衆議院

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第28号 平成16年6月9日(水曜日)

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平成十六年六月九日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 田野瀬良太郎君

   理事 萩山 教嚴君 理事 村井  仁君

   理事 山本 明彦君 理事 島   聡君

   理事 中塚 一宏君 理事 長妻  昭君

   理事 上田  勇君

      江崎洋一郎君    熊代 昭彦君

      小泉 龍司君    河野 太郎君

      七条  明君    田中 英夫君

      谷川 弥一君    中村正三郎君

      西田  猛君    林田  彪君

      原田 令嗣君    増原 義剛君

      宮下 一郎君    森山  裕君

      渡辺 喜美君    五十嵐文彦君

      小泉 俊明君    鈴木 克昌君

      武正 公一君    津川 祥吾君

      津村 啓介君    野田 佳彦君

      古川 元久君    馬淵 澄夫君

      松原  仁君    村越 祐民君

      吉田  泉君    谷口 隆義君

      古屋 範子君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣政務官      七条  明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  千代 幹也君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   参考人

   (日本銀行理事)     小林 英三君

   参考人

   (日本銀行理事)     白川 方明君

   参考人

   (日本銀行理事)     稲葉 延雄君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  長沢 広明君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  古屋 範子君     長沢 広明君

    ―――――――――――――

六月九日

 大衆増税反対に関する請願(阿部知子君紹介)(第三三〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君、日本銀行理事小林英三君、日本銀行理事白川方明君、日本銀行理事稲葉延雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官千代幹也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 去る四日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁福井俊彦君。

福井参考人 おはようございます。日本銀行の福井でございます。

 日本銀行では、先週末でございますが、平成十五年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出させていただきました。今回、日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をちょうだいし、厚く御礼を申し上げる次第でございます。

 最初に、最近の経済金融情勢について簡単に御説明申し上げたいと思います。

 前回三月の本席におきましては、我が国の景気は緩やかに回復していると御説明を申し上げました。その後も、輸出の大幅な増加を背景に、鉱工業生産、企業収益が拡大し、設備投資の回復持続につながっております。さらに、雇用者所得も徐々に下げどまってきておりまして、個人消費はやや強目の動きとなっております。このように、経済に前向きの循環が働く中で、景気は緩やかな回復を続けており、国内需要に底がたさが増してきております。

 先行きにつきましても、前向きの循環が次第に強まっていくもとで、我が国の景気は回復を続けるというふうに見ております。

 やや詳しく申し上げますと、世界経済は、地政学的なリスクや原油価格高など、やや気がかりな動きはございますけれども、蓋然性の高い見通しといたしましては、高目の成長を続けるというふうに見ております。米国では、個人消費や設備投資が堅調に推移するもとで、これまでおくれておりました雇用面の改善が明確になっております。バランスのとれた成長を続けているという状況でございます。また、中国を初めとする東アジア諸国も高い成長を続けると予測されます。こうした世界経済の状況を反映して、我が国の輸出や生産は増勢をたどることが見込まれます。

 さらに、これまで我が国経済の回復をおくらせてきた背景の一つであります企業の過剰雇用、過剰債務などの問題への取り組みが進捗してきておりまして、輸出、生産の増加と相まって、企業収益は増益基調を維持すると見られます。このため、設備投資も製造業を中心に増加傾向を続けると予想されます。生産活動や企業収益増加の好影響は、雇用、所得面や資産価格の変化を通じて家計部門にも徐々に及んでいくと見られまして、個人消費は緩やかな回復に向かうと考えられます。

 物価の面では、このところ、国内企業物価は、内外の商品市況高や需給バランスの改善を反映して上昇しておりまして、先行きも、当面上昇を続けると見込まれます。一方、消費者物価、これは生鮮食品を除くいわゆるコアの消費者物価でございますが、前年比ゼロ%近傍で推移しております。先行きに関しましては、物価の基調を左右する経済の需給バランスは着実に縮小すると見込まれますが、前年比で見ると、米の値段、米価格等、これまで消費者物価の下落幅を縮小させてきていた一時的な要因の影響が順次剥落してまいります。また、企業部門における生産性の向上は、商品市況等の上昇の影響を吸収する効果を持つと考えられます。これらの事情を考慮し、消費者物価は基調的には依然小幅の下落が続くと見ております。

 もっとも、最近の原油価格高につきましては、今後の動向とその影響についてなお注意深く見ていく必要があると考えております。

 金融面では、日本銀行の潤沢な資金供給のもとで、金融市場は総じて落ちついた状況が続いております。資本市場では、世界的な株価の下落や金利上昇を受けまして、四月下旬以降我が国の株価も一時下落はいたしましたが、その後再び上昇しております。この間、長期金利は、概して安定的に推移してまいりましたが、ここに来てやや強含みの傾向を見せております。

 企業金融をめぐる環境も、信用力の低い企業についてはなお厳しい状況が続いておりますけれども、全体として見れば緩和された方向にございます。民間銀行の貸し出しは、減少幅がわずかながら縮小傾向にありますほか、CP、社債といった、資本市場を通じた資金調達環境も良好な状況が続いております。

 次に、最近の金融政策運営について申し述べさせていただきます。

 日本銀行は、現在、日銀当座預金残高という量を操作目標として金融緩和政策を実施しております。具体的には三十兆から三十五兆円程度の目標値のもとで、金融市場に潤沢な資金供給を行っております。また、この金融緩和政策を、消費者物価、これは全国ベースの、生鮮食品を除くベースでございますが、その前年比が安定的にゼロ%以上となるまで継続するという約束をいたしております。

 こうした政策は、金融機関の資金調達に関する安心感を生み、金融市場の安定に貢献しております。また、約束を通じて、先行きの金利予想ひいては市場金利を安定させる効果があり、そのもとで、企業は引き続き低利で資金調達が可能となる環境が整えられます。景気の回復を反映して、企業の投資採算は改善し、より一層前向きの行動を促すことになると考えられます。このように、現在の金融緩和政策の景気支援効果は、景気が回復を続ける状況においてなお強まっていくと考えられます。

 こうしたことを念頭に置きまして、日本銀行は、消費者物価指数に基づく約束に沿って量的緩和を継続しております。

 加えて、日本銀行は、金融緩和の効果を経済に幅広く浸透させるため、市場を通ずる資金仲介の多様化、効率化にも取り組んでおります。このことは、長期的には資本市場の整備につながっていくと期待されます。

 その一環として、昨年七月から資産担保証券の買い入れを開始し、これまでに累計で約八千億円の買い入れを実施いたしました。また、資産担保証券市場の発展を支援するため、市場関係者とともに証券化市場フォーラムを開催し、市場の課題とその解決の方向性等について議論を行ってまいりました。その成果として四月には報告書を公表し、証券化商品の価格評価をより的確かつ効率的に行うことに向けた具体的な提言を行っております。

 さらに、先月には、国債市場の流動性向上という観点から、日本銀行が保有する国債を補完的に市場に供給する制度を導入いたしました。

 このように、日本銀行は、幅広く金融資本市場の整備に資する取り組みを進めておりまして、今後ともそうした努力を続けていきたいと考えております。

 なお、日本銀行は、株価の変動が金融機関経営ひいては金融システム全般に及ぼすリスクを緩和する趣旨から、一昨年十一月以降、銀行保有株式の買い入れを実施しております。本年五月三十一日時点での買い入れ額は一兆九千七百九十九億円ということになっております。

 日本経済は、景気の前向きの循環が次第に強まっていくことにより今後も回復を続けていくと予想されます。これを、持続的な成長とデフレ克服の実現につなげていくためには、引き続き、幅広い経済主体の経済活性化に向けた取り組みが重要だと考えております。

 日本銀行といたしましては、持続的な成長とデフレ克服に向けて、景気が回復を続ける中にあっても粘り強く金融緩和を続けることで、日本経済を金融面からしっかりと支援してまいる所存でございます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

田野瀬委員長 これにて概要の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。

谷口委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。福井総裁初め日本銀行の皆さん、早朝から御苦労さまでございます。

 まず初めに、昨日の長期金利の状況からお伺いいたしたいと思うわけでございますけれども、昨日の状況を見ておりますと、一・七%台に上がって、本日の新聞を見ておりますと、超低金利終幕かというような報道ぶりであるわけでございます。

 世界経済を見回しても、最近世界経済全体が上向いておるというのは間違いないことなんだろうと思っております。

 それで、世界各国の政策金利の状況を見ますと、日本は〇%、アメリカは一%、ユーロ圏は二%ということで、英国は四・二五%というような状況のようでございます。ここで、物価の上昇率を引いた実質金利ということになりますと、アメリカはマイナス、ユーロ圏ではゼロ近傍、日本はほぼゼロ、こういうような形で、いわばゼロ金利協調というようなことになっておる、デフレスパイラルを起こさないといったような形になっている、このように言われております。

 ところが、先ほど申し上げましたように、世界経済が上向いておるような状況の中で、英国中央銀行、BOEは七日にレポ金利を〇・二五%引き上げたわけであります。米国のFOMCはこの四日に短期金利据え置きを決めたわけでありますけれども、でも六月末にはFOMCは利上げかということが巷間言われております。ECB、欧州中央銀行は七日の理事会で金利を据え置いたわけでありますけれども、トリシェ総裁は原油価格の上昇に懸念を表明しているといったようなことで、各国が金利を引き上げるといったような傾向が見られるわけでございます。

 一方、申し上げましたように、昨日の状況、我が国も、景気動向を見ながら、長期金利がこういう、一・七%台といったようなことになってまいりまして、どうも市場関係者が、量的緩和、いよいよ終わるのではないかといったようなことを言われておるわけでございます。

 先ほど福井総裁がおっしゃったように、まだまだ我が国の経済は改善をしたといったような状況ではございません。大企業のところは明るい兆しが見えてまいったわけでありますけれども、特に中小企業または地方経済は十分に景気回復感が実感できるといったようなことではないわけでございまして、このような観点で見ますと、この量的緩和を解除するということについては、これは極めて慎重にやっていかなければならないというように思っておるわけでございます。

 以前にゼロ金利が解除されたときに、これはいささか時期尚早でございまして、また量的緩和ということになったわけでありますけれども、このようなことも十分考えていただいて、今、大変金融政策運営、非常に難しいときでございますけれども、私は、今申し上げましたように非常に慎重にやるべきだというように思っておりますけれども、福井総裁のお考えをお伺いいたしたいと思います。

福井参考人 お答えを申し上げます。

 冒頭に委員から御指摘のございましたとおり、日本におきましてもここ数日、長期金利が若干上昇の動きを見せているということでございますが、世界経済全体として、人々の予想をやや上回るような強さでいわば高目の成長を続けている。日本経済につきましても、けさ方政府が発表なさいました、一―三月のGDP成長率がさらに若干上方修正されるというふうに、日本経済自身も回復の方向性がさらに明確に確認されつつあるという状況でございます。こういう状況のもとで、やはり世界的に物価の動向の方向性が徐々に変わりつつあるのではないか、金融資本市場の中におきましてもそうした微妙な変化を市場自身が織り込み始めている、こういうふうな空気が支配的でございますが、日本の長期金利の最近の上昇につきましても、こうした市場全体の空気が幾ばくか反映されているというふうに考えております。

