運用するのが本来の納税民主主義また納税主権者主義ではないか、そう思うのですね。それについてはどのようにお考えでしょうか。

 あと、大臣も後で、今でもいいですけれども、お考えをいただければ。

塩川国務大臣 納税調査のルール化ということであろうとお答えします。それと同時に、それぞれの調査項目の調査官の解釈の問題もあると思うのです。

 私は、実は出身が大阪でございます。私はかねてから国税当局に言っておるのですけれども、大阪国税局と東京国税局とは調査の厳しさというのは違うのじゃないかと思うのですね。本当に私はそう思うのです。同じ国税庁通則に基づいてやっている、取り扱い要項も同じだと言いますけれども、確かに違うようなことを思うのです。

 例えば、私は一つ体験しましたので。自分らの所属している団体に対する費用というものは、東京国税局だったら割合認めてくれるのですが、大阪はだめなんですね。そういうのがありまして、私はちょっとそこらの解釈が強いと思うのです。

 ですから、これは、私は、おっしゃるようにきちっとやはり標準化して、統一してもらわなきゃいけないと思うのです。だから、東京国税局は大きいから、少々のことだったらというので目をこぼしておるのかな。実際はそういう事実ないですよ、ないですけれども、しかし、大阪の方の人にしたらそういう感じは多分に持っていると思うのです。そこらを標準化してもらうようにひとつお願いしたい。そのためにも標準化はやはり私は必要だと思っています。

大武政府参考人 ただいまの御質問に答えさせていただきます。

 先生のお話のありました次々と調査を波及させていくという点なのでございますが、税務の現場を申し上げますと、調査をする場合には、かなり資料情報を持っておりまして、その資料情報を確認する作業をしなければなりません。そういたしますと、当該調査先ではそれが確認できない場合には、反面調査となるようやっていかなければならない。現実には、我々の調査というのはそうした情報に依存しているものですから、どうしてもそれを、しかし、その情報があること自体は、守秘義務があって、こういう情報だからここを調査しているとは言えないという苦しみの中で現場では処理させていただいている。そのことが多分、納税者の方から見ると、いろいろなところを調査してという御疑問にもなっているのかと思います。

 そういう意味で、実は、納税者の業種ですとか取引形態、あるいは帳簿などの整備状況とか納税者に関する今言った資料の多寡など、まさに納税者の態様が非常に多様なものですから、ある意味で一律にルールというのは定めることは難しいと思っております。

 ただ、ただいま大臣が申しましたような基準が違うということは非常に適切でないということを実は先般の行政監察でも指摘をされまして、このあたりは、一律、画一的な行政をしろということで、一昨年来、実はかなり徹底をさせていただきました。例えば、従来ですと、交際費というようなものも、地域によって交際費の価額、物価が違うものですから、若干基準が局によって違いました。それも一律に定めるというようなことでやらさせていただこうと今着手しているところでございます。

若松委員 次長、もう一つ。税務運営方針という、特に調査に関するもの。これも、やはり国民としてはどういう基準で調査しているのかという関心があろうかと思いますので、まず、そういう税務運営方針なり基準なりあるのかどうか、それがホームページ等で情報公開されているのか。

 また、三月にたしか閣議決定で、ノーアクションレターという制度が導入されます。これから行政は裁量行政は認められないというのは中央省庁改革で何度も議論されて、いわゆる個人の権限ですか、法律に記載されていない権限は行使できないということで、具体的なケースで行政が物を言う場合には、国民から要望された場合にちゃんとレターで回答しろ、それ以外は行政の言っていることには何ら拘束されない、そういうノーアクションレターの方式が確立されたわけです。こういったことも、この税務、いわゆる税の解釈ですか、課税の解釈上、このノーアクションレター等もやはり活用すべきではないかと思うのですけれども、それもあわせてどうなっているかお答えください。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 二点ございました。まず、税務運営方針をホームページなどで公開しているかという御質問ですが、これにつきましては、実は、基本原則というのを国税庁長官が税務職員に示したものということで、毎年国税庁がつくっております事務年報に全文をそこで掲載しておりまして、全国の国税局、税務署に配置して、御希望の方には閲覧いただけるようになっています。

 それからまた、国税庁のホームページでも、抜粋ではございますが、その基本的考え方を載せさせていただいているということです。例えば、今お話のありましたように、納税者に対しては親切な態度で接し、不便をかけないように努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない、また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることのないよう細心の注意を払わなければならない等々のことを流させていただいているということでございます。

 それから、第二点目のノーアクションレターでございますが、この制度自体は、日本版の制度は、行政機関が民間企業等に対して、当該企業等がみずから行う行為と特定の法令の規定との関係に関しての見解を明らかにする、公表する手続ということで指針が示されたわけです。

 国税当局としては、国税関係法令に関しまして、これまでも納税者の照会に応じ、可能な限り当局としての見解を示してきたところですが、さらに、今回のそうした決定の趣旨も踏まえまして、納税者利便の一層の充実を図るなどの観点から、納税者が帳簿等の具体的な資料を提示してあらかじめ国税当局の見解を確認できる仕組みを整備するよう、検討を行っているところでございます。

若松委員 ぜひ、そのノーアクションレター方式もしくはルーリングといって、事前合意ですね、これは非常に大事な手法ですので、積極的に検討をお願いしたいと思います。

 それでは、金融庁にお聞きしたいのですけれども、税理士の方も、やはり試験では財務諸表論、そして簿記論、かなり難しい試験を受かっていらっしゃいまして、会計の面でも私は専門家だと思っております。ところが一方、経営とか商法とか、そういうのも勉強しないと本当の専門的な会計人じゃないとかいう議論もあるわけですけれども、これはかなりレベルの高い話にしても、いずれにしても、今、外部監査の需要が高まっております。

 特に、私がイギリスにいたときは、いわゆる有限責任会社は一〇〇%、株式がゼロ円であっても、有限責任であれば監査を受けなくてはいけない。その基準は、会計基準があって、商法は何ら会計基準の規定はない。日本はありますけれども、それは早くとってもらいたいと思っておるわけですけれども。それで、この会計基準に従って、小さな企業は小さな企業なりの決算書をつくる、大手企業は大手企業なりのしっかりしたものをつくる、こういう形になっているわけです。

 いずれにしても、やはり透明性の求められる時代ですから、外部監査需要というのは商法改正による公益法人とか、または行政の特殊法人とか独立行政法人の監査、こういったものが非常にふえてきて、今監査を中心にやっているのは実際、公認会計士です。ところが、今のこれだけの監査需要増に、現在の監査のいわゆるキャパシティーで対応できるのかどうか。公認会計士または監査ということは金融庁の所管でありますので、その需要増にどう対応していくのか。

 もう一つ、あわせて言わなくちゃいけないのですけれども、今、監査のレジェンド問題というのが出ております。これは何かというと、特に日本の企業がある英文の監査報告書をつくる、そこに、レジェンド条項といいまして、日本の会計慣行は特殊なものであって、かつ会計監査制度も非常に、いわゆるこの国の独特のものであって、その状況を知っている人しかこの情報は信用してはいけないと。要は、日本の会計基準も監査制度もレベルが低いということをはっきり言われているのです。そういうことを書かないとだめだというような、非常にこれは日本の監査制度にとって屈辱です。

 ですから、監査需要増とその監査の質を高める、これをやはり両方ともクリアしなくてはいけないのが今の状況だと思うのですけれども、そういうことに対して、大臣としてはどのように対応されようとしているのか、考え方をお聞きしたいと思います。

柳澤国務大臣 今先生御指摘のように、外部監査をめぐっては、一つは数量増、仕事のボリュームが全体として上がっているという問題があります。それからまたもう一つは、レジェンド条項のお話がありましたけれども、日本の監査というものの質が問われるようなことも間々見受けられるというような状況があるわけでございます。

 これに対応して、特に質の面については、現在の公認会計士協会がみずからの努力で、先ほど先生もお触れになられました、例えば継続的専門研修制度を導入したり、あるいは外部監査について実務指針をつくったりして努力をしているわけでございますけれども、この面についてはさらに一層の進展がなければいけないということで、実は金融審議会に統合されたのですけれども、その中に公認会計士制度部会というものを置きまして、このあたりのことについてもうちょっと、この事態を改善するにはどうしたらいいだろうかというようなことを今鋭意検討をお願いしております。

 加えまして、量の面でございますけれども、私も実は、今度商法の改正で資本金一億円以上の会社が監査の対象になる、しかし義務的ではないというようなことが決定されるに際しての、若干税理士の方々との間に、いろいろな御希望もあったり、あるいはそれに対して公認会計士の側でいろいろな対応があったりして、そういうものの中でそうしたことが決められてきたということも仄聞をしているわけでございます。

 現在、公認会計士の第二次試験を受かる人の数が年間大体八百人見当、そういうようなことで本当にいいのかというようなことも、私自身の問題意識の中にははっきり言ってございます。ございますけれども、これもまた、量も多くしなければいけない、また質も問われるのだということの中で、率直に言って、非常に難しい問題というふうに考えているわけでございまして、また当委員会の諸先生の御議論等も伺いながら、この時代の要請に的確に対応して行政としての責任を果たしていかなければいかぬ、このように肝に銘じているところでございます。

若松委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今の時代に対応したニーズというのでしょうか、これはぜひ、関係団体、関係省庁、本当に何が国益にとって大事なのかという大局的な観点から前向きな議論をして、先ほどの二つの問題をクリアする、そういった観点からの御努力を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

山口委員長 日野市朗君。

日野委員 民主党の日野市朗でございます。

 この法律についての質問をすることになって、税理士というのは一体何なんだろうなということをつくづく考えさせられました。考えてみると、なかなかよくわからない。

 実は私、弁護士というのはよくわかるんですね。国家権力に対置して国民を守るという立場でありますから、弁護士法というのもそういう形でできているし、非常に性格づけははっきりしているのですが、どうも税理士さんの方はよくわかりませんので、税理士法の第一条を見てみました。そうしたら、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」

 なかなかこれもまた非常に難しいのでございまして、結局、税理士さんというのは、徴税権を持つ国の側に立つのか、納税義務を持つ国民の側に立つのかということ。どっちでもなくて、その両方の立場というのはなかなかこれはあり得ないような感じもしますし、ちょっとそこいらをひとつ解説していただけませんか。これは大臣でなくていいです、専門家の方に聞きますから。

尾原政府参考人 税理士法の一条についてのお話がございました。

 その前に、ちょっと歴史を簡単に申し上げさせていただきますと、税理士制度でございますが、税務行政の適正かつ円滑な運営のためには、当時は税務代理士と言っておりましたが、税務代理士業務が重要な役割を果たすという考え方から、シャウプ勧告におきましても、税務の専門家に関する制度の発展の必要性が提言されたということがございます。それを背景に、昭和二十六年に税理士法が制定されたわけでございます。

 さて、その税理士法の第一条でございますが、税理士は独立した公正な立場にある、こういうふうにされております。これは、委嘱者でございます納税者の援助に当たりましては、納税義務者あるいは税務当局のいずれにも偏しない独立した公正な立場で、税務に関する専門家としての良識に基づき行動しなければならないことを法律上明らかにしてございます。

 少しわかりにくいというお話がございましたが、納税者のサイドから、法を曲げても税金が安い方がいいというような依頼があっても、税理士の方の立場からすれば、まさに税法に定める納税義務の適正な実現に資するように、逆に、場合によってはたしなめるということも出てくるのだろうと思います。そういう意味で、独立した公正な立場、また当局との関係でも同じようなことになるのかなと思います。

 このように、納税義務者あるいは税務当局のいずれにも偏しない独立した公正な立場で、税務に関する専門家としての良識に基づき行動しなければならないということを法律上明らかにしている。

 したがいまして、この税理士制度でございますが、法令で定められた納税義務の適正な実現に資するということを使命として定めているわけでございまして、その観点からの職業上の特権でございますから、税理士の地位といいますのは、単なる私的な代理人ではなく、より高度な、公共的なものとして第一条で位置づけられているというふうに考えております。

日野委員 今、尾原さんはシャウプ勧告から後をおっしゃったのですが、たしか、第二次大戦中に、昭和十七年ごろに、この制度は、税収をもっと上げよう、そもそもそういう目的を持って発足したのではないですか。

尾原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話ございましたように、税務代理士でございますが、昭和十七年にできておりまして、確かに、戦時中相次ぐ増税等が背景にございまして、税務に対する相談を専門的に行う人が必要ではないかということから、その資格を限定する制度、税務に関する職業専門家制度が法制化されたというような背景があろうと思っております。

 ただ、このシャウプ勧告でございますが、御承知のように、戦後、申告納税制度が導入されたわけでございまして、また、その中で、申告納税制度をしっかり定着させ、税務行政の適正かつ円滑な運営のためには、現在の税理士制度が重要な役割を果たすという指摘がなされたわけでございます。

 二、三点申し上げてまいらせていただきますけれども、一つは、この申告納税制度を定着させて適正な税務行政を行っていくためには、納税者の代理を立派に務め云々、見聞の広い職業群が存在する必要がある。また、それまでの税務代理士でございますが、水準が相当に引き上げられることが必要であるというような基本認識が示されておりまして、税理士の試験を行い、専門的な知識を試すことが必要であるというような提言がなされているわけでございます。

 また、二回に分けている二回目の方でございますが、着々と納税者の代理者、今で言う税理士でございますが、その数がふえ、その素質が向上するということは、日本における税務行政の成功にとって極めて重要なことであるといった認識が示されておりまして、ちょっと長くなりましたが、戦前のといいましょうか、第二次大戦の前と、その後のシャウプ勧告からの税理士制度では、位置づけが変わってきているというふうに認識をしております。

日野委員 おっしゃるとおりだと思うのですね。そして、現在の税理士さんのお仕事というのは、国民の方もちゃんと見ると同時に、国の税制が申告制度を通してきちんと執行されていくように、そういった公益的な面、この二つをあわせ持っている。私は、これは非常に貴重な制度であろうと思うのですね。この制度がきちんと機能をしていくことを私は期待いたしたいし、この税理士法、これもいろいろ、改善に改善を加えて、さらによりよい制度になっていくこと、これは私も賛成をしたいというふうに思います。

