衆議院

メインへスキップ



第10号 平成16年11月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成十六年十一月十七日(水曜日)

    午前十一時一分開議

 出席委員

   委員長 金田 英行君

   理事 江崎洋一郎君 理事 遠藤 利明君

   理事 鈴木 俊一君 理事 村井  仁君

   理事 中塚 一宏君 理事 原口 一博君

   理事 平岡 秀夫君 理事 谷口 隆義君

      小野 晋也君    岡本 芳郎君

      木村 太郎君    熊代 昭彦君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      近藤 基彦君    砂田 圭佑君

      田中 和徳君    竹本 直一君

      谷川 弥一君    中村正三郎君

      永岡 洋治君    宮下 一郎君

      森山  裕君    山下 貴史君

      井上 和雄君    泉  健太君

      市村浩一郎君    岸本  健君

      小林 憲司君    鈴木 克昌君

      津村 啓介君    手塚 仁雄君

      中川 正春君    永田 寿康君

      長島 昭久君    野田 佳彦君

      馬淵 澄夫君    村越 祐民君

      吉田  泉君    笠  浩史君

      石井 啓一君    長沢 広明君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局消費経済部長)     半田  力君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  渡辺 喜美君     近藤 基彦君

  岩國 哲人君     岸本  健君

  田島 一成君     長島 昭久君

  樽床 伸二君     市村浩一郎君

  馬淵 澄夫君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     渡辺 喜美君

  泉  健太君     馬淵 澄夫君

  市村浩一郎君     手塚 仁雄君

  岸本  健君     笠  浩史君

  長島 昭久君     永田 寿康君

同日

 辞任         補欠選任

  手塚 仁雄君     樽床 伸二君

  永田 寿康君     田島 一成君

  笠  浩史君     岩國 哲人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融先物取引法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融先物取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長増井喜一郎君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、経済産業省商務情報政策局消費経済部長半田力君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。

竹本委員 おはようございます。

 きょうは質問の時間を久しぶりにいただきましたので、日ごろ私が考えておりますことも含め、今回かかわります法律の中身について幾つか御質問したいと思っております。よろしくお願いします。

 日本の経済状況、いろいろ言われますけれども、米国と比較しても、対内直接投資が日本は非常に少ない。アメリカの場合は、GDPに対する対内直接投資は物すごいものがあります。たしか二十数%あったと思いますが、日本の場合は数%もいかないんじゃないかというような感じがするわけであります。それはなぜかということでございますが、一つは金利差があります。もう一つは、やはり規制の多さ少なさということが大きく影響していると思います。そういうことで、何年か前に橋本内閣のときに金融ビッグバンというのが唱えられまして、金融の大変な改革を行ってきたわけでございます。そういう意味で、投資という面で見て日本を魅力のある国にしていくことが経済対策上一番重要なことだと常々考えておる人間でございます。

 今回の金融先物取引の法律の一部改正でございますけれども、考えますと、この先物取引というのは、もっと正しく日本の国内に定着をしていかなきゃならない。だから、今回の法律も、そういったことが適正に行われるための一つの措置であろうというふうに考えておるわけでございます。

 そもそも先物取引というのは、経済活動において不可避でございます金利、為替、商品価格等の変動によるリスクをヘッジする機能でございますので、このヘッジがなければ時として破綻状況を引き起こすわけでございますから、非常に重要な役割を持っていると認識しなきゃいけない、そのように考えるわけでございます。

 こういった先物市場は、これまで欧米を中心に発展してきたわけでございますが、最近では、中国などのアジア諸国におきましても急速に整備が進んでおります。ちょっと調べてみたのでございますけれども、全世界的に見て、第一位はアメリカでございますがニューヨークの商品取引所、二番目が日本の東京工業品取引所、ところが、三番目と六番目に中国の大連取引所と上海取引所がランクインされております。

 近年、我が国におきまして、こういった規制緩和等による経済構造改革が進展するわけでございますけれども、リスクマネジメントをどのように装備するのが一番いいかということについて意識がどんどん高まってきているわけでございます。中でも、この商品先物取引あるいは金融先物取引ということは、本当にこれからしっかり対応を考えていかなきゃならないということでございます。

 しかしながら、いろいろな努力の結果もあったと思いますけれども、平成十年の取引金額だけで見ますと七十三兆円、しかし、十五年、昨年では二百十九兆円と約三倍に成長しておるわけでございます。これを証券市場と比較しますと、株価によってこの取引総額はいろいろ違うわけでございますが、三百兆円ちょっと切るようなところだと思います。取引総額でいくと、向こうが三百、こちらが二百ということで、そんなに差がない、そんなに大きいのかというふうな印象を我々は持つわけでございます。

 それだけに、これに対する安定した、そして公正な取引が特に消費者を傷つけることなく行われる、そういう確保をどのように図るかということが一番問題だろうというふうに思います。

 先ほど言いましたように、九六年十一月に橋本内閣の主導のもとで、フリー、フェア、グローバル、ちょっと懐かしい名前でございますが、それで日本版金融ビッグバンが行われたわけでございます。そのフロントランナーとして、九八年四月に改正外為法が施行されました。これによって、外国為替公認銀行制度、特定の銀行しかそういったことができなかったのが、どこの銀行でもできるように自由化が図られたわけでございます。この外為取引の業務が自由化されたことによりまして、資金運用手段の充実と金融商品の多様化が図られまして、金融先物取引の一つとして外国為替証拠金取引の業務が開始されたわけでございます。そして、次第に参入する業者が増加いたしまして取引が急拡大していった、こういう経緯があるわけでございます。

 ところが、まじめにやっている先物業者も多いと思うんですけれども、取引が急拡大したということもありまして、一部に悪質業者が出現いたしまして、多くの特に高齢者に被害がたくさん出ておる、こういう社会的事情がございます。それだけに、今回、こういう法律をつくって規制しよう、こういうことでございます。

 為替取引に限らず商品先物取引におきましても、時々、詐欺に似た事件が起こっておるわけでございます。こういったことがあるということが、この経済活動に対する社会的な認知をおくらせるといいますか信用をなくすということになりまして、そういったことを絶対に防がなければいけない、そういう立場で幾つか質問をさせていただきたいと思っております。

 日本版金融ビッグバンで、外為法改正によりまして外国為替業務が自由化されてきたわけでございますけれども、今申し上げましたようにいろいろな問題がありまして、社会問題化しております。言ってみれば、金融ビッグバンには光の部分と影の部分があるわけでございます。

 当局といいますか役所の方といたしましては、金融先物取引の現状と問題点、簡単にちょっとコメントをしていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 竹本委員が冒頭御指摘をされたように、我が国経済の発展のためには、日本の金融資本市場の活性化、構造改革を進めていくということは極めて重要なことだと私自身も強く認識をしているところであります。

 お尋ねのありました金融先物取引の現状と問題点についてでありますけれども、デリバティブ取引に関する定例市場報告というものがありまして、この調査結果を見ますと、我が国主要ディーラーによるデリバティブ取引の残高は、想定元本ベースで店頭取引が十四・六兆ドル、そして取引所取引が九・二兆ドルとなっております。また、金融先物取引の具体的な問題点としては、例えば、海外の主要国の取引所と比べ取引量が低調であること、また店頭取引における外国為替証拠金をめぐりトラブル等が発生していることなどが挙げられますが、いずれにいたしましても、個人を含め投資家が安心して投資できる魅力あるマーケットを育成していくことが課題であると考えているところであります。

竹本委員 そういうことで対処していただいているわけでございますけれども、市場規模から見ていきますと、この取引そのものがかなりハイリスクな取引であるという指摘等も行われる一方、さはさりながら、業者が大々的に宣伝広告を行って、これはなかなか簡単にもうかる仕組みですよというようなことをやっているのも見受けられるわけでございます。

 そうしますと、特に、千四百兆円という個人金融資産、その過半を高齢者が持っておるという話でございますが、小金を持ちながら運用手段がない、冒頭申し上げましたように、投資機会が非常に少ないというのが日本の経済の特徴であります。銀行に預けても金利がつかない、株に出しても損をする方が多い、こうなりますと、何かいい方法がないかなと思っているところに勧誘の手が伸びるわけであります。十分な知識を持たずに、それにうっかり乗ってしまって大損をする、こういう事件が起こるわけでございます。

 そういう意味におきまして、いろいろ出ておりますトラブルなんかを分析いたしまして、今回出しております法律にそういった対策としてどういったことが盛り込まれているのか、御説明をお願いしたいと思います。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この外国為替証拠金取引につきましては、例えば電話や訪問による執拗な勧誘だとか説明不足、出金遅延などによりますトラブルが急増をしているほか、中には詐欺事件だとか業者の破綻による被害が発生しているというような、いろいろな問題が生じていると承知しております。

 今回の法案につきましては、こういった現状を踏まえまして、業者の財産上の健全性や業者及び主要株主の適格性等を確保するため、現在、取引所取引の受託等に限定されております金融先物取引業の範囲を拡大することによりまして、外国為替証拠金取引を扱う業者も金融先物取引業者として登録制による規制の対象に含めまして、あわせて登録拒否要件を明確化するということにしております。

 また、先ほどのようなトラブルを防止する観点から、業者に対する規定の整備といたしまして、投資資金以上の金額について取引が行われることあるいは多額の損失が生じるおそれがあることについて取引開始前の段階で顧客に示すことを義務づけること、また、トラブル防止のために、一般顧客が希望しない限り電話や訪問による勧誘を禁止するなどの勧誘規制を整備すること、また、最低資本金制度を導入するとともに、業者がリスクに見合った自己資本を有していることを確認するために自己資本規制比率の一定の水準の維持を義務づけること、そのほか、定期的な情報開示義務あるいは外務員制度等について規定をすることなどの所要の措置を講ずることとしているところでございます。

竹本委員 いろいろな手段を講じておられるわけでございますが、確かにイギリスあたりでも、不招請勧誘というようですけれども、その禁止を実施しているという話は聞いております。ですから、日本もそういったことをやろうというわけでございます。

 いずれにいたしましても、株の取引であれば基本的に現物取引、先物取引はもちろんやらせますけれども、信用取引だと三倍ぐらい貸すんですかね。ところが、こちらの場合は、証拠金をもとにその十倍、二十倍のやりとりをやるわけでございます。したがって、もし消費者がもうかった場合に、こちらがもうかったということは相手方は損をしているわけですから、業者がそれを払えない、ドロンしてしまう、こういう可能性はすごくあるわけでございます。

 ですから、そういったことにならないように、登録制にするというのは非常にいいんですけれども、単に登録だけで済むのかなという感じもするわけであります。ですから、今回、法律を実施していく中で、そういう事故が一回でも起こらないように常にウオッチをする、監督じゃないけれどもウオッチするということが絶対に必要じゃないかな、そういう気がいたすわけでございます。

 この先物取引につきましては、為替取引のみならず、商品先物取引についても同じような問題が起こり得ると私は思っております。国民生活センターに寄せられた苦情、相談が非常に多いわけでございますけれども、商品先物取引への信頼性を向上させ、より多くの投資家が安心して参加できるようにするためにも、一部の商品取引によって不当な勧誘行為がある、こういった場合には厳正に取り締まることがこの商品取引においても同じように必要だろうというふうに思っております。

 この意味で、さきの商品取引所法の改正におきまして、外国為替証拠金取引の規制に先んずる形で勧誘規制強化などが盛り込まれたわけでございます。まだ実施されていないと思います、たしか来年だったと思いますけれども、政府として、これからこの規制を実行していく中でどのように安全な取引を確保されるのか、その辺の仕組みといいますか心配りといいますか、そういったことについて、これは、経産省の局長、お願いいたします。

半田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御案内のように、我が国の商品先物取引につきましては、近年、石油市場を中心といたしまして急拡大しております。これに伴いまして、委託者のトラブル件数も増加傾向が見られたところでございます。

 こうした中、先般の通常国会におきまして御審議いただきまして成立いたしました改正商品取引所法におきましては、商品取引員の不適切な勧誘によるトラブルを防止するために、特に商品取引員の勧誘規制等につきまして大幅な強化を行ったところでございます。

 これらの規制の実効性を確保するために、私ども、顧客の知識、経験、財産の状況に照らしまして不適切な勧誘をしてはならないとするいわゆる適合性原則や、あわせまして、顧客に対する商品先物取引の仕組み、リスクなどの説明義務等につきましても法律で定められたところでございます。

 これに基づきまして、法の運用ガイドライン、現在検討中でございますが、これを策定、公表した上で、厳正な法執行を図ってまいりたいと考えているところでございます。

竹本委員 先物取引につきましては、商品については経産省それから農水省、そして金融先物については金融庁、こういうことになっておりまして、いわばよく言われる縦割りであります。それで、私は、この三省間で、先物取引についてのふだんからのいろいろな問題点についての相談、連絡、そういったことが十分に行われているのかどうか、ちょっと危惧をしているわけでございます。

 あらかじめ質問には出しておりませんけれども、ほぼ同じ性質のトラブルを防止するためには、ぜひとも横断的な、そういう対策会議といいますか、連絡、スキームが絶対に必要とされているんではないかなというふうに思うわけでございます。という意味で、今までそういうことがなされていたのかどうか、そしてこれからどうしようとしておられるのか、関係省で答えてもらいたいと思います。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、こういった先物取引関係につきましては、関係省庁の緊密な連携というのは非常に大事だと思っております。

 私ども、例えばこの法案をつくる際にも関係省庁と非常に緊密に御相談をさせていただいておりますし、そういった特定の会議というものはございませんけれども、担当者同士が非常に頻繁にいろいろな打ち合わせをさせていただいているという状況でございます。

竹本委員 それなら結構なんですが、私は今回質問をするについていろいろ聞いてみましたけれども、何か余りそうでもないような感じを受けたわけでありまして、過去はともかくとして、これからはシステム的にきちっと対応できるような相互の連絡はぜひやっていただきたい。大臣、ひとつよろしくお願いをいたします。

