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第13号 平成14年4月23日(火曜日)

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平成十四年四月二十三日(火曜日)
    午前九時二十一分開議
 出席委員
   委員長 坂本 剛二君
   理事 中野  清君 理事 根本  匠君
   理事 山口 俊一君 理事 山本 幸三君
   理事 海江田万里君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      岩倉 博文君    岡下 信子君
      金子 一義君    金子 恭之君
      小泉 龍司君    七条  明君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    林田  彪君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      吉田 幸弘君    渡辺 喜美君
      五十嵐文彦君    生方 幸夫君
      江崎洋一郎君    小泉 俊明君
      小林 憲司君    佐藤 観樹君
      中川 正春君    永田 寿康君
      長妻  昭君    遠藤 和良君
      藤島 正之君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    原  陽子君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   総務大臣政務官      山内 俊夫君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君
   政府参考人
   (金融庁検査局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君
   政府参考人
   (公安調査庁次長)    栃木庄太郎君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            谷内正太郎君
   政府参考人
   (財務省大臣官房総括審議
   官)           藤井 秀人君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (中小企業庁次長)    小脇 一朗君
   政府参考人
   (国民生活金融公庫副総裁
   )            伏屋 和彦君
   政府参考人
   (住宅金融公庫副総裁)  岡田 康彦君
   政府参考人
   (中小企業金融公庫総裁) 堤  富男君
   政府参考人
   (公営企業金融公庫総裁) 持永 堯民君
   政府参考人
   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君
   参考人
   (日本銀行副総裁)    藤原 作彌君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
 辞任         補欠選任
  倉田 雅年君     岡下 信子君
  阿部 知子君     原  陽子君
同日
 辞任         補欠選任
  岡下 信子君     倉田 雅年君
  原  陽子君     阿部 知子君
    ―――――――――――――
四月二十二日
 大和都市管財被害に対する行政支援による包括的救済等に関する請願(冬柴鐵三君紹介)(第二〇七三号)
 消費税の大増税に反対、税率を三%に引き下げることに関する請願(児玉健次君紹介)(第二一三八号)
 同(中林よし子君紹介)(第二一三九号)
 同(松本善明君紹介)(第二一四〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七四号)


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     ――――◇―――――
坂本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣塩川正十郎君。
    ―――――――――――――
 政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
塩川国務大臣 ただいま議題となりました政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政策金融機関につきましては、その財務の健全性及び透明性の確保の要請が高まっており、リスク管理を一層適切に行う必要があることから、政策金融機関に対して金融庁検査を導入できるよう、各政策金融機関の設置法において所要の措置を定めるため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、各政策金融機関の設置法について、次のとおり改正を行うこととしております。
 第一に、主務大臣は、立入検査権限の一部を内閣総理大臣に委任できることとするとともに、内閣総理大臣は、立入検査をしたときは、速やかにその結果を主務大臣に報告するものとしております。
 第二に、内閣総理大臣は、主務大臣から委任された権限等を金融庁長官に委任するものとしております。
 以上が、政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。ありがとうございました。
坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁藤原作彌君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として財務省大臣官房総括審議官藤井秀人君、財務省主計局次長牧野治郎君、財務省理財局長寺澤辰麿君、金融庁検査局長五味廣文君、金融庁監督局長高木祥吉君、警察庁刑事局長吉村博人君、公安調査庁次長栃木庄太郎君、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君、中小企業庁次長小脇一朗君、国民生活金融公庫副総裁伏屋和彦君、住宅金融公庫副総裁岡田康彦君、中小企業金融公庫総裁堤富男君、公営企業金融公庫総裁持永堯民君及び日本政策投資銀行総裁小村武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
坂本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本明彦君。
山本(明)委員 自由民主党の山本明彦です。
 政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律について質問をさせていただきたいと思います。
 民間の金融機関につきましては、一九九八年から金融庁による本格的な集中検査が始まったわけであります。当然でありますけれども、透明性、健全性を図るために、そして内外からの信頼も回復するために始まったわけでありますけれども、当然、民間だけでなくて、国民の皆様方の税金を使っております政策、政府系の金融機関につきましても、同じようにやはり透明性、健全性を図るべく金融庁の検査も始まった、こういうことだというふうに思います。
 当然やるべきでありますけれども、つきましては、今まで主務大臣による検査をしておったわけでありますけれども、いつから、どのような形で担当主務大臣の検査が行われておったのか。今回、これを金融庁の検査に委任することができる、総理大臣から、総理大臣委任をして金融庁に委任するということでありますけれども、金融庁に委任をする主なねらいはどういったところにあるのか、これをまずお聞かせいただきたいと思います。
谷口副大臣 山本委員のお尋ねでございますが、政策金融機関におきましては、平成十二年の十月から主務大臣による検査を実施いたしておるわけでございます。この検査におきましては、リスク管理にかかわる分野、また、法令等遵守にかかわる分野、この両分野に関して、資産内容の実態把握を中心にいたしまして、日本政策投資銀行、中小企業金融公庫、国際協力銀行、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫の五つの政策金融機関につき今まで実施をいたしておるわけでございます。
 このうち、リスク管理にかかわる検査は、各機関の業務内容に基づきまして、信用リスクにつきましては全機関を対象に検査の充実を図り、今まで実施したわけでございますが、一方で、市場関連リスクであるとか、また流動性リスクであるとか、システムリスクであるというようなことにつきましては、預金等の取り扱いをいたしております商工中金以外については実施をしておらなかったわけでございます。また、事務リスクにつきましては、各機関の内部検査体制等の内部管理や不祥事の事件の対策等の一部について、このようなことにつき検査をしてきた、このような実態があるわけでございます。
 それで、今回この法案で、政策金融機関に金融庁の検査をということで、これを導入いたしますと、金融庁が今まで民間の金融機関で行ってきた検査において蓄積をされてこられたノウハウ、また高度な専門性が活用されるというように期待いたしておるわけで、この検査が質的な改善をもたらすというように考えておるわけでございます。
 今回の検査におきましては、信用リスクの検査、市場関連リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク、このような観点での検査が行われるというようなことでございまして、この金融検査マニュアル全項目にわたった検査が実施されるというように期待しておるところでございます。
 また、検査頻度におきましても、整備状況を踏まえて検査の周期を短縮化する、また弾力的な対応を行うということで、この質、量両面からの検査の充実が期待されておるというようなことでございます。
山本(明)委員 主務大臣でも昨年から検査がしっかりと始まった、それを今回、より高度な形で専門性のある金融庁にそれをお任せする、こういうことだというふうに思いますけれども、確かに金融庁はそれだけのノウハウを持っておると思うわけでありますけれども、民間に行っておった金融検査マニュアルを、今の主務大臣は金融検査マニュアルを使っておったということでありますけれども、今回、金融庁が検査するに当たっても、同じ基準というんですか、同じ金融検査マニュアルで、民間と同じような形で検査をするのか、お伺いをしたいと思います。
村田副大臣 ただいまの御質問につきましては、谷口副大臣が後段の御答弁で申し上げたとおりでございまして、今回の措置については、私どもの行っておりますリスク管理分野につきまして、金融庁のノウハウ活用が有効と判断された、こういうことでございまして、現行の検査マニュアルのリスク管理分野は基本的に適用可能だ、こういうふうに考えております。
 ただ、政策遂行機関として配慮すべき事情がございますれば、今後、主務省庁と協議しつつ適切な対応を図っていきたい、こういうふうに考えております。
山本(明)委員 場合によっては多少変えるかもわからない、こういったことでよろしいですか。金融検査マニュアル、同じようにやるというふうに決まったわけではないと。
村田副大臣 リスク管理の分野につきましてはもちろん金融検査マニュアルはそのまま使わせていただいて、今度は実行段階、査定の終わった後で、そういう資産の管理において私ども政策遂行機関の事情がそれぞれございますので、そうした面において我々は主務省庁と協議をしたい、こういうふうに考えているわけであります。
山本(明)委員 どうして今再確認したかということでありますけれども、民間の場合は預金者保護という立場、そしてあくまでも健全性を追求という立場の銀行であります。政府系の金融機関につきましては、これは政府保証もついておるわけでありますし、いわゆる政策によって融資をされる銀行ということでありますので、そういった意味で、目的も内容も全く違う銀行であります。
 したがって、そういった意味で、同じような形で検査をしていいのかなというふうに思うわけでありますけれども、そうしたスタンスですか、そういった面について、どんな違いで検査されるのかということを再度お伺いしたいというふうに思うわけであります。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
村田副大臣 現状、今使っております民間の金融機関を検査しているマニュアルは同じ、したがって資産査定については同じ、こういうことになろうかと思います。ただ、その後において、行政コスト計算書等において、あと償却、引き当ての状況をどうするかとか、そういう問題については現状でも格別の取り扱いがなされているように聞いております。
 そういう意味で、検査の後、資産査定は同じでございますが、その後、政府関係金融機関の政策遂行に応じて、どういう資産の管理をしていっていいかという実情が変わるところがあれば協議に応じる、こういうことでございます。
山本(明)委員 先ほど財務大臣の方からもお話ございましたように、先ほど御答弁にもありましたように、平成十二年から、民間企業の基準に基づいて、政府系の金融機関も財務諸表が発表をされたところであります。
 ところが、よく見てみますと、政府系の金融機関というのは、民間並みで検査、民間並みで中をよく調べてみると、予想以上にというんですか、今までの、現行基準と比べて非常に内容が悪い、そういう結果が出ております。
 理由はどうかなというふうに見てみますと、主に貸倒引当金が見方が大分違うということが大きいようであります。聞きますと、現行基準では貸出残高の〇・三%程度が機械的に引き当てられておるそうであります。特に、国民生活金融公庫だと九割が無担保保証でありますから、民間基準にすると引当金が大幅にアップをしてしまう、こういったことだそうであります。
 そんなことでやってみますと、国民生活金融公庫、千八百億円も債務超過になってしまう。大変そういった意味で厳しいのが政府系金融機関。国民生活金融公庫が一番厳しいようでありますけれども、ほかも同じような形で引当金がふえて、財務諸表は民間並みで見ると大変厳しい、こんな状況のようであります。
 これから財投機関債なんかも発行される予定だというふうに聞いておりますけれども、余り内容が厳しいようですと、財投機関債についても信頼性が確保できるかどうか大変心配であります。道路公団が昨年やって、少し、発行がすべて消化できなかった、こんな例もあるようでありますので、大変そういった意味では心配をしております。
 こんなことで、実態を検査によって浮き彫りにするということは、これは透明性の意味から大変大切だと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、政府系金融機関の役割というのはやはり違った目的がある、こう思います。
 その政府系金融機関の役割、あるべき姿というものを、今も討論中でありますけれども、しっかりこれから議論すべきではないかというふうに思います。住宅金融公庫につきましては廃止が決まったわけでありますけれども、その他の政府系金融機関につきましても、しっかりとこれから議論すべきだというふうに思います。
 それと、今回、金融庁の検査でこの政府系金融機関をもっと透明性を高めようという形で始まったわけでありますけれども、この二つの関連性、見直しの意味と金融庁の検査と、二つの関連性をどのように考えてみえるのか、どのように生かしていかれるのか、この点を大臣からお伺いしたいというふうに思います。
塩川国務大臣 その関連がまさに一番難しいところでございますね。要するに政策を、金融機関としての本質を生かしていくということと、そして一方においては、やはり公金を貸し付けるのでございますから、そこには透明性を確保して、きちっとしたリスクをカバーしていく必要がある。この兼ね合いの問題だと思っております。
