衆議院

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第9号 平成13年11月21日(水曜日)

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平成十三年十一月二十一日(水曜日)

    午前十時三十七分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君

   理事 根本  匠君 理事 海江田万里君

   理事 中川 正春君 理事 石井 啓一君

   理事 鈴木 淑夫君

      大野 松茂君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    七条  明君

      砂田 圭佑君    竹下  亘君

      竹本 直一君    中野  清君

      中村正三郎君    林田  彪君

      牧野 隆守君    増原 義剛君

      山本 明彦君    山本 幸三君

      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君

      上田 清司君    生方 幸夫君

      江崎洋一郎君    河村たかし君

      小泉 俊明君    佐藤 観樹君

      末松 義規君    永田 寿康君

      長妻  昭君    谷口 隆義君

      若松 謙維君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    植田 至紀君

    …………………………………

   議員           相沢 英之君

   議員           津島 雄二君

   議員           金子 一義君

   議員           塩崎 恭久君

   議員           根本  匠君

   議員           谷口 隆義君

   議員           石井 啓一君

   議員           小池百合子君

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   法務大臣政務官      中川 義雄君

   財務大臣政務官      中野  清君

   財務大臣政務官      林田  彪君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 中川 雅量君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    大武健一郎君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    溝口善兵衛君

   政府参考人

   (国税庁次長)      福田  進君

   政府参考人

   (国税庁調査査察部長)  東  正和君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    小脇 一朗君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長

   )            久郷 達也君

   財務金融委員会専門員   白須 光美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  河村たかし君     上田 清司君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 清司君     河村たかし君

    ―――――――――――――

十一月二十日

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(相沢英之君外七名提出、衆法第四号)

同月十六日

 共済年金制度の堅持に関する請願(後藤茂之君紹介)(第三三〇号)

 同(羽田孜君紹介)(第三三一号)

 同(前原誠司君紹介)(第三四三号)

 同(小里貞利君紹介)(第四三二号)

 消費税の大増税に反対、税率を三%に引き下げることに関する請願(水島広子君紹介)(第三四二号)

 同(木島日出夫君紹介)(第三五四号)

 同(木島日出夫君紹介)(第四四六号)

 同(児玉健次君紹介)(第四四七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四四八号)

 出資法の上限金利の引き下げ等に関する請願(海江田万里君紹介)(第四一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(相沢英之君外七名提出、衆法第四号)

 財政及び金融に関する件




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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長大武健一郎君、財務省国際局長溝口善兵衛君、国税庁次長福田進君、国税庁調査査察部長東正和君、金融庁監督局長高木祥吉君、厚生労働省健康局長下田智久君、農林水産省生産局長小林芳雄君、中小企業庁次長小脇一朗君及び中小企業庁事業環境部長久郷達也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。渡辺喜美君。

渡辺(喜)委員 自民党の渡辺喜美でございます。

 今、我が国は、構造改革シナリオに乗れるか、はたまた構造破壊シナリオに行ってしまうかという分かれ道に来ていると思います。

 デフレギャップが一割あるとよく言われますね。そうすると、このギャップを構造破壊シナリオでもって暴力的に調整されるとどういうことが起きるか。大体、大企業の一割が倒産をし、中小企業は大企業よりもキャッシュフロー分の借金比率が高いのが一般的でありますから、十年前の倍以上になっているんですね、そうすると中小企業は二割から三割倒産をする。就業者の一割が職を失う。もう既に三百五十万人の失業者がいる。六百五十万人さらにふえてしまうということになりますと、六人に一人が失業する。これが構造破壊シナリオのイメージであります。

 我々としては、構造改革をなし遂げるのに、ぜひこの破壊シナリオだけは回避をしなければいけないと思っております。

 我々のよって立つべき原理原則は、グローバリズムを妄信もしないが排除もしない。政府というものは、大きくて弱い政府であってはいけないのであって、小さくて強い政府、いざというときにはきちんと危機対応をやる、そういう存在でなければいけないというふうに思っております。

 配っていただけましたですか、私の手元に来ていないんだけれども。済みません。

 お手元に、「株価百円以下の企業」という三枚紙があります。これは日付順になっておりまして、一枚目は十月二十三日、株価百円以下の企業は九十七銘柄あるんですね。二枚目は十一月十二日、百二十二銘柄にふえています。三枚目は十一月十六日、百二十八銘柄にふえている。これは一部上場企業のどれくらいの比率かというと、八%を超える比率になっています。三枚目の百一円から百十円というところのものを足しますと、一〇%を超えてしまう、そういう表なんですね。

 そこで、構造改革先行プログラムというのが十月二十六日に出されておりますが、ここで言っておりますことは、市場の評価に著しい変化が生じている等の債務者企業に着目した特別検査を実施する、そして、企業業績や市場のシグナルをタイムリーに反映した適正な債務者区分及び償却、引き当てを確保する、こういう記述がございます。大変結構そうに見える記述なんでありますが、下手に間違いますと、これはタリバンの公開処刑になりかねない危うさをはらんでいる。リンチ殺人事件みたいな風評リスクを起こしかねない、そういう危うさをはらんでいるのではないかという気がするのであります。今、特別検査をもう既に始めてやっておられますけれども、風評リスクについて、いろいろな方面から懸念が示されております。

 この特別検査の結果は、間もなく中間決算の発表が行われますが、この中間決算ではなく、来年三月期の今期決算に反映をさせる、こういう理解をしております。そういたしますと、特別検査をやって、例えば、この会社は要注意先ではなくて破綻懸念先じゃありませんか、こうつぶやきながらやっておられると聞いておりますが、そういたしますと、この結果発表はどうなるんでしょうか。三月期決算に発表をのせると言っておきながら、一方において風評リスクみたいなものが出てまいりますと、これは大変危うい状況になるのではないか。検査結果が出てきて、これはもう明らかに引き当ての積み増しをしなければいけない、そのディスクロージャーというのはやるんでしょうか、やらないんでしょうか。タイムリーディスクロージャーなどという言葉が最近はあるんだそうでございますが、どういう時点でやるのか、はたまたリークみたいな手法を使ってやるのか。いかがでございましょうか、金融大臣。

柳澤国務大臣 特別検査というのは、今渡辺喜美委員がお話しになられたとおり、先行改革プログラムの中で実施をうたったものでありまして、通常の検査と違いまして債務者に着目した検査、もちろん通常の検査もそうしたことで行う面もありますけれども、より特定のという言い方がふさわしいかどうかはともかくとして、個別の債務者に着目をして検査を行うという検査なのでございます。

 そこで、私どもは、この種のことをやるということを決めるに当たって最も注意をしなければならぬと当初から気をつけたことは、まさに今御指摘の事柄でございます。金融庁の検査の対象になったんではないかということだけで、その企業がこうむらなくて済む被害、風評被害というものをこうむるということは、断固これはあってはならないことということを考えております。

 そこで、大変恐縮なのでございますけれども、この選定基準そのものについても不開示ということにさせていただきまして、御理解を得ているというふうに、これまでの当委員会の審議等でも心得させていただいております。

 また、さて今御質問がありました結果のディスクローズということにつきましても、これはもう全く私どもそうしたことを行うことを想定しておりません。これは、通常の検査あるいはフォローアップ検査というのもやらせていただいておるわけですけれども、そうしたものと混然一体となって決算の数字の上に集計された数字の一つ、一部分ということで、それぞれに企業の財務状況の開示ということの一環に溶け込んだ形で行われるということに尽きるわけでございまして、特別検査の結果、債務者の区分がどうなったこうなったというようなことについては、これは世の中に知られるということはない、こういう仕組みでとり行われるというふうに御理解をお願いしたい、このように思います。

渡辺(喜)委員 本来、捜査とか検査というのは密行的にやるべきものだと思います。世の中に知られずにきちんとできればいいんですが、往々にして、こうした問題は風評リスクとなってあらわれてくるのが常でございます。

 今日本の置かれた状況は、第四次金融危機と言うにふさわしい状況ではないかと私は認識をいたしております。大体、平成時代になって三年ごとにこの危機は繰り返されているんですね。根本的なところに治療が施されてこなかったがゆえに、三年置きに繰り返される、こういう非常に残念な状況にあります。

 せんだって、日銀総裁が日本の銀行の自己資本比率はアメリカ基準に引き直すと七%ぐらいしかないなどということを公然とおっしゃられた。一方、柳澤大臣も金融庁も、自己資本比率は大丈夫なんだ、こういうことを胸を張っておっしゃっておられるわけでございます。一体こういう差がどこから起こってくるんだろうか。政府の内部で意見の統一がない、あるいは中央銀行と政府の意見の食い違いが明らかになっているというのは、国家戦略を遂行する上で大変に危うい状況ではないか、私はそう思うのであります。

 既に二回ほど公的資本は注入をされております。資本である以上、一番最初に泣く存在なのですね、株主さんというのは。会社がつぶれますと、一番最初にかかっていくハゲタカ一号は国税庁ですよ。ハゲタカ二号は社会保険庁ですね。この一号、二号が去った後で労働者の賃金が確保される。四番目には担保つきの債権者、銀行ですね。五番目が一般債権者。それでもおこぼれがあれば株主さんにも分けてあげますよというのが日本のルールですよ。したがって、資本、株主さんというのは一番先に泣く存在なのです。

 それで、公的資本は絶対に毀損させない、そういうお考えを今でもお持ちなのでしょうか。こういう考えでいきますと、これから資本不足に陥って、増資をしなければいけないというところが、減資が事実上できなくなってしまう、そうすると、思い切った損失処理、資本金を吐き出してもやるべき損失処理が進まなくなってしまう、こういう問題があると思うのでございますが、これは柳澤大臣だけで結構でございますが、いかがでございましょうか。

柳澤国務大臣 公的資本の毀損という事態が起こったとき、あるいは起こるということについてどう考えるかということでございますが、これは制度としては、今渡辺委員がまさに指摘されたように、やはり資本なのでございまして、したがって、まさかのときにはこれは毀損されるということでないと、そもそも資本注入というような言葉にも当たらないということになるわけでございまして、制度としては、当然にそれは毀損される可能性を持ったものであるということで、そういう意味があるからこそ、金融の安定というものに実は役割を演ずることができるわけでございます。

 しかし、また他面、もしそういうことが起こったとしたらどうなるかといいますと、今現在はこれは預金保険機構の借入金で行われているわけでございますが、そこに、預金保険機構の業務の中で欠損が生ずるということで、これは政府保証のお金が入っているという、政府保証の裏づけがされておりますから、政府はその保証の履行を求められて、結局、財政資金、つまりいわゆる国民の税金でもって穴埋めをされなければならない、こういう仕組みになるわけでございます。

 そのような意味から、私どもとしては、運用の面において、一般の株主といえどもみずからの出資金が毀損されることに対してそうおおらかな気持ちでいるわけではないわけですが、それ以上に私どもは、こうしたことで国民の負担に結びつくというようなことはあってはならない、これはもう最大限の努力をして、そういうことがあってはならない、避けたいということで、そのぎりぎりのところをどう判断するかといったら、そのぎりぎりのところで適切な判断をしていくということで、とにかく国民負担につながらないように最大限の努力を傾けていくということでございます。

渡辺(喜)委員 とにかく、損切り、踏ん切りを早いところつけてしまうのが再生の何よりのかぎなのですね。そういうぎりぎりの判断を迫られる場面があるということを我々は肝に銘じておく必要があるのではないかと思います。

 きのう経済財政諮問会議で随分激論が交わされたようでございます。けさの新聞を見ますと、柳澤大臣が随分意見が対立したなどという報道がございます。当然、こういった損失処理をきちんと進めていくならば、減資の問題はさておき、資本不足にどう対応するか、第三次資本増強という問題が出てくるわけでございますが、これについて簡単に、柳澤大臣と塩川大臣の御見解を承らせていただきたいと思います。

柳澤国務大臣 資本不足という事態については、現在どういう制度がしかれているかということは、これは渡辺委員既に御案内のとおりでありまして、早期是正措置というスキームに入っていくわけでございます。そして、八%を切った場合はどういうふうな措置を国としてとって、それに応じて銀行側はどういう対処をしなければならないか、こういうことがそれぞれに、資本の過少の程度に応じて決められているというのが私どもの、今生活をしている制度空間というか法制の空間なのでございます。

 そういうことなのでございますけれども、同時にまた別建てで、そういう単純な個別銀行の資本不足ということ、資本不足をどうやってこれを治癒し改善していくかということのほかに、システムとしての危機に結びつくというか、そういうケースがあり得るとされて、それに対しても一定の法制がしつらえられているわけでございます。あえて言うと、金融システムの危機というのは、場合によっては、自己資本不足というものに銀行が陥っていなくたって、ある種の、いろいろな、人の心理でもって起こり得るということにもなるわけで、信用不安というか金融システムの危機というのは、自己資本不足というものと本当にぴたり一致しているかというと、必ずしもそうではないと私は思っているのです。

 いずれにせよ、そういう一つの金融システムの危機というものが起こったときにはどうするかということが制度としてございまして、その制度の中には公的資金の注入という、かつての健全化法でうたわれているような措置もとられる、こういうことになっているわけでございます。

 しからば、現状はどうかといいますと、私も、かなりいろいろな施策で不良債権の処理を進めるということを行っておりますので、そういう負担との関係で、自己資本がどのような推移をたどるかということについて、当然のことながら最大限の注意を払って注視をしておりますけれども、しかし、現在のところ、私ども十分な自己資本を維持できるというような感触を現在得ておりまして、少なくとも、そういう意味合いでは、何らか早期是正措置の発動をしなければならないとかいうようなことには全くなっていない。他方また、いわゆるシステム危機というような事態というものは、そういう自己資本の実態をきちっとこれから九月期とか三月期に公表していけばというか、いくこともございますので、そんなことが起こるというふうには私は全く考えていないのでございます。

塩川国務大臣 私は、昨日の経済財政諮問会議で、不良債権問題に関しまして二つの意見を申し上げました。私は全く金融関係は素人でございまして詳しいことは存じませんが、概略申し上げますと、今、金融庁なりあるいは政府自体が、金融機関に対する検査というものを非常に厳正、正確にやっておられる。ですから、銀行は非常に体質改善してまいりまして、健全になってきた。がしかし、一般市民の立場から見ると、とはいえ、やはり依然として銀行は貸し渋りがあるように思われる。特に中小企業はなかなか、だんだんと貸し渋りが行われておるような感じを持っておる。それともう一つは、貸出金利も多少最近上がってきておるということ。こういうことに対して、市民の側から見ると、金融機関が真に金融機能を果たしておるのであろうかどうかということが、これが一般、特に中小企業の方から見ると強い感じを持っておるので、もう少し金融機関が金融機能を活発に発動してくれるように、作動してくれるようにしてもらいたいことが我々の念願だと。これが一つ。

 それからもう一つは、金融機関の不良債権の問題がいつも問題になるのは、銀行自身の問題よりも、銀行が貸し出しをしておる、つまり銀行から貸し出しを受けておる企業の中で経営がうまくいっていなくて、これが焦げついておる、今一般市民はそう見ておる。どの程度のものかわからない、けれども、そうであるがために金融機関の金融機能の作動が十分に行われておらないのではないかと。したがって、こういう企業に対する、企業自身の問題であって、これは銀行よりも企業自身の問題として、どのように再建計画を立ててくれるのかということ、これをやはり国民が納得する形で出してもらいたい、こういうことを申し上げたという次第です。

渡辺(喜)委員 いずれにしても、はっきりと、ペイオフは再延期はしない、こういう方針で臨んでおられるわけでありますから、預金保険法百二条の金融危機対応会議を開くときには、もうすべてその後のスキームはでき上がっているという態度で戦略を構築していただきたいと思います。

 私は、かねて、こういうメルトダウンシナリオに対応するために、産業再生委員会構想というのを提案してまいりました。最近、塩川大臣が新旧分離再生策という、昭和二十一年のマッカーサー元帥の時代にやった損失処理方策について言及をしておられます。私はそのころ影も形もありませんでしたけれども、塩川大臣は御自身の体験として御理解されておられるわけであって、私も、国家債務のカットに至らない民間過剰債務をいかに戦略的にカットするか、倒産隔離政策を駆使しながら産業再生委員会構想を練っておるわけでございますが、塩川大臣の御感想をいただけましたらと思いますが。

塩川国務大臣 渡辺先生らが集まって、産業再生プロジェクトを組もうということで勉強しておられること、読ませていただきまして、私もあれに似たようなことが、自分が復員したときに経験したなと思って読んでおったようなことですが。

 ただ、根本的に違いますことは、私たちの経験したことは、国家賠償が打ち切られました。そこで、銀行からの借り入れはそのまま残って、私は、家、家族のものは全部担保にとられてしまいました。そして、新会社を設立いたしまして、一生懸命稼いで仕事しました。そのときに、復興金融公庫がございまして、これが貸してくれたら、それに同調して他の一般市中銀行も貸してくれた、金融はついた。ただし、一つ一番違いますのは、そこでもうけた金を旧会社の返済にどんどん振り向けていったんですが、あのときは猛烈なインフレでございましたので、インフレが助けてくれたんであって、我々の経営努力というよりも、インフレという波にうまく乗ったんであれはうまいこといったんだがなと。それで、十年以内に全部それは完済した。

 今はデフレの時期になってきておりますので、その構想、私らが体験したことはそのままで適用はなかなか難しい。そうすると、旧会社の銀行の貸し付けというのを一体どういうふうに処理をするかということ、これは大いに知恵を絞ってやってもらわないかぬものだなと。しかし、再生委員会構想を見まして、やはり二つ、旧勘定と新勘定を分けて、そういう分離の方法も一つの有力なやり方なんじゃないかと。私は、五十年前の話でございますから、これが現在に合うとは思いませんけれども、そんな感じを持って見ておる、こういうことです。

渡辺(喜)委員 いずれにしても、個別企業の再生というのは、これは裁判所の仕事なんですね。裁判所で果たして産業の再生ができるかといったら、これはできないわけであります。大体、民事再生法などというものは、株主責任、経営責任、メーンバンクの貸し手責任、こういうものにはまるでむとんちゃくなんですね。もちろん、業界再編をやる権限も能力も裁判所には与えられていないということでありますから、私は、こういう過剰債務こそが日本経済の足かせになっているという現状を踏まえるならば、産業再生委員会構想しかこの難局を打開する手だてはないと確信をいたしております。

 デフレ経済から脱却をするには、財政を出動するか、通貨を切り下げるか、金融を緩和するか、この三つしかないんですね。財政は限界。とするならば、金融と為替でいかにこのデフレ圧力を緩和していくかということが求められるわけです。したがって、これは国家戦略がまさに大事なことなのであって、日本銀行が例えば金融調節の中でドル債を月々二千億円とか三千億円とか買い上げる、こういうことは為替介入にはならないんですよ。したがって、こういうことは、ベースマネーをふやしながら、かつ、結果として、ベースマネーがふえれば為替にも効果が出てくるということでありますから、ぜひ財務大臣、国家戦略としてこういった方策もあるよということを御検討いただきたいと思います。

 質問を終わります。

山口委員長 次に、河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 私はずっとこの質問を続けておりますけれども、大臣に言っておきますが、この質問自体が私のライフワークではありません、言っておきますけれども。この質問とは、初めての方がおみえになるかわからぬけれども、要するに、税務署の方の一部の立派な方が、いわゆる署長、副署長が、指定官職と言われる人が、二年前に退職して、多分三百人ぐらいの方が四千社ほどのところに顧問税理士として入られて、ほとんど何も仕事をしていない。それで、年収一千万から二千万、もっと多い人、おります。それで、またさらに高額納税者のリストからわざと間違えて逃れているんではないかということでございます。

 それから、もう一つ私が、これはライフワークですけれども、いわゆる納税者権利憲章といいまして、やはり納税者がお客様だというふうに国の形を転換せないかぬということで、そういうのを税理士会の皆さんが努力して十年間やろうと思ったところが、ある日突然、どうも税務署の圧力ではないかと思われるが、これが没になってしまった、こういうことについて追及しておるわけであります。

 大臣、要するに、これは何でこう言っているかというと、私は実は自由主義経済論者で、二十年前に実は世界の経済学というのは大きく変わっておりまして、それまではいわゆるケインズ経済学的な、いわゆる役人が税金をちゃんと集めてどういうふうにこれを分配するか、いわゆるファインチューニングと言うんですが、これが主流であった。だけれども、実はアメリカで二十年前ぐらいからどう変わっていくかというと、やはり企業をつくることなんだ、これはサプライサイダーと言ってもいいんですけれども、要するに事業をどうやって起こしていくかということが経済の中心なんだと。そちらにもう完全にシフトしているんですよ。

 日本は全然いかぬ。特に上級職に受かった人は、これはもうだめだよ、悪いけれども。脳みそが冷凍になっちゃって、何ともならないんですよ、これ。

 そういう流れの中で企業をやって苦労している人たちが、私はこれは聞きましたよ、ちょっと、いろいろなヒアリングしていますから。確かに昔はうちのところはもうかっておった、それだで月に五万、十万顧問料出せと言われて、まあ税務署が言うから断れぬでやっていた、だけれども今正直赤字なんだ、それだけれどもまだ断れないんだよ、これはと。断ればいいじゃないかと言ったら、いやそれはできないと。だけれども、それは、あなたのところはプロの顧問税理士がおるんだ、エキスパーティーズか何か知りませんけれども、おって、それが財務諸表を見ているんだろうと言ったら、何が見ているの、そんなの、初めにこんにちはを言いに来て、あとさようならもないですよ、二年間と。そういう話があるんですよ、本当に。

 だから大臣、これは別に政党的なそういう意味じゃなくて、やはり経済を再興しようと思ったら、悪いけれども今みたいな議論で、もう金融政策、財政政策、要らぬとは言いませんよ、そうじゃなくて、とにかく企業を起こすためにどうしたらいいかということに全力を傾倒せないかぬわけよ。その中で、余りこれはええこと言うと採用されるというか、私が総理大臣になったときやりますけれども、いわゆる税金の民営化こそが本当は実は重要なんです、これは。まあ、それは言いませんが。

 だから、民間企業の自由な活動を阻害するようなこと、絶対にこれはやめさせないかぬですよ、まず。いいですか、大臣、あなたは権限を持っているんだから、これ。自分のできることからまずやらないで、やあ国がどうしましょう、くるくるずしをたくさんつくってくださいよとか言った人おりますけれども、冗談じゃないんですよ。あなたがまず自由主義経済の大問題のところを一個一個解決していかなきゃだめなんですよ。どうですか、大臣、何遍も質問聞いていただいておると思うけれども。

 だから、具体的に言えば、この問題ですね、税務署の職員のあっせん税理士問題。根本的にやり直す、廃止すると言ったらどうですか。もし景気を回復するんだったら、自由主義経済を守るんだったら、企業を育てるんだったら、まず自分のやれることからやってくださいよ。

塩川国務大臣 私も、自由主義経済そして資本主義経済というものが現在人類が開発してきたいろいろな諸制度においては非常にすぐれた制度だと思っておりますので、私どもはそれはもう十分に信奉していきたいと思っております。

 しかし、その自由主義経済の中でも、やはりそれぞれの相手方があってその応対をしておると思っておりまして、その中で決まってきたことに対して役所として制限できるものと制限できないものと、そこにおのずから限界があるのではないかと思ったりしまして、河村先生のいつも言っておられるのは、いわば官の力をもって押しつけておるということはけしからぬという御主張でございまして、こういうことは、やはり権限を使ってやっておるということは、公権力を使ってやるということはいけないことだと思いますけれども、しかしながら、自由意思に基づいてやっておるということに対して、これはなかなか制限を加えることは難しいと思っております。

