衆議院

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第14号 平成13年6月5日(火曜日)

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平成十三年六月五日(火曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君

   理事 佐藤 剛男君 理事 根本  匠君

   理事 五十嵐文彦君 理事 海江田万里君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      大野 松茂君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    七条  明君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      竹本 直一君    中野  清君

      中村正三郎君    林 省之介君

      林田  彪君    牧野 隆守君

      増原 義剛君    山本 明彦君

      山本 幸三君    渡辺 喜美君

      江崎洋一郎君    岡田 克也君

      河村たかし君    小泉 俊明君

      中川 正春君    長妻  昭君

      原口 一博君    日野 市朗君

      松本 剛明君    谷口 隆義君

      若松 謙維君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    植田 至紀君

      原  陽子君

    …………………………………

   議員           塩崎 恭久君

   議員           根本  匠君

   議員           谷口 隆義君

   議員           小池百合子君

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   財務副大臣        若林 正俊君

   財務大臣政務官      中野  清君

   財務大臣政務官      林田  彪君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  乾  文男君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委

   員会事務局長)      五味 廣文君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   津田 廣喜君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    尾原 榮夫君

   政府参考人

   (財務省財務総合政策研究

   所次長)         墳崎 敏之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長

   )            澤田陽太郎君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  松田  昇君

   財務金融委員会専門員   田頭 基典君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  牧野 隆守君     林 省之介君

  阿部 知子君     原  陽子君

同日

 辞任         補欠選任

  林 省之介君     牧野 隆守君

  原  陽子君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

六月四日

 国有財産法第十三条第一項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(内閣提出、議決第一号)(参議院送付)

同月五日

 特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第三〇号)

同月一日

 納税者権利保護規定の法制化に関する請願(江崎洋一郎君紹介)(第二二七六号)

 同(仙谷由人君紹介)(第二三〇四号)

 同(海江田万里君紹介)(第二三二二号)

 同(河村たかし君紹介)(第二三七四号)

 不良債権処理のルールの確立、金融トラブル解決の第三者機関設置の立法化に関する請願(児玉健次君紹介)(第二二七七号)

 同(山本幸三君紹介)(第二三〇五号)

 同(春名直章君紹介)(第二三二四号)

 同(山花郁夫君紹介)(第二三七五号)

 中小自営業の家族従業者等のための所得税法改正等に関する請願(藤木洋子君紹介)(第二二七八号)

 同(松本善明君紹介)(第二二七九号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第二二八〇号)

 同(山口富男君紹介)(第二二八一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二八二号)

 消費税の増税反対に関する請願(辻元清美君紹介)(第二三二〇号)

 同(植田至紀君紹介)(第二三四一号)

 相続税の延納許可を受けた個人の延納税額の物納等についての特例の復活等に関する請願(小泉龍司君紹介)(第二三二一号)

 消費税の減税に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二三二三号)

 消費税の大増税に反対、食料品の非課税に関する請願(不破哲三君紹介)(第二三三九号)

 同(山口富男君紹介)(第二三四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 短期社債等の振替に関する法律案(内閣提出第九六号)

 株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九七号)

 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九九号)

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第二八号)




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、短期社債等の振替に関する法律案、株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び塩崎恭久君外四名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として財務省主計局次長津田廣喜君、財務省主税局長尾原榮夫君、財務総合政策研究所次長墳崎敏之君、金融庁総務企画局長乾文男君、証券取引等監視委員会事務局長五味廣文君及び厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。

鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。おはようございます。

 今審議をしております閣法は、すべて緊急経済対策関連のものでございます。初めに、塩川大臣にお伺いしたいと思いますが、この緊急経済対策というのは何を目的とした対策なのかということですね。これまでの例でいいますと、緊急経済対策というのは、大体、経済がおかしくなってきたときに緊急に対策を講じる、こういう性格のものでしたから、比較的マクロ経済対策が中心であったように思うのですね。今度のこれは、マクロ経済対策なのか、それとも緊急に実施すべき構造改革なのか、どういう性格を持った対策でございましょうか。

塩川国務大臣 この緊急対策というのは、実は、先生も御存じだと思うのですが、去年の十二月ごろからどうも日本の経済が、景気が弱含みで推移しているということが感知されまして、そこで、何か景気を刺激する対策を講じる必要があるだろうということで、一月に入りまして与党三党の間で急激にこの議論が出てまいりました。

 その当時、民主党を初めとして皆さん方の方でも、この際手を打つべきではないかという声も上がってきたこと等を受けて、そこで緊急対策は何がいいだろうということが議論されてきた。でございますから、あの当時といたしましたら、景気の落ち込みに対する歯どめをかけないかぬということが主題であったと思っております。

 したがって、その一番焦点を見ましたところはどこかといったら、株価が急激に落ちてきた、株価対策を講じようということと、それから、地価がやはり下落がとまらない、これを下げどまりをする方法を講じなければいかぬというので、地価対策と株価対策というのを重点に考えられてきました。

 そして、もう一方において、景気を刺激する要因として、都市の再開発、再生をめぐって、公共事業的なものをふやすことによって都市における民間資金の活動を刺激しよう、こういうことであったと思うのです。

 したがいまして、マクロであったかミクロであったかとかそういう判断ではなくして、確かに弱含みであったということに対する反応として起こってきたものだと思っておりまして、ちょっと時間が長くかかり過ぎたな、もうちょっと早く緊急対策を打ち出すべきだったなと思うておるのですけれども、その時分はなかなかまとまりにくかったのではないかなと思っております。

鈴木(淑)委員 重ねてお尋ねしますが、それでは、この緊急経済対策で、地価、株価の下落をとめて反発させる力がある。あるいは、都市再開発ということで民間資金を引っ張り込んで公共事業周辺の事業を活発にする。その結果――ことしに入って急激に景気後退が始まっていると私は思います、鉱工業生産で見ると急激に落ち込んでいますね。恐らく成長率については、この一―三月は、例の家電リサイクル法の実施に伴って買い急ぎが起きましたから消費が一―三月はプラスかもしれない。辛うじてプラス成長が維持できそうだと思いますが、その反動が四月から消費の相当な落ち込みで出ておりますから、四―六以降は多分マイナス成長に入っていくと思うのですが、こういう情勢をとめる力があるとお考えですか。力があるとすれば、どういう理屈でこれはとまると思いますか。御見解をお聞かせください。

塩川国務大臣 エコノミストのベテランに向かって言うのはおかしいですが、私は、直接これが効き目で効果をすぐ発揮するとは、そうは期待できないと思うのですけれども、しかし、こういうことのアナウンスは、確かに効果は私は期待できると思っております。

 また、秋には証券税制の問題も認識されてまいりましたら多少は変わってくると思っておるのですが、私は、こういう対策を講じまして、政府なりあるいは政党、政治家の方々が、どうももう一つ宣伝を上手にやっていないように思うのですね。ですから、この変わることの対策に対して本当に理解してもらうようにするならば、私は相当動いてくると思うのです。地価に対しては少しは時間がかかるだろうと思っておりますけれども、株価は、秋にこのアナウンスが実施されてきましたら、私は、多少は変動があって、いい結果が出てくるように思っております。

鈴木(淑)委員 塩川大臣は大変正直にお答えくださったと思うのです。この緊急経済対策によって、今始まっている景気後退がとまる、あるいは反発する、そういう力はちょっとないと思うけれども、しかし、アナウンスメント効果はあるじゃないか、それについてはもっと与党、自民党さんも含めて上手にやらなきゃ、こういうお答えでございまして、大変正直なお答えだと思うんですね。

 私も、アナウンスメント効果はちょっと出たけれども、実体的にはこの景気後退、この緊急経済対策ではとめられないなと思っておるものですから、これは秋といわず年内の景気後退は必至だと私は思っておりますが、そのアナウンスメント効果は、おっしゃいますように、地価は時間がかかるが株価にはちょっと出た、それはおっしゃるとおりですね。日経平均株価で一万二千円台まで落ちていたのが、一時一万四千円台まで上がった。ところが、御承知のように、それはまたずるずる下がってきて、今や一万三千円台の前半に来ております。

 そういたしますと、きょうの日経新聞にも出ておりますが、生保二社の保有株は完全に含み損になっている。私の手元にある資料ですと、主要行十六行についてチェックしても、一万三千円を切りますと全体は含みは損に転じます。今ちょうどそのボーダーラインに差しかかっている。肝心なアナウンスメント効果の方もちょっと心細くなってきておるんです。

 塩川大臣、今ここで審議しております株式譲渡益の百万円以内の所得控除、これはどういう理屈で株価に対してプラスに作用すると思っていらっしゃいますか。

塩川国務大臣 この百万円の特別控除を設けましたことが、株式の取引の常連という方ではなしに一般の市民の方々は、全く知らないような状況なんですね。したがって、源泉徴収の方が得だという考えもいまだに持っておるんです。

 しかし、よく考えますと、一般の家庭の人たちの株の売買高というのは、大体一千万円ぐらいまでだろうと思うんですよね。そして得ますところの利益というのは、大体売買高一〇%ぐらい利が乗れば売ったり買ったりするんだろうと思うんですが、そういたしますと、一千万円ぐらいの範囲内の方であるならばこの百万円控除によって、大体一〇%の益としてみても、これは源泉よりも利益になるということ。こういう数字が本当はまだ理解してもらっていないと思うんです。

 ということは、片方でやはり源泉は、もうこっちの方が絶対得だという頭が固定化しておりますので、そこを私は、先ほど言いましたように、これを比べてみたらどっちが得だ、こっちが得だよということをやはりわかってもらうようにして、もちろん年間に何千万円という株の売買をしておられる方々、この方々についてはこれでは不満足です。もっと根本的な、差益損の計算をしろとか、あるいは税率を改正しろ等ありますけれども、それは次の段階の問題として、とりあえず緊急対策としては、いわば一般市民の、国民の売買標準に合わせた対策として百万円相当は妥当ではないかと思うて制度をつくったということです。

鈴木(淑)委員 おっしゃいますように、源泉分離課税を選択するよりも、ちょうど一年以上持っていた株に百万円以上の利益が出ていますと、これを使った方が得だというのは、考えればわかることなんですね。

 しかし大臣、この法律、施行されるのは十月でしょう。そして、再来年の三月には終わっちゃうんですね。一年以上保有していなきゃいけないわけですね。

 それでは、仮にこの法律が成立、六月にスタートして、ああそうか、一年だな、急いで買わなきゃといって七月に買ったとしますよ。そうすると、来年の七月になってうまいこと値上がりしていれば、ああ、これで七月から三月まで半年ちょっとの、九カ月ぐらいの間に売ればこの法律の適用があるんだな、こういうことになります。これをねらって買う人、そんなにいるでしょうか。極めて限られたチャンスですよ、これ。

 七月以降に買って、うまいこと一年後にもうかるかどうかというのはわからない。そこへもってきて、もう三月にはおしまいだよと言われるわけですから。ほんの九カ月ぐらいの間にそのチャンスが来ないとこの減税の恩恵に浴せないわけですね。この少ないチャンスをねらって株式市場に入ってくる人が大勢いないと、株に対してプラスの効果はないわけでしょう。そこはおわかりいただけますね。株に対してプラスの効果があるとしたら、そのチャンスだけでしょう。確認いたします。

塩川国務大臣 この特別措置の問題に関してはおっしゃるとおりだと思っておりますが、しかし、以降で、引き続いて株価対策に関する税制の検討を進めておるところでございますから、その検討の結果として、どのように進展するかわかりませんけれども、また投資家に有利に働くような税制になるかもわからない。そうした場合は、それに引き続いて期待は持って、継続して持ってくれるのではないかと思いますが。

鈴木(淑)委員 塩川大臣、また正直にお答えになりました。

 この対策、減税だけでは極めて限られた株価に対する効果しかないのであって、あるとすれば、また何か出てくるんじゃないかという期待だというふうにおっしゃった、それは大変正直だと思います。

 しかし、私が申し上げたいのは、この減税の政策だけだと、株価が下がるんじゃないかということです。マイナスの効果の方が大きいんじゃないかということです。なぜなら、今既に一年以上持っている株がある、そして、点検してみると百万円以上含み益が出ている、こういう人は喜び勇んで売ってくると思うんですよ。これは間違いなく売ってきます。しかも、売る期間は一年半ありますから。この売りは間違いなく出てくると思いますよ。だけれども、ひょっとして一年後に上がるかもしれない、しかもそのチャンスの九カ月をねらっていこうなんという人は、極めて限られていますね。そうすると、私は売り圧力の方が強いと思いますよ。売ってくる人の方が多い。売ってくる人は、もう考えたら、ああ、そういう人はいるだろうなとすぐわかる。だから、これは株価にはマイナスだと思いますが、どうですか。

塩川国務大臣 私は株の売買をやったこともございませんので、心理的状況はわかりませんけれども、どうも、やっている人の慣習を見ていますと、株を売った人はまた買いますね。そう慣習づけられているように思うんですね。

 ですから、この際に売って、一応利食いで逃げて、また新しく、これもまた、この次はまたひょっとしたら税制が変わるかもわからぬから、不利にはならぬだろう、それでは今売って、また新しく買っておこう、こういう期待が持てるということと、今割と思いますのに、新しいいわゆるIT関係、それと電子関係の株に切りかえていこうと思っておる人はかなりおるんではないかな。その意味において、売買は、私は、秋以降、税制の改正等を見て少しは動いてくるように思うんですが、そのことは私たちも期待をかけておるところなんですが。

鈴木(淑)委員 それは、塩川大臣、この減税の恩恵に浴するために、売った人はまた買うだろうなんて、そんな怪しげなことを期待した政策だとすれば、まことに心もとない。

 私は、それはそれこそそのときの経済状況、株価の先行き感に依存して決まることであって、現時点では、売ったものを、しばらく株を買わないでほかの形で持っているか、すぐまた何かを買うかはわからないというのが正確な言い方ですよ。

 しかも、さっき言いましたように、私は、秋から年末にかけて景気後退は本格化してくると思います。だれの目にも明らかに失業率は上がってくるし、倒産はふえてくるしという状況になると思っているものですから、余計これは売り圧力の方が強いというふうに考えております。これ以上言うと水かけ論ですから申しません。

 それでは大臣、さっきも大臣おっしゃって僕もそうだと言いましたように、大事なことは、この先どういう株式税制になってくるんだろうかということです。それに対する期待が大事だとおっしゃる以上、株式保有者にとって有利な税制になるんだというニュアンスが出てこなければいけないと思うんですね。

 大臣にお伺いします。

 現在は、源泉分離とそれから申告分離と二つになっていますでしょう。選択制ですね。将来の議論として、さらに、申告の分離じゃなくて総合課税の議論もありますね。塩川大臣は、あるべき株式譲渡益課税についてどれがいいと思っていらっしゃいますか。それをお聞かせいただかないと、将来いい税制になるんじゃないかといって買う人なんかあらわれませんよ。いかがですか。

塩川国務大臣 大体私は、株価を上げるということ、これはやはり重大な経済政策であり、景気対策でありますけれども、これは税制ばかりでいくものじゃないと思います。やはり、企業が努力してくれて配当性向も上げて、信頼される会社がどんどんと発展していくことが株価だと思うんですが、しかしその一方で、税制をもってサポートしていくのも政府の仕事だ。そういう意味で、税制の改正によって対応するということは、あくまでも補完的な意味だろうと思っております。

 けれども、我々も絶えず税制を見直して有利なように持っていきたいと念願しておるところでございますが、それじゃ望ましい証券税制をどうするか、それは今私はここでちょっと言えないことでございまして、また私自身がまとまった案として持っておるわけでもございません。

 しかし、一つだけ言えることは、さっきおっしゃいましたように、株式の譲渡益に対しましてその益の申告を、源泉徴収によるか申告制によるかという二つの選択制が二年間継続するということで昨年決定いたしました。その時点で一本化するということ、これはもう税制上決まっておる。一本化して申告制にする。そうするならば、やはり、源泉徴収に応じてきた人たちもある程度これで納得してくれるような申告制一本化、税率の考慮ということがセットにならなきゃだめだろうと思っております。

 その一つの導入といいましょうか、そこへ近づけるインセンティブとして、今回百万円の特別控除をして、こういう申告をしてもこういうことで決して不利じゃございませんということを知っていただくことを心得たということなんでございまして、それ以上の証券税制に関する決定的なことは、私からはまだ申し上げる段階じゃないということであります。

鈴木(淑)委員 株価が基本的には企業収益の予想に依存するなんというのは当たり前な話ですよ。しかし同時に、税制に左右されるのも当然ですね、大臣。だから、そういうことで逃げちゃいけない。今税制の議論をしているわけですね。

 それじゃ大臣、具体的に伺いますよ。

 今、株式の譲渡益課税、申告分離しますと税率二六%ですよ、御承知のように。一般の利付金融資産は二〇%で源泉分離になっているんですが、これが二六%。株式譲渡益課税が不利になっています。塩川大臣さっきおっしゃったのは、この不利を直す、その直す方法が、私は二六%を二〇%に下げる方がよっぽど筋が通っていると思いますが、そうでなくて、百万円の所得控除みたいな、何か控除の制度を使って直すんだ、こういう意味ですか。

塩川国務大臣 まだそこまで決定的な議論はしておりません。けれども、控除を引き上げるという考えよりも、一本化したとき、税率そのものをやはり考慮すべきだろうと思っております。

鈴木(淑)委員 大変いい御意見が出ました。

 株式譲渡益に対する課税が利子課税に比べて不当に高いというのを直すためには、今塩川大臣は、やはり税率の二六%を例えば利子課税の二〇%にそろえる、そういう方向であって、控除というのは、これは今便法で百万円控除をとったけれども、それは本来の方向ではないだろうと、大変重要な発言をされました。私もそれは賛成です。

 しかし、そうなればなるほど私思うのは、この百万円の控除というのは不公平だね、しかも株式税制改正の王道に沿っていないねということです。王道は、ロイヤルロードは、本来の行くべき方向は税率なんですね。それを百万円控除ということで二年間、正確には実施から一年半ですが、行こうというのは、何か邪道だなと思います。

 一番邪道だと思いますのは、御承知のように、扶養控除だって三十六万ですよ。百万という所得控除は非常に大きい。それを、一年以上株を持っていてその譲渡益が百万を超えそうな人といえば、かなりの資産家ですね。資産家優遇が悪いというんじゃありませんよ。もちろん、今の高齢者は相当蓄積しておられるし、日本の所得水準も上がっていますからいいんだけれども、しかし、この百万円の控除というのは、今の扶養控除その他の所得控除に比べてばか高い。これは不公平だな。しかも、本来の株式税制改正の王道に沿っていない。御自分でおっしゃったように、本来なら税率なんだ。

 そういう意味で、これはまずい制度じゃないですか。さっき言ったように、私は、効果は株価に対してマイナスだろうと思っています。その上、税制として見たらこれは不公平だと思いますよ。しかも改革の方向に沿っていない。三拍子そろってまずいですよ、これは。いかがですか。

塩川国務大臣 税制というものは、御承知のように、公平の理論というものは原則でございますけれども、場合によっては、政策的誘導ということも大きい役割といいましょうか、機能として持っております。先ほども申しましたように、臨時緊急の方法として、個人の投資家が株式に参加しやすいようなインセンティブをつけていくための措置としてやったということでございます。確かにそれは、一般の所得控除とかいろいろ考えましたら議論すべき点は多々あると思っておりますが、そういう一時的な政策効果をねらったものとして是認していただきたいと思っております。

鈴木(淑)委員 税制の基本は公正だけではありません。だけれども、公正を維持しながらなおかつ経済効果のある税制の方がいいんですよ、不公正であって経済効果があるのよりも。

 そういう意味で、これは本来税率の下げをすべきなのに、百万円というとんでもない大きな控除をしているという意味で、我が自由党はこれには反対だということを申し上げて、次に進みます。

 株式税制が他の利付金融資産に比して不利になっているのは、譲渡益だけではありません。配当課税がそうであります。御承知のように、一回五万円以下、年間十万円以下なら源泉分離で二〇%で済みますが、そうでないと――そんな技術的なことでもないんだから尾原さんに聞かないで、ちゃんとお答えになってください。易しく僕はポイントを言いますから。二六%かかってくるんですね。それは御存じでしょう、配当課税、年間十万円以下じゃないと。

 それで、尾原さんが出てくると何を言うかというと、配当控除もございますといって問題を複雑化させて帰っていくんですよ。そういう複雑な話をし出すと、ひょっとしたら大臣が厄介な話だと思われるかもしれないけれども、配当控除を考慮しても、七百万ぐらいを境目にして、やはり十万円以上の配当を受けている人に対する税率は、利子所得の二〇%より高くなってきます。だからもう、お答えを先取りして答えを言っちゃいます。間違いなく高いんですよ、総合課税に持っていかれちゃいますからね。

 それで、お聞きしたいポイントは、この配当課税を利子課税より、ある額を超えると高くしちゃうという今の税制、私はこれもまずいと思っているんです。こんなことをやっているから、間接金融の方が直接金融よりも日本は発達しちゃう。直接金融の中で株式市場が発達しない。塩川大臣がもっと金を引っ張り込んで株価を上げたいと思っても、これが一つネックになっていると思うのですね。今金利が低いですから、配当がばかにならないのですね。電力株なんて五百万も買いますと、もうこれで配当十万円以上になっちゃって、高い方の税率にいっちゃうのですね。

 ですから、これについても塩川大臣、やはり将来の方向として、利子所得の課税と配当所得の課税は、税率でイコールフッティングにしなきゃおかしいんじゃないかとお考えになりませんか。

塩川国務大臣 その話を聞いていまして、もう一つ前の質問の中に、所得控除と百万円の控除とを見たら、えらい不公平やというお話がございましたですね。まさにそのように、所得控除との関係もやはりバランスをとっていかなきゃなりませんし、そういたしますと、十万円という、控除じゃございませんが、申告制の問題は、これはどの辺がいいかということは相当問題があると思うのです。これは、余り高くしてしまって、五十万だ、百万だとしてしまいますと、これこそやはり勤労所得の方との不公平が非常に拡大されてくることもございますし、その点は非常に難しいところだろうと思っております。

 したがって、これは重大な問題として、国民の方が資産を預金、貯金から資本市場に参加してもらう方法に変えていく、態様を変えていくという政策を積極的にとるかどうか。ドイツのように、あるいはノルウェーがやりましたような政策に切りかえていくということの国民の理解が得られれば、相当なことができてもいいと思いますけれども、今は、株の配当というものはいわば金持ちの収入というような観念がいまだに残っておりますので、その中において十万円問題を考えるということは、私は、若干は考えたらいいと思いますけれども、それはやはりあっと驚くというような改正はちょっと難しいように思っております。

鈴木(淑)委員 塩川大臣、勤労所得と配当所得を比べて、やはり配当所得が金持ちの所得なんだという考え方は古いですよ、古臭い。そんなことを言っているから、日本は株式市場が発達しない。(塩川国務大臣「いやいや、まだまだそういう観念が多いだろうと、国民の中には」と呼ぶ)そうだとすれば、改革を標榜している内閣でしょう、そのまた大番頭さんでいらっしゃるんだから、そういう考えは古いからこの際は直すというぐらい言ってくださらなきゃ困ると思いますよ。

 特に、勤労所得と比べておっしゃいました。それでは、利子所得と比べたらどうなんですか。利子所得は源泉分離で二〇%にしておきながら、配当所得だけは利子所得より厳しいというふうに持っていくことについて、そんなことをやっているから間接金融優位が直らないんだ、株式市場が思ったように発達しないんだ、ねらっていらっしゃる株価の回復がうまくいかない一つの原因だ、僕はこう申し上げているわけですよ。だから、勤労所得との比較じゃないのです。利子所得と配当所得の比較なのですね。後ろから何を言っておられるか大体見当がつくのですよ。配当控除を入れて計算するとどうとかこうとかという話があるけれども、一定のところからもう明らかに不利ですね。

 もう一つ踏み込んでお伺いします。

 配当所得については、二重課税の議論がございますね。我々が資本を出して会社をやっているわけですね。株主というのは資本提供者です。その資本をもとに会社はやっている。それでもうかると、そこで一回法人税がかかっている。もう、一回税金を払っているのだから、あとはそのままもらいたいけれども、もらうと、今度はもう一度所得税がかかってくるから、二重課税だ。これなんかも不公平じゃないか。ドイツでは、インピュテーションといいますが、そこのところを調整するようになっています。

 私は厳密なインピュテーションをやれなんていう議論をするつもりはありませんが、二重課税を考えると、今の配当税率は、利子所得の二〇%より高いのを二〇にそろえるだけではまだ不足だと思っているのですよ。二〇より少し下げるぐらいのことを配当所得についてやってやらなきゃバランスはとれないと思っていますが、二重課税論との関係では大臣はどうお考えですか。

尾原政府参考人 二重課税の問題は、シャウプ税制以来大変いきさつのある話でございまして、かつては法人実在説か擬制説か等の関連で議論されてきたわけでございます。

 それで、今の議論でございますけれども、実は主要諸外国の状況を見てみますと、アメリカはこの法人税と所得税の二重課税は全く調整を行っておりません。調整を行う国も、部分的に調整を行う国、あるいは完全に調整を行う国、その取り扱いは大変区々なものとなっているわけでございます。

 それから、私ども最近の議論を見てございますと、所得税、法人税の税率を、どこの国も下げております。我が国もそうでございます。そういうことから、この二重課税の問題というのは今余り全体的に議論にはなっていないような気がするわけでございます。

 いずれにいたしましても、御存じなんですが、法人税の転嫁をどう考えるかみたいなところとも絡んでまいりまして、いずれにいたしましても、証券税制の一本化後のあり方でございますが、実はきょうから政府税制調査会の金融小委員会が発足いたしまして、今の直接金融との関係、相当幅広い観点から議論していくことになっておりまして、この配当等の二重課税の調整の問題ももう一度御議論をいただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

塩川国務大臣 先ほど局長が言いましたように、確かに検討項目であることは事実でございまして、そういたしますと、タックス・オン・タックスの、ガソリン税だとか、そのほかの消費税の関係もございますし、いろいろなそういう、要するに税制上の処理上の問題として出てくる問題が多々あると思っております。幸いにいたしまして、政府税調の中でそういうようなものを積極的にひとつ検討してもらって、やはり筋の通った、すかっとしたなという国民が納得のいく税制にしていく一つの大きいテーマであるということは事実だと思います。

鈴木(淑)委員 大臣あるいは局長がお答えになりましたように、二重課税論は、実は議論していくと非常に厄介な話になってくるわけですね。特に尾原さんが言ったように、転嫁の話まで入ってくると、もう議論が泥沼になってしまう。私は、政府税調で幾ら議論しても、すっきりした答えは出ないと思います。

 ただ、アメリカの例を尾原さんは引かれたけれども、大陸系では、特にドイツではきちっと調整していますね。やはり私は何かの配慮は必要だと思うんですよ。だから、厳密なインピュテーションをしろなんと言っているんじゃないので、少し色をつけるぐらいの配慮はあってしかるべき。つまり、利子所得課税よりも配当所得課税の方が税率は低くたってちっともおかしくないということを申し上げているわけです。

 そこで塩川大臣、私は、本当に今株価にいい影響が及ぶ株式税制をお考えになるなら、そういう方向を明示されるなら、ポイントは三つだというふうに思っています。

 一つは、譲渡益課税にしろ配当課税にしろ、利子所得より不利になっている。これは税率で直す。さっき塩川大臣そうおっしゃいました、税率で直すのが本道だ、控除じゃないと。これは大変いいポイントです。もっと大きな声で何回もおっしゃった方がいいですよ、アナウンスメント効果が上がります。

 それから二番目は、今議論した配当課税の二重課税論。これは厳密に議論していくと大変だが、しかし、やはりちょっと色をつけるのが筋じゃないかなぐらいのことをおっしゃる。そういう方向性を示す。

 三番目、今かなりの資産家でも余り株を買わない、怖がっている理由は、ひょっとしたら総合課税にいくんじゃないかということなんですね。それに対して、株式の譲渡益それから配当所得、これらを含めて総合課税には持っていかない、申告の分離課税でいくんだという方針をはっきりさせますと、これは効果がありますよ。資産家が安心して買ってくると思います。

 これは大臣、事務方からのレクでお耳にしておられるかと思いますが、昔は何となくできることなら総合課税が一番公平だと言っていたわけですね。ところが最近は、最適課税論というのが経済学で出てきておりまして、類別の課税、所得の種類別に課税していく、税率も変えていく。しかも、例えば利子所得、配当所得、譲渡益なんというところは一律何%にする。そういって類別所得に課税していく。経済効率から考えてこれが最適の課税になる、こういう理論があるぐらいでございますので、私は、大臣はそこを事務方からお聞きになって、踏ん切りをつけられて、将来、総合所得にいかない、金融関係の利子所得、配当所得、譲渡益、このところは分離課税でいく、ただし申告分離ですよ、今のような源泉でわけのわからないことはだめだ、申告分離でいく、安心なさいと言う。これが三つ目の柱だと思いますよ。

 以上の三つをきちっとおっしゃれば、これはアナウンスメント効果だけで株価にいい影響があらわれるだろうに、もったいないな、惜しいなと思って私は見ております。

 いかがですか、分離課税でいくのか総合課税でいくのかというところ、どう考えていらっしゃいますか。これは大臣の税制についての哲学みたいなものですよ。総合課税でやるのが本当は一番正しいと思っているのか、いやいや、所得類別にそれぞれいろいろな税率があった方が経済効率上いいというふうに考えるか、どちらですか。

塩川国務大臣 御提案になりました一と二につきましては、我々もこれは当面の問題として、基本的な問題として勉強して、検討を進めていきたいと思っておりますが、三番目の、証券の関係の利得については全部申告制にしてしまって、総合制から切り離していくという考えでございますね。この問題については、私は、非常に大きい、税の機能というものと、それからいわゆる所得調整機能というものを全然分離した話になってくると思います。