 さて、今回、金融庁からこの法案が出てきたわけでございますけれども、金融庁の対応はむしろ遅かったのじゃないか、このような感じもしておるわけでございます。というのは、商品の方においていろいろなトラブルが既に起こっておりました。そして、金融ビッグバンが行われて急速に拡大してきました。あちこちでトラブルが起こっておった、だからもっと早くやった方がよかったんじゃないかと思っておるんですけれども、今日に至った経緯について御答弁をお願いいたしたいと思います。

七条副大臣 竹本先生にお答えさせていただきますけれども、金融庁の対応が遅かったのではないかというような御指摘もございました。

 これに先立ちまして、今法案をつくる経緯をまず御説明をした方がいいと思っておりますけれども、本年の二月四日に公布、四月一日に施行をされました金融商品販売法施行令の改正というのをやらせていただきました。その中でもいろいろな形の論議をさせていただき、この施行令を改正したわけでございますが、外為証拠金取引を行う顧客の保護をまず図る、そういう措置を既に講じているところでございます。

 そして、さらに本年の四月以降は、金融審議会においてこの外為証拠金取引に関する規制のあり方について論議をいたしまして、そして六月に取りまとめをいただいた、そしてそれをもって本法案を提出させていただいたところでございます。

 先生の言われます金融庁が対応が遅かったということも踏まえて、今後こういうことのないようにしていかなければならないと思っております。そういうことでございます。

竹本委員 大臣、副大臣ともども、この道、一生懸命やっていただいているのは私はよく知っております。ぜひそういう趣旨で頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、少し細かくなるわけでございますけれども、この為替の取引、もちろん先物になるわけでございます、英語で言えばフューチャーというようですけれども、まさに将来予測は神のみぞ知るであって、なかなかわからない。そこに、一つのある種のかけをしてもうけてみたいという経済的な欲求がわくわけです。そういう意味では競馬の予測と一緒でありまして、賭博行為に似たところが非常にあるわけであります。ですから、この賭博性と正当な経済活動だというところの境界線をどこに置いているのかということ、これについても、一般的な国民が、なるほどそういうことだからいいのかというふうに納得するような教育もまたしなきゃならないと思いますけれども。

 まず、賭博行為との関係で、この先物取引がなぜ正当化されるのか、それについて御説明をお願いしたいと思います。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 刑法上の賭博というのは、刑法百八十五条にございますが、偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為というようなことをいうものと解されております。今回の外国為替証拠金取引はかかる構成要件に該当し得るわけでございますが、一方で、正当業務行為に該当する場合には違法性が阻却される、これは刑法三十五条にございますが、ということでございます。

 従来、金利、通貨を用いた店頭デリバティブ取引につきましては、社会通念上、正当な取引であって正当業務行為として違法性が阻却されるというふうに考えられてまいりました。今般、金融先物取引法におきまして、外国為替証拠金取引などの店頭デリバティブ取引が店頭金融先物取引として法制化をされるということでございますので、正当行為としての違法性が阻却されるための要素がさらに強化をされるというふうに考えられます。

 ただし、外国為替証拠金取引という名目で行われる取引がこれですべて一律に適法とされるものではないというふうに考えておりまして、個別の状況を見ながら、最終的には裁判所の判断に依拠するということになるかというふうに考えております。

竹本委員 今、局長さん、いみじくも言ったように、個々の判断が必要だと。金融デリバティブというもの、派生商品でございますから、どんどん知恵を絞って、いろいろなかけをしよう、これに対して、乗ったらどうだ、こういう勧誘が絶対来ると思うんです。これはおもしろい、乗ってみようと思った人が、先ほど言いましたように全くのど素人で、うっかりそれにはまって大損をするということは当然あり得るわけであります。ですから、そこまでいくとこれは賭博行為だというようなことも随所に説明をする必要があるんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 賭博行為との境界線は別といたしましても、私は、この金融先物というのはこれからもどんどん大きくなっていくだろうと思いますし、また経済活動の、ある一つの柱として大きくしていった方がもちろんいいと思うわけでございます。

 そういう意味において、私は、一般国民に対して、この先物取引というのはどういう制度でありどういう役割を持ってどういうメリットがある、どういう危険性があるという教育をやはり政府としてもきっちりやった方がいいんじゃないかというふうに思うわけであります。

 日本は個人金融資産が非常に多いと言われますけれども、株式の保有割合が非常に低い。ところが米国なんかは非常に大きいわけでございまして、なぜそうなっているかということ。これは、日本の場合は貯蓄志向が非常に高い、アメリカはそうではない。こういうことは当然よく言われるわけでございますけれども、私はやはり、株式についての教育を日本の場合は十分していないから、あれはちょっと山師というか何かとっぽい連中がやるものだ、株に手を出すと損をする、そういう社会的な風潮がまずある中で、いや、そうでもないんだ、銀行からお金を借りるように株に投資をしてこのようにすればもうかるんだ、それが正当な国民としての、企業としての経済活動なんだということを、これは証券についてですが、もっともっと教えるべきだというふうに私は思っております。

 同じ意味で、商品先物、まだまだ一般的には、これは本当に一部のプロが行っているだけだ、そんなものに絶対手を出しちゃだめだ、こういうような雰囲気が強いわけでございますが、ただ、これについても、その果たす役割そしてそれに携わる場合のやり方、こういったことについてもどこかでやはり教育をきちっとやった方がいいんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

 従来の大蔵省から金融庁が独立し、そして、金融ビッグバンを初めいろいろな改革に積極的に取り組んでいる今の小泉政権でございますが、この経済活動についての対国民教育ということについても、ぜひ開明的なやり方で、一里塚を築くような、そういう画期的なことを私はやっていただいた方がいいんじゃないかな、そのように思うわけでございます。

 今までは、問題になっております郵貯の巨額な貯金、ここに預けておけば大丈夫だという、金利の高い低いよりもそういう安心感でやってまいりました。ところが、その郵政公社も民営化される中で、今までと同じように国民がここに金を預けるかどうかわからない、むしろそうでなくなってくるんじゃないか。そうなりますと、それだけに、こういった先物取引も含めた経済活動に対する、そして、従来国民一般に親しまれていなかった、ちょっと特殊な人たちがやるものだと思われていたものについても、どの段階で教育するか。私は、やはり高校ぐらいのときにきっちりと教育をするのが本当ではないかと。

 ある意味では文部大臣に聞かなきゃならないことかもしれませんけれども、金融担当大臣、伊藤さんにぜひこれはお答え願いたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 竹本委員から大変重要な御指摘があったというふうに思います。個人も含めて投資家が安心して投資できる魅力あるマーケットをつくっていく、その前提には、やはり金融教育というものをしっかりやっていくことが大変重要なことではないかというふうに思います。

 今、NPOを初めとしていろいろな活動が展開されていることも承知をしておりますし、金融教育というものが、政府の押しつけではなくて、やはりいろいろな方々が参加をして、金融に対する知識を身につけていくことがみずからの自己実現に当たっても有力な選択肢なんだ、そういうことを理解していただけるような活動というものをしっかりやっていく必要があるというふうに思っております。

 私どもとしましては、投資家を保護していくために今回のような措置をさせていただいたわけでありますけれども、こうした制度の周知徹底ということも極めて重要でありますから、金融教育の充実とあわせてこうした制度を、関係機関とも協力をしながら、多くの方々に理解していただけるような活動というものをしっかりやっていきたいというふうに考えております。

竹本委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、要は、システムをしっかりしたものをつくって、そして、それを国民に周知徹底する中でこのシステムに対する信頼をかち取っていく、こういうことが一番重要ではないかと思っております。

 関係省庁のそういった面での御努力を期待しながら、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

金田委員長 次に、井上和雄君。

井上(和)委員 民主党の井上和雄です。

 今回、この法案の対象になっています外国為替証拠金取引については、以前からマスコミ等でも非常にトラブルがふえているということが報道されておりまして、社会問題化していたわけでございます。

 国民生活センターに被害を訴えるケースもここ数年急増していまして、統計を見ますと、昨年には千三百二十九件、今年度も十月十五日までに九百四十八件あって、前年同時期に比べれば六百件以上ふえているということです。

 また、高齢者が非常に多く被害に遭っているということで、契約者のうち、六十歳以上が五〇%、また、八十歳、九十歳での契約件数というのが約百件、全体的に見ると約八%あるというような状況です。また、平均契約金額も五百万円というかなりの額ですから、高齢者が老後の大事な生活資金をだまし取られる、こういうケースがふえている状況だと思います。

 こんな中で、私たち民主党が以前から主張していました金融サービス法案、国民一般の利益保護のために一刻も早く制定されなければならないということを冒頭申し上げたいと思います。

 そこで、金融庁にまずお伺いしたいんですけれども、今竹本委員の議論にもありました、今回の法案は、外国為替証拠金取引に関する規制を強化していくということだと思います。私も政府の法律案関係資料をいただきまして読んでみまして、最初の提案理由にも、第二に金融先物取引業を登録制としてということがうたわれているわけです。今まで野放しであった外為証拠金取引業者を登録制にするというのは、これは非常に大事なことだと私も理解しております。

 その次に要綱がありまして、金融先物取引法の一部を改正する法律案要綱を見ますと、要綱の四行目に「金融先物取引業の許可制から登録制への変更」という言葉が突然出てくるんですね。私も、当然今回はこの証拠金取引の規制を強化する内容だというふうに理解していたんですけれども、ここで許可から登録という、何か変な話だなとちょっと思いました。その三には金融先物取引業者の登録と、登録がやはりまた出てくるわけですね。

 この許可から登録制への変更とは何かなというふうにして条文を見たんです。これは第五十六条ですよね。以前は「金融先物取引業は、内閣総理大臣の許可を受けた法人でなければ、営むことができない。」新しい法律になりますと「金融先物取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた次に掲げる者でなければ、行うことができない。」つまり、許可が登録に変わっているなということなんですね。

 そこで、まず政府にお伺いしたいんですが、外国為替証拠金取引業者を登録制にするということは、これは大変大事なことだと思うんですね。これまで許可であった者、つまりは金融先物取引業をやっていた人も、すべてこれからは登録制になるんでしょうか。これはそういうことなんでしょうか。

七条副大臣 お答えさせていただきます。

 許可から登録制にしたのはどうしてそうなったのかということだと思うんですけれども、本年の六月に金融審議会の第一部会の報告によりまして、いわゆる金融先物取引について登録制の方が適当であろう、こういうような答申をいただきました。また、平成九年の金融システム改正のときにおきましても、免許制度であったいわゆる証券会社について、証券会社のようなものについてはいわゆる事後監視型行政というふうに転換をしていくのが望ましい、こういうようなこともこの機会に出てまいりまして、登録制へと変更されたところであります。

 その理由としては三つございますけれども、このような流れの中で、今申し上げましたような、証券会社との類似性がある、あるいは現行の金融先物取引においての許可制の実情、あるいは店頭取引と取引所取引のバランス等々を踏まえまして、登録制とすることが望ましい。これが平成九年の段階でも出てまいりました。そういう関係も含めまして、登録制かつ登録拒否要件を明確にするということも含めまして、今回、そういうふうにさせていただいたところでございます。

 先ほど先生が申しておられました問題につきまして、一つ疑問が出てくるものもありますけれども、これは五年の猶予の期間を設けてきた、先ほど少し先生がおっしゃっておられましたけれども、許可制の場合は五年の許可の制度のものがありましたが、今回は、五年に一回というチェックから、毎年届けていく、特に毎月大臣に対しての届け出を義務とするということも出てまいります。五年に一回だったものから、例えば業務及び財産の状況に対する説明書類いわゆる財務諸表を透明化させていく制度だとか、それを毎年やっていくように届け出をしていく、そういうことの中から、先ほども先生が言われていました登録制にしたということでございます。

井上(和)委員 まさしく今副大臣がおっしゃっているように、つまり事前チェックから事後チェックへの明確な政策の転換をしているわけでしょう。

 この関係資料の九十三ページの法案の提出理由を見てくださいよ。わからないですよ、これを見ていたら。「金融先物取引をめぐる環境の変化に対応し、金融先物取引の委託者等の保護を図る必要性にかんがみ、」でしょう。これは保護と関係するんですか、この規制緩和は。どうですか。大臣、どうですか。

伊藤国務大臣 投資家保護をしていく、そのための充実した施策を展開していかなければいけないということは、言をまたないところであります。

 今回、登録制にさせていただいても、その質を落とさないために、私どもとしては登録の要件というものを明確化いたしました。この登録の要件の中で、自己資本規制やあるいは主要株主規制というものを導入させていただいて、そして従来の許可制よりも厳しい基準を導入させていただいているところでございます。これにより、適切な基準となったものと考えているところであります。

井上(和)委員 しかし、許認可制度において、免許制か許可制から登録制にするというのは、これは大変大きな転換ですよ。そう思いませんか、大臣。大臣、どう思いますか。政策転換でしょう。聞いているんですよ。

増井政府参考人 先生今御指摘のとおり、これまで許可制であったものについて登録制にする、新しく、外国為替証拠金取引業者、今まで全く法律の枠の中にあったものについても登録制にする、そういった制度改正をしているわけでございます。

 これは、一つは、そういうことになりますと、例えば、先生の御指摘になりましたいわゆる店頭金融先物取引、今度、新しい外国為替証拠金取引業者は登録制にし、取引所取引、今までの金融先物取引業者は許可制とするというような二つの制度が並行して出てくるということになると思うのでございますが、これは私どもも、取引の性格から考えて、実体として同じような取引である場合にはやはり規制も同等ということが適当ではないかというふうに思っているわけでございます。

