衆議院

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第10号 平成14年4月9日(火曜日)

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平成十四年四月九日(火曜日)
    午後二時開議
 出席委員
   委員長 坂本 剛二君
   理事 中野  清君 理事 根本  匠君
   理事 山口 俊一君 理事 山本 幸三君
   理事 海江田万里君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      岩倉 博文君    金子 一義君
      倉田 雅年君    小泉 龍司君
      近藤 基彦君    七条  明君
      砂田 圭佑君    竹下  亘君
      竹本 直一君    谷本 龍哉君
      中村正三郎君    林田  彪君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      吉田 幸弘君    渡辺 喜美君
      五十嵐文彦君    生方 幸夫君
      江崎洋一郎君    小泉 俊明君
      小林 憲司君    佐藤 観樹君
      中川 正春君    永田 寿康君
      長妻  昭君    上田  勇君
      遠藤 和良君    藤島 正之君
      佐々木憲昭君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    植田 至紀君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      砂田 圭佑君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  原口 恒和君
   政府参考人
   (外務省大臣官房領事移住
   部長)          小野 正昭君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            谷内正太郎君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局ア
   フリカ審議官)      小田野展丈君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    大武健一郎君
   政府参考人
   (財務省国際局長)    溝口善兵衛君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   参考人
   (株式会社みずほホールデ
   ィングス取締役社長)   前田 晃伸君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月九日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     谷本 龍哉君
同日
 辞任         補欠選任
  谷本 龍哉君     近藤 基彦君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 基彦君     金子 恭之君
    ―――――――――――――
四月八日
 消費税の大増税に反対、食料品の非課税に関する請願(吉井英勝君紹介)(第一三五五号)
 消費税の大増税に反対、税率を三%に引き下げることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一三五六号)
 同(松本善明君紹介)(第一三五七号)
 消費税増税反対等に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一三五八号)
 消費税の福祉目的税化反対に関する請願(矢島恒夫君紹介)(第一三五九号)
 金融アセスメント法の法制化に関する請願(北橋健治君紹介)(第一四三七号)
 同(塩田晋君紹介)(第一四三八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案(内閣提出第六〇号)
 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――
坂本委員長 これより会議を開きます。
 この際、塩川財務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣塩川正十郎君。
塩川国務大臣 一言申し述べさせていただきたいと存じます。
 去る五日の記者会見におきまして、国会軽視、野党への批判ととられることは、私の本意ではございませんでした。けれども、誤解を生みまして、不用意な言葉であったことを反省し、申しわけないと思っております。
 また、国会の審議の持ち方等につきまして注文をしたりした発言をしたということでございますが、私といたしましては、まことに閣僚として軽率であったと陳謝いたす次第であります。
     ――――◇―――――
坂本委員長 内閣提出、金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣柳澤伯夫君。
    ―――――――――――――
 金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
柳澤国務大臣 ただいま議題となりました金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 昨年九月の米国同時多発テロ事件の発生以降、テロリズムの撲滅のため、テロ資金対策が国際社会において重要な課題とされており、我が国といたしましても、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の早期締結を目指しているところであります。
 そこで、同条約の的確な実施を確保し、金融機関等がテロリズム等に利用されることを防止するための顧客管理体制の整備を促進する等の観点から、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、金融機関等は、顧客等との間で預金口座の開設や大口現金取引等を行う際、運転免許証の提示を求める等の方法により、顧客等の氏名、住居及び生年月日等を確認して、本人確認を行わなければならないこととしております。
 第二に、金融機関等は、本人確認で確認した顧客等の氏名等を記録し、当該記録を一定期間保存しなければならないこととしております。
 第三に、金融機関等は、顧客等の取引に関する記録を作成し、当該記録を一定期間保存しなければならないこととしております。
 以上が、金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
坂本委員長 財務大臣塩川正十郎君。
    ―――――――――――――
 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
塩川国務大臣 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 昨年九月の米国同時多発テロ事件の発生以降、国際社会においてテロ対策のさらなる推進が喫緊の課題となり、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約及び国際連合安全保障理事会決議第千三百七十三号で、テロリスト等に対する遅滞なき資産凍結等が求められている状況にかんがみ、外国為替取引等に係るテロリスト等に対する資産凍結等の措置の効果的な実施を図るため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、資産凍結等の措置の実効性を確保するため、現行法の本人確認に係る努力規定を義務化し、あわせてその対象に非居住者預金等の資本取引を加えることとしております。
 第二に、資産凍結等の対象となるテロリスト等を適切に指定するため、関係省庁との間の情報提供等の協力に係る規定の整備を行うこととしております。
 以上が、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として株式会社みずほホールディングス取締役社長前田晃伸君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として財務省主税局長大武健一郎君、財務省国際局長溝口善兵衛君、国税庁課税部長村上喜堂君、金融庁総務企画局長原口恒和君、外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君、外務省欧州局長齋藤泰雄君及び外務省中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩倉博文君。
岩倉委員 自由民主党の岩倉博文でございます。
 極めて短い時間でありますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 本委員会、本日対象となっております二法案の御質問に先立ちまして、一点だけ、今回のみずほ銀行のシステムトラブルについてお伺いをしておきたいと思います。
 大変ショッキングな出来事であったわけでありますけれども、恐らく、このシステム移行に向けて、相当長い時間、長い労力をかけてその準備プロセスで御準備をされてきたことだろうと思いますし、今回の問題が、恐らく社内的にかなり優先順位の高いリスクテーマの一つではなかったかというふうに思っておりますが、そういった中で発生した今回の問題でありますが、簡潔に、どこに問題があったのかということをお聞きしたいのと同時に、きょう以降考えられているトラブルについて、もしつかんでいることがあれば御説明をしていただきたいなというふうに思います。
 以上の二点について、前田参考人にお聞きをしたいと思います。
前田参考人 みずほホールディングスの前田でございます。
 本日は、重要な法案の審議の途中で大変に申しわけない事態になっておりますことをおわび申し上げます。
 ただいまの御質問のみずほ銀行のシステムトラブルにつきまして、現在どういう状況になっているかということをお話し申し上げます。
 オンライン関係は正常に稼働いたしております。
 それから、口座振替関係につきましては、きのう、おとといで二百五十万件という残高が積み残しということで報道されておりますが、ただいま現在で約十万件強の未処理というところまで処理が進んでおります。この口座振替の遅延につきましては、大変恐縮でございますが、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。あと一週間ぐらいで何とか正常化にこぎつけたいと思います。
 それから、システム統合に伴いまして、二重引き落とし、それから振り込みの遅延等が発生いたしました。昨日も起こりまして、この点につきましても、本日現在でほぼ解消いたしましたが、やや同じトラブルが起こっておりまして、そういう意味で、深くおわび申し上げます。
 システム統合全体についての準備状況、それから実際の動きについて簡単に御説明申し上げますと、約二年半前に統合を決意いたしまして、その後、約二年かけまして、新しい銀行のビジネスモデルそれからシステムの統合のスタイルを決定いたしました。それから三行の役割分担も決定いたしまして、基本的なシステム設計に入り、それから事務センター等も新しいところに新しい機械を入れて、それで新しいモードで移行する準備が昨年の十一月に整いました。これは多摩のセンターにつくったわけでございますが、その後、そのシステムにつきまして、約四カ月間システムテスト、想定できるあらゆることをやってまいりまして、この三月末を迎えたわけでございます。
 三月末は、三月の二十九日の業後からオンラインをとめまして、三十日、三十一日と移行作業をいたしまして、四月一日につなぎかえたわけでございます。このつなぎかえの作業は、三つの銀行をそれぞれ二つに分解しまして、新しく二つの銀行につくりかえるという作業が行われました。
 また、この二日間で、銀行の膨大な支店網のうち、支店の店番号が重複している部分もしくは支店の名前が同じものを、重複しないような形で新しく番号をつけかえる作業が二日間で行われまして、すべて三月三十一日の夜にこの部分は完了いたしまして、四月一日にカットオーバーができたわけでございます。
 四月一日につきましては、先ほど申し上げましたとおり、オンラインにつきましては接続をいたしましたが、旧第一勧銀、旧富士銀行のこの二つのオンラインシステムの部分がお互いに自由に使えるように設計をしたわけでございますが、現金の出し入れにつきまして障害が発生いたしまして、片方だけでしか使えないという事態が一日に起こりました。この件につきましては、多大な迷惑をおかけしたと思います。ここで深くおわび申し上げます。
 それから、一日の混乱が、同時にいろいろな事務を含めて再編成したものですから、事務的な混乱も同時に起こりまして、いろいろな意味で事務が後手になった部分がございます。この点も深くおわび申し上げます。
 それから、口座振替の遅延につきましては、とりあえずは、一日の分は実は何とか行けそうなところまで行ったのですが、一日のこのオンラインの障害の影響を受けてしまいまして、それで全体の順調な稼働に行くところまで行かない状態で、このようなやや処理残しが大量に発生したということでございます。
 私どもが今お取り扱いをしております件数は、みずほ全体で、月間に現金のお取引、出し入れ、それから振り込み等が約三千万件でございます。それから口座振替関係で申し上げますと二千七百万件という、これは月間でこれくらいのボリュームのお取引をやっておりますので、一たんシステムに障害等が起こりますと大変な御迷惑をおかけするということでございます。
 私どもは、お客様に迷惑をかけないということで、これを全員で誓い合って実はこういう作業をやったわけでございますが、結果といたしまして多大な御迷惑をおかけいたしましたことを深くおわび申し上げます。一刻も早く安定稼働がするように全力で頑張っておりますので、今しばらくお時間をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
岩倉委員 ありがとうございました。
 国際信用にもかかわる問題にもなりかねないと思いますので、一日も早い完全復旧を求めたいというふうに思います。
 本題の質問に入ります。
 先ほど大臣の方から趣旨説明がありましたけれども、同時多発テロ事件の発生を契機としまして、国際テロ封じ込めに向けて国際協調が不可欠になっていると認識をいたしております。この悲劇を二度と繰り返さないために、本件は、資金面で、お金の流れという意味で各国が取り組んでいかなければならないテーマでありまして、我が国も国際社会の一員として早急に関係法の整備を行っていかなければならないと認識いたしております。
 テロ事件発生直後のG8首脳声明並びに国連安保理決議一三七三を踏まえて、我が国の基本的な考え方について財務大臣並びに金融担当大臣に所見をお伺いいたしたいと思います。
塩川国務大臣 テロ資金の防止につきまして、我が国といたしましては国際的な取り決めの中でまず実行していくということでございまして、これにはG7等において決議いたしました行動計画というのがございまして、それに基づきましてまずテロ資金と疑わしき資金の個人名の抽出、団体名の抽出をいたして、指定をしたところでございます。さらに、そのほかにアメリカ当局からも情報として提供されたものがございまして、それにつきましても厳しく審査をしてまいったというところでございます。
 このことを裏づけるものといたしまして、テロ資金供与防止条約の承認というものも実はございますし、それに対しましては、また、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案、これは法務省関係で出ておりますが、それからさらに、金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案、これは今度提出させていただいておるものでございまして、また、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案、私が先ほど趣旨説明申し上げました、こういう法案を根拠にいたしまして今後ともテロ対策の資金の管理を十分にしていきたいと思っているところであります。
柳澤国務大臣 昨年の九月の十一日の同時多発テロで、テロ資金の供与ということが国際的な大きな問題になったわけでございます。たまたまですけれども、今回のこのテロの勢力が麻薬犯罪と関係があるということで、実はこの関係の資金というものは、そういう組織犯罪取締法上の措置でもって辛くもというか、幸いにしてほぼ同じような効果を持つテロ資金の把握というか、あるいはそれの捜査への協力というものができたわけでございます。
 しかし、本格的には、やはりテロ資金の供与の防止の条約をきちっと批准をして、それの国内措置をきちっとやらなきゃならないのは当然でございまして、そういう麻薬と関係があったという別途の犯罪の関係を僥幸として満足するわけにはいかないということで、今回、本格的な取り組みをするに至りましたので、本当に御審議の上、速やかに成立の運びになるように私どもとしてはお願いを申し上げている次第であります。
岩倉委員 基本的なスタンスについてお伺いをしたわけでありますけれども、先ほど来お話ししていますように、これはやはり国際協調というのが一つの大きなポイントではないかと思いますが、各国の取り組み状況、とりわけアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、いわゆるG7、さらには韓国、東南アジア、中南米、中東諸国の本件に関する取り組み状況についてお聞きをいたしたいと思います。
小野政府参考人 御説明申し上げます。
 先生御案内のように、同時多発テロが起こった当時は、この条約の締結国はまだ四カ国だけだったわけでございますが、今日、四月一日現在、二十四カ国が締結している状況でございます。御下問のアメリカ、ドイツ、イタリアは、いずれもその締結に向けて具体的検討を現在行っているところでございます。
 例えば、アメリカにつきましては、同条約の実施法案が下院を通過したところでございまして、現在上院の審議に付されている状況にあると承知しております。それからG7以外でも、ペルー、チリ等の中南米諸国、それからアルジェリア等につきましても締結が行われているということでございます。その他御指摘の、韓国を含む他の非締約国においても、安保理決議等に基づきまして締結に向けて積極的な取り組みが行われているというふうに承知しているところでございます。
岩倉委員 ありがとうございました。
 もう時間も迫ってきて、最後の質問になってしまったのですけれども、この両法案の適用に際しましては、これは一番基本的なことなのですが、対象とされるテロ組織の特定ということが必要になると考えますけれども、そもそも、テロ行為といった場合の法的定義についてお聞かせをいただきたいと思います。
谷内政府参考人 テロ行為につきましては、国際法上、実は、確立した定義が存在するわけではございません。
 では、国際社会はテロ行為をどういうふうに取り扱ってきたかと申しますと、いわゆるテロ防止条約というものを結びまして、その作成に当たり、ハイジャック、人質行為あるいは爆発物の設置等の典型的な、いわゆるテロ行為に該当する一定の行為類型につきましてこれを犯罪とし、処罰のための法的枠組みを設定する、こういう対応を着実に積み重ねてきたわけでございます。
 今般、テロ資金供与防止条約というものをお願いしておりますけれども、この条約によりますと、既存の九本のテロ防止関連条約上の犯罪に該当する行為を対象といたしまして、これに該当しない行為であっても、住民の威嚇または政府等への強要を目的として人の死などを引き起こすことを意図する行為、こういったものを対象にしておるわけでございます。
岩倉委員 ありがとうございました。