 ただ、昔から、税金を取る側と納める側というのはいろいろトラブルの絶えないものでございまして、私は、イギリスのマグナカルタですか、一二一五年にマグナカルタにジョン王が署名をして以来ずっと、租税法定主義というのはかなり定着をしてきた。そして、日本国憲法の中でも、納税の義務というようなことが特別にきちんと規定をされているというようなことでございますね。やはり、法律ができたら、それに従って納税をきちんとやる。これもまた国民の義務である。しかしそこで、いろいろトラブルが絶えないという現状も、また一方では無視できないわけであります。

 大臣、私は、税収をきちんと上げていく、そして、法が公正に執行をされて、免れるものがないようにするということも、これは国にとって非常に大事なことである。それが、公平公正、それを実現していくことだと思うのですね。私は、そういう、法律がしっかりと執行されて、税収が上がっていくということをするためには、税理士さんの仕事も非常に貴重なお仕事だということを話をしましたが、私、見ておりまして、やはり国税の職員の数、これは余りにも少ないわ。私は、もっと増員をして、きちんと、免れるものがないような形をつくらないと、不公平感がかえって出るのじゃないかな、こんなふうに思うのですよ。

 総定員法の枠があったりなんかで、私も随分宮澤さんなんかにも、国税の職員の数をふやさなきゃだめだわ、それから、士気を高めるために、まじめに仕事をしていれば役職にもつけるというようなことで、役職も、いろいろ、このごろ仕事の内容が分化しておりますから、それにもつけるというようなシステムにしないといかぬだろうということを何度も申し上げたのですが、いや、総定員法の枠がありましてねみたいな話を宮澤さんなんかもずっとしておられるのですよ。

 しかし、予算がないから鳥にやるえさを減らそうということがあっても、金の卵を産む鶏にはちゃんとえさをやった方がいいというのが私の主張なんですね。この人数とか役職についての大臣の御見解はいかがですか。

塩川国務大臣 人数が少ないのではないかという御主張でございまして、多いか少ないかは、これは検討を絶えずやっていかなければならぬと思うんですが、ただ、言えることは、ここ十数年来ずっと同じ定員で来ておりまして、その間、税収は随分と増額しております。ということは、一人当たりの生産性はうんと上がっている、非常によく働いてくれているということは私たちも感謝しておるんです。そのことと人員が不足なんだということと直結に結びつくかどうかということは、ちょっと私ども考えざるを得ないと思います。

 ということは、現在の納税事務というものは非常に機械化されてまいりまして、細かいところまで全部コンピューター、スーパーコンピューターで処理されておるような状況でございますので、いろいろな書面とか手続を考慮することによって相当な能率の向上に資せられるところもあるだろうと思っております。

 それから、最近、国民の皆さんの方でも、納税ということは公共精神に結びつくということの意識が非常に強くなりまして、納税関係の仕事は積極的に説明も聞き、協力してもらっていることがございます。

 したがって、今の定員でいいかどうかということは、それは絶えず検討しなきゃなりませんけれども、現状では何とか賄っていけるんではないかなという感じがしておりまして、頑張ってもらっておることを感謝しております。

日野委員 大臣、一人当たりの生産性が上がるという言葉を使われましたが、それは当たり前なんですよ。これは機械が、コンピューター化されていって、情報の処理も楽になりました。しかし、そういうのは、大臣、それをちゃんと動かし、それにインプットされる内容をきちんと、これをもっと豊かにしておけば、もっとよく税収は上がるんですよ。

 大臣は、税務署との、税金の申告なんかどんなふうにしておられるか私は知らないけれども、私も昔、税務署の方の訪問をいただいたことがある。そうしたら、非常に紳士的にやってこられまして、いや、先生、どうぞお手すきのときで結構でございますからと言って、自分はお茶も飲まないで応接間で頑張っている。それだけです。ごあいさつでございますと言って。それだけでも、やはりこっちは、ああ、ことしはちゃんとしっかり申告をきちんとやらなくちゃいかぬなという気持ちになるものですよ、これは。

 そういう効果というものはこれは争えないところなので、私は、今税収が上がってきているからいいじゃないかというのは、ちょっと、あんまり安易だと思いますよ。やはり、後でお話を専門家の方から聞くことにしますけれども、決して私は完全に公平に今の税務の行政が執行されているとは思っていないんです、いろいろ不公平がこれは出てきているぞという思いがありますので。

 このことを私の注文として、ひとつ、余り税収が上がってきていればいいじゃないかみたいな話をしないで、やはりそこいらのことはみんなとよく相談をされてきちんとお決めになった方がよろしいと私は思っていますから、あえてきょうはそのことを申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 それからもう一つ、やはり国家というのは税収によって支えられるわけですから、税収というのは上げなくちゃいかぬ。そして、現在の国の財政状態、六百六十六兆の国、地方の債務になるというふうな話がありまして、財政改革というのはぜひともこれは必要だ。小泉総理も財政改革の必要ということは言っておられるわけですね。大臣のこれについての考え方を私は伺っておきたい。

 私、何度も宮澤さんとは財政問題について議論をいたしました。あの方は物を言わない方なので、自分ではっきり言ったことがない。今モデルをつくっておりますからとか、この問題を解決するにはもちろん税金の問題やらあれこれ文化の問題まで考えなければいけません、いや、宮澤さんは非常に頭のいい方ですから、そういうことを実際考えておられるのかもしれませんけれども。

 大臣はどのようにお考えになっておられるのですか。財政を立て直していかなくちゃいかぬ、まさか、それよりは景気が先だと大臣はおっしゃるのかな。いかがですか。

塩川国務大臣 従来、最近の内閣は、景気回復に最重点を置いて予算、あるいは経済政策の運営等をやってまいりました。そして現在、景気の下支えをしっかりとやってまいりまして、現状に参りました。

 ここに至りまして一つ重大な問題が出てまいりましたのは、国債発行等の増発に伴うところの財政の圧迫ということが非常に顕著になってまいりましたこと等あって、そのためには、この際にやはり国の財政のあり方というものも十分考慮した中で景気の向上対策を講じなきゃならぬ、そういう両立を追うていかなければならぬ時点になってきたと思っております。

 けれども、私たちが考えておりますことは、この二つの命題は同時に解決していける問題だと思うんです。それは何かというと、財政問題の構造を改善する中にあって日本の経済の回復がやはり優先するということは当然でございますが、そのためには、従来のような延長線上における経済構造によるのではなくして思い切って規制緩和をしていく、この方法をとることによって民需がまた違った躍動をしてくれるのではないか、そういうことをもくろんでいかなきゃならぬ。

 それともう一つ、予算の配分並びに執行についてでもございますけれども、従来のようなシェアを中心にした問題、あるいはシーリングに縛ってきた予算の編成ということを変えまして、景気の向上に資するものであるならば、そこに濃淡をつけてもいいんじゃないか。重点的に、景気対策にいいものには積極的に予算をつけていくということをやってもいいんじゃないか。そういういわゆる経済システムの中の構造改善と財政の制度の中の改善とあわせてやっていくならば、構造改善と景気対策というものは並行して同時にやっていけるんではないか、そういうことを思っております。

 したがって、私たちが今言っておりますのは、私自身が言っておるのでございますが、景気回復とそれから構造改善というものはコインの裏表だ。今はコインの表に景気対策を置いて、裏に構造改善を置く。また、いずれ、これは逆にしたことをやらなきゃならぬときもあるだろうが、とにかく経済の回復というものに十分な配慮をしながら構造改善を進めていくということをやっておるところであります。

日野委員 いや、これは小泉さんが言っていることと大分違うんじゃない。小泉さんは、財政改善がなければ景気はよくならぬと言っているのよ。GNPの、経済の成長が二年や三年マイナスになってもこの財政改革には取り組まなくちゃいかぬ、こう言っているわけ。今あなたは、同時だ、こう言っている。

 予算配分なんか、まあこれはいいわ。しかし、あなた、我々もずっと、財政のこの構造、これをきちんと直していかなきゃ景気は回復しませんよと言ってきた。小泉さんもそう言って総裁選挙をやり、そう言って施政方針演説、今ここに残念ながら施政方針演説を持ってこなかった。これはいろいろな議論はありますよ。この委員会の中にも、やはり当面の景気をまず立て直さなければ中長期の景気の回復とかそういうことはできないという議論をなさる方もいる。しかし、小泉さんは同時改善ではなかったはずだ。あなた自身どうですか、違和感を感じませんか。

塩川国務大臣 総理は、所信表明演説の中にも、当面、経済の回復、景気を回復しということは明確にうたっております。小泉総理の言っております構造改革なくして景気回復なしというのは、従来は、構造改革の面において、ウエートが景気回復の方に置かれ過ぎておったということ、そのバランスをとる意味において言っておることでございます。

 したがって、構造改善と景気回復は、先ほども言いましたように、同時並行的にやっていける。それはなぜかといいましたら、今までの経済構造の中で改めるべき規制緩和とかいうシステムを積極的に変えていかなかった。今度これを変えていこうというのが構造改善です。それを景気対策と同時にやっていけるということでございます。

 それから、なおもう一つ、景気がマイナスになってもやるんだというその表現でございますけれども、私は、これは何遍も総理とも話しておりますけれども、そのぐらいの覚悟で構造改善をやっていかなければできないのじゃないか。

 その総理の構造改善の中の一番の中心は何かといいましたら、民間でやれることは民間で思い切りやらせたらいい、そのことが景気回復になっていくんだ、この思想が一つあること。それからもう一つは、国債の発行を野方図にやるのではなくして、ここできちっと抑えていこう、これは財政構造の改革への入り口に立つんだ、こういう考えでございます。そのマイナスになってもという意味はそういう積極的な決意表明のことであって、実際にマイナス経済になってはいかぬということは事実であります。

日野委員 自民党の中で議論をして、また自民党の人たちの意見を聞いてしまうとそうなってしまうのかなという、私の感想としては、やはり自民党という政党の持っている体質そのものが構造改革を許さない体質になっているのだな、こういうふうに思わざるを得ないですね。

 では、さらに聞きましょう。

 宮澤さんは、財政改革のためには今モデルをつくっている、こう言っていたのです、モデルづくりをやっていると。あなたの財政改革の具体的な姿というのはどういう路線に沿っていくのですか、ちょっと説明してください。

塩川国務大臣 私たちといたしましても、財政構造の改革について、一つのグランドデザインは持っております。しかし、そういうことを持ち込みまして、現在、発足いたしました経済財政諮問会議がございますが、その中で議論を進められております。

 現在、新しく再編されました経済財政諮問会議で、第六回目でございますけれども、最近になりまして、竹中さんが担当されましてから第一回の会合を開きました。あと六回の会議を開いて、六月の下旬ぐらいに骨太の方針を出すということになっております。この骨太の方針は、経済転換、構造改善並びに景気対策を同時執行していこうということに対するいわばデザインを決めるところでございまして、これに基づいて早急に基本方針に基づくところの基本的な施策を決定していき、そしてそれを受けて八月の概算要求に織り込んで具体化していきたい、こういう計画であります。

日野委員 経済財政諮問会議が今そういう議論をなさっていて、そして予算編成をどのように進めていこうとしているかその方針を練っておられるのは、新聞等を通して私もよく知っています。

 私は、もっと聞きたいのは、その先に、それは毎年毎年いろいろ予算の議論はなさっていくわけですが、そのマスタープランがどうなのか、あなたが財務大臣としてお持ちのマスタープランはどうなのかということです。宮澤さんは、そのモデルを今つくっています、それができるまで待ってくれ、こう言っていた。あなたはどうなんですか。

塩川国務大臣 宮澤先生が大蔵大臣当時考えておられましたことを私たちも継承いたしまして、それを具体化いたします。いたしますが、その場合に一応政府全体としての合意をとらなければなりません。その合意は、先ほど申しました経済諮問会議において方針を決定するということでございまして、宮澤先生のおっしゃっていることがその経済諮問会議の中のテーマとして取り上げられておることは事実でございます。それはいずれ、十一月になるかと思うのでございます、まだはっきり経済諮問会議のスケジュールが私わかりませんけれども、私の感覚としては、大体十一月ごろに、日野先生のおっしゃるその方針、ビジョン的なものを出すということでございます。

 現在、当面する問題として議論されておりますのは、平成十四年度のごく直近の経済対策と、それから中長期的なものと、それから将来的なものと、三つに分けて議論されておるという段階でございまして、近く、一番近時におきますところの基本的な方針は骨太の方針として出てくるということであります。

日野委員 ちょっと意外な答えが出てきてしまったものですから、ちょっとわき道にそれ過ぎたかなと思いますが、きょう、今おっしゃったことを私もよく分析してみます。忘れないでいただきたい。

 それでは、税理士法の問題に話を戻します。

 先ほどから私もお話ししたように、やはり税金を取られる側と取る側、この間ではいろいろトラブルが起きがちだ。そこで、税務職員の納税者に対する態度はきちんとしたものでなくちゃいかぬと思うのですね。何ももみ手をしながら近づけとは言わない。しかし、ちゃんと相手に納得させるような、しかも礼儀正しくやらなければならないものだ、私はそう思っているのですが、ここについての御指導はどうなんでしょうか。

 それからもう一つ、さっきから大臣も言われた、コンピューター、スーパーコンピューターなんという例も挙げられましたが、こういう技術の向上は常に目指さなくちゃいかぬ、これもまた争いはないだろうと思います。それらの点について、国税庁の方としてはどのようにしておられますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 ただいまの納税者からの不平、不満というようなものでございますが、実は我々、この点につきまして、十二年、昨年の七月から十二月にかけまして、五十五の税務署におきまして、来署納税者の好感度調査というのを匿名アンケート形式で行わせていただきました。その結果としては、税務署の総合的な印象については、約七割の方が「良い」ないしは「やや良い」となっておりまして、また応対の親切さ、丁寧さについては、約八割が「良い」または「やや良い」となっております。

 もちろん税務署の窓口において苦情等が全くないと言い切れませんけれども、こうした結果から見ても、全体としては、職員の応接について納税者の方々から一定の評価はいただいているのだろうと思います。

