衆議院

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第3号 平成17年2月18日(金曜日)

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平成十七年二月十八日(金曜日)

    午後五時六分開議

 出席委員

   委員長 金田 英行君

   理事 江崎洋一郎君 理事 遠藤 利明君

   理事 竹本 直一君 理事 村井  仁君

   理事 中塚 一宏君 理事 原口 一博君

   理事 平岡 秀夫君

      木村 太郎君    熊代 昭彦君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      鈴木 俊一君    砂田 圭佑君

      田中 和徳君    谷川 弥一君

      中村正三郎君    永岡 洋治君

      御法川信英君    宮下 一郎君

      森山  裕君    渡辺 喜美君

      井上 和雄君    岩國 哲人君

      小林 憲司君    鈴木 克昌君

      田島 一成君    田村 謙治君

      津村 啓介君    中川 正春君

      野田 佳彦君    馬淵 澄夫君

      村越 祐民君    吉田  泉君

      石井 啓一君    長沢 広明君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   内閣府副大臣       七条  明君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    牧野 治郎君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     菅原 一秀君

  田中 和徳君     御法川信英君

  山下 貴史君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     山下 貴史君

  菅原 一秀君     小泉 龍司君

  御法川信英君     田中 和徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省理財局長牧野治郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江崎洋一郎君。

江崎(洋)委員 自由民主党の江崎洋一郎でございます。

 本日は、谷垣財務大臣、伊藤金融担当大臣、所信表明に関しまして御質問させていただきます。また、昨今の金融事案につきましても、伊藤金融担当大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、谷垣大臣にお伺い申し上げますが、今回の所信の中で冒頭にございますように、我が国の財政状況は大変厳しい状況にあるということだと思います。平成十七年度末の公債残高は何と五百三十八兆円程度に達する見込みというわけでございまして、この財政赤字というものが今後我が国経済にどのような影響を与えていくのかという点で、これらは国民の皆様にもいろいろな形で説明を要する、もうかなりはかり知れない水準になっているという認識ではなかろうかと存じます。

 その観点から、我が国の国債に対する信認をここで改めて確認するという意味で、信認を高めるという意味においても、中長期的な財政健全化に係るビジョンをはっきり政府として示していく必要があろうかと存じておりますが、財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今、江崎委員から御指摘いただきましたように、今年度が終わりますと五百三十八兆の国債発行残高があるということになりまして、これは我が国の一年間のGDPを超える額、先進国の中で比較いたしましても一番劣悪な数字ということになるわけでございます。

 したがって、これをこのまま放置していけば、今おっしゃいましたように、国債の信認とか財政の持続可能性ということに対する信認の問題にもなりかねませんし、それから、我が国が経済を発展していこうというときに財政が足を引っ張るという状況も生じる心配があるわけでございます。

 そこで、財政を健全化していくということは、我が国の国政が抱えております課題の中でも最も優先度の高い課題ではないかというふうに私は考えておりまして、平成十七年度予算案も、少しでもこれを改善しようという考え方で組ませていただきました。

 それで、一般歳出は三年ぶりに前年度の水準以下に抑制した。それから、新規国債発行額は四年ぶりに前年度より減額した。それから、一般会計のいわゆる基礎的財政収支についても三兆円強ほど圧縮することができたということでございますが、しかしながら、依然として、今年度の我が国に入ってまいります一年間の予算の四一・八%は公債で賄わなければならないという状況でございますから、それは安心なんかにはほど遠い状況でございます。

 そこで、政府としてどうしてこれを道筋をつけていくかということでありますが、二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支をバランスをとっていこう、つまり、その年いただいた税金でその年の政策を打って、ツケを後の世代に先送りしないような体質に持っていこうということを今目標に掲げて作業をしているわけでございます。

 そこで、具体的にどうするかということでございますが、歳入歳出両面からバランスのとれた構造改革をしなければならないわけでありますが、具体的には、平成十八年度までの間、今年度と来年度、政府の大きさが平成十四年度の水準を上回らない程度にすることを目指して、国、地方が歩調を合わせて歳出改革路線をやっていこうというのが一つです。

 それからもう一つは、平成十八年度までに国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねて、必要な行政サービスの水準はどの程度のものかというのを見きわめて、もちろんそのときの経済の状況もございますが、必要な税制上の措置も判断しようじゃないか、それから、平成十九年度以降もそれ以前と同程度の努力を積み重ねて、同時に、民間需要主導の持続的成長を実現しよう、そして、平成十九年度以降の財政収支改善努力に係る歳入歳出を一体とした改革の検討に着手して、平成十八年度内にその結論を得ようというような道筋を立てて今仕事をしているところでございます。

江崎(洋)委員 日本の財政赤字というのは世界にも大変知れ渡っているわけでございますし、一方で、世界経済に与える日本の影響というのは大変大きなものでございます。そういった意味でも、我が国が引き続き発展をしていく過程の中で、この財政赤字を我が国がどのように考えているかということにつきまして今お話をいただきましたが、さらに海外に向けても積極的に御説明をいただきたいと思いますと同時に、国債を大量に発行し続けているわけでございますが、引き続きこの安定消化という点から考えますと、既にスタートをいただきました個人の投資家への国債の販売、あるいは現在は海外投資家などに広めようという努力もされているというふうに伺っております、その点につきましてもぜひとも積極的に御努力をいただきたいと思います。

 また、所信の中にもございますが、歳出面において特に社会保障制度の見直しが不可欠であるということをおっしゃられているわけでございます。しかし、この社会保障制度の見直しということに関しまして、国民の皆さんは今、年金の問題を含めて大変関心が高く、自分たちの年金制度はどうなるかということにつきまして不安に思っている状況にあると存じます。

 その点から考えましても、まず、政府の公的部門のバランスシート、既にバランスシートは作成いただいているわけでございますが、その中身が、隠れた債務を含めて、政府本体だけではなくその他の団体を含めた連結にするとか、そういった中で歳出がいかに抑制できるか。そして、社会保障制度の見直しがその中であるんだということであればまだ理解できると思うんですが、この政府のバランスシートそのものというのがよく見えずに透明化されていないという中で社会保障制度の見直しですとかこういったものに具体的に着手をすると、やはり国民はなかなか理解していただけないということもあろうかと思いますので、その点はぜひともお願いを申し上げる次第でございます。

 谷垣財務大臣には御質問は以上でございます。

 続きまして、伊藤金融担当大臣に御質問させていただきます。

 この、今、国債の個人の投資家向けの販売ということも含めてなのでございますが、我が国の国民の資産運用という観点から、今金融庁の政策としましては、これまでの預貯金に加えて、貯蓄から投資へということで、国債、社債、投信あるいは株、幅広い金融商品を、それぞれの個人の方のニーズに合った形で商品を選び、運用ができるというような姿に持っていこうという御努力をされているのではないかと思います。結果として、これら運用が民間企業の円滑な資金調達につながっていく、そういうような体系も期待されるわけでございます。

 このような金融商品への個人からのアクセスの課題を含めて、逆から見れば、銀行含めて販売チャネルの拡大ということにもなろうかと思いますが、この点につきまして施策をどのようにお考えか、伊藤大臣からお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今、委員からも大変重要な御指摘がございましたが、私どもといたしましては、金融商品そしてサービスが多様化していく中で、金融商品を選ぶ利用者の立場に立って制度整備を進めていくことが大変重要なことである、このように認識をいたしているところでございます。

 こうした観点から、これまでも、国民の方々が多様な金融商品あるいはサービスに容易にアクセスできるように環境整備を進めてきたところでございますし、また、利用者保護というものを徹底していく、このことも非常に重要でありますので、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。

 引き続きまして、私どもといたしましては、金融商品そしてサービスの、利用者の立場に立って制度整備を進めて、利用者の満足度の高い金融システムを構築していきたい、そのことを目指していきたいと考えております。

江崎(洋)委員 また、そういった販売チャネルが広がれば広がるほど、これらの取り扱いルールの整備というのが必要になってくると思います。

 この点につきましては、今、銀行による生保、損保の窓販を含めて、まさに金融庁と業界が調整をされているさなかではなかろうかと存じますが、やはり、取り扱いルールの整備という観点で申しますと、この窓販にしても、象徴的には、どのような商品をこれから解禁していくのかという段階があり、そしてその先に、一部を解禁して適切なルールの中で扱われているかどうかということをモニタリングする。その上で、さらに全面解禁に向けた動きが実現するのかどうか。これはまだ決まった話ではございませんのでわかりませんが。いずれにせよ、取り扱いルールが適正に行われているかということに関しては、モニタリングというのが大変重要になってくるわけでございます。

 この窓販に当たっても、ぜひとも確実な形でのモニタリングを実現していただき、また、仮に全面解禁になるようなことがあっても、その全面解禁後にモニタリングをさらに継続していただいて、適切な販売が行われているのかどうか、きょうの日経新聞にも、当の生保会社が適切な販売をしていなかったという指摘から金融庁からの業務改善命令を受けたというようなニュースも出てございましたが、いずれにせよ、モニタリングというものを重視して適切な運用を図っていただきたいというふうに存じておりますが、大臣、いかがでございましょうか。

伊藤国務大臣 今委員から、モニタリングというものを重視して適切な対応をしていかなければいけないという御指摘がございました。私どもも全く同じ問題意識を持っているところでございます。

 保険の銀行窓販の問題につきましては、金融審議会の第二部会の報告の中でも、適切な弊害防止措置を講じた上で、例えば一年後から段階的に解禁を行うこととし、新たな弊害防止措置の実効性をモニタリングしながら、遅くとも三年後には銀行等において原則としてすべての保険商品を取り扱えるようにすることが適当である、こうした提言がなされているところでございます。

 私どもとして、まず圧力販売につながるような弊害を防止していく、こうした措置を整備した上で、早急に一部の商品について解禁をし、そして、新たに講じた弊害防止措置の実効性についてモニタリングを行っていくことが必要だというふうに考えているところでございます。

 その際、保険業界その他の関係者の皆様方の意見も十分にお伺いをさせていただきながら新たな弊害防止措置のモニタリングを行うこととして、全面解禁時には、消費者保護の観点から問題が生じることがないように措置をしていきたいというふうに思っております。

江崎(洋)委員 ぜひとも、このモニタリング、形式的にしたということではなく、実質的にモニタリングがなされて、問題が発生したときには問題解決につなげるというような整理をお願いしたいと思っている次第でございます。

 そして、今回の窓販、この当委員会で議論すべきテーマではございませんが、お願いを申しますれば、やはりこの窓販の解禁によって非常に大きく影響を受ける方々、業界もあるわけでございます。こういった方々の生活にかかわる問題でもあろうかと思いますので、かつて酒の自由化によって、今、酒屋さん大変御苦労されている状況がございました、これらの規制緩和というのがやはり既存の業者、業界に大変大きく影響を与えるというケースもあるわけでございますので、その点につきましても慎重に御判断をいただければというふうに思います。いかがでございましょうか。

伊藤国務大臣 今も答弁をさせていただきましたように、この問題を進めていくに当たっては、保険業界やあるいは委員からも御指摘がございました関係者の皆様方の意見を十分踏まえて、そして成案が得られるように、私どもとしても努力をしていきたいというふうに考えております。

江崎(洋)委員 次に、本日、我が自由民主党におきましても、偽造カード、現在大変深刻な社会問題化している犯罪でございますが、この偽造カード問題につきましての対策プロジェクトチームを立ち上げまして、この犯罪抑止と、また解決に向けた道筋をどのようにつけるかということにつきまして議論を行っていくテーブルを用意したわけでございます。

 この偽造カード問題に関しまして、どのような形で犯罪抑止をしていくか。犯罪そのものが非常に高度化している、かつ、高度化と申しましても、これを職業としたような形での犯罪になりつつあるという意味で、これら高度な犯罪集団が技術力をもって犯罪に臨もうということでございますので、それらをまた未然に防止していくというのはかなり高度な技術が要されるのではないかと懸念している次第でございます。

 銀行業界におきましても既に、二月に入ってからでしたか一月の末でしたか、どういう形で対策をとるかということについて発表がございました。その中の象徴的な仕組みというのは、ICカードなり生体認証をもって、カード技術を高度化させることによって犯罪を抑止していくんだというふうなことではなかろうかと思いますが、しかしながら、導入しただけではこれは解決しません。当然どこまで普及するのかということがポイントになるわけでございます。先般、銀行界の方々にもお話をさせていただいたんですが、具体的にゴールを設けて、ではいつまでに本当にIC化ができるのか、あるいは生体認証化ができるのかということをある程度道筋をつけなければ、解決には至らない。

 そして、金融機関の、これはIC化あるいは生体認証化にしても、どちらにせよお金がかかる話であります、中小金融機関に至るまでそのような対策がとれるのか、ここも懸念される点でございます。一方で、では磁気カードのまま残した場合には、それらの銀行が常に永遠にまたその先もねらわれてしまうということもあるわけでございますので、これらの措置をどのように考えていくかということもあろうかと思います。

 そして、残念ながら被害に遭われた方々への補償問題、これも大きな議論のポイントではないかと思います。現在は、銀行が預金者に対する預金契約約款におきまして、自己の過失がなかった場合には補償するということにはなってございますが、現実的に、自分の財布に入っていた、ポケットに入っていたはずのキャッシュカードが何らかの形でスキミングされて、カード自身は自分が持っている、そういう中で自分に過失がなかったということを個人が立証していくというのは大変難しい環境にあるわけでございます。