 要するに、取引所取引についての許可と、それから店頭取引についての登録といった縦割りな煩瑣な規制を行うよりも、ともに登録制として整理する方が合理的ではないかというふうに思ったわけでございます。

 ただし、先ほど大臣がお答えを申し上げましたように、登録制と申し上げましても、いろいろな形で、質の低い業者が参入しないように、あるいは投資家の保護に支障が生じないようないろいろな手だてを講じているところでございます。

井上(和)委員 つまり、それだったら、この提案理由にもそういうことを書くべきじゃないか。何にも書いていないですよ。私、金融庁は全然説明責任を果たしていないと思いますよ、この件に関しては。大臣どう思いますか。

伊藤国務大臣 説明責任を果たしていないというおしかりがございましたけれども、私どもは、先ほど来答弁を副大臣あるいは局長からさせていただいておりますように、投資家保護をしっかりやっていかなければいけない、そうした認識の中で、今回登録制に変更したとしても、質の低い業者の方々が参加できないような手当てというものをさせていただいて、投資家保護に支障が生じることがないように行為規範の厳格化あるいは自己資本規制の導入ということをさせていただいて、そしてこのことによって投資者保護策というものを強化させていただいたということであります。

井上(和)委員 実は、けさ金融庁の方からこのことに関して部会で説明を聞いたんですが、許可制度で特に問題なかったからということをちょっと言われていたんですけれども。それは、許可制度は問題ないですよね。というか、問題があったら困るでしょう。

 つまり、五十九条ですよね。これは改正前ですが、「内閣総理大臣は、」と一項、二項とあって、その一項二号で、十分な社会的信用あるものであるということをちゃんと審査しなければいけないとなっているわけですからね。それで、審査しておいて問題があったら大変困る話で、でも、現実には問題がどうもあったみたいなんですよね。ことしの九月二十二日に、金融先物取引業者の許可取り消しがあったんじゃないですか、金融庁。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今委員から御指摘がございましたように、平成十六年、ことしの九月二十二日に、関東財務局において、エー・シー・イー・インターナショナル株式会社に対して、金融先物取引法第七十九条第一項に基づいて、金融先物取引業の許可の取り消し処分を行ったところでございます。

 同社については、金融先物取引業協会による立入監査が実施をされて、そして、同協会の自主規制ルールにのっとって、平成十五年五月に譴責処分、同年十二月に過怠金の賦課が行われたところであります。

 これを受けて、本年の一月、同社を所管する関東財務局証券取引等監視官部門及び理財部が合同で立入検査を開始させていただいて、その結果、取引一任勘定取引の契約の締結、損失補てん及び利益提供の実行行為、過当な取引の勧誘、法定帳簿の改ざんなど、多数の重大な法令違反が確認をされたところでございます。

 これらの立入検査の結果を踏まえて、本年六月三十日、証券取引等監視委員会による行政処分の勧告が行われました。また、同日付で、関東財務局証券取引等監視官部門及び理財部それぞれにおいて、同社に対する検査結果通知というものを発出させていただいて、それとともに報告徴求を実施して最終的な確認を行い、法令にのっとって九月二十二日の厳正な処分を実施させていただいたものでございます。

井上(和)委員 つまり、許可を受けた業者であってもそういう問題が現実には起こっている。

 そして、新聞の報道によれば、この業者が設立されたのは二〇〇一年で、立入検査をしたのは本当にことしの一月が初めてだと。この業者は以前から民間相談機関への苦情も非常に多かったと。そういうことなんですよね。であっても、検査というのが全然されていなかったと。検査体制ができていないということなんじゃないですか。どうですか、大臣。検査体制、ちゃんとできているんですか、今。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの証券取引等監視委員会あるいは財務局の監視官部門というところで金先業者に対する取引等の検査を行っておりますけれども、従来の業者に対しまして、これまでも私ども厳正かつ的確な検査を実施してきているところでございます。

 具体的には、現在の金融先物取引業、今の御指摘のということも含めてでございますけれども、一般的に、証券会社あるいは登録金融機関が兼業で行っている場合が大半でございますので、そういった現状を踏まえまして、効率的な検査の実施の観点から、そういった証券会社等の取引の公正確保に係る検査の際にあわせて実施しております。そして、十五事務年度におきましては、十五社に対して検査を実施したところでございます。

 今後とも、取引の公正確保あるいは投資者の信頼の保持ということで一生懸命やっていきたいと思っております。

井上(和)委員 つまり、許可制から登録制にすれば、それはもうファイアウオールされているわけですから、もう参入業者はふえてくるわけですよね、いろいろな面で。

 そうしますと、当然それは検査をちゃんとやらないと。やるのも大変だし、これはやらなきゃ、今申し上げたような例が当然起こってくるわけですね。それをできる体制があるか。つまり、思想的に事後チェック行政はいいですよ。ところが、それに対して対応がちゃんとできるのかということを私は申し上げたいんですよね。

 それで、今回、もし無登録営業をやられた場合の罰則というのは、どういうものがあるんですか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律案におきましては、登録を受けないで金融先物取引業を行った者に対する刑罰につきましては、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」ということになっております。

井上(和)委員 今、警察の方も、取り締まりはしているんだけれども対応が非常に後手だし、なかなか対応できていないという印象を持っているんですが、警察庁、きょう私は呼んでいるんですが、現在の外国為替証拠金取引の詐欺的な事犯に対する逮捕件数を教えていただけますか。

伊藤政府参考人 最近の金融先物取引等に絡んだ事件で検挙した状況でございますけれども、ことしは、六月に外国為替証拠金取引に絡む詐欺事件、十月に日経平均株価指数のオプション取引に絡む出資法違反及び詐欺事件を検挙しているところでございます。

 今お話がございましたように、これらの事犯は被害が広範にわたるほか、事案の解明には膨大な証拠資料の解析が必要となるなど、検挙するまでに相応の時間と捜査力を要するものでございますけれども、国民が強く解決を望んでいるものでございますし、関係省庁や国民生活センター等との連携を配意しながら、引き続き厳正にやってまいりたいと考えているところです。

井上(和)委員 これだけ社会的に騒がれていても、詐欺事件として立件されている件数、非常に少ないんですよね。それだけに、やはり金融庁がしっかりしてやらないと、結局は後手後手になってしまうんじゃないか、結局は一般顧客が損をするような状況になるんじゃないかというふうに私は危惧しています。

 そこで、ちょっと話題を変えますが、平成十二年に、金融商品の販売等に関する法律が旧大蔵委員会で議論されました。その際、民主党は修正案を出しているんですね。その一つに、法律の適用対象となる金融商品に商品先物取引等を加えることにするべきだ、第二に、説明の際には書面を交付することを義務づけるべきだ、そしてまた第三に、金融商品販売業者等に重要事項に係る説明を行ったことの立証責任を負わせるべきだと、非常に的を得たことを言って、とにかく新たな金融サービス法の制定をしなきゃいけないということを言っているんですよ。このときの議事録を読みましたが、今回も委員になっている岩國委員が、金融先物取引も非常に被害がふえているからこれからもしっかりしなきゃいけないということを言っているわけですよね。それを結局何もしなくて、被害がどんどん大きくなっているというのが今の現状で。今回の法案では、説明義務の中に書面を交付するということが入っていますから、それは一歩前進しているんだなというふうに私は思いました。

 実は、私はアメリカに長く住んでいまして、恐らく伊藤大臣よりは長く住んでいるんじゃないかと思うんですけれども、以前、銀行ローンを借りてちょっとアパートを買ったことがあるんですが、そのときにやはりいろんな書類にサインをさせられる。ちょうどそのときはモーゲージを変動金利で借りたんですが、そのときにやはり、変動金利に関して非常にリスクが大きいという説明書に自分でサインさせられて、ちゃんと変動金利のリスクを承諾したというふうに書面にサインさせられた覚えがあります。

 つまり、日本では適合性原則が今回入っているからそれはいいとおっしゃるかもしれないけれども、適合性というのはあくまでも説明する方ですから、そうじゃなくて、やはり一般顧客がしっかりとリスクを認識するということが、はっきり言ってこの金融商品の購入にとって最も大事なことですよ。

 また外国の例で恐縮なんですが、アメリカのCFTC、商品先物取引委員会のルールというのがありまして、ちょっと見てみたんですけれども、リスク・ディスクロージャー・ステートメントというのがあるわけですね。つまり、リスクをはっきり公開する、リスクに関しての宣言というのがあって、この商品の取引においては非常に甚大な損失をこうむる可能性があると、最初に出てくるんですね。そして、したがってこのトレーディングが自分の資産の状況にふさわしいかどうか慎重に検討すべきですよということをしょっぱなに書いてある。そして、これはプロミネントリーディスプレーと書いてある。プロミネントリー、大臣は英語がわかると思いますけれども、つまり非常に目立つように書いてなきゃいけないと。

 つまりは、私はこの法律を見てもその辺がやはり非常に弱いと思うんですよ。結局、重要事項としておられる。リスクのディスクロージャーが重要事項の中の一項目になっていて、大体、何枚もあれば、どっちみちこういうのは最後の方に書いてあって、読む前にみんなサインしちゃう、最初ぐらいしか読まないですから。

 だから、こういうものをきちっと最初に、CFTCは文章まで決まっているわけですよ。外国為替証拠金取引に関しては、金融庁のホームページにも書いてあるでしょう、一般の人がやるべきじゃないと。それを、文章をちゃんと契約書というか別紙にきちっと書いて、それを本人が確認するというぐらいしなければ、顧客の保護はできないですよ。さっきも言ったように、八十歳、九十歳の人が契約するわけでしょう。

 だから、その辺のリスクディスクロージャー、単に重要事項とかそういうことじゃなくて、やはりリスクに関してきちっと説明する、そして販売業者に説明義務があるということをはっきりさせない限りは、消費者保護はできないと思います。大臣、どうですか、この件に関しまして。

伊藤国務大臣 井上委員からは、投資家保護をするに当たって大変重要な点についての御指摘があったというふうに思います。

 リスク商品に対して投資をしていくに当たっては、そのリスク性というものがどういうものであるか、そのことを十分に認識して初めて自己責任の中で投資というものが成り立っていく、そうしたものがしっかり守られているからこそ、市場に対する信認というものが得られるんではないかというふうに思っております。

 こうした点については、実は金融審議会の報告においても指摘をされておりまして、業者の説明責任を明確化すべしとした上で、為替レートの変動により預託証拠金が全額回収できなくなる可能性があり、かつ損失が短期間に急激に拡大する可能性もある、ロスカットルールがなければ預託証拠金全額を超える損失が生じる可能性もある旨事前に説明する義務などについて措置することが適当であるとされているところでございます。

 本法律案では、こうした報告も踏まえて、契約締結前に書面を交付して説明する義務を課すとともに、当該書面において、顧客が行う金融先物取引の額が預託すべき証拠金の額より大きいことや、あるいは通貨等の価格の変動により顧客に損失が生じ、かつ損失額が預託した証拠金の額を上回ることになるおそれがあることなどを記載することといたしております。

 これらの事項の具体的な記載方法については内閣府令において規定することといたしておりますが、内閣府令を制定する際には、リスクに関する説明というものが顧客に明確に伝わるよう、記載方法に関する規定を検討することといたしておりますけれども、委員の御指摘も含めて、国会の御議論も含めて、適切な対応をしていく、そうした視点から検討をしていきたいというふうに思います。

井上(和)委員 今大臣は非常にいいことをおっしゃったんで。それでは、今金融庁のホームページでまさしく言ってあること、一般の人はやるべきじゃないというのを、ちゃんと書面のしょっぱなに出して、やってください。どうしてかというと、さっきも申し上げたように、半分以上は高齢者ですよ。高齢者がそんなホームページを見ないでしょう。だから、皆さんが幾らホームページで言ったって、なかなかリスクに関することは徹底しないですよ。だから、せっかくそこまで省令でやるんだったら、ぜひやってください。

 それで、書面の未交付または不交付の場合の立証責任というのは、私は業者に負わせるべきだと思いますが、どうですか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の説明書類の未交付の関係でございますけれども、これは一般的な民事責任の立証責任の分配の原則によるということになると思います。一般的に、その権利を主張する者が立証責任を負うということでございますので、今回の説明書類の交付の有無についての立証責任は、説明書類を交付していないことを主張することにより損害賠償請求する側の顧客にあるということでございます。

井上(和)委員 いや、だからその辺も、やはりそれはもう業者の責任とするべきだと思いますけれどもね。どうですか、大臣、御意見。

増井政府参考人 立証責任は今御答弁申し上げたとおりでございますが、先生も御承知だと思いますが、一方で金融商品販売法という法律がございます。これによりますれば、金融商品の有するリスク等に係る重要事項の説明を受けなかった場合に、立証責任自体は原告にあるということでございますけれども、一方でその特則として、業者の説明義務を明確化しておりまして、その場合、損害の因果関係の存在及び損害額についての推定が働くというような規定がございます。

井上(和)委員 いずれにしても、投資家保護を真剣にやるということを、大臣、外国での経験もあるんだし、やはりぜひやってください。

 それで、もう一問、公正取引委員会に来ていただいているんで、せっかくですので。

 やはり、これから駆け込みの営業というのは非常にふえてくると思うんですね。とにかく、施行されるのが来年の七月ですから、それまでにやはり、警察当局もきょうはいらしているんで、取り締まりをしっかりやっていただきたいし、公正取引委員会もぜひちゃんとやっていただきたいんですが、特に、広告に関する取り締まり等に関してちょっと御説明をお願いできますか。

山木政府参考人 不当な表示の問題につきましては、景品表示法という私どもが所管している法律に基づきまして、違法なものについては措置をとっているというところでございます。

 これまで、外国為替証拠金取引に関して措置をとった事例はございませんけれども、不当な対消費者の表示につきましては厳正に対処してまいりたいと思っておるところでございます。