 したがって、現在、政府系金融機関の整理合理化ということを言われておりますけれども、その方向として考えるべきことは、できるだけ、こういう政策金融機関が行っておる業務の中で、民間金融機関で行えることは思い切ってやはり民間に任せた方が、かえって金融機能が正確に発動されていくのではないかと思っております。
 けれども、一方において、例えば生活の困窮者を対象とした事業資金の供給とか、あるいは国の政策に伴うところの金融機関というものは、これは政策執行のためにも維持していかなきゃならぬ、その兼ね合いを見なきゃならぬ。
 そのためには、ここ数年の間、一般民間の金融機関がそのような意識を持って金融の正常化に速やかに復帰してくれるかどうかだと思っております。現代のような金融情勢のもとにおいては、零細金融なり中小企業金融というものは市中金融からは一切犠牲にされておるような状態でありますから、それは、やはり正常化していくまで国の金融機関でその面を考慮していかざるを得ないのではないかと思います。
 しかし、いつまでもそれに頼っているという甘えは許されないと思っております。その時期はいつにするかということ、今御質問の趣旨はまさにその兼ね合いの問題であろうと思っておりまして、できるだけ早く市中金融機関が正常化していく、そして民間金融機関が正常に働いていく機会を願っておるところであります。
山本(明)委員 ただいま財務大臣からお話しいただきましたように、政府系金融機関というのを民営化すべきかどうかというのは今後の議論だと思いますけれども、少なくとも今の時点においては、中小企業の皆さん方から大変頼りにされております。先日も、自由民主党でそうした方々の代表のヒアリングを行いましたけれども、本当にもう悲痛な叫びというんですか、政府系金融機関に対する大変大きな期待がある、こんなふうに今感じておるところであります。
 したがって、きょう、中小企業金融公庫の総裁、それから国民生活金融公庫の副総裁さんにお越しいただいておりますので、そうした今の中小企業に対する融資の状況だとか、今どんな形で、困ってみえる方の状況だとか、困ってみえる方を助けていただいておるのか、その点をちょっと簡単にお伺いをしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
伏屋政府参考人 お答えいたします。
 今御質問の件でございますが、私どもの融資先は、経営基盤が弱くて一般の民間の金融機関から融資を受けることが非常に困難な、いわゆる小規模事業者等が中心でございます。したがいまして、融資に当たりましては、財務内容が厳しい企業とか、また、担保がないまたは少ない企業、さらには新規開業企業など、民間金融機関においては融資ベースに乗りにくい企業にも積極的に融資に応じております。
 特に、最近の貸し渋り対策につきましては、政府からの要請も踏まえまして、中小企業特別相談窓口を設置するなどして中小企業の方々の資金需要に全力を挙げて対応しているところでございまして、私どもの公庫に期待されますセーフティーネットとしての役割を適切に果たすよう努めているところでございます。
 簡単に数字を申し上げますと、十三年度、私どもの事業資金の融資状況は、上半期の融資実績はほぼ前年と同じ水準でございましたが、その後、民間金融機関の破綻の増加とか大企業の倒産、またBSE問題など、小規模事業者を取り巻く環境が再び悪化いたしまして、十三年度後半でございますが、十月は前年同月比六%増とか、十一月は七%増、十二月は二%増、一月は六%増というぐあいな状況でございます。
 今後とも私どもやはり、私どもの公庫の利用者の方々を取り巻きます環境はますます厳しくなっておりまして、より一層親身できめ細かい対応を求められておりますので、個々のお客様の立場に立って、温かい気持ちで対応してまいりたいと思っております。
堤政府参考人 お答え申し上げます。
 状況認識につきましては、中小企業は大変厳しいということは全く同じでございまして、貸し渋り、貸しはがしという状況にいかに対処するかということで日夜やっております。モットーといたしましては、親身、迅速、弾力的という対応を一生懸命やっておりますが、具体的には、ダブるところもございますけれども、全店に相談窓口を設けまして、毎月二千件ぐらいの相談を受けておるところでございます。
 また、現在の中小企業の状況をペーパーだけで判断するのではなくて、技術力あるいは将来性、やる気というようなことも含めまして、総合的な貸し付け判断をやっているところであります。
 それから、セーフティーネットのお話は、大変今伸びておるところでございますが、当公庫の貸し出しの過半はセーフティーネットということで、貸し渋り対応に一生懸命対応しているところでございます。
 以上です。
山本(明)委員 今、両公庫さんからのお話、聞きましたけれども、商工中金さんも一緒でありまして、中小企業向けだけがいいということを言うわけではありませんけれども、やはり中小企業に対してこれからも丁寧な融資をしていただきたい、こんなふうに思うところであります。
 貸出金利について、どんな形で金利を設定したのか、簡単にちょっと説明を。国金さんでも中小公庫さんでもどちらでも結構です。
伏屋政府参考人 私どもの公庫の貸出金利でございますが、基準金利は、これは主務大臣の認可事項となっております。具体的な金利水準は、長期プライムレート、現在ですと二・一%と同じ水準の利率をベースといたしまして、あと、償還期間によって金利が差がついております。現在は、二・一%から、長いものになりますと二・五%ということになっております。
 これとは別に、いわゆる政策的な制度金融、特別金融があります。これは具体的には、ただいま一・一五から二・四五%あたりで私ども貸し出しをさせていただいております。
山本(明)委員 比較的というんですか、民間の場合もっと安いものもいろいろありますけれども、まあまあ低利で融資ができておるな、こう思います。やはり少しでも低利で弱い方を助けていただきたいんですが、しかし、民間の銀行からも見放された、それで政府系金融機関へ行ってもなかなかだめ、信用保証協会へ行ってもやはりだめ、こういう状況にだんだんだんだん景気が悪くなってくるとなるわけでありまして、何とかならぬかねなんという相談も私どもよく受けるわけであります。
 しかし、何ともならなくなった場合どうなるかというと、どうしても、町金融というんですか、やみ金融の方に走ってしまう可能性が大変多い。私どももそういった方を身近で見ておりますと、最後はやはり行方不明になってしまう。大体、聞くとやくざが入ってきておる、そういう例が大変多いわけであります。したがって、特に政府系金融機関、まあ民間の銀行も含めてですけれども、そこと町金融との間のギャップというのは大変大きいわけであります。
 したがいまして、どこで経営者が踏ん切りをつけるかということだというふうに思いますけれども、町金融との間にもうちょっとワンステップあってもいいんじゃないかな。最近、東京都民銀行なんかはそんな模索をしておるようでありますけれども、やはり政府系金融機関としても、今少し金利に差があるという話が出ておりまして、少しでもやはり、相手によってまではいかないようですけれども、差がついております。
 しかし、ローリスク・ローリターンのところから町金融のハイリスク・ハイリターンの間のミドルリスク・ミドルリターンをこれから考えて、経営に行き詰まった人にそこに一回行ってとまってもらって、これからどうするんだ、再生するのか、それともここで申しわけないけれどもリタイアしてもらうのかというその判断をつける場所を、いわゆるやくざとか町金融に最後の詰め腹を切らされるんではなくて、そういった最後のチャンスを与える場所、そんな金融制度というんですか、金融機関というんですか、そういったものをぜひ考えていただきたいと思いますけれども、そういった点について経産省はどのようにお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
小脇政府参考人 お答えを申し上げます。
 いわゆるミドルリスク・ミドルリターン市場と申しますか、ミドルリスク・ミドルリターンについてのお尋ねかと思います。
 一般的に申し上げまして、これまでの我が国の金融機関、物的担保、とりわけ不動産担保を重視する傾向が強うございまして、企業ごとのリスクに見合った金利設定を行うという考え方は希薄であった、このように認識をしております。このため、一定以上のリスクを有すると考えられる中小企業の方々には十分な資金供給が行われずに、これらの中小企業がやむなく高い金利で資金を調達するといった状況が見られていたということも事実であろうかと思います。
 こうした実情の一因といたしまして、中小企業に関するデフォルト、債務不履行の発生率等々信用リスクに関します情報の蓄積が大企業に比べまして不十分でございまして、このため信用リスクを適正に反映した金利の設定が困難である、こういう実態がある、このように認識をしております。
 こうした状況を踏まえまして、私ども経済産業省といたしましては、信用保証協会と金融機関が保有いたします膨大な取引先中小企業に関する情報をもとに、中小企業の信用リスク情報のデータベースを構築して、中小企業の財務状況とリスクとの相関関係を解析する事業、いわゆるCRDプロジェクトを進めておりまして、既に昨年の四月から全国の信用保証協会等において運用を開始いたしまして、これまで百万件を超える中小企業の財務データ等を蓄積してまいったところでございます。
 さらに、不動産担保に過度に依存した金融慣行を是正し、金融調達手段を多様化する、こういう観点から、新たに売り掛け債権担保融資保証制度を創設しまして、昨年末から実施に移しているところでございます。
 今後、こうしたCRDプロジェクトあるいは売り掛け債権担保融資保証制度の成果が金融実務に浸透することによりまして、中小企業の信用力に根差した適切な金利設定による、先生御指摘のミドルリスク・ミドルリターンの貸し出し市場が形成、拡大をいたしまして、中小企業に対します円滑な資金供給がなされるということを期待しているところでございます。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
山本(明)委員 ぜひ、そうした新しい市場制度をよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、金融検査マニュアルの別冊がこのたび新しく公表されたわけでありますけれども、この点について二、三、質問しようと思いましたけれども、時間がもう、五十二分で終われということでありますので、一言だけ、要望だけ申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 間違いなく言えることは、金融庁の検査が厳しくなったので融資が非常に厳しくなったという中小企業の皆さん方の声を多く聞くことは、これは間違いありません。これが厳しいせいかどうかは別にいたしまして、間違いないわけであります。
 したがって、検査をしっかりして透明性を増すことは絶対必要でありますけれども、それがために中小の金融機関まで、そこまで同じように厳しくする必要があるのかどうか。それによって透明性がふえたにしても、それによって融資がストップしてしまうような迷惑を中小企業が受けるようでは、これはやはりマイナス面が大きくなってしまいます。
 したがって、中小金融機関の検査につきましては、例えば、優良な金融機関については、これは検査期間を長くするとか、一回行ったらもう四、五年後まで行かないとか、検査の中身を少し緩くすると言うといけませんけれども、簡略化するとか、そういった形で、中小の金融機関、ついては中小の債務者、こうした人たちがやはり余り困らないような形で、ぜひ金融庁の検査というものもしっかり考えていただきたいな、そんなことをお願いいたしまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
坂本委員長 次に、増原義剛君。
増原委員 自由民主党の増原でございます。
 本日、こういう質問の機会を与えていただきまして、非常にありがとうございます。
 この法案の質疑に先立ちまして、塩川大臣にお聞きしたいのでございますが、この週末、G7に行かれました。そこで、世界経済のことについてあるいは日本経済のことにつきまして、各国とお話し合いをなさったと思います。
 そうした中で、各国から世界経済あるいは我が国の経済についてどのような認識を示され、また財務大臣はどういうことを向こうの方に主張されたか、あるいは両者にどのような相違点があったかということにつきまして、お話をお聞きしたいと思います。
塩川国務大臣 その報告につきましては先ほど閣議で報告しておいたのでございますけれども、G7の公式な会議というものにつきましては、いろいろな問題がございますので発言の時間はそんなに長くございませんでしたが、私が発言いたしましたセクションは、世界経済と各国の状況についてというセクションでの報告でございました。
 そこで私が報告いたしましたのは、日本の経済の状況は、非常に不況が続いておって、なお厳しい状況にあるということは事実であるけれども、最近においていろいろな計数が、下向きであったものが若干停滞してきておるし、一部については上昇に向いておるものもあるという状況であって、いわば底固めの時期に入ってきたのではないかという認識を持っておるということをまず冒頭に申し上げました。
 そして、これからの課題として言えることは、まず、今までの構造改善を進めてきたけれども、日本の産業界自体がどの方向に向かって重点を置くかということについて、やはり政府がある程度主導していく必要があるであろう。それについては、骨太の方針で経済運営の基本を決めたのであるが、これをどのように具体化していくかということがこれからの問題となってきておる。それで、我々は、産業分野の重点化を四分野に重点を絞ってやろうと思っておる。そこに政策的なものを集中する。政策的なものといえば、融資であるとか規制の緩和であるとか、あるいは税制によるところのインセンティブ、そういうものに集中して、その産業を強くして全般に及ぼしていくという政策をとっていきたいということ。
 それから、不良債権の問題については、これは金融機関とそれから貸し出しの機関との関係であって、この前の特別検査を行ったので、これの反省に基づいて金融機関なりあるいは企業がそれに対応した措置を必ずとるであろうし、また、政府はその点についての強力な指導を高めていくことにする。
 それから、減税についてであるけれども、非常に財政上困っておるので、減税による有効なインセンティブのとれるものについてはできるだけ積極的に行うが、財政の均衡というものをやはり絶えず意識しながらやっていかざるを得ないところに苦しいところがある。
 そういうことを説明いたしまして、各国とも日本の苦労は了解してくれておったような感じはいたしておりますけれども、余り個々に質問が出ませんでした。けれども、コーヒーブレークのときに、各国が私にいろいろ聞きますのは、特別検査の生かし方はどうするのかとか、あるいはこれからの経済にもっと積極的な対応をどうするのかということを言っておりましたけれども、私は、先ほど言った基本政策の範囲内で申しておったということであります。
増原委員 塩川大臣、お疲れのところ、また本当に御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、法案につきまして質問をいたしたいと思います。
 まず、このたびの金融庁の検査にかかってくる政策金融機関、九機関ほどありますが、これを昨年三月末でいわゆる民間の企業会計ベースで見ますと、約五兆円のいわゆるリスク管理債権があります。これは、その後、もう一年以上たっております。景気情勢も悪いですね。さらに、これまで、金融庁の検査が入りますと、必ず民間の銀行の方のリスク管理債権がふえております。仮にこの法案が通りまして、そして金融庁の検査が入りますと、このいわゆるリスク管理債権は、五兆円ではなくて、さらに相当額ふえるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
