衆議院

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第16号 平成16年4月13日(火曜日)

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平成十六年四月十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 鈴木 俊一君 理事 萩山 教嚴君

   理事 村井  仁君 理事 山本 明彦君

   理事 島   聡君 理事 中塚 一宏君

   理事 長妻  昭君 理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    江藤  拓君

      木村 隆秀君    熊代 昭彦君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      田中 英夫君    谷川 弥一君

      中村正三郎君    西田  猛君

      林田  彪君    原田 令嗣君

      宮下 一郎君    渡辺 喜美君

      五十嵐文彦君    小泉 俊明君

      鈴木 克昌君    園田 康博君

      武正 公一君    津川 祥吾君

      津村 啓介君    永田 寿康君

      藤井 裕久君    馬淵 澄夫君

      松原  仁君    村越 祐民君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      長沢 広明君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   議員           五十嵐文彦君

   議員           津村 啓介君

   議員           中塚 一宏君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国務大臣

   (金融担当)       竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   財務副大臣        山本 有二君

   政府参考人

   (内閣府産業再生機構担当室長)          江崎 芳雄君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所景気統計部長)     小島愛之助君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    五味 廣文君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    牧野 治郎君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    渡辺 博史君

   参考人

   (日本銀行考査局長)   稲葉 延雄君

   参考人

   (日本銀行企画室審議役) 山口 廣秀君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  藤井 裕久君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     藤井 裕久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律案(内閣提出第一八号)

 預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案(五十嵐文彦君外二名提出、衆法第五号)

 金融再生委員会設置法案(五十嵐文彦君外二名提出、衆法第六号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案並びに五十嵐文彦君外二名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案及び金融再生委員会設置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本銀行考査局長稲葉延雄君、日本銀行企画室審議役山口廣秀君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省理財局長牧野治郎君、財務省国際局長渡辺博史君、金融庁総務企画局長増井喜一郎君、金融庁検査局長佐藤隆文君、金融庁監督局長五味廣文君、内閣府産業再生機構担当室長江崎芳雄君、内閣府経済社会総合研究所景気統計部長小島愛之助君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの津村啓介です。

 本日の議題であります金融機能強化法案及びその対案であります民主党案につきまして、両案とも、今国会において審議される法案の中でも、国民生活に与える影響が大変大きく、国際金融マーケットにおける評価を通じて日本の国益をも直接左右する重要な法案だと考えております。この財務金融委員会の場でしっかりと時間をかけて議論を深め、民主党の提出する金融再生ファイナルプランが、政府案よりも現状認識と直接的な政策効果、そして国際的な金融マーケットへのメッセージとしても真にすぐれた提案であることを示していきたいと思います。

 さて、有意義な議論の前提といたしまして、ここで、これまでの日本の金融行政、とりわけ金融機関の破綻処理と公的資金による資本増強の歴史について、簡単に振り返ってみたいと思います。

 御案内のように、一九八〇年代までは、危機に瀕した銀行は、いわゆる護送船団方式のもとで破綻前営業譲渡によって処理されてきました。しかし、バブル崩壊後、九〇年代の特に後半以降、第二地銀の破綻が相次ぎ、九七年秋には、三洋証券がコール市場で資金調達が困難になったことを引き金に、都銀の一角である北海道拓殖銀行が破綻、四大証券と言われた山一証券が廃業し、大手都銀の株価が劇的に下落するなどの金融システム不安が一気に深刻になりました。

 九八年は、日本の金融にとって長く歴史に残るであろう一年であります。二月の金融機能安定化法制定によって公的資金による資本増強の枠組みができ、三月には主要二十一行に対し一兆八千億円強の資本注入が行われました。同法が廃止された十月には、かわりに金融早期健全化法、金融再生法が制定され、新たな枠組みのもと、二〇〇二年三月までに、長銀、日債銀などの金融機関に約八兆六千億円の公的資金が投入されました。いわゆる金融国会の時期を含むこの間の目まぐるしい動きは、諸先輩議員の方々の御記憶に深く刻まれていることと思います。

 昨今の議論の中、ともすれば忘れられがちなことでありますが、九八年には、ほかにも忘れてはならない、忘れることのできない出来事がありました。国民の金融行政への不信がピークに達する中で、年の初めには当時の大蔵省証券局の筆頭課長補佐が、三月には日本銀行の営業局証券課長が、それぞれ過剰接待の疑惑をかけられ、職を追われ、立件をされました。このこととの関係はわかりませんけれども、この報道の渦中で、何人かの方が亡くなられています。この前後の時期には、市中金融機関でもさまざまな事件が起きました。私自身も、日本銀行の営業局証券課の課員として、職場の家宅捜索を受け、手帳を押収されたり、返却時に特捜部にとりに行ったりという経験をし、客観的に当時のことを振り返ることが難しいのですが、しかし、そうした事実の積み重ねの上に立って、現在の金融行政の枠組みが成り立ってきたことは忘れるわけにはいきません。

 九八年の秋にできた二つの法律は時限立法であったため、二〇〇〇年五月の預金保険法改正の際に、そのスキームに吸収されました。さらに、主なターゲットを地域金融機関とした金融組織再編促進特措法が二〇〇二年十二月に制定されております。ただし、同法の利用は、現在までにわずか一件、六十億円の資本増強にとどまっています。そのため、その改訂版として、今回議題となっている金融機能強化法案が金融庁より提出されたと理解しております。この間にも、昨年にはりそな銀行が過少資本に陥り、足利銀行が破綻しました。

 このように、わずか十年にも満たない歩みを振り返っただけでも、日本の金融行政の歴史はまさに波乱万丈、過去の金融行政が時代の波に翻弄されてきたことがわかります。

 私は、そうした混乱の中にあっても、九八年のある時期、ここにもいらっしゃる先輩方が、党派を超えて、本来あるべき金融再生スキームを模索し、一定の到達点に立たれたことを知っております。しかし、その後の展開は、残念ながら国民をがっかりさせるものでした。そのことは、国際金融マーケットの動きを見ても明らかです。

 私たち民主党は、小泉さんがおっしゃるような金融危機は去ったという認識は持っておりません。そこが政府・与党と私たち民主党との根本的な違いであります。今なお、日本の金融とそれを取り巻く環境は、厳しい現状認識に基づく明確なプランと実行を求め続けていると考えます。

 以上申し上げた歴史認識と厳しい現状認識に立ちまして、以下、具体的に今回の政府・与党提出案をチェックしてまいります。

 まず最初の質問ですけれども、本法律案提出の背景について改めてお伺いしたいと思います。

 まず最初に伺いたいのは、今回の公的資金注入の枠組みが最終的な政府からの御提案と受けとめてよいのかどうかという点でございます。年金制度改正について、法案審議前に年金一元化という法案に直接書かれていないことを小泉首相が言及をされて、そのことによって、現在提出されている法案が最終解決として御自身考えられていないということをみずから示唆したと一般には受けとめられております。本法案については、そのような無責任なことなく、仮に成立した場合、これで公的資金注入の最終的な枠組みが整うと考えてよろしいのでしょうか。竹中大臣、お願いいたします。

竹中国務大臣 ただいま津村委員から、これまでの金融行政を振り返りながら、その推移を見事に要約くださったというふうに私も思っております。

 また、金融の環境は厳しいという認識、これは私たちも持っているわけであります。危機ではありませんですけれども健康体ではない、これは繰り返し申し上げている状況でありますので、そうした問題意識の中で今回の法案の提出に至っているという点をまず申し上げた上で、お尋ねの、年金法案との比較で、これが最終的なものかどうかというお尋ねでございます。

 これは、ここは年金を議論する場ではもちろんございませんけれども、少なくとも、年金の場合は、給付と負担という基本を踏まえて、その上で制度体系はきちっと議論していこう、そういう段取りになっているわけでございます。この年金の議論の段取りと金融の問題というのを、これはちょっとパラレルで比較することは難しいと思います。

 ただ、いずれにしましても、我々は、既に制度体系を含めた全体のことを議論しているつもりでございますので、その意味では、二段階、三段階議論というようなことを考えているわけでは特にございません。もちろん、その時々の状況に応じて政策を立案して、また運営していく必要がございますけれども、我々としては、基本的には、今、日本の金融全体がようやくよい方向に進みつつある中で、今回、今の時点でこのような枠組みを提出することによって、さらに金融の再生を本物にしていくことができると判断をしているわけでございます。

津村委員 逆に、今回の法案が出るに至ったこれまでの経緯についても振り返りたいんですけれども、前身の組織再編促進特措法を今回バージョンアップさせたような形になっていると思うんですが、仮に、健康体ではないとおっしゃいますけれども、危機に対する認識としては私たちと大分隔たりがあると思っているんですけれども、前回特措法をつくった当時から今回ここに至るそのパスが、金融庁が想定しているよりも下振れていないとすれば、新たに今回このスキームをつくる必要がどうしてあったのか、なぜ前回の法律案のときにここまで予見していなかったのか、何か新しいことがこの間起きたんですかということをお尋ねしたいと思います。

竹中国務大臣 既に、新たな公的資金の枠組みについて考えたいということは、金融再生プログラムの当時から我々として問題提起をしておりました。したがって、今回の法案というのが、何か金融再生プログラムを出してからのその後の状況変化でぽっと出てきたわけではございません。

 公的資金の新たな枠組み、日本全体としてしっかりとバランスシートの調整を推し進めていかなければいけない、これは企業部門が進めなければいけない、しかし、その企業部門でのバランスシート調整の最後の集約というのは、やはりこれは銀行部門に来るわけでございます。そうしたことを踏まえながら、新たな公的資金の枠組みが必要であるということは、これは私の就任のとき以来、再生プログラムの中にも明記して、ずっと議論をしてきておりますので、委員のお尋ねの、その後何か状況の変化があったかということに関しては、これは我々としては非常に時間をかけてしっかりと計画的にやっているということでございます。

 もちろん、経済そのものに対してビビッドに対応していかなければいけないという認識は持っております。現下の状況においては、経済全体がよい方向に全体として向かう中で、しかし、地域経済の再生、それの効果の中小企業への浸透というのが大変大きな今日的な政策課題になっているという認識を持っております。

 そうしたことを踏まえて、今回、この明るい兆しを地域経済、中小企業にも浸透させ、持続的な成長につなげていく。そのためには、地域経済の活性化に向けた改革、金融機関が一層のリスク対応能力を高めて、地域等における金融が十分な安心感を持って円滑に行われるように、その環境整備に万全を尽くしたい、そのような政策判断に至っているわけでございます。

 いずれにしましても、金融機関の資本の自力調達が必ずしも容易ではない中で、金融機能の強化に向けた枠組み、そうした金融機関のお取り組みに対して公的な支援を行うということは大変必要なことであると思っておりますし、まさにそれが今回の法案提出の趣旨でございます。

津村委員 図らずも大臣のお口からまさに金融再生プログラムのお話が出てまいりました。次の私の質問はまさにその部分にかかわるんですけれども、二〇〇二年の十月に、竹中大臣の肝いりで、就任当初から取りまとめられたといいますか、主唱されました金融再生プログラムですけれども、当時の一般的な理解、あるいは今振り返ってその文言を見ても、金融再生プログラムというのは、どちらかというと主要行、大手行に焦点を当てて、ここに問題の核心があるということを非常に強くアピールされながら出てきたのかな、そういう理解をしております。

 そうした中で、今回公的資金の注入、確かに以前からその必要性は、新たな制度の創設の必要性などについて検討するという表現で、当初から竹中大臣は一貫してその点については言われているんですけれども、しかし、その点だけは同じでも、今回は明らかに地域金融機関、後ほど多少敷衍して御質問しますけれども、地域金融機関をターゲットにされている。そこにはやはり議論の断絶といいますか、竹中大臣が今明快におっしゃられたほどには議論は連続していないんじゃないかなという印象は、これはどうもぬぐえないと思います。

 そうした印象があるために、先ほどの話に少し戻りますが、例えば、ペイオフ解禁への対応が一部の地域金融機関におくれていることを嫌って、それへの対応としてにわかに出てきたのではないか、あるいは当初想定されていた公的資金注入の枠組みをにわかに変更されたんじゃないか、竹中大臣の御認識にはそこに断絶があるんじゃないか、そのことが御質問の趣旨でございます。お答えください。

竹中国務大臣 津村委員の御指摘は、我々の政策体系、政策のねらいそのものを少し明確にして、その中での位置づけをもっと明確にしろという御示唆であろうかと思います。

 非常に大きなところから申し上げますと、中長期的には、我々の金融行政の課題というのは、この金融システムを市場機能を中核とする金融システムに再構築していくということであるというふうに認識をしております。そうした中で、当面の課題としては、不良債権問題を解決して、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築する、そういう認識になろうかと思います。

 そのために、プログラムとしては二つのプログラムが出てくるわけであります。主要行については、金融再生プログラムに沿って、これは十六年度に不良債権比率を作成当時の半分程度に低下させる、そうした目標で不良債権処理を進め加速させる。地域金融機関については、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムをつくっておりますので、その中で、まず地域の企業を再生させる、地元の経済を再生させて、その中で銀行みずからも財務基盤を強化して不良債権問題を解決していく、そういう取り組みにしているわけでございます。

 そうした中で、金融再生プログラムを受けて、金融審でこの公的資金の枠組みを議論したわけでありますけれども、その考え得る枠組みというのを金融審の中で報告いただいております。

 この考え得る枠組みを踏まえて制度設計されたものでありますけれども、この報告書の中において、「地域金融機関であっても、その金融機能が低下すると、地域によっては、地域経済に重大な支障を招く可能性があることから、公的に資本増強をサポートして金融機能の強化を図り、地域経済の下支えをする必要がある場合が考えられる。」そのように明確に記されているわけでございます。

 それを踏まえて今回の立法に至っているわけでございますけれども、いずれにしても、新たな金融制度においても、これは後ほどまた議論になるとおっしゃいましたけれども、御承知のように、主要行についても、主要行と地域系金融機関との組織再編成も想定されないわけではありません。また、主要行自身も金融機能を担っていることに変わりはないということから、制度として資本参加の対象に含まれているところでございます。

 全体の体系、経緯は、御質問に沿って御説明申し上げると、以上申し上げたような点になろうかと思います。

津村委員 今のお話を伺っても、もちろん金融も経済も生き物ですからさまざまな変化もあると思います、必ずしも御説明いただけない大臣の認識の変化もあると思うんですが。

 今図らずも出てきた金融審議会のことで言いますと、私、報告書を読ませていただいたんですが、金融分科会の第二部会、昨年の七月二十八日付で「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」という報告をまとめられていると思います。今引用されたところもそういう議論があったわけですけれども、もう一つ、私、報告書の中で出てきた表現で、これは実は非常に大きな議論かなと思った部分がありますので、一部引用させていただきます。

 「我が国金融機関の課題」と題するパラグラムの後段ですけれども、「自己資本比率規制については、近時、バーゼル銀行監督委員会は、新BIS規制案において、」すなわち、二〇〇三年四月に同委員会が取りまとめた自己資本比率に関する新しいバーゼル合意第三次市中協議案というものですけれども、この新BIS規制案におきまして、「所要自己資本を中小企業向け融資等について軽減する一方、不良債権について引当の状況により加重する案を提示している。また、新BIS規制案は、自己資本比率規制には景気変動を増幅させる性質があること等を踏まえ、金融機関自らが先を見た自己資本戦略を策定することを求めている。このため、規制上の自己資本の水準のみならず、各金融機関が事業展開上必要とする自己資本の水準(エコノミックキャピタル)を適切に評価することが重要と指摘している。」こういう表現がございます。

 過去のBIS規制が日本の金融業界及び金融行政に与えてきた影響の大きさを考えた場合、当然、この新BIS規制の議論を金融当局としては展望しながら、先手先手を打って対応していかなければならない、そういった政策ニーズといいますか政策対応ニーズがあると思うんですね。そういう意味で、今回、この議論について金融庁としてどのようなスタンスで協議に臨み、そして、どのような国内対応を具体的に行おうとしているのか、本法案の提出とも整合的に御説明いただければと思います。

竹中国務大臣 津村委員におかれては、御専門家として非常に詳細に報告書もお読みいただきまして、大変深い御指摘をいただいたと思っております。

 基本的には、今回の法律は、金融機関が、現状の日本のデフレが続いているという状況等々、さらに地域経済での金融機能の強化が求められている状況を踏まえて、各金融機関が一層リスク対応力を高めて、より安心感のある金融を行っていけるような環境をつくりたい、今回の法案はそのような趣旨なわけでございます。

 他方で、今御指摘のあった新BIS規制でございますけれども、各金融機関に対して、みずからのリスク特性に照らした適切な自己資本水準の確保を求めているというものになります。個別の金融機関が自己資本の増強を図っていく中で、今回の公的制度の活用というのはいろいろな形で当然のことながらお考えになるわけでありますけれども、今回の制度というのは、新BIS規制の導入の有無にかかわらず進められるべき、その地域における金融機能の強化に向けた対応策であるというふうに我々は位置づけております。

 委員のお尋ねは、まず、新BIS規制等々に対してどのように対応しているかというお尋ねがございますが、これは、国際的な金融を担う重要な国の一つとして日本が位置づけられているわけでありますから、国際的な議論に積極的に参加する中で、確かに、今議論されていることに関して言いますと、リスク特性というのをもう少しはっきりと議論しようではないかというのが今の新しい規制のベースになっておりますから、そうしたことに関しては積極的に意見も申し上げるし、また参画をするというのが基本的な立場でございます。

 二点目のお尋ねの、BIS規制との直接的な関係いかんということに関しては、これは、今申し上げましたように、法律が出てくる背景とそもそもBIS規制が求めているものというのは直接的に重なるものではない。繰り返しになりますが、今の新しい公的資金の制度というのは、新BIS規制導入の有無にかかわらず進められるべき政策であるという観点から、今回の法案の提出をさせていただいております。

津村委員 私自身は、直接間接にかかわらず当然考えていくべきテーマだと思いますし、今回、このような重要法案を出されるに当たって、そうした視点がないはずはない、なければおかしいと思いますので、それは直接か間接かはどちらでもいいですけれども、当然、配慮、考慮しながら作業を進めていただきたいわけです。

 そうした中で、それとも関連するんですが、次の質問ですけれども、今回の法案の説明におきまして、公的資金注入枠として二兆円という数字が出てきます。そして、その積算根拠として、これはいろいろ出ていると思うんですけれども、説明をいただいています。雑誌等でも最近報道がいろいろされているようですが、地銀、信金、信用組合をそれぞれウエートづけして、過去の例などから試算をしているんですけれども、最後に、一のケースにおいて合併後の金融機関の自己資本比率をさらに二%程度引き上げることが可能になるとして一兆円プラス一兆円という説明をされています。私は、ここが、ある意味では、新BIS規制等もにらんだ、少し余裕を持たせておこう、そういう深奥な配慮があったのかなと勝手に思っておったんですが、それはそれとしてお伺いしたいのは、先ほどの主要行、地域金融機関の議論です。

 法律案の御説明で主要行のことが出てくるわけですね。活字としても出てきますし、先ほど竹中大臣の御答弁の中にも主要行にだって使えないことはないとおっしゃいました。しかし、この積算根拠のところに主要行に関する記述は全くないわけですね。これは予算の裏づけがない法案を出されているというふうに理解せざるを得ないと思うんですけれども、そこはどう理解すればよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 まず、主要行についても、これを排除する理由はない、これは先ほど申し上げたとおりでございますので答弁は繰り返さないわけでございますけれども。

 委員のお尋ねは、そうした見方とこの保証枠の積算方法の間にコンシステンシーはあるのかという御指摘だと思います。

 これは、保証枠の積算というものをそもそもどのように性格づけるかということなのではないかと思っております。これは前回も少し議論になったところだと思いますけれども、政府保証枠については、そもそもこの制度が金融機関からの申請に基づいて資本参加を行うものであるわけでございまして、今後、具体的にどの程度これが行われるか、これは予測は大変難しいわけでありまして、これは、その意味では、仮定を置いて一定の機械的な積算をどちらにしてもやらざるを得ないという性格のものだと思っております。

 その機械的な積算に当たっては、本制度が、組織再編成の促進特別措置法の資本増強の水準と対象を拡充するものであるということを踏まえて、今回の前提で行っているわけでございます。ちなみに、組織再編特措法の場合も、これも主要行等々は排除されていないわけでございますけれども、同じような積算方法であったというふうに認識をしております。

 もう一つ申し上げれば、この新たな公的資金制度について、主要行については資本調達能力が非常に高い、原則としては、高いということを踏まえて、最大限の自力調達がなされていることを国の資本参加の条件としているわけでございます。したがって、新たな公的資金制度において、主要行も対象になるからといって直ちにこれが非常に多額の資本参加が必要になる、そういう性格のものではないというふうに考えております。

 いずれにしましても、これは政府保証枠の積算方法というのが一定の機械的な枠組みに基づいて行われざるを得ない、この性格についての御理解を賜りたいというふうに思います。

津村委員 ちょっと重ねて御質問すると、あえて申し上げれば、私は、竹中大臣がおっしゃっていることを全部積み重ねていくと、二兆円では足りないんじゃないかということが言いたいんです。実際そんな大きなものが必要かというのは別途議論があるんですけれども。

 一つには、主要行にも使えると言いながら、枠ですから実際全く使わなくていいわけですけれども、枠としてもここに書かない、あるいは財務省に対して、これは財務省に対して説明している資料とは別のものなのかもしれませんけれども、しかし、当然この場で御説明いただかないと。主要行にも使えるというのはここには全く一言も出ていないわけですから、仮にということも含めて議論の材料を出していただかないと。これは主要行にも使えますと言いながら、予算のことは全く書いていないというのはおかしいと思います。それは法案の審議のあり方としてそもそもおかしいんじゃないかと思います。

 もう一つ、実は、私はこの最後の一兆円の部分がどうとでも読めるあいまいさを残しているのが非常に嫌らしいと思っているんですけれども。先ほどの理屈、お話でいきますと、私は、新BIS規制のことなんかも踏まえれば、ここを主要行のところに使おうと思えば使えるよという説明はやっぱり非常に不誠実だと思いますので、そういう意味で新BIS規制の話を先にさせていただいたんですが。やはり大手行の議論をここにのせないというのはおかしいですし、本当に二兆円で十分なんですかということを逆にお尋ねしたいと思います。

 そのお答えとして先ほど一つおっしゃっていたのは、自分たちでしっかりと増資の努力をしてさえいれば、そして、それが条件になっているんだから、そんなに多額にならなくて済むじゃないかということをおっしゃっていますけれども、後ほどまた地域金融機関について申し上げますが、私は、そこには論理矛盾があって、自分で調達できるんであればこんなのは必要ないわけで、調達できないからのせるわけですから、そこはきちんと御説明していただかないと、二兆円枠の説明としては終わらないと思います。お願いします。

竹中国務大臣 委員の御指摘は、かねてこの積算方法そのものにあいまいさが残っているのではないのか、特にBIS規制、主要行等との関係でもう少し詰めた説明ができないのか、まさにそういうお尋ねであろうかと思います。

 今あいまいさというふうにおっしゃいましたが、重ねて、これはその政府保証枠、向こうから申請してくるものについての保証枠をどのように積算するか、その積算というものがそんなに積み上げでできる性格のものではなくて、大変その意味では仮定を置いた機械的なものにならざるを得ないという、一つのこういった枠取りの限界というものをぜひ御理解賜りたいというふうに思います。

 先ほども申し上げましたように、前回の特措法、組織再編成の特措法においても、これも主要行は排除されているわけではございませんけれども、やはり同様の枠組みについて行って御審議をいただいております。これはあくまでも合併の仮定そのものでありますから、地域銀行がここでは一割、信用金庫をこれだけこれだけと積み上げておりますけれども、これは仮にすべてが地域銀行に使われて、信金、信組には使われないというような場合も当然あり得るわけでございます。保証枠の枠の積算の限界というようなものをひとつぜひ御理解いただきたいというのが第一点でございます。

 それと、二点目に委員がお尋ねになりました、主要行に対して、これはできれば自力調達しろというふうに言っているではないか、しかし、そもそも資金調達が難しいからこういう問題が出てきているのではないのか。ここは、基本的には、主要行に対しては特に厳しい、主要行が持っている体力等々を勘案して、モラルハザードが生じないように、ぎりぎりの厳しい線を私たちは求めているというふうに御理解をいただきたいと思います。

 もちろん、調達ができれば、これはこういう制度を利用していただく必要はないと思います。これは、調達する側についても、市場から調達できるのであるならば、政府が条件をつけていろいろお金を出す場合に比べて経営の自由度は高まるわけですから、これは当然にそのようにしていくんだと思っております。

 しかし一方で、なかなか市場では自力調達が難しいという現実が一つにはある。しかし同時に、中小の金融機関に比べましたら、主要行というのは、当然のことながら、これまでの信用力等々を生かして、中小に比べれば資本増強ができる余地はある。そういうぎりぎりのところで、モラルハザードが生じないように、国民負担が大きくならないように、この制度の設計をしているわけでございます。

津村委員 本当はこんなに繰り返してお尋ねする予定ではなかったんですが、予定を変更してもう一回伺いますけれども、私があいまいだと言ったのは、最後のこの文章があいまいだということを言っただけで、この法律案とこの積算根拠の説明の間には、あいまいさではなくて非常にクリアな矛盾があると思うんですよ。主要行に使えると法案で言っていて、その予算の裏づけとしては主要行のことは一言もないわけですから、予算の裏づけがない法律案だと私は思うんですよ。

 私はこういう議論は余り経験がないものですから、こういう議論の先輩として竹中さんに伺いたいんですが、予算の裏づけがない法案を審議するというのは、それはあり方として正しいんですか。

竹中国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、予算の裏づけというのと積算の根拠というのは、これは少し違うと思います。

 積算の根拠というのは、いずれにしても精緻な積み上げができる予算はございます。しかし、精緻な積み上げができない予算というのは、すべてのものは、これは必ずカバーできないわけであります。したがって、先ほどから何度も申し上げていますように、一定の仮定を置いて機械的に計算せざるを得ない性格のものであるということだと思います。

 予算の裏づけがあるかというと、これは予算の裏づけはあるわけでございます。政府保証枠をとっていただいているから予算の裏づけはあります。しかし、その積算の場合の一つの根拠として、これは全部積み上げることはできませんから、まあ、これはケース・バイ・ケースだと思います、積み上げられるようなものもあると思います。

 しかし、今回の場合、これはいずれにしても、地域銀行一割、信用金庫一・五割というのも、この性格上、仮定の機械的な計算になるわけでありますので、ここは、繰り返し繰り返しで恐縮でありますけれども、政府保証枠の積算の根拠、積算というものの一つの限界の中で今回のような積算方法を示させていただいている。予算の裏づけは、これはあるわけでございます。この点を御理解いただきたいと思います。

津村委員 積算根拠というものをそもそも出していただく理由というのは、そのようにお金には色がないということではなくて、あえて色をつけて説明をしていただいているものだと私は思うんですね。そもそも積算根拠をつくるという、金融庁の事務方の皆さんの努力というか、そういう作業をある意味で全否定されている御答弁だと思うんです。積算根拠を今後出していただく意味がないですよね。そうやって、お金に色はないんだから何にでも使えます、とりあえず金額だけは絶対値は多いですよという説明では。それはちょっと不誠実過ぎるんじゃないかと思うんですけれども。

竹中国務大臣 金融庁の事務方の努力を全否定しているとか、お金に色はないから云々とか、そういうことを申し上げているつもりはございません。

 しかし、現実問題として、向こうからの申請に基づいて、先方からどのような申請が出てくるかわからない、その中での予算の保証枠の枠取りをしなければいけない。これは、政策的なニーズが現実としてあるわけでございます。財務省への要求に当たって二兆円の一つの根拠を説明したものがこの積算であるわけでありますけれども、この執行に当たっては、この法律と二兆円という予算の保証枠に基づいて我々が当たっていかなければいけないということになります。

 繰り返しになりますけれども、これは前回の組織再編特措法におきましても、これも主要行が排除されているわけではございませんですけれども、その中でも、今回と同様の形での政府保証枠の積算を行いまして、それで保証枠を認めていただいて、また法律の御審議もいただいたという経緯がございます。

