衆議院

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第10号 平成15年4月2日(水曜日)

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平成十五年四月二日(水曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 林田  彪君 理事 渡辺 喜美君
   理事 生方 幸夫君 理事 松本 剛明君
   理事 上田  勇君 理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    坂本 剛二君
      砂田 圭佑君    田中 和徳君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    萩山 教嚴君
      林 省之介君    増原 義剛君
      三ッ林隆志君    山本 幸三君
      五十嵐文彦君    井上 和雄君
      上田 清司君    大島  敦君
      小泉 俊明君    佐藤 観樹君
      仙谷 由人君    中津川博郷君
      永田 寿康君    平岡 秀夫君
      山田 敏雅君    赤羽 一嘉君
      石井 啓一君    遠藤 和良君
      達増 拓也君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   議員           佐藤 剛男君
   議員           滝   実君
   議員           谷津 義男君
   議員           赤羽 一嘉君
   議員           上田  勇君
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        鈴木 孝之君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    大武健一郎君
   政府参考人
   (国税庁次長
    兼長官官房審議官事務
    代理)         福田  進君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   障害保健福祉部長)    上田  茂君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     三ッ林隆志君
  小泉 俊明君     大島  敦君
  平岡 秀夫君     山田 敏雅君
  遠藤 和良君     赤羽 一嘉君
同日
 辞任         補欠選任
  三ッ林隆志君     山本 明彦君
  大島  敦君     小泉 俊明君
  山田 敏雅君     平岡 秀夫君
  赤羽 一嘉君     遠藤 和良君
    ―――――――――――――
三月二十七日
 酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)
四月一日
 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇四号)
三月二十五日
 金融アセスメント法の法制化に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一〇三六号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一〇三七号)
四月一日
 島民の生活安定と産業の振興のために離島における揮発油税の軽減に関する請願(山田正彦君紹介)(第一二六〇号)
 同(山田正彦君紹介)(第一二八八号)
 島民の生活安定と産業の振興のために離島における消費税の免除に関する請願(山田正彦君紹介)(第一二六一号)
 同(山田正彦君紹介)(第一二八九号)
 消費税の税率引き上げ反対に関する請願(山口わか子君紹介)(第一二八五号)
 所得税の課税最低限引き下げ等反対に関する請願(山口わか子君紹介)(第一二八六号)
 金融アセスメント法の法制化に関する請願(塩田晋君紹介)(第一二八七号)
 同(吉田公一君紹介)(第一三七五号)
 所得税の基礎控除引き上げによる課税最低限度額の抜本的な改正等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三五五号)
 同(石井郁子君紹介)(第一三五六号)
 同(小沢和秋君紹介)(第一三五七号)
 同(大幡基夫君紹介)(第一三五八号)
 同(大森猛君紹介)(第一三五九号)
 同(木島日出夫君紹介)(第一三六〇号)
 同(児玉健次君紹介)(第一三六一号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一三六二号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第一三六三号)
 同(志位和夫君紹介)(第一三六四号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一三六五号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第一三六六号)
 同(中林よし子君紹介)(第一三六七号)
 同(春名直章君紹介)(第一三六八号)
 同(不破哲三君紹介)(第一三六九号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一三七〇号)
 同(松本善明君紹介)(第一三七一号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一三七二号)
 同(山口富男君紹介)(第一三七三号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一三七四号)
は本委員会に付託された。
三月二十七日
 個人消費を減退させ、景気回復を遅らせる大衆増税反対に関する請願(第八〇〇号)は「鉢呂吉雄君紹介」を「金田誠一君紹介」に訂正された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)
 酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案(谷津義男君外七名提出、第百五十四回国会衆法第四五号)


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案及び第百五十四回国会、谷津義男君外七名提出、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案の両案を議題といたします。
 酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣塩川正十郎君。
    ―――――――――――――
 酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
塩川国務大臣 ただいま議題となりました酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、酒類小売業に係る免許に関する規制緩和の進展等に伴う酒類業をめぐる環境の変化を踏まえ、酒類販売業等の免許の要件を追加するとともに、酒類小売業者は酒類販売管理者を選任しなければならないこととする等所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、税務署長が酒類販売業等の免許を与えないことができる要件として、未成年者飲酒禁止法または暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律等の規定により、罰金の刑に処せられた者である場合を加えることとしております。
 第二に、財務大臣は、酒類の取引の円滑な運行及び消費者の利益に資するために定められた酒類の表示の基準のうち、特に重要と定める基準を遵守していない酒類販売業者等に対し、その遵守を命令することができるよう所要の改正を行うこととしております。
 第三に、酒類小売業者は、未成年者飲酒禁止法等の酒類の販売業務に関する法令の規定を遵守した適正な販売管理が確保されるよう、販売場ごとに、酒類販売管理者を選任しなければならないこととする等の規定を設けることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
小坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次に、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案につきましては、第百五十五回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
 酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
小坂委員長 この際、ただいま議題となっております両案中、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案に対し、七条明君外二名から、自由民主党、公明党及び保守新党の共同提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。七条明君。
    ―――――――――――――
 酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
七条委員 ただいま議題となりました酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案に対する修正案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を申し上げます。
 修正案は、公正な競争環境の整備、これをまず第一点としまして、もう一つは青少年の健全な育成の重要性等の観点から、原案を修正するとともに、その内容を次のとおりといたしております。
 第一に、この法律に「公正取引委員会への措置請求等」の章を設けることとさせていただいております。
 すなわち、国税局長等は、酒類販売業者の取引に関して、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律における不公正な取引方法に該当する事実があると思料されるときは、公正取引委員会に対して、その事実を報告し、適当な措置を求めることができる旨の規定を設けるとともに、酒類製造業者、卸売業者は、販売数量に応じた金銭の供与等の取引条件について基準を定めるとともに、これを関係酒類販売業者に対して提示するよう努めなければならない旨の規定を設けることといたしております。
 第二点としまして、政府が、酒類販売業免許の制度のあり方について検討を加えるに際し勘案すべき事項の一つとして、青少年の健全な育成の重要性を追加することといたしております。
 さらに、三点といたしまして、この法律の施行期日を、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日とするとともに、この法律の施行前にされた酒類小売業免許の付与の申請等に係る適用区分の規定の追加、その他所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、修正案の提案理由及び内容の概要でございます。
 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。
小坂委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長大武健一郎君、国税庁次長兼長官官房審議官事務代理福田進君、警察庁生活安全局長瀬川勝久君、公正取引委員会事務総局審査局長鈴木孝之君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 これより両案及び修正案に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。
赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。
 まず、前々国会に提出され、審議がされておりませんでした酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案が、本日ここに、国会で審議をされ、また、採決の運びとなりましたことを、本法案の提出者の一人として大変喜ばしく思うところでございます。きょうは、限られた十五分間という短い時間でございますが、内閣提出の法案及び酒類小売業免許に関しての質疑を若干させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 この酒類小売業免許に係る規制緩和は、平成十年三月の規制緩和推進三カ年計画の閣議決定に基づきまして、平成十三年一月からいわゆる出店に関する距離基準が廃止され、そして、平成十五年、本年九月には人口基準が撤廃されようとしているわけでございます。
 私は、経済的な規制緩和というのは基本的に賛成であり、大いに推進するべきだ。それは、これまでの規制によって事業参入が阻まれていた、その規制が緩和されることによって事業参入が起こり、そこに競争原理が生まれ、サービスが向上し、値段も安くなる、こういったものの効果が指摘されておったわけでございますが、しかし私、率直に申し上げて、この酒類小売業の免許に関する規制緩和は、本当にこのような経済的な規制緩和と同列に論じてよかったのかなということを若干疑問に思っているわけでございます。
 一つは、酒類業の小売免許に関して、規制緩和の中で、この一年二年、新たに酒類業の小売の免許を取ったのは、新しく酒屋さんを始めようという小売店が取ったというような例は多分少ないと思うんですね。恐らくコンビニエンスとかチェーンストアの皆さんたちだというふうに思っておりますが、この結果、何がもたらされたのかということをどう評価するのかというのは大事なことだと思うんです。
 本当に事業参入が行われて、お酒の値段が健全に安くなるとか、そういう効果があらわれたのかどうか。例えばビール一缶ですと、三百五十cc二百三十円ぐらいのが、七十七円が酒税ですから、そもそもサービスが発生するような値幅がない商品であるということが一つと、また同時に、アルコールというのは致酔性飲料でありますし、依存性が伴うわけでありますから、だれでもかれでも自由に買えて飲めるということが本当にいいことなのかどうか。
 世界各国見回しても、日本ほど自由にアルコール飲料を買える環境があるところはないわけでありまして、ここに、新たな規制緩和の結果、本当に経済的な規制緩和が、本来目標としていたものが、その効果がもたらされたのかというと、私はちょっとそもそも論として疑問なんです。結果として、私が思うのは、一つは、社会的な面でいくと、よく見聞きしますが、コンビニエンスストアの目の前で、例えば真夜中、未成年というか、中学生か高校生かよくわかりませんが、随分たむろして、それもビールを飲みながらとか、これは大変社会問題になっているといったような側面もあります。
 また一方では、この規制緩和の中で、統計を見ますと、従来の酒類小売業、酒屋さんが一万件近く廃業している、酒類免許を放棄している。こういった状況なんですね。
 ですから、規制緩和というのは、冒頭申し上げましたように、正当な競争原理が起こり、その業界も活性化をして前向きにいくということが本来の目的だったと思いますが、規制緩和をした結果、従来の業界が一万件もその業をなすことができなくて、そして社会問題も併発していく、未成年の飲酒がふえていくというようなことだと、私は、酒類小売業の免許に関する規制緩和というのは本当にやってよかったのかな、個人的にはこういうふうな疑問を持っているわけでございます。
 これは恐らく、社会的な規制と経済的な規制をある意味では混同して、あの当時は規制緩和は何でもすばらしいというような時代だったというふうに思いますし、私自身もそう思ったところもございましたんですが、今回の距離基準または人口基準が緩和されていくこの過程の中で、酒類業の小売免許に係る規制緩和がされた、その客観的な評価はどのように政府としてはされているのか、御答弁をいただきたいと思います。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のように、酒類小売業につきましては、平成十年三月に閣議決定されました規制緩和推進三カ年計画によりまして需給調整規制廃止の方向性が示され、平成十年度から段階的に緩和を進めているところでございます。
 規制改革自体は、経済社会の構造改革を進めていく上で極めて重要な課題であり、生活者、消費者本位の経済システム構築と経済の活性化を同時に実現することを目的としているところでございます。これまでの酒類小売業免許の規制緩和によりまして、小売市場への新規参入が促進され、市場は活性化しており、消費者利便も向上していると言われております。
 ただ、一方で、今先生御指摘のとおり、酒類の販売に当たりましては、未成年者飲酒の防止といった社会的要請に配意しなければならないことは当然のことでございます。今回の私どものお願いしております法改正は、新規業者を含めまして、今後とも、致酔性飲料でございます酒類の適正な販売管理が行われるよう、酒類小売業者に対しまして、販売場ごとに酒類販売管理者を選任するといった措置を講じますとともに、告示改正により、酒類の陳列場所である旨の表示をすることなどを求める予定でございます。
 これらの措置を講ずることによりまして、未成年者の飲酒防止等に対する酒類小売業者の社会的な役割について、その健全性の確保を目的としているものでございます。
赤羽委員 典型的なお役所答弁をいただいてもね。
