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第6号 平成15年2月25日(火曜日)

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平成十五年二月二十五日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 林田  彪君 理事 渡辺 喜美君
   理事 生方 幸夫君 理事 松本 剛明君
   理事 上田  勇君 理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小池百合子君    小泉 龍司君
      坂本 剛二君    砂田 圭佑君
      田中 和徳君    竹下  亘君
      竹本 直一君    中村正三郎君
      西川 京子君    萩山 教嚴君
      林 省之介君    増原 義剛君
      松宮  勲君    山本 明彦君
      山本 幸三君    五十嵐文彦君
      井上 和雄君    上田 清司君
      大谷 信盛君    小泉 俊明君
      佐藤 観樹君    中津川博郷君
      永田 寿康君    平岡 秀夫君
      石井 啓一君    遠藤 和良君
      達増 拓也君    佐々木憲昭君
      瀬古由起子君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    植田 至紀君
      江崎洋一郎君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   総務副大臣        若松 謙維君
   法務副大臣        増田 敏男君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   杉本 和行君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    大武健一郎君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児
   童家庭局長)       岩田喜美枝君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   障害保健福祉部長)    上田  茂君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           山田 修路君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長
   )            斉藤  浩君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  坂本 剛二君     小池百合子君
  萩山 教嚴君     松宮  勲君
  仙谷 由人君     大谷 信盛君
  佐々木憲昭君     瀬古由起子君
同日
 辞任         補欠選任
  小池百合子君     坂本 剛二君
  松宮  勲君     西川 京子君
  大谷 信盛君     仙谷 由人君
  瀬古由起子君     佐々木憲昭君
同日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     萩山 教嚴君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第二号)
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長杉本和行君、財務省主税局長大武健一郎君、国税庁課税部長村上喜堂君、総務省自治財政局長林省吾君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、法務省民事局長房村精一君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君、農林水産省大臣官房審議官山田修路君、中小企業庁事業環境部長斉藤浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。七条明君。
七条委員 質問に入らせていただきますが、まず、塩川大臣、G7、お帰りなさいと申し上げておきまして、お疲れでございますが、質問させていただきますので、よろしくお願いをいたします。
 竹中大臣にまずお聞かせをいただこうと思っておりましたが、特に、ETF、もうかりますかなどというものを聞いておけば、こう思ったのでありますが、これをまた聞いてしまうと物議を醸してもいけませんから、きょうは、少し論点を変えて質問をさせていただこうと思います。
 実は、今、今度の予算のいろいろな事情を見ておりますと、財務省が随分と苦労をされた予算ではないだろうか。特に、重点化とか効率化とか、あるいは予算の執行の調査の結果、いわゆる税をどうするか、経費の削減だとかコストの見直しをどうやるかと、歳出をできるだけ抑えていくために苦労をされたということがよくわかります。
 そういう中で、結果的には平成十四年度を下回る水準になった、あるいは、三十兆を超えて特例公債を発行せざるを得ないという答えになったんだろうと思うのでありますが、最近、ここ二〇〇一年、二〇〇二年あたり、いわゆる税収見積もりがかなり当初と狂っている。二〇〇一年も二兆八千億、あるいは、二〇〇二年もたしか二兆数千億狂ってしまった、補正をせざるを得なくなった、こういう形になっておりますけれども、こういう結果になったことに対して、大臣、たしか、確かに見通しを少し間違えたというふうに予算委員会で答弁をしておられます。少しと言うわけでありますけれども、随分これ、少しどころか大きな間違いをしているのではないかと私どもに思えてならないところがあります。
 そういう意味では、この税収見積もり、今年度の場合はどういう形で税収見積もりをしたか、どういう観点に立って見積もりをして、補正のときにまた大きく減額をするようなことがないだろうなということを、まずお聞かせをいただいておきたいと思います。
塩川国務大臣 なかなか厳しい御質問でございますけれども、過去数年にわたりまして、やはり税収には期待をかけておったということは事実でございますけれども、それ以上に、やはり不景気が進んでいったということでございます。
 特に、私が驚きましたのは、十四年度で、十三年度における不況の法人の還付がございましたのが、これが非常に私はショックを受けて、それだけやはり法人の実態が悪かったのかという、この把握が十分できていなかったような感じがいたします。それから、資産関係が動かなかったということが個人所得を非常に抑制してきたということ等がございました。故意に税収の見計らいをふやして予算を楽にしようとか、そういう意図は全然ございませんで、素直に見通しはしたけれども、要するに、一言で言いまして、それ以上に不況であったということは事実だと思っております。
 ついては、十五年度につきまして、そういう点を反省いたしまして、相当厳しいつもりで編成をしておるようなことでございますが、しかし、何としても早く企業が復活してくれるように思いまして、無理をして、設備投資だとか研究開発、企業関係の減税に重点を置いたということでございますので、御理解いただきたいと思います。
七条委員 今年度、税収見積もりをしてみると、四十一・八兆円。これは、たしか平成十二年度が五十兆を超しておりまして、平成十二年、十三年、十四年、十五年となったら、もうこんな、四十一兆八千億まで落ちてしまった。
 この二、三年というのは、非常に、税を取る側で難しいものがある。特に法人税というものをきちっと認識して、どのぐらいのいわゆる経済成長率になるかということを恐らく想像しておられたり、前年とのことの、発射台が間違えたなんというような御答弁もあったのでありますけれども、そういう間違いをしてしまうときに、予算を、歳出の方を削減しても、取り込む方の税収がこういうことになってしまったら、幾ら努力してもそれは水の泡になってしまうんですね。
 ですから、これをきちっとやるということをしていただかなきゃなりませんし、今回の予算については、減額をまた補正でやってしまう、あるいは、四十一兆円ありますけれども、それが三十兆台まで割り込んでしまうようなことのないように、きちっとした形で、意識をして頑張っていただかなきゃならないと思っておるところであります。
 そういう観点について、では、今度の十五年度についての予算の中では、一・八兆円余りの先行減税をやりたいと。これもまた、いわゆる税収が落ち込んでしまう答えになってくるんですね。ですから、これがどのぐらいの経済効果を持ってやろうとしておるのか。特に、努力をしたかいもあるんでしょうけれども、我が国の産業の競争力を強化したいとか、そのための研究開発減税あるいは投資の減税、企業、特に中小企業対策の減税だとか、証券とか市場とか、あるいは不動産の市場の活性化のための金融・証券税制、土地税制等を減税しよう、都合一・八兆円になるわけでありますが、これらを減税してしまう。けれども、また税収が落ちてしまうということになってしまって、税効果というのはすぐにあらわれてこない。きょう言ってあす出てくるようなものではないわけですから、ここにまた大きな税収減ということにつながってしまわないだろうな、こういうこともやはり心配をしてしまいますけれども、この意味での経済効果をどういうふうに見ておられるかということも聞いておきたい。
塩川国務大臣 まず最初に、今回、一兆八千億円の先行減税をいたしましたが、大体一兆五千億円から二兆円の間の先行減税ということを予定しておりましたので、一兆八千億円の先行減税ということは、我々としましては、そうとっぴな数字ではなくして、あらかじめ予定したもので、それを今度の税収の中に加味してあるということは、これは事実でございますので、その点において大きい見違いが起こってくるということは恐らくないであろうと思っております。
 同時に、減税をしましたことが先行して本当に経済効果を生んでくれるかどうかということが問題だと思っておりまして、それにはやはり、企業が設備投資、研究開発というものを加速して実施してくれることが大事だと思っておりまして、これにはやはり金融事情がひっついてくると思うので、まさに政府は、そういう意味において、経済の一体的運営を推進していかなきゃならぬだろうと思っております。
 相当な期待があることは、特に中小企業等におきまして設備減税につきましての賛同をたくさんいただいておることがございますので、できるだけ早く設備投資が現実の経済活動になってくるように期待しております。
 それから、個人投資の件についてでありますけれども、相当思い切った個人投資、証券にいたしましても、相続税、贈与税にいたしましても、これは大いに歓迎されております。私も方々へ行きまして意見の開陳を聞きますが、非常に良好であるのでございます。
 ついては、やはりこれで一番大事なのは、一般の国民と税務署との間の信頼をきちっとすることだと思っておりまして、その点に対する国民の意識というものは、証券税制は本当にこれで、いわば気楽に証券投資できるのか、税務署が後からすぐ追っかけてきませんか、こういう空気がやはり依然として強い。ここはやはり、私は、証券投資の際なんかでも非常に重要な雰囲気づくりであろうと思っております。
 こういう点についても注意しながら、できるだけ早く貯蓄から証券へ資金がシフトしてくれるならば、私は、金融の体制も変わってくるんじゃないかなと思ったりしておりますので、大いに期待しておるところでございます。
 要するに、減税の効果をいかに早くあらわすか、つまり、減税が多ければ、効果が多ければそれだけ活性化してくることにつながっていくと思いますので、あえて私たちはその方向で努力をしていきたいと思っております。
七条委員 具体的に数字でこれはあらわしていただくことができないということはよくわかりますけれども、いわゆる減税をやった、減税を先行してやって一年以内に答えが出てこないというケースが多いんじゃないか。そうして、二年目あたりからそろそろじわじわという形になってくるときに、減税を先にやったことが結果的に税収をまた下げてしまうというケースになってしまうことだって、これはないとは言えません。
 ですから、その効果をどのぐらいに見るかということをひそかに聞いてみますと、いわゆるITの投資減税なんかは名目GDPで〇・一五増加をする、あるいは研究開発の減税は名目GDPで〇・一二ぐらいの増加をするだろうというような予測を出しておられるようで、現実的には名目GDPで〇・三%ぐらいは伸びるだろう、こう見ておられる部分の数字も私見せていただきました。これはそんなに簡単なものなのかな、そういうふうに思えてならないところがありまして、ぜひ、経済効果ということをきちっとすぐに出していけるように、今大臣が言われたように、これについてはよく努力をいただいておかなければならないと思うわけであります。
 では、もう一つ申し上げておきたいのは、今、喫緊の課題というのはデフレだ、このデフレを何とか克服していく方向に答えを出してこなければならない。恐らく、大臣、G7に行かれてもそのことで決意表明をしてこられたわけだろうと思いますし、世界にもそういうことをしてこられたと思うのであります。きょうの新聞を見ましても、日銀の首脳部、全部三人ともかわってしまわれる、福井体制が今度は出て、きちっとした形でやりたいと。デフレを克服するためにも努力をするということになるんだろうと思うんです。
 しかしながら、今の税制改革も含めて、政府が現下のデフレ克服に全力を挙げていくと言っておられますけれども、一月に閣議決定をされた「改革と展望」の二〇〇二年度の改正のときに、集中調整期間を一年間延長した、いわゆるデフレの回復を二〇〇四年から二〇〇五年度まで先送りをした、こういうような記事になっているんですね。
 そして、国民は政府に対して、今景気の回復を何とか望んでいるときに、一年延長してしまわなければならない、いわゆる実質の成長率と名目の成長率が変わるという時期を一年おくらせたということだと思うんです。結果的にこれがどういうふうに経済に影響するかというと、一年また延びるのかという一つの不安というものがまたここに深まったのではないだろうか、私はそういうふうに思えてならないわけであります。この「改革と展望」の中の二〇〇五年が、また一年延びて、また一年延びていくということのないことをきちっとしておきたい。そういうために、これは関係大臣、竹中大臣がどう思っておられるかというものは聞いておきたいんです。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、今回の「改革と展望」の見直し、「改革と展望」はその時々の情勢を踏まえて毎年毎年ローリングで変えていこうというシステムにしているわけですけれども、その中で、二〇〇四年度までに不良債権問題を終結させるようにという総理の指示を受けまして、不良債権処理の加速というのを掲げているものでありますので、そうした点も考慮いたしまして、集中調整期間を二〇〇四年度までというふうにさせていただきました。
 その間に不良債権という負の遺産を解決しなければいけないので、そこは低目の成長率を覚悟する。しかし、それ以降は本来の成長率が発揮できますように、まさに今御指摘いただいた税制も含めて、さらに歳出の改革、金融の改革、規制改革、そういうのを総合的に構造改革を政府が行う。さらに、日本銀行には、これは金融的な側面もあるということを踏まえて努力をしていただく。政府、日銀一体となって、その問題がさらに先送りされていくようなことがないように全力で取り組んでいくんだということを、この「改革と展望」の中に示させていただいたつもりでございます。その方向でぜひ努力をしたいというふうに思っております。
七条委員 この「改革と展望」という話が、なぜこんなことを言わなきゃいけないかというと、いわゆる税収見積もりを出すときも、一年目は前の年度の中での発射台の中で出てきますけれども、二年目からは、大体成長率一・一倍という形で、自動的にスライドさせてしまって中期展望を書いてしまうんですね。ですから、結果的に見積もりが間違ってしまったり大きくそれが変動してしまったときに、その修正がきかなくなってきているということが起こってくるんだろう。
 そういうふうに考えざるを得なくなると、この「改革と展望」の中に書いてある数字も、同じように、経済成長率をどのぐらいに見るのか、いわゆる名目や実質をどういう形で頭の中へきちっと描いていくのかということによって随分変わってきますから、そういう意味で、これをきちっと、一年、いわゆる集中期間をおくらせて、デフレはここで回復するだろうということをもう少しアナウンスとして出して、そのために政府は努力して頑張っていますということをもう少し出していくべきでないかと私は思うんですけれども、どうですか。
竹中国務大臣 経済の展望についてどのように見るか、その説明責任をまさに果たすために、このような「改革と展望」というものを昨年から示すようにしているわけでありますので、その意味では、「改革と展望」を出した、さらにそれをよりわかりやすく、国民の皆さんに、その中身とかどういう仕組みになっていくのかということを説明していく責任は非常に大きいというふうに思っております。
 必ずしも、今の段階で、その説明責任といいますか、わかりやすい説明が十分にできているというふうには残念ながら思っておりませんので、そこは委員の御指摘も踏まえて、今、どういうやり方があるか、これは実はブロードバンドの新しいネットのシステムを利用してこういうことを、政府の経済のビジョンについての工夫ができないかとか、いろいろ実は考えておりますが、これは委員御指摘のとおり重要な問題だと思っておりますので、そこはしっかりとやらせていただきたいと思います。
 それと、税については、その発射台がまさに重要でございまして、発射台を見直しまして今回その推計を行っておりますので、今後このシナリオが実現できるようにさまざまな形でぜひ努力をしたいというふうに思います。
七条委員 今、発射台という話、竹中大臣もしておられますけれども、結果的に、先ほど言った税収見積もりの発射台というところがおかしくなった、二年続けておかしくなったために、これは随分と景気対策の見誤りでないかと野党の方々が指摘されるとおりにならないようにしていただきたい。そういう意味で、経済成長率をどう見るかということも大事な話でありますから、これをきちっと中期展望の中にも書いていただいて、そのとおり実行していただきたい。
 実は、財務省の方から、十五年度予算編成の後年度歳出・歳入の影響試算というのが出てきておりまして、これを見せていただきましたら、この中には、平成十四年、十五年ということですけれども、十六年度に公債依存度が四八%まで行ってしまう。いわゆる公債依存度がここまで高くなって、もう五〇%近くまでなってしまう、十六年度はそうなりそうだと書いてあるんですね、大体。
 そうなってきますと、これは大変なことで、こういうことを考えていくと、どういうふうにこれからいわゆる財政再建ということを意識しながら景気対策をやらなきゃいけないか、両方うまくやっていかなければならないかというのでますます苦労するんだろうと思うんですが、公債依存度がここまでふえてくるということは、もうこれは認識として持たなきゃしようがないですよね、今回のこのいわゆる公債特例法の関係も含めて。だとすると、これをきちっとどう整理をしていくかということは、大臣ちょっとお答えをいただきたい。
塩川国務大臣 財務省の出しました試算によるところの構造改革の数字でございますけれども、これは機械的に、現在の制度のもとにおいてこのまま遂行していくとするならばということで、そこには政治的な要件が働かないで計算した数字でございます。これは一つの指標でございますから、私は非常に貴重な目標として活用すべきだと思うんですが、そこに政治の変化をどうもたらしていくかということが大事なことだと思っております。
 今お尋ねになりましたところはもう一番大事なところの質問であると実は思っておるんですが、これは先ほど竹中大臣が言っていましたように、デフレの克服を一年延ばしたということと相呼応して、国債三十兆円、それの後始末をどういうふうにつけていくのかという問題と絡んでくる。そのことから関連しまして、プライマリーバランスを二〇一二、三年ごろ、要するに二〇一〇年の前半というか初頭ということに変えました。こうであるとするならば、そこに至るまでの、これを実現するための大きいファクターが私はあると思うんです。
 それは一つは、社会保障制度というものをどう考えていくかという、この問題がある。それから、国と地方との財政負担、そして地方分権というものをどうするか。それから、公共事業の投資というものをどの程度に持っていくのか、そしてその負担の区分をどうするのかということ。私は、この大きい三つの骨があると思うんです。ここをしっかりとした方針を立てないと、たとえプライマリーバランスを二〇一〇年の初頭と言ってもなかなかこの実現は難しいように思うんです。
 でございますので、現在、経済財政諮問会議において、社会保障制度を中心とした国の基本的な考え方、これをまとめてもらおうと思って、今急がなければもう時間がない。おっしゃるように、これからどうするんだということになってくると、早く、この十五年度の秋までに、概算要求までにそういう基本的な方針を出さなきゃならぬと私は思うておりまして、こういう点において、できるだけ早く努力してみたいと思っております。
 この三つ、通じて言えることは、やはり現在の日本の財政と経済、社会、この三つの関係を見ますと、私は、サービス、要するに給付の方が過剰じゃないか、負担と給付のバランスが総体的にはとれていないんじゃないかということを思うんです。この現在のサービスの水準を維持していくとするならば負担の方もかなりなことを考えてもらわないかぬし、といって、そのことを強要していくと経済の成長に影響してくると思うし、そこらの基本的なもの、これはやはり国家百年の計として、非常にもう重大な局面に今来ておる。小泉政権において、この基本的なものを、ぜひしっかりしたものを立てたいと思っておりますので、御協力をお願いしたいと思います。
七条委員 今大臣、いろいろ苦労されて答弁をしていただいたんではないかと思うんでありますが、先ほど少し大臣から、「改革と展望」の中の、二〇一〇年代の初頭にプライマリーバランスを黒字化に持っていくという話も出てまいりましたけれども、これが今危うくなってきたんではないだろうか。国と地方を合わせてそれが黒字化をするという意味で、地方の方は今何とか黒字化をするかもしれません。がしかし、国の方が二〇一〇年代の初頭に黒字化をするかどうかといったら、これはちょっと危ういなと。今公債依存度が五〇%に近づいてきたという話もしましたけれども、二〇一〇年でとてもじゃないけれども及びもつかないんじゃないか。国と地方を合わせて何とかできるのがやっとで、国だけでやるならばそれはできないんじゃないかと私は言い切るんですけれども、どうでしょうか。
塩川国務大臣 国と地方とのプライマリーバランスが、国の方が二〇〇三年度マイナス五・六と高い、地方の方がうんと低い。この違いは、実は国が地方財政のいわば財源保障をしておるからでございまして、この点をやはり三位一体論の問題として考えていかなきゃならぬ。これは、地方が分権を進め、自立を進めていくとするならば、この財源の問題は当然やはりきつい問題を含んでくると思うんです。そこらの調整をきちっとしなければ、先ほど私が言いました二〇一〇年初頭のプライマリーバランスの問題も議論できないんじゃないかということを思っておりますんで、先ほど言いました三つの骨、大骨、これの基本的な方針を早く決めていきたい、こう思っております。
七条委員 今、日本の年金だとか社会保障制度というものを、負担率を三分の一から二分の一に上げるのはいつやるのかということも、これは一つの大きな決断をされる時期になります。これをどういう形でやろうかというときに、二〇一〇年までの間にはこれは答えを出さなきゃならないと「改革と展望」でも書いてありますし、デフレが克服できた時期の二〇〇七年のころにはいわゆる税制体系をきちっと整理してもう答えを出しておかなければいけない、二〇〇六年にはその答えを出す、こう書いてありますね。ですけれども、これが今、できる状況が一年ずれてしまったわけでありますから、できるのかどうかと非常に疑問になってくるんです。
 ですから、今財政構造改革をやっておられますし、歳出を削減するだけでなくして、むしろこれは安定的な歳入の構造をきちっとしておく必要がある。いわゆる増税ということなんだと思うんですけれども、増税も含めた意識で歳入構造を変えるということをきちっとやるのはいつごろやるのか。「改革と展望」では、二〇〇六年にはもうやってしまっておかなきゃならないと。二〇〇七年には、人口が減り始めるとか、いわゆる第二ベビーブームの方々が年金をもらい始めるとかいうことがあるから、二〇〇六年にはやっておけ、こう書いてありますが、これをもう少し早くしてこなきゃいけないんじゃないかな。二〇〇五年にはしなきゃならない。だとすると、二〇〇四年ぐらいにはもうそろそろ準備が始まっていなければいけないし、ことしはどうあるべきかということを聞きたいんですけれども、どうですか。
塩川国務大臣 そういうことを私も非常に、同じ心配をしておるものですから、経済財政諮問会議で、総理の諮問機関で、ここでしっかりとした方針を早く、ちょっとおくれておるように私は思うんです、その方針の検討が。早くやってもらいたいと思って、鋭意努力してまいりまして、おっしゃる心配のないような措置を講じていきたい、こう思っております。
竹中国務大臣 財務大臣のおっしゃるとおりでありまして、財務大臣からは諮問会議でしっかりと議論するように私自身はハッパをかけられておりますので、ここはしっかりやりたいと思います。
 ちょっと正確を期するために。「改革と展望」の中では、二〇〇六年度までにさまざまな事情を踏まえて必要な税制上の措置を判断するというふうにしておりますのは、二〇〇六年度までに判断をする、そういう趣旨でございます。
七条委員 ですから今、二〇〇六年までに判断をするということを早めなきゃならない、二〇〇五年とか早くしていかなければならなくなってきているんではないかとさっき質問をしているんです。ちょっと、そういうことになったらもう一遍答えていただかなきゃいけません。
塩川国務大臣 おっしゃるように、できるだけ早く、急がなきゃならぬことは事実であります。
七条委員 もう時間が来たようでありますからこれでおきますけれども、そういうことをきちっと意識して、財政改革もやるよ、あるいはデフレの克服も一緒になってやらなきゃいけないよという、非常に、いわゆる綱渡りのようなことをやらなきゃいけない、それをG7に行って大臣もまた約束をしてきたわけでありますから、きちっとした答えを早く、これはアナウンス効果として出していくこと。
 日銀、せっかく今新しい体制ができたわけでありますから、日銀ともうまく調整をしていただきながら、経済企画庁、金融庁も一緒になって、一緒の部分でやる。できるだけ、部分部分で別々に縦割りでやるのではなくして、日銀と財務省、あるいは金融庁と経済企画庁という方たちが一緒になってやる。そのためにいわゆる諮問会議があるわけですし、そのメンバーの中に皆さんが入っているわけですから、当然それを、早くやることを、人任せのような形で言わずに、ぜひ大臣が先頭に立ってやっていただけることをお願いして、私は終わっておきたいと思います。
小坂委員長 次に、江崎洋一郎君。
江崎委員 おはようございます。保守新党の江崎洋一郎でございます。
 昨日は、予算委員会におきまして、小泉総理、塩川大臣、また竹中大臣に、税制につきまして総括的な質疑をさせていただきました。本日は、両大臣に、具体的なポイントにつきましてお伺いをしたいと思っております。
 現在の我が国経済の状況というのは、複合的な構造要因によりまして停滞に直面しているという認識を持っております。デフレを克服し、持続的な経済社会の活性化を実現するためには、明確な戦略のもとに構造改革を進めていかなければならないというふうに確信しております。
 税制につきましても、漠然と減税を行うのではなく、経済の低迷をもたらしている構造要因を見きわめて、これにピンポイントで対応する、集中的、重点的な減税を行うことが重要ではないかと考えております。このような観点から、来年度、平成十五年度税制改正ではもう少しやれることがあるんではないかなという認識を、きのうもお話しさせていただいたとおりでございます。この点に絞りまして、きょうは、二、三点、質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 世界規模の経済競争が展開される中で、製造業を中心に、我が国産業というのは、御認識のとおり、空洞化が進展しているという状況であります。これを克服していくためには、我が国企業が、新たな技術と産業を創造しまして、独自の付加価値を生み出す底力というものを蓄える必要があるというふうに考えております。知恵とやる気を備えた企業が我が国経済の原動力であるということは、もう申すまでもないと思います。
 私は、地元を含めて、幅広く、いろいろな企業にヒアリングをさせていただきました。その中では、今、過剰債務を抱えている、あるいは過剰設備を抱えているという意味において、これらリストラを推進する税制の拡充に関する要望が非常に多くございました。具体的には、昨日も申し上げました、繰越欠損の繰越期間の延長、あるいは設備廃棄や企業再編に伴う減税、そして不動産関連の税軽減などが主でございました。
 また、設備投資を促進する税制に対する要望につきましては、今回盛り込まれました、研究開発費に対する、試験研究費に対する制度拡充などが中心でありました。
 既存企業では、先ほど申しましたとおり、過剰設備を抱えている場合が多いということもございまして、繰越控除の延長及び繰り戻し還付の復活のニーズというものが大変強く感じられました。構造改革を進めるためには、企業の過剰設備の廃棄というものにつきまして、政府としても積極的に支援していくことが重要ではないかというふうに感じております。
 こういった観点からも、繰越欠損の繰越期間の延長及び繰り戻し還付の復活について、欧米並みの対応を図ったらいかがかというふうに感じております。
 ちなみに、主要国の欠損金の繰越控除期間及び繰り戻し還付の状況は、繰越控除につきまして申し上げれば、アメリカは二十年、イギリス、ドイツ、それぞれ無制限、またフランスも五年という状況でございます。また、繰り戻し還付につきましては、日本は今、政令により運用が停止されておりますが、アメリカにおいては二年、イギリス、ドイツ、一年、一年、そしてフランスは三年ということで、やはり日本より長い状況にあります。
 これらの繰越控除あるいは繰り戻し還付につきましては、いろいろ条件整備というものも我が国においてはしていかなければいけないというふうには思いますが、これらの導入につきまして、まず、塩川大臣に御意見を伺いたいというふうに思っております。
    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
谷口副大臣 江崎委員のお尋ねでございますが、各国の状況を今おっしゃったわけでございます。
 それで、我が国は、従来から申し上げておりますように、帳簿の保存期間の問題であるとか、また除斥期間、また立証責任といったようなことがございますので、現行は、欠損金の繰越期間は五年になっております。除斥期間もそういう観点で五年にいたしておるわけでございます。
 先ほどおっしゃった、企業の過剰設備を解消するために、そのような繰越期間の延長であるとか繰り戻し還付の凍結の解除のところまで、そのような観点で拡大していけばどうかというお話でございましたが、過剰設備の解消という観点でいうならば、現行制度の中でも、産業活力再生特別措置法の計画に基づく相当程度の設備廃棄に伴う欠損金につきましては、原則、申し上げました五年でございますけれども、これは七年ということになっておりますし、繰り戻し還付の適用におきましては、今凍結しておりますけれども、これは解除されているといったように、特例が認められておるわけでございます。
 これらの趣旨というのは、事業の再構築を迅速化していくという観点から、政策的な配慮で設けられたものでございまして、現在、産業活力再生特別措置法の見直しが行われておりますけれども、この後においてもこの措置は引き続き講ぜられるということを考えておるわけでございます。
江崎委員 今の件につきまして、竹中大臣にも感想をいただければと思っております。
竹中国務大臣 繰り越し、繰り戻しに関する全般的なことに対する認識でございますけれども、これは言うまでもなく、できるだけ税の負担を平準化させた方がよいのではないかという考え方が背景にあると思います。その限りにおいては、やはり平準化を行うということは、企業にとっても、さらに経済全体にとっても方向としては好ましいというふうに私も思っております。
 しかし、同時に、これに関しては、帳簿の保存というような技術的な問題、ないしは、やはり税収の安定的な確保という別の観点もございます。そういうことをいかに調和していくかということで、税当局としては、大変、いろいろなことを考えながら、努力、御苦労をなさっているのだろうなというふうに認識をしているところであります。
江崎委員 技術的な、いわゆる帳簿の保存の年限の問題ですとかあるいは立証責任等々あろうかと思いますが、むしろ、過剰設備を抱えている企業にとっては、それらを乗り越えても、やはりこういった措置の実現というものについては要望が強いように思います。ぜひとも、条件整備を一日も早く整えていただいて、実現に向けてまた御検討いただきたいというふうに思っております。
 続きまして、加えてなんですが、金融庁さんにおきましても、金融機関の不良債権処理を促進させる観点から、同様な繰越控除、繰り戻し還付制度の緩和を求められていたというふうに認識しております。構造改革は、金融の再生、企業の再生が車の両輪なので、これらも十分に検討に値するんではないかというふうに考えますが、塩川大臣、いかがでございましょうか、税制の観点から。
谷口副大臣 金融機関のことを今おっしゃったわけでございますが、これは、従来から金融庁の方からの御要望もあるわけでございます。
 それで、一般的なお話は先ほどさせていただいたように、現行は、繰越期間は五年、繰り戻し還付の方は今現在凍結をいたしておるわけでございますけれども、金融機関だけということになりますと、多額の不良債権を抱えております一般企業におきましてもそういう要望もあるわけで、全体的な整合性という観点でどうかということ。
 あと、金融庁の方の御要望を見ておりますと、十五年さかのぼって繰り戻し還付してもらいたい。これも、どうも九兆円を超えるような大きな金額になります。そうしますと、国家財政に与えるのも、これはかなり、無視できない大きな金額でございますので、そのような観点からも考えていく必要があるのではないかというように思っております。
江崎委員 バランスというものも重要かとは思いますが、金融機関を中心としたこの不良債権問題は、やはり日本の経済に危機をもたらしている最大の要因ということでもあるかとは思います。そういった意味で、いわゆる包括的でなくても、取り入れ方というものも、研究によってはあり得るのではないかというふうに考えるわけでございます。
 竹中大臣にも御感想をいただきたいと思います。
竹中国務大臣 この問題に関しましては、私は、純粋に要望する方の立場でございます。
 この要望に関しては、まさに金融機関の自己資本の充実の問題とも関連して、税制との関連で、繰り延べ税金資産の非常に大きな問題が存在しているというふうに認識しておりますので、委員御指摘のように、大きく三点を要望しているわけであります。償却の無税化、無税償却を認めてくれということと、繰り戻し、繰り越し、それぞれについて要望を出しております。
 これは我々の要望する立場でございまして、谷口副大臣の方から、いろいろな観点から御検討いただいているわけでございますし、昨年十二月の税制改正大綱においても、こうした問題を含めて検討を続けるというようになったというふうに認識をしております。我々としても、引き続き議論を深めていきたいというふうに思います。
江崎委員 ありがとうございました。
 続きまして、今回の税制改正大綱に載せられている件につきまして、具体的にお聞きをしたいわけでございます。
 資産デフレの進行を食いとめることが経済活性化に不可欠であるということかと思いますが、今回の税制改正の中でも、現役世代への資産移転を促すための相続税、贈与税の一体化ですとか、あるいは土地の有効利用を促進するための土地流通課税の大幅な軽減、また、貯蓄から投資への流れを加速するための金融・証券税制の抜本的な軽減、簡素化というものが行われているわけでございます。
 これらの件につきまして、やはり資本市場の活性化に資するものということであるわけでございますが、この中で、とりわけ、現役世代への資産移転を促すための相続税、贈与税の一体化につきましてお伺いをしたいわけでございます。
 今回、これらの措置が恒久的に取り入れられたということにつきましては大変評価ができるのではないかと思います。しかし、現在の経済状況を考えた場合に、経済が安定している時期においては、これらの相続税、贈与税の一体化を恒久的に取り込んだということについては効果があるとは思うんですが、今の、危機に瀕する日本経済の現状を考えた場合に、もう少し、時限的にもっと大胆な措置をとってもよかったのではないかなと私は私見として考えております。
 それは具体的にどういうことかと申しますと、千四百兆円にも上ります個人の金融資産、これらが動き出す、金を動かす税制というものが積極的に、時限的にまた取り入れられてもよかったのではないかというふうに考えております。
 統計で見る限り、年齢が高くなるにつれまして貯蓄残高というのも高くなるという傾向は明らかでございます。今回、贈与の対象は限られているわけでございます。六十五歳以上の親が二十以上のお子さんに贈与するという、対象も縛られているわけでございますが、例えば、対象を子供だけではなく孫にも広げるとか、そういった間口を広げ、さらに、今回の免税点につきまして、恒久的であれば今回の措置で十分かと思われますが、経済に刺激を与えるという意味では、時限的に、例えば一、二年限りにおいて大幅にもっと免税点を高くするというような時限措置というものがあってもよかったのではないか。また、その場合は、相続税と一体化せず贈与税のみを対象とするというようなことで、資産移転を促して、さらに、現役世代がその資産移転を受けた上で消費につながっていくというような、景気刺激策という考え方に立った措置を取り入れてもよかったのではないかなと思っておりますが、塩川財務大臣、いかがでございましょうか。
塩川国務大臣 私もそのお考えには賛成でございます。
 今回、相続税と贈与税が一体化したということは、これは非常に大きい意味がございまして、私は、ちょうど二年前でございましたが、大臣に就任いたしましたときに、贈与税を思い切り緩和したらどうだということと、それから、相続税の軽減という意見をちょっと言ったことがあるんです。
 そのときに、法曹界の方々、数人の方々から、それは民法上の問題を考慮していますかという話がございました。要するに、贈与税を余りにも低くして、相続税より低くしてしまった場合に、特定の相続人に財産を譲与してしまう、そうすると、民法では相続人は平等の相続権を持っているはずなんだから、これとの関係をどうするかということを言われたんです。これはやはり、日本の家族制度とかそういうものと非常に重要な縁があるということでございまして、ある程度それを公平化、均等化するために、贈与税と相続税を一体化することによってそれはカバーできるじゃないかというのが主税局で考えた一つの知恵でございまして、私はこれは非常にうまく考えておると思うておるんです。
 そこで、どの程度まで贈与税を軽減していくかということは、相続税と連檐をしておる場合は、それは相当、かなりなものができると思いますけれども、しかし、そこにもやはり相続人の平等性ということとの限界が一つあると思っております。
 そこで、私は、今これからの一つの考え方として、これはできるかどうか、それは法律の問題もございますし世論もございましょうけれども、一つの時期が、六十五歳以上とか制限しておりますが、それを何かもう少し、子供の学費、学校とか、あるいは自立のための投資にもっと役立てる、教育だけじゃございません、自立に役立つような贈与の部分については特定のものをするとか、そういう限定した、本当に若い世代の投資にも直接結びついていくようなものがあればまた考えてみてもいいのじゃないかなと思うたりしておりますが、一般論として見ました場合は、今回いたしました贈与税と相続税の一つのセット、これは私は非常によくできておって、これでひとつ御賛同願いたいと思っております。
江崎委員 今大臣がおっしゃること、民法上の理由等々、非常に理解できるわけでございますが、一方で、やはり日本にはまだ、大変景気が悪いといえど、個人の金融資産のボリュームを見る限り、大変資産を多く持っていらっしゃる方もいらっしゃると思います。それらの方々がお金を使い始めていただかないとなかなか景気も浮揚しないという現実もあるわけでございます。大臣がおっしゃられましたように、特定の目的を持った形で現役世代の方の投資に結びつくような税制、ぜひとも今後また追加的に御検討いただきたいというふうに感じる次第でございます。
 この件につきましては、竹中大臣、いかがでございましょうか。
竹中国務大臣 経済を活性化するということを税制改正の中でも非常に重視してきたつもりでございます。
 経済財政諮問会議におきましても、千四百兆円の個人の金融資産を経済活性化のためにいかに活用するかということは大変大きなテーマとなりました。現実に、やはり資産が高齢者に偏っている、その資産を持っている高齢者に関しては比較的消費は順調に伸びている、資産を持っていない人に関しては、世代に関しては余り伸びていない、そういうことから考えても、税制を通して資産の世代間移転を進めるということはやはり大変重要であるというふうに思っていた次第であります。
 今回、総体としてはなかなか斬新な税制になったのではないかというふうに私自身は思っておりますが、そこはいろいろなバランスを考えながら、さらにどういうことが可能かということを、ぜひ議論を深めたいというふうに思います。
江崎委員 昨日もちょっと塩川大臣にお伺いしたわけでございますが、これらの税制改正でございますが、目先、減税が実施されましても、国民の皆様にとりましては三年後に増税が待っている、多年度税収中立という政策が既にもう発表されているわけでございます。やはり、そうなってしまうと、先々の増税される時期の前に前倒しして消費をしていこうという、平成十七年度から増税基調に転じるわけですね、それ以前に消費の先食いをしてしまおうということで、余り、多年度税収中立というものが正面にあると、せっかく減税しても、皆さん、なかなか消費に結びつかない、持続的な成長に結びつかないようにも感じられるわけでございます。
 むしろ税収の見直しを通じて、経済のパイを膨らまして、結果として税収をふやしていくというような考えに立ってもよろしいんじゃないかなとも思うんです。今、日本の財政事情が厳しいというのは当然私も理解しているわけでございますが、景気刺激策としてこういった考え方も成り立ち得るんではないかと思いますが、塩川大臣、いかがでございましょうか。
塩川国務大臣 税は、やはり、こうして五年のセットで一応は税制改革をお願いして法案として出しておりますが、さりとて単年度の改革もまた可能なわけでございますので、したがって、これで私たちは、中期的な展望として、経済の刺激に相当役立ってきて、好転していくであろうと思っておりますけれども、その進行状態等を見て十分なチェックをしていく必要があるだろうと思っております。その場合にも、やはり優先すべきは経済の状況がどうなっていくかということにあると思っておりますので、十分の配慮をしながら実行していきたいと思います。
江崎委員 今、今後の取り組みということにつきまして御意見をいただいたわけでございますが、やはり、税制を通じて経済を刺激していくというのは、今の日本の非常に限られた選択肢しかない中では重要なポイントではないかというふうに考える次第でございます。そういった意味で、また十分に税につきまして議論をさせていただきながら、取り入れられるところにつきましては実現化していくという措置をお願いしたいと思っておる次第でございます。
 竹中大臣におかれましても、少し、今後のあるべき税制につきまして展望をお聞かせいただきたいと思います。
竹中国務大臣 昨年六月に取りまとめました骨太の第二弾の中で、税制のあり方、これは経済の活力に資するということ、それと、広く薄く税制を確立していく、それは決して一年でできるものではなくて、十五年度の税制改正をその改革の初年度として位置づけようというふうに明記をしております。
 今回、そうした意味で、法人の研究開発投資の減税等々、活力に資するものに焦点を当てた税制改革をスタートさせたいというふうに考えているわけでございますけれども、さらに、中立、公平、活力、そうした観点からの問題を、これは引き続き根気よくぜひ検討して実現をしていきたいというふうに思っているところでございます。
江崎委員 ぜひとも、この税制、大変重要なポイントでございます、また、先ほども申しましたとおり、さらなる御検討を政府としていただきたいというふうに感じる次第でございます。
 最後になりますが、ちょっとこれは質疑通告申し上げていない件でございますが、一点だけ確認をさせていただきたいんですが、心配されるイラク情勢がございます。
 いざイラク情勢が深刻化した場合についての対応についてお伺いしたいわけでございますが、株が下落するとか、長期金利が上昇するんではないか、あるいは原油についても、既に上昇しつつあるわけでございますが、さらなる上昇も考えられるということで、それぞれの市場において心配というか懸念があるわけでございます。
 そして、日本におきましては三月の決算期をタイミングとして迎える可能性もあるということで、欧米を初め、決算期ということではないわけですが、我が国にとっては運悪くというか、タイミングとして非常に心配される時期にも当たる可能性があるということでございます。
 こういった市場に対しまして、G7でもいろいろ御議論があったと伺っておりますが、塩川大臣、こういったイラク情勢の深刻化に対してどのような御対応をお考えなのか、御意見をいただければというふうに思います。
    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
塩川国務大臣 これは非常に難しいことで、私たちの所管じゃございませんが。
 少なくとも、この前パリで、コーヒーブレークのときにいろいろ話が出ました。国名は言いませんけれども、私に、そっとですが、あの国連演説は、あれは日本の政府の演説かと聞いた人がありました。それはもちろん日本の政府の正式な見解であると言いましたら、ああ、それはそうだろうな、こういうことで、それ以上の話はございませんでした。
 また、会議の中でも、ある金融関係の、中央銀行の関係の方が、非常にオイルのことについて、原油のことについて世界的なエキスパートの人でございますが、その方の見通しを聞きたいという質問がありまして、その方の報告の中で、イラク情勢について短期の見方と長期の見方についてそれぞれの説明がございました。一応どうなるかわからぬ、予測はないけれども、しかし、原油のものについては世界的に相当な備蓄が行われておるから直ちには影響は出ないだろうけれども、長引いたときには相当深刻なものになるだろう、こういう見方でございました。いずれにしても非常に緊張しております。