 そうしますと、税の国民に対する役割というものの根本問題に触れてくるような感じがいたしますから、これは一つの提案として、確かにアナウンス効果は高いだろうと思いますが、しかし、まだそこまで政府税調の方では議論が収束されていかないだろうと私は思っています。しかし、そういう御意見が出ているということは、一つの御意見として承っておきたい。

 それと、世界のグローバリゼーションの中で、他の国の税制がどのように証券対策をとっていくかということも、一つ我々は並行して考えていかなきゃならぬと思っております。御意見として承っておきたいと思っております。

鈴木(淑)委員 ぜひとも三番目の、総合課税が本来正しいのか、いやいや、そうじゃない、本来申告分離課税が正しいのでそこへ持っていくんだ、どっちなんだということを、ぜひ勉強して決断を下していただきたいと思います。

 それにしても、一と二の点に賛成していただいたのは大変結構だと思います。繰り返しますが、それをはっきりおっしゃっただけでも株価にいい効果があると思いますよ。税率について、配当課税あるいは株式の譲渡益課税、これが利子所得より高いのは直していく、税率で調整していく、これは非常にいい方向がきょうは出たというふうに思います。

 いい方向が出たところで、税制の議論からちょっと離れますが、もう一つ、景気なんですね。

 これは、今のところはそう思っていないと言われると困りますが、とにかく、輸出がマイナスになったことを主因に、輸出に引っ張られていた鉱工業生産の増加率が、この前予算委員会でグラフでお示ししたように、十―十二で頭を打って、そして一―三は三・七%どかっと落ちて、前年同期比でマイナスのところまで落ちちゃった。そして四月の実績が出て、またマイナス。それから五月と六月の予測が出ましたけれども、五月は若干のプラスですが、六月はそれ以上のマイナスです。もう四―六までだあっと下がっていくのははっきりしています。

 四―六になりますと、さっきも言いましたように、家電リサイクル法に伴う買い急ぎの反動が出ますから、消費がおかしくなってくる。それから、一―三月の機械受注が七四半期ぶりにマイナスになっちゃったですね。これが六カ月から九カ月の先行指標ですから、今度は、七―九以降は設備投資も危ないという状況です。

 こういうときには、これは改革の苦しみだ、だから我慢しろとおっしゃるわけにいかないですよ。改革をまだ始めないうちからおっこっちゃっているんですからね。この前、小泉総理に例え話で申し上げました。血が出ても我慢してくれ、手術をすれば君は健康になるんだからといって、血が出ることを恐れない、痛みを恐れず改革だといって手術室へ入っていったら、メスを振るわないうちからもうその患者が出血していたらどうするか、これはまず血どめでしょうなと。今の日本経済はそういう状態だと私は思っているんです。改革のせいで出血しているんじゃないですよ、改革をまだ始める前から出血している。

 この場合、塩川大臣は、やはり血どめの措置をする、すなわち、補正予算を組んで、例の三十兆円という国債発行は来年度の約束ですから、何らかの手を打って、構造改革をして多少の痛みは出ても大丈夫なようにしながら構造改革を進めますか。それとも、もう金輪際補正予算なんか組まぬ、今の緊急経済対策でいいんだ、そして来年度からこういう構造改革をやる、ああいう構造改革をやる、それだけアナウンスし続けていっていいんだ、そうお考えですか。どちらでしょうか。

塩川国務大臣 私は、今すぐに補正予算でも、追加の補正をするという考えは今持っておりません。

 しかし、おっしゃるように、四―六月がどのようにあらわれてくるかということをまだ私たち予想しておらないのでございますけれども、一―三より悪いということはおおよそ感覚的に見ております。しかし、これとても少し様子を見なければ何とも言えないと思いますが、その結果等を見まして、どうしても必要があるというならば適当な時期に考えてみる必要はあるかもわかりませんけれども、今の状態でいきますならば、私は、補正予算だとかあるいは追加出動だというよりも、もっと予算が有効に使われておるかどうかということを実際に確かめてみる必要があると思っております。

 ということは、昨年の補正もございましたしいたしますが、それらが実際支払いベースにどこまで乗っておるのかということをまだ私たちは十分つかみ切れていないようなこと、ましてや、十三年度予算の支払い状態ということも、もっと急がすべきことがあるだろうと思ったりいたしております。

 そういう受動なひとつ検討をした上で考えていきたいと思っております。

鈴木(淑)委員 十三年度当初予算が本当にきちっと執行されているかどうかの検討を先にしたいというお答えでございますが、同時に、補正予算の可能性を完全に否定はしない、今は考えていないが絶対やらないとも言わないというお答えでした。私は、それは非常に真っ当な考え方だと思います。今から、おれは絶対補正は組まないなんていって手足を縛ったら、ますます逆のアナウンスメント効果で経済はおかしくなっていきますから、そういう余計なことはおっしゃらないでいらっしゃった方が賢明だというふうに思います。

 私は非常に心配しています。秋口から暮れにかけての景気を非常に心配しております。しかも、それが構造改革の結果ではないというところが問題なんですね。構造改革に伴う痛みなら、一緒に我慢しようと呼びかけられるけれども、そういうこととは関係なく、去年の十―十二あたりからおかしくなってきて、落ちてきて、次第に景気後退が加速するという話ですので、心配をしている次第でございます。

 塩崎さん、お待たせしました。出しておられます衆法について、一つだけ質問させていただきたいと思います。

 これは、簡単に言ってしまえば、公的なサービサー機能をもう少し続けたいということですね。時限で三年、公的サービサー機能を続けたいと。

 しかし、自自連立時代、一緒にやって、民間のサービサー法をつくって、それが動き出していますね。提出者のお考えでは、公的なサービサー機能と民間のサービサー機能、この関係はどう考えておりますか。つまり、官業と民業とが並立するわけですが、どういう理由で官業が必要だ、民業だけではだめだ、三年は官業が必要だと考えておられるのか。また、三年たったらもう官業は要らなくて民業だけでいいのか。その辺、どういうふうに頭の中を整理されているか、お聞かせいただきたいと思います。

塩崎議員 ただいま、サービサーの官業、民業のすみ分けというか役割分担のお話がございました。

 先生御案内のように、このRCCは、もともと住管機構そして整理回収銀行が合併をする形ででき、その際に、一般の銀行からの不良債権の買い取りもやろうということになったわけでありますが、その際はまだサービサーがございませんでした。そしてまた、民間の市場で不良債権を売却して、サービサーの助けをかりながら債権回収が行われるという仕組みが、市場があればよかったわけでありますけれども、当時はなかったわけでありまして、そういう意味で、市場を補完する意味で、RCCに一般の銀行からの不良債権買い取り並びに回収をやってもらおうということになったわけでございます。

 その間に、今先生おっしゃったように、サービサーというのが確かにできました。したがって、今民間の銀行が不良債権を市場で売却しよう、あるいは処分しようといったときには、選択肢としては民間で売るかRCCに持っていくか、どっちでもいいわけであって、したがって、それは銀行が決めることだろうと思っております。

 いわゆるサービサー、サービサー法に基づくサービサーとしての役割というのは、RCCは非常に限られたものでありまして、これまでの不良債権、破綻銀行からのものと、それから、一部、民間ではなかなか処分できないようなものを今まで持ってきた、こういうことがあります。

 したがって、今ここでなぜ三年延ばすのだ、こういうことでありますけれども、これは、今回、二年、三年のうちに不良債権については最終処理を行うんだというところで、一つの選択肢としてここに残すということで、したがって三年だけの申し込みの延長ということにしておりますので、それ以上延ばすということを今ここで考えることではなくて、むしろここで政権としての決意を示す意味でも、三年間だけ延ばすということであったかと思うわけでございます。

 そしてまた、もう一つ、この間も申し上げましたけれども、我が自由民主党の中でもさまざまな議論があって、公器としての、公の器としての整理回収機構には、例えばサービサーにはない銀行としての資格もございます。それから、特別調査権というのが今まだ預保の方にあって、それとセットでできるという特徴もあります。そういうことをいろいろ考えてみると、公器として不良債権処理をこれからやるときに、メニューの一つとしてここを残すことは非常に重要ではないだろうか、こういう議論もあって、今回これを延ばそうということにしたわけでございます。

 以上です。

鈴木(淑)委員 塩崎さん、ここはちょっと難しい問題があると私は思っています。それは、民間から見ると、不良債権は高く買ってくれる方へ売りたいわけですよ。だから、RCCの方へ来るというのは、RCCの方が高く買ってくれる場合でしょう。そうすると、国民の税金を使うのですから、そんなやたらに民間よりも高い値段をオファーしていいのかいという話があるのですね。それで私は聞いたわけです。

 だから、ここにおける官業と民業のすみ分けというのは実は非常に厄介だよと言っているのですよ。ヤーさん絡みや何かでこれはもう官業に、民業の方は、サービサーはもうこんな怖いのは嫌だと言っている、そういうときにRCCが買ってくれる、これだったら喜んで来ます。これが官業の役割だと私は思うのですね。RCCは強いですから、非常なベテランをたくさん擁して。民間はそういうところは怖がります。それはいいと思うのだけれども、値段だけで勝負すると話が変なことになってしまって、税金を使っているのにそんな高い値段をオファーしていいのかねみたいになります。その点だけ、私が聞いた理由としてつけ加えます。もう時間がないので御答弁は要りません。

 いよいよあと五分でございますので、きょう、私がやはり一番大事だと思って議論しているのは、株式税制なんでございます。

 塩川大臣、私は三つのことをさっき言ったわけですね。配当課税にしろ譲渡益課税にしろ、その税率が利子課税よりも高い、これは税率調整で均衡をとるべきだ、そういう方向で賛成だとおっしゃった。それから、配当二重課税の議論は、厳密にやっていくと泥沼になってしまうけれども、多少味をつけた方がいいんじゃないかという議論についても理解を示された。最後の、総合所得か申告分離かというところについては、これから研究されるというふうにお答えになりました。

 実は、塩川大臣、大臣に就任される前の三月一日のこの同じ財務金融委員会で、私はこの税制を前任の宮澤大臣と、そちらの当時から金融担当の柳澤大臣とお二人にいたしました。ここにそのときの議事録がございます。柳澤大臣は私が言った三つに対して明確に賛成されたのです。

 実は金融庁としては、平成十三年度税制改正のときに、そういう方向の要望を財務省に出しているのですね。それを財務省は取り上げないで、こういう形で来ているのですが、金融庁側は私が言ったとおりの将来展望を持っているのです。ですから、私は別に閣内不一致と言って騒ぐつもりはありませんが、将来展望ですから閣内不一致があってもしようがないのですが、塩川大臣、実は、金融庁は私が言ったのと同じ意見を持っているということを申し上げておきたいと思います。

 柳澤大臣にはきょうは質問をいたしませんでしたが、今言った三つの点につきまして、これからも金融庁としては財務省に対して、こういう方向の株式税制の改正が金融庁としては望ましいと思うという主張を続けていかれますでしょうか。

柳澤国務大臣 質問時間いっぱい使われて、株式関係の税制について、また資本市場の発展を展望されての税制上の御質疑をいただいたわけでございます。

 先生御指摘のように、前回と申しますか、前内閣でのこの財務金融委員会で、ほぼ私と先生の御意見が一致するというような論議があったわけでございますけれども、私どもとしては、そのときに申し上げたような考え方で進みたい、要望していきたい、このように考えております。

 特に、私は、日本の場合、総合課税論というのがシャウプ勧告以来確立し過ぎてしまって、他のあり方というのは、何か臨時に認められる、政策的な配慮から認められるというような位置づけで非常に不安定になるということは望ましくないので、実は今先生御指摘のような租税理論の裏づけもあってそういったことが行われるのだということも、そろそろみんな念頭に置いて税制の仕組みをつくっていただければ非常にありがたいと考えている、こういうことを申し上げさせていただきましたが、その点、私は考え方を変えておりません。

鈴木(淑)委員 大変頼もしく思います。ぜひそういう方向で変えるべく、私も努力いたしますが、大臣も御努力ください。

 最後に、塩川大臣、今の金融担当大臣のお話を聞かれて、何か御感想がございましたらお聞かせください。

塩川国務大臣 金融担当大臣はなかなか金融問題のベテランでございますから、確かに先を見ているなと思いますけれども、先ほど申しましたように、証券税制全体を申告制一本に集約してしまうということについては、これは相当な議論を経た上で結論を出さなければならぬ問題である。私も、方向としては確かにそういう方向もあるとは思いますけれども、それが現在の日本の経済情勢、社会情勢、そしてまたグローバリゼーションの中において、日本の立場からいうてどうなのかということは、根本的に勉強し直して検討する重大な課題だと思っております。

鈴木(淑)委員 ぜひ根本的に勉強し直され、検討し直されまして、総合課税が最適だという古いシャウプ勧告以来の何となく確立してしまったものにとらわれずに、最適課税理論に基づく所得類別の課税、これはすなわち申告分離の課税でありますが、そういうものが特に金融関係あるいは資産関係の課税には必要なのだという私の主張に早く御理解を賜りたいというふうに申し上げて、きょうの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 大臣、おはようございます。

 まず、緊急経済対策の法案についてちょっと伺いますけれども、二十五日の財務金融委員会の税理士法改正の質疑のときに大臣と税の話をちょっとさせていただいて、質問の終わり間際だったと思うのですけれども、大臣が、直間比率の是正ということに関連をして資産税については諸外国に比べて低いというふうなお話をされて、引き上げの余地があるのではないかというふうな御趣旨の発言をされたと思うのです。

 今うちの自由党の鈴木委員からお話がありまして、そのとき大臣は、税率こそ本当は見直さなければいかぬのだというふうに御答弁されていましたよね。そういうところで、今回の緊急経済対策で出されている株式の譲渡益に関する法律というのは、これは資産に関する税ということではないのでしょうか。

塩川国務大臣 資産に関する税の一種だと思いますね。

中塚委員 では、資産税は諸外国に比べてちょっと低いレベルにあるから見直す余地があるというふうなお話だったわけですけれども、どうしてその資産税に、今回特別控除の百万円控除額を設定されるというふうな考え方に結びつくのでしょうか。

塩川国務大臣 私は資産税の強化ということを言っておりますけれども、それは、株の強化、株式譲渡に対する強化ということと直接結びつけておらないで、他の資産所得、そういうものに対する課税の見直しということを言っておるのでございます。だから、株式であるとかあるいは知的所有権の問題等につきましては、これはやはり一面において奨励しなければならぬ問題でございますからして、ここに重税を課していくということは余り好ましい税制ではないと思っておりますが、しかし、資産所得で他の部類であるものは見直していくべきだと思っております。

中塚委員 株式というのが資産と大臣がおっしゃった中には入っていないということなんですか、そうすると。資産税を見直していくときに、この株というのは大臣的には資産税ということではないということでよろしいのでしょうか。

 ただ、いずれにしても百万円の控除をつくってしまうということになりますと、結局、税率が他のものと比べてまだ考える余地があると言われていることと矛盾をするのではないのかなというふうに思うのですけれども、ちょっともう一度お願いできますか。

塩川国務大臣 私は、資産税の税率を上げたり資産税を強化する、そういうことではなくして、資産税の収入を強化したいということを言っておる、これは御理解していただけますね。

 そういたしますと、現在、日本で、一例を言いまして、資産の一部として株を保有している人は七百万なんですね。重複を避けるともっと少なくなるだろうと思うたりしますが、これを諸外国の実例にしてみますと、非常に低いということは言えると思います。

 そうしますと、もっと株式保有というものをふやすことによって、いわゆる株式所得から得るところの税額というものがふえてくるのではないか、こういうこと。ですから、簡単なことを言うたら、薄くしてたくさん取るということを考えたらええのやないか、こう思うのです。

中塚委員 薄くして広く取るということではありますけれども、それだったら何で時限措置になっているのかなというふうにも思うわけですけれども、いずれにしても、税率こそ見直すことが大事であるという大臣の先ほどの発言と関連して、最終的に証券の譲渡益課税というものを見直すときに、税率を引き上げる方向ではないということですね、それは。

塩川国務大臣 引き上げる方ではございません。

中塚委員 それで、緊急経済対策ということなんですけれども、また一方で小泉内閣の方針として、国債の発行額を三十兆以内に抑えていくというふうなお話をされているわけですね。財務金融委員会でもお聞きしていますし、また予算委員会でもずっとお聞きをしていることなんですけれども、財政の中期展望ですか、それを見ると、来年は三・三兆円、この財政中期展望でさえ三・三兆円の公債は削らなきゃいけないということになっておるわけですね。

 それで、五月三十日の参議院の予算委員会で、二〇〇二年度の国債発行を三十兆円に抑えようとすると三兆三千億カットしなきゃいかぬ、その中で、目安として国で二兆円、地方で一兆円減らすというふうに御答弁をされていますね。やはり今、国の二兆、地方の一兆というのは一体何なのかという話になってくるんですけれども、まず、地方の一兆円ということについて、どういうふうに歳出の削減というものをお考えになっているのか、お聞かせいただけますか。

塩川国務大臣 お話の中にございましたように、平成十四年度を見ます場合に、三兆三千億円の国債を増発しなければ、中期展望の財政計画に符合してへんようになってまいります。そこで、その三兆三千億円を減額するということにつきまして、国が約二兆円若干ということと地方で一兆円ぐらいということですが、これは、地方の交付税で一兆円丸々削減ということではなくて、地方の財政計画の中で、財政支出の中で一兆円ぐらいは全体を通じて削減をしてもらいたいということでございます。

 地方財政計画によりますと、年間の規模が八十九兆円になっておりますね。この支出額八十九兆のうち、それは当然経費として見なきゃならぬもの等ございますから一概に申し上げられませんけれども、スケールからいいますと、一%でしたら九千億円、そうすると、一兆円ということは、地方財政計画の中から見たらそんなに大きい金額ではない。そうすると、一兆円前後はどこか節約し得るところで削減をしてもらえぬだろうかと思っております。

 私は、その一つとして、この際に、行政経費の見直しというものをもっと深刻にやってもらえぬだろうかと思うておるんです。過日、横須賀市で公共事業の入札をされました。はっきり金額は思い出せませんが、入札の仕方をちょっと変えただけで二〇%から経費が節減された。これは大きい削減だと思っていますが、そのような、いろいろな部門を取り上げてみたら、私は、一%の削減ということはそんなに難しくない、ぜひひとつ努力をしてもらいたいという念願を言っておるわけです。

中塚委員 それはそのとおりだと思うんですね。

 ただ、ちょっと私がわからないのは、地方財政計画で一%、一兆円とおっしゃっていますけれども、地方財政計画で一%の一兆円を削減したら、国から地方へ行くお金は一兆円削減されますか。いかがでしょうか。

塩川国務大臣 その分は交付税で影響してきますから、私はその分が節減されてくると思っております。

中塚委員 交付税は減らさないというふうにおっしゃっていますね。交付税を減らさないというのは、それは一体どういうことなんでしょうか。

塩川国務大臣 交付税だけで一兆円減らすことはないということでございまして、交付税は一切減らさない、そんなことは言っておりません。交付税だけで一兆円ということは無理だと。

 しかし、国から地方に支出します補助金の額は、率とかなんとかじゃなくて絶対額で削減することもできるだろうし、また、地方自体が交付税の算定基準になります基準財政需要額を見直してくれることによって、その分が削減することにもなってくる、こういうことを言っておるわけです。

 今、ことしで地方交付税特別会計に対しまして国が支払いをしなけりゃならぬ責任額というのは四兆数千億円あるわけですね。これを減らすことは非常に大きい国の負担に関係してくる、こういうことを申し上げております。

中塚委員 私申し上げましたのは、地方財政計画で一%の一兆円を減らしても、それがそのまま全部交付税ではないんだろうというふうに思うんですね。だから、地方財政計画の全体の需要のスケールというのを落とすことは大事なことだと思います。というか、それをやらなきゃいけないんだろうと思うんですね。けれども、地方財政計画が一%減って一兆円減ったって、それはそのまま結果として交付税が一兆円減るということにははね返らないんじゃないですか。

 というのは、地方だって交付税だけが財源ではないですね。地方の税収もあるわけだし、国庫支出金もあるだろうし、あと地方債なんかもあるわけですね。そういったことを考えると、全体のスケールを減らしただけでは、そのまま交付税の一兆円削減ということにはならないんじゃないかなと思うんですけれども。

塩川国務大臣 それは、直にはそのように影響は結びつかないとは思いますけれども、地財計画の中で地方交付税と国庫支出金というのが大体これで半分以上ちょっとある、五五%ぐらいあると思うんですね。この分の削減ということになりますと、やはり、財政計画からいいまして、一%の削減ということは全体に及ぼしてきますから、私は、地方交付税と国庫支出金の方にウエートがかかってまいりますけれども、その分が実行して出てくると思います。したがって、地方交付税で一兆円削減したら国の支出は一兆円助かる、そんなことでもないと思っております。

中塚委員 今いみじくもおっしゃいましたけれども、交付税と国庫支出金で半分ぐらい財源になっておるわけですね。それで、地方に行くお金ということで、やはり交付税と国庫支出金ということなんだと思うんですが、その二つを合わせて一兆円削っていくという話になりましたときに、じゃ、国庫支出金というのは、地方財政計画なんかぱららっと見ても、公共事業費の補助負担金なんかはかなり大きなスケールになっていますけれども、それ以外は義務的な経費がほとんどですね。人件費であるとか生活保護の負担金とか、そういった社会保障関連もあります。そういったことを考えると、この国庫支出金の方を合理化するといっても、かなり知れているんではないかなというふうに思うんですね。

 今大臣がおっしゃっているのは、国庫支出金も合理化をしてもらう、ここに当たる部分についても地方財政で合理化をしてもらうということですね。それと、あと基準財政需要額ですか、ちょっとそれはまた後で話をしますけれども、要は、国庫支出金と地方交付税の部分で国から出ていくお金を一兆円削減するということでよろしいんですか。

塩川国務大臣 結局、そこに焦点は絞られてくると思っております。

 したがって、地方交付税で貸し借り分の、それぞれの毎年やっております分の年次分割返済なんてございまして、非常に複雑に組み込まれておりますね。その中の一部を返済してもらうことも非常に大きい削減でございますね。そういうのも、中身はどうかわかりません、まだ私はわかりませんが、そういうようなものを具体的に、一つの一兆円という目標は出ますけれども、これをどこでどうするかということについては、私もまだそれだけの知識もない。けれども、目標と指示だけはしっかりと与えておかないと役人は仕事ができませんので、ここはきっちりと目標を与えておる、項目はこういうところで見直せということです。中身については、やりとりがありますから、そこらは当局、事務的に交渉したらできるじゃないか、こういうことでやっておるのです。

中塚委員 国庫支出金というのは、もう大体補助負担金関係ですね。これは、要は合理化とか単価の見直しとか、そういったことで下げていくということでよろしいんですかね。何か、物価がどんどん下がっているから、それに実勢を合わせればかなりの額が削減されるはずだというふうな御発言をされていますよね。そういうことでよろしいのでしょうか。

塩川国務大臣 大体そういうことですね。何も、公共事業ばかりじゃございませんで、一般に、地方自治体が提供しておりますサービスの中でも、相当単価的に見て改正するところが多々あるだろうと思っております。

 例えば、これはもう私の感覚でございますから、これ言うたらまた問題になるかもわかりませんけれども、例えば学校給食なんかでも節約しようと思ったらできるでしょう。それから、いろいろな行事、いろいろな市がやっておりますイベントとか行事があります。そういうのは節約できるでしょう。私は、この際にそういうものを全般、何もこれだけということを言っていません、決してそう言っていない、また誤解されたらもう大変なことになりますので。そうじゃなくて、全般をやはり見直してもらったらどうだろうか。それを私は、シビルミニマムの見直しを始めてくれぬか、こういうことを言っているんです。国も同様でございまして、ナショナルミニマムも見直さないと。そのときの根本精神は何かといったら、自助自立の精神を、国の場合はそれを全面的に出してナショナルミニマムを見直したらどうだと。その基準は与えておるわけです。

中塚委員 私は、大臣のおっしゃっていることは誤解はしないでそのまま信じるようにいたしておりますので、私の方ではなくて、どっちかというと与党向けの話なんだろうというふうに思うのですけれどもね。

 それで、どこを見直すかということは別にして、国庫支出金についてどんどんと合理化とか削減の方向で見直していこうということなんだろうと思うのです。

 それで、話がちょっともとに戻るのですが、地方財政計画で一%、一兆円切っても、要は国庫支出金なりなんなりというのは、国から出ていくお金というのは、それで全額賄われているわけではありませんよね。要は補助金だったりするわけだし、地方はいろいろな財源の中で、交付税とかあと国庫支出金というものを引っ張ってきて仕事をしているわけですから。だから、地方財政計画で一%、一兆円切るだけでは、国から地方に行くお金というのは一兆円は減らないと思うのですよ、私は。

 恐らく、いろいろな事業を満遍なく見直していこうという話になったときには、国庫支出金にしても地方交付税にしてもなんですけれども、国から出ていくお金を一兆円切ろうとすると、それの三倍、四倍の地方財政計画自体の歳出を抑えないと、一兆円削減ということにはならないんじゃないですか。

塩川国務大臣 私は、そんなに反転する、計数が三倍にもなるとも思いません。しかし、事業量で切るんじゃございませんで、絶対額で、例えば補助負担というのがございますね。そういうのは、それを全部一兆円切るということは言っておりません、それも交付税も入れて、交付税で負担しなきゃならぬものを、工夫して幾らかの緩和措置をとりながら十四年度の支出を減らすということも一つの知恵だろうと思います。また、負担金についても、負担金を削減することによって事業を収縮しなくてもいける方法は、先ほど言いましたように経費の節減ということがございますし、そういうことはこれから事務方で詰めてもらわなければ、これから一つ一つこれをどうするんだということは、まだ私から申し上げる段階じゃない、こう思っています。

中塚委員 別に、一つ一つのところについてどういう削減をされるのかという話をお伺いしているわけではないのですが、ただ、地方財政計画を一%切っただけで国から地方に行くお金が一兆円削減されるというふうには私はどうしても思えないものですから、だからお伺いしているわけですね。

 例えば、地方財政計画でいわゆる単独事業なんか大体十七兆円ぐらいですけれども、そのうち地方債が五・五兆円ということなので、それ以外、残りは一般財源ということになると思うのですね。例えば、単独事業を削減するということにしたって、やはり国から地方に行くお金というのは、一兆円切ろうと思うと、地方財政のベースでいくともっとたくさんの削減幅になってしまうんじゃないですかということなのですね。

 だから、どこを具体的に切ろうという話ではないのですよ。国から地方に行くお金を全体として一兆円切るということになってくると、国庫支出金であれ地方交付税であれ一兆円切ろうと思うと、地方財政全体の歳出というものを多分三兆から四兆ぐらい落とさないと無理なんではないかというふうに私は思っているのですね。いかがでしょうか。

塩川国務大臣 確かに、一兆円に対する弾性値はついてまいります。しかし、それで三倍ということには私はならないと思っておるのです。しかし、多少の弾性値がついていることは、一兆が一兆数千億円の削減になってくるということは思っております。

 しかし、先ほどお尋ねの中にありました、単独事業でも、一つ国の負担を軽減する方法として、単独事業で起債分がございますね。起債分は、その事業によりますけれども、半分は交付税で見てくることになりますね。この分は国が負担しているわけですね。ですから、そういうものを、削減することによって将来は減額されていきますね。そうすると、現在の貸し借りの中で余裕が将来出てくる分に対しては、十四年度で一部返済してくれぬだろうかということは可能ですね。そういう細かいことはもう役人の話で、こんなのはもう向こうに任せておいたらいいわけでして、私が言うべきではないと思うのですが、そういう考え方を私は持っておる、そういう意味で言っておるということです。

 ですから、一兆円はまさにずばり一兆円だけということはありません。ありませんけれども、地方はそのぐらいの節減をしてくれても、現在の日本の経済情勢あるいは市民のいわば安定した情勢等を見て十分できるじゃないかということで、一つの目標として打ち出した、こう解釈していただきたいと思います。

中塚委員 大臣のお考えになっていることが大分よくわかってまいりました。

 細かい話なのかもしれないのですが、単独事業のことについては、全くそのとおりだと思うんですね。ただ、単独事業は、減らすというよりは実勢に合わせていけばかなりの額が削減にはなりますよね。だって、平成十二年で十八兆五千億のうち何か五兆円弱ぐらいはできていない、未達になっているわけですから。単独事業自体は、地方財政計画の目標値なのかもしれませんが、ただ、これは実勢に合わせるだけでも国から地方に出ていくお金というのは大分削れるんだろうというふうに私は思っておるんですね。

 ただ、そうなっていくと、では、今まで一体その分の交付税というのはどこに使われておったんだという話にもなりかねないなというふうには思いますが、それはまた別の機会ということにして。

 大体わかりました。要は、地方財政計画の歳出についてとにかく合理化なり削減の努力をしていく、その中で国から地方へ行く一兆円のお金というのを削減するということだろうと思うんですね。

 あともう一つ、大臣は盛んに基準財政需要額を一兆円減らすというお話をされていますよね。違うんですか。ちょっとお願いできますか。

塩川国務大臣 それが変なことでひとり歩きしてしまって私も困っておるんですけれども、私が今言っていますのは、地方財政、これは総務省の仕事になるので他省庁のことをとやかく言うのははばかるんですけれども、私は、一国会議員として見た場合に、地方財政の中で根本的には一度シビルミニマムを見直してもらいたい。それによって、そこから基準財政需要額というものの変更が起こってくるだろう、見直しが起こってくるだろう。基準財政需要額と基準財政収入額との差額が地方交付税になってくるのでございますから、基準財政需要額を見直すことによって地方交付税の算定は変わってくる、こういうことを私は言っておるんです。

 それでは、基準財政需要額の中で、いろいろなものがございますけれども、先ほど言いました起債の裏負担ですね。裏負担はどのぐらいするかということは、その当時その当時の財政事情によって違うはずなんです。これをずっと一律でやってきた、そこでこの際見直してくれぬだろうかということが一つの大きい要件なんですね。