 そういった意味で、今も十分に補償がされていないんではないかという懸念がマスコミ等を通じて流布しているわけでございますが、これら銀行約款につきましても、変えることができるのか。民法上の制約があるということにつきましても十分承知はしておりますが、やはり銀行側に立証責任を求めるという形で、例えば、アメリカにおきます五十ドルルール、あるいはイギリスにおきます五十ポンドルールに見られるような、アメリカの場合は法制化、イギリスの場合は銀行間の自主規制という形で導入されているわけでございますが、これらに近い何らかの立法措置を我が国においても、先ほどの民法の制約があるものの、とっていけるのかどうか、ここも十分に検討をする必要があろうかと思います。

 しかし、いずれにせよこの問題はスピードを要する問題だと思います。四月にはもうペイオフの解禁がございます。預金者の方々はこれからどこへ、例えば退職金が一時期にたくさん入った、しかし一千万までしか保証されないという中で、どこに預金を預けたらいいんだろうという不安もあろうかと思います。決済性預金等を設置してその問題は解決したということもあろうかと思いますが、しかし、今度は銀行に預けていたお金がいつの日か急になくなってしまうというような事例も見られるわけでございます。

 そういった意味も含めて、この技術の高度化を進める後押し材料として、例えば日本でも、五十ドルルールに近い五万円ルールになるのか、金額面での免責点はわかりませんが、それらを早期に導入するということが一つの起爆剤になって、逆に銀行側はお金を相当投資してICカード化あるいは生体認証に向けた動きを早めていくということもあろうかと思います。

 そういった意味で、セットでこれらを議論していくということも現状重要ではないか、また、スピードを高めていくという意味では重要ではないかというふうに考えておりますが、大臣の御感想はいかがでございましょうか。

伊藤国務大臣 偽造キャッシュカードの問題について、今委員から重要な点について幾つも御指摘があったというふうに思っております。党の取り組みやあるいは犯罪防止対策の重要性、そして、被害者の補償についても実効性ある取り組みが重要であるという御指摘をいただいたところでございます。各党においてもこの問題についてはさまざまな取り組みがなされていることを承知いたしておりますし、国会においても昨年来この議論が続いております。

 私どもとしても、重要な問題であるという認識の中で、金融機関に対して実効性ある犯罪防止対策と、そして被害が生じてしまった場合の適切な対応を繰り返し求めてまいりました。委員からも御紹介がございましたように、先般一月の下旬に、全国銀行協会からもこの問題についての申し合わせが公表されたわけであります。私どもといたしましては、こうした取り組みの強化が着実な成果が上がるように期待をいたしているところでございますし、また個別の被害についても真摯に対応していただく、そのことを期待いたしているところでございます。

 また、私どもといたしまして、まずこの問題の実態というものを正確に把握していくことが非常に重要でありますので、実態調査をさせていただいております。この調査に基づいて、さらに金融機関の方々に対しては、実効性ある犯罪防止対策というものを今月中に、問題の所在でありますとかあるいは取り組みの課題というものを示しながら要請をさせていただきたいというふうに思っております。

 そして、被害者の方々に対する対応につきましても、我が国における犯罪の技術の巧妙化あるいは高度化、こうした実態というものに的確に対応しつつ、利用者保護の実効性というものを確保していくために、預金者の補償のあり方について、先ほど委員からも御紹介がございましたように、海外の事例というものも十分に検討し研究をしながら、現状の対応でよいのか、見直ししていく必要がないのか、真剣に検討していきたいというふうに考えております。

江崎(洋)委員 この偽造カード問題は、やはり国民の銀行システムへの信頼をどのように確保するかという意味で大変重要な問題ではないかと思います。

 今までの金融犯罪という問題だけととらえて解決に向けるというよりは、今どのような形で、安心して預金を預けられる銀行がどこなのかということがやはり国民の皆さんには周知されていく必要があろうかとも思いますし、また、その後押しを政府また私ども立法府が先頭を切ってやっていかないと、やはり国民の皆さんの期待を裏切ることにもなりかねないと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、昨今報道がなされました三井住友銀行と大和証券の経営統合の動きをにらんで、日本の金融サービス業者が一体となっていくという傾向がこれから如実にあらわれてくるのではないかというふうに察しているわけでございますが、こうした中で、政府の側でも、民間の自由なイニシアチブによるビジネスの展開を極力促進していくということも重要でしょうし、さらに、これら経営が統合されることによって国民の利便性の向上につながっていくという施策もとっていく必要があろうかと思います。

 また、金融庁のお立場からすれば、それら経営統合した組織がどのように運用されているのかといった観点から、監督体制の見直しも必要になってくるのではないかと思いますが、大臣、いかがお考えでございましょうか。

伊藤国務大臣 冒頭、個別の金融機関の経営再編に関してのことがございました。この点についてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、どのような経営形態をとるか、これは各金融機関のまさに経営判断の問題ではないかというふうに思っておりますし、また、私どもとして、今御指摘がございましたコングロマリットのような特定の経営形態を推奨する、こういう立場にあるわけではございません。

 一般論として申し上げれば、異業種間の経営統合でありますとかあるいはコングロマリット化は、一方で金融機関の経営体質の強化あるいはサービスの向上に寄与する可能性がございます。しかし他方で、組織が複雑化してまいりますので、それに伴うリスクというものが顕在化していく、そういうおそれもあるのではないかというふうに思っているところでございます。

 私どもといたしましては、各金融機関の方々がリスク管理の高度化というものを進めながら、利用者の多様なニーズに応じた、利用者の満足度の高い金融サービスというものを提供するための経営努力を進めていただくことが重要なことだというふうに考えており、また、各金融機関の方々がその特性に応じて最適な経営形態そして組織というものを選択して、質の高い経営を実現することがその前提になるものではないかというふうに考えております。

江崎(洋)委員 それでは最後に、金融改革プログラムにございます、検査評定制度研究会でまさに今議論がされております検査評定制度についてお伺いをしたいと思います。

 これらは米国の銀行監督当局における評定制度、CAMELSというものを一つのモデルに、我が国でもこれらを導入したらどうかということを議論されていると聞いておりますが、本制度が金融機関のインセンティブとして機能するならば、評定項目の認定については、諸外国の制度実態を参考にしつつ、我が国金融システムに対するしっかりした現状認識あるいは分析というものがあって、それを踏まえたあるべき方向性というのが出てくるのではないか、そういった意味で、単にCAMELSだけをモデルにするということではなく、我が国の金融機関に合った制度に当然ならなければならないというふうに認識しております。

 その中で、心配されることは、アメリカの場合ですと、経営状態がいい銀行に対しては検査期間のタームが長くなる。いわゆる経営状況が悪い金融機関に対しては検査が頻繁に入るというふうなルールにもなっていると聞いておるわけでございます。これらがマスコミ等を通じて流布されると、これは風評リスクにもつながりかねない話でございます。

 そのほか、評定結果を金融機関における預金保険の料率に置きかえたらどうか、可変料率にしたらどうかというふうな議論もこの中にはあると伺っておりますが、まさしく今、六月末にこの議論をまとめるということで伺っておりますので、まだ議論半ばかと存じますが、どのような方向性になるか、最後に大臣から御意見をいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 御指摘がございましたように、金融改革プログラムにおきましては、官の主導ではなくて、民の力によって望ましい金融システムというものを実現していきたいというふうに考えておりまして、その中で、各金融機関の方々に対し自主的にそして持続的に経営改善に向けた取り組みを進めていくためのインセンティブを付与していく、こうした観点から、具体的な施策の一つとして、今御紹介がございました、検査における評定制度の導入が盛り込まれているところでございます。

 この制度の検討につきましては、本年一月二十六日に、専門的、技術的な観点から議論を深めていくために、検査局内に研究会を設置させていただきまして、第一回の会合を開催し、そして現在まで三回の会合を開催させていただいたところでございます。

 研究会におきましては、諸外国だけではなくて、委員御指摘の、我が国の金融の実態というものを十分に踏まえた評定制度のあり方について、幅広い観点から議論を行っているところでございます。また、委員からもさらに御指摘のございました風評リスクの問題、こうした問題につきましても、今後研究会において十分議論を深めていただけるものと考えております。

江崎(洋)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

金田委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 民主党の野田佳彦でございます。

 私は、過日の大臣所信について、谷垣大臣に絞って質問をさせていただきたいと思います。別に金融担当大臣の顔を見たくないという話ではありませんで、また機会がありましたらやりたいと思いますけれども。

 主な内容としましては、過日、一月二十五日、小泉総理の施政方針演説に対して本会議で質問をさせていただきました、ある程度予想をしていたとはいえ、かみ合わない議論がかなり多かったものですから、もっと丁寧な御説明をぜひ財務大臣に求めたいと思いまして、きょうは六十分のお時間をいただきました。まずは、我が国の今の経済情勢、景気の現状についてどのように大臣が御認識なのかについてお尋ねをしたいと思うんです。

 まず、私自身の認識としては、例えば、昨年の夏ぐらいまではアメリカや中国の経済が好調で、これに引っ張られて日本の輸出は伸びました。それに関連する産業で設備投資もふえたと思うんですが、しかし、残念ながらそれが内需につながらなかったし、大きな企業の業績は確かに向上しましたけれども、中小企業、零細企業には波及をせず。なおさらでありますけれども、企業には薄日がかかってきたけれども家計部門には全く日が当たらないまま今日に至っているという認識でございまして、大きな企業と中小零細企業との格差、あるいは中央と地方、そして企業部門と家計部門というようなところの乖離が随分と大きくなっていて、本当はそれをつなげて初めて自律的な景気の回復軌道に乗ったと言えると思うんですが、ぶつぶつと切れているという状況のまま今日に至っているというふうに思っております。

 そんな中で、過日発表のあった実質GDP成長率が三四半期連続してマイナス成長という結果が出ました。これについて竹中大臣はやや踊り場が長くなっているような認識をされていますけれども、そんな長い踊り場というのは変な話でありまして、むしろ三期にわたってマイナスということは、一般的には景気は後退していると厳しい認識をするのが普通だと私は思うんですが、これは谷垣大臣の御認識をまずはいただきたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 今、野田委員がおっしゃいました、景気は、大企業はかなりいいところもあるけれども中小零細はだめではないかとか、それから、大都会はいいけれども地方はだめだね、あるいは、企業業績はよくなってきても、家計といいますか個人消費というのは余りよくないねという認識を示されまして、私もそれはそのとおりだというふうに思います。

 それで、一昨日出ました昨年十月―十二月のGDP統計ですが、確かに前期比〇・一%マイナスということで三期連続マイナスになったわけでありますけれども、これはどういうふうに見るかですけれども、一つは、一昨年の十月―十二月、それから昨年の一―三月、非常に好調だった反動というのもあるだろうと思います。それから、世界的なIT関連素材の在庫調整とか、台風を初めとしていろいろな災害もありました。それから、昨年の暮れは余り寒さがなくて冬物が売れないというような一時的な要因もあったんだろうと思います。そういうこともあって外需、それから消費にも弱含みのところがあるのは事実です。それから、これから先を考えましたときに、IT関連の在庫調整であるとか、あるいは石油価格を初めとする素材価格がどうなるのかというようなことは、我々も注意をして見ていかなければならない点だというふうに思っております。

 ただ、大きく申しますと、企業部門の動向ですが、十二月の日銀の短観を見ますと、十六年度の企業収益というのは、大企業、中堅企業、中小企業、いずれも増加が見込まれて、全体では一五%強の増収見通しとなっておりますし、それから設備投資は、先ほどの十月―十二月のGDP統計、QEでも前期比〇・七%と三四半期連続で増加している。それから、機械受注統計というのは先行指標ということだろうと思いますが、この動きを見ましても、このあたりは今後とも増加が期待できるところではないかというふうに思っております。

 それから、家計に及んでくるかどうかというのは長らくこの景気の議論の一つのポイントだったと思いますが、雇用情勢は、有効求人倍率が上がってまいりまして、失業率がここ十年ぐらいの中で初めて趨勢的に低下している。それから、非常に問題のありました若年者の雇用環境も、失業率が低下してきた。雇用状況は改善傾向にあるのではないかと思います。それから、十月―十二月期では、雇用者報酬が名目、実質ともに前期比、前年比プラスとなってきた。これは、まだ消費は本格的に戻ってきているとは言えませんけれども、消費改善につながる動きじゃないかなと期待をしているわけでございます。

 こういうふうに見ますと、確かに一部に弱い動きがあるんですが、企業部門の改善が家計部門に波及してきているというふうに言えるのではないか。大局的に見れば、景気は回復局面が続いているというふうに私は考えております。(発言する者あり)

野田(佳)委員 私の言いたいことを隣でささやいている方がいらっしゃるんですが。

 基本的には、三期連続マイナス成長であったことにいろいろな特殊要因があった、あるいは一時的な問題があったとおっしゃいますが、特殊要因や一時的な問題というのがこれからも起こることというのは、間違いなくあるわけなんですね。

 例えば、気になったのは、この後時間があればG7の話も聞きたいと思っているんですけれども、ブッシュ大統領の二〇〇五年の経済演説、経済報告ですか、あの中で、ドル安のおかげで輸出がふえて景気拡大につながっているということで、そういう認識を示しているんですね。これは多分ドル安・円高基調というのをある程度容認するような話だと思うんです。そういう為替の問題であるとか原油の問題であるとか、あるいは本当はアメリカ、中国がこれからどうなるのかとか、そういうことを考えていくと、あるいは地球温暖化の異常気象が昨年と同様に続くことだってあるわけであって、ということで一時的、特殊要因というのはこれからもあるわけです。

 ということは、三期連続マイナス成長の真摯な受けとめ方をしないと、実効性のある対策は打ち出せないのではないかなと私は思っていまして、基本認識は、一部が弱含みで全体的には景気回復局面であるというのは詭弁であって、一部いいところは散発的に出るんです、輸出がよくなったり設備投資がよくなったり。だけれども、それが全体として力強い自律回復の軌道には乗っていないとまず認識するのが私は基本ではないかと思いますが、改めてお聞きをしたいと思います。

