衆議院

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第4号 平成14年11月8日(金曜日)

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平成十四年十一月八日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 林田  彪君 理事 渡辺 喜美君
   理事 江崎洋一郎君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      倉田 雅年君    小泉 龍司君
      左藤  章君    坂本 剛二君
      砂田 圭佑君    田中 和徳君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    萩山 教嚴君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      山本 幸三君    吉田 幸弘君
      五十嵐文彦君    生方 幸夫君
      海江田万里君    小泉 俊明君
      小林 憲司君    佐藤 観樹君
      中川 正春君    永田 寿康君
      長妻  昭君    遠藤 和良君
      達増 拓也君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    松浪健四郎君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    奥村萬壽雄君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  藤原  隆君
   政府参考人
   (公安調査庁次長)    栃木庄太郎君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月八日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     左藤  章君
  小池百合子君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     上川 陽子君
  松浪健四郎君     小池百合子君
    ―――――――――――――
十一月七日
 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
 金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案(内閣提出第六二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
 金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣竹中平蔵君。
    ―――――――――――――
 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案
 金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
竹中国務大臣 ただいま議題となりました預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 我が国経済において、金融機関が担う資金決済の安定確保は、極めて重要であります。
 このため、金融機関の破綻時に全額保護される決済用預金を設けるとともに、仕掛かり中の決済の結了のための措置等を講ずることにより、我が国の金融機能の一層の安定化を図ることとし、あわせて、流動性預金の全額保護を平成十七年三月末まで継続するため、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、為替取引等に用いられ、かつ要求払い、無利息である預金については、決済用預金として、金融機関の破綻時にその全額を保護することとしております。
 第二に、金融機関が破綻前に依頼を受けた振り込み等の仕掛かり中の決済の結了を可能とするため、仕掛かり中の決済債務を全額保護することとしております。また、預金保険機構が、破綻金融機関に対して決済債務の弁済のための資金を貸し付けることを可能とし、あわせて、決済債務の弁済や相殺を可能としております。
 なお、流動性預金は、平成十七年三月末まで全額保護することとしております。
 次に、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案につきまして、御説明申し上げます。
 我が国の金融機関等においては、収益性の向上に真摯に取り組み、経営基盤の強化を図ることが求められておりますが、合併等の組織再編成はそのための有力な手段であると考えられます。
 このような観点から、金融機関等の組織再編成を円滑化するための特別措置を講ずることにより、金融機関等の経営基盤の強化を期し、もって我が国の経済の活性化に資することを目的とし、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、当分の間の措置として、合併等の組織再編成に伴い必要となる総会手続等を簡素化するための特例を設けることとしております。
 第二に、経営基盤の強化に関する計画を平成二十年三月末までに提出し、主務大臣の認定を受けた金融機関等について、根抵当権の譲渡に係る特例等の措置を講ずることとしております。
 第三に、組織再編成を行うことにより低下した自己資本比率を回復するため、預金保険機構が整理回収機構に委託して、優先株式の引き受け等や、協同組織中央金融機関が引き受けた優先出資等に係る信託受益権等の買い取りを行う措置を講ずることとしております。
 第四に、当分の間の措置として、合併等を行った金融機関等の預金者等に対し、合併等の後一年間に限り、保険基準額の特例を設けることとしております。
 以上が、預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
小坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長藤原隆君、警察庁警備局長奥村萬壽雄君、公安調査庁次長栃木庄太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺喜美君。
渡辺(喜)委員 竹中大臣には、毎日、御苦労さまでございます。最近、政策が急激につくられたりいたしておりますので、頭と体がついていけない方々がたくさん出てきております。けさももう既に産業再生担当大臣という方がお決まりになったそうでございまして、本来であればその谷垣大臣においでをいただくべきところでございますが、間に合いませんでしたので、まことに恐縮でございますが、竹中大臣に御質問をさせていただきます。
 お手元に、「金融危機対応のプログラム」と書いた一枚紙があろうかと思います。これは実は、自民党の国家戦略本部でブレーンストーミングのためにつくったペーパーであります。一九三〇年代のアメリカにおけるデットデフレーション、債務デフレがいかに進行していくか、そういうことをモデルにしてつくったものであります。
 フェーズ1においては金融サイドの治療で済むところが、フェーズ2にいきますと、産業サイドと同時に総合戦略でこの対応をしないと次の段階に進んでしまう。フェーズ3にいきますと、これはほとんど大恐慌モードであります。こういうときには大量の国債を発行して経済を支えるしかございませんので、フェーズ4は目と鼻の先、すなわち、国債のデフォルト、IMF管理、強制預金切り捨て、こういうことでございます。
 こうならないようにするにはどうしたらいいか。民間過剰債務の戦略的なカットをしなければいけないということであります。
 今、倒産法制を整備をして、民事再生法や会社更生法の改正をしてきているところであります。裁判所にほうり込めばすべて解決つくのか。残念ながら、そうではありません。
 例えば、民事再生法は、三分の二が再生認可を受け、そのうちの七割が単独でよみがえっている。これはほとんど業界再編になっていないし、供給過剰構造が解消されていない。なおかつ、経営責任や株主責任も極めてあいまいである。生産性の向上あるいは競争力の強化がなければ、日本の経済の再生はあり得ないのであります。そういうことを裁判所に求めても、これは到底無理な話でありまして、そこで産業再生のための枠組みが必要になるわけであります。
 政府文書としては初めて、改革加速のための総合対応策という十月三十日の文書におきまして、産業再編により過剰供給構造の是正をするという言葉が使われました。恐らく、かつてこういう言葉は使われたためしがなかったろうと思います。過剰債務や過剰設備という言葉は使われてきましたけれども、過剰供給構造の是正、いよいよここまで踏み込んできたかという意味で、私は大変に評価をするものでございます。
 産業再生機構にあっては、裁判所と違いまして、シャッターを閉めて破綻処理をすることではなく、シャッターをあけておいたまま破綻前処理をすることが求められるわけでございます。
 そこで、政府の原案では、産業再生委員会というものをつくり、ここがいわば閻魔大王の機能を果たすということになっておりますが、倒産隔離的な政策が不透明であります。そのあたりについて御見解があればお聞かせをください。
竹中国務大臣 金融機関の不良債権の問題というのは、まるで表裏一体、コインの裏表のような関係でその産業の問題がある。産業のバランスシートの問題があり、そのさらに背後には産業そのものの供給過剰の構造がある。この点を最も早い時期から御指摘されてきたお一人が渡辺委員であるというふうに私も認識をしております。
 その中で委員のお尋ねは、今回の総合対応策の中でどのようにこれがしっかりと位置づけられて、どのような具体化をしていくのかという御質問だと承知しております。
 念のために、総合対応策において現時点で確認されていることを申し上げておきますと、この機構は、産業再生・雇用対策の戦略本部、この本部をまず置くということと、本部が策定する基本的な指針に従って、金融機関において要管理先に分類されている企業のうち、メーンバンク、企業間で再建計画が合意されつつある等によって再生可能と判断する企業の債権を、企業の再生を念頭に置いた適正な時価で、原則として非メーンの金融機関から買い取るという点でございます。債権買い取りについての判断は、再建計画及び買い取り価格等の適正性を担保する観点から、機構内に設けられた有識者から成る産業再生委員会で行われるということであります。この具体的なスキームの詳細をまさに今検討し始めたということでございます。
 こういうスキームのもとでどういう組織にしていったらよいのか。谷垣大臣が担当になられて、本日付で実は内閣府に設立準備室が設置されます。私も閣僚の一人として協力、参加していくわけでございますけれども、今申し上げたような点が現時点では確認されているところでございますが、これが実効性が上がるようにするためには、やはり民のノウハウといいますか、非常にビビッドな経営判断が必要であるというふうに思いますので、そういうものが生かされるような組織づくりに知恵を出したいと思っております。
渡辺(喜)委員 とにかく、株を上場しているような企業は風評被害に遭って、いわばタリバンの公開処刑に遭いかねない状況にもあるわけでありますから、ぜひこの倒産隔離策については十分に検討をいただきたいと思います。
 次に、原案では、非メーンの金融機関から要管理債権等の買い取りを行うということになっておりますが、この適正時価とはいかなるものか。つまり、もう一つ別の竹中プログラムにおいてはディスカウント・キャッシュフローという基準がつくられているわけでありますが、非メーンの一般行の中には地方銀行が入っているんですね。そういたしますと、ディスカウント・キャッシュフローは適用されないということであって、適正時価がどのように算定されるのか、そのあたり、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 御指摘の点も踏まえて、技術的な問題をまさにこの準備室で検討し始めた段階でございますので、ちょっときょう、今の時点で私の方から確定的なことを申し上げる材料は持っておりませんけれども、DCFというのも、当然のことながら、それに適用される一つの方法であるというふうに思っております。
 それが、例えば地方銀行の場合云々ということでございますけれども、主要行についてそういう指標が既に適用されているとすれば、それを参考にするということもあり得るでございましょうし、委員御自身は、このデフレ下でDCFそのものを適用することにも技術的にも問題があるよということをかねてから主張しておられるのは存じ上げておりますけれども、ここはひとつさまざまな技術的な工夫を凝らして、実効性のある形で買い取り価格を決めていくということ、これは努力をしなければいけないと思いますが、私は、やはりこれは現実にはできるのではないかというふうに思っております。
渡辺(喜)委員 要するにこの問題は、ダブルスタンダードがいつまで続けられるかという問題につながっていくんですよ。したがって、主要行とそれ以外の銀行との債権の価格判定を別の基準でやるというのはかなり難しいことなんだということを私は指摘をしているのであります。
 メーン行の債権は原則として残し、サブから買い取るというわけでありますから、再建計画がつくられますと、例えば要管理債権が正常先債権になったりするわけですね。グレードアップするんですよ。そうすると、下手をすれば、これはメーン救済のために使われるじゃないかという批判を招くことになるんです。したがって、メーンの貸し手責任というのは十二分に追及されなければなりません。
 民事再生法などでは、無担保部分は、メーンもサブも一般債権者も全部同じカット率だというような、極めて悪平等が行われています。そういうでたらめをやらせてはいけないんですね。メーンには、とりわけ厳しい貸し手責任、すなわち債権放棄をやらせるということが大事なことでございまして、そういうことをも踏まえて、一次査定でもって買い取った価格に、再建計画策定の中で、いわば二次ロス、一・五次ロスと言ってもいいかもしれませんが、そういうものが明らかになった場合にはメーンにさや寄せをすべきではないかというのが私の意見でございます。
 メーンの貸し手責任と、この一・五次ロスないしは二次ロスの問題について、いかがお考えでしょうか。
竹中国務大臣 渡辺委員は、議論の先の先まですべて読んで今議論くださっております。
 先ほど申し上げましたように、きょうこの準備室ができる段階でございますので、委員御指摘のような点も含めて、まさにこれから検討をしなければいけないことだと思っております。
 ただ、一般論として、メーンの貸し手責任、これはやはり大きいと思います。であるからこそ、やはりメーンを主役にした形で、中心にした形で再生をさせなければいけないというのが、先ほど申し上げました総合対応策の中の一つの形になってあらわれているのだというふうに思っております。
 これについても、専門家の間では実はさまざまな意見があるようでございますけれども、私としても、委員御指摘のように、やはりメーンにしっかりとやっていただく。問題は、しかし、メーンがはっきりとあるところとないところもあるというような問題もあるようでございますけれども、しかし、やはり中心となる、主たる責任を負う銀行の役割というものはきっちりと果たしてもらえるような形で、ぜひ仕組みをつくっていきたいなと思っております。
渡辺(喜)委員 これはやはりサブからの買い取りだけではなくて、メーンからの債権買い取りも大々的に行う、そしてきちんと業界再編をやってもらうということが大事なことであります。
 企業の単独の再建は認めるべきではありません。単独のよみがえりをしたい人は法的手続にいっていただく。シャッターを閉めて、強制的な司法過程の手続に乗っていただくということが大事なことであります。
 したがって、この戦略本部がつくる基本指針の中には、産業再編の明確な基準をつくるべきであります。そして、再生計画の認定に当たっては、その実質的な最終決定権は担当大臣が持つべきであります。そのためには、今の準備室がいずれ事務局になっていくでありましょうから、この事務局は、ポリシーユニットとして官のみならず民間の英知を結集し、経済財政諮問会議のような非常勤の体制ではなくて常勤の体制にすべきであります。
 そのあたりの御感想はいかがでしょうか。
竹中国務大臣 委員の御指摘である明快な基準をつくるべきであるということ、決定権は担当の大臣が責任を持ってお決めになるということ、それと事務局については、御趣旨は、民間からの英知も入れて、かつそれがしっかりとした常勤を中心としたポリシーユニットになるようにという御指摘であると思います。
 これにつきましては、先ほど申し上げましたように、本日谷垣大臣がまさにこの担当大臣として任命されておりますので、その三点が重要であるという点を踏まえまして、谷垣大臣とよく御相談してよい方向に持っていきたいというふうに思っております。
渡辺(喜)委員 とにかく、この産業再生機構は、私に言わせればけたが一つ小さいのでありますが、小さく産んで大きく育てるということも可能でありますので、失敗をさせたくないのでございます、ぜひピンぼけにならない仕掛けをつくっていただきたいと思います。
 次に、竹中金融再生プログラムの中で、特別支援という概念が登場いたしております。
 一応、緊急対応的体裁になっておりますが、この特別支援の判定条件についてわかっていることがあれば教えていただきたいと思います。
竹中国務大臣 再生プログラムの中に明記しておりますように、個別の金融機関が経営難や資本不足もしくはそれに類似した状況に陥った場合に、現行の枠組みの中で、金融問題から経済の底割れを起こさせないような形でしっかりと責任を持って管理をしていきますというのがこの特別支援の趣旨でございます。
 これが適用される事態については、これはさまざまなケースが想定されますので、具体的にどのような場合にこのような支援を行うかと申し上げるのは大変困難なわけでありますけれども、今申し上げましたように、個別金融機関の経営難、資本不足、それに類似したような状況で経済の底割れを起こさせないために公的な部門がしっかりと管理しなきゃいけないような事態、それに対して柔軟に、速やかに政府、日銀が一体となって万全の対応を期すということ、そういう観点でこの枠組みを御理解いただきたいと思います。
渡辺(喜)委員 こういった特別支援に至る前に、優先株の普通株転換ということが行われるケースが多いのでありましょうから、そのガイドラインと整合性を持たせる必要があるんだと思います。