 今後とも、税務大学校における研修その他で応接を丁寧にするということを趣旨徹底してまいりたいというふうに思っているところでございます。

 それからまた、機械化の点でございますが、まさに先生が御主張になられましたとおり、定員が厳しい状況の中で、極力機械化、特にKSKにつきまして全国展開、あるいはまた、タッチパネルと申しまして、申告を御自身が機械で処理する、そういうような施策を進めさせていただいている、こういう事態でございます。

日野委員 今、大武次長のおっしゃったその調査、七割は好感度を示した、こういうことなんですが、何か、還付申請に行った人たちを相手に調査をしたというようなものじゃないんですか。それは、還付申請に行けば、みんな感じ、にこにこしていますよね、お互いに。

大武政府参考人 いわばこのアンケート自体は今後の実績評価のための試行として行っておるもので、決して、還付申告者を対象にするというようなものでは全くございません。

日野委員 そういう税務署員の態度というようなもの、これはやはり、申告納税制度においてその申告を税務署側が信用するのかしないのか、そこのところが一番大きいと思うんですね。税務署がちゃんと自分の出した申告書を信用してくれていると思えば、これは好感度につながっていくわけですがね。どうなんですか、国税庁側の基本的な方針としては、この申し立て、申告、これを信用するのかしないのか、いかがでしょう。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさに申告納税制度というのは、基本的にすべての納税者に対して法律に基づいてみずから進んで適正な申告と納税を行っていただくということを期待した制度だと考えております。

 ただ、残念ながら、納税者の中には不適正な申告を行う方も見受けられます。こうした不適正な申告を是正しないで放置いたしますと、やはり誠実な納税者の国税当局に対する信頼を逆に失う、ひいては申告納税制度そのものが成り立たなくなる、こういうことだろうかと思います。

 このために、税務当局としては、誠実な納税者の信頼にこたえるためにも、収集した各種の資料情報、そうしたものを分析、検討した上で、所得の高額な方あるいは悪質な方を重点的に調査対象に選定をいたしまして、極力深度ある調査を実施するというようなことに努め、適正、公平な課税の実現に努力しているということでございます。

日野委員 そうすると、原則としては申し立て、もちろんそうですね、申告制度をとっていれば申告書、これをまず原則として信用するんだ、そして、問題がある場合に調査に入る、こういうことになるわけですね。

 では、調査に入るのは何%ぐらいになりますか。つまり、申告書を信用するのは何%ぐらいになりますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 現在、法人税を例にとりますと、実地調査の割合というのは全体で五・七%ぐらいということになっております。

日野委員 五・七%ですな。そうすると、九五%ぐらいまでは申告書を信用して、そして調査も何もなしということですな。

 それで、調査に入るのが大体五%前後あるということなんですが、大体どういうことから調査の端緒といいますか、それをつかむんでしょう。これは非常に難しい問題かもしれませんが、大体の傾向のようなもので結構です。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 ただいま先生がお話しになられた、五、六%ということでございますから、すべてを網羅するということは当然できません。そういう意味では、申告漏れを把握する端緒というのは多種多様ではあるんですが、一つは、やはり、収集した資料情報をもとに取引の状況など事業実態を確認する中、あるいは帳簿書類の作成のもととなった伝票ですとか領収書を確認する中で、売上除外ですとか架空仕入れですとかそうした事実を把握する場合がある。基本的には、私どもは、いろいろな端緒がございますけれども、知り得た情報が根っこにあるということかと存じております。

日野委員 大武次長さん、ずばりお答えにくいようですけれども、密告なんかがかなりあって、それがかなり主な情報源になっているんじゃないですか。いかがです。

大武政府参考人 当然、情報の中にはそうしたものもございます。

日野委員 それで、私もちょっと調査に入られた話をさっきしました。ずっと昔のことですよ。そして、幸い私の場合は何にもなくて無罪放免ということになったんですが。

 調査に入る場合、どうなんでしょう。これは、調査については事前にやはりちゃんと通告をして入れという主張がかなり強力にされているというふうに私は承知をしているんですが、調査なんかには全く通告なしにぽんと入っちゃうんですか。いかがでしょう。

大武政府参考人 今すべての調査事案を把握しているわけじゃありませんけれども、一応十、十一事務年度におきまして、農業所得はちょっと除きまして、通常の事業所得者に対する所得税の事案で、約八割は事前通知をしている。裏を返せば二割弱が、二割ぐらいが通知をしていない。それから、法人税の事案では、約九割が事前通知をして、一割ぐらいが通知をしないで調査をやらせていただいているということでございます。

日野委員 そうすると、これは、原則事前通告というふうに伺ってよろしかろうかと思いますね。うなずいておられるので、時間もないのでちょっと前に進みたいんです、済みません。うなずいておられたというふうに私がちゃんと見た、こういうことですね。

 それで、税理士法の三十五条、添付書類の規定が今度新たにつけ加わりましたね。これは三十三条の二、ここから、三十三条の二が余り使われていなかったんですかね、それを三十五条で添付書類というものを付することになった。これの効果というのはどういうものですか。新たにこの三十五条で書類添付をするということになりました。その趣旨はどういう趣旨ですか。

尾原政府参考人 今回、計算事項等を記載した書面を添付した場合の税理士の意見聴取制度を拡充してございます。その趣旨でございますが、税務の専門家である税理士の立場をより尊重する、ひいては税務執行の一層の円滑化、簡素化にも資することになるという観点から、現行制度を拡充するものでございます。

日野委員 そうすると、税理士さんが書類を添付すればそれは一応間違いない、申告のいろいろな資料や何か、これは間違いないという推定を働かそうということになりますか。それとも、一応は税理士さんが書類を添付すればそれは信用はする、しかし、何か問題があったらちゃんとその税理士さんに問いただすんですよ、問いただして、なおおかしいと思ったら調査に入るんですよ、こういうことになるんでしょうか。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 全くそのとおりでございます。

日野委員 これをつければあとは一切調査や何かをしないという効果を持つものではないというふうに伺ってよろしいでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 この書類自体は、あくまでも税務に関する専門家としての立場を尊重して付与された税理士の権利の一つというふうに我々はとらえておりまして、意見を聞いたことによって直ちに帳簿書類の調査を行わないということでは当然ございません。したがって、税理士からの意見聴取において疑義が解決しない場合は、当然に帳簿書類の調査を行うということになるということでございます。

日野委員 ある論者は、そうすると、貧しくて税理士を依頼できないような者に対しては非常に不公平になるのではないかという見解を述べられる方もおるんですが、この点についてはどのようにお答えになりますか。

大武政府参考人 ただいま申しましたように、今回のこの意見聴取制度、やはり税務に関する専門家としての立場を尊重して付与された税理士の権利の一つととらえております。ただ、今申したように、事前に税理士に意見を聞いたとしても、帳簿書類の調査を行わないという制度ではございませんから、納税者にとって有利、不利ということではないかと存じます。なお、税理士に税務代理を依頼した納税者が直接税務官公署に申述する手間とか時間を省くことが可能となる、そこは税理士関与の有無により不平等があるという扱いではないということかと存じます。

日野委員 どんどん時間がたちますので、こっちもどんどん先に行きたいと思いますが、では、税理士の試験の受験資格について伺いますが、これは、規制緩和推進三カ年計画に基づいた議論がなされたわけでございますが、大筋の議論はどんな議論だったのか、ちょっと御紹介いただけますか。簡単で結構です。

大武政府参考人 いわゆるダブルマスターの問題がかなり強くとらえられました。もともとは、いわゆる税理士になる資格を得るためには、税法三科目とそれから簿記、財務諸表、各一科目の二科目の試験を合格することによって税理士さんになるということなんでございますが、一つには、ダブルマスター、商学ないしは法律学というようなものの大学の修士論文を通りますと、それで免除されるという制度がございます。特に、商学を取りまして簿記、財務諸表論、それから法律学を取って税法、各免除になるという制度がございます。

 現在、それで、ダブルマスターで税理士さんになる方はかなりふえてきておるわけですが、ただ、この中には、最近、実はインターネットなどで修士論文代行業というのが出てきておりまして、一件百四十万ぐらいで修士論文を書きますというようなお仕事が出てきているわけです。こういう事態を文部省とも一緒に協議させていただきまして、種々御議論がありました。

 当初は、例えば国税審議会で修士論文をチェックするのはどうかというような御議論もさせていただいたんですが、それは大学の自治に反するので、それを国税審議会に任すわけにはいかないという御議論もございました。その結果として、それぞれ、法律学であれば税法一科目、そして簿記、財務諸表論の方であれば、これはどちらか一科目、マスターを取られた方にも受験していただこうということになったということでございます。

 それからさらに、税務職員につきましても、いわゆる会計科目の免除となる指定研修というのがやはり甘いのではないかという御議論もございました。そこで、それにつきましても、中で御議論をさせていただいて、国税審議会でその指定研修自体のカリキュラムをチェックするとともに、指定無試験の中身を国税審議会で検証していただくというような手続を導入させていただくことによって、いわばレベルのチェックをいただくというふうに改正をさせていただこうと考えた次第でございます。

日野委員 一つ一つやっている時間がなくなっちゃいましたので、国税職員の財務省令で定める指定研修ということになっていますが、これは指定研修を受けて、そしてその試験を受けて、それに合格すれば資格を得るという形になるわけですね。これはもし落ちたらどうなるんですか。

大武政府参考人 指定研修の際の試験に不合格となりますと、当然のことながら資格は得られないということになるわけでございます。

日野委員 そういう例は今まであったんでしょうか。かなり厳しい試験をやるようなふうにも聞いているんですが、厳しい研修、厳しい試験。どうですか。

大武政府参考人 例えば御議論の大変ありました通信研修会計学で申しますと、税務職員相当程度の簿記知識を有している、そして十年以上税務実務を経験している職員を対象に六カ月間研修をいたしまして卒業試験を受けるということなんですが、特にことしの場合には、御存じのとおり企業会計がかなり変わったものですから、非常に合格率が悪くて、合格率六割強ということで、四割ぐらいの方は通らなかったということでございます。

日野委員 その試験はまた受けることができるわけですか。

大武政府参考人 再度受験することは可能ですが、たしか、連続して落ちますともう一度研修受け直しということになるかと存じます。

日野委員 では、今度は補佐人の問題について伺います。さっき尾原局長が、証人尋問は補佐人にはさせないというふうにお答えになったと思います。それで間違いありませんか。

尾原政府参考人 今回の法廷申述権でございますけれども、裁判所の許可を得ることなく、今回、訴訟代理人とともに補佐人として税理士が裁判所に出頭し陳述をすることができるという制度が創設されることになるわけでございます。

日野委員 その補佐人がやれる訴訟行為の範囲はどこまでかという問題なんですが、本当は実は、大臣もよく聞いておいてくださいよ、私はきょうはここに最高裁判所の出頭を要求したんです、出頭というか、ここに出てくることを要求したんですが、そしたら彼らは断った。裁判所が出てくる委員会は、予算委員会と決算委員会と法務委員会だけなんだ、あとは出ないんだ、こう言うんです。そんなばかなことあるか。ここは財金だけれども、法務委員会は出るとして、あと弁理士法もかかるわけでしょう。補佐人制度がみんな新設されていくわけですよ。そういう審議に、そういうところに出て、どの程度がやれるのかということをきちんと明らかにするということがなければ、この制度はきちんと動かないと思う。

 大臣も、よくそのことを記憶しておいていただいて、困るんです、大臣が最高裁に文句を言うわけにいきませんし、三権分立の建前上困っちゃうんですが、恐らく裁判所と財務省、これはちゃんとそこいら打ち合わせをした上でこの法律を出してきたと思うので、私はここで聞きたいのは、ここで、陳述をする、こう書いてあるわけです。しかも、今までは裁判所は裁量的に許可、不許可を決めてきたものを、今度は補佐人になりますと言えばこれはもういやでも補佐人にさせなくちゃいかぬ、どこまでの訴訟行為が法廷でできるのかということです。訴状とか準備書面なんかの作成名義人になれるのか。証拠の申請ができるのか。証人の尋問ができるのか。これらについて、今までの協議の結果、これを答えてください。

尾原政府参考人 お答えします。

 今回の法廷陳述権の問題でございますが、この民事訴訟における補佐人でございまして、当事者または訴訟代理人の陳述を行い、その主張の正当性を明らかにするもの。

 したがいまして、事実上及び法律上のあらゆる点について陳述することができ、その陳述は当事者または訴訟代理人が直ちに取り消し、または更正しないときは、当事者または訴訟代理人の陳述とみなされ、陳述の効果はまず当事者本人に及ぶということになるわけでございます。

 なお、裁判においては、陳述するということだけが認められております。したがいまして、尋問することはできないというふうに法律上解釈されるわけでございます。

 それから、これはなぜそうしているかといいますと、税理士は訴訟手続に関する専門的知識も十分に備えているとは言いがたい。訴訟行為として税理士が証人尋問をするというようなことになりますと、かえって納税者に不測の損害を与える可能性があるということからでございます。

 それから、準備書面の問題でございますが、一般的にこの補佐人、期日におきましてみずから証拠申請をすることができるわけでございますが、自己の作成名義で準備書面を作成するような権限はないというふうに理解しているわけでございます。

日野委員 これは私は、特に証人尋問の点については重視したい。なぜかというと、補佐人をつけて一番いいことは、メリットは、証人尋問のときに的確な知識を持って尋問ができるということですね。それから、反対尋問にも的確に対応できる。これは十分な知識がなければできないものなのですよ。ですから、本当は私は尋問ができるようにすべきだ、こういうふうに思っております。もしそれが変な方に行こうとしたら、そばについている代理人がそれをとめればいいわけです。更正すればいいわけですね。

 そこで、今これは陳述なのだから尋問ではないという尾原さんのお答えだが、私はこういう文献もあるのだよということをお話ししておきたいのです。

 これは、民事訴訟法では名著とされている菊井先生、村松先生のコンメンタールにある話だと思います。それは、必ずしも事実上の陳述に限らず、訴訟代理人と同様に、事実上、法律上、あらゆる点にわたって陳述することができる。したがって、証人や本人に対して質問することも訴訟行為の一内容であり、訴訟代理人と同様にできると解されている。こうなっているわけですね。

