衆議院

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第9号 平成14年4月3日(水曜日)

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平成十四年四月三日(水曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 坂本 剛二君
   理事 中野  清君 理事 根本  匠君
   理事 山口 俊一君 理事 山本 幸三君
   理事 海江田万里君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      岩倉 博文君    小此木八郎君
      小渕 優子君    金子 一義君
      金子 恭之君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    七条  明君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    福井  照君
      増原 義剛君    山口 泰明君
      山本 明彦君    吉田 幸弘君
      渡辺 博道君    渡辺 喜美君
      五十嵐文彦君    生方 幸夫君
      江崎洋一郎君    小泉 俊明君
      小林 憲司君    佐藤 観樹君
      中川 正春君    永田 寿康君
      長妻  昭君    上田  勇君
      遠藤 和良君    武山百合子君
      佐々木憲昭君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    植田 至紀君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   政府参考人
   (国税庁調査査察部長)  東  正和君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局総務課
   生活習慣病対策室長)   高倉 信行君
   参考人
   (日本たばこ産業株式会社
   代表取締役社長)     本田 勝彦君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月三日
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     福井  照君
  林田  彪君     小渕 優子君
  藤島 正之君     武山百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  小渕 優子君     山口 泰明君
  福井  照君     竹本 直一君
  武山百合子君     藤島 正之君
同日
 辞任         補欠選任
  山口 泰明君     小此木八郎君
同日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     渡辺 博道君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 博道君     林田  彪君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――
坂本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣塩川正十郎君。
    ―――――――――――――
 日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
塩川国務大臣 ただいま議題となりました日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、日本たばこ産業株式会社の民営化を段階的に進める観点から、同社の株式の政府保有比率の引き下げを行うとともに、同社が機動的に新株等の発行を行い得るようにするため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、その法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、政府は、日本たばこ産業株式会社の成立時に無償で譲り受けた同社の株式の総数の二分の一以上、すなわち百万株以上の株式を保有していなければならないこととするとともに、政府の株式保有比率を、当分の間、日本たばこ産業株式会社の発行済み株式総数の三分の二以上とする附則の規定を廃止することとしております。
 第二に、政府保有比率低下の歯どめ措置として、政府は、日本たばこ産業株式会社の発行済み株式総数の三分の一を超える株式を保有しなければならないこととしております。
 以上が、日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本たばこ産業株式会社代表取締役社長本田勝彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として財務省理財局長寺澤辰麿君、国税庁課税部長村上喜堂君、国税庁調査査察部長東正和君及び厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室長高倉信行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永田寿康君。
永田委員 委員の方々、そして財務大臣以下先輩方にもたくさんお越しいただきまして、ありがとうございます。きょう、一生懸命審議したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 さて、たばこですから、やはりこれは農産品ですから、昨今大変物議を醸しておる人がその農産品の渦中にいまして、要は武部農林水産大臣、いつ御自分の進退をお決めになるのか、大変私も注目をいたしております。
 近々、参議院では問責決議案が提出されるということになっておりまして、仮にこれが可決をされるようなことがあれば、あるいは辞職をするようなことがあれば、大変珍しいことに、本人が、無能であるから、それを理由にして辞職をするという、これは結構珍しいことなんです。スキャンダル、ゴシップがあった、あるいは国会審議に迷惑をかけた、こういうことで閣僚が辞職に追い込まれることは多数あるんですが、本人が無能であるということを理由にして辞職に追い込まれるというのは、当然あるべきことではありますが、めったにないことなので、ぜひ実現したいと思います。野党はもちろんのこと、自民、公明、保守の皆さんには、ぜひ同僚参議院議員に働きかけをして、この問責決議案、提出された暁には賛成票を投じていただきたいということを心からお願いを申し上げまして、まずは質問に入りたいと思います。
 さて、たばこでありますから、今回、新株発行権を新たにJTに付与するということでございます。しかし、財務省からの説明を聞いておりましても、この新株発行権を付与されても、直ちに行使する計画がないというふうに聞いております。果たして、今のところ、当面新株を発行する計画がないのに新たにそのような権限を付与するということは、私には政策として全く理解できないのですけれども、これはなぜそのようなことをする理由が、必要があるのか、ぜひ御説明をいただきたいと思います。
塩川国務大臣 今般の日本たばこ産業株式会社の法改正によりまして、将来、同会社が最大限百万株未満の新株式発行ができるようになっております。
 これは、JTに対しまして、現在のところ具体的な増資計画はないと聞いておりますが、しかしながら、我々といたしましては、絶えず日本たばこ産業株式会社が安定経営し得るように、すなわち、安定経営の面は多面的でございますけれども、その一つとして、たばこ耕作者の生活を、やはりそれに安定感を与えるということがたばこ産業の将来を、きちっと政府がそれを保障していくということにつながってくることでもございますし、また、日本たばこ産業株式会社がたばこ税を、これを確実に、しかも正確に納入してくれることを果たすためにも、この産業株式会社を強化して、安定した状態に置いておかなきゃならぬ。こういうことを予測いたしまして、将来に備えての措置としての今回の法案を提出したということでございます。
永田委員 たばこ農家の保護ということについては論点が非常に大きいので後々に回しますが、今の答弁の中で一つ気になりましたのは、たばこ税をきちんと納入していただけるように、恐らく、財務基盤も含めた強化というものを将来可能にしていきたい、こういう話だと思うんですが、たばこ税というのは間接税ですから、これは消費者がたばこを買って一たんはJTにそのお金が渡りますけれども、それを国に納入しないということは、これはあり得ないわけであって、特殊会社たるもの、そのようなことが起こっては絶対にいけないわけであります。むしろ、そのような、本来果たすべき間接税の国庫への納金というもの、そこに疑いが生ずるような怪しい存在は、一般投資家に対して株式を販売してはならないのではないかという気がするのですが、なぜそのようなことを理由に新株発行権を認めなければならないのか、改めて御説明をいただきたいと思います。
塩川国務大臣 そういうことがあってはならないから、そういうことにならないように、きちっとした万全の措置を講じておく、こういうことであります。
永田委員 全然答弁になっていないんですね。つまり、そういうふうに、税金を一たん預かっておきながら、それを国庫に納金することを確実たらしめるために株を発行するんですか、新株発行権を与える。これはおかしいじゃないですか。だって、国庫に納金できないような怪しい存在はそもそも一般投資家に株なんか売っちゃいけませんよ。それは答弁になっていないと思います。もう一度御説明をお願いします。
塩川国務大臣 会社の安定ということは、何も納税だけの目的で先ほど言ったわけじゃございません。たばこ耕作者の生活のやはり安定を図るということもございますし、いろいろな意味におきまして、やはり日本たばこ産業株式会社というものは、要するに政府としては非常に重要視しなければならぬ基幹企業であると思っておりますが、これが安定的経営、そしてまた将来におきますところの基盤の強化を確保しておくために、当分の間この措置をとらざるを得ないということであります。
永田委員 当分の間そのような措置をとらなければならないという答弁ですから、当分の間新株発行権を付与する、そのような書き方にしていただくのが本当は正しいのではないかということを指摘しておきます。
 さて、たばこ農家の保護の方に話を移したいと思います。
 現在、日本国内のたばこ農家は、その生産量の全量をJTに売る、JTが全量買い付けの契約を行っています。また、国内においては、たばこの製造についてJTが独占的な地位を与えられています。私はここに、たばこ農家の保護に対して、ちょっとWTOのルールに、あるいは精神に抵触する可能性があるのではないかなということを指摘しておきたいと思います。
 すなわち、たばこは大変輸出入の激しい商品です。日本のマイルドセブンなんかの国内産の銘柄もアジアに大変多く輸出されて、アジアでも喫煙者が多いという話であり、また国内でも、マルボロとかその他いろいろメーカーがありますけれども、輸入もされておる。こういうふうに大変輸出入の、貿易性の高い商品であるということを考えると、当然WTOの精神にのっとって、たばこ製造メーカーあるいは葉たばこの農家も国際的な競争にさらされて、フェアなルールで競争していかなければならない、このように考えるのは僕は当然だと思います。しかし、現状はその精神とは反する形になっていると断定せざるを得ません。
 なぜか。まず、たばこ農家は全量を、生産したらこれはすべてJTに買い取ってもらえる、このような現状にあるわけですから、そこでは、言ってみれば競争原理というのは若干阻害された形になっています。一方で、全量を買いつけるということは、生産量あるいは価格に対するリスクを相当程度JTが負っているわけですけれども、このリスクを負って、そのリスクを相殺する形といいましょうか、そのリスクを負ってもなお補って余りある独占的な地位がJTに与えられている。そして、そのJTの経営基盤を強化するために、今回新株の発行権を付与し、あるいは目的達成業務と称して脱法的にたばこ以外の事業にも業務が肥大化しておるということを国が認めている。
 このようなことを考えると、外国のたばこ農家と日本のたばこ農家の競争というものを一たんJTのところで抑えて、そこで競争制限を行っておきながら、今度はそのリスクをJTの経営基盤の強化という形で相殺させる、このような形が透けて見えるわけですけれども、そうであるならば、これはたばこ農家を国際的な競争から保護しているというふうに考えざるを得ず、当然WTOの精神にも反しているというふうに考えますが、いかがでしょうか。
谷口副大臣 永田委員の御質問でございますが、たばこ農家を保護するということがWTOの精神に反するのではないか、こういうお尋ねでございますが、WTOの協定におきましては、製造独占等を行う企業に対しまして、無差別待遇の一般原則に適合させる、いわゆるコマーシャルベースで買い取りさせるということが規定されておりまして、このような企業についてはWTOに通報するということになっておるわけでございます。
 日本たばこ産業は、たばこ事業法の規定によりまして製造たばこの製造独占を認められた企業であるということから、WTO協定に基づき、全量買い取り契約の事実を含めてWTOにこれを通報いたしておるわけでございますが、これがかつて問題になったということはないわけでございます。
永田委員 国際的な貿易制限措置、あるいは自国の産業、自国の製品を有利に扱わせるための措置というのは、何も関税に限らないのであって、例えば輸出補助金とかあるいはさまざまほかにも措置があるわけですよ。
 一部のものについてはこれはWTOで明文上の規定をもって禁止をされておるというような、あるいは通報義務がある、今おっしゃった通報義務というのはそういうことだと思いますけれども、そういうようなさまざまな措置が規定されております。私もそれは存じておりますが、今私が申し上げているのは、明文上の規定に反していないことを理由に脱法的にたばこ農家を国際的な競争から隔離しているのではないか。つまり、明文上の規定には反していないけれども、WTOの精神に反しているのではないか、こういう指摘をしておるわけでございます。
 実際、日本のたばこは海外に輸出をされて、アジアでも大量に消費されているわけですよ。そこに、もちろん輸出主体はこれはJTですから、JTが輸出をする、あるいは国内のたばこ農家が葉っぱをJTに納入しておる。そういう中で、JTの経営基盤の強化について国が特段の配慮をし、つまりそれは今回の新株発行権の付与であり、あるいは目的達成業務と称した野方図な事業の拡大、こうした特権的な付与と国からの手厚い保護をもってJTの経営基盤を強化させしめ、そして輸出につながるような有利な地位をJTに与えているとするならば、現在の明文法上の規定には確かに違反していないかもしれませんけれども、WTOの精神に反するというふうに考えるのが普通だと考えますが、御答弁はいかがでしょうか。
谷口副大臣 先ほども申し上げましたように、WTOに対しましては通報いたしておるわけでございまして、委員がおっしゃっておられるのは、それはわかる、しかし一方でそういう精神に反しておるのではないか、こういうことでございますが、そもそもこのJT法の制定時にも、この葉たばこ業者の保護という重要な観点があったわけでございまして、そういう観点も含めながら、今の株式所有の状況を、経営の多角化という観点で、今回持ち株比率を低めようというようなことであるわけでございます。
 そういう観点で今回やられておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、この通報を行い、それに対して今まで、かつて問題がなかったという観点も含めて、また一方でこのJT法の制定時の葉たばこ生産業者を保護するといったような観点から、今回のことが行われたということでございます。
永田委員 重ね重ね、通報して、WTOの明文上のルールに違反していないからといって何をやってもいいというものではなくて、やはり私たちこの自由主義社会に生きる、あるいは自由主義経済の旗振り役を務めなければならない日本にあって、このような貿易制限的な効果を有するような措置をとることには慎重であるべきだと私は考えます。ですから、ルールに違反していなければ何をやってもいいというふうに考えるのではなく、我々はルールをつくる側にもいるわけですから、ぜひルールの運用面においても慎重な配慮を求めたいと思います。
 ここで、ルールをつくる側の責務、自覚というものを一つ指摘をしておきたいと思います。
 最近、あっせん利得処罰法なんかの問題が社会で問題になっています。ここで我々が考えなければならないのは、国会議員というものはルールをつくる立場にいる人たちです。つまり、自分に都合の悪いルールはつくらなくてもいいという立場をとれる人たちなんです。ですから、明文上のルールは、社会一般の常識から考えれば最低限のルールしか我々自身に課されていないというふうに自覚すべきであって、明文のルールを果たしていれば何をやってもいいんだというふうに考えるのではなく、みずからに対して明文の法律以上の規律を課して、それを誠実に守っていくということがルールをつくる側の責務として求められているんです。
 日本は、WTOの枠組みの中で大変大きな発言力を持っています。ですから、我々に不都合なルールはつくらないという立場も、場合によってはとれる立場にあるんです。ですから、明文のルールに違反していないからといって甘えるのではなくて、みずから自由主義経済の旗振り役として、その推進役としての役割を自覚し、このような貿易制限的な効果を有するような措置には極めて慎重に判断をしていただきたいと思います。
 一方で、このJTの経営基盤を安定化させるという意味でもう一つ措置がとられておるのは、特殊会社の御多分に漏れず、子会社を通じた経営の多角化であります。確かに経営の多角化は国会の審議でも出てきた話であります。それは私も認めています。しかし、物事には限度というものがあります。やはり特殊会社として独占的な地位を与えられ、そしてその収益の、経営基盤の安定にも特段の配慮をなされているJTほどの特権的な法人であるならば、その経営基盤の強化と称して目的達成業務の一部として行われている現在の食品ないしはバイオ及び医療関係の事業の参入、これにはまた慎重になるべきだというふうに考えますが、政府の考え方はいかがでしょうか。
谷口副大臣 たばこ事業以外の事業、目的達成業務、このように言っておるわけでございますが、これを最小限にとどめるべきではないか、こういうことでございます。
 これは、昭和五十七年七月の臨時行政調査会の行政改革に関する第三次答申というのがあるわけでございますが、たばこ専売事業の改革の方向性として、「海外投資能力の付与、業務範囲の拡大等、国際競争に耐え得る経営基盤の整備・強化に配慮する必要がある」このように言っておるわけでございます。このような答申を踏まえまして、昭和五十九年のJT法におきましては、JTの事業範囲として、一つは、製造たばこの製造、販売、輸入の事業、また当該事業に附帯する事業につけ加えまして、先ほど申し上げましたその他の会社の目的を達成するために必要な事業、このような目的達成業務を規定したわけでございます。
 JTの経営に関しまして、専売制度改革時の国会の附帯決議の趣旨がございまして、この趣旨に沿って、今回、その経営の自主性に配慮することを基本的な考え方といたしておるわけでございますが、他方、この目的達成事業の実施を自由に認めた場合には、製造独占等を背景に民業を圧迫したりする、また財政基盤を弱体せしめる、ひいては本来事業の遂行に支障を来すおそれがある。このような事態を回避するために、JT法においては、目的達成事業を財務大臣の認可にかかわらしめておるわけでございまして、必要かつ適切な範囲で目的達成事業が行われるといたしておるところでございます。
永田委員 私も、官僚生活、官僚人生の中で運輸省に出向しておりまして、二年ほど特殊法人を担当しておりましたが、正直言って、当時の私の業務経験の感覚からすると、経営基盤の強化そのものに資するために目的達成業務として本来業務以外のものを認めるという感覚は、とんちんかんだと思いますね。これはおかしいですよ。
 経営基盤の強化は確かに必要なものかもしれません。経営基盤の強化が必要ならば、それなりの措置をとるべきであって、ほかの事業に手を出すことによって経営基盤を強化するべきだという考え方には、僕はひとつ賛成できかねるものがあるんです。要するに、経営基盤の強化が必要ならば、ほかの措置をまず先に検討すべきであって、どうしても事業の多角化でしか対応できないというケースに限って、民業圧迫ということに配慮をしながら事業の多角化を考えるべきであって、今回のケースは、私には、はっきり言って、まず事業の多角化ありきというようなことがあったのではないかという邪推を思わせるところであります。しかし、とにかく、目的達成業務として経営基盤の強化のために事業の多角化をするという考え方には、僕はどうしても賛成できないんですね。
 さらに、JTというのは、たばこの販売において独占的な地位を与えられるなど、極めて特権的な配慮が国からなされているわけであって、そこで得た利益を持ってほかの事業に参入をし、さらに利益を上げるようなことがあれば、これは特権の乱用と言わざるを得ない。
 ですから、そこのところ、経営の多角化には、現状を見るに当たり、今もう既にある程度許容限度を超えていると思いますので、これから若干の縮小も含めた見直しを行っていくべきだと考えますが、御答弁はいかがでしょうか。
谷口副大臣 先ほど答弁をさせていただいたように、この目的達成事業のあり方についてはポイントがあるんだろうというように思うわけでございまして、委員がおっしゃるように、すべての業務が行い得るといったことではなくて、財務大臣の認可を必要といたしておるわけでございます。先ほども申し上げました民業圧迫といったような観点も当然必要なわけでございますから。
