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第2号 平成14年1月28日(月曜日)

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平成十四年一月二十八日(月曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 坂本 剛二君
   理事 中野  清君 理事 根本  匠君
   理事 山口 俊一君 理事 山本 幸三君
   理事 海江田万里君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      岩倉 博文君    金子 一義君
      金子 恭之君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    七条  明君
      砂田 圭佑君    竹下  亘君
      竹本 直一君    中村正三郎君
      林  幹雄君    林田  彪君
      増原 義剛君    森岡 正宏君
      山本 明彦君    吉田 幸弘君
      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君
      生方 幸夫君    江崎洋一郎君
      小泉 俊明君    小林 憲司君
      佐藤 観樹君    中川 正春君
      永田 寿康君    長妻  昭君
      上田  勇君    遠藤 和良君
      藤島 正之君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    原  陽子君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      砂田 圭佑君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   杉本 和行君
   政府参考人
   (国税庁次長)      福田  進君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   参考人
   (日本銀行総裁)     速水  優君
   参考人
   (日本道路公団理事)   小笠原常資君
   参考人
   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十八日
 辞任         補欠選任
  七条  明君     林  幹雄君
  林田  彪君     森岡 正宏君
  阿部 知子君     原  陽子君
同日
 辞任         補欠選任
  林  幹雄君     七条  明君
  森岡 正宏君     林田  彪君
  原  陽子君     阿部 知子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――
坂本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君、日本道路公団理事小笠原常資君及び日本政策投資銀行総裁小村武君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として財務省主計局次長杉本和行君、国税庁次長福田進君、法務省刑事局長古田佑紀君及び国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永田寿康君。
永田委員 おはようございます。
 本当に今経済がこんな大変なことになっていて、第二次補正予算が組まれるということで、その関連法案が提出されました。その審議、当然景気の話にも、そしてもちろん、財政だけではなくて、財政と金融は車の両輪ですから金融の話にも及ぶことになると思いますが、ぜひ答弁者の方々、まじめな、そして正直な答弁をお願いしたいと思います。
 さて、昨日私は北海道室蘭市を訪れまして、あの鉄鋼の町、室蘭が大変なことになっているという姿を見てまいりました。日本の中でほとんど一番ひどい経済状況にある北海道、その中でもとりわけ厳しい状況にある室蘭市で、多くの町がシャッターを閉め、そして行き交う人も少ない。あのような状況を見ていると、この小泉船長が先導をしている日本丸は果たして大西洋に堂々と乗り出していくのか、それとも氷山に向かっていくタイタニック号に私たちは乗っているのか、大変心配になります。
 ですから、まずは現在の景気の認識から、景気の認識と申しましょうか、その辺からお伺いをしたいと思います。ぜひ、まず率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。
 失われた十年と言われます。この十年の景気の現状、いろいろな施策を打ってきたにもかかわらず大変厳しいものがあります。この失われた十年の責任、政府の責任、日銀の責任、自民党の責任というものをどのようにお考えなのか、財務大臣、金融担当大臣、そして日銀総裁にもお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。(塩川国務大臣「私ですか」と呼ぶ)もちろん。まだ朝早いとはいえ九時なので、しっかりお願いします。朝早いとはいえ九時なので、そろそろお目覚めをお願いします。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
塩川国務大臣 そうですか。いや、御指名がございましたらお答えさせていただきます。
 おっしゃるように、確かに日本の経済は、シャッターを閉めて商店街が壊滅状態になっているような状態がございます。しかし私は、先生自身もよく御存じのように、この十数年の間に世界の経済情勢、それから技術の革新が起こったにもかかわらず、日本のその対応が非常にスローモーションであったということはお認めになると思っております。
 このことが、やはり政府主導でやっていくべきなのか、あるいは民間がその状況を察知して、民間が主導でやっていくべきかということは、これはいろいろ議論ございましょうけれども、要するに、民主主義国家、自由主義国家においては、政府は余り干渉するなということ、それが原則であったように思いますが、といって、民間がそれに順応する力が弱かったことと、感覚的に鈍かったと思うております。
 そこらに、鈍かった最大の原因は、過去の成功例に酔うておって、財界そのものが右肩上がりをそのままの延長線で考えておった。それが、この対応がおくれ、それがさらに深刻になって現在の状況になってきた。
 やっと数年前、つまり金融機関が壊滅的な状態になりまして、国会が中心となられて金融関係の二法案を成立せられました。私は、これは非常によかったと。これが経済界に大きい警鐘を鳴らして金融の整理が始まって、そこから、本当に日本の企業が改革しなきゃならぬということが思いついてきたと私は思っておりまして、その意味において、国会が果たされた役割というのは私は非常に大きかったと思っております。
 でございますから、意識が転換いたしましてまだ二、三年のことでございますから、これからは思い切って改革が進むであろうと思っております。その改革の道づけを、方向をつけていくのが小泉内閣でございまして、その方向を今示しつつあるのでございまして、これが実を結んでくるのにまだ二、三年の経過が必要であろうと思っておりますけれども、方向として、確かに間違った方向に来ていない、これから改善の方向に向き出してくる、こう信じております。
柳澤国務大臣 私も塩川財務大臣とほぼ同じような考え方をいたしております。
 要するに、八五年のプラザ合意、それから八五年当時バブルが発生をした、そして九〇年ころに総量規制をやって、九一年、九二年でバブルが株価、土地ともに崩壊をする、こういうことの中で、政府は主として財政政策でもってこの落ち込みを何とか防止したいといって相当頑張りまして、九五年、九六年ごろに三、四%の成長を実現するということがありましたけれども、いつまでもそういうことをして財政を傷めるわけにはいかないという橋本内閣の考え方で、そのいわば支えを一時外したわけでございます。結局、それがきっかけになってというわけでは必ずしもないかとも思いますけれども、いずれにせよ、それから今日まで我々の経済というのはゼロの近傍を低迷しているというような状況であることでございます。
 そういう中で、九七年、九八年というところで金融危機が起こりました。これがどうして起こったかということですが、九六年ごろに金融ビッグバンが始まりまして、それとの絡みがあるかといえば、それはそうでもないだろうというふうに私は思っておりまして、バブル崩壊の結果生じた不良債権の処理にやはりおくれをとったということがそのあたりの時期になって一挙に顕在化するというか、そういうことになったというふうに見るべきだろうと思います。
 それ以後、今財務大臣が御指摘になられたように、国会の方で緊急措置法二法を制定していただいて、多かれ少なかれ、法の位置づけというのは若干変遷を経ていますけれども、基本的にその二法の考え方のもとで今不良債権処理の進捗を図っているというのが現在の状況でございまして、私どもとしては、何とか経済構造改革の集中調整期間の終了後にはこの不良債権問題の正常化を図って、不良債権問題の方が経済の足を引っ張るというようなことのない状況を実現させていきたい、このように考えております。
速水参考人 過去十年、どうやってきたかという御質問でございますが、過去十年というのは、やはり、ベルリンの壁が崩れて、グローバリゼーションというものができてきて、東西南北の市場が一つになって、競争力、市場原理で動くということになってきたわけでございます。アメリカ、イギリスはその間、やはり財政もよくなり、経済も伸びてきた。日本は、たまたまバブルのはじけが八〇年代の終わりから始まって、九〇年代、バブルはじけに対応していく金利の低下が進んでいったといったようなことで、この十年はそれをそのまま引き継いで、景気をよくするために、九五年に既に公定歩合は〇・五%に下がっておりましたけれども、それが一層、緩和、緩和ということでここまで来ておるわけでございます。
 その間、構造改革が大切だということは、私も財界におりましたけれども、かなり強い声で言ってきたつもりでございますが、そちらよりもやはり景気をよくしていくということの方が先行するといったようなことで、金融の面でもそうでございますが、いわゆる必要な構造改革、市場原理、競争原理で進めていくという経済が実現するのがおくれてきていることは確かだと思います。小泉内閣になって、これを何とか早く実現しようといって動き始めているのが現状だと思います。
 その間に、金融の面でも、いわゆる長く続いた護送船団方式というもので銀行の方がかなり甘い経営をしてきてここまで来た。それができなくなってきた。ビッグバンもあって、海外からもどんどん金融機関が出てくる、それから、日本は千四百兆円もの家計の預貯金を持っていながら、専らそれが間接金融、銀行経由で使われている、あるいは郵便貯金経由で使われているといったようなことが多かったというようなことを、ここへ来て、もう少し競争原理を入れていかなければどうにもならない。それと同時に、バブルはじけで起こった資産価値の下落といったようなものが重なって、銀行にとっては非常に厳しいここ数年であったというふうに思っております。
 そういうものをこの機会に、不良貸し出しの償却ということから始まって、銀行がもう少し積極的に貸し出しをしていくというようなふうになっていけばいいがということで、私どもも随分金融の緩和を進めてきておるわけでございますけれども、専ら短期金融市場が緩んでいくということであって、銀行がそれを使って貸し出しを伸ばしていく、民間の需要を起こしていくというところまでまだいっていないというのが現状ではないかと思います。その辺のところをこれから極力進めていくことが必要だと思います。
 そのためにはやはり構造改革が、一つ一つ、掲げたプログラムを実行に移していって、民間の需要を引き出していくということが大切だというふうに思います。私どもも、金融サイドからそれを支援してまいりたいというふうに考えております。
永田委員 答弁者の方にぜひお願いをしたいのです。たびたびのお願いで済みませんが、できるだけ端的にお願いします。というのは、私が質問したのは、失われた十年について、自民党そして政府、それから日銀の責任はどうかという質問をしたのであって、正直言って我々も素人ではありませんから、過去の経緯は大体わかっているのですよ。ですから、経緯はできるだけ省いて、質問に端的にお答えをいただきたいと思います。ちょっと失礼なお願いですが、貴重な時間ですので、ぜひお願いします。
 ところで、今の答弁の中で、財務大臣と金融担当大臣のお話に、私の質問に答えているかどうかという部分で大体要約をしますと、つまり、自民党には責任はない、そして政府にも責任はない。出てきたのは、円高の影響があったとか、あるいは過去の成功に惑わされていて民間企業が競争を怠っていたとか、あるいは技術革新に対して日本の対応がスローであったとか、あるいは政府はできるだけ干渉するなという、経済あるいは経済活動に対して干渉するなということもあったというようなことから、政府や自民党に責任はない、このようなお答えですね。
 日銀は、日銀総裁はたった一つだけ指摘をしています。護送船団方式という政策をとっていたがために、銀行経営者の意識が大変甘くて、そこにある種、モラルハザードみたいなものが発生していた。これは政府の対応を指摘するものでありますから、日銀の側からは、やはり護送船団方式を長く続けたことは誤りであったという指摘があったというふうに私は理解します。
 今、大体私の質問の趣旨がようやくわかってきたと思うので、もう一度、自民党の責任があるのかないのかということだけ、もしもあるとお考えだったら御答弁をお願いします。なければこのまま質問を続けます。
塩川国務大臣 自民党の責任とおっしゃいますけれども、政府を組閣しておりますのは自民党でございます。ところで、民主主義社会でございますから、やはり政治は自民党に任そうという民意が働いて政権を担当してきたものでございまして、でございますから、自民党は全く責任ないとか、政府が責任ないとかいうことは申しません。けれども、先ほど申しましたように、できるだけ政府は関与するなということが高度経済成長時代の国民的意見ではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。
 そういたしますならば、あながちこれが政府の責任だというのではなくして、やはり政権を担当する、政権を選んでいただいておる国民の投票意識がそこに、やはり一番安定した経済成長をとっておる自民党に集中しておったということが、これは否定することはできないのではないかと思っております。ですから私は、責任を決して回避するものではございませんけれども、国民の意向に沿ってやったことが結果としてこうなったことでございまして、それを修正しようというのもまた政治でございますから、今その修正を一生懸命やっておるということでございます。
 したがって、民間の方が何としてもこれに順応したものにしていただかなければならぬ。民間がこれを自分で改革しようと意識を転換してきたのはつい二、三年前です。それ以来、民間の、再編成を行うとかなんとか、協力をするとかやってまいります。それまでぼやっとしておったことがおくれてきた原因であると私は思っております。
永田委員 ここまで民主主義を履き違えた方が大臣をやっておられるということに愕然とせざるを得ない答弁であります。
 いいですか。ここ数年、失われた十年全部と言っても過言ではないですが、毎年十数兆円、国の借金がふえています。十数兆円国の借金がふえているということは、十数兆円使っているということです、平均して。ということは、国民一人当たり毎年十二万円くらい、つまり毎月一万円くらい政府の予算が、借金がふえている。つまり、政府はそれだけ国民に、ある種、次の世代にたかりながら、ばらまきをしている、こういうことですね。
 国民一人当たり毎月一万円、老若男女全員に配っていいのだったら、政権の維持なんていうのは猿でもできます。こんなものは、民意を吸収しているなんていうおごりをそこで吐かれるというのは、私は愕然とせざるを得ない。そこが自民党の責任なのですよ。認識はいかがですか。
塩川国務大臣 物の見方というものを、さいころでもそうでして、一から見るか六で見るか、裏表のことでございますから、見方によってはそういうことも言えると思います。
永田委員 消極的ながら責任をお認めになっていただいたものと理解をいたします。
 これからは、そのようなばらまき財政というものはぜひやめていただきたい。そして、今回の補正予算も大変なインチキ財源を使ってやっているものですから、そこのところの認識も改めていただきたい。
 私が、財務省の本当に私の尊敬申し上げる先輩から説明を受けたところによりますと、今回の補正予算の財源はNTT株の売却益を充てる、これはおおむね五年程度かけて返済をされる無利子貸し付けの制度を利用している、こういうふうな認識に立っています。
 では、これ、どういうふうに返済するの、将来、五年後国債を発行することになるんじゃないのというふうに私が申したら、それは五年後にはもう少し財政状況がよくなっているかもしれないと。これはこの間の予算委員会の答弁でもあった話です。
 どうも財務省初め政府は、みんな一丸となって、五年後にひょっとしたら景気がよくなっているかもしれない、そのときには国債を発行しなくても償還できるかもしれない、このような淡い期待に従って今回の補正予算を組んでいるというような認識があります。
 しかし、私の友人にとてつもなく手のつけられない酒飲みがいます。借金を積み重ねて酒を飲み続ける、もうとんでもない男でした。しかし彼は、最後の一線、借金を返すために積み立てているお金だけは手をつけなかった。そこだけは酒を飲むためには手をつけなかったんですよ。おかげで今はちゃんと更生しています。
 はっきり言って今の政府の補正予算の組み方は、飲んだくれのどうしようもない男にも劣る、子供のクレジットカードで買い物をするような、そういう認識に立っている予算だと指摘をせざるを得ない。もしも私の認識に違いがあれば教えてください。これは将来、国債を発行せずに、増発せずに償還する見込みはあるんでしょうか。お答えください。
塩川国務大臣 私たちも国債発行を、安易に発行を続けてやっていこうとは思っておりませんし、できるだけ抑制してやっていこうという方針は、これは認めていただけると思っております。
 でございますから、そういう国債償還に心配のないようにするためにも、できるだけ速やかにプライマリーバランスをとっていくように鋭意努力していく以外に方法はないだろうと。その設定を一応二〇一〇年ということにいたしまして、これからの計画を組んでいきたいと思っております。
永田委員 問題は、国債の三十兆円枠ではないんですよ。国債発行枠を三十兆円にするということが問題なんじゃなくて、財政再建を進めるということが問題なんですよね。そこに抜け道をつくって、この間は決算剰余金を財源にした第一次補正予算を組み、そして第二次補正予算ではこうしてNTT株の売却益というへそくりを使ってやる。これはもう柳澤大臣もお認めになっているお話ですよね。
 このようなやり方が将来にツケを残すものであること、これはもう明らかだと思います。ですから、そこのところの認識は違っていないと。違っているんですかと聞いたら、違っていない。違っていないというか、違っていると言わなかったので違っていないという認識に立っていきたいと思いますが、しかし、この小泉政権の言葉の軽さというものも、やはり指摘せざるを得ませんね。
 つまり、国債三十兆円枠を守ると言いながら、しかしそうではない財源をひねり出してきて将来にツケを残そうとする。これでは、国民にとっては財政再建路線が進んでいるのか進んでいないのか非常にわかりにくいんですね。
 あるいは、これは前の内閣ですけれども、宮澤さんがまだ大蔵大臣だったころ、あのころ、補正予算を組まないと四月に言ったにもかかわらず、もう秋口には補正予算を組んでいるわけですよ。
 あるいは今回の第二次補正予算のときにも、第一次補正予算が組み終わったときに、今は第二次補正予算は考えていない、しかし大胆かつ柔軟な手だても講じていかなければならないと。これでは、今はという限定をつけたから、その発言の二、三日後には補正予算を組んでもいいとか、あるいは大胆かつ柔軟な対応とはすなわち補正予算も含むものであるとか、そのような解釈をするのであれば、言葉は極めて軽いと言わざるを得ないわけですね。
 そのような、国民にとってわかりにくい、すなわち、自民党の内部に対しては補正予算は組むんだよともとれるような発言をし、そして国民に対しては財政再建路線が進んでいるんだよとええかっこしいをする、このような姿勢はまことにわかりにくい。ですから、もう少し言葉を大切にしていただきたいというふうに思うわけであります。
 言葉を大切にする上で、昨今問題になっているのはペイオフの解禁ですね。この間の予算委員会の審議でも、ペイオフは解禁するんだ、しかし金融にシステミックリスクが発生しそうなときには、そのときには預金保険の発動も考える、預金を全額保護することもあり得るんだ、こういうような発言でした。これでは、国民にとって預金が安全なものなのか危険なものなのかわからないんですよ。
 ペイオフが制度として解禁されるかどうかはどっちでもいいんです、国民にとっては。問題は、預金が保護されるのかされないのか、ペイオフを解禁しても抜け穴を使って保護するんだよというのかどうか、そこをはっきりさせていただきたいのですけれども、言葉を大切にしながらの答弁、お願いします。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
柳澤国務大臣 端的にお答え申し上げますけれども、ペイオフ、つまり預金は保険の範囲内で保証される、それ以上のところについては破綻金融機関の傷の深さに応じて預金もまた損失補てんの負担を負う、こういうことがペイオフでございまして、こういう制度のもとに私どもは来る四月から置かれることになる、こういうことでございます。
 しかし、金融というのは、やはり信用秩序と申しますか、システムの安定性というものは何物にもかえがたい、私どもが守らなければならない一つの価値のもとにある制度でございます。したがって、そういうシステミックリスクと申しますか信用秩序に重大な支障が生ずるようなときには、これはまた、より大きな大義というか価値のために、我々が今定めている金融危機対応の三つの手段であるとか、あるいは日本銀行の特融であるとかいうような緊急措置を講じなければならない。そういうものをセーフティーネットとして我々は預金保険法のもとで持っているということでございまして、したがって、この法の運用を適正に行えば、そうした事態が起こったときには預金の全額保護もその一環として行われることになる、そういうことを申し上げているわけで、それ以上でもそれ以下でもない、こういうことです。
永田委員 国民が知りたいのは制度の概要ではないんですね。政府の方針として金融のシステミックリスクを回避したいということも再三説明されているので、それは私どもも、そして国民も知っています。それを繰り返す必要は正直言ってありません。
 私たちが聞きたいのは、では今の話を国民の視点から立って要約すると、金融にシステミックリスクを及ぼさないような金融機関の破綻は預金は保護されない可能性があるけれども、金融にシステミックリスクが発生するような大きな金融機関の破綻には、それは政府はもうなりふり構わず、預金の保護も含めて乗り出していくんだ、こういう、金融機関の規模あるいはその性質に応じた、事柄の大きさに従って判断する、こういうようなことでよろしいのですか。
柳澤国務大臣 どういうことが起こって、それが金融のシステムを危殆に落とすかということは、すべての場合を想定するということは困難でありますし、また、そのことをあらかじめ具体的に示しておくということは適切でないということ、かねて申し上げているとおりです。
 したがって、私どもは、そういうリスクが認められた場合にこれを発動するということを言っておるわけでございまして、あらかじめ予定を立てて、例えば大か小か、あるいは業態的にどういうものかというようなことを申し上げておくわけにはいかないということについて御理解をお願いしたい、こう従来から申し上げているところです。
永田委員 では、あらかじめ要件を定めておくことは難しいという話なので、過去にさかのぼってお伺いしたいと思います。
 永代信用組合とかあるいは石川銀行、福島銀行などなど、破綻した金融機関がたくさんあります。一方で、破綻を回避するために公的資金を注入した大銀行もあります。ここには、金融庁として、破綻処理をするのかそれとも公的資金を注入するのかという部分において、金融システミックリスクの観点からの判断があったんですか、なかったんですか。
柳澤国務大臣 これはもう金融再生法を適用しているわけで、あるいはまた金融機能早期健全化法を適用しているわけで、それぞれについてケース・バイ・ケースで判断をしている、こういうことでございます。
永田委員 では、国民の側から見れば、公的資金を注入されるぐらい、あれぐらい大きな銀行は政府はつぶさないで公的資金を注入してくれるけれども、既に破綻しているような金融機関の、あのぐらいのレベルの規模であれば、ひとつ政府は少なくとも規模の観点からは乗り出してくるような、そこに公的資金を入れたり、あるいはペイオフ、将来ペイオフが解禁されたときにどうなるかということは、あそこまで小さな金融機関であれば、恐らく政府はそこまで過度な保護には至らないであろう、そういうふうに判断してもよろしいわけですね。
柳澤国務大臣 今は、今委員が指摘をされた、つい最近破綻した信用組合についても預金の全額保護が行われているわけでございますので、それは今の有効な法律を適用してそういう措置をとっているということです。今度は、またそれよりも違う制度のもとに置かれるということを申し上げているわけです。
永田委員 本当に金融機関が、毎週のように中小の金融機関が破綻しているので、私たちも、いつこれがもう少し大きな規模に移るのかな、大きな規模の金融機関に来るのかなということは心配をしておるわけですが、大手銀行は公的資金の注入を受けています。もう一回いつこのような公的資金の注入が起こるのか、あるいは優先株の配当ができなくなるような事態が発生するのではないかと、マーケットや預金者は常にそこを見ています。
 私が特に指摘をしたいのは、仮に、公的資金が注入されたりあるいは優先株の配当が行われないとすると、これは大手銀行も事実上国有化されてしまうわけですよね。しかし、この国有化された銀行が大量に国債を保有しているわけですよ。これは、国有化された場合には、国有化された銀行が国債を保有しているというのは大変異常な事態だと思いますけれども、どのように対処されるつもりですか。
村田副大臣 国有化されている銀行とおっしゃいましたが、国有化されているわけではございませんので、現状について申し上げたいというふうに思っております。
 御指摘のとおり、国内銀行全体でいいますと、最近の国債保有残高は、十三年の四月時点の七十九兆円がピークで、その後漸減いたしまして、十一月には六十七兆円まで減少しているわけでございます。各銀行において、適切なリスク管理のもとにそうした国債の保有も、あるいはその残存期間をどうするかということにつきましても、適切なリスク管理のもとにその保有が行われているというふうに考えております。
永田委員 質問にちゃんと答えていただきたいんですけれども。
 将来国有化されるかもしれないというようなことを私たちは大変心配しているんですよ。それは国民も心配しているし、国会議員も心配している。そこで、国有化されたときに、国有化された銀行が保有している国債というのはどうなるのかということを質問しているんであって、現状どうなっているかということを聞いているんじゃないので、質問にはちゃんと答えてくださいね。もしも国有化されたらどうなるんですか。
柳澤国務大臣 どうなるかと、永田委員がどういう問題意識を持っているのかもちょっと判然としないんですけれども、そのこと自体でいえば、例えば財務省が管轄している資金運用部、これだって国債をたくさん持っていますね。ですから、それ自体について何か問題があるかといえば、それは、それぞれ個々に適切にリスク管理等をやっていれば問題が別段ないわけであって、しかもこの場合には、まあ国有化というのは少なくとも私ども何とか避けたい、また、あるべきでないという立場ですけれども、仮にそういうことが、そういうことがということを言うこと自体語弊がありますが、仮に仮定の問題としてそういうことが起こっても、事後的に起こっているわけですね。事後的に起こっているわけです。
 それで、それについて何を具体の問題として問題にされているかということがちょっと判然としませんので、お答えはこの程度にさせておいていただきます。
永田委員 要するに、政府の管理下にある主体が国債を大量に持つということの不健全性を指摘しているわけですよ。別に、僕は、資金運用部がたくさん国債を買っていることが健全だとは全然思いません。日銀が国債を買っていることも、大変不健全なことだと思います。各種の特殊法人が、日銀を除く特殊法人が国債を買っていることも、僕は大変不健全なことだと思います。そういうふうに政府管理主体が国債を持っている。