河村(た)委員 これはだめだよ、やはり。日本はだからだめなんですよ。大臣、役所の立場はあると思うけれども、離れてくださいよ、そんなの。常識的に考えたってわかるじゃないですか。年間三百人の税理士の方が四千社余りに天下りした、赤字のところにも行っている。こんなことが自由意思でやっておると思うんですか、まず。それで、こんなことに感づかずに、メスを入れずに、漫然と国民に例えば不良債権の問題、辛抱してくれなんと言ったら、本当にやめてもらいますよ、悪いけれども。自分のできることからやれるじゃないですか、人間というのは。

 これはだめだよ、本当に。伊藤さん、これ、本当にそう思わない、悪いけれども。経済は重要なんだよ、経済は。感づかないですか、これ。まだ自由意思だと思っているの、全部が。自分で調査されたですか、これ、自分で指揮されて。大臣、どうですか。

村上副大臣 河村委員が何回もこの委員会の場で御質問されているねらいというか意図は我々なりに理解しているつもりですけれども、やはり河村委員のおっしゃっている……(発言する者あり)ちょっとよろしいですか。

 やはり役所としましては、税理士の資格を有する職員について、退職後の顧問先について、民間のニーズに対応する、的確な対応をすることや退職後の生活設計に対する職員の不安の解消や非行の防止の観点から、やはり全部が全部まずいというふうには考えておりません。

 ただ、退職に対する税理士の顧問先あっせんが、今委員のおっしゃるような本当に公権力を背景とした押しつけとなることは問題でありますけれども、あっせんに当たって納税者から批判や疑惑を招かないような、いわゆる適切な運用が必要であるということは言うまでもないと我々は考えております。

河村(た)委員 村上さんは何か私に理解できぬこともないというありがたいお言葉で、内心はわかっておられるかわからぬけれども、みんなだめなんだよね、これ、役人の方へ行っちゃうと。議院内閣制というのは何のためにあるかといったら、これは役所をコントロールというか、言ったらそれを変えるためにやっているんだよ、悪いけれども。

 大臣、ちょっと最後また細かく聞きますが、大臣に一言だけ。大臣殿、大臣殿、いいですか。

 あとずっと細かく言いますけれども、これほどまでに質問していますし、だからやはり、この制度について一遍徹底的に調査してみる、本当に押しつけがあるかないか、それは徹底的に調査してみると、それをまず御答弁してくださいよ。

塩川国務大臣 もし、今おっしゃったのは、公権力を使ってそういうことをやっているかどうかということを調査しようということでございますね。そういうことでございますね。それは一回、私もよく国税関係者に問いただしてみます。

河村(た)委員 抽象論を言っておってはいけませんので、じゃ、公権力を使っていけないというなら、ちょっとこれは担当の方になると思いますけれども。

 全国でいうと三百人の方が何と四千社ですから、まあ全国、国税局いろいろあって、いろいろかわかりませんけれども、東京国税局に絞ってもいいんですが、何月ごろからどういう話をしかけて、だれが集まって、どこでどのようにあっせん方針を決定していくのか。これをちゃんときのう出してくれと言いましたから、それをここできちっと、口頭でもいいですけれども、具体的に言ってくださいよ。物すごい時間がかかるようだったら、ちょっといただいて、後で文書で出してください。

福田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生今御質問の具体的なスケジュールは各国税局によって異なっておりますが、今東京国税局という例示ですので、東京国税局の例を頭に置いて申し上げますと、おおむね次のようなスケジュールになっていると承知しております。

 まず、あっせん後二年を経過する者に対する期間が終わりますよという終了の連絡を一月の下旬ないし二月の下旬にかけて行っております。それから、その後各企業への意向打診を二月中旬から三月の上旬にかけて行っております。そして、各企業に対する退職職員の選定を五月の中旬に行い、各企業への意向打診を五月中旬から六月中旬、つまり、退職予定者、こういう人がいますなどという提示を行っているわけでございます。それを受けまして、退職予定者への企業名を、七月の初旬から提示を行いまして、退職した職員の企業訪問、それから結果報告、これは税理士登録後でございますので、通常は、人によって異なりますけれども、八月の下旬以降行われているということでございます。

河村(た)委員 どなたが集まってやっているか、ちょっと教えていただけませんか。

福田政府参考人 具体的な事務の実施担当者は、おおむね次のとおりでございます。

 まず、あっせん後二年を経過する者に対する期間終了の連絡につきましては、各国税局の人事課長または人事調査官が二年を経過する者に連絡をしております。

 それから、各企業への意向打診でございますが、国税局人事課の指示のもとに、署にあっては副署長、局にあっては調査管理課長などが企業を訪問して、企業の意向を確認しております。

 それから、各企業に対する退職職員の選定でございますが、国税局の人事課長または人事調査官が実施しております。

 それから、各企業への意向打診、退職予定者の提示でございますが、国税局人事課の指示のもとに、署にあっては副署長、局にあっては調査管理課長などが企業を訪問して行っております。そして、退職予定者を提示して、企業の意向を確認するということでございます。

 それから、退職予定者への企業名の提示は、国税局の人事課長または人事調査官が連絡を行っております。

 そして、退職した職員の企業訪問と結果報告でございますけれども、税理士登録後の八月下旬以降、退職職員が税理士となった後企業を訪問して、契約を締結して、その結果を人事課に報告する、こういう段取りでございます。

河村(た)委員 企業に意向を確認する、アプローチをされるのはどなたですか。

福田政府参考人 各企業への意向打診でございますが、国税局の人事課の指示のもとに、署にあっては副署長、局にあっては調査管理課長などが行っております。

河村(た)委員 まず、この点もちょっと問題がある。時間がないのできょうはできぬですけれども、要するに、国税庁、自分のところの、例えば千代田税務署だったら、千代田税務署あると思いますが、そこの企業には、千代田税務署でやっていない人、そういうふうになっていますよね、ルールは。そうですね。

福田政府参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。

河村(た)委員 それは、要するに権限乱用のおそれがあるから、こういうわけですよね。そういうことですね。

福田政府参考人 税理士法四十二条の規定で、そのようにやっております。

河村(た)委員 だけれども、今の答弁でもわかったけれども、実際に声をかけておるのは同じ署の人じゃないですか。副署長がやると言ったんでしょう、これ。何をやっているのですか、一体、実際は。統括しているのが人事課長じゃないですか、これ。こんなのは違法行為だぜ、これ、本当に。地元の副署長からどうだと言われて、来る人が違う人ですからといって、そんなことで一体、どうなっているんだよ、違法じゃないか、これ。

福田政府参考人 あくまでも国税局人事課の指示のもとに行っているところでございます。

河村(た)委員 これは委員長、ちょっと承服できません、これだけは。これだけはじゃない、まっと幾らでもあるけれども。

 実際聞くのは自分のところの税務署の副署長ですよ、実際頼んでくるのが。指示をしているのは人事課だといったって、そんなもの見る影もないじゃないですか。明らかにルール違反だよ、これ。ルール違反だよ。どうするんだ、こういう場合は。こんな違法な答弁をしている場合。

 委員会として告発したらどうですか、これ。明らかに違法ですよ。実際に声をかけておるのは副署長ですよ。地元の副署長ですよ。そういうことをやってはいけないというルールを持っているんですよ、実は。その人が行ってはいけないということになっていますけれども、そんなの、よそがたまたま来るだけで、声をかけておるのが副署長だったら、どうなるんだよ。

 税理士監理官が調べたらどうだ、これ、税理士監理官がみずから。どうだね、次長。税理士監理官、何のためにあるのですか。税理士制度の適正な運営のためにあるんじゃないのかね。自分のところのあっせん税理士を調べたらどうだよ、税理士監理官が。どうですか。

福田政府参考人 税理士監理官の職務についての御質問でございますが、各国税局の税理士監理官は、税理士業務の適正な運営の確保を図るために税理士制度の運営に関する事務を総括しておりまして、具体的には、いわゆるにせ税理士の取り締まりに関する事務、税理士の懲戒に関する事務、税理士会の指導監督に関する事務などの総括を行っております。

河村(た)委員 それこそ税理士の職務の適正、そのことじゃないですか、そのものじゃないですか。税理士監理官がやったらどうだ、それ。

 それと、悪いけれども、いいですか、とにかく企業を育てていって、自由な活動環境をつくらないかぬのよ。わかりますか。景気を回復、自由主義を守るためには、それは当然のベースですよ。何よりも大前提です、これは。

 役所というのは、一歩下がって納税者に頭を下げないかぬ、納税者に。金を払う人がお客様なんですよ、やはり。そのタックスイーターの方が、何ですか、私のところからOBが出てきますけれどもどうですかといって、副署長が行くわけ、これ。ルールだけはほかの税務署ですよといって、通じるわけないじゃないか、そんなこと。どうだい、これ、委員会で告発してくれよ、本当にこれ、こんなばかなこと。

 大臣、どう思われるね、これ。大臣、お休みだったですか。

塩川国務大臣 もし河村先生がおっしゃるようなことが具体的にございましたら、具体的な手続をとっていただいて、私の方で調べて、いたしますから。どうぞそのような、そうでないと、これだけ毎回この問答をやっておりまして、私どもと、言っておるのですが。

 ですから、具体的にこういうものがあっせんして、こうしてこうで、公権力を使ったじゃないかという事実を出していただいて、申告でも何でもしていただくか、あるいは行政訴訟に訴えていただくか、何かしていただいたら私ははっきりすると思うので、どうぞそのような手続をしていただきたいと思います。

河村(た)委員 何を言っておるのですか、一体、この国会がそんなことを言っておって。国会がやらないかぬじゃないですか、そんなことは。

 それと、今言っているのは、違いますよ、権力どうのこうのというのは。これはどう思いますか。ではルールで、ルールで当該税務署管内の企業には当該税務署の指定官職、署長、副署長は行ってはいけないということになっているのです。今、次長が答弁された。しかし、実際あっせんしているのは、企業に声をかけるのは当該税務署の副署長がやっているんだと。

塩川国務大臣 ですから、私は、先ほど十分ほど前でございますが、そういうような事実があるものなのかどうかをよくこの委員会、それらを調べてみて、報告すると言っているのです。

河村(た)委員 では、委員長、それは簡単に出ますから。

 だけれども、名前はみんな嫌いますからね、大臣、名前は。企業はそんなの。だから、ちゃんと当該税務署の副署長だったら取り上げてくださいよ。

塩川国務大臣 具体的に言っていただかないとわかりませんので、一般論で調べまして、一般論で調べて言いますけれども、さっきおっしゃったのは、何か非常に具体的な話だったら、それを言っていただかないとわかりませんから、だから、私はそういう手続をしていただきたい。

河村(た)委員 具体的に全部そうなんですよ、全部。何を言っておるのですか。全部副署長、当該地域の税務署の副署長が、あなた、どうですかと言っているのですよ、これ。どうですか、大臣。

塩川国務大臣 それは公権力を使ってやっているのですか。そこらをはっきりと言っていただかぬと、具体的な事実を使って。

河村(た)委員 もっと恐れを持ってくださいよ。私たちは、やはりなれ切っちゃっておったらいかぬと思うのですよ、こういう立場に。税務署がどうですかと言われた場合、どういう感覚を持つか、民間企業は。

 では、もし赤字のところでも続けているところ、大臣、言ったら本当に真剣にやってくれますか、これ。

塩川国務大臣 具体的な申告を出していただきましたら。

河村(た)委員 わかりました。

 それじゃ、大臣に直接、名前が当人、名乗れるかどうかわかりませんけれども、事情をお話ししますので、約束どおり。これが権力の行使であるとすぐ感じられると思いますので、大至急もうやめてもらいたい、こういう制度は。基本的には、これ自体を。やめない限り私、永遠にやりますよ、これ、言っておきますけれども。こんな自由主義経済を食い物にすることは許されぬで、本当に。許されない、絶対。

 それと、まずできることだから、大臣、言っておるのは。くるくるずしをたくさんつくるとか、新たな民間企業をつくるというのは、そんなことは無論役所がやることでもないし、できないんだ。これはあなたができることだからですよ。要するに政治ができることなんだよ、これをやめさせることは。こう、一歩一歩からつくっていかないかぬですよ、やはり。具体的な一歩から大きい改革は始まるんだよ。確認しておきます。

 時間がありませんので、それでは、前回、税理士会がつくりましたいわゆる納税者の権利憲章、納税者はお客様ですというパンフレットについて、国税監理官の方が一言言われて、これが没になってしまった件について、私は何遍も質問、きょうの質問、全部質問通告を詳しくしてありますから、悪いですけれども、それについてどういうことを税理士監理官が言われたのか返事をすると言われましたので、返事をしてください。

福田政府参考人 東京税理士会がパンフレットの作成を取りやめた経緯につきまして、当時の税理士監理官から話を聞くなどにより調べた結果について御報告いたします。

 東京国税局では、税理士制度の適正な運営を図る見地から、必要に応じて東京税理士会から報告を受けておりまして、通常、東京国税局の窓口であります税理士監理官に対しまして、東京税理士会の窓口である総務部長から、定期的に会務の報告が行われております。

 平成十一年十月に、税理士監理官が東京税理士会の総務部長から会務報告を受けました際にパンフレットが提示されまして、そのパンフレットは、日本税理士会連合会の税制改正に関する建議書の内容を具体的にあらわしたものであり、理事会の議決は必要ないので理事会への報告事項としたこと、それから、全会員と関連団体等に配布する予定である旨の報告がありました。

 その報告に対しまして、税理士監理官は、パンフレットの作成につきましては、過去の支部長会で異論が出て棚上げになったことを承知していたこともございまして、税理士監理官は、このパンフレットが直ちに日本税理士会連合会の税制改正に関する建議書の内容を具体的にあらわしたものとは言えないんじゃないか、それを東京税理士会の意見として、会員のほか、関連団体等に大量に配布することは会務執行上重要な事項に該当するのではないか、そうであるとすれば、理事会への報告にとどめるのではなく、東京税理士会の会則にのっとって理事会において議決する必要があるのではないか、ただ、この点についてはあくまで東京税理士会において自主的に検討されてはどうか、こういうふうに述べております。

 後日、税理士監理官が東京税理士会の総務部長より会務報告を受けました際に、パンフレットの作成につきましては、東京税理士会の部内で協議し、審議が不十分であったということで取りやめた旨の報告がございました。また、東京税理士会の会長より、理事会に対し、東京税理士会の部内での審議が不十分であった旨の説明が行われたことが会報に記載されているところでございます。

 なお、税理士監理官といたしましては、本件に関するやりとりを東京税理士会の窓口担当者である総務部長との間で行っておりまして、直接副会長とは行っておりません。また、会報に記載されているようなことを言った覚えはございません。

河村(た)委員 そういいますと、あれですか、会報とか議事録にもあるのですか、税理士会の方の。この間言いましたけれども、「公益法人である本会が意見書や要望書ではなく行政批判とも言えるようなパンフレットを作成して、納税者に配布するべきではないのではないかとの意見があり」そういう意見は言っていない、この会報は間違いだ、こういうわけですね、議事録は。税理士側の言っていることは虚偽の意見というか記録である、こういうことですね。

福田政府参考人 先ほどもお答えいたしましたように、税理士監理官は会報に記載されているようなことを言った覚えはないとのことでございます。また、会報によれば、これらの意見は副会長から説明があったとして記載されておりますが、これも先ほど御説明申し上げましたように、税理士監理官は、会務報告の際に、本件に関するやりとりを東京税理士会の窓口担当者である総務部長との間で行っており、直接副会長とは行っていないところでございます。

河村(た)委員 全く違いますからね。これは大変なことですよ、悪いけれども。税理士会の議事録に載っていますし、それからこれは第三種郵便に正規にちゃんと書いてありますから。事実と全く違う。どっちかがうそを言っているんだよ、どっちか。うそだ、これは、悪いけれども。参考人で呼んでもらいましょう、本当に。いや、本当にこういうことからきちっとしていかないと、民間経済はだめになっちゃうよ。

 いいですか、もう一回私は要求しておきます、ここで。税理士監理官、それから当時の、悪いけれども税理士会の人にも来てもらおう、それじゃ。呼んで、こういう民間の自由な創意で、それも十年間も出しているんだから、この建議書は。そういうものがどういう過程で没になったか。国民の権利に関することだからね、これは。それを明らかにしてもらいたいと思います。要求しておきます。

山口委員長 理事会で協議いたします。

河村(た)委員 それから、いろいろな調査をお願いしておるのですけれども、どうも時間がかかるとかいう答弁が多いので、きのうちょっと言いましたけれども、大至急、各税務署に、局でもいいです、連絡をとっていただいて、大体三百人の方があっせんされておりまして、税務署は五百なんですよ、実は。五百で三百人ですから、税務署に必ずあるでしょう。大体平均にすれば一人もないのです。毎年一人もない。何年間、どの方があっせんされて、どの企業へ行って、報酬は幾らもらっているか、そういうリストがあるでしょう、当然。そのリストの、悪いですけれども白紙部分を出してください、台帳を。いいですか。

福田政府参考人 税理士の顧問先のあっせんに関する情報につきましては、各国税局によって管理方法はさまざまでございますけれども、各年に退職する職員に対する各人別のあっせん件数であるとか、それからあっせん金額等を記載したあっせんの総括表のほか、各人にあっせんを行った企業名、そういうのは総括表としてございます。

 ただ、各国税局でどういうふうな、先生おっしゃる台帳の意味、具体的にイメージがわかないのですけれども、台帳、どういうものになっているかについては私は今つかんでおりませんけれども、どういうふうになっているのか各国税局から報告を求めて、幾つかの例をお示しできればお示ししたいと思います。

河村(た)委員 それを出してくださいね。必ず持ってきてください、その総括表というのですか。

 なぜかというと、それがあるはずだから、いろいろな調査といっても、すぐわかるのですよ、そんなの、一瞬のうちに。夏休みを返上した言うて、これは訂正されましたけれども、そんなことじゃないんですよ。当然わからなきゃ、あなたの人事に関する事項だってやれるはずないじゃないですか、そんなこと。それと、みんなでやるからええと言っているんでしょう、個人でやらさずに組織的にやるから。だから、それを出していただくと。

 それからもう一つお願いしておきたいのは、電話でどうも各調査を行ったようでございます、これは優良法人だけのようですけれども。ぜひ一遍、電話で何を聞いたか。それと、文書で一遍全部出してくださいよ、全部あっせん先に。全部で四千社ぐらい。リストは簡単に出ますよ。おたくにこういう税理士さんが行っておられますか、それから、働きのぐあいはどうですか、もし不都合があったら連絡してくださいと。そのぐらいやって当然じゃないですか。

 次長、答弁してください。時間、ちょっと五分ぐらいお願いしましたから。

山口委員長 いや、お願いしたといっても質疑時間が終了していますので、終了してからの新規の質問はやめていただきたいということで、けさも理事会で申し上げていますので、要望としてお願いをいたしたいと思います。

河村(た)委員 ちょっと今、ではそれだけ答えてください。

山口委員長 要望。

河村(た)委員 要望と言われても、通告してあるから、これは。

山口委員長 では、もう最後に、簡単に。福田次長。

福田政府参考人 顧問先のあっせん件数につきましては、東京国税局だけでも各年一千件程度ございまして、調査方法はいろいろあろうかと思いますけれども、いずれにせよ、新たな顧問要請を行っているのではないかとの無用の誤解を招くおそれがありますので、相手方への事務負担、膨大な事務量がかかることも、これも御理解をいただきたいと存じます。

河村(た)委員 終わりますけれども、何を言っておるかわけわからぬ。今度また引き続きやります。大臣には、ある程度具体化して持ってきますから、よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

山口委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。

 私自身の質問に入る前に、塩川大臣に一つお願いをしたいんです。

 さっき大臣そのものもおっしゃったように、河村委員の質問がここ何回か、同じことを繰り返しながら、なかなかその十分な資料提供というのがすぐに出てこない。それで、がりがりやってやってしているうちに、ちょっとずつまたはっきりしたことが出てくる。

 これを客観的に見ていると、どうも今のあっせんという行為、いわゆる税務署という公権力を背景にしながら、それは自分たちの老後の問題も含めて、生活設計が立っていけるように、公務員としてそれなりの魅力があるようにというその理屈の中でこの制度というのが続けられてきた。

 そこへ向いて、新しい時代背景の中で、それは試験で通って資格を取って苦労して、その中で、さっきの河村さんの御指摘のように、民間という立場から頑張っている人たちがいるんだと。その中に不公平さといいますか不公正なイメージというのが今醸し出されてきていて、背景にその問題があるということだと思うんですよね。

 そこをひとつ大臣、大きくとらえていただいて、一遍この制度について、さっき話を聞いていたらこれは組織的にやっているということですから、副署長のあっせんというのは。だから、一度これを大枠でとらえていただいて、全体を見直していく、そういう立場の中からこれを調査する、そうした、それこそ内側からの積極的な改革ということだと思うんですが、そういう姿勢というのをひとつ見せていただけませんか。

 でないと、これは東京国税局の、東京の税務署の話だけのことになっていますけれども、これは全国組織的にやっているわけですから、どんどん突っ込んでいって切りがないと思うんですよ。そこのところをまず、ちょっとこの辺で整理をしていただきたい。

 理事という立場でいつも真ん中に入って苦労しているものですから、そこのところは大臣、これは大なたを振るっていただくということなんだろうと思うんですよ。まず、自分の質問に入る前にそこのところをお聞かせいただきたいと思います。

塩川国務大臣 私も問題点をよく承知しておるんです、承知しておって言うておるんです。

 それは今おっしゃるように、一般論として、そういうことは役所は全部、どこの役所も、それぞれ退職者に対しまして、要するに親切に、やはり残った者が何か気遣いしてやっておるということをもう私どもはよく知っています、それは。ですから、そういうようなことが、一般でそれはどういう格好でやっておるのか私は税務署のことは知りませんけれども、ですからそれは一回調べてみて、返事をするということは言っておるんです。

 それで、これは何も税務署の話だけじゃなくて、役所全体の問題がございますので、それについてはどうするかという問題が残ってくると思っております。これは私も、だから約束しておるように、一般論としてどうなっておるのかということは調べてみる。しかし、これは何も税務署だけの話じゃなくて、さっきも言う全体の問題ですから、その中で税務署がどんなことをやっておるのかということも私調べてみまして、これは御返事申し上げたいと思っております。

 それともう一つ、今質問の中に、何か特定の企業に直接押し込んでいったと。つまり、言うことを聞かぬかったらおまえのところ、まずは調査するぞとか何か、そういう公権力を使ってやったのかどうかということを、個々具体的な例があるならば知らせてほしい、こういうことを言っておるので、だから、そうではなくて一般論としてやるんだとおっしゃるならば……(発言する者あり)

山口委員長 静粛に願います。

塩川国務大臣 それはそれなりに私は話がわかるけれども、今までの話を聞いていますと、何かもう非常に押し込んできた、そんなことをやってええのかという話でございますから、私は、それだったら具体的なものがあったら言ってもらいたい、こう言っておるんです。

中川(正)委員 もうこれもわかった上でのお話だと思うんですが、公権力というのは、そんな具体的に、税務監査に入るぞとか、あるいは税というものに対して厳しく取り立てるぞとか、そういうことを具体的に言ってそれであっせんをする、そんな意味合いじゃないんです。税務署が物を言ってくるということ自体が、実はその背景の中に権力があるんだということなんですよ。そのことをよく承知の上でさっきのようなお話をされるというのは、ちょっと私もがっかりしたんですが。

