衆議院

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第8号 平成13年11月13日(火曜日)

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平成十三年十一月十三日(火曜日)

    午後五時二十四分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君

   理事 佐藤 剛男君 理事 根本  匠君

   理事 海江田万里君 理事 中川 正春君

   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君

      大野 松茂君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    後藤田正純君

      七条  明君    砂田 圭佑君

      竹下  亘君    竹本 直一君

      中野  清君    中村正三郎君

      牧野 隆守君    増原 義剛君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君

      江崎洋一郎君    河村たかし君

      桑原  豊君    小泉 俊明君

      佐藤 観樹君    末松 義規君

      永田 寿康君    長妻  昭君

      斉藤 鉄夫君    谷口 隆義君

      中塚 一宏君    佐々木憲昭君

      吉井 英勝君    阿部 知子君

      植田 至紀君

    …………………………………

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務大臣政務官      中野  清君

   財務金融委員会専門員   白須 光美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  林田  彪君     後藤田正純君

  生方 幸夫君     桑原  豊君

  若松 謙維君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     林田  彪君

  桑原  豊君     生方 幸夫君

  斉藤 鉄夫君     若松 謙維君

    ―――――――――――――

十一月九日

 平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出第二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出第二三号)




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣塩川正十郎君。

    ―――――――――――――

 平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩川国務大臣 ただいま議題となりました平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 今般、さきに決定されました改革先行プログラムを受けて、平成十三年度補正予算(第1号)、(特第1号)及び(機第1号)を提出し、御審議をお願いしておりますが、当該補正予算において国債の追加発行を極力抑制するとの観点から、平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理について特例を定める必要があり、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。

 財政法第六条第一項において、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、平成十二年度の剰余金については、この規定は適用しないこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。

海江田委員 民主党の海江田でございます。

 今、財務大臣は、財政法第六条第一項におきまして、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、平成十二年度の剰余金については、この規定は適用しないこととしておりますと非常に簡潔にといいますか、私の印象を言わせていただくと、弊履を捨つるがごとく、ぼろぼろになったわらじを捨てるがごとく、いとも簡単にこの六条一項の規定を投げ捨てましたけれども、私はやはりこの財政法の財政健全化の三原則とでもいいますか、第四条が、国の歳出は、公債または借入金以外の歳入をもってその財源としなければいけない、これが四条でございますし、五条が、例の日本銀行の引き受けですね。そして六条に今述べました規定があるということで、これはいずれも大変重要な財政健全化の指針だろうと思うわけでございます。

 これを、本当にいとも簡単に捨て去ったその事情というのですか、あるいはその思いというのですか、補正を組んで、そして赤字公債を出しながらも、過去の例を見ますと、平成八年度でありますとか九年度、十一年度の補正、ここではきちっと二分の一以上の国債償還財源への繰り入れということをやっているわけですから、その意味では、ことし特にこの繰り入れをやらなかったということの本当の意味合いというのですか、あるいは本当の理由というのですか、これはどこにあるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

塩川国務大臣 平成十一年度は本則どおり処理いたしました。十二年度、十三年度は、処理の方法といたしまして、全額を一般財源に充当しております。けれども、特例法の考えといたしましては、公債発行の抑制を優先したという考えで、特例法で全額を一般財源に充当したという例がございます。

 したがいまして、十三年度予算におきましても、でき得れば半額を特例によって処理したいということでございますので、御理解いただきたいと存じます。

海江田委員 今のお答えでは余り説得力のあるといいますか、どうして繰り入れを停止したのか、償還財源にせずに一般財源化をしたのかということについて、もう少し率直にお話し、あるいは理由をお聞かせいただきたい。

 例えば、これはやはり三十兆の国債の発行の枠を守る、そのことに一番のプライオリティーを置かなきゃいけないんだ、だからこれは犠牲になってもらったんだとか、わかりやすくお聞かせをいただきたいと思います。

塩川国務大臣 補正予算、特に雇用対策、中小企業対策に必要な財源がございますので、金が足らぬから余剰金を少し活用しようということをしたことは事実でございます。

海江田委員 今、雇用対策云々のお話がありましたけれども、これは先ほどの予算委員会でもうるるお話がありましたように、私どもから見ますとまだまだ雇用対策も不十分なものでありまして、私はやはり、雇用対策のお話をされましたけれども、何といいましても最初に国債三十兆発行の枠というものがあって、じゃ、その三十兆を何とか達成をするためにどこから財源をひねり出せばいいのかということで真っ先に考えつかれたのが、二分の一償還財源をやめて一般財源化ということだろうと思うので。

 そこはどうですか。三十兆の枠を守ることが大切なんだと。例えば、海外に対する一つの公約であるとか、あるいは国債のマーケットに対する一つの意思表示であるとか、そういう形でお述べになっても私はいいんじゃないかなと思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。

塩川国務大臣 国債を三十兆円に抑制するということは、私たちといたしましては、やはり財政の秩序をきちっと守っていきたいと言っておりまして、私の信念といたしまして、財政の基本は、やはり入るをはかって出るを制すというこの精神でなければ秩序は保てないと思いますし、このことが将来においてやはり国政発展の基盤となってくるものだと思っております。また、これを守ることによってやはり規制緩和への、あるいは行政改革への一つの弾みになっていく、そういう考えから、私は、国債の発行を極力三十兆に抑えていきたいという思想で通しておるところであります。

海江田委員 その意味では、この第一次補正、今回の補正ではその三十兆円の枠というのが守られたわけでございますが、昨日来の予算委員会の議論など聞いておりましても、第二次補正については全く総理も否定をされていない。あるいは、これは新聞報道でございますけれども、内閣官房長官などはこれは第二次補正が必要だというようなことをもう公言をされているということになりますと、これは第一次でせっかく三十兆の枠を守ったところで、もうそれは本当にまさに、その場しのぎといいますか、きょうのこの時点では三十兆の公約というものを守っているけれども、それはもうあと何日かすれば、あと何カ月かすれば破られるものだよ、こんなようなメッセージになってしまうわけですね。

 特に、第二次補正についての総理の私どもには大変柔軟と受け取れるような発言、あるいは官房長官のこれはもう第二次補正は当たり前だというような発言について、塩川財務大臣はどのようにお考えでしょうか。

塩川国務大臣 立場の違う人はやはり立場の違う観点から物を言えると思っておりますが、しかし、それにいたしましても、他の閣僚も思想は統一しておりまして、要するに、三十兆円を一つの財政の基盤として予算を編成し、運営していくと。

 しかし、私たちもしばしば言っておりますように、世界的な恐慌状態が顕著になってくるとか、あるいは非常に重要な破局的な場面が現出してくるというような場合になった場合には、あながち三十兆にこだわらず、あらゆる方法で何としても経済の活性化を図るべきであると。

 そのときは、二次補正とか三次補正とかいうんじゃなくして、あらゆるということを言っておりまして、それもいろいろな財政事情もございましょうが、もっと、しかし、政策上やれることもいろいろあろうと思っておりますし、そういうようなものを兼ねて景気対策を講じようということでございまして、それは、将来に対する経済の趨勢をどう見るかという動向を判断するということと、それから、世界的あるいは日本の国内におきます経済の変動のあり方というもの等を見きわめた上で判断すべき問題だと思っております。

海江田委員 実は、私、今回のこの補正予算の特に財源の問題で一つ注目をしていた点がありまして、注目というより心配をしていた点がありまして、それは実際には杞憂に終わったわけでございますが、どうしても三十兆の国債の発行の枠を守る、片一方で、今大臣からもお話ありましたように、特に九月十一日のテロの事件以来アメリカの経済が大変急ブレーキがかかって、それは当然日本にも影響があったわけでございまして、そういう状況の中で、例えば国債整理基金特別会計への定率繰り入れですね、ここのストップということがやられやしないだろうかということで、実は私は心配をしておったわけですね。

 過去にも、たしか平成七年度あるいは六年度、五年度という形で定率繰り入れのストップをやっておる事実があったわけでございますが、辛うじて今回そういうことはおやりにならなかった。これはいわば禁じ手でございますので、この禁じ手は使わなかったということにおいては私はそれなりの評価をさせていただきたいわけでございますが。

 いよいよこれから、もし第二次のお話とかあるいは来年度の予算で、来年度になりますと、これは言うまでもございません、例えば税収も、ことしの税収というのは、特に所得税なんかは九月の時点で対前年で一一〇%、一一一%ぐらいになっておるわけでございますが、そこは主に、ひとえに郵貯の満期金、大量の満期金がございますから、そこからの所得、二〇%の源泉徴収の税収があるわけでございますから、入ってきておる資料を見ますと、所得税の源泉分で非常に税収がふえておるわけですよね。これは何もサラリーマンの源泉所得がふえているわけでは全然ありませんで、まさにひとえに郵貯の満期金、大量の満期金のところから入ってくる税収がふえているわけでございますから、あとは大体軒並みもう全部マイナスになっていますよね。

 来年というのはそれがもちろんなくなってしまっているということが最初からわかっているわけですから、来年の予算を組む、しかも、これは三十兆の枠をしっかり守っていくんだ、これはもう最初からの公約でございますから、これは真っさらのところからまさに小泉内閣がつくるわけでございますから、このとき。