 しかも、銀行を国有化すれば、一行当たり十数兆円というとてつもない国債の保有、これが政府の管理下に置かれることになるわけですよ。それを売却するのも、あるいは買い増すのも政府の意のまま。しかも使うのは、一応、郵便貯金でもない、民間銀行に預けているつもりの、国民が預金しているお金なわけですよ。それを使って政府が国債を、政府が関与している主体が国債を買うということが不健全だとお考えにならないのか。もう一度御答弁をお願いします。
柳澤国務大臣 その機関にとって不健全なのか、国債管理政策として不健全なのか、両面ありますね。(永田委員「後者です」と呼ぶ)後者でしょう。後者は、私は答弁する立場にありません。
永田委員 答弁する立場にないというか、やはり――財務大臣、では御答弁いただけますか。
塩川国務大臣 それは仮定のことをおっしゃっても、私たちには、これをどうするということは今お答えを申し上げられぬと思っております。
 でございますから、現実にそういうことが起こらぬような事態を極力我々努力すべきだと思っておりますし、小泉総理も、金融破綻は起こさせないんだ、そのためにはあらゆる手段を講じてやるんだと言っていることを、我々はそれを率直に実行していきたいと思っております。
永田委員 財務大臣、金融破綻は起こさせないんだと。そのために銀行に、大手行に資本注入を、再注入することも可能性としては否定しないというのが従来の答弁じゃないですか。だから、その可能性を考えているわけですよ。
 再注入をすると国有化される。国有化された銀行が国債を持っていることが国債管理政策上不適切だと考えれば、マーケットに大量の国債が出てくるわけですよ。そのことを、マーケットは真剣に考えて織り込まなきゃいけないんですね、今から。大手銀行の破綻の可能性、そして公的資金の再注入の可能性、そしてマーケットに大量の国債が再度売却される可能性、このようなものを全部加味してマーケットというのは形成されるんですよ。
 ですから、金融破綻を起こさせないということが小泉政権の金科玉条であるならば、そのために公的資金を注入することも可能性も排除しないというのが従来からの政府のスタンスであるならば、そうなったときに国債がマーケットに出てくるのかどうか、ちゃんと答弁するのは政府の責任ですよ。それを答弁できないなんというのは断じて許せないので、ぜひここで答弁をお願いします。
塩川国務大臣 そういう事態が起こることは我々は極力避けるということを言っておるのですが、それを信用しないで、そうなるという断定のもとで今議論をしている。
 そうなった場合にどうするのかということでございますが、そういうことになった場合に、国債の処理の問題等も当然問題になるであろうと思っておりますけれども、そういう処理の一つの方法として、金融の破綻を回避するためにはいろいろな方法、公的資金の注入もございましょう。そのときには、その国債の問題に対するどういう考え方をということを政府としては出すであろうと思っておりますけれども、今はまだそんな状態に金融機関がない。要するに、合併をするとかあるいは強化対策をそれぞれが講じて金融破綻を、必死になって努力しておられますし、また金融情勢も、最近体質が非常に強化してまいりましたので、そういう問題が私は少しは遠ざかってきておるように思います。
 しかし、まだ依然として、つまり協同組織的な組合や金融機関において若干不安なところはございますけれども、一般金融機関を見ておりまして、私は所管事項ではございませんけれども、非常に健全化してきておるし、またそういうものがあった場合には、お互いに共助し合って、一つの強化対策というものも講じておりますので、政府が直接国有化していくということは、私は余り考えられない事態ではないかと思っておりますし、もしそういうことになる、もしなった場合には、公的資金をつぎ込み、さらに国有化の方向に持っていくということになれば、国債の問題はそのときになって適宜処理することを検討し、決定していきたいと思っております。
永田委員 適宜検討するということは、それはすなわち、政府が管理している民間銀行、これが国債を保有することは不健全だという判断をする可能性も排除されない、あるいはそのまま持ち続ける可能性もある、そういう範囲で検討をされるということでよろしいですか、理解は。
塩川国務大臣 それは全く未定のことでございますから、議論は、私は回避させていただきます。
永田委員 本当に限られた時間ですから、一たんはここで切りたいと思いますけれども、しかし、この程度の説明責任も果たせないようでは、マーケット関係者は怖くて怖くて国債なんて持てないと思いますよ。そのこと自体が、つまり、銀行が国有化されたら十数兆円の国債がマーケットに出てくる、そしてそれが連鎖的に国債の価格の下落を招き、そしてほかの銀行の資産内容を悪化させる、このような連鎖的な現象も起こしかねないというようなスタンスを政府がとるのであれば、マーケットは大変厳しくこれを織り込んでいくと思いますよ。責任ある答弁をちゃんとしないとマーケットは本当に大変なことになりますから、ぜひ気をつけていただきたいと思います。
 さて、次のお話に移りたいのですけれども、日銀は量的緩和を続けています。その効果が大変薄くなっているのは、皆さん、各種の指標で御存じだと思いますが、そろそろ量的緩和も限界に来ているのではないかという指摘がありますが、日銀総裁はそこについてどのように認識をお持ちでしょうか。
速水参考人 日本銀行が、この金融緩和策、金融市場においては今強力な効果を発揮していると思うのですけれども、先ほど申し上げましたように、銀行貸し出しは引き続き減少を続けているわけですね。いわゆるマネタリーベースという私どもの方から出す資金は、この一年を見ても、前年比一六%ぐらい増加して出しているのですが、銀行の貸し出しはむしろマイナスである、マネーサプライも三%前後である。先ほどおっしゃったように、国債投資にかなり向かっているというようなこともあるわけですが、こうやって金融緩和を進めていく意味がないのに、なお金融をもっと緩和しろ、緩和しろといって緩和しているのはどういうことなのかという御質問ではないかと思います。
 それに対して私どもは、前から申しておりますことは、やはり基本的には民間の需要が引き出されてこなければ景気というのはよくならない。それをやるために、やはり構造改革というのが大事なんだということなんですね。
 それは、資金を今潤沢に市場に供給することによって、金融市場はむしろじゃぶじゃぶという感じになっていて、それを銀行の貸し出しに使って、その資金を引き出していく銀行の機能というのが、今のところ活発に動いていないというところに問題があるわけで、それを引き出すためには、やはり一つ一つの規制を緩和し、競争を激化し、そして、かつての、とにかく金さえ集まれば銀行はもうかっていくんだといったような考え方が変わっていかないといけないわけなんですね。借りる企業の方も、銀行に対して借りるのか、あるいは自分で社債を出して資金を調達するのか、そういった競争関係ができてきて初めて物に対するファイナンシングというのが市場原理で動くようになっていくんだと思うのです。
 そういうことを私ども大きな目標に置いて、今資金量を出しているわけですが、幸いにして小泉内閣がこうやって、テロで少し、二、三カ月おくれたのは残念でしたけれども、構造改革の具体的なことをかなりもう積み上げてきておられますし、これからやる特殊法人の整理とか、あるいは規制の緩和、撤廃とか、単なる補助金的なものをやめて競争原理に戻していくといったようなことが実現していくときに、そしてまた、アジア関係で非常に競争力のある産業が興ってきて、日本の企業がそちらへ出ていって、あいたところで新しい付加価値の高い産業を興そうといったような動きが出始めているわけなんで、そういうものをうまく育てていけば、民間の資金需要というのは出てくると思うのですね。それを待っているという形で、私どもの方がむしろ先行して資金を出させていただいて、構造改革を後ろから支援させていただきたい、そういう目的で出してきているのです。
 そういうことですから、構造改革が一つ一つ実現していって、民間の需要、設備投資にしても消費にしても、新しい仕事ができていくということが、銀行の貸し出し機能を発揮するようになってくるんだ、そういう動きが今起こりつつあるのだというふうに思っております。
 銀行も、先般来、非常に貸し出しの効率化といったようなことを始めております。それに対しても、いろいろ反対もあると思いますけれども、とにかく銀行は稼がなければ、不良貸し出しを整理することも、あるいは銀行の株価を上げていくことも、あるいは自己資本をふやしていくこともできないわけですから、そういうことを今銀行に期待しながら資金を潤沢に出しているというのが現状なんです。
 いずれにしましても、経済、産業面での構造改革などを通じて、家計や企業あるいは金融機関の前向きな活動が引き出されてくれば、日本銀行の金融緩和も強力な効果を発揮することができると思っております。それがこれからの私どもの期待なんです。
永田委員 では、日銀はもう量的緩和は目いっぱいやった、やれるだけのことはやった、後は小泉政権が火をつける経済構造改革、そこに期待をするんだというお話ですから、経済構造改革のお話をお伺いしたいと思います。
 小泉総理が発言したところによると、青木建設の破綻は、これは構造改革の進展のあらわれであるというようなお話があったようですが、財務大臣や金融担当大臣も同じ気持ちですか。
柳澤国務大臣 市場でのその企業の評価、こういうものが一方にあり、また企業そのものにも、それに適合したような財務あるいは業務、こうしたようなことでの状況があるということ、これをいつまでも放置しておくということは構造改革の趣旨に反するわけです。こうしたものはしっかりと、いいところ、悪いところを切り分けて、いいところだけを残して発展を期していく、悪いところについてはその処理をして、それぞれの関係者が負担をしてその処理を終えていく。こういうことが構造改革の一環でもあるということで、私ども、今、不良債権の処理というようなことに当たっても、そうしたことを念頭に置いて進めている、こういうことです。
永田委員 財務大臣も、青木建設の破綻は構造改革のあらわれであるという総理の考え方に同じ気持ちであるのかどうか、教えていただきたいと思います。
塩川国務大臣 私は、やはりそれは一歩前進だったと思っております。
 やはり、随分と金融機関と双方が検討されたのでありましょうけれども、企業との間でそういう話し合いがついて整理に進んだということは、一歩前進だったと思います。
永田委員 金融大臣の答弁では、市場の評価もこれあり、あるいは経営内容などを見ても、マーケットから出ていくべき企業が出てきてしまうというか、そこを切り分けなければいけないというのは、これは当然であると。一歩前進であるというのは、財務大臣も同じ答弁でありました。
 では、ダイエーはどうなんですか。ダイエーが経営が破綻しそうになった、これは事実ですね。再建に向けて今歩みを進めているところではありますが、破綻しそうになった。破綻しそうになったというこの事実は、当然マーケットの評価というものもあったわけですね。この辺は、構造改革の進展によってダイエーが破綻しそうになったというふうに理解してよろしいんですか。
柳澤国務大臣 これは、ダイエーが破綻しそうになったことが構造改革の進展ではなくて、ダイエーがマーケットからも厳しく見られる、それから自分自身もその財務等について、いろいろリエンジニアリングというか改革をする必要があるということで今回のような処理が関係者の間で行われたということですので、まだ終わっているわけではなくて、今委員御指摘のとおりの段階にあるわけですけれども、そうしたことは構造改革の進捗であるというふうに認識してよろしいかと思います。
永田委員 よくわからないんですね。マーケットからの評価も低かった、あるいは金融機関との話し合いもそれなりについていた青木建設、これは黒字だったんですね、債権放棄もしてもらって。こういう企業がマーケットから出ていく一方で、ダイエーの方はあのような形で再建策がまとめられて、それで、その方向で努力をしていくということは、これは構造改革の進展であるという、全然違う方向に走っているものに対して両方とも構造改革の進展であるとくくったって、国民にはさっぱりわからないんですけれども、もう少しわかりやすく説明してください。
柳澤国務大臣 いえ、そういうことではなくて、両方とも共通なことが、マーケットの評価も厳しかった、それから、それぞれの企業の経営者にとって自分たちの問題もそれなりに認識していた、こういうことだと私は思うわけです。片方は法的に処理し、片方は任意的というか私的に整理された、こういうことで、双方ともに、構造改革の進展という意味ではそういうふうに認識して差し支えないだろうということを申し上げているわけです。
永田委員 話が矛盾しているんですね。マーケットの評価が厳しかった、そして、経営者も自分の問題として責任をしっかり認識していた、これが構造改革のあらわれなのであって、その結果、法的処理をされようが、あるいは金融機関からの支援を受けて再建に歩み出そうが、それは余り関係ないことだ、そういうふうにおっしゃる。しかし総理は、青木建設が破綻したのを見て、これが構造改革の進展だと言ったんですよ。全然話が違うじゃないですか。どういうことなんですか、これは。
柳澤国務大臣 ちょっと永田委員のポイントがよくわからないんですけれども、青木建設の場合には、民事再生を経営者が申請したわけですね。それから、ダイエーの場合には、銀行に対してそういう申請が行われたわけですね。双方ともねらっているところは、自分の悪いところを整理していいところを残そう、こういうことでありまして、それはそれなりに、我々は構造改革の進展と考えているんだということでよろしいのではないかと思います。
永田委員 その程度の認識なのか、もう話が本当に長いのであれですけれども、ちょっと中途半端ですが、次に移ります。
 この十年……(発言する者あり)やりたいんですけれども、もう少し大事なことも聞いておきたいんですね。これは次の話も続けなきゃいけないので。
 この十年、手形信用、民間企業同士の信用であるところの手形の割引、これは枚数も金額も激減をしています。つまり、金額ベースでは、一九九〇年に年間五千兆円ぐらいあったものが、これが昨年は一千兆円程度まで八〇%減、実に四千兆円の信用収縮が起こっています。
 これは大変深刻な事態だと思いますけれども、本当は経済産業省の担当大臣にお伺いするのがよろしいんでしょうが、しかし民間信用というのは、これは銀行あるいは政府の信用とも大変密接にかかわるお話ですので、ぜひこれに対する、まず感想から始めていただきたいと思います。金融担当大臣でも財務大臣でも構いませんが、何かこれについて。当然目配りはしていると思いますが、この辺についても。
柳澤国務大臣 これは当初は、私の記憶では、やはりみんな手形を好まない、何となれば印紙税がそれだけ余分な負担になるから、手形は何というか避けたいねというような話が、非常に初期のころ私は耳にして、ちょっと考えなきゃいけないなということを考えたことがあります。
 それから、最近のことでいいますと、ある研究者が、これは経済産業省の研究機関の研究者ですけれども、企業間信用の収縮というのが不良債権問題の一つの悪い影響である、こういう研究論文を出したわけです。何か賞までとられたということを聞いていますけれども。
 私もこの点は、不良債権が実体経済に及ぼす悪影響の一つということでよく言われますので、本当にそういうことが計量的、定量的に結果として出ているかということについては、私なりの関心を実は払っているわけですけれども、ある高名な先生に聞いたところでは、定量的にはそういうことは論証できないということを言われましたし、また、ある民間研究所の研究の結果では、そういう不良債権問題よりも、今委員も御指摘になられたように、早いころから始まっておって、むしろ実体経済の側の低迷、不振、こういうものが企業間信用の縮小と相関関係が強いというようなことも聞いておりまして、現在のところ、私はそのあたりの情報をもとにいろいろ注意深くこれを見ている、こういう状況です。
永田委員 これは別に印紙税があるから企業間信用が収縮しているんじゃないんですよ。これは、あの企業に手形で物を納入すると倒産したときに取りつけができないから、回収ができないから、だから現金決済にしてもらおう、そういう気持ちが働いているというのは、これは明々白々ですよ。私が地元の商店街を回ったって、どこを回ったって、みんな現金決済を迫られて困っているというところは本当にいっぱいあるんですね。ですから、まずそういう認識を持っていただきたい。
 そして、なぜ現金決済を迫られるようになっているのか。ここの認識が、当然倒産リスクというものをそれぞれの取引企業が感じているということではありましょうけれども、しかし、ここに金融庁の責任というものをもう少しちゃんと認識していただきたいんですね。
 すなわち、不良債権処理をやるやるともう何年も言っているわけですよ。やるやると言っても一向にそれが進まない。進まないのは新たな不良債権が発生するからこれは仕方がないという話はありますけれども、しかし、ずうっと不良債権処理をやるよ、法的処理も直接処理もこれも大事なことなんだよというふうに言い続けると、実際に経済活動をしている企業は、あそこが次倒産するかもしれない、来月には倒産するかもしれないといううわさが流れていると、もう手形なんてとても受け取れないというふうなことにおびえながら経済活動をやらなきゃいけない。それは金融庁発の、実は金融庁が発端となっている風評被害なんですよ。
 あの数年前の金融危機のときに金融再生法が成立し、そして公的資金を思い切り注入するんだ、これで不良債権処理を一括してやるんだというような意気込みがあったにもかかわらず、そこが中途半端に終わったがために、何年も何年も、法的処理も直接処理も含む形で不良債権処理をやるんだよと金融庁はテレビ、マスコミを使って言い続けたわけですよ。おかげで、あの企業はあしたにも倒産するかもしれないといううわさがちまたに流れ、そして企業間信用が収縮する、こういう因果関係になっているという認識をぜひ持っていただきたいんですけれども、反論があったらお聞かせください。
柳澤国務大臣 別に反論というほどではないんですけれども、今委員が言われた、あそこが倒産するかもしれないから決済期間を短くしよう、現金取引にしよう、これはまさに、私が言った方の不況の問題なんですね。不況の問題。
 それで、ディスオーガナイゼーション、要するに企業間信用の収縮という、ディスオーガナイゼーションという状況が何で起こったかと。話題になった論文で言われているところは、私の理解では、つまり、不良債権をたくさん持っている状況での金融機関の立場というのは、企業に対して非常に強いというんですね。生殺与奪の権を金融が持っちゃっている。そこで、金融機関のいわば存念いかんで企業がつぶれてしまう、企業の実態よりも金融機関の意向でもって簡単につぶれてしまう。そういうようなことで、民間同士では非常に注意深くなって、手形のサイトを短くしたり現金決済にしたりする。こういうことだというのがディスオーガナイゼーションの論ずるところだ、論旨である、私はそのように思っているんです。
 今、委員がおっしゃられた、不良債権の処理を我々が今言っているような形で進めるということを言ったのは、私、昨年の一月からなんです。そのディスオーガナイゼーションという現象ははるかその前から起こっているということからいって、私どもは、やはりこの事態というのを正確に見て、そして実際に私も学者さんに聞いているわけですね。それは、先ほどちょっと申したような状況で、定量的にこれを実証するデータはないんではないだろうか、こういうことを言われておるということでございまして、御参考までに、反論ではありませんが御参考までに申させていただきます。
永田委員 最近のこの企業間信用の収縮が不況の問題だというふうにおっしゃられ、そして金融庁発の風評被害という話では当たらない、恐らく言外にそういうふうにおっしゃったんだと思います。
 しかし、この認識はやはり金融庁、改めていただかなきゃ困りますよ。世間では、不良債権処理をやるならやっていただいてもいいんですよ、公的資金を入れてもいいんですけれども、しかし、それがちゃんと終わったという確証が欲しいんですね。それがなければとてもとても手形で取引なんてやっていられないというケースは多々あるので、それははるか前から起こっているかもしれませんけれども、だけれども、これは実際、今もうこの不況に拍車をかけている一つの原因にもなっているんですね。
 ですから、金融庁発のこの風評被害というものをぜひとめるように、しっかりとした不良債権処理をやって早期に、もうこれで終わったんだ、普通の企業は普通に倒産せずにやっていけるんだというような認識を世間に持たれるような、そういう安定した金融政策の運営をやっていただかなければまた困りますよね。
 あと二分ぐらいあるので、最後に一言だけ聞いておきたいんですが、地銀の再建に自治体が公的資金を入れている、要するに地方政府のお金を入れているというケースが見られるんですが、これ、政府がやる場合に比べて余りにも安易に入っていて、経営者の責任も大して問われませんし、倒産したときのリスク管理もちょっと甘いんじゃないのかなというふうに思うんです。地方自治体が入れる場合というのはもう少し厳しくやるべきだと思うんですけれども、政府の認識としてはいかがですか。ちょっと質問通告ないんですけれども、雑感で、よかったら教えてください。
柳澤国務大臣 私は、地方の自治体というのは、その地方の住民の生活、それから経済活動、産業、こうしたものに無関心でいいわけがない、こういうように思っています。したがって、そういう観点から、地域銀行、地域の金融機関、こういうものが地域の産業と密接な関連を持っているだけに、地域銀行の帰趨というものに対して地方公共団体は無関心ではいられない、このように思います。
 そうしたことから、増資を募るときにそれに応ずるというようなことが自然に、先ほど言った論理から、議会の承認を得て行われているというように思いまして、これは地方自治体において適切に、いろいろ今言われたような点も勘案されて行われるということであろう、こういうように思いまして、地方公共団体のこれは考えるべき点である、このように考えております。
永田委員 質問時間が終わりましたのでこれで終わりにいたしますが、最後に財務大臣、改めて、一年間に十数兆円も税金をばらまいて、国民一人当たり毎月一万円ずつお金をばらまいて、それで政権を維持するというのは、これは民主主義ではありません。自民党のこういうやり方を直すことが構造改革にまさにつながることである、民主主義の構造改革も必要なものですということをぜひ指摘をし、そして認識をしていただきたいとお願いを申し上げ、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
坂本委員長 次に、長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻でございます。
 両大臣におかれましては、時間もありませんので端的にお答えをいただければ幸いでございます。
 まず、今回の二次補正による今後一年間の新規雇用というのは何人ぐらい出るんでしょうか。
塩川国務大臣 雇用効果としては十一万人ぐらいを目標に考えております。
長妻委員 やはり今失業率が大変高いということで、本当に雇用というのが大変重要な問題でありまして、この十一万人、一年間でという大臣のお話があって、それに基づいて委員会で審議するわけでございますので、これは十一万人達成できない場合は、大臣、どういう責任をとられますか。
塩川国務大臣 そういう事態が起こらぬように鋭意努力してやっていくということでございます。
長妻委員 これ、今まではそういうような御答弁、認識で通用したかもしれませんけれども、これからはやはり、本当に国民の皆さんも大変な失業状態で、国会でも厳密に議論をしなきゃいけないと思うんですね。
 これはいろいろないいかげんな数字が出ておりまして、政府としては、五年で五百三十万人の雇用をするということや、昨年の十一月九日の発表では、三年で約百万人の雇用をつくります、こういうようなことも出ておりましたり、あと、過去検証しますと、小渕内閣、九九年に雇用創出七十万人プランというのがあった。その後の検証で、これは坂口厚生労働大臣が十一月十五日の参議院予算委員会でも答弁しているんですが、七十万人の目標に対して三十万人強しか達成できていない、こういうようなことで、安易に何万人、何万人というのが出て、全然そのフォローをしないで、だれも責任とらない、努力だけする、これは本当に問題だと思います。
 十一万人が、一年後に本当にきちんと検証して達成できない場合、塩川大臣、本当に自分の身を、進退を考えるぐらいの責任を持っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 これは担当大臣ともよく相談いたします。
長妻委員 担当大臣はやはり塩川大臣だと思うんですね。何か今、財政諮問会議があって竹中大臣も予算をやっているから、何かそっちの方が担当なのかというようなお話にも聞こえたんですけれども。
 いずれにしましても、十一万人、一年後に新規雇用を創出するということでありますので、大臣、再度、こういう意気込みでやるんだ、それで、ちょうど一年後に十一万人が達成できないときはこういう措置を断固としてとるんだ、大臣の責任でなければ、じゃどの人物にこういう責任をとらせるんだ、こういうお話をちょっといただきたいんです。
塩川国務大臣 そういう御質問があったということを私たち関係閣僚の中で協議いたしまして、実行に移すようにいたします。
長妻委員 ちょっと今の御答弁も納得できないんでございますけれども、本当に何万人、何万人というのがどんどん、ぼんぼん数字が出ておりますけれども、その後の検証が全然ない。国民の皆さんは、本当に今回の補正で十一万人、こういうような意識でいろいろな意見を表明したりするわけでございますので、ぜひそれはきちんと、財務大臣が最終責任者、まあ最終は総理ですけれども、閣僚では財務大臣が最終責任者だということで、この公約、雇用に責任を持っていただきたいと思います。
 もう一つでございますけれども、今回の補正予算で、緊急に実施の必要あるものというようなことが書いてあるわけでございますけれども、博物館とか美術館等の文化施設、これは緊急に必要があるものなんでございますか。
塩川国務大臣 緊急に整備する必要があるという中のその概念の中には、直ちに工事にかかれる、そういうものも含んでおるということでございまして、博物館、美術館等の改修とかあるいは整備につきまして、かねてから強い要望がありながら、なかなか予算の配分が回ってこないというところがございました。それなんかは、今回の補正予算で直ちにそういうところの財政支出ができる状態でございますので、そういうようなものに配分をいたしたということです。
長妻委員 今のお話聞いても、本当に国民の皆さんに誤解を与えるんですね。
 緊急対応プログラム、ここには、「経済への即効性が高く、緊急に実施の必要のあるもの」ということで書いてありまして、今のお話だと、お役所の都合で、すぐ緊急にこの予算措置でできるよ、あるいは、もう前から要求していて、早くやってくれやってくれという要望が強い、そういう緊急であって、国民生活の中全体の見地から本当に緊急なものということではないわけでございますか。
塩川国務大臣 そういう公共施設を整備することも、国民にとって大事な施設であり、国民に裨益するものでございまして、そう一々全部、国民との関係を計数でどうあらわして、その点数によって配分するということはちょっと不可能でございますので、そういう要望の強いもの、そして公共性の強いものに対しまして配分をしたということであります。
長妻委員 それはもう必要じゃないとは言っておりません。緊急な経済の対策でありますので、その「緊急に実施の必要のあるもの」というのはもっと精査していただきたい、継続案件が大変多いわけでありますので。
 そして、私は、大臣の心の中というのは読めないわけでございますけれども、いろいろ発言を聞いておりますと、二次補正というのは、本心は塩川大臣は、余りやる必要はないんじゃないのかというふうに思われているんではないかというふうに推察するのでございますけれども、例えば昨年十一月二十二日の参議院の財政金融委員会で大臣の御答弁で、議会の筋から、国会でございますけれども、景気対策に対して補正予算を組めという要望が非常に強い、そういう点の接点を探して、規制改革と景気の両方に配慮する。
 そしてもう一つ、こういうことも言われておられるんですね。「二次補正でもってこれまた経済の刺激に、あるいは経済の大きい改革への援助になるというそういう期待は込めてはおりますけれども、直接的な効果は余り期待できないのではないか、こう思っております」ということで、やはり財務大臣の心の中には、押し切られて、まあ足して二で割ってこういう予算が出たというような私は推察はするんです。
 それで、各国の財政赤字、財政再建を見ますと、やはり財政担当の大臣のリーダーシップ、強いリーダーシップがある国というのは、やはり財政規律がきちんと保たれている傾向があると私思っております。
