衆議院

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第3号 平成16年1月14日(水曜日)

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平成十六年一月十四日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 鈴木 俊一君 理事 萩山 教嚴君

   理事 村井  仁君 理事 山本 明彦君

   理事 永田 寿康君 理事 平岡 秀夫君

   理事 松本 剛明君 理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    江藤  拓君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      七条  明君    田中 英夫君

      中村正三郎君    西田  猛君

      早川 忠孝君    林田  彪君

      原田 令嗣君    船田  元君

      宮下 一郎君    渡辺 博道君

      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君

      井上 和雄君    生方 幸夫君

      楠田 大蔵君    小泉 俊明君

      佐藤 観樹君    鈴木 克昌君

      鈴木 康友君    高山 智司君

      中津川博郷君    中塚 一宏君

      計屋 圭宏君    吉田  泉君

      遠藤 乙彦君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣政務官      七条  明君

   参考人

   (株式会社足利銀行元取締役頭取)         日向野善明君

   参考人

   (中央青山監査法人理事長)            上野 紘志君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月十四日

 辞任         補欠選任

  熊代 昭彦君     船田  元君

  谷川 弥一君     早川 忠孝君

  山口 泰明君     渡辺 博道君

  仙谷 由人君     楠田 大蔵君

  達増 拓也君     高山 智司君

  漆原 良夫君     遠藤 乙彦君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     谷川 弥一君

  船田  元君     熊代 昭彦君

  渡辺 博道君     山口 泰明君

  楠田 大蔵君     仙谷 由人君

  高山 智司君     達増 拓也君

  遠藤 乙彦君     漆原 良夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 金融に関する件


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 本日は、参考人として、株式会社足利銀行元取締役頭取日向野善明君、中央青山監査法人理事長上野紘志君、以上二名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。

 次に、議事の進め方といたしましては、初めに委員会を代表いたしまして委員長から総括的に質疑を行い、次いで委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。

 それでは、まず、委員長から質疑を行います。

 日向野参考人にお伺いいたします。

 昨年の十一月二十九日、足利銀行は、いわゆる第三号措置に係る認定と同時に特別危機管理開始決定を受けましたが、この認定及び決定を受けるに至るまでの同行の経営状況について御説明をお願いいたします。

日向野参考人 足利銀行の元頭取の日向野善明でございます。

 委員長の御質問にお答えする前に、一言おわびを述べさせていただきます。

 足利銀行は、平成十五年十二月二十九日、内閣総理大臣より預金保険法第百二条一項三号の認定を受けることになりました。特別危機管理銀行として預金保険機構に株式が移転され、一時国有化という形になりました。このような事態に至りまして、まことに国民の皆様、地元の皆様、特に株主の皆様には大変御迷惑をおかけして、心からおわび申し上げます。申しわけございませんでした。

 それでは、このような事態に至った経緯を御説明させていただきます。

 足利銀行は、経営の健全化に資するため、収益力の増加、それからたび重なるリストラを繰り返し、体力の増強に努めてまいりました。これにより、平成十五年三月期は、年間四百八十五億の実質業務純益を獲得することができました。また、さらに平成十五年九月期には、二百七十五億の半期での実質業務純益を稼ぐことができました。年間五百億近い業務純益が稼げる体質になった、かように確信をしているわけでございます。

 しかしながら、九月の中間期におきまして、先般の金融庁検査を踏まえ、不良資産を計上し、さらには繰り延べ税金資産を一切認めないという突然の話が監査法人からございまして、千二十三億円の債務超過、マイナスとなったわけでございます。

 まず、金融庁検査の経緯を申し上げたいと思います。

 先般の金融庁の検査は非常に厳しいものでございました。足利銀行は、もとより、地元の企業の支援、再生ということをリレーションシップバンキングの第一目標として掲げ、活動をしてまいりました。しかしながら、今回の金融庁の検査では、我々の受ける感じでは、バランスシート、損益計算書など一連の数字を追っただけで、いわゆる地元企業に対するアプローチという点をなかなか見ていただけなかった。意見申し出書まで出していろいろ意見のすり合わせを行いましたが、意見がすり合う部分が少なく、かなりの引き当ての増加になったわけでございます。

 次に、繰り延べ資産について申し上げます。

 監査法人とは、金融庁の検査と並行しまして、九月の半ばごろから、繰り延べ税金資産の問題についてもたびたび話し合いを続けてまいりました。九月以降何度も繰り延べ税金資産を減らすことができないかという打ち合わせの中で、とりあえず十一月の二十六日までの時点では、千二百八億という形で繰り延べ税金資産の計上でいこうという形で、地元に来ていました十人余りの中央青山監査法人さんの会計士の方とお話し合いを続けてまいりました。

 しかしながら、突然、十一月二十七日になりまして、繰り延べ税金資産は一切認めないという形を宣告されたわけでございます。監査法人と二カ月余りもこの問題についてすり合わせを続けていながら、途中何の報告もなく、何の連絡も協議もなく、一夜にして、繰り延べ税金資産を認めない、こういう返事が来たわけでございます。

 金融庁の方からは、繰り延べ税金資産を認めないと言われた同じ二十七日に、夕方、検査結果が出ました。そして、あわせて、二十四条報告のもとで、早目に損益計算書、決算を締めろ、こういう指示がございました。

 私どもは、繰り延べ税金資産を認めてもらえないと債務超過になっちゃうわけでございますので、何とか監査法人にお願いを続けておりましたが、監査法人の方は、次の日も意見を変えていただけませんでした。金融庁からは早く決算を締めろという指示が何回もございまして、結果的には、やむなく債務超過で決算をとり行うようなわけになった次第でございます。

 以上、経緯についての概要でございます。

田野瀬委員長 どうもありがとうございました。

 次に、上野参考人にお伺いいたします。

 監査法人から見た足利銀行の財務状況について、九月中間決算において監査法人として繰り延べ税金資産の計上を認められないと判断した理由も含めて御説明をお願いいたします。

上野参考人 中央青山監査法人の理事長上野紘志でございます。

 お答えいたします。

 私どもが足利銀行の監査を担当させていただいたのは、平成二年度、一九九一年三月期からであります。その当時、足利銀行は、栃木県内だけではなく、首都圏においても、不動産融資を中心とした積極的な営業展開をされていた時期であったと認識しております。

 バブル崩壊後、その融資が不良債権化していくことによって、財務状況は悪化してまいりました。また、それに伴って、繰り延べ税金資産の計上額も、自己資本と比較して高い水準で推移してきたものと理解しております。そのような状況のもと、監査法人としても、貸出金に対する償却、引き当て及び繰り延べ税金資産の計上額の妥当性について特に留意して監査を実施してまいりました。

 平成十五年三月期決算においても、繰り延べ税金資産の計上額の妥当性について慎重に検討した上で、最終的には銀行案を認める意見を表明いたしました。ただし、万一将来の課税所得の見込みが実現できない場合には、繰り延べ税金資産については相当の減額を実施することを確約いたしますとすることなどが記載された経営者確認書を御提出いただいておるところでございます。

 十五年九月期においては、九月から十一月にかけて、十五年三月期を対象とした金融庁検査が行われ、その結果が十一月下旬に判明いたしました。当局検査の指摘を反映した中間決算案によりますと、当中間決算期に多額の損失が発生し、前期に比して自己資本比率が著しく低下し、企業としての継続、すなわち継続企業の前提に重要な疑義が存在する状況に至りました。また、その自己資本の水準は、繰り延べ税金資産を算定する上でわずかな見積もりの変更によって債務超過に陥るほどの脆弱な状態となっておりました。

 さらに、業務改善命令を受けて九月に見直された経営健全化計画について、初年度において既に達成できない状態にあり、償却、引き当ての見積もりを含む将来の利益計画の実現の可能性について重要な疑義が生じております。

 このような状況において繰り延べ税金資産の回収可能性を合理的に見積もることは困難であり、これらを総合的に見て、十一月二十六日時点において、繰り延べ税金資産を計上することは困難であると判断いたしました。

 当法人といたしましても、今回の措置が栃木県経済及び栃木県にお住まいの皆様へ大きな影響を与えることは十分認識をしておりました。しかしながら、私ども監査法人に課せられた任務は、会計基準及び監査基準に従い、公正不偏の立場から財務諸表の適正性に関する見解を申し述べることにあります。このことにつきましては何とぞ御理解を賜りたくお願い申し上げます。

 以上でございます。

田野瀬委員長 どうもありがとうございました。

 以上をもちまして委員長からの質疑を終わります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。船田元君。

船田委員 委員の差しかえによりまして発言の機会をいただきましたことをまず感謝いたしたいと思います。

 私ども栃木県、選挙区でございますが、北関東に位置しております。北関東の冬はほかの地域に比べて結構寒い地域でありまして、ことしの冬は特にその冷え込みが厳しい状況であります。これはもう言うまでもなく、足銀破綻のショックが地元経済や企業を直撃しておりまして、今後、信用収縮あるいは経済活動の縮み込み、さらには今後行われるであろう不良債権処理の加速化による連鎖倒産など、目に見えない大きな不安におののいている、これが現状であります。

 あわせましてもう一つ、足銀の破綻に至るまでのプロセスが明確でない、矛盾点がある、こういう点を我々は非常に問題視しております。なぜ繰り延べ税金資産が突然全額否認をされたのか、このようなことを中心として、株主はもちろんでありますが、県民みんな、疑問と憤り、今なお残っております。

 例えば、一月の五日に地元宇都宮で行われました新年賀詞交歓会。宇都宮の商工会議所会頭簗郁夫氏が、この方はふだん非常に穏やかな人物でありますが、新年のあいさつにもかかわらず、このような表現をいたしました、県民の誇りと自尊心が傷つけられた。極めて重い言葉であります。穏やかな人物がこれほど厳しい口調で述べるほど県民の感情、県民の怒りが頂点に達している、こういう状況であります。本日の質問を通じ、我々の疑問、憤りに少しでも回答を得たいという気持ちでいっぱいであります。

 そこで、日向野参考人にお尋ねします。

 お会いしたのは久しぶりです。十一月のたしか十一日、選挙の二日後でございますが、あのとき以来であると思います。あのとき、あなたは、足銀は絶対大丈夫だ、業務純益も確実にふえ、営業には何の不安もない、ただ、株価が操作をされ、風評被害が心配である、ぜひ温かく見守ってほしい、そのような話でありました。私も、うわさがいろいろございましたから、それはもう頭取がそこまでおっしゃるならばということで、実は安心して席を辞したわけでありますが、それから二週間、全く予期せざる事態が発生をいたしました。