 この酒類小売業免許に関しての規制緩和は、一定の評価があって、業界が活性化しているなんていう認識だったらとんでもない話ですよ。一万件もつぶれて、首をつろうとしている人が何人もいて、またつっている人もいっぱいいて。昔、酒屋さんというのは、商店街で商店街の会長をやって、地域の顔役だったわけでしょう。そういう人たちが今元気をなくして、後継ぎもいなくなって、それを、この規制緩和で非常に肯定的な評価をしているなんという話はおかしいと思うし、ましてや、未成年者の問題についてももうちょっと厳しく考えた方がいいと思うんです。
 それで、今答弁にありましたように、今回の法案では、酒類小売業者は、販売場ごとに、酒類の販売業務に従事する者のうちから酒類販売管理者を選任することになっている。こういったことは非常に大事だと思うんですね。つまり、資格を持った者しか売れないという。ただ、どれだけ実効性があるのかということを非常に疑問に思うんです。形式的じゃないかなと心配をしているわけですよ。店舗に一人決めたとしたって、二十四時間営業しているところは、その管理者が二十四時間ずっと起きているわけなんかいかないわけですから、結局、深夜は販売管理者という人はいなくなるわけですよ、実態としては。
 僕なんか思うんですけれども、小売店の自動販売機なんかは、夜十一時から明け方までクローズしますね。これはアメリカなんかでも大体そうなんですよ。深夜買えないんですね、酒というのは。だけれども、今日本では、コンビニなんかは二十四時間お酒を買えるわけですよ。大体、二十四時間やっているところは、夜中は学生とかバイトがいて、未成年者が未成年に売っているような話がある。
 私はかねがね、ああいうストアもカバーをかけて夜は売らないようにするとか、そういった規制がやはり大事だと思うんで、せっかくいい制度をつくるのに、これは形式的にならないかどうかという懸念に対してどのような措置をとられるのか、お答えをいただきたいと思います。
佐藤(剛)議員 久しぶりでございます。
 ただいまの赤羽先生の質問を聞いていまして、まるで私、同じ気持ちで、議員提案をした背景、ここに提案者はおりますけれども、皆そういう気持ちだったんです。
 先生が規制緩和を同列に扱ってよかったのかという疑問を持っていますが、私はよくなかったと、全く同じであります。そして、何がもたらされたかということですが……(発言する者あり)ちょっと聞いていただけますか。赤羽さんの話を私は今お話ししていたんですから。
 今おっしゃられました平成十年から平成十五年の件数で、これは全国小売酒販組合のあれですが、転廃業、兵庫県で千五人の方々が転廃ですよ、転廃して倒産しているんですよ。それで、行方不明が百十二人おるんですよ。ですから、私は赤羽先生と全く共感でございまして、さらに、やってよかったのかということについては、我々やはり政治家としましてしっかりと考えなきゃいけない問題であったと思います。
 そういうことで、今般は閣法と一緒に御審議賜って、まことにありがたいわけでありますが、どうか、議員立法の中身はそういう趣旨、バランス論、そういうものが含まれておりますので、よろしく御審議を賜りたいとお願いいたします。
福田政府参考人 酒類販売管理者についてお答え申し上げます。
 酒類販売管理者は、販売場におきまして酒類の販売業務に従事する者のうちから選任することとされておりまして、例えば、単に名前を登録しているだけで実際には販売場にほとんど顔を出さないような者は、法案で規定されております「当該販売場において酒類の販売業務に従事する者」とは言えず、酒類販売管理者に選任することはできないと考えております。
 また、選任に当たりましては、特段の資格を求めるものではございませんが、酒類販売管理者には、免許者であります酒類小売業者もしくは当該販売場において酒類の販売業務に従事する使用人その他の従業者に対し、これらの者が酒類業組合法や酒税法、未成年者飲酒禁止法、容器包装リサイクル法といった酒類の販売業務に関します法令の規定を遵守いたしましてその業務を実施するため必要な助言または指導を行うことを求めることとしております。
 したがいまして、そのような指導監督的立場にないアルバイト等の臨時雇用者を酒類販売管理者に選任することは適当でございませんことから、省令によりまして、継続的な雇用者の中から選任すべきことを規定する予定でございます。
 さらに、酒類販売管理者が欠格要件に該当すると認めたとき、または、職務に関し酒類の販売業務に関する法令の規定に違反した場合で情状不適当の場合、当局から、酒類販売管理者の解任を勧告することもできることとしております。
 赤羽先生御指摘のように、アルバイトの交代制を前提といたしました二十四時間営業のような業態の場合には、酒類販売管理者がいない状況が長時間にわたることも予定されるところでございまして、今申し上げました制度の趣旨に沿いまして、深夜等、酒類販売管理者が不在の場合には、これにかわる責任者を指名するよう指導することとしたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今申し上げましたように、今回措置することとしております酒類販売管理者の選任規定等は、御指摘のように、形式的なものとならないよう、酒類の適正な販売管理の確保の観点から実効性のある体系となっていると考えております。また、そのように運用したいと考えております。
赤羽委員 どうもありがとうございます。本当に実効性が発揮できるような、制度ができても魂が入らないようなことにならないように、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に一点、不当廉売のことについて、いろいろ公正取引委員会もこの数年体制を整えているわけでございますが、今回の規制緩和で私ちょっと考えているのは、小売業じゃなくて、従来卸業の人たちも免許を取れることになるんですね。そうすると、卸業の人たちが小売の免許を取った場合、卸価格でそのまま、自分たちのところでやるから、当然また現場の値崩れというのかな、不当廉売につながるような部分というのは出てくるのではないかというふうに、大変危惧をしておるんですね。
 これは競争範囲だけじゃなくて、小売店さんの仕入れ価格より、不当廉売をしているところは売っている値段が全然安いという話だったら、これは競争以前の話です。同じ土俵じゃないということは、これは規制緩和の前提が崩れる話なので、この不当廉売について、規制緩和の関連の中で一点、御確認の御答弁をいただけたらと思いますので、よろしくお願いします。
小坂委員長 鈴木公正取引委員会審査部長。時間が過ぎておりますので、手短にお願いします。
鈴木政府参考人 御指摘のように、酒類の販売における不当廉売に関しましては迅速厳正に対処することが重要と考えておりまして、公正取引委員会としても、今おっしゃられました大規模な事業者によります事案で繰り返し行われている事案、周辺の酒類販売業者に対する影響が大きいと考えられるものについて、そのような状況が見られるところにつきまして、先週三月二十五日にも秋田市等の四事業者に対する警告を行ったところでございます。
 体制も整備いたしまして、特に、警告、注意等を行った事業者に対して、再発防止、違反行為の未然防止等の観点から、その価格等動向について、公正取引委員会のOBの職員を含めまして三十名の非常勤職員もスタンバイさせて、今後とも酒類販売における不当廉売の問題についてはフォローアップ、迅速厳正に対処してまいりたいと思っております。
赤羽委員 不当廉売をやっている人は常習化しているという傾向があると思いますので、さらなる厳しい取り組みがなされるよう強く要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、生方幸夫君。
生方委員 民主党の生方幸夫でございます。
 酒屋さんに限らず、私の地元の商店街でも非常にシャッターを閉めている店が多くて、商店街が寂しくなるとそこを通る人たちにも活気がなくなるということで、政府の方も中心市街地活性化法案等を出して、何とか商店街を元気にさせなきゃいかぬということで努力をしているのは認めるのですけれども、残念ながら、商店街、私の地元なんかも、栄えるよりは寂れる方向に向かっているんじゃないかなというふうに私も心配をいたしております。
 どうしてそういうことになるのかということを考えれば、最も大きな原因は、やはりより便利なスーパーとかチェーンストアが展開をしていて、一カ所行けばみんなそれぞれすべてのものがそろってしまうというような店が近くにあるので、今までのように歩いて買い物に行くという方が少なくなって、車で買い物に行く、しかもまとめて買い物をするという方が多くなっちゃったので、必然的に個別の商店は経営が苦しくなってきてしまうのかなというふうにも考えているわけです。
 ところが、そういう中でもはやっている魚屋さんとかはやっている八百屋さんというのがあるんですね。何でそれがはやっているんだろうというと、スーパーに比べると極端に価格が安いとか、魚屋さんなんかだとスーパーなんかに比べると比較的いい魚が置いてあるとか、特色を出したお店が残っている。ただ、残念ながら、そういう店がぽつぽつと残っているのであって、特定のお客さんしかそこは行けないというのが現状でございまして、何とかまとまった力で活性化をするというのが一番大事だと思うのですね。
 そのときに何が一番ネックになるんだろうというふうに考えますと、やはり私は、駐車場の問題が今一番大きいんじゃないかな。駅前の商店街なんかも、いい商店はあるんですけれども、私なんかもついつい駐車場があるところに車を入れちゃって、そこで買い物をして、例えばきょうみたいに天気が悪い日だと、傘を差してわざわざその店まで行くぐらいだったら近くで済ましてしまう。あるいは、そうじゃない方は、買い物に行くと店の前に車をとめてしまって、それが渋滞の原因になるという、やはり駐車場が非常に大きな問題だと思うのですね。
 もちろん、その以前に都市計画というのがあって、本当は、中心市街地活性化法案なんかでは、ただ活性化法案といって出すだけであって、都市計画そのものをきちんとつくり変えて、町そのものが楽しい町づくりにすれば、例えば上海なんかの例ですと、政府がある程度の強制力を持っていますので、古いのを取り壊して新しい店をつくると、比較的動線なんかも考えた上で店の設計をするので、楽しく買い物ができるというようなことになっているわけです。
 ただ、日本の現状を顧みますと、市も今お金がなくなっているわけで、市街地をもう一度都市計画をし直してやるというような余裕もなくなっちゃって、結局放置をされたまま、一軒一軒が個別の闘いを強いられて、抜けていってしまって、抜けたことが結果として町全体の力をまたさらに落とすというような悪循環に今陥っているんじゃないかというふうに思うのですね。
 私のところの地元でも、そういうぽつぽつあいている中で、土地を物納して、お店がそのままなくなってしまって、更地になっているというようなところがある。そういうのが市街地にも、住宅地にももちろんたくさんあって、なかなか、見ていると、すぐに売れるという状況にはなっていないんですね。結局、何もそれは活用されずに、草が生えているままで、たまに何か草を刈ったりしているのは、どういう人が刈っているかよくわかりませんけれども、草を刈ったりしているというような状況があるんで、そこを仮に、幾つかまとめてどこかと交換をすることによって商店街専用の駐車場ができれば、特色ある店はそこで生き延びていけるということが可能になるのではないかな。
 だから、せいぜい、お金は余り使わないでできるのは、国有地の有効利用ぐらいしか私はないのかな。恐らくいろいろな難しい問題はあるのでしょうけれども、国有地を大胆に活用するという方向をぜひとも商店街の活性化ということに結びつけてお考えをいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。
塩川国務大臣 今おっしゃったような要件にかなう国有地や、物納したような、そういう適当なものがあればそのような協力もさせられると思うのですけれども、その物納地が駅前になければ、ちょっと離れたところではやはりおかないということが一つ。
 それから、私の経験でございますが、私の町に一つ駐車場をつくりました。それも、規模がやはり三十台以上でないと管理者が置けないんですね、採算が合わないものですから。ですから、一定の広さがどうしても駐車場は必要だ。商店街は赤字を覚悟でやっております、そういうのは。そういうことは有効になっておりますけれども、しかし、それも本当に駅前にあるからやっていける。ちょっと離れたところに駐車場ありますけれども、ここは管理者もおらない、置きっ放しということになっておる。
 そういうことなんで、おっしゃるような要件に合うものがありましたら、積極的に検討さすようにいたします。
生方委員 確かに、駅前ではそれほどないんですけれども、駅から離れたところに商店街というのが幾つかございますけれども、そういうところはあるんですよ、裏とかに住宅街がありますので。それが多分、一個一個ばらばらになっているから、今大臣がおっしゃったように、なかなか大きな駐車場にならないんで、どこかと交換をするというような格好でちょっと寄せていただく努力をしていただければ、十分活用する可能性はあると思うのです。
 財務省のお仕事なのかどうなんだかわかりませんけれども、そういうことをやる方向で商店街の皆さん方と協議をすれば、恐らく、市はお金がないから自分たちのところではできませんから、お金というか物が、そのものがあるのはもう財務省しかないわけで、ぜひとも、寄せて、交換をしながら、国有地をまとめるというような努力もしていただけるとありがたいと思うのですが、大臣の御見解をお願いします。
塩川国務大臣 そういうような具体的な例がございましたら、ぜひ、これは通産省を通じてでしょうかね、中小企業の活性化事業の一つとしてありますから、そういうのを通じまして御相談していただけたら、地元のそれぞれの財務局と相談させてやっていきたい。できるだけ活用してもらったらいいと思うんです。
 そのかわり、管理者もしっかりしてもらわないと、私どもの方のさっき言いました例は、市が保証しておるんです。商工会議所が保証している。それで、商店街協同組合が借り主になってやっておる、こういう例であります。
生方委員 今、大臣から積極的な御答弁いただきましたので、私の方の地元でも、そういうことがあれば要望してくれというようなことで説明をしてまいりたいと思います。
 それでは、閣法についてまずお伺いしたいのですが、閣法の中で酒類販売管理者というのをこれから設けるというようなことですが、具体的にどんな資格を持った人を酒類販売管理者と認定するというふうに理解をすればよろしいのでしょうか。
福田政府参考人 お答えいたします。
 酒類販売管理者には、免許者たる酒類小売業者もしくは当該販売場において酒類の販売業務に従事する使用人その他の従業者に対し、これらの者が酒類の販売業務に関する法令の規定を遵守してその業務を実施するため必要な助言または指導を行うことを求めることとしております。
 そのため、販売場において酒類の販売に従事する者の中から選任されることはもとより、このような酒類販売管理者の業務の重要性を考慮いたしまして、免許者に準じた者として、未成年者等でないこと、過去に酒類業免許の取り消しやあるいは法令違反がないことといった最低限の条件を求めることとしております。
 また、アルバイト等の臨時雇用者のように、従業者その他の使用人に対する指導監督的立場にない者を酒類販売管理者に選任することは適当でないと考えられますことから、これにつきましては、省令により、継続的な雇用者の中から選任すべきことを規定する予定でございます。
生方委員 酒類販売管理者は、小売酒販組合等が実施する研修を受けなければいけない。受けなければいけないということじゃないかな。受けるべきであるというふうになるのかもしれませんが、これが、酒類販売組合等が実施するという、等というのは何であるのかというのと、その研修を受けなければいけないのか、受ける方が望ましいのかということと、それから、研修というのは具体的にどんな内容の研修なのか、その三点をお伺いします。
福田政府参考人 お答えいたします。
 まず第一点の等でございますが、改正案の八十六条の九にございますけれども、そこにございますように、小売販売組合等あるいはその他の法人その他の団体であって、財務大臣が指定したものというふうに規定がございます。
 具体的には、地域的な偏在がなく、研修受講者の利便に資しますとともに、法令に関する知識、研修の継続的な実施が可能である団体といった観点から、こういった研修の実施主体につきましては、一つとしては小売酒販組合、これは中央会初め、傘下の連合会、酒販組合も含めますが、そういったものを想定しております。それから、その他の団体といたしましては、酒造組合あるいは卸売酒販組合のほか、日本フランチャイズチェーン協会等のいわゆる業態別な事業者団体等を一つ想定しております。
 いずれにいたしましても、こういった実施団体等の指定は、小売酒販組合等からの個別の申請に基づきまして、これらの団体が作成いたしました研修実施要領、研修計画によりまして、研修の内容あるいは実施回数、講師予定者の知識経験等を確認した上で行いたいと考えております。第一点でございます。
 第二点でございますけれども、この研修につきましては、いわば法案にございますように努力義務の規定でございますので、これにつきましては、受けるように努めていただくということになろうかと考えております。
 それから……(生方委員「必要条件なんですか。受けなくてもいい場合もあるということですか」と呼ぶ)事後的な研修でございます。免許の要件とかといった意味でのきつい縛りはございませんが、事後的な研修でございますので、できるだけ受けていただくようにお願いをする、こちらからも慫慂する、そういった性格のものであろうかと思います。
 それから、研修の具体的な内容でございますが、規制緩和によりまして、消費者の酒類へのアクセス機会が増加いたしております。また、酒造技術の進展あるいは消費者ニーズの多様化等に伴いまして、多種多様な酒類の供給がなされるようになり、注意しなければ酒類以外の飲料と混同しかねないような外観の商品も普及しております中で、未成年者の飲酒、あるいは飲酒運転の防止等、酒類の特性を踏まえた適正な販売管理について実効性ある対応を図っていくことが消費者の利益にも資するものと考えております。