 日本は、残念ながら財務を管理する大臣のリーダーシップが弱いんではないか。だからこそ、今回、お目付役といいますか、本当に大臣の、皆さん別に同じ地位というか、財政に関してはやはり財務大臣が一段上に立って、余りいろいろな、何でもかんでもというのはもうだめだ、財政規律を回復するということでこの補正はもうだめだ、二次補正は、そういうような、本来はされたかったんじゃないかというふうに思うのですけれども、大臣の感想を聞かせていただきたいと思います。
塩川国務大臣 この第二次補正は、御承知のように、九月の十一日にアメリカの同時テロが発生いたしました。そういたしますと、それをどのように認識するかということが非常に重要なポイントでございました。
 私自身といたしましても、この同時テロというものは、ひょっとすれば世界に重大な不況へのさらに一歩を、大きい力、圧力をかけてくるのではないか、そういう気持ちになっておりました。そこへもってきて国会の方も、追加補正をしてこの緊急事態に備える、備えあれば憂いなしということでございますから、その対策を講じろということが強い要望であった。また、内閣といたしましても、この際に先行して実施すべき改革のプログラムを組んで、それを実施することによって構造改革への道筋を早く進めていくということにもなるという両得の問題もあるものですから、補正を組もうということに閣議で一致したものでございます。
 したがいまして、私は財務を担当する者といたしまして、内閣の意向がそうであるとするならば、それに対して鋭意それの、財政の節度を守りながら、節度とは何かということは、安易に国債発行をしない、そして現在内閣の方針でございます三十兆円の国債発行以内に財政を構成するというこの原則に沿って、しかも国会なりあるいは閣議で決めました追加の、要するにセーフティーネットとしての第二次補正をどうするかということにかんがみまして、ぎりぎりの焦点として今回の二兆五千億円という規模を捻出した次第であります。
長妻委員 ぜひ、本当に塩川大臣に期待が集まっているわけですから、財政規律という意味で。本当に、今、建前のお話だったと思うのですけれども、本音の、本当のお気持ちを発露されて、二次補正問題ありということをもうちょっとちゃんときちんと、途中で何か発想が弱くなられないようにぜひお願いをいたします。
 そうすると、先ほど十一万人の雇用の件でございますけれども、一年後に何万人ふえたかという検証の数字というのは本委員会に出していただけますね。
塩川国務大臣 どういう形でそれを把握するかということは非常に難しいと思います。けれども、これによって配分します先が規定されてまいりますので、それの実績を集計して報告することはできるであろうと思っております。
長妻委員 難しいというか、この十一万人というのは政府から出してきた数字でありますから、ですから一年後に、十一万人という公約なわけでありますから、この委員会で、国民の皆さんの前に十一万人というふうに目標を出したけれども、一年後、実際は何万人出ましたと、何万人新規雇用という形で一年後ぜひ御報告いただけるかどうか、大臣、一言。
塩川国務大臣 これは、この予算を決定していただいて、それから所要の箇所に予算を配当するわけでございます。その配当いたしました予算がどのように使われておるかということは、時間の経過が必要でございます。配分先がわかりますから、その結果を見て、どういう状況になっておると……(長妻委員「人数は」と呼ぶ)ということは人数等がわかると思いますので、その結果についての報告はできるであろうと思っておりますけれども、しかし、直接財務省として人員を把握することはできませんので、各省に問い合わせて、その効果を持ち寄って報告するということにいたしたいと思います。
長妻委員 今、大臣からそういうお話ありましたので、一年後必ずこの委員会で報告をいただきたいと思います。
 そして、この関連では一点でございますけれども、今、長期金利、今の時点で十年物新発国債一・四七%ぐらいだということでありますけれども、昨年末から、一・三七%から〇・一%ぐらい長期金利上昇しているんですが、これは何で上昇していると思われますか。
塩川国務大臣 ちょっと私、質問の趣旨をちょっと取り違えているかもわからぬと思いますが、もう一度言ってください。(長妻委員「長期金利が上昇した、長期金利が〇・一昨年末から十年物新発国債上昇しているんですけれども、その原因は何か」と呼ぶ)それはやはり、私は、需要と供給の関係で、これは市場が決めることでございますけれども、あえて言うならば、この前格付が下がりましたですね。その影響が私は出ているんじゃないかと思います。
長妻委員 今回の二次補正で何かマーケットが、また財政規律が、原則が取っ払われるんじゃないか、そういう意識で長期金利が上がったというようなお考えはないですか。
塩川国務大臣 私はそうではないと思っておりまして、これは為替の変動と微妙に関係しておりますので一概にそう言えないと思っておりますけれども、いろいろな複合的な要件から来ておるものでございますので、したがって、これに対する非常に重大な関心を持って私は見守っておるものでございます。
長妻委員 次に、テーマは移りますけれども、平成十五年度から道路整備五カ年計画がまた新たに策定されるということでありますけれども、十六分野の長期計画の中の一つでございますが、今非常に大臣が長期計画の見直しというのを言われておりますけれども、今一つのチャンスの時期だと思います。来月から道路の審議会がまた始まるんでございますけれども、今まで審議会は開かれておりませんで、この道路整備五カ年計画に関するいろいろ話し合いをする審議会、来月開かれます。ですから、ぜひこの場で、この平成十四年度から始まった漁港漁場長期計画は昨年末の閣議決定で事業費が空欄で長期計画が決定されたということ、その点は私はいいことだと思っておりますから、この道路整備五カ年計画も金額は空欄にしてやるんだというのを、ぜひ長期計画の改革に対する意気込みとともにここでお話しいただければと思います。
塩川国務大臣 漁港整備の問題でございますけれども、関係省庁また関係の委員会、国会の委員会の方々と協議いたしました。
 従来、公共事業並びにこれに類する地域開発計画というものは、全部精密な予算を前提にいたしまして年度別に予算を計上しておられました。しかも、その計上が、絶えず、高度経済成長時代でございましたから、対前年度何%増しというような、要するに先にお金があって計画がつくられていくという、私の偏見かもしれませんけれども、そういう勘定をしておりました。
 そこで、そういうお金の問題は後の問題として、何をするのかという事業計画、そしてその事業に対するビジョンを明確に反映してもらう、そういう事業計画をつくってもらって、それで五カ年計画を構成してもらったらどうだろうと。そして、その時々の財政事情なり経済状況等によってその年度ごとに予算をつけていく。したがって、計画は大いにやっていただきたい、しかし、それで金額をつけて縛りをかけてしまうということはひとつ勘弁してもらいたい。これが財政硬直化への一番の原因であったんで、計画の中で金額を明示して作成されるということは勘弁してほしい、こういうぐあいに申し上げて、その趣旨はよく了解していただいて、今回、金額は抜きにしてビジョンを出していただくことになりました。
 私は、道路のことにつきましても、本当に地域開発と重大な関係がございますので、それぞれの地域と協議されて、そういう道路の性格、態様といいましょうか、高速道路でいくのか、あるいは高規格道路でいくのか、あるいは国道でいくのか、県道でいくのか、いろいろございましょうし、そういうものは相談していただいて計画の中に盛り込んでいただく。ただ、それを金額で縛るということはひとつ勘弁していただきたい、こういうことを言っております。
長妻委員 金額で縛るのは勘弁していただきたいということで、ぜひ、財務大臣のリーダーシップの話、先ほど申し上げましたけれども、再度確認しますが、端的にお答えいただきたい。十五年から始まる道路整備五カ年計画は、じゃ、金額は入れないでよろしいですね。
塩川国務大臣 私は、その計画、ビジョンと実施計画で結構だと思っております。
長妻委員 ビジョンと実施計画のみでいい、金額は入れないと。金額は入れないということでよろしいんですか。ちょっと一言、今、金額を入れないという。
塩川国務大臣 金額を入れないようにしていただく。
長妻委員 次に、ちょっとテーマを移らせていただこうと思うんですが、ダイエーの問題でございまして、主要三行がデット・エクイティー・スワップを含めて債権放棄を含めた三千億円の金融支援ということで、ダイエーから紙が出ておりますけれども、これは、私的整理に関するガイドライン、これで債権放棄のガイドラインを一生懸命昨年決めたわけでございますけれども、このガイドラインは遵守するんでございますか。
柳澤国務大臣 ガイドラインが決められました。それは、できるだけ私的整理における透明性、公正性というものを確保したい、こういうことからこれが決定を見たわけでございます。
 ただ、それじゃ、私的整理について、すべてのケースについてこれを適用しなければならないか、こういうことになりますと、私的整理というのはもういろいろな形態、態様があり得るわけでございます。それは、整理そのものの枠組みの態様ということに加えて、その対象企業の状況というものがあるわけでございまして、それらを勘案して適用の状況というものが決められるということだろう、このように思っております。
 今現在、御指摘の案件については、そのガイドラインの精神を踏まえて今後検討していくということでございますので、これ以上立ち入ったコメントは差し控えさせていただきたいということでございます。
長妻委員 このガイドラインができた経緯というのは、安易な債権放棄はやめようというような趣旨で、金融庁も入って、こういうようなオブザーバーで高木さんが入られてつくられた。今回、金融支援、主要三行の中の富士銀行も入っていますけれども、富士銀行の頭取もこの研究会の中に入ってこれを決めたわけでありまして、今、ガイドラインの精神を守ってというようなお話がありましたけれども、そうすると、ガイドラインの精神だと、債権放棄をする場合は経営者は責任をとってやめてもらうというようなものもこの中に入っていたと思うんですが、じゃ、ダイエーの経営者、やめていただくということが望ましいわけですか。
柳澤国務大臣 これは、何と申しますか、先ほど申したように、私的整理の枠組み及び対象の企業の状況というようなものをきちっと考えて、それに適合したような整理をしていくということになるというのがそもそもの私的整理ということだろうと思いまして、その際、透明性、公正性というものをできるだけ確保するように、これがそのガイドラインの精神だと思いますので、それに沿ってケース・バイ・ケースでやっていくということがよろしいかと思います。
 経営者の問題もそのいわば一環でして、何かあのときにあった銀行サイドのコメントは前向きに検討しますということに今とどまっていると思いますけれども、その中に、私、ちょっとまだ記憶なんですけれども、現在の経営陣というのはついこの前かわったばかりですけれども、何というか、実績を上げているという評価だというような評価がつけ加わっていたかもしれません。
長妻委員 これはやはり何かいろいろルールがあるけれども、例外がいろいろある。安易な債権放棄とか厳正さを欠いた企業再建というのはむしろ日本経済にマイナスになるんではないか、こういうような意識を私は持っているわけでありますけれども。
 これは、そうすると、このガイドラインというのがありますけれども、これの発想をある程度逸脱しても、これを適用しなくても、それは例外もあり得るのだというようなお話に承りましたが、その場合、例えば、これを適用しないで債権放棄をした、それで、その後、例えば銀行がそれが原因で過少資本になって、企業再建も思うようにいかなかったという場合、柳澤金融担当大臣、責任というのはどういうようなものが起こってくるのですか。何にもないのか。
柳澤国務大臣 これは、基本的に民民の、民間同士の、企業同士の間でベストとされる選択が行われるものでございます。
 それで、私どもとしては、該当の金融機関が公的資本の注入を受けた金融機関である場合には私どものいわば基本的な考え方がありまして、それは、現在のところは、回収の極大化を図るという意味での経済合理性があるということと、その企業の持つ社会経済的な影響というものを考えてやるようにという、このことが柱になっているわけでございまして、これに適合すれば我々としてはこれを前向きに受け取る、こういうことになろうかと思います。
長妻委員 本当に、ちょっと今の答弁も都合がいいと思うのですね。民民だ、銀行とダイエー、民民だと。それは民間、民間かもしれませんけれども、金融庁の存在意義というのは、銀行というのは公的な役割を、公共性がある、だから、ある意味では最終的に税金になるかもしれない公的資金を注入するとか、いろいろ危機対応の勘定というのがあるわけであります。その意味で、民民だから別に勝手に、そして、そこで何かガイドライン、きちんと決めたのを全く守らないで、適用しないで失敗したとしても、それは金融庁は全く責任ありませんよ、こういう御答弁なんですか、今のは。
柳澤国務大臣 まず、民間のやること、これは金融機関でも同じだと思うのですけれども、まず自己責任で、それぞれ自由意思で契約をしていくということが私どもの経済運営の基本的なメカニズムでございます。
 それで、公的な観点からのいろいろな配慮というものはやはり必要最小限で行うという考え方だろうと思うわけでございまして、ただ、私ども、今回の金融機関が公的資金の注入を受けているものであるということの観点から、先ほど申したような基本的な枠組みというものはあるのですよということを常に忘れないでこれを見守っている、こういう状況でございます。
長妻委員 民民と言っていながら、一部情報では、ことしの一月八日に、UFJとか主要銀行を金融庁が集めていろいろ再建策を話し合ったというようなことも話として出ておりますけれども、それは事実でございますか。
柳澤国務大臣 金融庁は金融の監督をしておりますので、担当者は常にモニタリング及びヒアリングというようなことをしておるわけでございます。
 しかし、今、どういうことを長妻委員おっしゃっているのかもしれませんが、私どもとしては、基本的に、先ほど永田委員にもお答えしたように、市場からの厳しい評価を受け、また、当該企業の企業経営者がいろいろな問題を感じておるということであれば、これを早く処理するということが、不良債権の処理及びそれがもたらすいろいろな日本経済に対するプラスの影響からして必要なんだから、早くそうしたことは手がけてくださいということを働きかけているという、一般的な働きかけでありまして、私ども、個別の融資について、個別に細部に至るまで、あるいはあらゆる点について何かくちばしを入れるというようなことは、これはないわけでございます。
長妻委員 次にテーマを移りますけれども、昨年総務省が初めて資料を公開したものがございまして、これは、公益法人のうち常勤役員の平均年間報酬額が二千万円以上ある、こういうような公益法人の名前を初めて昨年十月公表をしてまいりました。
 九十の公益法人があるということなんですが、そのうちの七十九法人が具体的な名前として公表をされております。財務省が主管をされているのが二つ、金融庁が主管をされておられるのが六つある。それで、その今の二つと六つの中には、かつての大蔵省から天下った常勤役員の方がおられるということでございまして、年収二千万円以上公益法人で取っている。
 それで、今銀行なんか、役員の報酬を開示すべきだ、こういうような機運も、透明性というのはある。これは、役員の二千万円以上というのは辛うじて昨年公表しましたけれども、具体的な金額も公表していくというような決意をぜひ両大臣から一言いただければと思います。
村田副大臣 総務省の方から、平均年間報酬額が二千万円以上ということで公表をされたようでございますが、個々の具体的な数字につきましては、プライバシーにかかわることでありますので、私どもは、公表を差し控えさせていただきたい、こういうふうに考えております。
谷口副大臣 今、村田副大臣が御答弁されたとおりでございまして、プライバシーの観点から、公益法人というのはそもそも民間の発意によって設立された法人でございますので、プライバシーの観点を慎重に取り扱う必要がある。ただし、公益性を有する法人の性格も踏まえて、公益法人に関する年次報告においては、所管省庁ごとに役員の年間報酬額の規模別の法人数が公表されておるというような状況でございます。
長妻委員 プライバシー、プライバシーというふうに言われますけれども、今銀行も民間でありますけれども役員の報酬額を公表しているところもありますし、あと、当然官僚の皆さんの報酬というのもこれはもう明らかになっている、政治家の報酬だってそれは明らかになっている。
 そういうような意味で、税の優遇を受けて、それで、例えば財団法人であればその財産はいろいろな企業や地方自治体から積み立ててくる、こういう非常に公益性がある。そして、財務も金融もそうですけれども、透明性を求められるときに、やはり、今独立行政法人の理事長さんのお給料だって全部公開されているわけでありますから、これは二千万円以上ということで幾らか知りませんけれども、ぜひ大臣から、今後公表していくのだ、天下りも大変批判を受けているわけでありますので公表していくのだというのを、塩川大臣、一言意気込みを。
塩川国務大臣 各副大臣から答弁ございましたように、この問題はなかなか、そういうプライバシーの問題がございますけれども、私は、何かやはりこういう問題を、ただ逃げた姿勢ばかりではいかぬと思います。それにつきましては、それじゃ直ちに公表できるかといいましたら、これはやはり法律上の問題もあるし、またいろいろな関連の配慮もしなきゃならぬと思いますので、私の答弁としては、積極的に努力をしてみましょう、こういうことを申し上げておきたいと思います。
長妻委員 積極的に努力をされるということでございます。
 柳澤大臣はいかがですか。
柳澤国務大臣 私、ちょっと変わっているかと思います。それは、私はやはり公益法人というものが二つあると思うのですね。一つは、行政代行をしているような公益法人、これは私は本来の姿に戻すべきだ、そんなもの、代行というようなことで、民間の公益とはいうものの、民間の法人にゆだねて独占的にそれを代行させるというようなこと、これはもうほとんどその職員は公務員に近いわけですから、それはもう私は、そうであればこれは公表すべきだと思うし、それからまた、そもそもそんなものはもとに戻して、公益法人による代行業務そのものを廃止すべきだという立場です。
 それから、今度はもう一つの、完全に民間のもの、民間の人たちが、何かこれが非常に公のためにメリットがあるんだというようなことで発意して、まさにその活動を展開しているようなものについては、これはそんな必要はなくて、これはもうメリットに応じて、これはもう大事なポストで、仕事でこれだけの人を雇わなきゃいけないというのだったら幾らでも雇ってその活動を充実させるべきだ、このように私は思っています。
長妻委員 本当に何か官僚の天下りの、皆さん天下りをされた方を中心に公表してくださいというふうに言っているわけでございまして、官僚の方々を本当に守っていく、ブロックしていくという姿勢がやはり小泉内閣でも強い。官僚の天下り禁止法案を民主党も出しておりますけれども、全然一顧だにしないというような、官僚の方々を本当に守っていくという姿勢は、国民の皆さんに対して本当に意識として反発を呼びますので、ぜひ公表をしていただきたいと思います。
 財務省では、財団法人地域総合整備財団、財団法人国際金融情報センター、金融庁では財団法人証券保管振替機構、社団法人生命保険協会、財団法人資本市場振興財団、財団法人資本市場研究会、財団法人金融情報システムセンター、社団法人日本証券投資顧問業協会、ここに天下っている旧大蔵省の方の年収をぜひ公表していただきたいというふうに重ねてお願いします。先ほど塩川大臣からある程度含みの入った話がありましたので、ぜひ公表していただきたいと要請します。
 そして、もう一点でございますけれども、元札幌国税局長脱税容疑で逮捕、昨年十二月には、元天王寺税務署長が収賄容疑で逮捕されたということでございます。金曜日の海江田委員の質問で、塩川財務大臣はこう答えられておりますね。あっせんはあったのかという質問に、同僚があっせんしているのか、情報提供だけなのか、本人が積極的に開拓したのか、わかりかねますというような御発言があるのです。
 それは、決定的なちゃんとした証拠がもう出ておりまして、昨年十二月に読売新聞が情報公開で請求して、大阪の国税局が文書をちゃんと出しております。この文書の名前は「各人別斡旋予定件数」という大阪国税庁の文書です。その文書には全部あっせんの実態が書いてあります。大阪国税局、この四年間であっせんを受けた職員は二百十五人、顧問先延べ五千三百九十一件あっせんした。月額の顧問料総額が二億三千七百万円、一人当たりにすると約二十五社顧問あっせんした。一人当たり月額百十万円の顧問料だ。契約期間二年。はっきり文書で役所は出したのですよ。だから、このあっせんというのはあるのですよ、事実として。
 塩川大臣、ぜひ、大阪で出ておりまして、この元札幌国税局長だって二百社顧問になっていたわけでありますから、こういうあっせんは、せめてもう、やめていくんだという方向性を、大臣、ぜひトップダウンで出していただきたい。
 私も、ある知人から相談を受けましたよ、困っているんだと。地元の税務署の副署長さんから電話がかかってきて、行くから何とかちょっと頼むよと言われているわけですよ。なかなか断り切れない。こういう非常に、何というかやりきれないというか、本当に民間で一生懸命頑張っている方に対して断り切れないところを何か逆手にとるというか、何といいますか、そういうようなあっせんというのはもうやめましょうと、ぜひ塩川大臣、今ここで、これからもうやめようと、そういう発言をぜひしていただきたいと思います。大臣の一言で変わりますよ。
塩川国務大臣 こういう問題につきまして、先ほども、先日申し上げましたように、札幌国税局長のあの不祥事件がございましたことで、緊急に国税庁長官が国税局長を招集いたしまして、この問題についても協議いたしました。
 ついては、このあっせんというものは、これは企業の意に沿わないものを、それを税理業契約を結ばせた、この場合には確かにはっきりと公務員の職権乱用を適用いたしますけれども、そうでない場合もあるし、またあるいはその企業の方からあえて勧誘してきた場合もあるしということでございます。しかし、おっしゃるように、これは疑惑を持たれておることは事実でございますから、こういうようなものについて今後どうすべきかということについて私は非常に心配しておりました。
 そこで、一カ月前でございましたでしょうか、閣議の席で、法制局に対しまして、この行為はどのように公務員法との関係でなるかということを研究してくれということを言っておきまして、ついては、就職のあっせんとそれから開業との問題等についてさらに一層実態に即した方法を、防止方法を研究してとっていきたいと思っております。
長妻委員 いや、塩川大臣、ぜひ、大臣ですから、本当に国民の皆さんの常識、それを代表、代弁するのが大臣でございますので、企業が、まあ今、嫌がっていない、求めてきているという話がありましたけれども、地元の税務署の副署長さんが電話してきて、ちょっとお願いねと、それを直接私の知り合いから聞いているわけです。断り切れない、いろいろな会合でも一緒になったりしているわけで、断り切れないのですよ。だから、そういう本当にやるせないですよ、これは。
 だから大臣、そういう建前は建前でいいのですけれども、ぜひ本当に、こういうあっせんというのはもう見直すべきじゃないか。個人的にそう思うでもいいのですよ。ぜひ大臣、ちょっとここで、もうかなり多くの企業の方々が、本当にお困りになっておりますよ。やるせない気持ちを国に対して、税務行政に対して持っているわけでありますので、ぜひ一言、原稿なんか見ないで、あっせんはやめる、李下に冠を正さずということをぜひ御答弁いただきたいと思います。
塩川国務大臣 先ほども申しておりましたように、私は積極的に閣議の中でも、こういう問題は何も財務省だけではない、ほかの省庁も皆あるから、共通の公務員の制度の一環として研究し、方向をきちっと出したいということを言っておりますので、それを、できるだけ早くその結論を出さすようにいたしたい。
長妻委員 ほかの省庁という話もありましたけれども、やはり大臣、自分のところからまず始めていただきたいと思います。何か本当に、さっきの公益法人の年収の話も、官僚の天下りの方の年収の公表の話もそうですけれども、官僚の皆さんを、お役所の皆さんを何か本当に守っていくんだというのではなくて、大臣というのは国民から送り込まれたチェックマンなんですよ。それのトップなんですよ。ぜひ、あっせんは見直していくということをぜひここで、御決意を本当にいただきたいと思うのです。
 大臣、本当に、別に何かそういうことを言って自分の出世がおくれるとか何だとか、そんなことを全然塩川大臣は思わないタイプの、常識のある大臣だと思っているのですよ。ぜひ一言。
塩川国務大臣 私はそう思うているからこそ閣議で研究して、要するに普遍的なルールというものをきちっと確立したいということを言っておるものでございまして、何もこういう問題は一時的な措置というものではなくして、やはり制度とも関係しておりますし、そこで言われることは、特殊法人の整理というものもございますし、そういうもの全般を通じまして公務員のあり方の中で解決していくという方針を出しておりますので、ぜひその結果をもってやりたい。
 私自身は、おっしゃるように、役人の、役所のそういう問題については以前から非常に強い関心を持って見ておりますし、特殊法人に対しましても、私もこれは整理合理化の方向を依然として持論として持っておるものでございますけれども、しかし、行政全体あるいは法体系の中でどのようにやるかということになりますと、これは個人の意見だけで言えるものじゃないから、ですから検討して早くやってもらいたいということを言っておる。私はそういう意思がなければそんなこと提案もいたしません。
長妻委員 閣議で提案をされたということですが、では、その提案の研究の中にはあっせんをやめるという選択肢も当然入るわけでございますね。
塩川国務大臣 あっせんとは何かという、あっせんの性格とか何か見て、もちろんやめさすということは当然のことでございますが、何があっせんであったか、どこまでが職権であったかということ等についての問題があるから、だからそこを検討するということになっておるわけです。
長妻委員 あっせんの性格ということで、もちろんやめさせるべきだというのは、今の御答弁は多分、私はちょっとそれは理解できないですけれども、本当のあっせんとそうじゃないあっせんがあって、本当のあっせんは当然やめさせるべきだという今御答弁だったと思うのですが、その当然やめさせるべきあっせんというのはどんなあっせんですか。
塩川国務大臣 それは、公権力を背景にして、背景といいましょうか、いわばバックにして交渉をしていくということ、これはやはり強力なあっせん、これはいかぬと思います。
 しかし、企業が求めてきておるものに相談に応じて、それをあっせんしているということになった場合は、これはまた別な話になってくると。
長妻委員 公権力というお話がありましたけれども、今回せつなくてやるせないのは、地元の税務署の副署長さんですよ、これは私の知人からはっきり聞いているわけです。副署長さんから連絡があって、ちょっと雇ってくれぬかねということなわけですよ。企業は嫌だと言えば、それはよっぽどの人だったら言うかもしれませんけれども、やはり言えないところにこのあっせんの問題があるわけですよ。
 そういう、おもんぱかって、本当に民間の弱みにつけ込んでこういうあっせん行為を続けていく。きっちりとした公権力で何か命令して、やれと、そういうことじゃないわけでありまして、今申し上げたような、あうんの呼吸といいますか、公権力ですよ、ある意味では、広い意味で。そういう無言の圧力でやっているわけですから、本当に気の毒というか、やるせない気持ちだと思いますよ。
 これは大臣、ぜひそういうものも含めて、李下に冠を正さず、もし企業が求めてきた場合は、それは別に、税務署に問い合わせがあっても知りませんと。税理士事務所が世の中にいっぱいあるわけですから、直接そこに問い合わせますよ。ぜひ大臣、あっせんはやめるというのを御決意で、物事動きますから。
塩川国務大臣 いや、私はそういう決意を持っておるから、考えを持っておるから言っておるということでございますので、私はそれ以上の言質は出すことはできません。
長妻委員 今考えを持っているというお話がありましたけれども、いつも思うのでございますけれども、はっきり御答弁いただきたいと思うんですよね。考えを持っている、あっせんをやめさせようというような考えを持っているということだと思うんですけれども、あっせんをやめさせるという考えを大臣はお持ちで、それで研究しているんだ、こういうことでよろしいんですか。もう一回、答弁をぜひ議事録に残していただきたいと思います。
塩川国務大臣 くどいようですけれども、そのとおりです。