 そこで、G7で決定しましたのは、どういう事態が、不確定な事態が起こったとしても、それによって世界全体が、経済が沈滞化してしまったり深刻なデフレに陥ることのないようにお互いが協力をしようということで、そのためには貿易の促進というものをより一層すると同時に、各国がそれぞれの経済成長への一層の努力をしていくということ、そして為替の安定はお互いに信頼感を持って維持していくということ、こういうことを決めたということであります。
江崎委員 ありがとうございます。
 また、金融機関にもいろいろな面で影響があろうかと思いますが、竹中大臣、どのようなお考えでございましょうか。
竹中国務大臣 九〇年の湾岸危機のときには、経済に対して大きく三つの変化が起こったというふうに言われていたと思います。原油の価格が上昇した、株価が下がった、消費者信頼指数等々が大幅に低下をした。
 その中で、各銀行を含む各経営主体、非常に大きな影響を受けかねないわけでありますが、これは大変予測が難しいわけであります。戦争がもし起こった、たとえ起こったとしても、短期間であるならばそのような問題を克服できるだろうという見方が専門家の間では支配的であろうというふうに認識をしております。
 しかしながら、塩川大臣が出席されたG7でも、地政学的な不確実性という言葉で、この問題に対して、非常に注意深く見ていく、柔軟かつ大胆に、必要に応じては対応するということが議論されてきたと思います。金融機関も含めてでございますけれども、そのような認識と立場で行政をしていく必要があると思っております。
江崎委員 ぜひとも、ないことを願いますが、危機管理を徹底していただきたいというふうに思います。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、五十嵐文彦君。
五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 最初に、税制からお伺いをいたしたいと思いますが、消費税の総額表示という仕組みが、これは十六年四月一日導入ということでありますけれども、今回の改正に盛り込まれました。これは義務づけということでありますから、当然かなり厳しいものになると思うんですが、これに違反をいたしますとどういうことになるんでしょうか。罰則はつくんでしょうか。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 総額表示の義務づけに当たっては、実は、罰則は設けておりません。これはむしろ、国税庁を含めまして、関係省庁、関係団体などの協力を得ながら、広報、相談、指導を通じて円滑な実施に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
五十嵐委員 罰則がなくて義務づけということになりますと、そうすると、それを適用される事業者、例えば商店などでは、これに逆らうとかなり税務署からにらまれるんじゃないかというような恐怖感が出てくるんではないかと思うんですね。義務化ですから、義務に逆らった、お上の通達に逆らうということになるわけですから、そこではやはり一定のプレッシャーがかかってくる。もちろん、かからなければ義務化にならないんでしょうけれども。そういうことになるんだと思うんですね。
 私は、これはかなりな個人商店いじめになるだろう、こう思っております。例えば、食べ物屋さんは全部メニューを書きかえなければいけないですね。今まではレジで最後にやればよかったんですが、最初から、物の値段が、本体価格と税が合わさった、最後に幾ら払うかというものをわかるようにせよというのがこれは趣旨でありますから、そうすると、メニューを全部書きかえなければいかぬ。メニューを書きかえると、おっ、ここの店は値上げしたのかというふうにお客さんは思うわけですね。これはかなりな苦痛になると思います。
 それから、今までの日本の制度は、課税売り上げから課税仕入れを引いてそれに税率を掛けるという簡便な消費税のかけ方、付加価値税のかけ方ですから、ある商品、競争力のある商品には税を多目に取って、そうでないものについては安くすることも可能だったわけですね。実際に、JTでも、たばこは一本あたり〇・五円値上げになるといったとき、競争力のある銘柄、ブランドについては二十円上げて、競争力のないものにはゼロに据え置くという方法が考えられました。あり得るわけです、そういうことは。そういうことができなくなるんですね。難しくなると思いますよ、それは。最初からお客さんに、個別の商品について最終的な購買価格の姿を示せということになるんでしょうから、私は、これはおかしいことになるんではないかなと思います。
 それから、もう一つついでに申し上げますけれども、例えば本ですね。皆さん、たくさん本をお読みになると思いますが、後ろをひっくり返して見ますと、本体価格、税別と書いてある例の方が多いです。税込み価格まで書いてあるところもありますけれども、本体価格までしか書いていないところが多いです。なぜかというと、本は長く売りますから、消費税率が上がった場合にこれを一々全部印刷し直すのは大変ですから、本は本体価格しか書いていないんです。これを最終の姿で示せというと、本屋さんは、全部手書きで、最終の価格が幾らと書かなきゃいけなくなるんじゃないですか。これは大変なことですよ。私は、苦学生ですから、本屋さんで昔アルバイトしたことがありますけれども、一日に何百冊も来るんですよ。それを全部、最終的な本の価格は幾らになりますということを書かなきゃいけないんですか。私は、これは商店いじめの税制でしかないと思います。
 私は、今までどおりでどういう不都合があるのかな。あるいは、みずから決めた課税売り上げから課税仕入れを引いて税率を掛けるという簡易なやり方に反するんじゃないですか。これをやるんだったら、ちゃんとヨーロッパ型に、インボイスを入れておやりになったらいいんじゃないですか。
谷口副大臣 五十嵐委員の御質問でございますが、今回のこの総額表示は、消費者が一体幾ら払えばいいのかということを明確にするという観点でございます。今おっしゃったような、例えば書籍でございますと、本体価格にプラス税というような形になっておりますものですから、レジのところに行って一体幾ら払えばいいのかわからないということもございます。また一方で、おっしゃったような、EUの加盟国が拘束されておりますEC指令は、やはりそういうような総額表示をやるべきだというように言っているわけでございまして、そんな観点から、今回、この総額表示ということを義務づけるということになったわけでございます。
 それに伴うコスト負担が、おっしゃるように当然かかるわけでございますが、これは今、関係団体といろいろなお話をさせていただいて、例えば本であれば横にシールを張っていただくというようなことも含めて、総額表示の対応をしていただくようなお話を今ちょうどしておるところでございます。
五十嵐委員 それはやはり商店いじめですよ。シールを一々張るのにどれだけ手間がかかるか、どれだけ人件費が増してくるかというのを全く考えていないじゃないですか。
 みずからつくった制度と矛盾する制度を無理やり義務化する必要はないじゃないか。今のやり方で、五%というのはもう定着していますから、皆さん、大体は頭の中で計算できますよ、正確にはできない方もおられるかもしれないけれども。それは、七%とか八%とか、計算しにくい税率に上げようとしているからそういうことが出てくるんじゃないですか。違いますか。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 税率の話は別といたしまして、今五十嵐先生からお話がございましたこの総額表示の趣旨は、ただ単に消費者の方が幾ら払えばいいかというのがわかりにくいという問題だけではなくて、実は、店舗ごとに価格表示の仕方が違うものですから、あるお店に行ったらこの額でいいですと言われ、隣へ行ったら、いや、それはあと消費税五%乗っけてくださいと言われるという意味で、極めて価格の比較をしづらいという御批判が消費者からも大変強く出てきたところでございます。
 そういう意味では、今回の総額表示の義務づけは、別に、消費税を別に書いても何してもよろしいんです。何も内税だけじゃない、外税でも結構、何でも結構なんですが、要は、最終的な、いわば消費の価格を出しておいてほしいという趣旨です。
 そういう意味で、五十嵐先生が言われた書店なども、どういう簡便な方法があるかというのをこれから少し検討して、できるだけ事務負担のない形で消費者に対してわかりやすくしていくか。今でも、御存じのとおり、期間の短いものは総額で書いてあるわけです。週刊誌とか、そういうのはそうです。先生が言われるとおり、長い期間保存されるようなものの問題かと思うので、その辺をどのようにするか、これからさらに工夫したいと思っているところでございます。
五十嵐委員 いや、それだったら、単に消費者の利便を考えるだけだったら、ここは免税店かどうかという区別をつければいいわけですし、ほかの方法があるということですね。
 それから、義務づける必要はないじゃないですか。指導すればいいだけの話で、義務づけということは、これに逆らったら税務署に厳しくほかのことでもチェックされますよ、江戸のかたきを長崎でとられるんじゃないかという気持ちを納税義務者に与える、そういう印象を与えるということが問題だと思います。なぜ義務づけでなければならないのかという説明をいただいていないと思いますので、もう一度答えてください。
大武政府参考人 最初に申し上げたお答えと同じになるんですが、消費者にとって、総額を表示していただくことが、やはり消費税の定着ということにも極めて重要であるということかと思っています。その意味では、税務署がそのような行動をとることはありませんけれども、少しずつ定着していけば、むしろ消費者の側が、ここは法律上総額表示となっているのに総額が書かれていないのはおかしいんじゃないかというような意味で、消費者サイドからのいわば定着への要請がかかってくるだろう、そういうようなことを期待して義務づけをさせていただいている、しかしそこは罰則規定は入れていないという形にさせていただいたわけでございます。
五十嵐委員 思想がばらばらなんですよ。それだったら、ちゃんとEC型付加価値税にして、インボイスを入れる、そしてすっきりした形にするというのが当然の姿だと思うんですね。義務づけておきながら罰則がないというのも中途半端ですし、これにやはり、私どもは、当初内税化を考えていた、内税にしてしまえばあれほど消費税批判のあらしが起きなかっただろうということを考えた人たちの、こそくな、おくればせながらのカバー策ではないか、びほう策ではないかと思うわけであります。これは私は、思想をはっきり、考え方をはっきりさせて、どちらかにすべきなんだろうと思いますね。私は今のお答えでは必ずしも納得できませんが、次に移らせていただきます。
 NPO税制なんですけれども、私は、この政令部分、NPO認定法人の数の少なさというのを問題にしたいと思います。
 政府は、いまだにNPOについては、これは経済活動の上では添え物だ、あるいは余計なものだという感覚があるんではないかなというふうに思います。何度も申し上げておりますけれども、欧米においては、NPOは立派な働き口であり、立派な就職先であり、そして経済活動の上でも、GDPに貢献する産業の一形態だと私は思うわけであります。雇用の受け皿としても非常に大きなパーセンテージを占めているわけであります。ところが、我が国においては、これが、民法の公益法人の例外の例外というような形で、まま子扱いをされているということであります。
 そして、今回の改正によってみなし寄附金制度が入れられた。これは大武主税局長の英断によるものだと僕は思いますけれども、認定法人そのもののサイズについてはほとんど見るべき変化がないと言わざるを得ないです。今、NPO法人は多くなりまして、大体一万団体を超えたところまで来たと思います。現在、認定法人、税の軽減を受けているのは十団体にすぎません。一万団体分の十団体ですから、〇・一%です。
 そして、今回、パブリックサポートテストの基準を若干緩和されました。これによっても、民間のNPO団体のセンターの試算によりますと、せいぜいいって五%、二%も達しないんではないかという予想の方が実は大きいですね。今存在しているNPO団体で、この改正パブリックサポートテストを合格する団体は六十団体程度ではないかなというのが一つの予測として出ております。そうすると、これでは全くNPO団体にとっては福音にならない、恩典にならないわけであります。
 私は、その中で一つ注目したのは、日本のNPO団体はまだ成長途中にありますから、いろいろな公的団体の助成や補助を受けております。それらの助成金、補助金をパブリックサポートテストの分母にだけ入れる、分母に入れて分子に入れないとその比重が小さくなりますから、分母にだけ入れて分子に入れないというやり方では、これは合格しないわけですね。どれだけ幅広く支持されているかというのがいわゆるパブリックサポートテストです。ですから、多くの人から寄附金をもらっているということを証明しなければいけない。
 それに、助成の部分を除外すると、これはいろいろな面で、パーセンテージが大きいと、異常な事態になってくる。
 例えば一つに、郵便局のボランティア貯金というのがあります。一般の預金者が郵便局へ行って登録しますと、私も登録していますけれども、その預金の利子の何%かをボランティア団体に寄附をする。どこへ寄附していいかわからないから、郵便局に寄託して、郵便局の方で選んでいただくという制度ですね。ですから、事実上はこれは寄附です。多くの、たくさんの方々の善意の寄附です。単にそれは寄附を、寄附先を寄託する、預託するという形で、郵政当局が、今度公社になるわけですが、執行するだけでありますから、本当は助成ではないんですね。だけれども、これは今助成扱いになっていると思いますね。
 それから、市町村や都道府県が補助金や助成を出している団体があります。これらの団体は、いや、間違いなく活動実績があって、いいことをしているな、公益的な仕事をしているなということで、団体はこれらの助成金を出しているんだと思うんです。税金を使っているわけですから、より厳しい縛りがついているはずでありまして、その先を、それは、県の補助金あるいは市町村の補助金を当てにしているからだめだということで、パブリックサポートテストから除く、あるいは分母にだけ入れるということであったら、これは本来の意味から本末転倒しているじゃないですか。どれだけ社会的に認知された団体かというのを調べるのがパブリックサポートテストでありますから、これは本末が転倒していると思います。
 私は、助成金、補助金については、分母にも分子にも入れるというのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。
大武政府参考人 お答えをさせていただきます。
 もう先生御存じのとおり、やはりNPOというのは広く一般から寄附を受けるということが前提で、みんなで支え合うということが基本だと存じます。そういう意味では、今言われたパブリックサポートテストというのが一番基本にあるわけで、通常これは三分の一という基準であったわけです。今先生の言われた、分母の方が三で、分子の寄附が一、こうなっていたのを、五分の一でも認定しようというような緩和をさせていただきました。これもまさに、日本がまだ途上にあるからということでございます。
 ただ、その場合も、国からの補助金収入というのは、やはり公の関与からなるべく自由を確保したいというNPO法人制度の趣旨を踏まえまして、やはりこれはパブリックサポートテストに影響させること自体適当じゃないだろうということで、まさに総収入金額からも寄附金総額からも、分母、分子両方から実は落とさせていただいているわけでございます。ですから、ある意味でいいますと、これを分母、分子に入れられないかというお話も、ないことはないんです。特にNGOのような団体からはその意見が若干あるんですけれども、やはり、公の関与からなるべく自由を確保するという観点からは、そういう補助金というようなものをそのカウントの中に入れるのはいかがかということから、今回両方落ちているということでございます。
 それからまた、ボランティア貯金につきましては、確かに先生が言われますとおり、いわゆるNGOを通じて開発途上国の福祉のために郵政事業庁が配分をされる制度であるわけですが、実はこれ、制度をつくるときにも、むしろ総務省の方から、NPO団体からの要望を踏まえると、国際ボランティア貯金も既存の補助金等と同様に扱ってほしいという御要望をいただいてきたところでございます。これはやはり、配分自体が郵政事業庁という官庁が配分するものですから、なるべく自由にという観点から、補助金と同様の扱いで現在はさせていただいているということでございます。
五十嵐委員 私も、なるべく、官に頼るという姿から違うNPO団体のあり方というのは当然だと思いますけれども、それであれば、NPOへの寄附がもっと優遇されていなければならないだろうと思います。そういう状況にない中では、NPOを立ち上げる当初について、やはり一定の、いいお仕事をしている団体についてはもっとさらなる優遇が必要だというのが私の立場であります。
 例えば、遺贈です。親族に相続するのを放棄して、これをNPO団体に寄附するというようなことについては、私は、思い切った減免措置が必要だと思いますが、現在はそういう制度は入っていないと承知しておりますが、いかがでしょうか。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 亡くなった方がその財産をNPO法人に対して贈与されるケースは、多分二つ想定されると思います。一つは、亡くなった方が、自己の財産を遺言などによって、今言われた遺贈する場合と、それから、相続人、残された遺族の方が、相続で得た財産を贈与する場合と、二つあると思います。
 今言われた遺贈のケース、すなわち死んだ方が遺言でNPO法人に財産を遺贈する場合は、実は原則として、受け取るNPO法人は、法人でもあるものですから、相続税の課税関係が生じない。すなわち、収益事業以外の受贈益は法人税も課税されませんので、実は税金はかからないという措置になっております。
 それから、そうではなくて、今第二のケースでございますが、残された方がNPO法人に対して相続財産を贈与する場合というのは、これは、今回、先生から、まだ厳し過ぎてなかなか手が挙がって、できていないじゃないかと言われておりますこの認定NPO法人である場合には、その相続財産に対する相続税も非課税にするという措置が講じられているところでございます。
五十嵐委員 いずれにしても、NPOに対する寄附金の取り扱い、まだまだ不十分であります。場合によっては、アメリカのような、納税額のうちの一定部分を自由意思で公益団体に、あるいはNPOに寄附ができるという制度も取り入れていくべきだ。そうであってこそ初めて、NPOが、働きがいのある新たな雇用の場、仕事の場としての価値を生じていくというふうに考える次第であります。
 次に、金融・証券税制について伺いたいと思います。
 私は、間接金融から直接金融へ、貯蓄から投資へという考え方は基本的に賛成でありますけれども、その中で、日本の特殊性を考えると、私は、譲渡益よりは配当益を優遇するという考え方でなければならないと思うんですね。日本の企業の配当性向が低い、持ち合い等々があって配当性向が低い、そのために、株式市場が、いわば譲渡益目当てのばくち場になってしまうという傾向が強いわけであります。私は、ROAやROEを高めて配当性向を上げるということが日本の経済にとって必要である、企業をみんなで助けて成長させる、それによって配当益で社会の全体の富をふやすということが本来のあり方なんだろうと思います。
 そういう意味で、長期保有、配当重視、ROA、ROE重視の税制を日本は志向すべきだと私は思うんですが、相変わらず出てくるのは譲渡益にむしろ傾いている。譲渡益は、売らなければ益が出ないわけですから、ある意味では、これは息の長い投資というものには反する考え方ではないんでしょうか。基本的な姿勢を伺いたいと思います。
竹中国務大臣 今回の税制改正では、配当、譲渡益等を一律一〇%にということで、我々としては、貯蓄から投資への流れをつくり出す非常に重要なステップが踏み出せたというふうに思っております。
 委員御指摘のように、とりわけやはりこれまで配当性向が低かった日本の事情を考えると、日本の事情を考えるとという委員の御指摘はそういう点であろうかというふうに思いますが、この点については、実は、最近のいろいろな報告等々を見ましても、配当性向、配当をしっかりしているところで株価がしっかりとしているというような報告もなされておりますので、御指摘の点は私も大変重要な指摘であろうかと思っております。
 しかし、今回、先ほど申し上げましたように、全体として非常にわかりやすく一〇%というところで、証券市場全体の活性化を目指しているということでありますので、委員御指摘のような方向も我々としては頭の中に入れながら制度設計を進めているつもりでございます。今回の税制改正に関しては、そういった点も含めて、ぜひとも前向きに御評価をいただければありがたいというふうに思っているところであります。
五十嵐委員 いや、本当に竹中大臣、配当が大事だという考え方が入っているのかなというのは実は疑わしいわけであります。
 そこで、ETFの話が出てくるわけでありますが、竹中大臣がおつくりになりました、十月三十日の金融再生プログラムには、2の項目に「新しい企業再生の枠組み」、その中の「(3)企業再生のための環境整備」、その中の「(オ)一層の金融緩和の期待」というのがありまして、その中身は、「企業再生のプロセスを支えるため、一層の金融緩和が行われるよう日本銀行に期待する。」こう書いてありますね。
 この一層の金融緩和を日本銀行に期待するというのは、インフレターゲティング論が入ってくるわけですけれども、この中身は、例えば自民党の中にも、あるいは民間の学者、エコノミストの中にも、日銀にETFを買ってもらったらどうかという意見が出てくるわけですね。これを念頭に置いて、一層の金融緩和を日本銀行に期待する、こう書かれたのかどうか。要するに、この一層の金融緩和の中には、ETFを日本銀行に買ってもらうということが入っているのかどうか、お答えください。
竹中国務大臣 日本銀行に一層の金融緩和を期待するというこの言い方は、骨太の方針以来、政府としてはずっとまさに期待申し上げているところであるということであります。
 その金融緩和の中身はでは何かということでありますが、これはもう何度か御答弁させていただいておりますけれども、マネーサプライがやはり十分にふえるような状況をつくっていただく、それに尽きるというふうに思っております。
 マネーサプライをふやす方法としては、これはいろいろなものがあるということであると思っています。これはいろいろな可能性を排除しないで、ぜひとも、専門的集団である日本銀行にその政策手段の選択については独立性を持って考えていただきたい、そのように考えておりますし、そのように主張してきたつもりであります。
五十嵐委員 マネーサプライのふやし方と言いますけれども、日銀は間接的にしかマネーサプライをふやせないんですね。日銀がやるのは市中銀行を通してですから。市中銀行に出す日銀紙幣については、これはふやすことはできるんですよ。ですから今じゃぶじゃぶと緩和をしているわけですけれども、そこから先が伸びない、幾らやっても伸びないというわけですね。
 要するに、日銀は、市中銀行を通じて日本列島の上に出てくるお札の、紙幣の賦存量はふやすことはできるけれども、流通量は直接にはふやせないんですよ。だが、絞ることはできるんですね。多過ぎたときに回収すればいいわけですから、絞ることはできるんです、賦存量を少なくすることは。これはかなり効きますよ。だけれども、ふやすことはできないという、可逆的な反応ではなくて一方的な反応なんですね。片っ方は弱いんです、片っ方は強いけれども。
 だから、インフレは抑えることはできるけれども、デフレをインフレにするというのはなかなか難しいというのは、そこから来ているわけです。抑えることはできるから逆もできるだろうと言うインフレターゲティング論者が多いんですけれども、それは本質的にわかっていないんですよ、本質問題が。そういうことですね。
 そうすると、別のルートでマネーサプライをふやすとすれば、直接、日銀がやってはいけないとそれまでされていた株を買うとか土地を買うとか、市中銀行を通さないでお金を流す方法を考えなきゃならないということになってくるんですよ、マネーサプライをふやすことが重要だということになってくると。今のやり方ではなかなかふえていないじゃないですか、じゃぶじゃぶやっても。
 あの、列島がバブルに沸いたときよりも日銀券は今出ているんでしょう、日銀から先へは。バブルの最盛期より多いはずですよ、日銀券の出ている量は。それでもなぜインフレにならないのか、あるいは流通量がふえないのかということを考えるべきであります。
 そうすると、この時点で、今の状況を踏まえて、マネーサプライを十分にふやせということは、やはり当然、だからその中にETFをというようなことを手段として考えてくださいねというのが入っていると解すべきですね。そうだと思いますよ。全然ないんですか、念頭には。
竹中国務大臣 日本銀行がどの程度マネーサプライをコントロールできるかということは、これは非常に長い論争も踏まえて、専門家の間で意見が分かれているところだと思います。しかし、現実問題として、オープンマーケットのオペレーションというのを日本銀行はやれるわけでありまして、その中でマネーサプライをコントロールする力を持っているというふうに少なくとも私は認識をしておりますし、そういうふうに考えている専門家は多いというふうに思っております。
 では、マネーサプライがなぜふえないのかという御質問に対しては、これはいろいろな要因があろうかと思います。
 その責任の一端は政府にもあろうかと思います。具体的に言いますと、銀行が金融仲介機能を十分に果たせない状況になっていて、したがって、いわゆる信用乗数が少し前の半分ぐらいに今は低下している。そのためにこそ、我々は不良債権の処理を進めたいというふうに思っているわけです。そういう努力を政府はしなければならないと思います。
 しかし一方で、日本銀行に関しては、これはマネーサプライがふえるような状況をどのようにしてつくれるか、これは技術的なことを含めて、繰り返しますが、さまざまな方法があるというふうに考えられますから、それについては専門家の立場でぜひとも努力をしていただきたい。私が申し上げているのはその点に尽きるわけです。
五十嵐委員 私もできないと言っていないじゃないですか。しかし、間接的な手法、さらに間接的な手法になるから、それは効果は限定的ですね、完璧にはできないでしょうという話をしているんじゃないですか。ごまかしちゃだめですよ、そんなことは。そんな偉そうに説教をされるいわれはないですね、私は。いいですか。
 そうすると、そのさまざまな手法の中に、日銀がお考えになることだと言われていたけれども、あなたのふだんからの発言を聞いていれば、ETFを買ってくれないかということは入ってくるんですよ、当然ながら。あなた、ETFをもうかるから買うと、絶対もうかるからと、絶対という言葉がついたんですが、私は絶対だとは思わないんですが、買ったんでしょうか、それともまだ買っていないんですか。
竹中国務大臣 まず、私の表現が適切ではなかったということに関しては、これは反省をしておりますし、関係者に御迷惑をかけたということに関してもおわびをしたいという気持ちでいっぱいでございます。
 その上で、直接のお尋ねでございますが、ETFを買ったのかということでございますが、まだ購入をしておりません。
五十嵐委員 私は、あなたが買われたら告発しようと思っています。インサイダー取引です。買えば告発します。あなたは影響力を与えられる立場にあるんですよ、日銀に対して。要請もできるんですよ。あなたはETFは買えません。買ったら告発します。そういう問題なんですよ、重大な問題なんですよ。官僚の皆さんの間からも、あの発言はよくよく考えると相当法的に問題があるなという意見が出ていますよ。私は、あなたがお買いになったら告発します。そういう問題なんです。そういうお立場だ。
 あなたは、ここで私に、最初に質問したときに、謝るような話じゃないというような御答弁だったですよ、撤回するような話じゃないと。その後撤回されたのは、自分の考えがどうも甘かったというお考えなんですか。それとも、私が甘そうだったから、ここはごまかしてやれと思ったんですか。どういう心境の変化でその後撤回をされたんですか。
 私は、インサイダーという疑いが濃くなってきたな、そういうことなんだろうと思いますよ。そういう反省はありますか。
竹中国務大臣 反省すべき点は非常にあると思っておりますが、インサイダーということに関しては、これは違いますということを明確に申し上げたいと思います。証券取引法百六十六条だったと思いますが、このことが規定されておりますが、ここはいろいろな要件を書いておりますけれども、一番端的には、これは特定有価証券の取引を対象としたものでありますから、ETFは特定有価証券ではないわけでありますから、そういう定義がそもそも当てはまる余地はないと私は思っております。
 前回委員から御指摘をいただきまして、その後、さまざまな私の発言を見返しまして、私の発言そのものはあくまで個人としての立場の発言であったということを御理解いただきたいと思うわけでありますが、それがいろいろな形で、悪用される形で不適切な結果をもたらす可能性があるというふうに考えましたので、その点に関しては私の発言は適切ではなかったということを認めて、反省をしているわけでございます。
五十嵐委員 ETFも一つの金融商品なんですよ。あなたの発言に応じて相場は上がっているんですよ、やはり。その後、これが問題になったことを受けてじりじりと下がってきていますけれども、瞬間的にはあなたはもうけることができるんですよ、自分の発言によって。これは閣僚としてやはり問題がある。それだけ、閣僚というのは皆さんの知らない情報を手に入れることができる立場にある。
 あなたの情報を、頭の中を割って調べるわけにいかないんですから、レントゲンにかけて調べるわけにいかないんですから、どういう情報があなたに入っているか我々にはわかりません。だけれども、そのことを承知して行動しなければ、私は、国民からはインサイダーの指弾を受けると思いますよ。私は、それを受けて、あなたがもし不明朗な取引をされるんだったら直ちに告発します。
 今の答弁では極めて不十分だというふうに指摘をさせていただいておきます。
 それから、今回の税制についてはさまざまな問題がなお指摘をされるわけですが、一つは、ビール、発泡酒の問題でありますけれども、やはりこの時期に発泡酒を引き上げるというのは、私は、大衆増税、好ましくないというふうに考えます。質問通告は特にこの問題について細かくしていませんけれども、私は、酒類間の調整という名をかりた、これはこそくな増収策だと考えざるを得ないわけです。
 私自身も、自分の家庭では、ビールは高いから発泡酒しかうちの奥さんは買ってくれないですけれども、これが値上げされると何を飲めばいいのかという話になってしまうわけです。これは大変重大な問題。私は、全国にはそういう家庭は相当多いと思いますね。発泡酒を増税されたら困るという家庭は非常に多いと思いますが、これについて政治的な立場から御回答いただきたいと思います。きょうはまだ財務大臣のお声を聞いていませんので。
塩川国務大臣 それは、嗜好品はすべて大衆課税になってくるということは私たちもよく知っておりますけれども、しかし、今回、増税のためにというよりも、各酒類間の税の不均衡を是正したということが主体でございまして、その結果として発泡酒にしわ寄せが来て少し値上げさせてもらったということでございますが、しかし、これにつきましては、大衆の方の、国民の理解は私はほぼ、そんなに大きい抵抗ではなくして、それは国民にとっては不愉快なことは不愉快だろうと思いますけれども、この程度だったら協力してもらえるんではないかと思っております。
五十嵐委員 お酒の税というのは、基本的な考え方は致酔性です。酔っぱらうということに対する税金なんです。これを、一方では増収策として、当然ながら、増収の一つの手段でありますから、財源の足らざるところを増税によって補うというのは当然の一つの考え方なんですが、もともとは致酔性にかけるということですから、アルコール課税できちっとすべきなんですね。
 そこを中途半端に、酒類間の調整というのは、本来は致酔性の差による、アルコール度による調整がゆがんできたから直すということであったわけです。それを、今回の話は、酒類間の調整というけれども、違う種類の調整なんじゃないですか。酒類間の調整というけれども、単純にアルコールによる致酔性、その酒類間のばらつきがあるのを直すための調整になっていないんじゃないですか。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 今回の見直し、ビールと発泡酒、清酒と果実酒、清酒と合成清酒、それからリキュール類と甘味果実酒、この間の税負担格差を四分の一縮小させていただくわけですが、これは税制調査会の答申でも、やはり、税制の中立性、公平性の確保から、同種同等のものには同様の負担という消費課税の基本的考え方にのっとって、厳しい財政事情等も踏まえ、酒類間の税負担格差の縮小を図ることが適当だ。その場合、やはり、ビールと発泡酒、あるいは、清酒と果実酒あるいは合成清酒というようなものは、それぞれ同種同等と判断されるというところが基本にあるのかと思います。
五十嵐委員 子細にさらに検討させていただきたいと思いますけれども、今の酒類間の調整というのは、部分を見て、全体的な統一になっていないというふうに考えます。アルコールが致酔性に係る課税という考え方をするのであれば、それで割り切った方向への思い切った調整が私は必要なんだろうと思いますが、必ずしもそうなっていない。
 それからもう一つ、配偶者特別控除の問題についても触れさせていただきたいと思いますが、私どもは、配偶者特別控除については、これを控除方式から手当方式へ変えるんだということを主張しているわけです。
 なぜなら、控除方式だと、税の空洞化を招いて、高額所得者に極めて有利な制度になるということなんですね。これを、控除をやめて、低所得層に対してはこれを手当に振りかえて支出することによって、控除と同じ効果を生み出すことができ、これは高額所得者には適用されませんから、それによって有利、不利というものを、社会の不公平というものを正すことができる、こういうふうに考えるんです。
 政府案は、基礎控除を拡大するわけでもなく、これによって手当の方にこれを振りかえるわけでもなく、ただ増収策として配偶者特別控除を廃止するということを行ったのではないか、こう思うわけですね。このやり方は、どうも我々の主張をつまみ食いしたごまかしである、こう断ぜざるを得ないわけですが、いかがでしょう。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 先生御存じのとおり、配偶者特別控除は、昭和六十二年、三年の抜本改正のときに、主に専業主婦世帯中心に税負担を軽減するということ、いわゆるパート問題への対応といった観点、そうしたものからつくられ、その後拡充されてきた。
 ただ、現在の状況からいうと、やはり配偶者特別控除のあり方というのは、創設時に比べますと、現在では共働き世帯が専業主婦世帯を上回るようになってしまった、さらには、配偶者特別控除の存在が女性の就労を妨げている、そういう意味ではやはりライフスタイルの多様化を阻害している可能性があるというような指摘がなされてきたわけでございます。したがいまして、今回、所得税の空洞化の状況を是正しつつ経済社会構造の変化に対応するという観点で、配偶者特別控除の上乗せ部分の見直しをさせていただいたわけです。
 なお、先生が言われました、控除主義なのか、あるいは税額控除及び給付をあわせてやるという考え方でございますが、これはもう御存じのとおり、所得税というものを考えますと、やはり納税者の世帯構成等、いわば負担能力をとらえるという機能から各種の人的控除というのが求められているわけです。したがいまして、現行の所得控除をやめて税額控除へ変更するということ、これは、一般論でございますけれども、世帯構成等に配慮した税負担の調整という所得税の機能から考えますと、やはり慎重な検討が要るのかなと思っています。
 ただ、昨年六月の政府税調の答申の中でも、基本方針でも、今後「人的控除の基本構造の更なる見直し」として、やはり税額控除も検討対象の一つとされているところでございまして、御指摘につきまして、今後、所得税全体の中でどういうあり方があるか、引き続き検討していく必要があるのかなというふうに思っている次第であります。
五十嵐委員 前半の、なぜこの控除を廃止あるいは是正をするかということについては、基本的には考え方は同じなわけですけれども、しかし、それは我々は、全体像として控除から手当主義へ、そういう流れにのっとって主張しているのであって、ただ単に税が足りないからここから算段しようというのではおかしいということを私は改めて申し上げておいて、さらに、税額控除等をお考えになるということでありますから、研究を重ね、その際には我々の意見も十分に考慮をすべきだということを申し上げておきます。
 次に、特例法の話でありますけれども、私は、国債の肥大化というものに対して、どうも麻痺してきているなという気がしております。
 国債は、国の信用に基づく発行であり、国の信用は、将来の税収入をやはり基本的には基盤としていると考えます。個人の場合は、先ごろ住宅金融公庫にお尋ねをしたところ、年収の五倍までが限度であるということを言われました。個人の場合は、年収の五倍までしか貸せませんということであります。
 主税局長、結構です。
 これを国に当てはめますと、国の税収入は約四十二兆円ですから、二百十兆円までしか借金ができないということであります。国債発行残高は、「改革と展望」によりますと、二〇〇三年度で六百四十一兆円であります。はるかに、三倍も大きい額になっているわけですね。
 私は、これは極めて危うい。国の信用は個人と違って大きいんだと言われるかもしれないけれども、返せる額というのは、やはり金利がつくお金でありますから、ある程度計算ができるわけで、決まっているわけですね。
 私は、日本の国がたまたま特殊法人やいろいろなところにお金があるから、それを動員するとクラウディングアウトが起きないということでありますけれども、クラウディングアウトが起きなければ幾ら持ってもいいという話にはならない。将来の税金を当てにした借金というのはおのずから厳しい限度を設けるべきだと考えますが、今こうした考えがどうも薄れてきているように思えてなりません。どのような歯どめをお考えになるつもりか、財務大臣にお伺いをしたいと思います。
    〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
塩川国務大臣 実は、この問題が今度のG7でも非常に大きいテーマでございまして、この問題で一時間半ほど議論がございました。つまり、EU諸国でも、経済刺激、経済対策を財政支出でやるのか、いや、財政の規模と規律は厳格に守るべきかという論争で、彼ら同士の中で随分と論争がございまして、私はそれを聞いておりました。
 大半は、経済成長を図るためには、マーストリヒト条約によるところの制限というもの、これについてはやはり柔軟に考えるべきじゃないかという意見の方が、何となくそっちの方が意見が多かったように思います。英国のように、いや、そうじゃない、財政の規律が大事なんだ、だから約束は約束なんだという考え方のところも強いところがございましたけれども。
 ちょうど日本もそういう状況で、日本は何でそういうことを、この問題をクリアしたんだと。いや、我々も三十兆円の枠のときにそれを議論したんだ、しかし、暫定的にはやむを得ないという立場に立って三十兆円の枠を外したことがある、そのかわりに、我々としては、プライマリーバランスを厳格に守るということの一つの公約を掲げて、それによって財政の縛りをしていくという方法をとった。だから、マーストリヒト条約の解釈の一つの方法として、プライマリーバランスの方にとっていくということもできるんじゃないか。
 今五十嵐さんのお尋ねのように、どこかで節度をつくらないかぬ、これはもう当然のことですから、我々はそれを、今国債発行額の抑制をする手段としてあらゆるものを動員しますけれども、その中心に置く思想的なものは、プライマリーバランスを早期にゼロにするという考え方で臨んでいこうと思っておるところです。
五十嵐委員 どうもそこが本当にしっかりしているのかというのが疑われているんですね。インフレターゲティングを排除しないとか、あるいはインフレ目標設定論者を日銀副総裁に迎える、あるいは竹中さんも、以前は私に対して、インフレターゲティング論者ではないと言っていたのが、インフレターゲティングは有効な政策だとおっしゃるようになったし、どうもその辺がふらふらしているんではないかなというふうに思うわけであります。
 今の当面の経済の数字をよくすればいいんだ、あるいはデフレをインフレに変えればいいんだという話がまたここでも出てくるわけですが、実は、先ごろお話を聞きました小野さんという民間の研究者が、日本経済新聞社のNEEDSの日本経済モデルを使って計算をした数字があるんです。
 そうすると、ETFとも関係するんですが、どうすれば例えば平均インフレ率が上がるかという計算をしているんですが、日経平均五万五千円にならないとインフレ率二%にならない、あるいは日経平均七万円で五年間固定しないと二・五%にならないという数字になっているんです。これは大変なことで、今八千七百円とかいう数字ですから、これはめちゃくちゃな日銀によるETF買いあさりにならないとこの水準にならないですよ、ならない。だから、ETFを日銀に多少買ってもらって何とかしようといっても、それはインフレを動かすというところまでならないんですよ。
 それから、財政出動派があります。この方は財政出動派なんですが、財政出動もべらぼうなんですよ。国、地方を合わせて公共投資三十兆円、減税二十五兆円です、二十五兆円。これをずっと続けないとならないんですね。これで一・二%。
 減税だけですと、四十五兆円の減税。どうやって四十五兆円減税するかと思うんですが、四十五兆円減税してインフレ率二%、六十兆円減税してインフレ率三%というんです。こんなことはできますか。
 要するに、日銀に期待するとか財政出動だといっても、一体どうやってこの日経のモデルの中ではインフレ率を達成するんだという話なんですよ。どうですか、偉い学者であられる専門家の竹中さん。
竹中国務大臣 日経NEEDSでの試算ということでありますから、日経NEEDSのモデルが最近のバージョンがどうなっているかということをちょっと私は持っておりませんけれども、恐らく価格関数の中にマネーサプライの変数が十分に入っていないとかそんなことだと、これはもう委員よく御存じだと思いますけれども、その意味では、モデルそのものは現実にいろいろチェックをしなきゃいけないと思います。
 しかし、同時に、委員御指摘の点を踏まえれば、やはり大変難しいことであるということは、私たちも、これはもうそのとおりだと思っております。政府がやるべきこと、日銀がやるべきこと、それぞれ本当にフル回転でやらなければ克服できない問題であるというふうには強く認識をしています。
五十嵐委員 何度も言いますけれども、インフレといっても、価格決定力が供給側にないんですよ、今。だから非常に難しいんですね。物の値段は上がらないですよ。みんなのみ込んじゃってつぶれていく。中国という安い価格の供給者が一方である、中国だけに限りませんけれども。あるいは、国内の過当競争で過剰生産の中にあって、なかなか物価は上がらないですよ。
 そうすると、インフレ率を高めるためには実はサービスの分野の価格が上がらなきゃいけない。ところが、サービスの価格というのは要するに人件費ということですから。しかし、人件費が、賃金が上げられる状況にありますか。賃金上げたらますます競争力格差が中国との間について、そしてキャピタルフライト、産業の空洞化が起きる、そういう関係にある、王手飛車とりみたいな関係の中にあるわけですから、そう簡単に物価は上がらないというのはおわかりだと思うんですが、それでも、日銀が何とかすれば物価は上がる、短期間に物価は上がるというふうにお考えなんですか。
竹中国務大臣 日銀だけでそういうことができるというふうにはもちろん思っていません。デフレ克服の最大のポイントはやはり経済全体の活性化であって、その経済全体の活性化に向けて、四本柱の改革を政府としてもしっかりとやらなければいけないというふうに思っております。
 しかし、これも繰り返し申し上げますが、価格の問題というのは、やはりこれはすぐれて貨幣的な現象であるという面は否定できないと思っておりますので、その意味で、日銀と一体となって、決して日銀だけに任すのではないけれども、日銀と政府が一体となって取り組まなければいけない、難しい課題ではあるけれども、そこに向かっていかなければいけない政策課題であるというふうに思っています。
五十嵐委員 貨幣的現象じゃなくて、貨幣現象そのものなんです。それは全部結果なんですよ、あくまでも。貨幣の現象というのは結果なんですよ。貨幣だけ動かして実体が動くわけではないんですね。実体に合わさって貨幣が動いていくわけでありまして、それが、実体経済に比べて貨幣の供給量が多過ぎるか少な過ぎるか、それをコントロールするのが日銀の役割なんですよ、本来の。私は、おかしな話である、貨幣現象だから何でも日銀がやれるんだというふうに聞こえますね、あなたの主張は。それはそうではないでしょう。そう思いますよ。
 そこで、インフレターゲティングというものがもし実現されるとすれば、これは何年後に実現されるとお考えですか、それでは。直ちにできるんですか。例えばどういうタームでお考えになっているんですか。
竹中国務大臣 インフレ目標については、これはいろいろなタイプの議論があると思いますから、その詳細について、私自身立ち入って議論できる状況にはございません。
 繰り返し言いますけれども、これはマネーサプライをふやしてもらうことが重要であって、その過程でこういった問題も考慮する余地はあるのではないか、だから議論をしていただきたいということをお願いしているわけでございます。
 直接のお尋ねは、そういうことをやっていつごろできるのかということでありますけれども、我々としては、「改革と展望」に掲げているように、これは決して金融政策だけではありません、構造改革と組み合わせて、集中調整期間が終わった後にプラスの物価が実現できるように努力をしたいというふうに思っているわけでございます。
五十嵐委員 堂々めぐりになりますけれども、要するに、インフレターゲティングの手段、方法については日銀に任せるんだ、日銀の方はそんな有効な手段はないんだと言っているんだけれども、いや、あるんだから任せるんだというのは、実は意見が矛盾しているんですね。やろうと思えばやれるんだ、理想的な日銀当局だったらやれるんだというお話にすぎないんですが。では、どういう方法でそれを実現するのかというと、それは日銀に任せるんだとおっしゃる。それでは責任ある政策の責任者の発言とは私は言えないと思います。
