衆議院

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第25号 平成16年5月14日(金曜日)

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平成十六年五月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 西野あきら君 理事 萩山 教嚴君

   理事 村井  仁君 理事 山本 明彦君

   理事 島   聡君 理事 中塚 一宏君

   理事 長妻  昭君 理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    江藤  拓君

      金子 恭之君    熊代 昭彦君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      左藤  章君    七条  明君

      田中 英夫君    谷川 弥一君

      中村正三郎君    西田  猛君

      林田  彪君    原田 令嗣君

      増原 義剛君    宮下 一郎君

      森山  裕君    吉野 正芳君

      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君

      楠田 大蔵君    小泉 俊明君

      鈴木 克昌君    園田 康博君

      武正 公一君    津村 啓介君

      藤井 裕久君    馬淵 澄夫君

      松原  仁君    村越 祐民君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      長沢 広明君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   財務副大臣        山本 有二君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   総務大臣政務官      小西  理君

   財務大臣政務官      七条  明君

   政府参考人

   (人事官)        小澤 治文君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          関戸 秀明君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   杉本 和行君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  川崎 二郎君     左藤  章君

  増原 義剛君     吉野 正芳君

  宮下 一郎君     江藤  拓君

  渡辺 喜美君     金子 恭之君

  仙谷 由人君     楠田 大蔵君

  津川 祥吾君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     宮下 一郎君

  金子 恭之君     渡辺 喜美君

  左藤  章君     川崎 二郎君

  吉野 正芳君     増原 義剛君

  楠田 大蔵君     仙谷 由人君

  園田 康博君     津川 祥吾君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長杉本和行君、金融庁総務企画局長増井喜一郎君、人事官小澤治文君、人事院事務総局職員福祉局長関戸秀明君、総務省行政管理局長松田隆利君、総務省自治行政局公務員部長須田和博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 この際、政府参考人から発言を求められておりますので、これを許します。金融庁総務企画局長増井喜一郎君。

増井政府参考人 五月十一日に当委員会において証券関係二法の御審議をいただきましたが、その審議の中で私から答弁させていただいた内容につきまして、不十分な御説明をしたことをおわび申し上げまして、改めて修正をさせていただきます。

 佐々木憲昭先生への株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案に関する答弁の中で、振替口座簿に誤って本来の株式数よりも過大な数の株式数が記録され、善意無重過失の第三者により善意取得が生じた際の株主権の行使について御説明をさせていただきました。

 この場合には、過大記載を行った証券会社等の傘下に口座を開設する株主等は、過大記載分に相当する株式については、その持ち株数の割合に応じて、会社に対抗できないこととなり、その対抗できない部分に係る株主権を会社に行使することはできないことになります。

 このような過大記載が解消されれば通常の状態に戻りますが、過大記載が解消されない期間においては、さきに述べた株式が保有割合に応じて対抗できなくなる原則は、株式数の多寡にかかわらず適用されるものであります。

 しかしながら、過大記載により、発行会社に対抗することができる株式について端数や単位未満数が生じた場合には、当該株主は、商法の原則では端数や単位未満数では議決権が生じないが、この場合に限って当該端数等の議決権を有する特例を設けたところであります。すなわち、会社に対抗できる株式が一株未満となっても、商法の特例として、その一株未満の株式が会社に対抗できるということでございます。

 今後はこのようなことがないように努めてまいりますので、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中塚一宏君。

中塚委員 おはようございます。民主党の中塚一宏でございます。

 本日は、年金の問題、特に国家公務員の皆さんの年金の問題。今まで五年に一遍、財政再計算というのをやってまいりました。ところが、今回は、確かに五年に一遍の改正ではありますが、これから先、保険料を次々ステップアップさせていこうという法律案、その横並びでの改正ということになるわけであります。

 公務員の皆さんも我が国は大変たくさんいらっしゃる。国、地方を合わせますと本当に公務員の数は多いわけで、これはこれでもう本当に大変重要な課題だというふうに思っております。今回審議を開始するに当たりまして、資料の要求をいたしました。迅速に対応いただいて、大変参考になる資料であったというふうに思います。衆議院のみならず参議院の審議も通じて、この共済の問題についてちゃんと議論を深めていくことが必要だというふうに考えております。

 まず冒頭に、時節柄というわけではありませんが、やはり今最大の国民の関心事というと、国民年金の未納、未加入の問題ということになります。

 よく、記者会見等で、未納である理由あるいは未加入である理由というものを閣僚の方が御説明になっている、あるいは議員の方が御説明になっているのをお聞きいたしますと、どうも移行手続の問題ということが大変多く述べられているわけであります。まさに、厚生年金から共済年金への接合部分の問題であったりとか、国民年金からの接合の問題というふうなことがあると思いますし、皆さんそういうふうにおっしゃっているわけだから、では、これはもう至急に直していかなければいけない課題でもあるというふうに思うわけなんです。

 冒頭お伺いをいたしますが、この説明の中で、私も、はっきり言って、大臣とかそういうふうな政府の役職になんかつくのはまだまだそんな、先なんだろうというふうに思っていて、こんなことも全然知らなかったんですが、たびたび、短期給付と長期給付は別になっていて、共済制度では、閣僚やら副大臣になった場合に、短期給付は加入は可能だけれども、長期給付には加入ができないというふうなことを聞くわけです。それは、そうだから未納になった、未加入になったという説明としてはあれなんでしょうけれども、ただ、では、何でそうなんだということについてちゃんとした説明がまだいただけてないというふうに思っております。

 まず、一番初めに、共済制度において短期と長期というものが分かれている理由について、きょうは厚生労働省から副大臣にもお越しをいただいておりますけれども、財務大臣がお答えになるのかあるいは厚生労働副大臣がお答えになるのか、この短期と長期が分かれている理由というのを御答弁いただきたいと思います。

山本副大臣 短期と長期に分かれている、長期について国会議員が加入できないということにつきましては、国家公務員共済組合法七十二条にその定めがございます。その定めの趣旨とされるものは、国会議員互助年金の適用を受けること、それを勘案して定められたというように解釈されております。

中塚委員 何か今のは説明になっているようで全然説明になっていなくて、互助年金の適用があるから共済には入れないということですか。

 でも、互助年金にはいわゆる基礎年金部分というのはないですよね。互助年金には基礎年金部分というのがないにもかかわらず、なぜ互助年金と共済の年金の方には同時に加入ができないんでしょうか。もう一度御答弁いただけますか。

山本副大臣 この国家公務員共済法は昭和三十三年に定められておりまして、まだ基礎年金の仕組みができていない前の法律でございます。それが今日まで改正されずに来ておるということでございます。

 互助年金があるということにおいて、その当時は、国家公務員の長期給付すなわち共済年金に入って、老後のことまで一般職の公務員と同様に扱うということの必要性を認めていなかったというように考えられるところでございます。

中塚委員 いや、国会議員であれば、今いろいろと問題があると言われております、私もこの議員年金というのについては考えがありますが、きょうは申しませんけれども、互助年金に入り、そして加えて国民年金に入るということで、互助年金というのはあくまで互助年金ですから、基礎年金部分がないということは、国会議員であればだれでも知っているはずですよね。それが、政府の役職についた場合に、共済制度に加入をしても、共済の長期給付というものに加入ができないということであるならば、それは国民年金にずっと入り続けなければいけないということは、それはもう論理的に当然のことでなければいけないと私は思いますよ。

 法律の改正の問題が、後から国民年金の制度ができたり強制加入になったりするというふうな御説明がありましたけれども、ということは、これはまさに立法の不作為といいますか、もちろん国会としての責任はあるかもしれません。しかし、その法律を実際に運用している行政の責任というものもあるんだろうというふうに思います。

 もう一つお伺いをしたいことがありますが、今回、こういう国民的な話題になったからこそ大変にクローズアップをされました。しかし、こういうことがなければ、ずっとわからない状態が続いていたに違いありません。この短期給付と長期給付は別で、長期には加入できない、閣僚も加入できないということについて、そのことは、各省の担当部局、共済を所管されている財務省なりあるいは年金制度自体を所管されております厚生労働省、そういう行政の役所というものは、ちゃんと窓口の自治体とかそういうところに説明はされてきているのかどうか、御答弁をいただけますか。

山本副大臣 国民年金への加入、脱退等につきましては、基本的には御本人が手続されるべき問題でございます。

 他方、制度に対する勘違い等につきましては、大臣等就任時に国民年金から脱退してしまったというような事例が見られているのも先生御指摘のとおりでございます。この問題につきましては、まずは、国民年金を所管する省庁におきまして脱退手続等に関して検討されるべき問題というように考えておりますけれども、国共済制度を所管する財務省としましては、このようなことがないように努力をしてまいりたいと考えるところでございます。

 ただ、先生のおっしゃるように、各省庁において、この扱い、説明ぶり、そういったものが全部統一されておったかというと、そうでなくて、それぞれ、口頭で説明しあるいは書面で説明しというような、また説明しないというところもあったようでございまして、これは今後検討する必要があろうというように思っております。

中塚委員 続いて、同じ質問を森副大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 やはり、こういう制度の問題について、私は、その制度の組み立て方自体にも極めて問題が多いと思いますよ、それは。互助年金に基礎年金がない。互助年金に基礎年金が入っていると思っていた人がいるということ自体、これはもう問題ですが。

 でも、そのこととは別に、一応、法の支配といいますか、法治国家なわけでありますから、であるならば、今の制度というものは、担当部局は、自治体であれいろいろなところであれ、ちゃんと説明をしておかなければいけなかったはずだというふうに思いますが、どういう説明を今までされてこられているのか、御答弁をいただけますか。

森副大臣 お答え申し上げます。

 市町村においては、事務の効率化及び住民サービスの観点から、国民健康保険と国民年金の届け出の受理などを一体的に行っているところが多うございます。御指摘のような、医療保険は共済組合で年金は国民年金というような組み合わせは、被保険者の中で極めて特異なケースでございます。そういったことで、こういったことに気づかないで、国民健康保険の資格喪失処理を行うと同時に、社会保険事務所に国民年金の資格喪失の報告が行われてしまったような例もなかったとは言えないというふうに思っております。

 これらは、注意深く処理すれば防止できた可能性が高かったと思われますことから、先日の三党合意において、「国民年金の未加入者及び未納者に対する通知、督促を適正に行うための措置を」講じることとなったことを踏まえまして、今後こういったことがないよう十分に検討いたしまして、社会保険事務所、市町村に必要な指示を行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、実は私も人ごとでなく、昨日御報告申し上げましたとおり、労働政務次官に平成七年に就任しました折に、うっかりしまして国民年金に加入しなかった一人でございまして、大変国民の皆様方に申しわけなく思っているところでございますけれども、こういったことが極力起こらないように、各省庁の担当部局に対しても周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。

中塚委員 国税庁のことで言えば、例えば、私どもが確定申告をする際には、郵送で送られてくるわけです、政治家が確定申告をする場合に、何が経費になるのか、何が寄附金なのかということについて、政治家だけのためにつくった書類というものがあって、それが送られてまいります。大臣はそれをごらんになったことがあるかどうかわかりませんけれども。だから、それが極めてまれなケースであるとしても、短期と長期が分かれているのは極めてまれなケースであるとしても、実際に税の方ではそういうことをやっているわけですよね。だから、それはきっちりと対応されていくというのは当然のことです。

 未納、未加入の問題については、それが個人的な課題であるのか、またあるいは制度上に問題があるのか、いろいろな意見はあると思いますけれども、でも、払っていらっしゃる方だってちゃんといるわけですね、大臣になってちゃんと払っていらっしゃる方はいる。ということになるならば、その点を踏まえて、では今後どういうふうに対応していくのかということを考えていかにゃいかぬ。

 今、財務副大臣の方から、努力していきたい云々というふうなことがありましたけれども、では一体それをどういうふうにしていくのかということは極めて大きな課題であるというふうに思いますし、その改正について、具体策というものはどういうお考えがあるのか。まさにその三党合意にも含まれている項目なわけですね。

 そしてもう一つは、この委員会にも御出席になります経済財政・金融担当大臣のように、民間人から大臣に登用された方も、これは、要は国家公務員共済年金には加入できないというか、する必要がないということになってしまっているわけなんですけれども、これについても、加入できるようにするという合意になっているわけなんですが、一体それはいつまでにどういう対応をされるおつもりなのか、御答弁をいただけますか。

谷垣国務大臣 今、中塚委員が御指摘になりました、民間人から大臣等に就任した場合、現状においては大臣規範によって兼職禁止でございますから、厚生年金は入れなくなる。そうすると、国会議員とは異なって、互助年金の適用もないという状況になります。こうした現状にかんがみて、今回三党合意というものをやっていただきまして、これも踏まえまして、関係省庁と協議して、共済年金の適用を可能とするような政令改正をこの国会中に行うこととしたいということで今作業をしております。

 それから、先ほど中塚委員から、税に関しては、国会議員に、国会議員の場合何がどうなるのかというような書類が送られてくるという御指摘がございまして、これは、毎年毎年あるわけでございますからそういうようなものもつくっているんだろうと思います。

 これは役所の答弁資料でも何でもございません、全くの私見でございます。私自身も今回ミスのあることがわかりました。それから、多くの同僚のところでもそういうようなことが起こったことを考えますと、役所の側でも少し運用等で考えなきゃならないところがあるんだろうと思います。例えば閣僚、副大臣等になりましたときにどういう注意をするか、事務方がどういう資料を上げるかというようなことも、役所によって、口頭で言うところ、書面で言うところ、いろいろあるようでございますけれども、そういうあたりの工夫のしようもあるんだろうと思います。

 ただ、もう一つ、私自身つくづく感じますのは、国会議員といういわば身分というのは、極めて数も限られた、ある意味では特殊な身分でございますし、その国会議員がいろいろなことで、民間企業の顧問等をしている場合もあるでありましょうし、閣僚等になったりするという、身分の得喪が行われるというのも、これは、普通の民間の方に例を求めろと言っても余りない、極めて限られたことであると思います。それから、国会議員の互助年金についても、今中塚委員から、基礎年金との関係の御指摘がございましたけれども、これはもともと国会議員の退職金とかいうところから出発して今のような制度になっている。これもちょっと、ほかに適用者がたくさんある例ではございません。

 したがって、末端の秘書まで全部、窓口の人間がそのあたり全部理解をしていればもちろんこれがベストでございますけれども、私はやはり、実はこれは私の個人的な経験でございますが、国会へ出まして、君たちが閣僚になったとき、政務次官になったときはこういう行動をせよというようなことを先輩方から随分教わってまいりました。これはどこの党でも恐らくそういうようなことがあって、新しい国会議員、若い国会議員を教育するというようなことをやってきたんだと思いますが、私は、国会議員になりまして、先輩方から、国会議員の身分はこうだから年金についてはかかる特殊性があるぞ、そこは注意せよという指導を受けたことは、残念ながら今までなかったわけでございます。

 やはり政党なり立法府の中においても、国会議員の身分というのは相当特殊な取り扱いを受けるので、それぞれ注意して、こうしようというような、政党の中あるいは立法府の中においてそういうようなことをするのも、私も立法府の一員でございますから、そういうあたりが従来欠けていたのではないかという気も実はいたしているわけでございまして、私も、我が党の中で少しそういうようなことはできないかという問題提起もしてまいりたいと思っております。

中塚委員 この保険料の未納あるいは未加入の問題というのが、個人の問題なのかあるいは制度の問題なのかというふうな視点があるんだと思うんです。二つの視点があると思うんです。個人の問題、そして制度としての問題、二つの視点があると思います。

 個人としての問題はきょうは私はあえてお伺いいたしませんが、共済法の審議ですから制度の問題としてお尋ねをしているわけであって、それは先輩から教えてもらえればいいにこしたことはないし、こんなことにはならなかったと思いますけれども、それはどっちかというと個人的な問題であって、やはり大切なことは、制度をどうするのかということになるわけですね。