長妻委員 いや、財務大臣、私は本当に国民の声だと思うんですよ。ぜひ、そのとおりというところを、あっせんを大臣自身はやめさせるべきだという考えに基づいて研究している、あっせんはやめさせるべきだという御答弁を議事録に残していただければ、お役所というのは変わりますよ。今みたいな不透明な御答弁だと、また、いや、あれはこういう意味でこう言ったんだといってお役人が勝手にいろいろ解釈しちゃいますから、ぜひ、あっせんをやめさせるというような意思のもと、ということをちょっと入れていただきたいと思うんですけれども。
塩川国務大臣 私は、何遍も同じことを言うて、そういうことをやめさすと、防止するためにどうしたらいいのかということを研究して結論を出してくれと。それは、私のところの役所の話だけじゃなくて公務員全体の問題なんだということを言っておるのでございまして、それは何遍答弁したかて同じです。
長妻委員 あっせんをやめさせる、そういう意思を持っていると一言大臣が言っていただければ本当に変わると思うんですよね。いかがですか。
塩川国務大臣 先ほど申しましたとおりです。
長妻委員 その結論というのはいつ出るのでございますか。
塩川国務大臣 できるだけ急ぐということでございますけれども、まだ明確に法制局等から返答はございません。法制局並びに人事院、いろいろな判例をも見て、やはりこの問題は重要な案件でございますので、慎重に考えておるんだろうと思いますけれども、できるだけ早く答えを出してもらうようにいたします。
長妻委員 できるだけ早くというのは国会には多いわけですけれども、普通の一般世間の社会では、やはりいつまで、ビジネスでも何でもそうですけれども、何月何日まで結論を出す、こういう話でありますから、おおむね一カ月以内とか、どのぐらいのスパンでございますか。
塩川国務大臣 それは私から言明はよういたしません。
長妻委員 だって、それは塩川大臣がそういうのを依頼したわけだというふうに今認識しましたけれども、では別にいつでもいいから、期限なしで研究しろと、そんな悠長なことなんですか。
塩川国務大臣 長妻さんはそうおっしゃるけれども、一つの案件を決定するのにそんなにすぐに、かみそりでようかんを切るような、結論は直ちに出るものじゃございませんで、やはり法制上のいろいろな問題、そこが日本の民主主義の本体でございますから、そういうことをいつまでということは言うことはできません。できるだけ早くということでございます。
長妻委員 確定申告ももうすぐですから、では春か夏、春ぐらいまでには結論を出すということでよろしいんですね。何か今手を振って、だめだめと言って、今次長さんですか、言われておりますけれども、大臣そんな、お役所にこんな言われて腹立たないんですか。
塩川国務大臣 これは私は予断を持って申し上げる問題じゃないと。だから催促はいたしますけれども、いつまでということは私から断言することはできません。
長妻委員 これは本当に国会、特に政府はおかしいと思います。だって、検討するんだったらいつまでというのが世の中、どの社会だってありますよ、どの組織だって。おかしいじゃないですか。検討するけれどもいつかわからない、それで聞いたらお役所の人が言っちゃだめだって手を振っている。先ほど言われかけたのに、手を振っているからやめられたのですか。では春ぐらいまでには出すと、大臣が言えば出すんですよ。
塩川国務大臣 そんな独裁的な組織になっておりません、日本の組織は。全部十分な協議をし、一定の結論を出していくという民主社会でございますから、かつての日本とは違いますしまた周辺の国の政治とはまた違いますから、やはりきちっと協議をして結論を得て、それを公表して実施していくという手続を日本の国は非常に大事にしておりますから、私からいつまでということを断言しましても、私は、そういう所管事業ではない、けれども、これは閣議の案件として出したものでございますから、その結論が出るまで待っているということであります。
長妻委員 所管大臣だと思うんですが、所管じゃないという意味はどういう意味ですか。
塩川国務大臣 人事制度は所管じゃございません。けれども、税務署の職員の問題は私は所管でございます。
長妻委員 これは人事制度なんですか、あっせんするというのは。これは、あっせんするというのは人事制度じゃないと思いますよ。それは大臣が所管だと思いますよ。今の答弁取り消して、大臣が所管だと再度言ってください。
塩川国務大臣 問題によりましては、制度の問題と非常に密接に関係しておりますから、公務員のやはり身分とあるいは権限とか、あるいは場合によったら刑法的な問題にもなってくるという重大な問題でございますから、あながち単純にあっせんはこうだということを私自身が決めるわけにはいかない。やはり、これは法律的にも照らしてみて、きちっとあっせんとは何かということ、あるいは職権との関係とはどうなるか、これははっきりと、きちっとしておかないと、日本は民主主義の国でございますから、為政者が一言言うたからそれでやっていけるんだ、そんな簡単なものじゃございませんので。
長妻委員 いや、だから、あっせんということ自身が私は役所の業務じゃないと思いますよ。だから、初めから正式な業務があって、それを、業務をやめるというんだったらいろいろ検討はありましょうけれども、初めから正式な業務じゃないんだから、初めからやっちゃいけないことだと思うんですよね。
 では、これはやっていいことだというふうに大臣は今の時点では思っているんですか。
塩川国務大臣 何か私は議論のための議論だと思いますが、そうではなくて、私はこういうことはいけないと言っています。だから、そこを前提にして物を、何か、議論のための時間でございまして時間がもったいないんじゃないかと私は思いますので、どうぞよろしくお願いします。
長妻委員 大臣があっせんをやめると一言で言えば三分で済んだんですよ、この議論は。
 では次に、最後の質問に移らせてもらいます。
 柳澤金融担当大臣にお尋ねいたしますけれども、今、郵貯の郵便振替口座というのが非常に、二〇〇一年十一月末預け入れ残高は前年同月比で三五パーもふえている。ペイオフを控えてどんどん郵便振替口座に移動しているということでありますけれども、日本が世界一の預金量を持つ、絶対つぶれない、ある意味では国営銀行が、郵貯というものがばあんと金融のど真ん中にあるということに対して、柳澤大臣自身、問題ありと御認識でございますか。
柳澤国務大臣 郵便振替口座の残高が伸びているということ、詳細は承知いたしておりませんけれども、そういうことがあるという報道、これは間違ってはいないんだろうと思います。ただ、これは、それが背景にペイオフがあるというふうに言われると、これは流動性預金はことしの四月から別段ペイオフになるわけでもございません。そういう意味合いでは、もうちょっと分析をしてみる必要があるのではないか、こういうように考えております。
 郵便貯金については、私どもはやはりイコールフッティングということで、できるだけ公正な取り扱いでないと少なくともおかしいということで、今回、郵政公社化に当たってのいろいろな枠組みづくりにおいて、当庁としてそのような主張をさせていただいておる、こういうことです。
長妻委員 一言お伺いしたいんですが、郵貯の民営化は賛成でございますか。
柳澤国務大臣 郵便貯金のユニバーサルサービスということについては、私はそれなりの意味があるんだろう、このように思います。これは、貯蓄の機会の平等ということからいっても、本当に民間が、これは民間というのはもう当然収益を中心にいろいろな経営上の判断をしてもらわなきゃならないわけで、そういう意味では、過疎地域だとか割の合わないところには店を出せないわけでありますので、私は郵便貯金というものが、そういう意味では、一定の役割を演じているということを認めています。(長妻委員「民営化は賛成ですか、反対ですか」と呼ぶ)民営化――民営化をすると、今言ったようなことができなく――完全に民営化して民間の会社になったら、民間の今の金融機関と同じように収益を中心にして動かざるを得ませんから、ユニバーサルサービスというところにおいては欠けるところが出てくるだろう、こう思っています。
長妻委員 最後でございますけれども、ちょっと郵貯に関連するんですけれども、郵貯のお金とか簡保のお金を運用するというのは、簡易保険福祉事業団から十三以上の信託銀行に委託をされておる。昨年九月末の運用総額というのは大体二十七兆円ぐらいだったということなんです。
 これは東京新聞の、ことしの一月六日、一面で報道された事案でございますけれども、事前通告しているんですが、これは旧郵政省の外郭団体が出資、設立したピーアイ投資顧問という会社があって、これは歴代旧郵政省のOBが役員をされておられるということでありますけれども、ここに投資顧問料の名目で信託銀行七行が年間二億円の顧問料を払っていたという問題、私は問題だと思うんですが、では、その顧問料と引きかえにはどういうことかというと、銀行から出向した若手出向者が書いたレポートを、また信託銀行にもらって、そのレポートに対価として払っていたというようなことでありますけれども、実際には国の、ある意味ではお金を受ける側が天下りの団体に年間二億円という本当に適正かどうかわからない金を払っていたということがあったわけでございますので、調査をされるのかどうか、金融庁として調査をされるのかどうかだけお答えください。
村田副大臣 個別の問題でありますので、情報、そうした記事は私も読んでみましたが、個別の問題として、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
長妻委員 だから、調査を――では、問題だということではないということですか。金融庁として調査をされるのか、いや、これは問題がないから調査はしませんというのか、どちらですか。
村田副大臣 一般論としてお答えいたしますれば、銀行のあり方としてかかわる問題とあれば調査いたします。
長妻委員 ありがとうございました。
 調査をしていただけるということでありましたので、私の質問を終わります。ありがとうございました。
坂本委員長 次に、五十嵐文彦君。
五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 私の方は、まず第二次補正についてそもそも論を少しやってみたいと思います。
 まず、このNTT無利子貸付事業を利用した今回の措置でありますけれども、国債整理基金特別会計から一般会計へ繰り入れ、一般会計から産業投資特別会計へ繰り入れ、それから地方公共団体等に貸し付けるという大変複雑な手続をとっておられます。
 そもそも、一般会計と特別会計というのを分ける、これはやはり意味があって分けていることなんだろうと思いますね。特別会計を行うということは、財源、使途が特定である、要するに国民一般向けではないということが一つあるかと思う。それから、収入、収益を伴う事業については、その収支決算を明らかにするという意味でこれは特別会計をやるというのはわかるんですけれども、その特別会計と一般会計をそもそも分けているという意味を明確にお答えいただき、その間で複雑なやったりとったりを余りしては、その分けている意味がなくなるではないかということについて御説明をいただきたい。
谷口副大臣 もうまさに今五十嵐委員がおっしゃったように、この一般会計と特別会計を区分する意義について言及をされたわけでございますが、御承知のように、財政法第十三条第二項におきまして、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする」、このようなことでございまして、特別会計を設置する一つの大きな目的は、例えば、特定の事業において事業収支が明確になる、また、受益と負担の関係が明確になる、このような利点があるということにおいて特別会計を設けるという意味合いがあるというように考えております。
五十嵐委員 そのとおりなんですね。私が先ほど述べたとおりなんですけれども。
 ということであれば、一般国民に向けたいわゆる補助事業、地方公共団体を通じて行う事業というのは、これはあくまでも普通の財源、一般的な財源をもって一般会計から支出をするというのは当然でありまして、収益性もない、それから、一般的に公共的に資する事業というのをわざわざ特別会計でやるというのは、逆に言うとおかしいじゃないですか。
谷口副大臣 今回は、この二次補正のスキームは、委員御承知のとおり、NTTの株式の売却収入をもってこの無利子貸し付けを行うというようなスキームをやっておるわけでございます。
 このスキームを行うにつけ、先ほどもおっしゃったような国債整理基金を充当する際に、一般会計をスルーして、これは、一般会計をスルーすることによって一般会計で全体を見るというような観点があるわけでございますね。また、一般会計から産投特別会計に行き、無利子貸し付けに行く、こういうようなことで、それぞれの特会における従来の目的を果たすという観点で、今回そういうような対応になったわけでございます。
五十嵐委員 ですから、一般会計を通すわけでしょう。一般会計を通すところまでいいですよ。だけれども、一般会計から年度予算で出せばいいじゃないですか。補助金型なんでしょう。一般の、普通の一般会計から出される補助金の事業とどう違うんですか。違うんですか。
谷口副大臣 今回、国債の発行枠を三十兆に抑える、財政規律を保つというような観点で、今回の二次補正は緊急対応プログラムをベースにしてやられたわけでございまして、国債を新たに発行しないというその前提の中で、NTT株式を売却したその売り上げ、売払収入をもって行うということに一つの大きな意味があったわけでございます。
五十嵐委員 規律は保たれないんですよ、こういうことをやっていたんでは。無利子貸付事業という、本来ならば返さなければいけないお金、たとえ無利子であっても貸し付けでしょう。本来なら返さなきゃいけないんだけれども、一般の補助事業と同じですというふうに言われるわけだから。実際にそういうふうに宣伝していますよ、みんな、各省庁は。だから安心してこの事業に手を挙げてください、こう言っているわけでしょう。全然規律がないじゃないですか、そこには。借金をしてやるお金なんだという意識がない。そこには、財政規律とは全く逆の方向に働くんですよ。そうでしょう。
 しかも、同じだというけれども、今の財政状況ですから、後で結局、国が国債を発行して穴埋めをするだけでしょう。これは一種のつなぎ融資にすぎないじゃないですか。これは財政規律を全く働かせない方向に働くやり方なんですよ。
 九三年以降、このB型の補助金事業というのはやっていないでしょう。これはなぜですか、教えてください。
谷口副大臣 まさにおっしゃったように、将来国債を発行するのかどうかということにつきましては、これは、その後の経済状況の変化であるとか、また、もろもろの状況を踏まえながら行われるわけでございますから、委員のおっしゃるように必ずしも将来国債の発行にリンクするということではないというように考えておるわけでございます。(五十嵐委員「九三年度以降なぜやっていないんですか」と呼ぶ)
 Bタイプにつきまして、当初から償還期限の繰り上げがあり得ることが法律上予定されておって、平成五年及び六年は、これに基づき、国債整理基金の運営に支障が生じないよう繰り上げ償還を行ったところでございます。今まさにおっしゃったところでございます。
 その後、Bタイプ貸し付け、無利子貸し付けを行っていないということにつきましては、これらが対象事業が補助金等の交付対象である公共事業であって、一般財源により措置することも可能であるため、あえて本スキームを用いるということをしなかったということでございます。
五十嵐委員 だから、語るに落ちているじゃないですか。一般会計でやれることなんですよ。だから好ましくないと言っているんでしょう。だからやっていないんじゃないですか。一般会計でやるべき、本来補助事業としてやるべきことだから好ましくない、だからやっていないんじゃないですか。それを何か、へそくりを見つけた、いいものがあった、いいやり方なんだということ自体がおかしいんですよ。これは、財政規律を乱すおそれがある、極めてイレギュラーな方法だ、好ましくないやり方だというのを、みずから自分たちの態度で旧大蔵省はそういうように認定しているんですよ。
 しかも、過去の例を見ると、工業団地の造成が多いんですけれども、失敗して死屍累々じゃないですか。収益を生んでいない、収入を生んでいないということがある。また、収益回収型の方も、これは開発インターというのが象徴的な例でありますけれども、その近くに工業団地を造成して、その上がりをもって、売り上げをもって充てるということですが、ほとんど失敗をしている。
 収益回収型について言えば、例えば民都機構に多くのお金が行っていますけれども、百四十二社、三セクに出していまして、そのうち、もう既に五社が破綻している、二十社が実質破綻状態にある、さらに八社が破綻懸念先であるという状況を見て、あの有名なシーガイアを運営していますフェニックスリゾートにも出ていますけれども、まさに問題三セクへ貸し付けては焦げつかせている、そういう状況なんじゃありませんか。
 この収益回収型にしても、先ほどから言っている補助金型にしても、うまくいっていないんです、はっきり言って。だから、これを、へそくりを見つけて、これで皆さんの希望にかなう仕事ができるんですと胸を張るのはどうかと思うわけですよ。
 また、もう一つ、特別会計に突っ込む、正々堂々と来年度予算で措置しないということはどういうことかというのをもう一点言わせていただきますと、これはやはり国会の予算承認権を侵す重大な問題だと私は思いますね。一般の予算というのは、これは、もう五月ごろから各省庁がそれぞれいろいろな自治体とも相談をして、どういう事業を補助事業として取り上げるかということを相談し、そして概算要求にまとめ、概算要求後に大蔵省との間でたたいて、そしてかなりの時間をかけて十二月の予算編成に持っていくものですよ。
 つまり、その間には、いろいろな観点からの事業に対する優先度とか、あるいは奨励をすべき事業かどうかというような、そういう選択が行われるわけですけれども、この補正予算で、しかも産投会計を使ってやるということになりますと、その過程が見えてこない。結局、どこか安直にできるところ手を挙げてみてくれという話になったり、きちんとした優先順位の区別がつかないままに行われる。あるいは、下からボトムアップで仕事が上がってこない、ただ上から、お金を使い切りたいから手を挙げてくださいというような仕事に陥りがちだ。ここに大きな問題があると思うんですね。
 この辺について財務大臣の御見解を伺います。
谷口副大臣 今五十嵐委員がおっしゃったことでございますが、これは、そもそも今回の二次補正で計上した施策につきましては、地方の実情も踏まえつつ、事業の早期執行が可能で緊急に実施する必要のあるものを積み上げたところであって、地方のニーズを無視したものではなくて、地方のニーズを十分勘案した結果、地方のニーズにこたえた結果やったもの、このように考えておるわけでございます。
五十嵐委員 それでしたら、来年度の予算の方が先行しているんですから、そっちに入っているはずなんですよ。そうでしょう。要するに、来年度予算から落ちこぼれた事業の中から適当に選ぶということになるんじゃありませんか。
 そんなにニーズがある事業だったら、施設費ばかり、しかも公共施設の施設費ばかり六千億にもなるはずがないじゃないですか。あれをやってくれ、これをやってくれというのがいっぱいあるんでしたら、しかも一般の人に、公共の用に資する事業であったら、仲間内の公共、公的セクターの方の施設整備にお金をこんなにかける、向かうということはないはずじゃないですか。おかしいですよ、優先順位からいったって。
谷口副大臣 ですから、先ほど申し上げたように、早期執行が可能で緊急を要するというような観点があるわけでございますから、十四年度予算の先食いということではなくて、そういう観点で今回の二次補正を組んだところでございます。
 委員御存じのとおり、今回の緊急対応プログラムの結果この二次補正を組んだところは、一方で、構造改革を推し進めていかなきゃいかぬ、また一方で、現下の経済状況をかんがみるに、デフレスパイラルを回避したいというような二つのところを主眼に置いて今回二次補正をしたところでございまして、ですから、冒頭お話をさせていただいたように、緊急に実施をするというような観点も大きな意味合いがあるわけでございます。
五十嵐委員 それを強調するということは、いわゆるフィスカルポリシーですね、景気対策のためにやるんだということなんですが、それにしては額が小さ過ぎるでしょうという話が当然来ると思う。どうしたら、たったこれだけの額でデフレスパイラルがとめられるんですか、そのわけを述べてください。
谷口副大臣 今回の試算、二次補正予算の試算によりますと、この先一年後のGDPでございますが、名目で一・二%、また実質〇・九%アップするというような観点もあるわけでございまして、確かに、おっしゃるように金額は大規模ではありません、現下の財政状況の中で大変苦労し、吟味しながら今回の予算を編成したということでございます。
五十嵐委員 今まで、二次補正で一体どれだけ需要追加してきたんですか。それがきいてきたんですか。百兆円以上も需要追加してきて、それで全く効果がなくてデフレスパイラルに陥っているのを、二・五兆円でデフレスパイラルはとめられます、GDPが上がりますなんというのは、こんなものは通用するはずがないじゃないですか。(発言する者あり)今からその話はしますから。やるなら百兆なんですよ、はっきり言って。そういう意味でやるなら。全くどちらの意味にもない政策だと言っているんですよ。よく聞いてください。
谷口副大臣 ですから、従来型の投資ではないと。今、百兆円であるとかなんとか、こうもおっしゃったわけでございますが、今回の二次補正においては、改革に資する、構造改革に資するという観点と、デフレスパイラルを回避するという観点で編成されたものであるわけでございまして、四つの観点から成るわけでございます。
 一つは、都市機能の一層の高度化、国際化、二つ目は、環境に配意した活力ある地域社会の実現、三点目が、科学技術、教育、ITの推進による成長フロンティアの拡大、及び四点目が少子高齢化の対応。このような四つの政策課題の中で、いかにして民間投資を誘発させるかということと、雇用機会を増大させていくのか、こういうようなことを踏まえながら、早期執行が可能なもの、また緊急の対応が求められておるもの、また経済の効率性という観点から見て効率性の高いもの、このような事業に対して今回この予算を歳出する、そういう二次補正予算になったわけでございます。
五十嵐委員 需要追加策が意味がないというのは後でまたお話をさせていただきますが、その前に、今度のこの補助金型の事業については、自治体の裏負担の問題がございます。裏負担は全額起債で充当せざるを得ないということになって、その裏負担分ないしそのもともとの本体の元金分ですけれども、これについても後で交付税措置をするということになっていると思うんですね。しかし、これは明らかに国から地方への負担のつけかえになるわけです。
 一つは、交付税措置といっても、これは交付税のそれぞれの事業についての負担分は積み上げ計算しますけれども、交付税全体はその細かな事業の積み上げだけではないわけですね、一般的な経費もあるわけですから。あるいは、特別交付税のような一種の腰だめ的な部分もあります。ですから、そこにいろいろなむだもあるということで、塩川財務大臣は基準財政需要額の一兆円カットということを言われてきたわけであります。
 そうすると、全額面倒を見てもらえるんだから、これだけ、この分だけこの事業を受けた自治体は交付税がふえると思ったら、実際にそのときになってみたらそうなっていないということは当然あり得るわけです、そのほかの要素がありますから。その部分については入っているんだって強弁するかもしれないけれども、それは実際に額としては、全体の額として、自治体が受け取るトータルの額としては反映されないということが起きてくるわけですね。これは一種の自治体に対するだましみたいなものですけれども。
 この基準財政需要額は、来年度どのぐらいカットしたのか、それ以降どれぐらいカットする予定なのか。そして、先ほど私が申し上げましたトリック、積み上げ計算だというけれども実際にはそうならない可能性があるということについて、御答弁をお願いします。
塩川国務大臣 まだ地方自治体の裏負担が総計幾らぐらいになるか明確にわかってはおりません。したがって、その数字について申し上げられませんが、考え方といたしましては、裏負担につきまして、起債の条件でございます半額相当額を地方交付税で負担していくということになってくるわけでございます。
 そこで、今の五十嵐さんの質問を聞いておりまして、私は非常に前提が無視されておるような感じがするんです。確かに、この二次補正を一般財源でやれとおっしゃるのも、おっしゃるのはそれはもう当然の主張だと思いますけれども、現在、そこには重大な政治問題があるということをやはり考えてもらわないかぬ。それは何かといったら、平成十三年度は国債発行額を三十兆に抑えるという、この政治目的がきちっと書いてあるわけでございまして、現内閣はこれを実行するということなんでございます。
 その前提があるということと、もう一つは、補正でなぜこういう予算を、二次予算を組んだかといいましたら、実は、アメリカにおきます同時テロがございまして、その影響は必ず深刻な状態として世界経済に覆いかぶさってくるであろう。その影響を受けて、日本も予防的な措置として、セーフティーネットの意味において需要追加をしておかなければいかぬという、この前提のもとに組んできた予算でございますので、一応、白地で考えまして、正当な補正予算の考え方でいったら五十嵐さんのおっしゃっていることも当然でございますけれども、しかし、それでは政治が働いておらないということになってしまいます。我々は、政治家として政治の目的を追求しながら、そして現実にマッチしたものをとるということで、こういう手段をとらざるを得なくなったということでございます。
 したがって、補助事業という形で実施いたしますけれども、これらの事業はいずれも、地方自治体がいずれはやらなきゃならぬ、つまり、地方自治体の当然の事業の一部を先取りしてやっておるんだという考え方、これをひとつ認識していただきたいということ。それから、国営でやらなきゃならぬ事業もございますので、その分についても若干持ち込んでおるということでございますので、多角的にこの予算を見ていただきたいと思っております。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
五十嵐委員 テロの影響、テロの影響と申しますけれども、アメリカ経済というのは、テロの前から、昨年の六月ぐらいからかなりの勢いで減速をしているわけですよ。だからこそ、グリーンスパンさんは八回も立て続けに金利を引き下げ、いろいろな手を打っているということでありまして、最近の答弁を聞いていますと、みんなテロの影響のせいにしているようですけれども、それはちょっとおかしいと思うのですよ。
 我が国も、長期的に経済は低落傾向にある。経済成長率は鈍化、減少しているわけですね。それは、景気循環によるわけではないわけであります。構造的なものだということで構造改革事業をされているんじゃないですか。
 確かに、短期的な景気の循環については需要追加策というのは一定の効果があると思う。しかし、ここまで財政状況が悪化してくると、非ケインズ効果が起きて、財政がますます悪くなるのではないかという予想を当然ながら人々に与えますから、それは逆に財布のひもを締めるという方向に向かってくるわけであります。ここまで財政が悪くなったところでは、需要追加策が必ずしも力を発揮しないというのは、もう世界的に明らかなことなんですね。
 それでは、景気をよくする政策というのはケインズ理論による公共事業追加と金利の緩和しかないのか。ほかにもいろいろあるわけですよ。いろいろな手を使うべきであって、景気が悪くなったからすぐ財政出動だなんという国は、今や先進国では日本だけですよ。全くないんですから。その辺を御認識なさっているはずなんですね。僕は塩川先生ともいろいろお話を昔からさせていただいて、そんなに違いはないということもわかっているんですけれども。
 ですから、ここでどうして余り効果のない、そして、逆にこれによってさらに、これは一時的な国債の振りかえだ、やがて国債の追加が出てくるというのはもうわかっているわけですから、これに対して逆に日本の財政に対する厳しい見方が増してくる、そういう面がある。したがって、これは逆効果を生む可能性がある政策だという観点からお話をさせていただいているので、その辺を見ていただかなきゃならないと思いますよ。いかがですか。
塩川国務大臣 そこはやはり私は政治家個々の考え方だと。その考え方も私は正しいと思います。
 しかし、一方において、我々が長年構造改革をやらなきゃならぬと思いながらなかなか手がつかなかった。けれども、歴代内閣におきまして補正予算を組んでまいりましたことは、日本の経済のいわゆる破滅的状態を救済するために非常に効果のあったことは事実でございます。
