衆議院

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第20号 平成17年4月20日(水曜日)

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平成十七年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金田 英行君

   理事 江崎洋一郎君 理事 遠藤 利明君

   理事 竹本 直一君 理事 村井  仁君

   理事 中塚 一宏君 理事 原口 一博君

   理事 平岡 秀夫君 理事 谷口 隆義君

      小野 晋也君    木村 太郎君

      熊代 昭彦君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    佐藤  勉君

      佐藤  錬君    菅原 一秀君

      鈴木 俊一君    砂田 圭佑君

      田中 和徳君    中村正三郎君

      永岡 洋治君    松島みどり君

      宮下 一郎君    森山  裕君

      山下 貴史君    渡辺 喜美君

      井上 和雄君    岩國 哲人君

      大出  彰君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    津村 啓介君

      中川 正春君    中村 哲治君

      野田 佳彦君    馬淵 澄夫君

      村越 祐民君    吉田  泉君

      石井 啓一君    長沢 広明君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   議員           岩國 哲人君

   議員           鈴木 克昌君

   議員           中塚 一宏君

   議員           原口 一博君

   議員           平岡 秀夫君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  山本 庸幸君

   政府参考人

   (内閣府産業再生機構担当室長)          藤岡 文七君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    井戸 清人君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     松島みどり君

  谷川 弥一君     菅原 一秀君

  小林 憲司君     大出  彰君

  田島 一成君     中村 哲治君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     佐藤  錬君

  松島みどり君     佐藤  勉君

  大出  彰君     小林 憲司君

  中村 哲治君     田島 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     木村 太郎君

  佐藤  錬君     谷川 弥一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)

 証券取引委員会設置法案(原口一博君外四名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、証券取引法の一部を改正する法律案及び原口一博君外四名提出、証券取引委員会設置法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として財務省国際局長井戸清人君、金融庁総務企画局長増井喜一郎君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、内閣法制局第三部長山本庸幸君、内閣府産業再生機構担当室長藤岡文七君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 今回の改正案の柱の一つは公開買い付け規制の適用範囲の見直しでございますけれども、これは言うまでもなく、ライブドアの事案が直接的な契機になっているわけであります。二月八日に、ライブドアが立ち会い外取引によってニッポン放送株の発行済み株式総数の約三〇%を買い付けて、結果として発行済み株式総数の三五%を所有するに至ったわけでありますが、これは取引所市場外の相対取引と類似した取引でございます。いわば公開買い付け規制の法律の穴をふさぐという趣旨で今回の法改正がなされたというふうに理解をしておりますけれども、こういったライブドアのような立ち会い外取引が行われるということは、従前想定していなかったのかどうか。

 というのは、こういう法律の穴はもっと早く手当てをすべきであったんではないかという疑問がございます。とはいえ、そういう指摘は、結局は後づけの知恵であって、こういう具体的な事案が生じるまではとてもそういうことは想定していなかった、こういうことなのかどうか、まずお伺いをいたしたいと思います。

伊藤国務大臣 石井委員にお答えをさせていただきます。

 立ち会い外取引は、平成九年に導入以降、一般に、機関投資家のポートフォリオの入れかえでありますとか、あるいは持ち合いの解消、そして自社株の取得の取引に使用されており、会社支配を目的とした大口の買い付けに用いられることを想定して導入されたものではないと承知をいたしております。

 しかしながら、立ち会い外取引は、その使い方によっては会社支配を目的とした大口買い付けにも利用することが可能であり、これを放置すればTOB制度の形骸化を招きかねないことから、立ち会い外取引のうち相対取引と類似した取引について、TOB規制の対象とすべく、今回の証取法の改正案を提出させていただいたものでございます。

石井(啓)委員 想定外だったという御答弁であります。

 次の質問は、これは具体論で聞くと、答えるのは適当ではないという回答になると思いますので、一般論で聞きます。

 現行証取法では、立ち会い外取引で、会社支配を目指すような大量取引を相対で行うということは、公開買い付け規制の対象ではありませんから違法行為ではないということになりますけれども、株主に平等に売却の機会を与えるという公開買い付け規制を回避する、法律の裏をかくという意味で、法律規制の趣旨を逸脱した脱法行為に当たる、違法行為ではないけれども脱法行為である、こういう認識でよろしいでしょうか。

伊藤国務大臣 一般論でお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 会社支配を目的として大量の株式を取得することは立ち会い外取引制度が当初想定したものではありませんが、議員御指摘のとおり、現行法上、立ち会い外取引は、基本的には、公開買い付け規制、TOB規制の対象とならないと考えられております。