谷垣国務大臣 確かに今おっしゃるように、ブッシュさんの認識、あるいは為替も、G7のことは後でお聞きになるということですから申しませんけれども、いろいろな心配はございます。ただ、そういういろいろな心配の種というのは、二、三年前はもっともっと多かったわけでございますので、そういう時代に比べれば私は減ってきていると思います。それで、また申しますとさっき言ったことの繰り返しになりますからもう申しませんが、私はそう思っております。

野田(佳)委員 繰り返し同じ認識を示されたら本当に困ってしまうのですが、私は、やはり経済、財政を預かるそういう枢要なポストにある方は、厳しくしっかり現状を認識しないと、しっかりとした問題認識がないと問題解決はできないと思いますので、今の御答弁は大変がっかりしています。

 その上で、景気ばかりでほかの財政の話ができないと困りますので、次の質問に移りますけれども、今の認識というのはとても大事であって、この後定率減税の話をしたいと思うのですが、定率減税の半減を打ち出されましたけれども、そのベースになっているのは政府税調の最初のいろいろな議論だと思うんです。

 政府税調の文書を見ると、びっくりするんですよね。平成十一年のころに比べてみると、経済は「著しく好転し」なんですね。だから、この定率減税を見直していくという環境は、著しく今そういうふうにできてきていると、著しいという言葉が相当出てくるんです。著しく好転しているとは到底思えない中で政府税調が打ち出したこの定率減税の半減、廃止の方向を、自民党の税調、与党税調、いろいろ議論があったと思うんですが、結果的にはこれを取り入れたわけですね。

 私は、これは平成十一年当時の所期の目的である景気対策、その景気回復がしっかりと果たされていない中で中途半端でもとに戻していくということは失敗をするというふうに思っていますし、先ほど大臣もおっしゃられた個人消費はまだ全然元気がないわけです、二期連続マイナスだったわけです。その個人消費を考えてみると、この定率減税の半減だけではなくて、これまでいろいろな控除の見直しとか保険料の引き上げとかと相まって、私は消費マインドを冷え込ませていくことは間違いないと思っております。その点についての大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

谷垣国務大臣 ちょっと今ひっくり返しましたが、その著しく改善したという文書が見つかりませんでしたので、実は同じく著しくという言葉を使いますが、定率減税は、平成十一年度の税制改正、小渕内閣のときに入れたものですが、当時の著しく停滞した経済活動の回復に資するために個人所得課税の抜本的見直しまでの間の特例措置として導入されたということでございます。

 それで、これは当時の、確かに「著しく好転して」とありました、確かに政府税調でも「著しく好転してきている。」という言葉を使っておりますが、当時のこれは底が抜けてしまうんじゃないかという危機的状況と現在を比べますと、私はやはり大きく好転してきているのではないかと思っております。

 これは産業再生や不良債権処理などの進展によりまして、企業部門の有利子負債がバブル崩壊後最低の水準にまで低下してきているといったことがあると思いますし、先ほどおっしゃったように個人消費はまだ本格的ではございませんけれども、企業部門の好調が、雇用者報酬が少しふえてきている、失業率も趨勢的に十年来の傾向を脱しつつあるということでございますので、景気回復、個人消費に及んでくることが私は基礎的にできてきているのではないかなというふうに考えているわけでございます。

野田(佳)委員 だから、全く認識が違うわけでありまして、著しく好転しているとは、多分国民はだれも思っていない。

 もう一つちょっと拾ってみると、著しくと書いてあるのは、「定率減税を継続しておく必要性は著しく減少した」と。まさに著しくの連発なんですよ。この認識は、国民の実感からすると全くかけ離れていると思います。

 だから、それを踏まえて定率減税を見直しして、それを半減して、最終的には廃止をしていくと、これは増税ですよね。これまでの行きがかりを見ると、もともと恒久的減税と言われてきたわけで、恒久的減税がこの著しくというとんでもない認識のもとで数年で変えられるというのは、私は物すごく国民としては違和感があると思っています。

 平年度ベースでいくと、この半減で一兆円を超える増税ですから、この日本経済に対する影響というものを改めてお聞きしたいのと同時に、そもそも、これは本会議でも総理にお尋ねをしたんですが、これは自民党の政権公約に入っていなかったんですよね。公明党さんは多分入っていたんだと思います。入っていたというのは、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に上げる財源として。これは、我々、考え方は違うんですが。

 公約に入れていたか入れていないかというのは物すごく大きな話であって、マニフェスト、政権公約、これが本当に国民に信頼されるものにしていくためには、書いてあることはやる、書いてないことはやらない。しかも、国民の負担にかかわるような大事なテーマというのは、そういう約束がないと政治に対する信頼をなくしてしまうと思うんです。これはだまし討ちになりますからね。そういう質問をこの間小泉総理にしたら、政府税調の中でもよく議論をした、党の税調でも議論したからだまし討ちじゃないと言うんですね。違いますよ。インナーでどんな議論をしたってそんなの関係ないわけで、国民に事前に説明をして、そしてそのことを約束したかどうかを私は問いたかったわけなんです。

 それに対して、私は、谷垣大臣も自民党の議員さんとして政権公約にも掲げていないことをここで突然だまし討ちのように増税に転じるというやり方をどう考えるのかということをあわせてお尋ねしたいと思います。

谷垣国務大臣 これは平年化しますと、確かに委員のおっしゃいますように、定率減税、半分もとに戻すわけですけれども、一兆円を超える。十七年度では千八百五十億でございますが。

 経済に与える影響はどうかということですけれども、基本的に、先ほど申しましたように、平成十一年当時と比べて、私は、格段と言うとしかられるかもしれませんが、基礎体力はきっちりしてきたという認識のもとでお答えをするわけですが、一兆円とおっしゃる定率減税の縮減ということに関しましては、やはり税制全体を、税制や予算全体を見ていただく必要があるのではないかと思います。

 それで、社会保障負担については、年金の保険料引き上げ等が実施される予定でございますので、年金の給付費総額も年々ふえていくというようなこと、それから、先ほど申し上げたような経済、産業再生、不良債権処理などの構造改革が進んできている。それから、これは委員のおっしゃるように平年化すればそうですが、十七年度では、要するに段階的にやって、一遍にやるよりも段階的にやってショックを弱めていこうということでございますが、そういう考慮も払っておりまして、私は今の経済は定率減税の縮減には耐えられるのではないかというふうに考えております。

 それから、公約していなかったではないかということです。確かに、一昨年の選挙、それから参議院の選挙でも、党の公約、自由民主党の公約には入っていなかったということは、委員の御指摘のとおりでございます。ただ、先ほど恒久的減税が二、三年でとおっしゃいましたけれども、これは、所得税の抜本的な改革までの間、それから、恒久的という言葉を使っておりますが、あの当時の小渕総理の答弁にもございますように、未来永劫続くものではない、ただ単年度で変えていくものではないという意味で恒久的減税だというふうに答弁をされております。個人所得課税の抜本的見直しまでの特例課税であるということは、いわゆる恒久的減税法の中にも触れられているわけでございます。そういう中で、総理も御答弁をされましたように、政府税調あるいはいろいろな場で議論を重ねてきてやったということでございますので、確かに党の公約にはございませんけれども、だまし討ちというものには当たらないのではないかと思っております。

野田(佳)委員 私は、やはり増税にかかわるようなことというのは、これは真摯にちゃんと国民に約束をした上でやるべきだ、それをルールとしなきゃいけないと思っていまして、例えば民主党でも年金目的の消費税導入の件であるとか、経済団体にいつも御説明してもなかなか御理解いただけないで苦しんでいますけれども、地球温暖化対策税としていわゆる環境税の導入とかを含めてマニフェストに盛り込んでいるわけですね。お互いに余り耳当たりのいいことばかり言わないで、仮に必要とあらば増税ということも踏み込んでいかないと私はいい二大政党になっていかないと思いますので、だまし討ちという表現は当たらないと言いますが、そうじゃなくて、まさに政治姿勢として、誠実に増税、国民負担については事前に言っていくということをお互いに心していかなければいけないということを私は強く申し上げたいというふうに思います。

 その上でですが、私は、定率減税の見直しをする条件は、所得税の抜本的見直しを今大臣はおっしゃいましたけれども、もう一つは、景気対策でやったんですから、景気が回復したと胸を張って言えるときだと思うんですね。この二つの条件だと思うんです。とするならば、そこまではまだ行っていないという認識を私は強く持ちますが、恐らくこれは与党も同じだと思うんですよ。与党の税制大綱は「今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する。」と書いてあるわけですね。

 ということは、私は今景気に対して厳しい認識を示しましたけれども、引き続き厳しくなって後退して失速をしていくという状況ならば、この与党の税制大綱を見る限りにおいては、定率減税は完全復活するということもあり得るわけでありますか。その辺は大臣はどうお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 これは、確かに全体としては民需中心の緩やかな回復を続けているけれども、経済は生き物であるから、今後の景気動向については注意深く見守っていく必要がある段階だ、そして、そういう経済状況に応じて政策的な対応が必要になった場合には、どこに問題があるかに応じて適切な対応を機動的、弾力的に行わなければならない、御指摘の与党の大綱の一文はこういう考え方を述べたものではないかと思います。

 それで、景気動向が悪化した場合に直ちに定率減税縮減の見直しを行うという趣旨のものでも必ずしもないというふうに思っております。というよりは、この文章の含意するところは、先ほど定率減税の縮減、廃止は段階的に行うと申しました。平成十七年度で要するに今まで二〇%だったものを半分にさせていただくわけですので、また、単年度の税制のもとでは税制改革をやりますから、今度は平成十八年度で議論をしなきゃならない。そのときに十分議論をせよ、よく見ろというのがここの文章の主たる含意ではないかというふうに私は受けとめております。

野田(佳)委員 見直しの条件で、景気が本当に回復したかどうかということと同時に、さっき大臣がおっしゃったように所得税の抜本的な見直しと絡めてだと思うんですが、所得税の抜本的見直しについてなんですけれども、これは要は三位一体と絡めて、国、地方を通じて個人所得課税のあり方の見直しを行うということなんだろうと思うんですね。

 これだけを見る限りにおいては、恐らくこれは増税でも減税でもない、税制中立ということなんだろうと思いますが、この平成十八年度にやろうとしている個人所得税の抜本的な見直しというのは、このほかにもほかの部分があって、例えばもっと増収を図ろう、増税をしようという意図があるのかどうか、基本的に今どういうお考えを持たれているのか、お尋ねしたいと思います。

谷垣国務大臣 基本的には、今、野田さんが御指摘になったように、三位一体の改革で国の所得税を地方住民税に移していこう、個人所得課税を抜本的に見直してそれをやろうということが一番根本のところにあるわけであります。

 そこで、では、それはどういうふうにやるかということになるわけですけれども、個人住民税についてはいわゆる応益税の要請にこたえるという観点から所得割の税率をフラット化していこう、それから、所得税については所得移譲後においても所得再分配機能を適切に発揮するように税率構造等を見直すということを今まで既に我々は明示しているわけでありますが、細部の制度設計はこれからでございます。それで今の三位一体の関係だけで申しますと、まさに国から地方に移ったときの個々の納税者の負担の変動を極力抑制する、その部分はそういう考え方でやろう、これから細部の設計をしようというふうに考えているわけです。

 こうした見直しと同時に、もう一個、定率減税というのがこっちにございますから、そういう個人所得課税全体の姿をどのように持っていくかということは、今後の景気等の動向も踏まえてこれから詰めていこうということでございます。

野田(佳)委員 その所得税の抜本的見直しの際に、各種控除の問題も当然これは見直されるのかなというふうに思うんですが、例えば、今回民主党の予算案をつくらせていただきましたけれども、扶養控除、あるいは配偶者控除、こういうものを廃止して、三兆六千億の子ども手当を創設するという予算化をさせていただきました。

 私どもの考え方というのは、控除制度というのは高額の所得を持っている方に比較的有利であって、むしろ手当にしていった方が低い所得の人たちにとっては恩恵があるのではないか、それを子育てに当てはめて措置をしたわけでありますけれども、こういう控除制度の見直しをこの十八年度の個人所得課税の抜本的見直しの際には政府も行おうという姿勢があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

田野瀬副大臣 この件につきましては私の方からお答え申し上げたいと思うのですが、委員おっしゃられましたように、個人所得課税の諸控除のあり方については、累次の政府税調答申において、少子高齢化の進展、家族世帯類型や雇用形態の多様化といった経済社会の構造変化への対応、それから税負担のひずみの是正、個人の経済社会活動上の多様な選択への中立性の確保といった観点から、おっしゃられましたように見直しを進めるべきとの指摘がなされており、配偶者特別控除の廃止、年金課税の適正化といった取り組みを行ってきたところでございます。

 今後の個人所得課税の諸控除のあり方については、経済社会の構造変化を踏まえ、財源調達や所得再分配などの個人所得課税が本来果たすべき機能の回復といった視点から、政府及び与党の税制調査会等の場で、その実施時期も含め、幅広く議論、検討を行っていくべき課題だと考えておるところでございます。

野田(佳)委員 定率減税の半減あるいは所得税については、これは法案審議がいずれ行われるだろうと思いますから、そのときに、特に定率減税みたいな大きなテーマは切り離してじっくり時間をかけて議論すべきテーマであって、そんな早々に拙速にやる話ではないと思っているんですが、いずれにしても、今後たっぷりと議論をさせていただきますので、きょうはこの辺にしておきます。

 その後に、平成十七年度の予算について絞ってお尋ねをしたいのです。

 一つは、大型公共事業が復活をしました。全体的には公共事業費は抑制をしたわけですけれども、その中に、やはり象徴的な存在である整備新幹線と関空二期の問題については本会議でも取り上げましたけれども、ここでも私は財務大臣の御見解をぜひお伺いしたいと思っています。