 しかし一方で、近年、たばこに関する、喫煙者の減少の状況等々、JTが本業において今後も売り上げが若干減少するといったような状況も考えられるわけでございまして、このような状況の中でJTの財政基盤を確保するといった観点から、今、医薬であるとか、また食品であるとか、このような事業に乗り出しておるわけでございます。
 このような観点で、限定的に、これも慎重にそこはやっていく必要があるんだろうというように思うわけでございます。
永田委員 だから、そこに本音が見えるわけですよ。おかしいですよ。
 だって、たばこの需要が減ってきてしまって、そのおかげでたばこ産業が縮小していくという形であれば、これは僕は仕方がないことだと思うんですよ。需要が減るというのはすべての商品についてあり得ることであって、何もたばこに限らず起こることですから、そういう面でたばこ産業が立ち行かなくなる可能性があるというのは、たばこが産業である以上、これは一つの宿命だというふうに僕は思っています。その結果としてJTが立ち行かなくなるようなことがあっても、これはもう産業の宿命ですから、やむを得ないことだと正直思います。そういうときには、本当にたばこ産業が需要の減少によって消滅するようなことがあれば、僕はJTは消滅するのが筋だと思います。そんなときに、何も経営の多角化を図ったり、株式の新規発行権を与えて経営基盤を強化する必要は全くありません。
 ただ、たばこ農家も生活がありますから、例えば、たばこの需要が今の半分ぐらいになった、でも需要はまだある。その需要を満たすための十分なマーケットが、正直言って余り効率的なマーケットが存在しないので、たばこ農家が今の生産量の半分ぐらいはとりあえず供給したいけれども、その途中をつなぐ柱として、JTが今の経営規模の半分では立ち行かない。であるから、経営基盤を強化するために何らかの措置を考える。こういうのであれば、政府から何らか補助金を出したり、あるいは新株発行権を与えたり、いろいろなことを考えればいいんですよ。
 しかし、そこで経営基盤の強化と称してほかの産業に参入して収益を上げるということになると、これは政府の本音としては、補助金を与えれば輸出補助金に当たるかもしれないからWTOのルールに抵触するけれども、新規参入、ほかの産業への参入を認めて多角化していくことを認める分には一切WTOのルールには抵触しない、こういうような政府の考え方が透けて見えるわけですよ。
 これは、そのような意図を持ってやっているのであれば明確に脱法行為ですから、おやめいただきたいと思います。答弁を求めます。
谷口副大臣 WTOの問題は、先ほど申し上げましたように通報もいたしておるわけでございますし、かつて問題があったことはないというような観点で、それは先ほども御答弁差し上げたわけでございます。
 JTは、御存じのとおり、民営化の方向で今来ておるわけでございまして、今まで、現行法では発行済み株式総数の二分の一以上を政府が持つといったことを、今回は三分の一に至らないところまで政府が持つ、あとは民間が持つ、このような状況になるわけでございまして、民営化の中で、当初、さっき申し上げました葉たばこ業者の保護の観点なんかも当然あるわけでございますけれども、経営的に政府の手から離れ、実体的に民営化の道を進む一つのいわば激変緩和と申しますか、そういう民営化の道のりの中の一つのステージである、このように言えるんじゃないかと思います。
永田委員 民営化に向けての途中の、激変緩和措置の暫定的な措置であるというのであれば、経営基盤の強化とは全く関係ないですし、ましてや新株発行権の付与とミックスでやるというのは理屈が立たないと思うので、とりあえずそこを指摘して、たばこ関係の質問、これ以上もしたいのですけれども、もう少し、せっかくいただいた時間なので、大事なこともあるので、ぜひ次の質問に移らせていただきたいと思います。
 というのは、今回新株を発行するわけですが、たばこというのは海外においては健康問題の訴訟にさらされて、たばこメーカーが兆の単位の賠償訴訟も起こるということを考えると、これからたばこメーカーの、JTの株を買う人は、今持っている人も既にそうですけれども、相当なリスクにされされているということを考えるべきであって、いわゆる金融商品の安全性というものを考えていかなきゃいけないということをこじつけまして、金融商品の安全性、大和都市管財の話に入りたいと思います。
 大和都市管財、大変な事件になっています。まだ裁判に、なっているんですかね。これ、平成九年に免許を更新していますね。村田副大臣が専門で担当されていたということで大変事情も詳しいと思うんですけれども、平成九年の免許更新のときに、どのような検査をして、どのような判断を行った結果、免許更新が適確だというふうにお考えになったのか、詳しく御説明をいただきたいと思います。
村田副大臣 お答えを申し上げます。
 登録更新の場合に、裏側からいきますが登録拒否の要件として、抵当証券業の規制等に関する法律の六条でございますが、「内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない」ということで、それが一つ。それから、もう一つは七号で、略しますが、「抵当証券業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有しない法人」、こういうことであります。
 そういう意味で、この規定を受けまして施行規則がございまして、財産的基礎というのは何ぞやという、そういう細目があるわけでありまして、これは例えば、純資産比率が一〇〇%を超えるものというようなたぐいの規定があるわけであります。
 財務局としては、そういう法律の規定あるいは施行規則の規定にのっとりまして、平成九年の十二月の登録更新の時点におきましては、そうした財産的基礎を含めて登録拒否事由に該当する事実があるのかどうかという観点から審査を行ったわけでございまして、そういう意味で大和都市管財の財務状況について精査をした、こういうことであります。
 詳しくということでございますので、大和都市管財、これは単体で見る。法律の規定は、今申しましたように登録申請者と書いてございますので、これまでの議論の経緯でも、連結で、関連会社全体で見るべきではないかという御指摘もございましたが、私どもは法律の規定に従いまして、大和都市管財の財務状況について単体で資産、負債、そして資本の状況について詳しく検証した、こういうことでございます。
永田委員 先日の我が党の上田清司議員との質疑の中で、村田副大臣は次のように答弁をしています。
 上田委員の指摘は、平成九年当時の大和都市管財の財務状況の調査に関して、以下のように指摘しています。「その子会社グループはほとんど赤字だったというふうに私は認識しておりますが、村田副大臣の認識は同じでしょうか」副大臣の答弁が、「おおむねそのような事実があると認識しております」。
 ということは、当時の平成九年のときの免許更新にかかわる調査の中で、子会社グループがおおむね赤字であって、その後の経営改善命令を受けた再建計画の提出を見ても、本体の経営にそれなりに影響がある水準になるまで子会社グループが赤字になっていたという認識を当時の監督官庁が持っておったというふうに私は思うんですけれども、そこは上田議員の質疑と同じ認識でよろしいのでしょうか。
村田副大臣 ここが、これまでの私のお答えの中で大変悩ましいといいますか、そういうところでもございますが、私ども、平成九年の六月に検査を実施いたしまして、融資先六社を含みます経営状況の実態把握を行ったわけであります。
 それでは、今、単体で見ると言ったじゃないか、それにもかかわらず何で融資先の状況まで経営状況を見るんだ、こういう御指摘につながってくるかと思いますが、私どもは、融資先の経営状況が悪化しまして、将来的に、問題となる本社の、大和都市管財自体の経営が困難となる可能性がある、こういうふうに確認したものですから、業務改善命令について要請をして、関連会社の財務内容についてもできる限り把握させていただく、こういうふうにさせていただいたわけであります。
 その中で私どもは、さっきの御質問の回答の続きになるかと思いますが、融資先からの受取利息、抵当証券購入者への支払い利息、それから販売抵当証券、買い戻し抵当証券等を見まして、そうしたものを把握した上で、抵当証券業務に関する同社の資金繰りに問題がなかったかどうか、こういうことを確認してきたわけでございます。
 もちろん、関連会社の財務状況は、計画にもかかわらず歴年未達であった、計画どおりの結果にはならなかったわけでありますが、我々は、それぞれのフォローアップ、フォローしていく過程でもって、抵当証券購入者の権利を確保するために、そうした関連会社の財務状況を見ながら、そしてその計画の実行状況を見ながら、本体の財務の内容について引き続き注意をしていた、こういうことでございます。
永田委員 しかし、これは関連会社の財務内容までちゃんとそれなりにごらんになって、危機感はそれなりに感じていたというふうにお認めになっていると私は思いますけれども、そのときに経営改善命令を、業務改善命令を出すということは、この業務改善命令も当然これは単体にしか及ばないわけですよね。そこから先の融資先とかグループ企業に及ばないわけですよ。そんなもの出しても意味がないですよね。
 なぜこれは、単体に対して調査を行い、単体で免許更新の適否を判断したのに、単体にしかきかないような業務改善命令を出して、それで事が足りるというふうに判断したのか、説明をお願いします。
村田副大臣 先ほどから申しましたように、免許の登録の更新の拒否事由になっている財務というのは、おっしゃるとおり単体という要素になるわけであります。
 しかしながら、そうはいっても、その融資先というものが結びついているわけでありまして、本件の場合には、大和都市管財本社の関連会社に融資しているということでございますので、法律上は要請されておりません、しかし、それが貸付先の、抵当証券発行特約つき、特約つきの融資先、これの経営状況というものは本体に将来影響を及ぼす可能性があるということを考えておったので関連会社まで見た、こういうことでございます。これも経営改善計画の中に、改善命令の中に入っているわけでありまして、そういう関連会社の経営状況を見ながら我々は本体の方の経営状態を見ていたということでございます。
永田委員 これはやはり脱法的というか、大和都市管財とグループ企業との間の取引の中には、一部飛ばしと見られるようなものもあるわけであって、これは、言ってみれば粉飾決算というか、本体の決算あるいは財務内容を実際よりもよく見せかけるために赤字をグループ企業につけていたというふうに思わせる事例が多数見つかっています。そういう意味からいえば、これは本来あるべき決算をやっているのではなくて、本来あるべき財務内容をきちっと反映した申請書が監督官庁に上がっていなかったというふうに判断するのが普通だと思いますけれども、そこに関しては当時の監督官庁はどのような認識だったのか、教えていただきたいと思います。
村田副大臣 我々は、大和都市管財から提出された資料に基づき調査をして、経営状況を判断していた、こういうことであります。
永田委員 そういうことを聞いているんじゃなくて、実際にこれは、よくこの手の金融商品というのは、デリバティブまで高度なものでなくても、利益をどこかにつけたり、あるいは負債をどこかにつけたりということが簡単に操作できる性格のものですから、そういうものを専門に扱っている監督官庁の優秀な官僚の皆さんであれば、当然そこを見過ごすことなく、グループ企業に必要以上に赤字が押しつけられていたという事実を把握していたと思うのですが、そこすら見抜けなかったというふうにおっしゃるのでしょうか。御答弁をお願いします。
村田副大臣 私どもとしましては、大和都市管財の規模、それから株式の所有者数、こういうことをかんがみたときに、大和都市管財自体、商法計算書類規則に基づく表示を行えば足りるという状況にありました。そういう意味で、証券取引法を基礎といたしました財務諸表規則に基づく連結決算を行うということは、この大和都市管財には義務づけられていない、こういうことでございまして、そういう意味で我々は、書類としても、商法計算書類規則に基づく表示、これをもとにして提出された書類を真正なものとして審査をしていた、こういうことでございます。
永田委員 しかし、そうはおっしゃりながら、グループ企業の経営内容まで、あるいはグループ企業と大和都市管財との間の関係までお調べになっているということは、相当な疑義をちゃんと持っていたというふうに考えなきゃいけないと僕は思うのですね。
 それは矛盾していますよ。ちゃんと大和都市管財単体から上がってきた財務内容、その書類が真正なものとして判断した結果、単体としては黒字だったというのであれば、そこから先を調べる必要もないわけですから。やはりそこが矛盾していますね、答弁が。
 情況証拠としてそこまでお調べになったんだったら、当然飛ばしもあったし、あるいは粉飾決算もあったというふうに判断するのが普通だと思いますけれども、いかがでしょうか。
村田副大臣 先ほどJTの審議の過程で、委員が、規定の文字どおりではなくて趣旨まで考えて、幅広く精神というものを酌み取れということでございましたけれども、そうはいっても、行政当局としては、法律にのっとりまして、単体ベースで審査を進めるという規定に従っておる、こういうことでございます。
 ただし、それでは何で関連会社の書類までとったのかというのは、今御指摘のとおり、当時の財務局自体も、関連会社の経営状態が本体の方にひっかぶってくる危険性というのを、委員も既に御理解のとおり、そういうふうに解釈していたということでございます。
 ぎりぎり、検査の都度、いろいろ聞いてみますと、当初は九月の検査の前にでも任意で再建計画も提出されております、平成八年度、八年については。そのときなどは、やはり会社の方から、関連の会社についての財務諸表といいますか、いろいろな書類がなかなか出てこないのを大変苦労して、お願いして、お願いベースでございますので、調査権、検査権はございませんので、そういう形でとって進めてきたという状況にあるわけでございます。
 あくまで我々が許されているのは、本体に対する検査が主体でございまして、それを通じて関連会社の営業状態、経営状態の危険性、将来の危険性というものを予知して、そういう行動をとってきた、こういうことで御理解を賜りたいと思います。
永田委員 将来に関する危険性を予知してというお話ですが、物すごく危機感を強めた予知をなさっているじゃないですか。
 平成六年の時点で、既に大和都市管財は実質債務超過である、確かに本体としては資産超過かもしれないけれども実質債務超過であるという報道もなされ、警察もそれを認め、そして平成六年以降、たびたびそのようなことを監督官庁が検査しながら、九年には債務超過をちゃんと把握しているじゃないですか、実質債務超過ですよ。それを知っておきながら免許の更新をしたというのは、これはもう本当に重大な犯罪の片棒を担いだのと同じなんですよ。
 何しろ、この大和都市管財は、抵当証券を販売するときに、抵当証券というものは法務省が発行し、そして大蔵省の免許登録を行っている大変健全なものであって、元本保証、高利回り、すばらしい商品だからぜひ買ってくれという話をしているわけですから、これは大蔵省の登録があったということが一つの販売のうたい文句になっているわけですよ。
 そこに、本来実質債務超過であるということを認識しておりながら免許の登録を更新し、そして大和都市管財に、販売のときに大蔵省に登録してある真正な仕事であるということをうたわせるというのは、詐欺の片棒を担いだにも等しい所業ですから、ぜひしっかりと反省をし、そこのところの認識を説明してください。お願いします。
村田副大臣 認識といたしましては、結果として抵当証券の権利者が多大の損害をこうむったということは、私どもといたしましても、大変遺憾なことだ、こういうふうに思っているわけです。
 しかし、法律の規定上は、やはり一つは登録、これは、リスキーな商品というものが、商品設計がそういう前提でございますし、それから自由な商品設計をするという意味でも登録制になっているわけでありますので、そういう意味で、私どもとしては、ディスクロージャーをもっと一生懸命やらなければいけない。まずは、大蔵省あるいは金融庁、財務局が登録を受けた、届け出を受けたという商品であってもこれがリスキーな商品でありますよということを、まずディスクロージャーを充実させることによって、我々としては、権利者に対して注意を促していく、あるいは十分な知識を持って購入をしていただくというようなことをしなければいけないと現時点では考えておるわけでございます。
 その意味で、今後とも内容については改善を加えてまいりますけれども、とりあえずのところ、施行規則を改正いたしまして、ディスクロについては今考え得る時点で我々は改善を取り入れた、実施している、こういうことでございます。
永田委員 全くもって、これは、政府の問題意識の低さというものに愕然とせざるを得ないわけですよ。
 つまり、当時抵当証券業というのは、三年おきの免許の登録、今もそうですが、免許の更新を行う。その際に財務諸表の提出をし、また検査も受けなければならない。そして、適宜検査権限も持っているわけですよ。こういうようなことを考えると、その抵当証券会社が健全な経営内容になっているか、グループ企業も含めて健全な経営内容になっているか、ないしはその販売している商品がどの程度安全なものかということをまず第一に知るのは、実は監督官庁なんですよ。
 しかし、その監督官庁の責務を忘れ、憲法に規定されている国民の財産と生命を守るんだという使命を忘れ、この商品は危険なものだということを認識させることによって、いざというときのリスク、責任は全部購入をした国民におっかぶせよう、おれには関係がないんだという姿勢をとるのは、一国の政府として全く恥ずべきことであって、猛省を促したいと思います。
 国民は政府の保護を必要としています。ですから、まず第一に情報が入る政府は、そしてその情報がなかなか外に出てこないものであるならば、その極めて重大な地位と責務を自覚し、国民の生命と財産を守るために汗をかいていただきたいと思う次第であります。
 また、検査の過程で、法律の範囲に照らして単体にしか自分たちの検査は及ばない、業務改善命令も単体にしか及ばない、免許登録更新の要件も単体に対してしか及ばない、このようなことを自覚したならば、何のために内閣提出法案というものがあるのですか。みずから法律案を提出して国会で審議してもらって改正し、直ちに、そのようなグループ企業の取引の中で疑義のあるような業者は免許を廃止することができるように手続をとるべきではなかったのですか。御説明をお願いします。
村田副大臣 ディスクロージャーをより充実することによって、抵当証券なる商品性について改善を図ったということは申し上げました。
 もう一つでございますが、抵当証券業規制法というのは、行為規制法といいますか、空売り規制とか二重売りの規制とか、そういうことでありまして、業務の健全性を確保するという趣旨を目的とする例えば銀行法のようなケースと、我々の検査というのもまるきり違うんだということは御理解をいただきたいというふうに思います。
 委員が、グループ企業が赤字のようなところは省け、それでそういう本体の方は免許を与えないようにしたらどうか、こういうことなのでございますが、これも、抵当証券という商品が本来自由である、そういうことを考えますと、反対に、連結で要するに赤字になってはいけないとかいう規制を課しますと、本体の方がいかなる子会社を持ってもいいという、関連会社を持ってはいけないという規制はこのケースではないものですから、そうすると本体の方が、仮に、もうからないのをたまたま持っている抵当証券会社が今度はそういう抵当証券の発行を規制される、逆のケースが出てまいりまして、本来自由である抵当証券業というものが、関連会社の赤字によって規制されちゃうという逆の効果があるということを考えると、おっしゃるようなこともなかなか難しいかなというふうに理解をしているわけでございます。
永田委員 常々、小泉政権発足直後から私は思っておりました。この政権は冷たい。弱者について非常に冷たい。この商品はリスクのあるものだ、それを知らずに買ったおまえたちが悪いんだ、取引の自由を確保するためにも、危険であることは承知でこの商品を野放しにするんだ、監督権限があって情報も集まる役所であっても、助けてあげないよと。被害者の今訴訟が起こっていますから、原告団、弁護団の前でぜひお話を直接してあげていただきたいと思います。小泉内閣の本質がここにあらわれていると私は確信をいたしております。
 被害者保護のために、ぜひ大和都市管財が過去に支払った法人税をお返しいただきたい。これは粉飾決算ですから、聞くところによると、粉飾決算であるということを法人みずからが認め、そして過去に払った法人税は過大なものであるから返してもらうのが正当なことであるというふうに申し立てをすれば、そのようなことも可能だと聞いておりますが、どのような手続をとったら要件は満たされるんでしょうか。ぜひ御説明いただきたいと思います。
東政府参考人 お答え申し上げます。
 個別事案の課税関係等に係る事項につきましては、守秘義務が課されている関係上、従来から答弁を差し控えさせていただいております。よろしく御理解を賜りたいと存じます。
 なお、一般論として申し上げますと、法人は、過大に納付された法人税について、過大納付した事業年度の法定申告期限から一年以内に更正の請求を行うことができ、これを受けまして国税当局は更正を行うことと相なります。
 ただし、更正の請求を受けた場合でも、過大納付税額のうちに、事実を仮装して経理したこと、いわゆる粉飾決算に基づくものがある場合には、原則として、粉飾決算を行った事業年度から五年以内において、その間の事業年度の確定決算で当該粉飾決算の修正経理がされ、かつ、それに基づいて確定申告があったときに、国税当局は更正を行うこととされております。
 この場合におきまして、この更正で減額された粉飾決算に係る過大納付税額につきましては、更正を行った前事業年度において納付済みの法人税額があるときは、これをまず還付した上で、残余の過大納付税額分を、更正以後五年間の各事業年度において納付すべき法人税額に順次充てていくこととされております。