 結果として、そういう意味では、個人の問題ではなくて制度の問題として考えた場合に、財務省や厚生労働省といった、年金とか共済を所管している役所でさえ年金制度のことをちゃんとわかっていなかったということじゃないですか、これは。その点についてどういうふうにお考えなのか、財務大臣と森副大臣の御答弁をいただきたいと思います。

山本副大臣 所管省庁として年金共済制度を企画立案すること、また国民年金の加入、脱退のための手続にそごがないよう各人が努めること、これは両方とも大事なことでございます。

 そして、そういうことにそごがないようにきっちりしていくということに対しましてはこれから十全を期したいと思っております。現実に、大臣等の就任時に、制度に対する勘違い等に基づく未加入、未納、こういったものが発生しているわけでありまして、こうしたことが今後起こらないように、先般の与党合意や三党合意を踏まえまして、所管官庁である厚生労働省における対応をも踏まえて、財務省としましては、可能な限り共済組合との連携、そういったものを図りながら努めてまいりたいと考えておるところでございます。

森副大臣 確かに、委員がおっしゃいましたように、きちんとした知識を持って論理的に考えれば、これはこうしなきゃいけないという対応は出てくるわけでございますけれども、そういった意味で、究極的にはやはり個人の責任に帰する問題だと思います。

 しかも、自分がチョンボをした本人であってこういうことを言うと非常に言いわけがましくなるものですから、大変、いささかはばかられますけれども、確かに、制度の運用上の、親切さというか丁寧さが若干欠けていたということも認めざるを得ないと思います。

 ただ、先ほど申し忘れましたけれども、平成九年からは基礎年金番号が加入者一人ずつについておりますので、その時点で、それ以前よりはかなり状況は改善されたというふうに思います。

 それに加えまして、やはり今回こういった問題が、私を含めて浮き彫りにされたことで、やはり制度の運用上また事務手続上の、もうちょっと丁寧にやる方法がないかということを、私も責任を痛感しながら一生懸命に考えて改善に取り組んでまいりたい、こう考えております。

中塚委員 制度の問題ということをさっき申し上げましたけれども、あとやはり、今の御答弁だとそれの運用の問題もあるということですね。

 結局、私は、この手の問題は何かというと、今の年金制度自体がもうパッチワークで、継ぎはぎだらけで来てしまっているということに根本的な原因があるんだと思いますよ。今回の政府提案の年金の法律、幾つか出ておりますが、結局、その制度とか仕組みというものはほとんど見直すことなしに、保険料の問題と、あと給付の問題、言ってみれば財政の帳じり合わせだけをやっているということですね。だから、そういうパッチワークに継ぎはぎ、継ぎはぎ、継ぎはぎで来て、ところがその継ぎはぎだらけの制度は見直さないで、金目の話しかやらないということに一番大きな問題がある。

 だから私どもは、そういう年金制度をもう抜本的に改めるべきだということで、基礎年金の部分に税を充てる、消費税を充てるということでありますとか、一元化をするべきだということを民主党としてお訴えをしているわけなんです。ですから、今参議院で年金法案の審議が行われておりますけれども、そういったことも踏まえてちゃんと議論をしていただきたいというふうに思います。

 森副大臣はもうここで結構です。

 それでは次に、一元化ということについて伺います。

 今回提案の法律で、国家公務員と地方公務員の年金を一元化するということになるわけですけれども、これについては、昭和五十九年二月に、公的年金制度全体の長期安定と整合性ある発展を図るための改革を推進し、その一元化を完了させると閣議決定を行っております。その際は、一九九五年に一元化を完了させるというふうにされていたわけなんですけれども、その後、全然進んでおりません。

 その公的年金の一元化ということについて、何で進んでこなかったのかということ、そして、一元化といった場合に、何か、小泉総理も、またあるいは与党の幹部の方も、一元化といってもいろいろな一元化があるんだみたいなことを言う。一元化というのは一体何なんだ、どういう一元化を目指しているんだけれども、どんな理由があって一元化にならないのかということについて御答弁をいただきたいと思います。

山本副大臣 公的年金の一元化につきましては、昭和五十九年の閣議決定に沿って、昭和六十年改正によりまして、それまでの縦割りの制度に各制度共通の基礎年金制度を導入するとともに、被用者年金制度につきましては、基礎年金の上乗せとして報酬比例の給付を行う制度としたことは御承知おきのとおりでございます。

 それ以降は、二階部分の被用者年金制度についての統合を鋭意進めてきたところでございますが、平成九年に旧三公社共済、JR、JT、NTTでございますが、平成十四年に農林年金を厚生年金へ統合いたしました。さらにその後、平成十三年三月の閣議決定を行い、これに従いまして、今回、国共済と地共済について財政単位の一元化を図る内容の法律案を国会に提出させていただいたところでございます。

 また、平成十三年の閣議決定では、二十一世紀初頭の間に、厚生年金等との財政単位の一元化を含めまして、さらなる財政単位の拡大と費用負担の平準化を図るための方策について検討するとされているところでございまして、この閣議決定等に沿った取り組みを鋭意進めてまいりたいと考えております。

 なお、今般の三党合意にありますように、社会保障制度全般の一体的見直しにおける年金一元化の議論の動向も十分注視していく必要があると考えるところでございます。

 以上です。

中塚委員 何か今の御答弁を聞いていますと、本当に三党合意がすごく心配になってくるわけです。うんうんとうなずいていらっしゃいますが。

 一元化というのは何なのさというときに、まず御答弁にあったのは、基礎年金をつくりました。基礎年金をつくったということは一元化だということなんですかね。もう一つは、農林共済とか、割とちっちゃいところを大きなところにひっつけました。それが一元化だということなんですかね。

 我々が主張をしている一元化というのは全然そういうものではなくて、公務員、国であれ地方であれ、そしてまた民間というものも含めて、年金制度を再設計しましょうということが私どもの主張しております一元化ということになるわけなんですけれども、今の御答弁だと、基礎年金をつくったら、ではそれで一元化になる、ちっちゃなところをひっつけていけばそれが一元化なんだということでいいんでしょうか。

山本副大臣 委員御指摘のとおり、一元化という気持ちには、国民がひとしくその制度の中にだれでもが入れて、また、負担と給付の問題も、透明で公平でわかりやすいということが理想だろうというように思います。

 しかし、今までの年金制度、それぞれの分野、職種で考えられてきた、英知を集めた制度でございまして、これを単純に、えいやで、一元化というか一緒にすることはできませんので、段階的に可能なところをそれぞれ基礎部分としながらも、また負担と、あるいは積立金のありよう等を考えながら、理想に向かって進んでいるという意味が一元化ではなかろうかと思っておる次第でございます。

中塚委員 よくわかりました。三党合意というものが、本当にやはりこれは大変に大きな問題があるということについて私自身としては理解をいたしました。やりやすいところはやるということですね。できるところからはやっていくということですね。けれども、できないところは、それを目指しつつ頑張りますけれども、やはりできないものはできないと。ふんふんとうなずいていらっしゃいますが、そういうふうに今の御答弁では理解をいたしました。

 そして次に、では今度は、この法案で、国家公務員と地方公務員の共済を財政一元化するということが盛り込まれているわけですね。では、ここの、この法案で言うところの一元化というのは一体何なのか、何を一元化するんだということをお尋ねしたいと思います。

 例えば、一元化と言う以上、それぞれに積立金というものがあるわけですね、その積立金も合わせることになるのか。皆さんのお考えになっている、法案を提出されている政府のイメージの一元化というものはどういうものなのかということを御答弁いただきたい。

山本副大臣 今回の共済年金制度改革案におきましては、平成十三年の公的年金制度の一元化に関する閣議決定を踏まえまして、国共済と地共済の財政単位の一元化を図ることとしております。

 その内容でございますが、まず第一に、保険料を平成十六年から段階的に一本化しまして、平成二十一年に同一の保険料とすることでございます。二番目に、両制度間で財政調整を行って、費用負担を平準化いたしまして、年金の円滑な給付を確保するということでございます。

 これは国共済と地共済を実質的に一つの主体として運営していくものでございまして、そのような観点から申し上げますと、積立金につきましても実質的に一元的に活用されることとなるわけでございます。

中塚委員 実質的にというお話がありましたが、私が聞いているのは、その積立金は一緒に合わせちゃうのかということです。単に所管の役所が変わる程度の話なのか。それとも、全くそのお金は、財布は一つにするということなのか。二つなんだけれども、一緒に出したり入れたりするから二つは一緒なんですという話なのか。それとも、こっちに入っているものをこっちに入れるのか。そこはどうなんですか。

山本副大臣 国共済と地共済の口座を一元化する、一緒にするというわけではありません。積立金はそれぞれの口座に分かれておりまして、運用等あるいは取り崩し等、それはそれぞれ全体として考えまして対処していくということでございます。

中塚委員 だんだん時間がなくなってきたので細かい議論ができなくて残念なんですが、しかし、それでは果たして本当に一元化と言えるのかどうかということですね。要は、両勘定のやりくりをすることによって何となく一元化のように見えるけれども、でも、やはり財布は依然として二つあるということですね。それをもってして、果たして、では一元化というふうに言えるんですか。結局、冒頭申し上げました、未納、未加入に関連をするような、制度のパッチワークというものはこれからも続いていくんではないですか。また、うんうんとうなずいていらっしゃいますけれども。

 一元化の話をするときに、先ほど、基礎年金をつくった、あるいはちっちゃいところをひっつけて、それが一元化になるというふうな御答弁がありました。

 今回、私学共済なんですが、私学共済というものはこの一元化の対象にはなっておりませんね。ということは、これは、私学共済というのは一元化できるほど小さくもないということなのか。何で一元化の対象に私学共済がなり得ないのか、そこはいかがですか。

山本副大臣 先生御指摘のように、十三年三月十六日閣議決定の一番の(三)のところに、私立学校教職員共済、これにつきましては、今回、保険料引き上げの前倒しを行うべく検討を行い、さらに、被用者年金制度における云々で、できれば国家公務員共済、地方公務員共済とやがて統合というような方向づけが書かれているわけでございます。

 私学共済を所管する文科省にお尋ねいただければさらに詳しくわかると思いますけれども、公的年金制度のさらなる推進を図るために、当面の措置の一つとして、被用者年金制度における私学共済の位置づけについて、今、現在、検討が行われていると承知しております。特に、この閣議決定の趣旨を踏まえまして、文科省におかれましては、制度創設の趣旨や将来の年金財政の見直し、さらには、これまでの運用努力などに留意して現在検討しているというように聞いておりまして、秋ごろには何らかの姿が見えてくるだろうというように予測しているところでございます。

中塚委員 結局、一元化というのは何のためにやるのかという話だと思うんですね。一元化をするときの目的ですけれども、例えば、国家公務員と地方公務員ということで、公務員の皆さんは一緒にしようという程度の一元化なのか。あるいは、年金という制度全体を考えたときに、やはり一元化をした方が年金財政の基盤というものが強化をされる、スケールメリットもあるというふうに考えて一元化をするのか。

 私は、今の御答弁を聞いていますと、まあ、どっちでもないというか、やりやすいところはやるけれども、難しいところはやりません、そういうふうにしか聞こえないですね。

 何のために、では一元化というものを進めなければいけないというふうに考えていらっしゃるのか、御答弁をいただけますか。

山本副大臣 制度の拡大及び安定的な運営ということを考えたときに一元化という目標に到達するわけでありまして、そのことにおきましては、委員御指摘の考え方と変わるものではないだろうというように思います。

 ただ、私学共済ができ上がりまして今日までの負担と給付のありようや制度設計、そういったものを考えますと、直ちに国共済、地共済と一緒にする、この時期にすべてを一緒にできるかというと、なかなか困難な問題がそこに残っているというように御理解いただければ幸いです。

中塚委員 直ちになんて、直ちにやれってそれは無理だみたいな話をされますが、別にこの法案だって直ちにやることにはなっておりませんですね。私どもが提出しております民主党の年金案にしたって、直ちにやれということではありません。

 ただ、その目的が何のためなのか。財政基盤の強化拡充ということを目的にするのであるならば、それは私学共済だって当然一緒にしていかなきゃいけないし、もっと言えば、より規模の大きい厚生年金なんかとの一元化というのを当然のように視野に入れなければいけないということだと思います。そんな、面倒くさいからやらないみたいな、そういうふうなことでは、果たしてではこの一元化というのは一体何のためにやるのか、そういう話になってくる、私はそういうふうに思いますが、そこはいかがですか。

山本副大臣 平成十三年三月十六日の閣議決定におきます、二項めの「被用者年金制度の統一的な枠組みの形成を図るために、厚生年金保険等との財政単位の一元化も含め、更なる財政単位の拡大と費用負担の平準化を図るための方策について、被用者年金制度が成熟化していく二十一世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐ。」この趣旨は、まさしく、厚生年金とも一元化して、大きな制度、そして安定的財源を求めていることに変わりはないというように思っておる次第でございます。

中塚委員 二十一世紀初頭と言ったって、もう二十一世紀初頭ですよ。あっという間に十年、二十年なんかたっちゃうわけですから、今やらないでいつやるんだということです。

 今までの御答弁を聞いていると、重ねて言いますが、何かもう面倒くさいことはやらないんだ、やりやすいところだけやるというふうにしか聞こえない。だから、やはり、一元化ということを皆さんも言い、そしてまた総理だって言っているんだから、そこは真剣に考えてもらわなきゃいかぬ、本当にそれはもう心より思います。

 そして次に、今度は職域加算のことについてお伺いをしたいと思います。

 職域加算ということについては、やはり国民から多くの批判があります。御存じだと思います。何でこういう制度を維持しているのかということです。政府は、公務員の地位が特殊だ、公務員の地位の特殊性ということなんかを理由にされておられるようですけれども、やはりこれはちょっと説明としては不十分だと思います。

 そして、民間と比べて地位は安定しているわけですね、公務員の方は。それこそ、住宅ローンなんかを借りるときには、やはり公務員は借りやすい、民間の人はなかなか借りられない。それこそ、住宅ローンを組むときに保証料を払う、民間の人は高い保証料を払わなきゃいけないけれども、公務員は保証料はない、そういうふうなことまで私は耳にしておるわけなんですけれども、そういう地位の安定度が高い公務員に対して手厚い年金を約束しているということになります。

 また、保険料の上乗せ分にしても、これは折半で事業主が負担しているわけですね。事業主、つまり国が負担をしているということになるんですが、財政事情が厳しい折から財政健全化ということを真剣に考えなければいけないときに、そういった負担というものを、職域加算を続けることによって税金による負担を続けていくということについてどういうふうにお考えなのか。二点、お伺いをしたいと思います。

谷垣国務大臣 職域加算の制度は、昭和六十年の制度改正で、公務員制度の一環として独立した制度であった共済年金が、基礎年金のいわば上乗せ部分、上乗せ年金として制度設計を変更したというときにできたわけでありますが、民間で、厚生年金基金とかあるいは適格退職年金といったいろいろな企業年金が相当普及してきているということもひとつ考慮しなきゃならぬ。

 それから、公務員には、今委員もお触れになったことですが、職務専念義務であるとか兼業禁止規定であるとか、あるいは再就職の制約、それから刑罰を伴う守秘義務、こういった身分上の制約も課せられている。こういうことを勘案して、国家公務員の退職後の生活の安定というものを図りたい、そういうことによって公務の能率的運営といいますか規律を維持したい、こういう目的で職域年金部分が設けられたというふうに考えているわけであります。そういう制度の目的は今も意味を持っているのではないかというふうに思います。