井上(和)委員 先ほど申し上げたリスクディスクロージャーをやはり広告においてもしっかり確認するべきですよね。つまりそれは、例えば我々が選挙の集会通知ポスターをつくるにも、どの程度の面積が党の面積でありどの程度が個人の写真でいいとか、そういうことをいろいろ研究しますよね、選挙管理委員会といろいろ交渉したりしてですけれども。

 例えば、広告であってもどの程度の面積がリスクディスクロージャーに使われるべきかとか、やはりその辺を目立つように、これは英語でもちゃんとプロミネントリーと書いてあるわけでしょう。普通、日本のほとんど、プロミネントじゃなくて、何か端の方にちょこっとディスクローズするのを書いている、投信の目論見書なんかを見ても。やはりそうじゃないですよね。それをしないからこういう被害がいつまでもなくならないので、これはぜひその辺を真剣にやってもらいたいと思います。

 以上、時間ですので終わります。どうもありがとうございました。

金田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

金田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。村越祐民君。

村越委員 民主党の村越祐民でございます。

 本日は、金融先物取引法改正案に関して御質問をさせていただきます。

 今回問題となっております外国為替証拠金取引市場の現状を見てみますと、二つの問題があると私は考えております。

 まず一つは、外国為替取引という商品自体にいろいろ問題があるんじゃなかろうかと思っています。つまり、先ほど来ほかの先輩委員が指摘されているように、極めてハイリスク・ハイリターンの商品であるということです。後ほど触れたいと思いますけれども、賭博性が高い商品でありまして、そもそも一般の投資家は手を出すべきものじゃない代物なんじゃないかということがまず第一点です。

 それから第二に、善良なまともな業者も存在する一方で、非常に悪質な業者がばっこしているという現状があるということです。つまり、商品の販売方法、それから営業方法、資産管理方法に非常に問題があるということです。つまり、よく指摘されているように、お年寄りをねらった執拗な電話による勧誘、それから自宅を訪問して強引に勧誘する、あるいは相手の無知につけ込んで、いわゆる適合性の原則を完全に無視した勧誘を行う、あるいは説明不足、それから必ずもうかるんだと言って断定的判断を提供したりする、さらには一任売買、無断売買、決済の拒否、証拠金を持ち逃げする、分別管理を全然しない、こういう非常にひどい状況が指摘されているわけです。

 私は、これはそもそもこうした業者を放置してきた政府に責任があるんじゃないかと考えています。つまり、いわゆる金融ビッグバンによって外国為替取引の規制緩和が一九九八年になされた、その後の縦割り行政による非常な無策によって、結論として無法地帯ができ上がってしまったのではないか。そう考えると、この問題に関してのみ言えば、九八年のビッグバンによる外国為替取引の規制緩和というのはまことに不見識な規制緩和だったのではないか。つまり、国が主導した規制緩和によって仕組みが複雑で非常に自己責任が伴った金融商品がちまたにあふれることになった、そのあおりをいわば消費者が受けているわけです。こういった責任をまず政府が私は痛感する必要があると思いますが、大臣の見解、それから反省の弁があればぜひお答えいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 今、村越委員からは、現在の外国為替取引の現状について二つの大きな問題がある、商品そのものがハイリスク・ハイリターンであり、そして適合性原則というものを遵守しない悪質な業者がいる、こうしたことは問題である、こうしたことを考えるとやはり規制緩和のあり方について問題ではなかったのか、こういう御指摘をいただきました。

 この規制緩和につきましては、そもそも財務省の所管事項でありますけれども、金融、資本取引のグローバル化、こうしたものを背景として各国の金融市場間の競争が激化する、こういう環境、状況の中において、東京のマーケットというものを国際的に魅力のある市場とするために、外為法において外国為替業務を自由化するとともに、外国為替公認銀行制度などを廃止することとしたものと承知をいたしております。

 そして、この規制緩和というものは、銀行等の国際競争力の一層の向上、さらには市場への新たな参入者の拡大や市場の厚みの増大による東京市場の活性化を目指しておるものでありますから、そういう意味からすると必要な措置であったのではないかというふうに私自身は考えているところでございます。

 しかし、こうした外国為替取引というものの中にさまざまなトラブルが生じているわけでありますから、だからこそ、私どもは、強い問題意識のもとに、今までこの分野について規制がなく、あるいは監督する官庁もありませんでした、投資家を保護するためにも今回提案をさせていただいた法律において必要な措置をさせていただいて、そしてこれによって東京市場に対する信認というものを確保していきたい、そういう思いからこの法律の御審議をお願いさせていただいているところでございます。

村越委員 先ほど来、竹本委員もお触れになっておりましたが、外国為替証拠金取引が賭博罪に該当し得るんじゃないかという指摘が、裁判所の判例というか裁判所の指摘であったり、あるいは日弁連の意見書の中でも指摘があるわけですけれども、この件に関して大臣はどのようにお考えになるか。

 また、私は、およそギャンブルは、自分の選挙以外ギャンブルはしないというふうに決めているんですけれども、大臣、ギャンブルはなさいますか。あわせてお答えいただければと思います。

伊藤国務大臣 選挙がどうかというのはあれだと思いますけれども、私自身も今までの人生の中でギャンブルと言われるものは余りしたことはございません。

 ただ、投資というものは、これから経済社会の中においてみずからの人生を実現していくあるいは夢を実現していく有力な選択肢であるというふうに思っておりますので、貯蓄から投資へという流れを政府の側から押しつけるのではなくて、そうした有力な選択肢ができるような、そういう環境というものをしっかりつくっていかなければいけないんではないかというふうに考えているところでございます。

 そして、賭博罪についての御質問がございました。刑法上の賭博とは、偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為のことをいうものと解され、外国為替証拠金取引はかかる構成要件に該当し得るが、正当業務行為に該当する場合には違法性が阻却をされることになるというふうに刑法第三十五条で規定をされているところでございます。

 従来、金利、通貨を用いた店頭デリバティブ取引については、社会通念上正当な取引でありまして、正当業務行為として違法性が阻却されると考えられてきたところであります。また、今般、金融先物取引法において、外国為替証拠金取引など金利、通貨を用いた店頭デリバティブ取引が店頭金融先物取引として法制化されれば、正当行為として違法性が阻却されるための要素がさらに強化されるものになると考えているところでございます。

 しかしながら、外国為替証拠金取引という名目で行われる取引が一律に適法とされるものではなく、個別の外国為替証拠金取引がいかなる場合に適法なものになるかどうかは、最終的には個別の取引の内容に応じた正当行為について裁判所の判断に依拠するものになるというふうに考えております。

村越委員 今、大臣に御丁寧に答弁いただきました。また、先ほど竹本委員の御質問の中でも増井局長がいろいろ答弁されておりました。

 若干補足してお伺いをしたいんですが、最終的には個別具体の取引による、それから、社会通念上正当な業務行為であれば違法性が阻却されるんだということだったと思います。つまり、一たんは、この取引というのは差し当たって賭博罪の構成要件には該当するということだと思うんですが、例えば、あくまで現行法上、ちょっと確認のためにお伺いしたいんですが、正当な業務行為でない場合、つまり、先ほど私が最初に列挙したようなものはおよそ正当な業務だとは言えないと思うんですが、そういう業者の場合は違法性が阻却されず賭博開張罪、あるいは投資家が単純賭博罪に問われたりする可能性というのが出てくるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁をさせていただきましたように、違法性が阻却されるかどうかというのは、最終的には裁判所の判断ということになるかと思います。ただ、初めに先生が御指摘になりましたように、初めから人をだますつもりでやっている行為とかというのは、恐らく裁判所にいっても一定の部分は犯罪になるということになるんだろうと思いますが、いずれにしても、ここは個別の取引の内容によるというふうに思います。

村越委員 お話はよくわかるんですが、この取引自体がギャンブルでないというか賭博でないということに対する明確なメッセージにはなっていないと思うんですね。今回、法改正でそういうメッセージを中に盛り込まないとしても、金融庁として何らかのメッセージを出した方がいいんじゃないかなというふうに私は思っています。

 というのは、例えば株式投資はばくちでないわけですね。どうしてこれがばくちでないかというと、恐らく、株式投資が差し当たってキャピタルゲインを目的とした投資だろうとなかろうと、少なくとも、投資家のお金というのが投資を通じてある会社に流れていって、それが資本市場に還流して、最終的には企業のサービスという形を通じて消費者だったり株主に還元されるという、何というか一種の公共性が株式投資にはあると思うんですね。

 そういう説明だと、およそ株式投資はばくちじゃないんだ、賭博じゃないんだというきちっとした説明になると思うんですが、残念ながら、そういう説明が今回なされていないと思います。あるいは、そういう説明をしないのであれば、きちっと賭博性を薄めるような規制を法案の中に盛り込むか、あるいは裏を返せば、もっと消費者保護につながるようなスキームを改正案に盛り込まないと、なかなか私は納得がいかないと思っています。これに関しては、また後で触れたいと思います。

 次の質問に移りたいんですけれども、規制の対象に関して若干細かい質問をしたいと思います。

 今、現状の最新の預かり残高と口座開設数というのがどれぐらいか、お答えいただきたいと思います。

西銘大臣政務官 お答えいたします。

 外国為替証拠金取引について、現在、規制の対象となっておりません。監督官庁もないわけでございまして、そういうことから、民間のシンクタンクの調査によるものでございますけれども、証券会社、商品先物会社等を含む外国為替証拠金取引の業者として、二〇〇四年七月現在、約百五十社が把握されております。その市場規模は、二〇〇四年の三月末時点で、預かり証拠金残高約二千億、口座数が約九万口座というふうに推計されております。しかし、この数値はあくまでも把握された業者の数に基づくものでございまして、実際にはこれを大きく上回る業者が存在するというふうに言われております。

村越委員 非常に活発な取引がなされていて、非常に莫大な市場規模だということが今の御答弁からよくわかりましたが、今回の法案が仮にきちっと成立してこの法が施行された場合、今おっしゃった市場に対してどのようなインパクトがあるのか、どのような変化があるのか、シミュレーションがなされているのであれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

西銘大臣政務官 本法案の成立後は、当然のこと、当該取引を行う業者は金融先物取引業者として当該法律の規制を受けることになります。その結果、当局の検査監督を通じて業者の営業内容等について検証が行われることにより、法令違反行為に対する牽制効果が期待されます。業者が金融先物取引業者として登録されること等により、業界の実態がより確実に、明確に把握できることになるというふうに私どもは考えております。

村越委員 それでは、もうちょっと細かい質問なんですが、外国為替証拠金取引業者というのが現在三種類に大別される。つまり、証券会社系か、それとも商品先物取引業者系か、独立系か、三通りに大別されるわけですけれども、これまで監督官庁が存在しなかったのは三つ目の独立系業者だと思うんですが、なおかつ、この独立系業者が今回の法案の専らのターゲットになると思うんですが、この独立系の業者というのが大体どれぐらい、何社あるのか、把握されていますでしょうか。

西銘大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほどの、これは民間のシンクタンクの統計でございまして、先ほど申し上げましたように、二〇〇四年七月現在、百五十社ございます。扱っている業者が百五十社ございまして、このうち独立系とされる業者の数は約八十社でございます。

 しかし、実際にはこれを大きく上回る業者が存在するというふうに言われておりまして、専業の業者全体の実態は把握されていないということでございます。これらの業者のうちどのぐらいの業者が市場からの退出を余儀なくされるかについては、非常に困難が予想されるということでございます。

村越委員 それでは、今回の法案の規制のあり方、態様について御質問したいんですが、今回の改正の肝というのは、業者を登録制にするんだ、一たん登録制で参入は容易にするけれども、その後いろいろ手足を縛るというようなやり方がなされていると思うんですが、登録制というのは一般的に言って非常にハードルの低い規制のかけ方だと思っています。どうしてそういう登録制をあえて用いたのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

七条副大臣 お答えさせていただきます。

 先ほど井上先生からも同趣旨のことがあったのでありますけれども、これは、今、先生も御承知のとおり、投資家保護を強化するということは当然やらなければならないし、今の御時世ですから、そういうことに努力していかなきゃならない。ただ、その一方で、時代の波の中で、貯蓄から投資へという時代にもなっている背景もあろうかと思います。

 そういう観点も踏まえまして、本年六月の金融審議会第一部会の報告の中に、この外為証拠金取引に関する規制のあり方について、特に店頭先物取引業者については登録制とすることが適当である、そういうような答申をいただいておりますし、また平成九年の金融システム改革におきましても、それまで免許制であった証券会社について、事後監視型行政というような形へ転換をするような時代の波が起こっていることも事実でありまして、登録制へと変更されたところであります。

 当然、それらの時代の波のことを踏まえまして考えていきますときに、このような流れの中で、証券会社というものと類似性がある、あるいは店頭取引と取引所取引のバランス等々を踏まえて考えたときに、金融先物取引業者全体についての登録制ということが報告の趣旨にも沿ってくるのではないか。ただし、これから登録制という形で緩和をしてきたときに、登録拒否要件を明確化させておくこともやらなければならないというふうに法律の中で盛り込んだところでございます。

 なお、今回の法案の中では、金融先物取引業者について、許可制から登録制への移行により質の低い業者が参入をする、あるいは投資家保護に支障が生ずることのないよう、行為規制の厳格化あるいは自己資本規制の導入などにより事後監視型投資家保護を強化していきたい、こういうふうに考えているところでございます。

    〔委員長退席、遠藤(利)委員長代理着席〕

村越委員 あわせてお伺いしたいんですけれども、今回の改正では、先ほど私は若干指摘をしましたが、取引規制、つまり、レバレッジ効果規制であるとか取引回数の規制であるとか、そういった取引の規制がなされていない、あるいは商品自体に対する規制、要するに先ほど私が言ったばくち性を薄めるような工夫ですね、そういう規制がなされていないわけですけれども、その理由をぜひお聞かせいただきたいと思います。局長で結構です。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、この外国為替証拠金取引について、商品性とかあるいは取引方法に関する規制ということをすべきではないかという御議論は、実は、先ほど来たびたび出ております金融審議会におきましても御議論がございました。そこの御議論の結果として、その報告の中にそのくだりがありますので、ちょっと読み上げさせていただきます。