 また、金融再生プログラムにおいて想定しております普通株の注入でございますが、これはかつての健全化法のような、例えば四%を割った銀行とか、そういう昔の基準でやるべきではなかろうと思います。
 とにかく、第三次資本増強は普通株でやるんだ、責任追及とワンセットだという強い決意を持って臨まなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 今回の資本注入に際しては、今ここで、特別支援の中で議論しているその資本の注入で想定されるケースに関しましては預金保険法百二条に基づくものでありますけれども、どのような方法で行うかについては、基本的には個別ケースに沿って慎重に判断するというのが現状でございます。
 そうした点も踏まえて、しかし、ガバナンスをしっかりと強化させたい、そのために優先株から普通株へのガイドラインもしっかりとつくっていきたいというふうに考えておりますので、ガバナンスがしっかりと発揮されるような形での政策対応をしっかりと行っていきたいと思っております。
渡辺(喜)委員 かつて二回お聞きをしてもお答えいただけなかったので、きょうは聞きませんけれども、その前に減資を行うということが正しいやり方です。そして、公的資本もその際毀損をさせるということを決意しなければなりません。きょうはこの点はお尋ねはいたしませんが、ぜひテークノートしておいてください。
 いずれにしても、流動性の危機は確かに今起きてはいません。それは、毎日日銀の当座預金に十五兆も二十兆もお金が積まれるような状況では、起きないかもしれません。しかし、健全性の危機が明らかにあるわけですね。会計疑惑の一歩手前ぐらいの話ですよ。
 要するに、そういう健全性の不信がいつ流動性の危機に転化をしてもおかしくないという状況にあるわけですから、この金融再生プログラムの中でも、繰り延べ税金資産の合理性の確認、あるいは外部監査人の機能ということについて触れられておりますが、アメリカンDNAが大変あちこちに入っていますので、いっそのことアメリカみたいに企業改革法でやっているような外部監査人の監査体制でもつくったらいかがですか。
 いかがですか。
伊藤副大臣 今委員御指摘のように、健全性の信頼というものを十分に確立するということが極めて重要であります。
 その中で、公認会計士監査が、証券市場に対する投資家の信頼を高め、市場機能の活力を維持向上させる重要な役割を担っております。
 去る八月に取りまとめました証券市場の改革促進プログラムにおいて打ち出しておるとおり、現在、金融審議会公認会計士制度部会において、監査の一層の充実強化に向けた審議をお願いいたしております。
 具体的には、被監査会社からの監査法人の独立性の強化や、組織的監査を有効に行うための監査法人のあり方などの公認会計士監査にかかわる制度の見直しについて、国際的な動向も参照しつつ集中的、精力的に審議を行い、年内を目途に取りまとめを行いたいというふうに考えております。
 当庁といたしましては、これらの検討結果などを踏まえつつ、次期通常国会へ必要がありましたら関連法案の提出などを検討いたしております。
 こうしたことを通じて、公認会計士監査の充実強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
渡辺(喜)委員 私は、竹中プランは余り評価をしない人間でございますが、世間で言われているように幻の原案と出てきた案がそれほど後退しているとは思わないんですね。
 つまり、ティア1の一〇%という基準も、公認会計士協会の監査基準を厳格に適用すれば、大体一年しか繰り延べ税金資産は認められないのが普通でございまして、さらに、この間奥山公認会計士協会会長がこの席で御答弁されたように、場合によっては、赤字が、税務上の欠損金が四年目に入ったという場合には、繰り延べ税金資産の計上は認めない、ゼロになっちゃうということでありますから、これを厳格に適用すれば、そんな後退している話では全くないわけでございます。
 したがって、会計疑惑に至らない、そういう体制の整備が必要でありますから、このところは厳格にやっていただきたいと思います。
 この委員会の中で、預金保険法百二条の「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるとき」の解釈について、質問がこの前ございました。大臣の答弁が非常にあいまいだったものですから、改めてお聞きをいたします。この百二条は、危機が起きてからでないと使えないんですか。危機回避のためには発動しちゃいけないんですか。いかがでしょうか。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 現行法では、資本注入等の措置が講ぜられなければ、我が国または当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき、金融危機対応会議の議を経た上で、資本注入の必要性の認定を行うことができるとされております。
 金融危機の対応にはさまざまな局面があることから、その定義を具体的に申し上げることは困難であります。あえて申し上げれば、信用秩序の混乱により我が国あるいは当該地域全体の金融機能が不全に陥りかねず、実体経済への悪影響も懸念されるような事態などが考えられます。
 いずれにいたしましても、個々のケースごとに金融危機対応会議の議を経た上で、内閣総理大臣が判断する仕組みとしているところでございます。
渡辺(喜)委員 この規定は、いわゆるオープンバンクでアシストする、そういうシステミックリスク原則をもとに置いているんですね。したがって、こういうときには何でもできるというのが百二条の根本精神でありまして、これを余りにも狭く限定して解釈したのでは、危機対応はできないということになってしまうわけでありますから、そこのところはきちんとその精神を御理解いただいて発動のマニュアルづくりをやっておいていただきたいと思います。
 先月の竹中プランが作成される過程でのどたばたを見ておりまして、私も非常に残念に思いました。中には、メガバンクのくせにメカパンクしちゃった銀行の頭取が、こんな厳しい案をつくられたら貸しはがしをせざるを得ないなどというとんでもない恫喝まがいのことを言ったことには大変あきれ果てましたよ。ああいうことを言わせたのも、残念ながら、竹中大臣が就任早々、ペイオフ延期で握っちゃったところにその原因があるような気がしてならないんですね。これは最後のカードで温存しておけばよかったんだと思うんですけれども、これはもう切っちゃったですから今さら朝令暮改というわけにいきませんので、これはもう質問いたしませんけれども。
 この今回出されている法案の中で、再編特措法というのがございます。これは大手行への適用は排除していないのでございますが、大手の再編というのはどういうぐあいにお考えになっているんですか。みずほはシティグループに買ってもらうなどという報道がありましたけれども、まさかそんなことを大臣が言うはずはないと私は思いますが、そのあたりはいかがでございましょうか。
竹中国務大臣 まず、報道、雑誌では、ないことないこと本当にたくさん出ますが、御指摘の報道は、今精査しておりますが、かなり悪質であり、風評リスクをかき立てているという可能性もある、私に対する重大な名誉毀損になる可能性もあるという観点から、厳しく対応したいというふうに思っております。私は、断じてそんなことは言っておりません。
 大手の再編、今回の法案については、主要行も地域銀行も法律上は銀行であるということ、主要行が、組織再編成により今後さらに地域に特化したり、主要行と地域金融機関との合併等により経営基盤が図られるケースもあるということから、主要行を対象から除外はしておりません。しかし、主要行においては既に再編が相当程度進捗しておりますから、この法案では、主として地域金融機関の合併等を念頭に置いているところでございます。
 今後、主要行がどのようになっていくか。これは、資産査定、自己資本の充実、とりわけガバナンスの強化の中で、委員御指摘のように、しっかりと銀行には自覚を持って行動していただきたいと思っておりますし、行政としても、そうしたシステムが生まれてくるようにしっかりと行政を行っていきたいと思っているところでございます。
渡辺(喜)委員 いずれにしても、日本にもお金は幾らでもあるんですね。リスクのとれる人も幾らでもいるわけでありますから、別に外資に売ることだけが能ではないと思っております。トヨタ銀行だってあるだろうし、電力銀行だってJR銀行だって、場合によっては東京シティー銀行なんていう、慎太郎銀行などと言う人もいますけれども、いろいろなことが考えられるのであって、そういうことを踏まえて、ぜひ次の未来を開いていくべきだと思います。
 質問を終わります。
小坂委員長 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)委員 きょうは法案の審議ですから、私は、最初に、法案の若干のポイントについて確認の質問をさせていただきたいと思います。
 今お話が少し出ましたけれども、金融機関の再編を促すという意味で、合併ができる、促進ができるような法律を用意したわけですけれども、普通、金融機関が合併すると、自己資本の比率が低下しますよね。これに対してどういう対応ができるというふうに用意をしているんでしょうか。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 今まさに先生御指摘をされたことが今法律案の最大の課題の一つでございまして、金融機関からヒアリングを通じて聞いているところでは、合併等の組織再編に伴い自己資本比率が低下することが見込まれるような場合には合併等をちゅうちょする場合もあり、また自己資本比率低下に伴う融資対応能力の低下も懸念されているところであります。
 こうした事情を踏まえ、本法案においては、合併等への障壁を除去するという観点から、経営基盤強化計画の認定を受けた金融機関に対し、合併等による自己資本比率の低下分を回復するために、必要な限度において、預金保険機構が資本増強の措置を講ずることができるものとしているところでございます。
遠藤(和)委員 そうしますと、合併によって自己資本比率が低下することはない、したがって、合併ということをきっかけにした貸し渋り、貸しはがしは起きない、こういう措置をとる、こういうことでよろしいんでしょうか。
伊藤副大臣 私どもとしましては、こうしたことを通じて収益性の向上を図り、そして地域の皆様方のニーズにしっかりこたえられるような金融機関に、体質改善につながっていくというふうに考えております。
遠藤(和)委員 この法律はすべての銀行に対して適用ができるんですけれども、ねらいとしては、地域の金融機関というものを念頭にしておるということですが、地銀、第二地銀あるいは信金、信組、こうした形態の銀行があるわけですけれども、これをこの法律によってどういうふうに集約をしていく姿を理想としているのか。あるいは各県にある程度の目標の数を決めて、それを集約することを考えているのか。地域の金融機関の将来像というものに対してどういうふうな哲学をお持ちなのか、そこら辺を確認しておきたいと思います。
伊藤副大臣 地域金融機関の将来像といたしましては、リレーションシップバンキングをベースに、引き続き地域に根差してきめ細やかに地域住民あるいは企業のニーズに対応することにより、地域経済に貢献していくことが基本になると考えられます。合併等の組織再編成は、そうした中で、地域金融機関の経営基盤強化のための有力な手段の一つであるというふうに考えております。
 ただ、各地域により金融事情や貸出先のニーズ等が異なることから、当局があらかじめ各県ごとに幾つ金融機関があればよいといったイメージを提示することは適当ではなく、各金融機関が健全な市場競争を行う中で、自主的な経営戦略を樹立し、再編等が進んでいくべきものと考えております。
遠藤(和)委員 地域の金融機関は地域に密着しているわけですね。中小企業にとっては大変大切なよりどころになっているわけです。それが単にビジネスライクで収益性ばかり考えて存立したのでは、地域の今までの培ってきた基盤というのが崩壊する心配がありますね。
 そうした意味で、やはり地域の金融機関の将来像、そして地域の金融機関が、その地域の中小企業の業者に対して、より安心して、健全なものとして仲介機能を担っていく、こうした姿というものをきちっと国として示していくことが大変大切だと思うんですよ、そういう哲学を示すことが。そのための方法の一つとしてこの法案を用意しましたということではないかと思うんですが、もう一度その辺の、地域の金融機関と、それから地域の中小企業の業者に対する安心のメッセージのようなものをこの機会に発していただきたいと思います。
伊藤副大臣 今回の法律の中でも、今委員が御指摘をいただいたことを前提に考えております。地域のさまざまなニーズにこたえられるように、その中で地域金融機関の健全性というものを確保して、そして、経営基盤の強化のための有力な手段の一つとして合併等の組織再編が円滑に行われるように、今回の措置をしていきたいというふうに考えております。
遠藤(和)委員 ペイオフの解禁を二年間延期しましたけれども、これは構造改革の先送りではないのかという批判があります、重要な政策変更ではないのかと。
 政策強化ということをおっしゃっているわけですけれども、この背景、その真意、そしてこれはどういうふうに考えてそういう結論になったのかということを正確にお答えいただきたいと思います。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、ペイオフは、金融機関に対してしっかりとした経営のインセンティブを持ってもらうという意味で、基本的には大変重要な問題であるという点、これはもう疑いのないところであろうかと思います。
 今般、御承知のように、総理から、平成十六年度までにこの不良債権問題を終結に向かわしめろという大変強い指示をいただきました。それに向けて不良債権処理と金融システムの強化を加速していく。そういう中で、それに伴う不安が生じないような形で、国民に不安を与えることのないよう、同時に、金融システムの安定と中小企業金融等の金融の円滑化に十分配慮するという観点から、ペイオフについては、この不良債権問題が終結した結果の十七年四月から実施するというふうに考えた次第であります。
 もしも、ペイオフを延期して、それで不良債権の処理ないし金融システムの強化に対する政策を強化しない、ただただ期限を延期したということでありましたら、これはやはり政策の変更であるかもしれないし、改革の後退という御批判も出てくるかもしれませんが、主眼はむしろ、金融再生プログラムに示したように、金融を強化していく、金融システム改革を強化していくということに主眼があるわけでありまして、その過程で生じる問題が大きくならないように、ペイオフについては十七年四月からにしたということでありますので、これはぜひとも、政策を強化する一環の中での選択であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
遠藤(和)委員 いわゆる不良債権の処理を加速化する、そのために二年間という期間を限定して、延長した。それから、デフレに対する克服、その期間にもその時間は使える。その間にデフレを克服し、不良債権の処理を終わっちゃって、きちっとした、健全な経済状況をつくった上でやる、そういう意味での政策の強化だ、こういうふうな理解なんですか。
竹中国務大臣 今、私、金融との関連でポイントを申し上げましたが、経済政策全体との関連でとらえるならば、委員御指摘のとおりであろうかというふうに思います。これまでも、さまざまに不良債権の処理、さまざまなシステムの改革を行う集中調整期間については、成長率も低いことを甘受しなければいけないし、さまざまな問題を克服していかなければいけない、しかしその後には、日本の経済の本来の成長力が発揮できるような姿に持っていきたい、これは「改革と展望」の中にそのような姿を示しているわけでございますけれども、基本的には、今まさに委員が御指摘のように、その間にデフレ問題についてもしっかりとした方向を出したい、デフレ終息に向けての方向を出したいと思っておりますし、これまでの集中調整期間を、ぜひ混乱を避けてしっかりとやっていきたいという意味でございます。
遠藤(和)委員 それから、この法律で、決済用預金という概念の預金をつくっています。これは、ペイオフ解禁とは関係なく恒久的に全額保護する、こういう仕組みをつくり上げた、そして、決済用預金というのは当座預金と金利ゼロの普通預金である、このように理解してよろしいんでしょうか。これは恒久的な制度としてつくるという意味ですね。
伊藤副大臣 決済用預金は、決済サービスを提供できること、要求払いであること、金利ゼロであることの三要件を満たす預金であります。具体的な預金商品といたしましては、御指摘のとおり、当然に当座預金が当てはまります。また、普通預金についても、決済サービスを提供できること、要求払いであることの要件を満たしており、既存の利息が付された商品とは別に利息が付されない商品が提供されれば、これが決済用預金に当てはまることになると考えております。
 決済機能の安定確保の必要性は一時的なものではないと考えております。
遠藤(和)委員 それからもう一つ、仕掛かり中の決済資金についても全額保護する措置をとるわけですけれども、ペイオフ解禁の前に、来年の四月一日からこれを実施する、こういうふうにした理由は何ですか。
伊藤副大臣 仕掛かり中の決済資金とは、例えば、顧客が金融機関に他行への振り込み依頼を行った場合に、その振り込みに関する他行への資金決済が完了していない状態にある資金をいいます。
 この資金は、預金勘定で経理されている場合もありますが、仮受金勘定といった預金勘定以外で経理されている場合には、預金保護の対象外となっております。したがって、金融機関が破綻した場合には、顧客の依頼に基づく決済に債務不履行が生じる結果、破綻金融機関は決済システムからの離脱を余儀なくされ、決済機能の安定を欠くことになります。
 このため、仕掛かり中の決済資金のうち、預金以外の勘定で経理されているものについて、保険料を徴収するとともに、金融機関破綻時に全額保護する措置をペイオフ解禁前に講ずることとし、これにより、仕掛かり中の決済を確実に履行するものとしたものであります。
    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕
遠藤(和)委員 では、法案の審議はこれまでにしておきまして、金融庁は、十月十八日と記憶しておりますが、UFJとあさひ銀行に対して業務改善命令を発しました。これは、公的資金の注入を受けた銀行は、条件として、中小企業への融資増を義務づけられているわけですね。二行ともに二〇〇二年の三月には、例えばUFJの場合は五百億円増加しますとか、あさひは百億円増加しますという計画を立てていたんだけれども、実際は、UFJの場合は二兆五千二百四十七億円減少している、それからあさひの場合も一兆四千三百五十四億円減少している、いわゆる貸しはがしをしているんじゃないのか、こういうことですよね。