 なお、こうした状態を放置いたしますと、委員が今御指摘をされましたように、株主に平等に売却の機会を与えるというTOB制度の趣旨の形骸化を招きかねないことから、立ち会い外取引のうち相対と類似した取引について、公開買い付け規制の対象とすべく、今回の法律を提出させていただいたところでございます。

石井(啓)委員 公開買い付け規制の形骸化を招くということは、法律の抜け道になる、抜け穴になるということでありますから、これは脱法行為ということでお答えになったというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 次に、今回の改正のもう一つの柱でございます、上場会社の親会社に対する情報開示の義務づけでございます。

 この点については、従前より、上場会社の親会社で非上場の会社があるということは認識をされていたわけでありますから、想定外ということではなかったと思いますけれども、従来は、子会社の上場会社の有価証券報告書において親会社の情報を開示していた、その開示の内容は十分ではなかったということかと思います。従来はそういう規制で十分というふうに判断をしていたわけでありますね。

 今回、西武鉄道とコクドとの事案が出てきて、今回改めて上場会社の親会社で非上場の場合の情報開示の義務づけをされたわけでありますけれども、こういう西武鉄道の事案が出てくる以前に、やはりこれも対応すべきではなかったのかなと。あるいは、この問題もやはり後知恵で、今になってからそういうことは言える、そういうことなのでありましょうか。その点について伺いたいと思います。

七条副大臣 この問題について、私の方からお答えをさせていただきます。

 今、石井先生も十分に御承知のとおりでございますが、投資判断にとって重要であると考えられる事項については、有価証券報告書等において随時開示を義務づけるなど、情報開示の充実を図ってきたところでございます。

 そういう中で、昨年秋以降、証券取引法上のディスクロージャーをめぐる不適切な事例において、上場会社の親会社の状況等の開示が当該上場会社に対する投資判断に当たって重要であることが、これは先ほど先生申し上げていただいたようでございますが、西武あるいはコクドという具体的な形で示されることになってまいりました。

 それに伴いまして、金融庁といたしましては、こうした点にかんがみて、親会社に係る情報開示を強制させていくとの観点から、親会社自身に開示を義務づけるべく、今回、証券取引法改正法案の提出をしたところでございます。

石井(啓)委員 今回の法改正、今申し上げました公開買い付け規制の適用範囲の見直し、あるいは上場会社の親会社に対する情報開示の義務づけ、いずれにいたしましても、具体的な、ライブドアなり西武鉄道なりの事案が出てきて、それに対応する応急対策ということになろうかと思いますけれども、今回の改正で十分、そういった現行法の穴なりすき間なりというのがなくなった、こういうふうに言えるのかどうか。私は詳しくはありませんのでわかりませんけれども、必ずしもこの証取法、今回の法改正で、当面そういう法律の抜け穴、抜け道みたいなのはなくなったと言えるのかどうか、ちょっと疑問なんですね。

 それで、この際、証取法について、そういう抜け道がないのかどうか、総合的な点検が必要なのではないかというふうに問題意識を持つんですが、その点はいかがでございましょうか。

伊藤国務大臣 証券取引法につきましては、その時々の金融経済をめぐる情勢や証券市場をめぐる状況の変化に対応して、投資家保護の確保の観点から必要に応じて改正を行ってきたところでありますが、その際には、過剰な規制によって市場の活力というものをそいでしまう、あるいは低下をしてしまったり証券取引の円滑を損なわないように留意することも必要であると考えているところであります。

 今回の証取法の改正案におきましては、現下の証券市場をめぐる情勢の変化や、あるいは昨年末のディスクロージャーをめぐる不適正な事例を踏まえて、公開買い付け制度の適用範囲の見直しでありますとか、あるいは上場会社の親会社に対する情報開示の義務づけを盛り込んだところでございますが、金融庁といたしましては、引き続き、金融経済情勢や証券市場をめぐる状況に対応して、迅速に適切な制度構築に努めてまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 引き続き迅速な制度改正に努めていくというお話であります。

 確かに、現在は想定されていないようなものであっても、今後、市場の変化、具体的に言えば、情報関連技術あるいは金融技術の発展、また新たな金融手法や商品が出てくると、現在想定されていないような新たな規制回避行為、法律の抜け道、抜け穴というのが出てくる可能性は十分にあるわけでございますね。事実、今回のライブドアの事案についても、従来は想定外のことであったということでありますから、いつそういう法律の抜け道、抜け穴を探るような行為が出てくるかわからない。今後、MアンドA等が我が国の証券市場においてもより活発化するとすると、従来よりそういう可能性はより高まってくるというふうに私も思います。