 なお、法人が解散した場合には、清算手続に入るため、その時点で残っている過大納付税額分を還付する取り扱いとしております。
 いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、個々の事案に即し、必要に応じ調査を行う等、事実関係を的確に把握した上で、税法に基づき、適正に対応してまいる所存でございます。
永田委員 今のお話を伺えば、今回のケースというのは、場合によっては、その一部であっても過去に払った法人税が戻ってくる可能性があるというふうに、一般論からの類推ですけれども、理解をいたしたいと思います。
 一方で、過去の役員が払った所得税も、場合によってはこれもお返しいただくのが筋ではないのかなと思います。
 というのは、もちろん役員の報酬というものはこれは労働の対価ですから、軽々にこれは、支払うのが不適切だというふうなことを言いながら過去に払った給料を返してもらうというのは、僕は余りやるべきじゃない、それは保護すべきだと思います。しかし、この場合は、明らかに詐欺の世界ですから、大和都市管財がやったのはこれは詐欺ですから。詐欺で、実際にちゃんとその法人が目的としていた預かり金融資産の運用をしっかりやることなく、自分たちの給料を不当にがめていたということを考えると、これは給与所得と言うべきではなくて、しかも、その経営判断をする上で重要な地位にいた役員たちは、悪意を持ってこの経営を本来あるべき姿からゆがめていたというふうに考えるべきであって、そのような人たちは、悪意で行動した人には法の保護は及ばないというふうに考えるのが僕は適切だと思います。
 ですから、まずは本人が、これは給与所得としては不適切だったということを認め、国税当局にそれを通知するのが第一段階だとは思いますけれども、そのような手続を経ることによって、何とか所得税の部分もお返しいただくわけにはいかないのかどうか、ぜひ制度の御説明をお願いしたいと思います。
東政府参考人 お答え申し上げます。
 個別の課税関係等につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じますが、あくまでも一般論として申し上げますと、会社の役員の報酬に係る課税関係につきましては、所得税法に基づきまして、源泉徴収及び年末調整、または各年の確定申告が適正に行われている限り、税法上納付済みの源泉所得税額が還付されることはないところでございます。なお、役員が法令または定款に違反したような場合において、商法上、会社に対しまして損害賠償責任を負うことがあり得ると考えられます。
 さらに、確定判決におきまして、役員に係る委任契約自体等が無効なものと認定されたような場合には、税法上の取り扱いといたしましても、源泉徴収すべき対象がさかのぼって存在しないこととなり、納付済みの源泉所得税額が当該納付後五年以内の還付請求を受けて、還付されることがあり得ると考えられます。
 いずれにいたしましても、あくまでも一般論でございますが、国税当局といたしましては、個々の事案に即し、的確に事実関係等を把握した上で税法等に基づき適正に対応してまいる所存でございます。
永田委員 実は、上田議員と村田副大臣の前回の質問の中で、このような調査をお願いしますと言ったら、副大臣が調査しますというふうにおっしゃっておられたものが幾つかあります。これはもうここで議論する時間がないので、特に過去のグループ企業も含めたその実態調査の内容、それから業務改善命令の実施状況などについて、あるいは運用先の実態について調査をするということを副大臣はお約束なさっていますから、ぜひ委員会の方に提出を、多分書面になると思いますので、適当な時期に委員会の方に書面で提出をお願いしたいと思います。委員長、ぜひお取り計らいをお願いします。
 それからもう一つ、大事な答弁を見つけました。同じ上田議員との質問の中で村田副大臣はこのように答弁しています。「最終的に十二年の登録更新の拒否をしたということも、そういう相手先に対します債務というものが、簿外債務というものが出てきたということで」簿外債務、すなわち簿外債務ということは、これは帳簿上載っていなくても本来載せるべきものだという認識のもとに簿外債務という言葉を使うのでしょうから、簿外債務という認識があったのであれば、これは粉飾決算ですから、当然免許登録の更新の拒否の理由になりますから、ぜひそこのところの経緯、次の質問時間にお伺いしますので、簿外債務という認識があったのであれば、当然これは違法な話ですから、登録更新の拒否の理由になると思うので、そこの御説明、次の質問のときにお願いをします。
 それから最後に、どうしても聞かなければなりません。
 先輩議員に当たるので大変申し上げにくいのですが、この大和都市管財に関する免許登録の更新及びその運用などについて、経営などについて議員の関与があったということを、村田副大臣は前回の上田議員との質問の中で認めています。三人いたというふうにおっしゃっています。これは大変重要な問題です。監督官庁と三人の国会議員がこの大和都市管財の問題について関与しておったということを、明確に村田副大臣はお認めになっています。ぜひその名前と関与の実態を明らかにしていただきたい。
 なぜならば、最近、鈴木宗男という議員が自民党にいらっしゃいました。外務省との関係は抜き差しならぬものでありました。このようなことが常態化していたということを示す一つの証左だと思います。ですから、この時間の中に説明し切れるものではないと思いますが、できる限り実名を挙げて、その関与の実態をここに明らかにしていただきたい。これは、政と官の関係をきれいにする、浄化させるための第一歩になると思います。ぜひ、みずから範を垂れていただきたいと思います。よろしくお願いします。
村田副大臣 今委員、関与というお言葉を使われましたけれども、私どもは、三名の国会議員からの陳情があった、こういう理解でありまして、私どもの財務局におきまして、法令に従いましてこの大和都市管財をめぐる行政については厳正にやってきた、こういうふうに考えているわけであります。
 お名前でございますが、予算委員会でも上田委員から御質問がありましたが、何分、昔のことでもございますし、調べたところ応接録もございませんので、記憶は確かと思いますが、しかしながら議員の名誉に関することでございますので、そしてまた、陳情された国会議員の方に確認をとるということもできかねますので、そういう意味では、実名の答弁は差し控えさせていただきたいというふうに考えているわけです。
永田委員 重要な答弁がありました。
 まず一つは、過去の答弁においては村田副大臣は明確に、大和都市管財に関して、政治家の関与ということに関して言えば三人、このように答弁していますから、政治家の関与があったということですね。それから、実名を明かすと名誉にかかわると。名誉にかかわるような陳情があったんだったら、これは重大な問題ですよ。実名を明かすと困るような、名誉にかかわるような陳情があったということをお認めになったんですから、これは重大なことですよ。
 秘密会を開きましょう。実名を外に明かしたくないのならば、秘密会というのはそのためにあるのですから、ぜひ秘密会を開いて、実名を明かした上で、本人に確認はとっていないけれども自分たちはこのような本人の名誉にかかわるような陳情を受けたと認識している、本人はどういうつもりで言ったかわからないけれども、私たちが受け取ったのは、こういう趣旨だと理解したと。このような説明ならば本人に確認をとる必要もありませんから、ぜひ秘密会の要求も、委員長、御検討いただきたくよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 副大臣、最後にどうぞ。
村田副大臣 名誉にかかわる陳情じゃなくて、正しい、そういう人でなかった場合には、その議員の名誉にかかわるというふうに申し上げたところであります。
永田委員 ぜひよろしくお願いします。
坂本委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 自由党の中塚でございます。
 きょうはJT法の一部改正案ということで審議ですが、採決まで行くということで、うちとしては、討論もいたしませんし、あらかじめ申し上げておくと賛成を決めているわけですけれども、ただ、賛成とはいっても、やはり将来の方向性というか、そういったことについてはちゃんとただしておかなきゃいかぬというふうに考えていまして、完全民営化ということ、これについて、やはり私どもとしては、それこそ小泉内閣も、官から民へとか、中央から地方へというふうなことを言っているということなわけですから、そういう意味で、完全民営化というのを目指していくべきだというふうに考えております。
 そのことをあらかじめ申し上げた上で、まず、塩川財務大臣、この完全民営化ということについて、いかがお考えでしょうか。
塩川国務大臣 完全民営化は、やはり完全に民営化するということでございまして、そのためには、一挙にその方法をとりにくいということ。それはなぜかといいましたら、やはり葉たばこを耕作しておる人は、長年にわたりまして政府の奨励のもと、そしてまた監視のもとやってきたものでございますので、この農家が自然に民営化に順応してくれる体制をとっていかざるを得ない、国際競争力をつけるようにしていかなければならない。そのためには若干の時間がかかるのではないか、こういうことでございまして、段階的に民営化を進めていくという予定で取り組んでおるところであります。
中塚委員 同様の趣旨で、本日は日本たばこ産業の社長にもお越しをいただいておりますが、本田社長、完全民営化ということについて、いかがでしょうか。
本田参考人 お答え申し上げます。
 将来的には完全民営化すべきだというふうに考えておりますけれども、現状は、国際的に割高であります葉たばこ問題と、また、どう対処するかというような問題等があることも事実でございます。
 私どもJTといたしましては、現行たばこ事業法の枠組みの中でも、一層の民営化を推進するということにつきましてはぜひ進めていただきたいと思いますし、今回お願いしている、上程されている法律もそういう趣旨であろうというふうに考えております。
中塚委員 過去の審議会の答申なんかを見ましても、完全民営化ということになると、国内たばこ耕作者に壊滅的打撃を与えるおそれがあるというふうなことが書かれていたこともあるし、それがために製造独占権とか全量買い取り制というものが認められているということなんだろうというふうに思いますけれども、これはやはり、果たしてそうなんでしょうか。国産たばこ、国内たばこの耕作者が自由化をすると本当に生き残っていけないものなのかどうか。
 まさに完全民営化ということを目指していく上で、私は、民営化ということとたばこ耕作者の保護ということは別問題、別々に考えることができるんじゃないかというふうに思うわけです。例えば住宅金融公庫とかの廃止とか民営化の論議を聞きましても、結局、では、その住宅金融公庫がやっていた仕事を次どこがやるんだということになると、特殊法人自体の廃止、民営化の論議というのは絶対できないわけですね。
 それと同じように、この国産たばこ耕作者に壊滅的打撃を与えるおそれがあるから完全民営化できないということ、それとこれとは別なのではないのかなというふうに思うんですけれども、果たして今、完全民営化ということになりますと、国内たばこ耕作者に対して壊滅的打撃を与えるということになるんでしょうか。財務大臣、いかがでしょうか。
谷口副大臣 おっしゃるように、完全民営化といったことになると壊滅的な打撃を受けるのかということでございますが、どうも葉たばこ生産者の状況を聞いておりますと、いろいろ生産性の向上に向けて努力をされておるようでございます。
 一戸当たりの耕地面積でいきますと、昭和六十年には六十アールといったものが平成十三年度では百八アールというような状況のようでございますし、また、十アール当たりの労働時間におきましても、昭和六十年には三百二時間というような状況が平成十二年には二百四時間というような状況で、生産性の向上に努めておるものの、一方で、為替の問題、また、我が国農業に共通する土地条件であるとか労働力条件の制約の問題から、依然として国内たばこの価格と国際価格との乖離が解消されるといったような状況にはなくて、仮に公的関与の枠組みを外したといった場合には、国内葉たばこ業者が立ち行かなくなるおそれがあるということでございます。
 また、仮に公的関与の枠組みを外した場合に、国際的に見て割高な国内葉たばこの買い取りをJTが自主的に行わなければならない、そういうような場合に、民間株主から問題視をされるといったような問題もあるんだろうというように思うわけでございます。
 そこで、たばこ事業法におきまして、このような国産葉たばこの問題が解決されるまでの間はJTに国内たばこの製造独占を認めるとともに、国産葉たばこの全量買い取り契約制を規定しておるというようなことでございます。
中塚委員 次は、同様のことを本田社長に伺いますけれども、特殊会社、株式会社なわけですね。それで、民営化というと、海外では特殊会社のことは民営化とは言わないということで、そういう意味で特殊会社というふうにあえて言わせていただきますが、特殊会社であっても株式会社だし、株だってマーケットに流通しているわけですね。
 そうなりますと、一番大事なことはやはり利益を上げるということなわけですね。利益を上げていくということが一番重要な課題であって、国の施策で、会社法で決まっているからこういうことなんだというふうなお答えになるのかもしれませんが、完全民営化ということになりますと、そういった国内たばこ耕作者に対して本当に壊滅的な打撃を与えるということになるんでしょうか。
本田参考人 お答えさせていただきます。
 八五年、昭和六十年に民営化されまして、また市場が自由化になったときに、国産葉問題が二つの大きな問題を抱えておりました。一つは大変な過剰在庫、約一年以上の過剰在庫を抱えていたという問題、もう一つは今御指摘のいわゆる価格競争力、この二つがあったわけでございますが、過剰在庫問題につきましては、おかげさまで、農家の方々等も大変協力をいただきながら、完全に解消ができております。
 あとは、今も御指摘のまさに国際競争力の問題についてでございますけれども、会社化以後、団体とも、また個々の農家とも一緒になりまして、近代化計画というのをつくりまして、それぞれ生産性向上に取り組んでまいりまして、ただいま副大臣から御説明ありましたように、労働時間もかなり減りましたし、規模も大きくなってきた。また一方、日本の農業構造、社会構造全体の変化の中で、会社化直前に五万三千ヘクタールありました面積が、今は二万三千ヘクタールという状況になってきている。こういうこと等々の努力の中で、かなり上がってはきているんですが、これは一般の農産物問題とも絡んでまいりますけれども、価格的な意味においての競争力は残念ながらまだついていない。
 私どもといたしましては、これを完全に民営化して、なおかつ何らかの保護措置もないということになりますと、今の段階ではまだちょっと難しいかなと。仮に、もしそういうことであれば、諸外国でもそうでございますけれども、何らかの制度的担保は必要ではないかな。
 いずれにしましても、これまでもせっかく努力してきておりますので、農家ともども、私ども、さらに生産性を上げながら、できればそういう措置がなくてもやっていけるような形で生産性の向上に努めてまいりたいというふうに思っております。
中塚委員 私どもは、どっちかというと、農家に所得補償、デカップリングをしてあげた方がいいんじゃないのかなというふうに思っていまして、価格政策をとるんじゃなくてデカップリングで面倒を見た方がいいんじゃないかというふうに思っていまして、決してたばこ耕作者に対してもう保護するなとか自由化してつぶれればいいというふうに言うつもりはないんですけれども、ただ、いつまでもずっと保護していくというのも限界がある、限度があるというのも事実だと思うんですね。
 そうなっていきますと、高コスト構造ということと、もう一つ、需給調整ということもやっていかなきゃいかぬということで、高コスト構造を是正するということについてはまた後から伺いますが、たばこ問題解決という意味で、生産調整、あるいは転作奨励とか、そういったことについてどういう取り組みをされているのか、あるいはこれからしなきゃいかぬというふうにお考えになっているのか、財務省にお伺いします。
谷口副大臣 今おっしゃったことでございますが、葉たばこ業者を保護するといったことについて、例えば価格保証だとか所得補償も一つの考えだがというようなお話をされておったわけでございますが、これにつきましては、昨年十二月の財政制度等審議会の中間報告がございまして、これまで喫煙者の負担で行っていたものを非喫煙者にまで負担させるといったことになるわけで、財政支出について納税者たる国民の理解はなかなか得られないといったような観点で、今回そのような措置をとらないといったことでやったわけでございます。
中塚委員 では、同じ質問を本田社長に伺いますが、転作とかそういったことの奨励策ということも含めていかがでしょうか。
本田参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、葉たばこにつきましては、量と、質と申しますか価格の問題。量の問題につきましては、現在、標準在庫と我々は呼んでいますけれども、かなり、それと同等またはそれを下回るぐらい。シガレット一つつくりますのに大体三十種類ぐらいの葉たばこをまぜてそれぞれの特徴を出すという中で、いわゆる葉たばこの品質という意味におきましてはそれなりの味を出せる。また量的な問題というのは今申し上げたような形の中で、問題は、ある意味では最終的にはコスト競争力という意味で価格ということになろうと思います。
 いずれにしましても、今私ども、生産近代化対策といいますか、安定面積構想ということを続けながら、品質、価格、価格も基本的には、計算方式、いろいろなことをとりまして、これはどこでもそうですけれども、どうしても人件費の問題等々の問題がありますので、できるだけ省力化を図りながら、なおかつ作業の簡易化というようなことを進めながら、それを前進させていきたいというふうに考えております。
中塚委員 たばこが隆々たる成長産業であれば、私もこういうことは申し上げないんですが、残念ながら、後から申し上げますが、たばこの健康に対する害等もいろいろ言われているわけですね。農業ということ自体が、どんどん高齢化しているし、後継者もいないというふうな話の中で、今のままのやり方を続けていって、ではいつになったら完全民営化できるんだろうという問題にもつながっていくと思うんですね。
 先ほどは所得補償の関係で、喫煙者、非喫煙者というところで、非喫煙者の税が、そういうことでたばこの方に入るのはおかしいんじゃないかというお話もありましたけれども、しかし、そういう話をしますと、例えばベジタリアンで野菜しか食べない人の税金だって畜産関係に回らないわけではないわけですね。同じ農業という意味で考えたときに、そこまで私はリジッドに考える必要はないんだろうというふうに考えていまして、所得補償というふうに切りかえていくことによって、完全民営化をしても葉たばこ耕作者にそんな壊滅的な影響を与えるということにはならないんではないかというふうに考えておることを申し上げたいと思います。
 そして次に、たばこの健康に与える影響ということについてお伺いしますが、WHOが、公衆衛生分野初の多国間条約制定ということで、たばこ規制枠組み条約というものを今検討しているということだそうです。
 十八歳未満の青少年がアクセスできるすべての場所でたばこの自動販売機設置禁止とか、そういったことが盛り込まれているということで、報道なんかでも、マイルド、ライトとかいった商品名はもう禁止になるとかいうふうなことも言われているわけですね。あと、たばこ消費に関する国際的な監視システムの構築も言われているということですけれども、このたばこ規制枠組み条約ということについての対応について、本田社長からお伺いしたいと思います。
本田参考人 お答え申し上げます。
 ただいまお話ありましたように、二〇〇三年の採択を目指して、現在WHOの枠組み条約の策定作業が進められております。
 当社といたしましては、WHO枠組み条約の内容につきましては、未成年者の喫煙を防止するということ、また広告を規制していくということ、私ども当社といたしましても自主的、積極的に取り組んでいる内容も多く含まれておりまして、これらの点につきましては、関係各方面と協力をしながら効果的な方法を見つけていきたいというふうに考えております。
 ただ、一方で、御案内のように、たばこというのは、長年にわたりまして生活に定着して親しまれてきている、まさに大人の嗜好品でございます。そういう意味に立ちますと、条約案におきましては、たばこ消費の大人まで含めた減少というような目的で、例えば、今先生御指摘のマイルドとかライトというような形容的表示の禁止とか、それぞれ、たばこ文化といいますか、たばこというのは各国の制度、文化、社会の中ではぐくまれておる、これを世界一律に規制していこうとかいうような、問題もかなり含まれております。そういう意味では、ややその目的を超えたものまで入っているのではないか。そこの点につきましては、かなり私どもも心配をいたしています。
 いずれにしましても、現在、その動向を注意深く注視しているところでございます。
中塚委員 そういうふうなたばこ規制枠組み条約というのが言われるぐらい、たばこが害があるというふうに、すごいですね。私も去年の九月までたばこを吸っていたんですが、やめまして、半年ぐらいになりました。うちの秘書なんかは、たばこを吸うと票が減るからやめてくれというふうにも言います。だから、体に悪いだけじゃなくて、イメージも悪いというふうなことになってしまっているわけですね。
 きょうは、財務金融委員会ということで、九六年に、国立がんセンター研究所の後藤公彦さんという人が「環境経済学概論」でおもしろい研究をされていまして、たばこ産業経済メリットというのが二兆八千億だというふうに言うわけですね。ところが、たばこ産業社会コストというのが五兆六千億というふうに言われています。医療費の増加とか早期の死亡ということによって、社会的損失がその程度は起こるということですね。つまり、差し引き三兆円が毎年たばこのために費やされている、九六年ベースではありますが。ということは、年間消費量が三千億ということになりますと、一本たばこを吸うと社会に十円の赤字を強いるということのようです。この赤字を埋めようとすると、たばこ一箱大体六百円にしなきゃいかぬということになるわけですね。