 時間がなくなりましたので、またきっちりと議論をさせていただきたいと思いますが、きょうはこの辺にしておきます。ありがとうございました。
渡辺(喜)委員長代理 次に、上田清司君。
上田(清)委員 民主党の上田清司でございますが、定足数に達しますか、委員長。――理事の御了解があれば、至急集まっていただくことを前提に質疑をしたいと思いますが、いかが諮っていただけるでしょうか。
渡辺(喜)委員長代理 理事の皆さん、よろしいですか。
    〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
小坂委員長 定足数に足りていますから、始めてください。質問を続行願います。
上田(清)委員 与党におかれましては、重要な審議でございますので、定足数には配慮をいただきたいというふうに、あえて申し上げたいと思います。
 それでは、早速でございますが、財務大臣、資料の1、財務省から出していただいております国債及び借入金並びに政府保証債務、現在の残高で、十四年の九月末現在で数字を出していただいております。
 これに地方債務を加えます。2に資料を出していただいております。一番新しい数字ですので、多分今百六十兆ぐらいじゃないかというふうに思いますが、総務省から百二十八兆という数字をいただいております。合わせると百六十ぐらいになりますか、七十になりますか。
 そして、3で、俗に言う隠れ借金、いわゆる国民年金特別会計への国庫負担分の繰り入れ平準化措置における特例、厚生年金の国庫負担分の繰り入れ特例、自賠責特会からの受け入れ、地方財政対策に伴う後年度負担。これらの金額が約八兆八千億ぐらいございます。
 現在、財務大臣が把握されているところの国及び地方の、グロスというんでしょうか、大きい意味での借金の総額というのはどのように把握されているのか、腰だめのざっとした数字で結構でございますので、教えていただければと思います。
塩川国務大臣 いわゆる公的債務というものを全部見まして六百六十五兆あるということでございますけれども、国、地方におきますところの債務は六百兆ちょっとじゃないか、六百二十兆円ぐらいじゃないかと思っております。
杉本政府参考人 十五年度末の数字でお答えさせていただきたいと思いますが、十五年度末の見込みでございますが、普通国債の残高は四百五十兆円、これに借入金等を加えました、国の長期債務残高が五百十八兆円程度でございます。地方の債務残高は百九十九兆円程度と見込まれますが、これには国と地方の重複分三十二兆円がございますので、国及び地方の債務残高は十五年度末で六百八十六兆円程度と見込んでおります。
上田(清)委員 俗に言う隠れ借金はどういう金額になりますか。
杉本政府参考人 私ども、隠れ借金という言葉は使っておりませんが、一般会計に係る繰り入れ特例等ということで、先生の資料にもございますように、国民年金の国庫負担の平準化措置、それから厚生年金の国庫負担の繰り入れ特例、それから自賠責等からの受け入れ、地方財政対策に対する後年度負担、こういうものを合わせますと八・八兆円程度になると見込んでおります。
上田(清)委員 私が計算すると八兆八千億で、どちらかというともう九兆円に近いという数字になります。
 そうすると、杉本次長、トータルで何兆円になりますか。
杉本政府参考人 先ほど御説明いたしました、国、地方の長期債務、十五年度末六百八十六兆円程度、それから一般会計の繰り入れ特例等、これは単純に足すものではないと思っておりますが、もし単純に足しますと約六百九十五兆円になるということだと、単純な足し算上はそういうふうになると考えております。
上田(清)委員 そうすると、地方の債務も含めますと八百五十兆ぐらい、こういう理解でよろしいですか。
杉本政府参考人 先ほど申しました六百八十六兆というものは、地方の債務残高も含んだ数字でございます。
 繰り返しの説明になって恐縮でございますが、国の長期債務残高が五百十八兆、地方が百九十九兆、重複分が三十二兆ございますので、これを足しまして六百八十六兆程度と見込んでおりまして、この中には地方の債務残高も含んだところの数字でございます。
上田(清)委員 国の債務残高の内訳を言ってください。
杉本政府参考人 国の債務残高、普通国債が四百五十兆でございます。それから、この四百五十兆を含みます内国債、これは、交付国債とか出資国債とがございます。財投債は除いております。これでいいますと四百五十八兆になります。それから、借入金が六十兆でございます。
上田(清)委員 財投債も除いたり、政府短期証券も除いたり、政府保証債務も除くわけですか。
杉本政府参考人 私どもが、国及び地方の長期債務という形で整理させていただいておりますのは、将来の歳入、税収を中心としたものになると思いますが、税収もしくは税外収入、こういったもので手当てをしていく必要があるものでございます。
 財投債につきましては、これは、財投債、調達いたしまして、それを資産運用しておりまして、それぞれの貸付金等々がございますので、ある意味では資産対応という形になっているということを考えております。それから、政府短期証券、外為証券等でございますが、これにつきましても運用しておりまして、資産見合いのものになっております。
 そういった意味で、今申し上げました、国、地方の長期債務残高、約六百八十六兆円というものは、将来の歳入、税収を中心とした歳入において手当てしていかないといけないものを整理している、そういう考え方でございます。
上田(清)委員 長期債務という概念にしておられるのでそういう数字になりますが、単年度ごとの借り入れの債務残高という形になると、財務大臣、八百八十兆近くなるのかなという感じがいたします。
 ところで、基本的には、こういう財政状況の中で、どのような形で財政再建を図ろうとされておられるのか、大臣の御所見をいただきたいと思います。
塩川国務大臣 八百何十兆という数字でございますけれども、私は、その明細は存じておりませんけれども、そこから国、地方が持っておりますところの資産、債権というものも差し引きいたしますと、先ほど説明しておりますように、六百八十兆でございますか、その程度のものが純債務になってくるんじゃないかと思っております。
 ついては、これの償還の計画というものでございますけれども、私は、要するに、この償還、完全にゼロにする償還、これはとてもじゃない、不可能でございますけれども、財政が健全になるという状態には持っていかなきゃならぬ。その財政健全であるかどうかということのめどをどこに置くかということは、やはりプライマリーバランスをゼロにすることがそこの分岐点になってくると私は思っておりまして、そのための努力を二〇一〇年初頭、私は二〇一二、三年かなと思うんですが、それまでにはきちっと詰めたものをしたい、こういう考えで臨んでおるところです。
上田(清)委員 プライマリーバランスをゼロにする、そういう方向性については賛同するところですが、具体的にはどんな形でなされる予定ですか。
塩川国務大臣 私は、これには大変な構造改革が必要だろうと思うんです。
 その構造改革の中身を言いますと、まず、社会保障関係です。これの財政負担の問題を、きちっと、給付と、それから負担の関係をもう一度見直していく必要があるだろう。このままの制度の延長でいきましたら、いたずらに負担のみがふえてきて、財政的に行き詰まってしまうのではないかという心配を実はしております。ですから、この社会保障全般、四つ現在、医療、年金、介護、雇用、ございますが、この全体、セーフティーネットを見直していくということが大事だと思っている。
 それから、二番目の問題は、国と地方との財政のあり方です。この問題の中に一番大事なのは、シビルミニマムあるいはナショナルミニマムの限度というものをどの程度に見ていくかということでございまして、行政の質と量との関係をしっかりと見直していく。いわゆる高度経済成長時代と現在とは、そこに構造的な見方を変えなけりゃならぬのじゃないか。
 それからもう一つは、公共事業のあり方でございますが、一つは、公共事業の量というものも大事だと思いますけれども、同時に、質、仕様書をやはりもう少し現実的なものに見直していかなきゃならぬ。何でもかんでも特注特注、特注の名のもとにおいてコストを非常に引き上げていくということは、公共事業全体についての執行にやはり障害になってくるのではないかと思っております。
 この三つの柱、これをきちっと、小泉政権の中で明示したものをきちっとして、その上で将来の財政の予測をしっかり立てることだ、私はそう思っております。
上田(清)委員 大枠で基本的には正しいと思いますが、何よりも一番今問題なのは、予算委員会でも御指摘をさせていただいておりますけれども、財政の仕組みの中で、一般会計、特別会計というふうに分かれて、三十二の特別会計、金額にすれば三百六十九兆、ダブルカウントとかいろいろ除けば二百六十兆、二百三十兆ぐらいになるかと思いますが、いずれにしても、財務省、財務大臣として熱心にさまざまな改革の提案をされても、事実上、各省庁にまたがっています特別会計に、財務省の所管でない特別会計の部分に関しては、いわば余りメスが入れられないような仕組みになっております。
 事務方にもいろいろ聞くと、なかなか財務省というのは弱いんだというような話を聞きまして、本当かなと思うんですけれども、そうだというようなこともお伺いしたりしているんですけれども、とにかく、一般会計八十一兆七千八百九十億七千七百六十六万六千円というこの数字が、いきなり五十兆ぼんと特別会計に入ってしまう、そして二十兆は補助金で流れてしまう、こういう仕組みを変えない限り、基本的には難しいんじゃないかというふうに私は思っています。
 4の図式を見ていただければ、日本国の金の流れは、財政そのものは実は特別会計だ、一般会計じゃない。本当の財布は特別会計だ、ここにメスが入らないじゃないか、私はこんなふうに思います。
 しかも、5で、たまたま経済産業省の予算額、八千八百九十億を見ていきますと、他会計への繰り入れで半分は使ってしまって、そしてまた、関係団体に、委託費だ、調査費だ、補助金だ、補給金だ、出資金だ、拠出金だ、分担金だ、貸付金だといって、大半を他の会計に入れてしまうんですよ。つまり、経済産業省としては、人件費その他で一割も使わない。全部補助金システムで流しているじゃないですか。ここに特殊法人や公益団体やらが巣くって、むだ金を使っているじゃないですか。
 ありましたよ。経済産業省で、とにかく雇用をふやすんだということで、全国チェーンストア協会に二億円の補助金を出した。さる高名な経済学者に講演料で百五十万を渡す。そして、そのコンビニエンス協会の方にほとんどの委託調査費を渡して、じゃ、そこで何が雇用につながったかなんというのは何の検証もなされない。わずか二億円ですけれども、この経済産業省のでは百億ぐらいのオーダーは山ほどありますよ、各種団体に、調査費、委託費。
 こういうのにメスを入れない限りこの国はよくならない、私はそう思っておりますが、大臣、御所見はいかがでしょうか。
塩川国務大臣 この件につきましては、十日ほど前でしたけれども、予算委員会で上田さんが指摘されましたね。私は、それを、非常に感銘を持って拝聴しました。というのは、私も、事実、ずっと長い議員生活の中では、これは実は疑問を持っておった点なのであります。要するに、母屋ではおかゆ食って、辛抱しようとけちけち節約しておるのに、離れ座敷で子供がすき焼き食っておる、そういう状況が実際行われておるんです。本当に私はそういう感じを持っておるんです。
 だったら、これをどうするのかということ、これについては、私一人の力ではとてもできるものじゃありません。政治の動きがずっとそっちへ流れていってしまった。そこに小泉の言っている構造改革が、行政改革の本体はそこにあると私は実は思うておるんです。これには、やはり国会の方も協力していただいて、要するに改革していかなきゃいかぬ、私は本当にそう思うておりまして、省内にも勉強する機会をつくっておるということでございまして、おいおいそれをやっていきたい。
 なかなか、そうは言っても、私は非力でございますからとてもできないけれども、しかし、言うことは言うていかなければこれはできない問題だと思うし、といって、言ったからといって、ようかんをかみそりで切ったようには、ぽっとあしたから変わるんや、そういううまいことはいかぬ。
 けれども、おっしゃる方向は、私は確かだ。まず、特殊法人を今度は改めていきますね、それから公益法人を改める。それから特別会計というのをやっていく。これはまさに、特別会計というのは護送船団の名残なんです。ですから、これはやはり真剣に見直していかないかぬ。けれども、特別会計というのは、それぞれの目的があってつくったんですから、その目的をきちっとやってくれるんだったらそれでいいですけれども、そこからルーズになっておるものが相当あると思いますので、その点をまず見直していくことが大事だと思います。
上田(清)委員 ぜひ、財務省、あるいは横断的にでも、特別会計の見直しのプロジェクトをつくっていただきたいというふうに思っております。
 そこで、特別会計の方でも人件費を出したりしておりまして、どこにどんな人件費があるのかわからなくなってしまうぐらい、あちこちで、勘定ごとに人件費を出したり出さなかったりしております。それで、予算書を全部足し算するのも大変ですので、とりあえずは人数の少ないところだけ、足し算したり人数で割ったりしました。
 これ、資料の6ですが、人事院が発表するところの国家公務員の平均給与は六百二十七万だ、四十歳でですね。ところが、この6を見ていきますと、会計検査院、人事院、総務本省、外務本省、文部科学本省、これは人数の少ないところだけ選んだんです、足し算と割り算が簡単で済むように。そうすると、どれもこれも一千万ぐらいになっておる。いやいや、諸手当があるんです、管理職手当があるんです、超過勤務手当があるんですということで、こうなっているわけなんですと。(発言する者あり)実際はもっと高い、そういう場外からの声もありますが。
 何かこの辺が不思議でならないんですが、これ、杉本次長、国の予算で人件費の割合というのはどうなっておるんですか。どこにも書いていない。大体大枠で、御存じであれば教えてください。
杉本政府参考人 今手元に資料がございませんので正確なことは申し上げられませんので、私の記憶で、間違ったらまた訂正させていただきます。
 一般会計の人件費で大体十兆円というふうに考えております。十兆何がしかだったというふうに記憶しております。これには、いわゆる義務教育の国庫負担金、三兆弱でございますが、それも含んで、かつ、先生のおっしゃる諸手当も含んだところの人件費の総額というふうに御理解していただければと思っております。
上田(清)委員 今言われたのは一般会計だけですよね。特別会計に山ほど出ていますね、人件費が。
 そうすると、わけがわからなくなるんですね。例えば、地方の、県だとか市町村の平均的な人件費の割合は、歳出の中で大体三五%から四〇%ぐらいが多いんですけれども、国の歳出の中で人件費の割合は一体どうなっておるかという資料がないんですね。あちこち隠れているからわからなくなっているんですよ。これも不思議なもので、何かわざと隠しているんじゃないですか。違いますか。
杉本政府参考人 手元に資料がございませんが、一般会計と特別会計を合わせました人件費総額が幾らになるかという資料も公表できると思っていまして、その数字はまた後刻にでもお知らせしたいと思っております。
 それから、結局、国全体の経費構造がどうなっているとか、そういう話もございますので、財政制度審議会の中で公企業会計小委員会というのをつくりまして、国全体の姿というものを、民間の企業会計の手法も活用しながら、どういった形でディスクローズしていくのがいいのか、どういった形で説明していくのがいいのかということを今検討していただいているところでございまして、そういった成果を踏まえまして、国の財政の中でそれぞれどういった経費がどういうふうに使われているのか、一般会計、特別会計、それから特殊法人、それから独立行政法人、そんなものも、そこまで視野に入れて、いろいろ検討していかなきゃいけないと思っておりまして、そういった検討を進めさせていただいているところでございます。
上田(清)委員 ぜひお願いいたします。
 渡辺政務官、済みません。この質問が終わったらすぐお帰りになって結構でございますので、あらかじめ申し上げておきますが、二問ほど。
 年金債務の総額は幾らで試算されておられるか。
渡辺(具)大臣政務官 上田委員の御質問に対しまして、端的にお答えする計算は大変難しいんですけれども、一つの計算に基づいてお答えをさせていただきます。
 仮に、将来にわたりまして現行の保険料水準で推移した場合、将来の保険料引き上げによって得られる保険料収入が得られなくなることから、こちらの方をフィックスしますと、現在受給しておる年金を含めて、年金給付の水準は直ちに三、四割引き下げることが必要でございます。
 先生がおっしゃった負債総額という意味では、なかなか難しいんですけれども、この得られなくなる保険料収入額が総額でどの程度になるかを算定いたしております。これに当たっては、各年度において行われるだろう給付とか保険料負担の額を、現在時点でどれだけの価値があるかという計算をいたしました。
 その際、平成十一年度の財政再計算において使いました、利回りの前提であります利率を四%にセットしまして計算いたしますと、これから払わなければならない国民年金、厚生年金を現在価値に直すと約二千四百兆円になります。これに対しまして、現在の保険料水準によって得られる保険料の累積額の現在価値は千二百兆円になります。また、国庫により負担される累積額の現在価値、これは二分の一の場合と三分の一の場合では違うんですが、三分の一の場合ですと四百兆、二分の一の場合ですと六百兆円になります。
 したがいまして、今後の引き上げなければならない保険料の累積額の現在価値は、先ほどの数字で計算いたしますと、大体、アバウトですが、五百兆から六百兆ということになるわけでございます。これがそのまま負債総額になるかどうかは非常に議論の余地がございますが、一応の試算によりますとそういうことになります。
 ただ、我が国の公的年金制度というのは、現在の高齢者の給付に必要な費用を現役世代が負担する、いわば世代間負担、世代間扶養というものを基本に考えておりまして、保険料につきましては、段階的に引き上げていくことによって長期的な給付と負担の均衡を図るべきだというふうに我々は考えておることを申し添えさせていただきたいと思います。
上田(清)委員 この年金債務の試算の仕方についてはいろいろな議論があって、定まるところを知らないというふうに私も理解をいたしております。
 資料の7を財務大臣、経済財政担当大臣、見ていただきたいんですが、先ほど、国、地方の長期債務の残高を言っていただきましたけれども、最大規模で年金債務の残高を考えると八百四十兆だという数字を、これは大前研一先生がおつくりになった資料なんです。そして、特殊法人にも、御承知のとおり長期的な債務が残っておりまして、一千四百兆の個人資産があるのでじたばたしなくても大丈夫なんだ、こういうお話も議論としてよくありますが、実は、この個人の資産で本当にバランスを、国の債務の規模と比べてどうなのかというのは、もう一回ぐらいこれは議論が必要かなというふうに思います。
 例えば、竹中大臣、個人の資産があるから、財政の収支バランスが非常に悪いんだけれども、日本経済は大丈夫なんだという議論に関しては、どのような御見解を持っておられますか。
竹中国務大臣 個人の資産があることによって、その資産の裏には個人の貯蓄があるわけでありますから、それがさまざまな投資、財政赤字も含めての、貯蓄と投資のバランスをとっているという面は確かにあろうかと思います。
 しかし、バランスシートで見ますと、バランスシートのつくり方は大変難しいと思いますが、日本は非常に大きな政府の債務があって、もちろんその裏には資産はあるわけでありますから、それは考えなければいけないにしても、その政府の債務の残高がここまで大きくなってきているということに関しては、これはやはり非常に注意を払った財政運営をしていかなければいけないと思っております。
 今の時点でどのようにそれを整理して、コントロールしていこうとしているかということに関しては、これはまさに、これ以上債務が、GDPに対しての政府の債務の残高が膨れないようにすることが重要である、そこが重要なポイントであろうかと思っております。
 それを実現するためにはどうしたらいいかということになりますと、よく議論されるプライマリーバランスを回復させる。したがって、GDPに対して債務残高がこれ以上ふえないようにしていくということでありますので、それにしても絶対水準はかなり高いわけですけれども、そこを、無制限に拡大していくことを抑える。当面は、これは目標としては控え目な目標かもしれませんが、そこをしっかり目指してやっていくということに尽きるのかな。マクロの観点からはそのように思っております。
上田(清)委員 余りクリアになりませんでした。
 ぜひ教えていただきたいのは、日本の国民資産というか、個人の資産の合計が一千四百兆ある、こういうものが実は日本の信用を支えているんだとか、あるいは政府が大変な大赤字でも日本という国が信用あるんだとか、こういう理解は世界じゅうにあるんでしょうか。それとも、個人の資産は国の経済財政に関しては関係ないんだ、こういう理解なのか。ちょっと教えていただきたいと思います。
竹中国務大臣 千四百兆は、委員御承知のように、家計部門が持っている金融資産であります。家計部門というのは、貯蓄を金融資産で持っている部分が多いというふうに考えますと、これは、それだけ貯蓄が多いんだというふうに考えるんだと思います。
 千四百兆あるから大丈夫だ、決してそれで大丈夫だとは私は思いませんが、いい側面があるということを指摘するときは、貯蓄がそれだけ大きいんだから政府の赤字、この政府の赤字というのは政府の負の貯蓄ですから、そこをある程度はカバーできる。したがって、財政赤字が膨らんで、普通の発展途上国でしたら海外のお金に頼らなければいけないんだけれども、国内で貯蓄があるから、政府の負の貯蓄である財政赤字を当面は賄えている、そういうような議論ではないかと思っております。
 その限りにおいてはその議論は私は間違ってはいないと思いますが、だからずっと大丈夫かというと、これはそうではないわけであって、これは貯蓄は減ってまいります、高齢化とともに減ってくる危険がありますから、そこは、私は貯蓄の議論として解釈すればよろしいのではないかなというふうに思っております。
上田(清)委員 ありがとうございました。
 ただ、高齢化するとともに貯金がふえているとというのも事実でありまして、年金受給者ほど貯金をするという不思議な現象も起きておりますので、その辺はまた議論があるかと思います。
 そこで、気になるところは、8の、個人の持っている約一千四百兆の運用の問題でありまして、この過半が公的機関が運用している。郵貯であり、年金積み立てであり、簡易保険であり、国債である。とりわけ、もう既に年金の問題では何回か私も御指摘もさせていただいておりますが、年金資金運用基金による年金の食いつぶしが約五兆円にも上っておる。じっとしていてもふえるだけの話なのに減らしておるという実態があったり、簡保においてもそういう傾向がございますし、あるいは能力開発機構等で使っているお金も実はこういうところから流れております。事実、もう既にこの部分で、いろいろな試算の仕方がありますけれども、二百兆近く不良資産化しているんではないかというようなことが言われております。
 こういう実態について、一体どんなふうにして国民の資産を守ろうという考え方を持っておられるのか。現実に食いつぶされているんですね。確かに、郵貯は総務省だとか年金は厚生労働省だとか、こういう話になってくるんでしょうけれども、経済財政全体で見るときに、こういう現実が起こっていることについて、政府として一体何をするんですか。
 国民の預貯金がどんどん将来にわたってなくなっているじゃないですか。いや、補償しますよと、補償するときは税金で補償するわけでしょう、当然。では、その税金をだれが出すかというと、国民だと。こんなばかな話があるかという議論になってきます。竹中大臣、どういう御所見でこういう問題を処理されようとしているのか。
竹中国務大臣 委員が御提出の資料は、大変重要なポイントであるというふうに思っております。
 実は、ことしの経済財政諮問会議の重要なテーマの中に、公的な資金の流れを、御指摘のように、本当にいろいろな特別会計に分かれたり、いろいろな政府系機関に分かれたり、ないしは各省庁に分散されているのを、しかし公的な資金全体の流れというふうに見てみると、実は残念ながら、小さくて効率的な政府ということを目指しながらも、お金の流れから見るとどんどん公的な部分がふえているというのが現状だと思っております。
 その意味では、こういった問題をもっと早くに我々は議論をすべきであったというような気持ちも個人的には持っているわけでございますけれども、これまでの経済活性化のさまざまな手段を踏まえた上で、では公的な資金の流れについて、今後どのようにこれを、我々として目標を立てて目指していったらよいか。その中では、本当に資産が安全に運用されているかどうかというようなチェックもしっかりとやらなければいけないと思っております。
 これはことしの前半の経済財政諮問会議の最も重要なテーマで、各省庁にもまたがりますので、ぜひとも御指摘のような点も踏まえて政策的な議論をしなければいけないテーマであるというふうに思っております。
上田(清)委員 いや、テーマだというのはもう前からわかっているわけでありまして、ずっとそういうことばかりやっているんですけれども、いつ結論を出すんですか。それを聞きたいんですよ。
竹中国務大臣 これは非常に大きな、政府全体の改革につながる話でありますので、非常に時間をかけてやらなければいけない面もあろうかと思います。
 しかしながら、我々としては、ことし前半のテーマ、公的な資金の流れのほかにも幾つか考えておりますが、それにつきましての、政策的にどのような対応を行っていくかという方針を六月末の骨太第三弾の中でぜひとも取りまとめをしたいというふうに思っておりますので、その中で、その基本的な方向等、当面の課題等々についてぜひともしっかりと政策を打ち出せるように努力をしたいというふうに思います。
上田(清)委員 財務大臣、税収の見通しが大幅に狂っております。資料の9でちょっと御指摘もさせていただいておりますが、九〇年レベルから比べると十六兆円ほど減っておりますし、本年度の見通しについても大幅に狂っておりますけれども、この税収減というのは何が原因ですか。
小坂委員長 大武主税局長。(上田(清)委員「財務大臣でいいんじゃないですか、数字の話じゃないんで。ちょっと、数字の話じゃないから、おかしいんじゃないかなと思いますけれども、委員長」と呼ぶ)
 大武主税局長。
大武政府参考人 では、中身だけちょっと最初にしゃべらせていただきます。申しわけございません。
 一応、今先生が言われました、平成二年度から十四年度への約十六兆円の減収、これは十四年度の補正後まででございます、四十四兆三千という数字でございますが。約五兆円が減税によるもので、おおむね十一年度の税制改正でございます。それ以外の十一兆円のうち、所得税、法人税が約半分ずつぐらいで、所得税が、特に利子、土地、株といった資産性所得の税収が減少している。次に、法人税は実は平成二年度から五年度にかけて非常に大きく落ちておりまして、これはバブル崩壊の過程に伴う企業収益の悪化ということかと思います。むしろ、その後減っているのは、減税やその他入りくりがいろいろ動いているということかと思います。さらに、ことしにかけては、例のテロの影響で若干下がっている。こういう要因かと思います。
塩川国務大臣 九〇年度からずっと見ていまして、乖離が非常に大きく出ておりますが、これはやはり、私は、税制、制度に原因がある、構造的にあると思っております。
 それは、九〇年代あるいは九四、五年までは、税の本体が、所得税と法人税が中心で税収が構成されておった。その時分、ヨーロッパはやはり消費税を中心とした間接税が主体であった。ですから、ヨーロッパの落ち込みは、そこは比較的少ないけれども、我が国の方は、そういう、所得税、法人税でございましたから、だっと落ち込んできた。
 この分が、やはり修正するのにどうするかということになりますと、今後におきましては、所得税、法人税等、そういう税を中心、直接税を中心とした財政の健全化ということは一方的にはなかなか難しい状態にあると思っておりまして、税制構造を変えないとやはり財政の健全化というものは図っていけないように私は思っております。そういう点で、今後の見積もりはきつくなるのはやはりやむを得ないことでございますけれども、これを改善する方法としては、そういう税構造の改革が必要であろうと思っております。
上田(清)委員 少なくとも本年度に関して減った部分というのはどんなふうに理解すればよろしいですか、税収見込み。
塩川国務大臣 本年度の税収見込みは、私は大体実態に即した税収見込みをしておると思っております。
谷口副大臣 上田委員おっしゃったのは、十四年度の税収が落ちたことをおっしゃったわけですね。
 これは、十三年度の十二月に税収見込みを立てるわけですね。その段階で、十三年度、御存じのとおり、アメリカにおける九・一一の事件があって、景気動向も勘案しながら土台を一・一兆円落としたんですけれども、しかし、その税収が確定するのが、十四年の七月に確定するわけです。その段階に至って、景気の悪化がより一層ひどかったということで一兆七千億減少したわけです。また、御存じのとおり、各企業が予定納税しておりますから、予定納税の還付分が五千億出てきたわけです。
 そういうことで大きく二兆五千億という税収減になったわけでございますが、これは、一番大きな原因は、アメリカ経済、同時多発テロといったような、世界経済に与える全体の影響があったと思います。どうも見ておりますと、アメリカにおいては税収見込みが九%を超えるといったような状況であったようでございます。我が国は、確かにおっしゃるように、税収見込みの違いがあったわけですが、三%強の税収見込みだったということで、そういうような特殊な要因があったということを申し上げたいわけです。
上田(清)委員 資料の10を見ていただきたいんですが、竹中大臣、これは世界じゅうのGDPの二〇〇二年の見通し、二〇〇一年の数字を表にしたものですけれども、中南米も余りよくありませんが、日本だけ何でこんなに悪いんですか、どうしてこんなに悪いんですか。
竹中国務大臣 まず、数字そのものにつきましては、二〇〇二は、これはIMFの見通しでございますけれども、数字はプラスになって出てくるということはちょっと御理解をいただきたいと思います。
 それにしましても、日本の経済は、本来であれば、日本が持っている技術力とか人材とか活用すれば、私はやはり二%ぐらいコンスタントに成長できる経済であるというふうに思っておりますが、九〇年代を通して、これは一%程度しか成長していない。
 短期的な変動については、今のテロ等、世界的な株安等々いろいろありますけれども、日本の地力そのものが、不良債権の問題、さらには年金等々の将来不安の問題で、その本来の力をとても発揮できないような状況がもう十数年来続いてきた。そこに、短期的に、ベースが低いところに加えて、この一年に関しては、IT関連のいわゆる世界同時不況の影響をもろに受けたというようなこと、さらには同時多発テロの影響等々が重なって、特にやはり低迷をしてきたということであろうかと思っております。
 二〇〇二年の数字は、今ですと〇・三ぐらいになろうかと思いますが、それにしてもやはりまだ決して十分なものではない。そういった中での経済の活性化の努力が求められているということだと思っております。
上田(清)委員 そうすると、政府の経済対策というのは失敗したということですか。
竹中国務大臣 九〇年代を通してその力を十分に発揮できるような状況に持っていけなかったということについては、九〇年代を通して改めるべき点というのはやはり私はあるのだと思います。だからこそ、小泉総理が、構造改革をやらなきゃだめだということで、今の我々の構造改革なくして成長はないんだという政策になっているわけでございます。
 短期的な、二〇〇二年、これはちょっと年度の数字しか持っておりませんが、二〇〇二年度に関していいますと、我々は当初、ゼロ%という厳しい目標を立てておりました。民間の機関は平均値でマイナス〇・四%ということを立てておりました。しかし、これについては、これは最後の四半期がまだ出ておりませんけれども、かなりそれを上回る数字になるというふうには思っておりますので、その意味では、構造改革をやはり、この路線に沿って進めていくことが何より重要であるというふうに考えております。
上田(清)委員 「改革と展望」などに、ある意味では何をどう失敗したかということについて触れていないんですよ、はっきり言って。何か自然体にそうなったような感じで書いてあるんですよ。これからはこうするという話があるんですよ。いつもそうなんですよ、政府のさまざまな文章は。何か他人事みたいに、失敗したということについて触れて、そしてこれからちゃんとやりますということが書いてある。何をどう失敗したかという総括が出ていないんじゃないですか、「改革と展望」にも。どうしてそういうのをしないんですか。だからよくならないんじゃないですか。何が問題かということを明らかにしないまま、ぼやっと、何となく、世界経済が落ち込んでとか、何かよそのせいにして、自分たちがどういう失敗をしたかということに触れていないんじゃないですか。
竹中国務大臣 「改革と展望」に関して申し上げれば、これは政策の基本姿勢、それとまさに展望を示すためのものでありますので、その辺の書き方というのは極めてコンパクトにというか、抽象的になっております。特に御理解いただきたいのは、ことしの「改革と展望」は昨年つくったものの改定でありますので、その改定部分だけ、極力短くしようというような意図で書かれております。
 政策に対する包括的な評価というのは、これはやはりやらなければいけないと思います。毎年毎年の経済白書、今は経済財政白書でございますが、そういうようなものの中でかなり、特に二年前からは政策志向を取り入れて、その政策の評価というようなものをきちっとできるように、我々としても努力をしているつもりでございます。さらに、内閣府の中の政策分析の、これは、その時々で分析というものはしっかりと我々やらなきゃいけないというふうに出しておりまして、例えば九〇年代の税制改革がどのようなものであったか、どのような評価であったかということに関しては、今蓄積をしているところでございます。
 上田委員御指摘のような問題意識はやはり大変重要だと思いますので、今後とも、白書の中ないしはその分析のシリーズの中でしっかりと蓄積をして、それを政策に生かすような努力をしたいと思います。
上田(清)委員 財務大臣、資料の11をぜひ見ていただきたいんですが、九〇年以降の政府の経済対策とGDPの成長率の推移を出しているわけですけれども、一般に経済対策は効果がなかったという評価もありますが、それなりに評価ができる部分があると思うんですね。お金をぶち込んだらその分だけ上がる、そしてとめたら下がるという、もうバイアグラ経済みたいなもので。ちょっとだけは元気が出る、しかし体力がどんどん落ちてきているから、同じように飲んでも起き上がりが弱くなってきている。こういうことも言えるんじゃないかと思うんですけれども、財務大臣、本当にこういう仕組みでこれから上がっていくんでしょうか、経済というのは。いろいろ補正を組んだりやって。上がり方がどんどん小さくなってきているような気がいたしますよ。これは一体何なんでしょうか、原因は。同じような数字を使っても、同じような財政出動をしても、上がり方が弱くなってきている。これは一体何なんでしょうか。
塩川国務大臣 やはり、国の、国政というものの一番大きいものは、企業活動が活発化して、より一層の経済成長をしていくということ、これが基本だと思うんですが、その点において、民間の企業がようやく好転の兆しを見せてきたという状態でございまして、歴代内閣の間、必死に財政支出で需要をつくってきて、やっと底割れするのを防いできたということでございます。
 それだけに、財政支出を薄くしていくと景気が落ちてくる、この構造を繰り返しておったら本当に衰弱して糖尿病の終末になってしまうと思いますので、この際に、やはり構造改革を積極的にやって、企業が国際競争に勝つ体力をつけてくれることが大事だ。そういうことを志向いたしまして、予算におきましても、税制においても、そういう経済活性化への志向を根本的に考え直して、今度その努力をしておるところでございます。財政支出だけで景気の動向を図るということは私は非常に無理な状態だ、どうしても民間企業の活力を創出しなきゃならぬ、そう思っております。
上田(清)委員 これは委員長にもまたお願いしたいんですが、ぜひ公共事業関係でどういう事業が乗数効果が高いのかという数値の一覧表みたいなものを出してもらいたいですね。どんなプロジェクトが乗数効果が高かったのか。例えて言えば、乗数効果の高いところからやっていくという手もありますからね、お金はないんですから。そういう調査をぜひ委員長にお願いしたいと思いますので、資料としてこの財務金融委員会にでも提出いただけるようにお願いをしたいと思います。
小坂委員長 理事会において協議します。
上田(清)委員 ありがとうございます。
 それでは、今財務大臣が言われましたように、資料で12の問題意識、私もそうなんです。
 時間がなくなりつつありますが、補助金とか許認可で守られている、つまり、補助金とかでぶら下がっている産業や、それから許認可で保護されている産業ほど、株価の落ち込みが悪いんですよ、大きいんですよ。こういうところに実は国のお金がどんどん使われているんです。だから、日本での新規開業はたった三%、アメリカは一二%と、こんなに開きがあるわけです。口でどんどん言われるけれども。だから、さっき言った、いかに、補助金をわけのわからないところに出さないようにする仕組みをつくるかとか、余計な許認可で保護して競争をさせない仕組みをつくっておりますし、そして、ちょっとはしょりますけれども、金融機能も死んでいるんですよ、13。
 金融担当大臣、竹中大臣でありますが、銀行の貸出額がどんどん減っているんですよ。銀行は国債をどんどん買っているんですよ。貸さないでためているんですよ。貯金しているような話なんですよ。銀行が貯金してどうするんだ、何を言っているんだ、銀行は金を貸すのが仕事じゃないか、銀行は貯金するのが仕事になっているじゃないか、どうしてそうなっているんだ、許認可でぶら下がる、補助金にぶら下がっている、そんなことばかりやっているからだと。
 そこで、もうはしょりますけれども、後で見ていただきたいんですが、資料の15だけ見てください。
 よく場外で河村たかしさんが新しい銀行をつくれつくれと言っていますけれども、四大メガバンクの談合による手数料だとか、ああいうものを安くするには、新規に、いろいろな形で銀行に参入してもらう、それが一番早いんじゃないか。マンハッタンカンパニーだってもとは水道屋だ、三菱銀行だってもとは海運業だ、住友銀行は鉱山業だ、いろいろな業種から金融機関になってきたんじゃないかと。そういう歴史的な背景もあるわけですから。
 これは格付で事業体を見ますと、実は、日本の金融機関で、Aプラスになっているところが農林中金、信金中金、静岡銀行だけで、それ以上の企業というのは山ほどあるわけですね。有資格者というべき企業がたくさんありまして、多分、電力会社だとかというのは、自動振り込みだとか自動引き落としだとか、そういうのにもなれているでしょうから、同じようなことをやっていますから、もしその気になれば銀行業務なんかすぐできるんじゃないでしょうか。私はそう思っているんですけれども、簡単に銀行というのはつくれるんでしょうか、大臣。
竹中国務大臣 私は、金融担当大臣になりまして、担当の課長に、銀行をつくろうと思ったら、つくるのに一体どのぐらい時間がかかるものなのかという質問をさせていただきました。私の問題意識は、まさに今委員おっしゃったように、河村委員もよく発言されますように、やはり新しい血が入ってくることがその部門を強くする最大の効果を発揮するものだと思っております。
 これは、金融庁になりましてから、まだ、新しいタイプの銀行というのは四行新設が認められただけでありますが、私としては、これは金融再生プログラムにもその意味を込めて明記をさせていただいたんですが、新規参入を促進したい、非常に強い意欲を持っております。それに当たっては、もちろんこれは法令にのっとって、施行規則にのっとってきちっと審査をしなければいけないものでありますが、事業計画が本当にしっかりしているものであるならば、私は、短期間に銀行業を立ち上げていただくことは可能であるというふうに認識をしております。
 資本が蓄積されたところで銀行業が始まっているという委員の御指摘も、私も全くそのとおりだと思っておりまして、ぜひ日本のキャプテン・オブ・インダストリーに起業家精神を発揮していただいて、銀行部門に参入をしていただければありがたいというふうに思っております。我々としては、最大限その設立認可をスムーズにするとかのサポートといいますか、そういう体制はぜひともとりたいというふうに思っております。
上田(清)委員 銀行参入を基本的には歓迎するという立場ですか。
竹中国務大臣 歓迎いたします。
上田(清)委員 限られた時間ですが、資料の14を見ていただきたいんですけれども、そういうことを言いながら違ったことばかりやっているんじゃないかというのが私の問題意識なんですよ。
 低金利政策については若干やむを得ないような思いを持っておりますが、それでも、事実上、政府は損保の事業を困難にしているという現実があります。それから、自己資本率の維持ばかりを金融庁として強調されるゆえに何が起こっているか、貸しはがしが起こっているんだ。銀行の合併、救済ばかりを気にしているから、競争力のない金融機関だけがどんどん残っている。デフレ対策やそうしたものがうまくいっていないから、含み損がどんどんふえていって、ますますおかしくなってきている。あるいは、PKOをやって、実力以上の株価の維持をやって、ますます銀行の実態が見えなくなってきている。私はそんなふうに思っておりますが、本当に今、日本の金融行政というのはきちっと動いているんですか。
竹中国務大臣 日本の金融部門が弱体化していることによって、そこからいろいろな問題が派生して、経済のさまざまな分野で多くの問題をもたらしているという指摘は、私は重要なポイントであるというふうに思います。
 ただ、今ちょっと指摘の中で、PKOをやっているのではないかと。PKOは、これはやっておりません。
 それと、銀行については、決してその救済ではなくて、銀行のシステムそのものを強くする、そのために金融再生プログラムを作成いたしました。この金融再生プログラムを実行するための工程表もつくって、その点は、幾つかの問題点を十分にカバーしながら、金融システムそのものを強く再生させるということに我々としては懸命に取り組んでいるつもりでございますので、これは大変難しい作業であるんですが、金融そのものをしっかりと競争的条件の中で再生させるという方向に、我々としては引き続きぜひとも努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。
上田(清)委員 金融担当大臣の知らないところで、例えばみずほ銀行などがもう強引な貸しはがしをやっている実態の資料が届いておりますので、次回に、いかに金融庁がぼうっとしているかということを明らかにしたいと思います。
 ありがとうございました。
小坂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
小坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。平岡秀夫君。
平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。
 きょうは、特例公債法と税法改正の質疑でありますけれども、まず最初に財政全般の話について聞いてみたいなというふうに思うわけであります。
 総理は、予算委員会等で、私は在任中は消費税は引き上げない、まず行政のむだを徹底的に改革するのも必要だろうといったようなことを言っておられますけれども、ちょっと私は無責任な発言だなというふうに思っています。
 つまり、本来、財政がこれからどういうふうにあるべきかということを真剣に議論し、そして必要ならば直ちにでも必要な措置を講じていかなければいけないという状況にある中で、ただ単に、必要性の有無にかかわらず、自分はやらないんだというようなことを言って、本来やるべきことを逃れていってしまうというような政治を行っていること自体に対して、私は非常に強い憤りを感じているわけであります。
 そして、具体的に、小泉総理は、自分の在任中にどれだけの行政のむだを徹底的に改善していこうとしているのかということも全く示されていない。将来の方向性だけが示されているという状況の中で、一体自分は在任中にどれだけの努力をするのか、それによってどれだけの財源を浮かしていくのか、こんなことも全く示されていないという状況であります。
 これに対して、やはり財務大臣としては、小泉首相のもとにある財務大臣として、具体的にこういうふうにして歳出削減をしていくんだ、行政のむだを徹底的に改革していくんだというものが示されなければいけないと思うんですけれども、財務大臣、どのように歳出削減に取り組んでいかれるつもりなのか。
 午前中の議論の中でも、大まかな話は確かにありました。こういう分野でこういう方向へ持っていきたい、社会保障制度については負担と受益の関係を考えていきたいというふうなことを言っておられましたけれども、じゃ、限られた、何年かわかりませんけれども、この期間中にこういうことをしていくんだということをぜひお示しいただきたいと思います。それが責任ある政治家としての政策提言だと私は思いますので、よろしくお願いします。
塩川国務大臣 まず、小泉総理の念頭にございますことは、財政の秩序を守りながら諸施策を実施し、特に経済の活性化を図っていくという二極を追う形で政治を進めておりますが、その一つといたしまして、十四年度財政におきましては、国債発行三十兆円を守るということを主眼にいたしまして、これを一つのテーマにして努力をしてまいりました。同時に、十四年度においては、十三年度、前年度を上回らないように予算を組んでいくということでございましたし、その努力はそれなりにしてまいったのでございます。
 十五年度におきましては、十四年度を上回ることのないように、少なくともそれを若干下回る程度の予算規模にしたいということで、現在、十五年度予算は、ほぼ十四年度当初予算に匹敵するものとして出してきております。
 そのように、当然増をどこで吸収するかということがこれからの財政健全化の一つの大きいテーマであろうと思っておりまして、そのためには、対前年度においてできるだけ、公共事業においては毎年三%程度削減していく。それから、選択的、つまり裁量的な助成金、補助金というものについては大体二%程度削っていこう。それから、義務的経費については、ケース・バイ・ケースでございますけれども、できるだけ圧縮して縮減を図っていく。そういうことを予算編成の大綱にして、努力をしております。それによって、大体、当年度に起こってくるところの当然増を吸収して健全化を図っていけるのではないかということを図っておるのでございます。