 「このような」、このようなというのは、それまでに外国為替証拠金取引のいろいろな特色が書いてあるわけでございますが、

 このような外国為替証拠金取引の商品性を踏まえた規制については、ロスカットルールの義務付けや証拠金比率の下限設定等、取引方法そのものに関する具体的な規制が必要ではないか、との意見もあった。しかしながら、適合性の原則や不招請勧誘の禁止の導入等を前提とすれば、自らの意思により取引を行う投資家のみが取引に関わることとなるため、自由な取引を妨げるような規制を行うよりも業者の説明責任を明確化すべきであり、当面、以下のような義務について措置することが適当である。

というような御指摘がありまして、いろいろな業者の説明責任等々についての記述があるということでございます。

 そういった観点を踏まえまして、私どもといたしましては、この法案で、契約締結前に書面を交付して説明する義務を課す、あるいは、当該書面において、顧客が行う金融先物取引の額が預託すべき証拠金の額より大きいことや、通貨等の価格の変動により顧客に損失が生じて、かつ、その損失額が預託した証拠金の額を上回ることとなるおそれがあることなどを記載する、そういった措置を講じているところでございます。

村越委員 今、お引きになったその審議会の御議論というのは、業者の営業の自由を担保する、そういうものを重視する規制をかけるという点では、非常に、まことに見識の高い立派な御意見だと思うんですが、外国為替証拠金取引という商品自体が持つばくち性を薄めるというか、そういう点では何ら関係ないわけですね。

 ですから、私が先ほど来申し上げているように、レバレッジ効果規制をするとか取引回数制限という規制をすれば、ばくち性が薄まるわけですよね。私は、ぜひそのことを盛り込んだ法改正にして、市場の信頼性を高めていく努力がなされてもよかったのではないか、また、多分そういう意見も審議会の中で上がっていたと思うんですね。ぜひそういう意見もお聞きになって改正案をつくられた方がよかったんじゃないかと。ちょっと指摘をしておきたいと思います。

 次の質問なんですが、今回の法改正にあわせて、あわせてというか横にらみして、先ほど指摘したような悪質な業者が最後に荒稼ぎをして足を洗おうと考えて駆け込み勧誘をするんじゃないかという指摘がいろいろなされていますが、この駆け込み勧誘に関して、差し当たって金融庁として対策を考えておられるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

七条副大臣 お答えさせていただきます。

 今回の法改正につきましては、平成十七年の七月一日から施行をされる予定でおります。そういう関係も含めますと、施行前の行為について法律に基づき規制することは非常に困難でもありますし、それらを周知徹底するために、ホームページあるいは政府広報等により改正法律の内容を広く一般に周知徹底をさせる、少なくともそういうことだけはやっておかなければならない。今、金融庁でできる範囲のことをできるだけやり、投資家保護のための被害防止に努めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

村越委員 法律に基づく行政というのは大原則ですからよくわかるんですが、現状として非常に悪質な業者がばっこしているというものがあるので、金融庁がきちっと監督をされる、あるいは悪質な業者に関しては警察なり検察なりがきちっと検挙、取り締まりをする、あるいは公正取引委員会が排除措置を行う等々、事実上できることがあると思いますので、ぜひその点もきちっと監督していただけることをあわせて要望いたします。

 あと、若干この新たな市場のことに関してお伺いしたいんですが、市場の受け皿になるTIFFE、東京金融先物取引所に関して少し御質問をさせていただきたいと思います。

 今、TIFFEが株式会社化されました。ですが、残念ながら、その後、報道によれば、乾いたぞうきんをさらに絞り続けるようなリストラがなされているそうなんですけれども、それもむなしく、赤字経営が続いているそうです。

 そんな中で、株式会社としてTIFFEが取引量を高めて収益力を上げていくために、この今問題になっている外国為替証拠金取引を上場商品として扱う予定だという報道がなされていますが、このTIFFEの現状から見て、十分な体制、財務体質とか組織とか人員といったいろいろ要素があると思うんですが、こういうTIFFEの現状から見て十分な体制がとれるんでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

    〔遠藤(利)委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 TIFFE、東京金融先物取引所においては外国為替証拠金取引の上場に向けた検討が行われているということは承知をいたしておりますが、現時点において、具体的にどのような形で進めていくのか、その内容が決定されておりませんので、今の段階で執行体制について私どもがコメントできる段階ではないというふうに思いますが、しっかりとした上場商品に向けての体制づくりというものをしていただきたい、適切な体制を整備していただきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、金融先物取引所における商品の上場につきましては、金融先物取引法に基づく認可が必要でありますので、当局といたしましては、認可申請が出されれば、法令に従って適切に対処してまいりたいと考えております。

村越委員 もう一点、TIFFEに関してぜひ御質問をしたいんですが、TIFFEの取引高というのは、先ほど申し上げたとおり、どんどんシュリンクしていっています。このことと政府、日銀のゼロ金利政策あるいは量的緩和政策が当然無関係でないと私は思っているんですけれども、この政府、日銀の政策が金融先物市場に悪影響を与えているわけですけれども、このことをどうお考えになっておられますか、お答えいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 TIFFEの取引高とゼロ金利政策、量的緩和政策との関係についてのお尋ねがあったわけでありますけれども、いわゆるゼロ金利政策、量的緩和政策は、マクロ経済活動を金融面から最大限に下支えをしてデフレ懸念というものを払拭していく、景気の持ち直しや経済の活性化を図るための施策であるというふうに私自身考えております。

 他方、東京金融先物取引所の主力取扱商品でありますユーロ円三カ月金利先物取引が一時に比べ低調であることは、これは事実であり、その要因の一つとして、御指摘のように、金融政策の結果としてゼロ金利状態が一定期間継続することにより、ユーロ円三カ月金利先物価格の変動率が低下していることが考えられるわけであります。

 いずれにいたしましても、金融先物市場の市況については、経済情勢やあるいは金融動向も踏まえながら、今後とも十分注視をしていきたいと考えております。

村越委員 ありがとうございました。

 今回の法改正を見ていまして思ったんですけれども、個別の業法をその都度改正して事実に対処していくというのは、もう限界が来ているんじゃないかと私は思っています。やはり、包括的な金融取引全般に網をかけるような法制度をぜひ整備する必要があるんじゃないかということをまず指摘させていただきたいと思います。

 あわせて、毎回申し上げておりましてくどいようなんですが、日本版SECのようなものをつくって、きちっと市場監視機能を強化していくことを御要望したいと思います。ちょっとそのことだけ申し上げまして、時間が来ましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

金田委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌でございます。よろしくお願いをいたします。

 金融先物取引法の一部を改正する法律案について、順次御質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず最初に、シティバンクに対する行政処分と金融サービス法ということで、その観点から御質問をさせていただきたいというふうに思うんです。

 「世界最大の金融帝国、シティグループが揺れている。欧州で相場攪乱を招いたのに続き、日本でも富裕層対象のプライベートバンキングからの事実上の追放処分を受けた。なりふり構わぬシティの儲け主義は、銀行・証券・保険の垣根を崩すことで巨大な金融グループを誕生させようとする米国の戦略の負の産物といえる。日本でも米国の後を追うように金融の垣根が取り払われつつある。この十二月には、証券仲介業務が銀行にも解禁されるのだ。日本のメガバンクが、シティと同じ轍を踏まないという保証はどこにもない。」これはある本からの引用でございますけれども、そこで、少しシティについてお伺いをし、順次入ってまいりたいというふうに思っておるんです。

 まず、シティバンクの処分理由を見ますと、プライベートバンク部門において、公益を害する行為、重大な法令違反、極めて不適切な取引等がまさに多数検証されたのは、御案内のとおりであります。そこで、今後の業務の継続は不適当と認められる、また、個人金融部門でも、外貨預金業務に係る内部管理体制が未整備であり、業務の改善に専念させる必要があることが確認されたとなっております。

 さて、具体的な中身を見てみますと、有価証券の相場操縦等の罪で起訴された被告人たちへの多額の資金流用を許す貸し出しの実行や地方公共団体から公金資金を引き出すための見せ金融資まで実行していたと言われております。これらの行為は相場操縦罪や詐欺罪の共犯の可能性があると考えるわけでありますが、当局の対応は行政処分にとどまっております。また、当局への虚偽報告など検査を阻害する行為も行われたとされておるが、これはまさにUFJ銀行の場合と同様に刑事罰が科される行為である、このように思っています。したがって、私は、現在のところ、今後はわかりませんけれども、甘い処分だと、正直そのように思っています。

 そこで、一つ思い当たるのは、昨年の五月に、シティグループのワイル会長が小泉さんに会われておるんですね。そのことと今回の処分とは全く関係ないというふうには私は思っておりますけれども、いずれにいたしましても、現在のところ、少し甘いんじゃないのか、そんな観点からお伺いをしたいんですが、アメリカでこのような行為をやれば、まさに厳罰に処せられるというふうに私は思います。現に、九年前の大和銀行のニューヨーク支店の事件がありました。この事件では、あるトレーダーが十一億ドルの損失を出した、事後処理でアメリカ当局への報告のおくれと虚偽報告があったとして、司法取引の結果、三十四億円ですか、三億四千万ドルの罰金が課されている。

 こういった状況の中で、金融庁は、刑事告発への考え方も含めて、今回の処分をどのように考えておられるのか。あえて、今現在までの処分についてどのようにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 鈴木委員からは、シティバンクにかかわる今回の行政処分は甘いんではないか、こういう御指摘をいただいたところでございますけれども、シティバンク在日支店については、立入検査及び報告徴求によりまして、公益を害する行為やあるいは重大な法令違反等が確認されたことから、九月十七日に、在日支店のプライベートバンキング部門、関係の四拠点の認可の取り消し処分並びに個人金融本部の外貨預金業務にかかわる新規顧客との取引の一カ月間の業務停止処分を含む行政処分を行ったところでございます。

 今回の行政処分は、特に重大な問題が認められたプライベートバンク部門の在日四拠点すべてについて認可の取り消しを行ったものでありまして、これは実質的に免許取り消し処分に相当するものであります。その決定に当たっては、事案の悪質性、そして重大性、過去の他の金融機関に対する処分との整合性等を慎重に吟味したところであり、適切かつ妥当な処分であると私どもは認識をしているところであります。

 また、委員からは、行政処分となった法令違反に基づき刑事告発を行うべきではないかという御指摘がございました。

 行うべきか行うべきでないかについては、当該法令違反がいずれも罰則規定に該当するものがなかったことから、現時点において、把握している法令違反について刑事告発を行うことは考えておりません。しかし、新しい事実が確認をされれば、その事実に基づいて、法令に基づき厳正な対応をしていきたいと考えているところでございます。

 さらに、議員の御指摘の、相場操縦関連の貸し出し、見せ金融資、匿名口座関連の取引について詐欺や脱税等の共犯ないし幇助として告発しないのかという点についてでございますが、捜査当局による犯罪認定にかかわる個別の問題でありますので、金融当局としては言及を差し控えさせていただきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、当庁が把握しているこれらの事実を踏まえ、こうした事実に相応するものとして今回の厳正な行政処分を決めたものであります。

 銀行法二十五条第四項においては、銀行等への立入検査権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはならないとされているところでございまして、私どもの責務は、検査監督を通じて銀行業務の健全かつ適切な運営を確保し、そして信用秩序の維持、預金等の保護、金融の円滑化などを図ることでありますので、こうした私どもの責務を達成すべくさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(克)委員 いずれにいたしましても、私は、やはり現段階で処分が甘いというのが国民の大方の見方ではないのかなというふうに思っておりまして、ぜひひとつ、今後厳しく臨んでいただきたい、このことを申し上げておきます。

 結局、どうしてこういう形になったのか、これが一番問題なわけですが、当然、過度の収益重視ということから何でもありのもうけ主義というような形になったということではありますけれども、この背景に、銀行部門も含めた金融サービス法のきちっとした整備というものがどうしても必要になってきた、こういうことを私はつくづく思うわけでございます。そんな点については、また後ほど具体的にといいますか少し申し上げたいと思いますが、そのことを申し上げて、次に入らせていただきたいというふうに思っております。

 外国為替証拠金取引でございますが、御案内のように、平成十年の外為法の改正によってこの業務が自由化されてきたわけでありますが、一番問題なのは、監督官庁が不在のまま市場規模がどんどん拡大をしていった、そしてまさにトラブルが急増しておるということでございます。

 それぞれの議員からもお話がありましたけれども、国民生活センターに寄せられたトラブルの例なんかを見ますと、例えば説明不足と返還遅延ということでは、電話勧誘があり、為替取引などは初めてだったが、有利なことばかり説明をされて六十万円を支払い契約をした、実際は損失が出たので解約を申し出た、元本の約半分になってしまった精算金の返還期日は二カ月先である、それまで待っていいのかどうか不安である、八十歳の無職の女性。それから、不実告知と無断売買ということでは、数度の勧誘を受け、政府も認可している、弁護士も取引の優位性を褒めているなどの説明を信用して二百万の証拠金を預けた、利益が出ていたにもかかわらず、注文の指示などを出していないのに勝手に売買されてマイナスの計算書が送られてきた、六十歳の家事従事者ということであります。

 こういう例は挙げれば切りがないわけでありますが、まさに取引の内容を理解できずに、また、十分な説明を受けないまま取引をしてしまった。電話や来訪で強引に勧誘された、リスクの説明はなく、元本割れはしないと言われ、契約はしたけれども結果的には元本割れした、必ずもうかると言われた、いずれもこういうケースなわけですね。例えば、年代を見ると、六十歳以上の人が五〇%、そして、職業別では無職、家事従事者という人が六割を超えておるというような状況でございます。まさに投資に関する適合性原則に配慮することのない強引な勧誘がここまで被害を拡大させた最大の原因だ、このように思っています。