 メリットの点、それから、お偉い学者先生の解釈、それらを見れば、やはりこれは尋問権を与えることの方が正しいのではなかろうか、私はこう思いますので、いずれは裁判所の訴訟指揮等に任せられる問題になりますが、一応の解釈の基準のようなものをつくるときには、裁判所とここらは十分に相談をされて、尋問はできるというふうになされる方がよかろう、私はこう思いますので、何かおっしゃることがあったら、もう一点聞くことがありますから、簡単にお願いします。

尾原政府参考人 先生おっしゃられましたように、補佐人の仕事というのは、いろいろな考え方があるというのは承知してございます。

 ただ、弁理士法をつくりますときも同じ問題がございまして、この場合、補佐人として陳述または尋問をすることができるというふうに、尋問をできる場合には明文で置いておくというのが最近の例になっているようでございまして、そのような点から、今回は陳述にとどまっているということを申し上げたわけでございます。

日野委員 私から、問題の指摘としてお聞きいただきたいと思います。

 それから、税理士法人ですが、弁護士の弁護士法人もきょう衆議院を通過しました。私は、そっちからこっちに来たのですがね。この税理士法人には競業禁止の規定がありますね。競業してはいかぬ、これはちょっときつ過ぎるのではないか。

 弁護士法では、法人の社員たちが承諾をすれば、それぞれの弁護士が弁護士の仕事をまた会社の業務とは別にやることができる。私は、このさむらいへんの仕事というのは大体そういうものなのではなかろうかというふうに思うのですが、何でこれが禁止という非常にきつい処分になったのか。

 それから、もう一点聞かせてください。

 例えば、法人が業務停止処分なんかを受けたら、この競業禁止との関係などで、その間、税理士も税理士としての仕事ができなくなるのではないか。これはちょっと酷ではないかという思いもします。それから法人が、例えば東京に本社を置いて釧路に支店を置いたというような場合、こっちに対する不利益処分がそのままそちらにいる社員にも及ぶ、これもちょっときつ過ぎるのではないか、そんな思いがしますから、それについての考え方を聞かせていただければと思います。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

尾原政府参考人 まず、制度論の方から申し上げますが、御指摘のように、社員に対しましては、例外なく就業は競業禁止の規定が置かれております。これは二つ理由があろうかと思います。

 一つは、税理士法人の事業上の秘密を保ち、利益衝突を避ける必要がある。つまり、法人の事業上の秘密で、自己または第三者の利益を図り得る場合が出てくるのではないかという観点からの問題が一つでございます。

 それからもう一つは、個人としても税理士が税理士業務を行うということになりますと、納税者サイドからの問題が出てまいります。つまり、顧客といいましょうか、納税者サイドにとりまして、委嘱している相手方の立場が法人の社員なのか、個人の税理士なのか、大変あいまいになってまいりまして、法律関係といいましょうか、責任のとり方の面で顧客保護に欠ける面が出てくるのではなかろうかと思います。なお、監査法人についても、他の社員の承諾にかかわらず、競業が禁止されているところでございます。

 それから、弁護士法人についてのお話がございました。私どもの所管ではございませんが、確かに、弁護士法人の場合にはやや違う点があるようでございます。これは、現行法も共同事務所というのがあると聞いておりますが、現在でも、弁護士は共同事務所としての弁護士業務を行う、ほかに個人としても弁護士業務を行っている場合があって、今回の弁護士法人化後に取り扱いを変えますと、混乱が生じかねないのではないかという実情を勘案したものであるというふうに聞いてございます。

 懲戒等の場合については、国税庁の方から答弁していただきます。

大武政府参考人 税理士法人が懲戒処分で停止処分を受けた場合の扱いでございますが、これは税理士法人が違法行為を行った場合、一年以内の期間を定めて、業務の全部または一部の停止、または解散を命じられるということになるわけですが、一般には、違法行為に係る法人の業務が停止されるものでございまして、法人のすべての業務が停止されるというのはまれなんではないかとは思っております。

 ただ、仮に、法人のすべての業務が停止処分となった場合には、個人の税理士事務所と同様、当該業務停止期間中は税理士業務ができませんので、税理士法人は納税者との委任契約を解除しなければならない。必要であれば、納税者は他の税理士法人または税理士と別途税理士業務に関する委任契約を結ぶことになるのではないだろうかというふうに思う次第でございます。

日野委員 時間が来ましたので、終わります。

山口委員長 河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 まず、大臣に御質問をしたいと思います。

 みずからの体験を、まあ若干悩んだんですけれども、私、真実のことを語るということが必ずしも、誤解される場合がありますのでどうかと思ったんだけれども、議員というのは国民のために、税金をもらって暮らしておりますので、やはりしっかり言わにゃいかぬということで、勇気を持って事実を語りながら、例の官房機密費の問題です。それと、野党対策のことについてお話をしたいと思います。

 まず、自分のことですけれども、数年、大分前になりますが、私が野党だったときです。野党だったときに、これから視察へ行くという話がありまして、その直前に、金額を言いますと二十万です。もう一人の方は百万だと言っておるというのがあると思うのに、何でおまえが少ないんだという話があるかもわかりませんが、二十万、政府・与党関係の方からどうかという話がありました。旅行の直前だったものだから、いやいや、こんなものは私、そんな筋合いじゃありませんし、これはとてもじゃないですから受け取れませんわと言ったけれども、何せ直前ということもありまして、無理にちょくちょく断りますと、やはり旅行も人情で、行きづらいじゃないですか。だから、じゃ、しようがないからとにかく一応預かりますわということでお預かりをしまして、旅行から帰ってまいりました。

 それで、まあしばらく私も悩みに悩んだのです、正直言って。どうしたもんだよな、これはと。世間様というのは、余りしゃくし定規ということもありませんからね。だけれども、やはり国会議員というのは、野党の議員というのは緊張感を持ってやらにゃいかぬ。これはやはりいかぬのではないかということで、悩みに悩んで、しばらくたってからお返ししました。ちゃんと言っておきますけれども、これは誤解されるといかぬから。一時預かって、本当に私はお返ししました。

 こういう事実、私、あるんです。私があるんです、大臣。こういうのを大臣、何か言われておりますけれども、いわゆる官房機密費を野党対策に使ったことがあると言われたようですが、そのことがこのことじゃないんですか。こういうことがそうじゃないんですか。

塩川国務大臣 私は、そんなこと、経験したことございません。やったことはありません。

 それで、河村さんはいつ当選されたんですか。いつから国会議員……。

河村(た)委員 平成五年でしたか、丸八年、三期やっております。

塩川国務大臣 三期。平成五年ですか、それじゃ。私は官房長官をやりましたのは平成元年でございますから、その時分はまだおられなかったですね。

 私は、だから関係ございませんし、私はそんなことした覚えは全然ございません。

河村(た)委員 ということは、大臣が官房長官時代にやったことはないと。

 それから、海外旅行に、余りこういうのはやらないんだけれども、何遍か行かれておられますわね、大臣。当然でございますけれども。その中で、一、二、三、四、五回ぐらい、まあほかにも個人的にはたくさん行かれておると思いますけれども、公的なものだということでございますが、こういうことの中でそういう例は全くなかったですか。

塩川国務大臣 私は、官房長官やっていましたときにはございません。

河村(た)委員 いや、官房長官ではありません。その前といいますか、ちょっとこれはちゃんと調べてきまして、別に私は個人的にこういうことをやるあれはございませんが、四十五年、五十年、五十三年、五十八年、五十八年と行かれておりますね。この期間中のことはどうですか。

塩川国務大臣 その期間中も、私、そういうことはやっておりません。

河村(た)委員 受け取ったこととか、一切こういうことはなかったということでよろしいですか。(発言する者あり)よく覚えておられますよ、そういえば。すばらしい記憶力じゃないですか。どうなっておるんですか、これは一体。

塩川国務大臣 そういう、他人様にせんべつを渡した、そういうことはないということを申し上げておるんです。

河村(た)委員 もらったことはございませんか。

塩川国務大臣 私は、もらったこともございません。

河村(た)委員 いや、もうここまではっきり言われますと、いわゆる週刊誌の話じゃございませんが、国会の答弁と全く違っておりまして、すごい記憶力でございます。しかし、これは一遍、もう一回確認をしたいと思います。このころの確認をするということ。

 それと、委員長、こんなことは慣習でないといいと思いますけれども、私は、相当広く習慣であるのじゃないかというふうに感じております、実は。ですから委員長、それが税金でしたら、これはこの委員会の大変な大きなマターになりますから、ぜひこれを、皆さん、まあ百歩譲れば仮に匿名ででもいいですよ、全員が申告して、申しわけなかった、過去の慣習はと。今後一切やめよう、こういうことはと。そういうふうに、どうぞ委員長、どうですか。

山口委員長 委員長にそういうふうな質問をされても、お答えするあれはありませんので、質問を続行してください。

河村(た)委員 何のために委員長をやっておるんですか。大臣より委員長というのは、国会の委員長ですよ、それなりの、もし、ないならないでいいじゃないですか、みんながないということで申告すれば。どうですか、リードしてやったら。税金の使い道を、とにかく国民に向かって正す最高の責任者ですよ、あなたが。

山口委員長 委員長として、そういうふうな権限というか、やるべき話ではないと思いますが、議員としては、確かにそういったこともお互い正していくという必要もあろうかと思いますので、またその場の、違う場で、いろいろとまた仲間とも話してみたいと思います。委員長として答弁する立場にはないと思います。

河村(た)委員 いや、これはめちゃくちゃな話で、ちょっと理事、例えば委員会でみんなで決めるとか、これは理事会で協議するか、やってくださいよ。これをやらないと、悪いけれども今国民の皆さん疑っているんですよ、みんな。何かおかしいじゃないかと。だから、みんなではっきりしようじゃないですか。ないならないでいいじゃないですか。委員会が主宰してやれば。どうですか、委員長、理事、どうぞ。

山口委員長 ただいまいろいろと相談もさせていただきましたが、民主党さんの方から理事会においてそういうお話があれば、理事会で協議をさせていただきます。

河村(た)委員 そういうことでございましたら、ぜひ、本当に今国会というか国会議員が信頼感がないわけです、正直言って。特にこういう問題が、私は残念ながら慣習としてあるのではないかという気がしております、本当に。

 だから、もうやめたいんだよね、本当にこういうのは。やはり委員会が、国会が緊張感を持っておらにゃいかぬ、与党と野党が。それで、それが、もしせんべつにお金をもらっておるというようなことがあったら、許されぬですよ、やはり。なしならなしでいいじゃないですか。皆さんで明らかにしましょうよ。

 ぜひこのことは、今委員長の発言がありましたので、そういう余り党でどうのこうのだとかじゃなくて、国民に対する責任として必ずやってくださいね。どうですか、委員長。

山口委員長 先ほど話したとおりで、理事会でそういうふうなお話があれば議論をさせていただきたいと思います。

河村(た)委員 議論をさせていただくとか、それだからいかぬのだよ。やはり国会の委員長だったら、国民に向かって、テレビでそのまま国民につながっているわけですよ。やりましょうと言ったらどうですか、それは。

 まあしかし、今話がありましたので、信頼しまして、次のテーマに移りたいと思います。以上の大臣のテーマは、それで終わりでございます。

 次に、いわゆる国税のOBの方が、やめられると税理士さんをやっておられるという話がありまして、私、この話をずっと前からやっております。ちゃんと仕事をやられておるならまだいい。全員ではないと思うが、国税の方もほとんどまじめな方だと思います、しかし、何と、副署長と署長という、いわゆる偉い様というか指定官職というんですか、そういう人たちだけに特別のポストが与えられておる。こんなことはインチキじゃないかということで、そのことについて質問したいと思います。

 まず、前回質問しましたので、そのときに、東京国税局管内でどのくらいの方があっせんを受けて、幾ら収入をもらっているか御報告をいただきたいということで、報告しますと答弁をいただいておりますので、その報告をしていただきたい。それで、その報告の資料をぜひ配らせていただきたいと思います。それに基づいて、若干のところはちょっとフルスピードで答弁をいただきたいと思います。

大武政府参考人 東京国税局の退職職員に対する税理士顧問先あっせんの状況でございます。

 ただいま先生からお話がありました指定官職というのは、署長、副署長並びに特別調査官というような指定された者広くでございます。その方々につきましては、五十八歳でやめるかわりに二年間の退職あっせんというのをさせていただいておりまして、この表でごらんいただきますように、例えば平成十二年では、九十六人の方が退職されて、お亡くなりになったりした等がありまして、九十二人をあっせんさせていただきました。あっせんした方の一人当たりのあっせん件数が十三・三件、これは平均値ですから小数点がついております。それから、調査部所管法人、これが河村先生の御指摘だったんですが、それが四・九件。そして、あっせんした方の一人当たりの年間あっせん額が一千四十八万円ということでございまして、そのうち調査部所管法人分で四百八十五万円、このようになっているということでございます。

河村(た)委員 本当にこれをどう思いますか、大臣。今大変なんですよ、御承知のように中小企業は。税理士さんも大変ですよ。みんな一般の、一般というか国税OBでない方は。国税のOBの、それも偉いさんだけですよ。私はよくだまっておるなと思う、国税庁の指定官職でない人たちが。(発言する者あり)定年まで勤めるって、あと二年で終わるんじゃないんですよ、これは。それならそれで、ちゃんとその分だけ退職金を多くするとか、幾らでも方法はあるんですよ。

 ちょっと趣旨をお伺いしましょうか。なぜ、どういう趣旨でこういうことをやるのか。

村上副大臣 河村委員の御質問にお答えします。

 今、委員、こういうふうに説明があったところですけれども、国税組織もやはり組織をより活性化していくためにいろいろ退職勧奨を行っているわけでありまして、そういうところで、やはり退職後の生活安定を図るためにおいて、退職管理の一環として適法に顧問先のあっせんを行っているというところであります。

 このことは、税務の実務に詳しい退職職員を顧問税理士として招聘したいという企業からのニーズもありますし、また、税理士業を退職職員の多くが希望しているということがありますので、企業のニーズへの的確な対応や、職員による顧問先の自己開拓等の非行防止という点で一定の役割を果たしている、私はそういうふうに考えております。

河村(た)委員 まず、組織の活性化と言っておりますけれども、活性化をこんなことでやるんですか。中でいろいろなことができるじゃないですか。これは一体どうなっておるんですかね。