 まずお尋ねしたいのは、株主責任が問われているということであります。

 九九年、優先株増資四百二十八億、二〇〇二年、普通株増資二百九十九億、合わせて七百二十七億円という多額の増資を、地元の民間企業あるいは自治体、個人、県外も含めてやったわけであります。そして、その多くは、決して金もうけではなく、足利銀行に何としても頑張ってもらいたい、体力を取り戻してほしい、そういう善意の増資であったはずであります。

 また、一部では、支店長を先頭にして、かなり厳しい勧誘、あるいは追加融資の条件としてこの株を買ってほしい、そういう話も私は地元を歩いておりましてあちこちで聞いている状況であります。

 参考人にはまず、この善意の株主の行為が無になってしまった、ほとんど無価値になってしまった、このことに対する当時の経営責任者としての反省の言葉をぜひとも聞かせてもらいたいと思います。

日向野参考人 まず、先ほどの委員長からの御質疑に対する答弁の中で、一部数字を私間違えてしまいましたので、訂正させていただきます。平成十五年九月の中間期決算における実質業務純益は二百七十五と言いましたが、二百七十二億でございます。訂正させていただきたいと思います。

 それから、今の質問、株主責任でございますが、株主の皆様には、株が、価値がほとんどなくなったということで、非常に申しわけなく思っております。本当に何と言っておわびしていいかわからないほどでございます。特に、今船田先生がおっしゃられたように、足利銀行の株主となっている方は、利益のために買ったのではなくて、投機のために買ったのではなくて、足利銀行を何とかしようとしてくれた、足利銀行を手伝おう、足利銀行を助けようとしてくれた人たちの株主がほとんどでございます。こういう人たちの株主に対して、本当に、こういう結果になって申しわけなく思っております。何と言って謝ったらいいかわかりません。

 株主責任が問われるべきではないと私は思うわけですが、結果としてこういう形になってしまいまして、後の経営者、新しい経営者が決まりましたので、後の経営者にお願いをしまして、地元経済がさらによくなるように、企業再生がさらに図られるようにお願いをしたばかりでございます。

 株主の皆様には本当に申しわけなく思います。申しわけありませんでした。

船田委員 率直な気持ちを語ってもらったと思いますけれども、新経営陣、スタートしておりますけれども、当然、管理下に置かれた足銀としても、なお融資を続ける、さまざまな業務を行うということはあるわけでございますので、ぜひ日向野参考人からも、新経営陣に対して、この善意の株主に対する今後の対応ということを、足銀のできる限りの力で保護していく、これをぜひともお願いしたい、こう思っております。

 次に、同じく日向野参考人にお尋ねいたしますが、これまでバブルの崩壊以後、足利銀行としてはさまざまな経営改善計画を実施してきたはずであります。特に二〇〇一年夏以降、プロジェクトAということで、V字形の回復を目指した経営改善計画がスタートしております。

 人件費の面で、二〇〇一年夏、三百十四億円の人件費があったものが、二〇〇三年三月、昨年三月でありますが、二百四十四億円、これは二割減少しております。それから、人数にしても、三千五百六十三名から二千八百二十九名ということで、行員の数も七百人減らしている。物件費の中で特に支店の数でありますが、これも、最初は百三十支店あったものが、昨年三月で百一支店に減らしている。こういう努力をしている。これは数字ではっきりしておりますから、確かに認めざるを得ないわけであります。

 しかし、こういう努力をしてもなお今回の事態に至ったということは、あのバブル期に相当なことをやはり足銀自体がやってしまったんだ、そのツケが今回こういう形で結果として来たんじゃないか、私はそう思わざるを得ないんであります。

 日向野元頭取は、もちろん、それ以前の経営者、頭取、それぞれの薫陶を受けながら職務を遂行したと思いますけれども、しかし同時に、今あなたのお気持ちの中で、自分はやったんだけれども、我々の前の経営者の一部に、バブルに踊ってしまった、そういう時代があった、そのあたりのことを、先ほども大分率直に委員長の質問に答えておりますけれども、どうぞ率直に、過去の経営の状況がどうであったか、そして、あなた自身、そのツケを自分自身が背負わせたということについてどのようにお考えであるか、率直に述べてもらいたいと思います。

日向野参考人 プロジェクトAにつきましては、私は私なりに、成果が上がったものではないかと思っております。

 今先生がおっしゃられたように、経費面では、リストラにリストラを続け、もちろん役員から若い行員まで給料の下げ、ボーナスをゼロ回答、いろいろな形で減らしてきましたし、物件費におきましても減らしてきました。リストラ面においては、経費率と言われるOHRは、さきの平成十五年の三月期には五二%程度でございましたが、この九月期には四八%と、五〇%を割っております。この経費率は地銀の中でもトップクラスだと私は自負しております。

 あわせて、収益力につきましても、先ほど申しましたとおり、年間、この十五年の三月期には五百億近い、四百八十五億、実質業務純益が出ました。それから、この九月には、先ほど訂正させていただきましたが、二百七十二億、半期で出まして、五百億を稼げる体力がついた。プロジェクトAは間違っていなかったんだというふうに思っております。

 しかしながら、こういう事態に至りました。このことは、我々の先輩、後輩、同僚、そして地元の人たち、皆様に本当に申しわけない気持ちでいっぱいでございますが、過去の人たちの責任につきましては、恐らくそれぞれの立場でそれぞれの時期にそれぞれやるべきことをやったんではないか、まあやり過ぎた面もひょっとしてあるのかもしれませんが、それは結果的にこうなったんだということだと思っております。

 過去の経営責任につきましては、新しい経営陣のもとで調査委員会が開かれるようでございますので、そこでいろいろな点が明らかになってこようかと思っております。

 以上でございます。

船田委員 今の御答弁の中に、多少やり過ぎた面があったかもしれない、こういうお話だったんですが、もうちょっと具体的にその辺、まあ人を特定するのは私もやりたくないんですけれども、ちょっとお話しいただけませんか。

日向野参考人 だれがどうのと言うつもりはありませんが、不動産投資、ゴルフ場の投資など、やはり他行よりも多かった面がある部分も一部あろうかと思います。

船田委員 ここは証人喚問とかいう場じゃありませんのでこれ以上は追及いたしませんけれども、多分日向野参考人も、私の頭の中にも、ある特定の人物が、多分共通の人物だと思いますが、そのような状況があった。そして、それは、今後の新経営陣の中での調査委員会というんでしょうか、調査する部門ができるようでありますので、そこでやはりみずから問題をさらけ出して、そしてきちんと我々県民あるいは国民の前に、ここがこういうふうにいけなかった、このことをはっきりとおっしゃる、これがとても大事だと思いますから、ぜひ実行していただきたいというふうに思っております。

 次に移ります。

 日向野参考人、続けてで恐縮でございますが、破綻に至る経緯について先ほどもお話をいただきました。実は、どうもやはりこの時間の流れが余りにも速過ぎたというか短過ぎたというか、そういう印象を私は強く持っております。

 十一月二十七日の夕方、金融庁から、三月期決算に対する検査結果が通知をされております。そして、その後、十一月二十九日、九月期中間決算を報告するまでの時間、四十八時間、あるいはもっと短かったかもしれません。この非常に短い時間の間に回答しなければいけない、こういう状況でありました。

 先ほど参考人は、金融庁から早くしろと何度も催促をされた、こういうお話がありましたけれども、その辺、この決定というのは極めて栃木県民の経済、生活に非常に大きな影響を及ぼすことになりますので、これを決めるのに余りにも時間が短過ぎたんじゃないか、そして、出さなきゃいけなくなったのは、やはり金融庁からせっつかれたんじゃないか、こういう疑いを我々も非常に強くしております。

 もう一度この経緯について詳しくお話をください。

日向野参考人 先ほども少し述べさせていただいたんですが、二十七日から二十九日までの経緯を少し話させていただきたいと思います。

 先ほどお話ししましたとおり、十一月の二十七日の十時過ぎに中央青山監査法人さんの代表社員が見えまして、繰り延べ税金資産は一切認めない、そういうお話がありました。それ以来、監査法人とは何度も何度も交渉し、私も出向いて、考え直してもらいたい、審議会を開いてほしい、こういうふうに話しましたが、その間、時間はたつばかりでございました。

 二十七日は、あわせて、夕方の五時に、金融庁から検査結果の通知をもらいました。そして、検査結果の通知とともに、銀行法二十四条による報告を求められまして、これには、速やかに監査法人と協議の上決算書を出すようにという一文が載っております。これは、速やかにとはどういうことですかと言いましたら、ともかく早くだと。できれば即刻、遅くても一両日、こういうようなお話でございました。監査法人と交渉をしているので待ってほしい、こういうふうに金融庁にも頼んだんですが、これは待てないということになりました。

 我々としましても、預金の流出がそのころ少し出ておりました。また、金融庁は業務を、いろいろ執行を停止させる権限も持っておりますし、いろいろなことを考えまして、二十九日の日に取締役会を開きまして、債務超過のまま出さざるを得ない、こういう結論に至って、泣く泣く決算書を出した次第でございます。

 不本意だったわけですが、時間がありませんでした。金融庁からの督促もあり、監査法人の答えが覆らない、こういう二面のもとで苦渋の決断をしたわけでございます。

船田委員 それと、一月の九日、あしぎんフィナンシャルグループ株主説明会が、たしか宇都宮市の文化会館であったと思います。実は私のやっております学校法人もその株主の一人でございましたので、これは本当に頭にきたことでございますが、そのときに、あなたはこういう話をしています。金融庁から、早く決算書を提出しないと銀行を開業させないようにするぞとおどされた、このように発言をされております。これは新聞記事にもなっているわけでございまして、確かなことであろうと思います。

 このようなことをそのときおっしゃったかどうか、確認をしたいと思います。

日向野参考人 先日の株主説明会ではそのようなことを言ったかもしれませんが、現実に物すごい疲労の中、ばたばたしている中で、言葉じりまでは的確には覚えておりませんが、私個人としても、預金が流出する中、金融庁のサポートがないままではやっていけない、こういうような、二十六条の状況も考えられると私自身も経営陣も考えたのも確かでございます。

 言葉じりについてはちょっと確たるものはないわけですが、早くしてください、早くして、早くするんだという話は何度も聞きました。

船田委員 言葉じりの問題で、かなり混乱をした現場だったと聞いておりますので、あるいは記憶が薄いのかもしれませんが、ただ、今の御答弁を聞いても、要するに、金融庁からとにかく急げと、とにかくせっつかれた、そういう気持ちはあったんですね。そのように理解してよろしいですね。では、そのように理解をさせていただきたいと思います。