 ただ、イギリスなんかへ行きますと、やはり六百円ぐらいするんです。(発言する者あり)千円ぐらいしているわけですね。そういったことも考えて、たばこの税収が上がる、担税力もある、そういうふうな物資ではありますが、吸うことによる社会全体の赤字というのが一本当たり十円にもなるというふうな現状がある。そして……(発言する者あり)吸う人はこうやっていろいろ言うわけですけれどもね。だけれども、そうやって吸うことにより医療費も出ていくというふうなことになっている。
 これでは、一体JTというのは何のための会社なんだ。それこそ、財政赤字を埋めるということのためにたばこの税を値上げしようと、毎年毎年、年末になったら出てくるわけですよね。そういったことで、確かに担税力はあるのかもしれないが、このたばこの逆に言うデメリットというものについて、コストというものが非常にかかっているわけですけれども、その点について財務大臣、いかがお考えでしょう。
塩川国務大臣 私もたばこを吸わないんです。何でこんなものを吸うのかなと思っておるんですけれども。
 ところで、これはやはり人間の嗜好でございますから、そういう嗜好を好む人にとりましては人生の潤いでもあり、生きがいでもあると思いますが、確かに、そういう医学的なあるいは社会的なコストを計算すると収支どうなるのかということは、これは大いに疑問のあるところだと思っております。しかし、私たち財政を預かる者としては、現制的な計算をいたしますと、たばこ税というのは本当にありがたい税金でございまして、これはもう少し払ってくれるようにならぬかなと実は思っておりまして、そういうことで、今度の改正も大いに我々も力を入れておるところであります。
中塚委員 何かもう、吸う人と吸わない人で政界再編が起こりそうな、そんな感じですけれども、それこそ、今幾らなんでしたっけ、たばこをもう吸わなくなって値段も忘れちゃっているんですが、六百円、千円の差額、大体税金なんだろうというふうな気もするし、それぐらいになってもおかしくはないんじゃないかなというふうに思いますが、こういった研究結果について、本田社長、いかがお考えでしょう。
本田参考人 お答えいたします。
 後藤さんのレポートは、私どももいろいろな角度から勉強させていただいています。たばこの社会的コストの推計値が出ているわけですが、御案内のように、一定の疫学データに基づいて試算されたものでございまして、これらの試算値を社会コストとして断定的に取り扱うのはどうかな、いろいろなあれがございます。また、産業規模なり、また、今大臣から話がありましたけれども嗜好品としての役割なり、やはり幅広い見地から考えなきゃならぬと思います。
 その中で、税のお話もありましたけれども、担税力、やはり間接税というのは、その商品を買っていただいているお客さんが負担しているわけでございまして、実は、たばこは専売制になって約百年以上たっていますけれども、この百年間を見ますと、平成十年の増税以降、残念ながら三年連続減少していることは、担税力も非常に、産業も困っている。今、日本の間接税の中で、御案内のようにたばこは二兆三千億円、かつてお兄さんであったお酒は一兆八千億でございますから、大変大きく貢献をしていますし、これ以上のあれはぜひ御勘弁いただきたいというふうに思います。
中塚委員 社長、ぜひとも後ろを向いてそのお話はしていただいた方がいいと思うわけです。
 いずれにいたしましても、そういうことで、大変にたばこをめぐる議論というのは尽きないわけで、そういう点からも、先ほど、吸う人と吸わない人というのを一律に分けて、葉たばこ農家に対して所得補償をするしないというふうな議論がありましたが、やはり社会全体にかかるコスト、それこそ医療費の増加等五兆六千億というのは保険料とかあと税で負担をされているわけですから、結局、副流煙の問題とかいうことがあるにしても、それ以外の部分で、その他の吸わない人に対しても大変にいろいろな影響を及ぼしているということについては、改めてもう一度申し述べておきたいというふうに思います。
 それで、この全量買い上げ制ということですね。今までのお話だと、要は、競争力がつく、国際価格差がなくなるまで続けるということになるのかなというふうに思うわけですけれども、そうなりますと、なかなか完全民営化というのは道も遠いなということで、葉たばこに競争力がないということは、それこそいつも塩川財務大臣がおっしゃっている、日本の高コスト構造ということとも無縁ではないと思うんですね、賃金も高いし、あと運ぶ輸送のコストなんかも高いということで。そういった意味で、本来この問題だけで考えてもなかなか解決することではないし、またそれを変えていくのが本来の構造改革ということにもなっていくんだろうなというふうに思うわけです。
 この国際競争力という点で、海外のたばこ会社なんかを見ますと、利益を出しているのはたばこ事業ではなくて関連事業だったりすることが多いわけですね。せっかく会社なわけですから、会社というのは、もうけて法人税を納めていただくということが一番重要なことなわけで、今はまだ特殊会社、国策に従ってやっているということなわけですけれども、もうけて税金を払ってもらうということが必要なわけで、もちろん完全民営化ということとの兼ね合いにもなるわけですが、関連事業をどんどんと積極的に展開していくというのは、私は必要なことなんだろうなと。
 この関連事業を積極的に展開していくという中で、JTの特殊会社であるということが障害になっているんじゃないかというふうに思わざるを得ない部分が幾つかあるわけですけれども、それについては、本田社長、いかがでしょう。
本田参考人 お答えいたします。
 今先生お話しのように、私ども昭和六十年に株式会社になって、商法を適用されているわけですから、あくまでも中心は株主に対するリターンと申しますか、その責任というのは大変重うございます。
 そういう中で、やはりJTという会社を発展させていくというような立場で、またしかも、ある意味では、最近、残念でございますけれども、国内たばこ市場がやや成熟化といいますか、度を深めている。そういう中で、JTの会社としての経営基盤を強化するために、またそれを継続して発展していくために、事業の多角化なり国際化というのを積極的に今進めているところでございます。
 現在、医薬事業、食品事業に注力しておりますが、まだ残念ながら利益貢献というところまではまいりませんけれども、これもできるだけ早く早期自立ができるようにしながら、会社全体の発展を目指してまいりたいというふうに思います。
 そういう中で、特殊会社ということで我々の日々の経営活動が阻害されていることはございません。経営については、財務省の御理解もいただきながら、経営の自主性、当然のことながらその裏腹に責任というものを自覚しながら経営をやっているところでございます。
中塚委員 今までの日本のパターンとして、保護する、ずっと守っている、守っている、保護している間に世界の情勢が変わって、気がついたら一気にばんと何もかもなくなってしまうというようなことがずっと続いてきているわけなので、ぜひとも積極的に攻めに出て、それこそ、たばこだけではない関連事業の分野でも積極的にもうかるような、世界のリーディングカンパニーになれるようにということで、そういう意味も含めて、一刻も早く完全民営化ということを実現するようにしていくべきだというふうに思います。
 そして、さっき税金の話が出まして、きのうも税制の話がありまして、制度自体は簡素、公平、中立とかいろいろなことを言うわけですけれども、脱税をするということになると、制度とは別に、もうこんなに不公正な話はないということで、きょうは最後の残りの時間を使って、ちょっと確認というかお尋ねをしたいことがあります。
 国税庁の村上課税部長にお越しをいただいています。きのうも済みません、お待たせをして申しわけなかった。
 伺いますが、今大変に話題になっている加藤紘一氏の元秘書佐藤三郎氏が脱税ということで告発を受け起訴をされたということですが、入札に対する口きき料というものについて、脱税であるということになって起訴されたということのようですが、この脱税の口きき料というのは所得分類は何に当たるんですか。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
村上政府参考人 お答えいたします。
 通常、口きき料というのは雑所得になろうかと思います。
中塚委員 ということは、雑所得を申告しないでそれが脱税になっているということなわけですね。
 そして次に、これは政治資金からだということで、報道等、伝えられているところによりますと、加藤紘一氏は、自分の住んでいるマンション、これの家賃を政治団体のお金をもって支払っていたということが言われております。マンションの家賃のほか、損害保険料とか、あと加藤氏の飲食代金、そういった支払いも行っていたし、クレジットカードで決済していたというふうなことも言われているわけで、四年で九千万円だというふうに言われているわけですが、これは事実なら、やはり政治資金ということではなく加藤氏個人の所得ということになるんじゃないですか。
村上政府参考人 まず、政治活動に関する課税関係について申し上げたいと思いますが、政治家個人が提供を受けた政治資金につきましては、所得税の課税上、雑所得の収入として取り扱うということになっております。次に、雑所得、これは収入でございますから、雑所得の計算は、一年間の総収入金額から必要経費の総額を差し引いて計算いたします。この総収入金額から政治活動のための支出を含む必要経費の総額を差し引いた残額がある場合に課税の対象になる、残額がない場合には課税対象にはならないということであります。
 御指摘の件につきましては、いろいろ報道されていることはもちろん承知しているところでございますが、個別の問題につきましては、守秘義務がございますので御答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げたいと思いますが、政治家個人の方の私的な費用は、これは政治活動のための支出とはなりません。また、所得税法上、今申しました政治家個人の私的な費用につきましては、これは家事費あるいは家事関連費に該当いたしますので、原則として、所得金額の計算上必要経費にも算入されない、すなわち雑所得になるということであります。
 したがいまして、問題は、何が政治活動のための支出になるかということが非常に問題になるわけでありますが、政治活動というのは非常に広範な概念でありますので、あくまで、これは個々の事実関係に即して、個々の判断を判定していかざるを得ない問題だと思います。
 したがいまして、いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、法令に照らして適正に取り扱っていくということになろうかと思います。
中塚委員 最後に一つ伺います。
 実態に即してという話ですが、加藤氏が借りていたマンションは三部屋あるというふうに言われていて、三部屋あるんですね。二部屋を加藤氏は家族と一緒に使っていた、一部屋は秘書がいたりあるいは新聞記者がいたりする部屋だというふうに言われていた。ということになりますと、確かにこの一部屋の分については政治活動費なのかもしれません。それも、政治資金規正法上、収支報告の取り扱いは経常経費になるんだと思いますが、残りの二部屋、加藤氏が、これは政治活動費で大丈夫なんだというのは自治省に確認をしたという話をしています。
 ただ、税務の取り扱い上、一般的に言って、私も選挙区で、行商というか外商の布団屋さんなんかいると、家屋兼店舗になっていたりすると、では家屋と店舗は何割と何割とか、あるいは使っている車だって、自家用が何割、減価償却できるのは何割というふうに、税務署からちゃんと言われるわけですね。
 ということは、幾ら加藤氏が住んでいるところが住居兼事務所である、だから全額を政治活動費で出しても差し支えない、自治省が言ったか言わないかは別ですが。となりますと、これはやはり実態から判断をして、一〇〇%事務所費ということで充てられることはあり得ないというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
村上政府参考人 あくまで一般論でございますが、通常、家族用の居宅というのは家事費あるいは家事関連費になるかと思いますので、通常の場合は必要経費にも算入されないということだと思います。
 ただ、今お尋ねの件につきましては極めて個別の問題でございますので、その件につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
中塚委員 終わります。
中野(清)委員長代理 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 きょうは最初に、たばこの健康被害の問題から伺っていきたいと思いますが、厚生省は、がん、心臓病などの病気を予防し、国民の健康の増進を図るため、健康日本21計画というのを、二年前の三月三十一日、事務次官通知でもってこれを策定して、キャンペーンを張ってきました。この計画は、十年後の到達すべき課題として七十項目にわたる健康管理、がんに関する数値目標を示しておりますが、当初厚生省は、二〇一〇年までに成人の喫煙率、たばこ消費量を半減し、未成年者の喫煙をゼロにするという目標を示しておりましたが、これが公表されるや、たばこ業界が反発し、自民党農林部会などの圧力の結果、この数値目標は取り下げられたといういきさつがあるということが、二年前の五月十三日付のマスコミ報道で紹介されております。
 国産葉たばこ農家への配慮の観点も必要なのですが、十年間で半減というこの意欲的な目標、これを持つこと自体は非常に大事なことだと思うのですが、健康日本21計画の目玉として当時専門家の間で強く主張されていた喫煙率削減の目標を取り下げた責任は非常に大きいと思います。どうしてこの目標を取り下げたのか、これをまず最初に伺いたいと思います。
高倉政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘の、健康日本21の計画の中の数値目標の設定についてでございますけれども、最終的に平成十二年三月三十一日の次官通知等をもちまして公表いたしました健康日本21計画の中では、たばこの分野の目標の中に、今お話ございました喫煙率の半減という目標は入っておらないところでございます。
 その経緯でございますけれども、健康日本21計画の中で、さまざまな十年後の目標を決めていくということのために、各方面の専門家から成ります計画策定検討会、また企画の検討会というものを設けて議論を重ねてきておりました。その中で、中間報告というような形で、途中の段階の案が公表されたわけでございます。
 その後、その案に関しまして、さまざまな形で広く国民の皆様の意見を伺ってきたわけでありますけれども、率直なところ、賛否両論、その点についてはそれぞれ多く寄せられたところでございます。
 最終的に、平成十二年の二月の当該関係の検討会におきまして議論の結果、この半減という部分の目標値は含めない形で、かわりに、その点は除きまして四点の目標を掲げたわけでございます。一点目が十分な知識の普及、二点目が未成年者の喫煙をなくす、三点目が分煙の徹底、四点目は禁煙を希望する方への禁煙支援プログラムということでございます。
 お尋ねのございました喫煙率半減の部分についての議論でございますけれども、さまざまな両方のお立場からの御意見がございましたが、特にこの半減という部分につきまして、目標達成の可能性につきましての御意見の中では、米国において男性の喫煙率を半減させるのにほぼ三十五年程度を要していた、また、その間、女性喫煙率については半減は達成できていないということなどの外国における経験の例などから、その実現の可能性が必ずしも十分でないというような指摘がございました。
 また、喫煙率自体の目標につきましては、国が国民に禁煙を強制しているとの意見が多数寄せられるなどの経緯がございまして、最終的に、先ほど申し述べたような結果となったところでございます。
吉井委員 要するに、意欲的な目標があったのです、半減しようと。それに対して、それが消えてしまったのはマスコミの紹介のとおりでありますが、目標を立てて、目標に向かってどういう努力をするかということが一番大事なのに、それを吹き飛ばしてしまったということは、私は、これは重大な問題だと思うのですよ。
 それで次に、さらに、この点で先ほど中塚委員からもお話ありましたけれども、やはりたばこによる社会的損失というものはいかなるものかということをきちっとこの際見ておく必要があると思うのです。
 まず、医療費の面でどれぐらいの負担が生じているのか。これは喫煙者個人の医療費の負担ということもありますが、周囲の人たちの医療費の負担の増加、国や自治体の医療費の負担、それぞれどれぐらいになるものか、試算をしておられるならこれを聞いておきたいと思います。
高倉政府参考人 お答え申し上げます。
 喫煙に伴う医療費の超過費用などを含みますいわゆる社会的損失につきましては、喫煙と健康問題に関する最新の科学的知見を整理して情報提供するために設けました専門家による検討会から、平成十三年十二月、昨年の十二月に公表した報告書におきまして、我が国における四種類の試算を紹介しております。
 その中で、お尋ねの医療費の部分を含めまして、さまざまな推計をしておられますけれども、特に医療費につきましては、四種類のものそれぞれ、一番小さなもので二千五百六十五億円、一番大きな額の推計といたしましては三兆二千億円に上るという試算結果が紹介されているところでございます。
吉井委員 疫学データに基づく推計値として出されているのは、超過死亡数が九五年でたばこ喫煙により九万五千人、全死亡者数の中で一二%、たばこによる疾病、死亡のために、九三年度に一兆二千億円、これは国民医療費の五%かかったというのが、医療経済研究機構の、これは厚生科学研究費補助による研究試算でありますが、今おっしゃったように、四種のものが昨年の十二月に出されました。
 それで、医療費を含めた社会的損失ということになりますと、七六年の古いもので、今医療費の一番低いものとおっしゃったのは七六年ですから、もう四半世紀前の数字ですね。その場合、医療費を含めた社会的費用のコスト、これは一兆一千四百六億円。九〇年に中原さんがされたもので三兆一千八百二十六億円、同じ九〇年の後藤さんので五兆六千億円、九三年に医療経済研究機構のが三兆七千九百三十五億円。
 いずれにしても、このたばこによる社会的コスト、非常に大きなものがまずかかっているということを事実の問題として押さえておかなければいけないと思うのですが、厚生労働省の方は、非常にたばこによる社会的損失は大きいという、この見方は持っておられるのですね。
高倉政府参考人 委員御指摘のとおり、昨年、十三年十二月の報告書におきまして発表された四種の試算結果は、いずれも決して無視できない大きな額であると考えております。
吉井委員 次に、WHOのたばこ対策枠組み条約に関して聞いておきたいと思うんです。
 近年、たばこによる健康被害の問題が世界的に問題視されるようになってきて、WHOは早くからたばこの有害性を指摘してこれまでも何回も喫煙対策を求める勧告をやってきましたが、現在、二〇〇三年三月採決を目指してたばこ対策枠組み条約制定に取り組んでおります。これまでに四回の政府間会合を開かれ、議長案をもとに各国から意見を集中しているところですね。この意義と、我が国の取り組みの現状はどうなっているのか、日本政府の取り組みはどうなっているのか、これを次に伺っておきたいと思うんです。
高倉政府参考人 お答えを申し上げます。
 委員御指摘のたばこ対策枠組み条約につきましては、WHO、世界保健機関の加盟国が総合的なたばこ対策を実施するための枠組みを定めていこうという条約でございまして、御指摘のとおり、本年三月までに四回の政府間交渉会合を行ってまいったところでございます。平成十五年五月の採択を目途に交渉を続けておる段階にございます。
 この条約の議長案につきましては、大変幅広い分野のテーマが取り上げられておるところでございます。外務省を中心といたしまして、財務省、農林水産省等の関係省庁や関係各方面と十分に調整を図りながら対応していく必要があると考えております。
 私ども厚生労働省といたしましては、たばこによる健康影響に関する対策については、先ほど御指摘の健康日本21の中で推進を図っておるところでございまして、非常に関連の深いこのたばこ対策枠組み条約の策定に向けましても、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
吉井委員 私は、このことについて私が聞こうかなと思っていましたが、先に同僚委員の方から質問がありましたので、JTの本田社長にはこの点の質問はいたしませんが、さっきおっしゃった、一律規制を懸念するとか個人の嗜好の問題、文化の問題、私は、この個人の嗜好という問題について、やはりきちっとしておかなきゃいけないと思うのです。
 喫煙をする方が、そのたばこの煙を他人に吸わせない、他人の健康を害しないというルールをきちっと守って、そして、それを保障するためにもまた、要するに、愛煙家の権利は当然尊重されるべきだと私は思っているのですが、それは、空気清浄機などついた喫煙施設というのをきちっと設けて愛煙なさる、それは文字どおり嗜好の問題だと思うのですよ。それは自己責任の原則なんです。しかし、たばこを吸わない人、そういう人が現実には健康被害に遭うという問題を起こしているわけですから、ここにたばこ対策推進の大事な意義があるというふうに思うのですよ。
 ですから、簡単にこれは個人の嗜好の問題だということで片づけるとか、一律規制は問題だとかいうことじゃなしに、それはきちんと、愛煙家の方にはやはりたばこを愛するルールというものが必要で、また、それを尊重して保障する施設なりそういうものがきちんと必要なわけで、そういうことを抜きに、簡単に嗜好の問題ですからということで済ませてしまうというのは問題であります。