津村委員 ほかの質問もさせていただきたいので、もう重ねて質問はしませんが、二兆円という、あるいはこの法律案自体の信頼性といいますか、それを損なわせる残念な答弁だったと思います。同じ法案を通そうとするにしても、もう少し誠実に御答弁いただいた方が日本の金融行政のためだと私は思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 公的資金の、話が大分かわるわけですけれども、最近の報道によれば、この三月末までに約六千億円ですかね、過去の公的資金について返済が始まっているという報道といいますか事実があると思います。そのことについて、もちろん各行の経営判断ですから、それは各行が何と言うかなんですけれども、いわゆるステップアップ債というんですかね、劣後ローンの金利負担を軽減するためというのが各行の一般的な説明でして、それに対してマスコミ等は、金融庁が昨年八月に公的資金受け入れ金融機関に対して業務改善命令を、かなり厳格に、収益の三割ルールの厳格運用というような形で出された、このことに対する戸惑いというか、余りいろいろ言われたくないなという心理的な部分と、それから、足元については株価の回復という追い風もあってこういった動きが進んでいると一般に報道されていると思います。こうした動きを金融庁さんはどういうふうにお考えなんですかというのが私の質問の最後なんですけれども。

 多少それについて意見に近いことを申し上げますと、金融庁さんとしては、多分、一般的なお答えとしては、これは預金保険機構がきちんと定められた指針にのっとってそれを許しているんだから私たちとしてはそれでいいんじゃないですか、そういうようなお答えが想定されるんですけれども、しかし、マーケットといいますか、青目、黒目含めた、海外の方も含めたマーケット一般にはどう受けとめられるかというと、これは、金融庁は公的資金返済を是認しているというか、知らないでは済まされない、やっぱりこれは是認しているというメッセージになっていると思うんですね。それが、マーケットがどう見ているかを意識する大手行からすれば、金融庁が是認している環境の中で、あそこだけ返済した、何かうちだけおくれているのはちょっと格好が悪いということで、返済ラッシュといいますか、次はうちもそろそろ公的資金を返しておかないと、大手行の競争の中で、何かうちだけまだ体質が悪いように思われるのは不本意だと。そういう返済ラッシュが、今度は大手行の中で、株価が比較的上昇していることを背景に過当なというか実際の体力以上にそういった動きが出てくることが私は心配だと思っています。

 一方で、今回は大手行も含むとおっしゃいますけれども、どうもそういう説明にはなっているとは思いませんが、いずれにせよ、今回の法案では、自主的な公的資金に対する申請を慫慂するような枠組みをつくっておきながら、その公的資金の返済競争を誘発するような、黙認する、是認する態度を続けていらっしゃるというのは非常にわかりにくいと私は思います。

 今回、この公的資金返済ラッシュが起こり始めている、先のことまで言わないにしても、既に四行が公的資金の返済を済ませていることを金融庁としてどう評価するのか、是認しているというマーケットの評価をそれでよいとするのか、御説明ください。

竹中国務大臣 委員は返済ラッシュというお言葉を使われましたけれども、本当に返済ラッシュと言えるような状況になっているのか、その状況がまた来るのかというのは、ちょっと私自身はまだよくわかりません。ただ、いずれにしても、金利がステップアップしていきますので、財務戦略上も高い金利のものは返せるところは返したい、これは財務戦略としては当然にあり得ることなのだというふうに思っております。

 委員のお尋ねは、そうした一方で新たな公的資金の注入の枠組みを持つということは、外から見るとちょっとわかりにくいのではないかという御指摘だと思いますが、これは、まさにそこはケース・バイ・ケースなのだと思います。既に、御承知のように、公的資金を完済したところもあるわけでございます。公的資金を完済したところもあれば、新たに公的資金を必要としているところもある、これがある意味では今の日本の金融の実態であろうかとも思います。

 この公的資金を返済する場合は、これはかつての金融再生委員会での一つの取り決めがありまして、これは先ほど津村委員が引用されたのかもしれませんけれども、政策的な観点から自己資本を返しても大丈夫だというような、そういう――済みません、預金保険機構が十二年に決めたものがありまして、銀行経営の健全性を損なわないこと、国民負担を回避すること、金融システムの安定性を損なわないこと、そういう条件が満たされている場合に返済が認められるわけであります。

 一方で、今回の枠組みというのは、逆に今度は新たなリスク対応をとるために、地域の金融の安心感をさらに高めるために、自己資本を増強したいというところもあり得る。ここは金融機関それぞれでありますから、ケース・バイ・ケースでやはり判断をしなければいけない問題だと思います。

 冒頭で申し上げましたように、今のところ、単なる横並びで隣が返したからうちも返そうかとか、必ずしもそういう状況ではない。それなりの財務戦略として、ステップアップの金利に対してはうちはこのようにしたい、うちはまだ待ちたい、そのような判断をしている状況ではないかというふうに思っております。

津村委員 横並び意識というのは、一般に悪いこととして今まで言われている面がありますが、マーケットに対して、競争する中で、ほかよりもうちは悪くない、むしろいいということをアピールしたいのは当然なわけで、それは金融庁さんがどう考えるかの問題じゃないんですよね。ほかのマーケット参加者がそういう評価を始めた途端に、つまり、公的資金を完済しているところとそうでないところを、完済しているからこっちの方がいいんじゃないか、例えば格付機関がそっちをよくしたりなんかすると、こっちも負けていられないとなるのは、それは、当然そうあるべきですし、そうなるわけですよね。そういうマーケットの実態に即したお答えに今の御答弁はなっているんでしょうか。

竹中国務大臣 基本的には、私が申し上げたことと今委員がおっしゃったこととは矛盾はないというふうに思います。マーケットの動向をきちっと踏まえてという趣旨で私たちも考えております。

津村委員 今回の法案の趣旨といいますか御説明の流れと多少私はニュアンスが違うような気がしてならないんですが、次の質問に移ります。

 短く御質問します。

 ペイオフの全面解禁の問題ですけれども、これまで日本の金融行政の国際的な信頼度を下げる一つの大きな理由になったのが、このペイオフ全面解禁の相次ぐ延期、先延ばしだったと思います。今回についてはそういうことはないと考えてよろしいでしょうか。大臣、お願いします。

竹中国務大臣 御指摘のように、ペイオフというのは、健全な競争環境のもとで預金者が銀行を選択して、そうした健全なプレッシャーの中で銀行経営が行われるというものでありますから、これは必要なものだと思います。日本もかつてそのような状況にございました。

 それをしかし実現するためにはどうするか。やはり金融をしっかりと安定させなければいけない。そのために、金融再生のプログラムを主要行に適用し、さらにはリレーションシップバンキングのプログラムを作成して地域金融機関に対してお願いしている。あと一年、この金融再生プログラム及びリレーションシップバンキングのアクションプログラムをしっかりと実行していくことによって、ペイオフ解禁が可能になるような環境をぜひつくっていきたいというふうに思っております。

津村委員 今の問題に関連しまして、伊藤副大臣にお伺いしたいと思います。

 私たち民主党は、今回の法律案につきまして、ある意味ではペイオフ解禁を無意味にさせてしまうんじゃないか、少なくともそう見えるおそれがあるということを一つの懸念として持っております。

 債務超過の金融機関であっても、粉飾決算をさせて、自主的というフィクションのもとで資本注入をさせて破綻を回避することが、しかもペイオフ解禁以後も可能になるという枠組みが、解釈の問題はあるとしても、枠組みとしてありますので、これは、意地悪なといいますか日本の金融行政を基本的に信頼していない海外の青目のマーケット参加者からすれば、信頼を損ねる理由にもなってしまうんじゃないか、そういう口実を与えてしまうのじゃないかということを恐れているわけです。

 ただ、その場合に、伊藤副大臣、「金融ビジネス」の四月号だと思うんですけれども、非常に短いものですので恐らく言葉足らずだった部分もあるのかもしれませんが、今回の制度、その辺はどうですかという質問に対して、いや、ペイオフの問題と今回の法律案の問題は別問題ですよというふうに非常に明快にお答えになっています。

 しかし、私は、それは見え方の問題で、金融庁さんから見て別問題であっても、受けとめ側が同じ問題だと思ったら、それは幾ら別だ別だと言ったって、受けとめ側がどう思うかがマーケットの信認という意味では重要ですから、ぜひマーケット参加者を納得させるような表現で、ここはお時間がもう少しありますので、言葉足らずでなく、きちんと御説明いただきたいと思います。

伊藤副大臣 今、委員から受けとめ側の問題が非常に重要だという御指摘がございました。

 「金融ビジネス」の場合には非常に限られた時間の中でのインタビューでございましたので、その中で、ペイオフに関連して今回の新たな公的資金制度というものを提案したんじゃないか、こういう御質問でありましたから、そういうことではないと。

 ペイオフについては、今大臣が答弁をされましたように、そうした環境をつくっていくためにも、私どもは金融システムの安定ということを実現していかなければいけないわけですし、また、この新たな公的資金制度を国会の皆様方に御審議をお願いしておりますのは、先ほどから大臣もお話をさせていただいているように、現在の経済の状況の中で、やはり地域経済を活性化していくというのは極めて重要なことである。そのためにさまざまな政策の努力をしているわけでありますが、その中で金融面からの政策の努力もしていく必要があるだろう。そういう意味から、今回のこの公的資金の新たな制度というものを提案させていただいたところでございます。

 こうした制度によって金融システムの機能を強化し、そしてリスク対応能力を上げることによって中小企業の再生や地域経済の活性化に資する、このことは国民経済全体にとってもプラスになる、そういう視点から今回の法律というものを提案させていただいたところでございます。

津村委員 余り時間がありませんので、次の質問をさせていただきます。

 今回、私たちは、本会議での答弁でも触れましたけれども、中小企業向け貸し出しについての数値目標がないということを問題にしております。

 前回、早期健全化法においては、第五条一項四号において、資金の貸し付けその他信用供与の円滑化のための方策について計画の提出を求めるというようなことを法定されていると思うんですけれども、今回、そうしたことが経営強化の計画の提出を求めるという形でトーンダウンしている感じがあるんですけれども、これは前回失敗したということですか。

伊藤副大臣 この点につきましては、私どもといたしましても、中小企業貸し出しというものが多くの金融機関にとってコアの収益源になっていく、したがって、国が資本参加をしていく以上は、中小企業を中心として資金仲介機能を強化していく、高めていくということは極めて重要だ、こう認識をしているところであります。

 このため、新たな公的資金制度においては、国の資本参加に当たって、信用供与の円滑化等、地域経済の活性化に資する方策を盛り込んだ計画というものを提出いただきたい、こういうことを求めているわけでありまして、こうした地域経済の活性化というのは、ある意味では多面的な取り組みというものが大変重要であります。

 一律の目標を課すのではなくて、活性化の方策というもの、この進捗状況が外部から評価できるような指標を計画に盛り込んでいく、このことを求める、こうしたところでございまして、そうした指標としては、例えば中小企業あるいは地元の企業に対する信用供与の総資産に対する割合が考えられるところでございまして、また、その他の指標も組み合わせて、その実績というものを情報公開し、公表して、パブリックプレッシャーのもとで取り組みを促すところといたしているところでございます。

津村委員 最後の質問とさせていただきます。

 これは、お詳しい方どなたでも結構です、お答えいただきたいんですが、数字の御質問です。金融監督庁の発足当時と現在の検査官の定員がそれぞれ何人であるのか。それからもう一つは、現在、日本銀行考査局と金融庁検査局の間で人事交流があるのか、過去においてはどうであるのか、これをお尋ねしたいと思います。

伊藤副大臣 前半のところをまずお答えさせていただきたいと思います。

 金融監督庁が発足しましたのは平成十年の六月でございますので、平成十年度末の検査部の定員は百六十四名でございました。そして、平成十六年度末における金融庁検査局の定員は四百七十八名でございます。

 人事交流の点につきましては、検査部門についての人事交流はないということであります。

津村委員 最後に私の意見を簡単に述べて終わりますが、私たちは、緊急一斉検査を半年でやって、とにかくこのタイミングで金融危機に対する国際的な疑念といいますか、そうした不信感を払拭しようということで、私たちの金融再生ファイナルプランにそういうことを盛り込んでおります。

 ただいまのお話で、金融監督庁発足当時と比べて約三倍に検査官の方がふえているというお話がありますが、当時、私の記憶では、十年六月から約一年間をかけて、主要行から順番に一斉検査ということで、金融庁と日銀が連携して非常にスピーディーに、約一年ほどはかかったと思いますけれども、金融一斉検査を行ったという事実があると思います。

 私は、その後検査官の数が三倍にふえていることや、当時も日銀とタイアップして一斉検査をされていたはずですから、人事交流を含めてノウハウの蓄積をぜひ進めていただいて、当時、情報交換もしながら一緒にやっているわけですからね、そういったことを進めていただきながらノウハウを蓄積して、蓄積というか既にあるはずなんですけれども、そういった努力をしていただければ、金融検査というのはよりスピーディーに、そして悉皆的というか、一斉検査が、半年以内どころか、もっと早くとも言いませんけれども、しっかりとできるんじゃないか、ぜひそういう努力をしていただきたい、私たちが政権をとればそういうことをやっていくということを申し上げて、質問を終わります。

田野瀬委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 同僚の津村議員が今先立って質問をさせていただきましたこの金融機能強化法案についての質疑、私も早速始めさせていただきますが、まず冒頭、私が自身の用意をさせていただいている質疑に入る前に、今津村議員が指摘をされましたこの金融機能強化法案における政府保証枠二兆円の積算、これについて大臣の明確な御答弁をいただいていないということで、私再度お尋ねをしなければならないと思っております。大変重要な問題であります。大臣は、しっかりと津村議員に答える、そして私たちこの財務金融委員会の委員の皆さんにお答えするという意を持って発言をいただきたいと思います。

 先ほどのお話の中で、お二人の議論の中で、この二兆円の保証枠の積算根拠についてということで、金融庁御提出の資料の中に、主要行についてという記載があるにもかかわらず、私たちに御提示をいただいた、同じく金融庁からの積算根拠、これにつきましては、地方の地銀あるいは信金、信組、こういったところの合併を前提とした積算であるということを御提示いただいています。この矛盾したことについて、単なる積算の結果だ、計算結果だと先ほど強弁されておられましたが、再度問い返します。これについて大臣、どのようにお考えなんですか。

竹中国務大臣 政府保証枠の積算というのはそもそもどういうものなのかということだと思います。これは、いろいろな積算の場合があります。予算でございますから、これはしっかりと事実を、ファクトを積み上げていく場合もあります。しかし、マクロ的な関連指標をもとにして、それを一種の代理変数のような形でそこから推計をしなければいけないものもございます。

 今回の場合、その前の組織再編特措法の場合と同様に、これは主として地域の金融機関を念頭に置いたものである。もちろんこれは主要行を排除しているわけではありませんけれども、主として地域金融機関を念頭に置いたものであるということから、地域銀行については一割、信用金庫については一・五割ということで、その枠の積算を、仮定を置いて機械的にさせていただいたものでございます。

 保証枠等々の積算というものは、その性格によりますけれども、今回のような場合はやはりこのような方法によらざるを得ないものであるというふうに思っております。

馬淵委員 今お話にありました説明は、地銀並びに信金、信組ということであります。しかしながら、こうした積算根拠をもとにつくった法案の説明資料においては、主要行も含む、こう説明をされておられる。

 そして、大臣みずからは、これは九日の午前中の閣議後の記者会見です。この保証枠二兆円をめぐっての地方銀行などの経営不安が指摘されている、これらに対し、報道は承知しているが、足利銀行を除くすべての金融機関は安全性基準を満たしている、このように強調され、そしてさらに、保証枠は機械的に積算したもの、風評リスクなどには慎重な立場での行動をお願いする、こう述べられています。

 このようにおっしゃっている、この大臣の御発言を聞けば、であるならば、そもそもこの金融強化法案というものが当面全く必要でないということになりはしませんですか。

竹中国務大臣 その点は馬淵委員にぜひ御理解を賜りたいと思います。繰り返し申し上げているように、健全性の基準、これは、国際行は八%、それと国内行は四%、健全性の基準は満たしております。しかし、デフレが続いて、さらに、地域経済を活性化させたいという政策的ニーズがあって、そのような中で一層のリスク対応力をやはりとっていただいて金融機能を強化するということが必要になっているわけであります。

 これは、もう二年前から申し上げている、危篤状況、危険な状況ではないけれども、やはり完全な健康体ではない、そういう状況を想定して、頑張って健全に、金融機能を強化したい。したがって、安全性、健全性の基準は満たしているけれども、現下の経済状況と政策ニーズを勘案して、経営改革を進めて、さらに金融機能の強化をして、一層の地域の金融の安心感をもたらしてくれるようなところに対しては国も資本参加しようではないか。その意味では矛盾するものではないというふうに我々は考えております。金融機能の強化、健全性は満たしているけれども、さらなるリスクテークの力をとっていくような状況をつくっていきたい、そういう政策的な一つの考え方についての御理解を賜りたいと思います。

馬淵委員 金融機能の強化のために必要だというお話でありますが、ここについては、私は、後ほどのみずからの質問の中で一つ一つ確認をさせていただきたいと思うんですが、大臣が、こうして、機械的な計算をしているがと認められながら、その機械的な計算の根拠として地銀並びに信金、信組しか挙げられていない、にもかかわらず、主要行も前提となっているというこの説明について、これは一致しない。一致しないものを、役所が私たち委員、つまり国民に示しているということになりはしませんですか。この一致しないものを提示しているということについて再度お伺いします。そして、このことについて納得できる説明をいただけなければ、私たち説明を受けた内容が違うということになります。これについて大臣、御回答お願いします。

竹中国務大臣 何度も申し上げておりますが、事の性格上、きっちりと積み上げられるものと必ずしもそうではないものがあると思います。

 今回の措置は、今の地域経済の活性化をさらに進めたいという政策ニーズに応じて、主として地域金融機関を念頭に置いたものでございます。そうはいうものの、もちろん主要行を排除するものではございません。その中で、可能な情報量を駆使して、地域金融機関を主たる対象としているということから、これらを想定した上で一定の仮定を得て機械的な算出をする。これは一種の枠組み、算定上の一つの制約の中でお示ししたものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。

馬淵委員 今のお話は非常に理解しがたいんですね。というのは、機械的に計算するために、主要行を排除するものではないとおっしゃっていますが、例えばそれまでに行われた保証枠、十五兆円、こうした規模で行われているわけです。そして、それはあくまで、主要行を前提とした場合にこうした大きな保証枠の設定がなされている。今回は、地域の金融機関、地域の経済の活性化のために二兆円だということで、私たちへの説明も、地銀、信金、信組での合併を前提とした積算根拠だと示された。にもかかわらず、主要行を排除しないとするならば、もっともっと違った予算措置、保証枠の設定を考慮に入れるべきではなかったんですか。

 このことが説明されずにここに今日の委員会を迎えている、今日のこの金融強化法案の審議を迎えている。これは一方で、金融庁の中で、恣意的に私たちへの説明を変えていたということにはならないですか。大臣、御所見お願いします。

竹中国務大臣 恣意的に説明を変えたとか、そういうことはございませんので、その点はぜひ御理解を賜りたいと思います。

 繰り返しますが、積み上げができないような場合に何らかの仮定を置かなければいけない。その仮定の置き方という技術論について馬淵委員は納得できないという御指摘なんだと思いますが、これは、先ほども申し上げましたけれども、前回の組織再編特措法、これも主要行を排除したものではございませんけれども、その場合も、同じような形で我々はこの積算を行ったという経緯がございます。

 この点は、やはり前回も今回も、主として地域金融機関を対象にしたものであるということで、その主とした項目に焦点を当てて一定の仮定を置いて、前提して、機械計算をする。これはやはり一つの技術論ということではありますけれども、その保証枠の積算としてはやむを得ないものであるという点を、何度も申し上げますが、御理解をいただきたいと思います。

馬淵委員 主要行という名を出すわけにいかない、そして、これは積算の根拠のために地域の金融機関だけにしたんだというこの説明に、私自身、多くの同僚議員も含め、納得がいくものではない、このように思いますが、これにつきまして、再度、同僚の議員の方から大臣の方へ確認をさせていただくことになるかと思います。

 私は、今回の金融機能強化法案について、まず、そもそも資本充実を図るということでその地域の活性化並びにその地域への金融の円滑な効果が生まれるということの発想そのものについてお尋ねをさせていただきたいというふうに考えております。

 二〇〇二年に、先ほどもお話ありましたように、地域金融の合併を促進するということでの組織再編法、これが打ち出されました。この組織再編法が施行されまして、そして関東つくば銀行、この一件の合併を行った。一兆円の保証枠の中でたった一件だけの合併にとどまったというこの組織再編法が法案として準備され、さらに今回の金融機能強化法案というものが上程され、市中に法律として施行されようとしています。

 この金融機能強化法案、要は、資金を注入してほしいという金融機関があれば幾らでも、この二兆円という保証枠は問題がありますが、資本を注入しようという法律でありますが、こうした法案の設定がモラルハザードを招きはしないかということ、そして、この資本の充実ということを前提とすることが果たしてどれほどの意味を持つのかということ、私はこの一点をまずはお聞きをしていきたいと思っています。

 まず最初に、再編法の評価についてお尋ねをしたい。

 先ほど申し上げたように、六十億を利用した、一兆円の保証枠のうちの六十億、関東つくば銀行一件の合併でありました。お手元にこれは配付はしておりませんが、合併の例を私調べてみましたが、この法律の施行後の合併件数というのは、大手地銀それから信金、信組、合わせまして三十件以上の合併が既になされております。つまり、再編法というものが成立をした後に、一件の利用しかなく、またそれ以外に三十数件の合併が実現されている。手続の簡素化というものがその法律の中に盛り込まれたために実施されたという見方もあるとは思いますが、しかしながら、利用はされていない。この再編法の評価というものに立って、今度の金融機能強化法案というものが提示されなければならないと思っています。

 まず、大臣、この再編法の評価というものについて御所見を伺います。

竹中国務大臣 そもそも、組織再編成の特措法というのは、なぜ我々は必要と考えて国会で成立をさせていただいたのか、二つあるわけでございます。

 一つは、合併というのはやはりさまざまな煩雑な手続を踏む必要があるという、その一つの手続論であります。

 第二番目は、合併をした場合に、規模がもし同じ金融機関が、八と六が合併すれば、加重平均で自己資本は七になるわけで、そういう場合に自己資本比率が低下する。それとか、もう一つは、預金保険の限度額がありますので、預金分散をさせられるのではないか、そういった懸念がある。そうしたことから、自主的に経営判断として合併、組織再編をしたいというようなときの妨げになってはいけない、その妨げの部分を取り外そうではないかというのがこの組織再編特措法の意味合いだったわけでございます。

 このうち、御指摘のように、資本増強の部分、これは極端な話を言いますと、自己資本比率が同じところだと、同じところ同士が合併しますと、これは、埋め合わせる資本増強というのは生じないわけでございますけれども、そういった埋め合わせの部分についての利用事例は御指摘のとおり一件でございます。

 しかし、手続の簡素化措置については、実はこれは非常に利用がされております。また、預金保険の限度額に係る特例も、預金分散の懸念の払拭に貢献をしているというふうに考えております。例えば、この手続に関して、債権者の異議催告に対して特例をしたのは十五件ございます。また、預金保険の限度に係る経過措置を利用したのが二十三件ございます。そういう意味では、この特措法というのは、実はかなり活発に利用していただいているという評価も可能なのではないかと思っております。

 これは、やはり合併というのは非常に重要な経営判断でございますし、時間もかかるものだと思います。そうした中では、スタートとしては、先ほど申し上げましたような制度の簡素化、手続の簡素化等々の面で比較的御利用をいただいているという状況ではないかというふうに考えております。

馬淵委員 比較的利用されている、手続の簡素化によって利用されたというふうな御評価かもしれませんが、しかし、資本注入の部分においては、先ほども申し上げたように一件である。そして、今回のこの金融機能強化法案では、まさに資本注入を行っていくその法案を御用意されているわけであります。

 再編法の場合には、健全行同士であり、そして高い自己資本比率に合わせるといったところから、両者、両行ともに自己資本比率がある程度接近しているものについては、自己資本、そこでの資金注入というものが十分でないといったところから今回の金融機能強化法案が生まれた、このように考えられるわけでありますが、予防注入というものを目的としている今回のこの金融機能強化法案の中で、公的資金を注入して、そうすればその金融機関がそれぞれ地域で円滑な金融の強化を行う、あるいは地域経済の活性化に資するというものに対して、経営強化計画、これを制度担保として要求されるというふうに伺っておりますが、その制度担保そして指標というものはどのようにお考えですか。

竹中国務大臣 まず、趣旨としては、自己資本を充実することによってリスクテーク力等々で金融機能が強化される一つの条件が整うわけでございますけれども、自己資本さえあればうまくいくというわけではもちろんないわけでございます。

 したがいまして、それに基づいて経営を強化するための計画がしっかりとつくられていなければいけない。具体的には、収益性、効率性等の数値目標がしっかりとつくられていかなければいけないと思いますし、数値目標を達成するための方策、ガバナンス等々の面でしっかりとしたものでなければいけないと思います。また、責任ある経営体制が確立していなければいけないと思います。信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策というのも盛り込まれなければいけないというふうに思います。

 基準値未満の場合、さらには抜本的な組織再編の場合等々、また違った形でより厳しい条件を求めておりますけれども、抜本的組織再編を伴う一般的な場合として、金融機能強化計画の内容としては、計画の実施期間をそもそもどれだけにして、それで収益性、効率性の数値目標をどうするのか、数値目標を達成するための方策をどのようにつくっていくのか、それを実現する責任ある経営体制の確立をどのようにしていくのか、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策をどのように考えるのか、今申し上げた五点が主として金融強化計画において求められる内容になるというふうに思っております。

馬淵委員 今もおっしゃった、経営強化計画の中での収益性並びに効率性の観点であると。

 そして、指標、これはそれぞれあるんでしょうね、恐らく、例えば経費率であったりあるいは業務純益であったり。また、貸出残高などというものに関しては、金融審で、期末貸出残高を指標とすることに問題があるといった議論の中で、挙げられないといったことも個別の議論の中にあるのかもしれません。

 こうした指標を持って経営強化計画でしっかりと監督をしていくとおっしゃいながらも、みずから今大臣がおっしゃった、そもそも自己資本をふやせば貸し出しが伸び、金融の円滑化が図られるのかというと、必ずしもそうではない、このように御明言されておられます。

 私自身は、そもそも論、資本を充実することが果たして本当に金融機能の強化、すなわちそれが地域経済の活性化あるいは信用供与の円滑化といったものに直接的に影響するのか。もちろん資本の充実なくしてはできません。必要条件ではあるけれども十分条件ではないのではないか。この点についてただしていきたいというふうに考えております。

 お手元の資料をごらんいただきたいと思います。図の一、お手元一枚目の資料でございますが、これは、地銀、第二地銀につきまして、貸出金の伸びと自己資本の関係をグラフにしたものであります。これは、自己資本比率は自己資本を総資産で除したもの、そして貸出金の伸び率は平成十四年九月末と平成十五年の九月末を比較したものであります。なお、合併等、こういったものに関しては、バイアスを生じるということで除いております。このように、貸出金の伸びと自己資本の関係、地銀、第二地銀についてプロットしたものでありますが、これを見ても、分散しております。

 そして、この中で、最小自乗法、大臣も学者でいらっしゃいますから、こうしたものの見方はよく御存じだと思いますが、これを線形的に引いた場合でも、わずかに漸増という形、線形的な関係というものが見られるとまで言っていいんだろうか。すなわち、自己資本が貸し出しの制約条件になっているということはむしろ言いがたい、ほかに理由があるのであって、金融機関の自己資本増強そのものがその地域への金融の伸び、貸し出しの伸びということに直接的に影響するとは言いがたい、私、このように感じるわけであります。

 これをごらんになって、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 冒頭、委員がおっしゃった、自己資本の話というのは、これは必要条件かもしれないけれども十分条件ではない、そこはもう私は全くそのとおりだと思います。