 次に、やはり繰り延べ税金資産の扱いということで、あなたは十一月二十九日の深夜の記者会見でこういうふうにおっしゃっております。今まで五年分の計上を認めていたのに、全額否定するのは非常に遺憾に思っている、二十七日に突然言われ、どうしてなのかという気持ちになったということでございました。また、別の場所では、中央青山監査法人が豹変をした、このような表現も使っています。

 しかし、一方で、公認会計士協会の奥山章雄さん、会長ですね、これは中央青山の代表社員さんでもいらっしゃいますが、十二月九日付日経のインタビュー記事の中でこういうふうにおっしゃっています。銀行の方が検査結果を受け入れた、地方銀行は金融庁のプレッシャーに弱いのだろうという表現です。この真偽は、私、新聞記事でございますから最終的に確認をしたわけではありませんが、日向野参考人は、この奥山会長の言葉に対して何か言うことはございますか。

日向野参考人 検査結果を受け入れたというのは、受け入れざるを得なかったということと、先ほど来申しましたとおり、預金の流出が少し続いておりました。それから、マスコミがいろいろな形で、毎日のように新聞をにぎわせておりました、雑誌にも出ておりました。いろいろな形で、地元の動揺があるということ、こんなようなことも背景にはございまして、そして、金融庁の催促のもと、会計士が結論を変えない以上、出さざるを得ないという形で出したわけでございます。

 検査結果を受け入れたからということは間違っておりまして、検査結果は確かに受け入れましたが、検査結果を受け入れても債務超過ではありませんでした。検査結果を受け入れて引き当てをふやしたとしても、何百億かの資本金は残っておりましたので、債務超過ではありませんでした。最終的には、繰り延べ税金資産が、二カ月にわたって打ち合わせをしたにもかかわらず、一夜にして、全額認められないと、それで千三百八十七億円取り崩さなくちゃならない、ここで債務超過になったわけでございます。

船田委員 そうしますと、銀行側としてはその検査結果を受け入れたというのではなくて、中央青山監査法人が繰り延べ税金資産の全額否認、そこにやはり最大の原因があった、こう考えてよろしいですね。

日向野参考人 私が申したいのは、二カ月間にわたって、代表社員を何人も含め、ピークは十人以上の人たちが足利銀行に来て中央青山監査法人が監査をされたわけでございます。そしてまた、我々サイドに立って、金融庁に対する対応の仕方、アドバイスなどもいただいて、信頼をしていたわけでございます。それが九月下旬からでございまして、十一月の二十六日までそのスタンスでずっと続いておりまして、千二百八億で最終的には九月の繰り延べ税金資産を計上しようねという打ち合わせまでできていたわけでございます。その間に、途中に何ら説明もなく、一夜にして変わってしまった、これが私にとっては返す返すも残念でたまらない点でございます。

船田委員 これ以上日向野参考人を追い詰めてもいけないかなと思っておりますので、上野参考人の方にお話を移したいと思います。

 大分日向野参考人から率直な御意見を、あるいは経過の説明をしてもらいまして、上野参考人としてもお話をしたいことがいろいろあると思いますが、時間もありませんので絞りまして、十一月二十六日の夜に行われたとされる監査法人の内部の審査会、これがやはりすべてのかぎを握っているんじゃないか、こう私は思っております。繰り延べ税金資産、全額認めない、これが突然話として出たのがこの審査会である、このように聞いておりますが、上野参考人、この審査会のやりとり、できる限りお話をいただきたいと思います。

上野参考人 私どもが豹変したということを頭取がおっしゃられていますが、私ども、この繰り延べ税金資産についてかねてから銀行に対して申し入れたこと、それから、今回の繰り延べ税金資産を認めないということに至った経緯をちょっと説明させていただきます。

 十五年の三月期、この三月の意見表明に当たって、繰り延べ税金資産について審議会に付議して、その審議会の結果、三月期においても、これを認めることについていろいろな判断をした上で計上を認めたということについて十分に御説明をいたしました。

 直近においても、銀行案は現時点で、銀行案と申しますのは、繰り延べ税金資産を千二百億円計上するという、その銀行から提案された計算書類を承認したわけではなくて、あくまでもこれは法人としての審議会で決定された上で判断されるということと同時に、あわせて、法人内に、この九月期における繰り延べ税金資産の計上に非常に厳しい意見もあるということを御説明申し上げました。審議会は、まさにこの繰り延べ税金資産の計上をめぐって、認めるか認めないかということについて非常に激しいやりとりがありました。

 当法人の最終見解をお伝えしたのは二十七日になりましたけれども、こうした、予断を許さないという状況については銀行側には何度もお伝えして、十分認識していただいており、その計上を当然のごとく前提としているということについては私ども全く申し上げておりません。

 繰り延べ税金資産の計上が困難であるという理由については、冒頭申し上げましたように、当中間期に多額の損失が発生して自己資本比率が著しく低下したこと、したがって継続企業としての前提が成り立たないのではないかという疑念がある、また、繰り延べ税金資産を算定する上でわずかな見積もりが変化することによって債務超過に陥ってしまうというような脆弱な資本状態になっている、さらに、償却、引き当てを含む将来の利益計画の実現性について重要な疑義がある、このような状況において繰り延べ税金資産の回収可能性を認めるということは審議会としてやはり困難ではないかということを議論しまして、これを二十七日にお伝えしました。

 豹変ではなく、事前に私どもは、繰り延べ税金資産の計上が非常に厳しい状況にあるということについては前もって御説明を申し上げていた、こういうふうに理解をしております。

船田委員 今の御答弁を聞いておりますと、日向野参考人との食い違いがどうもやはりあるな、こう思います。事前に、千二百億円、繰り延べ税金資産は多分大丈夫だろう、こういうことで監査法人と話をしていた、ところが、急にそうでなくなった。上野参考人からは、いや、それはそうじゃない、事前に、計上はかなり厳しいよ、難しいかもしれないよ、そういうことを何回も言っている。これではちょっと話が合わないですね。これは非常に困ったことであります。

 公認会計士法の守秘義務というのがあると思います。だから、それを出せといってもそれは無理かもしれませんが、できれば、私は、この審査会でどういう議論があったか、これをぜひ、議事録があるのであれば、それを自発的に出していただくということが必要じゃないかと思いますが、上野参考人、いかがでしょうか。

上野参考人 議事録の提出については、御指摘のようにできるかどうか、持ち帰りまして検討させていただきます。

 ただ、見解の相違と申しますか、頭取の言っていることと私の申し上げていることに差異があるというのは、私どもは、先ほど申し上げましたように、三つの理由から繰り延べ税金資産の計上を認められない、こういうふうに判断したということを二十七日に申し上げました。しかし、それを申し上げる前提として、我々は、既に、この千二百億円の繰り延べ税金資産を計上する中間の計算書類が、非常に資本が脆弱であり、継続企業としての前提に疑義がある、さらに、利益計画の達成の可能性について疑問があるということでこうした判断をさせていただきました。この判断の根拠については、私は銀行側にも納得していただいているものというふうに思っております。

船田委員 もう時間も来ましたんですが、最後に、今、上野参考人は検討するということですけれども、やはり審査会の議事録を、あるのであれば、きちんとみずから出していただいて、そして、公認会計士に対する県民、国民の信頼、私は一時的に崩れていると思います。これをぜひ出していただいて、身を晴らしていただくというんでしょうか、こういうことであったということで我々を納得させていただきたい。そうでないと、やはり我々県民の怒りも全然おさまらない、こう思っております。

 場合によっては、今、足銀の新経営陣の中でも、あるいは地元の自治体においても、あるいは株主においても、これはやはり黙っていられない、訴訟を起こすかもしれない、こんな動きもあるやに聞いております。私はなかなかそれは厳しいなと思っておりますけれども、でも、場合によってはそういうことも考えられるわけであります。

 きょうこれだけの議論をしても矛盾点が幾つか出てきましたので、ぜひこれからもその矛盾点を晴らすために、少なくとも、上野参考人には、その議事録を提出していただく、このことを強く要望いたしまして、参考人に対する質疑といたします。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 遠藤乙彦でございます。

 日向野また上野両参考人は、大変お忙しい中御出席をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の足銀破綻処理の問題は、地元の栃木県を中心に甚大な被害をもたらすとともに、また、今後の我が国の金融システムのあり方、特に地銀のあり方について大変重大な影響を及ぼす問題であると認識をいたしておりまして、ぜひ両参考人には率直な御意見の表明をお願いしたいと思っております。

 特に、足銀についてはやはり何といっても経営責任の問題、それから、監査法人については監査の信頼性という問題、この二つが大きな焦点であると思っております。

 既に足銀の経営責任の問題につきましては船田委員の方から十分に質問され、お答えがあったと思いますので、重複を避けていきたいと思っておりますが、日向野参考人の場合には大変ある意味では同情すべき立場にあると私は思っておりまして、過去の膨大な不良債権、いわば負の遺産を背負った中で頭取に就任をされて、結果的に敗軍の将になってしまったということで、大変お気の毒な立場であると私は個人的には同情を禁ぜざるを得ません。

 しかし、足銀の問題を振り返ると、一番大きな背景には、バブル期以降の融資拡大路線、リスクの要因を十分に考慮しないままやみくもに融資拡大に走った、それが何といっても最大の背景にあると思っております。先ほど御答弁がありましたけれども、この点について、過去の経営陣の責任、特にやみくもな融資拡大路線について、日向野参考人個人としてどういったお考えをお持ちか、改めてお聞きしたいと思います。

日向野参考人 先ほどもお話を差し上げましたが、過去の責任問題ということにつきましては、それぞれの人がそれぞれの時期にそれぞれ自分で考えて、ベストだと思う方法で走ったのではないか、かように思います。その結果、過剰な部分も中には出てきたかもしれませんし、やらなければ他行に追い抜かれる、こういうような部分も出てきたでしょうし、いずれにしろ、過去の責任につきましては、新しい経営陣のもと、調査委員会ができるようでございますので、それに任せてみたいと思います。

遠藤(乙)委員 続いて、監査法人、上野参考人に御質問いたします。

 三月期の決算について、中央青山監査法人は、監査の結論として、四・五四%の自己資本、そして適正であるという結論を出されております。これに対して、金融庁のその後行った検査は、二百三十三億円の債務超過という結論に達しております。同じ一つの三月期の決算というものに対して、いわば合格と不合格と、大きな違いがあるわけでありまして、これは一体何なのかというのが素朴な疑問でございます。

 特に、監査法人の適正という意見については、その後、地元でも多くの方が、そういったお墨つきを信頼して株を購入した人もたくさんいるわけでありますから、こういった問題に対しても大変大きな責任があるのではないかと私は思っております。