 それじゃ、プライマリーバランスをどこで符合さすのかということでございますが、私たちは、二〇一〇年のできるだけ早い時期、私は二〇一三年ごろと思っておりますけれども、それにはプライマリーバランスをゼロにしよう、こういう予定を立てておるのでございまして、これは相当な努力を必要とすることは当然でございますけれども、一応、財政の枠組みということはそういうことを考えて進んでおるということであります。
平岡委員 政府が歳出削減の努力をしているということは私も認めないわけではございませんけれども、やはり、明確な計画といいますか、将来の方向性というものをきちっと示してやっていかないと、その場限りの行き当たりばったりの歳出削減というんじゃ、理念も何もないということになってしまいますから、国民の皆さんにこういう形で歳出削減をしていくんだということをちゃんと示しながら、そしてそれを中期的な視点の中でやっていっていただきたいと思うんです。
 今、大臣の言葉の中に、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスをゼロにしていく、黒字化していくんだという考え方を持って取り組んでいるというようなお話がございました。それはそれで我々の考え方と特に変わっているわけではないんですけれども、ただ、そのときに、じゃ、一体どういう形でプライマリーバランスを黒字化していくのかということがよくわからない。
 かつて、国民負担率はどの程度にしようかというような議論がよくございました。そして、税制調査会の中でも、租税負担率の引き上げが必要であるというようなことも報告書の中に入っています。そういった将来の負担というものがどういうふうになるかわからない状態の中で、ただ単に二〇一〇年代初頭につじつまを合わせる数字を達成するんだと言われても、国民の皆さんは一体、要するに我々が二〇一〇年代になったときはどんな負担をし、公的経済と民間の経済がどんなバランスになっているのか、こういうこともわからないままにプライマリーバランスだけを言っているというのも、私は不思議な感じがするんです。
 そこで、国民負担率、かつて多く議論されましたけれども、そういう問題については今どのようにお考えになっているんでしょうか、これからの方向性として。
    〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
竹中国務大臣 委員の御質問の前半の部分と少しダブるのでございますけれども、どういう形で歳出削減をしていくのか、ないしはプライマリーバランスを回復していくのかという道筋は、大変重要な問題であるというふうに思っています。
 「改革と展望」にはその基本姿勢を実は明記させていただいているわけでありますけれども、まさに歳出の分野に関しましては、一般政府の規模をGDP比で見て今の水準から上に行かせない、今の水準程度に保つ、その意味では、歳出に関して緩やかなキャップをはめている、それを想定しているというふうに御理解いただくのが一番適切かなというふうに思います。
 その上で、午前中も少し議論になりましたが、当面は歳出の緩やかなキャップということを重視していくわけで、一方で経済を活性化していくということを重視するわけでありますが、その後の国民負担のあり方に関しては、二〇〇六年度までにその結論を得るようにする。二〇〇七年以降については、これから二〇〇三年から二〇〇六年までと同程度の収支改善がいろいろな努力を組み合わせて続くということを想定した上で、二〇一〇年代の前半にプライマリーバランスを回復させるということを想定しているわけでございます。
 国民負担そのものを明示的に議論しているわけではございませんが、政府の規模を、緩やかなキャップをはめているということでもって、それを一つのメルクマールにしてプライマリーバランスの回復の道筋にしたいというふうに思っているわけでございます。
平岡委員 余りこの点を深く議論しようとは思っていなかったんですけれども、例えば、プライマリーバランスをいうときには、社会保険は一体どういうふうになっていますか。
竹中国務大臣 これは、国、地方を含めまして、今の制度を前提にした上で、国と地方の、ないしは一般政府の規模を想定しているということでございます。
平岡委員 今の答弁は、私の質問に必ずしも答えていないんですけれども。
 要するに、プライマリーバランスというのは、皆さん多分、中期展望の中で示したのは、一般会計における赤字の問題についてこういう形に持っていきたいということを言っているのであって、必ずしも租税負担と社会保険の負担がどういうふうになるかということについては示さない状態のままの、いわば一部分だけを示しているわけであって、国民が、二〇一〇年代に我々は一体どれだけの負担を税と社会保険料合わせてしていくことになるのかというようなことが全くわからない状態の中で、プライマリーバランスだけが言われているという状態になっているのではないかと私は思うんですよ。
 そういう意味で、プライマリーバランスだけを示すということでは、必ずしも国民に対して将来の負担がどうあるのかということを示していないじゃないかというふうに思っているので、皆さん方に、国民負担についてかつて大きな議論があったけれども、今、将来像についてどのように考えておられるのかということを聞いているんです。
塩川国務大臣 それは今、当面非常に重大な問題でございまして、具体的に、それでは国民が納得する、本当に基礎的に積み重ねていって説明できるという状態では私はないと思っております。おっしゃるとおりだと思うんです。
 そこで大事なことは、これからのプライマリーバランスをゼロにしていくまでの経過においてどういう措置をとらなきゃいけないかというのは、まず社会保障のあり方というものをどういう状態でするかということ。特に、この中でいえば、給付と負担の均衡というものをやはり見直していかなきゃいけないんじゃないかということであります。そういうセーフティーネットの状態をきちっと示さなければ、私は国民の消費にも影響してくると思いますので、これは必要なんです。
 その次は、国と地方との財政の問題がございます。これは地方分権の推移とあわせて考えなきゃならぬものでございます。現在、地方財政は比較的気楽な状態にある、国に比べてですよ。気楽な状態にあると思うのは、それは国が地方財政の財源保障をしているからです。財源保障をもしやってないとなってきたら、これは大変なことなんです。ですから、地方の分権を進めるということは、同時に地方の自立を促す財政構造に持っていかなきゃならぬ。そういうことをやる。
 それと、公共事業のあり方です。
 こういう大きい問題がきちっと国民の前に示されて、それらを総合してこういう財政の推移になりますということを説明しないと、私は、プライマリーバランス・ゼロだと言ってみても、国民は本当に信用しないのではないか。その努力を我々はすべきだと思っております。
平岡委員 私の質問に答えていただけないので、もうこれ以上やりませんけれども、ただ単にプライマリーバランスをゼロにしていけばそれで事足れりということではなくて、将来の国民の負担がどういうふうになるのかということを示しながらプライマリーバランスがどうなるのかということをやっていかなければ、本当に自分たちの将来がどんな生活になるのかがわからないということであるので、きょうは答えていただけなかったということは、余り考えていないということだろうと思いますから、また今度、機会があったときにもう一遍聞いてみたいと思いますので、よく勉強しておいていただきたいと思います。
塩川国務大臣 だから、そういうものをきちっと、基礎的なものを示さないと、幾らプライマリーバランスの計画はこうだと言ったって、国民は信用しないだろう。だから、まずそういう基本的なものをきっちりするという作業を急いで政府がやらなきゃなりませんということを言っておるんです。
平岡委員 そこまで言われるなら、端的に答えてください。
 二〇一〇年代、プライマリーバランスがゼロになったときに、国民負担率は幾らですか。
塩川国務大臣 だから、それを今から勉強してやるということを言っているんじゃないか。
平岡委員 それを勉強するということは、今ないということでしょう。これから勉強するということは、国民負担率が幾らかということがわからないということでしょう。わからないならわからない、検討していないと言えばいいじゃないですか。
塩川国務大臣 今の状態はわかっておるけれども、この四七・一という公的負担、これで本当にどういう構成になっていくのか。今この四七・一ということはあなた御存じですね、大体。御存じですよね。これも知らない。
渡辺(喜)委員長代理 落ちついて御質問を願います。
 平岡君。
平岡委員 私が聞いているのは、繰り返しになりますけれども、二〇一〇年代にプライマリーバランスがゼロになるときに、国民負担率というのはどのような想定でやっておられるんでしょうかと。かつて、国民負担率は五〇%程度に抑えたいという議論が随分あったわけですよ。そういうことを前提にしてこのプライマリーバランスのゼロということを言っておられるんですか、そうじゃないんですかということを私は言っているんですよ。
 まあ、よくわからないかもしれませんから、また後で別に、私も今度から財務金融委員会の委員になりましたから議論する機会はたくさんあると思いますから、その辺はまたよく詰めてから議論させていただきたいと思います。
 時間がなくなりますので、歳出削減の一つの項目として、補助金等の整理合理化の問題について質問させていただきたいと思います。
 大臣も、民主党の予算案、これは正式な予算案ではありませんけれども、予算案の提出権がないものですから、民主党としてお示しした概略的なものがございまして、その平成十五年度予算において、地方への一括交付金十五兆円というものを提案させていただいております。他方、政府案では、補助金の整理合理化ということはこれまでもずっと言い続けてきて、整理合理化を進めてきていただいているとは思うんですけれども、実際に金額を見てみますと、平成十一年度から平成十五年度まで増加傾向にある。十四年度にはちょっと減っていますけれども、全体として増加傾向にある。
 ということで、整理合理化ということが本当に進んでいるんだろうかというふうに私は思うんですけれども、この整理合理化について、どのようなことをやってこられたのか。これは財務大臣だけじゃなくて総務大臣の方も関係があるとは思いますけれども、お二人にお聞かせいただきたいと思います。
谷口副大臣 平岡委員のお尋ねでございますが、平成十年に、御存じのとおり、地方分権推進計画を踏まえまして、今まで、地方向けの補助金等については廃止をしたり一般財源化をしたり、また統合補助金の創設、拡充ということをやってきたわけでございます。
 それで、本年、十五年度予算におきましては、国庫補助金、地方交付税、また税源配分の見直しといったような三位一体の改革の芽出しとして、国のかかわりを減少させる、また、国、地方あわせての行政をスリムにするといった観点から、今回、義務教育費国庫負担金の共済費等の一般財源化、これは一部でございますが一般財源化、また、公共事業関係の国庫補助負担金の削減であるとか、奨励的補助金の削減、統合補助金の対象事業の拡充など、抜本的な整理合理化を行うことといたしておるわけでございます。
若松副大臣 総務省の観点から御説明させていただきますが、この国庫補助負担金につきましては、これまで、国の関与を縮小して、地方公共団体の自主的、自律的な行政運営の実現に資するために、昭和六十年度以降、平成十四年度までに四千七百四億円の一般財源化を行うなどの整理合理化を行ってきたところでございます。
 そして、昨年の六月二十五日、先ほど谷口副大臣からもお話がございましたが、いわゆる基本方針二〇〇二年におきまして三位一体の検討が盛り込まれておりまして、十八年度までの「改革と展望」の期間中に数兆円規模の国庫補助金の削減、それに伴う必要な自主財源の地方への移譲、そして地方交付税の改革、これを今鋭意進めているところでございまして、平成十五年度におきましては、先ほどの芽出しといたしまして、義務教育費国庫負担金の一部等二千三百四十四億円の一般財源化を行ったところでございます。
 いずれにしても、ことしの六月をめどといたします三位一体の具体的な改革案の取りまとめに、今総務省一体となって頑張っているところでございます。
平岡委員 今、平成十五年度予算で整理合理化した補助金等について、義務教育費国庫負担金等二千百八十四億円と言われましたけれども、これはどういう形で整理合理化されたかということを見てみますと、半分は地方特例交付金という形で支出されているわけですね。この形でいけば、基本的にはそれぞれの、不交付団体にも交付されるというふうなことで、実質的には整理合理化になっていないんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、この点はどのように考えておられますか。それから、来年度以降は、これはどういうふうになるんでしょうか。
谷口副大臣 今おっしゃったように、地方特例交付金が半分と、あとまた地方交付税ということでございまして、今回の義務教育費国庫負担金の一般財源化につきましては、これはいわば使途の縛りのないものでございまして、一般財源でございます。
 従来の個別特定の事務事業に充てるための補助金とは異なるということで、地方の自主性に任せるということでございますが、しかし、一方で、当面、地方におきましては、今直ちに合理化、大幅な縮減を行うという余地が、なかなか難しいわけでございますので、いわば暫定的な措置として今回このように行ったわけでございます。
平岡委員 補助金等の整理合理化については、骨太の改革の中でも、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税配分のあり方を三位一体で検討して、今後一年以内を目途に取りまとめるというふうに書いてありますので、私も細かくこの問題について議論していこうとは思いませんけれども、一つだけ、私があるところで私なりの提言をさせていただいていることがございまして、それについて、どのように考えておられるかということを、できれば財務大臣と、総務大臣おられないようですけれども、総務大臣にお聞きしたいというふうに思っています。
 どういうことかというと、きょうの午前中の議論の中でも、ナショナルミニマムを達成するための財源がどうのこうのというような議論がございましたけれども、それに関連をしております。
 例えば、地方への税源移譲の考え方として、ナショナルミニマムを達成するために必要な財源は、全国的に偏在している税源、例えば法人税とか消費税で調達をし、あわせて国の責任で地方間の財政調整をする。そして、ナショナルミニマムを超える行政サービスのために必要な財源は、余り偏在していない税源、例えば所得税とか資産税で調達する。これによって受益と負担の関係を明らかにする、つまり、自分たちが意思決定したものについては自分たちが責任をとっていくというような税源配分をしていくべきではないかというように私は考えているんですけれども、この考え方についてはどのようにお考えでしょうか。
塩川国務大臣 私もおおむねそういう考えに立っております。ただ、私が午前中に言いましたのは、税源移譲するそのときにあわせて、シビルミニマム、ナショナルミニマムの中身を見直す必要がある。私は、実際にいいまして、地方行政は過剰サービスの時代に入っておる。これが恒常的に進んでいきますと、財政負担はふえる一方であって、秩序が立っていかないような状態になると思うんです。
 こういうことがどこで崩れたかといいましたら、昭和四十五、六年ごろからの公害問題あるいは交通地獄といいましょうか、こういう時代からずっとナショナルミニマムがふえていったし、これに伴ってシビルミニマムがばっとそれに加算してふえていった。これが地方財政を今非常に大きく圧迫し、財源が硬直化してきておる原因だ。
 だから、財源移譲していく際に、こういう問題を見直す必要があるのではないか。だから、財源の問題、交付税の問題、補助金の問題、それから税源の移譲、これと同時に、そういうミニマムの問題も見直していくべきだということを私、午前中に答弁したところであります。
平岡委員 大変にいい答弁をされたと私も思うんですけれども、それじゃ、この六月にもまとめなければならないとされている国と地方との税源配分、これは本当にまとまるんですか。どれだけのものがナショナルミニマムであり、どれだけのものがそれを超えるものである、そして国と地方それぞれがどのように分担し合うのか、こういうことも含めた一体的な結論が出されない限りは、この骨太の基本方針の中で示されている、今後一年以内を目途に取りまとめるということはできないんじゃないかと思うんですけれども、これはできるんでしょうか。
塩川国務大臣 おっしゃるように、なかなか難しい。私は、やはり時間はかかるであろうと思っておりますけれども、しかし、一方、前進していかなきゃならぬ。
 その一つとして、機関委任事務が法定委任事務になりましたですね。このときに、機関委任事務を若干整理いたしました。今回、もう一度こういうものを見直すことによって、今度は地方自治体がシビルミニマムとしてやっておるものの見直しも入ってくるだろうと思っております。そして、行政の質を落としてはいけませんけれども、要するに、給付との関係というもの、いわゆる税負担との関係を、住民のしっかりとした見直しの上に立って改正すべきだと思っております。
 こういうことをやるんですが、今、経済財政諮問会議のところで、まず、現在の段階は、社会保障の問題をやっておるんです。この問題を急いでやって、次に地方行政関係のをやってもらおうと思うて私は提案しておるんです。ちょっと時間はかかるんじゃないかと思っておりますけれども、国の、あるいは経済財政諮問会議の最大のテーマとして、地方と国のあり方を見直すということは日程に上がってきておるということだけは申し上げたいと思っております。
竹中国務大臣 今財務大臣おっしゃったとおりなんでございます。
 経済財政諮問会議では、このことの議論を時間的制約の中でできるだけ詰めて議論したいと思っております。それで、六月までにどのように進めていくかという工程表を示すということでございます。その工程表の中には、すぐやっていけるものと、少し時間をかけてさらに議論を詰めなきゃいけないものがあると思いますが、六月までにその三位一体の改革の工程表をぜひ明らかにしたいというふうに思っているところでございます。
若松副大臣 済みません。片山大臣は、総務委員会が行われておりまして、副大臣の若松ですが、よろしくお願いいたします。
 いろいろと御答弁が財務大臣また経済財政担当大臣からございましたが、総務省といたしましては、まず、今の委員の御提言の、いわゆる偏在しない税源ということでありますが、私どもは、少なくとも消費税課税、これにつきましては広く消費に負担を求めるものである、そういうふうに理解しておりまして、これこそが偏在性が少なく、地方税にもなじむもの、このような理解をしております。
 後ほどまた触れさせていただきますが、いずれにしても、この地方税の充実確保を図る際、所得、消費、資産、いわゆる均衡ある地方税体系を構築することが重要と考えておりまして、今後の地方税制の改革に当たりましては、二点私どもは意見がございます。まず一点は、地方における歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、国から地方への税源移譲を実現する。二点目としましては、税収が安定的かつ税制の偏在が少ない、こういった地方税体系の構築を基本的な考え方とすべきと考えております。
 このような考え方のもとに、今竹中大臣からもお話がございましたが、六月までの三位一体、私どもは昨年の五月に、片山試案ということで、いわゆる所得税から個人住民税への三兆円、消費税から地方消費税への二・五兆円、合わせて五・五兆円を国から地方へ税源移譲する案を出しておりまして、ぜひとも、この国庫支出金等の軽減とあわせた税源の確保、こういったものをしっかりと六月までに構築してまいりたいと決意しております。
平岡委員 ちょっと細かいところの議論では、消費税が偏在していないというようなことも言いましたけれども、消費税の課税事業者の存在を見ると非常に偏在しているんですね。ただ単に、地方消費税の場合は、地方の消費の割合に応じて改めて再分配しているからそういうことが起こっているのであって。
 税のそもそも論についてはともかくとして、先ほど、竹中大臣もそれから塩川大臣も言われましたように、これから改革工程表を含んだ地方と国の財源のあり方ということが示されていくわけでありますけれども、改革工程表というのは、どのタイミングでどんなことをするかというのを書いていかれるということで、この六月にすべての方向が決まるということでは多分ないのかもしれません、その辺はよくわかりませんけれども。
 ただ、最初の方向性を間違ってしまったら、いつまでたっても今までと同じようなことになってしまうということなんで、私も、この六月に出るんでしょうけれども、六月に出る政府の案というものをしっかりと検証させていただいて、本当に国と地方の本来あるべき分権構造ができるのかどうかということをチェックさせていただきたいというふうに思っておりますので、楽しみに待たせていただきたいと思っています。
 そこで、税制改正の方の問題に移らせていただきたいと思います。
 今回の税制改正というのは、二十一世紀に向けてあるべき税制というものを構築するためにいろいろなことをしていくんだ、そういう考え方のもとにつくられたんだろうと思いますけれども、ある学者さんに言わせると、全くそんなものじゃなくて、調整型というか、いろいろ不都合が生じているところについての手当てをしているような税制改革にしかなっていないんじゃないかというような御批判があるんですね。そういう面で考えてみると、本当にあるべき税制というものに沿ったものになっているのか、あるべき税制というものが本当に今回の税法改正の中であらわれているのかということを検証していかなければいけないというふうに思うんです。
 それはさておいて、まず最初に、消費税が導入されるころ、あるいは消費税率がアップされるころに、直間比率というのがよく言われました。直接税と間接税の比率。今回は、消費税については具体的な税率アップがあるわけではないんですけれども、小泉総理が言われているように、消費税率の引き上げについては大いに検討してほしい、自分たちのときはやらぬけれども大いに検討してほしいというような、ある意味では無責任な発言になっているわけでありますけれども、この直間比率ということは今の税制改正の中でどのように考えておられるのか、どのように位置づけられておられるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
塩川国務大臣 私は、きのうも財務省で議論したんでございますけれども、直間比率の構成を見直すべきときではないかと。
 私たちは、直接税といったら、固定資産税を入れて直接税で計算して直間比率ということを今まで慣例としてやっておりましたけれども、今日では税収の体系が変わってまいりましたので、直接税というものは、そういう観念じゃなくして、法人税あるいは所得税という、直接経済活動から出てくるところの付加価値といいましょうか、そういう所得を中心とした税というものを見るべきだと。固定資産税は資産税の中に入れるとか、あるいは、消費税は一つの消費税体系とする。
 そうすると、直接の所得というものと資産税とそれから消費税、三つ分類していく。それが、三つが相互に関連して平等な負担率になるのが望ましいものではないかなと思ったりいたしております。従来のように、いわゆる高度経済成長時代のように、所得税と法人税に重心を置いた税収構造ということはこれから先不安定ではないかと思っておりまして、その三者構成の中で安定を図っていくということだと思っております。
平岡委員 大変いい議論をされているようにも思うんですけれども、それでは、その結論の中で、今、資産税と、直接の所得に対してかかる直接税と、そして消費税を含む間接税というようなことで、三つが平等になるようにという表現がございましたけれども、その平等になるというのは、それぞれが同じような税収になるようにという意味なんでしょうか。
塩川国務大臣 必ずしも数字の話を言っているんじゃございませんで、国民の負担から考えたらどちらに偏ってもいかぬということでございまして、それは、例えば四、三、三にするとか、そういうことは考えられるだろう。あるいは、五、二・五、二・五にするとか、比率はあると思いますけれども、要するに三つの分類がお互いに極端に走っておらない、極端な負担を要求しておらないという状態に持っていきたいということです。
平岡委員 そういうふうに考えますと、それでは、今の消費税についていうと、今の大臣が言われた分析の結果として、消費税というのは偏った状況、つまり少な過ぎるとか多過ぎるとか、そういうような評価というのは出てきているんでしょうか。
塩川国務大臣 今はそういうことはやっておりません。そういうことを考えながら税制構造を変えていかなきゃいかぬということなんです。
 今、消費税は極端に低いというわけじゃない。一般消費税は外国の諸国と比べますと低いように思いますけれども、一方において、ガソリン税であるとかなんとか、特定の消費税関係のを取っておりますので。全体として見た場合、低いことは低いです。私は低いと思いますけれども、しかし、そんなに極端に消費税というものがいわゆる劣勢化しておるという状態ではない。けれども、先ほど言いました法人税、所得税とか、そういう所得関係に比べましたらちょっと低いような感じをしているというところです。
平岡委員 もしその検討の結論が出るとしたら、小泉首相が言っているように、自分の間だけは消費税を引き上げないんだというようないいかげんなことを言わないで、本来あるべき税制の姿というのはどういうものだ、その税制が、こういうものがあるべきだというふうに決まったのなら、自分が在任中であろうがそうでなかろうが、やるべきことはきちっとやっていくという姿勢を示していただかなければいけないんじゃないかというふうに私は思うわけであります。
 今、消費課税の話が出ましたので、消費税率の問題についてもちょっと触れていきたいと思います。
 午前中にも五十嵐委員の方から、総額表示を義務づける規定、これは罰則があるわけでもなし、違反したからといって何かあるわけでもなし、義務づける規定が設けられるわけでありますけれども、この義務づけをする背景には、消費税の負担感を一般の国民の人たちに生じさせないようにするためにこうした総額表示方式をとるのではないかというような疑いもある、危惧もある。
 そのほかに、今回、免税点の上限引き下げ、あるいは簡易課税の適用上限の引き下げ、それから申告納付回数の増加といったようなことは、これから消費税率がアップしていけば当然大きな問題になるといいますか、益税の問題も含めて問題になる。こういったところに手をつけているということは、やはり将来の消費税の引き上げということを念頭に置いてこういう措置を講じようとしているのじゃないかというふうに大方の人たちは見ているわけですね。
 この点については、大臣、今回の改正というのは、先ほど、間接税の分担割合が少し少ないんじゃないかと感じているというような御発言もありましたから、その御発言も含めて、今回の消費税法のいろいろな改正については、消費税率の引き上げを伏線として、ねらってやっているということに対する批判についてどのようにお考えになるのか、お答えいただきたいと思います。
塩川国務大臣 それはちょっと誤解があるように思いますので、私から申し上げて認識をしていただきたいと思うんです。
 二つございましたが、一つは、最初に申し上げたいのは、小泉首相が、在任中は消費税は上げません、こう言いましたのは、これは一つの決意表明である。決意表明というのはどういうことか。そういう安易な税率アップで財源の確保を図って、一般歳出の見直しをおくらせてはいかぬということ。それからもう一つは、消費税を対象にする、社会保障関係を主として、その中において給付と負担の関係というものを一回見直すべきじゃないか。本当に給付の程度はこれでいいのかということを見直す必要もあるんじゃないか。その二つの点を含んで、安易に消費税でやったらいかぬということを自分の意思として言ったことであって、実は私はそういうふうに解釈をしておるんです。それは違うと言えば違いますよ。そうかもしれません。けれども、私はそんな気持ち。だから、この精神を消費税検討の際にやはり心しておかなきゃならぬのじゃないか。
 それから、二番目の問題でございますが、消費税を今度上げるのに、いわば引き上げする事前工作として今度の免税点引き下げの措置だとかをやったのではないか。これはちょっと誤解ですね。そうではございません。
 これは、私たちが全国十一カ所で、昨年の夏から秋にかけてタウンミーティングを、地方で公聴会をやりました。その中で、質問の多いのは女性の方、主婦の方が多いんですけれども、私たちが払った消費税は本当に国庫に納入されておるんでしょうかという質問が非常に多かったんです。実は、私はこれは意外に思いました。奥さん、それはどこでの話ですかと言ったら、私が市場で買い物した、消費税は払っているんでしょうか、払っていないんでしょうか、どっちなんでしょうということの疑問点がまずあった。
 これは、消費税に対する透明性と公平性というものを何かの形で明確にしなければいけないなと私はそのときから思っておりまして、たまたま政府税制調査会の方でも議論に出ました。そこで免税点の問題が出たのであります。一応、零細企業の方々が、免税措置を余り引き下げてしまって、ゼロにしてしまうとなったら、全部これを対象にしてしまうと、とても納税事務の能力が零細企業にない、煩雑になるということもございましたので、それでは一千万円程度の売り上げを中心にして、免税点引こうかということになったということが一つ。
 簡易課税につきましては、これはやはり、公平を期すという意味において、簡易課税制を引き下げてもらおうというようなことであったのであって、将来の消費税の税率引き上げを想定して今回の措置をしたというものじゃございませんで、これはひとつ善意に解釈してもらいたいと思います。
平岡委員 この議論は、どっちだこっちだといっても、多分水かけ論になってしまいますから、政府がそういうふうに説明しておるということだけを我々としては承るということとして、とりあえず、この話はおしまいにしたいと思います。
 それで、あるべき税制を考えてみますと、いろいろなことが言われておるわけですけれども、その中の一つとして、地球規模の環境、あるいは国内の環境も含めて、環境問題が非常に重要であるということで、これにいかに税制の面でも対処していくかというような、そういう問題があるわけであります。ただ、環境税という言葉自体、税制調査会の答申の中にも「いわゆる「環境税」」というような表現で、一体何物が環境税なのかということがわからないままに議論されているという嫌いがあるようにも思うんです。
 今、政府が、あるいは政府の税制調査会で「いわゆる「環境税」」というふうに呼んでいる税というのは、一体どういうものを環境税というふうに考えておられるんでしょうか。まず、そこの出発点から入っていきたいと思います。
谷口副大臣 平岡委員の、今、「いわゆる「環境税」」についてどのような考え方なのかということでございますが、おっしゃるように、「いわゆる「環境税」」というのは、確立された定義はないようでございます。
 一般的には、地球温暖化、また、大気汚染、廃棄物排出等の環境負荷をもたらしている者に対し負担を求めることにより、環境負荷の低減を図ることを目的として課せられる税を一般的にいわゆる環境税、このように言われているということを承知しておるところでございます。
平岡委員 そうした環境税について、導入に関する検討の進捗状況はどのようになっているんでしょうか。それから、これからどのように検討されていくことになるんでしょうか。
谷口副大臣 昨年の三月に地球温暖化対策推進本部が決定いたしました地球温暖化対策推進大綱におきましては、「税、課徴金等の経済的手法については、他の手法との比較を行いながら、様々な場で引き続き総合的に検討する。」ということになっておりまして、現在、各方面において検討が進められておるということを承知しておるところでございます。
 環境問題に対する税制面の対応につきましては、地球温暖化対策等の環境施策全体の中で、規制的措置、自主的取り組み、経済的手法、それぞれの具体的位置づけを踏まえまして、汚染者負担の原則に立って検討すべき問題であるというように認識をいたしておるところでございます。
平岡委員 今、環境税の導入について検討しているという、そういう御説明がございました。
 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、今回、石炭に対して課税をするということが来年度の税制改正の中に盛り込まれております。この石炭に対する課税というのは、一体どのような考え方に基づいて、今回、課税に踏み切ったんでしょうか。
 特に、これまで我が国のエネルギー政策というのは、石油ショック後、エネルギー安全保障とか、あるいは高コスト構造是正のための代替エネルギー源として、石炭の利用拡大政策がとられてきたのではないかというふうに私は承知しているんですけれども、今回の石炭への課税というのは、これまでのそうした政策との整合性がとれていない。そして、先ほど言いましたように、環境税の導入についてはこれから検討していくという、そういう状況の中でこういう課税が行われた、その理由は一体何なんでしょう。
谷口副大臣 石炭に新たに石油税を課税した理由でございますが、今般、省エネ・新エネ対策の抜本的強化を初めとするエネルギー政策の見直しが行われることを踏まえまして、その財源となる石油税につきましても、負担の公平の観点から見直しを行います。LPG、LNGの税率を引き上げるとともに、石炭への新規課税を行うことになったわけでございます。
 このうち、石炭につきましては、石油税の課税対象である石油やLPG、LNGと組成や精製過程が類似した資源であるということがまず第一点。
 二点目は、供給安定性、コスト当たりの発熱量の高さといった点で高い便益性を有しておりまして、石油等と同様に、原料や燃料として幅広く利用されているということが第二点でございます。
 第三点は、石炭の消費者につきましては、これまでもエネルギー対策の実施により実質的に受益していたわけでありますが、環境制約の高まりの中で、今般、省エネ・新エネ対策の抜本的強化等によりさらなる受益が見込まれるというような状況の中で、負担の公平という観点から新たに税負担を求めることになったわけでございます。
平岡委員 今の説明は、本当に、エネルギー政策全体の中でこうした新しい歳出項目が必要であるということの、説得力のない説明の中での話なので、私もどうも納得いかないんですね。
 これで私は思うんですけれども、石炭への課税というのは、ある意味では発泡酒課税と似たようなところがある。今までは発泡酒は税率が低かったので、一生懸命発泡酒の開発に努めて、それを進めていくということをやってきた途端に、何か税率に均衡していない、不均衡があるので、今回、発泡酒について税率を引き上げますというのと似たように、石炭について言えば、石炭の利用促進ということもあり、石炭を利用すれば安いコストで例えば発電ができるといったような中で、急遽、何か新たな歳出が必要になってきたので石炭にも課税しますといったようなことをしたら、これまでの、企業が、一生懸命、石炭を利用した発電なり、石炭を利用したいろいろな生産活動なりをしていた人たちが、ここで急に自分たちの今までの企業努力を無にされてしまうような、こんな話になってくるわけですね。これについて、私はどうも納得がいかない。
 聞くところによると、来年以降の環境税の導入に向けて、環境省と経済産業省が、石炭に対する課税の主導権をどっちが握るかといったような主導権争いの中で、今回、とりあえず、環境省と経済産業省で、石炭に対する課税の導入だけは決めておこう、そして、来年度以降の環境税の導入に当たっての議論については、両者が既得権を持った状態の中で議論していこう、こういったような話も聞くわけでありますよ。こういう話を含めて、私は、今回の石炭の課税については大いに疑問に思っております。
 今、私がだあっと言っちゃったので、どこを答弁していただいていいかよくわかりませんけれども、総括的に、私が指摘さしあげた問題点について御答弁願いたいと思います。
谷口副大臣 石炭につきましては、二酸化炭素の排出割合が高いというものの、供給安定性が高く、また、コスト当たりの発熱量が高いといった点で、エネルギー政策上、引き続き重要なエネルギー資源として位置づけられているわけでございます。
 今回の石炭への新規課税につきましては、便益性の高い資源の利用者に広く負担を求めるという石油税の課税趣旨の枠内で、今般の省エネ・新エネ対策の抜本的強化等によりさらなる受益が見込まれる石炭の消費者に対しまして、あくまで負担の公平の観点から新たな負担をお願いするというものでございまして、エネルギー政策上の石炭の位置づけを変更するといったものではないということでございます。
平岡委員 どうも納得がいかないので、また、この委員会だけでなくて、いろいろなところでいろいろ調べてみたいと思っていますけれども、問題意識の所在だけは提示させていただきたいと思います。
 次に、中小企業税制の関連について、留保金課税と事業承継税制についてちょっと質問してみたいと思います。
 今回、留保金課税に関しまして、自己資本比率が小さい五〇%未満の中小法人に対しては、この留保金課税を一定期間、平成十五年度から十七年度までの間に事業年度が開始する中小法人については課税しないということになったわけであります。私は思うに、中小法人の自己資本の充実というのは、何もこの時期だけじゃなくて、一般的にやはり必要なことではないかというふうに思うわけでありますけれども、この平成十五年度から十七年度までに課税停止を限定した理由は何なんでしょうか。限定する必要はないんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
谷口副大臣 おっしゃるように、三年間停止をさせていただくということにしたわけでございます。従来から、この留保金課税について言われておったのは、法人と個人との税負担の差を利用して節税行為が行われているというようなこともあり、こういう意味合いにおいてはこの留保金課税というのはまだその意義が失われておらないという観点で、今回、この制度そのものを廃止するということではなくて、停止をさせていただいたわけでございます。
平岡委員 いや、何でこの三年間だけ停止なんですか。三年たったらもう自己資本の充実の必要性はないということですか。政策の整合性が何にもとれていないような気がするんですけれども。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 ただいま副大臣から答弁させていただきましたように、留保金課税の原則は、やはり個人と法人の税負担格差の是正が必要だということで、それを是正するための制度としては法人税法ではそのように整理されているわけです。それをいわば、今回の措置というのは、日本の場合、中小企業の自己資本比率が非常に低いものですから、一五%ぐらいが平均だと伺っています。少なくとも五〇%、これはアメリカの平均の自己資本比率、日本の場合にはこれで八割がそれよりも下にいるようなんですが、五〇%ぐらいまで自己資本比率を上げていただきたい、そういう政策的意図から実は留保金課税の一時停止というのを入れさせていただいているわけです。
 したがいまして、これは租税特別措置ですから、一応三年という時限を付させていただいて、それに向かってできるだけ内部留保を蓄積していただきたいという政策であるわけで、もちろんその時点で、自己資本比率との関係で不足ということならば、それを延長するなり、さらにどのようにするかという御議論をいただく、そういうことになるのかと存じます。
平岡委員 今、延長の話もありましたけれども、基本は、中小企業政策としてどのような政策をとるのかということがまずあって、それに沿うのであれば、こういう期限を設けてやるんじゃなくて、ずっとやる、あるいは継続していく、そういう方針を示した上でやらないと、ただ単に三年間だけ留保金課税をやりません、これは何のためですかと言ったらよくわかりませんというような話になってしまうんでは、なぜ期限を切っているかということについてちゃんと今説明できていないと私は思うんですよ。では、なぜ期限を切っているのか、もう一遍。
大武政府参考人 平岡先生よく御存じのとおり、これも租税特別措置でございます。したがいまして、原則としては、租税特別措置自体はスクラップ・アンド・ビルドといいますか、サンセットでさせる。本則ではありません。したがいまして、ある特定のものに、ある意味では外部経済効果が特にでかいとか、そういうものはともかく時限を付さないことはありますけれども、基本としては、ある一定の政策目標を達成するために集中的にいわばねらいを定めてお願いするという措置でありますので、これについても原則として三年と一応時限を付してある、そういうことでございます。
平岡委員 今の集中的にというのは、この三年間の間に集中的に自己資本比率を上げてもらったら、後は別にいいということになるんですかね。まあ、いいです。これ以上この問題について議論をしてもちょっとあれかもしれません。先ほど、継続をするということも当然念頭に置いてこの措置はとってあるということをお聞きしましたので、ぜひその必要性の問題について十分、延長の際に検討していただきたいというふうに思います。
 それともう一つ、中小企業については事業承継税制をもっと充実してほしいということがよく言われておりまして、我々もそれぞれの地域に戻ると、中小企業の方々から、これでは我々の事業、代がかわったら継続できないんだというふうなことをよく言われるわけであります。
 それで、今回たまたま相続時精算課税制度というのを導入されました。これを見ますと、六十五歳以上の親から満二十歳以上の子供である推定相続人に対して贈与する場合、最終的に精算するという形で、とりあえず贈与税の減免を図るような、そういう仕組みができているわけであります。
 この制度も、例えば中小企業者である親が自分の子供に対して贈与をする場合でも適用されるということは当然でありますけれども、ただ問題は、農家における生前贈与の場合には、相続時に適用される特例というものが生前贈与時にも適用されて、そしてその後いろいろな事情に応じて適用関係が変わってくるわけでありますけれども、生前の贈与に対してもスムーズに農業が継いでいけるというような仕組みになっているわけでありますね。
 そう考えてみると、今回のこの相続時精算課税制度においても、中小企業者の方々について言えば、贈与時において、今つくられている事業承継税制の相続時における特例というものが同じように適用になってもいいんではないかというふうに単純な、非常に簡単な疑問を持つんですけれども、そういう仕組みになっていないのは、これはどうしてでしょうか。むしろそういう制度にすべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
    〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 先生が申されましたとおり、今回の相続時精算課税制度そのものは、特に事業者の方につきましては、事業の承継に都合のよいタイミングで計画的に事業用資産が生前贈与できるという意味で、事業の円滑な承継にかなり貢献するだろうということは念頭に置いております。
 ただ、先生の言われました農地と違いますのは、農地といいますのは、御存じのとおり、田分けを防ぐというか、細分化防止という意味で、いわば推定相続人の一人に対して農地等を一括贈与する、かつ、農地等の受贈者が終生いわば農業経営を継続する、事業転換を許さない、実はそういう仕組みの上に成り立っているわけでございます。それに対しまして今回の税は、むしろ、そのようなものではなくて、いわばどのような財産もどのような金額で分けても自由に選択できる。
 そういう意味では、ある意味では、現行の相続時にかかる事業承継に関連する相続税の価格の特例は、その全体の相続財産の中で、どの相続人が受けるのか、どの財産についてその特例の適用を受けるかにつきまして、実は相続時に相続人全員の合意で特定することが適用のいわば前提となっているわけで、ところが、贈与の時点ではそういうことは一切まだ、死んでいらっしゃらないわけですから、できていないわけです。ですから、逆に言えば、農地のように完全に一括してある特定の長子なら長子に相続するという法体系のもとでできている、田分けを防ぐ、先生がよく御存じのとおりの制度とは違うわけで、むしろ受け取った方が事業転換なりを自由にしやすいような形で贈与するのは、実はこの方ができるだろうということが一つ。
 それから、一般に被相続人が生存している贈与時点において、実は単なる財産の移転と事業の承継というのを客観的に区別することもまた困難であるというようなこともございます。もちろん、さらに言えば、相続時における均分相続等の問題もございますけれども。
 いずれにしましても、今回の制度は、受け取った財産を受け取った側において自由に処理できるという制度と組み合わせてでき上がっていますので、農地のようにそういうものを禁止した制度とは本質的に異にしているということかと存じます。
平岡委員 今、農地の場合、いろいろな要件をおっしゃられましたが、確かにそういう要件があります。ただ、そういう意味では私も、この事業承継の場合に単純にこれを導入すればいいということじゃなくて、やはり一定の要件、本当に事業承継をするための贈与であるということの認定といいますか条件が整っているというケースについて導入すればいいんじゃないかと思うんです。
 今のままでいきますと、結局、事業承継を前提として、とりあえず六十五歳以上の親が少し贈与しました。そのときは評価額なんかは全く同じにかかるわけですよね。評価額、全く特例がない状態、そして、実際に相続時になったときには、今度は、本当は事業承継税制の中で、いろいろ軽減されるような状態で評価される。そのときに、かつての贈与を受けたものが、高い価格で評価されたものが、そのまま、自分の相続財産の一つを占めるという形になってしまうんじゃないか。そうすると、結局、事業承継時において税の軽減が受けられない部分が一部生じてしまうということで、事業承継には余り役に立たないんじゃないかというふうに私は思うんです。
 そういう意味で、ちょっと時間がなくなりましたのであれですけれども、先ほど来から言っているように、せっかくこういう制度をつくったんですから、中小企業者の事業承継制度に役に立つような形で、相続時の特例が贈与時にも受けられるような、そういう仕組みをつくっていただきたいというふうに思っております。
 何か意見があるなら、どうぞ。
大武政府参考人 先生、十分御存じだと思いますけれども、贈与時点の、例えば会社の株の評価は、その時点の評価であり、かつ、類似業種であれ純資産方式であれ、そのときの時点ので評価しますから、あくまでも、配当なりいわゆる利益なりもその時点のでフィックスされるので、それは相続時点でも贈与時点でも全く同じでございますから、その辺の有利不利は基本的にはないんだろうと存じます。
平岡委員 主税局長、それはちょっと、後で事務方によく確認してみてください。この事業承継税制における取引相場のない株式の評価というのは、やはり特例があるんですよ、相続時には。評価の特例があるんですよ。贈与時にはその適用はないんですよ。だから、それはまた確認した上で、だれが説明に来ていただいても結構ですから、確認した上で、また別の場ででも説明してください。