 あるいは、先ほどお話をした定率繰り入れのストップというのは本当にぎりぎりになって、例えば年が明けて、これは何年のときでしたか、過去の例を見ますと、五十七年度と五十八年度ですね。五十七年度の臨時特例の措置を、昭和五十七年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律、これは昭和五十八年の法一号でつくっていますから、つまり、年が明けて五十八年に入って正月にこの法律をつくって、つまり、補正でもって五十七年の部分を定率繰り入れをやめちゃっているわけですよ。

 同時に五十八年も、その勢いをかりてと言うべきかどうか、五十八年についても定率繰り入れのストップということをやっていますので、この定率繰り入れのストップというような禁じ手を、これから第二次の補正が、あるかないか今言える話じゃありませんが、第二次の補正のときも、あるいは来年度の予算のときもそんな禁じ手は使わないよということを、私は大臣の口からはっきりお約束をいただきたいと思うわけでございます。

塩川国務大臣 何か海江田さんの話では、もう第二次補正予算を組むようなことを言っていますが、私はまだそこまで何も言及しておりませんし、また、現在の状況でそんなに第二次補正、第三次補正を組まなきゃならぬという、そういう判断は党内においても政府内においても起こって、議論されておりませんので、そのことについてはコメントできないということであります。

海江田委員 第二次は別に構いませんけれども、来年度の予算、これはもう組むに決まっているわけですから、当初予算ですね。その来年度の予算にもそんな禁じ手は使わないよ、むしろこっちの方が私がるる述べている中でメーンでございますので、来年度の予算でもそういう手は使わないよということをおっしゃっていただければそれで十分でございます。

塩川国務大臣 現在はそこまで考えておりませんし、来年度予算について、そういうことをしなくても、私は、やはり歳入をきちっと見積もって、正常な歳入の上に立った歳出予算を組みたいと思っております。

海江田委員 そこは、若干しつこいようでございますけれども、歳入をまず見積もって、入るをはかりてということでは、先ほどのこの税収の落ち込み、私は先ほどは特に郵貯の大量満期金のお話をしましたけれども、それだけじゃありませんで、これは、成長率がことし、今年度でございますけれども、プラスの一・七%の成長がマイナスの〇・九%の成長率になったということも、これは政府の見通しでございますから、それを引き続き、来年度の成長率の問題もあって、やはり入るをはかりての入ってくるところがかなり落ち込むということが、もうこれは今からはっきりわかっておるわけでございますから、そういうときに、この禁じ手を使うようなことがないというやはり一つの決意表明が私はあっても構わないんじゃないだろうかと。

 私は、今回の補正の予算につきましても、やはり評価すべきところは評価しなければいけないと思っているわけで、今の禁じ手を使わなかったというその意味では、積極的な評価というよりも、よく耐えた、よく我慢をしたということでの評価でございますけれども。

 あと、例年でしたら歳入の部の膨らましをやりますよね。官業益金及び官業収入でありますとか、あるいは外為特会からよく持ってきたりすることもございますし、それから政府資産整理収入ですとか、大抵そこで膨らましをやるわけですけれども、ことしの場合はたしか四百七十億、非常にそこのところは、膨らまし粉を使わなかったということにおいては、私はそういう点はよく頑張ったという評価はできると思うので、そういう評価すべき点は評価をして、だけれども、これはやはりどうなんですかというお話で幾つか指摘をさせていただいています。

 それから、何よりもやはりそのことが、今この時点で、もうそういう禁じ手は使わないよと。これは、従来かなりそういう禁じ手を使われて、隠れ借金の議論でありますとかそういうことがあって、そういう反省の上に立ったやはり一つの到達点として、そういう雑収入でありますとか歳入の部の膨らましはやらないよ、それからいわゆる定率繰り入れのストップはやらないよ、そういうことが一つの大きな、財政の健全化あるいは財政の透明性、透明化の中で、それがもう既に共通のものとして、これは与党、野党という立場を超えて、共通のものとしてやはり確立をされれば、それはそれなりで、こういう議論をする意味もありますし、そういう意味での財政の健全化に向かって、あるいは財政の透明化に向かって、一回一回、一歩一歩、進んでいるんだということが世間に対してもわかると思うんです。そういう考え方から私はるる申し上げているわけでございますので、そこのところをぜひ御理解いただきたいと思います。

塩川国務大臣 財政の専門家、税制、税金の専門家の海江田さんでございますから、なかなか詳しいところまで解説がございました。

 私は、やはり国民に一番わかりやすい歳入歳出予算というものを組むべきだと思って、そんなに手練手管で難しいことをやって、そういうことをやるよりも、すぱっとわかりやすい予算を組んだ方がいいと思っておりますので、現在のところ、そういうことは考えておりません。

海江田委員 それから、今度は少し話が変わりますが、国債の消化の問題でございます。

 これはせんだっての当委員会でも議論になりましたけれども、これまでは新規発行の三十兆の枠というものを大切にしなきゃいけないということでございましたけれども、もう一つ、いわば三十兆の新規発行の枠というのは氷山の水面の上に出た部分で、その下に例の借換債が大量にあるじゃないだろうかということで、これは当委員会での答弁でも、来年度で七十兆二千二百億円、それから再来年、二〇〇三年度で七十六兆七千四百億円、二〇〇四年になりますと八十三兆一千四百億円、二〇〇五年になりますと九十八兆九千四百億円、二〇〇六年度になりますと百六兆六千四百億円。これに仮に三十兆が乗っかると、新発債の三十兆が乗っかっても、これはもう来年度で軽く百兆円を突破してしまうわけですね。

 そのほかに政府保証の財投の債券があったりすれば、もう優に百兆を超えてしまっているわけで、とりわけ水面下のこの借換債のリスクというものを、私どもはやはりかなり真剣に考えなければいけないのではないだろうか、そんなような認識を持っておるわけでございますが、これについては大臣の御認識はいかがでしょうか。

塩川国務大臣 私も同様な感じを持っております。

 本年度、この補正予算の一兆六千数百億円を発行することによって、国債の本年度の総発行額が、切りかえ債も全部入れまして九十九兆八百億円になりまして、もうぎりぎり百兆のところに来ておる。百兆が何も一つのターゲットでも何でもございませんけれども、そういうふうに異常な状態になっていることは事実でございまして、それだけに、今後発行する新発債を極力抑えていかなきゃならぬ、こういうことがやはり財政節度の上で非常に大事なことだと思っております。

海江田委員 特に、これだけやはり百兆からの規模になってまいりますと、政府の国債管理政策というんですか、やはりどういう方針でこの国債を市場消化できるようなことにしたらいいのかということでございますが、今度の補正でも、これは大体先ほど御説明がありましたけれども、五年債、十五年債、二十年債をふやしているわけですね。この五年債、十五年債、二十年債をふやしていることに、国債管理政策上、一つの方向性といいますか、一つの意思があってこういう形での債券を、国債をふやしているのかどうなのかということをお尋ねしたいと思います。

塩川国務大臣 できるだけ国債の種別を多様化していきたいと思っております。

 しかし、余り長期ばかりも、望ましいんですけれども、長期ばかりを発行いたしますと、金利の負担も大きくなってまいりますし、また消化についてもいろいろな注文がついてまいります。といって、短期で処理をするということになりましたら、借換債のリスクはやはり相当厚くなってまいりましたりいたしますので、長短合わせて、ミックスして適当な配分をする、これはなかなか、私たちは配分に十分な注意をしなきゃならぬと思っておりますが、まず現在、幸いに、たしか平均いたしまして五年以上のところに落ちついておるということでございまして、これならば現在としては安定した国債の保有状態ではないかと思っております。

海江田委員 ここは本当に非常に難しいかじ取りが必要なわけでございますが、日本のように国債を大量に発行している国の国債管理政策といいますか、これはやはり、余り新規の発行が短期になりますと、まさに今大臣がおっしゃりましたように借りかえリスクというものが出てくるわけでございますから、私は、やはりある程度短期に、残存期間が短くなったらそこは、ブレーキとアクセルじゃありませんけれども、少し長期の方に持っていった方がいいんじゃないかなと。

 これは、アメリカなんかの例でも、前のブッシュさんとレーガンさんのときにも双子の赤字とか、八〇年代がたしかそうでございましたね、双子の赤字とか三つ子の赤字とかいうことが言われましたけれども、あのときはたしか八〇年代の最初で国債の残存期間が四十五カ月でございますから、大体四年ぐらいになっていたわけですね。だけれども、それを八〇年代に、レーガンさんとブッシュさんの、これは一つの方向性を持たせる中で、八〇年代の末には大体七十カ月から七十五カ月ぐらいまでのところへ長く延ばしていったわけですよ。それによって、そして今度のクリントンさんがその方針を引き継いで、そしてまさに財政再建路線を打ち立てて、そして景気がよくなったということもあって、財政再建がなし遂げられたというような例もあります。

 今、ミックスが一番いいということでございますが、むしろ私は、ちょっとこの間の国債の残存期間を見ておりますと、特に十一年、十二年、これはまさに何でもありの政策をとってまいりまして、しかもそのときの、これは小泉政権ではありませんけれども、小泉政権の前の前の政権と申しましょうか、やはり国債の大量発行をやって、しかもそのときに、売れるからということでかなり短期債を出してきましたので、平均残存年限で見ますと、十一年で五年四カ月になっていますし、それから平成十二年度で五年二カ月になっているんですね。比較的長かったのが平成十年度で、五年十カ月、こういうデータもございます。