 大変重要なこの二法案でありますけれども、やはり国家としての強固な姿勢を、国の内外に発信していくという姿勢が大事なテーマではないかというふうにも思いますので、政府としても、しっかりとした対応をいただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
坂本委員長 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)委員 私、公明党の遠藤和良です。
 私も、質問に入る前に、最初に今回のみずほ銀行のシステムトラブルについて、柳澤金融担当大臣の現時点における所感を聞きたいと思います。
 今回のシステムトラブルは、本当に考えられない事故だと私は思うのですね。顧客の信頼を失ったばかりではなくて、国際的にも日本の銀行の信用を失った。これは、信用というものが金融業の一番根本にあるわけでございまして、単なる事故というよりも、本当に総反省をしてかからなければ大変な問題になる、私はこういうふうな認識をしているわけですけれども、金融担当大臣として、現時点でどういう所感を持っていらっしゃるか、お伺いしておきたいと思います。
柳澤国務大臣 このたび、みずほ金融グループの中で、顧客と接触するそれぞれの子銀行のシステムに大変な大きな障害が生じたということでございます。
 これは、基本的には金融機関というのは、一番生命線とも言えるのは決済機能でございまして、ここにも振替というチャンネルを通じて大きな障害が起こったということであります。それからまた、顧客へのサービスとして最近現金の出し入れというようなもので非常に広範に利用されているATMについても、やはり支障が起こったということでございまして、私どもとしては、今日の事態、極めて遺憾な事態である、このように考えておりますと同時に、今遠藤委員が御指摘になられたように、事は、金融のシステムということ、それから、そのシステムのリスクというものについては非常に大きな関心を常に払っていなければならない性格のものであるということに照らしまして、現在の事態は極めて重大なことであるというように考えております。
 現在、まだそれが解消され切っていないということ、先ほど前田社長も言われたことでございますので、一刻も早く復旧、正常化が実現することを強く期待しているということでございます。
遠藤(和)委員 それでは、法律の審議をさせていただきたいと思います。
 きょうは杉浦外務副大臣にお越しいただいているわけですが、昨年九月十一日、テロが起きました。私自身もシンガポールに公務出張中でありまして、その第一報を聞いたときには、戦争が始まるかもしれないという、大変緊迫した第一報でございました。本当に、日本ばかりではなくて世界じゅうが恐怖で凍りついた、こういう事件だったと思うわけですね。
 それで、その後我が国では、テロ資金供与防止条約、それから国連安保理決議一三七三号の実効性をどう高めていくのか、そして国際協調して、テロの絶滅、根絶、そしてそのためにはテロ資金の根絶をしなければいけない、こういうことで対応されてきたと思うのですけれども、私は、国内法の整備は随分おくれてしまったのではないかなという認識を持っているのです。
 こういった実効性を高めるために、外務省は、日本の国の中でどういうふうに全体的に指導し、あるいは世界と協調して体制をつくってきたのか、その努力をここで報告してもらいたいと思います。
杉浦副大臣 あの事件の直後は、外務省の幹部は、早朝、時には朝七時から幹部が全員オペレーションルームに集まり、各局からは五十人ぐらい若いのを選抜して情報の収集に当たる等、一月ぐらいは非常に充実した、活気のある活動をいたしました。全体としては打ち続く不祥事件で沈滞しておりますけれども、そういった生き生きとしたときを思い出すわけでございます。
 テロ資金の流れを断つ、テロ資金を供与する行為を犯罪化するというのは、最初からの国際社会の大きな課題でございました。テロ資金防止条約は、早急に国際社会で立ち上がりまして、昨年十月三十日に署名をし、きょう、批准と同時に関連法の御審議をお願いしておるわけでございまして、まずもって、一刻も早く御成立させていただくようにお願い申し上げる次第でございます。
 時系列を追って、どう取り組んできたかをこの関連で御報告いたします。
 まず、国連安保理決議がなされまして資金凍結、そして国連安保理制裁委員会によりまして、タリバーン関係者等二百八十一個人、団体が指定されました。まず、それに対しまして資産凍結措置を講じたわけでございます。関係省庁と協議いたしまして実施いたしました。
 それから、安保理決議一三七三に基づきまして、十二個人、団体に対して第二次目の資産凍結措置を講じました。この安保理決議においてはリストがございませんでしたが、おおむね、アメリカが指定するその団体について、各国それぞれ対応して指定したということでございます。これは大体、九月、十月のことでございます。そして二国間協議の場、またG8、国連、金融活動作業部会、FATF等の国際的枠組みはもとよりのこと、途上国を含む幅広い協力体制を国際社会が構築してきたところでございます。
 近いところでは、去る三月二十日に、アジア地域テロ協議を東京で開催いたしました。インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ等々、多くの国が出席いたしまして、最近のアジアにおけるイスラム過激派の現状と国際テロ対策、ワールドカップに向けたテロ対策、地域協力等を議題として開催いたしました。
 また、三月二十五、二十六日には、ホノルルでASEAN地域フォーラム、ARFのテロ資金問題に関するワークショップを開催いたしまして、ASEAN地域全体の協力問題を取り上げたわけであります。そこで我が国のテロ資金対策に関する努力を紹介いたし、国際協力の強化を呼びかけたところでございます。
 そのような形で、外務省としても、テロ資金の根絶とそのテロ資金を供与することの犯罪化等に向けて、国際協調をいたしておるところでございます。
遠藤(和)委員 テロ資金を根絶するというそのイロハのイのところが本人確認だと思うんですね。それが今まではガイドラインでやってきたんだけれども、それでは実効性が上がらないからということで今それを法律で義務化しようという話なんですが、余りにも遅過ぎるんじゃないかなという印象を私は持っています。
 ガイドラインで実効性が上がらないということがわかっているんだったら、もっと早く法律を出してここのところをきちっとしておかないと、本人確認をきちっとして、あるいは取引についても、本人であるということをきちっと確認ができなければ取引ができない、こういうふうにしないと、このテロ資金の根絶というか、流通を防止することにならないんじゃないかというふうに思うわけでございますが、今までガイドラインでやってきたことについて実効性がないということの理由、あるいは何で法律で義務づけることがこんなにおくれてしまったのか、もっと早くしておく方がよかったのではないかな、こう思うんですが、その辺の事情について。
 それから、個人口座を開設するときじゃなくて取引に対しても本人確認が必要になるわけですけれども、その大口を今度二百万まで下げる、こういうことですけれども、その具体的な理由、その背景、そういうことについて説明を願いたいと思います。
塩川国務大臣 遠藤さんおっしゃるように、確かに非常に対応がおくれてまいりました。これは大体日本ではそういうテロとかいう、そういう恐怖感を今まで持っていなかった、緩い国民でしたから。ですから、九月の十一日にああいう事件が起こりましてから、世界じゅうが震え上がって、日本も同じように震え上がってきたというところです。
 したがいまして、国際条約にまだあれは承認してなかったんです。でございますから、国内法をつくる根拠法が、基盤ができてなかった。慌てて国会に今お願いしておるような状況でございまして、それに伴いまして国内法を順次整備してきたということでございまして、先ほど私が説明いたしました、これで承認していただくならば、テロ対策に対する四つの法律が固まってまいりますと、一応、法律的ないわば対策はこれでガードが固まってくるんじゃないかと思っておりまして、これからはしっかりやっていかなきゃいかぬと思っております。
遠藤(和)委員 今疑わしい取引、これは麻薬関係の関連で大体一万二千件ぐらいあると聞いているんですけれども、これがテロに対する資金の供与ではないのか、そういうふうに疑われる案件はあるんでしょうか。それから、今回の法律でもって、さらにそういうところがどのように整備をされていくのか、この辺について、現在考えていらっしゃることをお聞きしたいと思います。
原口政府参考人 御指摘のように、金融機関等からの疑わしい取引の届け出件数というのは、平成十三年で約一万二千件ございます。ただ、この取引というのは、要するに、外形的に見ていろいろ疑わしい、犯罪に関係があるのではないかというような観点から金融機関が届けてきているものでございますので、このうちテロがどうかということになりますと、恐らく、先ほど財務大臣のお答えがありましたように、今までの日本の状況から見ますと、テロというよりは、むしろいろいろな犯罪収益と疑われるというものが大宗であったということではないかというふうに承知をしております。
遠藤(和)委員 それから、テロリストの資産凍結ということが最初から大きなテーマだったわけですけれども、これに対しては、具体的に、凍結した資産、口座、こういうものは日本の国にはどのぐらいあったのか、現在はあるのかないのか、そして今後どのように対応していくのか。これは大変大事な問題ですけれども、具体的にお聞きしたいと思います。
溝口政府参考人 お答えいたします。
 資産凍結は、外為法に基づきまして実行しているわけでございます。実行の仕方は、まず、取り締まるべき、凍結すべきテロリストのリストを公表するわけでございます。このリストは、先ほど来説明にもございましたが、国連の制裁委員会で指定する場合もございますし、国連で指定していない場合は主要国で共同して指定するわけでございます。そうしますと、日本の国内で、こういう人を取り締まりなさいというのを私どもで告示で知らせるわけでございます。それで、金融機関はそれに基づいて名前をチェックしまして、口座をチェックして凍結するということでございます。
 昨年九月にあのテロ事件が起きまして、その後、凍結いたしましたのは、アフガニスタンのタリバーン関係者が二百八十七個人、団体、それからタリバーンではございませんけれども、やはりテロリストとして指定したものが十二団体、個人がございます。合計二百九十九でございます。
 その後、タリバーン政府が崩壊いたしまして、凍結しておりましたタリバーンのアフガニスタンの政府関係機関、中央銀行などは、これはもう凍結する必要がございませんので外しました、これが六件でございます。したがいまして、残っておりまするのは、二百九十九引く六で二百九十三件でございます。
 この間凍結いたしましたのは、アフガニスタンの中央銀行等四件でございまして、六十万ドル凍結しましたが、先ほどの解除によりまして現在は解除いたしておりまして、したがいまして、現在凍結しているものはございません。
 以上でございます。
坂本委員長 遠藤君、質問時間が参りました。これ一件でひとつ。
遠藤(和)委員 では、一件だけで。
 今度の法律で取引記録の保存期間を七年としているわけですけれども、七年とした法律の根拠、これを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
村田副大臣 取引記録の保存期間でございますが、七年とした理由でございますが、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案に規定しますテロ資金提供等の罪の公訴時効が七年であるということを勘案して七年とした、こういうことでございます。
遠藤(和)委員 終わります。ありがとうございました。
坂本委員長 次に、生方幸夫君。
生方委員 民主党の生方幸夫でございます。
 本日は、みずほフィナンシャルグループの前田参考人、お越しいただきまして、ありがとうございました。
 極めて大きな事件といいますかトラブルといいますかが起きまして、何しろ、日本一の大きな銀行が四月一日に誕生したばかりで、その口座数が三千万というふうに言われておりますから、国民の約四人に一人が口座を持っているという、それだけの巨大なバンクが動き出した途端に大きなトラブルに見舞われて、国民の皆様方も非常に大きな不安を持っているだろうし、もちろん海外との取引もたくさんあるわけですから、世界じゅうに日本の金融システムそのものの信用というのが問われる事態になっていると思います。
 私も、きょう委員会が開かれるということで、きのう、急遽フィナンシャルグループの方から説明を受けました。きのうの午後でしたが、副社長さんにいらっしゃってもらって、今度のトラブルがどういうようにして起こったのか、その善後策はどのようになさっているのかという話を聞きまして、その最後に、もう大体のトラブルは解消した、二百五十万件のうち処理が残っている部分が少しあるけれども、新たなトラブルは発生することはないだろうというお話をして、帰って夜ニュースを聞いたら、けさニュースを聞いたら、またトラブルが発生しているということでした。
 前田参考人、先ほど、ほとんどのトラブルはもう解消したんだということを言いましたけれども、きのうはそう言ってきょう起きてしまった。きょう言ってまたあした起きない可能性があるのかどうか、本当のところどうなのか、まずお伺いしたいと思います。
前田参考人 一日以降、毎日のように報道がされておりまして、大変にお騒がせいたしておりますが、システムトラブルに関しましては、大変恐縮ですが、完全復旧したと言ってさらに昨日一部ダウンが起こりました、これはそのとおりでございまして大変申しわけないんですが、大変大きなシステムを統合いたしましたので、こういうとき、徐々に修正する部分が一部ございます。そういう意味では全面的にダウンするという事態はないと思いますが、大変恐縮ですが、きのうの二重引き落としというのは、これはシステム上というよりむしろやや人災に近い形でのトラブルでございまして、ここはまさに人的なミスで起こったことでございまして、システムのトラブルではございません。
 それから、海外とのネットワーク関係につきましては四月一日から別にトラブルなくお取引が行われておりますし、また市場関係のお取引もトラブルなく行われております。
 そういう意味では、国民生活に一番影響のある現金の出し入れのところでトラブルがあったということがもう最大の問題でございまして、この点につきましてはオンラインで稼働しておりますけれども、昨日起こったようにちょっと短時間にとまるというようなことがありましたが、昨日の部分につきましては修復は終わっております。
 そういう意味で、一日当たり何百万人という方が御利用いただきますので、ちょっとでもとまりますと大変な御迷惑になることは十分承知いたしております。全力で頑張りますので、ぜひもうちょっとお時間をいただきたいと思います。安定稼働するまでにもう少し、一週間ぐらいいただきたいということでございます。基本的なフレームワークのところがどうこうということではございませんが、三つのシステムを統合しておりますので、その統合した部分につきまして、異例な取引等が出たときに一部障害が起こるということでございます。
 以上でございます。
生方委員 答弁は手短にお願いしたいと思います。
 今、人災の面があったということを聞きますと、人災はシステムトラブルじゃないということになりますと、人災であればまたあしたも起こる可能性があるというふうになっちゃうわけですね。人災であるんだからやむを得ないというのか、人災だってもちろんこういうことは起こっちゃいけないわけですから、とりあえず今の段階で人災という部分であるというんであれば、人災を防ぐためにどのような手だてをおとりになっているのか、お伺いしたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 口座振替等の引き落とし事務につきましては、先ほども申し上げましたとおり、多数のお取引先からいろいろな仕様のデータをいただいております。それから、いただくデータの種類もたくさんございます。それを加工して処理するような形に持っていくわけでございますが、そこの間にどうしても人手を介してやる部分がございます。大変残念ながら、そういう過程で一日、前月末以降やや徹夜が続いたとかいうのがございまして、二度にわたってテープを動かしたということで二重引き落としが起こったということでございます。
 この修正の仕方につきましては、もちろん人的な補強も行いましたし、システム的に少しそういうリスクを減らす手段ももちろん講じましたが、ということで、同じことが二度は起こりませんけれども、やや人手を使わざるを得ない部分が口座振替についてはございますので、ベストを尽くしますが、そういうことで、完璧というにはもうちょっとお時間をいただきたいということでございます。
生方委員 経営統合が決まったのは九九年の八月の二十日ですから、もう二年八カ月ぐらいたっているわけですよね。準備が例えば三カ月とか二カ月というので、巨大なシステムを統合するんだからトラブルが起こったというんならわかるんですけれども、二年八カ月間の準備期間があって、恐らく準備に準備を重ねてスタートをして、トラブルが起こった。そのトラブルが起こったのをきのうきょうで、一日二日で逆に言えば直るはずもないんじゃないですか。二年八カ月かかって準備したものが壊れちゃったんだから、それを修復するのに例えばきょうあすで直るなんということは、国民の皆様方はそれは信用できませんわね、そう言ったって。現実に、きのうはもう直りました、もう起こりませんと言って、きょう起こっているわけですから。
 社長が今おっしゃったように、ここ一日二日で幾らやったって、人災というのは人間がやるものですから、そう簡単に私は人災だけだというんであれば直らないと思うんですけれども、もう一度お伺いしますが、人災を防止するために今どのような手だてをとっているか、そこの部分だけで結構ですからお願いいたします。
前田参考人 お答え申し上げます。
 三月までは実は三行でほとんどノーミスでこの大量処理をやってまいりまして、そういう意味で人的な部分は完全にノウハウができておりましたが、その三行を二つに修正するという作業をする過程で、運用のやり方等に、本番でやってみまして、うまく手当てができていなかった部分の調整が必要だということで、そこの部分が、先ほどやや人災に近いと申し上げたのはそういうことでございまして、仕事そのものは三十年間やっている仕事でございますので、一から出直すということではございません。
 両行の間で運用のやり方の違いの部分につきまして特別チームをつくりまして、要するに、手続のやり方につきまして既に統一をやるためのPTをつくって稼働しております。一週間ぐらいいただきたいというのは、そういう意味でございます。
生方委員 三行の統合をして二つに分けたという、複雑な操作をしたということはわかるんですけれどもね。だけれども、二年八カ月あった中でずっと準備をしてきて、新聞報道によれば、最終的にシステムを全部とめて試験をやったのは三十、三十一日の二日だけだったというふうに聞いております。
 実際の運用をやってみなければわからないというんであれば、それは、あらゆるところがシステム統合するときに、やってみなければわからないということになっちゃうと思うんですね。前田社長、聞いていてくださいよ、聞いていて。前田さん。
 だから、それはトラブルが十件や二十件起きたというんなら人災だ何だで今おっしゃったようなことで済むと思うんですけれども、二百五十万件というけた外れの大きさのトラブルが起こっているわけで、それは、今おっしゃったように三を一にしてそれを二にするからだめだったんだというようなことでは、とても国民としては納得ができないと私は思うんですよ。