 それと同時に、他省庁のことを言って総務大臣は怒るかもわからぬけれども、私は、地方行政の経験者として見ました場合、地方自治体の中でいわゆる行政の責任でやらなくてもいい住民サービスというのは随分とたくさんあるんです。例えば公民館とか図書館の管理とか、あるいは学校の保全、こういうようなものはボランティアなりあるいは民間の資金でやってもいいもの。それを全部公共のサービスでやっているところに、非常に高くついておる自治体というのがあると思うんですね。こういうようなものはやはりこの際に、一兆円削減のときに、一回自治体全体が見直してくれるきっかけになってくれたら、これは将来において非常に大きい効果が出てくる、こう思っておるんです。

 ですから、とにかく一兆円と踏ん張ること、こっちが踏ん張らぬと地方自治体の方も本気になってくれへんと思うので、私は、そういう意味で一兆円というスローガンは非常に大事なものだと思っておるんです。

中塚委員 一国会議員としてとおっしゃいますが、自治大臣もされているわけでございますので、その道にはエキスパートなんだろうというふうに私は思っておるんですけれども。

 今の御説明を聞いてよくわかりました。だから、基準財政需要額を一兆円減らすということではないんですよね。そうではなくて、地方財政計画自体の歳出を減らすことによって、もって交付税が結果的にことしよりは額が減っていくだろう、そういうお話をされているということでよろしいわけですよね。

 だから、交付税を一律に減らすというふうな話になってくると、何か総務大臣なんかはそういうことはけしからぬみたいな話をされておるようですが、一律に減らすというのは、例えば国税から行く一定割合の交付税について、その一定の割合というものを変更するような話ではなくて、地方財政全体のスケールが落ちることによって、もって結果として交付税が落ちていくということでよろしいんですか。

塩川国務大臣 最初一兆円という言葉が出まして、そのときに質問した人が、例えば何で減らすんだ、こう言うた。例えば交付税等と言ったのが、交付税で一兆円減らす、そこへ結びつけられてしまったと思うんです。私は、終始一貫、地方財政の中で一兆円を減らしてもらいたい、こう言っておるんです。ですから、それ自体を理解していただきたい。

 それともう一つ、誤解を残してはいけませんが、地方交付税の算定基準とかそういうようなものは我々の仕事じゃございませんで、地方団体と総務省との間の問題でございますから、とやかく私から言うべき問題じゃございません。

 ですから、こちらの方では、地方財政の一環として協力してくれ、そしてこの負担の割合は、将来において交付税が国と地方との間の一番根源的な負担関係のやりとりになる、そういうことを思いますので、ぜひひとつ検討の課題にしたい。しかも、交付税というのは地方の固有の財源でもある。しかし、これは国税において徴収しておる、国税の責任において支給しておる非常に難しい税金でございますので、そういう税金の根本についてもこの際検討しておく必要があるだろう、こういうことです。

中塚委員 いや、まさにおっしゃるとおりで、私はそうなんだろうと思っていたんです。だから、地方財政計画全体の規模を小さくすることによって、結果として交付税なり国庫支出金なりが減って、国から地方へ行くお金は一兆円が結果として減るんだろうというふうに私は理解しておったんです。ただ、基準財政需要額の話なんかが出てきましたので、だからこれは一体どういうことなのかいな、こういう意味でお尋ねをしているわけです。

 確かに、基準財政需要額と基準財政収入の差額が交付税だということになっていますけれども、多分に後づけ的な理由でそういうふうになっているんだろうと私は思っていまして、現実問題としては、やはりまずは地方財政計画ありきになっちゃっているわけですよね。地方財政計画ありきになっていて、その足らない部分を交付税でと。交付税の枠だって決まっているわけですから。というふうな仕組みになっているというところに一番問題があるんだろうと私は思っているんですね。だから、地方財政計画全体の規模を落としていかなきゃいけないというふうにお尋ねをしたわけですが、今大臣からそういう趣旨の御答弁がありましたので、この件についてはよくわかりました。

 では、基準財政需要額を見直すということではないんですね。基準財政需要額を一兆円削減するということではないわけですよね。

塩川国務大臣 もう一度申します。基準財政需要額から一兆円を削減する、そういう考えではございません。

中塚委員 基準財政需要額自体は、いろいろな難しい方程式がありますけれども、単位費用と測定単位、あと補正係数ということでしょうから、それを減らすということになると、単位費用をいじるのか補正係数をいじるのかということになっていくんだろうと思うんですね。だから、そういうお話をされることによって地方自治体なんかが大騒ぎをしていくことにもなっておるわけです。

 いずれにしても、地方財政計画自体のスケールをぱんと抑えていく、そのことによって国から地方へ行くお金を抑えるということなのはわかりましたが、そうすると、これもなかなか容易な話じゃないですね。いかがですか。

塩川国務大臣 それは、地方も容易ならぬ話でございましょうが、国はもっと容易ならぬ話でございます。国と地方は相携えて、車の両輪でございますから、国だけが車をとめてしまって、逆回りする、地方は前へ行くといったら、車は回ってしまいますから、そういう方向が狂ってしまうというようなことをしてはいかぬと思うのです。同じペースでやっていこうと。

 したがって、税収の規模等から見ましたら、国と地方とは、一対二なんですね。そういう意味から見て、負担の区分も一対二でしてもらったらどうだ、それが一兆と二兆、私の考えはそこにあるということです。

中塚委員 今、税源の話をされましたが、何か総理も、要は、自分で税源を調達しないと地方自治体も、苦しさを味わって初めて地方に自主性が生まれるというふうな趣旨の御発言をされていますね。税源を移譲するということになっていく、そういうお話も総理はされておるわけです。

 いずれにしても、将来的な話なんだろうというふうに私は思っていますけれども、これは、地方が調達するお金というのは税ですか、あと債券もですか。その辺の自由度も認めていこうという考え方なんでしょうか。地方が独自にお金を調達するというふうに考えるときに、税だけなんですか、それとも債券についても割と自由度を認めていこうという考えなんでしょうか。

塩川国務大臣 これは地方行政のことに関しますので、私からちょっと申し上げにくいと思いますけれども、私が経験いたしましたところでは、やはり起債の分で調整するということが手っ取り早いのでございますが、しかし、これもなれてしまいますと財政が安易になりますので、地方自治体が財政を厳しく見直してもらうということが根源的にあるだろうと思っております。

中塚委員 将来的な方向として、税を地方に移管する、税源を地方に移譲するということになりますと、そのとき国が持っている借金というのはどういうふうにされるおつもりなんですか。

 今、税の、国と地方で二対一というふうなお話がありましたけれども、それをどんどんと割合を変えていこうという話になったときに、国が持っている借金と地方が持っている借金、二つありますけれども、税源を地方に渡していくときに、国の持っている借金についてはどういうふうにされるおつもりですか。

塩川国務大臣 まず、国から地方に税を移譲するとよく言われますが、移譲するということは、国の税金、特定の税を地方へ移すことですから、その分は、国の方の税収が減りますね。移譲はそうなりますね。そうではなくて、まず仕事量、国と地方との仕事量の権衡をとって、その上で税源の配分をするという考えに立ってもらわないと、移譲だけではだめだということなんです。

 その場合、どうも地方分権と税とがまさに結びついております。これは私も否定しませんけれども、もっと大事な根本があるのではないか。それは、地方自治体が自治体としての機能と責任を果たしていく単位と能力というもの、これをきちっと格差のないようにしなければ、人口百万のところも人口三千から五千の村も、同じ自治体としての扱いは難しいだろうと。

 ですから、もし地方税を自主財源で全部賄えということにした場合、とんでもない格差が出てしまう。ですから、たとえ自主財源に移管するとしても、どうしても自治体相互の間で必ず交付税的財源調整をしなければならぬだろう、こういうことは当然だろうと思うのです。

 そうした場合、自主財源というのは一体どういう意味なのかということも、きちっと考えてもらわなければいかぬ。ヨーロッパ等の自治体、そこの国との税源の問題等をぜひひとつ勉強してもらって、日本の地方と国の税制のあり方も検討してもらったら、非常に参考になるんじゃないかなと私は思ったりもするのです。

 私が一番気にしておりますのは、私も地方行政の出身でございますから地方は厚くしたいと思っておりますし、またそうしたい。しかし、それによって起こってくる格差の是正という方法について、自分では考えがつかないのです。ですから、当分の間、やはり現在の制度のもとにおいて地方交付税で調整をしていく以外にないだろうと思っております。

中塚委員 そういうことだろうと思うのですね。地方への、地方の税源を確保するとか移譲するとか。

 私がお伺いしているのは、総理がそういうふうにお話をしているからお伺いをしているのですけれども、ただ、なかなか簡単な話じゃないことも事実ですし、あと、国の借金として借金してしまったものについて、やはり担保は徴税権ですね。だから、それを地方に移すときには、借金の方はおいておいてもいいんですかというふうなお尋ねなんです。もちろん、それはまさしく大臣のおっしゃるとおりだと思いますよ。当然自治体間の財源調整というのは必要なことですし、それ自体を否定しているわけではないのです。

 だから、地方のお金を減らして、地方の歳出、地方財政計画自体を減らしていくということになると、何を減らしていくのかという話に最終的にはなっていくと思うのですね。

 いろいろお考えにはなっているようですけれども、その中で、さっきの、単価がどんどん下がっているから実勢に近づけるというお話の中で、大臣は公共事業のことについて御発言をされていますね。公共事業について、事業量はできるだけ確保したいというふうな趣旨の御発言をされていると思うのですが、この事業量を確保するということと、先ほどおっしゃった、物価が下がっているからその分は減っていくだろうというお話、これは、量は確保はするけれども額は確保はしないということなんですか。

塩川国務大臣 実質的に経費が減った分だけまた別の公共事業を追加すればいいわけですね。ですから、公共事業の総量は、景気対策がございますのでできるだけ維持して、むしろふやしていきたいと思うぐらいです。けれども、一つ一つの公共事業の経費というものは、削減するものは削減したらいいじゃないか。その削減したもの、落ちこぼれをずっと集めてきたら、またちょっと新しいものができますね。そういう考え方を私はしている、こういうことなんですよ。それは、事務的な問題でございますけれども、詰めてもらったらできるだろう。

 ですから、もう一度言いますと、国費の支出はできるだけ減らして、経費を節約して、そして実質的な仕事はきちっとしておいて、節減した分は新しく公共事業に転化してもらうようにしたらどうだろう、こういうことです。

中塚委員 例えば十兆円の公共事業の予算があるとしまして、そんなことはなかなかないと思うのですけれども全部単価が一割減ったら、量が同じだったら額は九兆円になりますね。その減った一兆円の部分は、事業をふやすということですか。

塩川国務大臣 それは、そうではございませんで、それは減った部分において新しくつくってもいいし、また、現在持っておる公共事業全体がございますね、この部分は経費節減によって維持していくことができます。維持しながら国費の削減ができるということですね。それもやってもらったらいいではないですかということです。

中塚委員 事業量と事業費というのは別物だろうと思ったからお尋ねしているわけですね。

 それで、この間の経済財政諮問会議に出された資料でも、長期的にはGDPに対する公共投資の額はどんどんと落としていくというか、言葉は何と書いてあったかあれですが、下げていくようなことが書いてあったと思うのですよね。公共投資のGDP比の中期的な引き下げということが書いてあったというふうに思うのですけれども、単価を下げて浮いたお金は、それはまたその下がった単価のもとで公共事業をやって、結局事業費は確保するということなのですか。

塩川国務大臣 下げて事業量を確保する、それは当然です。下げた分は、国費の削減、二兆円削減しますから、その中の一部に充当するようにすればいいわけでして、それでもなお単価の引き下げの方が大きければ、また少し公共事業をふやすということもできるでしょうし、そこらは事務的に詰めればいい話でして、この国会の答弁の中で細かく数字を出して私は言うだけの、まだそれだけの資料を持っておりませんので、申し上げにくい。

中塚委員 それは、どこをどう削るかというのは事務方でやればいいと思うのですけれども、大臣がお使いになっている言葉の事業費と事業量ということについて、よくわからなかったのでお伺いをしたわけですね。

 だから私も大ざっぱにお話ししているわけですよ。十兆円の公共事業の予算があって、単価が二割ぼんと落ちたら八兆円になりますね、量は変わらないわけですから。そうすると、今のお話だと、二兆余ったお金のうち、例えば一兆は歳出削減用の財源にする、あと一兆はちょっと八に上乗せして公共事業は九ぐらいにする、そういうことでよろしいのですか。

塩川国務大臣 そのくらいのハンドリングは、どの程度でできるかということは計算上の問題だと思うのですが、大まかに言ってそういうことも可能ではなかろうかと思いますけれども、削減がどれだけできるかわからぬのに、それだけで先取った話はできないと思います。

中塚委員 それはもちろん、別に十とか八とか九とか二割とかそんなことに意味があると言っているのではないのです。考え方の問題としてそういうことでよろしいのですかということをお伺いしているわけですね。

 単価の見直しということについては私もずっと関心を持っていまして、物価が下がっているから単価が下がるということだけではなくて、建築統計年報という資料なんかを見ると、国とか地方がつくる建物の単位平米当たりの価格というのは、民間がつくるものに比べて二割とか三割高いのですね。だから、それを民間と国がつくるもののレベルを合わせていくとか、実際、平米当たりの単価ですから箱物に限った話ではありますけれども、そういうことによっても単価は下げることは十分可能だろうというふうに私は思っているのですよ。

 そういう意味で、そういった方向での改革をされるということであれば大変結構なことだと私は思っていますし、ただそこで、景気への配慮ということについて、大臣も、単価を見直して量が減ったからといって、それを全部削減に当てるのではなくて、やはりそこはちょっと配慮をして、景気調整オプションみたいな感じで考えなければならぬという趣旨の御答弁だったと思うのです。

 他方、公社公団の活用とかPFIというふうなお話もされていますよね。この公社公団の活用ということなんですが、これは、いわゆる財投機関というか、特殊法人に仕事をさせるという理解でよろしいのですか。

塩川国務大臣 全部の特殊法人という意味じゃございませんで、私は、特殊法人の中でも、細かい仕事をたくさんする、例えば住宅公団であるとか、今都市整備公団になっておりますが、あるいは下水道事業団とかございますね。ああいうふうな人をたくさん使ってくれる公共事業というものをやっておる公団は、もっと活発な活動をしてくれてもいいと思っております。

 しかし、余り人を使わないで、資材をどんどん使っていく公共事業もございますね。こういうような分については、大型公共事業になると思うのですが、これはその事態事態におけるニーズとそれから効率とかを見て見直してもらいたい。

 大ざっぱに言って、そんな考えで公団公社のことを考えておる、こういうことであります。

中塚委員 ということになりますと、公団公社なりを活用するということになると、その場合の財源というのは、特殊法人なわけですから、財投債か財投機関債かどっちかなんでしょうね。どちらにウエートを置かれるというか、財源はどちらでやる方が望ましいというふうにお思いになられますか。

塩川国務大臣 原則として、財投機関債でございます。

中塚委員 例えば、今まで、年度の途中で緊急経済対策とかいうのを出したときに、事業量というか、総事業費みたいなものにすごくずっとこだわってやってきた経緯があって、その中で、財投機関の事業費というか、そういったものを経済対策の内数に組み込んで発表してきたことはよくありますよね。住宅金融公庫の貸付額なんかを経済対策の事業費として組み込んで、ばんとぶち上げるというふうな手法はあったと思うのですね。

 けれども、今回、赤字を減らしていく中で、公共投資についても必然的に見直していかなきゃいかぬ。では、その足りない分について、公団公社に仕事をさせて、それに事業量を確保させて去年と同じだということは、それはちょっと新しい手法なんじゃないですか。

塩川国務大臣 何も公社公団だけに依存をするということもございませんし、先ほどお尋ねの中にございましたPFIということも入れて、要するに経済への、景気刺激を、絶えず下支えをしていって経済刺激をしていく、この考え方を実行していくものであれば、どんな手段でもあっていいと思っております。

中塚委員 公団公社、あとPFIの話もされましたが、公団公社を活用して事業量を確保するということになってきますと、今の小泉内閣の方針である特殊法人に対する考え方と余り整合性がとれていないのじゃないかというふうな感じがするのですけれども、そこはいかがですか。

塩川国務大臣 小泉内閣で今掲げております行政改革の中で、特殊法人等の効果とそれから官営の必要性というものと、これを見定めて改革しようということでございますから、民ではできない、官でやる方がいいというものは官で残していこう、民でやれるものは民にもう移そう、こういう考えでございますし、また効率の面につきましても、民でやる方が、効率的にその方がいいというものは特殊法人から民間へ移そう、そういうことを基準にしておりますから、全部が全部特殊法人を廃止して民間に移管する、そういうことばかりではない、こういうことでございます。

中塚委員 公社公団を使うにしても、財投機関債を財源として主に考えたいというふうにおっしゃっていたので少しは安心しましたけれども、これが財投債を活用して公団公社に仕事をさせていくということになりますと、財投債だって国債と何ら変わらないわけですね、オフバランスになっているとはいうものの。そうなってくると、単年度で三十兆円以内に公債を抑えるということの意味はほとんどなくなっちゃうわけですから、そこのところはやはり十分考えていただかなきゃいかぬだろうというふうに思っております。

 それで、一日に大臣は記者会見をされて、公共事業に関する地方自治体への国の補助金について、補助率を見直さなければならないというふうな御発言をされたと聞いておりますけれども、補助率を下げるというのはどういうことですか。

塩川国務大臣 それも、補助率とそれから交付税とのリンク等を総合的に見て、国と地方の負担を考えなければいかぬと申したんです。例えば、事業によりまして国は半額補助して、またあとは、地方負担はございますけれども、起債がございます。その起債の償還については、半分もしくは半分以上の交付税にリンクされてありますね。

 そうしますと、その負担額というものを見た場合に、国と地方とのいわば総トータルで見た負担というものは相当高いものになりますね。そういうようなものは一体どの辺が適正であるかということを見直したらどうだろう、こういう意味で言っておるわけです。

中塚委員 国と地方の均衡を図りながら補助率を下げていくということは、これは来年度ではなくて中長期的な話なんですか。

塩川国務大臣 来年度でできるものはできるだけやっていきたいと思っております。

中塚委員 補助率を引き下げると、逆に交付税がふえちゃうだけなんじゃないんですか。そういうことではないんでしょうか。

塩川国務大臣 起債のリンクがふえるわけですね。ですが、起債額はリンクしても率は、例えば、五〇%起債が交付税へリンクされているのが三〇%だって減るんじゃないですか。そうでしょう。そこらの権衡をどうとるかということですね。

中塚委員 時間が参りましたので、またこの話については改めてお伺いをしたいというふうに思うんです。

 いずれにしても、三十兆円に国債の発行を抑制するということで大変な御苦労をされているのはよくわかるんですけれども、きょう、地方財政自体のスケールを小さくするというお話が聞けましたので、ちょっと安心をしました。

 本当は、補助率を引き下げるとかそういったことをやらないと、構造改革にはなっていかないんだろうと私自身は思っているんですよ。だから、単に単価が下がったから予算が減りましたみたいなことだと、それは、数字の帳じりを合わせるために予算を削減するということにはなっていくんでしょうけれども、本当に構造改革というのであれば、まさに大臣がおっしゃったように、補助率をいじるとかそういったことをやらなきゃいかぬわけですね。

 今後、またいろいろそういったことについてお伺いをしていきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

山口委員長 吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、きょう最初に、租税特別措置法一部改正案にかかわって、今度、上限百万円まで一年以上保有の株式の譲渡益について所得控除ということですが、現行の税制上の扱いと比べてみますと、所得税の人的控除なら三十八万円から、特定扶養親族控除六十三万円、贈与税の非課税枠は百十万円、独身者の課税最低限が百十四万四千円など考えられるわけですが、今度の百万円というのが何を基準に百万円という水準にしたのか、ここのところから伺っていきたいと思います。

尾原政府参考人 今、百万円は何を基準にしたのかというお尋ねでございました。

 この百万円を決定するに当たりましては、まず、個人投資家の株式の保有取引の状況がどうなっているか、それから、今先生がお話ございましたように、現行の所得税制における体系がどうなっているか、そういう中で個人投資家の株式市場への参加を促進するという政策的観点をどう加味していくかということでございます。

 例えば、現在、総合課税の譲渡所得の特別控除は五十万になっております。また、長期の場合の土地譲渡所得の特別控除は百万円。一方、今お話がございましたように、配偶者の対象になるかあるいは扶養控除の対象になるかという収入ベースが百三万円でございますので、最大限配慮するという観点から総合勘案し、百万円というふうにお願いしているものでございます。

吉井委員 百万円というと、今もおっしゃったパート収入の百三万円、このことが頭に浮かぶんですが、家庭の主婦がパートで年百三万円まで、自分に課税されないために、働く意思もあるんですけれども百三万円というところは、そこを超えると不利になるという問題があって、いわゆる百三万円の壁と言われているのがあるんですね。

 労働省の調査では、九〇年の二四・〇%、九五年三一・六%が、九九年四二・三%というふうに、就業調整しているパート労働者がふえている、こういう問題があるんですね。また独身者の課税最低限もそうなんですが、パートの主婦が働いて得る課税されない給与の最大限と、株に投資して得たもうけで非課税となる限度が同じ大体百万円という水準、これはどう見てもバランスがとれないんじゃないかと思うのです。

 そこで、勤労所得と不労所得の課税水準が同じというこの問題、塩川大臣は、パートの主婦の皆さんにこの辺をどうわかりやすく説明をしていくお考えなのか、大臣のその説明をちょっと伺っておきたいと思います。

塩川国務大臣 ただ所得配分からくるところの税のみでいうならば、吉井さんのおっしゃるような、多少株に傾斜したような税制に見えますけれども、しかしこの特別措置をつくりましたことは、御承知のように今の一般国民の金融資産が預貯金に集中しております、これを直接金融の証券市場にももっと融通してもらいたいということ、そのことが一つの政策的目標としてやったようなことです。そのためには、証券に投資をする人の参加しやすいようなインセンティブをひとつつけよう、そういう政策目的のものでございますから、その点は理解してもらいたいと思っております。

吉井委員 百三万円の壁で、本当にやりくりその他苦労している主婦のパートの皆さんには、とても今の説明では、率直に言って説明にならないと思いますよ。

 それから、利子に対する優遇制度という点で見ますと、老人マル優と比較してみると、これももともと非課税限度が元本額ですが、これに対して今度の株式版マル優とも言われる少額非課税制度というのは、年齢制限などもなく、だれもが使える一般的な優遇措置で、利益そのものを百万円おまけしよう、まけようというわけですね。

 今お年寄りが老人マル優を限度いっぱい使ってとなりますと、千五十万円。これを一年定期で預金して生まれる利子は、低金利の中で一千五十万円預けて約五千円ですね。この株式版マル優と同じ百万円の利子を稼ぐには、二十億円の預金。実に、一千万円の預金をするお年寄りの二百人分の利子に相当するわけですね。しかしこれには、二十億定期にした人の場合ですと、百万に対しては二〇%の源泉課税ということになってきます。ところが、株の譲渡益だと非課税。これはやはり矛盾しているわけですね。

 だから、株と利子ではもともと持つ人も性格も違うわけですが、利子所得課税とこんなにバランスを崩してしまっていいのかと思うのですが、これは大臣、どうですか。

塩川国務大臣 現時点におきます利子課税とのバランスからいったら、あなたがおっしゃるとおりです。しかし、かつて利子課税の特例法を設けました当時は、年率平均六%ぐらいだったかなと思ったりいたしますが、その当時から比べてみますと、比較はそう違ったものではないと思うのですけれども、現時点においては、御指摘されておるように格差はあることは事実であります。

吉井委員 金利六%にしろ、百万円という譲渡益に対する非課税ということになってきますと、それは六%の時代であっても全然違うということをまず言っておかないといけません。

 ことし四月十七日の政府税調総会で、共同通信社長の松尾委員は、株式というのは、預貯金とは性格が根本的に違う、ハイリスク・ハイリターン、完全に自己責任の分野のことで、ハイリターンのところは不労所得だ、こういう指摘もあって、やはり税というものを考える上で、勤労所得と不労所得、このあり方を考えてみても、このやり方はゆがんでいると私は思います。

 しかも、今回の申告分離課税に適用される非課税制度というのは、所得課税に値しない源泉分離課税を残したままですから、取引ごとにどちらを選択してもいいわけですね。源泉分離課税とうまく併用して操作すれば、意図的にかなり税の軽減をもたらすということになります。もともとリスキーな不労所得の典型である株式投資にこんな破格な優遇策を導入するということは、これは税調でも指摘されたりしていますが、課税の公正さというものを著しくゆがめることになるんじゃないかと私は思うのですが、この点についても大臣の考えをちょっと伺っておきたいと思うのです。

尾原政府参考人 今先生から公平の観点から金融資産間の問題について御指摘がございました。

 先行きの話になりますが、利子は経常的な収入になるわけでございます。そういう意味でいいますと、この株式に相当する経常的なものは配当でございまして、こちらの方は、基本的に総合課税を基本にしているということかと思います。

 それから、今回の長期保有上場株式の百万円控除の問題でございますが、これはいわば元本と申しましょうか、キャピタルゲインの話でございます。先ほど申し上げましたが、この百万円は、個人投資家にどのようにインセンティブをつけて、今までなじみのなかったような方にどうやって株式市場へ参加していただくかという観点からの政策税制でございます。

 先ほども申し上げましたように、その場合、土地の譲渡所得の長期の特別控除が百万円になっている、あるいは、一般の総合課税の譲渡所得の特別控除が五十万円でございます。そういう意味で、高いという御指摘かと思いますけれども、そういうものの中で、かつ今の独身者の課税最低限の百十四万円、それよりも下にしてございます。

 したがいまして、この体系の中でもぎりぎり配慮した姿に政策税制としてあるということかと思います。

吉井委員 そういうことをおっしゃるのだったら、四月十七日の政府税調の総会で、時事通信社長の村上特別委員の方から、税制は、中立、公平を基本に論議しなければいけない、税制が預貯金より証券投資に向かうのを邪魔しているのかどうか、よく見ないといけない、株式とか投資信託というものは非常にリスキーなもので、それを制度あるいは税制で解決してあげる、リスクを取り払ってあげるということはできない、人為的に何か税制のインセンティブでやるようなことを始めると、これは大変な問題だ、税制に対して国民の信頼を失うという指摘をしておられますね。

 私は、今のような発想で、証券投資に誘導するためにという考えでやる、そのこと自体がまず政策として問題があると思うのですが、いずれにしても、中期答申の中ですら持ち込まれなかったものを持ち込んで、年度改正における源泉分離の二年延長に続いてまたやる、どたばたといいますか、場当たり的な、こういうふうなやり方というものは、ますます国民の税に対する信頼をさらに損なうことになるということを指摘しておいて、今おっしゃった方に移りたいと思うのです。

 株式譲渡益を百万まで非課税にするということにより、多くの国民を預貯金より株式投資に誘導するという目的が、改正の要するに中心点であるわけですね。二〇〇三年三月三十一日までに長期保有株式を譲渡すれば、メリットはあるわけです。ずっと今まで持ってきた人が売って確かに利益があるわけですが、新しく買って、一年以上保有して譲渡益で百万円出すというのは、こういう不況の中で先行きどうなるかもわからないから、株価が下がるかもしれないと思ったら、新しく個人投資家が株式市場に参入するということは、必ずしもそれはそうならないわけですね。

 ですから、今回の法律改正案がなぜ個人資産を株式市場に誘導することにつながっていくのか、その必然性というものを、少し根拠を挙げて説明してもらいたいと思うんです。

尾原政府参考人 今回は、株式になじみのない個人投資家の方を市場にできるだけ参加していただこうという政策税制でございます。先ほど大臣からもお話がございましたように、税制はあくまでも一つの手段でございまして、それが万能、それですべて解決ということではございません。やはり本格的に投資していただけるためには、企業における株主重視の経営姿勢をどう考えるか等々の話が一緒に来るべきものと考えております。

 したがいまして、私ども、直接金融への重視という流れの中で税制でお手伝いできるものは何か、いろいろな体系の中でぎりぎり百万円の特別控除制度が一つの手段ではないかというふうに考えたわけでございます。

 なお、今回の措置は、現在、二年間源泉分離の選択制度が存続するわけでございますが、その中でとり得るぎりぎりの制度である。源泉分離選択の二年間の後は申告分離になるわけでございまして、今回、申告分離をした場合の税制のあり方については、もう既にきょうから政府税制調査会で検討を開始する状況に来ているということでございます。

 したがいまして、申告分離を、一本化をやめるということではございません。申告分離選択は当然のことながら法律どおりやらせていただく。そういう中での措置でございますので、御理解賜れればというふうに考えております。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

吉井委員 個人資産を株式市場に誘導する、なぜそうなるのかという必然性、合理的根拠、これは今のお話じゃとても説明になっていないと思います。要するに、合理的説明ができないというのがここの中心点だと思うんです。

 次に、少し見ておきたいのは、証券広報センター等証券団体が実施した調査を見てみますと、八二%の人が証券会社の営業姿勢は顧客の利益第一になっていない、三〇%の人が証券会社は信頼できない、こういう回答なんですよね。だから、税制をいじくっても、株式投資にはリスクが伴うということ、それから素人が個人判断でやってうまくいくほど簡単じゃないということ、そのとき相談したい証券会社が信頼できないという状況では、株式市場への誘導というのはうまくいかないんじゃないですか。

尾原政府参考人 ただいまのようなアンケート調査があることも承知しております。恐らくこれからはそのようなことがないよう、それぞれ証券会社においても努力されるというふうに考えております。

