衆議院

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第5号 平成13年10月31日(水曜日)

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平成十三年十月三十一日(水曜日)

    午前十時八分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君

   理事 佐藤 剛男君 理事 根本  匠君

   理事 海江田万里君 理事 中川 正春君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      大野 松茂君    河村 建夫君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      七条  明君    砂田 圭佑君

      竹下  亘君    竹本 直一君

      中野  清君    中村正三郎君

      林田  彪君    牧野 隆守君

      増原 義剛君    山本 明彦君

      山本 幸三君    渡辺 喜美君

      五十嵐文彦君    生方 幸夫君

      江崎洋一郎君    大石 尚子君

      河村たかし君    小泉 俊明君

      佐藤 観樹君    末松 義規君

      武正 公一君    永田 寿康君

      長妻  昭君    谷口 隆義君

      若松 謙維君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    植田 至紀君

    …………………………………

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務大臣政務官      中野  清君

   財務大臣政務官      林田  彪君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  原口 恒和君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    大武健一郎君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   竹内  洋君

   政府参考人

   (国税庁次長)      福田  進君

   参考人

   (日本銀行総裁)     速水  優君

   財務金融委員会専門員   白須 光美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  七条  明君     河村 建夫君

  五十嵐文彦君     大石 尚子君

  小泉 俊明君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     七条  明君

  大石 尚子君     五十嵐文彦君

  武正 公一君     小泉 俊明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案(内閣提出第二号)




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として財務省主計局次長牧野治郎君、財務省主税局長大武健一郎君、財務省理財局次長竹内洋君、国税庁次長福田進君、金融庁総務企画局長原口恒和君及び金融庁監督局長高木祥吉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。

竹本委員 自由民主党の竹本直一でございます。

 本日は、銀行等の株式保有に関連いたしまして、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 まず、基本的認識の点でございますけれども、我が国では、戦後急速な経済成長を遂げる中で、海外資本の流入に対抗いたしまして安定株主の確保の必要性とか、あるいはバブル期の資金調達手段といたしまして、エクイティーファイナンス、すなわち新株発行といったものでございますけれども、こういった手段を大いに活用してきたという歴史的背景がございます。そういった中で、いわゆる株式の持ち合いが進展したと私は認識しております。

 とりわけ、メーンバンクと呼ばれる銀行と事業会社との間では、株式の保有を要請したり、保有先の紹介を受けたりといったことが盛んに行われる中でこの株式持ち合いが急速に進みまして、これが日本企業に対して長期的視点に立った経営を可能にしたとの評価もされるようであります。いわゆる日本的経営、日本株式会社とでもいうのでしょうか、ある分野では評価されたものでもあったかと思います。

 その歴史的役割はそれなりにあったと私は認識をしておるのですけれども、こういう認識でよろしいでしょうか。この金融問題のオーソリティーでございます柳澤金融担当大臣に一言冒頭でお伺いいたしたいと思います。

柳澤国務大臣 おはようございます。

 ただいま竹本委員の方から、金融機関と事業会社との間の株式の持ち合いという現象にはそれなりの背景があったし、それはまた日本経済の成長、発展に寄与したという面があったのではないか、こういうお尋ねでございましたけれども、私も委員とほぼ同じような認識を持っております。

 何といっても、銀行と企業が信頼関係にあるということで、特にメーンバンクシステムというのは、一時的に貸出企業が業況が経済社会の変動の中で悪化したとしても、見込みを立てて、そしてあえてそれに融資をつけていくというようなことがどれほど成長の企業をつくり出していったかということ、これはもう有名な例もありますが、任天堂さんとかというようなところで、よく物の本にも書かれているところでございます。

 それから同時に、そういう長期安定的な取引というものは、全般に、そういう安定的な金融の中で事業会社間の信用、企業間信用というものも非常に強化をしていった面も少なからず見られる。最近では、それが逆に企業間信用が崩壊するんではないか、それが不良債権問題の大きな問題点の一つというような議論がなされますが、その裏腹の問題として、金融機関がそういうふうに安定的にメーンバンクとして資金を面倒見てくれるということの中で、事業者間の企業間信用も非常にうまくいっていた。

 そういうことの中で、例えば長期的な取引というようなことで、ある仕入れ商品が、A社、B社と比べたとき、B社の方が少々安くてもA社をとる。それはなぜかというと、A社と当該の商品を必要とする会社との間の本当の信頼関係。だから、商品の設計の段階から、デザイン・インといって取引の相手のいろいろな知恵を自分の方に取り込んでしまうというようなことすら行われた。これも日本経済の非常な強みでございました。

 それから、何よりも株主が安定しているということで、経営者は、当期あるいは次期の配当というようなものを余り気にしないで非常に長期的な視野でもって経営ができたというようなことも言われたことは御案内のとおりでありまして、これらが総じて日本経済の右肩上がりの中でさらに強みを発揮したということは、これは本当に否めない事実であるというふうに思います。

 ところが、最近になってこれがすべてもう百八十度変わったような評価を受けるということでございまして、例えば、長期的なメーンバンクのシステムというのは何かといったら、それでもって不良債権がかえってふえちゃったじゃないか、景況が悪いのにどんどん貸し込んじゃって不良債権がふえちゃったということになるし、安定的な取引なんというのは全然だめだと。それよりも、インターネットでもって全部、オープンアーキテクチャーと言うそうですけれども、一番すぐれた一番安い部品をどんどん世界のマーケットから調達するのがいいんだ、そういうふうに言われる。

 それからまた、今言ったステーク・ホルダー・オリエンテッドな経営じゃなくて、もっとシェア・ホルダー・オリエンテッドな経営をやることによって企業のガバナンス、株主の立場からの企業経営をちゃんと監視するというような力が働かないから、日本はだらだらした経営になって緊張感がないんだと。もうすべて価値観が正反対になっているということでありまして、こういう中で、一体日本経済にどう取り組むかということですが、私は、当面はやはり、国際経済社会の流れに沿って、日本も一度振り子を反対側に振るしかないんではないかと考えているわけであります。

竹本委員 ありがとうございました。

 そういう歴史的な意味合いの中で、今度新しい法律案が出されておるわけでございますけれども、特に株式の持ち合い、今度は解消ということが問題になってきておりまして、新しく法律をつくって、一定の株以上は持たないようにしよう、こういうことになるわけでございますけれども、ただ、株式の益出しというものが不良債権処理の原資の一つとして活用される、こういったことから、株価の下落の銀行経営に対する悪影響といったことが非常に心配になるわけでございます。

 特に、本年度から時価会計が導入されまして、株価の下落が直接銀行の自己資本を低下させる、こういったことになりましたために、公的資本注入行の配当原資の問題が典型的だと思いますけれども、銀行経営の健全性ひいては金融システムの安定性というものが、株式市場の動向に大きく左右されてしまうという状況になるわけでございます。

 特に、お互い持ち合いでございますから、銀行が株を売るのはいいんですけれども、売られてしまうと、もはやその銀行の株を持っている企業の方が、持っている義理はありませんから、それもまた売るだろう。そうすると、売り手が多くなることによって株価が下がるんではないか、こんなことを我々は危惧するわけでございますけれども、そういった問題についてどのように認識しておられるか、ちょっと教えていただきたいと思います。

 どなたでも結構です。

村田副大臣 委員御指摘のとおり、そういう持ち合い解消という声もあるでしょう。そして、私どもも、銀行が株式を相当程度持っている、そういう事実に着目いたしまして銀行の株式保有制限というものを導入していく。それによりまして、銀行等の株式放出によって非常に過剰な影響を与える、こういうおそれがあるということから、そういう意味で、今回の株式取得機構を設けたわけであります。

 さらに、保有制限の実施は、この法律がお認めいただけるならば、できれば機構自体は来年からスタートさせたい、そういう気持ちがございますけれども、法律に書いてございますが、施行期日、株式の保有制限自体は十六年九月末ということで考えておりまして、機構が発足してから制限を課すまでに一定の猶予期間を設けている、こういうことでございます。

 そういう措置によりまして、保有制限を円滑に実施して銀行経営の健全性を確保して金融システムの安定性を確保していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

竹本委員 本来、銀行といえども自由企業でございますから、こういう制限を今、規制緩和の波の中でどんどん外していっているわけですね。そういう中で、新たにこういう規制を加えることはどうかなと思うんですけれども、今お話ありましたように、それは銀行経営を安定させるためにどうしても必要だということで、こういう法律が提案されたのだと思うわけでございます。

 ところで、私は、銀行によっていろいろな態様の銀行があると思います。例えば、今市場には三十兆円の企業の株を銀行は持っていると言われております。そのうち、これをやりますと、十兆円ぐらいがそういうふうな持ち合い解消に使われるんじゃないかとも言われておりますが、その銀行の中でも、たくさん持ち合いで持っているところと余り持っていないところ、だから、急にそこに対応しろと言われても、ちょっと時間をくれというようなところも当然あるんだろうと思いますけれども、そういった個別行の対応に対して、より現実的な導入システムをつくってあげないといけないというふうに思うわけですけれども、この辺の仕組みについて簡単に御説明をお願いいたしたいと思います。

村田副大臣 御指摘のとおり、銀行によりまして株式の保有の程度といいますか、それが異なりますし、特に信託銀行等におきましては多額の株式を保有している、そういうケースが予想されますものですから、先ほど申しましたように、保有制限自体は施行期日を平成十六年度からということにいたしますけれども、多額の株式を保有している銀行等については、ポートフォリオの大幅な組みかえによって、かえって銀行経営に大きなリスクを生じさせるということ、これを避けたいということから、最大二年間の適用猶予の措置を設けることにしているわけでございます。

竹本委員 ところで、この機構でございますけれども、一般勘定と特別勘定と二つあるということでございますが、どうも、まず一般勘定の方は、機構が株の売買の媒介をする、そういったところにその役割があるようでありまして、この間の参考人の意見聴取の中においてもいろいろ使い道があるというような御答弁があったような気がいたしますが、他方、特別勘定の方、いわゆる長期保有、セーフティーネットの方は、どういう場合にこれが使われるのか、もう一つはっきりした答えがなかったような気がするわけであります。

 つまり、銀行が持っている株を機構に売る場合には八%の拠出金を取られる。市場で売却するとそういうものは取られない。当然、ビジネスの常識としてもうかる方を選ぶから、市場でいくんじゃないかと単純に考えるわけでございますが、八%というのは手数料じゃなくて、言ってみれば出資みたいなものだから別に損はしないからいいんだという判断もあるのかもしれない。しかしながら、本当にこういう特別勘定のセーフティーネットの取得機能が使われるというのはどういう場合があるか、想像をしても思いつくところがなかなかないわけであります。

 一つの考え方としては、非常に株価が、市場に出しても全然買い手がない、だからおまえのところで買ってくれ、機構で買ってくれ、こういうことならあるのかなとも思うんですけれども、この辺の一般勘定と特別勘定の役割の分担というものについて、簡単にちょっと御説明をお願いいたしたいと思います。

村田副大臣 機構には一般勘定、それから特別勘定があるわけでございますけれども、その一般勘定の方は、ETF等の組成をする、そういう形での利用の仕方とか、自社株を取得するような形で利用されるのではないかというふうに思います。

 特別勘定が利用されるケースはどういうケースが想像されるのだと。しかも、市場で売れば八%もの手数料を取られないのに、特別勘定に売る場合には八%もの手数料を取られる。そういう場合において特別勘定が利用されるようなケースというのはどういう場合か、こういう御質問でございますが、あくまで特別勘定におきましても、市場で売るか、あるいは特別勘定を利用するか、機構を利用するかは銀行側の任意で行われるということでございます。

 そういうことから考えますと、特別勘定を利用される場合は、すなわち市場での売却が困難である、こういう状態ではないかというふうに考えられるわけでありまして、そういう意味では、市場が大変強い下方、下値リスクが働いているケースなどがあるのではないかというふうに考えるわけでございます。そういう意味で、市場を利用できないときのセーフティーネットとして、この機構の特別勘定が利用されるものと想像しているわけでございます。

竹本委員 今、副大臣の方からETFの話が出ましたけれども、ETFがこの一般勘定を通じまして、個人がもっと株式市場に参画していただける一つの動機になればという思いがあるんだと思いますけれども、ともかくここずっと株価が下がっております。私は、三年ほど前だったと思いますけれども、アメリカのダウ平均が一万ドルを達成したその翌日にニューヨークにほかの先生方と一緒に行ったことがございます。そのときのマンハッタンは沸きに沸いておりまして、夜中の三時、四時ごろまでホテルから客が出ないというようなにぎわいでありました。

 ちょうどその日に、ウォールストリートの投資顧問会社の幹部連中と日本クラブで会合を設けていただきまして、お話を聞きましたところ、彼らの次の目標は何かと聞きますと、次は日経平均を超えるのが目標だと言っておりました。つまり、当時一万五千円でした。ですから、一万五千ドルが当面の目標、将来は十万ドルという話を、一人じゃなくて三人ぐらいの人がしておりました。それほどの強気でありまして、ニューエコノミー論が、まさに信じられないようなニューエコノミー論が当たり前のように言われているような謳歌した時代でありました。三年後、テロのせいもありますけれども、御承知のように一万ドルを切るということでございます。

 私は、今まで日本の株式市場が曲がりなりにもこれだけの株価を維持できてきたのは、やはり外人買いが相当数あったからだ、四割ぐらいあったんじゃないかと思っております。ところが、このテロのために、この外人買いが余りこれからは期待できなくなった。そうすると、日本の株式市場をだれが支えるかということであります。企業は不良債権をたくさん持っております。とても株に手を出せるような余裕はないのみならず、みずからの株がどんどん下がっていくわけであります。しかし、だれかが株価を支えないと不良債権がますますふえていくわけであります。

 そこで、言われる個人金融資産、千四百兆円というこのお金を何とか株式市場に投入する方策をやはり考えなきゃいけないんじゃないか、真剣に考えなきゃいけないんじゃないか、このように思っておるわけでございます。アメリカの個人金融資産は恐らく三千六百兆円ぐらいありまして、必ずしも日本が世界一というわけじゃないと思いますけれども、ともかくもう無傷のこの個人金融資産を何とか株式市場に追い込んで、そして株価を上げることが、今一番不良債権の解消にも、そしてまた日本経済の再活性化にも役立つのではないかというのが私の思いでございます。

 そういう意味におきまして、株価対策がいろいろ議論されておるわけでございますけれども、先般、長期保有の株につきまして百万円まで特別控除する制度ができました。百万円というのはいかにもみみっちいなというのが私の印象でございまして、どうしてせめて一千万ぐらいまで伸ばしてくれないのかという気がございました。

 それ以後、我が自由民主党におきましても、この株価対策をどうするかということで、さんざん幹部の方も入れて議論したあげく、いろいろな株価対策、特に、申告納税一本にするけれども税率を下げるとか、あるいは一年超保有の株式につきまして、先ほど申し上げました百万円の特別控除の期限を延長するとか、あるいは税率そのものを引き下げるとか、あるいは緊急投資優遇措置ということで特別の優遇をするとか、こういったことが提案されております。まだ現実にはなっておりませんけれども、私はなおパンチ不足のような感じがするわけであります。

 そういう意味におきまして、株式市場を活性化することこそが、日本経済の活性化にやはり一番役立つんじゃないかなというふうに思うわけでございますけれども、中でも、個人が株式市場を怖いものだと思っているからなかなか手を出さない、もうからないと思っているから手を出さないという中で、やはりいろいろな、デリバティブではありませんけれども、たくさんの商品が出てくるわけでございますが、本当にこれを信用していいのかどうかわからない。

 そこで、このETFでございますけれども、要するに、株価の動きが非常にはっきりわかる、個人も安心して使えるという一つの光明が差してくるわけでございますけれども、今、副大臣少し申されたけれども、もう少し、これをより国民に活用されるにはどういうような方策を考えればいいか、その辺のお考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。

村田副大臣 竹本委員が御指摘なさいますように、我が国の証券市場におきまして、個人投資家がもう少し参加をしていただいて、それで市場の厚みを増してくるということが市場にとっても必要であろうというふうに思いますし、また、個人投資家にとりましても、預金だけというんじゃなくて、こうした資本市場において取引されるそういう商品についてもリスクテークをしながら参加をしていただくということが必要であろうか、こういうふうに思っているわけです。

 ETFにつきましては、四月の緊急経済対策におきまして、「市場活性化に貢献することが期待されるETFの制度整備を進める」こういうことで、いろいろな政令等の手当てを行いまして、本年の七月十三日より東証、大証において上場が開始されているということであります。

 取引が現在八銘柄で、信託元本総額が約三千三百十一億円ということでございます。八、九、十、三カ月ちょっとということで三千三百十一億円というのは、その額をどういうふうに評価するかでありますけれども、順調に成長しつつあるというふうに見てよいのではないかというふうに思います。

 ちなみに、八月末で見ますと、株式投信、従来型の金銭型のものについては、市場規模大体十四兆円ということでございます。

 国民の皆さん方に対しては何をPRするかということでございますが、これは、まず、原則として通常の株と同じように扱われる、それから手数料が従来の投資信託に比べて非常に安いということが一点。それからもう一つは、目に見える形でもって、今までの投資信託は基準価格がどう動くのかというのはなかなか見にくかったのでございますけれども、これはまさに日経のダウそのものの指数として動いていきますし、あるいはTOPIXでも動いていきますから、非常に値動きがわかりやすいということが二つ目にあると思います。もう一個は、株式投資をした場合には、信用リスクと市場リスク、両方のリスクにさらされるわけでございますが、このETFにつきましては、指数でございますから市場リスク、リスクが一つになる、こういう形で、その意味ではより近づきやすい商品であるかな、こういうふうに思います。

 これからこの商品を育てていくために、例えばETFの銀行での窓販というものを推進していくこともあわせて検討していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。

竹本委員 ぜひその辺の、役所の言葉じゃなくて、本当に国民みんなにそれが利用していただけるような、そういう工夫をなお一層知恵を絞ってもらいたいなというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。

 もう一点、この機構の特別勘定の方でございますけれども、二兆円までということが一応限度でございますけれども、これにつきまして政府保証を付すことになっております。ところが、機構が廃止されるまでの間、いろいろな経済変動が予想されるわけでございます。いわゆる国民の税金をこれに使うというようなことにまたなるんじゃないか、こういう危惧の念があるわけでございますけれども、これに対してどういうふうに考えておられるのか、ちょっとお答え願いたいと思います。

柳澤国務大臣 政府保証二兆円をお願いしているわけでございますけれども、これは当面は、言うまでもなく、低利、安定な買い付けのための資金を調達するということのためでございますけれども、その結果としてもし損失が出、その損失の額が、会員の金融機関等、あるいはそういうようなところから拠出されたものを上回る場合には、政府保証の履行を求められるということで、国民負担につながるということになるわけですけれども、この国民負担につながるということができるだけないような仕組みを考えるということで今回の御提案をさせていただいているわけでございます。

 第一に、買い取りは、第一の一般勘定をできるだけ使って買い取りをしていきたいということでございます。それから第二番目に、特別勘定は、セーフティーネットとしてまさかに備えるということでございますけれども、その場合にも、対象株式を限定して、質のいいもの、流動性の高いものを買い取る。それから、買い取りの方針あるいは開始等についても、運営委員会という第三者のメンバーをもってする委員会の議決を必要としていること。さらには、言うまでもなく、売却時拠出金をお願いするというようなことで、できるだけ損失というものが発生しないような仕組みをしているわけでございます。

 ただ、十年でございますので、この日本経済の先行き十年をどのように見るか。例えば、十四年の一月に始まったとして、この先十年間の日本経済をどう見るか、それが株式にどういう影響を与えるかというのは、これはもう悲観をすれば切りのない話で、いよいよ日本が沈没だというようなシナリオを思い浮かべれば、それはもう心配は限りないわけでありますけれども、これだけの経済を形づくってきた日本国民の底力をもってすれば、十年間どんどん沈んでいってしまうというようなことは考えられないというのが普通の考え方ではないか、こういうように思っておりまして、この面の損失はできるだけ出さないようにということはそうしたことからも言い得るのではないか、このように考えている次第です。

竹本委員 ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、国民に損失を出さないということも重要でございますけれども、同時に、せっかくつくった機構が有効に働かなきゃいけない。そこで、民間の有識者等から成る経営陣をつくるということだと思いますけれども、ぜひ実効のある機構運営をしていただきたい、そのように願うわけでございます。

 きょうは塩川財務大臣お見えでございますけれども、私にとりましては地元大阪の大先輩でございまして、今は副総理格の大活躍をしておられますので、最後に一言だけちょっと御質問をいたしたいと思います。

 それは、私は、小泉内閣、非常に大きい理想を掲げている、これはぜひとも成功させなきゃいけないというふうに思っている人間の一人でございますけれども、過去の世界の歴史から見ますと、やはり改革が成功したときには何がしか励みのようなものがあったんではないか、そのような気がするわけでございます。

 サッチャー革命のときもそうだったと思いますけれども、私が直接間接見てきたクリントンの八年間の改革、クリントンも優秀な大統領だったかもしれませんけれども、それ以上に、彼は非常にハッピーな男であったと私は思うわけであります。なぜかというと、八九年にソ連が崩壊し、軍需の必要がぐっとなくなって、それが民需に転用された。そして、ブッシュのお父さんがつくった経済回復のような施策がやっと効果を上げていったときに大統領になりました。

 したがいまして、いろいろな改革、中にはそれを困ると思っていた人がいたわけでございますけれども、励みがあったから何とか我慢できた。その励みというのはこの場合何であったかというと、景気がどんどんよくなっていく、株価がどんどん上がる。私の友人で、ニューヨークに今も住んでおりますけれども、四年ほど前に言っておりました。四〇一kでやりましたら、一千万貯金しておいたら四年後には四千万になった、これだけの資金があれば老後も安心だと。こういう励みが庶民の中にあった。したがって、福祉改革等々につきましても、あるいは軍事費の削減等々につきましても、いろいろ国民は不満はあったけれども、ついてこれた、こういう前例がございます。

 今、小泉改革の進行の途上の中で、そういう励みをどのようにつくろうと考えておられるのか、それをぜひお聞きしたいのです。私は、やはり経済回復、景気をよくすることが一番の励みになるのじゃないかなというような気がいたしますけれども、景気をよくする施策をどのようにすればいいと財務大臣はお考えなのか、その辺の所感をお聞かせいただきたいと思います。

山口委員長 大臣、質疑時間が終わっておりますので、簡潔に。

塩川国務大臣 もう時間でございますので簡単にということでございますが、私は、規制を緩和して、やはり、今までの特権の上にあぐらをかいておったシステムというものを変えて、全部が、すべての人が競争し得る、そこに活力をつくっていく、そういう社会をつくるべきだと思っております。

竹本委員 どうもありがとうございました。終わります。

山口委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 まず、銀行等株式保有制限法につきまして質問をいたしますが、これまで、先週の金曜日あるいは今週の月曜日と、それぞれ法案の審議、参考人質疑ということで相当論点が出ておりますので、私なりに、これまで出されました論点を整理いたしまして、確認のため、また補充のための質問をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 まず第一に、この機構が特別勘定で株を買い取りする。将来の国民負担の可能性をなるべく少なくしようということと、それから機構がうまく機能するようにしようということが、実は相反することがございます。特に、売却時拠出金のことを考えますと、将来の国民負担をなるべく少なくしようとすれば、売却時拠出金を大きく取ればいいわけですけれども、大きく取ると、逆にこれはなかなか銀行が機構に株を売らない。この非常にバランスをとって、今回うまく、うまくといいますか、御苦労をされて制度設計をしていただいたなということで、私は率直に評価をしているところであります。

 まず、この機構がうまく機能するかどうかということの批判といたしまして、売却時拠出金を八%も取って、市場に売却しないで本当にこの機構に売却するようなことがあるのか、そういう株というのは結局ぼろ株で、そういうぼろ株ばかり集めれば、この機構は結局将来損失がふえるのじゃないか、そういう批判があります。

 これは、参考人質疑の中で全銀協の山本会長が、みずほホールディングスとしては、これは通常、市場の売却を考えている、また持ち合い株の解消にしても、相手の事業会社と十分相談しながらやる、だから通常は市場で売却をするのだ、それが前提だということでありました。

 それはやはりそのとおりで、市場で売っていただいて、この機構を使わないで済むのだったらそれにこしたことはないわけでありますけれども、その市場で万が一売れないような状態がある、それに備えてセーフティーネットをつくっておく、こういうことでありますから、このセーフティーネットをつくっておく意義があるわけであります。

 ぼろ株という批判を受けますけれども、これは答弁でもありましたように、格付はトリプルBマイナス以上、運営委員会の議を経て買い取るわけでありますから、恐らくそういう心配はしなくてもいいのだろう。私は、むしろ、ぼろ株が集まるというよりも、株価を人為的につり上げておいて、これを高値で機構に売却をさせる、そういう株価操作ということがないのかどうか、そこの点をきちんと検証していく方が重要ではないかというふうに思っております。これは、野村証券の氏家参考人も、機構の買い取り価格の公平性を十分担保してほしい、そういう御意見もございました。

 そういった意味で、機構が銀行から株式を取得する際の価格の公平性をどういうふうに担保するのか、特に株価操作等にはどういうふうに対処するのか、この点について確認をしておきたいと思います。

    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕

村田副大臣 機構を運営していくに当たりまして、そうした取引をするに当たりまして株価操作等が行われないように、そういう御指摘でございます。

 この意味では、第一に、機構の役員等に守秘義務が課されておりますし、なおかつ、今委員もおっしゃったように、いろいろな機構の取引、運営については、基本的に業務規程を設けまして、これは総理大臣あるいは財務大臣の認可が必要なのでございますが、そうした基本的なところはかっちりと方針を定めていく、こういうことでございます。

 それから、株を買い取る、あるいは売買操作ができないようにということでございまして、買うときは時価によるわけでございますけれども、これにつきましても、株価操作の余地を可能な限り排除する仕組みを講ずることが御指摘のとおり必要でございますので、株式買い取りの時価は、買い取り日前日における終わり値または出来高加重平均価格のいずれか低い価格とすることといたしまして、買い取り日前日に急激な株価上昇が見られたような場合でも、高値買いをしないように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

石井(啓)委員 実は、金庫株を解禁するときにも、不公正取引がないように法的な措置を強化したところでございますし、また今、証券市場等監視委員会の体制の強化ということもやっておりますので、そういった全般的な中でそういう公正取引等についての関心も強めていただきたいと思いますし、また、この法案の中でもきちんと担保されているということですから、その運営をしっかりやっていただきたいと思います。

 そして、もう一つは、機構が集めた株をどう処分するか、その運用でありますけれども、これは法律を読みますと、信託銀行に委託をして、運営委員会の処分方針に基づいてこれが売却をされる、こういうことでありますけれども、これは当然のことながら、この機構が取得した株式を処分するときにも、市場に悪影響が出ないように配慮することは当然でありましょうし、また、取得した価格を下回って、わざわざ損をして売るようなこともないであろう、こういうふうに思いますけれども、その点について、いかがでございましょうか。

村田副大臣 国民の損失をできる限り防ぐ、こういうことでありまして、売り方についても相当程度の注意が必要であろう、こういうふうに思います。

 具体的にどういうふうにするかでございますが、信託銀行に委託するときに運営委員会が処分の方針を定めて、それに従って信託会社が売ってくださいよ、こういう指示になるということであります。最大限、機構が存在する十年の間に買い取った株式を処分していくということでございますけれども、そのときに考えられる一つの方針としては、売却ペース、これをどうしていくのか。売却ペースを平準化しまして、一どきに大量の株式の売却をして値下がりを来すようなことを避けていく。それから、個別の売却についても、これはメルクマールは損失回避でございますから、そうした観点に立って、規定を定めて信託会社に処分のやり方について指示をしていきたい、こういうふうに考えております。

 具体的に、なかなかこうだということは申しにくいわけでありますが、原則は損失の回避ということでございます。

石井(啓)委員 機構が株を特別勘定で集めて、それを売却することによって将来損失が、国民負担が出るんではないか、こういう御批判も受けます。売却時拠出金、八%拠出をしてもらうわけでありますが、八%以上価格が下がれば、下がった価格で売れば、それは損失が出る可能性が出てくるわけでありますけれども、この点については、私は鈴木委員の意見は非常に説得力があるなというふうに思っております。

 この機構は十年間存続をするわけでございます。その十年間、現状の一万円前後の株価が連続するような状態であっては、状態であってはといいますか、状態というのは考えにくい、そういう事態であってはならない、そういうふうに鈴木委員はおっしゃいましたけれども、私も全くそのとおりでありまして、そういう十年間という時間の期間を考えると、むしろこれは機構が取得した株式が値上がりする可能性が高い。

 だからこそ鈴木委員は、これは銀行にもうけさせる仕掛けをつくっているんではないか、こういう御批判をされているわけでありますけれども、この機構が解散をしたときに配当するようなケースがございます。その配当する場合のルールについては、まず当初拠出金から運営経費を除いた部分、これを戻すといいますか、その分を配当する。それから続いては、売却時拠出金、これを戻す。三番目には、これは当初拠出金から運営経費を除いた分を、これは配当としてやる。四番目には、売却時拠出金の分をまた配当する。さらに利益が残っている場合は、これは国庫の方に入る。こういうルールが決まっているわけでありますから、銀行が得る利益も上限がある。すなわち、その拠出金という損失リスクに相当する分だけ利益が出る可能性がある、こういう仕組みになっているわけでありますから、機構が将来もうけたとしても、銀行に大もうけさせるような仕組みにはなっていない、こういうふうに私は理解をしておりますが、この点について、いかがでございましょうか。

柳澤国務大臣 今石井委員の方から非常に明快な御説明をいただいたわけですけれども、石井委員の、利益が出るところという損益の分岐点の置き方ですけれども、これは、経費としての、何と申しますか拠出金の部分を入れ込んだ後のところでのプラマイ・ゼロ、均衡点ということを、それを食っちゃった後プラマイ・ゼロであるところが均衡点、それよりも上だったらそれをだれがとるかというお話だったのですが、私どもは、要するにそういうことではなくて、やはりこの拠出金を食っちゃったところまでは、これはやはり損失の部分だろうと思うわけです。