 そもそも、この三月期決算に対する監査法人の適正という結論と、それから金融庁の二百三十三億円の債務超過という、非常に大きな隔たりのある見方は一体どういうことなのか、監査法人の方にお聞きしたいと思います。

上野参考人 監査と検査の違いは、この制度、それから目的というものが、全く基盤が異なっているというふうに思います。

 監査は、公認会計士または監査法人が、銀行との契約に基づいて、銀行の財務諸表の適正性に関して意見を表明するということを目的として行っております。対して、金融庁の検査は、当局が、銀行法に基づき、金融システムの安定化という見地から、金融機関の業務の健全性を確保するために行うものであるというふうに認識しております。

 また、監査は、決算確定前の段階で、法定期限内に行われるのに対して、検査は、通常、決算が確定後相当期間を経過した後で事後チェック方式で行われるため、判断する時点が異なっております。そして、この当局の事後検査の結果は、前決算期に遡及して決算を修正するというものではなく、銀行みずからが次の決算ないし中間決算にこれを反映させまして、それを再び監査人が監査する、こういう枠組みで検査制度と監査というものが仕組みとして成り立っているというふうに思います。

 当法人は、当行の十五年三月期の決算は会計基準に準拠して適正になされており、当法人の監査も適正に行われているというふうに考えておりまして、その監査の結果認められた財務諸表について金融庁が検査されて、御指摘のような検査結果を発表した、こういうふうに理解をしております。

遠藤(乙)委員 続きまして、九月期の決算につきましては、先ほど日向野参考人からは、ぎりぎりまで監査チームが派遣されていて、自己資本比率〇・九%、それで繰り延べ税金資産は千二百八億円ということで了解をしていたというお話、説明がありました。

 もしそういった検査が反映されるのであれば、当然このチームの監査の中でそういった意見が表明されるべきであり、注意喚起がされるべきであって、そういったことは足銀側に対して行われたんでしょうか。日向野参考人。

日向野参考人 中央青山監査法人のチームが十人ばかり来ておりまして、そのときは、二カ月、九月の下旬以来十一月二十六日まで、検査結果、金融庁の検査についてのアドバイスと、それから税効果、それからいろいろな決算を処理することで打ち合わせを続けてまいりました。

 税効果につきましては、繰り延べ税金資産につきましては、二十六日の朝まで、審議会にかけるための資料の提出を続けていたわけでございます。審議会は何回か行われていたと聞いておりますが、そのたびに千二百八億の裏づけ資料を送って、お互い確認をし合っていたわけでございます。その間、一切繰り延べ税金資産を認めないとか、一%だから低いからだめだとか、そういう話は一切ございませんでした。

遠藤(乙)委員 監査チームといっても、監査法人の意図、意向は当然代表しているはずであって、全く関係ないわけではない。当然、監査法人の基本的な方針、意向というものは持って監査に当たっているというのが常識的な理解だと思いますけれども、今の日向野参考人のお話を伺いますと、どうもそういうことはなかったように思われますけれども、それは、今の両方から伺った説明とはちょっと食い違うのではないかと思っております。

 この点につきまして、監査法人の内部における審議会とそれからチームの意見、あるいは意思疎通はどういうふうに行われていたのか、その間で、そういう繰り延べ税資産の扱いについてどういう議論があったのか、御説明いただきたいと思います。これは上野参考人にお願いします。

上野参考人 監査法人の意見の形成のプロセスについて申し上げます。

 私ども、代表社員が大体二百五十人少しいる組織でございまして、その者たちが各監査契約ごとに、それぞれの関与する会社の監査を実施しております。しかしながら、監査意見の表明に当たっては、非常に重大な大きな事項、あるいはこの判断に対して関与社員だけでは判断が難しいというような事項については、必ず審議会にかけて、そこで議論をするということをやっております。

 したがいまして、今回のケースにおいては、先ほど来申し上げましたように、かねてから繰り延べ税金資産については重要な審議事項になっておりまして、私どもの足銀に対する、足利銀行に対する監査チームは、この計上が今回できるかどうかについては最終的に審議会の決定事項ですよということはかねてから言い続けておりましたことは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 また、中間決算そのものを最後に私どもが手元に受け取りましたのは十一月の二十六日でございまして、十一月の二十六日に中間の決算案を受け取って、そこで我々は直ちに審議会を開催して、この結果をお知らせした、こういう経緯を経ておることを御理解いただきたいと思います。

遠藤(乙)委員 そうしますと、監査チームとそれから監査法人の審査会とでは大きなギャップがあったのかなというふうに感じます。

 今の御説明では、当然、監査チームの方にはそういった方針は徹底されているというふうに了解しておりますけれども、銀行側に対しては、この九月期の中間決算の監査の過程において、繰り延べ税金資産について疑義がある、問題がある、大きな検討課題だということは、監査チームから説明があったんでしょうか。日向野参考人。

日向野参考人 この問題につきましては、先ほども申しましたとおり、我々としては、ゴーイングコンサーンがなされるものだというふうに感じておりました。

 なぜならば、これは、収益の可能性、収益がだんだん上がってきているということが業務純益の形を見てもわかっておりますし、リストラの効果も出ているということも数字でわかってきております。収益、たまたま十五年三月期は株価の償却で赤字を出しましたが、業務純益はずっと右肩上がりになってきておりましたし、それからリストラも順調に進んでおりました。

 こういうような過程において、なおかつ、三月期に千三百八十七億円計上していた繰り延べ税金資産を九月期には千二百八億円というふうに、業績が上がっているにもかかわらず下げようと努力をした、こういうことは、我々の方に来ていました代表社員を含めた関与社員、それから応援のスタッフ、監査チームの方々と十分話し合って、これでいこうということでございます。この間、一%未満になる、こういうようなことも監査法人は十分知っておりましたし、二十一日以降は正確な数字がほとんど固まっておりました。そこで債務超過ではないという形を我々も確認して、二十七日に突然ああいう申し出になったわけでございます。

 これは、契約に基づくいわゆる信頼性の原理といいますか、告知のこととか我々に対する説明義務とか、いろいろな問題が我々は残っているんじゃないかというふうにちょっと悔しい思いをしております。

遠藤(乙)委員 今の両者のお話を伺いますと、やはり現場のチームと監査審議会との間に大きな意思疎通の欠如があったというふうに思わざるを得ない節があるかと思います。いずれまたこの問題は調査をしていきたいと思っております。

 もう一点、実は、金融庁の三月期検査におきましても繰り延べ税金資産は認められているわけです、九百五十五億円ですか。ということで、たしか金融庁の三月期検査においても繰り延べ税金資産の編入は認められているというふうに理解をいたしておりますが、それを九月期の決算において監査法人が全面否定したということになります。これは重大な路線の転換である、あるいは監査のやり方の転換であると私は感じております。

 それで、監査チーム限りでの判断では、〇・九%、千二百八億円の繰り延べ資産ということで、これは何とかパスするという判断だったというふうに理解をしておりますが、まさに、この自己資本比率〇%をめぐって、ほんのちょっと前後するだけで、別な方式か今回の第三号方式かという大きな違いが出た。特に、銀行にとっては破綻処理というのは死刑宣告に等しいものであって、片や生存に向けて処理がされた、片や死刑宣告だということで、ほんのちょっとの違いをめぐって大変重大な決断を監査法人に与えているということになるわけであって、このシステム自体がいろいろ問題があり得るのではないか、もう少し政治的な判断が、総合的な政治的判断を加える余地が必要ではないかということは前回の委員会でも私は議論したところでございます。

 ところで、今、この審査会が繰り延べ税金資産を全面否定するに至った理由について三つ挙げられたわけでありますけれども、では、その基準は確立された基準なんですか。既にそういった三つの基準が挙げられておりますけれども、これはだれが決めたのかということ、それはまたいわば確立された基準であるのかどうか、この点、監査法人にお聞きしたいと思います。

上野参考人 先ほど申し上げた三つの基準は、我々は、具体的には会計士協会が定めております監査委員会報告六十六号という基準に従って判断をさせていただきました。

遠藤(乙)委員 そうしますと、今後地銀に対しては大変厳しい影響が出るというふうに考えます。本来地銀は、よく言われるリレーションシップバンキングのことで、地元企業と非常に密接な関係を結んでいろいろな事情を考慮しなければならないわけでありまして、それに対して非常に厳しい基準を一律に適用するということは、日本の金融システム、特に地銀に対しては大変厳しい状況をもたらすことになるわけであります。この点は、今後政策的な視点から検討をすべき必要が非常にあると私は感じております。

 もう一点、この具体的な判断に至ったところについて聞きたいんですけれども、先ほど足銀の日向野参考人からは、経営が改善しつつあった、特に三月期から九月期にかけて経営が努力によって改善しつつあって、利益も上昇傾向を示しているという御説明がありました。それに対して、監査法人の方は、利益は実現できないというふうに判断をしたとされておりますけれども、この判断は余りにも予断ではないか、厳し過ぎるのではないかという印象を持ちますけれども、この点はいかがなんでしょうか。

上野参考人 繰り延べ税金資産の回収可能性というものを判断する場合には、単に業務純益だけで判断しておりません。業務純益の確実な達成ということはもちろん非常に大事なのでございますが、最終的に重要なのは将来の課税所得の見込み額でありまして、それは業務純益と同様、償却、引き当てに関する見込みの確実性というものが見込まれなければならないわけでございます。この将来課税所得の見込みが重要であるということについては、先ほども申し上げましたとおり、経営者確認書において前三月期の決算で、私どもは御理解をいただいているというふうに考えております。

 そしてまた、当行の場合、確かに業務純益については改善の方向にありましたけれども、九月に見直された経営健全化計画、これで計画していた課税所得について、既に償却、引き当てに対して相当大きな乖離があり、この将来の課税所得というものの合理的な見積もりに重要な疑義があるというのが私どものこの利益計画に対する評価でありました。

遠藤(乙)委員 今の上野参考人の御説明に対して日向野参考人はどういう見解を持っておられますか。

日向野参考人 先ほど来御説明差し上げましたとおり、一番大きいポイントは、これを返せるかどうかということになります。それはやはり、課税所得、そして実質業務純益によるものではないか、かように思っております。

 先ほど来申しましたとおり、十四年九月の実質業務純益は二百五十二億、それから十五年九月が二百七十二億、こういうように、確実に上がる体質になっております。そして、その上がる体質を確保するために、さまざまな手段を打ったり、地元のためになる企業活性チームをつくったり、温泉場活性チームをつくったり、いろいろなさまざまな手段を講じてきたわけでございます。そして、これが確実にいくかどうかというのはゴーイングコンサーンの大きなポイントとなるという監査法人の指導もありまして、我々は毎月監査法人に、月次の収益がきちんと上がっているんだということを説明を続けてまいりました。