吉井委員 柳澤大臣は、三月十五日の参議院財政金融委員会の方で、税制だけじゃだめだということをおっしゃっているんですね。個人投資家の信頼を得るために証券会社の営業姿勢を正すということが求められる。それなしには幾ら税制をいじくってみたって、これをやれば株式市場に誘導できるんだ、そういうことにならないと。あなたの答弁からしても、私はそう思うんですが、改めて伺っておきたいと思うんです。

柳澤国務大臣 ただいままでの吉井委員の質疑における御発言を聞いておりますと、吉井委員は、少なくとも今の日本の金融・資本市場において預金等の形に偏重がある、もっと最終のリスクの負担者が資本というか株式を保有してくれるのがいい、このあたりまでは大体お認めになっていただいているように思うのでございます。

 そういう前提でお話を申し上げますと、それでは、そのウエートをもう少しシフトさせるにはどうしたらいいかということがかねてから問題になっているわけですけれども、私は、やはりまず第一には、発行会社における株主の重視というものがなければだめだ、こういうふうに思っております。どうして日本の株式会社が株主重視の財務政策というものをしないかというと、それは株式の持ち合い等の影響があったということで、これについてもメスを入れなきゃいけない。

 第二番目は、証券会社の営業姿勢。回転売買などといって手数料稼ぎのようなことをやっているのではだめで、やはりもっと個人投資家の保有動機というものをしっかり持たせていただくような営業姿勢というものがなければならない。

 第三に、私は、それをバックアップするためのインフラとしての税制、これが必要だということをかねてから申し上げているということでございます。

吉井委員 預貯金にしろ証券市場に参入するにしろ、それは皆個人の選択の問題ですから、それをどちらにということを決めてかかっての議論をしているわけじゃありません。

 それで、株券等の保管振替法一部改正の方では、短期社債振替法の方もそうですが、証券の決済システムを担う保管振替機関の組織形態を株式会社方式に切りかえようというものですが、組織の問題より、今の財団法人の運営、役員の方々のやり方に対して、例えば証券会社や発行企業の意見をくみ上げていないじゃないかとか、旧大蔵省OBの天下り支配が顧客の要求にこたえていないじゃないかとか、相当不満、批判等が出ているということも耳にしております。どういう問題等が今出されているか、これを伺っておきたいと思います。

乾政府参考人 今御指摘の保管振替機関の問題につきましては、市場関係者等も踏まえましていろいろな勉強をやってまいったわけでございます。

 振替機構の業務のあり方を考えました場合に、現行の保管振替機関は財団法人でございますけれども、これにつきましては、やはり公益法人でありますことから、どうしても定款や寄附行為に定められた業務ということに縛られまして、新規の業務の展開等により新しい需要に対応することは困難となっていること。それからまた、利用者のニーズや意見が必ずしも十分に反映される体制にはなっていないこと。また、財団法人でございますから、証券決済機関の必要なシステム投資のための資金調達が困難であること。それから、やはり競争可能性に乏しく、経営の一層の効率化を通じたサービス向上のためのインセンティブが働かないこと。また、株式保有が制限されておりますので、合弁や業務提携といった事業展開が困難といった問題点が指摘されてきたわけでございます。

 そうしたことから、今回、保管振替機関を株式会社というものに変えまして、新しい国際競争の時代に対応した形態、そして効率的な業務運営ができるように変えてほしいというのが関係者からの要望であったわけでございます。

吉井委員 問題は、公益法人としての性格をきちっと果たしているかどうかということ。理事会とか評議会といった意思決定機関に書類を回すだけで、何のディスクローズもされていないという問題などが週刊ダイヤモンドなどでも指摘がありました。

 ディスクローズが弱いから顧客に信頼されない、反目が出てくる、だから保管される株数がふえない、この結果手数料が欧米並みになっていかないという悪循環を深めておりました。だから、手数料を引き下げる、顧客の要望にもこたえていく。手数料を引き下げるということになると、保管数、振替数をふやすことが最大の対策なんですから、そうすると、株券の保管振替システムはできているので、取扱量をふやすということをやればいいですね。それをやればコストの引き下げができる。それをやるにはディスクロージャーを抜本的に進めていく。

 つまり、ディスクロージャーが十分されないから悪循環になっていく。もっとディスクロージャーを抜本的に進める、そのことにこそ一番今改善していかなければいけない問題があるのではないですか。

乾政府参考人 ディスクロージャーということは、どのような形態であるにいたしましても心がけていかなければならないものと思っておりますけれども、とりわけこの株式会社化、そして今回の法制のもとで複数のものが法律的には競争し得るような仕組みとすることによりまして、そうした競争可能性を通じますれば、今御指摘のディスクロージャーの問題も進みますし、また効率的な運営も可能になりまして、それが手数料の問題にも還元されまして、市場参加者が利用しやすい仕組みになるというふうに考えているわけでございます。

吉井委員 ディスクロージャーの問題は、競争の話とはまた別の話なんですね。これは、国の情報にしろ何にしろ、今本当に情報を公開しようという時代であって、それを徹底するということが大事なのです。

 実は、八四年四月の参議院大蔵委員会で、保管振替機関を設立する当時の国会審議の中で、当時の稲葉威雄法務省参事官は、「諸外国でも株式会社でやっている例がございます」としながら、「政策的な判断といたしましては、むしろ公的なもの、あるいは公共の利益と申しますか、有価証券の流通の円滑化という一種の公共目的、公益に奉仕するものとしてとらえるということで、営利と結びつけない方がよいのではないかという判断がございまして、そしてその結果として、株式会社方式をやめて公益法人にした。」こういうのが当時の見解なんですね。

 この保管振替機関にしても証券取引所にしても、市場の公正な価格形成の実現を図る機関とか、高い信頼性を持って証券の決済システムを担うという機関においては、営利を追求するということではなくて、営利の追求を目的としないで、ディスクロージャーを徹底して、やはり一番大事なのは、公共性とか信頼性とか公正さとか中立性の確保を図る、そのことが一番原則的に必要になってくることだと思うのですが、これはもう一度伺います。

乾政府参考人 ディスクロージャーの重要性等につきましては、私ども、先生と同じ考え方でございます。

 ただ、この保管振替機構の制度が創設されました昭和五十九年当時、そのような考え方で財団法人として創設したわけでございますけれども、その後、いろいろな経済情勢あるいは行政改革に対する考え方の変化等がございまして、先ほど来申し上げておりますように、今回提案を申し上げました趣旨は、いろいろな、保管振替機関の運営の効率性の確保、それから、そのすぐれたサービスを顧客、市場関係者に提供してまいりますためには、相当な規模のシステム投資というのが必要になるわけでございまして、そうしたことの資金調達の可能性等から株式会社化を進めることが適当である。

 ただ、御指摘ありましたようなそうした公共性、これは、この振替機関の中における口座間の振替が民事上特別の効果をもたらすということでございますので、そうしたことからくる必要最小限の規制は求めていった上で、最初に申し上げました趣旨で株式会社化を進めよう、そういう趣旨の提案をしているわけでございます。

吉井委員 やはり公共性とか信頼性、公正さ、中立性の確保が一番大事なところで、この機関についても、そのためにもディスクロージャーということが非常に大事な問題ですよ。

 最近発売された週刊誌などでも、この機関の天下りの方の高額給料の問題、金融庁が公表できないということで慌てて回収に回ったという話なども出ていますが、やはり旧大蔵省の監督とか天下り問題を含めて、これまでの保管振替機関の問題点を明らかにしそれを正すということをやらずに、形態を株式会社化すればよくなる、そういうやり方では問題の先送りだけだということを指摘して、次の問題に移っていきたいと思います。

 お手元の方に資料の配付をお願いします。

 大阪証券取引所問題について伺いたいと思います。

 お手元に、公表されております調査報告書(概要)という資料一と、私の方が独自に入手しました、概要版じゃなくて全部について、ちゃんとした全体の報告書がありますが、その報告書及び関連資料、これを資料二としてお配りいたしております。

 大阪証券取引所の理事長、副理事長を務めておられた北村理事長と野口副理事長であった当時に、この大蔵OBの二人は、証券取引所が営利を目的とする業務を営むことを禁止されている、こういうことがあるにもかかわらず、証券会社などの営利法人を設立して、さらに六十億円を超える資金を証券取引所などから不透明に引き出したという問題があります。

 最初に伺っておきますが、本来、証券取引所というのは不正取引を監視する機能を持っている、みずから不正取引を行ってはならないということ、公正性や透明性が強く求められている、そういう機関だと思うのですが、これは原則論ですから、まず大臣に伺っておきたいと思います。

柳澤国務大臣 そのとおりだと思います。

吉井委員 大阪証券取引所で起こった不正事件の問題点を洗いざらい明らかにして、その上で断固とした処置をしなければ、公正な市場、一般投資家に信頼される市場というのは回復していかないと私は思うのです。辞職した理事長、副理事長の二人だけの責任に矮小化して、大阪証券取引所で起こった問題の全容を解明し、公開して、公正な解決をしなかったならば、私は大変な問題を残してしまうと思うのです。

 そこで、まず資料一の方の調査報告書、概要版ですが、この四ページの、下に線を引いておいたところですが、「ロイトファックスの株式売買に伴う売買手数料等は、最終的に大証と関連会社が負担している。公益的運営に努めなければならない大証の立場からみると問題である。」こういう指摘がされております。まず、ロイトファックスへは五億円の資金が流れておるのですね。この資金の使い道が問題だと思うのですが、何に使ったのか、金融庁はつかんでいますか。

乾政府参考人 その問題についてお答えいたします前に、この大証の問題につきましては、今お配りになりました資料、これは概要でございますけれども、ここにあらわされておりますように、いろいろ大証の、証券取引所としての公益性から見まして適切でない行為があったというふうに私ども考えているわけでございます。

 そうした考え方の中で、私ども、大証に対しまして厳しい自主的な調査と改善措置を求めてまいりまして、かつその結果を世の中に公表させることとしたわけでございます。

 ただ、証券取引所といいましても、これは公共性はございますけれども、民間の機関としての側面もございますことから、いろいろな取引につきましては、公表するかどうかは大証が判断すべき問題でございます。

 ただ、私ども、そうした大証の持つ公共性の観点から、そうした取引への影響ということと、大証の公共性からくるアカウンタビリティーとの調和という観点から、この概要という形で報告を公表させたものでございます。

 そうしたことでございますので、この報告書、概要というものに書かれていない事柄につきましての言及は差し控えさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。

吉井委員 公共性を持ったところが、投資家からして本当に信頼できるものなのかどうかということを一番はっきりさせなければいけないのに、今のような答弁というのは、結局、信頼を得られるものにしようという立場ではなくて、臭い物にふたをする、こういう立場でしかありませんから、とてもそんな態度では、私は、幾ら証券市場への参入をふやすのだという政策目的を掲げられても、そうはならないということをまず言っておかなければいかぬと思うのです。

 それで、資料二の方の一ページ、これは野口副理事長が調査委員会の尋問に対してきちっと答えている部分ですが、下に線を引っ張っておきました。

 要するに、この五億円の問題について、個別株オプション市場で東京証券取引所との競争に勝ち、メーン市場になるために、ロイトファクスを設立してソニー株や興銀株の取引をさせたのだ、そのための証拠金として取引所から出したのだということが、この下線部、引っ張ったところにちゃんと書いてあるわけです。

 メーンの市場になれば、個別株オプションで大証に全体の取引を引き寄せられる。逆に、メーンにならなければ、取引は集まらない。市場間競争で勝つか負けるかという点で、大証の命運がかかっているからということで、自分で金を出して、自分でつくった関連会社を使って注文を出し、取引量が他の市場よりも多く見せかけようとした。

 これは後ほども触れますが、一九九七年七月二十六日付の日経新聞でも、自己売買が中心でという問題の指摘の後、グラフが出ていますが、大証の商いがぐっと東証に比べて多くなっているわけですね。

 こういうふうなやり方というのは、この取引は、証券取引法百五十九条で言う仮装売買に当たるのではないか、証取法違反という問題になってくるのではないかと思うのですが、これはごらんになって、大臣どうですか。

五味政府参考人 御指摘のありました証券取引法第百五十九条の第一項に言います仮装売買と申しますのは、有価証券取引が繁盛に行われていると誤解させる等これらの取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって、権利の移転を目的としない仮装の有価証券の売買をすることという定義がされております。

 具体的な個別の取引がこうしたことに当たるかどうかということにつきましては、私どもから個別にこれをコメントするということは、将来の私どもの活動に差し支えますので、控えさせていただきます。

吉井委員 今の話は百五十九条の説明だけなのですよ。

 個別取引にコメントできない、大体そう答えるというのは最初から予定していたのですが、一般顧客の取引ではない、最も公正であるべき市場を開設している取引所が不正を認識した上で行っている取引なのですよ。投資家や国民の前に明らかにすべき話なのです。証券取引所内部の処理で済まされる問題ではないと私は思います。

 金融庁、証券取引等監視委員会としては、まず、どういう処置をしたのか、責任ある人物はどういう処分を受けたのか、関係した会社はどうなったのか。私は、それはきちっと、コメントできないというような話ではなくて、明らかにしなければいけないと思います。

乾政府参考人 個別の取引の話は、ただいま証券監視委員会からお答え申し上げたとおりでございますけれども、この大証の関連会社の問題につきましては、証券取引所というものは営利を目的に業務を営むことが禁止をされているわけでございますが、関連会社を設立する行為そのものがこの証券取引法令に違反するものではないと考えているところでございます。

 ただ、その法の趣旨にかんがみまして、関連会社を設立する場合には、取引所自身が営利目的を禁じられていること等を考え合わせまして、これは、証券取引所の機関決定と申しますか、そうしたガバナンスの場で慎重な議論が行われた上で当否が決定されるべきであったというふうに考えているわけでございます。

 今回の大阪証券取引所の事例を見ますと、そうした意思決定過程等を総合いたしまして、これは、証券取引所としての公共性、また今申しました関連会社の設立手続等の観点から見ましても適切ではなかったというふうに考えているところでございまして、そうした観点から、当局、これは当時まだ大蔵省でございましたけれども、当局から厳しい実態調査を求めたわけでございます。

 それに基づきまして、大阪証券取引所におきましては、第三者である弁護士、公認会計士等から成る調査委員会を設けまして、その調査委員会の内容が昨年の六月二十日にまとまり、その概要が先ほどお配りになったものでございます。

 私ども、そのプロセスにおきまして、厳しい調査とそれから自主的な改善措置というものを強く求めてまいりまして、また、その後も定期的にフォローアップをしておりますけれども、そうした措置に基づきまして、大証におきましては、昨年、理事長、副理事長が退任いたしますとともに、関連会社の整理あるいは公益理事の増員、そしてそうしたことが再発しないような諸規則の制定及び改正、また考査室の新設、外部監査の導入等再発防止のための施策を実施しているところでございまして、私ども、大証がそうした措置を着実に実施することをこれからも監視してまいりたいというふうに思っているわけでございます。

吉井委員 私は、金融庁や証券取引等監視委員会として、まず責任を持って対応するべきだというふうに思います。

 大阪証券取引所の責任者の方は、要するに首になったわけですよ、理事長、副理事長。それから、売買注文を出したロイトファクスは解散させたわけですよね。しかし、これは当事者の一方の側の処置なんですよ。ロイトファクスが一人で仮装取引ということはできないわけで、売買の相手がいるわけですね。その相手も当然責任を問われると思うのですが、相手はだれですか。

乾政府参考人 大変恐縮でございますけれども、個別の取引でございますので、私どもの方から言及することは差し控えさせていただきたいと思います。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 ロイトファクスが仮装売買をした証券会社は三社あったのですね。あったというふうに聞いていますが、そのうち大和証券は、第三者が検査に入ったときに問題として指摘されるおそれがあるとして、売り買い同数注文、量的に多く目立つ、発注のタイミングが東西の証券取引所の売買高が拮抗しているとき、代金が大阪から振り込まれる、損切りは多いが意図が不明という理由で取引を中止したのですよ。

 これは、普通の証券会社は、注文を受けると自分が危ないから相手にしなくなるのですね。

 お手元の資料を見ていただきたいのですが、資料二の二ページ、三ページ目に、受け渡し計算書をお手元にお配りしておりますが、要するに、この計算書を出したのは光世証券という会社です。光世証券とロイトファクスの仮装売買は、他の証券会社が手を引いているのに、九七年七月以来一貫して続けられてきたのですね。しかも、ロイトファクスのこれらの取引の約九五%が光世証券で行われていたと関係者から伺っておりますが、この計算書は、光世証券が大証、ロイトファクスの仮装売買の一方の中心的当事者だという事実を明確にしております。

 実際、さっきも少し触れましたが、日経新聞の九七年七月二十六日付で、七月二十五日まで大証の売買高が東証を上回っているのは、地場の一部中小証券が活発な自己売買を繰り返しているためと見られると。この地場の証券というのは光世証券のことですが、こういうことをロイトファクスと光世証券でやっていたわけですよ。この光世証券については、一方の当事者になるんですが、それではどういう処分をされましたか。

乾政府参考人 一つ、光世証券との取引を御指摘になったわけでございますけれども、この取引の問題につきましては、先ほど証券監視委員会の方からお答えをしたとおりでございますので、それ以上の言及は差し控えさせていただきたいと思います。

吉井委員 大証の理事長、副理事長は要するに首なんですよ。ペーパーカンパニーその他、こういう不正取引にかかわるようなダミーの会社といいますか、ペーパーカンパニーとかこういうのをつくったのは、全部解散させたり処分しているんですよ。一方の側は処分が済んでいるんですね。もう一方、これは相手なしにはできないんですよ。なぜもう一方の側は処分しないのか。答弁することもできないのか。これはだれが考えたっておかしいんじゃないですか。

乾政府参考人 証券会社につきまして、これは一般論でございますけれども、証券会社が法令違反となる行為を行っていたことが明らかになりました場合には、当局といたしましては証券取引法の規定に基づきまして厳正に対処することとしているところでございます。

吉井委員 法令に違反するも何も、きちっと調べてその上でどうするかということを決めなきゃいけないのに、何にも今答えていないわけですよ。

 では言っておきますが、この調査委員会の中にその光世証券の責任者の方が入っていたんじゃないですか。

乾政府参考人 調査委員会の中には、当然のことといたしまして、証券取引所の代表といたしまして幾つかの証券会社の代表の方が入っていられるわけでございます。

吉井委員 入っていると言いながら、なぜ光世証券の代表の人が入っていたとはっきり言わないのか。

 だから、調査委員会で何か厳正にやったようなお話ですが、その調査委員会にそもそもこの一方の当事者が入って調査して、理事長、副理事長とか大蔵のOBの天下り、天下りはまた別な問題としてあるんですが、一方の当事者は処分をしながら、みずからは調査委員会に入って、みずからがみずからを処分することはしない、こういう形で来ているわけですよ。証取法第百五十九条、仮装売買の禁止に違反する行為を行って、一方は辞職し関連会社を解散、他方は何の処分もなし、おかしいんじゃないですか。

 その上、取引所と組んで不正な取引を行っていた光世証券の当時の巽社長は、現在、不正取引の排除や公正で透明性の高い市場の実現を求められる大阪証券取引所の社長になっているんですよ。これでは、証券取引所の信頼性の回復とか必要な処理をしたと言っても、もうとてもじゃないが投資家の信頼というのは得られないんじゃないですか。これは大臣、どうですか、こういうやり方は。

乾政府参考人 先ほど来お答えしておりますように、これは一般論でございますけれども、証券会社が法令に違反する行為を私どもが把握いたしました場合には、証券取引法の規定によりまして、厳正に対処しているところでございます。

 それからまた、証券取引所、現在、大阪証券取引所でございますと株式会社になっておりますけれども、証券取引所の役員である者が証券取引法等に違反する行為をしたことがあってはならないことは当然のことでございまして、そうした事実が把握されました場合には、これも法令にのっとって厳正に対処する所存でございます。いずれも一般論でございますが。

吉井委員 よくそんな答弁をすると思いますよ。

 参議院で、同じ問題を二カ月ほど前にやっているんですよ。参議院で、法令違反の事実、しかしそれを事実と認めなくても、法令違反の疑いありという情報を得たら、直ちに二カ月間きっちり調査するのは当たり前じゃないですか。それを全くやらないで、今のような答弁は答弁になりませんよ。個別に言えない、こんな調子では、何があろうと、きちんとした、公平で透明性のある公正な市場をつくろうという気がはなからないということを言わざるを得ないと思うんですよ。

 あわせて伺っておきますが、私は、調査報告書の一の方の概要版ですけれども、三ページに、大証システムサービスなど四社以外は事業活動を行っていないペーパーカンパニーで、その存在は不透明な取引に利用されている可能性があるので問題だと書かれている。

 問題だと書かれているその部分をさらに取り上げたいと思うんですが、この問題のペーパーカンパニーの一つに、中央コンピュータサービスというのがあります。この中央コンピュータサービスという関連会社は、首になった野口副理事長が支配して、全体の不透明な資金の流れのかぎを握っているわけですが、そこで、資料二の方のページ四をごらんいただきたいと思うんですが、これは野口氏に対する尋問の記録になるものです。この中で、ペーパーカンパニーである中央コンピュータサービスが秋山という人物と業務委託契約を結んで、毎月三十三万三千三百三十三円というのが契約書の方に出てきますが、総額五百万円を支払っているというのが出てくるんですね。

 事業活動を行っていないペーパーカンパニーが一体何の業務委託をしたのか、これを次に伺っておきたいと思います。

乾政府参考人 重ねてのお答えで恐縮でございますけれども、大証自身が公表しておりません個別の取引につきまして、私どもの方から言及することは差し控えたいと思います。

吉井委員 差し控えるも何も、答える意思がなく調べる意思がないというんじゃ、とてもじゃないが、公正な証券市場というのはできないと思いますよ。

 実際に、もともとペーパーカンパニーは活動していないんですよ。それは概要版にも載っているとおりなんです。ところが、五百万円もの資金だけは秋山氏に渡っているんですね。この資金の流れについて、野口氏はインタビューの中で、調査委員会では、大蔵省OBへの利益供与を目的としたものではないかという指摘をしていますね。この秋山さんという方は、大蔵省のOBで元防衛庁事務次官の秋山昌広さんじゃないんですか。

乾政府参考人 大蔵OBに秋山昌広さんという方がいることは事実だと思います。

吉井委員 何か、なぜはっきり答えないで隠したがるのか不思議なんですよ。まじめに調べる気があれば、あなたのところに全部資料は本当はあると思うのだけれども、全部集められるわけですから、そこにちゃんと秋山昌広さんとの契約書なんか全部出てくるわけですから。

 それで、こういう形で取引所の資金が不正に監督官庁大蔵OBに渡っている。これは秋山さんだけじゃないんです、ほかにもいるわけですが、一体この大証から関連会社に流れた七十三億円の貸付金、百二十四億円の支払い、そして合計百九十七億円になるわけですが、このうち幾らが正常な取引のものであり、幾らがやみに消えて返ってこなくなったのか。これはどうなっているんですか。

乾政府参考人 恐縮でございますが、個別の取引でございますので、これは御答弁は容赦させていただきたいと思います。

吉井委員 そんな個別取引だという言いわけは通用しませんよ。はなから解明しようという気がない。私は、何か悪意を持ってだれかをとか、大蔵省のOBを何かやっつけようとか、そんなけちなことをやっているんじゃないですよ。公正な証券市場、公正なルールをつくるのに何をしなければいけないか、それを議論しているときに、全く調べる気も何もない。本当にひど過ぎますよ。

 関連会社の整理が進んでいるわけですが、資料二の五ページに載っています。ことし三月の報告書によると、関連会社の資金の使途についても十億円程度収支が合わないという問題があります。貸付金七十三億円のうち三億円余りが、三億二千五百万円ですが、返ってこない。そもそもこれらのお金は、投資家の皆さんから集められた手数料などから出ているものですよ。投資家の金を取引所の幹部が不正に使って不当に利得を得た、こういう事件なのに、こんな中途半端な処理で済ませるということは、これは監督する側が同罪だと見られても仕方がないですよ。どうなんですか。

乾政府参考人 先ほど来お答えしておりますように、私ども、大証に対しまして、この問題の厳正な調査、それからその後のきちっとした対応を求めているところでございまして、それを定期的に報告を求め、また必要なものは公表させているところでございます。この今お配りになりました五ページの資料も、三月二十二日に私ども、大証にそれまでの改善措置の進捗状況をまとめて公表させたものでございますが、ここに書いてございますように、いろいろな関連会社の整理、それからその資金使途、それから関連会社に対して貸付金をしておりましたものの返済を求めておりまして、それがどこまで戻ってきたかということが書いてあるわけでございます。

 なお、この後も関連会社につきましては、整理の手続が進んでいるというふうに承知をしております。

吉井委員 ぺらぺらの紙一枚で、これで報告を求めて何かちゃんとやっているような話では、そもそも証券取引等監視委員会が全く機能を果たしていない。これではとても国民的に信頼を得られるようなものにならないということを私ははっきり言っておかなければいかぬと思います。

 私、今思い出すのですが、アメリカには、これは委員長ともたしか科学技術委員会で議論したように思うのですが、内部告発者保護法という法律があるのですね。不正があったときにその場にいる人が告発しても、個人的な不道徳だなんだという告発は別ですよ、社会的不正とか、不正に類するものの告発をやったら、その人たちは保護される。これはアメリカにありますし、オーストラリアその他にもあるわけですが、今それを思っているのです。

 大阪証券取引所で場立ちを行って、公正な取引の実現と不正取引の監視をしてきた、下請会社として働いてきた仲立証券の社員の方たちですが、ちょうどロイトファクスと光世証券の仮装取引が行われた時期に、つまり九七年七月から九八年十二月の時期にかけて、これは金融庁や近畿財務局も指摘しているものがあるのですが、大証が仲立証券の経営が成り立たないように追い込んでおいて、立ち会い場の廃止、仲立証券労働者は大阪証券取引所そのものに入れさせないという排除をする。そして、仲立証券労働者全員解雇へと。公正な証券市場の形成に非常に役割を果たしてきて、不正取引を監視してきた人を排除しているのですよ。

 当時の理事長、副理事長は確かに不正にかかわったけれども、この人たちは首になる。ペーパーカンパニーは排除される。内部告発者という役割も持ってやってきた、監視機能もやれば公正な市場形成に努めてきた、実際これまで証券取引所で働いてきた人を全部ほうり出してしまって、そして株式会社化したからということで、一方の当事者はそこの社長に座る。不正にかかわった者が大阪証券取引所の社長になり、不正を監視、告発する側が解雇される。これはどう考えても、私は、こういうことを見過ごしてはならぬと思うのです。

 旧大蔵省や金融庁のやっていることは、全く本来の進むべき道からすれば逆のことをやっているんじゃないですか。これはやはり柳澤大臣にきちんと答えてもらう必要があると思いますよ。

柳澤国務大臣 この問題につきまして私が報告を受けていることは、このロイトファクスによる取引について内容が問題があるのではないかということの情報提供が近畿財務局理財課にもたらされまして、そのことが発端になりまして、証券取引等監視委員会が挟まったかどうか、とにかく財務局の監視官部門に伝達がなされたということでございます。

 そういうことで、今の私どもの建前と申しますのは、この監視委員会等の監視部門の活動というものの結果を信頼する、こういうことでありまして、私どもとしては、そこに問題があれば告発等が行われるわけでございまして、したがって、この検査の結果等によりまして法令違反にわたる行為があった場合には、私としてもこれに厳正に対処していかなければいけない、こういうことになるわけでございます。

 私、今吉井委員のいろいろなお話を聞いておりまして、私が、では何かの心証を得たといって具体の問題について何かイニシアチブをとるべきかどうかということは、やはりこれは言えない、こう思いますね。また言うべきでもないだろう、こういうように思って聞いておりました。これは、ここの辺でやめておきます。どういう、いろいろなケースがあるのですけれども、しかしこれを私がここで調査をするとかしないとかを含めて何か言及することは、やはりなすべきことではないだろう、このように思います。

吉井委員 この問題は、法律違反が確定するとか犯罪性が確定すれば、司法が動くわけですよ。それははっきりしているのです、そんなことは。違法性があるかどうか疑いがあるということであれば、それを調べて、そして全部その調べた内容を情報公開して、ディスクローズして、そして本当に透明性の高い、公共性とか、そういう責任を持てる証券市場とか、そういうルールを確立するというのがあなたの仕事でしょう。それをやらないのならば、これは何をやっておるのだということになりますよ。

 だから、大手証券会社が引き起こした不正腐敗事件というのはいっぱいありました。これはもうきょうは時間がないから挙げませんが、第一次証券不祥事から第二次証券不祥事から、いっぱいありました。今も市民の金融被害はたくさんありますよ。全部それらを全容解明して説明することとか、それから保管振替機構や証券取引所などへの大蔵省の監督の問題、天下り問題、どれだけきちっと解明して国民にディスクローズするか、これが非常に大事なことであり、大証問題というのは具体例であり、これはきちんとやるかどうかの試金石なんですよ。

 最後に一点だけ。柳澤大臣、きちんとやりますか。私はやらなきゃいけないと思いますよ。

山口委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

柳澤国務大臣 法令を見て私のやるべきことをよく検討してみたい、こう思います。

吉井委員 時間が参りましたので終わりますが、そんな中途半端なことじゃとてもだめだ、国民の信頼にこたえられない、このことを申し上げて、質問を終わります。

山口委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合阿部知子ですが、本日の質疑に先立ちまして、本来の私の質疑時間を、共産党の佐々木憲昭議員の御好意と理事皆さんの御好意によりまして、順交換させていただきましたこと、まず御礼申し上げます。しっかり覚えておきます。そして、ちょうどこの時刻、実は厚生労働委員会の方で年金法案の審議がございまして、慌ただしく出入りしております失礼も深く、お許しくださいませ。

 では、質疑に入らせていただきます。きょうは珍しく一時間時間がございますので、ゆっくり目に、いつも早口でまくし立てますが、ゆっくりやりますので、よろしく御回答のほどお願い申し上げます。

