衆議院

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第26号 平成16年5月26日(水曜日)

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平成十六年五月二十六日(水曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 西野あきら君 理事 萩山 教嚴君

   理事 山本 明彦君 理事 島   聡君

   理事 中塚 一宏君 理事 長妻  昭君

   理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    熊代 昭彦君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      河野 太郎君    七条  明君

      谷  公一君    谷川 弥一君

      中村正三郎君    西田  猛君

      林田  彪君    原田 令嗣君

      増原 義剛君    宮下 一郎君

      森山  裕君    渡辺 喜美君

      五十嵐文彦君    小泉 俊明君

      鈴木 克昌君    武正 公一君

      津川 祥吾君    津村 啓介君

      野田 佳彦君    馬淵 澄夫君

      前田 雄吉君    松原  仁君

      村越 祐民君    吉田  泉君

      和田 隆志君    谷口 隆義君

      長沢 広明君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国務大臣        

   (金融担当)       竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   財務副大臣        山本 有二君

   財務大臣政務官      七条  明君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    五味 廣文君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 青山 幸恭君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  仙谷 由人君     古川 元久君

  藤井 裕久君     野田 佳彦君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  田中 英夫君     谷  公一君

  増原 義剛君     倉田 雅年君

  古川 元久君     和田 隆志君

  村越 祐民君     前田 雄吉君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     増原 義剛君

  谷  公一君     田中 英夫君

  前田 雄吉君     村越 祐民君

  和田 隆志君     古川 元久君

    ―――――――――――――

五月二十六日

 中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案(中山義活君外五名提出、衆法第四号)

同月十七日

 消費税の増税反対に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二三五三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四三二号)

 消費税率引き上げ、増税反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二四三三号)

同月二十六日

 消費税の増税反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第二四九六号)

 消費税改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五三五号)

 同(石井郁子君紹介)(第二五三六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五三七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二五三八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五四一号)

 同(山口富男君紹介)(第二五四二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房審議官青山幸恭君、金融庁検査局長佐藤隆文君、金融庁監督局長五味廣文君、総務省郵政行政局長清水英雄君、法務省民事局長房村精一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。

河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。

 二年間、我が国の通関情報処理センターの問題をやっておりまして、前進しているのかどうかわかりませんが、きょうは大臣もおいででございますので、少しこの問題に決着をつけたいというふうに思っております。

 我が国の関税を徴収するための電子情報処理組織は極めていかがわしい状況になっております。これはどういうことかといいますと、関税を徴収する、つまり国の業務をやるシステムであるならば、手数料を徴収するなどということは本来あり得ないはずなんですね。ところが、我が国では、関税を徴収するための電子情報処理組織に、関税徴収あるいは税関業務とは関係のない業務をやるソフトウエアをくっつけて、これを民間企業に提供している。そういう名目で、この情報処理組織を使う民間企業から手数料を取っている。

 かつては特殊法人でございました。今は、その特殊法人が独立行政法人になっております。この二年来私が主張しているのは、関税を徴収する、あるいは税関業務に必要な電子情報処理組織に関しては、万人がこれを使うことができなければならないと思います。しかし、今、この通関情報処理センターなる、もとの特殊法人、今は名を変えて独立行政法人になっておりますが、このセンターが勝手につくって勝手につけ足している部分に関しては、民間企業としてここは必要がありませんと言えばそこを使う必要はない、そういう自由が認められてしかるべきだと思うんですね。

 つまり、国は、関税を納める、あるいは税関業務に必要なところを電子化しました、そのために必要なシステムはこれで、ここには皆さん自由にアクセスをして、それで届け出をするなり業務を行ってください、それとは別に、これを使ったら便利じゃないかというシステムがあって、これを使うこともできますよ、こっちを使うときには、そのかわりセンターにその手数料を払ってくださいね、だけれども、別にこのソフトを使わなくてもいいですよ、そのときには、関税あるいは税関業務に必要なシステムには直接アクセスをしていただいて、あるいは別のシステムからアクセスをしていただいて、このシステムに関する手数料は取りませんというのが筋だと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 河野委員らしく、大変理念的な御質問だと思うんですね。

 私は、河野委員のように理念的には考えておりませんで、やはり今のNACCSの仕組みというのは、多分、世界の税関と、それから物流を港あるいは空港でさばいていく中で最も効率の高い制度を築いてきていると思います。そういう面から私はこの制度の存在意義をとらえておりまして、河野委員のような理念的なとらえ方は必ずしもしておりませんので、うまく河野委員の御質問にお答えができるかどうか、ちょっとその点はこのような答弁でお許しをいただきたいと思っております。

河野(太)委員 大臣は多分、事実を余り認識されていないんだと思うんですね。と申しますのは、NACCSというのはどういうシステムだったか。

 二年前までは、例えば税関が仮に九時から五時まで開いています、システムを九時から五時まではどうぞ自由にお使いください。ところが、このNACCSというシステムが一時から三時までダウンしました、使えません。二時間使えないものですから、九時から五時までの間に業務を終わろうと思っていた民間企業は、その二時間分後ろに出っ張ります。五時じゃ終わらないから七時まで使いますというと、何をやっていたかというと、五時から七時までは残業代を払わせていたわけですよ。

 要するに、NACCSがダウンしたという自分サイドの問題であるにもかかわらず、自分サイドの問題を相手方の民間企業に押しつけて、いや、五時でうちは終わりだ、それよりも長く使うんだったら、おまえらが残業代を払えということをやっておりました。二年前の独法の特別委員会で、こんなばかなことがあるのか、そういう質問をしたら、やっとそれをやめたんですね。

 つまり、今のNACCSというのは、世界に冠たるかどうか、どういう説明が役所からあったかわかりませんけれども、使いたくなければ使わなくたっていいようなレベルのものでしかないんです。関税や税関業務をやるために便利だからこの電子システムを使ってくださいというならば、それはそうだと思いますよ。しかし、使いたくもない民間業務のためのソフトウエアを継ぎ足して、税関やら関税を支払うためのシステムにアクセスしようと思ったら、その前の民間業務のシステムまで使わなきゃこっちにアクセスができませんというのは、要するに、そのソフトは独占状態にあるわけですね。

 つまり、民間企業がこのNACCSというシステムにアクセスしようと思ったら、通関情報処理センターという旧特殊法人が、極めてサービスのレベルも悪く、しかも、手数料なんか文句が出るたびにどんどん下げているような組織ですから、費用だって、どこまで正当な費用かどうかわからぬ。そういう品質もコストも問題があるようなものを、国が無理やり民間企業に、これを使わなければ税関のシステムにアクセスさせないというようなことをやっていた。しかも、このシステム自体は、NTTデータが毎年毎年、毎回毎回、随意契約で、今七百億円近い残債が残っているレガシーシステムでございます。

 このレガシーシステムを平成十九年なり二十一年に更新するときに、私が申し上げているのは、税関あるいは関税に必要なものと、それとは関係のないものとをきちっと分けて、税関業務に必要なものへのアクセスをきちんと開放しろ、通関情報処理センターが出しているソフトを使いたければ、それは別枠で、それに対してだけ手数料を取って、本来国の業務であるはずのシステムへのアクセスは自由にするべきだというのが私の主張でございます。

 大臣、いかがお考えですか。

谷垣国務大臣 レガシーシステム一般の問題はあると思います。これはやはりよく議論をしなきゃなりません。

 それで、問題は、これは何年かたったときに、十九年でしたか、システムをまた新しくしなきゃならないということがございますから、それはそのときのいろいろな技術水準に合わせ、いろいろな利害得失も考えて十分検討すべきことだと思います。

河野(太)委員 では、大臣は、何ですか、今のように、必要もないようなシステムを必ず民間が使わなかったら、しかも、そこで必ず手数料が処理センターに落ちるようなシステムでなければいかぬとお考えですか。

山本副大臣 まず、河野委員の御指摘の一般論というのは正しい考え方であろうというように考えております。官が、民でできることを率先してやる必要のない、そういう時代であるという認識、これはまさしく間違いございません。

 それからまた、このNACCSの現状が、ほぼ輸入輸出の関係の民間団体が使わざるを得ない、事実上そうなっているという事実もまたこれあるだろうというように思います。

 しかし、翻って考えてみますと、このNACCSができた淵源というのは、そもそも電子情報、すなわちコンピューター化するという時代的要請で、昭和五十二年から、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律第八条、これによって設立されてきたわけでありまして、当時民間で、この電子情報システム、すなわちコンピューター化を率先してやるだけの負担を一会社でできるかどうかというと、疑問なしとしない時代であったわけでございます。

 実際、今でも、輸出輸入についての申告手続、事項登録、通貨換算、課税計算など、申告する手続については、書面に基づくならば、このNACCSを使わなくてもいいわけでございまして、さらには、携帯品あるいは郵便物、これもまたNACCSを通さずできるわけでございます。

 そう考えますと、電子情報を早急に入れてしまって、しかもそれが特殊法人でやり出して、しかも時代の要請でいろいろなソフトをつけて、また、毎年毎年プログラムを更改していくというような作業の中で、いわばここでしかできないというような認識を民間に、市場に持たせてしまったというようなことについては反省しつつ、これから改善の余地があるだろうというように考えておるところでございます。

河野(太)委員 電子政府構築計画というものがございます。平成十五年七月。これが平成十六年度版、多分更新をされることになるんですが、この中に、港湾その他のワンストップ化というところがございます。

 それは、今の輸出入、港湾は、財務省あるいは国交省その他いろいろな役所にまたがって何やら手続をしなければならない、それが非常に面倒くさいという状況になっています。この輸出入、港湾のシステムをシングルウインドーにする、あるいはワンストップ化する、これは大変いいことだと思うんですが、このシングルウインドーとかワンストップというのは、役所にまたがっているものを一つのことでできるようにする、そういうワンストップ化、シングルウインドーでなければならないと思うんですね。

 ところが、電子政府構築計画案なる文書を見ると、そこに何だかわけもわからず、民間との連携を推進しみたいな文言が入れられているんです。官が使うのではない、民に使っていただくシステムを構築するときに、それは民間と連携をするのは当たり前のことなんですね。そういうことをわざわざ、このシステムに限ってそういう文章が入っているというのは、現在のNACCSのようないかがわしいシステムをさらに延長するための布石ではないかと疑わざるを得ないわけでございます。