 そこで、それを維持するために結局国庫から負担をしているのではないかということですが、保険料率というのは、結局、職域加算部分の有無といった給付の仕組みの違いというだけじゃなくて、年金がどれだけ成熟しているかというようなこと、あるいは組合員、受給者の年齢構成だとか、要するに、被保険者期間が組合員にどれだけあるか、それから積立金の状況、こういうようなことでいろいろ影響を受けて決まるものでございます。今、国共済は厚生年金に比べて保険料率が〇・八%高くなっておりますけれども、この保険料率の差というのは、必ずしも職域加算があるからすぐに対応してくるわけではなくて、今申し上げたような、過去のいろいろな事情、いろいろな制度の成熟度、こういうものが関係しているというふうに考えております。

 それから、国が事業主として保険料を負担する際には財源は税ということになるわけですが、これは、国という事業主の特性によるわけでございます。これは、公経済主体としての税金の投入、基礎年金拠出金の三分の一というようなことについても厚生年金と制度的に変わるものではないんだというふうに私は考えております。

中塚委員 時間が来ましたから終わりますけれども、今の御答弁も全然答えにはなっていないというふうに思います。その〇・八が単純に職域加算としての保険料率の上乗せではないというふうな御答弁でしたけれども、それは金に色がついていないというだけのことですよね。お金に色がついていないというだけのことであって、現実問題、ちゃんと職域加算というものがあって、そして〇・八%高いということについてどういうふうに考えるのかということです。

 あともう一つは、財政の健全化ということを言うときに、〇・八%高い保険料についても、半分は税金で見ているんでしょう。それは当然のことだと思いますよ、そういう制度なんですから。それはそのとおりだと思いますけれども、これだけいろいろと批判があるものについて、〇・八の半分、税金を入れ続けていくようなことで、果たして本当にそういう姿勢でいいんですかということを質問させていただいたんですけれども、以上を申し述べまして、終わらせてもらいます。

田野瀬委員長 次に、西田猛君。

西田委員 自民党の西田猛です。

 きょうは、谷垣大臣が参議院の本会議の方にも御出席されるということですので、時間の許す限り御答弁いただければというふうに考えております。その余のことにつきましては、せっかく副大臣、大臣政務官制度もできて、政治主導の国会運営がなされているわけでございますので、副大臣、大臣政務官の皆さん方にぜひ御答弁をいただければというふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案にちなみまして、今の我が国の財政の状況を見ておりますと、巨大な財政赤字からの脱却など、あるいは財政自身が含む問題、大きなものが幾らもございます。

 しかし、私自身考えますのは、国の財政の根本的な問題は、これはもう社会保障というふうに言っても過言ではないというふうに考えます。これからの少子高齢化の社会で、年金そして医療、介護、こういうふうな社会保障の基本的な物事と国の財政がどのように持続可能に関連づけられていくのかということが国家においての重要事であるというふうに考えております。

 その中で大変大切なことは、平成十五年の十二月十七日付の政府・与党協議会の決定や、それから今般の国民年金法の改正法等の一連の公的年金の改革、そして、同じく平成十五年の十二月十七日付で与党の税制協議会が決定いたしました税制大綱というのもございます。その中でいろいろ示されたことを踏まえて、国全体の財政を預かる財務大臣の責任は非常に重いものがあると思うのですけれども、今後、社会保障を踏まえて国の財政運営をどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。

 特に、その税制改正大綱の中では、「第一 持続可能な社会保障制度と地方分権の推進を支える税制の確立を目指して」という中で、「税と社会保険料負担を合わせた国民負担の水準を抑制し、」という文言まで入っているわけですね。だから、そういうことを踏まえた上で、しかし、これからふえていく社会保障給付というものとどのように整合性をとっていくのか、これはもう本当に国の財政としては難しい問題だと思うのですけれども、そのようなときに任に当たられた谷垣大臣にぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今、西田委員が持続可能な財政という表現をお使いになりましたが、私は、二十一世紀に持続可能なシステムをつくっていくことができるかというのが、いろいろな国政の議論の中でもこの持続可能という言葉がこれからキーワードなんじゃないかなと実は考えております。

 申すまでもございませんけれども、平成十六年度末で国の公債残高が四百八十三兆円程度に達する、世界先進国の中でも最も悪い状況であるわけでございます。その中で、今委員が御指摘になりましたように、もちろん財政の問題は社会保障だけではなく、いろいろなところでむだを省かなければならないと思います。

 持続可能な財政構造の構築というのは総合的に考えていかなければできないわけでありますが、なかんずくこの社会保障制度というものが、高齢化が非常に進行しているということもありまして、これはもうある程度伸びていくのはやむを得ない面が当然あるわけですけれども、経済財政の現状から見ると、経済の力と相反してこれが増嵩していくというようなことになれば持続可能なシステムということにはならない。どう経済財政の現状と矛盾しないものにしていくのか、そういう意味での不断の見直しと、抑制をどうしていくのかというのは、今回の年金制度の改革もその一環でございますけれども、これをやっていただいてもまだまだ課題は山積しているということではないかと思います。

 そういう中で、昨年暮れの与党の税制改正大綱で御提言をいただきまして、委員のおっしゃいましたように、今後地方の財政をどうしていくか、地方の自主性をどう高めていくかという観点と同時に、この社会保障、特に基礎年金の国庫負担をどうしていくかということを主として視野に置いて、いわゆる個人所得課税、それからさらには消費税を視野に入れながら議論をしていこうということを示していただきまして、これが与党と政府の合意にもなっております。

 したがいまして、我々も今後の議論の中で、そういうことを見通しながら、どういう枠組みをつくっていくのか、さらに国会でも議論をさせていただきたいと思っておりますし、私どもも知恵を絞っていかなければならないと考えております。

 大変申しわけございません。これで参議院の審議の方に伺わせていただきます。

西田委員 大臣にはいろいろとお聞きしたいこともあったのですけれども、あとはまた山本副大臣にお願い申し上げますので、どうぞ。

 実は、先ほども話題になっておりましたけれども、いわゆる国会議員互助年金と呼ばれているものの制度なんです。谷垣大臣も、その件に関しては非常に御自身反省なされるような点もあったようですけれども、実はこのことを、私は、しっかりと国民の皆様にもその制度の実相を明らかにしていかなければならないというふうに考えています。

 それはどういうことかといいますと、まだ誤解をしておられる方がたくさんいらっしゃるかと思うんですけれども、国会議員互助年金というのはいわゆる社会保険的な制度ではありません。財政の仕組みを見ても、あるいはその給付のされ方、負担の仕方を見ても、これはいわゆる昔の恩給を引きずっているような制度でありまして、ですから、もしそれが今時の現代社会に不適切であればやはり適切なように直していかなければいけないし、しかし、その前提となる事実を国民の皆様によくわかっていただかなければいけない。

 例えば、よくある批判は、国民年金などは、いろいろ掛けて、二十五年掛けても、基礎年金だけだったら、基礎部分七万幾ばくですか、それしかもらえないのに、国会議員は十年掛けていれば年で四百万から幾らかもらえるんじゃないか、国庫が七割以上負担しているんじゃないかというふうな御批判がありますけれども、これは、事実をよく見れば、実はそういう批判が必ずしも正鵠を得ていないということをまず明らかにして、そして国民の皆様とともにこの議論を進めていく必要があると思いますので、私は、そのことをしっかりとここでこの際に議論しておきたいと思うんです。

 そこで、本当は谷垣大臣にお聞きしたかったのですけれども、今私が申し上げたようなこと、特に昭和六十一年、一九八六年というのは、この公的年金制度にとりましては重要な節目の年でございました。これはもう御存じのように、いわゆる基礎年金制度が導入されたのでございまして、そのときに、基礎年金制度が導入されたということと、例えば国会議員に限って言えば、議員が掛ける互助年金とされている負担金というのは全く趣旨が違うものなんだ、したがって、基礎年金部分については全員入らなければいけないものなんです。

 だから、会社の役員などあるいは職員をしていて、あるいは労働組合に属しておられて厚生年金に入っている方は別にして、その以外の方は基礎年金部分に当然入るんですよというようなことをこの昭和六十一年、一九八六年にしっかりと、きのうもテレビニュースでやっていましたが、法律を通した国会議員の皆さん方自身がわなにはまってしまったというか、理解しておられなかったということが今般大きく国民の皆様方から批判をされていることにつながっているのではないかと思うんです。テレビニュースなどによりますと、いわゆる八六年問題、一九八六年と言われることですね。八六年を境にして未納をしている方がたくさんいらっしゃったということでございます。

 私などは、当時まだ一般職の国家公務員をしておりましたから、もう何の問題もというか考えるところもなく基礎年金制度に入っていったわけでございますけれども、そういうふうに、国会議員の皆さんの間でも、この基礎年金制度が導入されたということの周知徹底が、これは社会保険庁がどうのこうのじゃなくして、みずから皆様方の中で図られていれば今こういう事態には立ち至らなかったのではないかなというふうに考えるのですけれども、山本副大臣、ちょっと御所見の方をお伺いできますでしょうか。

山本副大臣 委員御指摘の概要はそのとおりであると考えておりますが、昭和六十一年の四月の前に、「国会議員と新国民年金」についてのパンフレットというのが社会保険庁年金保険部国民年金課の方から国会議員全員に配付されております。その冒頭を読みますと、「はじめに」「昭和六十一年四月から新年金制度が実施され、二十歳以上六十歳未満の方は、ごく一部の例外を除き、すべて国民年金に加入しなければならないことになりました。これに伴い、従来は任意加入の扱いであった国会議員の方とその配偶者も、今後は必ず国民年金に加入していただくこととなりました。」そういうパンフレットも配られているわけでございます。

 それからいたしますと、大変残念な話でございますけれども、我々国会議員がきちんとこういったことについて遺漏なきを期すということが大事であっただろうというように、今さらながら思うところでございます。

西田委員 そのような周知徹底も国会の中で図られていたということでございますので、今後はぜひ遺漏のないようにしていきたいと思うのです。

 この国会議員互助年金制度、法律の名前が国会議員互助年金法となっておりますので、やはり互助年金と呼ばざるを得ないのですけれども、仕組みについて後で詳しく皆様方から御説明もいただきたいと思っておりますが、その前に、先ほど一元化という議論もございました。

 今、国民の間でも公的年金制度の一元化ということが非常に話題になっておるわけでございまして、先ほど民主党の委員の方からも、一元化はなぜするのと。それはもう非常に大切な論点なんですけれども、ただ、例えば国共済と地共済の財政単位の一元化などということでも、これでももう五年、十年かかっている話ですし、それから旧三公社の厚生年金への統合ということも、これももう本当に年限をかけてやらなければいけなかった制度でございます。

 我が国の場合、社会保険という制度を見てみますと、これは助け合いなのか、それとも国からの下され物である給付なのかという議論がしっかりなされてきていないと思います。しかも、もともとをいえば、そのそれぞれの職場、職域で助け合うということが基本だったという歴史があるようでございますので、そういうものが今いろいろな制度の違いを、今日にまでそれが引きずられているということでありまして、これは過去の歴史のあることですから、えいやとここで、ではもう全部一元化してしまおうというのは、必ずしも我が国にとっていいことなのではないと思います。

 もちろん、大切なことは、単に簡素化しようということなのじゃなくて、国民の負担とそして給付を、それこそ今大臣も言われた持続可能なものとして、今後、国民、国家として保障していくということの考え方こそ重要なんだと思うんです。その意味で、昭和六十一年に基礎年金制度が導入されたことで、基礎部分、基礎年金部分は一元化が図られたものと考えますし、そして、先ほど来話題になっております平成十三年三月十六日付の閣議決定で既に方向性は示されているわけですから、今後、政府として、特に国の財政全体を預かる財務省として、どのように一元化というか、年金の持続可能な給付と負担の関係を構築していこうというふうにお考えなのか、そこのところを具体的にお聞かせ願えますでしょうか。

山本副大臣 公的年金の一元化につきましては、先生御指摘のとおり、五十九年の閣議決定に沿いまして、昭和六十年改正で、それまでの縦割りの制度に各制度共通の基礎年金制度を導入いたしました。そしてまた、被用者年金制度につきましては、基礎年金の上乗せとして報酬比例の給付を行う制度といたしました。さらに、二階部分の被用者年金制度につきましては、平成九年に旧三公社共済、平成十四年に農林年金、これを厚生年金へ統合したことは御案内のとおりでございます。さらに、今回、国共済と地共済につきまして財政単位の一元化を図る内容の法律案を国会に提出するなど、取り組みは、段階的に着実に進められているわけでございます。

 また、平成十三年の閣議決定では、二十一世紀初頭の間に、厚生年金等との財政単位の一元化を含め、さらなる財政単位の拡大と費用負担の平準化を図るための方策について検討するとされておりまして、この閣議決定等に沿った取り組みを鋭意進めてまいりたいと考えております。

 なお、今般の三党合意にあるような、社会保障制度全般の一体的見直しにおける年金一元化の議論の動向も十分注視していく必要があると考えております。

 財源を求め、また費用負担の問題、そういったものからしますと大変困難な年金の事情でございますが、必ずしも容易ではありませんが、持続可能な制度、そして、安心できる、国民が信頼できる制度というものを求めて頑張っていきたいというように考えるところでございます。

西田委員 年金ということは大切ですので、ぜひしっかりとやっていきたいと考えております。

 そこで、もとに戻りまして、国会議員互助年金制度の概要を御説明いただきたいと思うのですけれども、これは、本当は財務省が、国の予算を担当しているというところからある意味で詳しいんだと思うんですけれども、制度自体は、さっきも申し上げたように恩給の形を引きずっておりますので、どうやら昔でいえば総務庁、今でいえば総務省の人事・恩給局が担当のようでございまして、きょうは総務省の新進気鋭の小西政務官にも来ていただいておりますので、そこのところをしっかりと御説明いただければなというふうに思っているのです。

 これは本来、社会保険じゃないわけですね。例えば、国会議員が、法律によって、国会議員互助年金法で歳費の百分の十とされている、納めている金額は、これは法律上も「納付金」と書かれています。保険料とは書いていない。しかも、この納付金は国の一般会計にぽたっと入ってしまうわけですね。そして、ほかの社会保険制度、例えば国民年金だとか厚生年金だとかに見られるような積立金というのは全くありません。ですから、そういうもので自分でファイナンスしていくんだということではないわけですね。だからこそ、法律の中にも、国がこの財政については責任を負うんだということまで書いてあるわけですね。それがいいか悪いかは別です。いいか悪いかは別なんですけれども、国会法の中に書いてある、国会議員は「退職金を受けることができる。」というふうな規定をも受けたこの制度が歴史的にできているわけですから、そのことをはっきりとまず国民の皆様に、我々も含めて認識をした上で、では、今のこの現代社会においてこれがいいのか悪いのか。私は、次にちょっと提案をさせていただきたいと思っているんですけれども、現代的にむしろこの制度をアレンジしていくべきじゃないかというふうな考えも、そういう事実の認識の上に立ってならあっていいと思うんですね。

 したがって、今の議員互助年金制度というものがいわゆる社会保険とはちょっと違うんだというところを中心的に、制度の仕組みを説明していただけますでしょうか。

小西大臣政務官 まさに今委員が御指摘になりましたように、国会議員互助年金制度というのは、名前には年金というものが入っておりますけれども、基本的には国会法第三十六条に基づく退職金という位置づけで、同じく昭和三十三年に議員立法にてつくられたものでございます。

 中身は、今委員から一部御紹介ありましたように、在職十年以上の議員に対して支給されるものでございまして、毎月歳費の十分の一、これは頭打ちがありますけれども、納付金として徴収し、一方、支給額を歳費の百五十分の五十、また、在職一年延びるごとに百五十分の一ずつ増していくという内容でございまして、納付金と支給額の間に関連性はない、いわゆる退職金という位置づけの、年金という言葉が適切ではないかと思いますけれども、年金制度でございます。こういう中で、今回、いろいろ国民の方に誤解も招くような状況に立ち至っておるわけでございます。