 だから、原因はまだ完全にわかっているわけじゃないでしょうが、現在わかっている段階で、難しいシステム的なことは結構でございますから、普通の人間がわかるように、何が原因でこうなってしまったのか、簡潔に教えていただきたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 二つございまして、一つは、ATMのオンライン系統の部分の障害が何で起こったかという点につきましては、これは三つの銀行のコンピューター、皆さん今お手元にお配りしておる絵があると思いますが、コンピューターをリレーコンピューターというのでつなぎまして、それでそれぞれの銀行から隣の銀行にデータが移るような設計で三行間をつなぐコンピューターを設置いたしております。初日にトラブルを起こしましたのは、このリレーコンピューターの一部にソフトのエラーがありまして、その部分で、第一勧銀の系列と富士銀行の系列でそれぞれカードがうまく使えなかったという、相互に使えなかったという事象が起こっております。
 それから口座振替に関しましては、こういうオンライン系をつなぐ話ではございませんで、今まで大量に処理をしてきたそれぞれの銀行の処理の仕方を、当然半年とか随分前から、受託者のお客さんと調整しながら、御相談しながら、店番号の変更等を含めて入念に打ち合わせをさせていただきまして、三月末までに新しいデータもしくは従来のデータのままでいただくというような手当てをしてまいりまして、それを四月から整々と稼働するという体制で準備をしてまいったわけでございます。そういう意味で、考えられる準備は十分やったつもりでございますが、現実に運営のやり方、テープを使ってコンピューターから落とすときのやり方に手順それから混乱等がございまして、大量に事務が渋滞したということでございます。
 それから、二百五十万件という件数は、冒頭に申し上げましたとおり、一日に百万件から二百万件の処理をいたしておりますので、一日おくれというぐらいの状態がつい最近まで発生したということでございます。先ほど申し上げましたとおり、今現在で十五万件程度になっておりますので、そういう意味では、在庫で大量に積み残している状態は解消したということでございます。
 安定稼働までと申し上げましたのは、ちょっとそこは、いろいろごたごたしたものですから、完全に三月の状態に戻るまでにはちょっとお時間をいただきたい、何とか今週じゅうにやりたいということでございます。過去におきましては、あらゆることをスムーズにやっておりましたので、その状態に一刻も早く戻したいと思っております。ぜひ御理解をいただきたいと思います。
生方委員 その二百五十万件は処理数であって、それがちょっとおくれただけだというような認識のようですけれども、このトラブルによってどれぐらい実害が出たというふうに把握なさっていますか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 本件につきまして、口座振替で申し上げますと、これは大量のお金を回収する大企業さんと私どもが一緒になってやっているシステムでございまして、たくさんの方々の口座からお金を引き落として、大企業もしくは委託者にお金をお支払いして、還元データをつくって、企業の方は領収証をつくってお客さんに返すという仕組みになっております。この部分で引き落としそのものがおくれたことによりまして、企業の方にお金が入る時期が若干ずれているというのが起こっております。この部分につきまして、委託者の方との関係では御迷惑をおかけしております。
 それから、二重に引き落としたことにつきましては、もちろん当然お返しいたしまして、お通帳に二重に引き落としたというのが残ったということについては極めて申しわけないということでございます。
 以上でございます。
生方委員 その大口の契約者についてはどういう措置をとるということですか。もう一度、ちょっと聞こえなかったので。
前田参考人 大口、例えば東京電力等は公共料金を大量に引き落としさせていただいておりますので、私どもがいただいたデータで、ある部分につきましては、場合によっては、いただいたデータの金額で概算でお支払いをいたしまして、後、口座振替を完了したところで精算するというような、やや異例なお取り扱いを含めて、個別に対応させていただいております。
生方委員 具体的に、例えば東京電力やNTTだと、たくさんのお金が一日に入るわけですね。それで、金利が極めて安いとはいえ、一日おくれればその分の金利が少なくなってしまうということもあるし、当然、引き落とされなかったら引き落とされなかった旨を、顧客に対して郵便なりなんなりで連絡をしなければいけない、その事務連絡の費用というのも発生をいたしますよね。その辺については個別に対応するということでよろしいのですか。
前田参考人 先ほど申し上げましたとおり、委託者の数が一万社ぐらいございまして、それぞれ個別の契約、全部違いますので、そのような事態が起こったお取引先につきましては、お取引先と誠心誠意御相談させていただきまして、例えば還元のデータの返し方を、例えば還元資料にするとか、普通ですとテープに落としてデータ処理してお返しするんですが、個別に紙でお返しするとか、いろいろな形の手続をやっております。
 ただ、この部分につきましても、ほぼ、もうちょっとで正常化するめどがつきましたので、従来どおりの形で、データベースでお返しするような形に何とかこぎつけたいと思っております。
生方委員 一般の顧客や中小企業、いろいろな振り込みをやったりしている業務ができなかったということがあると思うんですけれども、それについての被害というのはどういうふうに認識をなさっていますか。
前田参考人 お取引、確かにたくさんいただいておりまして、手形を引き落とすとか振り込みをする、それから代金決済をするとかいろいろなお取引がございますが、ここにつきましては、お取引先に十分御相談等をさせていただいております。
 現在までのところ、このシステム上のトラブルでお取引が全くできなかったとか、会社が金繰りがおかしくなったとか、そういうようなことは聞いておりませんが、いずれにいたしましても、これは私どものシステムトラブルでございますので、お客様と誠心誠意御相談させていただきたいと思います。
生方委員 我々みたいに、一般の個人のお客に対してはどうなんですか。
前田参考人 お答えいたします。
 先週の四月五日の日からコールセンターを設けまして、一般のお客様から直接いろいろ御照会、御質問、口座から落ちたかとか、二重に落ちていないか、どうしたらいいの、クレジットカードの代金はどうなったとかいう御照会を、土日を含めてずっとコールセンターでお受けいたしております。
 初日、二日、三日と、開設以来約一万件の御照会がありますが、その中で一番多い御照会は、クレジットカードを使ったが代金決済がちゃんと落ちているのかという御照会がございます。それから、あとは、いろいろな御照会がございますが、主として……(生方委員「いや、照会を聞いているのではなくて、被害をどういうふうに考えているのか」と呼ぶ)それで、この件につきまして、直接に例えば御利用者の方に実際に実害が出たというようなことではございませんが、まさにクレームが大量に来たということでございまして、そういう意味で大変申しわけないと思っております。
生方委員 やはり認識がちょっとおかしいのじゃないですか、実害が出ていないというのは。二重に引き落とされたかもしれないというふうになれば、私だっておたくのところに多分口座を持っていると思います。だから、さっき言ったみたいに、三千万総合口座があるわけでしょう。それで、実際にトラブルが発生したのは百四十七件というふうになっているかもしれません、二重引き落としは。なっているかもしれませんけれども、三千万のほとんどの人が、自分もそうかもしれないなと思ったら、これは銀行に行くんですよ。銀行に行って、自分の通帳を見て、それで、ああ二重になっていなかったと安心をするわけで、そこに、銀行に行く手間と銀行に行く時間と、それだけをロスさせているんですよ。それを被害と言わないで、あなた、そういう意識が全くないじゃないですか。何を考えているんですか、一体。
 三千万口座あって、みんなが不安に思っている。もっと大きく言えば、日本の決済システムというのはやはり誇るべきものであって、日本の国民は銀行さんに任せているわけですよ。御承知のように、アメリカだったら、請求が来たとき小切手で払いますね。銀行から自動引き落としにする人は、アメリカでは非常に少ないんですよ。これは銀行を基本的に余り信用していないからで、日本の場合は銀行を信用しているから、私なんかも、こう言ってはあれですけれども、余り銀行の通帳なんか見たことがないような、勝手に引き落とされて、それはもう間違いがないだろうというもとで任せているわけですよ。
 その決済システムの信用そのものをあなたは壊したのですよ。そういう自覚が全然ないじゃないですか。二百五十万のがちょっとずれただけだと。ちょっとずれたことだって、振り込みが一日おくれたらつぶれる企業だってあるんですよ。今現在は出ていないかもしれないけれども、あなたはないというふうに、そんなこと断言できないでしょう。どういう認識なんですか、一体。国民に何の迷惑もかけていないと思っているんですか、あなたは。
前田参考人 まことに申しわけございません。説明の仕方が非常に不十分で、適切でない説明でございました。まことに恐縮でございます。実害がないといったお話の仕方は大変ミスリードいたしまして、申しわけございません。もともと、大変に御迷惑をおかけいたしております。それから、銀行のシステムで、二重に落とすということ自体が信用をまず落としたということを我々も十分自覚いたしております。
 それで、それをもちろん訂正させていただきますが、そういう意味で信用そのものをなくしたということについては、私も銀行に入って三十何年になりますが、私どももこのように預金の残高がおかしいとかいう事態になったのは初めてでございまして、それは一刻も早く復旧させていただきたいと思います。
 失った信用は大きいのでございますが、ここは大変恐縮でございますが、必死で頑張りますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
生方委員 大体、初期の対応からおかしいですよね。四月一日にトラブルが発生したのに、記者会見をやったのが五日で、記者会見にあなたは大体出ていないですよね。社長が出るのが当たり前の話のところを専務に任せて、やっと今ここで皆さんの前に出てきたわけでしょう。危機意識が何か鈍いんじゃないですか。どうして出なかったのですか。あなたは当然記者会見に出てくる責任があるでしょう。
前田参考人 大変恐縮でございます。
 私は、三月の土日から、当然、移行対策本部の本部長をやっておりまして、すべての移行がうまくいったかどうかを含めてずっとモニターしてまいりました。
 四月一日につきましても、オンラインが稼働したかどうかというのを朝からずっと確認しまして、大変恐縮ですが、その時点で、やっとつながって動き出したという状態で、その時点で実は先ほど申し上げましたATMのトラブルが発生いたしまして、どういう事態でどういう原因で起こったかというのを確認するのに、もちろん簡単にすぐわかる話じゃございませんで、原因追求とそれから復旧優先をさせていただきました関係で、原因がわかりましたのが一日の夜でございます。
 そういうことで、会見等をいきなりできなかったのはまことに申しわけないんですが、これだけの大量の処理を行っておりますので、復旧最優先ということで陣頭指揮をとらせていただきましたので、おわびする部分につきましては時間がおくれたということでございます。私、決してだれかかわりに行けと言ったわけではございませんで、事態を正確につかんで、どの部分がとまっているかというのを判断するのに結構時間がかかりました。
 率直に申し上げまして、かなりの初日の混乱がございましたので、それから、あわせて口座振替の方もトラブルが起こりまして、同時に起こったものですから、大変恐縮ですが、一日、二日の段階で、何件、どういう形になったかというのが正確にわからない状態が発生いたしました。今であれば何件と言えるんですけれども、その時点では全くわからない状態が起こったものですから、かえって不正確なことを申し上げますと混乱に輪をかけますので、おしかりを十分承知しながら、ちょっと時間がかかってしまったということでございます。おわび申し上げます。
生方委員 危機管理のイロハのイがなっていないんじゃないですか。まず情報を公開することが先なんですよ。ATMが落ちなかったら、どうしたんだろうとみんな疑問に思っているのを二日も三日も放置しておく方が、よっぽど不安を増長させるんですよ。こういう事態が起こりました、何件起こりました、今原因は調査中ですというのをまず会見で明らかにして、これこれこういう原因がとりあえずは考えられますので、ここを今点検しているということをまずアナウンスするのが危機管理の一歩でしょう。延ばせば延ばすほど不安は増長されていくんですよ。
 我々だって、銀行へ行って、用がなくて銀行に行く人はいないんですからね。銀行へ行って用が果たせなかったら、もう一回行くしかないということをやらなきゃいけないとき、何の説明もなかったら、この銀行は一体何を考えているんだろうということになるんじゃないですか。
 だから、あなたがおっしゃっていることは、原因を把握するまで表にしゃべらなかったというのは、逆に言えば、内向きの対処ばかり急いで顧客を軽視したということになるんじゃないんですか。それが一番の大きい原因なんじゃないですか。いかがですか。
前田参考人 いろいろおしかりを受けておりますが、大変恐縮ですが、事態を正確に把握して復旧優先と申し上げましたのは、オンラインそのものをとめるというのは大変な大事故で、銀行の機能そのものをとめるということでございまして、これが、要するに片方がトラブルが起こったという事態でございましたので、復旧優先と申し上げたわけでございます。
 私ども、決してお客様を軽視したということではございませんで、システムを直すということが、最優先で直すということがお客様に対するまず最初の信用回復でございます。とめたままにするというのは異常な事態でございますので、もちろんシステム部門のどこが悪いかというのを含めて、直ちにそういう手当てをさせていただいたということでございます。本当に申しわけございませんでした。
生方委員 そうすると、社長は今のは、対応は間違えていなかったというふうにお考えなんですね。システムを直すのがまず第一で、顧客に対する説明はその後でいいという考え方が変わっていないということなんですね。だから、次にこういうことが起こっても、また同じような対応をとるということでいいんですか。
前田参考人 いや、大変恐縮です。そのように私は思っているわけではございませんで、今回の対応につきましては、対応のおくれが、発表のおくれがあったことはそのとおりだと思います。同じことを二度と起こさないように努力いたします。
生方委員 ちゃんと答えてください。あなた、オンラインシステムをとめるのは大変なことですよ、だからそれは復旧に手をかけなきゃいけないのは当たり前の話で、それはそれの専門家がいるわけですよ。
 あなたのところは日本一大きい銀行になったわけでしょう。三千万という総合口座があるわけですよ。その方たちにまず最初に説明するのが危機管理の第一歩じゃないかと私は思うんですが、そうは思わないんですかという、それだけです。いかがですか。
前田参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。事実として機械がとまったときに、何でとまったかというのを発表しなかったことにつきましては、まことに恐縮です。そういう意味では、初期の広報対応が手おくれになったということをおわび申し上げます。
生方委員 話をちょっと変えますけれども、システムの統合ということでは、UFJが一月にスタートしたときに同じようなトラブルがありましたね。あれだって巨大な銀行が二つ結びついたわけですから、トラブルが起こって仕方がないという部分もあったかもしれない。だけれども、それを受けて四月ということであれば、慎重が上にも慎重を期さなければいけないはずですね。
 新聞でこの間いろいろ報道されましたが、内部の旧一勧と富士と旧興銀のシステムそのものが全部違っていた、そのシステム同士の争いがあったんではないかというようなことも報じられているんですけれども、そうした内部のいわば三行の中の不協和音が今度のシステムトラブルにつながったという指摘もされておるんですけれども、参考人としてはどういうふうにお考えになっていますか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 このシステムをどこの銀行が分担して開発するかということにつきましては、一昨年の十二月に既に分担が決まりまして、それぞれの分野で責任を持ってやるということが決まりましたので、それから以降はずっとその進捗度合いを見てまいりました。そういう意味で、三行間でシステムをめぐってトラブルがあったとかそういうことは一切ございません。整々と設計をして運用して、リレーコンピューター等すべてが計画どおりでき上がっております。
 むしろ問題は、先ほど申し上げましたように、実際の運用のやり方につきまして、かなりシミュレーションをやりましたが、それが大変下手であったということでございます。
生方委員 そう言われちゃえばそれまでなんでしょうけれども。シミュレーションをやって役に立たないんなら、シミュレーションをやってもしようがないわけですね。それで、事前にそういう事例があるわけですよ。
 特に、四月一日というのは、御承知のように年度末ですね。(発言する者あり)年度初めと年度末が重なるわけですね。だから、とりわけ取引量が多いということは、これはもともとわかっているわけですよ。その日をあえて合併のスタートの日というふうに選んだのであれば、コメントの一つとして、思わぬ取引量が集中したからだというようなコメントもしておりますけれども、それこそさっきおっしゃったように三十年もやっているのであれば、何日が一番取引量が多いかぐらいだれだって知っているわけでしょう。その一番多い日を選んで合併をしたのであれば、こういうトラブルが起こるかもしれぬと、慎重が上にも慎重を期するのが当たり前でしょう。それを、何かシミュレーションがうまくいかなかったからというだけでは、これから先だってまだどういう事態が起こるかわかりませんよ。あすは五十日ですから、十日ですから、やはりある程度の取引が集中するわけですよ。
 それで、システムというのは、全体がどういうものであるのか、我々はブラックボックスでわからないんですね。中がどうなっているのかわからないから不安が不安を呼ぶんですよ。今の時点ではうまくいっているかもしれぬけれども、社長のお話を聞いていれば、後でまたどんな事態が起こるかわからないということもあり得るわけでしょう。今は、今のところはとりあえずトラブルが起こったのは修復ができたけれども、これからまた先、どんなトラブルが起こらないかわからないという状況なんじゃないんですか。
 だから私は、ここは本当に、決済システムそのものの信用の問題ですから、オンラインをとめるのは大変だということもよくわかりますけれども、二度と起こらないためには、私は、ここは三日や四日休んで、徹底的に点検をして、こういうトラブルが二度と起こらないというような措置も考えるべきだというふうに考えていますが、いかがですか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 休んで修理せよということでございますが、この点につきましては、原因がリレーコンピューターの不都合というのは特定できまして、既にそこは修復いたしておりますので、オンライン系が、要するにキャッシュが出ないというような事態が、またあした、あさって、来週も起こるかと言われますと、それは確率的には非常に低くなっているということは申し上げることはできると思います。
 もともとの我々三行が持っておりますコンピューターシステムそのものに不都合があるわけでございませんで、接続するシステムにつきましての一部の部分のバグがあったのは確かでございますが、そこは修復いたしておりますので、全部がとまるということはございません。その点は御理解いただきたいと思います。
