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第3号 平成15年2月12日(水曜日)

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平成十五年二月十二日(水曜日)
    午後五時二十五分開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 林田  彪君 理事 渡辺 喜美君
   理事 生方 幸夫君 理事 松本 剛明君
   理事 上田  勇君 理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    左藤  章君
      坂本 剛二君    砂田 圭佑君
      田中 和徳君    竹下  亘君
      竹本 直一君    中村正三郎君
      萩山 教嚴君    林 省之介君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      山本 幸三君    五十嵐文彦君
      井上 和雄君    上田 清司君
      佐藤 観樹君    仙谷 由人君
      中津川博郷君    永田 寿康君
      平岡 秀夫君    松原  仁君
      石井 啓一君    遠藤 和良君
      佐々木憲昭君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    植田 至紀君
      山谷えり子君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   参考人 
   (日本銀行理事)     三谷 隆博君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十二日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     左藤  章君
  小泉 俊明君     松原  仁君
  江崎洋一郎君     山谷えり子君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     上川 陽子君
  松原  仁君     小泉 俊明君
  山谷えり子君     江崎洋一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 財政及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事三谷隆博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐文彦君。
五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 最初に、竹中金融担当大臣に、私は、最初はそれほどの問題かなと考えていたんですが、党内でかなり竹中発言に対する反発が強いものですから、最初にお尋ねをしたいと思います。
 株価連動型投信、ETFについて、絶対もうかるから買った方がいいというような発言をされたのかどうか、伺いたいと思います。
竹中国務大臣 ETFに関しましては、投資信託の中でも、特に日本の未来を買うということで、閣僚懇におきまして、閣僚も率先して買おうというふうな問題提起をさせていただきました。それを受ける形で、官房長官の方からもそれの徹底をしてくださいました。
 そのことの後の記者会見で私が申し上げましたのは、では竹中大臣は買いますかというふうに言われましたので、私は買います、私が買う、私が投資家として絶対もうかると思っておりますというふうに申し上げたわけでございます。絶対もうかるから買いなさいというようなことは、これは言うべきではない。そのような趣旨で申し上げたのではなくて、私は買いますということでございます。
五十嵐委員 絶対もうかるというような言い方は品がないということが一つですけれども、それは、景気を回復させて平均株価を上げたいという気持ちがこもっているということで、まあいいかなと私は最初思っていたんですが、証券会社の営業マンが、絶対もうかるから買いなさいと言ったら、これは言ってはいけないことなんですね。それを、所管する担当大臣がそれに同様の発言をしたら、この新聞を、あるいは載せてある記事を持って回れば、本人が言わなくても、いや、大臣がお墨つきを与えているんだから、これは絶対もうかりますよという意味になるじゃありませんか。絶対もうかるというようなことを、幻想を与えるようなことを弄して商売をしてはいけませんというみずからの決めをみずから壊すことになるじゃないですか。それはおかしいじゃないですか。(発言する者あり)与党から、信用されてないという声もありますけれども、どうですか。
竹中国務大臣 私の立場では、日本の未来を買いましょうということをあくまで申し上げたかったわけでございます。
 基本的に、株価に関しては、日本の株価水準は本来の水準よりも低いと思っている、それに関して、将来的には株価は上昇する余地は非常に大きいと思っている、そういう発言は、私はかねてからしているつもりでございます。これは、マーケットをエンカレッジするという意味では私の仕事の一部だというふうに思っておりまして、品がないという御批判は、これは謹んで承るというふうに思いますが、繰り返し申し上げますけれども、絶対もうかるから買いなさい、これは販売上言ってはいけないことでありますけれども、私が申し上げたのは全くそういう趣旨ではありませんし、それは前後の文脈等々できちっとわかっていただけるのではないかというふうに思っております。
五十嵐委員 いや、品がないのもさることながら、絶対もうかりますという発言がそういう違法な商法に利用される可能性があるということに気がつかないで発言すること自体が問題だということを申し上げているんですから、それはおかしいんですよ。
 これは、今からでも遅くないから、絶対もうかるという表現はまずかったと訂正された方がいいと思いますよ。
竹中国務大臣 これは、繰り返し申し上げておりますけれども、私は、買いますかというふうに聞かれて、私としては絶対もうかると思っていますし、買いますということを申し上げたわけでありますから、訂正云々という問題ではないというふうに思っております。
 ぜひとも、日本の未来を買うということで、我々閣僚もそういう行動をとっておりますので、その趣旨を御理解いただきたいと思います。
五十嵐委員 それはおかしいですよ、明らかに。あなたは金融担当大臣という役目なんですから、わざわざ絶対もうかるという発言をする必要はなかったわけです。今おっしゃるとおりに、私は景気の回復に全力を尽くしますので、日本の未来を買うために閣僚の皆さんも協力してほしいと思いますと言えばいいだけの話じゃないですか。もうかる、もうからないという発言は言う必要ないですね。そういうことを気がつかないで発言する、そして、それを言いわけをして糊塗するということにあなたの政治に対する姿勢が疑われるということがある。だから、信用されないという声が与党から出てくると私は断じざるを得ないわけであります。
 次に、財務大臣の所信について質問をさせていただきたいと思います。
 財務大臣は、二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化を目指すとの目標達成に向けて努力をいたしますという発言を、繰り返し本会議でもこの委員会でもされているわけですけれども、この「改革と展望」に含まれている二〇一〇年代初頭のプライマリー黒字化ということと、二〇〇七年度のプライマリー赤字を現在のGDP比五%強から半減するという目標については、所信では一つしか言っていませんけれども、両方とも現時点で堅持するという理解でよろしいですか。
塩川国務大臣 堅持するように努力するということでございますから、一つの確固たる目標を掲げて努力していくことであります。
五十嵐委員 目標を堅持するということなんですが、しかし、同時に大臣が提出された補正予算では、今年度の税収が相当落ち込んでいる。そして、国債を追加発行せざるを得ないということになっているわけであります。発射台が低くなりますから、後年度も財政のギャップ、これは拡大をしていく、そのまま足されていくというふうに見るべきだと思います。公債の累増は不可避であるというふうに思うわけですが、今回の補正予算、あるいは十五年度予算での国債の当初のもくろみ以上の積み増しを含めても、この目標達成は可能というふうに見られているんでしょうか。
塩川国務大臣 現在の推測では、二〇一〇年初頭と、私は大体二〇一三年ごろかなと思うて計算しておるんですけれども、そこには絶対に近づけたいと思っております。
五十嵐委員 二〇一三年まで初頭かどうかというのはかなり問題があると思います。通常は、二〇一〇年代初頭といえば、一〇年、一一年ということを意味するんだろうと思います。一三年まで入って初頭というのはおかしいと考えますが、それを具体的にちょっと見てみたいと思うんです。
 お手元に、財務省の資料、それから内閣府の資料を私が抜き書きしてリライトしたものがございます。それに借換債を加えた各年度の今後の要国債発行額というのを計算してみました。
 そうすると、この試算一、試算二と、財務省も分かれているんです。一の方は、成長率をかなり高目に、十六年度〇・五%、十七年度一・五%、十八年度二・五%と見ておりますので、これよりは、名目成長率を今の状況下でゼロと見る方がむしろ蓋然性が高いかなと思うわけです。
 試算二の方を仮に見ていくといたしますと、十四年度、今年度は補正後を含めて新発債と借換債合わせて百四兆六千億円でした。これを、名目成長率ゼロそれから長期金利二%、長期金利の計算は今ちょっと違うわけですが、実際には現時点では〇・八%程度ですから、これはかなり、逆に公債を発行する側にとっては都合のいい現状なんですけれども、仮に二%と財務省理財局は見ていますので、そのまま置いて計算しますと、十九年度には百六十八兆二千億円に膨れ上がるわけであります。これに財投機関債、これはだんだん少なくなってくるとはいえ、現時点では十五兆円程度の財投債がこの上にさらに積み増されるわけであります。十五年度から十九年度までにこの伸び率は六〇・八%ですよ。借換債まで含めますと物すごい勢いで公債の発行額をふやさなければならないということなんですね。