 副大臣の今の御答弁にいただきましたように、少なくとも、最初にNACCSのシステムを入れた状況から、現在の状況は、情報化、大変進んでおります。どう考えても、官がレガシーシステムで提供するよりも民間のソフトウエアハウスなりなんなりが提供するシステムの方が効率的であり、価格も安いであろう、容易に想定できるわけでございますから、次の更新時には、ここはきちんと分けてシステム設計が進められ、必要のないところはNACCSは使わなくていい。つまり、今はNACCSを使いたくなければ紙でやれという話ですから、それは、しようがないから多少手数料を払ったって電子でやる方が効率的だという話になりますが、この次の段階は、電子でやるときも、NACCSを使うのかあるいは直接に必要な官のシステムにアクセスするのかという選択肢が民間企業に与えられる、そう理解してよろしゅうございますね。

山本副大臣 河野委員御指摘のとおり、これから改革するために、何らか新しい考え方を導入しようという意気込みでやっていることは事実でございます。

 まず、現在でございますけれども、紙だけでしかこのNACCSに代替できないのか、こういいますと、そうではござません。既にこの分野にも民間参入が見られておりまして、特に、CuPES、こういう、個人輸入の業者が新しいシステムで申告制度をやろうじゃないかということで、現在参入をしております。したがいまして、現在でも、NACCSにかわり得るもっと魅力的なシステムが構築されてそれをサービスしていただけるならば参入できるという考え方があることを御承知ください。

 ただ、NACCSにおきます業務の中身でございますけれども、いわば確定申告、春、個人、法人がやります確定申告、これと非常に似ておりまして、事項登録があって、そして通関、関税、課税計算などというような準備作業があって、それから役所に、税関に申告に行くわけでございますが、この申告も、個人の場合、税理士さんに頼んだりするというところまでは民間でできますし、また代行業務もあるわけでございます。そこから先の審査区分選定という、いわばここが法律、税を免れようとする人だとかあるいは麻薬物、そのほか植防等関係するような、いわば国できっちりとやらなきゃならぬ、公的な権限で審査しなきゃならぬというところの選定作業というのがありまして、ここのシステムとNACCSのシステムとが混然一体となってしまっているということに、分類のしようがない、一つのシステム的な弊害があるということでございます。

 これにつきましても、それとこれとを区分するという作業をいま一遍やってみたい、こう考えているところでございまして、特に、平成十六年度、今年度でございますけれども、外部専門家を要請しまして、税関システムに関する刷新可能性調査、これをやっております。そして、システムの安定性、信頼性、セキュリティー、効率性、経済性等についての調査を行うということでございまして、全体の中で官民業務分離のニーズの問題点について回答をいただいたならば、それできちっと判断をさせていただきたい、こう考えておるところでございます。

青山政府参考人 ちょっと簡単に、CuPESにつきまして補足説明をさせていただきます。

 CuPESというのは税関手続の申請システムでございますが、国側が、NACCSとは別途に、NACCSでできないような部分と、あとは個人の輸出輸入者に対しましての電子手続をするということで、新たに去年の三月から導入したものでございます。

 ですから、民間の方々は、NACCSを使っていろいろな手続をされるか、あるいは単に輸出輸入手続だけであれば、このCuPESを新たに使うということでやれるようなシステムでございます。

 ちょっと補足させていただきます。

河野(太)委員 このシステムの変更に伴って、当然役所だけでやるわけにはまいりません、関係の企業、業界ともしっかり話をしなければならぬと思うんですが、これで私が危惧しているのは、今の税関と民間企業の関係でございます。

 実は、この関係も今極めてうさん臭いのが現状でございます。政府参考人は税関長も御経験はされておりますが、今、税関と関係のある民間企業にかなり多数の税関職員が天下りをしている。しかもそれを一々税関があっせんをして、場合によっては給料まで指定をしている。そういう現実がございますね。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 今のお話なんでございますけれども、税関職員の再就職の話でございますが、在職中に培われました知識経験を活用いたしたいということの民間企業のニーズに応じまして再就職しているというところでございます。

 いずれにいたしましても、職員の営利企業への再就職につきましては、従来から国公法の規定等の枠内で適正に対処しているところでございますし、今後とも、行政に対する信頼を損なうことのないよう適正に対応していただきたいというところでございます。

 以上でございます。

河野(太)委員 民間企業への天下りは、喜んで受けている企業は多分ないと思うんですね。これを受け入れないと何かあると思っているから、いわば保険のつもりで、しようがなくて採用しているわけでございます。税関と関係のある民間業務をやるときに、何だかよくわからないけれども民間企業が保険のつもりで天下りの人間を採用しなければならないという現在の状況は、大臣または副大臣、おかしいと思われませんか。

谷垣国務大臣 税関だけではなくて、天下りの問題については、これは厳しい御批判があるということは、私、よく承知しております。それで、もちろんこれは国家公務員法等々の規定もいろいろございますし、政府の取り決めもございます。私は、そういう中で厳正に対処していかなければならないと思います。

河野(太)委員 それはどういうルールがあるかわかりませんけれども、この時期に、必要のない人材を押しつけられて、それを受け入れないと何となく業務ができないような雰囲気というのは、極めて資本主義社会の中で異常事態が起きていると言わざるを得ないと思うんですね。

 しかも、例えば、二年前まで、NACCSですよ、九時から五時までの営業時間中にNACCSが落ちて、やむを得ず残業になって、それを税関なり情報処理センターに、おまえが残業代を払えと言われて民間企業は払ってきたわけですよ。何でそういうことになるかというと、それをふざけるなとけ飛ばしたら何されるかわからぬ、それはもうお上の言うことには逆らえないから、お上が問題で二時間システムがダウンして、被害をこうむっているのは我々だけれども、お上に金を払えと言われたら、それはしようがないから払いますというのが、二年前までの現実だったわけです。

 それをたまたま指摘されて、それはおかしいからといってやめたわけですが、まともな社会であれば、まともな国のサービスが行われていたら、国の責任でシステムがダウンしてしまったものを民間企業に費用負担をさせるなんということは起こり得ないはずだと思うんです。

 何かというと、今の税関と民間企業の関係は、言葉は悪いかもしれませんけれども、恐怖政治みたいなものなんですよ。何か言ったら嫌がらせをされる、何か言ったらずっとほったらかしにされて、紙が一枚足らないからと後で言われて二度手間になる、そういうのが嫌だから税関の言うことははいはいと聞く、税関から一人受け入れろと言われたら、まあしようがない、保険掛けようと言って保険を掛ける、こういう現状があるんだと私は思います。

 そういう中で、ではNACCSのようなシステムをどういうふうに直していったら最も効率的な業務ができるようになるかといったって、最適なシステムができるようになるとはとても私は思えないんですね。だから、そのシステムをつくりかえる前に、やはりこういう税関と民間企業の不可解な関係というものを改めなければいかぬのだろうというふうに思います。ここはぜひ、大臣、副大臣、先頭に立って直していただきたい。

 しかも、この通関情報処理センター、非常に不可解なことがあるわけでございますが、一つは、ここの役員さんというのは、歴代ずっと、必ず日本航空からいらっしゃっているんですね。何でかよくわかりません。これは何で日航の方がずっとここに天下られているのか、何か必然性があるのかどうか。それから、この百二十人程度の組織に、税関職員が八十人を超えて入って、出向しているわけでございます。何で、百二十人の組織の中の八十何人が税関からの出向でなければいかぬのか。その二点をお伺いしたいと思います。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 NACCSでございますけれども、税関と国際貨物業務を行います民間の事業者が共同してつくったシステムということでございます。先生御指摘のとおりでございますが、現在、みずからが採用した職員のほかに、民間企業からの出向者、あと、私どもの財務省税関からの出向者で構成されておりまして、ことしの四月一日現在では、八十六名となってございます。

 では、なぜ必要かという議論なんですが、NACCSを運営維持しますNACCSセンターの職員でございますが、関税法関連のいろいろな法規の知識、あるいは国際物流関連の知識経験を持った者が必要であるというところから、センターの円滑な運営を行うために、官民の利用者に対しまして職員の派遣を依頼しており、私どもも協力を行っているというところでございます。全体百二十八名のうち八十六が多いか少ないかという議論はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、この複雑な国際物流の動向の中におきましては、当然、ある程度は必要ではないかなというふうに思っているところでございます。

 なお、役員の方につきましては、役員のそれぞれの過去の経験等を見た上で選んでいただいているというふうに私どもは承知しております。

 以上でございます。

河野(太)委員 非常に特定の企業からずっと役員が連続して来るということは、余り明確な理由があるとも思えませんし、NTTデータに対してずっと随意契約でこのシステムをやっている必然性というのもないんだと思います。次のシステムの更新のときには、こうした不可解なことが継続しないように、ぜひそこは、財務省に入っている政治家がしっかりと監督をしていただきたいというふうに思います。

 また、百二十八人のうちの八十六人が税務署の職員であるということは、これは一体、このセンターは何をやっておるのか、税関との仕事の切り分けはどうなっておるのかということなんだろうと思うんです。税関業務は税関がやる、この通関情報処理センターはNACCSというシステムの運用をする、そういうことではないかと思うんですね。その情報システムの運用をする機関に税関の職員が行って、そこで税関業務をやる必要が本当にあるんだろうか。税関職員が税関の業務をやるんであれば、それは税関でやっていただいて、このセンターはシステムの運用という本来あるべき事業をしっかりやる、そういうことではないんでしょうか。

山本副大臣 まさにそういうような仕組みが適切でありまして、先生おっしゃるような改革というような視点でこれからも見詰めてまいりたいと考えております。

河野(太)委員 大分問題がクリアになってきたと思いますので、ぜひ、このNACCSそして通関情報処理センターの問題、そして税関と民間企業の間の問題を早急に解決していただきたいと思います。特に、青山審議官におかれましては、環境省の課長時代、環境事業団という特殊法人を勇気を持って廃止をされた方でございますので、この問題を解決するに、また同じような大勇を振るっていただけると思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 本日、一般質疑ということでありますが、私自身、この委員会でたびたび質問をさせていただいている課題、テーマとは、行政の、際限なき裁量行政、この問題について私はたびたびここで質疑をさせていただいてきた、そういうふうに任じております。例えば、保険の販売の問題であったり、あるいは金融庁の検査、この問題であったり、こうした裁量行政が生まれるような、そういった部分をできる限り削り、少なくし、公正な市場の育成に行政の皆さん方に当たっていただきたい、こんな思いでおるわけです。

 きょうの質疑を準備させていただいていますところ、突然に、UFJ銀行のニュースが私の耳に飛んでまいりました。新聞でも大きく取り上げられたUFJ銀行の赤字決算の問題。