 酒類販売管理者に対する研修につきましては、酒類小売販売場における酒類販売業務の適正な管理を担っております酒類販売管理者につきまして、致酔性を有します酒類の特性、あるいは酒類小売業者が遵守すべき関係法令の知識の向上を図ることによりまして、その資質を高めていただき、販売場における酒類の適正な販売管理の確保についてより実効性を高めることを目的として制度化することとしております。
 具体的には、酒税法、酒類業組合法のほか、未成年者飲酒禁止法、リサイクル関係法令、独禁法、景表法等のいわば酒類小売業者が酒類の販売に関して遵守しなければならない法令、致酔性飲料である酒類の特性、商品知識、商品管理等について研修を行うことを予定しております。
生方委員 今のは何かあいまいな答弁だったですけれども、今のでいうと、研修はそれだと一日じゃ済まないでしょう、それだけの関連の法令を説明して理解してもらうと。それを理解した人は販売管理者というんじゃなくて、努力目標なわけですよね。別に理解しなくてもいい。そうすると、こういう法律をつくったとしても、多くの酒屋さんが販売管理者を指名しただけで、実態は何も今までと変わらないということだってあり得るんじゃないんですか、お願いするというのは事実としても。
 だから、研修は、今おっしゃったようなことだとかなりの時間を要すると思うんですけれども、何日ぐらいの研修を予定しているんですか。
福田政府参考人 お答えいたします。
 研修の時間につきましては、今のところおおむね三時間程度といったものを念頭に置いております。
 御指摘の販売管理者につきましては、その選任に当たりまして特段の資格を求めるものではございませんが、先ほど申し上げましたように、この酒類販売管理者は、免許者たる酒類小売業者もしくは当該販売場において酒類の販売業務に従事する使用人その他の従業者に対して、必要な助言、指導を行う者でございます。
 研修の受講につきましては、事後的なものとしておりますけれども、適正な酒類販売管理の確保のためには、この研修の受講を通じまして資質を高めていただくことが重要でございます。仮に研修を受講しない者がある場合につきましては、指導を徹底する、あるいは新規の免許の申請者に対しましては、販売管理者の選任予定者とともに研修の受講予定日を聴取する等、できるだけ早期の研修受講を慫慂するなど、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
生方委員 その酒類販売管理者がずっといるというわけじゃないわけでしょうけれども、その人がいないときの販売というのは、だれがどういうふうに管理をするというふうに考えればいいんですか。
福田政府参考人 酒類販売管理者には、免許者たる酒類小売業者もしくは当該販売場において酒類の販売業務に従事する使用人その他の従業者に対し、先ほど御説明いたしましたように、必要な指導、助言を求めることとしております。ただ、これは酒類の販売資格といった性格のものではございませんので、酒類販売管理者が販売場を外したからといって、その販売場でその間酒類の販売ができなくなるといったものではございません。
 他方で、販売場における適正な販売管理の確保につきましてより実効性を高める観点からは、酒類販売管理者を常駐させることがより望ましいとは考えられます。しかしながら、酒類小売業者の負担が大変大きくなるということ等を踏まえますと、その販売場において酒類販売管理者の助言あるいは指導が適切に行われていれば、必ずしも販売管理者本人が販売場に常駐することを求める必要性はないというふうに考えております。
 ただし、アルバイトの交代制を前提といたしました二十四時間営業のような業態の場合には、酒類販売管理者がいない状況が長期間にわたることも予想されますため、制度の趣旨に沿いまして、深夜等、酒類販売管理者が不在の場合には、これにかわる責任者を指名するよう指導したいと考えております。
生方委員 今のお話を伺っていますと、酒類販売管理者というものの性格が非常にあいまいであるし、わざわざこれを法律で明記するべきなのかどうなのか。
 そんな別に、行政指導で置いた方がいいよというふうに言えば済む程度のもので、法律でやるのならきちんと、ある程度の資格なら資格とか、酒類販売業者という消費者が見てわかるようなプレートを付与するとかしないと、結局何か、つくったはいいけれども、買いに来る人もだれも知らないし、酒屋さんの方でも販売管理者を指定するだけで、三時間でさっきおっしゃったようなことが全部頭に入るはずもないですから、行ってきて、居眠りして三時間たって帰ってきて、それでまた管理者というふうに言われるのも困りますし、私は、かえってこれは中途半端で、余り意味があることとは思いませんが、それはそれとして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 衆法についてお伺いしたいんですが、酒屋さん、今大変厳しい状況にあって、転廃業が相次いだり自殺する方が非常にふえてきたりという状況は私も非常に大変なことだというふうに思っております。
 さはさりながら、それと同時に、これ以前に、酒屋さんはもう私のところの近くなんかほとんどなくなっちゃったし、八百屋さんもなくなったし、今やっているお店もほとんどがお年寄りの御夫婦がやっていて、利益を上げるというよりはほとんど趣味で健康法のためにやっているようなところがたくさんあるわけで、その中で、極端に言えば酒屋さんだけを救うという法律をおつくりになろうという意図は何なのかということをお伺いしたいと思います。
谷津議員 先生、趣味や健康法でやっているというのはいささか言い過ぎじゃなかろうかというふうに私は思うんですけれども。
 どなたも先生御案内のように、酒類の小売業は、ほかの多くの業種とは違いまして、酒税法に基づきまして免許制度のもとで行われておりまして、かなり厳しく店舗間の距離とか、あるいは地域の人口を勘案して、それで需給調整が行われておりました。それが近年、規制緩和の進展に伴いまして、酒販店の新規店が相次いだ結果、経営の維持が困難となったというふうなことは今先生も御指摘されておりましたが、そういう業者が多数生じております現状にかんがみまして、こうした酒類小売業者について所要の措置を講じたいというふうに考えました。そして、規制緩和の進展によって生じた酒類小売業者を取り巻く環境の急激な変化を緩和したいということでありまして、規制緩和の円滑な推進をそれによって図っていきたいということで、階段でいう一つの踊り場といいましょうか、そういうものを考えた。
 しかも、先生御案内のとおり、このような措置はこればかりではありませんで、かつてタクシー免許に関する需給調整の要件の撤廃に際しましても、これは道路運送法の八条だったと思いますけれども、緊急調整措置がとられたということも御案内かと思います。
生方委員 激変緩和措置というのは必要だというふうには私も思いますが、既に魚屋さんやら何やらは淘汰されてしまったので今さらどうしようもないので、やはり、規制緩和も、いい規制緩和としてはいけない規制緩和というのがあるわけでございまして、その辺の区別が最初は全部一緒くたに、全部がいいというふうになってきたのも、見直しは私もある程度は必要だというふうに思っておりますので、理解はいたします。
 転廃業の円滑化のために必要な措置を講ずるというふうにこの法律の中で書いてございますが、この必要な措置というのは、具体的にはどんな措置だというふうに考えればよろしいんでしょうか。
七条委員 今生方先生の方から、これは恐らく修正案の第七条、七条を私七条でございますから答えさせていただきますけれども。
 必要な措置という問題の中に、当初の原案の方では「必要な財政上の措置」というふうにお書きをいただいておりましたものを、「必要な措置」というふうに改めさせていただきました。
 これは本来、実は今の、先ほどもちょっとお話が出ておりましたけれども、酒税法という法律の中で、小売店というのは、大体税務署だとかあるいは国税当局がそれを指導したり監督をするという形であるわけでありますし、当然、税を取る、適正に税を取りたい、あるいは税の保全をしたいということが大体基本的な物の考え方であったんでありますけれども、どちらかというと、小売の業者を指導する、あるいは経営の指導をしていくだとか業者を育成するという形が希薄なところがあったんじゃないだろうか、そういうふうに考えられてならないわけであります。
 そうすると、具体的に考えてみますと、今小売店というのは、非常に大量に仕入れたり大量に販売することができない。どちらかというと、全国チェーンあるいは大型の量販店というようなところに価格差で負けてしまうというようなことが起こってくるんではないかと思うんですね。ですから、そういうことをしていくためには、町の小売店が共同で仕入れるとか共同で配送をするというようなことをきちっとやっていくことができれば、これは競争に勝っていくことができるわけでありますから、そういうような意味では、一時、蔵置場のようなものの規制を緩和するようなこともやらなければならない。そういうようなことをきちっと位置づけてやらなければならないというようなことも出てきて当たり前でないかと私は思うわけであります。
 それだけではなくして、例えて言いますならば、経営改善計画の関係で、転廃業の円滑な関係とともに、小売業者に対して研修をするとかあるいはマニュアルを作成するというようなこともやる。当然、これに伴います財源の措置、いわゆる予算措置も考えなければならない、こういうふうに考えておりまして、修正案と修正前との違いというのは、こういう意味で、経営のことまでもっと積極的にやっていくように、いわゆる行政側がもっと指導監督を徹底して育成していくという観点で、修正案を出させていただいたつもりでございます。
生方委員 今の問題とも関連するんですけれども、リベートの基準をこの中で定めるというふうにしておりますが、どんなような基準を想定しておるんでしょうか。
七条委員 リベートの問題というのは非常に難しいものがあろうと思っておりますが、要は、公正な競争環境を整備していくということをきちっとやっておかなければならない。特に、先ほど、大量仕入れ、大量販売というようなことを申し上げましたけれども、大量に仕入れて大量販売する方がいわゆるメーカー側にとっては売ってもらいやすいために、リベートを出す出さないということが出てきたり、あるいは、これは差別対価というんでしょうか、あるいは不当廉売というようなことが起こってくるということが非常に考えられるわけでございますから、そういうことをきちっと位置づけて、できれば行政側はそれを指導する。それを指導すると同時に、例えば取引数量やら取引価格、あるいは支払いサイド等に基づいたリベートや販売促進費の供与の基準等が考えられていく。そういう意味で、明確な基準を定められることを私たちは行政側に望んでいる、こういう姿になってこようと思うわけであります。
生方委員 これは、具体的に行政側から基準数値みたいなものを示してほしいというような意図だというふうに理解してよろしいですか。
七条委員 今基準ということはまだ、具体的に、先ほど言いましたように、リベートの基準というのはなかなかむずかしい。ですから、いろいろ調査をしていただきながら、業者を育成していくという観点に立って、できれば国、行政サイドがそういうことをきちっと具体的に明確な基準を定められることが望ましいと私たちは考えて、こういうことにさせていただいたところでございます。
生方委員 最後に、リベートを「関係のある酒類販売業者に対し提示するよう努めなければならない。」というふうになっておりますが、具体的に、提示というのはどういう方法で提示をしようというふうにお考えになっていますか。
七条委員 具体的に申し上げますと、取引関係者の求めに応じて、基準を記載した書面を交付する、あるいはその基準の内容が取引関係の業者に十分に伝わるようなことをしていく、こういうようなことをすることがまず今できる範囲の中でありますけれども、それ以外のことも、本来は、修正法の中には具体的にもっと検討をしてやってほしいということも提示の内容には入れたいなと私、個人的には思っている一人であります。
生方委員 これは公取法の関係もありますので、しっかりとしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
小坂委員長 次に、松本剛明君。
松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。
 法案の審議を行わせていただきたいと思いますが、法案の審議に入ります前に、ちょっと二点ほど、塩川大臣と竹中大臣に一点ずつお伺いをさせていただきたいと思います。
 塩川大臣にお伺いをしたいのは、先日の関税法の審議の続きでありますが、時間切れになりましたので、ちょっと確認をさせていただきたいと思っております。
 三月十八日の審議で、私、質疑を行わせていただきまして、時間切れになったんですが、議題になりました牛肉のセーフガードについて、大臣の方から最終的に「これは国益に非常に重大な影響を及ぼす問題でございますので、十分に協議をして決定するという方向で進めておりますので、その点、御安心いただきたいと思います。」このように御答弁をいただいたわけでありますが、このセーフガードは法律で、いわばトリガー、自動的に発動するということになっておりますので、法改正をしない限り、協議の余地というのはないのではないかと思いますが、どのようにされるおつもりで、私たちはどのように安心をしたらいいのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
塩川国務大臣 これは、先生御存じのように、非常に消費者物価に影響を及ぼす。消費者物価と申しますよりも、消費者に直結した問題になっている場合が多い問題でございます。しかも、牛肉というものは、生活、特に食料の中の非常に重要な部分でございますので、私たちは、消費者との関係がどうなるかということ、これはやはり大きい、まあ国益と言ったらえらい大げさでございますけれども、そういう観点から、私は、これは十分に、税率の運用については考慮しておくべき問題であろう。
 自動的になるということは、それはやむを得ない点もございますけれども、その場合でも、消費者物価に影響を与える、つまり牛肉の小売値段がどのように変化するかということを絶えず監視しながら、慎重に扱っていくと、こういう意味を込めたものであります。
松本(剛)委員 本日は関税法の審議でありませんのでこれ以上申し上げませんが、このときの委員会の議論の流れは、御記憶だと思いますが、諸外国からもさまざまに意見が寄せられているという中で、茂木外務副大臣も、個人的な見解としてという前置きがあってですが、慎重な対応をというふうにおっしゃったこともあります。それを受けて、大臣は国益とおっしゃったんだろうというふうに思うわけでありまして、これはこの四月から六月の年度第一・四半期の実績によって、七月ないしは数字が出てくる八月の上旬ぐらいから関税率の変更ということにつながってくるだろうというふうに思いますので、引き続き、機会がありましたら、協議の進捗の度合いを伺ってまいりたいと思いますので、そのことを申し上げて、次の点に移らせていただきたいと思います。
 もう一点、中国の元の為替のレートについて、これはかねて塩川大臣と機会あるごとに議論をさせていただいてまいりましたが、先日、新聞を拝見しておりましたら、竹中大臣が三月三十日の都内の講演で、政府は中長期的に元の為替レートを考えないといけない、こうおっしゃったというふうに報道されております。
 大臣も大変講演に熱心でいらっしゃって、有料か無料かまではお伺いをいたしませんけれども、講演でそのようにおっしゃったということであります。元について、当然高過ぎるという認識なんだろうというふうに思いますが、今の認識と、それから、政府は考えないといけないと言う以上は、やはり何らかのそれに向けての行動を政府は起こすということにつながるのではないかと思いますが、その点についての御所見を伺いたいと思います。
竹中国務大臣 先般の、御紹介いただいた講演は、これはデフレに関する講演でありまして、日本の物価が下がる理由は幾つもあるけれども、安い外国製品が入ってくる、その典型としてやはり中国の製品があって、その場合に、単に賃金の格差のみならず為替レートの問題もあるだろう、そのような趣旨のことを申し上げました。
 この元のレートについてはさまざまな議論があると思いますが、為替レートそのものを、何がよい為替レートか、均衡レートかと。短期的には、内外の金利格差が影響するでありましょうし、もう少し中期になりますと、経常収支の黒字、赤字が影響してくるのでありますが、長期的には、やはり購買力平価に近くなっていく、これは重要な経験則であろうかと思っております。そうした観点からいうと、まさに円もそのような流れを歩んできたと思いますし、元についても、いずれはそういうようなことを考えなければいけないと思っております。
 短期的な元のレートについて私はどうこう言う立場にはございませんが、中長期的には、やはり購買力平価から大幅に現状のレートが乖離しているということを認識して、いろいろなことを考えていかなければいけないと思っております。
 近くの状況でいいますと、塩川大臣がこの点をG7で問題提起をされて、大変国際的にも注目を集めたというふうに思っておりますし、そういった場を通して、為替レートの長期的なあり方についての問題提起をしていくことがさしずめは重要なポイントであろうかというふうに思っております。
松本(剛)委員 せっかくですから、大臣にもう一点だけ。
 購買力平価、中長期的にというお話でしたけれども、具体的に人民元、どのぐらい乖離をしているとお考えになっているか、おおよそまで。
竹中国務大臣 済みません。数字は持ち合わせておりません。
 ただ、購買力平価は、純粋なバスケットというようなものをつくって考えるのか、国際収支が均衡していた時点を基準に、そこからの国内物価の変化率で考えるのか、いろいろなやり方があろうかと思っておりますけれども、国際的なバスケットに関して、必ずしも十分に広く信頼されているような計測はないのかなというふうに思っております。
 しかし、これは一種の実感に基づくものでありますけれども、それぞれの物価に関してかなり大幅な違いがあるということは事実でございましょうから、数字は持ち合わせておりませんですけれども、その傾向に関しては疑う余地がないのではないかというふうに思っております。
松本(剛)委員 この議論もぜひたくさんさせていただきたいところでありますけれども、この辺にさせていただきたいと思います。