 それから、特に新発債だけの平均償還年限を見てみますと、特にこれは「十三年度国債発行計画の考え方」という、財務省の方からいただいたデータでございますけれども、十二年度に比べて十三年度は平均償還年限を長期化しましたよということが、一つのうたい文句といいますか、一つの主張になっているわけですよ。

 平成十二年度のときの新発債の平均償還年限、これは四年十一カ月である。それが五年四カ月になりましたよという形で、むしろ、大量の国債の残高があって、そういう中で、どうもやはり、売れるということで期間の短いものに集中をしてしまっている、少し集中し過ぎているんじゃないだろうかということで、今この時点では、少しそれをだんだん長い方へ持っていっているというのが今の一つの管理政策のポイントではないだろうか、私はそういうふうに見ているわけでございます。

 そういう認識であれば、これは私の認識でございますので、そういう私の認識がそれほど間違ってはいないよ、むしろそういう方向で今努力をしているところだよというようなメッセージがあれば、これはまた市場も、いわゆる借換債のリスクというものに対して安堵すると思うわけですね。そういうメッセージがおありかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

塩川国務大臣 全く同じ考えでございまして、私たちも、少しはやはり長期化すべきだと思って努力いたしておりました。

 ことしの平均を見まして、五年四カ月だということで、もう少し延ばしたいと思ったりしておりまして、その点においての宣伝、ひとつよろしくお願いいたします。

海江田委員 私が宣伝をするとかいうことよりも、本当は、特にこの国債管理というのは、外国なんか、欧米なんかではやはり、いわゆる専門に国債管理をやります、デットマネジメントということを専門にやる機関なんかもあるわけですよね。日本では財務省がやっておるわけでございますが、やはり明確な意思というものがどうも伝わってこない。

 だから、一つの考え方として、そういうデットマネジメントをするような独立をした、独立したというか専門の機関をつくるとか、あるいは特に、先ほど来お話をしております、借換債がそれだけふえてくるということは、だれが考えたってその年に大量に国債が出てくるわけですから、やはり政府がインフレによって国債の重みというものを軽くしようじゃないだろうかというふうにマーケットの側が感じてしまいますので、やはりそういうときにかなり適宜適切に、今財務省の中では懇談会などもやっているようでございまして、この懇談会がなかなかいい意見が出てくるとか、そんなようなことも聞いておるわけでございますが、やはりもう一歩前へ出て、専門の機関をつくるとか、あるいはもう少し、それこそ財務大臣自身がそういうアナウンスメントをするとか、そんなことをおやりになってもいいんじゃないですか。いかがですか。

塩川国務大臣 この民間消費がシンジケートに頼り過ぎておったような状況が濃いと思っておりますが、私はやはり応募していただく層を幅広くしていくべきだと。特に欧米では、個人が国債を持っているウエートが非常に高いですね。日本はどうしても金融機関を中心にシンジケートを組んでやっておりますが、それをできるだけ民間の個人が持ってくれるような方策を何かこの際に考案していって、それに親しんでもらうように、個人が国債に親しんでもらうようにしたいと私は思っております。

 それにはやはり、何でも登録債にしてしまうというあのやり方、国債を証券会社預かり、銀行預かりの登録債にしてしまうというのは、どうも流通を固定化させてしまっておるような感じがいたしまして、あれをやはり国債としての、有価証券としての流通の方法を何か考えられぬだろうか。そして、それを個人が管理しやすいような状況で考えたらどうだろうと。あるいは、税制上の問題も考えてみる必要があるんじゃないかな。いろいろな点を一回検討してもらおうと思っておりまして、国債の問題を検討する懇談会等に諮ってみたいと思っております。

海江田委員 私がこれから質問をしようと思うことを随分先回りしてお答えをいただいたわけでございますが、今大臣お話のあるように、日本の国債というのは、一つは、やはり個人の保有が、国債全体の量の中でいえばたしか個人が二・五%、十兆六千億円でございますが、ただ、十兆六千億円というのは、個人の金融資産からいけば、一千四百兆円でございますから、これは一%にも満たないわけですね。アメリカなどが大体、もう少し、たしか九%ぐらいあるんですかね、ドイツで七%とかいう、そういう数字がありますから、やはり個人に持っていただかなきゃいけないということは当然であります。

 今大臣、税制の話もされましたけれども、これは、税制ということでいえば、現在では六十五歳以上の高齢者の方、老人マル優なんてあんまりいい言葉じゃないと思いますけれども、老人マル優で一般の枠が三百五十万円あって、その上に特別マル優の枠で三百五十万上乗せになっているわけですね。

 これは早のみ込みといいますか、先回りをしたというか、最近、いわゆる租税特別措置の、これからいよいよ来年度の税制改正の年度改正に入ってくるわけですけれども、その中で租税特別措置の見直しをやらなければいけない、それで、租税特別措置法は何ですかというと、その中で最初にやり玉に上がってくるのが実はこの老人マル優のところなわけです。もう新聞なんか、はっきりそういう書き方をしておりますし、それから、昨今の議論では、貯蓄より投資の方へ向かっていかなきゃいけないというような話もあって、この老人マル優のところが、実は今大臣がおっしゃられた、税制上で何とか後押しをしなければいけないというようなこととちょっと違うような方向に行きはしないだろうかという危惧を私は持っているわけでございます。

 これは大臣、そんなことはさせないよとか、あるいは、そんなことは、やはり国債の市中消化という、とりあえず個人に持ってもらうということからすれば反することになるんじゃないだろうかという、その税制上の何かインセンティブの一番の中心は、やはり私はこの租税特別措置法による非課税枠の話だろうと思うので、その点についてどうお考えか、もう少し具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

塩川国務大臣 私は、先ほどちょっと申しました国債の個人所有を進めるという意味において、これは、貯蓄としての進め方、それはさっきおっしゃいましたが、老人特優のあの三百五十万円ですかの利子優遇がございますね。これは貯蓄としての考え方から基づくところの国債保有だと思いますね。私は、そうじゃなくて、やはり資産として国債を持ってもらえるようなことができぬだろうかと思うんです。

 そうすると、何かもっとほかの、例えば相続税とか資産税とか、いろいろな考え方があると思うのでございますが、そういう面から、国債の保有というものを、資産として国債を持ってもらう、そういうところにインセンティブを何かつけることはできないだろうかなと、全くこれは空想的なことですけれども、そういうことをやはり考えていくべきじゃないかなと思うたりもしておるのです。

 いずれにしても、有価証券の一つとしての国債を、安定して保有してくれることをもう少し強くしていかなきゃならぬ。欧米に比べましたら、先ほど言いましたように、非常に国債の保有が個人は低いんですね。ですから、これは、そういう資産保有の方向で何とか考えはないだろうかな、いい知恵があったら教えていただけたらと思うたりいたしておりますが、考えてみたいと思っております。

海江田委員 これは株式のときの議論もそうでございますが、今回の株式の、証券税制のところでは、むしろ株を買ってもらおう、株を売ってもらおうと。特に株を買ってもらおう、この時期買ってもらうというところにウエートを置かれましたけれども、本当は、それだけじゃなくて、むしろ、じっと持っておったときの配当課税の問題でありますとか、あるいは、これは塩川財務大臣がお話しになっている相続税のときの評価の問題でありますとか、そういう方向での一つの流れというものをお考えになっているということだろうと私は理解をしているわけでございます。

 国債の場合も、今もう既に持っておる状況ならいいわけでございますが、やはりまず買ってもらわなきゃいけない部分もあるわけですよ。何か政府では、もう十一月ですから間もなくですけれども、テレビで竹下景子さんを使って国債のコマーシャルを始めるそうですよ。まだ私は見ていませんけれども、そんなような情報も聞いていますけれども、やはり持ってもらう話も必要であって、そのときに、インセンティブとしての利子の非課税の話、これは一つ大事な点であることは事実なんです。

 それから、おっしゃったように、今度は保有をして、資産課税というお話をしましたけれども、これはかなり前から出ていた話で、金利が今よりもっと高かったときに、もう無利子でいいよ、無利子でいいけれども例えば相続税の評価を七掛けにするとか八掛けにするとか、無利子国債なんてアイデアも随分出ていたわけでございます。そんなような検討課題というのはもう幾らでもあるわけでございますから、本当に大臣がおやりになりたいのでしたら、それこそまさにリーダーシップを発揮して、こういうことなんだということでおやりいただければ、私どももそれを見て、いいものであればそれは大いに進めていきますし、それから、だめなものはこれはだめだということにしたいと思いますので、それはぜひこれから検討していただかなければいけないんじゃないだろうかというふうに思っています。

 それからもう一つ、日本の国債の場合、どうしても非居住者の所有割合が少ないというのももう一つ大きな特徴でございまして、我が国の場合六%、米国債で三五%、それからドイツの債でも三七%。日本は非居住者の保有割合というのは低過ぎるので、ここももう少し工夫があってしかるべきではないだろうかというふうに考えるわけでございますが、この点はいかがでしょうか。

塩川国務大臣 確かに非居住者の割合は非常に低いですね。先ほどちょっと見ましたら、日本では五・八%なんですね、海外居住者の割合が。ところが、アメリカなんかでしたら三四・七%、イギリスでしたら一九・八%と、非常に高い。したがって、ちょっとこれは日本も、今グローバリゼーションの時代でございますから、検討する必要があると思います。