 何も、過去において追加補正をやって百十兆円から追加してきたということは無意味じゃない、絶対そうじゃない。これがあったからこそ日本の経済が破滅することを防いできたということは事実でございますけれども、しかし、それにもかかわらず一向に経済が活性化しないではないかと。活性化するのには何が必要なのかということになりますと、規制の緩和をする、あるいは構造改革を進めていくということをやらざるを得ない。そこに、小泉内閣が構造改革を優先させて、そして同時に景気対策も講じていこうということをやったということでございます。
 したがって、質問の趣旨に答えておらぬとおっしゃるかもわかりませんが、我々の考え方と民主党等の考え方とございましょうけれども、そこが政治の違いなんだということの認識をいただきたい。
五十嵐委員 政権をとっているからいろいろな要望にこたえなきゃいけないというのはわかりますし、そういう主張にある程度こたえなきゃいけないというのはわかるけれども、ここは、そういう人たちを説得して、別の方法で景気をよくするんだというビジョンを示していかなければならないんだと思うわけであります。
 私は、経済危機が来るとすれば、これは実は国債に対する信用、日本の国債に対する信用から日本の経済危機は訪れるだろう、こう思っております。今まさに、ハイパーインフレを内包したデフレなんだ。今、デフレだデフレだ、デフレ対策だと言っているけれども、ハイパーインフレを間近に内包したデフレなんだという認識を私は持つべきなんだと思う。
 そういう意味では、三十兆円を守ったことはいいことなんです。私は前から申し上げておりますけれども、三十兆円を守らなかった場合、私は例えばムーディーズの格付はもう一段階下がっていたおそれがあると思う。そのときはかなりの反応があった、私はこう思うわけであります。
 そういうハイパーインフレを内包したデフレだという認識はおありになるかどうか、日銀総裁においでいただいていますので。
速水参考人 国債の金利がどう変わっていくかということは、私どもも大変日々重要な関心を持って見ておるところでございます。これは、たくさん出せば出すほど、価格は下がり、金利が動くということはあり得ることだと思います。
 そういうことではございますけれども、少なくともこれまでは、財政面からの景気をよくする措置というものが重要な役割を果たしておったわけでございますし、それが中長期的に続かなくて、公共投資というような形でそのときそのときを埋めてきたということはあったと思います。
 そういう意味からいっても、これからはやはりそのもう一つもとにある民間の需要を引っ張り出す構造改革というものが必要であるというふうに思っております。それを引き出すために、私どもの金融サイドからも、金利を低くして資金量を潤沢に出していくということを続けてきておるつもりでございます。
五十嵐委員 民間の需要を引き出すことは確かに大事なんですね。だけれども、超低金利政策を続けること自体が本当にそれに役立っているのか。これだけ長い間、超低金利政策を続けてきて、そうなっていないわけですね。私は、超低金利政策はいつまでも続けられる仕組みではない、限度、限界を見定めるべきだという見方に立っております。
 しかも、これだけデフレ下でマイナス金利が働くような状態では、これは現金の価値が無限大化するわけですね。現金の価値が極大化し、無限大化して、これは何を意味するかというと、ほかのものでリスクをとる必要がなくなってくるということですから、債券市場の崩落を意味するんじゃないですか。そうですよね。そうすると、このマイナス金利状態がずっと続くということは、やがては債券市場の崩落、国債の暴落につながってくるということになるんだと思うのですね。これは理論的にそうなると思うのですが、その辺の見きわめというか、これにどう対処するのかということを総裁にお伺いしたいと思います。
速水参考人 長く低金利が続いていくということは、機関投資家や金利収入に依存しておる家計には非常に大きな、厳しい状況に追い込んでいるということは十分承知しております。年金生活者などが貯蓄の運用益が少ないという声が強いことも承知しておりますし、一方で、ためた貯蓄の元本というものが減価しない、物価が下がって安くなれば減価しないから、その点は安心だという声も一部には出てきております。
 こういうことでございますが、金融緩和の効果が発揮されて経済活動の全体が活発化していかないと経済自体が死んでいく今の新しい競争社会の中で、あるいはグローバリズムの中で、日本が取り残されていくことはもう間違いないところでございますから、今、何としてでも民間の経済活動を活発化していくということが必要であり、そのためにはやはり構造改革というものが必要だということになります。
 それと同時に、それまでの間、一般の庶民等に先行きを安心して見ていてもらわなければ困るということがあるわけです。日本銀行では、現在の緩和の枠組みをCPIの前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続するんだということをコミットしておるわけです。これが物価の継続的な下落を防止して、安定的かつ持続的な経済成長のための基盤を整備するという断固たる意思を表明したつもりでおります。先行きを心配する懸念をなくして、人々の期待に働きかけることによって、長い時間軸を与えることによって強い緩和効果を出していくということが今私どもが期待しているところでございます。
 しかし、そういった強力な金融緩和の効果が十分に発揮されるためには、先ほども申し上げましたように、構造改革の推進を通じて民間の前向きな経済活動を引き出していくということが何よりも重要なことだというふうに考えているわけです。
五十嵐委員 私も、構造改革こそ一番最も重要だということは総裁の御意見と全く同じでありますが、先ほど申しましたように、超緩和政策というのが実際に効果を発揮していない。これをいつまでも続けるんだ、CPIがゼロ以上になるまで続けるんだということだったら、めどが立たないわけですよ。十九世紀のイギリスのデフレというのは百年続いたんですね。百年これが続いたらどうなりますか。
 例えば生命保険、これは今のままでいけば、どうにもならないんじゃないですか。年金基金、どうにもならないんじゃないでしょうか。そして、先ほど言いましたように、お年寄りの世代は、まさに総裁がおっしゃったとおりに不安を持っておられる。千四百兆円の個人の金融資産のうち、三分の二は六十歳以上、四分の三が五十歳以上がお持ちですから、この人たちは、やはりこういう超低金利で金利収入が入ってこなかったら使いたくない、こう思うのは当然でありまして、このままでいったら、むしろ超低金利政策の弊害の方が景気にマイナスにより強く働くんではないか、そういう心配がある。特に生保というのは、一般の人にとってはとても身近なんですね。生命保険は最後のよりどころと思っている人がかなりいるわけですから、これが次々破綻をしていくというのは大変大きな問題であります。
 この超低金利政策が続く中で、生保の破綻を防ぐ、あるいはセーフティーネットを張るというのは非常に重大な課題でありますけれども、金融庁が十分に対応していると私には思えません。契約者保護機構も、五千六百億円分はほぼ使い果たし、国が用意しておる四千億円も、これは来年の三月末までしかきかないということになっているし、大きいところが破綻すればすぐ吹き飛んでしまう。しかし、その後の手当ても何もされていないし、そういう検討にもまだ入っていないんではないかな、そういう気配が見られます。
 この生命保険のセーフティーネット、これについてどのようにお考えでしょうか。金融大臣に伺います。
柳澤国務大臣 超低金利政策の継続によって生保はいわゆる逆ざやに、率直に言って苦しんでいるというか、そういう厳しい状況があるわけでございますが、ただ全体としては、かねてから申しているように、基礎利益、つまり死差、費差というようなものを総合的に算入したところの財務の状態というものは、平成十三年度上半期の状況で見ましても、なお、これは半期でしかも全社ベースですけれども、一兆円を優に超える状況にあるわけでございます。しかし、そういう厳しい中でセーフティーネットの方はどうかというと、今五十嵐委員が指摘されているとおりの状況でございます。
 ただ、もう一つちょっと申しますと、それだからセーフティーネットは気を配らなくていいということを決して言うつもりはありませんけれども、最近の破綻処理で見ますと、その受け皿の会社というようなものは、あえて保護機構の支援を求めないで、その他のところで負担を担いまして処理をしてくれているというような状況にもございます。
 適切なタイミングを選んで、私どももセーフティーネットの問題について検討をしなければならないとは考えております。
五十嵐委員 勝ち組と言われる安田生命と明治生命ですら合併をするということは、かなり危機感を持っていると私は思うわけであります。適切な時期を見てセーフティーネットの見直しをする、こうおっしゃられたわけですけれども、適切な時期というのは、どういう条件が整った、どういう具体的なタイミングの時期なのか、あるいはどういう方向での見直しなのかということをお伺いしたいと思います。
柳澤国務大臣 生保のことについては、いろいろ考えまして、先般の金融審議会におきましても議論をしていただきました。そして、例えば配当などについては、八割も全部配当しなきゃいけないというようなことではなく、相互会社としてはかなり思い切った措置だと思いますけれども、内部留保を積み上げていくというような道も開かれて、おいおいこうした財務状況に対する手当てというものも進んでいるわけでございます。
 そうした中でセーフティーネットを、さらに保護機構をどうするかというようなことについての問題であるわけですれども、これは非常に、議論をすればすぐ怖いところがあるんじゃないかというような連想もございますので、私どもとしては、そうしたことのないような状況を選びたいというところでございます。
五十嵐委員 議論をすると危ないところがあるんじゃないかというのがすぐ出てくるというのは、それはディスクロージャーが十分じゃないからですよ。ディスクロージャーが十分でないからですよ。それを例えば、前の金融大臣のときでしたけれども、ダブルギアリングでごまかしているじゃないかという話をしたら、いやダブルギアリングはもう二月でやめましたと言うけれども、ダブルギアリングの問題は、生損保間のダブルギアリングは確かに禁止したけれども、業態の違う普通の銀行との間のダブルギアリングは禁止していないじゃないですか。算入しているじゃないですか、相変わらず。
 そんなことで、十分なディスクロージャーで五〇〇%もソルベンシーマージンがあるところが倒れるというような事態が起きるから、これはまたおかしいんじゃないかというんであって、ソルベンシーマージンそのものが信用されれば、それが十分にあるところは信用されるんですよ、やはり。
 だから、十分な会計制度、会計の仕組みその他の整備と十分な情報公開がないからうわさになるわけで、セーフティーネットというのは、問題が深刻化してからやったのではより費用が高くなるので、これはきちんと先にやっておくからこそセーフティーネットじゃないですか。落ちかけてからネットを持っていくんじゃ、これは大変なことになるわけです。
 もう一度御見解を伺います。
柳澤国務大臣 セーフティーネットも、ないわけじゃないんです、今においても。しかし、公的資金と民間拠出の部分について、民間拠出の部分が残り少なくなってきたんじゃないかというようなことの中で、今委員もいろいろな問題を提起されているんだろうと思います。これらについてどうするかということについては、当然考えなきゃいけないことでございますけれども、今、当座は、何かセーフティーネットがなくなっちゃっているというようなことではないというのが我々の認識でございます。
五十嵐委員 いや、それはわかっているんですよ。だけれども、一つ大きいところがもし万が一のことがあったら、四千億じゃ足りないでしょうと。五千六百億はもうないんだから、民間にさらに拠出を求めるのか、国が積み増すのか、四千億の期限である来年というのを延ばすのか。一応そういったことはすぐ頭に浮かぶわけで、これは全くお考えがないのか、検討するとすればいつごろ検討するのかということを伺っているんですよ。
柳澤国務大臣 いずれ四千億の公的な部分については期限が到来しますので、到来してしまったんではこれは非常に心細いことにもなるわけですから、したがって、そういうことのないようなタイミングで、これは議論の結果はどうなるかわかりませんけれども、議論をする、こういうことになろうと思います。
五十嵐委員 それから、先ほど申しましたディスクロージャーをもっと明確にするということについてもぜひ御検討を早急にいただきたい。そうでないと一般の契約者は安心できないということを申し添えておきます。
 それから、先ほど申しましたけれども、私は、日本の危機が来るとすれば国債の暴落リスクからだという考え方を持っております。
 それで、今盛んに小泉改革の中で、例えば住宅金融公庫を民営化するという方向が出たり、いろいろなことが行われていますけれども、これは、公の部分を民に移す、そういう作業なんですね。そのこと自体は賛成なんですが、その後の金融の姿を明確にしないと、逆に混乱が起きますということを申し上げなければならないと思います。
 今の仕組みというのは、ある意味では非常にうまくできているんですね、巧妙に。政府内金融といいますか、国が国債を発行する、発行するけれども、いろいろな、かつての資金運用部で引き受けたり、あるいはその先の特殊法人で引き受けたり。四七%ぐらいですか、政府内で国債を回して、そしてその調節を図っている。だから、長期金利がなかなか上がらない。あるときには、危なくなると、農林中金ですか、農林系に頼んで国債を買ってもらうとか、そういうことをしているわけですね。
 ところが、そのバッファーというべき部分がだんだん官から民への改革によって小さくなってくるという面があります。例えば郵貯の自主運用ということになってきますと、それは資金運用部で財務省が直接やるのとは違う姿になってくるわけです。そこでも、当然ながら、ほかにいい商品がなければ国債を買うということになるかもしれませんけれども、なっているのかもしれませんが、しかし、そのバッファーが小さくなってくる、つまり政府内金融に余裕が小さくなってくるという面もある。
 だから、それはいいことだと言っているわけではないんですが、官から民への改革などをした後の金融の全体像としてのビジョンや安全弁がどうなのかということがなければならない、そう思うんですが、その点について、それぞれ御関係する大臣、総裁の見解を伺いたいと思います。
谷口副大臣 五十嵐委員がおっしゃったように、十三年度から郵貯におきましても自主運用に切りかわって、財投そのものが大きく変わったわけでございます。
 それで、従来はおっしゃるように郵便貯金、年金積立金の全額が資金運用部に預託される制度から、特殊法人等の、政策に真に必要な資金を財投債として市場から調達する仕組みへと抜本的に転換いたしたわけでございます。この結果、財投改革後の財政投融資については、全体規模を縮減しつつ、真に必要と考えられる資金需要には的確に対応していくということになっておるわけでございます。
 今後とも、財政投融資については、行財政改革の趣旨を踏まえ、民間ではできない分野、事業に特化する等、事業分野、事業の重点化を図るとともに、時々の社会経済情勢を踏まえ、セーフティーネットの構築等、真に政策的に必要と認められる資金需要に的確に対応していくという観点でやっていく所存でございます。
五十嵐委員 よくわかったようなわからないような答弁なんですけれども。(発言する者あり)質問はわかるでしょう。それは問題があるな。
 例えば――いや、質問、政府側はおわかりにならないんですか、私が言っていること。具体的に言いましょうか。例えば、住宅金融公庫を民間のローンに移しかえるとしますね。通常のときはいいんですけれども、金利変動幅が大きいときは、逆に今度は国に引き取ってくれという話になるはずなんですよ、これは。もし大幅な金利上昇等があった場合に、これは民間では支え切れなくなる、逆にそのときは国の方に大きな負担が来るということがあり得るんですね。
 ですから、官から民へというのは一概にただ全部がいいというわけにはならないんです。ですから、官から民へということをする以上は、そのほかの条件も十分に整備しなきゃいけないし、全体の金融の姿を考えておかなきゃいけないということなんですよ。
 例えば、公的機関というのはよその国ではみんな国債を引き受ける義務を負っています。義務を負っているんです。いざというときには、国債がデフォルトを起こさないように、公的機関は余裕があるならみんな買えという仕組みになるんですよ。そこを持たないで、郵貯自主運用だ、自主運用だという形で、能力がそんなにあるわけじゃないわけですから、民間の投資信託と相談して預けっ放しにしてしまって、それでそういう義務を負わせないで、本当に国債の暴落や長期金利の急激な上昇というのを起こさないことができるのかということなんですよ。おわかりになりますか。その辺をお答えを。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
谷口副大臣 郵貯資金の資金運用については、市場運用を基本としてやっておるわけでございますけれども、公的資金として、市場への影響を十分考慮しながら、市場を攪乱することのないように、おっしゃるように長期的、安定的な運用手法を基本としていかなければならないというように考えるわけでございます。
五十嵐委員 要するに、まだ全体像やビジョンや安全弁ということについて考え方を持っていないということなんですよ。早急に御検討いただきたいと思います。
 そこで、次の問題に移らせていただきたいんですが、道路公団が昨年末、発注予定だった十三の案件を凍結したということが報道されました。この件について、その後どうなっているのか、道路公団から伺います。
小笠原参考人 先生御指摘のとおり、去年の十二月に発注予定しておりました工事、発注手続に入っておりましたが、緊急的に十三件について発注を延期いたしました。地元の関係行政機関初め、関係者の皆様に多大な御迷惑をかけたことを申しわけなく思っております。十分な説明責任、アカウンタビリティーがなされていなかったというふうに反省しております。
 御承知のとおり、道路公団の発注する工事と申しますのは、二年とか四年にかかわる非常に大規模な工事でございますので、後年度負担がかなり大きな部分を占めるわけでございます。その結果、次年度以降の資金の手当てについて十分検討する必要がございまして、その当時、十三年度に発行を予定しておりました財投機関債、約一千五百を用意してございましたが、それとか外債、その辺の見通しが非常に不透明であった点、さらに十四年度の高速道路の建設費の大幅な削減に対応するために、年内に発注していた工事の一部を先送りしたわけでございます。いわゆる凍結だとか中止ではなく、緊急的なものでございました。もとより、日本道路公団は施行命令を受けている事業について執行する機関でございますので、事業の凍結、中止をする立場ではございません。
 現在、十四年度の予算の原案の決定を受けまして事業計画の見直しを行ってまいりましたが、このたび、この一月二十四日に財投機関債六百五十億円の完売がなされたこと等によりまして、所要の資金の確保が見通しがつきましたので、十三年度来この三月までに発注する工事、約一千億の工事の公表をしたところでございます。なお、この中には発注延期を行った十三件の工事も含まれております。
 なお、この結果、十三年度当初発注予定の債務工事は五千六百億円になりまして、年度の一番最初に見ました債務額七千三百に比較をいたしますと、一千四百億円ほどの工事が平成十四年度に改めて公表することになったわけでございます。
五十嵐委員 国の方の方針で大幅に削減になったわけですね。ですから、削減に対応して工事の完成に影響がない路線を選んで、これは引き延ばし、民間の言い方だと凍結というのはマスコミが言っているわけですけれども、したはずなんですね。だから、それは選ばれてしたわけですね。ただむやみに凍結というか引き延ばしをしたわけではないわけですから、それなりの理由があったはずで、そう簡単にそれをもとへ戻すというのは納得ができないわけですね。
 それから、それだけでは足りなくて、さらにまた幾つか選んで、完成に影響がないところでさらに凍結部分をふやすという予定だったんじゃないですか。そうすると、ここで復活させちゃったら、完成予定がおくれる事業がほかに出てきちゃうんじゃないですか。その辺についてはどうですか。
小笠原参考人 十三年度の見送った十三件につきましては、ここ一、二年の供用に影響のないもの、あるいは関係機関との事業の調整上必ずしも十三年度じゃなくて十四年度でもいいもの等についてでございまして、これらの事業については、当然予算の手当てができれば十二月に発注すべきことでございましたので、予算の手当てができた中におきましては優先的に発注しなきゃならない工事ばかりでございました。
五十嵐委員 そうすると、まだ千四百億ばかり十四年度以降に繰り延べしなきゃいけない部分があるとおっしゃったんですが、その中には、ここ一、二年の完成、供用に影響がないものばかりなんですか。それとも、影響があるものが出てきちゃう可能性もありますか。
小笠原参考人 平成十四年度に見送ったものの中には、ここ一、二年に供用しなければならない工事はございません。平成十三年度中にすべて工事を発注して、ここ一、二年についての供用は予定どおりいきたいというふうに考えております。
五十嵐委員 この問題は、後でまた詳しくやらせていただきたいと思います。
 それから、法務省おいででございますか。
 最近いろいろな不祥事が出ておりまして、再び新聞紙上をにぎわしております。そして、あっせん利得罪の見直しというものが問題になっているわけですけれども、あっせん収賄罪、あっせん利得罪等のことにつきまして、請託というのが非常に中心になってまいります。ある案件について、請託がないと収賄罪とかあっせん利得罪が立件されない、そういう問題がありまして、一般の国民から見ると大変不思議なことなんですね。常々もらっていたらいいんだ、セーフだ、そのときだけもらったらアウトだというのは納得ができないわけですよ。
 要するに、政治献金先企業だ、ふだんから継続して政治献金をもらっている企業だということを認識していて、そして、その会社の公共事業の発注にまつわって口をきいたというときには、当然一般的な請託があったと解すべきであって、ふだんからずっともらっていたらセーフだという話は国民はどうしても納得できないんですが、その辺のところの法的な関係を明らかにしていただきたい。
古田政府参考人 お尋ねの件は、あっせん利得罪についての請託ということになろうかと考えるわけでございますけれども、私どもの理解しております限りでは、このあっせん利得罪が新設された際に、あっせん行為があるという場合には、通常何かの行為を頼まれてするということが、これが一般的なパターンである、そういうふうなことと、それから、やはり請託を受けてということが刑法上も受託収賄等についても規定されていることとの均衡、そういうことから、請託を受けてという要件が入れられたように理解しているところでございます。
 ところで、委員お尋ねの一般的請託、必ずしも正確に御質問の趣旨を理解した上でお答えすることができるかどうかわかりませんけれども、やはり請託と申しますのは、個別具体的にこういうことをしてもらいたい、あるいはこういうことをしないでもらいたいということが一般的な刑罰法令上の用語でございまして、それを超えるようなこととなりますと、これは、特にあっせん利得罪との関係で申し上げれば、政治活動のあり方等も深くかかわるような話というふうに考えられますので、その点につきましては、法務当局としてはお答えを差し控えたいと存じます。
五十嵐委員 よくわからない答弁なんですけれども、要するに、うちの企業のことを頼むよ、こう言われていた中に、包括的な請託の中にあるということがあると思うんですよね。それを詰めてほしいということなんですが、もう時間が来ていますから、もしすぐ答えられるんでしたらお答えいただいて、私の質問は終わります。
古田政府参考人 言葉が不十分だったかもしれませんが、一般的に請託と申しますのは、個別具体的なことに関しまして、ある行為をしてほしい、あるいはしないでほしいという、こういう依頼ということでございます。それを超えて、今委員御指摘のような包括的な問題ということになりますと、これはまた違った角度からの御議論が必要であろう、こう考えるということを申し上げたところでございます。
坂本委員長 追加答弁で、道路公団理事小笠原参考人。
小笠原参考人 先ほど、来年度に繰り延べる工事、一千四百と申し上げましたが、一千七百の間違いでございました。どうも済みませんでした。
坂本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中塚一宏君。
中塚委員 自由党の中塚でございます。
 午前中の審議を聞いておりまして、塩川大臣の御発言で、三十兆円の意義ということをお話しになったときに、政治課題だという言葉をおっしゃって、私は、なるほどなというか、確かに得心をいたしまして、私も、まさにそういうことだと思っております。
 政策課題という意味での三十兆円の国債発行枠というのは、確かに今、財政赤字をどんどんと出していいような状況ではありませんし、それはもう当然のことではあるとは思うのですけれども、ただ、さはさりながら、補正予算を組むときに、ではどこから財源を持ってくるんだということになりましたときに、結局、整理基金特会にあるNTT株の売却益を使わにゃいかぬようになってしまっているということで、まさに三十兆円の国債発行枠というのが政策課題ではなく政治課題だというふうに、全くもって同感で、納得をいたしました。
 さはさりながら、政治課題だからといってこれが許されるのかどうかというのは、またちょっとそれは別問題だろうと思うのですね。財政規律という点でも、要は、国民共有の財産として将来の借金を返していくということ、それのためにためてあるお金を、要はそれを先食いして使うような話ですよね。五年先には補助金によって返還をするということになるわけですから、先食いをしてその財源に充てるというふうな話になるわけです。
 昨年の末に予算委員会で、財務大臣とこの問題も含めて議論をしましたときに、財務大臣は、単純に国債を発行して償還をするようなものではない、後年度において、いろいろな補助金、財政のミックスをもって解決をしていきたいというふうに御発言になっているわけですが、一方で、今、内閣府経済財政諮問会議が出しています中期財政の展望ですね、あれを見ますと、やはり五年先というのは、要は公債というのはちゃんと発行しているわけですね。だから、税収だけで賄うという本来の姿には立ち至っていないわけですけれども、そうなってくると、財政のミックスとはいうものの、そのほとんどはやはりこれは特例公債であり、あるいは建設公債ということでこの二・五兆円は将来返すことになるのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 建設国債発行で賄うということになりましても、結局、しょせんは国債増発ということにつながっていくことでございます。
 私たちは、国債発行の枠を三十兆円というのは無理だとおっしゃって厳しい批判を受けておりますけれども、この政策目標は非常に私は重要な意義があって、要するに、国家予算の見方というものと、それから行政経費のあるべき姿というものを見直す一つのきっかけになったと思っております。それだけにこの三十兆円というのを固執したのでございまして、その固執を撤廃してしまう、外してしまうということになれば、おっしゃるように建設国債でやる方がいいかもわかりませんが、その選択をしなかったということは、先ほど言いました、財政に対する考え方と、それからまた財政の節度を保ちたいということの考え方でこうしたということでございます。
中塚委員 そこで、財政の節度という話になりますと、要は、この二・五兆円というものを、何らかの後年度負担ですよね、国債であるのかあるいは財政なのかも、財政というか税収なのかもしれませんが、何らかの形の後年度負担で賄うということには変わりはないというふうに思うわけです。
 そういうふうな予算をつくらなければいけなくなったという経済の現状のこともありますが、これはちょっと後でお伺いをするとして、そういう後世へのツケ回しという意味では、やはりそこのところは、今国債を発行するのも、五年先に国債を発行してこの二・五兆円というのを埋めるということについても変わらないのではないかというふうに思うのですが、そこはいかがでしょう。
塩川国務大臣 そこは政治家の判断だと思っております。
 国債発行というものが景気対策ということと非常に関係しておりまして、私は実はこういうことも、私個人の話でございますが、問題でございますけれども、昔よく日本の政策の中で富国強兵と言いましたですね。富国強兵、国を富ます、兵隊を強くする、これを両方追うたことがございました。結局、そのバランスをうまくとれば、富国と強兵とバランスをとっておれば問題なかったのですけれども、一番すばらしい発展だったのですが、強兵の方に力を入れ過ぎてしまったので、富国がだめになって、大東亜戦争へ行ってしまった。私たち、こういう苦い経験を持っております。