 ただ、塩川大臣との議論でもかねて申し上げてきましたが、フロートの分でも、恐らく相当政治的な要素が入ってきているのが為替の相場ではなかろうかと私は認識をしております。ましてや、今話題になりました中国の元の場合であれば、管理されている相場でありますから、かなり政治的な、国際政治の中で決定されるものであろうというふうに思いますので、今も、かねてから申し上げているように、元のレートに関する認識は恐らく私どもと共通であろうというふうに思いますので、しっかりした政府の対応を要請させていただいて、本件に関する質疑は次へ進ませていただきたいというふうに思います。
 それでは、議題となりました、提出されております衆法と、それから修正案についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 緊急調整地域という制度を設けて、これを指定するということでありますが、具体的に政令で定めるというふうになっておりますけれども、供給能力の著しい過剰、酒類販売数量の著しい減少、継続困難な酒類販売場の占める割合の著しい高さ、たびたび著しいと出てくるわけでありますが、具体的にどのようなイメージを持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
佐藤(剛)議員 松本先生が先ほどセーフガードの質問をせられておりましたが、この緊急調整地域というのは、私、地域におけるセーフガードだと思うんですね。ちょうどWTOでのいわゆる物資についてのセーフガードと似ている。これは先ほど谷津先生から答弁がありましたが、タクシー関係について一つの例がある。
 セーフガードというのは、当然一定の期間というのが必要だ。その期間の間に一定の構造改善事業を行って、インダストリアルアジャストメントとか、そういうのでありますが、そういう調整努力をしておくということが必要である。それから、海外の場合だったら輸入を制限するわけであります。関税を上げるわけであります。そういうふうな意味において、セーフガードを念頭に置いて、これから運用、政令というような形の基準が定まっていかなきゃならないだろうと思っております。そして、その場合に、どういう地域でどういう現象が起きているかということを法文にしたのがこの要件でございます。
 要件は二つあるわけでありまして、一つが、供給がその地域において需要に比べて過剰である、それからもう一つは、構造改善計画を出しておる、こういうことですね。そこは市町村の意見も聞かなきゃいかぬ。
 こういうことで、第一の著しい需給ギャップというものをどうとらえるかというのは、私は、ある一定の基準日か何かで全国的な需要動向とか、それから、それに比較してその地域が過剰になっておるというふうな分析は必要ではないか。これは、政令のこれからの、制定後、でき上がりました後の問題だろうと思います。そこで、その著しいというものがどういうところで判断するか、これからに課せられているものでないかと思います。
 いろいろな数字というのは、想定のイメージとしましては何%がどうだとか、そういうようなものは考えられると思いますが、今の段階では、ここで申し上げない方が私は弾力的に調整できるんじゃないのかなと思います。御承知のように、例えば繊維の関係のセーフガードだとしますと、輸入量が六%以上ふえておるとか、そういうものは国際的なあれという形で出てきます。そんなようなものが固まるんじゃないか。
 それから、第二の要件の構造改善調整、経営計画でありますが、これについては、既にこの業種は清酒業あるいは卸業を通しまして、中小企業近代化促進法、昭和三十八年にできたものでございまして、それの指定業種になって、そして昭和四十六年の近促法の改正で構造改善業種という特定業種という形になって、そして今やこの近促法はなくなったわけでありまして、これがいわゆる経営革新法という形でなっております。
 したがいまして、業界全体としましては、清酒関係についてはそういう構造改善事業を行う。あと、個々の企業については、まさしく大変な今苦労をして、先生の選挙区の兵庫におきましても、千五人と先ほど申し上げましたが、その方々が平成十年から五年間の間に転廃業、倒産しておる。これは、私は放置できない状況なんじゃないのかなと。そこにまさしくセーフガードの地域の指定をいたす。失踪とか行方不明とか、あるいは自殺者とか、中心市街地のしにせの人たちが非常に苦労されておるということを、私は、こういう問題について積極的に救うのが国会の議員の務めではないか、かように考えるわけでございます。
    〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
松本(剛)委員 何点かお伺いをしたいことがありますので、簡潔にお願いできたらと思いますが、この緊急調整地域の区域というのは、一つの市町村を超えない、三条の二項ですか、こういう規定になっておるかと思います。市町村ではなくて、市町村を超えないということになると、市町村に達しない区域で指定をしていくこともあり得るということなんではなかろうかというふうに思いますが、具体的にどのようなイメージでおやりになるのか。
 その結果、今の著しいについても、恐らく政令で数値を決めるということであろうというふうに思いますが、では、日本全体のどのぐらいの地域がこの緊急調整地域に指定をされるということをイメージされておいでになるのか。今、全国的には、確かに小売の酒屋さんは相当厳しい状況にあることは私も認識をいたしております。とすれば、ほぼ全国的に緊急調整地域ということになってくるのか。もしくは、これは特別極端な、一割にも達しない地域ということなのか。その辺を、具体的にどのようなことを想定されているのか、お伺いをいたしたいと思います。
滝議員 お尋ねは二点あったかと思います。
 一つは、「市町村の区域を超えない」、法案の第三条にそのように書いてあるわけでございますけれども、地域によりましていろいろな決め方がありますし、店舗もいろいろな設置の仕方があると思うのでございますけれども、少なくとも、要するに、市町村の区域を超えないということでございますから、御指摘のとおり、もう少し細かな地域をとる可能性もある、こういうことでございます。
 そうしますと、書き方として、地域の規定の仕方をとってまいりますと、政令の段階でこういうような地域を指定したところがあるかと申しますと、まず頭に浮かびますのが、学校教育法の施行令、これでもって、小学校あるいは中学校の区域を定めている例がございます。これは政令のレベルでございますから、法律でそのまま持ってくるわけにいきませんので、ここでは、一応、一の市町村を超えない範囲で決める、こう書いてあります。したがって、地域によりましては、小学校、中学校の区域を持ってくる、こういうことでございます。
 それから、それでは全国でどの程度の地域指定が出てくるかというのは、小学校区あるいは中学校区のレベルで、落として試算したことがございませんので、なかなか一概に申しにくいところがあるのでございますけれども、例えば、現在問題になっております東京とか大阪の区の区域の中では、先ほどの佐藤剛男先生から御披露ございましたように、そういう基準でイメージを何となくやってまいりますと、そういう都会的なところはかなりの地域が出てくるということはあるだろうと思います。ただ、全国的に、網羅的に出てくるかどうかというのは、ちょっとそこまでは想定しにくいんじゃなかろうかなというイメージを持たせてもらっております。
松本(剛)委員 先ほどの著しいの数値と今の件と、具体的なイメージが必ずしもわいてこないんですけれども、提出者の方々の先ほど伺った趣旨から考えると、かなり広範囲に指定をされるという方向へお進みになるというのが趣旨なのかな、このように理解をいたしますが、改めて、そのような理解でいいのかどうか、提出者の御意見を。
佐藤(剛)議員 一つは、先ほど答弁申し上げましたように、これから、むしろ運用の線に任せていた方が、それぞれの、これはアンバランスを直そうとするわけでありますから、そういうものについて機動的に、効率的にいくのではないかということでございます。
 そうすると、当然、昨年の場合とどう比較なのかとか、一昨年のときの状況とどうなのかという話になって、それはやはり考えざるを得ない。そのときに、全国の平均に比べて、当該地域において、何%とか、一〇%とか二〇%とか、そういうふうな形の需給ギャップがあって、そして、しかも経営の状況が著しく悪くなっている、こういうような状況、あるいは、転廃業が多くなって、片っ方でニューカマーが入ってきておるというようなことのいろいろなものをむしろ考えて進めた方が、私は、この措置は、余り画一的な形じゃない方が、運用として、また法律の趣旨に沿うんじゃないか、かように考えております。
松本(剛)委員 私は、いろいろな事業を展開するに当たっては、むしろ制度というのは、あらかじめ明らかに、わかりやすくなっていることが必要なんではないかな、このように思うわけであります。その意味では、今のような御答弁というよりは、きちっと具体的な数字をおっしゃっていただく必要があるんではないか、また、我々も審議をするに当たってはそうではないかと思いますが、その点を御指摘させていただいて、また少し角度を変えてお聞きをしたいと思います。
 この緊急調整地域を指定するということになるかと思いますが、指定をするのは税務署長という形になると思います。具体的に、ではこの地域を、例えば、今、区域について、市町村より小さい範囲を指定することも可能だというお話でありましたけれども、そもそも、だれが言い出して、指定をするのか。その地域の酒屋さんが、これは何とかしてくれ、税務署長の方に申し出て、調査をするのか。それとも、法をつくられたら、だっと全国的に一斉に調査をして、問題がある、こういう地域指定要件にかなうということであれば、それで一斉に指定をされることを想定されるのか。お伺いをしたいと思います。
佐藤(剛)議員 法律的には、税務署長が、要件に該当している場合、二つの要件を今申し上げました、一つが需給ギャップであり、もう一つが経営の改善。先ほども近促法の問題等々申し上げましたが、そういうインダストリアルアジャストメントといいますか、構造改善の努力をきちんとしておく。そのときに、関係する市町村長の意見を聞くというわけでございますから、当然、その地域にはそれぞれの酒屋さんなどがあるはずでありますし、そういう人たちが、いや、ここで自殺者が多い、転廃業者が多い、何が多いという声がほうはいとして出てくる。片っ方で、消費者の方の立場も考えなきゃいかぬ。そういう面をやりながら運用していくものじゃないかと思っております。
松本(剛)委員 どうも、具体的なイメージとか執行のイメージがまだわいてこない部分があるのですが、ぜひその辺を御整理をいただきたい、このように御要請をさせていただきたいと思います。
 それから、修正案について、この法案が提出をされた際に、私ども民主党の方から、意見という形で、公正取引委員会への措置を要求するようにするべきではないかと御意見を申し上げたわけでありますが、その点を第八条に取り入れていただいているわけであります。公正取引委員会に対して措置などを求めることができる、このようにされていますけれども、これは国税庁の平成十二事務年度の調査でしょうか、千三百九十三場に調査をしたところ、九一・七%が合理的な価格の設定がなされていないと考えられた、こういう実情もあるようでございます。こういった実情を考えると、相当積極的に求めていかないといけないというふうに思うわけでありますけれども、この点についての提出者の方の認識を伺いたいと思います。
江崎委員 お答え申し上げます。
 松本委員御指摘のとおり、今現在、もう既に酒類販売免許というのは、規制緩和の進展によりまして、いろいろな業種の方々が酒類小売業に参入しておるわけでございます。その中で、当然、事業者間の仕入れ価格にも格差が見られるという状況にございます。その点から考えても、現在、今数字にもございましたが、独占禁止法上問題があるということも言われております。
 この八条の修正案を加えられましたのも、酒類販売業の免許のさらなる緩和というものが予定されている中、さらに一層公正な競争を実現していくという意味においても、公正取引委員会の役割が期待されておるわけでございます。そういった点から、これからも、独占禁止法上問題のある行為につきましては指摘をしていくという方向にあると考えております。
    〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
松本(剛)委員 公正なマーケットというのが産業の発展にとっても極めて重要なことであろうというふうに思いますので、しっかりしたこの条文の適用を要請いたしたいと思います。
 衆法についてあと一点。これは平成十七年三月三十一日までの時限の立法となっておるように理解をしていますけれども、先ほどお話もありましたけれども、これはいわばセーフガードだ、その間の構造改善を行うものだ、こういう話でありますが、この延長というのも、今まで我が国でも緊急措置法というのは何度も延長されるケースがあるんですが、これは二年間の中でしっかりやっていこう、こういう趣旨だという理解でよろしいんでしょうか。
谷津議員 今、松本先生、十七年の三月三十一日というお話がありましたが、これは八月の三十一日でございます。
 そういうことから、本法は、緊急の措置として激変緩和を講ずるという趣旨でございますから、その期間を延長することは、現時点では考えてはおりません。しかしながら、施行後、その状況も見きわめていかなければならないということもあろうかと思いまして、失効時点において、改めてそのときには考えることもあり得るというふうにお答えをしておきます。
七条委員 今、松本先生の方から、施行期日との関係もあり、法の失効期日との関係で二年ということになると思いますけれども、本来なら、この原案が出てきたときには、三年という期日の中で何とかきちっとやりたいと思っておりました。今回、私たちが修正をさせていただいたのは、ともかく早くやりたい、そして、原案なるものの趣旨をできるだけ生かしていきたい。
 そういうことであれば、法の失効期日の方はそのままに置いておいて、それで施行期日の方を何とか現状に合わせていく。そうすると二年ということになってまいりますけれども、当然、二年という形できちっとやれるかどうかをやってみる。今、酒類の業界、特に小売店の関係を取り巻く環境は非常に厳しくて、環境を整備する中で、これからやっていかなきゃいけないことがいろいろ出てまいりますから、二年たってみて、きちっとしたことでそれを延長するのか、また違う方法でやるのかということも考えることにはなるのではないか。
 ですから、二年の中で一生懸命やりながら、次また考えるという趣旨も含めて、修正案を出させていただいたところでございます。
松本(剛)委員 八月、三月、私が読み違えました。それは訂正させていただきたいと思います。
 それでは、閣法についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 酒類販売管理者を選任することによって販売管理を強化するというのが趣旨の大きな柱だというふうに理解をしております。そして、酒類販売管理の必要性については、未成年の飲酒防止というのがその内容であるというふうに思うわけでありますが、大臣がお読みになった提案理由の中にもありましたけれども、規制緩和をしていくと未成年の飲酒がふえるというようにも読めるんですが、ちょっとその因果関係には論理の飛躍があるような気がいたします。
 酒類販売管理者を選任すると未成年の飲酒が本当に防止できる効果があるのかどうかということ。そして、その選任は、恐らく各小売の業者さんにとっては、先ほど生方議員の質問の中でもいろいろありましたけれども、それなりの負担になってくるんだろうというふうに思いますが、そういう負担をかけて、本当に未成年者の飲酒防止にどのぐらい効果があると見ておられるのか、お伺いをしたいと思います。
谷口副大臣 相関関係のこともおっしゃったわけでございますけれども、おっしゃるように、酒類小売業免許の規制緩和によりまして、販売場がふえる、また、過度の競争が行われるといったようなことがありますし、価格の引き下げ、売上高を増加したいといったことになって、本来、アルコール飲料としての特性を配慮するという実効的な管理体制が必ずしもとれないということもあるわけでございますので、今回のこの閣法の法改正によりまして、酒類の表示に関する命令規定の整備、また、酒類を適正に販売管理できる者の選任等の法改正にさせていただいたわけでございます。
 それで、今先生、もう一つ、負担のことをおっしゃったわけでございます。
 先ほどからの議論にございますように、今回は、一応事後的に研修を受けていただくということで、三カ月以内と。既存の業者におきましては、十五万件近くいらっしゃるわけでございますが、経過措置で一年間ということになっておるわけでございます。これは努力規定でございまして、なるべく御負担をかけないというような観点で進めさせていただきたいというように考えております。
松本(剛)委員 私の持ち時間も間もなく終了いたしますので、まだ何点かお伺いをしたいことがあったんでありますけれども、また改めてお伺いをさせていただくとして、今おっしゃったように、この法律、お伺いをしていると、こちらからお聞きをすると、いやそれほど大したことではない、こちらからお聞きをすると、ちゃんとやるんだ、こういうふうにも聞こえてくるわけでありまして、具体的にこれでどうなってくるのかというのがもう一つよくわからない部分があります。
 例えば、酒類販売管理者の選任も、事後的だからという話でしたけれども、二十四時間はかわる責任者を置くんだ、そのように指導するんだ、そういうお話もさっきあったわけであります。研修は三時間ということだと、三時間寝ているという話もさっき議論の中でありましたが、寝ていてはぐあいが悪いんですが、三時間で本当にどのぐらいの研修ができるのか。逆に、じゃ何日もかけてやると、今度は大変な負担になる。こういう話で、大変中途半端な状況ではないかな、そんなふうに思うんです。しかし、いずれにせよ、このことも一つの制度の変更ということになるんだろうというふうに思います。