 そういう認識の中で、まあ調査をするということ、これを見ていっていただいた上でまた河村議員が引き続きやっていくことになるんだろうと思う。私は、どこかでこれは話は一つまとめていきたいなという気持ちを持っておりますので、どうぞひとつ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。そのことをまず冒頭、要望しておきたいというふうに思います。

 さて、きょうの新聞は、それぞれ一つの転機になるような、きのうからの経済対策と、それから特に景気に対しての認識というものが出ております。一つは二次補正、それからもう一つは、あさひ銀行がこの決算で五千二百億円の赤字ということを覚悟しながら不良債権を償却していくということ、こんなことがあるわけであります。

 きょうは、これまでの構造改革というものと、それを推し進めていく上で、客観情勢の中で景気が非常に深刻なものになってきた。これはいつものパターンなんですね。一つの筋を通そうと思うと、その中にやはり経済というものに対して負の力が働く、あるいはまた周辺の環境がそれを許さない。許さない力がそれぞれ拮抗しながら、最終的にこの国をどちらの方向に持っていこうとするのかという、そこがかかっているんだろうというふうに思うんです。その中で、これは金融と財政両方あるんですが、まず金融のサイドから一つ一つはっきりさせていきたいというふうに思っております。

 まず、基本的な柳澤大臣のスタンスというのが、ここ何年かの間に変わってきています。例えば二〇〇〇年の十二月ぐらいまで、この間までは、大臣は、銀行システムの問題は解決している、安定しているんだ、このことをずっと言い切ってこられた。ところが、それが二月ぐらいになってくると、不良債権の会計処理は終わったが問題は最終処理だ、バランスシートからライトオフしなきゃだめなんだということ。これはアメリカからも指摘をされたということを踏まえてこういう発言に変わってきました。その後、七月ぐらいになってくると、破綻懸念先債権の最終処理のために不良債権処理費用の上乗せを銀行に求め始めている。最終的に、八月になると、三年間は不良債権残高が横ばい、そういうシナリオを発表して、その後マイカルが破綻して、要注意先債権の認識というものを修正しながら、特別検査に入ってきた、こういうことですね。

 この軌跡をずっと見ていると、一つは、現状の認識が確かに変わってきているということ、これが背景としてしっかり認識できるんですね。そこのところの、まず現状認識、どのように変わってきて今どのレベルにあるか、もう一回整理して説明をしてください。

柳澤国務大臣 中川委員の方から、私のその都度の認識について御言及になられた上で、この際改めて総括的な所見を述べろ、こういうお話でございました。

 まず第一に、金融のシステムは、九八年、私この仕事につかせていただいて、九九年の三月末に、不良債権の処理に加えて、それでもなお自己資本比率というものが国際的に遜色のないレベルにするというために資本注入をした。ここで、引き当てということでは、大きな滞貨というか滞っていた課題というものについて基本的に対処したということでございまして、これはまた後ほどいろいろな方も御議論になられるようでございますけれども、私は基本的にそういうことだというふうに認識をいたしておるわけです。

 それで、最終処理のことについて御言及になられましたが、これはオフバランス化ということを言うと同時に、つまり、銀行が引き当てだけをしているという、銀行内部の会計処理にとどまっているだけではなくて、貸出先との絡みで、貸出先をより健全化する、そして金融行政の側から少しでも日本経済の構造改革というか再生に役立つというようなことも念頭に置きまして、もちろんのこと金融機関の収益性の向上というのがその前提としてあるわけですが、これらもろもろのことを考えまして、オフバランス化、これを最終処理というふうに小泉総理が命名されたわけですが、そういうことを言い始めたということで、これは別に、引き当てが大きな滞貨となっていた部分について行われたということと全く矛盾しない両立する話でございます。

 それから、八月に申した残高というのは、これはまた少し最終処理と関係があるわけでございまして、引き当てという問題とはとりあえずは関係ないわけです。引き当てをしましても、オフバランス化をしない以上は、これは残高というものは変わらないわけでございまして、不良債権の残高及びそれの全貸し出しに占める比率ということを、私ども、何かを不良債権処理が進んだという場合にメルクマールにするのがいいだろうというふうに考えまして、いろいろ、構造改革のための骨太の方針であるとかあるいは先行改革プログラムというような政策のパッケージの決まる都度、私ども何らかのことを協力しろというようなことを正直言われまして、そういうメルクマールを二つ出させていただきました。

 不良債権比率というメルクマール、それからまた与信費用比率というメルクマール、こういうことを申したわけでございますが、この不良債権比率というもので仮に健全性の程度あるいは不良債権処理の程度というものをはかるとしたら、今の調子でいったらどういうふうになるだろうということを推計してみたわけです。いろいろな前提を置いて推計いたしました。それが八月の残高横ばいということでして、これは、その不良債権比率というメルクマールでとると、政府全体の構造改革の施策が集中的に行われるいわゆる集中調整期間という間では、微減はするけれども最終年度、三年目がちょっと前年よりふえるということで、遠慮をしてあえて横ばいというふうな表現をさせていただいたということでございます。

 そういうことをしておりまして、私どもとしては、不良債権比率との絡みで不良債権問題の正常化というものを目指していくんですと、そういうことを国民の皆さんにわかってもらうということが大事だということで、そういうメルクマールもつくり、また一定の条件を前提にした将来推計というものを出した。

 こういうわけで、そうこうしている間にマイカルの問題が起きまして、そもそも非常に市場との調整というものが、もうちょっと金融検査に当たっても、あるいはその前の銀行の自己査定においても必要なんじゃないか。つまり、市場の評価というのは、非常に即時的というかあるいはタイムリーというか、そういうものを非常に重視しています。決算とか検査というのはちょっと後ろ向きなものですから、それをできるだけ市場のシグナルと調整した形にしよう、こういうことを考えまして特別検査というものを、さっきいろいろな問題あるじゃないかといって渡辺委員の方から御指摘があったわけですけれども、あえてそこに踏み切っていって、そうなりますと、不良債権の処理が自然に前倒しになりますね。そういうことをあえて今回やったということであります。

 総括してどうだといえば、それは一九九九年の三月で、非常に大きな滞貨があったものはここで引き当てという形で済んで、ここでぐっと安定性を増した。しかし、その後、私昨年十二月に新しくまたこのポストについたんですが、一月ごろから私は最終処理をしなければだめだということを言い始めた。そして、そのためのプロジェクションというかメルクマールもつくって、最終処理を伴って残高を減らしていく、あるいは残高の比率を減らしていくという施策を新しくつくり出した。これは健全化の一環です。それで、しかも残高に響くような形で不良債権の処理を進めるということにいたした。引き当ての問題は済んだ、それで残高の問題に入った。しかし、このマイカルというようなことで、市場との調整というものをもうちょっと図らなきゃいけない、こういう大体三段階の考え方の、対応の仕方というものがあるということでございます。

中川(正)委員 世間一般には、非常に金融庁に対する物の見方というのは厳しくなってきていますね。これは大臣が、閣僚の中でも議論するたびに、孤立感というのを今味わっていられるんだろうというふうに思います。その背景は何かということを、私は二つほどあるというふうに思うんですね。

 一つは、経済自体が非常に厳しい状況になっている。これは念のために、保証協会の代位弁済の推移、ここ一年、これは改めて申し上げるまでもないと思うんですが、ここへせっかく来ていただいておるんで、最近の状況をちょっと発表していただきたいというふうに思います。

久郷政府参考人 御説明いたします。

 最近五年間におきます信用保証協会の代位弁済の状況は、平成九年度が、五万二千件で代位弁済額が五千億円。十年度は、七万二千件の七千億円。十一年度が、七万六千件の八千億円。十二年度が、十万五千件の一兆七百億円。十三年度は、ことし九月までの上半期でございますが、六万三千件の六千二百億円。これはいずれも、平成十年十月からことしの三月まで実施をいたしました特別保証の代位弁済の実績を含んだ総額でございます。

中川(正)委員 先ほどの数字を見ていただいたとおり、これは非常に速いテンポで倒産件数が膨らんできている。額も、もう一兆四千、五千、恐らく二兆円に届いていくんでしょう、このままであるとすれば。

 ここのところの厳しさ、これは一般の企業から見たら、金融庁がバランスオフということで直接償却、直接償却と言っているのは、これは会社をつぶすということでしょう。そういう形だけですべてを割り切っていっていいのか。特に、大手だけじゃなくて中小企業に不良債権が一番多い、いわゆる確率からいって我々がつぶされる方が多いんだという恐怖感の中で、今なかなか金融庁の政策に皆が同調するという背景ではないということですね。これが一つ。

 それからもう一つは、マーケットと、それから一般のエコノミストが金融庁をどう評価しているかということだと思うんですね。

 先ほど、柳澤大臣が強調されたように、もう二年、三年前から、引き当ては十分なんだと。それを前提にしてすべてが動いている。今も、引き当てが十分なんだ、基本的には十分なんだという考え方は変わってないということですよね。

 ところが、どの周辺の分析を見ても、これを肯定する話は一つとしてないんです。その中で、象徴的に出ているデータというのが一つあるんですが、不良債権の償却の経営健全化計画で、それぞれ資本注入した各行が出している将来にわたる引き延ばしの計画と、それから金融庁自体のシナリオと、それから現実に動いているシナリオ、この三つが皆違うんですよ。改めて言うまでもなく、経営健全化計画の中では対貸出比率で今セットアップしていますから。

 それでいくと、ここ三年ぐらいは、貸出比率が〇・六、〇・四、その後は〇・三、この数字で設定しているんですね、経営健全化計画は。ところが、金融庁のシナリオというのは、これは一%なんですよ。一%、一%、一%、三カ年一%でやっていくという前提ですね。ところが、マクロ的に見ていくと、現実問題、去年、ことし、さっきあさひ銀行の話が出ましたが、これぐらいの調子でやっていったら、これはもう一%をはるかに超えていて、一・四、一・五という趨勢で出てきているということですね。

 こういうマクロ的な計数を見ていると、どうも現実は、これは経営健全化計画そのものも甘いし、また金融庁自体もそういう意味では中途半端なんだ、もっと現実は厳しいよというような数字がどんどんこうした形で出てくる。そんな中で、一般的に、特別検査の前提も踏まえていけば、今の資本は、半分ぐらいどうしても資本が不足をしてくるという結論に達してくる。それに対して大臣が、いや大丈夫なんだ、引き当てもしっかりしているんだ、公的資本は注入しなくていいんだということを言い続けるから、余計にねらわれるというわけですね。ここのところがあると思うんです。

 この二つの問題について、大臣、私の感覚からいえば、もう少し頭をやわらかくして、意地になって大丈夫だと言えば言うほど、これはどうも、こうした現実の数字と今の社会背景から見ていると、逆なんじゃないか。今必要なのは、直接償却以上に引き当てというところへもう一回話を戻して、その引き当てをどこまで十分に担保していくかということ、これをその政策の基本に据えなきゃいけないんじゃないかということが問われているんだというふうに私は思うんですよ。

 そこについて、改めて大臣の考え方というのを整理してお話をしていただきたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 ちょっと時間的な制約もあるようですので、できるだけその範囲内でとりあえずお答えをいたしたいと思うんですが、まず第一に、先生お触れになられた、最終処理というものが企業の破産と裏腹になっているんじゃないか、こういうことなんですけれども、もちろんそうした形での最終処理も全面的に否定するつもりはありません。しかし、現実に私どもが最終処理をしようとしているものは、要するに破綻懸念先以下の不良債権であるということでございます。破綻懸念先というのは、もう申すのは釈迦に説法ですけれども、要するに、債務超過である、しかもそれが一過性的なものではない、これが要件でありまして、債務超過、つまり破綻を既にしてしまっているということが実質的には基本になっているわけでございます。

 そういうものについてオフバランス化というものをしたらどうか。それからまた、その過程で、何回も言ったわけですけれども、企業の再生を図れる部分は図るという形で最終処理をする。つまり、残債についてはむしろ上に昇格するというようなこともできるだけ考えて、とにかくこの不良債権のオフバランス化を図りなさい、こういうことを言っているわけでありますので、即清算というような形での破産というものと裏腹になっているものではないということを改めて御認識賜りたい、これが一つ。

 それからもう一つは、今先生がお触れになったいろいろな比率は、与信費用比率のことをおっしゃっておられるわけでございますが、これについては、まあ正直言って私ども、〇・三ぐらいのところが非常に金融が安定していたころの与信費用比率だというようなことなものですから、そういうものを念頭に、座標軸にして事態の推移を見ております。

 これについては、経営健全化計画では、これは自主的に彼らが出してきているものですし、それから、この前のいわゆるモデル推計というものは我々が一定の条件を置いて推計したもの。きょうあたり新聞に出ておる、今御指摘の銀行のものについては、そういうことをやることによって来期からはもうすごいV字形の回復をするんだということで、いわば特別検査なぞというようなことで多分結果として招来するであろうものを全部先取りした形で処理をするということでございますので、私、ちょっと先ほども言いましたように、特別検査というのは、今までのテンポからすると、ちょっと前のテンポからすると、もうちょっと先で行うべきようなものを集約的にやるという側面を持つでしょうということを申したんですが、そういうもののあらわれだというふうにぜひ御理解を賜りたい、こう思います。

 私自身が、マーケットの方々を含めて外側からの人との見解が、あるいは感触がちょっと違うなということを、率直に言って私認めます。それは何から来ているんだろうか。私も、まあ今こういうことでございますので、考えないわけじゃないんですけれども、結局、私どもの話というものがあくまで非常に手仕事的なミクロの仕事だということなんですね。つまり、債務者の区分にしても、あるいは引き当てにしても、要するに、ルールがきめ細かく決められておって、それに従って手仕事的に一つ一つ片づけていくという性格のものなんですね。

 私も、マクロの人たちが、マクロの中には非常に取るに足らないような物すごい雑駁なのもあるんですが、いろいろな方がいろいろなことを言うときに、じゃ、私がある銀行に行って、そうですな、あなたのところは大体三兆円ぐらいことしはひとつ不良債権があると思いますよ、マクロからいって、貸し出しの比率からいうと、あなた、三兆円ですよ、ひとつ三兆円分債務者を見繕って不良債権出してくださいよと言って債務者区分をする、これはマクロ的なアプローチですね。こういうことが可能なのか。絶対不可能ですね、これは。それは、一人一人の債務者にとっては自分たちの運命を決められるわけですから、銀行から。そうすると、また仮にそういう過剰な引き当てというようなことをやった場合には、今度は銀行の経営者は株主代表訴訟を受けることになってしまいます。

 ですから、私、あえてわかりやすく言っちゃうと、私たちの仕事というのは手仕事的だし、一件一件について裁判所につながるような私法の、非常に私法的な世界に近い。つまり、民事の裁判のようなことに近い。それに対して、経済学者だとかアナリストだというような人たちというのは、マクロ的に、こうではないかと。だから、あの銀行の不良債権というのは大体このぐらいだよと見当をつけられ、あるいは日本の金融システム全体の不良債権はこのぐらいであるというふうに目見当をつける。これを、この見当をつけられたことを、じゃ具体的に今の私法で一件一件、裁判所に訴訟として持ち込まれるようなそういう案件にそういったことがどうやって適用できるんだ。

 私はこのブリッジの仕方というものについて、いろいろゆうべあたりもちょっと考えてみたんですが、方法がないですね。つまり、我々のはあくまで積み上げなんです、手作業の積み上げ。しかも、その手作業の積み上げはディスクローズできない、こういうものなんです。外側の人は、だからマクロ的にアプローチして、大体日本の不良債権というのはこのぐらいだよ、このぐらい出てこないというのはおかしいじゃないかとやりますね。それをブリッジする方法が何かあるのかということ、これが、大変雑駁な議論かもしれませんが、私が直面している問題で、結局、その手仕事の積み上げの作業とマクロの分析というのは、どうやってこれをつなげたら、ぴたり合えばそれは信用されるでしょうね。しかし、その方法はないんじゃないんだろうかというふうに今現在は考えているわけです。

中川(正)委員 大分大臣の論理構造がわかってきました。

 しかし、マーケットはどっちで動くかといったら、今は金融庁で動いていないんですよ、これはマクロで動いている。これが一つ。

 それからもう一つは、ミクロの積み上げが破綻し始めているんですよね。マイカルの問題、これから特別検査を入れるというその柳澤大臣自身の姿勢、これを皆が見て、あ、これはこれまでのやり方はどうもおかしいところがあったんだなと。それをマーケットの意向を入れながらもう一回確かめようかという、このこと自体で、もう崩れてきているんですよね。

 そのことを指摘をまずしておいて、ちょうどお昼休みなものですからちょっと休憩して、また続きをやりたいと思います。そのことについて、塩川大臣にもちょっとお聞きをしたいんですよね、後でこの問題についても。そのことも含めてお願いをして、休憩をしたいと思います。ありがとうございました。

山口委員長 午後一時から委員会を再開することといたしますが、きょうは委員会がいろいろあるようでありますが、しっかりと出席をしていただきますように強く御要望いたしておきます。

 この際、休憩いたします。

    午後零時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中川正春君。

中川(正)委員 午前中に引き続きまして進めていきたいというふうに思います。

 先ほど、その個別の積み上げの議論と、それからマクロの政策判断ということ、この話が出ましたが、基本的には政治が判断する基準というのはマクロであってもらいたいというふうに思うんですよ。

 それで、例えば特別検査に入ったその発想というのはよくわかりました。やはりミクロ、個別のものというのにこだわるから、あんな形になるわけですね。そこの信憑性というか、金融庁自体の信頼性ということもあって入ったんだろうと思うんですが、そのことと、金融機関自体の健全性、それから、これからの全体の新しい組み立て方というかな、そういうものとはちょっと別個のものなんだろう。個別に入ったから後の処理をどうしようかということで迷わなきゃいけないんだと思うんですよ。個別に出てきた結果に対してどういう処置をとるかということになると、個別に対して処置がとれないわけですよね、とったらそれでつぶすという話になりますから。だから、とれない。そのはざまに揺れながら今、後どうしようかということがはっきり出てこないということ、ここに問題があるというふうに思うんです。

 でないとすればどうなんですか、後どういう処理をしていくということなんですか。

柳澤国務大臣 中川委員がどんなことをイメージされておっしゃっていたか、ちょっととらえ得たかどうかおぼつかない面があります。

 今度特別検査に入りまして、要注意だとか要管理というものが、市場の評価を入れた場合に、そういう視点で見た場合に、本当にそれでいいかということの確認というか確かめに入ります。それの結果に従って、これはやはり要注意なり要管理のままでいいとかいうような判断、やはりこれはもう破綻懸念先に区分されるべきだというような判断が行われた場合に、それは別に何ら迷うことなく破綻懸念先に区分するということでよろしいわけです。

 そうして、破綻懸念先に行ったものについては、また引き当てのルールが決められておりますから、そのルールに従って引き当てをするということになるわけでありまして、検査の結果について何か戸惑うというか迷わなければいけないという事情はないというふうに御認識いただけたらよろしいと思います。

中川(正)委員 その辺の議論をもっと詰めたいんですが、時間の関係で結論の方から言わせていただきますが、本来は、そうした検査をまた別な基準でやっていくということ、これと同時に、本当はマクロ手法で、引当金の基準値を上げるということであるとか、あるいはそれに対して銀行の収益がついていかないということも、これはもう株価が極端に下がってきたということも含めて片方あるわけですから、それに対して、先々来から周辺で出ています公的資金のあり方というものに対してもう一回議論をし直すということであるとか、そういう手法が背景にあって、これが金融を安定させるということなんだろうと思うんです。

 今突っ切っている、構造改革というその大義名分の中でやっているオフバランス化というのは、これは今の経済の状況の中ではマイナス要因なんですよね。そのマイナス要因を何とかしたいということで、その中で今新しい施策として、RCCの弾力化だとか、新しい再生のための基金であるとか、あるいは株価の、買い取りだとかというような仕組みをつくって、そこへ向いて公的に資金を流そう、あるいは公的に保証しようという手法になっているわけですけれども、私から言わせれば、これは邪道なんですよ。それが結びついていくんじゃなくて、一番今景気に対して安定させなきゃいけないのは金融の資本なんだと思うんですよ。そこが安定しなければ、どれだけ下から抜いても、その抜いたものに対して国が保証しても、こんなものは支えにはなっていかないということ、このことを改めて私は認識していただきたいというふうに思うんです。

 それについてはどうですか。

柳澤国務大臣 引き当てについてできるだけ市場のシグナルを取り込んだような方法を工夫しなさいということも、先ほど来の議論、特別検査と並んで、新しい施策として打ち出させていただいているわけでございます。そうしますと資本が多分不足になるから、資本注入をして安定させるべきだというお話でございますけれども、これは、やや短絡的だというふうに思いますし、公的資本注入の副次的効果ということにも十分配慮をしなければいけないというように私は考えるわけでございます。

 まず第一に、資本不足が起こったときに、公的資本注入ということには、先ほど、前委員の質問にもお答えしましたけれども、発動されるものは早期是正措置なんですね、現在の法制のもとでは。そういうことでございます。

 これがまず第一点でございまして、それから第二点は、公的資本注入というのは、経営者あるいは本当に銀行の中で実質的な部分を担っていらっしゃる中堅行員以上のところにやはりモラルハザードを起こすという側面を否めないと私は考えているわけです。

 それは現に、私、現物を見ていませんからこれを引用するのはまだちょっと早いかとも思うんですけれども、きょうの一部新聞ですけれども、BISの中に、日本の金融危機の克服策というものについての総括的な論文が載ったそうです。これにも、やはり公的資本の注入というか公的支援というものが、日本の金融機関における危機克服のために、むしろモラルハザードを起こしたというようなことが指摘をされているようです。これは私、自分の意見と全く同じなものですからすぐに敏感に反応したということもあるんですけれども、私はやはり、システム危機につながらない限り自助努力、まずそれをすべきだ、それがまた早期是正措置の指示しているところでもあるというふうに考えております。

 それから第二点目の、最終処理というのは金融システムの安定ということには資さないんではないかというお話でございますが、私はそうは思いません。金融システムの安定というのは、単に静態的に自己資本比率がそのときそのときで充実したものであるかというような、あるいは高い比率であるかというようなことではなくて、結局は銀行の収益力の問題だと思っています。本当の健全性というのは銀行の収益力の方がむしろ大きなウエートを占める、こう思っています。

 では、収益力を生み出すには何か。それは、不良債権として塩漬けになっているものを少しでもいいから活性化していく、あるいはそこに支援がネグっているものについて早目に手を打っていく、これはもうROAなりを高めることは必定でございますから、そういう意味で収益力を高めていくということが私は非常に重要だと。もちろんそのほかに、経済構造の改革に役立つという面もありますが、その点については細々と触れることは差し控えます。

中川(正)委員 最後に、触れるべきところを触れていきたいんですが、さっきのモラルハザードは、これは入れ方が悪いんですよ。責任を問わずにいいところだけとらせたというその政府の姿勢、これは私たちがもともともくろんでいた資本注入とは違う形で運営をされたということでありますし、また、長銀なんかの処理の過程を見ていても、あれはただのブリッジバンクで、想定されているのはそうじゃなくて、ぽんと国が挟み込んだときにそこで整理をしよう、整理をした上で売るべきところは売っていこう、その秩序というのが運営の中でできなかったということ。こんなことがすべて公的資金の注入ということに対しての否定論につながっていくということは、これは論理のすりかえだというふうに私は思います。