生方委員 前田参考人がどの程度そのシステムにお詳しいかわかりませんけれども、わからないわけでしょう、現実のところは。実際、リレーコンピューターがまずかったというのはわかったとしても、そのほかのシステムが万全かどうかなんというのはわからないわけでしょう。だから、わからないわけですから、これはもう二度と起こらないなんてことは言えないわけでしょう。オンラインがとまる可能性は極めて低いなんてことは言えないわけですよ。
 これから先、また来年か何かにもう一回コンピューターを統合するようなことを行うということもちょっと新聞に出ておりましたけれども、同じことがまた起こるんじゃないですか、そんな認識じゃ。
前田参考人 ただいまの御質問でございますが、新しいシステムを、もちろん、この先の統合をさらに合理化するために新しいシステムをつくりまして、さらに効率化をいたしますが、新しいシステムに移り変わるときには、新しいシステムを先につくりまして、それに今のシステムを移行するのには、恐らく一年以上かけて移行するというようなスケジュールになると思います。
 これは、一挙に切りかえるということは今までも我々はやったことはありませんし、例えば、支店でいいますと、六百カ店ありますと一カ月に六カ店ずつ移すとか、そういうような移し方で移しますので、全面的にとめて、つけかえて全部きれいにするというようなシステム移行は、余りにリスクがでかくてできません。
 その点につきまして、今回の部分は、システムそのもので全部移行したわけではございませんで、先ほど申し上げましたとおり、リレーをするところの、リレーが不都合でございますので、システム本体のソフトがおかしいとかそういう事態では全くございません。その点はぜひ御理解いただきたいと思います。
生方委員 先ほどに戻って一点だけ確認をしておきたいんですが、総合口座三百万件、いろいろなお取引先があると。あなたたちが思っている実害はなかったということなんですけれども、問い合わせが一万件あったということなんですが、そうすると、そのほかの方たちに対しては、みずほとしては何か手だてを、これからも何もしないというふうに理解をしてよろしいんですね。
前田参考人 手だてをしないかと言われると、そういう意味ではございませんで、私ども、お客様に、失った信用を取り返すためには、新しいサービスを提供するとか、いろいろなことをやらせていただきたいと思っております。これは、起こったことについてはおわびするしかないんですが、この後は、統合した効果をお客様にお返しする形で、何らかの形でお返ししないと、これは我々の銀行は存立し得ないと思っております。
 そういう意味で、起きたことについては深くおわび申し上げますが、お客様に対してはサービスの向上でお返ししたいと思っております。大変恐縮でございますが、ぜひ御理解いただきたいと思います。
生方委員 二〇〇五年に導入予定のBISの新規制では、オペレーショナルリスクというのも入ってくるようになっていますよね。これはもちろん御存じですよね。だから、信用リスクとか市場リスクというのと同時に、同レベルでこういうオペレーショナルリスクというのも国際的には大きく取り上げられているわけですよ。それがスタートの時点からつまずいたということは、本当に、みずほさんだけではなくて、日本の金融システムそのものに対する国際的な信用が落ちた、そういう自覚を持ってこの問題の対処に当たってもらわなければいけないというふうに思っております。
 三行がまとまって巨大な銀行をつくりましたね。視点を変えて質問いたしますが、その目的は何だったんですか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 三年前にこういう三行統合を決断したわけでございますが、これは、私が銀行に入ったころは都市銀行の数は十幾つありまして、それぞれの銀行がしのぎを削ってサービス合戦をしてまいりましたが、ここに参りまして、全体の経済の成長がなくなった段階で、我々といたしましては、お客様にサービスを十分にしていくには、独自でもちろんリストラ等目いっぱいやってまいりましたが、これ以上店舗を減らしますと、要するにサービス拠点が減ります。サービス拠点が減りますと、逆の意味でお客様へのサービスが低下するものでございますので、三行統合というのを決断いたしまして、物すごくたくさんの数のお店を一緒にして、重複したお店は廃止をいたしまして、サービスは落ちない形で、このサービスを続けたい、合理化をしたいということでございます。
 海外につきましても、例えば、私ども単独でもかつては拠点が三十以上あったんですが、リストラをいたしまして、海外の支店を大幅に減らしました。そうすると、国には一つも拠点がないという状態が起こりまして、これは三行同じような状態になりました。それで、そのままにいたしますと、日本から出られておりますお客様が、例えばドイツで取引が全くできないというような事態になります。これはまさにサービスが低下しますので、三行が一緒になりまして、拠点を再統合した上で、合理化もして、サービスも落とさない。その上で、最後はトータルで、行員の数でいいますと五年間で一万人を削減する、そのような計画を立てまして、一生懸命、生き残りたいということでこの統合を決意したわけでございます。
 そういう意味で、お返しするのは、やはりサービスの改善、それから収益力をつけて株主にお返しする、それから、もちろん公的資金も一刻も早くお返しするというのが私どもの最大の課題だと思っております。
生方委員 塩川大臣が、どうも野党は新聞ばかり見て質問しているというふうに言って、町へ出ろという声もあったので、きょう私も町へ行ってまいりました。
 麹町に行ったら、麹町の交差点のところ、みずほさんが二つ並んでいるんですね。こっちと、隣一軒あるだけで、二軒あるんですよ。二軒、行くのに五十メーターもないんですよ。少なくとも、効率化をするというんであれば、あの二つぐらいが一緒になっていなければ、何か、何のために一緒になったんですかということになると思って、私は本当にびっくりしましたよ。まさか、どっちか一個は閉じているんだろうと思ったら、同じように、同じ人間が張りついて同じATMを動かしているんですよ。これがどうして効率化になるんですか、そんなの。
 だから、結局、内部でもともとの自分の島を守りたいという意識が優先していて、三行が一緒にはなったけれども、まさに大臣がおっしゃったように、ずうたいが大きくなっただけで中身は空っぽだというふうに大臣は批判しておりましたけれども、そういうことなんじゃないんですか。何であんな二つすらが一緒にならないんですか。私はたまたま麹町を見ただけですけれども、きっと恐らくほかもあると思うんですよ、そういうことが。
前田参考人 おっしゃるとおり、私も重複しているお店がたくさんあるのはよく存じております。海外も同じ状態でございまして、これは一刻も早く統合しようということで、百カ店以上を統合する計画を既に考えております。
 ただ、何で三月前にやらなかったのかと言われますと、実は、三月までは三行がばらばらにありましたので、三行を、例えば麹町支店を、第一勧銀さんのを富士銀行に移すとか、これは、統合、再編、分割する前にこれをやるのは実は大変難しい問題がございまして、お客さんとの関係も物すごく難しくなりますので、統合再編が終わった四月一日以降に速やかにやろうということで、当初からここで統合効果を出すという計画でございます。これはちょっとお時間をいただきたいと思います。
 いずれにしても、統廃合するのが目的の統合でございますので、これをやらずして行員の削減等もできません。それから、経費の削減もできません。システム費用の削減もできません。これは私ども、責任を持ってここをやるという決意でございます。ぜひ御理解いただきたいと思います。
生方委員 その難しいというのは、法律上の規制があるとかということなんですか。何が難しいんですか。
前田参考人 お答えいたします。
 先ほどの例で申し上げますと、例えば、第一勧銀にお取引のあるお客さんが三月におられます。それから、富士銀行の麹町にお取引があるお客さんがおられます。三月以前の段階で、麹町にある第一勧銀のお客様は富士銀行に全部移ってくださいということをしますと、個別にお客様の御了解をいただいて、すべてのお取引関係を解約もしくは新規に、要するに物すごい数の口座を開設し直す、そういうお客様に物すごい不便をかけるような手続しか合併、統合前にはできないのでございまして、この点が私申し上げた、まことに申しわけないんですが、統合した後でないとできない、そういう意味でございます。
 一個一個のお客さんにお取引の関係を解消した上で新たに引っ越していただく、そういう作業が必要だということでございます。まとめてその店舗ごと渡すということはできません。
 以上でございます。
生方委員 最後に、これだけの事件が起こったわけですね。関係したというか迷惑を受けた数はかなりに上って、さっき申し上げましたように、日本の金融システムそのものの信用を失墜させたということが今度の事態だと思うんですが、社長としてはどのように責任をおとりになるつもりですか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 私も四月一日から社長になったばかりでございまして、まことに恐縮ですが、本件につきましては、私も、そうはいっても前から経営陣にいましたので、起こった原因につきましては十分に調査いたしまして、再発防止をいたしまして、当然しかるべく、その責任の有無につきましては、必要なことはやらせていただきたいと思います。
 もうちょっと、原因等も完璧にわかっておりません。再発防止につきましても、今ちょっとやっている最中でございますので、ここはしばらくお時間をいただきたいと思います。私どもは、適正なことをやらせていただきたいと思います。
生方委員 認識が、やや普通の国民の認識と私はずれているような気がいたしますよね。銀行といえば、みんな一番信用ができるというふうに思っているところが、そこの信用を失墜させたということですからね。そこら辺は、やはりみずほさんだけの問題じゃないということで、きちんとした、新たな体制をつくるとかいう形をとってもらわないと、日本の金融界全体にとっても私は非常にマイナスだと思うということだけつけ加えておきます。
 柳澤金融担当大臣にお伺いしたいんですが、金融機関には各公的資金がたくさん入っているわけで、銀行のきちんとした管理をやっていると。当然、四月一日からこういう巨大な銀行がスタートをするということで注目をなさっていたと思うんですが、こういう事態が起こったことを、率直に大臣として、今どんなふうに感想を持っておられますか。
柳澤国務大臣 四月の一日にこのような銀行の統合が現実のものになりまして、その際最も重要なのはお客さんとの関係、顧客の関係だろう、このように思っておりました。先ほども申したことでございますけれども、そういう中でこうしたトラブルが起こったということは本当に遺憾千万なことである、こういうように考えておりまして、私どもとしても、事態を正確に把握するということのために、銀行法二十四条に基づく報告を徴しているところでございます。
 これは、期限があすということで、あした報告をいただくわけでございますけれども、今の状況ですと、必ずしもすべてが解明された報告ということにはなりにくいのではないかとも思っておりまして、そうした場合には、それの補完の報告というのも、順次説明を受けながらこれを求めていかなければならない、こういうことを考えております。
 そうして、事態をはっきり把握したところで、さて、それではどのような措置を講ずるか、講ずるべきであるか、これを、その後においてそれを踏まえて考えてまいりたい、このように今思っているところでございます。
生方委員 みずほさんの調査があす出るということで、そこで全部は明らかにはならないだろうと。第二、第三の報告が出てくるんでしょうけれども、私は、最終的に、一行だけでやるんでは限界があるんじゃないか、もっと客観的なものがちょっと調べるというような必要も出てくることもあるんではないかなと。
 金融庁みずからが調査をする、もちろん、みずからといっても、金融庁に専門家がいるわけじゃないでしょうからどこかに委託するのかもしれませんけれども、そういうような外部からの監査というようなものはお考えになっておられますか。
柳澤国務大臣 金融庁に専門家がいないということをもう断じられてしまったんですけれども、実は金融庁にも検査部門にそうした専門家を途中採用しておりまして、それなりの体制を整えているところでございます。
 そういうことに加えまして、私ども、日本銀行とも連絡をとりまして、日本銀行におきましては、システムリスクというものに対しては当然、決済機構の元締めでございますだけに格別の体制をしいておるというように存じておりますので、日本銀行とも連携をとりながら、これらの報告をしっかり読みまして、後のしかるべき措置につなげてまいりたい。現在のところは、そのように考えております。
生方委員 これはたまたまなんでしょうけれども、日銀考査に今度からシステムの安全性というのが取り入れられるようになったということですよね、今年度から。それはしっかりやっていただきたいと思います。
 また、これからもまた大型合併、きょうも新聞にも報じられていましたように、まだあるわけですよね。そのとき、こういうシステムリスクが起こらないためのどういう指導というのをこれからなさっていくのか、それが一点と、これは今の時点では断言はできないんでしょうけれども、その結果次第によっては業務改善命令というのは出すつもりがあるのかどうか、その二点をお伺いしたいと思います。
柳澤国務大臣 これまでも、システムの統合、今、前田社長がたびたび言っておったリレーの方式を採用したということですけれども、我々のいろいろなマニュアルにも、実はそのあたりのチェックというものは既に盛り込まれております。
 例えば、検査マニュアルでは、テストを十分にやったかというところも実はチェックポイントになっているわけでございまして、そうしたことについて格別の配慮を計らっていくということを、今後は格段これを充実していかなきゃならないということを働きかけていく、こういうことになろうと思います。つまり、テストの時間あるいは態様というものを本当に十二分にとってもらう。別に、今すぐそれが不十分といったわけではないんですけれども、恐らくそうしたことが大事だろう、このように考えております。
 後段の業務改善命令につきましては、私ども、先ほど申しましたように、二十四条の報告というものをしっかり読みまして、適切な措置を講じていかなきゃならないと考えておりまして、その中には当然そうしたことも排除されているわけではない、こういうことをここで申し上げさせていただきます。
生方委員 塩川大臣にお伺いしたいんですけれども、塩川大臣のコメントで、ずうたいが大きくなっただけで中身が空っぽなんじゃないかというコメントがあって、これは新聞ですから必ずしもそう言ったとは限りませんけれども、とにかく、大きいところが三つでまたさらに大きくなるわけですね。その三つの中の意思がきちんと疎通できて統合の効果が出てくればいいんですけれども、ただ単に三つくっついただけでは、一足す一足す一が三になったのが、だんだん一足す一足す一が二とか一になってしまうだけで、効果は出ないと思うんですね。
 やはり相乗効果を発揮するためには三行の融和みたいなものがなきゃいけない。そういうものがきっとうまく機能していなかったのが、たまたまシステムというものに私はあらわれてきてしまったのではないかなというふうに考えておるんですけれども、塩川大臣、いかがでございましょうか。
塩川国務大臣 私は、今回のホールディングスの事故を見まして二つのことを考えたのですが、一つは、やはり日本人はこういう機械のシステム化というものは弱いんだなと思いまして、機械になれていないんでしょうか、どうも弱い、それが出てきたんではないかと思っております。したがって、この信用回復のために、全力を挙げて早急に努力してもらいたいと思っております。
 しかし、とはいっても、やはり文明の利器は十分に使いこなしていかなきゃならぬと思いますので、将来、教育の面においても、銀行教育の中でこういうことも非常に大事なことだろうと思っておりまして、これが一つの感じであります。
 それからもう一つは、合併の効果というものをできるだけ早く出してもらいたいと思うんです。私の家のすぐ横でございますけれども、そこでも大きい銀行二つ合併いたしましたんですが、二軒並んでどっちも昔の銀行がそのまま残っておるんですね。だから、そういうのをやはりできるだけ早く、銀行さんのおっしゃるのは、それはお客さんがなじんでそこと取引しておられますから、あんたのところはこっちに変わってんかと言うたってそう簡単にいかないんだろうと思いますけれども、その努力もあわせて早急にやっていただかないと、これだけの大きい変革をしておられるときでございますから、努力も大変でしょうけれども、国民はその合理化によって金融機関に大きい効果を期待しておるんですから、それもあわせてやってもらいたいなと思っておるところであります。
生方委員 システム開発が弱いということで、新金融商品なんかはほとんどソフトの技術者というのがつくるようになっていて、日本がそれに非常におくれてしまったというのがあることはあると思うんですけれども、ただ、オンラインシステムそのものは、全銀システムを初めとして日本は非常に早くからそういうものに取り組んできて、少なくともそこの面の信頼性だけは非常にあったわけですよね。今度はそこすらだめになっているというと、日本の金融機関の競争力そのものがもう根本から弱まってしまっているんじゃないか。
 合併全体に私は反対するものじゃないですけれども、ただ合併をさせればいいというんじゃなくて、合併を余りに急ぎ過ぎていて、その実というものがやはりちょっと、大臣がおっしゃるように空っぽになりつつあるんじゃないか。だから、もう少し合併のやり方というのも、今前田参考人が言ったみたいに、本当に合併してからじゃなきゃ支店も統合できないというんじゃ、その間何年間かは全くむだなことをやっていなきゃいけないというような、合併の仕方そのものも少し考えないかぬ時期に来ているんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでございましょうか。
塩川国務大臣 それは銀行それぞれに歴史がございますし、また顧客との間で非常に密接な関係を維持しておりますので、一遍にはなかなかいきにくいだろうけれども、おっしゃるように、あらかじめ、合併いたしましたらこうなりますよということぐらいの理解は、事前に了解を得ながら合併を進めていく、そういうことのいわゆるコミュニケーションが十分にとられていないというふうな感じが私はしております。地元におりまして見ていましても、何か同じような店が依然として同じようにやっていますので、これはいつどうなるのかなと関心を持って見ておるようなところでございまして、競争だけじゃなくして、お客さんとのコミュニケーションというものをもっと密接に、ひとつ大事にしてもらいたいと思います。
生方委員 今度のトラブルを見ても、結局、責任の所在というのが非常に今あいまいなんじゃないかということと、リーダーシップが発揮できていないんじゃないか。三つが結びついたけれども、ABCはABCのままで、結局ABCが異なったDになっていなかったというところに大きな問題があるので、これから先も、そのABCがABCのままやったんじゃ何の意味もないわけです。国だって省庁統合をやったわけですから、大きな省庁ができて、まあそれはある程度の時間がたっていかないと三つとか四つが結びついた相乗効果というのは出てこないかもしれませんけれども、それをきちんと出すためには、リーダーシップを発揮してもらって、責任体制を明らかにするということが大事だということを申し上げて、この件に関する質問は終わらせていただきます。
 もう一点、きょうの法案の審議について一点だけお伺いさせていただきます。