 各国の政策がこれからどういうふうに行われていくかは、私ども、具体的には予測の限りではございませんが、いかなる政策がとられようと、市場を通じて日本には影響が及んでまいります。そこは十分注意して眺めながら、日本経済そのものにつきましては、委員まさしく御指摘のとおり、景気は次第に回復の基盤を整えつつあるということでございますけれども、デフレ脱却、そして持続的な回復軌道への到達という点ではまだ距離を残しているという状況でございますので、日本銀行といたしましては、今後とも、経済主体のさまざまな努力を、背後から強くこれを支援していくという趣旨を込めまして、現在の緩和政策を粘り強く続けていきたい、この点の方針についていささかの揺るぎがないということを最初に御報告申し上げます。

谷口委員 ぜひそういう慎重な姿勢でお願いを申し上げたいというように思っております。

 また、こういう状況の中で、量的緩和を解除する要件、条件を厳しくするといったような流れがあるわけでございますが、その中でインフレ参照値というような議論もあるようでございます。インフレ参照値というのは、広い意味ではインフレターゲットの中に含まれるわけでありますけれども、私は、個人的には、これはやはり極めて慎重にやっていくべきだというように思っておりまして、このインフレ参照値、またインフレターゲットについて総裁のお考えをお伺いいたしたいと思います。

福井参考人 望ましいインフレ率というものはどういうものなのか、あるいは物価安定というものは数字であらわすとどういうものなのか、それを金融政策の運営上どの程度強く念頭に置いて金融政策の枠組みをつくることが金融政策全体の透明性向上に資するものになるのかというふうなことは、今後とも絶えず、環境の変化を織り込みながら真剣に考えていかなければならない、日本銀行として重要な課題だというふうに考えています。

 いわゆるインフレーションターゲティングと言われていたり、あるいはインフレ参照値と言われているようなものにつきましても、そうした大きな検討対象の中には当然入ってくる事柄だろうというふうに考えておりますが、現在ただいまの状況を出発点に考えますと、何と申しましても、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまで今の緩和を続ける、このコミットメントは非常に明確なものであり、市場関係の方々及び広く経済主体にその趣旨が浸透している状況でございますので、現在はこの路線の上に政策を推進していくことが一番政策効果が上がりやすいというふうに考えております。

 願わくば、早く、消費者物価指数の前年比変化率がゼロ%以上という私どものターゲットが達成されることを私ども強く望んでおりますが、その目標が達成されました後の金融政策の全体の方式、これはまたいろいろと考えていかなきゃいけないというふうに思います。その中でインフレ参照値的なものを取り上げるかどうか、これはこの先の課題として私どもは考えさせていただきたい。

 現状においては、その可能性について、特にこの点に意識を置いて前向きに取り上げているということではございません。あらゆる他の要因と一緒に、今後並行的に考えていきたいということでございます。

谷口委員 ぜひそういう姿勢で、私申し上げましたように慎重にやっていただければというように思っております。

 その次に移りまして、新日銀法ができまして、一九九八年の四月一日から施行されておるわけでございます。ですから六年ぐらいになるんですか、その中で、私、次にお伺いいたしたいのは審議委員のことでございます。

 今、審議委員が六名いらっしゃるわけでございますね。日銀の総裁、副総裁、合計何人になるんですか、九名ですか、九名ですね。(福井参考人「正副総裁入れて九名です」と呼ぶ)それでやっていただいておるわけでありますけれども、この六年の中で、審議委員が、東京もしくは東京圏、首都圏といいますか、東京にお住まいの方、また拝見していますと神奈川県にお住まいの方というような形で、すべて首都圏の方が任命されまして我が国の金融政策について検討されておるわけでございます。

 私はやはり、首都圏といいますか東京エリアの方だけではなくて、金融政策全般を見たときには地方経済の状況も大変重要でございますので、地方の方も含めて金融政策を議論していただくということが必要なのではないかというように思っておるわけでございます。

 これは、日本銀行でこの審議委員を任命されるということではありません、内閣が任命するということになっておるわけでございますけれども、参考人で、本日、内閣から審議官に来ていただいておるわけでございますが、これからの決定会合の審議委員については地方の方も選任するということを念頭に入れたやり方が私は必要なんだろうと思っておりますが、どのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

千代政府参考人 お答えいたします。

 日本銀行の審議委員につきましては、日本銀行法に基づきまして、「経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから、」選任することとされているところでございます。現職の審議委員につきましては、この日銀法による選任基準に基づきまして、両議院の同意を得て任命されているところでございます。

 御指摘のございました、地方からの審議委員の選任ということでございますが、審議委員につきましては、これは常勤でございますので、おのずから居住場所につきましては東京周辺にならざるを得ないというふうに考えてございますが、今後の選任に当たりましては、「経済又は金融に関して高い識見」という点もございますので、これは当然地域の経済という点も含んでおるというふうに私どもは考えて選任いたしておりますので、今後ともそういった基本的な考え方に基づきまして選任をさせていただきたい、かように考えてございます。

谷口委員 旧日銀法の時代には地方銀行の代表の方もおられたようなことを聞いておりますけれども、ぜひ、そういう観点でバランスのとれた金融政策に対する審議ができますようにお願いを申し上げたいんですけれども、これは、総裁はそういう権限がございませんが、総裁の個人的なお考えはどうでございましょうか。

福井参考人 委員御指摘のとおり、古い――古いと申し上げていいのか、旧日本銀行法では、都市銀行を代表する方、あるいは地方銀行を代表する方、産業界を代表する方、あるいは、たしか農業を代表する方とかいうふうに、政策委員会のメンバーそれぞれについて出身母体を特定するような規定になっておりましたが、新日銀法、現在の日銀法では、ただいま政府の方から御説明のございましたとおり、そういう出身母体の特定性ということは問わないで、広く「経済又は金融に関して高い識見を有する」方というふうな規定になっております。

 日本銀行といたしましては、そういう非常に高いレベルの基準を満たされた立派な政策委員の方をお迎えしたいということでありますし、委員御指摘のとおり、しかし、その中でも偏りがあるとか、日本経済、非常に大きな経済でございますので、地方の隅々の状況まで十分目が行き届く、審議委員六人でございますが、正副総裁を合わせますと九人、九人のメンバーで地方の隅々まできちんと目が行き届くというふうな構成でいつもでき上がっていれば、それはすばらしいことだというふうに考えております。

谷口委員 内閣の方でも先ほど答弁をしていただきましたが、ぜひ官房長官にもお伝え願いたいと思います。

 それで次に、バックアップといいますか、大正のときに起こった関東大震災のときに、日本経済が大変混乱をして、麻痺をして、当時の日銀も大混乱をして、震災手形と言われるようなものが出てまいりまして、日銀が割り引く、再割引をするといったようなことになって、それが大恐慌の一つのきっかけになったと言われております。日本銀行の日銀ネットというのは非常に重要でございます。これが安定的に、混乱をしない状況をつくっていかなければなりません。最近は即時決済システムというようなことも入れられてやられておるわけでございますが、また仮に関東大震災と言われるようなものが起こりますと大混乱になりかねない。そのことも含めまして、今、システムのバックアップで、日本銀行にお伺いいたしますと、大阪にもう一つのシステムを置いていらっしゃる、バックアップ体制をつくっていらっしゃるというようなことでございます。

 これは、民間の金融機関も含めて、そのようなツーセンターシステムといったようなことをやっておるわけでありますけれども、システムだけではなかなか稼働しないわけですね。

 運営面、運営面と申しますのは、一つは、決定会合が毎月一回ないし二回、日本銀行で行われておるわけでございますけれども、このようなことも含めて、大きな混乱なく、そういう状況に至ったときにできるようにしておく必要があるんじゃないかと私は思っておるわけでございます。そうしますと、決定会合そのものを、例えば三カ月に一遍ぐらいは、大阪にバックアップのセンターがございますので、大阪で行うといったようなことをやっておられますと、スムーズに混乱なくそういう態勢に対応できると私は思っておるわけでございますけれども、総裁のお考えをお伺いいたしたいと思います。

福井参考人 緊急時、特に大きな災害等が起こりましたときの日本銀行としての緊急対応、さまざまな側面がございますけれども、やはり現在はマーケットを前提に金融活動が非常に活発に行われている、これを保全しなければいけないということでございますので、何といっても決済システムの保全、それは、おっしゃいましたとおり、コンピューターネットワークシステムでサポートされておりますので、そういう面での完全なインフラの整備、そのインフラを整備いたしましても、これを運営していく体制、インフラがあってもこれは動けないというんじゃだめなものですから、その点についていろいろな配慮をしております。この後、ちょっと理事からその点については詳しくお話を申し上げたいというふうに思います。

 もう一つ御指摘のありました、政策決定会合を地方でも時には開催してはどうかという御提案でございます。非常に新鮮な御提案だという印象を私は受けますけれども、しかし、同時に、この御提案については、恐らくさまざまな面で深く検討を要するポイントもあるのかなというふうに直観的には思います。

 一つは、緊急時の対応との関係、一体これをどう考えるかということなんですが、時々地方でやっている方が地方で災害が起こったときに対応しやすいではないか、恐らく今そういう御趣旨の御提案だったかと思うのでございますが、逆に、総裁、副総裁、それから六人の審議委員、このメンバーがそろって東京を離れるということが、災害が起こったときに東京発の緊急指令体制にそごが生じないかという、また別の側面からの心配もあるような気がいたしまして、少し考えなきゃいけない。

 それからもう一つは、金融政策決定会合は委員相互間の議論がもちろん中心でございますけれども、その議論の土台を構築するために、事務局による分厚いサポート体制が要るわけでございます。さまざまな情報あるいは分析資料を即座に提供を受けながら議論するという面もございまして、そうなりますと、地方に移動して政策決定会合をやるということは、意外に、この九人だけの移動ではとどまらないということがございます。コスト・ベネフィットをよく考えなきゃいけないというふうな点もあろうかと考えております。

 いずれにしましても、きょうは提案をちょうだいしたというふうに理解させていただきたいと思います。

小林参考人 それでは、私の方から、いざ東京で災害が起きたようなとき、そういったときの大阪バックアップ等についての具体的な運用状況について、補足的に御説明させていただきます。

 先生御指摘のように、現在、計算機のバックアップという意味では、大阪にバックアップセンターを持つということで体制の整備を図っているわけでございますが、具体的にそれが運用できるように、業務の継続体制の整備というのも実践的に考えているところでございます。

 具体的に若干申し上げますと、特に問題になりやすいのは、夜間とかあるいは休日などに災害が発生したとき、こういったときにこのインフラをうまく活用して適切な対応を迅速に行うことが必要になってくるわけでございますが、そのために、そういった要員の確保の体制に努めてございまして、業務の遂行に当たる要員をあらかじめ任命しておくというようなことを行っておりますほか、特に、そういったときの初動態勢をできるだけ円滑に立ち上げることが重要であるということで、本店のみならず大阪についても、必要な人員につきましては近隣に居住、宿泊させる、こういうような体制をとっておるところでございます。

 また、実際にそういう災害が発生した場合にこれが円滑に機能するということも大事でございまして、そのために、取引先の金融機関の方にも御理解を求めながら、大阪のバックアップセンターへのいざというときの切りかえだとか、そういったようなことがきちんとできるかどうかというような各種の訓練を定期的に実施しておりまして、全体として、運用面の安全、確認、改善といったようなことをやりながら、要員の習熟にも努めているところでございます。

 いずれにいたしましても、日本銀行といたしましては、災害その他の緊急時に備えて、日本銀行全体として危機対応力の強化を図るということをことしの業務運営の大きな方針に掲げてございまして、今後とも、そういった災害に備えた体制につきましては十分に努めてまいりたいと思っております。