 まずそのことを指摘しておいた上で、アメリカでよくたばこ訴訟が起こっておりますが、九八年の二千六十億ドル、二十四兆円という巨額のたばこ和解は世界を驚かせましたね。これは、アメリカの四十六の州政府が、アメリカ大手たばこメーカー四社を相手に、州政府が医療保険への補助金として支出したお金のうち、喫煙によってかかる病気の治療に使った分としてたばこ会社に支払いを求めて提訴したもので、和解により、たばこ会社はこの額を二十五年以上かけて州政府に支払わなければならないということになったというふうに伺っているんですが、アメリカにおけるこのたばこ問題の和解というのは大体そういう内容であったものかどうか、ここだけちょっと確認しておきたいのです。
本田参考人 今、先生御指摘のように、九八年にアメリカの主要たばこメーカーと州政府四十六州との間で和解契約ができまして、それまで裁判で闘っていたわけですが、裁判になっていたんですけれども、結局、今申されたような線で、二十五年間、約二十四兆円ということで和解が成り立って、それが今現実に行われている段階でございます。
吉井委員 定足数は足りていますか。法案の審議のことですから、定足数を切れておったらちょっと質問できなくなります。
中野(清)委員長代理 今、努力させておりますので。
 ちょっとしばらく待ってください、すぐ来ると思いますから。
 では、ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
中野(清)委員長代理 では、速記を始めてください。
 吉井委員、どうぞ。
吉井委員 委員長の方もたばこを吸いに出てはるのかもしれませんが、続けます。
 アメリカの連邦政府の方も九九年に、たばこ業界がたばこの害を国民や政府に正しく伝えなかったために、肺がんなどたばこによる病気が多くなり、その分、医療保険などに対する政府の補助金がふえたと主張して、大手五社に対して損害賠償を求める裁判を起こしているというふうに思うんですが、どういう内容か、簡潔に伺っておきたいと思います。
本田参考人 お答えいたします。
 アメリカのことで、競合他社が訴えられていることでございますので詳細はあれですが、もともと、先ほどお話ありました州政府との和解契約の前に、連邦政府とメーカーとの間である程度進んでいて、それがうまくいかなくて州政府となりました。クリントン内閣の最終年次ぐらいに、今先生御指摘のように連邦政府がまたメーカーに対しましてそういう訴えをいたしていますけれども、今のところ、それが進展しているというふうには私は把握をいたしておりません。
吉井委員 日本の場合は、三分の二の株を国が持っているということで、訴えを起こしますと、国が、政府が政府に対して訴えを起こすような形になります。
 EU指令に対する問題についても伺っておきたいんですが、ヨーロッパでは、昨年五月のEU議会でたばこ製品の製造、表示、販売に関する指令が採択され、加盟各国はことし九月までにこのEU指令適用のための必要な国内法の制定を行わなければならない、こうなっておりますが、EU指令では、包装箱の表側三〇%以上、裏側の四〇%以上を割いて、たばこは死を招くなどの警告文の印刷を義務づけております。さらに、小箱へのマイルド、ライト、低タールなどのような表示は健康に害が少ないなどの誤解を与えるとして、来年九月から禁止するということにしたというふうに思うんですが、これもどういうものか伺っておきたいと思います。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
高倉政府参考人 お答え申し上げます。
 EUにおきます平成十三年五月のたばこ関係の指令の内容についてでございますけれども、まず一点目といたしましては、タール、ニコチン及び一酸化炭素の三種類につきまして、一本当たりの上限値を設定するということを規定してございます。二点目といたしましては、警告表示の強化、強めるということでございます。三点目といたしましては、たばこの製造業者及び輸入業者に対しまして、たばこの含有物及びその使用量のリストの提出を義務づけることなどを内容としているものでございまして、委員御指摘のとおり、EU加盟各国は本年の九月三十日までに必要な国内法制化を行うこととされておるところでございます。
吉井委員 ですから、欧米各国の流れというのは大体そういう方向へ今いっているんですね。そういう中で、マイルドセブン・ライトなどを販売する日本たばこの方は、EUのそういう法律というのは商標権侵害などとして抗議したというふうに聞いていますが、私は、それはそもそも発想そのものが狂っているということを言っておかなきゃいかぬと思うんです。
 次に、警告表示の問題について伺います。
 各国とも、たばこ、喫煙に対する規制をかなり強化してきて、例えば包装に義務づけられる警告表示でいいますと、アメリカでは、喫煙は肺がん、心臓病、肺気腫の原因であり、妊娠に影響を与えるおそれがあると。イギリスでは、たばこは著しく健康を損なう、喫煙はがんの原因になる。フランスでは、著しく健康を害する、喫煙はがんの原因になる。ドイツでは、喫煙は健康を危険にさらす、喫煙はがんの原因になる。どの国でも具体的に病名を示して警告する文言になっておりますが、カナダではさらに激しくて、激しいという表現がどうかはあれですが、喫煙はあなたを殺すかもしれない。シンガポールでは、喫煙によって死亡しますとまで警告するという、これが各国の警告表示の状況だというふうに思うんですが、この点は、私の読んだところではそのとおりなんですが、まず、間違いないか確認しておきたいと思います。
寺澤政府参考人 お答えを申し上げます。
 ただいま先生が御指摘された国におきます表示につきましては、私どももそのとおりと受けとめております。
吉井委員 それで、では我が国はどうか。我が国の方は、九〇年以来、「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」という表示にとどまっているんですね。なぜたばこの毒性についての正確な情報を知らせ、警告表示をしようとしないのか、これが非常に不思議なんですよ。理由はどこにあるんですか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の、たばこが健康に与える影響について正しい知識を普及するということにつきましては、厚生労働省が中心になって推進していると承知しております。
 また、我が国におきますたばこのパッケージ表示につきましては、喫煙と健康の関係に即して注意を促すというたばこ事業法の趣旨にのっとりまして、平成元年五月のたばこ事業等審議会の答申を受けて、大蔵省令により現在の表示が定められたところであります。
 この文言の表示に関しまして、諸外国の例に倣い、より厳しい内容の警告表示とすべきではないかという御指摘だと思いますが、どのような表示が適切であるか、どのような方法で行うことが適当かという問題も含めまして、喫煙と健康の問題等に関し、現在、財政制度等審議会たばこ事業等分科会におきまして、厚生労働省からも参考人として御参加いただき、有識者、専門家により議論を行っていただいているところでございます。
吉井委員 いずれにしても、随分世界水準からおくれ過ぎているんです。
 それで、まず、そういう病名を含めた、こういう危険がありますという警告表示をきちっとする、正確な情報を開示して、それでなおかつ、なおかつと言ったら、言い方をもうちょっと考えないけないかもしれませんがね、好きな人もいらっしゃいますから。それでも納得ずくで吸う人は、それはその自由なんです、その人のまさに嗜好の問題ですから。それは消費者の自己責任原則になるんですよ。しかし、その警告を発しないで、そしていつの間にか吸い続けて健康被害に遭う、そうなってくると、その医療費にしろ何にしろ負担については、これは消費者の自己責任ということは問えなくなって、本当にこれは文字どおり、訴訟となれば本来、日本たばこがこの医療費は全面的に負担しなきゃいけないということになってくる問題だというふうに思います。
 ですから、今は審議中だ何だというようなちんたらした話じゃなしに、私は、やはり世界水準に合ったものにきちんとしていくべきだ、このことを指摘しておきたいと思います。
 次に、未成年者の喫煙問題ですが、厚生白書九七年版で、予防の観点から、未成年のうちから新たな喫煙者を生み出さないことが重要だとしておりますが、こういう点では、やはり、小学校のときからたばこについてはきちんとした教育が必要じゃないかと思うんですよ。つまり、赤ちゃんとか妊婦の前では、本人が吸わないだけじゃなしに、まあ赤ちゃんは吸いませんが、妊婦が吸うのは論外としても、妊婦や赤ちゃんの前で絶対たばこを吸わない、それを当然の常識として根づかせるような教育や啓発というものがこれは必要だと思うんです。
 こういうことについて、これは九五年の当時の厚生事務次官通知で保健医療関係者の養成施設における教育については幾つか挙げているんですが、本当に小学校、中学校など、こういう教育段階においてそういう面での教育、啓発というものは非常におくれているんじゃないかと思うんですが、これも伺っておきたいと思います。
高倉政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員お尋ねの小中学校等における喫煙関係の健康影響に対する普及啓発、大変重要なことと考えております。今手元に資料がなくて大変恐縮でございますけれども、新しい学習指導要領の中でも、こういった喫煙あるいはまたアルコールも含めてでございますが、これらの健康との関係についての教育内容については明記して取り組んでいかれるというふうに承知をしておるところでございます。
吉井委員 そういう小さいときからきちんと、仮に大きくなって嗜好として吸うにしても、大人になってからでも赤ちゃんとか妊婦の前では絶対たばこを吸わないとか、それを常識的なルールとして根づくようにするというのは当然のことだと思うんです。
 同時に、やはり未成年者の喫煙という問題がよく言われておりますが、その入手はたばこの自動販売機が圧倒的だと。これは、たばこ行動計画検討会の報告書の中でも、一つは、自動販売機は対面なくたばこを入手できるため未成年者のたばこ入手を容易にしていると指摘していますね。店に隣接するところにあるからなどという言いわけなども時に聞きますが、実態は全く違うわけです。店の人がどこにも見えないところに大体自販機はあるわけです。
 ですから、この自動販売機のあり方、これは財政制度審議会のたばこ事業分科会でも審議、検討したりしているようですが、やはりこれは、この問題と、それから、テレビコマーシャルが欧米諸国では全面禁止されているのに日本ではされていない、これもたばこ行動計画検討会の報告書で指摘されておりますが、この自動販売機、テレビコマーシャルの禁止問題などについては、やはり財務省としてきちんと日本たばこを指導していくべきだと思うんですね。未成年者対策と口では言っても、やはりそういうことをきちっとやるべきだと思うんですが、これは財務省の方、どうなんですか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 たばこの自動販売機の問題につきましては、御指摘のとおり、未成年者喫煙防止の観点から、たばこ事業法の規定に基づきまして、その設置場所が十分な管理、監督が難しいと認められる場合には製造たばこの小売販売業は許可をしない等の施策を行っております。
 また、未成年者の喫煙の関係では、たばこ自動販売機の深夜稼働の問題がございまして、自主規制が行われるよう全国たばこ販売協同組合連合会に対して協力要請を行っておりまして、平成八年四月以降、深夜の時間帯におきます、これは午後十一時から午前五時でございますが、たばこ自動販売機の稼働を自主的に停止されていると承知しております。
 また、日本たばこ協会等では、平成二十年を目途といたしまして、成人識別機能が搭載されました自動販売機の全国一律の稼働に向けた取り組みを行っておりまして、この四月から導入検証の目的で、千葉県の八日市場市ですが、実際に稼働させて、技術面、運営面等の基礎的検証を実施するということにしている等の取り組みを行っています。
 御指摘のように、こういった問題について、現在、財政制度等審議会たばこ事業等分科会におきまして審議をお願いしているところでありまして、これらの審議を踏まえて適切に対処してまいりたいと思っております。
吉井委員 いろいろおっしゃったが、要するに守られてないわけなんですよ。
 最後の問題は、これは大臣に伺いたいと思いますが、我が国では財務省がJTの大株主であり、同時に監督官庁なんですね。そういう立場にあるわけですが、大株主という立場からすれば、またそれを背景にして財務省幹部が歴代社長、会長を初め中枢役員として天下っているという、この天下り経営者の立場からすれば、JTの経営を順調にして、たばこの売り上げを拡大することが使命とならざるを得ないという問題がありますね、一方では。
 しかし、その一方、財務省はたばこ事業に対する監督も所管しているわけですから、財務省は、たばこ事業法を所管し、葉たばこの生産から製品の製造、販売に至る各段階における規制と監督を行っております。しかし、この同法第一条の「目的」で、我が国たばこ産業の健全な発展を図ることを掲げているこれは事業法であり、規制もその観点からの規制にとどまっているという面がありますので、健康面からの規制はどうしても弱くなる、こういう問題があります。例えば、注意表示、広告規制に関しても雑則で定めるにすぎないものになっておりますし、商品本体への注意表示については財務省令に委任され、広告規制も社団法人日本たばこ協会の自主規制任せ。
 だから、供給側を監督する責任を持つ財務省が健康に責任を持たないということになる形になっているんですね。ですから、健康被害を守る方は権限のない厚生労働省にゆだねるだけである。これではなかなか対策は遅々として進まないのは当然だと思うんですね。
 そこで、最後に塩川大臣に、たばこの害から健康を守る対策。子供のときからたばこの害を教える教育、警告表示の強化を図ることなど、やはり関係する複数の省庁の責任で省令を出すところから始めるなど、健康という面では政府挙げての体制の強化が今必要だと思うんですが、この点だけ塩川大臣に一点伺っておきたいと思うんです。
塩川国務大臣 各省連絡して、たばこのいわば被害というものを訴えております。現在キャンペーンもやっておるんでございますが、しかし、吸う方の方につきましては、なかなかそのキャンペーンが、正確に行動に移してくれないということは残念ですけれども、おっしゃるように、これから財務省も音頭をとって各省に呼びかけて、被害の拡大を防ぐような努力をしていきたいと思っております。
吉井委員 それで、JTに対して国民の健康を守る立場から監督、規制を強めるということが求められているわけですが、本法案は、何らそのことに対する反省がないという面と、財源調達や民営化の促進で多国籍企業化して世界にたばこの健康被害を拡大するという内容を持っておりますので、そのために政府保有株を減らそうというこういうものについては、賛成できないという、この考え方を最後に申し述べまして、質問を終わります。
坂本委員長 次に、植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 私どもこの法案には賛成の立場でございまして、その意味でといいますか、実は、非常に私あたふたしておりまして、それでなくても愛煙家への包囲網が狭まっている中で、先ほどの先生方の議論を聞いておりますと、非常に私としては大変だなと思っておるわけです。そろそろたばこをやめようかななんていう気もしていまして、社長さんがいらっしゃるところでこれから民営化以降の経営について聞くとき、何か水を差すようで非常に申しわけないんですけれども、ある時期からたばことずっと歩んできたんですけれども、体にいいという話も聞きませんし、票も減るというような話も出ておりましたので、ぼちぼちちょっと考えないかぬなと思っておるんです。
 ただ、先ほど来のお話でもあったかと思いますけれども、事業の多角化ということで食品と医薬を次代の柱として掲げておられるという、この間JTとしてはいろいろな試行錯誤もやられてきたと思うわけですが、どのような事業を試みられてきたのか、ざっと教えていただきたいのと、最終的に食品、医薬というものを一つの次代の柱というふうに位置づけて取り組むようになったというところの理由は那辺にあるのか、本田社長にまずお伺いしたいと思います。
本田参考人 お答え申し上げます。
 昭和六十年に株式会社になりまして、それまでは、専売公社ということでたばこ事業以外のことはできなかったわけですけれども、株式会社になりまして、私ども、会社になりました以上は、企業というものを、会社を将来的に発展させていくためには、やはり国際化なり多角化ということは避けて通れないし、また、それをちゃんとやっていきながら、そのことがまた日本のたばこ産業の発展にもつながるということでやってまいりました。
 会社が発足当時は、多角化と申しましてもそれほど大きなことができるわけではなくて、大きく分けて二つの分野に行きました。一つは、やはり、将来、発展が望めるような、我々が持っている研究開発力なり、またはマーケティング力、もう一つは、かなり大規模な合理化をせざるを得ないということで、工場をたばこ工場から合弁企業へ切りかえたりする意味で、ある意味では雇用対策的な多角化等のことを進めていまして、一九九五年、平成七年ぐらいになりまして、やっと、それまでの合理化の蓄積、また多角化の経験等の中から、選択と集中と申しますか、事業が絞れるようになってきた。
 現在は、医薬と食品事業を次代の柱とすべくやっております。そのほかに、アグリ事業、また不動産開発事業等についてもやっていますが、いわゆる今後の私どもの経営の柱というのは、当然たばこが中心になりますけれども、医薬、食品というものを、これまでの蓄積を使いながら、次代の柱とすべく、今努力をいたしているところでございます。
植田委員 大体わかるわけですが、ただ、今でも、当然本来のたばこ事業が圧倒的な事業、JTさんの全体の中では圧倒的なシェアを占めておりますから、食品、医薬品事業というのはまだ緒についたばかりだろうと思うわけですが、特に食品事業にかかわっては、減価償却後ベースでも赤字が続いているということも聞いておりますので、長期的な展望を見る上で、まだまだ厳しい環境が続いているようだなという印象を持っておるわけなんです。
 これから将来的に、大体どれぐらいのシェアをそうした多角化の中で、例えば医薬なり食品なりというもの、全体のJTの事業の中でどれぐらいの位置づけを持たせていきたいというふうに考えておられるのか。また、その辺の展望等、どのような戦略をお持ちなのかという点について、もうちょっと詳細にお聞かせいただけますでしょうか。
本田参考人 お答え申し上げます。
 まず食品事業でございますが、現在、食品事業につきましては、清涼飲料事業と加工食品分野、この二つに注力しながら、新しいビジネスモデルの開発を今進めておりますが、具体的には、どうやって魅力ある商品をつくるかというブランドの構築、生産基盤の確保、また、販売、販路の確保等々をやってまいりまして、率直に申し上げまして、まだ投資段階でありますので、営業利益ベースではまだ若干の赤ですが、おかげさまで、二〇〇一年度をもちまして利益構造にめどが立ってまいりました。昨年度の売り上げが二千百億円程度でございますけれども、今後、さらに商品開発力を強化しながら、当然のことながら、利益構造という、やっとめどが立ってきてございますので、それをにらみながら、今後事業規模の拡大を図って、食品事業を柱にしていきたいというふうに思っています。
 医薬事業につきましては、これは、現在のところ医家向け医薬の研究開発主導型の事業を構築していきたいということで、現在まだ、市場に開発品で出ていますのは、世界に通用する薬ということでは一品目。これは、外国のアグロン社というところと組みまして、一昨年、アメリカ、ヨーロッパでナンバーワンの薬、これはエイズの関係の薬でございますけれども、なりました。現在、臨床段階に入っている品目は九品目ぐらいございます。
 まだ医薬につきましては、そういう意味で研究テーマといいますか、それを拡大しながら、できるだけ早く、臨床入りしながら、上市できるようにということでやっておりまして、これについては、完全な利益構造という意味でいけばいましばらく時間がかかると思いますが、いずれにしましても、食品事業、医薬事業、まさにリスク、リターンとタイミング、そういうことをはかりながら、将来の柱とすべく努力をしてまいりたいというふうに思っております。
植田委員 ちなみに、JTがRJRナビスコ社の海外たばこ事業を買収された、そのことで世界第三位のたばこ会社に、ちょっと一、二位からやや離されておりますが三位ということでございますが、この買収のメリットというのはあったんでしょうか。あったのかどうか、それと、現在のJTの経営にどんな影響を与えているかという点はいかがでしょうか。
本田参考人 お答え申し上げます。
 RJRナビスコの海外たばこ事業の買収の件でございますが、私どもは、昭和六十年に自由化、民営化をいたしましたときに、やはり今後のたばこ事業で生きていくためには、海外に進出し、国際化を図る以外に生き残る道はないであろうということで、まず自前で実は始めました。民営化当初十四億本の売り上げしかなかったのが、一九九五年に二百億を超えるようなベースになりましたけれども、率直に申し上げまして、その段階で、いわゆる通常の輸出的な形だけでの海外展開は限界であると。
 当時、大変国際的にたばこ業界、世界の業界が再編の時期に入っておりまして、例えば、世界で大きな企業で、BATとロスマンズが合併するとか、フランス専売とタバカレラが合併するというような中で、今後のたばこというものを考えました場合に、国際商品でもございますし、国際化は必至であり、なおかつ国際競争に勝つには規模メリットというものがないとやっていけないし、また、そういう再編の中で頑張らないと、日本のたばこ産業すら危ないという危機感のもとに、実はRJRナビスコの海外部門を買収したわけでございます。