谷口副大臣 主務大臣による検査は平成十二年の十月から行っておりまして、これは信用リスクの分野、また法令等遵守の分野、この両分野におきまして、今まで資産査定を行ってきたところでございます。
 そういう観点から申し上げますと、今回、金融庁の検査が政策金融機関に入るといったようなことで、従来からこの主務大臣による検査をやってきたわけでございますので、リスク管理債権が大幅に増加するといったようなことはないというように考えております。
増原委員 全く増大しないのであれば、この法案を出す意味はないわけでありまして、透明性をしっかりしておくというわけですから、ある程度ふえるんだろうとは思います。
 時間の関係で次に移りますが、九機関のうち、日本政策投資銀行とかあるいは公営企業金融公庫などの四機関は累積剰余金を持っております。黒字でありますね。逆に今度は、国民生活金融公庫などの五機関は累積欠損金を相当額持っております。それぞれ制度についてあるんでしょうが、ここで、剰余金を持っております日本政策投資銀行と公営企業金融公庫、それから累積欠損金を持っております国民生活金融公庫と住宅金融公庫につきまして、なぜそういうものがあるのか、簡単にそれぞれお願いしたいと思います。
小村政府参考人 私ども日本政策投資銀行は、収支相償の原則で運営をされております。先生御案内のように、私どもは、損失を出した場合には国から収支差を補てんしていただく、そういう仕組みにはなっておりません。したがいまして、経営の安定を図るために、毎年、利益金から所要の額を準備金として積み立てております。
 その結果、民間ベースで計算いたしますと、その準備金は五千六百六十三億円というふうに計上しておりますが、この準備金を含めまして自己資本比率を計算してまいりますと一〇%強ということで、経営の安定を図るためには適正な規模だと承知をいたしております。
持永政府参考人 公営企業金融公庫でございますけれども、御質問は行政コスト計算書をごらんになってのお話かと思いますが、この行政コスト計算書の作成の方法と実際の決算の仕方とやや食い違いがございますので、そこをちょっと御説明させていただきたいと思います。
 私ども、実際の決算の上では剰余金は発生しておりません。行政コスト計算書の方では、個別の法人の特殊な事情というものは一切排除して、一定の計算の方法によって計算をするというふうになっておるものですから、結果的にああいうことになるわけでございます。
 内容といいますか、具体的に申し上げますと、私どもの公庫におきましては、十年間の債券発行で資金調達をしておりまして、一方、それを地方団体に貸し付けをする場合は、平均二十五年という長期に切りかえて貸し付けをしております。したがいまして、貸し付けと調達の期間のギャップがございますから、当然そこに金利変動リスクが出てまいります。この金利変動リスクに対応するために、法令の上で一定の引き当てをするように義務づけられておりまして、私どもはその引き当てを今行っているわけでございます。
 その結果、実際の決算上は剰余が出ていないわけでございますが、行政コスト計算書の上では、そういう特別法上の引当金というのは計上しないという建前になっておるものですから、その分が結果として行政コスト計算書上は剰余になるということになっております。実質的には剰余はないというふうに御理解いただきたいと思います。
伏屋政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生が言われましたように、私ども、行政コスト計算書では、主に貸倒引当金を計上することによって、いわゆる繰越欠損金を計上した結果になっております。
 といいますのは、私どもの公庫の非常に大事な使命でございます無担保融資、これは今、件数にいたしまして八八・九%、金額で七九・九%でございますが、この無担保融資を民間並みに引当金を計上しようとしますと、一たん三カ月以上延滞になりますと、これは九〇%から一〇〇%引き当てなきゃならぬわけでございます。そういう計算でやりますと、現行で三百五十七億、貸倒引当金を計上しておるわけですが、実際には計算は四千三百億を上回るということで、こういう差が出ておるところでございます。
岡田政府参考人 お答えします。
 私どもは、累積欠損金というものがあるわけではございませんが、毎年、多額の補給金を国庫からいただいております。
 住宅金融公庫においては、長期固定の低利融資を安定的に供給するために、政策的に必要なものといたしまして、過去の高金利時代のものも含めまして、調達金利と貸付金利の金利差等の経費を補てんする補給金を一般会計からちょうだいしているところでございます。
 ちなみに、貸付金の残高の平均金利と財投借入金の残高の平均金利、これはいわば逆ざやなんでございますが、これが、平成二年度の決算では一・二〇一%ございました。これが、七年度の決算では〇・七九一%まで下がり、さらに、平成十二年度決算では〇・四四九%というところまで下がってきております。
 こうしたことを背景にいたしまして補給金は逐年逓減してきておりますが、なお、平成十四年度予算におきまして、三千七百五十九億円をお認めいただいているところでございます。
増原委員 どうもありがとうございました。それぞれの機関、大分様相が違っておるなという感じを私はいたしております。
 そうした中にあって、今、住宅金融公庫の方からお話がございましたが、いわゆる一般会計からの補給金等、これが平成十四年度はかなり圧縮されております。先ほど申されましたような金利逆ざやの低下によるものか、あるいは、経営努力というのでしょうか、行政改革の趣旨に沿った経営努力によるものなのか、あるいは、特殊法人に対する支出を一兆円を切らなくちゃいけなかったからやったものなのか、そこらあたりにつきまして、財政当局からお話をいただきたいと思います。
 とりわけ、今問題になっている九機関のうち五機関が赤字なんですね。累積欠損を持っているわけであります。それをある意味で、国の一般会計の借金を特殊法人に移しかえたということであっては全く意味がないわけでありまして、そこらあたりにつきまして、財政当局の御意見を聞きたいと思います。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 今、先生から、まず、五機関について累積欠損があるのにというお話でございましたが、これは、今三人の総裁の御答弁でもございましたように、行政コスト計算書という、昨年九月に各法人にみずからの財政の透明性を説明してもらおう、そういう観点から作成していただいているもので、そのもとでは貸倒引当金なんかを民間基準で計上するということで、累積欠損が計上されております。
 ただ、これはあくまで民間と同様に仮定をした場合の計算でございまして、我々が予算編成上用いておりますのは特殊法人等会計処理基準という、これは昭和六十二年に財政制度審議会で示されたものでございますが、これに基づいて財務諸表を作成いたしておりまして、これに基づきますと、累積欠損金はございません。
 したがいまして、今回の十四年度予算編成でなぜ補給金が減っているかということでございますが、政府系金融機関に対する補給金は、これはもう先生御承知のとおり、毎年度の予算で、貸し付けの予定額、回収額、それから調達貸付金利等につきまして一定の前提を置きまして、その上で収支見込みを算定して、そこで収支の足らず前が出たらそれを補てんするというように算定しているわけでございます。
 それでは、なぜ十四年度に減ったかということでございますが、この十四年度の補給金は、十三年度当初予算と比べますと、まず、借入金利回りの低下等によりまして収支が改善される見込みが立っていること、それから、運営経費につきましても可能な限り節減を図るという努力をした、そういうことの結果でございます。
増原委員 わかりました。
 金融庁の金融検査が入るわけでありますから、やはり基本的には、これまでの会計基準ではなくて、民間の企業会計原則にのっとった観点からの物の見方が大事になると思いますので、申し添えておきます。
 それでは次に、先ほど申し上げましたように、金融庁の検査が入りますと、リスク管理債権、これはかなり増大してくることになると私は思っております。これが増大すれば、先ほど来申し上げている、この機関のいわゆる累積の剰余金、これが逆に減る、さらには欠損金がふえるということになっていくと思います。
 そこで、まずお聞きしたいのは、今後予定されております政策金融機関の統廃合、行政改革の観点からいろいろ議論が今なされておりますが、それと、今の金融機関の財務状況、中身がそれぞれ皆違うんですね。さらにリスク管理債権がふえれば、これはある意味では非常に難しいことになってくる、一般会計からの補てんも必要なのかもしれない、そういうものが出てくると思いますが、行革との関係について、財政当局の意見をお願いいたします。
谷口副大臣 増原委員の御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、基本的には我々は、金融庁検査が入ったところで大幅にリスク管理債権がふえるとは思っておらないわけで、従来そういう意味での検査はやってまいったわけでございますので、そういうように考えておるところでございます。
 先ほど政策金融機関の方から説明があったように、欠損金が生じる原因は、今特殊法人の会計処理基準がある、一方で行政コスト計算書、今回出すようになったわけでございますけれども、これは民間ベースの会計処理基準でやった場合ですね、その差でこの欠損金が生じておる。大きな原因が、貸倒引当金の積み不足、基準が違う。これは、各政策金融機関の政策目的も異なるといったような観点もあるんだろうし、政策金融機関というそもそもの原点のところにそういうところがある。例えば、リスクの高い事業者に低利で融資をするといったようなことになるわけでございますから、そういう観点もあるんだろうというふうに思うわけでございます。そういうことで、民間ベースでこの計算をいたしますと欠損金が出てくる。
 そういう一方で、増原委員のおっしゃったような、この政策金融機関のあり方について、おっしゃるように現在のこの経済情勢とまた公的金融のあり方、また組織の見直し、規模等の観点から今議論が起こっておるわけで、これは経済財政諮問会議でも今検討をしていただいておるところでございます。
 今後どういうような方向に進むのかといったようなことがあるわけでございますが、今の御質問は、仮に統廃合されるような場合にどうなるかといったことでございますが、これは、先ほど牧野次長からも若干話がございましたが、最終的には補給金でこれを行うという選択肢もあるのだろう。しかし一方で、財政資金の効率的な使用、これはもうそういう観点、非常に重要な観点でございますから、今そういう方向に進むというような確定的な方向ではありませんが、おっしゃるようなことで考えれば、そのようなことも一つの選択肢なんだろうというようにも思うわけでございます。
増原委員 どうもありがとうございました。
 いろいろ難しい問題がこれから出てくるなという感じがいたしますが、今はいわゆる政策金融機関、九つの機関についてお聞きしましたが、では、それに資金を供給している、今もう名前が変わって財投特会というんですかね、資金運用部特会ではなくて財投特会ですが、これを見てみますと、近年多額の利益を上げて、昨年末でもう既に五兆円を超える剰余金が出ております。恐らくこの三月期で二兆五千億ぐらい出るだろう。さらに、今年度予算、幾ら積まれているかもしれませんが、相当、あっという間に、ここ数年で恐らく十兆円を超える剰余金、そういうふうになると私は見ておりますが、どうしてこのような多額の剰余金が出るのか、それについて、また、恐らくこれは資金の調達コストと運用利回り、これのスピードの差なんだろうと思うのですけれども、それについて理財局の方から御意見をお聞きしたいと思います。
寺澤政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、平成十二年度末の、当時は資金運用部資金特別会計、現在財政融資資金特別会計でございますが、その積立金が五兆四百三億円となっております。これは、財政融資資金の性格を御理解いただかなければならないのでございますが、財政融資資金は長期固定の資金を供給するものでございまして、その資金調達期間の平均が約七年でございます。一方、貸付期間の平均が十七年となっておりまして、最近におきます金利の低下局面におきまして発生したものであるということでございます。
 財政融資資金特別会計は独立採算制をとっておりますので、将来金利が上昇いたしました場合には今と逆の問題が発生いたしまして、損失、赤字が発生するということでございます。現在発生している利益を積立金として整理しておりますのは、長期的にそうした収支が相償うようにするということでございます。
 私どもは、財政融資資金特別会計のALMを適切に実施をいたしまして、長期的に同会計の収支が相償うように努めてまいりたいと考えております。
増原委員 それはそうだと思います。思うのですが、先ほど公営企業金融公庫の総裁からもあったんですけれども、金利下降局面で、調達期間、調達資金の期間が短い、貸し付けは長い、こういう状況だから生まれてくる。それが上昇局面になれば、もちろんそこに金利変動リスクが出てくるわけですね。それが一体どの程度であれば適正と見るのかということだと思うのですよ。
 今もうどんどん積んでいって、これが恐らくこの三月末で七兆五千億超えるでしょう、この平成十四年度でまた一兆五千億ぐらい、予算ですけれども、もっといくでしょう。あっという間に十兆ぐらいいっちゃうと思うのですね。それは、さっき申し上げた、大体調達期間が七年、預託金制度はなくなりますけれども、財投債出されますが、一方で貸し付けの方は大体平均十五年、ここなんですね。だから、今地方自治体なんかは非常に高い金利で泣いているわけですよ、昔の十五年、二十年前の高い金利で。一方で財投のこの特会はどんどん利益を生んでおる、こういう構図になっている。
 では、一体どのくらいが適正なのか。これは、下手にここに、特別会計に積んじゃいますと、ここに主計局の人も来ていますけれども、外為特会と同じように、会計苦しいからちょっとよこせ、こういうふうになりますよ。だから、公営企業金融公庫も同じなんですが、どこが一体適正なものなのか、これについてちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
寺澤政府参考人 お答え申し上げます。
 財政融資資金特別会計の今後の動向につきましては、ALM管理の中でさまざまな将来の金利変動を想定してシミュレーションを行っております。
 しかし、今後の金利上昇に備えましてどの程度の利益を積み立てておけばいいのかということにつきましては、今後の金利動向とか財政融資資金の貸付規模、これがどうなるかということによることが大きく影響いたしますので、現時点において一定の目標を幾らぐらいというふうに申し上げることは非常に難しいわけでございますが、非常に大ざっぱに、金利変動リスクの影響度を御理解いただくために申し上げますと、十三年度の財政融資資金の融資規模が二十六兆円でございます。二十六兆円の融資を、約七年の資金調達をしておりますので、七年後にはこれを借りかえをしなきゃいけないということになります。
 七年後に借りかえる際に金利が一%上昇していたらどうなるかという単純な計算をいたしますと、二十六兆円の一%でございますから二千六百億が損失要因になってくる。それが十七年続くわけですから十年間あるといたしますと、貸し付けが十七年でございますから七年後に残り十年ですね、十年で約二兆六千億の損失要因になる。それは単年度の融資だけでそうなるということでございまして、これが、過去十五年の平均金利が大体四%ぐらいでございますから、現在一・五%とか二%前後で買い取りますものが四%ぐらいまでになるということになると、もう少し大きな影響を持ってくるというふうに御理解をいただければと存じます。
増原委員 最後に大臣にお聞きしたいと思ったのですが、時間が参りましたので、私の意見として申し上げておきたいと思います。