 それで、まず、どうやって具体的にあっせんしておるのか、ちょっと聞きたいですね。

 ちょっと皆さん、資料を見ていただきますと、いいですか、委員の皆さん、指定官職退職者数のところを見ておりますと、平成九年ぐらいからいきまして、五十人、七十人、九十三人、九十六人、ふえてきていますよね。あっせんした者が五十名ないし、これは大体同じようにいっております。それで、一人当たりのあっせん件数が十三・八ぐらいですから、だから、平成九年から平成十年まで二十人ふえておりますね。二十人で十三・八ですから、これに二十掛けますと二百六十ですか、二百六十社ぐらいふえておるわけです。この不景気のさなかにだよ。どうやってあっせんするんですか。

 まず、あっせんとは何ですか。どうやってあっせんするわけですか。お伺いしましょう。

大武政府参考人 各国税局におきまして、今ございました指定官職に達した方に対して定年退職年齢前に勧奨退職を行っておりますので、その退職職員の生活安定に配慮するということで、具体的には、退職勧奨に応じて職場を去ることになった職員に対して人事担当者が一元的にその意向などを聞き、特技などを聞き、そしてあっせんをしているということでございます。

河村(た)委員 そんなことを聞いておるんじゃないんですよ。どうやって新しいあっせん先を探したかということですね。これは実際にふえているでしょう、不景気のさなかに。どうやってふやしたんですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生がお話しになりましたように、基本的には二年でございますから、二年たった方はかわっていただくということをお願いしております。

 それから、さらに、先生の御主張にもありましたとおり企業ニーズが重要でございます。したがって、そのニーズは尊重せざるを得ないという面はあります。二年でやめてくれと言っても、どうしてもだめだという企業も中にはございます。しかしながら、基本的にはやめていただく。それからさらには、そういうだめだと言って粘っておられた方もお年になりますから、そういう方には、またさらに、今回のように退職者がふえてきているという状況の中では実はそういう方にやめていただいて、そこに紹介するというようなこともございます。

河村(た)委員 いや、要するにあっせんした人がふえているわけでしょう。一人当たりのあっせん件数十四ですから、これは二百何十社ふえているんですよ。

 まず、大体一月幾らぐらいですか、平均顧問料、OBの場合は。

大武政府参考人 二点あります。

 まず、ふえているというのは、実は、退職者が一度、昔すごく多い時代から徐々に減ってまいりまして、今見ていただいている平成八年ごろがボトムなんでございます。そして、徐々にまた退職者がふえていく。これは、おわかりのとおり、現下もそうなんですが、国税職員の定員管理が厳しい時代になると新規採用が採れない、そして大量にやめる時期になると大量に新人社員を採れるという、その繰り返しをしておりまして、そういう意味で波があるというのが一点。

 それから、もう一つの平均でございますが、先回、先生の御質問でありましたように、局によっても違うと思いますが、大体五万円ぐらいではないのかというふうに思っております。

河村(た)委員 まず、退職者に波があると言って、退職者は何かそちらの事情かわかりませんけれども、対象となる会社、今言われたように五万円なら五万円払う会社はふえているわけでしょう。そうだね。

 では、一般の税理士さんは今顧問料は平均幾らぐらいですか。

大武政府参考人 それは一般的には理解しておりませんが、先にちょっと私の説明がまずいといけませんので説明させていただきますが、過去に大量に実はやめている方がいらっしゃって、その方が高齢になっている。その方々がやめる企業があって、企業の側から、うちの先生はもう年だからというので、実はニーズの申し込みがあるということなんでございます。

 むしろ、逆に言いますと、平成八年ごろというのは退職者が非常に少なかったものですから、以後に後継者の方が来ないので、二年を過ぎている人が実はいた。そういう人たちにやめていただくことによって新規の分をしているので、新たに企業の側にお願いしますと言っているわけでも必ずしもないということは御理解いただきたいと思います。

 それからもう一点、今の、一般の税理士さんの顧問料というのは、それこそ、実は今の五万というのもいろいろ幅がございまして、現実に帳簿をつけるところから、税務相談をやるところから、あるいは特に資産税なんかに多いのですが、事業承継といいますか、そういうときだけに出てくる方とかいろいろあるものですから、必ずしも一概には我々つかめておりません。

河村(た)委員 都合が悪いことはわかりませんと言いますけれども、大体三万円だと言われていますよね。それも、やはりもうからぬところがあると値切りますよね、正直言って。

 あっせん税理士さんの場合、五万円を値切られることはありますか。

大武政府参考人 あくまでもニーズでございますので、ニーズに合わない方は、まさにこの間、河村先生の御指摘もあって、優良法人などには、残念ながら一部ニーズと合わなかった方についてはやめていただくということもやらせていただいております。したがって、金額的にも必ずしも一律というわけではございませんで、当然、三万円という方もいらっしゃる、逆に十万円という方もいらっしゃると思います。

河村(た)委員 いずれにしろ、OBの方の方がこれはいいのだよね。大臣、いいのですよ。

 それで、今税理士さんのうちの何割ぐらいがOBの税理士さんですかね。

大武政府参考人 ストックベースといいますか、現在の、税理士を開業している中では四割弱ですが、新規は二五%ぐらいでございます。新たに登録されていく中では七五%はOBではございません。そして、ストックでは四〇ということは、逆に言うと過去が大変税務職員が多かったということかと存じます。

河村(た)委員 四〇%の方がOBの方で、普通の税理士の報酬の倍以上いただいておる。試験も簡単だと。こういうのをできレースというんじゃないの、大臣。本当に民間人の、いろいろ言っているでしょう、構造改革とかなんとかいって。各論でやらなきゃだめですよ。役所天国も甚だしいよ、こんなのは。改革すると言ってくださいよ、大臣。

塩川国務大臣 先ほど来大武次長が言っておりますように、やはり長年税務行政に携わってきた者が、その専門的知識を使いたいという企業もございましょうし、また本人自身といたしましてもその専門的な知識をこれからの高齢化社会で生かしていきたいということもございましょう。

 ですから、問題は、税務署の権限を使って、あるいはまた権力を使って再就職を強引にさせておるということがいかぬ、私はそれはいかぬと思います。しかし、自然な中で就職が行われていくということについては、これはある程度は是認してもいいのではないかと思っております。

河村(た)委員 これはだめだ。だめですわ、悪いけれども大臣。民間の税理士事務所に何十年も勤めて、そういう方が何人おると思いますか。税理士試験通るの大変ですよ。どちらが専門的知識があるのですか、国税庁に長いことおるのと。百歩譲っても、同じと言っていいんじゃないですか。それはそれぞれのノウハウを培っていますよ。そういう人たちは全然そういう光が当たらないのよ。

 それと、税務署の中でも指定官職ということで、そこに行かなかった人たちは全然だめじゃないですか、これは。

 そんなことを政治家の言葉として、具体的にはいいですよ、だけれども、やはりこれは弱い者に厳しい制度じゃないかということが言えないようではだめですよ、これは本当に。もう一回答弁してください。

塩川国務大臣 ですから、私が申しておるのは、税務行政の権限とか権力を使ってやっているということは、私はこれは絶対にいけません。それはやってはいけません。しかし、退職した後、本人が就職をし、あるいは自分で仕事を始めるということに対して、それもけしからぬということは言えないのではないかと思います。

河村(た)委員 権限権限と言いますけれども、権限があるから再就職できるのですよ。とんでもない話ですよ、それは。なぜ民間の人たちが税理士になって顧問税理士先を発掘するのに苦労するのですか。なぜOBの人たちは楽にいくのですか。特に指定官職の人はなぜ楽にいくのですか。それは税務署長だったからじゃないの。税務副署長だったからじゃないの。権限があるから行ったんじゃないですか、大臣。いや、そうなんですよ。そのとおりなんですよ。

村上副大臣 よろしいですか、河村委員。激高なさらないで、冷静に。

 河村委員はそう一方的におっしゃいますけれども、税務職員は、その全員が国税専門官試験また国家公務員の3種試験等に合格して採用された後、税務調査、納税相談等の実務経験や税務大学校における各種の研修を経て、一定の要件を満たした場合に税理士試験においての試験科目の免除が認められておるわけです。

 また、税理士の業務が、納税者を支援し、国民の納税義務の適正な実現を図るための税務に関する専門家としての業務であるのですから、税務職員として十分な税務実務の経験を有する者が有資格となること自体は、税理士制度の運営自体に、実情に沿うものと考えております。

 それで、まだまだ、ちゃんと答弁させてください。

 それから、税理士試験に限らず、弁理士においても公的資格や諸外国において多く見られるところであります。

 そういうことで……(発言する者あり)質問ばかり言わないで、ちゃんと答えさせてくださいよ。(発言する者あり)何言っているんですか。答えるアカウンタビリティーはこちらにあるんですからね。

 委員長、ちょっと静粛にさせてください。

山口委員長 答弁を続けてください。

村上副大臣 だから、民間の税理士事務所の職員の数等につきましては、結局今申したように、一概に判断するということで、均衡を失しているとは私ども考えていません。

河村(た)委員 大臣、ちょっとこれは後で調べてほしいのだけれども、要するに署長、副署長ですね、大体言えば。指定官職という人たちだけに限って年間一千万から二千万。それから、後で聞きますけれども、もっと物すごい収入の人があるのですよ。あっせんしておるのですよ。こういう事実をどう思うかということなので、またぜひそれは省内でしっかり考えていただきたいと思います。

 それで、今ちょっと言いましたけれども、一千万、二千万もそうですけれども、ここ三年間ぐらいさかのぼって、OBの税理士の方で、公示されていますからね、税の額は。公示されておる方で一番多い方はどのぐらいの方がお見えになりますか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 前回の国会で、先生の方から東京局の調査三部長、四部長OBがどういうふうになっているか調べろということを言われまして、それを調査させていただきましたが、その方々に関して言いますと、現在まで、三部長、四部長で退職されて、亡くなられた方は別にすると三十名おられますが、十一年度の所得税の額でいいますと、一千万円、これは所得税額ですけれども、収入ではありませんけれども、所得税額の公示対象になった方は二名というふうになっております。

 実は、今の御質問で、それとそのまま合うかどうかわかりませんが、過去、いわゆるベテランの方で、それこそ局長、地方局長までなられたような方の中に高額な方がおられまして、現在、十一年分の所得税の公示対象となった方は、その方の中、全部で物故者を除きますと二十四名おられますが、そのうち八名。その中には、今御指摘のように五千万円弱の所得税額を払っている方もいらっしゃる、こういうことでございます。これは一人でございますけれども。

河村(た)委員 これは所得税額ですからね。収入すごいのですよ。余りちょっとあれしてはいかぬですけれども。

 それからもう一つ質問は、ニーズにこたえられると言ったけれども、どういうニーズがどういうふうに寄せられるのですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 ただ、誤解がないようにお願いしたいのは、今の、調査部長であれ国税局長であれ、我々があっせんした額とは全く関係ございません。むしろ自力で、ですから、むしろお年の方に多いので、若い方よりも年をとった方に非常にどんどん大きな額が出ているということがございます。このあたりは、直接我々のあっせんしたときのニーズとは関係ない、むしろ、変な話ですけれども週刊誌等で有名になられるとか、そういうことでお客さんの方が集まってくるということが多分あるんだと思います。

 それから、今言われた、それではあっせんというかニーズはどう把握するのかというのは、例えば、法人税の中でもこういうニーズの方とか、そういうのを当然寄せていただいています。したがって、確かに、平均額で先ほど申しましたが、多い方と少ない方がどうしても出てきてしまう。専門分野が非常に限られているような方については、どうしてもあっせん額が少ないということにはなってしまうということはあります。特に現在ですと、国際課税ですとか、調査部の、特に最先端部門にお詳しい税理士さんのニーズが高い、そういう事実はございます。

河村(た)委員 ニーズはどうやって寄せられるんでしょうか。電話がかかってくるんですか。何ですか、これは。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 実は、先ほど来申したように、二年間であっせんを切りますので、うちの行っております税理士はもうやめていただきますというのを申し上げます。そうすると、それでは次にはこういう方が欲しいという御要望を受けるということでございます。

河村(た)委員 新規もあるわけでしょう、新規があるでしょう。

大武政府参考人 個別名ではわかりませんが、それは新しいベンチャー企業とかそういうところではあると思いますが、それは必ずしも、当方がというより、明らかに先方さんから言ってきているケースだと存じます。

 新規という言い方が河村先生の言葉とちょっと違うのですが、むしろ古い、お年寄りの税理士さんがいらっしゃって、退職OBの税理士さんがいて、それがお年だからかえてくれというニーズは結構新たに、従来の方とは別に、あるように聞いております。

河村(た)委員 そうしたらあれですか、かえてくれなり、今ベンチャービジネスも言われましたけれども、そうやって言われて、どこで言われるのですか、それは。

大武政府参考人 それぞれ税務署に来られたり調査部へ来られることもありますけれども、基本的には、各国税局の人事課の方に人事専門官という職種があるのですが、そこの方へ寄せられている、人事課に寄せられているということでございます。

河村(た)委員 寄せられておるということは、電話か何かかかってくるのですか、本当に。では年間何本ぐらいかかっているのですか、一体。

大武政府参考人 それは具体的には私も今データを持っておりませんけれども、ただ、例えば、個別名で変でございますが、私のところへかかってくることもございます。しかし、私はそれは受けませんで、人事課の方へつないで、こういうニーズがあるので、それでは調査してくださいというのを申し上げることはございます。

河村(た)委員 まず、それでは何本ぐらいニーズがあるか調べてくださいね。それは委員長、お願いしますね。

大武政府参考人 それは難しくて、それはどういう形かわかりません。申し上げるならば、基本的には、要するに二年のローテーションの方をやめていただくという形でこちらが申し入れるのはありますが、それ以外というのは、どういう形であるのかわからない。

河村(た)委員 問題は、大臣、税務署の影響力を使っていかぬかどうかということを言っているわけですよ。

 私、何でこんなことまで言うかというと、国家の根本だからですよ、税に対する信頼は。だから、そこにどういうタイミングで税理士さんを紹介してくださいと言って、どういう対応をしているかというのは、極めて大きいですよ。