 そこで、今回の法律の中でも、五年後の見直しの規定は置いております。その規定は規定としまして、頻繁に証券取引あるいはMアンドAに携わっている専門家や実務家の意見を受けて、いろいろなアドバイスを受けて、そういう法律の抜け道、抜け穴をあらかじめふさいでおく、こういう体制といいますか取り組みも必要なのではないかと。事案が出てくるたびに後追い的な体制をとるということでは、そういうことが頻繁に行われるようでは、かえってこれは投資家の不信を招くということもありますので、公平で透明な市場をつくるためには、そういう抜け穴が生じないような、あらかじめの十分な準備といいますか体制が必要ではないかというふうに考えますが、この点はいかがでございましょうか。

伊藤国務大臣 今委員が御指摘のとおり、今後、金融技術の発展や、また新たな金融手法でありますとか商品というものが出現をいたしてまいりますので、そうしたものに対応した法制度の整備を行うために、専門家や実務家からのアドバイスを受けることは非常に重要なことではないかと考えております。

 金融庁では、これまでも法制度の整備に当たりましては、金融審議会などにおいて、銀行、保険、証券等のテーマごとに、それぞれの分野における専門家、実務家にも御参加をいただきまして御議論をいただいているところでございます。特に証券取引法等の市場法制につきましては、金融審議会金融分科会第一部会において精力的に御審議をいただいているところでございます。

 金融庁といたしましては、今後とも、こうした専門家、実務家の御意見等を踏まえて、社会経済情勢の変化等に的確に対応した法制度の整備に努めてまいりたいと思います。

石井(啓)委員 最後の質問になりますが、今回の法改正の三つ目の柱であります、外国会社等の英文による企業情報の開示であります。これは、我が国の証券市場で上場している外国会社数が年々減少している、その原因の一つで、日本語による開示、このコスト負担があるということでありますね。

 そもそも、上場している外国会社数が年々減少しているというのは、我が国の証券市場に国際的な魅力が少なくなっているということでありますから憂慮すべき事態でありますけれども、上場廃止しているというのは、恐らく日本語による開示コストだけではなくて、コストに見合うベネフィットが得られないということかと思いますので、我が国の証券市場の国際競争力を高めるためには、より抜本的な対策が必要であろうかと思います。その認識と、今後どういう対応をとられるのか、最後に伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 外国企業の上場数の減少は、日本に限らず諸外国の証券市場でも起きているものと承知をいたしておりますが、日本の市場の魅力というものを向上させ、そして国際競争力というものを向上させていくことはとても大切なことだと私どもも認識をいたしているところであります。

 東京証券取引所におきましては、外国株市場の活性化のための施策の一つといたしまして、本年二月に、外国株と内国株と同等の基準により上場することが可能となるよう、上場制度の見直しを行ったところであります。これによりまして、外国企業が二部市場に上場する際に求められる基準を緩和されるとともに、内国株とともに、一部、二部欄に掲載をされ、投資家が入手可能な価格情報が増加するなどの効果が生じているものと承知をいたしているところでございます。

 金融庁といたしましては、今回の法案に英文開示の導入を盛り込んだところではありますが、今後とも、東証等とも連携をしつつ、そして、昨年の末に策定、公表させていただきました金融改革プログラムにおける諸施策というものを着実に実施させていただいて、日本の証券市場の競争力を強化し、そしてその国際的な地位というものを向上させていくために努めてまいりたいというふうに思います。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

金田委員長 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 今回の二つの法案について質問させていただきますけれども、最初に民主党の方の証券取引委員会設置法案について御質問をさせていただきたいと思います。まだ時間配分になれていない点もございますので、そちらを優先的にということでお許しをいただければと思います。

 昨日も、代表質問、本会議において津村議員が質問をなさって、それに対して御答弁をいただいておりますけれども、昨日は、特に与党側ではというか自民党側では、前々日の郵政法案のさまざまな議論で大変寝不足であったり、あるいは御欠席の方も非常に多かったというふうに思いますので、そういった方に改めてというか、そういう方にということを含めて、昨日と重なりますけれども、最初に、そもそもの我が国証券市場の問題点について、民主党の法案提出者にお伺いをさせていただきます。

平岡議員 昨日も答弁させていただきましたけれども、我が国証券市場においては、公正性、透明性に欠けているということが大きな問題であるというふうに認識しているところでございます。

 これまでも数々の証券不祥事といいますか、不正取引が問題となってきております。株価操縦、インサイダー取引、有価証券の虚偽記載といったような数々の問題がありますけれども、こうしたことが起こっていることによって、個人投資家あるいは一般投資家の方々がこの証券市場に対する信頼を持ち得ずに、どちらかといえばプロの投資家がこの世界で活躍している。そのために、株式市場は怖いというような、あるいは株式の取引は怖いといったような印象を与えてしまっているということが大きな問題となっていると思います。その結果かもしれませんけれども、我が国の金融資産における株式の保有というのは八%にしかすぎないというふうな状況になっているということであります。