 一方、「改革と展望」、すなわち、プライマリー赤字を解消するというその工程表にのっとった方を見ますと、成長率の計算は大体今の財務省の計算と同じようなんですが、名目長期金利を、二〇〇三年度というのは十五年度になるわけですが、一・三%、十六年度一・五%、五年度一・八%、六年度二・一%、七年度二・五%で、初頭の二〇一〇年度は三・一%と見ているわけですね。これは、成長率が回復してインフレ率もゼロ以上に高まるというふうに見ているわけですから、長期金利は上昇するというのは当然の見方ではあるのです。
 ただし、御存じのとおり、長期金利の計算というのは、予想成長率プラス予想インフレ率プラスリスクプレミアムなんです。そうすると、インフレ率が高まってくれば長期金利が上昇するんですが、リスクプレミアムは、当初は高く見ていると思っていいわけですね。長期金利は今〇・八ですから、あるいは十五年度でも一・三という見通しを持っているわけですね。ところが、後年度になってくると、極端にリスクプレミアムを低く見ている。むしろゼロと見ているということが言えるんですね、この計算上。
 そうすると、実際には、十四年度に比べて国債の発行高が六〇・八%も膨れ上がっていながら、国債のリスクは、これは減損会計、時価会計を導入してくれば当然、長期金利は上昇して売れ残りも起きてくるだろう、そのリスクは膨らんでくると私どもは見るんですが、リスクプレミアムは逆に低く見ているというのはどうもおかしい。
 要するに、長期金利はこの見通しより以上にもっと上昇するのではないか。そうすると、逆に言えば、公債費はもっと増大してくる。税収と歳出のギャップはもっと拡大する。どちらかがおかしいんですね。要するに、リスクが拡大をして金利が上昇する。金利が上昇すればさらに国債の危険度は高まる。
 そして一方では、私は、金利が上がらなければ景気は回復しないと思っているんです。なぜなら、金利が上がるということは設備投資の意欲が高まるということであり、消費という面でも、お金を持っている人たちが、金利収入が上がるから、それでお金を使おうという消費性向の増進につながるということで、金利が上がらなければむしろ景気はよくならない、こう思う……(発言する者あり)そんなことはないですよ。いい意味での金利が上がらなければ景気はよくならないというのは、むしろ常識ですよ。
 そういうことだと思うんですが、この国債の増嵩によって金利をゼロ近くに無理やりにでも下げなきゃならぬということになると、これはなかなか難しいということになってくると思うんですね。これは景気回復か財政再建かということにも大きく影響してくるんですが、この際、この見通しが今でもこのような計算で達成できると思っておられるのか、財務大臣に伺いたいと思います。
塩川国務大臣 五十嵐さん、物すごい勉強しておられるが、これは、パソコンで計算したらこうなるんですね。そうですね。ここがなかなか現実の難しいところでして、例えば長期金利見通しのところで、長期金利がこうなる、そうすると、これに伴うて経済の成長率はどのぐらいになるんですか、ちょっと一緒に教えていただいたら。そうしますと、税収が変わってきますね。そうすると、税収が変わってくるということは、国債発行額も変わってきますね。
 ですから、これはなかなか、パソコンゲームでいくとこうなると思うんですけれども、私らから見たら、現実はなかなか難しい、予測はちょっと立てにくいと思うんですが、その点、経済成長率は名目でどのぐらいになるということをちょっと教えていただいたら、これもまた考えようがあると思うんですけれども。
五十嵐委員 いや、名目の成長率は出ているんですよ。名目の成長率は、ここには書いておりませんけれども、まさに経済財政諮問会議に出された名目の成長率は、これは十五年度がマイナスの〇・二、四年度が〇・五、五年度が一・五、六年度は二・二、七年度は二・六、一〇年度は三・二%ということになっているわけであります。
 しかし、今、税収が上がると言いましたけれども、この程度の経済成長だったら、税収は、たかだか一兆円とか一兆五千億とか、そんなものですよ。税収の弾性値は今や一・一あるかないかでしょう。そんなに伸びないですよ。したがって、名目成長率が上がれば一挙に景気が回復して公債費が下がるなんということはあり得ないです。そうじゃないですか。
塩川国務大臣 それは、十五年度のベースでずっとそのままいくということですね、五十嵐先生のお説では。
 ところで、今度、何でこのプライマリーバランスのずれが出てきたかということを見ました場合に、今度税制改正で、五年を一つの周期として増減収のバランスをとりたい、中立ですね、こう思うておったのが、大体七年ぐらいから八年ずれてきたということなんですね。ということも、この一事を見ても御理解いただけると思うのですが、十五年度ベースにしたものよりも、十五年、十六年、十七年ということは、自然増収、要するに税収の増、この分がふえていくということも加味していただかないと計算が合わない。ですから私は、複合的な計算の上に経済の見通しをするということはなかなか難しいことだ、こう言っておるんです。
五十嵐委員 いや、自然増収まで見込んだ数字でしょう、これは、当然ながら。それはおかしい話で。
 それで、大臣が今、二〇一三年度かなとおっしゃったのは、これは個人的な考えなんですか。それとも、政府として、もう二〇一三年度にその目標をずらすということで決めたんですか。
塩川国務大臣 これは、経済財政諮問会議のときに、この席ではこの議論になりました。私は、これは七年から八年のずれが出てきた、要するに、五年で収支バランスをとるという税制改正が、七年から八年の差になってきたということであるならば、プライマリーバランスの年数も後年度へ譲っていくべきだということでございまして、そのときに私が、個人の意見として、二〇一三年ぐらいが適当じゃないかと言ったんです。
 そうすると、いや、それはちょっとゆっくりし過ぎるということで、では二〇一〇年初頭ということで意見がまとまったというところでございまして、だから、表現は二〇一〇年初頭となっております。「改革と展望」の文章はそうなっておりまして、政府の意見としては初頭であります。けれども、私が申しましたのは、一三年ごろだなという感じで申し上げておるということです。
五十嵐委員 竹中さんは経済財政諮問会議の担当大臣でありますから、財務大臣との、今の見解との関係はどうなんですか。
竹中国務大臣 諮問会議にも出しました内閣府の試算というのは、二〇一〇年までの試算を行っております。そこから先の試算、だから、何年にということは、計算はしていないわけでありますけれども、基本的な考え方としましては、今、プライマリーバランスはGDP比で五%強赤字でございます。十年ぐらいということで、毎年、それまで、平均すると、年々GDP比〇・五%改善していくというシナリオを立てているわけです。
 二〇一〇年の時点でのGDP比の赤字は、マイナスの一・三ぐらいだったでしょうか、それ等々から総合的に勘案いたしますと、二〇一〇年でGDP比マイナス一・三、それが〇・五ずつ改善ということになりますと二〇一三年ごろという、まあ塩川大臣がおっしゃったのと、これは計算としても、試算としてもほぼ符合する。いずれにしても、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復させる、そのようなシナリオになっているわけであります。
五十嵐委員 いや、今回の政策がこれに影響するのであれば、それを素直に、こう影響して、こういうことになります、しかしこういう政策をとるから大丈夫ですということをきちんと説明する責任があると思いますよ。ただ、二、三年ずれますという話だけでどうも済むとは思えない。しかも、財務省の計算と経済財政諮問会議に出された計算との数字の根拠もきちんと整合性がとれていない。長期金利の見通しもどうもはっきりしていないということでありますから、こういう政策をとれば長期金利はこうなります、そしてこのようなプライマリー黒字化の道程になりますということをきちんと御説明になる必要がある。
 改定をしていただきたい。早急にそれを示していただきたいというふうに思います。
谷口副大臣 今五十嵐委員がおっしゃったことに対して若干、大臣の発言につけ加えさせていただきたいと思います。
 まず初めに、大臣がおっしゃった税制中立ということで、二年ばかりずれたということもあるわけですが、一方で、十四年度の税収不足が、土台が落ちたといったことも一つの原因であるわけでございます。
 また、長期金利については、これは内閣府の試算で出てきているんですが、五十嵐議員がよく知っていらっしゃるように、これは国債の需給関係だとか為替だとか財政政策だとか金融政策だとか、こういうような中で決まるものでありますので、今後の長期金利を予想するといったことはかなり難しいわけでございます。
 ですから、この所与の条件で内閣府のデータを考えると、財務省の試算となかなか整合性がないということになるんだろうというようにも思うわけでございますが、とにかく財務省の方は、ことしから議論が始まります社会保障の制度の見直し、年金制度の改革をやるということ、また国と地方との財源のところを明確にしていくということと、あとは公共投資を真に効果のあるところに注ぎ込んでいく、こういうことをやりながら、二〇〇七年というのはいわば見通しでございまして、目標ではございません、読んでいただいたらわかるわけでございますけれども、そういうことを通じて、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを黒字化する、こういうことを言っているわけであります。