 これに対して業務改善命令を出したと思うんですけれども、業務改善命令の中身にはどういうことを注文し、これからどういうふうにフォローしていくつもりであるのか、これを確認させてください。
伊藤副大臣 今先生御指摘のとおり、十三年度中の中小企業向け貸し出しの残高で、UFJが約二・五兆円、あさひが一・四兆円減少をいたしております。十四年三月期に中小企業向け貸し出しが前年比減少した資本増強行に対しては、銀行法第二十四条に基づき、貸し出し増加に向けた取り組み状況等の報告徴求を行い、精査をいたしたところであります。
 そして、UFJについては中小企業向けに限定した貸し出し目標の設定を行っていない、あさひについては十三年度下期において中小企業向け貸し出し目標の設定を行っていないなど、目標達成に向けた実効性ある施策が十分に講じられたとは認めがたいことから、みずから的確に履行しようとしていないと認めた場合に当たると判断をいたしたところであります。
 このため、十月十八日に両者に対して業務改善命令を発出し、中小企業向け貸し出し計画の達成に向けた具体的方策を織り込んだ業務改善計画の提出を十一月十五日までに求めるとともに、提出後三カ月ごとに実施状況の報告を徴求することといたしております。
 金融庁といたしましては、同計画が着実に実施されるよう、その実施状況について厳正にフォローアップをしていきたいと考えております。
    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕
遠藤(和)委員 竹中大臣に聞きたいんですけれども、総理もおっしゃいましたけれども、銀行の中には、晴れた日に傘を貸して雨が降ったら取り上げちゃう、こういう銀行があるというふうな指摘をされていましたけれども、実際今横行している貸し渋り、貸しはがしを見ると、そういう気がするわけですね。
 どうですか、日本の銀行の実態というものが総理がおっしゃるような傾向性にある、このように竹中さんも認識されますか。
竹中国務大臣 個々の取引の中にはいろいろなものがあると思います。貸し手から見ますと、やはりリスクをきちっと考えて、リスクとリターンに見合ったような運営をしなきゃいけないと銀行は銀行で考えておりますでしょう。しかし、借り手の方から見ますと、何で急にいろいろな意味での条件が変わるのか、条件が変わるという中には急に貸してもらえなくなるというようなこともあろうかと思います。
 これは事例はさまざまだと思いますので、一概に今状況はこうなっておりますということを言うことは私は難しいとは思うんですが、それにしても、やはり信用額、供与額全体が急速に収縮しているというマクロの数字がございますし、いろいろな声が常に聞こえてはきますけれども、その聞こえてくる中で、やはりこれはなかなか問題が深刻であるというふうに思わせるものもたくさんふえてきているというふうな印象を持っております。
 その意味では、私は、銀行がきちっとまさにガバナンスを発揮して、ちゃんとしたところに、ちゃんとした中小企業にちゃんとしたお金を貸していくのが、それを長期的な関係を保っていくのが銀行自身のためになる。これは当たり前の話だと思うのでありますが、そういう意味でのガバナンスが発揮されていない、ないしはそのガバナンスが十分に機能していない可能性は私はやはりあるのだと思っております。
 したがいまして、情報には細心の注意を払いながら、金融庁としては、いわゆる不当な貸し渋り、貸しはがしを絶対に許さないような形で、これまでも指導、要請をしてきましたけれども、ここはぜひ、金融行政そのものも問われているというふうに考えて、しっかりとやっていきたいと思っているところでございます。
遠藤(和)委員 現在の銀行の自己資本ですけれども、これは、竹中さん、やはり水膨れ状態にあるんじゃないかという認識なんでしょうか。
 いわゆる繰り延べ税金資産というものを自己資本に全額算入しているわけですけれども、この算入のあり方について議論をするという一つの考え方は、やはり本当に自己資本という中身が、コアの部分がきちっと確たるものになっていないのではないか、やはり水膨れ状態になって、形の上で自己資本比率を満たしているけれどもどうだろうか、こういうふうな提案を私はされたのではないかと思うんですけれども、その辺の認識について。
 それから、今後この繰り延べ税金資産を自己資本の中に算入するあり方について検討するとしているんですけれども、これはどういうふうな検討をしていくのか、そして検討の結果はいつごろ、どういう形で実行していくのか、こういうことについてどういうお考えでしょうか。
竹中国務大臣 委員は水膨れという言葉を使われましたけれども、具体的には繰り延べ税金資産等々の話を指しておられるのであろうかと思います。
 この問題は、本当に、税制の問題、それと企業会計の原則、基準の問題、それと監督基準をどうするかという問題、この三つが大変複雑に絡み合っている、それぞれがこれまでの経緯、歴史を持っているという中に置かれていると思います。
 ただ、先ほど実はこれは渡辺委員が御指摘くださいましたけれども、会計基準から見ても、これは非常に、今会計基準にのっとって繰り延べ税金資産というのは計上されるわけでありますけれども、その会計基準から見てもなかなか実は微妙なところに来ている、評価が非常に微妙になりつつあるというような御指摘がございました。自己資本については、日銀総裁も、かねてからこれをしっかり見る必要があるということを指摘しておられる。
 要は、会計基準、これまでの変遷にのっとって、これはルールとしてやってきたわけでございますけれども、残念だけれども、結果から見ると、やはり市場との評価、さまざまな要因を考慮した市場の評価との間にはギャップがあって、そのギャップはしっかりと埋めていかなければならないのではないかということなのだと思います。
 繰り返し言いますが、この判断はそれほど簡単ではございませんけれども、そういう問題提起は問題提起としてしっかりと受けとめて、幅広く専門家の英知を集めて検討していこうではないかというのが今回の再生プログラムに書かれていることでございます。
 しからばどのように検討をしていくのかという第二のお尋ねでありますけれども、これに関しましては、まさに今月中に、どのような形でいつごろまでに、どういう形で議論しているのかということを工程表として示して、決めようと思っておりますので、しっかりとした議論の体制ができますように努力をしたいと思っております。
遠藤(和)委員 今回の一連の議論を見ておりまして、自己資本の算定ルールを変更する目的は、公的資金を投入する根拠をつくるためにルールを変えるのではないか、そして、それは公的資金投入ということが自己目的化しているのではないかというふうな反発があったということは確かなんですね。こういう意図はなかったわけですね。
竹中国務大臣 これはもう何度かこの場でも申させていただきましたし、総理も答弁の中でおっしゃっておられますけれども、公的資金の投入、注入というのは、さまざまに自己資本の査定強化、ガバナンスの強化を行っていったときにあり得る一つの結果であって、それが目的などということは、これはあり得ないことであるというふうに思います。
 そこはぜひとも御理解を賜った上で、今回の再生プログラムの中にも、したがって、しっかりとそのシステムをつくっていって、必要な場合には現行の法律的な枠組みに基づいて速やかにというふうに、そこは明示的に書いたつもりでございますし、そういう意図を持ってこのプログラムはつくられているわけではないという点、この点は文章をお読みいただければ御理解いただけると思うのですが、ぜひとも御認識を賜りたく存じます。
遠藤(和)委員 公的資金投入というのは結果としてあるという話をされましたが、私は、目的と手段ということからいえば、手段だと思うのですね。目的というのは一体何かといえば、それは金融機関の健全化でしょう。そしてそれは、経済再生のために金融機関が健全な仲介機能を果たすことをねらって、それを目的としている。ですから、経済全体の健全化というものがあくまで目的でなければいけないわけで、何か自己資本比率あるいは公的資金投入ということが唯一の目的であるかのごとく、主客転倒した議論がなされてきたのが大きな不幸ではなかったのかな、私はこう思います。
 それから、不良債権の処理の問題ですけれども、これを急ぐということは、結局は、結果的には貸しはがしとか貸し渋りが起きるのではないかという心配が、懸念が起きるわけですね。貸しはがし、貸し渋りを起こさないで不良債権の処理をするにはどうすればいいのか、これを考えなければいけないと思うのですね。
 これは、一番いいのは景気がよくなることですよね。そうすると、持っている不良債権は全部優良債権に変わるわけだから、デフレをとめて、インフレのターゲットを持って経済が上昇するというのが一番いい解決策なんでしょうけれども、金融としての解決はどういうふうに考えていくのか。
 それから、自己資本の算定ルールというものを先ほど申し上げましたけれども、これは急激に見直すと、結局、自己資本比率を維持するためにやはり貸し出しを抑制する。これは結局、貸し渋り、貸しはがしの原因になる、こういうふうなものがあると思うのですね。だから、そこは慎重に時間をかけて、よく丁寧に説明をして行う、そういうことが大事であると思うのですけれども、この貸し渋り、貸しはがしを起こさないで不良債権の処理をするということは、実際、可能なんでしょうか。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、不良債権の処理、これはやはり不良債権というリスクを抱え続けている以上、新規の前向きの融資ができないという面がありますから、そこはぜひともやはり加速させていかなければいけない。しかし、その過程で、御指摘のような貸し渋り、貸しはがし等が起こらないような仕組みをしっかりと考えていかなければいけない、私たち、全くそのように思っております。
 そのためには、やはりマクロも必要です。ですから、来年度の、例えばでございますけれども、先行の減税等々を含めて、マクロ経済運営は経済運営として、これは経済財政政策担当大臣としてしっかりとやっていく。諮問会議でもそうした議論を始めているところであります。
 同時に、金融独自としても、いろいろな工夫が要ると思います。そのプログラムの中に、中小企業等々に対する新しい貸し手の参入というのを積極的に認めていきたいということを書いている。これは短期的にも中長期的にも、私は大変、金融を活性化させる上で重要であるというふうに思います。また、それをホットライン等々でモニタリングする、そしてそれに対しては十分な指導を行っていく。
 そういうことをあわせまして、この貸し渋り、貸しはがしが起こることのないように、そのためには、一方で企業のガバナンスも、先ほど申し上げましたように、きちっとしたガバナンスが働いていればいいところから資金を取り上げるということはあり得ないわけでございますから、そういうガバナンスが発揮できるようなシステムとの合わせわざで、ぜひともしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
遠藤(和)委員 今回、主要行の不良債権比率を平成十六年度中に半減する、こういう目標を立てたわけですけれども、これは私はいい目標だと思うのです。
 といいますのは、貸しはがしとか貸し渋りをやると、分母のところがちっちゃくなるんですよね。そうすると、不良債権比率は悪くなりますよね。ですから、貸しはがし、貸し渋りに対して一定の歯どめをかけたという意味もあるのではないかな、このように理解していますが、そう理解してよろしゅうございますか。
竹中国務大臣 まさにそういう問題意識を持っております。これは分母と分子の関係で、分母を大きくする、少なくとも小さくしないようなインセンティブが働くというふうに考えておりまして、いわば、銀行が貸し渋りを行うという負のインセンティブを起こしにくいような目標設定を我々なりに考えたという経緯がございます。
遠藤(和)委員 最後に、金融庁は、貸し渋り貸しはがしのホットラインをつくった、こういうふうに聞いておりますけれども、これは大体どういうふうな仕組みで皆さんの声を集めるのでしょうか。
 それから、金融庁だけじゃなくて全国の財務局にもそれを設置して、地域の声を聞いて、ただ聞くだけではなくて、やはりそれに対して具体的な調査をしたり、あるいは事によれば銀行に対して業務改善命令を出す、こういうことを、実効ある措置をしなければ意味がないと思いますけれども、このホットラインについてどのように考えておりますか。
伊藤副大臣 先生御指摘のホットラインにつきましては、十月二十五日に設置をさせていただきました。私たちとしましては、今まで以上に、中小企業者を中心として、取引先の企業の声をしっかり聞いていきたい、そういう思いで、限られた人員の体制でありますけれども、その中で、大変限られた手段でありますが、電子メール、ファクスによって受け付けをさせていただいているところであります。
 そして、受け付けた情報につきましては、検査監督の実施に当たり、重要な情報として活用していきたいというふうに考えております。その情報を契機として、個別の金融機関について法令違反等の事実が判明すれば、行政処分も含め所要の措置を講ずることを考えております。
 また、十月二十五日から昨日、十一月七日までに金融庁に寄せられた情報は八十八件であります。
 なお、全国に十一カ所ある財務局等でも、十一月一日から情報の受け付けを開始いたしているところでございます。
 これから広報の体制をしっかりいたしまして、経済産業省あるいは中小企業庁、そして全国の経済産業局の方にもお願いをいたしまして、全国の中小企業団体にも、こうしたホットラインがあるんだということを広く広報させていただいて、幅広く情報を私どもとしては集めてまいりたいというふうに考えております。
遠藤(和)委員 終わります。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、永田寿康君。
永田委員 竹中大臣にようやく質問する機会が持てたことを私、大変うれしく思っております。
 まず冒頭、竹中大臣、あなたが学者であるか政治家であるかという議論がちまたでもよくされるのでありますが、間違いなく、あなたは政治をやっているので、今、政治家の立場であることは否定しがたいと思います。一方で、学者であるかどうか。つまり、政治家になった途端、学者は廃業してしまったのかどうか。この点をちょっとお伺いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 廃業なのか休業なのかという問題はあろうかと思いますが、大臣としての仕事に精いっぱい打ち込んでおりますので、最先端の論文を読みこなす時間などもちろんありませんし、論文を書く時間もない。また、学会で発表するという時間もない。その意味では、廃業か休業かはともかくといたしまして、大臣の、政治家としての仕事に打ち込んでおります。
永田委員 なぜこういうことを聞くかというと、ぜひ学者の心を持った政治家であってほしいなというふうに私は思うからであります。
 というのは、今の竹中大臣がなさっている政策の内容、あるいは政府の経済に対する運営、これは、学者の心で分析をすると、お世辞にも合格点が出るとはとても思えない、私はそう思うのですね。ですから、ぜひもう一度学者の心を取り戻して、そして言葉遊びをするのではなく、しっかり政府の政策を学者の目で分析をして、そして正しい方向をとっていただきたいなというふうに思うわけであります。
 なぜかというと、経済学をもって正しい分析をしてその処方せんを実行すれば世の中うまくいくかというと、なかなかそうではないんです。政治家というのは、竹中大臣も政治家になられてお感じになったかもしれませんけれども、経済を政治家が扱うときに、それは経済学だけでは済まない問題が出てくるんです。それは何かというと、社会なんですね。政治家は、紛れもなく経済と同時に社会も扱ってしまうんですよ。ですから、学問で分析してうまくいくと思った方向をとろうと思っても、なかなかうまくいかないということになるんです。
 一例を挙げますと、例えば今金融機関が、本当に株価も低迷して市場の評価も大変厳しい大手建設会社に対して債務の免除をいたします、債権放棄をします。その結果何が起こるかというと、生き返るのはいいんです、息を吹き返すのはいいんです、そうした大手の企業が息を吹き返すのはいいんですけれども、一方で、調子に乗って、とてつもないダンピングをやって、債務の免除の対象にもならないような、銀行がすぐ貸しはがしを起こしたくなるような中小企業、中小の建設業者を苦しめているんです。これが果たして正しい姿なのかどうかということを私はぜひ指摘をしたいんですね。社会を扱うというのはそういうことなんです。大手企業に対して債務の免除をする、その結果、その大手の企業がダンピングをして中小企業を苦しめる、これは僕は明らかに不公平だと思う。
 経済学の教科書を上から下まで全部なめるように読んだって、不公平という言葉は実はほとんど出てきません。不均衡という言葉は出てきますけれども、不公平という言葉は実は出てこないんですよ。つまり、経済学はそういうことを扱わないんですね。政治家は、我々は社会を扱うから、当然そういうことにも目を配らなきゃいけない。
 大臣は、今の不公平な状況、正しい姿だと思いますか。コメントをお願いします。
竹中国務大臣 一つの学問がすべてのことを解明するということはあり得ないわけであります。したがって、今の事例でも、どうしてそういう行動をとるのか、そういった部分では、例えば経済学的な分析というのはあり得るのだと思いますが、まさに先生方が扱っておられる政治はトータルでありますから、そのトータルを今社会というふうに表したのだというふうに思いますけれども、この点については、さまざまな問題点が全体として社会には非常に多く存在しているというふうに思っております。それをしかし、解きほぐすに当たって、一つずつ客観的、冷静的にいろいろな形から分析して、その上でトータルな判断をしていかなければいけない。御指摘のような点につきましては、非常に根深い現実的な問題があるというふうに認識をしています。
永田委員 国会は言葉の遊びをする場所ではありません。いろいろな角度から分析してとか、トータルな判断でとか、そういう抽象的な言葉はぜひ避けていただきたいんですね。恐らく、竹中大臣が学校で教鞭をとられていたころ、学校の期末テストで生徒が、トータルで考えてこう思うとか、そんな答案を書いてきたら、何じゃこりゃと思うはずなんですよ。そうですよね。やはりそういう言葉遣いというのは、国会でも僕は不適切だと思いますよ。
 ぜひ、そういうことは問題だというふうに、要するに不公平な状況が確かにそこに存在しているということを国会の議事録に載せたいので、明言してください。お願いします。