 その上で、これは、きょう、今初めて見せていただきまして、このような統計解析を委員御自身がなさったということはもうちょっと驚きでございまして、大変立派な、敬意を表すべきことだというふうに思っております。

 ちょっとサンプル数等々、詳細にはわかりませんので、これだけを見て、なかなか、コメントすると誤る可能性もございますけれども。これは、アールスクエアは低いですけれども、変数のxのパラメーター〇・四三七のt値は結構高いということは、統計値は安定しているということでありましょうから、どの程度の確率でもって言えるかわからないけれども、むしろこれを素直に読むならば、自己資本が高い方がやっぱり貸し出しが伸びているというのは、非常にクルードな分析ですけれども、そこからはやはり一つ言えるのかなというふうに思います。むしろ、こういうような形でプラスの係数が出てきているというのはちょっと驚きなぐらいでございます。

 しかし、これだけでジャッジ、判断できるものではないと思います。これは、地域によって、たまたま地域の資金ニーズが高いところ、預金の伸び率が高いところ、低いところ等々ありますから、そういうその他の、地域の特性に関する変数でしっかりとコントロールしないと、自己資本の伸びが貸し出しの伸びとどう結びついているかということは必ずしも明確ではないのだというふうに思っております。

 いずれにしても、こういう統計の分析があるということは、ちょっと私たちも改めて勉強させていただきます。

馬淵委員 繰り返し大臣が明言されておられる、十分条件ではないと。そして、確かに漸増の傾向は見られるが、貸し出しの伸びが、自己資本の充実そのものが最大の要因とは言いがたいとおっしゃっている。

 私は後ほどにもさらにその指摘をさせていただきますが、言いがたいという状況の中で、二兆円の保証枠を設定して、新たな公的資金、すなわち我々の税金を投入するという、その公的資金の注入スキームを用意するということが果たして本当に求められる政策であるのか。私たちは、対案として早期健全化法、金融再生法等の一部改正というものを提示しておりますが、わざわざこうした金融機能強化法案というものをつくってまで行うべき政策措置であるのかということ、これを繰り返し確認させていただきたく思っています。

 では、角度を変えて、地銀、第二地銀が現状果たして資本不足にあるのかという点について、少しまた論点を変えて議論させていただきたい。

 二枚目をごらんいただけますでしょうか。これは、金融機関が抱えるリスクに見合う自己資本、エコノミックキャピタル。

 これも金融審の第二部会の「公的資金制度のあり方について」という報告書の中に書いてあります。リスクに見合う自己資本、「資本増強額については、」というくだりですが、「金融機関が積極的にリスクテイクし、新たな業務展開を進めていく財務基盤として、各金融機関が経営戦略上必要とする自己資本の水準」、エコノミックキャピタル、これが「参考になると考えられる。」このように定義された。

 このエコノミックキャピタルと呼ばれる自己資本の水準、これと、現実の地銀、第二地銀の自己資本、その格差というものを、ムーディーズの格付によって分類をしプロットしたものがこのグラフであります。これは、エコノミックキャピタルの数値から自己資本を差し引いたものをプロットしたものです。すなわち、プラスになれば資本が不足している、そのように読み取れる。戦略上必要な自己資本、エコノミックキャピタルに達していないという状況であれば、これは資本不足となってプラスであらわれます。

 このムーディーズの中の格付、低格付、中格付、高格付とありますが、これを見ますと、例えば中格付の部分におきましては、一行、これは少し特異点のように見られるものもありますが、総じて十分な自己資本を有していると言ってよい、この中格付などは言ってよいというふうに考えられる。

 これをごらんいただいて、大臣、御所見をまず伺いたいと思います。

竹中国務大臣 これも今初めて見せていただきましたので、解釈、すぐに十分なことはできませんけれども、こういうものを見る場合の基本的な一般論としては、まず、格付は正しく行われているかというのがあるんだと思います。格付が正しくなければ評価も違ってくるというのが第一点だと思います。

 もう一つは、ここは自己資本等々でございますから、安全性とかリスクテーク力とかという一つの指標もありましょうし、同時に、収益力をどのように評価するか、さらには将来にわたる成長力、成長性をどのように評価するか、評価の基準は、いわゆる安全性、リスクテーク力だけではないのだということだと思います。

 そういう意味では、これは一つの指標として大変参考にすべきだというふうには思いますが、今申し上げたような点も考慮をして現実の判断をしなければいけないのかなというふうに思っているところでございます。

馬淵委員 まさに今御指摘のような部分で、銀行の本来の力、金融機関の力というものはいろいろな部分で判断しなければならないんです。すなわち、資本を充実させる、税金を投入してまで資本を充実させることのみが金融機関の経営力の強化につながるわけではないということ。

 そして、まず、ここでいいますと、格付はムーディーズの格付でございます。そして、ムーディーズの格付というのはさまざまな指標をもとにして格付をなされたもの、私は、この格付の中身についての議論をここで行う気は毛頭ございません。そうではなくて、こうした格付の結果というものが大変市場の評価に影響する。

 市場評価に影響する格付と、エコノミックキャピタルと自己資本比率の格差というものを見ますと、低格付行が、低格付になっている銀行が実は資本が充実している、資本が足りている。この特異点を除いてみれば、そういう傾向が出ているんですよ。格付が高い銀行ほどむしろ資本が不足しているというような状況になっている。これは何を意味するのか。

 今、一生懸命に、資本を充実させていくことが大事だ、資本をふやせふやせ、合併等を促進させて資本を充実させていくこと、これが地域の経済の活性化につながるとおっしゃっているけれども、現実には、低格付と呼ばれるような銀行が資本が十分にあるという状況にある。そして、高格付の銀行が資本が不足している状況がある。私は、こうした分析を見ても、今日における資本の充実一辺倒に及ぶという方策に流れかねない金融機能強化というものに大きな疑問を抱くわけであります。

 ここでも、つまり、私たちが今、本来打つべき手というものは、資本増強というよりも、むしろ地域の経済や中小企業に対しての活性化策である、このように考えるわけでございますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 何度か申し上げておるつもりでございますけれども、自己資本を増強させればそれですべてうまくいくというふうには、私自身も全くそのようには考えておりません。

 しかし、御承知のように、例えばBISの規制においても一定の自己資本を求める。それはなぜかというと、自己資本という部分が、エクイティーという部分が一種のリスクテーク力をやはり持っているからなんだ、リスクがそこで吸収できるという力を持っているから、そこである程度の資本をやはり国際的な共通認識としても求めているんだということになろうかと思います。

 では、しからばリスクテーク力というのは何なのかということになると、これはいろいろな形があろうと思いますが、大きくはやはり三つあるんだと思います。

 一つは、たくさん量を貸す、そういう形でのリスクのとり方もございましょう。さらには、今貸し付けているところのバランスシートの調整をしっかりとやるという意味でのリスクのとり方もありますでしょう。さらには、よく言われるように、担保をとらないで貸し付けする、そういう形でのリスクテーク力。だから、融資の量も質もありますでしょうし、取引先に対するバランスシートの調整もございますでしょう。

 そういうことはなかなか一つの指標では出てこないものでありますけれども、やはり総合的に、地域によってしっかりと対応していただかなければいけないものというのは、私はこれは出てくるのではないかというふうに思っております。

 したがって、今回の場合は、自己資本を充実するというのが政策の一つの手段でありますけれども、同時に経営の強化計画を求めて、しっかりと、収益性は高まるのか、地域に対するどのような貢献をするのかということをすべて我々の方で把握するような仕組みになっているわけであります。したがって、これは決して自己資本増強ということを何か自己目的化した、そういう政策ではなくて、トータルの中で結果的に地域の金融が活性化するような環境をつくっていこう、そのように考えているわけであります。

 委員御指摘の、それ以外に地域の活性化等々も、そういう政策が重要ではないか、それはそのとおりだと思います。しからば、ではそのためにどういう政策が可能なのか。これは、我々としては、知恵を絞って構造改革特区という制度も始めましたし、地域再生の提案を地域から受けて、それをメニュー化して地域再生プログラムというものを今つくろうとしているわけでありますし、観光立国、建設業や農業の転換、そのような、地域に根差した、地域の主力産業がしっかりとしていくような仕組みもつくろうとしているわけでございますし、それはそれで、我々としては内閣の全体としてしっかりとやっていく。

 金融に関しては、今申し上げたような枠組みでやらせていただきたい、そのように考えているわけでございます。

馬淵委員 今、大臣の御発言の中で、各省庁にわたる法案によって進められているということでございますが、それが十分でない中で、一方で金融政策として今回のこうした法案が提示されているのが、私は、十分な政策が行われている状況にあるとは到底考えられないと考えます。

 今まで、データの面から公的な資本増強というものが本当に必要かどうかということを御説明し、あるいは大臣からの御所見を伺ってまいりましたが、こうしたデータ上、机上の問題だけではなく、私自身さまざまな現場に入って話を聞き、またいろいろとその状況の確認をしてまいりました。実際に、地元の信金、信組あるいは中小企業の経営者団体の方々などともお会いをし、この公的資金の資本注入、これの必要性について現場の声も聞いてきたわけであります。そこから聞こえてくる意見といいますのは、先ほど来私が申し上げてきたことと一致しております。

 地元の信金の支店長の話を聞いてみますと、融資要請の多くは運転資金である、そして、中小企業においては、まだまだリスクをとって新たな設備投資や事業展開を行うという、そんな企業は本当にごく少数、いや、ほとんどない、もしそれを可能とするならば、中小企業というよりもむしろ中堅企業、こういったところである、資本をさらに充実させても、すなわち金融機関がそうした状況にあっても、じゃぶじゃぶとお金があっても実は使い道がないような状況である、リスクウエートがゼロの国債を買うなどといった方向にしか向きようがないのが現場の営業店の声である、このようにおっしゃっておられました。

 また、中小企業の経営者の皆さんは、問題は、中小企業のニーズと、そして金融機関の資金提供のミスマッチにあるんだ、こうはっきりとおっしゃっています。金融機関の資本が足りていないということではないんだ、こうおっしゃっておられます。

 中小企業白書によれば、中小企業の平均債務というのは二十年、それに対して、銀行統計によれば、金融機関側の融資の平均の期間というものは七年であり、これは大きな開きがあります。そして、中小企業というのは長期の運転資金を求めます。しかしながら、金融機関というのは、先ほど申し上げたように二十年と七年の開きがある。返済期間は、下手すれば三年から五年といった短い期間。そして、融資金額も、三千万、五千万といった規模となっていく、もっと大きい場合もあります。

 こうした状況の中で、中小企業の皆さんがどうおっしゃっているか。もう収益弁済では可能な範囲ではない、こういうふうにおっしゃっているわけです。このような資金を使えるのは中小よりもむしろ大手、中堅企業であり、そのようなところはメガバンクが顧客をとり合っている状況である。つまり、金融機関も、そして中小企業の市場も、この双方がミスマッチの状況にある。このミスマッチの状況をさらに助長させるか、あるいは解消するような方向に向いていない法案であるということを私は申し上げたい。

 特に、融資については、これも御担当の方、よく御存じだと思いますが、スコアリング融資というので現実に進んでいるんですよ。このスコアリング融資というのは、申込者が審査の段階でそれぞれの経営状況の数値を全部提示して、そしてそれが数値化されて審査される。金利や貸与期間などが全部計算されて出てくるわけです。そして、出た数字を見て、はい、あなたはこれで二千万の融資が可能です、返済期間は五年で金利は八%です、こういった形で数字が出てくる。すなわち、審査の段階で条件というのはわからないんです。中小企業のお金というのは、目の前で要るお金なんですよ。その目の前で要るお金が、審査の段階でどういう形で出てくるかわからない。

 大臣が常日ごろおっしゃっている、リレーションシップバンキングをうたって、地域の金融機関が地域と密着するということとは全くかけ離れた状況が現実には起こっている、ほど遠い実情であるというのを、私は、繰り返し繰り返しの現場からの声として聞いてきたわけであります。こうした現場の声からしても、問題の根源というのは資本不足にあるのではないんだ、もっと別のところにあるのではないかと思わざるを得ない。

 そして、大臣が、十分条件ではないのはよく承知している、そして各省庁並びに現場でさまざまな方策を考える、こうおっしゃっていますが、金融庁の担当の方々からは、用意はしているけれども、ある意味で選択肢であるんだ、このようなお言葉もいただいている。私からすれば、あくまで選択肢だとして提示するには余りにも大きな予算措置をし、そして大きなインパクトを持つこの法案というものが、単なる選択肢として御提示だということで、大臣は、政策的立法趣旨として正しいとお考えでしょうか。今申し上げたような現場の背景、このこともよく踏まえて、大臣の御意見を伺いたい。

竹中国務大臣 委員がお話しになった現場の状況、現場の声というのは、我々もしっかりと聞きたいというふうに思います。我々自身も、現場の声に関して、非常に労力を使っていろいろな情報を集める努力をしているつもりでございます。

 委員が今御指摘になった幾つかの重要なことの中で、ミスマッチという言葉がございました。確かに、資金の需要、こういうお金の使い方をしたいという人はいる、しかし、どうもやはりそこに余りお金が回っていないのではないだろうか。一方で、金融機関に聞いてみると、これはもう大変な競争、貸し出し競争で、なかなか資金需要がないんだというような答えも返ってくる。その意味では、まさにミスマッチというのはやはりあるというふうに思います。

 しからば、どうしてそういうミスマッチがあるのか。やはりそこは、金融機関が今までのビジネスモデルからなかなか外に出られなくて、十分な新たなリスクをとる、そういう体制になかなかなっていないというふうに考えるべきだと思います。

 そういう観点からいいますと、例えば、先ほど言いましたように、担保に頼らない融資、これはリスクが要ります、リスクをとらなければいけません。そういうことも可能になるようなリスク対応力を、今の金融の最先端の、最前線の現場の状況をにらみながら、しっかりと経営努力としてやっていっていただきたい、それがやはり今回の法案の提出の趣旨になります。

 スコアリング等々の御指摘、御批判もございましたけれども、これは使い方だと思います。いろいろなデメリットもあるかもしれませんが、基本的には、審査の迅速化という観点からスコアリングを使って、スコアリングで一定要件を満たしたらすぐにお金を貸し出すというようなシステムをとっているところもあるわけでありますので、ここはやはり実態いかん、使い方の問題だと思います。

 直接のお尋ねは、これを選択肢ということでよいのかということだと思いますが、基本的には、民間の創意工夫でいろいろやっていただくしかない、それが今の我々の経済のシステムだと思います。そうした中でいろいろな選択肢を持ってもらう。特に、今日のように、リスクテークの要請が非常に高まっているにもかかわらず、マーケットにおける自己資本の調達というのは依然として難しいという中で、今回政府が用意しようとしている一つの選択肢は極めて重要な手段になり得るのだろうというふうに私は考えております。

 これは、そういう観点から、我々もしっかりとモラルハザードが起きないように、しかし決して使い勝手が悪くならないように、そういう制度設計をしたつもりでございますので、民間の創意工夫に、経営判断にこれを活用していただいて、少しでもよい地域金融の環境をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。

馬淵委員 繰り返し申し上げますが、データからも、現場の声も、公的資本の増強という必要性というのを私は全くと言っていいほど感じられない。そして、今大臣御指摘の、お話の中で、選択肢、こうしたものを用意して、そしてしっかりと現場の声に合わせてつくっていきたいとおっしゃるが、現場の状況を正すことがまず金融行政として真っ先にやるべきことではないのか、こう私は繰り返し申し上げさせていただきます。

 そして、今、資本充実のお話を中心にさせていただきましたが、法案の中身について少し触れさせていただきたい。国のガバナンスの部分について、残りの時間、余りございませんが、質問させていただきたいと思います。

 まず、今回の公的資金注入、かつては劣後債、劣後ローンといった形で行われていたものが、転換権つきの優先株という形の発行で資金を注入する、資本を注入するという形に変えてこられた。

 かつてのそうした方法に対しての、非常に興味深い検討がございます。二〇〇二年五月に内閣府のディスカッションペーパーというのが出されています。これは、「公的資金による資本注入方法について 一九九九年三月の転換権付優先株式による公的資金注入方式」というタイトルで、内閣府政策統括官の皆さん方がこれを分析されている。

 ここで、こうしたことを書いています。

 公的資金注入に対する銀行の申請を円滑に得るために、甘味剤として転換オプションを利用したとの解釈も成り立つ。

 つまり、劣後ローン、劣後債から転換権つきの株式の発行という形に変えたときに、これが、銀行の申請を得るためのいわゆる甘み、おいしい水だ、そのように解釈されるということも十分あり得る、こう指摘されています。

 転換オプションのプレミアムは、政府が転換権を行使し、キャピタル・ゲインを得る可能性に対して支払われるものであり、弱小銀行に対して配当をまけてあげるという性格のものではない

このように書かれている。

 さらに、この転換権行使の部分に関して、実は、この転換権がほとんど放棄されている。これは、実際行使されていないということに対してなんですね。

 あと、当時の朝日新聞、九九年の一月四日付、ここでも、

 「金融監督庁は、できるだけ多くの資本注入を受けるよう促している。しかも十年後ぐらいには返済してほしいとも言っている。このため銀行は、なおのこと消極的となっている。資本であれば返さなくてもよいが、返すとなれば借金と同じである。そうであれば少ない方がよく、コストも安くすべきだと銀行は反論している。このままでは、公的資本注入ではなく、中途半端な公的負債注入となってしまうに違いない」とある。また、朝日新聞(九九年三月四日付)によれば、「申請行は「配当負担が重すぎる」との理由で、一時は公的資金の活用を渋る構えを見せていた」

こう記事も引用されています。

 このディスカッションペーパーの中では、公的資金を注入するために必要とした方策、転換権の行使を可能とする優先株の発行について、「意図した補助金」として使われる可能性があるのではないかということを指摘されています。つまり、転換権行使というプレミアム、この「プレミアムを放棄するという形で意図的に補助金を支給」するということになりはしないか、これは、はっきりとこのディスカッションペーパーの中で結語に至るまでに繰り返し繰り返し指摘されているんです。

 さて、国のガバナンスについて、今回の法案を見ますと、この点に関しては、明確な規定というものはほとんど触れておられません。ここでは、法案の中というよりも、恐らく参考とされた金融審の「あり方について」という部分で、

 議決権の制限を補完するため、利益配当や残余財産分配の順位について他の株式に優先することが適当であるが、その条件は、市場調達を補完し金融機関の健全性を高めるという目的を損なわないよう、資本増強原資の調達コストを基本に考えるべきである。

というくだりがあって、それを受けただけというふうに私は解釈しています。

 大臣、質問なんですが、さて、注入の諸条件というのはどうやってお決めになっていくのか、市場ベースを基本に決めていかれるのか。そして、転換オプション、これが甘味剤、甘みだ、おいしい水だ、こう指摘もされているわけですよ、かつての法案の検証の中で。これに対して、今回、見えない補助金とならないような具体的な運営上の工夫をどのようにするべきだとお考えなのか。これについて、大臣、御回答をお願いします。

竹中国務大臣 今、馬淵委員から、内閣府の、これは早稲田大学の大村教授がなさったリサーチについて、大村教授はいわゆるミクロのファイナンスの専門家でいらっしゃいまして、今委員御指摘になったように、いろいろな商品設計の場合はそれぞれリスクとプレミアムがある、リスクとプレミアムというのが片一方にあって、それに見合うリターン、収益性というものがある、その商品設計についての検討をなさっているというふうに認識をしております。

 しかし、この商品設計そのものは、実はなかなか、簡単にどちらがいい、どちらが悪いとかということを素人が判断できる問題ではなくて、非常に緻密な形で、フィナンシャルアドバイザー等々の意見を聞きながら制度設計を行っているわけでございます。したがって、大村さんの議論というのは、フィナンシャルアドバイザーの立場からいろいろなことを議論しているというふうに私は認識をしております。

 そのフィナンシャルアドバイザーが行うような、リスク、プレミアムとリターンの関係がどうかというのは、これはまさに専門家が計測して、意見を聞くしかないわけで、今回の場合も、そういう意味では、商品設計そのものについてはフィナンシャルアドバイザーの意見も踏まえてしっかりとやるということになるわけでございます。

 これは当然のことながら、申請する側でフィナンシャルアドバイザーをつけて、こういう商品設計でという議論が出てくる。今度は審査する側でも、当然のことながらフィナンシャルアドバイザーによって、そこでリスク、プレミアムとリターン、それぞれの間の商品設計を行うということになる。仕組みとしてはそのような仕組みになっているわけでございます。

 もう申し上げるまでもありませんけれども、基本的な考え方というのは、経営強化計画に結果責任の記載のある銀行の場合は、結果責任の明確化等、経営強化計画の履行を確保する観点から取締役等選解任議決権つきの優先株式を基本とする、自己資本比率が基準値未満の場合には、さらなるガバナンス強化の観点から普通株も可能とする、抜本的な組織再編が行われる場合等、結果責任を求めない場合には、無議決権の優先株式として必要に応じて普通株への転換権を行使することも可能とする。

 これはまさに、お尋ねの点は商品設計の問題でございますので、フィナンシャルアドバイザーを、双方、申請する側と審査する側双方が活用して、リスク、プレミアムとリターンの関係、まさにマーケットが認めるような、そういう商品設計にしなければいけないと思っております。

馬淵委員 もう時間が余りありませんので、国のガバナンスの部分で、今お話のありました双方が、当然ながら、ファイナンシャルアドバイザーの意見を踏まえながら双方が判断しなければならないとおっしゃっていますが、少なくとも前ペーパーの中ではこうしたものに対して警鐘を鳴らしている、それに対しての十分な備えがあるとは私は言えない状況の中で、今回もさらなる公的資金の注入の枠組みが合意されているというふうに感じてなりません。

 そして、もう一点の、ガバナンスについては、例えば取締役の選解任の部分、これが今御指摘もありました。十一条一項においては、監督権限によって、選解任の以前に監督権限、命令でこれは措置できる、そして十一条二項では選解任の権限をつけている、このように理解するわけでありますが、本来、株主総会によって取締役というものの選解任は行われる、マジョリティーの株を持たなければ、その選解任の権限というものは全くもって意味がない。それをあえてオプションとして付与するというようなこと、これは結局は、この法案の中でガバナンスの部分についても十分な措置を図るということの言いわけにすぎない。監督権限、命令があれば十分なんだと金融庁の担当の方もおっしゃっておられます。

 こうした本来意味のないオプション権限をつけるということ、これについて大臣はどうお考えなのか、御意見をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 今回の措置は、決して形ばかりでということでやっているわけでは全くございません。我々は、監督当局として、当然のことながら、しかるべく監督権限を行使しなければいけない場合があり得ます。それはそれでしっかりとやってまいります。

 しかし一方で、選解任権の株式を国が持っているということは、例えばそれが五〇%に満たなくても、やはり一つの健全なる経営に対するプレッシャーになっていく、この効果はやはり大きいのではないのでしょうか。

 監督者としてしっかりと監督権限を行使していくという面と、今回のような形で選解任議決権つき株式を持つということ、これはやはり、あらゆる可能な手段を駆使してしっかりとガバナンスを図る、もってモラルハザードを防ぐという観点からは、できるだけいろいろな可能性を駆使できるような体制はやはり必要なことなのではないかというふうに考えている次第でございます。

馬淵委員 もう時間がございませんので終わりにしますが、今おっしゃったお話の中でも、結局は監督権限によって決まっていくんだということが前提であるならば、まさに先ほど来申し上げているような、際限なき裁量の部分が準備されている、それによって行われようとしているということにほかならないと私は思います。

 お渡しした資料の中に、三枚目に、最後に「各銀行の再編前後の収益性」というものを載せております。これは、銀行が、大手地銀が、合併期をゼロとして、合併前後における収益性がどのような変化をしたかということを示したグラフであります。これを見ていただいて、もちろん、前後の後の方が、合併後の期がまだ数を踏んでおりませんが、こうして見た中で、合併そのものが、いわゆる金融機関が再編していくことそのものが金融機関の強化につながっていくということは必ずしも言い切れない。

 むしろ、先ほど申し上げた中小企業の経営者の方々、こうした声を聞きましても、金融機関の、信金、信組の理事長さんのお話を聞きましても、弱者同盟であっては何もならない、本来の補完的な機能を持たなければ強くはなれないんだということ、これを繰り返しおっしゃっていました。

 単に再編を促す、あるいは、こうした形で頭数を減らして、来るペイオフに向けての準備をするといった観点におけるような金融機能強化法案というものであってはならないということを私は申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、村越祐民君。

村越委員 民主党の村越でございます。

 政府提出の金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び民主党提出の金融機能の再生のための緊急措置に関する法律等の一部を改正する等の法律案につきまして、質問をいたします。

 最初に、若干のお話をさせていただきたいと思います。

 先日、ある中小企業の社長とお話をする機会に恵まれまして、その社長がおっしゃる経営理念というのが、無借金、それから単年度黒字ということで社長が非常に熱弁を振るっておられました。恐らく、この社長がそのとおりにずっと頑張って経営をされてきていて、御自分の理念に沿ってやられているということで、私は非常に立派なことだなと思っていたんですけれども、そこでもう一つその社長がおっしゃっていたのが、うちのような企業というのは一度赤字決算をすると、銀行は二度と融資には応じてくれないんだ、そういうことをおっしゃっていました。

 中小企業が単年度黒字に強いこだわりを持ってやっているというのは、いわば専守防衛と申しますか守りに徹した経営ということでして、黒字に余りにもこだわるばかりに企業として飛躍のチャンスを失っているんじゃないか、逸失利益というものが企業として非常に大きいのじゃないかという率直な感想を私は持ちました。もちろん、これはその社長には言いませんでしたけれども。今のところ、健全にやっておられるということで、銀行からの融資の売り込みというのも非常に大きいそうなんですけれども、一度でも赤字を出したら一気に銀行は引いていってしまうんじゃないかと、あわせて社長はおっしゃっていました。

 つまり、本当に融資が必要なときに、銀行は融資に応じてはくれないんじゃないかという現状がはっきりと今あるんじゃないかというふうに私は思いました。

 そしてもう一つ、きのう私は広島の呉に行ってまいりまして、専ら中小企業を回ってきました。そこで工場の従業員の方だったりあるいは経営者の方だったりといろいろお話をしてきたんですけれども、そのときに、我が民主党として銀行が本当に中小企業にお金を貸すように今頑張っているところですというふうにお話をすると、それは大変結構な話だけれども、早くしてくれ、首が今本当に絞まっているんだというふうにおっしゃっていまして、これが市民の方の生の声なんだなと私は本当に痛感してまいりました。

 あともう一点、ちょっとお話をさせていただきたいんですけれども、けさの日経新聞にマネーサプライの件が載っていました。先日、日銀が発表したデータがそこにあったんですけれども、マネーサプライの伸び率が十年ぶりの低水準だ、そして信用乗数に至っては過去最低の水準になっているということだそうです。つまり、これは端的に言って、金融機関がきちんと融資できていないという現状があらわれているんだと私は思います。

 以上の点から、現場の声を聞いてみても、またそういったデータを見ても、我が国の金融システムというのがいまだに全くもって健全に機能していないと言わざるを得ないのではないかと私は考えています。

 こういった点を問題意識に持ちながら、以下、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今申し上げましたマネーサプライに関して、報道によりますと、金融庁のスタンスと日銀のスタンスが若干異なっているのではないかというようなことが書かれてありましたが、マネーサプライの現状認識と今後のあり方に関して、確認の意味を込めまして、竹中大臣のコメントを賜りたいと思います。

竹中国務大臣 マネーサプライの問題は、特にデフレとの関連で我々も大変重要な指標だと思って重視をしております。

 物価が下落していく中では、これは担保価値の問題もございますけれども、やはり過去の実質債務がどんどん高くなっていく。売り上げがふえなくてないしは売り上げが価格下落で下がっているのに、過去の借入金だけは下がってくれませんから、実質債務が大きくなる。その意味では、デフレは大変重要である。

 しからば、デフレを解消するための方策として一体どういうことが考えられるのか。マクロ的にはやはり二つのことが必要だ。一つは、実物経済が活性化されて、よく言われる需給ギャップが縮まっていって、実物面から物価の下げ圧力が低まること。もう一つは、物価、プライスというのは究極的には貨幣的な現象でありますから、その貨幣的な現象としてはやはりマネーサプライがある程度ふえなければいけない。