 したがって、均衡点というのは、そこの損失を食っちゃったところをスタートにするという考え方。そこのところが均衡点で、それ以上損失が出たときには、まず何を食うかといえば、これは売却時拠出金を食う。それから、その次に当初拠出金を食い、それから国庫の負担になる、こういう順番で損益を考えたい。今度は、それ以上に利益が出ているときにはだれが配当をとるかといえば、まず当初拠出金というところで出ていたのが受け取り、それから売却時の拠出金が受け取り、その後は、それをオーバーするところはもう無制限に今度は国庫が受け取る。

 こういうふうに考えますと、これは全く対照にでき上がっているというふうな認識でございまして、今委員が御指摘のように、銀行が無制限に、青天井に利得を懐にするというようなことにはなっておらないことはもちろん、我々としては、損の場合も得の場合もこの配当の仕方というのは均衡しているのではないか、このように考えているわけでございます。

石井(啓)委員 よくわかりました。

 続いての論点では、この株保有制限を設けるのは大変結構なことなんだけれども、それはあくまで株の売却は自己責任でやるべきだ、こういう主張があります。あるいは、株式取引というのはリスクを伴うのが当然だから、株式市場が攪乱をされてもそれはやむを得ないんだ、そういう御主張もございました。

 私も、いわば平常状況、通常の状況で株式市場の価格に直接政府が関与して株価維持を図るようなことは慎まなければいけない、こういうふうに思います。いわゆるPKO等は慎まなければいけない、こういうふうに思いますけれども、今回は、政府が銀行等に期限を限って株保有に制限を課す、いわば通常の市場取引ではない、強制的な措置を課すということでありますから、これに伴う不測の事態を避けるためにセーフティーネットを設けておくということは、十分これは理由のあることである、こういうふうに考えるわけでございますが、その点についていかがですか。

    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 これは定性的には私も全く石井委員と同じ考え方でございます。株式市場という最も市場らしい市場、それからその市場は今やボーダーレスですから、これは外国の、特に資本市場が非常に発達した国の投資家がこれに、昨今では売買の規模でいうと半分以上もそういうような人たちが参加しているというような市場にあって、人為的な株価のつり上げとか維持だとかということは金輪際考えてはならないし、また考えられないとも思うわけでございます。

 そういう中で、今回、私どもは株式の保有制限というものをするわけでございまして、もちろんそれは、この前、きのうでございましたか、参考人の方々が言うように、自分たちは市場で処理していく、あるいは、少なくとも第一勘定というか、一般勘定の方でいろいろうまく投資信託を組成していくというようなことはあるかもしれないけれども、特別勘定の方にはお世話になる気持ちはないというようなことでございますけれども、しかし、そういう心構えでやってもらわなければなりませんけれども、ぎりぎりいっぱい期限まで何らかの事情で行った場合に、果たして何のセーフティーネットもなくていいか。需給関係ということで、端的には需給関係、大いに株式市場にはありますから、それで価格において値崩れをしてしまったのであきらめなければならないという理由もまたないではないか。そういうときのための、まさかのためのセーフティーネットを張っておく必要が、やはり保有制限というものを課している以上、国の務めとしてそういう措置をとっておくことはバランスのとれたことではないか。このような考え方に立っているというわけでございます。

石井(啓)委員 一つ確認をしておきたいことがございます。

 今回の制度で、既に株式保有がティア1以下になっている銀行であっても、機構の会員として参加をすれば特別勘定による買い取りを利用できる制度になっていますけれども、こういうふうな制度設計にした理由について、ちょっと確認をしておきたいと思います。

原口政府参考人 保有制限に伴い、今後、十三年三月時点で保有制限を満たしていない銀行を中心に株式を保有していくということが、当然それが想定をされるわけでございますが、それ以外にも、保有制限を満たしている場合であっても、経営の健全性と申しますか、変動リスクをより軽減していくという観点でありますとか、あるいは、事後的に保有制限を超過する可能性があるといったようなケースも考えられます。そういう場合には株式を売却するニーズも出てくるということでございますので、セーフティーネットとしての趣旨を踏まえますと、機構への売却が、主としては保有制限を満たしていない会員から行われるということは当然といたしましても、保有制限を満たしている銀行等についても、これは、売却する必要があるときにはできるという形にしたものでございます。

石井(啓)委員 それでは、法案の質問から離れまして、ちょっと別のテーマで質問をさせていただきたいと思います。

 平成十四年度の歳入の見通しについて、ちょっと、大変心配される状況でありますので、何点か確認をしたいと思いますが、まずその前に、来年度の経済見通し、物価見通しにつきまして、先日、日銀の方で「経済・物価の将来展望とリスク評価」、これを発表されておりますので、その概要について日銀総裁から御説明いただきたいと思います。

速水参考人 お答えいたします。

 日本銀行では、一昨日、「経済・物価の将来展望とリスク評価」、いわゆる展望リポートと呼んでおりますが、これを公表いたしました。最後に、委員方が出した予測の数字をまとめたものが出ているわけですけれども、その説明の前に、ちょっとこの展望リポートの性格というものを概要を説明させていただきます。

 このリポートは、年二回作成するものでありますが、先行きの最も蓋然性の高いと考えられる、標準シナリオと呼んでいますが、それに対して経済が下振れ上振れとなる可能性を検討する。言葉は、標準シナリオに対してそういったものを、振れていくことをリスク評価というふうに呼びまして、二部から構成されております。

 今回の標準シナリオのポイントは四点ございまして、一つは、先行きの経済、物価動向を展望する場合に、米国テロ事件の影響、我が国の構造改革や財政再建の内容、スピードなど、不確実な要因が従来以上に多いということに留意する必要があるということが一つ。

 第二には、その上で、本年度の下期は輸出、生産の大幅な減少の影響が内需面に広がっていく可能性が高くて、日本経済は厳しい調整過程をたどることになることは避けられないということ、これが二つ。

 三つ目は、来年度につきましては、海外経済の回復時期が来年度前半になると見れば、年度下期にかけて我が国の景気は全体として下げどまりに向かうと考えられます。ただ、その場合にも、景気の明確な回復にはなお時間を要する可能性が高いと思います。

 四つ目には、このような実体経済の動向を反映して、物価は本年度から来年度にかけてもなお緩やかな下落傾向が続く蓋然性が高いということをこの標準シナリオに掲げまして、それに対する下振れないしは上振れのリスク要因としても、簡単に四つのことを述べております。

 一つは米国を初めとする海外経済やIT関連分野の動向、二つ目には金融・資本市場、今議論されておられました株価でございますけれども、金融・資本市場の動向、三つ目が不良債権処理の進み方とその影響、四つ目が経済、財政の構造改革の影響、これをリスク要因として掲げました上で、実質GDP、国内卸売物価、消費者物価に関して、本年度及び来年度について政策委員の見通し計数を参考計表として掲げております。

 そのうち、大勢見通し、政策委員の各自お出しになった数字をまとめまして大勢見通しをつくるのですが、それを見ますと、まず、実質GDPにつきましては、本年度はマイナス一・二%からマイナス〇・九%という数字が出ております。来年度につきましては、マイナス一・一%からプラス〇・一%、これが大勢見通しでございます。

 消費者物価につきましては、本年度がマイナス一・一%からマイナス一・〇%、これは幅は余りございません。来年度につきましては、マイナス一・三%からマイナス〇・九%と、来年度もまだマイナスが続くという数字が出ております。

 以上でございます。

石井(啓)委員 今の日銀の将来展望をお聞きしましても、平成十四年度の経済成長見通しあるいは物価見通しは相当厳しい状況にございます。

 ところで、十四年度の税収の見通しでありますけれども、これは中期展望が十四年度の予算の概算要求時に用いられておりまして、それによりますと、五十・四兆円というのが十四年度の税収見通しでありますが、提出予定の補正予算の中で、十三年度の税収見通しが一・一兆円マイナスになる。それから、十四年度の税収、当初の見通しは、十三年度から十四年度にかけて名目経済成長の伸びは二%というふうに見込んでおります。

 十三年度の発射台が、まず税収が減ったということ。それから、当初見込んでいた名目成長率二%も、到底そういう高い成長は見込めない。今の日銀の予測によりますと、これは非常に、実質でマイナス一・一からプラス〇・一、消費者物価がマイナスでありますから、名目成長率は恐らくマイナス一、二%、そういう予測になっております。

 そういうことを考えますと、概算要求時の税収見通し五十・四兆円というのは相当厳しいな、相当下回るというふうに考えられますけれども、おおむねの見通しについて伺いたいと思います。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 ただいま先生も申されましたとおり、十三年度の税収が、補正予算において、当初予算から一・一兆円程度の減収を立てるということにしておりまして、十四年度の税収見通しは、その土台減の影響がまず予想される。それからさらに、今後の経済情勢いかんによっては、先生も言われますとおり、一層厳しいものになるのではないかと考えられますけれども、具体的な見積もりにつきましては、今後十四年度の経済見通しが出されましたときに、それをもとに個別税目ごとに積み上げ作業を行ってまいりますので、現段階におきまして具体的なことを申し上げられないということは御容赦いただきたいと存じます。

石井(啓)委員 なかなか、現時点ではそういう見通しが立てられないのは理解いたしますけれども、試みに私が乏しい情報の中でいろいろ試算をしてみますと、まず十三年度の当初税収見通しの五十・七兆円でありますけれども、これが、郵貯の満期集中分が二・八兆ありますから、それを除いた分は四十七・九兆円でございました。十四年度については五十・四兆円ですが、これも郵貯の集中満期分が大体一兆円程度というふうに見込んでいましたので、その他の税収が四十九・四兆円。ですから、四十七・九兆円が二%名目成長で四十九・四兆円になるという見通しであったものが、まず十三年度の発射台が一・一兆円マイナスになりますから、郵貯の満期分を除いた分は四十六・八兆円になるわけですね。

 それがどう十四年度に伸びるかということですけれども、これが、楽観的な見通しでプラマイ・ゼロというふうに考えてみても、そのまま四十六・八兆円に移行するわけですから、これは制度改正で減収増収ないというふうにした上ですけれども、それで郵貯の満期分一兆円を乗せても四十七・八兆円。概算要求の五十・四兆円に比べますと二・六兆円のマイナスという、これは私の試算でありますけれども、相当厳しい税収になりそうだということがうかがえます。

 そういたしますと、私は、歳入の中で、その他収入の増収にこれは相当頑張らなきゃいけないのではないか。国有財産の売却もございます。また、ここで私も今具体的にいいアイデアがあるわけではないのですけれども、これは相当知恵を発揮して税収以外の収入増加というのにも努めないといけないのではないか、そういう問題意識を持っておりますけれども、その点について、いかがでございましょうか。

塩川国務大臣 おっしゃるように、いろいろな角度からそれは検討すべきだと思うております。

 現に私たちも、例えば、保有しております株でございますね。例えばNTT株であるとか、たばこの株であるとか、そういうのがございますが、そういうようなものの処分のどの辺が可能かということを見てまいりまして、全部法律で政府がある程度保有を縛りつけられておることがございまして、それ以外自由に売却できるものは、もう既に売ってくってしもうておるんですね。ですから、余りこれは売れない。けれども、法律を解除して、保有の制限を解除して売れば、相当まだあることは事実でございます。そういうことをやるにいたしましても、売り方が実は非常に難しいということを検討いたしておりまして、検討はしておるということを覚えておいていただきたいと思うております。

 それから、国有地の売却であるとか未利用のものでございますが、大体、不景気でして、なかなか買ってくれない状態で、入札に毎年三千件ぐらい出しておるんですけれども、そのうち成約しますのが、契約になりますのが大体半分程度なんですね。十二年度で、私が覚えておりますのは大体三千件あった、金額にして千三百億円の程度だったと思うんですが、それをもっと促進させるようにいたしたいと思うんですが、だんだんと地価が下がってきまして、これについても何か方策を考えにゃいかぬだろうと思っております。

 したがって、同じ売却するにしても、そこらに将来における付加価値を希望さすような、そういう方法をもって売却していくのがいいのではないかと思ったり、検討させております。仰せのとおり、何か税収以外の収入を今一生懸命考えておるところです。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 民主党の生方でございます。

 財務大臣、質問通告がないんですけれども、最初に一問だけ質問をさせていただきたいと思います。

 きのうの新聞報道によりますと、九月の完全失業率が五・三%と非常に深刻な数字になって、五%五%で来たのが五・三%へ伸びて、その後、テロ事件もあり狂牛病の発生ということもありまして、さらに雇用情勢が厳しくなるんじゃないか、ある新聞によれば十月の失業率は六%になるのではないかというようなことも言われておりまして、かなり深刻な状況になっているというふうに思います。

 今度の臨時国会は、テロ事件がなければ、当初雇用国会というふうに言われたぐらい雇用問題にしっかり取り組んでいこうということでございまして、来月出されるでありましょう補正予算においても当然雇用対策というのが中心になってくると思うんですけれども、この五・三という新たな事態、これから先、まださらに失業率が上がっていくであろうという中で、今政府がお考えになっている補正予算そのものも、この数値を受けて多少の見直しが行われるのかどうか、それとも当初の予定どおり補正を執行していくのか、その点をまずお伺いしたいのです。

塩川国務大臣 いろいろと批判を受けておりまして、経済の状況が悪いということは十分承知いたしております。そこで、今回の補正予算は雇用対策を重点にしたことは先生御存じのとおりでございます。これで一応やってまいりまして、その成果を十分に見きわめて、できれば十四年度予算でその成果を反映させてみたいと思っております。

 これは、予算が通りますのがどうせ十一月の末ごろになるのではないかと思っておりまして、実はそれを実施いたしますのがあと四カ月しかないという状況です。したがって、今回の補正予算では、もう雇用対策のいろいろな事業が、たくさん種類がございますが、そこらは全部、金額にいたしましたら少しでございますけれども、行政が始動する、始まるように予算の配分をしてございますし、都市再生にいたしましても、あるいはその他の緊急対策、すべて、申し出てきておるいろいろな事業に対しましてはできるだけ予算をつけて発足さすことを重点にしておりますので、その点に御理解いただきたいと思うております。

生方委員 即効薬はもちろんないと思うんですけれども、五・三というのはかなり深刻な数字だと思うんですね。私の周りにも、失業をしてしまって、一生懸命仕事を探していてもなかなか五十を過ぎるとないというのが現実でございまして、これは、雇用状況が悪いから景気が悪いのか、景気が悪いから雇用状況が悪いのか、卵が先か鶏が先かという議論にもなるんですけれども、とにかくこの五・三という数字はかなり深刻な数字だと思うんですけれども、財務大臣は、この数値自体はどのようにおとらえになっていますか。

塩川国務大臣 私も同様に、非常に深刻な状態だと思っております。

生方委員 深刻な状態は、皆さん多分共通の認識だと思うんですけれども、これがさらに、恐らく十月になって好転をする要素というのはほとんどなくて、悪化する要素の方がむしろ、今も申し上げましたようにテロがあったし狂牛病の件がありましたので、六なんということになりますと、ある意味では社会不安さえ生じかねないような深刻な事態だと思いますので、今おっしゃいますように補正予算で、四カ月しかないということではございますけれども、何かしらやはり即効薬的なものも、何があるか私も残念ながらアイデアはないんですけれども、とっていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、その点重ねてお伺いしますが、いかがでございましょうか。

塩川国務大臣 そういう即効でありましたら私たちも教えていただきたいと思いますし、私たち自身も一生懸命考えておるところでございますが、そのときには柔軟に対処したいと思っております。

生方委員 ありがとうございました。それではもう結構でございますので。

 それではこちらの、法案の方について柳澤大臣にお伺いしたいと思うんですが、これまでの論議を聞いていてもどうもいま一つわからないのが、一般勘定と特別勘定、二つを機構の中に設けるということですが、きのうちょっと金融庁の方からお話を伺いましたら、当面は一般勘定しか設けないんだ、特別勘定は当面すぐ開くことはないんだという説明だったんですけれども、とりあえずそれでよろしいんですか。

原口政府参考人 特別勘定の買い取りの開始に当たりましては、運営委員会の議を経て行うということでございますので、そういう意味では、自動的に開始をするということではないということでございます。

生方委員 そうしますと、この一般勘定というのは、証券会社や自己株式を取得することを希望する事業会社の依頼に基づいて、その銘柄株を持っている銀行が株を売却するという仕組みになっているそうなんですけれども、その解釈でよろしいんですね。

原口政府参考人 御指摘のとおりです。

生方委員 そうなりますと、それ以外で、銀行がこの株はとにかく売りたいんだというふうに、銀行側がこの株を売りたいといった場合の株は、証券会社や自己株取得をしたいという希望がない限り、一般勘定を通して売ることはできないというふうに解釈していいんですか。

原口政府参考人 御指摘のとおり、あくまで一般勘定におきましては、まずそういう取得のためのニーズがあって、それをもとにこの勘定で買い取りをし、即時といいますか、保有することなく売却をしていくということでございます。

生方委員 その集めた株をETFなどで投信に仕立てて顧客に売っていくということでありますと、そういう株はもちろん市場でも十分に売買ができる株であって、この取得機構をわざわざ通さなければならない理由というのが当面見当たらないと思うんですけれども、どうして取得機構を通さなきゃいけないということになるんですか。

原口政府参考人 もちろん証券会社等も、一義的にはETF、投資信託を組成する場合においては市場で買うということが通常だと思いますが、ただ、一定の価格で、例えば市場に余り出回っていないものを相当のロットで買いたいというような場合には、個別の銀行等から買う、あるいは市場から買うよりも、機構を通して買う方がそういうときは容易に取得をできるというケースが想定できると思います。

生方委員 容易に取得ができるという根拠をもうちょっと教えていただきたいんですけれども。

原口政府参考人 これは、機構の方で各銀行の保有の状況も把握しやすいと思いますし、それから、一定のものをまとめて買うということになりますと、これはやはり市場を通しますと、その過程で価格形成等が必ずしも、ゆがみと申しますか、急騰するようなケース等も想定されるのではないかと思われます。

生方委員 もう一点確認をしておきたいんですけれども、きのうの説明でも受けたんですが、一般勘定の場合は、ここに株をストックするということはあり得ない、ここはもう本当にスルーするだけなんだという説明なんですけれども、それでよろしいんですか。

原口政府参考人 そのとおりでございます。

生方委員 そうしますと、この買い取り機構をつくること自体が、銀行株が一遍に出ていくことによって市場の価格が下がってしまうおそれがあるから、一時的にストックをすることによって株が大幅に下がることを防ぐんだという本来の役割というんですかもともとの当初のもくろみと、全然ストックしないというのであれば、その機能というのはもうなくてもいいんだというふうに解釈をしたということでよろしいんですか。

村田副大臣 一般勘定と特別勘定との役割、機能の違いということがあろうかというふうに思いますが、とはいえ、一般勘定においても保有制限というのがかかりますので、一定期間において順調に処理していく過程において一般勘定をそういう形でもって利用する、そういう役割というのはあるのではないか。

 したがいまして、特別勘定の方はセーフティーネットとしての役割を持っておりますので、一般勘定の役割と特別勘定の役割を区別して考えていかなければいけないというふうに思っております。

生方委員 先ほど、竹本議員の質問の中でも明確な答えが出なかったんですけれども、どういう場合に特別勘定を設けるのか。もちろん、そこには特別の委員会がつくられて、そこが決定をしたときということになっているんですけれども、具体的にはどういう条件になれば特別勘定を開くということになるんですか。

村田副大臣 ただいま政府参考人の方からお答えをいたしましたけれども、しばらくずっと設けない、特別勘定は設けないんじゃなくて、例えばこの法律が御承認をいただいて法律が成立いたします。そうしたときに、機構自体が、例えば来年の一月の初めからスタートするということになりますね。その後、そのしかるべき期間の間に運営委員会というものを開いて、その運営委員会が決める規程でもって、業務規程の中でどういう期間に当たって買い取りを進めるかというようなことを定めるというわけであって、機構ができても相当期間内には運営委員会は発足をしていくのではないかと私どもは考えております。

生方委員 私が聞きたいのは、運営委員会が決定することですけれども、どういう条件があれば開くのか、それとも今おっしゃったようだと、とにかくこの法律が通りさえすれば自動的に、例えば四月なら四月に開設をすることになるのか、あるいはこれこれこういう条件だから特別勘定を開くのか、どっちなんですか。

村田副大臣 まず、銀行にとりましては選択肢が三つぐらいあるわけですね、三つというか。一つは、自分で市場で売却する方法というのがありますね。それから、一般勘定を利用する場合というのがありますね。そういう、その動向を見ながら運営委員会でもってどういう期間内に、要するに特別勘定での買い取りを発足をしていったらいいのかということを相当の期間内に決めていく、市場の動向を見ながら、すなわちこれはセーフティーネットの勘定でございますので、その市場の動向を見ながら運営委員会が特別勘定についての買い取りの期間というものを定めていくのではないかと思っております。

生方委員 柳澤大臣に重ねてお伺いしたいんですけれども、今のでもよくわからないんですが、市場の動向を見ながら、では、市場がどういうふうになったら設けるというふうに、そういう条件があるのか、あるいはこれができれば自動的に何カ月か後には特別勘定を開くことにしているのか、その基本的な考え方で、どちらの考え方なんですか。

柳澤国務大臣 運営委員会でまずやるべきことは、業務規程を制定することだというふうに思います。そこで一般的な、基本的な方針、これを決めるわけでございまして、その方針の中で恐らく、いろいろかなり専門的な、市場にも通じた方が委員になりましょうから、どういうときに買ったらいいか、また実際の銀行側にもニーズが生じてくるかというようなことが想定されて、それで想定されたものがすべて取り入れられるというんじゃなくて、そういう事実についての認識のもとでこの機構の特別勘定がどう動いたらいいか、それが適切かというようなことがいわばそれぞれ検討されて、総合的に業務運営の基本方針が決まっていくんだろうと思います。そして、そういう業務運営の基本方針に該当するような状況があらわれてきたときに買い取りの決定をしていく、こういうことになろうかと思っています。

生方委員 よくわからないですね。

 自動的に何年何カ月たったらということじゃなくて、あくまでも市場の動向を見ながら判断をする、特別勘定が開かれても、そこで買うか買わないかはまた別の判断だというふうな解釈でよろしいということですね。(柳澤国務大臣「はい」と呼ぶ)

 それで、特別勘定の方で買う株の条件ですね。これはBBBマイナス以上の格付がある株というふうに規定をされておりますが、これはどういう根拠でその規定を設けたのでございましょうか。

村田副大臣 やはり、機構が特別勘定で銀行から株式を買うというケースでも、国民負担をできるだけ少なくする、こういう観点から今いろいろな条件がつけてありまして、店頭市場以上のものとかトリプルBマイナス以上の株式とか、そういう条件がつけてあるわけでございます。ひとえに国民負担の最小化というのがその目的であります。

 そういう場合において、原則的に投資適格以上のものということで、もちろんその格付自体は社債を発行する事業会社が取得する、こういうものでございますけれども、しかしながら、投資適格以上の格付を持った事業会社の株式を買う、こういうことに決めたわけでございます。

生方委員 格付会社は内外幾つかもちろんございますよね。格付会社によって格付も違ってまいりますよね。その場合は、どこの格付を選択するということになるんですか。

原口政府参考人 今副大臣から御答弁申し上げたように、投資適格の格付を有する企業の株式ということを原則といたしておりますが、どの格付機関の格付を利用するか、あるいはその利用の仕方等につきましては、証券取引法の関連法令の例等も参考にしながら今後検討していきたいと考えております。

生方委員 具体的に、アメリカの格付会社と日本の格付会社ありますよね。格付の格が違っていたという場合、低い方をとるのか高い方をとるのかとか間をとるのかとか、何かしらの目安があると思うんですけれども、それとか、銀行の方でこの格付会社の格付を利用してくれというような要望があるのか、あるいはこの格付会社を一番メーンにしてとるんだとか、その辺は何か決めてあるんですか、全く決まっていないんですか。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

原口政府参考人 そういう区々いろいろなケースがあり得ると思いますが、その点についてはまた業務規程の段階で詰めていきたいというふうに考えております。

生方委員 これは、基本的に銀行が株を持ち過ぎているということが原因であって、その株をとにかく市場に放出をさせなければいかぬ、一遍に出れば株価が急に下がってしまうかもしれないから、一応ワンクッション置こうじゃないかというのがもともとの趣旨ですね。でも、もうちょっとその前には、銀行の不良債権そのものを何とか処理しなきゃいけないという一番大きな目的がございますよね。

 常識的に考えますと、格付で縛られて、その前に、優良株と目されるものは一般勘定を通して売買される、あるいは直接市場で売買されるということになると、銀行に残るのは結局くず株ばかりになってしまって、かえって銀行の資産内容を非常に悪化させることになって、それは信用不安にかえってつながってしまうんじゃないかと私は素人考えで思うんですけれども、そういう心配というのはないんですか。いかがでございますか。

村田副大臣 銀行が株式を相当程度保有していることによる、株式の価格の下落によるリスクを回避していくというか解消していくという目的でこういう機構が設けられるわけであります。

 その中で、銀行が、これから保有制限に従って株式を市場なりあるいはほかの方法、この機構を利用する場合も含めて処分をしていくものと思いますけれども、これは、今まで持っていた株をどういうふうに銀行がその制限の中で今後も持ち続けるかというのは、銀行自体がポートフォリオを見直してやっていくわけでありまして、売れる株だけ売って手元に悪い株だけ残ったということには銀行の行動として恐らくならないのではないか、こういうふうに思います。

生方委員 柳澤大臣にお伺いしたいんですけれども、常識的に考えて、売れる株は売ると。具体的な名前を出すのはあれですけれども、額面を割れちゃっている株券とか、銀行が株を手放しちゃえば倒産するような株というのは当然買う人がいないわけですよね。ということは、常識的に考えれば、銀行の手元に残る株というのは、売っちゃった株よりも悪い株が残るというふうに常識的には判断できるはずなんですよね。

 そうしますと、銀行の健全化という意味では、悪い株だけ手元に残っていい株だけ売っちゃったということでは、資産内容はよくはならないで、株の比率は下がったとしても、悪い株の比率がふえてしまうのではそのリスクはもっと大きくなるんだというふうに私は素人考えで考えるんですけれども、そうではないんですか。

柳澤国務大臣 まず、第一勘定のものはコーディネーターみたいな形で、恐らくこれは運営委員会のバックアップをされた信託の人たちかそういうしかるべき人がその組成に入るんだろうと思うんですね。これはこれでいいと。

 それから特別勘定の方はどうかといえば、これは運営委員会が業務規程で決めるわけですが、基本は、ハイリスク・ハイリターンの行動はとらないわけで、そんな必要もないわけですね。むしろ、ローリスクそれからローリターンというか、そういうような話でいいということになろうかと思うんです。

 そういう中で、先ほど生方委員が、じゃ、格付が違ったところはどうするかというあたりが非常に微妙なところだと正直言って私は思います。そこはもう、運営委員会に集まる専門家の人たちが専門的な見地でやはり判断して、行政の側もそれを認可していくというか、そういうことだろうと思うのでございます。

 ですから、そこのところは余りリジッドに、両方とももう、片っ方は日経の二二五に組み入れられるような株だ、それから片っ方はもう絶対に値上がりする株だろう、そういうふうにはお考えにならずにこれは運用しないといけないというふうに思うのです。

 しかし、ハイリスクの投機的なものはこれはもうとらない、基本的に何社がというような話はちょっとおくとしても、とらないというのが基本方針になるべきだというのが我々の考え方なんですが、その場合に、じゃ、額面割れのものだけというふうには考える必要はないと思うんですが、そういうものも含んだ形であるいは残るケースもあり得るかと思うわけですけれども、それはそれで私は、何と申しますか時価評価でございますから、それはだから銀行の健全性にとってどうこうということはないだろうと思います。その上に、我々がこの問題を考えるときには、実はバーゼルのリスクウエートの話がそこにかぶってくるという予想のもとでやっているわけです。

 そういうことを考えたときに、さっき私は、とりあえずそれはそれでいいじゃないか、こういう言い方をしたんですが、バーゼルのリスクウエートがかかってくると、なかなかそれはそれでいいじゃないかと言えないことになるから、銀行としてはやむを得ず市場で売却するという行動に多分出ることになるだろう、このように思っているわけであります。

生方委員 よく話はわかるんですけれども、やはり本当は、いわゆる市場でも買えないようなくず株を買っちゃわないと本当の不良債権の処理というのにはならないわけで、やはり拠出金をもっと積み増すなどしてそこも買うようにしないと、どうしても私は不良債権の処理というのには余り寄与しなく――まあ、銀行は銀行でもちろん、当然BIS規制があるわけですから、自分たちの中で処理しようと努力はするでしょうけれども、努力をしてきた結果、いまだにまだ不良債権は処理できないわけですから、そこへ行政が介入して、強制的にある程度株を放出させようということをやるわけですから、せっかくやるのであれば、不良債権の処理に資するように、やはり私は、トリプルBマイナスというような条件をつけないとこれは困るのかもしれないんですけれども、そこをもうちょっと何とかしないと、せっかく機構はつくったはいいけれども、余りまた機能しないということになってしまう危険性がありはしないかということを考えておるんですけれども、これはいかがでございましょうか。

柳澤国務大臣 生方委員のおっしゃることもわからないではないというか、理解できる面ももちろんあるわけですけれども、さればといって、額面割れが紙っぺらになると私は言うわけじゃないですよ。しかし、そんなにリスク、いわば投機的な株にこの機構を使っていくということは、ちょっと議論が混同だと思います。

 これはあくまでも、株式保有を制限し、そしてそれに適合するような状況を一定年限までにつくり出すということが目的ですから、別に不良資産を処理してやるということでは実はないわけで、価格変動の激しいリスキーな資産を圧縮するということではあるんですが、不良資産を何か手助けしてやろうというような考え方とはちょっと違うということで整理していただけたらと思うのでございます。

生方委員 それはもちろん別問題だというのはわかっていますけれども、目的はやはり不良債権を何とかしなきゃいかぬということで、その一環としてこれも立てられているわけですから、せっかくそういうスキームをつくったわけですから、やはり、いや私はそうやれという意味じゃなくて、そういうことをしないと、結局、悪いものだけ残ってしまって銀行の資産内容を悪化させてしまって、不良債権の処理にもっと悪影響が出てしまう危険性もあるんじゃないか、どうせやるのであればというような意味で今申し上げているんです。