 この銀行は、当委員会でもたびたび取り上げられておりました。三月の十七日には、四大メガバンク頭取の参考人招致質疑という形で、その中で、私どもの同僚の中塚議員が、UFJ銀行の非道な取り立て等の問題を指摘させていただいています。また、三月三十日の委員会では、さらに、同僚の長妻議員が、UFJ銀行の検査忌避の問題、これを金融庁に問いただしております。こうしたさまざまな問題が潜んでいる状態であると思われるUFJ銀行が、この五月の二十四日に赤字決算の発表を行った。今日までにたびたび紆余曲折があったと報じられるこのてんまつに潜む問題ということについて私自身は質疑をさせていただきたいと思っております。

 まず、このUFJ銀行に対する特別検査、これについて、いつから行われておりますでしょうか。お答えいただけますか。

竹中国務大臣 大変申しわけございません。特別検査の正確な日付、ちょっと今確認できないんでございますが、いずれにしても、これは決算に関してリアルタイムで行うものでございますので、二月に開始をして、四月の二十三日にこれの結果を通知しているというふうに承知をしております。

馬淵委員 今大臣御指摘のとおり、特別検査、これは銀行の決算作業と同時並行して債務者区分を検査するということで、UFJ銀行さんは、三月末の決算期でございますから、ちょうどその決算に向けての作業が始まったと同時に、並行して特別検査が実施された。今大臣のお答えにありましたように、ことしの初からスタートをして、そして四月の二十三日に特別検査の結果が報告されたというお話だと思います。

 さて、こうした特別検査を行っておりました。そして大臣は、先ほどの特別検査の結果報告が金融庁でなされた後に、四月二十七日に、閣議後の会見で、大口与信管理態勢検査というものを行いたい、このように発表されておられます。これは一体どういうものでありましょうか、そしていつから始められますでしょうか。

竹中国務大臣 大口与信管理態勢の検査というのはどういうものなのか。

 金融再生プログラムの中で、再建計画を持っているところ、再建計画を立てているところの検証をしっかりやらなければいけないということを掲げております。再建計画の検証チームというのをそのために検査局の中にもつくって、まさに、不良債権と借り手の再生というのは、これは表裏一体のものでございますから、やはりそこをしっかりと見ていくことが、資産査定を厳格にして金融システムの強化につなげる重要なポイントであるというふうに認識をしているわけでございます。

 その大口与信の再建計画を持っているようなところについて、どのような与信の管理態勢を持っているか、そこをしっかりと見ていこうではないか。我々が目指している不良債権比率の半減、それに向けて、あと一年という中で、残りの問題についてぜひしっかりと我々としても見ていきたいし、銀行にもその態勢をとっていただきたい、そういう願いからそのような検査を行うということを発表したものでございます。

 第二の、いつから始めるかということでございますけれども、これも委員おっしゃったように、どこをやるのかとか、そういうルールづくりが大変重要なものでございますから、ルールを検討しております。できるだけ早くその体制を整えて始めたいと思っております。

馬淵委員 銀行における大口の与信先の実態把握、そしてその態勢、再建計画の策定あるいは見直しの関与の状況等、これをしっかり検査しているかということの態勢の把握、こういったことを始めたい、こう四月の二十七日に発表され、できるだけ早くということで、これは報道では五月ごろ、五月にも始めたい、このように報道もされておったわけであります。

 さて、UFJ銀行、先ほども申し上げたように、大臣がおっしゃったように、一月後半あるいは二月といったところから特別検査が始まった。同時に並行して決算の業務が始まっておるわけです。さて、そうして決算を組んでいこうとしますと、当然ながら、現実の数字と違ったところが出てくる。

 上場企業というのは業績予測というのを公にせねばなりません。そして、これは、中間期、六カ月たった段階での中間期の決算発表におきましては、業績の修正が必要かどうかということを検討します。UFJ銀行は、昨年の十一月に、中間期の発表のときに一度決算修正をしております。この決算修正というのは、経営者にとっては、上方であればもう本当に胸を張っての修正なんですが、下方修正というのは、これは大変なものです。私自身も、上場会社の決算発表、記者会見等々で、この下方修正ということについては本当に胸を痛めるということでありますが、この中で、修正はどういう部分で区分されるかといいますと、売り上げであれば一〇%、そして経常利益であれば三〇%、また当期純利益においても三〇%の上下幅、いわゆるスイング、これが振れた場合に決算修正を、業績の修正を行うことになります。

 その中で、十一月にUFJ銀行は一度は修正を行いました。この修正は、一度行って後に、そしてさらに四月に再度の修正を行うという形になりました。今申し上げたように、業績予測が三〇%を超えるというのは、ある意味においては非常に突発的な問題であったり予期せぬ出来事であるということでありますが、UFJ銀行が二度の、この四月におきましては下方修正であります、二度の修正を行ってきた、この異例の事態を迎えて、そして再度、五月の二十四日に最終的に赤字決算の発表になった。

 この一連の企業の行動を見て、まず、私は最初に大臣に、監督官庁としてどういった御所見をお持ちであるかということをお尋ねしたいと思います。

竹中国務大臣 馬淵委員御指摘のとおり、この銀行、UFJは、四月の二十八日に、東京証券取引所の適時開示規則、つまり、タイムリーディスクロージャーとしての業績の予想修正の発表を行っております。UFJ銀行の平成十六年三月期の当期純利益の予想を九百二十億円とその時点でいたしました。しかし、その後、五月二十四日に、同じく東京証券取引所の適時開示規則による決算短信の発表を行っておりまして、その数字として、当期純利益をマイナスの四千八十八億円、プラスの九百二十億からマイナスの四千八十八億円ということで、修正といいますか、タイムリーディスクロージャーを行っております。

 今回、五月二十四日に大幅な赤字修正を行ったことにつきまして、UFJ自身は次のように言っているわけでございます。

 四月二十八日の段階では、これまで受けてきた金融庁検査の結果をすべて反映した結果として不良債権残高が三・九兆円となった、この不良債権の処理を極力早く実行するために、この比率の三%台への低下と与信コストのノーマルなレベルまでの引き下げを今年度中に達成するためのコストを真剣に検討した結果、五月二十四日の決算内容となった、おのおのの時点で合理的な引き当てを実施しており、四月二十八日の段階では妥当な水準として引き当てを算出した、そういう説明をなしているものと承知をしております。

 委員のお尋ねは、金融庁としてこれをどのように評価しているかということでございますが、これは御理解賜りたいんですが、個別の金融機関の決算内容についてのコメントということでございますれば、これは控えなければいけないと思います。

 一般論として申し上げると、銀行の決算は、まさに一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて経営者が作成する、経営者がつくるものである、それを監査法人が厳格に、まさに独立の立場で監査をする、その決算に係る適時開示は、東京証券取引所の規則、ルールにも従い適切に行われるべきである。先ほど委員が御紹介してくださいました、売上高は一〇%以上の増減、経常利益及び純利益は三〇%以上の増減がある場合にそれを修正する、これはまさに東証の適時開示規則を御紹介してくださったわけですけれども、そのような形での公開、公表をまさにルールに基づいて行ったものであるというふうに承知をしております。

馬淵委員 適切な、適正な監査並びに決算の結果を発表したんだというふうに受けとめているというお答えだと思いますが、この二度の修正、上場企業が修正を発表する場合、適時開示ということでありますが、この場合には監査法人の監査対象とはなっておりません。したがいまして、先ほど申し上げた、スイングが発生した場合に経営陣がみずからの判断によって行うわけであります。

 しかし、これは一般に考えていただければおわかりいただけるかと思いますが、二度の、経営陣としては本当に異例の二度の修正の予測、これを、もう決算業務に入っているわけですよ、決算が並行して行われている中で、二度の修正を四月の二十八日、連休前に行って、そして連休後、わずか一カ月たたない、そのさなかの中で、急転直下の赤字決算が発表された。これは、普通に考えれば、一体何がそこで起きたんだ、この一カ月でどういう状況になったんだ、これはどなたもが当然ながら感じることではありませんか。

 そして、私は、四月二十三日、特別検査結果報告というものを金融庁から受けて、この段階で初めて中央青山監査法人が、決算に向けての監査報告書を作成するという段階で公式にかかわっていくということになるわけですが、この一カ月で何が起きたのかということをもう少し詳しく大臣にもお伺いをしていきたいというふうに思っているわけです。

 まず、金融庁が、メガバンクの中で、不良債権比率が八・五%と、ほかの銀行に比べればぬきんでております、四大メガバンクの中でぬきんでて大きい数字であるこのUFJに対して懸念をお持ちであった。そして、二〇〇五年の三月、来年の三月末までに不良債権の半減目標の達成、これは当然ながらペイオフをにらんでのことであります、この目標達成ということを高々と掲げられていらっしゃる。そして、UFJにとっては、既に公的資金の注入行でもありますから、経営健全化計画、これを掲げている、今決算でこの経営健全化計画の目標値を三割下回るというような状況になりますと、業務改善命令や、あるいは経営陣の退陣、あるいは行員の給与等の見直し等いわゆるリストラ、その厳しい見直しが図られる、この三割ルールの適用などが当然ながらそこで考えられることになります。

 こうした状況の中で、実は、中央青山監査法人が四月の二十八日の修正発表までは確かにかかわってはいない、監査の承認はしていないけれども、監査対象ではないけれども、当然ながら並行して決算業務を行っている。二十八日以降に決算の、対象となる監査に入った段階で急転直下の赤字決算に変わっていく。

 まず、私は、この流れの中で一つお伺いをしなきゃならぬのは、公認会計士あるいは監査法人といったものが金融庁のいわゆる監督下に置かれるようになる、公認会計士・監査審査会の制度、これがスタートしたのはいつのことでありましょうか。

竹中国務大臣 これは、昨年国会で御審議をいただきまして、公認会計士法の改正をしていただきまして、それが実施に移される、施行されたのはことしの四月の一日からでございます。

馬淵委員 そうなんですね。ことしの四月から実は公認会計士、監査法人は、金融庁の監督のもと、公認会計士・監査審査会という制度の中に入ったんですよ。この公認会計士、中央青山監査法人が金融庁の監督下に入った段階で、監査法人が金融庁の意向をそんたくしないわけはないと考えるのは一般の国民の感覚からしても当たり前のことだと思うんですね。

