衆議院

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第5号 平成14年11月12日(火曜日)

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平成十四年十一月十二日(火曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 林田  彪君 理事 渡辺 喜美君
   理事 江崎洋一郎君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    坂本 剛二君
      砂田 圭佑君    田中 和徳君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    萩山 教嚴君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      山本 幸三君    吉田 幸弘君
      五十嵐文彦君    生方 幸夫君
      海江田万里君    小泉 俊明君
      小林 憲司君    佐藤 観樹君
      中川 正春君    中津川博郷君
      永田 寿康君    長妻  昭君
      上田  勇君    遠藤 和良君
      達増 拓也君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    松浪健四郎君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  藤原  隆君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 原田 晃治君
   政府参考人
   (中小企業庁次長)    青木 宏道君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十二日
 辞任         補欠選任
  小泉 俊明君     中津川博郷君
  小池百合子君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  中津川博郷君     小泉 俊明君
  松浪健四郎君     小池百合子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
 金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、預金保険法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長藤原隆君、法務省大臣官房審議官原田晃治君、中小企業庁次長青木宏道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中津川博郷君。
中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。私見を交えながら、大臣にお尋ねしたいと思います。
 まず、きのうの株価もひどかったですね。小泉内閣が発足当時、昨年五月七日、日経平均株価は一万四千五百五十六円。それから、例の竹中さんの、だめな企業が退場するのは資本主義の普通のルールだとか、巨大銀行には利点もあるが破綻させるには大き過ぎるという考えはとらない、ツービッグ・ツーフェール、まあ竹中ショックですよ、これは、起こりまして、十月十日には八千四百三十九円、株価が暴落しました。
 小泉さんが総理になったときは、これはやってくれるぞと、ああ、もう経済もよくなる、夢を持てる、こう思って、ぴょんと、御祝儀相場もありましたけれども、上がりまして、そのときの時価総額が四百十五兆円なんです。それで、十月十日の竹中ショックの後は二百四十五兆円ですよ。これ、引き算しますと、百七十兆円、市場から泡と消えてなくなった。これは、年間国家予算の二年分ですよ。きのうがまた東証続落、八千五百円割れ。バブル後最安値目前。円も百十九円台、二カ月ぶり。前日比二百三十円下落、八千四百六十円。これは異常事態ですよ。経済めちゃめちゃ、ぼろぼろ。
 小泉総理は、構造改革なくして成長なし、これは言い続けています、オウムのように繰り返してね。構造改革なくして成長なし。全国民の頭にもうインプットさせてしまいました。小泉総理が身ぶり手ぶりを交えて歯切れよく言うと、痛みの先にあるものが見えないのに、何か国民は、これは本当にそうなるのが正しいのかと思い込まされてしまう。しかし、この一年半の経済情景を見て、このスローガンがうそっぱちじゃないかなと国民も少しずつ気づき始めてきています。
 私は中小企業の経営者でありました。経営の現場の人たちの姿を毎日見て、声を聞くにつれて、構造改革なくして成長なし、これは間違いじゃないですか。成長なくして、成長、括弧して景気回復、構造改革なしと尽きるんですがね。竹中大臣も、総理とこれは同じ考えですか。お聞かせください。
竹中国務大臣 どこの国でも、経済を発展させたい、経済を成長させたい、切実に願っていると思います。しからば、その経済を発展させ成長させるためには一体どのようにしたらよいのか。ここがやはり政策論の非常に重要なポイントになる。これは言うまでもないことでありますけれども、日本の経済には非常に強い潜在力があると私も思います。しかし、その潜在力を発揮するのを阻むような幾つかのやはり要因が、残念だけれどもある。それは、高度成長期にはうまく機能したさまざまなシステムがいろいろな意味でうまく機能しなくなっているという総理の御指摘と、私は、相通じるものがあるのだと思っております。構造改革なくして成長なし、私もそのように思います。
 構造改革しなくて成長はできるのかというふうに問いかければ、その答えは明らかなのではないかと思っております。日本がまず成長できるためには四本柱の改革、歳出の改革、歳入の改革、金融システムの改革、それと規制改革。そうした問題を着実に進めていく、そういう着実な努力の成果として日本の経済が持続的に成長する基盤ができるというふうに思っております。
中津川委員 大臣、先月三十日にまとめられました改革加速のための総合対策、これによりますと、不良債権処理の加速策を講じると。平成十六年度には主要行の不良債権比率を現状の半分程度にする。要するに、不良債権を半分にして問題の正常化を図る、こういうふうにうたわれておりますが、これ、本当に実現可能だと考えているんですか。これも大衆受けのいいスローガンにしかすぎないんじゃないか、そんな気がしてならないんですね。そうでないとするならば、その根拠と理由を示してもらいたい。
 それから、少し質問を続けますからまとめて答えてください、不良債権というのは一体何ですか。これ、町の奥さんたちにも、学生にもわかるようにひとつ説明してもらいたいと思います。
 もう一つです。不良債権というのが、果たして今般のデフレ経済の原因であるのかどうか。これは大事な問題ですよ、原因か結果か。私は、結果であると思う。結果であると思う。だから先ほどの質問をしたんですね。竹中さんは著名な経済学者でいらっしゃいます。不良債権を処理したら景気がよくなると本当にお考えですか。まとめて答えてください。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいというふうに思います。
 今大臣からお話がございましたように、経済構造改革を進めていくに当たっては、幾つかの柱がございます。その中の一つの大きな柱が、金融の問題、金融の改革でございます。
 今般取りまとめをさせていただきました金融再生プログラムは、総理から平成十六年度中に不良債権問題を終結させるという御指示をいただき、それを実現するために、私どもとして、三つの新しいフレームワークというものを提示させていただきました。
 一つは、産業再生をしていく新しい枠組み、そして一つは、金融システムに対する新しい枠組み、そして三つ目は、金融行政の新しい枠組みということでございます。特に、金融行政の新しい枠組みにつきましては、主要行の資産査定の厳格化、自己資本の充実、ガバナンスの強化などを通じて政策強化を行って、そして、この不良債権問題を解決していきたいというふうに考えております。
 特に、私どもが考えておりますのは、不良債権問題というのは、銀行だけの問題ではなくて、その裏側に、借りている企業の問題がございます。そして、この問題を解決していくためには、やはり産業、企業の再生というものが極めて重要なんだ、そういう問題意識の中で、金融と産業の一体的な再生を実現していきたいというふうに考えております。
 具体的には、不良債権比率を平成十六年までに現在の半分程度までに低下をさせて、正常化を図って、そして構造改革を支える強固な金融システムというものを構築をしていきたい、そのことを通じて、世界からより信頼される金融システム、金融行政というものを実現をしていきたい、そして、世界の評価をかち得るような、さらに強い金融の市場というものを構築をしていきたいというふうに考えております。
 また、不良債権の定義についてのお尋ねがございました。これは通常、金融機関にとって、約定どおりの返済や利息支払いを受けられなくなった貸し出し等を指すというふうに考えております。
 我が国では、金融再生法に基づき、破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権そして要管理債権の三つの区分を金融再生法開示債権といたしております。また、銀行法に基づき、破綻先債権、延滞債権、三カ月以上延滞債権、貸し出し条件緩和債権の四つの区分をリスク管理債権として開示をさせていただいているところでございます。
 さらに、お尋ねの、不良債権の増加はデフレの原因なのかということでございますが、不良債権の増加は金融機関の収益性の低下につながるとともに、産業分野においては過剰債務問題となり、成長分野への資金等の効率配分を阻害する大きな原因となっているというふうに認識をいたしております。
 他方、デフレにより、経済の停滞は、企業収益の悪化等を通じて不良債権の新規発生をもたらすものだというふうにも考えております。
 こうした認識のもと、政府としましては、改革加速のための総合的な対策に沿って、産業、金融一体となった対応を強力に進め、そして、産業の再編や事業の早期の再生に努めてまいりたい。また、雇用のセーフティーネットというものを強化をして、離職者に対する対応、雇用の確保、創出に努めていきたい。そして、貸し渋り等による信用収縮が生じないように、中小企業に対する十分な信用供与に努めていきたい。
 以上のような措置を強化することによって、デフレを克服しながら不良債権問題の正常化に取り組んでいきたいというふうに考えております。
竹中国務大臣 副大臣の御答弁のとおりでございますけれども、後半の、委員お尋ねの、原因か結果かという問題、それと、これで景気がよくなるのかという点に関して、若干の補足をぜひさせていただきたいと思います。
 不良債権の問題とデフレというのは、はっきり言いまして、お互いがお互いに影響し合うという関係がある、これはやはり否定できないと思います。むしろ、不良債権問題が深刻であるがゆえにマネーサプライが容易にふえない、だからデフレがより深刻になっている、デフレがより深刻になっていることによって、さまざまな形で不良債権がふえるような状況も出ている、そういう点は認めなければいけないと思います。
 したがって、その悪循環をどういう形で絶っていくかということになると思います。これはもう、当然のことながら、両方やらなければいけないと思います。不良債権をなくす、減らすという努力と、それとデフレの他の要因である、デフレは、金融的な側面にプラスして、需要の側面、供給の側面、さまざまな要因で起こっておりますから、それに対しては非常に着実に総合的な対応策を打っていく、やはりその両方が必要だというふうに思います。
 今般、金融再生に加えて、総合対応策ということで、全体のパッケージで考えるというのも、まさにそういう発想に基づくものであります。
 最後にお尋ねの、不良債権問題を解決すると景気はよくなるかということに関しましては、私はやはり、マネーが正常に回ってこそ初めて正常の経済ができる、正常の経済の中で、当然のことながら、これはまた景気はよくなったり悪くなったりするわけでありますけれども、マネーが十分に社会に行き渡るという状況をつくることが、いわゆる持続的な成長をつくる経済の重要な基礎条件であるというふうに思います。
 それだけで経済がよくなるということではない、加えて、例えば技術開発に力を入れるとか、人的資源の開発に力を入れるとか、さまざまな努力を別途もちろんしていかなければいけません。しかし、金融の問題をこのままにしておいて経済をよくするということは、これはできないというふうに思っております。その意味で、非常に重要な必要条件であるというふうに考えております。
中津川委員 民主党が、要管理債権まで含めて、要注意債権、破綻懸念先債権まで含めて、一体、実際どのくらい数字があるんだということで、金融庁、百五十兆円というのが出ました。マイカルが倒産したときもこれは要管理債権ですからね。
 韓国の話を例に出されますが、IMFの管理下に置かれたとき、GDPの三割に当たる巨額の国費を不良債権処理に投じたんですよ。百五十兆円というと、これは大体五百兆円が我が国のGDPですから、約三分の一ですね。もし本気でやる気があるなら、これくらい、やはりこの問題解決のためには投じなければいけない。いかがですか。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 今、委員が御指摘になられたのは、要注意先を含めてというお話だと思うのですが、要注意先を含めてすべてを不良債権というふうに考えるのがいいのかどうか、これは経済の動向によって、特に要注意先については今後さまざまな形で正常化していく可能性というのは極めて高いというふうに思っております。
 私どもは、先ほどお話をさせていただいたように、現在、十四年三月末の預金取扱金融機関の不良債権というのは、リスク管理債権残高として五十三兆円、金融再生法開示債権の残高として五十二・四兆円だというふうに思っております。
 そして、公的資金注入についてでありますが、そのこと自体が目的ではなくて、それは一つの結果ではないかというふうに思っております。本プログラムにおきましても、金融危機がある場合、必要な場合には現行の預金保険法に基づき、速やかに所要の公的資金を投入することといたしております。なお、現時点でどの程度の額の公的資金が必要かについては、想定をいたしておりません。
中津川委員 不良債権問題になるわけですが、この不良債権問題とは何かというと、会社が、企業が銀行から融資を受ける。日本では土地担保至上主義ですよ。だから、土地などの不動産がないと今まではお金が借りられなかった。どんなにビジネスプランがすばらしい、経営者もやる気がある、人物もいい、奥さんもしっかりしている。しかし、土地がなければだめだ、土地はもう右肩上がりだ、そういう日本の歴史がありましたね。ところが、バブル崩壊以降、地価が下がり続けているため、幾ら超低金利によって、銀行が不良債権の引き当てを積んで処理をしても、毎年新たに新しいのがどんどんできる、これが実態ですよね。
 要するに、不良債権問題というのは、バブル期の地価暴騰の後に、土地神話が崩壊して地価が暴落して、以後も底なし沼のように下落し続けているところに起因しているのです。この地価下落こそが現在の資産デフレの元凶だというふうに私は思っているわけです。
 ちなみに、平成二年、地価総額が二千四百五十四兆円。十年後の十二年末には、千五百七十四兆円、ここまで下落したのです。実に、国民の資産が、先ほど株価が百七十兆円、小泉さんからすっ飛んだと言いましたが、これも九百兆円、泡と消えてしまったのですね。それで、まだ十三年の時点は出ておりませんが、これは地価が下がっておりますから、多分千兆円を超えるというふうに思われるわけです。これはもう異常です。
 よく、地価の話とか株の話をすると何かバブルのイメージを呼び起こすんじゃないかといって、これは政治家、我々、与党を問わず、野党も何かこのことには今までタブー視してきたようなこともあるんじゃないか。私は、地価問題を触れずにして、どうして不良債権の根本的な解決、そして日本経済の再生が図れるかと思っているんです。
 そして、十月三十日の総合デフレ対策には、土地の流動化の問題が出ておりました。税制をいじる、これは当然必要ですよ。動かさなければしようがない。しかし、肝心かなめの地価対策が全く抜け落ちている。これは画竜点睛を欠くと思うのですが、大臣、いかがですか。
竹中国務大臣 銀行を中心としました日本の経済システム全体が、高度成長期以降、地価と非常に強く結びついて動いてきたというのは、これは全くそのとおりであろうかと思います。こうした点に着目して、委員が「正論」等々で地価について非常に重要な警告を発しておられるという点も、私は問題の指摘としては大変重要であるというふうに思っております。
 ただ、この地価問題というのはなかなか、言うまでもありませんが、大変根深い。戦後、消費者物価は五倍になった。その間に住宅地の地価は二百二十倍になった。その二百二十倍になった地価が、今百数十倍のところに下がっている。しかし、消費者物価の上昇五倍に比べると、これはどこと比べるかにもよりますけれども、まだ異常に高い地価になっているというのが現状であろうかと思います。
 こうした絶対安全なキャピタルゲインによってさまざまなビジネス、特に銀行も、いわゆるリスクを負担させることによって非常に大胆な経済行動をとって、経済が高い発展をしてきたというのも非常に重要なポイントであったかと思います。しかし、地価そのものを現実問題として政府が直接コントロールするというのは、これは非常に困難である。