 もう一つ、株を買うときに、政府の保証枠、とりあえず二兆円をつけるということで、当面という文字が入っていますね。銀行の自己資本枠以上の株というのは、これは株価が下がっていますからよくわかりませんけれども、大体十兆円程度はあるというふうになりますと、仮に、全部がもちろんはければいいんですけれども、二兆円以上に政府保証枠が拡大する可能性というのもあるというふうに解釈してよろしいんですか。

柳澤国務大臣 これは、期限までの、つまり保有制限というものに適合しなければならないと定められた時期までの、いろいろ変動はあるでしょうけれども、株式市場の状況にもよるんだろうと思います。

 したがって、なかなか我々として、株式市場について予測を立てろということを言われるということはやはり少し厳し過ぎることなので、私どもとしては、いろいろな条件をそろえてこういう機構をセーフティーネットとしてつくるわけだけれども、セーフティーネットだから使われないのが一番いいわけです、状況としては。しかし、まさかのことのためにはやはりつくっておかなきゃいけない、こう考えているわけですが、株式市場の状況いかんによっては、非常にもう取引なんかが薄くなってきて、それでそこに、保有制限に適合するために売らなくちゃならないというようなことになったら、それをオーバーするというようなケースもまんざら考えられないわけではないものですから、やや弾力的な規定を置かせていただいた、こういうことで御理解賜ればと思います。

生方委員 私も、新聞を読んでいて、二兆円だというふうにばかり解釈をしていて、きのう説明を聞いたら、それは当面であって、二兆円以上になることもあり得るんだという話を聞いたもので、そうすると、国民負担が、仮に最悪の場合、二兆円以上になることもあり得るんだということはやはり事前に国民の皆さん方にも説明をしておいた方がいいのではないかなという意味で質問をさせていただいたわけであります。

 時間が参りましたので、これで終わります。

佐藤(剛)委員長代理 次に、河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 まず、機構ですけれども、これにつきましてちょっと柳澤大臣にお伺いしたいわけです。

 これが損をしたとき、要は、かなり経済学の基本のところでございますけれども、需要供給曲線というのがありますね、昔やりました。需要曲線というのを見ますと、こういうふうに右下がりになっておりますけれども、要するに、値段が下がると買い、値段が上がると余り買わない。これは何でかといいますと、やはりそれは自分で損害をかぶるからなんですよね、資本主義社会というのは。自分が損をこくから、自分で責任をとらないかぬから、安いものは買うけれども高いものは買わないということです。

 そういう認識からして、こういうことはマーケットの本当の基本的なところをむちゃくちゃにしますので、やってはいかぬということを若干立証するために、ちょっと大臣に、機構が損したときにどういう責任をとるか。五十四条で末松氏が聞きまして、役員を解任するとかそういう話で、そういういわゆる故意過失がある場合じゃなくて、何にもいわゆる故意過失はなくて、ただ持っておる株が紙切れになってしまった、損してしまった。これは、だれがどういうふうに責任をとるんですか。

柳澤国務大臣 例えば、不公正なことをやったとか、法令に反することをやったといえば、それはそれで、そういう構成要件に該当すればそこにまた処罰なり刑罰なりというのが当てはめられる、これは当然なんですが、それは全くない、ただひたすら善良なる管理者の注意義務を完璧に払ってやったけれども経済的な損失が出た、これはそういう意味の行為責任というものはとらない、だれもとり得ない、こう思います。

 それで、あとは経済的な損失をどう埋めるかという問題に帰着するというふうに言ってよろしいかと思います。

河村(た)委員 その経済的な損失をだれが、責任といいますか、かぶるか、それをお伺いしておるんです。

柳澤国務大臣 先ほど、谷口委員でしたかの御質問にも答えたんですが、我々は、機構としてのプラマイ・ゼロというのは、いただいたというか、拠出金も使ってしまって、つまり、それを損失の穴埋めに使ってしまったという状況を損益の分岐点、こういうふうに考えて議論をしているわけであります。

 したがって、まずそこを分岐点にしてどのぐらい損が出るかということによって、まず第一には売却時拠出金に負担をしてもらう、その次には当初拠出金に負担してもらう、それを上回るような損失であれば、それは保証債務を履行していただくという形で国庫の負担になる、つまり国民の負担になる、こういうことでございます。

河村(た)委員 そうすると、普通の会社の場合は、株式を買いまして、たまに新聞に出ますよね、失敗した場合、これはだれが責任をとるといいますと、いろいろなパターンがありますけれども、一般的に言えば、中小企業なんかですと個人保証していますので、経営者が私財をなげうってパアになる、こういうことですね。だから、そういう危険性があるから、危ない、ちょっとその株についていろいろマーケットで判断する、これがマーケットの原動力ですよね。

 そうすると、今言われたように、全部八%も出して、それから拠出金もなしになった、あとは税金ということで、個人とか関係者は全然責任というのは、そういう場合は損失はないんですね、結局。全部人の金でできるということですね、要は。そうですか。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 これは別段、その他の人、今私が挙げたような方で出資をしている方もないし、また債権を有している方もないということですから、今河村委員がおっしゃったように、普通の会社の場合にはまず株主が責任を負う、それから債権者が責任を負う、それから保証をしていれば保証債務者にもかかっていく、こういうことですけれども、この場合にはそれと全くイコールの該当者はいない、こういうことですから、責任を持っていく先がない、こういう仕組みであります。

河村(た)委員 そんなことで適正な経営判断というのがまずできるんですか。自由主義において、自分の責任で、お金で、それは株主でもいいですけれども、債権者がおればそれはそれなりに債権者がまた判断しますから、そういうメカニックの上に需要曲線で成り立っておるので、ああ、私は知りません、人の金ですと、そんな社長が、これはまず、普通法人というか認可法人のようですけれども、一応課税関係を発生するようですが、これは真っ当な判断というか、株式マーケットの基本的な、大変な失敗じゃないですか、こういうことをやるのは。

柳澤国務大臣 これは、株式保有制限という形で公的ないわば規制が行われるわけでございまして、それをどうやって円滑に実現するか、全体としてどうやってそれを円滑に実施するかということの一環で出てきた、公益的というか、そういう制度、仕組みでございまして、全く私的な市場のメンバーということでは初めからないというふうな位置づけです。

河村(た)委員 要するに、言いたいことは、責任をとれぬ人がこういう経済的なものに介入するのはやめなさいということですよ。やはり、それは経済学の大前提をめちゃくちゃにしますよ。需要曲線が書けないじゃないですか、株の。あれは何でかといったら、おれが損するから安いのを買うんだよと。それは当然の前提ですよ。だから景気がよくならないんですよ。こんなむちゃくちゃなことをやっているから、社会主義者になっちまったから。ということで、これはイデオロギーになりますからこの辺にしておきまして。

 それから、この取得機構というのは、当然、課税関係は生じますね。利益が出たら、これは税金払わないかぬですね、大臣、法人税。

柳澤国務大臣 これは、収益が出たらというのは、恐らく、売買ということですから、公益法人における収益事業に当たるということで、そういう位置づけでの課税が行われるということでございます。

河村(た)委員 公益法人じゃないでしょう、もともとこれは。特殊な、特殊といいますか、これは認可法人ですよね。全然違いますよ。

 これは、今、損失の繰り延べの規定もありますけれども、調査室のパンフレットの二十五ページに、機構によって生じた欠損金額において、それを繰り延べできるとか、法人税の還付を請求できるとかありますから、当然これは――こんなことやるのもわからないの。ちょっととめてください、こんなのめちゃくちゃですよ。法人の課税関係わからずに法人法つくってどうするのよ。

柳澤国務大臣 ちょっと訂正をさせていただきます。

 大変恐縮ですが、これは、先ほどちょっと私、公益法人の収益課税というふうな言い方をいたしましたが、これは本当に大変恐縮ですが誤りで、普通法人として通常の法人税その他の課税対象になるということでございます。

河村(た)委員 お願いしますよ。だから、人の金だからこんなことを言っておれるんですよ、これは。冗談じゃない。自分たちの金でつくるなら、自分がどういう法人税を払うなんて、だれでもわかっているじゃないですか。経済学の原則であるじゃないですか、人の金より自分の金の方がいいと。これはある非常に有名な原理なんだけれども。全然なっとらんですよ。まあいいわ、もっとこれから大事なところをやらないかぬからね。

 要するに、通常の課税関係が生ずる。となりますと、これは大法人になりますから、東京国税局調査部、ここの管轄になりますね。――こんなこともわからぬのかよ。

原口政府参考人 管轄はちょっと私の方の担当ではございませんが、恐らく、設置場所から見て東京国税局の管轄になると思います。

河村(た)委員 だから、本当に、自分の金でないとこういうばかなことが起きるんですよ。自分で会社をつくってみなさいよ。こんなことすぐ答えますよ、だれだって。法人税がどうなるかとか、どこの管轄になるかとか。本当にばからしい、これは。こんなことをやっておるから、まあまあ、ええけれどもね、なかなか本当に日本経済はうまくいかないということでございます。

 それで、要するに、これは東京国税局の調査部所管になるわけだ、はっきり言いまして。私がずっとかねがねこの問題を追及しておりますけれども、いわゆる調査部の調査とかそういうものが、税の公正が非常に疑われている、そういうところの管轄に入るわけですよ、これは。

 だから、何遍も言いますけれども、例の、国税庁が、OBが天下りをしたり、それからどうも一千万の高額納税者の枠を故意に外れておる人が多いんじゃないかとか、それからこの間の税理士の話ですよ。納税者権利憲章をつくろうと思ったら、皆さんが圧力をかけて没にしてしまった。こういうことについてきちっとしていかないといかぬということですよ。

 自分で社長になってみいや。自分を調べられておる人がしっかりしておるかどうか、一番大事だよ、そんなの。人の金だから、自民党もそんなことはどうのこうの言っておるじゃないか、これは。そういうことなんです。それで、それについてお伺いします。

 だから、例えばこういう機構でも、こんなことはまさかやらぬだろうけれども、そこの税理士にどうかとか、そういう話が来るかもわからぬ。これは十年で終わりですけれども。

 だから、そういうことを考えた場合に、どういうふうにして国税庁のOBの方が、要するに指定官職でやめられたら企業の税理士になっていくのかという実態を把握してくれと言いましたら、答弁で、極力努力して次の国会中までにやると。この間は、夏休みまで返上しておるとか、これは訂正されましたから言いませんが、そう言っておりますけれども、何か物すごい時間がかかるように言っておりますが、台帳というのはありますか。国税のOBの方が、全国で大体三百人余りですよね、二年でやめられて次のところへあっせんを受けるのは。この方の台帳というのが当然ありますよね。税務署か、国税庁か、局か知りませんけれども。台帳、リスト。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、三百人という数字が出ましたけれども、毎年退職いたします者のうちであっせんした全国の数であろうかと存じますけれども、三百人についての数は、その内容がどういう人かというのは把握しております。

 それで、先生おっしゃった台帳というのは、イメージがちょっとわからないのですけれども、そういっただれが退職したかというのは人事記録として保有しております。

河村(た)委員 そこには、どういう企業にあっせんをして、幾ら大体あっせん顧問料があるか、当然ありますね、そういう資料は。

福田政府参考人 今御質問ございました退職職員に対します税理士の顧問先のあっせんは各国税局において行っておりまして、私ども国税庁として各国税局ごとの件数、金額について把握しておりませんので、実態どうなっているかというのは即答しかねますけれども、少なくとも言えますことは、ことしやめた方について申し上げますと、どういうところにあっせんを現にしたのか、それがどうなっているかというところは各国税局において保有しているというふうに承知しております。

河村(た)委員 これ、海江田さん、悪いけれども、こんなのむちゃくちゃですよ。

 あなたは何の権限でまずあっせんしているの。人事に関する事項といって、条文上の権限に基づいてやっているんでしょう。と言われました。とんでもないことだけれども、それも。そんなことが、自分の税理士がどういう人で、これからどこへあっせんしたなんというリストがあるかどうかわからないなんて、もうやめてもらおうじゃないか。ばからしい。本当に税金を払う資格ないよ、こんなの。当たり前だよ、こんなこと。三百人だよ、三百人。そのリストが当然あって、どこどこにあっせんして、顧問料幾ら、当たり前じゃないか、そんなこと。うそを言うなよ、うそを。こんなもの、冗談じゃないですよ。

福田政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、各国税局においてあっせん件数、金額について把握しているものと認識しております。

河村(た)委員 またちょっと変わりましたけれどもね。

 だから、数年、前のやつもあるわけね、はっきり言いますけれども、ずっと過去のものも全部。

福田政府参考人 そのときに、当該やめられたときにどこにあっせんするかというのは、ある程度さかのぼって、それは記録として残っていればわかるというふうに考えております。

河村(た)委員 残っていればじゃないですよ、これは務めだよ、あなたのところ、人事に関する事項ということだったら。これは法律上の義務ですよ、あなたたちがそれを言うんだったら、人事に関する事項だということで。これ、どうするんだね、こんなことで。都合悪いもの、あるに決まっているんですよ。

 だから、何が言いたいかといったら、そんなの調査したらすぐ出るということですよ、見れば。どういうところへ行っているか、それから先がた言った高額所得者の問題も全部すっとわかるんです、すっと。

 これ、大臣、聞いてどう思われますか、こんなの。

塩川国務大臣 この委員会で河村さんが御質問に立たれるときはいつでもこの問題がなっておりまして、ライフワークだとおっしゃっていまして……(河村(た)委員「私はこれがライフワークなんかじゃないですよ。まじめにやればやめるんだよ。やらぬ限りやりますよ、そんなの。何言っているんですか」と呼ぶ)私はその点で、どういうことかと。

 しかし、その名簿を出せということは、実は国税庁といたしましても……(河村(た)委員「出せと言っているんじゃない」と呼ぶ)非常に微妙なところもございますしいたしますので、またこの委員会において審議される前に理事会でこの扱い方を協議していただきまして、理事会でお決めになったとおり我々の方もいたしますので、まずは、委員会で大っぴらにこれを議論していくということもなかなか難しい問題もございますし……(河村(た)委員「何を言っておる」と呼ぶ)いや、これは確かにありますよ。(河村(た)委員「何があるんですか」と呼ぶ)

 ですから、個々の問題に入っていくことになった場合、これはやはり問題のあるところもございますから、ですから、これは一回理事会で諮っていただいてきちっとここを処理しないと、毎回毎回この問題が出てまいりまして、答弁が同じようなことを繰り返しておるようなことで申しわけないと思うておるのです。だから、そのことを解消するためにも、理事会でどう扱ったらいいかということをきちっとやっていただいたら、私、そこ、そのとおりいたします。

河村(た)委員 理事会、理事会と言いますけれども、私は、これは一応国会議員として、一応ではありませんけれども、ちゃんと有権者から河村たかしという名前を書いていただいて、私が選ばれているんですよ。理事会は検閲機関じゃないんだよ、理事会は。私に答えてくださいよ、私に。私は、国民の税金をもらって、今こうやってしゃべっているんだよ。何が理事会なんだ、一体。こんな簡単なこと、すぐわかるじゃないか、まず。大臣、本当にあれですよ、税をどうやって取っていくかということは、機構の話も、こういうもの全部前提になっているんですよ、これも。

 それで、では、もう次のところに行きますと、例の税理士監理官という方がお見えになって、この間次長に聞きまして、そこで、私が把握しております資料によりますと、それとそれからおたくの次長の答弁と違うということで、次長は答弁で、今の御指摘で不十分であったというのを反省いたしまして、次回までにきっちり調べまして、改めて中身についての御報告をさせていただきたいというふうに答弁されましたので、報告してください。

福田政府参考人 私どもといたしましては、先日の委員会における委員の御指摘等も踏まえまして、当時の税理士監理官から話を聞くなど事実関係の調査を行っているところでございますので、御理解賜りたいと存じます。

河村(た)委員 中身を報告してくださいよ。どうだったんですか、それ。何時間かかっているんだよ、あなた。

 それでは、いつ電話しましたか、前回の私の質問以降。

山口委員長 この件につきまして、理事会で今協議中でありますので……(河村(た)委員「だめ、だめだよ、こんなもの」と呼ぶ)いやいや、ここら辺を踏まえて御質問していただきたいと思います。(河村(た)委員「だめですよ、そんなの、委員長」と呼ぶ)

河村(た)委員 関係ありません、悪いけれども。彼は私に答弁をすると言っておって、理事会で協議することになったのは、文書で報告するか、それか口頭でいいかと。私は文書で求めたところ、理事会でといって山口さんが言われたからそうなっただけですよ。委員長がそんなことを言っておってどうするんですか。きちっと答弁しろと言わないかぬじゃないですか。何のためにおれは出てきているんだ、ここに。できぬよ、こんなことだったら、本当に。こんなばかなことがあるか。答弁すると言っておって、なぜ理事会がおれの発言をそんなことで遮る権限があるんだよ。

山口委員長 前回、河村委員の方から理事会の方でやってくれみたいなことがありましたので、文章とか口頭のみならず、その件について今理事会で協議をしておりますので……(河村(た)委員「そんなことだめですよ、委員長」と呼ぶ)

河村(た)委員 そんな勝手に……(発言する者あり)何を言っているんだよ。文章かどうかについて言っただけであって、ちゃんと言っていますよ、答弁してくれといって……(発言する者あり)理事会じゃないんですよ。おれは何なんだ、それでは。理事会で何を決めるんだよ、おれに。(発言する者あり)何を言っているんだ。冗談じゃない。おれは、ここに出てきて答弁を求める権利があるんだよ。冗談じゃないよ、そんなもの。(発言する者あり)何だ、文書かどうかだけなんだよ。冗談じゃないよ、そんなもの。いいかげんにしておけよ、そんなもの。質問できぬ。これはストップだよ、そんなもの。(発言する者あり)当然ですよ、そんなもの。

山口委員長 質問を続行していただきたいのですが、先ほども申し上げましたように、理事会でこの件については協議中です。(河村(た)委員「何を協議しているんだよ」と呼ぶ)同時に、国税庁としても次長の方で調査を進めておるということでありますので、そこら辺について次長の方から答弁を。福田次長。

福田政府参考人 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、先日の委員会における委員の御指摘等も踏まえまして、当時の税理士監理官から話を聞くなど事実関係の調査を行っているところでございますので、御理解賜りたいと存じます。

河村(た)委員 何日たったんですか、これ、一体。いつだったね、前回。二週間。国税監理官というのは何人おるんですか。東京国税庁、この当時の国税監理官、何人おりますか。

福田政府参考人 東京国税局の税理士監理官は、一人でございます。

河村(た)委員 一人にこの話がどうであったかを聞くのに、何分かかるんですか。

福田政府参考人 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、先日の委員会における委員の御指摘等も踏まえまして、当時の税理士監理官から話を聞くなど、事実関係の調査を行っているところでございますので、御理解賜りたいと存じます。

河村(た)委員 その方と会われたんですかね、その方と。

福田政府参考人 まことに恐縮でございますけれども、委員の御指摘等も踏まえまして、当時の税理士監理官から話を聞くなど、事実関係の調査を行っているところでございます。

河村(た)委員 会われたかと聞いておるし、もっと忠実にやってくださいよ、これ。何を守っているんですか、皆さん、まず。なぜこんなことをはっきり言えないんだよ。これ、ちょっと私ばからしくて質問する気にならぬからやめるわ、本当に。恥ずかしいよ、私、国会議員として、こんなの。

 すぐわかるはずだし、とんでもない話だよ、こんなの。全く国会無視であり、国会議員、何のためにやっておるかわからない、悪いけれども。もうやめます。退席だ。――それじゃ、千歩も譲るんですが、いつまでに報告するかとか、本当に冗談じゃないぞ、言っておくけれども。おれは理事会のしもべじゃないんだよ。それぞれ個人が権限を持っているんだよ、国会議員というのは。権限というより義務だよ、これ。(発言する者あり)あんたに言っておるじゃないか、理事会でどうだこうだ言って。何を言っているんだよ。国会がこんなことでストップしてどうするんだ。何を守っているんだよ、何を。税務署の職務が適正かどうか、みんな全員挙げて一刻も早く求めて当然じゃないか、これ。(発言する者あり)

山口委員長 静粛にお願いします。

河村(た)委員 何がまじめになんて言っているんだ、これ。何日かかっているんだよ、何日。これじゃ委員長、これ、どう……(発言する者あり)理事会、理事会言われたって、私は、悪いけれども、理事会には委員の発言を制限する権限なんてないよ、言っておきますが。そうでしょう委員長、どうだこれ、まず。

山口委員長 当たり前の話です。別に制限しているわけじゃなくて、前回そういうふうなことがあったので、それを受けて理事会で協議をしてくれというので、協議をしております。

 ですから、この件につきましては、協議中ではありますけれども、当然質問者の意思もあるので、国税庁としても早急にこれ調査をして、早くに、可及的速やかに理事会の方にも報告をしていただきたいということでお願いいたします。

河村(た)委員 何で理事会になるのよ、これ。委員長、なぜ理事会になるんだよ、そんなの。おる場所で、公開の場所で出してくれよ、国民の前で。(発言する者あり)理事って、関係ないよ。別に理事会は……

山口委員長 その件につきましても……(発言する者あり)御静粛に、御静粛にお願いいたします。(河村(た)委員「こんなことだめだ、理事会はそんなものじゃないよ。とんでもないよ、そんなものは。何を言っているんだ。軍隊じゃないんだぞ」と呼ぶ)河村委員、当委員会に報告をということです。(発言する者あり)両方御静粛に。

河村(た)委員 委員会に、じゃ、いつまでにか言ってくださいよ。次長は、次回までにとはっきり答弁しているんだよ、次回までに。じゃ、次回の委員会の、なぜ僕が言っているかといったら、監理官一人ですよ、言っておきますけれども。一人だよ、当時の監理官。

 私は、前の質問のときに、ちゃんと次長に、そうでしょう、こうなるから、監理官に必ず会うなり、会うとは言わなかったけれどもアクセスして、必ず本人に聞いてくださいよと言っているんですよ、私。私は突然に質問なんか一切しておりませんよ、悪いけれども。なるべく委員会の審議が国民に充実するようにという気持ちで言っていますよ。

 ただ、今回不本意なのは、あしたこういう質問をすると言っても、一切答えられないという返事だったよ、これ。こちらだけ質問通告しておいて。これはもうむちゃくちゃだよ。(発言する者あり)

山口委員長 静粛に。

河村(た)委員 じゃ、いつまでにやるんですか、これ。じゃ、次回委員会だと言ってくださいよ、命じてくださいよ。

村上副大臣 河村委員の憤り、わからぬでもありませんけれども、現在、理事会において対応を協議されている資料要求等に係る事項でありまして、理事会において対応が決定され次第、それに従って適切に対応させていただきますので、御理解いただきたいと思います。

河村(た)委員 委員長、やはりこれ、質問、退席にするわ、とりあえず。理事会でそんなことを、いつまでに報告するか一々決めて――答えているんだから、彼は僕に。そんなの、別にいいじゃないか、次の委員会までに出してくれよとなぜ言えないんですよ、自民党も。(発言する者あり)軽べつじゃないよ、そんなもの。国会議員の義務の方が重要だよ、これは。(発言する者あり)

山口委員長 御静粛に願います。

河村(た)委員 そうだろう、だから求めればいいじゃないか。(発言する者あり)

山口委員長 静粛に、静粛に。

河村(た)委員 冗談じゃないよ、これ。

 まあとにかく私、最後まで質問しないといけませんけれども、こんな、僕の国会議員の職務として、まことにこれは耐えがたい。(発言する者あり)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━おれだけじゃないじゃないか。みんなやっているのに、みんな。(発言する者あり)

山口委員長 静粛に願います。静粛に。

河村(た)委員 ━━━━━━━━━━━━━

山口委員長 静粛に、静粛に。

河村(た)委員 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 じゃ、一応退席いたします。

山口委員長 午後一時から委員会を再開することといたしまして、この際、休憩をいたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時六分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、申し上げます。

 先ほどの河村委員の発言中、不穏当な言辞があれば、速記録を調査の上、委員長において適当に措置をいたします。

 質疑を続行いたします。五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 最初に、柳澤大臣にお尋ねをいたしますが、ウィリアム・シードマンという方を御存じだと思いますが、お会いになったことがあるのか、それから、どういう評価を大臣としてされているか、シードマンさんをどう見ているかということをお伺いしたいと思います。アメリカ連邦預金保険公社FDICの元総裁であり、アメリカの整理信託公社RTCの元総裁を兼務されていた方というふうに思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 ウィリアム・シードマンさんとは、金融再生委員長、つまり私のこの前の任期中に二度、それから今回、私この職につくよう命じられて以後一度、都合三度お会いをいたしておりまして、その間、いろいろシードマンさんの御経験等についてお話を聞く機会を得ましたこと、私としても大変ありがたいお話であった、このように存じます。

 評価はどうかということについては、何と申しますか、大変経験を持たれた、しかもそれは、私ども、今、日本が直面している問題と同じように、未曾有の問題について取り組まれたということで、この経験が非常に貴重であるということからして、そのお話というのは私どもとして尊重をして聞かなければならないお立場の方だ、このように考えております。

五十嵐委員 そのとおりだと思います。私も大変尊敬をしている方なんですが、私も、実は九月の二十六日に、シードマンさん及びその元スタッフのロバート・ダガーさんとデビッド・クックさんという方とお目にかかりました。そのときに、実はこの金融庁が今回お出しになった株式買い取り機構のあらあらのスキームを聞いていましたから、それを御説明したわけですけれども、シードマンさんの反応は、テリブル・アイデアだ、恐ろしい考えだということを言われました。つまり、市場原理に沿わない、これをゆがめるというおそれのある、大変問題のあるスキームであるという評価だったわけであります。

 私は、このシードマンさんに限らず、海外の評価は恐らくそうなんだろうと思いますし、国内でも、いわゆる市場原理を最大限生かすべきだという本来の柳澤さんのお立場はこういうことに反対だったと思うのですが、こういう海外の評価、国内のそうした立場の方々の評価、あるいはマスコミの評価に対して、どのようにお考えになりますでしょうか。

柳澤国務大臣 シードマンさんに五十嵐委員がどこまでお話しをしていただいた上でのシードマンさんの反応かということについて、若干いぶかるような気持ちもなきにしもあらずでございますけれども、海外の人たちの評価、私どももすべてこれを承知しているというわけでは当然ないわけですけれども、報道等で見かけるところでは、それなりの積極的な評価をしておられる向きもあるということでございます。

 そういうことを含めて、内外の市場原理を大事にする人たちは厳しい評価をしているはずではないか、そういうことをどう考えるか、こういうお話でございます。

 私も、いろいろな難しい問題、特に経済問題ですけれども、そういう問題を解決するというのは、なかなか官の力というか、官がいろいろ頭で考えたそういうスキームで処理するよりも、やはり市場の仕組みというものを利用して解決することの方がいい場合が多い、そういう基本的な考え方を持っております。

 したがって、今度のこの株式の保有制限と取得機構の問題についても、できる限りそういう立場から、市場への歪曲の影響というものを少なくする、小さくするという考え方で提案をさせていただいているつもりでございます。

五十嵐委員 しかし私は、市場の評価は厳しいし、金融庁自体に対する国際的な評価は大変厳しいものがあるというふうに思っております。

 この問題についても、株式の保有を制限するということについては、私はいいと思うのですよ。それは海外でも評価されるだろうと思います。しかし、だからといって、その代償措置で、国がお金を出した、出資したところで買わせるというのは、これはやはりおかしいというのが当たり前だと思うのですね。

 株式を制限するというのは確かに制限なんですが、この制限は、その制限を受ける金融機関にとっては単に嫌なことではなくて、制限を受ける方にとっても、株式の暴落リスクに備えるということですから当然メリットのあることでもあるわけですよ。単に、規制を受けるからその代償措置として恩恵を受けるという関係ではないということを考えるべきですし、それから、この間からのこの委員会での質疑を聞いていて大変おかしいなと思うことは、金融機関もおばかさんではないわけですから、自分が損をするような売り方はしないわけですよ。同一銘柄をどっと同じ日に売りに出して、市場で出したときに暴落が起きるような売り方はしないはずでありますから、そんなに激変緩和措置が必要なことがたくさん起きるとは思えない。

 そういう意味からいっても、この皆さんのおっしゃるセーフティーネットというのは非常に甘過ぎると思いますし、大体、セーフティーネットという考え方に合わないことだろうと思います。

 グリーンスパン、連邦準備制度委員会の議長ですけれども、グリーンスパンさんが言うセーフティーネットというのは、やはりこれはあくまでも預金者保護、そして金融システムを守るためのセーフティーネットであって、そのセーフティーネットに寄りかかり過ぎてリスクをとり過ぎる、これが実は金融機関にとってのいわばモラルハザードだというようなことをたびたびグリーンスパンさんは言っているわけですけれども、そういう意味でのセーフティーネットとはこれは意味が違う。何のためのセーフティーネットかというところでやはり問い直さなきゃいけないと思うのです。

 そういう意味でも、この皆さんがおっしゃる、制限をかけるのだからこれはいいことなんだから、それで何か起きたらまずいので、セーフティーネットだ、代償措置だ、あるいは激変緩和措置だというのは、どうも論理構成に無理というか飛躍があるというふうに思いますが、もう一度お考えを伺います。

柳澤国務大臣 保有制限については委員も御賛同いただいておるわけでございますけれども、これを本当に期限どおりに実現するということでないと、若干の例外はこれから考えるわけですけれども、制度としてこれは成り立ち得ません。そういうようなことから、ある意味で売却を、個別的に指示するわけじゃないのですけれども、総量としては強制をするというか義務づけるということでございます。

 どういう売り方というか、あるいは、市場の状況というようなものの結果それが実現されるか、正直言ってわからない面もこれは否定できません。そういうようなときに、どなたか委員がおっしゃられたわけですけれども、株式の価格というのは、中長期的にはもう本当に将来の収益見通しの現在価値への還元の値段で決まるはずだということではあるけれども、ごく短期的には、やはり市場の需給で決まる側面も否定できない。これはみんな共通の認識だと思いますけれども、そういう、一時的にせよ需給にひずみが起こるということを何とか防げないかということで、まさにまさかのためのセーフティーネットとして、今回のこの買い取り機構というものを準備させていただきたいということを御提案申し上げているわけでございます。