 そういう意味で、私たちは、この証券市場において投資家の皆さん方が信頼の持てるような市場にしていかなければいけないという観点から、やはりこの市場をしっかりと監視できる組織というものが必要である、そういうような視点に立って今回の法案を提出させていただいたということでございます。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 今お話をいただきましたような問題意識のもとに、今回のその法案でございますけれども、その法案がそもそも目指しているところというものはどういったものでございましょうか、お答えいただければと思います。

岩國議員 このたび証券取引委員会設置法案を提出させていただきました背景は、今までの我が国の戦後の資本市場、これはアメリカ的な法制とともに制度が輸入されたのですけれども、戦前の銀行中心の経済とその辺が非常に混乱されて、アメリカの資本主義市場というか、マーケットのシステムというものが日本に持ってこられたわけです。

 どういう混乱が起きたか。例えば経営権にしても、どこに経営権があるかということは非常に不透明であった。昔は銀行にあった。戦後、それが株主のものであるということから、株主の代表ということで、いわゆる社長、会長、そこに経営権があるかのごとく錯覚されてきました。しかし、依然として持ち合い株ということのもとに、経営権は本当は社長に存在しないで大株主にそれが存在しておったわけです。

 こういった、経営権がどこにあるかということがはっきりしないという不透明な資本主義制度のもとで、証券会社によるいろいろな株の持ち合いがどんどん進められてきた結果として、株式を買っても一般投資家は経営権を買っているという意識は全くなかった。これが、最近のライブドア、フジテレビのときに、経営権というのは株主のものなのか経営者のものなのか、だれのものなのかということが初めて問われたような結果です。

 証券取引委員会、いわゆるアメリカのSECの場合には、御承知のように、大混乱と苦悩の中に生まれたSECは、そういうマーケットを通じて不正な取引、相場操縦を徹底的に禁止することによって株主中心の資本主義というものを形成してきた。その辺が、我が国においては、残念ながら、繰り返すようですけれども、おくれてきておる。そのおくれを一歩でも二歩でも三歩でもこの機会に取り返さなければならないという思いから、私どもは、証券取引委員会を設置すべきだ、そのように思っております。

 SECの規模等についても、アメリカとは十倍ぐらいの違いがあります、市場規模もある程度違いますけれども、この十倍。さらに、その権限が違うということ。アメリカのSECの場合には、突然捜査員が会社にあらわれるんです。日本の場合には、八条委員会であるがゆえに、検察庁、法務省、金融庁、いろいろなところにお伺いを立てる。お伺いを立てる間にそれが報道され、報道つき、予告つき、隠ぺい期間つき、逃亡期間つき、こういう捜査では真相究明に非常にほど遠い、そういう思いを私たちは持っております。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 私も、今御説明いただきました背景、そして日本版のSECの必要性について認識を共有するものでございますけれども、今まさにお話がございましたように、アメリカのSEC、非常に規模も大きい、当然独立性が非常に高いということでありますけれども、そのアメリカのSECの人員あるいは年間の告発件数といったようなものをお教えいただければと思います。参考人にお願いします。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 米国のという御質問だと思いますけれども、米国のSECでございますが、定員は、私どもの承知しているところでは、二〇〇五会計年度におきましては三千八百七十一人でございます。そして、SEC関連の刑事案件、略式起訴等でございますけれども、これは二〇〇三会計年度におきましては二百四十六人・社というふうに聞いております。

田村(謙)委員 それに対して、日本の証券取引等監視委員会の人員あるいは年間の告発件数といったようなものを、対応するものを教えていただければと思います。

長尾政府参考人 米国のSECと我が国の証券取引等監視委員会では、御案内のとおり、その対象とする証券市場の規模あるいは機能等が異なっておりますので、人員、件数というのはそのまま比較することはなかなか難しい点がございますけれども、申し上げますと、日本の、我が国の証券取引等監視委員会の定員、これは、今年度、平成十七年度末におきまして、地方の財務局を含めて五百人超の体制が整う見通しでございます。それから、刑事告発案件では、平成十五事務年度では二十八人・社でございます。

 以上です。

田村(謙)委員 今御説明いただきましたように、アメリカのSECの体制あるいは実績と、それに対応する日本側の証券取引等監視委員会の人員、あるいは実際その人員での実績というのはまさにけた違いの差があるわけでございますけれども、そういった数字を見ても、かなり大きな違いがあるんだろうというふうに思います。もちろん、アメリカと日本の市場規模の違いというのはありますけれども、それ以上の差があるんではないかなというふうに感じる次第でございます。