 本人確認をテロリストの送金や資金集めを防止するために行うということで、本人確認のためにいろいろな、保険証とか免許証とかそれからパスポートとかいうものを確認して本人であるかどうかを確認するという作業を行うということなんですけれども、私考えるに、本当にテロリストが資金を集めようというふうに考えれば、それは当然、世界じゅうを飛び回る方たちですからパスポートを偽造することぐらい簡単でしょうし、免許証を偽造することぐらい簡単で、本人確認をやるということであればそういうものを使う可能性があるんじゃないか。そういう偽造かどうかというのをまた確認するということになると、今度は窓口で非常に時間がかかってしまって、実際そんなことはやっていられないということで、これをやったとしても、本当にテロリストの送金の防止ということには残念ながらつながらないんじゃないかなという懸念を持っているんですけれども、財務大臣、いかがでございますか。
柳澤国務大臣 今度の、本人確認の手段を公的書類によるものにするというようなことを講じているわけでございますけれども、それからまた同時に顧客側への規制として、虚偽申告、虚偽告知を罰則等をもって担保する、そういうことがないように担保するということにいたしておりますが、事実問題として、ではそれが一体どれだけの効果を上げるのかという角度からの御質問でございます。
 これにつきましては、私どもこれで万全だというようなことを言うつもりはないのでございますけれども、やはり、この法律の考え方というものは、そういうものをすべて証拠として七年間残しておく、それで後に問題が顕在化したときにそのことを一々トレースできるようにしておく、そういうことで実際の捜査なりなんなりの役に立つようにする、こういうことでございまして、確かに、最初の開設とかいうところで、一発、すぐテロリストを挙げることができるというふうにいけば、それはそれにこしたことはないんですけれども、一つはそういうことをなかなかしがたくするという牽制の意味と、記録を保存することによって捜査が後に便利に展開する、こういうことも私ども考えていることを御理解賜りたいと思います。
生方委員 わかりました。これで質問を終わります。
坂本委員長 次に、佐藤観樹君。
佐藤(観)委員 きょうは、せっかく前田社長にお越しをいただきましたので、大変な問題になっておりますみずほの問題について、若干お伺いをいたします。
 一つは、これは設計ミスあるいはバックアップミス、そもそも扱う想定量が小さ過ぎたのではないか、その辺のところはどう見ているんだろうか。
 この前テレビを見ていましたら、ちょっと私、おたくのどなただか知らないんだけれども、いや、四月の一日はペイオフの解禁があり、四月の一日というかわる時期があり、それから、日本一の銀行ができるものだから四月一日に処理をしようとか、いろいろな要素を言っておられて、したがって思った以上に量がふえたということを言っておられました。はあ随分のんびりしたことを言っているんだなと。生方さんじゃないけれども、そんなことは初めから本来なら想定してやるべきであるし、何かあったらすぐちゃんとバックアップ体制というのができるようにしておくのが当然なんだけれども、その辺のところはなされていなかったんじゃないか。
 これは、私も若干コンピューターの専門家に聞いてきたんですけれども、今までは、電力会社なりクレジット会社が振替を求めるデータを毎月送りますわね。今度の場合には、一度みずほに預けて、旧の富士と旧の第一勧銀にそれを分けなきゃいかぬ、こういうシステムになっているものですからこういう事故が起きたんではないかと言う方もいる。つまり、したがってバックアップ体制なり全体の量というものの想定が誤ったんではないだろうかということをこのコンピューターの専門家の方は言うのでありますが、その点については、社長はどういうふうに考えておられますか。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
前田参考人 お答え申し上げます。
 今お手元に資料でお配りしていますので、縦長で、一番左上に「百貨店他」とか書いてありまして、真ん中に第一勧銀コンピューターという絵がございます。この絵をちょっとごらんいただきたいんです。
 この絵で、今先生おっしゃいましたコンピューターの容量の点でございますが、それぞれの銀行のコンピューターの容量は、今まで事務処理をするに十分以上の大きさのコンピューター容量を持っておりまして、もちろんピーク対応の設定になっております。それで、リレーコンピューター一というのが左側にございます。ここが第一勧銀と富士銀行をつなぐ、一番ボリュームのでかいところをつなぐリレーコンピューターでございまして、もちろん、ここを流れる取引量も当初の設計以上に、倍以上に収容できるような設計をして、こういうリレーコンピューターを開発したわけでございます。
 ところが、ここの部分に、キャパシティーは倍にしたんですけれども、そこが順調に流れなかったというのが、四月一日の日の、システム片方がとまったといいますか、相互に、自由に引き出し等ができなくなったという原因でございまして、ここは容量は既に倍以上になっておりますので、その流れ方が悪くなった部分を修正して、現在は普通に流れているということでございます。
 それから、もう一点の口座振替は全く別のことでございまして、これは横長の「口座振替サービスのしくみ」という絵をちょっとごらんいただきたいんですが、この右側に、今申し上げました口座振替に絡む部分がございまして、今先生御指摘の二つの銀行、左側がみずほ銀行でございまして、右側がみずほコーポレート銀行でございます。それぞれが、この真ん中に点線で事務センターと書いてありまして、ここの部分で事務処理をして、最後にお客さんに返す、そういう、この三段の部分が今回統合に伴いまして部分的に経路が変わった部分でございます。
 その一番上に請求データの振り分けというのがございまして、ここに、左側にSTEPSという振り分け、右側にITISという振り分けがございまして、ここでそれぞれお客さんから受けたデータを振り分けた上で、それぞれの銀行のシステムで処理して、さらに集計した上でお客さんに返す。これは二つあった銀行を一つにしたということでございますので、当然お客様は一つに集約されますので、お客様に集約してお返しする、こういう体制をとったわけでございます。
 そういう意味で、上の振り分けシステムと下の改めて集計するシステムのところ、これも当然ボリュームを、倍来るのはわかっておりますのでそういう体制でやったんですが、ここの運営が非常にうまくいかなかった。それから、この振り分けそのものがトラブルを起こした。この二つの要因がございまして、口座振替に関しては大量の遅延が発生したということでございます。
 真ん中にあります口座引き落とし処理という、STEPS、TOP、ITIS、ここの部分はもともと引き落としをやっている部分でございますので、ここにデータが渡れば、そのまま今までやったとおりのことをやればいいということでございます。入り口と出口で経路を変更した、これは銀行を二つにしたものですから変更せざるを得ないんですが、この部分につきまして、ふなれを含めてトラブルが発生して、二百五十万件の残高になって、ただいま現在十五万件、今そういうお話でございます。
 ここのTOPそれからSTEPSの処理能力は、一日に百万件くらいの処理能力は十分ありますので、これは従来どおりやっておりましたが、入り口と出口のところを経路を変えて新しい形で集約して送る、こういうシステムにした部分が、大変申しわけないんですが、トラブルを起こしてお客様に迷惑をかけた、物すごくおかけした、それから、委託者の方にも迷惑をおかけしたというその原因でございます。
 以上でございます。
佐藤(観)委員 お伺いしますけれども、全体的にやってみるという試みというのは、一体、二年間あった、こう言われますけれども、何回やられたんですか。
前田参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。
 このシステムそのものをつくって、テスト等はずうっと、もちろん、先ほど申し上げましたとおり、運用のテストをやりましたが、本番で実際に流してやったのは今回が初めてでございます。そういう意味で、テストデータで引き落とすということは実際にはできないものですから、そういう意味でふなれがあったということでございます。
佐藤(観)委員 大抵、これだけ大きなことをやるには、お客様の大事な財産を預かっているわけですから、何度か全体のこういうテストを、時間的に、どういう時間にやるかということはいろいろあるかと思いますけれども、何度かやってみて、やってみたって何か起こるかもしれないですね、こういうことというのは。やってみるというのが普通ではないかと思いますけれども、それだけのことをやる時間がなかったということなんでしょうか。
 あわせまして、聞くところによりますと、社内では、四月一日合併するのは無理じゃないか、これはシステムとしてはそのままにしておいて、会社として合併するということにした方がいいという意見がかなりあったようでありますけれども、経営側はそれを押し切ったということも言われておりますが、その点はいかがでございますか。
前田参考人 お答え申し上げます。
 テストの点についてやや重複いたしますが、テストは、三月三十、三十一日でテストをしたわけではございませんで、これは本番の移行でございまして、今回の統合に関しましてのテストにつきましては、二〇〇一年六月に統合のためのシステム設計、開発を終わりまして、ここから実際に準備を始めたわけでございます。
 二〇〇一年の七月から八月にかけまして、統合のテストを実施いたしました。このテストは、預金取引、貸出取引など、それぞれのプログラムが正しく結合し、機能しているかどうかをテストしたものでございます。
 次に、二〇〇一年の九月から十一月にかけまして、システムテストを実施いたしております。これは、先ほどから申し上げております三つの銀行のシステムをリレーコンピューターで接続いたしておりますが、この仕組みが適切に機能しているかどうかということをテストしたわけでございます。
 さらに、二〇〇一年、昨年の十二月からことしの三月、直前までに、運用テスト、それから移行リハーサルというのを何度も実施いたしました。これは、実際に移行するのに本当にこれがうまく移行できるのか、それから、システム運用が、要するに実体として切りかえが行われるのか、それから機械がちゃんと立ち上がるのか、そういうテストをやったものでございます。
 それから、三月三十日、三十一日につきましては、これはもう移行日そのものでございまして、個別のテストではございませんで、実際に持っております、各銀行、三行の持っておりますデータを、三月二十九日が実質月末でございます、ここで一回締めまして、勘定を全部締めた後で、三行のデータを分解いたしまして、それぞれの、二つの銀行にまとめてデータを送信して、組みかえて、それで二つの銀行につくり上げる、そういう作業を三月三十日、三十一日にやりまして、それで、新しい体制になったところで、このオンラインを四月の一日の朝に実際に動くかどうかテストをいたしまして、八時から実際のサービスを提供した、これがテストと実際の運用をどうやったかということでございます。
 先生おっしゃいました、実際に口座振替を落としてみろという点は、実は、実際にお客さんから百万件を落としてみるという実験は、大変恐縮ですが、これは申しわけないんですが、できないんですが、それは、さっき絵でごらんいただきましたとおり、データが適正にチェックがされて、そのまま引き落としができる状態であれば、今は、そこは機械をかえたわけではございませんので、自動的に処理ができるシステムそのものが残っておりますので、この部分はテストは要りません。ただ、入り口と出口の経路を変えた部分の、ここの処理がうまくいかなかったということで、今回のトラブルの原因になっております。
 そういう意味で、大変恐縮ですが、テストと、それから実体の運用の部分につきましては、想定されることはすべてやったんですが、本番でやってみて、現実にはリレーコンピューターの不都合が一件起こったということと、それから、口座振替につきましては、運用のやり方がうまくなくてうまく引き落とせなかった、ストレートに還元データまで処理できるところまでいかなくて在庫が出たということでございます。それが、今申し上げましたとおり、本日現在ですと十五万件ぐらい残っておりますが、これは何とか解消、要するに今週中には正常に解消をしたいと思っております。
 以上でございます。
佐藤(観)委員 聞いていた方もわかると思いますが、部分部分はみんなうまくいったんだ、最後にまとめてみたらうまくいかなかった、社長の御説明はそういうことですよね。どうもそのあたりが納得できないところがあるのでありますが、時間がありませんから先に行きますが、一つは、先ほど生方議員も言われましたけれども、まず個人のお客さん、クレジットカードとかあるいは住宅ローンとか、引き落としが毎月毎月あるわけですね。社長は先ほど全然被害者は出ていないというようなことを言われたけれども、この定期日に落ちないと延滞金その他が発生する場合があり得ますよね。この延滞金その他は、当然のことながら、みずほさんで持ってくださる、顧客は安心してください、こういうことになりますね。
前田参考人 ちょっと先ほどの説明は非常に不適切で申しわけございません。実害がなかったというのは大変に不適切な言い方でございましたので訂正させていただきますが、おっしゃるように、カード代金で期日のとおりに落ちないと、もちろんお客様に迷惑がかかります、延滞金が出たり。それから、例えば公共料金で引き落としができないと、電気、ガスがとまるとか、そういう事態が常に起こるわけでございまして、この点につきましては、そのようなことがないように私どもは処理をさせていただきたいと思っております。具体的には、例えば五日に落とすものであれば五日付で落とすような手続をさせていただきたい。
 それで、今度は収納側との関係は、収納側は、例えば五日に引き落としますと二日後にお支払いするとか、そういう契約に普通はなっておりますので、その時点でお支払いして、収納先との関係でもそういう問題が起こらないような手当てをもちろん全力でやらせていただきます。利用者の方に御迷惑をおかけするようなことは、当然のことながらできないと思っております。
 以上でございます。
佐藤(観)委員 先ほど生方議員も言われたけれども、あしたは五十日という、また決済するのには一番大きなときですよね。それで、例えばあした落ちることになっているものというのは、今の社長の御説明というのは、手作業で調べるんですか、あした落とすものなどは。それは、十日のものは十日でちゃんとコンピューターでずらっと出てきて、するんですか。そして、本当に落ちているかどうかというのは、おたくの方で確認ということをなさるんですか。
前田参考人 手続についてお答え申し上げますと、普通、大量の口座引き落としでございますので、事前にデータをいただきまして、それを事前、要するに夜中に引き落としをした上で、朝の営業が始まります。例えば十日の分ですと、要するに十日の夜中にすべての引き落としが終わっていまして、十日の九時なら九時が始まりますと、お客さんからは既に落ちております。例えば残高が不足しておりますと、今度は夕方に改めてもう一回落ちてない部分を落として、それで、十日の分で約束どおり落ちた部分は幾らですというのを集計いたしまして、これである意味ではデータを確定いたしまして、次の日もしくは次の二日後に収納先に金額を確定した上でお返しし、それから落ちなかったお客さんの明細をすべてまたデータに入れてお返しする、こういう手続をいたしますので、あしたの分は既にきょう事前の処理をする体制に入っておりまして、あしたは十日でございますので、百万件以上の処理を、あらかじめ当然わかっておりますので、処理をする体制になっております。
 以上でございます。
佐藤(観)委員 それで、企業向けですね。これはいついつに落ちるはずだ、その金を今度はこっちへ回してちゃんと決済をするというシステム、当然ある。手形ではありませんから、交換したり何かする手間はないけれども、本来落ちるべきものが落ちてなくて企業がつぶれる場合だって、これはあり得るわけですよね。その点はどうなっておりますか。また、実際には被害は出ていますか。
前田参考人 実際に、お金が入らなくて例えば手形が落ちないとか、そういうことは直接私、今お聞きしておりませんが、ただ、こういう事態になりましたので、みずほ銀行のお取引先担当がお客様のところにいろいろな情報をお届けして、実際に、例えば五日に入る予定のが入らなかったとか、そういうことになりました場合には、実際どうなっておるかというのを個別に誠心誠意対応させていただいております。そのようなことがないように、私どもの大切なお客様でもございますので、私どものために不測の事態になっては、それこそ大変でございます。そういう対応はやっております。
 それから、みずほ銀行におきましては、日曜日に支店長を全部集めまして、お客様優先の対応を最優先でやるということを全支店長に申し伝えております。
 以上でございます。
佐藤(観)委員 そこで、金融大臣にお伺いするんですが、金融庁長官は、そんな、システムがしっかりできていないのに四月一日から合併するという見切り発車なんかしないと。いわば、これはみずほさんの、みずほ銀行の方の不手際、準備不足だということを言われている。こういうことになると、いつも責任はどこかへかぶせようということになるのが一般論でありますが、一般論でありますけれどもそれは別にいたしまして、先ほど、これも生方議員の質問に、こういうシステマチックリスクというんでしょうか、こういうことは十分、今後もそうだけれども、今までも当然みずほに対してもいろいろな注意をしてきたと思うんですね。
 その前、ましてやUFJが、あれは、たしか二重引き落としをして、これほど大きな事件にはならなかったけれども、あれは一回でたしか回収できたと思うのでありますけれども、そんなこともあるわけですから、みずほの問題についても十分注意を払ったと思うのでありますけれども、ここのところは、金融大臣及び金融庁の責任というのはどう考えていらっしゃるんですか。
柳澤国務大臣 今、前田社長のお話をいろいろ聞きながら、だんだん我々も事態がわかってきているということでございますけれども、いずれにせよ、そういうことに加えて、しっかりした書面での報告を求めて、まず何が起こったのか、それからまた、その原因は本当に何なのかということについて、私ども納得のいくような報告をいただいて、しかる後に、委員が言われたような責任の所在というようなことについても考えてまいりたい、このように思っているわけでございます。
佐藤(観)委員 それで、先ほど生方委員の質問に対して、何かあした、金融庁の方は聞くような話であります。ただ、前田社長のお話ですと、ほぼ一週間まだその回復に時間がかかるんじゃないかという話なので、一週間というのは本当かどうか、これはよくわかりませんが、いずれにしろ、あしたその調査をするというのはどういうことでしょうかね。まだ、みずほの方は一週間ぐらい完全にかかると言っておられるのに、あした金融庁が調査するというのは、これは結果的に何にもならないんじゃないかというふうに思うんですが、そこはどうですか。
柳澤国務大臣 このような事態が一日に起こったということで、我々の方は直ちに、これは二十四条報告という書面による報告を求めておるわけでございまして、求めるに当たっては、これは期限をきっちりつけるというのが例でございますので、私どもとしては、十日を期限にしてこの報告徴求を今かけているということでございます。
 先ほど申したように、それなりの報告が出てくるだろうと思いますけれども、今の社長のお話でも、まだこれが過去のものということにはなっていないわけですから、今後とも、十日の報告の補遺、補完をしてもらわなければ事態の解明というものはなかなか明確にはいかないだろう、このように思っておりまして、その明確な事態の把握ということを踏まえて、その次のステップに進んでまいりたい、こう考えているということです。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
佐藤(観)委員 まだまだ問題ありますけれども、法案がかかっている話でございますので、もう時間が余りありませんので、金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案と外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について、残された時間、少々お伺いをいたします。