 まず、本日は一応緊急経済対策関連四法案ということでの審議に入ってございますが、私の素直な実感といたしましては、これは本当に緊急経済対策であるのかどうか、この点について御指摘が私以外の委員からもございましたと思いますし、特に、私が短い時間拝聴しておりました鈴木委員のお話の中にも、既に我が国の経済金融状況はある意味で出血をしておる、その出血についての手だてをとらないで手術に入ったようなものであるという御指摘ございましたが、私も認識を同じにいたすものでございます。さまざまな面で、経済面、金融面、ほころびが多くの部分に見られるように思います。

 そして、あわせて申し述べれば、私が先ほどまで審議に入っておりました年金関係でも、今度確定拠出型年金ということで、いわゆる投資市場によって受け取る額が決まる年金制度になるわけですが、これを導入されるに当たっても、例えば日本の金融行政の不安定というのは大いに影響すると思いますが、かかる状態もこの場では審議されずに、確定拠出型の年金が他の委員会で審議されるというふうな状況については、縦割り委員会と申しますか、省庁別委員会で審議しておりますことの非常な限界を感ずるものでございます。

 あわせて、特に柳澤金融大臣、お伺いいたしますが、今回一応御提案のさまざまなものが金融庁関連の法案ではございますが、いわゆる不良債権処理というワードを聞くと、雇用、失業、リストラというふうに思い浮かべられるような一方の雇用対策におきましての不安が、これはもう広く国民的実感であると思っております。そして、この点詳しく踏み込んでは、実は植田議員が次にいたしますので私は前振りだけでございますが、内閣といたしまして、統一見解のもとに今般の不良債権処理に合わせたところの雇用労働政策と申しますか、これはただ単に対策ではなくて、私は根本的な政策の部分にかかわっていると思うのですが、柳澤金融大臣からごらんになって、不良債権処理をするに当たって、今般の我が国の雇用政策上の課題について、まず御認識を一点お願いいたします。

柳澤国務大臣 不良債権、一九九二年ごろのバブル崩壊後ほぼ十年間ぐらい我が国経済はこれによって苦しめられているわけでございますが、いろいろな経緯の中で、私があれしたわけですが、平成十年ですかの三月に資本注入をしたときに、非常に大幅な不良債権の処理というものをやりました。その後は、随分必要な処理額というのも減ってきておるわけですけれども、片っ方でオフバランス化というものを進めてはいるんですけれども、依然として残高が減らないということの中で、いつまでもそういうものを金融機関が抱えていたのでは、金融機関自体の収益力も上がってこない、加えて日本経済の活力も生まれてこない、こういう考え方のもとで、今回、不良債権のオフバランス化を進めよう、こういうことになったわけでございます。

 考え方としては、私の心の中には、アメリカの場合オフバランス化というのがかなり迅速にいくんですが、その背景には、融資の形態がプロジェクトファイナンスであるということが非常に影響しているんではないか。ところが、我が国の場合には、コーポレートファイナンスといって事業者自体に貸し付けがあるということになっています。そこで、オフバランス化というものを何の工夫もしないでやった場合には、その事業者に対する融資を打ち切ってしまうというようなことに勢いなるわけでございますので、私は、事後的でもプロジェクトファイナンス的に、一つの企業のいい部分と悪い部分を分けまして、そして悪い部分についてオフバランス化をしていく。いい部分についてはさらに、今まではできなかったんですが、追い貸しといって追加の貸し付けもして、もっと元気になってもらう、こういうようなことを頭に置きまして、この問題に取り組み始めたわけでございます。

 ところが、これを余り言った結果、今度はだれもかれもが、私のところも全部そういうことをしてくれるんだ、どこにもほとんどいい部分がないような貸出先というか債務者についても何かいいことをしてくれるんだというので、若干徳政令的な幻想を持つような傾向も出てきましたので、私は、それはそんなに甘いものではなくて、定性的にはやはり法的整理というのが基本なんですよということもその後言わざるを得なかったということです。しかし、基本的には、私がさっき言ったように、企業のいい部分と悪い部分を分けてオフバランス化を進めたい。いい部分はむしろ、健全債権というか正常債権に戻したいという気持ちがあるわけでございます。

 そういうことを志して、今それを実行に移そうということでございますが、さて、ほとんど全部が悪いというようなところにもかなり雇用はまだ存在しているだろうと思うんです。そういう悪い部分あるいはほとんど全部が悪い部分にぶら下がっているというか、そこにまだとどまっている雇用の皆さんには、今度の最終処理でもって、それは離職を余儀なくされるという面があります。ただ、それが一体どのくらい生ずるかということは、その対象になる企業が労働集約型であるとか、あるいは設備集約型であるとか、いろいろ区々でございましょうから、にわかにはこれは言えない。しかし、その痛みが全くないというわけにもいかないというふうに考えておりまして、この面については、私はそんなふうに考えているんですが、政府全体としても、そういう考え方から、中小企業の金融対策であるとか、あるいは雇用対策ということで、これに対してのセーフティーネットを張ろう、こういう施策が同時に今回、緊急経済対策に盛り込まれているわけでございます。

阿部委員 柳澤金融大臣のお言葉は専門用語が多くてよくわからないと思いながら、でも、よくわかったぞと思って聞きましたが、どういうことかというと、コーポレートファイナンスからプロジェクトファイナンスへというお言葉を使いましたが、私ども社会民主党の従来からの主張で、たとえ、たとえでございます、企業がつぶれても人がつぶれないような、あるいは企業が一つ全体としてだめになってもその部分で生かされる部分があるような仕組み、やはり人に優しい政治の仕組みということでさらにお考えをいただければと思います。

 それから、質問通告はしてございませんが、塩川財務大臣は私と同じように平易な言葉でいろいろお話しいただけますので、一点お願いがございます。

 いわゆる雇用政策に関連してでございますが、今大臣は、地方と国の税の見直しのお話を盛んになさいます。私が勉強しました中で、雇用政策、雇用対策面でもっともっと地域での雇用の促進に活用されるような税源のあり方ないしは税財源のあり方ということで、そうしたものが今既にある中にないかなと思いまして見ましたところが、緊急経済対策というより緊急雇用対策の地域交付金、地方交付金というのが、三千億円の規模で三十万人の雇用を創出するという目標で既に二年次に入っていると思います。

 今後、やはり雇用もこれまでのような縦割りの考え方ではなくて、地域の経済再生、経済活性、地域雇用の促進という観点から御検討をいただきたく、先日、この委員会で塩川大臣が地方の仕事と国の仕事を見直すというふうなお言葉で述べられました中に、地方の仕事という場合に、雇用対策というか雇用面での地方の仕事のあり方をどのようにお考えか。これは大臣の長い御経験の中での率直な御意見で結構ですので、一言お教えください。

塩川国務大臣 まず部門を公共事業に絞ってするといたしますならば、物、資材を余り使わないで人をたくさん使う仕事、これは御存じのように、まず第一に住宅の建設なんですね。スクラップ・アンド・ビルドをやったらいいと思うのです。特に公営企業の住宅、終戦後応急的に建てましたもの、これなんかは既にもう使用にたえないものが随分ございますけれども、そこに居住者の権利がまつわっておりますので、なかなか建てかえができにくい。そういうのをスクラップ・アンド・ビルド方式でやれば相当住宅が整理されてくるのではないか。

 それからもう一つは、下水でございますね。御存じだと思うのでございますが、下水は流域下水道というのが根幹となっておりまして、それに伴って処理場がございます。処理場と下水道の幹線は大体行き渡っておるのでございますが、準幹線と網線、支線、家庭につなぐ支線、これがまだ事業がおくれておるのが相当数ございます。これらは、準幹線以下は全部地方自治体の仕事でございますので、金さえ回してやれば相当はかどっていくわけでありますが、この分が十分でなかったということであります。そういうようなことをやる。

 それから、実は側溝でございますが、道路の側溝が物すごい傷んでおりまして、それがために不時の豪雨で水つかりが出ているところが随分ございますこと、そういうようなものの改善。それから、電線の地中化をやりますことによって、道路が広くなって町がきれいになります。

 こういうような仕事は人手が仕事をするので、高速道路だとか河川、それから港湾というような、コンクリートと鉄で固めてどんどんやって人は余り使わないような公共事業とは違った面で、非常に景気刺激と消費の拡大につながっていく公共事業だ、こういうものに振りかえていくべきだということを私は数年前から主張しておるところでございまして、今度は思い切ってこちらの方に予算配分をつけたいと思っております。

阿部委員 塩川財務大臣のお考えは承りました。

 私は、その部分をさらに一歩進めまして、今大臣は資材を使わず人を使うというふうな業務の例を挙げてくださいました。確かに、本当に人手を使って日常的な生活に関連する分野を充実していくということで、考え方は前向きに評価いたしますが、さらにもう一歩。

 私は、日ごろ医療分野におりましたので、人を使って人のために役立つ、いわゆる医療、介護、福祉の分野で非常に人手不足でございます。本当に、二十六年間働いてみて、看護婦さんたちも大変、今医師たちも過労死の問題等々ございます。高齢化社会にあっては、変な話でございますが、必ず需要のある部分でございますので、今の財源の見直しの中では、例えば、道路財源は道路財源の中の仕事の細かな振り分けかもしれませんが、さらに、この委員会での御質問の中で、いずれは一般会計の中で幅広く見直すというふうな御見解も承っておりますので、中長期的に見まして、雇用創出の分野を、医療、介護、福祉あるいは育児、非常に生活関連の分野、人関連の分野に目配りをさらにいただけますように、一点お願い申し上げます。

 では、引き続いて、質問予告いたしました案件に入らせていただきます。

 まず法案への我が社会民主党の態度でございますが、いわゆる租税特別措置法案以外のものについては原則的に賛成をいたしますので、この租税特別措置法案について主にお伺いをさせていただきます。

 この租税特別措置法案、私の平易な理解では、いわゆるこれまで二百万円以上の株式の取り扱いというところにあった課税問題を百万円までに引き下げるということでございますが、果たして、それによって目指すものが、個人の株式取引への参入ということを意図しておられるのかどうかという点をまず一点伺いたいのと、それから、きょうお手元に配らせていただきました資料、これは「所有者別持株比率の推移」というグラフを参考資料で配らせていただきましたが、昭和二十五年から今日に至るまで、どのような方が株式を所有しているかの比率でございます。

 これは、ちょっと見ていただければ、私よりもお詳しい専門の皆さんはよくおわかりだと思いますが、個人の投資家の比率は昭和四十年代の半ばくらいまでは、我が国でも比率的にはそう低いものではなかったようにこのグラフからは読み取れます。変わって、昭和四十七、八年でしょうか、そのあたりから金融機関や事業法人の持たれる株式が多くなって、今日のようなカーブを描いております。

 そうしますと、ここで、平成二年と六十年の間に、課税措置の変更による個人株式の参入を誘導するような政策を一度しかれたと思いますが、今般の租税特別措置法の改正によってまずどのような効果を見込まれますのか、それから個人株式の参入へ向けたものなのかどうか。そして、もっと根本的には、このグラフを見られてどのような総括をなさるのか、逆に個人の株式離れというものをどのようにお考えかというふうに、まず質問を関係省庁にさせていただきます。

尾原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の百万円の控除でございますが、最近の経済状況、株式市場の状況にかんがみまして、個人投資家を株式市場により参加していただくという政策観点から講ずることとしているわけでございます。

 この百万円という水準でございますけれども、例えば、今回の減収額試算でも仮定を置いて試算しているわけでございますが、仮に一割もうかれば売却するという前提で考えますと一千万円の売却額になるわけでございまして、この控除額は相当程度のものであるというふうに考えてございます。

 私ども、税制だけで個人投資家が増加するということではございませんけれども、やはり、企業経営者が個人重視の経営をしていく、あるいは、先ほども御質問がございましたけれども、証券会社がより個人投資家を大切にする経営をしていくというようなことと相まって、相当程度の効果があるものというふうに考えているわけでございます。

 所有者別の持ち株比率の推移ということについてのお話がございました。これは読み方、なかなか難しいところがございますけれども、ここでお配りになっているのを拝見させていただきますが、ちょうど譲渡益の原則課税化、課税が適正に行われるようになってもなお少し上昇傾向があるのかな、読み取り方はそれぞれかと思いますけれども、そのように感じております。

阿部委員 尾原局長にちょっと再確認というか、なぜ個人投資家が逆に昭和四十年代で減少傾向を示してきたのかということについての分析は、今の御答弁になかったように思いますが、それもお願いいたします。

柳澤国務大臣 これにはいろいろな背景があろうかと思うのですけれども、一つは、昭和四十年ころのところで資本の自由化というものが行われていることが背景にあるんではないか、このように思うのでございます。これは、資本の自由化が行われますと、やはり外国の資本が入ってくる、株をどんどん買ってしまって、そして株主としての影響力を行使する、やはり日本の企業としてはそういうことが少し怖いというようなことがあった。

 それからその次に、五十年ころを考えるのでしょうか、もうちょっと後を考えるのでしょうか、このときに株式の時価発行というのが非常に流行しました。今までは株式というのは額面で発行するというようなことだったのですが、発行会社が時価で発行できるということになりまして、増資をした場合には、資本金と資本準備金に分けて、いずれにしても資本として自分の内部に留保することができる、非常に力が強くなる、こういうことがありまして、それで時価発行というものが盛んに行われるようになった。

 そのときに、時価がなるべく高い方がいいというようなことは当然でして、そのためにこれはいろいろな、別に証拠があるわけではありませんけれども、証券会社などは、できるだけ市場に株が少なくなる方がいいというようなことで、いろいろな企業に株を買ってもらう、そういうようなことを進めていった。そういうようなことのために、株式の保有が、どうしてもそういう法人企業というようなところにたまるようになっていった、それの反射として個人の株式保有割合というのが低くなっていったというようなことが言われるわけでございます。

 加えて、ここにははっきりはいたしておりませんけれども、年金だとかそういうようなものが盛んになってくると、年金の運用として株式が持たれる、そういうようなことがまたこれに加わりまして、要するに、ひっくるめて、株式保有の機関化現象というものが行われるようになって、それに応じて個人の保有割合が下がっていった、こういうことがあるというふうに今言われているわけでございます。

阿部委員 いろいろ勉強になる御答弁、ありがとうございます。

 今のお話を伺いましても、私は、やはり症状の見方と対策が誤っているんじゃないかなと思うのです。

 今、柳澤金融大臣に教えていただきました三点、外国の投資家の参入、これは現在のグローバル経済の中ではこれからますます我が国においても進んでいくように見受けられますし、それから二番目の、法人企業の参入と申しますのも、一応これから個人へというふうに動機づけされましても、全体的に、それによって法人対個人の比率がどれほど変わるものかという明らかなメルクマールと申しますか指標がない。あわせて年金も、先ほど申しましたように、確定拠出型ですと今度ここに、株式市場に大きな年金がまた参入してくる。

 全体的に大きなものが多くなって、逆に言うと、私から見れば今一番大切なことは、この社会を構成する一人一人の構成員がやはり経済と自分、株式と自分ということをもっと身近に考えて、それは一つは、株式の方では、金融の透明化とか、そういうことを透明化させた上で個々人がそれを選び取りたいというふうになってくれないと、貯蓄でたまる一方で、株式とかそのほかのことは関係ないというふうな割り振りがされるやに私は思います。

 今大臣からいただきました三つの懇切な御説明を受けてもなお、なぜ今般の租税特別措置法の売却益に対して百万円まで控除というのが個人の参入をふやしていくのか。特に、先ほど尾原局長の御答弁にもありましたが、例えば株式譲渡益の原則課税化というのが行われている年でもなお、それから個人投資は横ばい、余りここに影響されているというふうに見受けられない評価でもあるように思うのです。

 そういたしますと、全体にこの政策自身が、これはせんだって金融庁にお伺いいたしましたが、財務省でしたか、税収としては九百億減になると。では逆に、それに見合う個人投資への振り向けないし経済全般で見たところのプラスという面をどこに置いておられるのか。まず尾原局長からの御答弁と、それからできれば柳澤、これはでも課税問題ですから塩川財務大臣になりますでしょうか。どちらでも結構です、ちょっとお答えいただけますでしょうか。

尾原政府参考人 今回の控除制度でございますけれども、まず対象にしてございますのが長期保有株式ということで、なるべく長く持っていただくという方を対象にしております。それで、百万円の控除でございますから、これは今の税体系の中であっても、思い切って個人投資家を株式市場に参加させるための水準になっていると私どもは思っております。

 例えで、仮定の例で申し上げますと、先ほどの一千万円ということでございますと、源泉分離課税でございますれば、一・〇五%の売却額の課税ということで十万五千円という負担になりますが、これで、一割の百万円ということで非課税になればこの場合は十万五千円の減税になるという思い切った措置になっております。

 やはりこれからの我が国の金融市場のあり方を考えてまいりましても、経済の発展とともに、個人もその還元を受けるとでもいいましょうか、そういう意味からいたしましても、個人株主がふえていくということは大切なことであろうと思っておりまして、この措置と相まって、これが減税になるということのみならず、マーケットに対して大きなメッセージになるわけでございます。また、経営をしている方にもメッセージになるということで、税制と相まって、今回目的としております個人投資家の市場参入が増加することを期待しているわけでございます。

塩川国務大臣 この特別控除制で株価が思い切り持ち直して隆盛になるという直接的な効果は余り期待できないと思いますけれども、しかし、これによりまして、一般の投資家というのが、株式を売買しても税金はある程度かからないんだなという認識を持ってくれたら、私は非常に株式になじみやすいと思っておりまして、そういう個人が株式市場に参加するインセンティブを与えるという意味で、意味があると思っております。

 そして、株が一般にうんと浸透するのには、やはり配当金がよくなければ何ともなりません。それと、証券会社とか銀行がもっと親切に取り扱ってやらないと、もう株の取引の金というのは単位が大きいものですから、二百万、三百万の小口の取引で持っていった場合、何か扱い方が冷たい、そういう環境が、やはり一般の人が参加しない。やはり小さいお金がたくさん集まらないと、その市場はにぎやかにならないと思いますので、そういう点で、我々も、この税制の特別措置法をきっかけにして証券界等に十分な注意喚起、それから努力を呼びかけていきたい、こう思っております。

阿部委員 いつもわかりやすい御答弁で、ありがとうございます。

 要するに、株式というのは、それなりに上がるという見込みがなければ庶民も手を出さないというのがまず一点でございます。そして、金融機関も個人投資家に親切でなければならないというのも当然ですが、例えば昭和二十年代から四十年代半ばくらいまで、多くの個々人が株式に関心を持ち、参入していたというところの分析をもう一度していただきたいのと、私どもが考えます現在の株式というものについての国民的な関心は、こういう株価の低迷の時期はさておいてでございますが、個々の株式会社がどのような企業経営、運営をしておられるか、それで、その企業の哲学とか理念というものに賛同して、個人がその会社をいわば応援したい、簡単に言えばそういう形での株式参入のあり方もあると思います。

 このように、株価の低迷の現時点で租税の措置法案をもって株式参入を図るというのは、私は余り賢い策ではないというふうに申し述べさせていただいて、あとは、諸見解あろうかと思いますから、次の質問に移らせていただきます。

 塩川財務大臣に、引き続き特定財源のことでお伺いをいたします。

 小泉内閣になりましてから、特に塩川財務大臣の正直な、いろいろな意味でわかりやすい御提示ということが国民の目をこの特定財源という方に大きく振り向けまして、いい方向への改革というのを希望する向きも非常に強いと思います。

 そして、道路特定財源についてはほかの方もいろいろ聞かれたと思いますので、私は、前回の質問に立ちましたときに塩川財務大臣からお答えをいただきました電源開発促進税ということについて、お伺いをいたします。

 この電源開発促進税の見直しも、私が質問をしました日の夕刻、塩川財務大臣が記者会見において、道路特定財源だけではなく、電源開発促進税並びに電源開発促進対策特別会計というものについても見直すというふうにおっしゃったことが新聞記事でも報じられております。この電源開発促進税並びに電源開発促進対策特別会計の中では、電源多様化勘定というのと電源立地勘定というのがございますが、これは担当省庁で結構でございますが、電源立地勘定の中の具体的な内訳とおのおのの予算の使われ方を教えてください。

津田政府参考人 御指摘の電源開発促進対策特別会計の電源立地勘定でございますが、ここでは発電用施設などの設置の円滑化に資するように電源立地地域における公共施設の整備でありますとか、企業立地の支援などの施策を講じております。電源立地勘定の平成十三年度の歳出は、全体で二千四百三十七億円というふうになっております。

 今委員の御質問の趣旨が、電源構成別の歳出ということでありますと、原子力の関係が千七百二十二億円、これは全体の約七割になります。その他、水力、火力等がありまして、これは中身は予算上分けておりませんけれども、原子力関係以外ということで御理解を賜りたいと思いますが、七百十五億円、約三割というふうになっております。

阿部委員 質問の不備を補っていただいてありがとうございます。

 今お伺いいたしました電源立地勘定の二千四百三十七億中、原子力発電についてが一千七百二十二億と一番多い、七割が使われておるということでございました。実は、この電源立地勘定につきましては、計画いたしましても実際に立地側の住民の反対等々、立地がうまく賛成されずに毎年余剰金が一千億出ておるというふうに私どもの調べました中では判明しております。

 さて、ここからは塩川大臣にお伺いいたしますが、五月二十七日の新潟県の刈羽村での住民投票で、プルサーマル計画の受け入れ反対という住民投票が五三・四%で、反対が多数可決ということになり、それを受けて東京電力も一応このプルサーマル計画を中止するということを決定しておられます。この間、ジェー・シー・オーの事故等々も含めまして、原子力発電の立地ということについては住民の中でも非常に安全性に対しての危惧感も強うございます。

 そこで、毎年一千億余りの剰余金の出る電源立地勘定の特にこの原子力部分について、現在国民の声の高い自然エネルギーの風力、火力、太陽光等々いろいろございますが、そちらの方向に振りかえていかれるおつもり、これはことしの年度内でも同じ大きな区分けの中ですから可能なことと思いますが、特に環境を重視する小泉内閣にあって、自然エネルギーの取り扱いの方に配分していかれるようなことを検討していただけないかという御質疑をさせていただきます。

若林副大臣 ただいまお話しの中に、電源立地勘定で一千億の剰余があるというお話がございました。実は、電源立地勘定の剰余の方は、平成十二年度の決算で八百十三億、電源多様化勘定の方が二百四十三億で合わせて約一千億、こういうことになっております。

 そこで、この剰余金が発生しております理由は、委員がお話ございましたように、電源立地の進み方がその年々によって大変左右されてしまいます。お話ありましたようなこともあります。非常に進捗が進む場合もありますし、おくれていく場合もあります。そんな電源立地の動向によって左右されるということから、剰余金には年度変化があるわけでございます。

 しかし、いずれにいたしましても、この電源開発促進税収の電源立地勘定と電源多様化勘定への配分については、その時々の財政需要を踏まえまして毎年度の特別会計予算総則でこれを決めているところでございますので、電源立地の動向だとか、今お話ありました風力などの新エネルギーの開発、導入、促進の必要性などを勘案して検討さるべきもの、このように考えておりまして、それほど法制的に固定的に考えているわけではございません。

 ちなみに、平成十三年度の予算総則の上では、電源立地勘定にありましては税収の四百四十五分の百九十、電源多様化勘定にあっては税収の四百四十五分の二百五十五に相当する金額ということで、電源多様化勘定の方に多く振り向けるような予算総則として定めているところでございます。

阿部委員 私の質問中誤りがございまして、申しわけございません。確かに、年間剰余金一千億は両方合わせた中での剰余金でございます。

 そして、そうした誤りを差し引きましても、毎年八百億ないし、これは年々でございます、立地勘定の方が余っております。やはり国民の声ということを敏感に施策に反映していってこそよい政治と言われますから、塩川大臣、再度お願いいたします。

 いわゆる自然エネルギー促進というのは、地域の経済活性にもつながる部分でございます。地方自治体の首長からの要望も非常に高い部分でございますから、政策的に、先ほどの予算総則に従うというところは拝聴いたしましたが、それでもなお、例えば八千億お金があれば、それは来年度の立地というふうに考える以前に、今有効なものに振り向けていくという意味での流動性ということが非常に今の政治には大事なように思いますので、この自然エネルギーに向けての検討ということを、もう一度塩川大臣にお考えのほどを伺いたいと思います。

塩川国務大臣 確かに自然エネルギーの開発ということは今エネルギー庁でも鋭意進めておりますが、私がちょっと聞きましたのは、専門家に聞きますと、天然エネルギーを採取するのにコスト的に見たら非常に高くつく、それがために、長い将来にわたる国民経済的な観点から見ると高いエネルギーになるということを承知の上でやはり電力コストを考えていかなきゃならぬ、そこの問題があるということを聞いております。そうして、もう一方においては、原子力発電に関係する周辺の安全対策にうんと金を使った方が得なのか、その点の問題が非常に微妙な問題だということを聞いております。

 しかし、時の流れでございますので、自然エネルギーの開発、そしてまたそれの採取に投資をするということはエネ庁の一つの方針として持っておりますので、私たちも、そちらの方の投資は推進していくべきだ、こう思っております。

阿部委員 御指摘のコストの面、これは、その分野が主流になりますときにコストも安くなってくるという経済的な側面もございますから、必ずしも今のコストがずっと続くわけでもございませんし、その辺は検討していただけますよう。

 それからさらに、安全対策を充実ということは現在あるものについては大切でございますが、これからさらにつくるという意味なのが立地勘定でございますから、その意味では、これからさらにつくるべきかどうか、長期の方針の中でお考えをいただければと思います。

 引き続いて特別会計関連の御質問をさせていただきます。

 いわゆる自動車損害賠償責任の再保険特別会計について、金融庁並びに金融大臣にお伺いいたします。

 今、ちょうどこの時間、国土交通省の方では、いわゆる自賠責保険の政府再保険について、自賠責は車を所有いたしましたときに必ず掛けなくてはいけない保険でございますが、これはこれまでは、全く民間に任せておくだけではなくて、政府が再保険という形で運用の六割を別途に補完いたしまして、さまざまな被害者救済対策とかあるいは払い渋りに対して、政府の方から、国土交通省、昔の運輸省から指導するという形で行われてきた制度を、今般、規制緩和の中で、これからは民間の保険会社に一括してお願いしていくというふうなことがこの裏の時間の国土交通省で審議されております。

 まず、基本的に申しますと、私ども社会民主党は、こうした交通事故というのは非常に特別な現象でございます。何が特別かというと、圧倒的に強い車と、その前では鉄の塊の中の小さな人間という、それで被害者は、車が壊れることはまずございませんから、体が壊れる、人間の側が壊れる。そして、日常私どもが予測もしなかったスピードで今車社会が到来しておるという中で起きました損害ということについては、人権、人道的な被害者救済的な側面がかなり強くないといけないことに対して、これまで、民間会社の払い渋りに対して、例えば十年間で五十七億という額が提示されておりますように、それを運輸省が適正支払いを指導してきたわけでございます。そして、今回、この運輸省の指導支払いがなくなりますとともに、保険会社の運営に対しての金融庁の指導ということが、命の安全を、あるいは被害者救済を守るある意味での歯どめ、方向性を組み込んだものにならなければいけないと思います。

 この自賠責についての審議会が持たれております。現在、審議会の委員の中には、いわゆる患者、被害者の御家族が入っておられます。お二方とも医師でございますが、お嬢さんを亡くされた井手さんと二木さんという方が自賠責の審議会の方には参加しておられます。今回、それに続く形でというか、並列する形でできました金融庁の方の自賠責の審議会には、こうした患者側の代表等々は御参加ではございません。

 自動車事故というのは、被害に遭ってみて初めてその理不尽さ等々も本当に身をもってわかるというものでございまして、この金融庁の自賠責審議会、簡単に言って申しわけありませんが、金融庁が設置している方の委員会に患者代表が入っておられないところの経緯について、一点。

 それからさらに、今後、被害者の御家族、御遺族というだけでなくて、実際に障害を受けられて、高次の機能障害ないしは重い障害を受けられて現在闘病中の方もおられまして、そういう患者、被害者の声を入れる仕組みということについてお考えやいかんということを担当省庁からお伺いいたします。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

村田副大臣 阿部委員の御質問にお答えをいたしたいと思いますが、幾つか御質問が含まれていたというように思います。

 まず、ただいま国土交通委員会において自賠責の改正について審議をしているわけでありますけれども、その中で、阿部委員が御心配のように、規制緩和の観点からこれまでの政府への再保険を廃止するということでありましたけれども、政府としても、あるいは与党としても、その審議していく過程で被害者救済をどうして万全なものにしていくかということは最大の関心事でもありますし、それから、ちょうど一昨年に出されました自賠責審議会の答申においても、そうした被害者救済には万全を期すように、そういう答申の各項目がるる記せられておりまして、私どもとしては、できる限りその内容の実現のために今後一層努力をしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。

 それから、委員もちょっと言及なさいましたけれども、運輸省による保険金の支払いのチェック、これはなくなるわけではございませんでして、今後も引き続き運輸省によります保険会社の保険金の支払いについてチェックの体制ということは行われていきますので、そこのところだけは私からも御指摘を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 ところで、制度が変わりまして、審議会の点でございますけれども、自賠責審議会がいわば二つに分かれまして、一つは、自賠責審議会について、政策面、この審議調査をするという機能につきましては、委員御指摘のとおり金融庁の中の金融審議会の方に統合されました。これは、ことしの一月から、行革、中央省庁等の改革によりまして、各省庁の政策関係の審議会をできるだけ統一していくという観点から、金融庁の金融審議会が保険という事項も所掌しているものですから、その中に整理統合された、こういう形になっているわけでございまして、ことしの一月に金融審議会の総会におきまして金融審議会の中に自賠責保険制度部会が設置された、こういうことになっております。その中に、ただいま阿部委員がおっしゃいましたように、井手さん、全国交通事故遺族の会会長さんがメンバーとしてお入りになっている、こういうことかというふうに思います。失礼しました。自賠責の方には井手さんが入っている、こういうことでございます。