 実は、十四年度から十五年度にかけまして、実物経済の成長率というのはかなり大きく高まったわけでございますけれども、皮肉なことに、その中でマネーサプライの伸び率というのは実は半分にむしろ下がったわけであります。ここはやはりしっかりとマネーサプライが伸びるような状況をつくっていかなければいけない、この思いは政府、日銀一体として持っております。そのためには、引き続き政府も日銀も努力しなければいけない。

 御指摘になりましたように、ベースマネーがある程度伸びてもマネーサプライが伸びない、これは貨幣乗数が大幅に低下している。そこは、銀行の信用創造機能が依然としてまだ非常に弱い状況にある、そういう状況にあるからこそマネーサプライが結果としてふえないんだということになっているんだと思います。

 一方で、不良債権の処理等々ないしは今回御議論いただいているまさに金融機能の強化のために政府として全力を挙げます。同時に、マネーサプライの最終的な管理者である日本銀行にもさまざまな観点から御努力をいただきたい。そういうような政府と日銀の一体としての協力した推進が必要な状況だというふうに思っております。

 いずれにしましても、マネーサプライがふえるような状況にならないとデフレは克服できないわけでありますから、そこはしっかりと引き続き政府、日銀は協力してやっていかなければいけないと思っております。

村越委員 またあした、私は質疑をさせていただくかもしれませんので、こういった点に関してもまた議論させていただきたいと思います。

 もう一点、今の日本の経済の現状に関して質問させていただきたいんですけれども、これもきのうのマーケットに関することなんですが、本当に見事なまでに株価と円と長期金利がすべて矢印が上を向いているということで、こういった要素に関して、今後の推移とか望ましい値に関してはお答えしにくいのかもしれませんので、一般的にという意味で結構ですので、株高だったり円高だったり金利高というものが我が国の景気に与える影響ですとか、また金融機関に与える影響に関してどのようにお考えなのか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 どのような速度でどのぐらいの程度の変化が生じるかということが実は大変重要なわけでありますので、極めて一般論としてしか申し上げられないのでございますけれども、お尋ねの株高、円高、長期金利の上昇、それが金融機関に与える影響というのを若干理念的に整理いたしますと、まず株高については、これは金融機関の保有株式の評価損益、売買損益、この両面で改善が生じるはずでございます。したがって、金融機関の財務の健全性ということだけからすれば、これはやはりプラスの要因にはなるんだと思います。

 円高につきましては、これは金融機関が保有します外貨建て資産の円建て価格が下がるということになりますので、金融機関の財務諸表の上では評価の損が出るわけでありますから、マイナスの影響を与えるということになるんだと思います。

 長期金利の上昇については、これは金融機関の保有国債等の下落を通じて、債券価格の下落を通じて、これも金融機関の財務の健全性にはマイナスの影響を与える。

 理念的には、今申し上げたような要因に一義的にはなるんだと思いますが、実物経済がそのときどうなっているのかとか、さらには将来に対する期待がどうなっているのか、それと、申し上げましたように変化の速度等々によってこれはいかようにでも変わってまいりますので、私が申し上げたのは、あくまでも一般論としての概念の整理でございます。

村越委員 ありがとうございます。

 では、実際、法案に関して質問に入りたいと思います。

 先ほど私が幾つかの例を挙げて、私の実感ですけれども、我が国の金融システムというものがいまだに全くもって健全とは言えないんじゃないかと考えているわけですけれども、果たして現在金融危機なのかどうか、どのようにお考えなのかという、そもそものあたりをお聞きしたいと思っています。また、お答えがあるかと思うんですが、そのようにお考えになる根拠がどこにあるのかということをお伺いしたいと思います。これは、大臣と、民主党の法案提出者の方にもあわせてお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 現状における金融システムの健全性、不健全性、その認識ということでございますが、日本経済全体が依然としてバランスシート調整の途上にある、実は金融機関もバランスシート調整の途上にあると思います。

 バブルのときに、非常にバランスシートが膨れ上がって、貸し付けが増大した。企業からとると過剰な債務になるわけですけれども、金融機関からとってもやはりバランスシートが非常に大きくなったということがある。その調整が実はなかなか進まなくて、一九九〇年代の後半、終盤ぐらいからようやく進み始めて、今私はその終盤に差しかかっていると思いますが、まだその途上にあるということだと思います。冒頭で委員が、日本の金融機関というのはやはり健全ではないんじゃないか、病んでいる部分があるのではないだろうかという御指摘がありましたけれども、私も、その意味では、やはり健康体ではない、まだバランスシートの調整の途上にあるというふうに思っております。

 しかし、一歩進めて、ではこれは危機なのか、クライシスなのかということに関しては、これは危機をどのように定義するかにもよるわけでございますけれども、例えば、いわゆる信用不安が生じているとか、取りつけ騒ぎが起こっているとか、多くの銀行が連鎖的に何かダメージを受けて、金融そのものの信認、コンフィデンスに根本的な欠陥が生じているだろうかということになると、これはやはりそういう状況ではないのではないかと思っております。

 少なくとも、まだバランスシート調整の途上でありますし、やらなきゃいけないことはたくさんありますけれども、方向としてはよい方向に今ようやくのことながら向かいつつあって、この方向を決定的なものにするということが重要な段階であるというふうに思っております。

津村議員 民主党の提出者を代表しまして、今の御質問にお答えいたします。

 今竹中大臣の方から、危機でもないが健康体でもない、黒でもないが白でもない、そういうお答えがあったわけですけれども、私たちは、そこはもう少し明快に考えなければ、現状認識ですから、これからどういう対応を打っていくかですから、認識のところはしっかりと明快なものを持っていないといけないんじゃないかなと思います。

 事実に即して、根拠を示しながらということでございますので、根拠を幾つか申し上げますけれども、まず、金融庁がどう言うか私たちがどう言うかの前に、マーケットの評価として格付というものが一つあるわけですけれども、日本国債の格付というのは先進国の中でも最も低い水準に今ある。先日、実は、格付機関の方を呼んで民主党の部門会議でお話を伺ったことがあるんですが、そもそもJGBの格付がかくも低いのは、実体経済のこともさることながら、金融システムの不安をマーケットは見ているんだということを明快におっしゃっていました。今、回復の途上にあるというような大臣の御答弁がありましたけれども、しかし、格付はいまだにそういう評価にはなっていませんですね。これは事実としてあるわけです。

 そうした中で、実際に昨年はりそな銀行が過少資本に陥ったり、あるいは足利銀行が破綻に陥ったというようなこともありまして、金融危機対応会議が二回開かれているという、これは金融庁さんも当然かかわった事実がございます。こういったことを私たちは根拠に、金融危機は存在しないのではなくて、現に存在するけれども覆い隠されている、そういうふうに認識をしています。

 もう少し敷衍をいたしますと、金融機関が破綻するのは二つのケースがあると思います。資金繰りが行き詰まる場合と債務超過に陥る場合です。現実には、資金繰りの面では、今お越しになりましたけれども、日本銀行が超金融緩和で資金繰りを支えて、甘い資産査定や税効果会計を悪用した粉飾決算が仮にあったとしても、見せかけの自己資本比率を維持することが、環境としてそういう環境にあるわけですから、可能になっているという側面があると思います。

 しかし、具体的に示すと、先日、島委員の方から数字が出されておりましたけれども、大手行の中核的自己資本、いわゆるティア1ですが、公的資金が五一%、繰り延べ税金資産が三九%を占めて、正味のティア1というのは一〇%にも満たない、たしか九・八%という数字が出されていたと思いますが、そのような状況にあります。

 大手行以外の地域金融機関につきましても、金融庁さんがまとめた国内全金融機関の財務データに示されておりますように、不良債権比率の高い金融機関や多額の繰り延べ税金資産を計上している金融機関が数多くございます。また、いわゆる貸し出しの統計でも、金融仲介機能が機能不全に陥っていることは明確でございます。この五年で、約五百兆円あった銀行貸し出しが百兆円以上も激減したのがその確たる証拠ではないかと思います。

 最後に、もう一度冒頭の話に戻りますけれども、小泉内閣は金融危機は存在しないと強弁をしております。しかし、竹中大臣、先ほど御自身おっしゃられたように、危機でもないけれども健康体でもない、そう言うしかないんだと思うんですが、大変わかりにくい表現であります。やはり、自民党政権が長く続く中で、小泉首相のもとでお仕事をされているとそういう言い方しかできないのかなと思いますけれども、政権交代という国民にわかりやすい政策転換の形で日本の金融行政を立て直していきたいと思っています。

村越委員 ありがとうございます。

 今いろいろと津村委員の方からお話を伺って、竹中大臣も今のお話をいろいろな思いで聞いていらっしゃったのかもしれませんが、いま一度ちょっとお伺いしたいんですけれども、健康でも不健康でもないというふうに現状をとらえていらっしゃるとすれば、一体どういう状態が金融危機なのか、私、率直に疑問に感じておりますので、金融危機の定義というものをぜひお聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 今、村越委員、津村委員から、現状について、私の立場についていろいろ御評価をいただきましたですけれども、危篤ではないけれども健康体ではない、この言い方は、私、金融担当大臣に就任してから一貫して申し上げていることでございまして、これはむしろ、なるほど実感的にはそのとおりだなという御評価を多くの方々からいただいているというふうに私自身は思っております。

 金融危機とは何か。これは、危機はいろいろな危機がございますでしょうから、さまざまな局面があり得ますから、一概にその定義を申し上げることは困難でありますけれども、例えばで申し上げますと、例えばほかの金融機関の連鎖的な破綻が発生するような場合、これは危機だと思います。さらには、連鎖的に他の金融機関の資金繰りが困難となるような場合、その例としては大規模な貸し出し抑制、回収等資産の圧縮を進める動き、それが大規模に生ずるおそれがあるような場合であって、このような信用秩序の混乱によって、我が国あるいは当該地域の金融機能が不全に陥る、さらに実体経済への悪影響も懸念されるような状態、これは例えばで言えば危機の状態にあろうかというふうに思います。

 一つぜひ申し上げたいのは、危機は存在するけれども覆い隠されているという御主張を何度か耳にするわけでございますけれども、そうすると、これは、覆い隠されて市場がそのことをきちっと評価できていない、マーケットは間違っている、覆い隠されているというのはそういう趣旨になるのでありましょうか。

 これは、例えば、申し上げましたように、今、日本の金融・証券市場全体に対して、外資が、まさに世界のプロフェッショナルが日本経済の将来性を考えて買いに向かっている、その結果が株価の上昇にあらわれているわけであります。もちろん、繰り返し言いますが、日本の経済が万々歳であるというふうには全く思っておりませんけれども、少なくともそういう方向感で世界のプロフェッショナルは見ていただいている。それが過去一年間の銀行の株価も四倍になったというところにあらわれているのではないか。これはグレーゾーン、健康体ではないけれども危篤ではない、どちらかというと、そのグレーゾーンの中では健康体の方に少しかもしれないけれども近づいてきている状況なのではないかというふうに認識をしております。

村越委員 私が思うに、金融機関が連鎖的に倒産するとかなんとかという状況は、それは金融危機ではなくて国家的な危機と言うべきでありまして、やはり現実をちゃんと認識して政策運営をしていただきたいなと私は思うわけであります。

 先ほど津村委員の方からも指摘がありましたけれども、余りこのことばかり議論していると時間がなくなりますので次に進みたいとは思うんですが、金融危機対応会議というのが二度も開かれているのに、どうしてそれでも金融危機でないとあくまでおっしゃるのか、私にはよくわかりませんので、ちょっとお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 預金保険法百二条の第一項においては、我が国またはその当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき、それを未然に防ぐための措置として一号、二号、三号が定められている。同条の適用につきましては、これは個々のケースでありますけれども、法律で定められた要件にのっとって、金融危機対応会議の議を経た上で、内閣総理大臣が判断することになっている。

 これは、昨年、りそな銀行及び足利銀行それぞれに対して、過少資本及び債務超過というそれぞれの状況に応じて、金融危機対応会議の議を経て、資本増強と一時国有化の措置をとったわけでございますけれども、これらは、金融危機をそのまま放置すると非常に危険性がある、その金融危機を未然に防ぐための万全の措置として講じたものでございます。これは繰り返し御答弁をさせていただいていることでございます。

村越委員 紋切り調の御答弁で余りおもしろくないなと思ったんですけれども。

 それでは、今が危機ではないということですから、危機ではないのにどうして公的資金を注入する必要があるんでしょうか。金融機能強化のためというふうになっているんですけれども、金融機関が健全とまでは言わないまでもグレーだと言うのであれば、まさに市場を信じよというような趣旨のことをさっきおっしゃっていましたけれども、さらに資金を注入して強化する必要はないというふうに私なんかは思うんですけれども、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 今のお尋ねの点は、まさに今回の立法趣旨の根幹にかかわるところだと思います。

 この危機対応としての資金注入等々の枠組みというのは、これは預金保険法の百二条で整備をされております。恐らく通常の場合であれば、こういうグレーゾーンになるような場合は、しっかりとした金融機関自身の自己資本の調達の努力等々を踏まえて、それなりのいわば自律的な回復のメカニズムというものはある程度働いていくということは期待できるんだと思います。

 しかしながら、今の状況は、残念だけれどもそういう状況ではない。一方でデフレの圧力が続く中で、さらにはバランスシート調整の圧力が続く中で、健全性をさらに高めてリスクテークの力をとっていかなければいけないという、今日的なそういうニーズというのは非常に強い。しかるに、一方で自己資本の調達そのものを市場で行うということがまだ大変難しい状況が続いている。そういう状況では、やはり、グレーのところから抜け出したいと思っている人を抜け出せるようにするための特別な枠組みが時限的に必要なのではないかというふうに考えているわけです。

 とりわけマクロ経済に関してはよい方向が出ている中で、地域の経済の活性化というのが大変今課題になっている。その地域の経済を活性化するためには、地域の金融機能をやはり強化していかなければいけない。経営改革を行って、その上で地域の金融の強化に資する、そうしたいと思っている金融機関に対しては、政府がそれを後押しするというのは今日的な状況の中ではまさに必要なのではないか。そうすることによって、このグレーのゾーンから抜け出して一刻も早く健康体に戻ることも、これが経済を活性化させながら可能になるのではないんだろうか、これが今回のまさに立法の趣旨でございます。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

村越委員 では、肝心なところをお伺いしたいと思うんですけれども、この措置によって、本当に実際のところ融資がふえるようになるのかどうかということをまず大臣にお伺いしたいと思います。

 また、民主党の提出者にあわせてお伺いしたいんですけれども、特に民主党の法案によって中小企業に対して融資がふえることになるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 国が資本参加することによって金融機関は十分な自己資本を確保することになりますので、そのことによって、中小企業の再生でありますとかあるいは不良債権問題に対する対応、こうしたリスク対応能力というものを増大することになる、そのことを通じて金融の円滑化に資するものになるというふうに考えています。

 加えて、今回の新たな公的資金制度については、国の資本参加に当たって、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策を具体的に記載した計画の提出を求めておりまして、そして、法令等に基づく基準に基づいて厳正に審査することといたしております。

 また、こうした経営強化計画の履行状況を私どもとしてはしっかりフォローアップして、そして、定期的に履行状況の報告を求めた上でそれを公表することといたしておりまして、地域におけるパブリックプレッシャーの中で金融機関が実績を上げていく、そうしたことを期待しているところでございます。

 その上で、履行状況に照らして必要があると認められるときには監督上の措置を発動することが可能になっておりまして、これらの取り組みを通じて、地域における金融の円滑化や中小企業の再生が図られるものと考えているところでございます。

津村議員 お答えいたします。

 本措置によって特に中小企業向けの融資がふえるのかという御質問でございますけれども、私たちは、金融機関に中小企業向け融資の数値目標だけをぽんと課しても、それによって直ちには融資がふえるとは限らないという、まず最初に認識を持っています。

 実際、九九年の三月ですけれども、大手行に対して総額七・五兆円の資本注入が行われたにもかかわらず、先ほど御紹介いたしましたけれども、その後五年たちましても銀行貸し出しはむしろ減り続けている、百兆円規模で減り続けております。厳格な資産査定と十分な引き当てを行うことなく、本当に経営を健全化しなかったことが、その原因、主因だと思っています。

 その結果、金融機関がリスクをとる能力を回復しなかったわけでありますけれども、日本銀行の先輩でもあります自民党の塩崎恭久議員が、かつて、健全な銀行をより健全にするという国家的なフィクションであったと述懐をされていますけれども、まさにそのとおりであったと思います。

 厳格な資産査定と十分な引き当てを行いまして、見せかけの数字を引き上げるのではなくて、本当に経営を健全化すれば、中小企業向け融資はむしろふえていくはずです。金融機関にとって利ざやが薄く、直接金融による資本調達も容易な大企業に対して貸し出しをするよりも、中小企業向けの融資をした方が利ざやがとれるという現実もあります。

 民主党金融再生ファイナルプランを実行すれば、金融機関に対して緊急一斉の検査を実施いたします。それによって金融機関が本当に健全化をすれば、リスクをとる能力を回復し、中小企業向け融資が必ずふえると断言できると思います。

村越委員 一生懸命質問に集中していて、ふと部屋に目をやると、何か随分席がまばらだなと思うんですが。

山本(明)委員長代理 今、呼び出しをしておりますので。今、たくさん委員会を開いておりますので。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

田野瀬委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田野瀬委員長 速記を起こしてください。

 はい、どうぞ質問を続けてください。

村越委員 今の、中小企業に対して融資をふやすための具体的な目標を定める規定が盛り込まれているのかどうか、大臣と民主党の提出者の方、双方にお伺いしたいと思います。

伊藤副大臣 私どもとしましては、この新たな公的資金制度において、資本参加を受けた金融機関に対して、金融機能の具体的な発揮を求める観点から、リレーションシップバンキングの機能強化、このアクションプログラムを以前公表させていただいたところでございますけれども、その整合性を含めて、先ほどお話をさせていただいたように、信用供与の円滑化のための方策等経済の活性化に資する方策について、その進捗が評価できるような指標も含めて経営強化計画に記載されることが適当である、こういうふうに考えているわけであります。

 そして、この中で、具体的に信用供与の円滑化のための方策として、組織、体制の見直しでありますとか、あるいは顧客ニーズに対応した商品の充実でありますとか、あるいは取り組み姿勢の強化などについて、方策の進捗が外部から評価できるような指標も含め具体的に記載を求めているところでございまして、さらに、経済の活性化に資する方策としては、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの考え方を踏まえて、創業、新事業支援機能強化でありますとか、取引先企業に対する経営相談あるいは支援機能の強化、そして早期事業再生に向けた取り組みなどについて、これらの方策の進捗が外部から評価できるような指標を含め具体的な記載を求めているところでございます。

 このような形で、中小企業貸し出しというものを健全にふやしていくためには、ある意味では、地域経済というものを活性化していく必要があります。地域経済を活性化していくためには、これは多面的な取り組みが大変重要でありまして、したがって、一面的な指標を課すのではなくて、今御説明をさせていただいたようなさまざまな方策をとることによって、そして、結果として健全な中小企業貸し出しというものをふやし、地域経済の活性化や中小企業の再生に資するような、そうした形を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

津村議員 お答えします。

 私ども民主党も、伊藤副大臣がおっしゃるように多面的な取り組みが必要だと思うんですが、同時に具体的な取り組みも必要だと思います。

 二つの点で私どもは政府案に比べまして具体的な取り組みを持っているわけですけれども、一つは、民主党金融再生ファイナルプラン関連法案の一つに早期健全化法の改正案がありますけれども、この第五条一項の第四号に「資金の貸付けその他信用供与の円滑化のための方策」というものを定めることを義務づけておりまして、こうした法律の形でしっかりと定めていくことがまず重要であろうと考えています。

 政府案では、これを計画の提出と厳正な審査という、わかったようでわからないような決め方になっているわけですけれども、前回、九九年三月の資本注入の際に比べて決め方がトーンダウンしているというか、そういう印象はどうしてもあると思います。国の課題として、国策的な課題として、中小企業向け融資の拡大というのが、当時に比べて政策ニーズとしてむしろ高まっている、強まっている時期にあって、どうしてトーンダウンするのか、その方向感覚が私どもとしてはよくわからないところです。

 そして、先ほども申し上げたとおり、これは数字として定めるだけじゃなくて、厳格かつ一斉の緊急検査というものの裏づけがあって初めて実効性を持つものだと思います。そういったところも金融庁、政府案では不十分ではないか。私たちが自信を持ってこの法案を提出している背景でございます。

村越委員 それから、その目標に達しなかった場合の罰則規定があるのかどうかということも、大臣それから民主党の提出者の方にあわせてお伺いしたいと思います。

伊藤副大臣 先ほどお話をさせていただいたように、今回、この制度を利用するに当たって、申請する金融機関に対しては、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策、こうしたものを求めているわけでありますが、この中で、地域の実情や当該の金融機関のビジネスプランによっては、企業再生に重点を置いて貸し出し以外のさまざまな対応を考えていくということもありますし、また、経営の細部にわたって厳格に結果責任を求めることは、結果として経営の自由度というものを大きく奪うことになります。

 したがって、経営改革が阻害されることになりかねないことから、経営強化計画において、その一律な目標を課すのではなくて、多様な方策の記載を求めているところでございまして、経営の子細の過度な干渉を避ける観点から、結果責任の枠にはなかなかなじまないものではないかというふうに考えているところでございます。

津村議員 私どもの答弁をさせていただく前に、政府案への感想ですけれども、今の御答弁というのは、経営の自由度のことを強調する余り、モラルハザードを防止するというもう一つの非常に重要な点について見落とした御答弁ではなかったかと思います。

 私どもの法律案ですけれども、早期健全化法の第十九条二項に、読み上げますけれども、「金融再生委員会は、被引受け実施金融機関等に対し、協定銀行が取得株式等又は取得貸付債権の全部につきその処分をし、又はその返済を受けるまでの間において、第五条第一項に規定する経営の健全化のための計画が履行されていないと認めるとき又は協定銀行が保有する優先株式に対する利益若しくは協定銀行が有する優先出資に対する剰余金の配当を確保することが困難であると認めるときは、当該被引受け実施金融機関等の取締役(銀行以外の被引受け実施金融機関等にあっては、理事長、副理事長又は理事)の解任を命ずることができる。」と明確にこの経営責任について言及をしております。

 また、長いですのでもう読みませんけれども、結果が出ていない途中の段階にありましても、経営健全化計画の履行を確保するため、銀行法等の定めるところにより、必要な措置を命ずることができることを同条の第一項に定めております。

村越委員 これは政府側にお伺いしたいんですけれども、ちょっと確認の意味でもう一回お伺いしたいんですが、過去の資本注入において、中小企業への融資目標というのは義務づけたのでしょうか。

伊藤副大臣 お答えさせていただきたいと思いますが、これは、早期健全化法に基づき公的資金を注入した金融機関は、経営健全化計画において資金の貸し付けその他信用供与の円滑化のための方策を定めているところとされておりまして、その内容として、告示において、特に中小企業向け貸し出しの総額については、原則としてその残高を増加させることと規定されているところでございます。

村越委員 そういう規定があったということですから、その結果として、本当に融資がふえたのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

伊藤副大臣 資本増強行の中小企業向け貸し出しについては、特に近年において資金需要の低迷等の外部要因があったこともありまして、計画対比未達である金融機関が存在することについては、まことに遺憾なことだというふうに考えております。

 こうした中で、貸し出しが減少している公的資本増強行に対しては、必要に応じ業務改善命令を発出するなど、厳正に対処をして目標達成に向けた取り組みの努力を促しているところでございます。

村越委員 今、外部要因ということをおっしゃっていましたけれども、残念ながら、過去の資本注入においてはその目的が十分に果たされなかったんだ、そういうことだと私は思っています。

 次の項目に関して質問させていただきたいんですが、この法案では、抜本的な組織再編成、すなわち合併以外の場合に限って、かつ目標未達成の場合にのみ経営責任を追及することになっているんですけれども、合併の場合にはどうして結果責任の追及をしないのでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。

増井政府参考人 お答えいたします。

 新たな公的資金制度につきましては、合併だからといって無条件に資本参加を行うという仕組みではございません。合併の場合であっても、相当程度の収益性あるいは効率性の向上だとか、地域における金融の円滑化と地域経済の活性化のための方策の実施を求めるなど、基本的には合併以外の場合と同様の基準を適用した上で資本参加を行う仕組みになっております。

 ただ、合併の場合には、それ自体相当の経営努力を伴うものでございますし、地域集中リスクの軽減などの金融システムの安定強化の観点からは評価できるものであるというふうに考えておりまして、こうしたことを踏まえまして、合併の場合はその他の場合と基準に合理的な差異を設けることといたしております。

 こうした中で、合併等の抜本的な組織再編の場合には、合併の効果が発現するにはやはり相当の時間を要するということ、あるいは組織再編それ自体が前向きな経営改革としてとらえられるものでありまして、結果責任によって経営改革の実施を担保しなくとも当事者間の相互のチェックが働く、あるいは経営資源の融合等が期待できる、こういったことを勘案しまして法律的には結果責任まで求めないということとしているところでございます。

 なお、合併等を行う金融機関であっても、申請時に自己資本比率が基準値未満の場合には、当該金融機関の代表権のある役員については経営責任を厳格に追及するということにしているところでございます。

村越委員 このことに関してあわせてお伺いしたいんですけれども、これは必要性はないんでしょうか。

増井政府参考人 ただいま申し上げましたように、合併等の抜本的な組織再編成の場合には結果責任を求めないということとしております。それは、先ほど申し上げましたが、合併などの効果が発現するには相当の時間を要する、あるいは組織再編自体が、それ自体に前向きな経営改革が織り込まれるものでございまして、結果責任によって経営改革の実施を担保しなくとも当事者間の相互のチェックが働く、あるいは経営資源の融合等が期待できるといったことで、そういった結果責任を求めていないということでございます。

 したがって、こういったケースにつきましても、まずはモニタリング、それから情報開示によります金融機関の自己規制を重視することが重要だというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、特段の理由なく、計画期間中でも計画と実績との間で大幅な乖離が生じ、あるいは経営改善への努力が見られないといった場合などには、当然のことでございますが、必要に応じて計画の履行の確保に向けた監督上の措置を発動したり、あるいは、さらに必要があれば普通株への転換権も行使する等、適切に監督をしてまいりたいというふうに思っております。

村越委員 では、政府案において、申し込み時において公的資金注入に至った経営責任というものはどのように追及されるのでしょうか。

増井政府参考人 モラルハザードの防止等の観点から、適切に経営責任の明確化を図るべきことは当然のことであるというふうに思っております。ケースに応じて適切に経営責任を明確化していくこととしております。すなわち、自己資本比率が基準値未満の金融機関の場合には、国の資本参加時に経営陣の責任を厳格に追及するということ、さらに、合併等を行わない場合には、経営改革の確実な実行を期するために、経営陣は収益性等の数値目標の達成に厳格な結果責任を負って経営に当たる仕組みになっております。

 ただし、この新しい公的資金制度は金融機能強化を目的とするものでございます。その申請自体は、懲罰的に経営責任を問うべき性格のものではないというふうに考えております。このために、自己資本比率が基準値以上の金融機関につきましては、申請することそれ自体に経営責任を問うという要素はないというふうに考えております。

 なお、経営責任の明確化以外にも、国の資本参加に当たっては、先ほど来御説明をいたしておりますように、収益性、効率性等の向上が見込まれる等々の要件を厳正に審査するといったほか、合併を初めとする企業再構築を求めるなど、金融機関に厳しい自助努力を求めることにしておるところでございます。

村越委員 基準適合金融機関であっても、公的資金を使う以上、そこに至った経営責任というのがとられるべきだと私なんかは考えるんですけれども、それに関してはいかがでしょうか。

増井政府参考人 先ほども申し上げましたように、この新しい公的資金制度は金融機能の強化を目的とするものでございます。特段経営に問題があるというよりも、むしろさらに金融機能を強化してもらおうということでございますので、それ自体に懲罰的な経営責任を問うべき性格のものではないというふうに考えております。