 以上で終わります。
小坂委員長 次に、中津川博郷君。
中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。
 塩川、竹中両大臣、今日の危機的状況にある経済、特にデフレ、不良債権に対する認識について、冒頭、お伺いしたいと思っております。
 まず、デフレなんですが、デフレは、物価の下落による経済の悪循環というようなことなんですが、今、我が国で問題になっているのは、資産デフレですよ。特に土地、つまり地価下落の問題です。当然、株価の下落も含まれると思うんであります。実は、平成二年には約二千五百兆円あった地価総額、平成十二年には約一千五百兆円になったんですね。十年間で一千兆円下落しているわけです。これは暴落ですよ。
 調べてみたんですが、小泉政権になってからは、地価総額で約百五十兆円下落しているんですよ。これは非常に下落率が高いと思いますが、ちなみに、東証一部の株の総額、これが百四十兆円から百七十兆円下落しているというわけでありまして、資産デフレが小泉政権になってから猛烈な勢いで進んでいるわけです。
 ですから、不良債権処理を銀行があの手この手を使って強引にやっても、物価が下がって株が下がっている間じゅう、新しい不良債権は次から次へと出てくる、こんなのは子供でもわかることですよ。だから、イタチごっこなんですよ。しかも、日本の企業が例えば銀行から融資を受ける場合、本来なら、アメリカのように、経営者の能力とかやる気とか人物とか評価して、あるいは事業計画を精査して貸し出すということじゃなくて、日本は、土地があるかどうか、担保があるかどうかで貸し出しが行われてきたわけです、ずうっと。つまり、土地担保至上主義ですよ。こうした状況が日本にあるために、毎年毎年、不良債権が山のように出てくるわけであります。
 そして、銀行は、貸し出ししている担保価値が下がっているからということで――土地が下がる、担保価値が下がるということは、経営者が努力しなかったからとかサボったからとかいうことじゃないんですね、経営者の責任じゃないんです。だから融資はできませんよとか、貸出金利を、今、東京三菱、四大銀行の中ではいいと言われている方ですが、あれでも、かなり強引なことをやっていますよ、金利を上げていったりして、どんどん企業を追い込んでいく。貸し渋り、貸しはがしが激増しているのが現状であります。
 また、バブル時に、不動産を担保に強引な提案融資を行って――この地価暴落、これは、何回も言いますけれども、本人の責任じゃないんです、今、競売を余儀なくさせられているような事態が激増しているということなんですね。
 この十年間、政府がまさに無策でこの資産デフレを招いた、私は、この責任は大きいと思うんです。今、被害をこうむっている国民に対して何ができるか、この認識を両大臣にまずお伺いしたいと思います。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、資産デフレは、九〇年代以降、一貫して非常に厳しい状況で継続しているわけでありますけれども、その資産デフレの非常に厳しい状況、一方で、銀行が依然として担保主義を重視した融資を行う、それが相まって非常に厳しい状況が出現しているということを私自身も非常に強く認識しております。
 資産デフレそのものについては、非常に厳しい状況の中で、少しずつ手を打って、これを食いとめていくような方策を講ずるしかないというふうに思います。非常に長期の時間、例えば戦後の四十年ぐらいをとりますと、消費者物価が五倍になる間に、日本の住宅地の価格は二百二十倍になりました。それが、今御指摘のように、この十年間で何割も下がってきている。そういう状況下にありますので、資産の価格、土地の価格そのものについての調整局面というのは非常に長く続くということを、ある意味で前提にしなければいけない側面はあると思います。
 しかし、土地に関しては、これは利用価値でありますから、利用価値を高めるような規制の緩和でありますとか都市再生でありますとか、そういうことを一方で非常に辛抱強くやっていかなければいけない状況にあるというふうに思っているわけでございます。
 一方で、土地担保にだけ依存したような金融のあり方というのは、これはやはり変えていただかなければ困るわけで、そうしたことに対しては、金融機関にも、金融庁としても、繰り返し要請を行っているわけでありますし、銀行の中には、そういった担保に頼らない融資を今広げつつあるわけでございますけれども、なかなか、その動きは遅いというふうに認めざるを得ない。
 そのような状況の中で、しかし、これは長期的なあるべき姿を目指して、辛抱強く政策を行っていかなければいけない段階にあるというふうに思っております。
塩川国務大臣 竹中大臣のお答えにほとんど尽きておると思うんですが、要するに、不動産に関しましては、一九九〇年ごろ、つまり、東西冷戦が終わりましたその当時を境にして、グローバリゼーションが始まりました。そのグローバリゼーションは、不動産とか証券の価値というものの構造的な転換を迫ってまいりました。土地は、日本人は、持っていることが財産だと思っていたが、それが間違いだった。そうじゃのうて、使うことに意味があるということでございますから、利益を生む使い方をするということに切りかわってくる。ですから、所有の点についての価値というものが減殺されてきたということ、これが資産デフレの根本になってきたということが一つあると思っております。
 それから、企業が、時代の転換、技術の進歩についていけなくて、特に、日本の大企業等は構造転換がおくれた、業種転換がおくれたということ。これがやはり企業収益を生むことができなくなってきて、それがために、株につきましても、株を持っておったら、増収増収、楽しみがあった。これが資産価値であったけれども、そうではなくして、これからの、高度経済成長から安定成長になった場合に、配当が中心、配当が株の値段を決めるという時代になってまいりました。したがって、低金利時代に即応した、それにふさわしい株価に変わってきたということが、その資産デフレ、二つの面が変わってきた条件でございます。
 そこで、私たちとしては、その構造転換をするために、税制の方においても、それにふさわしい対応をしていかなきゃならぬということ、それから、企業、産業界において、新しい産業技術を導入した産業に体制を変えるように積極的に、研究開発だとかあるいは設備投資、そういうものに対する減税措置を講じて企業の誘導を図っていくということをいたそうということで、現在、鋭意努力しておるところであります。
中津川委員 企業が時代に乗りおくれたというような塩川大臣の話が今ありましたが、企業が活動していくには、これはやはり金融機関、銀行が相手でありますから、銀行の責任に今全く触れられていなかったのはちょっと残念でありますが、後でこのことについては議論をしたいと思います。
 今、小泉・竹中ラインで不良債権処理を加速するという政府の方針で、中小企業者、あるいはバブル時、先ほども申し上げました銀行の強引な提案融資でマンションやアパートを建てた人たち、それから、サラリーマンでローンを組んでやっと住宅を購入した人たち、あるいは、銀行の甘い言葉、余りリスクも説明しないで、株の連動による金融商品等、変額保険なんかありますが、そういうのを買った人たちが今犠牲になっているわけですよ。自殺者が四年連続三万人を超えています。小泉総理はこの間、交通事故死が一万人を切ったと自慢していましたが、今、経済死が一万人近いんですよ。自己破産者が二十万人ですよ。夜逃げやホームレスの激増という結果になってあらわれていると思うんですね。
 ここで確認したいのは、不良債権というのは、経済が悪化した結果であって、原因じゃないということなんですよ。景気がよくなれば地価も株価も上がりますね。コストもかからず自然と不良債権は処理されるんじゃないですか。
塩川国務大臣 原則はおっしゃるとおりです。そのために我々は、産業が活性化して、国際競争力を持つように一刻も早くしなきゃならぬ。そのためには新しい資金をつぎ込んでいかなきゃなりませんが、しかし、古き皮袋に幾ら新しい酒をつぎ込んでみても、現在の競争力に勝てるんだろうか。だから、皮袋自体を新しきものにし、そこに新しい酒をつぎ込んでいく、そういうあわせた努力をしていかなければならないんではないか、現在、そういう時点にあると思っております。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、もしも、本当に何らかの理由で経済がすうっとよくなって、それで株も上がってということであれば、これは、不良債権の処理に対して非常に大きな追い風になるということは間違いございません。むしろ、一九九〇年代の反省として多くの専門家が語っているのは、九〇年代の特に前半、もう一山来ればこれは終わる、何とかなる、そういうことで問題を先延ばししてきたことによって失われた十年が逆に生み出されたのではないだろうか、むしろそういう指摘なのではないかと思うんです。
 これは、経済がよくなればという前提の話でありますけれども、では、本当に経済をよくするにはどうしたらよいだろうか、そこに考えを持っていかざるを得ないわけでありますが、そのためには、今塩川大臣の話にもありましたように、有効にお金が使えるように、よいところにお金が本当に回るような仕組みをつくっていかなければ仕方ない。その意味では、不良債権の処理を加速して、一方で企業、産業の再生はしっかりとやっていく、そういうことによって経済の活力を高めて、その中で、まさに車輪の両輪のように、コインの両面のように不良債権の処理と経済の活性化が進んでいく、そのように政策を運営したいというふうに思っているわけであります。
中津川委員 塩川大臣が新しい皮袋とおっしゃいましたが、これは構造改革ということなんだろうと思いますが、小泉総理の言う構造改革なくして成長なし、これ一本でいまだに通しております。確かに、改革は必要なんですよ。改革が必要だというのは、民主党が一番最初に言っていたんです。しかし私は、当初小泉さんが言ったときから、何か変だな、成長なくして構造改革なしなんではないかな、これは主語と述語が逆じゃないかな、そんなことを思いながらいろいろなところでそんな議論をしてきている立場であります。
 不良債権を処理するには経済の下支えが必要であって、景気が回復していくという前提条件が絶対必要ですよ。だから、順序が逆じゃないかと思っているんですね。国債発行三十兆円枠等、緊縮財政ばかりやっている。それが景気悪化の原因じゃないですか。いかがですか。
竹中国務大臣 不良債権の処理の加速を含む構造改革が必要だという御趣旨のことを委員も御指摘してくださっているんだと思います。その際に、景気、経済の下支えが必要だということも、私も、また全くそのとおりだと思います。
 ただし、今御指摘の中で、緊縮財政という御指摘は、これは少し違うのではないかなと思います。財政赤字が大きいわけですから、決して財政を放漫に使えるわけではございません。しかし、その中で、この平成十五年度の予算編成に関しては、結果的に財政中立になるように、緊縮財政にならないようにさまざまな工夫を凝らして運営をしたつもりでございます。「改革と展望」の参考資料として内閣府が出しております政府部門の貯蓄・投資バランスをごらんいただけばその点は確認いただけるというふうに思うわけです。同時に、下支えのために、金融政策に関しても、日本銀行はこれまでも思い切った政策をとってきましたし、さらに我々は期待をしているところでございます。
 不良債権処理を含む構造改革を、さまざまな制約の中で、しかし下支えをしっかり行っていきながら、さらにはセーフティーネットにも配慮しながら、この政策を運営したいというふうに思っているところでございます。
中津川委員 緊縮財政じゃないなんておっしゃいますけれども、税収は四十一兆円しか今度はないんですよ。先ほど塩川大臣が減税だと言うところもありますが、しかし、景気が悪いから税が上がってこないじゃないですか。去年は五十二兆円あって、九〇年代、十年前は六十兆円もあったんですよ。これは緊縮財政そのものじゃないですか。結果として、今回の法改正で大衆増税をして、財政出動しなければならなくなったじゃないですか。小泉総理が目標としている財政再建どころか、財政赤字を今膨らましているじゃないですか。違いますか。
 私は、この緊縮財政から景気回復路線へ政策転換しなければ日本の景気はよくならないというふうに思っておるんですが、政策転換しますかと言ったら、するとは言いっこないと思いますので、これは私だけの意見にしておきたいと思います。
 塩川大臣に今度はお聞きしたいんですが、昨年の十二月一日、仙台市内の講演で、一ドル百五十円から百六十円の水準が望ましいと発言しておられますね。去年の暮れは、為替の発言がいろいろ多かったんですよ。自民党の額賀幹事長代理も、円をなだらかに安い方向に誘導する政策も考えられていいとか、当時の黒田財務官、今は内閣参与ですか、この人も円安路線への転換を訴えているというようなのがあったんですが、ことしに入ってぴたりととまりましたね。何か、インフレターゲットばかりが与野党目立って、為替に関する議論が、大臣もとめちゃった。これは何か特別な意味があるのかと思っておるんですが、まずお聞きしたいんです。
 今回のG7、お帰りになりましたが、スノー新米財務長官と塩川大臣は個別に会談されたと思うんですが、スノーさんは経営者ですね。だから、本音はどうかわかりませんけれども、建前は、強いドルは米国の国益であるということをおっしゃっていますね。今回、帰ってきて、この辺のお土産話が何にもないということですね。きのうが百十八円ぐらいだったですが、きょうでどのぐらいですか。デフレが深刻な状況の中で円高が進んでいけば、日本経済は一層苦境になるのは明確なんですよ。なぜこの議論をしなかったんですか、塩川さん。
塩川国務大臣 今回のG7の会議は非常に長時間にわたって議論したのでございますけれども、その主たるテーマは、一番大きい部分は二つございました。一つはイラクの問題。イラクという名前は出ません。地政学的に不安定な状態、こういうことです。ここのこの状態が現実のものになった場合、つまり戦争が起こった場合どうするのかということが前提でございまして、そのためには、原油はどのように動いていくであろうか、まず油ですね。そして、貿易はどのように制限されてくるであろうかということ。それから、戦争によってお互い対立関係ができて、それで世界貿易が萎縮してはいかぬということ。それから、戦争になったとしても、経済成長は各国ともに努力しよう、そういう問題のテーマが主体でございましたことが一つであります。
 それと同時に、あわせて、各国が経済の状況を説明して、将来に向かうところの経済繁栄のためのスケジュールを話した。私は、日本の経済状況を話して、企業は幸いにして好転の兆しが起きている、経済全体はよくないけれども企業活動は活発化してくるであろうという報告とあわせてしておきました。それからもう一つは、開発途上国の問題に対してどういう援助をするかということでございまして、そういうことについてのG7の会議でございまして、特別、日本に対してこうしてやろう、ああしてやろう、あるいは日本はこうせい、ああせいという命令がましいことは一切なかったということであります。
 それから、為替の問題についてでありますけれども、これは、もし不穏な事態になった場合、最も心配されるのは為替と油なんですが、為替については、お互いが疑心暗鬼を起こしたら大変なことになります。お互いが、為替維持をするために自分の国に有利なようにしよう、そういう作為的なことをやったら大変でありますから、そういうことはなしに、市場原理に任せた為替の相場に任そう、こういうことに一致しております。
 私は、実は、昨年来、マスコミ等にも表明いたしましたし、国会においても言っていますのは、円安になればという期待が日本の産業界に強い。何で強いかといったら、ファンダメンタルズは確かにしっかりしておって、それがために円高になっておるんだけれども、しかしながら、購買力平価から比べた場合、本当はまだ実力が行き過ぎているんではないか、こういうことでありました。
 今回、G7に行きまして、この問題もちょっと、余り議論にはなりませんけれども、いろいろな思惑がそれぞれ問題として出ましたけれども、要するに、欧米諸国、ヨーロッパなりアメリカの方で、日本のデフレというのは日本に非常に局限してきておるという見方をしておりまして、ヨーロッパ等においては、まだ、デフレ的傾向はあるかもわからぬがデフレに陥っていないという見方をしております。したがって、日本のデフレを早期に回復してくれ、そのためにはやはり金融緩和と構造改革が必要なんではないかということがそれらの国々から出てきた意見であるということであります。
中津川委員 日本の産業界は円安を求めているということは全くそのとおりだと思うんですね。ちょっと調べてみたら、円安が一〇%進行すれば、輸出が一%、GDPが〇・四%押し上げられるという民間の試算もありますし、一円の円高で、たしかホンダが百億円、ソニーが八十億円経常利益が上がるというようなことでありまして、私は、円安は日本経済回復の十分条件じゃないけれども、少なくとも必要条件ではあるというふうに思っておるところであります。
 それで、アメリカの、例えば共和党寄りのジョン・メイキン氏という人がいるんですが、この人なんかは、先進国は、一ドル百円で進む日本よりも、一ドル百八十円で経済が回復に向かっている日本の方がいいと思う、こういうふうに述べていますし、また、民主党寄りのアラン・ブラインダー氏というプリンストン大学の教授ですか、この人は、日銀は円安誘導に向けて外貨建て資産の購入に踏み切るべきだ、こんなふうに述べておりますし、スノー新財務長官も、強いドル、円安を支持しております。
 私は、かつてプラザ合意でアメリカを助けたように、今度は日本も逆プラザ合意で円安・ドル高に誘導して、それこそ日本を助けてもらいたい。その対価として、市場を多少オープンにしてもいいというような個人的な意見も――ただ郵貯や簡保まで全部丸ごと開放しちゃえというのは行き過ぎた意見ですけれども、少なくとも円安・ドル高の日米合意というのは、塩川大臣、そんな難しい問題じゃないんじゃないですか。簡単にひとつお願いします。
塩川国務大臣 いや、これは為替の問題だけについて日米間で合意を得るということはできません。そういうことはできない。日本もそうですしアメリカもそうですが、市場主義をとっておりますし、やはり市場の動向というものはお互いが、急激な変動は十分に見ておかなきゃならぬし、これの動きに注意しなきゃなりません。ですから、私たちも、急に、例えば一週間の間に十円ぐらい動いたというような状態になった場合は、これはやはり介入もし、訂正を求める、反省を求めるという意味において市場に警告を発しなきゃならぬことはございますけれども、しかし、あくまでも為替は市場で決めていくという原理を通していかなきゃならぬ。
 といって、日本は何でこんな高いんだろう。それは、外国から見ましたら、日本は世界一外貨保有高があるじゃないか、四千六百億ドルも持っておるじゃないか。これは世界から突出した外貨準備を持っておるということ。そしてまた、輸出入の貿易収支も、輸出超過で毎年膨大な積み立てをしておるじゃないかということ。それから、日本は国際的に見て、比較的高い賃金で安定しておるじゃないか。
 そういう条件をずっとファンダメンタルズの中にはめ込んでまいりますと、やはり日本は強い経済力を持っておる、潜在的経済力というものは大きい。それがどうしても国際的に円高にならざるを得ない状況であるということでございまして、私たちはその一つ一つにつきましての誤解を解いてはいきますけれども、そういう状況になっておるということであります。
中津川委員 ほかにもたくさん質問を用意しておりますので、またこの議論はいずれしたいと思いますが、竹中大臣、大臣は二月二十二日の日本テレビの朝の番組で、日本の未来は明るいと考えよう、こう発言していましたが、今日本を一番暗くしている張本人である竹中大臣に言われたくないよという声が随分ありましたよ。
 小泉政権になって日本経済が暗くなっている中で、家計を切り詰めてやっている奥さんたち、竹中さんに言われなくても、自分自身を信じて、将来に明るい希望を持って一生懸命生活しているわけですよ。そういう現状を、あなた、知っているんですか。本来ならば、そんな発言をする前に、世の中を暗くして申しわけないとおわびをして、それで将来を明るくするビジョンを国民に示さなければならないんじゃないですか。
 それから、あなた、三月に金融恐慌はないとまた言いましたね。去年、あなたの発言で振り回されて、またことしもたくさん振り回されている。国民はだれも信用していない。多分逆のことが起こると思っている。そうすると、三月の金融恐慌、これはあるかもしれない。この根拠は何なんですか。
竹中国務大臣 前半の、私が日本を暗くしているという御指摘でありますが、私としましては、構造改革を進めることによってのみ日本の経済が明るくなるという確信のもとに政策を進めておりますので、それに対して国民は支持をしていただいているというふうに私自身は強く認識をしております。
 それで、三月危機はないというふうな私の発言についてでありますが、昨年の十月に取りまとめました金融再生プログラムにおきまして、そういったような意図を非常に強く示させていただいたつもりです。すなわち、金融から経済の底割れを絶対に起こさないようにする。金融機関の経営が悪化して、まさに危機的な状況を招きかねないようなことがあったならば、政府は断固たる措置をとって、あらゆる選択手段をとってそういうことをさせない、金融から経済の底割れを起こさせないようにということを念頭に、この金融再生プログラムはつくられているわけであります。
 私が三月危機がないというふうに申し上げたのは、経済の状況は大変厳しいということ、世界経済で不確実性が高いということを十分認識しておりますが、万が一にもそういうような危機が起こりかねないような状況になれば、政府は断固たる措置をとることに金融再生プログラムの中でなっているわけであります。したがって、そういうことが起こりそうになったら断固たる措置をとるから危機は起こらないんだ。
 私は、繰り返し言いますが、金融再生プログラムに示されている、金融から経済の底割れを起こさせない、そのような決意で申し上げたわけであります。
中津川委員 今、三月決算を前に、四大銀行が慌てふためいて増資を一斉にしようとしているじゃないですか。みずほ、優先株一兆円、これはどうやって集めるのかと思いますよ。三井住友は、ゴールドマン・サックスから一千五百億円、海外投資家から三千億円。UFJが、メリルリンチから一千二百億円、国内投資家から一千百億円。東京三菱が、三千五百億円から四千億円公募。東京三菱の場合は、固定のしっかりしたところがあるから大丈夫だろうなんという話もありますが。
 結局、銀行に特別検査が入って、自己査定を厳しくせざるを得なくなって、自己資本が底をついて、今、金融機関としての役割が果たされていないんですよ。貸し渋り、貸しはがし、健全な企業の融資でも金利引き上げを要求して、強引な競売、特に子会社のファイナンス会社を使って、強引に容赦ない競売を行っているというのを大臣が知っているかどうか、競売については後でちょっと具体的にやりたいと思うんですが。
 申し上げましたように、今、銀行が国民のための健全な機能を果たしていない、自殺者が急増している。こういう明るさが見えない現状というのは、金融不安、あるいは不安を通り越して金融危機に入っている、そのくらいの厳しい危機意識が大臣には足らないと私は思うんですよ。
 思い返せば、昨年、竹中大臣、先ほども言いました、振り回されましたね。五月に景気底入れ宣言。あなたが宣言すると、株価が急落するんですよ。十月にはニューズウイーク誌のインタビューにおいて、ウイ ドゥー ノット ホールド ジ アイデア ザット ゼイ アー ツー ビッグ ツー フェール、四大銀行が大き過ぎるからつぶれないという考えは私はホールドしていない、持っていない、四大銀行でもつぶれるよ、こういうことでしょう。その後、銀行の株価は急落したじゃないですか。株式市場は大混乱したじゃないですか。ところが、十月三十日に決定された総合デフレ対策では、これらの方針が完全に白紙に戻ったじゃないですか。
 政策の迷走なんですよ、政策の迷走。ですから、金融に対する不信感が募るばかりなんですよ。竹中大臣だから革新的な金融政策を打ち出してくれると思っていたら、大きな問題が表に出ないように、表面的な糊塗策の、何かびほう策の積み重ねで、今までの金融行政方針と何ら変わりはない。
 本当に三月危機が来ないんですか、大臣。
竹中国務大臣 委員からいろいろ厳しい御指摘をいただきましたが、昨年の景気底入れ宣言は、これは現実問題として、私は時宜を得たものであったと思っております。昨年の第二・四半期は年率で四%成長、第三・四半期は三%成長、第四・四半期は二%成長。ここのところ、踊り場的状況が見えているということに注視はしておりますけれども、昨年の半ばに関しては、実質成長率は、日本の状況から見て比較的高いものであったというふうに思っております。
 ニューズウイークの記事については、これも国会で答弁をさせていただきましたけれども、私が言ったことと違うことをタイトルに書いておりましたので、これについては抗議をしているところでございます。
 質問の最後で、金融危機は来ないのかという御指摘でございますけれども、現状で金融機関がそういう危機的な経営に陥る、特に大手が陥るというふうな認識は持っておりません。
 しかしながら、委員御指摘のように、決して、今の金融行政、パッチワーク的なことを、その場しのぎのことをやっているわけではなくて、金融再生プログラムにおいてかなりはっきりとした、しっかりとした方針を出せたつもりで私はおります。増資の動きの話もありましたけれども、そうした動きも、金融再生プログラムにのっとって、銀行が資産査定の厳格化、自己資本の充実、コーポレートガバナンスの強化の一環として出てきたものであるというふうに私は思っております。
 これはしっかりとした内容のものにしていただくという意味では、我々は引き続き非常に厳しく見ていかなければいけませんが、こういう変化の兆しに関しては、私は、むしろ広く、日本の経済、金融システムは変わり始めたというような評価も得られつつあるのではないかと思っております。
 繰り返して言いますが、これをしっかりとしたものにしていくために我々はさらに努力をしたいと思いますし、万が一にも危機的な状況が出現するような場合には、これまた金融再生プログラムにのっとって政府は断固たる措置をとる用意がありますので、その意味で、危機は起こさせないという決意であります。
中津川委員 甘いですね。去年の五月、景気底入れ宣言のとき、踊り場的状況と言いましたが、この間のテレビでも踊り場的状況と言うのは、ずっと踊り場的状況が一年も続くんですか。こんなばかなことはありっこないですよ。認識が甘い。
 それから、絶対もうかります発言について、やはりこの委員会でもきっちりしておかなきゃいけないと思うんですが、記者会見で、ETF購入を勧めて、自分も購入して、もうかると。大臣、買ったのか買わないのかわかりませんけれども、本当によくこんなこと言えると思いますよ。あなたは国の政策決定に関与する立場にあるんですよ。これが確実に上昇すると予想されるような政策対応をもし頭に入れてやったのなら、これは法的にインサイダー取引じゃないですか。それでは、全然根拠がなく軽い乗りでやったんだ、もうかると言ったのであれば、これは証券取引法における風説の流布なんですよ。法律上、道義上の問題はずっと残りますよ。
 大臣は軽いんですよ。今、経済有事なんです。大臣自身がその危機感をだれよりも持たなきゃいけないし、緊張感を持って毎日発言して行動しなきゃだめなんですよ。大臣になってから一連の軽率で無責任な言動、もう大臣おやめになって、大学に帰った方がいいんじゃないですか。いかがですか。
竹中国務大臣 注意をして経済政策に当たりなさいという御趣旨に対しては、これは私自身肝に銘じてしっかりとやらせていただきたいと思います。
 しかし、インサイダー、風説の流布とありましたが、これはもう答弁をさせていただきましたけれども、インサイダーの取引対象になる特定有価証券の中にETFは入っておりません。風説の流布というのは、根拠のないうわさのたぐいを、自己または第三者の利益等々の目的を持って流すということでありますから、これも全くそういうものではないということは御理解をいただけるというふうに思います。
 私自身は、骨太の方針、「改革と展望」、金融再生プログラム、構造改革の中身をしっかりとさせるものについて少しずつ地固めができて、それをしっかりと実行することによって、日本の経済は確実に再生できるというふうに思っておりますので、その仕事をしっかりと続けさせていただきたいと思います。
中津川委員 大臣、政治は結果なんですよ。結果が出なきゃ、今どんなにぺらぺらしゃべって、いろいろしゃべるのはお上手ですからいいんですけれども、結果は何にも出ていない。一年間踊り場じゃないですか、日本の経済が。国民がちゃんと見ていますから、もっと本当は議論したいんですが、ほかに進みたいと思います。
 不良債権処理加速に伴う競売、先ほどから出ておりますが、この増加について、例を挙げながら質問をしていきたいと思っております。
 二月十日のテレビ朝日のスーパーモーニングという番組で、競売で住んでいた家をとられた七十歳になる女性、これは将来に生きる希望を失って、同居していた弟と無理心中しようとして弟を刺した。それで自分も死のうとしたんですが、幸い二人とも命は取りとめた。しかし、その女性は、弟に対して殺人未遂ということで勾留されて、今罪を問われているという痛ましい事件が報道されたんですよ。びっくりしました。
 日本では、抵当権に基づくいわゆる任意競売の場合は、事務的、形式的要件さえ整っていれば、債務者の意見はほとんどと言っていいほど聞かないで、裁判所は機械的に競売手続に入っていく。欧米ではこんなことはないと思うんですね。もちろん、融資の方法、さっき私が申し上げた担保至上主義とかそういうのとは違いますから、これは一概には言えませんけれども、少なくとも、日本のようなこんな状況じゃない。
 今、このような痛ましい事件が、政府の不良債権処理加速の中で激増しているんですよ。競売の問題を取り上げた人はまだ余りいないと思うんですが、物すごいこれはふえている。それに、こういう銀行被害者と呼ばれる人々が全国で百万人いると言われております。私のところに毎日たくさん相談に来られるんですよ。それで、多くの人たちが言うには、今の裁判を皆さん初めて実際に体験してみると、貸し手である銀行の言い分ばかり聞いて、借り手の立場はほとんど聞いてもらえない、無視されちゃう。裁判をやって、弁護士費用を払って、経費ばかりかかって、決して身にならない、むだだということを異口同音に率直に言われるんですね。
 そこで、私は本日、私のところに相談に来られたこういう人たちを何人か、具体的な例の方がわかりやすいと思いますので、例を申し上げながら、今日の日本の裁判のあり方、つまり、裁判の公平性、透明性そして迅速性等を最高裁に直接本当はぜひ伺いたかったんです。そうしたら、国会法七十二条二項というのがあるそうで、最高裁は出席できないということですので、金融庁それから法務省、かかわっておりますところの役所に重点的に質問してみたいと思っております。
 実は、きのうの日経新聞朝刊に、「競売の手続き迅速に 書記官の権限拡大」という記事が載っかったんですよ。不良債権処理が加速されると裁判官も忙しくなる、目が行き届かない、そこで書記官が決裁をする、こういうことです。黙っていくとそのまま読み過ごしちゃうんですが、私はこういう問題にかかわっておりますから、これは少し憂慮すべきことだなと思ったんです。
 ある例を挙げます。江戸川区の根木島さんというケースなんですが、最低競売価格の決定というのは、本来、裁判所の選任する評価人、不動産鑑定士が決めて、最高裁はそのまま採用している。今日、競売が増加しているため、出した不動産評価を裁判所も一々細かくチェックする暇もないといってしまえばそれまでですが、単純なミスとかあるいは精査ミスとかいうようなことが、私なんかが見てもわかるんですから、そういうミスを犯していると思われるケースがかなりあるんじゃないかと思うんですね。
 根木島さんのケースでは、評価人が最低競売価格を算出する際にミスをしていると思われるわけです。この件は非常に道路づけのいい、三面道路に面して、不動産としての商品価値と申しますか、それもある土地なんですね。ところが、マイナス二五%という価格が試算されているんですね。たくさんの人がその不動産を見に来ているわけですから、これは一〇〇%あり得ないです。マイナス二五%という価格が試算されている。裁判所はそのまま採用されているんですよ。
 それで、根木島さんがこれはおかしいと思って別の不動産会社に頼んでみたら、当然プラス評価になった。こっちが裁判所が頼んだ評価書ですね。不動産鑑定士さんの名前は申し上げませんが、一応ここにある。こっちが根木島さんが頼んだ評価書でありますが、全然違う。
 それで、根木島さんが、最低競売価格が間違っていると、昨年八月、東京高裁に、売却決定に対する執行抗告、不服申し立てというんですか、これをしたんですが、普通は大体一、二カ月で出るそうなんですが、まだ決定が出ていない。裁判所も頭を痛めている、悩んでいるのかもしれません。裁判官も人間ですから、間違えちゃいけないとは言いません。間違えてもそれを非難しません。しかし、間違ったら率直に認めて、速やかに処理をしなければいけないと思うんですね。
 私が先ほど冒頭に憂慮すると申し上げたのは、新聞に報じられたとおり、今度書記官がやるようになって権限が拡大されますと、こういうようなミスがたくさん出てくるんじゃないかと心配しているんですね。いかがですか。
増田副大臣 お尋ねの関係、お答え申し上げます。
 民事執行制度につきましては、本国会に、担保物件及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案を提出を予定しているところであります。今後もさらに見直すべき点がないか、検討を続けていくことを考えております。
 そこで、民事執行手続におきまして、執行裁判所の権限とされている事項のうち、一定のものを裁判所書記官の権限とすることも、その中での検討課題の一つと認識いたしております。
 もとより、制度の改正が手続上の過誤の増加につながるものであってはなりません。全く御指摘のとおりであります。裁判所書記官の権限の拡大についても、手続の適正を確保しつつ、より迅速かつ円滑な権利の実現を図るためにはどのような制度が望ましいかという観点から検討してまいりたいと思います。
 今回の改正に、書記官のことは、実はまだ出ておりません。検討で進めている段階であります。御指摘はいただいてまいります。
中津川委員 また例を少し述べさせてもらいますが、川崎の奥田英雄さんという方がいるのですが、この人は入札を何回もやられて、七回目に落札されたそうなんですね。七回同じことを繰り返される、生きた心地がしない、そういう心境であったそうです。平成十年の法改正で、たしか競売三回をめどに、一定条件が整えば競売の中止ができるようになったということでありますが、この一定条件というのはどういうことかという点が一点であります。
 それと、債務者は入札のたびに夜も寝れないと。自分の大事な大事なおうちがなくなるわけでありますからね。そういう日々を過ごしているのです。だから、自宅なんかの場合は、せっかくこういう法改正がされたのでありますから、四回、五回、六回、七回と競売するのではなく、こういうときになったら取り消すべきだと思うのですが、御所見いかがですか。
増田副大臣 続いてのお尋ねでありますが、まず、一定条件とはどういうことだということですから、それからお答えを申し上げますが、執行裁判所は、入札または競り売りの方法による売却を三回実施させても買い受けの申し出がなかった場合においては、不動産の形状、用途、法令等による利用の規制その他の事情を考慮いたしまして、さらに売却を実施させても売却の見込みがないと認めましたときは強制競売の手続を停止することができる、この場合においては差し押さえ債権者に対しその旨を通知しなければならない、これが一定の条件であります。
 そして、御指摘の関係は売却することができたというふうに私はお聞きをしましたが、できたのでよかったな、このように承りました。
中津川委員 あと少し、例を取り上げさせてもらいたいのですが、これは新聞でもいろいろ取り上げられている目黒の池田さんのケース。
 今は六回、七回ですね。この人の場合は、一回目の入札期日に入札者がいないのに、特別売却期日の終了間際に競売申し立てをした東京三菱銀行の子会社のダイヤモンド総合管理という会社が落札しちゃった。これなんか、単に不良債権のつけかえ以外の何物でもないと思うのですが、金融庁はこういう指導をしているのか。また、こういう不良債権の処理というものは認めているのか。大臣のお考えを聞きたいと思います。
伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 銀行が不良債権の処理に当たり、貸出金等の回収のために担保権を実行する必要がある場合に、子会社が親銀行のために、競落により当該債権に係る担保不動産を取得する場合があることは私どもも承知をいたしております。これは、担保不動産について、例えば第三者が占有しており処分が困難な場合や、担保物件の老朽化により価値の劣化が見込まれる場合等において、担保不動産の流動化を図るため、銀行の子会社が競落により取得し、一定期間保有、整理した後、第三者に売却し、債権の回収を図るものであり、不良債権を子会社につけかえるという性格のものではないというふうに認識をいたしております。
中津川委員 ちょっとこのやり方が、六回、七回があったり、いい物件だと一回目でやってしまったり、こういうめちゃめちゃなやり方というのはいけないな、これはだれでも思うのですよ。
 それからもう一件なんですが、福岡の平木さんというケースなんですが、妹に任意売却をしようとしたら、みずほ銀行が拒否した。その後、第三者に売却を行おうとしたが、これも拒否された。価格が低いから、じゃ、もうちょっと上げましょうかと言ったら、その問いにも何も答えなかったということですね。
 私は、本来、適正価格であれば、親族に任意売却することは悪いことじゃない、むしろいいことだと思うんですよ。今、不良債権処理を進めるから、何でもかんでも、弱いものはどんどんどんどんつぶしていっていいんだという小泉内閣のこのやり方で、競売をどんどん進めるという今の金融機関のやり方、これは、競売そのものも、コストや迅速性から見ても僕は疑問に思っているんですよ。
 そこで、競売よりも任意売却の方がいいと思いますし、できれば親族売却ができれば結構なことだと思うんですが、これはいかがですか。
房村政府参考人 一般論として申し上げますと、基本的に、国家権力で行っている競売というのは、債務者の意に反してでも行うということですので、これは最後の手段であることは間違いないだろうと思っております。
 我々としてはその手続をいかに適正なものにするかということに意を尽くしているつもりではございますが、一般論として言えば、任意売却というのは、当事者間が円満に話し合って適正な額で処分できるのであれば、大変結構なことではないかと思っております。
中津川委員 今、そういうふうにおっしゃいましたね。
 とにかく、競売という、何回も申し上げますけれども、本人が努力しなかったからとかサボったから土地の担保が下がったというわけじゃないんですよ。広く大きく言えば、これは国の責任なんですよ。やはり金融機関が、どうしても日本の場合は、貸し手が借り手より圧倒的に強い。ぜひ、競売、こういう件、個々いろいろあると思いますが、血も涙もある、こう銀行に対応するように、僕は金融庁に強く要望しておきたいと思います。
 今申し上げましたように、貸し手金融機関、借り手債務者、これが少なくともフィフティー・フィフティーの関係になってから、法改正をそれこそして、そういう環境を整えてから、その後に不良債権の最終処理をしたっていいじゃないですか。いかがですか、大臣。
竹中国務大臣 委員御紹介の個々のケース、詳細に私存じ上げているわけではございませんが、今の法律の枠組みの中で、かつ当事者同士の、これは銀行にとっての経営判断、一方で債務者にとってはその債務者の立場を主張する中で、民事の問題として適宜解決が図られていくべき問題であろうかと思います。
 もちろん、その際に、金融機関というのは一種の社会性を持っている業種でありますから、そのモラルとか行動マナーというのは問われる。その点は金融機関にもしっかりと自覚をしていただいて、そういう説明責任を果たすべきところは果たす、しっかりとした行動をとっていただくということが重要であろうかと思います。
 しかし一方で、この不良債権の処理そのものを先延ばしすることによって、マクロ経済全体に非常に大きな負荷がかかる、マイナスの影響が起こる。結局、その影響を受けるのも実は国民自身であるという点も踏まえまして、不良債権の処理を加速する中で、個々の問題について金融機関にはしっかりと対応をさせたいというふうに思いますし、法律の枠組みの中で優越的地位の乱用等々が起こらないように、これは公正取引委員会等々も含めて、しっかりと対応がなされていくものというふうに思っております。
中津川委員 借り手の方は裁判をやるしかないんですよ。裁判をやってもなかなかいい結果が出ない、聞いてもらえないという不満。こういう人たちはどこに、駆け込み寺に行ってやればいいんですか。裁判しかないんですか。
房村政府参考人 基本的には、私人間の権利関係をめぐる争いについては、最終的に裁判所が決着をつけるというのが現行の日本の司法制度になっております。
中津川委員 もっともっといろいろな例がたくさんあるんですが、切りがありませんから、この辺でこの話はやめたいと思います。
 とにもかくにも、先ほどから私がきょう一貫して申し上げたかったことは、小泉内閣の不良債権処理加速によって、本当に国民が痛みを感じているどころじゃなくて、自殺まで追い込まれている、激痛を味わっているということを、特に竹中さんに知ってもらいたい。軽い乗りで政治をやってもらったら困るわけですよ。そういうふうに見えるんだもの、あなた。学生相手じゃないんだから。真剣さ、緊張感、やはり危機感がない。
 これで質問を終わります。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、生方幸夫君。
生方委員 民主党の生方でございます。
 今、同僚の中津川議員から大変厳しい竹中大臣に対する質問が相次ぎましたが、竹中大臣、大臣になってからもう少しで二年になるんですけれども、二年間、大学から大臣という職について、今現在の感想をちょっと最初にお伺いしたいと思います。
竹中国務大臣 感想はたくさんございますけれども、国会の議論というのは非常に真剣に行われているな、非常に厳しく行われているなというのが一つの感想でございますし、もう一つの感想をあえて申し上げれば、こちらの申し上げた真意が、特に社会に対してなかなか正確に伝えるのは難しいな、そういうようなことも感じております。
 まだまだたくさん感じるところはございますけれども、そういうことも踏まえて、しっかりとやっていきたいというふうに思っております。
生方委員 大学で学生相手に教えている、それから、自分でいろいろ経済理論を考えている、それで、こうやったらいいんじゃないか、ああやったらいいんじゃないかといういろいろなアイデアがあったと思うのですね。それを、今、実際に運営する立場にある。
 我々も、今、野党という立場にあって、こうやればいいんじゃないか、ああやればいいんじゃないかといろいろな考え方はあるのですけれども、残念ながら我々はドライバーにはなれないわけです。竹中さんは今ドライバーをやっているわけですね。我々もドライバーをやっていれば、道がでこぼこ悪くなればブレーキを踏むとか、すいているいい道路に出たら安全だろうからスピードを出そうとか、いろいろ自分が運転している中で運転をコントロールすることができるのですね。
 竹中さんは今そういうお立場になっているわけですよ。大学で教えていたこととか、経済理論でこうやったらいい、ああやったらいいというのを、実際に政治の場で実現していきながら、一言で言えば、残念ながら竹中ドライバーの運転は決してうまいとは言えないというのが多くの国民が抱いている感想だと思うのですね。
 竹中さんはどうおっしゃるかわかりませんけれども、実際問題として、株価は大変に下がっておるし、失業率は依然として非常に高い数値でとまったままでありますし、経済成長も非常に低い状態にある。これから先、さらにデフレが加速するんじゃないかというふうに言われているわけですね。
 恐らく竹中さんも、大学で考えていたときと、実際に大臣になって政策を執行するところでそごがあると思うのですね。こうなるはずなのに何でこうならないんだろうといういろいろな疑問があるんじゃないかというふうに思って、私、今一年十カ月ぐらいたちましたが、どんな感想をお持ちですかということを、まず冒頭聞いたわけです。
 今の日本の経済は非常に難しい状況にあることは、国民も含めてだれもが認識はしていると思うのですけれども、一番大きな原因、失われた十年と言われてからもう十二年になるんですけれども、バブル崩壊以降、何で日本経済がこれだけうまくいかなくなってしまったのか。もちろん、さまざまな要因があることはわかるのですけれども、竹中大臣がお考えになっている、何でこんなにうまくいかなくなってしまったのか、その一番大きな原因は何だというふうにお考えになっていますか。
竹中国務大臣 まず、生方委員、この二年間の運転に関しては、これは当初から、大変厳しいがたがた道の運転をする、このがたがた道は相当続くということは予想しておりましたから、その予想の中で私は運転してきているつもりでございます。
 こうやればもっとよくなるだろう、予想に反して経済がよくなっていないとか、そういうことでは決してございません。就任当初から、この構造改革というのは、集中調整期間は特に大変厳しいことを覚悟しなければいけないというふうに思っておりましたから、その意味では、ある意味でその予想の中での、運転に例えるならば、でこぼこ道の運転であるというふうに思っております。
 後半にお尋ねの、日本の経済そのものがどうしてこんなに停滞色が強いものになっているのかということに関しては、これは以前から考えていることも今考えていることももちろん変わりません。その考えに基づいて政策が着々と打たれているというふうに私は思っております。
 その理由は、既に一九八〇年代から、日本の経済の生産性、競争力に関する部分、供給サイドの力は明らかに低下の傾向を示していた。九〇年代に入って、東西冷戦構造の崩壊、新しい情報革命の出現の中で、そういった日本経済のいわば弱さが非常にはっきりしてきた。日本の経済が失業率等々いろいろな指標で見て悪いのは、経済が悪いというのは事実でありますけれども、それは、いつも申し上げますけれども、弱いからであって、弱いものを急に強くすることは難しいから、基礎体力の強化、これがまさに構造改革だというふうに思っているわけでございます。
 構造改革の道筋そのものについては、これはいろいろなプロセスを経なければいけませんから、厳しい中で、私は、総理のリーダーシップでかなりその道筋がはっきりとしてきた、いい方向に向かいつつあるというふうに認識しています。
    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕
