衆議院

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第25号 平成15年7月4日(金曜日)

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平成十五年七月四日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 小坂 憲次君
   理事 金子 一義君 理事 七条  明君
   理事 砂田 圭佑君 理事 林田  彪君
   理事 生方 幸夫君 理事 松本 剛明君
   理事 上田  勇君 理事 中塚 一宏君
      上川 陽子君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    坂本 剛二君
      田中 和徳君    竹下  亘君
      竹本 直一君    谷畑  孝君
      中村正三郎君    永岡 洋治君
      萩山 教嚴君    林 省之介君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      山本 幸三君    五十嵐文彦君
      井上 和雄君    上田 清司君
      加藤 公一君    小泉 俊明君
      佐藤 観樹君    仙谷 由人君
      中津川博郷君    永田 寿康君
      平岡 秀夫君    石井 啓一君
      遠藤 和良君    東  祥三君
      達増 拓也君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   議員           熊代 昭彦君
   議員           上田  勇君
   議員           江崎洋一郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   政府参考人
   (内閣法制局第一部長)  宮崎 礼壹君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  藤原  隆君
   政府参考人
   (金融庁証券取引等監視委
   員会事務局長)      新原 芳明君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制
   部長)          寺田 逸郎君
   参考人
   (銀行等保有株式取得機構
   理事長)         三木 繁光君
   参考人
   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君
   参考人
   (預金保険機構理事長)  松田  昇君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月四日
 辞任         補欠選任
  坂本 剛二君     谷畑  孝君
  平岡 秀夫君     加藤 公一君
  達増 拓也君     東  祥三君
同日
 辞任         補欠選任
  谷畑  孝君     坂本 剛二君
  加藤 公一君     平岡 秀夫君
  東  祥三君     達増 拓也君
同日
 辞任         補欠選任
  平岡 秀夫君     日野 市朗君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案(熊代昭彦君外三名提出、衆法第二八号)


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     ――――◇―――――
小坂委員長 これより会議を開きます。
 熊代昭彦君外三名提出、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として銀行等保有株式取得機構理事長三木繁光君、日本銀行総裁福井俊彦君、預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局長藤原隆君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長新原芳明君、内閣法制局第一部長宮崎礼壹君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉俊明君。
小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。
 今、土日になりますと、私、地元に帰りまして、ハンドマイクを肩に担ぎながら、一日大体三時間、住宅街を回っております。そうしますと、国民の痛みがついに来るところまで来たのかなということを実感させられることがたびたびあります。まず、今まではなかったことでありますが、新興住宅街のきれいな新築の二階の窓をあけて、二十代の主婦が、生活の不安のない世の中にしてくださいと大声で私に向かってしゃべったり、また、五十歳の主婦の方が、配偶者特別控除の廃止等に絡みまして、私たちに働けといっても働くところがない、政府は私たちを殺すつもりなのかと。普通の新興住宅街の主婦が真剣にそういう話を私たちに向かってするようになってまいりました。
 また、大臣含め先生方は大抵車でお帰りになられているから余り実感がないと思うんですが、私、今、茨城県の取手から常磐線と千代田線を使って通っているわけでありますが、また、実は飛び込み自殺によりましてストップするということが大変ふえてまいりました。この前、ある新人の電車の運転手さんに会いましたら、一日に三回も人をひいてしまったと、ノイローゼになるような状況だそうであります。
 また、たびたび私はこの委員会で大臣たちにも質問していますけれども、年間、今三万人自殺して死んでいるわけです。実数はその約三倍の十万人と言われているわけです。そして、経済的理由が今ついに過去最高になってまいりました。特に、経済に直結するこの委員会は、私は、国民の命に直結する大変重要な委員会であると思いますので、真剣に質問いたしますので、真剣にお答えいただけますよう、まずお願いを申し上げます。
 およそ政策論というものは、当然のことでありますけれども、現状の認識をきちっとまずする、そして原因の分析をして対策論を立てるというのが基本であります。ですから、何よりも現状をまず正確に把握するのが大前提であります。
 私は、この三年間、大蔵委員会と財務金融委員会、ずっと続けて在籍しまして、実は十一時間か十二時間質問して、わかりましたことが、前の宮澤大臣そして柳澤大臣、現在塩川大臣、竹中大臣そしてまた政策担当しております官僚の方々も、どうも現状認識が経済界や国民と大きくずれている。危機を危機と感じない、ここに最大の日本の危機があるのかなというのを、私はこの委員会で実感をしているところであります。
 きょう、株式取得機構の問題でございますが、今、国会以外、実際に企業経営されている方とか民間企業でお勤めの方、だれとお話ししましても言われるのが、何といっても株価の低迷と土地の下落です。これを何とかしない限り日本経済の再生はないというのが、国会、霞が関を一歩外に出れば、だれもが今言っている話なんですね。
 そこで、まず、今回、株でございますので、もう一度基本的な認識からお尋ねいたしますが、株価の日本経済や金融システムに与える影響や重要性について、これをどうお考えかということを、竹中大臣と福井日銀総裁にその基本的認識をもう一度お尋ねいたします。
竹中国務大臣 株価が日本経済に与える影響いかんということでございますが、これは非常に多様な影響があるというふうに考えております。株価そのものは、日本経済の将来に対するいわば期待の反映、期待を映す鏡のような性格を持っておりますので、もちろん、これは日々には非常に複雑な要因で変動はいたしますけれども。
 そういたしますと、まず基本的なところで、将来に対する人々の期待、心理、そういうものに大変大きな影響を与えると思います。株価がどんどん上昇していくような局面であれば、国民も企業家も将来に対して何らかの明るい展望が持てるんですが、逆のときは大変マイナスの心理的影響を持ってしまう、そこがやはり株価がもたらす非常に大きな影響であると思います。
 しかし、同時に、それは実体的な影響もあわせて持ってまいります。株価によって、それがいわば資産効果を通じて、消費にも投資にも影響を与える。さらに最近は、株が、非常に複雑な財務の構造を通して、典型的には銀行や生保でありますが、企業にも影響を与える。その財務運営を通した影響もやはり非常に大きい。そうした三つの大きなルートを通じて、これは極めて大きな影響をもたらすものであるというふうに認識をしております。
福井参考人 ただいま大臣からお答えがございましたとおり、株価は経済の実態を映す鏡、かつまた、株価の変動は経済に逆に大きな影響を及ぼすということでございますが、金融政策の立場からさらに申し上げれば、現状の日本におきましては、株価の変動リスクというものが金融機関の経営に大変大きな影響を与える。不良債権問題という大きな課題を抱えている金融機関にさらに上乗せとして悪い影響が及ぶ要素があり、これは結局、金融システムの安定、ひいては日本経済全体の基盤にかかわる問題である、かつまた、金融政策の効果浸透という点から見ても非常に重要な問題である、こういうふうに受けとめております。
小泉(俊)委員 今お答えいただきましたように、何よりも株価は銀行、生損保、金融機関の経営をまず直撃いたしますね。
 この前発表されました決算を見ますと、大手銀行の七グループで、昨年、何と四兆六千億円の最終赤字であります。これは一千八百三十九社の最終黒字であります二兆八千億をはるかに大きく上回ります。
 実は、最終赤字の中身をもう少し詳しく検討してみますと、株価の下落が三兆一千億円の特別損失であります。また、土地の下落が五兆六千億の特別損失、計八兆七千億の損失が出ておりまして、業務純益は四兆一千億円あるんですが、これが株と土地の下落によってぶっ飛んでしまっている。これは極めて、生損保も含めて、まさにゆゆしき影響を与えるわけであります。
 またもう一つ、今金融機関の間接金融が実際は世の中で何と言われているかというと、仮死状態と言われております。これは、ほとんど銀行が、貸し出しよりも国債を買っているわけですね。ですから、中小企業に対する九九年、三百兆円あった貸し出しが、二〇〇二年には二百二十兆円まで下がった。その一方で、銀行が国債を幾ら買っているかといいますと、九九年、三十兆円だったのが、二〇〇二年で八十一兆円も買っているわけです。
 間接金融が仮死状態にある中で、直接金融市場までだめとなりますと、日本経済が壊死してしまう。これはゆゆしき、本当に大変な重要性を持つのが株価だという認識でございます。
 そんな中で、この二カ月間、昨日、終値で九千六百二十四円、四月二十八日につけましたバブル後の最安値であります七千六百七円から、約二六%株価が上昇したわけであります。大変いいことでありますが、この株価の上昇の評価、そしてまた、原因の分析を竹中大臣と日銀総裁にお伺いいたします。
竹中国務大臣 御指摘のとおり、四月末に比べますと、株価は二十数%高いところにある。取引高も拡大している。これ自体はやはり歓迎されることであるというふうに思います。
 しかし、その要因は何か、インパクトはいかなるものか。これはなかなか一概には申し上げられないものが多いと思います。
 まず、その要因に関しては、これは日々、非常に多くの要因で変動いたしますので、我々としてなかなかコメントは難しいものがございます。ただ、我々としては、将来に向かって日本の経済が構造改革を通して自律的な成長を遂げていく、そういう道筋を示すことによって、そうした期待が株価に反映されるように努力をしているところでございます。
 一方で、株が二十数%上がったとして、それが実体経済に及ぼすインパクト、これは先ほど申し述べさせていただきましたけれども、資産効果を通して消費や投資にそれなりのインパクトはあるというふうに思っております。
 しかし、我々として重要なのは、短期には株価は非常に大きく変動いたしますし、いわゆる均衡価格から離れて動くこともあり得る、そうした株価の特性を踏まえながら、中長期的に株価が継続して上昇していけるような状況、そうした経済環境をつくるべく構造改革を進めることであるというふうに思っております。
福井参考人 株価の動向を正確に分析し尽くすことは大変難しいのですけれども、少なくとも、最近の九千円台後半まで上がっているこの動きは、やはりある程度経済の先行きのいい方向を示唆しているというふうに私どもは考えています。
 バックグラウンド、背景といたしましては、世界的には、もちろんイラク戦争の終結とかSARSの感染症もピークアウトしたとか、そういうようなことがありまして、海外経済をめぐる不確定要因というのが少し後退している。それから、国内的に見ますと、りそな銀行の問題などもこれまでのところ平穏に推移しているということがありまして、金融システムをめぐる不安感が幾らか後退している。そして、実体経済につきましては、つい最近の短観の結果などを見ましても、市場から見て好感される材料が幾らか含まれていた。こういうことが指摘できるというふうに考えております。
小泉(俊)委員 国際的な要因というのも、金余りというのがあると思うんですが、もう少しマクロできちっと投資主体別売買動向を見ると、上昇の原因は明らかですね。竹中大臣はお答えになりませんけれども、これは外人買いですよ。個人も法人も、五月、六月全部売り越しなんですね、信託銀行も。外人だけが、五月、八千六百六十八億円、六月、九千七百億円の買い越しであります。ことしの年初から見ますと、何と二兆八百九十億円もの買い越しで、この半年だけで、平成十四年の外人の年間買い越しの三倍近く買い越しているわけですね。こういうのははっきりこの委員会でお答えいただいていいのじゃないかと私は思いますし、本当に、これ以外にないんですね、この二カ月で上がった原因というのは。
 こういう原因を直視したときに、民間研究所によりますと、平均株価八千八百四十九円で主要行の含み損がなくなると言われて、非常にいいことでありますが、問題はこの持続性です。この見通しについて、竹中大臣、日銀総裁、この背景を踏まえてお答えいただけますか。どういう見通しをお持ちかを、難しいかもわかりませんが、お答えいただけますでしょうか。
竹中国務大臣 株価の見通しそのものを申し上げるのは大変難しいというのは御理解賜れるというふうに思うんですが、我々としても、こうした動きを持続的に拡大できるような環境はつくらなければいけない立場にございます。
 そうした意味でいいますと、投資主体別の売買の動向については、これは委員御指摘のとおりでございます。実態的に以前から全体の取引の半分を外国人が占めている、そういう構造を持っているマーケットでございますので、そこの動きが非常に大きな影響を与えている。
 先ほどの答弁と若干ダブりますが、我々としてはとにかく、我々の政策目標としまして、さらに日本の将来経済に対して期待を高めていただけるような環境をつくっていかなければいけない。それには、やはり一にも二にも構造改革であるというふうに思っております。
 特に、今債券投資、債券市場から株式市場に世界的に資金が流れている。この資金の流れ方によっては、今度は債券相場にも影響があるという非常に微妙なバランスの上に我々は今立っているわけでありますので、そうした点も踏まえて、しっかりと経済のかじ取りをしていくことが、持続的な株価の上昇を実現する基本であると思っております。
福井参考人 先週末、国際決済銀行の一連の国際会議に出席してまいりましたけれども、そのとき、各国中央銀行総裁がそれぞれの国の経済を見る目、世界経済を見る目、かなり一致した点がございまして、やはり株価が各国とも急速に上昇している、それはいいことだ、株式市場の活況を大事に実体経済に引き寄せながら経済もよくしたい。
 現状は、どこの国も、企業のコンフィデンスが株式市場の活気ほど高まっていない、いまいち自信のないところがある。その理由を全面的に解明することは難しいけれども、各国の政策の効果が相乗的に出るようにさらに努力をしなければいけない、このいい機会を経済の好循環につなげなければいけない。こういうふうな点で、共通の認識があったようでございます。
小泉(俊)委員 今お答えいただいたわけでありますが、私は、この先行き、全く楽観視はできない状況にある。これは外人買いが、年初からの二兆円というのが今回の株価の押し上げの最大の原因でありますので、非常にアメリカ経済とアメリカの株価とか米欧の株価に、まさにこれは神風みたいなものでありまして、神頼みに近いのですけれども、逃げ足も早いですから。
 また、今回改正で二年の延長というのが出ていますけれども、本来であれば、来年九月までの持ち合い解消や代行返上、生損保の売却というのが大体八兆円今でもまだあるんじゃないか、売り圧力が八兆から十兆あるんじゃないかと言われる方もいます。
 具体的に見てみますと、銀行と生損保が平成十年からこの五年間だけでも毎年年間二兆円から三兆円一貫して売り越しているわけです。平成十三年が二兆九千四百億円、平成十四年が二兆一千二百億円、ことしはこの半年間だけで銀行、生損保は一兆七千億円売り越しているわけです。これは当然、持ち合い解消と保有制限をしているわけですから、ますます加速することが予想されますし、また、厚生年金を取り扱います信託銀行、ここが唯一ここ七年間毎年二兆円から五兆円買い越してきたわけでありますが、ことしの年初から六月まで一貫して全部ずっと売り込んでいまして、合計で年初から八千七百五十三億円の売り越しであります。
 また、一番最大の、本当は株を持っていただきたいのは個人なんですけれども、個人金融資産の最近の発表によりますと、株式が占める金額が四十八兆九千億円と、前年比何と二五%も個人の株式保有が減ってきている。さらに、売買動向を個人について見てみますと、これは平成元年から十五年間ありますけれども、平成二年を除いて十四年全部個人は売り越しです。ことしも、株価が上がってきているにもかかわらず、ことし五月、二千三百億円、六月が二千九百億円の売り越しであります。年初から見てみますと、個人はこの半年で三千五百億円と、昨年一年間の売り越し額に匹敵する売り越しになっているわけであります。
 これは当然、株価が上がって、きのうも九千九百円つけてからまた下がりまして、三十四円高ぐらいで終わってしまったわけでありますけれども、私は、せっかく上がってきた株価でありますので大事にしなければならないということと、こういったときこそ、安心をしないで、より積極的な、前向きな政策をとっていかなければ、日銀総裁おっしゃったように実体経済まで波及してこないんじゃないかというような気がしております。
 あと、今回の改正案についてちょっと聞きますが、これは株式取得機構の幾つかの要件を今回緩和したわけであります。その中で、幾つかあるわけでありますが、特に、株式取得機構の八%の拠出金を今回の法改正で要件から外しました理由を提案者にお伺いいたします。
江崎議員 お答え申し上げます。
 委員既に御承知のとおり、保有機構そのものが発足して約一年たつわけでございますが、いまだ買い取り価額が二千二百億円にとどまっておるという中で、その背景が、この機構、八%があるために、BIS規制に対応して銀行が株式を売却したことにならないということがありましたので、このために、特にこの八%というものを外したというわけでございます。
 また、今回、機構の存続期間を十年間に延長したのは、保有した株式を円滑に消化するという意味において延長した、そういうポイントが入っております。
小泉(俊)委員 今江崎先生からお答えいただいたんですが、一年四カ月たつのに二兆円の枠の二千二百億円弱しか買っていないわけです。これは明らかに、要件が厳格過ぎて使えないのが最大の原因だと思います。
 実際に機構が買い始めた平成十四年、銀行は一兆三千億円弱売り込んでいます。ことし、十五年の半期で六千六百五十億円も売り越して、何と計二兆円です。これは最大の売り手であります。
 私は、これこそが、昨年からことし四月にかけての株価下落の最大の原因だと思うわけでありますが、これは何しろ、三十年かかってできた持ち合い構造を今大きく変えようとしているわけです、株式保有制限等やりながら。それで、そのための株価の急激な下落、まさに激変緩和のためのセーフティーネットなわけです、今回のこの株式取得機構というのは。しかし、効果のないものであるならば、幾ら制度をつくっても絵にかいたもちでありますので、何で、竹中大臣、最初から、こういう使えないのを予想されるような八%のルールというものを要件とされたんでしょうか。
竹中国務大臣 そもそも閣法で提出させていただきましたときに、さまざまな御議論をいただいたというふうに聞いております。
 この機構による株式の買い取りを行うに当たっては、いわば損失が生じた場合の補てん財源として、その八%を売却時拠出、納付する。これは、言うまでもありませんが、万が一にも国民負担につながるようなことになった場合に、その国民負担を極力抑えなければいけない、そういう観点からのその当時の法律の組み立てであったというふうに認識をしております。しかし、現実問題として、なかなか使い勝手が悪いということは事実だったかと思います。
 そうした観点を踏まえて、大所高所から、今回、議員提案としてこのような御審議をいただいているというふうに認識をしております。
小泉(俊)委員 実は、今言いましたように、銀行が約二兆円売り込みまして、そのセーフティーネットが全然機能していなかった。この結果、昨年からことしにかけて、株式市場で、百兆円とか百五十兆円とも言われている国民金融資産の喪失が起きているわけです。
 それで、平成十四年、何が起きたかといいますと、先ほども言いましたが、自殺者三万です。倒産がついに二万社です。実は、家族まで入れると、倒産による被害者八十万人と言われているわけです。また、失業は三百五十万をどんどんふえていくような状態になりまして、昨年一年間で、個人破産が何と二十一万五千件、前年比三〇%もふえているんです。もう一つ重大な問題は、最近、毎日テレビを見ていると出ていますけれども、犯罪の増加であります。何と、昨年一年で、認知されている刑法犯だけでも二百八十五万件です。これは何と、前年比四〇%増なんです。
 この結果を見ますと、私は、小泉内閣の最大の成果は、景気の悪化と犯罪の増加ですよ。治安を悪化させたことが小泉内閣の最大の成果じゃないかと、この数字を見ると思わざるを得ないんです。
 それで、先ほど、一番最初に私は申し上げましたが、この委員会というのは、経済、銭金を扱う委員会でございますが、実は国民の命にすべて直結しているんですね。ですから、今答えられたような形式的な答弁で、これだけの死屍累々という状況を生み出している一つの大きな原因に、私はこの株価の下落というのは極めて大きく原因となっていると思っているわけでありますので、もう少し、当初から、仕組みをつくるんであれば、これは賛否両論ありますよ。ただ、つくった以上は使えるものをきちっとつくる。それが国民の命に直結するわけですから、そういった意味をしっかり認識して、今後もやっていただきたいと思います。
 次に、日銀総裁にお伺いいたしますが、日銀の銀行株式の買い入れでありますけれども、平成十四年十二月十日から現在までに、累積で日銀の方は一兆五千億弱購入しているわけであります。しかし、これは当然、要件がありまして、ティア1以上でなければいけないということとか、個別行の買い取り額の制限があるわけです。
 それで、これはいろいろ、実は実務家の銀行経営者の方のお話を聞いていますと、日銀の買い取りの枠は三兆円あるんだけれども、実際にこれは機能するのか、空枠になる可能性が極めて高い。せっかく二兆円の枠から三兆円にふやしたけれども、ティア1を超える銀行、そしてなおかつ個別行の買い取り額の制限があるために、大体これを利用できるのが二行ぐらいしかもうないんじゃないかという話も伺うわけであります。
 日銀総裁、この点につきまして、空枠になる危険性というのはないんでしょうか。お答えいただけますか。
福井参考人 日本銀行の金融機関保有株式の買い入れというのは、昨年の秋以降、今日に至ります間の、一つの緊急避難の対応、この間の株式市場の下落、そして金融機関経営に及ぼす影響ということを考えまして、少なくとも、金融機関が強制的に株式の売却を強いられているティア1を超える部分について、この部分については日本銀行は身を挺してでもショックを吸収しよう、こういう趣旨のものでございます。
 かつまた、この三月の時点では、イラクとの戦争が始まり、不確定要因が一層強まったという状況のもとで、株式売却の状況を改めて点検いたしますと、その時点で、銀行のティア1を超える株式保有額が二兆円ちょっと上回っていた、ところが、日本銀行の方の買い入れの残枠が一兆円弱であったということで、そこで一兆円追加したわけであります。
 つまり、最大限、日本銀行は、ティア1を超える部分は全部吸収し得るというところまで枠を広げて待ち受けたということでございますが、その後の状況を見ておりますと、日本銀行への売却だけではなくて、市中への売却もある程度進んでいるというふうなことでございますので、最終的に日本銀行の枠が残るということは全く問題ない、私どもは、最大限の枠を用意したのであって、その中で目的が達成されればそれでよしというふうに考えております。
小泉(俊)委員 これは前回も、四月十八日の質問のときにも私は、中央銀行が株を買うというのは世界市場初めての話であります。法律上も、日銀法四十三条一項ただし書きを見ましても、これは無理無理なんですね。しかし、例外といえども、やむにやまれぬ緊急事態でできた制度でありますので、極力日銀も、この辺は、今回法改正で要件緩和が出ているわけで、使えないと意味がないんですね。枠がある以上は、しっかりとその枠をお使いいただきたいということをお願い申し上げます。
 また、四月十八日の質問で、私、前も、昭和三十九年、山一の日銀特融のときにできました日本共同証券株式会社についてお尋ねしたのでありますが、その後、何と、五月に入りましたら、相沢元金融担当大臣も私と同じことを、これは新聞紙上で私も読ませていただきました。
 前回の生保の利下げも、選択肢を広げるというただ一つの答弁で実はああいった徳政令みたいなことをやったわけでありますので、今後の株価のいろいろな動向によっては、選択肢を広げる意味でも、そういったものも十分に検討の余地があるということをまず御指摘させていただきたいと思います。
 ちょっと時間がなくなりましたので先へ急ぎますけれども、何しろ、金融システムの安定化と日本経済の再生のためには、株式市場の活性化というのは絶対に不可欠なわけであります。それで、最終的には、いつも申し上げていますが、個人と年金とか、リスクを長期にとれるところにいかに市場参入してもらうかというのが一つのポイントだと思います。その意味で、まず、個人株主につきましては、私は前回も言いましたが、配当課税並びに株式譲渡益課税というのは思い切ってゼロにすることも考えていいということも御指摘します。
 時間がありませんので、次の質問に移りますが、個人を株式市場にいかに参入させるかということでありますけれども、今の状態の中では、これはなかなか、先ほどもお話ししましたが、二五%も昨年から保有が減っているわけですね。その中で、いろいろな考え得る限りの知恵を出すべきじゃないかと私は思っております。
 その中で、これは一つの御提案でございますが、無利子国債です。元本の保証で個人向けに無利子国債を発行して、その資金で、ETFでもいいんですが、日経平均に連動するような株式を買っていく、それで、十年たったら株式に転換できるような、制度としてまだありませんけれども、転換国債というような、そういった制度を新しく考えて、直接株式市場に参入するのは難しいかもわからないけれども、一たん元本保証の国債というふうな形をとりながら、最終的には株式市場に個人が参入していくようなシステムも、私は理論的には考え得ると思うのであります。一つの私案でありますけれども、竹中大臣、こういったものについて積極的に取り組むような、知恵を絞られるということのお考えはありませんでしょうか。
竹中国務大臣 個人の豊かな貯蓄資金を証券市場、株式市場に誘導するというのは、我々にとっては本当に重要な課題だと思っております。その点で、とにかく考え得る限りの知恵を出せという委員の御指摘、私も全くそのとおりだと思っております。
 委員のおっしゃる転換国債のスキーム、私はちょっと別の観点から転換国債を考えてもいいのではないかというような御議論は以前させていただいたことがありますが、貯蓄から投資へという流れの中で、どのようなスキームなのか、ちょっとお話を伺う限りはなかなか理解できない面もありますので、また勉強はさせていただきたいと思いますが、これはあらゆることを考えなければいけないというふうに私は思っております。
 税制も、いろいろまた御不満あるかもしれませんが、一律一〇%になったというのは、やはり過去の証券税制に比べると、これは画期的な変化であったというふうに私は思っておりますし、それを周知徹底させるための集中強化月間のようなものを設けたらどうだろうか、関係者でそのための戦略チーム、戦略会議をつくったらどうだろうか、いろいろなことは今やっておりますので、委員がおっしゃるような考え方も含めて、ぜひ多様な知恵を結集して、何とか目的を達したいと思っております。
小泉(俊)委員 時間がなくなりましたので終わりますが、最初に申し上げましたように、実は、この委員会の一つの要件とか、ここで議論していると理論的な感じがしますけれども、それが実体経済に物すごく波及をしまして、現実には人の生き死にを左右するという極めて重要性を持つものでありますので、今後とも、そういった意味で、やるときには積極果敢にぜひとも進めていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。
小坂委員長 次に、五十嵐文彦君。
五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 福井日本銀行総裁それから三木保有機構理事長には、お出ましをいただきまして本当にありがとうございます。
 今、同僚議員の質問の中にもありましたが、本来、このシステムは、株式保有制限を法律をもって課す、それに対するショックが生じるその代償、そしてマーケットでの売却の補完としてこうしたものをやるんだ、これが基本であり、その際には国民の負担を最終的に最小化することを原則とするんだ、こういうスキームでもとの案がつくられた。また、日銀による株式買い取りも、今、日銀総裁の御答弁がありましたけれども、そのような原則があるんだということを確認させていただいてよろしゅうございましょうか。日銀と三木さんにお伺いをしたいと思います。
福井参考人 大きくは、日本の市場経済が変換を遂げていく過程で、株式の持ち合い構造というものが急速に変わりつつある、かつまた、金融につきましては、金融機関の保有株式が将来の金融の姿としては大き過ぎるから、これを強制的に売却を求めていく、こういう大きなバックグラウンドがあって、それが市場に及ぼすショックが大き過ぎないようにということで対応した措置ということは、委員御指摘のとおりでございます。
三木参考人 株式取得機構の理事長の三木でございます。
 先生御指摘のとおりだと存じます。銀行にとりまして、株式の経営に与える影響は非常に大きい、しかしこれを、解け合わなければならないという際に、日本銀行さんの方と株式取得機構双方で、これをセーフティーネットという形で、国民の負担のないようにということを念頭に置きながらできたものというふうに認識しております。
 以上でございます。
五十嵐委員 今御確認をいただきましたように、要するに、金融システム全体から株式の価格変動リスクを遮断するというのが目的であって、個々の銀行を助けるのが目的ではないわけですね。市場で売れるものなら市場に売っていただいた方がいいわけでございます。