谷口委員 東京で行い得ないような状態を想定したやり方を申し上げたんですけれども、ぜひそういう観点で御検討をお願い申し上げたいと思います。

 それで、次に、二〇〇四年の骨太のところの文章についてちょっとお伺いをさせていただきたいわけでございますが、正式に申し上げますと、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四というものですね。これで、「当面の経済財政運営の考え方」というところに、日本銀行について言及されております。途中をはしょってポイントだけを読ませていただきますと、「デフレからの脱却を確実なものとするための取組等の基本方針と整合的なものとなるよう、金融・資本市場の期待の安定化にも配慮しつつ、デフレ克服までの道筋を含め、金融政策運営に関する透明性の一段の向上に努めることを期待する。」

 デフレ克服までの道筋を含め、透明性の一段の向上に努めるといったようなことがこの骨太、基本方針にあるわけでございますけれども、これは一体、具体的にどのようなことだというように総裁は理解をなさっておられるのかをお伺いいたしたいと思います。

福井参考人 お答えを申し上げます。

 御承知のとおり、私自身もこの経済財政諮問会議の議員の一人として参画しております。この文章には、私自身もそういう意味では責任を負っているわけでございます。

 現在、日本経済にとりまして最も重要な課題は、改めて申すまでもなく、経済の持続的な成長の実現、デフレの克服ということでございます。この点は、かねてより基本認識として政府と日本銀行とで共有していることでございます。

 今回、景気が極めて望ましい方向に今動き始めている、バブル崩壊後では三度目の景気回復ということで、今度こそ、文字どおり経済の持続的な成長へのパス、成長軌道への到達、デフレ克服というものを実現しなければならない、非常に重要な局面に差しかかっておりまして、こうした基本認識を強く再確認したというのがこの文章の基本的な趣旨だろうというふうに理解しております。

 その場合に、金融政策の場面においてこれをさらに具体的に理解いたしますれば、この大事な局面において、日本銀行の金融政策の運営について、市場から見てもあるいは一般の方々から見ても、金融政策の方向性、その趣旨等についてわかりやすい、つまり透明性が十分確保されていることが重要だということでございます。

 現在までのところ、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまでは今のやり方を続けますということで、非常にクリアカットに透明性は確保されているというふうに思いますが、CPIが安定的にゼロ%以上になりました後も、日本銀行としては、その後の金融政策の運営の方式について最大限透明性の高い方法を模索していきたい、そういうふうにこの文章はつなげて読むというふうに私どもは理解しているわけでございます。

谷口委員 これはかなり含みのある表現だと思うので、先ほども私申し上げましたように、インフレターゲットは極めて慎重に扱っていただきたいと思うんです。そのようなことをこの文章の中に含んでおるとすると、ちょっと私は行き過ぎなんだろうと、私自身はです、そういうように思っておりますが、いかがでございますか。

福井参考人 ただいま答弁申し上げましたとおり、将来にわたって透明性の高い金融政策の方式を築き上げていくということに尽きるわけでございまして、今の時点で、その中身として、委員御指摘のようなインフレ参照値、インフレターゲットその他具体的な方式を念頭に置いてこの文章ができているということは一切ございません。

谷口委員 わかりました。ありがとうございました。

 次に、時間がありませんが、最後に人民元の切り上げの問題に若干言及させていただきたいんです。

 五月に、米国の国際経済研究所のバーグステン所長が、東京のセミナーで、中国が景気過熱とインフレを抑えて持続可能な成長をするために即座に二〇から二五%の人民元の切り上げを行うべきだ、このように発言されたようでございます。

 中国の方は、今、景気過熱の状況もあって、金融引き締めを行われておる。例えば貸し出し規制であるとか、行政的に窓口規制というようなものも行われておるようでございますけれども、また、金利の引き上げなんかも検討されているということを聞いております。

 総裁の先日の日経新聞のインタビューを読みますと、中国の人民元の切り上げについては「資本の自由化や銀行部門の再生が前提」だということをおっしゃっているんです。これはいろいろな考え方があるんですけれども、資本の自由化もしくは銀行部門の再生というのはかなり高い障害だと思うんですね。そうしますと、総裁の個人的なお考えは、なかなかやはり人民元の切り上げのところまでは難しいんじゃないかということをおっしゃっているようなとり方にも見えるわけでありますけれども、総裁はどのようにお考えなのか。

 ちなみに、財務大臣の方は、できればバスケット方式といったような形にやっていただければありがたいということを、そういうのはいい方向だということを言っていらっしゃるわけでございますけれども、総裁のお考えをお伺いいたしたいと思います。

福井参考人 中国は、二〇〇一年の末にWTOに加盟しましてから既にもう二年半たっておりまして、世界経済との連関性を日々強めながら成長しているという状況でございますので、できるだけ早く為替制度を柔軟なものにして、こうしたグローバル化した経済の中における中国経済の存在ということが、より有機的な、経済のつながりを持った姿として前進していくという姿に持っていくべきだというふうに私自身も考えています。

 ただ、為替制度を柔軟なものにするということの趣旨は、その国にとって、その国の経済のファンダメンタルズを反映した為替相場の形成を実現しようということでございます。それを実現するために、どうしても中国の場合必要なのは、為替・金融市場の一段の整備のほかに、今委員御指摘のとおり、資本取引の自由化、これが規制されていてはファンダメンタルズに沿った為替相場の形成は期待できないわけでございますし、もう一つは、金融システムの脆弱性ということを抱えておりますと、これまた資本逃避の芽その他を常に抱えているというふうな状況で、やはりファンダメンタルズに沿った相場形成が期待しにくいということでございます。

 したがいまして、この障害は非常に大きいではないかというのは御指摘のとおりでございますけれども、大きければ大きいほど、この障害を早く解消する努力をまずするということが物事の手順としてどうしても欠かせない。そういう意味では非常にまどろっこしい感じもいたしますが、中国の政策当局者は、そうした問題点把握は非常に正確に今持っておられるし、方向性として、為替制度をより柔軟なものにしたいというふうな方向性も明らかにしておられますので、今後努力が加速的に推進されていくことを我々は期待して見守っているという状況でございます。

 そういう状況でございますので、現時点で、バスケット方式がいいか、あるいはそのほかの方式がいいかということを具体的に浮かび上がらせる材料はまだ十分に整っていないのではないかというふうに考えております。

谷口委員 これで終わらせていただきます。

田野瀬委員長 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。

 福井日本銀行総裁におかれましては、お忙しい中おいでをいただきましてありがとうございます。きょうは、少し長目にお時間をいただいておりますので、ゆっくりと議論をさせていただきたい、こう思っております。

 私は、本日は、量的緩和政策、そして実質ゼロ金利政策の出口政策について中心的に議論を進めたい、こう思っております。

 最初に、私の立場を申し上げておきたいと思います。

 私は、この政策については一定の期間内では正しいし効果的な政策だ、こう思っておりますが、例えて言うと、居心地は大変いいんだけれども、そのまま突き進むと氷山にぶつかってしまうタイタニックというような一面を持っている、一種の護送船団方式の側面を持っている政策なんだというふうに考えております。

 金融政策というのは、長い間固定をいたしますと、効き目は薄くなってくる、それから、副作用が出てくるという種類のものなんだろうと思う。なぜなら、経済が生き物であるからであります。私は、ゼロ金利、量的緩和というものも、むしろそのときの小さな変化に合わせて小刻みに動かしていった方が金融政策の裁量の余地が働いて、いざ解除、方向転換だというような議論になると必要以上のパニックや副作用を生んでしまう、それを防ぐためにもむしろ小刻みに動かし続けてきた方がいいのではないかという持論を持っておりまして、この一方的に突き進んできた実質ゼロ金利政策と量的緩和の一方的な拡大といったものについては、大変危険水域が近づいてきた、これをどうやって切り抜けていくかというのをもはや財政も日銀御当局も我々も真剣に考えていかなければならない時期が来た、こう思っているところでございます。

 それで、現状認識からお伺いをしていきたいと思うんですが、四月末でしたでしょうか、日本銀行で出されましたいわゆる展望レポートというものについて、その以前から財務省の方より、これでデフレ脱却宣言が行われるのではないか、あるいは一年後の見通しとしてCPIがゼロ以上だという見通しが出るのではないか、それによって量的緩和から方向転換が行われて、それこそ長期金利の上昇、国債の暴落というものの引き金になるのではないかという心配が真剣に行われたという話が伝えられておりますけれども、財務省の方からそのような懸念が日銀の方に伝えられたのかどうか、あるいは、この展望レポートを出すに当たってどのような意見が闘わされたのか、すなわち、かなり全般的な合意としてそういう話になったのか、いや、いわゆるデフレという状態はもう出口にある、あるいは出口に近い状態なんだという議論があったのかどうか、お伺いをしたいと思います。

福井参考人 お答え申し上げます。

 展望レポートを最終的にまとめ上げます過程におきましては、政策委員会九人のメンバーで、大変真剣な議論を、かつ、かなり時間をかけていたしました。政府の方から格別御注文があって、それをめぐって何か議論したという部分は全くございません。私ども執行部で持っております材料に加えて、各委員が独自に持ち、分析している資料を持ち寄っての討議ということで最終的にまとめ上げたものでございます。

 まず、景気の動きにつきましては、最終的に私ども見通しとして出しましたところは、その時点における民間の見通し等に比べまして、より、ある意味で強気の見通しを出させていただいたという形になっています。実質成長率で三%台ということを明確に出しておりますことから見ましても、そういうことでございます。

 ただし、その一方で、物価、消費者物価指数等で見た場合に、なかなかわずかなマイナス幅が取れないという見通しを出しております。これは、景気が順調に回復するときに、それに伴って物価の状況にも変化が起こる、過去の経験則に比べても物価の状況の変化は少しタイムラグを持って起こるというのが今回の判断で、そこのところの判断について随分議論をしたところでございます。

 日本経済が持っております過去の問題の処理というこの大きな要素をどれぐらい考慮に入れるかということと、世界経済全体として景気の動きと物価の動きとの間には従来のパターンと少し違った動きが出てきていて、日本経済も世界経済と一体となって動いている部分が非常にふえてきておりますので、その面からの考慮も要るというふうなことで、物価の見通しにつきましては、消費者物価指数、景気が緩やかな回復を続けても、二〇〇四年度については平均してなお若干のマイナスになる、こちらの方はやや慎重な見通しを出させていただいた。

 景気と物価の動き双方についてかなり厳しい議論をいたしましたし、特に景気の動きと物価の動きとの間のタイムラグについての議論を極力正確に見詰めようというところに焦点を当てた議論が行われたというふうに記録をいたしております。

五十嵐委員 御丁寧な御説明、ありがとうございます。

 私は、若干のマイナスという、わずかなマイナスという表現を総裁はなされましたけれども、前年比で〇・一%というようなマイナスあるいは〇・二というようなマイナスというのは、本当にこれはデフレなんだろうか、そんなに注目をしてこれをゼロにすることが物すごい大切なメルクマールなんだろうかというのを若干疑問に思うんですね。

 例えばインフレの時代でも、〇・一%の年率上昇というのは物価の安定の範囲内だ、安定している物価だとたしかおっしゃったと思うんですね。マイナスにおいても、〇・一、〇・二というのは安定した物価ということが言えると私は思うんですね。

 問題は、資産デフレがとまっているかどうかというようなことと、デフレスパイラルに結びつくのかどうか、これがだんだん拡大していくようなデフレスパイラルになるのかどうかというのが注目すべき点であって、コアの消費者物価がマイナス〇・一かゼロかというのは本当にそんなに大切なことなんだろうか。