 確かに、金融機関の健全性というものの、そのものずばりのセーフティーネットでないことはそのとおりでございますけれども、今度新しく決めた株式保有制限というものを円滑に実現するためのセーフティーネットという意味合いでございますので、そういうものとして御理解を賜れればと思うのでございます。

五十嵐委員 今お認めになりましたように、そのずばりのセーフティーネットではないし、円滑にするためのというのは、セーフティーネットとは言わないです、それは。それは意味が違うと思いますね。

 それから、金融機関は本来リスクをとるものであって、そのリスクを遮断することは、これはセーフティーネットとは言わないと私は思うわけであります。預金者保護にも金融システムの維持そのものにも、どちらにも直接的には当てはまらないというのは、大臣自身が今お認めになったことなんだろうと思います。

 それから、九兆円は市場で売らせる、それは大丈夫なんだけれども、残り二兆を売るときにはセーフティーネットが必要だという理由がどうにもわからない。そのところを合理的に御説明をいただきたい。

原口政府参考人 今御指摘になりました九兆円、二兆円というのは、当面二兆円の政府保証枠を設定するための積算の根拠として、保有制限に係る株式の量が約十一兆円である、それから、従来銀行等が市場でここ数年売ってきた額二ないし三兆円と、保有制限をかけるまでの期間三・五年を勘案すると、九兆円程度は通常の場合であれば市場に消化し得るだろう、そういう想定のもとでございますので、九兆円を超えた二兆円が、直ちにその分にセーフティーネットが発動されるというよりは、諸般の状況でそういう必要が生ずる場合というのは、いろいろな状況があると思いますけれども、その額を定める当面の一応の設定として、そういう積算としてそういう九兆円という数字を用いたということでございます。

五十嵐委員 半分しか答えていないのですよ。九兆円は市場で売ることになるわけですね、限度があるわけだから。九兆円は出ても大丈夫だというのは、どういうわけなんだということなんですよ。

 それから、一挙に出てくれば激変が起きる可能性があるとおっしゃっているんですが、先ほども言いましたように、銀行だって、そういう激変が起きないように売ってきているわけでしょう。今までだって相当売ってきているわけですよ。今、日経平均は下がっていますけれども、これはむしろいろいろな要素があり、あるいはファンダメンタルそのものが落ちているということもあり、それから、日経平均でいうと銘柄の入れかえがあった。だから、本当は実力は、もとの銘柄でやればそんなに悪くないんだということを大臣自身何度もお答えになっているのですから、それほど、持ち合い株解消が今の株価に決定的に影響して、これは非常に困った状態だと、必ずしも言えないわけではないですか。

 そうすると、これからティア1以上出てくる分、十一兆あって、九兆円だ、その分二兆円は、最悪の場合国の方で面倒見るけれども、九兆円は出てもいいんだ、やむを得ないんだ、そこは大丈夫なんだという理屈は、どうにもわからない。説明になっていないです、それは。

原口政府参考人 今申し上げた九兆円の積算した根拠でございますが、これは、最近数年の金融機関からの市場への売却状況を見ますと、ヒアリングベースでございますが、大体、年間二兆から三兆を売っている。そういう実績と、保有制限実施までの期間が三・五年でございますので、二ないし三兆円の二・五掛ける三・五ということで、これが九兆円程度は、諸般の状況に大きな変化がなければ円滑にその分は売れていくであろう、そういう積算をしたわけでございます。

五十嵐委員 三・五年で年間二、三兆円ずつ消化するから、その積算で三年分だ、こういうわけですけれども、だったら、あと半年も延ばせばいいわけじゃないですか、それは。全く理由にならないですよ、そんなことは。

 それから、先ほど言ったように、制限への代償だというけれども、制限なくても売るんでしょう。制限なくたって売るはずですよ。これは国際的な評価というものもあるわけですから。制限なくても売るわけですから、国がこの法律によって制限することへの代償だというのはおかしいのですよ。

 もう一度お答えをお願いします。

柳澤国務大臣 大体三年間の期限で、私ども二〇〇四年の九月に保有制限を設けているわけでございますが、いつも申し上げておりますように、このBISの規制、リスクウエートの方ですけれども、そういうようなものも同時に進行しているという中で、私どもは、遅くもそこまでにはきちっとした、そこまで、自己資本と同一で本当にきちっとしたと言い得るかということもありますけれども、とりあえず、まずそこまでは最低やらせておかなきゃいけない、こういう気持ちが強いわけでございます。

 そういうことをぜひやらせたい、こういうようなことのために、いろいろ今後の見通し、見通せない状況もあり得るということで、それを実現するためにはラストリゾートをやはり持っていないと心配だということで、これを置くことによってそのスキームが実現できるということであれば、それはそれで存在意義があるのではないかと考えております。

五十嵐委員 大変苦しい答弁だと思いますね。

 まだそこのバーゼルでの協議の方がかちっとしたものではないわけですから、そこだけ我が方でかちっと期限を切ってあと三・五年以内にやらなければいけないんだという理屈も成り立たないと思うのですよ。それは交渉事ですから、交渉してあと半年延ばすということだって当然できるわけだし、そこまでに邦銀の持ち合い株が減っていれば、何とでも言いわけといいますか、海外に対して説明のつく話だと思います。

 それから、いかにもそれをやらなければ、一気に出てきて何か大変なリスクが起きそうなことをおっしゃっているわけですが、もともと金融システムのシステミックリスクというのは、我々は増大していると思っているけれども、あなた方はそうではないんだと言ってきたわけじゃないですか。しかも、システミックリスクが起きるとすればもっと別のところで、株価の下落じゃない別のところで起きる可能性の方が大変大きいわけで、その意味でも皆さんの立論というのは私はかなり破綻をしているというふうに思うわけです。

 ただし、ここで少し見方を変えてお話をさせていただきたいと思うのですが、これは具体的な話でありますが、銀行から役員を派遣して、運営委員会に参加をさせるのですか、運営委員会でチェックをする。それから準公務員として守秘義務等の義務が課せられる。だから危ない取引というか不正は起きないんだ、公正に運営されるんだというようなことをおっしゃっているのですが、私は、日本のもたれ合い、旧大蔵省によって護送船団方式で長い間培ってきた金融村の村社会、もたれ合い社会では、幾らでもこうしたことは起き得るというふうに思うわけですね。

 格付の問題にしても、日本の格付会社は、金融機関やクライアントとなる格付を求めてきた会社に対する配慮というのはかなりなされているのではないかなというような疑いもありますし、あるいは、メーンバンクが情報を隠して格付が下がらないようにしておいて、メーンバンクそのものは情報を持っていますから、自分だけがその情報を使って、買い取り機構に売却してからメーンが見放せば、一気に格付はその後下がるということになるわけですが、これも一種のインサイダーですよ。やがてばれてしまうことを先にわからないうちにやってしまって、後からそれが発覚するというパターンになると思うのですが、こういうようなことは起こり得るわけですね。起こり得ると思うのです。インサイダー取引等々について厳しく監視をする仕組み、あるいは金融機関のビヘービアをただすという、私、何度も申し上げておりますけれども、そういう措置が伴わなければ、幾らでもこういう一種のインサイダー取引や不正取引が起こり得る。

 それから、もう一つついでに申し上げますけれども、前日の売買の平均値をもって時価とするというふうに伺っていますけれども、危ない株というのは半日で、あるいは数時間のうちに大きな変化が起きるわけであります。ですから、これは時価というのをどうとるかというので大変大きな問題が出てくる。株価操縦が可能なんですね。自分のところの株を直接売らなくても、持ち合っていますから、別のところに頼んでその株を高く売ってもらって、高い指し値で買ってもらって、それで株価を操縦して、それから申請をして高値で株を引き取ってもらうということもできるわけですよ。こういうことは絶対に起こり得ないんだということを断言できますか。

原口政府参考人 まさに今、議員が御指摘になったようないろいろなインサイダー取引とか株価操作、そういうものが、これはあってはならないことではございますが、そういうものが起こり得ないように、できるだけまず予知を、可能な限り排除したいということで、例えば今御指摘になったように、時価につきましても、前の日の終わり値または出来高加重平均価格の低い方をとるというような工夫をしたいというふうに考えておりますし、また、不公正取引を防ぐ観点から、機構の役職員等に対して、本法律に、特に守秘義務を課すということもしております。

 こういう規定、さらには一般的な証取法の規定等もございますので、また、これは機構の問題にかかわらず、取引の公正などを証券監視委員会等においても十分監視をしていくということと相まって、公正性は担保されていくというふうに考えております。

五十嵐委員 私、何度も申し上げていますけれども、今までだって、インサイダー取引に疑わしいことはたくさんあるけれども、全然摘発されてこなかったではないですか。今の機能でこれが十分に担保されているとは到底思えないわけであります。

 マイカル債のことで明らかなように、仕組み的にも、利益相反を認めるというのは大変なことなんですね。マイカル債の場合は、メーンバンクである第一勧銀が社債管理会社にもなっているわけであって、利益相反が起きるわけであります。貸し手、間接金融の融資銀行と社債管理会社が一緒だというのは、大変問題があったというふうに思います。ここでも、いわゆる銀行派遣役員というのは、その新しい機構の立場とメーンバンクとしての立場、一種の利益相反が起きると考えるわけであります。

 同僚議員からも指摘がありましたけれども、まずマイカル債にあらわれたように、今までは確かに問題はそれほどなかったかもしれません、しかしマイカル債では明らかになってきたわけですから、メーンバンクと社債管理会社の利益相反の立場の兼用をこれからも認めるのか。あるいは、この機構の問題において利益相反は問題にならないと考えているのか。その二点についてお伺いをしたいと思います。

村田副大臣 メーンバンクと社債管理会社の兼務を今後とも認めるかどうかということにつきましては、商法上の問題でありまして、金融庁の所管外でありますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、商法上、社債管理会社の利益相反の問題につきましては、社債管理会社は社債権者に対しまして公正誠実義務、善管注意義務を負うということ、そして、義務違反があれば損害賠償責任を負うというふうに規定されておりますし、また、社債権者と社債管理会社との利益が相反する場合において、社債権者集会の請求によりまして、裁判所は社債管理事務を行う特別代理人を選任しなければならないというふうに規定されておりまして、メーンバンクが社債管理者であることによる弊害を防止する措置を講ずることが可能になっているということでございます。

 いずれにしましても、我が金融庁といたしまして、銀行の業務の健全かつ適切な運営の確保の見地から、メーンバンクと社債管理会社の関係に関しまして問題のある行為が現実に生じたという場合には、厳正に対処したい、すなわち業務改善命令等を発出して正してまいりたいというふうに考えております。

五十嵐委員 それは後追いなんですよ。だから、私は何度も言っているのです。制度としてフェアネスというのを追求する必要があるのだ、担保する必要があるのだということを言っているのですよ。

 では、望ましいことなんですか、利益相反があるということ自体が。もう一回答えてください。

村田副大臣 もとより、社債権者の利益というものは確保されなければいけないというふうに考えております。

 委員の御質問の最後の、機構に関する御質問のお答えが落ちておりましたので追加させていただきますが、株式取得機構と売却銀行との関係でも同様のことが起こるのではないか、こういう御質問だというふうに思いますが、先ほど委員から、私どもが構想している、利益相反についての具体的なスキームについて御指摘がございましたので、詳しくは答弁は控えますけれども、いずれにしましても、機構の役員等には守秘義務を課している、そういうことから始めまして、利益相反行為が起こらないように、我々としては万全の体制で臨んでいるということでございます。

五十嵐委員 不正行為が起きないということが担保されているとおっしゃったのですから、もし起きた場合にはきちんと責任をとる、行政側で、このスキームを仕組んだ側で責任をとるということでなければならないと思います。

 それで、フェアネスを追求するという意味では、金融庁自体に大変ないろいろな疑惑が起きているということでありまして、先ほど大臣が、極めて経験豊富な有能な方だ、立派な方だと、私も思うし大臣もお認めになったシードマンさんが来られたときに、この三人のメンバーの中から話題になったことがありまして、日本の金融検査では本来貸すべきでないところに貸すようにとの圧力があるらしい、こういう話がありました。

 それは私はよくわからなかったのですが、実はその日の朝、ちょうど九月の二十六日の朝のウォールストリート・ジャーナルに二本の記事が出ておりまして「シンセイ イズ トールド ツー ヘルプ トラブルド クライアンツ」、新生銀行が問題のあるクライアント、企業を助けるように命じられている、こういう記事が載っています。ウォールストリート・ジャーナルの二人の記者の署名入りです。

 もう一つの記事が、似たようなものですが、「オーソリティーズ」オーソリティーズというのはまさに金融庁ですね、「オーソリティーズ テル シンセイ ツー イーズ アップ」、これは、英語は詳しくないのであれですけれども、手心を加えるように新生銀行に詰め寄っているのだというふうに受け取れますね。それで、その主体はオーソリティーズ、金融庁だと。

 記事の中身を読みますと、金融庁の森昭治長官が八城政基新生銀行社長に対して、これは八月十日のことのようでありますけれども、原文によりますと「シンセイ シュッド ビヘーブ イン ライン ウィズ アザー ジャパニーズ バンクス」、ほかの日本の銀行のラインに沿ってビヘービア、振る舞いをすべきだというふうに言ったと。これはどういうことかというと、取り立てが厳し過ぎるから、まさに手心を加えよというふうに命じたというような文章になっているわけですけれども、この真偽は、私は森長官に聞かなければわからないと思います。

 特に、さらに問題なのは、この中で、借りかえに応じようとしない新生銀行の姿勢を国会議員が批判していると、国会議員の言葉をかりて森さんが新生銀行の八城さんにこういうようなことを言っている。新生銀行は、当然ながら激しく抵抗をし、反発をし、この議事録が、速記録が社内で、これはインターネットで流されているわけですが、その議事録を、インターネットをプリントアウトしたものをそのままこのウォールストリート・ジャーナルの二人の記者は入手して記事にしている、こういうふうに書いてあるわけですね。

 これは、私は大変、どちらの味方をするわけでもないのですよ。新生銀行の側も、これに対して金融庁の側にも、ともに問題があると思うのですが、こういったことが、実は日本の金融庁あるいは日本の金融社会というものが裏で動いている、フェアでないということのあかしになっているわけです。これはどう説明するのですか。

柳澤国務大臣 ただいまの件ですけれども、金融行政は、数々モニタリングだとかフォローアップ作業とか、いろいろこれは私どもの行政というかそういう活動の一環で、これはもう全部オープンになっているプロセスですけれども、そういうことを常にやっているということは御案内のとおりでございます。

 そういう活動について、こういうことがあったとかなかったとか、あるいはその中身が何だったとかというようなことについては、ここでお話をするといたしますと、これはいろいろ、金融行政というのは金融機関の信用問題等を扱う事柄の性質からいって、そこに一定のリスクが生じてしまうという事態が予見されるわけでございます。それからまた同時に、金融行政当局としても、そういうところで話したことが公になってしまうというようなことを通例といたしますと、これはもう、そういういろいろな金融機関から状況の報告を受けるというような場合にも、なかなか真実を語ってもらえなくなってしまうというような立場に置かれる懸念も大きいわけです。

 そういうような意味で、私ども、別に何か格別の隠し立てをしなきゃならぬということではないのですけれども、そういう性格の行政をやらせていただいておるというようなことで、個別の問題については、これを一つ一つ状況について御説明するというのはやはり控えるべきことだ、こういうように考えております。

 一般論として申し上げますと、要するに、ただ、そうは言い条、そうは言い条というか、ちょっとそれは撤回しますが、今非常にそういう、行政当局との応酬というか、いろいろな話し合いというのが、制度が健全化計画を出してやるとかなんとかというようなことで非常に多くなってしまっているというようなこともございますが、それらについては、公開できることはきちっと公開させていただいておる。そして、パブリックプレッシャーにこれをさらすことによって実施を担保しようとしているということ等も同時に行われているということで、御理解を賜りたいと思います。

五十嵐委員 大臣、今自分がおっしゃっていることで矛盾をはらんでいるということをお気づきになっていますでしょうか。要するに、相手の銀行の信用や相手の銀行の企業秘密をこちら側からばらしたら、それは問題が起きるから、これは守秘義務がかかり、言えないのですよ。しかしこれは、相手の銀行がみずからしゃべっちゃっているわけですよ。これは大変な問題なんですよ、そういう意味では。

 これからのことをやるためにも、これは逆に相手の銀行に対して、どうしてこういうことをやったんだというようなことを確かめなきゃいけないし、私は新生銀行に対しても、これはけしからぬことだと思うんですよ。ただ、一たんこうやって速記録まで出て明らかになってしまった事実があるとすれば、これはもう秘密じゃないのですよ。

 特に問題なのは、犯罪につながる要素を含んでいるということなんです。いいですか。国会議員が批判していると言っているんですよ、行政のトップが。言いに来た人がいるんでしょう。これは口きき行為じゃないですか。今盛んに問題だと言われている、どこどこの銀行を、企業を助けてくれという、これは口ききをしたということですよ。融資先四社の名前を具体的に挙げた上で、借りかえに応じようとしないといって文句を言いに来ている国会議員がいるということじゃないですか。

 これは一般論でも構わないから、これは森さんに話を聞かなきゃ。だれが言ったとは言わなくても、実際にこういう事実があったのかどうか。具体的な企業名を挙げて借りかえを認めさせろと言いに来た国会議員がいるのかどうか。これは答えてください。あなたには答えられないはずですから、森さんを呼んでくださいよ。これは大変な問題ですよ。

 それから、これは大きな問題ですから、どちらが正しいかも確かめなきゃいけないし、八城さんにもこの場へおいでになっていただいて、私は、参考人としてとりあえず、証人喚問したいところだけれども、参考人としてお話を伺わなければならない重要な問題だというふうに思いますが、いや、お答えしようがないですよね。森さん呼んでください。

柳澤国務大臣 今五十嵐委員はその記事が当該当事者の一方から公表されたものだというふうな趣旨のお言葉を吐かれましたけれども、我々はそのようには考えておりません。そうした事実は確認できておりません。

五十嵐委員 それは速記録を、メールの、内部資料の速記録を見せたんだと言われているんですから、これは少なくとも信ずべき蓋然性があるわけです。それを確認したいんだから、確認できる本人が出てこなきゃだめじゃないですか、それは。言っていないというなら、言っていないと言えばいいんですよ。そうでしょう。森さんを呼んでくださいよ。森さん呼んでこなければこの質疑は続けられないですよ。

 それから、国会議員のことについてはお答えにならなかった。

柳澤国務大臣 前者について、前提が公表されたという前提で立論をされていらっしゃるわけですけれども、私どもとしては、そういうような資料が当事者の一方から公表されたものだということを確認できません。確認できておりません。そういうことですから、その内容にかかわる御質問のことについても、当然それは私どもの方からどうこう言えるというような筋合いのテーマではないということであります。

五十嵐委員 それは御本人でなきゃ確認できないんですよ。確認をしたわけじゃないわけでしょう。これが事実かどうかと確認されたんですか、森さんに。確認されたんですか。

柳澤国務大臣 世の中のマスコミには、もうおびただしい数の金融に関するあるいは金融行政に関する情報が流れております。私どもそれを一々、これはどうだったかああだったかといって確認をするという必要は毛頭感じておりません。私どもは、それぞれの立場で、そうした情報をいろいろと今後に生かすために勉強させてもらうことはありますけれども、真偽のほどもよくわからないいわゆる情報について、一々確認をするというようなことを必要だとは思っておりません。

五十嵐委員 大変失礼な話ですよ、それは。ウォールストリート・ジャーナルはよた新聞だというのですか。おかしいじゃないですか、それは。しかも、直接の出どころをはっきりして、署名記事ではっきり書いていることなんですよ。これは確認するのは当然じゃないですか。

 しかも、そのこと自体が、シードマンさんの御一行の言葉にあるように、もうこれが世の中の金融庁に対する、金融行政に対する評価になっているということなんですよ。実害が出ているわけ、金融庁にとっても。我々にとってもそうなんです。国会議員が圧力をかけて、金融庁長官の口を通じて新生銀行に圧力をかけたという内容になっているじゃないですか。そのことは真偽を確かめる必要がある。真偽を確かめる必要がある、これは間違いないことじゃないですか。国会議員の名誉にかかわることじゃないですか。そうでしょう。

 それを、どこだかわからない三流の記事の、署名もない記事のうわさ話と一緒にして否定し葬り去るというのは、それはまさに詭弁ですよ。こんなことなら国会は要らなくなってしまう。疑いのある、蓋然性の、真実の可能性が極めて高い、ある程度あるといったものについては、真実を追求するのは当たり前じゃないですか。

柳澤国務大臣 私、実は全部目を通したわけではないんですが、今注意をスタッフから促されましたが、八城氏は一連の応酬について「コメントを拒否」ということでございまして、これは八城さん自身も別に真偽について確定的なことをおっしゃっていないわけでありまして、そうした記事についての先生の立論の一つ一つについて私どもがコメントを申し上げる、あるいは説明を申し上げるということは、やはり無理だと思います。

五十嵐委員 論点を次々にずらすんですよね、お得意なんだけれども。

 そうじゃないでしょう。これは内部文書を、速記録をプリントアウトしたものだと言っているんだから、それは八城さんが正面切って聞かれたら否定するかどうか知らないけれども、そのことはこの記事が信憑性がないということとは関係ないんだよ。そうでしょう。森さんを呼びなさいよ、森さんを。森さんを呼ばなければ質問できない。

 だめだ、要らない、要らない。同じ答弁だから、要らない。要らない。もうあなたに答弁を求めていないんだから。

柳澤国務大臣 いや、私、委員長から指示をいただきましたので答弁させていただきますけれども、先ほど来申し上げましたように、金融行政についても、また金融機関についても、大量の情報が、情報と称せられるものも含めていろいろ世の中には出回るわけでございます。それについて一々私ども真偽を確かめてここで何か申し上げるということは、我々の仕事からいって相手方にも迷惑がかかるし、また我々の仕事自身も、そうしたことをディスクローズするということで本当の仕事ができなくなってしまうということは御理解願えるところだろう、このように思います。

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 暫時休憩いたします。

    午後一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二十三分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。五十嵐文彦君。

五十嵐委員 先ほどにも申し上げましたとおり、これは極めて重大な問題であります。もう既に日本の金融システム、金融行政について、その公正性が疑われている。その一つの大きな証拠として出されてきている。先ほど大臣は、一々そういうものに答える必要はないとおっしゃいましたけれども、これは単に怪文書ではなくて、署名入りの記事で、しかも出どころもはっきりさせている、出典を明らかにした記事であります。これについて重大な疑義が指摘をされている。

 こうした事実、整理してみますけれども、八月十日に金融庁の森昭治長官が新生銀行社長の八城政基氏に会って、そして四つの会社、融資先企業を、アイデンティファイドと書いてあります、指定して、特定をして、そして借りかえに応じるよう求めた。これに際して、複数の国会議員がこのことを言っているという指摘を同時にしているわけですね。

 これは国会議員による口ききであり、明らかな不当な裁量行政につながる。これでは、日本の金融システムそのもの、金融庁の信認そのものが問われるということになるので、この真偽を直接森長官の口からお答えをいただきたいと言っていることについて、一度もそのことについてお調べになったことがないのか、お調べになるつもりがあるのか、それとも、森さんをこの場に呼ぶつもりがあるのかないのか、もう一度お答えをいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 五十嵐委員が問題とされております、個別の融資先に対する特定金融機関の貸し出し態度と国会議員の言動との関係については、これまでにそのような発言を行ったかどうか関係の者に確認をいたしましたところ、次のようなことでございました。

 新生銀行につきましては、国会等の場において、いわゆる貸し渋りについてさまざまな批判がなされており、そのような状況につきまして新生銀行に伝えたことはあります。しかし、直接、個々の国会議員から、個々の企業への貸し渋りにつき陳情を受けたり話を聞いたりし、新生銀行にその話をつないだり圧力をかけたというようなことはありません。

 以上であります。

五十嵐委員 極めて誠意のない、いいかげんなお話だと思います。

 この発言をした者がだれかということもおっしゃらない。これまでに発言を行ったかということに対して、関係の者に確認したがという今の御答弁でありました。

 それでは、だれの証言で、責任ある証言かどうかはわからないということでありますし、これにはっきり、四つの、フォーカンパニーズをアイデンティファイド、特定して、その名前を挙げて借りかえに応じるように言ったということ自体が、非常に大きな、不透明な裁量行政、今までさんざん批判をされてきた手心行政、手心を加えるという行政で、このこと自体が、国際的な日本の金融行政、金融システムに対する不信をもたらすということであり、今の答弁では到底このことに対して解明がなされたと言えません。納得できません。

 やはり森さんのこの場での証言、発言がどうしても欠かせないと思いますので、これ以上私の質問をこの場で続行することはできないということであります。

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 柳澤金融担当大臣。

柳澤国務大臣 私、先ほど、五十嵐委員の御質問についてのお答えとして、関係の者に確認したところを申し上げましたが、これは長官の森、その者でございまして、彼に確認をしたところ、先ほど申したようなことを本人が申しておる、こういうことでございます。

 以上でございますけれども。

五十嵐委員 私の質問を聞いていないんですか。要するに、四つの会社名、融資先を挙げて、そして、借りかえに応じるようにという要請をした、圧力をかけたということにはっきり書いてあるわけですよ。これについてやったのかやらないのかということはどうなんですかと言っているんです。

柳澤国務大臣 ただいまの御質問も含めてですけれども、委員の質問の趣旨を私なりに理解するところでは、まず第一に、国会議員が陳情をしてきた。そのことを、相手方にこれを取り次いで、これをこうしてほしいとかあるいはこうしろとかということになりますと、私も、これは委員と大体同じ感覚だと思うんですけれども、いわば不公平というか不公正の行政につながるというか、そういうことの手助けになるということで、これは私はあってはならないことだというふうに考えます。

 そういう国会議員の陳情だとかあるいはいろいろなお話、こういうことと無関係に、金融庁長官森がいろいろな話を行政の当局として金融機関に話をするということについては、私はこれは、先ほど来申し上げますように、金融行政の特殊性というか、常に金融機関のレピュテーションリスクもかかっているというか、そういうようなこととか、あるいは行政当局が一般に所管の民間企業に対していろいろなことを意見交換するなり考え方を相交えるなりというようなことの中では、私は、これをすべて明らかにせよと言われますと、これはやはり、今後の行政がもう不可能になってしまうというふうに考えます。

 そういうようなことで、私は、ここのところはやはり委員にも御理解をいただかないと、そういうことをすべてディスクローズするということになったら、相手方との話は、事実上非常に難しい。この話も全部外で確認をさせられるのかというようなことになったら、これは円滑な行政ということは、もうほとんど難しくなるのではないか、こういうように私考えまして、この点については御理解を賜りたいというふうに考えるわけでございます。

五十嵐委員 今、与野党間の協議を、理事会の協議を行ってやったのは、この四つの社名を挙げてこれを要求したということについて確認をとるというお約束だったんですよ。それは、何も四つの社名を今挙げろと言っているわけじゃなくて、発言をしたかどうかを確認してくれと言っている。

 四つの社名を挙げること自体が、これは問題なんですよ。一般論として、あなたのところの融資態度がきつ過ぎておかしいですねという話じゃないんだから。四つの社名を挙げて、あなたのところ、借りかえに応じないのはけしからぬ、こう言ったわけでしょう。そのときに、補足して、複数の国会議員からこういう話が、クレームが来ていますと言っているんだから、これは明らかに疑いがあるわけですよ。何も一緒に言う必要がないんだから。そうでしょう。だから、そこを確かめたいんですよ。どういう文脈で国会議員がこんなことを言っていると言ったのか。あなたは今確かめていないんだから、わからないじゃないですか。そうでしょう。だから、これは電話じゃなくて、出てきて話をしなさいということを言っているんですよ。

 四つの社名を挙げるということは極めて重大なことですよ。その意識はないんですか。一般的なことで逃げているけれども、一般的な議論として、融資態度があなたのところはひど過ぎると言っているんじゃないんですよ。ふざけたことを言ってもらっちゃ困りますよ、それは。

柳澤国務大臣 まず第一に、確かめたというのは、国会議員の陳情というかお話というか、そういうものにつながったものの案件を挙げて、それを相手につないで、これについて善処を求めるというようなことはしていないということが第一点です。

 それから第二点は、それじゃ、森なり我々の行政当局のその衝に当たる者が、こういう事態が起こっているではないかというときに、全く固有名詞を挙げていけないというんだったら、これは話が具体性全然欠けますから、そういうことはできないということは委員もおわかりだろうと思うんですよ。

 それは具体的な話のときに、こういうことについてありますよ、ああいうことについてありますよというようなことというのは、これは全くないにして一般論のみ述べろ、これだと、やはり話は具体性を極度に欠きまして、それはやはり私は、一つの例としてそうしたものを挙げるということはあり得ないとは言えない。私の申し上げたいのはそういうことです。

五十嵐委員 だから、そのときになぜ国会議員が言っているんだというようなことを言わなきゃいけないのかというところの文脈の関係がわからぬじゃないですか。それで、具体的に四つの会社の名前をなぜ挙げる必然性があったのかということも、今の話じゃさっぱりわからないです。やはり本人に出てきてもらわなきゃわからぬ。これは続けられないです。

柳澤国務大臣 ですから、先ほど来申し上げますように、国会議員の御陳情にあった話を、個別の企業、貸出先企業に結びつけてお話をつなぐようなことは一切ありませんでしたということ、これは確認をしているわけです。(五十嵐委員「していないですよ」と呼ぶ)しているんです。それで、その上で、それでは具体的に個別企業の名前を挙げないですべて話をしなければ、これはもうけしからぬことだと。これは、そういうようなことを本当にやろうとしたら、話は極度に具体性を欠いて、これは今後の行政、なかなか円滑に展開できるということにつながっていかないと私は思います。これはやはりもう一度委員に御再考いただくというほか私はないと思います。

五十嵐委員 それはとんでもないテクニックを使っているんですね、答弁のテクニックを。四つの社名を挙げてそういうことを言ったのかどうか、事実を確認してくれと言っているんだから。それがけしからぬかどうかはその後の判断ですよ。ただ、疑いがあるということですよ。