 それで、三年前ですか、マネーロンダリングの法案でやったのでありますけれども、今度は、使われる金が結果的にテロに使われるかどうかわからないというものについても、この第二条で届け出をしなさい、資金提供及び受領行為についてしなさいというのが最も重要なところでございます。
 そこで、私の得た資料では、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律に基づいて、金融機関から、疑わしい取引の届け出件数というのがございまして、これは金融庁のホームページに出ているのでありますけれども、二〇〇一年が驚くなかれ一万二千三百七十二、二〇〇〇年が七千二百四十二、一九九九年が千五十九、こういう数字が出ているわけですね。
 それで、これは金融庁としては各金融機関から出たものを集計しているわけですが、各金融機関はこの疑わしい取引というのを、どういうケースの場合にこれは金融庁に報告をするということになっているんですか。
原口政府参考人 金融機関は、各取引ごとにその取引相手の属性、年齢ですとか職業、収入等、それから取引の態様、現金であるかとか頻度ですとかその金額、その他業務の過程で把握しております各種情報を総合的に判断して、当該取引が疑わしい取引かどうかを判断しているということでございます。
 ただ、金融庁の方からも、各金融機関に対して、疑わしい取引の判断の参考となる取引類型をまとめました参考事例集を配付しておりまして、金融機関はこういった参考事例集をも参考にしながら疑わしい取引か否かを判断して、疑わしいと考えられるものについて届け出をしていただいているということでございます。
佐藤(観)委員 去年、本委員会で、テロ対策ということで国連から言ってきた、アルカイーダ、オサマ・ビンラディン以下、たしか二百二十一の個人及び団体じゃなかったかと思いますが、このときには名前がはっきりしているわけですね。それがアラビア語と英語と、コンピューターで変えられるかどうかというようなことはあるけれども、とにかく、国連から言ってきて、こういう人のお金については凍結しなさいとか送っちゃいけませんとか、こういうふうにしているわけですね。
 今度の場合は、いわばそういう固定的な指定がないわけですね。そうすると、金融機関というのはどこからそういう情報を、今原口局長が答弁をなさったような、どこからそういう情報を得てチェックできるんだろうか。
 私も、かつて国家公安委員長をやったときに、暴力団対策特別措置法というのがありまして、いわゆる暴対法というのがありまして、これは大変なんですね。三年間、指定するというためには絶えず監視をしていかなきゃならぬということで、なかなか維持をするのは大変なんです。
 この「疑わしい取引の参考事例」の中に、後ろの方に、その他だったかな、「四十二 暴力団員、暴力団関係者等に係る取引」こういうのも入っているわけですね。しかし、まさか警察庁が暴対法に基づいて自分が持っているデータを金融機関に出すということはないと思いますが、ありませんねということが一つと、一体、この法律を実効あらしめるために、そういう情報というのはどういうところから得るのか。それは、突き詰めれば、金融機関が窓口で、簡単に言えばいかがわしいというか、先ほど原口局長がちょっと挙げたような、そういうものに該当しそうだぞというような、いわば人間の勘といいましょうか、手先といいましょうか、これで疑わしい取引というものを調べているんだ、こう思ってよろしいんですか。
原口政府参考人 もちろん、先ほど申し上げましたように、いろいろな客観的な状況を総合的に判断ということでございますけれども、やはり疑わしいということでございますから、ある程度そこに主観的な要素というものも、もちろんあるいはそういう経験的なものというものが加味されるケースもあろうかと思います。
佐藤(観)委員 そこで、これについては、金融庁はたしか特定金融情報室というのを持っていらっしゃると思うんですね。それで、そもそものデータを上げてくる、例えば二〇〇一年の一万二千三百七十二件などという膨大な件数を上げてくるためには、各金融機関もそれなりの人を置いていなきゃならぬと思いますが、そのあたりはどうなっていますか。
原口政府参考人 やはり金融機関の公共性ということもございますので、そういうマネロンの担当者というものは置いていただいているというふうに承知しております。
佐藤(観)委員 僕は、この前の、去年の質問のときに、一体それが金融機関にどのくらい負担がかかることなのかどうなのかということを聞こうと思って、この条約をとってきたら、外務省、三年前の条約がまだできていないといって大げんかになったんでありますが、その辺のところ、これは各金融機関がどのくらいの負担になっていることなのか。やはりこれを実効性あらしめるためにはそのあたりのこともしていかないかぬと思いますが、再度そのことをお伺いします。
原口政府参考人 金融機関そのものの業務を行う、本来の業務を行うに際しましても、やはり日常の業務を通じまして、個別の取引相手について、あるいは一般的な取引の実情についてのさまざまな情報を有しながら、またそれをもとにいろいろな判断をされているということでございますので、今お願いをしている疑わしい取引かどうかということの報告ということがそれほど過大かといいますと、また一方で、今まで疑わしい取引の届け出については、自主的なガイドラインということでございますが、制度の施行から二年間、おおむね円滑に運用されているというふうに承知をしておりますので、そういう面で、過大な負担となっているというふうには考えておりません。
佐藤(観)委員 それから、このマネーロンダリングの防止に関する本人確認の取り扱いに係る全国銀行協会のガイドラインがありますね。これそのものは法律に入っていないわけでありますけれども、今度、政令なり省令には、政令だと思いますが、全銀協がつくった、あるいは証券会社の場合には何と呼んでいますか、これは証券業協会のものもありますけれども、ほぼこれと同じような内容が政令に盛り込まれるというふうに考えておいていいんですか。
原口政府参考人 本人確認の基本的な考え方、スキームとしては従来と同様でございますが、例えば大口の現金の取引の下限でございますとか、あるいは保存期間が今まで五年が七年になるとか、あるいは、これはもう法律事項でございますが罰則がつくといったようなことで、従来よりややそこは内容として、国際条約の関係もありますので、厳格なものといいますか、きちっとしたものにはなりますが、全体的な枠組みとしては従来のガイドラインに沿ったものというふうに考えております。
佐藤(観)委員 それから、各金融機関から疑わしい取引ということで上がってくる、金融庁に上げる、その後、金融庁はそれを全部、どこでしょうか、警視庁でしょうか警察庁でしょうか、上げるんですか。
原口政府参考人 これは、金融庁の担当部局においてまた一定の整理をして、必要と考えられるものを捜査当局に提供しているということでございます。
佐藤(観)委員 それと、もう一つ確認しておきたいんですが、各金融機関が金融庁に上げた、金融庁が今言ったような各捜査機関に上げる。しかし、後から振り返ってみると事件になっているお金がその報告書の中になかった、金融機関から金融庁に上がっていなかったという場合に、銀行は当然のことながら罰則はないんでしょうね。
原口政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、疑わしい取引ということでその届け出義務の対象となるか否かには、判断基準に主観的な要素を含んでおりますので、佐藤議員御存じのように罪刑法定主義という基本的な原則もございますので、届け出義務違反については、組織的犯罪処罰法上は罰則等の制裁は定められていないところでございます。
佐藤(観)委員 大分時間がなくなりましたので、最後に、北方四島のいろいろと疑惑のある建物についての消費税の問題はどうなったかというのをお伺いしたいと思います。
 まず、確認でございますけれども、これはことしの予算委員会の三月五日のときに、消費税については、これは実効支配をしていないところでのことでありますので、消費税は払わなくていいという見解に、詰めて言えばですよ、あと細かいこといろいろありますが、時間がないから詰めて言えば、消費税は払わなくていいということでよろしゅうございますね。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 財務当局の見解によりますと、北方四島における請負工事に関しては、消費税が免除されるということだというふうに理解しております。
佐藤(観)委員 予算委員会で問題になったんですが、平成八年の九月の二十日に北方支援委員会事務局から、こういった北方領土で行う建設工事については消費税を払うんでしょうか、払わないんでしょうかということで、今お話があったような、結論的になっているんですが、そのときに、電話でということと、それから電話を受けたメモがあるということが表明されております。
 したがいまして、この電話の内容及びそれを言ってきた人、電話を受けてそのメモを書いた人、そのメモというのをぜひ出していただきたいと考えますが、いかがでございますか。
谷口副大臣 今佐藤先生がおっしゃった資料につきましては、個人のプライバシーにかかわる問題でございますので、ちょっと提出は難しいというように考えております。
佐藤(観)委員 プライバシーというのはどういう意味ですか。消費税がかかるか、かからないかなんというのは消費税法に基づいてちゃんとあって、国税庁はちゃんと、あるいは主税局はちゃんと見解を持って、何だったらもっと細かくどこにそういうことが書いてあるか言いますけれども、時間がないから言わなかっただけで、何がプライバシーですか。
谷口副大臣 委員会で、委員長の判断で、委員会の理事会で協議していただいて考えたいというように思います。
佐藤(観)委員 何だったらまた私、次回に委員会でやらしていただいて、消費税法のどこにどう書いてあるかということを全部逐一言って、そして、結論は今外務省の方からお話があったようなことになるわけで、それはそんな大げさなものじゃないと思うんですよね。
塩川国務大臣 私は、それを思い出しますと、あの予算委員会のときで、外務省の方からこう答えたと思います。支払ったのか支払っていないのか、込みで支払ったのか、そこがはっきりわかりませんと。それから一方業者の方も、それを税務署に返還したのかも、していないのかもわからぬと。後日これは調べて報告いたします、こうなっていましたね、これ。その報告がないということなんですよね。そういうことなんですね。わかりました。じゃ、これはよく相談して、その点は確かに私も思い出しましたね、そういう質問があったことを。ですから、これは報告をするようにさせます。
佐藤(観)委員 私の記憶では、財務大臣のうちの前の方の、支払ったか支払わないかは定かでないと外務省が言ったというのは、それは恐らくちょっと記憶力のいい財務大臣の記憶違いで、それはちゃんと払っているんですよ、消費税。
 したがって、そういう議論になるといけないから、択捉島のディーゼル発電施設、これは平成十一年九月十六日、落としたのは三井物産で、五億六千九百四十八万ということになっていて、消費税額が二千八百四十五万、こういう数字になっているんです。あと、まだほか二カ所あるんですけれども、払っているんですよ、払っているんです。
 したがって、これは支払ったことを示すものを出してください。相手の会社があるわけですから。これは三井物産に発注しているんですから。消費税込みの、それだけの金額が入っています。
 ただ、問題は、三井物産が消費税を、国に、塩川さんのところに、平成十一年は塩川さんじゃないよね。いずれにしろ、国庫に納めたかどうかは、こいつはわからない。三井物産という名前を出すと失礼だからそれは出しませんが、それはわからない。
 それから、恐らく消費税というのは、もう御承知のように、一件当たりこれは出すわけじゃなくて、トータルで出すでしょう。三カ月に一回ずつトータルで出しますから、このことについて消費税を納めたかどうかわかりませんが、いずれにしろ、今塩川大臣も最後に言われましたように、非常に疑惑があるんです、これには。
 したがって、三カ所、あと色丹島のディーゼル発電施設、それから国後島のディーゼル発電施設、おのおの消費税込みで国が払っておりますので、返還されますと塩川財務大臣のところに入るということになると思いますが、これは国民注視の問題ですから、そのことをちゃんと確認する必要があると思うんです。
 もっと細かく言うと、平成十四年二月の二十七日には外務省の齋藤欧亜局長が、財務省ともよく相談いたしまして適切に対応しますということから始まって、三月四日には川口外務大臣、五日には川口外務大臣等々、それから最後に総理が、同じく三月の五日に小泉首相も、まことにおかしな話なので、これは調べる必要がある、調べます、こう言っているわけでございまして、本委員会としても、予算の執行にかかわる話でございますから、ちゃんとしなきゃいかぬというふうに思います。
 もっともっとたくさんあるんですが、時間がなくなりましたのでやめますが、塩川大臣、よろしいですね。
塩川国務大臣 その点につきまして、先ほども私申しておりますように、確かに、報告すべきであったのがおくれておることは事実でございますので、確認したものを正確に報告するようにいたします。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 工事案件九件及び燃料供与案件一件につきまして、総額約二億六千万円の消費税が過って各契約業者に対して支払われたということが判明しております。
 支援事務局より各業者に対しまして、消費税を納入したかどうか照会しましたところ、すべての業者から、消費税を納付したという回答を得ているというふうに承知しております。
佐藤(観)委員 消費税の納め方は、先ほど言いましたようにまとめて、他の案件等も一緒に入っていますから、それはそれとして聞いておきますけれども、国として、その金額を払ったという、全体の金額を払ったということを確認のために、塩川財務大臣がお答えになったようにお願いします。
 それで、財務大臣、いつまでにやってくれますか。まさに大臣言いましたように、そもそもこれは一カ月余たつんですよね。平成十一年の話なんですよ、話としては。したがって、次の当委員会にそれを出してもらうということでいかがでございますか。
塩川国務大臣 記録をたどって調査しなきゃならぬと思いますので、次の委員会までにということは間に合うかどうかわかりませんが、いずれにしても、そのように、提出さすように努力いたします。
佐藤(観)委員 繰り返しになりますけれども、予算委員会で問題になってからほぼ一カ月余たっておるものですから、それで、やはり塩川財務大臣がおられる当財務金融委員会でちゃんとしていかなきゃいかぬというふうに思い、私は質問したわけでございますので、塩川財務大臣の人柄を信じて、理事の皆さんもちゃんといらっしゃるし、委員長もいらっしゃいますから、一番早い時期に出していただけることを確信しまして、私の質問を終わります。
坂本委員長 次に、藤島正之君。
藤島委員 前田参考人をお願いしておるのですが。
坂本委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
坂本委員長 速記を起こしてください。
藤島委員 先ほど来、事故について質疑があったわけでございます。サイバーテロじゃないかというような話もないわけではないのですが、私は、今回は単なる銀行側の技術的なミスではないか、こう思っておるわけですが、先ほど来の議論の中で、やはり会社側の事の重大性に対する認識の甘さといいますか危機管理の甘さといいますか、非常にその部分が出ている、そんな感じがしてならないわけであります。
 特に、前田参考人が、事故があった直後に、先ほど来議論ありましたけれども、やはりきちっとテレビに出て、国民の前にまず第一に出るのが筋であって、専務が出ていろいろ説明する、そういった事態だというふうに認識していること自体が非常に甘いのじゃないか。
 もちろん、その原因等についてまだ追求しておる時間がないわけですから、そういう説明をする。そのために時間がかかって遅くなって会見をするということではなくて、まずそういう事故に対するおわび、これがあってしかるべきだと思うのですが、先ほど前田参考人は何かるる言いわけを言っておりましたけれども、率直にその点をおわびしてしかるべきだと私は思うのですが、どうでしょうか。
前田参考人 私も大いに反省いたしており、まことに申しわけございません。本来であれば、一日付で直ちにおわびすべきだったと思います。先ほど申し上げた、言いわけととられて、まことに申しわけございません。深く反省いたしております。
 事態の回復に最優先ということも、言いわけにとられて、本当に申しわけございませんでした。
藤島委員 私は寝てないんですとか言って、直後に結局やめた方もおりますけれども、これは、寝ている、寝てないの問題じゃない。国民に対する影響というのは甚大なものがあるわけですね。先ほど、どういう損害があったかどうかわからないというようなことをおっしゃっていますけれども、一部に、損害が幾らあってもこれは保険でカバーできるからいいんだというような行員のささやきもあったというふうに聞きますが、そんなこと、全く言語道断なことでありますよ。まさか、そんなことを考えているとは私は思いたくない。どうですか。
前田参考人 保険でカバーしようなんて考えたことは、一度もございません。
藤島委員 あってはならないことだと私は思います。
 さればとて、若干会社にとって同情的な部分があるわけでありまして、営業のやり方をミスしたとか、そこに意図的な犯罪行為的なものがあったとかいうものではなくて、いわゆるコンピューターのシステムの問題でありますから、これはみずほ自分自身でやっているわけじゃないので、コンピューターソフト会社に恐らく丸投げといいますか委託をしてやっているということが実態だろうと思うのですね。
 その中で、先ほど来説明ありましたように、ATMとか口座振替、あるいは他行との間の決済処理、あるいは大口得意先のシステムの関係、こういったものは、従来のものをそのまま使っておって、リレーコンピューターに問題があるということなので、そのリレーコンピューターというのは故障するとどうして二重払いが出たりするのか、私もよくわからないのですけれども、前田社長も、コンピューターの世界は本来そんなに詳しくあったわけではなくて、恐らく、事故が起こってから必死になって勉強して、いろいろ聞いたのじゃないか、こう思うわけで、若干の同情はあるのです。
 もう一つ、この中で、このコンピューター構築には相当金がかかるわけですね。これをけちったといいますか、出し惜しみしたためにこういうことが起こったのじゃないか。ふんだんに出して、ソフト会社が全力を挙げて、事前に二重三重にこういう実験もしたりしておれば、こういうことは防げたのじゃないかということも考えられるわけですね。
 このシステム関係で大体どれぐらい金がかかったのか、また、この移行に関して、全体の金額はどれぐらいで、どれぐらいのウエートがあったのか、お聞きしたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 まず、システムの開発につきましては、開発会社に丸投げということでございませんで、これは従来から行員で、大量の行員と同時にシステム会社の方々と共同して開発いたしております。これは、開発するテーマによりましていろいろな会社と組んでおりますので、ベンダーの方はあらゆる会社でございます。一つの特定の会社だけということはございません。
 それから、システム統合にかかわる今回の費用でございますが、これは投資額ベースで約二千億を計上いたしておりまして、ここは、けちったとかそういうことはございませんで、十分使ったと思っております。
 それから、システム開発の人月、人月という使い方をするんですけれども、約九万人月、九万人の方が一カ月かかってできるようなレベルのシステム開発をさせていただきました。
 それから、移行にかかわる経費でございますが、これはもうちょっとかかったんですが、今申し上げました二千億円というのは、システム投資関係費用が大半でございまして、引っ越しとかの費用は実は余りかかっておりません。