竹中国務大臣 いや私は、その社会、トータルな問題を判断するにはやはりトータルな判断が要るのだというふうに思います。大学の答案であればトータルな判断なんということはあり得ないわけです、問題が非常に限定されているわけですから。しかし、現実の問題ではそうではない。考慮しなければいけない無限の要因があるわけでありますから、そこはしかし、トータルな判断をするとか総合的に判断する。それはまさに、政治判断というのはそういうものでありますし、それは必ずしも国会の議論等々で似つかわしくないというふうには私は思っておりません。
 問題をできるだけクリアにしてしっかりと議論をしていこうという趣旨でありましたら、それはそれで私はそのとおりであろうと思いますが、判断というのは常にトータルなものであるというふうに思います。
永田委員 私は、実は僕の出身高校は慶応義塾志木高校といいまして、大学は違うんですけれども、慶応大学で教鞭をとられていた竹中大臣がこれから慶応大学の看板を汚すのではないかと大変心配をしております。
 というのは、今の答弁は全くおかしい。僕はトータルの話なんかしていないんですよ。大企業と中小企業で銀行側から見ると対応が違うから、だから、ダンピングをしているような大企業を銀行が助けていく、こういうようなことはおかしいんじゃないですかという話をしている。極めて限定的な問題を提起しているんですよ。何でトータルの話をするのか全くよくわからないので、そこは指摘をするだけにしておきます。これ以上言葉の遊びにつき合っている暇はないので、次に進めたいと思います。
 さて、財務大臣もお越しになっているので、財務大臣と金融担当大臣にお伺いしたいと思いますが、お二方、国債は買っておられますか。御自分の保有している資産の中で国債の占める割合、あるいは金額がわかれば、お二方、ぜひ教えてください。
塩川国務大臣 私は、国債買っております。保有しております。(永田委員「お幾らですか」と呼ぶ)一千万円。
竹中国務大臣 保有しておりません。
永田委員 財務大臣には重ねて、いつ御購入になったのかということもお伺いしたいんですが、なぜかというと、国は今、藤原紀香さんのポスターを使って、個人に国債を買ってくださいと言っているわけですよ。安全、有利な資産ですということを宣伝しているわけですね。自分で買わないものを国民に買わせるとは一体何ということかというふうに私は思うわけですよ、竹中大臣。わかりますか。そんな政治家が信用されると思いますか。小泉総理は、口癖のように、何とかの一つ覚えのように、隗より始めろ、隗より始めろと言っているわけですよ。しかし、国民に買ってくださいと政府が言っているのに閣僚が買わないんじゃ、話にならないわけですよ。そういう政治家は信用されません。
 ぜひ、なぜ買わないのかということを竹中大臣にはお伺いしたいし、財務大臣にはいつ買ったのかということを教えてほしい。
竹中国務大臣 理由は単純でございまして、ローンの返済に追われております。
塩川国務大臣 私は、安全で有利だから、普通の貯金より非常に有利ですから国債買ったんです。
永田委員 そうはいっても、竹中大臣、大変な回数の講演会をこなしておられるということで、一回当たり四十万、五十万から百万円に上るという謝金までもらっているという話が漏れ伝わってきております。ぜひ、国民の信頼をかち取りたいならば、多少無理をしても国債を買うのがやはり筋ではないのかなというふうに思う。それが政治家というものですよ。ぜひ御理解をいただきたいと思います。
 さて、金融再生プログラムについての質問に移りたいと思います。
 驚くべき駄文であります。よくこんなものをお出しになった。なぜかというと、さまざまな文章の羅列の中に、検討するという言葉が実にたくさん、よく出てくる。特に、例えば例を挙げると、「中小企業貸出に対する十分な配慮」という項目では、「主要行の不良債権処理によって、日本企業の大宗を占める中小企業の金融環境が著しく悪化することのないよう、以下のセーフティネットを講じる。」と書いてあります。セーフティーネットを講じると書いてある。しかし、(ア)、中小企業の貸し出しに対する云々の部分は、「積極的に検討する。」で終わっています。(イ)、「整備を検討する。」で終わっています。(ウ)は、報告を受けるという話ですから、報告だけですね、何の効果も発生しない。マニュアルの趣旨、内容を周知徹底する、検査を実施する、何かそんな話ばかりで実効性のあるものは何もないんですよ。
 これは、積極的に検討するというのがセーフティーネットになるんですか。検討するということがセーフティーネットになるというのは僕は全く理解できないんですけれども、どうしてそうなるのか説明をしてください。
竹中国務大臣 今回のプログラムは、総理から、十六年度にはこの問題を終結させろというふうに御指示を受けまして、その基本的な方向を、一カ月という短い時間で方向を示して、不良債権問題の処理に、終結に向けて一つの流れをつくりたい、そういう趣旨があったわけでございます。
 したがいまして、その方針を示すというのが今回のプログラムでありますから、その中で、その具体化に向けて検討しなければいけないという項目は御指摘のとおりたくさんございます。その検討すべき方向を今回示したわけでありますので、では具体的にそれをどのような形、行政にしていくのかということに関しては、工程表という形で、いつまでにどういうことをする、これをやはりしっかりとつくらなければいけないと思います。
 その意味で、委員の御指摘は、その工程表をしっかりつくらなきゃいけないんじゃないかという御指摘というふうに私自身は受け取りますし、その工程表に関しましては、十一月中に、ぜひ議論を煮詰めて御期待に沿えるようなものにしていきたいというふうに思っております。
永田委員 まあ何ともプログラムと工程表が好きな内閣だなというふうに思います。本当に数多く出されていますが、大体こういうものというのは、例えば、改革先行プログラムをつくった、改革工程表をつくった、それを実行してみた、フォローアップをする、足りないところがある、失敗したところがある、じゃあ次に新しいことをやろう、これが普通なんですよ。しかし、過去につくったものの総括もろくにやらずに新しいものをばんばん出して、過去を振り返らない、こういうような姿勢が国民から信頼されるかどうかということは大きな疑問だと思うんですね。
 過去に対する総括というものはちゃんとやっているんですか、教えてください。
竹中国務大臣 いわゆる政策を打ち立ててそのパフォーマンスレビューのようなものは、御指摘のようにしっかりとやっていかなければいけないというふうに思っております。
 なかなか時間との制約の中で、必ずしも十分に行われているというふうには認識をしておりませんけれども、例えば、昨年の工程表に関しましては、どこの時点でしたでしょうか、ことし最初ぐらいの時点で七〇%、八〇%進捗しているということは調査いたしまして、それは新聞にもきちんと公表をしております。
 今、むしろ経済財政諮問会議の中で議論をしておりますのは、これはいわば政策評価の問題であるということで、その政策の評価についての、それを予算編成にも反映させるようなきちっとしたプロセスを確立していきたいというふうな問題意識は強く持っておりまして、そうした議論を近々諮問会議でも行う予定にしているところでございます。
 プログラム等々に関しては、先ほどの、去年の工程表についての評価のようなことは、これは当然継続的にやっていくつもりではございます。
永田委員 では、総括はそれなりにやっている、フォローアップはそれなりにやっているというお話であるならば、その中でどうして新たなプログラムが必要になったのか。今までできなかった部分があったのか、やろうと思ったけれども失敗したところがあるのか。どうして今新たなプログラムが必要になったのか、その必要性について説明してください。
竹中国務大臣 まず、この金融の再生のプログラム、これはとりもなおさず、今なぜこの時点で不良債権処理を加速するのか、それがどのような背景から来ているのかという御質問かと思います。
 これに対しては、一部この委員会でも御議論をさせていただいたかと思いますが、当初、我々が見込んでいた経済の推移、これは最初の一年、二年は大変厳しいだろうというふうに思っておりました。実物経済、具体的には実質GDP等々で見ますと、当初の想定から必ずしも乖離しているわけではありません。むしろ、実質値はわずかですけれども想定より高いというのが今の内閣府の試算でございます。
 しかしながら、デフレについては、名目GDPについては、残念だけれどもそれと逆の方向に行っている。これは、やはりデフレが予想以上に厳しく、難しい問題であるということをこの一年半我々は痛感させられたわけでございます。
 もちろん、その間に世界の経済が予想以上に悪化したという客観情勢の変化もありました。昨年の九月十一日以降の非常に不確実、先が見えない経済状況の出現、特に資産市場の不安定化、その中で実はデフレも加速をしているわけでありますが、そうした状況に対して、やはりここはマネーがしっかりとふえていくような状況をぜひつくらなければいけないだろう、その意味ではこの不良債権問題、金融システム強化をやはり加速させなければいけないというふうに考えたのが総理の御決断であったというふうに思っております。
 同時に、今回の総合対応策につきましては、ことしの六月の末に骨太第二弾というのを示しておりまして、実はその中で、ある意味で総合的な政策、経済活性化のためのプログラムを示しております。これは閣議決定されておりますので、この閣議決定に基づいて各省庁が懸命にいろいろなことを取り組んでいるわけでありますが、経済がさらに厳しい中で、それをより大きく、より早くできないだろうかということで今回の取りまとめに至ったわけでございます。
 その意味では、経済は大変厳しいです、世界の経済も悪化しております。そうした中で少しでも政策を強めて経済の活性化に資するように、努力の結果がこのような形になっているというふうに御理解賜りたいと思います。
永田委員 過去の総括との関連性に全く言及されないので、答弁としてはすれ違っているというふうに僕は思います。
 おまけに、去年の九月十一日のテロ以降の不確実性というお話をしていましたが、少なくとも改革工程表は九月二十六日に発表されています。九月の十一日より後ですね。そういう言いわけは通用しないと僕は思います。
 ぜひ、もう少し慎重に言葉を選んで、言いわけではなくてちゃんと理由を説明するという姿勢を持っていただきたいと思います。そうじゃないと、国会が空洞化してしまいますから。ぜひお願いします。
 さて、この金融再生プログラムの中身ですけれども、「国民のための金融行政」というのが1の(1)の(ア)に書いてあります。「金融行政が護るべき対象は、預金者、投資家及び借り手の企業や個人など国民であることを確認する。」国民であることをわざわざ確認するということは、一体これは今まではだれを守ってきたんですか。ぜひ教えてください。
竹中国務大臣 金融行政は、これまでも、そうした観点から危機を回避するということに重点を置いて、当然のことながら懸命に行われてきたものだというふうに認識をしております。
 しかし、今回不良債権処理を加速するに当たって、例えば先ほどからも御議論になっているように、貸し渋り、貸しはがしが起きないだろうか、さまざまな問題にやはり配慮しなければいけないわけです。そうした観点から、ここでそのことを改めて確認するという趣旨でそのように書いているわけでありまして、これは、過去もそうであったし、しかしこの難しい状況でさらにこの点を再確認した上でしっかりと行政をやっていきたい、そういう趣旨であります。
永田委員 そういうのは詭弁というのですよ。今までもそうであるならば、一々確認する必要はありませんね。竹中平蔵は男であるということを確認する、そんな話が、どこにおもしろみがあるのかという話なんですよ。ですから、それは詭弁であるということをぜひひとつお認めいただいた方がいいと思いますね。
 それから、「モニタリング体制の整備」という部分で、「「金融問題タスクフォース」を新設し、平成十六年度には不良債権問題を終結させるという目標の達成に向け、モニタリングする」というお話ですが、モニタリングというのは、僕は金融庁の本来業務そのものであると思います。実際、改革先行プログラムの九ページには、包括検査やフォローアップ検査を充実させるという言葉が書いてあるんですね。
 なぜ、改めて金融問題タスクフォースなるものをつくって、こんなモニタリングなんということを一々やらなきゃいけないのか。それは、本来業務をやっていなかったということを暴露しているのか、そういうお話なんですけれども、いかがでしょうか。僕は、こんなものを一々つくる必要はないと思いますけれども。
伊藤副大臣 私どもといたしましては、より充実したモニタリング体制を整備していきたいという考え方の中で、金融問題タスクフォースというものを設置させていただきたいと考えております。
 この中で、法律や会計の専門家の方々にもメンバーとしてさらに入っていただいて、幅広い視点から、平成十六年度までに不良債権問題を終結させるという大変大きな目標がございますので、その目標に向かっていけるように、さまざまな観点から大臣に対して御助言をいただきたいというふうに考えております。
永田委員 全く意味がわからないんですけれども。まあ余り、端パイなので、ちょっと先に進みます。
 「中小企業貸出計画未達先に対する業務改善命令の発出」という項目があります。「健全化計画における中小企業貸出計画に関する重度の未達先に対しては、原則として業務改善命令を発出し、軽度の未達先に対しては、即時に改善策の報告を徴求する。」ということでありますが、現在既にこの制度になっているんですね。なっていて、なおかつ、実はこれは後退しているとも言えるんですけれども、現在既にその制度になっているのにもかかわらず一々こういうことを書くのはなぜかというのが一つ。
 もう一つは、それでも大幅な未達になった銀行が二つあるわけですね。これは、この制度では中小企業への貸し出しを確保することができないということを証明しているのではないのかと私は思うのですけれども、なぜこのやり方に相変わらずこだわっているのか。説明をお願いします。
伊藤副大臣 早期健全化法に基づく資本増強行は、毎年度、中小企業向け貸し出し等の増加計画を策定しておりますが、その履行を確保するため、従来から明らかにしている方針において、みずから的確に履行しようとしないと認められる場合には、業務改善命令の発動を検討することといたしております。
 十三年三月期の経営改善計画のフォローアップに当たり業務改善命令を発出した新生銀行については、十四年三月期には、同命令を受けて策定した業務改善計画に盛り込んだ施策を着実に実施することにより、中小企業向け貸し出しの計画を達成したところであります。
 したがって、中小企業貸出未達先に対し業務改善命令を発出しても実効性が上がらないということではありませんので、私どもとしては、こうしたことをしっかりやりながら、中小企業貸し出しというものを確保していきたいと考えております。
永田委員 しかし、ちょっと制度の趣旨が変わってしまったんじゃないかと僕は思うんですよ。
 というのは、資本注入行、公的資金を入れた銀行に対して中小企業への貸し出しを確保しなさいということは、一つの約束だったはずなんですね。この約束を守れないのであれば、公的資金を入れた、その資本を引き揚げるか、ないしは普通株に転換する、こういうことがやはり前提だったというふうに思うんですよ。その約束を後退させて、そのルールを後退させて、単なる業務改善命令しかやりませんよと。普通株に転換することは、ここにはそういうことをやるとは書いていないわけですから、これは制度が後退したんじゃないかと僕は思っているんですけれども、説明はいかがでしょうか。
伊藤副大臣 私どもとしましては、与えられた権限の中で一つ一つ着実に、行政として監督行政の遂行をしていきたいというふうに思っております。その中の手続を一つ一つ丁寧にやらせていただいているわけでありまして、そうした中で、先ほど御説明させていただいたように、新生銀行のようにしっかり対応をしていただくことができるというケースもあるわけでありますから、そうした形の対応を私どもとしてやっていきたいというふうに思っております。
永田委員 そういう話をしているんじゃないんですよ、伊藤先生。僕が言っているのは、制度が後退したんじゃないか、そういう話をしているので、金融庁としては、あるいは内閣府としては、これはもう普通株に転換するつもりはないんだということを宣言しているに等しいと思うんですけれども、そうじゃないんですかという質問なんですよ。真っすぐ答えてください。
伊藤副大臣 優先株から普通株への転換につきましては、運用ガイドラインを策定するということを私どもは明らかにいたしております。運用ガイドラインをどういう形で策定していくのかということについては今検討をいたしておりますので、工程表を明らかにする中でこの考え方というものを明確にしていきたいというふうに思っております。
永田委員 ガイドラインもないのに、ルール違反をした銀行に対してとりあえず業務改善命令だけで済ませるというような対応をするのは、まさに裁量行政そのものじゃないですか。ルールは、普通株に転換するということ、あるいは資本を引き揚げるということだったはずです。それなのになぜそういう裁量行政を行うのか。僕は全く理解できないんですけれども、いかがでしょうか。
伊藤副大臣 今、直近の自己資本比率や収益指標等から見て経営が著しく悪化した銀行について、経営体制の刷新等、経営管理を通じた適切な業務運営を確保することが必要である場合、期中において市場における当該銀行の信認が著しく低下し、その回復を図ることが必要である場合に、これを普通株に転換するということになっております。さらにこの運用のガイドラインを私どもは明確にしたいということで、今回のプログラムの中で、これを策定するということを明示させていただいております。
永田委員 裁量行政にならないように、ガイドラインの運用についてはぜひ厳格に行っていただきたいというふうにお願いをします。
 さて、金融再生プログラムの三ページ目には、特別支援に関する記述があります。この特別支援という状況は、国有化とは異なる状況なんですか。説明してください。
竹中国務大臣 国有化というのを何をもって言うかということだと思います。わかりやすく言えば、株式を全部持っておりまして全く一〇〇%支配しているというのは国有化のわかりやすい例でございますけれども、ここの特別支援というのは、そういうことを何か先見的に想定しているわけではありません。
 これはもうそこに書いているとおりでございますけれども、個別の金融機関が万一にも経営危機等に陥って問題が生じた場合には、この金融問題から経済の底割れを生じさせないように、今の枠組みの中でできることを目いっぱいやって、しっかりと管理して、とにかく底割れをしないようにしようではないか、そのための日銀との協力でありますとか、必要な場合の公的資金の注入、さらには、よりガバナンスを強化していく仕組み等々を明記したものであります。