 改めて、最後に、今回のこの閣法もそうでありますし、それから、衆法、修正案もそうでありますが、そもそも政府・与党が規制緩和の流れを閣議でお決めになった。一方で、規制緩和をするから大変だということで、また与党側から、内閣から法案が出てきて、これは激変緩和ということで、逆行ではないということであろうというふうに思いますけれども、内容を読めば、これは逆行という指摘も、ある意味では、一時規制緩和をとめるということであれば、流れをストップさせる内容であるというふうにも理解できる部分があるわけであります。
 その辺のところ、我々からしたら、政府・与党の方針を、大局的な部分をしっかり決めていただきたい。特に、それぞれの産業の育成を発展させるには何がリスクが大きいかといったときに、今残念ながら起こっていますが、戦争のリスクが最大でありますけれども、その次は制度変更、制度のリスクだ。マーケット、市場のリスクであるとか資金調達のリスクであるとかいうことは企業の経営の範囲内ですけれども、戦争のリスクと制度のリスクというのが一番産業の発展にマイナスが大きい。その意味では、このように、規制緩和についても、行くのか、行かないのか、どのように行くのかというのを、行ったり来たりという状態は、これは実は酒類の発展のために最も問題があるんではないかということを御指摘申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
小坂委員長 次に、達増拓也君。
達増委員 まず、衆法の方から質問をさせていただきたいと思いますけれども、「第三章 財政上の措置」ということで、第七条、「必要な財政上の措置を講ずるものとする。」これが、修正で、第七条、「「財政上の」を削る。」ということで、「必要な財政上の措置」から「必要な措置」というふうに修正案が出されています。
 ここについては、自由党としては、やはり財政上の措置は必要ではないかと考えているわけであります。経営の改善のための計画の実施、そして転廃業の円滑化、酒類小売業に携わる皆さんが、酒税の確保という国の仕事に対する協力、貢献もしてきた、そういうことを踏まえ、やはり国として、こうしたとき財政上の措置を講ずることが必要と考えているわけでありまして、これが、「財政上の」というのを削除されることで、およそもう国として財政上の措置はしないとなってしまうのでは困るんでありますが、伺います。
 この「財政上の」を削除することにより「必要な措置」という言葉になるんですが、これは、財政上の措置も含んだ意味での「必要な措置」ということなんでありましょうか。
七条委員 今達増先生の方から言われたとおりだと思っておりまして、当然、「必要な財政上の措置」というのは、財政を伴います予算措置ということになってしまいますが、もっと大きな観点に立って物を考えなければならない。財政を伴い、予算措置を伴うようなもの、先ほど少し私申し上げさせていただきましたけれども、共同仕入れをしたり共同販売を町の小売店がやりたい場合、そういうときには、蔵置場をきちっとつくってやるときの規制を緩和するようなことは財政措置には入りませんけれども、こういうようなこともきちっと位置づけて、町の小売店がどんどん元気になっていただけるようなことをする。
 そういう意味では、単なる財政措置だけではなくして、「必要な措置」というふうに大きな意味に考えていただける方がいいんではないか。当然、そういうことから考えますと、財政措置も含めて入ってくる、こういうふうに御理解いただければと思っております。
達増委員 財政上の措置というのを否定するものではないということが確認できました。
 さて、次は政府案について質問をしてまいります。
 まず前提となる立法事実、今の酒類小売業界の現状について質問をいたします。
 全国小売酒販組合中央会の調べによりますと、平成十年三月三十一日、規制緩和推進三カ年計画が閣議決定されて以来、失踪、行方不明者数が二千五百四十七名、自殺者数五十八名という非常に衝撃的な数字が出ているわけでありますけれども、政府はこうした実態についてはきちんと把握されているんでしょうか。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘の酒類小売業者の失踪、自殺者等の実態につきましては、全国小売酒販組合中央会において実施されました実態調査について、私ども伺っております。
達増委員 さらに、同じく全国小売酒販組合中央会の調査によりますと、同時期、平成十年三月三十一日の規制緩和推進三カ年計画閣議決定以降、転廃業、倒産の数も非常に多く、二万四千三十九件に上っているという数字が出ております。
 この数字、都道府県別に見てまいりますと、東京都や神奈川県のような大きい都道府県で、それぞれ、東京都千八十七、神奈川県七百。それから、もう一つ大きい都道府県でいきますと、大阪府で五百七件という数字が出ているんですが、小さい地方の都道府県、岩手県、青森県、秋田県の数字を見ますと、岩手県四百二十四、青森県四百八、秋田県四百六十二。人口の比率あるいは経済の比率から比べて、大都市圏に比べて地方の方がより被害を受けているような数字が出ていると思います。南の方で見ても、熊本県、鹿児島県、宮崎県について、それぞれ、熊本県は六百件、鹿児島県五百八十五件、宮崎県六百十八件。大都市圏よりも、地方において特に被害が甚大であるということが言えるんだと思います。
 こういう酒類小売業者、酒販店の転廃業、倒産というものは、地域社会に与える影響が少なくないわけでありまして、政府としてそこをどのように認識しているのか、伺いたいと思います。
谷口副大臣 達増先生が今おっしゃったように、酒類小売業におきましては転廃業がかなりふえているということは存知しております。
 今既存業者が転廃業をやって、一方で業者の新規参入があるとかまた新業態の店舗が参入するとか、このような形で過度な販売競争が行われておるというようなことで、本来、アルコール飲料でございますので、その特性に配慮した実効性のある販売管理体制をつくっていかなければいけないわけでございますが、そのようなことも十分機能しておらないといったようなことも聞きますものですから、今回この法改正をさせていただいて、先ほどもお話をさせていただいたわけでございますが、酒類の表示に関する命令規定の整備、また適正に販売管理できる者の選任等を行い、このような適切な販売管理体制をつくる必要がある、このように考えておるわけでございます。
達増委員 これは社会問題としてひとつ政府としても深刻に受けとめるべきだと思います。
 酒販店、酒屋さんというのは、特に、地方、地域においては、その商店街の中核であったり、あるいは町内会や自治会の中心的な役割を果たしていたり、地域のコミュニティーの核、いろいろなお祭りといった行事ですとか、そういった地域の伝統文化を支える中核になっているケースが多いわけであります。そうした酒販店、酒屋さんが、こうした物すごい勢いで倒産、転廃業を強いられ、あまつさえ失踪でありますとか自殺でありますとかそういうことになっている。
 これも全国小売酒販組合中央会調べでありますが、そうした転廃業、倒産、失踪、自殺の主な理由として挙げられているのは、商圏内及び近隣に免許が付与され出店が集中したため、また、価格競争で売り上げ減のためと、明らかに平成十年三月三十一日以来の変化がこうした事態を生じさせているわけであります。
 特に、重ねて政府に伺いたいんですけれども、こうした酒販店の多くは、長年にわたって酒税徴収の一端を担ってきたという事実があると思うんですね。これは最初の質問の、「必要な財政上の措置」に関連しても言及させていただきましたけれども、そうしたいわば国の仕事に貢献してきたお店、個人が今こういう激変の中で転廃業、倒産や失踪、自殺を強いられている。これは非常にゆゆしい事態だと思うんですけれども、この点、政府はどのようにお考えでしょうか。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年九月に公表されました国税庁審議官主催の酒類販売業等に関する懇談会の取りまとめにおきましては、「酒類業者は、課税物資である酒類の生産、流通に携わる者であり、酒税の円滑な転嫁、回収を図る観点から免許業種とされているが、こうした役割は今後も重要であると考える。」とされております。酒類業につきましては、製造から販売まで免許制度がとられ、それにより全体として酒税の円滑な転嫁並びに確保が図られているものと考えておりまして、先生御指摘のように、酒類小売業者の方々にはその一端を担っていただき、貢献していただいていることは御指摘のとおりでございます。
 酒類業界を取り巻く厳しい環境の中で、中小の酒類小売業者が健全な企業経営を行っていくためには、もちろん業者自身の社会経済の変化に適応した経営の活性化が不可欠であろうかと思いますが、私ども国税庁におきましても、引き続き、酒類小売業者の経営の活性化に向けた支援を積極的に実施してまいりたいと考えております。
達増委員 自由党は、規制緩和、規制の改革ということには前向きでありまして、およそすべての業法を一たん廃止して経済を活性化させよう、そういう主張、具体的な法案も用意しているんでありますが、それは、自由で公平公正な経済社会活動によってまず地域を活性化させて、地域の商店街から景気の回復、地方の中小企業から経済の立て直し、そして強い地域経済に支えられた強い国民経済をつくっていくことが目的であります。
 ところが、政府の規制緩和策を見てみますと、国の経済の根本にかかわるような規制改革は後回しになり、どうも、やれるところからやる、取れるところから取るみたいな感覚で、やれるところからやるといった感じの規制緩和が進んでいるんではないか。それが弱者に対するしわ寄せのような形になって、かえって景気の悪化でありますとか経済の悪化につながっているんじゃないかということを恐れるわけであります。
 そこで、そもそも酒類市場というものの性質を考えてみますと、政府の規制緩和推進計画はおよそ市場原理を尊重しようという発想から出ていまして、今答弁にもありました、昨年九月六日に出た酒類販売業等に関する懇談会のペーパーでも、「酒類業のあるべき姿について」というところで、「今後の酒類業は、商品・サービスについて、市場原理による競争により効率性を確保しつつ、酒類の特性の変化や今日の社会的要請を踏まえ」「透明度の高い事業を展開していく必要があると考えられる。」やはりいまだに市場原理ということを強調しているのであります。
 そもそも市場原理が成り立つには、経済学的にいいますと、ちゃんと需要と供給の組み合わせで最適な数量と最適な価格が決まるというのが市場原理でありますが、その前提にあるのは限界効用逓減、そういう財の性質なわけですね。
 これは、簡単に言うと、例えばリンゴというものは、最初の一個は非常にありがたいけれども、同じリンゴ、二個目、三個目とふえていくと追加分のありがたみがどんどん失われていくから、たくさんあればあるほど価格が安くなっていくという性質になるわけです。
 お酒の場合は、一杯一杯また一杯という詩もありますが、人によっては、あるいは場合によっては、飲めば飲むほどさらに欲しくなるという、これは普通の人でもそうですし、まして依存症になってしまった人にとっては、限界効用の逓減という市場原理の前提になっている財の性質が全然違うことになっているわけです。したがって、安易に市場原理、経済学の理論で最適な価格、最適な量が決まるとは言えないものなわけです。
 また、経済学では、効用というものはいいことだ。効用というのは、要は、欲しい、食べたい、飲みたい、そういう欲望が満たされることですけれども。ただ、お酒の場合ですと、たしなみたいというのは社会的にもいいと思うんですけれども、飲んでめちゃくちゃになりたいとか、酔っぱらってへべれけになりたいとかいうような効用については、果たしてそれが満たされることが社会的にいいことかという問題もあります。
 事ほどさように、酒類という財、お酒という財については、市場原理というものがほかの財に比べて必ずしも機能しないのではないかということが論理的にも言えると思うんですけれども、この点、政府の考えを伺いたいと思います。
谷口副大臣 達増先生、今経済学的な酒類の見方みたいなことをおっしゃったわけでございますが、酒類の持っておる依存性みたいなもの、一たん飲みますと効用が逓減しないというようなことをおっしゃったんだろうというふうに思いますが、確かにそういう点はあるんだろうというふうに思います。
 そういうことでございますので、過度の飲酒は好ましくない、国民の健康面におきましても好ましくない。また、その結果生ずる社会的なコストに関しましても、これは無視し得ないものがあるんだろうというふうに思います。特に、未成年者飲酒防止等が従来から非常に議論され問題視されておるわけでございまして、おっしゃるように、これを市場原理のみにゆだねるといったことについては問題があるんだろうと思っておるわけでございます。
 そんなこともございまして、今回、政府提出法案に関しましては、例えば管理者の選任であるとか、国税庁の告示のことであるとかいうような観点で、全体的な整備をするということで提出させていただいたところでございます。
達増委員 今回の政府の法律案は、先ほどから言及している昨年九月の酒類販売業等に関する懇談会の答申を背景として出てきていると思うんですが、これを読めば読むほど、酒類、お酒の市場の特殊性をきちんと突き詰めないで、普通の財やサービスと同じような市場原理というものと未成年飲酒を防止するといったような販売管理の特殊性、そのバランスでやっていけばいいんじゃないかというような発想がどうも政府にあるんじゃないかというふうに思われるわけです。
 本来は、酒という財の特殊性に応じた、酒独自の市場モデルをつくりながら、どう市場を適切に運用していくかということを深めていかなきゃならないと思うんですけれども、販売管理さえしっかりしていれば、あとは普通の財やサービスと同じような市場原理でやればいい、その辺のバランスさえ保っていけばいいというような考えが政府にあるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょう。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 酒類小売業者は、酒類の販売に当たりまして、先ほどから申し上げておりますように、種々の法令によりまして、社会的要請に基づいた法令の規制をあわせて受けております。酒税法あるいは酒類組合法といった法律のほか、さまざまな法律の規制をあわせて受けております。
 また、平成十二年には容器包装リサイクル法の全面施行が行われますとともに、未成年者飲酒禁止法の罰則が強化されております。平成十三年には、この未成年者飲酒禁止法に年齢確認義務が盛り込まれるなど、酒類を取り扱う業者として遵守する必要がある法令の強化、整備も行われているところでございます。
 他方で、平成十五年九月以降の人口基準の廃止に伴いまして多種多様な者の参入が可能となりますが、現行法体系のもとにおきましては、販売管理の是正を求める手段はあくまでも行政指導にとどまっておりまして、その実効性確保の点で必ずしも十分ではないというものになっております。
 また、近年、酒類小売業免許に係ります規制緩和の進展に伴いまして多店舗展開型の経営の参入が進みまして、免許者、これは通常は今までは経営者でありますが、経営者の直接の管理下に置かれていない販売場が急激に増加しているなど、経営と実際の販売管理との分離が進んでおりまして、さらに、平成十五年九月以降の人口基準の廃止に伴いましてこの傾向が促進されることが予想されます。
 今回の改正は、このような酒類小売業の現状を踏まえつつ、かつ先生御指摘のようなお酒の持っている特殊性を踏まえまして、酒類小売業者に対する酒類の適正な販売管理に対する社会的な要請の高まりにこたえまして、適正な販売管理の確保について、より実効性ある体制を整備する必要がございますので、酒類販売管理者の選任、これを組合法上も明確化することにしているものでございまして、御指摘のような点も踏まえて、今後運用を図っていきたいと考えております。
達増委員 最近、情報という観点から市場経済を見直していく、そういう議論が盛んなんですけれども、市場経済モデルというのは、主体が完全な情報を得て、合理的に判断して行動することが前提になっている。
 一般の財・サービスもなかなかそう簡単にはいかないわけですけれども、お酒については特に、自分がどのくらい飲めるかとか、自分自身を知らないと、酒を知るということは自分を知るということでもあると思いますし、そうした自分を知るということは、地域に根差したコミュニケーションの中で初めてわかってくるということもあると思います。
 したがって、酒販店というのは、そういう顔と顔が見える関係の中で真実の情報に基づいて適切な量と適切な価格を決めていく、そういう役割があると思いますので、管理さえきちっとしていればだれが売ってもいいとか、管理さえきちっとしていれば市場原理に任せていいとかいうふうな単純なものではないということを指摘させていただきたいと思います。
 次に、安売りの問題が、先ほど紹介した転廃業、倒産、失踪、自殺の問題に直結しているわけですけれども、一つ、庫出税という制度、これは生産者から生産された時点で税金を取る仕組みなわけです。そうしますと、つくってしまって税金を取られた以上、後は売りさばかなきゃ損だということになってしまい、それが不当廉売、安売り、供給過剰につながる、そういう制度的な問題があるんじゃないかと疑問に思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 酒税につきましては、酒類の製造者が製造場から酒類を移出したときに課税いたします、いわゆる先生御指摘の庫出課税方式を採用しておりますが、これは酒税の保税の観点並びに課税実務の観点、徴税コスト等の観点から、酒類製造者を納税義務者とすることが適当と考えられることによるものでございます。
 酒類市場において需要と供給との間に乖離が生ずることはございますが、酒類の供給量は、基本的には、各酒類製造者の販売政策ないしは経営判断によって決定されるものでございます。各酒類製造者は、自社製品の販売動向あるいは新製品の開発状況、さらには製造能力等を勘案して、独自の需要予測を行い、それに基づき販売目標を設定して生産、出荷を行っているのが通常ではないかというふうに考えております。このため、すべての製造者の販売目標の合計が実際の需要を上回って、結果的に過剰供給になる場合もあることは避けられない面があろうかと思います。