 今、財政投融資制度も過渡期にあると思います。預託金を順次七分の一ずつ返していく。一方で、財投債も出すけれども財投機関債も出す。財投機関債を出すということは、今寺澤理財局長から話がありましたが、機関債を出せば、今言ったようなリスクは財投機関に押しつけるわけです、今のリスクは。財投機関債を出すというのはそういうことなんですね。いろいろなことがあると思います。
 また一方で、今、住宅公庫などもありますけれども、二・六か七でしょう。非常に高いのですね、実質金利としては。だから、そういったものについて、過去の高い金利のときの分がまだ相当残っているんじゃないか。なぜもっと弾力的に繰り上げ償還を認めて、もっと貸付金利を下げないか、そういうこともあるわけであります。
 そういう意味で、いろいろな問題を今含んでおると思います。今後の政策金融のあり方もやはりきちっと議論をしていかないと、単なる行政改革、行政改革でやっておったのでは、私は国民経済に多大な問題を残すという意見を持っておりますので、それを申し上げて、私の質問を終わります。
坂本委員長 次に、五十嵐文彦君。
五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 最初に、月末が迫ってまいりまして、同時に、四月の月末はゴールデンウイークを控えた月末になるわけです。私の周囲にもかなりたくさんの銀行関係者がおりますけれども、通常の年でもこのゴールデンウイーク前というのは大変事務事業が重なって、多量になって大変だというふうに伺っております。
 みずほ銀行の場合は大変なトラブルを抱えているわけで、心配が残っている。民間の企業等あるいはこの月末に給与振り込みを受ける個人からも心配の声が出ているのですが、その後のトラブルの処理の状況について、どのような御認識にあるか、伺いたいと思います。
柳澤国務大臣 私ども、みずほのあのようなトラブルがあって、直ちに二十四条報告を徴して、それが四月の十日の日に期限を切っておりました関係で報告をいただきましたが、性格上、中間的なものである、こういうことでいただきました。
 したがいまして、その後におきましても、これを補完する形でその都度の現状の報告というものを受けておるわけでございますけれども、ATMは順調な稼働に入りました。それからまた、口座振替の方も滞貨もなくなりましたし、さらにそのときそのときの事務処理も支障なく今のところ処理ができています、こういうところまで来たわけでございます。
 ただ、今五十嵐委員がおっしゃいますように、これが非常に事務量が増嵩した場合に、関係があったプログラム上の問題が依然として伏在しているのかどうか、こういうことについては、率直のところ、心配がないということでもないんではないか、このように考えておるわけでございます。
 ただ、もちろん一方、そうしたことが顕在化しないように当事者は最大限の努力をしているというふうに考えておりまして、しかし、そうしたリスクというのをことごとく、すべて事前にその存在を確認して対処できるものなのかどうか、この辺もまだ依然としてあるわけでございますので、ぎりぎりいっぱい努力をしていただくと同時に、非常に事務のふくそうする時期も何とか乗り切ってもらいたいということを期待いたしております。
 いずれにしても、現状は、以上申したような事務処理の円滑な運営というものが確保できているという段階だということであります。
五十嵐委員 突然の質問なので、お答えいただける範囲内で結構なんですが、一つは、都庁が、石原都知事が富士銀行と一緒に沈むつもりはないというような発言をしたかのように承っておりまして、指定金融機関から外されると大変だというので、四月十五日、都庁職員の給与振り込み日だったわけですが、それを最優先して作業を行ったということですね。その分だけしわ寄せが他の民間に来ているんではないか、そのことを金融庁も容認したのではないかというようなことが言われておりまして、そのしわ寄せというのが今のお話でははっきりしなかったのですが、心配がないというわけではないんだけれども今のところ順調だ、こういうお話だったわけですが、いわゆる手作業による作業というのは終了したのか。それから、プログラムのふぐあいの原因がまだ十分解明されていない、こう言われているわけですが、その解明は終わったのかということと、あわせて補足的にちょっとお答えをいただきたいと思います。
高木政府参考人 お答え申し上げます。
 私も、にわかにちょっと思い出せない部分があるのですが、いずれにしても、振りかえいたしましたその通知、それにつきましては、現在、その簡便法といいますか、エクセルでやっておりますから手作業だと思うのですね。それから、持ってきたデータの振り分けについても、やはり依然として一部手作業でやっている部分があるんじゃないかと思います。それから、プログラムについても、さっきのそのエクセルとの関係もあるのですが、少なくとも、通知についてはプログラムを今見直している最中で、銀行側の説明によりますと、五月一日をめどに正常化するというふうに聞いております。
五十嵐委員 まだ一部手作業が残っているということですと、先ほど申し上げました繁忙期に心配だというのがやはり残るのですね。また、プログラムについても見直しの最中だということであると、これは大変な問題に、もしこの五月初めに向けてさらに大きな支障が起きると、日本の金融システム全体への国際的な不信も招きかねないというふうに私は思いますので、さらに一層関係者を督励して万全の措置をとっていただきたいというふうに要望しておきます。
 本題に入らせていただきたいと思いますが、本法案でございますけれども、私は、財金分離論者でありましたからこれは一歩前進と一応考えるわけでございますが、それにしても、どうも疑問が、大きな疑問点が残ると言わざるを得ないわけでありまして、一つは、根本問題なんですが、公的金融のあり方というものについて、どうも論理的な整理がついていないのではないか。公は民の補完だという考え方は、これは当然一般論としてあるのですが、それは当然なのですが、これがリスクのとり方ということになりますと、どうも明確ではないのではないかな、そのように思います。
 金融庁からいただいた政府系金融機関のリスク管理債権の状況を見ましても、先ほど与党の同僚議員の方からありましたけれども、リスク管理債権、九機関全体で、全残高に占める割合が平均して二・八九%。高いところは、沖縄振興開発金融公庫の九・〇七%というのはあるのですが、全体を通すと二・八九%ですね。これは一概に比べられないのですが、民間の金融機関のリスク管理債権は、現在、全体の六・九四%という数字を金融庁からいただいているわけであります。
 先ほどお話がありましたように、もし、民間がとり切れないリスクを公的金融機関がとるのだということであれば、むしろこれは上がって当然という面があると思うんですよ。それが二・八九であるならば、六・九四が民間で公的金融機関が二・八九ならば、逆に言うと、これは何も公的金融機関がそれほど乗り出してくる必要はないのじゃないか、民間に任せていいのじゃないかという話が当然出てくると思うのですね。
 政府が無限のセーフティーネット、いわゆる政府が保証するという形でこれを公的金融機関に与えるならば、結果はやはり民業圧迫になってしまうということで、民業圧迫論が出てくるわけであります。逆にこれが、セーフティーネットが薄いということになりますと、今度は最後を税金で穴埋めしなければいけないという問題が出てくるわけでありまして、その辺の整理がどうも、十分できているのかなという議論があろうと思います。
 この議論を延ばしていきますと、いろいろな問題に行き着くわけでありますけれども、柳澤さんと少しお話をしたいのです。
 そもそも、日本では直接金融が育っていないから今間接金融が重要だという話があるのですが、どうも考えてみると、直接金融が育たない理由の一つに、やはり公的金融が出過ぎているということがどうしてもあるのじゃないかなと思うのです。
 それは、例えばコストの問題、いわゆる融資を受ける側の、事業会社のコストの問題を考えますと、日本みたいに配当性向の低い国では、社会では、直接金融でお金を調達すると、安いお金で調達できるように見えるかもしれないけれども配当しなければなりませんから、そうすると、トータルなコストは逆に高目になる。間接金融の方がむしろ、株の持ち合い等も今までさんざんありましたので、配当が少なくて済むから、コストとしては実は小さくなるということがあるのじゃないかな。
 すなわち、直接金融が育たないから間接金融だというのではなくて、間接金融がむしろ直接金融を育てないようにしているのじゃないか。要するに、卵と鶏の関係が逆ではないかというところに実は気がつくわけなんですが、こうした認識についてどうお考えになるかということを、まず柳澤さんと議論させていただきたいと思います。
柳澤国務大臣 問題は二つあるかと思うのです。
 一つは、公的金融が非常に多いので、民間の補完とは言い条、補完以上のことをやっているという面があって、日本の場合は間接金融への依存が全体として高まる要因になっているのじゃないか、こういうお話かと思います。
 これについては、私も、そういう傾向は否定できないと思っております。ただそれは、実は、私は民間金融機関を監督する立場でこういうことを申し上げるのは残念なのですけれども、例えば政策投資銀行などの場合によく聞くことですけれども、政策投資銀行が審査をして少しつき合ってくれるんだったら、我々も協調融資ができるんだみたいな話でございます。つまり、民間の金融機関がみずからの審査能力ということに自信がない。むしろ、そのしっかりした目というものを政府機関の方が持っているのだというような実情というか、そういう主観的な認識までそうだというようなことが現にあるわけでございます。
 全体として、今度の住宅金融公庫の問題もそうですけれども、民間金融機関としてもっともっと審査の能力というか、リスクの評価能力というものを高めて、自分の足で立つ、そういうビジネスモデルというものを構築しない限り、なかなかこうした状況を脱却するという道はないのではないか、こういうように考えておりまして、私ども、その観点も念頭に置きながら、今、金融機関に対していろいろな働きかけをさせていただいているところでございます。
 それからもう一つ、利子の支払いと配当ということで、利子の支払いの方が結局は企業のコストとしては低いのではないか、配当の方が高いのではないか。配当は、確かに名目値では低いように見えるかもしれないけれども、実際は、企業の負担としては支払い金利よりも重いのではないか、こういうお話でございます。
 私は、今ここですぐに周到なお答えができるというように、今、頭が自分自身整理されておりませんけれども、基本的には、配当が利益処分であるということで、片方、支払い利息の方は経費あるいは損金として認められているということが、率直に言って、今委員が指摘されるような状況に結びついている面は否定できないというふうに考えておりまして、この面でも、もう少し我々は考えていかなければならぬ部分があるというふうに考えております。
五十嵐委員 大体、お考えが私と同じだと思うのですね。
 結局、政策金融機関も民間を圧迫しないように、民営化に近い方向に動いていかないと私は問題がある、そして、本当に必要な部分というのは、それはそれとしてきちんと考えていくべきだろう。
 それからもう一つは、非常時と、平時というか本来のあり方というのを分けて考える必要があるのかなという思いがしているのです。この間からの議論で、あなたはマーケットフレンドリーというか自由主義経済の立場じゃなかったのか、最近は違うことを言っているじゃないかという御指摘をかなり柳澤大臣からいただいているのですが、私は基本的には自由主義者なんです。しかし、今は非常時だ、金融危機だという、そこは認識が違うわけです。
 ということで、非常時はまた別の考え方を当然していいということから、例えば、銀行の一時国有化論というようなこともそういう観点から申し上げているので、これは実は政策金融についても分けて考えるべきではないかな。いわゆる民間が機能を果たしていない今のようなときには、やはり政策金融機関のあり方についても、本来のあり方とは違う考え方というのはこの時期について区切ってあってもいいのではないかなというふうに僕は思うんですが、そういう分けた考え方というのはお持ちなんでしょうか。それとも、やはり本来的なあり方で今からずっと進めていくべきだというお考えでしょうか。
柳澤国務大臣 現在の状況で、例えば中小公庫等に行っていただいているセーフティーネット金融というようなものが不要かと言われれば、私も、それはあって悪いことはない、こういうように申し上げるわけでございます。
 ただ、例えば政策投資銀行などもそうですけれども、政策投資銀行の融資というのは、一銭一厘たりとも個別の政策に結びついていないものはない、こういうことで運用されているはずでございますけれども、理屈というのはどうもつけようで、とにかく何とか理屈で政策に結びつけて融資を引き出そう、あるいは融資をしよう、こういう力学が働いておりまして、それが政策投資銀行の、例えば貸し出し資金の増嵩に結びついているということは否定できないように私は思います。
 したがって、時間で、時期で区切るかというお話と、もう一つ、それぞれの時期に応じた政策で区切るかということだろうと思うんですけれども、私は、やはりそこにかなりの厳格性が求められるけれども、現実にはなかなかそうはいかないというのが実情だというように思っております。したがって、私も全部が全部否定をしようとは思いませんけれども、率直に申して、借りる方も貸す方にも、魚心あれば水心ありみたいなことで、公的金融が増嵩するいろいろなベクトルが内蔵されているというのが現状ではないかというように思って、この辺はかなり厳格に考えていくべきものだろうと私は思っておるわけです。
五十嵐委員 私も、もう少し整理をされないといけないんじゃないかなと思うんですね。政策金融の目的、そしてその効率性の達成度といったものと資産の健全性というものとのバランスを、だれがどこで判断するかという問題が出てくるのでありまして、リスク分野を金融庁に任せるといっても、そのリスク分野と、法令遵守というか、法令遵守ということは政策目的ということだと思うんですが、それを分けて考えて本当に成り立つのかいなというのが一つの大きな疑問点でございます。
 その論点をちょっと掘り下げていきたいと思うんですが、財務省に法令等遵守の検査監督権限を残しているというのが問題なんだろうと私は思います。今言ったように、リスク管理は単純にそれだけ独立していいというものではないんじゃないかなという意識があるものですからお尋ねをするわけですが、これはなぜ財務省に法令等遵守の検査監督権限を残したんでしょうか。
藤井政府参考人 お答えいたします。
 今先生おっしゃいましたように、今般の法改正案によりますと、主務大臣がリスク管理分野の立入検査の権限を金融庁長官に委任する一方、政策金融機関に対する監督、これは権限委任後も引き続き主務大臣が行うということになっております。
 政策金融機関につきましては、御案内のとおり、各機関の設置法におきましてその政策目的が掲げられている、そしてその政策目的を実現するために業務が行われるということが求められているわけであります。したがいまして、各機関の設置法を所管し監督権限を有する主務大臣が、今後とも引き続き、いわばその政策目的ということとの表裏一体のものといたしまして、法令等遵守に関する検査、これを行うことが効果的、効率的であるというように考えております。
 なお、先生おっしゃいましたリスク管理に係ります検査、これは金融庁の方に委任されるということでございますが、その結果につきましては主務大臣に報告がなされる。したがいまして、主務大臣といたしましては、リスク管理に係ります検査、これもあわせて総合的に判断し、それぞれの政策金融機関の政策目的の遂行ということに対して検討していく。こういうことで、そこでいわば一体のものとして一元化されるということで御理解をいただきたいと思います。
五十嵐委員 今いろいろ答弁があったんですが、その答弁の中に幾つかの問題点を含んでおります。