 というのは、整備新幹線は、これは私質問したのですが、質問の趣旨は、そのとき総理にお尋ねしたのは、新幹線を持ってきてほしい、来てほしいと悲願としている地域があることはわかるけれども、満員電車で揺られて旧国鉄の借金を税金を払って返している人たちもいっぱいいるんだから、なぜ今必要なのかということをきちんと説明してほしいというのが私の質問の趣旨だったのですが、民主党でも要請があったじゃないかというのが答えだったのですね。これは全然説明責任じゃないんですよ。それは、いろいろな党でいろいろな立場の人がいることはわかります。がしかし、必要なのは、特定の地域じゃなくて、全国で税金を納めている人たちになぜこれは今必要なのかということをちゃんと説明してほしいというのが私の本会議での質問でありました。それについては残念ながら答えていただいていないのですね。

 今回のやり方を見ると、例えば、将来JRの新幹線の譲渡収入で前借りするやり方とか、これはどうもウルトラC過ぎるのではないか。しかも、根本受益といって、根元で営業している会社が建設費を払えと言っている。その理屈でいっちゃうと、新青森から函館までが、今度は札幌から旭川へとどんどん延びていける話になってしまうし、歯どめがきかないのではないかという私は懸念を持っているんですね。

 やり方を見ても、例えば、線路は金沢までしか来ないのに、もう福井では駅舎をつくる、次に線路が来ることを前提として予算措置している。あるいは、我が党の筆頭理事の地元の方では生活の足が奪われるということで並行在来線をJRから切り離すことに反対する声だってあったはずで、いろいろな意味で、私は、今回のスキームは、よく見切り発車ということを皆さんおっしゃっていますけれども、出口が見えないというか終点の見えない見切り発車だと思っています。こういう私の意見に対して、谷垣大臣は、そうじゃないと、ぜひきちんと御説明をいただきたいと思います。

田野瀬副大臣 これにつきましても私から答えさせてください。

 平成十七年度の公共事業予算については、投資の重点化、効率化を図ることといたしまして、全体として三・六%削減したところでございまして、整備新幹線についても、工法の工夫等により徹底したコスト縮減を図った上で、この枠内で計上しておるところでございます。

 今般の新規着工区間については、各線区の収支採算性、投資効果等を厳密に検証したところであり、その結果、既設の整備新幹線と同様、JRの収支を改善させ、経済波及効果を発揮することが確認されたところでございます。その上で、現在建設中の区間と一体的な整備を図ることなどによる開業効果の早期発揮も見通した上で、新規着工を行うことといたしたところでございます。

野田(佳)委員 今の御答弁では、本当に満員電車に揺られて税金を納めている人たちに説明のつくようなお話ではないと思うのですね。

 そもそも整備新幹線が凍結をされた一九八二年というのは、財政事情の悪化が理由です。当時に比べてはるかに財政事情が悪化しているという今の現状。加えて、借金をしてまではつくらないというのが九六年の連立与党の申し合わせ。それはどうだったのか、確かに与党の組み合わせは変わっているかもしれませんけれども。というようなことも踏まえて、いろいろな約束事を踏み越えてきているわけであって、効率化とか合理化とかいろいろなお話をされていますけれども、そういう試算だけの問題ではない。ちゃんと国民に説明しなきゃいけないということを申し上げたいと思います。

 ついでに、時間が限られていますから、関空の話も同じなんですね。これは既に一兆四千億円もの負債を抱えていて、これはもともと甘い需要見通しでスタートしたからだと思うのです。年間三百億円の利息を払い続けている。二〇〇三年度の発着も予測より二万回以上も低い十万回なんですね。だけれども、今度また需要予測で十三万回、十四万回発着があるだろうというので二本目の滑走路という話なんですが、甘い需要見通しで関空の経営は本当に大丈夫か。そういう懸念がある中で踏み込んだ理由が私はさっぱりわかりません。

 確かに、昨年の九月の中間期に初めて三十九億円の黒字を関空は計上しましたけれども、これは年間九十億円の国の補給金があればこそであって、私は、余りまだ経営体質はそんなに変わっていないと思うんです。にもかかわらず、今回この予算化がされたということは、本会議ではちょっと私失礼なことを言ったかもしれません、関西人の気持ちでやってしまったのではないかと言って。後でビデオを見ると、何か不愉快な顔をされていましたけれども。でも、そう思わざるを得ないぐらい、財務大臣も国土交通大臣も考えてみれば関西人であって、なぜこんなのを認めたのか。というのは、財政審議会、財務大臣の応援団だって、これはアリの一穴だと言っているじゃないですか。関空は慎重に考えるべきだというふうに、これは予算案決定前に意見書で出しているんですね。そんなものを超えて決断した理由というのは、これこそまた丁寧にちゃんと説明をしてほしいと思います。これは、関西人の件もあったんですから、大臣が答えてください。

田野瀬副大臣 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げたことでございますが、平成十七年度の公共事業関係費については、全体として三・六%の削減を行う中で投資の重点化、効率化に努めたところであり、その中で関西国際空港二期事業に関する予算についてもその中身を厳しく精査し、予算計上を行ったところでございます。

 具体的には、滑走路及び誘導路などの必要不可欠なものに限定いたしました。そういうことで事業費を大幅に削減することにより、関空会社に対する十七年度予算は対前年度比三五%減の四百五十七億円とするとともに、伊丹空港の位置づけについて踏み込んだ見直しを行い、また、関西国際空港の利用促進のための地元支援が得られることになりました。さらに、これに加えまして、二〇〇七年度の総発着回数は二本目の滑走路を必要とする十三万回程度と見込まれることなどから、二期事業について二〇〇七年度の限定供用を認めることといたしたところでございます。

 関西国際空港については、今後とも、財務・国交大臣合意にもあるように、関空会社が一層の経営改善努力を行い、かつ、地元が支援を行うということにより、関西国際空港が国際拠点空港としての機能を十分に発揮するとともに、補給金等に頼る必要のない安定的な経営基盤を一日も早く確立するように努める必要があると考えておるところでございます。

谷垣国務大臣 谷垣は関西人だからと野田さんがおっしゃいましたけれども、これは実は関西人としてもなかなか複雑なところがございまして、私は京都、まあ中塚さんも京都に御縁が深いけれども、京都からしますと、本当は関空より伊丹が便利だとかいろいろな問題が実はあるわけです。ただ、そういうのは除きまして、関西人だからということでおっしゃったから、関西もいろいろ複雑なんですよ。

 実は、なぜ複雑かといいますと、三空港問題というのが関西にはございまして、要するに、伊丹もある、それから関空もある、神戸空港もあるということがございます。本来、関空だけであれば、やはり国際的な拠点空港でもございますし、二期工事を認めるということには何ら私は差し支えのない案件であったと思います。特に、現在でも関空は就航に便利な時間帯はほぼ満杯の状態ということがございますから。

 そこで、この三空港問題をある程度整理していただかないとなかなか進めない、こういうことでございました。そこで、やはり関西財界にもいろいろ御苦労をいただいたりなんかしまして、伊丹と関空との仕分けとか、そういうようなものをいろいろやっていただいたという背景がございます。

野田(佳)委員 関西人として大変だという心情はよくわかりました。だけれども、さっき財政審のお話をしました。財政審で予算決定前に慎重に考えるべきだと言われたということと、これは決まった後からすごいですね、アリの一穴となって財政健全化に支障を来すおそれがある、どういう過程でこうなったのか、国民の理解を得る努力が必要だという意見があったり、増税が必要という認識のもとで歳出削減に勢いをつけなければいけないときに、こうした予算措置はいかがなものかというように、まさに応援団からもこんな厳しい意見が出てきていることを、あえてここで踏み込んでやってしまったということは、私はそれこそ本当に、最初に副大臣が説明をされましたけれども、大臣みずからが折につけちゃんと説明をしなければいけないのではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。

 その上で、今は一般会計にかかわるものでありましたけれども、特別会計についても触れたいと思います。

 特別会計が、今これは全部歳出を単純に合わせると四百十二兆円。これは純計にすると二百五兆円という大変な規模であって、三十一の特別会計をしっかり精査してむだがないかということをチェックしていくことは、私は、一般会計以上にある意味では目を光らせなければいけないところだと思うんです。

 これについても本会議でお尋ねをしましたけれども、きのう、予算委員会で我が党の馬淵議員が労働保険の特別会計について詳細に調べて質問をしました。驚くべきことに、雇用保険料や労災の保険というのが、要は天下り先の団体を養っているのと同じであるという実態がわかりました。だったら雇用保険を安くしろ、労災の保険を安くしろと思うのは、これは筋なんですよね。というぐらいに、特別会計にぶら下がって、そこにくっついている独立行政法人や公益法人や外郭団体に群がっている人たちがいっぱいいて、甘い汁を吸っている。その吸わせている原資が大事な保険料であったり税金であったりするというのが特別会計ですね。

 塩川前大臣が、有名な言葉で、まさに、母屋でおかゆをすすっているときに離れですき焼きを食べているというような表現をされました。ことしの初めに、ある新聞社が今はすき焼き食べ放題と書きました。きのう、馬淵さんはそれに加えて飲み放題まで加えました。というぐらいに、三十一の特別会計は総ざらいをしたとこれまでおっしゃってきましたけれども、さらい方が薄過ぎるし、薄っぺらいと私は思います。切り込みが本当に足りないと思います。

 きのうの馬淵さんが指摘したような特別会計を一つ一つ精査していけばもっといろいろなことが出てくるはずであって、財政制度審議会等でいろいろ御議論をいただいているけれども、ちょっとした事務事業の見直しであるとか、さっき申し上げたような莫大な金額の特別会計の予算に比べて、削減額であるとか、本当に小粒でありますよね。私は全然まだやる気を感じないんです。何か反論があればぜひお答えください。

谷垣国務大臣 特別会計も多様でございます。やはり大きなものを占めているのは、外為特会とか、あるいは国債を管理している国債の利払いの特会であるとか、こういうものが極めて額的にいえば大きなものを占めておりますが、そういうところは余り今のような問題はないんだろうと思います。

 それで、三十一のものをやりまして、これは平成十五年十一月の提言でやらせていただいて、それをある程度十六年度でやった。それで、十七年度でさらに三分の一の十について掘り下げを行ったということでございまして、平成十七年度の予算編成でも、こういったことを受けまして、産業投資特別会計の社会資本整備勘定では、NTTの株式売却収入を活用した無利子融資制度は現在計画されている案件に限り措置して、後はやらない。それから、労働保険特別会計でも、事業主等に対する各種助成金について整理統合した。食管会計でも、麦政策の見直し等によって収支改善を図って繰越損失を解消したというようなことをやりました。

 それからさらに、こういう財政審の提言を踏まえまして、各省にもう少し何ができるかというボールを経済財政諮問会議で投げかけておりまして、それをもとに経済財政諮問会議でもうちょっと突っ込んでいこうということをやっております。これはまだ平成十七年度には生かすところまではいっておりませんけれども、さらに突っ込んでいきたいと思っております。

野田(佳)委員 私は、本当に今のお言葉のようにもっともっと突っ込んで深掘りをしていただきたいと思うんですね。これはもちろん会計によっていろいろ違いはあると思うんですが、でも、どう見ても、きのうの厚生労働省関係の特別会計だけでもあんなに問題が出たわけであって、蛇口を閉めればかなりむだが省けるという会計はいっぱいあるだろうし、それは、えさがあるからカラスが群がるんであって、そのえさがなくなっていけばカラスは減る。カラスは、要は天下り先とか関係団体ですよ、そこに群がっている人たちが私は間違いなくいっぱいいると思うんですね。そういうような具体的な成果が出ることを、あるいは保険料が下がるとか、そういう具体的に国民に還元されるようなことを目指して初めて特別会計の改革と言えるんだろうと思います。

 そのためには、私は、経済財政諮問会議でこれから議論されるということでありますけれども、ちゃんとした調査チームを体制としてつくって、そして、余りお役所の方ばかりではなくて民間の方も含めて、このブラックボックスに解明の光を当てていくという努力をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 先ほど、ちょっともとに話を戻しますが、大きなところは外為とか、そう申しましたけれども、あの後見てみますと、大きなところはやはり社会保障関係でございます。

 ここをやはり突っ込んでいこうと思いますと、何というのか、大きな意味での制度改革とか大きな意味での手術というものをしませんと、なかなか進んでいかないと思います。それで、これはまさに特会だけではなく一般会計にも直ちに波及してくるところでございますので、まさにそのあたりが本丸なんだろうというふうに思っております。ですから、これは経済財政諮問会議でやっております特会のフォローというだけではなくて、社会保障や何か、全般を含めてもっと突っ込んでいかなければなかなからちが明かない話ではないかと思っておりますので、今後、どういう手法でやっていけばいいのか、いろいろ工夫しながらやらせていただきたいと思っております。

野田(佳)委員 今の御指摘のとおりで、まさに一般会計と連動して本丸で改革をやるというお気持ちで私は進めていただきたいというふうに思っています。

 次に、財政健全化についてのお尋ねをさせていただきたいと思うんです。

 まず、これはびっくりしたのは、この間、「平成十七年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」という、財務省のこれからの見通しのお話をヒアリングさせていただきました。朝っぱらから何か「悲しい酒」を聞いたような、どっと重たい気分になってしまったんですが、非常に悲観的なんですね、この見通しが。一方で、内閣府の出している「改革と展望」、これも本会議で取り上げましたけれども、名目成長率が二〇〇九年から二〇一二年度にかけて三・八から四%という異常に高い名目成長率をセットしているというように、これは極めて楽観的なんですよね。同じ政府で、これだけ悲観的な見通しとこれだけのうてんきな楽観的な見通しとが混在をしている。