五十嵐委員 私が言っているのは、今〇・八%ですけれども、たった数日間で、一九九九年の二月の二日ですか、二、三日の間で〇・八%から二・四%に長期金利がはね上がっているんですよ。すなわち、長期金利はリスクプレミアムの部分がかなり敏感に来るということなんですね。このリスクを全く計算しないで、ゼロと見て想定するのはナンセンスじゃないか。しかも、急激に公債発行額がふえていっている中で、ゼロと見るのは無理があるじゃないかということを申し上げているんですから、それは、私どもは今の説明だけでは納得はできない。いいですよ、後でまたじっくり時間があるときにやらせていただきますから。
 次に、産業再生機構について伺っておきたいと思います。
 私は、この産業再生機構というのは、貸し出しもするわけですから一種の国営銀行だ、そういう認識を持っております。一方でまた、銀行を救済するための銀行であるという見方をとっております。
 この産業再生機構のアイデアが生まれてきた背景は、私は金融のサイドにあると思っているんですが、竹中大臣の金融再生プログラム、この中から出てきたアイデアではないんですか。いわゆるすぐれて金融的な世界のものとして考えるべきだ、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
竹中国務大臣 産業再生機構が必要だというふうに判断した経緯でございますけれども、基本的には、銀行も、銀行からお金を借りている企業も、いわゆるバランスシート調整をしっかりとやらないことには、新たなリスクをとってあすに向かって発展していけない。そのときに、銀行としては不良債権の処理の加速でありますけれども、企業にとっては、過剰な債務を抱える企業の再生である。そういう意味では、コインの裏表のような関係にあるというふうに理解をしております。
 その意味で、不良債権処理の加速とともにこういう議論が出てきたわけでありますが、これは同時に、しかし、産業のまさに再生でございますから、金融の面を金融庁が担当する、産業の再生の面についてはまた別の視点が要る、そういうような発想も裏にはあるというふうに認識をしております。
 いずれにしても、金融の側と実物経済の側、両方連携することは重要でございますけれども、これは、金融は主に金融庁、産業再生機構についてはしかるべきセクションでこのことをしっかりと、特に、所管の業種が横にわたることもありますので、横割りでしっかりとやっていただきたい、そのような発想で成り立っております。
五十嵐委員 いや、これは極めて金融の世界の話ですよ、もともと。
 それで、産業再生というと格好いいんですけれども、実際には産業じゃないでしょう。特定の大企業でしょう。中小企業は救えないでしょう、これでは。中小企業を対象にしないとは書いていないけれども、実際に七十人ぐらいの人員を想定されているらしいし、与党の幹部の皆さんに聞いても、大企業で手いっぱいで、とても中小企業まで中身を調べて分割をしたり再生させることはできない、こう言われているわけですから、産業再生という名前は大仰だけれども、これは単に特定の大企業の救済になるんじゃないですか。
竹中国務大臣 産業再生機構に関しましては、谷垣大臣が所管でいらっしゃいますので、私の方からお答えできることは限定されておりますが、今五十嵐委員まさに言われましたように、企業の規模は問わない、やはり原則としてはこの点は重要でございます。今後どのように運用されていくかということに関しましては、実態に即してしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
 それと、産業再生でありますけれども、決して企業再生ではなくて、やはり産業再生である。それは、その業界が持っているいわゆる供給過剰等々が認識される場合には、それと相反しないような形で企業再生をやっていく。したがって、そこは単にミクロ、企業の話ではなくて、産業というスコープがそこに入っているという点が今回の機構の大変重要なポイントであるというふうに思っておりますので、その趣旨に沿ってしっかりと組織をつくって運用していく必要があると思っております。
五十嵐委員 まさに建前だけの話で、実態はそうならないであろうと容易に想像がつくわけですが、これは後でまた議論をしたいと思います。
 きょうは時間がありませんから、一点だけ最後に伺っておきたい。
 竹中さんは私に対して、別にインフレターゲティング論者ではないと言ってみたり、よそではインフレターゲティングを進めてみたり、はっきりしないんですけれども、あなたは今、現時点でインフレターゲティングを採用すべきと考えているのかどうか伺って、終わりにします。
竹中国務大臣 インフレ目標に関しましては、内閣府で作成したいろいろな政策文書等々に書いているのが私の基本的な建前でございます。
 繰り返し言いますけれども、重要な点は、マネーサプライがふえるということであって、マネーサプライが安定的にふえるような、そういう仕組みの一つとしてインフレターゲット、物価目標というのは、それなりに私は有益であろうというふうに思っております。
 ただ、例えばインフレ目標がないとマネーサプライをふやせないということではありませんから、あくまでもマネーサプライをふやすという形が重要である、そのための一つの手段として十分検討に値する、そういった意味で議論を進めなければいけないというのが内閣府の文書で書いているとおりでありますし、私の立場でございます。
五十嵐委員 一言だけ。マネーの賦存量と流通量を間違って、混同されているというふうに思いますが、後でまた議論させていただきます。
 終わります。
小坂委員長 次に、永田寿康君。
永田委員 まず冒頭、日銀の総裁の人事が大分新聞紙面などをにぎわしていまして、国会としても非常に重大な関心を持っています。財務金融委員会の場では、理事会で、総裁候補の名前が大体固まりそうになったら、国会に呼んでお話を聞きたいということ。もちろん、同意人事ですから、お話を聞いてから同意するかどうかという態度を決めたいというつもりでお願いをしているわけですけれども、政府として、国会を重視する立場、あるいは日銀の重要性というものを考えると、そのように候補者の段階で御意見を紹介というか、要するに人柄も見ていただくというようなことは、僕は、政府としては賛成してほしいなというふうに思っているんですが、どのような姿勢でこの問題に取り組まれるのか、お答えをいただきたいと思います。これは、財務と金融と両方の大臣にお願いします。(塩川国務大臣「どういうこと」と呼ぶ)要するに、日銀の総裁候補が決まったら……(塩川国務大臣「いやいや、僕に聞いているんですか、だれに聞いているんですか」と呼ぶ)そうです、財務大臣にも金融担当大臣にも、両方ともこれはお答えいただく価値があるものだと考えております。
塩川国務大臣 これは政府が、国会同意人事でございますから、国会にお願いすることでございますから、国会でお決めいただければ結構です。
竹中国務大臣 財務大臣がおっしゃったとおりであろうかと思います。どのような形で会を運営するかということは、これは議会でお決めいただくことだと思います。
永田委員 いや、そういう論点じゃなくて、政府としては、日銀の重要性と国会での同意人事という重みをぜひ感じていただいて、これはそういう機会を設けるのが適切である、あるいは望ましいことである、前向きに取り組んでいただきたい、そういうふうな意見を僕は求めているんですけれども、そういう意見は持っていないというふうに考えてよろしいんですか。もう一回お二人にお願いします。
塩川国務大臣 これは、国会審議に介入することになりますので。
 例えば、公安委員の任命、あるいは公取とかそういうのがございますが、そういう例がございますから、私は、それに見習った措置の問題だろうと思っております。
竹中国務大臣 これは、国会の同意を得て総理が任命するということでありますから、国会でお決めになること、もう一つは総理がお決めになる部分ということでありますから、私どもの立場でどうこうというのは、これは大変難しいかというふうに思います。
永田委員 その程度のことも答えられない人に質問をしなきゃならない苦痛を今かみしめているところであります。
 ちょっと質問の順番を変えて、日銀の株買い取りの話をしたいと思います。
 日銀が猛烈な勢いで民間銀行が保有している株式を買っています。先日の発表では、三千八百億円残高があるというふうに言われています。これは、僕は非常に大問題だと思っています。
 買い始めてからしばらくたつものですから、その保有している株式について、当然、株価が日々変動します。損益というものは、その瞬間で含み損、含み益、どれぐらいあるか、計算できると思います。直近の数字でどれぐらい損益が出ているのか、日銀の方からお答えをいただきたいと思います。
三谷参考人 お答えいたします。
 私ども、買い入れた株式については、半期ごとに、原価法による期末評価を行った上で、必要な減損処理、もしくは含み損超となった場合の処理というものを考えております。
 したがいまして、株価は毎日毎日変わるものでありますので、基本的には決算の段階で財務諸表とともにその含み損の数字とかそういったものは公表させていただきたいというふうに考えております。
永田委員 究極のモラルハザードであります。
 僕は、まだ生まれてこの方一度も株というものは買ったことはありませんが、恐らく、自分が株を自分のお金で買ったとしたら、一日に五回は株価をチェックしますよ。そんなものだと思いますよ。だけれども、自分の金じゃないから半期に一回で済むというふうにお考えになっているわけですよね、要は。
 半期どころじゃないんですよ。実はこの株というのは、買ったら十九年まで持ち続けて、十九年から今度は二十九年までの間に順次売却をしていく。その際に含み損、含み益というものは実現するわけですから、その瞬間に処理をすればいい。だから決算上は、もちろん財産目録をつくる意味では当然半期に一度計算するという作業は必要だとしても、それ以上の意味は持っていない、多分それぐらいの話だと思うんですよ。
 冗談じゃありません。自分のお金じゃないからといって、そんなばかな扱いしないでほしいんですよ。これは、最終的には損失が出たら国庫納付金となるべきお金から損失を補てんしなきゃならないという、大変、これは税金に準じたお金ですから、ほっておけば国庫納付金になって国家予算の一部を形成するわけですから、そうした性格のお金を扱う者としてはまことに不適切な態度だと思うのですが、今後も半期に一度しか損益を評価しないというふうにお考えなのか、もう一度答弁をお願いします。