 本来ならば、政府系金融機関であれば、少なくともそういう法令遵守の分野は当然のこととして守られるべきであり、いわゆる主務大臣というものが、直接監督省庁があるわけですね。一方、共管の主務大臣として財務大臣がおられるわけですけれども、事前及び事業執行中の直接的な監督権限というのはいわゆる直接監督省庁が持つのでありまして、いわゆる事後的なチェックしか多分財務省は難しいんじゃないかな。予算という段階で事前のチェックにもなるわけですが、それはチェックというには違う問題なんだろうと思います。
 それで、事後のチェックというのは、会計検査院があるじゃないですか、会計検査院が行えばいいんじゃないですかね。
 例えば、平成十一年度の会計検査院による決算検査報告というのがあります。この中で、会計検査院の指摘により当局において改善処置を講じた事項三十七件というのがあるんですが、そのうちの一つに住宅金融公庫の項目がありまして、こういうふうに書いてあります。「宅地造成資金の貸付けに係る再申込みの運用の実態を検査した結果、事業者に著しく有利に貸付条件の変更をもたらす結果となっている事態が見受けられたため、この取扱いを廃止する処置を講じた」というんですね。
 要するに、貸し付け条件が甘過ぎるというふうに変更したということで指摘をした、それに伴って主務大臣はこういう取り扱いを変えるように措置を講じました、背景金額は四十億二千八百八十五万円だ、こういう記載がなされているんですよ。これは、会計検査院による法令遵守にかかわる指摘じゃないんですか。
藤井政府参考人 お答えいたします。
 先生の御指摘、二点あろうかと思います。
 一つは、前段でお聞きいただきました、財務大臣がどうして他の大臣とともに主務大臣になっているかということであろうと思います。
 これは、先生もおっしゃいましたように、政策金融というのは、金融という資金供給、その手法によりまして特定の政策目的を達成する。その政策実現手段ということから申し上げますと、租税あるいは補助金等々と一体のものとして政策的な資源配分機能を果たしているということが言えると思いますし、また、その資金調達につきましては、国が深く関与しているということでございます。具体的には、その予算につきまして国会議決を要するというようなものがございます。
 そういうことから申し上げまして、財務大臣は、各機関の資源再配分機能が有効に発揮されるための総合的な調整、各機関の適切な運営の確保という観点から深くかかわっているということが言えようと思います。
 それから、二つ目におっしゃいました会計検査院の検査と法令遵守ということ、今御指摘いただきました件は確かに重複をする部分があろうと思います。
 ただ、極めて形式的に申し上げますと、主務大臣の法令等遵守分野に係る検査の対象項目、これは、業務運営に関します法規制の確認、あるいは政策目的に沿った業務運営の確認、さらには民業補完の確認、あるいは予算の執行及び決算の適正性の確認ということでございまして、検査院の検査、これは基本的には政策金融機関の会計経理が法令に従って正しく行われているかという観点から行われるものでございまして、今先生御指摘の例示は確かに重複する部分はあろうと思いますが、基本的に申し上げますとそれぞれの視点、見方というものが異なっているということを御理解いただきたいと思います。
五十嵐委員 さすがに優秀な財務官僚は理屈をつけるのがうまいんですが、実際に例えば最近十年間の検査を見ると、平成七年は商工中金のみでしょう、二カ月間。それから十一年の監理官検査というのは、これは中身は何かよくわからないんですが、十一年はそういうのが行われている。七年から次は十一年ですよ。その間には、八年、九年、十年と三年間検査は行われていないんですね。それから十二年は日本政策投資銀行のみであり、十三年になって中小企業金融公庫と国際協力銀行と国民金融公庫と三つやっていますけれどもね。これから見ても、今までの実績から見ても、財務省にはそうした検査の能力も積極的な意義も私は見出しにくいというふうに思うんですよね。それから、監理官がいらっしゃるんだけれども、財務局には検査する人はいるけれども、本省の監理官というのは二人で、しかも兼任なんじゃないですか。
 ということをいえば、財務大臣が何もここで主務大臣ですといって言い続ける理由は余りないんじゃないかなと。要するに天下りのポストを確保するために、意地悪な見方かもしれないけれども、主務大臣を名乗っておくんだ、こういうことじゃないんですか。
藤井政府参考人 今先生おっしゃいましたように、現在の政策金融機関に対する検査、本省で二名それから財務局職員二十六名、それに各省庁の所管の方々という形で、おっしゃいましたように、日本政策投資銀行につきましては平成十二年等々で行ってきているということであります。そういうことからいいまして、確かに、対象機関あるいは対象の支店の数あるいは対象とすべき件数、貸付件数に比較いたしますと、人員的な不足が否めないということは言えようと思います。
 したがいまして、私どもといたしましては、今般法律を提出させていただきまして、このリスク管理につきましては金融庁に検査を委任する、他方、現有の勢力は法令遵守等にいわば特化する、基本的には。ということで、むしろ金融庁検査にお願いすることによりまして両面にわたって質量ともに充実をさせるということが、あるいは今般の法律の大きな目的ということでございます。
五十嵐委員 確かに人手が足りなかったから下請に出したんだというお話なんですが、それにしては三年間もやっていないというのは、必要なかったということの方が近いんですね。人手不足だったという話とは違うと思うんですね、三年間やっていなかったということは。
 もう一つは、主務大臣は、財務大臣のほかに直接監督官庁があるんですが、それ以外に法令遵守にかかわるチェック機能を持たせるとすれば、中途半端な横並びの、大臣、政府機関の間、省庁の間でやるんではなくて、完全な外部、例えば我が党が主張するように、GAO、行政監察院のようなものを衆議院に設置してやらせるとか、違う機関にやらせる。あるいは民間オンブズマン組織にやらせるとか、完全に分けた方がむしろダブルチェックがきくんであって、私は、内部チェックと外部チェックの中間体のような財務省によるチェックというのがなぜ必要なのか、依然としてわからない。
 それから、先ほど、一部会計検査院の検査と確かにダブる部分があると御答弁がありましたけれども、リスク管理分野と法令等遵守分野というのは峻別できないんですよ、結局は。そこがおかしいんじゃないかなと思うんですが、その辺についてもう一度答弁をお願いします。
藤井政府参考人 お答えいたします。
 一つは、前半の部分につきまして、やはり我々といたしましては、政策金融機関の目的、これをどのように具現化していくかという企画立案というものがあろうと思います。そして、それに伴う具体的な予算措置というものがあるわけですから。ですから、やはり私どもといたしましては、そういう法令遵守等々の検査と、そしてそれを生かすべく企画立案に結びつけるというものについては、一体として考えた方がより適当ではないだろうかというように思っております。
 それから二つ目の――二つ目は何でしたっけ。(五十嵐委員「オンブズマンとかGAOといった別組織にむしろ外部検査をやらせた方がいいんじゃないのと」と呼ぶ)いや、それが今申し上げた、私どもとしては企画立案、予算と一体となった方がより適当ではないだろうかと。(五十嵐委員「それではリスク管理分野と法令等遵守分野とが峻別できないで混乱が起きるんじゃないかという話」と呼ぶ)そこは、二つ目の部分については、確かに、例えば具体的な担保について、それがどういう形でいわば評価が具体的になされているのかとか、あるいは保証人の意思が現実にあったかどうかというようなところは、法令遵守の分野とリスク管理の分野とはボーダーラインがはっきりしない、重複する部分も多分にあろうと思います。ただ、逆に言いますと、極めて明確に二つの分野を仕切れる部分もあろうと思います。
 そういうことで、現実の運用といたしましては、この法案を通していただきますれば、今後金融庁とも、それぞれの具体的な検査の対象をどうするのか、基本的にはリスク管理は金融庁検査、もちろんそういうことでございますけれども、その上で、各政策金融機関の特殊性等々も勘案しながら具体的な重点、濃淡をどう置いていくかということについては検討させていただきたいというように思っております。
五十嵐委員 今、下請というふうにちょっと失礼な表現を申し上げましたけれども、というのは一般の人にはわかりやすいから申し上げたんですが、わかりやすく、下請をする側の金融庁からすると、権限をこれで区切られるわけですので、かえって困ることが起きやしないかということですね。
 私は、これは質問がかぶるんですけれども、立入検査を直接的に金融庁の事務とすべきではないかと思うわけです。主務大臣からの委任という形式をとると先ほどとの、いわゆる検査分野の分割による混乱と相まって、主務大臣の委任という形式を受けるとかえって金融庁の現場で困ってしまうのではないか。
 それから、続けて質問をいたしますけれども、法令上、金融庁の検査結果というものに主務大臣は従わなくてもいいということになってしまうんじゃありませんか。
柳澤国務大臣 権限を委任されて、それを受任してやるということですから、見方、表現によってはまさに下請でございます。それに間違いないんですけれども、私どもとしては、この考え方というのは、やはり検査が監督の一部であるという考え方からきているんだろうと思っています。監督権というのはやはり主務官庁にある。しかし、監督を構成する重要な部分である検査については、やはりノウハウの蓄積というのは私ども金融庁にある。そこで、その部分はやってくださいということだろう、こういうふうに思っているわけでございます。
 リスク管理の部分の検査と法令遵守の部分とは截然と分かれないんじゃないかとおっしゃられるんですけれども、私は、割と截然と分かれるんじゃないかというふうに思っているわけです。それは、この融資が本当に政策目的に合った融資かどうかというようなことについて金融庁検査局で考えろと言われても、これはできない相談でございまして、私どもはあくまでも、基本的には健全性という理念に基づいたリスクの管理がしっかり行われているかという観点で見ますので、したがって、そこのところはむしろ截然と分かれて処分ができる、こういうふうに思っております。
 ただ、我々が行った検査が監督の上でどのように生かされるかということについては、これは監督者たる主務大臣がお考えになられることでありまして、私どもとしては、それがうまく適切に活用されることをひたすら期待している、こういう立場かと思っております。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
五十嵐委員 今の御答弁ですと、先ほど与党の質問にあった御答弁と食い違う部分が出てくるかなと思うんですよ。というのは、金融機関によって政策目的が異なるものですから、引き当て率だとか債務者区分なんかはちょっと変わってくるんじゃないかというお話があったと思うんですよ。
 そうすると、単にいわゆる資産の健全性をリスク管理として調べるということであったら、全く共通の基準でいいはずでありまして、引き当て率が変わってくるとか、引き当て率については変わってもいい部分があるのかもしれませんけれどももう少し精緻な、統一的な基準というものがあっていいはずだと思うんですが、そうなってはいないんじゃないですか。
柳澤国務大臣 私どもは、基本的、原則的には我々の金融検査マニュアルによる検査をさせていただくという考え方でございます。ただ、本当に重箱の隅に至るまでそうと今の段階で言い切れるかと言われれば、それは例外はあるだろうという程度の考え方でございまして、リスクの評価、あるいは見積もりとか、あるいはそれに対する管理のあり方といったことについては基本的に私どもの検査マニュアルが機能すべきものだ、こういうふうに考えておるということです。
五十嵐委員 それからもう一点、金融庁の検査結果に主務大臣は従わなくていいんじゃないかという問題が出てきてしまうんですが、これについては財務省、金融庁、それぞれどういうふうにお考えですか。
藤井政府参考人 確かに、法令上、尊重義務というものは明示的には規定されていません。ただ、金融庁がその専門性に基づき実施をした検査の結果、これは、今般の法律改正の趣旨を考えますと尊重することは極めて当然であるというように考えております。
 具体的に、若干付言して申し上げますと、問題点等の指摘事項のうち、例えばシステムリスク等々、各機関に対し改善を求めるというような話があるとすれば、その改善状況について継続的に把握する等々、適切な監督に努めたいというふうに考えております。
 また、信用リスク管理のうち、資産査定につきましては、各金融機関が作成をいたします行政コスト計算書等に反映されるということになるわけでございます。
五十嵐委員 それで、もとの話に戻ってしまうのですが、要するに、セーフティーネットが厚過ぎればモラルハザードが起きかねない、あるいは今度は薄くても、財務の健全性が損なわれて最後は税金投入になって、結局は国民の負担が大きくなってしまう、こういうおそれがあるわけですね。
 これを防ぐためには、検査だけではなくて、最終的には、だれがどういう責任をとるかということが明示されなければ健全な金融にならないですよ、金融自体というのは。ということなんだと思うのですよ。そうすると、できるだけ責任者というのは絞られなければいけない。リスク管理部分だけ金融庁に委任をするというような形は、責任をとる人がそれだけ膨らむわけですね。
 それから、先ほど申し上げたのも、主務大臣が、財務省が加わることによって、どっちが本当は最終責任をとるんだという問題があいまいになってくる、拡大してくるわけでありまして、ですから、財務省はもう主務大臣からおりたらどうか、あるいは金融庁は責任をとるんだったら全部の検査権限を直接受けたらどうかというような質問を申し上げたわけで、にもかかわらず中途半端に財務省に権限を残すというのは、天下りが目的ではないのかという疑いを持たれても仕方がないと私は思うのですが、改めてもう一度、財務省からお話を伺いたいと思います。
藤井政府参考人 同じ答弁を繰り返して恐縮でございますけれども、やはり政策金融機関の政策目的、しかもその具体的な財源の担保といたしましては予算あるいは財政資金等々が活用されているということであります。
 したがいまして、検査におきましても具体的な金融庁のノウハウを活用しつつ、その結果につきましてはやはり一元的に所管大臣、それにはいわば財政的な立場から財務大臣ということが共管になるわけでございますが、そういうところで一元的な政策金融機関のあり方について、あるいは具体的な事務事業をどうしていくかというようなことについては責任ある判断を行うという方が、より一体であり整合的であろうというように考えております。
五十嵐委員 それは逆なんですよ。予算があるから財務大臣も責任を負わなければいかぬというのだったら、それは翌年の予算で切ればいいだけの話で、予算上だけでチェックをすればいいのであって、主務大臣になる必要はないのですよ、実は、と私は思います。
 まだ他の野党の同僚議員の質問もありますから、これだけでずっと続けるというわけにいきませんので、先へ進みたいと思います。
 今は、財務大臣が権限を残すのはおかしいのではないですかという話なんですが、逆に今度は、もう一方の心配は、金融庁に権限を集中し過ぎるのも問題ではありませんかという心配が、国民の側にはあるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 最近、民間の金融機関から、柳澤さんは優しい人だと思うのですが、どうも金融庁が怖いという話が盛んに出てきます、本当に。野党の私と会うのすら金融庁に伝わるとまずいのですということで、私に会うときはこっそり会いたい、こう言う関係者がかなりいるんですよ。やはりそれは、裏返しをすれば、金融庁が裁量行政を復活させているのではないかという疑いにつながってくるのであります。
 それで、裁量行政をしてもらっては困るのですが、その一つの例として、私は前回、石川銀行の問題を、違う観点からでしたけれども取り上げさせていただいて、その中でも少しお話をさせていただきましたが、疑問がまだ残っているんです。