 では、その強兵を許した根本は何なのかといいましたら、国債の発行であったというのが反省でございますね。そうしますと、今、景気か改革かというこの二つをとっておりますけれども、これはやはりお互い関連したものでありながら、ここのバランスが非常に大事な問題だと思うのです。
 ある場合には、景気に重点を置いて十年やってまいりました。私たちは、景気だけじゃなくして、やはり改革にバランスを置いて、改革と景気とバランスをとらすということがいいと思ってやっておるので、そこが選択の問題だと言っています。
 ですから、自由党の方のお考えはよくわかっておりまして、まあまあ積極財政の考えはよくわかるのですけれども、積極財政だけでこの事態を、経済の不況を乗り切っていけることができるかどうかということも多少問題です。そこにはやはり機構改革等構造改革も必要だろうということはもちろん考えておられると。そうすると、そのバランスのとり方は政治家の選択によるということだと思っております。
中塚委員 別に我が党が積極財政の党ではありませんので、そこだけは申し上げておきますが、積極財政の党であるならば、この補正予算の規模ではとてもじゃないがデフレスパイラルは回避できないというふうな言い方をするようになると思いますけれども、そのことを申し上げているわけではありませんで、財政規律ということを政府の方でおっしゃる、大臣の方でもおっしゃっているわけですね。それは大変重要なことだと思っているのです。
 積極財政以上に、財政規律を守るということは大変に大事なことだと思っておりまして、そういう意味から、今のこの国債整理基金特会のお金を使う、五年後にはまた何らかの形でそこへ戻す、その何らかの形というのが借金であるかもしれないということが問題ではないのかというふうなお話をしているわけです。
 ところで、そういうことであれば、将来はこの二・五兆円のお金を借金によらないで返すというふうなことになるのか、あるいはそこは借金によって返すということになるのか、その辺はどのようにお考えでしょう。
塩川国務大臣 それはまさに中期経済展望と関連する話でございまして、まず、その問題に入ります前に、一番私たち当面の問題として考えますのは、プライマリーバランスをどこでとるかということ、この前提をある程度決めて、それにどう向かっていくかという中期計画を組むということにいたしました。
 いろいろな計数を整理いたしまして、二〇一〇年をプライマリーバランスの黒字化の初期にするという目標をつけて、それに至るべき経済成長率とかいろいろなものを勘案いたしました。これは仮定のことでございますから、必ずしもそのとおりになるかどうかわかりません。けれども、少なくとも、多少は理想的な考え方、いわゆる善意を持って、理想的な感覚で予定をいたしました。
 そういたしますと、現在の国債発行残高を少し軽減していく方法として三つの原資を考えておるということであります。
 一つは、これから中期展望でさらに一層の財政削除を図るということであります。要するに財政の切り込みでありますけれども、これをやる。ただし、それは無制限にやるわけじゃございませんで、財政コストを考えた上でこれをやっていくということでございますから、この効果を一つ期待するということ。
 それから二番目の問題として、経済が若干成長してまいりますので、その経済成長に伴って税の伸び率、弾性値もあろう。弾性値をどの程度組むかということが議論の中心でございましたのですが、私たちは非常にきつく見積もったといたしまして、一・一の弾性値ということを見積もっていった。
 それでもなお財源足りません。そこでその他の財源ということになっておるのでございまして、それはいろいろな財源でございますから、何を充てるかということがこれからの非常に難しい政治選択になってくるということであります。
 この三つのソースでプライマリーバランスを実現していくようにしよう、こういうことであります。
中塚委員 まさにそこのところはそういうことだと思うんですね。だからプライマリーバランスを回復させると。それも二〇一〇年度が目標になっているんですかね。この中期財政展望によると大体二〇一〇年がその目標、ターゲットになっているんだろうと思うんですが、私どもは、別に積極財政論者というわけではなくて、二〇一〇年度にこの目標を達成するためにも、三十兆円の枠というのはない方がやりやすいのではないかということをかねがね主張させていただいているつもりなわけです。
 それで、この二・五兆円の財源を償還する、今まさにいろいろなところから財源を集めてくるというふうなお話もありました。そういう努力をなさるということなんですが、この三十兆円の枠というのは、来年度はその方針のもとに予算が編成されていますけれども、来々年度、再来年度、加えて、この補正予算の財源である二・五兆円が償還を受ける今から五年後、そのときには、この三十兆円の枠というのはずっと設定をし続けるおつもりなのかどうか、いかがですか。
塩川国務大臣 これは、そのときの経済情勢あるいはまた政権のあり方等によって違ってまいりまして、私らも、いつ首が飛ぶかわからぬような、そういう者があえてこれを言うのは、ちょっとおこがましいと思いますので避けたいのでございますが、まあそのときになればどうなっているか、ちょっと見通しは今はつきませんけれども、その他の財源で賄っていくということは事実でございますから、先ほど言いました財政支出の削減、それから税の自然増収を積極的に図っていくということ、これは積極的にですよ、図っていくということ、そして第三の財源を求めるという、この三つでカバーしていきたいと思っております。
中塚委員 税の自然増収を積極的に求めるというのは、まさに税制改正の話も始まるわけですけれども、税制全体を見直す中で、やはり税の負担増ということも視野に入ってくるということなんでしょうか。
塩川国務大臣 先ほど言いましたように、経済成長率を一定程度見込み、それに対する弾性値を掛けた増収を見込んでおります。
中塚委員 そこはちゃんとはっきりお答えいただけなかったわけですけれども、要は、先のことはわからないという御趣旨の答弁が今ありまして、それで、先のことはわからない、確かにそれはそのとおりですが、では、将来返してもらわなきゃいけないお金を今使っておいて、将来のことはそのときにならないとわからないというのは、やはりこれは財政規律という点から見ると、もうめちゃくちゃじゃないかなというふうに思うわけですね。
 二・五兆円の国債発行ということが、では、果たして今の時点で本当にそれができないことなのかどうかということになりますと、私、実際マーケットの関係者、トレーダーなんかに聞いても、二・五兆円ならそんなに悪いインパクトを与えなくても大丈夫だろうという声だって聞こえてくるわけですよ。
 でも、やはりその三十兆円という目標が実は政治目標に、だからこれを破ることはできないということなんだろうと思うんですが、ということになりますと、やはり今回の二・五兆円使ってしまうということで、整理基金特会の中にあれば運用収益というのが当然あるわけですね。まずそれが第一。それで、無利子で貸し付けるということですから、それがなくなるということですね。次に、その二・五兆円を返してもらうときに、これが国債の発行によるようなことになれば、そのときの国債の利息というのもまたこれは国の負担になるわけですね。
 だから、今その三十兆円の枠を守るということではありますけれども、今年度の三十兆円枠を守るということが、実はこれを守らなかったときよりも財政事情を悪化させるのではないかというふうに思わざるを得ないわけですが、そこはいかがでしょうか。
塩川国務大臣 今、思わざるを得ないとおっしゃいましたが、そういう想定をされる方もあると思いますけれども、私は、それは当たらないと思いますね。
 といいますのは、やはり償還に入ります五年先を見ました場合に、経済はかなり好転しておると私は思います。ということは、今日まで、この長い低迷期間というものは、これはやはり改革の意識が低かったことからくるものであって、つい一、二年の間の産業界の意識改革というのは物すごく進んでおります。
 今やっと各企業が、本当に採算とるのにはどうしなければならぬかということで、分割したり、合併したり、企業集中したりやって、今やっとそこへ気がついた。今まで十年間何をやっておったんかと私は思うんですが、こういう意識のおくれがやっと出た。これでやはり私は、これから激しく成長へ向かってばく進していくだろうと思って、その下地がやっとここ一、二年の間にできた。
 これの起爆剤となったのが国会の金融二法の成立です。これがやはり一番大きい刺激となって、金融機関がぴしっときた。金融機関の意識が変わりました。それに伴って企業も変わってきた。それは連鎖反応が出てきたんですよ。だけれども、それは考えたら、ビッグバンだといって十年たって、何にもしなかった、ぼやっとしておったんですわ。そこが、国会が火つけたんで、私は、国会の功績というものは大きいなと思っております。
中塚委員 民間企業の方に言わせれば、十年間ぼやっとしていたのは政治の方じゃないかというふうに絶対言うと思いますけれども、金融機関がしゃっきりしているかどうかということについては、それは全くそうはなっていないんだろうと思います。だからこそ、もうそれこそ、スタンダード・プアーズなんかがGDPの三%程度は資本注入しなきゃやっていけないというふうなことまでもう書いているわけですよね。
 だから、それは大臣そうはおっしゃるけれども、そういうふうにはなっていないし、この十年間できなかったことというのを今すぐにやらなきゃいけないのは事実ですが、さはさりながら、この財源の問題とは別に、歳出面を見ても、五年先にじゃ景気がすごくよくなって、この二・五兆円の財源を上回る分が取り戻せるというふうにはちょっと思えない、ほとんど無理なんじゃないかなというふうな気がいたします。
 もう一つ、ちょっとお伺いしたいことがありまして、国の方は三十兆円の国債発行枠というのを設けているわけですね。それこそ財政規律という言葉がありまして、達成できているかどうか、あとは三十兆円の目標が妥当かどうか、数字が妥当かどうかということは別にして、そういうのがあるわけですが、お伺いしたいのは地方財政のことでございまして、やはりこれも、財政規律ということを言われるんなら、もう私は、どっちかというと国よりも重要な課題なんだろうというふうに考えております。
 特に、今回補正予算を編成すると、地方は全部負担裏というのを起債によって賄うわけですね。国が二・五兆円で事業費ベースで四・一ということですから、その差額に近い分は地方が起債をして、そして事業の負担をするということになっていくわけですけれども、この地方がする借金というのは、今、元利償還を交付税で面倒を見るということになっているわけですが、二つお伺いしたいことがありまして、まず一つ、国は三十兆円の枠があるけれども、それでは、国が三十の枠さえはまっていれば、こういうやり方で財源を調達して補正予算をつくったときに、地方の借金というのがふえてもそれは構わない、しようがないというふうにお考えなんでしょうか。
塩川国務大臣 いや、それは全く無条件で是認するわけにはまいりません。けれども、地方自治体も、これはやはり民間の企業と同じ感覚を持って、物すごい合理化してもらわなきゃいけないんじゃないでしょうか。今は、民間の企業は、大企業から中小企業に至るまで、血の小便を絞ってでも、リストラをやって、節約をやっています。地方自治体がのほほんとやっておるのは、これは一体どういうことなんだろうと思います。
 そこで、地方自治体の合理化というものは何か。合併をして、経費の節減をすることです。先ほど、五年先に景気がどうなるかわからぬし、ここの二兆五千億円の返済は全部国債だと今おっしゃいましたけれども、全部国債によるということは必要ないと思う。私は、経費の節減等で相当できます。だって、今まで行政の経費を本当に見直したことがあるでしょうか。私は、この時代に合ったシビルミニマム、ナショナルミニマムというのを一回見直す必要があるんじゃないでしょうか。それに合った行政経費というのを組まなければ、ただ漫然と対前年度幾ら、そういう予算を考えておったら、それはおっしゃるように国債によらざるを得ないと思いますけれども、私は、そういうことは承知できません。
 厳しく財政の効率化というかコスト、行政コストを見直して、そこで削減をする。何も意地悪に削っていくんじゃない。削ることが能じゃない、伸ばすところは伸ばすんだから。まずその基準は行政コストとそれからニーズによるということを、それをやっていきたい。地方自治体も同じようにやってもらわな困るということを言っておるんで、その意味で、地方自治体にも、そういう財政面の上から、地方財政をやはり樹立されるときにそういう行政改革の条件を盛り込んだものにしてもらうようにしていきたいと思っております。
中塚委員 ぜひとも、実は、それを今回の補正予算のときにやっていただいて、別にNTTの株を売らなくても、国も行政経費のむだをなくして捻出をすればいいわけだし、地方の負担裏だって、そういう形で行政経費のむだを見直して、この補正予算を組めばよかったと思うんですね。
 最後に一つですが、この間の予算委員会で片山総務大臣に伺いましたら、地方の借金ということですけれども、こういう状況なので最終的には国がトータルで補てんをする、責任を持つということにならざるを得ないというふうに発言をされているわけですね。地方の借金について、これはもちろん地方債ですから地方の借金なわけですが、最終的な責任という意味では、それは国が持つんでしょうか、地方が持つんでしょうか、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 いずれにしても、最終的には国が責任を持ちます。
中塚委員 そういうことでありまして、地方の借金も私も最終的には国が責任を負うべきものになってくるんだろうというふうに思いますので、財政規律、国の財政規律ということがあります。そういう意味から、この補正予算案の財源というのは認められるものではありませんが、加えて地方財政の規律というのもこれからはちゃんと考えていかなきゃいかぬということを申し上げまして、質問を終わります。
坂本委員長 次に、藤島正之君。
藤島委員 ちょっと最初に、急な質問なんですけれども、私が記事を見ましたのが土曜日だったものですから質問通告がきょうになって申しわけないんですけれども、沖縄に金融特区の創設ということで、政府は、二十五日の午前に官邸で第十八回沖縄政策協議会を開き、来年度から十年間にわたる沖縄県の振興方針を示した沖縄振興特別措置法案の骨子を了承した、課税の特例措置によって同県に金融業務を集積する金融業務特別区、金融特区云々、こうあるんです。
 もともと沖縄は、在日米軍の七五%を、基地や負担をしておるわけでありまして、今回、この問題の発端は、いわゆる普天間の海兵隊の基地、飛行場を移設するということから起こったわけですけれども、この件について、二、三、ちょっと質問をさせていただきたいと思いますが、こういう税制上の優遇措置の金融特区がほかに我が国内にあるのかどうか。
谷口副大臣 今回、税制改正で沖縄に金融特区ということになったわけでございますが、今藤島委員おっしゃったことでございますが、沖縄以外に今回のような金融特区を対象とする所得控除、今回所得控除、投資税額控除制度を設けておるわけでございますが、このような例はございません。
藤島委員 これはやはり大変な制度だと思うんですね。
 それで、今回考えている概要といいますか内容について、詳しくまだ決まってはいないと思うんですが、どういう内容のものを考えているのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
谷口副大臣 今回、沖縄におきます金融特区制度の概要でございますが、一つは所得控除制度でございまして、金融業務特別地区内において新設された金融業または金融関連業務を営む法人について、常時使用する従業員の数が二十人以上であること等の要件のもと、設立後十年間、三五%の所得控除を行うことができるわけでございます。
 また、もう一つは投資税額控除制度でございまして、金融業務特別地域内において新増設された金融業または金融関連業務用の機械装置等、建物等について、取得価額の一五%の、建物等の場合は八%でございますが、税額控除ができるということでございます。
藤島委員 これは沖縄経済の振興に大変いい効果をもたらすと私は思うんですが、大体どういうような効果といいますか、どういう規模で、どんなふうに一応見積もっておられるのか、お伺いしたいと思います。
谷口副大臣 金融特区の経済効果でございますけれども、北部地域を含む沖縄の高い失業率に示されておるように、雇用の創出が最大の課題となっているところであり、地場産業の振興とあわせて、金融特区あるいは情報特区といった制度の活用を通じて、企業の誘致が促進され雇用の創出が図られることを強く期待しておるところでございます。
藤島委員 今、東京都知事の石原さんは、東京のどこかにラスベガスのようなものをつくりたいというようなことをおっしゃっているようですけれども、私は、沖縄にできればそういうものができるといいな、こう思っておったんですが、それは先のこととして、この今の施策は非常に沖縄の振興にとっていい効果をもたらすと私は思うものですから、ぜひ構想だけじゃなくて実現していただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。
 この件はこれで終わります。
 さて、先ほど同僚の中塚議員の方から質問がありましたけれども、補正の、今回のNTTの株売却をした金を一種、一時的に流用する制度なんですけれども、もともと一般会計と財投と特別会計とあって、そのほかにこれは補完するような役割を少なくとも今まで果たしてきた。トータルで十兆一千億あったわけですけれども、そのうち七兆六千億を使った。あと二兆五千億残っておるわけですね。それを今度全部使い切ろう、こういうわけですけれども、これはやはり、昭和六十二年度から行われているわけですけれども、自民党の政治の何か悪い部分が出ていたんじゃないかなと思うんですね。
 要するに、自民党の方は、公共事業投資をどんどんやるけれどもまだそれでも不十分だというんで、ここに目をつけてやろうということで、恐らく発案をしたのは当時の大蔵省だったんだろうと思うんですけれども、これはまさに国債増発と全く同じことになる。
 なぜかといいますと、先ほど、中塚議員が途中まで質問して、財務大臣のお答えが中途半端だったんですけれども、要するに、将来補助金でこれを返すか、あるいは国債を発行してそれを埋め合わせるわけですから、先ほど財務大臣は、そのミックスだ、こうおっしゃっているんですけれども、確かにミックスなんですけれども、資金がぐるっと回るようなものなんですね。一たん地方公共団体に無利子で貸し付ける、それを地方公共団体が返すときに、返す金は国が別途補助金でやる、それがぐるっと回って返ってくるということなんですね。
 ということは、補助金ということを介してですけれども、補助金を将来地方公共団体に上げるよということを今約束する。すなわち、もう拘束されちゃうわけですね。将来国債を発行して返す、これも同じなんですね。
 ということは、今その二兆五千億を一たん貸し付けるけれども、結局、将来はまるで国が別途の措置を講じてそれを返してもらうことになるわけですから、言ってみれば、個人の懐が、右と左に財布があれば、一たんこちらの方は目いっぱい使っちゃってもう三十兆円しか発行できない、とりあえずこっちを発行しておいて、こっちを使っておいて、こっちから回してやるというようなことになるんじゃないでしょうか。
塩川国務大臣 今回の事業は、要するに地方団体と組んで、地方団体が施行体となって行う事業に補助金というタイプで支出するものでございます。そうならば、地方自治体が、全く要らぬもの、そんなもの余計なこっちゃと言っているものを国が押しつけてやるものではない。
 そういうことをもし押しつけてやっているものであれば、地方の負担ということが厳しく感じられますけれども、そうではなくして、どうせやらなきゃならぬ、やりたいといって地方自治体が要望しておるものを先取りして実施するものでございますから、いわゆる時期的に早まったということの認識でございますから、いずれはやらなきゃならぬ事業、同じことだと私は思うんです。その手法として、即効性のあるもの、直ちに工事にかかれるようなものという基準を設けまして、それを取り上げております。そこが今回の政策の特徴なんです。
 でございますだけに、非常に限定した事業選択になってまいりましたので、そこで政府も、後年度負担等について、地方自治体の負担について政府も特段の配慮をするよと言っておりますのは、そこは従来と、ただ単なる地方団体の事業とは少し持ち味の違うところであるわけでございまして、地方自治体としてはむしろ歓迎されるべき事業であると思っております。
藤島委員 私の質問の趣旨は、地方公共団体が歓迎する、しないというんじゃなくて、要するに、三十兆に国債発行額を抑えたものですから、今回やる財源として、言ってみれば、もう国債発行と結果は全く同じになることを、まやかしで、とりあえずこちらのものを使う、こういうことになるんじゃないですかということをお尋ねしているんで、地方公共団体が喜ぶとか、どうしてもやらなきゃならない事業だとか、これは後で内容をちょっと議論したいと思いますけれども、そういうものじゃない。
 私は、その前段の部分である、要するに国債を発行するか、将来一般会計予算から歳出として計上しなければならない、そういう義務的なものになるものを今使っているということじゃないですかということを質問しているわけです。
塩川国務大臣 将来におきましては、その財源補てんは一般財源の負担になります。
藤島委員 要するに、我々が申し上げているように、これは、結果的には全く、国の将来の債務を今負担している、今それを使っているということになるということを申し上げたかったわけであります。
 次に、その内容ですけれども、その内容に入る前に、第一次補正と第二次補正の違いはどこにあるのか。
塩川国務大臣 第一次補正は、既に御承知のとおり、主として規制の緩和あるいはまた不景気の状態がやってまいりました、深刻化しました状態等に対するセーフティーネットを構築する、これを補強するということが主体でございました。
 この第二次補正は、ただそうではなくして、これから政府が行おうとする、いわば機構改革していこうとする方向へ向かっての準備行動として、その選択に合うものを、事業を中心にして、かつまた即効性のあるものに投資をすることによって景気回復のてこ入れに資したい、こういう目的で第二次補正をやったということであります。
藤島委員 今なぜそれを伺ったかといいますと、先般財務大臣の財政演説では、その後、米国における同時多発テロの事件の発生を契機に世界経済が同時不況に陥るリスクが高まる中、我が国の景気は、生産、設備投資が減少し、個人消費が弱含むなど、一段と悪化しました。こうした経済環境の急激な変化に対応し、構造改革を一層推進しつつ、デフレの進行と相まって景気が加速度的に悪化することを回避するため、地域における基盤整備の要請をも踏まえ、政府は、去る十二月、緊急対応プログラムを策定いたしましたと。今回の補正はこれに基づいているわけですね。
 要するに、私の申し上げたいのは、第一次補正を組むときにこんなことは既にわかっていた話じゃないかと。したがって、第一次補正のときに第二補正を考えていないかいないかと再三再四質問したときに、考えていないと言って、すぐこういうのが出てきているわけですね。これは一種のまやかしというか、ごまかしというか、国会無視、そういうことになるんじゃないかという観点からちょっと伺っているわけですが、どうですか。
塩川国務大臣 経済の趨勢を見ていただきますとおわかりかと思うんですが、非常に強い要望がございまして第一次補正をいたしました。ところが、第一次補正を成立いたしました後、国会で成立したら不思議に景気が悪くなっちゃったんですね。これはどういうことなんだろうと。だから、第二次のてこ入れをしなきゃならぬということになった。そのてこ入れをしなきゃならぬということの動機に九月十一日のテロがあって、テロがあったわ、さらに刺激が強くなって、事前に予防しなきゃならぬだろうということ等、複合的になりまして、二次補正を組まざるを得ない状況ができた。そこへ、世論なり、あるいは、特に国会から追加補正をやれという強い要望がございまして、政府は国会には従順でございますから、そのとおりやはり組むべきかなと思うてやった、これが第二次補正であります。
藤島委員 先ほど、私、読み上げましたでしょう。これは財務大臣が本会議で読んだものなんですよね。要するに、第一次補正をやったころから、もうこれはわかっていたということを言っているわけですね。国民やいろいろ要望があったと言いますけれども、第二次補正についていえば、はっきり言えば自民党から要望があったというので、ほかの野党から、あるいは国民全般から要望があったとは思っていないんですけれども。
 ところで、先ほど来、緊急に実施するため、こういうふうにおっしゃっていますけれども、そういうものを拾った、こういうことをおっしゃっていますけれども、これと十四年度本予算との関係をどういうふうに結びつけているんですか。
塩川国務大臣 現在、先月の、二週間前でございますか、月例報告が出ました。その月例報告の中にこういうことが書いてあります。景気はなお悪化を続けておる、こういう表現がございました。したがって、これはてこ入れを強くやらなきゃいかぬ、そう認識しておりますが、同時に、月例報告の中で、卸売物価は、水平になったということで、下げどまりが来たということを言っております。それから、機械設備等について、受注について、若干、前年度より落ち込んではおるけれども、若干、兆しが明るくなってきた。さらに、輸出は、好転しつつあるということで、落ち込んではおるけれども対前月度に比べて向上してきたということでございまして、卸売物価の安定、そして設備投資の趨勢が出てきたということ等は非常にいい傾向ではないかと思うております。それで、そこに輸出がドライブがかかれば、経済は、そんなに深く、これから先は落ち込んでいかないと見ております。
藤島委員 そうすると、何か、それを余り強調すると、今の補正予算が余り要らないという方向に行くんじゃないかという感じはしますけれども、その点はおいておいて、今回の社会資本の整備ということで、四項目にくくってあります。先ほど副大臣が区分をおっしゃいましたが、都市機能の高度化とか、環境に配慮とか、科学技術とか、あるいは少子高齢化とか言うんですけれども、その内容を見ますと、これは財務省主計局のつくった資料でありますけれども、特別会計の中ですけれども、一般会計の中はもうほとんどそのたぐいなんですね。
 都市機能高度化の中で、その中身を見ますと四百四十七億なんですけれども、公務員宿舎整備費百億、法務省施設費九十四億、海上保安官署整備六十二億、あるいは警察庁施設整備四十一億。あるいは、科学技術等対策の方は五百三十億ですけれども、この中には、外務本省施設費とか、あるいは、やはり官庁営繕費とか、あるいは文部科学本省設備費。それから、特別会計の方でいいましても、やはり施設費で四百四十億、これは法務省設備費あるいは裁判所設備費、やはり公務員宿舎設備費と。
 これが一体どうして緊急で、かつこれまでの一般公共事業の対策費、こういうたぐいは今まで一般公共事業対策費の中の一部にあったわけですけれども、これはどこがどう違うんですか。
谷口副大臣 公務員宿舎のことでございますが、今回、おっしゃるように、無利子貸し付けの対象になっておるのは、老朽また狭くなった公務員宿舎の建てかえ整備を行って、これによって集約高層化を推進して、これによって余った土地を民間事業者に売却し都市再生に資するようにという観点で、これが言っております都市再生に資するというようなことでございます。これにより、民間投資の誘発、またこれによる就業機会の増大ということをねらっておるわけでございます。
藤島委員 それは、今まで私が申し上げた中にごく一部にはそういうのはあるかもしれません。金曜日の答弁でもそういうことをおっしゃっていましたけれども、全体の中でそんなものはほんの数%なんじゃないですか。
谷口副大臣 公務員宿舎に限定して申し上げますと、神戸市、岡山市、熊本市、福岡市という四カ所におきまして、五百四十戸の公務員宿舎を整備し、これに伴い、十九カ所、約五万一千平米の宿舎跡地を民間事業者に売却するといったようなことになるわけでございます。また、首都圏においても、都内の三住宅の建てかえをPFI方式により行うことによって、十四年度予算において十六年度を歳出初年度とする国庫債務負担行為二百七億円を計上いたしておるわけでございます。
藤島委員 そんなものは、ですから、十四年度の普通の一般会計予算で十分やればいい話であって、今回、補正にあえて組む、そんな緊急性があるのかどうか、あるいは内容も全然同じじゃないですかということなんですよ。
谷口副大臣 まさにおっしゃるように、今回の二次補正は、緊急に必要なものであるとか、需要を喚起する、経済効率性の高いものであるとか、こういうようなものでこのような公共事業を考えてやったわけでございますが、こういう観点で、土地の買収をする必要があるとかないとかそういうことも含めて、今回この公務員社宅の売却を通じてこれが都市再生に資するという観点から行ったものでございます。