 そしてさらに、この中央青山監査法人、どこかで聞いた名前です。そのとおり。これは昨年の足利銀行、これも、ことしの初に、この通常国会の前に委員会を、閉会中審査をしてお呼びになっておられた、足利銀行頭取とそして中央青山監査法人の代表社員、お呼びになられておった。つまり、足利銀行にかかわってこられた監査法人であり、そしてさらにはカネボウの監査にかかわる、この監査法人が続けざまに経営破綻の状況に瀕した会社の監査をやってきた。これ以上、監査上でかかわる会社の危機において、監督が不十分だったと言われるような、自身の監査方針にバイアスがかかるというような状況、これは当然ながら起きても私は不思議ではないと考えるわけであります。

 そして、決算の監査におきまして、特別検査の結果というものがそこに反映されていく、こうした流れの中で、監査法人としての中立性を損ないかねない状況が実はもう既に生まれていたのではないか、急転直下の決算結果の発表というものが余儀なくされたのではないか、このように考えるわけであります。

 そこで、まず大臣、今御紹介があったこの審査制度が始まって、中央青山監査法人に何らかのバイアスがかかっていたのではないかということに対しては、これは私の声というよりも、国民、今報道を受けている、あらゆる意味で注目している国民に対して、どうお答えになられますか。大臣、お願いします。

竹中国務大臣 冒頭で馬淵委員は、裁量ではなくてルールに基づく行政が必要だというふうにおっしゃいました。そのとおりだと思っております。我々もそれを目指してしっかりとやっております。

 もう一点、その際にやはり我々心がけておりますのは、事前介入ではなくて事後チェックであるということであります。具体的に言いますと、決算というのは、あくまでも会社が行って、それを独立性を持った監査法人が監査するものであり、我々はそれを事後的な検査ということで事後的なチェックを行う、そのシステムを我々はずっとつくってきました。したがいまして、我々が事前に、決算段階でそれに介入するということは我々としてはあり得ないことでございますし、我々が目指すルールへの移行、ルール型の行政、事後チェック型の行政とこれは反するものであります。

 今委員は、監査法人がこの四月一日から金融庁の監督下に入ったというふうにおっしゃいましたが、これは監督が何を意味するかにもよるかもしれませんが、基本的には、監査法人はそれ以前から金融庁の監督下にございます。四月一日から変化しましたのは、公認会計士協会等々がクオリティーチェックをこれまでしていた、それをモニタリングする、そういうシステムが加わったということでございますので、その意味では、監督下には以前からございました。

 委員のお尋ねは、それによってバイアスがかかったのではないだろうかということでございますが、繰り返し言いますが、我々は事後チェックをする立場にございますので、そのプロセスで事前介入をしてバイアスをかけるということはございません。

 もちろん、この新しい制度そのものが、公認会計士に、独立性を持って公正不偏でしっかりとやっていただこう、緊張感と責任感を持ってやっていただこうという制度でございますから、そうした中で、従来以上に、監査法人は責任感と緊張感を持って、しっかりと、独立した立場で、まさに公正不偏にいろいろな仕事をしてくださっているというふうに思っております。

 繰り返しになりますが、そういった過程で金融庁がバイアスをかけるということはあり得ないことでございますし、現実にそういうことはございません。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

馬淵委員 監督下という部分に関しては、より厳格なということで御理解いただきたいと思います。

 今、大臣にお答えいただきましたが、日本公認会計士協会の奥山会長が、これは五月の十九日の記者会見で、UFJの決算に関してこのように記者発表されております。金融庁の通常検査や特別検査の結果を決算に織り込むことが必要だ、これは、奥山会長が質問を受けてこのように語っておられるわけですが、さらに、検査の結果が出れば一番早い時点で決算に織り込むことは金融庁と公認会計士協会で了承している、このようにも指摘をされています。

 この中央青山監査法人が、今大臣はそういったバイアスがかかることはない、こうおっしゃっておりますが、今まで申し上げてきた流れの中で、特別検査の結果が伝えられ、そしてそれを受けて急転直下のこの赤字決算の形になったものが、内部で十分に審議した公正な結果だとおっしゃるかもしれないが、金融庁の意思が働く可能性はそこに十分ある。逆に言えば、金融庁の意思がそこで完全に遮断されて、完全なる独立性の担保された形で果たしてあるのかということは疑念として残ると私は思っています。

 このUFJの問題は、確かに私も、四大メガバンクの参考人招致のときにもお話を聞き、また同僚議員の質問を聞きながら、経営体質に大変問題ありとは考えています。しかし、一方で経営の自主性を担保するとしながら、今回の急転直下の赤字決算発表、さらにはUFJ信託の売却など、その裁量が入る余地があったのではないかという部分に関しては、まだまだその可能性があると言わざるを得ません。

 さて、このUFJ銀行の経営陣の一新、あるいは業務改善命令の発動、あるいは大口不良債権先の整理等、金融再生プログラム、いわゆる、大臣の、通称竹中プラン、この推進によって、竹中大臣がおっしゃっておられた、コインの両面である、不良債権処理と、そして過剰債務を抱えた経営不振企業の処理というもので産業再生機構活用などというような形で、いわゆる竹中プランの推進ということがかなり強硬に進められた形ではないかと私は思っています。そして、このような結果が、本来の市場の潜在的回復力や、あるいは自主努力というものを無に帰させ、萎縮させてしまうようなことにはならないか。

 裁量行政、繰り返し申し上げますが、こういったものがばっこすることを私はまず大変懸念として申し上げます。

 そして、今回、ぜひ確認をさせていただきたいと思っておりますのは、私どもの同僚の中塚議員が、冒頭申し上げた長妻議員の質問を受けて、UFJからの報告を受けるよう求めると同時に、寺西頭取の参考人招致というものを求めておりました。そして、この部分に関しては理事会の協議ということになっておりましたが、今般の退陣に至る経緯も含めて、この国会の場で、メガバンクがどのような経緯で金融庁あるいは監査法人との関係で急転直下の赤字決算となったのか、また、その中で、検査忌避、内部資料の隠ぺいあるいは非道取り立て等、不祥事も指摘されていたわけですが、このてんまつを国会の場で国民に知らしめるべきであると私は考えるわけであります。

 委員長、今かわりにお座りですが、理事会協議で、これは繰り返しお願いを申し上げている。そして、国民が今最も注目しているんですね、これは。こういう四大メガバンクの一つ、我々がこの委員会で、同僚議員があれほど追及していたものを、そのまま、理事会協議は一体どうなっているんですか、これは。三月の末からですよ。そのまま一カ月以上、もう二カ月にならんとする間、何も答えが返ってこない状況の中で、結局寺西頭取退陣というのは、破綻という、まあ、破綻までいかなかったんですが、赤字決算という予想もしなかった、修正から、予想もしなかった結果によってこういった結末を迎える。

 これは、寺西頭取、どうも三十日におやめになられるというようなことを聞いていますが、やめるやめないは関係ないですよ。金融庁として、この財務金融委員会として、この頭取の、ひょっとすると元頭取と呼ばなきゃいかぬかもしれませんが、寺西頭取の参考人招致というのは、委員会としてこれは絶対に約束してもらわなきゃならない点じゃないですか。

 委員長、これはどうですか。

山本(明)委員長代理 私は、今代理ですから約束はできませんけれども、理事会で協議中であります。

 馬淵君。

馬淵委員 いや、それは代理だから約束できないということではなくて、今代理であろうが、委員長は、これは権限持っていらっしゃるんですよ。代理であろうが、これは表見代理なんですからね。

 これはだから、協議協議と言ってこのまま延ばすんですか。もう既に二カ月にならんとしているんですよ、あと国会三週間ほどじゃないですか。この問題、今やらないでどうするんですか。こんなタイムリーな問題を、記者さんもいらっしゃっていますよ。こんなタイムリーな問題を国会の場で明らかにしてこそ、我々が国民の負託を受けた、財務金融委員会としてのその姿が示せるではありませんか。

 これは、ぜひここで、もう協議の話は結構ですよ、もうさんざん私どもの理事ともしていただいているわけですから。寺西頭取の参考人招致をここでお約束ください。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

田野瀬委員長 先ほどの理事会でそのことについて協議いたしまして、さらに継続して協議するということになっておりますので、そのように御承知おきいただきたいと思います。

馬淵委員 いや、もう一度私確認しますよ。

 では、いつまでに、協議というのは、もう既に三月の三十日ですよ、私どもの同僚議員中塚議員が、あのときは確かに民民の問題かもしれなかった、民間の企業の一部の問題だ、しかし、社会問題に発展しかねないということで、参考人招致、資料の要求もされたわけです。今般、いよいよ二度の修正という異例の事態が起きたんですよ。その中で、急転直下赤字決算を組んでいるわけです。この状況の中で、国民が、一体何が起きているのか。

 先ほど大臣は、裁量行政などあり得ないとおっしゃった。しかし、私は繰り返し申し上げますよ。去年の八月に通常検査が入っています、これは事後チェックです。しかし、ことしの一月から特別検査がスタートして、二月の十七日には三回目の特別検査が入っているんです。そして、四月の二十三日に特別検査の結果が報告された、二十八日に二度目の修正発表をしている、それは黒字なんですよ。ところが、四月の段階で審査会の傘下になった監査法人が監査に入り出した段階で、わずか一カ月、いや、三週間足らずで覆して赤字決算になった。何が起きているのか。

 検査忌避、内部資料の隠ぺい、非道取り立てといった経営問題もさることながら、実はここに金融庁と金融機関の暗闘と呼ばれるものがあるんじゃないですか。このことを国民は一番知りたいと思っているわけですよ。この場で明らかにせずしてどこでやるんですか。ぜひ寺西頭取の参考人招致を、いつまでに協議で決めていただけるか、お答えください。

田野瀬委員長 それも含めて理事会で協議いたします。

 馬淵君。

馬淵委員 それも含めてというお話でありますが、再度、私は民間の企業におりました、昨年まで浪人をしておりましたが、民間企業の経営におりました。期限を決めてというのは、これは当たり前のことじゃないですか。物事のこれは基本じゃないですか、ルールじゃないですか。速やかにということで、もう一カ月、二カ月たとうとしているわけです。そのことも含めてではなく、では、次回の、我々呼んでいただく、この財務金融委員会の場までには答えをいただけるんでしょうか。

田野瀬委員長 馬淵君の要望を踏まえながら、理事会で協議をさせていただきます。

 馬淵君。

馬淵委員 今回私は、確かに民の問題ではあるとはいえ、金融庁との暗闘などとささやかれるようなこと、こういったことが結果的には国民一人一人の金融に対する不信を招きかねないということを大変憂慮しております。竹中大臣が、まさに竹中プランで不良債権処理、さらにはその不良債権先、その先の処理も含めた改革を進めておられる、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、実はその過程において国民の信頼を失うようなことがあってはこれは何にもならないんですよ。一生懸命にセーフティーネットを用意されている、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、国民の信頼を得るということは何か、情報を開示し、オープンにして、私たちの前に御提示いただくということではないか、かように考える次第であります。