 では、小泉総理のイメージは、どのイメージで財政健全化を図ろうとしているのか。谷垣大臣やほかの閣僚の皆さんも、どういう認識のもとで財政の健全化を図ろうとしているのか。プライマリーバランスの黒字化を二〇一〇年代初頭と言うけれども、だったら、認識を一致してやっていかないと、努力していかなければいけないんじゃないでしょうか。余りにもこんな大きな乖離があるような、前提が違う数値でしょうけれども、こんなごちゃごちゃしたような中で、本気で一体となって財政健全化をしようとする姿勢が私には見えてこないんです。これは大きな問題だと思うんですが、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、遠藤(利)委員長代理着席〕

谷垣国務大臣 この財務省のいわゆる後年度試算と「改革と展望」の参考資料としての試算の関係というのは、実は、私が財務大臣になりましてこの委員会でも延々と御議論をいただいて、こんなに御議論をいただくんなら、もうどっちかやめにして一本にまとめちゃった方がいいかなと思ったこともありまして、竹中さんのところといろいろ議論をさせていただいたんですが、やはりこれをつくっていくときの前提が違います。

 私どもの方は、私どもの出しておる後年度試算は、ある程度織り込んでいる改革等は既に織り込んでおりますけれども、要するに、余りしないでほっておくとこうなっちゃうぞという、いわば最も悪いパターンを示したものでございます。それから、「改革と展望」の試算の方は、ことしはちゃんとやった方とやらない方と二つついておりますけれども、ちゃんとやったという方はいわばベストプラクティスといいますか、極めてうまくいくとこうなるというのを示したものだろうと思います。

 それで、私はそれぞれにやはり意味があるんだろうと思います。全然認識が違っているというわけじゃありませんで、かなり先の認識になりますと実はなかなかわからない、ちゃんと努めたときと努めないときと両方ある、私はこういうことではないかと思います。したがって、こういう二つの試算をやはり比較対照しながらいろいろ議論をしていくということで、私は結局それしかないのかなと思っているわけであります。

野田(佳)委員 いや、これしかないと言われても、もう少し具体的に目標設定して、同じ意識でみんなが頑張れるような見通しというのが私は大事だと思っていまして、のうてんきな楽天路線で、こんなことあり得ないよなと思ったものが出てくる。これはベストプラクティスと言いましたけれども、それはあるかもしれない。もう一方は、これはほっておくとえらいことになるぞというのが出ている。そうじゃなくて、お互いに財政をどうやっていったら立て直していけるんだということを、政府も、そして政治家も、国民も、共通認識で持っていかなかったら全然意味がないじゃないですか。財政健全化というのは、まさにこれから大テーマですよ。大テーマの目標設定ができないで、いろんな情報が飛び交っている。そんなのじゃ心を一つにして頑張れないじゃないですか。私は、内閣府と財務省がお互いに前提とするような数値の置き方なんかをすり合わせをしながらやっていくべきではないかと思うんですね。

 例えば、今回の「改革と展望」だと、名目成長率の範囲で長期金利が入るようなやり方です。それが本当に現実的なのか、過去から考えて本当に現実的なのか。それから、税収の弾性値は、これは財務省は一・一ですよね。これが一・一だったら、多分プライマリーバランスの黒字化なんて無理ですよ。では、「改革と展望」はどうなっているかというと、一・六から多分三・二ぐらいの間に置いています。こんなことはあり得ないだろうなと。では、妥当な弾性値をどうやって考えるのかということで、もう少し現実的でありながら、少し頑張らなきゃいけないというような数値を置きながら構想していかなければいけないんじゃないでしょうか。

谷垣国務大臣 今委員がおっしゃったことは、「改革と展望」の中の本文、本文はどちらかというと委員のおっしゃったようなことで、こういう努力を積み重ねてやっていこうということで書いてございます。その場合でも実際数値がどうなっていくかはいろんな前提のもとで違いますから、そこで竹中さんのもとであの二つの試算を出されたということだろうと思います。私どもの方は、昔から何にもしないとこうなっちゃうぞというのであれを出しておりましたので、引き続きそういう警鐘の意味を込めて出させていただいている。ですから、「改革と展望」に出ている本文の内容、これをもう少しどう数値的に詰められるかということはあると思いますけれども、今のところはまだなかなかそこまで詰められておりませんで、竹中大臣がおやりになったああいう形になっているということだろうと思っております。

 ただ、今おっしゃった成長率と名目の利子率の関係というのは、国債をこれだけ抱えている私としては非常に深刻な問題でございます。それで、ここらあたりをどうしていくかということは、経済財政諮問会議でも、要するに、今我々の目標は二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復する、そのためにどうするかというのが差し当たって我々が追求している目的ですけれども、委員の御指摘もまさにそうだろうと思いますが、それで物事が解決するわけではもちろんないわけでございまして、その後、利率の方がどんどん伸びていけば、どんどんどんどん財政は悪くなっていく。要するに、プライマリーバランス回復の次の目標は何なんだということをそろそろ議論して、今の利率と成長率の関係とか、そういった問題についてももう少し分析していかなければならない段階には来ているんだろうと思っております。

野田(佳)委員 プライマリーバランスのまさに均衡から黒字化へということの道筋もまだよく見えない。だから、その後の議論なんかなおさら今できないんですね。

 だから、重ねて申し上げますけれども、政府の中でもう少し共通認識を一緒にする。我々野党だって、あげつらう話ばかりしたいとは全然思っていないんですよ。私たちも財政健全化のプランをつくろうと思っているんです。そのためには、前提となる情報をお互い共有しながら、だってこれはこの国のための話じゃないですか、それはやはり共通認識をお互い持って建設的な議論をすべきなんですよということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 今まで大きな話だったんですが、今度非常に具体的な個別の話に入らせていただきたいんですけれども。

 私、初めて知った事実がありました。というのは、国有地を学校用地として賃借しているというような学校があるようですね。この場合に、例えば改築をしたり増築をしたりすると、そのたびに承諾料というのを取るらしいんですよ。

 例えば、これはある小学校なんですが、改築を今度しようとしていますけれども、承諾料、計算すると二千七百万円ぐらいかかると。国有地を持っている関東財務局にこれを払うんですね。給食室を増築しようとすると、百万、二百万の承諾料が必要なんですね、国有地を賃借している場合、借りている場合。

 というようなことをやっていたら、実は、今学校の耐震化とか言われているときに、すごい足かせになると思いますね。今、一般の住宅だって耐震補強するために補助しようとか住宅ローンの減税をしようとかと言っているときに、学校という子供たちが集まるところの耐震のための改築もその都度承諾料といって国にお金を払わなければできない仕組みというのは、私はちょっと理解できないんですが、こういう制度があるということを大臣は御存じでしたか。

    〔遠藤(利)委員長代理退席、委員長着席〕

田野瀬副大臣 お答え申し上げます。

 委員おっしゃるとおりでございまして、承諾料をいただいておるところでございます。

 国有財産は、財政法第九条第一項の規定によりまして、適正な対価なくしてこれを貸し付けてはならない、こういう法律があるわけでございます。その趣旨を踏まえて、民間取引において増改築承諾料の授受の慣行がある地域に限定してこれを徴収することといたしております。

 なお、公立学校敷地として国有財産特別措置法第三条の規定により減額して貸し付けしている場合は、増改築承諾料もその減額率を乗じて算定いたしておるところでございます。

野田(佳)委員 こういう国有財産を学校用地として借りている学校は一体どれぐらいあるのか。加えて、普通、借りた土地だと、増築、改築するときの承諾料、これは法文上の何か根拠があるんでしょうか。

田野瀬副大臣 全国に六百四十七校ございます。ちょっと詳しく態様別に申し上げますと、国有財産特別措置法第二条の規定に基づきまして無償により貸し付けている公立学校が四十六校、同法第三条の規定に基づき減額により貸し付けている公立学校が五百二十校、このほか同法の適用のない公立学校が八十一校ございます。

 それの算定基準でございますが、改築承諾料、改築というのは半分以上を改築する場合を改築と言っておるんですが、改築承諾料については、改築時の相続税評価額に百分の五を掛けたものでございます。増築承諾料については、改築承諾料に掛けることの既存建物の延べ面積分の増築部分の延べ面積、こういうことで算定しておるところでございます。

 以上でございます。

野田(佳)委員 今の御説明だと、四十六校今無償で貸し付けている、これは多分承諾料は発生しないんだと思うんですね。五百二十校が有償で貸し付けている、これは、だから改築しようとすると承諾料を払うわけですね。ということですね、今の御説明。(田野瀬副大臣「はい」と呼ぶ)

 そして、今計算式も御説明されましたけれども、そういう計算式で、あちこちで例えば改築するたび取ろうというんだったら、法文上の根拠が私は必要だと思います。何を根拠に、例えばその条文を明らかにしていただきたいと思います。

谷垣国務大臣 根拠規定はまさにさっき田野瀬副大臣が読み上げられた財政法の第九条で、国の財産は、法律に基づく場合を除くほか、適正な対価なくして貸してはいけないと。

 そうすると、適正な対価というのは何だということになるわけですね。それで、承諾料を取る慣行のあるところは、取る慣行のないところはもちろんいただくゆえんもないわけですけれども、承諾料があるところというのは、承諾料を含んで賃料が考えられているということだろうと思います。要するに、慣行が地域によって違う、そういう承諾料を取りながら賃料というものを算定する慣行のあるところでは、やはりそれに従うというのが原則なのではないかなというふうに私は考えます。

野田(佳)委員 時間がなくなってきたので、このことについては詳しくまた御説明いただきたいと思うんですが……

谷垣国務大臣 一つちょっと。さっき、五百二十校というのは、減額により貸し付けしている公立学校五百二十校と申しましたけれども、その学校が、承諾料を取っている地域かどうか、この中にさらに承諾料を取っている地域のものは承諾料をいただいている可能性がありますけれども、これが全部承諾料をいただいているというわけではありません。

野田(佳)委員 時間がなくなったので終わりますけれども、だから、慣行のあるところとないところとか、やはりこれはちょっとわかりにくいですよ。加えて、さっき言ったように、耐震構造にしていかなければいけないときですから、少なくとも足かせになるようなことはしちゃいけないということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、先ほど野田委員が財政を中心に質問いたしましたので、私は金融問題を中心に質問してみたいというふうに思います。

 まず最初に、前に私が質問した関係で、宿題と言っては失礼かもしれませんけれども、私がちゃんと後で聞きますよというふうにお約束した件で御質問を申し上げたいというふうに思っております。

 昨年十二月一日の当委員会で議題になった話として、西武鉄道、日本テレビ、中部日本放送などの有価証券報告書の虚偽記載問題というのがございました。ここで、さまざまな問題があったということで議論もさせていただきましたけれども、私がその際にお願いしておいたのは、これからこの虚偽記載問題についていろいろと調査をされるであろう、その調査の結果についてはしっかりと我々に対して情報として開示していただくとともに、その解明された事実に基づいて国民が納得のいくような透明性のある対応をとっていただきたい、こういうふうに申し上げてあったところでございます。

 これに関連しては、伊藤金融担当大臣も、虚偽記載問題については、情報開示は市場への投資家の信頼を確保するため極めて重要である、虚偽の開示に対しては厳正に対処していかなければならないというふうに言っておられましたし、同じ日に参考人として来ていただきました東京証券取引所の鶴島参考人も、有価証券報告書に虚偽の記載をするということは重大な行為であります、そういう問題についてはしっかりと対応していきたい、こういうような参考人の発言もあったところでございます。

 そういう状況の中で、私が先ほど申し上げました西武鉄道、日本テレビ、中部日本放送の有価証券報告書虚偽記載問題について、どういう事実関係が解明されたのか、まずこれを明らかにしていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 三社、西武鉄道、日本テレビ放送網及び中部日本放送は有価証券報告書の訂正報告書を財務局に提出いたしております。その訂正理由といたしましては、各社は、個人名義株式の中に会社関係等が実質的に所有する株式が存在していることが判明したため、このような説明を行っていることを承知いたしております。

 そして、前回の御質問のときにも私から申し上げさせていただいたとおり、個別の事案に係る詳細についてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 なぜ調査実施の有無や具体的な内容を明らかにすることができないかという点につきましては、調査の有無あるいはその具体的な内容について対外的に明らかにすることは、個別事案の調査についての監視委員会の取り組み状況を明らかにすることになる上、関係者に予断を与えるなど、現に進行している調査の事務運営に支障を来しかねないほか、調査の過程で協力を得た関係者の信頼に反し、その協力が得がたくなるなど、将来の調査にも支障を来しかねない点がある、こうした点について御理解をいただきたいというふうに思います。

 一般論で申し上げますと、仮に法令違反行為に該当する事実があると疑われた場合には、必要に応じて監視委員会が調査を行い、そして事実関係の解明を進めた結果、悪質な法令違反が認められれば、厳正に対処するものと承知をいたしております。

平岡委員 一般論はまさにそのとおりだというふうに思うんですけれども、この前もちょっと議論したんですけれども、まず、有価証券報告書の虚偽記載があったという事実はもう当事者も認めているし、この前の鶴島参考人も事実を前提とした答弁をしておるわけですね。客観的にはそういう虚偽記載の事実はあった。だけれども、この虚偽記載の事実というものがどれほどの行為として評価されるものかということについてはいろいろと我々も含めて知っていかなければいけない、こういうふうに思っているわけですよね。

 つまり、そういう意味においては、虚偽記載の事実があったという問題について、一体どういうふうになっていたのか、どういうふうに当局として認識しているのか、認識したのかということについてはしっかりと言ってもらわなきゃいけないというふうには思っているんですね。

 そうやって言ってもまた同じ答弁を繰り返すんでしょうから、私、一つだけ聞こうと思います。私が先ほど三つ挙げました、これについては調査は終わったんですか、それともまだ継続しているということなんでしょうか。