 それから、今総裁がおっしゃいましたように、世界経済と我が国経済は密接に結びついておりますから、内外価格差というものがあるわけですね。これは、長期で見れば縮んでいく方向にあるのは目に見えております。そうすると、内外価格差をのみ込むだけの賃金上昇があるかどうかの方が問題であって、むしろ、賃金の総量がふえるかどうか、あるいはそれへの期待があるかどうかということが問題なんであって、コアの物価そのものが〇・一かゼロかというのはそれほど大きなものになるとは思わない。むしろ、きめ細かく、デフレの判断の問題、物価の問題というのは賃金との関係で見ていかなければならないのではないかなと思うんですね。

 例えば、物の物価とサービスの物価、サービスの値段というのが今最近ではずれてきております。あるいは、最終的な消費者物価と川上での素材の物価とがかなりずれてきております。それと賃金との関係、こういったものをもっと細かく見るべきで、一般的に、一般物価がマイナス〇・一だ、ゼロだと一喜一憂するというのはおかしなことだなというふうに私は思わざるを得ないんですが、その辺はどのように解釈をされているのか、御説明をいただきたいと思います。

福井参考人 おっしゃるとおり、マイナス〇・一ないしマイナス〇・二という消費者物価指数、この表現がどの程度物価安定という概念からずれているかどうか、大変難しいポイントでございます。

 おっしゃるとおり、そこは日本銀行の中でも非常に真剣に議論しているところでございまして、昨年の十月に、私どもの金融政策の透明性を図るために消費者物価指数を見ていきますといった場合にも、これをさらに三つの要因に分けて考えていきましょうということを明らかにいたしました。

 それは、従来どおり、極めて単純に消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるようにということと、先行きの見通しがやはりプラスになるようにと。これは言い方といたしましては、消費者物価指数の変化率が再びマイナスに落ち込むことがないようにと。さらに、三つ目の条件がございまして、これは今の緩和政策を本当に修正していいかという実質判断をそれに加えましょうというふうに、三つの要素に分けました。

 まず二つ目の要素、つまり、再びマイナスにならないという要素を明確にいたしました意味合いは、これまでの経済の非常に悪い状態、物価もかなり下がるというふうな状況のもとで、委員御指摘のとおり、日本銀行としてはデフレスパイラルに陥るということを一番警戒したわけでございます。

 量的緩和政策、つまり、普通の金融政策からいきますと、極めて異常な姿の金融政策をここに用いることによって、何とかデフレスパイラルに陥ることを防ぎ得た。そして、消費者物価指数のマイナス幅もかなり縮小してきて、ゼロに近づいてきているということは明確に認識しております。そういう意味では、マイナス〇・一、マイナス〇・二というのは、物価安定の概念に距離をかなり縮めてきたという認識は持っておりますけれども、しかし、経済というのは、まさにおっしゃるとおり、内外ともにどういう変化が起こってくるかということはまだわからない。ショックを受けて再び物価情勢が悪くなったときに、改めてデフレスパイラルのリスクを非常に強く懸念しながら金融政策を運営しなければいけないというふうな局面にならないように判断を少し厳しくしたいというのが、この二番目の、つまり、消費者物価指数が再びマイナスに陥らないという確信を持つという点でございます。

 さらに、三つ目の点、実質判断と言っておりますけれども、ここのところが、委員御指摘のとおり、物価について、同じ物価指数であっても、その背後に抱えている需給の状況、それからコストの要因、両面からきちんと分析をしようということでございます。

 需給の要因というのは、過去に抱えました供給超過の要因というものがどれぐらい解消してきているかということで、物価を形成する一番基本的なバックグラウンドの変化の状況ということを正確に把握したいということでございます。

 もう一つは、物価の上昇はコストプッシュ要因によっても起こってくる。これは、最近、海外での原油の価格の上昇あるいは国際商品市況の上昇というものが、こうした私どもの生活に密着する最終段階の物価にまでどれぐらい及んでくるかということを綿密に分析を続けておりますほかに、コスト要因として最も重要なユニット・レーバー・コスト、賃金コストというものの状況ということをしっかり把握していきたい。

 特に、この点につきましては、日本経済、景気は回復の方向に明確に動いておりますけれども、賃金はようやく下げどまりの段階。これから、むしろ私どもとしては、賃金に企業収益が還元されることによって景気回復の力がより強まっていくことを期待していく状況、それが物価の面にどうはね返っていくかということを綿密に計算しながら、今後の物価の基調というものを正しく判断していきたい、こういうふうに考えているところでございます。

五十嵐委員 ありがとうございました。

 たくさんの御回答をいただいたわけですが、要点の一つは、デフレスパイラルを防いできたのは量的緩和政策であると。しかし、先行きという点ではデフレスパイラルの懸念というのは全くなくなったわけではないので、まだその量的緩和政策を維持する必要があるという一つのポイントがあったかと思うんです。

 ただ、私は、デフレスパイラルを防いできたのは量的緩和政策だったのか、あるいはだけだったのかというのは、これはそう断定するにはちょっと疑問があるなと。やはり中国の大きな需要の存在とかいろいろなことがあったというふうに思いますし、そもそも、金融政策がデフレの生みの親になったという説も学会には当然あるわけですね。

 すなわち、フィッシャー方程式というのがありまして、皆様には釈迦に説法なんですけれども、名目金利というのは実質金利プラスインフレ率ということであって、実質金利というのは長期的には日本経済の資本収益性から出てきますから基本的にはプラスということであり、名目金利がゼロであるとすると、これはインフレ率がマイナスになるというのは理論上出てくる話でありますから、ゼロ金利政策がずっと続けば基本的にはデフレというのは出てくるということになるわけですね。

 では、何のためにそれをやるのかというと、それは、一つには、弱小の財務体質を持った金融機関やあるいは事業会社を助けるため。すなわち、緊急の事態というものがなくなればこれは解除できるんだけれども、そうでなければこれをずっと続けなければならないということになってくるわけでありまして、そうすると、実は捕らえてみれば我が子なりで、金融政策そのものがデフレをつくってきたということになりますから、これはなかなか難しいことになる。

 大もとは、やはり実体経済をよくして金融不安を払拭することであり、それが第一だということになってくるんだと思うんです。また、先ほど総裁みずからおっしゃいましたように、企業収益が賃金に還元されて、賃金が当然消費に向かうわけですから、そういう形で、いい意味での上昇が生まれ、いい意味でのほんのわずかなインフレが生じるというのがベストのシナリオだと思うんですが、そうなりにくい世界を今日本がつくってしまっているということに大きな問題があるんだと思います。

 まず、今幾つかのことを申しましたけれども、このフィッシャー方程式の話はどのように解釈をされているでしょうか。

福井参考人 最初に、デフレスパイラルを防いだのは金融政策だけではなくてさまざまな他の要因もあるのではないかという御指摘は、そのとおりだというふうに思います。

 グローバル化されました経済で、世界経済と一体となって進んでいる部分がございますので、海外経済全体がいい方向に動けば、当然、そのベネフィットを生かしながら日本経済もいい方向に動くという面がございますし、それから、金融政策、特に量的緩和政策でバックアップしておりますのは、金融機関及び企業のリストラ努力を支えるという部分が非常に多かったわけでございまして、金融機関及び企業の自主的な努力がなくして量的緩和政策が効果を発揮し得たというふうには到底考えておりません。

 リストラというものは、委員御承知のとおり、大変コストのかかるものでございます。金融費用というものを最低限に抑える、そして、その緩和を長く続けるということによりまして、将来の金融コストについても非常に低いものを予定して企業が努力をすることができる状況をつくるということが、相当なプラスの効果を持ったんではないかというふうに考えているところでございます。

 名目金利がゼロということになりますと、実質金利の面で金融政策運営上十分効果を発揮し得ないところがある、その苦しさがあることは事実でございますし、逆に、先ほど申し上げましたような量的緩和につきましては、企業、金融機関のリストラ努力をサポートすると申し上げましたけれども、場合によってはリストラ努力を、ある意味で力を抜いているところに対してもそれを助ける副作用を持っている可能性は十分ある。

 そういう意味で、私どもは、量的緩和を進める都度、その限界的なベネフィットと限界的なコスト、どちらが大きいかということを、正確にはなかなか計算できないんですが、あらゆる状況を持ち寄って判断しながらここまで来たということでございます。この状況が長く続けば次第にコストの方が高くなってくるんではないか、その心配は私どもも強く共有いたしております。

五十嵐委員 おっしゃるとおりなんだと思いますね。出口政策の時期が、タイミングがおくれると、非常に安易な債権放棄をしてもらって助けられた企業が逆に生き残っていって、真っ当な努力をしてきたところが自助努力による好転というのはむしろ抑えられてくるという可能性もあるんだろうと思います。

 景気の状況について、今度は先行きの話を見ていきたいんですが、今、総裁の方からもコストプッシュ要因として原油の問題が言及されました。

 原油の需要期というのは、当然、北半球に先進国がそろっておりますから、秋から、十月からが原油の需要期になってくると思うんですが、その前に当然手当てをいたしますから、秋のちょっと前ぐらいから原油の需要は大変大きくなってくると思います。

 一時、一バレル四十ドルを超えまして、今、三十ドル台にまた少し戻っておりますけれども、場合によっては五十ドルという声も聞こえてくる。それは地政学的な要因、イラクの問題もありますし、サウジアラビアが王室の後継問題が浮上してきて極めて不安定になってきている、こういうふうに言われております。場合によっては、原油が五十ドルを突破し、かなり五十ドル台半ばまでいくんではないかというような懸念をする向きもあるんですが、この原油の要因がどのぐらい日本に影響を及ぼすかということについてはどのような見通しを持っておられますでしょうか。

福井参考人 現在の原油市況は少し以前に比べますとかなり高いレベルに上がってきておりまして、これ自身は限界的には日本経済の回復に若干のマイナスの影響を及ぼす可能性があるというふうに思いますが、過去、日本経済が経験しました強い石油ショックのとき、ああいったときに比べますと、その悪い影響は、少なくとも今のレベルではかなり限定的であろうというふうに考えられます。

 しかし、そういうことではなくて、今、原油の市況について世界じゅうの人々が心配しておりますのは、経済的に観測できる需給にそごが生ずるという心配はそれほど大きくない、サウジアラビアもスイングプロデューサーとしての役割は十分果たすという姿勢を明確に示しておりますし、現実に、季節的な需要の変化等々に合わせて供給体制を整えるという仕組みはかなりしっかりと整ってきているというふうに、これは広く認識されているわけでございますが、委員御指摘のとおり、今回の原油の問題はいわゆる地政学的リスクと深く絡んでいて不透明な要因が多い。経済的には需給がそんなに大きなそごを来さない、こういう見通しのもとにあっても、その他地政学的要因から突如として供給がとまるというふうな懸念がないかということが心配されている。

 そういう点からいきますと、まさに不確実性のリスクということであって、日本だけではなくて、これは世界経済共通のリスクだということになると思います。イラクの問題を含め、けさほどのニュースでは国連の決議があったというふうなことでございますけれども、そういう形でやはりこれは政治的な舞台で前向きの解決がどんどん進んでいくことが非常に大事でございますし、スイングプロデューサーであるサウジアラビアについての政治的安定性確保ということも、これは各国の注目の的になっておりますので、ぜひ望ましい方向で物事が解決する方向に進んでもらいたい。

 あとは、大きな不確実性要因があるんだということを各国の政策当局者が常に念頭に置きながら、いかなる事態が起こっても、それに対する対処策について、冷静な対応ができるように心構えをとりあえず持っているということが大事じゃないかというふうに思っております。