 それと同時に、システミックリスクが起きたときに発動させるという前提に今はなっているわけですが、これ自体が余りにもリスクが大き過ぎる。やはり政策責任者としては、その前に打てる手は打つということ、この見きわめが大事だと思うんですね。そういう意味では、新しいそういう法制の見直し等も含めて私たちもぜひ努力をしていきたいというふうに思いますし、かたくなにもうこれで大丈夫なんだと言えば言うほど、周りは、いや、どうも怪しいぞという現状になっていくのが実際の数字から見て現実なんですから、そこのところをよく大臣も考えていただいて、これからの政策議論をともにやっていきたいというふうに思うんです。

 次に、財政の方に移らせていただきます。

 これもきょうの新聞の一面を飾っておるんですが、二次補正、これは小泉さんから指示がおりたということでありますが、塩川大臣は、これまでの発言では、ケインジアンはもう通用しないんだ、そうじゃなくて真っ向から正々堂々と経済の対策については構造改革で臨んでいこう、やるべきところは辛抱してやっていこうというような決意であったように思うんですね。さぞかし悔しい思いをしていられるんじゃないかというふうに私は思うんですが、どうですか。

塩川国務大臣 第二次補正の問題につきましては、実は月曜、火曜と総理と六回話し合いをいたしました。経済に対する見方、それから景気動向に対する考え方、そしてまた財政問題、国の財政状況、そして党内との関係といういろいろな観点から検討いたしました。

 その結論といたしまして、けさ連絡がございましたのは、与党三党の党首会談をきょう夕刻開きたい、クエスチョンタイムが終わった後開きたい、そこで第二次補正予算を編成したいということを正式に与党三党の党首に相談をする、そこで、私とこれで五回議論いたしましたが、その方向で公表するからそれで間違いないなということの確認がございまして、私は、結構でございますからそれで補正予算の指示をおろしていただいたら結構だということを返事したということでございまして、中身につきましては、党首会談が終わったら全部を申し上げられると思っております。

中川(正)委員 その前提を一つ二つ確かめていきたいんですが、三十兆円の枠ということをみずから小泉総理はこだわっていたわけでありますが、このこだわりはこれでなくなるんですか。三十兆円の枠を超えるという前提で二次補正を組むということなんですか。それとも、それにはこだわっていくということなんですか。

塩川国務大臣 その一点が非常に問題でございまして、その点につきましては私と他の閣僚との間でやはり意見は違っておったことは事実でございますが、その調整に非常に時間がというか、私の思いはなかなか、難しい議論がございました。

 結論から申しますと、三十兆円の枠は堅持する。これは間違いございません。十三年度、十四年度は、結論としてやる。しかし補正予算は、今や経済の問題、経済の実勢がどうのこうのとそういうような問題とは別の問題として政治的に、やはり与党内の意見をまとめるという意味において政治的に実施せざるを得ないだろう。そのときにはどうするかということで、そういう決断であるならば三十兆円の枠を超えないで、堅持して、そのほかに財源を捻出する、そのかわりにその捻出した財源の多い少ないについてはもう文句を言わないでくれ、こういうことで実は私も新しく財源を捻出することを条件にして決定した、こういうことであります。

中川(正)委員 本当に悔しい思いがにじみ出ている答弁だったと思うんですよね。聞きようによっては大変なことを大臣、言っていられるなというふうに思うんですよ。これは言葉じりをとるわけじゃないですけれども、恐らく、今そういうふうな閣僚の皆さんの判断に基づいてやっているとすれば、やはり国民が聞いたときには、これは怒りますよ。

 ということは、これは経済状況がどうであるというそういうことにかかわらずということは、ここの部分は恐らく、大臣は信念として、これをやってもきかないだろう、しかし、政治状況からいくとということは、与党三党の連立を維持するためにはとまたこの議論に戻っていって、それを維持するためにはこれは万やむを得ぬな、そういう答弁でしたね。

 こんなことで我々の血税が使われるということは、これは許してはならないことだというふうに思うんですよ。これでこの国の政治のそれこそ信頼性というのが崩れてくるという思いで、恐らく塩川大臣はさっき正直に答弁されたんだというふうに思うのですね。大臣、そこのところをやはり貫かれるべきだと思うのですよ、一つの信念を。こんなことで、仮に株を売るにしたって、国の財産を売るにしたって、同じことですよ。国債を発行する、しないという問題以前の問題ということだと思っております。

 それともう一つ、地方の問題もあると思うのですね。ここで補正を立てるにしたって、本当に経済効果を上げていこうと思ったら、地方でそれを何倍にも膨れ上がらせながら使っていくということでありますが、恐らく、地方の状況というのは、これについていけない。かつ、使うといったって、短い時間の中でどうやって使うんだという、またむだ遣いな話が出てくる。こんなことを放置しながら、仕方ないからやろうじゃないかというのは、大臣、余りにも情けないというふうに私は思います。

 そういう意味で、答弁を求めても、それじゃという話にはならないのかもしれないけれども、そこのところ、もう一回、自分の信念を披瀝するためにも、チャンスを与えますので、どうぞ、大臣。

塩川国務大臣 えらい誤解がございますね。

 財産を売ってとおっしゃっていますが、売るものじゃございません。もっと知恵を出しました。これはいずれ三党党首会談が出てくることでございますので、私が今申し上げることは……。

 私たちの方では、最大の知恵を絞りました。でございますから、財産を売るものではございません。しかし、新しい財源がございました。ですから、その財源はわずかなことであります。けれども、しかし非常に大事なことは、私たちはこれほどまでに苦労して経済対策を講ずることに与野党一致して当たっているということ、このことが非常に大事な政治的成果であったと私は実は思っておるのです。

 それと同時に、このように補正予算の苦労を、ぜひひとつ構造改革の改善のためにこの力を結集していきたい、こういうこともございまして、したがって、小泉内閣で標榜しておりますように、構造改革と景気対策を両立していこうという一端である。これは大した大きい効果はないかもわかりませんけれども、しかしながら、我々はそういう努力を続けておるということを、ぜひこれは理解していただきたいと思っております。

中川(正)委員 みずから大した効果はないと言われているのですから、本当にこれは政治的なキャンペーンの中で二次補正というのがやられるのだということ、みずからそういう御答弁だったというふうに思います。

 最後に申し上げますが、こういうときに、さっきも国家戦略の話が出ましたが、例えばアメリカあたりだったらもっとどんな議論が出てくるのかなと改めて考えるのですね。恐らく、財政出動ということ、あるいは金融というのに我々こだわっていますけれども、本来は、さっき話の出た為替の問題等々も十分国家戦略の一つの武器として使うべきなんだろうというふうに思います。

 そんな中で、円安論議が出ていますが、私は、今言っていかなきゃいけないのは、中国に対して元を切り上げろ、これなんだと思うのですよ。だから、私たち野党も言いますが、それはやはり閣僚の口からも、元気のある人が一人二人しっかりやって、議論の対象にして、それから話をまとめに行くというぐらいの戦略があっていいのだろうというふうに思うのですね。

 そんなことも含めて、これから大いに、もう少し、かたくなにならないで、特に柳澤大臣、かたくなにならないように、ひとつ大いに、本当にこの国の再生に向かって知恵を出し合うという議論をしていきたいというふうに思っております。

 以上です。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官生活安全局担当中川雅量君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 次に、上田清司君。

上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。

 両大臣におかれましては、大変お疲れさまでございます。

 それでは、早速ですが、まず大和都市管財事件について、柳澤大臣に総括的にお伺いしたいと思います。

 御承知のとおり、詐欺商法としては豊田商事事件以来の大変大きな被害を持つ事件でありますし、人数的には豊田商事の半分ですが、被害額が大きいもので、一件当たりはむしろ豊田商事の被害額よりもはるかに大きい、そういう事件でありますが、この点について、この詐欺商法全体としてどのような御認識をされているか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 大和都市管財につきましては、私ども、今回の認可の更新時に認可の拒否をいたしましたが、その後、刑事事件、特に、先生お触れになられたように詐欺罪ということの嫌疑をもって立件されたということでございます。金額的にも、全部が大和都市管財の抵当証券ということではないようですけれども、いずれにせよ、非常に金額が多額に上っておりまして、関係の方々に御迷惑をかけているということは大変遺憾な事案である、このように考えております。

上田(清)委員 ありがとうございます。

 ここで、ポイントはやはり、村田副大臣はよく御存じのとおり、九七年当時が一番のポイントだったというふうに私は認識しております。確かに、近畿財務局で業務改善命令を出しておられる。しかし、このグループ全体で、確かにいろいろな部分で言えば債務超過であった、本体そのものは債務超過でなかった、こういう認識でありますが、この間にも、私どもが知るところでは、警察の方からもいろいろな情報がなかったのか、詐欺のたぐいではないかというような、そういう連絡は、近畿財務局の方で、大阪府警からのすり合わせというのでしょうか、情報交換というのでしょうか、そういうものはあったのかどうか。村田副大臣と警察庁の方に、両方にお伺いしたいと思います。

村田副大臣 新聞報道によりますと、大阪府警の方で大和都市管財については債務超過であったという事実を把握していたという報道がなされておりまして、私どもとしては、その報道については承知をしているわけでございます。

 しかしながら、私ども、府警の捜査の内容というものを知る立場にありませんものですから、私どもとしては、大和都市管財本体の債務超過ということについては、そういう認定をしていなかったということでございます。

 なお、捜査に関しまして府警とどういう連絡をしたかということについては、捜査上の問題として、私としてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

中川政府参考人 ただいまの件、大阪府警が本年十一月六日に、詐欺事件ということで、代表取締役ら十九人を逮捕して、現在、事案の全容解明に向け捜査中ということでございます。

 お尋ねの一九九七年当時の状況についてということでございますが、警察というのはさまざまな角度で違法事案に関する情報の収集に努めているというところでありますけれども、個別具体的な内容にかかわるものについては、現在事件の全容解明に向けて捜査中ということでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

上田(清)委員 村田副大臣にお伺いしますが、今の警察庁のお立場の中ではちょっとわかる部分がありますが、私の質問は、情報交換をしていたかどうか、これだけの質問なんですね。だから、イエスかノーかだけなんですけれども。

村田副大臣 大阪府警との情報交換でございますが、情報を交換した事実はございますけれども、個別的、具体的な内容については答弁は差し控えさせていただきたい、こういうふうに思います。

上田(清)委員 ありがとうございます。

 そういうことだったんですから、イエスかノーかぐらい答えられたんです。事件の概要、そういったことについては最初から問うておりませんので、よく注意して聞いてください。関係ないことをしゃべらないで、必要なことだけしゃべってください。

 それから、九七年当時に、いささか疑念が持たれているところは、近畿財務局としてきちっとした対応をしたという御指摘を常に言っておられるわけですが、実際現実に、大変残念でありますが、坂井代議士の記者会見、きのうの新聞記事でしか私は見ておりませんし、またファクス等でしかその概要についてはいただいておりませんが、少なくとも関与を認めておられる。この九七年当時に、特に業務改善命令が出るときに、このときに、私は営業停止をする可能性だってあったと思うんですね。もししていればということだけでいえば、もうこの時点でも、以降、三百億円の、全体でいう被害額の約四分の一ぐらいは防ぐことができたという経緯を見ると甚だ残念ですが、このときに具体的にどんな形で、あるいは複数の代議士も含めて、関与があったのか、この点についてお答えをしていただきたいと思います。

村田副大臣 私ども、先生御指摘の、坂井議員から財務局等に対します陳情があったのではないかという新聞報道を受けまして、私をキャップといたしまして、当時の抵当証券業者の監督に関係する幹部職員であった者に対しましてヒアリングを行いました。その結果、記憶が定かでないという者もいたわけでございますが、数名が、坂井議員から一般的な問い合わせの電話を受けたということを記憶していた者がございました。しかしながら、九七年当時、業務改善命令の発出あるいは監督検査の行政上の観点で先生から具体的な圧力を受けた、こういうことはない、こういうふうに話しております。私どもとしては、監督検査等を初めとして、当時の行政が法令のもとで的確になされたもの、こういうふうに考えております。

 それから、その内容でございますが、具体的には、検査の進捗状況とか同社についての一般的な検査監督の状況についての問い合わせであったということでありまして、私どもからは、法令に従って厳正、適正に検査監督しているというふうに答えた、こういうことでございます。

 個々の具体的な内容については、記憶の定かでない者もおりますので、私としてはそういうふうに一般的なお答えをさせていただきたいと思います。

上田(清)委員 大変ありがとうございます。省内でそれなりのプロジェクトチームをつくって調査をされているということに関しては、高く評価したいというふうに思います。

 また、多分に進捗状況等について問い合わせがあったということでありますが、これは大和都市管財の検査に関してですね、ちょっと確認ですけれども。

村田副大臣 さようでございます。

 例えば、財務局が検査に入っているようですけれどもどういう状況であるかとか、登録の更新がおくれているようですけれどもどういう状況なのかといったような問い合わせであった、こういうふうに聞いております。

上田(清)委員 極めてこれは、当時、坂井代議士は大蔵委員会の筆頭理事をやっておられました。また、党にあっては財政部会長、大変金融行政に影響力を与える立場にあったと言っても過言ではありませんので、ちょっとやはり気になるところでございますので、法務省の見解を伺いたいと思いますが、これは、俗に言うところの、本年四月から施行されましたところのあっせん利得罪、つまり、既にもう記者会見で、九十数万、百万弱の資金提供を政治献金として受け取っておられる、このような発言が出ている以上、そうした法に照らして疑いがあるのではないかというふうに、私は法律に疎いものでわかりませんので、御教授いただきたいと思います。

中川大臣政務官 委員も御承知のように、本件の具体的なことについては、私といたしましては答える立場にありませんが、ただ、一般的に言って、あっせん利得罪については、国会議員や地方議員、地方の首長が、国や地方公共団体が締結する契約または特定の者に対する行政庁の処分に関し、請託を受けて、その権限に基づく影響力を行使して公務員にその職務上の行為をさせるように、またはさせないようにあっせんすることまたはしたことにつき、その報酬として財産上の利益を収受した場合に成立するものと承知しております。

上田(清)委員 丁寧に御指導いただきましてありがとうございます。

 私は、このこともそうですが、もう一つ、リスクの高い金融商品、いわば抵当証券を、いわば金融市場を充実させようという近年の議論の中で、さまざまな形で、この委員会でも議論があったこともよく承知しておりますし、間接金融から直接金融へというそういう大きな流れの中で、さまざまな証券あるいは金融商品を開発していくということに関して、大方歓迎する向きがあったというふうに私は思っておりますし、そういう傾向が事実市場関係にもあることも私も理解しておりますが、この委員会で現実に坂井代議士がリスクの高い金融商品を勧めるような趣旨の議論をされたことがあります。

 こういうことを考えると、何やら、忌まわしい、KSDと同じような構図が見えてきまして、あるいはそれとも類似するような話になるのかなというふうに思っておりますが、この点について村田副大臣は何か感じるところございませんか。

村田副大臣 当委員会におきます坂井委員の発言につきまして、私は、今のところつまびらかにいたしませんので、これに関しましての御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に、政治家が、疑わしい、そういう、私どもの職務に関連して疑義を持たれるような行動は差し控えなければいけないと私自身思っているところでございます。

上田(清)委員 実は、私のところに、関連会社、子会社の社長を務め、なおかつグループ全体の広報担当顧問をされた方のテープ、これはインタビュー的な形をとった形で、テープ、そして並びに起こした書類をここに持っておるんですが、大変――こちらが正しいかどうかわかりません、もちろん。ただ、たまたま結果として、従前は、坂井代議士はこの主犯の方とのおつき合いを否定されていたり、あるいは金銭の授受に関しても否定をされておられましたが、昨日は認める記者会見をしておりますが、この中にも、実は、坂井氏の秘書に金が出ている。会社からの給料なのか、オレンジ共済のような一時的な金なのかわかりませんということを私どもに述べておられますし、また、複数の政治家の関与についても出ております。

 とりわけ、なぜ坂井代議士がこれにかかわったかということに関しては、本人が記者会見で述べておりますが、こちらの方でも、当時、大蔵大臣から依頼があり、坂井にするか、宮下にするか、どちらがいいかということになった、そこで、坂井の方がまだ若いし小回りがきくので、坂井氏を紹介した、こういう流れもございまして、もう既に名前が出ておりますが、当時の大蔵大臣、三塚元大蔵大臣でありますが、こうしたところから議論が出ている。

 こうなってきますと、これは看過できない。現職の大蔵大臣が、特定の業を営む、なおかつ結果的には詐欺事件につながった極めて怪しげな抵当証券を販売する企業の依頼を受けながら、そういうことに関して、いわば手心を加えろと言わんばかりの内容の指示を坂井代議士を通じて行っていた、こういうコメントが、実は、関連会社の子会社、なおかつグループ全体としては広報顧問ということで窓口に立っていた人が言っておられます。

 こういうことになると、これはやはり何らかの形で、もう功成り遂げた立派な方でございますから、証人喚問だというような大騒ぎをするつもりはありませんが、何らかの形で、委員長にお願いをしたいと思いますが、身の潔白も含めて、三塚元大蔵大臣とそして坂井代議士に、参考人として本席に出席いただきますことを要請したいと思います。

山口委員長 理事会で協議させていただきます。

上田(清)委員 ありがとうございます。

 そこで、もう一点だけ。

 実は、先ほど村田副大臣の方から、法に照らして厳正に処置をしていたと。しかし、一方では、その方、今申し上げました、私どもに告白をされた関係人からお伺いするところ、必ずしもそうでないニュアンスのことを語っておられます。つまり、近畿財務局の方で何かとアドバイスをしていた、このアドバイスの仕方についてもいろいろな考え方があるかもしれませんが、こういうアドバイスをしていたということを述べておられます。

 とりわけ、特に、破産の手続をされたとき、破産命令を出したときには、大蔵に知恵者がおるのや、だれやと聞くと答えが返ってきました、さる方の名前が出ておりますが、あえてここで申し上げません。それなりに、破綻処理についても、どうすれば、より、いわばこの大和都市管財グループが、より自分たちの罪が軽くなる、あるいは破綻処理についての損害負担を減らすという仕組みを近畿財務局が教えたというようなことを言っておられますが、こういうことについては、副大臣は把握されておられますか。

村田副大臣 本年の四月に会社整理の通告をする、そういうことで、そういう処置を私どもは、財務局はとったわけでございますが、先生の今御質問のような、私どもがアドバイスをした、こういう事実は、私の調査では把握をされておりません。

上田(清)委員 それではもう一点、ちょっと質問したいこともありますので、朝銀、俗に言う朝銀の問題でありますので、こちらの方に時間をとらせていただきたいというふうに思っております。

 金融担当大臣にお伺いいたしますが、朝銀関係で十八組合中十五組合が破綻をしております。その中には二つ、大阪朝銀等の受け皿になりました近畿朝銀、そしてまた関東地区の四つの信組の受け皿を期待しておりました朝銀関東が破綻をいたしました。まさに、二次破綻であります。

 このことについて、なぜ短期間に二次破綻をするような検査や、あるいはまた受け皿づくりを認めたのか。このことについて、その責任を問いたいと思います。いかがでしょうか。

村田副大臣 それでは、私の方から、今短期間に朝銀近畿あるいは朝銀関東が破綻した理由について、お答えをいたしたいと思います。

 朝銀近畿につきましては、近畿財務局によります検査の結果、債務超過と見込まれまして、当該の検査の結果を踏まえた十二年九月末時点の財務状況について、近畿財務局より報告を求めておりましたが、十二年の十二月二十九日に朝銀近畿より当時の金融再生委員会に対しまして、金融再生法第六十八条第一項に基づく申し出がなされまして、同委員会におきましては、当該申し出及び財務状況を踏まえまして、管理を命ずる処分が行われたものでございます。

 朝銀関東の方でございますが、十三年三月期決算において債務超過でありましたが、同組合より提出された改善計画では、既に入金されている出資預かり金を考慮すると財務状況の改善が見込まれたことから、早期是正措置を発動いたしました。しかしながら、預金の漸減が続きまして資金繰りが逼迫する中で、今後の資金繰り状況等を見通せば、預金等の払い戻しを停止するおそれがありまして、こうした状況では事業の継続が困難であると考えるため出資預かり金を出資金へ組み入れることができず、債務超過を解消することができないとして、ことしの八月二十四日に朝銀関東により預金保険法第七十四条第五項に基づく申し出がありまして、金融庁といたしましては、当該申し出及び財務状況及び資金繰り状況を踏まえまして、管理を命ずる処分を行ったものでございます。

 そして、大阪朝銀、朝銀近畿、これにつきましては、引き継いだものについて、こちらは二次破綻、こう言えますが、朝銀関東の方は必ずしもそう言えないのではないかという事実だけは御指摘を申し上げさせていただきたいと思います。

上田(清)委員 今みたいにして聞くと、何が何だかわからないのですね。ばっと読み上げると。常識的に、なみはやもそうだったんですが、あるいは兵庫銀行の受け皿、みどりからみなとへというおよそ考えられないことがずっと起きておりまして、この二つだけでも三千億を超える金銭贈与をしております。

 それから、朝銀大阪が破綻するときも、三千億破綻しておりまして、この間にもう六千億以上の破綻のための処理が、金銭贈与を中心とした形で行われております。

 この後、この関東の受け皿をどうするのか、あるいはまた朝銀近畿の受け皿でどのぐらいお金がかかるのか、想像を絶する状態があります。この点についてどのような見通しを金融庁として持っておられるのか、これは高木監督局長でもいいですよ、詳しく、わかりやすく説明してください。

村田副大臣 先ほどの御質問に追加してお答えをいたしますが、朝銀近畿の破綻原因でございますが、これは、旧朝銀京都から引き継いだ、京都の支店における不良資産が原因でありまして、旧朝銀大阪から譲り受けた資産に特に問題があったからだ、こういうふうに私どもは考えておりませんので、そこのところだけは御指摘を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

高木政府参考人 必要な資金援助額の見通しについてお答え申し上げます。

 今破綻しております朝銀は全部で十五ございます。当然ですが、先生御承知のように、一定の手続を経て金額が決まってくるわけで、なかなか確たることは申し上げられないんですが、十三年三月期の決算をもとに以上を合計いたしますと、六千九百五十一億という債務超過額になっております。

上田(清)委員 事実を聞いたのじゃなくて、見通しを聞いたんです。その数字は私も把握しております。見通しをどうするのかと聞いているんですね。

高木政府参考人 今申し上げましたように、これはやはり厳格な手続のもとに決定されてまいりますので、確たることを申し上げるのは困難だと思います。

 ただ、今申し上げた数字の中で、例えば朝銀関東は五十九億の債務超過ということになっておりますが、これは現実には破綻していない状況での決算でございますので、当然これは膨らんでくるというふうに考えております。

上田(清)委員 若干押し問答をしても時間も足りませんので、財務大臣にもぜひ御理解というか、知っていただきたい。

 御承知だと思いますが、実は、財務大臣もこの問題に関してはかかわっておられまして、これは金融担当大臣だけじゃないんですね。少なくとも北東と、それから中部、そして朝銀西、この三つの受け皿信金に関して、既に十一月六日に、金融庁長官及び財務大臣によって特別資金援助の必要性についての認定が行われて、そして金銭贈与が行われるという仕組みになっているわけですから、少なくとも財務大臣もこれについては了承されておられる、こういう経過があります。