 国会議員の話を例示しながら四つの企業の名前を挙げたということは、そういうことが十分に世間の常識でも疑われるということであるから言っているのであって、この部分を抜きにしても、四つの社名を挙げてそういうことを言ったのかどうかの事実を確認しろといって、約束したんですよ、理事さんは。しかし、確かめないで、そんなことは悪いことじゃないんだと。悪いことじゃないんだったら、なおさら確かめればいいじゃないですか。どうして確かめないんですか。

柳澤国務大臣 そうすると、五十嵐委員のおっしゃりたいことは、国会議員の話を全くつないでいないにもかかわらず、この四社の名前を挙げたか挙げないかということを確認しろと。そんなこと、私はする気はありません。それは話の中で、四社であろうと五社であろうと六社であろうと、話を具体性を持たせるために例として挙げるということは十分あり得ることでありまして、それを、そういうことをすべてディスクローズしろというようなことになったら、これはなかなか行政が今後円滑に展開できるというところには、私は基礎を失うのではないか、このように考えます。

五十嵐委員 そんなことはないでしょう、四社の名前を挙げろと言っているわけじゃないんだから。こういう発言をしたのかどうかということですよ。それはおかしいですよ。これはおかしい。それはおかしいよ。

柳澤国務大臣 五十嵐委員のおっしゃることは、国会議員の陳情とこの四社が非常につながりがあったということだったら、私は、不公正な行政に結びつくおそれが非常にあるから、これは問題だと。私もその点は最初に同意申し上げました。

 そういう上で、それはありませんということであれば、これは行政の話として、話を具体的にするために、四社挙げた、五社挙げたということがあり得ます。あり得るけれども、そういうようなことをディスクローズしろというのは、やはり私は、今後円滑な行政をする上で、この四社がだれだというような話にこれは結びついていきますから、それは企業の信用の問題というようなことにもつながりかねない懸念を私は感じざるを得ないので、このあたりのことは行政にゆだねていただかないと、行政が円滑に展開できない、そういう基礎を失う懸念があるということを申し上げているわけです。

五十嵐委員 私は、政治家の関与について疑念が晴れたと言っているわけじゃないんですよ。まだなお疑いがあるから、しかしそれとは別に、ここのところの文脈を、なぜ政治家の話が出てきたのかという関係を調べなければ疑いが完全に晴れないから、このことについて、なぜそういう文脈で出てきたのか、そして社名はどうして言う必要があったのかということを確認しなきゃならぬ。だから、社名を挙げて言ったのか言わないのかを確認しろ、こういう要求を出しているんですから、そのことについて、それが行政の妨げになるなんという話はとても信じられないですよ、それは。

柳澤国務大臣 今いみじくも五十嵐委員がおっしゃられたとおり、この四社の問題というのは、やはり国会議員の働きかけとの関係であなたは問題意識を持たれているということなんです。ですから、これが切れた場合に、そういったことについて申し上げなければならない、ここでディスクローズしなければならないということは今後の円滑な行政の展開の上に支障があるという私の話は、五十嵐委員も御納得いただいている、こう思います。

 ですから、私が申し上げるのは、この国会議員の陳情とこの個別の会社との関係がありませんということを申し上げればいいわけであって、そのことは、今私は本人に確かめて申し上げたとおりなのでございます。

五十嵐委員 四社の名前を挙げること自体が、そこには何らかの働きかけが予想される、そういう可能性が非常に高い。しかも、そのときにわざわざ国会議員がこういうことを言ってきていますよということを言っているんだから、それは関連があると思う方が普通なんですよ。だから、それをそうではないというんだったら、立証責任は森さんの方にあるんだから、立証責任は森さんの方にあるんだから森さんが来て説明しなさい、その点を確かめなさいということを言っているんじゃないですか。だめですよ、そんな話じゃ。

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 柳澤金融担当大臣。

柳澤国務大臣 大変恐縮に思っています。

 ちょっとさかのぼって、それではこの問題のいきさつを申し上げるわけですが、問題と申しますか、もう少し広範囲な問題として申しますと、新生銀行は、平成十二年の三月に、当然、資本注入を受けた銀行のなすべきこととして経営健全化計画を出しているわけでございますが、そこにどういうことが書いてありますかと申しますと、「今後の資金の貸付けその他信用供与の円滑化のための方策」という表題のもとで、「弊行としましては、資産判定において適資産とされた貸出関連資産については保有を継続するとともに、これらの顧客に対しては引き続き適切な融資を継続し、信用供与の円滑化を図っていく方針です」こういうくだりがあります。

 このくだりは、実は、契約に当たって私どもが交わしましたそういう文言の中にも同趣旨のものが盛り込まれておりまして、いわば融資の継続というか融資の円滑化というものについては、いわばその意図が明確に表明されて、その表明された意図のもとで諸般の、資本注入その他の措置がとられた、こういういきさつになっているわけでございます。

 したがいまして、金融庁の行政の中で、当該銀行の責任者を呼んでこうしたことに注意を喚起する、その間、具体的な案件等について言及することもある可能性もありますけれども、そうしたことをなすということは、通常の行政の手法として十分あり得ることだというふうに考えているわけです。

 そういうことの、一つ一つの会談というかその中身につきまして、これのディスクローズを求められるということになりますと、これから、そういうことを具体例を挙げて申し上げるというようなことがなかなか双方で難しくなっていくわけでございまして、その意味では、円滑な行政の展開ということに、そういうことをいたしますと私ども将来に支障を生じるということは、十分考えておかなければならないことだということでございます。

 そういう意味合いで、大変恐縮なんですが、四社を挙げたか五社を挙げたかというようなことを含めまして、私どもとしては、こうした会話、それももう、あったかないかは私どもここで……(発言する者あり)いや、この点は確認はいたしているわけですけれども、いずれにしても、そういうようなことを、何と申しますか、どういう観点でそういうことを言わなければならないかといえば、それは、私も先ほど認めたように、五十嵐委員が御指摘された国会議員の、あえて言葉を強めて申しますと介入、そういうものがあったときには、これは不公平、不公正の行政というところに結びついていく懸念がありますので、これについては私ども十分責任を感じなければならない。そういう責任を感じた上で、どういう答弁があり得るかということを考えなければならないとは思いますけれども、そこのところは、もう、ありませんと本人が申しておるわけでございますから、したがって、この点については、今申したことで御理解を賜りたいというのが私の申し上げたいことなのでございます。

五十嵐委員 大臣、よく聞いてくださいね。具体名を出して指導することはあるでしょうよ。そのことじゃないんですよ。だけれども、ここで言っているのは、四社の名前を挙げて、この四社の融資先についての借りかえをどうして認めないんだ、認めなさい、認めてくれということを言ったという事実を、少なくとも新生銀行側はそういう圧力があったと思って怒って、この議事録を出しているわけです、速記録を出しているわけですから、そういう受けとめ方をされているわけです。

 そういうことですから、その四社の名前を挙げろとかと言っているんじゃないですよ。四社の名前を挙げて融資態度の変更を求めるということは、これは具体的に、借りかえに応じろ、ローリングオーバーに応じろということを言っているわけですから、そういうことはあったのかなかったのか。こういうのは公正な行政なんですか。認めるんですか、そういうことを。

 要するに、借りかえに、この社とこの社とこの社とこの社は借りかえに応じるようにというふうに金融庁長官が指示を出す、要請をすること自体を、これは一般的な指導、先ほど私が言いましたように、一般的に融資態度をもっと改めてくれというのではなくて具体的に指導、指示をすることについて、これは公正な行政のあり方だとして大臣は認めるんですか。そんなことはないでしょう。

 現に、このことがウォールストリート・ジャーナルでは、日本ではまだこんな前近代的なことをやっているんだということを言って批判されているんですから。それが日本の金融システム全体、金融行政全体の評価につながっていて、これだから信用できないという話になっているんですよということになっているんだから。これは認めるんですか、それは。

山口委員長 質疑時間が終結しておりますので、大臣も簡潔にお願いします。

柳澤国務大臣 大変長引いて恐縮ですが、要するに、例として申し上げることは十分行政の現場においては私はあり得ると考えているということでございます。そうして、仮に、五十嵐委員の議論のように、四社について圧力をかければこの問題が片づく、そういう前提に立って私は長官が新生銀行に対する行政をやっているとは到底考えられません。到底考えられない。それは五十嵐委員も恐らく共通の認識でしょう。共通の認識でしょう。(発言する者あり)

山口委員長 静粛に願います。

柳澤国務大臣 この先ほど引用した文言は、この適資産としてやられたようなものについてはすべからく、すべてについてということがうたわれているわけでありまして、そういうことからしたら、その四行だけを長官が何か圧力をかければ事が済むというんだったら、それはあり得る可能性として私は考えないわけでもないんですが、いずれにせよ、そんなことはあるわけがないし、したがって……(発言する者あり)いや、私の話を聞いていただいているから言うんです。いいですか。

 そういうことであるならば、私は、不公正との関係ということならば、私どもも責任を感じ、その責任の上に立った答弁をしなきゃならぬでしょうけれども、私どもは、そこを切られた以上、これは行政のいろいろな、特に信用に関する行政をやっている者として、その機微に触れたような文言について私がここでディスクローズをするということは適切でない、このように私が考えているということです。

山口委員長 五十嵐委員、時間が相当オーバーしておりますので、質疑を終結していただきたいと思います。

五十嵐委員 次の質問者も我が党ですから、譲っていただけるということにもなっておりますので……

山口委員長 そういう件に関しては、理事会で協議をしていただきませんと、勝手に決めて……

五十嵐委員 それでは、この間の間にかんがみて、それだったら協議してください、すぐ。

山口委員長 関連質問じゃありませんので。

五十嵐委員 すぐ協議してください、それじゃ。

山口委員長 速記、とめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 五十嵐文彦君。

五十嵐委員 先ほどの答弁でも極めて不十分なんですよ。あったかなかったかと言って詰まっちゃったでしょう、大臣は。あったかなかったか確認できないということじゃないですか。(発言する者あり)いや、それは確認、私の質問に全然答えていないんですよね。全然答えてないですよ。

 要するに、一般論として具体名を挙げることはあり得ると。それはあり得るでしょうよ。だけれども、この四社の名前を、具体名を挙げて、挙げてですよ、借りかえを求めるということは、これは金融庁として許される行為なのか、国際的な常識から見てこういう行政はあり得るのかということでしょう。それは全然答えていないじゃないですか、それは。ここが大事だから、ここについての事実を確かめたい。本当にそういうことを言ったのか言わないのか。それは全然確かめていないじゃないですか。いまだにわからないわけですよ。いまだにわからないですよ。

 もし、委員長の職権で私の質問をこれ以上認めないというのであれば、次の質問者に、やはりこの問題について同じく言っていただくという以外にないわけであります。どうなんですか、委員長。それから今の、今のを最後に、答弁だけさせてください。

山口委員長 委員長職権云々じゃなくて、ルールとして質疑時間が終了していますので。

 最後に、柳澤金融担当大臣。

柳澤国務大臣 行政の話のときに、具体的な会社名、企業名等を例として挙げることがあるかという問題と、五十嵐委員の御質問は二番目に、本当に言ったのか言わないのかということを言えという二つの御質問を今なさいました。

 私は……(発言する者あり)いやいや、そうじゃないんです。ちょっと黙ってください。五十嵐委員との、五十嵐委員の御質問にお答えしようとしているわけです。

山口委員長 お静かに願います。

柳澤国務大臣 五十嵐委員は、一般論、一般的な話だけとしてそういうことを言うのか、例として、こういう企業も非常に厳しい状況にあって借りかえを望んでいますよというようなことを言うことはあるのかと。これは私、十分あり得ると思うんです。あり得ると思うんです。

 それで、第二番目に、それじゃそのことを今度は本当に、あるマスコミが伝えていらっしゃることを本当に言ったのか言わないのか確認しろということについては、私はそういうことをやる気持ちはない。なぜならば、先ほど来私るる申し上げたように、そういうことをディスクローズしなければならないというようなことを、まあこれは五十嵐委員がいずれ私の立場にお立ちになると、同じ立場になられるわけです。つまり、行政というものを円滑に運営していくための基盤を私は毀損してはいけない、こういう責務を負っていると私は考えるからであります。

山口委員長 もう最後に、これで最後にしてください。五十嵐委員、最後。

五十嵐委員 一般論としてという話ではないんですよ。一般論としてではなくて……(発言する者あり)

山口委員長 御静粛に願います。

五十嵐委員 今、委員長の許可を得て発言しているんじゃないですか。委員長の指名があったじゃないですか。何言っているんですか。指名したよ。だめだよ、そんなの。委員長が絶対ですよ。委員長の指名に従わないというのはどういうことですか。でたらめなことを言うんじゃないぞ。私が認めないというのはどういうことですか、それは。

山口委員長 五十嵐委員、質問続けてください。(発言する者あり)五十嵐委員、五十嵐委員、質疑続行してください。

五十嵐委員 はい。一般的なこととして例示的に挙げたというんだったら、先ほど御本人が言っていましたけれども、四社だけ解決したって意味がないんだからと。意味ないはずでしょう、それだったら。四社だけ解決したって意味がないんだから、だったら挙げるはずがないと言ったじゃないですか。その言葉自身に矛盾しているじゃないですか。四社を何で例示的に挙げる必要があるのか。本当に挙げたのか。そこ自体を確認しないで、挙げてもいいんだという話ではないでしょうよ、それは。だから、確認をしなきゃいかぬということを言っているんですよ。おかしいでしょう。

山口委員長 もう時間、質疑時間を大幅にオーバーしておりますので、これを最後の答弁にしてください。

柳澤国務大臣 要するに、例として挙げることは十分あり得るということを申したんです。圧力をかけるということを、何とならば、四社に対してやったところで、そんなものは全体の問題を解決するところにならないんだということを先ほど私は申し上げたんです。

山口委員長 質疑時間が終了いたしましたので、これで終結をしていただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 五分間に限り休憩いたします。

    午後五時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時四十六分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柳澤金融担当大臣。

柳澤国務大臣 大変恐縮です。

 森本人に、五十嵐委員御指摘の点について確認をしておりますけれども、このようなことについてここで明確に内容にわたって御答弁することについては差し控えさせていただきたいとお願い申し上げます。

山口委員長 では、最後にしてください。五十嵐文彦君。

五十嵐委員 今の答弁、皆さんお聞きになりましたでしょうけれども、断じて納得ができませんということで、次の質問者に譲ります。

山口委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 それでは、続けて質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどのマターがそのまま結論を得ていないような形で中途半端になっていますので、もう一回確認をしたいのですが、本人に聞くこともしない、調べることもしない、そういう意味なんですか。それとも、調べたけれども答えることはできないということなんですか。そこのところをはっきりしてください。

柳澤国務大臣 私は、森長官の上司というべきかどうか、ちょっと立場が微妙なんですけれども、現在の行政組織の上で。しかし、実際の仕事の上では上司ということで仕事をさせていただいておるわけでございます。したがって、森長官の行ったことについては当然知るべき立場にあるわけでして、そういう意味で、これはもう立場として当然知っておるということでございます。

 本件、先ほど五十嵐委員の指摘されたことについても、いろいろ本人が言ったことについて報告を受けているわけですけれども、しかし、先ほど来申し上げておりますとおり、金融行政のある種特殊性と申しましょうか、そういうようなことで、金融の行政の指導については、ディスクローズすべきものとされているものについては、私、誠実にできるだけディスクローズさせていただいておりますけれども、実際上、金融機関との会話の内容等についてディスクローズを求められた場合でも、これはやはり将来のことを考えますと差し控えるべきである、こういうように考えているということでございます。

中川(正)委員 一般論と、それから今度のこの特定の問題とをすりかえていられるように思うんですね。

 というのは、この問題が始まったというのは、これは新生銀行からウォールストリート・ジャーナルへ向いてこの情報が漏れて、漏れてというよりも意図的にそれを運んでいって、それで、政治家が関与をしていた、個々の四つの企業に対してこれはつぶしちゃだめだぞというような介入があったということをああいう形でディスクローズすることによってこちらは牽制されているわけです。その中に一つの意図が入っていると思うんですね。

 それに対して、私は、大臣として、この意図に対してはっきりと、それは違うんだったら違うんだということ、この個々の問題についても調査をするという姿勢、それを示さないと、向こうから挑戦されているのに、こっちの方でそれは一般論としてこうですよというような話をしていたら、これは金融庁自体の信頼性というのはここで崩れるという話じゃないですか。そこのところが政治家として一番大事な判断なんだと思うのです。それを調査しなくていい、それを何も言わなくていいということであれば、それは総監督という立場からいったらこれは間違っているというふうに思うのです。そこのところをはっきりと答えてくださいというのが私たちの意図じゃないですか。それを改めて答えてください。

柳澤国務大臣 まさしく中川委員の御指摘のとおりだと私も思います。意図的なもの云々ではなくて、私が確かめるべき点ということについての御指摘の内容、これはまさしく私同じ意見でございます。

 つまり、個別の政治家がある特定の貸出先企業について、融資の継続についてこれをぜひ銀行側に伝えて継続をさせるようにということをやって、それを金融庁がそのとおり動いたということだと、私はやはりこれはへんぱ、つまり不公正。たまたま政治家を知っている貸出先企業と、知らない、そういうつてのない企業との間で、私は、やはり不公平、不公正の問題が起きがちだ、こういうふうに思うのでございます。

 そういう意味で、そういう政治家の働きかけというか、言動とあそこの、先ほどの合意のメモには書いたわけですが、言動と話が関連があったのかということについては確かめさせていただいたのです。それで、本人に確かめたらそういうことはありませんということが確認できましたということを先ほど冒頭で御説明をさせていただいた、御報告をさせていただいたということでございます。

中川(正)委員 その政治家の問題はいいのですよ、政治家の問題は、それは答えたということで私たちも了解しています。

 しかし、もう一つ、個々の企業に対して、それを殺すか生かすかということを行政が具体的に指示をするということ、このことがあってはやはりならないのだというふうに思うのですね。それを具体的に調べて、それが事実に基づいていないということであれば、今度は大臣やらなきゃいけないのは、そういう報道をした当事者、あるいはどういう意図でそういうものが報道機関に流れたかという、ここですね、事実と違っているのだったら。そこのところまではっきりと戦う姿勢を見せないと、これは金融庁自体の威信にかかわってくる、こんなふうに思うのですよ。

 これは一般的な新聞じゃない、ウォールストリート・ジャーナルなんですよ。世界に対して情報発信しているところが金融庁をそういう形で評価して、こんな日本は体質なんだ、こういうふうに訴えているわけですから、どうして怒らないのですか。そこのところを含めて、やはり大臣の答弁の中からは見えてこなきゃいけないというふうに思うのです。

 もし、それがないということであれば、これはやはり国会マターだと思うのですよ。国会が直接それを調べて、そこに対して意思表示をしていく、結論を出していくということがあって当然だというふうに思うのですね。

 だから、そういう意味で森さんをここに直接呼んでくださいよという話をしている。そういうところを含めて、もう一つの部分、それと大臣の今のスタンス、これを改めてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 私はちょっと中川委員と意見が違うと思います。

 私は、個別企業の問題について、ここについてはこういう債務者であるはずではないか、これをどういう形で、どういう理由でもって、例えば融資の引き揚げをするんだというようなことについて話題に供するということはあり得ると思います。それはたくさんの中で、そういう話が全くない、あってはならないことだ、私はそこまでは考えないのでございます。もちろん、行政は公平を期さなければいけませんので、そのことについて目いっぱいの配慮はするような表現でなければならないとは思いますが、しかし、そういうことが全くあり得ないことだというふうには思いません。

 そういう意味合いで、私は、そういう前提で申し上げるのですけれども、行政と当該金融機関、これも資本注入行でいろいろなこちらにプレッジと申しますか誓約というか、そういうことを計画書の形で出しているときに、こういうようなことがあるではないかというようなことについても具体の例を挙げて話し合うことも十分あり得ると思うのです。そういうようなことについてここでディスクローズをしなければならないというようなことになりますと、これからどうも実際の行政の現場で言葉をのみ込まなきゃならぬようなことがもう非常に多くなってくるという懸念を私は持つのでございます。

 そういう意味合いで、そういう話の内容にわたる面についてはひとつ行政におゆだねいただくというのが今後の行政の円滑な展開のために必要なんではないでしょうかということで御理解をいただこうと思って、先ほど来お話を申し上げているということであります。

中川(正)委員 それは、まあ善意に、うまく理屈をつけたというだけのことですよ。今調べなければいけないのは、そういう理屈をつけた状況でさえこれはルール行政から外れている。もともとそうした護送船団で、行政の指示に基づきながら一つ一つの整理をしていこうじゃないかというそんな話はもうやめましょう、そうじゃなくて、ルール行政でいきましょう、そういうふうに宣言しているわけです。

 だから、それから考えてもさっきの話は逸脱しているのですが、もう一つ前に、そんな話じゃなくて、ウォールストリート・ジャーナルの言っているのは、個々の企業の利益に応じた形で、それも政治家が絡んでいて、それを助けろという話が直接来たという表現をしているわけですよ。これは、もうさっきの柳澤大臣のような一般論的な話じゃないのです。個々の話として取り上げているのですよ、ここに。

 だから、そこのところを、これは個々の話なのか、それとも一般論の話なのか、ちゃんと調査をする、これは務めがあるじゃないですか。そこのところを日本の金融庁の体質として問われているわけですから、どうして弁明しないのですか、どうして調べようとしないのですか。

 そこのところが、私たちがどうもこの法案も含めて行政にゆだねていくというところがもう一つ信頼性ができてこないというふうな、そんな結論に達していかざるを得ないんだ、採決できないというふうなことになっていかざるを得ないような答弁なんですよ、今は。

柳澤国務大臣 結局、中川委員も今のくだりの御質問についてお触れになるのは、やはり政治家との絡みなんですよ。つまり、政治家と絡んでの話としては非常にこれはあってはならない話なのである、私はそう思っているわけです。

 ですから、それはあったのかということは、先ほど来たびたび申し上げているように、本人にも確認をしてそういうことはありませんということを確認できたということを御報告申し上げたのでございます。

 それからなお、まあそれは確かにPR、パブリックリレーションズというかあるいはマスコミ対策というか、そういうようなことでは私どもも別途のいろいろな努力をしておりますけれども、まあ一つ一つの挿話というかそういうようなものについてまで、直接的な話であれば私どもも若干のことをした例もありますけれども、この問題について何かチャレンジングな態度をとるというところまでは、まだ私ども態度を固めていないということであります。

中川(正)委員 それは余りにも頼りない話じゃないですか。少なくとも、政治家というのは関与していなかったということを言い切るのであれば、そのことは、それなりのアクションをとるべきですよ、ウォールストリート・ジャーナルに。

 まず、ここから片づけていきましょう。どうですか。

柳澤国務大臣 先ほどもちょっと申し上げたのですが、パブリックリレーションズにおいて若干のことをしておるということも御報告申し上げたのですけれども、この件についても反論をしておるということでありますし、また、そのこと自体がこの一文の中でクオートされている、引用されているということでございます。

中川(正)委員 ちょっと意味がわからないですね。もうちょっと、ちゃんと説明してください。

柳澤国務大臣 これは、「金融庁の銀行監督担当者は会合の事実こそ認めるものの、圧力行使については否定」しているというくだりもございます。

 そういうことで、なすべきことはなさなければいけないと思いますけれども、本件具体的な事例についてどういうことを考えるか、今まで考えたかということは今御報告したのですが、今後考えるかということについては、今ちょっとここで即答というか、直ちにお話しできるような準備はございませんので、また後日にしたいと思います。

中川(正)委員 まずここのところで私は承服できないのですね。男でしょう。ちゃんとそれは反論しますよと言ったらどうですか。そういうことがなかったとはっきり言っているんだから、ここで答弁しているんだから、これはパブリックで。これがどうしてできないのですか。

柳澤国務大臣 ちょっと今確認をしましたが、反論というか、この内容についてクレームをつける書簡を送付しているということでございます。

中川(正)委員 済みません。ちょっと私、事務局の話を聞いていたので、もう一回答弁してください。何と言われたのか。

柳澤国務大臣 繰り返しますけれども、本件について、そういうインタビューを受けたときにいろいろと反論をしたということとともに、その後に、書簡でこの記事についてのクレームと申しますか、遺憾の意というか、そういう、ちょっと内容を私まだ見ておりませんけれども、これを是認するものではないという意思を伝える書簡を発出している、こういうことです。

中川(正)委員 委員会に後でその文書といいますか、その中身を提出してください。これは委員長、いいですね。

山口委員長 理事会でこれは協議します。

中川(正)委員 いや、協議するのだったら直接大臣に聞きますよ。こんなこと協議しなくていい話ですよ。委員長から、提出しなさいと言ってもらったらいいだけの話ですよ。

山口委員長 聞いてみてください。質問してください。

中川(正)委員 大臣。

柳澤国務大臣 本件とまた後日、ちょっと私の記憶と違うのですが、他の記事もあったようでございまして、それらをあわせての、是認できないという趣旨の手紙を発出しておりまして、それについては委員長に御提出をしたいと考えております。

中川(正)委員 そのときそのときで答弁がぶれてくるので、それからいくと、さっきの話に対して反論したのではなくて、たまたまほかのものがあったからそれとあわせて、これが理屈になるのじゃないか、そんな返事じゃないですか。それはもう本当に情けない。しかし、その資料を見せていただきたいというふうに思います。提出するということですから、これが一つ。

 それからもう一つは、さっきのもう片方の件ですが、これは、個別の企業に対しての圧力あるいは指導、これに対して調べることもできない、こんな話ですね、さっきの話では。つもりがないというのですね。これはそういう意味ですね。

 しかし、今回の話はその前段があって、こうしたいきさつの中で、どうも新生銀行が意図的にそれをやっているのだという、その政治家の、その中身についてどうこうというよりも、新生銀行からそういう情報がウォールストリート・ジャーナルに流れて、それを意図的にオープンにすることによって私たちに圧力をかける、あるいは金融庁を失墜させるということ、こんな話があるわけです。

 それに対して大臣は、いや、それは調べなくていいのだ、関係ないのだ、こういうことであるとすれば、それは私たちとの見解の相違で、大臣が調べなくていいと言うのだったら、やはり国会で直接調べるという話になると思うのです。そういう意味で、森さんをやはりここに呼んでもらうということですね。

 これについて、今、理事会の中では協議をしますという話になっていますが、ここまで来たら、大臣がやらないというのだから、これは委員長、私たちが直接やるという態勢で了解をいただきたい。ここのところがもう一つです。

柳澤国務大臣 まず第一に中川委員に申し上げたいことは、ウォールストリート・ジャーナルを新生銀行が使って、日本国あるいは日本国政府、あるいは金融庁に対して圧力をかけている、そういう解説があったわけですけれども、私、その点については同意をいたさないという前提でございます。

 私が先ほど、四社の名前を挙げたのかどうかについて調べるつもりがないというのは、もちろん、先ほどのお話では調べて言えという、言うことが前提になった話であったわけであります。ですから、それについては言う、ディスクローズするということはよくない、適切でないと私は思っていますから、その関連で申し上げたことだということをぜひ御理解賜りたいと思います。

中川(正)委員 だから、大臣はこれは調べなくていいと言っているのでしょう、何かいろいろ長いこと言われたけれども。どうなんですか。

山口委員長 質疑時間が終結しておりますので、簡潔にお願いいたします。

柳澤国務大臣 要するに、そのことをディスクローズしろという前提で調べろと言われましたから、私は調べるつもりはない、こう言ったのです。つまりディスクローズするつもりがないから、今そこで言われて、すぐに調べなければならないという気持ちにはなりませんということを申し上げたということです。

山口委員長 中川委員、質問時間が終結をしておりますので、簡潔に、最後どうぞ。

中川(正)委員 おかしいじゃないですか。さっき、それぞれが交代をしなければ認めないという話をしていたわけですから、私の時間というのはそのまま残っているわけでしょう。交代しているわけじゃない。(発言する者あり)

山口委員長 先ほど海江田理事ともお話をいたしまして、速記を起こしておりましたので、時間が経過をしております。そこら辺を御理解いただいて、若干余分に認めておりますので、そこら辺を御理解いただいて、簡潔にお願いいたします。

中川(正)委員 十五分で。十五分ですよ。そんなばかな。私が用意してきた質問はまだ全部残っている。

山口委員長 本来、十二分しか残っておりませんでしたが、二十分。どうぞ。

中川(正)委員 了解できないですね。

 それで――海江田さん、これで終わりだと言っているのだ。十五分しかないと言っている。(発言する者あり)

山口委員長 中川君、中川正春君。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 中川正春君。(発言する者あり)御静粛に願います。

中川(正)委員 では、さっきの話でいくと、大臣はその中身を調べるということについては、これはやるということなんですね。やった上で、それをディスクローズするかどうかということについては、これは約束できない。しかし、中身によってはそれはディスクローズする必要があるわけですよね、中身によっては、その結果によっては。そういうことなのか、それとも、いや、これはもう全く外に出す話じゃないという話なのか、どっちなんですか。

柳澤国務大臣 随分何回もお話し申し上げたと思うんですけれども、要するに、行政金融当局が個別の金融機関との間でいろいろな話をするわけですけれども、そういうことの中身までディスクローズをしなければならないということになると、やはり円滑な話し合いというようなことに大変支障が生ずるおそれが私は強いと考えているわけです。

 そういう意味合いで、私は、問題があるという指摘を受けて、私自身がそう思った点については早速調査をし確認をしたわけですけれども、それ以外の、それが問題ないという問題がないところの中身について調べて報告しろということについては、これはちょっと将来のことを考えますとなかなかできかねることだ、こういうことを申し上げたわけであります。

中川(正)委員 だから、その話になるとまた堂々めぐりになるわけですよ。

 私が言っているのは、ここで挑戦されているのは金融庁の方なんですよね、信頼性が。信頼性が挑戦されているのは金融庁の方なんです。だから、普通で考えたら、金融庁の方が進んで情報をディスクローズして、何もなかったんだ、やっていないんだというんだったら、そのようにディスクローズをする、そういう姿勢が出てきて当然だと思うんですよ。それをどうして話をすりかえなきゃいけないんだ。

 そうなると、だれが客観的に見ても、どうもあれは怪しいんじゃないかという話になるから、だからその考え方にこたえるとすれば、これは国会が改めてそれを調査するという話になるじゃないですかということになるんですよ。(発言する者あり)