 そしてまた、先ほど民主党側の法案提案者からも話がありましたように、人員だけではなくて、まさに権限も非常に違う。隠ぺい期間あるいは逃亡期間という言葉自体、非常に深い意味があると私は思っていますけれども、そういった状況である中でも、現体制、証券取引等監視委員会というのは十分な機能を有しているのか、そして十分な体制であるのかというお考えを大臣にお伺いできればと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 金融庁といたしましても、証券市場の信頼性というものを確保していくためには、市場の透明性、公正性というものを保持していく、このことが極めて重要だというふうに思っております。

 こうした観点からも、これまでも市場監視機能あるいは体制の強化を着実に進めてきたところでございまして、具体的には、市場監視機能の強化といたしましては、昨年六月に成立をいたしました証取法の改正法によりまして、本年四月より、インサイダー取引等の不公正取引、有価証券届け出書等の虚偽記載を対象とする新たな行政上の措置としての課徴金制度というものを導入する、本年七月からは監視委員会の検査範囲を拡大していく、さらには有価証券報告書等の虚偽記載等に係る検査、報告徴求権限を関東財務局から監視委員会に移管する、こうした機能強化に取り組んでまいりました。

 また、市場監視体制の強化といたしましては、課徴金制度の導入に伴いまして、審判官、審判手続室、課徴金調査・有価証券報告書等検査室を設置いたしまして、本年七月にはディスクロージャーをめぐる問題を専担する企業開示課を設置することといたしております。

 また、監視委員会の体制につきましては、先ほど監視委員会の事務局からも御説明がございましたが、厳しい定員の事情のもとにこれまでも増員について努力をいたしまして、この結果、十七年度末には、財務局と合わせますと五百人超の体制が整うこととなります。

 金融庁といたしましては、これらの体制を最大限に活用して、市場に対する国民の信頼というものを得るべく努力を続けてまいりたいというふうに思っております。

 なお、組織論の問題についてでありますが、近年、金融サービス分野におきましては金融コングロマリットというものが出現をしている、そして、そのことによって金融の担い手の統合や、あるいは金融市場及び商品の融合、横断化といった流れが急速に進展しています。こうしたことを踏まえますと、金融行政当局に関しましても、機能別に組織を編成することが大切なことではないかというふうに考えております。

 したがいまして、金融庁といたしましては、証券行政部門を銀行、保険行政部門から切り離して、以前のような業態別の体制に戻すことではなくて、現在の機能別の編成というものをベースにして、一元的な組織のもとで必要な改革を推進することが大切なことではないかと考えておるところでございまして、今後も、引き続き、市場の監視体制の機能、そして体制整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 どうもありがとうございました。

 先ほど民主党の岩國議員からお話をいただいたことの、ある意味では補完のような話になりますけれども、私もまさに日本版のSECが必要だという観点からその背景を若干お話しさせていただきます。

 先ほど岩國議員からお話があったようなアメリカでのさまざまな背景もあって、それで日本ではどうかというような話になるわけですけれども、まさに日々刻々と事態が変化するような証券市場において、とにかく非常に判断の迅速性が求められる。それを検察庁や刑事手続に任せると、どうしても時間がかかってしまうから、やはりそこは別の機関がしっかりと監視、監督をする、そして、機動的に法を運用する、そして市場の現場で制裁を科すという、非常にタイムリーな活動というのが重要になってくるんだろうという考えがあるわけでございまして、そういった考えのもとでアメリカのSECを初めとして諸外国の監督機関というのは活動をしているし、先ほど岩國議員からも話がありましたように、さまざまな権限を持っている。まさに刑事罰にかわるような民事制裁ですとか、今大臣からもお話があった、日本でも導入している課徴金、あるいは再発防止のための付随命令や緊急停止命令、さまざまな措置を駆使して市場の不正ないし市場犯罪に対処しているということなんだろうと思います。

 もちろん、日本もそういった同じ目的を共有していて、現在の証券取引等監視委員会というのも、一生懸命活動しているというのは私も認識をしているわけですけれども、ただ、まだまだその制裁手段というものは非常に限られているということ、あるいは審判手続というものが欠けているために、結局は、刑事告発にしても行政処分にしても常に裁判所での訴訟にたえられるかという観点から判断されてしまう。先ほど岩國議員から、結局、各省庁にいろいろと根回し等を含め妥協しなければいけない、まさに逃亡期間といったようなものがあるために、独立性がまだまだ十分ではない、どうしても法の運用も消極的になってしまう嫌いがあるという批判が多々あるというふうに私も認識をしておりますし、私自身もそういうふうに感じるわけでございます。