 以上でございます。
藤島委員 大変な額をかけてこういうことが起こったということは、人災でもあるようでもあるんですが、やはり事故といえば事故みたいなことがあるような気もいたします。
 決して弁護するわけではないんですけれども、前田参考人は四月一日に社長になったばかりで、それこそみずほグループを挙げて、一番その統合の象徴として優秀な人材だということでなったんだろうと思うんです。そういう意味で、直ちに責任でやめるやめないの問題、そんなことで国民が済むわけないんで、やめたら、すぐ新しく社長になった人がもっといいことやれるかというと、私はとても思えないんで、ここは十分に原因を追求して、ともかく早く解決し、それで再発の防止、もう一回こういうことが出たら、これはおしまいだと思うんですね。
 そこの決意をしっかり言ってもらいたいと思います。
前田参考人 再発防止策につきましては、ただいま先生御指摘がありました部分もございまして、私ども、るる御説明いたしましたリレーコンピューターというこの仕組み、業界の中ではいろいろなところで使ってはいるんですが、この方式でずっとやるのがいいかとは思っておりませんで、これは、私どもから見ますと、一刻も早く新しい単一のシステムをつくり上げまして、安定的に移行するというのがこういうトラブルをなくすベストの方法だと思っております。
 ただ、そうはいっても、直ちに撤去するというような形になりませんので、このRCの持っておりますやや弱点部分は、直ちに補強するような手当てをさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
藤島委員 原因の追求ももちろん大切なんですが、私は、現在困っているわけですから、この処理をともかくできる限り、全行員を挙げてやっていただきたいと思います。私は寝不足ですからなんて、そんなばかなことを言っている場合じゃないということを申し上げておきたいと思います。
 とりあえず結構です、これで。
 法案について一、二質問させていただきます。
 マネロンについての疑わしい取引の届け出件数の最近の推移についてお伺いします。参考人で結構です。
原口政府参考人 お答えいたします。
 金融庁におきましては、疑わしい取引の届け出制度について広報等に努めておりまして、金融機関等からの疑わしい取引の届け出件数は、平成十二年は七千二百四十二件、十三年は一万二千三百七十二件というふうなことになっております。
藤島委員 かなり膨大なものになってきているんですけれども、これで、実際にこれがマネロンだとわかったというような事実はあるんでしょうか。
原口政府参考人 我々、このうち、先ほど申しましたように、また特に有効と考えられるものについて捜査当局に提供しているわけでございますが、ちょっとこの内容等につきましては、犯罪捜査に密接に関係するということで公表を差し控えているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
藤島委員 その具体的な、こうこうこういう事件だから言えないというのはわかるんですけれども、では、件数で何件ぐらいは言えるんじゃないですか。
原口政府参考人 一般的に、こういうのを提供して、それはそれなりに有効に機能しているというふうに承知をしております。
藤島委員 全然答弁になっていない。
 要するに、数千件、数万件にわたって報告したものが本当にどういうふうに結びついているのか。結局それが何にも結びついていないのなら、今度のこれもやっても何にも意味もないんじゃないかということなんですがね。そこをはっきり答えてください。
柳澤国務大臣 いや、これはお聞きになったらばかばかしいと思うかもしれませんけれども、我々の任務は、金融機関から上がってきたものをチェックして、ばかばかしいようなものは、そんなにたくさん何のスクリーンもしないで捜査当局にやるということは我々の任務上できないわけで、それなりの選別をしまして、しかるべき捜査機関にその情報を流すことに尽きるわけです。
 そこで我々の任務は終わりますので、それをどのように活用して犯罪捜査に役立っているかというところは犯罪捜査当局の問題だというふうに御理解をいただければありがたいと思います。
藤島委員 どうも、もうちょっと先まで、やはり捜査当局が実際問題どれぐらい使っている、そういうのもなくて、ただ送り込んだ、あとは捜査当局だ、これで本当にいいんでしょうかね。やはりそこは、自分らがやっている仕事がどれぐらいの効果があるか、こういうのを見きわめないで、次の、今度の、こちらにどれだけ効果があるか、わけもわからないけれどもただシステムとしてつくります、こういうことにならないんじゃないでしょうか。
柳澤国務大臣 それは、我々の、金融庁が犯罪捜査をする当局でもないし、我々は情報を提供している、情報提供をしているということであって、その情報をいかようにお使いになるかというのはまさに捜査当局の任務だというふうに御理解いただくほかないんじゃないでしょうか。
藤島委員 どうも、効果がよくわからないけれどもシステムだけつくります、今回もそういう前提のもとにまた新しいシステムをつくります、これはなかなか説得力がない、そういうふうに考えるわけですが、これ以上柳澤大臣と議論しても同じ答えしか返ってこないという気はしますけれどもね。
 それで、マネロンもそれは犯罪だからきちっとせないかぬけれども、今度のはテロですから、もっときちっとせないかぬわけですね。
 この難しさは、要するに、余り厳しくやると一般の利用者まで全部厳しいチェックになっちゃうんで、これは避けないかぬ。しかし、やろうとする人間は悪いやつですから、なかなか、網の目をくぐって悪いことをしようとするわけで、そこをどういうふうにとらえるか、大変難しいと思うんです。
 今度の本人確認は、私はマネロンのやり方よりは厳しくすべきだと思うんですが、どういうふうに考えておりましょうか。
原口政府参考人 御指摘のように、今まではマネロンということで、犯罪収益に係るものかどうかということが判断のメルクマールでございました。今度は、そういうお金の種類ということよりはテロリストに供与されるものかどうかということでございますけれども、ある顧客につきまして、これをテロリストに疑わしいところに分類すべきなのかマネロン犯罪者に分類すべきなのかというのは、取引そのものが、いろいろな形態とか金額とか、そういうことで疑わしいなということを金融機関が把握いたしましても、これをテロリストかマネロン犯罪者かということを事前に見きわめることはなかなか難しいということでございますので、これらのものに対する牽制あるいは事後的に効率的に資金を追っかけることが可能になるようにということで、仕組みとしては一律一体のものとして考えているところでございます。
藤島委員 マネロンの場合より規模も大きくなるし、やり方もちょっと違ってくるんじゃないかなという感じはするんですよね。
 例えば、一回に送る金額とか、あるいは一回ずつはある程度少なくても何回にもわたると結構大きくなるとかいう、形態的に見ればある程度は見当がつくんじゃなかろうかなという感じがしまして、先ほど申し上げたように、一般の国民を対象にするような、余り厳しいことをやるとこれは一般が困っちゃうわけですから、そうじゃなくて、行員の、窓口のお嬢さんはわからなくても、その上の管理者はある程度わかる。しかも、これは口座開設ではなくて、ほとんど送金ですね。であれば、ある程度わかるんじゃなかろうかという感じがするので、私は、マネロンよりは少し厳しい、そういった方法を考えるべきではないかなと。
 そうしないと、仏つくって魂が入らないような、何かつくっただけで満足しておる、それは役所の悪いところなんですけれども、そういうことにならないように、どうせつくるのならば本当に実効性がないといかぬというふうに思っておるものですから、指摘をさせてもらったということでございます。
 次に、ちょっとそのほかの問題として一、二お伺いしますけれども、きょうの日経新聞に、金融庁の特別検査の全容としまして、大手銀行の不良債権処理に伴う損失額は昨年九月時点で想定した規模六兆五千億円よりも合計で一兆九千億円拡大する云々がありまして、その後、その後といいますか昨日午後、柳澤大臣は総理にお会いになっていらっしゃいますね。その際にこのような話をしたのかどうか、あるいは総理からどういう指示といいますか、お話があったのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
柳澤国務大臣 実は、まず日程を確認させていただきました。段取りと申しますか、特別検査の結果を十二日に発表するということで、総理に、御了解をお願いします、それまでには作業を間に合わせるつもりです、こういうことを申し上げました。
 本当は、そういうことが頭にありましたので、私どもとしては、数字もかなりもうほとんど確定した十一日ごろに総理にお会いしてその旨を報告しようと思っておったんですが、総理がいなくなっちゃうわけです。そこで、総理の日程を調べていただいたところ、きのうでないとだめだ、こういう日程だということなものですから、何か、しかしその日程だけでも確認をさせていただかなくちゃならないということで出かけていったわけでございます。ですから、具体的な話としては、日程を十二日でいいよということでございます。
 それから、せっかく作業もその後進んでおりますので、精粗のというか、どういうところをポイントに発表の様式を考えたいというようなことも概略をお話し申し上げましたが、数字はやはり確定したものでないと混乱するわけですよね、なぜまた変わったかとかという話にもなりますし。ですから、私どもはできるだけ確定した数字を申し上げたいと思っておりますので、そこには、まだ総理、大変恐縮ですが申し上げません、こういうお話でございます。
 それから、その次に総理からあったのは、自分の留守に発表することになるんだけれども、自分として、いろいろおっしゃっていまして、そこで、私はこういうことですかと言って、メモを私がとって、おれがいつも言っていることだ、こう言って、総理はおっしゃっていましたけれども、私は、じゃ、ペイオフも解禁になったことで、信用秩序と申しますか、そういうものの安定化というのが本当に大事なんで、不良債権の処理をもう一層促進する、そういうことのために切れ目のない施策を打ってもらいたい、こういうことでいいですねと言ったら、おれがいつも言っていることだ、こうおっしゃって、それで、私は記者に囲まれましたので、そういうことを言われたですよということを申し上げたということでございます。
藤島委員 記者にはいろいろお話しし、数字も若干ずつ話はしているようですけれども、この場ではなかなか無理なようですか。じゃ、何かお答えありますか。
柳澤国務大臣 私にとっては、まず第一に、国権の最高機関たる国会が一番大事なところでございます。次いで、国民との間の窓口でいらっしゃるマスコミの皆さんも大事なところで、そういう考え方で、いろいろ必要なことについては御報告させていただいているということでございます。御理解を賜りたいと思います。
藤島委員 先ほど私が申し上げた数字は多分正しいんだろうというふうに理解しておきますけれども、もう時間がありませんので、最後に一問だけ質問したいと思います。
 最近の景況感では、よくなっている部分、例えば、景気ウオッチャーによる部分なんかでは、全体五〇%を割っておりますけれども、大分よくなってきておる。あるいは機械の受注二月分、昨日内閣府が発表した分も一〇%増加しておる。あるいは鉱工業生産、これは先月二十九日に経済産業省が発表していますが、二カ月ぶりにプラスになっておる、あるいは在庫指数はまあ〇・六%減だけれども六カ月連続で減少しておる。
 こういうものもありますが、逆に、二月の消費支出、前年度比二・九%減とか、あるいは消費者物価が大幅な下落、あるいは卸売物価、四年連続で下落というような、両方あるんですけれども、その辺を踏まえた両大臣の感想を聞いて、終わりたいと思います。
塩川国務大臣 最近の経済の指標でございますが、あした質問してもらったらちょうどよかったんやね。あした月例経済があるんですね。でございますから、ちょっと古いかもわかりませんが、ちょっと取りまとめたものがございますので、申し上げたいと思います。
 現状は依然として悪化しているけれども、一部の指数では下げどまっているということを言っております。
 具体的に申しますと、個人消費は、一月で前年比で〇・八%と増加しておりましたけれども、二月では逆に三・八%下落、こういう高下していますね。それから設備投資でございますが、十―十二月分は、これは非常に悪うございまして、前年に比べまして一四・五%という大幅な下落をしております。また雇用情勢でございますけれども、二月の完全失業率は五・三でございまして、五・四ではなくて五・三になっておる、こういう点でございます。それから消費者物価でございますけれども、消費者物価は二月に対前年比〇・八%の下げとなっております。卸売物価は三月には前年比で一・三%の下落、こういうぐあいになっております。
 これに比べまして、米国の経済状況でございますけれども、在庫調整が一応進展して、二月は前月に比べて、生産は一・三%、下げどまりつつあるという報告がございまして、我が国の方も、貿易につきましては若干、前年比よりは上向いてきておるというような状況であります。
藤島委員 そういう状況に対する評価みたいなものは。
塩川国務大臣 おかげをもちまして、一応、景気はなお悪化しつつあるという状況ではなくして、経済の状況は厳しいけれども一部には下げどまりがあるという状況であるということで見ておりまして、四月、五月に若干回復の機会が出てくるのではないかと思っております。
 しかしなお、経済は良好であるという状態にはなかなか、しばらく遠いのではないか。私たちは、秋以降に期待をかけておるというような見方をしております。
柳澤国務大臣 私のところは、マクロの経済分析をやっているスタッフがおりません。したがって私は、組織を代表してここでマクロの経済の動向について云々するということはかねてから控えさせていただいております。個人の意見はございますけれども、これを言うのは余り適当でない、このように思います。
藤島委員 終わります。
坂本委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 今回提出された法案の目的について、まず財務大臣に確認をしたいと思います。
 この法案は、テロ資金供与防止条約の要請を踏まえて、金融機関が顧客の本人確認をきちんと行うということ、それから、その記録を適正な期間保存するということだと思うんですね。これまでは法律上の義務として位置づけられてはいなかったけれども、今回、これを法定化する、そして内容を一層明確にし充実を図る、これが目的だと思いますけれども、まずその点、確認しておきたいと思います。
塩川国務大臣 仰せのとおりです。
佐々木(憲)委員 焦点となっている本人確認についてお聞きをしたいと思います。
 今回の法案では、例えば会社社長の代理で従業員が送金をする、そういうとき、あるいは他人のお金をかわって送金をする、そういうときに、窓口に来た代理人自身の本人確認をする、そして、この送金を託した者の本人確認をする。つまり、双方の本人確認をしなければならない、そのようになったと思いますけれども、そういう理解でよろしいですか。
溝口政府参考人 御指摘のとおりでございます。
佐々木(憲)委員 では、現状はどうなっているかということを確認したいと思います。
 私は、昨日、東京三菱銀行の担当者に直接お聞きをいたしました。東京三菱銀行では、現状、基本的に本人が送金するのでなければ受け付けないと言っておりました。
 例えば、Aという人が現金を持って窓口に来る。その場合、私はBの代理人であると言ってこれを送金しようとする場合、銀行としてはどういう対応をするのか、こういうことをお聞きしたんですが、そうしますと窓口では、代理では困ります、本人に来ていただくようにぜひお願いをします、そうでなければこれは受け付けられません、こういうふうに対応するというんですね、現状ですよ。ただ、特殊な場合として、夫婦のような場合は、夫の代理として妻が送金をするという、これはあり得ると。しかし基本的には、本人自身が自分のお金を送金する、それで本人を確認する、そういうふうにおっしゃっていました。
 そこで、具体的な実務の現場でどうなっているかということについて、きょうはみずほ銀行の前田社長がお見えですので、みずほの場合についてお聞きをしますが、具体的に、こういう場合、Aという人がBのお金を持ってきて、私はBの代理人であるということで今銀行の窓口に来た、そういう場合はどのような取り扱いをされているか、確認をしたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 銀行のお取り引きにおきましては、基本的にはすべて依頼人御本人とのお取り引きを原則としておりまして、外国送金等におきましても同様でございます。
 したがいまして、名義人以外の第三者からの送金依頼に対しましては、原則としてお断り申し上げております。
佐々木(憲)委員 お手元に配付しておりますのは、みずほ銀行の外国送金取組依頼書兼告知書と、それから東京三菱銀行の外国送金依頼書兼告知書でございます。若干形は違っておりますけれども、内容はほぼ同じものであります。
 前田参考人にお聞きしますけれども、本人確認というのはどのようなやり方になるのでしょうか。この資料に基づいて説明をしていただきたいと思います。
前田参考人 お答え申し上げます。
 ここに、今お配りいただいた資料の右の下の方に「本人確認」という欄がございまして、それから「確認書類」というのがございます。それから国外送金等の調書が要るか要らないか、こういう区分けになっております。
 まず「本人確認」は、「本人口座」というのは本人の口座が既にある方、これは御本人ということでございます。それで、「確認未済」というのは確認ができないという状態です。それから、「確認書類」というのは何で確認したかということでございますので、ここにありますようにいろいろ証明するものがございますが、そのどの部分で確認をしたかというのをチェックして、それから一番下は、国外送金等の調書が要るか要らないかというチェックをして、それぞれ確認ができたかどうかを判こを押す、そういうシステムで運用をいたしております。
佐々木(憲)委員 そうしますと、例えばこの中に「受取人あて連絡事項」というのが右下の方にありますね。ここに例えば佐々木から送られたものですというふうに書いたとすれば、これは送金を依頼した者が佐々木であるという証明になるでしょうか。
前田参考人 これは右の下の「受取人あて連絡事項」というここの欄の御質問だと思います。
 これは、送金をする場合に、その方に何かメッセージを伝える場合に連絡するものがあるかないかとか、そういうことを書く欄でございまして、なければ何も書かないということでございます。
佐々木(憲)委員 いや、私がお聞きしたのは、この欄にこれは佐々木から送られたものですというふうに仮にメッセージが書かれていたとしますね。そうすると、これは佐々木が送ったという証明になるのかどうかです。それを確認したいんです。
前田参考人 そのケースですと、ならないと思います。
佐々木(憲)委員 そうしますと、外為法では、第十八条で、送金者の本人確認をするように努めなければならないとなっておりますね。
 では、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律、ここでは国外に送金等をする者の本人確認というのはどのように定められていますでしょうか。
村上政府参考人 お答えします。
 国外送金を行う方の場合、これはただし二百万円超でありますが、告知書を出していただくことになっております。ただし、本人確認された口座から振替で行われた国外送金については、別途告知書は提出は不要だということになってございます。
佐々木(憲)委員 この法律によりますと、確認をしなければならない、いわば義務規定になっていると思うんですね。努めなければならないというような努力規定ではなくて、義務規定になっていると思うんですが、いかがでしょうか。