 そういうことになりまして、財務大臣にお伺いしたいのは、いかにも、朝銀大阪が破綻したときに、御当地でございますからよく御承知だと思いますが、三千百少々だったと思いますが、破綻処理にお金を使い、そしてまた近畿が破綻するという状況になっております。一体幾らつぎ込めばこの破綻の連鎖がとまるのか、一体どういう審査をしていたのかということについて、国民の多くの皆さんは極めて不信を持っております。金融整理管財人が八カ月間、この間に決まらなかった、こういう経緯もあります。なぜ決まらなかったのか、この点についても後で村田副大臣からお伺いしたいと思いますが、財務大臣として、次から次に破綻処理の費用をかけながら一向にその後の破綻がとまらないというこの現状についての責任、またどのような御所見を持っておられるか、改めてお伺いしたいと思います。

塩川国務大臣 こういう事件が起こりましたのはまことに残念だと思うし、やはりこういう金融機関の検査というのはなかなか難しい。どこまで踏み込んでやっていくかということは、企業秘密とかいろいろなことでガードされておりますし、また人権問題等もございましょうしいたしますので、非常に難しいと思っております。しかし、やはりそこには真相がわかり切れないものが相当あったんだろう、そこを突っ込めなかったということが非常に残念なことでございますが、しかし、この当時のことは、預金者に迷惑をかけたらいかぬ、そういう一つの社会的な甘さということがやはり検査に非常に影響しておったことなんだろうと思ったりしております。

 これからのこういう金融機関の検査というものは、金融庁並びに関係の機関は厳重にやっておるので間違いはないと信じておりますが、この件については、非常に遺憾なものであったと思っております。

上田(清)委員 柳澤大臣にもお聞きしていただきたいのですが、実は昨年の三月二十七日、この席で、当時の谷垣金融再生委員長、また村井仁総括政務次官にも、しばしば、この問題について極めてわかりやすく具体的に御指摘をさせていただきました。

 一つ一つの信用組合が一つの法人でないこと、朝鮮総連を中心にした一つの連合体で、その証拠に理事長がどんどんかわっている。京都の理事長をしていたかと思ったら岐阜の理事長をしている。これは中小企業組合法に違反していないのかと聞いても、いろいろな順序がありますなんというような、わけのわからない答弁をしておられました。それから、二十億の融資、こういうことに関しても、現物は二千万しかない、過剰融資だということは、明らかに、私が土地の価格や物件を提示しながらでも、それでも法に照らして的確にやっていたと。

 しかし、現実はどうですか。東京朝銀にしても全部違うじゃないですか。過剰融資あるいは移しかえ、でたらめだったということが今明らかになっているじゃないですか。にもかかわらず、その当時の村井総括政務次官やあるいは金融再生委員長は、法に照らして的確だったと、きちっと議事録に残っていますよ。まず、この責任はどうとるんですか、その点からお伺いしたいと思います。

村田副大臣 私もかつての議事録を読んでみました。かつまた、最近において破綻した朝銀と朝鮮総連の関係云々という報道がなされているということも承知しておりますけれども、先生の御指摘にもかかわらず、各朝銀は、中小企業法に基づきまして、原則として、それぞれの都道府県の認可を受けて、独立した法人だと私どもは解釈をいたしております。

上田(清)委員 またこの議論をすると時間がかかりますが、都道府県が認可すればそれでオーケーだということじゃありません。もっと丁寧に、財務局や当時の金融監督庁は、都道府県が認めたからそうだというふうに見ないで、明らかに理事長があっちこっちに転出している、そういう人事ができるわけはないんです、地域の組合なんですから。足利の信用組合の理事長が突然京都の信用組合の理事長なんかにならないんです。そういうことを平気で認めているからおかしくなるんですよ。のうのうとそうした発言を、いかにも、都道府県が認めればそれはすべてだと。何のための上位の検査機関なんですか。私は大変な怒りを感じます。

 何らかの形で責任をとるべきだと私は思っていますよ、本当に。本当に連帯保証人にでもこれからなってもらいたいですね、資本注入する場合には、金融担当大臣と長官と。そして、破綻した場合には全財産没収してもらわなくてはいけない。そのくらい重い。明らかに、いろいろなことを指摘して、ある意味ではしゃあしゃあと、わかっていながら、事実上のうそをついておられる。これは議事録を見れば明らかですよ。また時間があるときに丁寧にやりとりをさせてもらいたいと思いますが。

 一つだけ、余り時間もありませんので。村田副大臣、これを見て、スキーム図をお持ちですね、それぞれ破綻公表時と管財人の派遣時の日にちが載っかっていますね。例えば朝銀島根。破綻したのが十一年五月十四日。金融管財人が派遣されたのが十二年十二月十六日。これは約一年八カ月かかっておりますね。大変時間がかかっています。この間にどういうことが起こるかというと、このように金融整理管財人が送られるのが遅くなればどういうことが起こるかというのは、プロであります村田副大臣にはもうわかっておられると思いますが、当然、資産が劣化する、あるいは資産が投資されていく、あるいはまた犯罪があれば、記憶が薄くなってあるいは時効がよりたっていく。そういうことも含めて、なぜ、どれもこれも金融整理管財人の派遣がこのようにおくれてしまったのか、理由は何ですか。

村田副大臣 もう少し、これらの朝銀につきまして破綻をさせるべきではなかったという御指摘だと思います。

 それぞれの破綻した朝銀でございますが、当時の金融再生委員会では、事務局におきまして、十二年の三月から六月にかけて、財務局あるいは各県との間で破綻朝銀の状況について情報交換を行う一方で、財務局よりは、各破綻朝銀に設置された責任解明委員会報告書等に関する報告徴求を行っておったわけであります。一方で、昨年七月から受け皿金融機関への検査が開始されたことでもありまして、それらの状況についても私どもは見守っておった、こういうことでございます。そして、十二年十一月以降でございますが、受け皿朝銀の検査結果が通知されるとともに、責任解明委員会の報告書等に関する財務局から朝銀への報告徴求に対する回答が寄せられるなど、調査に一定の進展が見られたところでございます。

 そこで、これらの調査を踏まえまして、金融再生委員会において審査を行った結果、過去、破綻に至るまでの間において業務が著しく不適切であるとの心証を有するに至ったことから、金融整理管財人による管理を命ずる処分を行いまして、業務運営、財産管理や責任追及に万全を期すとともに、破綻処理の透明性を高めることが必要と判断されまして、昨年の十二月十六日、それから二十九日に管理を命ずる処分を行ったものでございます。

 したがいまして、当時の金融再生委員会としては、所要の手続をとりまして調査を進めた上で、金融再生法に基づき適正に管理を命ずる処分を行ったものでありまして、当時の判断としては私どもとしては適切であったというふうに解しておるわけでございます。

上田(清)委員 そういう表向きを言われるから、やはり森長官を呼ばなくてはいけないと言っていたのですよ、当時の事務局長を。私は個別に話しておりますから、そうではないのですよ、実態は。それは今ここで申し上げません。

 それで、最後になりますが、柳澤大臣、預保の十三年十一月七日の理事長談話の中で、こういう数字が書いてあります。先ほど申し上げました三受け皿信組に対する資金贈与を受けた形で、「当機構がこれまでに処理した破綻案件は合計百九件になり、資金援助額の累計は金銭の贈与約十六兆三千四百九億円、資産の買取り約五兆四千六百九十五億円、その他百二十億円」、こういうことでございますが、これは、基本的に何らかの形で返るようなお金というのはあるのですか、ないのですか。戻ってくるというお金はあるのですか、合わせて二十一兆ぐらいになりますが。

山口委員長 時間ですので、簡潔に答弁お願いします。大臣。

柳澤国務大臣 資金贈与というのは文字どおり贈与でして、これは戻ってこないわけでございます。資産の買い取りの方は、その資産、預保、実際はRCCがやっていると思いますが、これはもう非常に低価格で買いますので、それを処分すれば、もうけはできないでしょうけれども、それと大体同程度の資金は返ってくるものだという、これは建前になっておるわけです。

上田(清)委員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひ財務大臣も各閣僚の皆さんも、少なくとも返らない金が、十六兆五千億ももう使っている、この事実はやはり厳粛に受けとめて、二次破綻、三次破綻が次から次に続くようであれば、あなた方が全財産をはたいてくださいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、鈴木淑夫君。

    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕

鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。

 塩川大臣、柳澤大臣、お二方に前回に引き続き、マクロ的な観点から、御担当の財政問題あるいは金融問題を伺いたいと思っております。

 最初に、お二方、二人の大臣の景気の現状についての認識を改めて確認をさせていただきたいと思います。

 きのう、きょうのニュースを聞いておりますと、ようやくと言うべきかさすがにと言うべきか、ここへ来て、政府・与党の中で、景気の現状に対する危機感が多少高まってきたようで、補正予算が成立した直後だというのに第二次補正の議論を始めております。私から見れば、そんなことはもっと早くからわかり切っていたことだと言いたいわけでありますが、念のために、二、三、キーになるマクロの数字を申し上げた上で、御見解を問いたいと思います。

 一番最近の鉱工業生産の指数、九月ですが、これは御承知かと思いますが、前年同月比マイナス一二・七%、一年間で一二・七%も生産の水準が落ちております。さらに、十月、十一月の予測指数を見ますと、まだ下がっていく可能性がある。前の年は、その時期、十二月に向かって生産がふえておりました。生産の減少はことしの一月からです。ですから、恐らく年末、十二月にはもう前年に比べて一五%くらい落ちてしまうのではないかと思っておりますが、既にこの九月の水準でさえ、もう九〇年代の前半ごろの水準まで下がっているのですね。七、八年、逆戻りしているのですよ。

 そしてこの一二・七%一年間で落ちたということがいかにすさまじいことかということを念のために申し上げますと、九〇年代の前半、バブルの崩壊で景気後退が起きたときにも、鉱工業生産前年比マイナス一二・七なんていう勢いでは落ちていないのです。また、九〇年代後半、いわゆる橋本不況のとき、九兆円の国民負担増と四兆円の公共投資カット、合計十三兆円のデフレインパクトを経済に与えた、あの超緊縮予算の直後マイナス成長に陥りましたが、あのときの鉱工業生産もこんなには落ちていないです。一二・七%も落ちていないです。ずっとさかのぼって、戦後一回だけこういうふうに大きく落ちたことがある。それは第一次石油ショックの直後ですね。それぐらいすさまじい勢いで今景気は落ちてきているということであります。

 また、二年連続のマイナス成長というのは、橋本不況のときに、最初の統計ではそうなっていたんですが、後にGDP統計が改定された結果、あれは一年だけのマイナス成長だったということでありますけれども、どうも今度はそうはいきそうもない。本年度と来年度、二年連続のマイナス成長かもしれない。

 そして、足元のところも、四―六マイナス成長を記録したばかりですが、七―九も家計統計はもう出そろっている。全世帯の消費支出は前期比でマイナスになっています。それから、一般資本財出荷、これは設備投資それから一部輸出の動向を反映しておりますが、これも前期比で大きく下がっております。民需の二本柱、消費と設備投資がマイナスでありますから、七―九もマイナス成長の可能性はかなり高いと見られている。その中で、失業率も五・三まで上がりましたが、これは年末に向かってまだまだ上がっていくと思います。

 前回、私、塩川大臣に質問したときに、逆に問い返されまして、これが危機的か、危機的じゃないとすると危機的というのをどう定義するかと言われたものですから時間切れになっちゃったんですが、改めて、私が質問者ですからお伺いしますが、今の景気の現状を塩川大臣並びに柳澤大臣はどう見ておられるでしょうか。

塩川国務大臣 非常に経済は悪いと見ております。そして、特に企業が非常に成績が悪いということを思っております。

柳澤国務大臣 私は、仕事柄、名目成長率の方を同時に注目しているんですが、先般内閣府が内閣府試算として出された今年度の名目成長率マイナスの二・三ということがもし現実のものになれば、私の方は三年連続というようなことになるはずでして、これは金融機関にも大変大きな圧力ということになる。そういうようなことで、景気全般につきましても心配をしているということでございます。

鈴木(淑)委員 お二方とも現状を厳しく見ておられるということでございますので、それではお伺いいたしますが、塩川大臣、柳澤大臣、この先何がきっかけでこの深刻な不況、景気後退がとまると思っておりますか。塩川大臣。

塩川国務大臣 私は、テロ事件の対策として、世界的にやはりアフガン問題を中心とした復興計画、この部分に対する経済的な要求というものが相当強くなってくるであろう。その程度は、どの程度日本がつき合っていくかということ、これは大変な懸案の一つであろうと思っております。

 それからもう一つは、要するに、世界の産業構造がいわゆるITに一時に傾斜いたしましたが、この傾向が現在停滞しておりますが、これがどのような状態で復活してくるかということが問題であろうと思っております。

 そのほか、民生関係につきまして、やはりここの中で、世界全体として見ました場合に、グローバリゼーションを進めていく中で、環境問題であるとかあるいは南北間におきますところの国際的な利害関係の対立というものが、非常に大きい、これから解決しなきゃならぬ問題点だと思っております。

柳澤国務大臣 私は、なかなかこれは大変だなという感じを持っているんですけれども、やはり、目の前にある、よくわかる現象としては、アメリカの経済が、テロ、あるいはその前のITというもののバブルの崩壊、こういったような痛手から立ち直ってくれること、これが眼前、見えることではないか、こういうように思っています。

鈴木(淑)委員 お二人の大臣のお答えに共通していることは、他力本願ということであります。国内事情は挙げていない。国際的な海外事情ばかりを挙げておられる。他力本願、これは私から見ると非常にショッキングで、さては、小泉内閣というのは、日本経済の力で立ち上がるということは考えていないんだな、海外の経済が、IT関係の調整完了とか、あるいは、アメリカなんかは十兆円近い減税しますから、テロ対策の効果が上がってくるとか、そういったことで、海外が立ち直って、日本の輸出が伸びて、そしてやがて日本経済も回復するだろう、それまでは落ちっ放し、こういう見通しをお持ちなんだなと思って、非常に恐ろしく感じます。そういう見方をしている内閣というのは、ちょっと例を挙げたくても挙げられない。そういう状態になってお手上げになったら、普通は内閣が交代しちゃうと思いますが、国内の要因で立ち上がるという予測を持っていない、これは驚くべきことですね。

 私ももちろん、IT関係の世界的な不況というのは、あれはやはり循環現象だと思っていますよ。IT関係の産業は依然として発展産業です。ソフト、ハード等々全体をひっくるめれば依然として発展産業。ただ、IT関係のディバイス関係の産業において、過剰の在庫と過剰の設備ができた、そのための在庫調整と設備調整が起こっている。在庫調整は恐らく、非常に順調にいけば、ことしか来年の初めに終わるでしょうね。設備のストック調整の方は、これはわからない、来年の中ごろまでかかる。ですから、お二人の大臣のように他力本願で考えていくと、世界経済が立ち直って日本へのいい影響が出てくるのは、どんなに早くても来年の後半だということになろうかと思います。

 そこで、次の質問をさせていただきますが、まず、塩川大臣、そういう状況の中で、税収というのはどうなっていくでしょうか。どのくらい予想しておられた税収に比べて落ちていくでしょうか。ついこの間、補正予算のときに、税収の予想外の落ち込み一兆ちょっとということで第一次補正を組んでいますので、私のこの質問は、どちらかといえばもう少し先を見た質問、つまり、一応の財務省の予測ですと、このまま自然体でいけば来年度の国債発行が三十三兆円になる、だから、三十兆円の枠内におさめるために三兆円カットだ、ですから、五兆円カットして二兆円ふやす、こういうことを言っておられましたが、このときの経済の前提は完全に崩れていると思うんですね。ですから、これを考えたときを基準にして、塩川大臣、今、来年度の税収というのはどのくらい落ち込むと思っておられますか。

塩川国務大臣 定かなことはわかりませんが、私は、腰だめとして見まして二兆円から二兆五千億円の減収になるだろうと思っております。

鈴木(淑)委員 新聞では二兆七、八千というような報道もございますが、少し控え目だなと思いますが、二兆円を超える税収減があるだろうと塩川大臣でさえ考えておられるということです。

 では、大臣、その二兆円超の税収減を、塩川大臣のおはこである、入るをはかって出るを制するで処理されますか。つまり、二兆円以上入る方が落ちちゃうんだから、歳出を二兆円以上さらに切り込む、そういう形で処理されるおつもりですか。それとも、これは近代経済学で言う一種のビルトインスタビライザーでありますから、また、近代の財政学で言うビルトインスタビライザーでありますから、こういうときは入るをはかって出るを制しちゃいけないというのが近代の財政学の教えですが、古典的な財政学の入るをはかって出るを制するでおやりになるおつもりですか。いかがです。

塩川国務大臣 私の方針は、そのような方針であります。

鈴木(淑)委員 そうだとすれば、これは恐ろしいことになりますね。他力本願で、来年の後半にならなきゃ世界経済は立ち直ってこないと私は思います、その他力本願の影響が出てくるまでにはまだまだ一年ぐらいあるのに、その間、さらに不況要因をつけ加えると言っておられるのですよ、塩川大臣は。税収の落ち込みが二兆円以上あったとき、この入るをはかって出るを二兆円以上カットするということは、これは新たなデフレインパクトですよ。恐ろしいことですな。そういう乱暴な財務大臣に率いられていると思うと、本当に恐ろしい限りであります。

 それでは柳澤大臣にお伺いいたしますが、さっきおっしゃったような経済の現状認識と、それから、将来立ち直るとすれば世界経済の立ち直り、特にIT関係とともに立ち直る、こういう御認識ですと、私、ちょっとお席を立っておられる間に申し上げたのですが、これは来年の後半ぐらいになるよというふうに申し上げました。IT関係の在庫調整はうまくいけば来年早々に終わりますが、設備のストック調整は、中ごろあるいはそれ以降までかかるだろうと思うからです。

 そういう中で、御担当の不良債権はどういうふうになっていくと予想しておられますか。私は、非常に心配なのは、要注意貸し出しの中からかなりの部分が劣化していきやせぬか、マイナス成長が二年間続いていくのですからそれを心配しておりますが、その辺のお考え。やがて中間決算の不良債権の数字が出るのですね、私は知りませんが大臣は大体見当がついておられるかもしれません、その状況を踏まえて、この先さらに経済が来年の中ごろまで落ち込んでいくとすると何が起きるだろう、その辺の感触をお聞かせいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 中間決算の発表が行われつつある、二十二日、二十六日というようなことを聞いておりますけれども、したがって、私どもとしては、概略の感触みたいなものはつかんでおりますが、これはやはり数字が出そろったときに申し上げるべきことであろう、こういうように思っております。

 いずれにせよ、不良債権のいわゆる新規発生と申しますか、要するに、仮に不良債権の残高としては同じでも、中身が劣化すると引き当ての必要というのはそれだけ増しますので、そういった意味で、処分損というところで見ていきますと、これが増加をしているわけでございます。

 もちろん、この増加の要因といたしましては、私どもが新しく施策として出しました特別管理であるとか、あるいは要注意先の引き当てについて市場シグナルを組み込んだところの強化というものを図るというような、いわば、言ってみると基準が変わったというものももちろんあるわけでございますけれども、そういうものではなくて、貸出先企業の実態が悪化したというか、業況が悪化したというようなこともかなりの程度のウエートだというふうに聞いておりまして、そういう意味では、今御指摘の景況というものが不良債権処理には非常に大きく影響をしつつあるということは、これは否めないというふうに思っております。

 ただ、ちょっと私ども、この間プロジェクションというか、不良債権の、見通しではないのですけれどもある条件を仮定しての計算、推計というものを発表させていただいておりますが、それは、そもそもが十三年度においてはある程度増加を見込んでいる、さらにいろいろな意味で厳しい前提を置いておりますので、そういうものとの見合いで、果たしてこれが予測のところにおさまるかどうかというのを今見守っているということです。

 いずれにせよ、今委員御指摘のマイナスの影響というのは否めない、このように考えております。

鈴木(淑)委員 そのプロジェクションの前提になっている経済の動向いかんによると思うのですが、以前、夏前に一種のプロジェクションを発表になりましたね、これは二〇〇五年まで。あのときの経済認識はまだプラス成長だったのだと思うのですね。今はマイナス成長、それも、うっかりすると来年度までそうかもしれない。こういう厳しい前提を置きますと、まだプロジェクションが終わってないのでおっしゃれないんだと思いますが、私は、かなり厳しい線が出てくる、つまりふえるということですね。

 柳澤大臣は、それにもかかわらず依然として、主要行について、既に発生している不良債権は二年以内、新たに発生するものを含めて三年以内に処理する、処理の意味が、ライトオフしちゃう、バランスシートから出しちゃうという意味で最初言っておられたと思いますが、それも含めてですが、その方針は今も変えていないのでしょうか。

柳澤国務大臣 結論から言うと、変えておりません。

 これは、経済との絡みで言うと、もちろん、もともとが破綻懸念先以下の債権を相手にしているわけでございます。そういうことも一つ申し上げたい点でございますし、さらに、ライトオフの内容というものの中には、貸出先企業全体としては非常に不振なんだけれども本業のところで割といい部分があるというようなところはできるだけ生かす、再生させる方向での処理ということを進めておりまして、そういう意味では、経済に対してむしろプラスの面もあるという見方を基本的にしております。したがって、私どもとしては、このライトオフというものがマイナスばかりの影響だというふうに見られるということは必ずしも我々のねらいとは合致しておりません。

 そういう意味で、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけですが、いずれにせよ、プラスの面があるがゆえに、こうしたことに、ああいう環境の中、さらにまたその状況が厳しくなっているわけですが、これを続けさせていただきたいと考えているわけでございます。

鈴木(淑)委員 ライトオフしてバランスシートから外していくことに伴うプラスの面というのは、私もそう思います。それを否定するつもりはございません。しかし、それがあるからやるんだと言えるのは、経済が上向いているときなら私も自信を持ってそういうことが言えますが、こうマイナス成長が続いておりますと、要注意貸し出しであったのが破綻懸念先に移ってくるような状況の中でこれをやっていったら、本当に二年以内に処理する、三年以内に処理するとやっていったら何が起きるか、非常に私は心配です。

 欧米の友人たちと話してみても、彼らが注目しているのは、バブル時代にむだな投資をして、バブルの崩壊で崩れたゼネコン、流通に象徴されるような大企業、これをいつまでも生かしておくのがけしからぬ、これはちゃんと処理しろ、こういうことを言う欧米の友人は多いんですが、しかし、今みたいな景気後退、これから二年マイナス成長ということになりますと、優良な企業であっても、特に中堅、中小、これは一時的に採算が悪化する、経営が悪化する、その結果、利息が払えなくなる、あるいは期日に返せないでジャンプを頼んでくる、こういうのがどんどん今出ていると思うし、これからもふえると思うんですね。そういう形で、だんだん要注意債権だったものが破綻懸念先に移っていく、この動きがこれからどんどんふえると思うんですよ。

 そういうときに、柳澤大臣、御方針を転換されないでいきますと、これは、ライトオフすることによるプラスの効果よりも、もっと激しいデフレ効果、一時的に悪化している企業を非常に圧迫するような効果が出てこやしないかと思って私は非常に心配しておりますが、重ねて大臣にお伺いします。