 平成十三年十月三十一日の財務金融委員会、当委員会での原口金融庁総務企画局長の私への答弁ですが、保有制限に係る株式量は平成十三年三月三十一日の基準日で約十一兆円であります、それまでの銀行による市場での年平均売却量は二、三兆円であります、保有制限が課せられる平成十六年九月三十日まで三・五年あります、三・五年の間に、私が逆算しますと、三・五掛ける二・五七兆円なんですが、約九兆円は市場で円滑に売れていくでありましょう、したがって、残りは十一兆円マイナス九兆円、残り二兆円が政府保証の枠なんですという説明をいただいているわけであります。
 ところがその後、日本銀行が、今福井総裁のお話があったように、買い取り枠を設けて買い取れるようにしたということ。しかもそれは、当初二兆円、やがて三兆円という大きな枠で、もともと九兆円はあと三・五年の間で市場で円滑に売れるはずだ、残り二兆円を政府保証で機構で売ってもらうんだと言っていたのが、一方で日銀が三兆円の枠をつくったわけですね。かつ、その保有制限の施行日は、バーゼルの会議の動向がありまして確定はしていなかったんですが、結果的には二年延びて平成十八年の九月三十日になったわけです。
 そうすると、今までの理屈からいいますと、二・五七兆円ずつだったら市場で円滑に売れるはずだというんですから、二年延びたら五兆円の新たな余裕ができるわけで、実はこの機構も日銀の買い取りも必要ないというのが、これまでの論理構成、国民負担の最小化原則ということと、法規制によるショックの吸収、これがこのスキームの大もとだ、設計図だということであれば、これはその設計図から大きく離れてしまうことになるんですね。
 いわば、犬小屋をつくるので、それぐらいしかお金かかりませんから許してくださいと言ったのが、設計変更、設計変更で、気がついてみたら天守閣つきのお城ができていたというようなものですよ。これは、私どもは、おかしいのではありませんかと言わざるを得ないんですが、この原口総務企画局長の答弁は間違いであったんですか。竹中大臣に伺いたいと思います。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、平成十三年の十月三十一日の当委員会で、当時の原口総務企画局長が数値、例を挙げて答弁をされたということを私も承知しております。
 そのときの想定された市場での売却状況、その時点での市場の売却状況で、一種の市場の中での吸収力のようなものを想定されて、その残余としてこのぐらいの資金が必要であるというふうな御答弁をさせていただいたというふうに承知しております。
 残念ながら、その後の市場の需給バランスの非常に厳しい変化の中で、市場でのいわゆる吸収力が、当初想定されたよりも非常に小さいということが想定されてきた。そうした中で株価全体が下がってきたというような状況の中で、今般、大所高所から議員提案で、今回のような御審議をいただいているというふうに考えております。
 また、その後の状況にあわせて、日本銀行におかれても、独自の判断として、今あるような措置を御準備されたというふうに思います。
五十嵐委員 市場での吸収力が急に小さくなったというのは、それは納得できないですね。
 実に、十五年三月三十一日現在、直近ですけれども、現在のティア1超過額は三・五兆円に大幅に減少しているんですね。
 一方で、下がり相場のときは、市場で売るより得なものをつくっておいて、市場で、それはだから吸収力が減ったからなんだというのは、一種の詭弁じゃないですか。そんなことはないでしょう。それは得な方に流れるのに決まっているんですからね。
 しかも、さんざん今まで、私は過去の売却益、見てきていますよ。これはずっと、平成二年から十三年度までの売却益、売却損、株式等償却額等、見ていますけれども、かなりの益出しをして、ある意味では、これで不良債権の償却をやってきているんですよ。ずっと、かなりの額の益が出ているんです。もうかる株はもう売り尽くして、そろそろぼろ株しか残っていないから、損をこの機構や日銀に押しつけようというのは、これは本来の趣旨とは違って、虫がよ過ぎる話なんですよ。
 本来、さっき申し上げました、金融システム全体のショックを吸収する、そういうものから、銀行の損得を単に考えるものに変質してしまっているということなんですね。保有制限は、十八年の九月三十日までまだ依然として三・五年あるわけですから、年一兆円ずつの売却で十分償却できるんですよ、三・五兆円のティア1以上ということは。
 ということは、年ペースにすると、これまでの実績の半分以下でいいわけですから、そんなに公的サポートが必要だとは思えないわけですね。今までの議論の中で、この機構の意義あるいは日銀が買い取る意義は大きくなっているとは思えないということが証明されたと思うんです。ここのところ論理的な展開力が、竹中さんらしくない答弁が「りそな」と生保の問題で続いているんですけれども、ここは大事な話ですから、論理的な筋道を立てて御答弁をいただきたいと私は思うんですが、今のやりとりを聞かれていていかがでしょうか。まず理事長にお伺いしたいと思います。
三木参考人 お答え申し上げます。
 ただいまのお話でございますけれども、大臣お答えになりましたことのほかに、やはり株式を銀行が売らせていただく場合に、お客様の納得というものがあるわけでございますけれども、取引先が市場で売却するということにつきましては非常に消極的だという例が多々ございます。特に、今まで市場が非常に低迷しておりましたので、そういうことが多うございました。そういうところにつきましては、取引先の株を売るに売れないという状況もございまして、そういう意味で、この機構の活用の余地は非常に大きいと思っております。
 それから、先生のお話の中で、いい株は前に売ってしまって、ぼろ株について持ち込んでいるんではないかというようなお話がございました。それは、全くそういうことはございませんで、私どもの買い取り機構ではちゃんと基準を決めております。格付等、客観的な基準に沿ったもののみ買い取る、こういうことになっておりますので、株式については、信用のある先について買い取っているということでございます。
 ここへ来て株価が少し持ち直してまいりまして、私どももほっとしておりますけれども、これを壊さないようにということで、ぜひ、この機構のさらなる改善を進めていただきたいと思っております。
 以上でございます。
五十嵐委員 反論はありますけれども、先に日銀総裁の方から、日銀の買い取りの需要は現在増しているのか、ここまで来たらそれほどでもないのか、御認識を伺いたいと思います。
福井参考人 株式市場の局面によりまして、銀行からの売却の申し入れというものにかなり変動がございます。
 三月から四月にかけまして、かなり多額の売却がございました。現在は、その調子が少し落ちているというふうな状況でございます。全くなくなっているわけではございません。
五十嵐委員 いや、私が申し上げたのは、バーゼルの株式保有制限が延びて、残りがティア1以上三・五兆円しかありませんよ。その中では、市場で円滑に償却できる余地がふえているわけですから、日銀が法の網の目をくぐって無理やり買うようなことを続けなくてもいいじゃないですか、こういうことなんですが。
福井参考人 私ども、買い入れの銘柄についてかなり制限しておりますし、買い入れました銘柄については個々に公表していない。それは、持ち合い株でございますので、銀行と相手方企業との間の関係というふうなこともあります。
 したがいまして、市場で単純に売却するよりも、非常に厳しい局面において日本銀行に売却しやすい、そういう対応をしたにすぎないのでありまして、特に日本銀行の買い入れによって銀行を優遇しようというふうな措置でやっているものではございません。
 保有制限がある状況のもとで私どもは確かに受け皿を設けたわけですが、保有制限がなくなりましても、今の大きな潮流の変化、つまり株式の持ち合いの解消、こういう大きな流れは変わりませんし、銀行の方も、株価変動リスクから早く免れる状況に持っていきたい、将来の日本の金融の姿をそういうふうに持っていきたいという感じはもう定着しておりますので、この傾向は変わらない。
 恐らく、市場の吸収力というものも今後はさらにふえていくでしょうから、その中で市場も利用しながら、あるいは保有機構も利用しながら、さらにこの売却が進んでいくということ自身が望ましいことじゃないかというふうに考えております。
五十嵐委員 いや、銀行側の需要があるかないかより、銀行から放出される株によってそんなに市場価格に影響が出るのかどうかということの方がむしろ問題なんじゃないですか、私はそう思いますね。それほど重大な影響を及ぼす局面ではないだろう。期間が延び、あと残りが、保有制限枠までの額が小さくなっているんだから、株式市場全体への影響力は相対的に小さくなっているはずだというのが私の主張であります。
 と同時に、先ほど三木さんのお話にありましたけれども、そんなぼろ株ばかり残っているわけではないんだというんですが、実際には、一つの証拠は、全銀ベースにおける株式売買損益の損失が、株価全体の水準が下がったことがありますが、平成十三年度に急に損失がふえているわけですね。それまでは、平成四年度を例外としてずっと巨額の益が出ていたのが、十三年度に二兆二千四百億円の赤に急転換をしているということがあること。
 それから、保有機構の決算を見させていただきました。そうすると、株式含み損は三百五十億円。そのうち、いわゆる評価損でちゃんと計上したものが三百十二億円なんですね。三百五十億円の含み損のうち、評価損計上額三百十二億円というのは非常に大きなパーセンテージなんです。すなわち、強制評価減の対象となる、下落率が大きいものがたくさん含まれているということなんですよ。
 これを見ると、推定されるのは、五〇%以上下落したいわゆるぼろ株ですよ。五〇%も下落するなんというのは相当なものですよ。ぼろ株が相当含まれていなければこれだけの評価損は出ないはずです。なぜなら、三〇%以内なら評価減は不要だからです。そうでしょう。三〇%以内の下落率だったら評価減は不要なんだから、三百十二億円も評価損を計上するというのは、どう見てもぼろ株が多いということなんですね。
 ぼろ株ばかり持ち込まれているわけではないというんでしたら、個別の銘柄を出せないというのはわからないわけでもない、本来出すべきだと思うんですが。せめて、五〇%以上の評価損を出している銘柄数と買い取り量、五〇%から三〇%の下落率の銘柄数と買い取り量、三〇%以下の下落率の銘柄数と買い取り量を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
三木参考人 お答え申し上げます。
 確かに、三月末で三百五十億の含み損がございました。しかし、これは、何と申しましても大きいのは株式市場全体の値下がりということでございまして、これがこのところ、株価が幸い上がってまいりまして、一昨日で、この三百五十億の含みが三十億強の含みに減っております。昨日は二十億をちょっと下回ったというふうに聞いております。このように、含み損益は動くものでございます。
 そして、私ども、先ほど買い取りの基準を設けておるということを申し上げましたけれども、具体的には、一つ以上の指定格付機関からBBBマイナス以上の格付を付与されているということにしておりますし、また銘柄、業種の制限でございますけれども、一銘柄当たり、それから一業種当たり、それぞれ制限を持って買い取りをいたしております。また、時価で買い取りしております。そういうことでございますので、おっしゃられるようなことはないと思うんでございます。
 今、減損になったものの件数、金額ということでございましたけれども、それはちょっと御容赦願いたいと思います。
 以上でございます。
五十嵐委員 銘柄の数を言ってくださいと言っているので、銘柄の名前を言えと言っているわけではないんですから、拒否する理由はないと思うんです。
 もう一度御答弁をいただきたいと思います。
三木参考人 大変申しわけございません。ちょっと手元にもございません。また、その分が現在は回復しておるということもございまして、お許しいただきたいと思います。
 以上でございます。
五十嵐委員 私どもが言っているのはリスクの問題なんですから、現時点で戻っているからいいんだという話じゃないんですね。それは、三月期末でこれだけの評価損を計上したということは、将来とも三月期末にそういうリスクが生じるでありませんかと。
 だって債務超過なんでしょう。当初の拠出金と八%拠出金を入れても債務超過状態なんですから。そうすると、八%の拠出金を今度は外すという、逆方向の、債務超過になっているのに、国民負担最小化原則と逆行する、拠出金をなくして、国の負担、最終的には国民の負担をふやそうと、そのリスクが増大するということを否定はできないんですよ、今一時的にここは上がったとしても。否定はできないんですよ、リスクの問題ですから。
 そうすれば、この拠出金を外すというのは、本来の設計図と違うし、リスクが増大をする可能性があるという、金融庁の好きな蓋然性という言葉からいうと、蓋然性はあるわけですから、逆に言うと、八%を外す理由は何もないんじゃないですか、そういう観点からいえば。
 どうですか、提出者。
竹中国務大臣 機構の中身の話は三木さんにお答えいただかなければいけないんですが、ちょっと事実関係だけぜひ御確認をさせていただきたいんです。
 今、強制評価減、つまり減損のことを五十嵐委員懸念しておられますが、私どもがBS、PLから把握しておりますのは、トータルで三百五十億の評価損、減損が出ておりますが、そのうち、いわゆる減損、強制減価に基づくものは三十七億円でございます。あとの三百十二億円が評価損に基づくものでありまして、委員御懸念のような五〇%以上下落したものの割合というのは、その意味では、そこから生じている部分というのは相対的には小さいという事実だけぜひ御報告させていただきます。
三木参考人 ただいまの、リスクがあるならむしろ拠出金をふやすべきではないかというような御質問かと思いますけれども、株式を時価で売っておりますので、これは株価次第で当然上がることも下がることもありますので、リスクがないとは申せません。したがいまして、今回、期間を延ばしていただくということは、それだけ対応の期間がふえるということでございまして、大変歓迎すべきことと思っております。
 以上でございます。
熊代議員 御承知のように、当初の百七億の出資金とこれまでの八%の拠出金はそのまま残るわけでございますので、その限りで拠出金はまだあるわけでございますが、新しいものについて拠出金を廃止しようということで、それはるるいろいろな方が御説明いただきまして、我々も御説明申し上げましたが、BIS規制の観点から、八%あるとこの機構の利用が十分されないということでございますので、それを外す。
 そのリスクといいますのは、確かに若干のリスクは増しますけれども、この状況下で五年延ばしていただくということで、そのリスクをカバーするだけの、機構において十分注意深くこれを売っていって、税金の負担を最終的には全くかけないということのできる可能性も非常に上がってきているわけでございますので、八%拠出金を廃止するということは何ら問題ないというふうに考えているところでございます。
五十嵐委員 それは無責任なんですよ。先へ行けば上がるかもしれないからリスクが小さいんだというのは、いやしくも国民の資金を使い、国民負担になるかもしれないという、それを審議する立場としては無責任だと私は思いますね。
 それから、今、強制評価減の部分が三十七億円だという答弁が竹中さんからありましたけれども、それはちょっと精査をさせていただきたいんです。全体に買い取りのために支出したのは八百三十三億円なんですよ。そのうちの評価減が三十七億円というのは、それは小さい数字とは言えないんじゃないですか。私は、小さい数字とは言えないと思いますよ。
 それで、一年目で早くも全体が債務超過状態だ。しかも五十六億円の債務超過で、全体の評価損そのものをそっくり減損処理したとすれば、債務超過額は九十四億円まで膨れ上がるわけですから、これは私は、小さい数字、リスクとしては小さいリスクとは言えないのではないかという話をしているわけです。一時的な値の戻りということを過大に評価すべきではないというふうに思うわけであります。
 それからもう一つは、先ほどから少し話がありましたけれども、公正に買われているのか。要するに、市場への、マーケットへの影響を最小限にしなきゃいけないというもう一つの原則がありはしませんかという話なんです。
 この機構には、銀行出身の職員が七名おられるはずであります。もともと日本という国は、私もたびたび主張しておりますけれども、インサイダー取引や株価操縦というのが非常に疑われているマーケットなんですね。ですから、ここにいろいろなことは考え得るわけであります。
 私は、買い取り先の、要するに持ち込んできた銀行名を公表する必要がある、こう思っているんですね。銀行出身者の職員が七名おり、役員も当然、三木さんも東京三菱銀行の頭取でいらっしゃいますけれども、おられるわけですから、どういう銀行からどれだけの量を買い取ったかと公表するのが、これが、透明性といいますか、市場をゆがめていない、そういうアナウンスのためには欠かせないことだ、情報公開に欠かせないと私は思うんですが、いかがですか。
三木参考人 お答え申し上げます。
 現在、職員に対しましては、秘密保持義務というものが課せられておりまして、また、法令上の公務に従事する職員ということにされておりますことから、出向元からの独立性というのは確保されている、このように思っております。
 また、個別銀行からの買い取りということでございますけれども、これは市場への不測な影響等を考えまして、差し控えさせていただいております。
 以上でございます。
五十嵐委員 要するに、疑われれば、それだけ日本の市場全体の信頼性が失われて、株価全体にも最終的には影響があると思うんですよ。むしろ情報公開をしていくことによって、私は、市場への信頼を取り戻し、日本の株価はむしろ上がっていくんだと思いますよ。そういうふうに、市場を大事にするというマインドがなければならないはずであります。
 私は、ちょっと例を、かなり細かい話になって恐縮なんですが、価格決定のメカニズムは、機構においては、買い取り日の前日の終値、または出来高の加重平均の低い方をというふうに理解していますが、それでいいのか。そして、それを守ってきているかどうか、まず伺いたいと思います。
三木参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございます。かつ、それを守っております。
五十嵐委員 それでは、日本銀行総裁にお伺いをしますが、日本銀行の方は、銀行からの申込日当日の終値、または出来高加重平均の低い方という基準でよろしゅうございますか。
福井参考人 委員のおっしゃるとおりでございます。買い入れ申し込みがありました日の、その日の証券取引所における加重平均価格または終値のどちらか低い方、こういうことでございます。
五十嵐委員 ということは、日銀さんへ持ち込むのと買い取り機構へ持ち込むのと、微妙に違うような気がしないでもないんですが、これは同じですか、違うんですか。どちらからでも。
福井参考人 私の理解しております限り、機構の方と日本銀行の方と全く相違がないというふうに考えています。
五十嵐委員 要するに、買い取り日前日というのと日銀の申込日当日というのは同じだというふうな理解だということなんだと思いますが、これを悪用しようと思えば、売買の少ない日を選んで、出来高の少ない日を選んで、取引先とか関係企業に少量で高値の指し値をしてつり上げておいてから、どっと銀行が売却をすると言えば、高値で買ってもらえるんですね。
 私は、こういう株価操縦は可能だと思いますが、そういうものを防ぐ手だてはお考えになっているんでしょうか。双方からお伺いします。
三木参考人 株価操縦がないかというような御質問かと思います。
 これは、売却側であります銀行も、それから買い入れ側の機構もともに、相場変動を図る目的をもって風説の流布を禁じたいわゆる百五十八条の相場操縦、それから百六十六条のインサイダー取引、これを当然に遵守いたしております。
 また、機構は、当局の認可のもとに、運営委員会の決議に基づいて、法律、政省令、定款、業務規程に従って業務を行う、そしてこれを監事による監査と当局への報告ということで、不正利用の防止はきちっとやっておるところでございます。
 以上でございます。
福井参考人 相場操縦行為は、何人も厳に証取法によって禁止されている、当局の監視のもとにそれは規制が行き届いているということを前提に私どもは対処しているということが一つございます。
 それから、一日の相場の変動の中で、特に相場操縦によるということではなくても、いろいろイレギュラーな価格形成が行われる瞬間というのはやはりあると思います。しかし、それは考慮いたしまして、一日の加重平均かつまた終値との比較で低い方ということで、そういうイレギュラーな価格で買い上げるというリスクもほとんどこれで減殺し切れているのではないかというふうに考えています。
五十嵐委員 この七月からは手口の公開もされなくなりますし、私は、可能性を排除できない。証取法を守っているはずだということでは、それは最終的に国民負担になるということなんですから、それでは済まないと思うんです。そしてまた、先ほど申しましたように、職員の中に銀行マンが入っているわけですから、李下に冠を正さずという言葉はありますけれども、それ以上に厳格に防止措置をあらかじめ講じておくというのが本当の姿だと私は思うんですね。
 先ほど言いましたように、何度も言っていますけれども、そもそもこの意義が薄れてきているわけですよ。何のために、国民負担になるかもしれないような措置をとって、日本銀行に買ってもらったり買い取り機構に引き取ってもらったりしなきゃいけないのかというのが、もうわからなくなっているわけですね。
 なぜかというと、年一兆円ずつ売れば売り切れるということだったら、全体の株式市場の売買数から見て、比重はうんと小さいはずなんですよ。一日に集中するということも考えられませんし、わざわざ額が下がるように売るはずもないし、銀行側からいえば、わざわざ自分のところの売却が、損が拡大するように売るはずもないんでしょう。だと思いますよ、素人じゃないんですから。ですから、銀行からの放出によってそんなに相場が崩れるような状況というのは考えにくいんですよ、逆に。
 いまだにそんなことは大変大きなリスクがあるとお考えなんですか。これは三木さん、銀行の頭取でもあられるのですから。
三木参考人 銀行の立場としてお答え申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、お取引先の方から見ますと、自分の株式が市場に出るということは非常に神経質でございまして、やはりこれが機構等で長期間保有されるということについて非常に魅力を感じ、それならばという形で、銀行が保有制限に従ってこれを縮減しているという事実がございます。
 したがいまして、現在、努力によりまして大分以前よりは減ってまいっておりますけれども、まだこの先、株式を売却いたしまして、相互リスク管理の面からも銀行経営を安定したいというニーズは非常に強いものがございますし、またお客様の理解を得ながらということ等も考えますと、また株価を、今のせっかく上がってきました市場を引き続き壊さないためにも、機構の役割は非常に大きいと思っております。
五十嵐委員 今のお話は、取引先企業側のむしろ風評リスクを恐れるというお話でした。それは、この機構の本来の目的とは違うんですよ。また、日銀なり機構なりが保有しても、やがてはそれは市場に出なきゃいけないんですから、それは別に、最終的に取引先のリスクをなくすということにはならないです。単に先延ばしするだけなんですね。それは確実に出ていくものなんですから。それがあるからこれをやらなければいけないということには論理的に結びつかない、私はこう思うわけであります。
 あと幾つかお聞きをしなければいけないことがあるんですが、日銀の方の勘定での含み損あるいは評価損というのはどのくらいのものか、お教えいただけますでしょうか。
福井参考人 三月末の時点でございますが、六百五十八億円と記憶しております。
五十嵐委員 日銀さんの場合は、年度を渡って直近の買い取り額が一兆四千八百六十三億八千万円と承知しておりますが、ですから、これよりは三月末時点は低いと思うんですが、それでも日銀さんの場合は六百五十八億円なんですね。
 それで、八百八十三億円の買い取り資金で含み損三百五十億円という機構は、これはかなりなものだと思うんですが、これはどういう差があるんでしょう。
 私は、八%の拠出金を払うということは、逆に言うと、売却時以降の下落見込みが高いものはむしろ八%を払っても得だ、先に売っておいた方がいいんだということでやはりぼろ株持ち込みになるんだと思うんですが、日銀の含み損と保有機構の含み損の相対的なサイズの違いというのはどういうふうにお考えになりますか。三木さんに。
三木参考人 お答え申し上げます。
 個別銘柄、いろいろあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように基準で買っておりますので、特に質が悪いということはないと思います。
 しからばなぜかということでございますが、一つは、非常に大きな理由かと思いますけれども、それは買い入れ時期が違う。株式取得機構の方は早くスタートしましたので、その後、株が非常に大きく下がりました。そういう点があろうと思います。
 以上でございます。
五十嵐委員 株価全体への影響を考えれば、情報公開をもっときちんとやるとか、それから個人株主を大事にする政策をとるとか、それから配当性向を企業が高めるとか、そういうことによって株価はむしろ大きく動くのであって、こういう小手先のことで下がりを抑えようというのは、私は、本来やはり邪道だという意識がなければならないと思うんですね。
 また、銀行や生命保険会社のような、長期に株を保有するところの保有株の評価方式の方をむしろ着目して直す方が健全なんじゃないですかね。僕は、学説的にも、長期保有の株式の評価方式についてはまだ定まっていないと理解しています。期末の一日の最終日の平均だとか、あるいは一カ月の平均だとかいうのではなくて、半期の、六カ月の加重平均とか、そういうようなことにした方がむしろ期末の大慌ての株価操縦を防ぐことができますし、市場の信頼性は高まるんだ、こう思うんですが、そこに着目するということはどうしてお考えにならないのか。竹中大臣に伺いたいと思います。
竹中国務大臣 御指摘のように、実は、この問題に関してはいろいろな御意見がございます。
 我々の立場としましては、商法で、一般に公正妥当と認められる会計慣行をしんしゃくしなければいけない。金融庁としては、その一般に公正妥当な会計慣行をどこに求めるかということは大変大きな問題になるわけでありますが、かつては、これは御承知のように、企業会計審議会を中心にそうした慣行がつくられていた。それが、しかし、世界的な動向の中で、政府の中でこういうものを決定するのはいかがなものかということで、御承知のように財団法人の財務会計機構がつくられた。そういうところでいろいろと御審議をいただいているというふうに承知をしております。
 その中には、もちろんさまざまな御意見があるということは我々も承知しておりますが、一般に公正妥当な慣行ということで、実務家、専門家の意見を尊重しながら、我々としてはしっかりとした会計慣行を遵守していきたいというふうに思っております。
五十嵐委員 それぞれお話をいただきましたけれども、改めて申し上げますが、国民負担につながるおそれのあるこのようなお仕事、行為でありますから、情報公開というのは私は欠かせないと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、いやしくも疑いを少しでも持たれるようなことがないように、できるだけ、買い取り銘柄、あるいは、銘柄が無理でしたら、先ほどのような基準で情報を公開していくということを私はきちんとやっていただきたいということを申し述べておきます。
 それから、全体としては、この法案は必要性がむしろ落ちてきていて、機構自体の必要性も落ちているというふうに思いますので、これは大きな問題があると思います。
 同時に、私は、これが与党から出されてきたことについて、なぜ金融庁が責任を持たないのか。というのは、先ごろ、私どもの同僚議員の大塚耕平参議院議員がお示しをいたしました、詠み人知らずではないというふうに竹中大臣も認められました。会議録の中に、金融庁側の責任者が、議員立法で出させようかというのを検討したというような内容の言葉が入っていまして、自分たちにとって都合の悪い、筋の悪い話は与党の議員立法でやらせるんだというような、かなり問題発言が含まれていたわけで、その金融庁側の姿勢、そして金融庁側と与党の立法との関係というのは非常にこれで疑われるわけであります。
 この問題に少し入りたいと思いますので、日本銀行総裁と三木参考人には、この後の質問者がなければ、どうぞお引き取りをいただいて結構でございますので、ありがとうございました。
 そういうことで、この法案については、熊代さん、金融庁から、特に金融庁長官から、こういう法律を出してほしいと頼まれた経緯がございますか。
熊代議員 御承知のように、国会が立法府でございまして、政府が法律を定めるものではございません。私どもが自分で判断して法律をつくるというのが根本であります。
 この法律提案、私は当初から一生懸命に主張しておりましたけれども、金融庁に頼まれた覚えはないし、逆に金融庁は一生懸命逃げ回っておりまして、そんなら、我々は本来の立法者としてちゃんと就業規則を変えるということでしたわけでございまして、しかし、いろいろ議論しているうちに、やはり意見は合ってきたということでございますので、イニシアチブは我々であるというふうに誇りを持って考えております。
五十嵐委員 金融庁が逃げ回るほどの筋の悪い法案をお出しになられたとは知りませんでした。
 それほど筋が悪いと思われたんですか、竹中さんは。
竹中国務大臣 いろいろ御指導いただきながら、まさに今熊代先生がおっしゃいましたように、先生方のリーダーシップで今回の法案の御審議をいただいているということでございます。
五十嵐委員 これは三権分立に反するゆゆしい行為だと私どもは思って、本来、与党側は怒らなきゃいかぬというふうに思いますよ。こういう発言をされていること自体が、三権分立という話が今熊代先生からもありましたけれども、本当であれば、そこでけしからぬというふうにお言葉が出るべきだというふうに思いますけれどもね。
 そこで、この会談記録に入るんですが、その前に一点だけ確認をしておきたいと思います。
 大手生保七社の総代会が一斉に開かれて、七社すべてが予定利率引き下げの申請を否定したと聞いておりますが、金融庁としては確認をされていますでしょうか。
 それから、次の総代会までの間にもし引き下げ申請をする生保があった場合には、誤った情報で契約者の解約を防止し、また、安心感を与えて新たな契約者を募ったことになるのであって、契約者保護の理念に反するのではないかと思われますが、この二点について、金融庁からお伺いをしたいと思います。
竹中国務大臣 今五十嵐委員が御紹介くださいましたのは、総代会におけるいろいろな御議論ということで、報道を通して、そうした主張があったということは承知しております。これは、さかのぼって、決算発表のとき等にも同様の発言をしておられる。同時に、こうした制度そのものの存続については理解を示しておられる、そのように承知しております。
 二点目の問題でありますけれども、これは、各社、当然のことながら、しっかりと経営していくんだ、契約者に迷惑をかけないようにしっかりやっていきますということを、総代会等々で意思表明されたわけで、これは経営者の非常に強い志といいますか意思として、我々もしっかりと聞かせていただいているところでございます。