伊藤国務大臣 委員御承知のとおり、監視委員会は私の指揮権の外にありまして、そして、その独立性というものは法律上担保されているところでございます。

 先ほど答弁をさせていただいたように、その調査をしたかどうか、その有無についても、それを明らかにさせていただくことによっていろいろな影響が出ますので、この点について明らかにすることができないということは御理解を賜りたいというふうに思います。

平岡委員 調査をしたかどうかも含めて言えないというのは、それはちょっとひどいんじゃないですか。当然こういうのは調査をするということが前提ですよね。そして、いろいろ先ほど言いましたように、法令に照らしてみて何か法律的な処分をしなければいけない、そのときには公表される、それはそれでいいでしょう。でも、何にも国民は知らされないで、何をしたかもさっぱりわからない。調査の結果として、これについては法律的な処分をするに値もしなかったかどうかもわからない。こんな状態でずっといってしまうということ自体は、私は、投資家に対してあるいは国民に対して、市場に対する信頼を失わせることだと思うんですよね。

 だから、やはり、調査をしてもし事実関係としてこれは処分するに値しなかったということであるならば、その旨をちゃんと公表していただきたい、そのタイミングが来たらちゃんと公表していただくことをここでお約束していただきたい、こう思います。いかがでしょう。

伊藤国務大臣 繰り返しの答弁で大変恐縮でございますけれども、監視委員会は、私の指揮権の外にある、独立性が法律で担保された組織でございます。したがって、委員が重ねて御指摘をされておりますけれども、その点について公表させていただくことができないということについて御理解を賜りたいというふうに思います。

平岡委員 全く理解ができないんですけれども、これ以上ここで押し問答しても仕方ないかもしれません。

 ちょっと次の話題に行こうと思いますけれども、この有価証券報告書の虚偽記載をきっかけに、昨年十一月以降に有価証券報告書の一斉点検ということを金融庁の方として要請されたというふうに伺っておりますけれども、その結果はどのような結果になっているんでしょうか。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 西武鉄道等の不適切な事例、これを是正していくためにも、私どもとして、すべての開示企業に対しまして、有価証券報告書の開示内容にかかわる自主点検を要請させていただいたところでございます。その要請した結果、四千五百三十八社すべてから回答をいただきました。うち五百八十九社から訂正報告書の提出がございました。そして、三千九百四十九社から訂正の必要のない旨回答をいただいたところでございます。

平岡委員 訂正報告書を提出した会社、五百八十九社あるというふうに言われましたけれども、この中でさらに調査を要するような案件というのはあったんでしょうか、どうでしょうか。

伊藤国務大臣 これにつきましても、個別の問題でありますので、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 訂正の内容について御説明をさせていただきますと、訂正の内容の多くは株主の状況にかかわるものでございまして、具体的には、大株主の状況、所有者別状況や役員の状況における所有株式数、そして所有割合の訂正が行われたところでございます。

 また、株式の状況以外の訂正といたしましては、財務諸表における計上区分や、あるいは区分掲記漏れの訂正等が行われております。例えば、計上区分の訂正の例といたしましては、長期借入金のうち、一年以内返済予定部分を固定負債から本来の計上区分である流動負債に振りかえたものや、あるいは、固定資産に含めて計上されていた貸倒引当金を対応する債権の計上区分に合わせて流動資産に振りかえたものなどがございます。

 そして、区分掲記漏れの訂正例といたしましては、流動資産のその他に含まれていた短期の借入金を短期借入金として独立掲記したものや、営業費用中のその他の費用に含まれていた不動産賃貸費用を不動産賃貸費用として独立して掲記したものなどがございます。

平岡委員 大株主の状況等について訂正報告書が出されたという話がありました。まさに先ほど申し上げましたように、西武鉄道とか日本テレビとか中部日本放送なんかと同じようなケースだろうと思うんですけれども、これらの問題について、調査をする必要があるものがあったかなかったかも言えないんですか、どうですか。

伊藤国務大臣 繰り返しになりますが、個別の事案にかかわることになりますので、言及については控えさせていただきたいというふうに思います。

平岡委員 いつもそういう答弁になるんですけれども、そういう対応の仕方で市場の関係者あるいは国民の皆さんに市場に対する信頼が与えられるのかどうか、私は非常に疑問に思っているんですよね。やはり、もっと透明性の高い行政をやっていただきたい。問題があるなら問題がある、しっかりと調査します、だけれども、結果としてはこういうことでしたと。

 問題があったケースについていえば、多分、法律的な処分をとられれば、それはそれでちゃんと処分という形ではっきりと国民の皆さんに示されるんでしょう。だけれども、何もされないままに、何も知らされないままにうやむやに終わってしまっているというような印象を与えてしまうことは決してよくないことだ、問題がなかったなら、調査した結果として問題がなかったということをはっきりとやはり国民あるいは投資家の皆さんにも知らせるということが必要じゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、どうでしょう。

伊藤国務大臣 この訂正報告書につきましては、各企業、開示企業がみずからの責任において訂正報告書を提出して、そしてそのことを公表いたしているわけであります。

 私ども、先ほど来委員から御指摘がございますけれども、いわゆる個別の内容について答弁をさせていただくことについては差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、監視委員会において刑事事件として告発に相当するような悪質な行為違反、法令違反というものがあると疑われる事案につきましては、情報を得た場合、必要に応じて調査を行い、厳正に対処するものと承知をいたしております。

平岡委員 どうも、今のような対応で本当に国民の皆さんあるいは投資家の皆さんに市場に対する信頼を持っていただけるだろうか、私は非常に疑問には思っています。

 ただ、仕組みとして、そこまで言われるのであれば、もうちょっと仕組みの段階で検討していかなきゃいけない問題かなというふうにも思いますので、それはそれとして今後も議論を続けていきたいというふうに思います。

 次に、国債管理政策についてちょっと質問を移していきたいというふうに思います。

 先日の衆議院本会議で、国債管理政策について財務大臣にもお聞きする予定でおったんですけれども、時間の関係上省略してしまいまして、せっかく用意していただいたのを大変申しわけなく思っておりますけれども、きょうしっかりと聞かせていただきますので、その分御容赦いただきたいというふうに思っております。

 ということで、平成十七年度の国債発行額、確かに新規発行では、二兆二千億円減額されたということで三十四兆三千九百億円になりましたけれども、借換債を含めた国債発行額では約百七十兆円に上ってきているというようなことでございます。残高についても、財投債も含めれば、平成十七年度末には約六百八十兆円にもなるというような状況でございます。

 これだけの規模になれば、適切な国債管理政策がどうしても必要だということはだれもがわかるんですけれども、逆に、質問を変えてみると、適切な国債管理政策が行われる国債の発行額の限界、あるいは国債の累積額の限界というのは、一体、財務大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 平岡委員の、どこまで大丈夫かという御質問に対して、どうお答えしようかなと思っていたんですが、率直に申しまして、それにお答えする能力は私にはございません。

 ただ、言えますことは、現在は国債の消化、管理というものがきちっとできているということが一つ。

 もう一つは、さはさりながら、今の我が国の国債発行の状況というのは先進国の中でも一番悪い状況ですし、委員がおっしゃいましたように、借換債等も含めますと、プライマリーバランスの回復に意を用いましても、当分の間大量発行を続けざるを得ないということになりますと、安閑としている状況ではないということはもう確実に言えるわけでございます。

 ただ、国債管理政策といいます前に大前提として必要なのは、財政構造改革をきちっとやって財政の持続性というものを目指していくということが、個々の国債管理政策の前に私は一番必要なことではないかと思っております。

 その上で、国債管理政策をどうするかといえば、要約いたしますと、市場の動向、ニーズ等をよく読んで、それに対応して新規商品や保有者の多様化を図るというようなことをきちっとやっていくということで今やらせていただいているわけでございます。

平岡委員 確かに、適切な国債管理政策を考える前に、いかに財政をもっともっと健全化させていくかという視点からのいろいろな見直しが必要であると私も思いますけれども、逆に言うと、国債管理の限界というものがそれを促していくという面もあろうかと思いますので、やはりこの限界ということについては常に頭に置きながら考えていかなければいけないというふうにも思っています。

 ところで、ことしの国債管理政策といいますか、国債の発行予定というところを見てみますと、ちょっと特徴的なことがありまして、気になるんで質問をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、平成十七年度における日銀による国債の発行引き受け、これは乗りかえというふうに呼んでいるようでありますけれども、これが約十兆円ふえて、二十三兆円になっているということであります。

 皆さんも御存じのように、財政法の中では、国債の発行において日銀が引き受けるということについては原則禁止されているというようなことでございます。ただ、その法律の中にも、ただし書きという存在の中で、特別の事由がある場合には国会で議決を経た金額の範囲内においてはできる、そういう仕組みにはなっているようでありますけれども、この問題についてちょっと取り上げてみたいと思うんです。

 まず、日銀の引き受けについては、特別の事由がなければいけないというふうにされているわけであります。特別の事由というのは予算書のどこを見ても書いてありません。一体どういうのが特別の事由だということなんでしょうか。国民の皆さんにわかるように説明していただきたいというふうに思います。

田野瀬副大臣 私の方からお答え申し上げたいと思います。

 平岡議員御指摘のとおりでございまして、財政規律確保の観点から、公債の日銀引き受けを原則として禁止いたしておるところでございます。ということになりますと、その特別の事由は何なのかということでございますが、日銀が現に保有する公債の借りかえ、いわゆる乗りかえのために発行する公債については、通貨の膨張の要因となるものではないことから、同法で例外的に認める特別の事由に当たるものとして、国会の議決を経た金額の範囲内でこれを認めてきておるところでございます。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、歳出歳入両面から財政構造改革を進め、財政規律を堅持していかなければならないと考えておるところでございます。

平岡委員 今、日銀が保有している公債の借りかえ、いわゆる乗りかえについては、要するにいいんだという説明でありました。

 無原則でいいのかということになると私も若干疑問があるわけでありますけれども、ちょっと逆に言うと、引き受けさせられる日銀の側から見たときに、一体これはどういう問題なのかということも考えていかなければいけない問題であるというふうに思っているわけであります。

 日銀総裁にも来ていただいておりますので、ちょっと質問してみたいというふうに思います。

 この二十三兆円の日銀の引き受けという中の、発行予定のところには書いてあるんですけれども、これは日銀としては二十三兆円は引き受けるということを約束している、つまり、政府からこれだけ引き取ってくれと言われたら、もう必ず引き受けなければいけないものとして位置づけられているんでしょうか。どういう位置づけの金額になっているんでしょう。

福井参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行では、政府から御要請があったときに必ず引き受けなければならないというものではございません。毎年度、日本銀行の政策委員会におきましてきちんとその引き受けの適否ということを判断した上、お引き受けしている、こういうことでございます。

平岡委員 多分、基本的にはそういう位置づけなんだろうと思いますけれども、今回の二十三兆円の日銀引き受けについては、いつ、どこで、どのような経緯を経て、どのようにして決定されたのかということについて、日銀の方から御説明いただきたいと思います。

福井参考人 政策委員会でこれを決定いたしましたのは、昨年の十二月十四日の政策委員会でございます。

 政府の方からのお申し出は、平成十七年度における国債償還の集中、これを平準化するという観点から、平成十六年度に乗りかえ引き受けを実施した割引短期国債の一部について、またこの割引短期国債により再乗りかえを行ってほしい、こういう御要望でございました。

 政策委員会におきましては、日本銀行のこの先の金融市場の調節の観点から見て、日銀の資産の流動性が十分確保されるようにということを念頭に置きながら、これは適当だという判断に至ったものでございます。

平岡委員 確認ですけれども、やはり政府からこれだけ引き受けてほしいという要請があって、その要請に対して受けるか受けないかという判断として、日銀が決定されたということですか。

福井参考人 おっしゃるとおりでございます。

 政府の要請なくして日本銀行は判断できません。要請を受けて、その適否を判断するということでございます。

平岡委員 私、思うんですけれども、平成十七年度中に日銀が二十三兆円の国債の引き受けをするということを、要するに昨年の十二月の段階で決定するというのは、ある意味ではかなりリスクのある話ではないかというふうにも思うんですよね。

 というのは、日銀は、その時々の金融情勢に応じて最も適切な判断をしていくということが求められているところが、昨年の十二月に平成十七年度に二十三兆円の国債の引き受けをするということを決定すること自体、私は非常におかしい話であるというふうに思うんですけれども、そういう、日銀がこれから金融政策を行っていく上に当たって拘束されてしまうようなことを早い段階で決めてしまうということには、問題はないんですか。

福井参考人 幾つもの視点があると思いますけれども、一つ重要な点は、平成十七年度の償還の平準化を図る。これは別の観点から見ますと、金融政策の重要な舞台である金融市場の安定的な状況をキープする、こういう趣旨がございます。そういう観点から、日本銀行としても、国債発行にこぶができるということではなくて、平準化が行われるということは安定した市場の上で金融政策ができる、こういう長所があるわけでございます。

 しかし、そうかといって、これを日本銀行が乗りかえ引き受けに応じた場合に、これから日本銀行が行っていくであろうさまざまなケースについて、日本銀行の持っている資産に偏りが生じ過ぎるということであれば、円滑な金融調節ができません。ここのところは、先々を読みながら、今回の場合に、割引短期国債、流動性の高い金融資産同士の乗りかえということでございますので、我々のポートフォリオの組成上も問題がない、こういうことでございます。

平岡委員 先ほど特別の事由というところで、日銀が保有する公債の借りかえであるから何の問題もないんだというような説明でありました。ということは、逆に言うと、日銀がこれからどんどんどんどん国債を市中から買ってくるというようなことになってくれば、それについては全部乗りかえをしても問題がないというふうに政府の立場からはなるわけですね。