山口委員長 静粛に。

柳澤国務大臣 前提の挑戦されているんだという見解はともにしませんということを私は申し上げました。それで、問題が私自身もあるというところについては確認をいたしました。問題がないということの話の内容については、私は、これはディスクローズをするのは適切でない、このように申し上げているわけであります。

中川(正)委員 だから、こういう状況なんだから、やはりこれは、もともと私たちが求めていた森さんを直接ここに出して話をするということが、スムーズにいったことなんですよ。だから、そういうことを含めて、もう一歩進んだ話にしてくださいよ。こんなことで日本の金融庁そのものがますます怪しいなという話になっていったら、この法案そのものが審議できなくなる。

山口委員長 森長官云々の話に関しましては、中川委員、理事会で協議をしておりますので、中川委員も理事でありますので、その中でさらに議論を深めていただきたい。結論を出すように努力をしていただきたい。

中川(正)委員 そのことを改めて確認をしながら、これはもう森さんを呼ばざるを得ないというふうな今の論議の中で、改めて理事会でこのことについて結論を得ていきたいということだと思いますので、委員長、この問題についてはよろしくお願いをいたします。

 そこで、今度は、私の本来の質問をと思っていたんですが、許された時間があと限られていますので、一つ、ちょっと観点を変えて、塩川大臣にちょっと今改めてお尋ねをしたいんですが……(発言する者あり)

山口委員長 御静粛に願います。

中川(正)委員 今この経済の状況、きょうの新聞の論調を見ていますと、五・三%の失業率を抱えて、相当この経済に対する危機感というものが醸成されております。今あちこち客観的に情報が入ってくるのを見ますと、どうも大臣、孤軍奮闘していられる。三十兆円のことしの枠、これを守っていくべきだということをしっかり言いながら、では、次の手だてをどうしていこうかというような、そういう流れになってきているんだというふうに思うんですね。

 それについて改めて聞きたいんですが、ことしこれは三十兆円、しかし、恐らく、危機的な状況の中で、例えば今議論されているように第二次補正とか、あるいはそれからに対する、いわゆる危機管理、危機管理に対する条件というのが今国民にとっては、政府としてどう考えているんだという、これは喫緊の課題だと思うんですよ。

 普通なら予算委員会、今ずっと開いていて、予算委員会の中でこんなものは議論をしていく、そういう過程になきゃいけないんですけれども、それがないということの中で、ここが唯一の、国民が今一番心配している問題についての議論の場なんです。だから、あえて私は取り上げさせていただいているんですが、そこのところを、大臣、改めて。

塩川国務大臣 現在、補正予算を提出すべく準備をしておりまして、その補正予算につきまして、十分御議論いただきたいと思っております。

 そして、これから起こり得るものがどういうことかということは、だれとても予測できないことだと思っております。しかしながら、アメリカが作戦をしておりますので、これに伴うところの変化が起こり得れば、それに対応する措置は直ちにとっていきたいと思っておりまして、その場合の総理のリーダーシップによりまして、経済財政諮問会議で緊急招集して措置を講ずるということになっております。

中川(正)委員 それに対応して、自民党の中からは、二次補正で公共事業をもう一回やるべきだ、こういう形で今議論があるようでありますが、この考え方に対しては、聞いていただいていましたか、さっきより、二次補正で公共事業を積み上げろ、この考え方に対しては大臣ははっきりと、これはそういうやり方ではだめなんだ、二次補正の中で公共事業を積み増すんじゃなくて、二次補正あるとすれば危機管理なんだ、危機管理なんだということ、そのことを今ずっとおっしゃっているんだと思うんですが、その考え方でいいわけですね。

塩川国務大臣 驚天動地のようなというか、それに準ずるような非常事態が起これば、おっしゃるように、やはり緊急対策を講じなきゃいかぬと思っております。

山口委員長 質疑時間が終了しましたので、お願いいたします。中川君。

中川(正)委員 時間が終了したようでございますので、残念ですが、ここで終結をしたいというふうに思います。ありがとうございました。

山口委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 まず、保有機構の質問をする前に、ちょっと今のお話と関連して柳澤大臣に、お役所に長くおられた経験からお伺いするんですけれども、私も以前、役所に勤めている方から小耳に挟んだことがあるんですが、どうして事務次官というのは国会には出ないことになっているんでしょうかね。その辺どうなんでしょうか。慣例なんでしょうか、どうなんでしょうか。大臣、その辺のこと、御事情を御存じでしたら御披瀝いただけますか。

柳澤国務大臣 私も、これは国会でお決めになっているルールに従っているんだろう、こういうふうに基本的に思っております。

 ただ、もう一つは、一種の危機管理と言っては言葉が過ぎるわけですけれども、やはり、事務方を束ねる最高の責任者というものがきちっとその定められた位置にいるということが大事だというところから、そうした慣例ができ上がっているんではないかなと。詳しくはありませんので、やや不用意な発言になるかもしれませんが、そんなふうに思っております。

中塚委員 私も全然詳しくありませんので、国会で決まっているのかどうかもわかりませんが。ただ、今までのお話を聞いていると、やはり森長官がお越しになれば何か大部分の話は解決するのかなというふうな気もしますので、ぜひともそれは大臣の方からも、与党なりあるいは金融庁の方に御指導いただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 そして、もう一つ取得機構と関係ないお話、関係ないようで関係あるお話ですが、昨日、自民党の麻生政調会長がペイオフの再延期ということについて御発言をされたようなんですけれども、柳澤大臣はこのペイオフの再延期ということについて、お考えはいかがですか。

柳澤国務大臣 ちょっと、突然の御質問なものですから、麻生政調会長の発言を踏まえての発言にならないんですけれども、新聞の報道によれば、前提のあった話だというふうに思っております。

 ただ、私の気持ちというか私の考え方についてのお尋ねだとすれば、従来から繰り返し述べておりますように、ペイオフの凍結の状態は解除すべきであると考えております。

中塚委員 それでは次に、株式取得機構のお話を聞かせていただこうと思うんですけれども、これはたしか、そもそもことしの四月の初めの緊急経済対策、森内閣のときに、これのもともとの考え方みたいなのが盛り込まれていたというふうに思います。

 それで、そもそもことしの初めのころは、やはり株価対策ということで始まった話なんだろうと思うんですね。それが、緊急経済対策の中で入ったわけですから、経済対策というふうなことになって、今回法案として提出をされてきたときに、金融システムの安定化策というふうな理屈まで今もうつくようになっているわけですね。

 では一体どれが本当なのかなというふうに思うんですけれども、どれが本当なのかなというふうに思うのと同時に、どれの役にも立たないんじゃないかなという気もするわけです。つまり、経済対策、株価対策、金融システム安定化策、特に金融システム安定化策という意味では、結局これは銀行に資金を贈与する、つまり資本注入でもないわけですね。単に株を買ってお金をくれてやる、そういうふうな、今までとは違う、形を変えての銀行救済策なんじゃないかというふうに思うわけですが、大臣、いかがでしょう。

柳澤国務大臣 今度の株式の保有制限、それから買い取り機構のこの一つの仕組みですけれども、これは従来から申し上げているとおり、株価の変動というものが金融機関の安定性、ひいては金融システムの安定性にとってなかなか難しい問題を提起する、かたがた、バーゼルの銀行監督委員会の方でも、この株式の資産と申しますか、有価証券についてのリスクウエートというものを考え直そうというような動きもあるということで、そういうものに対して日本の銀行も早急にこれは対応していかなければいけないという状況に立たされているわけでございます。

 そういう中で、とりあえず早急に株式の保有残高を引き下げていく、そういう意味での保有制限をするということでして、それの裏打ちと申しますか、それが円滑に実現するように、一時的に需給が乱れるということについては、これを補正すべきだということで買い取り機構というものを置く、しかしできる限り市場原理と背馳するようなウエートというものは少なくしようということで、一般勘定と特別勘定に分けて、特別勘定というのは限定的にこれを運用していこう、こういうような全体の思想で貫かれているシステムでございます。

 そういう意味で、今委員がおっしゃるように、株価を市場価格よりも高く買って、金融機関に補助金的なお金を投ずるというような仕組みになっていないということを、ぜひ御理解賜りたいと思います。

中塚委員 高目に買ってお金を上げるわけではないと思いますよ、それは私も。ただ、マーケットで売れば価格が下がるから、その分をマーケットを通さないで買ってあげようということで、それでも十分資金の贈与に当たるんじゃないかというふうに考えているわけです。

 それで、バーゼルの監督委員会のお話とか、今されたわけですけれども、もちろん株価の変動が銀行の財務内容に与えるリスクというものを切り離すという説明は、確かにそれはそのとおりなんだろうと思いますが、ただし、銀行とかあるいは事業会社間の株式の持ち合いの話とか、それを解消はしていかなきゃいかぬということは、もうここかなり前からの常識というか、それがトレンドですよね。持ち合い解消はしていかなきゃいけませんねという話にずっとなっていたわけですね。また、持ち合い株に対する時価評価ということも導入をされて、導入をされるからなおさら株なんてなかなか持っていると大変なことになるということも、もうこれもみんな周知の事実だったわけですよね。

 ところが、それがなかなか思うようには進んでいない。みんな知っていたけれども、なぜか銀行はいまだにたくさんの株を抱えてしまっているということになっているわけですけれども、そこで、いろいろなしがらみなんかあって、要は銀行が持っている株をマーケットに売れないから、ではそこでこの保有機構をつくって買ってあげましょうかという話なんじゃないんですか。どうでしょうか。

柳澤国務大臣 そこまで、今の中塚委員のお話ですと、随分特別勘定の方に傾斜したようなことを前提にしたお話のように承らざるを得ないわけですけれども、御提案しているスキームというのは、そういうふうなことにはなっておりません。

 買ってあげるというか、それは何か値をよく買ってあげるということでしたら、委員のおっしゃるようなことも当たっているかと思いますけれども、あくまで時価で、それでそれを一気に出したときには需給がゆがんで、長期的な本来あるべき価格よりも低くなるということをセーフティーネットとして防止しよう、こういうことに尽きるわけでございます。

中塚委員 いや、時価より高い価格で買うわけではないと思いますよ。時価と同じ価格で買うんだろうと思うんですが、ただ、銀行の保有株を売りに出した瞬間に、やはり株価というのは下がり出すわけですよね。だから結局、時価で買うということは、マーケットプライスより高い値段で買ってしまうことになるんじゃないのかというお話なんですね。

 それで、この間、参考人質疑が行われまして、今大臣がおっしゃっていましたけれども、特別勘定ですか、何もそっちを多用するわけではないというふうにお話しされていました。参考人質疑で、関係業界の代表の皆さんがお越しになっておられたわけですけれども、どなたもこの機構の創設というのを要望したことがないという御答弁というか、お話だったわけですね。

 そうしますと、これはひょっとすると、この機構が全く使われないという可能性もあるんではないのかなというふうに思うのですが、そこはどういうふうにお考えですか。

柳澤国務大臣 セーフティーネットですから、まず第一に、あるということが大事だということだと思います。それはもう正直言って参考人の意見を私、全部聞いたわけじゃないんですけれどもテレビ放送を通じて聞いておりましたけれども、やはり、あるというのはそれだけ安心材料だということをおっしゃっていた方もいらっしゃるようでして、私は、そこは正しい御意見だった、こういうふうに思います。

 実際に、これがどのぐらい使われるかということは、いろいろな状況の複合的な事情から決まってくるというように思いますので、私も何とも明確なことを申し上げかねますけれども、何にも使われないということまでは想定いたしておりません。

中塚委員 会員を募って、会員が出資をして、この機構を設立するわけですね。会員の銀行が持っている株式を機構が買い取るというスキームになっているわけですけれども、このやり方というのは、従来からずっと言われていた護送船団方式といいますか、いわゆる奉加帳方式ということになるんじゃないですかね、会員を募って出資をさせて機構をつくるというやり方が。これが、それこそ平成八年、九年ですか、金融ビッグバンと言われたフリー、フェア、グローバルという方向性に真っ向から逆行するような気がするのですが、そこはいかがでしょうか。

村田副大臣 機構の創設の意義につきましては、大臣からただいまるる申し上げたところでございますけれども、この機構の会員になること自体、これは任意でございますので、そういう意味では奉加帳方式に当たるというふうには考えられない、こう思っております。

中塚委員 いや、今まででも、任意でも奉加帳でお金を集めてきたから奉加帳方式なわけですよね。強制的にお金を払うということだと、それは奉加帳だと言わないんだと思いますよ。

 そういったやり方をやるということも、やはり設立することが前提になっているわけですよね、法律をつくってお出しになるわけですから。だから、それが前提になっているんだろうというふうには思いますけれども、こうやって会員を募って出資をさせて機構をつくる、そしてその会員の銀行の持っている株を買い取るというやり方が、やはりこれは従来の護送船団的なやり方だし、また、それに、機構が引っ張ってくる資金に保証までつけるということですよね。これが、やはりいろいろな世界の先進各国から見たときに、すごくインチキくさいやり方だなと思われるんじゃないかというふうに思うわけですね。

 それで、政府保証のためには、予算措置というか、予算案に総則で、要は政府保証をするということを書かなきゃいけないわけですね。この機構自体は来年の一月発足ということですけれども、予算措置の方は来年度の当初予算で盛り込むというふうに聞いておるんですけれども、これだけ急いで審議もされているわけだし、設立されるというのであれば、本来はやはり補正予算で手当てをされるのが筋なんじゃないんでしょうか。財務省、いかがですか。

村上副大臣 中塚委員の御質問にお答えします。

 今言われたように、金融庁は、この株式取得機構ができるだけ早くセーフティーネットとして機能を果たすために、来年一月を目途とされている機構の設立後、特別勘定による買い取りを円滑に開始していくために体制を直ちに整えることが必要であるとして、今回の補正予算において予算上の手当てをすることを要望しております。

 我が財務省としましては、金融庁の要望を踏まえ、今回の補正予算によって予算総則の補正を行い、特別勘定による株式の買い取りのため、機構が行う買い入れ等に対して政府保証をすることができるよう措置することにしております。

 以上であります。

中塚委員 株を買い上げる。結局いろいろな事情があって持ち合い自体もよくないことだし、あと、銀行の財務内容が株価に左右されないように株式を銀行から切り離すということなわけですけれども、その放出される株がマーケットで暴れて価格が下がってはいけないから保有機構で一回預かる、そういう考え方ですよね、この機構自体は。

 そうやって機構が株を買い上げて持ったとしても、いつかは売らなければいけないわけですよね。解散するときまでに売る。なくなったときにも解散するのですね、もう持っていなくなれば解散する。それで、解散の期限が来たときに持っていたときは、これはやはりそのときには全部売り払うことになるのですか。そこはどうなんでしょう。

村田副大臣 結局、一般勘定の場合には、ETFの組成とか、あるいは自社株の買い取りという方法に使われる。だから、非常に短期間に機構が一たん受けた株が動いていく、こういう形になります。特別勘定で買い取った株式につきましても、一定期間内、機構自体の存続期間が十年間でございますから、その中で処分をされなければいけないということであります。

 したがって、結局、買いまして、急激な市場の乱れのような緊急のときにセーフティーネットとして機構がその役割を果たす、こういうことでございまして、しばらくの間そういう時間が、株価のこういう動き、変動というものを和らげる、一定期間持っているわけですから、そういう役割は処分の間に果たしていくのではないかというふうに思います。

中塚委員 だから、五年間で買い取って十年間かけて売るわけですね。十年たったときに全部売れればそれはハッピーなことだと思いますけれども、十年たってもまだ残っているときは、そのときはこれはどういうふうに手じまいをすることになるんですか。

村田副大臣 私どもは、初めからいえば十年間という期間でございますけれども、その間に機構が取得した株式は売り切ることができるというふうに考えておるわけでございます。

中塚委員 だから、それは売り切れればいいんですけれども、売り切れなかったらどうするのかということをお尋ねしているわけです。大臣、いかがですか。売り切れなかったときにはどうなるんでしょう。

村田副大臣 実際問題として、信託銀行に具体的な処分は委託するわけでございますけれども、その前に、運営委員会によってどうやって処分をしていくか、そういうあらかじめの計画といいますか、それをつくっていくわけでありまして、その中で、買い取った株式については一定の期間をもって売り切るようなスキームをつくっていくということだと思います。

中塚委員 ということは、結局、十年間たったら売り切るわけですね。それは倒産すれば株は紙くずでしょうからなくなってしまうわけですけれども、買ったものはやはり売り切られてしまうということになるのであれば、結局、大量にマーケットに銀行の保有株が放出されることによって価格が下がる、それを防ぐための機構だというふうな話なんですけれども、それはやはり最終的には売るわけですから同じことになるんじゃないですか。大臣、いかがでしょう。

柳澤国務大臣 今中塚委員は、売り切れなかったらどうするか、また、売るものは、そういうものを経由しても結局は直接市場に売るのと大して変わらないじゃないかというような観点からのお話、たびたびいただいているわけですけれども、それは必ずしもそうではないわけですね。やはり売る時点で違うし、売り方によっても、マーケットに対する、ごく短期的な話ですが影響があるわけですから、そこはそういうことではないということでございます。

 それで、これは余り昔のことを言っては必ずしも適切でないんですけれども、四十年不況のときにつくったものについてもやはりかなりしっかりした売却ができた。あのときほど経済が右肩上がりというわけにもまいりませんから、状況が違うでしょうけれども、しかし、そういったことも参考にしながら、うまく売り抜いていくということが期待をされているスキームである、こういうことでございます。

中塚委員 今おっしゃいました短期的にはというお話の中で、それは短期的には効果はあると思いますよ。確かに、現物がばあっとマーケットに流れるわけではないですから、短期的にはすごい効果はあると思うんですけれども、それがロングスパンで考えたときに、果たして、持っているのをちょっとずつ売るのと一気にばあっと売るのと、そこがどれだけ違うのかなという意味で、余り役に立たないんじゃないかなというふうに考えているわけです。

 そういう意味で、しばらくの間株価を動揺させないための効果はあるかもしれないけれども、中長期的には結局同じことなんだろうし、そういったことになってくると、結局、株式というのを買い取るという形で銀行に資金を贈与する自己資本の強化策なんじゃないかというふうに思わざるを得ない部分があるということです。

 そこで、国の保証で資金を調達するということになるわけですけれども、銀行は確かに金融システムを担っているわけですが、ただ、銀行だってそれは投資家の一つであることは事実ですね。そうしたら、銀行の保有している株式の資産の上下のするリスクを政府保証を付して引っ張ってきたお金で買い取って機構に移すということは、銀行の持っている株式のリスクを国民のリスクにつけかえるという話になるんじゃないかというふうに思うんですが、それはいかがでしょうか。

柳澤国務大臣 株式というのはどの株価水準であってもリスクを包蔵しているということは、これはもう否定できない事実でございまして、株を持つということ自体がある種リスクを持つということであれば、今中塚委員がおっしゃられるようなこともあながち否定できない面であるということは申し上げざるを得ないと思うのです。

 中塚委員が御所属の自由党のもう一人の委員である鈴木委員には、もうけ過ぎてという御議論も他方なさるわけでございまして、中長期的に見て今の株価水準のままにいるということは、やはり私どもとしては考えたくないといったってそれはおまえ考えるべきだと言われちゃうとこれは水かけ論なんですけれども、やはり政治家として私ども、経済をもう一回立て直して活性化しなきゃならないというふうに考えておりますので、そういう意味では、そう静態的にだけ考える必要はなく、もっとダイナミックに考えていいんではないか、このように思うわけでございます。

    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕

中塚委員 ダイナミックにお考えになるのはそれはいいんですけれども、では十年前の株価が幾らだったかといいますと、私がさっき調べましたら、十年前の十月三十一日の株価は二万五千円ちょっとでした。今が一万円ですから、十年たって半分以下に下がることだってなくはないわけですね。それはもちろん上げるようにしていかなきゃいけないのは当然のことですけれども、そういうふうなことを目指しながらでもやはり下がってしまったということだってあるわけですね。

 だから、そういう意味で、やはり銀行という投資家が持っている株式のリスクというものを国民のリスクの方につけかえる。やはりこれも、銀行にそうやって、銀行の持っているリスクをとって国民のリスクにつけかえて、なおかつ資金を贈与するということになるのであれば、やはりそれはまだ考え方としては資本注入の方が、これは要は資本を注入するということですから、例えば、議決権行使ができたり、あるいは、いろいろ早期健全化計画とかそういうものも出させられるわけですから、そういったやり方で銀行にどんどんと経営内容、財務内容の改善というのを迫っていけるということになるわけですね。

 他方、株式を買い取ってしまうと、その機構が将来的に損をするか得をするかというのは、その株式を発行している事業会社の成績によるということになってしまいますね。だから、そのあたりがいかにも理不尽というか不合理というか、そういうふうに感じざるを得ないところなわけです。

 そもそも、柳澤大臣というか当時は柳澤長官だったと思うのですけれども、持ち合い解消は構造問題であって景気対策ではないというふうにおっしゃっていたと思いますし、この構想自体に余り肯定的ではなかったんだろうというふうに思います。

 そこで、銀行がそうやって持ち合い株を売るわけですけれども、持ち合い株ですから、要は、反対側の事業会社も銀行の株を持っているわけですね。持ち合いの解消をする、日本の企業の財務体質とか資本効率の低さというのを変えていくために、どんどんそれを構造改革するために持ち合い解消するというんであれば、どうしてこれは事業会社の持っている株について買い取るスキームというのはないんでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、議論の過程ではそうした議論も正直言ってなかったわけではありません。

 ただ、持ち合い解消ということが実態としてあることは否定しませんけれども、すべからく今度の場合には、銀行の株式保有の制限というところに焦点を当てて、これをどう円滑に実現するかということでございますから、事業会社の持っている銀行株については、これがスキームの中に入らないというのは当然の帰結であったわけです。

中塚委員 そこまで、事業会社の持ち株解消まで機構でやると、余りにも筋が悪くなり過ぎるからということもあるんだろうというふうには思いますけれども。

 銀行の放出する株を一時買い取って、じゃ本当にこれで価格が支えられるのかなというふうに思う理由の一つに、やはり持ち合い株だから大体もうわかっちゃうわけですよね、売り筋というか、買い筋というか。

 そうなってくると、要は銀行が持っている保有株を機構に売るというとき自体、もうそれで、ああ大体これはどういう株を持っているんだろうなという筋は読めるわけですし、逆に、今度、事業会社の方は、じゃ、あの銀行がうちの株売ったんだったら、この銀行の株売ったっていいやということで、事業会社も銀行株をばっと売るということになって、そうすると、もうある程度銘柄みたいなのが特定をされてしまって、その特定をされた銘柄について空売りを浴びせられるような話だってなくはないと思うんですね。

 結局、株価を支えるためにつくった機構であるけれども、それが逆に株価の低下あるいは暴落というのを招く可能性だってあると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

柳澤国務大臣 そうした可能性が全くないわけではなくて、それをいかに封じ込めていくかということに工夫をしなければならない必要があるということ、これはもう当然のことでございます。

 ただ、また一方、そんなことで、株の銘柄もかなり多岐にわたっていますから、実際の運用というか実際の実行においても、そんなつけ込まれることのないように注意を払っていくということも当然でありまして、そういうようなこと、制度的な面あるいは実行上の面あわせて、そうした御心配の事態が起こらないようにしていく、いかなければならない、このように考えているわけです。

中塚委員 そういう意味で、保有機構はアナウンスするだけで逆に売り圧力をふやすことになるんじゃないかなというふうに私は思っております。

 やはり、買い上げ対象になる株を持っている株主、それはだから価格支持の恩恵というのは受けるでしょう。価格を支持するということについて恩恵は受けると思うんですが、それ以外の株主との間に不公平が生じたりもしますね。そういうことになると、やはりマーケットの正常な価格形成機能というのを結果としてゆがめてしまうことになるんではないのかと思うわけです。

 そういうふうになりますと、個人投資家を育てるというふうなことをずっとおっしゃっていますし、今度は証券税制の改正案も出るようですけれども、価格形成がこのマーケットはゆがめられているんじゃないかなというふうに思われてしまうと、かえって新規参入の投資家の足が遠のいていくようなことになるんではないかなというふうに思いますけれども、その辺はいかがですか。

柳澤国務大臣 まあこれ、価格支持というふうな物の言い方をなされて、それを前提にした御議論なので、そこの前提からして我々ちょっと同じ立場に立ち得ないんですけれども、要は、一挙に売り出すことによって需給が一時的に乱れて不要な値下がりがするということを防ぐということでして、それが価格支持というようなことで、何かマーケットの中の需給をタイトに持っていくというような、そういう機能は全くこの機構は果たしませんので、私どもちょっと委員の御提示された前提とは違った考え方をしているわけでございます。

中塚委員 けれども、マーケットに出たら値段が下がるから、それを一時期引き取りましょうということで、それで株価が下がらないようにするということですよね。放出をされたときに、それで一時的にでも混乱するようなことがあってはいけないから機構で抱きかかえるという話で、マーケットの株の価格が変わらないようにしようというためにこの保有機構をおつくりになっているわけでしょう。それはやはり価格を支持していることになるんではないでしょうかね。

 そうやって価格を支持していくということになりますと、個人投資家なんかをどんどんとマーケットに呼び込んでいくんだという話になったときに、結局、これからの株式投資のリターンというのを低下させることになるんじゃないかなというふうに思うんですね。本当の実勢の価格ではなくなってしまっているわけですから、だから、そういうところで価格形成をゆがめてしまうんではないのかというふうにお尋ねをしているわけですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 何と比較を、どの状態と今回のスキームが入った後の状況を比較して物を言うかというような感じもするんですけれども、我々、今回は、かなり大量に株式を保有している機関に対してこれを制限して、売り払うようにということを義務づけようということでございます。そういうものに起因したところの一時的な需給関係の乱れをセーフティーネットとして受けとめようということでございますので、そのスタートの地点からの話として全体をつかんでいただければ御理解をいただけるんじゃないか、このように思います。

    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕

中塚委員 需給関係の一時的な乱れというのが、だって、売って、ばあんと値段が上がればそれは別ですけれども、やはりそれは、売れば需給関係が悪化をして株が下がるということになるわけですから、そうならないように保有機構で一回持ちましょう、短期の話にしてもということだから、価格支持ではないんですかというお話をしているわけです。

 最後になんですけれども、コーポレートガバナンスについて伺いたいというふうに思います。

 持ち合い解消ということで、やはりコーポレートガバナンスを改善していかなきゃいかぬ。持ち合い解消することがコーポレートガバナンス自体を改善していくことになるだろう。つまり、安定株主ではなくて、広く投資家が株式を持つことによって、株主になることによって、企業の経営内容なんかをチェックしていくようにしていかなきゃいかぬということで、まさしくこれも構造改革の一環ということができると思うわけですね。

 この安定株主である銀行が株式をどんどんと放出していくということになったときに、また、これをその機構の特別勘定の方で抱えてしまうということになりますと、コーポレートガバナンスを改善していくということにもならない。先ほど大臣が昭和四十年ですかのときの共同証券とか証券保有組合のお話をされましたけれども、あのときも結局、買い取った株が最後に残ったのを外資から守るためとかなんとかかんとかという理屈のもとに金融機関に持ってもらって、より持ち合いが強くなって、日本のコーポレートガバナンスというものがうまく機能しないというふうな事情があったと思うのですね。

 そういう意味で、この保有機構というのは、コーポレートガバナンスを改善していかなきゃいかぬという構造改革の方向とも逆行するんではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。

村田副大臣 銀行が過度に保有している株が一般投資家に渡っていくということを促進していく、そういう中でコーポレートガバナンスの改善が図られる。本スキームは、機構がそれで持っちゃうんだからそれに逆行するんじゃないか、そういう御指摘でございます。

 しかしながら、銀行が処分する株式をすべて機構が買うわけじゃなくて、原則は市場で処分される。二番目に、一般勘定で取得するものについてもごく短期間に処分される、こういうことになっているわけでありまして、それから特別勘定のものについても、最後は、結局は相当の期間をもって一般投資家に渡っていくことを期待される。その過程、機構が持っている間につきましても、信託銀行に対して議決権行使に関します基本的な考え方を示して、機構が保有する株式の価値の最大化を図るという観点から、ガイドラインをつくって、議決権を行使してくれるように信託銀行に示す、こういうことになっているわけでございます。

中塚委員 おっしゃっているとおりにみんないけば、それはこんなに結構な話はないわけですけれども、四十年代の証券不況のときにつくった二つの組織にしたって、結局それで株価も上がらなかったわけですね。何で上がったかというと、当時の福田大蔵大臣が国債発行政策というのをとって景気回復ということをしっかりやったから、初めて株価だって上がるようになったという事実があるというふうに思います。

 時間ですので、終わります。

山口委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 まず最初に、先日の参考人質疑の中で、佐々木憲昭議員の質問に対して、全国銀行協会山本会長、地銀協会平澤会長、第二地銀の一色会長、そして奥本証券業協会会長の皆さんから、銀行等保有株式取得機構をつくってほしいと政府に要請したことはないという皆さんのお答えでした。

 そこで、柳澤大臣の方に先に伺いたいんですけれども、そうすると、これらの業界の方はないと言っているんですが、この業界の方から銀行等保有株式取得機構をつくってほしい、そういう要請をしてきたことがあったのかどうか、これを最初に伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 これは先ほどの中塚委員のお話のときにもあったんですが、話の発端は確かに緊急経済対策で出てきたものでございまして、発端としては、党側、与党側というか、そういうところから話が出始めたわけでございまして、その背景にどういうものがあるかというのは、私ちょっと寡聞にして十分承知しているかどうか自信ありませんけれども、しかし、その背景に業界の要望があったというふうには聞いておりませんし、そういう理解もいたしておりません。

吉井委員 柳澤大臣の方には、ですから直接要請はなかったということですよね。

 そうしたら、塩川大臣の方に、この業界の方からこういう機構をつくってほしい、そういう要請というものがなされたのかどうか。これは塩川大臣の方に伺いたいと思います。

村上副大臣 財務省としましては、銀行業界並びに証券業界から法案に関しての要望は受けておりません。

吉井委員 いつの間にか大臣にならはったみたいやけども。

 参考人の皆さんは、銀行の自己責任原則で持ち合い株を、市場の状況を見ながら、相手企業とも十分話し合って売却するという答弁でした。実際、前の西川会長らの記者会見などを見ておってもそういうお話がありましたし、現に銀行というのは、これも先日佐々木議員が示しましたように、益出しをして大きな利益を上げながら、持ち合い株を売却して、ティア1を超えるものは十一兆円まで圧縮してきて、これから大体全部解決できる見通しというのも示されているということです。