 今回の枠組みを用いるかどうかというのはその先の話でありまして、これは保険契約者と保険会社の自治的な判断によるものでありますので、それについて今後どのようなことになっていくか、これはそれぞれの具体的なケースにおいて判断がなされていくというふうに思っております。
五十嵐委員 これは十分一般論で通じる話だと思いますよ。
 要するに、契約者保護ですよ。要するに、誤った情報、誇大広告等でつっておいて、違う行為をするというのは、これは契約者との公正な取引を監視すべき監督官庁の立場からいって、やはりそれは好ましいことではない、排除されるべきことであるということは答弁があってしかるべきだと私は思いますが、いかがですか。
竹中国務大臣 委員御指摘のように、消費者、契約者保護の観点から、これは保険業法でもきっちりと定められている条文がございます。
 保険業法第三百条の第一項第九号、それに基づく施行規則がございまして、その施行規則の二百三十四条第四号でございますけれども、保険契約者もしくは被保険者または特定の者に対して、保険契約等に係る事項であってその判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、誤解させるおそれのあることを告げ、または表示する行為を保険契約の締結及び保険募集に関する禁止行為として定めております。
 保険の募集に関して、そうした誤解を生じさせるようなおそれがあるかどうか、こうした問題については、具体的事例に即しまして、合理的にしっかりと我々としては判断をしていかなければいけないと思っております。
五十嵐委員 もう一つ踏み込んでいただきたいなと思いますが、先に進みます。
 この会談の会議録の中で、これは一週間かけて来週の火曜日までに詳細をお詰めになるということですから、それはお待ちしますが、それにしても看過できない重要な問題が、法的な問題があるので、そこは整理しておきたいと思うんです。
 この中で、業法百三十三条の免許取り消し要件、特に三のところについて、「公益を害する行為をしたとき。」ということを適用して、統合の意思表示を破ったことについて、これはこれにひっかかるんだ、それは行政に対して期待を抱かせたことが問題だという発言が、高木当時の監督局長の発言とされるものがあるんであって、一体こんな解釈が許されるのかどうかというのは、まず法律論として、事実関係以上に、こういうことがあり得るのかということを私は詰めておく必要があると思います。これだったら、何でもできるということになるんですね。いろいろなところで罰則がつく行政処分というのはあるんです。
 それから、もう一カ所、業法の目的以上に裁量権があるということだ、「公益を害する行為をしたとき。」とわざわざ書いてあるのは、保険業法の目的以上に裁量権が当局側にあるんだというふうに監督局長は言っているんですね。
 法律の目的以上に裁量権が監督当局にあるのか、それはあり得るのか。それに基づいて行政処分が可能なのだというのは、私は、非常に乱暴な、めちゃくちゃな理屈だと思っているんですが、そのときに、内閣法制局にも聞いている、いずれもやれるという見解だというふうに監督局長は、高木さんは言っているんですが、高木さんないし金融庁から、こういう事柄について見解を求められ、相談を受けたことがあるのかどうか、まず、内閣法制局に伺いたいと思います。
宮崎政府参考人 お答えいたします。
 私のおりました前のことで、後でから聞きましたことでありますが、正式に内閣法制局に相談があったということはないというふうに聞いております。ただ、担当のところに事実上のお話があったようなこともあったようでございますけれども、法律的な判断を示したということは、個別の問題に関することでありますので、なかったというふうに私は後から聞いております。
五十嵐委員 確かに相談は持ちかけたらしいですね。ただ、法律上のはっきりした回答は得られなかったので、最初は、いずれもやれるという見解だと言っておきながら、その後では、法制局はともかくという言葉が入っているわけですね。
 そういう事実関係からいうと、法制局に話を持ちかけたのは本当のようですから、これも一つの傍証ですね、竹中さん。実際にそういうことをおやりになったようですね。今のお話から聞いてもそうなんですが。
 そもそも、法律論でこんなことは許されるはずがないと思うんですね。私、念のために自分で、私は専門家ではありませんけれども、行政手続法をじっくり読んでみましたよ。こんなことはできるわけがないですね。できるわけがないです。
 それまでの段階というのは、いわば行政とのやりとりなわけですけれども、行政指導とも言えない程度の、ごく軽い行政指導的な立場でお話があったかもしれません。しかし、「行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」というのは、行政手続法三十二条の二項にはっきり書いてありますし、行政指導は、機関の任務あるいは所掌事務の範囲を逸脱してはならないというのは三十二条にあります。
 それから、十五条では、不利益処分をする場合には、根拠法令の条項と原因事実を明らかにしなければならないというのがあり、さらに、処分基準については、三章の十二条で、できるだけ具体的なものとしなければならないというのがありまして、こんな漠然とした話で、行政の期待を裏切ったということで処分がかけられる、しかも、免許取り消しにまで至るような重大な処分をかけられるなんという法解釈はめちゃくちゃですよ。めちゃくちゃ。
 こんなことは、本当にやっていたとすれば、私は明らかにおどしだと思います。おどし。現におどしと東京海上側は受け取っているわけですから、これは、現職の監督局長によるいわゆる民間企業への威圧、おどしであり、これは極めて重大。
 行政当局には何でもできる、監督当局には何でもできると。しかも、金融庁がそもそもできたときに、事後の監督、チェック機能に徹するんだ、手とり足とり、手出し口出しするようなことはしないんだと言っていたルールとまるっきり違うじゃないですか。ゆゆしいことです。これが事実なら、高木長官、最高責任者ですけれども、私は罷免に値すると思います。
 ここの委員会に、こんな重大なことですから、出てきていただきたい。私は改めて、この委員会への参考人招致を、高木さん、そして高木さんが指示を受けたとこの中で告白している当時の森顧問、今の住宅金融公庫の副総裁ですけれども、お呼びをしなければならない、こう思っております。
 今まとめて、時間がないものですから、話をしてしまいましたが、竹中大臣、私、今何点か指摘したことについてお返事いただきます。
竹中国務大臣 参議院の財政金融委員会で、同僚の大塚委員からお示しいただきました資料に基づきまして、その場でお約束をいたしましたように、今調査をしております。
 今、五十嵐委員から、具体的な表現について、例えば業法の目的以上に裁量権があるかどうか、そういう御指摘がございました。まず、我々としては、そのメモの事実関係をしっかりと踏まえなければいけないと思っております。それと、その背景にあった事実関係も確認しなければいけないと思っております。それと、これは法律の解釈論、そこの中で行政の行うべき範囲の領分をどのように考えるかということでございますが、今申し上げた背景、事実、それと法的な考え方の問題、それぞれにつきまして、私と副大臣が中心になってしっかりとヒアリングを行う。
 かつ、これはやはりコンプライアンスの問題でございますので、コンプライアンス室というのを金融庁に設けまして、この分野での日本で非常に著名な弁護士でいらっしゃる久保利弁護士、野村教授、そのコンプライアンス室に御協力をいただいて、しっかりと報告をさせていただきたいというふうに思っております。
 したがいまして、今、個々いろいろな、文書の中から表現をお挙げになりましたが、それについてまず事実関係を確認しておりますので、今の時点でのコメントは差し控えさせていただきます。
五十嵐委員 ただ、重大なことですから、事実関係を踏まえなくても、法律論として、こんなでたらめな法律論、一私企業の役員に論破されるようなこんな法律論は成立するもんかいなということを私は確認しておきたいと思うんですが、短くていいですから、答えられるかどうか。法制局、どうですか。一言で、答えられないなら、答えられないとだけ答えてください。
宮崎政府参考人 具体的な事例につきまして行政処分を行うことができるかどうかについてのお尋ねだといたしますと、私どもとしてはなかなかお答えできる立場にございませんが、御指摘の、行政に対して期待を抱かせたことということの具体的内容が、保険業法の目的に照らしまして、社会一般の利益を害したと言えるかどうかということにつきまして、所管の行政庁が合理的に判断すべきもの、一般的にはこのように考えるべきものだと考えます。
五十嵐委員 それはめちゃくちゃな解釈ですね。そんなことは許されないと思いますよ。
 終わりますので、最後に委員長に申し上げます。今申し上げました高木長官、これは前例もあります。ここの場に長官が来られている前例もありますし、また、その大きな影響力があると言われている森前顧問の参考人招致をお取り計らいいただきたいと思います。
小坂委員長 理事会で協議いたします。
五十嵐委員 終わります。
小坂委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 きょう、私、銀行株式取得機構の運営について最初に伺いたいと思います。
 この機構設立のときの法案審議の際に、政府はこういうふうに説明していました。「機構に公的支援を行う場合であっても、最終的には国民負担に極力つながらないようにすることが重要である」と。それで具体的方策を盛り込んだんだということでありました。当時の柳澤大臣は、買い取りの開始には運営委員会の決議を要すること、銀行等からあらかじめ株式の売却額の八%に相当する売却時拠出金を拠出させることなどしていることなどを挙げて、「諸方策を講じているところ」だという答弁でありました。本当にこの答弁どおり運営がされてきているのか、ここのところを伺いたいと思うんです。
 そこで、まず、機構が発足してから現在までの特別勘定の買い取り期間と買い取り金額、これを政府参考人の方から伺っておきたいと思います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 機構の特別勘定での株式買い取りにつきましては、運営委員会が定めました買い取り期間内で行っておりまして、それぞれの期間内における買い取り実績は、まず第一回目が平成十四年二月十五日から四月二十六日までに千三百一億円、それから平成十四年の五月十七日から十一月一日までに百九十五億円、それから三回目が平成十四年の十一月五日から平成十五年四月二十五日まで六百八十五億円となっておりまして、合計で、この三期間、二千百八十一億円となっております。
 また、さらに、新たに平成十五年四月二十八日から平成十五年十月三十一日までの買い取り期間を定めまして、現在買い取り業務を実施しておりまして、現時点での買い取り実績は約二千二百億円程度となっておるところでございます。
吉井委員 それで、今のお話を伺っていてわかるんですが、この特別勘定、機構が発足して以来、実際上開きっ放しなんですね。特に、昨年五月以降は、土曜、休日を別にすれば、この特別勘定は開きっ放しになっています。
 竹中大臣に伺っておきたいんですが、先ほど紹介しました柳澤大臣の答弁で、買い取り期間の開始に運営委員会の議決が必要だから、安易な買い取りにならないという説明だったんですね。しかし、機構の実態は、運営委員会の議決というのは何の歯どめにならないで、開きっ放しと。これでは大臣答弁に照らしてもおかしいと思うんですが、これについて、竹中さん、どうお考えですか。
竹中国務大臣 ずっと開いている方がよいか、閉じる方がよいか、これはまさしく運営委員会の判断の問題なのだと思います。この運営委員会は御承知のように、金融に関して専門的な知識と経験を有する者から選出された五名以内の委員を置く、それで、総会において選任される機構の理事長及び理事で構成される運営委員会を設置して、重要事項の審議を行うということでありますから、その審議の結果がそうであったというふうに私は理解をしております。
吉井委員 それでは、そこで三木参考人に伺っておきたいんですが、要するに、法律をつくるときに、政府の方の説明は、国民負担につながらないために特別買い取りの開始には運営委員会の議決を要件としたというんですね。しかし、この機構を立ち上げてしまったら、議決は何の歯どめにもなっていないんですよ。土曜と休日を除いたら開きっ放しなんですから、意味をなさないんですね。結局、この政府答弁は口先だけの方便だったということになると思うわけです。機構の運営委員会ではどういう検討をして特別買い取りを議決してきているのか、これは全く形だけの審議じゃないのかということが今問題になってくるわけです。
 そこで、銀行株式保有制限法第五条では、機構の業務について、銀行等の保有する株式の短期間かつ大量の処分により、株式の価格の著しい変動を通じて信用秩序の維持に重大な支障が生じることのないようにするために、株式買い取りを行うと規定していますし、この目的に照らして特別買い取りが必要かどうかの検討が行われなければならないとなっているわけですね。
 毎回の運営委員会で慎重な検討をした結果が開きっ放しということになっているのかどうか、ここのところを三木参考人に伺いたいと思います。
三木参考人 お答え申し上げます。
 運営委員会におきまして、現在の状況、それから銀行の株式売却の必要性、そういうことを判断しまして、今現在まで引き続きその必要あり、こういう判断でいたしております。
 なお、当然のことでございますが、買い取り基準等につきましては、そういう基準にのっとってやっているということでございます。
 以上でございます。
吉井委員 運営委員会の議決について、機構の発表している文書、運営委員会の後の、それを見てみますと、会員の株式処分ニーズが引き続き高い、株式相場の本格的な回復の見きわめになお時間がかかると考えられること等からというのが昨年五月十六日の分ですが、それ以降、昨年の十一月、ことしの四月の分を見てみますと、前文は同様で、後段もほとんど変わらないんですね。相場はなお注視を要する状況であると考えられること等から、買い取り期間を決定したと。
 だから、結局、毎回同じ文書で、運営委員会は短時間に終わってしまって、そして、これはもう開きっ放しと。一体、機構の運営委員会が慎重な審議をするはずだったんですが、さっぱり慎重審議をやったとはうかがえないんですね。形式的な審議だけではないのか。きちんとした検討をしているということであれば、私は運営委員会の議事録を出していただきたいと思うんですが、これは出してもらえますか。
三木参考人 お答え申し上げます。
 運営委員会につきましては、機構の業務に関する方針を決定いたしております。例えば、議決権行使の方法でありますとか、あるいは株式処分の方法とか、そういうのを決めたことがございます。その他、今御指摘のように、この時期、必要性の有無ということについて、運営委員会で協議しているわけでございます。
 この機構の審議内容ということでございますけれども、これにつきましては、そういう業務に関する方針を決めておりますので、株式市場等に関する影響を懸念いたしまして、公表を差し控えさせていただきたいと存じております。
 以上でございます。
吉井委員 買い取る相手の個別の銀行についてどうだこうだという議論が仮になされたとすると、おっしゃっている意味もわからない部分もないわけじゃありません。しかし、買い取り期間を、なぜこの期間を設定するのか、なぜ開きっ放しでいくのかとか、それについてどれだけ突っ込んだ議論が行われているのか。事は国民の税、公的資金によって補いをつけるという問題にかかわってくるわけですから、どんな議論をしたのかという、そこにかかわる問題については、これは実は運営委員会で議決されたら開示できる話なんですね。
 私は、少なくとも、買い取り期間その他、なぜこういうふうなことになったのか、どんな議論をしたのか、こういったことについて、個別の銀行にかかわる機微な部分はともかくとして、これは基本的には議決をして開示をする、その立場をきちんと示してもらいたいと思うんです。もう一遍聞いておきます。
三木参考人 運営委員会で決定いたしました事項に関しましては、原則として公表させていただいております。先ほどの審議内容ということではございませんが、決定事項に関しては公表させていただいております。
吉井委員 いや、決定事項の公表をしているというのは、見ているから知っているんですよ。そうじゃなくて、買い取り期間を発表しているわけですよ。どういう議論をして買い取り期間を決めたのか。そこに書いておられるさまざまな理由づけがあるわけですけれども、文書は非常に短いんですね。どういう議論をしたのかという、そこの開示を、みずから議決されたらできる話ですから、それをやるべきだということで伺っているんです。
三木参考人 運営委員会で議論いたしております、先ほど先生がおっしゃいました、その必要性が引き続きあるということは、株価が御承知のような状況でございましたし、また銀行の方の株式の削減の必要性もまだずっとございましたので、これが引き続くということは御理解いただけるんではないかと存じます。
 そういうことでございますが、それ以上の審議内容につきましては、やはり、株式市場等に対する影響を考えまして、公表を差し控えさせていただき、決定事項については公表させていただくということにいたしております。
吉井委員 株式市況とかいうことを言いながら、しかし、損が出たら国民が負担するわけですよ。国民負担にかかわってくる問題について、議事録の必要部分の開示も行わない、そういう態度はまことにもってけしからぬということを言わなきゃならぬと思うんです。
 開示をしない一方で、三木参考人は、東京三菱グループの決算発表の記者会見で、機構が売却額の八%を徴収する拠出制度を撤廃したら利用するのかと質問されて、利用していきたいと答えておられるというふうに報道されておりますが、これは間違いありませんか。
三木参考人 間違いございません。八%を撤廃された暁には、積極的に活用したいと思っております。
 以上でございます。
吉井委員 東京三菱は、既に株式保有制限をクリアしているんですね。クリアしているのに、それでも機構を利用しよう。それはなぜなんですか。
三木参考人 三月末で確かにほぼティア1、達成はいたしましたけれども、これは時価ベースということでございます。したがいまして、時価が上がってまいりますと、またティア1から出っ張るという事実もございます。
 また、銀行界全体といたしましても、ティア1が一つの非常に大きな目標でございますけれども、株式の変動の経営に対するリスク、これは非常に大きいものがございますので、活用し、金融システムの安定につなげたいという気持ちはございます。
 以上でございます。
吉井委員 この法律をつくったのは、もともと銀行保有株に制限をかけるということだったんですね。制限をかけるから、いわばはみ出す部分を買い取りましょう、その機構をつくりましょうというのが出発なんです。今のお話ですと、もうこの株式保有制限をクリアしているんだけれども、この機構を活用していきたいということなんですよ。
 私はそこで政府参考人に伺っておきますけれども、既に保有制限をクリアした銀行から株式を買い取る際に、買い取り額に制限はありますか。
    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 機構の場合はございません。
吉井委員 大体、機構のどんな議論をしたかという開示もしない、法律をつくったときの、保有株の制限をしよう、だから、はみ出す部分は機構で買い取りましょうということだったんだが、しかし、保有制限をクリアした銀行から株式を買い取る際に、買い取り額に制限はないということですから、幾らでも買い取れるということですよ。何の制限もない。銀行が、含み損の切り離しのために売りたいと言えば、幾らだって制限なく買う仕組みになっている。銀行も保有制限関係なしに売るんだということを三木参考人は今言っておられるわけですよ。
 結局、法律をつくるときには、国民負担につながらないような方策を盛り込んだんだと説明していたんですが、一たん機構をつくってしまったら、銀行支援のためには何でもあり、こういうことになっているのが今の実態であり、さらに今回の改正案で売却時拠出金を撤廃することによって一層拍車をかける方向になっている。
 竹中大臣に一言だけ伺っておきますが、これは当初のこの法律をつくったときの意図からは全く違ったものになってきているんじゃありませんか。
竹中国務大臣 私は、当初の意図から違ったものになったというような認識は持っておりません。先ほど三木理事長も明快におっしゃいましたように、時価ベースでティア1の範囲というのははかるわけでありますから、今後みずからのティア1がどのようになっていくのか、今後の株価の動向をどのように見るのか、そうした中で、柔軟な戦略を立てて、銀行はそれを利用していく。
 一方で、機構の方は、先ほどから話題になっております運営委員会でしっかりと議論をしていくわけです。私は、運営委員会は、これまでなかなか買い取りが進まない中で常時窓をあけていたというのは、全然不思議な決定であるとは思いませんし、その都度、その結果について発表はされているわけでございます。この議事録につきましては、これはやはりその社内の内部のことでありますから、その社内でしっかりと御議論をされればよいことであるというふうに思っております。
吉井委員 株価がどんどん上がっていくときですと、銀行は別に機構に売ることはないんですよ。株価がどんどん下がって含み損が出るときには、日銀には買ってもらう、機構には買ってもらう。損が出たら国民に後のツケ回しをする。そして、公的資金の投入はやってもらうわ。せんだってのあの生保の予定利率の問題だって、破綻してからだったら銀行拠出金が劣後してしまう、それも生保の法律を変えて見てもらうわ。本当に、言ってみれば、銀行にはさまざまな思いやりのある法律が次々と、制度がつくられてきております。
 では、その一方で、銀行の方は、預金者の方に対してはそれだけきちんと責任を果たしているのか、透明性のあることをやっているのか、公正な対応をしているのか、そのことが今多くの国民の皆さんから問われているときだと思うわけです。
 先日、ちょうど一昨々日でしたか、テレビで東京三菱を初め各銀行も放映されておりました。
 テレビで紹介されたのでは、銀行が本人確認をよく行わないために発生した銀行預金の過誤払いの被害者の問題です。東京三菱では千六百万円が偽造印で引き出されてしまって、本当に庶民からすると、千六百万円というのは大変な財産なんですよ。偽造印を見抜けなかったためにこういう問題が出ているわけですが、私は、こういう話はいっぱいあるものですから、昨年の十二月のこの財務金融委員会でも、この問題を取り上げました。
 それで、個々の被害の事案については、これは係争中のものだってあるでしょうから、私、きょうは個別事案をここでお聞きしようと思っているわけじゃありません。三木参考人に伺っておきたいのは、例えば東京三菱の場合、本人以外の者が印鑑偽造などにより預金を引き出したという被害、この被害が、訴訟になっているものもあれば、訴訟になっていないものとか、銀行の窓口に、こういう被害があるんだけれどもという相談に来られたものとか、いろいろあると思うんですね、その被害の件数と被害の金額は幾らになるのか。これは、別にあなたのところの財務にかかわる話でもありませんから、この当たり前の数字をきょうはお聞きしたいと思います。
三木参考人 お答え申し上げます。
 被害についての御質問でございますが、被害につきましての数字はただいま持ち合わせておりませんが、私どもにおきまして、今先生御指摘のような案件、つまり、盗難通帳等がありまして、訴訟になっております案件が十九件ございまして、金額は一億二千六百万円ございます。
 以上でございます。
吉井委員 それで、訴訟になった分はトータルできるというだけじゃなしに、あなたのところも近代的な会社ですから、昔のように大福帳で、あっちの支店、こっちの支店の分を全部寄せ集めると大変だと思うんだけれども、今、コンピューターのキーを一発はじいたら、訴訟になっていなくても、それぞれの銀行の窓口に、こういう被害が出たんだけれどもと相談に来られる方の件数はみんなわかっていると思うんですよ。本店の方で、キー操作一発で全部出るわけですよ。
 財務にかかわる内容だったら、これは出しにくいというお話あるかもしれないけれども、こんな単純な数字、大東京三菱さんが別に秘密にしなきゃいけない話でも何でもないし、これは、私、きのうから言ってあるんです、きょうお聞きしたいと。それで手元に持ち合わせがないというのは非常に不思議なんですが、今手元になければ、後ほどきちんと、キー操作一発で出るわけですから、訴訟になっているもの、なっていないものも含めて、そういう被害の出た、苦情等のあった件数が何件で、それをトータルすると総額幾らになるのか、この資料は後ほど出してもらえますね。
三木参考人 先生御指摘の、今事故が起きている件数、しかし、起きかかっている、いろいろなものがございまして、ここをどういう形で集計するかということがございます。
 そういうことで、はっきり訴訟になっている件数は申し上げたわけでございますけれども、先生御指摘のお話を踏まえまして、どういうところでとらえるかという、どこまでを、どの状態を言うかというところがございますので、ちょっと考えさせていただきたいと思います。
吉井委員 それじゃ、起きている件数と起きかかっている件数、これは二つに分けていただいても結構ですから、いずれにしても、起きている件数が何件で、金額は幾ら、起きかかっていると見ていらっしゃる、これは、苦情その他、寄せられたりした件数を見ればすぐ出るわけですから、その起きかかっているという件数が幾らで、金額は幾らか、これを後ほど整理してお聞かせをいただきたい、このことだけお約束いただきたいと思います。
    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕
三木参考人 どういう形になるか、ちょっと今はっきり申し上げられませんけれども、何らかの形で御報告申し上げます。
吉井委員 きょうは機構の理事長として来ていただいているんですが、全銀協の方もやっていただいておりますので、私は、全銀協としても、竹中さんの昨年の発言のときには、大手銀行の方、七行、皆そろって抗議の記者会見もされたぐらいですから、これは全銀協としても、少なくとも大手行について、今おっしゃったように、きちんとそういう被害なり、あるいは、訴訟になるならないは別として、苦情として寄せられているものについての件数と金額、これをきちんと銀行業界として開示されるように取り組んでいただきたいと思いますが、どうですか。
三木参考人 先ほど来申し上げておりますように、トラブルのいろいろなケース、もちろん、すぐ片づく、あるいは勘違い、そういうものもいろいろございます。そういう中で、個別銀行が対応しておりますので、これをどういう形でまとめられるか、先ほど申しましたように、私どもについての何らかのことを御報告させていただきます。ほかの銀行につきましては、ちょっと私、今、自信がございません。
吉井委員 自信を持って竹中さんの発言には抗議の記者会見をされたぐらいですから、これは自信を持って、各行、あなたのところは取り組まれるように、横並びでやろうと申し合わせをしていただいたらいいんですから。
 これは、警視庁の生活安全総務課の方は、何も東京三菱にだけ文書を出したんじゃなくて、全行に、一九九九年九月六日付で、「盗難通帳等使用による預金引き出し事案の防止について」という文書を出しているわけですから、これは全行が取り組まなければいけない話なんですから、全行がこの実態をまず明らかにする、そして本当に真剣に取り組むということが必要なわけですから、この点だけ、もう一遍、くどいようですが、確認しておきます。
三木参考人 社会情勢の変化に応じまして、非常に重要な問題になってきておりますので、全国銀行協会のベースでも、従来に加えた工夫をしたいというふうに思っております。
吉井委員 それで、実は国会の方で、私は内閣委員もやっておりますから、ことしの春ですが、ピッキング防止法というのを国会は成立させました。うちの党ももちろんこれに賛成しているわけです。ピッキング防止をやる、それから、一昨年十二月の国会だったと思いますが、本人確認の法律も立法府は通しました。
 ピッキング防止法というのは、できるだけ未然といいますか、ピッキング犯罪をなくすために取り組むわけですよ。しかし、実際にピッキング犯罪によって被害通帳などが出たときに、犯人が銀行で金を引き出すことができなければ、彼らはピッキングをやっても意味がないんですね。
 だから、そういう点では、せっかく立法府がピッキング防止法もつくり、本人確認の法律もつくり真剣に取り組んでいるときに、銀行の方は、偽造印だったから仕方がないというようなことで見逃してみたり、運転免許証その他で本人確認しなかったから、これはもう銀行の責任じゃないと言ってみたり、あるいは、名字と名前が違っておったり、名字だけで名前が書いていないものであれ、住所が間違っておったり、いろいろなものでも現に金を引き出しているからこういう問題が起こっているんですよ。
 ピッキング犯人の方は、幾ら通帳を盗んでもカードを盗んでも金にならないということになれば、これは、今国会が挙げて取り組んでおりますピッキング防止ということについて、本当に大きな力になるわけですよ。
 だから、そういう点で、私は、東京三菱としても、銀行業界としても、どのように再発防止に取り組んでいかれるのか、また、そういう被害に遭われた方に対してどういう考えを持って臨んでいかれるのか、このことを伺いたいと思います。
三木参考人 大変重要な問題でございますので、一生懸命取り組んでまいりたいと思います。従来もそのように努めてきたつもりでございますけれども、引き続き、さらに預金者への注意喚起、それからもう一つは、私どもの内部での手続遵守の徹底、手続のさらなる改善、こういったことに努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
吉井委員 時間が来ておりますので、一言、質問にちょっとお答えいただいてない点だけ。再発防止の具体策とともに、被害を受けられた方に対する思い、それを伺っておりますので、これを最後に質問して、質問を終わるようにしたいと思うんです。
三木参考人 被害に遭われた方につきましては、まず、よくお話を伺うということでございます。しかしながら、お話し合いが不幸にしてつかない場合、訴訟ということもございますが、私どもとしては誠意を持って対応してまいりたい、かように思っております。
 以上でございます。
吉井委員 被害者は、たくさんの方が、生涯にわたって頑張ってきたり、あるいは、中小企業の経営者の方であれば、支払うべき賃金を過誤払いによって失ったり、本当にみんな人生が狂ったりするぐらいのことになっているわけですから、話を聞くだけのことじゃなくて、今おっしゃった誠意を持った対応をやっていただきたい、このことを申しまして、質問を終わりたいと思います。
小坂委員長 次に、中津川博郷君。
中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。
 この委員会で質疑に立たせていただいて竹中さんと議論するとき、毎回毎回株価がどんどん下がっていく中で激しい議論をやってまいりましたが、上がりましたね。よかったですね。これは本当にいいことなんですよ。
 なぜ上がらないのか、なぜ景気がよくならないのかということを今までやってきたわけでありますが、この上昇は一時的なムードであり一過性であるという悲観論がある一方、また楽観論もあります。景気は本当に底を打ったのか、株価は本当に底を打ったのか、簡潔に、竹中さん、ひとつ大臣の立場でお答えください。
竹中国務大臣 大臣の立場でということになりますと、そういうことはなかなか申し上げられないということになってしまいます。