三谷参考人 お答えいたします。
 日本銀行の保有している資産、今回株の買い入れを行ったわけでありますが、国債にしろ外国為替にしろ、いろいろな形で、市場の相場変動によりまして、その時々時価は変わるわけでありますけれども、私どもとしては、そういうものは、基本的には、毎日試算するというわけではなくて、決算期末に決算処理と合わせてきちんと世の中に報告していくということが必要十分でないかというふうに考えているところでございます。
永田委員 日銀の資産が劣化するかもしれないという部分が非常に大きなテーマとなって、今回の日銀の株買い取りは世間から非難をされているわけですよ、注目を集めているわけですよ。実際、日銀の株というのはこの十年以上下がり続けていて、今でもこの十年、最低付近で株価というのは推移しているわけですよ。
 資産の劣化がどれぐらいだということは、マーケットは注目をしています。今この瞬間に日銀の資産がどれぐらいだということが計算できるのにしないというのは、僕はマーケットに対する裏切り行為だと思うんです。マーケットに対して正しい日銀の株価形成を促す、そういう謙虚な気持ちで計算をして、明らかにすべきときに明らかにしていくべきだと僕は思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
三谷参考人 今申し上げましたように、日本銀行の持っている資産というのは、国債であれ外国為替であれ、今度新しく購入しました株であれ、毎日価格は変動するわけでありまして、それを毎日毎日把握して公表するというのはまさにいろいろな、マーケットにも不測を招きかねないということもございますので、そこは決算の際にきちんと決算処理も合わせて報告したいということでございます。
永田委員 この問題は余り禅問答をやってもしようがないんですが、株の毎日の変動なんて、追うのは簡単なんですよ。野村証券のホームページに行って、株取引シミュレーションみたいなゲームみたいなものがあって、百万円ぐらいの資産を株式の購入に割り当てて、そのポートフォリオが毎日総額でどれぐらいの価値を持っているかなんということはすぐ出てきます。わけもない話です。その程度のこともやろうとしない日銀の姿勢に、私は愕然とせざるを得ないというふうに思っているわけであります。
 ところで、では今度は、いわゆる善管注意義務の話がありますね。資産の劣化に対して適切にその監視をしていく、あるいは、日銀法第五条の話ですけれども、「日本銀行は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならない。」と第五条に書いてあります。
 これはもちろん、日銀の役員さんが最終的には責任を負うものだと思います。そして、この善管注意義務に従って株式の損益を適切に管理し、要するに損益がどれぐらいあるかというものを見ていく、あるいは管理していく、こういうことは何と日銀の監事さんの仕事だというふうに、以前、我が党の参議院大塚耕平議員の質問に対して日銀の方がお答えになっているんですけれども、そのことは覚えていらっしゃいますか。
三谷参考人 申しわけございませんが、私自身でそういうことを答えたことはございませんので、ちょっと記憶にございません。
永田委員 通告もしていないんですが、これは総裁がお答えになったことだというふうに記憶をしています。
 ちなみに、では、三谷理事にお伺いしたいんですが、株価も含めて日々変動する資産があるわけですね。この状況について、それが、言ってみれば、日銀の公共性などにかんがみて適正かつ効率的な業務の運営と言える状態にあるのかどうかを管理し、判断するのはだれだと思いますか、日銀の中で。
三谷参考人 私どものいろいろな金融資産等の買い取り、これはその時々の政策目的に従ってやっているわけでございます。したがって、これを今買うと損が出そうだから買わないとか、そういったことは基本的には、別の対応を考えざるを得ないといいますか、そういうことでオペレーションの中身を変えるということは、私どもは基本的にはやっておりません。
 今お話のありましたいろいろな資産の価格変動につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には期末の時点で、引当金の処理も含めて、きっちり処理をした上で御報告するということが適正なやり方だなというふうに私どもは考えております。
永田委員 今、何か損が出ないようにするとか、あるいは日銀の利益をふやすことを目的としないということだと思うんですね、裏を返せば。政策目的を達成するためであれば、損益については余り大きなプライオリティーを置いていないというお答えだったと思う。今うなずいていらっしゃるのでそうだと思うんです。
 そうではなくて、今回の日銀の株の購入については、これは投資信託銀行に業務を委託していますね。委託した結果、その先で、取得した株の議決権の行使については、日銀の利益を最大限にすることを理念として議決権を行使してください、信託銀行にそういうふうに申し入れていますね。利益のことをちゃんと考えているじゃないですか。その調子でやってほしいんですけれども、なぜそこでは利益を考え、こっちでは利益を考えないという話になるのか、教えてください。
三谷参考人 今のお話は、議決権の行使に当たって、議決権を変な形では行使しないということでありまして、今先生のおっしゃったような私どもが定めました議決権の行使の基準というのは、その他の公的機関等の議決権の行使の仕方というものも参考にしながら決めたものでございます。今おっしゃった利益というのと、議決権行使に当たっての利益というものと、それから市況、相場変動等に伴う日本銀行の資産の価格の変動というものは、これまた別のものと私どもは考えております。
永田委員 改めてちょっと戻りたいんですけれども、善管注意義務、日銀は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するように努めなければならないという義務規定ですね。半期に一度の決算期に計算して、自分の資産がどうなっているかということを確認するだけで足りるんですか。
 人類の歴史上初めて中央銀行が長期に株を保有するという判断をした。しかも、日本の株式マーケットというのは、世界も含めて大変動しているわけです、今。そうであるならば、少なくとも当初は、このやり方が、制度が果たして適正なものなのか、効率的なものなのかということを注意深くウオッチしていく必要があると思うんですけれども、なぜ半期でいいというふうに考えているのか、その哲学、理念を教えてください。
三谷参考人 先ほど申し上げましたように、日本銀行の資産というのはそれぞれその時々の相場の変動によって変化するわけでございます。そういったことにより日本銀行の財務基盤が損なわれないように、そのためにいろいろな形での準備金とか内部留保を持っているわけでありまして、そういったものを引当金等も含めて総合的に処理をして公表するのが財務諸表、期末での処理ということでございます。
 したがって、もちろん私自身、関心はございます、買い取りの結果どういうことになっているかと。ただ、この株式につきましては、御承知かもしれませんけれども、いろいろな形での情報制限を極めて強くいたしておりまして、私自身、どういう銘柄を買ったとか、そういうことも含めて、これは担当部署限りのものということで、承知していないことにしております。
 したがいまして、いずれにしても、また、この株式は五年間凍結する、十九年の九月までは売却しない、その間、相場の変動につれて一喜一憂するものでもないんじゃないかというふうに私は思っております。
永田委員 いや、それは一喜一憂しなきゃいけないんですよ。自分の資産が劣化しないように、業務と財産の公共性にかんがみて、適切かつ効率的に運営されているかどうかチェックしなければいけないと書いてあるんですよ。それは一喜一憂しなきゃいけないんですよ。そこは考え方を変えてください、もうこれ以上変えるつもりのない人に言ってもしようがないので、これぐらいにしておきますけれども。
 ところで、日銀が株を買うということは通貨の調節につながるのかどうか。イエスかノーかでお答えください。
三谷参考人 今回の株式の購入は、通貨の調節を目的とするのではなくて、金融システムの安定ということを目的としてやっているものでございます。
永田委員 金融システムの安定を目的としているのであれば、金融の調節にも資さないことは明らかですね。今うなずいていただいたので結構です。
 日銀法の第一条、目的規定には、「日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。」と、まず目的はこう書いてあります。
 そして今回の株買い取りの法的根拠を与えた日銀法第四十三条、いわゆる目的達成業務でありますが、「日本銀行は、この法律の規定により日本銀行の業務とされた業務以外の業務を行ってはならない。」原則的にやってはならない。しかし、「この法律に規定する日本銀行の目的達成上必要がある場合において、財務大臣及び内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない。」この規定に従って、財務大臣と総理大臣の許可を受けて行っているのがこの業務だと承知しています。
 しかし、目的達成業務が規定しているのは第一条の目的に資するものだけです。つまり、第一条の目的に資さないものはやってはいけないんですね。四十三条を根拠とする場合、第一条の二つの目的、すなわち通貨の調節または金融の調節、どちらかに資するものでなければできないはずなんですけれども、どうしてこれができるようになっているのか、根拠を教えてください。
三谷参考人 日本銀行法の第一条には二つ書いてございまして、一つが、先生のおっしゃった通貨及び金融の調節ということでございます。第二項に、「前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。」というものがございまして、私どもは、今回の措置は第一条の第二項の目的を達成するために実施をするということを考えているわけでございます。