 それから、OBでない税理士さんにとっても、そのハンディキャップというのはすごいんだから、イコールフッティングでないところが。そうでしょう。だから、ここははっきりしなきゃだめなんですよ。

 だから、何本電話がかかってきて、どういうニーズがあるか、はっきりさせてください。調査してください。新しいところなり、顧問先が変わるところですね、要するに。それからどういう手段でここにアクセスしてくるのか、これをきちっと出してください、次までに。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今も申し上げましたように、それは、例えば何人を先ほど申し上げたようにあっせんしているのかというのは、先生の御指摘で、それこそ数カ月かけて人海戦術で調べましたが、では具体的にどういう形で来ているかというのは、それは来方がいろいろありますので、それこそ把握することは困難だと思います。

 むしろ我々は、先ほども大臣も言われたとおり、個別の、自分でいわゆる退職先をあっせんさせるということは最も危険なことでございますから、むしろ人事課で一元的にそういうのを抑えるという意味もあってやっているという点もぜひ御理解賜りたいと思います。

河村(た)委員 どうやって人事課に話が上がってくるのかを知りたいと言っているのですよ。

 これは、もしだめだったら、ちょっと委員長として言ってください。

大武政府参考人 いろいろなケースがあると思いますが、要は、人事課へは、今申し上げたように、直接人事課に納税者から来る方ももちろんあります。それはあると思います。

 それは、自分の税理士さんを前も人事課からあっせんしてもらったというところはそうだと思うのですが、そうでないところは、税務署に寄せられるケース、あるいは個人的に、知り合いが税務職員にいる場合も、親戚とかでいる場合もあります。そういうのを全部、個人的にあっせんさせないで、何とか一元的に全部人事課に吸収するという格好で努力しているところでございまして、その意味では、どういうとらえ方をするかというのは極めて難しいと存じます。

河村(た)委員 やはり人事課に聞いてください。どういうふうに集まってきますか、本当にこれは。極めて難しいって、簡単じゃないですか、皆さんメモをとられるでしょう。

大武政府参考人 いろいろなケースが多分あると思うので私もストレートにわかりませんけれども、例えば親戚からとかいうのもあるでしょうし、いろいろなものがございます。それはもちろんあります。ですから、そういうようなものを、では、つないだからといって、最初の紹介がだれかというのはわからないのですね。

 したがって、人事課に来た件数であれば、それは当然把握することはできます。

河村(た)委員 今の話、では、依頼があった件数は報告してもらえますね。ちょっと答弁してください。

大武政府参考人 先生の御質問の東京国税局に関して、人事課に依頼のあった件数ということであれば、また人海戦術も含めて調べさせていただきます。

 といいますのは、依頼があっても、実はあっせんしていないケースもある。したがって、そこは、実は切っちゃったようなケースというのはどこまで把握できるのかわからないものですから、かなり難しいところはあると思っております。

河村(た)委員 では、電話か何か知りませんけれども、依頼があって、人事課に回すわけですね。六月まで待ってくださいとか、こうなるわけですか。一年待つわけですね。じっと待ってくれよ、こういうわけですか。

 まず、大体、紹介していいの、そんなこと。本当にいいのですか、そんなことをやって。税理士会に行ってくださいと言うべきじゃないですか。

 税理士というのは、無償独占でしょう。ただでやっても、税務のコンサルティングをやると、税理士をやらなきゃいかぬと決まっておるのですよ。だから税理士の皆さんは、そういうところでみんなでやる。そういうようなためにもあるんじゃないの。そんな、税務署から頼まれたのを私のところの人をどうぞなんて、ばかなことを言うのがあるのか、そんなものは。とんでもないことですよ、そんなことは。

 大臣、どうですか、これを聞いて。答えてくださいよ。

塩川国務大臣 先ほどのやりとりをずっと聞いておりまして、そういうことが現実にあるかもわからぬと私らも思ったりもしますけれども、自分は体験したことはございませんので、この問題についてはなかなか答えにくいことです。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 何であっせんするかというのは、やはり若返りを図るというのは、実際上、現在、新規採用というのは定員管理で非常に激減しておりまして、もし退職勧奨というのをやめますと、三百五十人の方が実はずれてしまう。そうなったときは、やはり優秀な職員を、やる気を起こして仕事をさせるということがどうしても我々としては重要だと思っています。

 そういう意味で、やはりある程度、退職勧奨、五十八歳でやめていただくという以上は、その方々に対する六十までの保障はさせていただきたいと思っているわけでございます。

河村(た)委員 まず大臣、それはやはり大臣ですから、実務派がこう言っているのを聞いて自分として、いろいろな御感想を述べられておるじゃないですか。何十年もやっておられる大先輩ですから、こんな状況を聞いて、もしそれが真実であったらという仮定つきでもいいですよ、それはやはりいかぬのじゃないかというぐらい言ったらどうですか。

塩川国務大臣 いや、それはもう政治的な発言ではなくて、本当に私も一度、国税局関係でございますから国税局の幹部とよく話をし、また、こういう議論が国会であったということは、やはり世間に対しても非常に関心の強いことでございますから、そういうことの弊害はないように私は十分いたしたい。

 そしてまた、そのあっせんということも、いわば、今公務員の天下りということで問題がいろいろ出ておりますね、そういうこととあわせてどういうぐあいにするのか。私は実態を知りません。ですから、まず実態を承知して、そういうことに対する対策等を協議いたします。おっしゃっていることは、もうよくわかりましたから。

河村(た)委員 私も、お年寄りというか高齢者を非常に大事にするタイプでございますので、こんなことを言っちゃいけませんが。ちょっと時間を、そういうことだったらぜひちゃんと調べていただいて、ここはしっかり、やはり政治家としての、これは小泉内閣の性質にかかわることですから、やっていただきたい。

 では、きょうは警察庁が来ておりますので、警察庁に。これは同じようなことがあるんですよ、実は。何で警察庁が来ておるかといったら、税務署と警察、これは用心棒にいいですわね、民間会社からすれば。金とパワーでしょうか。だから、それだけに、ただそういう立場だけですごい権力を持っているんですよ。

 では、退職する以前、定年の直前でここがどういうふうにやっておられるのかということをかなり聞いたんですけれども、職員数、定年退職者数、勧奨退職者数、やはりあるんですよ。あるのかないのか。勧奨はありますね、二年前に。そういうところで、ポイントは、勧奨はいいですよ、あっせんをして、年収一千万とか二千万とか、そういうことをやっておられるのかどうか、この辺がポイントでございますけれども、そこら辺のところをぜひ警察庁にお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 警察職員の再就職の問題でございますけれども、これは、今御議論ございましたように、退職後における生活上の問題というのが一つございます。それから、在職中に後顧の憂いなく、いろいろなことをしないで職務に専念することができるかどうか、こういったような観点からこの問題に対処しているわけでございます。

 警察官の再就職につきましては、在職中に培われた知識とか経験というものが再就職の求めがある団体とか会社等の業務に本当に貢献できるのかどうか、もう一つは、そういうところへ再就職することによって、警察行政の公平性という観点から問題が生じないのかどうか、こういったようなことを考えながら、再就職に関する相談とか問い合わせが各企業等からありましたときに、適任と思われる人材を紹介する、こういうことはいたしております。

 警視庁の例、警察官の例について人数等について申し上げますと、平成十二年度におきましては、警察官の条例定数が四万一千六百四十人余りでございますけれども、定年退職者数が約五百六十人、それから勧奨退職者数が四百三十人。その他の退職者数というのがございます。これは、自己都合、あるいは病気で亡くなるとか、そういったような退職者がございますが、これが三百十人で、約千三百人が一年間に退職をされております。

 それで、定年退職時の平均給与が、これは全くの平均でございますが、約四十九万円で、退職金が、これも全くの平均でございますが、定年退職の場合は三千百万円ぐらいになっている。地方警察官でございますから、地方公務員でございます。

 そして、警視庁において把握をしております主な再就職先でございますけれども、いわゆる外郭団体、これは例えば自警会というような互助組織がございます。そういったような外郭団体に約二百人、警備業に約五十人、それから金融業に約二十人といったようなものが主なものでございまして、このほか、交番相談員といったようなことで、退職後再雇用をいたしまして非常勤職員としてやるといったような方が約二百六十人ぐらいおられる、こういうようなことでございます。

河村(た)委員 これはまた先でやりますけれども、要は、警察の場合は、税務署のように、毎月五万か十万か知りませんけれども、こうやってシステムのように再就職をあっせんするというのはあるのかないのか、どっちですか。

石川政府参考人 これは、署長でやめたとか署の署員でやめたとかそういうこととは特に関係ないわけでありますが、雇用したいということで希望をしてまいられる企業がどういうことでこの職員を活用したいと思っているか、これによるわけでございます。

 例えば、署長とかそういう組織管理をやった者については危機管理について指導をしてもらいたいとか、あるいは刑事をやったりなんなりしたという人については実働としてやってもらいたい、こういったようなことでございまして、特に決めて、定期的に何か定数を決めたりなんかしてやっているといったようなやり方は、警察の場合は、各地方それぞれでございますけれども、余り聞いておりません。

河村(た)委員 時間がないので、これでわかったのは、警察はそういうシステム的なのがないということでしょうか。税務署は強烈なシステムがあるということですね。

 これが、国税に言わせれば、権限が強いのでこうやってやらぬと乱用のおそれがあるというんだったら、これは警察も同じだよねということだと思います。だから、この問題はまた今後さらに深めてまいりたいと思っております。

 それで、先ほどのところにまた戻りますが、やはりここが中核なんですよ、どうやって新しい顧問先を発掘するか。何遍もくどいですけれども。

 皆さんのところに電話かなんかで話があるわけね。それで国税庁に振るんですね、人事部に。こういう話があったよと振るんですか。振って、国税庁がそれをプールしておいて、どかんといくわけですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 実は、国税庁というのはこれに関しては全く関知しておりません。むしろ国税局でございます。その国税局の人事課にいわば集約させる努力をしてきました。というのは、やみあっせんといいますか、やめるときに、万が一関係者、自分のいわゆる関係した人、そこへ行ったようなケースというのを何とかして抑えたいということもございましたから、すべて人事課に一元化するということで、いわばあっせんというのはやらせていただいてきた、こういうことでございます。

河村(た)委員 やはり再度頼みますけれども、どういう段取りでそういう依頼があったかはぜひ報告をしてください。

 なぜかといったら、税務署に、例えばですよ、本当にあるかどうか知りませんけれども、私はこういう仕事をやっていますが貿易関係の仕事をやるようになりました、関税の実務に強いOBさんを紹介してくださいなんて、本当に言うんですか、そんなことを。そんな人がおるんですか、本当に。自分で電話をかけてくるような人が一体これは本当におるんですか。

大武政府参考人 それではお答えさせていただきます。

 個別の例でいいますと、私のところへかかってきた例でいえば、自分の顧問税理士さんが大変お年になってしまったので、その方はもう、とてもじゃないけれども長くお務めになれない、したがってだれかいい人はいないかというお問い合わせがあって、それは、ある場合は実は日本税理士会につないだのもございます。しかし一方で、退職、うちの職員がいいと言われた方については、人事課の方へ一元的にお回しをした、私の知り合いを紹介するということはしない、こういうことでございます。

河村(た)委員 そうしたら、問い合わせがあったときにどのぐらいを、まず、照会があったのに自分のところで、自分のところのOBなんか、そこを専門に入れていたらインチキですよ、それは。とんでもないことだよ、それは。これはわかりますか、大臣。そうでしょう。

 僕は何が言いたいかというと、そんな相談する人なんて、ほとんどいないはずなんですよ。この不景気のときに何百件もふえているんだから。下手したら、何か調査に行かれたときとかそういうときに、例えばこれだけ修正していただかなきゃならぬとかいう話があるじゃないですか。そういうときに、そこのところでやっておるのじゃないのと。そういうことが非常に疑わしいのですよ。もしそうだったら、いかぬと思われるでしょう、大臣。そういうときにあっせんしておられれば。どうですか、大臣、これは。

塩川国務大臣 ですから、先ほども申しましたように、そういう実態があるのかどうかということについて、私は国税庁の幹部と、調べて御報告いたします。

河村(た)委員 わかりました。それじゃ、しっかりこれは御報告をいただきまして、まず二つぐらいありますね。本当に自主的に来た場合。その場合でも、必ずやはり税理士会に取り次ぐべきだと私は思います。自分のところのを出して、インチキじゃないですか、そんなものは。とんでもない話ですよ。

 それから、今言ったように、いろいろな調査の現場とか、そういうところでそういうことを行っていないかということですよ。そこをやはり次は、大臣に御答弁いただきましたので、しっかり報告書をつくっていただきたいと思います。

 では、この問題はこれにしまして、あと十分ですからもう一つ、皆さんのお手元に資料が届いております、この納税者番号の問題をひとつやりたいと思います。

 資料が配ってあると思います。これですね。表のページ、これは国税庁のこの間の電子申告のページですが、間違いございませんね、これは。

大武政府参考人 間違いございません。この表の方がそうでございます。

河村(た)委員 ここは、電子申告実験整理番号と、委員の皆さん、ありますね。これは十一けたなんですよ。一、二、三、四、五、六、七、八、九、〇、一と、十一けたになっていますね。これをぺらっとめくっていただけますか。ここに出てくるのは、これはいわゆる所得税の確定申告書ですね。ここのところに、納税者整理番号とよく言いますが、番号がついております。これは八けたなんですよ、こちらの番号は。わかりますか。

 何が言いたいかといいますと、八けたというとどれだけ付番できるかといいますと、一、十、百、千、万、十万、百万、千万、九千九百九十九万九千九百九十九人、八けたで実は付番できるということですね。十一けたというのは、自民党の皆さんが多分誤解されておった口だろうと思いますけれども、私は自由主義者として非常に残念なんですけれども、おととしの八月十三日、日本最悪の法律、日本国民全員にだれとも重複しない番号を付番するいわゆる国民総背番号、これが残念ながら、私ども民主党は反対しましたけれども、通りました。それが、十けただといっておったのが今十一けたになって、その番号なんです。