 したがって、国有化云々というようなそういう所有権の概念ではなくて、とにかく経済実態に配慮して、金融から経済の底割れを起こさせないような枠組みであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
永田委員 ここには「以下に示す「特別支援」の枠組みを即時適用し、」ということが書いてあるわけですから、この文脈からすると、特別支援という状態に入ることがあり得るということなんです。つまり、特別支援というのは一つの状態なんですね。この文章だとそういうふうに読めますよね、「枠組み」と書いてあるわけですから。ですから、銀行が経営が傾いてきて実体経済に影響を与える可能性が出てきたから、もう今存在している制度をフルに活用して何でもかんでも応援するんだ、そういうことを特別に応援するんだというようなことを言っているんじゃなくて、特別支援という状態がここに定義されているわけですよ。
 その概念は、国有化という概念とは重なりがあるんですか、あるいは片っ方が片っ方を含んだりするんですかということをお伺いしているんですけれども、教えてください。
竹中国務大臣 枠組みでありますから、確かに、今の利用できる法的な制度等々を活用して、その中でしっかりと底割れを起こさせないようにする、そこは先ほど申し上げたとおりでございます。
 したがって、国有化というのを、先ほどと繰り返しになりますけれども、どういうものを意味するのか。例えば、一〇〇%ないしは実質的に普通株で持って支配権を有する、これは株式転換のガイドラインの問題とかいろいろな問題がこれから出てくるわけでありますけれども、そういう場合にそういうことが出てくるのかということに関しては、これはガイドラインの検討結果、それと、現実に何が起こるかというのは想定できませんけれども、例えば相当株を政府が持ってやっていくというようなことは、理屈の上ではもちろんないわけではないわけですね。そういう御指摘でございましたら、それは、まず現行の法律の中でやっていくわけでありますから、それの一部として、理屈の上ではそういうことも出てくるかもしれない。
 しかし、繰り返して言いますが、そういうことを想定してここで議論をしているわけではない。所有云々の問題ではなくて、経済の底割れを起こさせないための即時であるということでございます。
永田委員 いや、どうも質問の内容を理解していただけないようですが。多分、その程度の理解力だったら、慶応大学を卒業することすらできないんじゃないかと僕は心配しているんですけれども。
 いいですか。特別支援という状況があるわけですよ。国有化というのは、つまり相当程度の議決権を国が持っているということですよ。株主総会で役員の任免権を有するぐらいに国が議決権を持っているということです。この二つの概念が重なっているのか、あるいは片っ方が片っ方を含んだりしているのか、全く別の概念なのか。これは先見的にという話じゃないんですよ。だって、概念の話をしているわけですから。特別支援という概念をここで定義しているわけですから。それに対して先見的にどうこうとか、そういう話じゃないんですよ。まさに先見的に話をしなきゃいけない話なんですから。
 ですから、つまり、もっとわかりやすく言うと、国有化しなくても特別支援をするということはあり得るのかどうかということを聞いているんです。お答えください。
竹中国務大臣 国有化というのが、例えば五〇%以上議決権を持っているような状況であるというふうにもし仮定をするならば、最後のお尋ねは、非常にわかりやすい、私にでも理解できるお尋ねでございましたから申し上げますと、それは、そういう支援をすることはあり得るということになると思います。
永田委員 できるんですか、こんなこと。だって、「検査官の常駐的派遣」とか書いてあるんですよ。「「特別支援」の対象となった金融機関の取締役会や経営会議などに、検査官を陪席させることを検討する。」検討するだけならいいですけれども、こんなことできるんですか。どういう法的な根拠に基づいてこういうことをしようとしているのか、教えてください。
竹中国務大臣 これは、趣旨は、ガバナンスを強化して、しっかりとした枠組みで管理していくということであります。その場合の権限等については、御指摘のようにクリアしなければいけない問題はある。ただ、やはりしっかりとしたガバナンスを発揮するために、そういうことも視野に入れて、これは検査の権限の中でどの程度認められるかどうかという問題を今事務的に詰めているわけでございます。
永田委員 つまり、クリアしなければいけない問題が技術的にあるということは、これは恐らく法改正が必要になるような、法律的な手当てが必要になるのではないかと私は思っているんですけれども、そのための作業を実務的に始めているということですか。そして、始めているならば、それは見通しとしてはいつごろまでに法案として提出されるのか、教えてください。
竹中国務大臣 このために法的な枠組みを変えるということは考えておりません。現行の枠組みの中で、どのようなことができるかということを含めて検討しているというふうに御理解いただきたいと思います。
永田委員 「事業計画のモニタリング」なんということも書いてあるわけですよ。ここには「上記適切な管理方法を適用した後も黒字体質に転換しないなどにより必要と思われる場合は、適切な措置を金融担当大臣に進言する。」ということが金融問題タスクフォースの一つの仕事になっているという話なんですけれども、これは、もう特別支援をフルにやって、そして検査官を経営会議や取締役会に陪席をさせるなどの非常に強い関与を国がしておきながら、なおかつ黒字に転換しないというのは、これは国にも責任が出てきちゃうんじゃないかと僕は思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
伊藤副大臣 金融機関の取締役会等への検査官の陪席については、これは収益力の向上という観点よりも、主としてリスク管理の強化という観点から検討していきたいというふうに考えております。
永田委員 そんな、リスク管理に影響を与えるようなことをねらいとして検査官を陪席させるなんということが法的に許されるんですか。僕はそれは民法違反じゃないかというふうに思うんですけれども、そこはどうやってクリアするんですか。それとも、黙ってそこに座っていて、無言の圧力で、おう、そんなこと言っていていいのかと、こういうふうに経営会議を支配しようとしているのか。ぜひ教えてください。
伊藤副大臣 大臣が先ほど御答弁をさせていただいたように、今の法的な枠組みの中で、この制度の適用を検討いたしております。
 繰り返しになりますけれども、私どもはリスク管理の強化の観点から検査官の陪席を考えております。
永田委員 おかしいな。それはやはり裁量行政の温床になる可能性があります。あるいは談合体質というか、密室政治の温床になる可能性があります。それは、やはり法的に言えば、そんな何の権限もない検査官が経営会議に出席をして何か発言をするということは、これは法的には絶対許されないはずです。
 しかし、黙ってそこに存在しているだけでも、やはりそれなりの無言の圧力というのは発生するわけですよ。それは当たり前ですよね。法的に可能だといったって、僕の後ろをずっと始終お巡りさんがついて回っていたら、僕はやはり神経すり減らしますわね。立ち小便もしなくなるかもしれない。そういうやはり無言の圧力というのはあるわけですよ。そういうことを期待して陪席させようとしているのか。それは脱法行為だと思いますね。そのような脱法行為をみずから金融庁がやろうとしていることに僕はちょっと驚きを隠し得ないんですけれども、もう一回、そこのところ、意思を確認したいんです。本当にそれは民法違反にならないとお考えですか。
伊藤副大臣 繰り返しになりますが、私どもとしては、現在の法体系の中で、リスク管理を強化する観点からこの制度の導入ができないかということで検討をいたしているところでございます。
永田委員 では、本来ならば法律上発言権も何もないはずの、株も持っているわけでもないような検査官がそこに陪席をしていることによって、どうしてリスク管理を強化することができるのか、その因果関係を教えてください。陪席することによって、どうしてリスク管理を強化することができるのか教えてください。
伊藤副大臣 今そうした点も含めて、検討を実務的にいたしているところでございます。
永田委員 因果関係がはっきりわからないようなものをこの紙に載せるのはやめてください。陪席をさせることによってリスク管理を強化したいというふうに、今御自分の言葉で答弁なさっているのですから、その因果関係が頭の中で整理されていなければおかしいですね。それを、これから検討しますなんという答弁は絶対おかしいと思いますよ。はっきり答弁してください。
伊藤副大臣 繰り返しになりますが、私どもとしては、リスク管理を強化する観点からこの検査官の陪席というものを導入したいということで検討をさせていただいております。
永田委員 委員長にお願いします。
 法的に見て何の権限もない検査官が陪席することによってリスク管理が強化されるという因果関係が、私には全く理解できません。そこの質問をしている。これは絶対答える義務があると思います。誠実に答弁させるように、委員長から一言お願いしたいと思います。
伊藤副大臣 今の御議論の前提に、これは特別支援という枠組みの中でということになっております。そういう意味では、ある種の公的な関与という前提があるわけでありますから、そこで、私どもはリスク管理を強化する必要から、この検査官の陪席ということを検討していきたいというふうに考えております。
永田委員 答弁が変わっています。先ほど伊藤先生は、これは、陪席をさせることによってリスク管理を強化するんだという、そういうねらいだという、リスク管理を強化することがねらいであるということをおっしゃった。しかし今は、今の答弁は、公的支援、ほかにもさまざまある特別支援の中で公的関与というものが前提になっているから、だからリスク管理の強化に資するために陪席を認めるんだ、こういうお話です。これは答弁が変わっていますね。
 先ほどの、最初の答弁は、陪席をさせることによってリスク管理が強化できるんだという、そういう因果関係を明確に認めたものであったはずです。ちゃんとその因果関係を私にもわかるように、国民にもわかるように説明してください。検討しますという答弁では僕は納得しませんよ。
伊藤副大臣 私が答弁をさせていただいたのは、この御議論が、特別支援の枠組みについて委員から御指摘があって、その前提の中で御質問があるというふうに思っておりましたので、それで先ほどのような答弁をさせていただいているわけであります。
永田委員 改めて最後、もう一回だけ聞きます。
 どう考えても、検査官が陪席することによってリスク管理の強化につながるという因果関係が僕には見えません。どうしてそうなるのか。本当は違うことにねらいがあるんじゃないですか。本当はリスク管理以外の部分、あるいは何の権限もないのに発言しちゃうとか、あるいは金融庁に知られたくないような、やみの発言、もう隠したいような発言をそこでは話させないような、そんな裏の意図があるように僕には感じられるんですけれども、どうしてリスク管理につながるのか、リスク管理の強化につながるのか。もう一回だけ聞きますから、それでわからなかったら、ちょっと理事さんともお話をして、まともな答弁が出てくるまでちょっと時間を置くことも考えたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
伊藤副大臣 繰り返しになりますけれども、これは特別支援という公的な関与を前提にいたしているところでございます。委員が言われているのは、その公的な関与の中で、全く違う行為を金融庁が手をかすというようなお話でありますけれども、私どもは全く逆でありまして、そうしたことにならないように、リスク管理の強化の視点から検査官というものを陪席させることを検討していきたいというふうに思っております。
永田委員 全然答えになっていないんです。どうしましょう。まあ、まだいいか。とりあえず、そこのところは全然納得できていないので、問題として残っているということを指摘して、さらに先に進みたいと思います。
 公的関与をするわけですね。今も何度も何度も公的関与とおっしゃった。何らかの関与をするわけですね。関与した結果、黒字体質にも転換できない、あるいは不良債権などの問題が処理されないということになると、当然国の方にも責任が発生するというふうに僕は思うんですけれども、そこはどういうふうにするんですか。責任は当然国にあるとお認めになるんですか。
伊藤副大臣 収益性の向上については、これは金融機関の問題でありますので、私どもとすれば、その不良債権問題についてしっかりモニタリングをしていくということであります。
永田委員 改めて、本会議でも我が党の五十嵐議員が質問したように、「新しい公的資金制度の創設」という部分が入っています。これはなぜ現行制度ではできないのか、現行制度で不十分な部分があるとすれば一体それは何なのか、ちゃんと説明してください。
竹中国務大臣 御承知のように、現行の制度では、公的資金の注入が必要になる場合、なった場合、預金保険法の百二条に基づいて、まさにこれは何らかの意味で危機的な状況があって、金融危機対応会議を開いてということになっているわけであります。
 現状、この枠組みの中で必要な措置を粛々とやっていく、それが先ほどの公的な支援の意味でございますけれども、果たして今後、非常に長期の期間を考えた場合に、現行の枠組みだけで果たしてやっていけるのだろうか。これは専門家の間でもさまざまな議論があるというふうに承知をしております。
 そこでは、そうした問題が必要であるというふうに断じているわけではなくて、そうした必要性を指摘する声にも耳を傾けて、その必要性も含めて検討していこうと。そういう声には耳をちゃんとかして、必要性があれば法的な措置もきちっと講じます、そういう趣旨でそこの条文は書かせていただいております。
永田委員 それでは説明責任にならないんですよ。説明責任を果たしたことにならない。なぜ、どういう部分が現行制度で使いにくいから、今後そういうことにも対応できるように法改正をしていきたい、あるいは新しい枠組みをつくりたいというようなことを、ちゃんと国民に説明する必要があるでしょう。総合的に考えてとか必要性に耳を傾けてとか、そんな抽象的な話じゃないんですよ、これは。国民の税金をつぎ込もうという話なんですから、兆の単位で。ですから、ちゃんとどこのところに問題があるということを、どういう問題意識なんだということをはっきり国民に説明してください。
竹中国務大臣 今申し上げましたように、百二条の発動には条件がございます。その条件、まさに危機的な状況であって、危機を宣言する、それでカバーされないものがあるのではないかということ。どういう場合かというお尋ねでございますから、今のその危機の二つの条件があるわけですね、危機であって危機対応宣言をする、それではカバーされない条件が、これは理屈の上ではあり得る。そういう御指摘が実は多々あるわけでありますから、そうした条件に見合うような形で何が必要かということを議論していきたいということであります。
永田委員 法律というのは必要性があるからつくるんです。セーフティーネットの話というのは、通常、その制度がつくられた直後に発動されるんですよ。発動することをねらいとして普通は法律改正というのをするんですね。
 最近はそうでもないんですね。残念ながら銀行等株式買い取り機構なんというのは、あれは利用状況が全くお粗末な話でありまして、制度だけつくって、この行革の時代に認可法人を新しくつくって全く利用されないというとんちんかんな話になっているわけです。まあその裏の事情は私も知っていますけれども。
 だけれども、セーフティーネットというのは、普通、つくった直後に発動されるんです。空振りになるセーフティーネットなんというのは、私が少なくとも在籍していたころの大蔵省は絶対認めなかった。どういうことが今念頭に置かれているのか、ちゃんと説明してください。
竹中国務大臣 セーフティーネットというのはつくった直後に発動されるというのは、私は必ずしもそうではないと思います。それは、セーフティーネットの発動が喫緊の課題になって、非常にいわば追い込まれた状況で法整備をすることが現実には多かったということなのではないかと思います。セーフティーネットですから、例えばこれは安全保障上での危機管理の問題も、これはまさにナショナルセキュリティーという意味でのセーフティーネットでありますが、それが、やった途端に何か有事が起こるかというと、これはそうではないわけでありまして、必ずしもそういった意味ではどういったものを想定しているかということではない。
 申し上げましたように、これは、やはり金融というのは非常に国民経済にとって重要であり、今は非常に限られた状況下での公的資金注入が規定されている、それ以外のものについてまさに幅広く検討しようということをそこに明記しているわけです。
永田委員 さまざま問題点があるので、時間が足りないんですけれども、大きなテーマをもう一個いきたいと思います。
 繰り延べ税金資産のお話がやはり大きいので、やりたいと思います。
 繰り延べ税金資産が自己資本に組み入れられている、それが認められているというのは、僕は、まあそれは会計制度上やむを得ないところもあるのかもしれませんけれども、しかし、やはり幾ら何でも限度があるだろうなという感じがしています。銀行全体で八兆円にも上る繰り延べ税金資産が積み上がっていって、そしてそれが自己資本として認められているという状況は、日銀総裁がみずから認めるとおり、幾ら何でも異常な状況と言わざるを得ない。
 例えばこれがもう一歩進んで、竹中大臣、ぜひ聞いてください。例えばもう一歩進んで、不良債権の処理をどんどん銀行が進めていく、そのときに、もちろん繰り延べ税金資産を使って償却するなんてことはできませんから、株主資本がどんどん毀損していくわけですね。例えば、株主資本がゼロになっちゃった、だけれども繰り延べ税金資産は山ほどあって、それだけで自己資本を八%確保している、そのような状況の銀行が発生したときに、これは健全と呼ぶんですか。
竹中国務大臣 その点は、まさに速水総裁が前から指摘しておられるコアキャピタルというものがやはり重要であって、そのコアキャピタルを中心に考えなければいけないということなのだと思います。先ほどから何度か、マーケットの評価というものにたえるようにしたいというふうに申し上げているわけですけれども、このマーケットの評価も、私はやはりコアキャピタルというものを中心として、それを補う項目をどのように考えるか、そういう議論であろうかと思います。
 今永田委員が挙げられたのは、やや極端ではありますけれども、やはり非常にわかりやすい例でありまして、そういう市場の評価にたえる、ないしは現状の数字と市場のギャップを埋めるような形として解決策にどのようなものがあるかということをしっかりと検討したいと思っているところです。