 それにもかかわらず、途中の段階での説明義務は果たせずに、二十七日になって突然言われたわけでございます。

遠藤(乙)委員 双方の御意見を伺うに従って、やはりこの百二条三号処理の問題がむしろ浮き彫りになってきたと私は思っております。前回の委員会でも、法律あって政治なしということを申し上げたわけですけれども、単純な機械的な基準あるいは監査の基準だけでこういった重大な決断をするにはやはり問題がある。そこにどうしても地域の実情や今後のシステムのあり方も含めた政治的判断を加える余地が必要であって、やはりソフトランディングをしっかりやることによって日本経済を最小限の犠牲で立て直すという課題を実現していく必要があるかと思っております。

 時間が十分ありませんでしたけれども、そういった課題が逆に浮き彫りになったというふうに私は受けとめまして、御両人の率直な意見表明に謝意を表しますとともに、ぜひとも今後の審議をまた進めていきたいと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。

 今回は足利銀行問題に関する参考人招致ということで、前頭取と中央青山監査法人の理事長にお越しをいただきましてありがとうございます。お疲れだと思いますが、どうぞリラックスして、本音の心のうちを語ってもらいたいと思います。

 私は栃木県選出ではありませんけれども、東京選出の、下町、江戸川なんですが、新年会を回りまして、東京の銀行大丈夫なのか、足銀どうなるんだ、日本の金融行政どうなるのかと、よく聞かれるんです。ですから、これは言ってみれば、栃木県だけの問題じゃなくて、日本の金融制度そのものの問題だというふうに私は認識しております。特に、この問題においては、市場経済における監査制度の重要性について改めて認識しなければいけないと私は思うんですよ。

 私は常日ごろ、実体経済を知るためには政治家はやはり株を一株でも持って勉強した方がいい、そういうことを申し上げているんですが、その際に、投資家が会社の実態を知る上で唯一のよりどころになるのが有価証券報告書ですよね。公認会計士、監査法人は、企業決算が適正なのかを判断して、適正ならば有価証券報告書に判こを押しますね。これが正式な決算となります。ここに書かれた数字をもとに株や債券が売買されるわけですよ。預金者はお金を預ける。会計士が正しく判断をして初めて市場経済は健全に動く。ですから、公認会計士の皆さんたちは、目立たないけれども、重要な役目を監査法人は担っていらっしゃるということが言えると思うんです。

 そこで、中央青山監査法人の上野理事長に、監査人の責務とは何かというのを、簡単でいいですよ、時間が短いですから、お答えください。

上野参考人 監査人の果たしている責務は、今先生おっしゃるとおり、企業が経済活動を行う、そのビジネスの結果を経営者が計算書類に作成する、そしてそれを公表するという制度の中で、公表される計算書類が会計基準に基づいているかどうか、これを公正不偏の第三者の立場で評価して、証券市場における証券の取引等が適正に行われるというふうなものになるというふうに解釈をしております。

中津川委員 そうですね。今回の足銀の三月期の決算における監査についても、当然ながらその責任を果たしているとお考えですか。はいかいいえでいいですから、答えてください。

上野参考人 果たしております。

中津川委員 ありがとうございます。

 次に、金融庁の金融検査について伺うんですが、十二月五日の東京新聞に、日本公認会計士協会会長である奥山章雄さんのインタビューが出ておりますが、これはたしか青山監査法人の代表社員さんですよね。そこで「金融庁の検査は監査より厳しいのか。」と聞かれて、「監査法人も同じルールでやっている。」と答えているんですね。これは会長の見解と違うことはないと思うんですが、念のために伺いますが、理事長、検査基準は監査基準より厳しいですか。

上野参考人 先ほど先生お尋ねのとおり、我々会計士として会計監査をやっているという立場でございまして、金融庁の検査そのものが厳しかったかどうかということについてはコメントする立場にないというふうに考えております。

中津川委員 それでは、今回の平成十五年の三月期の足利銀行の決算についてお伺いします。

 金融庁は検査において、監査における不良債権の認定が甘く、引当金が十分積まれていなかった、こう指摘していますね。自己査定では、不良債権は第三分類、これは第三分類というと回収が危ないという分類ですか、五百七億円だけだったですね。これは第四分類は入っていなかったですね。そうですね。金融庁検査で、同じ三月時点で第三分類が九百八十六億円。いいですか。加えて第四分類が二百九億円。第四分類というのは、もう回収不能で全額引当金というものですよね。その差が六百八十八億円にも上るんですよ。何ですかということですね、これ。

 ですから、その結果、中央青山監査法人が資産超過とした決算が、金融庁の検査では債務超過になってしまう。引田天功の手品よりもミステリアスなことが起きてしまう。これでは、同じ決算期で同じ資産算定基準によったのに、全く正反対の二つの財務諸表というんですか、決算数字というんですか、存在することになりますね。いや、ミステリアスですね、これ。国民だれも理解できないと思うんですよ、常識的に考えて。

 理事長、端的にお伺いしますが、これはどちらが正しいんですか。

上野参考人 この検査と監査、どちらが正しいかということでございますけれども、私ども、先ほど申し上げましたように、我々は会計基準に基づく資産の査定を行っておりまして、それは私どもが正しいというふうに申し上げたいと思います。

 なぜそういう違った結果が出たかということについてちょっと御説明させていただきますが、検査と監査の目的、それから制度、判断をする時点の違い、先ほど申し上げましたが、そういうことを踏まえますと、同じ事象に対して現実にはそれぞれの結果に違いが生じるということがあります。特に、会計上複数の処理が認められているというような場合、監査上は会社が採用する方法がその幾つかの方法の中の範囲内であればこれを否定できない面があります。しかし、検査においては、特に健全性という見地から特定の方法を採用することが必要であるというような場合には、同じ事象に対しても違う見方となってしまう。

 さらに、今回生じた主な相違は、償却、引き当てに関するものでありますけれども、償却、引き当てというのはもともと債権の評価の問題でございまして、見積もりという意味でもともと幅があります。債務者の見方等について、私どもと違う見方をされるということは、あることは当然であるというふうに考えております。

中津川委員 そんなばかなことはないと思いますよ。企業会計原則の一つであります単一性の原則がありますね、単一性の原則。これに照らして、二つの決算数字、財務諸表があるなんていうのは、こういうことは説明がつくんですか。簡潔にお答えください。

上野参考人 単一性の原則というのは、一つの財務諸表を一つの会社がつくるということでございまして、これは私どもの、一般に公正妥当と認められる企業会計原則、さらには、それをもととする現在の会計制度の問題でございまして、もう一つの財務諸表というのは、その枠の中から外れた、金融庁の銀行法に基づく評価の数字でございまして、それは単一性の原則というものには当たらないというふうに思います。

中津川委員 いろいろ今おっしゃられましたけれども、これはやはり資産査定の見積もり、違うと言いましたけれども、仕事でやっているわけですから、そうでしょう、甘かったんじゃないですか。国民はもっと厳しく、これはでたらめじゃなかったのか、いいかげんじゃなかったのか、こんなふうに思っていますよ。いかがですか。

上野参考人 先ほども申し上げましたように、そもそも評価というものは、見積もりによる評価でございまして、よって立つ基盤を違う人たちがした場合には、当然その結果も違うというふうに考えております。

 私ども、この十五年の三月期においては、個々の企業の特性、あるいは地域性、あるいは再生可能性というようなものを銀行側から説明を聞いて、そして評価をしております。

 しかしながら、これが、当局はさらに違う観点から、先ほど申し上げました信用秩序の確保だとか、あるいは資産の健全性という見地からごらんになった場合に、違った結果が出たというふうに私どもは考えております。

中津川委員 今、上野さんのおっしゃること、一応理解したとしますが、それでも、六百八十億円、監査と検査の資産査定による食い違いが生じるなんてことは、だれが納得しますか。国民は、中央青山監査法人は責任を果たしていないんじゃないのかな、仕事をちゃんとしていないんじゃないのかな、そう思っていますよ。いかがですか。

上野参考人 重ねて申し上げますが、見積もりに基づく評価という問題でございます。

 したがいまして、その資産査定に当たっては、まず経営者が評価する、我々は監査人としてその経営者の評価を検証する、それとは全く別の見地から金融検査が入って、それについてさらに判断を変える、こういうことでございまして、この見積もりの違いというものは、例えば、同じ銀行であっても経営者がかわれば途端に大きな償却、引き当てをするというようなこと。これは同じ銀行であっても経営者がかわれば評価の仕方が変わるというようなことがあるわけでございますから、我々は、我々の評価が金融検査によって違ったからといって、我々のそのときの判断が間違っていたというふうには考えておりません。

中津川委員 お話を伺っていても、矛盾ですよね。たしか中央青山法人は、山一証券のときでもこんなことがありましたね。そのときの教訓が生かされていないんじゃないか。やはり監査人の、私、最初に、冒頭に聞きました、責務を本当に果たしているのかどうか、胸を張って言えるのか。それはやり方が違うんだからしようがない、そんな誠意ない回答でいいんですか。まあ、これ以上、話が、時間ばかり食うだけでありますので、きょうテレビを見ている方あるいは聞いている方、判断をしてもらいたいと思います。

 それと、これは大変きょう投資家の方も心配しているわけでありまして、リスク情報の開示について、ちょっと専門的な話なんですけれども、聞きたいと思うんです。

 今、我が国では企業破綻の事例が相次いで、企業の継続可能性ですか、それをやはり情報発信する源としての監査人の期待、役割というのが近年非常に強くなっている。

 平成十四年の監査基準の大改訂が行われて、例えばリスク情報の注記、こういうリスクがあるよ、あるいは監査報告書での追記情報ですか、監査人が投資家への注意喚起をされるものを記載するようにということになりましたね。

 考えてみますと、これは、繰り延べ税金資産が一千三百七十八億円ですか、この足利銀行という銀行は、もともと繰り延べ税金資産のおかげで資本維持ができてきた銀行ですよね。ずっとそれを認めてきたのもあなたのところでしょう。中央青山監査法人ですね。

 投資家の人たち、おじいちゃん、おばあちゃん、なけなしのお金で、投資じゃない、銀行とおつき合いをしたいという思いで買っている方がたくさんいらっしゃる。こういうことを開示する必要があったんじゃないですか、これは。どうぞ。

上野参考人 先生のおっしゃられているのは、リスク情報の開示としてこの三月に何らかのコメントをつけるべきではなかったかという御指摘だと思いますが、私ども、この十五年の三月期においては、銀行の自己資本比率は、いわゆる健全行と言われる銀行の四%を超えておりますので、この段階で企業としての継続性に関するリスク情報というものを記載する必要はないというふうに考えておりました。