 実は、今回の総合対応策のもとになっているのはあくまで骨太の方針であり、骨太第二弾なわけですけれども、その中では、土地というのは、基本的には利用価値で今は決まっているはずだ。将来の値上がり益ではなくて利用価値で決まっているわけだから、やはり地価対策の基本というのは、ある意味で土地の利用価値を高めることである。であるから、実は、大変地味だけれども、重要なポイントは都市再生。都市開発等々における規制緩和等々、都市再生であるということで、したがって、都市再生というのが大変重要な位置づけを政策の中で占めているということでございます。
 加えて、委員御指摘のように、これは税制についても大変重要でありまして、この税制に関しては、年末にかけての税制改正の中で、これは諮問会議としても要望して議論しているし、政府のしかるべき税調等々の中でこの税制についてはさらにまた議論が進められていくことになるというふうに思っております。
中津川委員 ちょっとバブルの時代を思い返してもらいたいんですが、朝土地を不動産屋が買って、もう夕方売るともうかってしまう。土地が商品になってしまいましたね。これは尋常ではない。先ほど申し上げましたように、全国の土地総額、これが一千兆円から二千四百兆円に暴騰してしまった。そこで政府がやっと重い腰を上げて、さっき地価の問題は直接政府がコントロールはできないと言われましたが、これこそ直接コントロールしたんですよね。公定歩合があの当時二・四%ぐらいだったですから、これをだんだん上げていって、それから監視区域の土地取引を国土法に基づいて届け出制にしました。そして、これじゃちょっと高いからだめだということで、そういう価格引き下げを勧告した。
 加えて、地価税ですか、こういう応急処置もして、さらに、やり過ぎだったのが総量規制ですよ、あの評判の悪い。これで、たたかれてたたかれて、効果があらわれて、バブルが結局壊滅しまして、いわゆる資産インフレが鎮静していったということですが、いつか上がるだろうとみんな思っていた。しかし、全然上がらなくて今日まで来てしまったんですね。
 こういう状況であれば、今まで政府がいろいろなことをやってきましたよ、金融政策、財政政策。しかし、こういう極端な資産デフレ状態の中では何をやっても効果が出ないというのは、竹中さんも学者でいらっしゃるからよくわかると思うんです。
 そこで、先ほど直接コントロールができないというんですけれども、今まさに逆バブルなんですよ。こんなときにこそ政治の出番、政策の出番なんですよ。だって、バブルを静めたのは政治の出番、政治がコントロールしたんじゃないですか。違いますか。
 これは私見なんです。「正論」もお読みいただいてありがとうございます。去年の十二月の産経新聞の「正論」に私このことを書かせてもらいました。逆バブルですから、同じように国土法、これは土地基本法十三条ですか、何か発動しまして、土地のやはりその辺のところを届け出制にして、基準価格を下回る取引には規制をかけるというようなのも一案ではないだろうかというふうに考えておるんですが、これは私見でありますので、どうぞひとつ参考にしてもらいたい、こんなふうに思っております。
 次に、小泉政権の方針によって赤字国債の発行枠三十兆円、これは枠をはめられているということでありますが、これは財政構造改革を含めた改革を断行することが先である、こういう信念に基づいていると思うんですが、マーケットの反応は非常に冷ややかですよ、百七十兆円もなくなっているわけですから。これは、何よりも小泉政権の経済政策が間違っているというマーケットのシグナルじゃないですか。そこで、マーケットが、早急なデフレ解消のために今需要を喚起させる、これを求めているんですよね、市場は。
 ところが、小泉総理は、臨時国会では補正は考えない、通常国会で検討するというようなことを言われておりますが、市場が求めているんですよ。タイミングが遅過ぎるんじゃないかなと思っております。
 小泉さん、総理は政治家ですから、経済の専門家じゃありませんから、マーケットの重要性、マーケットのシグナルというものをしっかりと読み間違えないようにということを、これは竹中大臣から小泉総理に伝えてもらいたいと思うんですが、いかがですか。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、マーケットのシグナルを謙虚に受けとめるというのは、それはそれとして、私も大変重要なことであるというふうに思います。ただ、株価は大変低迷して苦しい状況にありますけれども、株価の低迷は同時に世界的な現象であるという点についても、これは客観的に見ておく必要があるのだと思います。
 株価は低下して、どの時点から何%低下したという数字がよくありますけれども、これは、どの時点をとるかによって、実は解釈がいろいろ出てまいります。少なくともことしの初めからとる限り、各国落ちている中で、日本の下落率というのは、実は高い方ではありません。一番高い下落をしているのはヨーロッパ、ドイツ等々でありますから、そういった意味で、そのシグナルの読み方というのは、私はやはり大変重要であろうかと思います。
 それからもう一つ、私は、株価は間違いなく上がると思います。しかし、上がるまでに時間がかかるであろうというふうに思っております。これはしかし、いろいろな国の構造改革を見ましても、政策が定着してからやはり相当の期間を要して株価というのは上がり出す。
 株価というのは、つまりマーケットの声というのは、その意味では、ある条件のもとで、小さな変化に対しては非常に敏感でありますけれども、大きなトレンド変化を起こすには結構時間がかかる。だからこそ、バブルだ、バブルだと言われながら、バブルが崩壊するまで結構時間がかかったということなのではないかとも思っております。
 お尋ねの三十兆でありますけれども、ことし一月の「改革と展望」において我々は、やはり財政はきちんと長期的にコントロールしていかないと、国債のマーケットにおいては、日本の国債の残高が大き過ぎるということに対して、非常に強いこれまたマーケットの声が出されているというふうに感じております。その意味では、十年の時間をかけてプライマリーバランスを回復させるという「改革と展望」のシナリオをしっかりと守ることが重要であり、今年度の国債三十兆枠というのは、実はその一つの重要なスタートポイントになっているというふうに考えているわけでございます。
 「改革と展望」を今見直す時期にもなっておりますので、経済情勢と財政の健全化ということを引き続きしっかりと両立をさせていきたいと思っております。
中津川委員 皆さんたちに資料をお配りしております。ボードをつくってきましたので、ごらんいただきたいと思うんですが、最近の株価の動きを見ていますと、ちょっと恐ろしいことが感じられるんですね。
 これは日経平均株価の動きを一九九六年ごろと二〇〇一年ごろ、これを比べて書いたものです。上が一九九六年、下が二〇〇一年です。当時のいろいろ企業倒産あるいは事件についても書いてありますが、九六年の橋本政権も今と同じ財政規律路線によって歳出を厳しく制限しました。それで消費税増税、この影響で経済が失速、金融不安が顕在化してきた。これは大変な危機になったんです。
 ことしに入っても小泉政権、昨年度に補正を組むことで、一たんは株価も回復していますよね。だけれども、また緊縮財政というアナウンスで再び下落している。九月以降の不良債権の動きが、一層こういう株価下落を呼んでいるというふうに私は見ているわけでありますが、これからも小泉政権が積極的な経済的な手だてを打たないでいる限り、僕は容赦なく、今竹中さんはいつか上がると、前から私それ聞いていると思うんですがね、株価を確実に下げてくる。しかも、そこに今度、銀行の厳しい資産査定等が重なって、もう金融制度が大きく揺らぐ可能性が出てくるんじゃないか、こんなふうに思っておるんですね。
 私は、橋本政権の二の舞を踏んじゃいけないと思うんです。緊縮財政や財政再建優先の政策から、健全な成長、経済成長軌道、これに乗せる政策に明確に政策転換をしなければいけないと思っているんですね。そのためには、直ちにもう、マーケットが要求しているんですから、補正予算を編成して、来年度は大幅減税を行うべきだ。そのときに、五年から十年ぐらいで財政を健全化させる具体的なプログラムというものを提示すれば、当面の赤字財政が、三兆円か五兆円か八兆円かわかりませんが、出たにしても、将来的には弊害はないと思っているんですね。
 不良債権処理というのは、経済全体が改善したときに初めて抜本的に処理すればいいんじゃないかと私は前から思っているんですよ。そうすれば日本経済を再生させることができるんですがね。いかがでしょうか。歴史を学んでください。
竹中国務大臣 一つは、緊縮財政という御指摘があったわけですが、これは総理も何回も御答弁をしておられますが、本当に緊縮財政なのか。赤字国債の発行額は二十八兆から三十兆にふえている。来年度については……(発言する者あり)新規国債の発行額についてはそのようにふえている。来年度の新規国債発行額についても、これは来年度の経済の見通しの中で明らかにしていきますが、これは今後もふえるだろう。そういう中で、財政の収支じりというのが膨らんでいる状況をもって緊縮財政と呼ぶのかという根本的な問題があると思います。もう一つは、その水準そのものが、GDP水準に対して、新規国債の発行額が六%を超えるというような状況になっている。私は、今日の状況を緊縮財政と呼ぶという理由はないと思っております。
 基本的には、繰り返しになりますけれども、マクロの経済の動向と財政の健全化をどのようにバランスさせるかということを明示するということであって、繰り返し言いますが、これはことし一月の「改革と展望」の中で示して、これは毎年毎年示していくことになっております。しかし、一部に、非常に、大型の財政拡大をということを主張するエコノミストがいるのはもちろん存じておりますけれども、その方々にいつも、ではその場合に、財政の健全化についてはどのようなシナリオがあるのか、シミュレーションとかシナリオを示してくれというふうに私は申し上げておりますけれども、それが示されたことはいまだございません。
 現実問題として、日本の財政、プライマリーバランスを回復していくというのは、これはもう大変なことであって、それだけ大きな財政赤字をもう抱えてしまっているという現実で、そこはやはり責任を持って財政の健全化とマクロ経済の両立というのを考えていかなければいけないわけで、そういう制約の中での非常に狭い道を、現実問題としてはこれは歩まざるを得ない、そういう状況であるというふうに認識をしております。
中津川委員 今竹中さんはもう大臣を二つ、財務と金融ポストにいられて、大変重要な役割ですよね。歴史にどうやって名が残るかという、大変すごい立場に今いるんですが、ちょっと経歴を私調べさせてもらったら、一九八〇年から九〇年代にかけて、ハーバード大学とペンシルバニア大学の研究員をされておりましたですね。同時に旧大蔵省の研究所の研究員も兼任されていました。
 どうも私には、大臣のおとりになる政策というのが、これは日本のためなのかな、アメリカのためなのかなと。そう思うのは、最近私だけじゃないような気がするんですよ。不良債権処理など、今後より一層金融機関の破綻、不良債権の売却が、今度大がかりにもうやるわけでしょう。ということは、旧長銀、このイメージが出てくるわけですよ、新生銀行。莫大な税金を投入して破綻処理をして、結局アメリカの、リップルウッドというんですか、資本、十億円という安値で売ってしまった。今評判悪いですよ、新生銀行。すごい貸しはがし、貸し渋り。
 今度の不良債権処理加速策というのは、竹中大臣、これから新生銀行幾つもおつくりになろうとしているんですか。虎視たんたんと我が国の資産をねらう外国ファンド、この人たちに安くお売りになるつもりじゃないんですか。そんな気がしてならないんです。
 ここに、恐縮ですが、皆さんたちにも資料を配らせていただいておりますが、これは一九八九年の世界の銀行番付ですよ。日本のじゃないんですよ。いやもう、何と言うんでしょうね、ずらりと邦銀の名前が並んで、もう感慨深いですよね。日本の金融は強力だったんですよ。十三年前ですよ。今や我が国の金融機関、もう昔日の面影、全くありません。
 九〇年代以降、世界の金融情勢、アメリカでBIS規制というルールが導入されました。これ、竹中さんも、アメリカへ行ったり日本に行ったりして、情報をあっちにやったりこっちにやったりして、これ、随分影響したと思うんですがね。これは要するに、自己資本比率で銀行の業務を制限しようとすることでしょう。それで、そのころはもう金融ビッグバンとかグローバルスタンダードとか、もうすごいですよ、マスコミにはその言葉が躍っていました。
 日本は、BIS規制を受け入れて、それで結果として、今やもう、資産査定のルール一つを今回変えるか変えないかで生殺与奪をも左右されかねない、そんな惨状にあるわけですよね。ちょうどBIS規制導入のころ、申し上げましたアメリカ、日本の金融情報、その近いところで活動されていらっしゃった竹中大臣、BIS規制のこういう導入を含めて、これは僕は金融機関を弱めた一つの原因だと思いますよ。いかがですか。
伊藤副大臣 BIS規制についてのお尋ねがございました。
 BIS規制は、主要国の銀行監督当局の会合であるバーゼル銀行監督委員会における合意に基づき、国際的に活動する銀行の自己資本比率について、銀行システムの健全性の確保と銀行間の競争条件の公平性の確保の観点から、昭和六十三年に導入されたものであります。同規制は、世界各国の銀行の実態を踏まえ、我が国の意見も取り入れられた上で設定されたものと承知をいたしております。
 我が国は規制改革を決断して、金融の自由化に踏み込みました。この自由化の進展した環境のもとでは、銀行みずから行う業務のリスクに見合った自己資本を確保することは金融機関の健全性の確保及び金融システムの安定の観点から必要なことであり、BIS規制もこの観点から導入されたものだと承知をいたしております。
中津川委員 大臣、何かありますか。
竹中国務大臣 BIS規制の経緯は、今副大臣の答弁のとおりだと思います。
 重要な点は、金融というのは、世界のネットワークの中でビジネスをしているわけで、国が違っても、お互い、影響を即時に、瞬時に受けざるを得ないという環境下に置かれているということであると思います。したがって、日本の銀行がそういったリスク管理の観点からのルールを守るということは、これはほかの国にもそういうことを守ってもらうことによって、例えばほかの国で何か問題が起きたときに、日本経済への影響を小さくするという意味もあるわけで、その意味では、やはり世界共通のルールの存在というものが、当時、大変必要であったというふうに思っているわけであります。そうした観点から、やはりこのBISの問題は考えていかなければいけません。
 もう一点、委員が今回の質問の冒頭におっしゃいました、アメリカのために何かしている、そんなことはあり得ないことであります。これは日本の経済を、日本の銀行を強くして、日本の産業基盤をより強くする、日本経済を活性化させる、そのために何が必要かという観点から、粛々と政策論をしているわけでございます。
中津川委員 何でもグローバルスタンダード、アメリカンスタンダードといって外国のものを取り入れればいいというものじゃない。今、セーフティーネット、中小企業の問題にこれから入っていきたいと思うんですが、やはり一番のセーフティーネットは終身雇用制だったんじゃないですか。それを破壊したのはいいんですよ。だけれども、それにかわるものを何もつくらない。この辺のところはまたいずれ議論したいと思っております。
 今、私は民主党の中の中小企業政策担当でやっているわけでありますが、私自身も中小企業の経営者でありました。どの国会議員よりも、毎日、ロータリー、ライオンズ、中小企業家同友会、商工会議所、いろいろな経営者の人たちと会う機会は多いと自負しているわけでありますが、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しくなる一方です。
 最近、こんな話があった。地元でも優良企業です。これは竹中大臣が金融担当大臣になってからのことらしいんですが、今、日本でも、一番厳しくやったら残るだろうと言われている銀行ですよ。今までは、融資、行ってもすぐに貸してくれた。そうしたら今度は、担保を見せてくれ、担保が下がっていますねと。当たり前じゃないかと、今、土地が下がっていないところはないんですから。そうしますと、よし、では貸しましょう、金利を上げて貸しましょうと。びっくりしたと。担保が下がるというのは、これは経営者が努力をしなかったとか、責任問題じゃないんですよ。いい会社ですよ、非常にいい会社です。こういうことが、今、行われているんですね。まじめに仕事をして、必死になって頑張っている中小企業の人たちですよ。
 大臣は、経済理論に関しては御見識がたくさんありましょうけれども、中小企業の現場のこういう貸し渋りや貸しはがしの実態、御存じですか。
竹中国務大臣 中小企業に対する貸しはがし、貸し渋りについて、金融庁としては、当然のことながら、非常に高い関心を持ってこれまでも行政をしてきたと思いますし、私自身もそのような観点を強く持っております。私も、生家そのものも、生まれ育ったところも中小企業というよりは零細企業でありましたから、そうしたときの経験も踏まえて、私なりの思いを持って、中小企業に対する金融の問題を見ております。
 今回の金融再生プログラムというのは、例えば、一部の採算性の低いところに貸し付けた資金が塩漬けになったままになっていて、その分そのしわ寄せが、まさに今委員御指摘になった健全な中小企業に行っている、そういう状況を絶対起こしてはならない、そういうことを防ぐために、まさにお金が健全なところに行き渡るように、そのために、資産査定をきちっとして、銀行のまさにガバナンスを発揮するようなシステムに持っていきたい。