 そういうことだと、やはりこれは財政規律というものが非常に乱れてくる、この日銀引き受けが増加するということについて危険性が非常にあると私は思うんですけれども、これについての限界というものについて、あるいは日銀が引き受ける基準というものについて、どのようにお考えになっているかということをお聞きしたいと思うんですけれども。

 まず最初に、財政当局の方から日銀引き受けの考え方について、先ほど日銀が保有しているものなら何でもいいんだというお話でありましたけれども、財政当局としては、日銀引き受けの限界というものについてはどのようにお考えになっているかということをお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 限界という点については、先ほどのように、日銀が日銀の運営から見て受けられるかどうかというのを御判断いただいて、我々がそれはだめだと言って押し返すべきものではないんだというふうに思っております。

 それから、ちょっと委員の御質問に正面から答えないかもしれませんけれども、実際は、今年度やりますのは国債の平準化の観点からお願いをしているわけでありますけれども、一年のもので運用しておりますので、一年ごとにやはり判断をしていただくということになりまして、いつまでも満期が来ない長いものを抱え込むというような仕組みにはなっていないということを申し上げたいと思います。

平岡委員 それは、乗りかえるときにどういう乗りかえの仕方をするかという話であって、要するに、乗りかえをする規模をどうするか、これからどれだけ乗りかえをしてもらうか、あるいはさせるかという点について言えば、やはり先ほど言いましたように、市中からどんどん日銀に買ってもらって、それを今度はどんどん乗りかえ方式でやっていくというようなことも、それは日銀の独立性の問題がありますからすべて命令どおりにはいかないかもしれませんけれども、日銀と財政当局が組んでしまえばそういうこともできるわけでありますから、やはりその限界というものはどういうものかということをしっかりと考えておかなければいけないというふうには思うんですけれども、とりあえずそちらの、財政当局の方の話としてはおいておいて。

 日銀として、日銀引き受けの限界といいますか、基準といいますか、これについてはどのようにお考えになっているんでしょうか。

福井参考人 まず第一に、新規発行の国債は日本銀行は引き受けない、これは財政法で明確になっていることでございます。

 したがいまして、日本銀行が金融調節上必要と認めて市中から買いオペレーションで買い入れた、つまり日本銀行の資産として持っている国債をその後乗りかえるかどうか、この問題に限られるわけであります。そして、その乗りかえの必要について政府からお話がありました場合の私どもの判断基準は、今現に持っている国債を含め、そして仮に乗りかえたであろう場合の資産内容、今後の金融調節の大まかな方針、これらをあわせて金融調節上全く問題がないということが第一でございます。

 それから、乗りかえであれば何でもいいかというと、大変僣越でございますけれども、安易な乗りかえ要請ということはないかどうか、その辺はやはり国の財政の組み立て方として予算編成がどういう考え方で行われているのかということも、こういうお申し出がありました場合には事前に我々はお教えいただいて、財政の健全性ということも僣越ながら我々は確認させていただいた上でお引き受けをしている、こういうことでございます。

平岡委員 金融調節機能を持っている日銀としては、日本の金融、経済について、しっかりとした独立性を持ったもとで判断をしていただくということを期待しているわけでありますけれども。

 今ちょっと総裁が、新規国債については引き受けないということが財政法で決まっているんだというふうに言われましたけれども、特別の事由があれば別に新規国債だって引き受けていいというのが、今の財政法の仕組みになっているわけですね。そうすると、これからもしかしたら財政当局から、これは新規国債だけれども、こうこうこういう事由があるので引き受けてほしいというふうに日銀に持ってくるかもしれません。そのときに日銀としては、いや、財政法にこう書いてあるからできませんとは多分言えなくて、やはり金融政策として、日銀が持っている金融調節機能の一環としてそういうことはできないんだということをみずからの判断でお断りしなければいけない、そういう場面も多分あるんだろうというふうに思います。

 安易な中央銀行の国債引き受けというものがかつて大きなインフレをもたらしたというケースもありましたので、そこは日銀にとってみて、いかに日銀引き受けということの問題があるか、そういうことも考えながら、しっかりと判断していっていただきたいということを要請しておきたいというふうに思います。

 それから次に、国債管理の問題として、我が国の国債保有の状況でありますけれども、圧倒的に公的部門、これは郵貯とか簡保とか、あるいは場合によっては日銀も含めて考えますと、もう五割を超えているような状況になっているわけであります。こういう公的部門が大量の国債を持っているということについては、財政当局としてはどのように評価をしておられるんでしょうか。

谷垣国務大臣 委員が指摘されますように、確かに、数値を言いますと、日本では四割が郵貯等を含めた政府部門、財投等を含めて、でございますし、日銀が一四・五%、それから市中の金融機関が三七・一%というふうになっておりまして、ここらの数字は、国によっても違いますけれども、大体諸外国、先進国と比べますと大きくなっているところだと思います。

 そこで、これをどう評価しているかということでありますが、現実に政府部門が持っているところは、これから郵政民営化というようなことが議論になりますと、これはもちろんどういう制度になっていくかまだわからないわけでありますけれども、現実にそれをどうするかということを我々は考えざるを得ない状況でございます。(発言する者あり)まだ国会を通っておりませんから、現実にそのことに対する対応を考えていかざるを得ない状況であろうと思いますし。

 それから、どれだけ保有をしていただいているかということは、これはまた日銀の金融政策上の判断に基づいて金融市場調節手段として行われているものですから、これは日銀に御判断いただくべきことかと思いますが、私どもは、やはりこういうふうに公的部門に大きく偏って、それに対して郵政民営化等の議論が起こっております現状を踏まえますと、先ほど申しましたような安定消化を確保するためには、商品の多様性等を通じて保有者層の多様化を図っていくということが急務なのではないかと思っております。

平岡委員 私は、まだ評価の段階の質問しかしていないんですね。対応の話はこれから聞くというふうに思っておりますけれども、一つ、郵政民営化の話も出ました。

 仮に、郵政民営化がされることによって、国債管理政策上はどのようなリスクが発生するというふうに考えておられるか、この点をまず紹介していただきたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 今、大体四分の一程度を郵政公社に持っていただいておりまして、こういう言い方が適当かどうかわかりませんが、今国債消化の非常に基本的なインフラの一つになっているというふうに私は表現をしております。

 それだけに、仮に民営化ということになりますと、国債市場に不測の影響が及ぶというようなことがあっては困るわけでございますので、民営化の移行過程というものは透明なものでなければいけない、それで、市場関係者がなるほどこういうふうに動いていくのかということを予測できるものでなければいけないというのが第一ではないかと思います。

 それから、実際に、民営化の具体的な姿に応じて、移行期における適切な配慮というものが、やっぱり、その制度の立て方によってそれぞれ適切な配慮というものが必要だろうと思っておりますが、まだ制度論が煮詰まっておりませんのでそれ以上ちょっとなかなか申し上げにくいわけですが、去年の秋に閣議決定されました郵政民営化の基本方針では、移行期のあり方として「公社勘定の運用に際しては、安全性を重視する。」これは政府保証のついているものという意味ですね。それから、郵便貯金及び郵便保険事業に関して、「国債市場への影響を考慮した適切な資産運用を行う」それから「大量の国債を保有していることを踏まえ、市場関係者の予測可能性を高めるため、適切な配慮を行う。」こういうふうにされておりますので、こういったことを踏まえて、具体的な制度設計を検討、調整しているというところでございます。

平岡委員 大臣も、長く答弁していれば質問する時間が短くなると思っておられるのかもしれませんけれども、私が聞いていることに答えていただいて、聞いていないことは後からちゃんと聞きますから、ちゃんと流れに沿って、私の質問に沿って答弁していただきたいというふうに思うわけであります。

 さまざまなリスクもあるでしょう、そのリスクに対しては適切に対応していきたいと。どういうふうに対応していくかというのは、いろいろと述べられましたので、郵政が民営化されるかどうかということはわかりませんけれども、こういった問題も郵政民営化には潜んでいるということをここでまず指摘しておいて、これからまたしっかりと、郵政民営化の法案が出てきたときには議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 ところで、せんだって、ことしの一月ですか、ロンドンとニューヨークで国債発行についての海外説明会が行われたということで、ちょっと報道がされていました。

 報道によれば、このような海外説明会というのは、当時日銀副総裁であった高橋是清が日露戦争の戦費調達のためロンドンを訪問して以来百一年ぶりのことであるというふうにも報道されていましたけれども、この報道は正しくなかったのかもしれないということもちょっと聞きました。しかし、これと比較されるぐらいの話として取り上げられているわけでありますね。

 ただ、当時の状況と今回の海外説明会との状況というのは、多分いろいろ違うんだろうと思うんですけれども、どういう点が似ていて、どういう点が違っているのかについて、ちょっと大臣から国民の皆さんにわかりやすく説明していただきたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 明治三十七年といいますから、委員のおっしゃったように百一年前でございますけれども、当時日本銀行副総裁であった高橋是清がイギリスで公債募集を行ったわけでございます。何分古い時代の、百年以上前のことでございますので、明確に詳細に御説明できない点がございますけれども、そのときの公債募集は、まず第一に、日露戦争の戦費調達のための国債発行であった、相当多額なものが必要であったということでございます。それが一番目。

 それから二番目に、その一環として、外貨建て、今は円建てというのがあれでございますが、外貨建ての公債、これはイギリスのポンドで出したわけですが、外貨建てであった。その結果、国債残高が明治三十六年度末から三十七年度末にかけて約二倍弱、八七%増というようなことになったようであります。

 当時はそういう状況でございますので、戦費とかそういうことではない、それから、今度のものは円建てである、こういうようなことで大きく違っているのではないかと思います。

平岡委員 ちょっと質問の順番が悪かったのかもしれません。

 これは何のために海外の説明会を行ったんでしょうか。例えば、国債を国内で消化することが困難になってしまったので、やはり海外に頼らなきゃいけないということで、当時、高橋是清が日本では調達できないので海外に調達に行ったというのと同じような状況としてこれを把握するべきなんでしょうか。それとも別の事情として認識すべきなんでしょうか。どうでしょう。

谷垣国務大臣 今回のロンドンとニューヨークでやりましたのは、先ほど申しましたように、日本の国債の保有というものがある程度、偏っていると言うと言葉が悪いかもしれませんが、公的部門あるいは国内で消化されているというものが大部分でございまして、国際的に見るとかなり特異な状況になっていると思います。

 それで、今後も大量の発行を続けざるを得ないということを考えますと、国債保有者を多様化していくことが安定的な消化につながる、それから、市場を攪乱させないことにもつながっていく、こういうことで、外国の保有というものは、日本では海外に比べますと極めて少ないわけでございますので、外国の方にも保有をしていただこうということで今回このようなことをやったわけでございます。

平岡委員 いずれにしても、冒頭申し上げましたように、国債発行額あるいは発行残高については極めて大きな規模になっているということで、適切な国債管理政策というものが要請される、まさにその真っ最中にあるというふうに思っています。そういう意味で、当局においての国債管理政策をしっかりとしていただくように要請をしておきたいというふうに思います。

 次に、時間の関係がありますので、足利銀行関係の質問に移りたいというふうに思います。

 せんだって、先月の二十五日でありましたけれども、一昨年十一月に経営破綻し、そして十二月に国有化された足利銀行について、金融庁が関係する監査法人を処分したというふうに報道がされておりました。

 監査法人は、中央青山監査法人、処分の中身は戒告処分ということであったようでありますけれども、これについては、どういう事情に基づいて、戒告処分というのはどのような内容の処分かということについてまず教えていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 今、足利銀行に関係をして御質問をいただいたわけでありますが、委員から御紹介ございましたように、先月の二十五日、金融庁は足利銀行の平成十五年三月期の決算及び平成十五年九月期の中間決算の監査に関しまして、当該監査を行っていた中央青山監査法人に、地方事務所に対する審査体制及び指導教育体制の不備、監査調書作成等にかかわる業務管理体制の不備が認められ、公認会計士法に規定をする監査法人の運営が著しく不当と認められるときに該当することから、同法に基づく戒告処分を行ったところでございます。

 また、戒告処分が行われたときには、公認会計士法第三十四条第三項の規定に基づきまして、官報に公告されることになっております。

 今回の処分を踏まえまして、当該の監査法人においては、今後、審査そして教育体制や業務管理体制などを含む監査法人の運営全般について改善が講じられていくことが期待をされているわけでありまして、当局といたしましては、その状況を注視してまいりたいと考えているところでございます。

平岡委員 今の話を聞くと、監査法人の中の管理が不適当であった、体制が整備されていなかったといったようなことを理由としての処分だという話でありますけれども、当時の、足利銀行が問題になったときには、やはり公認会計士あるいは監査法人自体が虚偽証明をしていたんではないかという点もいろいろなところで指摘されていたわけでありますね。この点については、どういう事実関係の解明ができているんでしょうか。

伊藤国務大臣 処分の内容につきましては、調査を通じて判明した事実に基づきまして、法令に照らして判断したものでございまして、また、処分は、法令の規定に従いまして、公認会計士、監査審査会の意見を聞いた上で行ったところでございます。

 今回の処分は、監査法人に対して、調査による処分時に判明した事実に基づいて、公認会計士法に照らして懲戒事由に該当すると判断したものでありまして、そして処分を行ったものであります。担当公認会計士について、懲戒処分の要件である、相当の注意を怠り重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明したとまで認定することは困難であると判断したものでございます。

平岡委員 今のはかなり個別に立ち入って答弁していただいたような気がするんですよね。つまり、処分した分についての内容はちゃんと説明しましたと。担当会計士については、こういう理由で処分するに値するものではなかったということでありますね。