 あのときに、石川銀行だけ、なぜ事後チェックのはずの九月期の中間決算の後に入って、それで直ちに債務超過だったということを気づいていながら、検査結果の発表を、あれはたしか六月でしたか、年半ばまで延ばしてぐずぐずさせたという指摘をさせていただいたら、あのときに、いや、通常の検査というのはそれぐらいかかるんですという御答弁をいただきました。
 私は、そんなことあるのかな、地方銀行を、こんなに一カ所に半年もかかっていて、検査し切るのかいなという疑問があったものですから、幾つかの銀行に聞いてみました。そうしたら、主要銀行とか準主要銀行については確かに三カ月ぐらいかかりますかねという話を、検査によって違うんですけれども、目的とかによって違うんですが、かかりますかねというお話でしたが、地方銀行クラスだったら、まあ二週間半とか三週間とかそんなものじゃないですかというお話を聞いたんです。これは異常に長いですね、五カ月以上の検査。
 その間、石川銀行の増資、これは詐欺的な増資だったんですが、増資を指をくわえて見て、はいはい、そうですかと、聞いたって増資の努力に介入することはできないというのがまた柳澤大臣の御答弁でございました。ただ、本当にそうかいなというふうに思っていますね。
 一つは、金融機関というのは公的機能がありますから、増資の際に、例えば暴力団関係者とか、不適切な方が大きな株主になったら困るわけですし、かなりそういうところのチェックも金融庁というのは権限があるんじゃないかなと思うんですね。そうすると、増資には一切そんな介入できない、健全化努力には介入できないというけれども、本当にそうなのかなと。あの増資を指をくわえて見ていたということは問題があるんじゃないかな。
 それから、今の、検査期間が不必要に長いんじゃないか。あれは直ちにあの時点で、事後的なチェックとして九月、確かに中間期ではありますけれども、中間期決算で債務超過だったら、それが一月の時点あるいは二月の時点でわかったら、私は、もっと厳しい措置、現に一年後には九月期決算で結果として債務超過で破綻させているわけですから、そういう処理、清算処理に動くべきだったんではないかな。そうであれば、あのような悲惨な、預金者たちの増資振りかえによる悲惨な被害というのは防げたんじゃないか、こう思うんですが、今何点か続けて申し上げて恐縮ですけれども、この私の疑問点について御答弁をいただきたいと思います。
柳澤国務大臣 幾つか御質問をいただきました。
 まず、石川銀行に対する検査が長期化したというのは一体どういうことかということですけれども、確かに、立ち入り期間をとってみますと、営業日ベースでございますけれども、他の地域銀行に比べて長期間を要しております。
 なぜこうなっているかと申しますと、要するに、債務超過かどうかという非常に当該金融機関にとって死活的な問題が不動産の評価というようなことにかかわっているというようなことがありまして、これについて鋭く意見が対立をして、いろいろな議論が行われたり、あるいは、場合によっては挙証も行われたんではないか、挙証とされるような行為も行われたんではないか、こういうようなことがあったようでございまして、そういう結果、今言ったようなことが現出をしたというふうに理解をいたしております。
 もう一つは、そういう債務超過というおそれがあることがわかっている場合に、それを増資での努力についてもっと介入できないのかということでございますが、これは前から私申し上げておりますように、増資の努力というのは、金融機関を健全化しようという努力でございますし、また法制的にも、これは届け出ということで、別に認可だとか承認にかかわっているものではございませんので、そういう努力についてはこれを見守るということであったということでございます。
 ただ、その間、いろいろ私かねてから申し上げておりますように、この増資の適正さというかそういうものについて、私どもとしてはウオーニングを発して、弁護士さんとか公認会計士さんの責任ある対応を求めていたということは、事実として前から申し上げているところでございます。
五十嵐委員 それともう一つは、今も少し触れられましたけれども、経営の改善計画を石川銀行は出してきた、それに沿って増資をするから、あるいは増資はしたから四%を超えました、そういうお話があったんですね。しかし、その増資計画は三月時点でうまくいかなかった。四月にさらに増資をしたわけですけれども、それもどうも結果的に見ると怪しげだったわけですね。
 その一つは、NOVAというこれは有名な外国語の会話教室を全国的に展開している会社、会話事業を展開している会社でありますけれども、ここが主に増資計画の大きな部分を担ったわけでありますけれども、実際にはそのNOVAが約束した増資に当初応じられなかったという問題があったはずであります。にもかかわらず、四%を超えるということは変わらずに石川銀行側は主張し続けてきたという問題があるわけですね。
 そして、実は事後の問題なんですが、九月期に再び大幅な六%以上の債務超過に陥っておりました。その後の九月期、中間期です。そうであれば、NOVAも当然、他の一般の出資者と同じように大きな損失を生じたはずなんですが、このNOVAという会社は、いろいろなジャーナリストが問い合わせてみると、そうした欠損は生じていないということを回答しているようなんですね。そうすると、このNOVAによる増資引き受けというのは、いわゆる見せかけ、違法なものだったんではないか。場合によっては、石川銀行から融資を受けてそれによって増資をした、引き受けたという形になったんではないかというふうに思うんですね。
 その点について、石川銀行を検査した金融庁の監督当局はちゃんとチェックをされておりますか。
高木政府参考人 お答え申し上げます。
 個々の増資をだれが出資したかということは我々把握はしておりません。ただ、石川銀行が十三年春に第三者割り当て増資をする際には、まず、割り当て予定先は石川銀行の場合は公表していないということがございます。それで、その後出された十三年三月期の有価証券報告書、それから十三年九月期の半期報告書、この中に大株主の状況というのがございますが、その中にNOVAの名前はございません。それからまた、そのNOVAの連結子会社あるいは持ち分法適用関連会社がないかということもチェックいたしましたけれども、この中にはございません。
五十嵐委員 最初の改善計画の中にNOVAの引き受け分というのは大きな比重であったはずなんですよ。おかしいんじゃありませんかね。
 このNOVAという会社は、森元総理に献金をしている大変親しい会社と伺っていますし、石川銀行そのものの高木さんという、くしくもお名前が同じですが、あの経営者も、森前総理と非常に親しい関係、仲にある、こう言われているわけで、また、石川銀行が破綻の大きな原因となった詐欺事件あるいは不正融資というものに絡んで、森さんの御親戚やら森さんと親しい経済人のお名前が出てくるわけでありまして、そういうところに配慮した結果が、検査期間が長引いた、あるいはずさんな改善計画を認めた、あるいは破綻させなかったというところに、すなわち私が裁量行政ではないかというところに結びつく疑いが生じてくるんですよ。
 この点についてはいかがですか。もっとはっきりしたお答えをいただきたいと思います。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
高木政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、先生、そもそも改善計画なるものがあって、その中にNOVAが増資に応ずるという旨があるという話なんですが、我々そういう改善計画というのは、大変恐縮なんですけれども承知いたしておりません。それから、森総理の件で何か圧力があったかというふうなことは、一切ないということでございます。
五十嵐委員 圧力があったかとは聞いていないじゃないですか。そういうところに配慮して手心が加えられたんではないかというお話をしたんであって、森さんから直接圧力があったなんということは、私は一つも言っていないじゃないですか。それは勝手な決めつけの答弁ですよ。
高木政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと言葉が、大変失礼いたしました。そういうことをおもんぱかって問題を処理したということは一切ございません。
五十嵐委員 しかし、状況がかなり怪しいということなんですよ。これは私は、政治が絡んでの金融にまつわる事件というのは、もっとクリアにならなきゃいけないと思っている。
 警察庁にちょっとお伺いしますが、この北九州のホテルをめぐる詐欺並びに不正融資を疑われる石川銀行をめぐる事件について、警視庁の捜査官が捜査をしている途中で自殺していると思いますが、事実関係は確認できますか。
吉村政府参考人 石川銀行をめぐってのお話でございますが、警視庁と石川県警におきまして、平成十二年七月七日に石川銀行の融資に絡んだ出資法違反事件を検挙、三人逮捕しているところでございますが、その事件捜査に当時従事をしておりました警視庁の捜査二課の捜査員が、七月八日に自殺をしております。
五十嵐委員 その方は警部補だったと思いますが、私は、これがどのような経緯で自殺に至ったのか、もう少し具体的に知りたいと思うんですけれども、個人的な悩み等々の原因によるものだというふうにこれは断言できるのかなということを思っているわけですよ。不思議に思っているわけです。
 というのは、余りにもタイミングが、平仄が合い過ぎるということなわけですが、それはどうなんですか。
吉村政府参考人 自殺の原因につきましては、故人あるいは遺族の名誉、プライバシーにかかわる事柄でございますが、少なくとも、当時の警視庁の調べによりますと、自殺した捜査員が特定の刑事事件に関与していたというようなことはなかったとの報告を受けております。
五十嵐委員 やみの中に入ってしまうんですが、どうもこの大きな山場を、捜査用語でヤマといいますかをしている最中に捜査官が自殺をするというのは、私は尋常なことではないんではないかなというふうに思いますので、引き続き調査を進めたいと思っております。
 政治が絡むと、金融というのはどうも非常に大きな問題が生じるので、裁量行政というのはそういう意味でも極力避けなければいけないと私は思うわけであります。
 実は、北朝鮮をめぐる、朝銀と言われるいわゆる北朝鮮系の信用組合、朝銀信組が一次破綻、二次破綻と相次いで破綻をいたしまして、これがさらに受け皿銀行をつくろうとしている。それが、認可が申請をされておる。それから、預金保険機構による預金者保護が実行されるか、されないかということが注目をされているわけですが、私は、これは極めて慎重に扱うべきだという立場をとっております。
 私が入手をした極めて信頼すべき情報によりますと、今、北朝鮮の金正日総書記、最高権力者でありますけれども、金正日氏の最大の関心事は、この預金保険機構から預金保険が支払われるかどうかということと、もう一つは、受け皿朝銀信組が、ハナ信用組合等ですが、きちんと認可をし、動くかどうかということが最大の関心事だと聞いております。なぜなら、これもわかりやすい言い方にしますと、これが北朝鮮の金づるではないかということが予測されるからであります。
 その傍証として、ホ・ソンマン、許宗萬と漢字では書きますけれども、朝鮮総連の責任副議長がピョンヤンへ行かれまして、二度、金正日氏から宴席を設けられている。一回は一対一で、一回は総連の訪朝団幹部全員でということのようですけれども、これは私は極めて異例のことと伺っているんですが、この事実関係を公安調査庁ないし外務省は確認できますか。
栃木政府参考人 お答えいたします。
 北朝鮮の報道によりますと、金正日総書記が、許宗萬責任副議長の今次の訪朝に際しまして、単独で接見いたしますとともに、朝鮮総連代表団全員を含めました宴席を設けるなどをしておりまして、このような接遇ぶりは余り例のないことであるというふうに承知しております。(五十嵐委員「日付、言えますか」と呼ぶ)二月二十七、二十八ということでございます。
五十嵐委員 私の情報が極めて正しいということは証明されたと思いますが、二月の二十七日に金総書記と許宗萬責任副議長単独で会談をいたし、宴席を設けられております。そして、翌二十八日にもこれはもう一度お会いになっているということで、これから先、朝鮮総連の立て直しを許宗萬氏に託すという意味があるというふうに思われているわけであります。
 極めてこの問題が北朝鮮側によって重視をされているということが明らかなんだろうと思いますが、そこで、北朝鮮への送金という問題が非常に問題になってくるし、金融行政の上では、先ほど申し上げました受け皿信組の認可、それから、これは松田理事長のあれで、きょうはお呼びしていないんですけれども、預金保険がおりるかどうかというのが大変問題になってくるわけですね。金融庁の出方というのは非常に問題になるわけです。
 そこで、柳澤さんがこの問題について、私は行政をゆがめるおそれがないかどうかということを注目しているわけですが、この問題について柳澤さんは、政治家以外のところから圧力を受けたことがありますか。
柳澤国務大臣 政治家もそうですし、政治家以外もそうですけれども、何か圧力を受けたということはございません。
五十嵐委員 いえ、広域暴力団から朝銀を救うべきだという圧力を受けて、柳澤さんにSPが増員されたという情報があるんですが、今ではありませんよ、そのおどしを受けた時点ですね、そういう情報が寄せられましたけれども、そういうことがありますか。
柳澤国務大臣 そういう事実はございません。
五十嵐委員 この問題は、私は極めて重要な問題だと思っているんですが、今の時点でどういうお考えかをまた後で伺うとして、外務省の見方を伺っておきたいと思うんですよ。
 北朝鮮は米国から、ブッシュ政権から悪の枢軸というふうに名指しをされているんですが、アメリカは、私はそれ以前から北朝鮮という国に対してテロ支援国家だという認定をしていると思うんですが、その認識が日本の外務省にはあるのかどうか。それから、日本はそれに対してどういう認識を持っているのか。それからついでに、朝鮮総連という組織について、単なる北朝鮮という我が国と国交のない国との窓口という見方なのか、それ以外の見方を持っているのか。外務省はどういう判断をしているのか、伺いたいと思います。
谷内政府参考人 まず第一点の、米国が北朝鮮をテロ支援国家としているかどうかという点につきましては、そのように指定しているというふうに承知しております。
 それから、第二点といたしまして、我が国はどうであるかという御質問でございますけれども、政府といたしましては、これまで、個別の国家について、テロを支援している国家またはテロを行っている国家として指定するということは行ってきておりません。
 それから、三番目に、朝総連をどのように見ているかという御質問でございますけれども、私どもといたしましては、御承知のように、北朝鮮との関係で、拉致問題その他の問題、それから何よりも国交正常化、こういった交渉を進めるという観点から、朝総連につきましても一つの要素として関心を持っておりますけれども、どういう位置づけをしているかというのは、私どもの役所の権限を越えますので、その点はお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
五十嵐委員 テロ資金の供与を封じるための法案等々、条約等が先日可決をされましたけれども、あの法令によりますと、テロの団体であるかどうかの認定は、日本側は今まで、国連安保理等の国連機関の認定を待つ、そういうあれだったんですけれども、もとのマルチの条約そのものは、各国において判断するということになっているんですよ。
 アメリカは言っているけれども、日本は何もそういう指定ができないんだというお話なんですが、私は、どうもおかしいんじゃないかなと。いつもアメリカの言うとおりに従う日本外務省が、このことだけは違うというのはどうもおかしいんじゃないか。