五十嵐委員 私がお尋ねをしたいのは、突然の不確実なショックが起きた場合に、日本において突然のインフレが起こり得るかどうか、それは防げるかどうかということをお伺いをしたい。

福井参考人 経済が非常に正常な状況にある場合には、原油価格が想像以上に、しかも突然大きな上昇が起こった場合、これは国内においてホームメードインフレに転化させるかさせないか、こういう政策対応がきちんとできるかどうかということだと思います。

 この点につきましては、日本は過去二回の石油ショックの経験の中で、ホームメードインフレは防ぐという対応について非常に貴重な経験を持っておりまして、可能ではないかというふうに思っております。

 しかし、今の日本経済は、デフレから脱却しようとしかかっているという非常に微妙な段階でございます。石油価格の上昇が経済の回復に、つまり、実体経済の回復に強いダメージを与えた場合には、物価の面と、景気が再び強く後退する、この面とで非常に複雑な問題を出してくる可能性がある。そこのところは、過去二回の経験則だけでは単純に対応できないということでございます。

 したがいまして、事態を正確に分析するという作業を速やかにしなければいけないという覚悟は要るということだと思います。

五十嵐委員 おっしゃるとおりだと思うんですね。過去に、福田内閣のときに、うまく、全治五年と言ったけれども三年で済んだとか、そういう経験はあるわけですけれども、そのときとは我が国の経済を取り巻く環境、我が国の経済の状況が大きく違っているということで、それをそのまま当てはめられるかどうかはわからないということなんだろうと思います。

 もう一つは、どうも、最近、家計のフロー貯蓄といいますか、貯蓄がマイナスに転じてきた。これはまさに、ひょっとするとオイルショック以来かな、こういうふうに思うわけですが、企業収益が一方的に改善をしてきているのに比べて家計等は大分乖離している。これは、きょうも日本銀行の当局の方から御説明を聞きましたけれども、想像以上に日本の今の個人消費は底がたい、強いじゃないか、持続するんじゃないかという希望を述べられておりましたけれども、本当にそうなんだろうか。長い間の耐乏で、耐乏生活に耐え切れなくなって貯蓄を取り崩して消費に向かい始めた、もうそろそろいいだろうという気分にマッチしたというだけであって、必ずしもこれからみずからの家計の収入がふえるんだという期待や希望に寄り添って消費がふえているというふうには思えないんですが、この個人消費、家計の収入の見通し、こういったものについてはどのような見方をされているんでしょうか。

福井参考人 九〇年代をずっと振り返ってみまして、日本の経済社会の中におきましては、一貫して高かった貯蓄率が趨勢的に下がってきております。大きな背景は、やはり高齢化の進展とともに、つまり、高齢者は貯蓄によって生活をするという、そのウエートが上がってきているということだろうと思っております。

 恐らく、加えまして、九〇年代は経済が常に停滞して悪い方向に動いていた、雇用、所得環境もどちらかと言えば悪い方向に動く時期が長かったというふうなことで、消費者のマインドも消極的になりがちであったということがあって、貯蓄率は下がっていても消費も悪かった、こういうふうなことだったんではないかというふうに思いますが、最近は、私どもがいろいろ経済予測をいたしますけれども、それよりも常に、出てきた消費は強目に出てきている、そして貯蓄率も予想よりは強目に下がっている、こういうふうな状況でございます。

 恐らく、趨勢として、老齢化による、高齢化による貯蓄率の低下というのが続いていると思いますが、最近の現象は、個々の家計の主体が、周囲を見渡しますと、まず企業の段階において収益がかなり本格的に回復してきている、バブル崩壊後、最高の利益率の水準に上がってきているということが実感として働いている現場で感じられるということがあると思いますし、それに加えまして、いつ失業するかわからない、賃金がどんどん切り下がるという状況もようやく下げどまった、ボーナスその他から所得の回復もし始めているのかなというふうな感じがあって、おっしゃいましたとおり、長く我慢した結果、そのかいが幾らか出始めたかなということで気分が明るくなっている。そこに加えまして、企業がイノベーション、最先端の技術を利用して新製品を提供し、消費者のそうしたマインドの転換を購買力に即座に引き出すような新しい商品サービスの開発も進んでいて、供給と需要がマッチしている分というものも消費の回復に結びついている可能性がある。

 大要はそんなふうに思っておりますが、私どもも、願わくば企業収益がより多く雇用者所得に還元する形で景気回復の循環、好循環をさらに強めていってもらいたいというふうに、そこを金融政策でもバックアップしていきたいというふうに考えているところでございます。

五十嵐委員 私どもも、大事なのは総賃金がふえること、外資だろうが日本の企業だろうが日本の国内で賃金を払える企業がふえること、特に開業率がふえて、その結果として総賃金がふえていくということに政策をかなり集中していかないと、これはなかなか抜け出せないんではないかな、こう思っているわけです。

 一方で、開業率、小さい、零細のところからスタートして会社を起こしていくというようなことを盛んにするためには、地域金融機関というものの役割が非常に重要だ、こう思うわけですが、先ほどもフィッシャー方程式の話のときに、いわゆる弱小の金融機関をある意味では助けるために、システミックリスクを回避するために量的緩和、ゼロ金利というのは必要だったんではないかということを言わせていただいたんですが、この金融問題はもう山を越えたというふうに御判断なんでしょうか。来年からペイオフが新しい段階に入るわけですけれども、地域金融機関の問題を中心に、あるいは大手と別にお答えをいただいてもいいわけですが、金融問題は山を越えたと判断されているかどうか、伺いたいと思います。

福井参考人 大手の金融機関に比べますと、地域の金融機関の場合には不良債権問題の処理のペースが若干おくれぎみに推移しているということは申し上げざるを得ないと思いますけれども、地域の金融機関の不良債権の処理のペースは、それ自体としては、ここ一年、一年半ほどの間にかなり加速してきておりまして、不良債権比率も相当下がってきているという状況にございます。そういう意味では、まだ峠を越えたというふうなところまで申し上げる自信はありませんけれども、あえて言えば、大きな峠は越えつつあるというふうな状況じゃないかと思います。

 しかし、私どもは、むしろこれから、来年の春のペイオフ完全実施に向けて、この不良債権問題の処理の努力をさらに加速していっていただきたい、地域の金融機関について特にこの努力をさらに加速していっていただきたいというふうに思っている状況でございますけれども、既に各金融機関はそのことを相当強く意識しておられる状況になっていると思いますし、かつ、大切なことは、不良債権の処理だけで自分たちが将来に向かって日本経済あるいは地域の経済の新しい発展のためにお役に立てるかどうかということを次第に考え始めている金融機関が出てきているということが心強い材料でございます。

 これは、従来どおりの同じパターンで自然に資金需要を待っていて貸し出しをすれば金融機関も収益が上がるということではなくて、地域においてそれなりに新しい企業が出てくる、従来と違った内容の資金需要、従来と違った形のリスクを金融機関にとってほしい、金融機関自身がリスクをとれなければ、そのリスクを分散する形でさまざまな金融サービスを提供してほしいし、そのアドバイスをしてほしい、このことを感じて新しいモデルを築き上げようというふうな方向で既に地域の金融機関においても努力が始まっている。

 私どもも、考査の場面におきましては、単に不良債権の処理という後ろ向きの方向性だけではなくて、この前向きの努力をこれから積極的にサポートしていきたいというふうに、方向性を次第に切りかえ始めているところでございます。

五十嵐委員 私もそのように思います。例えば医療、福祉に特化して審査能力を身につけるとか、さまざまな新しいビジネスモデルを生み出す工夫というのは、金融業界、まだまだ多いと思うんですが、そういうことを今までそれこそ護送船団方式でしてこなかったというところに問題があると思います。

 ただ、今、さらに不良債権処理を加速してほしいと言われたわけですが、どうも金融庁の政策というのは合併一本やりというふうに思えてならないんですが、私は日本は必ずしもアメリカと比べてもオーバーバンキングだとは実は思っていません。むしろ適正な競争、きちんとした競争が行われていないことに問題があると思っておりまして、合併をすれば、大きくなれば財務体質がよくなって金融機関が強くなるんだ、地域金融機関のシステミックリスクは回避できるんだというのは誤りではないかな、こう思っているんですが、この合併の方向というのは、それは合併も一つの方向でいいときもあると思うんですが、悪いところと悪いところを合わせてよくなるとは思えないわけですし、地域金融機関の不良債権処理の方法として合併に頼るということについてはどのような御感想をお持ちでしょうか。

稲葉参考人 お答え申し上げます。

 不良資産処理に絡めてのお話でありますれば、これは金融機関が相手先債務者の実態を見ながら再生の努力をするなり、そうやって不良債権を処理し、不良債権比率を下げていくということが最も望ましいことではないかというふうに考えております。

 全体の経営の中で金融機関が顧客に対して適切なサービスを施していくために、より大きくなってやった方がよろしいということであれば、合併もその一つの選択であろうと思いますけれども、これは金融機関がそれぞれどういう形で効率的に金融サービスを企業なり家計に供給していくかということにかかってくるんだろうと思っております。

五十嵐委員 地域の金融機関も、努力をされているところとそうでないところといろいろあって、私どもも、もっとスピードアップをしてよくならないものかなと。特に地域によっては小さな弱小の金融機関がたくさんあって、みんなつぶれてしまったというような、むしろ金融が過疎になりかかっている地域もあるものですから、そういうところについては何らかの方法を考えなければいけないかなというふうに思っているところであります。

 さて、地域金融機関の問題ですと、やはり国債保有が大きくなっているという問題に触れざるを得ないと思います。

 日銀自体も相当国債がふえてきていると思います。長期国債の保有残高は、三月末で六十五兆五千億円ですかね。これでいわゆる評価損を一兆六千億余りも計上していると思いますけれども、結局今までの政策のツケが回ってきた、こう思うわけですが、来期からは償却原価法を使うので損益計算書にはこれが出てこないから今期までのことで大丈夫なんだと言うんですが、本当にそれでいいんでしょうか。

 私どもは、そうではない、やっぱり、例えば格付機関はちゃんと見るんだろうと思いますね。私は、それは一種のテクニックにすぎないのであって、長期金利が上昇すれば保有している国債の価値は下がるというのは当たり前のことだと思いますので、この日銀の国債保有リスクというもの、それから、今ついでに地方の金融機関の国債保有のリスクについてお尋ねをしたいと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 日本銀行では、今先生御指摘のとおり、長期国債の評価方法としまして、本年度から償却原価法というものを採用するようになりました。その点、会計上の評価損益という面ですと、この十六年度から期間損益は発生しません。ただ、先生御指摘のとおり、日本銀行が国債を保有していますと、金利が上がる局面ではもちろん評価損は実態的な含み損、あるいは金利が下がりますと含み益が発生いたします。

 そうした会計上の評価損益を離れまして、日本銀行の持っている国債の含み損益という観点から最初に数字を申し上げますと、十六年三月末につきましては、ネットの含み益は四千億円程度でございました。これを前提にしまして、十年物の金利が一%上昇しまして他の期間も比例的に金利が上昇するというケースを想定して計算を行ってみますと、ネットの含み損が発生いたしまして、この場合には一兆四千億円程度というふうになってまいります。

 日本銀行の持っています国債の評価損あるいは評価益ということでございますけれども、現在、量的緩和を行いまして、潤沢に資金を供給するという政策を行っております。これが先ほど総裁が申し上げましたような、政策目的に沿って資金を供給する、その上で必要なときには国債を買うということでございます。その結果として発生しますリスク、損失をどう考えるかということでございます。