 先ほど委員長が、私の意向も受けてというお答えでしたが、期限の方は御提示いただけませんでしたが、理事会で、とにかく速やかに今国会で、寺西頭取、これが仮に元頭取になられたとしても関係ないと思います。足利銀行のときもそうでした。ぜひ寺西頭取の参考人招致をしていただいて、この問題の背景にどういった問題があったのか、これを明らかにしていただくことをお願いします。

 実は、時間の方がもう余りなくなってしまいました。きょうはもう一点、この問題に入る前に私ちょっと準備させていただいておりましたのが保険の問題でしたが、これにつきまして、残りの時間だけ使わせていただきます。

 趣が変わります。保険の問題でございます。

 私は、四月の二十三日の当委員会におきまして保険業法の三百条一項六号ということでの、いわゆる銀行窓販、その中での比較販売禁止規制ということを取り上げました。そして、実は本日はこの場で、保険の中で普通死亡保険、この限度額ということについてお尋ねをしたいと思っておりました。きょうお越しもいただいておりますので、まず一点、この普通死亡保険の限度額というものにつきまして、今どのように決めておられるか、お答えいただけますか。

五味政府参考人 御承知のように、生命保険の商品につきましては、商品認可が保険業法上必要でございます。今お話にありました、一社で加入できる死亡保険金の限度額、これにつきましては認可のもちろん対象になるわけでございますが、法令上あらかじめ具体的な上限額が定められているというわけではございません。事業方法書で保険金の限度額を定め、これをあるいは変更するという場合、この認可を必要とするということでございます。

 認可に当たりましては、その申請の内容が、保険数理が成り立つ一定規模の保険ニーズがあるかどうか、またモラルリスクの排除について適切な検証が行われているかどうか、さらに保険契約者などの保護に欠けるおそれがないかなど、保険会社の経営の健全性などの観点から判断をし、その認可の可否を決する、こういう形になっております。

馬淵委員 今御説明いただきましたが、これは保険業法の施行規則の十一条四号の部分、この「適正であること。」ということにかかわるのかと思いますが、この「適正であること。」ということで、これがまた行政の裁量に任されるのではないかということが懸念されるわけであります。

 保険の金額、上限の問題というのは、実は私自身もかつて、保険、会社なんかで役員保険なんというのもあるんですが、その中で保険を幾らか私自身が掛けられたという形があります。この保険は、私はたしか三億とか五億とかそういった金額だった記憶があるわけですが、最近耳にしたのは、一部の大手の本当に資産家の方々、数が多いかどうかは別としますが、こういった方々が、この程度の金額ではとても自分のリスクを担保できないということで、大口の保険に入るために海外へと行って、海外の保険を受けてこられる。これが、私の聞く限りでもかなりの件数に上ります。

 これはどういうことを意味しているのか。結局は海外への円の流出という形になりかねませんし、本来の保険というものの意味づけというものが大きく変わってしまう、日本で規制がされているがゆえに海外に流れてしまうという結果になりかねないということであります。

 時間も参りましたので、きょうは途中になりますが、保険の上限規制について、そしてあるべき保険市場について、私は、これも引き続きこの委員会で、重要な庶民の問題としての部分、そして一方で、このように非常に高度なテクニックを使って抜けようとするようなものも含めて、この委員会で引き続き取り上げさせていただくことをお伝え申し上げ、時間となりましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 まず、バブルの末期に売り出されました融資一体型の変額保険などで苦しんでおられる銀行被害者の方百万人、竹中大臣、バブル期の負の遺産で今も苦しんでいる国民が数多くおみえになる、政府としてこうした観点からバブルの検証をしっかりなさるべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、バブル期に金融機関から融資を受けながら金融商品に、いろいろな金融商品があったと思いますが、そういうものに投資をした結果として、債務の返済が困難になって訴訟になったような事例、これはたくさんあるというふうに承知をしております。

 これが難しいのは、金融機関と債務者の間で生じる紛争というのは、あくまでも私法上の契約に関する問題でございますので、基本的に司法の場を含めて当事者間で解決が図られるべきものである、そういう基本があるという点がなかなか難しいところなのだと思います。

 金融機関におきましては、当然、貸付契約でありますとか担保・保証契約といった与信の取引に当たっては、債務者にその知識経験、財産、そうした債務者の状況を十分に踏まえて、しっかりとした説明、十分な説明を行った上で取引を行うことが必要でありますし、債務者の財務状況でありますとか資金の使途、返済財源等を的確に把握するといった、まさに審査管理体制の確立、審査精度の向上に取り組むことが極めて重要であるというふうに思います。

 そうした観点から、我々金融庁としても、金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するという観点から、債務者への説明体制の整備、厳正な信用リスク管理の確立といった重要な課題に関しては、これは検査監督をしっかりとしなければいけないというふうに思っているところでございます。

前田委員 いつも、こうした問題になると、個々の事例だとかそのようなお答えになる。これはもちろんそうではございますけれども、一つ一つの事例が集まって公になるわけでありますので、この点はぜひ監督官庁としてしっかりとやっていただきたいと思っております。

 銀行被害者百万人。きょうは、まず第一に貸し渋り、貸しはがし、第二に融資一体型の変額保険について、そして第三に出資法違反の疑いが高いペアライフの件を伺っていきたいと思っております。

 まず初めの貸し渋り、貸しはがしの件でございますけれども、景気が徐々に回復基調にある、日本経済は中小企業によって支えられている、中小企業に十分な資金が潤沢につぎ込まれれば、この回復基調もしっかりしたものになる、これは当たり前のことであると思っております。

 二点、貸し渋り、貸しはがしのケースを御紹介申し上げたいと思います。

 まず第一のケースであります。東京中央区築地の前園社長の株式会社ユーエイシー、昭和四十八年からの水産荷受けの優良企業でございます。共同経営者の持ち株の買い受けで二億円の借り入れを第一勧銀に申し込まれる。しかし、長期ローンではなくて、手形貸し付けで融資をされた。毎年手形の書きかえ。平成十四年八月、元金一括返済を要求される。平成十五年、会社ビル競売申し立て、預金口座の凍結ということに至っております。完全な貸し渋りのケースではありませんか。

 第二のケース、神前鉄工所、九州でございます。福岡銀行から割り引いてもらった手形が不渡りになってしまい、これを買い戻す資金を福岡銀行が追加融資してくれるというので、言われるままに追加担保を出した。ところが、追加融資はしてくれず、他行からも追加担保を福岡銀行に出してしまっているために融資が得られなくなって経営破綻してしまった。ここも技術力のある優良な企業でありました。

 特に、後者は銀行法違反の疑いの強い情況証拠がいっぱいあるわけですね。もともと、追加融資を受けたい人が担保不足なら、常識的には融資はしないということではありませんか。金融庁として、前に述べました築地の貸しはがしのケースやこの神前鉄工所の案件についてどう事実を承知しておられるのか、また、旧第一勧銀、みずほ銀行ですね、福岡銀行に対してどんな行政指導をなさっているのか、伺いたいと思います。

五味政府参考人 特定の銀行と特定の債務者のお取引そのものにつきましては、当局側からコメントをするということは、不測の損害を皆様に及ぼす可能性もございますので、差し控えさせていただかざるを得ません。

 しかしながら、ただいま大臣からもお話がございましたように、金融機関が貸付契約を結ぶあるいは担保・保証契約を結ぶ、こういった与信取引を行います場合には、当然のことでございますが、債務者の皆さんの知識ですとか経験あるいは財産の状況、こういったものを踏まえて十分な説明をした上で、債務者の方も御納得したところで契約するというのが、これはぜひともしていただかなくちゃいけないことでございますし、同時に、金融機関側は、預金という形で皆さんからお預かりしたお金を運用しているわけですので、これが危ないことにならないように、債務者の方の財務状況ですとか資金の使途とか、あるいはそれだけ借りてどうやって返すのか、こういうようなことを的確に把握する、こういう審査体制というのは必ず必要であるというふうに思います。

 一般論でしか申し上げられませんけれども、当局では、貸し渋りというような問題につきましては、貸し渋り・貸しはがしホットラインを開設いたしまして、いただきました情報を個々の検査あるいは特定の銀行に対する監督の中で活用させていただいております。

 また、こうした情報をもとにいたしまして、実際に起こっている事態を分析した上で、金融機関に対しまして、与信取引に関して顧客に対する説明体制の整備ということを求める、これは事務ガイドラインも改正をいたしまして、そうしたことを行っております。

 また、こうした内部管理体制の実効性に疑義がある、こういうような事実が生じました場合には、これは必要に応じまして、法律の手続にのっとりまして、銀行法に基づく報告徴求命令あるいは業務の改善命令、こういったような事柄も検討し、厳正に対処するようにいたしております。

前田委員 先ほど挙げました事例、ひどい事例だからこそここで申し上げているんですよ。

 ちょうど今、社会問題として貸し渋り、貸しはがしがなっておりますので、お話にありました金融庁のホットライン、これを設けて相談に乗っているということでございますけれども、実際にどのように調査して指導されているのか、相談件数が幾らあって、解決件数は何件かという具体的な数字をお答えいただきたいと思います。

伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今お尋ねのありましたホットラインにつきましては、これは平成十四年の十月二十五日に開設をさせていただきまして、開設以降ことしの三月末現在まで受け付けた累積の件数は一千三百八十件になります。

 そもそもホットラインは、個々の取引につきまして相談に応じたりあるいは仲裁を行うものではないため、委員お尋ねの解決した件数を申し上げることはできないわけでありますが、受け付けた情報につきましては、金融機関の検査監督の実施に当たって重要な情報として活用しているところでございます。

 一般的な情報の傾向でありますが、これは、借り手が金融機関とのやりとりを通して、納得できないままに新規融資を拒否される、あるいは債務の返済を求められる、あるいは融資の更改を断られる、担保を売却されるなど、みずからに不利な決定が行われたとするものが多いという傾向がございます。

前田委員 ファクスやEメールでしか受け付けないような、こんなホットラインは必要ないじゃありませんか。もうわらをもすがる思いでここにかけてくるわけですよ。何とか改善してほしい、その思いで銀行被害者の皆さんはかけてくるわけであります。ですから、そんな他人事みたいに言われずに、きちっと解決に結びつけられるようなあり方でぜひ御指導していただきたいというふうに思います。