 納税者番号にいわゆる背番号を使う、背番号を納税者番号に使うということは、これは法律で禁じられておりますね。どうですか。

尾原政府参考人 先般、住民基本台帳法の一部を改正する法律で住民票コードができたわけでございますが、その中では、いわゆる一般的な民間の機関は対象外、使ってはいけないということになっておりますし、また公的部門も限定されているわけでございます。

 したがいまして、この納税者番号制度といいますのは、くどくどと申し上げませんが、各種の取引をしたとき、いわゆる民間の取引の相手方にもその番号を告知することになりますから、この現行制度の住民票コードは、仮に納税者番号制度を導入しようということになりましても、このままでは使用することはできない、こういうことでございます。

河村(た)委員 違法ですね、使えば。

尾原政府参考人 これは、納税者番号制度を導入するという合意ができ、その番号制度として住民票コードを使うのが合理的だという仮に判断がなされても、現行の住民基本台帳法を改正しない限り利用できないということでございます。

河村(た)委員 それでは、なぜこの電子申告の番号が十一けたになったのでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 住民基本台帳番号とは全く関係がございません。本年実施させていただいた実験の整理番号というのは、パスワードとともに受付システムのアクセス権限の確認のキーとなるもので、実験参加者以外の方による受付システムへの侵入を防ぐ。あるいは、可能な限り多いけた数とすることが望ましい。その一方で、余りにも多過ぎては納税者の利便が損なわれるという意味で、そういう意味での実験として、例えば実験参加者を個人、法人、税理士の別で一けたとりました。あと、連番あるいはランダムな付番から成る一連番号として九けた、それから、チェックデジットといいまして、誤りを検出するための一けたを入れまして、それで結果として十一けたになったというものでございます。

河村(た)委員 うそを言っちゃいかぬのですよ。そんな、偶然結果として同じになったなんて、だれが信じますか、そんなこと。悪いけれども、こればかりじゃなくて今の政府でやっているe―Japan計画ですか、それでも、使ってはいけないというはずだったのに、どんどん使っているのですよ、これは。

 十一けたが全部番号になるのじゃないと思いますよ、私は。十一けたですと、一、十、百、千、万、十万、百万、千万、一億、十億、百億ですか、九百九十九億人、付番できるようになっちゃうのですよ。だから、実態は、国民総背番号もその中の幾つかは、例えば大蔵ならこういうふうに使ってと、こうなるわけですよ。

 そういう意図があったのでしょう、これは。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 全くございません。

河村(た)委員 うそを言わぬでくださいよ。そんなばかな。だれが信じますか、そんなこと。たまたま十一けたになったのですか、では。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生に御指摘いただいて、住民基本台帳の方を調べてみましたら、確かに十一けたでしたが、あちらは、何かランダムな十けたと一けたを足して十一だそうでございます。したがって、基本的仕組みも、中身としても違っているのじゃないかと思います。

河村(た)委員 前大臣の宮澤さんはどう答えられたか、御記憶ですかね。この納税者番号と背番号の関係。

尾原政府参考人 宮澤大臣からは、国民から受け入れられるかどうかということについては議論が半ばしているように、私は毎度議論しておられますことも存じておりますので、そういうことであると、私自身もなかなか踏み切れないというのがただいまの気持ちでございます、こういう御答弁です。

河村(た)委員 納番もそういうふうに御慎重ですけれども、それプラス、この背番号、改正基本台帳は使わせないとはっきりと御答弁されていますよ。「私が大臣であります限り、自分の納得していないものは国会にお願いをするつもりはありません。」ということで。

 だから、ここはひとつ、申しわけないけれども信じられぬ、私は。たまたまなったとか、こんな話は。なぜかというと、全国民に番号がつくことを、ああそうですかと、たまたまという話は信じられませんので、これはひとつ担当者、この番号をこういうふうに電子申告でやろうといった担当者を、ぜひ証人で呼んでください。こういうことをやらぬから、国会は信頼をなくすのですよ。堂々とやればいいのです、堂々と証人で。もし大武さんがそうだったら、堂々としゃべってください、そういって。

 私は、どう考えても、悪いけれども世の中にたまたまというのはないのですよ。それから、国税庁がそんな、たまたまやるはずがない、そんなのは。だから、僕は意識してやったのだと思いますよ、僕は思っているのだから、どうですか、証人を呼んでいただいてやらないかぬ、これは。委員長。

山口委員長 理事会で御協議させていただきます。

河村(た)委員 時間でございますので、これで終わりますけれども、とにかく税というのは、税の信頼は何といってもすべての国家の中核でございますので、ぜひしっかりやっていただきたい。

 以上でございます。ありがとうございました。

山口委員長 松本剛明君。

松本(剛)委員 強烈な先輩の後というのはやりにくいわけでありますが、私で最後でございますので、和やかに夕べを迎えたいというふうに思います。

 財務大臣とは私も決算行政監視委員会から御一緒させていただいておりましたので、朝九時半からずっと御一緒させていただいておりまして、そんな話をしておりましたら、若い女性には、松本さんも塩じいの追っかけですか、こう言われたわけでありますけれども、結果としてそうなっているわけであります。

 この税理士制度、やはり納税の根幹にかかわるというところは今河村委員からもお話をさせていただいたとおりだろうというふうに思います。きょうはそのことが主な議題ではないのでありますけれども、やはり納税ということになれば、税をどう使われたかということの話になってくると思いますし、そこで国民の信頼をきちっと得なければならないということになると思います。

 敬愛する塩川大臣にこういうことを申し上げなくてはいけないのは非常に残念でありますが、やはり税の一つの使い道である報償費について、最初はお忘れになった、その次は錯覚であったというのは、大変残念なことであります。過去と決別をするということがまさに改革の断行であろうというふうに思います。過去がどうであったかということをまさに先頭になって明らかにしていただくことが、新たな一歩を踏み出すことになるのではないかということを、ぜひひとつ冒頭にお願いを申し上げて、本題の税理士法改正という話に入らせていただきたいと思います。もし御所見があれば、あわせて後ほど御回答いただけたらというふうに思います。

 今も話が続いておりましたけれども、税理士の使命ということで税理士法の第一条に記載をされているわけであります。もう重ねて読み上げることはいたしませんが、「独立した公正な立場において」というふうに言葉が入っているわけでありまして、私も、今の河村委員との議論を聞いておりまして、税務当局があっせんをするということそのものが適当なのかどうかということも含めて、将来のあり姿をぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。

 直接の天下りではないわけでありますが、大臣も先ほど天下りについて付言をされましたように、天下りに類するものというふうに一般国民の感情からすれば感じ取れるものではないかと思いますし、総理は代表質問での御答弁において、押しつけ型であったり、権限にかかわるような天下り、そしてそう思われるような天下りも国民の批判を受けるものである、こういうふうにおっしゃっておられたように記憶をいたしております。まさにこれから信頼を回復しなければいけないということであれば、李下に冠を正さずということで、できるだけそういった誤解を招くといったようなことからどんどんやめていただくということが必要ではないかというふうに思います。

 そういった中で、この税理士の制度、これは日野先生からの質問の中にもありました、税務署の側なのか、国民の側なのか、その間にある。これが「独立した公正な立場において」という表現にあらわれているのだろうというふうに理解をしておりますが、一つ間違えれば、非常に微妙な真ん中に立っていただいている、それだけに、使命も大きいし、責任も大きいということであろうと思います。

 今次改正に当たって、この税理士制度、根本的にどういうふうにこの位置づけをとらえられてこの改正に臨まれたのか、大臣の御所見をまずお伺いをさせていただきたいと思います。

塩川国務大臣 最初に松本さんのお話もございました、税金の、徴収するだけじゃなくて使い方についてやはり国民が納得するように厳正にやれということでございまして、私たちも常時これは心がけてやっていきたいと思っておりまして、その点につきましての御忠告は十分に認識して執行をやっていきたいと思っております。

 さて、お尋ねの問題の、税理士がどういうスタンスでやるか、位置づけということの問題でございますが、税理士法一条に書いてありますように、先ほど日野さんからの御質問がございました、まさにそのとおりでございまして、厳正で中立でなければならぬ。それは要するに、税理士の倫理規定はそうだと思うのであります。

 しかしながら、税理士のスタンスとして見ました場合には、やはり納税者の側に立って、できるだけ税法上の解釈も納税者に有利になるように解釈していくという、これは弁護士が法廷闘争の中において、被告の者に対する、依頼者に対して有利に働くようにというか考慮するようにするのとちょうど同じスタンスだろう。弁護士さんも、あくまでも公正中立で法律を運営しなきゃならぬ、しかしそういうスタンスであるということは利便を提供する上においても同様であろうと私は思いまして、要するに、納税者の側に立った解釈をしながら、納税者に違法なことを強要しない意味においてでき得る限りの利便を図ってあげるということが、税理士の使命であり、また立場であろうと思っております。

松本(剛)委員 まさに、おっしゃった公的な使命といったことを含めて、厳に運用されなければならないというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、今のあっせんのことも含めて、税理士会という法定の制度もあるわけでありますので、これから本当に、そういった国税当局が関与をするという形のことも含めて、あり方をきちんと見直していただくということをお願い申し上げたいと思います。

 さてそこで、公的な使命を帯びているという中で、今回の改正にも関連をしておりますけれども、政府がお進めをいただく規制改革の推進という中で、この業務独占の資格制度、税理士の制度も規制緩和、規制改革の対象ということになっているように私も理解をしております。幾つかの点について規制改革の措置をとるようにという形で計画の中に記載をされている、このように思うわけであります。

 そしてまた、小泉内閣においては、民間でできるものは民間で、こういうお話があって、この考え方そのものは厳に貫いていただくべき大変重要な話だろうというふうに思うわけでありますが、今もお話にあったように、税理士の制度というものそのものが大変公的な使命を帯びているということを考えたときに、この規制改革といったものが何を対象にしていくべきなのか。そしてまた、公的な使命を帯びている部分というのを民間の市場原理の競争といったものに本当に任せていいものなのだろうか。そこにはむしろ、公的にきちっとした責任をとって、責任を明示するという形をとる必要がある部分もあるのではないだろうか。

 規制緩和という言葉が規制改革という形で最近は言われるようになってきた分だけ、若干冷静な議論ができるようになってきたのではないかというふうに思いますが、改革すべきもの、緩和すべきものはきちっと緩和をしていきながら、しかし逆に、公的な使命を帯びているものを市場原理に任せているような姿だけをとるというのは、むしろかえって責任がはっきりしないのではないかというふうに思います。

 この規制改革の推進に対する政府の考え方、そして、その中でこの税理士制度をどういうふうに考えていかれるのか、お尋ねをいたしたいと思います。

村上副大臣 松本委員も御高承のように、そもそも平成十二年の三月三十一日に閣議決定された規制緩和三カ年計画ということから、こういう公的資格制度のあり方について所要措置を講ずるということであるわけですね。特に個々の改正事項については、やはり今おっしゃられるように高い公共的使命を踏まえつつ、納税者の利便性の向上に資する信頼される税理士制度の確立を目指すという観点から、その必要性、意義等を十分に検討した上で、補佐人制度、受験資格要件の見直し、報酬規定のあり方、そして法人制度の創設ということで今回提案させていただいております。

塩川国務大臣 松本さんの懸念しておられる中で非常に大事な問題があると思うのですが、規制緩和をして税理士の業務範囲も広げ、そしてまた従事する税理士の方もふやしていく、これはやはり社会的に必要だろうと今思っております。税務申告等が非常に複雑になってまいりましたので。

 そこで、一番大事なことは、税理士さんの質を落としたらいかぬということなんです。だから、法廷におきましての補佐人の制度も開きました。けれども、それだけに絶えず研修をして質を向上してもらうということが大事なんです。ですから、この税理士制度の改正をすると同時に、私たちといたしましても、今後は、やはり税理士さんの研修について税理士連合会、そういう団体との間で十分協議をして、その実効をとっていきたい、それによって本当に納税者には便利で有力な支援者となってもらえるようにしたい、こう思っております。

松本(剛)委員 大臣からも御答弁をいただきました。今まさに大臣おっしゃられたとおりなのかもしれません。この税理士の制度というのは、納税者の信頼をかち得るかどうかということの大きな分かれ道であろうというふうに思います。私たち民主党も、市場原理の中で運用されるということが大変重要だということをすべての経済構造の中で申し上げてきたわけでありまして、市場原理でない形でやるということについては、適正な運用をするということに関しては非常に難しい問題があるだろうというふうに思います。

 しかし一方で、今お話をさせていただいたように、公的な使命を帯びている、また納税という国の根幹にかかわる部分については、必ずしも市場原理という形になじむのかどうかということを考えなくてはいけない。それだけに、管轄をされる財務省、そして現場に当たられる国税庁、国税局の責務は大変重いということを十分に御認識いただいて、これから新たな仕組みにお取り組みをいただきたいと思います。

 そこで、昨年の十一月に税務行政監察結果というのが出てきております。ことしから政策評価というのが始まり、四月の一日から情報公開というのが始まってまいりました。改革の中身という意味で個別の政策についても大変重要であろうというふうに思いますけれども、この政策評価と情報公開の仕組みというものがきちっと運用されることが、これから先を長い目で見ていったときに、この国の行政を適正に運用していくに当たって大変大きなポイントになると私は考えております。

 そして同時に、この政策評価と情報公開というのに加えて、この行政の監察、これをだれがやるのかというのを、まだこれから制度をつくる中では議論の余地があると私も思っておりますが、とりあえず今行われている行政監察の結果だけでもかなりの指摘事項が出ているように見受けました。

 勧告要旨としても、例えば、納税者の適正な申告に必要な法令の解釈や適用の指針についてできる限り明定を行うこと、また、質疑応答等の内容の公表を拡充するとともに将来的には納税者が帳簿等の具体的な資料を提示してといったように、勧告、これはもうポイントだけでもかなりこれだけ具体的なことが出てきているわけでありまして、具体的な勧告内容については相当いろいろな指摘が出てきておるように拝見をいたしました。