 議員に、今、国民に広くこの内容を周知徹底するべきではないかという御指摘を受けたわけでございますけれども、基本的にはそのような周知徹底が必要であるというようには思いますけれども、我々、大変申しわけないんですが、総務省といたしまして、今現在、人事・恩給局、この支給事務の所掌ということでやっておりまして、広くパンフをつくり、またそういう形で国民に広報をさせていただくという立場にはちょっとないということを御理解いただきたいと思います。

 また、あわせまして、今、衆参両議長のもとに有識者による諮問機関を設けまして、国会議員の年金制度のあり方を全般的に検討して見直しを行うという状況にあるというように承知をしております。この中で、国民に対しての広報のあり方を含めて議論をいただき、将来に向けた年金制度を、一元化を含めて、国会議員の年金制度を議論いただければ大変ありがたいというように思っておる次第でございます。

 ちょっと歯切れの悪い答弁で申しわけございませんけれども、ちょっと所掌の中に今それはございませんので、ここでうちがやるとちょっと申し上げられないところ、申しわけございませんけれども、よろしくお願いします。

西田委員 いえいえ、しっかりと御説明いただいたと思います。

 ただ、広報は所掌事務の中にないというお話もございましたけれども、確かに議員立法でできたことですし、我々国会議員のことでございますので、やはり当然私たち自身が、衆議院あるいは参議院として、我々は、国民の皆様方に選ばれた代表として、国民の皆様方に説明する義務があるどころかそれそのものの塊みたいなものですから、我々がどういう暮らしをしていて、どういう立場にあって、どういう仕事をしている、あるいはどういう身分保障を受けていて、あるいはどういう待遇を受けているのかということは、もう全部、一〇〇%、一〇〇〇%開示するということが必要だと思いますので、そういう努力を怠ってはいけないというふうに、これはお役所の所掌事務ということを離れて、国会として考えなければいけない。

 きょうも、若い皆さんが傍聴にたくさん来ておられますけれども、こういう国会議員の互助年金というか、今非常に問題になっていること、これがどういうものであるかということをしっかりと理解していっていただきたいというふうに思っているわけです。

 そこで、私、一つの提案なんですけれども、これは何が一番問題かというと、国民年金などは、私などもずっと、国家公務員を退職した後、一時期会社勤めをしましたので厚生年金にも入りましたし、言ってみれば、私などは全部経験したわけです。国家公務員共済、それから地方団体にも勤務しましたので地方公務員共済、そして役所をやめた後に今度は会社勤めをしましたので厚生年金、今度は会社もやめてアメリカで弁護士などを始めたときには国民年金、こうなったわけで、四通り全部経験しているわけですけれども、もちろん完納させていただいておりますが。(発言する者あり)私学共済だけはやっていませんけれども、でも、大学では教えているんですけれどもね。

 そんな中で、一番問題なのは、二十五年入っていないともらえないのに、国会議員は十年たったら、年金かどうかは別にして、もらえるねというところがまずやはり一番私はしっくりこないんじゃないかなというふうに思うんです。もちろん選挙というものがあるので、ただ、最近小選挙区制ですから、これは一回の選挙で三年半ぐらいは任期がある。だから三回当選すればいい。三回当選するという努力は会社勤めの二十五年に相当するのかなというのはちょっとよくわかりませんけれども、いろいろそういう話はあるかもしれない。

 それと、あと、負担金に対して、今、小西政務官から話がありました。これは非常にすっぱりおっしゃったなと思うんですけれども、要するに、納付金、我々が納めている金額と支給額に関連性はないということが非常に問題なんだと思うんですね。

 ただ、一般的に言われていますように、負担金に対して支給される額を見ると、七〇%ぐらい国費が入っているんじゃないか、今、国民年金は三分の一だ、これはもう非常に跛行しているんじゃないのという議論があります。もちろん、二分の一まで平成二十一年に向けて引き上げていくわけですが、二分の一になったとしたって、国民年金は五〇パーで、国会議員だけ何で七〇も入るのという話が非常に怨嗟の的にもなっているんだと思うんですね。

 ただ、翻って考えてみますと、きょうもこちらにずっと一般職の国家公務員の方、たくさんいらっしゃいますが、国家公務員共済は被用されている方ですから、雇用している国が保険料の半分を持っているわけですね。それに対して、三分の一、今度は給付の国庫負担していますから、これは、計算してみますと結局は大体七〇%ぐらいになるんですよ。結局、そのあたりで、議員立法したときも平仄を合わせたんじゃないかなというふうに私は推測できるわけです。ですから、我々も特別職国家公務員ですから、そういう意味では、当然、議員立法をつくるときも、衆議院、参議院の法制局もあったでしょうし、当時の大蔵省がそんなに簡単にうんと言うわけないので、平仄はとっていると思うんですね。ですから、ここも、事実をわかっていただければ、なるほどなというところはあるということなんですね。

 ただ、私は、やはり問題なのは、十年、この期間じゃないかなというふうに思います。

 そこで、国会議員になったら、それはそれでいい、もちろん選挙という大変な作業を経てなんだけれども、それはもうみんな会社勤めしていてもいろいろな作業はあるじゃないか、上司とのつき合いとか同僚とのつき合い、選挙と一緒ですよということもあるでしょう。したがって、国会議員に在職している間に負担している部分を、いわば公的年金制度の二階、三階相当部分のものと考えて、だから、基礎年金は当然納めるわけですよ、会社勤めしていない方は国民年金を。そして、それに加えてオンして負担している部分は二、三階部分と考えて二十五年というものに算入しましょうと。だから、私らみたいに選挙にそんなに強くない人間が十年切って終わってしまったら、それは二十五年の中に数えてください、ただ、その部分は、八年か九年になるかわかりませんけれども、たくさん納めました、だからそれを今度、支給するときの給付率算定してもらったらいいんじゃないですかというふうな考え方でいったら、国民の皆さんの大方の理解を、すなわち、二十五年、そして給付率算定というようなことにという、これは一つの、一つのですよ、考え方なんですけれども、あるいは、それはここがちょっとおかしいとか、そうじゃなくてこうした方がいいんじゃないかというふうな御意見を、もし制度を担当しておられる総務省なりの方からありましたら、ちょっと御意見を一回いただきたいと思うんですが。

小西大臣政務官 今委員のおっしゃったようなあり方も一つのあり方であるというように思います。

 制度全体を含めまして、先ほども申し上げさせていただきましたように、両院の議長のもとで、国民が納得できるような、また議員の皆様方も、また退職された議員の皆様方も納得できるような形を御議論していただければというふうに思っております。

 総務省として、特にこうせい、こうした方がいいというアイデアは今のところ持ち合わせておりません。よろしくお願いいたします。

西田委員 政務官になられてまだ間がないようでございますけれども、しかし、非常に模範的な御答弁をいただきまして、私たちとしては、なるほどなというふうに考えるしかありません。

 もちろん自分たちのことでございますので、私たち国会議員自身が、国民の皆様に理解を得られるようなそういう制度をぜひつくっていかなければいけないというふうに考えておりますので、今申し上げた、期間十年ということ、それから、実はこれは、年金と言われているけれども、社会保険ではなくして互助なんだ、そしてそれは、我々が負担している、歳費といいまして、給料に相当する歳費の十分の一、百分の十を国庫に納めたら、それは一般会計の中に入ってしまって、一般財源化されて今度は支給されるというものであって、支給額と負担に関係はないというところはまずぜひ理解をしていただかなければいけないなというふうに考えておりますので、今後とも国会で議論を進めたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。

田野瀬委員長 午前十時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時五十一分開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 本日は、国家公務員共済の改正案ということで質問をさせていただきます。

 この国家公務員の共済、当然、長期給付ということで年金も含まれているわけでございますけれども、私の問題意識としては二つございまして、やはり国家公務員共済は民間の年金に比べて優遇されているのではないのかという問題意識、当然、我々国会議員も互助年金ということでございますけれども、優遇をされている年金を持っているということで我々自身も厳しく見直しをしなければいけないと私も思っておりますが、それと加えてこの国共済の優遇問題。

 もう一つは、民間の年金とこの国共済を比べますと、非常に国共済はある意味きちっとしている。というのは、むだな金を使わない工夫が随所になされているというのが国共済で、その一方で、同じ人たちがつくった制度にもかかわらず、民間の厚生年金、国民年金の制度というのは、私に言わせれば非常にずさんで、福祉という定義を拡大拡大してどんどん掛金を使ってしまうとか、そういうずさんなところが厚生年金、国民年金の制度には見られる。

 こういう二つの問題意識を持って質問をさせていただきたいと思います。

 まず、福祉の問題を質問いたしますけれども、厚生年金や国民年金の掛金は、福祉の増進という言葉でというか、この条文で年金の掛金がどんどん使われた。御存じのようなグリーンピア事業、あるいはコンピューター、あるいは融資事業、福祉の施設などなど、どんどん使われてしまうということがございました。

 そこで、私は調べてみますと、国共済も福祉施設というのがありました。この四ページにございますけれども、現在、百十三カ所の福祉施設が国共済にもございます。五ページには、これは厚生年金、国民年金の福祉施設でございますが、右の方に手書きで書いてございますけれども、十五年度末で二百六十五カ所ございます。その意味では、国共済も民間の年金の半分弱の施設を持っているということで、国共済もこういう福祉施設がいっぱいあるんだと思いました。

 ところが、私がなるほどと思いましたのは、国共済のこの施設の運営というか施設の建設には、国共済の掛金というのが一円も使われていないということで運営されている。非常に優秀な形で運営されている、建設をされているということです。

 どういうことかといいますと、国共済の場合は、積立金というのが約九兆円ぐらいある。その九兆円の積立金から福祉施設の建設費を借りて、そして建物を建てて、そこで宿泊施設などで売り上げが出た、その売り上げをもって毎年返済をする、その積立金のところに金利をつけて返済をする。その返済が一度も滞ったことがないということで、国共済の場合は、百十三カ所の建設費を国共済の積立金から借りて、建てて、そして返済が全然滞っていない、掛金は全然手をつけていないということで、非常に優秀なわけでございます。

 そして、ある意味では、この福祉という概念も、国共済の場合は運用なんです。九兆円の積立金をいろいろなところに融資して、金利をつけて返してもらう、そしてその九兆円の積立金を運用してふやしていく、その一環でこういう施設をやって、赤字は出ていないということで、優秀ですね。そういう状況になっている。

 ところが、五ページにございますけれども、厚生年金、国民年金の福祉施設の場合は全く仕組みが違うんです。今申し上げたことと全く違う。

 どういう仕組みかといいますと、例えば二百六十五カ所の建物の建設費すべてが掛金で、まず建設費を借りるんじゃなくて、建設費そのものが厚生年金、国民年金の掛金で、まず全部ばんと建てちゃう。その建てた建物を使った宿泊などの売上金は年金の勘定に戻さないで、それを財団法人などの収入にしてしまう。こういう、何というんですか、そこでそれを使い切ってしまうということになっております。全く違うんです。

 そこで、私、国会図書館を通じて調べてみますと、先進国の年金の制度の中で、自国民の年金の掛金そのものでリゾート施設や宿泊施設の建物を建設してしまう、こういう仕組みを持っているのは日本の国だけだ、こういう調査結果が出てまいりました。

 ほかの先進国は、確かにリゾート施設を持っているところもあるんです。ほかの先進国はどういうふうにやっているかといいますと、まさに国共済と同じやり方でやっているんですよ。年金の積立金がないところもありますけれども、積立金の若干あるところがほとんどですけれども、そのお金を運用するということで、そういうリゾート施設の建設にお金を貸して金利を取っている。こういうことで、福祉といいますか、目的は福祉じゃないんです、まずあるのは運用なんです。それで、運用の範囲内で福祉をしますよと。国共済と同じ考え方が先進国なんです。

 日本の国民年金、厚生年金の福祉の考え方だけがおかしいというか、変わっているんです。ほかにない制度なんです。ですから、これを見ると、何だ、同じ人たちがつくった制度だけれども国共済はしっかりしているじゃないかと。自分たちのお金だからかどうかわかりませんが、こういう制度の考え方が違うのは、どういう哲学からこういうふうになっているのか、きょうは森副大臣にもお出ましいただいていますので、まず森副大臣から御説明いただければと思います。

森副大臣 年金の福祉施設事業につきましては、高齢者となり年金を受給するまでの長期にわたり保険料を払い続けることとなる被保険者の皆さんなどへの福祉の還元を図ることを目的といたしまして、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に基づいて、年金の事業として政府は被保険者等の福祉を増進するため必要な施設をすることができるとされていることから、その費用につきまして国の予算として計上しているものでございます。

長妻委員 いや、ですから、運用という概念は、日本の厚生年金、国民年金の福祉事業には全くないということでよろしいんですか。

森副大臣 こういった借入金の返済につきましては年金特別会計で負担してきておりますけれども、これは施設整備を年金財源で負担することで被保険者等に気軽に利用していただけるようにすることが、年金を受給するまでの長期にわたって保険料を払い続けることになる被保険者の皆さんへの福祉の還元を図るという福祉施設事業の趣旨に沿うものと考えてきたからであります。

長妻委員 これはぜひ厚生労働省も調べていただきたいんですが、先進国でこういう形で福祉事業をやっている国というのはないと思うんですね。国会図書館で調べましたから。

 気軽に利用していただくって、気軽に利用するという、何か修飾語が入っていますけれども、意味がよくわからないんですが、谷垣大臣、この部分は国共済は優秀だと思うんですけれども、これはやはり運用というのがまず第一義の目的なわけですか。

谷垣国務大臣 厚生年金の方との違いというのは私もうまく御説明ができないんですが、国家公務員共済の方は、今委員は運用とおっしゃいましたけれども、もともと、短期給付、医療保険ですね、年金、長期給付と、それから国家公務員の福祉、この事業を三本柱というふうに考えておりまして、その三本柱のそれぞれを独立の、その種類ごとに固有財源が定められて経理区分をするという考えで制度を運用してまいりました。

 その意味では、厚生年金の方は、年金運営に特化して長期間にわたって保険料を納めていただいているその年金被保険者の公的年金制度に対する理解や信頼を得るという目的から福祉をおやりになった。そっちとちょっと制度の立て方が違っているんだろうな、こういうふうに感じております。

長妻委員 信頼を得るために厚生年金、国民年金は福祉事業を掛金そのものでやってしまう、逆にそれが今信頼をなくしているんじゃないですか。だから、世界でも変わったというかほかにないような形で、掛金そのものを福祉の建物建設費にそのまま出して使ってしまう、こういうこと自身が初めの制度設計のときから問題だったんですね。ですから、そこを反省していただいて、もうそういうたぐいの福祉事業をやめる、まずそういう決断をしていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、なるほど国共済はしっかりしていると思いましたのは、この二ページにございますけれども、国共済は福祉掛金というのがあるんです、福祉掛金。これは、掛金率というのが〇・二%、労使折半ですけれども。ですから、使用者は〇・一%。雇い主、国ですね、これは〇・一ということで、〇・二%の福祉掛金というのがあるんです。

 これは、よく調べますと、なかなか工夫されたものなんですよ。何しろ掛金率〇・二%の掛金がどっと集まってきますよね。その範囲でしか福祉はやれません、それ以上の金は出したくてもやっちゃいけません、掛金は年金の支払いだけに使う、こういうことが国共済はやられているんですね。私が主張してきたことが国共済は前からやられているんですよ。ただ、〇・二%だけは福祉に使いましょうと。それ以上は一切使えません。歯どめがあるんです、歯どめが。こういう工夫がきちっとなされているじゃないですか、この国共済は。