 その結果、結局、不公正取引というものがまだまだ野放しになっているんではないか。その一端が、最近、まさに去年、ことし、さまざまに、その氷山の一角として噴出をしている幾つかの大きな事件なんじゃないかなというふうに思うわけであります。まさに投資家の市場への信頼を回復するというためには、しっかりとした独立性や中立性を持って不公正取引ですとか違法勧誘といった違反行為をしっかりと摘発する。それが、実績にもあらわれているように、まだまだ不十分なんだろうと私も強く思うところであります。

 そういった意味で、まさに日本版のSECのように、審判機能を有して、そして多彩な制裁手段を有して迅速に法を運用することができる、そういった機関というものがぜひとも必要なんだろうというふうに考える次第であります。

 さまざまな観点がありますけれども、例えば、今回の民主党の法案についてもう少しお伺いをさせていただきますと、民主党の案においては、証券取引委員会というのを、金融庁のもとではなくて、まさに独立をさせて内閣府に置くというふうに考えていると聞いておりますが、その理由についてお話をいただければと思います。

平岡議員 お答えいたします。

 今委員の御指摘のあったように、私たちの提案しております証券取引委員会については、国家行政組織法第三条に基づくいわゆる三条委員会という形で内閣府のもとに置くことを提案させていただいております。現在の証券取引等監視委員会が金融庁のもとに置かれているいわゆる八条委員会と言われているものと比べれば、法律的にも独立性の高いものというふうに位置づけているわけであります。

 先ほど独立性の話がございましたけれども、私も昨日の答弁でも申し上げました、金融担当大臣がETFは絶対もうかるといったようなことをしても、何らこれについての追及が行われていないというような状況が発生しているようでは、本当の意味でのこの委員会の独立性というものが達成されていないというふうに思っています。そういう意味で、三条委員会にすることによって、そうした政治的な動きに対しても、しっかりと毅然と対応できる委員会であることが私たちとしては望ましいというふうに考えているわけであります。

 委員も御承知のとおり、八条委員会と三条委員会の違いというものについてはさまざまな視点があるわけでありますけれども、八条委員会について言えば、基本的には処分権限を有しないという仕組みになっているということで、現在の八条委員会である証券取引等監視委員会についても、勧告あるいは告発の権限しか置かれていないということであります。私たちは、三条委員会にすることによって、みずから処分を行うことのできる権限を有するという形で独立性の高いものとしていきたいというふうに思っているわけであります。

 もともと証券取引等監視委員会がつくられたときの経緯を考えてみますと、当時の証券不祥事の中で、コーチとアンパイアが一緒になっているというような批判の中からコーチとアンパイアの分離ということが求められてきたわけでありまして、そのことによって証券取引等監視委員会ができたわけでありますけれども、先ほどの例でも申し上げましたように、まだまだ証券市場監視機能というものについては十分な機能が果たされていないんではないかというふうに私たちは思っているわけであります。

 そういう意味で、今回の民主党案については、独立性がしっかりとある、処分権限も持った証券取引委員会として、内閣府のもとに置かれる三条委員会として設立するということを提案させていただいているわけでございます。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 まさに独立性がどれだけ確保されるかということで、結局、今の証券取引等監視委員会がしっかりと独立をしていないというのは、今、平岡議員からもお話をいただいたように、明らかな部分があるんではないかなというふうに私も感じている次第であります。

 確かに、前の大蔵省と比べた場合には、先ほど大臣からもお話がありましたように、金融庁となって、例えば人員の面で、体制の一環の人員の面で、その人員が強化されたというようなこともあると思います。ただ、それも、結局、さまざまな役所の人員において、現在総務省の行政管理局の査定に任せっきりになってしまっていて、そうすると、基本的には、各省庁、各部署が横並びで現在の行政改革のもとでは定員を削減する。ある意味では、それをかわすために金融庁という独立したものがあると人員が確保しやすい。そして、証券取引等監視委員会というしっかりした名前の組織があれば、それなりに人員が確保しやすい、理由も立ちやすい、まさに行政管理局の査定官を説得しやすい。そういう事情は、私も中におりましたから十分わかりますけれども、それは、本来、まさに大臣を初めとする政治のリーダーシップがあれば、しっかりとしためり張りをきかせた人員配置ができるんだろうというふうに私は考えるわけでございます。

 そういった中で、今回、民主党の法案では、日本版SEC、当然、規模を拡大するということになるんだと思いますけれども、多くの人材というものをどういったところから集めてくることを考えていらっしゃるのか、イメージを教えていただければと思います。