村越委員 それでは、民主党案では公的資金の注入に至った経営者の責任をどのように追及しているのか、その点に関してお答えいただきたいと思います。

津村議員 遠方よりお越しになりまして質問を待っていらっしゃる方もいらっしゃいますので、端的にお答えします。

 こうしたケースは、やるやらない、どちらも理由をつけようと思えばあると思うんですね、経営責任をとらせるということについて。先ほど増井局長がおっしゃられたのはやらない理由をいろいろおっしゃられたと思うんですが、やる理由としては、モラルハザードをしっかりと防止する、そして国際金融マーケットの信頼をしっかりとかち得るということが重要なわけで、そういった観点から、私たちは、早期健全化法の第三条第一項三号、それから第六条一項二号に、それぞれ早期健全化のために講ずる施策の原則として、金融機関の経営責任及び株主責任の明確化、そして代表取締役の退任など経営責任を明確にするための措置をとることを明確に義務づけております。

村越委員 本日わざわざ日銀の方にお越しいただいていますので、時間も押してきましたので、先に日銀の方に御質問させていただきたいと思います。若干今までのお話と違うお話で恐縮なんですけれども、RCCに関してちょっとお伺いしたいと思います。

 RCCに対して日銀が考査を行っているのかどうかということです。また、考査を行っているとして、資料があるのであればお示しいただきたいと思います。

稲葉参考人 日銀考査に関するお尋ねでございました。

 整理回収機構に対しましては、昨年十二月に考査を実施してございます。

 その内容についてのお尋ねでございますけれども、日銀法、それから考査の契約でもちまして守秘義務が課されてございますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

村越委員 まさに私は国民の代表としてこの場に立っておりまして、どうしてその資料が出てこないのか、私には理解に苦しむところがあるんですが。

 同様に、金融庁がこのRCCに対して検査を行っているのかどうか、また、それも資料があればぜひお示しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

伊藤副大臣 RCCに対しましては、私どもは銀行法二十五条に基づいて金融検査を実施したことはございません。

 RCCが主として預金保険法附則に定める協定銀行としての業務、住専法に定める債権処理会社としての業務を行っておりまして、新規の預金受け入れ業務を行っていないという業務の特殊性、こうしたことにかんがみ、また検査人員が限られた中でありますので、検査を実施するに至らなかったものでございます。

 しかし、RCCも銀行法に基づき免許を付与された銀行でございますので、今後必要があると認められたときには検査を行わなければいけないと考えているところでございます。

村越委員 もう一度日銀の方にお伺いしたいんですが、私の認識では、財務体質に関して非常に大きな問題があるというふうに考えているところなんですが、資料は出せないということですので、その辺の財務体質に関してどのようにお考えなのか、ぜひお答えいただきたいと思います。

稲葉参考人 お答え申し上げます。

 整理回収機構は国の施策のために設立されているということでございまして、一般の金融機関と性格を異にする面がございます。特に、主要な業務に関して、そこから発生する損失は法令の定めによって預金保険機構等から補てんされているというような事情がございます。

 そういうことでもございますので、私どもの考査としては、資金管理のあり方とかその他業務に関するリスクの状況ということを考査してまいりました。

村越委員 全く私の質問のお答えになっていないと思うんです。

 国の施策のためにやっているというふうにお答えになっていましたけれども、まさに国民の税金がそこで使われているわけですから、我々としては、一体どうしてこういう状況になっているのかというのをぜひ知りたいわけでして、これは資料をいただけない、守秘義務があると、もう一度その法的な根拠を示していただけないでしょうか。

稲葉参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行がやっております考査に関しましては、日本銀行法及び取引先、考査先との考査の契約がございまして、それに基づいて守秘義務が我々に課されているわけでございます。したがいまして、そういう観点で、お答えは差し控えさせていただきたいと申し上げているのであります。

田野瀬委員長 村越君に申し上げますが、質問時間が終了してかなりたっておりますので、簡潔に終えてください。

村越委員 時間が来ましたので、また後日この件に関しても質問させていただきたいと思います。

 一言だけ最後に、ちょっとだけ申し上げますと、私がきょうお聞きしようと思ったことはすべてお聞きできたわけではないんですが、きょうの質疑の中でも、政府提出の法案と我が党が提出している法案の違いと優位性というものが浮き彫りになってきたのではないか、そういう私なりのコメントを最後に申し上げまして、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。まだ谷垣大臣が――お見えになられましたので質問を始めます。

 質問に先立ちまして、今月四月二十六日で、小泉総理大臣就任後ちょうど三年目を迎えるわけであります。これはちょうど私の誕生日の日なものですから。この三年間を総括しまして、小泉内閣を一体どのように評価されるか。特に竹中大臣は三年間この職におありになり、谷垣大臣はまだ四カ月でありますが、やはり内閣の一員として、どのようにこの三年間を総括されるかということをお尋ねしたいと思います。

谷垣国務大臣 それでは、まず私からお答えさせていただきますが、小泉内閣、どう評価するかというのはいろいろな視点があるんだろうと思いますが、私は大体、小泉内閣、現時点では三つ使命があると思っているんです。一つは、長い間低迷していた景気を、どう出口を見つけて持続可能なものにしていくかというのが一つですし、それから二番目としては、これは、年金の議論や、あるいは財政についても議論していただいておりますが、二十一世紀に持続可能なシステムをどうつくっていくかということだろうと思います。それから三番目は、これは、テロであるとかあるいは安全保障の問題も含めまして、安心、安全をどう確保していくか、大きく言うとその三つが課題ではないかというふうに考えてまいりました。

 それで、財務大臣としては、三番目の安心、安全というのは、小泉内閣として相当いろいろなことをやっておりますし、成果も上げていると思いますが、これはちょっと置いておきます。

 一番目の、低迷していた景気にどう出口を見つけていくかという課題につきましては、これは改革なくして景気回復なしということのもとでやってまいりまして、輸出や何かに支えられている面も多分にございますけれども、設備投資や何かも引っ張られまして、少し明るい兆しが見えてきた。特に、政府の財政出動に頼らなくても、民間の力で頑張ってもらえるようにしたいということはかなり形ができてきたんではないかなというふうに思っております。

 それから、そうなりますとやはり、今回の予算国会の議論でもそうですが、関心が少し、景気回復から持続的なシステムという方向に移ってきているんだろうというふうに思います。そこで、この国会で年金の御議論をお願いし、また私の課題でいえば、財政再建、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランス回復と言っておりますが、どう道筋をつけていくかということになると思います。

 これは、まだ、中長期の課題でございますから、私の言葉で言えば、今年度も昨年度と同じような財政改革路線を歩んでやや手がかりが得られたと思っておりますが、中長期の課題でまだ問題がたくさん残っているのではないかと思いますが、基本的に、民間でできることは民間で、地方でできることは地方でという路線をやはり確固として歩むべきではないかな。

 大変平凡な感想かもしれませんが、三年間を総括いたしますと、そんなぐあいかな。今後も、税制、財政、それから規制、こういった改革をたゆみなくやらなければいけない、こう思っております。

竹中国務大臣 マクロ経済、財政については今谷垣大臣が総括をしてくださいました。私の立場から補足的に申し上げますと、三年、本当にあっという間の三年という感じなんでございますけれども、やはり、特に三つのことを私自身はやらなければいけない立場にあったと思っております。

 一つは、やはり経済全体を活性化すること、二番目は、一と関連しますけれども、やはり不良債権問題の克服に象徴されるような金融基盤の強化を行うこと、それと、その背景にあるデフレの克服、この三つであろうかと思います。

 経済の活性化に関しては、集中調整期間については成長率は極めて低いことを甘受していこうというふうに申し上げてきた。この活性化に関する限り、実現されつつある経済成長率は、実は想定より少し高いということで、これはこれで一つの、さまざまな要因がありますけれども、結果、芽がまさに出つつある状況ではないかなと思っております。

 金融基盤の強化に関しましては、これはさらに二つ三つありますけれども、不良債権問題、これは主要行については当初の目標に向かって今進捗しつつある。地域金融機関、リレーションシップバンキング等々については、さらにこれを強化していかなければいけないというふうに思っている。それと、貯蓄から投資へという、より広い意味での、大きな意味での資本市場の活性化については、これは証取法の改正、公認会計士法の改正等進みつつありますけれども、まだ大きな結果を出すまでにはやらなければいけないことがたくさんある状況だと思っております。

 最後のデフレの問題は、これは先ほども御審議をいただきましたが、今申し上げた三つの中では比較的やはりおくれている問題であろうかと思っております。この点は、もう申し上げませんが、引き続き政府、日銀一体となった協力が求められている分野だ、そのように思っております。

小泉(俊)委員 今、それぞれの大臣のお話をお聞きしたんですが、特に谷垣大臣に関して意外だったのは、人質の問題が出てこないのは、やはり大臣としては私はまずいと思います。

 今、やはり、この三年間総括して、結果で見た場合、小泉内閣のやった大きなことと申しますと、まず、対外的には、自衛隊の陸海空の三軍を戦後五十九年間で初めて海外に出した。その結果、今、三人の日本人の方たちが人質にとられて、情報の錯綜する中でいまだに解放されない。やはりこれは大変な問題でありまして、要するに、財務大臣であろうとどの大臣であろうと、全大臣が、これは国会と政府が一丸となって取り組まなければならない課題であります。私は、これは一日も早い、一刻も早い人質の解放に私たちも全力で取り組まなければならないと思います。

 ただ、何でこういったことが起きたか。私は、やはりその原因が大切だと思うんですが、小泉内閣の底流に流れる、これは経済もそうですし今度のイラクの人質の問題もそうですが、大きな一つの問題が、危機意識が非常に欠如してきている、そこにすべての問題の原因があると私は思っています。

 特に、二月十三日の予算委員会におきましても、実は、イラクの問題に関しまして総理大臣が余りにも危機意識が欠如していると、その政治姿勢を正させていただいたわけであります。具体的に言いますと、二月の八日にイラクのサマワに日本の陸上自衛隊の本隊が到着をしたわけであります。その当時でも、テロが続発しまして二百人以上の米兵が死亡している、そんな中での、非常に緊迫感高まる中でのイラク、サマワへの陸上自衛隊の本隊の到着だったわけでありますが、その前日の七日の土曜日に、総理本人が、戦後五十九年間で初めてこれだけの海外派兵をしておきながら、本人は映画館に行って「シービスケット」の映画を見て楽しんでいて、とてもよかったと。私が予算委員会でその点質問しましたら、私に「シービスケット」の映画を見るように薦めたぐらいですよ。

 非常に、やはり私は、これはそういう危機意識が欠如しているから今回のような事件が起きたのだと思います。

 特に、これは自衛隊の派遣云々を抜いても、もしああいう形で自衛隊を出すのであれば、やはり大変危険だからこそ自衛隊を出しているわけであります。やはり、邦人の、撤退勧告ではなくて撤退命令を出していくとか、イラクないしその周辺、ヨルダンとか周辺に対しては渡航制限をするなど、現行法でできないなら法改正も同時にやりながら、日本人の生命、身体、財産の安全、これをきっちり守ることを私は同時並行してやるべきだったと思うわけであります。やはり、危機意識が大変欠如していると言わざるを得ないと私は思います。

 また、この三年間の総括をちょっとしてみますが、やはり何といいましても、私は、最大の問題は、お話ありますように、両大臣に一番直結します経済なんですね。この結果を見てみます。まず結果で判断をします。

 株価ですが、ちょうど十三年四月二十六日の就任当時、一万四千円あったわけですよね。それが、御案内のように、十五年の四月二十八日、七千六百七円とバブル後最安値になったわけであります。四六%も下落したわけです。これはもちろん金融機関と企業を直撃しました。失われた資産が百五十兆とも二百兆とも言われているわけです。今も、株価が上がってきたなんと言っていますけれども、就任当時よりも二千円も低いわけですよ。あの森内閣よりもですよ。これをちゃんと私は認識しないといけないと思います。

 その結果、日本経済に与えたインパクトがどれほど大きかったか。死屍累々ですよ。

 具体的に言いますと、まず、自殺者です。これは三年間で、小泉内閣の三年間で九万人を超えるのは確実です。また、実数は、先生御案内のように、暗数がありますので、三倍の三十万人がこの三年間で自殺をしているわけであります。

 また、倒産を見てみますと、この三年間で、小泉内閣の三年間で、これは五万五千社を突破します。そして、倒産による直接の失業者だけでも約五十七万人です。家族を含めますと、倒産被害というのは百五十万人と言われているんですよ、この三年間で。

 また、御案内のように、個人破産、これも史上最多ですよね。昨年は二十四万件を突破したわけであります。何と、この小泉内閣の三年間で五十六万件を個人破産は突破する勢いです。

 そしてまた、雇用、経済の最後の出口であります雇用の問題、特に若年層の就職の問題でありますが、御案内のように、高校生の就職内定率に至っては史上下から二番目です。大学生は過去最悪ですよ、四人に三人ぐらいしか就職できないわけですね。

 そして、家計に目を転じてみますと、実収入も可処分所得も、消費支出も六年連続減少しているわけで、もちろん三年連続減少ですよ。

 そして、さっき谷垣大臣がおっしゃった安全の問題でありますが、犯罪、これが御案内のように、一昨年二百八十五万件、ここ五年で四〇%も増加したわけですね。

 極めて異常な事態が実はこの三年間に起こったわけであります。こういった内容が両大臣から聞けないことは、私は、やはり危機意識が大臣たちも少し足らないんじゃないかと思うわけであります。

 私は、この小泉内閣の三年間を結果で見て総括をすると、明らかに、その最大の成果は、景気の悪化と犯罪の増加と国民の生命を危険にさらしたことだと思います。一言で、小泉内閣の特徴というか、この三年間どういう内閣だったかといいますと、結論は、危機意識の欠如した危機ぼけ内閣ですよ。こういった事実を、結果を十分御認識いただいて、ぜひとも御答弁をいただきたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、いずれにしましても、正確な事実を、現状認識をしなければ、すべての政策というものは絵にかいたもちになるわけです。例えば、今度のイラクの問題を見ても明らかなように、全く情報がとれていないわけであります。解放もされていないにもかかわらず、与党の幹事長が、解放されるのは撤退をしないと宣言したからだとのうてんきに言ってしまう、これは私は、やはり現状の認識が余りにもちゃんとできていないんじゃないかと思います。

 そこで、竹中大臣も谷垣大臣も、今、数字的に言いますと、確かに、消費関連の数字等、工作機械受注統計等を見ても、いい数字も出てきているんですよ。大臣、実体経済の現状については両大臣はどのような御認識をお持ちでしょうか。

谷垣国務大臣 いろいろ今までの経緯、数字を挙げておしかりをいただきましたけれども、私は、先ほど、輸出に引っ張られている面があるというふうに申しましたけれども、やはり設備投資それから輸出、こういうものが相当引っ張って、着実に景気回復を続けているんじゃないかと思います。

 それで、心配なのは、企業、やはり大企業は相当スピードを持って走れるようになったけれども、中小企業がどうだ、あるいは非製造業がどうだというのも今までずっとひっかかっていた問題でございますけれども、それも、日銀短観なんかを見ますと、少しそこらにも改善の兆しが見えていると思います。

 それから、先ほどおっしゃった中で、雇用情勢は依然として高い失業率をずっと続けております。これは確かに厳しいなと私も思っておりますけれども、これもやや持ち直しの動きは見られるんじゃないか。

 それから、経済で見ますと、こういうところは竹中大臣にお話しいただいた方がいいわけですが、長い間、やはり個人消費がどうなのかというのは非常に心配でございましたけれども、いわゆるデジタル家電みたいなものが大分好調で、個人消費も少しよくなってきたのかなというふうに思っております。

 もちろん、今いろいろ御指摘がありましたように、それぞれまだまだらであり、部分部分、私の選挙区なんかに帰りましてもいろいろな声があるのは事実でございますけれども、全体として見ますと、今のような認識で私はいいのではないか。

 ただ、ここから先、さらにいろいろな、先ほど竹中大臣も、デフレの克服がややおくれているとおっしゃいましたけれども、そういうあたり、どう手を打っていくかというのは、まだまだ気を緩められないな、こういうふうに思っております。

竹中国務大臣 基本的には谷垣大臣がおっしゃったことと同じような実体に対する認識でございます。

 小泉委員は、危機意識の欠如という点を指摘なさいました。本当に健全な危機意識をしっかりと持って我々は事に当たらなければいけないと思っております。

 ただ、あえて申し上げれば、やはり問題を先送りしてはいけない、不良債権処理を先送りしてはいけない、財政の健全化を先送りしてはいけない、そういう根本的な危機意識があるからこそ、思い切って構造改革をしようという小泉総理の登場になっているんだと思います。そうした中で、先送りしないでそれを解決する過程では、摩擦熱が発生する、痛みも生じるわけでありますけれども、そういうものを克服しながら、ようやくよい方向が今出つつあるというのが日本の経済の実態であろうかと私は思っております。

 過去、バブル崩壊後、これで三回目の景気回復局面でございますけれども、そういう意味では、冷静に考えると、今までよりも違うところがやはり二点はあるんだろう。

 一つは、まさに金融の、不良債権に象徴されるような、一種のコンフィデンスといいますか、そういうところはかなりはっきりしっかりとしてきているのではないのだろうか。それが、金融危機という言葉を生じないで年度をまたいだということにも象徴的にあらわれるのではないだろうか。

 第二点は、やはり、何かあると公的部門に依存するという体質、そういう体質そのものが、総理のかけ声のもとで、各経済主体の中で、しっかりと自立型の経済に向かいつつあるのではないだろうか。もちろんこれは途上でありますけれども、そういう点が今までとは違ったところではあろうかというふうに思っております。

 ただ、いずれにしても、残された問題は多々ございます。この方向をやはりしっかりと守り、さらに加速させることが実体経済をさらに強くしていく唯一の道であると思っております。

小泉(俊)委員 今、実体経済の現状について両大臣がどういう認識をお持ちかということをお尋ねさせていただいたわけでありますが、私は、やはりまだまだ認識が、正確な国民の皮膚感覚が、どうもやはり大臣たち遠いところにいらっしゃるものですから、伝わっていないんだなということを思います。

 今、明るい兆しが確かに出ているんですが、毎回やらせていただいていますけれども、十五カ月間で三十五兆円ものドルを買い、史上空前のことを今幾つもやっているわけですね。そしてまた、今日、兆しが見えてきたとは言っていますが、先ほどお話し申し上げたように、この三年間、日本国民の死屍累々の上を歩いてきて、無理無理に無理を重ねてようやくここまでぎりぎり持ってきているわけであります。

 その中で、先日、今保険の事務センターにお勤めの私の知り合いの方からメールをいただいたんですが、今、一日百五十件、一年間で言うと五万件もの生命保険の減額の依頼が来ているそうであります。だれでも生命保険の保険金は減らしたくないんですね。ですけれども、保険料を払えないんですよ。そのために、やむを得ず契約変更で減額をしたり、また解約をしている方たちが今物すごい人数になっています。私の知り合いの中でもかなりおります。

 そしてまた、御案内のように、一千四百兆円国民金融資産があると言っていますが、何と国民の二〇%を超える人たちが預貯金ゼロなんです。これは、皆さん、預貯金とか、とらの子の保険まで解約したり減額して消費に回してきたんですよ。これは、大臣たちが認識されている以上に実体経済は物すごい今厳しい状況にありまして、国民生活、国民は本当にかなり厳しいところまでついに追い込まれてきた。それが今の本当の現実であり、その辺をぜひともきちっと御認識をいただきたいと私は思います。

 次に、また経済統計のお話に行きますが、何しろ実態を正確に把握する目と耳は、やはりこれは経済統計なんですね。あとは自分の足で歩くんですが、経済統計は極めて大きな意味を持っています。

 ところが、今お手元に、配付資料のこの一ページ目なんですが、これは十二月の単身世帯消費調査でありますが、これを見ていただくとわかるんですが、何と三十五カ所も数値に誤りがあるんです。それも、プラス、マイナスを単純に間違えたというのではなくて、下から二番目なんか見ますと、正しいのはマイナス〇・三なのに、誤ったのはプラス一一・五になっているんですね。もうここまで間違えちゃうと、統計なんというのは信用が全くできなくなってしまうわけですよ。

 まず、なぜこんな間違いが起きたんでしょうか、竹中大臣。

竹中国務大臣 統計というのは本当に信頼の基礎のようなところがあります。信頼の基礎であり、政策判断、皆さんの企業、家計の意思決定の基礎でありますから、こうしたミスは絶対あってはならないものだと思っております。

 私もその話、三十五カ所の誤りがあるということを聞かされまして、もちろん大変遺憾に思いますが、まず、それ以前に大変びっくりいたしました。これはもう遺憾であるし、役所の仕事ぶりとしても本当にみっともない話であるというふうに思っております。

 詳細は、必要があれば担当者から説明させますけれども、聞いたところによりますと、この表、データの誤りというのは、大型のコンピューターで得られる結果をパソコンに転送する際に操作上のミスがあったということでございます。しかし、今後、こんなミスが生じないようにするために、データ転送の際には、データチェックを行う作業を追加する、さらには、複数名で目視による多重のチェックを行う、そういう措置を講ずることとしております。

 この件につきましては、大変遺憾に思っておりますし、申しわけなく思っております。

小泉(俊)委員 実は、十二月調査につきましては二月にも訂正があったんですよね。また、内閣府は、二〇〇二年度の国民経済計算におきましても二回訂正しています。ことしに入って全部で何と四回も訂正しているんですが、これはやはり、先ほど申し上げましたように、議論の前提が全部飛んでしまうし、国民は統計を全く信用できなくなってしまいますので、何らかの抜本的な対策をとらないと、こんなことをやっていたら、竹中さん、全部信用されなくなりますよ。

 この点について、どういう抜本的対策をとられるのか、お答えいただけますでしょうか。

竹中国務大臣 御指摘のように、確かにそういう訂正が複数回続いております。これは、たまたまそういうことが起きたとかいう問題ではなくて、やはりシステムに何らかの問題があるというふうに認識しなければいけないと思います。これは、私の責任で、しっかりと実態を把握した上で、対応策につきまして組織的にしっかりと検討をさせます。

小泉(俊)委員 これは毎回、実は、当選以来私はずっと竹中大臣に統計の問題を言っているわけであります。これがいかに大切かということを肌身にしみて感じているからです。ですから、その基礎が揺らいだのでは、今やろうとしているすべての発言が全部、大臣の発言も狂うんですよ。現状認識ができていないという話ですから。ですから危機意識が欠如する。ぜひともこれは、抜本的な対策を国民に向けてきちっと大臣が発表されることを私は要求します。

 次に、今回の法律も含めまして、金融政策全体についてちょっとお尋ねをいたします。

 日本の国力の源泉というのは、戦前は日本も軍事五大国の一つでありましたので、軍事力も国力の源泉になりました。しかし、敗戦によって私たちはそれを失い、資源も何もない、唯一この日本の国の国力の源泉は経済力だけなんですね。

 今、数字をちょっと見てみますと、エネルギーが全額でどのぐらい輸入されているか、大臣、御存じですか。これは、全エネルギーの八割輸入しています。原油の九九%を今輸入に頼っているわけです。二〇〇三年の原油、天然ガス、石炭の輸入総額というのが七兆七千六百五十億円なんです。

 それとともに、私たちの生活に不可欠な食料であります。穀物自給率何%だか、大臣御存じですか。時間がないので私が言いますが、実は、世界で統計を比較すると、カロリーベースなんて載っていないんですね、すべて穀物自給率でいくわけであります。そうしますと、驚くことに二三%です。これは、国連加盟百九十一カ国中の下から六番目ですよ。ジャマイカ、パプアニューギニア、イスラエル、リビア、アルジェリア、日本なんですね。七位ぐらいに直近の統計だと若干上がりましたが、一昨年はこんなところです。その結果、我が国は、大量の食料を輸入しています。二〇〇二年の食料の、全部ですよ、生鮮食料品からすべて入れまして、輸入総額は七兆二千億円に上るわけであります。

 この国は、一億二千七百五十万人が生きていくためには、毎年毎年約十五兆円のお金がどうしても今必要なんですね。ですから、経済こそがやはり我が国の死命を制する、それ以外に国力の源泉がないわけですから、大変重要なんですね。ですから、両大臣は今、物すごい、一番大切なポストにいらっしゃるわけであります。

 経済にとって一番大切なのは、言うまでもなく、経済の血液に当たりますお金の循環ですよね。これがなければ経済は成り立ちませんので。そうしますと、この経済の血液でありますお金を企業や個人、社会に送り出している心臓に当たるのがまず銀行なわけですよね。しかし、今も法案が上程されておりますが、経済の心臓であった銀行が、私は先ほど一番最初に小泉内閣の三年間を総括させていただきましたが、やはり、心臓麻痺によってもう金融機能が停止状態にある、こういう状況が現実だと私は思いますね。

 そこでまず、法案に入る前に、この三年間の金融政策、私は、これは失敗があるのではないかと思いますので、この点について御質問いたしますけれども、先ほど申し上げましたように、政治とか行政というのは、これはあくまで結果責任なんですね。こういう政策を目指すじゃないんですよ、もう三年もやっているわけですから、結果で判断しなきゃいけないと思います。

 そこで、ここ三年間の金融政策の結果をちょっと見てみますが、まず、主要行の不良債権残高、これは、平成十三年の二十七兆円、平成十四年の二十兆二千億円、平成十五年の九月期の十七兆五千億円と、確かに不良債権残高は減少しつつあるわけです。

 そこで、今資料をお配りしている二ページ目なんですが、これを見ていただきたいと思います。これを見ますと、貸出金額が右側に書いてあります。もう着実に減ってきています。特に二月の銀行の貸出額の残高というのは、前年同月比マイナス五%です。何と七十四カ月連続前年割れですよ。六年間ですよ、これ。特に都銀は前年同月比マイナス八%と、九十カ月連続で前年割れですね。

 一方また、今お配りの二ページの左側ですが、国債の保有残高ですよ。これだけは急激に買い上がっていまして、二〇〇三年末で九十三兆八千六百億円と、昨年から三割もふえて、過去最高です。九八年末の三十兆円から、五年間で三倍にもふえているわけですね。

 これは、竹中大臣と当選以来ずっとこの委員会でお話をさせていただいておりますが、私は、不良債権を強制的に処理するのはまずいという話をしましたところ、不良債権を推し進める目的というのは、不良債権が減れば、当然企業に資金が、貸し出しがふえる、融資がふえて実体経済に資金が回るようにすることがこの不良債権処理の目的だと思う、そういうお答えをいただいたこともあると思います。しかし、公的資金、今まで、これは三年間ではないですが、ぶち込んだ金額というのは三十七兆四千億ですね。ところが、実際には国債だけ買っている、実体経済に全く資金が流れていない。

 結果から見ると、私は、この三年間の金融政策は明らかに失敗なのだと思うんですが、竹中大臣、ちょっと時間なくなりましたが、簡潔にお答えいただけますか。

竹中国務大臣 簡潔にお答えするのはなかなか難しいんでございますけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろな制約条件の中で、しかし、不良債権を減らしていかなければ次の段階に行けない、それは恐らく民主党案も同じ立場に立っておられるのだと思います。

 我々としては、そうした中で、バブル期に膨れ上がった貸出金の調整、広い意味でのバランスシート調整を銀行がずっと続けている、しかし、それが今最終段階に差しかかりつつある中で金融機能をさらに強化していくことが重要であるというふうに判断をしているわけでございます。

小泉(俊)委員 時間なくなりましたので、午後三時以降にさせていただきます。

田野瀬委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十二分開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小泉俊明君。

小泉(俊)委員 先ほど竹中大臣に、三時間前、お尋ねいたしましたが、再開ですのでもう一度お尋ねいたしますけれども、結局、不良債権の額は減ってきたわけでありますね、ここ三年間。ところが、資料でお渡ししておりますように、実際のところ、銀行は国債だけを買い上がり、市場にお金が回らない、これがこの三年間の結果から見た場合の現実、事実なわけであります。