 大臣はその心配はしていないんですか。一時的に悪化している企業、これは当然出ますよ、二年連続マイナス成長じゃ。この連中は救っていかなければいけないと私は思うんです、銀行たるものは。だけれども、うっかりすると、しゃくし定規でやっていくと、その連中まで処理の対象になってくるおそれがありますね。それを私は心配しております。それは明らかに経済に対してデフレインパクトを与える。その点、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 鈴木委員にこういうことを申し上げるのは釈迦に説法で大変恐縮なんですけれども、債権の査定あるいは資産の査定そのものに当たっても、やはりそのあたりのことはあらかじめビルトインされているわけでして、一年とか二年の赤字、特に、循環的な赤字ですぐ破綻懸念先だとかというようなことはない、あえてもうここで言い切らせていただきますけれども、そういうようなことになっております。

 したがって、いわばライトオフの対象に、今言われたような状況で直ちになっていくというふうなケースというのはちょっと考えにくい。もちろん、その前からずっと悪いというようなケースの場合にどうなるかというような問題はあるにせよ、ここを、二、三年とあえて言わせていただきますが、循環赤字で赤字になっているというようなものについては、せいぜい要管理ぐらいのものが普通なのではないかというふうに考えておりまして、そういう意味合いで、ライトオフの対象にすぐなってしまうというのはケースとしてちょっと考えにくいなというのが、今の委員のお話を聞きながら私が考えていることでございます。

鈴木(淑)委員 率直に言って、少し甘いんじゃないかと思います。私自身、実は、若いころ、日本銀行で検査に行ったことが五回ございます。ラインシートの査定をやっています。そうしますと、いい企業から悪い企業というのは連続的に存在しているわけですね。

 だから、今、柳澤大臣おっしゃいましたように、急に、循環的に、ここ一、二年赤字になった、これはすぐ破綻懸念先にはしないよ、それはそうです。だけれども、二年連続マイナス成長にならなければもう黒字が出てくるはずだった企業が、ずっと連続赤字だ、これはもうだめだといって査定される、そういうのもずっとベクトルで連続的に存在しているんですよ、企業は。だから、私は、わかりやすく、優良企業が赤字を出したというふうに言いましたが、それは、実は連続的にあって、立ち直ると思っていた企業が立ち直れない、結果的に、四年、五年赤字を出し続けちゃうというのまでずっと連続的に存在しています。だから、やはり、二年連続マイナス成長なんということになったら、要注意先の中から破綻懸念先へ移るのは必ず出てくるんです。ふえてきます。

 ですから、そこのところをちょっと、私なら、手かげんというか、基準をはっきりさせますね。つまり、バブル崩壊以降、バブルのときにやけどを負って、本来なら倒れちゃうはずのやつがまだずっと残っているのと、この四、五年の間になかなか立ち直れないでいるところとか、少し、バブルのとき悪いことを何もしていないのだけれども、失われた十年間の後またマイナス成長だから余りにも経営環境が悪くてというところを、上手に仕分けるようなことをお考えになった方がいいと思いますよ。今みたいに、特別検査でしゃくし定規でがっとやっていったら、これは危ない。だからといって、恣意的に甘いことをやれと言っているんじゃないんですよ、ちゃんとルールを決めてやってくださいよということを言っているのであります。

 先ほど塩川大臣が、相変わらず、入るをはかって出るを制しちゃうんだと。これを聞いて私はぞっとしました。二兆円以上税金が落ちたら二兆円歳出カットして、二兆円のデフレインパクトをまともに経済にぶち当てる。そういう中で、柳澤大臣が、私から見るとちょっと甘いことを言っておられるがそうはいかぬ、非常に不良債権がふえてきますぞ、それを二、三年で処理するといったらこれまたえらいデフレインパクトを与えますぞ、この二つが非常に心配です。

 お立場はわかります。この前、塩川大臣が、三十兆円というのはこれは政治的決断だ、あなたも政治家になって何年かたつんだからわかるだろうみたいなことを言われましたね。本当に三十兆円というのは、経済の論理で扱えないぐらい政治の問題になっている、これはよくわかります。しかし、そういう政治の問題、小泉内閣にとっての政治的な重要性のゆえに、一億二千万の日本国民の暮らしを支えている日本経済を犠牲にされたんじゃたまらない、それはだめですよ。それはやはり、塩川大臣、財務大臣なんだから、経済の論理をしっかり考えてくださらなきゃ。政治として、三十兆円は政治生命にかかわるんだからなんて、そんなことで日本国民みんなを道連れにして大不況に突っ込んでいかれたら、たまったものではない。

 柳澤大臣についても、多少、今までおっしゃっていたこととの連続上、なかなか方針転換と言いにくいところはよくわかるんですが、そういう政治的な御配慮にとらわれ過ぎないで、経済の論理をよくお考えいただきたいというふうに思います。

塩川国務大臣 私は、先日、鈴木先生の東洋経済のやつを読んで、何をおっしゃっているかと私は十分のみ込んでおります。

 しかし、私たちの立場というものもございまして、それで私は一つの信念としてやっておるのでございますが、来年が二兆円以上の税収の落ち込み、これは非常に心配でございます、それは確かにそうなんですが、しかし、よく考えてみますと、今、十四年度予算の資料をそろえて、十二月に予算編成するのでございますが、随分とやはり削るところがございます。むだがあります。それは私は真剣に削っていきたいと思っておるんです、それこそ聖域なしに。そういたしますと、二兆円の減収というのはそういうものによって十分とカバーできるという自信は私自身持っております。したがって、景気を弾ませていく力にはならぬ、これは私も自覚しております。けれども、ここで構造的な、いわば仕組みというか、今までの惰性といいましょうか習慣というもの、これを変えていくためには、何としてもここで踏ん張らなきゃいけないという信念。

 だから、そこは、鈴木先生のあの論文は、やはり積極経済論、ケインジアンの論文だと思って読んでおりました。そういう立場に立った先生の意見、これは私は十分理解いたしました、しております。けれども、私らの政治の立場というものはそれでいかざるを得ないというところに、そこに食い違いがあるということ。しかし、おっしゃるように十分心してやっていきたいと思っておりますし、入るをはかって出るを制すというものは、これは大原則を私は言っておるんであって、ただし、その下に松尾芭蕉は不易流行ということをつけました。ですから、私は、この入るをはかって出るを制すというのはこれは不易であって、流行はやはりあると思っております。思っておりますけれども、今までの右肩上がりの時代の転換を、切りかえていこうという意味において、私は非常につらい。しかし、先生のおっしゃる財政論、私は十分わかった、こうこうこれでいけたらええがなと思って私は十分理解しておりまして、その意味において、東洋経済だったかと思っておりますが、あの論文は非常に参考になったということを申し上げておきたいと思っております。

柳澤国務大臣 私の方も誤解をなさらないでいただきたいと思ってちょっとつけ加えさせていただきますが、先ほど申したように、ライトオフの対象になるのは破綻懸念先以下であるということ、それから、破綻懸念先というのは基本的に債務超過に陥るということが要件になっておりますが、しかもその債務超過というのはなかなか解消できない債務超過というようなことでございますので、率直に言って、先生が言われるような循環赤字のところが心配だということについては、まあそこは検査官あるいは銀行もしっかりした見きわめを、それは甘くなって本来はもう破綻懸念先であるものをその上のランクにとどめておくということでは決してないわけですが、それはやはり破綻懸念先に落とすというのは、実はもうこれは釈迦に説法ですが、銀行としても相手方との関係でかなりのことでございますので、まあ御心配のようなことが続出するというようなことはないんではないかと考えているわけでございます。

鈴木(淑)委員 塩川大臣、先週の本屋に並んでいた週刊東洋経済でございますが、お読みいただきましたそうでありがとうございました。

 あそこで私が言いたかったこと、たくさんありますが、最大のポイントは、構造改革というのは日本のシステムを変えることなんだよ、その結果として財政赤字も減ってくる、不良債権処理もそういうシステム転換をする中でやっていけばうまくいくものなんだと。それは両方とも大事です、財政赤字削減も不良債権処理も。しかし、それ自体をもって構造改革の非常に重要な中身あるいは目的とするのは見当違い、思い違いですよということを書いたわけです。

 なものですから、今みたいな景気情勢、深刻な景気情勢になったときには、不良債権処理と財政赤字削減についてもう少し柔軟に扱った方がいいですよ。なぜなら目標はシステム転換なんですから。行政のシステム、いわゆる行革ですね、あるいは経済のシステム、規制撤廃でがんじがらめの業法をなくしていくといったようなこと、あるいは中央と地方自治の関係のシステム、そういう高度成長時代にはうまく機能していたいわゆる追いつき型のシステムを変えていくことこそが構造改革なんだ。

 そういう観点からいいますと、塩川大臣、私は今塩川大臣にお願いしたいのは、入るをはかってじゃない、最初から出るを制してほしい。入るということを見ないで、入る方を見ないで出るを制していただきたい。それは、さっきおっしゃったように、行革あるいはむだの排除ということで出るを制するそれこそが構造改革ですから、そこから入っていってほしいと思うんですね。それで、入るをはかって収支計算したら財政赤字が膨らんじゃった、縮んじゃったということは、これは、うまく出るを制してシステム転換をしていけば必ず財政赤字は減ってくるんですから、そういうふうにお願いしたい。

 それから、今、小泉内閣がおやりになっているいわゆる小泉改革の中で、今言った財政赤字の削減、三十兆円のキャップ、それと不良債権早期処理、それからいよいよ特殊法人改革に入っておられますが、私の今言ったシステムを変えることこそが構造改革の本質だという観点からいうと、この三つの中で特殊法人改革はまさに構造改革そのもの、それだけにまた一番抵抗の強いところ、そこに切り込んでいかれるのは私は本当に拍手喝采です。我が自由党としても特殊法人原則廃止ということを打ち出しています、これは拍手喝采なんですが。

 時間も迫ってきましたので、これが最後の質問になりますが、あの特殊法人改革の中で住宅金融公庫の廃止問題があります。これは両大臣に関係しておりますからお伺いいたしますが、まず柳澤大臣、住宅金融公庫の歴史的な役割は終わったからもう廃止していいというふうにお考えですか。

 それから塩川大臣、いやそうじゃない、やはり低所得層への住宅ローンなんかは政策的配慮が要るんだ、もしそういうお考えなら、何も住宅金融公庫にやらせなくたっていいんですね。利子補給といいますか、補助金つきで民間委託させる手もある。さらには、そんなことをやったって民間銀行はちゃんとやってくれないよというなら、それは課税所得から住宅ローンの支払い利子控除をするという手だってあるんですよ。やはり、住宅金融公庫をやめちゃってもそういう政策はやれるんですね。

 そういう意味で、柳澤大臣と塩川大臣に御質問をいたします。柳澤大臣には、住宅金融公庫というのはもう歴史的役割は終わったからやめちゃっていいとお考えですか。もしそうでないとしたら、塩川大臣の所管になりますが、利子を課税所得から控除するとかあるいは補給金つきで民間に委託するとかいう手があるわけですが、どういうふうにお考えでございましょうか。

塩川国務大臣 その問題につきましては、国土交通省等を入れまして、今、目下検討しておるところでございますけれども、住宅金融は政府がやらなきゃならぬというような非常に特化した部分になるだろうと思っております。それと、民間の金融機関がこのような貸し渋りに終始しております以上、そして、住宅金融ということに全く十分な力を入れておりません状況においては、やはり移管していくのには若干の時間が要るんではないかと思っております。

柳澤国務大臣 住宅金融、今塩川財務大臣の方から民間が力を入れていないということが仰せられたわけですけれども、率直に言ってこれまではややそういう面があったことは、これは否めません。しかし、リテール尊重ということの中で住宅金融は非常に大きな部分を占めているわけでございまして、民間金融はむしろこういうところに力を入れていかなければいけないというふうに私は考えております。

 ただ、最終の姿につきましては、今塩川大臣も御言及になられたとおり、これは政府全体の中で今検討中でありますので、そういうことを念頭に置いて、私自身も主張すべきは主張し、また、全体としての結論が出た場合にはそれに従ってまいりたい、かように考えております。

鈴木(淑)委員 検討中でございますので、はっきりしたお答えがいただけないというのはやむを得ないと思いますが、私の意見としては、重ねて申し上げますけれども、住宅金融公庫は廃止して大丈夫だ、それに伴う問題はほかの政策で補うことが可能、民間銀行だってそういう補完的な手を打てば一生懸命やるに違いない、そういう意見をもう一回申し添えまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

奥山委員長代理 午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時四十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょう、実は私は、狂牛病問題に関連して、中小企業に対する金融面の対策を質問することにしておりました。ところが、きょう北海道で二頭目の狂牛病の牛が見つかったということで、大変大きなショックを社会に与えております。そこで、質問に入る前に事実関係についてただしたいと思います。

 厚生労働省の食品衛生部長、お見えだと思うのですが、今回の二頭目の狂牛病の発見の経緯、それから、当然その感染源を特定するというのが大変重要だと思うのですが、その点についての調査をどのように進めておられるか、お聞きをしたいと思います。

尾嵜政府参考人 経緯等についてお答えを申し上げます。

 御承知のとおり、十月十八日から全国の屠畜場におきまして全頭検査を実施しておりますけれども、一昨日の十九日に北海道の屠畜場で処理されました牛のうち一頭につきまして、いわゆるスクリーニング検査、エライザ法ということでやっておりますが、スクリーニング検査法で陽性になったというものが一頭出てまいりまして、帯広畜産大学におきましてウエスタンブロット法という方法によります確認検査を行いました結果、本日の午前に、ウエスタンブロット法によります検査結果が陽性であったということが判明したわけでございます。これを受けまして、本日午後五時より牛海綿状脳症に関する専門家会議を開催し、確定診断を行う予定にいたしております。この牛につきましては、メスのホルスタインでございまして、六十七月齢というものでございます。

 そのほかの御質問の関係で申し上げますと、全頭検査を実施いたします際に、いわゆる特定危険部位というものにつきましては屠畜場ですべての牛について除去、焼却処分をするということになっております。これにつきましても、既に特定危険部位については焼却をしたという報告を受けております。残りの内臓等につきましては、本日の専門家会議の結果を待ちまして、最終的にBSEであると判断されました際には、肉、内臓等についてもすべて焼却処分をするという段取りになっているというものでございます。

 それと、お尋ねの感染のルート等につきましては、私ども、情報につきましては農林水産省の方にお話を申し上げておりまして、農林水産省の方でそのルートについては調査をしていただくという段取りになっているところでございます。

佐々木(憲)委員 国民の不安の解消というのが非常に大事だと思うわけです。そのためには、感染ルートを解明するということ、それから、感染した肉は流通には絶対に乗せないという具体的な措置、こういうものが必要だと思うのです。

 私がこの財務金融委員会でなぜこういうことを問題にするかといいますと、その影響が中小企業、農家はもちろんですけれども、流通やあるいは焼き肉屋さんなどの商店に大変大きな影響を与えている、これが地域経済にも大変深刻な事態を及ぼしているということで、その対策を議論するためにその前提としてこの問題をお聞きしているわけであります。

 そこで、もう一つ心配しているのは、全頭検査が始まったのは十月十八日でありますが、その以前の牛肉でありますけれども、それが市場に流通していないという保証はどうもないようであります。

 厚生労働省にお聞きしますが、あるいは農水省でも結構ですけれども、十月十八日以前の牛肉については、国がすべて買い上げて処分しないと国民は安心できない、こういう声があるわけですけれども、そういう対応は検討されているのかどうか、お聞きしたいと思います。

小林政府参考人 十月十八日の全頭検査の前の十月十七日以前に屠畜解体処理された牛について、これも当然安全でございますが、国民の不安につきまして念には念を入れて払拭したいということで、私どもの事業といたしまして、国産牛肉在庫を市場隔離するという形で実施しております。

 具体的には、全国的な生産者団体、そういった皆さんが、その会員などが所有しておりますただいまの十七日以前に屠畜された国産牛肉在庫、これを買い上げまして、冷凍保管しております。これは冷蔵庫から搬出させないという形で完全隔離しております。

 市場隔離後の最終処分につきましてはこれからの検討でございますが、ただ、さまざまな選択肢を検討する、この中にはさまざまございますけれども、とにかく、消費者の皆さんに不安を与えることのないように市場に出さないということで、国の責任において万全を期したいということで対応しております。

佐々木(憲)委員 きょう福田官房長官は、午前の記者会見で、全頭検査が始まった十月十八日以前に汚染牛肉などが市場に流通したかどうかについてはこう答えているのですね。その辺のことはあるかもしれない、そういうことが今まであった心配はあると。可能性を認めたということでありますが、官房長官もこういうことを言っているような対応では、これは本当に安心できるような状況にはならないと思うのですね。もっと具体的に、完全に国が買い上げ、焼却する、こういうことをはっきりおっしゃらないといけないんじゃないでしょうか。いかがですか。

小林政府参考人 今申し上げましたように、十七日以前の市場隔離ということを進めておりまして、この処分方法、まだ最終的に決めておりませんが、今お話ございました焼却といったことも視野に入れて具体的な検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 本当に国民が安心できる事態を一刻も早くつくっていただきたいと思います。

 もう一点だけお尋ねしますが、九月の狂牛病の牛の感染源、これはいろいろ調査をされていると思うのですが、特定されましたでしょうか。

小林政府参考人 こちらの牛につきましても、二つの大きな流れで今調査を鋭意やっておるところでございます。

 といいますのは、千葉で発生いたしましたその当該牛からいわばさかのぼった同居牛の流れですとか、それから、どういった飼料、えさですね、そういったものを食しておったか、そういういわば川下からの流通なりえさの給与状況、これがまず一つでございます。

 それからもう一つは、この感染源としては、やはり肉骨粉が非常に大きな原因と言われております。そういう意味で、輸入の肉骨粉を含めまして、いろいろな、どういった形でどの国から来たかということで、例えば海外の国も、イギリスとかイタリアあるいはデンマークといった国、それから近隣の東南アジアの国を含めまして、そういったところに調査員を送り、今その調査結果をまとめながら、両方から感染源の究明に努めておるところでございます。

 なかなかこれは大変な作業だと思います。ただ、この月内には何らかの形で一つの取りまとめをしたいということで、今鋭意作業を急いでいるところでございます。

佐々木(憲)委員 いまだに特定されていない状況だということですね。

 それで、私は、国民の不安、これが消費の大変な落ち込みにつながっているわけでありまして、中小企業の営業にも大変な被害、深刻な事態をもたらしているというふうに思うのです。

 今の説明、それからやりとりの中で、三つの問題が明らかになったと思うのです。

 一つは、第二の狂牛病に感染した牛が発見されて、それはまだ五時の段階で最終的な結論は出るということですけれども、この不安が一つあるということ。それから二つ目は、十月十七日以前の牛肉について、汚染牛肉が市場に流通した可能性があると官房長官が発言をされている、こういう問題。それから、九月に発見された狂牛病の牛の感染源、今、二つのルートで調査中ということですが、これもまだ特定されていない。こういう大変重大な事態に今なっているわけであります。そういう点で、政府のこれまでの対応についての国民の批判、これも大変大きなものがあります。

 この問題で、次に、中小企業の影響の問題についてお尋ねをしていきたいと思うんです。

 先日、私は、飛騨牛で有名な岐阜県の高山市に調査に行ってまいりました。農家ももちろん大変なんですけれども、卸売、小売、それから焼き肉店、これは本当に中小企業が大変な打撃を受けております。

 例えば、焼き肉屋のお話を聞きますと、売り上げが三割落ちたとか、あるいは半分になった、こういう話は幾らでもあるわけで、あるお店でお話を聞きますと、昼間はお客はゼロだ、夜になっても二人しか来なかったというようなことがある。牛肉に関連した中小企業の経営危機というのは本当に深刻であります。とりわけ、きょうの、第二の狂牛病の牛が発見されたということですから、さらにこのショックは大きいと思うんです。

 松阪牛で有名な三重県の松阪市ですね。先月の市の調査によりますと、販売の落ち込みは卸売がマイナス三七%、小売がマイナス五七%、焼き肉がマイナス六〇%、料理がマイナス二五%と、平均してこの牛肉関連で四五%売り上げが落ちているということであります。

 そこで、塩川財務大臣、柳澤金融担当大臣に基本的な姿勢をお聞きしたいんですけれども、これだけ大変な社会問題になっております狂牛病問題について、政府としても、直接担当の農水省とか、あるいは厚生労働省、経済産業省などはもちろんですけれども、財務省やあるいは金融庁としても、財政金融政策を動員して、中小企業の打撃を緩和する、あるいは救済する、こういうしっかりした対策を今の時点でなお一層強めていくべきだというふうに思いますけれども、その点について、それぞれの大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

塩川国務大臣 いわゆる狂牛病についてでございますが、これを未然に予防することと、安心をしていただくために徹底的な検査をしてほしいということにいたしまして、今回の補正予算で二百六十五億、予算計上いたしまして、関係省庁には依頼をお願いしてあるところであります。

柳澤国務大臣 狂牛病、農水省の方で全頭検査をやってくれるというようなことがありまして、私自身も、もう二度ほど牛肉を口にして、そちらの方はもう大丈夫かというような気持ちになっておったところに、またきょうの発見ということだと、ちょっと出ばなをくじかれたような感じがしまして、本当に遺憾なことだというふうに思っております。

 それはそれといたしまして、私自身も、佐々木委員と同じように、焼き肉屋さんとかそういうような方々の業況ということについては、いろいろな機会に耳にして、大変心を痛めておるところでございます。

 しかし、私自身の行政の範囲につきましては、実は、狂牛病の問題とは直接言及する等かかわりを持たせてはいませんけれども、どうも最近の銀行を見ておりますと、マンパワー的にも不良債権の処理というようなことに力を注がざるを得ない状況になっておるように見受けられて、それで、そういうことのために前向きの金融の疎通というものに欠くるところがあっては困るというふうに私自身認識しまして、先般の改革先行プログラムにおいても、特にその点言及して、中小企業を中心として、もっと金融そのものの疎通というか円滑な供給に配意をするようにということを呼びかけさせていただいております。それからまた、現実にも、銀行の役員と申しますか、そういう集まりでそういうことを直接呼びかけているところでございます。

佐々木(憲)委員 この問題は、これまでの政府の対応のまずさというのも非常に大きなものがあると思うんですね。肉骨粉の輸入禁止の問題についても、一遍の通達で済ませていたというような問題もありますし、そういう点でいいますと、政府の責任というのはやはり非常に大きいと思うんですね。

 これは、関係者のお話を聞きますと、融資で、お金を貸すから何とかしなさい、こう言われるけれども、しかし実際には、損害を受けた側としては、損害補償をしてもらいたい、こういう声が大変強いわけであります。

 例えば、岐阜県の大垣市で行った中小企業団体のアンケート調査では、借りると返済しなければならない、それはなかなかできないんだ、月の売り上げの減少の補償をしてほしい、こういう声がありますし、国と県に営業補償の話をしてくださるようお願いしますというような書き込みがたくさんあるわけでございます。やはり、こういう声に正面からこたえるというのが大事だと思うんですね。

 そこで、農水省にお聞きしますけれども、現在進められている狂牛病関連の中小企業向け対策、この中に、損失を補てんするとかあるいは損害補償というような、そういう内容が一つでも盛り込まれているのかどうか、事実についてお聞きをしたいと思います。

小林政府参考人 今私ども、お話ございました流通関係の皆さん、飲食店あるいは卸、小売の皆さん含めて、一つ今のつなぎ資金の対応がございます。そこで、私どもの対策としてこれから何を重点に置いてやっていきたいかということは、今のつなぎ融資を通じて経営を改善していただくということとあわせまして、牛肉の流通がうまく円滑につながっていくということと、それから、やはり消費の回復でございます。