海江田委員 あともう一つだけ、この国債の話では、物価連動債というのも外国にはあるわけですね。これは要するに、物価が上がったら、それにつけてレートも上げるよという話であります。

 これは一つは、例えばさっきの話で、大量の借換債なんかも出てくるというときに、市場の側は、買い手の側はやはり将来のインフレ懸念みたいなものがあるわけですから、むしろ物価連動債を出すことによって、政府の側はインフレ政策はとらないんだよというような一つの意思表示にもなるわけですよね。だから、そういうことでこの物価連動債というものを将来お考えになるおつもりがあるのかどうなのか、それもあわせてお尋ねをします。

村上副大臣 海江田委員の御質問にお答えしたいと思います。

 今おっしゃられているように、国債の発行に当たっては、過度の短期化による借りかえのリスクの増大を避けることが今非常に重要だと我々は考えております。

 そこで、国債の年限別の構成の策定においては、バランスのとれた発行額を設定しなきゃいけない、そういうふうに考えております。ですから、発行当局としては、国債の円滑な消化のためにいろいろ工夫をすることが必要ですし、また可能でありますが、今委員御指摘の物価連動国債については、御高承のように、我が国では非常に今物価がもう極めて極めて安定した状態にありまして、一般的に将来の物価上昇を想定した商品に対する投資家のニーズが本当に一体どこまで見込まれるのか、それがなかなかちょっと不透明だということと、それから、インフレに対する長期のヘッジの手段としての持ち切りになると思われることから、流動性が劣ってしまって、その分発行条件が割高になってしまうんじゃないかなというおそれを心配しております。

 そういう問題がありまして、尊敬する海江田委員の御提案でありますが、慎重に検討していく必要がある、そういうふうに今考えております。

海江田委員 私は、今すぐに我が国がインフレになるなんて思っていません。ただ、大量発行になると、政府がそういうことをやって、つまり債務を軽くしたい、そういう意思がどうしても働くわけですから、それに対する、そういうつもりはないんだよということをやはり何らかの形でアピールをする必要があるんじゃないだろうかということでお話をさせていただいたわけでございます。

 それから、これはぜひ大臣にお答えいただきたいのですが、「プライマリーバランスの黒字化の道筋について検討を行い、年内を目途に具体的な姿を示す」と改革工程表にありますが、ことしもあと残りわずかになりましたけれども、いつごろ出てくるのか、本当に出せるんですかということを私は大変心配をしておりますので、三十兆の話はわかりましたけれども、そこからプライマリーバランスへ向かってどういうふうに行くのか、それをことし本当に、先ほどもお話をしましたけれども、成長率がマイナス〇・九%ということで下方修正をして、そこから来年は発射台になっていくわけですから、そういうときに本当につくれるんですか、信頼性の置けるものが。そのことについてお尋ねをしたいと思います。

塩川国務大臣 経済財政諮問会議において、中期経済財政展望を決定しようということになろうと。これにつきまして、これを計画とするかあるいは展望とするかというところが非常に難しいところでございますけれども、私は、現在のような非常に流動性の高い、激動のしておる時代にあっては、一つは、展望になるであろうと思っておりますが、中期展望を、計画にしても展望にしても、いずれにしても方向は示さなけりゃならぬと思っております。それは経済財政諮問会議の最大のテーマに現在なっておるわけでございます。これは、できれば十二月の初旬ごろには決めなければならないのではないかと思っております。

 その展望の中で一番の問題は何かといったら、今お尋ねのプライマリーバランスをいつ黒字に転換できるのかという見通しになると思っております。これは、非常に計数的に慎重な検討を要する問題でございますので、今ここでお答えするわけにいきませんけれども、プライマリーバランスの黒字化というものをどうするかというその意識を持って中期展望に取り組んでいきたいと思っております。

海江田委員 十二月の中ごろというようなお話もありましたので、今の段階では、それを私どもは注目を持って、注視をしているということをお伝えしておきます。

 さて、きょうは金融担当大臣にもずっとお座りいただいておりますが、幾つかお尋ねをしたい点もございます。

 時間も残り少なくなってしまいましたが、今、各委員あるいは政府側にお示しをしましたけれども、大和都市管財の抵当証券と、それから、実はここに大変大きな棒グラフがかかれておりますが、これは抵当証券だけじゃありませんで、抵当証券の部分はこの棒グラフでいきますと真ん中ぐらいの四百四十二億円というところで、括弧書きになっています千百十一億円というのは、GFPファンドなどというペーパー商法の被害額も入っているわけでございます。

 これをごらんいただければわかるように、この抵当証券の問題、これまでもいろいろな問題がございましたけれども、これまでの、戦後最大の金融被害と言われた豊田商事事件とほとんど同じくらいの被害の額あるいは被害の人数が出ているということでございます。

 私は、これの問題について、やはり財務局が、これは近畿財務局でございますが、何度か検査を行っている、どうもその検査が不十分だったのではないだろうかという印象を強く持っておりますので、この検査、特に九七年の検査というものが一体どんな中身で、具体的にどういうことがわかって、そしてそれを業務改善命令という形で出したわけですけれども、それについてこの会社は、大和都市管財グループはそれをきちっと遵守したのかどうなのかという一連の流れについて、お聞かせいただきたいと思います。

村田副大臣 今委員がお示しになった表のとおり、大和都市管財の抵当証券によりまして、投資家に大変大きな問題を起こしているということは大変遺憾なことだというふうに思っております。

 九七年に、御指摘のとおり、近畿財務局では大和都市管財に対しまして検査を行いました。検査を行いまして、関連会社の六社を含みます経営状態についてもあわせて実態調査をしたところでございます。これによりまして、同社、この大和都市管財本体自身は債務超過と見込むまでには至らなかったわけでございますけれども、融資先の関連会社の経営状況が悪化して、将来的には同社の経営が困難となる可能性を確認したということで、業務改善命令を発出したところでございます。

 これによりまして、業務改善命令は、九七年十月の三十一日に、抵当証券業規制法第二十三条の規定によりまして、まず第一に、融資審査体制を確立すること、二番目は、経営状況の改善を行うこと、三番目は、抵当証券買い戻し資金の確保を求めたものでございます。経営状況の改善につきましては、九七年六月に行いました立入検査の結果を踏まえまして、同社が抵当証券発行特約つき融資を行っている関連会社六社の今後の経営見通しを把握した上で、九七年からの五カ年の経営健全化計画を作成し、その内容を確実に実施することを内容としたものでございます。

 大和都市管財株式会社では、近畿財務局の業務改善命令を受けまして、関連会社を含めました経営健全化計画を作成してきたわけでございます。この経営健全化計画におきましては、抵当証券発行特約つき融資先であります関連会社では、ゴルフ会員権やリゾート会員権の販売に伴う登録料利益と預託金の余資運用益などによりまして、いずれも最終的に債務超過を解消する計画となっておりましたけれども、九七年、九八年、九九年とも計画は大幅な未達となった、こういうことでございまして、改善計画は実質的に達成できなかったということでございます。

海江田委員 きょうはもう時間がありませんから、これ以上この問題では質問いたしませんけれども、やはりこれは非常に大きな問題で、今も、九七年の時点で大和管財本体は債務超過になっていないと思ったけれども、グループ全体でやはり債務超過になっているおそれがあるというような認識を持っていたということでございますが、これは、グループの間で本当にまさに融資をして、そしてそこから抵当をとって、その抵当を証券化して、そしてまたモーゲージにしてという話でございますので、まさにこのグループ全体がどういう形であったかということが実際にその抵当証券の販売の上では大変大きな問題でございますので、そこを、グループ全体とすれば債務超過のおそれがあったというような認識を持っていて、そして実際の更新をさせなかった、二〇〇〇年まで問題を放置したというのは大変大きな問題だろうと思います。

 これはたしかきょうの予算委員会でも追及がありましたけれども、今後しっかりと議論をさせていただきたい。冒頭にお配りをしました資料は、やはりこれだけ被害者が多いということをぜひ認識していただきたいということでお配りをしたわけです。

 それから、財務大臣、もう一つだけ、あと一分ありますので。一つ、さっき聞き忘れまして。

 実は私、この間、高校生と大学生を相手に、日本の財政の事情について話をしたことがあるんですよ。これは特に、まさにことし発行した国債が六十年償還ですから、子供たちはそんなこと知りませんで、六十年償還なんだよということを聞いて初めて、では大変だ、私たちの問題だということで関心を持ってくれたんです。

 そのとき、一人の女の子が、高校生だと思いますけれども、例えば環境の問題なんかでしたら、自分でごみを出さないような工夫もできる、それから水を余りむだ遣いにしないような自分の努力というものができる、それによって環境を守ることに少しでも貢献ができるけれども、この財政危機の問題とか、この問題で、自分に一体何ができるんだろうと。高校生ですからまだ当然選挙権もないわけで、私、何かしたいんだけれども、何をしたらいいかと聞かれまして、私は答えに窮したんですよ。

 何かもし、塩川大臣に、そういう高校生から、この財政危機の問題で、あるいは財政の健全化の問題で私に何ができるのと、特に一番自分たちが長い将来にわたって負担をしなければいけない、今、選挙権なんかのない子供たちに聞かれたら、大臣はどういうふうにお答えになりますか。参考までに。

塩川国務大臣 簡単に言いまして、財政というのはまさに政治そのものだ、だからして、その高校生が有権者になった場合、自分の思う財政を考えてくれる政治家を選ぶことが一番大事だ、こう言っておきます。