 銀行のガバナンスがしっかりと確立していれば、将来にわたってちゃんと共存共栄していける優良な中小企業からお金を引き揚げるというようなことはないはずであります。しかし、現実問題としてそういうことがあるのではないかという声は、これは頻繁に聞こえてくるわけで、そうした状況をなくす。まさに金融のシステムを健全化するために、資産の査定の厳格化、自己資本の充実、そしてガバナンスの強化を行って、そういう事態を防ぎたい。それが今回の金融再生プログラムのまさにねらいでありまして、委員御指摘のような問題意識を私自身も非常に強く持っているところであります。
中津川委員 銀行のガバナンスを強化する、理論上は竹中さんそうおっしゃいますけれども、現実は、査定を厳しくしたら、その引き当てをふやさなきゃいけない。そうすると、貸し渋り、貸しはがしになるのは当たり前じゃないですか。実体経済というものを本当に認識してもらいたいと僕は思うんですよ。
 今、そういう状況の中で、銀行が金を貸さない、ではどこで貸すか、これは政府系の金融機関しかないですよ。中小企業金融公庫、商工中金、国金、これが今役割を果たすときだ、そんなふうに思っております。
 と同時に、前回、経営安定化資金ということで、特別保証がありました。四年前ですね。これは、いろいろ批判もありました。しかし、これがなかったら、中小企業、もう今は半分ぐらい消えているでしょう。当初は、これは一〇%の事故率を想定していたんですよ。四年たった今で、まだ六%ちょっとですよ。中小企業の経営者はまじめなんですよ。あれは借りてから半年後に返済すればいいというんですけれども、八割の人が翌月から払っている。何とか返済して頑張ろう、自分の給料が取れなくても頑張ろうと。日本の中小企業というのは、非常にまじめなんですね。
 私は、特別融資保証、これを復活すべきだというふうに考えております。もちろん条件面で、金利、あるいは企業内容を精査する、こういうことは必要だと思いますが、中小企業庁及び竹中大臣、御所見を賜りたいと思います。明快でいいですよ。明快で、簡単に。
青木政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま中津川委員御指摘のいわゆる特別資金、これはいわゆる特別保証のことと存じ上げますが、御案内のとおり、平成十年当時、金融システムが発生をいたしまして、日本の銀行、金融機関が中小企業に一斉に貸し渋りを行うという未曾有の状況に対応いたしまして、創設いたしました。あくまで臨時異例の措置でありまして、昨年の三月に終了いたしたところでございます。
 私ども中小企業庁といたしましては、この特別保証制度の終了に際しまして、円滑な制度の移行を図るために、平成十二年年末に、いわゆる通常の保証額とは別枠で、保証の額が倍額となりますセーフティーネット保証を、抜本的に整備強化をいたしたところでございます。
 また、御案内のとおり、今臨時国会には中小企業信用保険法の一部改正法案を提出させていただいておりまして、この中で、金融機関の経営合理化に伴って借り入れの減少に直面する中小企業、そうした中小企業の方々もセーフティーネット保証の対象に加えるべく、その充実を図っているところでございます。
 私どもといたしましては、このようなセーフティーネット対策の累次の取り組みの強化を踏まえ、現在の状況に対しましては、このような諸措置を最大限活用し、その実効を上げることに全力を注ぎたいと考えております。
伊藤副大臣 今、中小企業庁からもお話がございましたように、私どもも今回の金融再生プログラムにおいて、主要行の不良債権処理を進めることによって日本企業の根幹を支える中小企業の金融環境が著しく悪化することがないよう、セーフティーネットを充実させていきたい、その中で、中小企業向けの投融資制度の拡充等を含めて、関係省庁と積極的に連携を図っていきたいというふうに考えております。
 特に、このプログラムの中では、中小企業貸し出しに関する新たな担い手というものを拡充していきたい、また、中小企業の再生をサポートしていくために、例えば信託機能でありますとか中小企業のデット・エクイティー・スワップ、こうしたものを活用しながら再生の仕組みを整備していきたいというふうに考えております。
中津川委員 日本の中小企業の現状は大変厳しいということを先ほど来から議論しているわけでありますが、日本の場合は、中小企業のおやじさんが銀行から金を借りる、会社としての保証を立てる、と同時に、個人の保証人もとられます。かみさんの保証人もとられます。それから、知人、親戚、これまで保証人をとられる。だから、倒産するということは、もう家族、親戚一同、身ぐるみ一切をはぎ取られて、まさに無一文ですよ。ホームレスしか、あるいは夜逃げしか、こういう悲惨な状況であるのですね。
 アメリカなんかは、竹中さんは行っていて御存じだと思うんですけれども、倒産、失敗がキャリアになるんですよね。家、財産までとられない。だから、再チャレンジがきくんですよ。新規事業を起こそうとした場合、新しく始める人、一回失敗した人、二回失敗した人、向こうは、二回失敗した人に十人いるうちの十人投資するんですよね。日本とはそこが違う。
 今、僕、党内では個人保証の問題の、これを何とか廃止しなければいけない、このままじゃいけないということで今運動を続けているんですが、こういう個人保証の実態、大臣はどう思っているか。それから、これはやはり破産法の問題です。いっとき動いたという話もあるのですが、破産法の改正、これは即やってもらいたい。簡単にひとつ答えてください。
伊藤副大臣 中津川委員は、民主党の中小企業問題の担当者であり、また中小企業の視点から大変御活躍されていることを十分承知しております。私自身も、今一番不況の零細な店舗飲食を今まで経営をしてまいりましたので、創業時の資金の苦労、あるいは現在の資金繰りの苦労というものを、身をもって感じております。
 その中で、一般論として、中小企業は、物的担保を押さえられ、そして個人保証をとられ、第三者保証まで要求されているという実態がございます。したがって、こうした実態の中でどのような形で、やはり中小企業がある意味では生活もかけて経営をしている、その実態に対応した中小企業金融の円滑化を図っていくのかということは、極めて重要な問題だと、私自身も強く認識をしているところでございます。
 しかし一方で、個人保証の問題につきましては、個人保証を外す、無担保にしていく、そうした場合に、デフォルトに対するリスクにどう対応していくのかという問題がございます。また、委員が御指摘のとおり、今の倒産法制をどういう形で環境整備をしていったらいいのかという総合的な視点も必要であります。
 アメリカの事例がございました。アメリカの場合には、ベンチャーの風土の中で、フリーダム・ツー・フェールという言葉がございます。一つのベンチャー風土をあらわす言葉でありますが、失敗をする自由、失敗をしても、その失敗の経営者をある意味で評価をして、何度でも挑戦できるような、そういう風土をつくろうということで、いろいろな環境整備がなされているわけでありまして、そうした視点から、この問題について取り組みをしっかりしていかなければいけないというふうに考えております。
原田政府参考人 破産法の改正についてお尋ねがございましたので、お答えいたします。
 破産法におきましても、債務者が経済生活を営む上で必要な財産、これは標準的な世帯の必要生計費等を基準として定めておりますが、これは自由財産として、破産財団、すなわち債権者の配当の引き当てとならない財産としているわけでございます。
 現在、法務省におきましては、破産法の全面的な見直しのための検討を行っております。この中で、現在、中間試案を公表して、パブリックコメントに付しているわけでございますが、この自由財産の範囲を引き上げるという方向での試案を掲げて、意見を求めているところでございます。
 ただ、この自由財産の範囲の問題につきましては、債務者の経済生活の再建を容易にするという観点から、御指摘のとおり、範囲を広げるべきであるという御意見がある一方で、破産の場面で、債権者に対する配当額が減少するという点の問題指摘もあるところでございます。
 法務省といたしましては、平成十五年中の法案提出を目途として、関係方面への意見照会を行いながら検討を進めていきたい、このように考えております。
中津川委員 自殺の話をしたいんですが、四年間、平成十年以降、三十代、四十代、五十代、まさに働き盛りの経営者、そしてローンを抱えた、企業をリストラされてしまった人たち、異常な事態が続いているわけであります。
 自殺者と自殺未遂者を合わせますと、その数は、自殺者の十倍になると言われているんですね。しかも、自殺や自殺未遂によって心理的影響をこうむった家族、知人、友人、これは五倍に上ると言われています。つまり、自殺者三万人、そういう状況で、約百五十万人の人に影響を及ぼしている。これはもう国家の大問題だと思うんですね。
 「自殺って言えなかった。」という本、皆さんたち、読んだ方もいらっしゃると思うんですが、私も二回繰り返して読みました。これは、親が自殺してしまった子供たちの手記を集めたものなんですが、自分の親が自殺をしてしまったということを隠すんですね。何で死んだのと、自殺とは言えないんです。好奇の目で見られてしまう。自分の親は自殺したから精神的に弱いんじゃないだろうか、自分もいつか自殺してしまうんじゃないか、そんな思いに悩み続けてきているわけですね。そういう彼らの心の叫び、大学生中心ですが、載っかっているわけであります。
 私は、これを読ませていただいて、大変、悲惨さに心が引き裂かれたんですが、自殺の予防ということ、これは、自殺者の周辺のケアというものも政府の重要な責任だと当然思いますよ。
 そこで、厚生労働省が、五億円の予算で、「自殺の予防と対応」というのを去年から取り上げている。これはこれで意味があることだと思うのですが、これは厚生労働省の問題じゃないですよ。経済死なんですから、経済産業省、金融庁、いや、もう政府全体、政治家全体が取り組むべき問題だと思うわけですね。
 経営者というのは、自分が死んだらどうなるだろうと計算するんですよ。私も、生命保険を計算しました。ああ、大丈夫だなと何か安心して、変なんですけれども。そんなことをいろいろ、みんな一回や二回、そんな計算をした記憶があって、もう本当に一生懸命なんですね。
 それで、今、秋田県というのは、大変自殺者、それから夜逃げが多いというところで、毎日のようにそういうことが起きているということで、私、一昨日、その方と電話でお話をすることができました。その方は、事業に失敗した人が再チャレンジする社会をつくるというNPOをつくって活動されているんですが、これは政治がもっとやらなければいけないな、こんなふうに思っているわけであります。
 先日、暴漢の凶刃に倒れました我が同志であります石井紘基議員、私と中小企業の問題についてよく話したんですね。中津川さんは中小企業をやっているから、現場の話、いろいろ聞かせてと。あの人、情報をいろいろなところからとっていますから。そして、何でこんなに自殺するんだろう、これはおかしいね、政治が解決しなければならないので、自分も一生懸命これからやっていくよというようなことをお話しされておりまして、私とは、そんなので、その面で通じるところがあったわけであります。
 私は、彼の志をむだにしたくない、これ以上自殺者を、経済死、たかがと言っちゃ失礼ですけれども、だけれども、されどなんです、事業で失敗した、人生で挫折した、これで命まで引きかえにしなくてもいい、そういう社会をつくらなければいけない、そんな思いを強く持っているんですが、大臣、感想をお願いします。
竹中国務大臣 経済的な理由で、経済的理由にもちろん限りませんけれども、みずからの命を絶つ、ないしは絶たざるを得なくなってしまった、大変むごいことであるというふうに思います。
 日本の社会は、これまで、一回会社に就職したら、長期雇用で安心である、企業も、高成長の中で、そんなに、倒産のリスクは余り高くない。そういう意味で、社会全体がリスクに、個人や中小企業はリスクに余りさらされないで済むような状況に、ずっと追い込まれてきた。それが、ここ十年ぐらいの中で、そのリスクの要因が大幅に変わってくる中で、社会全体として、それに対する備えが十分にできていない。その意味で、委員御指摘のように、これは全国民的に、ないしは政治が総力を挙げて取り組むべき本当に重要な問題だと思います。
 恐らく、その一つの象徴が、先ほども委員が御指摘になった個人保証の問題なのだと思います。株式会社、有限会社という、本来、有限責任であるはずのシステム、この有限会社、株式会社のシステムというのは、恐らく、複式簿記と並んで、人間が経済面で考えた最もすぐれた制度の一つである。その有限責任が、現実には、個人保証によって無限責任に転嫁されてしまっている。
 もちろん、そういうことに対しては、金融当局等のできる範囲としては、健全な借り手に対する物的な担保や保証に依存することなく、円滑な資金供給に努めるよう求めているところでございますけれども、さらには、法制審議会等々において、社会の状況が変わる中で、枠組みの見直し等々も検討されているということ。これは、骨太の方針に、実は、本当の意味で再挑戦ができるような仕組みをつくっていかなければいけないと、私たちなりに非常に強い危機感を持ってうたっておりますけれども、そうした点を踏まえて、できることを着実にぜひやっていきたいというふうに思っております。
中津川委員 ぜひ大臣、お願いしますよ。
 最後の質問にさせていただきます。
 このたびの法改正では、金融機関の合併、これを進めるようでありますけれども、信用金庫なども大分減っております。信用金庫が、一九八八年三月には四百五十五あったのが、二〇〇二年九月にはもう三百四十と減っている。もちろんこれは合併もあるでしょうし、破綻によって淘汰されたところもあると思います。
 反面、この合併の多さが金融機関を今混乱させているという事実もあると思います。私の地元は江戸川なんですが、東京東信用金庫と小岩信用金庫が来年合併します。ところが、この東京東信用金庫というのが一・三兆円、小岩信金が二千二百億円というそれぞれの預金量なんですが、東京東信用金庫自体が、協和、それから東武、中央、大東という四つの信金でまだ合併したばかりなんですね。利用者にとって何か最近冷たくなったというような声も聞こえてくるんですね。
 だから、合併によって融資基準なども変化するし、何かこれが貸し渋りにつながるんではないだろうかとか、そういう地域の信用不安に、そういうおそれがないように配慮しなければいけないと思うんですが、大臣の最後の答弁、よろしくお願いします。
伊藤副大臣 金融機関の合併等の組織の再編成は、規模の経済及び範囲の経済の活用や顧客のニーズに応じた業務の再構築などを可能とすることにより経営基盤の強化につながり、ひいては融資対応力等が強化されることが期待されるものであり、借り手にとってもメリットがあるものと考えております。
 また、これまで金融庁としては、金融機関の合併等の認可に当たり、合併等が顧客の利便に照らし適当なものであること、合併等の後、金融機関が業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができること等の観点から審査を行ってきたところでございます。
 いずれにしましても、中小企業向けの融資等、円滑な資金の確保についてあらゆる機会に金融機関に適切な対応を要請しているところであり、今後も十分留意をしてまいりたいというふうに思います。
中津川委員 ありがとうございました。
小坂委員長 次に、長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いいたします。時間もありませんので、端的にお答えをいただければ幸いでございます。
 今審議をしておりますこの預金保険法の改正案等についてお尋ねをいたしますけれども、一つは、この中には、普通預金のペイオフを二年延期する、こういうような措置も盛り込まれているわけでありますけれども、これは、銀行が健全であればペイオフは実施をするわけでありますけれども、とすると、銀行が健全じゃないからやはりペイオフを延期するんだ、こういうふうに普通は理解、私もそういうふうに理解しておるんですが、竹中大臣に二点お尋ねをするんですけれども、今金融システムというのは健全なのかどうかということと、銀行は健全なのか、この二点をお尋ねいたします。
竹中国務大臣 以前も、前回も少しそういう議論をさせていただいたかと存じますけれども、健全かどうかというのは基本的にはトータルな判断になろうかと思いますが、私は、今の金融システム、銀行ともに、今すぐパニックが起きるというような意味での危機的な状況にはもちろんありません。しかし、やはり解決しなければいけない幾つかの問題を抱えている、それはやはりしっかりと直していかなければいけない問題であるというふうに思っております。
 ペイオフ、かつて日本にもペイオフの制度があって、それが今サスペンドされているという状況になっているわけではございますけれども、それは、その意味では幾つかやはり金融システムと銀行に問題があったことによってそれをずっと休止してきたという状況にあるのだと思います。今回、十六年度までに不良債権問題を終結するというその目標に向かって、さらに真の意味で金融システム、銀行が強靱になっていく過程においてはそうした混乱を避けるためにペイオフを二年間延期するというような判断をさせていただいたわけでございます。