 市場の中に今中津川委員御指摘のような見方、二つの見方があるということだと思います。我々としては、このまま持続的な回復が続くように、経済の環境をしっかりと構造改革を通して立て直していくというのが、今こそさらに重要であると思っております。
中津川委員 何か答えになってないですね。もうちょっと明確にその認識を、これからよくしていこうなんというのはみんな思っているわけです、あなただけじゃない。今、上がっているんですよ。この認識をもうちょっと的確に答えてもらえますか。よろしく。
竹中国務大臣 相場の動向についていろいろと申し上げる立場にはないということは御理解をいただけると思っております。
 しかし、例えば業況感が改善してくるとか、世界的にも債券から株への流れが見られるとか、いい動きがあるということは事実でございます。そのいい動きが加速できるように、我々としては努力をしたいということを申し上げておるわけであります。
中津川委員 株が上がっても、まだ日本が深刻なデフレ経済の中にいることは少しも変わってない。それから、実体経済が悪いという危機感、この深刻な認識は我々政治家は持たなければいけないと私は思っています。
 何か変なんですね。世界全体は悪いんですよ。悪いんですけれども、ドイツなんかも何かDAXで三四%も上がって先進工業国中トップだとか、アメリカもSP五〇〇が一六%上がっている。日経二二五も一五%近く上がって、インドネシア、韓国だって、あのあたりでも二五%も上がっている。投機的なものなのか、あるいは需給関係のことなのか。私は、これで決して喜んではいけない、政治家として、その認識を大臣にも持ってもらいたい、これを申し上げたいと思います。
 そこで、今回の法改正でありますが、平成十三年の法案成立から二年で既に二回目となっていますね。なぜこんなに頻繁に改正が行われる必要があったのか。先ほども議論があったようでありますが、二年前の法案の不備があったのではないかと思いたくなりますね。しかも今回、議員立法で行うのはなぜなのか。金融庁みずからが改正すると、みずから当初の法案の不備を認めるということを避けるためじゃないかな、そういう疑問がわくんですが、大臣、いかがですか。
竹中国務大臣 二点御質問があったわけでありますが、どうしてこんなふうに頻繁に改正が必要になっているのか、その御指摘はまことにごもっともだと思います。
 言うまでもありませんが、当初のねらいは、持ち株の保有制限が必要である、株価変動のリスクと銀行の経営を切り離す努力が必要だという大きな枠組みのもとで、いわゆるセーフティーネットとしての枠組みを準備しよう、そういう発想でございました。
 しかしながら、その後、いろいろこの組織を運営する中で、例えば銀行等の保有株式の処分を円滑化するには相手方にもターゲットを広げなければいけないということで、昨年の秋に、その円滑化のために、この機構をさらに使い勝手をよくするために改正が行われた。しかし、それでも、残念ながら、その間日銀がさらに非常に強力な資金を提供してくださったということもあって、この機構が十分に活用されていないというような状況があった。そうした観点から、さらに今回、それを改正すべく、機能をまさに強化すべく御議論いただいているわけであります。
 二点目、それはどうして閣法ではなかったのか、その不備を避けるために議員提案でお願いしているのではないかという御指摘でありますが、そういうことは断じてございません。
 これは、まさに先ほど熊代先生からも御発言がありましたが、熊代先生初め諸先生が大所高所からリーダーシップを発揮してそうした議論を続けてくださっているわけでありまして、我々が何かを避けて先生方にお願いしたということではないということははっきりと申し上げたいと思います。
中津川委員 その辺のところ、これから議論していきたいと思うんですが、今回の改正は、八%の売却時拠出金制度の廃止、あるいは事業会社の銀行株式の買い取り価額を特別株式買い取りの価額の同額まで緩和するとか、銀行等保有株式取得機構の存続期間を延長するなど、非常に機構の使い勝手をよくしようとするということが主眼となっているようでありますが、これは、すなわち、銀行等が手持ちの株を処分しやすくなるということにほかなりません。この改正では、銀行等は株を機構に売ってしまったらあとは何の責任もない、機構が損を抱えたら、政府保証、先ほどからたくさん議論が出ておりますが、つまり国民負担でお願いしようという仕組みが完成するということになるんじゃないかと思うんですね。
 私は、これは、国家による銀行救済の飛ばしじゃないかというふうに思っているんですよ。だって、だぶついている、銀行の何千億円に上る株式を、たかだか百億円程度の資産しかない会社が引き取って、時期を見て市場に放出する。うまくいけば利益が出るけれども、損が出たら国民の皆さんに出してもらおうという虫のいい話ですよ。現に、三月末現在では三百五十億円という巨額の含み損が出ているということも判明しました。銀行の不良資産の飛ばしにこの機構が使われているんじゃないかということです。この改正が行われれば、さらにその傾向が強まるんではないかなと思います。
 提案者の皆さんにお願いしたいんですが、こんな銀行のモラルハザードを生じさせかねない改正を提案されるというのは、一体どういうことなんだろうか。銀行から何か圧力がありましたかね。銀行から何かお願いがあったのか。これはそう思いますよ、自然に。
 先日、生命保険の予定利率引き下げという後世に残る最も悪い法律が通りました、今参議院でやっていますけれども。これも銀行救済だと私たちは認識しているわけでありますが、今回も、余りに筋の悪い法改正だと言わざるを得ません。
 民主党は、こういう露骨な銀行救済、だれが見てもそう疑うような、こんな法律を認めないんですが、提案者の皆さんはどういうふうに考えているのか、銀行に対する姿勢も含めてお答え願いたいんです。
 少し聞きづらいんですが、国民の皆様にかわってお聞きしますが、例えば、皆さんの政党支部を通して、銀行から寄附や献金やパーティー券の購入なんかはありませんか。国民の誤解を招くような行為はないということであればいいわけでありますが、そこのところをひとつ質問したいと思います。
上田(勇)議員 今御質問の中にもありましたけれども、今回の改正は、この機構が当初設立されたときの、私どもとしては、その期待されていた役割が、余り機能を十分に発揮していないということから、それをより発揮しやすいようにしようということで今回の改正案を出しているわけでございまして、それは今委員のお話の中にあったとおりでございます。
 そもそも、株式保有制限というのは、銀行等に対する信認とか金融システムの安定性を維持するために、従来、現在もそうなんですが、銀行が過度に株式を保有していることによりまして、株式市場の動向にその安定性が過度に影響を受けることを排除するということから、この株式の保有制限を導入しようという趣旨で始まったわけでございます。
 その際に、銀行等が、株式保有制限の導入に伴いまして株式処分を行う。そうしますと、それを市場に売却するわけでありますけれども、市場に売却することによって生じるさまざまな影響、こうしたことも勘案しまして、その市場売却を補完するセーフティーネットとして、この機構による買い取りということを導入したわけでございます。
 そういうことからしますと、その趣旨からして、これは金融システム全体のセーフティーネットというふうに我々は位置づけておりまして、個別の銀行を救済するものではないというふうに認識をいたしております。
 また、今回の改正に伴いまして、機構の存続期間等も延長することによりまして、できるだけ適切な時期を選んで、有利な形で、機構が一たん保有している株式を市場に売却することも可能にしていこうというような改正も含めて行っているわけでございます。
 今委員の後段の部分の御質問でございますけれども、銀行等からそういうような要請があったのかということでございますが、銀行の関係の方々がこの機構のあり方についていろいろなところで発言をされているということは私も承知しておりますけれども、直接、銀行の関係者の方々から御要請を私としては受けたことはございません。
 この法案の内容につきましては、与党のプロジェクトチームの中でさまざまな意見が開陳をされて、その中で、幾つもの項目、実行していく政策を決めたわけでありますが、その一つとしてこれが位置づけられたわけでございまして、その際に、与党の議員立法として提案をしようということで三党で合意をして、今日このように法案という形で提案をされているわけでございます。
 また、最後にございました政治資金の関係のことでございますが、これについては、私に関するところについては、今御指摘のあったようなことは一切ございません。
 以上でございます。
中津川委員 熊代さんにも。一番最後の質問だけで結構ですから。
熊代議員 重ねて申し上げますけれども、立法は立法府がやるんだということでありまして、たまたま内閣から提出されることもありましょうけれども、その中身については立法府が責任を持たなきゃいかぬというような話であります。それが日本社会では倒錯されておりまして、議員の頭もそういうふうになっていることが私は大変問題だというふうに思っておりまして、議員立法という言葉を廃絶しよう、なくそうということで今進めているわけでございます。
 それはそれといたしまして、私どもは、いろいろ御要望がありましても、それが国民経済上いいことかどうかというのを判断いたします。国民あるいは福祉のためにいいことかどうか、そういうことを前提としますから、どこかに頼まれたからやるというような、そういう誇りのない議員ではないというふうに私は自分として思っているところでございます。
 それで、いろいろの話も、私、余り銀行と関係ないものですからあれでございますけれども、私は、国民経済上大切であるということでそれをしたわけでございます。
 それで、最後のところは、政治資金につきまして、これは厳格に調べてみないとよくわからないわけでございますけれども、基本的には、私、この件及び銀行からの献金というのは、縁が余りないものですから、余りないんじゃないかというふうに考えているところでございます。
中津川委員 政府・自民党と銀行が仲いいなというような印象を、前回の法案もそうですが、今回も、これはやはり政治に携わっている者は感じますよ。ぜひ、なければそれは結構なことでありますが、国民の誤解を招くようなことはないというふうに私も希望したいと思います。
 それで、この法案は当初よりいろいろ問題を抱えていた可能性がある以上、この法案の根本的な問題から取り上げてみたいと思うんですが、そもそも、この買い取り機構の設立の目的は何だったのかということです。BIS規制に伴う株式保有制限の開始に伴って、現在の銀行の保有株式を一時的に処分する受け皿として機構が準備されたというふうに思うんですが、どうもおかしい。
 それは日銀による株式買い入れですよ。昨年の十一月から、財務大臣の認可によって、日銀が銀行から株式を買い入れた。現在一・五兆円ですか、上限三兆円までだ。これは非常に銀行にとっては使い勝手のいい仕組みであって、売却時に拠出金も要りませんしね。この日銀による株式買い入れは機構の目的と何か重なるんじゃないか。これによって、機構の存在目的はもうなくなっているんじゃないかと思うんですね。
 日銀の買い入れ開始に至る経緯、それから機構の業務との関係について、日銀と金融庁、答えてください。
福井参考人 昨年の秋の時点で、既に機構の存在ということを承知の上で、それを前提の上で、当時の株式市場の状況、そしてその変動が金融システムに及ぼす影響、これをやはり遮断する、ショックを吸収する必要があるという意味で、緊急避難的に、日本銀行がいわば上乗せ的な措置で対応してきたということでございます。
 そういう意味では、日銀の措置はあくまで補完的な措置、そういう位置づけであったというふうに考えております。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 日銀による株式買い取りと機構によります買い取りは、そもそも目的が若干違っております。株式保有制限の導入に伴う金融機関の株式処分の円滑を図るためのセーフティーネット、あくまでも処分に伴うセーフティーネットという観点から機構がまずスタートいたしました。その後、先ほど総裁のおっしゃられたような観点から日銀がスタートいたしました。
 両スキームは基本的に異なるところが多々ありまして、例えば、一つは、買い取り対象銘柄の範囲でございます。具体的に申しますと、機構は事業法人が持ち合い保有する会員銀行の株もその買い取り対象であるのに対しまして、日銀の方は銀行の株は対象となっておらない。あるいは、買い取り期間も異なっております。さらに、買い取り対象先でございますが、機構は会員となっておりますかなり幅広い会員銀行から買い取るわけでございますが、日銀のスキームは株式保有額が自己資本を超過している銀行に限定しておる。こういうふうに、かなりの点で異なっております。
 したがいまして、金融機関は、保有株式の売却に当たりましては、このような違いを踏まえまして売却先を検討することになると思っております。日銀のスキームが存在することをもって銀行等保有株式取得機構の存在意義がなくなるということはないというふうに思っております。
中津川委員 今回、拠出金の八%がなくなるということなんですが、この八%というのはどういう算出根拠で決まったのかなと、きょう質疑するに当たって私は考えたんです。また、銀行等から買い取り総額はどのくらい想定していたのか。そして、自己資本の一〇〇%を下回る額の買い取りも目的と考えていたのか。それとも、それより大幅に下回る六〇%とか五〇%まで見越したものなのか。もし後者であるならば、機構の設立目的である株式保有制限の縛りとずれてくるおそれがあると思うんですが、いかがですか、金融庁。
藤原政府参考人 先生から三点の御質問がございました。
 まず第一点目の、売却時拠出金の八%はどういう根拠で決まっておるのかということでございますが、これにつきましては、機構によります株式の買い取りを行うに当たりましては、機構に損失が生じた場合の財源補てんとして、機構に株式を売却した銀行に売却時拠出金を納付させるということで始まっておるんですが、それは国民負担につながらないようにということで売却時拠出金が設定されておるわけであります。
 その根拠でございますが、これは、当時、例えば新BIS規制が導入されますると、売却時拠出金を拠出することとした場合、分母でありますリスクアセットから株式売却額が控除される一方で、他方、分子であります自己資本から当該拠出金が除かれることになりますことから、仮に八%を超える売却時拠出金を拠出することといたした場合、自己資本比率が八%の銀行の場合は株式を機構に売却することによってかえって自己資本比率が低下してしまうというようなことから、八%以上の売却時拠出金は不合理であるということから、八%ということに決めたわけでございます。
 それから、二点目に、銀行からの買い取り総額、どのくらい想定しておったかということでございますが、これはまさしくセーフティーネットの役割を果たすということでございますので、買い取りの目標額というのを設定したわけではございませんが、当面、機構の買い取り額については二兆円を用意いたしまして、もしそれで不足があればまた弾力的に考えるということでスタートしたものでございます。
 それから、三番目の、一〇〇%を下回る額の買い取りも目的と考えていたのか、それが余りにも下回るような事態になったら目的を逸脱するのではないかということでございます。
 それは全く先生のおっしゃるとおりでございまして、先ほどから三木理事長も御答弁なさっておられますように、まさしく機構は一〇〇%下回るものを買うわけでございます。それはどういうことかと申しますと、株式が時価で評価されますものですから、株価が上がれば株式の評価額が上がっていく、あるいは、例えば不良債権の処理を加速する、そういうことになりますと、必然的にティア1部分が減少するわけでございます。
 現下の不良債権処理という状況も踏まえまして、あるいは株価の変動ということも踏まえまして、当然そういうことも考慮に入れながら一〇〇%以下のところも買っていく。ただし、それが余りにも、何十%も下回るとか、そういうことは制度の趣旨には合わないということでございますので、あくまでも基本は一〇〇%ということだと思っております。
中津川委員 どうもよくわからないことが多いんです。
 そもそも論にちょっとこだわりたいんですけれども、そもそもこの仕組みは、個別の金融機関を救うとかどうということじゃなくて、株価変動リスクに金融システムが影響を受けることを防ぐ、そういう大義のもとに、金融機関の過大な保有株式について、金融界と国民とが共同でリスクをとることで金融機関の株式保有を減らして、金融機関の体質改善に取り組むというふうに理解はしておったんですが、今回の改正で、売却時拠出金を廃止ということが現実になれば、結局、これが崩れて、国民が一〇〇%リスクを負うという仕組みへとこれは変質してしまう、なるんじゃないかと思うんですね。大臣、いかがですか。
竹中国務大臣 御指摘のとおり、当初から、国民の負担を軽減しなければいけないというのは大変重要な、政策者の意思の中にそういう点がございました。
 一方で、今回のようなセーフティーネットを準備することによって株価を少しでも安定させて、もって国民経済的な、マクロ的なベネフィットが国民に至るように、しかし、そのときのコストが発生するかもしれない、それをできるだけ抑えるようにということで、技術的な問題はあるにしても、その八%の拠出金が準備されたわけでございます。
 しかしながら、この二年間、なかなかそれが使われないということによって、使われない限りはメリットがないわけで、それに伴って、今回は、その八%の拠出金を廃止することによってこれがより使い勝手が広がることによって、それを活用することによって株価を安定させることのメリットをふやそう、そういう便益上のねらいがあるということだと思います。
 一〇〇%リスクを国民が負うという御指摘でございますが、売却時拠出金のほかに、当初の拠出金も銀行業界は負担しておりますから、その部分では、一〇〇%国民ではなくて、やはり銀行業界も引き続きリスクを負っているということには理屈の上ではなろうかと思います。
 ただ、いずれにしましても、国民の便益がふえるようにこの使い勝手をよくする、しかしリスクが高まらないようにしなければいけない、費用負担の可能性が高まらないようにしなければいけないということで、今回、期間を延長することによって、その期間の延長の中でよりよい株価のタイミングで売却ができるようにする、もって国民負担を少しでも少なくするというような仕組みが大所高所からこの仕組みの中に織り込まれたものというふうに認識をしております。
中津川委員 仮にこの八%の拠出金が廃止された場合、多分銀行から、株価下落のリスクの高い株式と申しますかぼろ株というか、そういう株式が持ち込まれていく可能性は十分考えられると思うんです。
 金融庁、こういうデメリット、こういうことを真剣に考慮しているのかどうか。いかがですか。提案者の皆さんにもお聞きしたいと思います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 機構の買い取り対象株式と申しますのは、国民負担を極力回避する観点から、あらかじめ信用力の高い銘柄に限定することといたしております。具体的には、上場あるいは店頭登録されております銘柄のうちで、投資適格、BBBマイナス以上相当の格付を取得している企業が発行した株式に限定することにいたしておりまして、御指摘のような懸念は当たらないというふうに私どもは考えております。
熊代議員 投資適格、BBBマイナスまでしか買わないということで、局長の答弁したとおりでございます。
 その前に、百七億の出資金と、それから拠出金は百七十三億ございますので、二百八十億のリスクヘッジのものは厳然としてあるわけです、これを返すわけでもございませんので。現在のところは、それが三十億とか、ほぼとんとんだとかいうようなこともございます。
 私どもは、公益、公的な目的のために国がリスクをとるということは大切なことだというふうに思っています。完全にリスクをとらないというのは国のあるべき姿ではない、しかし、そのリスクを最小限にするということでございまして、そういうための工夫として五年延ばしたということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
中津川委員 いろいろきょう質疑をさせてもらいましたが、やはりこれは国家による銀行救済のための飛ばしであるなという、そういう疑念が質問前よりもちょっと強まった。それを申し上げて、私の質問を終わります。
小坂委員長 次に、井上和雄君。
井上(和)委員 おはようございます。民主党の井上和雄でございます。よろしくお願いいたします。
 まず冒頭、竹中大臣にお伺いしたいと思います。
 私、今回の質問の準備のために、いろいろ金融関係の資料を読んでおりました。私、今国会で初めて財務金融委員会に入ったものですから、少し基礎から勉強しようということで、幅広く資料を読んでおりました。そうしたら、たまたまある有力な経済週刊誌に、これはちょっと古い記事ではあるんですけれども、外資嫌いの金融庁、そういう見出しの記事が出ておりました。
 要するに、その内容は、以前話題になりましたリップルウッドとかローンスターとか、そういう外資系ファンドが今日本でも金融界に入っていますけれども、そういう外資ファンドを大株主にする地方銀行が、第二地銀や首都圏の信金信組が破綻するたびに受け皿に立候補しているんだけれども、幾ら手を挙げてもなかなか事業譲り受けが実現していない。その原因は、新生銀行の貸しはがしの問題、あと、瑕疵担保だとかいろいろな問題があったとは思うんですけれども、そういうことで金融庁が永田町の袋だたきになっている。そういうことから、金融庁が強烈な外資アレルギーに陥っていて、外資系ファンドへの事業譲渡を嫌っているんだ、そういうことが出ています。
 実際に、外資系ファンドの経営者の方も、どうも行政サイドがネックになっていて、金融機関の買収をやろうとしてもうまくいかないとか、また、外資系というだけで色眼鏡で見られて非常に心外だとか、そういうことを言っておられる、こういう内容なんですね。恐らく、大臣もこの記事は当然ごらんになっているとは思うんです。昨年の秋の記事です。
 私はこの記事を読みまして、さもありなんというふうに思いました。ただ、それだけでなくて、ちょっとこれは見過ごせないなと私は思ったんですね。今回のりそな銀行の問題でも、要するに、金融庁の裁量行政というのが本当に今問われている時期だと思うんです。
 それで、個人的には、私は、日本の国の経済再生には外国資本の大胆な導入がぜひ必要だと思います。日本は、ほかの先進国に比べても非常に少な過ぎますから。そういう意味で、金融の分野でも新しいビジネスモデルを日本に導入するという意味で、私は、外資は必要だと思っています。
 例えば新生銀行、いろいろなことが言われましたが、例を挙げますと、銀行の支店を何か喫茶店みたいにするとか、非常にいろいろユニークなことをやっていますね、手数料をただにするとか。そういう新しいビジネスモデルを導入するという意味でも、これまでの本当に護送船団方式の中に何十年も安住してきた日本の金融界にも、いわゆる黒船的なものはもっともっと必要だと私は思っているんです。
 大臣は当然そういう外資アレルギーはないとは思うんですけれども、少なくとも、こういうアレルギーが金融庁にあるんだということに関しては御存じなんでしょうか、これをお伺いします。
竹中国務大臣 井上委員御指摘の外資アレルギーに関するような雑誌の記事が出ているというのは、もちろん承知しております。その一方で、雑誌記事によれば、竹中は外資の手先であるというような記事もあるということも承知しております。言うまでもなく、これは両方とも本当に極端な、おもしろおかしい議論をしているわけで、現実はそんなことはないというふうにしっかりと認識をしております。
 小泉内閣としては、これは総理自身のお言葉でもありますが、対外直接投資、受け入れる側を五年で倍増するという目標を掲げて、積極的に日本のマーケットに来ていただけるような国になることが重要である、これは私は基本認識であろうかと思います。
 今、日本の銀行に関して、株式の二〇%超を外国資本が所有している事例は三件というふうに承知しております。これは、基本的には経営の判断であります。我々としては、その経営の判断をしっかりとしていただく、このマーケットの中でしっかりと根づいて、よいビジネスをして、それで日本の消費者にも役立ってもらえるというところに関しては、我々としてはもちろん歓迎したいと思います。
 しかし同時に、それは極端に忌避するものでもなければ、極端に優遇するものでもない。我々は、ルールに基づいてしっかりとその受け入れの枠組みをつくっていく。個別の経営判断の問題でありますので、さまざまな努力を内外の資本ともにしっかりとやってもらいたい。
 一点、「りそな」についても言及がございましたが、我々は、「りそな」の件に関しても、百二条に基づいて、そのルールにのっとって非常に粛々と処理をしているつもりでございます。我々は決してそんな両方の極端の実体を持っているわけではありませんで、国内法に基づいて、内外の資本に対してしっかりとやっていただきたいというふうに思っているところでございます。
井上(和)委員 私は、大臣がそういう外資アレルギーを持っているとは到底思えません。しかし、金融庁の官僚の方の中には、当然こういう病気を持っている方が多いと思いますよ。そういう意味で、私は、大臣が医者になってしっかりこういうアレルギーを治して、今まさしく大臣がおっしゃったようなルールに基づく公明正大な行政をやらないと、いろいろな面で国際的な信用を失うことになると思います。
 貸しはがしの問題なんかは、外資の問題というよりも、私たち民主党が提案しています地域金融の円滑化に関する法律案という、銀行の地域における役割というものをしっかり定めて、そういった活動をしっかりモニターして、情報公開させて評価していく、こういう法律を私たちは出しているんですけれども、こういう法律ができれば、外資であれ、日本の銀行であれ、どういう銀行であれきっちりと社会的責任を果たす、そういう状況になってくると思うんで、これはぜひ大臣にも、この私たち民主党の出した地域金融の円滑化に関する法律に関して関心を持っていただいて、ぜひこういった法律を日本にもつくっていただきたいというふうに思います。
 それでは、今度は福井総裁にお伺いしたいんですけれども、きょうもありましたけれども、先日も、今回の株の買い取りに関して、一種の非常時にやっているんだ、つまり金融システムをショックから守る、そういうことをおっしゃっていたと私は理解します。つまりは、日銀が、昨年の十一月から株の買い入れを始めて、一兆四千八百六十三億円の株を銀行から買っているわけですから、昨年来大体非常時が続いていたというふうに言えるわけですね。
 この買い取りをすべきだという、まさしくその判断の根拠、非常時であると総裁おっしゃった、その非常時の内容をもう少し具体的に言っていただけますか。
福井参考人 お答え申し上げます。
 日本経済の将来にとって非常に必要な金融機関の不良債権処理の問題、これがまだ引き続き重い課題として続いております上に、昨年の秋以降は株価の下落がかなり激しくなって、その下落に伴う金融機関経営への影響というものが大きく上乗せしてかかってきたということでございました。
 したがいまして、そういう状況のもとでは、基盤がもともと脆弱な日本の金融システム、ひいては日本の経済、そこに対する打撃が大きい。これはやはり、そのショックをある程度吸収しながら次の局面に移行していく必要がある、こういう判断に立ったわけでございます。そういう意味で、緊急避難的に対応したということでございます。
 実際、日本銀行が金融機関保有株式の買い入れを実行してまいりました過程におきまして、非常に株式市場の地合いが悪い局面が多かったというふうに思います。市場での売却が全くできなかったというわけではありませんけれども、よく見てみますと、自社株買い入れというふうな形、そうでなければ、かなりの部分が日本銀行の買い入れによって持ち合い解消が進められた、そういう局面が非常に多かったということから見ましても、やはりこれは緊急避難的対応が必要な措置であったということが事実としても裏づけられているというふうに考えております。
井上(和)委員 それでは、もう少し具体的にお伺いするんですが、銀行の、例えば自己資本比率が相当下がるとかそういう状況であった、いわば八%を切る、国内銀行であれば四%を切る、そういうことなんでしょうか。
福井参考人 具体的に自己資本比率何%ということを基準にしたわけではございませんけれども、確かに、不良債権の処理そして株価変動に伴う損失負担ということは、銀行の自己資本にも非常に大きな影響を与える、ひいては金融システムの基盤に対する打撃も大きい、こういうふうに判断したことは事実でございます。
井上(和)委員 恐らくは、自己資本比率の問題が私は大きいんじゃないかと思っているんです。
 それで、基本的に、日銀としては、本来ティア1を超える銀行保有株を買っているわけですね。そして、三月に枠を二兆円から三兆円にふやした。もともとは、本来アメリカなどでは銀行が株式を持つということは禁止されているわけですから、これは当然の話で、保有株が少なければ少ないほど株価変動リスクが回避できるわけです。それは少なければ少ないほどいいというわけなんですね。今回、法律では、機構の方はティア1以内の株も買うことができるというわけで、そうなってくると、機構の方がかなり非常時のための制度としてなっているのかなという感じが私はするんですね。
 また、福井総裁に引き続きお伺いしたいんですけれども、総裁として、銀行の株式保有の適正なレベルというものに関してどういうふうにお考えなんでしょうか。もちろん少なければ少ない方がいいとは思うんですけれども、私は、適正なレベルということに関して伺いたい。
福井参考人 銀行の株式保有の動機については、恐らくいろいろなものがあるだろうというふうに思います。
 これから先のことを考えましても、企業再生ということが非常に重要なテーマとなってきておりまして、金融機関もそれを強く意識している。企業再生の措置を進めていく過程で、例えば債務の株式転換というふうな形で銀行が株を持つというふうなケースは今後ともあると思いますけれども、従来的な意味で、いわゆる持ち合いというふうな形のものは、これから先の日本の金融の姿を考えますと、限りなく少ない方がいい。そういう形の持ち合いは、私の個人的な意見では、限りなくゼロであってしかるべきではないかというぐらいに思っております。
井上(和)委員 限りなくゼロに近い方がいい、私も確かにそうだと思います。
 それでは、提案者の方にお伺いしたいんですけれども、先ほども何回も議論に出ている、つまりは、この機構が株を買うことによって最終的に国民負担になる可能性が非常に多い、これが今回の法案の最も大きな問題だというふうに私も思いますし、それは当然だと思います。
 もともとは八%の売却時拠出金があった。そうすると、これはオフバランスできない。つまり、オフバランスできないということは、本来銀行の持っている株をこっちに移しちゃって、それはもう自己資本から切り離しちゃって、自己資本比率を上げますとか、そういうこそくなことはできないようにシステムとしてできていると私は思うんです。私は別に、BIS規制とかそういうことを詳しくよくわかっているわけじゃないですけれども。ただ、そういうシステムとしてできているから、オフバランス化できない。まさしく、そういう本来の原理原則をすべて外しちゃって、オフバランスにしちゃう。私は、これは非常にこそくな手段じゃないかな、かなり海外でたたかれるんじゃないかと思っているんです。