 さらに、繰り延べ税金資産が金額が多いということについては、私ども十分認識しておりまして、これについては、これを計上する妥当性の根拠について、先ほど来申し上げております監査委員会報告の実務指針三十三号に従って、この繰り延べ税金資産の計上を妥当なものと認めたというふうに考えております。

中津川委員 五兆円の資産ですよね、この銀行。それで、監査料というんですか、それが一千万円。これは少ないんじゃないかな、金額が少ないからいいかげんだったんじゃないかというような声も雑音として聞こえるんですよ。まあ、いいでしょう。

 上野さんばかりに質問もしておられませんので、日向野さんに少しお話をしていただきたいと思うんです。

 竹中大臣が、債務超過は銀行の主体的判断との見解を繰り返しているんですね。日向野さん、本音は破綻させられたと思っているんでしょう、正直に言って。

日向野参考人 させられたかどうかということは別にしまして、客観的な情勢、それから時間的な余裕、いろんなことを勘案して、債務超過で報告を出さざるを得なかった、これが偽らざるところでございます。

中津川委員 昨年の十一月の記者会見で、日向野さんが、監査法人への怒り、これを述べておられましたね。それから、ことし、九日の株主説明会、宇都宮文化会館ですか、ここでは金融庁に対しての不満、これを述べておりますね。破綻直前の金融庁検査について、あなたは、これまでと違う格段に厳しい結果に異議を申し出たが通らなかった、意図的な感じもあったと言っておりますが、どういうことですか。

日向野参考人 これは、前回、前々回の検査と全く違う手法をとられたり、深く見られたり、幅広く見られたりということが行われたわけでございます。

 我々は、リレーションシップバンキングにのっとって、地元を活性化すること、地元を生かすことを重大な目的としております。それで、企業のよい面を少しでも見きわめよう、こういう努力をしているわけでございますが、今回の金融庁の検査の感じでは、そういう意図ではなくて、バランスシート、損益計算書等から、もしくはキャッシュフロー等から、こういう画一的な感じの切り方をしたと。竹中大臣は地銀も主要行も検査は変わりないとこの間おっしゃっていたようでございますが、そういうような厳しい切り口の検査は初めてでございました。

 特に担保については、収益還元法という今までやったことがない検査方法でやられていました。不動産鑑定士の鑑定資料も参考にしてもらえず、厳しい検査を受けたことでそういう発言になったわけでございます。

中津川委員 突然、繰り延べ税金資産全額を認めないと通告されたのが、破産二日前の、これは十一月二十七日の朝と聞いておるんですが。さらに、その日の夕方ですか、二〇〇三年の九月の中間決算の早期提出を金融庁から命令されたということですね。

 それで、この際に、日向野さんが金融庁に対して監査法人との交渉の時間を求めた、話をしたいと。それは、そうですよね。よくわかりますよ。そうしたら、金融庁からスケジュールが決まっているからと、おどかされたというふうに載っかっているんですが、これが事実かどうか。

 それと、債務超過の決算を、だからもう決定せざるを得なかった。苦しかったんだと思いますね。だから、一時国有化になってしまったんだと。そうですか。

日向野参考人 報告書を提出するのは、二十四条報告で、検査結果とともに速やかに監査法人と協議の上報告をするようにということを求められていました。先ほど来申しましたとおり、速やかにというのは、もう一両日、遅くても一両日、当日ぐらいで出してくれ、こういうような迫った話でございました。

 その間、監査法人との打ち合わせを続けながら金融庁には延期を求めたわけでございますが、休み明けの銀行の窓口がどうなるかわからないような状態だから早く決断をしろ、こういうようなことを言われたのはたしかでございます。

 確かに、新聞その他でいろいろな情報が流れていまして、それによってお客さんの預金の取り崩しが少しずつ始まっておりました。業務停止命令もあるのでは、お客さん、地元、行員、全部が悲しい思いになるわけでございますので、泣く泣く債務超過で出さざるを得なかった。監査法人も意見を変えてくれないし、金融庁も待ってくれない、こういう状態、そして預金が落ち込んでいる状態、それからマスコミの状態、いろいろな状況を勘案しまして、残念ですが、債務超過で出さざるを得なかったわけでございます。

中津川委員 さらに日向野さんが続けているんですよ。監査法人の態度変化、それから金融庁の動きが重なったことについて、なぜ同じ日になったのかわからないと。詳しく説明してください。

日向野参考人 これは私にもわかりません。不思議でしようがないわけでございます。どんなことがあったのか、何が起こっていたのか、我々はともかく目の前の事態に対応するだけで、私にはわかりません。

中津川委員 今、本当に率直なお気持ちを述べられていると思うんですよ。これは暗に、金融庁が介入をしたんじゃないだろうかということの抗議というか、そういう思いだと思うんですが、いかがですか。

日向野参考人 私は、何も証拠も持っているわけではありませんし、何も証言をもらっているわけでもありませんので、何もかもわからないわけでございますが、日にちが同じだったということだけは確かでございます。

中津川委員 竹中さんはいつも言っているんですよ、事前に銀行決算に介入することはないと言っている。きょう、お二方のお話を聞いて、いろいろなことが表に出てきました。僕は、竹中さんにあしたにでも来ていただいて、きょうの大変重要な意味のある参考人招致、これを踏まえて、それこそ閉会中でもぜひ審議をやってもらいたいということを要望しておきます。

 それで、私たち民主党の栃木県選出の国会議員団、簗瀬さん、山岡さん、水島さん、谷さん、一生懸命で、質問状を竹中さんに出しているんですね、一月十三日までに回答を願いたいということで。私もこれが出てきたら、きのうしっかり参考人で、きょう竹中さんはいないわけでありますから、一番の当事者の竹中さんがいないわけでありますから、これを参考にしてより深い審議をしたいと思っておったんですが、質問状の回答が出てこない。これは遺憾なことだと思います。これを申し上げたいと思います。

 きょう、いろいろ審議して、いろいろなことがわかりました。とにかく、じゃ、それこそ監査法人なんて一体何なんだと。だれでも判こを押せばいいんじゃないか。これは金融庁が、竹中さん、それこそさじかげん一つで、この銀行をつぶす、この銀行はもうちょっと生かしておく、この銀行はいいだろうと。査定方法を変えるというわけですから。プロがそういうことを言うわけですから。そうすると、もう全部これは竹中さん一人で、独壇場、金融庁のやりたい放題、思い込み放題。それで銀行の生死が決まってしまうというような印象を大変強くしました。

 今、景気がよくなったといって小泉さんはしゃいでおりますが、地方経済、大変ですよ。いや、地方だけじゃないんです。冒頭申し上げましたように、私たち東京でも、下町でも中小零細商店のおやじさんたちが一生懸命やっているけれども、銀行の貸し渋り、貸しはがし、ひどいものだという実態なんですね。ぜひ竹中さんに私はもう一度質問をしたいということを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 民主党の中塚でございます。

 参考人お二人におかれましては、大変に御苦労さまでございます。

 まず、日向野前頭取にお伺いをしたいというふうに思います。関連をして上野さんにもお伺いをいたしますので、ちょっと聞いておいていただきたいんです。

 足利銀行は、過去二回公的資金の注入を受けておるということですね。それは、経営の再建が可能であるという判断に基づいて公的資金注入というものを受けていたはずなんです。金融庁は、それについて検査も行える立場でありますし、また、業務改善命令も出せる、経営健全化計画も出させることができるという立場にあったわけなんです。そして、監査法人は、先ほどのお話では平成二年三月からのおつき合いだったということですから、その間もずっとこの足利銀行については関与されていたということなんですが、結果としてこういうことになったわけですね。

 一時国有化になってしまったということでありますが、これは要は、金融庁が行政として責任をちゃんと果たせなかったからこうなったのか、あるいは、足利銀行としてちゃんと努力をしたんだけれどもやはりだめだったのか、そこについて、まず日向野さんにお伺いをしたいというふうに思います。

日向野参考人 公的資金をお借りしまして、結果的にお返しできないようなことになりまして、本当に申しわけございません。

 私どもは、健全化計画をきちんと履行することが一番大事なことだと思っておりました。先ほど来申し上げましたとおり、健全化計画をベースにしまして業務計画をつくりまして、収益計画、これをいかにして上げて、剰余金を積み立てて公的資金を返す準備をするのか、これを念頭に活動をしてまいりました。V字回復をねらいましてやりましたが、結果的には、株価の減損とか、長引くデフレのための不良債権処理とか、いろいろな形で思うとおりの収益を上げられなかったこともありますが、業務純益ベースでは、そういう対外的なもの以外の部分では十分に体力がついた、こういうふうに思っております。

 健全化計画でも、今年度に四百億、来年度に四百億、その次の年に二百億と不良債権処理も重ねていく計画を当局に提出してございます。そして、それだけ償却できる体力が既についてきている、こういうふうに思っておりまして、私どもとしては精いっぱいやったつもりですが、道半ばにしてこういう状況になりました。残念でなりません。

中塚委員 金融庁は、では、その間ちゃんと適切にいろいろな指導というものをしていたんでしょうか。やはり税金を入れた以上は、入れた側にも責任はあるわけですよね。そのことについて、金融庁はちゃんと足利銀行の経営の再建ということに関与をしていたのかどうか、そこはいかがですか。

日向野参考人 業務改善命令、それから健全化計画を提出させられております。これについては六カ月ごとの報告が義務づけられておりますので、そこでしっかりと、できなかったこと、これについての反省を踏まえ、それから効果を踏まえ、報告は続けておりました。

中塚委員 上野参考人にお伺いしますが、特に、過去二回の公的資金注入を受けていた銀行であったということについて、再建の可能性ということについては、常に財務を見ておられた立場から、それはいかがだったんでしょうか。

上野参考人 公的資金の注入に当たっては、その時々に再建可能であるということで注入されたというふうに推察いたします。

 私どもは、銀行の業務が、行っているその結果を正しく計算書類として開示しておるかということについてのみ責任を負っておりまして、監査法人としては、その都度、年度年度の決算について、それが公正な会計基準に従って行われているかということを検証してまいりました。

中塚委員 その時々の判断というのは、竹中金融担当大臣もよくこの場でお話しになるんですが、その時々の判断が全部正しくて、それの積み重ねがあって、何で銀行はこんな簡単につぶれるんですか。私は、本当にそれは納得がいかないですね。