 その一方で、国民年金、厚生年金は歯どめが全くない。掛金を幾ら使おうが、予算に乗せちゃえば上限がない。これは森副大臣にお伺いしますけれども、福祉に使うお金というのは、当然予算措置はしますけれども、全く上限はない、歯どめがないということでよろしいですか。

森副大臣 厚生年金制度及び国民年金制度におきましては、保険料を法定しておりまして、給付に支障がない範囲でしか福祉施設事業に資金を使用することはできません。また、毎年度、国会の審議、議決を経て事業に必要な経費が予算に計上されてきたものでございます。福祉施設事業関係の保険料率が別途定められていないことで、したがいまして、事業がどれだけでも拡充できるわけではないというふうに考えております。

 しかしながら、ちょっと先ほど言葉が足りませんでしたけれども、今の長妻議員の御指摘のようなこともありますし、民間施設の普及や厳しい財政事情などにかんがみまして、今後、福祉事業については徹底した見直しを行うということにしておりますので、御理解をいただきたいと思います。

長妻委員 徹底した見直しというか、制度を変えなきゃだめなんですよね。掛金そのものを建設費に直接使っちゃうというのは、これはだめなんですよ。

 今の御答弁でもひっかかるんですが、給付に支障のない範囲で福祉事業をやっていますということで、あれだけグリーンピアから何から何までやって、これまで年金の掛金が支払い以外に回ったものの合計が五・六兆円ある、その中で福祉という名目で回ったのが五・二兆円あるということでありまして、これはそういうことがあっても給付に支障がないと断言できますか。

森副大臣 結論といたしましては、現状では給付の面で御迷惑をかけていることはないというふうに考えております。

 そうは申しましても、先ほども申し上げましたけれども、年金の福祉施設、グリーンピア及び年金住宅融資につきましては、年金資金を被保険者に福祉還元すべきという国会附帯決議や審議会の提言、地域のニーズなどを踏まえて、関係法律の改正や予算の国会議決を経て実施されてきたものでございますけれども、現時点において、年金制度の厳しい財政状況などを踏まえ、事業の徹底した見直しを行うことは当然であると考えておりまして、年金福祉施設等については適切な処理をいたす予定でございます。

長妻委員 ちょっとびっくりするんですね、御答弁で。厚生年金、国民年金の福祉事業は上限はあるんだという御答弁で、その上限というのは給付に支障のない範囲が上限だということなんですよ。ですから、五兆円でも給付に支障がないわけですから、これから来年、再来年、また何兆円かトータルでいっちゃう可能性もありますよね。

 その給付に支障が出る範囲というのは、年間でいうと幾らぐらいですか。

森副大臣 委員御指摘のとおり、大変厳密な意味で言えば、それは影響がないということは言えないと思います。しかし、今までの何十年にわたる非常に大きな分母の中での話でございますので、そういう意味では事実上影響がないというふうに考えておりますが、いずれにしても、そういった点を含めて、今後、徹底した見直しを行うということを繰り返し申し上げさせていただきます。

長妻委員 事実上影響がないということなんですけれども、例えば、事実上、私もそういう言葉を使います、事実上影響がないという範囲は、平成十六年度の年金の予算でいえば、福祉に使う金というのは、大体どのぐらい、何千億だと思いますか。何千億ぐらいまでが事実上影響がないと言えるわけですか。

森副大臣 今この場で私が定量的にどれだけだったら影響がないということは申し上げられませんけれども、この五・六兆円というのは五十八年間の累計額でございます。そういったことで、いずれにしても、そういった御指摘を踏まえ、これから徹底した見直しを行うということを決定しております。

長妻委員 これは、国民の皆様は、五・六兆円で事実上影響はないですという答弁を、副大臣、これをもし町中でやったら殴られますよ。ここは国会ですから、衛視さんもいて大丈夫でしょうけれども。

 もう一つ、国共済はまた優秀なんですね。これは、赤字施設は厳しく見るということで、この資料にもございますけれども、四ページ、国共済の福祉施設というのは平成六年度は百八十の施設があった。ところが、赤字のものはリストラを厳しくする、そして民間委託をする、それでもだめなものは即閉鎖をぱんとする。そういうきちっとした措置をしたから、積立金に利息をつけて返済をして、それが滞ったことが一度もない、こういうことが実現できているんです、国共済は。平成六年度百八十カ所あった施設が、平成十五年度末には百十三カ所。大体四割近くが閉鎖しているんです、だめだということで。きちっとやっているんですよ。中身も、どういうふうにリストラするのか具体的に聞きました。かなりきちっとやっています。さっと民間委託をするということも含めて、非常にしっかりしている。

 ところが、この五ページを見ていただきますと、これが厚生年金、国民年金の福祉施設でございますけれども、平成六年度末には、右の手書きで恐縮ですが、二百七十二カ所あった施設が、平成十五年度末は二百六十五カ所ということで、引き算していただきますと、七カ所しか減っていない。率にすると二・六%しか減っていない。国共済は、厳しく見て、四割近く閉鎖をばんとする。

 また森副大臣で恐縮なんですが、全然国共済とこれは姿勢が違うじゃないですか。国民の金はどうでもいいんですか。

森副大臣 繰り返し申し上げますけれども、そういった御指摘も踏まえ、また、与党からも大変厳しい御要請がありまして、年金制度の厳しい財政状況などを踏まえ、事業の必要な見直しを行うことは当然と考えておりまして、年金福祉施設等については徹底した見直しを進めております。

 具体的には、グリーンピア及び年金住宅融資については平成十七年度までに廃止することといたしておりますし、また、年金の福祉施設についても例外なくこれを整理して、国民の皆様の御理解が得られるよう徹底した合理化を進めてまいりたいと考えております。

長妻委員 これはぜひ国民の皆様にも見ていただきたいんですね、こういうのを。

 確かに日本列島全部がバブルに踊ったというのはあります、いろいろな福祉施設やリゾート施設をつくっちゃったというのが。ただ、国共済と厚生年金、国民年金の施設のリストラ状況を見ると、国共済はさっと気づいて、さっとやっているんですよ、ちゃんと。ですから、気づいているんですよ、政府は。

 ところが、天下りとかいろいろな問題があるから、そういう人の雇用を守るためかどうか知りませんけれども、そういう問題があるから、国民年金、厚生年金の方はさっとできない。(発言する者あり)族議員もいるかもしれない。この表を見ると歴然ですよ。これは同じく平成六年から十五年までありますけれども、全然廃止していないじゃないですか、厚生年金、国民年金の方は。知らなかったじゃないんですよ、できなかったじゃないんですよ。自分たちの、国家公務員のお金は大切だからきちっとやろう、国民の金は、もう天下り団体もできちゃったから後でゆっくり考えようということでは困るわけでございます。

 そしてもう一つ、この資料の三ページでございますけれども、国共済の場合は福祉の定義というのが法律で書いてあるんですよ、ちゃんと。その一方で、厚生年金保険法、国民年金法では、厚生年金保険法七十九条、国民年金法七十四条には、「福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。」「政府は、被保険者、被保険者であつた者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。」、厚生年金、国民年金はこの一行だけなんです。福祉の定義も何も書いていないんですよ、厚生年金、国民年金は。

 ですから、コンピューターの経費も福祉だ、庁舎の建設、日本全国三百十二カ所社会保険事務所がありますけれども、あの建設も福祉ですと。それで、年金の掛金で建てちゃっているんです。何で福祉だと聞いたら、年金相談のスペースがありますからと。コンピューターは何で福祉なんだと聞くと、速度が速くなりましたと、国民の皆さんに処理速度が速くなるとサービスになります、年金相談もコンピューターでやっていますと。もうどんどん、私は何でも福祉法と言っているんですけれども、何でも福祉だと。

 ところが、こういうミスもあるのかなというふうに思うと、そうじゃなくて、しっかりと国家公務員共済の場合は、この三ページですけれども、福祉事業ということで、福祉事業は次に掲げる事業ですと九十八条にきちっと書いてある。

 これは谷垣大臣にお伺いしますけれども、この福祉事業の定義で、コンピューターの経費なんかは福祉ということで国共済は賄えますか。

谷垣国務大臣 これは、所管は厚生労働大臣でございますから、ちょっと……(長妻委員「いやいや、これは国共済」と呼ぶ)国共済の九十八条の方の規定ですか。(長妻委員「それでコンピューター経費」と呼ぶ)

 ちょっと、今どの条文で読むのかにわかに判断に迷いますけれども、この九十八条で規定されている「組合員及びその被扶養者の健康教育、健康相談、健康診査その他の健康の保持増進のための必要な事業」というものをどう読むかということではないかと思います。附帯事業というのも九十八条にはあるわけでございますが、読むとすればその辺で読むのかなというふうに思います。

長妻委員 そうすると、現実問題、今、国共済では、福祉事業としてコンピューター経費というのは、過去、現在支出されたことはありますか。

谷垣国務大臣 ちょっと今手元に正確な資料はございませんが、福祉事業を行うに当たりまして事務費というものは用意しておりますので、あるいはそういうものを使って例えばコンピューターを入れているということはあるかもしれません。

長妻委員 厚生年金、国民年金の掛金が、平成十六年度一年間だけで、福祉という名目で厚生年金、国民年金の掛金そのものがコンピューター経費に六百四十七億円。六百四十七億円全額が国民年金、厚生年金の掛金。これがコンピューター経費に、今年度一年間、福祉の増進ということで注ぎ込まれているんです。

 ですから、これは、今福祉の点で私は国共済を非常に優秀だというふうに褒めましたけれども、褒めましたが、逆に言うと、何で、そういうふうにきちっとできるんだったら、民間の厚生年金、国民年金にアドバイスを、アドバイスといいますか、きちっとそれをやらなかったのか。これは、谷垣大臣、何で国共済はこんなにしっかりしているんですか。

谷垣国務大臣 御答弁にちょっと戸惑うんですが、先ほど、いろいろ、なぜ要らない施設は整理しているのかと、借りた金でやっておりますから、借金を返せないようになっちゃ困るということがやはり基本にあると思います。

長妻委員 今いみじくもおっしゃられました、福祉施設の建設は借りた金でやっているから、国共済の国家公務員の方が払った貴重な掛金の積立金から借りているから、それが返済できないということはまずいということできちっとやるんですよ。これは先進国はそうなんですよ、福祉というかそういうのをやるときは。

 ところが、厚生年金、国民年金は掛金そのものを建設費に直接注ぎ込んじゃうから、返す必要ないから、もうどんどん歯どめがかからない。

 森副大臣、この議論を聞かれて、国共済のこの制度はやはり参考になりますか。

森副大臣 国共済の場合の福祉事業というのは、会社でいえば福利厚生的な事業でありまして、言ってみれば共済組合の目的の一つである本来業務であるというふうに思います。

 一方、厚生年金、国民年金の福祉施設事業というのは、年金制度という本来業務への理解と共感を深めるための附帯的業務として行われてきたものでございまして、これはもちろん、厚生年金、国民年金の福祉施設事業について本来業務に影響を与えないように必要な限度で抑制的に行われるべきものであるということは当然のことでございまして、しかし、毎年度、先ほど申し上げたように、国会での予算審議を経て執行してきたもので、決して野方図にとかそういう言葉は当たらないと思います。

 しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、今の時代においていろいろな問題があるということも認識をしておりまして、こういった福祉事業について徹底的な見直しを図るということを再三申し上げさせていただきたいと思います。

長妻委員 森副大臣の読んでおられる原稿というのは、本当にだれが書いているんですかね。共感を得るために福祉事業を厚生年金、国民年金はしているんだという御答弁でしたけれども、これも町中で言ったら殴られますよ、本当に。これはちょっと首をかしげます、だれがああいう原稿を。本当は副大臣が自分の言葉で言わなきゃいけないんですよ、そういうのを読むんじゃなくて。

 それで、先ほどやじも飛びまして、いや、もう福祉施設はやらないんだからいいんだというやじが飛びましたけれども、とんでもないんです。箱物は確かにやらないというふうに与党は言われておりましたが、この七十九条と七十四条、国民年金法、厚生年金法の条文は削られていないということは、福祉の増進のためなら今後も厚生年金、国民年金の掛金を幾らでもつぎ込んでいいんですよ、予算上はちゃんと立てますけれども。

 ということは、私、こういう危険性もあると思いますよ。箱物はやめたと。では、福祉の増進だから、東京ドームを借りて、そういうことがあるかどうかわかりませんよ、年金の告知イベントをしようと。箱物じゃなくてイベントでいこうと。事実、江角マキコさんが出たあのCMキャンペーン、六億二千万円のキャンペーン費用、あれは福祉の増進で全額年金の掛金で出ているんです。広告宣伝費は年々上がっているんですよ。ですから、危険性としては、箱物は大丈夫だと、でもこの条文が残っているから、そういうイベントにいきますよ。あとは宣伝とか。そっちの方にまたどんどん金が出て、十年後、ぱっと気づいたらまたすごい金が出ちゃう、こういう危険性も私はあると思います。

 森副大臣に一言だけ、そういうイベントとかCMキャンペーン、これを福祉の増進では、箱物はやらないというのはわかりましたけれども、福祉の増進ではイベントとかCMキャンペーンの費用ももうやらないですよ、こういう御答弁もいただきたい。

森副大臣 十分、適切な用途にのみ支出するように、委員の御指摘を踏まえまして、これから適切に対処してまいりたいと思います。

長妻委員 この福祉の質問以外もありますので、福祉の関係はこれでやめますけれども、厚生年金保険法の七十九条、先ほど申し上げたこの一行と、国民年金法の七十四条、この一行、この七十九条と七十四条、一文だけ削ればいいんですよ。それは簡単なんですよ、森副大臣。そうすると、大臣が答弁したことがああ本当だとわかるんですけれども。これは削りましょうよ、副大臣。副大臣もきのう記者会見でいろいろ厳しい指摘があったと思いますよ。挽回してください、挽回して。これは削ると、ばんと今ここで言ってください、政治家として。

森副大臣 これは、私が、私の立場でお答えするべきことではないと思います。(長妻委員「何で。それはちょっとおかしいですよ。立場と言うんだったら質問できません」と呼ぶ)

田野瀬委員長 何か言うてください。

森副大臣 言葉が足りませんでした。国会にお任せをいたしたいと思います。

長妻委員 副大臣はどう思うんですか。削るべきだと思うんですか。閣法は皆さんがつくって国会に出すんでしょう。

森副大臣 御意見は御意見として承りますけれども、私どもとしては、全くなくしていいものだというふうに考えておりませんので、これから十分に検討させていただきたいと思います。

長妻委員 こういうことでは、これは、今聞いていただいたと思いますけれども、また拡大拡大で知らないうちにどんどんどんどん出ちゃいますよ、間違いなく。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そしてもう一つは、この一ページ目にございますけれども、国共済の積立金と国民・厚生年金の積立金が株で運用されています。この国民年金、厚生年金の積立金のうち、資金運用基金に預けて、市場運用分が、これは大体五十兆円ですけれども、このうち三八%が株で運用されている。ところが、国共済の積立金は七%しか株で運用されていない。そして、分母をそろえるとすれば、国共済は、実際、資金運用部で、財投で運用している部分を除くと五兆円ございますから一四%。それでも一四%になる。ですから、三八%対一四%としても半分以下なんですね、国民・厚生年金の株の運用比率と国共済の比率を比べると。国共済の方が半分より低いんですね。これは安全運転しているというふうに見られるんですが、これはどういう哲学に基づいて国民の皆様の運用よりも低くしているんですか、谷垣大臣。