 この点について、結果から見て、この三年間の金融政策というものはやはり失敗だったんではないかというのを私は先ほどお尋ねさせていただいたわけでありますが、その点について、もう一度端的に御答弁いただけますか。

竹中国務大臣 小泉委員は、資料の中で、貸出金が減っている、一方、国債に運用されている、こういうことは銀行政策との関連でどのように評価するのか、そういうお尋ねであろうかと思います。不良債権は減っているんだけれどもというお尋ねがございました。

 貸出金につきましては、これも何回か御答弁をさせていただきましたが、確かに九七年ごろからわあっと減るわけでありますけれども、実はそれ以前に、とりわけ八〇年代を通して、数字には出ておりませんけれども、百何十兆というような、期間のとり方によってはもっとでありますけれども、非常に大きな貸出金の膨れ上がりがある。これがまさにバブルに向かう道であった。これは、比率でいきますと、GDPに対して七〇%ぐらいの比率で貸し出しが安定していたものが一〇〇%を超えるまで行った。しかし、その一〇〇%を超える数字が、九七年ぐらいまでは実質的には減らないわけであります。そこからようやくいわゆる銀行のバランスシート調整が始まって、いわゆる銀行の財務の健全化に向けたリストラが始まった。それがまだ途上にあるということだと私は理解をしております。この調整がどこまでいくのかというのはなかなかわからないわけでございますが。

 そうした中で、実は、銀行自身のバランスシートの調整と、もう一方で、リスクをとれるような体質をつくっていかなければいけない。リスクをとっていくためには、リスクの固まりである不良債権をできるだけ減らしていって、自己資本を充実させていくということがどうしても必要になってくるわけでございます。これはまだもちろん途上ではございますが、そうしたことの動きがここ一、二年の間に見られつつあるという点も事実であろうかと思います。

 具体的には、担保に頼らない融資、安易に第三者保証に頼らない融資、そういう新しいタイプの融資を、メガ四行で昨年度一・三兆円程度ということを目指して、急激にこれが膨らみました。これはまさしく、不良債権処理を進めることによって銀行のリスクテーク力が高まって、新しい金融が芽生えつつあるということであろうかと思っております。

 この間の国債への運用の増加をどう評価するかというのは、これは別途、また難しい問題であろうかと思います。そもそも、預金で受け入れて国債で運用するというようなビジネスモデルが成り立つ国というのはそうそうないというふうに私は思います。もちろん、これは銀行各行の個別の経営判断、ポートフォリオの中で起こっていることでありますので、一つ一つについては各行ともリスク評価を行いながら行っているというふうに認識をしております。

 基本的には、不良債権を減らしてリスクテーク力は着実に高まりつつある、しかし、バブルのときに膨れ上がった貸出金についての調整にいましばらく時間を要している、それが日本の銀行、主要行が置かれた状況ではないかというふうに理解をしております。

小泉(俊)委員 今お答えいただいたわけでありますが、これは今までもう三年たっているんですね。そんなことを言っていると、百年河清を待つように、百年待ってもこれはできないと私は思います。ですから、今現実を見れば、銀行は国債消化銀行になってしまっているというのが私は今のこの三年間の金融政策の結論であると思います。私は、明らかにこれは失敗だと思います。

 時間がありませんので、今回提出されています金融機能の強化のための特別措置法についての方に移らせていただきます。

 簡単に言いますと、この法律は、破綻行以外の、健全行も含めてすべての金融機関に予防的に公的資金の注入を可能とする法案であります。これは、自由主義社会におきます自己責任原則の例外のまたその上に例外を認めるという、極めて異例な法律だと私は思うわけであります。それであれば、やはりこれを正当化するかなりの強い立法目的、立法趣旨がなければ、私はこの法案というものは正当化されないと思っているわけであります。

 ここで、時間がありませんので簡単にでいいですから、もう一度、この立法趣旨、目的についてお願いできますか、大臣。

竹中国務大臣 けさからいろいろと御議論をいただいておりますけれども、私は、繰り返し申し上げますが、日本の金融、銀行が置かれた状況というのは、いわゆる危機ではないというふうに思っております。しかし、完全な健康体として十分にリスクをとって信用創造の力を発揮できる、そこまでなかなか至っていない状況である。

 そういう中で、基本的には、公的資金を使うというのは、恒久措置として使うのは、これはまさに預保法百二条に示されたような危機対応であるのが原則であろうかと思います。しかし、政府としては、それとは別に、その時々の政策の要請によってしっかりとやらなければいけないことがある。

 そうした観点から申し上げるならば、経済全体がよい方向に向かう中で、地域経済を活性させたいという非常にしっかりとしたニーズがある。しかし、そうした金融機能を発揮させるための自己資本の充実に対して、市場からは容易に資金調達ができないという状況がある。そういう中で、時限的に、時間を区切って、時代の政策要請にこたえるために、しっかりとした金融機関が経営改革を行って地域の金融を活性化させるという目的に沿う形で自己資本を強化させようというときに、国が資本参加という形でお手伝いをする。同時に、しかし、委員がおっしゃいましたように、ここでモラルハザード等々が生じないようなしっかりとした歯どめ、これは必要であるというふうに非常に強く感じております。

 そうした仕組みを組み合わせる形で、まさに立法趣旨としては、金融機能を強化させるという観点からのこの制度設計の御提案を今させていただいているわけでございます。

小泉(俊)委員 端的に言いますと、最終の目的は、一番最初、三時間前にも私がお話しさせていただいておりますように、金融機能の強化、要するに、経済の血液であるお金がきちっと循環する、これをつくるのが本来この最終目的であると思うわけであります。

 それでは、何といいましても、今回この法律で一番大切なのは、その効果があるかどうかということですね。先ほどお話ししましたように、今まで三年間いろいろな金融政策をやってみて、結局、銀行が買っているのは国債であって、市中の貸し出しがどんどん減ってくる。今回のこの法案で金融機能が高まるのか。換言すれば、銀行の貸し出しがきちっと、特に地方に、地域に回るようになるんですか、これは。竹中大臣。

竹中国務大臣 金融機能の強化というのをどのように評価するかという問題だと思います。

 自己資本が果たす役割、リスクのバッファーとしての役割というのは、これは重要であるということはお認めいただけるのだろうと思います。

 先ほども少し申し上げましたが、そういう場合に、金融機能の強化としては、現象面ではやはり三つぐらいのことにあらわれてくるんだろうと私は思っております。

 一つは、まさにリスクをテークして貸し出しをふやすという、貸し出しの量が拡大すること。少なくとも、絶対量が拡大するかどうかはともかくとして、そうしない場合に比べてふえている、こういう量の効果があるのだと思います。

 二つ目は、貸出先に対してしっかりとした再生のためのメニューを提示する。具体的には、相手の企業がバランスシートを調整するのにいろいろな形で手助けをする。債権放棄のようなものはわかりやすい一つの事例かもしれませんが、そのほかにもいろいろ、後でこれは御議論いただくかもしれませんけれども、DDSとかいろいろあるのかもしれません。そういうバランスシート調整の手助けをするためのツールを出す、これも二つ目の効果としてあるのだと思います。

 三つ目は、先ほども少し申し上げましたが、新たなリスクをとって、つまり担保に依存しない、保証人に依存しないような形でリスクをとって新たな融資を行っていく。これは、量というよりは質の問題だというふうに思います。

 これはやはり、そういう形で、今委員は量との関係でいかがかという問題提起でございます。量は量として確かに私も重要だと思いますが、それに加えて、バランスシート調整を助ける、さらには、担保に頼らない等々新たなリスクをとった融資商品を提供できる、そういう観点から、私はやはり、自己資本の充実、少なくともそういうことをやろうと思っている金融機関にとってはこれは大変重要な手助けになり得るものであるというふうに思っております。

小泉(俊)委員 今いろいろお答えをいただきましたが、私は、すべての金融政策の基本というのは、やはり、必要な企業、個人に資金が回る、これを最終の目的にしなければ、どんな理屈を並べても最終的にはそこで判断されるんだと思います。

 その中で、今度、この新法の経営強化計画の中には、中小向けの融資の義務づけがまずないわけですよね。あと、過去、実際資本注入を受けた銀行というのは何をやったかといいますと、中小企業とかの貸し出しをふやしたのではなくて、結局、国債投資をふやしただけですよ、数字は、結論から見ますと。今回も、結局、今度は地銀等に国債を買わせるだけの結果になるのではないかと私は思うわけでありますが、この点についてはないと言えますか、大臣。

増井政府参考人 先生御指摘の中小企業貸し出しの関係でございます。

 この中小企業貸し出しというのは非常に重要な問題だというふうに私どもは思っております。中小企業を中心にした資金仲介機能を高めるという意味で非常に重要なことだと思っております。

 このため、私どもとしましては、地域の中小企業に対する融資等に関する指標、例えば、中小企業あるいは地元の企業に対する信用供与の総資産に対する割合といったものも経営強化計画に盛り込んでいただきまして、実績を公表する方向で検討したいというふうに思っております。さらに、その他の指標も組み合わせまして、地域経済活性化のために多面的な取り組みを促していくことが適当ではないかというふうに考えております。

小泉(俊)委員 それは前の質問の答えなんですけれどもね。私が聞いているのは、よく聞いてくださいよ。結局今回も今までと同じように、今回の法律を使って資本注入しても、結局地銀等が国債を買うだけの結果に終わるのではないですかと聞いているんですよ。その点について、大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 基本的には、今回の公的な資金の枠組みといいますのは、しっかりとした経営強化計画を出していただきます。収益力をどのように高めていくのか、さらには、地域への貢献、地域の金融をどのように円滑化していけるのか、さらには、そうしたプランを推進していける体制をどのようにつくっていけるのか、そこを実は客観的な基準で審査をするわけでございます。

 国債にまた運用されるのではないかというその一点を大変委員は懸念しておられるわけでありますけれども、もし、そういうプランを、国債で運用するプランを出してきた場合に、これは今の立法の趣旨から考えまして、我々として、そんなに、これはいい計画だというふうに承認する、そういう姿はちょっと想定されないのではないのかというふうに思います。

 これは形態によりますけれども、それを実現するために、しっかりとした抜本的な経営の見直しをやっていただかなきゃいけない、場合によっては、抜本的な組織再編以外の場合は数値目標について結果責任も問われるということでございますから、ここはやはり、立法の趣旨に沿って我々としてはしっかりと運用していくつもりでございますし、それを担保するような収益目標を掲げてビジネスプランを出させる、そういうふうな仕組みになっているという点をぜひ御理解賜りたいと思います。

小泉(俊)委員 そもそも、今まで総額三十七兆四千億を超える公的資金の注入をやってきたわけです。その結果が、先ほど私が資料を出していますように、国債だけが三倍も買い上がる形になっているわけですね。ですから、今回のこの法案が通ったときに、結局地銀等に国債を引き受けさせるためだけの結果にならないように、もしそうなった場合は、今はっきりとお答えいただいて、そうならないようにするということを、大臣、御答弁いただけますか。

竹中国務大臣 基本的にはこれは、その銀行がどういうポートフォリオを組むかということでございますけれども、我々としては、通常想定される姿としては、まず、これによって地域の金融を円滑化させるんだというプランを出していただかなければいけないわけです。その中に、国債を引き受けますとかというのは、これは出てきようがないと思いますし、万が一そんなものが出てきたら、これは立法趣旨から認めるわけにはいかない、当然そういうことになると思います。

 これは、繰り返し言いますが、基本的には、ポートフォリオを、いろいろなその時々の情勢で金融機関が判断することではございますが、我々としては、この立法趣旨にのっとって、地域の金融を円滑化させるということのためにこの法律を運用する決意でおります。

小泉(俊)委員 それでは、結果を見て判断させていただきますので、しっかりとチェックしていただくよう、よろしくお願いいたします。

 あと、この法律は、合併をする金融機関に対して優遇をしているわけでありますので、事実上、合併を促進する効果を持った法律であると思います。そもそも、この法律を通し施行することによって、事実上合併が、仮に進んだとします。しかし、私は、この合併により銀行の数を減らすだけの結果になったのでは、地域の経済を活性化するどころか、ますます中小企業の倒産を招いて、地域経済が疲弊する結果になるのではないかと思うんですが、竹中大臣、この点についてはいかがでしょうか。

伊藤副大臣 私からお答えをさせていただくことをお許しいただきたいと思いますが、今回の法律の目的については大臣が先ほどからお話をさせていただいているとおりでございまして、委員御指摘のような、合併による再編の促進を目的としたものではございません。

 その上で申し上げれば、国が資本参加をすることによって、金融機関が十分な自己資本を確保する、そのことはリスク対応能力というものを増大させていくことになりますから、そのことによって金融の円滑化に資するものになるだろうというふうに考えております。

 加えて、新たな公的資金制度は、合併を行う金融機関に対しても、国が資本参加をするに当たって、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策を具体的に記載した計画の提出を求めておりまして、そして、これを法令等の基準に基づいて厳正に審査するところでございます。

 また、新たな公的資金制度は、経営強化計画の履行状況を私どもとしてもしっかりフォローアップして、そして、定期的に履行状況の報告を求めた上でそれを公表することといたしておりまして、地域におけるパブリックプレッシャーに基づいて、その中で金融機関が実績を上げていく、そうしたことを期待しているところでございます。

 その上で、履行状況に照らして必要があると認められるときには、経営強化計画の履行確保に向けた監督上の措置を発動することを可能といたしておりまして、これらの取り組みによって、地域の金融の円滑化、あるいは中小企業の再生を図ることができると考えているところでございます。

小泉(俊)委員 今、この法律は地銀等の合併を目的にしたものではないという御答弁をいただきました。確かにそうかもわかりません。しかし、これは、内容をよく見てみますと、間違いなく合併を促進していく効果を持った、事実上その効果を持った法律であるのは間違いないと思います。今そういうふうに副大臣、大臣おっしゃっていますけれども、世の中の人はそう思っていませんよ。今回のこの法律は地方の銀行を淘汰していくと。

 だからこそ、今、地方における企業経営者の方たちが、この法律に対して、これが通ったときには銀行の数が減っていってますます融資が受けづらくなるんじゃないかと、だれもがこの法律をそう思っているわけであります。

 新聞の報道とか国民の意識と、今大臣たちがおっしゃっていることが全く違うと思うんですが、新聞読んでいますか、大臣。副大臣も読んでいますか。そんなこと答えられるわけないでしょう、見ていたら。その点について、何で、では報道、そんなに違うんですか、大臣。

竹中国務大臣 新聞は読むものじゃなくて見るものだということをある閣僚の先輩が教えてくださいましたが、もちろん目は通しております。ここはいろいろな御評価があるんだと思います。

 現実問題として、委員がおっしゃる、例えば、地域の金融機関というのは規模が問題なのではなくて、小さくとも地域にしっかりと根差して定性的な情報を持って活動しているから、まさにコミュニティーのリレーションシップバンキングを発揮し得る、そういう面は確かにあると私も認識をしております。同時に、ある程度の財務基盤がないと、これは銀行としての本来的な活動ができないわけでありますから、そこはまさに経営の判断なんだと思います。

 これに対して評価がいろいろあるということはそのとおりなのかもしれませんが、私の認識では、基本的には、少なくとも社説のベースでは、多くの新聞は、こういうのはやはり今の時期に必要であるというような御支持をいただいているというふうに私は認識をしております。

 いずれにしましても、合併を目的としたものではございません。しかし、経営の強化という意味で合併が非常に有益な場合は、これはある。そこをしっかりと経営判断していただいて、合併も、うまくいく合併もうまくいかない合併も世の中にはあるのは我々は承知をしております。合併しないで今のまま小さく地元に根づいていく方がいいんだという経営判断は、これは十分にあり得る経営判断でございます。そこはしかし、今申し上げたような形での抜本的な経営改革を伴った地域金融の機能の強化をやろう、そういう銀行に対しては、今の状況下で国が資本参加するというのは、これは私は国民経済的な意義があるというふうに思っております。

小泉(俊)委員 私は、これは今そういうふうにいろいろおっしゃっていますが、結果として、この法律を通した後に、本来の目的であります、社会に、経済に資金を循環させるという金融仲介機能がより悪くなったり、反対に、地域経済が疲弊する、立法趣旨と全く逆の効果をもたらす可能性があるということを指摘しておきます。

 時間がありません、先に進みますが、話を変えます。

 現在、旧大蔵省から金融機関へ天下り役員というのは何人いますでしょうか。これは数字だけ端的にお答えください、時間ありませんので。

谷垣国務大臣 金融機関ですね。(小泉(俊)委員「はい」と呼ぶ)金融機関の役員に就任した人数を申し上げますと、平成十三年四人、平成十四年三人、平成十五年二人でございます。

小泉(俊)委員 きっとそういうお答えだと思いましたので、民間の調査機関によります、毎年この調査が行われております。この調査によりますと、全百二十五行の金融機関中、二〇〇一年、二〇〇二年度におきまして、旧大蔵省、日本銀行、他の公的機関からの天下り役員は、何と百十一人もいるわけであります。このうち、代表権を持つ天下り役員は四十人います。また、旧大蔵省からは三十七人、日本銀行からは四十六人、合計八十三人、二〇〇二年の段階でいるわけです。

 本来、この天下りの役員というのは、もし、役員をやっていて、代表者をやっていて、金融機関が破綻したりすると、当然、商法二百六十六条によりまして会社に対する損害賠償責任を負います。株主代表訴訟の対象にもなります。また、会社債権者に対しましても、場合によっては、商法二百六十六条ノ三によって民事上の損害賠償責任を負うとともに、場合によっては特別背任罪等の刑事責任の可能性もあるわけですよね。

 そこで、しかし、今回の法案を見てみますと、健全な金融機関は公的資金の注入が行われても注入時の経営責任は問われない、また、合併した場合には経営責任は問われないとしているんですよね。

 これは、先ほど言いましたように、地銀と第二地銀に八十三人、大蔵省と日銀から天下っているわけですよ。私は、どうも今回の法律というのは、結果を見ると、旧大蔵省や日本銀行から地銀と第二地銀に天下った八十三人の役員の責任回避のための法案なんじゃないかとしか思えないんですが、だからこそ、これは非常に経営者の責任というのを甘くしているんですよ。合併すればほとんど責任要らないです、今までの過去の放漫経営の。これ、竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 今回の御質問をいただきまして、我々、本当に金融機能を強化したいという観点からこの法案を提出させていただいております。これは八十数人の大蔵省、日銀の責任回避のためだ、そういう解釈もあるのかなとちょっと驚いた次第なんでございますが、これはもちろんそういう趣旨ではございません。金融機能を強化させるというその趣旨は趣旨として、純粋にぜひ御理解を賜りたいと思います。

 その上で、責任が問われるべきは問われなければいけない、これは当然のことであろうかと思います。

 委員は今、破綻した場合は責任があるというふうにおっしゃいました。破綻するようなところが、今回の対象の金融機能を強化するというようなことに直接結びつくかということなんだと思います。例えば、基準行以下の場合は、その時点で破綻する危険がどうかわかりませんけれども、自己資本比率が低いような場合は、これはこれで実は経営責任は問われるわけです、今度の枠組みの中では。単独でやる場合は、これは結果責任が、目標値との乖離において結果責任が問われるわけです。

 抜本的組織再編というのは、それそのものが組織の大改革、責任体制の思い切った確立になりますので、そういう中で、当然のことながら、責任体制をしっかり確立していくというメカニズムは、私はこれは働いていくのではないかというふうに考えている次第でございます。

 それと、公的な資金制度においては、適切な資産査定がなされているということは資本参加の要件でございますので、これはしっかりと我々も検査等々で確認した上で資本参加を行うことになる。

 そういうことも組み合わせて、まさにモラルハザードが起こらないような、そういうぎりぎりの仕組みをつくったつもりでございます。

小泉(俊)委員 健全行と破綻行は、足利だってそうであって、たった一夜で変わるんですよね。私は、これは事実上、この八十三人の役員の責任を回避するための合併を促進するかなりの効果を持つ法律だと思います。そうなるかどうかちゃんと見ておきますから、しっかり運用してくださいよ。

 時間ありませんので、谷垣大臣に、最後に為替介入についてお伺いします。

 谷垣大臣は、八日の都内の講演で、アメリカ大統領の選挙を考えて介入をするとかしないとかの方針はとっていない、こういうことを述べたということが新聞報道であるわけであります。しかし、何といいましても、ことしの十一月のアメリカ大統領選挙、これは、アメリカばかりではなく世界経済すべてに大きな影響を与えますね。やはりアメリカの産業界というものは、大統領選挙を控え、どうしてもドル安を望んでくる。三月十七日のスノー財務長官の介入の批判もこのあらわれだと私は思うわけであります。

 本当に、大臣、為替介入というのは、自主独立の、御自分の判断でやれるんですか。大統領選挙について講演でお話しされたみたいですけれども、その点について、大統領選挙と為替介入の独立性についてお尋ねさせていただきます。

谷垣国務大臣 今委員の御質問は、大統領選挙を考慮に入れて為替を決定しているんじゃないかというお問いかけだったと思いますが、そういうことは一切ございません。あくまで、ファンダメンタルズを安定的に反映していくような仕組みをするにはどうしたらいいか、それに対する異常な動きがあったらどうすればいいかということを念頭に置いてやっているわけでございます。

 ただ、これはアメリカだけではございません、ヨーロッパの為替当局あるいはアジアの為替当局であろうと、緊密にいろいろ連携や情報交換はしていることは、これは間違いございません。

小泉(俊)委員 最後、時間ありませんが、三月二日、グリーンスパン議長、そして三月十七日、スノー財務長官も介入を批判しましたね。三月十七日の前日の十六日に私が質問をして、その日から円高が始まりました。私の質問の次の日に、十七日に、スノー財務長官が介入を批判して、その途端、それ以後、百十円ぐらいだった円が百三円ぐらいまで急激に円高になったわけですね。

 谷垣大臣の今までの介入姿勢からすれば、当然介入をしてもいいはずであったにもかかわらず、それ以来していませんよね。これは、アメリカの批判により介入の姿勢を変更したのではないんですか、大臣。

谷垣国務大臣 介入しているかしていないかは、五月に、何日にどれだけ介入したという数字を発表いたしますので、それまで私は、いつどうしたかというようなことは申し上げません。

 ただ、介入の基本姿勢は変えているわけではありませんで、ファンダメンタルズと乖離したような動きが出てきたときやる、こういうことでございます。

小泉(俊)委員 それでは、アメリカの批判によって介入姿勢を変えないということは最後に確認させていただいて、それだけで質問を終わります。

谷垣国務大臣 あくまで日本の判断に基づいて介入を行っているわけであります。

小泉(俊)委員 終わります。

田野瀬委員長 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 日銀の山口さん、来ておられますね。お忙しいというので、日銀さんへの質問を最初にしようと思っています。おられますね。それでは質問を始めます。

 九日に、国債の補完供給制度、いわゆる品貸しというのを決定されましたが、この品貸しについては、四月三日の日本経済新聞で、そういう制度を導入になるのではないかという推測記事があって、その後、記者さんたちが取材に行くと、日銀の幹部は、まだまだ詰めるところが多くて、検討中なので導入を決めたとは言えないんだ、こういう取材記者に対するお話をしているんですが、ばたばたと九日に決められた。詰めるところがたくさんあるにもかかわらず、なぜこんなに急いでおやりになったのか、不思議だな、こう思っているわけですけれども、市場のマネーを国債によって供給しやすくする、こういう制度にもなりますので、確かに市場の混乱を防ぐというのは一つの日銀の役割でしょうけれども、そんなに今せっぱ詰まって急いでやらなきゃいけないことなのかどうかということをまずお伺いしたいと思います。

山口参考人 お答えいたします。

 私どもでは、国債市場の重要性というようなことにかんがみまして、これまでも国債決済の円滑化のための措置ですとか、あるいは国債市場に関する情報整備などを通じまして、中央銀行としての立場から、市場流動性とかあるいは市場機能を向上させるためのさまざまな取り組みを行ってきたところでございます。

 一方で、市場参加者におきましても、国債市場における決済の一層の円滑化ですとか、あるいは市場全体としてのリスクの軽減に向けていろいろな努力が行われてきている、こういう状況でございます。

 実は、今回、私どもが国債の補完供給制度というのを導入いたしましたのは、こうした長年の取り組みの延長線上の施策でありまして、そういう中で、この二月の二十六日の私どもの金融政策決定会合におきまして、検討をするように指示があったわけであります。そうした検討の結果を受けまして、四月九日の決定会合におきまして、具体的なスキームを含めて導入に関する決定が行われた、このような事情でございます。

五十嵐委員 全然お答えになってないですね。詰めるところがまだまだあるというのに、なぜこんなに急いでやる切迫した事情があるんですかという質問をしたのに対して、全くお答えになっておりません。うがって見れば、最近どうも日銀さんは、政府の国債政策に極めて、アコードという言葉がありますけれども、協力するのは当然かもしれないけれども、武藤副総裁が誕生してから、やたら政府の財務省に協力をする姿勢というのを、忠誠心をお出しになっているのかなと、皮肉に見ればそうとれるわけですね。

 ただ、国債を買いやすくするということについては、毒も当然日銀当局としては持っているということを認識いただかなければならないんだろうと思うんですね。量的緩和をこれ以上続けていけば、これは国債の買いオペをふやすという以外に方法がなくなってくると思うんですね。

 しかし一方では、私がたびたびこの委員会で指摘をしているように、株はもはやバブルの状況を呈し始めている。循環物色が始まっていて、バブル的な要素が出てきている。こういうときに量的緩和を続ければ、またいつか来た道で、もう一度大幅な調整を必要とするようなバブル崩壊に遭いかねない。そうなると、日本経済はいよいよ大変なことになるのではないかという心配を私どもはしているわけであります。

 日銀が国債を過剰に抱え込むということは、これは実際には日銀の金利政策を制限することになるわけですね。なぜなら、日銀自体が国債をたくさん持てば、長期金利の上昇によって保有国債の価値が減価しますから、みずからの自己資本を毀損することになります。ということで、みずからの自己資本を維持するために、なかなか金利上昇ができなくなる、させられなくなるという自己矛盾が起きてくるわけですね。

 そういう意味で、日銀が国債をたくさん持つということは非常に大きな問題を含むことになるわけですが、そういう認識をお持ちなのかどうかということをお伺いしなければならないと思います。

山口参考人 お答えいたします。

 お尋ねのとおり、私ども、国債保有額というのはかなりふえていることは事実でございます。ただ、それに伴いまして、当然のことながら、金利が上昇した場合に我々がこうむるであろうリスクというのも高まっていることは事実でありますが、その一方で、我々自身は自己資本を厚目に持つようにいたしておりまして、そうした面から、私どもとしては、金利リスクに対する耐久力、抵抗力というのはそれなりに確保している、このように考えております。

五十嵐委員 私は、そもそも論を言っているんです。

 日銀の独立性というのはなぜ必要なのかということにかかわってくるんですけれども、政府と日銀とは、本来利益が相反する部分というのがあるということなんですね。金利調節機能を独立して持っていかないと、国の財務状況によってその金利調節機能を発揮できない事態が起こりかねない。

 ですから、私どもは、日銀と政府とは独立した存在で、しかし、それは政策調整は話し合いの場を設けてつくっていくというのが正しいやり方だということで、この間、日銀改革それから金融改革というのは日銀の独立性を高めようという方向で動いてきた。それを日銀副総裁に、武藤さんは立派な方だと思うわけですけれども、しかし、そういう形で独立性を放棄するような方向に動いては、今までの改革が何にもならなくなるということを強くお考えいただきたい。

 また、金利はある程度上昇していかないと調節機能というのは発揮できませんし、景気も本当にはよくならないんですね。つまり、富裕層が安心してお金を使うために、消費をするためには、どうしても金利は一定程度必要なんですよ。経済学でも、一定の、二%以上と言っていますけれども、一定の金利がないと金利機能は働かないし、経済学も働かないということが言われているわけで、このことをよくかみしめていただきたいというふうに思います。

 一方で、そのようにマネタリーベースは急増してじゃかじゃか供給をされているわけですが、マネーサプライそのものはその増加が極めて鈍化しているということですが、昨日ですか、発表されたと思いますが、日銀の統計による貸出残高はどのぐらいになっておりますか。