 いずれにいたしましても、酒税の課税制度が何らかの影響を及ぼしているとはなかなか考えにくいのではないかというふうに考えております。
達増委員 実態として、非常に悪質な不当廉売やまた差別対価というやり方で小売業者に過剰な負担や被害が及んでいるわけですけれども、政府はその辺の対策はどのように講じているのでしょうか。
福田政府参考人 お答えいたします。
 国税庁といたしましては、酒税法に基づきます免許業者である酒類販売業者が、不当廉売あるいは差別的対価による取引など、いわゆる不公正な取引を行うことなどによりまして、独占禁止法に抵触することのないよう、従来から指導を行ってきたところでございます。
 また、平成十年四月に、公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針、私ども指針と言っておりますが、これを発出いたしまして、公正な競争による健全な酒類産業の発展を確保するため、すべての酒類業者が尊重すべき公正なルールについての考え方を示す必要があるとの観点から、さまざまな機会を通じまして、酒類業界に対して積極的な周知啓発に努めてきたところでございます。
 さらに、酒類の取引状況等の実態調査を積極的に実施いたしまして、公正なルールに則しているとは言いがたい取引等の改善に向けて指導してきたところでございます。
 さらに、平成十二年の十一月に公正取引委員会から、酒類の流通における不当廉売、差別対価等の規制についての考え方を取りまとめました、いわゆる酒類ガイドラインが発出されたことを踏まえまして、私どもといたしましても、公正取引委員会と協力いたしまして酒類業団体に対する説明会を開催するなど、公正取引委員会との連携も図っているところでございます。
 今後とも、酒類の販売に際しまして不当廉売あるいは差別対価などの不公正な取引が行われないよう、引き続き指導に努めてまいりたいと考えております。
達増委員 不当廉売、差別対価というのは本当に市場をぶち壊してしまうような行為ですから、そこは公正取引委員会とも連携しながら、そういうことがないように、あったらすぐに是正するようにしなければならないと指摘したいと思います。
 先ほどから引用している例の懇談会の答申の中に、酒類業に対する社会的要請、そして課題八項目として挙げられている中に「飲酒に起因する各種の事件、事故、トラブル、健康障害の発生防止」というのがあるのですね。今回の法案、販売管理を徹底するという結論に持っていくに当たって、個々の販売店に、「飲酒に起因する各種の事件、事故、トラブル、健康障害の発生防止」まで責任を求めるのは、ちょっとこれは酷じゃないかと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
福田政府参考人 御指摘の酒類販売業等に関する懇談会におきましては、酒類の特性として、代表的な嗜好品であること、文化、伝統性があること、致酔性飲料であること、課税物資であることを挙げております。このうち、近年、酒類の一般商品化、購入アクセスの容易化などによりまして、致酔性がクローズアップされてきておりまして、酒類業者は未成年者飲酒禁止法等の社会的な要請に対応していく必要があるとしております。
 私ども国税庁といたしましても、このような特性を有します酒類の小売業者は、免許業者として、これらの社会的な要請に適切に対応していく必要があるというふうに考えております。そのため、酒類の小売業者に、酒類の特性、関係法令等について知識を深めていただきまして、酒類の一層適切な販売管理体制を構築していくことが必要と考えて、今回、酒類販売管理者の選任等、所要の法改正をお願いしているところでございます。
 いずれにいたしましても、先ほどから御説明申し上げておりますように、法律の運用に当たりましては、酒類小売業者に過重な負担がかからないよう配意していきたいと考えております。
達増委員 「飲酒に起因する各種の事件、事故、トラブル、健康障害の発生防止」というのは個人の自覚の問題だと思いますし、また、行政の分野で考えれば、それぞれ警察行政であり、あるいは厚生労働行政であり、そういう意味で、酒税確保ということで財務省の所管になっている酒類行政ですけれども、そういった他省庁との連携もとりながら、全体として適切な行政が行われることを期待しまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
小坂委員長 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、酒の小売免許の規制緩和についてお聞きをしたいと思います。
 九〇年代を通じまして規制緩和が進められまして、特に九八年の規制緩和推進三カ年計画、これで決定的になったわけであります。二〇〇一年一月に距離基準が廃止され、いよいよことし九月には人口基準まで廃止される。町の酒屋さんへの影響は極めて甚大であります。
 そこで、実態からまず確認をしたいのですけれども、一九九一年以降の十年間で、酒の小売業者は、一般小売店販売場数で、九一年の十三万一千から二〇〇一年の十四万六千へと一万五千場増加しております。国税庁の資料では、距離基準の廃止が始まった九八年以後二〇〇二年までの四年間で、実に一万場以上もふえているわけです。出店ラッシュという状況であります。配付資料を見ていただければ明らかなように、免許付与はこの十年間で二万七千三百九十六件、その一方、取り消し、消滅が一万六千七百五十四件発生しております。規制緩和によって消滅しているのは、主には零細な小売業者であります町の酒屋さんではないかと思うわけです。
 そこで、数字をお聞きしたいんですけれども、国税庁に、この十年間で販売小売業者全体の中の一般小売店の推移、販売場数と販売数量、これを示していただきたいと思います。
福田政府参考人 御指摘のように、国税庁におきまして、酒類小売業者の経営実態調査を五年に一度行っているところであります。
 ただ、この実態調査につきましては、年度ごとの回収率に差がございますので単純に比較することはできませんが、この調査によりますと、酒類小売販売場全体のうちに一般酒販店の販売場数が占める割合について申し上げますと、九〇年度、平成二年度と、二〇〇〇年度と比較いたしますと、九〇年度の八七・七%に対しまして、二〇〇〇年度では六九・八%となっております。それから、酒類販売数量全体のうち一般酒店における酒類販売数量が占める割合につきましては、九〇年度の八三・三%に対しまして、二〇〇〇年度では五五・一%となっております。
佐々木(憲)委員 規制緩和が本格化する前には、販売場数、数量とも、一般小売店が八割以上であります。その大多数が町の酒屋さんでありました。それが今では、数量で五割少し超えたところまで落ち込んでいるわけですね。この統計の一般小売店の中にはディスカウントストアも含まれておりますので、純粋に個人の商店、町の酒屋さんはその比率以下でありまして、大変重大な危機的状況にあるわけです。
 その一方で、コンビニあるいはスーパー、これは数字はどうなっているか、同じ販売場数、数量で示していただきたいと思います。
福田政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど申し上げました実態調査によりますと、酒類小売販売場全体のうち、コンビニエンスストア並びにスーパーマーケットのそれぞれが占める販売場数の割合につきまして、一九九〇年度、平成二年度と、二〇〇〇年度、平成十二年度を比較いたしますと、コンビニエンスストアにつきましては、一九九〇年度の七・七%に対しまして、二〇〇〇年度では一六・九%となっております。また、スーパーマーケットにつきましては、一九九〇年度の〇・九%に対しまして、二〇〇〇年度では七・二%となっております。
 また、酒類販売数量全体のうち、コンビニエンスストア並びにスーパーマーケットそれぞれにおける酒類販売数量が占める割合につきましては、コンビニエンスストアにつきましては、九〇年度の一〇・四%に対しまして、二〇〇〇年度では一一・七%となっております。また、スーパーマーケットにつきましては、九〇年度の一・九%に対しまして、二〇〇〇年度では一八・八%となっております。
佐々木(憲)委員 今、ちょっと細かな数字を出していただいたんですが、コンビニとスーパーを合わせますと、販売場数でいいますと、八・六%だったのが二四・一%と、大変なふえ方であります。また、量でいいますと、一二・三%だったのが三〇・五%と、大変なふえ方であります。ですから、規制緩和で急拡大しているのは明らかにコンビニとスーパーということになるわけであります。
 業界紙の酒販ニュースによりますと、実態調査の結果が、昨年の十一月一日号、ここで紹介されておりますが、昨年の八月、九月時点で、スーパー四十三社の平均免許店比率、これは六七・二%、つまり前年同月比で七・二ポイントの増加。コンビニエンスストアは、十三社すべてで過半数の店が酒あり店、酒があります、こういう店になっております。平均免許店比率は六五・九%にコンビニの場合なっているわけですね。ですから、免許店の過密状態というのが現在の状況だと報じているわけです。その結果として、町の酒屋さんがどんどんつぶれるという状況でございます。
 配付した資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、これは全国小売酒販組合中央会の調べでございまして、人口基準の緩和が始まる九八年三月三十一日の閣議決定以降ことし二月末までの小売業者の窮状をあらわしたものでございます。これを見ますと、転廃業、倒産数、二万四千三十九件、大変な数でございます。あるいは、失踪、行方不明者は二千五百四十七人、自殺者が五十八人、こういう大変な痛ましい状況が出ているわけであります。
 塩川財務大臣にお伺いしますけれども、こういう中小の、特に町の酒屋さんの窮状というのは大変な状況でありまして、この理由としては規制緩和というものが閣議決定されて、加速されているんだと私は思うんですけれども、大臣は、この規制緩和が大きな要因になっているということはお認めになりますか。
塩川国務大臣 これは、規制緩和も一つの大きい要因であったかもわかりませんけれども、そうではなくして、私聞いておりますのは、やはり、経営者がお年寄りであって、商売に、営業についていけないというような状態が多いとか、あるいはまた相続がつかない事情で廃業しなきゃならぬとか、そういう状況等がやはりそこに絡んでおるように思っております。いずれにしても、そういう問題が起こったきっかけは、一つは規制緩和ということからいろいろなそういう家族問題あるいは営業問題が起こってきたこと、これは確かに一因としてあると思っております。
佐々木(憲)委員 定足数に達していないようですね。これ、どうなっているんですか、与党はほとんどいないですよ。
小坂委員長 提案者席にも座っておりますし、また、今呼んでいるようでございます。足りております。質問を続行してください。(佐々木(憲)委員「向こうに座っている」と呼ぶ)ええ。質問を続行してください。
佐々木(憲)委員 これは大変重要な法案の審議をやっているわけですから、きちっと出席をしていただかないと困るわけであります。
 それで、今大臣は、経営についていけないというようなお話をされましたけれども、しかし、そういう状況をつくったのは、やはり私は、閣議決定で規制緩和一辺倒というふうに我々思っておりますけれども、そういうことを進めてきた政府の側に大変大きな原因があるというふうに思います。
 大体、大臣がいろいろおっしゃいましたけれども、これは財務省の酒類販売業等に関する懇談会の報告を見ましても、昨年九月の報告書です、こう書いているわけです。「規制緩和に伴い新業態店が大幅に増加する一方で市場の変化が激しいため、一般酒販店は大幅に退出している。」「競争に敗れ、あるいは競争に参加もできずに退出する一般酒販店が増大する等、小売業者の経営状況からみて急激・過度の参入による乱売等の競争の弊害が目立ってきている。」つまり、規制緩和の結果こういう事態が生まれている、こういうふうに指摘しているわけですよ。
 九八年の閣議決定までは、距離基準のもとで、近接した場所に酒屋さんを開くことはできなかった。しかし、距離基準は二〇〇一年一月に廃止されまして、例えば、交差点がありますね、四つ角にコンビニがある、それぞれが酒が売れる状況になった。こういうことでありまして、国税庁調査の最寄りの小売業者との距離別販売場数、これを見ましても、五十メートル未満八・三%、百メートル未満を加えると二三・〇%、百五十メートル未満を加えると全体の四三・七%に達するわけです。いわばひしめき合っている状況ですね、非常に狭い地域に。人口基準も段階的に緩和されてくる、こういう状況です。
 そもそもお酒というのは、これは社会的な規制の必要な致酔性の飲料であります。規制緩和の結果、消費者の利便というものを超えてしまって、異常な競合状態が生まれているんじゃないかと私は思うんですけれども、財務大臣、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 地域によってそういう特徴的なところは確かにございます。けれども、コンビニもそういう免許がおりて、それによって競争が激化したということが一つございますけれども、私は実感しますのは、やはり一番問題はディスカウントショップなんですね。これが一般の、いわば地域に根づいた、いわば地域の人の需要を満たしておる供給体制をとっておった、そういう業者がそれによって攪乱されているということ、これは非常に被害をこうむっておられる、その実態をよく見ておりまして、そこらが実は問題なんかいなと私は思ったりしております。
佐々木(憲)委員 ディスカウントがどんどん広がるというのも規制緩和の結果なんであって、何か他人事のように言われると困るわけであります。
 ことし九月に人口基準が廃止されて、人的要因だけで販売免許が付与されるということになります。しかし、酒の消費量を見ますと、これは横ばいなんですね。国税庁の先ほどの懇談会の報告書を見ましても、「今後人口が減少に転じると総量自体も減少すると見込まれている。」と指摘しておりまして、消費量は伸びない、むしろ減っていくというのが見通しとして出されているわけであります。
 そうすると、販売店だけが増加するということになっていきますと、当然、利幅がどんどん下がっていく、販売数量が減少していく。そうすると、将来の見通しとして、小売店の状況というのは一層厳しくなっていくんじゃないかというふうに思いますが、財務大臣はどういう認識をお持ちでしょうか。
福田政府参考人 政府といたしましては、経済活性化等の観点から、幅広い分野について規制改革を進めてきております。酒類の小売業免許につきましてもその一環でございますが、ただ、御指摘のように、中小の酒販店が健全な企業経営を行っていくためには、経営の活性化策の取り組みが不可欠でございます。中小酒販店のこうした自主的取り組みに対しましては、中小企業診断士等を講師とする研修会の開催など、さまざまな支援を行ってきているところでございます。
 時間の関係で細かいところは省略させていただきますが、私どもといたしましては、今後とも、今申し上げましたような経営の活性化に向けた取り組みの支援を積極的に行ってまいりたい、かように考えております。
佐々木(憲)委員 規制緩和が非常に大きく進められて、いわば弱肉強食という状況が生まれているわけです。ですから、そこのところに私たちは根本的な問題点を感じておりまして、激変緩和ということが言われますけれども、それはそれとして必要かもしれないけれども、より根本的な問題を考えなきゃいけないというふうに思います。
 九月の需給要件の緩和によってさらに新規参入が激しくなる。二月十四日の日経によりますと、「酒類販売に異業種続々」という記事が出ているわけです。こういうふうに書いているんですね。「酒類販売免許の自由化をにらんで、ピザチェーン、百円ショップ、レンタルビデオ店など異業種が酒類の販売に続々と参入している。酒を扱うことで客の利便性を高め集客効果の向上を狙う。」「マツモトキヨシなどドラッグストアやホームセンター、ドン・キホーテなどのディスカウントストアも続々と酒販免許の取得に動いている。」こういう状況なんですね。
 こうなるとディスカウントストアでさえ、ほかの業態からどんどん入ってきますから、今好調に見えているディスカウントストア自身も、これは非常に深刻であるというふうに見ているようでありまして、例えば、酒のディスカウントストアのやまやというところがありますけれども、その会長が業界紙のインタビューでこう言っているんですね。「かつての米屋同様、一般店は壊滅的に減少していくだろう。酒DSも同様。当社も含め、いつ消滅してもおかしくない。」こういう言い方をされております。
 これまで販売を伸ばしてきたコンビニも同様でありまして、例えば、酒販ニュースが昨年十月二十一日号で主要コンビニチェーンの動向を分析しておりまして、そこではこう言っているんですね。「各社の酒類売上げは、免許店数の伸びを大きく下回っている。」「各社の中間期の業況をみる限りでは、来年九月の現行需給要件廃止を前に、酒類売上高の実質的な伸びがすでに頭打ちになっている」「CVSの酒類売場もいよいよ本格的な淘汰が始まることになりそうだ。」こういうふうに言っていまして、これまで販売を伸ばしてきたコンビニでさえ売り上げが頭打ちになっている、こういう結果が出ているわけです。
 異業種による新規参入がどんどん出てくる。ディスカウントストアやコンビニでさえ深刻な影響が出てくる。先ほど、町の小売店の酒屋さんの悲痛な実態を紹介しましたけれども、現在でさえ深刻な事態の酒屋さんが一層経営が難しくなっていく、廃業に拍車がかかる、こういうことに私はつながっていくのではないか。
 そういう意味で、規制緩和のあり方そのものを今後どう考えるのか。この根本的な問題について塩川大臣の見解を伺いたいと思います。
塩川国務大臣 規制緩和を実施いたしましたことによって、確かに業界の中でいろいろな混乱が起こり、またそれの影響を受けて被害となっている方もあるということは承知しております。しかし一方において、受益をしておる方も相当あると思っておりまして、その間の権衡を、バランスを見ていかなきゃならぬだろう。