永田委員 信じられない話ですね。
 第二項は、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図る。つまり、資金決済の円滑ですから、銀行その他の金融機関同士の間で行われる資金の決済の円滑化を図ることを目的としているんですね。それを使って「確保を図り、もって信用秩序の維持に資する」ということは、そういう決済の円滑化を通じて秩序の維持を図ることを目的としているのであって、今回の株の買い取りが金融機関同士の資金の決済の円滑化に資するものだ、僕は全然そうは思えないですよ。これは株を買っているだけですから、資金の決済の円滑化とは全然関係がないと思います。これをもって信用秩序の維持に資することを目的とするという規定は、第一項よりもさらに当てはまらないんだと思うんですけれども、どうしてそういう解釈になるのか教えてください。
三谷参考人 お答えいたします。
 金融機関の決済が円滑に行われるということは、金融機関相互間で十分な信用度が確保されているということが大前提になるわけでございます。
 御承知のとおり、今、金融機関は不良債権の問題、また株の含み損といったようなことが金融機関の信認にとって極めて大きな問題としてみんなに注目を浴びているわけでございまして、そういった意味でいけば、金融機関の株式の大量の保有に伴うリスクを軽減していくということが金融機関の信認を確保することにつながり、それが資金決済の円滑の確保、信用秩序の維持に資するというふうに私どもは考えているわけでございます。
永田委員 大変重要なお話がありました。要するに、金融機関、主に銀行ですね、銀行から株を買っているわけですから。銀行が株を持ち過ぎているがために、周りのほかの金融機関から危ないと思われて、もうおまえのところでは決済やらないよというふうに言われる可能性があった、それを避けるために株を買ったんだというお話ですね。
 本当に、おまえのところは株を持ち過ぎているから決済の相手としては不適当だというような現象が起こっていたんですか。それはどういう現象だったんですか。どういう調査に基づいて、どういう話でそういうふうな発想を持つに至ったのか、事実関係を説明してください。実名を出すと多分大変なことになると思うので、実名は出さなくて結構です。どういう調査をして、どういう論拠に基づいて、どういう証拠に基づいてそういう発想に至ったのか教えてください。
三谷参考人 先生も御承知のとおり、今、金融機関に対しては株式の保有制限というものを法律で決めております。具体的には、ティア1を上回る部分について十六年九月までに解消せよということ。これは、すなわち、現在金融機関がティア1をオーバーして持っているような株というのはやはり金融機関として持ち過ぎである、そういうこと自身が金融機関の信認の維持にとってやはり大きな問題ではないかというところからこの法律が定められたということで私どもは理解しておりまして、そういったことを念頭に今回の措置に踏み切ったものでございます。
永田委員 違うんですよ。八%ルール、株をそれだけしか持ってはいけないという、この法律の審議に僕も参加していましたからわかりますけれども、あれは、金融機関の経営が、株のようなマーケットで値段が上下するような不確実なものに大きく左右されるようでは困るということで八%ルールを定めたわけですね。
 そうじゃなくて、今三谷理事が御説明なさった答弁というのは、おまえのところは株を持ち過ぎているから、決済の相手としては不適切だから、もうおまえのところは決済してやらぬ、そういうような現象が起こったか、ないしは起こりそうだったという予兆が明白に見られたから銀行から株を買い取ることにしたんだ、そういう話だったんですよ。どういう根拠をもって、どういう現象をとらえて、どういうところからそういう感触を持つに至ったのか教えてほしいというお話をしているんです。
三谷参考人 今先生が御指摘なされたとおり、金融機関が多額の株を持っている、そのこと自体が、金融機関の経営を不安定にしかねないというふうなことでございました。したがって、そういう不安定のもととなっているものは早く一定額以下に処分しろということが法律で決められているわけでございますが、まさに、そういう金融機関の経営が不安定に陥る可能性があるということ自身が決済の円滑化に問題を生じかねないということで、私どもはこういった措置をとったわけでございます。
永田委員 答弁がずれているんですよ。そうじゃないでしょう。
 決済リスクがあると感じられるぐらいに株を持ち過ぎている金融機関が幾つかあった、一つかもしれないけれども。もうこれは決済してやらぬという話になるかもしれないから、だから株を日銀が引き取った、そう説明なさったんですよ。経営全体が揺らぐとかそういう話をしているんじゃなくて、株の持ち過ぎというものが、直接に決済リスク、決済をもうしてやらない、決済システムが崩壊するかもしれない、そういうところに直接的因果関係があってつながったという現象が見られたわけですね。それはどういう話だったのかということを教えてほしいと言っているんですよ。
 例えば調査をしたとか、ヒアリングをしたとか、そういう苦情が来たとか、いろいろな話あるでしょう。単に、八%ルールを定めた法案が国会で審議されてできたという現象だけじゃ説明つかないですよ。因果関係がなければいけない。株を持ち過ぎているという原因と、決済の相手として不適切だという判断をされるかもしれないという結果、ここの間の因果関係がなければいけないんですよ。それはどこから知ったんですか、教えてください。
三谷参考人 先ほど申し上げたように、金融機関の資本力に比べて過剰な株を持っておりますと、株価の変動によって、いつ何どきそういうことが起こるかわからないわけでありますが、株価が仮に大幅に変動いたしますと、直ちにその金融機関に対して信認の低下ということが起こりかねないわけでございます。
 そういった場合に、金融機関に対するいろいろな与信であるとか決済というのは、相手が信用できないと安心してできないものでありますから、そういった意味で、金融機関の経営が極めて不安定になったときには決済システムが、そこで円滑な決済が行われなくなるということは当然考えられるわけでございまして、そういった支障を未然に防止するために私どもはやったわけでございます。
永田委員 これはもう、後づけのこじつけですね。事前にそういうことを考えていたとはとても思えない。
 普通、株の保有高と決済リスクというものの因果関係を調べようと思ったら、決済の金額の例えばどれぐらい決済してもらっている、あるいは決済をしてくれる相手の数みたいなものと株の保有高の相関関係を計算してみたり、それは一次相関をとれば出ますから、そういうものを計算したり、あるいはヒアリングをしたり、あなたのところは株を持ち過ぎているということを理由にして決済を断られたことがありますか、あるいは余計な保証をつけてくれと言われたことがありますか、そういうようなヒアリングをしたり、そういうことをやるんですよ。全然そういうことをやっているという話をしていない。
 ということは、そういうようなことも考えられるというふうに答弁すれば多分すり抜けられるだろうというふうにたかをくくって、後づけで考えたこじつけの理屈ですよ。それははっきり白状なさった方がいいと思いますよ。
 そうじゃないとおっしゃるならば、もう一回お伺いします。最後にお伺いしますが、因果関係はどこにあったんですか。どこからそれを見取ったんですか。お願いします。
三谷参考人 先生も御承知のとおり、私どもが株の買い取りを検討すると公表いたしましたのは、昨年の九月の中旬でございます。そのしばらく前から、日本の株価は相当大幅な下落を続けておりました。かつ、その当時から、例えば海外でどういうことが起きるかということによっては、また極めて不安定な状況にあるというふうな状況でもございました。結果として、仮に株が大幅に下落すれば、その途端に自己資本を大きく毀損するような金融機関が出てくる可能性は十分にあったわけでございます。
 そういったことを考えますと、自己資本がどんどん毀損されても金融機関に対する信認は確保できるんだということであれば別ですけれども、恐らく、そういうことになりますと、幾つかの金融機関において信認が相当低下することは十分考えられるという考え方のもとに、私どもは決断をしたわけでございます。
永田委員 もう結構です。
 ところで、日銀が銀行から株を買った場合と、日銀が買わずに銀行がマーケットに売却をした場合、株式市場の、マーケットの株価の上下という意味で、株価に対する影響というのはあると思いますか、ないと思いますか。
三谷参考人 これは、株式市場、いろいろな要因で価格が決まっているわけでございます。一つの理屈で言えば、企業の収益力とかそういうところから決まってくるわけでありますけれども、ごく短期的には、やはり需給という要因もあると思います。したがって、結果として、市場に売却されることなく日本銀行に売却されるということであれば、需給面から何がしかの株価への影響ということはあり得る話だと思っております。
永田委員 これは本当にひどい話で、買った株の銘柄を公表しないんですよ。僕の友人は投資家なんですけれども、自分の資金を運用してちゃんと株式投資をしているんですけれども、日銀がどの銘柄を幾らぐらい買っているかわからないような状態で、株式マーケットに金を突っ込むのは怖くてとてもできないと言っているんです。現実に、そういうことで株から手を引いちゃった人がいるんですよ。
 どう思われるんですか。これはマーケットをゆがめていますよ。僕は、銘柄を公表すればまだ何とかなると思います。今からでも公表するシステムに切りかえるべきだと思いますけれども、お考えはいかがですか。
三谷参考人 先生の御指摘ではございますけれども、私どもとしては、その銘柄を公表することになりますと、むしろその方がマーケットに不測のいろいろな思惑を招くのではないかというふうに考えております。