    〔委員長退席、遠藤(利)委員長代理着席〕

岩國議員 田村委員の御質問にお答えいたします。

 先ほど伊藤大臣の方から、人数的には五百人と。向こうの規模と比べると、現在は四対一、過去においてはもっと接近したときはありました。したがって、五百人というのは数字的には一つのめどだろうと思いますけれども、問題は、今田村委員のおっしゃったように、どういう経験、どういうキャリアを持った人から集めてくるかということが非常に大切ではないかと思います。

 先ほど平岡委員の方から八条委員会ではなくて三条委員会、これは八条委員会以上に独立性が強く、より多くの権限を持つ、独立性と権限を持つということは絶対的に必要なんです。そういうところでなかったら、逆に人材は集まらないわけです。相手がコングロマリットになるからこっちもコングロマリットみたいに横断でやりましょう、こういうチープな発想から政府が考えられているとしたら、これは大間違い、いい結果は出てこないと私は思います。

 金融はいろいろな業務を兼業していく、そういう流れもあるでしょう。だからといって、証券の仕事が本当にわかっている人間でなければ、保険の仕事はふえた、不動産の仕事はふえた、銀行の貸し付けがふえた、個人ローンがふえた、さあ相手はコングロマリットになったから、こっちも少し間口を広げましょうか、そういう問題ではないんですね。証券の取引というのは、鋭く、早く、深く、この三つがキーワードだと思うのです。この三つがこなせないような人を幾ら集めてみても、組織を横断的につくってみても、何の役にも立たない、これが私がウォール街にいて得た実感であります。

 したがって、人材をどこから採るかということは、その前にどういう組織をつくってみせるか、権限と組織があるからやりがいのある仕事なんだということでもって、優秀な人材が今の給料を捨ててでも公のために働きたい、そのような組織と環境をつくらなければ、今の八条委員会では、どんなにかねや太鼓をたたいても、やる気のある人材は集まらない。私はそれは断言しておきます。

 そして、金融がコングロマリットになればなるほど、日本的SEC、今は日本的SECになっていますけれども、日本版SECの規模も大きくしなければならないのか。ある程度は必要でしょう。しかし、やはり質と能力だと私は思います。金融サービスというのは、今我が党が考えているように、投資家保護法案なりあるいは金融サービス法案なり、そういった法案で対処できるものがほとんど。しかし、企業の経営権をめぐるような高度な取引というのは、独特の日本的SEC、三条委員会のもとで、権限と能力を持ったSECが設置されなければ永久に後手後手に回る、そのように私は思います。

 アメリカでSECをつくったとき、田村委員も御存じだと思いますけれども、一九二九年、アメリカの株式市場は絶頂期にありました。そのバブルの中で、不正がたくさん行われておったのです。まさにやりたい放題。その中で一番有名な、悪名をとどろかせておったのがケネディ大統領のお父さんだったのです。そのジョセフ・ケネディは何をやっておったか。あらゆる風説を流し、あらゆる相場操縦を起こし、そして市場を結果的には混乱させました。そのとき大統領になったのが、フランクリン・ルーズベルト大統領。フランクリン・ルーズベルト大統領は、アメリカ経済の再生のためには、アメリカの資本主義、アメリカの市場を透明、公正なものに立て直さなければならない、そういう決意のもとに大統領がつくったのがSEC。問題は、だれを委員長にするかということなんです。人の問題。

 フランクリン・ルーズベルト大統領が指名したのは、ジョセフ・ケネディだったのです。アメリカの社会があっと驚く人事。しかし、これこそが一番の名人事だったのです。初代のSEC委員長に任命されたジョセフ・ケネディがやらなきゃいけないのは、自分がやってきたことを全部禁止することだったのです。彼は、何をどうやれば不正が起きるかということを一番熟知している人間。それを初代の委員長にした。アメリカのSECの栄光の歴史はそのときから始まった。これがアメリカで一番よく知られているSECの誕生の歴史です。私は、日本の場合にも、ジョセフ・ケネディに相当する人材には事欠かないと思います。永田町にもあるいは兜町にもそういう人はいるでしょう。

 しかし、そこまでいかなくても、八条委員会を三条委員会にして権力を持たせる、そして独立性を持たせる。人材は必ず集まると思います。内外の経験を持った若い人もベテランもいらっしゃるでしょう。まず、そういう日本のSEC、日本的SECが日本版SECになったというメッセージ、それが優秀な人材を集める最高の手段だと私は思います。