長妻委員 何でこういう話を申し上げるかといいますと、やはり現状認識というのは、これはいろいろな委員会でも話が出ていると思いますけれども、今銀行の、金融システムが健全なのか、そうではないのか、危機に近い状況なのか。私は危機だというふうに思っていますけれども。そういうきちんとした認識がないと、いろいろな施策が、いや、平時にルールを変更してとんでもない、こういうふうに銀行はやはり言いたくなりますよ。今危機がない、そして健全だということを言い続けると。
 そういうような思いで今申し上げておりまして、例えば産業再生機構にしても、これもはっきり言えば社会主義の考え方をかなり取り入れている機構なわけでありまして、それも、平時じゃないから、今危機だからこういう緊急措置をする、こういうふうにきちんと宣言をして、行政がそういう意識を持つということが非常に私は重要だということを申し上げます。
 そして、これは本当に危機的な状況が今銀行に起こっているわけでありまして、昨日の株価、先ほども中津川委員から話がありましたけれども、UFJ、みずほ、これは上場以来の最安値に昨日なった。そして、このUFJ、みずほの株価の下落率を見ますと、九月三十日以来、UFJは五八・五%も下落している。みずほは四八・一%も下落している。そして、貸出総額でありますけれども、これも昨日、日銀の発表でありますが、十月の大手銀行は前年同月比で八・三%も貸出残高を減らしているということで、これは日銀がこういう調査を始めた九一年以降最低の貸出残高になっている。そして、一方で、国内銀行の国債の保有額というのが八十一兆円を超えました。八十一兆円を超えて、これも最高記録を更新する。これだけの材料があって、まだ金融システムは万全だというのは全くあり得ないと思うのであります。
 その中で、一つ、金融庁と竹中大臣とのスタンスの違い、これはぜひ是正しなきゃいけないというふうに思うんですね。高木長官がことしの九月二日の月曜日十七時五分から記者会見をされておられますけれども、そのとき記者の質問がありました。金融システムに何か現状で問題はありますか、こういう質問に対して、そのようなことは全くありません、健全性の問題は健全性の問題として、当然それがすべての基本ですという御答弁をされている。そして、こういう答弁も記者会見でされております。今、各金融機関について、我々が一生懸命やってきた結果、現状、特に問題のある金融機関はないというふうに高木長官は明言をされているわけでありますけれども、こういう発言を、竹中大臣の発言と違うと思うんですが、現状認識が違うというのを高木長官に厳重注意するおつもりはありませんか。
竹中国務大臣 御指摘の長官の会見は九月二日とおっしゃいましたんでしょうか。私が就任する以前ということだと思いますが。
 当時の状況を勘案するに、先ほどから危機という言葉が何回か出ておりますが、パニックが起きるような意味での危機ではない、四%割れになるようなそういった意味での危機の状況ではない、その意味ではしっかりとしているというふうな御発言をされたものだというふうに思っております。
 当時は、とにかく危機を起こさせないということが非常に重要な金融行政のテーマであったと思います。しかし、今申し上げていますように、現在は、その危機を起こさせないという状況をさらに卒業して、一歩踏み出て、より強固な金融システムをつくる、今後の日本の経済を支えていけるような金融システムをつくっていくという観点から見ると、これはやはり解決すべき問題がある。
 繰り返し言いますが、私は危機だとは申し上げませんけれども、やはり記者会見で私は、一種の病気、病んでいるというふうに申し上げましたが、そういう状況はあるというふうに私も思っておりますし、その点は、高木長官初め金融庁の皆さんもそういう強い認識のもとに、今金融行政に一体となって励んでくれているというふうに思っております。
長妻委員 やはり金融庁と意識が、私はかなり開きがあると思いますので、それは是正をしていただきたいと思います。
 そして、何でそういう現状認識の話を申し上げるかといいますと、過去、七兆円の公的資金というのを主要銀行に投入をした。そのときは、銀行は健全である、金融システムも健全である、こういうようなある意味ではフィクションで七兆円を投入して、結局、そのために経営責任が全く問われずに、経営体質の改善が見られず、今日の銀行の状況になったと私は思っておるんですが、この間違いを絶対に起こしてはいけないというふうに考えております。
 ところが、この前出ました金融再生プログラムの中に、特別支援という発想があります。これは公的資金を注入するという発想ですけれども、そこで経営者の責任のくだりがあるんですが、そこは、金融再生プログラムには「「特別支援」を受けることとなった金融機関を代表する経営者については、責任の明確化を厳しく求める。」こういうちょっとあいまいな文言になっている。
 小泉総理のクエスチョンタイム、十月三十日で、小泉総理のお話で、公的資金投入の際には常識的な線で経営責任を問うのが当然だ、こういうような話をしているんですが、これは本当にはっきりしなければまた過去の間違いが起こると思うんですけれども、これは、経営者、最低でも代表権のある取締役、これは退任をさせるということでよろしいんですね。
竹中国務大臣 総理もクエスチョンタイムでお話しされたように、また、この金融再生プログラムに書いておりますように、金融機関を代表する経営者については、責任の明確化を厳しく求める。これはもちろん個別に判断をしなければいけない問題であるとは思いますけれども、国民の税金が再び投入されるというようなことになった場合には、これはやはりそれなりの責任、厳しい責任というのがあるのだというふうに思います。まさしくここは責任の明確化を厳しく求めるという意味でございますから、これについては、文字どおり厳しくその責任を求めていきたいというふうに思っております。
長妻委員 本当にこういうあいまいな答弁、これは大臣、私は大臣のこの部分の政策は本当に後押ししたい気持ちでありまして、その意味で、この国会という多くの方がおられる場所で発言すれば、これが一つのある意味では宣言にもなるわけでありまして、ここで発言しないで後から、経営責任、やめてくれと言ったって、これは巻き返しに遭って、またこの前と同じような状況になりますから、ぜひ、この辞任、それは辞任と言っても相手がどうしてもしないということもありましょうけれども、少なくとも代表権のある取締役に関しては、特別支援になった場合は辞任を求める。本当は国が株主だからいいんですけれども、辞任を厳しく求める。ここら辺は答弁してもよろしいんじゃないですか。
竹中国務大臣 責任のとり方はさまざまあろうかと思いますが、総理が常識的にと、国民感情に照らしてとおっしゃったのか、常識とおっしゃったのか、そういう観点からいうならば、当然のことながら、その責任の問い方の中には、進退の問題、給与の問題、さまざまな問題が入ってくるというふうに思っております。
長妻委員 そして、お配りをした資料が、三枚の資料があるんでございますが、この資料二と資料三というところを見ていただきたいんでございますけれども、三割ルールというのがあるわけでございまして、それの数字を、ここを資料でお配りしているんですが、竹中大臣、改めて、大臣、三割ルールの説明をちょっといただきたいんでございますが。
竹中国務大臣 三割ルールの説明をしろということでございますけれども、公的資本増強行については、当期利益または業務純益、ROEが計画比三割以上下振れした場合には報告を徴求する、さらなるリストラ等の措置を求め、必要に応じ業務改善命令の発動を検討することになっている、これがいわゆる三割ルールでございます。
長妻委員 そういう意味では、この三割ルールを二期連続破っている金融機関があるわけでありまして、この資料二は十三年の三月期でございますが、これはすべて公的資金の注入行でありますけれども、この右側に星印が、米印が欄外についておりますものが、三割以下、当期利益の目標より減ってしまったところ、大和、三和、東海、東洋信託、あさひ。そして、資料三を見ますと、また二期連続三割ルールを破っている金融機関というのが、今度は右側に、こちらも米印がございますけれども、みずほ、UFJ二行、大和、あさひ、近畿大阪、中央三井信託、三井住友、住友信託、こういう惨たんたる状況があるわけでありまして、これは、大臣、業務改善命令等をきちんと出さないのですか。一番重要な当期利益の部分でありますけれども。
竹中国務大臣 先ほど金融再生委員会のときに作成した三割ルールの御紹介をしましたけれども、この十四年三月期は、御承知のように、特別検査を実施した、積極的な不良債権処理損失額の計上を行った、さらには、株式の強制評価減の実施等によって大手行では軒並み当期赤字になっている。これらの銀行に対して、いわゆる三割ルールに沿って、銀行法二十四条に基づいて、相当程度乖離している理由及びその代替措置等の報告を求めております。
 その結果、当期利益の下振れの大きな要因が、不良債権の積極的な処理、特にオフバランス化の推進に係るものや株価低迷に伴う株式等償却の増加に係るものであるということが確認されており、また、収益改善のための代替措置等によって剰余金の減少を回復するための方策が示され、公的資金の償却等が可能となる内容となっていることから、まずは見直し後の経営健全化計画の履行状況等を注視するということにしております。
長妻委員 少なくともこの数字というのは、経営の大幅悪化というふうな表現が当てはまると私は思います。これはそういうふうに日本語として皆さんも思われると思うのです。
 そうすると、これは、次に政府が注入した優先株の普通株への転換の問題を申し上げますけれども、この転換権行使については、既に平成十一年六月二十九日にガイドラインが出ておりますけれども、そこの一つの要件は、「直近の自己資本比率や収益指標等からみて経営が著しく悪化した銀行」、これは優先株を普通株に転換しても、一つの条件ですよというふうに言っておりまして、これは、金融再生プログラムにあるこういうガイドラインを変更しなくても、もう今の時点でこれは経営の大幅悪化ですよ。
 そうした場合、優先株を普通株に転換する、そして国が最大の株主になるということを、もう断行してもいいというふうに思うのでございます。
 そして、この金融再生プログラムの方にも、転換の要件、転換期限の到来、経営の大幅悪化など、諸条件に該当する場合は転換する方向で指針を整備すると書いてありますから、ぜひ、指針を整備されるのも結構ですけれども、いずれにしても、要件的にこういう三割ルールを二期連続破っているというのは転換の要件になって、近い将来転換をする、そういうようなお考えというのはないですか。
竹中国務大臣 今般の金融再生プログラムによって、委員御指摘のように、その転換のガイドラインとか、そういったことを、ガイドラインが非常にわかりやすい例でありますが、枠組みをしっかりと整えて、その上で厳正な行政を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
 同時にまた、ガバナンスを強化すること、そのために必要な金融上の行政をとっていくということでございますので、当面は、今そのための工程表をつくるという作業をしておりますので、その中でしっかりと問題意識を持って対応していきたいというふうに思っております。
長妻委員 では大臣、三割ルールが破られているというのも、これも一つのファクターとして見るということでよろしいのですか。
竹中国務大臣 その点に関しましては、基本的には、報告を徴求して、その上で健全化計画の履行状況を注視するというのが今の段階でございます。しかし、これまた金融再生プログラムにおいて、健全化計画の未達先については、その原因と程度に応じて必要性を判断して、行政処分を行うとともに、責任の明確化を含め厳正に対応するというふうなことを明記しておりますし、それが基本的な姿勢でございますので、今申し上げたような視点を考えながら、厳正な金融行政を行っていきたいというふうに思います。
長妻委員 次に、産業再生機構の異常に注目の高い点を塩川大臣にまずお尋ねをいたしまして、その後に、本日は担当副大臣でおられます内閣府の根本副大臣も来られておりますので、お二人にお尋ねをしたいと思うんですが、まず塩川大臣に、この産業再生機構というのは原則は損は出さない、こういう考えでよろしいのですか。
塩川国務大臣 再生機構が損を出さないということですか。(長妻委員「原則」と呼ぶ)原則は、再生機構はそういう判断をするところであって、判断に基づいて再生資金を出すか、あるいはまたその管理の形態をどうするかということは、それぞれの部門、セクションによって違ってくると思いますので、再生機構そのもので借金をしょっていくということは、私はないのではないかと思っております。
長妻委員 それは、ちょっとよくわからないんですが、銀行から債権を買い取る、そしてそこで再生をしてそれを売るわけですよね。そうしたとき損が出るということはあり得ない、ではRCCと同じ、絶対損を出さない、こういう考え方できちんと取り組むということでよろしいのですか。
塩川国務大臣 二次ロスはできるだけ出さぬように厳重に査定ということでございます。
長妻委員 今の御答弁というのは、一つ私は評価をしたい御答弁だというふうに思います。原則損を出さないというのは重要だと思います。
 そして、その財政の規模的に、例えば産業再生機構というのは十兆円程度の規模ではないかということが言われておりますけれども、そのぐらいの規模の資金量でよろしいのでございますか。大体の。
塩川国務大臣 これは、金融担当大臣の話だと思いますけれども、私の方としては、財務省としては、そのぐらいの資金は十分に用意しなければならぬだろうと思っております。
長妻委員 これは、担当は内閣府だというふうに聞いておりますので、塩川大臣が産業再生機構を積極的に推進されたということで、ちょっと、きょうお伺いしているんですが、あと二点だけ塩川大臣にお尋ねしますけれども、産業再生機構、非メーンからの債権を買い取るというような記述があることを見ると、何か大企業中心の産業再生機構なのではないかというふうな感じを受けるのでございますが、今焦点になっているのは、むしろ中小企業の再生が焦点になっていると思うんですが、この産業再生機構というのは中小企業中心でやるということでよろしいのでございますか。塩川大臣に。後で、後で聞きます。初め、塩川大臣に。
根本副大臣 その問題については、これからの具体的な詰めでありますが、大企業、中小企業、そこは限定しておりません。
長妻委員 大企業、またこういう仕組みをつくって、また救っていく仕組みが大企業は何重もやるというのはちょっと解せないのでございますけれども、中小企業中心じゃないわけですね、そうしたら。塩川大臣どう思われますか。
塩川国務大臣 私は、この再生機構に審議をかけて、そしてその債権の処理を急ぐということの対象となるのは、大企業を優先すべきだと思っております。何といっても、やはり株を上場し、そして毎日、証券の市場において株価が評価されておるという企業は、社会的公器と見なければなりません。その社会的公器である企業が依然として不良債権の処理の対象になって、それがまた金融のシステムを弱体化しているということは、やはりこれは国民の観点から見ても厳しく審査をする必要があるのではないか。
 したがいまして、再生機構に、まず銀行はそれを対象にして、提出すべき債権の種類は大企業をまず中心にしていくべきであって、中小企業の審査というものはまた中小企業の基準というものも必要でございましょうしいたしますので、近く再生機構の指針を決定するはずでございますが、その中においてはやはりそういう対象を明確にしたものを基準にしてもらいたいと私は願っております。
長妻委員 当初、この産業再生機構、存続が五年というような数字があって、私も、三年とかそういう期限を区切った方がいいと思うんですが、塩川大臣と根本副大臣にお尋ねしますけれども、存続期間というのはおおむね三年から五年というふうに見てよろしいのでございますか。
塩川国務大臣 その件につきまして、きょう、産業再生雇用戦略本部の初会合が行われまして、その中で各省が持ち寄って基本指針をつくろうということでございますが、その基本指針の中でこの戦略本部の存続期間を明記してもらいたい、期限を切ってもらいたいということを私から要望いたしました。けれども、各省の合議で決まることでございますから、必ずしもそのとおりになるかはわかりませんが、できれば私は三年とか五年とか区切って、戦略本部が強烈な活動をしてくれることを願っております。
根本副大臣 いずれにしても、機関の存続もこれからの具体的なテーマになりますが、この今回の産業再生機構は、金融再生と産業再生をあわせて一体的に、不良債権処理を含めてのスピードアップをしようということですから、産業再生のスピードアップというのは大きな眼目ですから、その意味では、その期間はおのずから私は決まってくると思います。
長妻委員 御担当の根本副大臣にもう一点お尋ねするんですが、私自身はこういう機構というかこういう役割を持った組織というのは必要だというふうに考えているんですが、ただ、何もこう大ぶろしきで新しい組織をつくらなくても、RCCがあるじゃないか。何か、RCCは評判が悪いというんですけれども、こういうことを組み入れればまた見方も変わってくるわけでありまして、RCCは、御記憶をたどっていただくと、昨年の十一月に企業再生本部というのをRCCの中に鳴り物入りでつくっているわけです。
 きのう、実はRCCの方とも話しましたけれども、本当に一生懸命、おれたちは生きがいに燃えてやっているんだ、全国四十三カ所の拠点も今RCCがあって、小さい中小企業まで全部網羅するような体制ができて、実績としてこのたった一年で八十七件、再生をもう実施している、それも、その債権というのは債務者が破綻懸念先、それを買い取って、そういう非常に難しいところでも八十七件再生を実施しているんですね。