 それで、確かに、八%の拠出金も出さないと銀行が言うほど、それは大きな負担なんでしょうね。それだけ銀行の状況が悪いということなんだと思うんです。では、少なくとも、八%を例えば四%にするとか二%にするかとか、そういうことは全然検討しないで、すべて何でもありで、八%はだめだから全部ゼロにしちゃおうと。つまりは、もともとの、これは求償権というんですか、その考えをすべて百八十度変えちゃおうという、これは本当に大きな転換だと思うんですけれども、そこまで踏み切った。私は、四%ぐらいで抑えておけば恐らく国際的な評価も変わるんじゃないかと思うんですけれども、その辺の経過をちょっと教えてください。
上田(勇)議員 今委員が御指摘になったように、売却時拠出金の我々が考えた問題というのは、計算上、自己資本比率の規制の取り扱いにおいて、この売却時拠出金がありますとオフバランス化ができない。したがいまして、八%の売却時拠出金がありますと、それが自己資本比率の規制の計算上は全部がリスクアセットとして計算されるわけでありまして、それが四%ということになりますと、半分にはなるんですが、いずれにしても五〇%は依然としてリスクアセットとして計算するということになっておりますので、そういう意味では、金融機関が株式を機構の方に売却したとしても、売却時の拠出金が必要であるということと、仮に拠出金を払った上で売却したとしても、オフバランス化について、それができないという点が障害になってきたということでありまして、今回の改正におきましても、そこが与党の中での最大の議論になったということでございます。
 今委員が、なぜいきなり八からゼロなのかというお話でございます。
 私も全部の議論を承知しているわけではありませんけれども、これは、この制度が導入された時点から、この売却時拠出金の是非であるとか、またその数字、額についてはいろいろな議論があったというふうに承知いたしておりますけれども、今回この改正に当たりましても、与党内で、先ほどちょっとお話をしましたけれども、プロジェクトチームでいろいろな議論を行っていく中で、ゼロではなくて、途中の数字がいいのではないか、四という数字が具体的に出てきたかどうかはちょっと私は記憶にはございませんけれども、中間の数字がいいのではないかというふうな議論もございました。
 そうしたさまざまな御意見を、いろいろと議論を重ねていく中で、今回できる限りこの機構の機能を発揮させるためには、この際、完全にオフバランス化、売却することによってオフバランス化ができるように、売却時拠出金を撤廃することが最もいいのではないかということでこうした案になったわけでございます。途中の中間的な案というのもいろいろと議論はされたんですが、この際はそうしたいろいろな障害を思い切って全部、考え方を変えるということの方がより効果が大きいということで、こうした結論になったところでございます。
井上(和)委員 つまり、私は、先ほど来の議論にありますが、要するになくてもいいようなものなんじゃないかという議論はもちろんありました。ただ、そのために、国際的に取り決めがあって、本来オフバランスにならないものを無理やり拠出金ゼロにしちゃってオフバランス化するということは、何か、マーケットによほど日本の金融システムはだめなんじゃないかというようなシグナルを送ったようなものじゃないかな、逆効果じゃないかなと私は思うんです。だから、その辺、こうやって二日間議論をしていますけれども、これを議論して、世界に日本の金融システムが危ないというメッセージを送ったようなものじゃないかなと本当に私は心配しています。
 それで、先ほど福井総裁は、とにかく銀行の保有株式というのは少なければ少ない方がいいということをおっしゃいましたし、そうしますと、また提案者にお伺いしたいんですけれども、結局、ティア1以内にするというレベル自体、非常に不十分なんじゃないかという議論は当然できると思うんですね。そこはいかがでしょうか。
熊代議員 先ほどのお話の、八%を削除すると国際的に信用が落ちるんじゃないかということでございますが、そういうことは一切ございません。
 それで、今の御質問の、ティア1を下っても買うべきであるという話もございます。
 アメリカは確かに銀行本体では株を持たせないということでございまして、イギリスは規制がないんですけれども、銀行がみずから判断してほとんど持っていないということですね。そういう状況下で、確かに、大いに減らすということも一つでございますけれども、この法律を導入したときに、ティア1をオーバーしたのが十五兆円でございました。アメリカのグラス・スティーガルを少し緩めましたグラム・リーチ・ブライリーのリーチさんに会いましたけれども、十五兆円ものものを二年七カ月で売るというのは、方向としてはいいんだけれども、それは激烈なことじゃないだろうかという話でございました。
 やはり、激変緩和というのは必要でございますし、当面の目標はティア1ということで、二年七カ月であっても、買い取り機構があるからそれで何とかしのげるというふうに思っておりましたけれども、八%があってなかなかそれが難しかったということでございますので、これを排除するということと、それはBISに合わせたから二年七カ月ということになったわけですね。そういうことでございますから、幸いBISが延びたので、当初から二年七カ月は無理であったけれども、四年七カ月ということでございます。
 御指摘の点は、確かにそういう点はございます。しかし、激変を緩和するということで、当面の具体的なティア1という目標をクリアしたい、こういうことでございます。
井上(和)委員 今回の法案は本当に、私は、なりふり構わず銀行を守る、そのために保有株を無制限に買ってあげる、そしてそれが最終的には国民負担になる可能性もあるというような、かなり何でもありの世界に入っている法案だなというふうに思います。本来の目的が、この法案ができることによって日本の金融システム、つまり銀行が健全化されればいいとは思うんですけれども、何か現実に、今の答弁を聞いても、これをやったからといって、そんなすぐに本来の銀行の健全化が図られるというようなものじゃないんじゃないかというように私はどうも印象を受けます。
 今回の法律が本当に日本の銀行の健全化になるんだったら、これは私はいいとは思うんですよ。だけれども、答弁を聞いていると、どうもはっきりしない。要するに、何やっても効果がないから、やらないよりはましだ、何かそんなような印象が私はぬぐえないんです。
 竹中大臣に、最後の質問になりますけれどもお伺いしたいんです。
 先ほど、私は自己資本比率のことも言いました。今一番大きな焦点は、やはり自己資本比率だと思うんです。今度、BIS規制でまたさらに厳しくなるということですから。それが本当にだめだったらきちっと早期是正措置をとってやるべきじゃないか。何か小手先で、何でもいいからありと。
 今、銀行の自己資本の問題では税効果会計の問題が非常に大きくなっています。何かすべてがクリアカットじゃない。何でもいいからとにかく自己資本比率を上げるためにいろいろなことをごちゃごちゃやっている。今回もまさしくその一環じゃないか。これが果たしてどれだけ本当に効果があるのかというのも、私まさしく知りたいところですけれども、皆さん恐らく、それもよくわからないんじゃないかと思うんです。
 そういった意味で、今回の法律、どれだけ銀行の健全化に役に立つのかということをちょっと御意見をお伺いしたいんです。
竹中国務大臣 委員、冒頭で、この法律で、この枠組みで銀行の健全化が図られるのかという御指摘、最後にもそのことをお尋ねになっているわけですが、結論から言いますと、この法律だけで万々歳で、銀行が健全化されるというふうには、もちろんそんなふうには思っておりません。
 銀行を健全化させるためには、資産の査定、自己資本比率の充実を御指摘いただきましたけれども、ガバナンスの強化、極めて総合的な努力を銀行自身もしていかなければいけないし、また、我々も枠組みをつくる努力をしていかなければいけないというふうに思っています。
 ただ、今回、株式の保有が数年前からこれほど大きな話題になった一つは、私は、株式を保有していることによって非常に、株価が上がるときは景気がいいときでありますけれども、そのときには銀行もそれによって自己資本も豊かになって貸し出しがふえる、悪いときには、悪いときこそ本当はしっかりと貸してほしいんだけれども、逆に銀行が縮んでしまって貸し出しも減る。いわゆる景気の循環を打ち消すような役割をするんじゃなくて、景気の循環を増幅させるような、そういう動きを銀行がどうしてもしてしまう。株式というような変動型の資産をたくさん保有していることによって、どうしてもそういう問題があるということだったんだと思います。
 株式の変動のリスクから銀行経営を切り離すという趣旨は、まさにその点にあったんだと思っております。この点に関しては、私はやはり、こうした制度の改正を重ねて株式保有を制限していくということは一つ重要な努力であろう、その意味では、健全化に向かわしめる一つの重要な道であるというふうに思っております。
 同時に、自己資本比率全体の問題、それに関連する繰り延べ税金資産の問題について言及をいただきましたが、これについては、我々としては、まさに委員おっしゃったように、クリアでなければいけない。繰り延べ税金資産に関しても、実務指針があるわけですから、その実務指針にのっとって厳正に監査法人にはやってもらいたい。金融再生プログラム以来そういうことは繰り返し我々としても主張しているわけで、金融再生プログラムとその背後にある法律の枠組みに基づいて、クリアな、透明な行政をしていく中で、自己資本の充実、資産の査定の厳格化、ガバナンスの強化を通して金融システムの健全化をぜひ図っていきたいというふうに思っております。
井上(和)委員 今回の機構が買う株式の具体的な内容なんかは公開されないというお話がさっき議論の中でもありました。つまりは、何か銀行が危なくなると、無制限に株を買って自己資本比率をかさ上げする、そんなようなことも恐らく出てくるんじゃないかというように思うので、要するに、大臣、今重要なとおっしゃいましたけれども、そういう意味で重要なのかなというふうに私は思いますけれどもね。そういうわけで、どうも余りはっきりわからない法律と私は思っています。
 以上で質問を終わります。
小坂委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十二分開議
小坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。上田清司君。
上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。お疲れさまです。
 まず、竹中大臣に、先週の金曜日に、社民党の、同じく、上下と田んぼの植えるとはまた違いますが、植田議員の質問に答えて、こういうふうな中身で答弁をされております。そのまま読ませていただきますが、「二年前にお出ししてお認めいただいた当初の閣法が、その後の非常に厳しい経済の状況になかなか対応できなくて、それを補う観点から、大所高所から与党の方で御議論いただいて、議員提案をして」いただきましたと。
 このような今回の一部改正の認識を示しておられますが、そもそも、非常に厳しい経済状況というのはどういう認識なんでしょうか。
竹中国務大臣 今回の措置は、とりわけ株式市場に関連する問題でございますから、よく申し上げますように、この二年間、世界全体で株が大幅に低下した。日本もその中にあって、二年間で見ますと例えば四〇%とか、大幅な株価の低下に見舞われたということでございます。
 特に、日本の株式市場の構造を見ますと、これはけさからもいろいろ御議論いただきましたけれども、これまで、市場の中で比較的大きな、株価を安定化させるような裁定取引の役割を果たしてきた日本国内の銀行でありますとか生保でありますとか、そうした大きな機関投資家が非常に小さなウエートになってきて、外国人投資家のウエートが高まる。その意味で、売り圧力が常に非常に強いというような状況下に置かれてきた。
 経済全体が厳しいのはそのほかにも要因はございますけれども、本案に関して申し上げれば、そのような状況を主として念頭に置いて申し上げた次第でございます。
上田(清)委員 なぜ売り圧力が強くなるんですか。
竹中国務大臣 この中にはいろいろな要因があると思いますが、株価そのものは、株式市場の需要と供給そのものは、長期的な期待に基づいて基本的には出てくるものでありますけれども、一方で、構造的な要因で、例えば持ち合い株を解消しようという非常に強い圧力がある。現下の状況で申し上げれば、例の年金の代行返上に基づいてある程度まとまった売りが出てきてしまう。それと、銀行の保有株制限に関して売りが出てくる。
 そういった売りに対して、それを、繰り返し申し上げますけれども、従来の我々の概念からいいますと、非常に長期的な観点から、価格裁定のような立場で買って入るような存在がなかなか見当たらない。つまり、売り手はたくさん見えるんだけれども、買い手がなかなか見えない、そういうようなイメージで申し上げているわけでございます。
上田(清)委員 最初に竹中大臣が言われましたように、株価というのは、経済の長期的な期待というものがやはり一番大きな意味を持つのかなというふうに私は思います。もちろん、銀行の持ち合い株の解消あるいは厚生年金の代行返上の部分等々、部分的にはいろいろなことがございましたが、経済全体が基本的によくない。世界の経済のせいにもされておられますが、しかし、世界の中にはいいところもあるわけでありまして、基本的には、日本という一つの国の経済政策がうまくいっていない、このことが一番大きいんじゃないですか。
竹中国務大臣 日本に関して申し上げますならば、不良債権の処理を加速しなければいけない。財政の拡張をこれ以上許すわけにはいきませんので、財政に関しても、その健全化に向けての歩みをしなければいけない。そういう中で、日本固有の、なかなか当面の総需要がふえないと思えるような要因があったことは事実であろうかと思います。
 しかし、同時に、世界にはいいところもあるという御指摘でありますが、この間、比較的よかったと言われるアメリカでも、二年間で見ると、日本ほどは下がっておりませんが、下がっている。そのようなこともやはり背景としては重要であったというふうに思っております。
上田(清)委員 基本的には、財政経済担当大臣でもある竹中大臣の責任であるということをなかなか認めようとされませんが、答弁では意外に正直に答えておられまして、「なかなか対応できなくて、」と正直にお答えになっておられます。「それを補う観点から、大所高所」、この大所高所というのは、先ほど熊代先生が言われたように、金融庁は乗りが悪かったんだけれども、追っかけ回してとうとうねじ伏せた、そういうのを大所高所というんでしょうか、大臣。
竹中国務大臣 熊代先生がおっしゃった、ねじ伏せたというのがどういう御趣旨なのかはちょっとわかりませんけれども、基本的には、例えば国民負担をやはり財政当局は気にする。しかし、今回の問題に関しても、財政負担に関しては、非常に高い観点から、熊代先生初め、まず株価、株式市場の状況をきちっとすることによって大きな国民の利益を確保しよう。そうした、まさにこれは、より大きなメリットに着目しようということで今回の提案をしてくださっているわけですから、まさにそうした点が大所高所であるというふうに思います。
上田(清)委員 私も、経済政策的にいえば決して王道ではない、しかし、株価対策のために何でもやる、そういう決意を示すということであれば、それはそれで一定の評価ができると思いますが、何かその辺をはっきり言わないままに、あたかも、使い勝手が悪いとか、それをつくったのは一体だれなんだという責任を明らかにしないままにこうした法案を出してくるということに、大変不快な思いをしております。
 とりわけ、今までの法案でなかなか対応ができなかったと、それについての結果責任はだれがとるんですか。
竹中国務大臣 当初の法案をつくったとき、これは二年前でありますが、当時、柳澤大臣初め、大変皆さん御苦労いただいて、おつくりいただいたというふうに思っております。しかし、その後、先ほど申し上げましたように、世界の市場の流れが大きく変わり、日本もその中に置かれ、また、さらに日本独自の問題が加わり、さらに日銀のスキームも加わりということで、この機構の利用がなかなか進まなかった。そうしたことを踏まえて、まさに大所高所から今回修正の御議論をいただいているということだと思います。
上田(清)委員 なかなか責任を認めようとされない。行政は継続しておりますので、仮に柳澤大臣が出された話でも、そのまま継続してあなたの責任になっているということを理解してもらいたいと私は思います。二年前に柳澤大臣が出されたものも継続されていますから、それは竹中大臣の責任だという認識に立ってもらわないとこの手の話はできないということであります。
 そこで、塩川大臣、閣僚の中ではとても正直にお話をされます。この制度は決して市場原理を尊重する現在の資本主義社会から見たら余りいい制度ではない、こういう認識をした上でも、やむを得ざる選択、こういう認識を示しておられました。
 また、日銀総裁も、先週金曜日の答弁の中でも、これは佐々木憲昭議員に対する答弁でありますけれども、とてもある意味ではまともな答弁をされておられます。緊急避難的対応に日本銀行は少しリスクを持って対応していると。まさにそうだというふうに私も思います。
 王道ではない、しかし、目下の経済情勢を奈落の底に落とさないという意味でそれ相応の考え方もできると。こういう意味での、日銀の買い取り額の二兆円から三兆円に枠をふやすという考え方に立っておられるのではないかと私は推測しておりますが、要は、この法案のスキームというのは、副大臣、やむを得ざる選択という考え方ですか。
 そしてまた、日銀総裁にも、先般の佐々木憲昭議員に対する答弁と同じような考え方の中で、やむを得ざる選択というような考え方で今回のスキームに何らかの形で日銀として補完をされようとしているのか。この点について、それぞれお願いをしたいと思います。
谷口副大臣 今上田委員、やむを得ない選択なのか、こういうお尋ねでありますけれども、今回の株式保有制限というのは、金融機関の持っておる株式の変動リスクを軽減していって、今持ち合い株解消の動きがあるわけでございますが、銀行と事業会社との持ち合い解消を行うといったことで構造改革を行うという観点からのものでございます。
 しかし、これを一度に売却するといったことになりますと市場に大きな影響があるということになりますので、取得機構がこれを買い取って、有利な時点で売却していくということが市場に大きな影響を与えないだろう。そういう意味では、緊急避難的というよりも、セーフティーネットの枠組みをつくったというように考えておるわけでございます。
福井参考人 日本銀行の措置は、御指摘のとおり、昨年の秋以降の厳しい状況に対応して、まさに緊急避難的に対応いたしました。したがいまして、買い入れ対象先、買い入れ銘柄、買い入れ期間、いずれも限定しておりますし、かつまた、私ども、引き当てをふやしまして財務的なクッションも設けている。
 そして、逆に、将来これを市場に売り戻していくときには、少し時間をかけて、市場に影響を与えないように、また、日本銀行の財務に対する被害がもしあるとすれば最小限にとどめるように、そういうふうな措置をいたしております。
上田(清)委員 谷口副大臣は、セーフティーネットの拡大だと。また、日銀総裁は、ややそれよりも緊急避難的な色彩を持った御答弁をなされました。
 ただ、もともと預保の基本の方針も、銀行を救うんじゃないんだ、国民を救うためにあるんだと。何のために金融システムを維持するかというと、これは国民を救うためだという考え方ですから、私たちは常に、金融機関の損失を減らしてあげるという発想じゃなくて、国民の損失を極力減らすというこの視点を忘れたら何にもならない、そういう考え方に立つべきだと思います。
 今、資料一を配付させていただきましたけれども、この銀行等の保有株式取得機構の理事長、理事あるいは職員等々が、けさも五十嵐同僚議員からもいろいろな御指摘がありました、むしろ、ぼろ株を買うことで金融機関を救い、国民に損失を与えているのではないか、そういう仕組みができているんじゃないかと。私もそんなふうに思います。
 例えば、この職員の方は、機構の理事長はもともとから完全に切り離されていると言いますが、実は、身分は出向なんですよ。やめてきたわけじゃないんですよ。もともとの銀行に身分を置いたままこの機構で仕事をしているんですよ。しかも、給与の過半はもとの銀行でもらっているんですよ。利害関係者じゃないんですか、こういうのは。理事ももちろん利害関係者。
 そしてまた、御指摘もありましたけれども、運営委員会も、ろくろく会議も開かなければ、なおかつ極めて短時間に同じような指摘だけをして終わっておるという、この機構そのものの運営方法、構成。
 基本的に利害関係者で、運営委員会が機能しなくて、職員の身分はもともとの金融機関のままで、それで給与の大半はもともとの銀行が払って、だれのためにやりますか。出向元の銀行のために働く以外方法はないじゃないですか、そういう立場だったら。せめて会社から切り離すような仕組みをなぜ金融庁は考えないんですか、あるいは議員の提出者は考えないんでしょうか。上田勇先生と竹中大臣にその部分を聞きたいと思いますけれども、いかがですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 この機構の組織につきましては、民間の団体としてつくられたものでございまして、民間の出資によりまして運営されているわけでございます。したがいまして、民間の役員等につきましても、非常勤でございますけれども、民間の方々が集まりまして、その中で、運営委員会としまして、他の方々も交えた上で適正な運営を行っているということでございます。
上田(清)委員 私は藤原局長に答弁を求めたのではありません。仕組みの根本の部分なんですね、これは。きちっと運営ができるのかどうかという、運営委員会の仕組み、どういう議論がなされて、きちっと国民のロスを減らすために努力をしているのかどうか。必ずしも王道ではないということは皆さんの共通の理解があるのです。そして、ある程度やむを得ざるような空気もあるのです。正直に政府が株価対策のために強い決意を持ってこういうものを取り組むんだと言えば、もっと賛同者はふえるのかもしれないんですよ。それを何かオブラートに包んで議論されるから、おかしいじゃないかという議論の方が強くなってくる。
 だから、せめてこの機構だけでも、運営委員会がきちっと運営委員会として機能すること、理事会が理事会として公正なあるいはまた外に見えるようにすること。だって、買い取りの株をどこから買っているのか、額も教えない、総額を教えただけじゃないですか。わからないじゃないですか、まともな機能をしているかどうか。そして、職員は職員で、実務をする人たちは本体が別個のところにある。これできれいに運営しろというのがおかしいでしょう。当たり前の質問をしているんですよ。難しい話でも何でもありません。
 こういうことについて是正するつもりはあるのか、あるいは、しっかり調査して是正するつもりはあるかどうかを、私は、提出者の上田勇先生と竹中大臣に聞きたいと思います。
上田(勇)議員 お答えいたします。
 この機構の運営の仕方というのは、これは金融庁の方で監督していることだというふうには承知いたしておりますが、私も子細に承知しているわけではありませんけれども、その運営のあり方については、金融庁を通じまして、いろいろとヒアリング等は行っているところでございます。
 今、上田清司先生の方からも御指摘がありましたように、役員あるいは職員等が、この買い取りの対象となります銀行から出向している、あるいは銀行の職員と兼職をしているというような点にあって、利益相反するのではないかという御指摘だろうと思います。
 その点について、これは、運営委員会も、外部の人間から構成をされた運営委員会でその基本方針が決められているところでございますし、適正に運営をされているということで理解をしているところでございます。もちろん、そういう意味で、取引先になります銀行の職員あるいはその出向者ということなので、そうした懸念がないように、この運営委員会の中において、その方針について外部の視点から適切にチェックが行われているというふうに私としては理解をいたしております。
竹中国務大臣 基本的には、出向者で運営されているというのは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、出向者といえども守秘義務が課せられているわけでありまして、そうした意味で、しっかりとした仕組みづくりはなされているというふうに私は思っております。
 もう一つ、これは午前中も御議論いただきましたけれども、第三者で構成される運営委員会が存在している。その運営委員会での議事の結果については報告もされているわけでございまして、そのような意味では、組織そのものをしっかりと運営していくような仕組みはあると思っておりますので、そうしたことを前提に、金融庁としては監督をしていきたいと思っております。
上田(清)委員 運営委員会が十分機能していないということを再度申し上げて、そういう認識じゃどうにもならぬ。国民に損をさせることについて一考もしていないという、そういう判断としか思いようがありません、残念ながら。強く抗議をしておきます。
 そこで、これは3の資料でありますが、選択という雑誌の一部にあったリストでありまして、旧大和銀行が不良債権飛ばしに使った緊密者二十四社のリストということで、資料が出ております。出所不明だということでまた言われるかもしれませんが、極めて中身がしっかりした数字であり、なおかつ、企業名も明らかであり、社長とか代表者とかも明らかになっておりますので、存外これはうそではないというふうに私は思っております。
 そこで、この二十四社の中で、例えば、二十番目に書いてある大彌商事などは、旧大和銀行の最大の貸付先なんです、融資先として一位なんです。そして、十八番目の船場産業というのは四位。それから、一番目のアルテというのが五位。それから、十番目の恒和興業というのが六番目の、大和銀行からすれば上位の融資先なんですね。
 そして、気になるところは、この大彌商事の筆頭株主は恒和興業、恒和興業の筆頭株主は船場産業、船場産業の筆頭株主は大彌商事と、こういうのは飛ばしの持ち合いとよく言うんですよ。この構図は、金融国会のときに、長銀、日債銀の破綻の過程で見られたパターンですよ。よく思い出してください。
 それから、例えば、アルテと、三番目に書いてあります平野町開発、これは現在では、旧大和銀行の不動産部門のいろいろな会社を整理統合して、統括した不動産会社ですよ。これの筆頭株主にアルテがなっているんですね。社長は兼務しております。
 要するに、この融資リストの二十四社だけで、総額で約五千七百三十億、これだけ融資をしております。そして、なぜ緊密者リストと言うかというと、ほとんど大和銀行のOBが社長をやっているか、もしくは主たる役員を大和銀行のOBがやっている。つまり、大和銀行の、俗に言う、息のかかった会社だということです。
 こうした会社が、大和銀行の決算と、そして金融庁の査定の結果で、引き当てをゼロにしているところが幾つもある。特にこの一位、四位、五位、六位というところで、六位の恒和興業、あるいは四位の船場産業、あるいは一位の大彌商事、何でこうして引き当てがゼロなんだ。不動産の価格というのは、担保で全部押さえているにしても、絶対下がっているわけですよ。東京以上に大阪は下がっているんですよ。そういうことを考えると、これは不思議でならない。
 大和がそうしたとしても、金融庁としたら、そんなばかなということで、とても要管理先になるような話ではないと私は思うんですが。仮にこの数字が間違っているにしても、こういう仕組みというのはできるんでしょうか。伊藤副大臣ですか。
伊藤副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
 上田先生からは、金融行政の信頼を回復するために、先ほどもお話がございましたけれども、過去の金融機関の破綻の問題を総括されて、さまざまな視点から今日まで御議論をいただき、御質問をいただいてきたところでございます。
 私どもも、その当時与えられた権限の中で適切に対応してきたと思いますが、しかし、その中でも多くのことを学び、そして金融行政の信頼を回復していくために、今回、市場の評価との整合性もあわせて、金融再生プログラムをつくり、不良債権問題の解決に取り組んでいるところでございます。
 この旧大和銀行の問題につきましても、そうした観点から、金融再生プログラムに基づいて、「りそな」の三月期の決算については、九月期決算に基づく検査が入り、そして、それを反映した形で三月期の決算というものができ上がっているというふうに承知いたしているところでございますが、先生御指摘のとおり、個別の問題について、私どもとして子細にお答えすることはできないことは、先生の御質問でございますけれども、お許しをいただきたいというふうに思いますが、大口債務先の問題を含めて、銀行の健全性をしっかり確保していく、これは私どもの検査において大変重要な視点でございます。
 そうした視点から、私どもとしては、検査をさせていただき、銀行の業務の状況あるいは財政の状況について、的確に実態というものを把握して、そして、仮にリスク管理上問題があれば、検査結果通知においてその問題点を指摘するということになっていることでございます。
上田(清)委員 私は、残念ながら、過去の、なみはやであろうと兵庫であろうと、あるいは日債銀あるいは長銀、全然総括していないと思っています。その証拠が今回の「りそな」の動きじゃないですか。
 2を見てください。時系列的に追っかけてみました。
 二〇〇二年の十二月に金融庁が旧大和銀行の検査をやっています。同時に、この時期に、あさひとの合併の予備審査もやっています。そして、二月の二十二日には本申請をやり、二十五日には認可が出た。そして、三月一日に合併もした。そして、三月二十八日には増資もやった。ところが、もう四月の段階では、監査法人が、特に朝日監査法人は、債務超過だ、だから、意のままにできないんだったらもうやめるということでおりた。そして、新日本監査法人は、五月の初めに、自己資本は四%割れで、私たちはこれは早期是正措置の話になるんだと思いますけれども……(発言する者あり)そういうのはよく間違えるの。四%です、四〇%なんてあったらすごいことでありまして。そして、五月十七日には金融危機対応会議。
 この期間、わずか一カ月、二カ月の話じゃないですか。どうして合併を認めるんですか、つぶれそうな金融機関を。どうして増資が認められるんですか。とてもわかりづらいですね。
 これを、過去の部分を総括してきちっとやっているかというと、全然やっていない。竹中大臣などはとても意気込んでやられたけれども、いつの間にかとりこになってしまった。そう思わざるを得ない答弁しかこの「りそな」問題に関しては出なかった。
 大和銀行が不良債権の飛ばしをどんどんやっているなということは、これは金融ビジネスなんかでもかなり詳しい資料が出ております。特に、それぞれ上位の融資先の企業は、決算時期をずらしながら、見事に決算時期もずらして、それぞれが飛ばし役をしている。
 そして、筆頭株主もまさに持ち合いをやって、これは特定の、大和銀行のトップリーダーのいわば指先で動かすことができるような仕組みを時には益出しの受け皿として使って、いわば税金を納めるのを減らすためにいろいろ工作をする。一方では、不良債権の飛ばしのために、いわば緊密企業、息のかかった企業を最大限に利用するということについて、金融庁が本気になればわからないわけないじゃないですか。こういうでたらめなルールをつくっている。なぜやらないのかということを私は大変不快に思っております。まだこの期に及んでこういうことをやっているのか。何で勝田前頭取と手を握っているんだ、こういうところで。目こぼししているとしか思いようがないじゃないですか。