 第二に、先へ進みますけれども、バブルの末期に売り出されました融資一体型の変額保険、これに苦しんでおられる百万人の国民の皆さんを何とか救済しなければいけないという観点から御質問申し上げます。

 ちょうど私の手元に、変額保険の被害者の鈴木利晴さんからお手紙をいただきました。ちょうどこの変額保険の特徴をよくあらわしている。委員の皆さんにもよく御理解いただきたいということで、ちょっと読み上げさせていただきます。

 「変額保険とは、バブル期に、社内留保がかなりあり、わざわざ銀行から高い金利を支払ってまで資金調達をする必要がなくなった大手企業のかわりに、土地があるけど相続税と老後を心配している高齢者を融資先にして、銀行側の融資残高を伸ばすために、相続税対策という名目で融資と一体して戦略的に売り出した保険です。銀行側のメリットは大きく、保険料と金利を一括融資でき、なお満期になるまで元金は据え置き、融資残高は、減らず金利も年々増えていきます。

 一方の提携先の生命保険会社にしても、顧客獲得までの信頼は、銀行の名前の上で出来ますし、何といっても保険契約金は定額保険とは比べものにはならないでしょう。協力預金を支払ったり、募取法に抵触する危険があったとしてもおいしい話に違いありません。

 つまり、私たち消費者や顧客のため、相続税対策などというのはセールストークで、変額保険を売り出す必要性があったのは銀行なのです。」

 こういうお手紙をいただきました。まさしく、この融資一体型の変額保険の特徴をよくあらわしている文章だと私は思いますね。今御紹介申し上げた手紙からもよくおわかりだと思いますけれども。

 お配りしました資料一をごらんいただけますか。これは、被害者の会の方が平成九年のアンケートに基づいて作成されております。全部で三百七十五件、総計ですね。そのうち、資料一の右上、皆さん見てください、一九九〇年に集中している。そして、その下のところを見てください、三菱銀行が半数に及ぶ。そして、左側ですね、九〇年、マルをつけたところをごらんください、三菱銀行とその系列であります明治生命のパターンが圧倒的に多い。

 つまり、これは銀行によって組織的に行われている、国民に被害をもたらした重大な案件であるということであると私は思います。

 その特徴を申し上げますと、被害者の特徴は高齢者、しかも、高額な被害総額が出ている。例を挙げましょう。先ほどの鈴木利晴さんの件でありますけれども、鈴木あいさん、明治四十三年生まれ九十四歳。大阪の杉山利三さん、大正四年生まれ八十九歳、国立の白井義市さん、大正十年生まれ八十三歳。

 こうした、三菱銀行とその系列の明治生命が組んで、多額の資産を持つ顧客に対して、いずれも相続税対策に適当であるとして融資を押しつけて、被害は高齢の人、被害額は高額ということですね。サラ金なら、貸金業の規制法第十三条で過剰融資が禁止されております。しかし、銀行には過剰融資を規制する法律がありません。この法的規制の不備が銀行被害の増大、あるいは深刻化をもたらしているんだと思います。私は、金融消費者保護法を日本でぜひつくるべきであると思っております。

 具体的にもう少し話を進めさせていただきます。

 お話を挙げました杉山利三さん、一昨年亡くなられて、三億円の保険金が払われました。しかし、銀行からの借入金は四億五千万近く。保険金では足りずに、相続人の方が相続した自宅、賃貸マンションまで強制競売にかけられている。白井さんも同様です。鈴木さんに対しては、担保にとった不動産を競売にかけてきただけではなくて、連帯保証人になられた長男の利晴さんの財産まで仮差し押さえし、本訴を起こしてきた。社会的責任の大きな銀行が商工ローンのようなやり方でやっていていいんですか。

 先ほど申し上げましたように、サラ金ならば、貸金業規制法十三条で過剰融資が禁止されております。しかし、銀行には全く規制する法律がない。金融庁、銀行のこうした過剰融資に対して法的規制を設けるべきであると考えますけれども、いかがでございましょうか。

 既に、金融制度調査会におきまして、普通銀行が消費者信用を扱うに当たっては、消費者を保護する法的体制の整備の必要性を提言されております。いかがでございましょうか。

竹中国務大臣 過剰融資のお話でございます。

 貸金業の貸金業規制法と銀行法には確かに差があるわけですけれども、これは実は法律全体の仕組みの差から来ているものであるということをぜひ御理解賜りたいと思います。

 そもそも銀行法は、銀行の業務が非常に公共性に富んでいるということにかんがみて、信用秩序の維持、預金者保護、さらには金融の円滑を図るために、営業免許を初めとする参入規制がございます、監督規制を設けております。そうした観点で、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するということを目的としているところでございます。

 他方で、貸金業規制法というのは、貸金業を営む者については、これは営業免許ではなくて登録制度でございます。それを実施して、その事業に対して必要な規制を行うということを目的としているものでありますから、もともと参入を非常に規制しているものと法律の仕組みが非常に違っているということであると思います。

 その目的、規制方法は違いが見られるところでございますけれども、銀行は、銀行法の目的を達成するために厳格な参入規制等々がある、融資業務についても適切な運営を確保することが求められていることでございますので、貸金業規制法における過剰融資の禁止といった規定をそのまま銀行について設けるということは、これは少し違う、適切ではないというふうに考えているところでございます。

 金融制度調査会の答申の話がございましたですけれども、これは平成九年六月の答申でございますかね、それに対してどのように対応するのかという第二のお問いかけでございますけれども、我々としては、バブル期に発生した諸問題を踏まえまして、あくまで自己責任原則と市場規律を基軸とする金融行政への転換を図るということが必要だと考えております。

 同時に、必要な制度整備として、審議会の答申を踏まえまして、銀行法十二条の二の規定の新設を行いました。これは重要事項の顧客への説明等を規定したものでございます。これは平成十年十二月に新設をしております。また、金融商品の販売、勧誘ルールを定める金融商品販売法、これを十三年四月に施行する、そのような今さまざまな努力を積み重ねているところでございます。

前田委員 実際に今被害で苦しんで、きょうこの瞬間にも自宅が競売にかけられる、その恐怖で毎日苦しんでおられる方がいるんですよ。この方の救済をぜひお考えいただきたい。

 もともとこの東京三菱銀行は、融資一体型の変額保険への融資には、保険料支払いには長期総合ローン、融資金の利払いにはマイカードビッグ、いずれも大型のフリーローンを使っています。これらの融資は、十年あるいは二十年元本据え置き。このような融資は明らかに従来の融資では考えられない、金融機関の経営の健全性といった面からも問題があります。旧大蔵省は何らかの改善策をとっておくべきだったんではないでしょうか。いかがですか。

五味政府参考人 融資一体型変額保険といった保険について、これを購入するための資金を顧客に融資をするといったローンでございますけれども、一般的には、銀行が顧客の求めあるいはニーズと申しますか、それに応じて必要な情報というのは提供しながら融資を行って、銀行もメリットを得ると同時に、お借りになった顧客の方もその利益を得るということ自体については、これは銀行経営そのものでございますし、預金としてお預かりしたお金をより有効に生かすという意味で特に問題のあるお話ではないというふうに思います。これは一般論でございますが。

 ただ、非常に大事なのは、そのときに、こうした資産運用には必ずリスクがつきまとうわけでございますから、どういうリスクがあるのか、それは、そういう個人の方が負うについて、どういったリスクまでだったら御本人が負えるというふうに判断できるかをきちんと説明する必要がございます。それから、今御指摘がありましたように、銀行経営上、そうした融資の回収可能性ということについては十分なリスク管理あるいはそうした意味での検討というのを行ってやる必要があるというふうに思っております。

 こうした観点から、先ほど大臣から申しましたような説明ガイドラインといったようなものを設けましたり、あるいは検査を行いますときに債務者の皆さんにきちんとした説明をしているか、こういった説明体制の整備状況といったものが今年度の検査の基本方針では重点的な事項として挙げられております。

 こうしたリスク管理面あるいは顧客に対する説明といったところを、周辺のリスク管理、内部管理というものをきちっと固めることで、この銀行の融資について、これが健全性に悪影響を及ぼさないようにというように固めていくことが大事であると思いますし、同時に、消費者保護的な視点から、当然でございますが、特に個人の方が相手の場合には念入りな説明が必要であろうというふうに思っております。

前田委員 今、最後にいいことをおっしゃられました。特に一般消費者に対しては十分な説明がなされているかどうか。これがなされていないから、今、銀行被害者の方が苦しんでいるんですよ。これを金融庁としてもさかのぼってよく調査していただきたい。また我々は予備的調査をかけますけれども、金融庁としてもぜひやっていただきたい。

 現実の問題にまた入ります。

 包括根保証の問題ですね。富士銀行が包括根保証で使った実際の保証書があります。資料の二をごらんください。真ん中にあります。そこにありますように、「貴行に対し現在および将来負担するいっさいの債務。」ここに判こが押されていたら、民事訴訟法の二百二十八条の四項で、本人の意思に基づいて押されちゃったと。もし仮に判こをそこに預けて押されちゃったら、一生この押したとされる人は苦しむわけですよ。一切の債務を引き受けなきゃいかぬ。

 世田谷の荒木さんのケース。荒木桂子さん、主婦。何の収入もない主婦に二十億円を超える融資をした。ひどい話でしょう。その息子さん、大学三年生のときにお母さんの保証人になった。息子さんは頑張って弁護士になられましたけれども、破産すれば弁護士資格も剥奪される。中津川議員もこの問題を取り上げられました。

 こうした包括保証をめぐるトラブルについては、金融庁、どれぐらい苦情が来ていますか。むちゃくちゃたくさんの苦情が来ているんじゃありませんか。包括保証書はいつから使われているのか。また、廃止されているとすれば、いつから廃止されているのか。金融庁は、今後、この包括保証についてどうすべきであると考えられているか。

 ちょうど、この二十四日月曜日、法制審議会の保証制度部会は中間試案をまとめられました。根保証に限度額が設けられるということになりましたけれども、根本的に、この包括保証で苦しんで泣いている国民の皆さんがみえるんですよ、どうお考えですか。

五味政府参考人 包括根保証の有効性にかかわる係争というのが金融機関と保証人の方の間で生じているということは承知しておるんですけれども、ちょっと計数までは把握しておりませんのと、私どもにどういう苦情が来ておるかというのは、突然のお尋ねで、申しわけございません、ちょっと資料が手元にありませんのでわかりません。ただ、現実にそういうトラブルが生じているということは承知をいたしております。