 以前から佐々木さんの御質問をずっと聞いておりましたら、結局、規制緩和はけしからぬ、そういうことよりもやはりちゃんと統制経済でいけ、こういうことのニュアンスが非常に強い。これはニュアンスです。(佐々木(憲)委員「いや、そんなこと言っていない」と呼ぶ)
 そういう世の中に戻していいのかということが問題なんでありまして、やはり規制緩和は進めていくが、そこから起こってくる弊害をできるだけセーフティーネットでカバーするなり、あるいは何か法制的なものでカバーしていくということであって、根本が、それは共産党がおっしゃっているように統制経済に持っていけ、それはそうかもわかりませんけれども、それでは私は経済全体が発展がないということで、そこはそもそも考え方が根本的に違うということを申し上げたい。
佐々木(憲)委員 塩川大臣のような考えでいけば日本経済はめちゃくちゃになりますよ。(発言する者あり)本当に、もう既になっているという声がある。
 大体、我々が言っているのは、何も統制経済をやれと言っているんじゃないんですよ。町の酒屋さんを守りなさいと言っているんですよ。規制緩和をどんどんやって、それで中小商店がばたばたつぶれて、日本経済がどうして成り立つんですか。日本経済の圧倒的多数が中小業者じゃないですか。それがつぶれて当たり前だ、こういう姿勢が問題だと言っているんですよ。中小業者をいかに支えるかというのが本来の政治の役割じゃないですか。いわば、ばたばたと小さいところをつぶして、それででかいところだけが大手を振って利益を上げていくというのが異常な状態だと主張しているわけです。統制経済でも何でもない。
 そこで、時間がだんだんなくなってくるので、与党の提案者にお聞きしたいんですが、与党の提案者はこういう激変緩和の措置を出されていまして、しかし背後には規制緩和の円滑な推進ということがあります。私はここに根本問題を感じているんですが、規制緩和の推進によると、どうしても、結果として弱いところが追い詰められるということになるわけで、社会的規制を強化するということを同時にやるとおっしゃるんですけれども、やはり、根本的なこの規制緩和の問題についてどう考えていくか。特に、私は社会的規制の強化というのは大変必要だと思いますね。この点について見解を伺いたい。
佐藤(剛)議員 規制緩和に私どもは逆行するということで出したわけではございません。
 規制緩和、ディレギュレーションというのは御承知のように平成二年の海部内閣のときに、トイザらスという、奈良のところで第一店のものができ上がりました。そして、今流通関係というのは、そこを契機に、いわゆる大規模店舗の、先生、いろいろなことをやっているんです。例えが悪いかもしれませんが、町のしにせの小売店の、それをシラスと言えばシラス同士の戦いもあるが、マグロもいればイワシもいれば鯨みたいな形の大規模も入っている。しかも、カツオとイワシとの競争が始まっている、イワシはまたあれだ、こういう話ですわね。ですから、そういう、例えが悪いですけれども……(発言する者あり)例えが悪いか。
 そういうような、今や、何もこれは酒屋さんだけではなくて、自営業が非常に少なくなってきておる、小売店が大変なる大競争の中にいるという観点でこの問題に取り組むべきであり、ですから、議員提案のものについては、あくまでもセーフガードである。セーフガードというのは、緊急的な、一定の地域について、外国でいいますれば輸入がふえた、こちら側からしてみれば免許がふえた、供給がふえた、そういうふうな観点で物をとらえているわけであります。
 それから、ダンピングの、不当廉売の問題についても、国際的にはダンピングの範疇に入るでしょうし、そういう面については公正取引委員会がしかるべき、しっかりと監視をする、これが今回の修正の中にも非常にぴしっと入っておる。
 そういういろいろなことを考えてやっていかなければならない、大競争のものが今流通業界に展開されておる。そして、その大競争の時代というのは、これはワインでいえば輸入品も入ってくれば、それから国内においては、先ほど先生がおっしゃられたような異業種の、製造であるとかドラッグストア、こういうことでございます。
佐々木(憲)委員 今の答弁は、いろいろな事例を挙げましたが、魚の話をされました。私は酒屋の話をしているんですからね。
 つまり、激しい競争の中で小さいところがつぶされ、中ぐらいのところも危なくなってきている。そういうことで、日本経済の底辺が大変な状況になっているということの認識を聞いているわけでありまして、私は、日本経済の底辺は守らなけりゃいけないというふうに思っております。
 政府案についてお伺いします。
 酒類販売管理者のことでありますが、この選任を義務づけているということなんですけれども、研修を受けさせるように努めなければならないという努力規定になっております。研修を受けなくとも罰則はなくて、強制力は働かないということなんですが、なぜこれは努力規定にとどめたのか。管理者が形式的なものになってしまってはやはりいけないと私は思うんですね。
 これまでは町の酒屋さんが、おやじさんが、近所の消費者の顔を、近くの方々はよく顔を覚えているわけです。ですから、そういう点では、未成年に売らないとかそういうのは非常によく判断ができたと思うんです。しかし、コンビニになって、アルバイトが売る、あるいはますます大型店が広がる、こうなりますと、相手を確認する手だてというのがだんだん後退してしまいます。やはりこの点できちっとした管理、管理者の位置づけがなければ社会的規制が実態を伴わないというふうになってしまうと思うので、この点について、運用の点で、どうこの法案を厳しく運用していくのかお聞きをしたいと思います。
福田政府参考人 お答え申し上げます。
 酒類販売管理者の研修につきましては、研修の受講を通じましてその資質を高めていただくことが何よりも重要と考えておりますので、指導の徹底等によりまして適切に対応してまいりたいと考えております。
佐々木(憲)委員 最後に塩川大臣に、町づくりの関連で、先ほども少し質疑がありましたが、商店街が大変な状況にそれぞれの町でなっておりまして、どうやってそのにぎわいを取り戻すかというのが各地で議論されているわけです。
 私は、こういう中小零細の商店をどう守っていくかということがやはり政治の中心的な課題でなければならないと思っておりまして、その点について塩川大臣の基本的なお考えを最後にお伺いしておきたいと思います。
塩川国務大臣 やはり、商店街が一致結束して協同、お互いに助け合うということをやられるということは非常に大事だと思っておるんです。
 私も、地元で、商店街の中に住んでおるものですからそのことはよくわかるんですが、駐車場ができまして、その駐車場は皆ボランティアで管理する。管理費出ないんです、小さい駐車場ですから。出ないんですけれども、ボランティアでやっておる。これがあって、非常に効果が上がってきたということが一つ。
 それから重量物を、お互いが助けて、ボランティアで配達してやろう、お酒なんかでも配達してやろう、お米なんか配達してやろう、こういう制度を導入してきた。これも非常に商店街が活性化してきた。
 それからもう一つ、問題があったんですけれども、お医者さんがやめちゃったんです。すっぱりと真っ暗になってしまった。そこを改造して、子供を預かる保育園みたいなのをつくった。この保育園を認可するかしないかでもう大騒動になったんですが、私らも、臨時のもので認可保育園みたいなことをやっとして、それで一遍に感じが明るうなりました。
 そういうものをやはり、町づくり、みんなやって、協力するという姿勢をしてもらったらよくなっていくんじゃないかと思って、私も、商店街の活性化、一生懸命になって力を入れております。
佐々木(憲)委員 終わります。
小坂委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 酒をめぐって、熱い論議か、はたまた迷走かというお話を伺いながら、私は、この季節、やはりお酒と申しますと一番相性がいいのは桜。ちょうど今桜も見ごろになっておりますが、とても桜を見ている気分ではない。やはり世界情勢も我が国の経済も非常に厳しいところにございまして、本日の法案審議に入る前に、塩川大臣に、現下のイラク情勢、なかんずく短期で終了するという見込みで突入いたしましたイラク攻撃が、膠着状態もあるいはこのまま引き続くかもしれないという中にあって、とりわけ我が国の経済は米国経済と不可分に連動しておりますし、できれば二点にわたって冒頭お伺いをいたしたいと思います。
 一点は、イラク情勢にかんがみて、米国の経済の今後の先行き、これは我が国が深く連動しているということから考えてのお考えを伺いたいというのが一点。
 もう一点は、我が国経済に対する影響でございます。既に、航空あるいは船の運送などにおいては影響があらわれておりますし、また、原油の高騰が必ずしも販売価格に上乗せできない、仕入れ価格の方で高くても、売るときに製品価格の方で上乗せできないという状態が既に見られております。また、短観等によりましても、三月の短観が出ましたけれども、これは開戦前の値ではございますが、設備投資が手控えられたり、個人の消費動向にブレーキがかかるということになっておりまして、私が前回塩川大臣に御質問いたしました折よりは、やはり経済状態に落とす影が濃くなってきていると思います。
 上記二点にわたり、お考えを伺いたいと思います。
塩川国務大臣 短期決戦か長期になるかという見通し、これは私たちはわかりませんが、アメリカの方の当事者が言っておりますことは、予定どおり順調にいっておるということ、それ以外、私たちにニュースは入ってきておりませんが、非常にお互いが激戦の状態にあるということでございます。
 しかしながら、経済の方で見まして、非常に大きい影響を受けるかという懸念もしておりましたですけれども、その点の影響は比較的緩和されてきておるように思っております。ただ、問題は、保険料が非常に高くなってきたということが、物資の流通に少し制約がきつくなってきておるように思っておりますが、これも戦局のいかんによってまた変化が起こってくると思っております。
 原油の関係を見まして、私さっき報告を受けておりますのには、大体予定したとおりであって、そんなに乱高下が起こっておらないし、また直接的な投機が、原油については、そこには投機は入っていないという状況でございますので、いわば、少しは予想したとおりの、安定した状態が続いておるのかと思っておりますけれども、これはしかし、なかなか油断なりません。戦争の推移、戦局の推移によって変わってくると思っております。
 為替でございますけれども、為替は四月に入りましてから若干変化がございますけれども、これはやはり三月決算時における多少ともの関係があったんではないかと思っております。しかし、私の方で今為替の動向に対しまして非常に注目をしておりまして、いつでも警告的な言動を持っていきたいと思っておりまして、為替はぜひひとつ乱高下のないようにして、安定した推移をしてもらいたいと思って注視をしておるところであります。
阿部委員 為替への注視という御意見は先回も大臣お述べでございましたし、私は、逆にその点はもう当然でございますが、先ほどお話ございました原油の価格、私のいろいろ調べました限り、石油製品の製品価格の方にその上昇が上乗せできないところで日本経済への影響もまたこれあるやと思いますし、まして、やはり消費者の心理、あるいは海外旅行を初めとしたいろいろな消費分野にも陰りが出ましょうし、もともと戦争に突入すること自体、外交の失敗として深く反省されねばならないことが、今度は中長期にわたって経済に非常に負担のおもしになってくる。それが、我が国は現在、金融問題でもまだまだ黎明期を迎えておりませんし、かてて加えて長いおもしになるということについて、非常に案じられ、私はきょうその点でも大臣に御所見を伺ったわけです。
 また日銀の短観等出ました折の質問にあわせてさせていただきますが、一言で申しますと、私はやはり、大臣はこの場で余り、いつもそうですが、オーバーな予測はしないんだという観点でおっしゃっているんでしょうが、やはりもう少し深刻に現下を受けとめてさまざまな対策をお考えいただいた方が、本当にデフレという深刻な状況の中ですので、このことが及ぼす影響というのははかり知れないように思いますので、その点を私からお伝え申し上げて、本来の質問に入らせていただきます。
 この酒税法並びに酒類を取り扱う業者の皆さんのいろいろな規制に関します法律についての論議は、先ほど達増委員が御指摘なさいましたように、単に経済的規制か社会的規制かという二極の論じ方ではなくて、酒類というものの持つ極めてさまざまな特性、租税のかなりの徴収源であること、文化的要素を持つこと、あるいは致酔性を持つことなどなど指摘された上での論議ですので、論議のあり方としては、経済的な規制の緩和か、あるいは社会的な規制の保護かというところには押し込められない問題を持っていると私も認識した上で、しかしながら、今回の免許の授与件数の甚だしい増加ということにかんがみて、やはり免許の与えられる要件が安易に過ぎはしないかと思う点がございますので、一点、それを質問いたします。
 今回の法改正では、未成年飲酒禁止法あるいは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に違反して罰金刑に処せられた者を追加して免許を与えない要件としてございます。そもそも、この未成年者飲酒禁止法違反で検挙されました数は、平成元年から十四年までは、累計で八百六十五件の検挙数があり、単年度で六十二件でございますが、実は、ここに述べられているような、起訴されて罰金刑となったものは一件しかございません。
 となりますと、この法律の構成要件でございますが、警察庁にお尋ねいたしますが、そもそもこの検挙というものが、どういう形で実際に検挙に至るのか、このことを一点お教えいただきたいと思います。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 検挙した事案のすべてにつきまして、端緒別に、どういう経緯でという統計は私どもとっておりませんけれども、個別にいろいろ事案の報告を聞いておりますところで代表的なものを申し上げますと、例えば、最も典型的なのは、警察官が街頭補導といった街頭警察活動を実施している際に、酒に酔った少年がいるというようなことで認知をしたり、あるいは、公園で酒に酔って少年が騒いでいるという住民からの一一〇番通報を受けて臨場をして、そういった事態を認識するとか、あるいは、その飲酒した未成年者が急性アルコール中毒になって病院に担ぎ込まれる、病院から通報を受けるというようなことでそういった事案を認知することが多いというふうに承知をしております。
阿部委員 ただいまお教えいただきました事例は、いずれも子供、飲酒した側の子供が端緒になり、それを売った業者を手繰っていくという形になっておりまして、例えば、ある業者が子供に販売している現場を見つけてというか、何らかの形で警察庁の方から能動的に、これはイラクが能動的に廃棄しないのが悪いと言われているときの能動的にですが、能動的に自分たち警察庁がかかわって違反の事例を発見したようなことが果たしておありでしょうかというのが一点。
 この違反件数の総計八百六十五件のうち、コンビニの関与したものと、それから個別の酒店の関与したものの比率とを、お調べだったらお教えください。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、端緒別という統計を実は私どもとっておりませんので、個別の、子供から手繰っていく以外の端緒というものがあるのかというお尋ねに正確にお答えすることはできませんが、当然そういった事例も含まれていると思いますが、多くは、先ほど私が御答弁申し上げましたような形態であろうというふうに思います。
 それから、その検挙された店舗の営業形態別でございますが、これについては統計はとっておりません。
阿部委員 そうなりますと、極めてざる法だと言わざるを得ないと思うのですね。確かに、子供がそこで酔っぱらって、あるいは騒いでいて、何らかの事件を起こして、そこから後追い的にやっていくというふうな方法で、逆に社会的な規制を大幅に緩和したときには必ず混乱が起こってくると思うのです。
 そして、端緒別統計もおとりでないとすれば、今後どんなふうに改善していくか。子供がたくさん酔っぱらったのを、その補導検挙率を上げて酒店をたどるというふうな方向しかなくなるわけです。私は、この一つを見ても、例えば法律に書かれた一つ一つにどの程度行政官庁がみずからの主体的な責任で事をなしていくかの点において、極めていいかげんだと思われるわけです。
 伺いますが、警察庁として、この違反検挙件数を上げるためのこれからの努力点は何ですか、お願いします。
瀬川政府参考人 この法律につきましては、平成十二年の改正で罰則に引き上げられたわけでございまして、十三年、十四年と、検挙につきましても増加をしておるという状況がございます。
 それから、私どもとしての取り組みでございますが、先ほど申し上げました街頭における警察活動はもちろんでありますけれども、もちろんそれにとどまるものではありませんで、酒類の販売店に対しまして、未成年者に対する酒類の販売防止のための適切な措置、例えば年齢確認の義務等も法律で定められております、こういったものを的確に実施をしていただくように、警察としても働きかけを実施しておるところでございます。
 今後も、私どもといたしましては、未成年者の飲酒防止に向けまして、こういった営業者の方々に対する広報啓発でありますとか、関係機関と連携を緊密にいたしまして、販売店に対する指導の強化に努めてまいりたいと考えております。
佐藤(剛)議員 阿部先生の、今、未成年の飲酒禁止法の問題が出ましたから。
 これはもともと議員立法だったんです。非常に熱心な先生がおられまして、明治のときに未成年たばこ禁止法というのを出した。それから、大正のときに、またその先生が中心になってつくった。それで、私は警察庁を支援するというつもりはないんですけれども、二回にわたりまして未成年の飲酒防止法を議員立法で出して、委員長提案で出しております。
 それで、第一回目は、未成年のたばこと酒と両方で出しました。さらに酒税法の一部改正をしました。初めは未成年飲酒は科料だったんですね、それを五十万円以下の罰金に処すると直したわけだ。たばこも直したわけです。そして、たばこは、たばこ事業法で、未成年にたばこを吸わせた人は、取り消すことができるとなっているんですが、酒についてはなっていなかった。それを、酒税法の一部を改正する法律を議員立法で出して、それで、酒税法の中で免許を与えないことができるというのをやったのがこの第一回目。先生方が皆あれだったですね。