村上政府参考人 お答えいたします。
 送金法に基づく本人確認は義務規定だと思います。罰則適用はございませんが。
佐々木(憲)委員 つまり、現行法のもとでは送金者本人の確認が基本であります。ですから、もともと代理というのは想定していないんですね。
 そこで、外務省に、鈴木宗男議員のタンザニアへの送金についてお聞きをしたいと思います。
 資料を配付してください。
 外務省のこれまでの国会答弁では、平成十二年十二月一日、当時の野川中近東アフリカ局審議官と戸谷アフリカ第二課長の幹部二名が鈴木宗男議員を自民党本部の総務局長室に訪ねた、鈴木議員は、タンザニアのキマンドル中学校の建設のための資金として、外務省より振り込むように依頼された、現金八百万円を受け取った、外務省はその資金をアフリカ第二課の岡島課長補佐に指示をして東京三菱銀行を通じて送金した、これは事実ですね。
小田野政府参考人 委員が今御質問になりました平成十二年十二月一日の件でございますが、まさに今述べられました二人が自民党の本部に参りまして現金を受け取りました。その前には、学校建設に協力をしたいので口座番号その他送金先を調べてくれということですので、それを報告に参りましたところ、現金を手渡されたということでございます。それで、外務省に戻りまして、今、名前の出ておりました職員に対して、これを持って銀行で振り込むようにということを言いまして、それでその職員が銀行に参ったということでございます。
佐々木(憲)委員 そこで、確認をしますけれども、この現金は鈴木宗男さんのお金として送ったんでしょうか。それとも、岡島課長補佐のお金として送ったんでしょうか。どちらでしょうか。
小田野政府参考人 鈴木議員から依頼されたものですので、鈴木議員から依頼されたという認識のもとに銀行に参りまして、送金をする際の依頼書にはフロム・ミスター・ムネオ・スズキと書きまして手続をしたというふうに承知しております。
佐々木(憲)委員 そこで、東京三菱銀行のこのフォーマットを見ますと、外務省から提出された資料ですけれども、左側の真ん中からちょっと下のところに、フロム・ミスター・ムネオ・スズキ、こうなっておりますね。これは受取人に連絡するメッセージであります。先ほど確認をしましたけれども、ここに書いてあるからといってこれは本人確認にはならない、つまり、送ったのは鈴木宗男さんのお金だという確認はできない。
 みずほの社長さんにお聞きしますけれども、この外務省の資料を見まして、これは鈴木宗男さんの本人確認として適正なものというふうにお思いでしょうか。
前田参考人 ちょっと、大変恐縮ですが、個別のことで、私、コメントできる状況でございません。お許しいただきたいと思います。
佐々木(憲)委員 いや、先ほど、ここに佐々木からのものですというふうに書きますとその証明になるかと聞きましたら、その証明にはならないというふうにお答えになりましたね。そういうことですね。その答えは変わらないですね。
前田参考人 一般論のお答えにつきましてはそのとおりでございますが、今、個別のお取引でどの部分がどうだと言われましてもちょっと、大変恐縮ですが、私は確認する立場にもございませんし、お取引そのものは個別ですので、この場で知らない私がコメントするのもふさわしくないと思います。恐縮でございますが、御容赦いただきたいと思います。
佐々木(憲)委員 全く不誠実な答弁ですが、あなたが最初、私の問いに対しては、これは全く証明にはならないと。なぜかといいますと、本人が直接窓口に来なければこれは本人のものというふうな確認はできないし、また、本人確認自身ができない。つまり、本人がそこに、窓口に、例えば住民票の写しですとか、あるいは健康保険証ですとか、パスポートですとか、運転免許証ですとか、こういうものを本人が持ってきて、私は本人自身です、このお金を送りたい、こういうふうに言わなければ銀行としては受け付けない、こういうふうにおっしゃいましたね。ですから、この外務省の内容というのは、送金した記録でありますけれども、ここにフロム・ミスター・ムネオ・スズキと書いても、この人のお金という証明にはならない。
 外務省にお聞きしますけれども、これは、本人確認というのは、だれの確認をされたんでしょうか。つまり、この送金者の本人確認をしたんでしょうか、鈴木宗男さんの本人確認をしたんでしょうか。鈴木宗男さんの本人確認をするとすれば、例えば本人のパスポートですとか運転免許証ですとかそういうものを示したんでしょうか。そこをはっきりさせてください。
小田野政府参考人 外務省としまして、銀行に持ち込まれた資金について銀行がどのような判断を下したかにつきましては承知しておりませんけれども、送金業務は一般的な外国送金手続に従って行われたものと承知しております。
佐々木(憲)委員 全然答弁になっていない。
 では、確認しましょう。
 まず、この右下の告知書、本人確認というところに丸がついていまして、ここに数字がありますが、これは本人確認の数字だと思いますが、これは鈴木宗男さんの何かの数字でしょうか、それとも、送金者の岡島さんの数字なんでしょうか、どちらでしょうか。
小田野政府参考人 外国送金手続をとるに当たりまして、本人確認を求められたので、運転免許証を提出したというふうに承知しております。
佐々木(憲)委員 だれの運転免許証ですか。
小田野政府参考人 お答えいたします。
 送金をしに参りました外務省の職員の運転免許証を提示したというふうに承知しております。
佐々木(憲)委員 ということは、その職員が本人であり、本人確認を職員としてやって、本人のお金として送った、こういうことになりますね。
小田野政府参考人 送金に参りました職員につきましては、常に、いつも外国送金をやっている人間ではございませんので、託されました現金を託されました人の名前で送りたいということで参りまして、それで窓口の手続に従いましてそれで送ったということだと承知しております。その際に、今申し上げましたとおり、本人確認ということでしょうか、きちんと、名前といいますか、それを示さないといけないということを言われたものですので、本人自身の免許証を示したというふうに承知しております。
佐々木(憲)委員 では、鈴木宗男さんの証明書は何を持っていきましたか。
小田野政府参考人 まず、依頼されました現金が鈴木議員のところから来ているということもございましたので、まさに善意をもってこの金を送りたいということで参ったというふうに承知しております。
佐々木(憲)委員 質問に答えていないのです。質問にちゃんと答えてください。
 本人の証明書ですね、これは本人のものであるという証明書、例えば住民票ですとかあるいはパスポートですとか委任状ですとか、それを持っていったのですか、何か持っていきましたか。
小田野政府参考人 恐らく、依頼を受けました時点で、そのような大金を送金するに当たりいろいろな手続が必要だという認識がなかったんだろうと思います。それですので、依頼書を受け取ることもなく、単に現金だけを持って送金手続をとりにいったというふうに承知しております。
佐々木(憲)委員 要するに、鈴木宗男さんのお金だという証明は何もないのです、全くないのです。本人確認をしたのは、送金をしたその外務省の職員の本人確認をしたというだけの話ですね。
 ですから、財務大臣、このケースは明らかに、鈴木宗男さんのお金を送ったと言うんだけれども、本人確認は全くされていない、本人確認というのは、この人自身の、外務省の職員のお金として送ったその職員の本人確認をしただけだ、こういうことが事実だということですね。これは確認できると思いますが、いかがでしょうか。
溝口政府参考人 このケースにおける本人確認は、御指摘のように二つあるわけでございますね。外為法上の確認とそれから国税の取り扱い上の確認がございまして、外為法上の確認は、外為法の十八条におきまして、現行では努めなさいという規定になっていまして、義務まで課していないわけでございます。
 したがいまして、今回の法律によりまして、そこを義務化しまして、代理についても確認をするということをとろうとしているわけですが、現行ではそこまでできていないということでございます。
坂本委員長 佐々木委員、時間が来ておりますので。
佐々木(憲)委員 では終わりますが、外務省のこれまでの説明というのは、全くでたらめな説明であったということが明らかになりました。
 外務省は、鈴木さんのお金を送った、銀行もそれを承知して送られたはずだと言いましたが、全く違っていて、銀行は鈴木さんの確認は一切しておりません、資料も提出されていないわけですから。したがって、外務省が指示をして送ったその職員の本人確認しかされていない。つまり、その職員が自分のお金として送っただけだということがはっきりしたと思います。
 これが現実の銀行の窓口でのやり方であり、したがって、外務省が今まで説明してきたことは全部うそであったということが明らかになったということを指摘して、終わります。
坂本委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 ただいまの佐々木委員の御質問に関連して、一つだけ補足で質問をさせていただきます。柳澤金融大臣にお願い申し上げます。
 ただいまのような、もちろん今問題になっておりましたのは外為法上の制度的な本人確認でございますが、いわゆる金融庁管轄の中での本人確認ということについて、今お聞きになりましたような事例、直接ではございませんが、どのようなお考えでお聞きあそばしましたでしょうか。
柳澤国務大臣 外為法の本人確認は、今溝口国際局長が答えたように努力規定になっている、こういうことのようです。
 それから、片一方、国税の方も、これも為替の自由化に伴って措置されたもので、従来は五百万だったと思うのですが、二百万に下がってしまったということで、ある意味で、自由化の趣旨からいうと私もどうかなと思ったこともあったのですが、しかし、税の捕捉ということを考えると、やはりそういう情報もとっておく、こういうことだろうと思うのですね。
 そういうように、いろいろな行政目的のために本人確認あるいは所要の手続というものが規定をされておるわけですけれども、今回は、国際条約というようなものの批准に伴って、テロ対策ということの国内措置として、本人確認を今度はガイドラインによるものから法律による義務規定というものにしたということでございます。
 これも、現在の安全保障あるいはそれぞれの国内の治安目的ということにかんがみれば、やむを得ない措置だというふうにとらえているわけでございます。
阿部委員 国民的な感性、感覚からすれば、外務省すらそれほどずさんなことをしている、そのことの、ある意味で言い逃れ、だから義務規定にしないといけないのだという今の論法ですね、非常に、本当に国民をばかにしていると思います。
 本来努力義務だった、だからこのような事態が生じた、結局外務省のおっしゃったことはその一言です。そして、それを柳澤金融大臣は、諸般のテロ事情に関連して今度は義務規定にすると。こういうのを本当に盗人たけだけしいと普通は言うのでございます。
 そして、私はあわせて金融庁にお伺いしたいですが、今回、例えば金融庁の方で、これまでの疑わしい取引の届け出件数の推移というところをずっと見ておりますと、麻薬特例法に基づく届け出から、二〇〇〇年の二月以降は組織的犯罪処罰法に基づく届け出になり、件数も、七千二百四十二が二〇〇〇年度、二〇〇一年度が一万二千三百七十二と、大変な数が届け出られておりますが、先ほどの参考人の御答弁ですと、この届け出られた疑わしい取引のその後についてはフォローされていないというふうな御答弁でございました。
 果たして、疑わしいとされてその後疑わしくなかった事例はあったのか。疑わしくなかったら、そこで疑わしいとして報告されたことはどのように修復されるのか。この点についての御答弁をお願いします。
原口政府参考人 先ほど御答弁していますように、金融機関としては、疑わしいということでございますから何か確証があるわけではございませんけれども、いろいろ取引の形態ですとか金額ですとか、そういうことから犯罪捜査に役に立つかもしれないというものを届け出をしていただいているわけでございます。
 そのうち、またこれを金融庁の方で、担当しております部局で、過去の経験ですとかそういうこと等判断して、必要と思うものは捜査当局に提供するわけでございますけれども、必要でないものについては、その報告を受けたというままで、何かそれを修復するとかそういう必要は特段ないというふうに考えております。
阿部委員 例えばですが、今外務省の行ったことは極めて疑わしいわけです。この事例については、法律を改正して義務規定にするということで一件落着したかに見えますが、逆に、民間、個人に起こったことで、疑わしいと届け出られて、でも疑わしくなかったものがあるのかないのかをまずお答えください。
原口政府参考人 先ほど御指摘を受けましたように非常にたくさんの数があるわけでございますから、それで届けられたものがすべて何らかの形で疑わしいということではなくて、まず金融庁の判断、もっとも、これは犯罪捜査の資料としても有効でないというふうに判断するものもございますし、捜査当局に行ったものが、すべてそれが疑わしくなっているというようなことではない。逆に言えば、疑わしくなかったといいますか、犯罪に結びつかなかったものも、それはあるということだと思います。
阿部委員 そうした形で犯罪に結びつかなかったものは、あるいはその嫌疑をかけられた個人は、どのようにこのことの補償、汚名挽回、あるいは取引の支障等々生じた場合の損害の賠償を受けるのでしょうか。
原口政府参考人 今、そういう届け出がされたこと、それから、それが捜査当局に行ったかいないかということを含めて、そういうことは一切外に出ているわけではございませんので、何かそれについて損害が生ずるとか、回復をするとかという問題にはつながらないというふうに認識しております。
阿部委員 それは、そういうことに対しての異議申し立て機関がないからであって、先ほどから言いますが、官が起こしたことはあいまいにごまかされても、民がかぶった被害は一切表に出ない。その体制のまま、安易に本人確認というシステムだけをつくろうとする。これの問題は、実は、私は、今回のみずほ銀行の顧客への姿勢と非常に密接に連関していると思います。
 ただいまの原口参考人の御答弁も、幾らやっても堂々めぐりですので、嫌疑をかけられた方が、自分はそうじゃないというふうな、いわゆる訴えるための一方の措置をこの法律自体が持たないと、私は、極めて一方的な、官優位、そして官がやったことはごまかせる、そうした体制に結びつくように思いますので、あえて同じですから質問いたしませんが、この法案自体をよくよく、お手盛り弁当ですから、お考え直しいただきたい。
 そして、私の時間の関係で、あと少々ですので、きょうはせっかくお越しいただきましたみずほ銀行の、前田参考人でいらしたでしょうか、ちょっとだけ私は、もうお疲れのところ恐縮と思いますが、どうしても世界最大の大手銀行としてお心にかけていただかなければならないことがありますので、申し上げさせていただきます。
 まず、きょう、前半、いろいろな各委員が御質問でありましたが、四月五日の新聞報道、会見について、御自身が御出席なさらなかったことは、現時点で考えて誤りであったとお思いでしょうか。一点お願いいたします。
前田参考人 誤りかどうかと言われると、大変答えにくいんですが、反省いたしております。
阿部委員 反省は、当然、誤っていたというふうに認識するから生まれるわけです。そうした言い逃れをしたのでは、顧客の信頼は得られません。
 なぜならば、まず、この社長という地位は、自分が行内をまとめると同時に、表に向けた代表者であります。そして、きょうの御答弁で、塩川財務大臣も柳澤金融大臣も、顧客が大事、塩川財務大臣はお客が大事、こうおっしゃいました。やはり銀行というのもサービス業です。
 ちなみに、私の例を引いて申しわけございませんが、私はある病院の院長をしていて、業務の九割は、患者さんに対して起こしたミスのおわびでございました。私は、でも、私の役割は、私がきちんと謝ることによって、その後のさまざまな体制がとられると思い、毎日四十五度に曲げたような生活でございました。
 しかしながら、これは、この銀行という仕組みが、先ほど申しました、小さな個人は大切にせず、大きな官庁とか後ろの権力があるときにはあいまいにしたまま前に進み、小さな個人は、二百五十万件問題を起こしても、みずからは謝りに出ず、こういう体制を四月一日に就任された社長がなさるということは、銀行行政上の汚点でございます。
 もう一度、反省の度合いについて、間違っていたか否か、お答えをお願いいたします。
前田参考人 まず最初に、システム障害を起こしたことにつきましては、本当に深く反省いたしておりまして、一刻も早く完全な形に復旧するのが私の務めだと思います。全力で尽くします。
 また、会見の仕方が遅いとか、このおしかりにつきましても、そのとおりだと思います。私も、先ほど申し上げましたとおり、反省いたしておりますが、全体の掌握にやはり若干時間がかかったということは否めません。
 まことに恐縮ですが、信頼を取り返すために全力で頑張ります。よろしくお願いします。
阿部委員 復旧や原因の検索は、あなたが指示して関係部署にやらせればよいことです。しかしながら、国民に対してのおわびはあなたしかできません。この一点を履き違えると、社長たるものの任が全うできません。
 何度も重ねて失礼ですが、この認識がない限り、あなたには三千万という口座が預けられる大銀行の社長の任は務まりません。いかがでしょうか。
前田参考人 私ども、サービス産業でございますので、まことに、本当に申しわけないと思っております。信頼回復に努めます。
阿部委員 あわせて、四月五日の会見で、石坂専務がおっしゃったことも、これまた全部裏切られました。ATMも、その後の二重引き落としも、また生じております。極めて楽観的な会見をされて、その後、まだ、きょうのお話でも、あと一週間か二週間復旧にかかる。この事態に対しての、改めて社長としてのおわびはいかになさいますか。
前田参考人 重ねておわび申し上げます。
阿部委員 私は、何も意地悪おばさんではありませんので。ただし、国民がその長たるものに求めるものをわきまえていただきたいというのが、私のしつこい質問の趣旨です。その社長しかできないことが何であるのかをわきまえない管理者は、何度も申しますが、資格がございません。そして、もうやっても同じですから、私からこれは通告でございますから。
 それから、柳澤金融大臣にお伺いいたしますが、諸外国はこの事態をどう見ておられましょうか。
柳澤国務大臣 諸外国というほど広く、今、反響をいただいているというか、そういうことは実はないのでございますけれども、決して、具体的に先ほど前田社長が言われたように迷惑がかかっているということではないんですけれども、率直に言って、今、日本の金融システムあるいは金融機関というものに対しては、この別の面でもいろいろと問題ありというような気持ちで見ている方が多い中で、こういうことをやってしまったということについては、厳しい目が当然注がれるだろう、こういうように思っております。
 私どもも、金融監督を通じまして信頼回復に努めてまいりたい、このように思っております。
阿部委員 柳澤金融大臣に私がこの場で何回か御質問をさせていただいたときにはいつも、銀行の体制は大丈夫なんだ、国民が余分な不安を抱くからさまざまに風評被害も生じる、ある意味で、言い方は少し違いますが、そういう御指摘も多々あったと思うのです。
 ただしかし、これだけのことが起き、それがまた日本の金融の世界的な評価の下落につながると私は思いますので、監督省庁、そして金融大臣として、ぜひともこのことにきちんとした大臣としての対応をなさるようにお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
坂本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
坂本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十分散会


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