藤島委員 公務員宿舎については今のようなしどろもどろの答弁しかできないだろうと思うんですけれども、そのほか治山治水対策事業費、これが千八百九十八億、これは結構大きいわけですね。あるいは、このほか道路整備だとか住宅対策、自然公園等の事業とかいろいろなのがあるんですけれども、これはいわば従来の公共事業、一般公共事業そのものなんですよ。それを今回は、先ほど申し上げたように、この四つの区分にていよく編成かえをして計上したにすぎないということなんですよ。そこのところはどうですか。
谷口副大臣 先ほどから何回も申し上げておりますが、緊急に実施をする必要があるという観点で今回この公務員宿舎のところを売却し、この売却によって都市再生に資するという観点で行ったものでございます。
藤島委員 要は、緊急緊急と言いますけれども、具体的な内容を見れば決して緊急じゃない。それを、単に二次補正が必要だ必要だということで、そういうものをかき集めて、そのままの名前ではとても予算として成り立たないので、要するに、今緊急という名前とその四つの分類に分けてやったにすぎない。
 したがって、各省、正直のところ迷惑をしているのじゃないかと思うのですね。恐らく十四年度、その先計上しようと思っていたものを、財務省が何かないか、何かないかと言って集めて、こういう形で予算をつけるから持ってこいと言ってやるので、各省にとってみれば、正直なところ迷惑この上ない、そういった内容ではないかと私は思います。
 先ほどのように、私は、二兆五千億の財源のまやかし、これはとんでもないことであるということと同時に、こういった内容の補正予算は何の意味もないということを申し上げて、質問を終わります。
坂本委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 私、きょうは法律案に即して順番に伺っていきたいと思いますが、まず、景気対策として二次補正予算を出してきて、小泉総理は従来型の補正はやらないということを言っておられました。
 それでは、今回の二兆五千億円の財源、NTT株売却益で実施する事業の中で、Aタイプの関係で見ていきますと、例えば中部国際空港建設に使えるようにする改正があります。
 新幹線ののぞみは東京、名古屋、京都、新大阪、岡山、広島、小倉、博多と八つありますが、たまに新横浜、新神戸にとまるのもありますから入れると十ということになりますが、現在、この間に空港は既に九つあるわけですね。それで、さらに新北九州、神戸、中部、静岡と四つ合わせると十三になって、びわこ空港まで合わせますと十四という計画になりますが、いずれにしても、のぞみの駅よりも空港の方が多いわけです。
 こういう点では、従来型公共事業を、国債発行でなく、当面はAタイプの貸付金で進めようとするものであるわけですが、塩川財務大臣に、従来型の補正予算とどこが違うのか、これをまず最初に伺っておきたいと思います。
塩川国務大臣 従来型の補正予算でございますか、従来型の公共事業ではなくて。どっちですか。ちょっと聞きにくかった。従来型の補正予算と今度の……(吉井委員「従来型の補正はやらないと総理言うてはりましたからね」と呼ぶ)いや、従来型の公共事業投資を重点にやらないと言っておるのです。そこがちょっと誤解があったと思います。
 従来型の公共事業とは何かと言ったら、これは、従来型というのは定義しにくいですけれども、私たちの認識では、従来型公共事業というのは長期計画をつけて行っておる公共事業であって、しかも予算総則の中で公共事業として位置づけておる事業、具体的な例で申しますと、十六本ほどございますね、長期計画。それを従来型公共事業と言っておるのです。
 今回の補正予算は、そういう従来型の補正予算の前倒しでやるとか、あるいは補欠でやるとかいうようなものではなくて、全然見方を変えて、緊急施行する必要があるものと構造改革に資するものと、それから地域の特に要望の強いものというような限定した範囲内に、特定した範囲内に配分するという予定で組んだ公共事業であります。
吉井委員 要するに、中身は従来型の公共事業なんですよ。
 それで、ここでAタイプを使った補正予算について政府参考人の方に初めに伺っておきたいと思うのですが、このAタイプを使った補正予算四百十七億円の枠の中で、九九%に当たる中部空港が三百九十二億円、そのほかが二十五億円ということです。
 ここで、Aタイプの場合、民間都市開発推進機構が自治体の開発公社などに貸し付けて、都市開発事業とか中心市街地活性化事業、さまざまなことにこれまでから使ってきているわけですが、これを今度はゼネコンが直接やるなり、あるいはゼネコンが都市計画のコンサル会社などと組んで新しい企業体をつくって、それで都市開発事業を行う場合も無利子貸付金が受けられるという、この仕組みを一つ追加していると思うのですが、確認だけしておきたいと思います。
杉本政府参考人 NTTのAタイプの事業についての御質問でございますが、Aタイプの無利子貸付事業、これは、地方公共団体以外の者が国の補助等を受けずに行う公共事業に対して無利子貸し付けを行い、当該公共事業に関連する事業により生ずる収益でその費用を支弁するものでございます。
 これにつきましては、今回、民間事業者等が公共施設、公共事業を行うときについても貸し付けの対象に加えることにしております。
吉井委員 ですから、結局ゼネコンなりあるいは共同企業体なりが例えば大規模団地造成を行うときに、開発区域内の道路、公園、下水道など共同施設の建設に要する事業費について借入利息をゼロにするということですから、これはゼネコンの応援そのものということになります。
 問題は、そういうこれまでの事業が、かなり事業主体が債務超過で破綻するという事例が続出をしております。けさほど来の議論の中でもそういうお話もありました。産業投資特別会計に返済できなくなったとき、民都機構はどのように償還資金を調達して返済をするということになるのか。これも伺っておきたいと思います。
杉本政府参考人 NTT―Aタイプの事業は、先ほどお答えしたような性格の事業でございます。これらの事業は、公共事業でございますが、関連事業の収益で費用を賄うということにしておりますので、一定のリスクがあることは事実でございます。
 したがいまして、無利子貸し付けに当たりましては、プロジェクトの内容を適正に精査いたしますとともに、地方公共団体の要望を確認いたしまして、さらに金融機関の債務保証を得ることにしております。
 予測しがたい事業環境の変化等により経営が破綻するということもあり得るかと思いますが、こうした場合にも、この債権保全策により回収が行われているというふうに承知しております。
吉井委員 ですから、その予測しがたい破綻が起こったときに、今どんどんいろいろなところで破綻もあるわけですから、そのときはどういうふうに民都機構は償還資金を調達して返済していくのか。それがないと、国債整理基金の方に穴があいてしまいますからね。そこはきちっとしておかないといけないと思います。
杉本政府参考人 事業主体は金融機関の債務保証を得ることにしておりますので、そうした場合には金融機関の債務保証が実行されるということになりまして、その結果といたしまして、NTT資金、産投から貸しておりますNTT資金は返済されるということが確保されるというふうに考えております。
吉井委員 ですから、結局それは民間金融機関の方がその分を債権放棄するなりなんなりするのでしょうが、結局それに対してまた公的資金で応援ということになってくると、これはまた新しい形での国民の負担というものを前提としなければ民都機構の方で穴をあけずに話が進むということにならないという、そこは非常に大事な点だというふうに思います。
 次に、Bタイプの方で伺っておきたいのですが、Bタイプの無利子貸し付けは、九二年度にはNTT売却益が枯渇して、建設国債発行収入金を充当してBタイプを継続するという形をとってきたりしました。これは広くいろいろなもので紹介もされておりますが。
 旧大蔵省は、NTT事業は役割を終えたとして、実際に九四年度から九七年度まで四年連続ゼロのBタイプ事業があったことで、廃止をしているのですね。さらに、Aタイプ事業の見直しも視野に入れた公共事業費全体を削減する方針だということは、これは九七年の段階でマスコミなどでも大蔵省の方針ということで紹介されておりました。
 今回は、事実上廃止されていたBタイプを復活して、無利子貸し付けする公共事業を、自治体の補助事業だけでなくて、国の直轄事業にまで拡大するというところにあるわけですが、このBタイプの性格そのものを変えていく理由、このことを政府参考人の方に伺っておきたいのです。
杉本政府参考人 NTTのBタイプについてのお尋ねでございますが、今回の見直しでは、償還時に補助金を交付するBタイプ、いわゆる補助金型でございますが、この無利子貸し付けについて、構造改革を一層加速するという観点から、民間投資の創出、それから就業機会の増大、こういったものに資する事業であって、緊急に実施する必要のあるものをその対象とすることとしたところでございます。すなわち、近時の経済情勢等を踏まえまして、民間投資の創出、就業機会の増大ということを念頭に置いてNTT事業を実施することとしたことでございます。
 これが見直しの基本的考え方でございますので、そうした観点に立ちまして、国みずからが実施する事業、いわゆる直轄事業でございましても、民間投資の創出、就業機会の増大、こういったものに資する事業であって緊急に実施する必要があるものであればということで、Bタイプ事業の一種として、その財源にNTTの株式の売払収入を活用するということにしたところでございます。
吉井委員 Bタイプで直轄事業の例えば大学の校舎、研究施設の建設などを国の無利子貸付金の対象にするというものですが、これは本来もともと一般会計でやってくるべきことで、これから建設しようというのは、おくればせながらにしてもこういう分野では当然ということがあると思うのです。
 緊急という言葉とか、何か民間の仕事をふやしてあげるというふうな趣旨の言葉が上にくっついているのですが、要するに、これまでは文部科学省の予算で措置されてきたものなんですよね。それで、財源は一般会計から国立学校特別会計に繰り入れて、この会計から支出され、一般財源に不足があれば国債発行によってそれを賄ってきたわけですよね。
 Bタイプ貸付金を国立学校特別会計に繰り入れて、この会計から五年以内に償還しなければならないということになるわけですが、産業投資特別会計へ繰り戻しするときに、ここでもやはり財源の問題が出てくるわけですが、この財源の方はどういうふうにしていくのか、伺いたいのです。
杉本政府参考人 先ほどから御議論になっております補助金型、Bタイプについては、無利子貸し付けの返済には補助金等を交付することとしております。
吉井委員 ですから、この国立学校特別会計から産投へ繰り戻しするとき、これは一般会計から補助金としてこの国立学校特別会計へ入れるということでしょう。つまり、一般会計から繰り入れるということでしょう。
杉本政府参考人 そういうことになると思います。
吉井委員 それで、一般会計から支払われる形になるわけですが、もともと一般会計に財源余裕があればこういう妙な形をとらずにするわけですね。あるいは、財源がない場合、国債発行をするということになるわけですが、今、国債償還財源を無利子貸し付けの形で使っておいて、国債整理基金特別会計に穴があかないように、五年以内にその分を結局は国債発行で繰り戻す、こういう形になるんじゃありませんか。
杉本政府参考人 今回の二次補正での補助金型、Bタイプにつきましては、後年度において無利子貸し付けの償還時に交付される補助金、これの財源の問題でございますが、それはその時々の経済財政状況を踏まえて検討されるべきであると考えております。
吉井委員 そのときの状況を見てというのですが、今の状況を見れば、ここは大臣、結局繰り戻し財源に、今の財政状況のもとでは、そのときに国債発行で賄っていくという、このことを考えないと、現実的な繰り戻しのめどというものはついてこないんじゃないですか。これは大臣、どうですか。
杉本政府参考人 先ほど申し上げましたように、無利子貸し付けの財源につきましては、補助金型の場合は補助金として交付されることになりますが、それはその時々の財政事情、経済事情を踏まえまして検討されるべきものでございますので、今回の措置が直ちに将来の国債発行につながるものではないというふうに考えております。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
吉井委員 それはもう全くの詭弁であって、現在の財政状況からして、そのときに、要するに補助金として入れるのを先へ延ばすだけなんだが、しかし、その財源、結局それは国債発行を考えるという以外にめどが出てこないわけです。
 つまり、今、国債発行するか、今、NTT株の売却益を借り入れて使った形をつけておいて、それで、いよいよ返すときに国債発行するか、そのどちらを選ぶかという、言ってみれば、宮澤さんは八七年のときに政策選択の問題だという表現をしておりましたが、いずれにしても、今使うか、将来国債を使うかという、この違いの問題であって、財政状況が一遍に好転して余裕が出るというふうな今状況にありません。
 ですから、これは財務大臣、結局、繰り戻し財源というのは今の状況下では国債発行ということを考えていくことになるんだけれども、ただ政策選択の問題として、今直ちに発行する分をとりあえずNTT株の方の活用をということで考えているんだという、これは大臣の本音のところだろうと思うのですが、ちょっと大臣に聞いておきたいと思います。
塩川国務大臣 おっしゃるとおりです。将来において、この財源の問題は、ただ単に国債発行だけで返すという単純な問題ではなくて、複合的な要因があって、国債の償還財源としての発行もあるかもしれません。それはわかりませんが、先のことでございますから今どうということを申し上げられませんが、いろいろな財源をあわせて処理しなきゃならぬということです。
 しかし、これはよく質問の中で出ております先取り、先取りという、何か先取りしたら悪いようなことをおっしゃいますけれども、前倒しでございますので、だから、先取りじゃなくて前倒しでやっておりますので、御理解いただきたい。
吉井委員 先取りの是非を私は言っているわけじゃないのですが、しかし、いみじくも、要するに国債を将来発行する分をちょっと早目にやっているという趣旨のことを言っておられるので、まさにそういうものだと思うのですよ。
 次に、Cタイプについても伺っておきたいのですが、八七年の法改正の後、民活法を基本にしたリゾート法、頭脳立地法、FAZ法、大阪湾ベイエリア法など一連の法律に基づく産業基盤整備とか国土開発というのは、Cタイプの、開発銀行、後の政策投資銀行から無利子貸し付けが行われるということで、この時代、競って巨大開発が進められました。
 リゾート法では、施設は地方自治体が大口出資者となった第三セクター、周辺整備の公共事業は地方自治体単独という形で地域開発が進められていきました。四十一道府県が基本構想の承認を受けて、日経産業消費研究所の十年後の調査によりますと、六千七百六十三の計画施設の中で一五・五%に当たる一千五十施設が完成しております。JTBの地域開発室長さんが言っておられるのですが、地方自治体と組んで設立する第三セクターにはゼネコンや銀行が若干出資をして株主となってしまう、施工は株主であるゼネコンが受注し、資金は株主である銀行が貸し出すという構造ができ上がる、リスクは筆頭株主である事業者、これは多くの場合筆頭株主は地方自治体が多いのですが、これが負うことになる、こういう指摘をしておりました。
 そこで、わかりやすい例が、きょうも出ておりました宮崎県のフェニックスリゾート株式会社のシーガイア、私、これは非常にわかりやすい例だと思いますので、これはどこに無理があって破綻したのか、国土交通省の方の参考人の方に伺っておきたいと思います。
澤井政府参考人 シーガイアが経営破綻に至った理由というお尋ねでありますが、宮崎県からの報告によりますと、昭和六十三年に宮崎・日南海岸リゾート構想の承認を受けまして、その承認を受けた当初、シーガイアは年間約五百五十万人の入り込み客によりまして経営を軌道に乗せることを想定しておりましたけれども、その後のバブル経済崩壊後の経済社会情勢の変化によりまして、開業いたしましたのが平成五年七月でありますけれども、それ以降客足が年間約二百ないし三百万人と低迷いたします。一方で、大規模な投資による金利負担が重なったということで、平成十三年二月に会社更生法の適用申請に至ったものと理解しております。
吉井委員 宮崎のフェニックスの場合は、十万本の松を切り倒したんですね。物すごい環境破壊をやっているんです。
 それで、大体、都市部に室内プールをつくればまだ話はわかるんですが、もともときれいな海岸のあるところに大規模な室内型のプールをつくるとか、発想がそもそもおかしいんですが、結局、コンサルタントの過大な予測、こういうものにほいほいと乗ってしまって大失敗やっているんですが、これはここだけではありません。
 この破綻で、〇〇年度の決算書を見てみますと、二千七百二十二億円の負債が生じております。最近、外資が百八十億円ぐらいで安い買い物をしていったんですね。政策投資銀行は約百九十億円の貸付金を回収して無傷というふうに言っておられますが、しかし、もとの借金二千七百二十二億円が少し減っただけで、そのほかの借金の返済の多くは第三セクターの中心事業者である宮崎県など地方自治体、結局住民の負担が随分かかってくる。
 しかも、この第三セクターとは別に、この事業のための関連公共事業に使われた予算は約千五百億円で、その多くは地方債で、一千億円以上の地方の借金が住民の肩にずっしり乗っかかっているという実態だと思うんですが、国土交通省に改めて伺っておきますが、現実はこういう事態が生まれているんじゃありませんか。
澤井政府参考人 昨年、十三年二月に更生の認可申請がされまして、その後、裁判所で審理をいたしまして更生計画が秋口に決まりまして、以後は、その更生計画に従って再建され、経営されていくと理解しております。
 その間、宮崎県の方でもいろいろな対応をされておりますけれども、宮崎県から伺っておりますところでは、非常に苦しい経営状況の中ではありますけれども、十一年度までの累計で、売り上げに伴う経済波及効果は一千六百億、あるいは地元の方々を含む雇用が二千数百人ということで、一定の効果はあったという報告も一方で受けております。
 シーガイアに限りませず、全国でいろいろなリゾート事業展開されております。その中には、地域の固有の資源を活用いたしまして、一生懸命やって、見込み以上の入り込み客を集めているところもあります。
 いろいろな意味で大きく経済社会情勢が変わっている中で、こういう事業が展開されているということを踏まえまして、私ども、いろいろな事情を踏まえて、公共団体ともども今後の対応も考えていきたいと思っているところでございます。
吉井委員 要するに、リゾートの会社と地方が単独でやった周辺事業を合わせると、四千億円超えるぐらいの事業をやっているんですね。
 破綻した、つぶれた会社をどう更生させるかという話は、外資が買ってどうするかこうするかの話がありますが、じゃ、その外資が全部借金をひっかぶってくれるんかいといったら、そんなこと全然ありませんから。要するに、借金は借金として残っているわけですね。だれが始末をつけるか。この点では、結局、これは地方自治体、住民の肩にずっしりかかってくるというのが現実の姿になっているということをはっきりさせておかなきゃならぬと思います。
 この事業に政策投資銀行、旧開銀が融資してきたわけですが、開銀はさまざまなところにもそういうことを、そういう投資をやっています、貸し付けやっていますが、この政策投資銀行、DBJが貸付事業で貸し付けた事業で破綻した開発事業の場合、国債整理基金会計に貸付金が戻らなかったら、これまた国債償還に穴があきますから、DBJは無傷で貸付資金の回収を完了しているのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
小村参考人 私ども日本政策投資銀行は、その資金の調達が有利子であれ無利子であれ、みずからのリスクに基づいてお貸しをしております。したがいまして、その貸付債権が毀損いたしました場合には、みずからの収益をもってこれを償却するという収支相償の原則のもとに運営をされております。
 御指摘の無利子貸し付けにつきましては、幸い、フェニックスリゾートの分も含めまして、現在のところ、全額回収をしておりまして、無利子貸し付けにつきましては、ただいま毀損したものはございません。
 念のために申し上げますと、フェニックスについては有利子分がございますが、これについては毀損を生ずるであろう部分がございます。これは、年度末に財務大臣の認可を経て償却をいたしたい、かように考えております。
吉井委員 実は、青森県大鰐町のスパガーデン湯ーとぴあというリゾート施設をつくった大鰐地域総合開発株式会社は、町と町の公社で五五・五%を出資した会社ですが、七十三億五千万円の事業費で、借入金残高は五十二億八千万円。そのうち、DBJからのものが二十六億一千六百万円。半分ですね。
 リゾート事業は破綻して、DBJに九割の債権放棄を今求めておりますが、この大鰐町の、年間予算規模五十三億円ほどの町ですが、税収で賄えるのは一四%ぐらいなんですね。不足分は、地方交付税、町の起債、それから補助金で成り立っているというところですが、DBJが一〇〇%の債権回収をやると、自治体が破産してしまう。ですから、町議会は返さないということを決議したりしているようですが、このDBJの無利子貸付金は一〇〇%返ってきて、国債整理基金には穴があかない、こういうことになっているのかどうか、これも伺っておきたいと思います。
小村参考人 御指摘の件は北東公庫時代にお貸しをしたものでございますが、この無利子貸し付けにつきましては、町の債務保証を取りつけております。したがいまして、法的には、私どもは完全に町から弁済を受ける、そういう地位にございます。
 町の財政はいろいろあろうかと思いますが、それは町の問題として解決していただくべき問題だと考えております。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
吉井委員 今ちょうどおっしゃったように、債務保証をつけた。しかし、それを一〇〇%債権回収やると町そのものが破産してしまう、そういう状況にあるわけです。
 それで、民活法、FAZ法などで同様に事業が次々進められましたが、例えばFAZの指定地域は全国で十八カ所。
 福岡県と北九州市が中心に入った第三セクターで北九州輸入促進センターというのがありますが、これは、アジア太平洋インポートマート、AIMのビルは、これは赤字を出して事業は破綻し、後始末、今さまざまな無理なことをやられております。
 大阪のりんくうゲートタワービル株式会社、ATC、WTCという、アジア貿易センター、世界貿易センター、これらの事業は、やはり空き家対策で、地方自治体の役所の事務所をわざわざここへ転居させて、何とかテナント料収入の一部でも埋め合わせをしようとか、どこでもなかなかのことがやられております。
 政策投資銀行という投資銀行の方は、こういったところに貸したものも一〇〇%回収できるという見通しなんですね。これを伺っておきたいんです。
小村参考人 私どもの無利子貸し付けの相手先において、残念ながら業況悪化しているところもございます。
 ただ、こうした件につきましても、関係者によってその再建策なり、あるいはこれからの業務運営について我々はいろいろな提案をいたしておりまして、幸い返済については、ただいまのところ、回収の見込みが立っておるという前提で仕事をいたしております。
吉井委員 見込みは立っていても、そのとおりいくかどうかは別ですが、政策投資銀行は回収がうまくいって万歳というときには、今度は地方自治体とかほかで、その分、随分大きな負担をこうむるということになっているのが各地に見られます。
 東京商工リサーチ情報事業統括本部長補佐の荒谷さんという方が昨年十一月に、三千四百八十四件の第三セクターの八〇%が実質赤字の状態だ、一般の民間企業と同じ条件で経理を判断したら、約二兆円の第三セクターへの政策投資銀行の融資残高の何割かが不良債権化するが、実態はやみの中という指摘がありました。
 Cタイプの無利子貸し付けを行っているDBJは、これまでの民活事業で債権回収を強行すれば自治体が大変になるし、破綻した民活、リゾート、テクノ、FAZなどの事業で債権放棄をすれば今度はDBJが大変になってくる。
 ですから、余り気楽に、政策投資銀行がリスクをとりますから大丈夫ですなどと言える状態じゃないと思うんですね。その上、とてもPFIに首を突っ込む余裕というのは、考えてみればそれはないんじゃないかと思うんですが、政策投資銀行としてのお考えを伺っておきたいと思います。
小村参考人 私ども日本政策投資銀行は、不良債権比率等について、民間金融機関と同等あるいはそれ以上のレベルで情報公開をいたしております。それをごらんになっていただければおわかりのように、不良債権比率は、都市銀行、大手十六行等々と比べましても、低い水準にあります。
 かてて加えて、このPFI、プロジェクトファイナンス、金融工学の最先端の部分は、私ども政策投資銀行の使命であります。この部分につきましては、私どもは日本で最高のレベルでこの業務を行っていると考えております。
 民間金融機関の方々と協力をいたしまして、いろいろな形で、今財政が逼迫をしている中でPFIという新しい手法で、例えば、かずさのごみ焼却場等につきましては、関係の市が幾つか集まりまして、しかも低いコストで、しかも最先端の技術で公害を出さない、そうした焼却施設をつくるとか、そういうスキーム設計をしながら、今日貢献をしていると自負しているところであります。
吉井委員 先ほどもおっしゃったように、政策投資銀行が比較的リスクを回避しておられるのは、地方自治体などとの債務保証等によってかなり厳しくきちっと取り立てをするということができている。しかし、それは政策投資銀行にとってプラスのことが逆に地方自治体にとっては大変という事態が今各地に出ているわけです。
 このCタイプ貸し付けがつくからということで、これでインセンティブを働かせるものとして、リゾートとかFAZとかテクノだとか工業団地造成とか、さまざまな事業をやってきたわけです。それが、大阪府なんかでも、さっきの三つの施設のほかにさまざまな施設の破綻で、大阪府だけじゃなしに全国各地の自治体がやはり財政危機を招くという事態を迎えました。
 この第三セクター方式で進めた事業の破綻と自治体の財政負担の厳しい状況を見ると、今回の予算に入っていなくても〇二年度本予算にはPFIの事業分が組み込まれておりますが、だからこのPFIに使える枠取りをする、こういうことですが、これで事業の破綻が生じたときに、この事業に貸し付けた金だけは政策投資銀行がきちんと回収するなり、あるいは銀行がリスクをとって整理基金に繰り入れをするとしても、この事業破綻の責任については、民間は余り責任をとりませんから、結局、国や自治体などが負債処理の責任をとらされるということが、現実には各地でこれまでの事業で起こっているわけです。
 そこで、財務大臣に、この点で一点伺っておきたいんですが、民活法活用による第三セクターあるいはこれをさらにPFIまで拡大してやっていくわけですが、国民や地方自治体に負担を生じさせない、そういう政府としての負担を生じさせない立場で臨むという、その確約をして臨まれるのかどうか、この辺のことを伺っておきたいと思います。
谷口副大臣 今吉井委員の質問でございますが、おっしゃるように、Cタイプ、民活型で今回PFI事業を推進するという観点から、民間事業のPFI事業に対しても無利子融資をするわけでございますが、このCタイプ貸し付けについては、公共性が高いわけでございまして、一方、低収益な事業を促進するということを目的といたしておるわけでございます。
 その事業については、一定のリスクがあることは事実でございます。したがって、融資に当たっては、個別事業及びプロジェクト等の内容を十分審査し、最終的な債権保全策として、担保設定もしくは保証人の徴求をいたしておるところでございまして、このような措置によってCタイプ貸付事業は、基本的にはその事業の収益により償還が行われており、予測し得ない事業環境の変化等により経営破綻した事業においても、これら債権保全策につき回収が行われておると承知いたしておるところでございます。
吉井委員 もちろん、そういう話は皆わかって聞いているんですが、要するに、破綻したら収益は出ないんです。そのときに、国民や地方自治体の住民に負担が生じないようにするんだという確約はできるのかということをお聞きしたわけですが、結局お答えできないわけです。
 日本総合研究所の宮脇淳さんという方が、日本版PFIが、従来の民活の看板をかけかえるだけになれば、第三セクターと同様、負の遺産を積み上げる結果となるという指摘をしておられますが、私はこの指摘は非常に重く受けとめていかなきゃいけないだろうというふうに思います。
 今回の補正は、Aタイプの貸し付けは中部空港ですし、Bタイプの、二兆五千億のほとんどがBタイプですが、廃止していたこれまでの補助事業に加えて、もともと国が行う直轄事業まで拡大して使う。Cタイプは、補正はゼロでも〇二年度本予算では組んでいるわけです。