生方委員 竹中さんと私の基本的な認識の違いは、確かに生産性が低くなってきたというのは事実ですけれども、供給が弱くなったのと同時に需要の力が非常に弱くなったというのが、今、日本の経済がこれだけ深刻な不況に見舞われている大きな原因だと私は思うんですよ。
 恐らく、竹中さんの頭の中にはレーガンさんの改革やサッチャーさんの改革があると思うんですが、あのときの英国や米国は確かに供給力は弱かったんですよ。ところが、日本の一九八〇年代の後半を見れば、日本の当時の生産力は世界で一番強かったんですよ。強かったにもかかわらず供給サイドの改革をしようとしているところに間違いがあるのであって、やはり需要サイドの改革を先に進めなきゃいかぬというふうに私は思っているんですよ。
 竹中さんの論理でいえば、確かに非効率な企業がたくさん生き延びている、それにむだなお金が使われているから本来伸びるべき企業が伸びないんだ、これは事実なんですけれども、では、非効率な企業を、不良債権の処理も絡めて全部市場から退場してもらって、望むように新しい企業が起こってくるのであればそれはプラス・マイナス・ゼロかもっとプラスになっていくでしょうけれども、今の状態では、残念ながら、不良債権の処理を急げば急ぐほどそうした企業がどんどん倒産し、整理されていく。整理されていくとその後に何が残るのかというと、たくさんの倒産企業とたくさんの失業者しか残らないんですね。
 残念ながら、新しい企業というのは不況のときには起きてこないんですよ。シュンペーター理論というのはもう、実際に竹森さんという慶応の多分同僚の教授の方がお調べになった結果、不況のときには新しい企業は起こってこない、シュンペーター理論は間違えているんだということをはっきり言っているわけで、今の日本でも新しいベンチャー企業がたくさん起こってきていないということは、やはり不況のときには起こってこないんですよ。したがって、今の状態で不良債権の処理を去年の方針のように加速すれば、結果として多くの失業者が出るだけになる、多くの倒産と多くの失業者を生むだけになるんじゃないか。
 私は、今やるべきことは、供給サイドの改革ではなく、需要サイド、すなわち国民の懐をどのように温めていくのか、そちらの方にまず重点を置くべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでございますか。
竹中国務大臣 竹森さんの考え方の御引用をされましたけれども、私は、これも予算委員会等々で申し上げましたけれども、シュンペーター的な考え方かフィッシャー的な考え方かという二者択一では全くないと思っております。日本にとって必要なのは、まさにその両方をやるというふうに考えざるを得ないのだと思います。
 八〇年代は供給力が強かったんです。しかし、八〇年代を通して見ると、相対的には世界の中で低下の傾向が見られていたといった調査がございます。それが九〇年代になって非常にはっきりしてきた。需要サイドを活発にしなきゃいけないという生方委員の御指摘は、私は全くそのとおりだと思います。しかし、恐らく生方委員も、需要を刺激するために財政の規模を拡大しろということでは多分ないのではないかと思うんですね。
 財政に関しては、目いっぱいの需要の支え、刺激をせざるを得ないわけで、一度膨らんでしまった財政というのは、急激にしぼめると需要側で大変なことが起こりますから、徐々にしかしぼめられない。その一方で、需要側に関しては、例えば今回の税制でも、資産の世代間移転で住宅需要が少しでも出てくるように、設備投資需要が少しでも出てくるような法人の税制をとる。需要に関しても、我々は目いっぱいの考慮をしているつもりでございます。決して二者択一ではなくて、両方をやっている。
 しかし、あえて私は供給側と申し上げたのは、九〇年代を通して見ると、需要側についていろいろな議論や政策はあったんだけれども、供給側についての政策が極めて乏しかった。その意味で、小泉改革の中ではそういうものを前面に出して、構造改革ということで打ち出している、そういう趣旨でございます。
生方委員 去年の臨時国会の中で、私も小泉総理に、不良債権の処理とデフレ対策、どちらを先にやるんだと言ったら、これは両方一緒にやらないかぬと。ただ、私は、デフレ対策と不良債権の処理というのは性格が異なると思うんですね。アクセルとブレーキの関係にあるものを両方一遍に踏むから、両方ともだめになっちゃう。やはり経済政策は、優先順位をつけるべきだというふうに私は思っておりまして、先ほど来中津川議員も言っておりましたけれども、今の状態で不良債権の処理を急げば、新たな不良債権が発生することは過去の経験から明らかなわけですよ。おととしの例を見たって、六兆円の不良債権の処理をしたんだけれども九兆円新たに不良債権が発生するということは、今のデフレの状況下では、不良債権の処理をすればするほど新たな不良債権が発生してしまうんですよ。
 だから、今このデフレの状況を何とかとめなきゃいかぬということが一番重要な条件だと思うんですけれども、竹中さんの答弁も、ちょっと前までは不良債権の処理に一番プライオリティーを置いていたと思うんですけれども、それがまた、デフレを何とかしなきゃいかぬという小泉さんの所信表明もございました。それと同時に、デフレの方に今度力が入ったかなと。今度、日銀総裁のあれだとまた違うかなとか、いろいろ揺れているようなんですけれども、本当のところは、竹中さんの現在のお考えはどうなっているんですか。
竹中国務大臣 これはもう一貫して、私は、政策を総動員しなければいけないということだと思います。
 その時々で議論を求められ、意見を求められるのは、相対的に例えばここが少しおくれているとか、その時々について議論を求められますから、それは、ではこのことを言っているのか、あのことを言っているのかというふうな御理解になるのかもしれませんが、これはもう需要側、供給側一体となってやるということ。
 それと、不良債権に関しては、不良債権の処理をやってもやっても不良債権が出てくるということでありますが、十四年三月期については、柳澤大臣が非常に頑張ってやられた特別検査の結果、洗い出されて、不良債権が出てきたという面が非常に大きかったということです。そういったいわば非経常的なものが出てこない十四年九月期に関しては、委員御承知のように約三兆円ぐらい不良債権は減っていっているわけです。
 そのような意味では、不良債権の処理をやってもやっても不良債権がふえていくという状況ではないわけで、そこは、不良債権の処理はしっかりとやる、需要を生み出せるような規制改革等々をやる、補正予算は補正予算でやる。それと、マネーの部分については日本銀行と一体となってやる。これは本当に、すべてしっかりとやっていかなければ、この難しい局面での経済運営はできないというふうに思います。
生方委員 確かに不良債権の額は、九月期で見れば減ってはいるんですけれども、私はこれは一時的な現象だと思うんですね。不良債権の処理を加速するということが実際に進められて、もっと厳しい銀行検査や何かが行われていけば、もっと不良債権はふえていくんだと思うんですよ、これから。だから、私は、やはり一番今力を入れるべきはデフレ対策だと思うんです。
 そこで、視点を変えてお伺いしたいんですが、きのう日銀の新総裁に福井さんがなられるということが内定したということでございますが、その福井さんについてどういう感じをお持ちか、財務大臣からちょっとお伺いしたいんです。
塩川国務大臣 これはまだ国会で承認を得ておりませんので、私から福井さんどうのこうのということはちょっと申し上げにくいのでございますけれども、個人として感じておりますのは、個人のつき合いで見ましたら、非常にすばらしい人材だと思っておりまして、これから期待できる方だなと思っておりますが、国会の承認が済んでからの発言にさせてもらいたいと思います。
竹中国務大臣 これは、塩川大臣がおっしゃったように、日銀総裁は、総理がお決めになって、国会の同意のことでありますので、総裁について私がどうこう言う立場にはございません。
 個人的に福井さんは、よく以前から存じ上げておりますが、大変見識の深い立派な先輩であるというふうに思っております。
生方委員 今回から日銀総裁は、副総裁も絡めて同意人事になりましたので、ぜひともこの委員会に参考人として呼んでいただいて、我々としても、同意人事を諮る前に意見を聞きたいと思うんですが、委員長の方でお諮りをいただけますか。
林田委員長代理 理事会において協議いたします。
生方委員 竹中さんがインフレターゲット論者であるのかどうか、午前中の論議を聞いてもはっきりしないんですけれども、福井さんは少なくともインフレターゲット論者ではないような報道がなされておるんですけれども、竹中さんは、インフレターゲットということに関しては、それをやるべきだというふうに思っているんですか、それともやるべきではないというふうに考えているんですか。
竹中国務大臣 私の立場は、マネーサプライがふえるような状況をつくることが重要であって、そのためにいろいろな手段がある。その手段の一つとして、物価目標というのもあるんだと思います。この物価目標に関しても、いろいろな論者がいろいろな幅の広いことを言っておりますから、それがいい悪いということを軽々に申し上げるのではなくて、マネーサプライがふえるような状況をつくるにはどうしたらいいか、これもいろいろな可能性を含めて幅広く議論をしていただきたいというふうに思っているわけです。
生方委員 それは、午前中からそういう論議をしておりますけれども、マネーサプライをふやすように日銀も今国債を一・二兆円も毎月買い入れているわけですね。だけれども、実際、マネーサプライがふえないわけですよ。ふえないから、インフレターゲットというような目標数値を設定して、そこに向けたあらゆる政策を動員しなきゃいけないんじゃないかという論者がいるわけですね。
 だから、竹中さんは、そのインフレターゲット、今日銀は物価上昇がゼロになるまでは金融緩和を続けるというふうに言っているんですけれども、ゼロが実際にデフレを脱却したかどうかというのは後ほど論議をいたしますが、竹中さん自身はそういう目標数値を設定して、それに向けて政策を動員するべきだというふうにお考えか、そうではないのか、そこだけちょっとお伺いしたい。
竹中国務大臣 我々としては、金融政策の選択、政策手段の選択は、あくまでも日銀に独立に決めていただきたい。しかし、これは「改革と展望」で、集中調整期間が終わった後にはプラスの物価が実現できるようにしたい。実は、日本銀行自身も、御承知のように、物価がゼロ以上になるまで金融緩和を続けるというふうに言っているわけでありますから、これも私、国会で答弁させていただいていますけれども、考え方によっては、既に日本銀行は非常に緩やかな物価目標を持っているというふうにも言えるわけです。
 ですから、インフレ目標というのは、いろいろなタイプがありますし、その効果についても、そういったことを発表することそのものがマーケットの期待を変えるのだと言う人もいれば、そういう目標を持つことによって中央銀行がしっかりしたという結果をもたらすんだと言う人もいますから、これは非常に幅の広い議論が必要だと思います。かつ、それのメリット、デメリットも考えなければいけませんから、こういうことも視野に入れて議論を深めていただきたいというのが、これが内閣府の文書等々でも書いていることでありますし、私自身の立場でもあります。
生方委員 二点伺いたいんですけれども、インフレターゲットという言葉、では外しますけれども、どのぐらいの物価の上昇率が望ましいというふうに考えているか、二か三か、あるいはゼロでいいのか、それが一点。マネーサプライをふやさにゃいかぬというのは、これはみんなわかっているわけですけれども、では日銀には何をやっていただいて、政府は何をやればマネーサプライがふえるというふうに思っているのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
竹中国務大臣 最初の質問は、まさに非常に技術的な質問でありますから、これは議論すべき重要な対象であるというふうに思います。
 先ほど言いましたように、メリット、デメリットを踏まえて、もし設定するのであれば、どういうふうに設定すべきか……(生方委員「どれぐらいが望ましいか、具体的に。設定する、しないじゃなくて」と呼ぶ)これは、高過ぎるプラスではなくて、わずかなプラスが望ましいというふうにお答えするしかないのかなというふうに思っております。
 それで、マネーサプライの増加が実現するように、政府と日銀は何をしなければいけないかということに関しては、政府の立場というのは、経済活性化こそがまさにデフレ策のいわばバックボーンといいますか一番重要なポイントであって、経済活性化を実現するためには四つのことをやらなければいけない。歳出の改革、歳入の改革、まさに税制改革です。金融システムの改革、それと規制の改革。規制改革の中には特区の問題も入ってまいります。この四つに関しては、その具体的な中身を骨太の方針、「改革と展望」等々で積み上げていっているわけで、これをぜひしっかりとやりたいというふうに思っております。
 では、日本銀行が何をやるかということについては、これは繰り返しになりますが、政策手段の選択という意味においては日本銀行に決めていただきたい。しかし、一般論として、いろいろな選択肢があるであろうというふうには私も思います。当座預金を積み上げるということもあります。この当座預金も、日本銀行としては積み上げてきて、その都度、積み上げることによってその効果はやはり出てきたわけであります。
 さらには、マネーと代替的な資産を買う、オペレーションをするということも当然考えられるわけでありますから、その中身についてもいろいろ御検討いただく余地があるんだろうというふうに思っております。
生方委員 あらゆる手段を動員するというふうに言って、新聞報道によれば、財務省の意向としては、今の一・二兆円の国債買い入れを二兆円にまでふやしてほしいという意向があるというような報道がなされていたり、ETFを買うとかREITを買うとか、いろいろな報道がなされておりますけれども、そういうものは全部選択の余地の中に入るというふうに考えてよろしいわけですね。もちろん国債の直接買い入れも含めて、あらゆるものが含まれる、これはもちろん法律の改正が必要ですけれども、そういうものも含めて動員をしてもらいたいという意向でございますか。
竹中国務大臣 それらを含めて、動員していただきたいというよりも、それらについて幅広く検討していただきたい。日銀の独立性のもとで、しっかりと専門家の立場で、どのような政策手段をとるかを決めていただきたいということであります。
生方委員 小泉総理は、政府、日銀が一体となってという言い方をしておりますので聞いているわけです。政府としては、もちろん決定をするのは日銀ですから、でも、日銀に対してこういう要請をするとかということに関して言えば、例えば今言った一・二兆円から二兆円にふやすというようなことについては、今度の新しい日銀総裁に要請をするというかお願いをするという気があるのかどうか。
 それと、先ほどのインフレ目標というんじゃないのですけれども、少しプラスがいいというような話だったですけれども、実際の物価というのは、値引きやら何やらで、ゼロ%のときはデフレじゃないか、一%ぐらいでちょうどとんとんぐらいじゃないかという説があるんですけれども、一%以上を目標にしているのか、それとも一%以下、限りなくゼロに近づいてもいいのか、その辺の御判断をお伺いしたいと思います。
竹中国務大臣 これはちょっと申しわけありませんけれども、一%を超えるか超えないかということに関しては、何か的確な判断を申し上げるような基準を今の時点では持っておりません。
 それと、前半の、資産を何兆円買ってはどうかとか、そういうことはまさに政策手段の選択の話だと思いますし、具体的に幾ら買ったら何が起こるか、これはまさにオペレーションの中身でありますから、やはり専門家である日本銀行に決めていただく問題ではないでしょうか。
生方委員 財務大臣は、インフレターゲット論についてはどのようなお考えをお持ちですか。
塩川国務大臣 私は、かねてから申しておりますように、インフレターゲットという言葉は使っておりませんけれども、しかし、現在の物価水準は低過ぎると思っております。
 それじゃ、どの程度の水準かということでございますが、ちょうど平成九年を見ますと、対前年度プラスの二・一%なんですね。この辺が私は一番安定した物価水準じゃないかなという感じがしておりまして、ですから、腰だめとして、大体平成九年度ぐらいのところまで戻したいということが私の目標であります。
    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕
生方委員 それはだれでもが望んでいることで、午前中の五十嵐委員の質問でも、それをするためには大変多額の国債を買わなければいけないという、これは試算ですけれども、あるんです。具体的にさっき竹中さんがおっしゃったように、四つの改革を進めていけば結果としてそうなるんだというのは、それは私も希望としてはそういうふうに希望いたしますが、現実、なかなかデフレから脱却できないわけです。
 もう少し道筋をつけて、例えばこれをこうやればいついつまでにこうなるというような形の、タイムスケジュールというんですか、そういうものを示していただく、あるいは、こういうことをやればこういうふうになるから、必ず物価がこういうふうに上がっていくんだという道筋をもう少し具体的に示していただければ。
 竹中さんもおっしゃったように、国民の間に、今はデフレなんだ、この先、物価はどんどん下がっていくんだというアナウンスがずっとしみ込んでいて、国民がみんなそう思っているのを変えてもらわなければいかぬわけですね。
 変えてもらうためには、国民が、この先こういう政策を政府も日銀もとっていくんだ、したがって、緩やかなインフレに向かってくれるんじゃないかなということを理解してもらうには、今の四つの政策を全部きちんと実行していけばなるんですよと言われても、国民は今までの経験から、いや、そんなことはあるはずがないというふうになってしまって、いつまでたってもデフレから脱却できないということになると思うんですね。
 したがって、もう少し具体的に、これをこうすればこうなるんだ、これはまさに小泉さんがおっしゃるように、経済は生き物ですから、こうやったらこうなるというふうにならないところが難しいわけですけれども、こうやってこうならなかったら、今度はこうならなかった理由を、先ほども質問に対してございましたが、国民に説明する。これこれこういう理由でこういうふうにしようとしたんだけれどもだめだった、だから、これはこういうふうにすればもとの路線にちゃんと戻りますよという説明責任がきちっと果たされていれば、説明をきちんとしていれば、国民も納得をして、そうなんだと。潜在的な日本の成長力というんですか、力があることは、国民はみんな思っているのに、何でうまくいかないんだろうというのが、今の多くの国民が、日本の現状について考えていることだと思うんですよ。
 したがって、今の四つの政策を進めていけば必ずなるんだということだけじゃ今までと同じで、なかなか国民が納得しない。もう少し具体的にわかりやすく、かつ、こうすればこうなるんだという説得力を持った施策を示していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
竹中国務大臣 内閣府にとって、経済財政諮問会議にとっても、説明責任というのは非常に重要であると私も思います。
 ただ、生方委員自身御指摘くださいましたけれども、例えば特区を十つくったことによって、どれだけそこの地域の所得が高まるかとか、今回の税制改正によって、この業種の設備投資が何%ふえるか、そういうことを積み上げて積み上げていくというのは、これは容易に想像していただけると思いますが、至難のわざなわけでございます。我々としては、できる範囲のことを、説明責任を果たすために、経済がどういう道筋で推移していくかということを示したのがまさに「改革と展望」なわけです。
 この「改革と展望」の参考試算の中には、今回の先行減税一・八兆円が、少なくともこれは国民の懐の方に入っていく。一方で、一部負担をお願いするものについては、それは負担になる。そういうことを含めて、マクロモデルで推計している。そのときに、一体金利に何が起こるであろうか、為替レートに一体どういうことが起こっていって、その結果として、最終的に投資、貯蓄がどのようになっていくだろうかということをマクロ的に可能な範囲で実はチェックをしているわけであります。
 その意味では、できる範囲のことは、この「改革と展望」の試算の中で、かつ、特に四つの改革につきましては、そういった改革を進めることによって、一九八〇年代後半ぐらいの、ちょっと時期は忘れましたけれども、過去の一定時期ぐらいの技術進歩率が戻ってくる、全要素の生産性が戻ってくるということを前提に、成長率がこのように高まっていけるはずだと、そういうことは可能な範囲では積み上げたつもりでございます。個々の政策ということになりますと、これはちょっとできないんでありますけれども、そのような意味づけで、ぜひ「改革と展望」をごらんいただきたいというふうに思っております。
生方委員 改革が着実に進んでいればいいんですけれども、特区の問題にしても、多くの特区の要請が出されてきたにもかかわらず、ほとんどのものは却下されたりして、出てきたアイデアが全部吸収はされない。税制改革の問題でも、シャウプ以来の税制改革だと言っておきながら、出てきたものを見れば、大きな改革はほとんどなくて枝葉の改革ばかりで、そういうことをいつまでもやっていてもだめなんじゃないかというのが私の感じなんですよ。
 だから、特区の問題だって、特区自体は、考え方は非常にいい考え方だと私は思うんですけれども、実際に出てきたら、あれもだめ、これもだめというのが報道でなされれば、政府がおやりになりたいことと実際にやっていることとは余りに違うじゃないか、したがって、政府がこういうことを言ったって、きっとこれはできないでしょうよというメッセージになっちゃうんじゃないんですかということなんですよ。
 税制改正についても、大幅なものをやるんだというふうに言っていたにもかかわらず、出てきたものを見れば、やはり幹の部分じゃないんですね。枝葉の部分しか出てこない。これでは、税制も規制緩和も全部動員してデフレを脱却するんだというふうに言ったって、その四つのものが全部が中途半端なら、それは全体でデフレ脱却はできないだろうという判断を国民がせざるを得ないと思うんですけれども、塩川さんはいかがでございますか。
塩川国務大臣 私は担当じゃございませんので正確な数字はわかりませんが、先日、閣議の懇談会のときに、鴻池大臣が報告いたしました。第一次が四百七十何件の申請があって、全国的に実施するものと特区だけで実施するものと、合わせたらたしか百二十だったかの件数が決まったと。だから、大体三分の一いけるんじゃないかという見通しでございまして、生方さんはそうおっしゃいますけれども、これは相当な成果じゃないかと私は思っております。
 それから、今第二次の特区の審査をしておりますが、これもかなりなものが許可になっているんじゃないかと思っております。
 財務省関係としましては、全部で十四件、特区を認めました。全国特区がそのうちで十三件で、地域特区が一件だと思います。全国区は港湾関係です。関税関係の特区は思い切って解除いたしました。それから地域特区は、どぶろくでありますが、決定をいたしました。
 まだいろいろと各省で検討しておるものがあると思いますが、それらについては努力していきたい。
 ただ、誤解が起こらぬように申し上げたいのは、特区は、財政問題なり税制問題を抜きにしての特区ですから、これは相当な決断が要る条件だと思っております。
生方委員 税制改正については、シャウプ以来の大税制改革だと言っていたようになったというふうにお考えでしょうか。
塩川国務大臣 税制改正は、今度、人気よろしいで。特に、個人関係の人気が非常によろしいよ、どこに行ったかて。だから、これは褒めていただいていいんじゃないかと思っています。
 それから、企業減税の面についても、中小企業は喜んでいますね。ただ、じゃぶじゃぶにもうけている大企業等はもっと法人税を下げてくれたらという、その宿題は承っておりますけれども、しかし、中小企業の方々は、いい方向が出ておるということで喜んでおります。
 だから、全体を通じてみましたら、今度の税制改正は受け入れてもらえる税制改正だと思っております。
生方委員 私が聞いているのは、個々がいい悪いじゃなくて、全体が、シャウプ以来の大税制改革になったかといえば、私が見ていれば、枝葉の部分ばかりで、枝葉の部分をちょっとちぎって、木の形はよくなったかもしれないけれども、木の抜本的なものを変えようというのが小泉さんのもともとの発想だったはずなんですね。それからは遠いんじゃないんですかというのが私の質問なんですけれども。
塩川国務大臣 シャウプ勧告から見ましたら、税制は相当変わっているだろう。大枠の骨組み、例えば税目ですか、そういうようなものに大きい変化はないかもわかりませんけれども、しかし、そのたびごとに応じて、随分と変化してきています。シャウプ税制と比べるということは……(生方委員「いや、比べるんじゃなくて、以来の大改革だとおっしゃっていたんだ」と呼ぶ)以来の改革ですか。それは一般国民が評価してくれることであって、私たちは、そういうアピールをねらうというよりも、現実に即したものを、ニーズに即した改革をしたということで御了解いただきたい。
生方委員 デフレの問題にまた戻るんですけれども、デフレを脱却しなければ、実質金利ゼロだって、実質金利は高どまりになるわけですね、この先どんどん物価が下がっていく、賃金も下がっていくというふうに考えれば。したがって、デフレ脱却が今喫緊の課題だというふうに思うわけですけれども、先ほど竹中大臣がおっしゃいましたように、供給サイドの改革だけでこれができるわけじゃなくて、需要サイドの改革もまさに必要なわけですね。
 そのときに、今失業者がこれだけ出ていて、失業者に対する手当を減らしていくとか、これから健康保険の自己負担率が二割から三割に引き上げられるとか、こういう負担増ばかりが出てくれば、需要サイドを強くするといっても、逆に需要サイドを弱くすることになっちゃうんじゃないか。私はそう考えるんですけれども、竹中さんがさっきおっしゃったことと政府の今の方針とは矛盾するんじゃないですか。
竹中国務大臣 個々の経済主体での入りくりというのは確かにあるんだと思います。ただ、十五年度、負担増があるわけでありますけれども、その負担増全体を見ると、先行減税及び補正予算のうちの十五年度に発現する分でそこがほとんど相殺されるように、つまり国民経済全体には需要面を押し下げるような負担がかからないように、そのような予算を組んだつもりでございます。
 それと、需要の活性化ということに関しては、いろいろなことをやらなきゃいけないわけでありますけれども、規制の改革をすることによって民間の活力を引き出すというのが経済活性化の基本路線だというふうに思っておりますので、先ほど特区についてまだまだ不十分だというふうな御指摘を受けましたけれども、この点については規制改革の一つの突破口として、まだ各省庁の協力が得られていないところについては、その実現に向けて、経済財政政策担当大臣としては最大限の努力をしたいところであるというふうに思っております。
生方委員 日銀がどんどん今金融緩和をしてお金を供給しているのに、それが銀行に回って、銀行が国債を買ってしまって、民間の方に全然出ないような状態になっていますね。これを民間に出してもらわなきゃいけないわけで、そのためにはある程度の需要を政府がつくり出すということもやらなきゃいかぬなというふうに私は思うんですよ。むだな公共事業をやれということじゃないですよ。非常に厳しい財政状況の中でこれをやればさらに財政赤字が膨らむんじゃないか、これも事実なんですけれども。アメリカが財政赤字を脱出した一番大きな原因は、御承知のように、景気が回復して税収がふえたからなんですね。
 だから結局、どちらが先か、ここで財政支出、これは、むだな公共事業をやってその維持費にまたお金がかかってというようなことじゃなくて、例えば私が考えるのは、共同溝のようなものを日本じゅうにつくって、そこに電話線やら水道やら下水やら全部を通すようにしてしまえば、一々道路を掘り返す必要もないだろう、これが将来にわたってかなり大きな財産になるんじゃないかと。そういうようなことをやるのなら経済の活性化にも私は資すると思いますのでね。
 ただ一律に財政の金額だけを削るということじゃなくて、景気がよくなれば当然税収がふえるわけですから、今財政出動を三して将来的に五の税収があれば、これはプラス二になるわけですからね。そういうような考え方も私は必要じゃないかと思うんですけれども、財務大臣、いかがでございますか。
塩川国務大臣 それは私たちも基本的に考えは同じでございまして、だから、どういう方法を、どういう政策をとったら今おっしゃるような民間需要が創出されてくるのか。私は、官需だけで景気をよくしていくのはなかなか難しいと思っております。
 一つの問題として、私は先日、一カ月ほど前ですけれども、経済界の有力な方々と会食したことがありました。そのときに、こういうことを言いましたね。日本の企業全体で在庫の現額を見ると、大体六十兆から七十兆円が企業で在庫を持っているはずだ、この在庫を例えば一〇%積み増しするとなると六兆円の積み増しになるんだ、そうすればこれは大きい民間からの需要になるのではないかと。ところが、今逆にどんどんと在庫投資は減ってきているそうです。それは倉荷証券の発行額が物すごく減ってきたということ、これがやはり流動資金の供給と関係してくるらしいんですけれども、そういうことを言っておりました。
 ですから、産業界も、物価問題についての関心を持つとするならば、在庫投資を積み増ししていくということに協力してやろう、こういうことも一つの考えだ、政府は呼びかけたらどうですかとか言っておりましたですが、これも私一つのアイデアだなと思います。
 要するに、産業界自体が新しい需要をつくってくれる、そこには私たちも政策を整合させていくという努力と相まったものにしなければいけないんじゃないかと思っております。
生方委員 これは一度竹中大臣とここでお話もしたことがあるんですけれども、竹中さん、昔、IT担当大臣だったですね。私も、昔から、情報化によって社会を変えていくんだというのが私のもともとの大きな持論でございまして、私、最大の需要というのは、民間の需要も含めて、やはり働き方とか暮らし方そのものを変えていくんだというところに生まれてくるんじゃないかというふうに思っておるんですよ。
 東京に一極集中したというのは、大量生産する場合は、一極に集めて一極からばらまいた方が効率がいいわけですからよかったんですけれども、今度はそうじゃなくなってくるわけですからね。そういうものに対して、政府がきちんと、ただ地方分権というんじゃなくて、地方に今権限も財源も与えることは非常に重要なんですけれども、さはさりながら、地方に行ったって仕事もないじゃないかでは地方分権になりようがないわけでね。地方できちんと仕事ができるインフラはもう整っているわけですよ。情報インフラが整っているわけです。それをうまく活用することによって、東京でやったのと同じような仕事が地方でもできますよというようなことが明らかになれば、何も東京に来ることはないんですよ。
 我々はここでこうやって、これだけの人数ですと集まらなきゃいけないんですけれども、会社の仕事だって、よくよく点検をしてみれば、自宅でできる仕事と会社にわざわざ行かなきゃいけない仕事の割合は、もちろんこれは一律には言えないですけれども、工場の労働者の場合は工場に行かなきゃいけないんですけれども、少なくともホワイトカラーの場合でしたら、会社でやる仕事と自宅でできる仕事を今の情報化の中で分けてみれば、恐らく、これは私計算したわけじゃないですけれども、自分の経験からいえば、私の仕事なんかは物を書いていた仕事ですから、ほとんど自宅でできる。出版社との打ち合わせのときだけ。それだって、打ち合わせがなくたっていいぐらいなものですから、ほとんどが自宅でできる。
 サラリーマンの場合も、恐らく最低見積もっても、五割は自宅でできる仕事があるんじゃないか。五割を自宅で仕事をするということになれば、電車だってあんなに込んでいる必要はなくなるし、働き手が自宅にいるということになれば、ではそういうときの町のあり方はどうあるべきかというような方向になってくると思うんですね。
 今のような単なる地方分権というのじゃなくて、自宅で働けるんですよと。そうしたら、一番環境のいいところで働きたい。北海道出身の人は北海道へ戻って働くのがきっと一番いいかもしれないし、九州出身の人が北海道で働きたいかもしれない。そういうことが出てくれば、働き方が確かに変わるんだな、働き方が変われば暮らしも変わっていくんだなというところで、私は最大の需要が出てくると思うんですね。
 ただ単に新規事業で、確かに燃料電池の問題なんかで新しい産業が出てくることによって需要をつくり出すことができるでしょうけれども、今の供給力の強さというのは、日々供給力は強くなっているわけですね。IT革命も含めて、やはり日々生産性が向上しているわけで、労働者の生産性も向上するわけで、その供給力の増大に見合うような需要が、これはどうしたって私は足りなくなると思う。だから、やはり最大の需要は、働き方とか暮らし方を日本が変えるというようなことをやれば、これは世界に先駆けた、まさに情報化社会というのはこういう社会なんだなというのが見えてくると思うんですね。
 それを一民間企業がやるということになったら、民間企業の方がやっていただく努力というのも非常に重要ですけれども、ただ、働いている方がいきなり家に入ったって、ほとんどの方は働くスペースも何もありゃしないわけですから、今すぐにそれをやれと言ったって無理なわけで、そこは政府がある程度の援助をするというようなことになれば、国民もある程度の納得がいくと思うんですけれども、いかがでございますか。
竹中国務大臣 これはもう、生方委員御指摘の点は非常に重要だと、私もかねがね思っております。
 実は、私はIT担当大臣を外れておりますけれども、IT担当大臣として、それ以前のIT戦略会議の時期から、そういった新しい働き方、新しい暮らし方をデジタルなテクノロジーが助けるような時代になるんだ、新しいライフスタイルを確立してもらうことこそが、実は、経済活性化、IT革命がもたらす経済的な意義である、全くそのように思います。
 そういった意味で、インフラの整備がまず何よりも重要だろう、ブロードバンドを安く各世帯に普及できるような仕組みをつくろうというのがe―Japan戦略の根底にある考え方でありました。実は、これは、規制緩和等々の効果もこれあり、気がついてみると、これはちょっといろいろな評価があるかもしれませんが、月間二十ドルでブロードバンドに今アクセスできるという意味では、所期の目的はかなり達成しているんですね。にもかかわらず、中身を見ると、インターネット人口がふえてはいるけれども、諸外国よりふえ方が遅い。さらには、そういった意味で、新しいライフスタイルは出現していない。
 実は、私がIT担当を外れる直前に、e―Japan戦略を、今申し上げたような視点を含めて見直そうということを提案いたしまして、今、細田大臣のもとでそのような作業が行われているというふうに認識をしております。これは、一つは企業経営のシステムの問題、さらには、それを使いこなす、今度はリテラシーというか人間の能力の問題、そこにやはり日本のまだ非常に弱いところがある。それに対してどのような政府としての対応が可能か、これは極めて重要なアポイントであると思っております。
生方委員 私は、例えば首都圏移転の問題なんかも、新しい都市をつくって、そこでそういう実験的なことをやるというようなことが含まれれば、この金がないときに何で首都圏移転だなんというような論議にならないと思うんですね。やはり、どこかで何か実験をしないと、どういう効果が出るのか、国民に目に見えるように、ああ、こういうふうにやればいいんだなという、ただ単にブロードバンドの使用人数がふえたからいいという問題じゃないと思うんです。これは、もちろん財政支出を伴う問題ですし、国民的な議論は必要ですが、そういうモデル都市的なものを、部分的なものをやるんではなくて、目に見えるような形でやることも私は大事じゃないかなということを指摘させていただきます。
 もう時間がなくなりましたので、もう一点だけお伺いしたいんですが、イラクの問題は、もちろん、安保とか外務委員会で論議をされるべき問題だと思うんですけれども、これは、先、どうなるかわかりませんが、イラクで仮に戦争が起こった場合、日本経済に与える影響はどのようなものであるのか、その分析をなさっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
塩川国務大臣 これは、先日、G7で非常に大きい課題となって、議論がございました。
 やはり一番大きい影響を受けるのは油じゃないか、原油でございますね。これは、ある高名な中央銀行の総裁でございますけれども、その方の判断でいきますと、短期で終わった場合は影響はない、ほとんど影響ないだろう。むしろ、そのことによって起こってくるところの反動の方が怖い、こういうことでございました。長期になった場合は、現在の備蓄、世界的に何か九カ月ぐらいの備蓄はあるというお話でございまして、最近は、アメリカ等においても、船舶、つまりタンカーに改造して、タンカー備蓄をうんと進めておるので、物すごい世界的に備蓄は多いから影響はないだろうということを言っていました。
 ただ、戦争によって、経済交流、つまり貿易が多少収縮されて心配になる。だから、各国とも、そういうことのないように、一層の情報の交換等をして経済の活性化を図る、協調する体制をとろうじゃないかということを申し合わせたのであります。
 それともう一つは、こういうもし不穏の事態になった場合、為替に思惑が走ってはいかぬということでございまして、現在、ユーロとドルとの関係で多少はそういうようなものがなきにしもあらずのような感じがございますけれども、そういうことの心配のないように、これからも、お互いが率直に話し合ってフェアにやっていかなきゃいかぬということでございまして、少なくともG7関係国は協力してやっていこうということで一致したということであります。
生方委員 きのうの予算委員会の論議の中で、我が党の議員の質問に対して小泉総理が、米軍の一部戦費を負担する考えがあるのかどうかということに対して、国際社会の一員としてそれなりの責任は果たさなければいけない、ただ、今現実に米軍から戦費の要請があるとかいうことではないというようなお答えでしたが、仮に、米軍から、戦費の一部を日本が負担してくれという要請があった場合、日本はどのようにお答えになるんですか。
塩川国務大臣 これは、現在予見せざることでございますから答弁は難しいと思いますけれども、実態に合ったことと、それから国際協調、そしてさらに大事なことは、日本の安全保障の問題も考えなきゃいかぬ、総合的に考えて判断すべきだと思っております。
生方委員 その場合、補正予算を組むというようなこともあり得るということですか。
塩川国務大臣 現在のところは、そういうことは、まだ現実の問題じゃございませんので、想定しておりません。
生方委員 私は、間違えても戦争で解決をしないで、戦争で解決しようとすれば膨大なお金がかかるわけで、どうか日本としても、査察で武力を解除するという方向に向けて努力をしていただきたいということをお話を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
小坂委員長 次に、松本剛明君。
松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。
 私も、民主党で六人目のバッターとなりますので、できるだけ重複を避けてお伺いをさせていただくと同時に、せっかくここまで議論をされてきた中で、通告を申し上げてない部分もあるかと思いますけれども、ここまでの議論の中で、私がお聞きをしておりまして、さらに少しお伺いをしたかった点を二、三、お聞きをさせていただきたいな、こんなふうに思っております。
 きょうは、特例公債法と所得税法等の改正の審議ということでございますが、経済の動向等が密接に関連するということで、経済に関連する質問も幾つか出ていたんではないかと思います。まず、中津川議員のところで為替の話を塩川大臣と少し議論されておったように思うんですが、塩川大臣は先ほど為替について幾つかコメントいただきましたが、竹中大臣、現在の為替の水準をどうお考えになっているか、一言いただけたらと思います。
竹中国務大臣 これは相場でありますので、具体的なコメントをする立場にはあくまでもないということでございますけれども、非常に今不確実な要因の中で、為替相場そのものが不安定化しているというふうに思っております。
 中長期的な均衡値がどこにあるかということに関しては、これはなかなか難しい問題ではありますけれども、塩川大臣がおっしゃる購買力平価というのも、非常に長期な観点からは参考にしなければいけない問題でもありますでしょうし、国際収支の観点等々も参考にしなければいけないでありましょうから、そういう点から踏まえて、需給の動向、これが不安定化しないように見ていく、そういうことしかないのかなというふうに思っております。
松本(剛)委員 言葉の端々からいろいろなあれがにじみ出ておるんだろうというふうに思うんですが、そんな中で、先ほど塩川大臣、ファンダメンタルと購買力平価、ファンダメンタルの中で国際収支とか外貨準備とかがその要素というようなお話をされましたが、その後、私、まだ議事録を確認してないんですが、外国の方がそういうことを言われる、そういった誤解を解いていかなければいけない、たしか、そんなおっしゃり方をされたように記憶しておるんです。つまり、そういったものから見ると、円が過大に評価されている、こういうお考えのもとの発言だったのかなと思ってちょっとお聞きをしたんですが、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 私は、現在の国勢全体を見ました場合に、やはり現在の為替は日本にはちょっときつい感じを持っておるんです。
 それはなぜかというと、ムーディーズ等が国債の格付を落としましたですね。あの事実を見たとき、彼らが言っておりますのは、日本にはリスクが高まってきておるという見方をしておることは事実でございますから、このリスクは私たちにとってはリスクと思っておらない、おらないけれども、専門家の一方から見たらそういう見方をしておるということ。
 そして一方では、実体経済界の中で見ると、日本は世界最高の外貨準備高を持っておるじゃないか、四千六百億ドルを超える外貨準備高がある、そして、貿易収支を見たって膨大なものを毎月重ねておるじゃないか、こういうことですし、それから、日本の賃金水準を見ましたら、OECDの中では非常に高いレベルにあることは事実でございまして、そういうふうなものを見ると、実体経済の面から見ると日本の経済は強いと見るし、また、数理的な経済社会から見ると日本にはリスクが積み重なっておる。この双方の誤解、これを実際に合うように説明する必要があるだろうと思っております。
 ですから、ムーディーズ等格付会社が日本の国債の評価を落としましたときに、私は直ちに、本当にそう考えておるんだったら為替の問題をどう見るんだと言ったぐらいの話なんですけれども、そういうようなことに対する的確な彼らからの応答はございませんでした。けれども、私は、お互いの見方の矛盾というものを、これは解くべきであると思っております。
松本(剛)委員 もう一点、相場だから答えにくいというお話が竹中大臣からありましたが、もうその話を私はたびたびしましたからする気はありませんが、ETFも恐らく相場がある話ですので、相場の話はできるだけおっしゃらないようにしていただきたいと思いますが、中国の元との為替の関係。
 一応ドルにリンクということになっていますけれども、この十五年ほどの大きな流れを見てみると、ドルに対しては円はほぼ倍ほどでありますけれども、中国に対しては倍ではとてもきかない通貨水準になってきている。つまり、ふだんはドルリンクということでありますが、折々に触れて、人民元の切り下げという形で、日本にとっては円高という形で、私から申し上げたらツケが回ってきているというふうに思っているわけですが、その辺に対しては、政府としては何かお考えを持っておられるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
塩川国務大臣 この問題につきましても、先日、パリで私は意見表明いたしまして、それに対しまして多くの国が関心を持っておりました。特に、アメリカは非常に強い関心を持っておりました。
 私が申しましたのは、WTOに入った国、特定の名前は出しませんでしたけれども、WTOに加盟して貿易の自由化、為替の自由化をやろうということを約束したのにかかわらず、為替の管理を依然として続けておるということはいびつじゃないか、だから、これは直ちに自由化に努力してもらわな困るということを実は申し上げたんです。実名に近いほどで、最近においては、アジアにおける大国はそれをかたくなに守っておる、為替の管理が中央銀行に集中しておるということはおかしい話だということを私は申し上げたんです。
 それに対しまして、国際金融機関の専務理事でございますが、この方は非常に権威のある方ですが、その方がすぐに私の話を受けて、日本が言っているのはそのとおり、非常にこれは重要な問題なんだと、かつて、去年の、まだ中国の新体制になる前に幹部に話したら、柔軟に処理しなければならぬという言質をいただいておると、しかし、現在の幹部についてはまだそういう話をしたことがないんだけれども、機会があれば国際機関でもって一回話をしてみる、こういうことを言っておりまして、我々は直接の、相対の関係ではなかなか言いにくい話ですけれども、国際機関がそういう関心を持ってくれたということは、私は一歩前進ではないかと思っております。
松本(剛)委員 WTOの場でというお話を進めていただいていること、私も何回か実はいろいろな場でお話をさせていただいたことがありまして、WTO、せっかく中国が加盟をしたわけでありますし、WTO加盟国でも為替が完全に自由化されていない国もたくさんあることを考えたときに、しかし、貿易には為替水準は極めて重要な関連を持っていることは事実でありますから、やはりWTOの中でも適正な為替の運用といったもの、水準といったものの議論をする場を設ける、そんな御提案を日本の中からも出していただくことによって、しっかりと多くの国々が納得いく形での為替のお互いのレートが設定をされていくような、そんな流れを設けていただきたいというふうに思います。
 実は、ある場所でもそういう御提案を申し上げたことがあるんですが、為替であるから財務省であろうということで財務省にお話をさせていただきましたら、いや、WTOは経済産業省なんですよということで、経済産業省に話をしましたら、WTOはうちですけれども、為替となれば財務省ですからと、私もピンポン玉のようにあっち行ってこっち行って、そのまま宙に浮いたわけでありますが、せっかく今塩川大臣からお話をいただいたところでございますので、賛意を表明しながら御提案を申し上げて、ぜひ我が国のためにお進めをいただきたいと思います。
 もう一つだけ、為替についてお聞きをさせていただきたいと思います。
 先ほど、基本的に為替についてはスムージングオペレーションだ、つまり、激変に対しては介入をして警告を発するんだ、こういうお話でありましたが、多くの市場の関係者は、例えば半期ごとの企業が予想している為替の水準、そういったものを一つの目安に恐らく介入があるのではなかろうか、こういった形でマーケットの関係者なんかは動いている部分があります。実際に、政府としてもある程度の水準はやはり見ながら介入の基準を設けておられるのではなかろうかというふうに思いますけれども、水準で介入をされることはないという先ほどのお話の理解でよろしいんでしょうか。