谷垣国務大臣 国共済の年金の基金の運用の基本的な考え方というのは、これは、長期的に見てリスクと収益のバランスを適切にとっていくということになるんだと思います。

 それで、そのための基本は法令でございますけれども、それに加えまして、外部の有識者の意見を聞きまして「積立金等の運用の基本方針」というのを定めて、これは公表もしておりますが、そういうものに従いまして安全かつ効率的な運用をするということでありますけれども、その際、国家公務員共済年金の成熟度といいますか、受給者と現役の比率、これは相当成熟しておりますので、高まってきておりますので、やはり安全に運用していくというのが、これだけ成熟度が高まっていると重視しなければならない点ではないか、こういう考えで運用いたしております。

長妻委員 成熟度が高まるということは、当然OBの比率が高くなるということですよね、簡単に言うと。それは、国民年金、厚生年金だってこれから加速度的に、世界一、まさに受給者の比率が高まるんですよ。

 国共済は安全に運用する、これを重点にいくと。国共済は評価損というのは株では出ておりますか、出たことはありますか。

谷垣国務大臣 株で評価損が出たことはございます。

長妻委員 大体幾らぐらい、年度も。

谷垣国務大臣 平成十四年度末で、外国株、国内株を合わせますと、二千十一億の評価損がございます。

長妻委員 森副大臣にお伺いしますけれども、この三八%という比率、高いわけですが、これは、先ほど谷垣大臣の御答弁を聞いていただいたと思いますけれども、やはり哲学が違うわけですか、国共済とは。

森副大臣 ちょっと誤解がないように申し上げますと、長妻委員のおっしゃっているその三八%という数字は、年金資金運用基金への預託金を除いた部分の株式の比率でございます。(長妻委員「それ言ったじゃないですか、今質問のときに」と呼ぶ)一方、国共済の方はそれを含めた場合の数字なんですね。(長妻委員「だから、一四%と言ったじゃない」と呼ぶ)ああ、一四%。

 いずれにしても、考え方としては、国共済と変わるところはありません。

長妻委員 よく私の説明を聞いてください。

 では譲って、皆さんが言う同じ計算で合わせると、国民・厚生年金が三八%、株の比率が。国共済は一四%なんですよ、大体。それでも、皆さんが言う同じ基準に合わせても、国共済一四%、国民・厚生年金三八%なんですよ。ですから、半分以下じゃないですか、国共済。ですから、哲学は違うはずですよ。同じだったら、何でこの比率が四割近いんですか。

森副大臣 ですから、これは、預託金を含めた積立金資産全体に占める株式の比率は、国民年金及び厚生年金が七・三%でございますし、国共済が六・五%で、両者に大差はないというふうに私は考えます。

長妻委員 事前の説明と違いますよ。

 ですから、預託部分を国民・厚生年金は除く、国家公務員共済も除く、それを除いて、その比率ですよ。それが倍近く離れている。ちょっと後ろの方、説明してください。

 ちょっと時間をとめてもらえますか、これ。

田野瀬委員長 ちょっと時間をとめておいて。

森副大臣 いずれその預託部分がなくなったときの株式割合は、国内、外国合わせまして二〇%ということを目標にしております。

長妻委員 そうすると、それでも国共済よりも高いじゃないですか。何で高いんですか。そうしたら、同じ今の比率でいうと、国共済は何%ですか、森副大臣。

森副大臣 これはいずれにしても、今度新しい独法に移行しまして、運用委員会において株式や債券の基本ポートフォリオについては決められるわけでございまして、そういうところで経済前提との整合性をとりながら専門的に検討して、より小さなリスクでより高い収益を得られることができる資産構成割合を選択していくことになるわけでございます。

長妻委員 ちょっと議事妨害に近いと思うんですね。

 それでは言いますよ。そうしたら、国民年金、厚生年金の、そちらの数字でいいですよ、国民年金、厚生年金の全体のうちの株の投資の比率は何%で、そちらの言い分どおり同じに合わせてください、国共済の全体の株の比率というのは、同じ比率で合わせると何%と何%ですか。

谷垣国務大臣 国共済の方は、十五年三月末で、国内株式が三・六%、外国株式が二・九%、合計すると六・五%というのが国共済の数字です。

長妻委員 ですから、さっき打ち合わせをして、事前に私も聞いた、その預託部分を除いてと言っているんです。預託部分を除いて株の部分は。預託というのは財投ですから。

谷垣国務大臣 預託部分を、先ほど申し上げたのは預託金を含めたものでございまして、預託金を除いた部分でいきますと一二・八%になります。

長妻委員 そうしたら、同じベースでどうですか、国民年金、厚生年金。

森副大臣 先ほど申し上げましたとおり、三八%でございます。

長妻委員 ですから、何でそういう議事妨害に近いことをされるのか。三八%対一二・八%なんですよ、結局。何でこういうふうに手間取るんですか。それにしても二倍以上じゃないですか。二倍どころか、三倍ですよね、一二・八パーと三八パー。これは哲学が違うんですよ。どう違うんですか、国共済と、森副大臣。

森副大臣 少なくとも、国共済との比較ということは別にいたしましても、株式や債券の資産構成割合については、運用の前提となる年金財政再計算上の経済前提との整合性をとりながら専門的に検討を行い、より小さなリスクでより高い収益を得ることができるというコンセプトでもって資産構成割合を選択しているものでございます。

長妻委員 そうすると、国共済も厚生年金、国民年金も同じ国がやっているものですから、説明は同じですよね。谷垣大臣も、先ほど言われたのは、リスクと収支のバランスをとるというお話だった。今、森副大臣は、より小さなリスクで収益を多く上げるということで、発言としては、より小さなリスクを強調されるということは、むしろ比率的に国共済より低くなきゃいけない気もするんですが、国共済に比べてこれだけ高い比率というのは何でですか。

 ここは財務金融委員会ですから、私は以前から疑念があるのは、やはりPKO、プライス・キーピング・オペレーションという、株価を支えるとか、そういう何か意図が仮にあるとすれば、国民の大切な金を、もうけるためじゃなくて別の意図でやったら損するのは当たり前なわけですから。これは何でこんなに比率が違うんですか。

森副大臣 結果としてなぜ違ってきたかということは私は説明できませんけれども、いずれにしても、平成十一年の財政再計算における経済前提のもとで、株式や債券ごとにリターン、リスクを推計して、必要な運用利回りを確保するために統計的に最適な資産構成割合を計算した上で、シミュレーションにより最もリスクの小さいものを選択してきたというふうに受けとめております。

長妻委員 説明できないですがと今言われましたけれども、そうしたら、この違いを説明できる方、谷垣大臣ですか、説明してください、違いを。質問していますから。

谷垣国務大臣 厚生年金の運用に関しては、私は、要するに担当者として説明する資格はないと思います。

長妻委員 そうすると、説明する資格がある人は副大臣じゃないですか。

森副大臣 今谷垣大臣がお答えになったのと同じことですが、説明できないと申しますのは、国共済との比較において云々かんぬんということを私は説明する立場にないということであります。

田野瀬委員長 もう質問時間が終了しておりますので。

長妻委員 そうしたら、だれが説明できるんですか。

森副大臣 厚生年金については、私が先ほど説明を申し上げましたとおりでございます。

長妻委員 何で違うんですか。その違いを説明できるのは、だれが説明できるんですか。森副大臣も谷垣大臣もできないと言うし。これは国会で質問していますから、我々は縦割りごとに質問しているんじゃないですから。

田野瀬委員長 長妻委員に申し上げますが、質問時間がもう終了しておりますので、事務局から説明させますので、これをもって終了したいと思います。(長妻委員「いやいや、だめです」と呼ぶ)

谷垣国務大臣 私どもの方の運用の指針といいますか哲学は、先ほど申し上げたとおりでございます。

 それで、表現は森副大臣の御説明と極めて共通しているわけでありますけれども、実際の運用に当たりましては、それぞれの運用当局者の、運用責任者の判断というものがあるんじゃないかと思います。それにつきましてはある程度裁量の余地というのがあるかと思いますが、国家公務員共済がこういうことでやっているというのは先ほどの哲学に基づいてやっているわけですが、あと、どういう御判断で厚生年金の方がああいう数字になっているのかは、私からはお答えは差し控えさせていただきます。

田野瀬委員長 最後の質問にしてください。

長妻委員 これでもう質問をやめますけれども、当然、判断でなされているんですよ。これは法律に書いていないですから。ですから、その判断の違いが出たのは何でですかと。

 ですから、国民の金はある程度危険にさらしてもいい、国家公務員の金は余り危険にさらさない、こういうふうに見られても仕方がないわけですよ、説明ができないと。そして、PKOという疑念もあるわけですから、きちっとしていただきたいと思います。

 以上です。

田野瀬委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌でございます。

 ただいまのやりとりを伺っておりまして一つ私が感じたことは、私がもちろん答弁できる資格がないことは前提でありますが、この国は限りなく官尊民卑だな、この底流に流れておるのは明らかに官尊民卑だ、もう一切合財がそういうふうに理解をすると非常にわかりやすい議論だな、このように思って私は聞いておりました。まあ、通告に基づいて少し質問をさせていただきたいと思います。

 我が党の中塚議員から議員の年金未払いの問題についてはいろいろと質疑がありました。実は、私も、今回の一連の騒動が起きたときに、だれに聞いたかといいますと、家内に電話をかけて聞いたわけですね。おれ大丈夫だろうなと言ったら、大丈夫ですよと。しかし、それでも心配なものですから、社会保険庁で調べてきました。もちろん問題なかったんですが、ちょっと外れておるかもしれませんけれども、この話だけ冒頭させていただきたいと思います。

 実は、これは家内の感想というか、お父さん、国会には優秀な人がたくさんみえると思うんだけれども、家内は、その指導を受けたのは市役所の秘書課の女性職員なんですね、そういう手続をちゃんと教える人が一人もおらぬのですかということであります。もちろん、制度の欠陥、それから認識の問題、いろいろあります。しかし、本当に基礎的な問題、国民の目から見ると全くわからない、理解されない問題だ、こんなふうに思っております。いずれにしても、早く法整備をするなりきちっと対処をして、国民の理解、納得を得られるようにしないと、これは本当に、ますます政治家不信、政治不信になっていくんではないかなというふうに思います。

 それでは質問をさせていただきますが、私は常々、こうして質問をさせていただくときに、まず現状打破、それから国民の目線、こういうことを主眼に御質問をさせていただくわけでありますが、きょうもそういう意味でその目線に立って御質問させていただきたいというふうに思います。

 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案ということでございまして、この法律を実は拝見しまして、理由書の一行目から二行目にかけて、国民年金法等の一部を改正する法律案の理由書の一行目、二行目と全く同じ文章なんですね。全く同じ文章。「少子高齢化の一層の進展等社会経済情勢の変化に対応した持続可能な制度を構築し、国家公務員共済年金制度に対する信頼の確保を図るため、」と。それから、国民年金の方も全く一緒で、「国民年金制度及び厚生年金保険制度に対する信頼の確保を図るため、」こういう理由書の最初の二行といいますか、まくら言葉というのか書き出しというのかわかりませんが、全く一緒なんです。

 そこで、ちょっと言葉じりをつかまえるような質問になってしまうのかもしれませんけれども、私は、今回のこの改正する理由、意義についてお伺いをしてまいりたいんですが、本改正案の提出理由は、今申し上げました、「少子高齢化の一層の進展等社会経済情勢の変化に対応した持続可能な制度を構築し、国家公務員共済年金制度に対する信頼の確保を図るため、」となっておるわけであります。

 そこで、この文章を聞いておって、ぜひこれは一遍よくお伺いしたいなというのは、まず、現在において、国共済年金制度に対する信頼性を確保しなければならない、何らかそういう状況にあるんでしょうかね。ぜひ一遍この辺からお伺いをしていきたいと思うんです。いいですか、国共済年金制度に対する信頼性を確保しなければならないということであるならば、何らかそういう確保しなければならない状況にあるのか、それは具体的にどういうことなのかということを、まずお教えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

杉本政府参考人 お答えいたします。

 国共済制度についても、受益者、受給権者がこれからどんどんふえていくと考えられまして、それに対応するために、需給構造、給付と負担の構造ということを考えなければなりません。厚生年金、国民年金と全く同様の状況が国共済についてもこれから進展していくわけでございますので、そういう状況を踏まえまして給付を一体どうするのかということを考え直さないと、これからの持続的な制度につながらないということでございます。

鈴木(克)委員 そういうことだと思うんですが、そうすると、結局、だれが信頼をするということを確保するか、ここが問題なんですよね。本法の適用者の、要するに組合員なのか一般国民なのかということなんですよ。

 国共済制度は公的年金制度の一翼を担う、また、事業主として国が共済組合員と折半で負担する保険料は税金である、これはそうですよね。ということから、形式論的に本法適用者の国共済組合員と限定して考えるのは果たして妥当なのかどうか、ここなんですよ、私が聞きたいのは。一般国民の信頼の確保を図るための改正法案の提出であるならば、一般国民の目線で国共済制度を検討していかなければいけないんではないか、こういうことなんです。この点について御所見はいかがですか。

谷垣国務大臣 これは先ほど政府委員が述べたところが一番基本かと思いますけれども、今鈴木委員のおっしゃった観点からいいますと、やはりこれから人口構成が変化していくという大きな流れの中で、国共済も公的年金制度の一部でございます。それで、当然これは基礎年金というようなことでは国民年金、厚生年金とも共通しているところがございますから、一つが崩れてくると、一つがふらふらしてきますと、全体に響いてくるというところがあろうかと思います。そういう大きな流れの中で、私どもも、国家公務員共済をしっかりしていかなきゃいかぬという要請は当然あると思っております。

鈴木(克)委員 本当に、冒頭からちょっと理屈っぽい話、言葉じりをつかまえたような話なんですが、私がなぜこんなことを言い出したかというと、冒頭申し上げましたように、国家公務員共済の理由書も国民年金の理由書も全く同じ文章で始まっておるものですから、そうすると、本当に今回この改正をする理由とか意義というのは、やはり国民のためにという底流がなくてはならない。さっきの議論は国民を軽視するという底流の議論だったわけですけれども、私は、それでは絶対にならない、こういう思いからこのようなことをまず申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、続いて厚生年金改正法案との比較で少しお伺いをしたいわけですけれども、厚生年金と同様の改正を行った点、どこが同様なのか、それからまた理由、それから、厚生年金と異なる改正を行った点、そしてその理由、これをひとつお示しいただきたいんですね。

 特に、今回の年金制度改革において、給付と負担のあり方が注目をされてきたわけですよね。給付に関しては厚生年金と同様の改正を行っていながら、負担に関しては異なった取り扱いをしておるわけですよ。これはなぜなのかということなんです。

 厚生年金においては、世代間の負担の公平の観点や現役世代の負担について不安を解消するために、最終的な保険料水準を法律上明示しておる。国共済年金の改正においては給付と負担との関係は明確ではなく、これは「国家公務員共済年金制度に対する信頼の確保を図るため、」という提出理由なんですが、私は、この提出理由と矛盾があるんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、その点、いかがでしょうか。

杉本政府参考人 まず、先生お尋ねの厚生年金改正法と同様の点でございます。

 一つは、給付水準の調整方式、マクロ経済スライド等の調整方式を導入するということでございます。二つ目は、基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の見直しでございます。それから三つ目、組合員である間に支給される退職年金につきまして、一律二割の支給停止がございましたが、この支給停止措置の廃止。それから、育児休業をしている組合員に対する掛金の免除措置の拡充。ほかにもございますが、こういったところが厚生年金制度の改正と共通しているところでございます。