山口参考人 お答えいたします。

 民間銀行の貸出残高につきましては、三月時点での平残でありますけれども、三百九十七兆円ということであります。前年比では四・八%の減少ということでございます。もちろん、これにつきましては貸し出しの実勢を見るということで、貸出金償却などの要因を調整したベースで見てみますと、前年比一・六%の減少ということであります。

 流れといたしましては、企業活動が景気が回復してきているという中で上向きつつあるというようなことですとか、あるいは銀行の貸し出し姿勢が幾分緩和している、このような状況から前年比の減少幅自体はわずかながら縮小してきている、このような状況でございます。

五十嵐委員 しかし、実態は非常に悪いわけですし、まだ下がっていることも事実ですし、実態的に言うと、期末の押しつけ貸しが非常に横行している。とにかく銀行がやってきて、数字を期末につくらなきゃいけないから、中小企業に無理やり借りてくれと言って、いわば押し売りをしているわけですね。民間で普通の企業が押し売りをすれば、これは大変な問題でありますけれども、銀行は貸し手としての優位性を活用いたしまして、平気で自分たちにもうけさせろ、すぐ返してもいいから、わずかの間でもとにかく借りておいてくれということをやっている。特にこの期末については大変ひどいという状況を私どもは聞いておりますが、そういう実態について把握をしておられるかどうか、金融庁にお伺いします。

五味政府参考人 お尋ねの、今期末の期をまたいだ貸し付けというのがどういう状況になっているかというのは、申しわけございません、把握をいたしておりません。

 ただ、お話にありましたような、いわゆる押しつけでございますか、こういったようなことというのは、銀行の正常な経済活動の中で行われるものでないような性格のものであれば、これは問題でございます。

 例えば、資本注入行におきまして、経営健全化計画上、中小企業向け貸し出しを増加させるといったようなものがございますけれども、この実績算出に当たりましては、真に中小企業の信用供与の円滑化ということに資するという観点から、そうした趣旨に反するような貸し出しは中小企業向け貸し出しの実績に含めないようにというような指導を銀行に対してしておるところでございます。各行におきましては、そうした指導に従いまして、趣旨に沿った実績の算出をしておるものというふうに承知をしております。

五十嵐委員 しかし、実際に私どもが接している、今私どもは、中小企業パワーミーティングといって、あちこち出かけていって、先日は北海道へ行きまして札幌で約三百人近い中小企業の経営者とお話をしてまいりましたし、その後は滋賀県の大津へ行って、やはりこれも七、八十人の方々と話をしてきましたでしょうか、こういう状況は確かにあって、ひどくなっている。それから、中小の金融機関の経営者の方ともお話ししていますけれども、むしろ大きい銀行が、都市銀行、大手行がやはり同じような押し貸しをしているというようなことを言っていますよ。

 ですから、実際に押し貸しをして数字をつくっている、それでもなお貸出残高が減っているということで、決して日銀さんがおっしゃるような楽観したものではない。それでもなお貸出残高は、減り方は小さくなっているけれども、減っているというところに問題がある。

 そしてまた、私どもは一番問題にしているのは、これこそが日本経済をかなり悪くしてきた大もとになっているんですね。金融機関がなぜ公的な存在なのかというと、それはやはり社会全体の、何度も出てきておりますけれども、経済の血液としての役割を果たしている、信用創造機能を果たしている、仲介機能を果たしている、決済機能を果たしているというところにあるわけですから、ここが不全であるということは、それはとりもなおさず危機なんですよ。

 金融危機というのは、経営者が危ないとか経営者が首になるかもしれないとか、金融機関の経営の数字が悪くなるとかいうことではなくて、これは金融機関本来の機能が発揮できているかいないかによって判断をすべきなんです。

 最初から機能に着目しているか、銀行という経営体の経営の数字に着目しているかという、その差は、微妙な差があるわけです。我々も数字は着目をいたしますけれども、本来は、機能を発揮していなければ、それは不全であり、それは危機なんですよ、クライシスなんです。その自覚が足りないのではないかということを終始申し上げているわけであります。

 日銀の皆様、結構でございます、ありがとうございました。

 そこで、繰り返し御答弁を竹中大臣にいただいているわけですが、私どもは、単にちょっと成人病を持っているけれども危ない状況では全然ないんだという状況ではないと思っておりまして、その証拠が今言いました信用創造機能の極端な低下の状況にあるということを言っているわけですが、それでは数字の世界に入ったとしてどうなんだろうということを見ていきたいと思うんですね。

 金融庁に数字を出してくださいということをお願いいたしまして、私どもはいただきました。大変努力していただいて、徹夜をしてつくっていただいたというふうに伺っておりますけれども、各金融機関、主要行から始まって地銀、第二地銀、信金、信組のすべてについて、不良債権比率、それからティア1、繰り延べ税金資産等の数字を出していただきました。

 私が集計した結果ですから、これは本当に合っているかどうか、多分合っていると思いますが、ちょっと申し上げてみます。

 不良債権比率が一〇%以上の金融機関というのは、主要行プラス信託銀行プラス新たな新銀行、これが全部で三十九行あるんですが、合わせて一〇%以上は三行。地銀六十四行、これは足利銀行は除いてあります、そのうち不良債権比率一〇%以上は九行。それから、第二地銀五十行のうち、不良債権比率一〇%以上は十四行でございます。今の数字は十五年九月末なんですが、信金以下は十五年三月末なので、ちょっと数字がずれてくるかもしれません。信金は三百六行ですか、そのうち不良債権比率一〇%以上は何と百八十八あります。それから信用組合、百八十一組合ですが、不良債権比率一〇%以上は百十八あります。かなりの数字に上ります。

 それから、そのうち信金、信組というのは形態が銀行とは違いますので、私どもは一〇%で切ったら酷かなというふうに思いますが、では二〇%という数字を仮に置いてみますと、不良債権比率二〇%以上の信用金庫は、それでも十四あります。それから、信用組合は五十あります。

 一方、中核的な自己資本に占める繰り延べ税金資産の割合が五〇%以上のところを挙げますと、これが先ほど言いました主要行プラス信託銀行プラス新銀行で三、地方銀行で八、第二地銀で五、信金で六、信組で七あります。

 そして、その両方に共通しているところ、すなわち不良債権比率が一〇%以上で中核的な自己資本に占める繰り延べ税金資産の割合が五〇%以上、両方かかっているところが主要行プラス信託プラス新銀行で一、それから、足利銀行を除く地銀で四、第二地銀で五、信金で六、ただし二〇%以上になると信金はゼロになります。それから、信組で一〇%以上、五〇%以上が七、二〇%以上とのダブルでいきますと、六に一つ減ります。

 こういう状況なんですね。これは必ずしも楽観できる数字ではないと思うんですが、この評価を伺いたいのが一つ。

 皆さんのところでは、この不良債権比率を、どのぐらいを目安というか基準というか、ポイントに置いておられるのか。あるいは繰り延べ税金資産の割合というのはどの程度であれば健全性が高いと思っておられるのか、そのことをお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 まず、数値につきましては、五十嵐先生から要望があれば、金融庁は一生懸命いつも対応しておりますので。

 今数字について要約をいただきましたが、ちょっと今この場ではその数字は確認できないんでございますけれども、基本的な先生のお尋ねは、こういうのをどのように評価しているのかということ、特に不良債権比率、繰り延べ税金資産についてどのように評価しているのか、そういうお尋ねであったかというふうに思います。

 基本的に私どもは、大手については御承知のように金融再生プログラム、そして中小企業にとってはリレーションシップバンキングの枠組みの中で、それぞれ違う形ではあるけれども、経営の健全化、そして金融機能の強化、そういう道筋を探っているわけでございます。

 幾つかの指標がございます。今お挙げくださった指標も重要な指標だと私たちは認識しておりますけれども、基本的な収益指標等さまざまな指標を基準としまして、その改善が必要と認められる金融機関につきましては、我々の早期警戒制度というのを持っております。アーリーウオーニングのシステム、これは原因とか改善度等について非常に深みのある、深度のあるヒアリングを行いまして、必要がある場合には、銀行法二十四条に基づいて報告を求めて、それで金融機関のまさに早目早目の経営改善を促すということにしております。

 繰り返しますが、今委員は幾つかの指標をお挙げくださいましたけれども、我々なりに指標を設定して、それを基準として早期警戒の制度をとることによって、さらに我々なりの報告徴求、さらなる監督の体制をとっているということでございます。

 特に、委員のお尋ねのありました不良債権比率そのものですけれども、これについて我々がどこが適当だとかそのような特別の基準を持っているわけではございません。もちろん、満たすべき最低限の基準というのは、四%、八%それぞれ守っていただかなければ困るわけでございますが、これは例えば自己資本を厚目にとって非常にかたい経営をするというのもあるでしょうし、むしろ成長性に着目して貸し出しをふやしていきたいというような戦略もあるでしょう、ここはやはり経営の判断が入ってきますので、六と七がどちらがいいのか、そういう単純な問題では多分ないんだろうというふうに思っております。ただし、満たすべきところはちゃんと満たしていただく。

 繰り延べ税金資産については、これも委員よく御承知のように、繰り延べ税金資産というのは重要な財務会計、税務会計の調整項目、大変重要な項目ではあって、BIS基準でも認められているものではあるけれども、その回収可能性については非常に脆弱性も持っている。そういう観点から、金融審のワーキンググループで引き続き検討をして、どのような形が好ましいのかということを広く御検討いただいております。

 繰り延べ税金資産等々についても、今申し上げましたように、これは重要な項目であるけれども、その脆弱性についての認識を持ちながら、早期警戒制度等々、さまざまな観点から総合的な視点で我々なりのしっかりとした監督体制をとっていっているつもりでございます。

五十嵐委員 私どもは何も数字で輪切りにしろと言っているわけでは実はないんですね。我々はむしろ――輪切りにしてきたと皆さんは思っていないかもしれないけれども、世間的にはそう受け取られている。金融庁が数字で輪切りにする行政をしてきたから、自分たちは無理やり自己資本を縮小して貸し出しを減らさざるを得なくなっているというふうに思っている金融機関が実は多いわけですね。我々の方は、実はそうは考えていなくて、あくまでも現場、実態に即して中小金融については考えるべきだという立場をとっているわけであります。

 先ほど言いましたように、輪切りにしていけば今みたいなことになってくるわけですね。数字を見れば、不良債権比率が多い方は明らかに、おっしゃいませんでしたけれども、悪いわけですから。しかし、不良債権比率と言うけれども、その見方には、実態的にはいろいろあるんだというのが我々の考え方であります。

 いわゆる根雪的なべったり貸しの部分については、実はこれは特に信金、信組というようなところでは共同経営に近いじゃないかと。いわゆる提案型融資というのをずっと昔からやっていまして、いわば共同事業的に貸している。ですから、いわば資本として注入して配当をもらっていればいい、利息分だけもらい続けていればそれでいいんだという貸し方。そのかわり、そこのしっかりした経営者のいる企業についてはずっと守っていくんだ、そういう考え方でお貸しになっている信金、信組というのは非常に多いわけですね。

 その実態に着目をすれば、むしろその部分は、融資、リスクマネーではなくて、資本としてカウントすればいい。完全に資本としてカウントすれば、実は要管理債権が正常債権になる。つまり、金融機関側の自己資本比率も、これは分母が小さくなって分子が大きくなるということになりますので、飛躍的に実は中小金融機関の自己資本比率も改善をしてまいります。その方がまともなのではないかということを我々は主張しているわけです。

 我々は何も甘くしろと言っているんじゃなくて、査定はあくまでもしっかりと厳密に粉飾決算しないようにやらなきゃいけないんだけれども、実態的に貸し方として資本に準ずるような貸し方があって、それは、まさに金融機関がここは何が何でも守るということであればつぶれることはないわけですから、ある意味では助けられる。そうでない部分もありますけれどもね。それはほかの事情があってそういうカウントができない部分もあると思いますけれども、きちんとしたプロジェクト融資か根雪的な融資か、プロジェクト融資にも今言ったように共同事業的な融資もあるわけですから、そういう部分は分ける方法があるんではないかということを我々は言っているんです。

 これに対して、金融庁の方でお考えになられたDDSを利用される、同じような考え方ですが、いわゆる根雪的な部分を劣後債、劣後ローンにかえるというやり方では、基本的には、我々の資本そのものと見てしまうのと違って、これは債権は債権、債務は債務ですから、そういうふうには解釈されないでしょうし、実際に中小の金融機関の皆さんに言わせると、債務者企業のいわゆる経営の再建計画といいますか健全化計画といいますか、そういったものが厳密に、現実性が非常に高くないと、そういった劣後債、劣後ローンへの変換というのは認められないだろうから、実際には使いづらいですよねと。民主党さんの言うやり方だったら使えるけれども、金融庁さんの考え方ではなかなか使えないんじゃないですかというのが、中小の金融機関の経営者の皆さんの考え方でした。それについてはどうお思いになるか、伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 今般の私どもの金融検査マニュアル別冊、中小企業融資編の改定のうちに含まれておりますデット・デット・スワップについてのお尋ねでございますけれども、御指摘のとおり、今般の改定の中では、いわゆる根雪部分の融資について、これを資本とみなすに際しまして、資本的劣後ローンに転換する契約が締結されるということを求めております。これは、DDSによって転換された劣後債権が資本的性格を有するということを明確に担保するためのものでございます。

 具体的には、一つには資本的劣後ローンの返済の時期、これがほかの債権より後になるといった意味での劣後性。二つ目には、債務者にデフォルトが生じた場合、金融機関の請求権の効力に劣後性がある。三つ目には、債務者が金融機関に対して財政状況の開示を約すというようなことも求めております。これは、金融機関が劣後性をいわば甘受いたしますので、それの見返りということ。こういったことが相まって、資本的性格というものがいわば法的に担保されるということであろうかと思います。

 そして、このような枠組みによるDDSでございますけれども、これは金融機関の側、債務者の側、それなりにメリットがあるというふうに私どもは思っております。

 第一には、債務者企業の資金調達面での安定が図られるということがございますので、それに見合った実態的な財務内容の評価の改善が生じるということ。それから、第二に、対象企業の再建の可能性が高まる、ないしは、より早期の経営改善が実現する蓋然性が高まるということ。第三には、経営改善の進捗によって債務者の信用リスクの低下が見込まれますので、それに対応して金融機関サイドでも引当金の軽減といったメリットがあり得るわけでございます。

 それから、もう一つ御指摘のございました、債務者企業の経営改善計画の実現可能性が高くなければ制度が使えないという点についてでございます。

 御指摘のとおり、今般のDDSのスキームは、債務者の合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画と一体として既存貸し出しを資本的劣後ローンに転換している場合に、債務者区分の判断において、当該劣後ローンを当該債務者の資本とみなして判断することができる、こういう枠組みでございます。

 このように、DDSが実現可能性の高い合理的な経営再建計画の一環として実施されるということにつきましては、ある意味で中小企業の再生に真剣に取り組んでいる金融機関にとっては自然な対応ではないかというふうに思っておりまして、こうした対応によって債務者企業の実態的な財務内容あるいは経営状況の改善というものが図られる蓋然性が高くなると考えられますので、むしろDDSを実施するメリットが大きくなるんじゃないかというふうに考えております。

 現実に、今般の改定の以降でございますけれども、去る三月十一日と三月三十日にDDSを活用した案件というのが合わせて二件ほど公表されているところでございます。

五十嵐委員 私どもが伺った、例えば中小の金融機関は、極めて再建意欲の高い金融機関でございます。みずからの役員を派遣して再建をするというようなことを積極的にやっている金融機関でありますけれども、その金融機関が政府案では使い勝手が悪いと。再建の実現可能性が極めて高くないと、もし自分がそれを使おうとしても、金融検査で金融庁に否認されてしまうのではないかというようなことを心配しているんだろうと思いますが、これは私の想像ですが。ですから、使い勝手が悪いと。そこには、金融庁と中小の金融機関との信頼性の問題というのがやはり出てくるんだろうと思いますね。

 先ほど同僚議員の小泉委員の方から、これによってつぶしてくるんじゃないかとか、オーバーバンキングをなくそうとしているんじゃないかというふうに金融機関側は思っていますよ、報道にもそういうのがたくさん出てくるじゃないかということを指摘させていただいたんですが、それに対して、いや、新聞はみんな好意的に書いていただいているとか、そういう御答弁だったんですが、私が見る範囲では、ここにありますが、日経金融新聞の三月十八日付「プリズム」という欄ですが、「新法の運用に透明性が求められるのはもちろんだが、地域金融機関と金融行政の相互不信を解消しない限り、仏作って魂入れずの結果になりかねない。」というのが結論の言葉になっているんですね。これは、なぜこういう言葉が出てくるか。まさに中央信用金庫や信用組合の業界団体にこの不信感が蔓延をしているから、こういう言葉が出てくるわけですね。

 そのほかにも、私、読売新聞とか日経新聞の社説を見ていますけれども、同じようにやはりかなり厳しい見方が含まれていますよ。それはみんな好意的に見ていただいているというのは、私は間違いだと思いますが、この指摘についてはどうお答えになりますか。

竹中国務大臣 金融行政としてしっかりとやっていかなければいけない、そうしたことに関連して、信頼性をさらに回復して、地方の声、地方の実態を踏まえてやっていかなければいけない、これは私たち常にそのとおりであろうと思っております。また、そうした点に対して、いろいろなマスコミ等々を含めて御指摘をいただいているということも我々は承知をしております。

 私が申し上げましたのは、基本的に、今回の枠組みそのものについて、そうしたところも踏まえてでありますけれども、今のこの時期に、地域の活性化のために、地域金融の円滑化のために、政府が一歩踏み出すということは必要であると。そういう趣旨、枠組みについてはかなり御支持をいただいているのではないだろうか。しかし、その上で、形をつくっても魂が入らなければいけないから、そこはしっかりと運用しろと、その御指摘は御指摘として私たちはしっかりと賜らなければいけないというふうに思っております。

 いずれにしましても、今回の、今御指摘のDDSの使い勝手はいかがかということについても、我々は、これはパブリックコメントによっていろいろな御意見も伺う中で、いろいろなヒアリングをする中で制度をつくっているつもりでありますので、現実にこのDDSはもう何件か動き始めている例もございますので、しっかりと活用できるようにしていただけるように、運用はしっかりと行いたいというふうに思っております。

 同時に、そうした中で、地域の実態、各金融機関の実態はしっかりと謙虚に見きわめていきたいというふうに思っております。

五十嵐委員 そのDDSの話も、私どもは、かなり以前から実態を見た上で中小金融については判断すべきだということを主張し続けてきた。今も、私どもの方がむしろ、中小の金融機関にとっても、あるいは中小企業にとっても、使い勝手のいい、使い勝手がいいと言うより実態に合った提案をさせていただいていると思うわけですけれども。

 一方で、中小の金融機関なり中小企業の皆さんが、政府のあり方が自分たちには冷たいと言われるもとが幾つかあるわけですね。例えば、先ほど新BIS規制の話が出ていましたけれども、バーゼルで行われた新しいBIS規制の話し合いでありますけれども、森元金融庁長官は、バーゼルで、国債のリスクウエートが、今ゼロですけれども、これを上げようという話が出ている、上げる方向になるという報道があったわけですけれども、その場合でも、ローカルルールを適用して、日本の国債はリスクウエートをゼロを守るんだ、こういうようなことを早々この委員会で表明をされました。そういうことを言われたんですけれども――あれは記者会見で言っているのか。記者会見で言って、私どもは委員会でその発言を確かめましたけれども。

 一方でそういうことを言いながら、日本では中小企業金融が中心であります、直接金融より間接金融が中心の金融の形態を持っている、日本独特の形態。そして、日本では、外国と違って、担保とか個人保証とか第三者保証とかいっぱいとっているわけですね。こういう実態から見て、いわゆる普通の貸し出しを、リスクウエートを一〇〇%というのはおかしいじゃないかと。担保をとっているんだから、日本については割り引いて評価されてもいいんじゃないか、例えば七〇%評価にしてくれれば自分たちは随分違うんだというような話が出ております。こういうような日本独特の、それこそ金融の実態に合わせた主張というのをバーゼルでなさっているのか、BISの会議でなさっているのかどうか。

 そういうことはしないで、たくさん国債を持っているような大手の金融機関の立場にだけ立って、いや、あくまでも国債のリスクウエートはBISでどんなに決まろうとゼロなんだ、そういう主張ばかりが入ってきて、中小企業あるいは中小の金融機関の方に目を向けた主張が日本側から聞こえてこないじゃないか、こういうことがこういう不信感につながっているんじゃないかなと思うわけですが、それはどういう状況になっておりますか。

竹中国務大臣 新BIS規制、バーゼルの話そのものについて、きょうは通告をいただいていませんので余り正確なお答えはできないかもしれませんが、基本的には、バーゼルの場というのは大変重要な場でありまして、我々としては、日本の実態に即した、まさに日本の金融当局としての主張をかなり強く行っているつもりでございます。

 リスクウエートそのもの、また小口の融資に関してはリスクが分散されているわけでありますから、そうした点についてはしっかりと考慮されるべきであるというふうに我々も考えますし、大きな流れとしては、そうしたことを考慮する方向で進んでいるというふうに私は聞いております。

 バーゼルへの我々の取り組み姿勢でありますけれども、これは昨年でありますけれども、金融庁のばりばりの専門家を一つの委員会の事務局長クラスで送り込みまして、これは、大変重要な高い地位に日本人がつくというのも、当時はなかなか話題になったわけでございますけれども、そういう点も含めて我々としてはしっかりと取り組みをしているところでございます。

 BIS規制の見直し作業については、中小企業向け、個人向け融資はリスクウエートを軽減するということ、これは我々も主張しておりますし、繰り返しになりますが、全体としてはそうした方向で今議論が進んでいるというふうに認識をしております。

五十嵐委員 それにしては、ことしの三月になって、さんざん貸し渋りや貸しはがしによって中小企業がつぶれてしまった後になってこういう救済措置的なDDSを使ったものを出してくるとか、そういう姿勢にやはり問題があるのではないかなと私どもは思うわけであります。

 そこで、後はそもそも論にもう一度戻っていかなきゃいけないと思うんですが、実態的に、つぶれなくてもいい中小企業がつぶされる。これは、たまたま担保価値、資産価値が下がったために、根っこから返してくれと言われて、フローはきちんと回って、黒字を出し、利益を上げているにもかかわらず、貸し渋り、貸しはがしに遭ってつぶれてしまった中小企業が私の地元でも死屍累々としているわけであります。

 そこで問題は、お金が回るということが問題なのでありまして、先ほどから出ていますけれども、中小の金融機関を寄せ集めて資本を大きくすればそれでいいということにはならないのですね。金融機関の健全性が大事だ、機能が大事だということを考える立場からは、それは集めればいい、強化すればいいということにはならないわけでありますけれども、その辺について、もう一度竹中大臣から、方向性、方針をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 この点は、五十嵐委員が今おっしゃいましたことに尽きているというふうに私も思いますけれども、規模が大きくなれば金融機関はそれでよくなる、ないしは自己資本が厚くなればそれでよくなる、そういうものでは全くないわけでございます。まさに金融機能をしっかりと発揮していただかなければいけない。その金融機能を発揮しているときの一つのリスクバッファーとして自己資本というのはそれなりに重要な役割を果たす、これはこれで事実だと思います。

 しかし、同時に、収益をしっかりと上げて、しっかりとした審査を行って、しっかりとした貸し付けを行うような責任ある経営体制の確立等々を伴っていなければ、これは意味がないわけでございます。

 そうした観点を踏まえて、今回の新たな公的資金の枠組みの中では、まず何よりも経営強化計画を出していただいて、その中で収益とかの見通しをしっかりと示していただく。同時に、地域金融の円滑化に資するような施策そのものをしっかりと示していただく。それをしっかりとした基準に基づいて審査を行って、まさに経営改革を行った金融機関が金融機能を強化できるかどうかということを見定めて資本の増強を必要に応じて行う、そういう仕組みになっているわけでございます。

 したがって、そこは繰り返しになりますけれども、これは単純に資本を増強する、単純に合併で規模が大きくなる、そういうことを我々は考えているわけではないわけでございます。同時に、キャッシュフローが重要である。一部のROAとかROEというよりはキャッシュフロー、さらにはむしろ経営者の資質、地域への密着度、そういう点については、これはこれで、まさに先ほど委員がDDSに関連しておっしゃったように、しっかりと中小企業の実態に即して見ていかなければいけない。

 そういうことを踏まえて、我々は検査マニュアルの中小企業編の改定を行ったわけでございますし、リレーションシップバンキングの銀行に対する総合的な監督指針等々の中にもそういうものを織り込んで、今、その地域の実態に即した、中小企業の実態に即した金融の検査監督行政をしっかりと行っていこうとしているわけでございます。

五十嵐委員 それでは、数を減らすことがあるいは合併させることが目的ではないと言うのであれば、金融機関の組織再編法というのは何だったのかという問題が出てきます。また、その再編法で出されてきた算定根拠と、今回もまた出してきた算定根拠は、むしろ目標数値のように見受けられてもおかしくない数字ではないですかということでありますので、その点についての御答弁をいただきたいのが一つであります。

 もう一つは、それでは確かめますけれども、本当に目標数というようなものは持っていないということを確認させていただいていいんですか。要するに、地銀は幾つ、第二地銀は幾つ、信用金庫は幾つ、信組は幾つというふうに目標数値を金融庁として持っているわけではないという確認をさせていただきたいというのが一つであります。

 それからもう一つは、その機能が大切と、私どもとそこでは変わりないと言うのであれば、預貸率が極めて低い金融機関がありますけれども、預貸率については逆に目標を設けるということでよろしゅうございますか。

竹中国務大臣 まず、地銀を幾つにしようかとかそういう目標はあるのかないのか、これははっきりとございません。我々として、そういう目標ないしはそういうレファレンスになるような数字を持っているわけでは全くございません。

 しからば、組織再編法は何だったのかというお尋ねもございました。これについては、一昨年でございますか、この場で随分いろいろと御議論をさせていただいたと思いますが、地域の金融機関がしっかりとした財務基盤を持つことによって金融機能を発揮していく、それに当たって合併というのは一つの有力な手段になり得る。しかし、これは経営判断次第でございます。先ほども津村委員に対して申し上げたことでありますけれども、これは小さいままでしっかりとした機能を発揮していこうというところもあれば、財務基盤を少し大きくして強化して発揮していこうというところもございますでしょう。

 ただ、そういう経営判断をする場合には、それはさまざまな合併の手続等々、そういったものについての障壁、バリアを取り除こうではありませんか、ひょっとして自己資本比率が合併によって減ってしまったら、それが障壁、バリアになるから、それを取り除こうではありませんか、それが再編の趣旨だったわけでございます。

 最後のお尋ねになった点がよく私理解できなかったんでありますけれども、預貸率そのものを目標にすべきではないのかというようなお尋ねだったというふうに認識をしましたけれども、これも、それそのものを金融の監督の目標にするというような考えはございません。これも、経営の中で預貸率を高めて何らかの効率性を高めようとする金融機関もあるかもしれませんし、預貸率が少し低くてもリスクが少ないような運用をするというようなところもあるかもしれません。さらには、その時々の預金の集まりぐあい、預金の増加ぐあい、預金の流出ぐあい、いろいろなところがあると思いますので、それそのものについて何か単独の目標を設けて、それを監督の指針にするというような考えはございません。

五十嵐委員 預貸率の問題は、一律にやるべきではないと私も思いますけれども、例えば、それは目標という考え方と、逆に低過ぎるところはそれは問題だという負の考え方と両方あると思うんですね。それは両方ともとらないということでよろしゅうございますか。

五味政府参考人 今、大臣から御答弁申し上げましたとおり、預貸率そのものを監督の指標としては使用しておりませんが、預貸率については常に関心を持って私どもデータを収集しております。

 私ども、自己資本比率規制以前の問題として早期警戒制度というものを運用しておりまして、この中で収益性改善措置、それから安定性改善措置といったものがございます。預貸率の高さといいますのは、時々の金利情勢あるいは貸付金に充てている以外の資産をどういうポートフォリオで運用しているかということにもよりますけれども、時々の金利情勢等によりまして収益にかなり大きな影響をもたらしてまいります。