塩川国務大臣 特定の水準ということではございませんが、上下した場合、上下の動き方が急激であったり、あるいは投機が走っておるというような場合、そういう場合はやはり重大な事態として対処しなければならぬと思います。
松本(剛)委員 もう一つ、基本的に為替は相場ということは私も賛成をするわけですけれども、私自身が金融の現場にいたときにプラザ合意に遭遇したわけでありまして、あれはかなり政治的な意図が働いて、明らかに為替を動かしたというふうに私は思うわけであります。とすれば、為替も、口先介入といった言葉があるように、何らかの形である程度政治的な意図で動くことは間違いないところだろうというふうに思います。
 この場でお話をいただくのがいいのかどうかというのは議論のあるところだろうと思いますけれども、やはり政府が意思を持って、為替に対してもきちっとした意見を表明していただくことが大切だと思いますが、塩川大臣の御所見を伺いたいと思います。
塩川国務大臣 こういうのは惻隠の情というのがありまして、そういうことで世の中が動いておるものが多いんですから、余りはっきりと言える問題じゃないと思っております。
松本(剛)委員 辛うじて私のボキャブラリーでわかる日本語でお話をいただいたというふうに思いますけれども。
 為替については、非常にお話をしていただきにくい部分があることは、金利とかそういったものも一緒でありますけれども、承知をしておりますが、改めて、我が国の為替水準に対する認識は、お話を伺う限り、塩川大臣も竹中大臣も私の問題意識も、委員長も先ほどからうなずいておられますからきっと一緒なんではなかろうかと思うんですが、余り変わらないのではなかろうかというふうに思うわけであります。それをどういうふうにあるべき方向に持っていくかということについて、今惻隠の情という言葉がありましたが、これから国際社会の中では、ある意味でははっきりと意思を示すという形でプレーヤーとして参加をすることも重要なんではなかろうかということを申し上げて、話を次へ進めさせていただきたいと思います。
 先ほど、これは主に平岡さんとだったと思いますが、プライマリーバランスのお話がなされておりました。プライマリーバランスは、全体の国の財政を考えたときには、一部の指標ではないかというのが平岡議員の指摘だったんだろうというふうに思いますけれども、塩川大臣が、プライマリーバランスそのものについて、先ほど、五十嵐議員との話でしょうか、これからプライマリーバランスをしっかり守っていくということを約束する形によって財政再建を果たしていくんだ、こういうお話があったというふうに思います。二〇一〇年代の初頭、大臣は二〇一三年度ぐらいにプライマリーバランスを黒字化するのを一つの目標にしている、こういうことを約束にして財政再建の見通しを立てている、こういう話でしたが、これを一応政府のお約束というふうに私ども受けとめていいんでしょうか。
    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕
塩川国務大臣 これは経済財政諮問会議で大きいテーマになりまして、「改革と展望」の中に何か目標をきちっとつけなきゃいけない、しかし、これは公約というようなものではなくして、政府が持っておる一つのしっかりとした目標ということを自認して設定するということにしたものでございます。
松本(剛)委員 公約であるということになれば責任を伴うということで、目標だというお言葉をお使いになっておられるんではなかろうかというふうに思いますが、先ほど政策評価が大事だという話がたびたび出てきたと思います。これからやはり、マニフェストという言葉もあるように、数字をちゃんと入れた中で、その目標がクリアできるのかできないのか、わずかに未達の場合はその評価はまたさまざまあるだろうというふうに思いますけれども、政治的に一つの数字を示して、その目標をちゃんと順々にクリアしていくのかしていかないのか、できなければ、何が問題なのか、政権運営、政策運営なのか、そういう形で一つ一つ検証していかないと、まさに先ほど竹中大臣が言われた九〇年代の経済政策の繰り返しになりかねないんではないか、そんな気がするわけであります。
 そう考えると、プライマリーバランスを二〇一三年に黒字化するというのは、一つ国民に対しても財政再建の道筋を示したという意味では極めて重要なメッセージだろうというふうに思うわけでありまして、そのことを各年度ごとに「改革と展望」の今回の試算の中でもお示しをいただいているというふうに思うわけであります。ある程度この推移どおりにいって初めて二〇一三年に黒字が可能なんだろうというふうに思うわけでありますけれども、この辺のプライマリーバランス、私ども手元にいただいているのは年金の二分の一、三分の一の両ケースがあるわけですけれども、この辺についての見通し、これも目標だという理解でよろしいわけですか、竹中大臣。
竹中国務大臣 「改革と展望」の基本的な性格といたしまして、これは、経済財政政策の運営に関する基本的な政策運営の姿勢を示すものであります。その中で出てきます、例えば何年ごろにどういうふうな状況というふうな、そういうのが出てまいりますけれども、それは、そういった政策を実現していった場合に見込まれる、想定される姿であるというふうにお考えをいただきたいと思います。
 もう一つ、御紹介いただきました数字の細かい表は内閣府の試算でありまして、こういった「改革と展望」の議論をするに当たって、参考として内閣府が試算したものを出した、そういう性格、それぞれでございます。
松本(剛)委員 改定の「改革と展望」、この二〇〇二年度版では「二〇一〇年代初頭にはプライマリーバランスを黒字化することが望まれる。」こう記載をされていると思うんですが、プライマリーバランスを、もちろん経済の動向にもかかわりがありますから見通しの部分が入ることは否めませんが、政府の収支の問題でありますから、「望まれる。」ということの言葉だけ取り上げたら、極めて人ごとのような表現になっているわけですが、少なくとも、今両大臣とお話をしている限りでは、政府の意思を持ってやる目標だ、こういうお話のように理解をさせていただきました。
 竹中大臣は今、その施策を展開すればこうなるであろうという試算だ、こういうお話でありましたが、その政策を実施する責任も政府にあるわけでありますから、その政策を実施してこういうふうになる、政治は結果責任だという言葉が使われるように、この試算のあり姿が一つの政府の目標であるという私の理解でよろしいですねという確認を、どちらにさせていただきましょうか。塩川大臣が先でよろしいですか。
    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕
塩川国務大臣 確かに政府の目標でございまして、それに向かって鋭意努力していくということであります。
竹中国務大臣 今ちょっとお読みいただいたのがどの部分なのかあれなんですが、「改革と展望」の表現は、二〇一〇年代初頭に「プライマリーバランスの黒字化を目指す。」というふうにしているつもりでございます。
松本(剛)委員 私の手元にあるのが違うんでしょうかね。それより四つぐらい前のフレーズですかね。「望まれる。」という言葉があって、その後「目指す。」という言葉があるんですね。わかりました。
 さてそこで、同じように、私から見たら随分客観的な表現をとっておられるなと思うんですが、この「改革と展望」の最終年度、二〇〇七年度前後にはプライマリーバランスが現状の「半分程度に近づいていくものとみられる。」こういうふうに書いてあるわけであります。「みられる。」というのも随分人ごとのような気が私はするわけでありますが、そのことはちょっといいとしまして、それで、先ほど塩川大臣、その方策として三点ほどお挙げになったと思うんです。
 一つは、社会保障の給付と負担の水準を見直す、こういうお話でありましたが、見直すということになれば、これは給付を減らすのか、負担をふやすのか、給付を減らして負担をふやすのか、恐らくその三つぐらいであろうというふうに思うわけでありますが、この辺については、内閣の重鎮である塩川大臣として、どの方向へ行くべきだというような御意見をお持ちでいらっしゃいますか。
塩川国務大臣 まさにその三つのファクターを見直すということです。
松本(剛)委員 私が申し上げたのは、三つじゃなくて、給付と負担しかないわけですから、見直すと言う以上は、今、給付をふやすというのは恐らくないと思いますから、給付を減らすのか、負担をふやすのか、それとも両方同時にやるつもりなのか、これは厚生労働大臣に丸投げだ、こういう話でしょうか。
塩川国務大臣 もう一つ、公的負担をどうするかということもそこに介入してくるわけでございますから、そこらが有機的に関連したもので決められていくわけです。ただ給付と負担というだけで物理的に割り切ったものじゃなくて、そこに介入をしてくるのが、非常に難しい政治の介入もあるということです。そういうものを見直した上で決定をしていくということであります。
松本(剛)委員 禅問答をしているわけではないので。もちろん、先ほど平岡議員が申し上げたように、公的負担といっても、我が国はどこかを掘れば石油が出てくるとかいうような財源があるわけではないと思います。全部国民の負担という形になると思いますので、それをどういう形で、税の形なのか社会保険料の形なのか、これもまたいろいろ議論があるところであります。年金の二分の一、三分の一問題もそれにかかわってくる話だろうというふうに思いますが、そういうことをトータルで考えても、給付と負担の見直しが必要だというお話なんだろうと私は思うんですが、今のところ、給付と負担の見直しについてはお考えになっていないか、ここでは明言できないという理解でよろしいんですか。
塩川国務大臣 当然、給付と負担というものが中心になることは事実でございますが、しかし、ただそれだけで割り切れないところがあるものだから、ですから、その解決については、方針を決めるについてはいろいろな要素も介入しなければいかぬ。しかし、おっしゃるように、給付と負担の関係は、きちっとこうなります、そして、それを政府としてどういうふうな方法で実施するかという実施の仕方等につきましてきちっとした方針を決める。これを決めないと、いかに財政の長期的な展望を話しても信用されないんではないかと思っておりますので、これはぜひ急いで方針を決めたいと思っております。ただ社会保障だけじゃございませんで、国と地方との負担の問題……(松本(剛)委員「次に聞きます、ちゃんと」と呼ぶ)ああ、そうですか。
松本(剛)委員 せっかく二〇一三年にプライマリーバランスを黒字化するといって、その大きな方策だというんですから、その中身を今急いで決めるということですが、ゴールが先に決まっていて、その方策がまだ、これから検討するということでは、また結局、さっきも話が出ていましたけれども、本当にこれを信用していいのかな。財政再建の道筋というのは、ある意味では国民に信用されることが極めて大事な部分だろうというふうに、これからの安心という面でも大事だろうというふうに思いますので。年金の話もことし議論になると思いますし、医療制度改革、去年議論させていただきましたが、抜本改革を含めて、私たちはまだ宿題が大きく残っているというふうに思っておりますし、介護の制度等も早くきちっとしたものを御提示いただくことをお願い申し上げて、今国と地方の話もありましたので、次にその話をお聞きしたいと思います。
 国と地方の見直しというお話も先ほどありましたが、地方は財政は気楽だ、こういうお話が先ほどあったように思います。地方が気楽であって、国と地方を見直すということであれば、今回の義務教育費の国庫負担なんかもその関連だろうと思いますが、できるだけこれから地方に御負担をいただこう、こういう意味での国と地方の見直しになるという理解でよろしいんでしょうか、塩川大臣。
塩川国務大臣 無制限に地方に移すということではございませんで、分権と並行して財源の問題を考えていかなきゃいかぬということでございます。ですから、ただ財政的な問題だけでこれを処理するということではございません。
松本(剛)委員 私は、地方財政も決してそんな気楽な状況ではないというふうに思っておるんですけれども、先ほど大臣が、地方財政は少し気楽だとおっしゃったものですから、あえてお伺いをさせていただいたようなわけであります。
 もう一点確認をさせていただきたいなと思います。
 公共事業についても改革の必要があるということで三番目におっしゃったように理解をしておりますが、昨年だったのではないかと思いますが、やはりこの財務委員会で我が党の長妻議員と、公共事業の長期計画に関連してお話を大臣がなされたときに、ヨーロッパの社会資本整備がGDP比で日本の二分の一ないし三分の一ぐらいの水準ではなかろうかという話があったときに、中長期的には、十年ほどの目安のイメージでおっしゃったようにあのとき私は記憶しているんですが、そのぐらいに持っていってもいいのではなかろうか、こういうお話があったように思うんですが、その意識は今でも御一緒だという理解でよろしいですか。
塩川国務大臣 我が国は幸いにして、戦後五十数年の間に、鋭意、経済的基盤というか社会的基盤の充実に努力してまいりました。かなりな部分においてそういう社会的基盤というものもできてまいりましたので、これからは公共事業のあり方を考え直してみてもいいんじゃないか。その一つとして、欧米諸国というかOECDの平均を見ましたら、GDPに対して、大体二ないし三%が公共事業投資となっておりますが、我が国は七%近くが公共投資で出ておる。それは一挙に縮減することはできませんが、計画的に縮減していっていいんじゃないかなと思っております。幸いにして、大型の社会基盤というものができてまいりましたので、あとは生活に密着したものを計画的に縮減の方向をとって整備していくことだと思っております。
松本(剛)委員 大型はおおむねできたと財務大臣がおっしゃると、いろいろと、あれはどうする、これはどうするとお聞きしたいものもたくさんあるんですが、そこへ入ってしまうと、ちょっときょうの税制改革の論議からずれると思いますので、大臣からそういうお話をいただいたという認識を確認させていただいて、税制の方の質問に移らせていただきたいと思います。
 今年度の税制改正、あるべき税制による持続的な経済社会の活性化を実現するということが目的だというふうに理解をいたします。先ほど竹中大臣も、経済活性化を重視した税制改革だ、こういうお話でありましたけれども、この税制改革によってかなり経済が活性化される、こういう認識でよろしいんでしょうか、塩川大臣。
塩川国務大臣 私は、相当これによって気分的に明るくなってくると思って、それは経済成長に寄与してくると思っております。私はあっちこっちで聞きましたら、人気よろしいよ、これ。だから、要するにこの減税を早く利用してくれることが大事なんですね。これが来年になってから、再来年になってからということじゃ困るんで、特に個人投資なんかできるだけ早くやってもらうようにいたしたいと思います。
松本(剛)委員 竹中大臣は今回の税制改正を見て、気分と人気はわかったんですけれども、これだけの金額をつぎ込むわけでありますから、経済の見通しとしても、この税制改正によってどのぐらい影響がある、そういう御試算を政府としてはされているんでしょうか。
竹中国務大臣 経済活性化を目指して、その意味では企業の税負担を軽減するというようなことが結果としてかなり実現したというふうに思っております。それが設備投資を通して企業、供給サイドにどのぐらいの影響が出てくるか、これは実は相当難しいものですから、正確には申し上げられませんけれども、少なくとも、ネットで一・八兆円の減税でありますから、それが経済に対して需要面でプラスの影響をもたらすということは、政府経済見通しの中に織り込んでその試算をしております。
松本(剛)委員 引き続き竹中大臣にお聞きをしたいと思うんですが、まさに今いみじくもおっしゃったように、企業部門に対しては減税になっているというふうに思うんですが、消費部門に対しては、家計部門と言った方がいいでしょうか、必ずしも減税にはなっていないのではなかろうかというふうに思います。
 今回の税制改正によって相当な家計の負担が増加するというふうに思うわけでありますが、一方で、最近の消費動向は、二月の月例経済報告を拝見させていただいても、実質消費は十一月、十二月と連続してマイナスというのは久しぶりのことではなかろうかというふうに思うわけであります。現在、こういった中で消費が大変冷え込みつつあるように私は見えますし、二月の御報告の中でも、消費に対しては必ずしも強気の評価ではなかったように記憶をいたしておりますが、そんな中で、今回大変大きな家計の負担増、税制改正によるものの影響をどのようにごらんになっているのか。
 それから、経済に対して、今企業部門の話がありましたが、私は、消費部門、家計部門の刺激も相当重要ではなかろうか。むしろひょっとすると、内需拡大型の経済ということであればそちらの刺激の方が重要なんではなかろうか、そういうふうに思うわけですが、それについての御所見を伺いたいと思います。
竹中国務大臣 よく消費の低迷という言葉が言われます。しかしながら、実は、中期的な動向を見ますと、消費はむしろ健闘しているというふうに申し上げて、企業部門に比べて家計部門への配分、労働分配率がむしろ高まったということを受けて、消費がここ一年ぐらい、二年ぐらいは支えているという面もむしろあったのだと思います。
 松本委員御指摘の、まさに足元に関しては、恐らく家計調査の数字を御引用くださったんだと思いますが、これは確かに減少しておりまして、足元弱い動きが見られているということを月例経済報告でも正確に我々としては伝えようというふうにしているわけでございます。
 それで、税制改革との関連で家計部門の負担をどう考えるかということでありますが、税制改革の中身は、御承知のように、これは相続税、贈与税に関するもの等々もございますし、証券税制等々もございますし、家計部門にも恩恵が及ぶような形にはなっていると思います。しかし、減税の主力が企業部門であるということはそのとおりであろうかと思います。
 しかし、今申し上げましたように、労働分配率がこれまで高まってきた中で、雇用への不安等々が生じている。そこを、企業部門を強くして雇用の場を確保して、それが経済全体を押し上げていくということが結局は中期的な家計部門の安定につながる、そういう考え方で今回の減税措置がとられているということでありますので、経済全体としてのバランスに、先ほど言いました一・八兆円の規模、それと相まって企業部門が強くなることによって家計部門にもよい結果が及ぶ、そういうような考え方をとるべきであろうというふうに思っております。
松本(剛)委員 今回の税制改正で家計部門の負担がどのぐらいふえるというふうに政府では見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
谷口副大臣 家計部門でございますが、今回の十五年度税制改正は、一兆八千億の減税先行でさせていただいたわけでございますが、委員御存じのとおり、相続・贈与税の一体化であるとか、金融・証券税制の抜本的見直しであるとか、研究開発、設備投資減税を中心にして産業の競争力強化、また中小企業の経営基盤の強化を通じての雇用の拡大ということをやっておるわけでございます。それで、おっしゃることでございますが、これはすべて最終的には、企業減税でやっても個人に及ぶものでございます。
 そこで、委員がおっしゃっていることで、どの程度家計に影響があるかということになるわけでございますが、これは、家計の置かれておる状況がありますね。家計の消費状況、資産の状況、家計がどのような投資行動を行っているか、また配偶者がどのような状況になっているかといったことが家計によって異なっておるわけで、おっしゃるような状況で、一概に家計における影響をお示しすることは難しいということでございます。
松本(剛)委員 大臣の家計をお伺いしているわけではありませんし、副大臣の家計をお伺いしているわけでもなく、一応、全体の中で増減収見込み額をとっておられるわけですね、財務省として。もちろん見込みがとれないものもあるというお話でありますけれども、属性の金額というのがやはりあるんじゃないですか、はっきりと。
 配偶者特別控除だけでも、国税だけでも平年度で四千七百九十億という数字が出ているわけですね。これは地方税まで合わせたら大変な金額になるはずでありますし、普通、一世帯当たりでいったら、平均で五万、六万という金額、お父さんのお小遣いが月に五千円減る、こういう大変な負担になるはずなのでありまして、おっしゃりにくいのかもしれませんけれども、やはり数字はきちっとお伝えいただきたいと思うんです。
谷口副大臣 先ほども申し上げたように、ある前提を置かなければ非常に難しいわけでございますけれども、一定の仮定を置いた上で、おっしゃるように機械的に計算をいたしますと、配偶者特別控除の廃止でございますが、これは二段階の上の部分の廃止なんですけれども、これを廃止いたしますと、夫婦子供二人の専業主婦の世帯で、給与収入が七百万円……(松本(剛)委員「総額を言っていただきたい」と呼ぶ)所得税、個人住民税が年間五万九千円の負担増になる。それは、おっしゃっていることはよくわかるんですが、非常に、その状況状況に応じてある種の仮定を置いた上でないとなかなか難しいわけでございます。
 また、例えば、酒、たばこの関係で見ますと、勤労者世帯で単純計算をしますと、酒税で年間約六百円、たばこ税また地方たばこ税で年間約九百円の負担増になる、家計でですね。
松本(剛)委員 あくまで個別の話をされますが、そうすると、この総額というのは個々のケースがあって必ずしもわからないということであれば、この総額は必ずしもはっきりしたものではない、いいかげんな数字だということになったら、審議をこれ以上できなくなっちゃいますけれども、副大臣、いかがされますか。増減収見込みを政府としてお出しになっているわけでしょう。
谷口副大臣 個人所得課税におきましては、平年度で七千億の税収が増収ということになるわけでございます。
松本(剛)委員 委員長に四分ほど返していただきたいぐらいなんですけれども、企業部門に対する減税である、家計部門は増税であるということをまずここで一つはっきりさせておきたいというふうに思います。そのことが本当にこれから経済にどういうプラスが出てくるのかということを、私どもは相当な危惧を持っているということをまず申し上げたいというふうに思います。
 経済の六割を占める家計、塩川大臣が先ほど人気、明るい気分、こういうお話でありましたが、今回、消費をする家計部門は決して明るい気分にはなっていないと思うんですね。ですから、六割を占める家計部門が明るい気分になれなければ、経済に対しても、気分が大事だというのが塩川大臣の話だったんですけれども、相当大きなマイナスが出てくるというふうに私どもは考えるわけであります。竹中大臣、もう一遍確認でございますが、今出ている経済の見通しというのは、この増減税を織り込んだ上での見通しだ、こういう理解でよろしいですね。
竹中国務大臣 そのとおりでございます。
松本(剛)委員 〇三年度の民間の最終消費支出は、実質で〇・四%のプラス、名目では〇・四%のマイナスという数字が出ていたように記憶をしますが、それでよろしいですね。
竹中国務大臣 そのとおりでございます。
松本(剛)委員 これも政府の見通しとして大変重要な数字だと思います。本当にこれだけ家計に厳しい税制を、配偶者特別控除は直接は十六年度からということになろうかと思いますけれども、既に私どもも、多分皆さんもそうだろうと思います、地元へ帰ったらたくさんそういう声を聞くのではなかろうかというふうに思います。まさに塩川大臣が言われた気分の問題として、お金を使う側の気分が相当落ち込んでくるのではなかろうか、この影響は決して小さくないということを私はまず御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 それから、研究開発に対する減税についても一、二お伺いをさせていただきたいと思います。
 塩川大臣、今回の研究開発の減税は、研究開発を促進するための減税だ、こういう理解でよろしいんでしょうか。
塩川国務大臣 もちろんそうでございますし、そして同時に、研究開発のいわば対象となるテリトリーを広げたということで、これは相当研究開発を促進するという動機になってくると思っております。
松本(剛)委員 今まで、ふえた分に対する減税というのがありますね、制度で。今回新しく総額に対する減税を設けたということで、どちらを選択してもいいということになったように理解をしておりますが、本当にふやしてくれというのであれば、むしろ、ふえた分の減税幅を拡大するとか、そういうやり方の方が試験研究費をふやすということにはプラスになるんじゃないでしょうか。その中で、あえて総額という形を取り入れた理由を御説明いただきたいと思います。
谷口副大臣 今、松本委員まさにおっしゃったように、従来は、増加した部分にだけ税額控除を認めるということでございました。今回は、総額に対して、どちらも選べるという選択制になったわけでございます。
 大変厳しい経済状況にある。一方で、試験研究開発の分野で合理化、効率化を今進められておるわけで、必ずしも総額でふえない場合であっても、この研究は今回中止するけれども新しい研究をやろうといった場合には、増額はしないんだけれども、中でこの研究開発がふえるといったような場合に、総額で税額控除ができるということも選択の対象になるわけで、そういう意味では、幅が広くなったというように考えていただいたら結構だと思います。
松本(剛)委員 我々も、日本では技術の研究は非常に大事だと思いますし、そういった面に政策的にポイントを置くというのはあるべき税制の姿の中にもあったと思いますし、そのことを根本的に否定するわけじゃありませんけれども、極めて限られた厳しい財政状況の中で、これだけ、五千億になんなんとするような金額をつぎ込んで研究開発を促進しようというのであれば、もうちょっとしっかりと目的にかなった形でやっていただいた方がいいのではないかというのが私の意見であります。
 先ほど七条議員の最初の議論だったと思いますが、この研究開発減税でGDP比〇・一二%経済にプラスの効果があるという数字を見せてもらったというふうに、たしか七条議員おっしゃったと思うんですが、これは政府がそういう数字をつくっておられるという理解でよろしいんですか。我々も見せてもらいたいなと思いながらお聞きをさせていただきますが。
谷口副大臣 先ほどおっしゃった数字は、財務省と経済産業省で大胆な仮定を置いて機械的に需要面に及ぼす効果を試算した結果、名目GDPを〇・三%弱程度押し上げる結果ということでございます。
松本(剛)委員 ぜひ、各税制の経済効果をそういった形で見通しを出しておられるのであれば、私どもにも出していただきたいな、このようにお願いをさせていただきたいと思います。
 これだけのお金を動かす話であります。国民の税金を動かす話でありますから、もちろん試算でありますから、前提があるということも私どもも認めた上で拝見をさせていただくわけでありまして、そういった試算の上にどのぐらい効果があるのか。先ほど、上田議員が、公共投資の乗数効果の試算があれば出してほしいという話があったように、これからきちっと数字をもとに政策選択の議論をさせていただきたいというふうに思いますので、これは副大臣にお願いしたらよろしいですか。
谷口副大臣 松本委員のおっしゃることはよく理解できるわけでございますけれども、むしろ前もって数字を出しますとミスリードを起こすことがあるわけで、そういう観点で、出す以上は正確なものを出さなきゃいかぬ。しかし一方で、今回の研究開発費においても、各企業がどのような取り組みが行われるのかということによって大きく差があるものですから、非常に具体的な数字でお示しするということについては難しい。
 しかし、あえて申し上げますと、経済産業省の研究会において、米国の研究事例がございまして、その事例が紹介されておりますが、これは海外の事例でございますけれども、研究開発費の税額控除額の一・三から二倍の追加的な研究開発投資が結果として生じたというような数字も出てきておるわけでございます。
松本(剛)委員 恐らくそこまでの制度も日本と違うと思いますし、どういう形で導入をしたかとか、まさに言われるとおり、いろいろ違うと思うんですね。しかし、国民の税金、ある意味で五千億ほどのお金を動かそうということになるわけでありますから、その試算が合っているのか合っていないのかも含めて、我々はここで議論をさせていただく、中身のある議論をさせていただく。充実した審議をということで、審議時間を与党の皆さんに私どももお願いをさせていただく。
 それは同じことを繰り返すような質問ではなくて、やはり一つ一つ詰めた議論をして初めて国会も役割を果たすのではなかろうかというふうに思うわけでありまして、試算の前提を置いていただいて、我々もちゃんと前提を見て拝見いたしますから、そういった数字もこれから出していただきますと、この税制をどう評価していいのか、我々も、どこは賛成できるけれども、どこはやめていただいた方がいいのか、こういう議論が初めて成り立ってくるというふうに思いますので、ぜひこれはお願いをさせていただきたいと思います。
 もう一つ、これは私自身が二年前に質問をしたので、NPOの税制についてもちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。
 このときも、どのぐらいのNPOが対象になるのかならないのかという試算をしたのかしないのかということから、私、議論に入らせていただいた記憶がありまして、五割ぐらいいけるんじゃなかろうかというのが当時一つの目安になっておったことをよく記憶をしております。当時のNPO担当の麻生経済企画庁長官、今の政調会長は、五割という試算でいけると思いますかという、これは我が党の江田議員だったと思いますが、参議院での質疑に、私が知っているNPOは二つある、一つはいけて一つはだめだから五割いける、こういうお話を、極めてアバウトだがとおっしゃりながら、大体だから五割だろう、こういう話であります。
 NPOというものを考えたときに、公益性も考えて税で優遇するかどうかというのに、何もかもというのには問題があるという御意見に、私ども申し上げたいこともありますけれども、一定の理解はさせていただきます。しかし、現在までは、御存じのとおり、極めてわずかな、これは申請をするしないという問題もありますが、通らないから申請をしないと思っていただいた方が私はいいと思うわけでありまして、極めて厳しい数字しかNPOの税制優遇は受けられていない。
 あのときにも、私どもNPOの方々の現場からお聞きをして、一割は到底いかない、一%とか二%ではないか、こういう話も出ていたわけでありますが、いや、そんなことはない、こういうお話でありましたが、結果は、私どもの現場を聞いてきた見通しの方が正しかったということになると思います。二年で見直していただいたというのは比較的早い方だろうというふうに思います。
 NPOそのものが今過渡期にあるわけですから、わからない部分があるということは確かだろうと思いますが、今回のことについても、私どもは、これを拡大していただいたのでは、それほど拡大をしないのではなかろうかというふうに思いますが、かねてからおおむね半分ぐらいはいける方がいいのではないか、こういうふうに、麻生当時の企画庁長官もそういう意味でおっしゃったんだろうというふうに思いますが、今回の改正でどのぐらいのNPOが税制優遇を受けることが可能になる、こんな見通しは立てておられますか。
谷口副大臣 今おっしゃるように、五〇%、半分ぐらいということについて、これは確たることは言えなくて非常に申しわけないんですが、おっしゃっていただいたように、今回、認定NPO法人につきましてはかなり緩和をさせていただきました。パブリックサポートテスト要件の緩和、先ほど五十嵐委員もいろいろおっしゃったわけでございますけれども、広域性要件の廃止等を行わせていただいて、かつまた、認定NPO法人についてみなし寄附金制度も導入をさせていただいたわけでございまして、これに対する反応はかなりあるというように考えておるところでございます。
 半分程度かどうかということになりますと、これはなかなか確たることは言えませんが、しかし、おっしゃるように、一方で今まだ認定NPO法人は十二件しかないわけで、相談は八百件以上あるようでございます。ですから、今回こういうような緩和の状況の中で、ぜひまた幅広に我々もこの認定NPO法人を認定させていただくという手続で前向きにさせていただきたいというように思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
松本(剛)委員 時間がなくなりましたので、余り繰り返し申しませんが、あのときに広域性の要件ということで、複数市町村にまたがる必要があるという要件をかぶせていたのを、今回外していただいているわけであります。あのときに、私、質問させていただきました。何でこんなわけのわからぬ要件があるんですか。各地域ごとにやっているNPOが多い中で、これをはめるだけで相当なところが対象外になりますよということを申し上げたら、国税ですから、一つの市町村だけで活動しているものを国税が優遇するわけにいきません、こういうお返事をいただいたんですね。
 今回、国税の優遇をするのにその要件が外れるんですけれども、それについて何かおっしゃることありますか、もうありませんか。
谷口副大臣 さまざまな御意見がございまして、そういう状況の中で、おっしゃるような地域に根差した活動を行うという法人も多々見られるものでございますので、今回、そうした活動にも一定の広域性を有するものがあるということを考えた上で判断をさせていただいたわけでございます。
松本(剛)委員 NPOのこの話も申し上げたのも、先ほど数字の話を申し上げたのも、私どももぜひ建設的な議論をここでさせていただきたい、このように思っているわけでありますし、私どもの意見も、NPOのことなんか私どもの方が詳しいところもあるわけでありますから、率直に受けとめていただいて、今回のこのNPO税制も、もしこれで、当時、麻生大臣も、一%なんてそんなひどいことはないだろうと言っていますが、一%どころか〇・一%の世界で推移をしているわけでありますから、今回も、また必要があれば来年にでも見直す、そのぐらいの気持ちでお進めをいただくことを、私どもの意見もしっかりと聞いていただくことをお願い申し上げて、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 まず、公債発行特例法に関連して、財政の話からお伺いをいたしますけれども、三十兆円の国債発行枠ということをずっと設定されてこられて、今年度と昨年度と設定されてきたわけですけれども、今回は三十六兆七千億という公債を発行されることになりました。現実問題、目標自体は放棄されたということだと思うんですが、新たな単年度の目標というのは今後お考えになることはないのかどうか、まず財務大臣にお伺いをいたします。
塩川国務大臣 三十兆円の枠ということにずっと終始してまいりましたけれども、これはどうしても実現不可能なことになってまいりました。さりとて、それでは財政を恣意的に放漫にしていいかというわけじゃ絶対ございませんで、三十兆円の枠を設定したあの精神を各年度において実施していきたいと思っております。
中塚委員 それで、財政の健全化自体は非常に重要なことなので、何かそれにかわるような目標を、二〇一〇年代初頭でプライマリーバランスを回復させるというふうなことをおっしゃっておられるわけなんですが、これが結局、財政の健全化の新しい目標というふうに理解してよろしいんでしょうか。
塩川国務大臣 一つの大きい大枠の目標でございます。
 それと同時に、十五年度予算の編成に際しましても適用しておるのでございますけれども、対前年度を上回ることのないような予算を組んでいきたいということでございまして、これは非常に難しい状況であることは承知しております。
 というのは、当然増が毎年発生するわけでございまして、それの見通しは正確につかめませんけれども、十五年度におきましては一兆四、五千億円と出てきたわけです。それをいろいろな点で圧縮して、最終的にどれだけのものを当然増で組み込まなきゃならぬという数字が出てまいりますが、それに基づいて、それを実現するために、公共事業なりあるいは選択的経費というものを削減するという方向をとっておって、総じて全体を見ました場合、対前年度同額もしくはそれ以下にするということを短期的な一つの制約としてやっておる。大枠と短期的な二つの組み合わせでやっておるということです。
中塚委員 大臣は以前、損して得とれということをこの委員会でおっしゃったことがあって、私は大変すばらしい考え方だと思っております。
 それで、大きな目標と単年度のお話が今ありました。大きな目標のために単年度をやっていくということだと思うんですけれども、そうなりますと、二〇一〇年代初頭までは、ことしでも一般歳出自体は〇・一%プラスというふうな予算になっていますが、前年度に抑制をしていくという考え方はずっとおとりになるお考えなんでしょうか。
塩川国務大臣 私は、これは構造改革の一環としてやっておるんで、このことの効果はやはりどこかで集約をとらなきゃいかぬと思っています。
 ただ、中塚さんに申し上げたいと思うのは、物理的にただ数字を削ればいいというのじゃなしに、その削減する数字の中身は、要するに、財政の効率化とむだの排除、これによって生み出していくものであって、行政の質なり政治の対象も低下さすことによって目的をとろう、そういう考えはございませんで、あくまでも予算の効率化という点に絞った措置としてのいわゆる縮減であるということを御承知いただきたいと思います。
中塚委員 それで、国債発行額自体は要は税収に左右されるわけですね。今年度もそうだったわけですけれども、三十兆円の国債発行枠を設定して、ちゃんと税収があれば別に補正予算は編成しなくてもよかったわけだから、補正を編成しなきゃいけなくなったというのは、税収が落ち込んだということで国債を発行するということなわけです。
 その税収見込み自体は経済成長に大きく左右されていくということになりますが、政府自体は来年度実質成長率をマイナス〇・二というふうに見ていることから明らかなように、二〇〇三年度のデフレ脱却ということは無理なわけですね。それはあらかじめ前提としてそういうふうに考えていらっしゃるわけなんだけれども、民間調査機関はもっと慎重な見方をしているところが多いわけなんです。これは両大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、政府見通しの実現は困難であるという見方がありますが、いかがですか。
竹中国務大臣 経済は大変厳しい状況が続いておりますから、しっかりと運営していかなければいけないということは間違いないことでございます。
 しかし、政府の見通しに関しましては、去年の今ごろもまさに同じような議論が民間シンクタンクを中心になされていたと思います。我々が実質成長率ゼロ%を見越していたときに、民間の平均値、二十数機関の平均値はマイナス〇・四%でありました。しかし、現実の実質成長率は我々の予測よりもまださらに高いところに来ている。
 今年度に関しましても、我々は御承知のように実質で〇・六でございまして、民間二十八機関の今の時点での予測はプラスの〇・二でありますから、今度も我々の方が少し高くなっている。この辺はそれぞれの前提を置いていろいろ見込みを立てているわけでありますが、民間の中でも高いところ、例えば日経センター等々はプラスで実質一・一%の成長を見越しているというところもございます。
 その意味では、我々としての見通しをしっかりと持って経済を着実に運営していくことが必要だと思っております。
中塚委員 塩川財務大臣、いかがですか。
塩川国務大臣 竹中大臣と同様です。
    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
中塚委員 単年度の国債発行枠に縛られることなく財政の健全化を目指すということについては評価をしたいと思います。
 単年度といったって、やはり景気動向で税収が左右されるわけだし、国債発行枠だけで財政健全化ができるかといえば決してそういうものじゃないはずなので、そういう意味では、以前から長期的にやるべきだということをずっとお話をしてきたわけですので、三十兆円枠ではなくなったということ自体評価したいというふうに思うんですが、ただ、今、この審議になります所得税法の一部改正案、この税制については、残念ながら、三十兆円国債発行枠と言われていたころの残滓といいますか影響みたいなものがあるんじゃないかというふうに思います。
 それが多年度税収中立ということにあらわれているのだろうというふうに思うのですけれども、多年度税収中立といいましても、要は時限的な減税と恒久的な増税の組み合わせになっておりますね。
 予算委員会で資料を要求いたしまして、今手元にありますけれども、これによると、確かに七年で減税と増収になる分がちょうどつり合うというふうな計算になっておるようなんですが、これも、やはり三十兆円国債発行枠的な考え方を前提にして、減収額と、あと増収額を何が何でもつり合わせなきゃいかぬというふうな発想から生まれているのではないかというふうに思います。このことはちょっとまた後で触れたいと思いますが、その他も、いろいろと昨年からの税制改正の議論を伺っておりますと、やはりその当時の三十兆円国債発行枠というものに大分引きずられている部分があるんじゃないかなというふうに思うのです。
 次に、法人税率の問題について伺います。
 これは、竹中大臣、経済財政諮問会議ということでお伺いをしたいのです。経済財政諮問会議の民間の議員さんの中には、法人税率を下げろという御意見の方が多かったようですし、竹中大臣もそういう御発言をされていたことがあったと思いますが、それが、法人税率だったのが実効税率という言葉になった。それも外形標準課税の導入によって実効税率が下がるというふうな議論になっているということだし、また、基本税率を下げるんじゃなくて、投資促進税制的なものになってしまっておりますね、今回の税制改正案は。
 今、いろいろと過去の御発言なんかを調べてみましたけれども、諮問会議の民間議員の方は、国税の法人税の基本税率を三〇から二七に引き下げろというふうな御意見をお持ちの方がいらっしゃったようだし、また、竹中大臣は、来年度は無理でも、再来年度には法人税率下げを実現したい意向と見られるというふうな記事もあります。さらに、CEAのハバード委員長が来られたときの、これは新聞の記事なんですけれども、恒久的な税の引き下げ、特に政策減税ではなく法人税の引き下げに強い支持があったというふうなお話もされている。
 ほかにもまだまだあります。例えば、中身に触れたものであれば、要は、競争力を高めることに重点を置くなら税率を下げるべきだ、景気対策ということであるならば投資促進税制だというふうな御発言もされたようなんですけれども、基本税率下げという話が実効税率下げに変わり、そしてまた投資促進税制的になってしまったという、その経緯についてお話をいただけますか。
竹中国務大臣 今回の税制改革議論の中で、経済の活性化というのを非常に大きな中心に据えましたので、経済財政諮問会議におきましては、法人の税負担をめぐってさまざまな議論がありました。法人の税負担そのものが、税負担という観点から国際的に見るとやはり日本は高いという声が民間企業を中心に非常に強かったと思います。
 その負担を下げるに当たってどういうやり方がよいかということに関しては、法人税率そのものを下げる。これは税率そのものを下げるわけでありますから、最もある意味で資源配分をゆがめない、特定の項目にだけ減税するのではないという意味で中立に近い税制改革になるわけでありますから、それを支持した民間議員の方も多かったし、私も、一般論としてはそういう考え方は非常に重要であるというふうに思っております。
 しかし同時に、非常に限られた財源の中で、これを中長期の効果、短期の効果をあわせてどのよに活用すべきかということに関しては、これはいろいろな議論がなされた上で、研究開発や設備投資に集約して減税をするということになったわけでございます。ちょっと正確な文言は記憶しておりませんが、政府税調においても、この法人税の基本税率の問題はやはり中長期的な観点から議論を続けるべき課題であるというような趣旨の議論がなされていたというふうに記憶しております。
 今回の税制改革は抜本的な税制改革の初年度でありますので、我々としては、次年度、次々年度に向けてさらに税制を整備していく中で、今申し上げたような問題意識を反映した議論をぜひともしていきたいというふうに思っております。
中塚委員 自分としては基本税率を下げたかったけれども、横の大臣がうんと言ってくれなかった、こういうことなんでしょうか。(塩川国務大臣「そうそう」と呼ぶ)
 ただ、財源については、例えば租税特別措置なんかをばんと整理合理化すれば、ある程度のものは出ると思うんですよ。だから、そういう意味では、三十兆円国債発行枠みたいな考え方が当時まだ残っておったから基本税率を下げることができなかったわけで、やはりまだそこの部分が残っているんだろうなというふうに思います。
 あと、いま一つですけれども、例えば今年度から例の連結納税制度で、まだ付加税というものがあるわけですね。その付加税ということも来年で廃止をされるのかなというふうに思っておったんですけれども、これも存続するということになってしまっている。
 税制改革の初年度というふうに今竹中大臣はおっしゃいましたけれども、制度改革というアクセルを踏みながら、狭い範囲内での税収中立というふうなことを言っていくということでは、なかなか物事は前に進んでいかないなというふうに思うんですけれども、塩川財務大臣、いかがでしょう。
塩川国務大臣 それは、私たちも思い切って減税を実施したいと思っておりますけれども、しかし、これはやはり政治家の責任も大分大きいでっせ。
 というのは、減税はすいすいと通るんですが、一たんその税制の結果として出てきた財政のひずみを変えるために増税をするとなったときに、絶対それは認めてもらえない、この長い歴史がありますので。そこで、財務省と国会との間には不信感がある、これは事実ですね。その不信感を中和して、そして政策の目的を達成しようとしたのが、今回の、要するに五年という時限は切りましたけれども、減税と増収との間のバランスをとってやろうということにした。
 けれども、これは一つの中期的な展望であって、実施であって、これによって経済がどう変わっていくかわかりませんので、その変化に従っては、また国会で議論されて、国会が主導権をとってこれを改正されるということ、これは国民が納得することだと思っておりますので、その点では国会もしっかりとひとつこの状況を見定めていただきたいと思っております。
中塚委員 政治家の責任とか長い間の経緯というお話は、ぜひ向こう側の自民党席に向かってしていただきたいと思います。
 それは、今までの税制がそういうことでなあなあ、まあまあで進んできたわけであって、私は何も単に減税の話をしているわけではなくて、連結納税制度というものを導入する意味ですね。日本の産業構造を変えにゃいかぬという趣旨でおやりになっているはずなんだけれども、ところがそれに税収を確保しなきゃいかぬという観点で付加税が入ってくるということが問題なわけであって、先ほども申し上げましたけれども、それだったら租税特別措置なんかすっぱりとやめちゃって、その分で基本税率を下げるなり、あるいはこういう付加税なんかは廃止をしていくなり、そういう方向へと持っていくべきだと思います。