 と申しますのは、五年間は、つまり十九年の九月までは私どもがずっと持ち続けるわけでありますが、その後は逐次処分していくわけでありまして、そういったことが明確にわかってまいりますと、個別の株価形成にとっても、また別の意味での不測のいろいろな影響が出てくる可能性はあり得ると思っております。
永田委員 本当に困るんですよ。さっきも三谷理事がまさにおっしゃったように、株は日銀が買うことにすれば、短期的には、需給的な要素がありますから、株価に対して影響する可能性があるというお話でしたね。短期のものは短期で済むんですよ。逆に言えば、日銀が株を買わずに、銀行が直接マーケットに売った場合は、今に比べて多少売り圧力は強まるかもしれないけれども、それは短期でおさまるんですね。
 ところが、今日銀がやっている制度というのは、今から平成十九年まで株を持ち続けて、その間ずうっとマーケットをゆがめ続けて、そこからさらに二十九年まで十年間かけて株を売り続けるという、いつ売るか、いつ売らないかということがマーケットに参加している投資家には全くわからない姿になっている。かえって短期のインパクトを長期に引き延ばしているんですよ。そのことについての罪悪感というのはないんですか。教えてください。
三谷参考人 御指摘ではございますけれども、では、現実、株式を持っている方がそれぞれどれだけ株を持っていて、そういう方々がいつ、どういうふうに売るのか、これは全くわからないわけでございます。したがって、日本銀行だけがそれを公表いたしますと、むしろその方が株価形成にいろいろな思惑を招きかねないというふうに私は思っております。
永田委員 ちゃんとそういうものを所与の条件として投資家は判断をしますから、できるだけ透明で、クリアでわかりやすい形で情報が公開されていれば、それ以外の不確定要素はちゃんと不確定なものとして織り込みますから、マーケットというのはそういうふうにできていますから、余り投資家をばかにしない方がいいですね。
 今の発言は、日銀の姿勢を明らかにしたらかえっていろいろな思惑を招くとは、一体どういう話なのかなと思いますね。それは、日銀がきょうトヨタの株を百億円分売るという話があったら、それを前提としてマーケットの株価は形成されますから、大丈夫なんですよ。不確定要素をできるだけ排除するということが大事なことなんですね。ですから、そこは考え直していただきたいなというふうに改めてお願いします。
 最後に、たくさん先輩方がいらっしゃるので、生保の予定利率の引き下げのことについては一言も触れないわけにもいかないので、ちょっとお伺いしますけれども、盛んに言われております生保の予定利率の引き下げ、今の検討状況をざっと教えていただきたいと思います。
 なぜかというと、やるならやる、やらないならやらないではっきり早期に決めないと、やるかやらないかわからない状態に置いておくと、どんどん解約がふえていくんですよ。そして、新たな契約も結びにくいということになるわけですよ。ですから、やるならやる、やらないならやらないではっきりと早目に決めてほしいし、今決められないんだったら、いつまでに決めるということぐらいはマーケットに言ってあげた方がいいと思いますね。そうしないと、解約が殺到するということになりかねないので、不安定な状態に置いておくのが今一番悪いんです。
 国民は、もうこれ以上リスクを負いたくないと思っています。損失を確定したいと思っています。だから株式市場から逃げています。生保がこれ以上予定利率が下がるんだったら、さっさと逃げて、損失を確定したいと思っています。だから、そういう国民の気持ちというものもちゃんとわかってあげた上で善処してください。ぜひ御説明をお願いします。
竹中国務大臣 生保の問題が国民生活の中で大変大きな問題であるというふうな認識を私も持っております。その中で、我々が今やっておりますのは、とにかく、これはちょっと諸外国の例がなくて、どのような対応をしたら多くの方が満足できるか、多くの人が満足できるその正解がなかなかない問題だと思っております。
 でありますので、とにかく、こうした場合にはどういう利点、不利点があるということの議論の整理をしながら一生懸命勉強しているところでございます。その上で方針をどうするかということを幅広く議論していただいて決めなければいけないのですが、いつまでに決められるかということを、実は、大変申しわけありませんが、まだ今の時点でそこまで申し上げる自信はございません。ただ、できるだけ早い時期に、論点の整理といいますか、こういう場合はこういうメリット、デメリットがある、それに対して国民の皆様方に、こういう情報というのは一つだけ取り上げてわあっといくというのが一番問題なものですから、そうならないように、論点の整理のようなものを見ていただいて、幅広くしっかりと議論していただけるように、そういう努力をしたいというふうに思っております。
永田委員 終わります。
小坂委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 改革なくして成長なしということですが、政府自体も、名目は別にして、実質ではなかなかプラスにならない、そういうふうな見通しを立てていらっしゃるわけで、景気、経済、もちろん短期の問題と中長期の問題と二通りあるというふうには思いますが、今国会も、来年度の予算案の前に補正予算案が提出をされたというふうなこともあるし、政府としては、また例によって十五カ月予算というふうな観点で予算編成をされているんでしょうから、補正予算並びに当初予算、そして昨年に発表されました金融再生プログラムということも含めて、当面の、来年度の景気、経済に与える影響ということを、きょうはまず初めにお伺いをしたいというふうに思っております。
 経済財政担当大臣、金融再生プログラム、これについての経済効果、二〇〇四年までに現状の不良債権を半分にする、そういう目標を立てられているわけなんですけれども、これによって来年度はどういうふうな経済効果をもたらすことになるのか、失業率等も含めて数字を教えていただきたいのです。
竹中国務大臣 二年ぐらいの目標を立てて不良債権比率を半分にする、そのためにいろいろな努力を金融機関は今始めたところでございます。それがどのような経済的な影響を及ぼすかということは、これは昨年の十月に発表した後もいろいろ御質問をいただきました。そのときにお答えしたとおりになるのでありますが、そのことを、非常に厳密に経済効果を算出するというのは、どのような形で銀行がそれぞれの経営計画を立てていくかということに依存しますので、厳密に申し上げるのは、大変残念でありますけれども、難しいというふうに思っております。
 ただ、今までの一つの考え方としますか、めどになりますのは、これは内閣府で試算をして、かつ、最近また一部データを新たにして見直しておりますけれども、銀行が一兆円オフバランス化をすると一・四万人ぐらい失業がふえる懸念がある。そのことはそれなりに織り込んで今年度の経済見通しとかそういうことに、これは繰り返し申し上げますと、一対一で対応させるということは難しいわけでありますけれども、マクロの予測をした上で、そういうふうな金融再生の効果はその中に矛盾しないで入っているというふうに見られる、そういう形で議論をさせていただいているつもりでございます。
中塚委員 それで、数字等はあれなんですか、全然勘案されていない、出されていないということなんですか。
竹中国務大臣 金融再生プログラムで、それによって銀行の行動が変化して、それがマクロ数値に直接どのように影響を与えるかというような試算は、先ほど申し上げましたように、銀行がどのような行動をとっているかということ自体、今一生懸命銀行が模索している段階でありますので、そういう限定的な試算は行っておりません。
中塚委員 金融再生プログラムだけじゃなくて、今から先行減税の経済効果とか、あと補正予算の公共事業積み増しの効果とかもお伺いしようと思っていますが、確かに政府の予測がなかなか当たらぬということはよくわかっていますけれども、それでも全く考えていないということは、それはちょっとあり得ない話なんじゃないですか。どうですか。
竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、例えばマクロ的な予測というのはある程度できるわけでございます。後で詳しく聞いていただけるのかどうかわかりませんけれども、先行減税、ネットで一・八兆円やった、そういうことは織り込んでマクロモデルの試算は行っております。また、十四年度の補正予算がこのぐらい十四年度に出てくる、十五年度にさらにこれだけ支出が出てくる、そういったマクロ的なことは行っているわけでございます。その中で、銀行の行動の変化がダイレクトにどれだけのインパクトを例えば成長率や失業率にもたらすか、これはちょっと技術上できない。そういう形では織り込んではおりません。
 しかしながら、これまでも銀行の残高というのは減ってきているわけでありますけれども、そういったトレンドを反映したようなマクロモデルでの試算を総体として行っている、その数字は経済見通し及び「改革と展望」の中に反映しているということであります。
中塚委員 では、この金融再生プログラムのことだけでそういう数字は出していないということだけれども、「改革と展望」等にはその数字は反映されているということですね。それも込みだということでよろしいのですね。
竹中国務大臣 先ほど言いましたように、一対一の対応関係を取り出すのは難しいのでありますけれども、全体としてのマクロとのトレンドの中でそういった問題を消化しているといいますか含んだ形で、総合的な姿を「改革と展望」で描いております。
中塚委員 過去のトレンドからいろいろ判断をして、民間シンクタンクなんかでいろいろな数字が出ていますね。そういうものをずらっと見ても、例えば、二〇〇三年度、GDPをマイナス〇・一から〇・二押し下げるというふうな数字が出ていますが、それについてはどういうふうにお考えですか。
竹中国務大臣 今の数字はちょっとどこの数字なのかあれなのですが、金融再生プログラムによってそれだけ短期的に大きなマイナスが出てくるというのは、直観的にはいかにも大き過ぎるのではないのかという気がいたします。金融の再生によりまして、新たな成長分野に少しずつだけれども新たな成長資金が回るということも期待できるわけでありますし、その数値の根拠をもしお示ししていただければまた検討させていただきますけれども、そのような大きなものではないというふうに思っております。