海江田委員 何年か待たなきゃいかぬですね。

 どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、鈴木淑夫君。

鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。

 私も財政法の第六条第一項から質疑に入りたいのでございますが、塩川大臣、ここで剰余金の半分を下らない額、これを公債または借入金の償還の財源に充てなければならない、こう書いてあるこの条文のねらいといいますか、法の精神といいますか、財務大臣としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

塩川国務大臣 終始一貫いたしまして、それは国の財政の健全化を守る、この一点だと思います。

鈴木(淑)委員 財務大臣は、財政の健全化とか、あるいは財政の秩序とか財政の節度ということを事あるごとに言っておられるわけですが、これもおっしゃる財政の節度あるいは秩序を守るための条文だとお考えですか。

塩川国務大臣 当然そうだと思います。

鈴木(淑)委員 ところで、公債発行の上限を三十兆円にしている、キャップを設けている、これは何がねらいでございますか。

塩川国務大臣 財政の秩序です。

鈴木(淑)委員 そういたしますと、今審議しておりますこの法律というのは、財政の秩序を守るために財政の秩序を破るという法律になりますね。

 この財政法の第六条第一項、剰余金が出たら、そんなのは使っちゃだめだ、半分は借金の償還に充てろ、これが財政の秩序を守るゆえんだ、こう言っているこの法律を、ちょいと待ってくれと曲げるわけですね、本年度については御免こうむると。そして、何のためにそんなことをやるのといったら、いや、財政の秩序を守るためだ、三十兆円。これは支離滅裂だとお思いになりませんか。財政の秩序を守るために財政の秩序を破るというこの理屈、通りますか。いかがですか。

塩川国務大臣 それほどの重要な剰余金の思想でございますから、だから一々国会に諮ってきちっと国会の賛同を得ろ、こういうことでございます。

鈴木(淑)委員 そうしますと、両方とも財政の秩序なんだ、こっちを守るためにこっちを破るんだ、国会がそれでいいと言ってくれたらそうするんだと。私は、国会議員として、そして自由党を代表してここの委員会に入っている者として、この剰余金を借金の償還に使いなさいという法の秩序の方が三十兆円のキャップよりも軽いとは思わないですよ。これは上下のつけようがないですよ。だから、この法案、支離滅裂だと思って、僕は反対ですね。

 これは、本来もう破綻しているということです。財政の秩序を守ろうとしたら三十兆円は守れないんですよ。ここで財政の秩序を破るから形の上で三十兆円を守ったということになっているけれども、実態は、もう塩川大臣のおっしゃる財政の秩序を破っているんですよ。そうお思いになりませんか。これはごまかしですよ。

塩川国務大臣 ごまかしであるかどうかということは、やはり審議していただいて、意見がそれぞれの方によって違ってくると思います。私は、こうして法案を提出して、半分は認めようという考えに立っていただく方もあろうと思いますし、いや、一銭も削ってはだめなんだ、剰余金は絶対だめなんだという考えに立っておられる方もあるだろうし、これはやはり政治家としての判断をしていただく以外にないと思っております。

鈴木(淑)委員 私は、一つの財政の秩序を守るためにもう一つの財政の秩序を破っていいなどと思いませんから、これはごまかしだと思います。

 ごまかさないでいこうとしたらどうしたらいいかといえば、これはやはり二つの秩序を一遍に守れなくなっちゃったということを率直に認めるべきですよ。それでその原因は、予想外の不況だ、それに伴う税収の落ち込みである、あるいはそれに伴って雇用対策その他にお金を出さなきゃいけないからだ、それを率直に認めるべきだと思うんですね。それなのに、財政の節度を守っているんだ、守っているんだと言っているのはごまかしですよ。もう片っ方で破っているんですから。もっと正直に、これはもう三十兆円を守れなくなっちゃったと認めるべきだと思います。

 財政の秩序、財政の秩序と言っているけれども、塩川大臣のおっしゃる秩序を守っていたら、これは経済、もっとおかしくなっちゃうんでしょう。だからやむを得ず、こうやって財政法第六条第一項の秩序を破って、こういう補正予算を出してきた、そういうことじゃないですか。いかがですか。

塩川国務大臣 どうも国会へ出ますと、経済がおかしくなる、経済がつぶれる、経済が破壊する、そういう話ばかりでございますが、本当に経済は、私はいいとは思いませんけれども、破壊されるんでしょうか。いかがでしょうか。どういう破壊が起こるのか、具体的に言っていただいたらと思います。

鈴木(淑)委員 私は経済が破壊されるという言葉は使っていませんが、大臣ともあろう方が、そんなのんきに野党の委員に質問していていいんですか。今、景気後退、全然とまるきっかけが見えないですよ。

 ことしの一月から鉱工業生産はどんどん落ちてきています。もう九カ月続けて落ちている。前年同月比は一二・七%まで落ちている。予測指数が十月、十一月が出ているけれども、これはならしていったらまだ落ちるんですよ。考えてみたって、この景気後退がとまるきっかけがないじゃないですか。あったらおっしゃってくださいよ。ついこの間までは、アメリカの経済が底を入れて上がれば輸出が伸びてなんてのんきなことを言っていたけれども、同時多発テロもありますし、米国経済の調整完了がぐっと後ろに延びていますから、また同時多発テロがどうなるかによっては調整完了も見えないですね。だから、どういうシナリオでこれ以上悪くならないと言えるのですか。どうぞ。

塩川国務大臣 そうすると、私はお尋ねいたしたいと思いますが、どこまで下がることが経済の破局なんですか。その目標は言っていただかないと。

 私たちは、経済が悪いということは承知しております。そしてまた、GDPも降下傾向にあるということをよく知っております。けれども、それをやはり防ぐためには、現在やってまいりました右肩上がりのそれ行けどんどん方式のこういう経済秩序、特に護送船団に守られて安泰しておるようなそういう経済界の秩序というものを変えていかなきゃならぬということで言っておるのでございまして、その過程の中において下がってくることもあるだろう。しかし、それが、ここまで下がれば破局だということがはっきりとわかっていただけるならば我々もそれに対する対応はありますけれども、それよりも、下がることは我々自認しております、知っております、けれども、やはり改革をしていって、そこに活性力を見出さなきゃならぬということでございます。

 それでは私はお尋ねいたしたいと思いますが、ここで経済対策をして何兆円出したら経済はとまるというのですか、はっきり言っていただきたい。

鈴木(淑)委員 それは私があなたに聞くことですよ。大臣ともあろう方が、何を無責任なことを言っておられますか。どこまでいったら破局か、破局が見えたところで政策を打ったんでは、ツーレートです。だから、予測しなきゃいけないということを言っているのです。

 大臣はしばしば、入るをはかって出るを制する、これが財政の基本だとおっしゃいますが、私はその言葉を初めて聞いたのは、半世紀ぐらい前に大学の講義で武田という教授がそれを言いました。ところが、どういう文脈の中で言ったかというと、古典的な財政の原理は家計と同じだと思っていたから、入るをはかって出るを制した。そうしたら、とんでもないことが起きてきた。これはプロサイクリカル、つまり景気循環をさらに増幅するようなことになってきた。カウンターサイクリカルじゃない、景気循環を小さくするんじゃなくて、プロサイクリカルになっちゃった。なぜなら、景気が悪い、税収が下がる、そうしたらその額だけ歳出を切る、それだけまたデフレが深くなる、税収が落ちる、また切る、これはまさにデフレスパイラルであります。そういうプロサイクリカルな財政をやっていたのではだめだというのが近代的な財政の思想として出てきたと、僕はこれを半世紀も前に大学で習った。

 それなのに、あれから半世紀たって、まだ家計の財政あるいは企業の財政、個々の経済主体の財政みたいなことを国家財政について言っておられる大臣がおられる、まことに私は心外であります。大体、入るをはかって出るを制していたら、プロサイクリカルになっちゃう。景気循環を増幅しちゃう、不況をもっと深くしちゃう。その理屈はおわかりでしょう。だから、破局になるのかならないのかって、破局に向けてプッシュしているのが今の塩川大臣の原則じゃないですか。そう思いませんか。

塩川国務大臣 そうは思いません。

 私は、もっと改革しなければならぬ。一番の改革の根本は、経済が悪くなるとおっしゃるけれども、その悪くなる原因をとめなければ、ただ悪くなる悪くなるとほざいてみたって、とまるものではございませんので、やはりそれをとめる努力をしなきゃならぬと思っております。

鈴木(淑)委員 塩川大臣の改革というのはどういうイメージで言っておられるのか知りませんが、私も構造改革が今一番大事だと思っていますよ。構造改革というのはどういうことをやることか。私の解釈でいえば、規制撤廃、緩和とか地方分権とかいう形で経済のシステムを変えていくことです。その結果、規制緩和であるいは地方分権で、今まで既得権益を持っていた部門が寒風にさらされる、競争にさらされる。他方、新しく規制緩和や地方分権で機会を与えられた部門がそれを生かして伸びてくる。そういう衰退部門と発展部門が、規制の撤廃や地方分権など、あるいはその中にはもちろん行政改革もありますよ、特殊法人の民営化だってそうだ、そういう一連のことは何をねらっているかというと、システムを変えていくことをねらっている。だから、衰退部門と発展部門がある、これが改革ですよ。