 一方におきまして、従来からの自賠責審議会、これは法の執行をやっていく、そういう法執行型の審議会という形で残されたわけでございます。自賠責審議会におきましては、自賠責保険料の検証とか免許付与等といった事項について審議をするという形になっている、こういうことでございます。

 ところで、金融審の中に設けられました自賠責の部会の方でございますが、制度発足になりまして、今は専門委員含めまして四名の体制でやっているということでございますが、私どもは、昨年六月の自賠責審議会の答申を踏まえまして、交通事故の被害者等の意見を極力いろいろな体制でもって丁寧に聞いていくという体制を維持していきたいというふうに考えておりますものですから、金融審議会の総体のメンバーというものは限られておりますが、その中で、今後被害者の意見を聞くために、いろいろ金融審の中の部会のあり方なんかについても研究を重ねていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、自賠責、これは交通事故被害者の保護というのが最大の目的でございますので、委員御指摘のような観点から今後ともいろいろ工夫を重ねてまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 自賠責審議会と金融庁の中にできました金融審議会自賠責保険制度部会のお話をいただきましたが、私が申し上げたかったことは、やはり自賠責に関する重要な事項は金融審議会自賠責保険制度部会で検討されるというのであれば、被害者の声とか、遺族の声とか、実際に障害を抱えて生きていかれる人の声というのが一番重要である。それを適宜取り入れますというふうな行政姿勢ではなくて、やはりこれはこれから非常に巨額のお金が損保会社で運用されるわけです。そして、これはいわゆる利益に関する部分ではなくて、ノンプロフィットで何らかの還元をしていく部分になるわけですから、還元の対象は、大きく言えばやはり被害者になるわけです。ですから、金融審議会の方の部会の中に、患者の遺族あるいは御本人が療養中の方の声を入れるべきではないかという指摘で、その点に関して柳澤金融担当大臣の、これは政治姿勢でございますから、お考えを伺いたく思います。

柳澤国務大臣 金融審議会という、金融庁が所轄している事務についての企画立案のための審議会が発足しました。今まで金融制度調査会、それから証券取引審議会でしたか、それから保険審議会、これが全部一つの審議会にまとめられて、しかも総数は三十人ということにされたわけでございます。その中に、今先生お触れの自賠責の部会もある、さっきの保険も証券も銀行も部会になってしまったわけでございます。

 総勢三十人ということでございますので、何と申しますか、私、できるだけこれでもわかりやすく話したいという気持ちで話しているんですが、それでも阿部先生の方は難しいといって先ほどしかられてしまったんですけれども、やはり金融の問題というのは、普通の人からすると縁遠い、やや専門技術的な面があるわけでございます。したがって、この問題を論じてもらうためには、やはり基本的な骨格のところでは専門的な知識を持っている人が委員にならざるを得ない。もちろん、市民というような人たちも入っていただくわけですが、基本はそうだということがありますと、何といっても三十人の枠内に自賠責の被害者の代表を入れろと言われると、もう本当に貴重な一議席というか、一人、一つでもございますので、あとが苦しくなって非常にやりくりが難しくなるということが現実の姿でございます。

 そこで、それにかわるものとして、部会になったら専門委員もあるし、またいろいろヒアリングという格好でそれぞれのお立場の方の御意見も聞けるということでございますので、誠心誠意やらせていただきますのでひとつ御理解を賜りたいというのが私どもの先生に対するお答えでございます。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 柳澤金融大臣らしからぬ残念なお答えでもあります。なぜならば、例えば日本の医療業界を見ましても、中央薬事審議会等々、それから医療における報酬、診療単価を決める部分にも、これまで患者の声というのが一切なかった、このことが逆に、医療のあり方を非常に患者中心のものから遠ざけてきたというのが歴史の総括であるべきだと私は思っております。三十人も枠があれば、三十人の中の一番貴重な方たちはだれかと言われれば、自動車という新たな文明の、本当に予期せぬお化けのようなものです。そのものに対して被害を受けたという方たちを入れてしかるべきだと思いますし、それこそが参加型の民主主義日本のこれからの二十一世紀、本当に国民の声を聞くために大切なものだと思います。

 きょうの柳澤大臣の御返答は聞かなかったことにしておきまして、理由は御検討いただきたいからであります。そして、あわせてですが、金融庁は、例えば、被害者対策を充実させるには保険料に被害者対策分を上乗せして徴収することも検討すべきだなどの御意見もありますので、政策の基本を被害者ないしは自動車文明の中の小さな人間という大きな視点を持って進めていただけますことをお願い申し上げます。またこれは国土交通省で法案が成立いたしましたらしつこくやらせていただきますので、どうかお許しください。

 そして、最後に、塩川財務大臣に一言お伺いいたします。

 私は、きょう特別会計にかなり的を絞ってお伺いいたしましたが、特別会計は、電源開発促進特別会計では剰余金、それから例えば自賠責問題では運用益をどういうふうに利用するかということで、かなりそこの部分でのいろいろな制約と特色がある財源でございます。そして今般、全般的な財政再建の中で特別会計のあり方も見直すというのが小泉内閣の方針であるというふうにも伺っておりますが、来年度に向けまして、特別会計全般の、きょうは二つをテーマにいたしましたが、このような点検ということをやっていただく御予定、お気持ちがおありか否か、一点最後にお伺いいたします。

塩川国務大臣 点検は必ずいたしたいと思っております。そして、一つの例として、特別会計に孫利子なんかを生んでいるのがたくさんあるんですね。御存じでしょうね。孫利子の効率的な運用ということ等が案外世間にさらされておらないので、この分野にもメスを入れてみて検討させていきたいと思っております。

阿部委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。今の自賠責も、孫利子ではございませんが、利子の生じた部分をどこに還元するかということとも関連いたします。

 私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

山口委員長 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、塩川財務大臣にお聞きをしたいと思います。

 五月十六日の財務金融委員会での大臣所信に対する質問で、私は消費の問題を取り上げました。景気後退を食いとめて新たな拡大軌道に乗せていくという上で、GDPの六割を占める個人消費というのは非常に重要であるということで、これを支援するというのは決定的に大事な対策だというふうに思います。

 このことに関連して、個人消費を支援するという明確な御答弁はどうも余りお聞きしなかったんですけれども、そのとき大臣は、家計の問題について、従来は食料が家計の重圧だった、現在では食料とか衣料、生活の基本的な支出というものは安定した状態で推移しているというふうにおっしゃいました。しかし、食料や衣料の支出というのは安定しているというふうに言えるのかどうか。

 配付した資料を見ていただきたいのですけれども、総務省統計局の家計調査報告というのがございます。この家計調査報告によりますと、そこにありますように、全世帯をとりますと十年間で消費支出はマイナス五%であります。これに対して食料はマイナス一二・五%、十年間ずっとマイナスなんですね。

 それから、被服及び履物、衣料の関係はここに入りますが、これは実に三五・八%のマイナスであります。これに対して、水道・光熱、保健医療あるいは交通・通信、公共料金的な支出の負担の方はずっとふえている。これが現実の姿だというふうに思うのです。

 二枚目をあけていただきますと、総務省の統計局のコメントが下の方に載っておりまして、「一世帯当たりの消費支出のうち、「食料」と「被服及び履物」はそれぞれマイナス一・七%、マイナス六・八%の実質減少となり、いずれも現行の調査開始(昭和三十八年)以降で最長となる十年連続の実質減少となっている」、こういうふうに指摘をしているわけであります。

 ですから、塩川大臣が食料と衣料は安定した状態で推移していると御答弁をなさいましたけれども、これは事実と違っていると思うんですね。ですから、あの答弁はきちっと訂正をするというのが正確な対応だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

塩川国務大臣 食料、衣服等は下がっている、非常に結構なことだと思います。このように下がってきておるということは、やはりこれは物価が下がってきておることだと思っておりまして、その点におきましては、家庭の中では、むしろ、これは上がったら不安定ですけれども、下がってきているということは家庭も落ちついているという意味で、安定という言葉がいいかどうかはわかりませんけれども、家庭も安心しているという意味にとれる。

 そして、逆にこれを見まして、競争原理の働かない光熱・水道費とか医療というところは、医療はまた違いますけれども、まあ、別ですけれども、水道・光熱費、それに交通・通信、こういう競争の働かないところは異常に高いということは、やはりここらの改革が必要なところだろうと思っております。

佐々木(憲)委員 私は、全然認識が違うと思うんですね。これは実質で出しているんですよ。ですから、消費支出全体として消費を実質的に減らしているという意味なのです。その中でも、食料の消費支出がずっと減り続けている、衣料の関係も大幅に減っている。ですから、家計が大変苦しいわけですから、当然、サラリーマンの背広、スーツはなかなか買わないということを示しているわけで、真っ先にそういう点にしわ寄せが行っているわけですよね。

 ですから、結構というふうにはなかなかこれはいかないんじゃないでしょうか。やはり、この点にしわ寄せが行っているというのが正確な認識だと思うのです。したがって、安定しているんじゃなくて、これは下がっている、そういうことだというふうに見る必要があるんじゃないでしょうか。

塩川国務大臣 私は、この表から見ましたら、やはり食料なんかが過去十年、相当値段が下がってきておるように思いますし、それから、被服なんて、ユニクロなんというのが出てまいりましたから、我々も想像以上の値下がりがございまして、要するに、こういうふうなものが、物価の値下がりが家計支出の面においては非常に顕著にマイナスとして出てきておる。

 食料にいたしましても被服にいたしましても、それなりに生活に必要な分は十分に摂取しておるように思っております。消費支出の中で、この表の中に出ておりませんけれども、教育費だとか一般娯楽費、教養費というのが異常に上がっております。異常に上がっておることは、やはりこれが家計を苦しくしている一つの大きい要因だと私は思っておりまして、そういう点を総合的に見ましたら、一九九一年から二〇〇〇年のこの十年の間に家計の構造というものが随分と変わってきたということの一つの実証ではないかと思うのであります。

佐々木(憲)委員 確かに、教育とかあるいは公共料金関係、こういう点の負担は非常にふえているのです。しかし、衣料関係、食料関係というのは、いわばずっと抑えられてきている。そういうふうに見ないと生活の実態というのは正確につかめないんじゃないか。そういう点で、大臣の感覚にどうもずれがある、どうも庶民性が感じられないというふうに私は思うわけであります。そういう実態を正確に踏まえないとなかなか議論が成り立たないと思うわけです。そこで、家計消費というのはGDPの六割を占めているわけで、この点は大変重要だという認識はされていると思うんですね。

 今回の緊急経済対策、この緊急経済対策にはどのように書かれているかといいますと、

 生産・企業収益が回復し、民間設備投資も持ち直しを示すようになった。

  企業部門のこのような復調は、本来ならば家計部門の回復をもたらし、自律的景気回復に向けた好循環の端緒となるはずであった。しかし、企業部門の復調にもかかわらず、所得・雇用環境の改善は遅れ、個人消費の回復は見られていない。

このように指摘をされているわけですね。

 したがって、今は景気対策の上で個人消費の回復というのが非常に重要な役割を果たす、これはこの前文に書かれているとおりだと私は思うのです。

 そうしますと、この政府の緊急経済対策の中に、こういう前文の認識ですから、対策の内容としても、個人消費を支援する、家計を支援する、こういう内容が盛り込まれて当然だと思いますけれども、それはどういう形で盛り込まれていますか。

若林副大臣 委員が御指摘のように、企業部門が元気が出てきたにもかかわらず、どうも消費の方が不活発だ、伸びない、それが全体の景気回復の足を引っ張っている、おくれている、そういう認識については委員のおっしゃるとおりでございますし、緊急経済対策における基本認識もそういう認識でございます。

 個人消費がなかなか伸びないということの原因としては、いろいろ言われますけれども、基本的には、厳しい雇用の情勢に加えまして、やはり国民の多くの方々が将来への不安を感じているということが影響しているものだと考えております。したがって、個人消費を拡大していくためには、雇用面の改善、適切な対応が必要なことはもちろんでございますけれども、同時に、各般にわたる構造改革を実行する、そして先行きについて明確な展望を持ち得るようにするということが必要だという基本認識に立っております。

 先般策定されております緊急経済対策におきましては、この雇用面のセーフティーネットを整備するための施策を各種織り込むことによりまして、その効果的な実施を図るということにいたしておりますが、同時に、構造面としては、金融の再生と産業再生を図りまして、また証券市場の構造改革を図るとか、あるいは都市再生を図っていくといったような解決策を盛り込むことにより、また、その着実な実行を通じまして我が国の経済の構造調整を推進する、そのことが今後の経済成長のもとを築くことになるという期待のもとに、このような諸対策を講ずることとしております。

 このような緊急経済対策による取り組みというものが雇用の改善に資するとともに、我が国の経済の見通しにつきまして、将来につきまして信頼の回復が得られ、そのことが家計マインドにも好ましい影響を与えていくんだろう、こんなふうに考えて策定をしたものでございます。

佐々木(憲)委員 なかなかこれは苦しい答弁で、さっぱり要領を得ないわけですね。つまり、雇用の改善に資するといいますけれども、今度の対策は倒産、失業がふえるということをお認めになっているわけでありますから、改善に資することにならないんじゃありませんか。しかも、セーフティーネットというけれども、それは失業が生まれるからそれに対応するというものであって、私が聞いた質問に対しては全然答えていただいていないわけであります。

 塩川大臣、この緊急経済対策の中に、個人消費を直接支援する、刺激する、その中身はありますか。私はないと思うのですが、いかがですか。

塩川国務大臣 個人消費を刺激する直接の対策は盛り込まれておりません。が、しかし、個人消費は、私は堅実に推移しておると思っております。ただ、統計上出てまいりますものと実態とはかなり違ってきておる。

 私は、実は、消費者物価指数だとかそれから消費係数だとか、そういうようなものの統計のとり方が、この数年の間に物すごい世の中が変わってきておるから、やはりそのファクターも、考え直さなきゃならぬ点が相当あるのではないかと思っております。

 ですから、現在政府がやっております統計そのものは、数年前からのをずっと、いわゆる連続として見ておりますからそれなりの評価はしておりますけれども、私は、もっと新しいファクターの入れ込みをして、正確なものをとり直してもいいんじゃないかと思っております。

佐々木(憲)委員 直接個人消費を刺激するものは盛り込まれていないと。私もそう思うのですよ、これは。ですから、本当に経済対策になるのかどうかという根本的な疑問を私は覚えるわけです。統計上も、どうも何か統計を信頼しないような御発言ですが、これはどうでしょうね、統計にはあいまいな点ももちろんあるわけですけれども……

塩川国務大臣 いや、私は、統計を信用しないと言っていないんです。もっと現実的に、現在に合った統計のとり方があるのではないかと。例えばですよ、ちょっと待ってください、例えば流通の関係一つ見ましても物すごい変わってまいりまして、直接産地購入というのが出てまいります。そういうようなものは統計上どのように出てきておるのか、私はちょっと疑問に思うようなこともあるんです。

 それから、これだけ家計が苦しい、収入も伸びないということに対し、例えば飲食店等においては物すごいダンピングをやっておりますね。こういうようなものがやはり消費者物価の面でどのように反映していくのかと。御存じのように、ハンバーガーですか、あそこなんか半値にしましたね。これで利益があるというぐらいですから。

 ですから、ここ数年の間、そういう個々の物価の実態というものを見て、統計をもう一度、統計のファクターです、とり方じゃありませんが、見直す必要もあるんじゃないかと。そこに、政府の言っているのと私らの実際の生活の感覚とちょっと違うところがあるということ。そのことから、消費者対策を講じていないじゃないかとおっしゃるけれども、講じておるのが、ほかの点でその効果が出てきておるということは言えると思うのです。

佐々木(憲)委員 どうも要領を得ないのですけれども。統計に基づいて緊急経済対策の前文の現状認識というのが出てきているはずであります。もちろん、統計をより精密にしていくというのはこれは当然だと思いますけれども、そこで、個人消費を拡大する対策は何もないわけであります、この政府の緊急経済対策には。

 それで、私は、どうもやっていることが逆ではないかと思うのですね。昨年からことしにかけまして、医療、介護あるいは年金、雇用保険など、こういう面で次々と負担がふやされたり、あるいは給付が削減される。そういうもので、合わせて約三兆円の国民に対する、いわば家計に対する負担を押しつけたということになります。これが政府の政策として実行されてきているわけであります。

 そこで、四月のサラリーマン世帯の家計調査によりますと、一世帯当たりの消費支出は四・四%マイナス、四月の失業率も四・八%になりました。悪化しました。重大なのは、こういうときに、不良債権処理という名で倒産、失業がふやされる。これが消費をますます冷え込ませるという方向に作用するわけでありまして、前文の「現状」で個人消費の拡大が重要だといいながら、実際には個人消費をどんどん冷やすことしかやっていない。

 私は、五月二十八日の予算委員会で、不良債権の処理によって何社が倒産に追い込まれるか計算をしてみましたところ、中小企業二十万社から三十万社倒産するんじゃないか、そういうことも想定されるわけであります。中小企業は平均五、六人の従業員を抱えていますから、これが倒産をするというふうになりますと、百万から百八十万の失業者が生まれるということになるわけですよ。

 塩川大臣は、四月二十六日に、初閣議後の記者会見でありましたか、緊急経済対策について質問をされまして、こういうふうに答弁されています。「急にブレーキを踏んで不良債権を処理するという、その処理の仕方が私は非常に難しいだろうと思うんです」「いたずらに不良債権を早期に、早くやれということのみには、私はあんまり賛同できない」こうおっしゃっています。これは記憶にあると思うのですけれども。

 この緊急経済対策を実行すれば、デフレ状態にある景気をますます悪化させる、当面の景気に対してはマイナス作用を及ぼすということになると思うのですけれども、大臣の御見解、御認識はいかがですか。

塩川国務大臣 急にブレーキを踏んだらひっくり返ってしまうのは当たり前です。ですから、二年から三年にかけてと金融担当大臣が言っておられますが、私は、それがやはり正当だろうと思っておりまして、だから、そのぐらいの期間の間に不良債権の処理をするということは、一番真っ当なやり方だろうと思っております。

佐々木(憲)委員 二年から三年という期限を切ってそれまでに不良債権をオフバランス化する、これが急ブレーキなんです。これは大変なことなんですよ。そのことが景気をますます悪化させる方向に作用する、もう失業、倒産がふえる、これはお認めになっているでしょう。

 ですから、今度の経済対策というのは、国民の生活に対する支援はない、逆に倒産と失業をふやす、私はこういう経済対策というのはかつてなかったんではないか、非常に問題があるということを指摘しておきたいと思うのです。

 次に、公共事業の問題について、塩川大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 公共事業の中で道路事業の占める割合、これはもう大変大きいわけであります。道路整備五カ年計画というのは、いろいろな長期計画の中でも最大規模のものであります。予算の一般公共事業関係費に占める道路事業費も約三割近い、それを支えているのが道路特定財源であります。

 資料の三のところを見ていただきたいのですけれども、道路特定財源というのは本当にどんどんふえているわけです。揮発油税、石油ガス税、それから国に入る自動車重量税の八割が道路財源に充てられております。一般会計の道路事業のほとんどがこの三つの財源によって賄われているという状況です。金額を見ますと、この十年間で約一兆円ふえております。

 塩川大臣にお聞きしたいのですが、もともと揮発油税、ガソリン税というのは、これは戦後直後、一般財源だったと思うのです。それが、昭和二十九年、大分古い話です、一九五四年でありますが、その段階から特定財源とされたわけです。そのときの提案者は故田中角栄議員だったという記録、私は昭和二十七年の議事録でそのことを発見いたしましたけれども、そのときの理由は、我が国の立ちおくれた道路を緊急かつ計画的に整備するためというもので、本来これは暫定的、緊急的な措置だったのではないかと思いますが、大臣はどのようにお考えですか。

塩川国務大臣 私が承知いたしておりますのは、戦後、復興に精励いたしておりまして、サンフランシスコ条約が締結され、独立国家として経済の本格的な再生、発展を図るというときに、道路の整備がやはりその復興の一番根幹事業であるということから、私たちの先輩がアメリカの事情を調査されまして、道路の整備には特定財源が使われておることが欧米において常態であるということ、そこで初めてガソリン税のような特定財源が導入をされ、そして田中角栄総理がこれをさらに体系的なものにされたと。ちょうど自動車重量税も導入されたのはそのときでございますが、そのようにして整備されて、一挙に高度経済成長の牽引車となって道路整備を進めていった、それが今日の日本の経済基盤ができた根本の原因であったと思っておりまして、それは私たちも非常に高く評価しておるところでございます。

 しかし、現在になりますと、もう既に根幹的な、骨格的な道路の整備は終わってまいりまして、道路のこれからの整備の必要なのは、私たちの直接生活に関連しておるところなり、あるいは住居の環境を整備するための面整備によるところの道路の整備ということが必要になってくる。

 であるとするならば、道路財源をそちらの方に、いわば都市密集地域の再開発に思い切り使ってもいいんではないかという考えで私は道路特定財源の用途の拡大をまず図っていきたいということを提案しておるのは、その意味であります。

佐々木(憲)委員 大分先の話まで答弁をされましたけれども、私がお聞きしたのは、もともと揮発油税、ガソリン税を特定財源にすることは、緊急かつ暫定的な措置ではなかったのか、当時の、決めたときの考え方はそうだったのではないかとお聞きしたのです。ですから、その一点についてお答えいただければ結構なんです。

塩川国務大臣 それは一定の、暫定的というのは暫定期間が来たらぷつんとやめてしまうぞ、そういう意味の暫定ではなくして、これからも継続するであろうけれども、とりあえずの制度としてまずはこれで発足しよう、小さく生んで大きゅう育てる、そういうやり方がありますから、そういう意味もあると思います。

佐々木(憲)委員 そういうやり方でどんどんふえてきたわけですよ。揮発油税は、当初は暫定的、緊急的措置だった。しかし、それは延々と今まで続いてきている。道路がほとんどもう整備されても、まだ続いている。それだけでなくて、先ほど言ったように、石油ガス税あるいは地方道路税、こういう道路特定財源というのが次から次へと積み重ねられてきました。

 一九七一年に自動車重量税、約三十年前であります、これがつくられました。もともとこの自動車重量税というのは、使途を特定しない一般財源だったわけです。ところが、田中角栄氏のツルの一声で自民党が八割を道路に向けるということを決定して、こういう形になっていったわけであります。これも暫定措置であった。恒久的には道路整備には使わない、こういうふうに決められたわけです。しかし、三十年間延々とこれが続いてきている。

 ですから、これは見直すのは当たり前だと思うのです。特定財源は、先ほど見直すという話がありましたが、使途を広げると言いましたが、私はこれは一般財源にするのは当たり前だと思うのですが、そういう決意はございませんか。

塩川国務大臣 この件に関しましては、私はこの委員会並びに予算委員会等において何遍も申しております。

 要するに、平成十四年度までは、それぞれの特定財源が道路整備五カ年計画にきちっと予算と裏づけされて法律化されておりますので、この法律を改正してまでやるという時間的な余裕もございませんし、また、非常にこれは困難な問題でもございます。

 したがいまして、平成十四年度においては、この五カ年計画の中で年次を延ばしてもいいとかあるいは執行をおくらすことによって生み出せる財源がつくれると思っておりますので、その財源を他の、いわゆる先ほど申しました面整備なり都市の過密対策等に適用し、そして平成十五年度以降においてこの道路五カ年計画が新しい計画に入ります段階において、特定財源のあり方を変えていって、でき得れば一般財源にしていきたい。

 しかし、この問題を解決する場合に前提となりますのは、やはり税金を納めておる納税者の意向、つまりこれは国民の意向でございますから、ここをしっかりと踏んまえたことを政策の面に反映させていく、こういうことが一番大事なことだと思っております。

佐々木(憲)委員 納税者の意向を尊重してとおっしゃいました。いろいろな世論調査がありますけれども、この税金は道路以外に使うなという納税者は非常に少ないんです。いろいろなところに使うようにしていいじゃないか、こういう方が多数なんですね。そのことを念頭に置いていただきたい。

 それからもう一つ、一般財源化は十四年度までは法律によって使途が特定されているのでできないから、その後の検討課題というふうにおっしゃいました。

 しかし、この道路特定財源と言われるものの中で、自動車重量税というのは、これは法律によって道路に使うとは決められていませんね。つまり、税収の八割を回しますよという政府の意向によって決められているだけであります。ですから、これは来年度から直ちに一般財源化できる、その気になればすぐできる、何も法改正は必要ない。このぐらいは今すぐ決めるべきだと思います。いかがですか。

塩川国務大臣 それは、二割は一般財源的に、そして八割は道路財源的に、的にと書いてございますが、に充てるということのいわば国会の中の合意であったと思っておりますが、その合意は私たちもこれを有効に利用いたしたいと思っておりまして、重量税で、先ほど申しました五カ年計画の中に組み入れられておる以外のものとして、これを十分に面整備とか地域整備の面に利用させてもらいたい、こう思っております。

佐々木(憲)委員 大体、もともと一般財源のものを、国に入った自動車重量税を無理やり八割道路整備に回すということ自体が異常なわけであって、外すと当然一般財源になるわけでありますから、それを別なものに、別な公共事業に使うというんじゃ全然改革にも何もならないわけで、私は、そんなこともできないで本当に何が改革なのかと言わざるを得ないと思うんです。

 塩川大臣は、この道路特定財源の見直しを含めて、国費としての公共事業は減らすとは言ってきましたけれども、日本の公共事業の大枠を決めてきた六百三十兆に上る公共投資基本計画というのがありますね。これは、アメリカとの合意でそういうものをやるんだということでこの間やってきました。これが公共事業の規模を自動的に拡大していく大変大きな大もとにあったわけであります。これは、むだと浪費の公共事業を膨らます大きな要素だったと思うんですね。これを放置したままでは浪費を減らすということはできないと思うんで、この公共投資基本計画も当然見直すべきだと思いますけれども、これはいかがでしょうか。

塩川国務大臣 おっしゃいます計画、これは古い話なんですね。実は、これは大分変わっておりまして、計画期間は十年で、平成七年から平成十六年の十年間となっておりまして、それで、このことを実は十三年間に引き延ばしまして、平成七年から平成十九年といたしました。けれども、このときの規模は、確かにおっしゃるように六百兆円から四百七十兆円に圧縮しております。その投資額を縮めたわけであります。そして、さらに、平成九年六月十九日にこれを改正いたしましたときに、実は――金額は、改正いたしましたのは、平成九年の六月に六百兆円から四百七十兆円に変更した、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 ちょっと不正確な表現だと思いますね。最初、たしか四百三十兆ぐらいだったと思うんですが、それが、六百兆、六百三十兆というふうに計画の規模は大きくなってきておるんですよ。それを、十年間でやると言っていたのが、十三年でやる、延ばすということになって、年間当たりは多少減るだろうというような話だったんですが、しかし、多少期間を延ばしても枠そのものは変わらないわけで、その間にどんどん公共投資をこなしていくということになるわけで、ですから、全体の公共投資縮小という方向であれば、計画そのものを見直すというのはこれは当たり前だと思うんですね。それを見直さなければ、どこか削ってもどこかふやさなければいけない、こんなことになるわけですから、見直すというのは当たり前だと思う。いかがですか。

塩川国務大臣 おっしゃるような趣旨は私も実は賛成でございますね。

 そこで、それはやはり基本計画の改正ということにもなってまいりますので、これはやはり衆議を集めて合意を得なけりゃなりません。そこで、こういうことをやるといたしましても、整備水準が近年向上して、本格的な少子高齢化社会の到来を控えておるので、社会資本の整備を急ぐと同時に、そちらの方の民生の方も急いでいかなけりゃならぬ、こういうことがございます。そういう意味で、現在私たちは、経済財政諮問会議において、公共事業並びに福祉事業、そういうもののバランスをどうとっていくかということを審議しておりまして、その結論を待って実際に変更も考えてみたいと思っております。

佐々木(憲)委員 公共事業を全体として減らしながら福祉の方に重点を移していく、ぜひそういう方向で根本的に変えていただきたいと思うんですけれども、公共事業基本計画そのものをやはり抜本的に見直すあるいは撤回する必要があると私は思っております。

 さて、では次に、塩川財務大臣に続けてお伺いしますが、機密費の問題についての発言が大変話題になっております。大臣は、一月以降、テレビ、新聞などで、多くのメディアに対しまして、官房長官時代の機密費の扱い方について、繰り返し大変リアルな体験を語っておられます。例えば、野党対策に使っていることは事実ですとか、総理の外遊の費用は外務省の機密費から出させている、こうはっきり言っているわけであります。むしろ誇らしげに、私はそうしているんだというふうにおっしゃっているわけです。

 ところが、国会でこの点を確認いたしますと、忘れてしまいましたというふうに大変不誠実な答弁をされているわけですね。あなたは参議院の予算委員会で、あるいは衆議院の予算委員会でも我が党の穀田議員に対してこういうふうに答弁しているんですね。何か週刊誌にいろいろなことが書いてあったのが、何かさも自分が経験したようなつもりで錯覚に陥ってしまった、そしてああいうことを言ってしまったんだ、こういうふうにおっしゃっています。今もそういうふうに思っておられますか。

塩川国務大臣 今も大体そのような感覚であります。

佐々木(憲)委員 そこでお聞きしたいんですけれども、あなたは、二月二十三日付の読売新聞で、官房長官就任後、首席参事官、今の古川副官房長官でありますが、首席参事官に官房機密費の「出費の仕方を聞いた。そうすると「それはいつも出している」「初めてだ」などと教えてくれた」と述べておられますね。この発言は、どう考えても塩川大臣自身の体験でなければ話せない内容だと思うんですね。これはどこかの週刊誌に載っていて、それを自分の体験と錯覚したというならば、その週刊誌というのはどの週刊誌なんでしょうか。