 次に伺いますが、竹中大臣は銀行の判断で債務超過としたというふうに言っているわけですね。それは、確かに形式的にはそうだと思いますよ。形式的には銀行が債務超過だというふうに言ったから今回のこのような措置に至ったということでは間違いないと思いますが、日向野参考人に伺いますけれども、監査法人に繰り延べ税金資産を全額否認をされて、金融庁の今までとは格段に違う厳しい検査だったわけですよね。そういったものを受けて、債務超過ですと言う以外にとれる方法なんかないんじゃないですか。

日向野参考人 そのとおりだと思います。

 我々としては、二号措置になるということを一番恐れていまして、債務超過で出さざるを得ないというふうに迫られたわけでございまして、金融庁とそれから監査法人と両方サイドから迫られたわけでございまして、これより方法はもうなかったと思っております。

中塚委員 といいますのも、お二人並んでいらっしゃるけれども、銀行も金融庁が監督官庁だし、公認会計士さんだって所管官庁ということになるわけですね。

 日本の不良債権問題というのは、やはり私は、官製談合経済といいますか、そういうふうなことが一番大きな原因になっていると思うんですね。だから、足利銀行の破綻の話も、死んだ子の年を数えるような話で、質問する方もなかなかやりにくい部分もあるんですが、ただ、その一連の経緯というものが極めて不明朗であるというふうなことは、これからの日本の不良債権問題の解決ということを目指していく上で、やはり明らかにしなきゃいけない問題というのはいっぱいあるというふうに思うわけなんです。

 続けて日向野さんにお伺いをいたしますけれども、破綻直前の金融庁検査というものがあったということで、検査結果の通知をお受けになって異議申し立てということですが、これは、法律上の手続にのっとったものであれ、あるいはそうでない場合であれ、ちゃんとその異議の申し立てというのはされたんでしょうか、いかがでしょうか。

日向野参考人 金融庁との意見の食い違いは多々ございました。考え方の違い、それから債務者区分の見方の違い、それから担保評価の違い、いろいろな点で食い違いはございました。格別厳しいという感じもございました。

 そこで、期間中でも遠慮なく意見は闘わせていただきました。しかしながら、期間中には我々のことを認めてもらえなかったので、金融庁の検査が立ち入りを終わる十一月十一日に、意見申し立て制度にのっとりまして意見を申し立てをしました。

中塚委員 その結果はどうだったんでしょうか。

日向野参考人 一部の債務者区分については変更を認められましたが、一部でございました。大きなところ、大きな考え方、こういうようなところについては、一切意見は通りませんでした。

中塚委員 前段の委員の質疑の中にもあったんですけれども、公認会計士協会の奥山会長が、銀行が検査結果をなぜ受け入れたのか不思議だというふうな話をされている。ちゃんと異議は申し立てられたということですね、今のお話だと。

 それと、あと、この委員会の冒頭で、ちょっと私びっくりしたんですけれども、上野さんがお話をされたときに、金融庁の検査結果を受けてこの監査を変更したというふうな趣旨の御発言をなさったような気がしましたし、また、足利銀行が金融庁の検査結果を受け入れたことが繰り延べ税金資産の否認につながったというふうに奥山会長も新聞なんかで発言されているんですね。

 先ほど、時系列で追いますと、二十七日の十時に監査法人から繰り延べ税金資産の否認のお話があった、その日の夕方の五時に金融庁からの検査結果の通達があったというふうになっているんですが、ここは一体どうなんですか。その繰り延べ税金資産の否認というのは、監査法人の独自の判断によるものなのか、あるいはその検査結果というものを受けて、足利銀行に検査結果の通知が行く前に、オンテーブルかアンダーテーブルかわかりませんが、足利銀行に対する検査結果というものをあらかじめ監査法人として手に入れたから、繰り延べ税金資産を否認するということになったんですか。そこはどうですか。

上野参考人 二十六日に至る直前の経緯をお話しさせていただきます。

 十一月の二十一日に、意見申し入れをしてあったその結果について、金融庁から報告を銀行がいただいております。したがって、検査結果の最終的な数字というものを銀行が手にしたのは十一月二十一日でございまして、それに基づいて、その検査の結果をこの九月の中間決算に組み込めばどうなるかという作業を銀行はずっとしておりました。私どもも、その計算の仕方に、監査人としてどういうふうにこれを反映させるかということについては一緒に検討してまいりました。

 そして、二十六日にこの結果を織り込んだ中間決算ができて、その中間決算案を私どもに提出していただいて、この中間決算案を金融庁に二十四条報告に出す資料に添付した、こういう経過でございまして、二十六日に突然出てきたということではなくて、決算を組むその一週間ほどの中でそういう作業が行われておりました。

 ちょっと委員長、済みません、先ほど、私、中津川先生の質問のときに、委員会報告三十三号と言いましたが、六十六号の間違いで、ちょっと訂正をさせてください。

中塚委員 ということは、金融庁の検査結果を受けて財務諸表をつくっていく中で、三月期の決算が債務超過だというふうに金融庁が判断をしたというか、そういう判断をする財務諸表をつくっていく中に監査法人も関与をしていたということで、やはり九月期は、これは繰り延べ税金資産を認められないというふうに判断をされたということですね。金融庁の検査の結果として、監査法人の判断が、これは繰り延べ税金資産は認められないという判断に落ちついたということですね。

上野参考人 金融庁の十五年三月について債務超過であったという判断については、私どもの関与するところではございません。

 我々は、平成十五年三月期については、四%を超える自己資本を持つ銀行の計算書類を、正当なものと判断しました。金融庁の検査は、その決算書が出た後、九月に入ってから行われた金融庁の検査に基づいて、改めて金融庁の目で資産査定を行い直し、資産の健全性を洗って、検査結果を銀行に知らせてきた。その検査結果を銀行は九月の決算の中に組み込んで決算を組まれた。その決算を我々は検討した結果、先ほど申し上げたような三つの理由をもって、このような状況にあっては九月期に繰り延べ税金資産を計上することができない、こういう判断をさせていただいたわけでございます。

中塚委員 だから、やはり三月期の金融庁の検査というものがあって、その結果を受けて、九月期は繰り延べ税金資産は認められないねと。要は、皆さんのところは資産超過という判断をされたんだけれども、でも金融庁は債務超過という判断をした、それを九月に反映をすると、繰り延べ税金資産は認めることができないという結論に至ったということですよね。

 だから、何も金融庁の結果についていいとか悪いとか言ってくれという話をしているんではないんですよ。そうではなくて、金融庁の検査の結果が債務超過だ、三月が債務超過なんだから九月は繰り延べ税金資産の計上は認められないという判断になって、そして足利銀行がこういう一時国有化になった、そういうことですね。

上野参考人 三月に債務超過になったということと九月に繰り延べ税金資産の計上を認めないといったことには、私ども、そこの関係は、先生おっしゃるようなふうに直接の原因にはなっておりません。

 我々は、この検査の結果、償却、引き当ての積み増しを求められた、その求められた償却、引き当てをこの九月の決算に入れて九月の中間決算案をつくりました。その中間決算案に計上された繰り延べ税金資産は認められませんということでありまして、三月が金融庁の検査で債務超過だから九月も当然債務超過である、そういう関係では全くございません。

中塚委員 それは、私も、今の御説明については、上野さんの説明についてはよくわかるんですが、でも、結局はやはりこういうことでしょう。金融庁が検査をした、それで、それについて資産の引き当てなんかをちゃんとそれに戻してやってみればもう収益性も見込めない、だから繰り延べ税金資産は計上できないという話になるわけですよね。

 だから、ある意味、監査法人が引き金を引いたとかいろいろなことを言われますわね、今回のこの件については。でも、確かに、それは監査法人が認めなかったから、足利銀行は債務超過の財務諸表をつくって役所に提出をするんだろうけれども、一番、事の発端というのは金融庁なんでしょう。だから、金融庁の検査が、三月期について、仮にですが、足利銀行が出したとおりで、それでオーケーということだったら、九月期だって繰り延べ税金資産が認められているんでしょう。いかがですか。

上野参考人 金融庁の検査は、銀行に対して金融庁の検査を行い、そして、銀行がその金融庁の検査に基づいて金融行政の中でそれを組み入れていくということでございまして、私どもは、監査は、その金融庁の検査とは直接かかわることではなくて、銀行がおつくりになった計算書類に対して、その適否を、公正な第三者として、会計の専門家として判断する、こういう立場にございます。

 必ずその検査のことによって我々はという、検査の制度と我々の会計士の監査制度というのは独立した関係にございます。そこのところは、余り、金融庁の検査と我々の監査があたかも一体として運営されているというようなことではなく、全く別の制度だというふうに我々は認識しております。

中塚委員 逆に一体でやられちゃ困るんですよ。独立してやってもらわなきゃ困るんですからね。

 だから、独立のものだというふうにおっしゃられるのはいいけれども、ただ、独立は独立でも、資産超過と債務超過ですよ、三月期。ここまで開くということが本当にあるんですか。それは、例えば、ちょっと違うとか、一割違うとかいう話ならわかりますが、資産超過と債務超過だけの開きがあってしまった。こんなことはあり得るんですか。

上野参考人 資産超過が債務超過に転換するということについては、先ほど来申し上げていますように、評価の問題ですから、判断に幅があるということに原因が一つあります。

 ただ、今回、資産超過が債務超過ということになった理由というのは、足利銀行の自己資本が、そうした評価の、査定の違いによって資産超過が債務超過に転じるような自己資本のレベルの状態にあったということだと思います。

中塚委員 では、独立しているということであるならば、ちょっと問い方を変えますが、十二月の末、昨年の末ですけれども、公認会計士協会で実態調査をされるということのようですね。要は、金融庁の検査と公認会計士の監査というのが余りにも開きが大きい。余りにも開きが大きいというか、資産超過と債務超過なんですから、全然違うわけですよ。普通の人がどう考えたって、プラスとマイナスなんですから、だからそれはやはりおかしいと思うのは当たり前の話で、栃木県の県内の公認会計士さんも、おかしいんじゃないのかという話を言っていらっしゃる方がいるというふうに伺っています。

 結局、こうやって実態調査をして、それを今年の三月ぐらいまでですか、調べた上で、結果は会計士協会の銀行監査の実務指針に反映するということのようですけれども。これは結局あれですか、今まではばらばらでやっていたんですけれども、これからは一緒にやりますという話なんですか。

上野参考人 私の理解しているところでは、この不良債権処理を金融再生プログラムが始まってからどんどん進めていく過程で、自己査定と金融庁の不良債権処理というものの乖離があったということは、これはもう全銀行にわたる事実でございまして、これがしかし、余りの大きな格差があるということはやはり問題であるという意識のもとに、今議員がおっしゃられたような、金融検査と会計士監査との間でもうちょっといろいろなことを調整する必要があるんじゃないかというのが、今奥山会長がおっしゃられているということではないかというふうに私は推察いたします。