 NTT売却益を国債償還じゃなくて、改革推進と名前をつけただけで、結局、従来型の公共事業に使っていく。それを、国債三十兆円枠を守ったという形をつくるためだけにつじつま合わせの細工をしたということになるだろうということは、私は率直に認められる必要があるだろうというふうに思っております。
 最後に、時間があと五分というのが回ってまいりましたので、前回も通告しておいて質問できなくて大変失礼なことになっております、国税庁幹部の、けさからもありました問題です。
 これは、大臣にだけ、一点だけ伺っておきたいと思うんですが、実はこの問題は、一九九〇年に大阪を中心に発生した、元国税局OB税理士らもかかわった脱税指南事件というのを取り上げたことがあります。OB税理士と税務当局幹部のなれ合いや収賄事件もあって、大阪国税局と国税庁で、第一次で二十人近く、第二次で五十八人の幹部職員が処分されました。
 今は申告の季節になっているだけに、元札幌国税局長浜常問題というのは、本当にはっきりさせなきゃいけないことだと思っているんです。これは、大臣も答弁でそう言っておられますが、四年間で八億数千万円の所得、これだけでも驚きですが、隠し所得は四億数千万、自宅新築約二億、脱税額二億五千万というのは、まず本当に一体どうなっているんだと思うのですが、考えてみると、九〇年の国会で議論したときにも、実はOB税理士が年間一億の顧問料を得ているということなどはもう知られていたのです。ですから、顧問先企業の支払い調書を顧問税理士の住所地の税務署で、皆集まっているわけですから、名寄せすれば、こういうのは納税者番号制度などなくてもできるわけですから、これまでずっと本当は税務署でやっておられますから、報酬の概略はわかるわけですね。そうすると、浜常の申告所得と照らし合わせたら、早くに脱税ということはわかっていたはずなんです。
 ライジングプロの捜索による司法の側の書類入手まで、なぜ浜常の所得の捕捉が長期にわたってできなかったのか。そこには、やはり先輩ということとか遠慮があって、なかなか税務調査そのものが、これだけ高額の方についてなおざりにされてきたという問題があるんじゃないか。
 このことが一つと、浜常以外にも、幹部出身のOB税理士でこういう例はないのかどうかということが今改めて浮かび上がってきているわけですね。国民はそこに注目をしているときですから、浜常のように脱税事件で逮捕されるようなことになる前に、やはりきちんと税務当局として調べて、なければないということなんです、しかしあれば、やはりこれはきちっとやっていかないと、これは本当に当該税務署で名寄せ調査ですぐわかることですから。
 私は、少なくともこのことを徹底しておかないと、要するに受け入れ側も脱税指南と目こぼしを期待して幹部職員を受け入れてきたというのがこれまでの経過なんですから、ですからこの二点の調査について伺い、最後に大臣の方から、今後企業の紹介、あっせんをやめるという、その決意を伺うようにしておきたいと思います。
塩川国務大臣 吉井さんのおっしゃるとおりでございまして、支払い調書を事前に十分チェックしてやっておけばこれは防げる問題だと思っております。そういう点、やはり御指摘のように、内部的な甘さがあったということは、これはもう、そうではないとは言い切れますけれども、しかしそれはやはり言っても言いわけみたいな感じができる、そこらは十分に注意すべきだと思っておりまして、今後ともこのことを強く申しつけておきたいと思います。
吉井委員 今申しましたように、この浜常以外の幹部OB税理士、これは、浜常問題は発覚してしまったのですが、今調べれば、発覚前に、こういう人はもういないのか、これを確認することが大事だし、もしおれば大変なことですから、それを調査されますねということと、やはりこういうことが起こらないように紹介、あっせんをやめるということが必要なので、その二点だけ最後伺って、終わりたいと思います。
塩川国務大臣 できるだけそのような配慮をもって実行いたします。
坂本委員長 もう時間が参ります。
吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
坂本委員長 次に、植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 まず、二次補正でございますけれども、少なくとも国債発行額は公約どおりということに、三十兆以内にとどまるんですけれども、NTT株式の売却益を充てるということで、それは後でまたお伺いいたしますけれども、少なくともこれで本来の意味における公約が守られたというふうに考える人はいないんじゃないだろうかと思うわけです。というのは、バランスシートを想定したときに、負債を三兆円ふやすこと、資産を三兆円売却するというのは、ネットの債務増加の点では全く同じことやからやというふうに思うわけです。
 ちなみに、冒頭まずおさらいの意味も込めて財務大臣にお伺いしたいわけですけれども、この二次補正のそもそもの編成については、当初閣内でも、積極そしてまた消極、それぞれの意見があったやに聞いておりますし、また、さまざまな記者へのお話であるとか新聞報道、また国会でのお話等も含めても、総理や財務大臣は、少なくともこの二次補正の予算編成については余り乗り気ではなかったんやなというふうにまず推察するわけでございます。
 私自身は、財務大臣はこの二次補正の編成については、そもそも当初は余り乗り気ではなかったというふうに理解するわけでございますが、もしそれが間違いということであれば訂正いただいたら結構でございますし、当初もし乗り気でなかったというのであれば、その理由を御教示いただけますでしょうか。
塩川国務大臣 そもそも国会で第一次補正を審議中に、これじゃ小さいから、少ないから第二次補正を用意しろと、国会でわんわんと言われましたですね。これは私はよく覚えております。
 その当時の雰囲気として、私は、二次補正をまだ考える余裕は全くなかったということは事実でございますし、必要であるかないかというよりも、その以前の問題として、二次補正という考え方が浮かんでおらなかった。けれども、何としても第一次補正を早く成立させてもらいたいという雰囲気でございましたので、第二次補正は考えておらないということを素直に言うた、非常に率直に言っていたと思うております。それは、その当時の気持ちとしてはそのとおりでございまして、でき得れば第二次補正も、避けられるならば避けたいなという気持ちはございました。
 しかし、先ほど何遍も申しておりますように、九月十一日のあのテロ事件がございましたので、一応のセーフティーネットを張っておかなきゃならぬなということが私の一つの決断にもなってきたわけでございますし、それと同時に、産業界並びに国会等で二次補正をという声が強くなりましたので、だんだんと二次補正の必要性を感じまして、その準備にかかった。そこで、今回の二兆五千億円というすばらしい財源を見つけ出しまして、これを活用するということにしたようなわけであります。
植田委員 今のお話をお伺いしておりますと、そもそも一次補正のことで頭がいっぱいでそこまで考えが及んでいなかったということと、もう一つは、やはり余り乗り気やなかったんだなというふうに思うのは、でき得れば二次補正を組まぬとやりたかったんだよというお話やったんですが、次に、これもおさらいの意味で、ではどのような理由で二次補正を組むようになったんですかといったら、いろいろなところから要請もありましたということと、九月の同時多発テロ事件というお話でございました。
 ただ、私、今回の二次補正、我々は実は雇用に特化して二次補正を組むべきだということを社民党としては言っておりましたから、少なくとも一次補正であんなしわい雇用対策やったらいかぬという意味では、二次補正を組んでほしい、それも雇用に特化せいということを言っていましたから、二次補正を組むということそのものについて云々ということではないわけですが、少なくとも、この間の塩川財務大臣また総理のお話を伺っておりますと、理由はどうあれ一つの軌道修正がこの二次補正でなされたと私は考えるわけでございますけれども、軌道修正であるのかないのか、その辺はいかがでございますでしょうか。財務大臣、お願いします。
塩川国務大臣 どの点を指して軌道修正とおっしゃっているのか、ちょっと私わかりませんけれども、我々は、構造改革を進めるということの基本方針、そして同時に景気回復も図っていくということの方針、これを同時着工でやっていこう、そういう方針でございますから、それに対して軌道修正しているとは思うてはおりません。そういうことです。
植田委員 仮に、補正を組まずに構造改革一本やりで走るんだということであれば、それはそれとして一つの政策の哲学だろうと思うわけです。
 先日の予算委員会の質疑でも、さすがやはり財務大臣、そこは黙っているだけで、うなずかはらへんだのです。私が予算委員会のときにお伺いしましたのは、いわゆる小泉構造改革のいろいろな柱、例えばそれが規制の緩和であり不良債権の処理でありといったときに、それはすべてやはり大きな柱は供給構造の改革じゃないか。私は、やはり需要不足が今の不況を長期化させているというスタンスですから、そこは見解が違うわけですけれども、供給構造の改革が小泉構造改革なんですかと聞いたら、そこはうなずかはらへんだのですね。
 ということは、今おっしゃるように、確かにそうした構造改革もやるし、こうした景気対策もやりますよというふうに、今の御答弁のような趣旨で御説明されるわけなんですが、それだったら、後でも申し上げようと思っていたのですけれども、この間、あるときは財政出動をやり、効果がないといっては今度は財政構造改革だといってやり、そういうことを繰り返しやってきたことを、今度は小ぢんまりと小出しに両方やるんですかと。少なくとも小泉構造改革の基本哲学からすれば、百兆とは言いませんけれども、今回の二兆五千億というのはちまちました財政出動だと私個人は思っておるわけですけれども、少なくとも、そうした景気対策にも足をひっかけながら、両方、二兎を追っている。二兎を追っていると両方うまいこといかへんのと違いますかということを申し上げていたわけです。
 そういう意味で、今回二次補正、一次補正もそうです、二次補正でこういうちまちまということをやられるというのは、一つの小泉構造改革の本来の哲学が供給構造の改革にあるとするならば、明らかに、ややハンドルをこっちにも向け、こっちにも向けという、そういうことなのかなということやったんです。これは後でもう一回聞きますので、私がだらだらしゃべることもないと思いますが。
 あと、すばらしいものがあったのでとおっしゃった。二次補正もこのへそくりがあったから編成できたわけですけれども、もしこういうものが、まあイフには答えられへんとおっしゃるのはわかっていますけれども、もしそういうへそくりがなかったら、へそくりじゃないんだともおっしゃるかもしれませんが、仮になかったら、仮に緊急で必要性があって国民が望んでいたとしても二次補正は組まなかったんですか。
塩川国務大臣 二次補正の必要性は痛感しておりましたから、何らかの二次補正は組みたいなということを考えておりましたけれども、金額について、スケールをどうするかということにつきましては、全く未知数でありました。それで、二兆五千億円という財源がございましたので、これを活用しようということでございました。
 それでは、その財源がなかったらどうするのかということでございますけれども、どこか探せば出てくるという、よく言うじゃありませんか、乾いたタオルを絞ってでも水を出せというふうな、それが現在の景気対策に対する財政出動の要望だと認識しまして、そういう努力はやはりどこかで、だから、額は違うけれども何らかの補正はやはりやらざるを得ないかなという痛感はしておったということです。
植田委員 私は、緊急性があって必要性があるならば、極論すれば三十兆枠に拘泥する必要はないと思っています、こういうことを言わぬでも。本当に必要で緊急性があって国民のためになるんやというのであれば、そこをきちんと説得すればいいと思うのですね、国民に対して。説明すればいいと思うのですよ、こういうちまちましたごまかしをやらぬでも。
 だから私は、仮にそこでほんまに緊急性があり必要性があり、そうしたことをやるために二次補正をやるんだということで三十兆をちょっと超えたって、もしそういう形で今ここで議論しているとするならば、その点については恐らく社民党の立場としては追及せえへんだと思います。もっとも、事業の中身が問題なんですけれども、それは次に言いますが。
 ただ、この補正の編成過程の中で、これは財務大臣自身、わしは好まぬがという前置きで総理に具申もされたようなんですが、小泉ボンドというものの発行を求めるような意見もあったようでございます。総理は、あくまでも三十兆円枠を守る、そういうスタンスから、それはまやかしだというふうに一蹴されたというようなことが報道されているわけですけれども、いわゆる特殊法人改革で出た利益を償還財源にしたこの小泉ボンドというものについて、その可能性については、事実経過だけ教えてほしいわけですが、そういうことについて何らかの形で検討はされたんでしょうか。
谷口副大臣 植田委員のおっしゃった小泉ボンドでございますが、小泉ボンドというその考え方があるということは承知いたしておるわけでございまして、しかし一方で、その論者によっていろいろ考え方の違いがあるというようなことでございますので、これについて確たる言い方は非常に難しいわけでございます。一方、国債の消化状況は今のところは順調に進んでおるわけで、いわば小泉ボンドと言われるような特異な国債が発行されるということになりますと、そのような国債を発行しなきゃ国債が消化できないのかといったような国債の信認の問題も出てくるのではないかというように考えておるわけでございます。
植田委員 今、副大臣、お話ありましたけれども、そういうのもぱっと頭には浮かんだけれども、やはりまずかろうということやったわけですね。
 それで、私はこれも一つの、仮に非常事態を乗り切るということであれば、緊急性を要する事業にそういうものを財源として充てるというのも一つの方策ではあったんじゃないのかな、十分検討してもよかったん違うかなと個人的には思っているわけですが、そもそもどこからお金を引っ張ってくるかという話以前に、緊急対応プログラムに基づく事業の中身、これがやはり問われるべきだろうと思う。
 要するに、それが本当に国民の福利に資するものであれば、それが仮にどういう形で財源を引っ張ってきたかというのはむしろ、例えば三十兆枠を守るか守らへんかというのは、総理としてはこだわっておられたかもしれませんけれども、少なくとも政策として果たしてそんなに意味はなかっただろうと思う。だから、先ほどの質疑の中でも、一つの政治的な判断としてというふうな趣旨のことをおっしゃっておられたと思うのです。
 そこで、私これも先日予算委員会で、今回の二次補正は従来型でなく新しい発想で組んだんですというふうにおっしゃっておられましたので、たしかそのときの記憶には、従来型というのはどういうふうに定義するのですかということを聞いた上で、それとどう違うから新しい発想なんですかということをたしか尋ねたはずでございます。
 先ほどの委員のやりとりの中でも、大体、従来型の公共事業というものの財務大臣がお考えになっておられる定義については、恐らく先ほどの吉井先生のお話のとおりだったと思うのですが、とするのであれば、今度新しい発想というのは一体どこに見受けられるのか。
 といいますのは、先日も私指摘させていただいたのですが、九八年十一月のときの小渕内閣時の社会資本整備、緊急経済対策でしたか、社会資本整備で八・一兆積まれていて、大体七つの項目があるということを紹介させていただきましたが、今回の緊急対応プログラムのメニューも、実は新しい発想と言う割には、三年前、二〇〇二年になりましたからもう四年前になるわけですが、そのときの中身に大体すっぽりおさまるんと違うんかいなということを私、疑問を持っているわけです。
 新しい発想というものをおっしゃる以上は、その一番最大の売りというのは那辺にあるのでございますでしょうか。財務大臣、お願いします。
塩川国務大臣 例えば、新しい発想の中の一つに、近くワールドカップが開催されますね。それのソウルと日本との受け口は羽田ということで決まりましたですね。そうしますと、羽田の緊急対策を講じなきゃならぬので、暫定的な国際ターミナルをつくらなきゃならない。これはまさに緊急ですね。
 それから、今、街路事業をずっとやっていまして、十年以上街路事業で停滞しておるものがございます。それは、全国で六十本近くあるわけでございまして、そのうち三十数本が、あと残地買収の資金があれば完了するのだというところにある。その資金を千三百億ですか、新しく追加して供給する。そして三十数本の街路事業を早期に完成さすということでございますね。
 それから、医師会等が非常に研究してこられまして、実施に意欲を燃やしておられますところの電子カルテの導入、レセプトの審査の電算化等、こういう医療関係に対する施設補助を出しておって、これを推進さすことにいたしております。それから公立学校のLAN、これをすぐ実施させたいというような、挙げたら随分と時間がかかりますので、御迷惑をかけたらいけませんのでこの程度にしておきますけれども、そのような新しい事業に集中しておるのであって、従来型の公共事業に投資をするというものではございません。
植田委員 いや、お話をお伺いしておって、私は、新しい発想でやる売りはどこにあるのですかと聞いたら、例えばワールドカップがあるので羽田のとか、土地が売れそうなところを街路事業とか、あと、いろいろなところから要望があったもの等々ということで、別に新しい発想、新しい枠組みで何かをやろうというものではないわけですね。
 これ以上やりとりしてもここは堂々めぐりになるかと思うのですけれども、一つ一つ、それは逐一チェックしていけばいくほど、大体基本的な骨組みというものは、今財務大臣がおっしゃっておられる従来型、従来型とおっしゃる以上は、恐らく今回の二次補正以前に組まれた公共事業は全部従来型だということですね。だから、そこで全部出尽くしたものを編成がえした、並べかえしただけのものじゃないですか。しかも新規で出てくる事業はあるわけですよ。例えばワールドカップはあるわけですから、それで、それに対応してやらなければならない事業があります、羽田空港ですと。でも、それは別に新しい発想ということにはならないと思いますよ。それは答弁は求めませんが。
 そこで、何でそういう答弁しか返ってこないのかということについてなのですが、要は、これまでの施策についてきちんと検証し、総括をしてこなかったということに一つは問題があると思うのですね。
 というのは、例えばこの緊急対応プログラムでどれぐらいの効果を見込んでいますかといったら、これの七ページですね、例えば名目一・二%、実質〇・九%のGDPへの効果、雇用者は十一万人程度の増と書いてあります。ほんまにできるのですかと聞いた瞬間、いや、これを達成するために努力しますというお話しか返ってこないと思うのです。これは、当たるも八卦当たらぬも八卦の世界なわけですね。信じてくださいと言われても、それはなかなか、過去の例から見れば、例えば七十万の雇用創出で三十万しかできなかったとかいうような話もあるわけでございまして、この間のその種の政策の是非、またその効果、また効果があったかなかったかというものが本当に精緻に分析されてきたのか、そしてまた、誤りは誤りとして総括されてきたのかということがまず問われるべきだろうと思います。
 というのは、私自身は、今回この日本経済の不況が長期化している原因というのは、やはり一つは政策の失敗にあるというふうに認識すべきだろうと思います。九三年を底にして、九七年までずっと一定の上昇をしてきた。これは実際、そういう循環があるのだとかなんとかいう以前に、公的需要でやはりある程度の成長率を保ってきたわけです。しかし当時は、一方で需要がふえながらも、所得はそれに伴ってなかなか伸びなかった、だから消費が伸び悩んできたということがやはり見てとれるわけですね。そのときに、どこにプッシュすべきかということを政策としてきちっと考えてきたのかどうなのか。少なくとも九七年、見立てと時期を誤ったと私は思いますし、当時の橋本総理も総裁選に去年出るときには、あのときはしくじったというようなことをおっしゃっておられましたけれども、史上空前のデフレ政策を実行したわけで、一遍に景気がずどんと落ちたわけですよ。そういうものは、やはり政策の失敗が、むしろ回復基調にある景気の足を引っ張ったと言えるのじゃないかと私は思うわけです。
 そういう意味で、この種の総括、失われた十年の総括というものを、どうなさっていますかという前にまずそれを総括し、間違いをはっきりさせること、そこから新たな構造改革というのだったらそれでも結構ですけれども、そこから経済政策なり財政運営の方針を立てるべきだろうと思うのですけれども、まず、その点は御同意していただけるかと思うのですが、財務大臣、お願いします。
塩川国務大臣 過ぎ去った十年の回顧ということでございますか、これは私は、政治の責任もございます、決してないとは言いません。けれども、国民全体の責任じゃないでしょうか。
 私は、あえてこういうふうになぜ申すかといいましたら、その当時の要望は、とにかく政府が何とかするであろうという甘え、この構造の上に立ってすべて実世間が動いてきておったように思っております。その甘えの構造はもうこれから通じないよということがやはり改革への自意識を高めていった、それが現在であると思っております。
 したがって、この失われた十年の間における、その指導力のなかった、これは私もある程度、政府の方の指導力が弱かった、これは認識いたしますけれども、それよりもやはり民間の、いわゆる経済界の変化、グローバリゼーションのもたらすところの影響、こういうものに対する認識不足がずっと続いてきておったということが最大の原因だと思っております。
植田委員 今のお話をお伺いしておりますと、まずは政治にも責任はありましたけれども、民間。民間といっても、そこは国民全般の甘えと言っていただいては困りますけれども、財界を含めた企業の側にも問題があったというふうに理解はいたしますが、とするなら、そういう甘えがあったというふうにおっしゃればおっしゃるほど、今度はそれを突き詰めていけば、今回二次補正を組んでいるということとどんどん乖離していくのじゃないでしょうか。私はそう思うのですけれどもね。
 それで、あともう一つ、過日、経済財政諮問会議が「構造改革と経済財政の中期展望」を発表されました。財務省も去年の二月に「財政の中期展望」を出されていますけれども、当然、もう一年たちますし、最近の状況も踏まえて、新たな中期展望を明らかにすべき時期なのじゃないでしょうか。むしろ、そこで明らかにされた問題意識に沿って、やはりどこかで、こういう場で議論していく素材をそろそろ提供すべきなのじゃないかというふうに思うわけですが、それは当たり前のことだと思うので前向きなお話をいただけると思いますが、いかがでしょうか。
谷口副大臣 「財政の中期展望」は、財務省が作成するわけでございますが、一定の経済の前提のもとでの、特定の政策判断を加えることなく、当初予算の制度、施策を継続した場合に、今年度予算の歳出歳入にどの程度の影響をもたらすかにつき、積み上げ計算により試算したものでございます。
 それで、先日の予算委員会、一月二十四日の予算委員会で、本年も提出せよというようなことがございましたので、例年どおり、本予算の提案理由の説明と同時に予算委員会に提出をいたしたいというように考えております。
植田委員 その素材がそろった段階で、一番先にお伺いしたように、この間の経済政策の誤りはどう総括されるのかということを、改めてそうした素材も提供していただいた上でもう一度どこかで議論をさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、政治の責任と財務大臣はおっしゃったわけですが、この間、この十年間の中で、単純に図式化すれば、あるときは景気対策だといって財政出動をやった。効果があるという見方もあるし、効果がないという見方もあります。私は、実はそうした従来型と言われるばらまきの公共事業ですら一定の景気の下支えをしたという点を過小評価することはないと思っているわけですが、もちろん、そのことで従来型どおり、今までどおりやればいいということじゃないですよ。しかし、その効果が十分に測定されないまま、今度は財政構造改革だといって緊縮財政に走った。今また景気が落ちた。そういうことの繰り返しをずっとやってきたんじゃないのか。
 その点について、やはりその間違い、どっちが正しかったかという話もしていただければいいですけれども、あっちに揺れたりこっちに揺れたりというその間違いが、この十年間、不況からの脱出をおくらせたんじゃないかというふうに思っているわけですが、まず、その点の御認識は財務大臣どうかということ。
 もう一点、だから小泉構造改革というのは、その両方を小ぢんまりと、ちまちまとやろうとしている、私はそう見えるわけです。構造改革でやれといったら、これはますます景気は悪くなると私は思いますが、かといって二兆五千億ぽっちのまた二次補正を組んでちまちまとやったって、これはますます借金はふえるばかりだし、不況からは脱出できないしと、二兎を追う者一兎をも得ずになると思います。供給構造の改革なら供給構造の改革ではっきりと方向を示していただければいいし、私は、もうそろそろそうしたいわゆる小泉構造改革は凍結して、需要政策へ切りかえるべきだと思っておるわけですが、その点について、二点簡単に財務大臣の御認識をお伺いできますでしょうか。
塩川国務大臣 もう時間がございませんので簡単にお答えさせていただきますが、二兎を追うとおっしゃいますけれども、政治家は多様な目標を同時に、要するにダイナミックに要求を追求していって国民の福祉を守っていくということが使命でございますから、私は、構造改革を、そして景気対策、二兎であろうが三兎であろうが、これは平均して追求していく。ただ、その間にバランスを失ったらいかぬぞということでございまして、先ほど来言っている、バランスをとりながら、もっともっとたくさんな目標を掲げて要求を進めていきたいと思っております。
植田委員 時間がありませんので、あと最後、この株売却益の活用にかかわって一点だけお伺いします。
 今回、すばらしいものが見つかってこういうことをやったとおっしゃいましたが、国債整理基金の残高が、これはNTT売却益が抜け落ちたら四兆七千億から二兆二千億、半分以下に落ち込むわけですけれども、少なくとも国債の信用力が問われている現状の中で、やはり基金残高の激減というものが非常に不安材料を与えるという懸念はあるわけでございます。
 また、雪だるま式に残高が積み上がる国債、償還率は高まるばかりなんですけれども、こういう手法が国債市場等々の市場関係者に理解を得られるという点については、ちょっと疑問の点があると思うわけです。少なくとも不安材料を与えるということは否定することはできないと思うわけですが、その点の御見解をお願いいたします。
谷口副大臣 国債整理基金の残高は、このNTT無利子貸し付けの一般会計への繰り入れを勘案しても、本年度末でおっしゃるように約二兆三千億もあるわけでございまして、今回の措置により直ちに国債整理基金に影響があるということではございませんので、国債市場に不安を与えるものではないというように考えております。
植田委員 それは、不安材料を与えることは全く否定されるということですか。そういうことは全くないので御安心くださいということですか。
谷口副大臣 不安を与えることがないと考えております。
植田委員 ちょうど時間が来ましたので、以上で終わります。
坂本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後三時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後十一時五十四分開議
坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に出席を要請いたしましたが、出席が得られておりません。やむを得ず議事を進めます。
 先刻質疑を終了しました内閣提出、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。
山本(幸)委員 動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案の討論は省略し、直ちに採決されんことを望みます。
坂本委員長 ただいまの山本幸三君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立総員。よって、そのとおり決しました。
 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。
 ただいま議決いたしました本法律案の委員会報告書の作成は、委員長に一任願うことに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立総員。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
坂本委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後十一時五十六分散会


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