永田委員 政治家になると随分と言葉遣いが違うなと思います。
 いいですか。私が学者の気持ちで政治をやってくださいと言うのは、そういう部分なんですよ。繰り延べ税金資産だけで自己資本が八%確保されるような、そんな銀行は健全だというんですか。学問の目で、学者の目で見てどう思うかということをお話しください。
竹中国務大臣 あるときは学者的だと非難され、あるときは政治家になったと非難される立場にございますが。
 まさにそういうところに問題があるというふうに認識しているから、こういう問題提起をしているわけなんです。それは、今おっしゃったような、コアキャピタルがゼロで繰り延べ税金資産が何かすごくたくさんある、これはやはりおかしいわけで、そういう状況はあってはならないことだというふうに思います。であるからこそ、これは国によりますけれども、だからコアキャピタルの何%とかというふうに上限を決めているところもある。それはそれで一つのやり方なのだと思います。
 しかし、繰り返しになりますが、日本の場合は、税制と会計制度とこの基準が、三つが非常に過去の経緯も含めて絡んでおりますので、単純に海外の制度そのものを持ってくるということではない。しかし、御指摘のような問題があるからこそ、認識しているからこそ今回こういう問題提起を行って、しっかりと検討したいというふうに考えているわけです。
永田委員 問題提起で事が済む話じゃないんですよ。何せ八兆円ですよ。しかもそれが自己資本比率で八%だということは、百兆円の貸し出しにつながっている、そういうお話なんですよ。これを認める認めないという話を軽々に決めてしまう。例えば認めないという話になったら、まさに銀行が言っているとおり百兆円の貸しはがしが起こるかもしれない、そういう話なんですね。ですから、もっとしっかり、これはやるかやらないかということを、時期も含めて明言をしないと、国民はいつまでたっても不安なんですよ、銀行もいつまでたっても不安なんですよ。私たちは貸しはがしを受けるかもしれないとおびえている中小企業は幾らでもあるんですね。
 ぜひそこのところ、大臣の考えを、あなたは政策責任者なんですから、ですからもう一度、どういうふうなスケジュールで、これをどういう方針で制度を変更していくのか、あるいはどういう制度が望ましいと思っているのか。議事録に載せてください。
竹中国務大臣 どういう制度が望ましいかにつきましては、関係者を含めてしっかりと議論しなければいけないと思っております。そのためにどのような手続を踏んでいくかということに関しては、これは工程表の中で明言をしたいと思います。
永田委員 関係者と話し合いをしてといいますが、関係者というのは銀行関係者も含まれるんですか。やはりこの紙の、金融再生プランの第一ページ目に、国民を守るべきだということが書いてあるわけですから、銀行を守るような姿勢になっては僕はいけないと思っているんですよ。銀行は、経営者を初めとしておびえているんですね、本当に認められないことになるんじゃないかと。
 僕は、はっきり言って、会計制度としてほかの業種と横並びでやっている話であるから今さら制度の変更は認められないとしている銀行の姿勢はおかしいと思っています。なぜかというと、自己資本比率などというもので経営の状況が規制されている業種はおよそほかには見当たりません。まあ一部の金融機関はありますけれども、だけれども、これは極めて特殊な状況なんですね。建設会社や八百屋さんなんかと一緒にされたのでは困るわけですよ。ですから、これは別に繰り延べ税金資産を認めないという話をしているのではなくて、コアキャピタルに入れないということ、あるいは上限を設けるという話をするのは全然、横並びの観点からしてもおかしくないと思うんですね。
 もう一度、どういう制度が望ましいと思っているのか、そして、いつごろにそれを変更するつもりなのか、大臣の政策責任者としての意思をお伺いしたいのと、あと、あるべき姿を決定するときに、銀行業界の話を聞くことはよもやありますまいなということは確認したいと思います。二点お願いします。
竹中国務大臣 重ねて申し上げますけれども、どのような考えに基づいてこの問題の解決を図るかということは、政策責任者として各方面の意見を聞いてしっかりと決めたいと思います。その上で、この問題はしかし、いろいろな委員会で民主党の先生方からも御意見をいただいておりますが、民主党の先生の間でもこの問題に対しては意見がさまざま異なっているというふうに承知しております。かように、この問題に関しては非常に違った見方がこの国、社会の中にはある。それをそれとして踏まえて、最終的には私の方でしっかりと決めたいと思います。
 第二の、銀行の話を聞くのかと。これは銀行の立場、銀行の考えについての御意見はぜひ賜りたいと思っております。しかし、別に銀行と合議するわけではありませんし、銀行と合意に達するとか、そういう性格のものでは元来ありません。さまざまな意見はお聞きしたいと思いますが、これは当局の責任においてしっかりと決めていきたいと思います。
永田委員 銀行の恫喝に屈してこの紙の内容をゆがめた大臣が、そんなことを今さら言ったって、だれも信用しませんよ。これは、銀行の立場を尊重する、尊重するというか聞くというような話もありましたけれども、そうではなくて、その前の話として、大臣が個人的には今どう思っているんだということをやはり説明する必要があると思いますよ。
 ほかのいろんな人から、学者さんの話を聞いてもいいし、マーケット関係者の話を聞いてもいいし、お役人の話を聞いてもいいと思います。だけれども、今この時点では個人的にはどういうふうに思っているんだということを、やはり公人ですから、説明する義務があると思いますね。ぜひお話しください。
竹中国務大臣 逆だと思います。私が学者であれば、学者としての見解を申し上げるべきだと思いますが、公人であるからこそ、最終的に決めなければいけない立場であるからこそ、個人的な見解というのを軽々に申し上げることは議論を混乱させると思います。
永田委員 大丈夫ですよ。郵政民営化について、小泉総理は本会議場で個人的な見解を述べておられますから、どこで個人的な見解を述べても大丈夫です。おまけに、憲法五十一条は、政治家が院内で発言した内容については院外で責任を問わないということになっていますから、大丈夫です、それは。民間人であってもそれは適用されるというのが憲法学者の見解ですから、ぜひそれは、心配しなくてもいいと思いますので、いつかの機会にお述べいただきたいと思います。
 最後に、国債、銀行がたくさん持っています。このことについてお伺いしたいと思います。
 僕は、常々、国債バブルがはじけるんじゃないかと非常に心配をしています。何しろ、八十兆にも上る国債を銀行が保有しています。そして、六百兆ぐらいですか、今国債の発行残高というのがあるんだと思いますけれども、これはもう東京証券取引所の株価の時価総額の数倍に上る数字です。こんなにもたくさんの国債が円滑に消化されて、一%そこそこの金利でおさまっているということは、これはよく政府当局はこういうふうな説明をしますよ、マーケットはもっと国債を買いたがっているんだと。こんなに円滑に国債が消化されているんだから、もっと発行しても大丈夫だ、こういう説明をしています。これは真っ赤なうそなんです。これは全然違うんです。そうじゃなくて、あんなにも巨額の国債が、株式の時価総額の数倍にも上る国債が円滑に消化されてしまうほど金融マーケットはゆがんでいるんです。
 銀行にとってみれば、株式の保有は上限が決められました。そして、土地担保融資もできません。民間企業に対して貸し出しをすることもままならない状況です。国債だけが青天井で金を突っ込める唯一の資産なんですね、はっきり言って。あるいは、リスクウエートもゼロです。
 こういうような、金融機関の方から見れば、株を買うか国債を買うかという判断をするときに、ポートフォリオを組むときに、明らかに国債だけが有利に扱われているんですね。これは金融マーケットをゆがめているんですよ。それは学問的に分析すれば明らかだと思います。この問題を是正しないで放置しておくということは、僕は、金融マーケットをゆがめるのみならず、政府の放漫財政に拍車をかけるようなことになるのではないかと心配をしています。
 株式がマーケットで価格が上下する、価格が上下することによって金融機関の経営が左右されるようなことがあってはけしからぬということで、株式の保有高に上限を設け、そして日銀も株を買おうという話をしているんですよ。マーケットで価格が上下するのは株だけではありません。国債も非常に大きな価格変動をするんです。これが銀行の経営に影響を与えるのは、プラスだろうがマイナスだろうが、ある話だと思います。
 この問題をいつまで放置しておくつもりなのか。ぜひ明快な答弁を、これは財務大臣ももしよかったらお話を、国債の話ですからお伺いしたいんですけれども、お二方、お願いします。
谷口副大臣 では初めに財務省の立場でお話をさせていただきたいと思いますけれども、おっしゃるように、今現在、企業におきます資金需要が低迷いたしておりまして、それが貸出金の減少ということで、国債の保有高が高まっておるというのは委員のおっしゃるとおりでございます。
 金融機関の資産のポートフォリオについては、これは本来金融機関が決定することでございますので、政府の方からどうこうというわけにはまいりません。金融機関サイドがこのようなポートフォリオを選好しているということであります。
 今、国債の消化につきましては、財務省といたしまして、財政規律の維持という観点もございますし、おっしゃるように、保有者が集中するということを避けていかなければならないということで、この保有の多様化ということを今図っておるわけでございます。また、市場のニーズであるとか動向を踏まえて、今後適切な国債発行に努めてまいりたいというように考えております。
竹中国務大臣 国債の問題は、私の経済財政の担当と金融の担当のまさに接点に位置する非常に重要な問題でありまして、現状のようなスタイル、形が幾つかのリスクをはらんでいるのではないかという永田委員の御指摘は、大変傾聴に値する部分があるとかねてより思っております。
 その意味では、マクロ的には、やはり国債の管理をしっかりとコントロールしていくような財政、マクロ経済の運営をしていくということになる。一方、金融の側からいいますと、これはまさに、先ほどからちょっと問題になっておりますリスク管理の問題そのものだと思います。銀行がどのようなリスク管理を行っているのか。これは、銀行は銀行で定量的なリスク管理をしっかりと行っているわけでありますけれども、それについては、ヒアリング等々も含めて、我々はリスク管理という観点からしっかりと監督をしていきたい、いかなければいけないというふうに思っております。
 ただ、いずれにしても、リスクをとって利ざやを稼いで経済に貢献していくべき銀行が非常に不良債権を抱えているがゆえに、ともすれば安易な形で、コンフィデンスに影響をもたらして国債を買っているという状況は、やはり決して健全な状況だとは思えません。そういう状況が解消していけるように、やはり不良債権の処理をしっかりと進めて、健全にリスクをとれる銀行になっていってもらうことが大変重要であるというふうに思っております。
永田委員 最後の最後で、やはり国債をあんなに金融機関が買っているのは健全な状況とは言えないということが明確に金融担当大臣から出てきましたので、学者の心を少し取り戻していただいたのかなと、ほっとしておるところであります。
 これは本当に、もう時間も終わったので最後に一言だけ申し上げますけれども、そうなんですよ。銀行の方から見てみれば、リスクウエートもゼロである、あるいは法的な規制もなく青天井で持つことができる、そういうものと、そうではない株とか土地担保融資とか、そういうものと、同列に並べられるわけがないんですよ。谷口副大臣は自由なポートフォリオの結果であるというお話をしましたけれども、そんな話じゃないんです。これは、国が制度をこういう状態に放置しているから、当然の経済的な、合理的な行動の結果としてああいうふうな状況になっているんですよ。結果として不健全な状況が生まれている。まさに金融担当大臣がお認めになったとおり、不健全な状況が生まれているわけです。ですから、国がみずから不健全な状況をつくり出している、制度が不健全だということにもつながっているんですよ。
 ぜひこの問題の解消をお願いしたいので、今後もその問題意識で答弁を用意していただきたいと思います。
 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、中川正春君。
中川(正)委員 民主党の中川正春です。
 引き続いて質問していきたいと思うんですが、冒頭、法案が出ておりますので、これについて質問をまずさせていただきたいというふうに思います。
 ペイオフの凍結解除の再延期ということでありますが、基本的に、まず入り口の問題として改めて確認をさせてもらいたいのは、これを入れていった場合に、延期しないでそのまま実行した場合に、どういう状況が起こってくるというふうな想定があったのですか。
竹中国務大臣 問題の性格上、正確にこういうことが起こるというシミュレーションを行うのは大変難しいというのは御理解いただけると思います。
 我々が目指しますのは、総理から御指示がありましたように、十六年度には不良債権問題が終結しているように、そのためには資産の査定をきっちりとして、自己資本を充実させて、さらにはガバナンスを強化していかなければいけない。その意味では、金融システム全体がこの二年ないし二年半に非常に大きく変わってもらわなければいけないというふうに思っております。
 そうしたシステム全体が、これはもちろんよくなる方向に変わってもらうことを我々は目指しているわけですが、システム全体が大きく変化する中で、国民にやはり無用の不安を与えたくない、同時に金融システムの安定と中小企業金融等の円滑化に十分配慮したい、そういう意味から、その不確実な問題を除去しておきたいという意味で、ペイオフについては、不良債権問題が終結した後の十七年四月から実施するというふうに考えたものでございます。金融システムそのものが今回の措置によって大きく変わる中での、一つの不確実性と不安を取り除くための措置であるというふうに御理解を賜りたいと思います。
中川(正)委員 言葉を多くして、私の質問からは外れてくる答えでありましたけれども、もう一つ、言い方をかえれば、ペイオフを入れるべきだという政策手段はそれなりの目標があったと思うんですね。事前に定期性預金というのは実行をされて、そのときに預金の移動があった。これを分析した上で、今度それをさらに進めていったときにはこういうことが起きるであろう、そんな予測が一つはあったんだろうということを、そんなことを答弁に期待したんですね。
 それともう一つは、どっちにしたって地方の銀行の再編というものについては、これは都銀と比べるとおくれているということは前々から言われておった。これをどういうふうに安定させていくかというのも、これは大きな課題であったわけですね。
 その上でこのペイオフの議論というのも、それに絡めた形でもう一つはあったというふうに思うのでありますが、その辺を含めて、特に地方の銀行の再編というのをどのように戦略的に描いていこうとしているのか。ペイオフはそれを進めていく一つのてこになってというふうに期待がされていたわけですが、定期性でやったときには、それが十分な形で恐らく機能しなかったんでしょう。具体的には、地方銀行、動くというよりも、危機感をあおっただけで、本来の意味での構造的な改革に結びついてきていないということがあるわけですね。
 ここのところをどうするかということがもう一つ重要な施策として出てこなきゃいけないんだろうというふうに思います。それはどういうふうに考えていくのかということ、これを一番最初の問いかけからすっと出していただきたかったんですけれども、改めてお尋ねします。
竹中国務大臣 中川委員御指摘の預金移動のやはり可能性があったのではないだろうかとか、地方の再編がおくれていたのではないだろうか、もちろんそういう幾つかの考慮すべき要因があるというのはそのとおりかもしれません。
 しかしながら、先ほどちょっと御答弁させていただきましたのは、これは私が就任して数日のうちに総理と御相談して決めさせていただいたわけでありますが、私が就任したことによって生じた新たな変化というのは、新たな変化というのはまさに不良債権処理を加速することであった。その新たな変化がつけ加わった変化の中でこういう意思決定をさせていただきましたので、その点を、無用の混乱を避けるために、不安を避けるためという意味で、先ほど御答弁させていただいたつもりでございます。
 それで、直接お尋ねの地方の金融機関、再編を中心にした金融機関の強化をどのように行っていくべきかということでございますけれども、地方の諸機関に関しては、それぞれの地域に根差した大変重要な役割をそれぞれ果たしている。しかしながら、これはヒアリング等々でいろいろ出てきたところによりますと、経営基盤を強化するために組織の再編というのを考えているところがあるんだけれども、それについては幾つかの障壁もある。今回の法案は、まさにそうした自主的な経営改善の努力をサポートするために、金融庁としてもその枠組みをつくろうということを考えているわけでございます。
 委員お尋ねの問題は、もう少し広い範囲に多分及んでおられて、そもそもこういった地域の金融機関全体をどのように位置づけていくのかという問題も含まれていたかと思います。これについては、当面自主的に再編をするというところをしっかりと金融庁としては支えたい、サポートしたいというふうに思うわけでありますけれども、リレーションシップバンキング、コミュニティーに関する問題、地域金融の問題については、これは今回再生プログラムで議論しているグローバルな銀行とはやはり違う概念が必要だろうということで、これは少し時間をかけて幅広く、少し大きな、ビッグピクチャーといいますか、そういう点も踏まえて議論をしたいというふうに、それで行政のあり方をはっきりと明示していきたいというふうに考えているところでございますので、これは年度内ぐらいにさまざまな御意見を聞きながら、より明確な見方、ビジョンが示せるように努力をしていきたいというふうに思っております。
中川(正)委員 金融再生プログラムに話題を移していきたいんですけれども、さっきの地方の経済の状況あるいは金融の状況ともこれは密接に関連があるんですね。いろいろ学問的には、あるいは政策的には議論がありますが、私たちが地元に入って、実感として、これは前の資産の見直しのときとは違った形の危機感というんですか、具体的に倒れていく企業の中身が違ってきているなという感じがつくづくするんですね。