中塚委員 仮に、足利銀行、一時国有化になりましたけれども、足利銀行が金融庁の検査結果を取り入れて十五年三月期の財務諸表を修正した場合には、これは監査法人としてはどういうふうな対応をとられるんですか。

上野参考人 十五年の三月の決算は既に株主総会の議も経て確定しておりますから、これを受け入れてというような仮定のお話にはちょっとお答えすることはできません。

中塚委員 では、仮定の質問ではなくて、一般論で伺いますけれども、一般論としてはどうすることが望ましいというふうにお考えですか。修正をしないでおいておくべきなのか、あるいは修正をした方がいいのか、公認会計士の先生としての御意見はいかがでしょう。

上野参考人 先ほど来申し上げましたが、金融検査は、信用秩序の維持あるいは金融機関の健全性という目で資産の査定をして、そして、会計士の監査ではこうであったものを、そうした見地からそうしたということであれば、そこに制度、目的による違いがありますから、その検査の結果を翌事業年度に金融機関が決算の中に織り込む、そうした検査と監査の回転を、サイクルを繰り返すことによって金融機関の健全化が図られる、そして、さらには財務諸表の健全性も図られていく、こういう今の、現行の制度で、私は検査と監査の関係が成り立っている、こういうふうに理解をしております。

中塚委員 次に、日向野さんに伺いますけれども、会見なんかでは、監査法人に対する訴訟をということも検討するというふうにおっしゃったことがあったようですが、それは今はどうなんでしょう。

日向野参考人 法的に検討する時間も余裕もなくて、感情的にああは言いましたが、私の気持ちとしては、説明義務、報告義務が監査法人の方に守られていない、監査契約にはお互いの情報を公開しようという契約があるのに、我々に対して説明義務がなかった、一度に、突然全額を認めない、こういうふうに急変した、こうとらえておりますので、気持ちとしては、私は訴訟でも起こしたいような気持ちがありますが、しかし、もう私はその立場ではありませんので、現経営陣が検討していることだろうと思います。

中塚委員 上野さん、私は別に、やはり本当に日本の、そういう意味で金融行政というのはいいかげんだなというふうに思っていまして、だから、監査結果だって、要は、今のお話を伺っていると、結局、金融行政のさじかげんで監査の結果だって変わっちゃうということじゃないですか。そんなことで果たして本当にいいのかということなんですね。

 だから、監査法人、これから本当に大変ですよね、そういう意味では。これと同じ厳しい検査を地銀やらあるいは信金やらというところに入っていった場合に、私が応援してもらっている信用金庫も皆さんのところで監査を受けているということですけれども、本当、これから監査法人は大変なことになっていくというふうに思いますよ。いかがですか。

上野参考人 あくまでも、銀行の決算が会計基準にのっとっているか、これは、銀行のみならず、我々公認会計士の職責はそれに尽きることでございまして、我々は、どんな困難があろうとも、会計基準に沿って決算が行われているかということを厳正に見守っていくということで業務を進めていきたいと思っております。

中塚委員 それでは、ちょっと時間もそろそろなくなってきたので、最後に一つ伺いますが、足銀の持ち株会社は三年三月期に優先株に対して配当を行っていますね。当時が債務超過だったとすれば、これは配当原資はなかったはずなんですね。違法性についてはどういうふうに御認識をされているのか、そしてまた、監査を行われた立場としてはどういうふうにお考えになっているのか、日向野さん、上野さんの順に発言をいただいて、終わりたいと思います。

日向野参考人 三月期の配当につきましては、適法な監査を受け、株主総会を経ておりますので、合法だと思っております。

上野参考人 持ち株会社からの配当というものは適法に行われておりますので、これについては問題ないというふうに申し上げたいと思います。

中塚委員 けれども、それはおかしいですね。だって、今回、持ち株会社だって会社更生法の適用を受けてつぶれてしまったということなわけですから、私は、この時点で本当に債務超過ということであったのだったら、違法性もある、また責任も問われることになるというふうに思います。

 これで終わります。どうもお疲れさまでした。

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 質問時間が十分しかありませんので、端的にお答えをいただきたいと思います。

 まず、日向野参考人、金融庁の検査で三月期決算の償却、引き当て額が九百五十億円増額したわけですね。これが債務超過の原因になったわけですけれども、非常に厳格な、厳しい検査だったと思うんですが、償却、引当金の追加額九百五十億円の内訳をお聞きしたいんです。その構成要素はどういうもので、金額としてはどういう金額になるのか。金融庁の説明によりますと、収益還元法という方式が初めて採用されたということなんですけれども、それはどの程度の比重を占めているかということも含めまして、数字をお答えいただきたいと思います。

日向野参考人 実際に、不良債権の追加引き当ては九百三十五億になります。あとの十五億は有価証券の償却でございます。

 それで、九百三十五億の内訳は、債務者区分が劣化をした。これは、要注意から要管理になるとか、そういう形で、厳しい目で評価をされたということ。これと、あとは担保評価でございます。担保の評価を、先ほど申しましたとおり、収益還元法などという厳しい評価で見られました。鑑定士の法定鑑定などは認められないような状況でございました。こういうような債務者区分の変更で四百四十六億。それから、これに伴って債務者区分が変わりましたから、引き当て率が変わってきます。この引き当て率の変化が百九十億円。

 そのほかに、意見の相違となりました引き当て率の考え方など。これは、例えば、こういう事象はもう二度と起こらない事象なんだけれどもという形で、異常値を控除するような考え方は金融マニュアルにもあるわけでございますが、こういう形は一切認めずに、数字は数字だ、こういう形で考え方を否定されたものが三百十四億円あります。それで九百三十五億円です。

佐々木(憲)委員 その中で、収益還元法による担保評価の減額というのは幾らですか。

日向野参考人 収益還元法による直接の引き当て額の増加は、百十六億円でございます。

佐々木(憲)委員 百十六億というのはかなり大きな金額であります。これは、担保評価が減額されただけではなくて、それに伴って引き当て率が上昇していくというように連動していくわけですね。ですから、これにとどまらない。

 結局、収益還元法ですとか、あるいは引き当て率の考え方などの意見相違というものが、従来にない金融庁のいわば要請があって、従来は採用されていなかったけれども今回初めて採用されて、それが大変大きな債務超過の要因となった、こういうことでよろしいですか。

日向野参考人 私は、そのとおりだと思っています。

 収益還元法などは、プロジェクトファイナンスですと十分考えられる考え方ですが、我々はコーポレートファイナンスをやっているわけでございます。その建物の収益から上がる部分だけを見ているわけではございませんので、地元のステータスとかその商品性とか、例えば旅館ですと、しにせの度合いとか集客力とか、いろいろな点から企業を見て、いい面を評価して、それで応援できるところは応援しよう、こういう考え方にのっとっておりますので、画一的に計算上ですべてを見られると厳しいものになります。

佐々木(憲)委員 要するに、従来採用されていなかった厳しい査定が行われた、その方法、手法についてもそういうものがあって、債務超過にいわば追い込まれたというふうに我々は見ております。

 次に、上野参考人にお聞きしますが、栃木県の福田知事から出された質問書、十二月二日で出されていると思いますが、それに対して中央青山監査法人として出された回答、八日に出されていますね。ここでは、平成十五年九月期中間決算においては、金融庁検査の結果を受けて作成された中間決算案を検討した結果、多額の損失計上等による状況の変化を勘案し、繰り延べ税金資産の計上に関する当監査法人の見解を銀行にお伝えしたと。要するに、全面否認をした。

 奥山日本公認会計士協会会長は、十二月二日の新聞のインタビューでこう言っているんです。三月期決算について、債務超過という検査結果が出た以上、九月期中間決算で繰り延べ税金資産全額を今までと同じように認めたら、そんな甘い決算をだれが認めたんだと批判を受けるというふうに言っていまして、つまり、債務超過という結果が出ているので、それを踏まえて繰り延べ税金資産の否認を決断したということをおっしゃっているわけであります。

 その金融庁の検査結果で三月期が債務超過だったということが、上野参考人、お知りになったのは、いつの時点で、どういう形でこれは知らされましたか。

上野参考人 私ども、検査の結果が最終的に固まったのは、十一月の二十一日に検査の結果を聞いております、三月の検査結果は。それ以前の段階では、金融庁とやりとりがありまして、十五年三月期の自己資本が食いつぶされるような償却、引き当てになるのかどうかということは、検査の期間中、なるのかどうかということについて検討、金融庁との間でやりとりがあったということで、先生おっしゃられるように、いつ債務超過だというようなことについては、最終的に決まったのは検査結果が全部出た段階だというふうに解釈したいと思います。

佐々木(憲)委員 要するに、やりとりがあった、その中で債務超過に陥る可能性が非常に高いという認識を得られたということですよね。今うなずいておられますから、そうだと思うんです。

 そうしますと、審査会でそれを踏まえた上で、二十六日の夜の審査会ですけれども、結論を出して、繰り延べ税金資産を全部認めません、全額否認と。それまで金融庁とやりとりがあって情報は得ていたけれども、銀行に対してはそのことについては伝えていない。

 その辺は、日向野さんにお伺いしますが、どういう形で伝えられたんでしょうか。前の、二十六日までの段階で何らかの情報というのはあったんでしょうか。それとも二十七日の朝初めて言われたんでしょうか。

日向野参考人 繰り延べ税金資産につきましては、検査結果につきましては意見申し立て制度がありまして、十一月十一日に意見申し立て制度で出て、その結果が出たのが二十一日でございます。二十一日のうちに監査法人の方にもこの検査結果を伝え、この検査結果ですと債務超過にはならない、そういう確認はもう二十一日過ぎからできておりました。ただ、それにもかかわらず、二十六日の審査会で突然全額否認、こういうような形になったわけでございます。

佐々木(憲)委員 もう時間が参りましたので終わりますけれども、この金融庁の検査というものが、今までになかった方式を採用して、非常に高い引当金、引き当てを積むようにという要請をした。それに基づいて、この三月期決算が債務超過に陥った。その情報を、中央青山監査法人は事前に何らかの形で情報は得ていた。それを踏まえて繰り延べ税金資産は全額否認をした。

 こういう経過を見ますと、私は、金融庁の検査というものが今回の事態の一番の根源にある、そこがこういうことをやらなければこういう結果を招かなかった、したがって、金融庁が足銀を破綻に追い込んだという認識を、この質疑を通じていよいよ確信しましたので、以上で終わりたいと思います。

田野瀬委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十三分散会


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