 そこでお伺いをしてまいるんですが、平成九年の外為法改正で、つまり、外国為替及び外国貿易管理法の改正で、外国為替等審議会が東京市場活性化のための方策として外為業務の自由化を答申する中で、外為業務に関連する投資家保護や不公正取引の防止が課題となっていることを認識しつつも、当面は市場のチェック機能や既存の法的枠組みの中で対応することとし、将来の問題として、情勢の変化に対応した何らかの環境整備が検討課題となっている。こうなっておったわけですよね。

 にもかかわらず、結果的にこれだけの被害が出て、そして、今、ようやくというか、まさにおくればせながらという言葉が妥当であるかどうかわかりませんけれども、やっておる。この行政責任、本当にどのようにこのことについてお考えになっておるのか。そして、もう一つ言わせていただくならば、まさに監督官庁の、要するに間隙を縫ってこういう形の商品といいますか、被害がどんどん拡大をしていったわけですよね。この二点について大臣はどのようにお考えになっておるのか、御答弁をいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 今鈴木委員からは、現在の縦割り行政のもとで実効的な対応のおくれについての責任というものを十分認識すべきではないかと厳しい御指摘をいただきました。

 私どもとしても、金融実態、取引の実態というものを十分に踏まえて、それに適切に合ったルールを整備して、投資家保護について、その実態に即した枠組みというものを常につくる努力というものを続けていかなければいけないというふうに考えております。

 委員からも御指摘がございましたように、二十一世紀の金融を支える新しい枠組みとしては、縦割りの規制から機能別、横断的なルールに転換する等の観点に立って、金融サービスに関するルールの整備を進めていくことは大変重要なことではないかというふうに考えているところであります。

 金融庁としても、こうした考え方に立って、これまで既に金融商品販売法を制定し、そして金融商品を横断的に対象とする利用者保護ルールを整備するなど、関係省庁と連携をしつつ、機能別、横断的なルールの法制化に向けた取り組みを行ってきたところであります。

 また、外国為替証拠金取引についても、金融商品の販売等に関する法律の対象に含めるよう政令を改正するなど、これまでも顧客の保護を図るための措置を講じてきたところでありますが、さらに、今般、本年六月の外国為替証拠金取引の規制に関する金融審議会報告を踏まえまして、今回の金融先物取引法の一部を改正する法律案を提出させていただいて、現在御審議をいただいているところでございます。

 金融庁としては、このように市場の取引実態というものを十分に踏まえて適切に対応してきたところでありますけれども、今後とも、他省庁と連携をしつつ、市場の実態に応じた機能別、横断的なルールの整備を着実に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(克)委員 私は、弱者を守るのは国家であり、法律だというふうに思っております。その法律の制定がおくれたというのは、我々議員も本当に肝に銘じなきゃいけない。しかし、行政当局の皆さんも、他人事ではない、本当にもっと我が身に置きかえて真剣に対処していただきたい、このことを思うわけでございます。

 続いて、これは午前中、井上議員、そして先ほど村越議員もおっしゃったわけでありますが、賭博罪との関係で一点どうしてもお伺いしたいんです。

 金融庁のホームページを見ますと、「取引注意!! いわゆる外国為替証拠金取引について」ということで、外国為替証拠金取引に関して刑法上の賭博罪との関係を指摘されることがあるとホームページに載っているわけですよね。

 私は、余談でありますけれども、蒲郡の市長をしていまして、蒲郡には蒲郡競艇があるわけです。よく、あれはばくちだ、賭博だと言われました。しかし、私は、いや、そうじゃありません、健全な知的ゲームだ、こういうことをずっと言い続けてきたわけですよね。

 しかし、少なくとも金融庁のホームページで刑法上の賭博罪との関係を指摘されておるというふうに、これは一体全体どういう考え方で書かれたのか。また、それを見られて、大臣、どう思われますか。これはどこかおかしいんじゃないのかな、私はそう思いますけれども、いかがでしょうか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来、賭博罪のことについての御質問がございますが、簡単にもう一度申し上げますと、賭博罪というのは、偶然の勝敗によって財物や財産上の利益の得喪を争う行為のことというふうに解されております。外国為替証拠金取引はこういった構成要件に該当し得るということでございますけれども、一方で正当業務行為に該当する場合には違法性が阻却されるということでございます。

 したがって、従来、金利、通貨を用いた店頭デリバティブ取引につきましては、社会通念上、正当な取引であるということで、正当業務行為として違法性が阻却されるというふうに考えられてまいったわけでございます。今般、金融先物取引法で、外国為替証拠金取引、店頭デリバティブ取引が店頭金融先物取引として法制化されるということで、正当行為として違法性が阻却される要素がさらに強化されるという効果があるかと思います。

 ただ、現在のところはそういった法律がございませんので、金融庁のホームページにはそういった賭博罪の関係ということについての注意喚起をしているということでございます。

鈴木(克)委員 何か最後の部分がくしゃくしゃくしゃっとしてわからなかったんですが、私が申し上げたのは、要するに金融庁のホームページに賭博罪との関係を指摘されることがあるというふうに書かれておる、このことをどういうふうにお感じになり、書かれた方も、そしてまた読まれた方もどういうふうに思われておるかということをお伺いしたいわけであります。賭博罪云々ということについてよりも、むしろ、私は、公式な政府の、しかも、金融庁のホームページにそのような記述があることをどう思うかということについて御答弁をいただきたいと思います。

増井政府参考人 もう一度御答弁をさせていただきたいと思います。

 私どものホームページのところには、確かに、御指摘のように刑法上の賭博罪との関係で違法性の関係の記述がございます。これは、事実の問題といたしまして、裁判所でもそういった指摘がある判決もあったということもございまして、私ども、今の段階では、そういう注意喚起という意味でこういった事例もございましたということで掲げているものでございます。

鈴木(克)委員 何回聞いてもきっと同じことだと思うんですが、いずれにしても、もうちょっと考えていきましょうよ、我々には知恵があるわけでありますから。指摘されたから、前例があるから書いておけばいいということではなくて、やはりもう少し考える必要があるんじゃないか、このことを私は申し上げておきたいというふうに思います。

 続いて、金融サービス法について、少し時間もありますので、進めさせていただきたいと思います。

 今般、金融庁は外国為替証拠金取引を規制するための本法律案を提出された。しかし、このような個別商品ごとの後追い型の対応では、新しい商品が開発されるたびに法改正が必要となり、投資家保護策としては限界がある、このことは私はずっと持論として言い続けてきたわけでありますけれども、この点で金融審の報告書は、「足元で被害が急増していることを踏まえれば、外国為替証拠金取引への規制を念頭に置いた迅速な対応が必要であるが、投資サービスに関する規制は機能別・横断的になされるべきであるとの考え方を踏まえれば、当面の対応としては、金融先物取引法の改正により、通貨・金利等を原資産としたデリバティブ取引についてもその対象とするとともに、より横断的な仕組みについては、いわゆる投資サービス法に関する議論の中で併せて議論していくことが適当である。」このようにされておるわけであります。要は、資本市場の全分野をカバーした投資者を保護する法制が存在しない、ここに私は非常に問題を覚えておるわけであります。

 そこで、委員長のお許しをいただいて資料を配らせていただいたんですが、皆さんのお手元にあるかと思うんですけれども、これは、上が、従来の銀行、証券、そして、その他の投資物件、保険ということで、それぞれ、銀行法があり、証券取引法があり、商品ファンド法、金融先物取引法があり、また、保険業法があるということですね。これが、あえて言えば過去であったわけです。現在はというと、図二になるわけでありまして、金融商品販売法があるということでしょう。

 結局、私は何を申し上げたいかというと、例えば商品ファンド法と保険業法の間にすき間があるわけですよね。このすき間に、結局、かつてのオレンジ共済とかいろいろな問題が出てくるわけです。私は、今言うように、やはり日本型金融サービス市場法制をきちっとすき間のないように網羅をしていくべきだ、これが実は申し上げたいわけであります。

 ただ、ここに実はできないというか、なかなかそれが難しい問題がある。これは御案内だと思うんですけれども、むしろそれは御答弁を聞かなきゃいけないかもしれませんけれども、要は縦割りであるということが非常に大きな弊害になってきているわけですね。私は、行政組織の抜本的な再編も含めて、こういう、すべてを網羅できるいわゆる法律を早く制定すべきだというふうに思っております。

 ただ、これをある保険の専門家に見せたら、これだけでも実は足らないんだと。さらに、保険には、図三の場合でありますが、保険には保険業法というきちっとしたものを、日本型金融サービス市場法の下に、下というか上というかわかりませんが、つけていただきたい、それぐらいの思いだということでございます。

 いずれにいたしましても、この図をごらんになって、そして、かつてのオレンジ共済を思い出すまでもないんですが、不特定多数の方から預かり金を禁じた出資法の違反で、高利回りをうたった違法なセールスで、一万人以上の被害者から約九十一億円集められたんです。こういうことが、結局、このすき間、間隙から出てくる、これからも出ないとは限らないわけでありますので、そのことについて大臣の御所見をいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 鈴木委員からは大変重要な御指摘をいただいておりますし、これからの二十一世紀を支える金融のあり方、それを考える場合の重要な論点について幾つも示していただいたというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、私どもといたしましては、従来の縦割り規制、こうしたものから機能別、横断的なルールに転換をしていかなければいけない、こうした観点から金融サービスに関するルールの整備を進めてきたところであります。

 金融審議会においても、今精力的に議論をしていただいておりまして、九月二十八日に開催をされました金融審議会第一部会においては、投資家保護策の検討の対象となる投資サービスの範囲、定義について、他の業法により投資家保護が図られている例えば金融先物、商品ファンド等の取り扱い、あるいは投資サービスの定義のあり方、そして、事業型の組合に対する投資、ラーメンファンド等や、会社法改正において検討されている合同会社への有限責任社員による投資等、投資家保護の講じられていない投資サービスの取り扱い、こういった観点からそれぞれ議論をしていくこととされているところであります。

 また、行政組織についてのお尋ねがありました。

 これは、金融行政の組織は、金融庁の前身であります金融監督庁発足のときに、従来の業態別の組織を企画、検査、監督、監視の機能別に再編しているところでありますので、業態、業界横断的、そして商品横断的な基本法制が構築されたものとして金融庁の現体制は既に対応し得る体制になっているのではないかというふうに私どもは考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、金融審議会第一部会においては、投資家保護の対象となる投資サービスの範囲、定義方法について議論が行われる中で、他の業法により投資家保護が図られている商品ファンドの取り扱いについても、先ほども御説明をさせていただいたように検討させていく予定でありますので、その結果によって、私ども、どのような形の対応をしていったらいいのかということを考えていきたいというふうに思っているところでございます。

鈴木(克)委員 もう一度国民生活センターに寄せられておる話をさせていただいて、私の質問を終わります。

 三カ月前に電話勧誘で外国為替証拠金取引を契約し、二百四十万円を払った、二十万円のもうけが出た、ここでやめたいと何度も申し出たが、来月まで待った方がいいなどと言ってやめさせてくれない。それから、二週間前、電話の後来訪した営業員は、世界情勢から見てドルが百二十五円になるのは確実だ、もし下がっても期限がないのでそのまま待っていれば利息はつく、当社が倒産しても証券取引法により保証されるので安心してほしいと言われ、二口百二十万円を預け、外国為替証拠金取引の契約をした、取引約款などの書類は渡されなかった。

 こういうような、もうこれは本当にとめましょうよ。こういう被害者を続出させるというのは、これは法律の欠陥だと私は思うんですよ。本当にこのことを強く申し上げて、私の質問は終わります。

金田委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党・無所属クラブの津村啓介と申します。

 幾つか御質問させていただくわけですが、まず冒頭、東京金融先物取引所、いわゆるTIFFEのあり方、そして金融庁の指導監督スタンスについて伺いたいと思います。

 昨今、世界的な取引所の再編が進みまして、アジアにおける金融先物市場につきましても、こうした取引所再編の波が徐々に波及をしてきております。そうした中で、上海やシンガポール、香港など、他国の金融先物市場との市場間競争というものが激烈になってきているわけですが、日本の国益を考えた場合、この市場間競争、官民を挙げてしっかりと取り組んでいかなければならない課題だと思います。

 そうした中で、このTIFFEが東京マーケットの発展のために大変重要なインフラであることは申すまでもないわけでありますけれども、安定した経営あるいは参加者の拡大といった課題を実現していくためには、幾つか課題があると思います。

 先ほど、村越議員の質問に対しまして、大臣の方から、ユーロ円現先取引のことを例に挙げられて、ゼロ金利政策の長期化が背景にはあるんだというお話がありましたけれども、こうした金利水準そのものを左右することは金融庁のお仕事ではありませんので、そのことについてはここで議論しても余り実りがないかなと思うわけですが、しかしながら、環境整備といいますか、例えば取り扱い可能な商品を広げていくための方策であるとか、あるいは決済システム等、その他システムの整備を側面からサポートしていく、そういった間接的なサポートというのはさまざまに考えられるものだと思います。

 現在、TIFFEの職員は五十名前後ということで、他国の金融先物取引所の中でも相当少ない水準になっているわけですし、収益体質も極度に悪化をしていると思いますが、こうした中で、今後の指導監督スタンスについて伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 東京マーケットの魅力を向上させていくためにも、やはり競争力を強化していかなければいけない、国際的に激しい競争環境の中でどうやってその魅力というものを向上させていくことができるか、そのことについて私どもも重大な関心を持って対応していかなければいけないと基本的に考えているところでございます。