 特に、拉致問題というのが起きているわけですね。私は、国家による他国民の拉致というのは、これは一種のテロだと思うんですね。テロというのはいろいろな形式があると思うんですが、これはテロ行為じゃないんですか。私はそこがどうも解せないんですが、どうして日本は、北朝鮮を、アメリカと同様の認識に立たないという立場になるんですか。
谷内政府参考人 まず、拉致はテロではないのかという点でございますけれども、御承知のように、テロリズムということあるいはテロ行為ということについては、国際法上一般的な定義が存在するわけではございません。一般には、御承知のように、特定の主義主張に基づきまして、国家等にその受け入れ等を強要し、または社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうというふうに私どもも理解しております。
 他方におきまして、北朝鮮における拉致問題、これは国民の生命にかかわる重大な問題であると認識しております。例えば、先般の米国における九・一一同時多発テロ事件のようなものがございますけれども、ただ、そういったものとは性格を異にしておりまして、解決に向けたアプローチもまたおのずから異なる、こういうふうに考えております。
 いずれにいたしましても、拉致問題につきましては、我が国としては、日朝国交正常化交渉等の場におきまして、北朝鮮側の真剣な対応を求めていきたいということには変わりはございません。
五十嵐委員 私は、国民に恐怖の感情を十分に与えているし、殺傷行為等の等の中に当然、誘拐や拉致という問題は入るというふうに思うんですね。そういう国に対して資金が供与されるというのは、私は大変な大きな問題だと思う。
 それから、前にも指摘をいたしましたけれども、北朝鮮系の信組というのは総連の下部組織というのが、これは向こう側の文書上明らかなわけであります。私は極めてこの問題を憂慮しているんですが、総連という組織とそれから信組との関係について、日本の公安当局はどのような認識を持っておられますか。
栃木政府参考人 お答えいたします。
 既存の朝銀信組、つまり北東、中部、西などの朝銀信組につきましては、従前、朝鮮総連傘下団体の一つでございます在日本朝鮮信用組合協会、これは略称朝信協と申しておりますが、ここに加盟しておりました。この朝信協は、ことしの三月末をもって解散いたしておりますが、これまでの経緯などから見まして、朝鮮総連からなお一定の影響を受けているものと認識しているところです。
 また、三月に設立が認可されましたハナ、ミレ、京滋、兵庫ひまわりなどの信用組合につきましては、これまでの経緯等もございますので、朝鮮総連との関係につきましては、今後、強い関心を持って注視していく必要があるものというふうに考えております。
五十嵐委員 時間がそろそろ参りましたから、本題に入りますけれども、このような大変重要な問題でありますので、私は、このようなハナ信組等受け皿信組に朝鮮総連の役員、幹部、これが入るということは排除されなければならない、もしそういうことがあれば認可は取り消されなければならないというふうに思うんですが、この問題について、外務省それから公安調査庁、金融庁というのはちゃんと連絡をとっているのか。そして、今私が指摘したようなことについて、金融庁のお立場、御認識はどういうものかというのを伺いたいと思います。
村田副大臣 今、外務省あるいは公安調査庁の御答弁をお伺いしておりましたが、もとより本件につきましては、関係省庁とも私ども連絡をとりながら処理を進めているというところでございます。
 しかしながら、朝鮮各信用組合も、いずれにしましても我が国の法律に基づきまして設立された預金保険法上の金融機関でございまして、そうした意味では、その破綻処理において預金者の保護が必要ということでございまして、ただいまそうした観点からも手続を進めているところでございますが、これまでの破綻の経緯等にもかんがみまして、私どもは、徹底的な責任追及をするということ、それから、真正な権利者が明らかでないそういう預金につきましてはRCCに送りまして引き続き厳正な調査を進めるということ、そして何よりも、朝鮮総連等の組織から独立姿勢を確保するということにつきまして今調査を進めているというところでございます。
五十嵐委員 政治絡みの裁量行政をくれぐれもおやりにならないように要望申し上げまして、時間が来ましたので、終わります。
坂本委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 自由党の中塚でございます。
 塩川財務大臣、G7、大変に御苦労さまでございました。また、翌日、お昼御飯も食べずに委員会を本当に御苦労さんでございますが、私ちょうどお昼どきに当たりましたものですから少々責任を感じているようなところもありますけれども、そのG7のことからお伺いをしたいというふうに思います。
 このG7で経済活性化策の基本方針を六月に打ち出すと表明したということなんですけれども、これについていかがでしょうか。
塩川国務大臣 昨年の九月に骨太の方針というのを出しましたですね。小泉内閣の基本方針です。あのときは、主として、予算のというか、財政構造の問題と絡んで今後の重点七分野というのを出して、それによって概算要求をした。この経過は御存じでございますね。そのときとは並行して、日本の産業界として重点的にどのような方向に志向していくかということのそういう政策が明確に出ておらなかったと思うんです。それを最近になりまして、経済財政諮問会議で、その方向をやはり打ち出すべきだという意見が非常に強い、そのことを私が申し上げたということであります。
中塚委員 ということになりますと、基本方針ということで、その中身自体が、例えば、予算措置を伴うものであるとか、あるいは税制改正を伴うものであるとか、そういったことではないということでよろしいんでしょうか。
塩川国務大臣 その後、言葉が続くわけであります。今お聞きになったのは、何かとおっしゃったからそういうことであって、それじゃそれをどうするのかというお話の質問でございますが、それをやはり金融とか規制緩和それから税制、そういうようなものを総合してそこに集中していくべきではないかということを私は申し上げたということです。
中塚委員 加えまして、減税先行論ということについてお伺いをしますが、このG7の会議の後、会見をされて、この会議の席上で減税を積極的に行うということを表明されたというふうに伺っております。また、財政の均衡を図りながら減税が先行することもあり得ると説明したというふうにも伺っておるんですが、これは十四年度中のことなんでしょうか、それとも、その経済活性化策の基本方針というのを受けた来年度以降のお話ということになるんでしょうか。
塩川国務大臣 年次については明示しておりません。私は言明しておりません。
 それから、非常にマスコミの方が何でも減税先行、ぱんとあんなフレーズになってしまって、また国会の先生方もそのことばかり信じてしもうて、何かちょっととり方が軽薄だと思うんですが、よく読んでいただいたら、そう書いてないんですね。よく読んでいただいたら、バランスをとりながら減税先行もあり得る、こう書いてあるんですよね。ところが、新聞見たら、ぱんと出たから、先生方はちょっと重点を置き過ぎてしまうと思うんですが、私はそう言っておるわけであります。
 したがって、政策を議論する中で、年度内に減税した方が効果があって可能であるということを、これが見定めるならば、政府税調なりあるいは党税調、与党税調等に協議して、できるならばそうしたらいいけれども、私は年度中の改正というものは時間的になかなか難しいんじゃないかなと思って、これはすべて税金は法律要項でございますから、国会との関係がございますから、その点については十分な配慮をしながら、できればやったらいいけれども、国会の配慮がやはり優先していくんではないかと思っております。
中塚委員 財政の均衡を図りながら減税が先行することもあり得るという言葉の意味なんですけれども、もうちょっと突っ込んでお伺いしますが、それは、例えば十四年度に減税が先行する、その後の年度でその減税分を埋めるような税制改正もあり得る、タイミング的に納得が得られるのであればそういった形もあり得るということでよろしいんですか。
塩川国務大臣 今中塚さんのおっしゃる、大体そういう意味であります。従来から、減税しましたらもう減税食いっ放し。やはり政治家は減税は気持ちいいものでございますから、後でその財政の責任を持つべしという責任ないんですから。ところが、財務省はやはりきちっとした財政の均衡をとっていかなきゃならぬということがございますので。
 ですから、その意味において、減税を先行することはあり得るけれども、やはり一定の期間内に財政の均衡をちゃんととっておるような措置を同時にやっておいてもらわぬと、食い逃げだけされたらかなわぬというところなんです。
中塚委員 そういう話になりますと、特にやはり租税特別措置とかもう既得権益になっているようなものとか、あと、逆にもう既得権益になっているということで構造改革がおくれる原因になっているような税制だっていっぱいありますので、そういうところはぜひともこれは深く切り込んでいただいて、それこそもう骨太のという言葉は使い古されていますけれども、本当の意味で日本の経済を活性化するというふうな税制というものをぜひとも案を出していただければ、またここでも議論をしたいなというふうに思います。
 続けて、今度、IMFの経済見通しのことをちょっと大臣にお伺いをしたいんですけれども、世界経済見通しですか、十八日に発表になって、日本経済に対して強い懸念を表明したと。補正予算案の編成を求め、不良債権処理のため金融機関への公的資金注入も視野に入れるべきだというふうに指摘があったということですけれども、この間、例のスタンダード・アンド・プアーズの格付の引き下げというのが発表になりましたときにこの委員会で大臣が御答弁になっていたということからすれば、IMFの報告も余計なお世話だというふうにおっしゃることになるのかもしれませんが、ただ、そういうふうに言われてしまっている日本経済の現状ということについて、どういうふうにお考えになりますか。
塩川国務大臣 IMFの指摘は相当日本に対してはきつい、厳しい現状認識をしておりました。これは私は決して否定するものではなかったんですけれども、しかし、将来に向かって、先ほど言いました基本的な国の政策を、骨太の方針を具体化することによって活力をつくり出すということ、さらには、銀行の不良債権問題については、特別検査をした結果を双方において、つまり銀行と債務者の双方において改善がより一層具体的に向かうだろう、検査官を常駐したので今後は一層促進されていくだろうという意味のことを申し上げたようなことです。
 それに対しまして、問答は別にございませんでしたが、しかし、IMFの通貨金融委員会というのが二十日の日の午後からございまして、これは理事国相当の国が、全部で三十カ国しておりましたが、その各国から、日本の経済の活力化につきまして、期待とそれから将来に対する見通しはどうなんだという心配と交互にまじったものが、質問が相当出ました。
 その状況を見ますと、世界各国はやはり日本の経済活性化に大変な関心を持っておるという事実を見ました。そのことは、やはり今後の政策に、我々は真剣に取り組んでいかなきゃならぬ課題であろうと思います。
中塚委員 S&Pにしても、やはりIMFにしても、いろいろな指摘があるということ、そして、指摘があって、それが大臣としては当たらないということであるならば、それに対する誤解を解く努力というのもしなきゃいけないわけだし、あともう一つは、何より大事なのは、とにかく景気をよくするということですね。よくなれば、こういうことは問題にはなっていかないわけです。
 ここで、IMFの世界経済見通しの中に、不良債権処理のための金融機関への公的資金注入ということが書かれているわけなんですけれども、本日は日本銀行の藤原副総裁にお越しをいただいておりますが、このIMFの世界経済見通しの中の不良債権処理のための金融機関への公的資金注入ということについて、今まで総裁が、この委員会にお越しになったり予算委員会にお越しになったりしたときに、特に昨年度末のころの話でありましたけれども、公的資金注入をするべきだという御発言、また院外でもそういう御発言をされておりました。
 先日、こちらに来られたときに、あれは危機対応の話だったんですねということをお伺いしたわけですけれども、年度が変わった、そういう中で、この世界経済見通しの中で、なお不良債権処理のための金融機関への公的資金注入、視野に入れろということが書いてあるわけですけれども、これについてはいかがですか。
藤原参考人 お答えいたします。
 IMFがどのような指摘をしているか、具体的な文言に即して、私、拝読していないので、よくわかりませんけれども、先生御質問の日本銀行の公的資金注入問題に対する基本的な考え方は、その必要があればということで、昨年来、意見を開陳していると思います。
中塚委員 そこで、柳澤大臣にお伺いしたいんですが、今、必要があればというお話だったですね。
 その必要があればというのは、私は、それは危機的な状況になったときにしか法律的にもできないし、不良債権を処理するために公的資金注入するというのは制度上もできないんだろうというふうに思うんですけれども、である現状を踏まえて、制度のことはおいておいても、こういうふうな形でIMFからやはり不良債権処理のための金融機関への公的資金注入を視野に入れるべきだということが言われているということについて、いかがですか。
柳澤国務大臣 先生の仰せのとおりでございまして、現在の法制では危機対応の一つとして資本注入が認められているということになっております。
 それにもかかわらずこういうことを言われることについてどう考えるかということでございますけれども、私ども、IMFの皆さんとは随分意見を交換しておりまして、情報と申しますか、我が国の法制についての説明もしているはずでございますけれども、なお一層理解を求めるようにしていく必要があると考えております。
中塚委員 前も別の委員会で申し上げましたけれども、やはり私、G7に柳澤大臣も御出席になって、その辺ちゃんと御説明になった方がいいと思いますよ。その制度のことなんか特にそうですけれども。
 ただ、現実問題、その不良債権問題が本当に片づいているのか、あるいは経済に与える影響という意味においても危機の発火点になるのかならないのかということは、またこれは別問題ですし、あしたは特別検査ということで審議も行われるというふうに聞いております。きょうは政策金融機関に対する検査ということ、この法律の審議ということになるわけですけれども、そういう不良債権問題、民間だけではなく国も、国の政策金融機関もということで、民間もブラックボックスだと私は思っていますが国の政策金融機関の不良債権ということについてもブラックボックスであって、やはりそれの検査をするということ自体は結構なことで、一歩前進だというふうに思います。
 ただ、預金取扱金融機関でもないものを、政策金融機関ということは政策目的を持って運営されているわけで、それについての中身の検査をするということになりますと、これはどういったことが目的なのかなということについても、究極的な目的ということについてもやはり考えなきゃいかぬと思うんですね。
 では、例えば、政府系金融機関を検査しまして引き当てが足りないとか、場合によっては債務超過になっているというふうなことがあったとして、そういう状況になったけれども政府系金融機関だから倒産はしないわけですよね。政府系だから倒産はしないということで、では、一体これは何のための検査なんだろう。確かに情報開示をすることは大変に重要なことだというふうに思いますけれども、そのこととは別に、検査をするという以上、その結果というものはちゃんと反映をさせなきゃいけないわけですね。
 預金取扱金融機関でもないものについて、検査の結果を反映させる。では、例えばBIS規制とかそんなことが関係するのかというと、またそれもちょっと違うんだろうというふうに思うわけですが、この政策金融機関への検査を行って、その後の検査結果というものを一体どういうふうに反映させるのかということが一つと、その反映をさせた結果のでき上がりベースというのは一体どういう形が望ましいのかということについて、まず財務大臣からお伺いします。