 では、柳澤大臣、なぜ銀行業界がみずからの力でやると言っているし、やってもいるのに、要請もされていない機構をつくろうというのか。これは党側の要請だからつくるということなのか。一体なぜつくろうというのかということを改めて伺っておきたいと思います。

柳澤国務大臣 私、吉井議員のお立場からいって、要望があってつくるんだったらけしからぬというお話がもとになっているかと思ったのですが、ちょっときょうは意外なところから矢が飛んできたような感じがございます。

 それはともかくとして、これは、株式の保有制限をする、これをいかに円滑にするかということの考え方の中から、いきさつはともかくとして、我々としてはこの構想を、スキームをまとめたということでございます。

吉井委員 その、いきさつはともかくというあたりは、我々の方は全然わからない話ですからね、いろいろ御事情はおありだったんでしょうが。株式買い上げ機構の、迷走したということで、いろいろな報道等もありました。

 その中では、例えば日経の三月十日の社説では、「森政権末期のどさくさに紛れて、何でもありの対策をまとめて出してきた」そして、「一時的な損失隠しに過ぎない株式買い上げ機構の設立や中小金融機関に対する金融検査の弾力化を堂々と主張するのは、責任与党とも思えない」とか、要するに、機構にかかわっての社説まで出たりしましたが、実は、この銀行保有株式取得機構を当時の亀井政調会長に入れ知恵したのは日経の鶴田社長本人だから、亀井会長はこの社説にかっとなって鶴田社長にねじ込んだという話も紹介され、この結果、論説委員でこの社説を書いた佐野正人氏は編集局付に左遷されたということも紹介されております。

 これは幾つかそういう報道等もありましたが、その中で、この四月三日から、柳澤氏は株式買い上げ機構に強い抵抗を示し始める、翌四日に首相官邸で開いた政府・与党の緊急経済対策本部会合で、亀井、柳澤の激論につながる、決して穏やかな議論ではなかったというから、相当などなり合いになったのだろうという紹介もありました。

 そこで、柳澤大臣、率直に言って、銀行保有株取得機構を大臣自身は必要ないと考えていらっしゃったのではありませんか。

柳澤国務大臣 買い取り機構単独の話と、今回私どもが御提案させていただいている保有制限と一体化した一つのシステムとしての機構とは、これは全然別物だというふうにぜひ御理解をいただきたいわけでございます。

 かねてから、本案の審議に入りまして以降、一貫して私も申し上げていることでございますけれども、やはり株式の変動リスクというのは相当重視しなければならないファクターでして、これについてバーゼルの委員会もかなり突っ込んだ議論をしているという話も非常に一種の切迫感を持って聞こえてくるというような状況がございまして、これをどうやって我が国銀行が消化していくのかというような問題意識。そこから保有制限という考え方が出てきて、そして、これをどうやってうまく円滑に実現するかというときに、一つの考え方は、ETFだとか自社株買いだとかというようなことを期待して、そういうものとして一つの受け皿を考えたらどうか。しかし、やはりそれだけではどうしても本当に、最後の、ラストリゾートというかセーフティーネットにはなり切れないというところで、特別勘定というものを置いて直接の買い取りもできるようにしたということでございまして、単純な株式買い取り機構というか、買い取りの組織ではないということをぜひ御理解賜りたいと思います。

吉井委員 いずれにしろ、それは、春の段階から大臣のお考えが変わっていかれたというのは今のお話を伺っておってわかりましたが、要するに、別に業界の方が、自分たちで、自己責任原則でやるんだということも言っているし、やってきてもおり、そしてできるんだと言っておる中で、業界が求めているわけでもなく、そして、金融庁、大臣の側が当初考えておられたものでもなく、結局、党の側からの話として出てきたものであるというのが今のお話を伺っておってわかりました。

 次に、今度のバーゼルのお話もありましたが、要するに、BIS基準を考えていく上での分子の部分の資産収縮になる要因を、そしてそれが要因となる持ち合い株の価格変動、株価下落による影響を断ち切る、一方、分母の方は、貸付資産の圧縮を図るために不良債権処理を促していくという、それぞれのところに税金を使った支援の仕組みというものを考えていくという、そこが今基本的なスタンスとして進めておられるように思いますが、国民に対しては金融について自己責任原則というのを言いながら、分母、分子も、銀行には税金を使った支援の仕掛けというものをいろいろな形でつくっていくというのは、やはり私は問題だと思うんです。

 そういう中で、税金を使った支援を進めてきた中での問題として出てきているのが、あらかじめ申し上げてありますが、金融再生委員会が九九年三月五日の三十四回会合で、日債銀として特徴ある取引先、すなわち反社会的勢力である暴力団や総会屋に、九八年十二月十六日時点で一千二百億円の貸し出しをしていたということを事務局が報告したということでありますが、再生委員長だった柳澤大臣からその間の事情というものを伺っておきたいと思います。

柳澤国務大臣 これは、公開された金融再生委員会の議事録に掲載されている議事の内容にかかわるお話でございます。

 日債銀につきましては、今御指摘のように、反社会的勢力に対する相当額の融資が行われているという報告がありまして、そのため、再生委員会の議論におきましては、特に留意をし厳正な対処を求めたというのが経緯でございます。

 なお、その後、旧経営陣に対しましては、特別公的管理銀行時代に刑事告発が行われておりますし、他方、またその債権を譲り受けたRCCにおきましても民事上の責任の追及を行っているという段階でございます。

吉井委員 事務局が報告するずっと前に事務局は当然そういう事態はつかんでいた。つかんでいたから報告もできたわけですが、暴力団等に千二百億円貸し付けて、その貸し付けというのは既に実質破綻先になっていたものでありますが、この日債銀に対して、資本注入それから特例資金援助、損失補てんが行われておりますが、それぞれ公的資金による支援というものが幾ら行われたのか、この機会に伺っておきたいと思います。

村田副大臣 今御質問の金額でございますが、まず第一に、早期健全化法に基づきます資本増強が二千六百億円。第二に、金融再生法第七十二条に基づきます特例資金援助が、金銭贈与が三兆一千四百十四億円、資産の買い取りが三千九十九億円。それから三番目に、金融再生法第六十二条に基づきます損失補てんが九百五十一億円となっております。

吉井委員 ですから、今のを合わせますと三兆八千六十四億円の公的資金が使われているわけですね。日債銀は破綻したわけですから、もちろん国民の税金は返ってこない。国民が日債銀を経由していわば暴力団に千二百億円支払わされたのと同じことになるわけですよね。

 日債銀の経営者で暴力団に融資した歴代の責任者たちは、刑事告発によって、逮捕六人、送検五人、最終的に、結局起訴されたのは三人ですか、先ほどそういうお話もあったかと思うんですが、それから、そのほかに民事告発もありますが、そういうこととともに、これだけ、国民の三兆八千億円を超える金が使われて返ってこない、千二百億もいわばこの銀行経由で暴力団に使われたようなものになりますが、一体、歴代の経営者の皆さん方から国民には幾らの金が返済されたのか。そういうのはきちんと調べられたものがあるのか、あるいは返済は実際に何がしかでもなされているのかどうか、どうですか。

柳澤国務大臣 返済ということをおっしゃられたんですけれども、これは、やはり法治国家ですから、すべて法に基づいての措置ということになるわけでございます。

 ただ、そういう中で、退職金の返還ということが、これはある種、道義的な次元で行われておるわけでございますけれども、それは一億五千万以上というふうになっております。

吉井委員 国民の税金が、本当に三兆八千億円を超えるものが消えてしまって、そして暴力団には千二百億円この日債銀から金が出ておって、返ってきたのは一億五千万だと。とてもじゃないがこんなやり方というものでは、私は国民の立場からして納得できるような話じゃないですよ。

 九九年五月十八日の金融再生委員会で、柳澤大臣は当時委員長として、金融再生委員会はモラトリアムを与えた、経営責任、リストラに余りやかましいことを言うと銀行の方が手を挙げなくなってしまうという発言をしたとされております。暴力団に千二百億円、融資という形で金を与えた経営陣が、実際一億五千万ほどわずかなものを返したという程度のことで済んでいるわけですが、私は、この経営責任を余りやかましく言わないとした当時の委員長としての柳澤大臣、これはやはり、それは重大な誤りがあったのじゃないかと思うのですが、その会議録もごらんになっておられると思いますから、伺っておきたいと思います。

柳澤国務大臣 まず経営責任だけのことについて申しますと、我々は法に基づいて問題の処理に当たっているわけでございまして、そういう意味で、このくだりは、要するに、日債銀の問題というよりも資本注入行の問題について論じたところでございますけれども、その節には、当然、経営責任の問題をどういうふうに取り扱うべきかというのは法が定めているということをまず御指摘申し上げたいと思います。

 私がここで、余りやかましいことを言うと手を挙げなくなってしまうという発言をしておるわけですけれども、これはもう委員も多分ここのあたりのくだりを全文目を通していただければよくおわかりになることでございますけれども、実は、この当時の議論としては、資本注入の対象になった銀行はこの健全化計画におけるリストラ等が厳し過ぎるということを非常に言っておりまして、この議論が行われた委員会においては、地銀、第二地銀の段階の資本注入いかにあるべきかということを議論しておったんですが、そのときの事務当局の話も、地銀、第二地銀とも、資本注入をしてもらうときにはすごい厳しいことを言われるのでということで迷いがあるんだというような報告がまず行われているわけでございます。

 そういうものに対して、私が、冗談ではないということを言って、これはもう本当に、健全化計画などは、リストラによって公的資金の回収が十分になされるに足る必要最低限の水準にしかすぎない、もっと各銀行は健全化計画以上の意気込みでもってリストラ等をしてもらわなければならないんだという、そういう話の一くだりであるわけでございます。

 私、その当時、大学試験になぞらえて言ったんですけれども、私が言ったのは、アメリカ型の大学だよ、入学は割と寛大にできるけれども卒業は大変なんだということを例え話として申し上げましたけれども、私は、ハードルは決して高くない、みんな高いと言っておったのですが、高くない。私が言っているのは、中へ入ってきたらもっと厳しいことをやってもらわなきゃならないんだということを強調するためにこういうことを申し上げたということでありまして、ぜひ、お取り違いなさらないようにお願い申し上げます。

吉井委員 ですから、私も言っておりますように、経営責任についても余りやかましいことを言うとということと、リストラについても余りやかましいことを言うとということを、それはそのことをきちっと言っておられるので、ですから、私は片方すっ飛ばして言っているわけじゃないので。

 リストラについてはそうなんですが、経営責任となりますと、リストラの問題だけじゃないんですね。暴力団に対する融資の問題とか、これは、総会屋に金を渡す企業の総務部長は皆逮捕されて引っ張られるわけですからね。それを銀行が、融資という形にしろ、千二百億円金を貸したり、いろいろなことで実質破綻先になるというのは、この場合は、これはもう経営責任は、余りやかましいことを言うなどころか、やかましく言わなきゃいかぬ話なんですよ。

 実際に、大臣よく御存じのように、不良債権のかなりの部分には、暴力団が居座っておるとかいろいろな話があって苦労しておる話ですから、そこに対して、癒着ととられたり、そんなところに金を貸したりしているのがあれば、それはもう経営責任が問われるわけですから。

 私は、今の話を聞いていると、大臣、余り当時の責任者として責任を感じていらっしゃらないんじゃないかと思うのですが、責任というものはきちんと感じているわけですね。

柳澤国務大臣 吉井委員も、後々議事録が残るので、おっしゃることを議事録に残しておかなきゃいけないというお立場はよくわかりますけれども、すっ飛ばしじゃありませんと私の言ったことを否定なさいましたけれども、明らかにすっ飛ばしの、全体の流れの中のごく一部をとらえて御指摘になられているということは、やはり私としても最低限反論はさせていただかざるを得ない。これが第一点です。

 それから、刑事責任の追及等をもしおっしゃるのだとしたら、それは法文にちゃんと書いてありまして、当該銀行が、それからまたその後はRCC等がやるということに決められているわけでありまして、その法の運用者としては、法の枠組みに従った適切な処置をするということが当然の責務だろう、私は、このように思っております。

吉井委員 私は、問題が明らかになってからの法的責任の追及は当たり前だと思っているのですよ。それは、法の枠をはみ出してはこれはなかなか大変だ、道義的責任は追及できても。

 今言っていますのは、リストラについて余りやかましいことを言うとというお話のくだりの部分、それは別にあなたの答弁をああだこうだ言っているんじゃないのですよ。しかし同時に、明らかに、不良債権の中では暴力団絡みの話がいっぱいあって、それは大臣もよく御存じのことなんですよ。それについては、経営に余りやかましいことを言うと手を挙げなくなってしまうかもしれないが、しかしその中でも暴力団のかかわるようなものについては経営責任はきっちり問いますよとか、これは問われなきゃならぬとか、それは本来ちゃんとつけ加えて言っておかないといけない話であって、私は、それについて、現実に、ちょっと軽く考えてもらっちゃ困ると思うのですよ。

 三兆八千億の国民の税金がパアになってしまった、その日債銀が、千二百億円、暴力団に金を渡しておって、いろいろ頑張って一億五千万回収しているといいますか出させたといったぐらいで、これはその時代の大臣の責任が軽くなるような話じゃないと私は思いますよ。

 だから、国民には自己責任原則だということを説教して、銀行には甘い、自分自身にも甘い、そんなことでは、どうして銀行に自己責任を求めることになりますか。

 私は、大臣のときにやったことについて、まずかったことはまずかったこととして、やはり、責任というものをきちっとお感じになって、そして、こういうことはもうやらないということを、見逃さないということをはっきり言うべきじゃないですか。

柳澤国務大臣 そのところで、言葉を継いでなぜ言われなかったかといいますと、これは日債銀の議論をしているくだりではありません。そういうことで、日債銀のことを論じているくだりでは、私は私なりに、これは経済的な判定だけじゃなくて社会的な判定もしなければいけないというようなことで、かなり注意を喚起しているところでございます。

 そういうことである上に、吉井委員にぜひ御理解賜りたいのは、刑事責任の追及の仕方についても法は規定をしているわけです。法は規定をしています。例えば現在の管理処分の場合には金融整理管財人が刑事責任を追及する、それから特別公的管理銀行の場合には新しく送り込まれた経営陣が責任を追及する、それぞれそういう仕組みができ上がっているわけでありまして、それがどのようなことを行うかということについては、我々監督の責任を持っているわけですけれども、直接的な行動をとるのは、そういうような法に定められた人たちであるということでございまして、この点は御理解を賜りたいと思います。

吉井委員 私は、率直に言って、こういう問題、もちろん、大臣が日債銀に対してそういうことを言ったということじゃないですからね、全金融機関を対象にして言っておる話だから。

 ただ私は、これだけ問題が起こっている中で、本当にそういう、何か今のような言いわけのようなお話を展開しておられたのでは、とてもじゃないが、国民の立場からしてこれは、こんなひどいことが起こっていることについて、そして非常に甘いやり方に対して、理解の得られるものじゃないということを申し上げておいて、塩川大臣、何かお急ぎのようだと聞きましたから。いいですか。

 先にちょっと塩川さんの方に話を移っておきますが、株価というのは実体経済を映す鏡でもありますが、その実体経済、今大変なわけですね。それで、きょうも午前中からも何人の方からもお話ありましたが、九月の完全失業率は五・三%で過去最悪。その中身を見ていくと、非自発的離職者が百九万人へ、対前年同月比で十万人増加してきて、雇用者が五十三万人対前年比で減って、そして常勤雇用者が五十七万人対前年比で減っている。そのうち、五百人以上の大企業で四十五万人が減っている。つまり、常勤雇用五十七万人減った中で、五百人以上の規模の大きな企業で四十五万人減っていると。これは、圧倒的に大企業のリストラが進み、リストラのすさまじさというものが今はっきり出ている。ここに見ることができると思うのですね。

 この点で、塩川大臣は八月二十八日の記者会見なさったのを、インターネットの方で記者会見の内容等を読ませていただきましたが、七月の完全失業率五%の段階で、国民の生活の安定ということに対しても、やはり企業の社会的責任があると思うんですね、だからリストラのあり方というものをもう少し考えてもらわなきゃいかぬのじゃないか、これは政府として警鐘を鳴らしてもいいと私は思いますねという発言してはりますけれども、この考えは今も同じですね。

塩川国務大臣 八月に発言いたしましたのと私、同様でございまして、やはり、今、何かリストラを余り簡単に決めてしまっておるような感じがしてならぬのです。もう少し労使が話し合って、それにかわる措置をいろいろとやはり勘案してもらいたいと。

 私は、ヨーロッパ等でやっておりますワークシェアリングというのを労使双方ともやはり取り上げて、真剣にひとつ実現方へ努力してほしい。そのワークシェアリングからくるところの、労使双方からくる谷間みたいなものが出てまいりますので、これが双方ともどちらで損をかぶるかという問題になってくるわけですが、そういうものに対して、政府としても雇用対策上の費用、目を向けていくべきじゃないかなというのが私の考えなんです。

吉井委員 これは、以前から私たち取り上げておりますが、例えば、財界系のシンクタンクなどでも、サービス残業をゼロにするだけでいい。サービス残業というのは残業しても残業代出ない分ですから、その分を残業代で支払うか、あるいはその分をサービス残業にかわって雇用に回すか。ワークシェアリングであれば、そのサービス残業の分を雇用に回す。そうすると、このシンクタンクの試算では、九十万人の新たな雇用が生まれてくる。残業そのものをゼロにすれば二百六十万人の雇用が生まれてくると。

 つまり、だからそういう努力を企業として、簡単にリストラするんじゃなくてやはり雇用をきちんと守っていくという社会的責任を果たしなさい、果たすべきだという、そこまでお考えになってのこの警鐘を鳴らすということなのかどうか。これは大臣に伺っておきたいと思うのですが。

塩川国務大臣 もちろん、労使双方とも、そのように申しております。

吉井委員 それで、昨日も夜のテレビの特集で、大田区の、東大阪と大田区というのは二大基盤的技術の集積地なんですが、大田区の物づくりに当たっておられる金属機械分野の製造業の中小企業家がテレビに出ておりましたけれども、今の深刻さというのはもう小泉不況という表現をとっておられました。小泉内閣の構造改革の名によるリストラというのは、現実には、現に進んでいるわけです。失業率はもっと上がっていくだろうと見られている中で、もう痛みを我慢せよなんというような段階は過ぎているんですよ。

 ですから、大臣も大阪へ帰られたら、大阪城の公園であれ、あるいは堺の陵墓参考地、仁徳陵のあの前の公園にしても、あるいは久宝寺緑地にしても、ホームレスの皆さんのブルーのテントが急速に広がっているというのは、もう大臣も多分よく御存じだと思うんですね。もう痛みどころじゃないですよ。激痛の状態なんですよ。

 ですから、先日も、中小企業、中堅企業に対して銀行が不良債権回収だということで貸しはがしをやっていって、偽計的なやり方で倒産にも追い込んでという問題も紹介をしましたけれども、やはり不良債権処理ということだけで、都市銀行などがそういう形にどんどん今出てきているという実態も直視して大臣が企業に社会的責任を求めると言うのなら、総理に進言されて、構造改革の名による中小企業の倒産や失業をひどくするような事態はやっちゃならないんだ、それをやらないという政策に進めていかなきゃならぬのだということを、これは塩川大臣、せっかく言っておられるんだから、私は進言されてしかるべきじゃないかと思うんですが、大臣、どうですか。

塩川国務大臣 それは、総理に進言するといいましても、実態が、やはり労使の間で経営という問題が絡んできておりますから、経営の悪い中小企業、特に零細企業なんか私は随分つき合いがありますから、困っておられる方よく知っております。やめたいんだけれども、従業員、長いこと勤めてくれた人に少しでも退職金やりたい、その退職金すら出てこないんだ、そういう気の毒な企業もあるわけでございまして、今後はそういう方々に対する措置を、生活貸付金のような措置をして、もって、要するに労使間の納得いく整理をということを考えておるんです。

 整理をするなといいましても、これだけ外から、つまり東南アジア、中国を初めとしとか、もう価格破壊的な商品がどんどんと入ってまいりますと、それに抵抗していく中小企業の努力も大変だろうと思います。だから、やはりこれは産業構造全体の改革に結びつけた措置をしなければ解決しないものだと思っております。

吉井委員 一つは中小企業の実態、一つのそういうものもありますが、つまりそれは、追い込まれているというところをきちんと見ておかなきゃいけない。同時に、この間御紹介しましたように、都市銀行の偽計的なやり方での債権回収など、本当にひどい事態もたくさんあって、多重債務に改めて追い込まれている企業もたくさんあるんです。しかも、その多重債務に追い込まれているところが借りている日栄なり商工ローンへは都市銀行がどんどん貸し付けやって、そういう消費者金融が企業ランキングでいったらうんと高いところにいること自体がおかしいんですが、そんな現象が今出ているんですよ。

 ですから、私はやはり、少なくともそういう、今構造改革の名によって、中小企業が、あるいは中堅企業が倒産に追い込まれたりとか、失業者がそのことによってふえるというふうな事態については、まずこれを改めるということを、きちんとこれは長老の大臣として進言もされるとともに、内閣としてそういう方向へ転換をしていくということとか、それから、今おっしゃった空洞化の問題ですね。これは私も前にも提起しましたけれども、今の空洞化というのは、本当に並みのものじゃないんですね。

 これは、ヨーロッパの場合ですと、やはりそれについても労使間協議指令だとか、地域での話し合いなしに簡単に企業が海外へ引っ越ししていくとか、そういうことについてブレーキをかけるルールというものを歴史的に時間をかけて築いてきているわけですから、やはりそれをやらないと、もう空洞化の時代だから仕方がないんだ、そういうふうな話になってしまうと、現実的な解決に至る展望というのは全く出てこないわけですから。

 私は、大臣、やはり空洞化の問題にしても、これは仕方のない現象ということではなくて、きちんとした方向、それをやはりつくり出していかなきゃならぬときだ、このことを申し上げておきたいと思うんですが、そういう立場で警鐘も鳴らせば、政府としての方針、これを改めるというお考え、どうですか。もう一遍聞いておきたいと思います。

村上副大臣 委員の御質問で、空洞化の問題、いろいろありますけれども、私はやはり人件費等を含めた高コスト体質が一番大きい問題だと思うんですね。やはり電気代、電話代、人件費等、それから特に物流、流通コスト、こういうところも総合的に見ていただかなければならないと思います。

 ただ、今委員が言われたように、経済のボーダーレス化、グローバル化になって、結局、お隣の中国が今の四十分の一の人件費でやってこられたら、日本企業は基本的には生産性、効率性を高めて、やはり生産性を高めない限り、私は、勝ち、生き残れないと思います。それはやはり労使とも現実を直視して、お互いに本音で、その対策をどうするかということをきちっと私は話すべきじゃないか、そういうふうに考えております。

吉井委員 それは、人件費の違いを言ったら、昔から違うんです。人件費が安いだけだったら、とっくの昔にもう行っているわけなんです。生産性とか、それはそれだけの問題じゃないんですよ。もともと日本の自動車、電機を中心とする輸出大企業というのは、輸出上位三十社だけで輸出総額の五〇%を占めているんですよ。これらの企業がなぜそれだけできたのか。

    〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕

 それは、生産効率という点では物すごいいい状態ですよ。それは何をやったかといったら、徹底したコストダウンを図るために下請単価の切り下げ、過密労働をどんどん進めました。それでコストを下げて、輸出をどんとやると、円高にどんどん振れてきた。三百六十円時代からすれば、三倍の円高なんですから。円高をつくって、円高でも、ひどいときは一ドル八十円でも輸出できるようにコストを下げることをやってきて、それが行き詰まって海外へ海外へと空洞化の現象を進めてしまっているわけですから。

 だから、あなたの言っている話というのは、何分の一かは当たっている面があるんだけれども、問題は、根本的に、どうして為替レートの面でこういう異常が生まれたのか。

 それから、為替レートとそれから購買力平価の二つの面でこういう乖離が出ている状態自体が異常なんです。そこへ持ってきたこれまでの産業政策やら経済の仕組み、あり方の問題についてきちんとメスを入れるということをやらなかったら、根本的な解決にはならないんです、簡単にあなたが言うだけだったら。

 そうしたら、今はどうかといったら、効率のいいと言われる企業はどんどん海外へ行って、今残っているのは非効率な企業。それが残って、どうしてこれで二十一世紀の日本経済が成り立つんですか。そこをきっちり考えなきゃならぬということを……

佐藤(剛)委員長代理 はい、時間です、時間です。村上副大臣の答弁で終わりになります。

吉井委員 私は、それを考えないと、村上説じゃ、それは展望が出ない、このことを申し上げて……

村上副大臣 いやいや、時間があったら一時間でも答えるんですが、ここが中国共産党と日本共産党の差なんですね。中国共産党は、やはり世界のボーダーレス化、グローバル化を読んで、やはり精神的自由じゃなくて経済的自由から入っていって今日の隆盛を図っております。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 以上であります。

吉井委員 ちょっと待てよ、おい、それ。今の暴論、何だ、それは。いや、ちょっと待った。

佐藤(剛)委員長代理 はい。ちょっと待ってください。ルール、ルール。

吉井委員 そんな、とんでもない、反共攻撃の場に使うというのはけしからぬよ。

佐藤(剛)委員長代理 ルール、ルール。

吉井委員 大体、そんなもの答弁になってないよ、それは。

佐藤(剛)委員長代理 答弁になってないとは何ですか。

吉井委員 答弁じゃないし……

佐藤(剛)委員長代理 席へ座りなさい、席へ。席へ座りなさい。時間どおり。

吉井委員 大体、そんな暴論を吐いて、暴論を吐いて他党を誹謗するなんというようなことはとんでもないよ。けしからぬ話だよ、それは。そんなものは許せないよ。

佐藤(剛)委員長代理 はい、それでは時間です。(発言する者あり)何。だめだめだめ。もうそれで十分。(発言する者あり)私が委員長をやっているんだから、あとはその後の……

吉井委員 中国が中国の道を行く、日本は日本の道を行くわけで、今の答弁、全然関係ない話だ、そんなの暴論だよ。答弁にも何にもなってないじゃないか、そんなものは。単なる暴論にすぎない。

佐藤(剛)委員長代理 じゃ、ちょっと帰ってください。(発言する者あり)わかった、わかった、わかった。

吉井委員 しかも、中身のないことを言って、それで日本共産党を誹謗中傷するなんというようなことはとんでもない話だよ。僕は納得できないよ。

佐藤(剛)委員長代理 質問をとめてください。ちょっと私の指揮に従ってください。

 それから、理事の皆さんは帰ってください、席へ帰ってください、僕が今言いますから。僕が言うから。あなた、理事でもないんだから、何していらっしゃるんだ。あなた、理事じゃないんだから席へ帰りなさい。

 今、私が聞いていて、恐らく皆さんがあれしているのは日本と中国共産党のお話なんでしょう。そうなんでしょう。それだけは、そういう点についての……(発言する者あり)いや、だからお帰りください。別にその点には注意しますから。注意いたしますから。言葉には、中国と日本の部分だけの、それだけあれしておけばいいです。取り消す必要ございません、僕が注意するだけ。早く帰りなさい、早く。だめだよ、そんなことは、従わないで。さっきから、ずっと見ていると、もうあなた方の、理事諸公の動きというのはおかしいじゃないか、きょうは。席座れ、みんな。(発言する者あり)

 はい、それじゃ……(発言する者あり)それでは、記録を削除してください。記録を削除してください。いいですか、それで。はい、それじゃ席帰ってください。席帰ってください。はい。

吉井委員 ちょっと、余り失礼な言い方しちゃだめだよ、委員長も。

 時間が参りましたので、これで終わりますが……

佐藤(剛)委員長代理 時間どおりやってください。以後、注意します。

吉井委員 もっと紳士的に、紳士的にちゃんとやってもらわぬと困る。

佐藤(剛)委員長代理 以後、注意します。

 それでは次に、植田君。

植田委員 姓は植田、名は至紀でございます。よろしくお願いいたします。社民党の植田至紀です。

 先日は特に株式の保有制限にかかわって法案に沿いながらお伺いしたわけですが、きょうは特に保有株式取得機構にかかわって、時間もあれですので、できるだけさくっと疑問点、お伺いさせていただきたいと思います。

 素朴に考えましたら、株式を売るんやったら株式市場で売ればええやないか、何で取得機構が必要なんかという疑問が当然あります。強い反対の意見もあるわけでございまして、特に人為的な方策で株式の売り買いのバランスを調整するということ自体、自由な株取引で適正な株価を決めるという市場の大事な機能を損ないかねないんじゃないか、市場の自殺行為だとおっしゃる方もいらっしゃるわけです。その一方、御承知のように、株価の低迷が続く中で果たして予定どおりにそうした売却が進むんだろうかという懸念も一方であるわけでございます。

 実際、この機構が売却された株式をどれくらい吸収できるのかは未知数でございますし、そもそも株価の低迷が続けば持ち合い株式の解消計画そのものが狂ってしまう、そういう事態も懸念されるかと思うわけですけれども、まず冒頭、その点からお伺いをさせていただけますでしょうか。

柳澤国務大臣 今日、最近の株価の状況というのは、本当に私どもも心配というか懸念を持たざるを得ない状況であるというふうに思っております。日本経済の先行きを我々全力を挙げて明るいものにして、それが株価にも反映するようにしなければならないという強い気持ちを持っておるわけでございます。

 ただ、今植田議員の御質問で申しますと、一つは、こういう低迷した株式市場のもとで、株式保有制限というものが実効を上げ得るだろうかということでございますが、これについては、御案内のように時価会計が導入されたということで、簿価そのものが下がったという形はとりませんけれども、実質的にはそういう状況になっているということでありまして、簿価と市場の価格との関係ということについて申せば、決して望ましい順風の状況にはないということは申すまでもないわけですが、市場での売却が絶対難しいということでもないんではないか、このように考える次第でございます。