 他方、厚生年金制度の改正と異なる点が大きく言いまして二つございます。

 一つは、今委員御指摘になりました保険料の決め方の問題でございます。申し上げましたように、共済年金の給付水準は、これは従来から厚生年金に準拠して決めるという方式をとっておりますので、この方式を維持することといたしまして、先ほど申し上げましたとおり厚生年金と同様の改正をしているわけでございますが、他方、国家公務員共済の財政状況、それから、受給者と現役の比率を示す成熟の度合い、こういったものが厚生年金とは異なっております。また、保険集団の規模が相対的に小そうございます。国家公務員共済は百万人強でございますが、厚生年金は三千万人を超えるようなところになっておりますので、保険集団が相対的に小さいということがございますので、マクロ的な経済の変化、例えば雇用者数の変化等がそのまま共済グループの変化にあらわれるということとはならない可能性が非常にございますので、保険集団が相対的に小さいということから、保険料水準も、例えば厚生年金と同様に固定するということになりますと、保険財政が非常に不安定になるということになるわけでございます。

 したがいまして、従来から、共済の場合の保険料につきましては、今後の収支見通しに基づきまして五年ごとに財政再計算を行いまして、財政の健全性が確保されるようにというやり方をとってきておりますが、今回もその財政再計算を行いまして、その結果に基づいて、保険料率については国家公務員共済組合連合会の定款で決めるという方式を維持することとさせていただいております。

 先生おっしゃいますようなお話は、母集団が小さいために、財政再計算をしていかないとマクロの動きと違った動きをしていきますので、その点を勘案しなきゃいけないということでございます。

 二つ目、厚生年金制度の体質と違っておりますのは、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合の財政単位の一元化でございまして、これは十三年の三月の閣議決定を踏まえまして、共済年金に要する費用の負担の水準の均衡を図りますとともに、長期給付の円滑な実施を図るための財政調整の仕組みを導入するというところが二つ目の異なっている点でございます。

鈴木(克)委員 伺えばそういうことかなということですが、冒頭申し上げましたように、何かこれを見て、今までは、前回のときは給付水準維持方式ということで給付水準を維持し、少なくとも五年ごとに行う財政再計算の際に保険料水準の見直しを行うということで、両方とも一緒だったわけですよね。

 今回は、要するに厚生年金については保険料水準固定方式ということで、千分の百三十九から、百三十九・三四ですか、ずっと年度が先に行くにつれて千分の百八十三ということで出ているわけですよね。ところが、国共済、私学共済は、少なくとも五年ごとに行う財政再計算の際にということで、明らかにこれは違っておるわけですよね。

 これを見ると、何か恣意的に、分母が小さいからと言われれば、それはそのとおりかもしれませんけれども、私が冒頭申し上げた、国民の目線で、だれのための改革かということからいくと、このところはなかなか理解されにくいんではないのかなということを感じたものですから、あえてこの場で、このところは本当にきちっとしておいてもらわないと、国民も誤解、そして、理解しにくいんではないのかなという気がするわけであります。

 続いて、これは、午前中といいますか、まだ午前中ですが、最初に中塚議員が相当突っ込んでおやりになったので、私も簡単に申し上げておきたいというふうに思うんですが、要するに地方公務員共済年金制度との財政単位の一元化について通告をさせていただいておるわけでありますが、その第一番が、先ほどもお話がありましたけれども、昭和五十九年二月の二十四日に閣議決定がなされておるわけですよね。このときは、「公的年金制度の改革について」ということで、基礎年金制度の導入を柱とした年金制度の改革、船員保険の職務外年金部門を昭和六十一年度に厚生年金保険に統合、それから、昭和七十年、平成七年を目途に公的年金制度の一元化の完了、こういうふうに昭和五十九年の二月二十四日の閣議で決定をされておるわけですね。

 私、この閣議決定というのもぜひ大臣にお伺いしたいんですが、重いものであり、しかも、それに向かって全力で、これは国を挙げてその方向に向かって努力をしていかなきゃいけないし、特にお役人は、そういう閣議決定がなされた以上、政治家も公務員もそうですけれども、その方向に向かっていくということなんですが、閣議決定というのはそんなに重くないんですかね。私は、閣議決定というのはもっともっと重いものだ、こういうふうに思っておるわけですが、この点はなぜ進展しなかったのかということを一度ぜひお伺いをしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 この公的年金制度の改革については、今お引きになった昭和五十九年の閣議決定、それから、比較的最近では平成十三年三月に公的年金制度の一元化の推進ということで閣議決定が行われております。

 もちろん、閣議決定というのは重いものでございますし、閣議決定に行くまでには相当議論も積み重ねてやるわけですが、いろいろ、何というんでしょうか、五十九年というとかなり前のことになりますので、当時とは必ずしも現在事情が同じくしないこともあろうかと思います。

 ただ、政府の考え方、公的年金制度の一元化ということを特に最近では十三年の閣議決定で言っておりますけれども、これを説明するとき大体引かれるせりふは、就業構造の変化であるとか、あるいは制度の成熟化の進展に対応して安定化、公平化を図るためにというような説明になっていると思います。

 そこで、就業構造の変化というのはどういうことかということになりますと、それは一つは年齢もありまして、どこかのところだけが非常に多くなって、これから団塊の世代がどんどん退職していけば、そこの年金負担がふえてくるとか、そういう年齢構造の変化もございましょうし、それから、かつての国鉄と申しますかJR等に典型的にあらわれますように、産業の栄枯盛衰というようなものも、その分野の栄枯盛衰というようなものもあろうかと思います。

 それからもう一つは、私どもも、かつてと非常に違っておりますのは、かつては終身雇用なんというのが相当ございまして、制度間の移転というようなことも余り考えなくてよかったわけですけれども、現在は、そういう意味では割合流動性が高まってきたといいますか、そうなりますと、一元化の方向でいろいろ議論をしていかなきゃならないということがあろうかと思います。

 こういったことは、昭和五十九年当時あるいは以前とではまたかなり変わってきている面がありますから、その都度その都度、議論をしていかなきゃいけないと思いますが、そういったことを踏まえて、どういう年金制度が必要なのかという議論をやっていかなきゃいかぬのじゃないか、平成十三年度の閣議決定が我々の当面の前提でございますから、そんなふうに考えております。

鈴木(克)委員 そこで、続いてお伺いしたいんですが、今回の公的年金制度の一元化と財政単位の一元化というのはどう結びついておるのか、財政単位の一元化を行う意義は何か、これについて中塚議員からも同じような関連した質問がありましたけれども、改めてもう一度お伺いをしたいと思います。

山本副大臣 国共済と地共済の財政単位の一元化の内容といたしましては、保険料を平成十六年から段階的に一本化し、平成二十一年に同一の保険料とすること、もう一つは、費用負担を平準化いたしまして、年金の円滑な給付を確保する観点から両制度間で財政調整を行うということでございます。これによりまして、財政単位の拡大をすることができますし、また、安定性が飛躍的に高まるというものでございまして、公務員という職域に適用される共済年金制度を公務員全体で支え合う仕組みが構築されるということになるわけでございます。

 また、平成十三年の閣議決定に示されました公的年金制度のさらなる一元化を図る上からも大変意義深い措置であると考えておりまして、今後、こういうメリットを生かしていきたい、こう考えるわけでございます。

 以上です。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(克)委員 一元化というのは一体全体何なのかという議論をもう一度また改めてさせていただかないと、これはとてもそんな話ではないなというふうに今感じました。

 ちょっとメリット・デメリット論をお伺いしたいんですが、今回のこの一元化で、メリット、デメリット、また、一元化へ持っていく手法というとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、この辺はどんなふうにお考えになっておるんでしょうか。

杉本政府参考人 財政単位の一元化と申しますのは、複数の年金制度の財政単位を一体のものとしてとらえまして、これを計算の基礎として年金財政を運営していくということでございます。

 内容としましては、先ほど副大臣から御答弁がありましたとおりでございまして、メリットと申しますのも先ほど御答弁がありましたとおりでございますが、財政単位が拡大する、国家公務員の共済組合の組合員が百十万ぐらいでございますのに対しまして、地方公共団体の方が三百万人を超えるところでございますので、先ほど母集団が小さいと申しましたが、その小さかった母集団が四百万人程度になりますので、四百万人強になりますので、そういう意味では、財政単位の拡大を通じて制度の安定性が高まる、マクロとの、いろいろな移動の大きさのショックが大数の法則によって吸収される限度が大きくなっていくということで、制度が安定するということが一つだと思っております。

 それから、公務員という職域に適用される年金制度が、地方、国を通じまして公務員というカテゴリーの中で支え合っていくということで、年金の全体、被用者年金の一元化についての一つの道筋と申しますかステップということにも位置づけられる部分だと思っております。そういう意味から地共済と国共済のメリットということが考えられるんだと思っております。

 そういう意味で、デメリットはと申しますと、それは、今までいろいろなことがございまして、なかなか話し合いが難しいという、例えば保険料率の違い等がございまして、国共済の保険料率の方が地方共済の保険料率よりも高いということがありまして、これを一本化していくという作業は非常に大変なものでございますので、そういう意味では、一本化することについて、個々のところにはデメリットを感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、制度全般としてはそういうことも一つの、保険料率の一本化ということで、今申し上げましたような観点からすれば、全体的な観点からいたしますと、メリットということに考えられますので、具体的なデメリットがあるというふうには考えておりません。

鈴木(克)委員 私は、今の答弁を聞いておって、本当にこれで一元化できるのかな、正直言ってそんなふうに思えてなりません。

 今おっしゃったように、これは、地方公務員共済制度の負担が重くなるとか、本当に乗り越えなきゃならない大変な課題があるわけですよね。だから、内閣で決議しても進まなかったわけですよ。だから、私は今度もそう簡単に一元化が進んでいくというような気がしないものですから、あえてお伺いをしておるわけでありますが、もちろん、これはできないから仕方がないということではありません。何が何でもしなきゃならないわけですから、我々はその覚悟を持って臨んでいく必要があるのではないかなと思います。

 そこで、大臣にぜひお伺いしたいわけでありますけれども、「年金改革三党合意 一元化なおハードル 玉虫色決着否めず 抜本改革論議の岐路に」ということで、「一元化をどこまで進めるかも与野党で距離がある。政府・与党は、あくまで会社員や公務員ら被用者対象の一本化で、仕組みが異質な国民年金は含まないとの立場。」かどうかわかりませんけれども、そういうふうに書いてあります。それから、「国民年金を含めた一元化を求める民主党と対立は解けていない。」こういう報道があるわけですが、先ほど私は本当に今回この一元化は大丈夫なんですかということを申し上げておるわけでありますけれども、その辺、大臣、今の立場で一元化について本当にどういう決意を持って、また、どういう手法でやろうというふうにお考えになっておるのか、お示しをいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 鈴木委員が地方自治の現場でいろいろ御苦労されまして、そういう中で地共済と国共済の一元化だって、それぞれ利害得失、デメリットがあって、そう簡単なものじゃないよと。特に、それぞれがどれだけ今まで拠出といいますか出していただいてゆとりがあるか、それぞれ得である損であるがございますから、得な方にとっては合併したいけれども、損な方にとってはしたくないという現実があります。そういう中で、この地共済と国共済が財政単位を一元化するということでやりましたのは、私は、将来を見渡しますと、やはり非常に意味のあることじゃないかと思っております。これは、平成十三年の閣議決定に基づいて十六年度までにやるということでやってまいりました。

 今後の議論でございますが、三党合意で、社会保障全体の見直しの中で一元化の議論が行われていくということであります。まだ、この三党合意の中からどういうものが生まれてくるかというのは、正直申し上げて私もわかりません。刮目してこの議論を見なきゃならないと思いますが、私は、その議論でどういう方向が出てくるか、まだ十分な予測は持っておりませんけれども、地共済と国共済の今度の改革は、その議論の中で必ず、少なくとも前さばきの役割は確実に果たしているんだろうというふうに考えております。

鈴木(克)委員 いずれにしても、もちろん、三年かけてきちっと議論をしていくということですから、ここであれするのは難しいかもしれませんが、今お話しのように、私も少ない経験の中で、例えば職業別の限界、公正さの問題、それから、もちろん今の共済、厚生の乖離の問題、そして、基本的には、また戻ってしまうんですが、官が得しておって民が損だという、このいわゆる国民の根本的な不信感をぬぐわない限り、国会議員の年金の問題もそうです、この部分を中途半端に避けて通ろうと思えば、これは絶対に私は進まなくなるというふうに思うんですよね。だから、本当にそういう意味で意を決してこの一元化については臨んでいかなきゃいけない、二十一世紀の最も大きな我々に課せられた課題の一つだ、このように私は思っておるわけでございます。

 次に、三階部分の話、これも先ほどの議論で出ておりますが、これについてもちょっとお伺いをしていきたいというふうに思うんですけれども。

 職域年金部分、俗に言う三階部分の導入の背景、趣旨、その給付水準、そして事業主の、国は事業主になるわけですけれども、この負担割合、そして年金支給額において官民格差が発生する理由、この辺のところをお伺いしたいと思っておったんですが、中塚委員から相当突っ込んで質疑がありましたので、私は少し絞って、どういう経過、理由で設けられたのかというところをもう一度わかりやすく御説明をいただきたいと思うんですね。おわかりになりますよね、質問の意味は。

 本当に、どういう経過なのか、国民の皆さんが一番関心を持ち、聞きたいのはそこだと私は思うんですよね。この部分をひとつぜひ、私のような者にもわかるように御説明をいただきたいと思います。

杉本政府参考人 六十年度に年金の制度の大きな改正がございました。このときに、基礎年金が導入されまして、年金制度共通で基礎年金というものができたわけでございます。そのときに、厚生年金は一階部分に対する二階部分というふうに整理されまして、共済年金をどうするのかという議論があったわけでございます。

 それまでは、委員御承知のように、共済年金と申しますのは、かつては恩給制度があったものを共済年金に変えましてやってきていましたけれども、公務員制度の一環としまして、一つの独立した制度ということで共済年金という制度を設計しておったわけでございます。それが六十年度の年金改正に伴いまして、基礎年金の上に上乗せする制度として設計を変更したわけでございます。

 そのときに、従来から、共済年金というのが公務員制度の一環としての制度でございましたので、民間においてどういうことが行われているのか、それから、公務員の特殊性といいますか公務の特殊性というものをどういうふうに勘案するのかということがございまして、一つは、民間におきましては厚生年金基金とか適格退職年金、さまざまな企業年金が相当普及している状況にあったということがございましたので、これを考慮しましたと同時に、公務員は、従来からの公務員制度の一環としてやってきたこともございますので、職務専念義務というものもございますし兼業禁止もございます、さまざまな再就職の制約とか守秘義務、いろいろな身分上の制約がございますので、そういったことを踏まえまして、国家公務員の退職後の生活の安定に寄与し、もって公務の能率的運営に資するという目的で職域年金部分が設けられたものでございます。

 諸外国におきましても、G7等の国々等を見ますと、やはり公務の特殊性ということで、それぞれ公務員につきましては、公務員制度というものを見ながら一つの年金制度というものをつくっておるようでございますので、そういった面も配慮されたのかと思っております。

鈴木(克)委員 杉本さんにぜひ私お伺いしたいんですが、これは、どの報道を見ても、国民の目線から見ても、明らかに公務員優遇の年金制度である。その部分は今言う上乗せの部分だ、こういうことを言われておるわけですが、あなた御自身、そういうふうに言われることに対してどのように思われますか。非常に納得いかないなのか、まあ、国民の目線から見ればそういうことなのかなと。こういう質問は余り受けたことはないかもしれませんけれども、やはり国民が知りたいのはそこなんですよ。本当に官僚のトップにあるあなたが、そういう国民の目線をどう感じてみえるのか、ぜひお聞かせください。

杉本政府参考人 どうお答えしてよろしいのか非常に難しい質問でございますが、いろいろな報道等でこの職域年金部分がいろいろな議論になっているということは私も十分承知しております。