 そうしたら、一時的に痛みが走るというのは小泉総理がおっしゃるとおり。なぜなら、衰退側では、衰退するんですから、競争にさらされて。それは、こっちはやはり倒産する企業、閉鎖する機関、特殊法人等々出てくる。ですからこっちは失業者も出るでしょう。それから経営資源も、土地が遊んじゃうとかそういうことはあるでしょう。だけれども、構造改革というのはこう変えるんですから、衰退部門と発展部門がある、ここに、資源がシフトする間ミスマッチが一時的に起きますから、全体的として見ると痛みが走る、つまり不況が出るということなんですね。この不況に耐えて一生懸命構造を変えていこう、私はそれを主張していますよ。しかし、それをやったら財政に何が起きるか、それから、柳澤大臣いらっしゃるんですが不良債権に何が起きるか。

 構造改革に伴う痛みというのは、失業者が出ること、倒産がふえること、そうですね。失業者が出たり倒産がふえたりしますね。そうしたら財政赤字はどうなりますか。当然税収が落ちますから、あるいは失業手当を出さなきゃいけなくなりますから、財政赤字は拡大するんですよ。不良債権だってそうです。構造改革をすれば、一時的な痛みとして企業が倒れるんですから、衰退側では。それでその労働者、経営資源を発展側が吸収し終わるまでの間はミスマッチが起きているんだから、全体としては痛みが走っていますよ。そうしたら、当然不良債権もふえるんですよ。

 だから、構造改革をやったときの痛みの中には、財政赤字の拡大と不良債権の増加があるんですよ。痛みに耐えるんだから、両方一時的な動きなんですから、耐えなきゃいけないんですよ。その一時的な動きに耐えないで、プロサイクリカルなことをやろうとしているのが塩川大臣。一時的な財政赤字拡大は構造改革のためには耐え忍ばなきゃいけない、許容しなきゃいけないんですよ。それを、入るをはかって出るを制すなんて言ったら、これは不況促進型になって、構造改革の痛みに必死になって耐えている人にむちを当てるような話になっちゃうじゃないですか。私は改革に反対して言っているんじゃないんですよ。

塩川国務大臣 鈴木先生とは大分私らの、言っておられることは同じなように思うんですけれども、やはりかかり方が違うと思うんですね。

 では、私は聞きたい。それでは、今まで十年間、財政支出で、公共事業だけで九年間で百三十六兆円出してきたんですね。これは一体どうなったんですか、私はそれを聞きたいんです。つまり、構造を変えないでやってきたからこそ何の意味もなかった。何の意味もなかったというよりも、まあ、破滅になるのを防いできた、これは効果はあります。しかし、それを続けていってもやはりよくならないではないかということがここで証明されてきた。だから、構造を変えようと。

 それで、構造改革の中で、今一生懸命制度を変えるんだとおっしゃっていますけれども、もう一つ非常に大きいことが、経済学者として気がついてもらわないかぬと思う。最高の経済学者であり政治家である先生、何だと、賃金ですよ。今やはり構造改革の一番大事なのは、賃金をどう変えていくか。その賃金を急激に変えたらそれこそ大きい痛みが出てくるから、徐々に賃金を国際化していこうと。今、日本の賃金というものは、国際的に見たらすごいハイレベルですよ。(発言する者あり)

 ですから、これを、共産党は考え方が全然違いますから、これはちょっと議論を置いておいてください、御質問の中でまた承りますから。それは違うでしょう。私たちの言っているのは、自由主義、資本主義経済の中での話なんです。これは、賃金水準が違うということは御存じないでしょうか。私は、これを変えなければいかぬ。

 私は、一例を見まして、財界がやっとこのことに気がついてきたと思うんです。それまでは財界がごまかしておったんです。賃金水準を変えないかぬというのは、一番やはり正直に出てまいりましたのが、最近のNTTです。NTT十万人のあれでやっていました。(鈴木(淑)委員「時間がなくなっちゃうんです」と呼ぶ)

 いや、もうやめます。これでわかっていただいたと思うので、やめます。

鈴木(淑)委員 もう時間がなくなっちゃいそうで、はらはらして聞いておりましたけれども、塩川大臣の御認識は、端的に言っちゃうと、賃金水準を下げるということを言っているようですが、一つ大きな思い違いがありますね。

 これは本当に意見が対立する、この中でも意見が対立するかもしれません、学者の間でも対立していますが、過去の財政政策、公共投資をふやしたり減税をしたりした、あれが何の役にも立っていなかったというのが塩川大臣の認識。それに対して私の認識は、そうではなくて、積極財政をしたときは間違いなく景気は立ち直っていますよ。

 例えば、九五年、六年と二年連続してプラス成長に立ち直ってきた。もういいかなといって、三年目に橋本さんが物すごいデフレ予算を組んだ。そして、九七がおっこって、九八がマイナス成長。そこで、自自連立を組んでまた九・三兆円の減税をやったら、どうですか、今度はプラス成長、プラス成長と二年来たんですよ。それで、三年目がことし。ところが、去年の暮れに五兆円も前年より減らした補正予算を組んだ。去年の補正とことしの当初を足したら、前年に比べて五兆円またとんと落とした。それで、また落ちてきた。だから、効いていないんじゃないんですよ。持ち上げる面でも、たたき落としてマイナス成長をつくる面でも、財政政策は効いています。

 ただ、こういうことは言える。以前であれば、二年続けて財政で支えれば、それで民間の好循環が生まれて持続的に回復した。ところが、今度はそれが生まれない。三年目になって、もういいかと思って手を離すと、すとんと落ちるんですね。つまり、財政で持ち上げてプラス成長にすれば、普通なら企業収益がよくなる、そうすれば、それで設備投資が出てくる、あるいは雇用と賃金がふえて消費が出てくる、それでまた企業収益がよくなるという好循環が出るんです。だから、手を離しても大丈夫だ。

 今度はそれが出てこない理由は何かといったら、企業のバランスシートが傷んじゃっているからですよ。企業はもうかった利益で、今までのように積極的な前向きな設備投資とか雇用増加とか賃金引き上げに使わないで、借り入れを一生懸命返す、バブルのときに買った不動産の損切り売りをする、バブルのときに浮かれてやったむだな設備の償却をする。そうやって一生懸命企業の体質、財務体質を直す方に努力を傾注しているために、財政で支えているときは上がってくるけれども、手を離すとすぐ落ちるという状況が続いているんですね。

 しかし、これは永久にそうなんじゃないんですよ。かなり企業財務の改善も進んできているんです。これはまさに、企業の財務、企業経営の面での構造改革ですよ。これは進んできているんですね。それを見ないでさっと手を引くから、すとんと落ちる。

 これは、議論していると長くなるし、時間になっちゃったから言いっ放しでおきますが、当然のことのように塩川大臣は、そして小泉首相もそうおっしゃるが、財政が全然効かなかったというのはうそです。効いているんだけれども、手を離すとすぐ落ちる。それは、企業のバブル期以来の財務の傷がある……(塩川国務大臣「それは政治の違いです」と呼ぶ)

山口委員長 塩川大臣、指名してから発言してください。

塩川国務大臣 鈴木先生、それは政治の違いですから、やむを得ないことであります。

鈴木(淑)委員 時間でございますので、この話はまた次の機会に持ち越したいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、塩川大臣にお伺いをします。

 提案されている剰余金特例法ですけれども、財政法第六条第一項の趣旨は、国債や借入金で歳入の一部が賄われているという場合、決算でたとえ剰余金が出たとしても、それは真の意味で余ったということではなくて、借金をいわば使い残した、こういう性格のものだというふうに思いますが、そうは思われませんか。

塩川国務大臣 もう一つ、ちょっとしっかりと質問の内容がわからないのですけれども、今おっしゃっているのは、剰余金が出たというけれども、剰余金以上に国債を発行しているじゃないかということですか。そうじゃない。どういう意味ですか。

佐々木(憲)委員 では、もう一回言いますよ。剰余金が出た、その剰余金というのは、真の意味で余ったお金だというのではなくて、借金をして、その借金をいわば使い残したという性格を持っているものではないのか、このことを聞いているのです。

塩川国務大臣 別にそれは、予算上、色気がついているものじゃございませんから、予算全体の中から余った金でございますから余剰金ですから、これは借金の余剰金だ、これは一般財源の余剰金だ、色ついてませんが、私にはちょっとわかりません。

佐々木(憲)委員 全然認識がおかしいと思うのですね。つまり、ある予算を組む場合に、税収だけでは足りない、借金をしなければならない、国債を発行したり借金をする。そして決算をすると、その借り入れた部分も全部含めて、少し少なかったから剰余金が生まれる。この剰余金というのは、本来、借金のいわば使い残し、こういう性格になるじゃありませんか。これははっきりしているじゃないですか。

塩川国務大臣 それは、中に入っているかもわかりませんし、また、どの程度のことかわかりませんし、要するに、予算の中で余ってきたお金です。

佐々木(憲)委員 だから、そういう発想がおかしいと言っているのですよ。借金をしなきゃできない予算を組んでいるわけですから、それで余ったということは、借金の使い残しになるわけですよ。そうでしょう。