 なお、こうした機構が必要かということについては、かねて申し上げておるとおり、一方で保有制限をかけておりますので、それを円滑に実現するためにはどうしても、セーフティーネットとして、一時的な需給のゆがみというものを防止するこうした装置には十分存在理由があるというふうに考えているわけであります。

植田委員 まず聞きたかったのは、機構の必要性なり効果にかかわってでございましたけれども、先日も私自身も、いわゆる株式の保有制限にかかわってはもうちょっとトータルに考えるべきではないかというようなことで御質問させていただいたわけです。私がひょっとしたらひねくれているのかもしれませんけれども、どうも、先に機構があって、何とかそれを理由づけするために保有制限というのがくっついてきたんじゃないか、そういう疑念がこれありということでお伺いをしていたと思うわけです。

 というのは、実際問題、先日も参考人質疑で私自身お伺いしましたけれども、もう保有制限だけ、この機構の部分は全部削除して保有制限だけの法律だったらどうですやろというて伺ったら、いや、それでも甘んじて受けとめるような趣旨のお話があったかと思いますし、そもそも、ほかの先生方がお伺いされた範囲でも、銀行の側からこういう機構をつくってほしいという、そういうニーズは、少なくとも我々の知る範囲の中ではなかったようでございます。

 そういう中で、実際に本法の一条の目的の中に、「銀行等による株式の処分の円滑化を図り」というふうにあるわけですけれども、実際に順調にそういうことが活用が進むのかということは、やはり不透明な状況にあることは認めざるを得ないのかなというふうに思います。

 というのは、実際、株価が現状、八月へ入ってからも急落しているわけでございますし、実際これまで、私の事実認識からすれば比較的円滑に持ち合いの解消は進んできたと思いますが、この段階に至ってそうしたものもストップしている状況にも、売却もなかなかうまく進まない状況にあるわけです。そういう意味で、現状の株価水準が続けば売却計画を先送りする、そういう銀行が出てくることも想像できるんじゃないかというふうに思います。

 そんな中で、説明を見ますと、特別勘定の下に括弧でセーフティーネットと、わざわざ括弧書きがしてありますが、これについても、実際素直に読みますと、そうした税制面であるとかこの八%の納付、また投資適格要件等々、実際に銀行の側から見て使い勝手がいいのか悪いのか、その点のところも問題としてあろうかと思うわけですけれども、実際、企業も銀行に対して当座売らぬでほしい、そういう要請もしておるようでございます。実際、株価の下落傾向が当分解消されるような好材料がない中で、機構が活用される条件というのがどうなのかということについても御所見をお伺いしたいと思います。

村田副大臣 これは植田委員から繰り返しかねてから御質問がございましたけれども、いずれにしましても、保有制限というものが存在して、そういうものを課すということで、それによってその保有制限に伴う銀行の株式の処分をスムーズに実現していくということを実現するための機構でございまして、もちろん市場売却が原則でございますけれども、先ほどから大臣も御説明しているように、短期間に大量の株式が処分される場合には、非常に好ましからぬ影響があるということを避けるために、いわばセーフティーネットとしての機構を設ける、こういうことでございまして、まず保有制限があって機構を設ける、こういうことでございます。

植田委員 保有制限を設けて、そのことで持ち合い解消を加速させていく。そして、市場で売るのが原則でございますけれども、あくまでその辺は企業の経営判断でございますね、任意でございますので。

 そうなると、私なんか素人目に、私株も余りやりませんし、お金のことというのは詳しい方ではないんでございますが、まあ、大臣と私とがばば抜きをやっていたとしましょう。最後にやはりジョーカーが残りますね。ジョーカーが残った方が負けなんですが、そのジョーカーを引き取ってくれて、勝負をチャラにしてくれるようなところが機構なんかいなという、要するに、午前中の審議の中でごみ箱だなんという話もぱっと聞こえていましたけれども、むしろ機構が吹きだまりになってしまう。

 今のところ、お伺いしている金額は二兆円というわけでございますが、では、今度二兆円で何とかやります言うたって、銀行業界は別に要望しないけれども、別の証券業界なんなりが、こんなままでは困るということで、もうちょっと注入してくれというような要請が出てこないとも限らない、そういうこともあるだろうと思うわけです。

 そういう意味で、やはりそういう活用をするための機構なんですか、やはりそこは、ばばを引き取っていただいて、勝負をチャラにしてくれるところが機構なんだろうかというふうに、幾ら括弧書きで、特別勘定だけ書いてあったら何かいかがわしいので、括弧してわざわざセーフティーネットと書けば納得するかいなというと、なかなか納得しがたいんでございますが、そうであるならそうだと、いや違うんですということであれば、懇切に御説明いただければ幸甚に存じます。

村田副大臣 どなたか別の委員から逆の御質問がございまして、売れる株、いい株を売っちゃうから今度は銀行には悪いのだけ残るんじゃないかという御指摘もありましたけれども、植田委員からは逆な立場で、機構にぼろ株が、吹きだまりになるんじゃないか、ジョーカーがたまるのではないか、こういう御心配の御質疑がございました。

 私どもは、特別勘定を設けて機構を運営していくに当たりましても、やはり国民の負担を極力小さくする、こういう観点から、機構が買う対象の株については一定の限定をつけているわけでございまして、そういう意味では、その対象の株式を一定のものにする、すなわち、トリプルBマイナス格相当以上の株式をその買い取りの対象にするということで、今委員の御指摘なさるような心配を避けていきたい、こういうふうに考えております。

植田委員 うまくいっても大体二兆ぐらいだと言われるわけですが、これは全然筋の違う話ですが、かつて私も事務局で仕事をしていたときに、国有林野事業の累積債務の処理の問題というものを事務方で、党の政審で作業していましたけれども、当時が、国有林野で大体三兆八千億の累積債務があったわけですが、それを六十年ぐらいかけて返す。そして林野庁の職員も半分近く間引いてしまう。三兆八千億、間引くのにそれぐらいで、二兆円だったら安いのかというのは、非常に私はひっかかるわけです。

 いずれにしても、この機構の実効性にはやはり疑問があるというのは、自然に考えたら、実際、労働市場でも総需給が一致していても失業者が存在することはあり得るわけでございます。実際、銀行が保有してきた株式と個人が投資したい株式が、その都度その都度、相思相愛になると限らないのがごく自然だろうと思います。そういう意味で、銀行と個人投資家の銘柄選好というのは異なるのが当たり前だろうというふうに思います。だから、この銀行保有株の買い取りにかかわっても、任意ということですけれども、実際、銀行の立場に立てば、市場で売却できるものは市場でと考えるのがごく合理的だろうと思うわけです。だから、ジョーカーの吹きだまりになるのと違うかと言うたわけですが。

 実際、こうして銀行は、いずれにしても、株価を見ながら市中で売却するか、それでどうも難しければ新機構に売却するかを選択するという中で、実際、いわゆる低流動性銘柄等々、個人投資家の関心の薄い銘柄が取得機構にどんどんたまっていく、そして最終的に処分するときにも需給のギャップが解消していない、そういう可能性は今の現状から見れば否定できないというか、そういうふうに考えるのは不自然ではないと思うんですが、その点の御所見はいかがですか。

    〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

村田副大臣 委員も御案内のように、機構の銀行からの買い取りは、いずれにしましても、市場価格で、時価で買い取る、こういうことであります。

 今、最後まで残っちゃうんじゃないか、多分、悪い株が機構にたまるから、それは売れないで売れ残りになるんではないか、こういう御質問だ、こういうふうに思いますが、十年の間に我々は、市場の状況を見ながら、そのペースも考えながら処分をしていくということでございまして、我々としては、十年の間に取得した株式の処分は可能である、こういうふうに考えているわけでございます。

植田委員 理屈の上では可能な場合もあり得るだろうと思うんですが、ちょっと角度を変えますが、仮に、そういう市場の外に結果として二兆円もの株式を塩漬けするということで価格形成にゆがみをもたらすおそれも消えないと思うわけです。長期保有の間に株価がまた下がれば、銀行業界が機構に拠出する資金でまず損失を穴埋めするわけで、当たり前のことですけれども穴埋めをする、そうなると、結果として銀行の体力を低下させる、損ないかねないような面もあるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでございますでしょうか。

村田副大臣 委員の銀行の体力を消耗させるというくだりはちょっと理解できなかったのでございますが、いずれにしましても、特別勘定で銀行が機構に売るか否かは任意である、こういうことであるほか、市場価格で買うということは先ほど申しました。特別勘定で買い取りが行われるケースというのは、専ら市場で売れないような、いわば市場が荒れているような状況である、こういうふうに想像いたしますけれども、そうであれば、市場の価格をゆがめるということではなくて、むしろそのひずみというものを是正するというか、そういう機能があるのではないかというふうに解されると思います。

植田委員 別に、体力を損ないかねないというのは、そんなに難しいことを聞いているわけではなかったんです。別にそこは、特別、導入口だったのでどうということはないんですが、要は、取得した株式をいつまでも塩漬けにしておくわけにはいかへんやろうと。当然、知恵を働かさなあかんわけですよね。そういう中で、今言うているセーフティーネットを張っておるというのは、実は出口で、最終的に公的資金を注入される、入るわけですから、要は、知恵を働かさぬでもええ仕組みというふうに私などは理解してしまうわけですよ。要するに、しかも、実際、銀行の方はこれが売れてしまえば今度は配当が、売れれば配当があるわけでございますから、えらいおいしい制度やな、それだったら八%ぐらい積んでも、そこに、先ほどの言い方で言いますとジョーカーをほうり込んでしまうということに、任意になってしまうだろうというふうに私は思うわけなんです。

 別にこれはもういいです。いろいろお話しされているようですから、私はそう思っていますよということにしておきます。植田委員、どういう趣旨だろう、要するに、知恵を働かさぬでも最後は出口で面倒を見てもらえるということやないかということですわ。だから、そこは言っても、私はそういうところでこの法案についてはあかんと言うているわけですから、いや、そんなことはないんです、いいんですという理由を御説明されても、恐らくわかりましたということにならないと思いますので、結構でございます。後ろの方、お手数かけますが。

 そこで一つお伺いしたいのは、実際、今回新たな機関をつくられるわけですけれども、お伺いしていると、預金保険機構であるとか整理回収機構を活用する、そんな構想もあったやに伺っておるわけですが、最終的にこういう新たな機構をこしらえる、そういうことになった事の次第、経過について御質問させてください。

原口政府参考人 株式取得機構については、御説明していますように、短期的な株式市場の需給等を通じて金融システムの安定性や経済全般に好ましくない影響を与える可能性があるということで、緊急経済対策を受けて設立の検討を始めたわけでございますが、この点で、今、預金保険機構あるいは整理回収機構を活用する案がなかったのかというお話でございますが、やはり、専ら預金者等の保護あるいは信用秩序の維持を目的とするこの二つの機構の業務とは、趣旨、目的が違うということがございます。また、銀行等の自助努力を促すという観点からも、株式取得機構については銀行界の拠出により設立するということにしたわけでございますが、この点についても、政府出資を受けている預金保険機構あるいはその子会社である整理回収機構とは性格を異にしているというふうに考えております。

植田委員 ぐるぐると同じことばっかり聞いて申しわけないんですが、特に公的資金投入のところに絞って何点かお伺いしたいと思います。

 この資金借り入れに政府保証を付与するということについては、実際、与党の一部からも株価PKOにつながるやないか、そういう意見も当初あったやに聞いています。しかし、今回、実際、法案を見ますと、素直に法案を見てみれば、将来的な問題としては、機構の解散に当たって仮に損失が生まれれば公的資金で機構の損失を穴埋めすることになっているわけですから、これは事実でございますから、これはやはり金融システムの安定化に名をかりた株価維持策やないかというのは、議論の経過の中で与党の一部からもそういう指摘があったかと伺っておりますけれども、そういうPKOそのものじゃないかという意見があってもあながちこれも不思議ではないかと思いますが、これについては御所見はいかがでしょうか。どうぞ。

村田副大臣 機構の目的に戻りますけれども、機構を設ける目的というのは、そもそも、銀行の株式保有に制限をかける、そういう中で、銀行が株式の処分を行っていく、そういう保有制限というものを速やかにかつスムーズに実現していくということのために機構を設ける、こういうことであります。

 そういう意味で、銀行が株式を売却するに当たってはこれは任意である、こういうことでございますので、我々としては、株価水準を機構が維持する、こういう目的のためにつくるんだ、こういうことではないというわけであります。そういうセーフティーネットとしての役割を機構が果たすということから、資金調達に低利のお金を調達できるようにということで政府保証をして二兆円程度のお金を借り入れることに際しての保証を用意している、こういうことであります。

植田委員 当然そうおっしゃるでしょう。いや、そうなんですと私の質問に答えていただけないのはよくわかっているのですが、実際、ただ公的資金の投入にかかわっていろいろな議論はあったかと思うんです。というのは、実際、この問題、特に損失を財政援助という考え方というのは、これはあくまで推測の域を出ませんが、恐らく淵源は森内閣当時のさきの宮澤財務大臣が緊急経済対策本部の中で損失を財政援助とおっしゃったところから始まったのかなと私は推察しておるわけなんです。

 そこで、これは柳澤担当大臣に率直にお伺いしたいわけですが、もちろん私が引っ張ってきたのは正確に議事録を起こしたせりふではないかもしれませんが、こういうことを当時御発言なされていたというのがちょっとございました。これからは市場原理がすべての問題解決に最も適切な原則、できる限り公的なものを出していくことは慎むべきだ、宮澤財務大臣にお世話になることが最小限になる方法にしたい。言ってみれば、過度のそうした関与にはどちらかというと慎重なお立場であったかと私は理解しているわけですが、実際、でき上がった法案を見ますと、政府保証そして公的資金の投入ということになっておるわけでございますので、恐らくは担当大臣、何やらじくじたる思いをお持ちではないかというふうにも推察申し上げるわけでございますが、その辺はいかがでございますか。

柳澤国務大臣 基本的に私は、経済の問題について政府がいろいろと考えてそれに基づいて問題の解決を図るということよりも、おおむね大体の問題は市場原理で解決する方が結局は望ましい解決が得られるという考え方を持っているわけでございます。

 では、銀行の多額に保有されている株式を解消していく方法についてはどうかといえば、基本的にはそういうのが望ましいというか、そういう考え方を持っているわけですけれども、かねてたびたび申し上げますように、他方、銀行監督委員会、バーゼルの機関ですが、そういうところで株式についてのリスク管理をいかにすべきかという話が非常に進んできておりまして、そういうことを考えますと、現状と余り変わらないような状況でこれを受けとめるというのは非常に大きな問題、さらに大きな問題を日本の金融システムに課することになる。

 それを避けるためにはどうしたらいいかといえば、やはり早く保有株式の残高を圧縮するということをしなければならないだろう。そういうことで、今回保有制限も課すということと同時に、では、それをどうやって受けとめたらいいかということについて、今回お願いしている買い取り機構という形で、一種のショックアブソーバーというかセーフティーネットというか、そういうものをつくらせていただきたい、こういうことを申し上げているわけでございます。

 そうは言い条、できる限り公的な支援のお世話にならないようにしなければならないというのは私かねて念じているところでありまして、それがために、一般勘定の方ではむしろETFであるとかあるいは自社株の買い取りと早く話がつくというか、そういうような形でできるだけこちらの方を本流にして、特別勘定の方はまさにセーフティーネット、補完というような位置づけで実行できるようにしたいという形にさせていただきました。

 そういうことで、ひっくるめて私としてはこういうものを一種のやむを得ない措置ということでお願いをしておるつもりでございまして、基本はやはりできるだけ市場原理を通じてこの問題の解決に当たっていきたいということ、全体としてそういう考え方というものが出ているような形でやったつもりでございます。

植田委員 それは、それもそうおっしゃるでしょうけれども、セーフティーネット、セーフティーネットと言った場合、普通私なんかがイメージするのは、あくまで自立支援ですね。自立支援だろうと思います、それは。

 これは確かに、保有制限を厳しくかけました、かけたからそれを円滑に進めるために何らかの手当ても必要だというそこの理屈は、その話はわかるのですよ。そして、何らかの手当てもしている、その中身を検証したときに、これも要するに最後まで国が、最後の段階で要するに損失負担ということで、国が最後の面倒まで見るわけですね。これはそういう意味では、セーフティーネット、セーフティーネットと言うけれども、むしろ上げぜん据えぜんの世界だろうと私は思います。それは、恐らくそこの部分、ここまで手当てすることが今の担当大臣おっしゃる市場原理にしっかりと地に足をつけてやろうということと背反するのじゃないのかなという疑問を私は覚えているわけです。

 実際、市場を重んじる、民間でできることは民間で任せるというのは小泉内閣の基本理念でございますから、その基本理念にこれがまさに合致するということが果たして言えるのだろうか。合致すると言うならば、一体どこが合致するのか。いや、これはちょっと合致はしないのだけれども、全体の中でそういうケースとしてあるんですとおっしゃるのかもしれませんが、実際、欧米でも確かにこういうこの種の組織というものは、恐らく私の知る範囲ではなかったように思います。となると、実際、市場の透明性でありますとか独立性の向上というものを宣言した日本が、この点については路線を変えたのですかというふうにも受け取られかねないと思うわけです。

 実際、これは四月七日の朝日新聞の報道でも、機構についてははっきりと担当大臣は、市場原理に合わないということをおっしゃっておられるわけでございます。一貫して消極的なお立場だったということは明らかだと思うわけですけれども、その点、それほど金融界の自立の重要さであるとか市場メカニズムを大事になさる担当大臣が、何でこの件について、ここまで上げぜん据えぜんの、それこそ最後まで面倒見るという、こういうスキームの機構で大いに結構だとおっしゃるのかがやや私としては理解ができない。理解が足りないのかもしれませんが、改めて、その点、御所見をお伺いできますでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、幾多のいきさつがあるわけですが、要するに、一方で保有制限をかける、そうすると市場に放出させなければいけない、それを一体どういうように、一時的にせよ、特に一時的に起こるわけですが需給のアンバランスを避けつつそういうことをスムーズにやらせるかという問題なのでございますが、一つの考え方としてやはり大きくあったのは、ETFと自社株です。ETFに代表されるような投資信託と、もう一つは、自社株ということで買い入れさせる、買い戻させるというか、当事者は違いますが、そういう格好でこれをいかにうまくやるかということでございました。

 したがって、それだけに依存してやり切れるということがあれば、本当にそういうものだけで成り立ち得るわけですけれども、やはり保有制限をかけて、投資信託なり自社株というようなチャンネルだけでうまく消化できないという場合、一体どうするんだ、こういうような、もちろんその前に本流として市場での任意売却というのはあるわけですが、保有制限に適合するためにはそこまで考えなくちゃいけないということで、最後の補完的な手段として特別勘定を置いてという仕組みになったということでございます。

 これが本当に結果としてどういう実績を残すかということは、今後のいろいろな市況、市場の動向等、あるいは経済全般の状況等に依存する部分が多くて、私ども安易な予想をするということはできかねますけれども、基本のところは、できるだけ市場、民でもってこれを解決するという方向でいってもらえるような、そういう仕組みになっているということでございます。

植田委員 だから、市場原理がすべての問題解決に最も適切な原則だと常々お考え、またおっしゃっておられる担当大臣のお立場からして、そのセーフティーネットとおっしゃるけれども、あれだけお土産をぶら下げたような機構が、果たしてそれを逸脱しているんじゃないですかと全然思わはらへんのかが私は疑問なわけなんです。

 だって、実際、特別勘定なんてわざわざこしらえる必要もなかったわけですわ。もっと言うなら、機構もこしらえる必要がなかった。それでもどうしても保有制限をかけて機構をこしらえないかぬというのに、最後のおしりふくところまで面倒を見ますよなんというものをわざわざセーフティーネットと称してこしらえるというのが、担当大臣のお立場からすると違うんじゃないですかということを、あと私は申し上げていたわけです。

 その点についても、いや、じくじたる思いがあるなんて言えっこないですから、ただ、心ひそかに、いろいろないきさつがあってと先ほどの先生のときの御質問でもおっしゃっておりましたので、そのさまざまないきさつの中でやや首肯できかねるようないきさつもあったのではないだろうかということを、推察だけしておきたいと思います。恐らくそうだろうと私も思うところでございます。

 それで、もう最後になりますけれども、もう一点、預金保険機構と今回の機構、もちろん性格は異にするというのはよくそれはわかるのですけれども、一見、公的資金注入の仕組みとして、いわゆる預金保険機構の金融危機対応勘定と似ているような部分もあるかなと思うわけです。

 預金保険機構の場合は、総理大臣による危機状況の認定に基づいて発動されるわけでございますが、今回の機構というのは単に、言ってみれば損失の規模でございますよね。しかも、かなりの部分というのは、言ってみれば取得した株の売却の巧拙、うまい下手によるわけでございますから、そういうことで国民が負担を負うというのでは、金融システムの安定化というその大義名分は、やはり後景に下がっちゃうんじゃないか、薄れてしまうんじゃないか、そうじゃないんじゃないかという疑問もまた素朴に出てくるかと思うのですが、その点についてお伺いをさせていただきます。

原口政府参考人 安易ではないかという御指摘でございますが、機構がセーフティーネットとして特別勘定において株式の買い取りを開始する場合においては、市場の状況を見ながら機動的にその決定を行う必要があるということから、運営委員会の議決によるものとしたところでございますが、その際にも専門的な観点から充実した検討を行う必要があることから、運営委員会につきましては、機構の役員に加えて、金融に関する専門的な知識と経験を有する第三者をメンバーにするということにしているところでございます。

 また、国民負担につきましても、これは万が一ということで、それにつながらないような工夫を極力凝らしているところでございまして、最初に先生が御指摘になったように、金融危機を認定する場合の手続とは多少性格を異にするのではないかというふうに考えております。

植田委員 いや、だから、性格は異にするわけですから、こんなことで国民が負担をさせられるのですかと。それで納得できませんと言うても、納得してくださいとおっしゃるのでしょうから、仕方がありませんねとしか申し上げようがないわけですが、ほとんどの、私もそうですけれども、持ち合い株の話やその解消や何やかんやの経緯にもかかわっていないし、そんなことにかかわった責任もない、それが、何か知らぬけれども、銀行の持っている公共性なりなんなりというその大義名分で我々の財布から抜かれるというのは、これは当然ながら、私みたいな貧乏人にとってみれば納得いかぬわけでございます。しかも、今の御説明でいきますと、セーフティーネットという言い方でどうもごまかしておられるんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけです。

 いずれにしても、保有制限をかければかけるでいいのです。それについてももうちょっと広く、いわゆる、これはもう繰り返しませんけれども、先日御質問しましたけれども、何も株に限らず、全体の資産の中で判断するべきだろうと思いますけれども、仮に百歩譲って、今の株式の保有制限をかけたとして、では、そのことで機構というものをこしらえるということを必然化するというのは、この間、御説明、他の先生方の質疑も聞いておりましたけれども、私の頭が悪いのか、それともそれ以上に悪知恵が働く人がいるのか、納得のできる説明がなかったように思います。

 そういうことで、もう時間、一分か二分余っていますけれども、長引いておりますので、一分ぐらいは短目に終わります。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。江崎洋一郎君。

江崎委員 民主党の江崎洋一郎でございます。

 ただいま議題となりました銀行等の株式等の保有の制限等に関する本法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。

 民主党は、九八年秋の金融国会におきまして、自民党版早期健全化法は不良債権の抜本処理が進まない欠陥法案であることを指摘しました。九九年三月の柳澤金融再生委員長による公的資本増強が、結局は問題先送りに終わることも指摘してまいりました。その根本的な原因が、不良債権の間接償却が不完全である、すなわち、資産査定と引き当てが適切に行われていないことにあるということは、今やほとんどの関係者の一致した見方であります。

 しかし、みずからの責任を認めたくない政府・与党は、顕在化する金融危機に正面から向き合うこともなく、銀行救済のため、銀行の保有する株と不良債権を税金に肩がわりさせる政策を打ち出してきました。金融庁も銀行役員も全く責任をとらない中、なぜ痛みだけが国民に押しつけられるのか、まさに理不尽としか言いようがありません。

 以下、本法律案に反対する理由を申し述べます。

 第一に、本法律案は、株式売却に伴う市場へのインパクト緩和を名目にした、銀行救済のための国家的飛ばしにほかならないことにあります。

 年間三兆円ずつ三年間で売却する計画の中、わずか二兆円のために銀行等保有株式取得機構を設立するという当局の説明には、全く説得力がございません。

 第二に、機構が役職員の派遣を通じて銀行の影響下に置かれることにより、取引の公正性が確保できない可能性が高く、株式市場をゆがめるおそれが大きいことであります。昨今、いかにして株式市場に個人投資家を呼び込むかという問題がいろいろ議論されておりますが、米国のSECのように強力な監視機能がない中では、相場操縦やインサイダー取引などの不公正取引の温床となる可能性があります。せめて、民主党が提案しております証券取引委員会設置法案を速やかに成立させることが最低限の条件であると思っております。

 第三に、機構の解散時に利益が残れば銀行に、損失が残れば国民負担にという極めて不公正な仕組みであり、しかも、機構にはいわゆるぼろ株ばかりを集めることから、結局は最大二兆円もの国民負担が発生するおそれが大きいことであります。だれがどう考えても、優良株は市場で売却するはずではありませんか。

 このような筋の通らない法案である本法律案につきましては、柳澤金融担当大臣も内心じくじたる思いがございますのではありませんでしょうか。不良債権問題の先送りを続けてきたことがこのような事態を招いたと考えます。市場原理をゆがめる本法案には賛成できません。

 以上をもちまして、反対の討論を終わります。(拍手)

山口委員長 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、銀行等の株式保有制限等に関する法律案に反対する討論を行います。

 本法案は、銀行に対する株式保有制限の導入を理由に、銀行保有株式取得機構を創設し、銀行支援のために新たな財政資金投入を行おうとするものであります。

 法案は、機構が銀行から取得した株式に損失が発生した場合、政府保証で穴埋めする仕組みを盛り込んでおりますが、その際、銀行の負担には上限があるにもかかわらず、それを超えたすべての損失が国民に押しつけられる仕組みとなっています。これは、銀行の株式損失リスクを国民に肩がわりさせるものであり、株価変動による自己資本比率の低下を公的資金で支えるものにほかなりません。

 本法案の質疑の中で指摘したように、現在、自己資本相当額を大きく超えて株式を保有しているのは一部の大手銀行であり、機構の買い取り対象となるのは専らこれらの銀行であります。しかし、大手銀行は、これまで株式の含み益による益出し操作で莫大な利益を手にしてきました。都銀九行だけでも、五年間で十二兆円の利益を上げてきたのであります。株価が低迷したらその負担は国民へというやり方には、何の道理もありません。

 政府は、本法案の質疑の中で、機構は株価の下落から信用秩序を維持するために必要だと繰り返し、機構は銀行に株式保有制限の達成を促していく制度の一つだと述べて、機構の創設を正当化しようとしました。

 しかし、株価の動向は、三百兆円という取引全体の需給の中で決まるのであり、この間の銀行による株式売却が株価の動向に影響を与えてこなかったことを、金融庁自身が認めています。さらに、当事者である全銀協会長も、一昨日の参考人質疑の場で、機構については業界としてのニーズはないと言い、我々は市場売却を中心に考えていると述べております。実際に、この間大手銀行は計画的に保有株式の売却を進めており、今後も売却を進める方針をとっているのであります。

 このように、審議を通じて道理のなさが次々と浮き彫りになった本法案は、きっぱりと廃案にすべきものであります。それを、あくまで押し通そうという政府・与党の対応は、大手銀行支援のためなら国民負担がどんなにふえても構わないという理不尽な姿勢を内外に示すものでしかありません。

 銀行の株式保有を規制することは、公共的性格を持つ銀行の経営が株価によって左右されることを防ぐ上で当然必要なことです。しかし、その達成は、銀行が自己の責任で行うべきものであります。税金投入による新たな支援策は、銀行のこの自己責任原則を国の側からねじ曲げる護送船団行政そのものであり、絶対に容認できません。

 以上の理由から、我が党は本法案に反対であることを表明しまして、討論といたします。(拍手)

山口委員長 植田至紀君。

植田委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案に反対する立場から討論を行います。

 資金の実質的な移動を伴わずにお互いの資本を食い合う株式の持ち合いは、本来の資本としての実態を持たない虚構の資本金にすぎず、日本企業の財務体質を空洞化させた主要因でもあります。

 もともと、持ち合い株なるものは欧州では厳しく規制され、米国にもない特異な資本構造であり、持ち合い株を資産や資本勘定に計上することは商法上も疑義があります。

 そのような持ち合い株は、本来、発行会社がその自己責任において自社株を取得して消去すべきものであります。株主資本主義と市場経済の理念も有効性も欠いた銀行保有株式取得機構は、あくまで銀行サイドの保有株を買い取るにとどまり、企業サイドの持ち合い株解消には無策であり、銀行救済色が極めて濃厚であります。

 以下、主な反対の理由について述べます。

 第一に、銀行による株式保有制限の問題は、銀行の資金調達、資産運用全体の中でとらえるべき問題です。銀行のリスク管理の観点からいっても、銀行の資産形成は株式だけでなく、株式はワン・オブ・ゼムにすぎません。したがって、法案の目的である銀行等の業務の健全な運営の確保の観点から見るのであれば、株式だけを対象として保有制限を課すというのは、論理的には無理があると言わざるを得ません。

 第二に、将来的な問題として、機構の解散の時点で、仮に損失が生まれた場合、公的資金でその穴埋めを行うということであります。しかし、売買に伴う損失を政府が負担するということは、一般企業や個人投資家に不公平感が広がることは必然でありましょう。また、市場原理から見ても疑問であります。株の値下がりまで税金で補償するというのは筋違いな措置と言わざるを得ません。

 第三に、機構が株式を一定期間保有するということは、その時点で評価すべき損失額を猶予、凍結することと同様であり、株式評価損の金融機関本体への計上を避けるための意図が見え隠れいたします。いわば、合法的な飛ばし行為に近い手法であり、答弁では否定なされましたけれども、金融システムの安定化に名をかりたPKOと言わざるを得ないのであります。

 以上の理由により、本法案には反対するものであります。(拍手)

山口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより採決に入ります。

 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時三十八分散会




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