谷口副大臣 検査結果ということでございますが、今おっしゃったように、時代の要請といいますか、財務の健全性だとか透明性が求められておるわけでございまして、この法案におきまして金融庁の検査を政策金融機関にも入れるといったことは、今一歩前進だというように評価していただいたわけでございますが、このような検査結果に基づいて主務大臣がリスク管理の体制についての監督を行うというようなことになるわけで、具体的に申し上げまして、問題点、指摘事項がございましたら、これを各機関に改善を求めるというようなことを通じて、継続的にこれを把握するということが大事なんだろう。
 やはり、一定期間の、検査サイクルも短くするということでございますから、その期間に仮にあらゆる種々の問題点が指摘されたといったことは、早く発見し、早く改善するというような意味合いでも大変重要なのではないかと考えておりますし、御存じのとおり、行政コスト計算書というような民間ベースでのやりぶりがあるわけでございますが、このような観点で指摘された場合には、行政コスト計算書に反映するというようなやり方でやっていく、こういうことでございます。
中塚委員 それで、行政コスト計算書にその結果を反映させますよね。その反映させたということをもって終わりということになるんですか。
谷口副大臣 ディスクロージャーという観点で、それを反映するという意味は大きなものがあるんだろう、一方で、そのような観点で、例えば改善をしなければならないというような事項が出てまいりますと、監督たる立場の主務大臣がそのように求めていく、こういうことになると思います。
中塚委員 主務大臣が検査結果を反映させるということについては、これは必ずそういうふうに反映をされるというふうに理解してよろしいんですか。それとも、主務大臣の判断によって、検査結果はこういうことだったけれども、別に、政策金融機関といえば、何かちょっと違うように思いますが、要は特殊法人ですので、これはつぶれるわけはないわけですね、幾ら赤字だって。そういう意味で、主務大臣の判断で、こういう結果が出ました、それで、政策コスト分析にはその数字が出ます、それはもう今でも出ているわけですから、今でも出ているわけですけれども、それに反映をした。では、反映をしただけでそれでいいのか、あるいは、赤字がぼこっと出ちゃったら、そのときはちゃんと赤字を税金で補てんしなきゃならぬという話になるのか、そこのところはいかがでしょうか。
谷口副大臣 もろもろの事態が考えられるわけですね。それで、今申し上げたように、ディスクロージャーを行うということによるプレッシャーがあるんだろうというように思うわけです。
 それで、おっしゃるような最後のところで、例えば貸出金、今回、民間ベースに引き直したときに欠損金が出ておる。これは、原因が、やはり政策目的でやっておるわけでございますから、リスクの高いところに低利で融資をするというようなことがありますから、そういう意味では、コマーシャルベースでやっておる民間金融機関とは若干方向が違う。しかし一方で、民間金融機関ベースで考えた場合にはどうなるのかというようになりますと、比較した上での欠損金が出てきておる、こういうことになるわけです。このような見方が、よって立つところが違うんだろう、政策目的によって行うわけでございますので。
 しかし、何らかの事態があって大きく欠損金が出るといったようなことになりますと、最終的には、補給金の問題等も含めまして、これはしかし財政規律の問題もございますから、よくよく慎重に対応しなければいけませんが、そういう一つの選択肢にもなるんだろうというふうに思います。
中塚委員 こういう景気の状況ですし、経営者の皆さん、特に中小企業の方なんかと話をしていると、やはり政策金融機関のありがたさということは本当に切々とお話を聞くわけですね。
 ただ、低い金利なり、あるいは審査ということについても、では、民間がとれないリスクを、民業の補完であったとしても政策金融機関がとれる、とっているというそのスプレッドというのは、実は税金で埋まっているわけですよね。税金で埋まっているか、特に高度成長のころは郵便貯金だってどんどん預け入れがあったから、はっきり言って、言葉は悪いけれども追い貸しみたいなことになって何とかやってきた、そういう状況があったわけです。
 今、我が国を取り巻く経済社会環境というのは全然変わっちゃって、そこまでの高度成長もないだろうし、人口自体も減っていくぞというふうな話になっているときに、政府系金融機関を検査する。赤字だった、穴があいている。けれども、あいていますねということでほったらかしておくのもどうかなという気もしますし、かといって、それを厳密にやることによって、今度、政府系金融機関が貸し渋りをするような話になっても本当にどうしようもないわけですね。
 そこらあたりで、検査をするということについては第一歩だと思います、一歩前進だと思いますが、じゃ、その検査結果をどういうふうに反映するのかということについて、もうちょっとメルクマールが、指針が必要なんだろうなというふうに思うし、あと、それを運用に反映しないということであるならば、反映をしない理由というものの説明責任は今度は主務大臣の方にあるわけですから、もうちょっと、その辺の基準づくりというのは、これはあわせておやりにならなきゃいかぬのじゃないかなというふうに思います。
 そして、その検査結果を反映させるということについて関連ですけれども、これは柳澤金融担当大臣にお伺いしますけれども、民間金融機関に対しては、不良債権を積極的に処理しろ、直接償却しろ、最終処理しろというふうに言っているわけですね。では、政府系金融機関については、これはどういうことになるんですか。
柳澤国務大臣 それをどうするかというのは、まさに監督の問題でございますので、主務大臣の所管になるわけでございます。
中塚委員 ということは、やはり主務大臣の判断ということになって、なぜか民間金融機関には不良債権を処理しなさい、処理しなさいというふうなことを言っていて、他方、政策金融機関は、景気が悪いからつぶさない、もうちょっと改革の論議を延長しようという話がある一方で、政府系金融機関の不良債権の直接償却というのは主務大臣任せというのが、何かすごく矛盾しているなという気がいたします。
 特に政策金融機関というのは、それこそ本当に政策目的があってやっているわけだし、住宅金融公庫だって、確かに税金の負担が入って金利が切り下がってはいるものの、やはりそれなりの目的というものがあるわけですね。もちろん、おのおの特殊法人、目的がないものはないと思いますが、そういう意味では、私は事業系特殊法人の方が傷み方というのは激しいんだろうというふうに思うわけです。
 今回は政策金融機関に対する検査のための法律ということになっていますが、事業系の特殊法人、これについての検査の必要性というのはどのようにお考えでしょうか。財務大臣、どうでしょうか。
塩川国務大臣 私はいつでも申し上げておることですけれども、日本の行政システム全般を見まして、プラン・ドゥー・シーの責任の分担が全然あやふやなんですね。これが官僚国家をつくってきたんです。それは国会にも責任はありますよ。シーの方は国会は全然知らぬ顔で、それでドゥーの方のことが問題になっているということ。
 私は、今回のこの問題なんかでも、やはり国会が関与してもらうのが一番いいと実は思っておるんです。ですから、総理大臣がぐるぐる回しで下請を金融庁に回しておるということ、これもおかしな話なんですよ、実際は。
 しかし、現在の行政システムじゃこれしかしようがないかなと思うて私も賛成しておりますけれども、本当はこういうような問題は、政府系金融機関の常時検査というものは、公認会計士なんて制度が日本にはあるんですから、こういうものと、やはり国会が入るとか、あるいは普通の民間の知識人を入れて、そういう検査体制をとらなきゃいけないんです。それが、内輪同士のことですからこんなことをやっておるんですが。
 ですから、これは内輪が内輪を検査しておるようなことになりまして、私は、だからこの報告は必ず、やはり総理大臣が主務大臣に報告したことは、そのことはやはり国会にも出しておく必要があるのではないか。それを国会がどのように判断されるかということは、これは国会の責任なんですよ。
 私は、その点は我々も行政機関の責任としてやりますけれども、この問題は、他人事ではなくして、国会がどのように関与していくかということの一つのテーマにも取り上げてもらわなきゃいかぬ問題だ、そう思っておりますので、中塚さん、そこには私も期待していますから、どうぞよろしく。
中塚委員 まさに、こういう経緯に立ち至ったそこに至る責任というものもあると私は思うんですけれども、それも明らかにしなきゃいかぬし、いずれにしても、国民経済計算的には、やはり赤字というのは何かで埋めなきゃいけないわけですよね。それが、何かで埋めなきゃいけないとなれば、最終的には税ということになって、それはみんなが負担するということですから、特に事業系特殊法人、また、あと加えて言えば年金資金運用基金なんかもそうだと思うのですね。やはりこれも、ずっと右肩上がりの経済成長の中でぱっぱかぱっぱか入ってきたものをどういうふうに使うかということ、そのことをやってきて、けれども、今やはりその状況というものが変わってしまっている。そういう変わってしまっている中で、これをどのように考えていくかということになるんだろうというふうに思います。
 それで、残りの時間で伺いますけれども、政策金融機関、特殊法人に対する検査ということなんですが、これは出口というか、要は昔でいう財投の使い道の話、そっちを検査するということですけれども、今度はその入り口の方の、郵便貯金の方についてお伺いをいたします。
 郵政公社に対する検査法案というものも提出をされるというふうに聞いておるんですけれども、この郵政公社に対する検査法案というのは、いつ提出をされる予定でしょう。
山内大臣政務官 郵政公社に対する検査法案、いつ提出されるのかという質問でございますけれども、郵政公社に対する金融庁検査の導入については、ちょうど日本郵政公社法案というものを今出そうとしております、まだ、今月中に精いっぱいやって、鋭意作業を進めておるところでございますけれども。また、金融庁の検査の範囲とかリスク管理の分野とかそういったものについては、政策金融機関との整合性とか金融庁検査の導入の趣旨等を踏まえて、今かなり組織的に検討中でございますので、まだ明確なお答えができかねるところを御了解いただけたらと思います。
中塚委員 郵政公社を検査するということになりますと、やはり郵政公社の資金の運用先というか貸出先というものについて検査をするということまで含まなければ意味ないと思うのですね。それこそ民間金融機関の特別検査にしたって、要は大手の貸出先についてそれを検査しているわけです。
 そういうことになりますと、今は資金運用部に預託をするという義務はなくなってはいるわけですけれども、その一環としての特殊法人の検査ということならこの法律というものの意味もわからなくはありませんが、同時に、郵政公社、今の郵便貯金というのは、地方自治体なんかにも貸し付けというのをされていますね。そうしますと、郵政公社に対する検査を行うということになると、地方自治体貸出先を検査するということにもなっていくんでしょうか。
村田副大臣 郵政公社に対します検査権限につきましては、今大臣政務官がお答えをされましたが、リスク管理にかかわる分野について総務大臣から私どもが委任を受ける、こういう形になるというふうに思っております。
 御質問の、地方自治体等に対する貸し出しについては、その貸し出しについて査定をする、こういうことになろうかと思っております。
中塚委員 それと、この郵政公社の議論をするときに、民間とのイコールフッティングという話がよくあるわけですね。伺っているところによれば、税金相当はちゃんと納めろとか、あるいは預金保険料見合いのものはちゃんと納めろとか、そういった議論もされているというふうに聞いているんですね。
 まだそれが進んでいるのかどうか承知はいたしておりませんけれども、その他についても、やはり民間とのイコールフッティングということになりますと、幾つか私は課題があるなというふうに思っておりまして、例えば、民間金融機関というのは日銀に当座預金を持つわけですね。そして、それをもって金融調節の手段としても使っているわけですね。その民間としての、民間とのイコールフッティングということを考えるときに、その得べかりし利息収入というようなこともあると思います。それとは別に、金融政策の手段としての当座預金ということもあると思うのですけれども、藤原副総裁、お伺いをいたしますが、郵政公社ということに対して、日本銀行への当座預金、これを積んでもらうということをお考えになるのかどうか、いかがでしょう。
藤原参考人 お答えいたします。
 郵政公社との取引のあり方につきましては、現在、当座預金口座の開設問題をも含めて、郵政事業公社化研究会の中間報告というのが出ておりますけれども、その中間報告を踏まえまして、総務省と御相談を今させていただいているところでございます。
 具体的にどのような取引の形態をとるかということについては、今後国会に提出される法案の中身も踏まえながら、実務面も含めて検討することになろうかと存じます。
中塚委員 実務面も含めてということですが、日本銀行に当座預金を積んでもらう、そのことにより金融調節をするということですね。そういった手法について、やはり郵政公社も積んでもらうことが必要かどうかということについてはどうですか。
藤原参考人 お答えいたします。
 郵政公社の準備預金制度をどうするかというその取り扱いのお話ですけれども、この準備預金制度というのは法律に基づいておりまして、その法律に関係した各省庁間で御検討中というふうに仄聞しております。
中塚委員 それでは、山内政務官に伺いますけれども、郵政公社として、こういう日本銀行に対しての当座預金のあり方、どういうふうにお考えでしょうか。
山内大臣政務官 現在、郵政事業にかかわる現金については、他の特別会計と同様に国庫金として取り扱っているところでございます。しかしながら、郵政公社においては、郵政事業の公社化に関する研究会、今副総裁が報告したとおり、中間報告の中で、予算統制を受けないということから現金を国庫に預託しないということにしておりまして、国や民間金融機関等々と多額の資金決済を行う必要があるため、日本銀行との当座預金口座の利用が妥当であるんじゃないかなと考えております。そのために、同口座の開設に向けて、御指摘の論点を踏まえまして、今後十分関係機関と調整をしながら進めていきたいな、このように考えております。
中塚委員 ということになりますと、日本銀行に当座預金を積むということになりますと、当然これは取引先ということで、日本銀行は郵政公社に考査に入るということでよろしいんですか。
藤原参考人 お答えいたします。
 一般論としましては、これまで日本銀行の当座預金口座の利用を希望する先に対しては、一つは決済システムの円滑な運行を確保するという観点から、しっかりとした事務処理や機動的な資金繰りができる体制を整えるというふうにお願いしております。また、そうした体制が整っているかどうかについて、考査などの方法によって点検をさせていただいております。
 仮に郵政公社と当座預金取引を行うということになれば、そうした一般的な考え方を踏まえまして同様のお願いを申し上げるということになるかと存じます。
中塚委員 山内政務官、そういうことで、郵政公社としても、日本銀行に当座預金を積むということになれば、公社としても考査というものは受け入れざるを得ないということになるわけですけれども、それもよろしいですね。
山内大臣政務官 今までの議論の中で、保証見合いとか利益見合いとか、いろいろなことを言われておりますけれども、これはあくまでも今主務大臣等々で調整中でございまして、十分検討いたします。
中塚委員 終わります。
坂本委員長 次回は、明二十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十分散会


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