 日本銀行は、最終的に、持っています国債の状況につきましてディスクロージャーをしっかり行っております。会計上の損益とは別にしまして、半期ごとに、含み損益の状況につきましてはしっかりとこれまでも公表をしておりますし、これからも公表したいというふうに思っております。それから、日本銀行の行いますいろいろな取引、国債に関連する取引、これは対民間オペもございますし政府との取引もございます、こうした取引の状況をしっかりとディスクローズするということも大変大事だというふうに思っておりまして、この四月末からは、実は政府との取引につきましても数字を公表するということを行っております。

 日本銀行としましては、こうした政策目的と日本銀行の抱えていますリスクもしっかり認識しながら、適切に政策運営を行ってまいりたいというふうに思います。

 それから、地方の金融機関の収益の状況につきましては、稲葉理事の方からお答えしたいというふうに思います。

稲葉参考人 金利上昇が保有国債の評価損益の変動を通じまして金融機関経営に及ぼす影響でございますけれども、これは個々の金融機関によって事情は異なるだろうと思いますけれども、株価の上昇などの影響と打ち消し合うといったような面もありまして、これまでのところ大きなマイナスの影響は出ていないということなのでございますが、こうした国債投資に伴う金利リスクについては、各金融機関がしっかりとしたリスク管理体制をまずは構築して、その上でリスクを適切に管理することが重要だと思っております。

 その際、金利上昇が景気の回復を反映したものということでありますと、保有国債の評価損が発生する一方で、例えば貸出業務面で収益が改善するとか保有株式の評価益が増大するといった、そういうプラスの効果も期待できるわけでございまして、各金融機関では、先行き金利上昇に際してのプラスの効果とマイナスの効果の双方を勘案して、慎重にリスク管理、収益管理を行っている、こういうふうに理解しております。

 そういうことでございますので、今後の金利動向、あるいはそれが金融機関経営に及ぼす影響につきましては、考査、モニタリングなどを通じて今後とも注意深く見てまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

五十嵐委員 この問題は非常に重要なので少し丁寧に見ていきたいと思うんですが、あるメガバンクが、昨年の九月末に、満期保有目的債券がゼロだったんですよ。それが、その十二月末、わずか三カ月後に、ゼロから六千億に急激にふえている。日銀さんやほかのところとを合わせて満期保有目的国債というのを突如としてたくさん計上するようになったということなんですが、これは満期保有目的だからといって満期まで持たなきゃいかぬということではないんですね、途中で売っちゃうこともあるわけなんですよ。ですから、新たな粉飾の手口にこれは使われるんじゃないかなと私は心配をしております。

 それだったら、もう堂々とリスクウエートを国債はローカルルールを適用してゼロだと最初から宣言をして、一切これは時価評価に反映させないという、それで国際的な信認が得られるかどうか別なんですが、満期保有目的債券という項目に分類することによって逃げるというのは、どうも小手先かなというふうに思うんですね。これについては問題ないと考えられるんでしょうか。

稲葉参考人 金融機関の中に、将来の金利リスクを回避するために技術上でき得る対策を講じているという先が幾つか見られるようになってきてございます。例えば、御指摘のような満期保有目的という形にきっちり経理をして、その中で運用するというのが一つの例でございますし、また、例えば変動利付債といったようなものに運用をふやしていくというようなこともございます。

 保有目的に照らしまして適正な会計処理を施すというのは会計上許されていることでございますし、現在、金融機関が満期保有ということで区分して保有しているものは、当然金融機関としては満期まで保有するという覚悟といいますか、そういうポリシーのもとでやっておるというふうに承知しております。

 また、この辺の運用が緩に流れますと、会計上のペナルティーもございますし、監査法人の監査という問題もございますので、私としては、その辺は保有目的に応じてきちんと会計処理がなされているものと理解しております。

五十嵐委員 これは、ですから、監査法人がきちんと監査をするということと、ディスクロージャーがきちんと行われるということでないと、そこは担保されないんだろう、小手先で、満期保有目的債券をふやすという手段だけでこれを回避しようというのは問題がある。

 問題は、やはり日本の国、企業全体が国債を持ち過ぎているということであるんだろうと思うんですね。日銀はバッファーでありセーフティーネットですから、日銀自体が持つのは必要なことではあろうと思うわけですが、民間企業が収益性のいわば頭打ちが起きる国債を大量に持ち過ぎるというのは、これはある意味で、別の意味でも問題が出てくる、こういうふうに思うわけであります。

 それから、先ほど、確かにPL上は問題ないけれども、マーケット的には価格が暴落をするということは日銀の信認という意味では問題なしとしないという趣旨の御答弁だったと思うんですが、かつて、速水前総裁のときでしたでしょうか、一%長期金利が上昇すると、たしか一兆円含み損が生じるというような御説明だったと記憶しているんですが、現時点では保有国債高がふえていますから違うと思うんですが、大体どんなような計算になりますでしょうか。

白川参考人 お答えいたします。

 これは金利上昇につきましてどういう前提を置くかということにもかかわってまいりますけれども、先ほど委員御指摘のとおり、日本銀行は、現在、十六年三月末で長期国債を六十五、六兆円持っております。長期金利が一%上昇するというケースを想定しまして、他の期間が比例的に上昇するというケース、これを計算いたしますと、先ほど申し上げましたように、ネットの含み益が十六年三月末が四千億円、現時点、今の金利上昇を計算しますと、ネットの含み損で一兆四千億円になります。したがいまして、この差額ということが評価損失ということになります。したがいまして、その場合には一兆八千億円ということになってまいります。

 以前、速水前総裁がお答えいたしました数字は、その当時の国債の残高を前提といたしまして、かつ、その当時の低価法を前提といたしまして計算しますと、先ほど委員が御指摘の一兆円という数字になったものでございます。

五十嵐委員 やっぱりこれは相当な数字になると思うんですね。

 きのう、一時長期金利が一・七〇五%になった。日本では国の予算上が二%ですから、二%まではろうばいすることもないのかなと思うわけですけれども、ただ、上昇のスピードが速いなというふうに思っているんですが、これについては、危険だというふうにお思いでしょうか、どうでしょうか。

    〔委員長退席、山本(明)委員長代理着席〕

白川参考人 お答えいたします。

 まず、長期金利の上昇それ自体でございますけれども、先ほど総裁が御説明いたしましたとおり、現在、アメリカを中心としまして世界全体の景気の状況が少しずつ変わってきておりまして、そうしたマーケット全体の空気、雰囲気というものが長期金利の上昇に反映しているというふうに考えております。

 日本銀行自身の収益への影響ということでございますけれども、先ほど申し上げましたような金利上昇の収益面への影響ということでございまして、この数字を大きいと見るか小さいと見るかということでございますけれども、日本銀行自身は、まずこの収益の状況をしっかり認識しておる、それから一方で、日本銀行は自己資本を現在五兆円程度持っておりまして、これは先々の収益の振れに対応して持っているものでございます。また、毎期毎期の政策につきましても、先ほど御指摘申し上げました政策の効果とリスクというものをしっかり見ながら政策運営をやっていきたいということでございまして、我々の政策に対する信認が揺らがないようにしっかりと政策をやっていきたいというふうに思っております。

五十嵐委員 一方では海外の状況も影響してくるわけですが、アメリカの金利が上昇をいたしますと、そちらの方が有利になってきますから、日本からジャパン・マネーがさらにアメリカに向かうということが当然考えられるわけですね。アメリカについては、グリーンスパンさんがそんなに急激にはやりませんというようにも言っているようですが、アメリカの景気の過熱感あるいは金利上昇のスピード、見通しといったものについてはどのような見方を今されているでしょうか。

福井参考人 アメリカの金利の見通しを正確に申し上げることはなかなか難しいわけでございますが、アメリカは景気回復が非常にかねてより順調だ、ただし、雇用の回復だけがおくれていた、こういう判断になっておりましたけれども、最近の数字は、雇用の回復はタイムラグがあったけれども、徐々にかなり力強く雇用の回復を伴う景気回復になってきたという判断でございます。そして、物価の動向につきましても、目先すぐインフレの心配があるということではないにしても、デフレないしはディスインフレの方向で物価の動向を心配して見ていた、そういう方向性はかなり修正されつつある段階。

 そういうふうに考えますと、アメリカの金利は今非常に低い、日本のようにゼロ金利ではございませんが、非常に低い金利で、今の景気の実態等からあわせると、連銀の判断としても、これは非常に慎重に物事を運ぶ必要があるけれども、金利のレベル修正をしていく必要があるということはかなり明確におっしゃっている。現在、市場はそれを先取りしながらかなり織り込み始めているという状況でございますので、アメリカの連銀がこの市場との対話をさらに重ねながらいいタイミングで金利変更の措置をとっていけば、市場に予想外のショックを強く及ぼすということなしに金融政策の変更をやり遂げられる可能性はあるんじゃないかなというふうに見ております。

 そうでありませんと、市場が非常に驚いた場合には、日本の経済、日本の市場へも予期せざる悪い影響が及んでくる心配がある。そのことは十分念頭に置きながら、アメリカにおいても金融政策が行われるはずだというふうに思っております。

五十嵐委員 アメリカの景気が引き締めに転じて急激に悪くなる可能性というのは、グリーンスパンさんの腕を信じればそれはないのかなと思うんですが、日米金利差が余りに広がり過ぎるというのも一方で問題が起きる可能性があるというのが一つです。

 一方、中国についても、これはやはり引き締めに転じる可能性があるのではないかというのが一つ言われているのと、そうでなくても、日本も東京オリンピックのとき、オリンピックが始まったときにはもう不景気になっていたということで、設備投資が一段落をしてしまう。だから、前倒しで起きるわけですから、今、北京は設備投資のいわばバブル的なものが起きているけれども、これも減速ないし急ブレーキがかかる可能性がある。これへの懸念というものが、これは国債とは間接的にしかつながりませんけれども、一方ではあるのではないかな。

 中国の景気に引っ張られているという今の日本の側面が、これからも継続されるかどうかについて見通し的に伺いたいと思います。

福井参考人 中国経済は世界経済の中にだんだん一体化しつつあり、かつ、非常に大きなスケールの経済でございますので、世界経済に厚みを増す要因、明確にそうなってきていると思います。したがいまして、中国経済の動きが急激に変化する、今委員御指摘のような心配事が現実に起これば、世界経済のショックはやはり少なからず強く出てくるだろう。

 日本もその間接的な影響から当然免れないという心配があるわけでございますが、昨今の中国の状況を見ておりましたり、私ども、中国人民銀行の首脳の方と常時意見交換しておりますが、非常に早い段階から中国の政策当局者が中国経済の過熱のリスクということを認識していて、そして、手法は、欧米ないしは日本のやり方と比べますと、金利政策に強く手を染めるというやり方ではなくて、流動性の吸収とか、あるいは、何と表現するんでしょうか、日本の昔のやり方でいえば窓口指導的なやり方で、貸し出しそのものに直接ブレーキをかける、やや選択的な規制をかけるというふうな方向で、既に調整のステップを踏み始めているという状況でございます。

 中国は、経済成長率を高く安定的に維持したいということが経済政策の最大のメルクマールになっている。この成長の急屈折ということを、経済及び社会の安定上絶対避けたいという意識のもとに政策運営をしているように私どもから見れば観測されます。