 その後の経営でございますが、九九年買収当時、九八年、アジアにおける通貨危機の問題、ロシアの経済危機等々で、買収しました当初の年は、残念ながらもくろみどおりの数量を確保できませんでした。しかしながら、その後、二〇〇〇年、二〇〇一年と私どもの計画をかなり上回る事業量と同時に利益を上げております。
 率直に申し上げまして、今後国内市場がやや停滞、残念ながら今年度も対前年マイナスとなると思いますが、今、国内のそういう停滞傾向の中で、海外が今後の利益の成長力ということになりつつ育っているというふうに申し上げられると思います。
植田委員 今のお話というのは、財政制度等審議会のたばこ事業等分科会でも同趣旨の、ヒアリング等見させていただきまして、そういうお話をされていることは承知しているんです。
 一番最初お伺いしたように、次代の柱として食品、医薬というものに積極的にこれから取り組んでいこうということなんで、私は、むしろそちらの方に資金を集中投資した方が、海外たばこ企業の買収に多額な金を投じるんであれば、むしろ多角化、多角経営化事業の方に集中した方が、JTの将来考えた場合、それの方がよかったんではないかという見方も出てくるんじゃないかと思うんです。
 というのは、実際、海外たばこ事業の買収後、JTもそのことによって株価が下落した、その下落の要因だという指摘もないわけではございませんから、もしそうした意見を聞いたときに、その辺はどう経営者として御説明されますか。
本田参考人 お答え申し上げます。
 確かに、RJR海外部門を買収いたしましたときに、いろいろな御批判もいただきましたし、そういう中で、私どもの方の考え方というのは、やはりJTのコアの事業、本業はたばこである、そのたばこで事業を成長させていくためには国内だけではだめだ、国際化を図らなけりゃ国内も危ないという中で、当時、いろいろな方からも御指摘もありました。高過ぎるんじゃないかという御指摘やら、またJTの経営者に経営できるのかというような話もありましたけれども、私ども、率直に申し上げまして、たばこについて百年以上やっておるという、まさに同じ事業でございますので、やはりたばこでもちゃんと経営をやっていかなければ、まさに今先生御指摘の食品事業なり医薬事業というものの投資ということもできない。やはりコアであるたばこ事業をちゃんとしながら、あすの事業へ投資もしていくという経営戦略をとったわけでございます。
植田委員 わかりました。
 ちょっと時間が迫っていますので、次の課題の方へ移りたいんです。幾つか、おさらいも含めてJTの民営化の問題、特に、後でお伺いしますが、葉たばこの問題にちょっと言及したいわけです。
 引き続きちょっと社長にお伺いしたいんですけれども、この間のたばこ事業等分科会の意見の中で、我が国たばこ産業、国内産葉たばこへの対応について、その責任を継続して果たしていく所存である、我が国たばこ産業の中核的担い手として、葉たばこの買い入れを初めとする当社の責任を今後とも果たしていく所存であるということをおっしゃっておられるわけですけれども、このことは、仮にJT法がなくなって、それこそJTの希望するような形の完全民営化が仮に実現しても、葉たばこ契約制については維持するという意向を含んだ、その意向の表明だというふうに理解していいんでしょうか。
本田参考人 お答え申し上げます。
 先ほどもお答えしましたように、将来的にはやはり完全民営化ということを進めていくべきだと思いますけれども、現在の段階、まさに国産葉問題ございますが、先ほど来御説明いたしましたように、昭和六十年以来、耕作者ともども大変な合理化努力も実はやってまいりました。過剰在庫も解消いたしましたし、生産性も上がってきました。現在、国内の面積、五万三千ヘクタールから二万三千という、二万ヘクタール余という量的なものもございますし、私ども、やはり日本の企業といたしましてもそれなりの責任を果たしていかなきゃならぬと。
 ただ、現段階でどうかということであれば、やはりある程度の制度的担保というものも必要だと思いますけれども、いずれにしましても、やはり私どもの、耕作者にとっても、私ども会社にとりましても、私どもがつくったたばこをお客さんが買っていただかない限りは、これは共倒れになるわけですから、やはりお客様を第一に考えながら、品質、コスト両面の努力を、当然のことながら葉たばことも、また社員も含めてやっていって、商品の売り上げの中からやっていきたいというふうに考えております。
植田委員 そこで、財務省にお伺いするわけですが、質問の中身は別に、答弁については財務大臣でも副大臣でも結構でございますが、できれば大臣にお答えいただきたいんですけれども、八二年の臨調の答申等を素直に読みましたら、やはり製造独占、葉たばこ全量買い取り契約制及び政府の株式保有が三点セットであったことは、これは言うまでもないだろうと思います。
 その上で、当時の議事録を引っ張ってみますと、例えば特徴的なのが、八四年の衆議院の大蔵委員会で、当時の竹下大蔵大臣が、いわば「割高な国産葉を抱えておる状況という大前提の上に立ったら国際競争力の点から問題がある、したがって分割・民営化はやはり適当ではない」「政府出資の特殊会社に改組しながら、これに製造独占だけはきちんと付与する以外にないという結論に到達いたしたわけであります」等々あるわけで、臨調の答申でも、少なくとも国内産の葉たばこ問題が解決されるということと完全民営化というものは常にワンセットとしてとらえられているということだろうと思います。
 ただ、今回の改正等々を含めて、当時の委員会での大蔵大臣等の答弁というものは、いわばその役割を終えたという理解をしていいのかという点と、改めて、今回のたばこの問題の一つの核心が葉たばこ問題にあるだろうと私は思うわけですけれども、その検討を進めぬままに、一般的な意味で行政改革を推進する、経営の自主性の推進というようなことで民営化問題をただ先行的に論じるということはやはり適切ではなかろうと私は思っております。
 すなわち、葉たばこ問題の解決なくして完全民営化はあり得ないというふうに、少なくとも、そもそもの出発点での臨調の答申等々を見る限りにおいてはそういう基本的な枠組みでこの間この施策が進められてきたし、これからもそういう認識で当然進めていくという理解をしていいかどうか。これは財務大臣、できればお答えいただけますか。
塩川国務大臣 今植田さんのおっしゃる質問の要旨は、大体私もそのように思っております。
 すなわち、当時の竹下大蔵大臣がおっしゃったたばこ産業に対する見方、会社のあり方、位置づけ等につきましては、現在も大体同じでございまして、やはり私たちは、このたばこをめぐります問題は相当公的な責任が伴うものが多うございますので、その意味においても、たばこ産業株式会社というものをやはり政府の支配の中に置いて、相当な発言力を絶えず維持しておかなきゃならぬ。そして、一方において耕作者の生活の安定も図っていかなきゃならぬ。
 そういう意味におきまして、現在におきましても当時と全く考え方は同じであります。
植田委員 大体とおっしゃったが、最後、全く同じだということでございますので、それを前提に、葉たばこ耕作農家の今後の支援なり保護なりということについて、引き続き財務省さんにお伺いしたいわけです。
 仮にこれを、イフの話はなかなか答えられないかもしれませんが、仮に政府が保有しているJTの株式を一〇〇%放出して、本当の意味で完全民営化になった場合、では現在行われている全量購買制というものはどうなるわけですか。
寺澤政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回のJT株の政府の保有割合の見直しにつきまして、財政制度等審議会のたばこ事業部会での議論では、まだ完全民営化が展望できる状況にはないという前提で、段階的に民営化を進める観点から政府保有株式の保有比率の見直しを行うということでございましたので、審議会におきます議論におきましても、完全民営化をする段階で、たばこ事業法で書いておりますことについてそれぞれどういうふうに考えていくかということについては、まだ議論がなされておりません。
 したがいまして、そういう段階、国産葉たばこ問題がある程度解決のめどが見えてきた段階においてその問題は議論していくことになるんだろうと思っております。
植田委員 先ほども、たしか谷口副大臣ですか、葉たばこ農家の、今農家の数自体が少しずつ減っているわけですけれども、規模拡大等々、そういう意味で、生産性の向上というものを、努力はずっとされているという話がありましたけれども、実際、全国的に分布を見ましても、かなり葉たばこの上位の県というのは限られてくるわけで、全国的にあちこちでということじゃなくて、宮崎とか熊本、面積では鹿児島、岩手、青森の順になっていますけれども、実際、この上位県でありますとか、特に、もうちょっと市町村単位までデータを見てみますと、その地域、その市町村における農業生産に占める葉たばこのウエートが非常に大きい。
 例えば、その県で百億円超えている、市町村で二十億円超えているということになると、その市町村の中での、言ってみれば、農業の中で一番基幹産業として葉たばこというのが位置づけられているところは多いわけですよね。農業生産の三割から四割、葉たばこでもっているという意味で、やはりそういう地域における特産、経済作物となっている地域が結構あるわけでございます。
 そういう中で、やはり仮にこうした葉たばこ生産が成り立たなくなった場合のその地域経済に与える影響というのは、なかなかこれはばかにならぬと思うわけです。そういう観点からも、葉たばこ耕作者の保護の必要性というものはやはり問題意識として持っておく必要があるかと思います。
 完全民営化というものは、完全に射程の中に入ったときに議論するというお話でしたけれども、少なくとも、そうした問題意識は現段階でもきちっと持っておく必要があるかと思いますが、その点はいかがですか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 地域におきまして、葉たばこの生産が非常に重要な位置を占める地域があるということはそのとおりでありますし、現在、葉たばこ農家が二万戸以上あって経営をしているということもございますので、今回のJTの民営化をより進める観点からは、葉たばこ農家に大きな影響を与えないということを配慮いたしまして、一つは、たばこ事業法の基本的考え方を維持する。さらに、政府保有株式の放出に当たりましても、発行済み株式の三分の一以上を持つという意味で、歯どめ措置を設けるといったような配慮をしているところでございます。
植田委員 最後にもう一問、これは財務大臣にお答えいただきたいわけですけれども、改めて繰り返しそこの部分を読み上げますが、臨調答申では、「国産葉たばこ問題が解決され、特殊会社の経営基盤が強化された段階で製造独占を廃止し、特殊会社を民営会社とする」これは今も生きている話でございます。
 しかも、既にいわゆる関税率がゼロになっているわけで、これが完全民営化になって、国内産の葉たばこが大変だからといってまた新たに関税をかけるということなんてできっこないわけですから、その意味で、少なくとも他の農産物と同様、十分な価格競争力が確かにないと言えばない。それをほうっておけばいいと私は思いません。ですから、少なくとも、特殊会社から完全民営化へと行くに当たって、その前の段階で国内産の葉たばこ問題というものが解決されていなければならないわけですよね。
 だから今、地域におけるいわば葉たばこの位置づけ、例えば地域経済に与えている経済作物、特産作物だと言ったのもそういうことですし、また、恐らくはこの間のヒアリングの中で、耕作者組合からもこの改正案に対してさまざまな意見は、時間がありませんから繰り返しませんが、あるわけでございまして、そういう意味で、完全民営化というものについて一歩踏み出す議論をする前段階において、国内産の葉たばこ問題について、引き続き安定した農家の収入の確保、また、農業経営を進めていくための何らかの制度的担保がなければならないと私は思いますが、そういうことを、当然ながらこれから検討されるということで理解していいでしょうか。
塩川国務大臣 おおよそおっしゃる趣旨、そのとおりでございまして、やはり葉たばこ業者が安定した状態にできてこない限り、完全民営化というのは政治的に難しい問題を含んでおると思っております。
 したがって、これからの暫時、段階を経て、そういう状況をつくっていくように努力していこうということであります。
植田委員 別に、私は政治的に質問しているわけではありませんが、データを見ていただければわかると思いますが、特に私の地元奈良県なんて五軒しかたばこ農家はないんですけれども、そんなところだったらついでの作物かもしれませんが、特に今言った東北なり九州の一部、こうしたところはかなりの意味でそこの産業全体の中に影響を及ぼす。やはりそうした地域の固有の条件というものに配慮した対応方というものがこれから必要だろう。
 今のところ、まだ抽象的にしか御答弁できないのは十分よくわかりますので、一応そういうことで努力されるという趣旨の御発言をいただいたということで、今回は、これで以上終わりたいと思います。
坂本委員長 次に、中川正春君。
中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。引き続き質問をしていきたいというふうに思います。
 まず、JT法の関連からやっていきたいんですが、きょうは厚生省の方からまずお聞きをしたいというふうに思うんですが、こうした改正の問題、あるいはたばこ税の値上げの話が出ると必ず出てくる議論でありますが、いわゆる愛煙コストというか、厚生省のサイドでは、たばこに対して非常に厳しい見方をしておられる。この間の、特にたばこ白書なんかを通じて、たばこが人体に害を与えるんだ、そういう議論というのが厚生省サイドでは非常にはっきりしているわけですね。
 これをまずコストに置きかえて、その前に、厚生省のはっきりとした基本姿勢、それからそれを社会全体のコストに置きかえたときに、どれぐらいのオーダーになるのかということですね。それは試算、さまざまにあるとお聞きをしておるんですが、厚生省としてこれだろうという試算、これをまずお聞きをしたいと思うんです。
高倉政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまお尋ねをいただきました、たばこの社会的損失についてでございますけれども、喫煙と健康問題に関する検討会が平成十三年十二月に、先生が今たばこ白書とおっしゃられた、そういうふうに通称されております報告書を公表したところでございます。その中で、我が国における四種類の試算を示しておるところでございます。これらは、医療費の増加、あるいは労働力の損失、火災による損失、清掃ごみ処理費用などにつきまして、疫学的な観察に基づく喫煙関連疾患の率でございますとか、たばこによる火災の率などを織り込んで試算をしておるものでございます。
 前提や基礎となる計数の違いなどから、それぞれ異なる試算結果となってございますが、総額で申し上げますと、最小のもので一・一兆円、一番大きな金額のものでは五・六兆円の社会的損失という試算が紹介されているところでございます。
中川(正)委員 そこの内訳をもう少し丁寧に一つ一つ、四項目について数字をちょっと言ってください。
高倉政府参考人 今の四種類の推計の内訳についてでございますけれども、それぞれの試算ごとにとらえておる項目が若干違ってございますが、おおむね健康面の損失の関係と環境面の損失の関係に分けてございます。
 健康面といたしましては、いわゆる超過死亡、たばこに起因すると考えられる死亡者推計を行いまして、それに伴う逸失利益等を計算したものがございます。それが、これも一番小さなものと大きなもので申し上げさせていただきますけれども、まず、医療費の部分から申し上げさせていただきます。恐縮でございます。二千五百六十五億円という推計が一番小さな推計でございまして、一番大きな額の推計としては三兆二千億円となっております。また、死亡に伴うものの推計といたしましては、小さなものが八千四百十八億円、一番大きな金額の推計のものが二兆五千九百四億円となっております。
 また、このほか火災の関係でございますけれども、四種類のうち三種類のみが火災関係を計上しておりますけれども、一つの推計では百七億円。これは年次が違うということでございますが、大きな金額の方は百五十一億円、大体百億円のオーダーでございます。これが火災による財産の焼失関係でございます。火災による死亡の関係の推計といたしましては、約七十八億円とするものがございます。
 また最後に、清掃ごみ処理費用関係につきましては、五十八億円という試算が四種類のうちの一種類で示されております。
 おおむね、以上でございます。
中川(正)委員 国がたばこ会社を保有して運営しておるわけですから、一応その責任者としては、このコストについて何らかの説明を正式にしてもらう必要があるだろうというふうに思うんですね。社会的コスト、あるいは国としての医療保険あるいは税に対するコストですね、これはこれまでどういう見解の中で説明をしてきたんですか、財務省としては。
谷口副大臣 今説明をしたような社会的コストがあるといったような中で、政府としてJTにどのようにしてかかわってきたのか、こういう御質問だというように思うわけでございます。
 昭和五十七年の臨調答申におきまして、国産葉たばこの問題と全量買い取り制及びその製造独占が裏表の関係にあるというように考えられておって、政府の株式保有もこれらと一体のものだというようにとらえられておるわけでございます。また、昨年十二月の財政制度等審議会の中間報告というものがございまして、これにおきましても、基本的にこれらが引き継がれておりまして、国産葉たばこの問題が解決しない以上、政府の株式保有の枠組みであるとか、また国産葉たばこの問題に関連するたばこ事業法の諸規定はこれを維持せざるを得ないというようなことになっておるわけでございます。このような観点で、政府は、主としてたばこ耕作者の保護という観点から、JTに対して公的関与を行っておるわけでございます。
 また一方で、国民の健康の保持及び増進の観点ということになるわけでございまして、厚生労働省を中心に、政府と種々の取り組みを行っているところでございます。政府がJT株を保有することがこのような取り組みの妨げになるということはないというように考えておるわけでございます。
中川(正)委員 今、葉たばこの生産、これが生産高でどれだけあるんですか。
谷口副大臣 約千二百億円でございます。
中川(正)委員 まず、さっきの質問の前提としてお聞きをしたいんですが、さっき数字が出たように、大きなところでは五・五兆円、これは三兆二千、二兆五千百五十一億、これを全部ずっと足していくとトータルで五・五兆、それ以上になってくるわけでありますが、これだけいわゆる愛煙コストというのがかかっているということを厚生省は言っているんですよね。それに対して、この数字も含めて、財務省はこれをどう見ているんですか。これが正しいと見ているんですか、間違っていると見ているんですか。あるいは、財務省としては、どれぐらいコストがあるというふうにこれまで見解を表明してきたんですか。
谷口副大臣 先ほど厚生労働省の説明がございましたが、いろいろ考え方がどうもあるようでございますので、財務省といたしますと、たばこのプラス面、マイナス面両方がございますので、そのような観点で考える必要があるというように思っております。
中川(正)委員 ということは、これに対して財務省は見解がないということですか、さっきの答弁は。どういうことなんですか。ちょっと意味がわからない。
谷口副大臣 社会的コストという観点で今おっしゃるようなこともあり、一方で、喫煙をされている方の精神的な面でのリラックスをするといったようなプラス面もある、そういう観点で、さまざまな考え方があるので、そういう状況の中で考えていく必要がある、こういうように今申し上げておるわけでございます。
中川(正)委員 ということは、コストとしては認めているということですね。コストもかかっているけれども、楽しみということを得るためのコストだ、そう説明しているわけですか。そういうことですね。
谷口副大臣 確立された社会的コストというものがなくて、いろいろな考え方があるというような状況の中で、一方で、喫煙に対するプラス面もある、先ほども申し上げましたような観点の考え方もあるというようなことで、そのようなさまざまな考え方の中で考える必要があると。
中川(正)委員 ここで、財務省としてのスタンスというのは、たばこの喫煙を守る議論じゃないんだろうというふうに思うんですよ。これは、愛煙家なり、あるいはJTそのものが民営化をしていく過程で、一つの商売としてというか、事業としてそれを十分に議論をしていくというふうなことでいいんだろうと思うんです。
 財務省としてやはり意識を持っていかなければいけないというふうに思うのは、片方で三兆二千億というコスト、これは医療コストだと言われますね、それから死亡コストが二・五兆円、これはさっきそういう話が出ましたけれども、これが医療保険と税ということにかかわってくるんですよね。これをそういうふうな分野で換算をしていくと、千二百億円の葉たばこの生産者のこれからの行く末ということを考えていくという話にしては、財務省がコミットしていく金額としては余りにもこれは大きい、しかも、それをみずからが運営をしていくという矛盾があるということ、このことがずっと問われてきたんだというふうに思うんですよね。
 そこのところの整理をしていこうと思うと、最終的には、これは昭和五十七年の臨調の基本答申に出ているように、もうこの商売からは国は手を引くという話が大前提なんだろうというふうに思うんですよね。それが、利害調整ができないために、ということは、葉たばこの生産者の利害調整ができないために今まで延びてきた、だからそのたびにこの議論が蒸し返されている、こういうことだと思うんです。
 そこで、改めてお聞きをしたいのは、これはいつまでに、どういう形でこの問題を整理していくのか。もうそろそろ財務省としては、今回は、百万株残して、あと、なるだけ自由に、増資をするなりあるいは民間に売却をしていくなり、そういう枠組みを持っていって結構ですよというところまで踏み出していくんですけれども、これは最終的にいつまでに、どんな形で着地点を見出していくのかということを明確にしないと、コストの問題と同時に、もう一つの問題がある。