 また、2で時系列的に見ているように、こんな一カ月、二カ月でおかしくなるような検査を何でしたんだ……(発言する者あり)まさに、節穴かと言われましたけれども、節穴じゃないですか。どんな責任がとれるんですか。こういう時系列で、十二月の段階で金融庁の検査をする、その段階で合併について了解する、予備審査ですけれどもね。
小坂委員長 上田君、時間が終了しております。
上田(清)委員 時間になりました。また改めて、場外も含めて、この大和銀行のやみについては追っかけをさせていただきますので、金融庁の事務方の方々、どうぞ丁寧に対応していただきたいと思います。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、東祥三君。
東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。
 本委員会で提出されている法律案については、既に同僚の中塚議員の方から、前回も極めて本質を突いた質問がなされていると思うのでありますが、まず初めに、竹中大臣、ちょっと素朴な質問をさせていただきたいんですが、大臣はある意味で変則的な社会主義経済を志向されているんですか。つまり、共産主義者なんでしょうか、それも変則的な。
 まさに今何が起こっているのか、余り大臣また提案者の方は現場を歩いていないのかどうかわかりませんが、中小零細企業、日本の経済を支えているところはまさに自然淘汰されていくわけですね。ところが、日本の経済を支えているもう一つの大きな、大手企業だとかあるいは金融機関だとか、これは何か問題があると常に国からの支援を受けてしまう。それにまた上乗せする形で、この法案が出てきているわけであります。
 僕は素朴に、竹中さんというのは一体原理原則を持っているのか、本当に大変失礼でございますが。自由主義経済論者なんだろう、ひょっとして僕と同じかなというふうに思っていたら、そうじゃないんですね。そういう意味においては、ダブルスタンダードが日本の経済の中をめちゃくちゃにしちゃっているんだろうというふうに思いますよ。
 「りそな」のあの公的資金導入にしても同じ問題が言える。まず、その基本的な点、三十秒でいいですから、よろしくお願いします。
竹中国務大臣 雑誌等でアメリカ原理主義者というふうによく言われることはあるんですが、社会主義者と言われたのは生まれて初めてでございます。
 私は、現実的な市場主義経済論者であるというふうに思っております。ただ、政策というのは、時にそれをどのような順番で行っていくかというシークエンスの問題が重要である。そういったことも含めて、非常に現実的に資本主義経済を運営していかなければいけないと思っております。
東(祥)委員 状況が変わればすぐ変わっちゃうということなんだろうと思います。
 基本的に私の立場を明確にしておきますが、この法案に対しては反対させていただく。その理由は極めて簡単でありまして、市場で売れば価格下落が避けられない株式を、市場メカニズムにゆだねた場合よりも高い値段で銀行から買うということを意味するからだ。この差額分が銀行にいわば贈与されているということになるんじゃないのか。
 資本注入の場合には、これでも私は反対でありますが、少なくとも議決権があって、銀行に努力を迫って、注入した資金の回収を確保することができるかもしれませんが、株式買い取りの場合には、銀行に対してはただの贈与になってしまって、注入資金の回収の成否はその株式を発行している企業の努力にかかってくることになります。
 銀行は汗をかくことなく痛みを除去してもらえるわけでありますから、銀行からの株式買い取りを公的に支援するというスキームは、形を変えた銀行への公的資金注入ではないのか、このように思うんですが、提案者、いかがですか。
上田(勇)議員 今の御質問で、御趣旨が必ずしもよくわかったわけではありませんけれども、この法律のスキームは、銀行の株式の保有を一定限度の中に制限する、それに伴って、銀行が市場で株式を売却する場合に、非常に集中的に売却するということになると、本来の価格よりも、そのときの市場の需給バランスが崩れることによりまして、むしろ市場の価格形成機能をゆがめてしまう、そういったことを回避するということから、この機構を設けまして、そこで株式を一定期間保有して、期間を持って、その間に市場に再度売却をすることによって、市場を歪曲するというようなことを避けるというのが目的でございます。
 そういう意味では、今委員の方から御指摘があった贈与に当たるということは、目的またその運用のあり方からいって、全く当たっていないというふうに思っております。
東(祥)委員 僕は、上田さん、極めて聡明な上田さんですから、ただ、言っていることはよく理解できない。
 私が言っているのは極めて簡単でありまして、まず、株価というのは株式市場で自由に投資家同士の売買によって形成されるべきものでしょう、そこに人的な介入が入れば、それはそうではなくなってしまうということを言っているわけですよ。皆さん方が経済学を習ったかどうかわかりませんけれども、それはそのとおりなんじゃないですか。それ以外のものであるならば、それは、上田さんが言っているふうになるのかもしれない。
 そういう意味では、理論的には、買い取り機構が恣意的に行うわけでありますから、恣意的に株価形成機能をゆがめてしまう可能性、蓋然性というのは出てくるわけでありまして、経済全体の効率的な資源配分の適切なプロセスを邪魔してしまうことも考えられる。生産性の低い、本来、整理淘汰されるべき企業が株価維持政策によって延命することになると、経済全体の価格機能が不全化して資源配分がうまくいかなくなって、日本経済の将来の発展性を阻害してしまうことも懸念される。
 これでは、買い取り機構を創設して株価を一時的に維持できても、日本の将来像を暗くしてしまうのではないのか、当たり前のことを申し上げているんですよ。銀行が売却する、また不良債権の早期処理、あるいはまた産業再生にも逆行すると考えられるわけであります。
 問題は、竹中さんがどういうふうにお考えになっているのかわかりませんけれども、本来ならば市場に全部任せておくべきだ、しかし、そうなると倒れちゃうところがいっぱい出てくるから、何らかの形で、市場が回復するまでの間、恣意的な人間の介入が必要だと。つまり、死をおくらせていくわけですね。その間、本当に本来市場に任せておけば回復できるものがあったとしても、それができなくなってしまう、それをいつも懸念しているわけですよ。
 だから、前のときは、竹中さんは多分自由主義経済論者だろうと、市場にできるだけ任せるべきだろう、本当に金融不安が起こるといった場合、それは緊急避難的な形でもって、銀行を助けるということではなくて、関係者、取引者あるいは預金者、それを守るために国が介入しなくちゃいけない場合があるかもわからない、それ以外は基本的に淘汰に任せるべきだろう、僕は竹中さんをそういう視点でとらえていたんですけれども、こういうものに同調してくるということは、どうなっちゃっているのかなというふうに思うわけであります。
 いかがですか。
竹中国務大臣 今の委員の御指摘は、基本的に我々が市場の構造をどのように考えるかという点で極めて重要な問いかけであると思います。基本的な考え方として、私は、今委員がおっしゃったことに賛成でございます。
 ただ同時に、ぜひ考えていただきたいのは、市場機能というのが常に完璧に機能するかというと、そうではないということ、これはもう世界じゅうでそうです。(発言する者あり)
小坂委員長 静粛に。
竹中国務大臣 世界じゅうで市場機能というのは完璧に機能しないんです。だから困った問題が生じるわけです。
 例えば、バブルのときにあれだけ株価が高くなったというのは、価格機能がうまく機能しなかったからです。価格機能がうまく機能しなくてまさにバブルになったという前例を我々はマーケットで持っているわけです。
 そうした問題を踏まえて顧みれば、今の市場というのは、先ほどから申し上げているように、本来でしたら、非常に長期的な視点から、十分な情報を持って、この企業はこのぐらいの価値があるということで買って、裁定取引に入るような主体が今いなくなっている。その意味で、私は、今の日本の株式市場は構造的な問題を抱えてしまっているんだと思います。
 その構造的な問題がある場合に、政府は何かしなければいけない場合がある。ただ、ここはやはり慎重にならなければいけません。マーケットより政府の方がでは賢くて常にわかっているのかというと、そんなことはないわけで、これはやり過ぎると大変危険なわけです。その意味では、原則はまさに委員おっしゃったとおりで、政府の介入というのは極めて限定的なものでなければいけないというふうに思うわけです。
 例えば、かつてバブルで価格が極めて上方にオーバーシュートした。今、例えば、企業の価値が変わっていないにもかかわらず、たまたま持ち合い解消等で売りが出たときに、短期の需給バランスで現実に株は下がるわけです。そういう日に買って入る資金がいないような状況下では、大きな混乱を避けるために政府がやらなければいけないことはやはりある。それが今の世界じゅうの、市場経済を運営するに当たって各国の政府に問われている大変重要な基本的な視点であるというふうに思っております。
東(祥)委員 幾ら言っていても、多分もう決めちゃったんだから、竹中さんはこれでいくと。したがって、なかなか難しいのだろうと思いますが、おっしゃられるとおり、市場というのは完璧ではない、しかし、そこに介入する人間はもっと完璧ではないかもわからない、その指摘は極めて重要なんだろうと私は思います。
 基本的に反対だということを申し上げて、前回からずっと何度もやっておりますけれども、さらにきょう続けさせていただきたいというふうに思うわけであります。金融整理管財人の位置づけでございます。
 六月三日、そしてまた六月十一日、二回にわたってこの問題を取り上げさせていただいているわけであります。わざわざ私はなぜ個別の問題を扱っているか。金融整理管財人が余りにも大きな位置づけを、また権限を与えられてしまっている。そこで、もう一度ちょっと復習させていただきたいんですが、六月三日の段階で、伊藤副大臣はこのように言っているわけであります。
 金融機関の破綻処理において、金融整理管財人がその業務に関して不正を行うなどということは、公的な責務にかんがみて万が一にもあってはならない。さらにまた、金融庁が金融整理管財人に対して直接の指揮権を有しているわけではないので、金融整理管財人が適切な対応をしていくと承知していると。
 竹中大臣は、この日にも、被管理金融機関を代表して、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利、これは金融整理管財人に専属する、したがって、その業務は、経営そのものである。これは別途、今、仮に、本来十億で売れる資産を五億で売ったということであるならば、これは、被管理金融機関を代表して誠実に行うというその仕事に対して明らかに背任の行為になってくると。
 六月十一日、本日来られていませんけれども、鬼追RCC社長発言でありますが、金融機関が破綻すると、預保法七十四条に基づいて、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が命ぜられる。金融整理管財人は、監査法人など外部機関への委託を含め、当該破綻金融機関資産の再査定を行うとともに、速やかに救済機関を確保し、円滑な事業譲渡を行うべく努力をする。破綻金融機関からの整理回収機構の資産の譲り受けというのは、全く受け身の状態で組み立てられている。預金保険機構の委託のもとに資産を買い受ける。
 松田預保理事長は、次のように言っているわけであります。同じく六月十一日ですが。実際に破綻した金融機関の資産の処分は、金融整理管財人の専権事項ということが法律でうたわれている。機構としては、その管財人が公的な立場にあって、一、善管注意義務も法律上決められ、二、場合によっては金融庁による解任権の発動もあるべし、また、三、各業法による監督も受けている立場である、そのような公的な方が行う業務だから、まずは信頼性の高いものであろうというのが大前提であると。
 松田理事長発言ですが、金融整理管財人は、法令上非常に強い権限と同時に責任を持つ公的機関であるから、恣意的なことはしないようになっている仕組みになっている。金融整理管財人は、財産の管理処分は専権事項だから、それについて我々が横から口を入れて、管財人どうこうということはない、結果を聞き、その妥当性を審査すると。
 竹中大臣発言でありますが、この日は、金融整理管財人が本当に正しく行動しているのか、そのチェックはちゃんとできるのかという私の質問に対して、実は、今の制度においてもやはり三重のチェックができる制度になっていると。一つは預保法上の善良なる管理注意義務があるということ、第二番目として業法、金融業として金融庁の監督権限下に置かれているということ、さらに預保法に基づいて、これは内閣総理大臣、具体的には金融庁長官が解任権を持っている。金融整理管財人の権限行使の適正性は制度として担保されているのではないかと思う、このように発言されているわけであります。
 今のすべての発言を踏まえた上で、改めて金融整理管財人がちゃんとしたチェックのもとに動いているのかどうなのかということを検証させていただきたい。そのために、どうしても個別の案件を出さない限りわからないので、そこで不備があるとするならば、制度上の問題としてぜひとも政府としてこれを考えてもらいたいということで、私は一貫して質問させていただいているわけであります。
 さて、そこで、前回も議論させていただきましたいわゆる銀座所在のビルの処分の問題であります。
 六月十一日の委員会で、RCCの鬼追社長は、A社から質問があって、その後債務不存在の訴訟が起きたけれども、調査をした結果、金融整理管財人の方から、既にその三億円については相殺通知をしている、したがってRCCとしては預保と協議の上で清算している、こういう説明があったわけであります。
 ところが、平成十三年三月五日付で、永代信組がA社に対して売買契約の解除を通告するとともに、ビル明け渡しの申し立てを行った際、手付金三億円は手形債権と相殺する旨を明記していたわけであります。すなわち、その時点において、永代信組の帳簿上で相殺の記載がなければならなかったわけであります。
 ところが、平成十四年九月十七日付の管財人による債権譲渡通知では、債権が満額存在し、RCCに移管、譲渡されたことになっていた。つまり、この場合、整理管財人がその存在を明らかに見過ごしたのか、見誤ったのか、ちゃんと検査をしていなかったのか、いずれにしてもそのどちらかで、債権がないにもかかわらず、債権が満額存在して、そしてRCCに移管、譲渡されたことになっていたわけであります。
 そういう経緯の中で、管財人はA社に対して送付した通知に、単に間違っていましたと記述したけれども、なぜそのような事故が起きてしまったのか、その原因追及はどれほど厳密に行われたのか、これをまず預保にお聞きしたいというふうに思うわけであります。
松田参考人 お答えいたします。
 前回も申し上げたんですが、それぞれ役割分担がございまして、預金保険機構としては預金保険機構、RCCとしてはRCCの立場で一般的に取り組んでいるわけでございます。
 したがって、ちょっと一般論的に言わせていただきますと、資金援助する立場の預金保険機構、それからその委託を受けて債権を管理、回収するRCCの立場としましては、金融整理管財人の業務内容を云々する立場にはございません。したがって、債権が消滅したことを金融整理管財人が認識していなかったとか、どういう原因でそういうことでやったのかというところまで追及する立場にないということは御理解をいただきたいと思います。
 ただ、例えば資産買い取り後にあっても、回収に当たるRCCにおいては債権を精査するわけでございますから、そこで精査したときに、どうも疑問がある、弁済や法律上の原因によって消滅している可能性があるというような事態がございましたら、RCCから預保に連絡がございまして、私どもも私どもなりに法律的な見解で検討をしまして、その債権が法律上消滅しているかどうかを確認するということは十分にあり得るわけでございます。それによって、その後、適切な措置をRCC、預保がする、こういうことでございます。
    〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕
東(祥)委員 松田理事長は、先ほども言及させていただきましたが、六月十一日に、金融整理管財人というのは財産の管理処分は専権事項だから、それについて我々が横から口を入れて、管財人どうこうということはないと。今の発言もそうだと思います。結果を聞いて、その妥当性を審査すると。この場合の妥当性というのは何を審査するんですか。個別にちゃんと動くんですか。
 この場合は明らかに、金融整理管財人の方から、債権譲渡がこれだけありますよ、ところがそれは、実はもう既に相殺されていて、ないものをRCCの方に通知しているわけですね。この整理管財人は明らかに間違いをやってしまっているわけです。そこで、それは間違いでしたと金融整理管財人が認めたからといって、はい、さようでございますか、こういうふうになってしまうという話なんですか。本来ならば、そのような間違いをすること自体が金融整理管財人として不適切なんじゃないんですか。だから、どのようにこの問題の重要性を認識しているのか、そのことをちょっとお聞きしたいんです。
 あるいはさらに、この問題について預保とRCCとの間で、この誤記の問題についてどのような協議が行われたのか、協議があれば、それについてお答え願いたいと思うんです。
松田参考人 お答えいたします。
 先生、極めて個別的な案件でありますので、ちょっと一般論的に展開してお話をさせていただきたいと思います。
 先ほど来先生が御紹介いただきました私どもの立場というのはそのとおりでございまして、金融整理管財人が破綻金融機関を経営していて、譲り受け金融機関を見つけて資金援助を申請してきた段階から預金保険機構の本来の仕事が始まります。そこで形式と内容をチェックいたします。それは個別的に行います。それは行います。その結果、妥当だと思えば資金援助額を決めます。さらにもう一度、事業譲渡した後で、もう少し減額すべき事由があるかないかについて再審査を行います。そこでも同じようにチェックをかけます。そういうことでやっております。
 ただ、今先生お話にございましたように、例えば、買い取り後に、今言われたような法律上の原因で、債権の一部が毀損しているというか変形しているんではないかというような情報が入れば、それはRCCから私どもに連絡があるでしょう、重要なことであれば。お互いに協議をもちろんいたします。それで、しかるべく関係者にその関係を確認する。そして、その結果、例えば債権の元本を減らすということも当然あり得る。そういうことは一般的に言えることでございます。現にやっております。
東(祥)委員 これはある意味でささいな問題なのかわかりませんけれども、問題は、債権債務がなかったからそれでよいではないかという話がある。でも、それでよいという話じゃないんじゃないのか。
 僕が一貫して申し上げさせていただいているとおり、金融整理管財人というのは、すべての方々がお認めになるとおり、大権が付与されてしまっているわけであります。関係当局は一様に、管財人の業務をある意味で頭から信じて一片の疑いすら持っておらず、したがって、厳格な精査あるいはまた審査機能が何ら働いていない、そういうことになってしまうんじゃないですかということを申し上げさせていただいているわけであります。
 何度も指摘させていただいておりますけれども、金融秩序の維持あるいはまた健全化を図るとして、金融庁、預保が巨額に注入する資金というのは血税であります。税金であります。それが注入されるまでのプロセスがディスクローズされていないのはなぜなんだ。とりわけ、金融整理管財人の権限が一般の想像をはるかに超えて強大であることはすべての方々が認めていらっしゃるじゃないですか。
 一方の大きな責任について、それなりのちゃんとしたダブルチェックしていくという制度は、幾ら竹中大臣が三重のチェックがあると言ったとしても、基本的に、私は個別にいろいろな形で聞いた結果として、何も出てきていないわけであります。そういう意味において、この大きな責任を持っている者についての厳正なる対応をしていかなければいけないんじゃないのかということを申し上げさせていただいているんですが、この点についてはいかがですか。
竹中国務大臣 今までの東委員の御指摘を改めて承っていまして、個別の事象について云々できる立場にはないのでありますけれども、金融整理管財人が非常に大きな権限を有している、その権限を存分に発揮してもらわなければいけないんだけれども、事後的なチェックがどのように行われていくのか。またしかし、改めてお話を伺っておりまして、金融機関として金融システムを乱すようなことがあれば、これは我々としてはチェックできるわけですね。本当に問題があれば、今のシステムの中で対応できるのではないかなというふうに私は思うんです。
 いろいろな場合が想定されましょうし、今委員の念頭に置いておられるケースそのものについて、繰り返しますが、個別に言及する立場にはないわけでありますけれども、大きな背任的な行為がもしあれば、例えば金融庁長官が解任するとか、そういうこともあるんだと思うんです。それはやはり、通常のいろいろな問題が生じた場合に、問題点が指摘されて告発されてくる、そのプロセスで解決されていくべき問題なのではないかなというふうに私は思います。
東(祥)委員 なぜ個別物件でやっているかというと、問題の輪郭が明らかでないですから、抽象論で話をしている限り。とりわけ、金融整理管財人が扱う問題というのは財産、債権の処分ですから、いろいろな利害関係者がたくさん出てくるわけですね。そうすると、それに対して一つ一つこたえていくと、双方においてそれぞれの立場を反映するということになってしまう。そういう意味において、極めて難しい問題であるということも僕はよくわかるんです。
 ただし、そのときに、背任を働いているかどうなのかということを調べるに当たっても、関係当局が、金融整理管財人が行っているものに対して、金融整理管財人から受けた報告をただうのみにして、それを側面的に審査していくということではなくて、それを別途、別の形でチェックして、その結果として同じ答えが出ているということであるならば、これはチェックが働いているということになるわけであります。でも、本当にそうなっているのかということを私は一貫して質問させていただいているわけであります。
 したがって、さらに個別具体的なことを聞かせていただきますけれども、六月十一日の委員会で、RCCの鬼追社長は、瑕疵物件の処分の可否について、資産の譲り受けというのは、預保の委託のもとに全く受け身の状態である、一般論としては、議員、私の指摘のとおり、RCCへの移管、譲渡が通例と思う、このように発言したわけであります。
 また、松田理事長は、最初、その案件はRCCに引き取ることになっていた、そのもとで資金援助を決定したと。その後、管財人から売れたとの報告を受け、売れた価格が、RCCに予定していた価格よりも高く、鑑定書を見ても相当な合理的な範囲の中にある、であれば資金援助額を減額できるので、申請を了として減額に応じた、こういう発言をしているんです。
 その限りにおいてはそのとおりなんだろうというふうに思うわけであります。つまり、両者の発言は、管財人から出てくるビル売却経緯の報告を、そのとおりだ、このように判断して、それをのみ込んだとしか思えないのであります。
 ところが、ビルの現状からいくならば、A社が売却先の不動産業者を相手に異議申し立ての訴訟を起こし、今、係争中であるわけです。ところが、売却先業者とは全く別のビル購入希望業者が、ある裁判所で陳述書を提出しているわけであります。これは、全くA社とはかかわり合いのない第三者の購入希望者であります。平成十四年六月十三日に金融整理管財人と面会した事実があり、管財人の話では、ビル売却は入札でやる、既に二社ぐらい話が来ている、そろそろ締め切るという説明があった。しかし、入札とはいえ、公告しているわけでもなく、期間も設定されていない。管財人の一存で行われる入札など、言葉だけではないかという疑義を持ったと。本当かどうかわかりません。管財人は、ビルは係争物件だから売却できないと言ってみたり、土地建物そのものは売却できると言うなど、極めてあいまいな態度に終始していたと述べているわけであります。
 このことが事実であるとするならば、金融整理管財人自身が、瑕疵ある物件の売却に明確な根拠を持っていなかったということが言えるのではないんですか。預保においては、管財人の申請がRCCへの譲渡価格より高額だった、あるいはまた、鑑定書からも相当な合理的な範囲の中にあるとして減額に応じたとの松田発言がありますけれども、果たして、管財人による瑕疵物件売却の説明について、相当な合理的な範囲の中にあるとするどれほどの根拠があったんでしょうか。
 この購入希望者が陳述で明らかにしている重要な事実は何かというと、管財人が売却を決定した業者よりも高額な価格を提示して、かつ、買い付け証明まで出していた業者があったということであります。
 しかし、それを預保の方がちゃんと二重チェックで、整理管財人とは別のルートでこの問題の所在を知り、金融整理管財人が行った売却、これで問題がないんだというチェックを行っているとするならば、そういうチェックをやっているんだということを私に明確に教えていただきたい。
 それをやっていないとするならば、先ほど来言うとおり、金融整理管財人が報告してくることをただうのみにしてやっているにすぎないのであって、竹中金融担当大臣が言われているような三重のチェックが働くどころか、何にも働かなくなってしまうのではないのか、このことを私は申し上げたいのであります。いかがですか。
松田参考人 お答えいたします。
 再三同じことを申し上げて恐縮でございますが、預金保険機構としてやれる範囲のことと、やれない範囲のこととあると思います。私どもとしては、管財人がいろいろ申請してくるものを全部うのみにしているわけじゃございませんで、再三申し上げておりますように、資金援助を決めるとき、あるいは最後の減額を請求するとき、それぞれの資料に基づいて、例えば物件であれば鑑定価額を見て、合理的な範囲にあるかどうか実際に計算をして、その範囲で、これで間違いがない、妥当性があるということで判定をした上で、第三者を交えた運営委員会で御審査を二度もいただいて、それで適正であると評価をいただいて資金援助を決めている、こういう状況でございます。
 そこで、先ほど先生いろいろおっしゃった、御指摘の案件の話はちょっと今のところ申し上げられませんけれども、何かあれば、我々も、うのみじゃなくて、先ほど言ったように、例えば法律上の原因で債権に何か問題があるんじゃないかというのであれば、協議もします。そういうことはいたしております。
    〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕
東(祥)委員 わかりました。
 六月十一日の委員会で、管財人の業務及び財産の状況等に関する報告及び経営に関する計画と題した報告書についての質疑において、「固定資産の状況」の中の事業用不動産を、整理管財人が、十四億二百万円の含み損が出ると再評価をしております。事実について伊藤副大臣は、永代信組は、土地の再評価に関する法律に基づいて、平成十一年三月三十一日に同組合の事業用土地について再評価を実施しているとして、質問そのものに誤解があると断じたわけであります。永代信組がこの時期に土地の再評価を実施したのは、自己資本の充実にあったと見られます。
 そこで、私は質問なんですが、金融整理管財人の報告にある土地の簿価というのは、平成十一年の再評価、伊藤副大臣が言われている十一年三月三十一日以後のものであると推定することができます。では、それが、管財人はさらに巨額の含み損があると評価しておりますけれども、その根拠は一体何だったんでしょうか。長引く不況下で不動産の価値が下落する、低迷している事実はある。しかし、毎年の決算において厳しい検査、審査を受ける金融機関において、これほど異常な再評価がなされる例というのは果たしてあるんでしょうか。
 つまり、私が申し上げているのは、平成十一年三月三十一日に同組合の事業用土地について再評価をしているわけです。そして、金融整理管財人が出している報告書、ここに載っている簿価というのはその後出てきている話なんだろうと思いますが、そこで十四億二百万円の含み損がある、こういうふうに言っているわけでありますが、それはどういうものに基づいてそういうふうになっているのか。
 また、整理管財人は、所有不動産について、逆に、今度は十一億四千百万円の含み益があるとしたけれども、これも先ほど申し上げました同じ根拠から、説明がつかないんじゃないですか。
 ここにぜひ、預保として、あるいはまた金融庁として、それをダブルチェックしているのか、そのことを私はお聞きすると同時に、皆さん方が本当にやっているということであるならば、僕は国政調査権の発動を要請したい。
 この委員会におきまして、事業用不動産、所有不動産の一筆ごとの内訳、簿価、評価額、含み損益に対する理由を明らかにすることが不可欠でありまして、その開示をぜひ理事会において取り上げていただきたい、このように思います。いかがですか。
小坂委員長 理事会において検討いたします。
東(祥)委員 その前の話についてはどう、伊藤さん。
伊藤副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
 御指摘のとおり、永代信組に係る預金保険法第八十条に基づく業務及び財産の状況等に関する報告においては、「固定資産の状況」の項目において、事業用不動産に十四億二百万円の含み損を抱えている旨が記載されていることは事実であります。
 この点については、前回の私の答弁について今お話をいただきましたけれども、永代信組の平成十二年度のディスクロージャー誌によれば、同信組は、土地の再評価に関する法律に基づき、十一年三月三十一日に同組合の事業用の土地について再評価を実施したところでございます。
 そして、この法律の第十条では、同法の規定により再評価を行った事業用の土地の再評価後の決算期における時価の合計額が、当該事業用土地の再評価後の帳簿価額の合計額を下回った場合において、当該時価の合計額と当該再評価後の帳簿価額の合計額との差額、これを貸借対照表に注記しなければならないと規定されているところでございます。
 これによりまして、同組合のディスクロージャー誌において、再評価を行った事業用土地の当期末における時価の合計額と当該事業用土地再評価後の合計額との差額が十四億二百万円と記載されたところでございます。
 したがって、一般的には、含み益を保有していると考えられているような、相当昔に取得した事業用土地が預金保険法第八十条報告において含み損を抱えているのは、土地の再評価に関する法律による再評価の時点、平成十一年の三月三十一日の事業用土地の価額と、その後の事業用土地の価額の変動が関係しているものと考えております。
 それからもう一点、所有不動産についてお話がございました。
 これは何分にも具体的な案件でございますので、これについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
東(祥)委員 今の伊藤副大臣のお話で一般論としてわかるわけでありますが、基本的に、短い期間の間にそれほどの差がなぜ出るのか、これが私の質問であります。したがって、この金融整理管財人の報告書を見ている限りにおいては、普通の頭では、一年未満のその動きの中でどうしてこれだけの含み損が出たり含み益が出るのか、それは承服しかねる。
 したがって、再度、理事会においてぜひ諮っていただいて、一筆ごと、ぜひ説明していただけるように。それが、お話のとおり個人の問題であるとするならば、秘密会議でも構いませんから、そこにおいてちゃんと説明していただけるように。そういうふうに、ちゃんと金融庁が金融整理管財人が行っていることに対してチェックしているんだよ、そういうことが明確になれば、私の質問をする意味がなくなるわけですから、ぜひその懸念をなくしていただきたい、そのことを申し上げておきたいというふうに思うわけであります。