 それで、今申し上げましたような公務の特殊性とかということから設けられたいわゆる職域年金部分、いわゆる三階建て部分でございますが、先ほどからいろいろ議論になっておるところでございますけれども、これから職域部分の、いわゆる被用者年金についても、先ほどの閣議決定にございましたように、一元化の枠組みというのをどう考えていくのかという議論が行われていくと思いますし、その公務のあり方というものもいろいろな面から議論が行われるのではないかと思いますので、そういった中で三階部分というのはどういうふうに考えていくのかということは、個人といたしましては、議論の対象になっていくんじゃないかと思っております。

谷垣国務大臣 今の御質問は、政府委員に答弁せよと言っても、なかなか政府委員としても答弁しにくいんじゃないかと思います。本来、私が御答弁申し上げるべきことではないかと思っておりました。

 それで、今後、一元化の議論が進んでまいります場合に、一元化の根底には、先ほど申しましたようないろいろな社会構造の変化に伴う制度の安定という要素と同時に、今、歴史的にばらばらにつくられてきた制度間の不公平をどう是正して公正なものにしていくかという視点もあるんだろうというふうに私は思います。

 したがいまして、今後の議論の中で、制度というのはできたら永遠不滅なものではありませんから、一般論で言って、適宜見直していかなければならないんだろうというふうには思っております。

 その際、特に考えなければならないのは、公務員制度というものはどういうものなのかという議論、全部年金だけの議論ではいけない面もあるんじゃないかと私は思います。公務員というもののいろいろな制約を負いながら、同時に高い意識を持ってもらわなきゃならないときに、こういう言葉で言うといけませんが、どういうメリットを、あめと言っては大変失礼ですけれども、そういうものが必要なのか必要でないのか、そこらの議論を今後詰めていく必要がありますし、そこらの議論が整理できませんと、一元化といってもなかなか山が越えられないんじゃないか、そういう視点で今後私も議論に参加してまいりたいと思っております。

鈴木(克)委員 時間も迫ってまいりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 冒頭の議員の皆さんの年金未払いの問題に最後はなるわけですが、詳しいことは、国家公務員共済組合法の第二条に、短期も長期も適用だ、共済組合員として適用だ、こういうふうになっておるにもかかわらず、例の七十二条で長期は適用外だ、ここから結局問題が出ておるわけです。全部じゃありませんけれども、一部の方々は出ておるわけですね。

 私は、先ほど大臣は民間人から登用される大臣等について今国会において改正をするというお話をされたわけですね、これはもちろんぜひ進めてもらいたいと思うんですけれども、この際、国家公務員共済組合法において、大臣、副大臣、政務官等について、短期給付は対象、そして長期給付を外しておるという、これを一緒に変えたらどうなんですかね。

 大臣の在任期間が短くて長期給付になじまない、こういう理屈が一つあるんだと思うんですよ。だけれども、通算年金制度というのがありますよね、現在。だから、加入期間が通算できるわけですから、この国家公務員共済法の第七十二条を今国会で変えるというような、民間人から登用された大臣の問題を変えるというんなら、やはり変えるべきだ、私はこのように思うんですが、いかがでしょうかね。

谷垣国務大臣 そこのところは今後の国会議員のいわば身分に関することでございますから、やはり国会の中である程度議論を詰めていただく必要があるかと思います。これは財務大臣というよりも私個人の感じでございますが、一方で議員の互助年金というものがある、それにさらに国家公務員共済というものが今度かぶっていくということをどうしていくかという問題に対して、ある程度整理をしなきゃいけないと思います。

 それで、先ほど中塚委員の御指摘だったと思いますが、しかし、国会議員の互助年金には基礎年金がないではないかということがございまして、これは、本来、国民年金に入るという前提で国会議員の互助年金もできているんだろうというふうに思います。その辺の周知徹底、制度の連携をどうしていくかというような議論がもう一つあるんじゃないか、これは全く個人的な見解でありますが、そう思っております。

鈴木(克)委員 これで終わらせていただきますが、いずれにしても、本当に冒頭申し上げた国民の目線からいくと、一体全体何をやっているんだ、ふざけるんじゃないよということが、国民の今の率直な政治そして政治家に対する目線だと。このことを我々は強く感じながら、本当に正すべきところを正していく。このような形で、ぜひこの国難といいますか大変厳しい国情をみんなでひとつ頑張って乗り切っていくべきではないかな、このことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 時間が押してまいりましたので、端的にお聞きをしますから、短くお答えをいただきたい。

 今度の法案では、共済年金の給付水準について、厚生年金に準拠して定める、あるいは水準の調整は厚生年金と同一の比率で行う、こういう説明がされているわけです。

 厚生年金については、政府は、モデル世帯で五〇%の給付水準を確保する、こういうふうに言っておりました。では、共済年金の場合はどうなるのか、五〇%を確保できるのか、まず大臣にこの点、お伺いしたいと思います。

山本副大臣 厚生年金の試算と同様の前提を置いた上で、国共済における平成三十七年、二〇二五年度における所得代替率を試算してみますと、夫は四十年間国家公務員、妻は四十年間専業主婦の世帯、モデル世帯の場合、四九・八%でございます。また、夫、妻ともに国家公務員として四十年間共働きの世帯の場合、三九・一%、四十年間国家公務員である単身男子世帯の場合、三八・〇%、四十年間国家公務員である単身女子世帯の場合、四〇・四%でございます。

佐々木(憲)委員 聞いたこと以外もお答えをいただいたわけでありまして、時間が大変節約されたと思うんですけれども、次の質問で聞こうと思っておりましたモデル世帯以外の世帯も、今、四十年間夫婦共働きの場合は三九・一、男子単身、女子単身の場合、それぞれ三八・〇、四〇・四。

 こうなりますと、最初のモデル世帯でも五〇%を確保ということではなくて、それを割っているわけですね、四九・八ですから。そのほかの世帯構成、世帯類型の場合も三割台、四割台、こういうわけでありまして、何か五割五割と、五〇%ということが盛んに言われておりましたけれども、実際にはすべての世帯で四割台、三割台、こういうことが今答弁の中で明らかになったわけであります。

 それでは、この水準というものがその後も、つまり、六十五歳の段階でそうである、その後もこれが維持されるという保証があるのかどうか、次にこの点をお聞きしたいと思うわけであります。

山本副大臣 その保証はございません。

佐々木(憲)委員 保証はございませんですか。ないと言ったんですね。はい。

 これは、政府は、五〇%を給付と言って盛んに宣伝をする。実態は、今言ったように四割台、三割台だと。しかも、三割台、四割台が保証されない、もっと下がるということですね。こうなると、五〇%という、いわば国民に対して全く実態と違うことを宣伝していたということになるわけであります。

 それでは、具体的にどうなるのか。モデル世帯でいいますと、最初は四九・八ですから、その後、例えば七十歳、七十五歳、八十歳、八十五歳、何%になるのか、数字を言ってください。

山本副大臣 七十歳のとき、すなわち、六十五歳の人ですから、二〇三〇年というときには四七・二%、七十五歳のとき、二〇三五年には四四・七%、八十歳のとき、二〇四〇年には四二・三%、八十五歳のとき、二〇四五年には四〇・一%となります。

佐々木(憲)委員 結局、最終的に約四〇%だと。こうなると、五割、五〇%と言っていたものが全く保証されない、しかも、これは四割だ、どんどん下がっていく、こういうことになるわけですね。

 そうすると、先ほどの男子単身の場合、女子単身の場合、これは八十五歳の時点でいいんですけれども、何%になるんですか。

杉本政府参考人 お答えさせていただきます。

 男子単身の場合、八十五歳で三〇・六%、女子単身の場合、八十五歳で三二・五%でございます。

佐々木(憲)委員 こうなると、これは約四〇%なんという話じゃなくて三〇%、こうなってくるわけで、五割だ、五〇%だ、あるいは百年安心だと言うけれども、将来は本当に惨たんたる給付水準だということが明らかになったわけであります。私は、これは非常に大問題だというふうに思います。

 では、一体保険料はどうなるのか。五年ごとに再計算ということなんですけれども、最終的に何%程度になるのか、示していただきたい。

谷垣国務大臣 国共済の保険料率は、一元化の相手である地共済と今後調整しながらことしの十月までに財政再計算をやって結論を出すということになっておりますので、今明確にお答えすることは、材料がちょっと調っていないわけなんですが、一定の前提を置いて暫定的に試算は行っております。

 これは、国共済と地共済の共済グループの一本化された保険料率を毎年〇・三%ずつ引き上げていくという前提でやりますと、最終保険料率は二〇・三%である、それから、毎年〇・三五四%ずつ引き上げる場合は一九・九%程度、さらに、〇・四%ずつ引き上げる場合には一九・七%程度となるというふうに今試算をしております。

佐々木(憲)委員 負担の方はどんどん上がっていって二〇%前後になる、給付水準は三割、四割、こういう状況は、これは非常に大変な負担増、大変な給付減ということだと私は思うんです。

 先ほどから議論になっております職域年金部分ですけれども、先ほど、なぜつくられたかという説明がありました。これは、退職後の生活の安定に寄与する、公務員の置かれた特殊な立場を踏まえて、そのためにつくられたんだというふうに言われました。

 私は、全体としてこういうふうな給付水準が大幅に低下していくという状況の中で、こういう特別配慮されて設けられた部分というものは、やはりそれなりの意味があるというふうに思うんです。全体的な年金の改悪という状況の中で、やはりできるだけそういう生活を支えていく部分というものが必要である。私どもは改悪そのものに反対でありますけれども。

 一元化ということはありますが、しかし、その一元化の中で、低いところにどんどん一元化するんじゃ、これは全然話にならぬわけでありまして、やはり一元化は、一定の水準、生活できる、安心できる、そういう水準で一元化するというのが本来のあり方でありまして、何か国家公務員は特別だ特別だ、それをどんどん削って、それで低いところに全部合わせるんだというんじゃ、これは年金の大改悪でありまして、私どもは、そういう点で、この職域部分というものはしっかりと位置づけることが大事だということを指摘しておきたいと思うんです。

 さて、そこで最後にお聞きをしたいんですが、年金の支給開始年齢というのは、六十歳からどんどん繰り延べになりまして六十五歳というような状況で、将来またどうなるかわからない。そうすると、国家公務員、地方公務員の場合、これは定年というものが一応六十歳ということですね。定年で退職して、その後、年金支給まで結構空白がある。一体どうするのかというのが問題になるわけであります。

 定年を延長するというのが一番いいんですけれども、その対応は一体どういうふうにされているのか、お答えをいただきたい。

小澤政府参考人 定年延長の問題でございますが、現在のところ、民間の状況を見ますと、定年年齢六十歳というのが大体九割、さらに六十歳後の雇用制度につきましては、大部分の企業が再雇用ということが一般的であります。したがいまして、現時点におきましては、国家公務員の場合には再任用制度というのを活用していくのが現実的であろうというふうに考えております。

 ただ、定年延長につきましては、引き続き、民間企業における高齢者雇用、この動向を注視しながら、今後の課題として検討する必要があるだろうというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 その再任用制度ですけれども、一応退職をした後再び雇用するということでありますが、そういう制度がつくられておりますけれども、実績はどうなんですか。退職をした人数に対して再任用された実態、比率、それを示していただきたい。

関戸政府参考人 お答えいたします。

 平成十四年度における再任用者の実態が一番新しい数字でございますけれども、給与法適用職員について申し上げます。

 十三年度の定年退職者が十四年度に再任用されるというのが一般的でございますが、十三年度の定年退職者は六千二十七人でございまして、このうち六百十六名が再任用されております。率で言いますと一〇・二%となります。

佐々木(憲)委員 一〇・二%、一割ですね。これでは、年金の支給開始年齢まで収入を得るということがなかなか厳しい状況になっている。再任用という制度をつくっても、実際は機能していないと言っても私は過言ではないと思うんです。実際に、希望調査の段階で、定員の枠がないんだということで拒否されるとか、あるいは当局が提示した条件とも合わないということで辞退するとか、そういう事例、私は具体的に聞いております。

 これを克服するためにはどうするかということが大変重要でありまして、今は、例えば再任用でフルタイムあるいは短時間勤務者、パートタイマー、この場合も定員の枠に縛られまして、なかなかこの採用が制約されるということで、例えば再任用職員の定員管理については弾力的に適用する、例えば、フルタイムの場合、弾力的に適用する、あるいはパートタイマーの場合には定員の枠の外で採用する、こういう対応をしていかないと、これは実績が上がらない、所期の目的に達することができないんじゃないかと思うんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 行政機関における定員管理でございますが、恒常的な業務を行います常勤の職員につきましては、定年退職後再任用される職員であると否とにかかわらず、行政機関の膨張を抑制する観点から、行政機関定員法で定員の最高限度が法定されておりまして、そのもとで、毎年度予算編成過程の中で、全体として抑制しつつ、真に必要な分野には適切に定員を措置いたしているところでございます。

 それから、定年退職後、再任用される短時間勤務の職員でございますが、常勤の職員ではございませんことから、ただいまの総定員法の枠内の定員ということにはならないわけでありますが、行政の肥大化を来さないというようなことで、その定数を別途管理いたしておりまして、短時間勤務職員の導入により軽減された常勤職員の業務量に見合う定員を、いわば総定員法内定員を削減することにいたしております。

 定員は、あくまで行政需要に応じて決定されるべきものでございまして、また、現下の厳しい行財政事情にかんがみますと、高齢公務員の雇用のためとはいえ、行政の肥大化は許されるものではないと考えておりまして、再任用される国家公務員につきましても厳正な管理が必要と考えておるところでございます。

 再任用制度の活用でございますが、以上申し上げました、公務の能率的運営を図ることを基本といたしまして、そのもとで、例えば短時間勤務が可能な職種を検討するとか、各省と十分に相談しながら、定員管理の面でも適切に対応してまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 柔軟に対応するということを要請したんですが、どうも硬直的な答弁で、なかなかその点について明確な方向性が今出ていないように思うんですね。これはぜひ再検討していただきたい。

 一方で、高級官僚の天下りはどんどんどんどん行われている。これは一〇〇%ですよ。ところが、一般職のこういう方々については、再任用という制度はつくったけれども、実績は一割しかない。こういうことでは余りにも落差が大き過ぎるという点を最後に指摘して、質問を終わりたいと思います。

田野瀬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 本法案反対の最大の理由は、マクロ経済スライドの導入により、国家公務員共済年金の給付水準を、今後毎年、国会審議抜きで自動的に引き下げようとしていることであります。

 政府は、給付水準の調整は厚生年金と同一の比率で行うとしていますが、政府の示すモデル世帯でさえ、その給付率は、現役世代の平均収入の五〇%を割るものとなっております。加えて、本委員会の審議でも、給付水準が今後一層低下することが浮き彫りになりました。

 このようなマクロ経済スライドの導入による年金給付の実質価値の引き下げは、公的年金制度の重要な機能の放棄であり、歴史的な大改悪であります。

 第二の理由は、具体的な保険料率は、従来どおり五年ごとの財政再計算で決定することとしているものの、今後毎年、厚生年金と同水準での保険料引き上げを予定し、二〇二五年には約二〇%もの高い水準の保険料率を押しつけようとしていることであります。

 小泉内閣による七兆円の負担増計画が推し進められているもと、こうした連続的な負担増は、現役の国家公務員と年金生活者である国家公務員OBを初めとする国民の生活と暮らしを圧迫し、消費の減退を長期にわたってもたらすものであります。

 最後に、再任用制度の問題についてであります。

 本来、この制度は、職員が定年退職後に不安を覚えることなく生活でき、また、長年培った能力と経験を有効に発揮できるように設けられたものであるはずです。しかしながら、現状は、退職者の約一〇%しか再任用されていないことが本日の審議でも明らかになりました。今後、この制度を実効あるものとして機能させること、年金制度の大改悪の前にこのことが一層求められていることを強調して、私の反対討論とするものであります。

田野瀬委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 これより採決に入ります。

 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田野瀬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十三分散会


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