 それは何かといったら、きょうもJTの経営者サイドの話を聞いたんですが、彼らの経営ビジョンというか、国際的に競争していく中で、どういう形態で将来これが維持されていくのかというのがはっきりしないまま経営をしていくということのリスクが非常に大きくあるんですよね。
 そういうことも含めて、これは政治決断というか、その意思を、いつまでに、どういう形で整理をしていきますよということをまずはっきりさせるということ、これが大切なことだと思うんです。大臣、どうですか。
塩川国務大臣 これは非常に難しい問題です。
 その前に、たばこの害によるところの社会的、経済的、医学的なコストをちょっとおっしゃいました。これも確かにありますけれども、それは、人間すべて嗜好もございますから、それじゃ酒はどうなのかということになってまいりますしいたしますので、できるだけ煙害によるところの健康被害を少なくするということに、これはもう絶えず努力しなきゃならぬと思っておりますし、今後とも続けていきたい。
 そういうことからいっても、やはりたばこ産業の会社を野方図に自由化、民営化してしまって、競争をいわば放置していいかということにはならないと思っておりますが、その意味と、それから、やはり耕作者であるとかあるいは税収の問題とか、いろいろと公的な問題がたばこ産業そのものに絡んでおりますので、そういう問題を徐々に解決していかなきゃなりません。
 中川さんのおっしゃるように、いつまでに耕作者問題をまず片づけるのかということでございますけれども、私は、そんなにえらい長い将来にわたってということはない。と思うのは、一つは、耕作者がだんだんと減ってきておる。先ほど関係者がちょっと説明しておりましたように減ってきておりますが、しかし一方においては、専従しております農家にとりましては非常に貴重な収入でもございます。
 ところで、この農家が相当高齢化しておりますので、私は、減反していくスピードというものは、やはりかなり速くしていくんではないかなと思っております。これを、故意に政策的な配慮でもって耕作者の転業を進めていくとか、そういうことはちょっと難しいと思う。ということは、生産をしております地域というものが広範に広がっておりますことと、それから、そこに農業に適するという土壌的なものもございますので、そんなに強制的なことはできない。したがって、コストを意識さすことによってだんだんと生産の状態を収縮していくことになってくるんではないかと思っております。
 といって、一方から無制限に輸入を許してしまうということも、これも私は、国内の農業だけじゃなくして、税制上のいろいろな問題からいきましてもちょっと問題があるように思っております。
 したがって、先ほど答弁いたしましたように、要するに、段階を経て民営化へと進んでいく。方向は民営化ということは明示しておりますので、そのスピードについては、これは、今何年でということのお答えは非常に難しい問題でございますので、直接なお答えは避けさせてもらいますけれども、方向はそちらへ向いて歩いていくということを申し上げて、答弁にします。
中川(正)委員 せっかくだから、一つ一つちょっと反論をさせていただきたいというように思いますね。
 国有化といいますか、国で運営することによって野方図に営業活動をするということはコントロールできるという議論がまず一つありましたね。これに対しては、日本のたばこは安いんですよ。ヨーロッパ、特に環境問題、健康ということに非常に意を通じている国々と比べると、たばこの値段が半分ぐらいとか三分の一ぐらいとかいうふうなレベルで推移しながら、営業活動をやらせているんですよね。そういう意味では全く逆であって、いかにたくさんの人にたばこを吸ってもらえるかということを、JTは一生懸命になって今キャンペーンをやっているんです。
 だから、これは、そこの議論というのはちょっと無理があるというより、ちょっとというよりも、全く当たっていないということなんですね。そうすると、あと残る大義名分というか、国がやっていくという大義名分は、やはり葉たばこの話しかないんですよね。
 そうすると、私も、もう葉たばこを生産することを日本でやめるべきだと言っているんじゃないんです。そうじゃなくて、いかに競争力を持ちながら、よく言われる農業政策の一つですよね、日本で、いわゆるブレンドの中に日本の特徴を生かせるようなものはやはりつくっていくべきだ。これはみんな農作物一般に言われている話だと思うんです。
 ところが、農作物一般の議論をすると、では、こっちはこれだけ補助金みたいな形で高い買い上げ、これを競争なしで、それは、最近は値段は上げていない、この十年間は値段は上げていないと言うけれども、しかし、それが成り立つような保障をしながら維持させているという、これは国の施策の中であるわけですよね。もう片方は、野菜農家だとかあるいは茶農家だとか、さまざまに同じ商品作物をつくっているところはいっぱいあるわけですよ。それに対して、では価格保証しているかといったら、どこもない。たばこだけが特別なんです。
 そういう政策のゆがみに対しても一つはこたえていけないという状況があり、そしてもう一つは、税の話をされましたが、税も、輸入品であろうとそれから国産たばこであろうと、たばこ税というのはかけられるわけです。どっちにしたってかけられる。差別していないわけです。
 もっと言えば、税をかけて、この間の増税議論のときにも出てきましたが、片方、外国たばこの場合はそれを自分の競争力の中で吸収して値段を上げなかった。ところが、日本のたばこというのは、競争力がないために、税を上げられたらその分はお客さんに転嫁しなきゃならない、商品の価格に転嫁をしなければならないという構造がある。だから、むやみやたらに税を上げてもらうということは、日本のたばこが売れなくなって海外から進出をされるもとになる、だからよく考えてほしい、そんな議論がJTサイドからありました。これは現実なんだろうというふうに思います。
 ということは、どんなことが起こっているかというと、日本の中でしっかり海外たばこはもうけているんですよ。日本のたばこ会社に競争力がないということ自体、これは競争原理が働いていなかったということももう一つ指摘をされなければならないだろうというふうに思うんですね。
 そんなような意味合いからいっても、これはもう論理破綻というか、これまで何回も何回も続けてきた話、何年も何年も、この臨調の答申が出たのは五十七年ですよね、昭和五十七年から今まで同じ話を続けてきたということについては、やはり責任大臣として、いつまでにこの話の議論というのはピリオドを打ちますということぐらい、いつまでに議論をまとめますというぐらい表明してしかるべきような話だというふうに思うんですよね。そうすることによって、会社のためにもいい、企業のためにもいいし、たばこ生産者のためにも、この人たちが頑張っていくためにも、これは大事なことなんです。そういうことを納得していただいた上で、タイムスケジュールをひとつ、大臣なりにきちっと示してください。お願いします。
塩川国務大臣 これは、数年前の、十数年前でございますか、専売制度であった当時から見ましたら、たばこのある程度の自由化というものが非常に進んでまいりまして、たばこ業界が変わってまいりました。ですから、こういう、もう何十年と古い歴史を持った専売制度を変えて、そこにいろいろまつわってきておる社会的、経済的な問題もございますので、これはもう中川さんも認めておるところでございますから、これをできるだけ早く解消していく。
 そこで、いつまでという日を切るについては、今、もう少し十分に、国際的な荷物の動き方、原材料の動き方、あるいは国内におきます生産及び、たばこ耕作者は比較的技術を持っておりまして、労働時間も非常に長い、それだけに収入もかなり保障されておりますし、そういうものの保障をもっとしていかなきゃならぬという状況、いろいろ考えまして、できるだけ早くそういう方向を明示するということに努力したいと思っております。
中川(正)委員 なかなかすっきりした答えが出てこないんですけれども、しっかり問題意識を持っていただきたいと思います。
 それから次に、JTが相当経営の多角化をしてきておりまして、これはJTなりのそうした先行きをにらんだ形での企業戦略で、私は評価をしたいというふうに思うんですね。ところが、手を出したものを見ていると、たばこ以外はみんなうまくいっていないんですね。これについてはどう評価をされておりますか。
谷口副大臣 おっしゃるように、たばこの本業とそれ以外に食品であるとか医薬品であるとか、このような事業を行っておるわけでございますが、本業以外のところでは利益は上がっておらないというような状況であるということでございますが、いずれにいたしましても、本業で稼得したところを新たな部門に投下していくといったことでJT全体の経営戦略を構築していく。
 今回の持ち株比率の引き下げも、財務戦略上、JTとしてどのように対応していけばいいのか。政府からしますと、民営化の一つの段階ではあるわけでございますが、一方、JTにいたしますと、財務戦略上、どのように対応していくのかといったような観点もあります。
 ですから、そのようなことで徐々に民営化を進め、また、今進出をいたしておる本業以外の部門のところにも先行投資をやりながら、これを業況として成り立つといったような形に育てていく、このような展開をいたしておるわけでございます。
中川(正)委員 その説明を求めているんじゃなくて、谷口副大臣、その評価を求めているんですよ、評価を。どういう見方をしているかという。
谷口副大臣 今申し上げましたように、新しい部門に対する資本投下というのは、当初は当然ながら収益に見合わないというのが一般的でございますから、今後それが収益の柱になるといったような状況に努力する、こういうことなんだろうと思います。
中川(正)委員 いや、これはやはり財務省で物を言うときには、JTの経営者として物を言うんじゃなくて、やはりそれをしっかり国民のサイドから監督しているんだという意識が必要なんだろうというふうに思うんですね。
 どんな批判が出ているかといったら、やはり親方日の丸で、別な商売をやっても、これはそういう感覚がないからもうけることができないじゃないかという世間の評判なんですよ。これに対してやはりシビアな議論をしていくということが必要なんだろうと思う。それは振り返って言えば、やはりしっかりとした競争原理にさらされていないという経営体質があるんだということですね。だから、それに対してしっかり物を言う、そういう姿勢というのを私は期待したんですが、何のことはない、言いわけしていたら――もういいですよ、このような話。
谷口副大臣 いや、別に言いわけではありませんが、いずれにいたしましても、おっしゃるような公的の枠組みの中にあるわけでございますから、おっしゃるような状況も全くないとは言えないわけでございまして、これはJTも上場会社であり、しかし一方で政府保有がかなりのところ、今現行法ではこれは過半あるわけでございますけれども、そういう緊張感のある経営を当然ながらやっていかなきゃいかぬということは、これは政府としても言っていかなきゃいかぬというように思っております。
中川(正)委員 以上、JTでありますが、それに関連した中で、ちょっと一般的な質問にも移らせていただきたいというふうに思うんですが、今経済財政諮問会議から一つの税制改革についての議論のたたき台というのがこの間出てきました。大臣もこれには参加をしていただいておるんだろうと思うんです。それからもう一つ、政府の税調、これでも税の基本的なあり方の議論が進んできております。この間は、これは基本的なということではないんですが、デフレ対策の中で、与党政策責任者会議、これは四月二日付でまとまったものが出てきていますね。
 これはそれぞれニュアンスをしんしゃくをしてみますと、経済財政諮問会議の方は、景気対策といいますか、減税を先行しながら、最終的には財政バランスをとっていくような形での税のあり方というのを求めていこうという色合いというのが酌み取れますね。政府税調の方は、どちらかというと従来型というか、非常に原則論型の議論が進んでいるように思うんですね。それは財政の均衡ということをもう大前提にして、中立的に動かしていこうということだと思うんですね。この二つの議論と、それから、またこれは後ほど、最近のデフレ対策で出てきたもの、これは一つ一つちょっと議論をさせていただきたい。
 まずは、財政諮問会議とそれから税調、この議論を、大臣、一緒になってやっていただいておって、大臣自身は、これは方向性としては今どちらの方向へ向いていかれようとしているのか、そのところ、大臣自身の考え方。これは、諮問会議や税調はもういいんです、これはしっかり読ませていただきました。大臣はどう考えられているのか、ここのところをちょっと答弁してください。
塩川国務大臣 その問題、きょうもまたやるものですから、なかなか話のしにくいところなんですけれども、政府税調と経済財政諮問会議との税制に関する議論が、お互いにてっぱり合って議論しておるというような、対立的な関係にあるというふうにおとりになっておられますから、マスコミはあえてその方向をとって論評を展開しておりますけれども、決してそうじゃないということだけは私から御説明申し上げたいと思っております。
 ただ、軸足をどこに、重点をどこに置くかといいましたら、政府税制調査会はやはり政府の財務省の関係でございますので、歳入歳出のバランスということ、これを重点に見て、その上に立っての当面する対策というものを付加していく、そういうスタンスに立っておることは事実でございます。
 一方、経済財政諮問会議の方は、現在当面する経済の低迷といいましょうか、景気回復のための手段として、特にデフレ対策にはどうしても設備投資等の積極的な民間の出動が必要である、これを促進するためには税制改正によるところの誘導が必要であるという観点に立っておられる。けれども、財政上のバランスというものを無視してあえてそれを行う必要もないし、ですから、減税をもし先行するとしても、同時にそれに対する増収もしくは増税によるところの措置によってバランスをとれということを主張しておるということでございますので、軸足の置き方が少し違うということで、中身におきまして、根本的な税に対する認識とそれから考え、これはもう変わっておらぬと思っております。
 私は、それではどうするのかということ、どうするのか、私一人でどうにもなりませんけれども、どう考えておるのかということ。私は、これは経済財政諮問会議で言っておりますが、今ここで経済の活性化、あるいはデフレ対策というのも、単発的に、今すぐに即効性を求めても、税制に関してはなかなかその効果が上がってこない、ですから、一定の期間を見て、その間における税制対策によるところの経済政策を考えるべきだ、こういうことを言っております。
 では、その一定の期間内というのはどういうことなのかということになるわけでございますけれども、私は、二〇一〇年、このときにプライマリーバランスを少なくとも黒字に転換するようにしたい、難しいことかもわかりませんが、その方向は私たちは打ち出しておるのでございます。その期間内における税制というものはどうあるべきかということを考えるべきだということでございます。
 私は、一つの原則をつくっております。それは公正で簡素であるということの原則、これはもう明瞭におっしゃっています。ところが、政府税調は、税は中立であるということに重点を置いておる、先ほど言いましたように、収支のバランスを重点に置いておられる。諮問会議の方は活性化に重点を置いておられますから、減税を先行してもいいではないか、減税先行とはおっしゃってはおらぬけれども、減税を先行して、それがインセンティブになるということを願いたい、こういうことを考えておられる。そこの相違があります。
 そこで、私は、この一定の期間内において税のバランス、財政上のバランスをとるということに重点を置いた税制、つまり、減税もあれば増税もある、ただし、増税が一方的な、特定な税だけに偏ることなくして、増収も兼ねた増税も考えていくべきではないか、そこで減税における収入のダメージをカバーすればいいではないか。一定の期間内におけるバランス論を言っておるということが、私の言っておる主張でございます。
中川(正)委員 その議論を踏まえていくと、これは現に、四月の二日に与党の政策責任者会議でまとめられたデフレ対策のそれぞれ項目があります。
 改めて申し上げれば、これは、「投資促進減税」、減税ですね。それから、「相続税・贈与税の改正」とありますけれども、これは、想定しているのは減税を頭に置いた議論だろうと思うんですね。それから、「住宅投資促進に係る税制」、この中身を見てみますと、減税ですね。「土地流動化・有効利用促進」、これも減税。それから交際費、当分の間、交際費課税に係る要件の緩和。これは全部減税なんですよ。
 さっきの大臣のバランスのとれた話からいくと、具体的には、まず減税議論というのが全面的に出てきたという結果になっているんですが、これをどう受け取っていくんですか、大臣。
塩川国務大臣 そのことのみでいいましたら、そういう減税を、いろいろな項目にわたりまして集約していって減税対策というのを打ち出す。ただし、そのまま無条件で減税を実施いたしまして、長年そのままで放置しておくということになりましたら、財政上の欠陥が出てくることは当然でございまして、その回復は何らかの措置で講じるということをしなければならぬと思います。
 しかし、従来の私たちの経験からいいますと、減税はだれにとってもハチみつみたいに甘いものでございますから、みんなそれは結構だになってしまいます。その後、ほったらかし、この繰り返しが非常に財政を窮迫化し、その結果、国債の物すごい増発になったことは事実でございます。
 でございますから、でき得れば、減税をするならば、それに対する増収策はいかにあるべきかということをセットにして説明しなければ、国民が納得しないのではないかと思っております。その増収については、増税でやるのか、このような経済政策でやるのかとか、いろいろな方法はあると思うのでございますけれども、減税と増収、そのバランスはぜひひとつ、バランスをとって提示しなきゃならぬ。
 ちょっと一言、時間は一、二分で結構ですから。
 減税が経済を活性化するということ、それは確かに効果は一番てきめんに出てくるでしょう。しかし、そうではなくして企業が、いわば活動しておる企業がその意識を変えることによって大変な活性化、設備投資に向かっていくことも起こってくるんです。
 現に、きょう、ある新聞に出ておりましたけれども、お読みになったと思うので、半導体七社が合体しまして、日本の半導体が合体して新しい開発機構をつくろうと。それは、第二次補正予算で出た、政府が出しております三百億円の設備投資の助成ですね。ですから、入れ物は政府がつくるから、そこでソフト七社が合体してやっていく、これは大変な新しい産業の躍動でございます。
 ですから、減税、税のみで経済政策を活性化しようということでなくて、そういうのをまぜ合わせた政策をとってもらいたい。私は、そこをも強く主張したいと思っています。
中川(正)委員 そうすると、さっきのお話であれば、与党の責任者会議から出されているこの具体的な政策については、そのままというよりも、これに対する中立性というか増収バランスの議論がないことにはこれは乗れないよという意味ですね。
塩川国務大臣 それは、中川さん、今諮問会議で言っておりますのは、要するに、短期集中型のいわばその結果として構造改革を進めて、その構造改革によるところの還元益、還元してくる増収をもってバランスをとろうという考えです。ですから、そこに言っております考え方というものは、当面はこうして、それによるところの結果として増収が起こってくるであろうと、増収に重点を置いておられるということでございまして、これを実施して、増税をどうするという話ではそこはない。
 私は、その点については党の方と十分に話をして、党の理解を進めていきたいと思っておりまして、そのこと自体で、党の御意見だけで、丸のみして、結構ですというわけにはなかなかいかない。
中川(正)委員 話の中にちょっと一貫性がないので私も戸惑うんですが、さっきの話は、以前笑い物になったラッファー・カーブみたいなもので、減税をやったら、将来必ず景気がよくなった時点でそれぞれ増収になるんだということをかつてアメリカで主張したラッファーが、後々笑い物になったという話が御存じのようにあるわけです。
 もうその話は過去の話として整理をしていただいて、もっと端的に、やはりこの減税という問題について、大臣として基本認識を貫かれるべきだというふうに思うんですよ。さっきの話でいいと思うんですよ。基本的には、小手先のこうした税制のいろい方だけでは本来の意味での経済の回復にはつながっていかないというような基本認識であるとか、あるいは、減税するにしても、将来の確実なバランスというのを政策で示していきながら、その中で本当の構造の改革に結びつけていく、税収の増というよりも社会の経済活動の中の構造の改革に結びつけていく、そういう考え方といいますか、そういうものが議論としてもっと前に出てくるべきだというふうに思うんですね。そんなことが、言う人によって違うんですね、政府の中の。
 これは、何を今信頼しながら政府方針として決まってくるのかというのが、我々見えない。見えないということを、今の大臣の答弁を聞きながら改めて確認をしたというふうなことだと思うんです。
 もし私のその認識に、いやそうじゃないんだ、政府としては基本的にはこれでやっていくんだということがありましたら、もう一回チャンスを与えますから、はっきりと述べてください。
塩川国務大臣 私は、今世の中が何か焦っているような感じがするんですね。特にマスコミの報道なんかによりまして、三月危機だ、いや四月危機だと。もういつでも危機だ危機だで、けつの後ろからあおり立てられておる。そういうことで、その焦りのもとで単発的な、つながりのない政策をぽんぽん出してみてもだめだと。私は、一定の期間を考えて政策をきっちりと立てていく。その場合に、減税が先行するかもわからぬ、わからぬけれども、その分に対しては、将来負担において、それのダメージを回復するためにはこういう手段をとりますよということをセットにしておかないと、いいところだけ食い逃げされてしまう、こうなるものだから、私は、そこをきちっとした方針を出して、今度の税制改革に臨んでいきたいと思っております。