 この件につきましては、今お話もございました法制審の方の御検討と連携をいたしまして、金融庁といたしましても対応していきたいと考えております。

前田委員 この保証書ですけれども、今は使われていませんよね。ちょっと確認いたします。どうですか。

五味政府参考人 申しわけございません。今拝見したばかりで、ちょっとお答えできるだけの材料がございません。

前田委員 しっかりまた調べていただいて、委員会に報告いただきたいと思います。

 今申し上げたように、こうした包括根保証、この保証書によって苦しんでおられる、連帯保証人になって払うこともできないような莫大な負債を負って苦しんでおられる方がみえるんです。真剣に扱っていただきたいと思いますね。

 そして、最後の救済の手段として裁判に持ち込まれます。しかし、こうした銀行被害者の方は、ほとんどの裁判で負けます。どうしてですか。これは、民事訴訟法二百二十八条四項「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」この条文こそが、銀行被害者の救済を裁判の場でなかなかできないでいる元凶のものなんですよ。いいですか、押印がしてあったら裁判ですべて負け、こんなばかな法律はいまだにあっていいんですか。

 責任ある政治家の皆さんの答弁は改正へ向かっている。しかし、法務官僚は消極的だ。二〇〇三年二月二十七日、山田敏雅衆議院議員の質問に、増田敏男法務副大臣は、私も零細の出身ですから、これは考えられるなと受けとめましたと答弁され、森山法務大臣も同条は時代にそぐわなくなったものとして法改正の対象にすると答弁されております。一方、二〇〇四年四月二十三日、財務金融委員会で、中津川議員の質問に官僚サイドは改正に消極的でありました。

 商工ローンだけでなくて、お客の判こをとってしまえば終わりという営業が銀行でも徹底されているんですよ。だから、連帯保証のトラブルは減りません。この中津川議員の質問に関しての答弁がありましたように、判こに対する慣習が変わらないから改正しないんだというお答えを法務当局がされましたけれども、確認したいと思います。

 また、法務省は、二百二十八条四項は成立の推定にすぎず、内容の推定ではない、こういう御答弁をなさっておられますけれども、いかがですか。

房村政府参考人 民事訴訟法の二百二十八条の四項でございますが、これは御指摘のように、「本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」要するに、その文書の作成者とされている人がみずから署名をしたりあるいは判こを押している、そういう場合にはその文書はその人がつくったものだと推定します、こういうことを言っているわけです。

 これは、日本では、一般に文書を作成したときに、作成したということを明確にするために、その人がその文書に署名をしたりあるいは判こを押すということが広く行われている。自分で判こを押しておきながら、この文書は自分がつくったものではない、そういうことを軽々に言われたのでは文書が信頼できなくなる、そういうことを踏まえてこの条文があるわけであります。

 ここで「押印があるときは、」と書いてありますが、これは、その本人の意思に基づいて判こが押された場合というぐあいに理解されておりますので、その人が署名をした場合あるいはその人の意思に基づいて判こが押された場合、そういう場合にはその文書はその人がつくったものと推定します、こういうことを言っているわけであります。

 これが、その人がつくったものと断定せずに推定となっておりますのは、その人がつくった後で文書が改ざんされるというようなこともございます、そういうときには、改ざんされたものをその人がつくったとは到底言えませんので、それはあくまで推定ですが、一般的に言えば、その文書にみずからの意思で判こを押せば、その文書はその人がつくったものですと扱われているわけでございます。

 この点につきまして、御指摘のように、この民事訴訟法のもとになりました旧民事訴訟法、これは非常に古い時代にできたものでございます。ですから、国会での御質問に対しましても、当時の森山大臣も、現在法務省に、特に民事局におきましては基本法制の見直しを行っておりますので、古い法律について、ある意味で一般的な意味で見直しの可能性はありますということをお答えいたしたわけでございます。

 その法務大臣の御答弁を受けまして私どもも改めてこの二百二十八条についても検討いたしましたけれども、現在の日本においても、広く文書の作成者を表明するための署名あるいは押印ということは行われておりますし、その点については今後も当分の間変わらないのではないか、そういう文書作成の基本的な慣行が変わらないとなれば、やはりみずからの意思で判こを押した文書についてはその人のものだ、その人がつくったものだと推定するという、この民事訴訟法の規定の合理性は失われていないだろう、そういうことで、現段階においてこの条文の改正をする必要はないだろうという判断をいたしたわけでございます。

 もう一点、内容の推定かどうかという点でございますが、この条文は、今申し上げましたように、その判こがその人の意思に基づいて押されている場合にはその人のものだと推定するということを言っているわけでございます。それで、ある文書に判こが押してある、だれが押したかはわからない、こういうときに、それをどう扱うということは直接的にはこの条文は触れていないわけです。

 ただ、実際問題といたしましては、普通、印鑑というのはむやみやたらに人に貸すものではありませんので、その人の持っている印鑑に基づいて文書に押されている印影が押捺された、そういう点について事実関係が明らかになれば、一般的にはその人の意思に基づいて押したのではないかということが推定される、これは最高裁判所の判例でそういう考え方が述べられております。

 ただ、これはあくまで事実上の推定でございますので、例えば契約書ができたときに、その人が長期間出稼ぎで家にいなくて、その人が押したとは到底考えられないというような事情があれば、今言ったような、その人の判こが押されていることは間違いなくても、その人の意思に基づいて押されたという事実上の推定は働かない、こういうような判例もまた同時に最高裁からも出されているわけでございます。

 ですから、その点は、本人の印鑑による印影であるという場合に、本人が押したものと推定するかどうかというのは、いわば事実上の推定でございます。そういうことに基づいて、本人の意思に基づいて押したんだということが認められて初めてこの民事訴訟法の規定の推定にのってくる、そういう関係に立っております。

前田委員 実際の裁判の場では、何も現状をお知りになっていない。その反証をするのはだれがするんですか。銀行被害者の方が少ない情報に基づいて反証しなきゃいかぬわけですよ。あなたは、昭和三十九年の判例を守るのか、あるいは被害者の方の救済、国民の救済を考えるのか、どっちが大事だと思われていますか、答えてください。

房村政府参考人 ただいまも申し上げましたように、例えば契約書等に押されている印影がその人の印鑑に基づいているということが認定できたとしても、本人がその間不在であったとか、その判こを他人に預けていた、あるいは盗まれてしまった、そういった印鑑の保管状況、あるいは預けた場合には預けた趣旨、そういったものを総合して事実上推定できるかどうかということが裁判所で判断されるわけでございます。

 現に、事実上の推定が働かないとした裁判例も相当数ございますし、それは個々の事案によるわけでございますが、今申し上げたように、この事実上の推定を破る事情というのは、主として印鑑の保管状況であるとか、本人がどういう関係で人に預けたかとか、印鑑を押した本人とされる人の側の事情が通常多いわけでございます。ですから、その点については、そういった事情を訴訟の場で主張、立証していただければ、裁判所が当然それをしんしゃくして、事実上の推定をしていい場合かどうかということを判断していくわけでございますし、現にそういう裁判例も多数あると思っております。

前田委員 裁判例が多数あるといっても、実際に銀行に関する被害の裁判ではほとんどが負けている。

 民事裁判制度の理念である、裁判における実質当事者平等の原則というのがありますね。何も被害者の方と、一般消費者の方と銀行とでは平等ではないじゃないですか。もしこの法律をそのまま続けるというんだったら、平等になるような、アメリカの民事訴訟法にあるディスカバリー制度のような、銀行にとって不利な証拠でも出す努力をされるべきであると思います。それが法的に担保されなければ、全く意味をなさない法律ですよ。もう一回答えてください。手短に。

房村政府参考人 ただいまも申し上げましたように、ある文書にその人が本当に押印したという事実が認められた場合に、その文書はその人がつくったものだと、それがこの民事訴訟法の二百二十八条の推定でございますので。

 実際上、訴訟で問題になっておるのは、どちらかといえばその前提としての事実上の推定の部分、これは主として裁判所の事実認定にかかわるわけでございますが、その部分がどちらかといえば争点としては多いのではないかと思っておりますし、その点について申し上げますと、確かに証拠の遍在というようなこともいろいろ言われますが、先ほど申し上げましたように、印影が本人の印鑑と一致しているときに、それが本人の意思に基づいたという事実上の推定が働くか働かないかという事情の多くは、その本人にかかわる事柄が多いわけでございますので、その点について極端な証拠の遍在があるとはにわかに考えがたいのではないかと思っております。

前田委員 それができないから銀行被害者の方が苦しんでいるんですよ。これはまた法務委員会で時間をとってやらせていただきます。

 こんな状況で、銀行被害者の方が何も救済されない。このままでは、三月三十一日付の金融審議会第二部会の答申で三年以内に銀行窓口における保険商品販売の全面解禁の方針が出されている、こんなものは受け付けられませんよ。確かに、海外に競争力をつけるユニバーサルバンクを目指されるのもいいかもしれない、しかし、その前に、国内の被害者の方が今この現状でどれだけ苦しんでいるのか、私は金融消費者保護法を日本でつくるべきであると思います。これについて最後にまた大臣にお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 前田委員からいろいろ御指摘をいただきました。現実にその被害者がいらっしゃるわけで、そういう方々におかれましては、今それぞれ大変なお立場にあろうと思います。

 裁判の問題について私はどうこう言う立場にはございませんですけれども、我々としては、金融行政を預かる立場から、そうしたことが起こらないように、やはりそのルールをしっかりとつくっていくということに尽きるのであろうと思います。

 今、前田委員から最後に保険の窓販の御指摘もございました。これについては、一方で消費者の側から非常にワンストップサービスを求める声もある、世界的な流れもある。その国民的全体としての利益の増進という観点から、原則として自由化の方向に、壁を少なくしていく方向に向かうべきであろうというのは、私はやはり重要な方向であろうと思います。

 同時に、特に今回の保険商品の場合は、商品が非常に長期にわたるものである、なかなか流動性が乏しくて、一度契約してしまったものをもとに戻すのは大変難しいということでありますし、さらには、銀行が大変優越的な地位の乱用をしないような、そういう仕組みはしっかりとつくっていかなければいけないというふうに思っております。