中塚委員 一兆円のオフバランスで一・四万人、そういうことになれば、今、大手行の不良債権というのが総与信の九%弱ぐらいですから、それを半分まで持っていくというと、四%かもうちょっと上ということになるわけですね。額でいくと十五兆円弱ぐらいになると思いますが、十五兆円弱ということは、一・四万人ですから、額でいきますと二十二万人、二十三万人ぐらいの失業者が出るということなわけですね。それが景気、経済に対して与える影響というのは計算できるんじゃないかというふうに思いますが、織り込んであるという数字であるならば、それはそれで結構なんですけれども。
竹中国務大臣 ちょっと今の数字の中で、不良債権の額の中に要管理の額が入っていたと思います。要管理はオフバランスするということではございません。もちろん、要管理の中からさらに破綻懸念先以下に落ちてくる、その確率は見込んでおかなければいけないのですが、その意味では、半分ぐらい要管理でございますので、今のような数字では必ずしもないというふうに思っております。
 ただ、いずれにしても、今御指摘のようなラフな見通しというのは、もちろん幾つかの仮定を置いていろいろなところが発表しているかもしれないわけでございますが、その場合もやはり、本当に要管理と破綻懸念先以下をきっちりと分けるとか、そういうちょっと注意をして取り扱わなければいけない数字がございますので、今の数字に関して、大変申しわけございませんが、一点だけ今の点を申し述べたいと思います。
中塚委員 要管理がそれからおっこちるかどうかというのは特別検査等の結果にもよることなんでしょうから、またそのことは後でお伺いをいたします。
 では続けて、先行減税一兆八千億円、これについてはどういうふうな効果を見ていらっしゃるか。
竹中国務大臣 減税の効果というのは、特に今回、設備投資を刺激する等々、研究開発投資を刺激する、それが供給サイドにどのような影響を与えるということは、実はまだ勉強中なところでございます。
 しかし一方で、需要側で一・八兆円政府から民間にお金が出るということでございますので、これについては、政府経済見通しの中にそのことを織り込んでおります。ちょっとそれだけ今取り出して何%かということはまたまた仮定を置かなければいけないのでありますけれども、今年度の経済見通し、プラスの〇・六%成長、その中にその効果は、数量的にはモデル試算も含めてかなり正確に織り込まれているというふうに御理解いただきたいと思います。
中塚委員 織り込まれているのは当たり前なんですが、このことだけを個別には考えていらっしゃらないということですか、そうしますと。
竹中国務大臣 ですから、もしその減税がなかりせば、一・八兆円分の需要刺激がなかりせばどうだったかという計算はできなくはございませんけれども、そういう取り出し方をすると、先ほど言いましたように、減税となると本当は供給側も考えなければいけないねとか、そういう話になりますので、それだけを取り上げた試算は行ってはおりませんということであります。
中塚委員 そんなので本当に大丈夫なのかなという気がするんですけれどもね。
 例えば減税にしたって、税制の法律はまたその後こっちで議論されることになると思うんですけれども、減税といったって、先行減税とはいうものの、後から増税が待っている。所得課税は増税ですね、先行減税というのは法人関係税が圧倒的に多いわけですね。
 私ははっきり言って、その法人関係税を減税したってそんなに効果はないというふうに思っているんですよ。というのは、そもそも、税収が落ち込んだというのは法人税収が落ち込んでいるわけですよね。赤字が多いのに、それを減税してそんなに効果があるのかどうか。
 しかも、それも設備投資促進ということになっているわけですが、私は、企業が設備投資しないのは税金が高いからじゃないと思いますよ。税金が安くなれば設備投資するというものでもないと思うし、上げた利益を過剰債務の解消なんかに使うというふうなことが多いから設備投資には向かわないと私は思っているんです。今のお答えだと、その設備投資減税の効果が幾らとか、あるいは相続税も税率が下げられるわけだけれども、その相続税の減税による効果が幾らとか、そういったことは検討されていないということですか。
竹中国務大臣 今申し上げましたように、供給側を通してどのような影響があるかというのは、これは、一つの分析で多分一つの論文が書けるような、かなり難しい問題であろうかと思っております。したがって、今の時点で結果をお示しできるようなものはございません。
 それにかえて、マクロで見た需要の刺激の分がどのような効果をもたらすか。これは、見通しの中に織り込ませていただいているということでございます。
中塚委員 論文が書けるんだったら論文を書いてもらいたい感じですね、経済学の教授なんですから。ぜひともそれはお願いしたいぐらいなんだけれども。
 では次に、何ぼ聞いても出ないんなら、二〇〇二年度の補正予算、これによって公共事業が積み増しになっていますね。これについては、どういう効果を見ていらっしゃいますか。
竹中国務大臣 これにつきましては、乗数効果等で、つまりマクロの効果がはっきりと認識されるものですから、そのマクロ的な効果をマクロモデルを使って計測ができております。
 構造改革推進型の公共投資の促進に国費一・五兆円、それで事業費の規模で三・四兆円を計上するということによりまして、これは今後一年間の通年ベースでの効果でありますけれども、実質GDPを〇・七%程度押し上げる効果を持つ、そのような試算結果を出しております。
中塚委員 では続いて、来年度の当初予算なんですが、当初予算の公共事業費、これがどういうふうな影響を与えるのかということと、あと、地方財政計画の方でも単独事業を減らすということになっていますけれども、この二つがどういうふうな影響を与えるのかはいかがですか。
竹中国務大臣 これも、先ほど申し上げましたように、予算の項目一つ一つについて、それがどのような影響が出るか、このシミュレーションは、その支出なかりせばどうかということを考えてその効果を計測するということになるでしょうけれども、これは、個別の問題になればなるほど考慮すべき問題がたくさん出てきて、むしろ数字が不正確にとられる可能性がありますので、そういう個別の効果は出しておりません。
 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、予算全体として、政府がこれだけの支出をする、税収がこれだけと見込まれる、その結果、マクロの効果として今年度の経済にどのような影響を与えるか、これは、マクロのチェックは行っております。その結果は、総体を示すものが政府経済見通しでございます。
中塚委員 それじゃ、二〇〇三年度で、社会保障関係で負担増があったり、年金の給付額が削減になったりするわけなんですが、これについてはいかがですか。
竹中国務大臣 そのマクロモデルの中において、家計に対してどれだけの負担が生じるかということを、これは積み上げた数字で入れてシミュレーションをしております。予測をしております。繰り返しますが、それだけ取り出してどうだということはやっておりませんが、そういった効果を織り込んで経済見通しを出しているということでございます。
 非常に大ざっぱな考え方といたしましては、政策が二〇〇二年から二〇〇三年にかけてどのように変化するかということに関しては、政府が民間部門に与える影響というのはほぼニュートラルである。ややプラスになりますが、ほぼニュートラルであるというような結果になります。この数字は、「改革と展望」の政府の貯蓄投資差額を見て御確認いただけると思います。
中塚委員 よくわかりました。
 今幾つか聞きましたけれども、大臣が具体的に数字を挙げてお答えになったのは、プラスになる〇・七だけですね。あとは、マイナスの影響を持つだろうと思うようなものは、全部、わからないとか全体に織り込んであるというふうなお答えでした。結局、要は、二〇〇二年度の補正予算で公共事業積み増しの経済効果〇・七ということだけだったんです。
 では、今申し上げたようなことを皆々ひっくるめて、二〇〇三年度の景気というのは、ネットにするとマイナスの影響を受けるということでよろしいですか。
竹中国務大臣 今まさに御答弁申し上げましたように、マイナスではないということであります。
 それは、政府の貯蓄投資差額で御確認いただきますと、もちろん政府は、勘定はマイナスでありますけれども、マイナスの程度が二〇〇二年から二〇〇三年にかけて、わずかだけれども、やはり大きくなります。
 その要因は幾つかございますけれども、一つは、二〇〇二年度の補正予算の執行が二〇〇三年度に出てくるというのが一つの要因。もう一つは、先行減税を行っております。一方で、負担増等々ございますけれども、負担増等々を全体としては相殺して、オフセットして、やや政府部門が民間に対してプラスの効果をもたらすような予算編成になっております。
中塚委員 塩川財務大臣に同じことを伺いますが、今いろいろ申し上げたようなことをすべてあわせて、二〇〇三年度、財政政策による景気浮揚効果というものは、ネットでマイナスで働くんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
塩川国務大臣 どうもこの委員会で先生方の質問は、木を見て森を見ずの話ばかりが多いんですね。先ほど来聞いておりましても、部分ごとに、これはどうなんだ、あれはどうなんだと。経済というのは有機的なもので行動しておりますから、それがお互いに関連してきて、一つのものでもって何%経済成長率だということ、これを測定を出せということは至難な話だと思います。けれども、何とかして、予算の重点配分によって経済全体をよくしていきたい、そういうことで組んできておるんです。
 そこで、それじゃ二〇〇三年度はどうなるんだという話でございますけれども、私はこう思うております。