 そういうことをやろうと思ったら、一つ非常に大事なことは、簡素化がやはり非常に大きい要件になってきます。今回の税制改正で、やはり簡素化とあわせて、その方針を貫いていきたいと思っております。
中川(正)委員 いつも大臣のその気持ちはわかるんだけれども、具体的に最終まとまってくるのがそういう形にはなっていかないというのがこれまでの通常の動きだったものですから、今のをしっかり私も覚えておきますし、大臣も頑張ってくださいよ。
 具体的に、今デフレ対策出てきていますけれども、そのセットになったもう片方のバランス部分ですね、減税は全部そろっているんだ、だけれども、デフレ対策のもう片方のバランス部分というのはないんですよ。ないということは、大臣の気持ちとしては、これではだめだよ、もう少し知恵出せという話をしているんだろうというふうに解釈をさせていただいて、あと――まだあるんですか、発言。
塩川国務大臣 それは税制の答申じゃないですね。そこはちょっと議論がある。
 デフレ対策とかいっても、デフレ対策には、こうやるんだということで、その方針を出しておるんですよ。ですから、それを受けて、私たちは、そのデフレ対策を実行するに伴って、税制の必要もあろうし、また財政的な措置というものも必要であろうし、そういうようなものを複合した上で一定の期間内に考えていくということを言っておるのでございますから、そこはこれは全面的に否定しているというのじゃございません。それはデフレ対策としてこれだけのものはとにかく応急的にやれということで、やるならば、それに対する回復をどうするのかということは、私の方から必ず問うておきたいということを言っておるんです。
中川(正)委員 次に、さっきお話の出た危機管理というか、危ない危ないという話に移っていきたいというふうに思うんです。
 これは、三月を乗り切ってきて、あれだけ公的資金を周りで説得されたにもかかわらず、ぐっと意地を張りながらと言うと失礼かもしれないけれども、そのまま公的資金を注入しないという形で頑張ってきた金融庁でありますが、やはり地方の経済の姿というのを見ていると、一応株価は、まあ、空売り規制が功を奏したとこの間の議論でも出ていましたけれども、短期的には一時バランスを取り戻したということであっても、やはり根っこにあるものというのはさらに問題が深化をしている。
 きょうも新聞紙上で躍っていましたけれども、不良債権、都市銀行が八兆円、当初の六兆円の見込みを大きく上回ってきているというようなこと、これは特別検査の影響が出ているという話でしょうが、そういう数字だけの問題じゃなくて、やはり地方で、特に中小企業あるいはその関連、非常に危機的な状況というか、問題は深化をしているというふうに私は思っております。
 そんな中で、ペイオフというのはこの間から何回も議論に出ておりますが、どうですか、柳澤大臣、地方の経済の状況のつかみ方が、トータルな数字で議論をしていくセーフティーネットと、現実の中で行われている商業活動が、あるいは生産活動が大分違ってきている、実感として違ってきているということ、このことを私たちは感じるんですけれども、大臣、その辺の危機感というのは、どういうふうに今つかんでおられますか。
柳澤国務大臣 中小企業の皆さん、それからまた地方にいらっしゃる皆さんを中心としてと申しますか、中小企業の皆さん方、大変御苦労になっているということは、私どももよく承知をいたしております。これは、私が承知をしているということだけでなく、金融機関の人たちもそのことはわかっているというふうに認識をしておりまして、私ども事あるごとに、例えば年度末の会議等を特別に招集して、そうしたことに対して格別の配慮を願っておりますが、それに対していろいろ具体的なお話等を聞いておりますと、今申し上げたようなことが言える、このように考えております。
中川(正)委員 そんな中で、与党のサイドの対策でも、政府系の金融機関を、経済財政諮問会議等における改革論議に対して、これをしばらく凍結するようにというような話がありますね。これは、私、実感としてわかるんですよね。特に、破綻金融機関の次の受け皿として、それから資金繰りの中でいわゆる長期資金を得ていくための最後のよすがとして、政府系の金融機関というのが今中小企業者の間では非常に評価をされている、そのありがたさというのが出てきておるんですね。そういう意味でも、こういう方向性というのはぜひ保っていっていただきたい、私たちもそう思っております。それで一段落ついてから次の話をしようということで、私たちもこれはいいと思うんですよ。
 ところが、もう一つの、民間の金融機関なんですが、これが今非常にシュリンクをしてきていまして、実際の、もう数字は確かめませんけれども、貸し出しの数量そのもの、貸し出しの枠そのものが非常に大きなスピードで縮んできているということももうおわかりだというふうに思いますね。
 そんな中で、つぶしていくべき中小企業と、そうじゃなくて、努力をする中で生きていくことができる中小企業、これが適切に峻別をされていない。特に、破綻金融機関が出た場合にそれをもう自動的にRCCに送ってしまうというようなことであるとか、あるいは、会社自体は成り立っているんだけれども、全体が縮んできたために短期で負わなければならない、その短期で負うということがその資金繰りの中で非常に負担がかかってきて、資金繰り破綻といいますか、そういうような現象というのが非常に大きく今出てきている、そんなようなことが現場で聞き取りをしておるとさまざま出てきているんですね。
 そういうことに対して、例えば短期を長期に切りかえるというときに条件緩和なり条件を変更したら、これは自動的に銀行検査マニュアルで格下げされるということがあって、それに引き当てを積まなければならないということになると、銀行自体も、それよりはもう切ってしまう方がいいというような判断に走る。これは実際にそういうことが私の身近でもあったわけでありますが、そういう矛盾というのが相当出てきているんです。そのことを工夫していく制度が要るんではないか、このことを一つ指摘をしておきたい。
 それからもう一つは、私たち、税制の中で何とか新しく業を起こすようなインセンティブを持っていく、そんな社会形態をつくっていきたい。それは税だけじゃなくて、さっきの指摘もあるようにマーケットも非常にゆがんでいて、本当の努力が報われるマーケットじゃなくて、資本力だけでつぶしていくマーケットであるとか、あるいは、それ以外の、政治力等々も含めた形で、例えば地方で土建屋が入札すると、一般競争入札にした途端にやくざがその中へ入り込んできて本来の競争にならないというような話はもうあちこちであふれていますけれども、そういうようなマーケットのゆがみ、こんなものも指摘をしているんです。
 それと同時に、例えば投資減税なんというのがありますけれども、これは投資した果実を減税するという考え方なんですね、これまで。ところが、例えばNPO等々の新しい減税のあり方を考えていくと、投資誘導をするんだったら、ベンチャーのときに、あるいは中小企業を対象にした限定した形で、商売を新しくやれよというインセンティブをつくるためには、投資そのものを減税の対象にしていくという新しい考え方もあるかと思うのですね。そんなことも含めて、提言と指摘をさせてもらいたいというふうに思うのです。
 これは、両大臣、その辺の中小企業対策、さっき私が申し上げたような問題点も含めて、どういうふうな認識を持っておられるか、御答弁願います。
柳澤国務大臣 破綻金融機関の処理に当たりまして、一応、金融整理管財人のもとで資産の査定と申しますか、債務者区分を決めまして、これは同時に、預保、預金保険機構が依頼をした外部の監査法人にそのチェックをお願いするわけですが、その後において、破綻金融機関と受け皿金融機関との間で資産の仕分けをいたします。
 できるだけ引き取ってもらうということですけれども、それがかなわない場合にはRCCへ送るということの仕分けを行うんですけれども、この受け皿金融機関への承継というか、これについては、原則として、正常先はすべて、それからまた要管理を含む要注意先についてはできる限り引き取ってもらう、こういうことで行われておりまして、受け皿金融機関への譲渡というか引き継ぎということは原則としてこういう形が適当ではないか、このように考えております。
 それからまた、もう一つ、設備投資、実際は長期資金なんだけれども当座は短期の契約で借り入れたものを、長期の資金ということで本来の形に引き直すということについて、それが条件変更になって、すぐ要管理になってしまうというようなことの御指摘があったかと思います。
 これについては、もう取引慣行としてそういうことが十分に認められていることだという場合には、そういう表面的なことで条件変更、条件緩和というようなことにはいたさないようにということで我々運用をいたしておりますので、そのことは申し上げておきたいと思います。
塩川国務大臣 今、金融に関する答弁は、柳澤大臣が言いましたのと私は全く同じでございます。
 つきましては、政府系金融機関を一時凍結しよう、そういう御意見が非常に強い、これは私もよく聞いております。
 現在、一般、民間の都市銀行を初め各金融機関が金融機能を失ってきておるように思うのです。そういう中にあって、これが早急に、やはりビッグバンを早く実現して正常化へ戻ってもらいたいと思っております。その間は、やはり政府系金融機関がそれなりのいわば役割を果たさなければならないのではないかと思っておりますので、政府系金融機関のいわば機能を十分発揮させるように当分の間したい。
 しかし、いつまでも政府系金融機関に経済界、特に中小企業が頼っている、そういう方向ではいけないと私は思いますので、方向は、いずれは特化していって、一般金融機関に金融機能を委託するということになってくるであろうと思いますが、それまでの間は、政府系金融機関についてはそれなりの役割を負荷していきたいと思っております。
坂本委員長 時間が来ていますから。
中川(正)委員 最後に、ちょっと委員長にお願いをしたいのですが、先ほどの永田議員の大和都市管財の関係の質疑に関連して、自民党の坂井隆憲議員を参考人としてこの委員会に呼んでいただきたいということ、これを改めてうちの党からお願いをしたいというふうに思うのです。
坂本委員長 理事会で後刻協議します。
中川(正)委員 ありがとうございました。
坂本委員長 次に、上田勇君。
上田(勇)委員 それでは、最初に、法案の質疑に入る前に、一点、現在の中小企業の資金繰りの問題につきまして御質問させていただきます。
 先ほど中川委員からもこの件については言及があったところでありますけれども、一日に日銀の短観が発表になりまして、中小企業の資金繰りの判断指数がマイナス一九ということになりまして、これは九九年三月以来の低い水準だそうであります。このままほうっておくと、九八年から九九年にかけて貸し渋りと言われた現象等をまた再現してしまうんではないかということが懸念されているわけでありまして、そういう意味で、先ほどから今の実際の中小企業の現状についてはいろいろとお話があったところでございますけれども、やはり、こうした我が国の経済の土台を支える中小企業の資金繰りが改善されていかない限り、中小企業の新たな事業展開といったことも出てきませんし、また景気の回復、経済の再生もあり得ないのではないかというふうに思います。
 そこで、金融庁にお伺いいたしますけれども、現在のこうした事態をどのように認識をされているのか、またどのような対策を講じていかれようとされているのか、お伺いをいたします。
村田副大臣 御指摘のように、日銀短観におきまして、中小企業の資金繰り判断DIは、十三年十二月のマイナスの一七ポイントから十四年三月にはマイナスの一九ポイントへ、小幅ながらでございますが悪化している、こういうことでございます。
 中小企業の資金繰り状況につきましては、金融機関の貸出態度判断DIとか金融機関側から見た資金需要判断DIとあわせて総合的に把握する必要がある、こういうふうに思いますけれども、金融庁といたしましては、健全な中小企業に対しまして必要な資金供給が円滑に行われないような事態が生じることがないよう、十分注意していきたいというふうに考えております。
 また、金融庁では、年度末あるいは年末の機会に金融の円滑化に関する意見交換会を開きまして、金融担当大臣より民間あるいは政府関係金融機関の代表者の皆さん方に金融の円滑化を要請しているところでありますし、また、中長期的にも、先般の改革先行プログラムあるいは「早急に取り組むべきデフレ対応策」に基づきまして、売り掛け債権担保融資保証制度の積極的活用とか、無担保無保証、迅速審査による事業者向け融資の創設等、新たな形の融資への取り組みを積極的に行うよう要請しているところでありますし、また、特別保証の返済条件変更の一層の弾力化等を金融機関に対して繰り返し要請しているところでございまして、今後とも、さらにさまざまな機会をとらえまして、より一層の資金繰りの円滑化に向けて努力をしてまいりたい、徹底をしてまいりたいと考えております。
上田(勇)委員 ぜひその点、お願いしたいというふうに思います。
 今まさに、利益は上がっているんだけれども資金繰りができなくて倒産する、そういう黒字倒産というような状況も起きておりますし、また、中小企業が新たな事業を展開しようとしてもなかなか銀行から借りられない、金融機関から借りられないという状況がありますので、ひとつ今御答弁いただいた施策の徹底に努力をいただきたいというふうに思います。
 それで、ちょっと法案につきまして、限られた時間でありますが、何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 たばこ関係については、今回議題になっていますJTの法律とたばこ事業法によって規制が行われているわけでありますけれども、たばこ事業法においては、いわゆる国産葉たばこの契約制、それからJTによる製造業務独占、その上JT法でも、日本たばこ会社の役員の選任、解任、定款の変更、事業計画、これらは財務大臣の認可制になっているわけであります。
 このことを考えると、いろいろと国産葉たばこ問題があって政府の関与が必要ということは認めたとしても、こうしたたばこ事業法によるさまざまな規制があれば、あえて政府が株式を保有する必要性というのはどの辺にあるのか、その御説明をいただければというふうに思います。
谷口副大臣 JTを取り巻くたばこ事業法であるとか、また製造独占というようなことがあるので、今上田委員の方は、政府の保有義務がなくてもいいのではないか、こういう御質問であるというように思いますが、このJTの民営化を今進めておるわけでございまして、今回、政府の保有比率の引き下げを図ろうというものであるわけでございます。
 国産葉たばこ問題への配慮というような観点から、現行のたばこ事業法におけるJTによる国内たばこの製造独占及び国産葉たばこの全量買い取り契約制を維持するとともに、日本たばこ産業株式会社法における政府のJT株式保有義務は存置するということになっておるわけでございます。
 これは、国産葉たばこ問題が解決されるまでの間は、葉たばこ耕作者の保護を行うに当たり、たばこ事業法のみによって、そうした必ずしも株主利益と一致しない措置を講ずるということになるわけでございまして、現段階では一般の株主の理解を得られないおそれがあるというような観点から、最低限の政府による株式保有は必要である。今回、法改正で三分の一までということになったわけでございますけれども、これは、JTの所有割合の三分の二を持てば、例えば定款の変更であるとか役員の解任等々が行えるというような観点がございますので、そのあたりの観点も考慮し、今回三分の一、このようになったわけでございます。
上田(勇)委員 もう一点、たばこ事業法では、製造たばこの流通に関してさまざまな規制があります。卸売販売業の登録制、それから小売販売業の許可制度、小売定価の許可制度など、そういう各段階でさまざまな規制が設けられているんですけれども、こうした流通段階での事細かな規制というのは、その必要性についてはどういうふうに考えておられるのか、御説明いただければと思います。
谷口副大臣 おっしゃるように、未成年者喫煙防止等の社会的要請であるとか、また許可制度の規制等があるわけでございますけれども、たばこ小売販売にかかわる規制のあり方につきましては、高齢者の多い零細小売業者の保護をどう考えるか、また、未成年者喫煙防止の観点からどう考えるかといったような観点から、今後さらに、財政制度等審議会たばこ事業等分科会において議論を進めるというようなことになっておるわけでございますけれども、その議論を注視しつつ、関係省庁とも協力をし、適切な対応をとっていきたいというように考えております。
上田(勇)委員 確かに、たばこ販売店には零細な小売店もあるし、今おっしゃったように、高齢者が営んでいる店も多いというような意味合いはよくわかるんですが、ただ、今非常に小売に関する規制が事細かに決められていて、それがむしろ、そういった本当に零細店舗の保護というよりも既得権益化している部分が相当見られる、その弊害の方がむしろ大きくなっているのではないかというような感じがいたします。
 例えば、同じような規模や形態のコンビニがあって、片方は免許を持っているけれども片側は持っていないというような不公平感もありますし、そういう見直しを今検討されているということでございましたので、ぜひもっと大きな観点からの見直しをひとつよろしくお願いをいたします。
 もう一つ、社会的規制の部分について、これは私もわからなくはありません。未成年者の喫煙の問題だとかがあることは今問題になっているわけでありますけれども、ただ、それを理由に小売店の免許を制限するのであれば、むしろそれは、今町じゅうに自動販売機がたくさんあります。駅にもあるし、いろいろなところに自動販売機が設置されていて、それは実は、対面で販売しているわけでもありませんのでだれでも買えるわけでありまして、むしろそちらの方の規制について考える方が社会的規制の目的には合っているのではないかというふうに思います。ぜひ、そういった面でのまた見直しの方も、小売の規制のあり方全体についての議論をお願いしたいというふうに思います。
 それで、通告してあった幾つかの質問を省略させていただきますけれども、もう一つJTのいわば経営についてちょっと一点お伺いをしたいというふうに思うんです。
 JTのたばこ事業以外に、医療事業や食品事業をメーンにやっているわけでありますけれども、これらの収支等を見てみますと、平成十二年度には、それぞれ医療事業、食品事業が百二十八億円、百七十三億円の赤字を計上いたしておりますし、それ以前も含めてちょっと見てみますと、これはまさに恒常的な赤字が続いているというふうに言わざるを得ないのじゃないかと思います。こうした赤字事業というのは、国が株主になっているわけでありますので、これは国が損をしているということになりますし、ひいてはこれは国民の損失になっているんじゃないかというふうに思います。
 果たしてこうした事業、恒常的な赤字が続くような事業というのが、会社の経営の上では私は不適切なんではないかというふうに思いますし、まして、こうした事業計画を財務大臣が認可するというのもいかがなものなのかなというふうに考えるんですが、その辺の御見解を伺いたいというふうに思います。
谷口副大臣 上田委員おっしゃるように、今JTにおきましては、本業以外に医薬品であるとか、また食品事業をやっておるわけでございまして、これが利益が出ておらないというような状況に今なっておるわけでございます。
 先ほどの質問にもお答えをしたわけでございますが、本業そのものが減少してくるといったような状況の中で、次のJTの収益の柱、事業の柱をどのように考えるのかといったようなことで、今新たな事業展開をやっておるわけでございますが、当面、利益も上がらないということでございますので、資本を投下してすぐに、利益が上がるということは一般的にはこれは若干のタイムラグがあるんだろうというように考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後、これが継続的に赤字を計上するといったことは、まさに上田委員がおっしゃるような危惧も十分考えられるわけでございまして、政府といたしましても、JTの監督当局といったような状況の中で、事業の運営状況を十分注視しながら、自主的な事業の見直しを促す等、必要な適切な監督上の措置を講じていきたいというふうに考えております。
上田(勇)委員 これは、そういう関連事業が中長期的に見て見通しが立つものであれば、会社の経営上取り組むことに問題はないんだというふうに私は思うんですが、将来、中長期的な視点からも、事業計画の認可に当たっては、やはり財務省としてチェックをしていただいて、これは割合が減るとはいっても、国が最大の株主であるわけでありますので、ぜひそういうチェック体制は今後とも強化していただきたい。
 このことを要望させていただきまして、少々時間が余りましたけれども、質問を終わらせていただきます。
坂本委員長 どうも上田委員、ありがとうございます。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 この際、本案に対し、山本幸三君外一名から、自由民主党及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。山本幸三君。
    ―――――――――――――
 日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
山本(幸)委員 ただいま議題となりました日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律の施行期日は、原案では平成十四年四月一日と定めておりますが、既にその期日が経過しておりますので、これを公布の日に改めるものであります。
 以上が、修正案の趣旨であります。
 何とぞ修正案に御賛同くださいますようお願い申し上げます。
坂本委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、山本幸三君外一名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五分散会


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