 だから、そういう意味でいいますと、借金の使い残しである以上、当然その半分を借金の返済に充てる、これは合理的なことであって、そういう考えに基づいてこの財政法第六条一項というものはつくられているわけですよ。単なる赤字の補てんである赤字国債が発行されている場合というのは、なおさらそういう性格を持っているわけですから、これは本来返済に充てるというのは当たり前のことだと思うのですけれども、そうは思いませんか。これが財政法第六条一項の趣旨だというふうに思いませんか。

塩川国務大臣 当然です。返済に充てるべきものなんです。でも、特例でお願いしたい、半分だけ一般財源に使わせてもらいたいということを、それがために法律の手続をして出しておるわけでございます。

佐々木(憲)委員 そういう意味では、財政法第六条の本来の趣旨を逸脱する、これを破るものであるということを今大臣がみずからおっしゃったわけであります。

 先ほども鈴木議員の質疑の中でも明らかになりましたけれども、今回の措置というのは、国債発行額三十兆、この枠にいわば帳じりを合わせるためにこのような財政法を破る措置をとったということであります。そのことはもう事実上お認めになっているわけであります。

 そこでもう一つ、少し話をかえますが、本会議で、先週金曜日ですけれども、塩川財務大臣は公共事業の長期計画についてこのような答弁をされておりますので、この点についてお聞きをしたいと思います。

 道路に限らず、すべての公共事業等におきまして長期の計画は必要でございますので、長期計画はぜひひとつしっかりとつくっていただきたいと思うのでございますが、これが直ちにその計画と予算の拘束をする関係をつくっていただくならば、そうした場合は財政の硬直化を招きますので、計画はどんどん進めていただくが、しかし、予算の縛りはぜひとも自由にしていただくような、そういう計画であってほしいと思っております、こういう答弁をされましたね。これは一体どういう意味なのかということです。

 大臣はこれまで、公共事業を抑えるためには長期計画を見直さなければならない、それを財政を健全化させる重要な要素だとおっしゃっていましたね。この答弁によりますと、長期計画を自由につくっていただくというような言い方をされていますから、今まで長期計画の見直しと言っておられたことは一体どこに行ってしまったのか。長期計画を見直さないでどんどんやってもらいたい、こういう立場に大臣は大幅に方向、方針を変更されたのですか。この真意を説明していただきたい。

塩川国務大臣 言葉のロジックを振りかえておられるような話ですね。

 私は、公共計画に限らず、すべての行政はある程度計画的でなければならぬと思います。ましてや、公共事業等は計画性のあるものでなければならぬと思っております。ですから、その計画はどんどんと進めてもらいたい、こう言っておるのです。中身を全部承認するという意味じゃありません。計画はどんどんやっていただいて、いろいろな意見を出していただきたい。

 しかし、現在公共事業に関する計画は、全部で長期計画は十六本ございます。そのうちの十一本でしたかが法律化されております。私の言っているのは、法律化することによって予算が拘束されている。皆さんよく言ったじゃないですか、予算が硬直しているからけしからぬと。この原因はこれなんですよ。これをやめてくれと私は言うておるのですよ。

 ですから、そこはわかっていただかなければならぬ。だから、計画はなければならぬ。けれども、これを資金繰りをきちっとつけて、これで総額幾らで毎年度これだけやります、そういう予算を法律で縛ってしまうやり方はやめていただきたい。けれども、計画は自由につくって、大いに国民にその計画の内容を説明していただいて、賛同していただくように勉強していただきたい、これを言っておるのですから、決して矛盾したものじゃございません。

    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕

佐々木(憲)委員 どうも説明がよくわからないのですね。長期計画があるから、法定されているものがあるから予算が縛られる、だから長期計画そのものを見直さなければならないと大臣は今までおっしゃっていたわけですね。長期計画は自由につくっていいとは言っていませんよ。

 例えば、七月三十一日にこう言っているのですね。長期計画をもうちょっと厳しく見直してもらって、公共事業の全体の費用の削減を今までの七%程度よりもっと上回るものにしたい、例えば一〇%ぐらいになるかもわからぬ、そういうようなお話をされています。つまり、公共事業の長期計画を厳しく見直して、そして予算をその関係で抑えていく、こういう話をされているわけです。

 あるいは、五月三十一日、この財金委員会ですけれども、「やはり全面的にそういうものは見直していく」という発言をされていまして、「主務官庁で設定しておりますところの長期計画はまず見直していく必要があるだろうと思っております。法律で決められてあるものは、国会で決められたことでございますので、その趣旨を尊重して、その後の処置についてはともに検討していかなきゃならないものだと思っております」長期計画を見直すというふうに大臣は答弁をされているのです。

 なぜかというと、長期計画に縛られるから、その長期計画を見直して初めて予算が公共事業を抑制するという方向に向かうことができるわけです。長期計画は長期計画でどんどんおやりください、予算は予算ですという関係にはなっていないんじゃないですか。いかがですか。

塩川国務大臣 何かロジックが混乱しちゃっているんですね。もう一度聞いてください。

 私の言っているのは、長期計画はどんどんやってください、それはいろいろなアイデアを出してやっていただいて結構です、けれども、予算をするときにはきちっと見直しますよということを言っておるんです。見直すということは、予算を見直すということですよ。そのぐらいのことはわかっていただけると思うんです。

 それと同時に、長期計画の中でも、ビジョンとして、そしてそのビジョンを、具体的なものを計画として出していただく、技術的に出していただく、その計画は進めていただきたい。そして、多くの方々に夢を、理想を与えていただく、そして開発を進めていただく、これは結構だ。しかしながら、その計画が何カ年、五カ年計画、七カ年計画として法律で縛っちゃう、これをやることは財政の硬直化につながってきた。今までずっと政府が苦労してまいりましたのは、この長期計画によるところの予算の配分、これを確約、法律で縛られてしまっておるから苦労してきたということを私たち体験してまいりました。

 佐々木さんは政権で担当、予算組んだことないからその経験はないだろうと思いますけれども、予算を編成する立場に立ちましたら、硬直化したそういう条件が前提としてある以上は、なかなか予算の柔軟性をとりにくい。そうしますと、実際、社会的ニーズの非常に強いものが出てまいりました場合には、それに対応するためには、特例国債とかいうものに頼らざるを得ないということを繰り返してきたんですね。

 ですから、そういう点がございますから、こういう法律で拘束されないものを私は言って……(発言する者あり)何ですか。

奥山委員長代理 不規則発言はやめてください。

塩川国務大臣 やじか、今のは。

佐々木(憲)委員 ということは、長期計画に関連する法律というものは、法律があると縛られるので、その法律そのものを廃止または見直す、こういう意味ですね。

塩川国務大臣 そういうことです。それで、どうしてもやむを得ないもので、どうしても政府として国民に約束をしていかなければならない、そういう必然性の非常に強い計画については、これは法律でやる必要はありましょう。そのかわりに、その法律の中においても、予算の硬直化に結びつくような条項は入れないでもらいたい、こういうことです。

佐々木(憲)委員 つまり、長期計画によって縛られるような今までのようなやり方を見直して、長期計画、十一本の法律に基づくこういうやり方については廃止する方向で基本的には根本的に見直す、そういうことによって全体として公共事業の予算を縮減していく、そういうことを意味するわけですね。

塩川国務大臣 公共事業の縮小というものはそういう手法によらなくても十分にできることでございますし、そしてまた、あらゆる方向で縮減できますし、また、伸ばすところも出てまいります。それはそれなりで、それが見直しということになるわけでございますから、あながち、縮減することばかりじゃございません。

佐々木(憲)委員 長期計画との関係で聞いているんですよ。予算そのものをどのように決めるかというのは、毎年の予算措置で、その段階で決めるわけですけれども、しかし、公共事業長期計画というものがそれぞれ十数本ある、それとの関係で縛られるという話で、今まで、この長期計画を見直すとおっしゃっていたわけなんで、ですから、長期計画を見直すということと関係、つまり法律があるとすればその法律も見直すということをやらないと、予算も縮減できないわけですよ。そういうことをやらないと、予算だけで何かできるわけじゃないでしょう。連携をしてやらないと、全体としてむだの削減にも公共事業の縮減にもつながらない、こういうことじゃないんですか。

塩川国務大臣 長期計画の中で、法律に縛られておらない長期計画はその場で尊重しながら、その計画を尊重しながら、絶えず見直しをして予算に計上していくということを言っておるわけです。

佐々木(憲)委員 どうも今の御答弁ですと、法律にある十一項目の計画については手を触れない、法律にない、予算措置だけでできるものについては若干見直す、予算についての見直しを行うと。

 そうすると、長期計画の見直しと今までおっしゃっていたことと今答弁をされたことというのはかなりずれがあって、長期計画そのものを、いろいろな圧力があって、ゼネコンかあるいは自民党の中の勢力かわかりませんけれども、そういう圧力に押されて大臣自身が立場をかなり後退させている、そういう感じを私は今の答弁で受けました。

 私は、本当に見直すというなら、公共事業長期計画全体を抜本的に、むだを削るという発想で、計画も法律もきちっと見直すということをやらない限り、本当の財政改革にはつながらないということを、もう時間も参りましたので、申し上げまして、終わります。

    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕

山口委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 先週に引き続いて、今週もまたこうした遅い時間帯での審議で、塩川大臣にも大変お疲れなことと存じますし、各委員も大変に御苦労さまでございます。できればもうちょっと明るい時間にやりたいなと思いながら、私で最後の質問ですので、よろしくお願い申し上げます。