 したがって、収益の基礎的な指標を参考にいたしまして、改善が必要であれば早目にウオーニングを発するということで収益性改善措置といった制度を運用しておりますと同時に、仮に預貸率が非常に低い金融機関で貸付金以外の資産が有価証券あるいは債券等に運用が偏っているようなケースの場合には、安定性改善措置、すなわち、有価証券価格の変動が財務の健全性にどういうインパクトを与えるかということを分析いたしまして、早目の段階で、改善が必要なところへはヒアリングをし、あるいは場合によれば改善報告をとるといったようなことをしております。

 おっしゃるように、預貸率の高さ、低さというのは、銀行経営を監督する上では一つの表章としては大切な指標でございまして、注意深く観察をしております。

五十嵐委員 私どもは、いわゆる金融アセスメント法案、円滑化法を間もなく参議院の方に提出させていただきますけれども、我々の方も、それは義務づけるということではなくて、ディスクロージャーして、むしろ借り手や預金者に銀行を選んでいただく基準としてこれを使いたいということでございます。

 それから、早期警戒措置のことを言われました。我々がむしろ早期健全化法というのを最初に提示させていただいて、これは丸のみしていただけなかったわけですけれども、この考え方が今の基準になっていて、それを金融庁側も取り入れられたと私どもは思っていますが、この考え方をもっと進めていくべきだ、そうすれば足利銀行のように突然に死んで、とん死してしまうということは防げたはずでございますので、早期健全化法、民主党案を採用していただけるよう改めてお願いをいたしたいと思います。

 実は、中小企業の金融をめぐって、まだまだ日本の保証制度の問題等議論をしたいところがたくさんあって通告をしていたんですが、通告をしたままお待たせをしている方々がまだおられますので。引き続き後の時間をまだたっぷりとっていただけるようでございますので、私に実は三時間ぐらい一回お時間いただけないかなと言っているんですが、ぜひお願いをいたしたいと思います。

 そこで、お待たせして大変恐縮でございます、佐藤副大臣にお尋ねをいたします。

 カネボウの問題ですが、事務方に事前にお話をしておいたんですが、三井住友銀行では、いわゆる資産査定の表に出ている決算上の数字とは別に、悲観シナリオ、悲観リスクというのをお持ちでありまして、西川頭取がお認めになったわけですが、悲観リスクというのは確かにありました、そういうのをつくっていますと。これによりますと、三井住友銀行は、旧カネボウに、これは確かにちょっと次元が古いんですが、一期半前なんですが、二百十六億七千万円の引当金をカネボウには積んでおりました。要注意先C債権であります。

 ところが、この悲観リスクによりますと――これは、実はこの間、私、発表していません、特定の企業だったからですが。三井住友は、お認めになりました悲観リスクですが、何と八百十九億七千万円が要引き当て、引き当てが必要と、悲観シナリオ、悲観リスクによりますと、そういうことになっているんですね。これはもう破綻懸念先であります。このような数字を御存じの上で産業再生機構はカネボウの救済を決めたのかどうか、改めてお伺いをしたいと思います。

佐藤(剛)副大臣 尊敬いたします五十嵐委員からの御指摘なんでございますが、おっしゃられました御指摘の銀行でカネボウがどのような債務区分に位置づけられているか、区分されているか、これはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。御理解賜れると思います。

 それから、機構がやっておりますのは、あくまでも支援決定を行う時点、その時点で対象となる企業、この場合カネボウでありますが、これが事業再生計画を実施すれば再生可能であって、再生計画の実現可能性が高い、こういう判断をしたときに行うわけであります。これは御理解賜っているところだと思います。

 カネボウは、化粧品部門というのは稼ぎどころでございまして、このカネボウの稼ぎどころの化粧品部門の稼ぎを他の部門、赤字部門、繊維とかそういう部門を補っている、そういう経営構図になっていたわけでございます。その点は前回もお話し申し上げたわけでありまして、このカネボウの稼ぎどころの化粧品部門について機構自身が精査をいたしまして、精査に精査をいたしまして、そしてカネボウ全体を支援するに足りる十分なる価値が認められる、ここで支援することを決定したわけでございます。御了解賜ります。

五十嵐委員 全然御理解できないんですね。今言ったのは、三井住友銀行の数字をどう評価するかを聞いたんじゃなくて、この数字を知っていたのか知っていなかったのかというのを聞いて、お答えにならなかったということがまず第一点おかしな話ですねということを指摘させていただきます。

 それから、三井住友の数字がこれだけ乖離があるということは実は前回も佐藤副大臣に御指摘を申し上げたんですが、カネボウ全体で四百七十億円の債務超過だったということが明らかになりました。これの裏づけになっていますね。この四百七十億円は、もう既に公式にカネボウ・サイドから出ている数字ですから、これは否定のしようがないわけであります。

 それから、今、化粧品事業が稼ぎどころだと言ったけれども、実際には一千億円ぐらいの不良在庫があって、不良在庫を粉飾するために、それぞれ販売店の方に戻して、まだ売れていますよ、売っている途中ですよという形に見せかけて不良在庫を隠して、本当は、賞味期限といいますか、売れなくなって、売れ残ってしまって廃棄処分しなきゃいけないものをそうやってごまかして数字をつくった、こう言われているわけです。それがカネボウの問題の根本なんですね。ですから、化粧品事業も実は債務超過だったという説が極めて有力になっている。その結果として、四百七十億円の全体としての債務超過が出てきているんです。ですから、今の話は全くおかしい話で、これをお認めになるのかどうか。そして、このようなことをわかっていて、国が、民間でやれる、民間がやるべき仕事をとったのなら非常に問題だ。

 それからもう一つ、これは再生事業についてもそうなんですが、今回の法案のスキームについてもそうなんですが、日本は偶発債務が非常に大きくなっているわけですね。信用保証制度などを通じて、今確定していない債務、後でどれぐらい大きくなるかわからない偶発債務というのをたくさん持っているわけです。大臣得意のアメリカの事情でいけば、偶発債務まで発生主義で、ちゃんと計算をして、審議にかけて、きちんと国会の前で明らかにするというようなことをされているわけですね。日本では余りにもこうした偶発債務を無尽蔵に垂れ流しでやっている。こういうことをやっていれば、どこかで大きな破綻が来てもおかしくないんですよ。

 そういう観点から、財務大臣に、この偶発債務の管理というのをどうするのか、それから、副大臣には、カネボウの問題は本当に再生機構がやるべき問題なのかということについて、時間がありませんから簡単に御意見をいただきたい。竹中大臣も御所見があれば伺いたいと思います。

佐藤(剛)副大臣 委員御承知のように、カネボウの化粧品部門が他の部門を補っておる。瞬間的にそれが債務超過になったからといいましても、これが将来事業再生に結びつかない、リンクはしないということは、御承知だと思います。

 いわゆる、将来の企業の価値を算定する方法というのは二つあって、バランスシート方式、これは委員が主張されておるもの、それからPL方法という方式で、将来のキャッシュフローというものできちんとやっていけるかどうかということでございまして、カネボウの場合につきましては、このPLの部門で十分精査をいたしましてでき上がっておるものでございまして、何ら問題はないと理解しております。

竹中国務大臣 お尋ねは、偶発債務全体のちょっと大きな問題でありますので、私のキャパシティーではなかなか答えられませんが、今回の枠組みに関して偶発債務というのは、まさにその二兆円の保証枠ということになります。これに関しては、予算の中でしっかりと位置づけをしていただいているというふうに思っております。

谷垣国務大臣 今の問題について言えば、竹中大臣の御答弁と私も全く同じことをお答えしたいと存じます。

五十嵐委員 議論をまだまだしたいところでございますので、あと時間をしっかりとっていただくことを要望いたしまして、終わります。

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。

 今度提案されました法案は、金融機関に公的資金で資本注入を行い、地域金融機関の再編成を進めるということだと言われているわけですが、公的資金の注入につきましては、従来政府がとってきた見解というのがありますので、まずこれを確認したいと思うんです。

 これまでの公的資金投入制度では、信用秩序の維持に重大なおそれがあること、つまり、システミックリスクの危険、これがある場合が資本注入の前提であるということでありました。

 例えば、二〇〇〇年の改正で、預金保険法が改正されました。そこに盛り込まれました金融危機対応措置についても同様の考え方が提唱されているわけです。私は、二〇〇〇年の三月三十一日の衆議院の大蔵委員会で質問をさせていただいたわけですが、そのときに、何を基準に公的資金を投入するのか、こういうふうに聞いたわけであります。これに対して、当時の宮沢大蔵大臣はこういうふうに答弁をしました。「非常な危機があるときに、クライシスマネジメントをしなければならない、」「ほとんど通常考え得るような事態ではない、しかしそのおそれが高い、」というような場合だというふうにお答えになったわけです。

 私は、そのおそれというのは一体どの程度のものなのか、こう聞きました。これに対しまして宮沢大蔵大臣は、「今おっしゃったような声音の怪しいな程度では」なく「本当に怪しいなと。もう少しこう、本当にその危険があるということじゃないでしょうか。」というふうに答えられたわけです。つまり、システミックリスクの危険があるということ以外には使わないのだという答弁だったわけです。これは事実だと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

竹中国務大臣 佐々木委員御指摘の答弁は、二〇〇〇年、平成十二年の預金保険法改正に当たっての国会の質疑だったというふうに思います。

 このときのやりとりといいますのは、金融危機に対応するための恒久的な措置としての預金保険法の第百二条措置を整備しようとする際に、そのような恒久的な公的資金制度としては金融危機対応措置に限られる、そのような前提の中でのやりとりであったのだろうというふうに承知をしております。

 今のお尋ねの点に関しては、今申し上げたとおりでございます。

佐々木(憲)委員 こういうやりとりがあったということをお認めになったわけでありますが、つまり、システミックリスクの危険があるという状況、そういうおそれがあるということ以外には使わないんだ、公的資金の投入はしないんだというのが原則だったわけですね。

 ところが、今度提案されている法案では、これとは百八十度違うものになっておりまして、法案では、資本注入の対象として、個別行がリストラなどの組織再編成を行う場合、営業の一部譲渡の場合、主要行と地域金融機関の合併の場合、それから、同一業態内での合併や営業の全部譲渡の場合、こういうものを対象としているわけですね。それから、要件としては、破綻金融機関や債務超過行でないという規定があります。

 つまり、これらの金融機関を除いた金融機関、つまり、破綻金融機関ではない、債務超過ではない、いわば、こういうものを除いた、健全行を含むすべての金融機関が対象となる、そういうことになっていますね。確認を。

増井政府参考人 お答えいたします。

 基本的にそのとおりだと思います。

佐々木(憲)委員 ということは、この法案の資本注入には信用秩序維持等の事項は一切ないわけでありますね。金融機関の体力強化のための公的資金の投入というのが目的であると。つまり、これまで政府が原則と言っていた考え方、原則にしていた考え方と全く反する、そこからはかなり正反対の性格を持った法案である、そういう性格のものだということはお認めになりますね。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

増井政府参考人 お答えいたします。

 今の御質問でございますが、この法律の第一条に、「この法律は、金融機関等をめぐる情勢の変化に対応して金融機関等の金融機能の強化を図るため、金融機関等の資本の増強等に関する特別の措置を講ずることにより、金融機関等の業務の健全かつ効率的な運営及び地域における経済の活性化を期し、もって信用秩序の維持と国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」ということでございますので、そういう意味で、信用秩序の維持というのは目的ということになっております。

佐々木(憲)委員 信用秩序の維持というのは、最終的に言葉でつけ足しているだけの話でありまして、信用秩序の危機という状況でしか投入できないというものではなくて、先ほどお認めになったでしょう、つまり健全行も含む金融機関に対して公的資金が投入できる、つまり体力を強化するための公的資金であると。

 こういうことでありますから、今まで政府が私どもに答弁をしていた、システミックリスクの危険のおそれがある、そういう場合以外には使わないんだと言ってきたことと比べますと、これは反対の、今まで否定されたことを今度は実行する、そういう内容になっているんですねと言っているわけですよ。

竹中国務大臣 そういうことではございません。

 先ほど佐々木委員が御指摘になった宮沢国務大臣の平成十二年の答弁等々ございますけれども、その佐々木委員の御質問そのものが、百二条が厳格になっているかどうか、そういうことで聞いておられます、百二条についての御質問でございます。

 この答弁、宮沢大臣の答弁は、平成十二年の預金保険法の改正によって、金融危機に対応するための恒久的な措置としての百二条を整備する際に、恒久的な公的資金制度としては金融危機対応措置に限られる、そのような旨の答弁をしておられる。それは、佐々木委員御自身が預金保険法百二条についてというその中での御質問に対して、宮沢大臣がそのようにお答えになったものと承知をしております。これは、繰り返しますが、恒久的な公的資金制度としては、金融危機対応措置に限られるということでございます。

 しかし、一方で、政府というのはその時々の金融経済情勢に応じて必要な措置を適時適切に講じていくこと、これは重要な政策でございます。現実問題として、一昨年、この場で御審議をして成立をしていただきました例の組織再編の特措法そのものは、まさにこのような適時適切な時々の金融情勢に応じて必要な施策ということで御承認をいただいたわけでございます。

 したがって、もちろんそういうものは時限的な法律ということになりますが、今回の法律も、そうした意味では、時々の政策要請に応じて必要な時限的な措置という位置づけになるわけでございます。

佐々木(憲)委員 そうではないんですね。つまり、公的資金を投入するというのは極めて限定的なものであるというのが政府の見解だったわけです。それは、信用秩序全体を危機に陥れるような状況というものをつくってはならない、政府の説明ではですよ、そういう限定したものにしか使えないんですと。つまり、健全行に入れるなんということはもともと想定はしていないんです、こういう考え方なわけですよ。

 ところが、今回出てきたのは、絶対にそういうものに使わないんですよと言っていた、やってはならない、こう言っていたものをやるわけですから、これは今までの政府の答弁とは全く違う、そういうことをやろうとしているということだと思うわけです。それ以外に考えられない。

 では、次にお聞きをしますが、その資金の注入を一体だれが負担するかという問題であります。

 二〇〇〇年の三月二十三日の衆議院本会議の、当時の小渕総理大臣の答弁を振り返ってみますと、こういうふうにおっしゃっていたわけです。

 例外的措置の発動に係る費用は金融機関の負担金で賄うことが原則であり、財政措置を講ずるのは、あくまでも「負担金のみで危機対応業務に係る費用を賄うとしたならば、金融機関の財務の状況を著しく悪化させ、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき」に限っているところであります。

 要するに、費用は金融機関の自己負担で賄うというのが原則ですよ、こういう答弁でありました。これは事実ですよね。

竹中国務大臣 今、佐々木委員がお読みくださいました当時の小渕総理の答弁でございますけれども、これは、金融危機への対応に係る政府の財政措置に対するお尋ねでございます、金融危機への対応に係る政府の財政措置。まさに預金保険法の条文そのものを総理は答弁しておられますし、その部分を今佐々木委員は御引用なさったということだと思います。

 すなわち、ペイオフコストを超える特別資金の援助等、危機的な事態が想定される場合にとるべき例外的な措置である預金保険法百二条措置における負担のあり方としましては、セーフティーネットの参加者たる金融機関が負担することを原則として、恒久的な措置であることから、そのときの状況によって政府の補助が可能になっている、そういう趣旨のことを当時の小渕総理は述べておられるわけでございます。

 他方で、今回の新たな公的資金制度は、金融機能の強化を目的にして、経営改革を行って、地域の金融の円滑化等、健全な金融機能を発揮し得る金融機関を対象として、時限的に国が資本参加をするという制度でございます。したがって、この制度の趣旨、目的に照らして、恒久的な金融危機対応措置における負担のあり方と異なるということは、これは当然否定されないわけでございます。

佐々木(憲)委員 恒久的か時限的かで、公的資金の投入が国民負担なのか銀行負担なのかが変わってくるなんというのは、これは極めておかしな話でありまして、当時のこの答弁の基本は、要するに、銀行に対して公的資金を入れるという場合は、それは、基本は金融機関の負担金で賄うというのが原則である、一時的に政府が財政資金を入れても、最終的には金融機関の負担というのが原則である、こういうことを言っているわけであります。

 それから、もう一つ確認しておきたいのは、現行の預金保険法の金融危機対応措置というのは、損失処理のために金融機関から負担金を徴収するということは明文化されていますね。

増井政府参考人 お答えいたします。

 そのとおりでございます。

佐々木(憲)委員 今度出された政府のこの案はどうなっているかということなんです、損失負担をどうするのかということ。

 この点については、金融審議会のワーキンググループの検討過程で、報道によりますと、こういう議論があった。公的資金に損失が発生した場合は、預保法と同様に他の金融機関から預金保険料を徴収して穴埋めする民間業界負担方式が妥当、そういう議論が行われたと言われております。

 しかし、最終的に、この取りまとめられました金融審議会金融分科会第二部会、「金融機関に対する公的資金制度のあり方について」という報告書があります。これは去年の七月二十八日ですけれども。この報告書を見ますと、預金保険料を徴収して穴埋めする、つまり、金融機関の負担で最終的な損失補てんをするんだというこの考え方は後景に退きまして、二つの考え方が併記されているわけです。つまり、銀行負担の考え方もありますよ、それから国民負担という考えもありますよと。いつの間にか両論併記になったわけであります。

 その上で、出てきたこの法案を見ますとどうなっているか。この法案が二〇〇七年度末以降に役割を終えて勘定を廃止するという場合、勘定に欠損金が生じた場合の処理、これはどのように行うということになっていますか。

増井政府参考人 新たな公的資金制度でございますけれども、金融機能の強化を目的に、経営改革を行って、地域における金融の円滑化等、健全な機能を発揮し得る金融機関に対して国が資本参加をするということでありまして、金融危機対応措置である預金保険法百二条とは異なる目的を有している。しかも、先ほど来大臣からも御答弁いたしていますように、時限的な特例措置であるといったことがまずございます。

 それから、金融機能の強化を図るために、将来性を展望し得る金融機関に限って国が資本参加をするというものでございますので、必ずしも、損失が発生するという前提、そういうことには限らないというものであるといったこともございます。こういった観点から、新たに設けます金融機能強化勘定におきましては、あらかじめ損失の負担について規定を設けることはしないということにしているところでございます。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、金融機能の強化を目的としながら、損失が生じた場合に他の金融機関に負担を求めるということは、金融システム全体に偶発債務を負わせ、かえって金融機能の低下を招きかねないということから、適当ではないというふうに考えております。

竹中国務大臣 基本的な考え方は今局長から答弁をさせていただいたとおりでございます。

 佐々木委員、先ほど、最初はこういう考え方だったはずなのに両論併記になった、そういう御説明がございましたが、ちょっとそれは、私はそのように認識はしておりません。いろいろな御議論は当然のことながらあったというふうに思っておりますが、これは委員御指摘になりましたように、七月二十八日に取りまとめられました金融審の第二部会の報告におきましては、この負担のあり方について、しっかりと二つの考え方が書かれているわけでございます。

 余り長くは繰り返しませんけれども、一つは、各金融機関の収益力を強化する措置に係る負担を他の金融機関に求めるべきではないのではないか、国がしたがって負担すべきではないのか、そういう考え方。それともう一つは、金融システムに関する問題を解決していくための財源は金融システムの中でやはり賄うことが原則なのではないか、金融機関が負担することによってかえって信用秩序の維持に極めて重大なおそれがある場合には、国が補助する仕組みにしてはどうか、そういう考え方が七月二十八日の報告には書かれている。こうした考えを踏まえて、現在の我々の制度設計を行ったわけでございます。

 これに関しては、今も局長が答弁したとおりでございますけれども、金融危機対応措置である預保法百二条とは異なる目的を有している。しかも時限的な措置であるということ。それと、これは金融機能の強化を図って、それで入れる。したがって、将来を十分展望し得る金融機関に入れるものである。必ずしも損失が発生するとは限らない。したがって、金融機能強化勘定においては、あらかじめ損失の負担について規定を設けるということはしていないところでございます。

佐々木(憲)委員 要するに、二つの考え方が出たわけです。事前にどういう議論があったかというのは、いろいろな議論があると今大臣おっしゃいましたから、それはそういうことでしょう。

 しかし、この第二部会の報告では、銀行業界が最終的に損失を負担する考え方と、もう一つは、財政負担、国民負担をしますよという考え方と、二つあったわけです。二つあったにもかかわらず、その一方を選んだわけです。今の答弁ですと、銀行業界に負担はさせません、国民負担ですよと、これを選んだ。法文には書いていないけれども、そういう運用をする、別途予算措置を講じて、つまり国民が負担をする、こういうことになったということですね。これはそういうことですね。結論だけ。

増井政府参考人 お答えいたします。

 今の新しい公的資金制度につきましては、最終的に勘定を廃止する時点で必ずしも損失が発生するとは限らないということでございますので、早期健全化勘定あるいは金融機関等の経営基盤強化勘定、要するに今までの勘定と同様に、あらかじめ損失負担の規定を設けることはしていないところでございます。

 万一、勘定の廃止時に最終損失が生じた場合には、財政当局とも調整の上、必要に応じ適切な予算措置をお願いするということになるものと考えております。

佐々木(憲)委員 要するに、国民負担にしますよと、最終的にその勘定を閉じたときに損失があった場合には銀行負担ではなくて国民負担にしました、こういうことじゃないですか。

 これは極めて重大でありまして、今まで銀行負担というのは、さまざまな形でこういう勘定の場合には行われていたわけです。ところが、今回、国民負担だということを決めてしまった。何で国民負担にしなきゃならぬのですか。おかしいじゃないですか。この理由は何ですか。銀行業界がこれに対して、不満である、自分たちの業界負担はやめてくれ、国民負担にしてくれと言ったからじゃないんですか。

増井政府参考人 ペイオフコストを超える特別資金援助等、危機的な事態が想定される場合にとるべき例外的な措置である百二条の負担のあり方については、今のような、先ほど先生から御指摘のあった形になっておるわけでございます。

 これは、預金者等を保護するための恒久的なセーフティーネットにおける負担のあり方として、セーフティーネットの参加者だから金融機関が負担することが適当であるということであることから、これを原則とする。ただし、恒久的な措置であるから、その時々の状況によって、金融機関の負担金のみで損失を賄うということになりますと、金融機関の財務の状況を著しく悪化させて、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生じるおそれがある可能性を踏まえまして、政府の補助が可能となっているというのが今の制度でございます。

 一方で、この新たな……(佐々木(憲)委員「質問に答えなさいよ、質問に」と呼ぶ)はい。新たな制度でございますけれども……(佐々木(憲)委員「そういうことはさっき聞いたから、質問に答えて。銀行の要望にこたえたんでしょうと聞いているんだよ」と呼ぶ)はい。はい。

 したがいまして、先ほども申し上げましたように、新たな制度につきましては、従来の早期健全化法の早期健全化勘定あるいは組織再編特措法の金融機関等の経営基盤強化勘定と同様に、あらかじめ損失の負担については規定を設けることはしていないということでございます。

 したがいまして、銀行から何かそういった圧力があったとか、そういったことではございません。

佐々木(憲)委員 今の答弁は、さっきからの仕組みの説明だけやっているだけで、私が聞いたことに答えていないんです。最後の一秒だけですよ。その一秒をさっと答えればいいのに、質問時間がなくなるじゃないか。長々長々と二回も三回も同じことばかり繰り返して。とんでもないよ、そんな答弁の仕方は。端的に答えなさいよ。

 私は、さきの参考人質疑のときに、全銀協の会長の三木さんにお聞きしたわけです。今二つの案が出されるような状況がある、国民負担と銀行負担と。このときに、三木会長は、銀行に負担を求めるような法案が出たら反対だと言っていたという報道がありましたから聞いたわけです、私は。そうしましたら、三木会長は、こう答えたわけです、「日本全体の金融機関が弱体化される、共倒れになりかねないということを私は懸念いたしまして、そのように発言いたしております。」つまり、銀行負担になるような法案なら反対だ、しかし、国民負担ならそれはいいと。

 結局、この中身を見ますと、両論併記で出されたこの報告書と、法案を見ると、両論併記のうちの一方だけとった。つまり、銀行負担はしないで国民負担にしますよ、そういう結論を選んだということですよ。つまり、銀行の圧力に屈したんですよ。やっていることは、結局、そういう形で国民負担をふやすという選択をした。

 では、今二兆円という枠組み、これを用意しているといいますけれども、二兆円で済むんですか。自民党の与謝野馨金融調査会長は、日経新聞二月二十六日のインタビューで、「資金枠は二兆円で足りるか。」という質問に対して、「必要であれば補正予算や来年度予算で手当てすればいい。」こう言っているわけです。あるいは、日経金融新聞十二月二十二日によりますと、自民党の財務金融部会長代理の増原義剛さんは、こう答えているわけです、「規模については、おそらく毎年度二兆円枠を作っていくことになるのではないか。二〇〇七年度までの四カ年で八兆円になり、十分に措置している。二兆円でも足りないならば補正を組めばいい」。これは、二兆円といっても、足りなければ補正を組んでどんどんふやしていく、二兆円上限じゃないんですね。

 そういう考え方なんでしょうか、大臣。

竹中国務大臣 まず、先ほど、銀行の要望にこたえて資金の負担を決めたのか。これは断じてそんなことではございません。我々は監督検査の当局でございます。銀行の要望だけ聞いていたら、これは監督検査の当局にはならないわけでございまして、我々はそんなことでは物事を決めません。これは、全体の政策としての制度設計の中で、何が整合的かという観点から、我々は、行政の責任において判断をしたわけでございます。

 重要な点は、繰り返すとまた怒られるかもしれませんが、これは、いわゆる危機対応ではないということ。それと、これは、将来有望な機関に対して政府がお金を出すわけでありますから、現時点でこれは損失が発生するわけではない、むしろ、我々は、しっかりとフォローアップをして、しっかりと利益も出してもらえるような、そういう制度としての運用をするつもりでおります。この考え方は、早期健全化勘定でありますとか金融機関等の経営基盤強化勘定と同じでございます。

 それと、今お尋ねのその枠、これは与謝野先生、増原先生の御意見を引用なさいましたけれども、我々としては、新たな公的資金制度は申請に基づいて資本参加を行うものでありますから、今後、具体的にどの程度の資本参加が行われるか、これは予測は大変難しいということをまず御理解いただきたいと思います。

 こうした中で、新たな公的な資金制度の政府保証枠につきましては、これは、例の組織再編特措法における積算の勘定を援用する形で機械的に計算を行ったものでございます。相当程度の合併が一年間に集中的に生じたとしてもなお対応が可能となるような水準としております。

 いずれにしましても、新たな公的資金制度の趣旨とか目的とかを踏まえまして、この十六年度の政府保証枠として我々なりに適切な計上を行ったものというふうに考えております。この性格をぜひ御理解賜りたいと思います。

佐々木(憲)委員 銀行の要望を聞いたわけではないと言いますが、結果的にこういう法案を出してきたということは、銀行の意向を酌んで出していると言わざるを得ない。それなら銀行負担にすべきなんですよ。業界負担という案が、二つのうちの一つあるわけですから、国民負担にせずに銀行負担にするという法案を出してくればいいじゃないですか。それを出してこなかったことというのは、銀行の要望に応じた。結果的にそうなっているわけですね。

 しかも、危機対応ではないから国民負担なんだと言うわけでありますが、それなら危機対応のときに、原則は業界、銀行負担だと言っていたその考え方に比べますと、危機ではないときに健全銀行にお金を入れる、それを国民負担にするんだと。これはますます悪質ですよ。

 我々は、危機の、ああいう状況のときも、銀行が当然業界として相互に負担をし合うという仕組みにすべきだという主張をしてまいりました。国民負担にするのは大体筋が通らない。銀行が、自分の経営がうまくいかない、経営危機で税金を投入する、何で銀行の経営に責任のない国民が負担をしなきゃならぬのか。これは責任のある銀行が負担するのが当たり前じゃないですか。

 今は銀行の危機というのは遠のいた、しかし再編が必要だ、そこにお金を投入する、これは全部国民負担です。ますます悪質だということを指摘しまして、質問を終わります。

田野瀬委員長 次回は、明十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会


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