 経済の数字の上からいったら、評論家なんかは決していいとは言わないと思います。しかし、企業活動は非常にようなっていくと思います。現に、最近の統計見てごらんなさい。輸出の中身が変わってきまして、消費財の輸入もふえておりますけれども、輸入の限度がだんだんと停滞してきて、横ばいになってきておりますが、一方、輸出の方は随分と変わってきました。消費財の輸出は少なくなってきて、資本財の輸出がうんとふえてきておりますから、様子は確かに変わってきておるんです。
 もうこれでやめておきますが、企業はようなってきているんだ。構造改善も進んできています。ですから、予算で経済がどうのこうのというのじゃなくして、予算でセーフティーネットも十分振っていって……(発言する者あり)だから、聞いてくださいよ。二〇〇三年度はそんな悪くならないです。
中塚委員 企業がよくなっているのは、リストラ利益ですよ。別に、ばんばん物が売れて、ばんばんもうかっているわけじゃないですよ。だからデフレなんでしょう。根拠なき楽観論に基づいて経済財政運営がされているということがよくわかりました。
 では次に、デフレということですけれども、そういったことで需要追加ということとは別に、今度は供給過剰の解消ということがあるわけですけれども、この供給過剰の解消ということで、竹中大臣は、具体的な施策というと、これは一体どれに当たるとお考えなんですか。
竹中国務大臣 供給過剰という言葉が、大変、幾つかの意味を持っているように思います。
 供給の過剰が一時的にあったとしたら、別にその過剰を解消する必要はないと思います。まさに、それであれば、需要を一時的につけるというような政策をとるべきであります。
 現実には、供給側に、過剰なものというよりは、使用不可能なものがまざっているというのが日本の現状であろうかと思います。エクセスキャパシティーじゃなくて、ユースレスなキャパシティーがあるという言い方がございますけれども、まさにそれが不良債権の問題、企業の過剰債務と不良な資産の問題であろうかというふうに思っています。
 これに関しましては、不良債権問題の解決の中で、同時に、これは産業再生機構も設立いたしますけれども、過剰な債務、その裏にある不良な資産を償却していくという中で、企業の健全化、産業の健全化が図られていくというふうに思います。
中塚委員 今の答弁もよくわからなかったんですが、ユースレスな設備というと、それは、ユースレスだったら別にデフレの原因にならないんじゃないですか。どういう意味でユースレスというお言葉を使われたのかよくわからないけれども。
 だって、デフレなんでしょう。需要が足りないということで、供給が過剰だということで、だから需要不足をどう解消するかということがあるし、供給過剰をどう解消するかという話があるわけで、ユースレスな設備が云々というのは、何かよくわからない。もう一度お願いします。
竹中国務大臣 ちょっとわかりにくい説明だったかもしれません。申しわけございません。
 例えば、非常にわかりやすい不良債権の例で申し上げますと、バブルのときに、どこかの山の中に大変ゴージャスな立派なホテルを建てた。これは需要がつくだろうというふうに想定していたわけですけれども、バブルの時代のそういう想定は間違いであった。例えば、山の中に大変立派なものがあったとして、これは供給過剰かということなわけですね。そういうところに人が行くまで需要をつけるということはできない、だからこれはユースレスなキャパシティーである、そういうものは資産としても処分していかざるを得ない、私が申し上げたのはそういうことでございます。
 それともう一点、中塚委員の御主張の中心にあるのは、需給ギャップが大きくて物価が下がっているということかもしれませんが、需給ギャップというのはもちろん存在はするわけでありますけれども、我々の計測によると、それは過去の不況に比べてそんなに大きなものではないし、この一年ぐらいに関しては若干だけれども縮小している、そのような認識を持っております。
中塚委員 山奥の別荘の話は、それはわかりやすい例じゃなくて極端な例ですよ。それと物価が下がるということと一体どういう関係があるんですか。わかりました。供給過剰の解消ということも余りお考えになっていないということがよくわかりました。
 次に、産業再生機構のことを伺いますが、そういう意味で、供給過剰を解消するというんだったら、産業再生と言いますが、いろいろな原因があって、例えば過剰債務なりなんなりでふらふらっとしてくるわけですね。それが不良債権になっていったりするんだろう。そういうふうな過剰債務企業を産業再生で再生させてしまうと、供給過剰の解消にはならないんじゃないですか。どうですか。
竹中国務大臣 まさにそれは、再生できる、再生プログラムにのるものかどうかという判断の問題であろうかと思います。
 業界全体が確かに過剰供給を持っている産業もあることにはあります。そういうところで、その産業をもはや再生不可能であるにもかかわらず生き長らえさせてしまえば、これはその業界全体の利益も国民の利益も損なうわけでございます。そうすることにならないように、産業再生機構にのせられるプロジェクトに関しては、きちっとした基準を設定して、再生可能なものに限定していく、決してそこに塩漬けにならないようにしていく、そういう仕組みづくりを今、谷垣大臣を中心にしっかりと行っているところでございます。
中塚委員 だめになるのにはやはりだめになる理由があるわけですよ。過去、経営を失敗したとか、あるいは時代の変化に対応できないとか。そういった意味で、だめになったものにはだめになった理由があって、しかも、銀行の経営者だって決して褒められたものじゃないけれども、銀行がやったってだめだったものを再生機構が引き取るわけでしょう。それで再生してしまったら、供給過剰の解消にはならないと私は思いますよ。法律自体はこの委員会で審議されるのかどうかわかりませんけれども、そのことを指摘しておきたいと思います。
 次に、デフレということで、きょうの閣議後の記者会見で、両大臣とも、金融緩和、一層の緩和をというふうなことを言われたというふうに聞いています。
 金融緩和の手法ですけれども、竹中大臣は、手法は日本銀行が考えればいいというふうな答弁を予算委員会でされたと思います。ただ、オーソドックスなやり方として国債の買い切り、国債を買うということだと思うんだけれども、日本銀行には日銀券の発行残高を上回らないという、規制というか、ルールというか、制限があります。これはもう撤廃しても構わないというふうにお考えなんでしょうか。
竹中国務大臣 国債買い切りの限度設定というのは、これは何か法律とかそういう事項ではなくて、日銀の金融政策決定会合で決められることであるというふうに認識をしております。
 したがって、当面のめどとして、そのようなところに当面のシーリングを設定して金融政策を展開するというふうに日本銀行は判断されたわけでございますから、それをどうするかということも含めて、繰り返しますが、これは金融情勢を見ながら判断する、日銀金融政策決定会合で議論して決定すべき事項であるというふうに思います。
中塚委員 日本銀行に土地を買えだの何だのかんだのとは言われないと私は信じていますけれども、ひょっとしたら言い出すのかもしれませんが。
 さっきからマネーの伸びの話をずっとされていますが、じゃ、伸びなきゃどんどん国債を買えという話になるのか。買えるものなんてそんなにないですよね、現実問題として。だったら、この発行残高ということとの関係は、いずれそれに突き当たるわけですね。次期総裁予定者の段階で参考人ということを要求しておりますので、またそのときにもその予定者の方に伺いたいというふうに思います。
 次に、特別検査について伺いますけれども、去年の柳澤大臣がおやりになった特別検査と同じなのか、違えばどこが違うのかということをお答えいただけますか。
竹中国務大臣 特別検査の意味は、決算に当たって銀行が資産査定をするに当たって、それと同時に、リアルタイムで金融庁も入って、監査法人等々と意見交換をしながらできるだけ正確な資産査定をしよう、それが特別検査の趣旨でございます。
 それをやるに当たっては、市場からシグナルが出ているような、株価の変化とかそういったものについて、特定の大口の債務者に絞ってしっかりとやる、基本的にはその考え方は、柳澤大臣がお始めになったことを私どもの役割はしっかりと継続することであるというふうに思っております。
中塚委員 考え方はわかりましたが、では、例えば対象債権の数とか、そういったことについてはいかがですか。
竹中国務大臣 風評リスク等々もありますので、そういうものについては事前に公表は今までもしていないわけでございますけれども、基本的な考え方、対象の大枠は変わっていないというふうにお考えいただいておおむね結構だと思います。
中塚委員 対象の範囲等は変わっていないということですが、銀行の自己資本とかそういったこととは全然関係なく、検査は検査として淡々とおやりになるということでよろしいんですか。
竹中国務大臣 そのとおりでございます。そこが大変重要であろうと思います。自己資本云々は監督の仕事であります。監督の行政と検査の行政の間にはきちっとしたファイアウオールを設けて、検査は検査として厳しくしっかりとやってもらう、これが重要な体制だというふうに思っておりまして、そのように指示をしております。
中塚委員 では、最後に一つお伺いして終わりますが、去年の柳澤担当大臣は、特別検査の結果、自己資本不足に陥る銀行もないし、資本注入の必要もないというふうに言っておられたんだけれども、竹中大臣は、ことしの特別検査の結果を反映して、そういったことになる可能性はあるというふうにお考えですか。
竹中国務大臣 検査は結果でありますから、結果を見て判断するということだと思います。財務大臣から声がかかりましたように、ここは厳しくやらせていただく、その上で結果をぜひ、きちっと見たいと思います。
中塚委員 以上です。
小坂委員長 次回は、来る十四日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十九分散会


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