 そういう意味では、RCCを要管理以下も買うような仕組みにして、そして人、物、金を拡充していけば、十分私はできると。
 そしてもう一つ気になるのは、このネーミングですけれども、産業再生機構というのは私はおこがましいと思うんですね。政府が産業の構造を変えて、何か産業を持ち上げていくという、城山三郎さんの小説で「官僚たちの夏」というのを私も愛読しましたけれども、あの当時の、産業を国が全部再編していくという発想にダブって見えてしようがないのですけれども、私は、産業再生機構じゃなくて、もし名前をつけるんだったら、企業再生準備機構、こういうものであるべきだと。
 そして、RCCにある意味では再生をする企業の債権をまとめる。例えば十個ぐらいの、十機関ぐらいの金融機関から金を借りている債務者がいる、それがやはり再生するときにいろいろな債務者の債権をまとめなきゃいけない、金融機関の債権をまとめなきゃいけない、これはやはりRCCに企業再生準備機構みたいな役割を持たせてまとめていく。
 あるいは、親会社が子会社をなかなか手放さない。子会社というのは親会社にとって便利な存在で、連結でも上乗せできるし、余剰人員が出たら子会社に飛ばす、こういうような発想を持っている親会社の方もおられるわけで、子会社をなかなか手放さないところを、きちんとしたそういう公的なところが、子会社を手放すような形で債権を買う、そして企業のいい部分を切り出していくというような措置をして、速やかに市場に売る。ここが重要だと思うんですね。抱えないで、すぐ市場に売る、そういうような役割。ですから、再生をするのじゃなくて、あくまで再生の準備をする。その産業をいじるなんておこがましい、政府が考えるべきことじゃないと思うんですけれども。
 そういうような役割をRCCに持たせて限定的にやるということに関して、RCCとの業務の切り分けも含めて、根本副大臣の御見解を。
    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕
根本副大臣 確かに、おっしゃるように、RCCに昨年、企業再生部門もつくりました。ただ、確かにRCCもそういう機能を持っておりますが、RCCの場合は破綻懸念先以下で対応していますし、今回の場合は、むしろ不良債権処理による金融再生、産業再生一体処理、企業再生、産業再生をよりスピードアップしてやろう、金融機関の不良債権処理の加速にあわせて産業再生もスピードアップしようという大きな政策目的で、RCCとは別に、産業再生に特化した、企業再生を中心に、あわせて産業再生も図れるような機構を国としてつくろう、こういうことで創設したものであります。
 具体的な内容はこれから、今長妻先生いろいろ、私も処理の内容については同感するところもありますが、具体的な内容についてはこれから詰めていきたいと思います。
長妻委員 今のような御答弁の内容であるとすれば、非常に私は、こういうことを、水を差すようなことで申しわけないんですが、この組織というのはうまくいかないというふうに思っておりまして、泥沼に、ぬかるみにはまって、非常に巨額の税金がどんどんつぎ込まれてしまう、こういう非常に大きな問題を発生するということを私は予想するということをここで申し上げて、RCCの機能拡充でぜひ対応してほしいということを再度申し上げます。
 竹中大臣に今の関連で一点ですけれども、私の発想は、一時的に持って、売りやすくして、すぐ市場に売っていくということが必要だと。買い手というのは、国内にも企業再生ファンド、民間のものが今かなり多く出ています。民間サービサーもいっぱい出ています。その中で、当然外資もありますけれども、今、言葉としてハゲタカファンドという言葉が何か出ておりまして、私は全部が全部ハゲタカファンドとは思わないんですけれども、竹中大臣、そういうハゲタカファンドというものは、これは、やはり外資は全部ハゲタカファンドで、悪いんですか、全部。
竹中国務大臣 ハゲタカというのは何を意味しているのかということなのだと思いますが、基本的には、非常に弱みにつけ込んで荒っぽい商売をして、いわば暴利を得ているというような、そういうイメージなのだと思います。
 基本的には、国内の資本、海外の資本を問わず、経営資源を持っているところでしっかりと立て直してもらうということが重要だと思いますし、その際、日本が持っている資本量、資金量ないしは経営ノウハウからしても、そういう国内の経営資源が活用される余地というのは、私は、この点は極めて大きいというふうに思っております。
 委員御指摘のように、基本的には、民間のサービサーがどんどん育っていて、これは再生ですから、民間のノウハウも必要だし、民間として、これはビジネスチャンスにも間違いなくなるわけであります。そこで、あえて政府が再生機構というものをつくって、これはもちろん政府だけでやるのではないと思います、民間から非常に多くの資源を導入することになりますが、それをつくってあえてやるというその必要性は、やはり現状が非常に厳しい状況であるということと、一つ公的な部分が核になって、いろいろな資源を活用できるようにするという点にあるのだと思います。
 したがって、今、準備機構ではないかという御発言もありましたが、例えば途中までめどをつけて、さらには外部にということも、私は当然理屈の上では出てくるというふうに思いますし、そこは、国が丸抱えして何かやるというようなものには絶対してはいけないと思っております。その意味では、今の委員の御指摘は重要なポイントであろうかと思います。(長妻委員「ハゲタカファンドの話は」と呼ぶ)
 先ほど申し上げましたように、ハゲタカというのは、そういうふうに暴利をむさぼるというようなイメージでとらえられているのであれば、私は、そんな商売は長続きしないと思いますし、やはりそこに経営ノウハウ、経営資源をきっちりとやっていって、それで再生していただくということが重要でありますから、ある局限的な状況でそういう暴利をむさぼるということは確かにあるのかもしれませんけれども、そういうことにとらわれずに、やはり着実に経営資源を投入して、着実に再生していくような仕組みをぜひつくりたいと思っております。
長妻委員 では、ちょっともう一回。外資のファンドは、全部ハゲタカファンドなんですか。何%ぐらいハゲタカなんですか。どういう感覚なんですか。
竹中国務大臣 外資というのもいろいろな外資がございますでしょうし、それと、ハゲタカというのは、少なくともイメージされるところは、さっき言ったように、非常に何か局限的な、弱みにつけ込んで非常に荒っぽい商売をして、食い荒らして暴利をむさぼるということでしょうから、それは、そういうところというのは内外を問わずあり得るのだと思います。
 しかし、繰り返し言いますが、そういうものは継続的に商売をやっていくことはできないと私は思いますので、健全な例えばサービサー、健全な再生機構ができることによって、そういう極端な例をむしろ淘汰していくということが重要なのではないのでしょうか。
長妻委員 次に話題を移りますけれども、金融再生プログラムの中に、ディスカウント・キャッシュフローという引き当ての手法がある。要管理の大口債務者に適用するということでありますけれども、これは、ちまたで言われているように、来年の三月期からの導入、適用ということで間違いないのですか。
竹中国務大臣 これは、ディスカウント・キャッシュフローのみならず、資産の査定に関する部分というのはもちろん言うまでもなく決算で行うわけでありますが、一番近い決算は、基本的には、若干のずれはあるかもしれませんが、来年の三月期、この来年の三月期にはぜひともやっていただかないと、十六年度に不良債権問題を終結させるということは困難になると思います。ですから、ぜひともやっていただく方向で検討を進めます。
 具体的に、このディスカウント・キャッシュフローにつきましては、きょう、公認会計士協会の方に、金融庁として正式にこういった手法の依頼を行う予定にしております。
長妻委員 そうすると、大口債務者の銀行間の債務者区分の統一、これも同じでよろしいんですね、来年の三月期と。
竹中国務大臣 この問題について、まだ金融庁は具体的にアクションを起こしているわけではありませんが、今、工程表をつくっております。
 私としては、先ほど申し上げたように、資産の査定については来年の春の決算期でぜひとも実現できるような方向で努力をいたします。
    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕
長妻委員 そして、もう一つ。これもいろいろ話題になっております繰り延べ税効果ということでありますけれども、繰り延べ税資産の見直しというのをいつやるか、こういうようなことの期限が金融再生プログラムには入っていないわけでありますけれども、工程表にはきちんと期限はいつかと、いつ繰り延べ税資産の算入見直しというのをするかというのは、工程表には期限を必ず入れるということで、これはよろしいんですか。
竹中国務大臣 再生プログラムには、その部分に関しては、その上限の問題も含めて速やかに検討するというふうになっています。したがって、工程表には、どういう仕組みでどういう枠組みで、枠組みといいますのは、委員会とかそういう形で検討をしていくのか、その検討した結論は、検討期間はどのぐらいにするのか、そういうことははっきりと書かなければいけないと思っております。
長妻委員 検討期間を書く、実施期間は書かないんですか。
竹中国務大臣 まさにその問題を検討してもらうわけであります。
長妻委員 今の御答弁を聞いていると、私は本当に、金融庁といいますか竹中大臣が、銀行の風評リスクを非常に増大させているのではないかというふうに思うんですね。
 銀行に対して、私も同感ですよ、繰り延べ税効果というのは過大にティア1に入り過ぎている、これはもう私も同感です。でも、本当は、それが同感であればすぐに、間髪を入れずそれを是正していく、是正していく期限を切って、国民の皆さんに明示していく。
 ところが大臣は、税効果会計が過大に入り過ぎているというふうな指摘をしたまま、ある意味では、今までは柳澤大臣は指摘しなかったところが、今度大臣がかわって、それはちょっとおかしいんじゃないのかと市場にも世間にもアナウンスをした。そうしたら、これは間髪を入れず実施しなければいけないにもかかわらず、いや、ああでもない、こうでもないというお話になっているということは、銀行の立場に立つと、私は全然銀行を擁護するものではありませんけれども、銀行の立場に立つと、自分たちの計算がいいかげんだと指摘された、では何か役所が手を打つかというと、何にも打たないで、ずっと言いっ放しになっている。ある意味では、これは言葉がきついかもしれないですけれども、風説の流布みたいな話を大臣がやっているというふうに感じられても、これは仕方がない話だと思うんですね。
 即実行する、即実行するのがだめであれば、何月期からこれはやりますよという期限を明示しないで、今のお話でも、検討検討ばかり言っていたら、これは風評リスクがどんどんどんどん拡大すると思うんですが、いかがですか。
竹中国務大臣 その点に関しては、少しやはり見解が違うと思います。
 先ほどから申し上げましたように、例えば資産の査定でありますとかガバナンスの強化でありますとか、これは恐らく、少なくとも金融問題の専門家の間では比較的合意があるところで、そうした問題に関しては、例えば資産の査定は来年の決算期、速やかにやっていくということ、これはかなりきっちりとこのプログラムの中では議論をしたつもりでございます。
 ところが、この繰り延べ税金資産につきましては、前回もここでいろいろな議論をさせていただいたと思いますが、一体どのようなやり方をとるのが一番すぐれたやり方かということに関して、なかなか専門家の間で合意はないと私は思います。すぐやれという長妻委員のお考えは、それはそれで一つのお考え方として、一つの整合的な考え方として理解はできますけれども、そうすると、今までの税制との関係はどうなるんだ、それと継続性の問題はどうなるんだ、やはりそれはそれで非常に大きな問題が出てくるのだと思っております。
 であるから、この問題については、税制の問題、これは税制に関しては税制改正を要望するわけです。それで会計基準の問題、会計基準は厳正に適用してくださいというふうにそのプログラムの中でも書いている。かつ、BIS基準に関しては、三つの制度が複雑に絡まっておりますから、だから議論をしましょうということを言っているわけでありまして、これは、今すぐどの方法を何かとるかによって、むしろそれによる問題点というのが出てくるというふうに判断をしまして、それで、関係者によって幅広くこの問題を議論していくということを言っているわけでございますので、ほかの、資産査定の問題等々と、かなり問題の広がり、深みが違うというふうに私は認識しております。
 いずれにしましても、速やかに結論を出すようには努力をするつもりでございます。
長妻委員 今、税金のお話もありましたけれども、金融庁が銀行の税金に関して九・五兆円の減税要求を財務省にしたと。ちょっとどうなのか、耳を疑うような要求を。金融庁もとうとう銀行の応援団にまたなってしまったのかなと。ある意味では、責任を問わずに公的資金というか税金を入れると同じ効果はあるわけでありますので。
 こういう要求をするときに、そうしたら、繰り延べ税効果はきちんと期限を切って見直すということとセットで要求するなら、まだ百歩譲ってわかりますけれども、九・五兆円、銀行に減税しろ、こういうふうに横におられる財務大臣に竹中大臣が要求をしているわけでありますけれども、これは、大臣、ちょっとおかしいと思いませんか、セットでないと。
竹中国務大臣 これは、私はセットにするということはむしろ問題があると思っております。
 先ほど言いましたように、今後、この制度は税の問題、企業会計の問題、BIS基準の問題、ある意味でそれぞれ独立した目的を持った制度が複雑に絡み合っている。これをもしセットにしたら、一つの問題が解決するまでもう一つの問題には手をつけられないということになってしまう。
 私は、むしろこの問題は、税の問題は税の問題としてこういう問題がある、その一つ一つをきちっと議論していくということが、問題解決の一番のストレートな方策であるというふうに思っております。
長妻委員 いずれにしましても、今の銀行の現状で九・五兆円、銀行に税金をまけてやれ、こういうことを今の時期に財務大臣に竹中大臣が言うというのは、ちょっとこれは常識外れじゃないかというふうに感じております。
 そしてもう一つは、先日私が配りました……(発言する者あり)では、事実関係。この九・五兆円の減税要求をされましたか。
竹中国務大臣 そのように要求をいたしました。
長妻委員 まあ、常識外れだということを申し上げておきます。
 そして、これは先日、私がこの委員会で、竹中さんは怪文書と言いましたけれども、竹中さんの中間報告の紙をお配りしたところ、竹中大臣は答弁で、「お配りいただいている資料は、これは私がつくったものでも、金融庁のものでもないと認識しております。これはまあ、出所はよくわかりません。」と、事実上、怪文書ということを言っているわけでありますけれども、私、何でこういうことを言うかというと、国家としての意思決定がゆがめられたというふうに感じておりまして、特に株価に影響のある金融ですから、そこでこの問題を取り上げているわけですけれども。
 そうしたところ、十月三十日に正式な金融庁の金融再生プログラム、この正式な文書が出てきました。これはもう本当に正式ですね、正真正銘の。ところが、これ、中を見てみると、一字一句ほとんど変わらないんですよ、この怪文書と。一字一句ほとんど変わらないんですよ、ほとんどが。先延ばししているところは変わっていますよ。字体は変わっていますけれども。
 私ちょっと、ちょちょっと黄色いラインマーカーで線を引きましたけれども、この線を黄色いマーカーで引いたところは一字一句ですよ、一字一句ですよ、点も句読点も含めて全く同じなんですよ、ほとんど同じなんですよ。ということは、だれかがこの怪文書をどこかから入手して、これはすばらしい怪文書だということで、一字一句同じようにここに書いたと。
 大臣、これは虚偽答弁じゃないですかね。虚偽答弁なら謝罪していただきたいと思うんですが、今私が言った、この事実は、ではどういうふうに弁明されますか。
竹中国務大臣 これは、文章を一字一句私は点検をしておりませんけれども、これはぱっと見て、中身も構成も全く違うものなのではないのでしょうか。パーツにおいてそうかという御指摘かもしれませんが、これはやはり違うものであるというふうにぜひ御認識をいただきたいと思います。
長妻委員 では、これはもう質問できません、全く一緒ですから。これを見てください。こんないいかげんな。一字一句同じですから、黄色いマーカーの。(発言する者あり)
小坂委員長 長妻君、質問趣旨をもう一度明確にしてください。(発言する者あり)質問の内容をもう一度明確にしてください。
長妻委員 では、これは一回だけ言いますけれども、竹中大臣が事実上の怪文書だと言われた中間報告のペーパーがあります。そして、正式な十月三十日に出た金融庁のペーパーがあります。それぞれ二つを私が短時間の間見比べただけでも、ほとんどの箇所が一字一句変わらない記述がある。黄色いラインマーカーを引いた部分が全く一字一句変わらない部分であります。
 ということは、竹中大臣が本委員会でさきに私が配った竹中中間ペーパーというのを、「これは私がつくったものでも、金融庁のものでもないと認識しております。これはまあ、出所はよくわかりません。」事実上、怪文書だと言った答弁というのは、これを撤回をいただきたい、こういうことを言っているんです。