塩川国務大臣 それは思い出しませんが、私はそんな、古川参事官ですか、との話ということは言ったことないと思っておりますけれども、それはテレビ、ビデオに出ているんですか。私はそれは恐らく言ったことないと……(佐々木(憲)委員「新聞ですよ」と呼ぶ)新聞ですか、私は言ったことないと思います。それは私は何か記事が錯綜しておるように思いまして、私自身が個人の名前を挙げたことは絶対ございません。

佐々木(憲)委員 個人の名前を挙げたのではなくて、首席参事官に出費の仕方を聞いた、そうすると、それはいつも出しているんだ、いや初めての出費だ、こういうことを教えてくれたとおっしゃっているんですね。

 先ほど最初に、どこかの週刊誌などで書いてあったことを自分がさも体験したかのように錯覚したんだとおっしゃいましたね。ですから、錯覚して言っているとすれば、そのもとになった週刊誌があるはずなんです。それを出していただかないと錯覚したことの証明にならないんです。つまり、その週刊誌がなければ自分の体験だということになるわけです。週刊誌があるなら出してください。

塩川国務大臣 週刊誌という、一般的なものでございますから、いろいろな週刊誌を私も読んでおりますから、どの週刊誌という記憶は実はございませんし、週刊誌にそういうことが、直接言ったことはないと思っております。

佐々木(憲)委員 つまり週刊誌にはそういうことは書いてなかった。ということは、塩川大臣が初めてそういう体験談をお話しになったということですよね。ということは、うそをついているということでなければ、これは自分の体験を初めてそこでお話しになった、どこにも書いてないわけですから。それを初めてあなたは体験として正直に述べたということになると思うんです。

 一月二十八日のテレビ朝日、サンデープロジェクトではこう言っているんですね。総理が海外に行くとき、その費用を外務省のある枠内から持ってこいよと、こうなる、こう言っているんですね。一月二十九日のTBSテレビでは、総理が外遊に行きますね、そのとき、おまえのところで、外務省に負担しろと、こうなるわけですねとおっしゃっています。持ってこいよとか、おまえのところで負担しろ、こういう言い方というのは、自分が体験したことじゃないとなかなかこれは話せない内容じゃありませんか。自分の体験談じゃありませんか。

塩川国務大臣 まさにそう言ったとするならば、私は訂正させてもらいたいと思いますが、そう言ったのかどうかが私は今のところはっきりとした記憶には出てきておらないのでございまして、もしそう言ったとするならば、それは取り消してもらいたいと思っております。

佐々木(憲)委員 取り消してもらいたいって、あなた自身がマスコミで話をされているわけであります。そのマスコミに対してあなたは、取り消しますとは言っていないんですから。

 官房長官時代に宇野総理がアルシュ・サミットに出席したことはありますね。

塩川国務大臣 パリ郊外のアルシュ、出席していると思います。

佐々木(憲)委員 これは一九八九年七月のことですね。大変今はっきりと記憶を呼び戻されたようでありますが、このときあなたは国内に残って総理の臨時代理をやっておられたんです。外務省に負担しろと言ったのはそのときの体験ではありませんか。

塩川国務大臣 そのとき、総理はもう既に準備して行っていますから、サミットといいますのはもう既に何カ月も前に準備しておりますので、そのとき直接私は言ったことがないと思います。

佐々木(憲)委員 それはおかしな話で、宇野総理がサミットに出席したときに官房長官をやっておられるわけですから、当然、そのときの費用をどこが負担するか、これは外交だから外務省だ、そういう体験談を述べたに違いないとみんな思うわけであります。それ以外に考えられないんですね。

 あなたはテレビ朝日でこう言っているんですね。野党対策に使っていることは事実です、現ナマでやるのと、それからまあ一席設けて、一席の代をこちらが負担するとかというふうにおっしゃっている。また、TBSでは、国会対策とかあるいは勉強会の対策費用で使うのは三割ぐらいじゃなかったかなと。あなたはこのような発言を一月以後しばしば新聞、テレビで繰り返しているんですね。ところが、ある時点からそれを否定するようになったわけです。

 あなたは、国会で忘れたと言った答弁の後、テレビ朝日、テレ朝のインタビューを受けたと思いますけれども、その記憶はありますか。

塩川国務大臣 いや、ビデオはあったということですけれども、その後のインタビューは、私は一切どこともインタビューは応じておりません。

佐々木(憲)委員 では、証拠を出しましょう。ちょっと資料を配ってください。

 このインタビュー、五月二十八日、一週間ほど前ですけれども、テレビ朝日のニュースステーションで、あなたはインタビューに答えてこういうことを言っているわけです。ナレーターが「官房機密費での国会発言が波紋をよんでいます。塩川大臣は今年の一月、官房機密費の使い道について――」塩川さん、実際の姿が出ていまして、「野党対策に使っていることは事実です。」ナレーターが「でも今の国会答弁では――」塩川さん「そういった中身のことについては忘れてしまったということでございまして……」と非常に対比的にこれが出ていまして、それでナレーターが「どちらの発言が真実だと思いますか。テレビでの発言(「野党対策に使った」)が真実だと思う国民は、七二%にものぼりました。」これは世論調査を実際にやったんです。「塩川さん(「忘れてしまいました」発言)を信じているありがた〜い人も一三%いました。でも、ほとんどの国民は塩川さんの国会答弁を信用していないようです。」そこでまた塩川さんが出てきまして、「表側はね、そりゃ、国民の感覚で、ぼくは、あれは政府の一員になったんでもういっさい言えません。役職についたらそういうものに対する責任感が、別の責任がある、発言にはね。そういうことと交じっていっさい言わんことにしとんねん。」

 この発言は、私は非常に重大だと思うんです。大臣になる前には真実は述べるけれども、大臣になったら本当のことを言わなくていいということじゃありませんか。わざわざ言わないことにしている、「いっさい言わんことにしとんねん。」というのはそういうことじゃないですか。それがあなたの姿勢じゃありませんか。

塩川国務大臣 真ん中辺にございますナレーター、どちらの発言が真実かと思いますか、これは私は聞いておりません。私は全然これは関係ございません。それから、政府の一員になった、一切言えませんが、ここのところも私は覚えがございません。ナレーターの、こうしたこともあって、小泉さんの機密費の云々、これも私は聞いておりません。

佐々木(憲)委員 それはナレーションですからね。それはインタビューの後につけ足しているものです。塩川さん自身がお答えになっているのは、塩川さんの顔が映って塩川さんがお話しになっている部分、この「塩川」と書いているところがそれですよ。「政府の一員になったんでもういっさい言えません。役職についたらそういうものに対する責任感が、別の責任がある、発言にはね。そういうことと交じっていっさい言わんことにしとんねん。」これは、塩川さん自身がはっきりとテレビでおっしゃっていることなんです。

 これは一週間前に放映されたのですけれども、三カ月前も忘れたけれども、一週間前も忘れたのですか。

塩川国務大臣 このビデオというのはいつのビデオなのでしょうか。(佐々木(憲)委員「二十八日」と呼ぶ)私は、インタビューを受けておりませんで……(佐々木(憲)委員「それはおかしい」と呼ぶ)本当ですよ。二十八日、日程を見たらわかりますよ。(佐々木(憲)委員「放映されたのが二十八日、その直前にあったでしょう」と呼ぶ)ああ、放映がですか、わかりました。では、いつのビデオを言っているのでしょうかね。

佐々木(憲)委員 大臣になってからの発言です。ですから、五月でしょうね。ですから、当然、「政府の一員になったんで」自分はもう一員になった後ですよ、これは。「いっさい言えません。」「言わんことにしとんねん。」これは記憶ないですか。

塩川国務大臣 私は記憶ありませんね。いつのビデオですか、これは。いつ撮ったのでしょうか。放映は二十八日ですね。(佐々木(憲)委員「それは大臣になってからです」と呼ぶ)それは私は覚えていないですね。

佐々木(憲)委員 大体それはおかしいですよ。覚えていないことはないでしょう。大臣になった後のことは、こういうインタビューを受けたことを覚えていないのですか。これは、大臣としてこんなことさえ記憶しないなんというのは、こんな大事なことをしゃべっているのですよ。大臣として務まるのですか、それで。

塩川国務大臣 私は、一月でしたか、テレビ朝日のインタビューを受けました。これは、突然であったので、私は忘れたと言っていましたけれども、ビデオを見せてもらって、これは確かにこういうことはあったということは思い出しました。

 その中で私が言いましたのは、あの発言は、私自身がいろいろなことをがたがた言っておりましたけれども、それは、私自身がいろいろな週刊誌を読んだりあるいは人の話を聞いたりいたしまして、さも自分がやっておるようにちょっと錯覚を起こしてしまってしゃべっておったことだということで、これは予算委員会においても私は反省をしておることの旨を申し上げまして、一応そのことにつきましては私も実は反省いたしておりました。

 しかし、このようなことについては、私はちょっと覚えがないということなのです。

佐々木(憲)委員 錯覚していたと言うけれども、錯覚のもとになったものを示さないで錯覚した錯覚したというのは、これは成り立たないのですね。先ほどの私の質問でも、その点ははっきりしたと思うのですよ。どこに出ていたか示せないで、これと私は自分の体験を錯覚しましたというふうに証拠を示すならわかりますよ。そういうことも示さないで、そういうことで逃げるというのはおかしいと思いますね。

 ナレーターは「こうしたこともあって、小泉さんの機密費への対応を不十分だと思う国民は、六割近くにものぼっています。塩川さん、すべてを国会で明らかにして小泉内閣で機密費の問題をしっかり解決したらどうでしょうか。」こう言われているのですね。ナレーターがこう言っているわけです。

 あなたはどういうふうにこの点について言ったかというと、「どうですかね。そういってるのはテレ朝だけやろ。そりゃもう国会紛糾して、どうにも動かなくなっちゃう。」と。

 大臣にお聞きしたいのです。国会が紛糾するというのはどういう問題ですか。これまでマスコミに対してしゃべってきた真実がはっきりしたら紛糾するという意味なんじゃないですか。

塩川国務大臣 この最後のところの、どうですかね、そういうことを言っているのは、これはテレ朝に言っているのですか。どこに言っているのですか。(佐々木(憲)委員「テレ朝に対して」と呼ぶ)私は、このときの覚えは実際ございませんがね。ありませんよ。あれでしょう、いつだったか、久米宏氏とのあれでしょう。久米宏のところですね。もう私はちょっと記憶に、思い出しません。

佐々木(憲)委員 それはおかしいですよ。大体、一週間前に放映されたもので、大臣になって以後インタビューを受けて、これはインタビューの形式は、座ってインタビューを受けたのかぶら下がりかというのはあるでしょう。しかし、こういう点について、はっきりと御本人が述べているのです。それは、塩川さんが映って、塩川さんがはっきりとお述べになっているわけですよ。それが、都合が悪くなったら、忘れた、忘れた。そんな答弁の仕方はないですよ。私は、これ以上できないですよ、そんな答弁をしていたら。だめだよ、そんなのは。

山口委員長 今御質問中でありますが、このビデオにつきましては、いま一度大臣の方でビデオを手に入れていただいて見ていただく。

 同時に、このビデオ、今資料を拝見しましたけれども、かなり編集の跡が見られる、作為的な可能性もありますので、そこら辺も含めて、きちっとごらんいただいて、また再度御答弁をいただくというふうなことでお願いいたしたいと思います。

 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、つい最近、つまり一カ月以内にインタビューを受けても、それを都合が悪くなると忘れた忘れたという言い方はもう通用しませんよ。三カ月前にインタビューしたことについても忘れた、一週間前に放映されたテレビのこのインタビューについても、それも記憶がない、そんなでたらめなことは、私はもう許せないと思うのですね。

塩川国務大臣 一週間前にインタビューを受けていないと言っているのです。

佐々木(憲)委員 放映されたと言っているじゃないですか。だから、放映されたものについて、大臣になって以後ですから一カ月以内ですから、一カ月以内のことについて忘れたと言う。

 では、委員長もおっしゃっているから、実際にではまたこれは、ビデオを見てもらってもしようがないのだけれどもビデオを見てもらいましょう。その上で、あしたもこの委員会はあるというわけですから、続きをやりましょう、それではあす。

 テレビ朝日に、いつインタビューを受けたか、それは確認してください。放映されているわけですから、自分でしゃべっているものは、テレ朝に聞いたらすぐわかる。(発言する者あり)もちろん私も聞くけれども、大臣も聞くのは当たり前じゃないですか。ここでビデオを映して、その点について質疑しても結構ですよ。

 ですから、本当に私は不誠実だと思うのですよ。今まで、国会でそういう不誠実な答弁をされるというのは、私は本当に心外ですよ。(発言する者あり)法案審議に入るその前提を今いろいろやっているわけだから……(発言する者あり)

山口委員長 静粛に、静粛にお願いします。

佐々木(憲)委員 ですから、私は、もちろん法案審議をやりたいと思っているのですよ。このテレビの問題で、短時間で終わると思ったら、こんなに時間がかかってしまった。

 だから、法案質疑で答弁のために準備をいただいた松田預保理事長や塩崎さんにもきょう来ていただいているのですけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、まことに申しわけないのですが、続きはあした以後やらせていただきます。あしたは塩川さんの記憶を確かめることもやりますから、あしたになるか、あるいは来週の水曜日になるか、それは追って時間をお伝えしてやらせていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。

山口委員長 続きの質問に関しては、また理事会で協議させていただきますので。

 植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 まず、租税特別措置法にかかわりまして、何点かお伺いしたいと思いますが、この法が成立して以降の効果については必ずしも、この間の答弁をお伺いしておっても、まあすぐにそんなに効果は少なかろうと思うというような心もとないお話でございます。

 ただ、実際問題、そういうことでいきますと、果たしてこの租税特別措置法の改正というものが、緊急と銘打つに値するのかどうなのか。実際、提案者の側もある種懐疑的なんじゃないのかなと思って、この間の答弁も伺っていたわけです。ただ、提案者の意図といたしましては、個人投資家による長期安定的な株式保有の促進等、証券市場の活性化を図る、そういう観点はおありなようですし、千四百兆の個人金融資産を、実際株式市場はその全体の中の六%のシェアしか占めていないようですけれども、そこに引き出していこうという意味では、今回の法案がある種目玉のようでもあるようです。

 ただ、実際、お話を伺っていますと、私はうちの阿部議員のように医者ではありませんけれども、漢方のような話なんですね。そのうち効いてくるんと違うやろか、足が水虫でかゆくてたまらぬのやけれども、靴の上から足をかいているような、そんな感じもしないわけではないんです。

 しかも、提出者がどういう御意見でこういう形で出されたのか、そのこととは裏腹に、実際問題、証券市場の評価は必ずしも高くない、そういう意見もあるわけです。例えば、現場では、期間を一年半に限定した時限措置であって、新しい株主をつくるには余り効果がない、従来の株主にはいいけれども、非課税中の益出しの売りがかさみ、相場にとっては逆効果の可能性もある、そういう現場の声、指摘もあるわけでございます。

 そういう意味で、今回、これは申告分離課税の場合に限るわけですから、実際その方を選択している人は現状ではまだ少ないわけでございますので、そういう意味では、今度このことで税収が約一千億円ほど減収が見込まれるということも考え合わせた場合、国、地方の税収に対する影響も決して少なくないわけでございますから、効果としてはやはりさしたるものが見込めないんじゃないかと私も疑念を持っておるわけですけれども、何度か同趣旨で御答弁もされているかとは思いますけれども、まずその点についての御見解、財務大臣からお伺いしたいと思います。

塩川国務大臣 税収との関係は、おっしゃるように、平年度ベースで約八百億円ぐらいと見込まれまして、ことしは初年度でございますので約四百億円か四百五十億円ぐらいだと思われております。

 確かに国税として減収になりますことは非常に私たちにはつらいことではございますけれども、しかし、個人が証券市場に参入していただけるそういう一つの刺激になればなと思っております。

 したがって、これは全く政策的な観点から設定した特別措置法であったと認識していただいて結構だと思います。

植田委員 ですから、いずれにしても、実際効果があるかどうかというのはよくわからないということですよね、結果を見てみないと。その意味では政策判断をされたということでしょうね。

 実際、現場にしてみても、ないよりあった方がおいしいという話は聞きますけれども、私も株なんてやらないものですから、今回このことで幾つか資料を取り寄せていろいろ勉強させていただいたんですけれども、この十五、六年で、例えば八〇年代半ばぐらいに比べれば、個人株主の推移を見ても、二倍弱ぐらいにはふえているようには聞いておりますが、ただ、ここ数年見ましても確かにそんなにふえてはいませんし、保有株式を見ても、売りつけ高等を見ても、個人株主というのは売りつけ高でも二二・六%、法人、外国人が八三・二%、保有株式では個人が二六・四%、法人が七三・六%とかなりシェアが低いわけです。これは二年前、平成十一年度のデータだそうでございますけれども、こう見ても、実際、個人株主は圧倒的に少ない状況にあるわけです。

 また、そういうことで、一世帯当たりの株式保有状況もちょっと調べてみたんですけれども、第一階級から第五階級まで、そういうそれぞれの年収階級というのがあるようでして、年収階級で七百九十四万以下が第三階級、第二階級、第一階級になるようでございますが、そこの部分は非常に少ない。ほとんどの場合、一世帯当たりの株式保有状況でいくと、年収で千三十四万以上の第五階級というのがほとんど圧倒的に多いわけです。

 そういう意味では、私なんぞも今のところ額面では高い給料をもらっておりますが、議員になる前の年収でいきますと第一階級に属するわけでございます。年収四百六十九万未満ですが、第一階級ですね、そこに行くわけですけれども、そういう我々下々の者からしてみれば、なけなしのとらの子を株に投じたはいいけれども、損失したら大変だということで腰も引けてしまうわけです。

 そういう意味で、実際、本当に個人株主を育成して、もっともっとふやしていこうというのであるならば、そうしたリスクを吸収するような方法が不可欠なんじゃないかな、そっちの方が大事なんじゃないかな。例えば、投資単位の小口化であるとか情報開示、そうした我々でも安心して株式へ投資できるような環境整備の方が、言ってみれば、投資に参入する我々が参加しやすい条件整備の方がむしろ政策としては有効なんじゃないのかなと私も素朴にこうしたデータも見ながら思ったわけなんですけれども、その点については、これは金融庁にお伺いした方がいいんでしょうかね、ちょっと御意見をお伺いできますでしょうか。

村田副大臣 植田委員御指摘のとおり、個人株主の厚みを増すという観点からいいまして、株式市場が個人投資家にとっても魅力のあるものであって、また、市場が信頼性の高いものである、こういうことが必要であろうかというふうに思います。

 そういう観点から、会計基準のいろいろな整備をこれまでも進めてまいりましたし、それから、六月の一日からでございますけれども、有価証券報告書の電子化、こういうことで公開を高める、こういう措置も講じてきているわけであります。一方におきまして、市場のインフラ整備にあわせまして、そうした情報開示ということについても我々としても努めてきているところであります。

植田委員 ありがとうございました。

 そこで、実際私もまず一番基本的に今回の法改正で疑問を持っている点、申し上げますと、今回の法の手直しというのは、実際問題は、現在大体七百万人ぐらいだと聞いておりますけれども、そうした投資家向けの追加的な優遇策の枠を出るものではないんじゃないだろうかという素朴な疑問を持っておるわけです。そういう意味では、そうしたものを少なくとも税制の基本原則たる公平性をゆがめてまで拙速に行うような意義というのが、今回のこの法案に見出し得るんだろうか。

 冒頭に財務大臣が政策判断だとおっしゃったわけですが、それを言ってしまえばおしまいなんですけれども、むしろ、ほんまに千四百兆の個人金融資産を証券市場に引き出そうという積極的な問題意識に立ってこうした問題に取り組んでいくのであれば、一握りのそうした投資家ではなくて、言ってみれば、大衆投資家を育成するようなそうした姿勢、視点と切り口というのが不可欠なんじゃないかというような趣旨で今の質問も差し上げたわけです。

 そういう意味で、こうした税制の手直しを行うのであれば、むしろその税制の公平性に十分配慮した、国民生活の向上に直結するシステムの整備が必要なんじゃないかと私は思っていたわけなんですけれども、その点はいかがでございますでしょうか。

若林副大臣 委員には、大臣から今回の少額譲渡益非課税制度創設の趣旨をお話しさせていただいておりますけれども、今の公平性の原則との関連で言えば、現在の源泉分離選択課税制度のもとにあって、個人投資家の株式市場への参入を緊急経済対策の一環としてやる。

 そういう点からしますと、おっしゃるように、最大限政策的なインセンティブを与えるというような趣旨、そこに配慮しているものでございますけれども、同時に、公平性への配慮としては、現在の源泉分離課税につきましては、みなし利益に対する課税という意味で諸外国にも例を見ない大変優遇的な措置を講じております。そういうものに対するさらなる特例措置ではなくて、あくまでも現在の申告分離課税を選択した場合の特例措置を講ずるというような形をとりまして、その点を見れば、今度の措置でいたずらに税の公平を犠牲にしているものではないと考えております。

 税制調査会においても、基本的には源泉分離選択課税制度は経過的なものでありまして、これは延ばしましたけれども、十五年三月三十一日まで延長はいたしておりますが、その後は申告分離課税に一本化するんだという趣旨のもとで、総合的に株式の譲渡益課税の問題について検討をしているところでございます。

植田委員 今伺った話はよくわかるんですけれども、私どもむしろ今回の法案に、私ら社民党なりにいろいろ考えてみて、ただ、これが余り役に立たぬじゃないかと言うだけじゃなくて、私らなりの一つの対案のようなものを示させていただければと思って質問を用意させていただいているわけです。

 現在でも、調べてみますとエンゼル税制というのがあるそうでございます。私どもが与党時代にできたそうです。私も、当時事務局で担当していたわけじゃないので、今回これで調べるまで承知していなかったんですけれども、創業期の中小企業に対して投資を行い、利益、損失のいずれかが発生した場合にも課税の特例が受けられます。対象となる方、特定の中小・ベンチャー企業に投資する個人投資家、施策の内容とか手続の流れ等々あるわけですけれども、こうした枠組みを活用するなり、また別途こうしたことを参考にしながら新たな枠組みをつくっていくなり、やり方は技術的にいろいろあるだろうと思うんです。

 例えば、こうしたことを参考にしながら、実際、環境であるとか福祉であるとか社会的な責任、公益的機能を果たしているような企業であるとか、社会的に有用と言われるような仕事を行っている特定のベンチャーに投資する個人に対して優遇税制を拡充していく、そうしたことを考えるのも一つのアイデアなんじゃないかなと私どもは考えているわけです。社会のデザインを変えていくことにもつながるんじゃないかと思いますし、当然、そこでは公平性には十分配慮しなければならないわけですが、既にこうした先行事例もあるわけですから、これを拡充するか、新たなそうした制度的枠組みをつくるかというのは、技術的な部分に属するかと思います。

 私どもは、そうしたことをした方が全体としてはもっと有用なんじゃないかなということで、私たちなりの対案としても示させていただいているわけですけれども、それについては御所見はいかがでございますでしょうか。

尾原政府参考人 現在のエンゼル税制をさらに拡充してはどうかというような御趣旨の御質問かと思います。

 今ございますエンゼル税制でございますが、やはり、ベンチャー企業に対する個人の投資が大変重要だという観点から設けられてございまして、一定の要件のもとに、今先生お話ございましたように、譲渡損失については三年間の繰り越しができる、それから、企業がうまくいって公開された場合には、公開の最初の一年でございますけれども、税負担が四分の一に軽減するというふうなことになっております。

 これは、中小企業、ベンチャー企業支援が非常に大切だということで最大限の配慮をさせてもらっているわけでございまして、この要件は、研究開発投資がどのぐらいになっているかということでベンチャー企業を示してございますので、ぜひ御利用いただければと思っております。

 いずれにせよ、制度としては最大限の配慮をさせてもらっているということを御理解いただきたいと思っております。

植田委員 ちなみに、このエンゼル税制、現状で、私もこれだけ見たらどれだけ使い勝手がいいか悪いかわからないわけですけれども、どれぐらいの活用度なんでしょうか。その点も教えておいていただけますでしょうか。もし使い勝手が悪いのであれば、そのことも含めて考えた方がいいんじゃないかと私思いますので、その点についてもちょっと御教示いただけますでしょうか。

尾原政府参考人 確かに、何度か制度改正をやっているわけでございますけれども、今確認書を出しているものでいいますと、十社、百二十九名の方に確認書を出してございます。交付件数、これは人数ベースかと思いますが、平成十年から百二十九件の人数になっております。

 さらに、よくこの制度のPRに努めていく必要があるだろうと思っております。

植田委員 十社で百二十九名ということでございますが、制度自体知らない人もいるんでしょうから、それはまず啓発をしていただくことが肝要かとは存じますけれども、現状では、確かに、税制にかかわる部分ですから、そう使い勝手がよくても問題があろうかとは思います。

 ただ、こうした先行事例というものを踏まえながら、私も申し上げたのは、少なくとも、二十一世紀初頭の社会のデザインを変えていこうじゃないか、特に環境であるとか福祉であるとかそうした分野で、私たちはそういうところでもっと新たな声をつくっていこうということも考えていますし、そうしたところにプッシュするような、そして、今回この租税特別措置法で株の話になりますから、どうせやるんだったら、こういうことに着目して、もっとこの制度を使い勝手がいいようにしたらどうですかということを聞きたかったわけです。

 制度として今一生懸命やっていますという以上の御答弁は得られそうもありませんから、余りそこはつつきませんが、引き続き我々としてもこの辺検討して、もうちょっと具体的なプランも我々党内で検討して、一度また、御提示する機会があれば示していきたいなと思っております。

 続きまして、不良債権処理にかかわりまして何点かにわたってお尋ねしたいわけでございます。

 さきの阿部議員の方も、柳澤大臣のお話が非常に難しいというふうにおっしゃっておられましたが、最高学府を出られた阿部議員にそんなことを言われてしまうと、私のように私立の大学を出た者にとってみればなかなかきついわけでございますけれども、ただ、こういう委員会に出ながら、学生時代もうちょっと勉強しておけばよかったなと素直に反省もしつつ、わかりやすく御答弁いただければ非常にうれしく思っております。

 実際問題、現状で銀行の抱える不良債権が三十二兆円。実際、銀行は預金者から集めた資金の運用等で不良債権の処理に注ぎ込んできたわけでございますが、言ってみれば、さいの河原で石を積むような話で、いつまでたっても捨てても捨ててもなくならないというのが私どもの印象でございます。

 実際、金融庁のデータによれば、九二年以来昨年八月までの八年半の累計で、処理した不良債権が約六十八兆円ということだそうです。ドルに換算すると五千六百億ドル強ということだそうです。調べてみますと、カナダの名目国内総生産が六千三百億ドルだということですから、かなりごつい額やなと、改めてびっくりさせられているわけです。

 そこで、まず、そういう意味で、初歩的なところからお伺いしたいわけですけれども、最大の減らへん要因というものについて、恐縮でございますけれども、まず御説明いただければありがたいと思います。

柳澤国務大臣 不良債権は現在三十二兆、これは全国銀行ベースでございますけれども、全国銀行ベースというのは、全国銀行、銀行という名前がついているところということでございます。それで、リスク管理債権という観念ではかった不良債権でございます。

 リスク管理債権というのはどういうものかといいますと、貸出先の業況、業務の状況が悪くなって金利などが三カ月以上延滞になってしまっているという債権。あるいは、そういう状況を見て、当初の貸し出しの条件、金利の払う条件とかというものを、では、少し金利まけておきましょうとか、あるいは金利をとりあえずゼロにしましょうというようなのがあるかとも思うんですけれども、そういうふうに、金利を変える、あるいは元本の支払い期間を延長するというような貸し出し条件を緩和する。そういうものを一つの指標にしまして、そういうものがあった債権よりもさらに悪い債権ということで、リスク管理債権という不良債権の指標をつくっていまして、それによりますと、三十二兆円、その中にそういうものがある、こういうことでございます。これは、最近の状況はどうだというと、三十一兆円とか三十二兆円とかいうところで大体横ばいの状況になっているということでございます。

 他方、それでは、これに対して何も手当てをしてこなかったかというと、これは逆でして、一九九二年ごろから一生懸命不良債権の処理に当たってきたということで、そのトータルが、先ほど先生御指摘の六十八兆円、こういうことでございます。

 六十八兆も手当てをしてまだ三十二兆も残っているのか、こういうことになるんですけれども、一つは、六十八兆というのを計算するときに、引き当てというものをやっているというのもあるわけです。引き当てで手当てをしたということになりますと、それは残高には残っているわけです。そういうものもあります。それから、償却といって、帳簿から消してしまう。これはもう返ってこないんだということで消してしまう、これは償却、こう言うわけですけれども、そういうものを合わせて六十八兆円ということになっているわけです。

 引き当てしているだけで残っているものがあるにしても、それにしても、六十八兆もやって三十二兆もどうして残っているんだろうかということでございます。

 これは、一つには、今でいうと、不良債権の認識というのは全部ディスクローズされているわけですけれども、昔は、植田先生が事務局で御活躍したころでしょうか、とにかくこの不良債権を表に出すと信用不安が起こるというようなことで、そろそろ出してきているというのが日本の実情でございました。このところはそれが一挙に進んでいるわけですけれども、それにしても、少しずつ手直しをして不良債権の概念を広めているということで、前の基準だったら不良債権として認識されないものも入っているというのもあるわけでございます。

 しかし、それはそんなに大宗ではなくて、主にはやはり、今の日本経済の状況を反映して、前は健全債権だったものが、こんな不況が続いたらもうやっていけないわというようなことで、銀行に、さっき言ったように、当初の契約どおり利払いなどができなくなっちゃっているというようなものが取っかわり立ちかわり入ってきている、こういうのが不良債権が減っていない背景だというふうに御説明できようかと思います。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