 個々の内容について、当然速やかに措置をとれるものについてはおとりをいただいているものというふうに考えておりますが、今申し上げた政策評価の中で、これから政策評価実施計画というのを、これは財務省の方でもこれだけ立派なものをおつくりいただいております。この中で、税に関する部分についても幾つか記載があるわけであります。国税庁については、この実施計画を現在策定をされておられて、六月ないし七月でしょうか、提出をされるというふうにお聞きをしたわけでありますけれども、当然、この監察結果というのをきちっとフィードバックしていただいておつくりいただきたい。国税庁の中でかなりお書き込みをいただけるのかもしれませんが、これを見る限りは、残念ながら、適正な法の適用を図ることとか、これは当たり前の話でありまして、個々の具体的なことについて目標を定め、実現を図っていくという形でお進めをいただきたい、このように思うわけであります。

 この財務省の実施計画策定に当たって監察結果をどのように反映されたのか、そして、国税庁の実施計画を策定されるに当たってどういう形で監察結果を反映されようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御質問のございました行政監察結果を反映するというところにつきましては、昨年の十一月の勧告を真摯に受けとめまして、実は五月の十日に、総務省に対して、すべての事項について既に所要の措置を講じて、勧告に対する回答を行わせていただきました。

 したがいまして、それらを踏まえまして、現在、実施評価の計画書をつくっておりますが、それに盛り込むことを検討しておりますのは、例えば法令解釈及び適用指針の通達への明確化ですとか、法令解釈通達の公表割合の向上とか、そうしたものを織り込んで策定していきたいというふうに考えているところでございます。

松本(剛)委員 ぜひこの監察結果をきちっと踏まえて計画をおつくりいただいて、そしてこれはまた大臣、副大臣にお願いを申し上げたいと思いますが、評価の計画をつくって、この結果をまたきちっと御報告を国会にもいただいてやっていくという形で、行政の適正な運用を図っていただくようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 個々の法案改正の中身について幾つかお伺いをしていきたいというふうに思います。

 既に出てきた論点もあるわけでありますけれども、行政改革の観点として、一つは効率化という観点もこれまた重要ではないかというふうに思います。今回の改正の中で、これは大変議論の分かれるところであるようでありますが、税理士の書面の添付ということについてどう取り扱っていくのか、こういうことで、意見聴取制度を拡充するという方向でお進めいただいているというふうに理解をしております。

 これによって、税務行政がやはり効率化をされるという理解でよろしいんでしょうか。いわば税理士に税務当局の負担を分担していただくという形になるという理解でよろしいのか。分担ということによって、行政が効率化をされる、分担される税理士の責任はきちっと重いものになるというふうに思うわけでありますが、その辺の担保も含め、それであればどのぐらいそれによって行政の負担が効率化されて、我々国民の負担は軽減をされるのか、どんなお見通しをお立ていただいているのか、お聞きをしたいと思います。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 この書面添付制度自体、税理士が申告書の調製方法を明らかにするということを通して正確な申告書の作成、提出に資するということですから、税務当局もそれを尊重して、税務執行の円滑化、簡素化を図るということになることは事実でございます。

 ただ、これ自体、今回の改正も含めてですがこの書面添付自体は、やはり税務に関する専門家としての立場を尊重して付与された税理士の権利の一つでございまして、ある意味でいいますと、税理士に対して意見を申述する機会は与えますけれども、それではそのまま、調査をするしないということは、それが事実と確認をした結果合わないということであれば、やはり調査をするということでございます。

 したがいまして、この制度自体、あくまでも結果として、ある意味でいえば税務の行政が円滑化、簡素化になるということはございますけれども、基本としては、税理士の権限を強化したということであって、税務当局の事務を分担させるということを目的としたものではないという点は御理解いただきたいと存じます。

松本(剛)委員 この政策評価実施計画の中で、税理士制度の運用というところで、書面の添付率というのが実績目標というので上がっているわけでありますけれども、こういったことを考えると、そういう目的も十分に含まれているというふうに理解をするわけでありますが、その点は。

 そしてまた、税理士法第三十三条の二に係る書面の添付率というのを、税理士業務の適正な運営の確保に係る一つの指標ということでお使いになるということでお出しをいただいております。現状については、参議院の答弁ではたしか〇・六%といったような数字が上がっていたように記憶をしておりますが、指標としてお使いになる、そしてまた政策評価の中でお出しになるとすれば、これは今年度の目標とか、今後の将来の目標とかいうものを設定されてしかるべきだというふうに思いますが、どのようにお考えになっておりますでしょうか。

大武政府参考人 今先生が御指摘になりました〇・六というのは、実は平成四年度のデータによるものでございまして、実は直近のデータが把握できておりません。このあたりはできるだけ把握したいと思っておりますが、いずれにしても、現在でも計算事項等を記載した書面の添付はなおわずかであろう、少数であろうと思っています。

 今回の改正を通しまして、書面添付の正確な数値を把握した上で、これをまさにもとにしまして具体的な目標数値の設定をぜひ検討していきたい。これ自体は、やはり税理士さんという専門家としての立場を尊重し、書面添付制度を推進する一つの指標だと存じますので、何らかの目標を将来的に立てていきたいというふうに思っております。

 ただ、現状は、一体今がどうなっているかもわかっておらないものですから、その辺を調べた上で定めていきたいというふうに思っております。

松本(剛)委員 先ほども、河村委員がお願いをした調査で人海戦術という話がありまして、これも人海戦術になるのかどうかわかりませんけれども、これは財務省の方でお出しになった書類で、指標ということでお出しをいただいておるわけでありますから、きちっとやはり現状を把握していただいて目標設定をしていただかないと、この政策評価そのものの信頼性といったものが、とりあえず出しただけかということにもなりかねないわけでありますので、早急にこれは現状把握、目標設定というのをしていただいて、追加でも御公表をいただかないと、この十三年度の実施計画そのもの、これは国税庁の中でお記しをいただくのであればそれで結構でありますが、申し上げたように、政策評価というものに対するお取り組みの姿勢というのが問われることになってくるというふうに思っております。

 大変残念ですけれども、今情報公開についても、必ずしも積極的な開示姿勢、これは一遍に来たという御事情もあろうかというふうに思いますけれども、開示の実績というのは決して自慢できるような実績の状況ではないわけでありますし、この政策評価についても、大変立派なものができ上がっているわけですが、一つ一つお聞きをするとこういうことであると、本当にどういう姿勢でお取り組みをいただくのかな、こういうことが問われると思いますので、早急に、きちっと内容も伴ったものにしていただくようにお願いをしたいと思います。

 今のことも関連をしてくるわけでありますが、この書面の添付ということ、納税に当たって税理士さんにどういう形で、またどの程度関与をしていただくかという話につながってこようかというふうに思います。

 納税事務の適正な実現を図ることを使命とする税理士ということでありますから、適正な納税が一層促進をされるためには、ある意味では税理士の方々に大いに活躍をしていただかなければいけないということにもなろうかというふうに思うわけでありますが、現在、この申告に対して税理士さんがどの程度関与をしているのかというのを把握されておられるでしょうか。

 これは、申告代理また納税相談、さまざまな形があろうかというふうに思いますし、当然税目についても、法人税、所得税、資産税、消費税と各税目の申告もあろうかというふうに思いますけれども、この点については、現状を把握していただいて、こういう形でこれから将来のあり姿を考えるという形でいかないと議論にならないかと思いますが、いかがでしょうか。

大武政府参考人 申告書に税理士さんが関与をした場合と、そうでないような関与というのもあるように思います。その意味で、実は、現状では正確な関与割合というのは把握しておりません。ただ、先生が言われますとおり、公共的使命を有する税理士の納税者への関与割合の実態把握をすることは非常に必要なことだと思いますので、今後検討していきたいというふうに思っています。

 ただ、そのあたりのところにつきましては、関与の程度というのがどのぐらいであるのか。先ほどの書面添付をするような場合はかなり深い関与だろうと思うのですが、いろいろあるものですから、それをどうとらえていくか、非常に難しい問題はあろうかと思います。ただ、いずれにせよ検討していきたいと思っています。

松本(剛)委員 御検討いただくということでありますので、ぜひ前向きにお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 ちなみに、私が手元でいろいろいただいた数字を見てみますと、これはちょっと年次がずれていますので単純に割り算をしていいかどうかわかりませんが、申告納税をされた個人の方というのが、十一年ですか、七百四十万。過去何年間かを見てもそれほど極端に増減をしているようには見えないわけです。一方で、これは大分前の数字ですけれども、平成五年の日本税理士会連合会さんのお調べだったと思いますが、個人の所得申告について五十五万件について関与をしたというような数字が出ていたように拝見をいたしました。また、法人についても、年次がずれていることは先ほどと同様でありますが、二百六十八万件の申告に対して七十九万件。

 個人については、これは一割以下ということになろうかというふうに思いますし、法人については三分の一から四分の一強ということになろうかというふうに思いますが、この数字については、高いとお考えになっているか低いとお考えになっているか、どのように評価をされておられますでしょうか。

大武政府参考人 今言われた数字というのは、どう評価するかというのは私どもまだはっきり申し上げられませんが、ただ、要は、納税者も、例えば一口に事業所得者といいましても、一人でやっておられる八百屋さんから、多々ございます。そういう意味では、果たして事業形態として、七百四十万のうち今先生の言われた五十五万なり、その程度の数字が妥当かどうかというあたりは、ちょっとわからないわけです。

 ただ、法人などについては、よりこれから、言ってみますと企業会計が複雑化してきているものですから、かなり税理士さんの関与というのが必要になる可能性はあるのかな。特に、零細法人の場合はともかくとして、かなり国際的な企業をやるということになってまいりますと、そうした企業会計に対応した税務処理というのも必要になってきますので、やはりそのあたりの税理士さんの関与というのはふえていく傾向にあるのではないかというふうに思う次第でございます。

 他方、我々としましては、事業所得者に対しても、自分で申告書をつくれるようにという指導も進めていきたい。典型的には、まだサラリーマンとかそういう方が主体ですけれども、機械を使った申告というのもできるだけ簡便にしていきたいという努力は他方ではしていきつつ、高度な事務に関しては税理士さんの関与をお願いしていきたいというふうに思う次第であります。

松本(剛)委員 先ほどの現状把握とあわせて、税理士制度というのを納税全体の枠組みの中でどのように位置づけていくのか。先ほどの自書申告の推奨ということも含めて、その場その場ということではなくて、一度現状をきちっと調査をしていただいて、全体としてどういう形で税理士制度を位置づけていくのかということを、今回の改正まで二十一年間あったわけでありますが、また次二十一年間ということでは多分ぐあいが悪いというふうに思います。常に次のあり姿というのをきちっと考えていただいてお進めをいただきたいというふうに思います。

 持ち時間ももう余りなくなりましたが、ITに対する取り組みということも、これは政府全体でお取り組みをいただいているというふうに理解をしております。先ほども、たしか竹下先生のとき、また河村先生もこれに関する質問をされておられたように思いますが、そして、既に一度実験をされたということで、実験の結果もちょうだいをしたわけであります。

 セキュリティーや認証、そして電子署名の問題、また実際にそれだけの数値データというのを送るときの技術的な問題、システムの受け皿、さまざまな課題があろうかというふうに思うわけでありますが、先ほどの原点に戻って、税理士というもの、基本的には納税は国税当局に対して納税者が直接行う、間に入れるのは税理士だけだというのが今の姿だというふうに理解をしているわけでありますが、この電子申告といった場合に、民間の認証機関といったものも含めて、いろいろな形で間に介在をされる存在が出てくる可能性があると思うのです。この辺の可能性と税理士制度の仕組みについてどういうふうにお考えをいただいているのか、お尋ねを申し上げたいと思います。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 日本の場合には、税理士法の第二条で、税務相談並びに税務申告というのが、本人もしくは税理士ということで無償独占規定になっているわけでございます。そして、この電子申告というのも、この税務申告の一環としてとらえることができるものですから、今先生の御質問で答えますならば、電子申告においても、本人にかわって税理士か本人がデータの送信、作成をすることになるということかと存じております。

松本(剛)委員 そうすると、ほかの形での仲介とか、間に介在するということは基本的には認めないということでよろしいわけでしょうか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど前先生のところで申し上げたのですが、電子申告研究会というところでは、そのような意見でいわばまとめられております。あくまでも電子申告の方法は、いわゆる仲介者を設けず、納税者が直接送信する方法を基本、税理士を通じて申告することも可能、こういう位置づけになっているところでございます。

松本(剛)委員 インターネットというものの構造的な仕組みであったり、またコンピューターソフトといったものがかなり技術的だということを考えると、幾つか新しいパターンが出てくる可能性があるというふうに思っております。

 その点を具体化していく中で、今回は実験でありますから件数がかなり少ない。そして、率直に申し上げて、かなり丁寧にいろいろな形でフォローしているということで、これは個別にできるわけでありますが、これを広く一般に広げていったときにいろいろな形が出てくると思います。きちっとその辺、今回の税理士制度の趣旨とあわせてお願いをしたいと思います。

 時間がなくなりましたが、最後に一点、技術的な話ですが、確認だけさせていただきたいと思います。

 この十九条の中で、今回の改正で帳簿等、また税理士会の名簿ですか、磁気ディスクで調製をすることができるというふうになっております。これに準ずる記憶装置というのもありますが、この中でもパソコン等をお使いになる方はぴんとこられると思いますが、当初検討された三年前、四年前は磁気ディスクが主流であったかもしれませんが、今はほとんど光学式の記憶装置という形になるというふうに思います。

 このことのためだけに来年も税理士法改正を審議するのも大変でございますので、そういったものの解釈、それからこの辺は、これから先そういう表現についてもきちっとお詰めいただきたいと思いますが、とりあえず今回どういうふうに解釈をされるのか、お答えをいただきたい。これをもって終わりたいと思います。

山口委員長 簡潔にお願いします。

尾原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の税理士名簿等を調製する場合、実態を踏まえまして磁気ディスクによることができる。「磁気ディスク」と書いてございまして、括弧「これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。」こういうふうに書いてございます。したがいまして、光ディスクはこれに該当するというふうに考えてございます。

松本(剛)委員 法律の解釈はそうなのでしょうけれども、一般的には、磁気ディスクに準ずるものに光ディスクは入ってこないというふうに思いますので、これから法文を、きのうの予算委員会でも一般にわかりやすくという話がありました。十分に御検討をいただいて法文をおつくりいただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十二分散会




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