 私は、きょう、先ほどまで予算委員会に出ておりまして、質問も何点か行わせていただきましたけれども、先ほど来の鈴木委員並びに佐々木委員のお話もあわせて伺いながら、今回、私どもの委員会で剰余金の特例措置を成立させると、表面上は三十兆円という予算枠が姿形は美しく成り立つわけでございますが、果たしてそれで国民にとって本当の意味の安心した暮らしや、また、これからの私たちの時代ということを展望できるかというと、経済には疎い私から見ましても、やはり不安要因が多々あるように思います。そして、昨日の塩川大臣の予算委員会でのさまざまな御答弁を伺いますと、こうした不安要因に対しての認識が塩川大臣と私あるいは国民との間で大きくずれておるのではないかという思いを抱かざるを得ませんので、きょうはまず、塩川財務大臣の状況認識というものについて、二点の事例を挙げて当初お伺いいたしたいと思います。

 きょう、私の手元にあります朝日新聞並びに日経新聞の夕刊を見ておりますと、いわゆる日経平均の一万円台割れという記事が両方に載ってございます。アメリカでの昨日の航空機事故等々も関与するものなのかもしれませんが、やはり、我が国の株式状況と申しますのは、どう見てもよろしいものとは思えず、そして、この一万円台割れということを現在塩川財務大臣はどのようにとらえておいででしょうか。まず一点お伺いいたします。

塩川国務大臣 私は、一万円割りということは、きょうは大引けで一万三十円、ちょうど一万円で三十円だけ高い、一万三十円ですね。それは非常に深刻な状況だと思っております。

 しかし、株式、株価というものは、これは税法で、あるいは行政の面だけでできるものじゃなくて、国の経済力の繁栄がやはり企業に映って、その企業の、力といいましょうか能力といいましょうか収益力、そういうようなものが株価に連動されてくるということでございますので、何としてもやはり経済全体がよくならなければ株価もよくならないという認識を持っております。

阿部委員 そのための、先ほど来鈴木理事もお尋ねでございますが、この補正予算あるいは全体の三十兆円枠でそれが可能か否やということが大きな分岐点になってまいると思います。

 いま一点、これも私が前々回たしか塩川財務大臣にお伺いいたしましたが、いわゆる狂牛病、この名前が適切ではございませんので、牛海綿状脳症と言いかえられる事態の発生で、兜町のニュースによりますと、単にマクドナルドあるいはしゃぶしゃぶのチェーン店などが株価を下げただけではなくて、いわゆる加工品を扱う分野あるいは全体の株式相場にもこの狂牛病問題、牛海綿状脳症の発生問題が影響を及ぼしているというふうな報道もございます。

 私が前回塩川財務大臣にお伺い申し上げましたときは、さほど緊喫な御認識はなかったやに私は答弁を受け取りましたが、現段階で、私は、これはやはり消費の著しい低迷、国民へ与える不安感、本当に全体を萎縮させてしまう効果があるように見受けておりますので、この点についてもお伺いいたします。

塩川国務大臣 私は、牛海綿何とか難しい病気ですね、非常に悲しい事件でございますけれども、しかし今政府は必死にその対策を講じておりますしいたしますので、私は時間の経過というものがこれはやはり解決していくんではないかなと思っておりまして、一応、農林省あるいは関係者が懸命に努力してくれていることを、私たちはそれに期待いたしております。

 しかし、確かに若干経済界に影響を及ぼすことはあると思いますけれども、これがために日本の経済がひっくり返ってしまうというようなことにはならない。しかし、ある程度食生活に影響あることは事実でございますので、できるだけ早く解決して、完全解決の宣言ができるようにしてもらいたいと思っております。

阿部委員 先ほどの株価は実体経済の低迷ということもございますでしょうし、それから不良債権処理の長引く処理し切れない現状、そしてあわせて消費デフレと重なりますと、業は成り立たず、消費も落ち込み、あわせて金融もうまく回らない。普通はこれは三方手詰まりととらえた方がいいような状況と思いますが、それでもなお塩川財務大臣にあっては我が国の全体の経済状況は危機的ではないとお考えでありましょうか。

塩川国務大臣 確かに牛に対する需要は減っておるかもわかりませんが、その反面、魚がこのごろ非常によく売れているようでございまして、結局、人間全体が食べる量とカロリーというものはそんなに変わらない。ですから、一刻も早く牛肉の問題を解決してほしい、私はそれを願っておるんです。それは一遍に、行政でどうのこうのということをやりましてもなかなか解決するものじゃなくて、やはり時間が経過して、牛が安全だということがだんだんと認識が固まってくればまた復活してくる、そうしたら魚がまた減ってくるかもわかりませんが、そういうようなものはやはり人間トータルのバランスの中で動いていくことだと思っております。

阿部委員 一生懸命御答弁いただいて恐縮ですが、私は、牛か魚かという論争をしたかったのではなくて、実体経済の低迷と不良債権処理のおくれとあわせて消費デフレの三つ、これだけ重なれば、我が国の経済にとって何ら明るい見通しがないと考えるのが常識ではないかということで、塩川財務大臣の認識をお伺い申し上げたわけです。

 再度その三点、私が今問いかけ直しました三点に基づいて、経済状況認識をお聞かせください。

塩川国務大臣 牛からくるところのそういう条件はよくわかって、承知いたしております。

 世の中というものは何でも循環するものでございまして、風船が、ちょっと押したら、こっちへっこむかわりに反対側で膨らむというふうなことで、世の中というものはお互いが相関関係にある。ですから、牛の問題も、非常に残念なことではございますけれども、早く解決して、もとへ戻るようにだけしてもらいたい。

 影響あることはある、それは私も認めておるところでございますので、それは阿部さんと同じ意見であると思いますが、だからといって日本の経済が、これで破局的なものになるとか、あるいは非常にダメージを受けるという大きい問題のことではないということを申し上げたいと思って言ったわけです。

阿部委員 どうも牛から頭が離れないようでございますので、ちょっと角度を変えて伺わせていただきます。

 私は、先般財務省がお出しになった医療制度改革の問題で、先ほど鈴木委員がお示しになった認識が極めて妥当な点をついておられると思いました。私は、財務省の医療制度改革案が、いわば入るをはかって出るを制す、この論法に基づくがゆえに極めて危機的な事態を生むと認識しております。

 どういうことかというと、高齢者も適宜、負担能力のある方には負担していただこう、入るをはかったわけですね。出るを制すという方は、実際にかかる診療費の方はその時々の、いわゆる経済成長率等々に合わせてシーリングを設けていこうという発想法でございますが、実は、この発想法でいく限り、少子高齢社会を健全に運営していくことは絶対にできないと、私は確信と自信を持って申し上げたいと思っております。

 そして、すべからくにおいてこうした手法、すなわち出るを制す入るをはかりてだけでは物事が循環しないということは、先ほど鈴木委員が懇切丁寧に御説明でありましたので私はその点はあえて後追いいたしませんが、今、例えば、高齢社会を迎えまして、逆に一番ある意味での預貯金をお持ちな御高齢者が、本当の意味で、ここであれば自分たちの未来に、老後に使ってもいいと思えるような安心体制をまずこの構造改革においてなし遂げなければ、先に出るを制す入るをはかる、要するに税収をがぼがぼ取って給付は下げるというやり方では、絶対に、高齢社会、私は経済循環すら成り立たなくなると思いますが、さきの財務省の医療経済改革について、塩川大臣の御認識を伺います。

塩川国務大臣 財務省としてはこういう案ということをまだ出しておりませんので、それは大変な誤解ですね。ということは、これは阿部さん、よう聞いておいてくださいよ。財務省の方では論点を整理したんです。

 つまり、概算要求提出しました、八月末に。そのときに、社会保障関係の方でもうとりあえず七千億円はアップして出そうということを決めたんです。そのときに、医療制度の改革について、来年の四月ごろに中央医療協議会の答申も出るだろうけれども、その前に十四年度予算の編成をしなければならないので、十四年度予算の編成に際して必要な厚生省としての改革の案を出してくれということを言ってあった。それに対しまして、一緒に概算要求のときに出てまいりましたので、それを見て、論点はこういうところにあるということを指摘したことが、それが何か財務省の案のように言われますが、そうじゃございませんで、論点を出したということなんです。

 私の方から厚生省に言っておりますのは、三者一両損でいこう、この精神でいこうじゃないか、こういうことを言っておるのでございまして、ですから、財政の方で負担すべきものは負担していこう、そういうことはちゃんとうたっております。当然増で幾らになるのかという、当然増の総額の見積もりについて若干の違いがあるということが現在の状況です。

阿部委員 論点の整理というよりは、やはりここの財務省主計局の出された御意見の中では、基本的考え方として述べられておるのが、増大する公的医療費の伸びを経済の伸びとバランスさせることが不可欠という御認識であります。これは、しかるべく医療分野が構造改革されたならば、私の考える構造改革とは、もっと人的、例えば人的処置に対して診療報酬をきちんと位置づけていくことですが、そうしたことにのっとった上でなければ、かかる御意見は到底採用されないと私は思っております。

 きょう、これで私の質疑時間は終わってございますが、やはり現在の経済状況認識、そして本当に控えております少子高齢化社会についてもっともっと財務省を初め関係省庁、本当は金融大臣にも御質問ございましたができませんので、しっかりしていただかないと、とても国民の安心の未来はないということを指摘し、私の質疑を終わらせていただきます。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十三分散会




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