 そういったところへ対応するために、一つは消費拡大でありますとか、それから牛肉に対するいろいろな知識の普及、こういったものに対応していますのと、それから、先ほどもお話ございましたけれども、国産牛肉についての滞留在庫、これは市場隔離をするとか、それから調整保管でございますね、これは十八日以後のあれですけれども、そういった対策を総合的に行うことによって、今の流通の円滑化あるいは消費の回復というものを図っていきたい、そういう方向で進めているところでございます。

佐々木(憲)委員 損失補てん的な内容が一つでもあるかとお聞きをしたんです。いかがですか。

小林政府参考人 流通関係の皆さんに対しては今申し上げた対策でございまして、その損失補償といった対策、直接的なものはございません。

佐々木(憲)委員 経済産業省あるいは厚生労働省の対策もあると思うんですが、その中にはそういう損失補償的なものは盛り込まれているでしょうか。

小脇政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども中小企業庁といたしましては、食肉の小売店あるいは焼き肉店など、経済的に影響を受けている関連中小企業の方々に対しまして、資金供給の円滑化のため、先月初め、速やかにセーフティーネット保証、貸付制度を適用することといたしたところでございまして、目下その的確な実施を進めているところでございます。

 お尋ねの損失補償に関する点でございますけれども、私ども、運転資金の融資、保証を行っているところでございまして、損失補てんといったものは考えてございません。

下田政府参考人 厚生労働省でございますが、食肉販売店等の当面の資金繰りに関しまして、国民生活金融公庫におきまして特別に設けました相談窓口を通じまして、低利融資等の措置を講じているところでございます。

 先生御指摘の損失補てん的なものではなく、こうした融資制度を通じまして、食肉販売店の経営が安定するよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

佐々木(憲)委員 今、三つの省庁からお答えをいただいたわけですけれども、結局は、損害を受けてもその損害に対する補償というのはないわけですね。融資の制度を一定程度充実させるということだと思うんですね。しかし、実際に被害を受けた側からいいますと、国の責任でこうなったんだ、だから、貸すから何とかしろというのは一体何だ、こういう声があるわけですね。もとに戻してくれ、国の責任で我々が被害を受けたんだから国が全額補償すべきだ、こういう切実な声は、我々が回ってみますと、ほとんどの方がそういうことを言うわけです。非常に切実な声であります。何の補償もしないということになると、これはやはり国の責任を放棄するというか棚上げにして、お金貸すから自分たちで何とかしなさい、後で返しなさいよ、こういう発想だと、どうも国民の納得は得られないんじゃないか。

 塩川財務大臣、柳澤金融担当大臣、どちらでも結構なんですけれども、やはりこういう国民の声に少しでも前向きにこたえるというような対応を、これは予算上の問題がありますから、第二次補正なのか来年度予算なのかわかりませんが、こういう点について、もっと前向きに対応するというような姿勢をとっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 何と申しますか、昨今のいろいろな事件、事故ということを機にして、非常にその悪い影響が業種全体に及ぶというようなことが確かに起こっているわけですね。テロの事件で旅行業者あるいは航空会社というものが不振になってしまうとか、今回我が国においては、狂牛病の発生で、牛の肥育農家あるいはその流通に携わる人、小売を含めて大変な影響をこうむってしまうということが起こっているわけです。これは、恐らく本当に経済がネットワーク化されているということの結果で、昔のように、それぞれの生産者なりあるいは流通というのがネットで結ばれていなくて、それぞれ独立していれば、ここまでいろいろな影響が及ぶということもないんでしょうけれども、そういうようなことが現代社会の一つの特徴の中で弱点を持ち始めているんだろうと思うんです。

 これに対して、では一体どうやって対処すればいいか。これも非常にある種のセーフティーネットの問題かと思うんですけれども、私自身は、実は農業の問題にかかわっておったこともありまして、今休んではいるんですが、農業共済の事業の責任者を務めていることもあります。ですから、生産農家の場合には、多分小林局長にこれは詳細を聞けばわかるでしょうけれども、あるいは共済の保険事故というようなことになるかもしれないというようなことはありますけれども、例えば損害保険で、事業そのものの成り行きについての保険をでは保険会社が引き受けてくれるかというと、これもまた難しいというようなことだろうと思うんですが、私の所掌からすれば、保険というものの仕組みの中で、何かこういうことに対する対処の方法はないかということが課題かなと思うぐらいのところでございます。

佐々木(憲)委員 金融担当大臣ですから保険という話がありましたが、これはやはり財政的に、予算的な対応というのが大変重要だというふうに思うんですね。そういう点で塩川財務大臣の御見解、いかがでしょうか。

塩川国務大臣 私も、この扱い方には全くなれておりませんし、またこれはいろいろ仕組みがあるだろうと思いますので、関係省庁と相談いたして決定していきたいと思います。

佐々木(憲)委員 やはり国民の声に前向きに正面からこたえるという姿勢が非常に大事だと思うんです。

 そこで、中小企業庁にお聞きしますけれども、政府系中小企業金融関係三機関等に相談窓口というのを設置されていると思うんですが、この間に相談件数はどのぐらいあったでしょうか。また、その主な内容はどのようなものがあったでしょうか。

小脇政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、経済的に影響を受けている関連中小企業の皆様方に売り上げ減少の問題が発生しているというところから、相談窓口の設置を十月四日から実施をいたしたところでございます。これまで、現在七千五百件ほどの御相談をいただいておりますが、その内容といたしましては、焼き肉屋さんの売り上げが大幅に減少した、あるいは食肉の小売店の皆さんが大変売り上げが減少している、そういった切実な声が多いということでございます。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 用意された融資自体も、本当に役立つものになっているかどうかというのが次の問題になるわけですが、農水省に聞きますけれども、「食肉処理販売等特別資金のご案内」というリーフがあるわけですけれども、BSE(狂牛病)関連つなぎ資金という制度でございますけれども、これは今までに何件の利用がありましたでしょうか。

小林政府参考人 相談件数といたしましては二千件弱の件数がございますが、貸し付け実行されておりますのは三件という状況でございます。引き続き私ども、この融資の普及、その周知に努めていきたいと考えております。

佐々木(憲)委員 私は、せっかくこの制度をつくっても、二千件の相談がありながら実際上たった三件しか利用されないというのは、これは制度上に問題があるんじゃないか。話をいろいろ聞いてみますと、例えば償還期間が一年以内、一年たったら返しなさい、こういうわけでありまして、こういう状況ですから、深刻な不況のもとでまたショックを受けて消費が大幅に減っている、そういうときにこういう条件では、これは借りようとしても、すぐ返すというようなことがなかなかできないというので借りることができないんじゃないか。この点については、どのようにこれは改善されていくおつもりでしょうか。

小林政府参考人 まず、ひとつ御理解いただきたい点でございますけれども、今回のこの対策に当たりまして、今先生御指摘ございましたように、私どものやっております一年のいわば本当に短期のつなぎ資金、これがございます。あわせまして、中小企業庁また厚生労働省にお願いしまして、それぞれ五年ないし七年の運転資金、こういったものを、いわば借り受けする立場の皆さんのそれぞれのニーズに合わせて使っていただこうという形でそろえてあるわけでございます。

 そういう意味で、私どもの方のこの一年の、本当に短期のつなぎ資金といいますか、まさにつなぎ資金でございますので性格上そうなるわけでございますが、そちらよりも、例えば中小企業庁さんの方で用意されている資金の方が今活用されているという状況だと思いますが、いずれにしましても、これは、私どもせっかく用意したこの短期のつなぎ資金につきましても、この趣旨を十分よく関係者に酌み取っていただいて、活用されるようにさらに努力していきたいというふうに考えておるところでございます。

佐々木(憲)委員 ニーズに合わせて利用してほしいということですが、だから、結局ニーズがなかったわけですね、三件しかないというのは。つまり、非常に借りにくいわけですよ。ですから、これで合わない人はどうぞほかの制度へということでは、せっかくつくった意味がないわけでありますから、やはりもっと借りやすく、内容についても再検討し、充実していくということをぜひ検討していただきたいと思うわけです。

 では、厚生労働省にお聞きしますけれども、衛生環境激変対策特別貸付制度というのがありますね。その条件が私は非常に問題だと思うんですけれども、飲食店営業に当たっては、牛肉の仕入れ高が全食材の三〇%以上を占めているという条件がついているわけですね。これは条件がかなり厳し過ぎるんじゃないか。なぜ牛肉が三〇%以上を占めなければならないのか、なぜ二〇%ではだめなのか、この点について説明をしていただきたい。

下田政府参考人 衛生環境激変対策特別貸付制度は、先生御指摘のように、全食材に占める牛肉の仕入れ高の割合が三〇%以上であるといったことを条件としておるところでございます。これは、この貸付制度そのものが緊急支援対策ということで実施をしておるということでございまして、ほかの貸し付けとは別枠で、かつ、金利におきましてもかなり低利であるといったようなことから、狂牛病の影響を特に受けている飲食店に重点を置いたといったことでこうした制度になっております。

 なお、この貸付制度の対象とならない飲食店につきまして、前年あるいは前々年と比べて売り上げが一〇%以上減少したケースにつきましては、九千万円程度の低利の運転資金を融資いたしているところでございまして、これにより、零細中小の飲食店の運転資金需要は基本的にはカバーできるのではないかと考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 それにしても、三〇%というのは余りに高いというふうに思うんですね。実際に、ラーメン屋さんが牛の骨髄などを使って営業していた、それは金額からいうと非常に小さいわけです、比率も低いわけです。しかし、その影響は、いわば一〇〇%その営業に及ぶわけですね。

 ですから、単純に牛肉の比率が三割だとかという数字であらわせない問題があるわけです。そういう実情に対応する制度的な改善というのがやはり必要ではないか、そういう点をぜひ指摘しておきたいと思います。

 それから、中小企業庁にお聞きしますけれども、経営支援資金というのがあります、あるいは運転資金円滑化資金。その条件としては、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれること、こういうふうに書かれております。

 中長期的に業況が回復し発展するということが今の状況で確実に言える企業というのは、一体どのぐらいあるのか。そういう点を考えますと、これはなかなかそういうふうにはっきりと確信を持って展望があるというふうに言える企業は少ないんじゃないか。その辺は一体だれが判断するのか、その点についてお聞きをしたいと思います。

小脇政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、政府系金融機関におきましては、個々の中小企業者の実態やあるいは経営改善努力等を的確に把握し、事業の将来性を見きわめることにより融資の判断を行っているところでございます。セーフティーネット貸し付けの対象となる企業につきましても、基本的にはこういった融資判断を行うところでございますけれども、今御指摘の、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれるか否か、各政府系の金融機関が判断するということになっているところでございます。

 一時的な業況の悪化などの経営環境の変化に直面している中小企業でも、販路の開拓あるいは商品の開発などの自助努力、あるいは市場動向によっては、中長期的な業務回復あるいは発展が見込まれる可能性は十分にございまして、現に、この厳しい状況下でも、昨年の十二月末から本年十月末までに、セーフティーネットの貸し付け、三万二千件、一兆円以上が利用されているところでございます。

佐々木(憲)委員 中小企業庁の文書によりますと、セーフティーネットという関連でいろいろな制度の提供をしているようですけれども、影響を受ける中小業者が別枠で利用できるというのが幾つか書かれているわけですね。これは当然今回の事態に対応した措置ですから、今まで、例えば借金があった、既往債があっても、あるいは返済の条件変更、こういうことをやった企業であっても、そういうことがあるから貸しませんよということになったらこれは利用できないわけで、別枠である以上、今までのそういう過去の債務やあるいは条件変更ということがあったとしても、要望に応じて借りることができる、こういうことが非常に重要だと思うんですけれども、この別枠という意味はそういう意味と理解していいですね。

小脇政府参考人 私ども、セーフティーネット貸し付けあるいは保証につきましては、別枠ということで実施をいたしているわけでございますけれども、この場合、一般保証あるいは貸し付けで条件変更をしたとか、あるいは既に多額の債務を有している、そういうことをもってのみ直ちに別枠での保証、貸し付けが受けられないということではございません。そういった運用をしておりますし、そういった指導をしているところでございます。

佐々木(憲)委員 ところが、実態をいろいろ聞いてみますと、条件変更があったから貸さないと言われたとか、つまり、返したいと思うから条件変更をしてもらったんだ、今まで苦しくとも、おくれることはあってもちゃんと返済している、それこそ寝る間も惜しむように家族で働きづめに働いている、なのに何で借りられないのか、制度があっても使えないのでは何にもならない、もともと今度の問題は、何もこちらが悪いわけではない、一番の責任者は政府だろう、その人たちがそのままで、何でこちらが苦労しなきゃならないのだ、余りにも理不尽だ、銀行の前で首をくくるか、こういう訴えが寄せられているわけであります。

 やはり困っているから借りたいということで申し込むのであって、あなたのところは営業が悪いから、困っているから貸しませんよというのでは、これはもう本当に見殺しにするようなものでありますから、対策の趣旨にきちっと適合するように対応するということが大事だと思うんです。

 やはりこういう訴えがあるということは、柳澤金融担当大臣に最後にお聞きしたいんですけれども、一番最初におっしゃったように、銀行の貸し出しの姿勢、中小企業に対してその営業の状況を支援するという姿勢が大事だとおっしゃいました。ですから、今回のこの制度、狂牛病対策で別枠で、既往債があっても別枠で貸すんです、こういう対策が出た以上、銀行自身も基本姿勢としてその趣旨に沿って、相手の業況をもちろん判断するんでしょうけれども、しかし、一律に切って捨てるようなことをしない、やはりこの制度の趣旨に沿ってやるようにということを、銀行に対してぜひそういう指導をしていただきたいと思うのですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 おっしゃることはわかりますけれども、そういう政策的な観点からの融資というのは、やはりこれは基本的には政府の金融機関で行われるべきものだ、こう思います。

 私どもは、中小企業一般の方々への資金の円滑な供給ということは言っておりますけれども、さらに制度金融と密着した形でどうしても融資をしろということまで、細目にわたって民間の金融機関を指導していくということは、ちょっと現在の体制にはなじまないのではないかというように考えます。

 ただ、言っていらっしゃるお気持ちはよくわかりますので、そういう議論が国会でも行われているということは何らかの機会に伝えますが、狂牛病絡みで制度金融と何らかの連関を持った形での融資を行えというところまでは、なかなかいき切れない話だというふうに思います。

佐々木(憲)委員 煮え切らない答弁でありまして、政府系金融機関というのは、民間がやれないことを積極的にやるという位置づけだから当然やらなきゃいけませんけれども、しかし、民間の金融機関も、やはりリスクをとって、こういう大変な事態ですから、中小企業に対する支援ということにもっと積極的に踏み出すように、ぜひ指導していただきたいということを要請したいと思います。

 もう時間が参りまして、予定しておりました銀行の融資のあり方、サラ金問題など質問できなかったのがまことに残念ですが、別の機会にそれはやらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 きょうは、短い時間ですので、簡単なことを幾つかお伺いしたいのです。

 一つは、去年も私同じことを聞いているのですが、いわゆる国税、税務署の定員確保及び機構の充実にかかわって、やはりこれはだれかこういう場で言うておかぬとあかんやろうと思って私はやるわけです。

 現実に、この間、定員削減が閣議決定されてやられているということは前提として私は理解しておりますけれども、実際に、例えば実調率が現状では五%。五%ということはどういうことかというと、二十年に一回ということでございまして、十年ぐらい前でしたらこれが八・八%ですから、それでも十二年に一回という状況やったわけですが、非常に状況が悪化しています。また、滞納税額も、平成十二年度で二兆六千億、平成十年で二兆八千億でございますけれども、今の状況を見れば、この滞納税額の金額の高というのもかなり深刻なものだろうと思います。

 そういう意味で、特に、納税者数が増加している、滞納の累増している、同時に、社会経済情勢の変化に対応するに見合った人員、定員の確保ということについて、当然概算要求もされておられるでしょうけれども、まずその点にかかわって。また、情報公開法なんかもできて、その点での処理もかなりふえております。いろいろと機械化している、IT化しているといっても、サービスがそれだけふえれば、それだけそれを使う人がふえるわけですから、結局そこで働いておられる方々の業務の負担は変わらないわけですよね。そういうことを考え合わせて、定員の確保にかかわっての御認識といいますか、御決意といいますか、その点、まずお願いいたします。

村上副大臣 いつもありがとうございます。植田委員の国税、税務の業務における御理解を感謝しております。

 御高承のように、税務行政を取り巻く環境は、申告件数の増大、それから滞納、今おっしゃったように二兆八千億の滞納の急増、それから経済取引の高度情報化、国際化、広域化、また非常に不正手口の巧妙化等により、質量ともに厳しさが増しています。これに対して、国税庁は、御承知のように、コンピューターの活用による事務の高度化、効率化、そしてさらに、有効な資料情報に基づく効率的、効果的な調査の実施等に努めているところであります。

 また、国税局、税務署の定員については、これは、税務の困難性及び歳入官庁としての特異性にかんがみまして、所要の定員の確保に努めるとともに、事務量の増嵩等を総合的に判断して、適切な配置となるように不断の見直しを行っているところであります。

 そういうことで、今後とも、税務行政をめぐる環境は厳しさを増すことが考えられることから、こうした努力をさらに続けるとともに、現下の厳しい行財政事情を踏まえつつ、今委員の御指摘の国際化、IT化等に的確に対応すべく、署員の定員の確保について、関係方面の理解が得られるように一層努力していきたい、そういうふうに考えております。

植田委員 一層努力をしていただくということで、特にまた、そうした情勢の変化に伴う機構の充実にかかわってはどうでしょうか。それについても、細かいですけれども。

村上副大臣 委員の御指摘どおり、その点についてもさらに配慮していきたい、そういうふうに考えております。

植田委員 もう一つ、税関の職員にかかわっても、やはりデータで見ますと、九七年で八千二百七十五名、これが過去最高の定員数でございますが、九九年度以降、毎年減員している。ただ、特にこの税関業務というのは、その職務の特殊性なり、また困難性なり専門性等々で、なかなか本来的には一律な定員削減になじみにくい分野だろうと思うのですが、現状ではこれも非常に厳しい条件、また、それに伴う職員の処遇改善の点についても、私、かなり関心を持っておるところでございますけれども、定員確保と、それに伴う職場環境の改善についてはいかがでしょうか。

村上副大臣 まさに委員のおっしゃるとおりでありまして、特にこの税関業務は、国際化、ボーダーレス化で、物、金、人、犯罪までが国境を越えてきたために、非常に複雑多岐になっております。特に、国際化、IT化に伴って税関業務は複雑化、困難化しておりますし、このような状況のもとで、税関においては、厳しい行財政事情のもとで、従来から事務の重点化、機械化による業務運営の効率化を図っております。例えば、コンテナごと丸ごとぽんと検査できるような機械とか、そういうものを導入したり、限られた人員のもとで適切な人員配置に努めるとともに、必要な定員の確保のために努力していきたい、そういうふうに考えております。

 ただ、今後とも、厳しい行財政事情でありますので、やはり我々は、あらゆる知恵と力を出して国際化、IT化等の時代の要請に応じた人員の配置に努めるとともに、所要の定員の確保に全力を尽くしてまいりたい、そういうふうに考えております。

植田委員 ありがとうございます。

 実際、民間需要がない中で、民間活力で雇用をふやそうと思ったって、そんな、企業が設備投資するような状況には今ないわけです。だから、失業者がふえたって引き取るところがないわけですから、実際、そういう意味では、極端な話、必要な、社会的ニーズの高い分野は、交付金で臨時雇いじゃなくて、恒常的に働くこうした分野については、はっきり言って、定員削減の枠組みを凍結してふやしたってええと私は思うのです。そういうところでふやすことについては、公務員をふやすのかといって、余りおしかりを受ける、社会的批判を受ける分野では私はないというふうに思っております。

 しかも、実際アメリカなんかでも、これはリストラしたら物すごい税の滞納がふえたわけですが、それを追っかけることももうできなくなっているという実態が、ニューヨーク・タイムズでも、時間がちょっとありませんから詳しくは紹介しませんけれども。その辺、ですから、気にせぬと、どんどん定員にかかわって役所の方も物を言うていただきたいなというふうに私は思っております。

 この点と、もう一点お願いしておるのは、実は、さきの国会、六月なんですけれども、当時、幻の大蔵省レポートということで紹介させていただいたのですが、「一九九〇年代わが国経済と財政金融政策の検証」ということで、九〇年研報告というふうに略させていただきますが、当時の財政金融研究所、今で言うと財務総合政策研究所になるかと思いますが、このことについて幾つか質問させていただきました。そのとき、内容にかかわっての話は、財務大臣からもその内容についての認識、お伺いしておりますし、副大臣からもいろいろとお話はお伺いしたわけですが、たまさか、植田至紀でインターネットで検索していますと、なぜか私の名前が「「九〇年代わが国経済と財政金融政策の検証」の公表延期問題と私の財務省財務総合政策研究所特別研究官解任にかかわる同研究所の対応について」というかなり膨大な、全部私、打ち出したのですよ。

 私のことを、何を書かれていたかといいますと、財務省は、植田議員への国会質問前の事前説明で、これは既に公表済みという説明をしつこいくらいに行ったようだが、また、財務省の村上副大臣は、委員会で植田議員の質問に対して、既に九〇研が、この報告が公表されることをうかがわせる答弁をしました。「なぜこんなことを言うのでしょうか?」といいまして、こんなことを言っているのです。紹介しておきますね。

 さすがに植田議員も「製本もされず、クリップ一つでとじられているにすぎない」ものを「公表」とは言えないのではないかという疑問を述べてはおりましたが、財務省側の「求めがあればちゃんと頒布しています」という言葉を信じて、「公表というよりは公開している」ぐらいのことは言えそうだとお感じになったようです。さらに彼は「隠しているとは私は言いません」とまで言い切っているわけです。

確かに、議事録で私はそのように言っています。

 そこで、ただ「しかし、残念ながらこのような植田議員の認識は間違っております」ということで、私のそこでの理解が間違っていると、このW大学の教授の方で、かつて吉永小百合さんが行っておられて、今広末涼子が通っている大学の教授の方ですが、要するに、ここでこの教授が言っているのは、私が手に入れた、きょう持ってきていませんけれども、この分厚い二〇〇〇年に出たやつが、実は九九年段階で既にまとまっていたということなんですよね。そのバージョンがあるということを、財務省はよく知らない植田議員にちゃんと言っていなかったということで、私自身の誤解が生じたのではないかと思うわけでございます。私かて、こんなの知らない間に、植田のやっている質問が間違った認識だなんて書かれた、そんなのを見たら、非常に心穏やかではございませんし、愉快ではありませんので、そもそも、そういうバージョン、まず九九年版なるバージョンが、私には教えていただけなかった、そういうバージョンのものはあったんですか。

村上副大臣 その教授も非常に時間のある方だなと思うのですけれども、実は植田委員、その本報告書に関する研究は、実は九八年から二〇〇〇年にかけて二年間にわたってやりまして、今おっしゃられた九九年の六月の時点では、実は報告書全体がまだ完成していなかったわけなんです。できたパートもありましたし、できなかったパートもある。その後、所内で研究を継続して作成したのが、お渡しした一九九〇年代我が国の経済と財政ということで、きちっとできたのが二〇〇〇年の六月、そういうことであります。