 そうした問題意識の中で、TIFFE、東京金融先物取引所は、日本で唯一の金融先物取引所でありますので、東京マーケットのインフラを担っている、こうした観点からもその整備というものは大変重要なものではないかというふうに考えております。

 しかし、現在、TIFFEの状況を見てみますと、参加業者が少ない、海外の取引に比べて総じてレバレッジが小さい、あるいは取り扱いの通貨が少ないといった課題があります。こうした課題に対する対応として、TIFFEにおいては新しい商品の上場などを通じた取り組みを行っていくというふうに承知をいたしておりますし、また、取引所においても、資金調達手段の多様化やあるいは意思決定の迅速化を図って、さまざまな環境変化や市場利用者の多様なニーズに対応して効率的で利便性の高いサービスというものが提供される、そうしたことを実現していくため、本年四月、会員制から株式会社へと組織変更を行ったものと承知をいたしております。

 今後とも、引き続き、TIFFEにおける自主的な取り組みが行われるものと考えているところでございますけれども、私どもとしても、こうした取り組みを促進すべく、適切に対処してまいりたいと考えております。

津村委員 今、大臣からTIFFEの課題として幾つか例示がありました。例えば、取り扱いの金融商品あるいは取り扱い通貨の数が限られていること、そして海外と比べてレバレッジが必ずしも大きくないこと。そして、そのいわば結果でもあるかもしれませんが、九〇年代と比べまして、当時二百社ほどあったと記憶しておりますけれども、会員企業数が現在では五十ほどまで減っている。実は、金融庁の事務方の皆さんとも議論をさせていただく中で、そういった点についても、私からも申し上げたんですが、問題意識を共有されているということで大変心強く思っております。この場では十分議論を深められませんけれども、今後とも、このTIFFEのあり方、ひいては東京マーケットのインフラ整備ということについて、私はここに立つたびに申し上げていますけれども、引き続き丹念にフォローしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、このことに関連をいたしまして、二番目の質問になるわけですが、今回の外為証拠金取引規制に関しても、やはりTIFFEとの関係が非常に重要な一つのポイントかなと考えるわけです。

 本年六月の金融審議会におきまして、TIFFEの太田専務から、今回の外為証拠金取引につきまして、来年の夏ごろでしょうか、時期は少し記憶があいまいですが、上場の意思を、検討するという形で表明をされたように記憶しております。市場整備の一環という意味では前向きに評価できる一面があると思いますが、しかし逆に、システム対応等、それなりにコストのかかることですし、実際にビジョンなくこういうことはできないわけで、そこら辺は少し御説明いただきたいなと思いました。

 TIFFEの方をここに、株式会社化されていますので直接お呼びするのは簡単ではないということでしたので、大臣にぜひ伺いたいんですけれども、今回、入り口規制といいますか、行為規制というんですか、不招請勧誘の禁止という形でさまざまな規制が課せられています。業界地図が大きく塗りかわって、場合によっては一時的に外国為替証拠金取引の市場残高が減少することも懸念されているわけですが、こうした中で、TIFFEがシステム対応も含めてこの市場に参入してくるというのは、場合によってはこれは採算がとれないんじゃないかなということもあり得ると思うんですが、その辺の見通しはいかがですか。

伊藤国務大臣 委員が冒頭に指摘されましたように、東京マーケットの魅力を向上させていくためにはやはりインフラの整備が非常に重要でありますし、委員が何度となく当委員会でも示されている、そういう問題意識というものを私どももしっかり受けとめて対応していかなければいけないというふうに考えているところでございます。

 TIFFEと今回の外国為替証拠金取引の上場に向けた検討についてでありますけれども、これはまだ具体的にどういう形で進めていくかということについて私どもは十分承知をいたしておりませんので、委員の今の御質問に的確に答えられるような状況にないんではないかというふうに思っております。

 ただ、金融審議会の六月にまとめられた第一部会の報告、「外国為替証拠金取引に関する規制のあり方について」においては、「そのような商品の上場に際しては、流動性の確保やコストの問題等、解決すべき課題が残されているが、関係者間において前向きな検討が行われることが望まれる。」とされているところでございます。

 いずれにいたしましても、TIFFEの方から認可申請が上がってくれば、私どもとして、法令に基づいて適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。

津村委員 多少心もとない御答弁だったかなと思います。

 TIFFEの現在の収益状況につきましては、先ほどもお話がありましたように、この厳しい低金利下、ユーロ円現先の三カ月物、ほかの限月もありますけれども、こういった商品の市場が、言葉は悪いですけれども、もう市場が死んでいるという言い方もされるほど深刻な状況です。そうした中で、TIFFEの理事長さんに大蔵省の大変実力派と言われるOBの方がついて、ここはぜひ頑張っていただきたい、エールを送りたい場面なわけですけれども、今回のこの取引規制の強化によってどういう影響があるかわからない、一言で言うとわからないという今の御答弁だったと思うんですが、もう少しここはしっかりと勉強していただいて、効果を見きわめてしかるべき対応をしていただきたい、そういうことを御注文させていただきます。

 多少時間が押してまいりましたので、少し質問を急ぐわけですけれども、いわゆる金融サービス法の法案提出時期について具体的に教えていただきたいと思います。

 九六年の秋に日本版金融ビッグバンが提唱されて以来、日本の金融資本市場においては、今回の外為証拠金取引に限らず、さまざまな金融商品が雨後のタケノコのようにといいますか生まれてきたわけであります。

 そうした中で、現在の金融行政というのは、信託業法の際にも御指摘申し上げたわけですけれども、ポスト金融ビッグバン後のグランドデザインというものが必ずしも明確に描けないまま、先ほどつけ焼き刃的なという話もありましたけれども、何かトラブルがあったり何か金融商品が生まれるたびに事後的に一つ一つ後づけで対応をしていく、その結果として、金融先物市場なんかはその典型だと思いますけれども、監督検査が十分行き届かないために相当ひどい事例が出てきて、それがまた一罰百戒のような形でたたくものですから、逆にマーケットがシュリンクしてしまうということで、全くちぐはぐというか、非常に不安定な金融行政が展開されているのではないかと思います。

 そういった意味で、内外の信頼を高めて、よりグランドデザインのある金融市場整備を進めていくためにも、この金融サービス法を早期に整えるということは極めて重要だと思うわけですが、仄聞するところでは、来年の春には金融審議会の基本的な考え方が示されるとのことです。基本的な考え方はまたそこで議論をさせていただきたいんですが、法案の提出時期ということではいつごろを想定されているでしょうか。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 昨年末に金融審議会において報告書が取りまとめられたわけでありますが、「市場機能を中核とする金融システムに向けて」という報告書においては、今後、新たに登場する投資サービス等につき、証券取引法を中心とした有効な投資家保護のあり方について検討するとともに、中期的な課題として、証券取引法の投資サービス法への改組の可能性も含めた、より幅の広い投資家保護の枠組みについて検討していくとの提言がなされたところでございます。

 こうした提言を踏まえて、九月二十八日に行われた金融審議会第一部会においては、投資サービスにおける投資家保護のあり方について、投資サービスの範囲、定義方法、そして業規制の横断化、柔軟化、市場監視機能・体制の強化、そして集団投資スキーム、資産運用をめぐる法制の再整理といった論点を柱として検討を進めていくことで意見が一致したと承知をいたしているところでございます。

 今後のスケジュールについては、来年春ごろをめどに基本的な考え方を取りまとめていくというふうにお伺いをしておりますし、その後、必要に応じて、より具体的な要綱案の検討に移る方針であるというふうに金融審議会からお伺いをしているところでございます。

 こうした状況でありますので、現時点においては具体的な法案提出時期を申し上げる段階ではないというふうに思っておりますけれども、こうした二十一世紀を支える新しい枠組みをつくるということは極めて重要だというふうに認識をしておりますので、金融審議会の議論、そして報告書の取りまとめを踏まえて、私どもとして検討を進めていきたいというふうに考えているところであります。

津村委員 こういうのはアナウンスメント効果が大変重要ですので、いつというのは本当に重要な情報です。ぜひそれを示していただきたい。

 今のお話のロジックでは、金融審議会がどれだけかかるか言ってこないからわからないということですけれども、金融審議会というのは、大臣がイニシアチブをとって、いつまでにやってくれといって仕事をお願いするのが本来あるべき姿で、審議会の方から返事があるまでは自分ではわからないというのでは大臣として大変心もとないわけですけれども、いつごろまでに金融審議会に仕事を頼むつもりかを教えてください。

伊藤国務大臣 こうした新しい枠組みをつくることの必要性については、私も、大切なことであるということは大臣に就任してからもお話をさせていただいているところでございます。

 しかし、一方で、この新しい枠組みについてはいろいろな論点があるわけであります。その論点をやはり丁寧に議論をして、間違いない枠組みをつくらないと、この枠組みのつくり方を失敗すると、それがかえって投資家保護とは逆行した形になってしまいます。そうしたことがないように金融審議会で専門家の方々が今精力的に議論をしていただいているわけでありますし、私どもとしても、そうした議論というものを尊重しながら、そして、その議論を踏まえて、どういう形の対応ができるのかということをしっかり検討していきたいというふうに考えているところでございます。

津村委員 やはり受け身な印象を受けるわけですけれども、もう一点だけ伺いたいと思います。

 先ほど来、大臣から、機能別、横断的なという表現が大変印象に残るというか強調されるわけですけれども、金融サービス法を考えていく上で、私は、商品先物取引をどう扱うのかをぜひ伺いたいと思います。

 これは金融庁ではなくて、むしろ経済産業省、農林水産省が現在市場を見ているという側面がありますけれども、商品先物取引業者を取り締まる、今回の法案もそうですけれども、投資家から見ると、何省がやっていてもそんなことは関係ないわけで、似たような人が似たような顔をして似たようなパンフレットを持って売りに来るわけですから、投資家を保護するという意味では、ここは縦割り行政はやめて、ぜひ省庁をまたがった金融サービス法をつくっていただきたいと思うわけですけれども、現在の金融審議会の議論を踏まえて御所見を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 商品先物については、委員の御指摘がございましたように、幾つかの関係省庁がございます。そうした関係省庁とも連携をしながら、これからの新しい枠組みについて、その実効性が担保されるようにしっかりとした対応をしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

 金融審議会についてのお尋ねもございました。金融審議会第一部会においては、今後、投資サービスの範囲、定義の方法について検討していくわけでありますけれども、その中で、他の業法による投資者保護が図られている投資サービス、これは金融先物、商品ファンド等についての考え方も議論の対象になっていくというふうに聞いておりますので、そうした意味からは、商品先物取引についても必要に応じて議論の対象になるものと考えているところでございます。

津村委員 もう時間が参りましたので、これで終わりますけれども、金融サービス法につきましては、私ども民主党が一貫して訴えてきたことであります。ことしの春の通常国会でも、私たちは議員立法でこのことを提唱いたしましたし、今回、少しずつでありますが、時間がかかりながらではありますけれども、作業が進んでいるということで、これからも丹念にフォローしながら、私ども引き続き建設的な提案をしていくということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

金田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 外国為替証拠金取引というのは、一九九八年四月の外為法改正によって可能になったというものであります。具体的な被害の実例は、既にこの委員会の質疑の中で各委員も触れられております。私は、余り具体的な事例を紹介する時間がありません。

 そこで、資料を見ていただきたいのですが、これは相談件数ですけれども、国民生活センターに寄せられた被害の統計でございます。九八年度、これは五件でありました。二〇〇〇年度になりますと二十八件、二〇〇二年度には七百二十四件、大変被害の拡大が見られるわけですが、さらに、二〇〇三年、これは半年だけでも三百八十一件でありまして、前の年の同じ時期と比べましても二倍にふえているわけであります。これは大変なふえ方で、しかも契約当事者は高齢者が大変多い、その下の方のグラフを見ていただいても、六十代、七十代、八十代、九十代まで、かなりの数に上っているわけでございます。

 そこで、伊藤大臣にお伺いしますけれども、先ほどの答弁でも、金融商品販売法の政令などでこういう商品も規制の対象に織り込んだんだというようなお話がありましたが、それでもなお、これだけ最近急増しているというところに非常に重大な問題があると思うんです。その理由をどのようにお感じになっているか、お答えをいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 金融審議会の第一部会の報告書においても、外国為替証拠金取引をめぐるトラブル、被害の増加の主な原因として、業者の執拗な勧誘、そして断定的判断の提供、説明不足、無断売買等の不公正な取引、そして決済後の資金遅延等が指摘をされているところでございまして、また、委員御指摘のとおり、被害者の中では高齢者の占める割合が高いというふうに承知をいたしております。

 こうしたことが起きている原因でありますけれども、やはりこうしたものをしっかり取り締まっていく、規制をしていくものがなかったということと、そしてそれを担当する官庁がなかったということも大きな原因の一つではないかというふうに思っております。

 そうした問題意識の中で、私どもとして、投資家保護の観点から、外国為替証拠金取引業者について登録制というものを導入して、そして顧客を保護するための必要な規制の整備を行うことを目的として本法律案を提出させていただいて、今御議論をいただいているところでございます。

佐々木(憲)委員 これだけ被害がふえた理由として、この商品を規制の対象にしていなかったということ、それから監督官庁が明確じゃなかったということでありますが、しかし、外為法の改正の際に、こういう事件というものが発生し得るということは、実は我々も委員会で指摘をしてまいりました。

 七年前でありますけれども、大蔵委員会で私は、これは平成九年四月九日であります、取引の実態を把握しその適法性をチェックするというこれまでの有効な手段を失うのではないか、あるいは、予想をはるかに超えた非常に大きな変動になって、つまり投機的な市場に一変する、このことが実体経済に極めて大きな被害を与える場合が生まれるのではないか、こういうふうにお聞きしました。