 次に、多年度税収中立ということで、私は何度聞いてもこれがよくわからなかったんですが、予算委員会の方で資料を提出していただきました。
 ただ、これの「注」のところにも書いてありますけれども、「十六年度以降各年度の税制改正等によって税収に増減が生じうる。」というふうに書いてあるわけですね。しかも、その税収見込み自体本当に当たりませんね。そういう中にあって、こういう多年度税収中立ということにこだわっていく必要があるのかどうかということです。例えば総理も、消費税は自分の在任中は上げないというふうにおっしゃっていますけれども、これもいまいちよくわからなくて、今大臣がおっしゃったように、税のことを真剣に考えるんだったら、例えばそれは景気がよくなるまでは上げないとかいう言い方だったらわかりますけれども、自分がやっている間は上げないというふうな言い方は、ちょっと私は理解はできないんです。
 この多年度税収中立を仕込むに当たって、結局、さっきも申し上げましたが、減税は時限だし、あとはほとんど恒久的な増税が後から待っているわけなんですけれども、例えば、投資促進税制というのは利用されるかされないかはわからないですね。利用する人もいるし、設備投資をすれば役に立つんでしょうが、されないかもしれないということで、そういう意味ではなかなかその減収額を見込むのは難しいんだろうというふうに思うんです。
 でも、例えば増税項目の方を見ますと、配偶者特別控除の廃止とかいうのは、これは今恩恵を受けている人には一律適用になってしまうということなわけなんですけれども、そういう意味では余りにもバランスを欠いているんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
谷口副大臣 今、中塚委員、研究開発、設備投資、中小企業にかかわる減税については一律ではない、しかし一方で、配偶者特別控除、また酒、たばこについては一律に課税されるといったようなことのバランスのことをおっしゃったわけでございますが、これは先ほどから申し上げておりますように、この減税項目については、産業の活性化、競争力の強化ということでやったわけでございます。
 一方で、この増収の見直し措置でございますけれども、例えば、配偶者特別控除の見直しというのは、共働き世帯が専業主婦世帯を上回っている現状の中で、専業主婦世帯の過度の優遇を改めるという趣旨で講じるものでございまして、男女共同社会の実現に資するものだという観点で、今回、二階建ての上の部分を見直しをさせていただいたわけでございます。
 また、酒税等の見直しは、税負担の格差を縮小するなど、国民が広く公平に負担を分かち合うという観点での基本的な考え方によって増税になったわけでございますけれども、これらは、あるべき税制を構築するという観点から、それぞれの項目をもって考えられたものでございまして、減税措置と増税措置を、適用がアンバランスだということの観点だけで今回の改正の適否を議論するというのは、いささか無理があるのではないかというふうに考えております。
中塚委員 専業主婦と共働きというふうなお話がありましたけれども、では、専業主婦の人が家でやっている無償労働の価値というものはちゃんとお出しになっているのかどうか。また、専業主婦のお話云々かんぬんということになるのであれば、厚生年金の三号の被保険者の問題というふうなこともまたこれは関係してくるわけですね。
 私が申し上げているのは、税収の話ではなくて、税負担の問題なわけです。よく税収の問題と税率の問題がごっちゃになってしまうことがありまして、特に税の議論というのはそうなんですけれども、皆さんがおっしゃっているのは税収の話なんでしょうね。税収の話だからそれを合わせていくんだということだと思うんですが、ただ、実際の税率というか税負担というのは、それはまた別の問題になってくるわけで、現実問題、そういうことで配偶者特別控除が廃止されれば、負担がふえる方は出てくるということになります。
 先ほどの議論の中でもありましたが、では、そもそも、法人税、特に投資促進税制をやって、その分を家計の負担で補うというふうなこと自体が、果たして今の日本の経済実態に合っているのかどうかという問題もあると思うんですね、この税制改正の中では。
 ですから、日本経済の牽引車である家計を、そういうことで消費を冷え込ますというふうな税制改正ではなくて、そもそも経済財政諮問会議なんかでも、改革還元減税というふうなことも議論されていたはずですね。行政改革でコストを削減して、その分を還元しようというふうな議論もされていたわけなんですけれども、そういった考え方はもうなくなっちゃって、多年度税収中立案ということになってしまうと、今度は、この法人税関係の減税は所得税関係の増収で賄うわけだから、行政改革努力というのがなおざりになってしまうんじゃないか、そういうふうな懸念も持つわけですが、そこはいかがでしょう。
塩川国務大臣 それは、非常に局限した考え方をされておると思うんですね。
 確かに、配偶者特別控除を、上積みの部分を廃止しましたら、家計に影響を及ぼす家庭も相当あると思います。けれども、収入に対しましてそんなに大きい比率じゃない。試算いたしましたところでは、大体年収七百万円ぐらいのところと四百万円ぐらいのところとを精査いたしましたら、そんなに大きい負担にはならないように私は思っておりまして、この程度は税の公平化という意味で勘弁してもらいたいなという、実際はそういうつもりなんです。
 それと、もう一つ、せっかくの行政改革の効果を甘受できないじゃないかというお話でございますけれども、私は、今度の税制改正によって日本の経済全体が向上して活気を取り戻してくれるならば、それによって一般国民の潤いも多少は還元してくるということが一つ行われると思っておりまして、その点において、減税の効果は必ず国民の生活の向上に結びついてくる、こういう考えを持っております。
 そしてまた、行政改革の効果をこれで削減してしまうのではないかということでございますけれども、決してそうじゃなくて、行政改革を進めるからこそ経済活性化への道が開けてくると思っております。
中塚委員 では、改革還元税制ということについて、これも議論されていたはずなんですが、竹中大臣、それが多年度税収中立になってしまった経緯はいかがなんでしょう。
竹中国務大臣 改革還元型の減税というのは、できるだけ歳出を削りましょう、歳出がうまく削れた分については、民間でできることは民間にということですから、それを民間にお返ししましょう、その意味では、小泉構造改革の考え方に非常に沿ったものであるというふうに当然のことながら思っております。その考え方は、引き続き、今後の税制改革のその多年度の議論の中で、我々としては大切にしていきたいというふうに思っております。
 もちろん、歳出を削減する余地が、これは「改革と展望」の中でいわゆるキャップをはめているわけでありますから、そこからさらに削るということの難しさもありますし、財政全体の制約の中で、当然のことながらバランスをとって決定されるわけでありますけれども、その考え方そのものは、引き続き議論をしていく必要があるというふうに思っております。
中塚委員 これも、改革還元型減税をやりたかったんだけれども、横の大臣がうんと言ってくれなかったということですか。今回はそうそうではないんですね。
 さっき塩川大臣が、予算の削減というところで、数字の中身は財政の効率化ということをおっしゃったわけで、予算を削減するときに、財政を効率化していくということであるならば、この税制改正も税収中立ということにこだわる必要ないと思うんですね。
 今いみじくもおっしゃったけれども、これで要は景気がよくなるというふうにお考えなわけですよね、今回の投資減税で。投資減税をして、政策減税をして景気がよくなるというふうにお考えになっているのなら、それはちゃんとよくなったときに税収増もあるだろうし、そしてまた、減税した分をどういうふうに考え直すかということもあってしかるべき話であります。増税と一体で法案を提出してしまうということは、ひょっとしたら大臣がおっしゃるとおりに景気が回復しなかった場合、私はそうなる可能性の方が高いと思っていますけれども、景気が回復しないうちに計画どおりに増税だけ起こってしまうということにもなりかねない。かえって景気の足を引っ張るだろうし、また、後から増税が待っているということになれば、やはりそれはそれで消費者心理というものを落ち込ませる。
 特に、法人税の方がどっちかというと乗数効果は少ないというふうにも言われていたわけで、財政事情が厳しいのはもちろんよくわかりますけれども、それならそれで、計画的な予算の削減計画みたいなものをおつくりになられた方がいいんじゃないですか。
塩川国務大臣 予算の計画的な削減計画というのは、文書としてはつくっておりませんけれども、方針としては、先ほど来私が説明いたしたように、持っておるものです。
 税制の中立ということをよくおっしゃいますけれども、これは、私、先ほど申しましたように、いわゆる財政担当の側と国会との間のちゃんとした信頼感が……(発言する者あり)いやいや、そっちの方も大事なんですよ。そっちの方がむしろ増税は絶対反対なんですから、その関係を、私は、こういう税制中立、こんなスタイルでやらなくても、時々の情勢に応じた税制改正を国会の場ですっと承認してもらうような習慣を国会もつけていただいたら結構やと思うんです。もう増税となったら絶対に反対なんですよ。現に、今でもたばこを一本一円上げるのは反対なんですからね。
 ですから、こういうことを決めましたら、そうしますと、なかなか増収を図るということは難しい。そこで、減税と見返りとしてこういうことをいたしますということをセットにしてやっておるということで、その点は理解をしていただきたい。
 これが、一回運用してまいりましてスムーズにいくようだったら、税制中立というこんなセットにした話じゃなくて、もっと機動的な話が持ち込める、柔軟な話が持ち込めるような状況にしてもらうのも私はいいと思っております。
中塚委員 この多年度税収中立の増減収見込み額試算を見まして、恐らく財務省は余り出したくなかったのかもしれないけれども、できれば、本当は項目別にきっちりと年度を追って出してほしいんですが、税自体は、そうやって改正をすると増収なり減収なり大体わかるわけですね。それであるならば、減税をしたときの財源を行政改革によって捻出するということだって、私は、年度ごと、こういうふうに予算を削っていくんだというふうな計画を立てることがあってしかるべきだろうと思いますし、また、二〇一〇年代の初頭にプライマリーバランスを回復させるということであるならば、やはりそういったものが必要になってくるはずだろうと思います。
 次に、消費税について伺いたいんです。
 かつて、消費税についてもいろいろと資料なんかお願いしたことがありまして、簡易課税制度とか免税制度、これによって幾ら減収になっているんだというふうな話を財務省の人なんかともしたことがあります。そのときは、いや、大したことありませんという話がほとんどで、免税、簡易課税による減収、こういうのは大したことないという話で、企業も、そして納税する人からも、また政府側の徴税コスト等の見合いであっても、それを考えたら余り大したことないんですというふうな答えだったんですけれども、今回それを圧縮するということになりました。
 圧縮するということは、もちろん皆さんは不公平感の解消とかそういう話をされるんだろうと思いますけれども、一つは、やはり金がないということなんでしょうね。もう一つは、将来引き上げるということの大前提というふうに思いますが、そこはいかがですか。
谷口副大臣 今おっしゃった消費税の特例措置のあり方について、政府税制調査会の基本方針がございまして、これを見ますと、「制度創設から既に十三年が経過しており、制度全体に対する国民の信頼性、制度の透明性を向上させる観点から、早急に抜本的な改革に取り組むべきである。」と指摘をされておるわけでございます。
 こういうことの中で、今回具体的に、一つは免税点制度になるわけでございますが、これは特例制度にもかかわらず、この制度によって約六割の事業者が免税になっているということ、また、免税点制度によって、消費者が払った税が国に納められていないのではないかという消費者の疑念があるということ、このようなことがございます。
 また、簡易課税制度につきましては、中小企業者が納税額の損得計算をした上で適用している実態が認められること、そもそも簡易課税というのは、実額計算ができないという企業に対して簡易課税制度を認めたわけでございますが、実態は、損得計算をした上で有利な方を選択しているというような実態が見受けられるわけで、このような観点から見直しが必要とされたわけでございます。
中塚委員 それは私の申し上げたとおりなんですが、やはり将来の消費税の引き上げということを視野に入れて、今税制改革初年度ということなんでしょうし、そしてまた、財政当局としても、お金がないということもあってこれを圧縮されるんじゃないんですかという問いだったんですけれども、なかなかお答えをいただけない、そうだとはおっしゃらない。小泉総理がやっている間は上げないとおっしゃっているんですから、そういう答えになるのかもしれませんが、ただ、今までおっしゃっていたことと本当にそこは余りにも違い過ぎる部分がありまして、委員会の席ではありませんけれども。
 例えば、免税点の水準なんかは、経済がどんどん拡大していけば三千万なんて、天井なんかすぐ突破するんですよというふうな説明をずっと財務省の方はされていたわけですよ。そういうふうな御説明をされていたにもかかわらず、なぜ今になって簡易課税制度や免税点制度の圧縮をしなきゃいかぬのかということになれば、やはり意図があるんじゃないかなと。
 意図というのは二つあって、何といってもお金がないということ、財政的に厳しいということと、あともう一つは、将来の引き上げということがあるんではないかというふうに私は思います。
 次に、多年度税収中立ということで、前回もちょっとお伺いをしましたけれども、やはり規模の問題ということが関係してくると思うんですね。減税の規模、後から増税が待っているというだけでもやはり消費に対しては余りいい影響は与えないでしょうけれども、来年度から始まるほかの施策等勘案をしても、これが景気に対していい効果をあらわすとはちょっと思えない。
 大臣は、これで景気はよくなるというふうにお考えのようですが、改めてお伺いをしますけれども、多年度税収中立税制、今回の税制改正で日本経済がよみがえる、景気がよくなるというふうにお考えなんでしょうか。
塩川国務大臣 さんさんたる輝きのよみがえりということは、これはなかなか難しいだろうと思います。けれども、先ほど申しましたように、明るく、前向きに、積極的に取り組んでいこうという気分が生まれてくる。これは、私は、経済の活性化に大きい活力になってくると思って、期待しております。
中塚委員 終わります。
小坂委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 最初に、タウンミーティングの話をよく大臣もされるので、タウンミーティングの問題から少し伺っておきたいと思うんです。
 実は、一月二十八日の参議院の予算委員会で、塩川大臣は、「全国で十一か所、タウンミーティング、一般の方をお越しいただいて公聴会をやりました。一会場平均しまして五百五十人、」というふうな発言をしておられるわけです。しかし、主税局からそのころもらっていたんですが、私も見ておりまして、塩川大臣が出席された大津市で二百三十五人、長崎市で百九十二人、那覇市で百六人ですから、出席した三会場合わせても五百三十三人なんですね。大臣は一会場平均五百五十人と言うてはったわけですが、これは大臣、忘れましたという話かもしれませんが、三会場合計よりも多い。勘違いしているのではないかと思うんですね。十一会場の合計が千九百二人ですから、一会場平均百七十三人、こういうことになります。
 実は民主党の山下参議院議員の質問のときだったんですが、平均五百五十人というのは答弁としては誤りなんですね。これは、テレビが入っていましたから、テレビを見ておられた国民にもうそを言ったことになってしまうんですね。私、大臣が忘れはることはあると思うんですよ。事務方の主税局の方が委員会当日にも大臣にすぐ訂正のメモを渡して、大臣、次の発言、ちょっと直しはった方がよろしいとか言わぬのは何でかいなと。会議録の訂正の機会もあったんですが、大臣に事務方の方からそれを勧めてもいないものですから、とうとう正式の会議録になっています。
 私、思うんですが、国会というのは、寄席で漫談をやっているわけじゃないんですから、タウンミーティングの出席者が百数十人と、百人ちょっとと少ないときもあるんですが、平均五百五十人で大きく成功したような話になると、「講釈師見てきたようなうそを言い」というのが、寄席だったらそれでいいんですが、やはり国会答弁としては困るわけですね。
 別に大臣に悪意はなかったと思うんですが、これはその後、会議録も訂正されておりませんので、とりあえずこの機会に大臣の方からきちんと訂正しておかれた方がいいと思うのです。
塩川国務大臣 国税局がそういう数字を出しておるんですか。どこからその数字が出ておるんですか、あなたがおっしゃった。私はそれ知りません。そうならば、私に報告があるはずです。それは、その担当した者が非常な怠慢です。
大武政府参考人 答弁させていただきます。
 私、申しわけないことながら、大臣の答弁が五百幾つだというのを存じ上げませんでした。
 今、私どもは、税についての対話集会、それぞれ十一カ所やらせていただいて、一会場、大体百数十人から二百人ぐらいの規模でやらせていただきました。ただ、それ以外に実は大学でもやらせていただいて、これはもう少し多い規模だったと思っています。それぞれ発表させていただきましたけれども、私どももその大臣の御発言につきまして確認できなかったのは、この際、私からわびさせていただきます。
塩川国務大臣 その数字は、恐らく座って、記帳した者の数字じゃないですか。参加した数字と記帳した数字とは違うのは当たり前ですよ。
吉井委員 そうじゃなくて、参加者の数字として、これは主税局の方からちゃんと出てきている数字なんです。
 ですから、私、塩川大臣、今あなたを責めているんじゃないのよ。そうじゃなくて、大臣が勘違いすることもあるわけだから、主税局はちゃんとこの資料をまとめているわけですから、その場で直ちに大臣に、ちょっと五百五十と言わはったけれども、あれちゃいまんねんと訂正のメモを回して、そういうふうにちゃんと言うといたらいいわけだから、私、それを言うているんで。後ろで、事務方の方でちゃんとそこ、答弁しはる。事務方からもらった資料は、ちゃんと一回目は何人という、みんな資料をもらっているから。
塩川国務大臣 私は、ずっと見たら、出入りもありますし、事実、皆、出たり入ったりしているんですから。それと、きちっと座って、記帳して、登録した、役所のことですからそんなことはきちっとやっていると思うんですよ。それは、きちっとした、書いたものはそんな程度かもわかりません。私には報告ありません、そんな話は。
 ですから、私は、おおよそ見て、四、五百人ぐらいの出入りはあるなという感覚で見ておるし、長崎の場合は確かに会場が小さかったです。ですから、あれは少ないかなと僕は思っておりますけれども、しかし、それぞれ盛会であったということを報告を聞いておりまして、アバウトなことで言うと、四、五百人はおるんじゃないかということであります。
大武政府参考人 御答弁させていただきます。
 今大臣が言われたように、実際にそこにいた人をとると、かなり多かったかもしれません。ただ、参加者以外の方もいらっしゃったわけです。ですから、いわゆる実感としては、いろいろな人がいました。ただ、いわゆるサインをして、大臣が言われるように参加者として傍聴された方というのは、確かに多いところでは二百人を超しておりますけれども、二百数十人から百数十人、こういう程度であったかと思います。それは一応、広報という意味で、税の対話集会関係資料ということで委員会の先生方にはお配りしたのではないかと思っております。
吉井委員 私、この数字にこだわってやっているわけじゃないんだけれども、税の議論が余りにもアバウトな話になったらとんでもないことなので、大体一会場平均百七十三人が五百五十人という話になると、アバウトにしても、少し税の方はきっちりやってもらわぬと困ると思います。
 主税局長に伺いますが、このタウンミーティングで免税点一千万円ということを諮ったことはないというふうに主税局からレクを受けているんですが、一千万円に下げて、これはどうですかと直接聞いたことはありますか。
塩川国務大臣 私は一千万円と言いましたよ。それはたしか津でやったときです。津でやったとき質問がありまして、それに対して、一千万円ぐらいの免税点にするのがいいんじゃないかということを私から言いました。
吉井委員 主税局の方からのレクで、免税点一千万円というので御意見はどうですかとか、こういうことを諮ったことはないということです。
 一月二十四日の予算委員会で、大臣の方からは、いろいろタウンミーティングで意見を聞きました、一千万円だったら、農家の人もあるいは零細企業の人々も事務的な制約から助かるということでございました、そこで、一千万円ということを想定してやったということでございます、というのが大臣の答弁なんです。
 会場のアンケートで、一千万円の賛否を問うたという設問はなかったわけですね。後半のタウンミーティングが始まる前の七月十三日に塩川大臣は、免税点は一千万円に引き下げる方針であるという記者会見をしておられる。それは私も読んでいます。だから、一千万円の話というのは、会場の意見集約で一千万円になったということじゃなくて、今、大臣、私が提案したというお話ですが、そういうことで、七月の方針ということで、既に記者会見で言っておられるわけだから、それを会場で大臣の方が自分の考えとして言った、こういうことですね。
塩川国務大臣 いろいろな質問がございましたよ。私の方から積極的に、一千万円ぐらいだったらどうですかと言ったら、まあその程度だったらという声が多かった。ということは、私は、その点についての賛同は得ておるという感触でした。
吉井委員 百数十人ぐらいの賛同で、それも、その中の数字が何%というのを見ていますけれども、一部のお話があって、それでみんなの賛同を得たということで簡単に税制改定に取り組むということをやってもらっちゃ困ると思うのです。
 次に、経済産業省の方に伺っておきますが、消費税の価格への転嫁の状況からして、免税点を三千万から一千万に引き下げたときに、二〇〇二年度の現状で見ればどうなるかということを調査しておられると思うので、伺いたいのです。
 一つは、あらかじめ見せていただいた資料を見ておって私もわかったんですが、消費税がほとんど転嫁できなくて、完全に損税になる業者がいますね。それから、仕入れ段階の消費税分、あるいは購入分に三分の一あるいは三分の二を転嫁しているところ、これは三分の二ないし三分の一という部分は今度は損税になるわけです。それから、仕入れ段階の消費税分のみ転嫁している業者は、現在もちろん益税にはなっていないんですが、今度は損税ということになってくるわけです。それから、仕入れ段階の消費税分に加えて、みずからの納税負担部分の一部を転嫁している人というのは、今一部益税になっているんですね。しかし、今度は、一部転嫁だけですから、一部損税が生まれてきます。完全にすべてを転嫁している業者、これはいわゆる益税業者と言われているところですが、それぞれ中企庁の方の調査でどういうふうになっていますか。
斉藤政府参考人 御説明申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、昨年の八月、九月にかけまして、中小企業者に対する消費税の転嫁状況に関する実態調査を実施いたしました。アンケートということでございますので、約一万社から回答をいただいたということでございます。
 その調査によりますと、ちょっとまとめた数字で申し上げますと、売上高一千万円から三千万円以下という、今回新たに対象になりますものにつきまして、仕入れ段階の消費税またはそれを上回るものを転嫁しておると言っております事業者の割合が五五・八%ということでございます。したがいまして、残りは、完全に転嫁できていない、あるいはその一部分しかできていないという事業者が四四・二%ということでございます。
 その内訳は、事業者別の段階別、それから区分といたしましては、ほとんど転嫁できていない方、あるいは三分の一程度、三分の二程度ということで非常に細かく出しておりますが、全体として見ますと、今申し上げました転嫁ができないというトータルの数字、平均値に対しまして、規模の小さい人であるほどやはり転嫁ができてない、あるいは一部分しか転嫁ができないという割合がふえて、例えば最終区分でございます二千五百万円から三千万円ですとかなり転嫁ができております、あるいは、転嫁は消費税の自分の負担分を上回っておりますという事業者の割合がふえておるという状況でございます。
吉井委員 今調査された同じ資料を見ているわけですが、すべてを転嫁した事業者は三八・七%。ですから、結局六一・三%は転嫁できていない業者で、損税になるんですね。この内訳を見ると、完全に損税になるのは四四・二%、今おっしゃったように、ほぼすべて転嫁できているから、完全転嫁を差し引いた一七・一%が一部損税になるわけですね。ですから、何か、益税だ、益税だというお話ありましたが、実態は六割が損税、こういうことになるというのが中企庁の調べられたものでも出てくるんじゃありませんか。
斉藤政府参考人 御説明申し上げます。
 私どもは二つの調査をいたしました。一つは、現在既に消費税をどうしているかということでございまして、先ほど御説明申し上げました……(吉井委員「いや、両方知っているから」と呼ぶ)はい、それから、今後についてどうかという点につきましては、今委員……。それから、事業者の区分別で数字が随分ばらけておりますので、それにつきましては、もし必要であれば詳しく御説明申し上げますが、ほぼ……(吉井委員「言っていることはそのとおりですね」と呼ぶ)はい。
吉井委員 ですから、結局六割強の方が損税になる、これは中小企業庁の調査によって明らかになったわけです。
 引き続いて伺いますが、下請、孫請の工務店なんかの例を考えてみると、中小企業庁とは、私、かつて商工委員会などでよく議論させてもらいましたが、これまで自動車、電機の中小下請企業が単価を不当に切り下げられる、苦しめられてきたと何度も議論しました。下請取引を監視する職員も、中小企業庁でも公正取引委員会でも増員するようにということを求めてきました。そういう努力もしてもらいました。
 先日、財務省に要請される業者の方々に同行したときに、私は話を聞いて疑問に思ったんですが、今、親企業から工賃を徹底的に切り下げられているんですね。不況ということもあって切り縮められる。しかし、そこの契約する工賃には当然消費税を見てもらわなきゃいけないんですが、おまえのところ、消費税分はまけろと、つまり消費税はおまえのところで持てという話になってくるんですね。これを断るとこの不況の中で仕事が入らなくなりますから、大変深刻です。
 この点では先に財務省に伺っておきたいんですが、消費税法第五条で、納税者は消費税を納める義務があるとあるんですが、この場合、消費者である親企業に納税義務があるのか、消費税をもらっていなくても下請企業の側に納税義務があるのか、法律上の規定ではどうなりますか。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 それは、法律上は実際にその付加価値を生んだであろう方が払うということになっていますので、下請の方に払っていただくという仕組みでございます。
吉井委員 今御答弁されたように、消費税法第五条で言うと、親企業の方は納税義務者であるはずなんだが、消費税を負担しないんですよ。下請企業の側が、付加価値を生み出すということで納税義務を負わされる。
 工務店なんかに関係した分野でいいますと、かつて、ゼネコンが仮に一億で請け負うと、大体まず下請に八千万とかそれぐらいで、さらに下請、孫請、ひ孫請とずっと行くわけですが、下になったら大体五千万ぐらいになるわけですね。
 今、建設単価を徹底的に切り下げているときですから、契約の建設額というのは、かつて一億が七千五百万とかになってくるわけです。しかし、ゼネコンの方は昔どおり、二千万なら二千万、利益はちゃんとはねるわけですね。そうすると、下請、孫請、ひ孫請となっていくと、実際には、かつて五千万ぐらいだったのに、四千万を切ってくる。その仕事を、そのまた下の部分下請の業者に切り下げた単価が押しつけられてくるということで、もちろん、そこに消費税などはもらえないわけです。
 これが普通になっている下請工務店などの実態なんですが、元請の優越的地位の乱用はもちろん明白ですけれども、この結果として、消費税を下請工賃に上乗せさせてもらえないこの業者を公正取引委員会としてはどのように調査して指導しておられるのか、これを公取に伺っておきたいと思います。
楢崎政府参考人 御説明いたします。
 下請法上、下請代金の額は消費税相当額が含まれた代金でございます。したがいまして、下請代金から消費税相当額を減ずる、あるいは下請代金から消費税を転嫁しないという問題につきましては、下請法上問題となる行為でございますし、そういったことがないように、こういった考え方を、消費税の導入時あるいは引き上げ時にガイドラインをつくって明らかにしているところでございます。
 また、導入時とか平成九年の引き上げ時等につきましては、消費税の転嫁が十分行われているかどうかということについて実態を調査しておりまして、その時点ではほとんどの事業者が転嫁をしているというような結果が出ているところでございます。
 ただ、最近非常に厳しい状況の中で、消費税の転嫁がなされているかどうか。これにつきましては、私ども、下請事業者十万業者、親事業者と下請事業者に対して書面調査等を行っているところでございますが、そういった書面調査等を通じて、今後消費税の転嫁等につきまして実態を把握し、そういう不当な、転嫁がなされていないというふうなケースがあるとすれば、下請法上適切に対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
吉井委員 当初、ガイドラインをつくって云々の話は私も知っているんです。だけれども、現実にできていないんですね。だから、あなたの調査しておられるレベルよりもっと下の層、そこでは実際には消費税を工賃に上乗せすることができていないという、この実態が全国で何万件あるとか、どれぐらいあるのか、どういう状況になっているかについては調査できているのかということを伺っているんですが、どうですか。
楢崎政府参考人 詳細な実態は把握しておりませんですけれども、そういうような実態にあるとすれば問題でございますので、今後、下請事業者に対する書面調査等の中におきまして、転嫁の状況等について調査項目等をふやしまして、実態の把握に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
吉井委員 これからその項目をつくってやられるということなんですが、下請工務店などの場合は、契約時にまず消費税分値切られるわけですね。その申告のときに、契約額と別に消費税分は支払われておりませんとは書けないわけですよ。これを書いて、税務当局から親企業に行ったら大変だという思いもあって、そういうことは書けないんです。書いたら次から仕事が回ってこないという問題もありますが、書いたところで、税務署の方は、おまえが払えということになるわけです。ですから、現実には、優越的地位にある者から守られていない。その結果、身銭を切ることになっているというのが現実の姿なんです。
 そこで、塩川大臣、こういう身銭を切るという状態になっていることについては、これは仕方がないというふうに思わはりますか。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 消費税は、消費一般に広く負担を求める間接税でございますから、価格への転嫁を通じて、最終的には消費者への負担をお願いする税でございます。したがいまして、今後、この改正後においても、事業者が円滑かつ適正に転嫁できるように広報、指導、相談等、全力で取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
吉井委員 大体、価格転嫁できるようにと、今までできていないんですね。できるように広報、指導をやってできるような話じゃないんです。だから身銭を切ることになっているんですよ。それを、それは仕方がないことだというふうに大臣は思わはりますかということを大臣に一言だけ伺っているんです。
塩川国務大臣 そういう点等いろいろ考慮しまして、免税点一千万円までということを決めておるということでございまして、消費税も、一方からいいますと、消費税をきちっと払っておる消費者側から見ますと、やはり透明性を明確にしてほしいという要望が強いのは当然だろう。その辺の折り合いのところを私は一千万円という判断をしたということでございます。
吉井委員 それは、ちょうどトイレに行ってはったときにお話ししておったんですけれども、要するに、一千万に今度免税点を下げますと、これまで三千万の人たち、もらった分は全部もちろん税金で払うわけなんですが、今部分的にしか転嫁できていない。転嫁できていない人は全部損税になるんですね。それは六割あるんです。だから、消費者から見ると不信の目で見られると言う前に、そういうことをきちんとやはり知られるようにしなきゃいけないと思うんです。
 現在、零細業者で、消費税を価格に上乗せして転嫁できなくて、仕入れにかかる消費税を自腹を切って支払っている、損税になっている業者はどれだけいるのか。逆に、転嫁して、仕入れ税額との差額、すなわち益税になっている業者はどれだけいるのか。中小企業庁の方のアンケート調査とは別に、財務省としては実数でつかんでおられるかと思うんですが、財務省に伺っておきたいと思います。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 先生十分御存じのとおり、物やサービスの価格というのは市場の需要と供給のバランスで決定されますので、転嫁の状況は全く区々でございます。したがって、いわゆる益税と言われるもの、どの程度発生するのか、定量的な把握は困難かと存じます。
 例えば、先ほど中小企業庁が言われました十四年夏の調査というのも、現在免税となっている事業者に、将来課税事業者になったときの意識調査というのをされているわけですが、それも、要するに、今は免税業者ですから、仕入れにかかる税分だけをいわば転嫁できているかできていないかなんですが、そのアンケートによるとかなりそこはあいまいな議論になっているわけでございまして、それを五%なら五%丸々転嫁というのまで含まれたり、逆に三分の一とかいろいろ書いてございましたように、まさにそこのところはあいまいで、今言われた意味で損税か益税かは、そういう判断をみんな、付加価値率を見ないとわからないものですから、それはちょっと数字としては困難かと存じます。
吉井委員 今おっしゃった話も、私もそのアンケートの結果を見て、それは、五二・三%という数字もちゃんとわかった上で質問をしております。
 それで、要するに、実態がわからないということなんですが、しかし、消費税を課税すると、益税どころか、仕入れ税額を支払ってあるのに最終段階の消費税負担がすべてかけられてきて、完全な損税となるだけじゃなしに、中には二重課税になる業者も出てくるわけです。さきの例は下請取引の場合なんですが、商店街の方へ行くと、この深刻な消費不況ですから、デフレの中で大きな店の安売りに押されて、これまで五%の消費税分をちょうだいしていません、そういうふうにしないと商売できないという零細業者にとっては、これは本当に大変な問題です。
 損税になっている業者であっても、税務署は身銭を切って消費税を払わせるということですが、払えないと滞納だということになりますね。滞納だということで、今度は利子税の七・三%ないしは延滞税の一四・六%の高金利で滞納処分を行っているということになるんじゃありませんか。
大武政府参考人 手元に正確な数字を持っておりませんが、今言われました延滞税の額は、昔は七・一ですけれども、今は公定歩合連動になっていますので、かなり下がっているかと存じます。
吉井委員 利子税と延滞税のどっちかを使うんですね。私言ったように、七・三ないしは一四・六%の高金利で滞納処分ということになってきます。
 損税の業者から消費税を支払わせる、払えないと滞納処分ということになってくるんですが、国税庁の方は、まず、この滞納処分のときに真っ先に売掛金や銀行預金の差し押さえをやって、これをやってくると、次の仕入れや資金の回転に支障を来すということが現に出ております。免税点を一千万に下げるということは、こういう業者がふえるということになると思うんですが、これは大臣、日本の経済のあり方としても、こんなことが進んでいったら困る話じゃないですか。
塩川国務大臣 その実態は私は正確に把握しておりませんけれども、そういうような業者も存在することは事実だと私は思っております。ですから、そういう方々に対しては、その事情を十分調査して税務署が対応していく必要があるだろう、指導する必要もあるだろうと思います。しかし、また一方においては、税の執行も公平に、しかも透明に実施するということがございまして、国税当局としても十分な配慮をするように十分に申達をしておきます。
村上政府参考人 お答えいたします。
 消費税に限らず、もちろん、あらゆる税金が滞納されれば滞納整理になるわけでありますが、必ずしも、今先生御指摘の売掛金を差し押さえるとか、すべてそうやっているわけではなくて、あくまでその納税者の実情に応じて滞納整理を行っているつもりでございます。
吉井委員 消費税の滞納ということで、実際に、進んでいる現場の実態はなかなかすさまじいものですよ。
 大阪国税局長が税務署長にあてて出して、そういうのを指示しておられますけれども、今後においても消費税を中心とした滞納の累増が見込まれること等から、滞納残高の増加が懸念されると。対象事案は原則として百万以上とするということだったんですが、今度は五十万なんですね。ただし、消費税については、滞納が増加傾向にあることを踏まえ、対象基準額を五十万円以上に引き下げて実施すると。
 どういうことをやるかということについても、国税局長は指示しているんですよ。差し押さえ財産は、銀行預金、売掛金等の換価及び取り立てが容易で早期処理につながる効果的な財産を選択すると。ですから、今の答弁とは違って、現場の実態は、これは大阪国税だけじゃないですよ、名古屋の国税もそうですよ、そういう形で徹底してやるんですよ。
 だから、一千万円に引き下げた。実際には損税になっているんだけれども、しかし、ここに税金をかけていく。しかし、お客さんからは消費税をもらえませんから、現に経営が大変な中で言われたって、なかなか身銭切って払えない。そうすると、滞納だ、滞納処分だということで、利子税ないしは延滞税に相当する高金利のものはかけるは、それが払えなかったら今度は差し押さえがやってくる。
 こういうふうなことをやったら、塩川大臣は、「いろいろとタウンミーティングで意見を聞きましたら、まあ一千万円だったら、農家の人もあるいは零細企業の方も事務的な制約からは助かるということでございました。そこで、一千万円ということを想定してやったのでございます。」という答弁なんですが、公取の方も下請取引の実態を十分つかめているわけじゃない。現実にこういうことが進んでいるわけですから、一千万円の免税点に下げて問題は生じないというふうにはとても判断できるような話じゃないと思うんですが、ここのところはやはり大臣に伺っておきたいと思います。
塩川国務大臣 私は、一切トラブルは起こらないということは思っておりません。それは起こるであろうと思います。
 けれども、そういうことに対しては、事情等を十分に調べて、要するに理解してもらうように、そして協力してもらうように努めるというのが現場の仕事だと思っておりまして、そのように扱うよう、十分な注意をするよう私どもの方から示達をするということであります。
吉井委員 理解を求めるといって、要するに取り立てるわけなんですよ。身銭を切らないと払えない人に理解をしてもらうということは、では、あなたはよろしいというわけじゃないですからね。しかも、それがうまくいかなかったら、売掛金、銀行預金の差し押さえまでやっているというのが現場の実態なんです。今、消費税をめぐって、消費税の滞納税額も物すごくふえているというのは聞いてはると思いますが、現場では大変なことになってきているんですよ。
 次に、では零細業者でどういう問題が起こってくるかということを見ていきたいと思うんです。
 私なんかも、町のたばこ屋のおばあちゃんなんか、私自身はたばこを吸いませんけれども、昔からの知り合いとかがおります。昼間は細々と八十歳のおばあちゃんが店に座って、夜は自動販売機だけでやっているというたばこ屋さん、町によくある話ですが。一日に百十箱程度、マイルドセブンの二百五十円、もっと高いのもあるにしても、大体これで一千三万七千五百円ぐらいの売り上げになってくるんですよ。たばこ屋の粗利益率は一〇%から一一%ですから、売り値が決まっているから粗利益は百万円。光熱費など必要経費を差し引いて所得金額八十万ということになるんですが、このおばあちゃんは、老年者控除五十万、基礎控除三十八万円だけですから、所得控除合計額は八十八万円で所得税はゼロ。つまり、税務署用語で言えば無資格者ですね。
 免税点を一千万にすると、これは課税事業者になりますが、消費税が幾らかかるかということを見ていきますと、帳簿をつけて、納品書、請求書、領収書を残されていて、おばあちゃんが税務申告したとして、簡易課税ならみなし仕入れ率、第二種で八〇%です。これでいきますと、消費税五%で五十万円、その二〇%で、一〇〇引く八〇ですね、十万円が課税額というふうになってくると思うんです。これはちょっと実務的なことですから、事務方の方に。こういうふうになりますね。
大武政府参考人 お答えさせていただきます。
 突然ですのであれですけれども、一千万円であれば、それのいわゆるみなし仕入れが八割として二割ですから二百万円、それの五%ということになりますので、今の数字でいえば十万円になる。
 ただし、今の場合も、実際上多分、みなし仕入れでなくて実際計算されるともう少し低いんではないかという気もいたします。その辺のところは、あくまでもみなし仕入れ率という数字をどの程度に置いているかということに係りますから、実際上は多分、もっと低くて済むのかなと思っております。
 以上でございます。
吉井委員 これは、あなたが計算しても私が計算しても、単純な話は一緒になるわけです。
 仮に簡易課税を選択すると、課税事業年度の開始の前日までに、つまり十二月三十一日までに郵便局の消印が押されていないとだめなんですね。このおばあちゃんの場合は、届け出の意味がよくのみ込めないまま出し忘れたということになると、これは本則課税ということになります。帳簿をつけたことのないおばあちゃんに消費税の仕組みを理解してもらって帳簿をつけてもらう、記録も残してもらうということは、これはなかなか大変なことですが、本則課税の計算をしてもらうのはそもそもなかなか大変なんですよ、こういう方の場合。計算が無理だったら、税務調査官は、消費税法三十条の仕入れ税額控除は認められないといって、消費税額五十万円、三年過ぎていて調査三年遡及となると、百五十万円の消費税を求めるということになってきて、これはなかなか大変な話なんですよ。
 だから、免税点一千万円の話というのは、実際には、町の零細な業者の方からすると、そんな簡単な話じゃないということをまず見なきゃいけないと思うんです。所得金額八十万、無資格者のおばあちゃんが簡易課税で十万円払うと所得は七十万ということになりますし、届け出ていないからということで五十万の消費税ということになってくると、これは年間所得三十万というふうになってくるし、三年遡及の百五十万なんというようなものは、この人の二年分の所得で払えるわけはないんですね。
 ですから、タウンミーティングで何か大方の理解を得たようなお話ですが、何しろ損税になる人が六割というのが調査で出ているわけですから、本当はこうしたことをきちんと検討するのがそもそも必要であったと思うんですが、この点大臣、どういうふうにやりましたか。
塩川国務大臣 こういう問題はどこで線を引くかということは非常に難しい話ですが、しかし私は、事務当局の方から聞きましたら、一千万円にしても、いわゆる免税業者の約四割が免税業者になるということでございますので、それだったらば、かつては、三千万円のときには六割五分ですか、六五%が免税業者だったというので、二五%ぐらいは要するに記帳してもらわなきゃならぬなということになってくるんですけれども、どこで線を引くかというのは難しい。
 そこで、おっしゃるように、これからの税務署の対応というものも非常に大事でございます。そういう方が簡単に気楽に相談できるように、税務署の中で相談業務を充実さすようにする。そして、納税協会だとか民商等に相談に行ったら、いろいろとまた相談料も取られるかもわからぬから、税務署へ来てくれたらただで済みますよということも十分にやっていきたいと思っております。
 御協力と御理解をいただきたいと思っております。
小坂委員長 村上国税庁課税部長、時間が過ぎております。手短にお願いします。
村上政府参考人 今の大臣の補足させていただきますが、国税庁では、従来から、小規模事業者に対しては記帳指導、記帳説明会ということをやってまいりました。
 また、免税点が引き下げられますと、もちろん課税事業者がふえるわけでありますが、先ほど先生の御指摘されました例は所得税はゼロなのかもしれませんが、多くの方は既に所得税、法人税の納税者であるかと思いますので、一定の帳簿なりで申告をなされているんだと思います。
 したがいまして、新たに消費税の納税者になられた方がすべて記帳指導が必要かどうかはよくわかりませんが、少なくとも記帳指導を必要とする方に対しましては、できるだけ記帳指導の対象とするなどいたしまして、適正な申告ができるように努めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、そういうきめ細かな指導に努めてまいりたいと思っております。
吉井委員 記帳すれば納税できるような話だったら、だれも苦労しないんですよ。身銭を切ってやっているんですから。そして、その人たちが、現実には、預金の差し押さえだ、売掛金の差し押さえだと現場でやられているんですよ。大変なことになっているんですよ。消費税の滞納がひどいのもそうでしょう。
 きょうは、もう時間が来ましたから、ここで置いておきますが、続きはあしたやりますが、大臣言われた、四割が免税業者だからいいじゃないかということじゃないんです。免税業者でなくても損税になる、損税の業者が六割出ているということは大問題だと思うんですよ。気楽に増税することが問題なのであって、こういう増税の話がなければ、そもそもこういう問題は起こらない。
 続きはあしたの委員会でやりたいと思います。時間が参りましたので、終わります。
小坂委員長 次回は、明二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時一分散会


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