 いずれにしても、我々としては、審議会の答申、報告を踏まえまして、行政として責任ある立場でしっかりと結論を得るように努めてまいりたいと思っております。

前田委員 ありがとうございました。以上で終わります。

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 政府は、小泉総理を本部長といたしまして、障害者施策推進本部というものを設置されております。竹中大臣はその本部員ということだそうであります。平成十五年度からの障害者基本計画がつくられておりまして、障害の有無にかかわらず、国民だれもがその能力を最大限発揮しながら、安全に安心して生活できるようなユニバーサルデザインの視点を持つべきだという点を強調して、生活しやすい町づくりを進めることを挙げているわけです。

 きょう取り上げたいのは、ATMを障害者に利用しやすいように改善していくという問題でございます。

 ATMは、銀行にもありますし、また郵便局にもあります。そこで、まず郵便局のATMについてお聞きをしたいんですけれども、総務省にお聞きをいたします。

 障害者に対してバリアフリー化のATMというものを推進しているというふうにお聞きしておりますけれども、その特徴と設置状況を端的にお話しいただきたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 郵便局におきましても、公的金融機関という立場から、なるべく視聴覚障害者の方にも十分な金融サービスが受けられるようにということで、平成十五年の三月末現在のATM総数が二万六千百二十三台でございます。

 その二万六千百二十三台のすべてに、視覚障害者の方々が利用できるように、まず一つは音声による操作誘導、音声でこういうふうにやりなさいという誘導、それから二番目は、カードの挿入するところに点字で表示をする、それから三番目に、イヤホンを用意してありまして、差し込みイヤホンで音声のものが聞こえる。これは、例えば金額等、いじりますと金額が音声でほかの人に知られると困るということから、そんなことをやっているのを全ATMにつけてございます。

 なお、最近では、新たにテンキーつきの受話器というものを用意いたしまして、大体三月末で七千八百台ぐらいになりますが、これは受話器でやりながら手元の操作ボタンで操作できるというもので、大体ATM全体の三割程度はこれで対応しているところでございます。

佐々木(憲)委員 今説明がありましたのは、お配りしております資料を見ていただければよくわかるわけですけれども、一枚目が郵便貯金の自動預け払い機であります。左側にテンキーつきハンドセット搭載というふうにありまして、より詳しくは次のページで写真が載っております。テンキー部分というのは右上にあるようなものです。これは参議院の郵便局で撮った写真なんですね。衆議院の郵便局は、まだテンキーつきではないのがありました。これは順次最新式のものに切りかえていくということでございます。

 私、こういう方向というのは大変大事なことだと思いまして、当然、銀行の場合も障害者に利用しやすいATMをふやすということは大変必要だと思うんです。そこで、先日の参考人質疑の際に、私は全銀協の会長に直接ただしました。

 これに対しまして、全銀協の会長さんはこう言っていました。全銀協といたしましては、現在各行の判断で一部やっている銀行があるわけですけれども、こういった取り組みを後押ししたいと考えておりまして、検討部会で意見交換を行っており、また、そのATMの設計コンセプト等につきまして専門家の方々から意見を伺うことをしております、業界全体のレベルアップに努めているところでございます、こういうふうな話であります。そういう方向で取り組みを強化したい、全銀協としてもそういう決意だという答弁でした。

 そこで竹中大臣にお伺いしますけれども、当然これは政府の基本計画に基づいた方向でもあると思いますので、政府自身が、竹中大臣自身が推進するという立場で取り組むべきだと思いますけれども、その基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 私も、本部員として、障害者基本計画に沿った障害者に優しい社会づくりというのは、これは当然のことながらしっかりと進めていかなければいけないというふうに思っております。

 お尋ねの銀行の件でございますけれども、今御紹介くださいましたように、四月二十日の参考人質疑の中で全銀協会長も答弁しておられますように、視覚障害をお持ちの方々が利用しやすいATMの設置につきましては、まず検討部会で意見交換をする、二にATMの設計コンセプト等に関する専門家からの意見を聴取する、さらに、有用と思われる事例の会員への周知等の取り組み、そうした取り組みがなされているものと承知をしております。

 また、個別の金融機関におきましても、音声による操作案内機能及びテンキーつきのATM、大きな文字による画面表示が選択可能なATM等の、視覚障害をお持ちの方々が利用しやすいものを導入する、そのATMの入力部分やカード挿入口等の点字表示等の対応を行っているというふうに承知をしております。

 お尋ねの件でございますけれども、これは当然のことながらやはりそういう方向に持っていくというのが大変望まれることでありまして、我々としても、今自主的な取り組みを金融機関の方で進めていらっしゃいますけれども、これは大変望ましい方向だと思っておりますので、しっかりとそういう方向に向かうように、この銀行の取り組みを見守っていきたいというふうに思っているところでございます。

佐々木(憲)委員 見守るだけではなくて、督励し推進する、基本的には当然そういう立場でなければならぬと思うんです。政府自身の推進本部の本部員なんですから、推進するんだという姿勢が大事だと思うんですが、いかがですか。

竹中国務大臣 推進することは大変重要でございます。今申し上げましたように、銀行は利便性向上のために自主的に取り組みを今しっかり進めております。これは大変望ましいことだと思っておりますので、その方向に行くように、しっかりと我々としても取り組みを見守っていきたい、期待を持って見守っていきたいというのが現状でございます。

佐々木(憲)委員 推進するということであります。

 実態をお聞きしますけれども、先ほどの郵便局の場合は約三割というお話がありました。これは最新式が三割と。しかし、旧来のものも含めまして、障害者対応の形のATMはほぼ全部である、こういうことなんですね。

 そこで、銀行の業態別のATMの台数、ATMの設置箇所数、それからその中で障害者対応になっている台数、その比率、これはどうなっておりますでしょうか。

五味政府参考人 御説明いたします。

 銀行からヒアリングをいたしました結果の集計でございますが、まず都銀五行でございます。ATMの台数が約二万三千八百台。このうち、ATMのみの設置箇所数、補助員や何かがいない、そういう状況のATMのみの設置箇所数というのが約四千四百六十カ所、視覚障害者対応のATMの設置数約三千四百六十台。また、ATM全体に対します視覚障害者対応のATMの割合が、以上の結果、約一五%。

 地銀について申し上げます。六十五行です。ATM台数三万六千七百台、ATMのみの設置箇所数約一万九百カ所、視覚障害者対応のATM設置数約四千百三十台。ATM全体に対する視覚障害者対応ATMの割合は約一一%。

 次に第二地銀四十九行ですが、ATM台数一万二千四百台、ATMのみの設置箇所数三千六百十カ所、視覚障害者対応の設置数千十台。したがいまして、視覚障害者対応のATMの割合は約八%。

 以上のようになっております。

佐々木(憲)委員 銀行の実態は、今お話ありましたように、都銀で一五%、地銀一一%、第二地銀が八%という、大変低いわけでございます。

 これでは非常に使いにくいということで、具体的な事例を挙げますと、各都道府県で特別障害者手当というものが出されておりますが、その振り込み先が銀行、信金、農協のみの扱いとなっていて、郵便局の扱いになっていないというのが圧倒的なんですが、四十七都道府県中四十二都府県、郵便局で取り扱っているのはたった五の道府県にすぎません。これでは障害者にとって非常に利用しにくいわけでありまして、やはり、政府が国の施策としてそういうユニバーサルデザインということを掲げて推進している以上、今のような銀行の対応では非常に不十分であると思います。

 それから、今あるタッチパネル式の指で押さえてやっていく方式は、これは視覚障害者には利用できないわけであります。最近はそのそばに点字の説明書きをつけるという話もありますけれども、その程度ではだめなんです。視覚障害者だけではなくて、例えば手が震えるような障害者の場合も使えない。あるいは、車いすで来られた方も、足がつかえて手が届かないという状況もあります。画面が高くて届かない、そういう使いにくさもあるわけでありまして、そういう方々が使いやすいようにきちっと内容を改善する、そしてまた、そういうATMを普及していく、そういう立場で指導、督励すべきだと思いますけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 今佐々木委員から、具体的に、要は福祉機器をどのように改善していって、どういう点に配慮すべきかという御指摘をいただきました。大変重要な御指摘であろうというふうに思います。

 先ほども御紹介しましたように、全銀協におきましてもそうしたことを含めた意見交換を今行っているところでございますし、何といってもATMの設計コンセプトに関する専門家からの意見聴取をやっておりますので、私はしっかりと今議論されているというふうに思っております。

 いずれにしましても、今御指摘のような方向は、これは当然社会として望まれるところでありますので、現実に銀行は問題意識を持って今大きくそこに動いているというふうに思っております。我々としても、しっかりとそれをプッシュするような方向を見出していきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 最後に、コンビニのATMについてお聞きしたいんですけれども、最近は銀行は店舗をどんどん縮小して数を減らす、ATMに置きかえていくけれども、そのATMの数もかなりの部分が今度はコンビニに肩がわりということが進んでおりまして、そうなりますと、コンビニのATMというものは、これが障害者対応になっていないんですね。

 大体、コンビニは三万七千九百二十三軒というのがことし三月の数字だそうですが、そのうちATM設置数は一万七千台、約四五%のコンビニに設置されているそうでありますが、ATMの障害者対応の機能というものは全くありません。

 したがって、その面についても、当然これはコンビニのATMも金融機能の延長線上でありますから、金融庁が実態を調べまして改善するように指導すべきだと思うわけです。これは障害者だけの問題ではなくて、高齢者にとっても利用しやすい条件をつくるという意味で大変重要だと思いますけれども、この点についての大臣の見解を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 御指摘のコンビニ等に設置されているATMに関する問題も大変重要であると思います。視覚障害をお持ちの方々への対応として、例えばATMのテンキー等の点字表示や、ATMに備えつけているインターホンによる説明等の対応を行っているところもあると承知をしております。しかし、全体としておくれているという委員の指摘はそのとおりなのだと思います。

 恐らく、コンビニに本当にこれだけたくさんの機器が設置されるようになったのは、せいぜいここ数年のことでございます。先ほど郵政の事例がございましたけれども、まさにこれから郵政の民営化等々の議論の中で、コンビニと郵政というのはいろいろな関係で競合関係も出てまいります。そうした競争を通して、まず、やはりしっかりとサービスを向上させるというメカニズムが私は働くものというふうに思っておりますし、ぜひ各銀行の取り組みをしっかりと行ってもらいたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 郵政の民営化の議論はいろいろな議論がありまして、我々、民営化には反対でありますけれども、それはまた別の機会に議論するといたしまして、コンビニでのATM、障害者対応への改善という点で前向きの答弁もいただきましたので、ぜひそれを推進していただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

田野瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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