 そういう点からいきますと、早く着手しているし、中国として今の環境のもとでは一番有効と思える手段からまず発動しているし、経済成長率の屈折ということを避けたいという強い意識が働いているという点から見ますと、急激なショックが目の前に及んでくるという心配は、今のところはそう強く持たなくてもいいのではないかなと思っておりますけれども、必ずしもそう楽観ばかりはしないで、注意深くウオッチしていきたいというふうに思っています。

五十嵐委員 そういった要因がある中で、インフレが日本に訪れる可能性がある、最近では週刊誌等が盛んにそちらの心配を言い始めたわけですね。

 インフレはいいインフレと悪いインフレがあるんですが、先ほど言いましたように賃金が少しずつ上昇するインフレなら、緩やかなインフレであれば、また、賃金に結びつくインフレであればいいわけですけれども、そうでないときには大変な、いわゆるスタグフレーションになるということで心配があるわけです。

 このインフレが起き出したときに、過熱感が出たら、当然日本銀行としては保有国債を市場に売却して市場のお金を吸収するということをしなければならないんだろうと思います。つまり、三十兆から三十五兆という今の量的緩和、日銀当座預金残高の目標数値を徐々に引き下げていかなければならないという場面が予測をされるわけですけれども、これが非常に今度は金融機関のろうばい売りを伴いかねない。

 そうすると、非常に膨れ上がった国債の資金需要、国は瞬間的に相当国債を市場で消化しなければならない。今、借換債まで入れますと、年間相当な額、百三十兆、百四十兆というオーダーの調達をしなければならなくなっておりますし、また、そのほかに財投機関債といったものもあるということで、いわゆる札割れの可能性が出てくるのではないか。一方で、そのバッファーとなるべき郵貯、簡保の資金といったものは公社の自主運用になってきますし、本当にうまくその辺の公債管理ができるのかどうかというのは大変心配になってくるわけですけれども、その出口政策の基本的な方針というものがあればお伺いをいたしたいと思います。

福井参考人 今委員御指摘の点が、私どももこれから先の金融政策を考えていきます場合には、考えなければならない非常に重要な課題でございます。かつ、大変困難な課題だということも御指摘のとおりだというふうに認識をいたしております。

 ただ、ただいま委員が御指摘になられましたように、日本についても目先すぐインフレの心配をしなければいけないかということになりますと、そこは少し、私どもの認識が甘いかもしれませんが、率直に言ってまだそういう状況ではないと思っております。

 まずこのデフレ脱却の、あえて申し上げれば最終場面に近い今の状況を確実に推進して、デフレ脱却からまずという目標を果たしたい。そして、デフレ脱却のために金利機能を殺してまで量的緩和政策という異常な金融政策をやっているこのやり方を、正常な金融政策の姿に戻したい。つまり、金利が機能するような条件をまずきちんと整備したい。その過程を通じて、経済がさらによりよく均衡のとれた姿になる、最終的に、インフレが目前に迫るというふうな状況を見ないまま、願わくば均衡のある日本経済の姿に持っていきたいということでございます。

 したがって、私が非常に難しいと申し上げておりますのは、デフレを脱却し、そしてより均衡のとれた日本経済の姿に進む過程で、金融市場においては、金利機能を回復させながら、量的緩和ではなくて、改めてオーソドックスな金利を中心とする金融政策のフレームワークに到達する。このプロセスにおいて、流動性をたくさん供給しておりますのを吸収していくやり方というものが、市場の期待を著しく攪乱しないで、市場との対話を十分練り上げながら円滑なパスを築いていきたいというところに難しさがございます。これだけたくさん国債の発行残高が市場にも金融機関にも日本銀行の中にもあるわけでありますので、これをうまくこなしながら、そのパスをいかに円滑にやっていくか。

 委員は、国債をどんどん売らなければ吸収できないのではないかというふうにおっしゃいました。私どもは、流動性吸収の手段としては、国債に大幅に手を染めるというふうなことに必ずしもならなくても、さまざまなオペレーションの手段を開発しながら、工夫を凝らしながらそこはやっていきたい。やはり市場全体としての期待の安定化ということで、国債を直接サポートするということではないにしても、市場の安定ということは私ども非常に大事にしていきたいというふうに思っております。

    〔山本(明)委員長代理退席、委員長着席〕

五十嵐委員 私どももできれば福井総裁の腕を信じ、日銀の実力を信じていきたいんですが、ただ、ちまたでは必ずしもそうなっていない、残念ながらそう思います。それは、日本の国、台所を預かる財務省の方に、これだけ巨額の国債残高があると、長期債務がありますと、やはりインフレによって軽減したいという気持ちがあるのではないか。いわゆるインフレ待望論というのが国の、政府の側にあるのではないか。それに日銀が、独立性というけれども引きずられるんじゃないかという心配があるわけなんですね。これは、その心配があるということは事実なんですね。

 例えば、新円の印刷というものがスケジュールに上っておりますけれども、新円切りかえで旧円が実は無価値になるんじゃないか、等価で交換してくれないんじゃないかというような説が、俗論がはびこっているわけですよ。国民の中にそういう不安があるわけです。私ははっきり否定をするべきだと思うんですが、同時に旧円も印刷していきますからそんなことはないわけなんですが。

 しかし、そういう不安が起きるというのも、日本の余りにも膨大になった長期債務、日本の借金というものに対して国民が不安をしっかりと抱いていて、日銀が財務省の政策に引きずられていくんじゃないか、特に、立派な方でありますけれども、副総裁が日銀へ来られて力を発揮しているというようなことを伺うと、そちらに引っ張られてインフレ政策をとるんじゃないかというふうに実は疑われているわけですよ。これを払拭しないことには、私は、そういうろうばいした経済行動というのは国民の間に起きかねない、こう思っているんです。

 インフレが起きたときにはインフレターゲティングがいいんですよ。だけれども、デフレの時代にインフレ参照値、インフレターゲットというのを言い出すということは、インフレ待望論と結びついているんではないかという疑い、やっぱりなという疑いを国民に持たせるわけです。

 そういう意味で、私は、インフレターゲットをこの段階で言うべきではないというふうに思っておりますが、そのことも含めて、日銀がその独立性、そして日銀の政策に対する信認を国民から受け取るためにはどうすべきかということをお考えいただきたいと思うんですが、それについての所見を伺いたいと思います。

福井参考人 私どもの目標はただ一つでございまして、日本経済の望ましい姿を金融政策の力をフルに発揮して最終的に実現していきたいということでございます。政府との間でその中間的な目標をめぐって妥協するというふうなことは、私ども、日本銀行法の精神にのっとって、できないことでございます。断固としてそういうことはしない。

 国民の皆様方に私どもが何を約束しているか。今は消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になるように、つまり、デフレ脱却ということに全力を注いでいますということを申し上げています。この目標を早く達成したい。達成した後は、より均衡のとれた日本経済の姿とはこんなものであり、日本銀行としてはこういう方式で金融政策をやっていきますということを明確にいたします。

 もしそのことと違った姿で政府が日本銀行に注文をなさるのであれば、政府としてはどういう姿を国民の皆さんに約束するんですかということを、恐らく同時に示していただけるんであろう。国民の皆様の選択のもとに、もし日本銀行のお示しする目標が正しければ我々の方に信認を寄せていただく、そういうふうな姿になると思います。

 率直に申し上げまして、日本経済は今大きな不均衡を二つ抱えている。一つは、まだデフレが脱却できていませんので、需給ギャップという大きな不均衡がございます。もう一つは、そのデフレ克服の過程で、政府の部門、つまり、政府部門において財政赤字という、国債の発行額の累増という大きな不均衡を抱えている。

 日本銀行が当面の目標としておりますデフレ脱却、この目標を果たしますと、それはイコール需給ギャップという一つの不均衡がなくなるわけでありますので、政府の抱えている財政の不均衡ということに非常に焦点が当たってまいります。この焦点、マーケットあるいは国民の皆さんから見て大きな問題だというふうな意味で焦点の当たるこの事柄について、政府が解決すべき責任の重さということが浮かび上がってくるというふうに思います。

 先ほどから御指摘のような国債の問題を金融政策の方からどう扱うか、我々は市場の期待の安定化を十分図りながら最大限の努力をしますと申し上げておりますが、その大前提としては、政府はデフレ脱却後は従前よりもより強く財政規律を強めていってもらわなければならない。それから、国債の発行の仕方にしても、国民の皆様が持っている貯蓄が国債の投資に振り向けられやすいような国債の発行の仕方を工夫するなど、やはり政府においても新しい知識創造が要るというふうに思います。

 そういう政府の努力、日本銀行の努力が、方向性が違うというのではなくて、方向性が合う方向でかみ合っていかなければならない。こういう点については、その段階におきましても、この国会の場面におきましても、十分議論をさせていただきたい、我々は議論をさせていただく用意があるということを申し上げます。

五十嵐委員 最近、政府と日銀とのアコード、アコードという言葉が出てきて、一致ということですが、政策のアコードは、日銀の側をインフレ待望論の政府の側に引きつけるかのように受けとめられる傾向があるものですから、十分に気をつけていただきたいということです。

 国民にとっては、賃金が上昇しないで物価だけが上がるというのは地獄ですから、これだけは避けるように慎重な運営をお願いしたいと要望いたしまして、本日は大変丁寧に御答弁いただきましてありがとうございました。終わります。

田野瀬委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、個人消費の動向について、少し立ち入ってお聞きをしたいと思います。

 先ほど福井総裁は、報告の中で、雇用者所得は徐々に下げどまってきているというふうに述べました。しかし、改善しているというふうな評価はされておられなかったわけでございます。総裁は、ある講演で、家計所得がなお伸び悩んでいるという表現もお使いになっておられます。その一方で、個人消費はやや強目の動きとなったと述べられました。つまり、所得は伸び悩んでいるが消費はふえている、こういうことだと思うんですね。

 実際、現金給与総額を見ますと、昨年の後半はマイナスになっております。しかし、四月の勤労者世帯の家計消費は、対前年比で名目で六・六%増、実質で七・二%増、こういうことなんですね。所得の裏づけがないのに消費だけがふえた。

 なぜそうなるのか。それは、勤労者世帯の消費性向が上向いた、あるいは高齢者世帯では生活のために貯蓄の取り崩しがあった、そのために所得の裏づけがなくても消費がふえた、こういうふうにしか考えられないわけですが、そこはどういうふうに考えておられますか。

福井参考人 最近の個人消費の動きを見ておりますと、日本銀行が事前に予測いたしますよりはやはり強目に個人消費の結果が出てきている、こういうふうな状況でございます。

 そして、いろいろな経済指標を見ますと、まず一番大事な雇用、あるいは雇用者所得は下げどまってはきておりますけれども、明確にこれが増加する傾向にまで移ったというふうにはまだ断定できない、そういう状況でございます。つまり、所得がふえていないのに消費が先行して増加し始めている、こういうふうな現象でございまして、日本経済、過去の経験を振り返ってみますと、余りこういう経験はないわけでございます。

 アメリカ経済の場合は、景気が立ち直るときは、所得がふえる前から消費がまず走り出す、これは比較的よく見られるパターンでございますが、日本経済では過去そういうことがございませんでした。したがいまして、私どもは、経済の予測を立てるときに、消費者の皆さんはきっと慎重だろう、所得がふえるまでは財布のひもはかたいんじゃないかという前提で予測を立てるものですから、最近はこの予測が少しいい方に外れていて、消費が結果的に少し伸びているという状況でございます。