竹中国務大臣 これは、その先日お配りいただいたものは、正式の文章でも金融庁の文章でもございませんし、金融庁として決定したものでもございませんし、私がどうこうしたというものでもない。その意味で、私の名前で出ているということですから、これはやはり私のあずかり知らない怪文書でありますというふうに申し上げたわけでございます。
 これはパーツパーツがよく似ているということなのかもしれませんが、これはずっといろいろな議論を事務局で蓄積しております。その事務局で蓄積していたものの中の一部が組み合わされて出たものなのかどうなのか、これは私の知る由はございませんが。
 繰り返し申し上げますけれども、これは正式のもの、これだけが私たちが作成したものでございます。(発言する者あり)
長妻委員 ちょっと、質問できません。同じですから。見てください、これ。いや、認めちゃえばいいんですよ、本当に。だって、日本の国家の意思決定がこんないいかげんなことで……。一字一句、句読点も全く一緒ですよ、これ。どこかワープロに入っている人が、字体だけ変えてやった……。
竹中国務大臣 もう一度申し上げますけれども、これはプロジェクトチームの方々ないしは金融庁のメンバー、いろいろな方々の御意見を集約する形で最終的な文章をつくっております。その途中、私の名前で出たものについては、そういうものが部分的に入っているという御指摘なのかもしれませんが、これは、しかし、だからといってそのさきの文章を私がつくったということではこれは全くなくて、繰り返し言いますが、いろいろな方々の御意見を集約する形でこの最終的な報告書ができているという点、それが唯一の正式の報告書であるという点をぜひ御理解いただきたいと思います。
長妻委員 今みたいないいかげんな答弁だと、これはややこしくなりますよ、そういういいかげんな答弁をされていると。
 というのは、この文章をどなたかがつくった、怪文書ですね、言われた怪文書。ところが、この正式文章もどなたかがつくった。そのつくられた方というのは、同一人物の可能性もありましょうし、同一人物じゃなくても、非常に中の状況をよくわかっている方ですよ。タイムマシンで戻らない限り同じものというのは書けないですから、よくわかっている内部の方ですよ。そういう方が、大臣のここで言っていることが本当であれば、大臣の名前をかたって途中の資料を外に漏えいした、こういうことになるんですよ。大ごとになりますよ。
 大臣が、自分がつくったんじゃないかもしれませんけれども、こういう文章はちゃんと認知していたと、中間ペーパーを。そういうふうに今ここで答弁を修正されればいいわけですよ。
竹中国務大臣 議論の過程では、自薦、他薦を含めてさまざまな御提案のようなものがございました。その一つ一つを私、記憶はしておりませんけれども、少なくともそういうものを私は認知しておりませんでしたし、最後に出されたものが唯一、責任を持って金融庁、私たちでつくったものでございます。
長妻委員 質問できません。答えていない。
小坂委員長 委員長としては、ただいまの答弁は、本人の名前に基づく資料が前回、以前に提示をされまして、それは本人が書いたものではないと答弁しておりますので、長妻委員の御質問の趣旨に答弁をしていると考えられますが。
 質問を続行してください。長妻君。
長妻委員 そうしたら、なぜ一緒の、一字一句変わらない、ほとんど一字一句変わらない二つの文章なんですか。その理由を説明してください。
竹中国務大臣 私が作成していないものがどうしてこう書かれているのかということに関して、私としては説明のしようがございませんが、想像するに、先ほど申し上げましたように、いろいろな御意見がありますと。それを例えばどなたかが寄せ集めてつくったのか、それはちょっと、その先は私にはわかりません。
 繰り返し言いますが、私が作成しましたのは、その発表させていただいた金融再生プログラムでございます。
長妻委員 そうしたら、大臣が作成したわけですよね、この正しい十月三十日のものは。それはどうやってこの文章と同じような内容になっちゃったんですか、なぜ。
竹中国務大臣 繰り返し言いますが、自分がつくっていないものがどうしてできたかというのは、ちょっと答えようがございません。最終的な文章というのは、まあ事務局、これは事務局長は副大臣が管理したわけでございますけれども、もちろん、自分でつくったといっても、自分でワープロを打ったわけではございませんから、事務局でその作成をさせまして、もちろん手直しをして、最終的に金融庁の正式の報告とさせていただいたということでございます。
長妻委員 余り本当にいいかげんな答弁をしていると状況がいろいろややこしくなると思うんですよね。
 私がこういう話をなぜ申し上げているかというと、小さい話じゃないんですよ、これ。全然小さい話じゃありません。大学のレポートを、だれかが同じレポートが、似たようなのが出てきた、そういう話じゃなくて、金融の最高責任者、金融の最高責任者が、中間ペーパーというような形で外にどんどん情報が出て、株価が乱高下したわけですよ。
 これは、こういう国家意思の決定の手法自体に非常に重大な問題があるということでここで質問しているわけでありまして、じゃ、大臣の言うことが、私はいいかげんな答弁だというふうに思いますけれども、仮に大臣のここで言ったことが本当であれば、大臣の非常に中枢部分、金融庁の中枢部分に、平気で情報を漏らすような形の情報漏えいがあるということでありますから、それは、じゃ、どういう部分でどういうふうになったのか、そういうのをきちんと調査するんですか。大臣が、いや、知っていたよというのを認めれば、そこで済む話なんですけれども、ちゃんと調査するんですか。そういうふうに話が大きくなるんですよ。
竹中国務大臣 私の名前で、そういう形で文章がどこからか出ているというのは、それはそれで大変遺憾なことであるというふうに思っております。
 この金融庁の中に関しては、しっかりとその情報の管理をしておりますけれども、情報の管理、情報の漏れがないように、引き続ききちっと指導をしていきたいと思います。
長妻委員 これは逆にうがった見方をすると、竹中案をつぶすために外に漏らした、こういう可能性もあるわけですよ。だから、この情報漏えいは、だれがどういう状況で情報が漏れたのか調査をする、これは当たり前だと思います、国家ですから。よろしくお願いします。
竹中国務大臣 私の案と称するものが出されていろいろな社会的な混乱を起こしたということは、これは私自身、私自身が最も遺憾に思っております。今委員言われたように、それがどういう意図を持ってなされたのかということも、私なりにいろいろ思うところはございます。しかし、これ、調査する云々、どこから出たかわからないものでありますから、ちょっと調査のしようがないのだと思っております。
 繰り返し言いますが、金融庁の内部からはそういうことがないように、引き続きしっかりと指導監督していきたいと思っております。
長妻委員 調査するまで質問できませんよ、調査するまで。常識的に調査するのだから。こんな、重大問題ですよ。金融庁の名前かたって、大臣の名前かたって怪文書をばらまいているんですから。株が下がっているんですよ、これ。国家の意思決定の問題だよ、国家の意思決定の。
小坂委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
小坂委員長 速記を起こしてください。
 長妻委員に申し上げます。本件は、理事会で協議をさせていただきます。質問を続行してください。
長妻委員 では、ぜひ調査をお命じになっていただきたい。これは、本当に国家、日本の国の威信にもかかわることだと思いますよ。これは本当にそう思います。金融という問題は風評リスクに非常に敏感に反応する市場で、SECとか、日本はなかなか証券の経済犯罪に対して甘いと言われております。そういうことも含めて、ぜひ調査をお願いいたします。
 そして、最後に一点だけ質問でありますけれども、今、貸し渋りとか貸しはがし、これの定義といいますか、その中身はどういうものなのかということがいろいろ議論になっておりまして、私自身も、自分の目で、足で見て、貸し渋りがあるということは見ておりますけれども、ぜひ金融庁として、アンケートでも結構ですので、調査をしていただきたいんです。
 どういう調査かといいますと、これは、債務者区分が正常先、あるいは債務者区分が要注意先、要管理は除く要注意、こういうような貸しても問題のないような債務者区分のところに対して、貸し渋りや貸しはがし、契約のロールオーバーがもうなされないとか、そういうものがどの程度あるのかというのを金融機関に査定区分を聞いて、そして、その査定区分の中小企業にアンケートをする。これは金融庁以外できませんので、ぜひそういう調査をするかしないか、お願いします。こっちの調査は本当にぜひ、こちらも。
竹中国務大臣 これは、非常に個別の案件の積み重ねですから、問題は重要でありますけれども、具体的な調査の方法と言われてもなかなか難しいのだと思います。
 現実には、今、ホットラインでモニタリングを始めました。そのモニタリングに応じて、必要な場合は検査もするということでございますから、当面、そのような中で、これは調査ではなくて検査等々含む問題になるかと思いますが、今始めた制度を着実に動かすことによって、委員おっしゃるような実態の把握に努めていきたいというふうに思います。
長妻委員 では、ぜひこの委員会でお話ししたことはすべて実行に移していただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、小林憲司君。
小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。
 本日は、当面のデフレ対策と今般提出されました預金保険法等改正案について、質問させていただきます。
 まず、質問に入る前でございますが、今の長妻委員の中にありました、私もかつて海外の金融機関で働いておりました。日本では余りなじみはないかもしれませんが、マネーブローカーと言われて、インターバンク間の金利スワップとか為替とかそういうことをやっておったんですが、その中で一番初めに習ったのが、金融とはどういうことであるか。これはいろいろあるんですが、信頼性ですとか、戦略性ですとか、また、プロフェッショナリティーといいますか、専門性というものがあると思うんです。
 今ありましたように、こういういろいろな内部のものが出たり、国の決定というものがどうなっているか、本当に不安をかき立てるようなものが出るということが、これは私は、大臣や政府が云々ということではなくて、まず日本のシステム自体の問題である。これでは世界の中でこれから戦っていけない。まずは、金融というものは一体どういうものであるかということを、財務省の皆さん、金融庁の皆さん、ぜひとも真剣に考えて取り組んでいただきたいと思っております。
 日本経済は、二〇〇〇年後半以降、アメリカ経済が急速に減速する中で、輸出の急減をきっかけに悪化を続けてきたと言えると思います。昨年を通じて、生産は大幅に減少し、失業率も御案内のとおり史上最高を更新しております。その後、アメリカの景気回復による輸出の増加や、国内における在庫調整の進展、生産の増加などプラスの動きも見られましたが、物価の下落は引き続き起こっておると思いますし、我が国経済は、力強さを欠いた状況というのが現状の日本経済のありようではないかと思います。
 最近の状況を見ると、企業倒産件数、失業率、各委員の皆さんがいつも質問でおっしゃるとおり、引き続き高水準を推移している上に、輸出や生産の動向にも陰りが見え始めているわけであります。また、物価は相変わらず下落を続けておるわけでありますので、デフレは一向に改善の気配を示してはいないということで大臣もお考えだ、きょうもそのような答弁がございました。
 こうした経済情勢に市場は厳しい評価を下しているわけでございまして、実に、けさも、幾らでしたか、バブル崩壊後最安値をつけているわけですね。九時半くらいの段階でつけている。
 日本経済の現状については、最近では八千円台での推移ということでございますけれども、現状は、私が今申し上げたことは十分に大臣も各委員の皆さんも御存じだと思います。デフレが今ますます進行しているのではないかと私は思うのですが、今、現状、進行しているというお考えはございますでしょうか。竹中大臣、お願いします。
竹中国務大臣 まず、冒頭に御指摘になりました、金融の基礎は信頼、まさにコンフィデンスであって、日本社会全体が深刻に受けとめなければいけない、全くそのとおりだと思っております。我々でできることに関して、一生懸命努力をしたいと思っているところであります。
 お尋ねのデフレでありますが、日本の経済は、実物経済といいますか、例えば実質的な成長率で見ますと、予想を下回っているわけでは決してない。先般のアメリカの成長率も、予想よりもむしろ高かった。世界じゅうの実物経済が著しく悪化しているわけではない。にもかかわらず、特に日本の場合は、実質GDPは少しふえても名目GDPは減っているという意味で、デフレが予想より、私たちが一年前に想定したより深刻に進行しているという点は、御指摘のとおりであるというふうに思っております。
 今般、金融システムの改革、総合対応策等々の作成に当たりましても、デフレが進行している、このデフレと不良債権の悪循環を絶って総合的な対応策が必要であるという点に特に配慮をして政策を議論したつもりでございます。
小林(憲)委員 今、大臣からもお触れになられました、世界経済とおっしゃられた、その中のアメリカの動向でございますけれども、日本の経済には大きな影響を与えるアメリカ経済でございます。
 アメリカ経済は、九〇年代に長期にわたり成長を続けてきたわけですが、二〇〇〇年の初めにITバブルというものの崩壊ということで景気が後退に陥った。その後、ことし初めごろから景気は回復に向かっていたと思われたのでありますが、このところ、回復が緩やかになってきている。中央銀行も、先日、六日には利下げに踏み切るなど、景気動向を大変憂慮していると思われるわけでございます。
 また、やや中長期的な観点から見ますと、経常収支赤字が拡大を続ける中で、景気の悪化から財政収支も赤字に転じており、八〇年代のようないわゆる双子の赤字と言われたものに陥る可能性も懸念されているわけであります。
 このように、アメリカ経済自体も多くの課題を抱えているわけでありまして、決して日本だけが、本当に今、悪い悪いと言われて、余りにも世界の中で落ちこぼれのように言われておりますが、実際は、大国でありますアメリカにおいても一歩間違えればとんでもないことになってしまう、そういう状況が今の全世界の経済状態であると私は思うのです。
 このようにアメリカ経済の多くの課題が、決して日本経済と比べていいとか悪いとかということではないんですが、大臣は、アメリカ経済、大変お詳しいと思うんですけれども、今後の見通しについて、これは大変日本にとっても大きなパートナーですので、どのようにお考えでしょうか、お教えください。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、世界経済全体が、とりわけその牽引力となってきたアメリカ経済が、今非常に大きなリスクに直面しているというふうに思っています。
 具体的に、最近は個人消費の伸びが鈍化し、生産が減少するというような傾向が出ています。したがって、景気の回復力は弱まっているというような状況にあるのだと思っております。そうした中で、とりわけ消費者の信頼感指数のような、まさに先ほど言ったコンフィデンスが弱まりつつあるのではないかという点が大変大きな問題であると認識をしています。
 実は今、アメリカは、ある意味で予想も超えるような財政拡大を結果的には行っております。基本的には減税策、さらにはそれの前倒しでありますけれども、アメリカは、実は、政治的にといいますか安全保障の面では、軍事行動に伴う大きなリスクを今抱えようとしているのではないか、経済面では財政赤字が拡大していくという、その双子の赤字の懸念があるのではないかというようなリスクを抱えている。
 その中で、繰り返し言いますが、実物経済は意外と悪くなっていないし、ブルーチップスの予測などを見てもそんなに悪い数字は出ていないのでありますけれども、経済統計が示す以上にやはりそのリスクの要因というのをしっかりと考えなければいけない、そういう状況になっているというふうに認識をしています。
小林(憲)委員 今お話ありましたように、先行きは非常に不透明である、日本にもそれは言えることではないかと私は思います。
 今日本経済が陥っている状況を見ますと、国民が経済の先行きに対して大きな不安を感じている。これはもう随分この委員会でも取り上げられたことではございますが、構造改革という言葉を聞くと、国民の皆さんはもう、血も凍るような恐ろしさを感じる。これはなぜかといいますと、その内容が実はしっかりと理解されていないんじゃないかと私は思うんです。構造改革を進めていくことは、すなわち不安感を増幅させるようなものである、そういう認識が何か今覆っているような感じがするんです。
 その不安ばかりがクローズアップされているんですが、政府が、実際にはこの構造改革が明るい未来をもたらすものであり、そして経済社会の将来像を明確に国民の前に示すものであるということをしっかり行えば、構造改革が行われれば日本の経済社会はよくなるだろうという、国民を安心させることにもつながる。逆のこともできるわけでございます。
 ですので、ぜひとも、長期的ビジョンを提示すべきときが今ではないかと思いますので、その長期的ビジョンを提示しながら、この構造改革というものの中身もわかりやすく、先ほど言いました、金融というものの中にはわかりやすさというのも入っていると思います。ぜひとも、そういうことを前提にして竹中大臣のプランというものを考慮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 御指摘いただいた点は大変重要な問題であるというふうに、かねてより認識をしています。