 それから第二回目は、夜間なら夜間で、買う人の方が体格がいいということで、実際には十八歳ぐらいの人が学生服で買いに来るんだけれども、これを売らないとおどかしつけられちゃうというふうなところで、今度は、売る方の人が、未成年であるかどうか確認の措置をすることができると。
 先生御承知のように、未成年飲酒もたばこも、これは未成年者を罰するんじゃない、提供した人を罰することになっておるわけでありますから、そういうふうな観点でやっている措置が今ぎりぎりなんですよ、警察庁、この法律の体系は。そういうふうなことになっている体系でございます。
 もともと議員立法で、これはずっとその流れの一環として出てまいっておりますので、あえて答弁させていただきました。
阿部委員 あえて御答弁、ありがとうございます。しかしながら、それはちょっと勉強はいたしましたので、わかっておるつもりで、私が言うのは、子供がたくさん酔っぱらって、その子供の数がふえて、そこからしか手繰っていけない糸であればこれは余りにも不十分であるし、また、大正十一年の法律制定以来です、未成年飲酒禁止法、佐藤先生も改正に御尽力された。しかしながら、罰金刑に処せられた者はたったの一件なのであります。そうであれば、逆に、法はあれども現実は放置されているという状態であるので、そこをきちんと警察庁に、やるべし、その改善の糸口は何ぞや、何を考えているのだということを繰り返し伺いましたが、酔っぱらって暴れる子供からいくしかないというのでは、やはりお先真っ暗であるというふうに申したいわけです。
 そして重ねて、今私は佐藤先生たちへの質問を用意してございませんが、次の質問も多少かかわってまいります。逆に、この酒類の取り扱いに関しまして、表示に関しましては、例えば表示の違反があった場合にはそれなりの、違反を起こしたところの名前を公表するなりなんなりという処分がございますけれども、年間六十二件ある検挙事例のうち、罰金刑に処せられなければあとは何のお構いもないわけです。検挙されても、罰金刑じゃなければお構いなし。お構いなしが八百六十四件、罰金刑一件、この大きな落差。逆に、表示で違反があればその表示違反したところを公表しようというくらいの、青少年に売ってはいけないということを犯した店の名前を公表するくらいのことがあってもいいのではないかということを、申しわけありませんが、これは塩川大臣にお願いいたします。今の佐藤先生のお話を受けての私の指摘ですので――では実務サイドからお願いして、後、大臣に振りますから。
福田政府参考人 お答えを申し上げます。
 現行の酒税法あるいは酒類業組合法には、酒類販売業者が、例えば未成年者飲酒禁止法などの関係法令に違反したことのみをとらえて業者名の公表といった不利益処分を講ずることができる規定は設けられておりません。
 他の事業法におきましても、法令違反をとらえて何らかの不利益処分を講ずる場合は、違反に係る判決あるいは審決の確定という、いわば法的に争いのない状態に至ってから行うのが通常でございまして、その前段階で御指摘のような不利益処分的なことを講ずることは、これはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
阿部委員 それではだめなのではないかというのが私の質問です。
 そもそも、今回のこの酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の中では、先ほど御紹介しましたように、表示の義務違反があればその者を公表することができるということを伴った法律なわけです。一方、販売に関しては、未成年に売ろうが、罰金刑にならない限り、売ったという事実があっても何らお構いなしでは、これは余りにも取り扱いとして、未成年の禁酒を、本当に大人の世界が責任を持ってこれを行わせないという法体系に、不平等であるというか、合わないのではないかと思うので、この質問をさせていただいたわけです。塩川大臣にお願いします。
塩川国務大臣 今の法体系なり社会は非常にソフトな社会になっておりますから、そういう、公表するということもなかなか難しいだろう。
 けれども、そういう業者に免許をおろしている税務署とか監督者のところが厳しく業者を追及して反省を求めるということ、これはやはりやらなきゃいけない。野方図に置いておくということだったら何のための法改正かわかりませんから。それはやってくれるだろう、そのような指導はしたいと思います。
福田政府参考人 国税庁といたしましては、酒税法に基づく免許業者であります酒類販売業者が未成年者飲酒禁止法に違反する場合、従来から指導を行ってきたところでございます。また、新聞報道等によりまして、酒類販売業者が未成年者飲酒禁止法に抵触するような事実を把握した場合には、事実関係を確認した上で、再発防止策等、未成年者飲酒防止について個別に指導を行うこともございます。
 今大臣から御指示ございましたように、なお一層努力をしてまいりたいと思います。
阿部委員 行うものもございますではなくて、ちゃんと警察庁と連携をとられて指導が行われてしかるべきですし、私はやはり公表ということも考えられるべきだと思います。
 そして、警察庁には先ほどに戻ってのお願いですが、こうした販売がコンビニで多いのか、あるいは酒類を従来から取り扱っているお店で多いのか。
 そして、これからはますます、私は、夜間のコンビニでの未成年が未成年に酒を売る構図が普遍化すると思うのです。皆さんの中でも、夜間のコンビニにいらっしゃれば、販売員がまだ若い方であるということは多く見聞なさると思います。そこに幾ら酒類管理者を置いても、その人が直に夜の販売にかかわっているわけではないケースが非常に多いと思います。その点からも、ざる法にならないための努力を実際にしていただきたい。
 最後の質問になるかと思いますが、その件に関係いたしまして、平成十二年の八月の三十日、酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会決定の一の四に「酒類の深夜販売の体制の改善・整備について関係業界に検討を要請する。」という一文がございまして、「深夜における年齢確認の励行等の徹底方策の充実についても関係業界に検討を要請し、かつ、関係省庁による積極的な指導を行う。」という文章がございますが、果たしてこのことはどのように実行されてきたでしょうか。
 私が今聞いた意図は、夜間に子供が子供に酒を売っているところが少なからず見聞されるということを踏まえて、実際に平成十二年八月三十日のこの施策大綱がどのように実行されてきておるかについて、財務省の方からの御答弁をお願いします。
福田政府参考人 御指摘のように、関係各省でそういう申し合わせを行いまして、具体的には、警察庁、当時の厚生省、現在の厚生労働省でございますが、私どもと共同で、日本フランチャイズチェーン協会を含みます酒類小売業界に対しまして、未成年者飲酒防止に有効と考えられる、年齢確認の徹底、夜間におきます酒類の販売体制の整備、酒類と清涼飲料との分離陳列、自動販売機の従来型機の撤廃と改良型機の適切な管理、酒類の通信販売におきます未成年者への注意喚起並びに年齢確認等、未成年者飲酒防止のポスター掲示、従業員研修の実施といった七項目の取り組みを強力に推進していただけるよう要請し、これまで指導してきたところでございます。
阿部委員 人の質問は聞いてから答えてください。私は深夜の販売をどのように指導していますかと聞いたのに、七項目とか何項目とか、本当にふざけた答弁ですよ。あなた方、私はきのうこれも質問通告してありますから、それでいて、何にもやっていないという答弁ですか、それは。
小坂委員長 福田国税庁次長。しっかり答弁してください。
福田政府参考人 夜間に販売をどうするかということでございますが、コンビニエンスストアにおきましては、ライフスタイルの変化に伴いまして、いろいろニーズの変化がございます。
 実際問題として、こういうコンビニエンスストアにおきまして、未成年者を含めてアルバイト等を採用して販売業務に当たらせている場合もあるのも、これもさっきお話があったとおりでございますけれども、その販売の形態を特定の者に限って行わせるということ、これを法制化するのはなかなか難しいということで、先ほどお話ししました七項目とともに、関係の団体に要請し、そのように見守っていただけるように指導しているところでございます。
阿部委員 それでは平成十二年の八月のこの施策大綱から一歩も進んでいないし、なかなか難しい、なかなか難しい、なかなか難しい。検挙も、酔っぱらった子供を捕まえて、おまえどこで酒を買ったんだという追及方式しかないということで、社会が子供たちを守るという観点が全く欠落していると、私は心から怒りを覚えます。そして、それで仕事をよかれかしと思っている、お役所仕事ということを私は強くここで問題にしたいと思います。
 最後に、塩川大臣に一言御答弁をお願いします。
 塩川大臣は先ほど、社会的なものはソフトにやらなければいけないとおっしゃいましたが、社会が守らなくてはいけないものも当然ございます。そのことが、今のような警察庁のあり方あるいは夜間のコンビニ指導体制のあり方、非常に大きな問題を残したまま、まして、小売店の皆さんの窮状も踏まえて、この法律が成り立つわけです。このことに臨むに当たって、塩川大臣が、今回ここで指摘されたさまざまな問題点についてどのようにお取り組みになるか、決意のほどを伺って、私の最後といたします。ごめんなさい、時間で、もう大臣だけでお願いします。
塩川国務大臣 今お話しされた問題は全部この関係者は聞いておりますので、非常に貴重なサジェスチョンだと認識をしておると思いまして、必ずそれぞれの立場に立って、それぞれ適切適当にその努力をしてくれることと思っております。
阿部委員 終わります。
小坂委員長 これにて両案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中塚一宏君。
中塚委員 私は、自由党を代表し、ただいま議題となっております三案に賛成の討論を行います。
 近年の流通、消費の急激な変化によって、小売業者においても、これまでにはない大胆な変革を求められております。酒販小売業は、国の税収を確保する立場から社会的に貢献を果たしてまいりましたが、規制緩和とともに、大手メーカーを初めとする流通、販売の多角化などにより、業界のあり方を含め、転換を迫られています。
 しかし、一方で、末端小売業者の税収の確保と未成年者への飲酒の抑制という社会的貢献に照らした上で、今後の規制緩和に際し、公正な取引と未成年飲酒の抑制など、社会的モラルをどのように維持していくかということも考えていくことが必要であります。
 政府提出の法案に賛成をする第一の理由は、酒類小売免許の規制緩和の進展に伴う酒類業者の環境の変化を見据え、今後の酒類販売に当たり、各種の措置を適切に講じているということであります。規制緩和によって未成年者の飲酒のおそれもあるため、酒類が適切に販売をされるよう、法案において、表示基準の遵守の徹底や販売業務を行うに当たって管理者を選任することなど、必要な措置を講じております。
 次に、そうした販売管理を徹底するに当たり、酒類販売管理者への小売酒販組合等の団体の主体による資質向上研修等に対する手当てなど、適正管理に向けた所要の措置を講じていることであります。販売管理者を置いたとしても、実効的に機能しなければ、社会的モラルを維持することはできません。管理者に対する適切な指導と管理者自身の知識、資質の向上があって適正な販売を維持できるものと思います。
 また、議員立法で提出をされている酒類小売業者の経営改善等に関する緊急措置法案については、税収の確保、公正な酒類販売の確保のために多年にわたり社会的貢献を果たしてきた酒類小売業者の、急激な社会経済状況の変化に対して、緊急の措置を講じることとしておりますが、特に、自主的な酒類小売業の転廃に当たっては、財政上の措置を含めて必要な措置を講じるとしております。
 規制緩和は、それ自体は構造改革の一環であり、仕組みを変えるということでなければなりませんが、規制緩和によって小売業者も大変な時代に直面をしている中、ただ過当な競争に巻き込まれ、中小小売に大きなしわ寄せが来るというのではなく、自主的な転廃業については、それなりの適切な措置を講じることによって新たな産業へのチャレンジを促すことができ、ひいては流通、小売業界の新陳代謝に通じるものと思います。
 最後に、今回の酒類販売だけではない共通の課題として、規制緩和は構造改革の一環ではありますが、ただ規制を緩和するということだけではなく、新しい産業を育てるという観点から、過剰な産業の転換に対してより積極的な施策を講じるべきであるということ、そして何よりも経済の立て直しを行うべきであることを申し上げ、討論を終わります。(拍手)
小坂委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の酒税法等一部改正案及び与党提出の酒類小売業者緊急措置法案並びに同修正案に賛成の討論を行います。
 まず、政府提出の酒税法等一部改正案についてです。
 本法案は、ことし九月からの人口基準廃止による販売規制全面撤廃、自由化は推進する一方、これまでの規制緩和万能路線の中で社会問題となった未成年者飲酒防止等に資する販売管理体制の整備など、最低限の社会的規制を講じようとする一定の改善策であり、それ自体は容認できるものであります。
 第一に、未成年者飲酒防止法、暴力団、刑法犯などで罰金以上の刑に処せられた業者を、酒類販売業免許の付与を拒否できるようにする、この人的要件の整備は妥当な措置です。
 第二に、未成年者への酒類販売防止等を徹底させるため、酒類の表示に関する命令規定の整備、店舗ごとに酒類販売管理者を置くことを義務づけ、法律を遵守した適正な酒類の販売管理を確保する等の体制の整備は必要であり、賛成するものです。
 次に、与党提出の酒類小売業者緊急措置法案と修正案についてです。
 本法案は、規制緩和万能路線を推進する中で、既存の零細中小酒販店が経営難に瀕するもとで、約二年間の時限立法という限界はありますが、過当競争で赤字の酒販店が多数を占める緊急調整地域を市町村単位で指定し、一年間は域内で酒販小売免許を新たに出さない、経営改善や転廃業に必要な措置を講じる、独禁法上の不公正取引に対する監視強化などを行う等、一定の中小酒販店に対する打撃を軽減しようとするものであり、賛成であります。
 ただし、本法案は、法案の目的を「規制緩和の円滑な推進に資する」としていることは問題であり、党としては、そのことには賛成できない旨を表明します。
 日本共産党は、現行の酒類小売免許制度の必要性を主張し、政府の進める、経済的規制は撤廃、社会的規制だけにとどめるとした規制緩和万能路線に一貫して反対してきました。我が党は、地域に重要な役割を果たしてきた零細中小酒販店の営業を守る立場から、需給調整要件廃止の中止を初め、不当廉売や差別取引の横行を根絶させること、コンビニなどでの酒の深夜販売の禁止など、酒類市場での公正な取引ルールの確立をあくまで主張し、私の討論を終わります。(拍手)
小坂委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 これより採決に入ります。
 酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小坂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、七条明君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小坂委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いた原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小坂委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、林田彪君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守新党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。林田彪君。
林田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 緊急調整地域の指定要件については、当該地域における酒類の小売販売数量や小売販売場数の推移等の需給動向及び酒類小売販売業に係る経営状況等を適正に反映するものとなるよう十分に配意するとともに、透明性・公平性が確保されるよう適切な運用を図ること。
 一 酒類小売販売業者の経営の改善については、酒類小売販売業者において自主的な経営の改善のための取組みが円滑に行われるよう、積極的な助言・啓発に努めること。
   また、経営の改善のための計画の実施及び転廃業の円滑化に関し、酒類小売業者の自主的な取組みを促進していくため、適切な支援のための措置をとること。
以上であります。
 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願いいたします。(拍手)
小坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小坂委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。
 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣塩川正十郎君。
塩川国務大臣 ただいま決議ありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏んまえて十分に配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
小坂委員長 次回は、来る十五日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十二分散会


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