 さて、冒頭に挙げた竹中金融大臣も含む方々の発言には、管財人たる者は法律を厳しく遵守している、またそういう前提のもとで金融整理管財人が任命されているわけであります。高潔にして清潔なる人材がつくものであって、それを監督監視するための周辺整備もなされている、こういう趣旨が目立つわけでありますけれども、今そういう点を具体的に申し上げさせていただいているわけでありますが、それを通して明らかになってくれば、なるほど、ちゃんと機能しているんだなという、私も納得したいわけであります。果たしてそれがそうなっているのかどうか、ぜひ私を納得させるようにしていただきたいというふうに思うわけであります。
 ちなみに、二〇〇一年以降現在まで報道されている、司法にかかわる人、弁護士、裁判官等の犯罪だとか違反行為、この記事を検索してみると、判明しているだけでも三十件近くあるわけであります。中には、ことしの四月、大阪地裁が告発して大阪地検に逮捕された弁護士は、地裁が選任した破産管財人の身分で約一千万円の業務上横領を働いた容疑で逮捕、起訴されているという例があるわけであります。
 そういう意味で、きょう法務省に、最後になりますけれども、弁護士を初めとする法曹界の関係者が犯した犯罪、特に、その業務に関連して、依頼人を裏切ったり、あるいはだまして検挙された者、懲戒処分を受けた者、あるいは業務停止処分を受けた者が一体どれほどの数字になっているかを明らかにしていただきたい。
寺田政府参考人 お尋ねの弁護士でございますが、不正事件は、平成十年以降、残念ながら増加傾向にございます。それで、懲戒処分をとってみますと、平成十三年が六十二件、平成十四年が六十六件に上っておりまして、この内容といたしましては除名、退会処分、業務停止、戒告等がございますが、除名も三件あるわけでございます。
東(祥)委員 私は、殊さらに弁護士の犯罪をあげつらうものではありません。弁護士であっても人の子であるという事実をしっかりと認識していれば、前に僕は、この委員会で申し上げましたが、私が住んでいるところは長谷川平蔵という鬼平犯科帳の主人公がいるわけであります。すねに傷を持たない人間はいない、みんな多分そうなんだろうと思います。
 しかし、それをちゃんと認識した上で、例えば、僕は本日また扱いました、金融整理管財人についた弁護士がよこしまな心を増殖させる前に十全なるチェック機能がちゃんと働くようにしておけばいいのではないのか。竹中さんは、十全なる制度はできているんだと言っているわけです。本当かどうかというのを納得させてくれということを申し上げているわけであります。
 いずれにいたしましても、破綻した金融機関の整理に巨額の血税を投入するのであれば、一方で、厳正なるチェックをする、ここまできっちりと取り組んでいるという情報開示がなければならないわけであります。金融庁は、個別の問題をやると、東さん、これは個別の問題だからと、なかなかそれを開示してくれないわけであります。しかし、ちゃんとやっているかどうなのか、そういうことをちゃんと開示していかなければならないのじゃないのか。
 とりわけ金融整理管財人の業務にかかわる内容は、その意味で完璧なまでに、私たちがこの場で追及している公的資金導入が本当に国民のために行われているのかどうなのか、それを扱う人間がちゃんとした仕事をしているのかどうなのか、そういう形でディスクローズしていかなければだめなんじゃないのか、そういう趣旨で質問させていただきました。
 最後に竹中大臣の答弁を聞いて、終わりにさせていただきたいと思います。
竹中国務大臣 一連の東委員の御指摘を経て、金融整理管財人とは何たるや、私も改めて考えさせていただきました。
 確かに、非常に特殊な立場の方ですね。であるからこそ、司法関係者等々を充てて、いろいろな制度をつくっているわけでありますが、だからといって、弁護士であれども人の子、それなりのチェックのシステムは要るという御指摘は、私もそのとおりだと思います。
 ただ、同時に、お話を伺ってひとつ我々も考えてみようと思いますが、ある財産の整理を任されたということで、だれに幾らで売るかというのはいわば経営判断の部分がございます。金融の経営者に対して我々金融庁が監督するといっても、例えばどこの会社に幾ら貸すという経営判断に、我々はそれをチェックすることはできない。ただ、それが非常に不正に行われて、だれか特定の人の利益のために何かを犠牲にして何か不正に売買した、これは先ほどから申し上げているような我々の今のチェックシステムの中でチェックできるのであろうかと思います。
 委員の御指摘がそのようなことなのか、さらには経営の判断的なことをもし含んでおられるんだったら、これはなかなか難しいかもしれませんし、我々も引き続きいろいろな勉強はしてみたいと思います。
東(祥)委員 大臣、経営というのは、自分でリスクを負って、そして決断するということならいいんですよ。問題は公のお金ですから、それを一人の人間に任せているというのは、ただ単なる企業における経営とはまた別の角度が必要になってくるのではないのか。そのときどういう判断をしたのか、どういう条件下で判断をしたのか、それをもう一つ別の角度でチェックしておかなければならないんではないのか、そのことを申し上げさせていただいているんであります。
 他方、「りそな」の一兆九千六百億円、これもある意味で、小泉総理、そしてまた竹中さんの経営判断ですよ、そうでしょう。しかし、それを、本当にその経営判断が正しいか正しくないかということをチェックしておかなくちゃいけないわけですね。それは竹中さんのお金であれば構いませんよ、小泉さんのお金であれば構いません。それは経営者に判断をゆだねる。そのリスクを持つ、そのリスクに対して責任をとってくださればいいわけでありますから。問題は、国の税金である、国民のお金であるということを再度申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
小坂委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 きょうの午後の最初の質問で上田委員の方からもお話ありまして、上田さんの方から資料も出していただいておりますが、私も銀行等保有株式機構の概要やその役員名簿をもらっていて、それを見ていて本当に思ったわけですが、これはまず竹中大臣に伺っておきます。
 午前中も、運営委員会がどういう審議をきちっとやっているか、会議録をということで、私は三木さんに求めたわけですが、この運営委員会は、運営委員五名と理事長、理事四名、合計十名で運営しているわけです。その理事長、理事はみんな五大銀行の頭取の方たちです。ですから、この運営委員会で株式の買い付け等について議論をして、期間設定して始めるわけですけれども、これは売る側の銀行と買う側の機構の方と両方とも五大銀行の幹部の方が入ってやるわけですから、言ってみればスーパーインサイダー取引とでもいうべきものになると思うわけです。
 私、さらに驚いたのは、上田さんの方から職員の方の名簿も出して、全部銀行出身者というお話がありましたが、私もこの質問に入る直前まで問い合わせていまして、金融庁の方からお返事いただいたところでは、一部の人は両方から給料をもらっているというんですね。私は、まさか二重取りはないと思うんですよ。ということは、つまり勤務実態が、半分は銀行で働いて銀行から給料をもらう、半分は機構の方で働いて機構からもらう。(発言する者あり)二重取りかもしれないんですけれども。
 これは実際に、昨日もお話伺っていると、大体、株式の買い取り価格の設定というのは、これは規程によって、機構は特別株式買い取りにおいて、買い取りの約定を締結する日の前日の株式市場における最終の売買成立価格、または売買高加重平均価格のいずれか低い方の価格ということになるんですが、しかし、実際、最も深いところにかかわっている人がここに介在した場合には、本当にインサイダー取引になる、そういう可能性は十分関係者の間ではあり得るわけなんです。翌日約定するから前日のということで、情報を流すことによっての操作等もあり得るわけなんですね。
 ですから、私は、まず大臣に、そういう問題については、金融庁の方からは、両方からもらっている人はいるということを直前に伺っているんですが、まず大臣として、大臣としても不明朗なことがあっては困るというのは、この法案に賛成、反対は別として、この機構についてやはりいささかの不明瞭な部分があってはならないわけで、徹底的にここはまず解明する、スーパーインサイダー取引などと言われるような事態が起こり得るわけですから、そういうことが起こらないように徹底的に解明する、まずこの点を伺っておきたいと思います。
竹中国務大臣 吉井委員おっしゃいましたように、本当に、不正なことがあるということは許されないことであります。そもそもの組織づくりにおいて、そうした点は当初から、当然のことながら、組織設計者の念頭にはあったというふうに思っております。
 幾つか御指摘がありましたが、出向者がいるということ、これは出資者が給料の何がしかをさらに補助しているということでありますので、銀行がそれなりの負担をしている、それがいわば利益相反というような形で何らかの取引をゆがめるようなことがないような仕組みにしておかなければいけないということだと思います。私が認識している限りでは、繰り返し言いますが、これは守秘義務がありますから、守秘義務に違反すれば、それの罰は受けることになります。
 それと、何らかのインサイダー取引にならないのか、前の日に何か操作をして相場をつり上げておくことはできないのか。しかし、これは委員御自身もおっしゃいましたように、ボリュームでの加重平均との低い方をとるわけでありますから、前日幾らつり上げても、加重平均が上がらない限りはそうしたことはできない仕組みになっているのではないだろうかと私は認識をしております。
 しかし、インサイダー取引に関しては、これは常にさまざまな角度から我々はチェックしなければいけないと思います。そのために証券取引等監視委員会等もございます。そうしたことのすべてのマシンというか仕組みをフルに活用させて、委員御懸念のようなことがないように、これはしっかりと我々としても見ていかなければいけないと思っております。
吉井委員 まず運営委員会において透明性を確保するという点では、きちんと議事録等が公開されないことには、何がどう審議されたかさっぱりわからない。それから、職員の方も、これは出向という形でそこの任務が終わったらまた銀行に戻れますよというだけじゃなくて、一部の補てんがある。一部にあるのかあるいは勤務実態が半々なのかどうかはともかくとして、やはり完全に銀行から遮断される、これは身分の上においても何においても、そういうことなしには、インサイダー取引の可能性というのは常についてくるものです。
 何か買い取りの価格操縦ができないということの証明ができるんですか。私は、今の仕組みではなかなかその証明は難しいと思うんです。加重平均といったって、その前日だけの話じゃなくて、一定期間を考えてのことなど、それは本気になってインサイダー取引を考えた場合には、いろいろなやり方というのは恐らくあるんだろうと思いますね。ですから、どうしてそこをきちんと遮断するか、そのことは考えるべきだと思うんです。
 もう一遍聞いておきたいと思います。
竹中国務大臣 不正が起きないように、遮断のシステムは確かにつくっておかなければいけないんだと思います。先ほど申し上げましたように、守秘義務に違反していないか、そうしたことはきちっと我々としては常にさまざまな角度からチェックをいたしますし、証券取引等監視委員会は、そのような意味では、不自然な株価の動き、取引の動き、つまり異常値の発見に関しては実にさまざまなテクニックを有しているというふうに私は認識をしております。そうした中で、委員御懸念のような形での不自然な操作というのは、そんな、私はできることではないんではなかろうかと思っております。
 また、機構でありますけれども、これは監査役ないし監事が大変重要だと思いますが、会計士の方にも入っていただいている。運営委員会の委員長は私の元同僚でもありますが、大変評価の高い方が入っている。そういうことをあわせて、我々としては、この組織がしっかり回るように、全体としては見ていきたいというふうに思っているわけでございます。
吉井委員 今度は、それならば、証券監視の方にかかわって質問したいと思います。
 これは大阪証券取引所問題を一つの例に見ておきたいと思うんですが、私がこの問題を質問したのは二年前の二〇〇一年六月五日の財務金融委員会でした。私が当時指摘した内容が当たっていたということは、最近、六月二十日だったと思いますが、大阪地検と証券取引監視委員会の合同による強制捜査、特別検査が入ったことによっても明らかになっています。
 実は、非常に不思議なのは、昨年五月から金融庁と証券取引監視委員会が大阪証券取引所へ三十一年ぶりの行政検査に入ってから、結局、一年間何を検査して、何が犯則事案として浮き彫りになり、どういう措置をとったのかということがまだ全く明らかにされていないんです。簡潔に報告を求めたいと思います。
新原政府参考人 お答え申し上げます。
 大阪証券取引所に対しましては、証券取引等監視委員会、私どもと金融庁の合同でなお現在も検査中でございます。個別の検査内容等についてはコメントを差し控えたいと思います。
 ただ、相場操縦等についての調査等についての御質問ということであれば、大阪証券取引所の問題につきましては、取引の公正の観点から不自然と思われる取引が見られたことから実態の解明に努めてきたところでございますが、こうした中で証券取引等監視委員会は、六月二十日、先生今御指摘のように、大阪地方検察庁とともに、証券取引法違反の嫌疑で関係箇所について強制調査を行うなど調査を進めているところでございます。
 調査の具体的な内容にかかわる事柄については、監視委員会の今後の調査の進め方との関係もございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じますが、今後、検察当局と緊密な連携を図りながら、鋭意調査を進めまして、さらに事実関係の解明に努めてまいりたいと存じております。
吉井委員 何かよくわかるような、わからぬような話なんですが、一年間たってきちんとした検査の報告等がないままに、しかし、例えば、ことし四月十七日付の読売、毎日、日経、朝日、みんな書いております。大証の相場操縦の疑いについて、「デリバティブ取引をめぐる相場操縦疑惑の構図」ということで、これは問題になっているロイトファクスという会社と、そして大証のダミーとしてつくったと言われる日本電子証券及び光世証券というのが紹介されていて、それで、デリバティブ出来高の水増しということで、九七年から九九年についての光世証券の問題で巽社長ら参考人聴取ということがどの新聞も、マスコミでは紹介されているんですね。
 それで、売りと買いが同価格、同数量になるよう調整するなれ合い売買や、株式やオプションの取得を目的としていない仮装売買を法律上禁止しているわけですが、その疑いありということで、監視委員会は、巽大証社長が、当時光世証券社長として、ロイトファクス社との取引内容をどの程度把握していたかなど詳細に参考人として聴取を行っているということなど、この一年間の検査に基づいてマスコミでは発表されているんだけれども、全然、我々、私も二年前から国会で聞いたって、結局報告ないんです。
 例えば、この一例について、こういう聴取はきちんと行って検査を進めておられるということなのかどうか、伺います。
新原政府参考人 お答え申し上げます。
 検査につきましては、これは内閣総理大臣が、公益または投資者保護のために必要かつ適当であると認めるときに、当該職員をして、当該証券取引所の業務もしくは財産の状況もしくは帳簿書類その他の物件を検査させることができるということで、免許を出しております関係上、行政上の必要から行うものでございます。
 一方、調査というのは別の法律に基づいておりまして、犯則事件の調査のために必要があるときに、監視委員会の職員が犯則嫌疑者あるいは参考人等に対して調査を行うというものでありまして、別の法律に基づいて行っているものでございます。
 調査の具体的内容につきましては、大変恐縮でございますが、個別の内容は差し控えさせていただきたいと存じます。
吉井委員 ことし合同で特別調査に入られた後も、例えば毎日新聞の夕刊ですが、六月二十三日、調査の入った後ですが、大和証券、これは、ロイトファクス社との仮装売買取引について違法と感じて中止した、だから大和証券は中止したんですね。しかし、光世証券はずっと続けてきたわけなんです。そういう事実がマスコミなどでは次々と、皆さんの方がリークされたのか、どこからどういうことなのかはよくわかりませんけれども、出てきているんですね。
 犯則事案は、要するに、大証がダミー会社ロイトファクスをつくり、このロイトファクスが仮装売買、相場操縦を行ったこと、これには大和証券は、今紹介しましたように、取引を途中で中止した。日本電子証券のようなダミー会社がもう一社入っているわけですが、大半の取引は光世証券であったということは既にマスコミ等でも明らかにされているわけなんですが、仮装取引というのはこのロイトファクス社一社では、片方だけじゃできないんですね。必ず、仮装取引については、売買注文をする、手数料を払う、これはロイトファクスがやるにしても、注文を受ける側の光世証券なしにはできないわけですよ。ですから、このロイトファクスの仮装取引という犯則事案の特別調査では、関係者のすべてをきちんと調査をされるんですね。
新原政府参考人 お答え申し上げます。
 一般論として申し上げますと、証券取引等監視委員会といたしましては、国会あるいはマスコミ等で指摘されるような事柄も含めまして、証券取引に関するさまざまな資料、情報を収集、分析いたしまして事実関係の解明に努めております。
 ただ、個別の事案について、具体的にどのようなものを調査しているかというようなことについては、従来よりお答えをすることは差し控えさせていただいております。これは、今後の証券取引等監視委員会の活動を円滑に進めるためのものでございます。
 ただ、一般論として申し上げれば、私ども、徹底的な解明をいたしまして、厳正に対処してまいる所存でございます。
吉井委員 要するに、私の言っております関係者、もちろん私も国会で指摘したわけですから、指摘したことを含めてということになるわけですが、ロイトファクス、もちろんそうですし、それから、大和証券というのも結局一年間取引しているわけですね。これ自身が問題だということがマスコミでも指摘されております。それから、光世証券に至ってはもっと長くやっているわけですが、日本電子証券、こうした関係者のすべてをきちんと調査をするのですねということを伺っているわけですから、固有名詞を言いづらいかもしれないが、関係者についてはきちんと皆やるんですね。
新原政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、私ども、鋭意事実関係の解明に努めておるところでございまして、今後とも精いっぱい努力をしてまいります。
吉井委員 これは非常に大きな事件だというふうに、レクに来られたときに監視委員会の方からも説明を伺いました。それだけに、証券取引監視委員会としても態勢を強化して進めているというふうに伺っているんですが、確認しておきますが、これは非常に大きな事件だという認識で取り組んでおられる、これはそのとおりなんですね。
新原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどから申し上げておりますように、この問題につきましては、取引の公正の観点から、不自然と思われる取引が見られましたことから、実態の解明に精いっぱい努めているところでございます。
吉井委員 竹中大臣に伺っておきたいんですが、大阪にとって、また西日本経済にとって、大阪証券取引所、この市場というのは大きな役割を持つものだというふうに私は思うんです。だから、公正性、透明性が大事にされなきゃいけないと思うんです。それだけに、柳澤大臣に二年前伺ったときには、検査の結果により厳正に対処するという答弁でした。
 竹中大臣にも伺っておきたいのは、昨年五月からの行政検査で問題があって、今特別検査が始まっているわけですね。そして、大阪証券取引所の公正性、透明性をどのようにして回復するのか、どのようにしてこれをきちっとやっていくかということについて、とにかく、監視委員会の方も私に、非常にこれは大きな事件だという認識を示しておられるんですが、非常に大きな事件であるだけに、きちんと解明して、そして市場の公平性、公正性、透明性を本当に回復するために、きちっとした取り組みというものが大臣としても必要だと思うんですね。これを竹中さんに伺っておきたいと思うんです。
竹中国務大臣 新聞記事等々を見てもわかるように、非常に社会的にも大きな関心事になっているという認識を持っております。そうした意味では、こうしたことになったということはやはり遺憾なことであって、しっかりとした検査は検査で行う、証券取引等監視委員会はその立場でしっかりとしたチェックを行う、それで、結果が出てきたことについては、監督の立場でしっかりとそれを行う、これは金融庁としては当然のことであるというふうに思っております。
吉井委員 これは、特に大阪は中小企業の町ですから、今まで皆さん、間接金融から直接金融へと言ってこられたけれども、その町の資金調達の上で、ここがどれだけ透明な市場であって、どれだけきちんとした機能を果たすかということはやはり大事な問題だというふうに考えておりますから、徹底した特別調査を行い、その結果に基づいて、厳正な対応、もちろん検察等も皆さんの方の告発を受けて対応されるでしょうが、きちんとしたことをやってもらいたいということを申し上げまして、質問を終わります。
小坂委員長 次に、植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 まず、法案にかかわっての質問の前に、竹中大臣に何点か、事実関係の確認と質問をさせていただきたいわけです。
 ほとんどの新聞が載っけてなくて、読売しか載っかってないんですけれども、おとつい、二日の読売で、小さい記事なんで見落としがちなんですが、「日銀は動いてくれない」という見出しで、こういう記事が出ていました。「竹中経済財政・金融相=似顔上=」これはいいですね、似顔絵が書いてあるということで、「一日、自民党本部で行われた同党若手議員との会合で、日本銀行の福井俊彦総裁について、「財政政策はぎりぎりまでやっている。」」恐らく、この文面だと、主語は政府ということになるだろうと思うんですね。政府としては「「財政政策はぎりぎりまでやっている。しかし、日銀は動いてくれない。細かいことはやっているが、大きな成果はまだ出していない。就任から半年(九月)で成果を出してほしい」と述べた。」とあります。「そのうえで、「マネーコントロールの最終責任は日銀にある」として、新たな金融緩和策を求めた。」というふうにあります。「竹中氏が福井氏の政策を批判するのは初めて。」という記事が出ておりました。
 当然、新聞記事ですから、事実を正確に伝えているかどうかということについてもやはり検証しなければならないところはあるかと思います。ある事実だけを引っぱり出しただけだという場合も、恐らく、書かれた当事者からすればそういう反論も出てくるかと思いますが、示唆したとか、そういう感じじゃなくて、ここは「述べた。」というふうにあるんで、かなりこれは、そこの場で聞いておられた方から正確に聞いた話を記述されたのかなとも、この記事の内容を読む限りでは思いますので、まず、報道されているような発言の事実があったのかどうか。
 仮に、こうした話があったけれども、話の全体の脈絡ではそうじゃなかったんだというんであればそれでも結構ですし、まず、事実関係として、そういうことがあったのかということについて大臣の方から御発言いただけますか。
竹中国務大臣 「竹中経財相が福井総裁を批判」、だれだれが竹中を批判したという記事はたくさん見るんですけれども、竹中がだれかを批判したという記事は、私も初めて見ました。
 今御指摘のように、これはオープンの議論ではなくて、いろいろな、本音のディスカッションをしようということで、自民党の中で若手と議論をさせていただいて、それをいろいろ聞きかじって、どうせだったら私に聞けばいいものを、私に何の取材もしないでこういう勝手な記事を書くところが日本の新聞の特徴だと思いますが、こういうことが書かれて私もびっくりしましたが、これは事実とかなり違っております。その経緯、きちっと御説明する方がいいと思います。
 その中では、政府も日銀ももっとしっかりしろ、デフレ克服に政府も日銀ももっと頑張れという強いメッセージが出されました。それに関しては、政府も日銀ももっと頑張らなきゃいけないというふうに私も思っております。それに関しては、福井総裁、就任して三カ月でありましたが、その間にアセット・バックト・セキュリティーの話とか、いろいろやられて、さらに大きな枠組みの議論を今後されていくというふうに思っている、そういう趣旨のことを私は申し上げたわけですけれども、そこをどうも少しおもしろくつなげて、こういう記事に仕上げているんだと思っております。だからこそ一紙しか出ていないんだというふうに思いますが。
 もう一点、財政についてのお尋ねがありました。
 財政に関しては、財政の赤字、プライマリーバランスを回復する。やはり十年程度でプライマリーバランスの回復を視野に入れなければいけない。そういう点からすると、もうぎりぎりのところまで来ている、そういう発言はさせていただきました。
 繰り返しになりますが、これは、クローズドで議論したことを、後からいろいろな人から聞いて、聞きかじって、つなげて書いているんだと思いますが、言葉じりをつなげたのか、それも不正確につなげて、かなり内容とは違ったものになっております。
植田委員 今の話でいきますと、ここで括弧書きで書かれている部分のその端々は、そういう話もあったけれども、こうつなぐと趣旨とは違いますよという話になるんでしょうが。
 まず、「財政政策はぎりぎりまでやっている。」それに似たようなお話はされましたけれども、今の説明からいくと、政府の財政政策全般にかかわって、もう既にぎりぎりまでやっているという趣旨ではないよということなんですね、まずそこの点は、もう手はないという趣旨ではないわけですよね。広義と狭義に分けるならば、狭義の財政政策ということで述べたことは事実だけれども、こういうふうに書かれると、政府のやる財政政策全般にかかわって言ったかのようにとられるのはまず心外だということは、うなずいておられるんで、次に進みます。
 ちなみに、「日銀は動いてくれない。細かいことはやっているが、大きな成果はまだ出していない。」というふうに竹中大臣は内心思っておられるのか否か。もし、おられるにせよおられないにせよ、では今やるべき日銀の大きな成果というものは、竹中大臣なりにはどういうふうにお考えなんでしょうか。
竹中国務大臣 これは速水総裁の時代から国会でもいろいろ御質問を受けましたけれども、そのときの答えと変わっておりません。私としては、とにかく政府と日銀が協力して、マネーサプライがもっと高い率でふえるような状況をつくっていかなければいけないと思っております。それには政府の責任も日銀の努力もあると思っております。
 しかし、その場合に、どのような金融の手段をとるか。これは手段選択の独立性という問題がありますので、それに関して日本銀行に、私はこういうふうにすべきと思うということを申し上げるつもりはありません。
植田委員 日本銀行に対して、どういう要望なり意見を竹中大臣が申し上げるか申し上げないか、それは御随意にやっていただければいい話ですけれども、私自身は、私どもは珍しく、福井総裁の同意人事にはオーケーした方ですので、余り強いことを申し上げるのははばかられますが、少なくとも、個々の施策のよしあしはとりあえずおいておいたとしても、個々の施策については、私なりに日銀に対しては意見はありますが、総裁就任以来三カ月余りのところで、比較的迅速な、新たな施策を、対応をしているんじゃないのかなというふうに思っているわけです。
 それがどういう形で成果が出てくるかわかりません。例えば、資産担保証券の買い入れ等々というような話を中小企業向けに考えるなんというのは、私は、知恵としてはわかりますけれども、そんなに効果があるのかどうかわかりませんが、私は、一定、そこはデフレ克服に向けた、それこそ日銀としてのぎりぎりの努力をしようという意思はやはり見てあげるべきだという立場に立ちます。
 その場合、恐らく、この間いろいろなやりとりを竹中大臣ともやらせていただきましたけれども、少なくとも、現在日銀がやっておられる金融政策では物足りないという印象は当然持っておられるだろうと思うんですよ。だから、大きな成果というときに、一貫して竹中大臣もお考えであったように、日銀として、デフレからの脱却ということであれば、竹中大臣の立場からすれば、例えば物価安定の数値目標を設ける等々ということに踏み込んでもらえるといいなと思ってはるわけですね。
    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
竹中国務大臣 私も、植田委員おっしゃったように、福井総裁はこの三カ月間非常に頑張っていろいろなことを積極的になさってきたというふうに思っております。
 その上で、今直接のお尋ねは、インフレ目標を掲げる方がよいかどうかというお尋ねでありますけれども、これも私の考えは以前からずっと申し上げておりますが、物価上昇率ゼロインフレ、ゼロインフレになるまで金融緩和を続けるということでありますから、緩やかないわば物価目標のようなものを日銀は既に持っているというふうに思っております。
 今さまざまな形で、どのような物価の参照値、インフレの参照値を設けるかどうかさらに踏み込んだ議論をなさっているというふうに承知をしております。これも金融政策の一つの手段、実現のためのプロセス、手段の話でありますから、そこはぜひとも日銀の独立性を発揮していただいて、先ほど申し上げましたように、政府と力を合わせて、マネーサプライがふえて、マネーサプライがふえる中で物価も緩やかなプラスになるというような状況を実現していってほしいというふうに思っております。
植田委員 ありがとうございました。意見として、この間のお話、承っておきます。その話は別途、また何かの機会でいろいろ御教示いただきたいと思います。
 さて、法案について、あとは提案者の方に幾つか伺っていきたいと思うんですが、先日、六月二十七日の速記録も読ませていただいて、大体の法案の問題にかかわる論点にかかわっておさらいをさせていただければなというふうに思っております。
 まず、今回の立法事実にかかわる話といたしまして、当然その背景に、思ったように取得機構の実績が上がらないということがあるわけですが、まさに、その要因をどう分析されたか、どう検証されたかということが今回の改正案の背景にある立法事実につながるんだろうと思います。
 六月二十七日の速記録、未定稿ですけれども、一応この速記録を参照しながら幾つか伺いたいのですが、六月二十七日の一番冒頭の生方先生の質問に提案者の熊代議員が、要するに改正案を出した最も大きな理由ということで、大きく三点おっしゃった。一つは、銀行の保有株式の市場への放出が株価の下げ圧力となっている見方がある、二点目、新BIS規制が二年延期されたということ、三点目、これは与党三党で銀行等取得機構の利用拡大を促すための機能拡大を図ることが決められたということでございました。
 この二点目の新BIS規制という話は、これは理由としては理解します。ただ、今やらなくても別にいいわけですが、今どうしてもこれだけをやらなきゃならないということではありませんが、その点については理屈としては通っている。今出しても別に間違いではないわけですね、際に出したって構へんわけですけれども。それはいい。