 構造改革を進めるというふうに言いますと、不安だという御指摘があります。しかし、そのときに必ず申し上げるのですが、では、何もしないでいれば、構造改革をしないでいると不安はないのか。やはりそれはそうではなくて、このままでやっていけるのかという、むしろ非常に強い不安が当然あるわけであります。
 我々としては、政府として示せる範囲でのビジョンというのはしっかりと示したい。その意味で、ことし一月に「改革と展望」というのを出しまして、これは財政とマクロ経済を整合的に一体化したビジョンとしては、日本の政府としては初めて出すものであるというふうに認識をしております。これまで、マクロ経済は経済企画庁、財政は大蔵省、その間の整合性はなかったわけですが、今回、一月にそういうものを出して、きちっとそういった中長期のビジョンを見ていただけるようにはしたつもりでございます。
 当面は、二、三年は集中調整期間として低い成長を覚悟しなければいけないけれども、その先には本来の成長力が返ってくるというシナリオ。さらには、これは毎年毎年見直す、ローリングをするということにしておりますので、もうまさにその季節を迎えておりますので、御指摘のような点も踏まえて、わかりやすいマクロのビジョンは示したいと思っております。
 一方で、国民生活に直結した部分に関しては内閣府の国民生活局から、構造改革と国民生活といったような形で、一体、今起こっている政策の変化というのは身近に何をもたらすのかというようなことに関して、かなり詳細なわかりやすい一般向けパンフレット、小冊子等もつくりまして、これはこれでかなり御利用いただいているというふうに思っています。しかし、まだその努力はもっともっと必要だということだと思います。
 加えて、その生活のビジョンを議論するために未来生活懇談会というのを、これは官房長官と私がヘッドになってつくっておりまして、そういった未来の生活のビジョン等々についても年内を目途に取りまとめをしたいと思います。
 こうした努力はしているのでありますけれども、これはまだまだ行き渡っていないという点は事実だと思いますので、さらに努力をしたいと思っております。
小林(憲)委員 今お話をお伺いしまして、私も勉強不足などありますが、何か大臣の、こういう時代の大臣をやられているという大変さでしょうが、こてんぱんにいつも言われているわけですが、そういう非常にいろいろなことをやっているんだよということを、もっと大臣そういうことを、今聞いて、ああ、なるほどなということもありますので、ぜひ、そういうこともやっているんだということを力強く言っていただくような会見をしていただくと、国民が安心していくのではないかなと私は思います。
 以上のように、内外の経済情勢はこんな状況にあるという認識を踏まえまして、いつも私、塩川財務大臣と為替の話をするのが、委員会で質問させていただくとき大変あれですけれども、きょうも朝からコメントを出されまして、ファンダメンタルズの問題ではなくて動きが不自然であるということを強調されて、さらに円高が進むときには対策を考えないといけないと述べ、政府、日銀による円売り介入などの可能性を、まあちょっとこれは勝手に記者が書いているんでしょうね、おっしゃったということですが、為替と税制について何を今しなければいけないかということを、ぜひ大臣のお話をお伺いしたいと思うんです。
 まず為替についてですが、現在、財政は既に、GDPの比率でいきますと一四〇%という巨額の長期債務残高を抱えておりまして、これ以上の財政悪化は、国民の将来に対する不透明感を増幅し、消費を抑制するものである、そういう懸念があるんではないかと私は思います。金融の方もさらなる緩和策がぜひ必要と思いますが、既にゼロ金利では、これは限界が来ているのではないかとも思います。
 こうした手詰まり感の中で政府に残された政策手段として、為替政策の重要性が高まっていると考えます。すなわち、為替を円安に誘導すれば、景気の牽引役である輸出企業の業績は改善するし、輸入物価の上昇を通じてデフレ克服にも資するのではないかと思われます。また、財務省が本気でデフレ対策に乗り出したんだよというアナウンスメントをしたら、このアナウンスメント効果というのは絶大であると私は考えます。
 その場合、翻って、足元の為替市場の動向を見ますと、最近は百二十円台と、確かに百十五円台といったような異常な水準からは改善してきておりましたが、我が国の厳しい経済情勢、これから不良債権処理というデフレ圧力をかなり受けるということが考えられる行為をするわけですし、まだまだ円高過ぎるというふうに今の状況では思われるのです。特に、昨週、アメリカの雇用統計、弱い指標や米金利の利下げを受けて、ドル安傾向が本物だなというようにマーケットが受け取られているということは、これは見逃せないわけでございます。
 したがって、私といたしましては、ぜひとも為替政策をフルに動員して円安に誘導していく、そしてデフレを克服していくということがまずは為替のことに関しましては考えられる対策ではないかと思いますが、財務大臣はどのようにお考えでしょうか。
塩川国務大臣 小林さんは非常にグローバルな経済に強いと思うていまして、先ほどもおっしゃっていましたね、日本だけが悪いんじゃない、アメリカも、世界全体が景気の中で悩んでおるとおっしゃった、そのとおりだと思っておりまして、その一つがやはり為替にも出てきておるように私は思うんです。
 私は、日本の現在の為替のポジションというものは少し円高になっているんじゃないかという感じは、正直持っております。といって、先ほどお話ございましたように、これはやはりアメリカもドル高、ドル安というものに非常な関心を持っておりますから、これは一波万波で双方に心理的な影響を与えてもいかぬと思うのでございますけれども、もって思うに、この二週間足らずの間に日本の為替が六円も変動してくるということは、これはやはりちょっと急激な変化じゃないかと私は思うております。
 きょうも記者会見で申したんですけれども、このような動き、この加速が続くというならば、ここで我々としてもある程度適当な措置をとらざるを得ないんじゃないかと思っておる、しかし、今の時点においてはそれをずっと凝視して、非常な注目をしておるので、その結果についてまた判断をしたい、こういうことを言っております。
 けれども、これは世界各国同じポジションに今あると思うておりますので、非常に国際問題としても慎重に扱っていくべき問題だと思っております。
小林(憲)委員 財務大臣のおっしゃるとおり、今世界は、私は臨戦態勢であると思っております。今アメリカも、年末に攻撃をかけるのか、かけないのか、今のいろいろなアジアの問題も含めまして、為替という問題、原油もこれで戦争が始まれば動くわけですし、そのときに日本だけが自分のところの経済だけを考えて自国のバランスや自国内の事情で政策を繰り広げていきますと、今までもそうなんですが、すべて外圧によってつぶされてきているというのではなくて、世界の状況が読めなかったがために、自分のところだけ見て行っていた政策が裏に出たり後手後手に回ったりしていっているわけだと思うんですよ。
 ですから、今からの為替政策は非常に大きなキーポイントを握ると思いますので、日銀の方々ともしっかりと連携をとっていただく。総花的に政策を出したり、金融庁、財務省、日銀、ばらばらな方針を出して組み立てていくと、その一つ一つはよくても最終的には、これは戦略ですから、その戦略を考えて――私はその中ではどうなっているかわかりませんが、経済を動かすその部署がどこなのかというのがないと、今世界は非常に、勝ち組、負け組ではないですが、まだ決して日本は負けているわけではありません。長期的なビジョンとしっかりとした戦略を持ってここで踏ん張らなければ、この年末から来年にかけて大きな世界情勢の変化の中で経済が動くと思いますので、ぜひとも連携と、政策のパッケージ化といいますか一つのものとして進むということで、為替のことも含めまして大臣にはよろしくお願いしたいと思っております。
 次に、税制についてですが、税制は、経済を活性化させデフレを克服するための手段として重要であるということは言うまでもありません。政府から示された改革加速のための総合対応策において、持続的な経済社会活性化のための税制改革の促進が挙げられておりますが、速やかに検討を進めるべきだと私は思っております。
 経済活性化を実現するための税制改革として具体的にどのような検討を進めているのか、大臣のお考えについてお伺いしたいと思っています。また、来年一月から実施される証券税制、複雑であるとの批判もありますが、この点についてもお教えください。
谷口副大臣 小林委員のお尋ねでございますが、今おっしゃったように、税制におきましては、サステーナブルな経済社会の活性化に資するといった観点でのあるべき税制の構築に向けて、抜本的な今改革を行うということで取り組んでおるわけでございます。
 十五年度税制改革におきましては、法人税、個人所得税、資産税また消費税等、広範な税目におきまして取り組んでおります。具体的に申し上げますと、法人税におきましては、試験研究費また開発費等の法人税の減税を行う。また、後世代に資産の移転を容易にできるというような観点での相続税、贈与税の一体化の議論。また、住宅減税、土地税制、証券・金融税制、中小企業税制等、広範な見直しを検討いたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、民需主導の経済活性を図るためにこの税制改革を行っていきたいというふうに考えております。
 また、おっしゃった証券税制でございますけれども、証券税制につきましては、来年の一月から御存じのように申告分離課税への一本化になるわけでございますけれども、そのような方向に向けまして円滑な実施を図るということが最も重要だというように考えておりまして、このような観点から、現在、新たに創設をされます特定口座制度につきまして、改善また簡素化に向けて検討いたしております。
 また、今後の金融また証券税制におきましては、商品間の課税の中立性だとか、また簡素でわかりやすい税制といったような観点で、この十五年度税制改正におきましては、このような観点で配当課税、また投資信託に対する課税等について検討してまいる予定でございます。
小林(憲)委員 証券税制につきましては、結構、本当に株を上げていく、株をやりながらみんなが経済に触れていく、わかりやすい一つの、国民が実際行動すると、株というのは期待値によって上がるわけでございますから、日本の経済が安定していれば、株を買おうかなと思ってたんすにしまってある預金が出てくるわけですし、買いやすければ今まで買ったことのない人たちも買うわけですので、ぜひとも簡単に、そしてまたきちんとした信頼性を持った証券税制をもう一度見直していただきたいと思っております。
 それでは、法案について、預金保険法等の一部改正法案についてお伺いします。
 本法案は、流動性預金についてのペイオフ実施を二年間延期することとしているわけですが、このペイオフをめぐるさまざまな議論の中で問題だと思われますのは、私は、政府の方針が二転三転したため、国民がわからなくなってしまっている。やるならやる、やらないならやらない、なぜ今じゃないのか、どう変わるのか、その辺がやはり一番重要な問題点ではないかと思います。預金という自分の財産にかかわることでございまして、国民は明確な説明を求めていると考えます。
 ペイオフの二年延期というのは、現政権では、小泉政権ではペイオフを解禁しないということを言っているんでしょうか。それとも、そういうことではなくて、経済政策の整合性を追求した結果、二年間はちょっと法整備等いろいろなこともあるでしょうということでされているんでしょうか。ペイオフの二年延期の明確な理由を御説明していただきたいと思いますが、竹中大臣、お願いします。
竹中国務大臣 ペイオフの二年延期というのは、私が金融担当大臣に就任して一週間以内ぐらいで決めたことだったというふうに記憶しておりますが、御指摘のように、この点に関してはきちっと説明責任を果たさなければいけないというふうに思っております。
 いろいろな場でそのことは申し述べさせていただいているつもりでございますけれども、当然のことながら、ペイオフというのは、金融機関に対する健全な行動を求めるという意味でも、これは解禁に向けて努力をしなければいけないことであるというふうに思います。かつて、言うまでもありませんが、日本もそうでありました。
 しかしながら、今般、平成十六年度に不良債権問題を終結させるという大きな目標に向かってさまざまな措置をとっていきたい、その間、国民に無用な不安を与えないよう、同時に、金融システムの安定と中小企業金融等の金融の円滑化に十分配慮する必要があるというふうに考えた。まさにその意味では、委員御指摘の政策の整合性をとるために、基本は不良債権問題を終結させて構造改革を進めるということでありますから、その方針に向かって進めるために、ペイオフについては不良債権問題が終結した後の十七年四月から実施するということにしたものでございます。この点については引き続きしっかりと説明をしていきたいと思っております。
小林(憲)委員 今、ペイオフというものに関して非常に、当初より、国民の方々も、また国会議員である我々も、委員である我々も、どういうものなんだ、どうしてこういうことになるのか、それはいいのか悪いのかというモラルの問題から始まって、いろいろと問題があったと思うんですよ。
 今御説明をいただきましたとおり、きちっとこれを進めていただければ、きちっと終わるというふうに思います。ぜひとも、これ以上変更、そしてまた、流動的であるのが経済ですけれども、やはりそこはひとつきちんと期日と、あと、やると言ったことは守っていくということが政府の信頼につながるんじゃないかと思います。
 きょうも余り席には皆さん見えませんが、いなくて、それで後からペイオフは何なんだとか、ああだ、こうだ、わあっとかいって、重箱の隅をつつくような質問も出ますけれども、もう言ったでしょうという話で。もっと大臣、財務大臣そしてまた金融庁、本当にこの国を、家でもそうじゃないですか、やはりお金を持っているところが一番イニシアチブをとるんですよ。戦争が起ころうが何だろうが、有事法制だろうが、財務大臣のところへ行かなきゃ大砲一つ買えないんですよ。
 ですから、もっとどんと強い姿勢を見せてやっていただきたい。本当に、今おっしゃったような、こうこうこうで、こうやって、期日も決めてやっているんだ、ペイオフはこういうものだということを、ぜひ、それ以上しつこくいろいろなことがあっても変えない、ふらふらしないということが一番国民にとって今必要なことじゃないかと私は思っております。
 それでは、今御答弁にありました不良債権処理の加速という点について確認をさせていただきたいと思いますが、一番大切なのは金融システムの安定化と考えますけれども、金融政策がそうした方向にきちんと向かっているんでしょうか。今般、金融再生プログラムというものを策定されましたが、不良債権処理を加速する趣旨については、大臣はこれについてどのように考えられるのでしょうか。私は不良債権処理は加速する必要は全くないと思っておりますが、ぜひともお教えください。
竹中国務大臣 日本経済はこの十数年間、不良債権の問題をずっと抱えて走ってまいりました。不良債権問題が経済に対してどういう影響を及ぼすのかということが、私の知る限り、専門家の間でも十分に認識されるようになったのは九〇年代のむしろ後半であろうかと思います。
 デットオーバーハングという言い方がありますけれども、要するに、不良な資産というのは企業から見るとこれは過大な借入金というのを意味している。それが表裏一体になって、銀行も不良な資産を持っているために新たなリスクをとった前向きの貸し出しがなかなかできない、企業も過剰な債務を抱えているために本来の経営資源を活用して前向きのリスクをとった投資ができない。リスクがなかなかとれなくて、前向きの投資がなかなかできない。だから十年にもわたって日本の経済は停滞してきたのだと思います。
 これはある専門家の指摘ですが、経済が二年や三年悪くなるということは、これはよくあるわけです。しかし、十年にもわたって本来の成長力を発揮できないでいるということは、やはり私は、不良な資産があることによって、それを抱えて走っていることによって、新たなリスクがとれなくて、これだけ高い技術力と、これだけすぐれた人的資源を、これだけ勤勉な国民がいる日本経済が、やはり十年にもわたって本来の成長力を発揮できなかったのだというふうに思います。
 特に昨今、この不良債権の問題で、やはりマネーがふえない。マネーがふえないからデフレになる。デフレというのは、いろいろな要因がありますが、やはり基本は金融的な現象だと思います。デフレになるからまた不良債権がふえていくという悪循環も見られるようになった。総理が決断されて、十六年度にはこの問題を終結させよう、ここはやはり大変重要な意思決定であるというふうに思っております。
小林(憲)委員 まさしく、本当に長過ぎる不況ということであります。韓国の場合も二年ぐらいで、スウェーデンのときが五年ぐらいであったと思うんですが、同じように不良債権の問題でそういうことが起こったと思います。
 なぜ優秀である我々日本の国がここまで立ち往生しているのか。これは、一つにはやはり政治不信、それと現状をまさしくしっかりと把握したアナウンスメントがなかったということと、先ほど来何度も私が言っているとおり、政策をパッケージとしてちゃんと、こちらで出した政策とこちらで出した政策が打ち消すようなものがあったり、またそれをやり直してやったり、そういうおくれがやはり何度も何度もあったんじゃないかなと思います。