 それに対して、当時の大蔵省国際金融局長がどう答えたかというと、「外国為替という特定の業務に着目した監督というものについては、今回、全面的に放棄するということでございます。」と。つまり、監督はもうやらないんですというのが当時の答弁だったわけであります。

 また、同年の四月十五日の大蔵委員会で、当時の我が党の佐々木陸海議員が「外貨建ての金融商品や、それと先物を組み合わせた複雑な金融商品などが出回り、その取引をめぐるトラブルの発生や不正取引による個人の投資家の被害も予想される」ということを指摘しまして、この問題について、はっきりと規制をかけないでいいのかという質問をしたわけです。

 これに対する答弁はどうだったかというと、「外為業務のみに着目して投資家保護を行うということは今後しない」、それから、既存の法制で対応できる、「法整備がされていないということにはならない」というような答弁が行われたわけであります。

 当時のこういう答弁あるいは政府の姿勢が、その後、監督官庁も不明確にし、かつ対象となるさまざまな商品に対する規制がおざなりになるといいますか十分行われなかったという原因になっていたのではないか。ですから、当時のそういう、政府のこの問題についての姿勢というものが非常に大きな原因となっていたのではないかと思いますけれども、当時のこの答弁についての大臣の現在の認識といいますか、御見解をお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 平成十年の外為法の改正については、先ほど来委員会でも答弁をさせていただきましたように、国際化、グローバル化の流れの中で、金融ビッグバンというものを見据えてこうした改正をしていくということは非常に大切なことではなかったかなというふうに思っております。

 そして、平成十年、委員の示された資料を見ても、この当時は現在のようなトラブルは生じておりませんでした。ここ二年、こうしたトラブルが増加をしてきたわけであります。

 私どもとしても、外国為替証拠金取引、こうした取引の実態に合わせて、まず、これまでも、金融商品の販売等に関する法律の対象となるよう、施行令を、本年の二月四日に公布、四月一日に施行させていただきましたけれども、改正するなど、外国為替証拠金取引を行う顧客の保護を図るための措置というものを行ってきたところでございますし、また、近年のこうしたトラブルの実態に即した形で今回の法律を金融審議会の議論を経て取りまとめさせていただいて、国会に御審議をお願いしているところでございます。

佐々木(憲)委員 どうも、当時の政府の姿勢について、反省といいますかそういうものが見られないんです。今御答弁があった、新しい措置をとったというのはことしの話でしょう。ことし金融商品販売法の中の施行令ですか、これで規制と。これは遅いわけです。

 つまり、監督はしません、新商品についての規制は特に行う必要はありません、従来の法体系で十分ですと言っていた政府のそういう姿勢がこれだけ被害をふやしてきた。

 ですから、そこのところの反省といいますか、これはおくれてちょっとまずかったなという考えは全くないんでしょうか。すべて正しかった、こういう考えなんでしょうか。

伊藤国務大臣 やはり非常に大切なことは、金融取引の実態というものに即した適切なルールというものを整備していくということが大変重要なことだというふうに考えております。

 先ほど来答弁をさせていただいておりますように、平成十年のときには今のようなトラブルが起きてはおりませんでしたし、また、こうしたトラブルが起きることは想定がされていなかったんではないかというふうに思います。

 そして、私どもとしても、その取引実態に即した形で、先ほど来お話をさせていただいているような対応をしてきたところでございますけれども、今現在、こうしたトラブルが急増しているわけでありまして、そうしたことに対する問題意識の中で、今回こうした法律の御審議をお願いし、早期に成立をさせていただきたいということをお願いさせていただいているところでございます。

 委員から厳しい御指摘がございましたように、やはり取引実態をしっかり見た適切な行政をしていくということは極めて重要なことだというふうに思っておりますので、そうした問題意識を持ってこれからもしっかりとした対応を行っていきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 当時から、こういう事態が生まれる可能性があるということで、我々は国会で問題にし、そういう問題についての規制がないとこれは大変なことになるよ、被害がふえる、トラブルがふえると言ってきたんですよ。七年前ですよ。当時は被害が少なかったと、もちろんそれは商品が少ないし業者も少ない。しかし、その可能性があるという指摘をしていたわけですよ。それを、そんなことはないんだ、従来の法整備で十分なんだ、監督はしないんだというのが大体自由化なんだということでやってきて、その結果、今になってこのような事態になってきたわけです。その辺の反省が全然見られないわけですね。多少は反省というような気持ちはあるんですか、多少はあるんですか。

伊藤国務大臣 先ほど来答弁をさせていただいておりますように、やはり大切なことは、取引実態に対応した適切なルールというものをしっかりとつくり上げていくことだというふうに思っております。

 当時については、やはりこれからマーケットがどういう形で行われていくのか、取引がどういう形で拡大をしていくのかということが十分予想されていた状況ではありませんでした。ただ、そうした当時においても、やはり投資家保護ということは非常に重要なことでありましたから、そうした中で、当時の状況の中で適切な対応がなされてきたというふうに思っております。

 しかし、現在、ここ二年間、やはりトラブルが急増していることは事実でありますし、こうしたトラブルを解消していくための適切な措置をとっていかなければいけないということで、金融先物取引法の一部改正の御審議をお願いさせていただいているところでございます。

 これからも、私どもとして、取引実態というものをしっかり見て、そしてそれに対する適切な対応というものをやっていかなければいけない、そういう問題意識を持って行政に臨んでいきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 適切な対応をしてきたら、こんなに被害がふえないでしょう。適切な対応をしていなかったからトラブルが急増しているんですよ。適切な対応して、それだったらこの法律を出す必要はないでしょう。今まで適切な対応をしていた、それでいいじゃないですか。なぜ法律を出したかと言えば、政府の今までの対応では足りないから出してきたんでしょう。なぜ足りなかったのか、そこを分析し、当時からどういう議論が行われていたか、自分たちの認識が甘かったのか、そういうことを振り返っていかないとまた同じことを繰り返しますよ、我々がやったのはすべて何でも正しかったと言うんじゃ。ですから私は、どうも伊藤大臣は開き直ることばかりで、何か書いたものを読むだけで、全然気持ちが伝わってきませんね。

 もう一つお聞きしますけれども、この法律をつくって、これを実行していくということが大変重要でありますが、果たして法律がつくられても実効性が担保できるかどうか、これが大事なんですね。今回、不招請勧誘の禁止とか適合性原則の遵守というものが盛り込まれた、これは大変大事だと思います。果たして、それが効果が上がるように運用されるのか、実行されるのか、これが非常に重要だと思いますけれども、この点での決意を具体的な措置も含めてお聞かせいただきたい。

伊藤国務大臣 委員御指摘のとおり、実効性を確保するということは大変重要なことだというふうに思っております。

 法案が成立した後は、明確なルールに基づいた業界への指導を含む適切な検査監督を行って、そして規制の実効性というものを確保していきたいというふうに考えているところでございます。

 このため、金融庁といたしましては、平成十七年度機構・定員要求において、外国為替証拠金取引に係る顧客保護のための体制整備を図るとともに、検査対象の拡大へ対応するという観点から必要な定員の要求を行っているところでございます。

 そして、外国為替証拠金取引については、これまでも証券会社についてガイドラインの策定などにより顧客の保護を図ってきたところでありますけれども、本法律案が成立した後は、当該法律にのっとって、そして適切に業務が行えるよう必要な処置を講じるとともに、法令違反行為については、これを的確に把握して、そして厳正な対処を通じて規制の実効性というものを確保してまいりたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 時間が来ましたので終わります。

金田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、金融先物取引法の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場で討論をいたします。

 一九九八年四月、いわゆる改正外国為替及び外国貿易法が施行され、外国為替業務が完全自由化されました。これに伴い、外国為替証拠金取引を扱う業者が急増いたしましたが、外為証拠金取引を規制する法律がないこともあり、トラブルが急増しています。こうした事情を踏まえ、金融庁は、二〇〇二年十二月に事務ガイドラインを、そして本年四月には金融商品販売法施行令を改正いたしましたが、これと並行して金融審議会金融分科会第一部会が外国為替証拠金取引に関する規制のあり方について検討を行い、六月に報告書が取りまとめられました。本法案はこうした経緯を踏まえて提出されたものであり、趣旨に賛成であります。

 しかしながら、この機会に、金融庁に対しては幾つか苦言を呈しておきたいことがあります。

 第一に、グランドデザインなき金融市場整備についてであります。二〇〇一年四月に施行された金融商品販売法が外国為替証拠金取引をめぐるトラブルを防げなかったことについて、金融庁は真摯に反省すべきです。私たちは、金融商品販売法は多くの問題点を抱えており、速やかに金融サービス法を整備すべきだということを一貫して主張してきました。トラブルが発生するたびに個別の業法を改正するというつけ焼き刃的な姿勢は、グランドデザインなき金融市場整備の最たるものであり、国民の財産と国の富、国益を損ねております。伊藤金融担当大臣におかれては、日本の金融行政の新しい指導者として、ポスト日本版金融ビッグバンの新しいビジョンを早期に示されるよう強く望みます。

 第二に、法改正に当たっては、金融審議会等の開かれた場において十分な幅を持った議論を行い、国民及び海外の市場関係者から見てわかりやすい制度設計を進めていくべきだということです。本法律案では、外為証拠金取引を規制の対象とする一方で、金融先物取引業を許可制から登録制に規制緩和することにしていますが、後者の問題については、金融審議会等で十分な議論が行われた形跡がありません。民主党の財務金融部門会議においては連日当法案の議論を行い、議論の深掘りを図りましたが、金融庁幹部の説明は、意図的にこの点をあいまいにしたものでありました。だれもが反対しづらい法案に、十分な議論を経ていない別の制度変更をこっそりと忍ばせ、紛れ込ませるような手法は、厳に慎んでいただきたいと思います。国民の金融庁に対する信頼が問われております。

 第三に、最近の金融庁提出法案は、具体的な基準等を政令で定めるとしている例が非常に多いことです。国会の関与が及ばないところで、金融庁が恣意的に決める部分がふえることは、かつての大蔵裁量行政の復活につながりかねません。世界第二位の経済大国である我が国日本にとって、経済は国際社会における日本の発言力、影響力の力の源泉でもあります。内外のより確かな信頼をかち得ていくためにも、透明でわかりやすい金融行政の実行、実現を求めます。

 以上、伊藤金融大臣及び金融庁に注文を申し上げた上、本法律案に賛成する立場を改めて表明して、討論を終わります。(拍手)

金田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党を代表し、本日の議題であります金融先物取引法の一部を改正する法律案に対する賛成討論を行います。

 本法案により規制を強化する外国為替証拠金取引は、一九九八年の外国為替法の改正を機に取り扱われ始めた商品であります。近年、外国為替証拠金取引による被害が急速に増加しているにもかかわらず、法律による規制も監督官庁もないため、事態は悪化するままに放置されてきました。

 外為法の改正当時から、為替相場に係る金融商品の販売に規制をかけなければ、投機的な市場に一変し重大な問題が起こると指摘したにもかかわらず、法整備がなされていないということにはならないと説明し、今日まで放置してきた政府の責任は重大であります。

 本法案は、遅きに失したとはいえ、このような取引に対して初めて業法による規制対象とし、取引を扱う金融業者を金融庁のもとに監督するものであります。このことにより、登録拒否要件を明確にした登録制度を導入し、金融庁の臨検検査や定期的な情報開示によるチェックが行われ、一般顧客に対する保護を強化するものになると評価できます。

 また、本法案では、金融先物取引全般に対し、勧誘の要請をしていない一般顧客に対して勧誘することを禁止する不招請勧誘の禁止、顧客の知識、経験に対して不適当な勧誘をしてはならないとする適合性原則の遵守等の行為規制が盛り込まれました。それらの規制の導入は、投機にも関心がなく十分な知識も経験もない高齢者を投機的な金融被害に巻き込ませない重要な規制強化として評価できます。しかしながら、別の商品の勧誘で店頭に呼び寄せ投機的商品を売りつけるなど抜け道も考えられ、今後、取引の状況や被害の実態に合わせて実効性のある運用を求めるものであります。

 本法案の施行後も、詐欺的行為を行う悪質な業者に対しては厳格な措置を講じ、被害の発生拡大を防止するよう求めます。

 今後、業法による規制のすき間を縫う形で金融被害が起こらないよう、横断的な金融サービス法等の整備を早急に行うことを要求し、私の賛成討論を終わります。(拍手)

金田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより採決に入ります。

 金融先物取引法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中塚一宏君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。中塚一宏君。

中塚委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    金融先物取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 外国為替証拠金取引の規制にあたっては、同取引の特徴やこれまでの被害の実態にかんがみ、適合性原則の遵守や不招請勧誘の禁止等の行為規制の実効性の確保に努めるとともに、金融サービス法等の機能別・横断的な考え方に立った投資家保護法制の整備について引き続き検討すること。

 一 投資家保護法制の整備に向けた検討に併せて、金融・資本市場における健全な取引を確保する観点から、米国の証券取引委員会(SEC)を含む諸外国の事例等も参考に、引き続き市場監視機能等の強化について検討すること。

 一 外国為替証拠金取引の規制にあたっては、業界の健全な育成に十分配意するとともに、悪質な業者に対しては厳格な措置を講ずることにより、被害の発生・拡大の防止に全力を挙げること。

 一 金融先物取引業を許可制から登録制に変更するにあたっては、金融先物取引をめぐる新たな被害が発生することのないよう、厳格に対応すること。

 一 実効性のある規制及び検査・監督を行うため、厳正な対応を可能とする体制整備を図るとともに、自主規制機関との役割分担等についての方針等を明確化すること。

以上であります。

 何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。

金田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣伊藤達也君。

伊藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては、御趣旨を踏まえまして、十分検討したいと存じます。

    ―――――――――――――

金田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

金田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 金融に関する件の調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十九日金曜日午後零時四十五分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.