植田委員 ただ、この九九年段階で、条文の原案まで用意されていたというわけですから、それが日付が九九年八月付ですので、その段階では公表が可能になるという前提があったんじゃないか。なぜ、では公表されなかったんだということは、いかがでしょうか。

村上副大臣 ですから、私の聞いている範囲におきましては、本研究は二年にわたって行われて、九九年六月時点の研究全体が実は完成していなくて、このような状況のもとで、九九年六月時点までの研究の成果はどのような形で取りまとめるかについて、その当時の研究者も多岐にわたって多かったために、当時の関係者の間で意見が異なっていて、どういうふうな形でまとめるかという形で、その九九年版という取りまとめには至っていなかった、そういうことであります。

植田委員 事情については、恐らくこの教授との認識は、私は別にこの方の代弁をするわけじゃないのですが、こういう形で取り上げられているものですから私は言うわけですが、ただ先日の答弁で、村上副大臣が、我々は何回もこれを配ったことはあるのですけれども、なかなか全部読んでくれないというふうに答弁なさっておられるので、そういうことであるならば私もすぐ信じまして、隠しているとは言わないよ、配っているというのであれば、と申し上げたのです。

 ただ、少なくとも、そういう経過については、私は六月六日の質問に当たって、事前のレクで聞いておらないということは、必ずしも財務省さんのレクはうそは言っていないでしょう。うそは言っていないですけれども十ある事実のうち、当然、今回、その当時私が六月六日に質問するに当たって知らなければならない十の事実のうち五つか四つかぐらいしか教えてもらえへんだ。その意味では、この教授が指摘されるように、植田議員には少なくとも事実を正確に説明したとは言い切れないということは、私自身そう思うわけですが、その点はいかがですか。

村上副大臣 率直に申し上げまして、私自身も植田委員とそんなに知識に大差があるわけではなくて、正直申し上げて本報告書は、一九九〇年代における日本経済の概要、民間経済主体の動向、それから、財政金融政策運営等についての事実関係や学会における議論を整理するということを中心に作成したわけです。このような研究所における報告書という性格から、広く関係議員に積極的に配付しているものではありませんので、外部から求めがあれば報告書を出しているというのが実は現状なわけです。

植田委員 要するに、議員であるとか要望があればお渡ししている性格のものだとか、そういう意味では、実際、情報公開で開示請求があったら公開するとかということであるとするのであれば、少なくともこの報告が、厳密な意味において、公開したとか公表したとかという言い方では、そういう扱いをしている文書ではないということですね。

村上副大臣 先回りして答えるようになるかもしれないのですけれども、今の御指摘のように、財務省の所掌にかかわる内外財政、経済に関する基礎的な、総合的な調査研究等を行う財務総合政策研究所についても、定期刊行物や出版やホームページの掲載等を通じてそういう研究成果の積極的な公表に努めてまいりたい、そういうふうに我々は考えております。

 ただ、難しいのは、こういう問題というのは我々があえてやると、何かねらいがあって発表しているのではないかとか、ちょっと勘ぐられる向きがあるもので、あえて我々の方から積極的に行くというのはちょっと今までちゅうちょしていた点があったのではないかなという気がします。

植田委員 ちゅうちょしていたということは、やはり厳密に、公表とか公開とかという形でこれは取り扱わなかったという理解でよろしいですか。

村上副大臣 これは植田委員の御質問なので率直に答えるのですけれども、実は我々も、今後、今の財政の現状、事実、ファクトについても積極的に要望に、求められたら――今いろいろなところに行って説明しているのですけれども、なかなか難しいのは、植田先生のような熱心な方というのは案外少なくて、こちらが頼み込んで説明してもらうような感じなんですね、正直言って。そういうことで、我々としては、気持ちとしてはどんどん見てもらいたいというけれども、残念ながらそこまで関心が高まっていないというのも現状であるので、そこら辺は、我々としては見てもらいたいし、押しつけがましくするのは難しいなというのが率直なところなんです。

植田委員 何か堂々めぐりしているのですけれども、単純な話なんです。要するに、今の副大臣の御説明だと、見てもらいたいのだけれども、渡してもみんな見てくれないし、話も聞いてくれないからちゅうちょしているんだみたいに聞こえちゃうんですよね。実際、政府のそうした発表した資料というのは、聞く聞かないにかかわらず、どかっと役所が持ってきはりますわね。それで、聞きたい人は、例えば熱心な議員がいて、この資料についての説明を受けたいといえば、政府の人を呼んで話を聞きますけれども、普通、出せばちゃんと冊子にして、クリップなんかでとめて、欲しければ上げるよじゃなくて、一応、私も読まない文書の方が圧倒的に多いですよ。年末になると、ごみのところにばっと積んでいますよね。そういう形になりますけれども、配ってはりますでしょう。今回、これについては、要するに公開とか公表しなかったでしょう。それだけ確認させていただければいいんですよ。

村上副大臣 さっきから申し上げているように、求めがあれば差し上げるようにしているのですけれども、ただ委員もおわかりのように、例えば国会図書館が出していますよね。だけれども、あれは物すごくお金がかかるんですよね。だから、そこら辺の今の財政事情からいいますと、どれだけの量を刷るかというのも、もらう人から見れば当たり前のように思うけれども、刷る方からしたらやはり大変なんですよね。だから、例えば委員もわかると思うのですけれども、国会の中にそれぞれボックスありますよね。あれ、一年に一遍秘書さんが全部持っていっているのが現状なんですよね。

植田委員 時間がありませんから、この辺でこの話はやめますけれども、いずれにしても、今の話でいけば、要するに求めがあれば渡すという限りにおいて、その限りにおいては公表とか公開ということには当たらないという認識を私はさせていただきます。答弁はいいです。

 それで、最後に、これは財務大臣、一般論としてで結構ですが、今の話も念頭に置きながらでいいのですけれども、少なくとも国民の税金で研究しておるわけです。しかも、こういう今の経済情勢の中で、やはり財政状況の徹底的な情報公開が必要だという観点。また、こうした、財務省がさまざまな、今回のこのペーパーでいけば、この資料でいけば、そうした不況の経過であるとか政策展開の検証に前向きに取り組んできたということは事実なわけです。

 そうしたことをしっかりと国民に知ってもらうという意味で、積極的にこうした、内部でさまざまな政策等について検証した、その中身をやはり広く国民に知っていただく、伝えるということは当然責務ではないかと思うわけですけれども、このケース、別に今回のケースに限って私は問うているわけではございませんので、一般論としてで結構ですから、お答え願えますでしょうか。

塩川国務大臣 このような研究成果は貴重なものですから、できるだけ公表するような手段を講じていきたいと思っております。幸い、政府の広報活動等の一環として組み入れていきたいと思っております。

植田委員 六月の質疑のときにも、塩川財務大臣は、この報告については大いに共鳴するところがあるというふうにもおっしゃっておられましたので、今後インターネットでこういう不細工な話が出ないように、ガラス張りできちんと全部出すようにしていただきたいと思います。

 以上で終わります。

山口委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 同じく社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 まず、お時間との関係等ございますので、最初に塩川財務大臣に一問だけお願いいたします。いわゆるたばこ税に関する御質問です。

 せんだって、塩川財務大臣は記者会見で、たばこ税率の引き上げ等もお心におありだというお話を述べられた上で、それを、増税分を医療や社会保障の財源とすることも考えておられるというふうに記者会見場で述べておられたと思います。

 私は、日本のたばこ税率を見ましても、イギリスが七四・五%、ドイツ六七・五%、フランス七〇・八%のところ、我が国では五七・六%でございますし、特にたばこという、極めて健康に影響するたばこから上がる税を、逆にヘルスコンシャスな医療部分に使うということは、極めてリーズナブルな、前回の塩川財務大臣の道路特定財源の問題と同じように先見的な御発言だと思いますのですが、この御発言について、塩川財務大臣としてどの程度、実際にそうしたムーブメントないしは財務省の取り組みになさるお考えがおありなのかを一点だけお願いいたします。

塩川国務大臣 たばこ税を一本上げまして、約二千四百億円になるらしいですね、現在の計算では。

 ところで、たばこの税金の問題の計算というのは実は非常に複雑でございまして、地方との還元の問題等ございますし、たばこ税をめぐりましては、いろいろと貸し借りが、地方との間で、そしてまた、医療関係ともございますので、精査すると医療関係に回るのにどれだけ回るかなというのはちょっと疑問なんですけれども。

 しかし、一応私の方からは、これはひとつ財源として考えてくれということは言っておるのですが、税制調査会の方でどうお扱いになるかわかりませんが、その意向は尊重していきたいと思っております。しかし、たとえ実現いたしましたとしても、医療にどれだけ回るか、先ほど言いましたような経緯がございますので、定かなことの御返事はできかねると思っております。

阿部委員 たばこ税全体での税収が八千八百十億で、先般の平成十年のたばこ税の引き上げ以降の引き上げ分が年度で二千六百五十九億ということで、確かに医療の財源としては十分というふうには言い切れませんですが、このうち、財務大臣も御指摘のように、半分は地方に回るわけです。これからの医療を地方分権でやっていくという方向性も含んだ場合には、私は極めて魅力的な財源と思いますので、きょうは今の御答弁を承りまして、またさらに、政府の税を担当する各部署とも、また財務省内の部署ともすり合わせていただいて、また詳しい御答弁をいただければと思います。これで財務大臣には終わりです。

 引き続いて、柳澤金融大臣にお伺いいたします。

 五度目になります、ペイオフ解禁についてでございます。

 この間、信金、信組のいわゆる破綻と申しますか、これが数を追ってふえてございます。八月が信用組合一件、九月はございませんでしたけれども、十月が信用金庫三件、信用組合一件、そして、十一月は信用金庫三件、信用組合八件と、毎週週末になると信金ないし信用組合がつぶれているような状態になっておりますが、柳澤金融大臣として、この信金、信組の破綻という事態についてはどのようにお考えでありましょうか。

柳澤国務大臣 信用組合、信用金庫というのは、協同組織をとっている金融機関ということでございまして、組合員を中心として、非常にその地場、あるいは職域のケースも信用組合にはありますけれども、その方々と密接な関係を持って活動しているというところでございます。

 そのうち、実は信用組合につきましては、昨年の四月の一日からその所管が都道府県から国に移管をされまして、実は昨年度いっぱいを使って初めて国の手による検査が行われた、こういう経緯もございます。

 そういうようなこと、信用金庫につきましても、このところ熱心に検査が行われていたわけですけれども、そういう検査でいろいろな問題が見つかったというようなところについては、経営の改善の道を探ってくださいということでお願いしておりまして、それぞれのところでそうした努力も行われるわけでございますけれども、どうもそういう過程を通じて、事業の継続の見通しが立たないというようなことで破綻の申し出というものが行われるわけでございます。つまり、経営改善をしてくださいというその課題に、努力はしたけれどもなかなか改善のめどが立たない、こういう理由でこの申し出がなされるわけでございます。

 そうしまして、現在は預金者の保護というようなことを中心として処理が行われるわけでございますけれども、その場合に、大体今までは、ほとんどすべてですけれども、受け皿というものが、最寄りの、最寄りというか、最もというところでない場合もありますけれども、いずれにしても、近くの他の信用金庫なり信用組合なりというところでいわゆる受け皿というものが決まりまして、そして、そこに貸出先も多くのものが移っていける、こういうことになっております。つまり、預金者の保護と、善意かつ健全な貸出先がそういう形で保護される、取引が継続されるということが確保されているわけでございます。

 しかしながら、こういうことがちょっとこのところ続出していることについては、正直申して、ペイオフの時期が近づいているというときに、もともとが、ペイオフというのはことしの四月に始まる予定のを一年延ばしたのも、信用組合なぞの検査とその結果の善後処理というものをきちっとするのに時間がかかるだろうということで行われたといういきさつもありまして、まさにそうした配慮で延ばされたこの一年が今のような形で活用されているということでございます。

 そういう意味では、ある意味で、ペイオフというものに備えて、先般も言ったかと思うのですが、来年の四月の一日にお店をあける金融機関というのはどこも問題がない健全な金融機関ですよという体制を整備するという一環で行われているというふうにおとりいただいてもよろしいのじゃないか、このような位置づけでございます。

阿部委員 事態を極めて楽天的にとれば、先ほど来の狂牛病の御答弁もそうでございますが、物事を楽天的にとればそのように解釈することも可能かもしれませんが、柳澤金融大臣がおっしゃったように、地域や職域に深く組み込まれた信用組合や信用金庫が次々と破綻していく、本当に十一月の数などを見ますと、大臣自身もおっしゃったように非常に多い数でございます。

 先ほど柳澤金融大臣は、現在の金融市場、特に銀行等々の自己資本比率においては問題がないかもしれないけれども、それでもシステム不安の起こり得る可能性もあるというふうにお述べでございますが、そういう認識にある段階でペイオフ解禁ということを、逆に言うといろいろな不安要件をはらんだ金融市場に対しての万全の対策をとらずに踏み込むということについては、あえて言えば、大変極言的な言い方ですが、無策でペイオフ解禁を実施するということにもなりかねないと私は案じておりまして、金融システム全体の安定ということに関しまして、いま一度、現段階での柳澤金融大臣のお考えを伺いたい。と申しますのは、公的資金を注入してでも再度銀行の健全化に、むしろ先に積極的に取り組むべきではないかという見解もございます中ですから、その辺も加味しての御答弁をお願いいたします。

柳澤国務大臣 金融機関の破綻というものがどうして起こるかといいますと、二つありまして、金融機関自体の財務状況が債務超過の事態になっているという場合に起こるのが一つと、それからもう一つは、流動性の危機と申しますか、資金繰りがつかなくて、自己資本比率とかあるいは負債の関係には問題がないのだけれども起こるという、二つあるわけでございます。そういう意味合いで、先ほどちょっと、自己資本比率に問題がなくても危機、金融のシステミックリスクというのはあり得るという表現をさせていただいたのですが、そういうことだということで、その点は御理解をいただきたい、こう思います。

 私は、いずれにせよ、この九月期それから十月期の見込みが徐々に出つつあるのですが、現在段階のところ、私どもはそのときにも、先ほど来申したように、自己資本比率に問題があるというような事態には陥らないという見通しでございます。それがマーケットの方々に、何と申しますか、私の説明が悪いのか何が悪いのかわからないのですけれども、なかなかすっと入らない部分が見られるようでございます。先ほど来申したように、まさにいろいろな方がマクロの分析をしまして、それと比べて、金融庁のやっている、あるいは日本銀行も考査をしているのですが、そういうところで結果表現される数字が何か我々の数字とは一致しないななんという、そういう考え方があるようでございます。

 そういうところから、どうもこの金融機関については自分たちは問題視しなきゃならないのじゃないかというようなことがありますが、私としては、それはそちらサイドが少し考え方を改めていただきたいのであって、私どもは一つの基準、これは公表された基準なんですね、それに基づいて、先ほど言ったように、まさに手仕事として一つ一つの債務者を評価して、そして必要な引き当てをしているということを一貫してやっているんですよということを、しかも、それはいろいろな我々に反省をされる部分、ごく部分的なんですけれども、そういうような場合にはちゃんとした対処をして、即刻対処して、今度の特別検査みたいなこともしているんですよということをやらせていただいているわけであります。

 総じて、私は、現在の金融システムの状況というのは、そういう財務の状況に関しては一九九七年とか九八年の金融危機に比べても格段と改善をされた実態を持っているというふうに考えるわけでございます。それからまた、もう一つは、一九九七年ごろになかったシステムとしては、危機対応のシステムというものもかっちり確立しているわけでございますから、私は、現在の状況というのは、今阿部委員が言われたようなことではなくて、かなり安定したものだというふうに考えるわけでございます。

 そういう前提でペイオフというものを迎えたいということを考えているわけでございまして、もしペイオフをおくらせるというようなことになれば、これはもう内外ともに、日本の構造改革、金融機関の不良債権問題もその一環なんですけれども、まさに構造改革が先送りになるというふうに私は思っておりまして、そういう意味で私どものこういう姿勢というものをぜひ御理解賜りたい、このように思います。

阿部委員 私の主張は、単にペイオフを延期なさいと言っているのではなくて、その前にやはり金融市場全体に対しての国民の信頼も、柳澤大臣がおっしゃるような事態とは違いますし、そのことも含めて、やはりもう一度何をなすべきかをお考えいただきたいという点でございます。また引き続きこの件はやらせていただきます。

 最後に、いわゆるトンネル寄附の件に関してお伺いいたします。

 私は、去る六月に、厚生労働省の指揮下にございます臓器移植ネットワークというところが、これは特定公益増進法人でございますが、いわゆるトンネル寄附の中間に立ちまして、製薬会社から公益法人の臓器移植ネットワークが寄附を一たん受け、こちら側の医学関連の学会にその寄附をおろすときに五%の手数料を取り、そしてこちら側の製薬会社は、逆に公益法人に寄附をするという名目で本来の課税を免れておったということを、臓器移植ネットワークに立入調査をお願いいたしまして明らかにしてまいりました。

 きょう皆様のお手元にお配りした資料はそのときの十二の寄附口座先でございますが、それはいずれも公益法人の臓器移植ネットワークがその口座に製薬会社に振り込むように指導いたしまして、そこから手数料を取った。手数料は金額にすれば六十万円とか百二十万円でございますが、それはいわゆる本来の公益法人がやってはならないことではないかということで、管轄の厚生労働省にもきちんと指導するようにということを申し上げましたが、ここで、逆に、トンネル寄附を行った当の企業についてのお取り扱いについて、国税担当にお伺いいたします。

東政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案の課税関係等に係る事項につきましては、守秘義務が課せられている関係上、具体的に答弁することは従来から差し控えさせていただいております。よろしく御理解を賜りたいと存じます。

 なお、一般論として申し上げますと、法人が特定公益増進法人に対しまして寄附をいたしました場合、一般の寄附金の損金算入限度額とは別枠といたしまして、この一般の寄附金の損金算入限度額と同額の範囲内で、特定公益増進法人に対して実際に支出した寄付金の額の合計額が損金算入されることとなります。

 ただし、特定公益増進法人に対する寄附金であっても、御指摘のいわゆるトンネル会社に対する寄附金のように、その寄附金が最終的に当該法人に帰属せず、当該法人の本来の主たる目的である業務に関連しないと認められるような場合には、特定公益増進法人に対する寄附金に該当しないものとして取り扱い、一般の寄附金と同等の限度額にかからしめているところでございます。

阿部委員 いわゆる公益法人のさまざまな税制上の取り扱いにつきましては、法人税の申告漏れが七百六十三社、百五十九億円というふうに報道されております。今おっしゃいましたように、表の議論でいえば、さまざまな言で表現できますでしょうが、このように多額の申告漏れがあるということについて、今後どのように指導していかれますでしょう。

東政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案に係る事項につきましては、具体的に答弁することは差し控えさせていただきたいと存じておりますが、一般論として申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、いわゆるトンネル会社に対する寄附金のようなものにつきましては、特定公益増進法人に対する寄附金に該当しないものとして取り扱うこととしております。

 いずれにいたしましても、あくまでも一般論として申し上げますが、国税当局といたしましては、このような税法の規定等に基づきまして、今後とも、事案に即して、必要に応じ実地調査を行うなど、事実関係等を精査した上で、厳正、的確に対処してまいる所存でございます。

阿部委員 いわゆる臓器移植ネットワークというのは、ドネーションされた臓器を本当に国民にクリアな形で配分していく、そうした役割を負った極めて公的性格の高いところで、私が厚生労働省にお願いした査察の結果明らかになった事態を、国税としても重く受けとめて鋭意努力していただきたい。

 そして、最後に一点だけ申し添えますが、実は、この臓器移植ネットワークの理事の中に、財務省主計局からこの理事になられた方がおられます。個人名を挙げて恐縮ですが、楢崎泰昌さんという方でございます。財務省というお役職におられた方が、自分が世で言う天下った先でこのようなトンネル寄附行為を三年間放置されたということは、いつも柳澤金融大臣が言う、いい天下りと悪い天下りでいえば、悪い天下りになると思いますので、鋭意御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

 終わります。

山口委員長 質疑は終わりました。(発言する者あり)

阿部委員 では、副大臣にお願いします。

山口委員長 村上副大臣。

 質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いをいたします。

村上副大臣 今委員の御指摘のとおり、国家公務員を退職した者の再就職は、職員の経験や能力が活用され、社会全体としての人材活用に資するものと考えております。また、再就職については、累次にわたる閣議決定や国家公務員法の規定に基づき適正に行ってきたところであり、今後とも適正に対処してまいる所存であります。

 以上であります。

阿部委員 財務大臣にもよろしくお伝えください。

 また次回に引き続きやらせていただきます。

     ――――◇―――――

山口委員長 相沢英之君外七名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。提出者相沢英之君。

    ―――――――――――――

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

相沢議員 ただいま議題となりました金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について、提案者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五十三条に規定する金融機関等からの資産の買い取りについては、平成十六年三月三十一日までに金融機関等から資産の買い取りの申し込みがなされた場合に限り行うものとされております。

 最近の金融情勢を見ますと、米国における同時多発テロ事件等の影響もあり、世界経済が同時的に減速しており、株価や景気動向を通じた我が国金融機関への影響が議論されている状況にあります。

 こうした中、先般、経済対策閣僚会議で決定された改革先行プログラムでも示されたとおり、不良債権処理を強化するとともに、他の分野における構造改革をあわせて推進することにより、遅くとも集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題の正常化を図ることとしております。

 本法律案は、こうした考え方に立って、不良債権処理への取り組みについての新たな施策の一つとして、整理回収機構による不良債権の買い取りについて、価格決定方式を弾力化して時価による買い取りを行うとともに、入札への参加を可能とした上、十五年度末までに集中的に実施し、また、買い取った不良債権の処分についても、処分方法の多様化、早期処理等の対応を行うこととするものであります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 まず、整理回収機構による金融機関等からの不良債権の買い取りについては、買い取り価格や買い取り方法についての問題があります。

 具体的には、第一に、いわゆる金融国会における金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の立法時の経緯もあり、現在の買い取り価格は時価よりもさらに低い価格との考え方によっておりますが、このような買い取り価格は低過ぎるとの声が強いことから、買い取り価格決定方式を弾力化し、時価とするものとしております。

 第二に、従来は金融機関等からの申し込みがあった場合において、相対取引による買い取りだけが可能であったところでありますが、入札方法による買い取りを可能とすることによって買取方法を多様化することとしております。不良債権の売却の際、いわゆるバルクセールは入札を通じて行われるのが一般的でありますので、この改正により整理回収機構によるバルクセールへの参加も可能となるものであります。

 また、整理回収機構が買い取った不良債権のその後の処理として、預金保険機構と整理回収機構との特定整理回収協定に、買い取った不良債権の処理に関する規定を新設するものとしております。

 具体的には、買い取った不良債権の処分方法の多様化に努めるとともに、当該債権の性質に応じ、経済情勢、債務者の状況等を考慮し、当該債権の買い取りから可能な限り三年を目途として回収または譲渡その他の処分を行うよう努めるものとしております。

 また、債務者の再生の可能性を早期に見きわめ、その可能性のある債務者については速やかな再生に努めるものとしており、これにより整理回収機構が企業再建に積極的に取り組むこととしております。

 これらの措置により、金融機関等の不良債権の処理の一層の促進が期待されるところであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十八日水曜日午前十時、参考人として株式会社富士銀行頭取山本惠朗君、株式会社三和銀行頭取室町鐘緒君、弁護士椎名麻紗枝君及び獨協大学法学部教授高木新二郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十一分散会




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