 そういうふうに答弁してくれれば比較的議論をしやすいわけです。先ほどの虚偽記載の問題について、余りにも中に入らなさ過ぎる、そういう答弁では全く先へ進めないということなんで、これから以降もしっかりとそういう答弁をしていただきたいというふうに、まずお願いをしておきたいというふうに思います。

 それを踏まえて、先ほどの答弁の中では、担当会計士による虚偽記載の事実はなかったというふうに判断をされたということでありますから、それはそれとして受けとめておきたいというふうに思います。

 しかし、もう一つ問題がありまして、この足利銀行の中に内部調査委員会というのが設置されています。そして、そこでは今月の四日に報告書を出しておりまして、それを受けて銀行の経営陣は旧経営陣に対して四十六億円の損害賠償を提起しているということであるんですけれども、そのうち粉飾決算に基づいて実施された優先株主への十一億円の配当については、監査法人に何か問題があるんではないかというふうに私は思うんですね。

 つまり、この十一億円の違法配当ついては四十六億円の損害賠償の中に入っているんですけれども、あくまでも請求されている人は旧経営陣でしかないということでありますけれども、この違法配当が行われたもとになっている粉飾決算は、繰り延べ税金資産が計上されていることによって生じているものである。繰り延べ税金資産の計上というのは、確かに経営陣がまずはやるわけでありますけれども、それが正当であるかどうかについては、公認会計士もちゃんとチェックをしているという立場にあるわけです。

 この点について、監査法人についてはどういう責任があるというふうに考えておられるのか、責任がないと考えておられるのか、この点について、金融当局、どうお考えなんでしょうか。

伊藤国務大臣 お尋ねの点は、個別の事案に関する事柄でありますので、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 なお、平成十三年三月期におけるその違法配当事案については、取締役の民事責任は訴訟の対象となっておりますが、監査法人の民事責任は訴訟の対象となっておりません。また、取締役にかかわる民事責任は一般に無過失責任と解されているところでございます。

 監査法人は、公認会計士法上、虚偽のある財務書類を故意または過失による虚偽のないものと証明した場合に責任を負うとされておりまして、したがって、違法配当事案の損害賠償請求の提起により直ちに監査法人の責任が問題になることにはならないものと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、今後の民事訴訟の動向を注視して、仮に監査法人について公認会計士法に抵触するような事実が判明した場合には、法令に照らして厳正に対処をしてまいりたいと考えております。

平岡委員 先ほど、担当会計士の虚偽証明の事実はあったのかなかったのかということで、かなり立ち入って答弁していただいて、今度はこの質問に対しては個別の問題には答えられませんと言われたのでは、私も、せっかく褒めてさしあげたのに、またもとに戻らなきゃいけないということで、非常に憤慨をしているわけでありますけれども。

 だから、今回の、さっき私が質問をしたケースについて言えば、公認会計士の責任は問わなくていいのかという質問をしたときには、先ほど言った、事実としてそういうことがなかった、虚偽記載という事実はなかった、そういうことは認められなかったというふうに当局として判断しているから、今回のケースについても損害賠償責任を今の時点で問うていないということについてはそれはそれで問題ないと思うと答えれば済む話じゃないですか。

 何で個別の話だから答えられない、一般論ではこうですということを言うんですか。そういう、都合のいいところだけ個別に立ち入って答弁して、都合が悪くなったら答弁を一般論でしか答えられないという、そんな対応はしないでください。ずっとそういうふうに質問と答弁が流れていっているわけですからね。よろしくその辺はお願いしたいというふうに思います。

 それから、現経営陣が損害賠償請求を起こしているということはあるんですけれども、どうも銀行が発表した中身を見ますと、違法配当事案についての刑事責任追及については、要するに、捜査機関に対し証拠資料の提供など積極的に捜査に協力し当行としての責務を果たしていくこととしたいと言っているけれども、何も主体的なことはしていない。告発もしていない、告訴もしていない。こういう位置づけになっているわけでありますけれども、これは、実は足利銀行は国有化されている銀行ですよね、そうであるとすると、こういう問題について、告発するかしないかといったようなことについて、最終的に判断をする立場にあるのはどういう人なんですか。その点についてお答えいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 預金保険法の第百十六条第二項におきましては、特別危機管理銀行の取締役、執行役及び監査役は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときには告発に向けて所要の措置をとらなければいけない、この旨規定をされておりまして、特別危機管理銀行が刑事告発をするか否かの判断は現経営陣において行えるものと考えております。

 足利銀行におきましては、先ほど御紹介がございましたように、内部調査委員会が調査を行ってきているところでございますが、この内部調査委員会の報告を検討した結果、違法配当事案の刑事責任追及については、民事と刑事の要件の相違もあり、慎重を期すために、捜査機関に対し証拠資料の提供など積極的に捜査に協力し当行としての責務を果たしていくというふうに考えておることを承知いたしておりますし、また、内部調査委員会を継続させて、そして捜査当局による捜査に協力するとともに、必要に応じ同委員会に刑事告発の要否等について意見を求めることにしているということも承知をいたしているところでございます。

 当庁といたしましては、足利銀行のこうした取り組みを適切にフォローアップをしていきたいと考えております。

平岡委員 何かフォローアップという言葉でごまかされてしまうような話ですけれども、この国有化された銀行については、株主というのは預金保険機構であり、あるいは究極的には国になっているわけですよね。国がこの問題についてどうするかということがやはり最終的な責任を有する主体としてあるんじゃないですか。そうだとすると、フォローアップというよりは、むしろもっとしっかりと監視をしていくというぐらいの、最終的には国の判断でしていきますというようなことになるんじゃないですか、どうでしょう。

伊藤国務大臣 私どもに与えられた権限というものを適切に行使をしていかなければいけないわけでありますが、先ほど御説明をさせていただいたように、特別危機管理銀行を監督する当庁といたしましては、足利銀行において預金保険法に定められた責務が適切に履行されているか、そのことをフォローアップする立場にございます。

 刑事告発を含めた旧経営陣の責任追及につきましては、先ほど御説明をさせていただきましたように、預金保険法百十六条において特別危機管理銀行が行うものと明定されているものでございます。

平岡委員 フォローアップという言葉を法律用語でちょっと言ってもらえますか。フォローアップという言葉を法律用語で。

伊藤国務大臣 法律用語でということについて、ちょっと適切に説明ができるかどうかわかりませんけれども、私どもとして、先ほど御説明をさせていただいたように、特別危機管理銀行については、預金保険法第百十六条において、刑事告発を含めた旧経営陣の責任の追及をしていくということが明定をされているわけでありますから、そうした責務が履行されているかどうかということ、これを見ていくということでございます。

平岡委員 見ていくというのは、見ているだけならだれでもできるんです。私でも見ることぐらいはできると思いますよ。そうじゃなくて、監督していくとか指導していくとか、もっとちゃんと法律用語的な、どういう責任をだれが負っているのかということがはっきりとできるように答弁していただきたいと思うんですね。

 フォローアップというのは一体何ですか、これは。全然わからないじゃないですか。だれが責任を持っているんですか、最終的な責任は。

伊藤国務大臣 先ほど来御説明をさせていただいているように、法律の枠組みにおいては、責任のあり方でありますとか、あるいは責任を追及している主体について明定をされているわけであります。したがって、そうしたことが適切に行われているかどうか、私どもとして監督上これを見ていくということになろうかというふうに思います。

平岡委員 余り言葉じりをとらえて時間を費やすのもあれですから。ちゃんと法律的な位置づけとして、国、預金保険機構、あるいは国の中で金融庁がどういう役割を果たすべきなのかということを、しっかりとまた教えていただきたいというふうに思います。

 実は、この問題をやっていてちょっと変だなと思ったのは、足利銀行については、こういう粉飾決算があったことについて、これを踏まえて会計監査法人が処分されているんですよね。もう一つ、似たようなケースとして、りそな銀行というのがあったんですよね。

 りそな銀行について言うと、これは処分の仕方がちょっと違っているわけでありますけれども、当時、これは粉飾決算ではないのか、本当なら債務超過ということじゃないのかというような疑惑が持たれていて、私もこの委員会、あるいは同僚議員が予算委員会などで、ちゃんと検査をしなさいというふうに言っているんですけれども、当時は検査が行われていませんでした。

 このりそな銀行については、公的資金の注入のきっかけとなった平成十五年三月期の決算については検査が行われているんですか。どうでしょう。

伊藤国務大臣 この点については、かつて委員からも当委員会でお尋ねがあったわけでありますが、平成十五年三月期を対象とした通常検査は実施はされておりません。ただし、りそな銀行を含む主要十一行すべてに対して、平成十五年三月期を対象とする特別検査を実施いたしているところでございます。

 委員御承知のとおり、主要行につきましては、通年専担検査の枠組みの中で年に一回通常検査が実施をされているわけでありますし、今御説明をさせていただいたように、金融機関の財務について、大口債務先というのは極めて大きな影響を与えますので、直近の企業業績やあるいは市場のシグナル、こうしたものをリアルタイムに反映した適正な債務者区分を確保するために、十五年三月期決算に反映させるための特別検査を再実施したところでございます。

 さらに、DCF法の適用による引き当ての厳格化、また、旧大和銀行に対しましては十四年九月期を対象とした検査を実施いたしているところでございまして、したがって、これらの施策がりそな銀行の十五年三月期の決算に反映されているものと考えているところでございます。

 また、公的資本増強のりそな銀行について、新しい経営陣のもとで、経営体制の整備、そしてガバナンスの確立、新たな経営方針の策定等の課題に最優先で取り組むべき状況にありました。したがって、通常検査の実施がこうした移行作業の阻害要因になるおそれがあること、そして、体制の移行期において検査を実施いたしますと、銀行側の検査への対応の面から見まして、経営実態の的確な状況把握を目的とする検査の有効性に懸念があること、そして、同行が実施をしているデューデリ作業等経営判断に、当局が同時期に検査を行うことで結果的に何らかの形で影響を及ぼすおそれがあることを考慮いたしまして、平成十五年十一月まで通常検査を実施していなかったわけであります。

平岡委員 日銀の考査もりそな銀行に対してはやったのかという質問をかつていたしまして、旧大和、旧あさひに対して平成十四年三月から四月の間やったというふうに答弁があったんですけれども、その後、りそな銀行に対しては考査をやっているんですか。やっているとしたら、平成十五年三月期を基準日とした考査を行っているかどうか、これを答弁していただきたいと思います。

福井参考人 りそな銀行に対しましては、その後の考査は、二〇〇四年、つまり平成十六年五月から六月にかけて実施をいたしております。

平岡委員 私の質問はもう一つあったんですけれども、平成十五年三月期を基準とした考査が行われているのかどうかですけれども、総裁、いかがですか。

福井参考人 旧大和、あさひが統合されましたのが十五年三月でございますが、その三月期を基準とする考査は、その後行っておりません。

平岡委員 りそな銀行に資金注入が行われるきっかけとなった平成十五年三月期決算については検査も考査も何も行われていないということで、結局、十五年三月期はどういう状態であったのかということについては、ある意味ではやみの中なんですよね。

 この前、質問で私が言ったときも言ったんですね、公的資金を注入して自己資本比率一二%ぐらいまで行きました、そうしたら、新しい経営陣になったら急に六%に下がっちゃいました、何か資産査定をいろいろやり直した結果ですね。ということを考えてみると、平成十五年三月期はむしろ債務超過の状態であって、資本注入なんかできる状況じゃなかったんじゃないかということを、国民はずっと不思議に思っていたわけですね。

 そして、今回、足利銀行の監査法人に対してこういう処分が出されました。もし、そのとき債務超過であったにもかかわらず、そのときの会計監査法人がそうじゃないという監査を適切であるというふうにしていたとしたら、この会計監査法人も処分に値するような、そういうことじゃないかということに思うんですよね。

 なぜ、平成十五年三月期の決算について検査も考査も行われていない、こういうことになるんですか。大臣、答えてください。

伊藤国務大臣 これは、極めて預金保険法第百二条の危機対応の枠組みの問題だろうというふうに思います。

 先ほど来私から答弁をさせていただいておりますように、りそな銀行の平成十五年三月期決算につきましては、通年専担検査における検査、そして特別検査が実施をされて、それがこの十五年三月期に反映をしているわけであります。

 そして、いわゆる金融危機を回避するための制度であります預金保険法百二条の運用に当たっては、その時点で得られる最も確実性の高い情報に基づいた迅速な対応が求められているわけであります。

 資本増強の必要性の認定の前提となったりそな銀行の十五年三月期の決算につきましては、罰則で担保されております銀行法二十四条の報告により確認したものであり、その時点で得られる最も確実性の高い情報であると認識をいたしているところでございます。

平岡委員 私が言っているのは、その当時、資本注入を決定したこと自体を間違っていると言っているんじゃないんですよ。その当時の資本注入を決定した前提となっている事実がちゃんとした事実であったのかどうかということをちゃんと検証しなければいけない、そのために平成十五年三月期の決算に対する検査とか考査というのが大切だ、それをあえてやらないというところに政府の不透明さを感じるということを申し上げているんです。

 その当時、急ぐから資本注入の決定をした、それ自体を私は問うているわけじゃない。しかし、しっかりとした事後検証というものをやってもらわないと、本当に国民が、あのときは政府はいいかげんな対応で資本注入を決めたんだ、本当は債務超過で国有化せざるを得ないような状態であったのをそういうふうにやったんだというふうに思われてしまったら、これは金融行政に対する大きな不信につながっていく。

 検証した結果として、もし債務超過であったなら債務超過であったと、それに対しては、そういう監査をした会計監査法人に対してもしっかりと処分をしていく、そういうことをやってこそ、本当に金融行政というものが透明に行われているということになるんじゃないですか。それをしない金融庁のやり方に対して私は重ねて抗議を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

金田委員長 次回は、来る二十二日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時三十九分散会


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