 今も、不良債権処理という、何が不良債権なのかということは私は、先ほどもBIS規制のお話でありましたが、これは後ほど質問させていただきますが、現在の経済情勢等を考えますと、現時点における不良債権処理の加速は、短期的にはデフレの進行や金融機関の体力低下、これに伴う貸し渋りや貸しはがしを招いて、景気をより悪化させるとの懸念が何度も質問されているわけでございますが、私もそう思うんです。
 これについて、大臣はどうお考えでしょうか。お願いします。
竹中国務大臣 この問題は、不良債権の処理の過程で実はいろいろなことが起き得ますから、そういう、短期的にデフレ効果があるのではないかという点に関しては、やはり十分に注意をして取り組まなければいけないと思います。
 ただ、私が拝見していまして非常に大きな誤解があるのではないかなと思いますのは、例えば、不良債権の処理、不良債権が今これだけあります、これをオフバランス化します、オフバランス化すると、例えば即企業が倒産するというようなイメージを持っておられる方が多いわけですが、これはどういうオフバランス化の仕方をするかによって全く違ってくるわけですね。これを例えば証券化するとかそういう形で、ないしは別の形で売却するとか証券化するとかいうことになるならば、これは実は実体経済にはほとんど何の影響も生じない。つまり、いわば債権のオーナーがかわるわけでありますから。これは実はオフバランス化の中では大変重要なポイントになってくるわけです。
 さらには、企業の破綻というふうな言葉を一律に使っても、清算型のものと再建型のものによっては、もう効果は全く違ってくるわけであります。したがって、我々は今回のプログラムの中で、再建型のものをできるだけきちっとやっていこう、したがってその再建のための再生の機構もつくろうではないかということを考えている。
 それぞれの、オフバランス化、それとか経営の問題、いろいろなところでもう非常に多くの選択肢といいますか、デシジョンツリーのようなものが出てくるものですから、したがってこれは、そんなに簡単に、マクロ的な予測というものは簡単にできる性格のものでもない。
 御指摘のように、短期的にそういう圧力がかかるということは、これはあり得るわけで、それに対してはセーフティーネット等々で十分な備えをしていくし、一方で、経済を活性化させるための特区、規制改革等の仕組みも取り入れながら、この問題に前向きに対処をしていきたいというふうに考えているところでございます。
小林(憲)委員 金融機関の体力を示す指標として、BIS規制に基づき算出したいわゆる自己資本比率と言われているものを用いているわけでございますが、そもそもBIS規制というものは、国際的に定められた基準で今までそういう、これによって金融機関を、はかりにしましょうという物差しで、日本もそういうふうにしていってくださいということで、その物差しではかって、世界的な金融の中に入っていく。
 日本固有の、固有といいますか、日本の今まで行ってきたものとは違うものである。それが、世界がそういうことであるので日本もと。それをした場合に、日本は不良債権が多い、だから早く処理しなさいと言われる。でも、それは、急にそんなことを言われても、今までは別にそれでよかったわけですから。だから、逆に言えば、不良債権がたくさんあるよと急に言われても、別に今までそれはあったものですから、それがために実経済、今何か圧迫してくるかというと、逆に、それを処理しようとするところで失業、またあらゆる点が起こってきている。
 でも、それはそれで、日本も世界の経済の一員でありますし、しっかりとしたグローバルなスタンスでこれからいかなければならない。ですから、不良債権になったものに対してはきちんとその処理をしていかなければいけないと私は思いますが、決して早急に、あなたたちも世界の一員として同じ物差しではかられるんだから、あなた、今までそれはオーケーだったかもしれないですけれども、もうだめだよ、早く早く、処理しなさいしなさいと言われてやるものではないと私は思っております。
 この観点から考えて、そんなに早急にしないでもいいんじゃないか、そしてまた、それがあるがために何か急に切迫しているものが実はあるというならば、ぜひともお教えいただきたいのですが、竹中大臣、お願いします。
竹中国務大臣 委員おっしゃいましたが、決して早急にということでは私はないのだと思います。
 既に日本の銀行部門は大変努力を重ねて、非常に多額の不良債権を処理してまいりました。その意味では、今、ある意味で、これを正常化させる非常に重要な最終段階に近いところに私は来ているのだと思うんです。早急にと言うと、いや、これは十何年かかっているじゃないかという議論も実はあり得るわけでありまして、最終段階に向けた大変重要な局面を、十六年度終結に向けてしっかりと方向をマネージしていきたいというのが基本的なスタンスだと私は思います。
 もう一点、委員まさに、日本も世界経済の一員であるんだから、やるべきことはやらなければいけないとおっしゃいました。これは、BISの規制というのは一九八八年ですから、もう十四年前から始まっているわけですね。これはやはり十四年前ぐらいから、バブルの終わりの段階ぐらいから、世界の金融は大きく変わったのだと思います。
 例えば一例ですけれども、アジア通貨危機のとき、アジアの諸国がダメージを受けて、特にアジアの銀行がダメージを受けた。そうすると、それは即、これは即時、瞬時のネットワークで今つながっていますから、日本の銀行も影響を受けるわけであります。諸外国の大きな金融機関にもしもの何かがあると、これはまた日本の金融機関にも影響を受ける。
 決してこれは、私たちだけが縛られるものではなくて、お互いが相互依存であるから、お互いにきっちりとリスク管理をしようではないか、そういう趣旨、やはりここ十年ぐらいの世界経済の環境変化の中で必要になってきたものであるというふうに思っております。とりわけ、このBISの規制というのは、日本の意見も取り入れた上で、これは日本も参加したわけですから、設定されたということ。
 引き続き、日本の金融の実態に合った、こうしたBISの規制の見直し作業の中ではそういうものになるように、我々はこれはまた働きかけて努力をしていきたいというふうに思っております。
小林(憲)委員 それでは、預金保険法一部改正法案のもう一つの柱である決済用預金の意義について確認をさせていただきたいと思います。
 本法案は、決済用預金という、恒久的に全額が保護される預金を新たに設けることとしている。これまでは、あらゆる預金について、ペイオフの解禁により一千万円までの保護となるとされていたにもかかわらず、今回こうした仕組みをつくるということは、日本の金融システムが将来にわたって不安定であるということを内外に示してしまうのではないかなという批判がありますが、こうした風評は国益を大変損なうものと考えます。
 なぜ決済用預金を導入する必要があるのか、その真の理由を御説明いただきたいと思いますので、竹中大臣、よろしくお願いします。
竹中国務大臣 まず、そもそも決済というのは社会にとって欠くことのできない非常に重要なインフラであるということは申すまでもないと思います。
 その決済がどのような形で行われているのか。委員、海外に、特にアメリカにお住まいになったということでありますが、ほとんどのものは、これは小切手で行われていたというふうに思います。しかし、日本の場合、非常に高い比率が、ほとんど九五%とかそういう比率が金融機関の預金を通じて行われている。この比率は、諸外国の中で見ても飛び抜けて高いところにあると思います。
 そうしますと、我々としては、やはり現金以外に安全確実な決済手段を確保しておくということは、これは当然に重要なのだと思います。特に、これは私も知人からよく言われるのでありますが、事業をしていると、たまたま振り込みの日に、決済の日なんかは、すぐその一千万を超えてしまうとか、そういうことがあり得るわけですね。
 そういうことを考えますと、日本の決済が、その大宗が金融機関の関係する預金等々で行われていることにかんがみて、これはやはり恒久的な措置として、日本のまさしく国情に合わせた、現金にかわる安心、安全な決済システムを持っておくということは、私はやはり必要なのではないかと思っております。今回の措置は、そういう点に着目して、この制度をきっちりとしておきたいという観点から法案を提出させていただいたものでございます。
小林(憲)委員 ペイオフに関することでいろいろな方とお話ししますと、本当に日本は景気が悪いとか、もう大変な状態になっている、もちろんそうなんですけれども、一千万円と言うと、それ以上はだめなんでしょうなんてよく言われるんですけれども、では、あなたそれ以上預金あるのと。いや、あるんですね、皆さん。結構、本当に預金がたくさんあって、今本当に、実はポテンシャルでは皆さんまだ本当にしっかりと蓄えを持っておられる方が、もちろんそれだけではないですけれども。
 ですから、本当にこれから日本の預金というもの、決済というもの、銀行ということ、社会における銀行の役割、それから商業における銀行の役割、これもすべて、金融庁の方でいろいろな指導をしていかなければいけないことだと思っております。
 ちょっとそれましたが、次に、金融機関の組織再編の促進に関する特別措置法案についてお伺いしたいと思います。
 この法案は、金融機関の組織再編を円滑化するための特別措置を盛り込んでいるというわけですが、単に組織再編を行えばそれでいいというものではないと私は思っております。組織再編の結果として金融システムが強化されないと意味がないと思っておりますが、金融庁は今回の措置を主として地域金融機関を対象としたものと説明されておるわけでございますが、金融システム全体の中で、地域金融機関の意義をどのように認識し、今般の施策がなぜ必要と考えられるのか、明確な御説明をお願いいたします。竹中大臣。
竹中国務大臣 先ほどから金融再生プログラムのことをいろいろと御議論いただいておりますけれども、金融再生プログラムは、そこに明記しておりますように主要行を対象にしたものであります。いわゆる地域金融機関の将来像に関しては、リレーションシップバンキング等々どのようにあるべきかという観点から、これは幅広くぜひ別途議論をする必要があると思っております。
 しかしながら、現実問題として、今、地域の金融機関で経営基盤、財政基盤を強化するために組織の再編成を希望しているところは、これは結構ございます。これはこれでやはりしっかりと経営基盤を強化して、そうすることによって、結果的に貸し出し能力もしっかりと持ってもらうというのが、これは地域のためにも、もちろん金融機関のためにもでありますけれども、大変重要なことである。その意味では、地域金融機関の経営基盤強化のためには、組織再編成というのは非常に有力な手段で、現状もあるし、今後もあるのだというふうに思っております。
 今回は、そうした観点から、こうした地域金融機関の取り組みを支援するために再編成の円滑化に資する手続の簡素化、資本増強等の政策支援を織り込んだ法案を提出させていただいたということでございます。
小林(憲)委員 本法案に盛り込まれた特別措置の意義について、金融機関が選択しようとした場合に障壁となり得るような総会手続等を簡素化し、金融機関にとってのコストを軽減するといった金融機関側のメリットが強調されていることがよくありますが、こうした措置によるメリットを受けるのが金融機関のみで、組織再編成により影響を受ける預金者や借り手に対する配慮がなされていなければ、本末転倒ではないかと考えます。
 そこで、今般の法案において、預金者や借り手に対する配慮はどのような点でされているとかいうことがありましたら、御説明をいただきたいと思います。
竹中国務大臣 御指摘のとおり、これは金融機関のメリットだけのためにもちろんやるわけではありませんで、地域の金融が円滑に進むように、ひいては預金者や借り手に十分なメリットがあるようにということを目指して考えた法案でございます。
 具体的には、幾つかあるかと思いますけれども、まず、何といいましても組織の再編でさまざまなメリットが金融機関に出て、これは範囲の経済、規模の経済、いろいろあると思いますけれども、顧客のニーズに応じた業務の再構築が行われて、経営基盤が強化されるということは、これ自身がやはり預金者や借り手にとって非常に大きなメリットになるということは申し上げたいと思います。
 同時に、この法案におきましては、政策支援の前提として、金融機関等が提出します経営基盤強化計画、これを認定することになっておりますが、その認定に当たっては、地域の円滑な金融が阻害されないことというのを要件として掲げておりますので、ここでも預金者、借り手に対する一つの担保を設けているところだと思います。
 さらには、合併等を行う金融機関に預金を分散していた預金者が、合併等に伴って付保限度額が縮小することを理由に急激に預金が動くということがないように、十分な考慮期間を設けるというふうにもしておりますので、こうした点をあわせて、預金者、借り手に対するメリットが十分にあるように配慮したつもりでございます。
小林(憲)委員 今、法案につきまして御説明を受けました。
 最後に、私、両大臣にお伺いしたいと思います。
 これは、総括して、金融機関もなるべく早く簡単に、それはきちんとした形で統合をしていく、それによって一日も早い景気回復のための健全な金融機関となっていっていただきたいということで、こういう法案も出て、そしてまた、みんなで考えていかなきゃいけない。そしてまた、ペイオフに関しても、延期はなりましたが、健全化する、そしてまた生まれ変わっていく、改革していくという点できちんと前に進めている。進めるべきものは一つ一つ法案も出して、そして、それは必要なものとして前に進んでいる。日本経済はそんなに、まあいろいろな観点からいろいろな意見はあるでしょうが、政府としてはきちんと対応をしてきちんと前に進めているところである、そのような印象を今回の質問で私自身は受けました。
 しかしながら、実際に、本当に今多くの方々が苦しんでいる。そしてまた、日本という国のあり方、日本という国が今後しっかりと世界の一員として経済の中でもいろいろな意味で役に立っていかなければいけない、そんな局面も来ていると思います。
 私も海外の金融機関におりまして、最後、ロンドンで勤務しておりまして、そこをやめてニューヨークの、あるボンドブローカーですが、大変大きいところですけれども、ツインタワーに入っているところに勤務しないかという話がありまして、もし行っていたら、その会社、七百人、あのセプテンバーイレブンスで亡くなっています。ですから、私は、いや、日本で、一生懸命今まで勉強したことを政治に役立ててやろうと思って帰ってまいりまして、よかったな、命を助けられたかなと思っておりますので、一生懸命やろうと思っております。
 本当に、細かい話をしてはいけないというとしかられるかもしれませんが、きょう、いろいろな観点で、私はちょっと、もっと何か大きな意味で国のことを考えて、財政、いわゆるバジェット、それからあと税制、それからあとは金融の政策といいますか戦略を立てて戦っていかなきゃいけない。じゃないと、自国の需要と供給だけではもうマネーマーケットという、これはマネーゲームとも言われていますが、仕掛けたら仕掛けられる。必ず、狩猟民族の方々は前に穴を掘って、ぼっていって落とします。我々は、田畑を耕して、雨が降って実りが少なくなれば泣く、そしてまた実りが多い秋には踊るという農耕民族でございます。ですが、そういっていてもやはり戦うときは戦わなければ、やはりこの国の国民と国民の財産と、その生活を守らなければなりません。
 ですので、ぜひとも、これは安全保障委員会ではございませんが、両大臣には、今やっていることは胸を張って、必ずここ来年、再来年、この小泉政権の中でも、そしてまた政権がかわろうとも、内部がどうなろうとも、野党がどうなろうとも、しっかりと、しっかりと日本の国は前に進んでいくんだということを私は思っているということで、お考えをお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
塩川国務大臣 小林さんのお話は、政党人としての話よりも一国民としてのお話だと、私もまさにそう思うてお聞きいたしました。
 やはり、私は最近、行政にしても政治家にしても、言うことが抽象的なことばかり言っている、具体的なものに余り触れていない、そこがわかりにくい、国民にとってはわかりにくい。もっと具体性ある、そして客観的な判断というものを示していくべきだと思うんですが、そこが、何か知らぬが、文章はきれいです、言葉もきれいですけれども何か知らぬ、そこでオブラートで包んだような、そんなやりとりばかりやっておるからわかりにくいんですね。私は、そこからやはり改めるべきだと。その一皮むいたら、日本の経済はもっとダイナミックに動いていくんではないかなと思っておりまして、そういう努力をしていきたいと思います。
竹中国務大臣 大臣に就任しましてから、こんな強い激励をいただいたのは初めてであるというふうに思います。
 感謝申し上げるとともに、同時に、今委員が最後に御指摘になったことは、やはり着実にきちっとやっていけ、ステディーにやっていけということと、一方で戦略性と大胆さを持てということであろうかと思います。まさしく、着実にやっていきながら、判断は柔軟かつ大胆に、しっかりと行政を行っていきたいと思います。
小林(憲)委員 ちょうど楽しい食事の時間になりましたので、終わらせていただきます。
小坂委員長 次回は、明十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十一分散会


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