 三点目の与党三党で云々という話は、これは与党でお決めになった任意のことですから、それは、さようでございますかということでしかないわけです。
 一点目、問題はここなんですけれども、正確に読み上げますと、「銀行の保有株式の市場への放出が株価の下げ圧力となっている見方がある、」とおっしゃっています。「見方がある、」だけで、その最後、後段に続くわけですが、「我々の問題意識からしまして、この法律と現在の状況を見まして、議員提案として出させていただいたわけでございます。」というのが熊代議員の御答弁でございますが、これだけで立法事実としての説明はやはりかなり乱暴ではないかと思うんですが、御見解はいかがですか。
熊代議員 見方があると申し上げたのは、社会事象でございますから、何事もすべて確定はできない、しかし極めて有力なことであろうということであります。
 いずれにしましても、八%規制の撤廃でございますけれども、当時法律を定めるときに、ティア1をオーバーしているのは十五兆円あるということでございますから、これを、BIS規制が当初は二〇〇四年までということであったわけでございますので、その間の二年七カ月、法律施行からの二年七カ月で十五兆円、東証全部で、今は大分下がっておりますので、ちょっとデータは古いかもしれませんが、二百四十兆ぐらいの株価総額でございますから、売ったり買ったりの十五兆円であればそれは大したことはないかもしれませんが、ただただ売る十五兆円というのは大変なものであろう。
 ですから、二年七カ月という極めて短い期間に十五兆円を一方的に売るもの、それはやはり株式市場を大変乱すから、これをこの機構でセーフティーネットとして受けて、株式市場が乱れない通常の価格のところにとどめたいということでございましたが、BIS規制が、八%拠出すればオフバランスしない、そういう規則でございますから、どうしても、ここに売るよりも、オフバランスされて、BIS規制の八%を計算する上で、ないものとみなされるという道を選びたいということを銀行さんの方でいろいろ工夫されたというふうに思いますが、それが売り圧力になってくるということで、かなり激烈な株価の下降局面があったということでございますので、この八%というのはやはり削るべきだろう、そういうことで提案させていただいたわけでございます。
植田委員 そのところはまた後で伺いますが、実際、今そういうふうにおっしゃいましたけれども、例えば、それこそ乱暴な言い方をしますと、銀行の保有株式の放出が株価の下げ圧力になる危惧があったとして、乱暴に言えば、じゃ、新BIS規制が延長された分それが回避される、そういう見方だって成り立つんじゃないですか。どうでしょうか。成り立たないなら成り立たないと教えていただければ結構なんです。
熊代議員 BIS規制に適合するためにということだけを申し上げたのは確かに私の説明不足でございまして、株式の持ち合いがございまして、株式の持ち合いが正常なる株価といいますか株主に対する扱いというものを阻害している、そういう物の考え方もあったということです。
 ですから、BIS規制が強化されることに伴いまして、同時に株式の持ち合いというものを解消しよう、それが極めて短い期間になる。一挙に銀行の持ち株をゼロにするのは難しいでありましょうけれども、ティア1までは持っていきましょうということでございますから、そういうことを一挙にやるということが株式の市場を乱すということでございますので、それに対する対処をするということであったということです。
 それは、二年七カ月という短い期間にBIS規制の強化に合わさなければならないということでしたわけでございますけれども、これが二年延びたので、四年七カ月も決して長くはありませんけれども、それに合わせて二年延ばさせていただいた。
 その一番の目的としました、市場に大量に株式が出ないということについては、八%というものが阻害要因であったということを御説明申し上げましたが、その阻害要因を取り除かなければならないということが改正の趣旨だということでございます。
植田委員 結論部分だけおっしゃるのでひっかかるんですが、あえて聞きませんけれども、そもそもの一昨年の政府の法律に瑕疵があったから直したんじゃなくて、新たな状況が生まれたので適切に昨年も対応され、今回もそうした状況に応じて適切に対応する改正案だとおっしゃるだろうと思いますので、そこは伺いませんが、竹中大臣は正直におっしゃっていたんですね。
 二年の間にころころ変わるわけですわ、政府のが。だから、私が、それはその程度の生命力しか持たなかったんでしょうと申し上げたところ、それについては否定されなかったんですね、竹中大臣は。そして、政府案の評価として、それを補う観点から、大所高所から与党の方で御議論いただいた、その結果がその改正案だと竹中大臣はおっしゃっていました。この竹中大臣の述べておられる大所高所というのは、提案者からすれば、まさに検証をしないままに、銀行保有株式の市場への放出が株価の下げ圧力となっているとする、言ってみれば仮説なんでしょうか。提案者、いかがですか。
上田(勇)議員 お答えいたします。
 大所高所がどういう意味かということはともかくといたしまして、先ほど熊代議員からもお話がありましたが、銀行が保有している株式を市場に売却することになれば、それは当然のこととして、それが大量になれば、市場の需要と供給のそれまでのバランス関係が崩れることによりまして、価格が想定されているものよりも低くなるということは想定されるのではないかというふうに考えております。
 それで、では、それがどのような形で検証できるのかということになれば、株式市場における株価というのはさまざまな要因で規定される部分がありますので、どれがどれだけどういうような結果を生んだということを定量的に申し上げることは難しいというふうに思っております。
植田委員 定量的に示すことができないというふうにおっしゃるのは、それは何につけても仮説を立証するのは難しいと思いますけれども、銀行保有株式の市場への放出が株価の下げ圧力となっているということをおっしゃっているわけです。しかし、その立証はできない、難しいと。では、立証せぬまま、そういうことが言える判断根拠もないんだけれども、法案は出させてください、出しました、そういう素朴な理解をしていいわけですね。
上田(勇)議員 私が申し上げましたのは、株式市場における株価というのはいろいろな要因で決まっております。その一つの要因としては、そのときの市場における需要と供給の関係があるというふうに思っておりますので、当然、銀行から大量の株式が売却されればそれは下げ圧力になるということは、理論の上ではそういうふうに考えられるんだろうというふうに思っております。
 ただ、それを、では、いろいろな要因がある中で、何%がどういうものによって寄与されたということはなかなか判定しにくいということを申し上げたところでございます。
植田委員 理論が正しいか間違っているか、私は間違っていると思いますよ、今の答弁。そのことは、私はここでもうあえて言いません。間違っているか間違っていないかは別にしても、少なくとも法案を出されたんですからね。
 要するに、当然その立法事実として立証しなければならない今申し上げている話題が、立証されていないわけでしょう。正しいか間違っているか知らぬけれども、理論上はそうなるだろうとかとおっしゃいましたが、では、立証しなくてもこの法案は出せるというのは、これはもうあとは開き直って、そういう政治判断をしたんだと言う以外はないという理解をしていいわけですか。もっと言うなら、立証する必要がないと判断された理由は何ですか。
熊代議員 我々が立証と申し上げているのは、例えばロケットの軌道であれば、こういう軌道を描くだろうという場合に、そういう理論計算をしまして、実際打ってみるとほぼそのとおりだということは可能でありますから、それほどの正確なことはなかなか難しい、社会科学の面では。
 しかし、人間の世界でありますから、やはり、こういうときにはこういうふうに人は行動するだろうと。そういうことを思えば、八%でBIS規制上のオフバランスにならないとすれば売りづらい、いろいろなところに売りたいというふうに思っただろう。実際に、二千二百億円しか買うことができなかった。
 事実として、株価は大幅に下がったということでありますから、私どもとしては、極めてこの要因が大きいだろう、これに対しては対処しなければならないということでございますので、蓋然性として立証されたことについて政治的判断でもって対処する、そういうことでございます。
植田委員 おもしろい話ですね。
 提案理由説明ではこう書いてあるんですよね。「ご承知のように、平成十三年にこの法律が制定されましたが、その後も実体経済の停滞により、株価水準は低迷している状況にあります。」と。ここでいけば、要するに、法律が不備があったかなかったかということではなしに、実体経済の停滞が株価水準を低迷させている、そういうまず事実認識に立っている文言ですね。ちなみにもう一度繰り返しますが、「状況にあります。」と、提案理由説明では断定されています。ここまでは提案者は断定されるわけです。
 その次、「銀行等の保有株式の市場への売却が株価の下げ圧力となっているという見方がある中で、」と、ここはちょっと自信なげに、断定されておられないわけです。だから、立証できなかったわけでしょう。それで、何か今、熊代先生おっしゃったように、今度は蓋然性という怪しげな言葉が出てきましたけれども、要は、そういうもんやろうというぐらいにしか思っていませんねん、わかりませんねんという話じゃないですか。だから、そこは正直におっしゃっていただければいいんですよ。
 ずっと後段にはいろいろと書いてあるんですね。「見方がある中で、」今度は、新BIS規制の導入が延期される見込みという事実経過があって云々かんぬんと言って、「関係者からは制度を利用しやすいものとして欲しいという要望が寄せられております。」というふうに書いてありまして、そして、「この法律案は、このような銀行等をめぐる情勢にかんがみ、所要の改正を行おう」と。
 端的に言えば、ここで関係者から利用しやすいものにしてほしいという要望があるんだ。関係者いうたら、銀行ですわな、あと事業会社もあるかもしれませんが。その人らから利用しやすいものにしてほしいんですと言われたからつくった、そういうことに尽きるというふうに単純に理解をさせていただいていいわけですね。
熊代議員 以前にも申し上げましたけれども、関係者に要請されたからといって、それが国民経済上あるいは国民の福祉上必要な非常にいい要請であるということを確認しなければ、我々はしないわけでございまして、関係者の要請よりも前に、客観情勢を見まして、経済の情勢を指摘したのは、例えば経済がブームでありまして、どんどん膨らんでいるというときにはこういう施策は全く必要でございませんので、それは経済に任しておけばいいわけです。経済が縮小均衡ぎみのときに、これは大変問題であるという認識がありましたので、あわせて、関係者の要望、要請もあった、それは国民経済上も必要なことであるので対応しなければならない、それが我々の判断でございます。
植田委員 まあ、そういうふうに言わぬことには、不純な動機で法律をつくりましたということを白状してしまうことになりますので。
 ただ、この間、今までの提案者とのやりとりではっきりしているのは、関係者からの要望があったという事実と、それが関係者にとって使い勝手のいい法律を出したという事実があるわけです。ただし、背景にかかわっては立証はされていない。難しい、蓋然性という言葉以上のことは出てこない。この三つは事実ですよね。そうなれば、いろいろな言葉を弄しても、関係者の要望と法律の内容がそのま直線的に結びつくというのは、素直なこの法に対する理解だろうと私は思っています。
 その上で、今度、ちょっと八%条項とのかかわりについて、今の話も当然、直接つながるわけですから伺いたいんですが、これは永田先生の質問に対して、端的に言えば、八%条項、なぜ必要だと聞かれたところ、上田先生が、いろいろな検討を加えさせていただいた結果、やはりこの売却時拠出金がその障害になっているというようなことも考えられたことから撤廃するとおっしゃったわけですけれども、その後、いろいろな検討、何をしたんだというのがちょっと議事録を引っぺ返してみても出てこないので、いろいろな検討とは、どんなことを検討されたんでしょうか。具体的に教えていただけますか。
上田(勇)議員 この売却時拠出金のあり方については、制度が導入されたときから、その拠出金の是非といったことも、あるいはその額といったことについて、さまざまな議論があったのは御承知のとおりだというふうに思います。
 今回、改正に当たりまして、この機構がこれまで、少なくとも当初私が予想していたよりも、機構に売却される株式の額が少ない。これは期待していた機能が十分に発揮されていないというふうに思われましたので、その理由はどういうところにあるんだろうかというようなことを考えてきたわけでございます。
 それは、与党のプロジェクトチームの中でも、そのことについてはさまざまな問題の提起がございました。売却時拠出金がやはり売却に当たっての負担になるんではないか、また、オフバランス化の問題についても売却時拠出金が障害になっているんではないかというような御指摘もありました。また、では八%の拠出金をもっと少ないパーセンテージにすればいいんではないかというような御意見もありましたし、さらに、この機構に当初期待していた機能をしっかりと発揮してもらうためには、その拠出金を撤廃するのが適当なのではないかというような議論もありました。
 また、それに伴いまして、では機構がどういうような機能を発揮できるようになるかというようなことも、いろいろな意見の交換があったわけでありまして、そうしたいろいろな議論を経まして今回のような結論に至ったところでございまして、そこを、この間は、さまざまな意見ということで表現をさせていただいたところでございます。
    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
植田委員 幾つか話をされましたけれども、いろいろな検討を加えたとはどんな検討ですかと聞いて、さまざまな問題提起がありましたでは、それはちょっとね。しかも、その問題提起の中に、売却時拠出金がやはり障害になっているのと違うやろかという提起がありました。私が伺っているのは、売却時拠出金が障害になっているということを、ではどう検証したんですかということなんですよ。障害になっている確たる証拠をつかんだのかと。つかんでいないわけですよね。
 というのは、ここでもう一回繰り返しますよ、議事録で。上田先生はこうおっしゃっています。「いろいろな検討を加えさせていただいた結果、やはりこの売却時拠出金が障害になっているというようなことも考えられたことから、」とおっしゃっていますから、自信があれば、ここは障害になっていると判断いたしましたからとおっしゃるわけですが、要するに、この程度のことしか検証できていない。だから、要は、こういう政策判断をしたから、それ以上以下でもないというふうに、それで後は通させてもらうよというふうに受けとめておきます。だから、結局、検証していないわけでしょう。もういいです。
 次、引き続き伺いますが、実は、ここで、永田先生が、その次の質問で、二兆円の枠の話にかかわって、こうおっしゃっています。「二兆円というのは枠でありまして、要は、政策の効果というのは、実際に買い取った額ではなくて、金融機関の経営の安定性を確保するためにこの政策を発動したわけでありますから、どれぐらい金融機関の経営体質が強化されたかということを検証することが大切なんだ」とおっしゃっています。この点について、実は、後段の上田議員の答弁がないんですよ。要は、金融機関の経営体質が強化されたかどうかということは、どう検証されましたか。
上田(勇)議員 金融機関の経営体質、それをこのことだけではかるというのは非常に難しいんだろうというふうに私も考えております。
 一つその指標として考えられることは、この銀行の株式保有制限の法律が導入される前に、銀行が相当な持ち合いの株式を保有していたわけでありますけれども、この保有制限法が導入されてから、市場への売却がほとんどでございますが、その保有額については随分と少なくなってきた。これは、銀行の経営基盤、経営の安定という意味からは、私はポジティブな動きであるというふうにとらえておりますので、そういった意味では、このスキーム全体から考えればそういうような効果が上がってきているというふうに考えて、認識をしております。
植田委員 とすると、上田先生の話でいくと、金融機関の経営体質の強化には貢献しているということを前提にしているわけですね。そういう前提に立っておられる。その上で、しかし問題があるということで、市場の需給関係が悪化することが想定されたことからとか、あと、こうした株式の変動リスクが非常に悪い影響を与えることが想定されるとか、そういう問題があったというわけですね。しかし、これも想定想定というわけで、あくまで推測の域を出ません。しかも、その推測を合理的に説明できるだけの根拠はやはりお示しになっておらないんです。
 私は、もう今さら根拠を示していないからけしからぬと言いません。結論は後で討論で意見を申し上げますが、根拠は何一つそういうことについては示していないというふうに理解していいですかということだけ、御教示いただけますか。
上田(勇)議員 銀行の経営体質の問題、あるいは株式市場の動向、これにはさまざまな要因があるわけでございますので、その中の一つ一つの要素について検証していないではないかという御指摘だろうというふうに思います。
 この法案で対処しているのは、いろいろな対策のある中の部分でありまして、そこの部分について、ではその定量的な検証が行われているのかという問いに対しましては、少なくとも私は把握はしていないというふうにお答えせざるを得ませんけれども、ただ、今回のこの提案をさせていただいている背景については、いろいろな関係者の方々、また有識者の方々からも、そうした要因が相当な原因になっているということは指摘をされているところでございまして、そういったことについて、今回、できるだけの対応をしようということで、この法案の提出をいたしているわけでございます。
 今回の法案提出に当たって、では、その一つ一つの要因について、市場のモデル計算をして、それがどれだけの寄与度があるのかというような、そこまでの根拠を詰めているかといえば、そういうことについては、そこまではやっておりません。
植田委員 そこまでやらぬでも、それは法律を出すのは自由ですけれども、当然こうした審議の場の、言ってみれば私は批判というよりは教えを請うているわけですが、それに答えられるだけのデータはやはりそろえるのが当たり前だと思うんですよ。というのは、一つの仮説、それはどんな仮説を立てられても結構です。そういう仮説を立てられた、その仮説が現実に合致しているのか、それが事実認識として妥当なのかということは、少なくともだれかがおっしゃった、こうおっしゃったじゃなくて、一次資料に当たって検証するのが実証主義の立場じゃないでしょうか。
 私は、実は経済学なんてはっきり言って勉強したことがないんですが、日本史専攻におりまして、日本史専攻というのはまさにそうなんですよ。仮説を一定立てる。その上で、一次史料に当たって、その一次史料の、いわば史料批判といいますけれども、その史料をどう整合させるかということでそれぞれの歴史事実に近づいていくというのが、基本的にはこれは実証主義的な歴史学のスタンスですわ。
 同じことをせぬといかぬわけですよ、仮説を立てた以上は。私たちは昔の史料を当たりますけれども、今現在のデータで、それで一定説得性があれば、それはそれで、学者じゃないんですから限界はあるかと思いますけれども、最初から、見方があるとか、想定されるとかということで、それで突っ込んで聞くとそこまでやっていませんじゃ、それはちょっとお粗末ではないかということだけ申し上げます。
 それと、八%を撤廃する必要があるとされる客観情勢の変化として、熊代議員が答弁でこうおっしゃっているんです。大きく二点です。主たる目的が、税金に負担をかけないということが大きいんだけれども、株価が下がればその負担をかける確率は少なくなるとおっしゃっているんですね。二点目、これは五年延長の話につながるわけですが、機構が売る期間を五年延ばせばそのリスクは低くなるとおっしゃっているんです。
 まず一点目の、株価が下がればその負担をかける確率は少なくなると。そんなことをおっしゃっていただいたら困りますよ。今後、株価が現状と変わらぬということはないわけですから。しかも、恐らく、今の小泉構造改革というものが進めば、株価も上がり、景気もよくなるはずですから。この答弁からいけば、構造改革が成功をおさめて、どんどん株価も上がっていけば、国民負担となる確率は上昇するということになるんですけれども、そういう理解でいいんでしょうか。
熊代議員 一つの企業の株式でありまして、その企業の業績が全然変わらない、ちゃんと同じように業績を上げている、株価だけが違っている、そういうときに、高いときに買ったときに損をする確率と、それが低いときに買ったときに損をする確率というと、それは低いときに買った方が、全く業績が変わらないのであれば、将来的に株価が上昇する可能性が高いだろう。
 そういう意味で、現在の状況下では、例えば一割配当をずっと続けていて健全な企業の株であれば、反転する確率が高い。そういうことで、税金を使うリスクは少なくなるだろう、そういうふうに申し上げたわけでございまして、一つの企業が同じような業績を上げている状況の中での、どの瞬間に株を買うか、それは利益につながるのか損失につながるのかという、これも蓋然性を申し上げたわけでございます。
植田委員 いずれにしても、国民負担のことに対して無自覚ではないよということで、機構が売る期間を五年延ばせばリスクが低くなるとおっしゃったわけです。ただ、もう私も切り上げたいと思っているので聞きませんが、この議事録を読む限り、五年延ばせばそのリスクを回避できるという、これもまた根拠は示されていなかったということだけは指摘しておきたいと思います。
 ただ、この五年延長にかかわって、上田先生の方は、その時々の情勢、市場等を勘案した上でできるだけ有利な条件で売却できるように、そうした選択肢を拡大するという意味から売却期間を延長したい、これを主たる理由として述べられたわけですけれども、上田先生の御答弁からは、五年延長について、国民負担のリスク回避についての言及はなかったわけですけれども、この五年延長の主たる目的というのは何なのか、もう一度整理してください。
上田(勇)議員 今先生がおっしゃったことは極めて密接な関係があることだろうというふうに思います。それは、できる限り有利な条件で、つまり高い価格で売却ができれば機構の損失が減るわけでありますので、あるいは益出しをすることも可能になります。国民負担が生じるというのは、株を購入した価格よりも売却した価格の方が値下がりをしてしまってその差損が出た場合に、その差損がなおかつ当初の拠出金やこれまで拠出されている金額を上回った場合に国民負担になるということでありますので、できるだけそれが有利な条件になれば国民負担を回避することができるわけでありますし、また、場合によっては余剰金も生じることがあり得る。
 そういう意味では、五年を延長したことというのは、私が先日申し上げました、できるだけ有利な条件で売却できるようにするというのは、それは当然のことながら、国民負担を回避する、軽減するという目的をも含めて申し上げたつもりでございます。
植田委員 今のお話を伺っていますと、有利な条件で売れば国民負担が回避できる、何かそういうおっしゃり方をされていますね。そうなんですか。逆に、有利な条件で売れば売るほど国民負担の確率が上昇する場面だってあるんじゃないですか。そういう場面は絶対ないわけですね。確信を持っておっしゃっていただければありがたいんですが。
上田(勇)議員 御質問の趣旨がもう一つよくわかりませんが、国民負担が生じるケースというのは、機構が購入した価格、それと売却したときの価格によって差損が生じた場合、なおかつ、その累積が今まで会員銀行等が拠出している額を上回った場合に出てくるわけでありますので、有利な条件のもとで、つまり高い価格で市場に売却できれば、それによって国民負担は軽減できる、あるいは、購入したものよりも高い価格で売却することができれば、それは回避ができるということだろうというふうに思っております。
植田委員 そこはわかっているんです。ちょっと聞き方がまずかったかもしれません。
 私が申し上げたいのは、要するに、八%を撤廃するんでしょう、だから、そこは制度の使い勝手論からだけ論じてもらっちゃ困るということなんですよ。そこに尽きるんですよ。
 では、国民負担の回避、リスクの回避ということで、例えば、五年延長すると回避できるとおっしゃいますけれども、ここは蓋然性で言ってもらっちゃまずいわけですよ、もし五年延長でリスクが低くなるとおっしゃるんであれば。国民に対して、八%は撤廃するが、国民のリスクは生じませんよということははっきり言えませんよね。どうですか、言えますか。言えるだけの根拠や理由は説明できるかできないか。最後に伺います。だれでも結構です。
上田(勇)議員 期間を延長するというのは、まさにリスクを軽減するということでありますので、それは売却可能な期間が長ければ長いだけ有利な条件を見つけることも確率としては高くなるわけでありますので、そういう意味では、確率としてのリスクを軽減することができるということでありまして、今後の市場の価格の動向をあらかじめ予測することは困難であるというふうに思っております。
植田委員 明快な御説明で、この法案が関係者からの要望でつくられたんだな、それだけが今回の立法動機だったんだなということだけ十分確認できました。
 終わります。
小坂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表し、与党三党提案の銀行株式保有制限法に反対する討論を行います。
 一昨年来の銀行株式取得機構の設立、買い入れ対象の拡大について、我が党は一貫して反対してまいりました。それは、銀行株式取得機構による株式買い取りが、銀行の株式損失リスクを国民に肩がわりさせ、株価変動による自己資本比率低下を公的資金で支えるものだからであります。
 本改正案は、政府が国民負担最小化の方策として位置づけていた売却時拠出金さえ廃止し、株式の損失を全面的に国民に負担させる仕組みとしています。事業会社保有の銀行株の買い取り上限の引き上げも、国民負担の拡大につながるものであります。
 今回の改正案は、提案者が答弁で認めたように、銀行業界からの要請のみを受け入れてつくられたものであり、国民には一方的にリスクだけを押しつけるものであります。公的資金による大銀行支援強化策である本改正案は、到底認めることはできません。
 機構設立の法案審議の際、政府は、国民負担を極力回避するため、一般勘定を買い取りの主体とすること、買い取り開始に運営委員会の議決を要することなど、諸方策をとったと説明していました。しかし、機構発足後の実績は、一般勘定はわずか一件、特別勘定は事実上開きっ放しという、政府の説明とは全く逆さまの実態になっています。
 さらに、銀行株式保有制限が機構設立の理由であったにもかかわらず、保有制限をクリアした銀行からも無制限に買い取ることが可能となっており、銀行側も活用を表明しています。
 このような機構の野方図な実態は、一たん公的資金の道を開けば、銀行業界が安易に寄りかかり、歯どめのない銀行支援になることを示しています。今回の改正案は、このような銀行のモラルハザードに一層の拍車をかけるものであります。
 政府・与党は、今回の改正案を株価対策だとしておりますが、公的資金による株価操作は、公正な市場の形成をゆがめ、株価対策として何の効果もありません。経済の実態を回復させることなしに、公的資金で株価を買い支える政策は、根本的に誤りであります。
 以上の理由から、本法案には反対であるということを表明し、反対討論といたします。(拍手)
小坂委員長 植田至紀君。
植田委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、本法案に反対する立場から討論を行います。
 銀行等株式保有制限法は、その立法事由は、銀行のリスク管理の面から、銀行等の保有している株式等の保有を制限するとともに、その実施に伴い市場に集中的に放出されるであろう株式の円滑な処理を図るため、機構を設置したものであります。立法の趣旨があくまでも保有株式の制限にあることは、政府答弁からも明らかであります。
 しかるに、本改正案は、法制定時には明確に否定した事業法人の保有株式の買い取りを一転して認めた、当初の立法趣旨をたがえた前回の改正案、現行法の延長線上にあるばかりか、売却時拠出金を撤廃することで、銀行負担を国民負担に転嫁する仕掛けをつくったものであり、二重の意味で、制定当初の趣旨をないがしろにしたものと言わざるを得ません。
 以下、反対理由を申し述べます。
 第一に、売却時拠出金の八%条項の撤廃についてでありますが、そもそも、売却時拠出金というのは、国民負担最小化の方策として盛り込まれたものであります。しかし、改正法案のように、売却時拠出金を撤廃した場合には、機構が買い取った株式から損失が生じたときには、国民負担で穴埋めされざるを得ない、これは否定できません。
 また、法制定時において、当時の柳澤大臣は、国民負担につながる政府保証枠を担保した特別勘定は最後の手段と答弁しておりますが、改正案のように、売却時拠出金を撤廃するということは、債務超過が出た場合に、頼りになるのは、確実に国民負担につながる政府保証の枠だけとなってしまって、そもそもの法制定時の問題意識からも逸脱しています。
 第二に、事業法人の保有している銀行株を取得できることを定めた現行法では、銀行に売却時拠出金を求めるかわりに、事業法人から買い取る場合には、株式の買い取り価額について、二分の一の範囲内として、公共性の高い銀行と一般事業法人の関係について差異を設けています。
 しかし、改正法案のように、銀行に八%の拠出金を求めないことになると、銀行と事業法人の差異がなくなってしまい、前回改正法案提出の際の趣旨説明と異なることとなってしまいます。しかし、その点について、提出者からは何ら説得力ある答弁は得られませんでした。
 第三に、取得機構の存続延長についてでありますが、機構はまだ、設立、事業開始からおよそ一年半しかたっておりません。改正法案によれば、五年間と二カ月の延長ということですが、その理由について、リスクの分散以外には説明はなく、到底納得できるものではありません。そもそも、取得機構の存続期間の延長と拠出金の廃止や買い取り価額制限の緩和というものは、本来、次元の異なるものであります。
 第四に、株式を売却する側にとっても、株価動向を見ながらできるだけ市場への売却を考えるのが合理的であり、実際、この間の状況を見れば、市場への売却も伸びています。
 機構による事業法人の保有している銀行株買い取りについては、事業開始からほぼ一年たった今日に至ってもほとんど実績がない中で、拠出金の廃止や価額制限の緩和を行ったぐらいで、飛躍的に実績が伸びることもないでしょう。マーケットの評判も芳しくなく、銀行等も積極的に活用するとは考えられず、本来であれば、取得機構の役割は終わったものであると認識すべきが至当ではないかと考えるものです。
 以上の理由により、本改正法案には反対いたします。
小坂委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
小坂委員長 これより採決に入ります。
 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小坂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
小坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十六分散会


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