植田委員 懇切な御説明ありがとうございました。

 そこで、現状では、既に世間の、市場の関心というものが、いわゆる破綻懸念先等々といった公表された不良債権をとっくに飛び越しているんじゃないか、要注意先債権に注がれているんじゃないか。そこからまた新たな不良債権がどんどん生まれてくるわけですから、そこに問題があるだろうというふうに私も認識しておるんですけれども。

 実際、今の邦銀が抱えている要注意先債権が大体七十兆円ということですね。もちろん、それを全部不良債権やというふうに定義するのは粗っぽい議論だと私も思いますけれども、ただ、この要注意先債権の七十兆の中で、いわゆる構造不況三業種と言われる建設、不動産、流通、また財務基盤の脆弱なサービス業等々が含まれている。そういう融資が含まれているということは、非常にこれから怖いなという印象を受けるわけです。

 実際、そごうにしてもインターリースにしても、ちょっと前までは要注意先やったわけですから、当然そういう心配が出てくるのは素人目に見てもごく自然だろうと思うわけです。しかも、景気が今のところ一向に回復する兆しがないわけですから、要注意先がそごうやインターリースみたいにならへんよということは断言できないだろうと思います。

 そういう意味で、こういう不良債権予備軍の存在を十分考慮した今後の処理策というものを講じるべきなんだろうなと思うわけですけれども、その点についての御所見についてはいかがでございますでしょうか。

柳澤国務大臣 要注意先の中にも最終処理すべき債権があるのではないか、予備軍があるのではないかということでございますけれども、基本的に、先ほど言ったような不良債権の定義の中に入ってくるものは要注意先の中に潜在しているということは言えようかと思います。

 しかし、概して、私、あえて先生に対するお答えの中にこれを差し挟ませていただくわけですけれども、不良債権の分析のやり方に、私どものようにミクロ的な、不良債権についてのいろいろな行政を展開している立場と、もう一つは、マクロ的にばさっと、日本の不良債権というものはどうなんだ、幾らなんだというような、マクロ的な分析で不良債権というものを、いわば一色に、あえて言うと十把一からげにして測定をするというか、推計をするという手法が実はございます。

 その方々は、この不良債権の注意深い分類などというものは余り関心がなくて、それで、我々の方が発表している注意深い分類、債権の実際の状態を反映した分類と、自分たちが十把一からげに一色に不良債権というものを推計したものと比較して、そうしますと、私どもが不良債権と認識している先ほどのリスク管理債権よりもはみ出るわけですね。そうすると、えてしてこのような分析をする人たちは、自分が分析した不良債権はこの中にはおさまらないから、それでは要注意先の方も入れて考えると非常にそれがうまく突合するというような状況が率直に言ってあるように見受けます。そういう方々は特に力説して、要注意債権も同じように不良債権だというようなことをおっしゃるケースが間々見られるわけでございます。

 ですから、今先生が質問の中でおっしゃられたように、予備軍があるんじゃないですか、全部はそうじゃないでしょうけれどもというような考え方、これはミクロ的な分析といっていいと思うんです。それに対して、マクロ的な分析を不良債権についてする人たちは、もう一色でやりますから、そういう先生のようなおっしゃり方はしないんですが、いずれにしても、結論としては、このリスク管理債権も不良債権なんだ、もし不良債権に分類していないとしたら、大体それは不誠実な不良債権の認識の仕方なんだというようなことで攻めてくるというのが最近見られる現象なのでございます。

 私どもは、不良債権の問題を解決するためには、今先生がおっしゃられたように、要注意先債権についても注意深い監視が必要だというふうには思っておりまして、さらにその上、今回の不良債権の最終処理に当たっては、むしろこの要注意債権についてはいろいろな工夫をして、銀行側が働きかけてこれが正常債権になるように、そういうふうな努力を同時にするようにということを働きかけているということでございます。そういうことによって、破綻先以下の不良債権について最終処理を進めると同時に、要注意先債権等については正常先にむしろ改善されるような、そういうことを進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

植田委員 まず、不良債権の最終処理にかかわって今二問ほど初歩的なところ、基本的なところを担当大臣の方のお話をお伺いしまして、幾つか本題にかかわる部分をまずはお伺いしていきたいわけですが、これは財務大臣の方にまずお伺いしたいのですが、四月の二十八日の日米財務相会談の席上でのお話です。

 新聞記事で引っ張り出してきた毎日と産経をちょっと読ませていただいたのですけれども、ここでは、塩川財務大臣が不良債権処理についての意見を求めた際に、FRBグリーンスパン議長から、一九八〇年代の整理信託公社というのですね、RTCにおける事例を御披露なされた、そして新聞記事によれば、こうした処理のありようをお手本にせよとばかりの提案が飛び出していたというふうなことが書かれているわけです。また、オニール財務長官も、日本がRTCと同様の手法を使えばどのような結果となるかはわからないが、アメリカでは成功した、そして行動を起こすことが必要かつ期待されている等々の報道があるわけでございます。

 具体的にこの辺のお話、御提案というのは、どういう中身だったのでしょうか。そこは、まず財務大臣にお伺いいたします。

塩川国務大臣 グリーンスパン議長は、二つのことを言ったと思っております。

 一つは、不良債権を処理するときに、事前にRTCを設立して、そこで不良債権の処理から出てくるところの不動産、これの売却あっせんのシステムをつくった、こう言っておりました。これが非常に有効に働いて、不良資産の処理がスムーズにいった、これが一つであります。

 それからもう一つは、基準をつくって、経営責任を厳重に追及したということを言っておりました。そのことは、公平な処置であったので、一般国民の方からは、その処置に伴って整理もやむを得ないんだという空気が非常に強くなって賛同を得て、それがために処理を一挙に進めることができた、この二つのことを言っておりました。

植田委員 四月の末の話ですから一カ月以上たっているのに、非常に詳細に覚えておられるということで、今の御答弁には感銘を受けましたということを申し上げておきます。

 そこで、私なりにも幾つか過去の新聞記事等々をちょっと取り寄せながら調べてみたのですけれども、このRTCは、もちろんもう釈迦に説法だろうと思うのですけれども、いわゆるSアンドL、貯蓄貸付組合の破綻を処理するためにこしらえたものだったわけですよね。そして、いろいろな紆余曲折はあったようですけれども、九六年末の存続期限より一年早く成果を上げて、使命を終えたと聞いているわけです。

 そして、その資産処理の結果、これは不良債権の回収に限ってへんわけですけれども、総資産の八七%を回収した。そして、実際九〇年段階では、財政支出は、向こう三十年間で五千億ドルという見通しだったのですけれども、実際は国民の税金からの支出は間接負担を含めて約一千三百億ドル弱、大体当初の予想より四分の一にとどまったということを聞いているわけです。

 もちろんアメリカの金融システムを私も詳細には承知しておりませんけれども、そうした環境と日本のそれとが必ずしも合致するわけではないと思うわけですけれども、実際ここでオニール財務長官も、今御紹介したような発言をG7後の記者会見でおっしゃっているようですが、そういうことも踏まえながら、アメリカのRTCが成功裏に役割を終えた最大の要因がどこにあったのだろうかということが一点。

 それともう一点お伺いしたいのは、特に日本における最終処理を行う上で、アメリカでの経験から、どんなことが教訓として導出されるのか、どんなところが参考になるのかということでございますが、この二点について御所見をお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 RTCの成功については、私どもも大いにこれを学ばなければいけない、こういうふうに存じております。

 ただ、アメリカのRTCが取り組んだ金融危機というものと日本の私どもが取り組まなければならなかった金融危機とは、やはりかなり質というか、量が違い過ぎて質の問題に転化しているのではないか、こういうように大きな違いをそこに感じるわけでございます。

 それはどういうことかといいますと、大体危機に瀕した金融機関が、数は多いのですけれども、貯蓄金融機関という信用組合ぐらいの感じで受けとめていい、そういう金融機関であったということでございます。ここにちょっとデータがありますけれども、七百四十七のSアンドL、貯蓄金融機関を丸ごと買ってしまって大体六兆円だった、こういうことでございまして、規模というかそういうものが全然日本とは違う。日本の場合には、一行といえども六兆円で買えるというようなところになると、これはもうかなり小さいところでございまして、私どもが、大手金融機関が国際金融の場で信頼を動揺させたというあの当時の事態とはそういう違いがあるということでございます。

 だから我々がいつまでもいつまでもこうした状況に置かれていいとは全く思っていないわけでありまして、私どももこうした例で学ぶべきものは学んでいかなければならない、先生の御指摘のとおりでございます。

 それは何かといいますと、やはり私ども、引き当てでもって間接的に処理していくということよりも、もっと直接に不良債権なり不良金融機関というものを手にかけて、そして処理していくというようなことであろうというふうに思います。そういうようなことから、これまではどちらかというと、金融機関が受け身で、若干は金融機関が積極的に出て貸出先との関連で不良債権の処理をするということであったわけですが、つまり、裁判で倒産してしまった、司法的に倒産してしまったのでやむを得ずこっちの債権は償却してしまう、こういうような形であったのが主なんですけれども、これからはむしろ金融機関の側から貸出先に働きかけていって、この不良債権を何とかしましょうよというようなことで最終処理を図っていく、こういうことで本当にバランスシートから不良債権を消していく、こういうことが伴わないといけない、こういうことを今考えている次第でございます。

植田委員 もちろん、国情の違い等々もあろうかと思いますが、これは別に私も、アメリカの言うとおりにしたらよろしいん違いますかということではなくて、客観的にそういう状況になってくるんじゃないかということで、アメリカでは、今私も承知しておりますが、SアンドLというのが日本で言うたら信用組合みたいなもののようですけれども、実際置かれている問題の所在というか対象がやや日本と違うということは理解しておるのですけれども、グリーンスパン議長が指摘したのは、アメリカでは思い切って公的資金を導入したんだよということですね。

 だから、その点にかかわって、もちろん常々から大臣の御所見はお伺いしておるわけですが、実際、問題債権と言われるものが大体百五十兆ぐらいあるわけです。そうなると、二、三年で最終処理といいましても、それはなかなか展望が見えづらいなと。そして、新たな不良債権も発生すれば景気回復がますますおくれていくわけです。その中で、こうした不稼働資産に対して未引き当ての部分が四十兆ぐらいあると言われている中で、銀行の自己資本が全国ベースで三十六兆、正味になると二十兆ということになると、二十兆の原資で単純に算数の話で四十兆積むのは要するに不可能じゃないかと素朴に私は思うわけなんです。そうなれば、数十兆円規模の公的資金の導入というのが不可避になってくるんじゃないかというふうに私は思うわけです。

 ですから、必要があったらやるというよりは、また、やらないというよりは、そろそろその辺にかかわって国民に対する説明責任をしっかりとやって、そして決断することも必要になってくる場面が来るんじゃないだろうか。少なくとも、柳澤大臣も金融システム全体の危機を防ぐという観点からであれば公的注入について否定されたような発言は私は伺っておりませんので、そのあたりも含めて御所見をお伺いできますでしょうか。

柳澤国務大臣 百五十兆という問題債権といいますのは、党の名前を申し上げるのはどうかと思うんですけれども、民主党さんが私どもの資料に基づいて発表されたと考えられる数字かと思います。

 これは、いろいろな意味で私どもそれを、民主党さんも問題債権という、不良債権という言葉でなく呼んでいらっしゃるものですから、これを問題にすべきかどうかというのも、変化球を投げられちゃったバッターのような立場でございますけれども、要注意先まで入れていらっしゃるということに対しては、アメリカの同じ例えばSECの開示基準などでも外されているところを入れられているというようなことで、私ども、必ずしも賛同できないというようなことをまず指摘しておかなければならないと思います。

 それから、概して言うと、実は私ども、今不良債権の最終処理をやるにしても、そこには適切というか十分な引き当てをいたしたり、あるいは担保、保証というようなものをとっておりますので、最終処理から生まれてくる追加の損失というのはそんなに大きな負担にはならないだろう、ある種の限定的なものにとどまるだろう、こういうふうに考えておりますので、そこから直ちに自己資本比率が低下をして、自己資本比率の追加が必要になるというふうには実は考えておりません。

 これはさっきわざと伏線的に申し上げておいたんですが、マクロから分析をする方々、これは一色に不良債権ということを言われるわけですが、そういう方々がえてして非常にそういう論を張られる傾向にあるということでございまして、我々はそれをにわかにというか、すぐに否定をしてどうこうではありません。彼らのマクロ分析のフレームワークなどについては私も大いに参考にさせていただくところがあるというふうに考えながら、注意深くその方々の分析結果も見ておるわけでございますけれども、概して言うと、その人たちが言うところは、ちょっと私どもがミクロ的に考えていることとは、そこにそごがあるということを申し上げておきたい、このように思います。

植田委員 ミクロ的、マクロ的という言葉がしきりに出てきますが、大臣のお話を圧縮しますと、その意味でミクロ的な観点からすれば、公的資金の投入をやるべきかやるべきでないか以前に、そもそもそういうことは不可避な情勢ではないよ、必要ないよということですよね。

 ただし、そのことはいずれまたお話をお伺いいたしますとして、ちょっと時間がありませんので、次に、関連して特に雇用とのかかわりについてお伺いしていきたいわけでございます。

 実際、相当な痛みが伴うということは既に常々指摘されているとおりで、もうさまざまな出ている研究機関のデータについてここで改めて取り上げませんけれども、これもまず素朴に、実際、不良債権の最終処理の結果、さまざまなそうした私たちの暮らしにかかわって、失業、倒産が続出するということによって我々の国民生活に重大な影響を及ぼすことは当然のことでございますが、よくセーフティーネットもやらなきゃだめだなという話を聞くんです。

 ここは正確に、我々としたら、言ってみれば入り口の問題意識としてはっきりさせておきたいんです。そもそも、不良債権の処理がある、その結果失業者が出ます、だからセーフティーネットの整備をしなければなりませんという話の流れじゃなくて、既にもう失業率は四・八%、三百万を超える失業者がいるわけです。そういう意味でもう既に痛みはあるわけですから、そもそも事前にショックを吸収しておくセーフティーネットの備えがないことには、不良債権の処理だけを先行してやってしまう、そしてその結果出てきた問題については何とか手当てしますよというその発想自体が、国民生活の再建、安定ということからすればちょっと順序が逆になっているんじゃないかということを常々私は疑問を持っているわけです。

 その点について、まず御見解をお伺いしたいと思います。これは財務大臣にお伺いした方がいいのかな、どうでしょうか。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 これは、先生がおっしゃっているようになっているわけでございます。今我々の方、雇用保険がない、あるいは中小企業に対する特別な信用保証枠がないという状況ではなくて、もうそれは備わっているわけですが、その状況の展開いかんによって、それをさらに手厚いものにするかどうかということだろうというふうに考えております。

植田委員 そこは議論のあるところですけれども、はしょります。

 次に進みますけれども、実際、最終処理が進めばその過程で当然淘汰の圧力がかかっていくわけです。特に中小企業への淘汰の圧力が強く働くだろうなというのは容易に想像できるわけです。実際、緊急経済対策を受けて大手銀行で企業選別に着手しているというような話も仄聞しているわけです。

 大手企業はともかく、中小企業にはそもそもそうした金融機関からのケアというのは大手企業に比べて望めないわけですけれども、実際、破綻懸念先以下は中小企業が大体件数で七割を占めている。一件一件精査して再建計画を立てておったらコスト的に合わへんから、中小企業は法的処理、しかも破産型が、清算型が多くなるよという銀行関係者の話もあるわけです。そうなると、処理が進めば中小企業がまずポシャる、ポシャれば地域経済がポシャる、そういうことになっていくわけですから、そこにおける備えがいまだ十分ではないんじゃないかということは言えるんじゃないかと思います。

 現状が私たちいいとは思っていませんが、少なくともそこの部分については、やはり処理策とセーフティーネットの整備を一体的にやらないことにはもたへんのと違うかということを申し上げたいんです。それについての御所見はいかがでしょうか。

柳澤国務大臣 本来、経済産業大臣がいらっしゃれば経済産業大臣の所管かと思うんですが、ちょっとそういう状況でないものですから私がかわってお答えするんですが、先ほど私が言った中小企業の皆さんに対する金融の措置というようなものも、本来、存続可能な中小企業の皆さんが無用に、いたずらに倒れてしまうということを防ごうというものでございます。

 やや冷徹な言い方をするのは好まないですが、そういうことをせざるを得なくて申し上げるんですが、本来持続不可能な企業については、セーフティーネットで救っちゃっていたらこれは構造改革も進まないわけでございまして、ここはやはりこういうことをやっても中小企業が倒産することはゼロにしますよというようなことではないわけでございます。

 いたずらに、つまり無用な混乱というか、本来倒れなくてもいい人たちが巻き添えを食って倒れてしまうというのは、これは万難を排して、私どもはちゃんとしたセーフティーネットでもって存続を確保しなきゃいけないということでございまして、そういうものだということで御理解を賜りたい、こういうことでございます。

植田委員 そこは、よくわかりましたとはすぐには言えないわけですけれども、ただ、ここは議論の分かれるところですが、少なくともこの点だけは確認できるのかな。

 要するに、もうどう転んでもだめなところにげたを履かせてあれさせろということを私は肯定しているわけではありません。ただし、不良債権処理策とそれに伴う痛みを防ぐための、それを最小限に抑えるためのセーフティーネットの整備は、少なくとも車の両輪として進めなあかんでしょうということについては御同意いただけると思うんですが、その点はいかがですか。

柳澤国務大臣 それはもう当然でございます。車の両輪として、不良債権の最終処理、これはもう避けることのできない道行きだ、こう私どもは思っておりますが、そのときに、先ほど申したように、無用な混乱というか無用な蹉跌、つまずきというようなことを起こしてはいけない、こういうことでセーフティーネットを張っておかなきゃいけない。その意味で、セーフティーネットと不良債権の最終処理とは車の両輪の関係でなければならない、このように思っております。

植田委員 あと、きょう厚生労働省さんに、大臣ではございません、政府参考人にお願いしておるはずですので、幾つか雇用にかかわってお伺いしたいわけです。

 当然ながら、国民生活の安定、生活再建の視点がなかったら、GDPの六割を占める個人消費の活性化というのは望めないわけです。緊急経済対策の中でそうした施策が見当たらないということはさきの議論の中でも明らかになっておったところですけれども、少なくとも、我々庶民からしてみれば、失業への危惧、雇用の不安を抱えながら消費生活が送れるわけがないわけです。

 雇用調整の新たな傾向ということで、幾つかちょっと雑誌とかを読んでみますと、九七年から九八年にかけては雇用調整圧力が高まったが、そのときはどちらかというと現場のブルーカラーの人が対象となっていた、しかし、今回の構造調整では今までおくれていたホワイトカラーに対する雇用調整が避けられないと思われる、そういう意見もあるようです。

 そういう意味で、この問題について、そういう認識で一応いいのかどうかということについてまずお伺いできますでしょうか。

澤田政府参考人 現在の雇用情勢について申し上げますと、御指摘のように、ブルーカラー、ホワイトカラーというふうに大別しますと、いわばホワイトカラーの方に雇用調整圧力が高いというのは、そのとおりだと認識しております。

植田委員 そこで、二〇〇〇年二月の調査によりますと、二〇〇〇年の二月ですから、その過去の一年間に離職した人の数のうちの約三〇%が管理職、専門職、技術職、事務職だったそうです。この比率が今後高まるんじゃないかというふうに思われるわけですが、実際、構造不況三業種と言われる建設、不動産、卸、小売業の管理職、事務職、そういう方々が大体五百十三万人いらっしゃるようでございます。そうなれば、実際、不良債権の処理が進めば、こうした方々中心に大量失業が予想されないだろうか。

 そういう意味で、ホワイトカラーの方々、もちろんホワイトカラーとブルーカラーというのをきちっと仕分けして言っているわけじゃありませんが、正確に言えばそうした事務職、管理職層というふうに言っておけばいいかなと思うんですが、その辺への雇用対策というものをそろそろやっておかないことには大変なことになりはしないかと私は心配するわけですけれども、その点については御所見はいかがでしょうか。

澤田政府参考人 不良債権の最終処理に伴って、雇用、とりわけホワイトカラーにどれくらい影響が出るかは、不良債権最終処理の規模、スピード等々が明らかでない段階においては明確なことはわからないというのが実情であります。

 現在、失業率が四・八%という状況におきますセーフティーネットとしては、この四月から、改正雇用保険法により、非自発的な離職者の方々には失業給付の給付日数を手厚くしたということもしておりますし、中高年ホワイトカラー向けの職業訓練を弾力的に実施するということもやっております。そして、一度に大量の離職者が出る場合には、公共職業安定所が総力を挙げて再就職支援をするとか、いろいろな当面の対策は講じております。

 それ以上の問題につきましては、先ほど柳澤大臣の御答弁にございましたように、状況の推移ということで、車の両輪というスタンスで、私どもも必要な対策は、先般、産業構造改革・雇用対策本部も発足いたしましたので、そういう中でも議論していきたい、こう思っております。

植田委員 これは、きょう別に呼んでいないわけですから、ここで文句言うてもしゃあないんですけれども、例えば、新市場・雇用創出に向けた重点プラン、平沼プランと呼ばれるものも明らかになっていますし、経済財政諮問会議の緊急報告も公表されている。

 ただ、全般的に見まして、内閣府でおつくりになった緊急経済対策における雇用関連事項の進捗状況というものを見てみますと、今後の予定はとりあえず外しておきますが、現時点での状況。例えば、国民、患者の立場に立った保健医療サービスの質の向上のための方策を検討中とか、予定とか、調査中とか、検討中とか、調査検討を四月から開始、四月に検討開始、準備中、検討中、こういう言葉ばかりが並んでおりまして、やはりこれも、どうも即応性ということでこれだけ見ると心もとないなと思うのはだれしも自然やと思います。検討中です、準備中です、これから調査をしますということでは。

 そういう意味で、民間のシンクタンクでも何度か紹介もされていますけれども、実際、二、三年以内に百三十万の失業者が生まれるというようなことも考えますと、やはりある程度即効性のある施策というものをあらかじめ準備しておく必要があるんじゃないかということです。

 これは私も予算委員会で申し上げたのですけれども、例えば雇用保険制度の拡充の中で、保険料で負担できぬ部分は全額国庫負担でやったらいいじゃないか。もちろんこの四月から制度は変わっています。変わっていますけれども、仮に百十万人ぐらいの新規の失業者ができるのであれば一兆円ぐらいかかるだろう。もちろん一兆円で済むか、それ以上かかるかわからない、大ざっぱな金額です。でも実際、これまでの公共投資の金額等々から比べたとき、一兆円というのはそんなに目をひんむくような額じゃないでしょうということも申し上げてきました。

 また、これは恐らく税制上非常に問題があるかもしれませんけれども、私どもも経済政策をまとめさせていただいているわけです。そこで、例えば、特に失業された方を優先的に雇用していく企業に対しては何らかの優遇税制というものも考えたらどうだと。これはいろいろレクのときもやりとりしておって、制度的にはなかなか難しいですよということは聞いておりますけれども、我々としても、ただこの間の緊急経済対策に因縁をつけるだけじゃなくて、そうしたことについて具体的な、我々なりの、働く者の側からの提案もさせていただいているわけです。

 もちろん、そうしたものは技術的に難しいという点はあるかもしれませんが、そうした問題についても、当然ひとつ念頭に置いて検討していただきたいなという思いを持っているわけですけれども、その点については、それぞれどうでしょうか。それを聞いて、時間が来ましたので終わりたいと思います。

尾原政府参考人 今、雇用確保の観点から、税制面でも支援税制を検討してみてはどうかということでございました。

 雇用の問題でございますが、将来の事業計画をどう見通すか、今の経営体質はどうかということから恐らく雇用は決定されているのではないか。雇用の確保は非常に大切な問題だというふうに認識しておりますけれども、やはり税制である以上、効き目があるかどうかということも考えなければならないわけでございますし、また、その手段として適当かというようなことも考えてみますと、なかなか問題が多いなというふうに考えております。

澤田政府参考人 雇用保険についてのお尋ねでしたので、お答えいたします。

 現在の雇用保険におきましては、御承知のように、労使からの保険料、それから国庫負担としての一般会計からの受け入れ、そして足りない場合には積立金の取り崩し等々のいろいろな仕組みがございまして、必要な給付を行うための財源を賄うという仕組みができておりますので、そうしたものを私どもは適正に発動して対応していきたい、こう思っております。

植田委員 終わります。

山口委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより各案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。

鈴木(淑)委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由党、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、租税特別措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 租税特別措置法の一部を改正する法律案に反対する理由は、まず、将来の証券税制のあり方についてのビジョンが全く示されていないまま、このような租税特別措置を時限的に組み込むことは、税制全体に大きなゆがみを生み出すという点であります。その上、このような措置を講じても、経済活性化のマクロ的な効果はなく、また、この法律案のもくろみである個人投資家を株式市場に誘い込むという効果も極めて疑わしく、緊急経済対策の名に全く値しない点であります。

 今回の法案は、譲渡益に対して百万円の特別控除を設けることとしておりますが、他の所得控除との兼ね合いを考えれば、額が大き過ぎるのではないかと思わざるを得ません。所得に関しての控除は基礎控除が三十八万円であるにもかかわらず、なぜ不労所得である株式譲渡益に対する控除が百万円なのか、理解することができません。また、パートタイマーの非課税所得限度額が百三万円であることを考えても、余りにも株取引のみを優遇しているのではないかと思わざるを得ないのであります。

 結局のところ、政府・与党は、株式譲渡益課税や配当課税について、源泉とするのか申告とするのか、また、総合課税とするのか分離課税とするのか、他の税制との整合性、特に利子所得課税の税率とのバランス等、これらを視野に入れて見直さなければならないにもかかわらず、特別控除枠でもつくれば株価が上がるのではないかという、あくまでも思いつきにしかすぎない施策であります。

 また、この特別控除を時限措置としていること自体、その場しのぎ、場当たり、先送り的な手法でありまして、構造改革とも全く関係がありません。それどころか、安易に控除を設けてしまうことは、今後の抜本的な税制、税率の見直しに大きな支障を来すことになりかねないことを指摘いたします。

 以上、本法案に反対の理由を申し述べ、討論を終えます。(拍手)

山口委員長 吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の短期社債等の振替に関する法律案、株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案及び衆法の金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の、以上四案に反対する討論を行います。

 短期社債等の振替法案に反対する理由の第一は、本法案が、ペーパーレス化したコマーシャルペーパーの振替機関の組織形態を営利を追求する株式会社としていることです。証券決済システムは、証券取引を円滑に進める上で重要な役割を担っており、その運営には一定の公共性が求められます。CPの振替機関を営利を追求する株式会社とすることは、運営の公共性を後退させかねません。

 第二の理由は、本法案によって、CPにかかる印紙税が課税できなくなることです。CPは大企業だけが発行できるものであり、本改正によって大企業に対する減税がもたらされます。代替的な税収策を講ずることなく、このような減税措置は認められません。

 次に、株券等保管振替法の一部改正案についてです。

 反対する理由の第一は、前法案同様、証券の決済システムを担う保管振替機関について、営利を追求する株式会社としていることです。保管振替機関の組織形態については、設立当時の国会でも議論があり、営利を追求しないことや、公共性、信頼性、公正さ、中立性を確保するために、あえて株式会社方式を採用しなかった経緯があります。今回の株式会社化は、その経緯や当時の政府の説明とも矛盾します。

 第二の理由は、保管振替機関を株式会社化すれば、大株主となる大手証券会社などに都合のいい形で料金体系の見直しなどが進められ、利益が相反する中小証券会社が不公平な扱いを受けるおそれがあることです。

 第三に、政府が今回の株式会社化を手始めに創設しようとしている統一的証券決済制度は、現行の国債決済制度のように、中小証券会社を排除するものとなる可能性があります。中小証券会社切り捨てにつながる本法案には賛成できません。

 次に、租税特別措置法の一部改正案です。

 反対する理由の第一は、本制度が現行の他の所得控除等とのバランスから見て破格の優遇措置であり、税の公平性をゆがめることです。しかも、昨年夏の政府税調中期答申にすら盛り込まれていなかったものを場当たり的に持ち込む本改正案は、国民の税に対する信頼を大きく損なうものです。

 第二に、税制上の優遇措置によって、個人投資家の株式市場への参加を促進することは、税制を用いた株価維持、すなわち形を変えたPKOであり、許されません。

 最後に、金融再生法の一部改正案についてです。

 本法案は、整理回収機構が健全金融機関から不良債権を買い取る期限を延長し、政府の緊急経済対策の最大の柱である不良債権の早期最終処理の受け皿として利用するものです。現行制度は、不良債権の中でも特に処理の困難な部分を整理回収機構に押しつけ、最終的な損失が出た場合には公的資金を使って穴埋めする仕組みであり、その延長は認めることができません。

 以上で、日本共産党を代表しての討論といたします。(拍手)

山口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより採決に入ります。

 まず、短期社債等の振替に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、佐藤剛男君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。中塚一宏君。

中塚委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    「短期社債等の振替に関する法律案」及び「株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 振替を行う口座簿の構造については、今後、制度が広く利用されることが見込まれることから、決済システムに掛かる負荷の軽減を図るため、複層構造の導入についての検討を早急に行うこと。

 一 主務大臣による振替機関及び保管振替機関の指定については、競争原理を最大限発揮させる観点から、複数指定が可能となっている趣旨を尊重して、法律の運用に当たること。

 一 主務大臣の指定を受けた振替機関及び保管振替機関に対する行政当局からの退職職員の再就職の要請を厳に慎むなど、公務員制度改革の趣旨を十分に踏まえること。

以上であります。

 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣柳澤伯夫君。

柳澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして、配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

山口委員長 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、佐藤剛男君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。植田至紀君。

植田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)

  政府は、今般の整理回収機構による健全銀行の不良債権の買取り業務の延長は、不良債権の最終処理策の一環であることを強く認識するとともに、今後の整理回収機構の役割及び業務の在り方について、検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣柳澤伯夫君。

柳澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして、配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

山口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、明六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会




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