 その理由は必ずしも明確ではありませんが、おっしゃるとおり、貯蓄性向が下がっている。高齢化社会が進んで、高齢家族ではどうしても貯蓄を崩しながらの生活になるという面がありますのと、それから、高齢者世帯でなくても、やはり経済全般の方向性が少し明るくなった、自分ないしは御主人、あるいは息子さんたちが勤めている職場の雰囲気が明るくなったというふうなことから気分的に消費者マインドが明るくなっている、そこに、企業の方が、日本の企業はデジタル家電を初め消費者のニーズを非常に先取りしながら新しい商品をどんどん提供してきている、このことが明るくなった気分と結びついて、消費を所得に先行して少し伸ばし始めている要因になっているのではないか。ここは推察でございます。そういうふうに考えております。

 しかし、個人消費が本当にしっかり回復するためには、企業の利益が雇用者所得の形できちんと還元される、このいい循環メカニズムがもう少し強く働いてくる必要があると思っております。私どもの見通しでは、そういうふうないい循環が働く可能性が次第に強まってきているんではないか、こういうふうに見ているところでございます。

佐々木(憲)委員 個人消費が一時的に拡大をしても、その持続性がなければならないわけでありまして、やはりそのためには所得全体がふえていくということが大事だと思うんですね。

 今回の日銀の報告でも、企業収益は着実な改善を続けた、こういうことで指摘をされていますが、実際、大企業を中心に、バブル景気以来の高水準というふうに言われているように、大変利益が急増しておりまして、例えばトヨタの純利益は一兆円を超えたというので大変評判になりましたが、上場企業の九割が連結ベースで最終黒字になった、あるいは経常利益で過去最高を更新した企業は四社に一社に上っている。

 しかし、先ほどもありましたように、勤労者世帯の所得の方は横ばいないし伸び悩みと続いているわけであります。したがって、それを改善するためには、やはり先ほどもおっしゃいましたが、企業利益を勤労者世帯に還元していくということが大変大事だと思うわけです。そのためには何が必要かといいますと、これは、当然賃金を上げなければならないし、企業の責任で雇用をふやすということが大事だと思うわけです。

 例えば、この点では生命保険系の研究機関がいろいろな報告書を出していまして、こういうふうに書いているんですね。「現在、企業部門内にとどまっているキャッシュフローが、賃金、あるいは配当の増加という形で家計へ波及し、家計の所得が明確に増加することが、個人消費の本格的、持続的な回復の条件と言えるのではないだろうか。」私は、これはこのとおりだと思うわけです。

 しかし、現実はなかなかそうはならないわけで、例えば、賃金は上がらないんだけれども就業者は多少ふえているという傾向があります。つまり、就業者の内訳で、常用雇用がふえない、しかし、パートとか臨時雇用の方が若干ふえる、こういう傾向があるわけです。それは大企業になればなるほどその傾向が強まっておりまして、一番核になる常用雇用の拡大というものがなかなか、企業の経営戦略として、そこは追求しない、むしろそこはできるだけ最小限にとどめて、むしろ低賃金の不安定雇用、パート、期間工、そういう部分を景気の拡大に応じた形でふやす、景気がちょっと悪くなる、業況が悪くなれば、そこは縮小する、そういう傾向が非常に強いわけでございます。

 こうなると、やはり非常に不安定な形でいきますから、単純に持続的な所得の増加というふうにつながっていかない。この点を根本的に改善しない限りは、個人消費主導の景気回復というふうにはなかなかなりにくいというふうに思うんですけれども、どのようにお感じでしょうか。

福井参考人 これは、ある意味で世界的な共通の現象という側面もあるような気がいたします。グローバル化の中で、国境を越えた企業間競争が非常に厳しくなっていまして、そういう意味では、賃金コストというのは合理的な意味で抑制しながら、生産性の成果は、もちろん賃金に還元するんですけれども、さらに新規の投資で収益機会をふやしていく、この両方向で企業展開を図っていかなければ企業間競争に勝てないという動きになっている。したがって、雇用を、あるいは賃金を回復させていくという場合にも、常用雇用よりは臨時雇用、パートタイマー等の形でまず手を染める、あるいは、賃金の場合でも、定例給与よりはボーナスというふうなところから還元を始める。

 しかし、やはり最終的には定例給与であり、そして常用雇用。それはなぜかというと、コアとなる雇用というものはしっかり確保しないと、その企業の中でのイノベーションが停滞してしまって、一番重要な競争力構築の要素が欠けてくるということになりますので、最終的にはやはりそこに及んでいくんではないか。

 日本におきましても、常用雇用よりはパートタイマー、臨時雇用から今始まっておりますし、賃金の方につきましてもボーナス等から始まっているということでありますが、個々の企業にヒアリングなどをかけて、私ども、それを持ち寄って検討しておりますところでは、これからだんだん、雇用にしても賃金にしても本格的なところでの増加というところに徐々に実現可能性が強まってきている段階かなというふうに思っているわけでございます。

 したがいまして、大事なことは、今の世界の経済のいい環境が保たれ続けること、何よりも日本経済それ自身について、せっかく出かけてきた景気回復のいい芽をきちんと、途中で壊さないで、大事に育てていくこと、これが一番大事だと思います。

 今の日本の企業の場合には、単にスリム化ということだけではなくて、新しい投資、イノベーションで生産性を伸ばしながら収益を上げ、そして、新規の投資も考えるけれども、これから徐々に雇用者所得への還元も考えていこう、こういうふうな立体的な発想で物事が今進み始めているように思います。賃金への還元は非常に大事だと私ども思っておりますが、常に企業が新しいイノベーションで新規の投資を施して、生産性を上げながら、一方で雇用者所得への還元のメカニズムを築き上げていく、このいい循環メカニズムにぜひ到達したいということだと思います。

佐々木(憲)委員 最終的に常用雇用、安定した雇用へつなげていくということが大事だということは、私もそうだと思うんですね。そのためには、やはり企業自身の経営戦略といいますか、あるいは企業自身が社会的責任をどう自覚して取り組むかということが大事だと思うのでありまして、どうも、私どもの見る限りは、日本の大企業はその点が極めて不十分であるというふうに思うんです。やはり、これは日銀の責任ではございませんが、政府の責任としてそういう点を、政策的にも企業に対してしっかりと、雇用の拡大、賃金の引き上げということを要請すべきだ、あるいは、制度的にも法的にもそういう仕組みをつくるべきだというふうに我々は考えております。

 さて、それで、次に貯蓄動向でございますけれども、先ほども少し議論になっておりましたが、GDP統計で見ますと、日本の家計貯蓄率というのは一九七〇年代半ばには二〇%を超えていた時期がありました。しかし、二〇〇〇年代に入ってから貯蓄率が急速に低下をしまして、二〇〇二年度には六・四%、過去最低を記録したわけです。二〇〇三年度になりますとさらに落ち込んだのではないか、こう言われているわけです。日銀の資金循環勘定で家計の資金過不足を見ますと、二〇〇三年には一兆円の資金不足である。これは、これまで経験したことのない事態だということでございます。

 なぜ貯蓄率が急速に低下したかということでありますが、これはいろいろな要素があると思うんですけれども、例えば、政策的な要因というのが非常に強いというふうに民間の研究所で分析をしておりまして、これはニッセイ基礎研究所経済調査部門のレポートですけれども、こういうふうに書いているんですね。

 「高齢者の貯蓄取り崩しの拡大には、厚生年金定額部分の支給開始年齢が、二〇〇一年度以降徐々に引き上げられていることが影響していると考えられる。」要するに、定年になって以後、すぐ年金はもらえないものですから、その年齢が引き上げられる間貯蓄を取り崩すというのが急速にその時点で起こった。

 「厚生年金定額部分の支給開始年齢引き上げのスケジュールでは、二〇〇一年度以降に六十歳となる男性の支給開始年齢が六十一歳に引上げられた。この影響は二〇〇一年度と二〇〇二年度に表れ、」「二〇〇四年度以降は支給開始年齢が六十一歳から六十二歳に引き上げられるが、この影響が二〇〇四年度と二〇〇五年度に表れるために、世帯主年齢六十歳以上の世帯の貯蓄率のマイナス幅がさらに拡大する可能性がある」、こういうふうに言われております。

 さらに、それだけではなくて、こういう指摘もされております。今回、年金制度の改正案が、強行されたと我々言っているわけですけれども、参議院で通った。そうしますと、「十月からは厚生年金保険料が毎年引き上げられる」ということになり、これに加えて「配偶者特別控除の廃止による税負担の増加が二〇〇四年末には明確になるなどの負担増から、可処分所得の伸びは限られる。」こういうことで、高齢者世帯もそうでありますが、現役世代の負担増というものがこれから確実に現実化していく。そのことが、従来は日本は貯蓄率は高かったわけですけれども、それが急速に低下していく要因になっているのではないかというわけであります。

 これまでは、将来不安が強まりますと、当然、貯蓄をしなければということで、貯蓄率が高かったわけですけれども、最近は、将来不安はますます不安になるんですけれども、しかし現実の生活の面で、貯蓄をするよりも貯蓄を取り崩さなければ毎日の生活が支えられないという状況に転化している。つまり、状況が、これまでと極めて重要な変化が起こっているというふうに見なければならないのではないか。そうなりますと、これは単純に一時的な現象ではなくて、その背後にはもちろん高齢化という大きな構造変化があります。同時に、今のような政策要因が加わって、貯蓄率の急速な低下が起こっている。

 そうなりますと、現在、日本財政の赤字というものが依然として非常に拡大しつつある、そのときに、例えば国債の最終的な消化というのはどういうふうになっていくのか、あるいは、資金の流れがうまくいかないために急速に金利の上昇ということもあり得るかもしれない、現に国債の金利上昇が、長期金利の上昇が起こっている、そういうことを考えますと、今の貯蓄率の低下というのは大変重要な、単に一時的ではない構造的な問題を抱えているのではないかというふうに思うんですけれども、その点で総裁の御認識はいかがでしょう。

福井参考人 高齢化社会の中におきましては、ある意味で自然な貯蓄率の低下ということは起こり得るし、それは起こっておかしくない。あくまで自然な貯蓄率の低下でございます。それは、諸制度の枠組みを前提にしながら、年齢が高齢層になればなるほど、この先の生涯可処分所得ということを念頭に置いて生活設計を立てるがゆえでございます。

 ところが、今委員御指摘のとおり、制度変更を急に予期せざる状況で行われるとか、あるいは、さらに、将来の制度変更について不確定要因が多いといったような場合には、貯蓄率の自然な低下というものに対してさまざまな影響が及んでくる。つまり、急に制度変更があれば、生活設計を急に変えられないから、貯蓄率の急屈折という形で下がるかもしれない。逆に、将来の制度変更について不確定要因があれば、生活設計を慎重に立てるということになって、貯蓄率の低下にブレーキがかかって消費が活発化しないというふうな現象が起こったり、さまざまな影響が出てくることは確かだというふうに思います。

 したがいまして、これは経済の健全な運営という点からいきましても、税制あるいは社会保障制度については、受益と負担の関係の公平性ということを十分担保しながら、将来の制度変更の不確実性ということを極力なくすような政府における対応ということが非常に重要なことだというふうに考えます。

佐々木(憲)委員 個人消費ということに着目をして、今、家計の所得をどう拡大していくか、それから家計の負担をどう軽減するか、こういう点でお聞きをいたしましたが、やはり日本の政府の政策の責任というものが極めて大きいということを、今のやりとりを通じてさらに再確認をさせていただきました。

 以上で終わります。

田野瀬委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。

 参考人におかれましては、長時間、お忙しい中、どうもありがとうございました。大変御苦労さまでございました。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十五分散会


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