 私の関連でも三つ、四つ民事再生法なり、あるいはもう既に倒産という形で整理をされているのがあるんですが、それを見ていると、一昔前、よく言われるバブルのころの清算をしていく過程の中では、前々からもうあそこの企業はどっちにしたって整理をしなきゃいけないなというふうなことが周りにも理解をされて、いよいよそれが来たかなという形での整理というのがあったんですね。
 ところが、最近のものはそうじゃないんですよ。商売はちゃんとやっているのに、いわゆる借りかえですね、運転資金なり、あるいは長期の借り入れている資金なりの借りかえが行われようとするときに、ある日突然銀行は、売り上げの中から持っていくところだけ持っていって、もうこれ以上は借りかえをすることができませんよ、ぽんとストップが来た。このことは、商売自体はこれだけうまくいっているのに、何で突然銀行がそんな話をしてくるんだ、これは中川さんどうなっているんだというふうな話ですね。こういう意味での倒産というのは、これは最近のパターンなんです。
 改めて聞くんですが、今の金融庁の姿勢というのは、あるいはこの資産の見直しの中である検査マニュアルというのは、そういう企業もつぶすべきだという前提でやっているのかどうかということですね。なぜこういうことが起こってきているのかということのその分析も含めて、これは私だけの感覚じゃないと思うんですよ。さまざまな専門家の話の中にもこのことは出てきています。それぞれ地元で、地元でということは、地域経済がだから危なくなってきている、これは完全にシュリンクを始めているというような危機感に結びついてきている基本的な認識というのは、ここなんです。それをどういうふうに解釈されているのか、これがいいことなのか、それとも間違ったことなのか、改めて聞きたいと思います。
竹中国務大臣 今委員御指摘になったような例、これは事例はまちまちだと思います。しかし、まさに業況は、本業の方はきちっとやっている、しかし、ある日突然金融がつかなくなる、そういうような事例があるということは、私も身近に結構な数を聞くことがふえて、そういう機会がふえております。その意味では、実感としての危機感というふうにおっしゃいましたが、そういうものは私自身も強く持っております。
 お尋ねの、こういう事態を一体どのように位置づけているのかということでありますが、繰り返して言いますが、これは一般論として申し上げることはなかなか難しい、個別にいろいろな事例があるし、金融機関には金融機関の言い分もあるのだと思いますが、現実問題としては、本来収益力があってきちっとやっていけるところからお金が引き揚げられる、そういうような状況をぜひストップさせたいというのが、今回の再生プログラムがまさに最も目指しているところだというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
 これは、検証するのは大変難しいのですが、少なくとも、マクロ的な数値から見ますと、やはり九〇年代を通してですけれども、銀行部門は収益力が低下している一部の部門にむしろどんどん貸し込んでまいりました。その貸し込んだ一つの裏側で、現実に幾つかの場合には、すべてだとは言いませんが、本当に収益力がある中小企業からお金が引きはがされてきたというようなこともやはり起こってきたのであろうかというふうに思うわけです。
 そうした点からでは、本来ちゃんと稼げるところに貸すのが銀行の役割だ、だからガバナンスをきちっと発揮して資産を査定して、一部悪いところに貸し込んできたものについてはきっちりとこれを再生なり回収なり始末をつけて、それで本当にお金を必要としている優良な企業にお金が回るようにする、これがこの再生プログラムが目指しているところであります。その意味での資産査定の強化であり、その意味でのガバナンスの強化であるというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
 加えて、繰り返し申し上げますが、今回は主要行を対象としているということでありますので、地域の金融機関については、先ほど委員もお尋ねがありましたように、より広い角度からそのビジョンを今後私たちとしては検討していきたいと思っているところでございます。
中川(正)委員 もう一回聞き直しますが、資産査定を厳密化する、そして不良債権を加速化するというのは、前、これまで二年三年、その節目節目にずっと金融庁自身が言い続けてきたことですね。今回も同じ表現をしているんです。
 これは、従来のものと査定の中身でどう違うんですか。
竹中国務大臣 今回、資産の査定をさらにきちっとやろうということをプログラムに書いておりますけれども、項目としては幾つかのものがございますが、特に、やはり二つの点が大変重要であろうというふうに思っております。
 第一は、銀行の自己査定と金融庁が行っている検査結果には乖離があります。この乖離をぜひともしっかりと埋めてもらうということであります。この点、自己査定と検査結果の格差の公表も含めて、集計ベースでの公表も含めて、それをしっかりと埋めていただく、もしそれを正当な理由がなく埋められない銀行については厳しく処分もしていきたい、そういう点がまず第一の重要なポイントだと思います。
 第二は、これは大口債務者で、区分も限定はいたしますけれども、よりマーケットの評価、市場の評価に近いような資産の査定が行われるように、DCF的な手法等新たな手法も取り入れてこれを市場の評価に近づけていきたい。
 幾つか項目がございますが、資産査定の強化の中では、この二点がとりわけやはり今までとは違う重要なポイントになってくるというふうに思っております。
中川(正)委員 いや、そこは今までとは変わっていないんじゃないかなと思いますよ。今までもそういう指導が現場にあって、その差を縮めるために銀行がどういう行動をとったかというのを、さっきの話をもとに私、現場で聞いてみたんです、銀行員に。
 彼らがどう言っているかというと、まず、なぜ突然いわゆる借りかえというものができなくなったかということに言及をしていくと、これは厳密にその会社の資産を改めて査定をしていくと、アセット、土地中心に全部値段が落ちているわけですね。担保価値がぐっと縮む。
 縮むことに対して、まず銀行の当事者としてはその会社に何を言うかというと、これは担保が足りなくなってきたのでもう少しありませんか、こういう話になる。そうすると、その分はもうこれで精いっぱいですねという話になると、それじゃ、ここでちょっと考えなきゃいけませんねということになる。商売自体は別なんですよ。それは商売に可能性はあるかもしれぬけれども、その担保が出ないんだったらこれはなかなか難しいですと。
 なぜ当事者が、銀行の担当者がそれを言わなければならないかというと、それによって、バランスシートが出てきて債務超過にでもなっていたら、これは健全な企業から要注意になり、あるいは管理になる。いわゆるバランスシートの方でそうした検査の基準がある限り、それが落ちてくる。落ちてきたら、銀行としてはどうしなければいけないかといったら、引き当てを、その率を上げていかなければいけない、そこへ向いて引き当てをしていかなければならない。
 そうすると、銀行のトップの方としては、そんなものは、引き当てして不良債権がこれだけふえましたよという膨らましをするよりは、そこで取引を停止するという形の選択があるじゃないかということで、これはビルト・イン・メカニズムなんですよ、それで回り始めているということ。そういう説明を現場ではしますね。
 それに対して、さっきの話、金融庁の監督のもとで、いわゆる金融庁の査定のもとの資産価値と自己査定との割合を縮めていかなければならない、こういう話がありました。これも逆さまに働いているんですよ。
 現場の人間に言わせたら、さっきのような会社は育てていきたいんだ。特に、地域の金融機関では、先々代あるいはその前からずっと取引があって、その人柄もわかる、それからその息子の大体の経営資質というのもわかっている。その中で、資産は縮んできたけれども商売はやらせてやりたい、現に黒字になっているじゃないか。それに対して、自己査定では、そこの部分をなるべく評価しながら査定をしますよということでつける。
 つけると、その部分については金融庁は認めてくれないんですよ、そうじゃなくて、厳密にやりなさいよ、うちの査定でいったらこういう形になりますよという話で、それを縮めろということになれば、これは、言っていること、竹中大臣が、キャッシュフローであるいはPLの方で企業を評価してそのリスクを貸し出しに反映させなきゃいけないというふうなことを言っているけれども、現場ではまるっきり逆のメカニズムが今働いている。それを、抽象的な話だけで、資産査定見直ししますよ、こういうことで押せば押すほど現場ではこの矛盾が出てくるということなんです。これはビルト・イン・メカニズムなんですよ。
 そこのところを議論しないで、よく言われる学者の抽象論だけで押してもらっては現場は困りますね、それをどういうような形で企業再生にそこの形を結びつけていくのか、その具体案が必要ですねということなんですよ。
 大臣。いや、大臣の頭の中を整理しなきゃいけないんです。大臣、答えてください。
    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
竹中国務大臣 御指摘のような点は、私たちも大変重視をしていろいろ政策を考えているつもりでございます。
 まず確認させていただきますが、今回の措置は主要行にまず限っておりますので、地域の金融機関等々にこれが直接適用されるという性格のものではございません。
 その上で、金融庁の検査の話が出ましたが、この点については、実は検査マニュアルで、今委員が言われたような点は私たちも十二分に考えなければいけないという問題意識を持って、マニュアルの中には実はその点は明記されております。
 中小零細企業等については、当該企業の財務状況、つまりバランスシートですね、のみならず、当該企業の技術力、販売力や成長性、代表者等の役員に対する報酬の支払い状況、代表者等の収入状況や資産内容、保証能力等を総合的に勘案し、当該企業の経営実態を踏まえて判断する。
 これは、先ほどから申し上げていますように、やはりその企業というのはどれだけの収益性があって、その収益性に基づいてまさに企業の価値というのは判断されなければいけない、それに基づいて資産の評価、融資の決断というものは行われなければならないと思っておりますし、そうした観点からマニュアル自体もできておりますので、御指摘のような不当なといいますか悪循環が起こらないように、これはもう行政の中ではぜひともしっかりと監督をしていきたいというふうに思っているところであります。
中川(正)委員 いや、問題は精神論じゃないんですよ。言葉の、指示している、していないの話じゃないんですよ。現実に、バランスシートが毀損されて、資産を簿価から時価に直した場合にそれが毀損されて、債務超過になりましたねという企業が出てくる。それに対しては、やはり要注意としてランクを下げなさいよ、こういう話になるでしょう。下げたらやはり引き当ては積まなきゃいけないんです。このメカニズムなんですよ。それを精神論で、いや、商売をどうやっているかもう少し注意して見なきゃいけませんよと言っても、現場では、それは評価できませんね、やはり債務超過している企業は債務超過している企業でしょう、そのように引き当てを上げてくださいよという話になる。ここのところの基準をどういうふうに見直していくか。
 もっと言えば、今は、これはさっき重要な話をされましたけれども、この金融再生プログラムについては、資産査定をさらに厳しくしていくというのは都銀レベルの話だ、地方銀行は違いますよ、こういう話をはっきりされましたね。では、それはもっと具体的に言えば、地方の銀行と都銀とはダブルスタンダードで、ぴしっと地方は地方なりの、BIS基準とは違う改めた基準をつくるという意思表示ですね。そういうふうに受けとめていいんですね。それをもってさっきのようなビルト・イン・メカニズムを解消していくという具体策まで考えた話なのか、それとも、現実がそうだから苦し紛れにちょっと言ってみたんだという話なのか、どっちなんですか。
竹中国務大臣 まず、現場の話を紹介していただいた上で、非常にその現実は厳しいんだという御指摘、これはもう私もそういう事例がたくさんあるということを承知しております。
 そうした問題意識から、例えば、経営実態のより的確な把握を目的として、金融検査マニュアル別冊・中小企業編というのを作成、公表したところでありまして、それをさらに現場に周知徹底させるために、検査の現場だけじゃなくて債務者企業などにも広く浸透させるために今その活動を開始したところであります。そうした意味での問題点というのは承知した上でやっているということであります。
 もう一点の、第二の、一国二制度かという御指摘がありました。一国二制度というと、また非常に幾つか違う意味も持ってまいりますが、私は、あえて就任当初から、グローバルなバンキングとコミュニティーに根差したリレーションシップバンキングは行動原理が違うと重ねて記者会見でも国会でも申し上げてきたつもりであります。そうした問題意識があるからこそ、このリレーションシップバンキングについては、一つの新しい基準なりビジョンなりというものをじっくりと半年ぐらいで確立したいというふうに申し上げているわけです。
 その意味では、一国二制度というと、これは少し法律的にいろいろな、問題だという御異論があろうかと思いますが、繰り返し言いますが、ここはやはりリレーションシップバンキングというのは違う原理で動いているし、現実にそれにふさわしい制度、行政のあり方を考えていかなければいけないという問題意識に立って、半年後にリレーションシップバンキングのビジョンのようなものを取りまとめたいというふうに思っております。
    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
中川(正)委員 具体論がなくて、さらに、そのリレーションシップバンキングというのは、私たち素人にはわけのわからないような単語が出てくるので、さっぱり答弁の中身がわからないんですが。
 もっと端的に聞けば、引き当て率を変えていく気持ちがあるのかどうか、中小企業とそれから大企業と。ここなんですよ。ここでダブルスタンダードを使う意思があるかないか、そこに集約されると思うんですが、どうですか。
竹中国務大臣 引き当てという観点に関しては、先ほど、実は金融検査マニュアルの中で、中小企業については別途こういう判断をするんだということをもう明記しているわけですね。その意味では、これはダブルスタンダードと呼べば、やはりそれなりにもう既にダブルスタンダードになっているのだと私は思います。
 さらに私が申し上げたいのは、引き当てだけではなくて、ないしは検査と監督、検査は検査でこれは違う基準で現実にやっていこうとしているわけでありますが、監督のあり方についても、先ほど言いましたように、リレーションシップバンキングという言葉はどう響くかはわかりませんが、それについてもやはり違う基準はあるだろうというふうに思っております。
 そうした観点から、より総合的に地域に根差した金融のあり方、ビジョン、それと行政のあり方というのを考えていきたいというふうに申し上げているわけです。
中川(正)委員 既にそれが発動しているということであれば、現在の地方経済の状況を見ていると、それが機能していないということですよ。それは冒頭に大臣自身も認められた話ですね。だから、そこのことを指摘させていただいた上で、これは大臣、もう少し、これから考える、これから考えるという話じゃなくて、その辺の具体論がないと周りが不安なんですよ。これから考えるというのに始まって、最初に大臣が打ち出された話というのがこんなにむちゃくちゃになったわけですから、自民党との議論の中で。
 だから、これから先もどんなふうにこれはなっていくのかさっぱりわからない。それは、最初にやはり具体論から始めないと絶えずこうした不安が募ってくるということと同時に、地域経済は今のようなメカニズムでどんどん縮んでいるんだという認識、これに危機感を持つということ、このことをしっかり肝に銘じていただきたい。
 私たちは、そういう意味で、民主党としては、中小企業についての新たな取り組みというものについて具体的に発表をさせていただき、そして具体的な提言もしているということ、そのこともどうぞ参考にしてもらいながら取り入れていただきたいというふうに思います。
 次に、朝銀の問題に入っていきたいんですが、今、それぞれ北朝鮮との交渉が始まっていますけれども、一つは、朝鮮銀行それから朝鮮総連、この関係というのが、この朝銀を整理していく中で、政府のサイドが、これは癒着があったあるいは不正な取引があった、余りにもそれが大きな問題であったということから、公的資金についても少し整理をした上でやろうじゃないかというので、これから先の部分についてはペンディングになっている、こういう現状ですね。
 また、理事長、いわゆる人事についても、朝鮮総連は外すようにというような決断もしてもらっていますね。これは、どっちにしてもこれが問題ありますねという認識だと思うんですね。
 そこで、改めて、きょうは公安と警察に来ていただいているんですが、警察庁、警察の方としては、この朝鮮総連が不正送金を北朝鮮に対して行ってきたという事実に基づいて捜査に入っているということを私は聞いているんですけれども、今どのような取り組みがなされているかということですね、どういうこれに対して認識を持ちながらその対応をしているかということ、全体としての話を聞かせていただきたいと思います。
奥村政府参考人 お答えをいたします。
 お尋ねの朝銀の金の流れにつきましては、平成十三年、昨年、警視庁におきまして、当時の朝銀東京の理事長らと朝鮮総連の中央財政局長らが共謀いたしまして、朝鮮総連の使途に充てる目的で敢行いたしました約八億四千万円の組織的かつ計画的な業務上横領事件を摘発しております。この横領金につきましては、朝鮮総連の借入金の返済あるいはその活動資金等に充てておった事実を解明しております。
 北朝鮮への不正送金につきましては、さまざまな指摘とか報道がなされておるということを私どもも承知しています。今いろいろな情報収集活動を行っているところでありまして、今後とも、我が国からの資金の不正な流出など具体的な違法行為が確認されれば、これに対して厳正に対処してまいりたいと考えております。
中川(正)委員 さまざまな人たちがいろいろな証言をこのことについてはやっていますね。さっき出た事件というのは、本当に氷山の一角であろうというふうな形で国民は受け取っているわけですね。ここから捜査が始まって大きく広がっていくんだろう、そういう予想を持ちながら、私たちもこれを見守っていきたいというふうに思うんです。
 次に、公安の方ですが、これは、この朝鮮総連という組織が北朝鮮の労働党と密接に結びつきながら、拉致問題への関与、組織的な関与を初めさまざまな活動をしてきたということ、このこともいろいろな人が今証言を始めています。その中には北朝鮮の工作員であったという経歴を持っている人たちも含めて、さまざまな証言が出てきていますね。
 これについて、この朝鮮総連という組織、普通であれば、ここまで来たら、これは破防法の適用をしてこの組織の解散というところまで持っていっても当然なぐらいに、我が国に対しては組織的に犯罪を犯してきたということだと私は認識をしているんですけれども、公安当局はこれをどう見ておられますか。
栃木政府参考人 お答えします。
 委員御指摘の点に関しまして、当庁としましても、朝鮮総連につきましては鋭意捜査をしているところでございまして、破防法に関しても、十分その適用ということも考えつつ調査をしているという現状でございます。
中川(正)委員 公安の方が大分踏み込んだ答弁をされました。それを受けて改めて金融庁にお聞きをしたいんですが、これは、これまでも七千億以上の公的資金がつぎ込まれているわけですね。さらにまだ四千、五千、また二次ロス等々を含んでいったら、もっと大きな額になっていくだろうというふうな可能性を含んでいるんですね。
 この議論をするときに、実態解明をせずに国民の理解を得ようというような、まさかそんな話はないだろうと私は信じるんですよ。だから、まずはこの実態解明、これをどのような形で今取り組んでいるのか、何が今起こっていたのかという、金融庁はこれをどういう体制で国民に説明しようとしているのか、ここのところをまず御答弁をいただきたいと思うんです。
伊藤副大臣 朝銀については、委員御承知のとおり、平成十年四月の都道府県から国への信用組合の監督権限移管以降、厳正な検査監督に基づく破綻認定、金融整理管財人の派遣による責任追及への取り組み等がなされ、責任追及については、民事提訴十九件、刑事告訴、告発五件の実績が上がっております。
 また、告訴、告発等を端緒に捜査当局による捜査が入り、現在、司法における事実解明が進められているところであり、さらに事業譲渡後もRCCにおいて引き続き徹底的に責任追及が行われているものでございます。
中川(正)委員 それにしては国民が一番知りたいところが出てきていない。それは何かといったら、一体どれぐらいの資金がこの朝鮮総連へ流れていたのか、あるいは朝鮮総連を経て北朝鮮に流れていたのかという、ここですよね。これはどうして公表しないんですか。
伊藤副大臣 朝銀も含め個別の金融機関からの個別の債務者向けの融資の状況、個別の取引にかかわる事柄は、職務上知り得た秘密であり、守秘義務の観点から、当該債務者が法的整理に入っていて既に公開情報となっている場合などを除き、従来よりコメントを差し控えさせていただいているところであります。
 なお、朝銀東京から朝鮮総連への貸し出しについては、金融整理管財人による告発を受け立件された同信組の旧経営陣に対する刑事事件の論告求刑公判において、朝鮮総連側への貸出残高の累計額は平成十年三月末ごろには二百五十億円を超過するに至ったと述べられていることを承知いたしております。
中川(正)委員 問題の重要性を理解されていないようですね。先ほどから、公安当局もあるいは警察当局も、これは犯罪として組織を対象に議論しているんですよ、朝鮮総連という組織を。今金融庁でやっていることというのは、組織じゃなくて、みんな個人に対してどういう犯罪があったかという形で告発しているということですよね。これは次元が違う。
 国民は何を求めているかといったら、あれだけの資金を流すんですから、北朝鮮との関係はどうなっていたんだ、総連は何をやっていたんだ、これはどういう組織だったんだ、これをはっきりさせろと言っているんですよ。これをはっきりさせない限りは、それは当然でしょう、びた一文出せないよというのは。
 それでもってさまざまな善良な第三者が大変な状況に陥ってくるというのは、これは確かですよ。それはそれで、別個、国が対策を立てるべきなんです。それはそれで立てるべきだけれども、この全容解明というのはまさにやるべきだ、ここのところをちゃんと区別して説明しないと、これは話にならない。
 もう一つ言えば、そうした意識で、いわゆる軽さ程度というか、これは国内の問題でも住専の話が起こったときに、国内問題でもめたときに、国民の税金を使うのにみんな公表しているんですよ、このときは。公表したことによって、そのとき何が間違っていたかということがはっきりした。そういう例もある。
 そこからいくと、今回のこの問題も金融庁は進んで公表して国民に説明責任を果たす義務がある、こんなふうに思うんです。大臣、どうですか。
伊藤副大臣 繰り返しになりますが、私どもとしましては、金融機関の個別債務者に対する融資の状況を公表することについては、守秘義務の問題があることから差し控えるべきものだと考えております。特に、当該債務者にかかわる債権の回収に支障を来すおそれもあるというふうに考えておりますので、その開示は不適切だというふうに考えております。
 なお、新設の受け皿組合においては、二度とこれまでのような問題を生じることがないように、架空名義口座の排除、監査機能の強化等の対策とあわせて、経営の独立性、透明性を確保するための対策を講じているところでございます。
 先ほど委員から住専の問題についてお話がございました。私も住専国会、国会に籍を置いておりましたので、あの住専のときの場合には、一つ一つ法律の手続を踏んで、そして対応がなされたわけでありまして、その中でも、旧大蔵省あるいは法務省から、先ほどお話をさせていただいた守秘義務の問題がある等々で、私たちは慎重に対応すべきだということを申し上げております。
中川(正)委員 問題の重大性を認識してないというのはそこのところでして、こういう話を一般論で、守秘義務の一般論で切り返してくるというそのセンスが、国民に対して全然自覚してないところなんだ、説明責任を。もうそういう状況じゃなくなってきているでしょう。
 大臣、さっきの答弁には私は承服しかねるんです。大臣自身はどう思われますか、これは。
竹中国務大臣 考慮すべきさまざまな要因はあると思います。しかしながら、基本的には、先ほど副大臣が答弁されたように、これは守秘義務という我々が守るべき一つの義務の中で、我々はやはり行政を積み重ねなければいけない。
 別途考慮すべき要因があるという点については、それは委員の御指摘は理解できますので、これはやはり手続を踏んでしかるべき対応をとっていくべきであるというふうに思っております。
中川(正)委員 手続を踏んでしかるべく対応をとるというのがさっきの答弁でしたね。
 それでは具体的に、この手続とこの手続があれば開示をするという意味に受け取れるわけでありますが、それは何ですか。言ってください。
伊藤副大臣 住専のときには、議院証言法に基づく諸手続を経た上で、特に例外的に開示することが適当だと政府が判断をされたわけでありますが、先ほどお話をさせていただいているように、旧大蔵省そして法務省は、やはりこの問題についての情報開示は慎重であるべきというふうな考え方を、その中で、手続の中で述べさせていただいているところであります。
 ただ、私どももこの問題については大変重要な認識を持っております。だからこそ、金融整理管財人の派遣による責任追及をさせていただき、その責任追及によって、先ほどお話をさせていただいたように、民事提訴二十件、刑事告訴、告発五件の実績があり、これが端緒になって捜査当局による捜査が入りました。そしてさらに、事業譲渡後もRCCにおいて引き続き徹底的に責任追及をさせていただいているわけであります。
中川(正)委員 大臣と副大臣の答弁のニュアンスが違うんです。これはちょっとはっきりさせてくださいよ。
 私は、さっきの大臣の答弁は、開示をしていく、そのためには手続を踏んでいくというふうに受け取りました。それに対して、副大臣の話、また違うんですよ。これは全く次元の違う話。
小坂委員長 もう一度質問をお願いします。(発言する者あり)話し合う前に。
 竹中金融担当大臣。
竹中国務大臣 先ほど私が申し上げたのは、今の副大臣の答弁にもありましたように、前回の事例では議院証言法に基づく諸手続を経た上で判断がなされていった、そういう手続の中で判断がなされていくべきであるというふうに申し上げたわけでありまして、副大臣が答弁した点と一致していると思います。
中川(正)委員 大臣、大臣としての職責を果たしてください。これは、今の、大局に見て、さっきの話だったら、副大臣の指示に従いますと大臣が言っているんですよ。そんなばかな話ないでしょう、これは。
 私は、大臣の気持ちの中に、これはやはり前向きに情報開示をしていく必要があるなと。これは住専の例があるとすれば、この住専の手続をしたら、踏んでいったらいいわけですよ。同じような手続を踏んでいったらいいわけですよ。そういう前提の中で、金融庁、大臣としてはその意思があるなと私は受け取らせていただいた。さすがだと思ったんです。
 それが、二回目の答弁になったら、副大臣の言われるとおりでありますと、これは格好悪い。これは格好悪い。
伊藤副大臣 ぜひ住専国会のときを思い出していただきたいんですが、あのときには議院証言法に基づく国会からの提出要求があったわけであります。それに対して、大蔵大臣から、国会からの要求資料が職務上の秘密である旨の発言があり、法務大臣から慎重な対応が必要である旨の発言があり、職務上の秘密である旨の申し立てが大蔵大臣から衆議院議長になされたわけであります。そして、国会から監督官庁、内閣に対する提出承認要求というものがなされて、こうした手続を踏んでいっております。そのことをぜひ思い出していただければと思います。
中川(正)委員 だから、国会で発言しているんじゃないですか、必要だということを。必要だということを。皆さんは、そのことは必要ですねとさっき大臣まさに言われたんです。中川議員の言われているその問題意識というのはちゃんと認識していますという話を、さっきのここでメモしている話をもう一回確認してもいいですよ。だから、私は理解してもらったんだと思ったんですよ。必要でしょう、大臣。
竹中国務大臣 私が申し上げましたのは、繰り返しになりますが、考慮すべきさまざまな要因がある。中川委員が御指摘のも、そういった要因の一つであろうということであります。しかしながら、私たちにはやはり守るべき義務というものもある。
 そうした中で、前回の住専の例に見られるように、これは手続を踏んで、その中でやはりきちっと判断をしていくということしかないのではないか、その意味では、繰り返しになりますが、伊藤大臣が答弁していることと全く一致しております。
中川(正)委員 いや、違うんですね。さっきの話だと、手続を踏んでください、その手続に入ってください、いいですよ、こういう話でしょう。そういうことでしょう。
 それは、大臣は素直なんですよ。問題の観点をちゃんと理解しているんです。こっちは役人の入れ知恵を真に受けて政治家としての領分を果たしていないだけのこと。ずっと竹中さんの方が政治家ですよ。ちょっと議論整理してください。
小坂委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
小坂委員長 速記を開始してください。
 中川委員に申し上げます。
 質問の内容について、資料の要求等どのような対応をするかについて、野党理事の方からも申し入れがありましたので、理事会で協議をさせていただきますので、質問を続行してください。(発言する者あり)
 理事は集まってください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
小坂委員長 速記を始めてください。
 中川委員は質問を続行してください。
中川(正)委員 何回も言ってきたことでありますが、もう一回要求をします。
 朝鮮総連、組織として、ここに対しての貸出残高とこれまでの経緯、これの調査の開示、これを求めます。
小坂委員長 資料としてですか。資料のような形で必要なんですか。
中川(正)委員 国民への開示ですよ。ここで住専の例があるでしょう。調査の結果の開示。
小坂委員長 もう少し要求する内容を明確にしていただけますか。
中川(正)委員 朝銀、各地域、あるいは各朝銀が朝鮮総連に対してこれまで流してきた資金、これをつぶさに調べて、それの開示。それから、その資金の中で不良債権化している部分がどれだけあるか。それで、またその不良債権化した資金の使い方。その中で、どれだけ北朝鮮に直接不正送金がなされたか等々含めて、情報開示をしてください。
小坂委員長 情報開示というのは、資料を委員に提示をしろということでございますか。
中川(正)委員 国民に提示をしろということです。
小坂委員長 それはちょっと委員としての質問の範囲を超えているように思いますが、委員会に提出でよろしいですね。
中川(正)委員 委員会に提出をしてほしい。
小坂委員長 では、理事会において協議をいたします。
 質問を続行してください。(発言する者あり)
中川(正)委員 それぞれ、あとは理事会でやってください。
 では、次の質問に入っていきます。
 そういうことを前提にして考えていくと、これから先の公的資金の投入については、そうした事実が明らかになって、全体像がはっきりと国民に理解ができるというところまでは投入をしないということですね。これについてはそのようにお考えでしょうか。
伊藤副大臣 朝銀信組は、我が国の法律に基づき設立された預金保険法上の金融機関であり、他の機関と同様、預金者保護や信用秩序の維持といった預金保険法の趣旨、目的に沿って、同法に基づき対応をしていかなければならないと考えております。
 しかし、当局としては、ハナ信組の役員体制について、定款に沿った対応がなされるよう、徹底した洗い直しを現在求めているところでございます。
中川(正)委員 また一般論で返ってきますけれども、さっきのそれぞれの担当、公安が特にお話が出ましたけれども、警察もそうですが、これは破防法の対象として見ていく可能性のある組織だというところまで言っているんですよ。それを一般論で切り抜けようなんというような話はないでしょう、これは。
 どういうふうに考えているんですか。これは政府全体の不一致ですよ、こんなのは。大臣としての言葉で答えてください。これは大臣に。伊藤さんは読んだでしょう、それ。
伊藤副大臣 私どもは捜査権限を持っているわけではございませんし、私どもの与えられている権限の中で、先ほどから繰り返しているように、朝銀信組は我が国の法律に基づき設立された預金保険法上の金融機関でありますから、預金者保護や信用秩序の維持といった預金保険法の趣旨にのっとって対応していかなければいけない。
 しかし、問題になっておりますハナ信組等については、役員体制について、定款に沿った対応がなされるよう、徹底した洗い直しを今求めているところでございます。
中川(正)委員 これはもっと具体的に言えば、どんなことを考えていかなきゃいけないかというと、第三者で、これで、この処置で困ってくる人たちがいる、それは確かなんですよ。在日朝鮮人でしっかりと商売をしている人たちもいる、金を借りている人たちも、これから借りていかなければいけない人たちもいる。そういう人たちに対する施策と、それから、総連あるいは朝銀、この組織がこれまでやってきたことに対する国民的な評価とそれに対する総括、その総括に基づいたいわゆる結果責任というのをとらさなきゃいけないということ。これを区別した政策が金融庁から出てくるべきだと言っているんですよ。
 それをもっと具体的に言えば、そのまま銀行を合併していく、あるいは何らかの形で生き延びさせていくというのじゃなくて、ここはやはり清算すべきなんです。清算するときに第三者的に被害が出てくるようであれば、それをそれなりの手当てをしていく、それで解散するときにその総括をやるべきなんだ、こういう話に当然なってくるでしょう。
 そんな、理事長だけを組織から、入っている、入っていないというような、そんな話でこれをごまかしていくわけには、もうここまで来たらいかないでしょう、そういう話なんです。何でそこまで金融庁として腹をくくれないのか。大臣、答えてください。
竹中国務大臣 我々としては、定められた法律の枠組みの中でしっかりとした行政を務める責務がございます。その意味では、守らなければいけない義務等々は明確にある。その意味で、対応は副大臣が答弁したとおりの内容になるということであります。
中川(正)委員 大臣、こんなときに大臣としての職責を果たしてもらわないと、やはりそれは学者さんかなと言われるんですよ。
 これは、公安からさっきそんな話が出たんですから、少なくとももう一回この分については考え直す、あるいは、トータルとして議論をすべきことですねというぐらいの問題意識を持ってくださいよ。そんな官僚の書いたものを丸読みして、一般論でごまかさないで。どうですか。
竹中国務大臣 我々は、基本的に金融行政に対して責任を負っておりますので、その金融行政の枠組みの中でやはりしっかりとした対応をしていくというのが基本でなければいけないと思います。
中川(正)委員 金融行政に責任を持っているから、私はこの質問をしているんですよ。そんなわからない答弁をしないでください。だんだんおかしくなってくるな。
小坂委員長 質問を明確にしてください。
中川(正)委員 いや、答えが明確でないから。
小坂委員長 もう一度、質問の趣旨を明確にしてください。
中川(正)委員 質問は明確でしょう。さっき言ったように、それぞれ今の銀行を、理事長だけかえてごまかしていくというんじゃなくて、ここで清算をしなさいと言った。その中で出てくる第三者が犠牲になるというんだったら、その分を別個考えた特別の措置を持ってきたらいいじゃないですか。それは幾らでもあるでしょう、銀行を清算していく中でそのスキームはいっぱいあるわけですから。
 だから、質問を変えれば、そういう選択肢というのが新たに考えられてもいいですねというぐらいの答弁はしたらどうですかと、私がかわって答弁しているような話ですが、そこを聞いているんですよ。
伊藤副大臣 繰り返しになりますが、私どもは与えられた金融行政の中で対応をしっかりしていきたい。
 したがって、破綻した金融機関に対しては金融整理管財人が徹底的に責任追及をしているわけでありますし、今問題になっている未処理の破綻五朝銀について、その円滑な事業譲渡をどうしていくか、その中で経営の透明性、独立性というものをしっかり確保しなければいけない。
 また、役員については、理事長だけというお話がありますが、私どもは、役員体制について徹底した洗い直し、見直しをしていかなければいけないというふうに考えております。
竹中国務大臣 国内金融行政の中で責任を持った対応をしていく、その中身は伊藤大臣が申し述べたとおりでありまして、役員体制等については徹底した洗い直しを求めているところでありまして、そうした枠組みの中でしっかりと行政を進めていきたいと思っております。
中川(正)委員 そんなことではおさまらなくなりますから、そのことを申し伝えて、終わります。
小坂委員長 次回は、来る十二日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十二分散会


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