    〔遠藤(利)委員長代理退席、委員長着席〕

田村(謙)委員 私も大変勉強になりました。ありがとうございます。

 まさに今岩國委員がおっしゃったように、人材というものは非常に大きいというふうに思います。アメリカのSECの初代のトップにそのような大抜てきをする、そこはなかなか今の日本の政権では望むべくもないというふうに思いますけれども、人材と組織論というのは当然絡んでくるわけでありまして、先ほど大臣がおっしゃったような金融のコングロマリット化が進んできて一元的にやっていく必要があると、確かにそこは、例えばイギリスは、私もまだ不勉強でありますけれども、イギリスはそのような体制でやっている、そしてそれなりの成果を上げているということも私は聞いているわけでございます。

 しかしながら、先ほど平岡委員からも話がありましたけれども、そもそも金融監督庁ができた際には、企画と検査監督を分離する検査監督分離論というものが主流というか採用されて、金融の企画部門は大蔵省に残って、検査監督機能については独立をして金融監督庁になったはずであったのが、中央省庁再編という大きな議論になったら、いつの間にかそれは忘れられて、金融制度の企画立案機能は大蔵省と切り離して、もともと切り離すという議論が採用されたはずだったのに、結局、検査監督部門と一緒になって金融庁になったという経緯があります。それを証明するように、まさに当時の政権、当時の大臣を初めとする与党の方々が、しっかりと認識を持っていなかったというのがそれに端的にあらわれていると私は思っているんです。

 そこで、まさに人材という話になるわけですが、現在の証券取引等監視委員会の幹部――課長補佐には金融庁のプロパー、いわゆるベテラン、ノンキャリアと言われている方々が係員からずっと上がってきて課長補佐になる、そういう方ももちろんある程度いらっしゃいますけれども、課長以上あるいは課長のすぐ下の筆頭補佐に当たる幹部の方々というのは、ほとんどの方がいわゆるキャリア、それも財務省のキャリアで占められているという状況にあるのは、大臣はもちろんよく知っていらっしゃると思いますし、私も、私の知っている人がたくさん行っていますので、よく知っていることではあります。全く関係ない、それも金融と全く別のところからいきなり証券取引等監視委員会に来て、もう目の前にある課題に手いっぱいになってしまって、まさに中長期的に証券市場をどういうふうに活性化していくかという視点からどういう対策を講じていくのかということも余り考える余裕もないまま、一年、二年が終わって、またすぐローテーションがあってほかの部署に移っていく。

 それが、そもそも財務省と金融庁で分離するというときにも、ある程度金融の専門性、人材という意味で金融の専門性が必要だから、ある程度幹部のレベルでは人間を切り離す、もともとは大蔵省出身であっても、金融庁に行ったらずっと金融庁にいるというふうに、切り離すということが相当議論されてそういうふうになったはずが、最近は人事、ローテーションに関してもどんどん形骸化をしてしまっていて、金融の専門性のためには金融庁にずっと長く幹部もいなければいけない、幹部に限らず実践部隊である課長補佐もいなければいけないという議論がすっかりおざなりになってしまっているという現状を私も小耳に挟んでいるわけであります。そういった現状で、結局、今の組織では、先ほど岩國委員から話がありましたような、本当の専門性、まさに鋭く、早く、深く対応する、そういった人材というのは育たないというふうに私も考えるわけであります。

 そこはしっかりと人材の面でも独立をさせる、それを別機関にして、財務省から一人も入れるな、あるいは金融庁から一人も入れるなと言うつもりは私はもちろんありませんけれども、しっかりと人材を育成するとともに、もう既に現場での経験を積んでいるような方をどんどん入れていく、そういった機関を、金融庁と独立した機関をつくる必要があるというふうに私も強く認識する次第なんですけれども、そこで、同じ質問になってしまいますけれども、そういった観点を踏まえて大臣はいかがお考えになるでしょうか、改めてお伺いをさせていただきます。

伊藤国務大臣 今、委員からは非常に多岐にわたる重要な論点についてお話があったというふうに思いますし、また、提案者の岩國委員からも、私どもがお伺いをしていても大変大切なお話がされていたというふうに思っております。こうした議論をやはり大切にしながら、また、議論を積み重ねながら、市場の監視機能あるいは体制というものをさらに整備していく必要があるというふうに私自身は認識をいたしているところでございます。

 まず、人材の問題でありますが、人材は大変重要であるということは、私も全く同じ問題意識を持っております。今の金融庁の体制あるいは監視委員会の体制で、財務省からお見えになられた方々がすべてかというと、そうではなくて、会計士の方でありますとか弁護士の方でありますとか、そうした専門家の方々にも金融庁や監視委員会の組織を支えていただくということを積極的に行っているところでございますし、また、ローテーションの問題もございましたが、今の金融庁の幹部というのは、金融庁が発足して七年になりますけれども、金融庁の発足当時から金融庁を支えてきた、そうした人材が今金融庁の幹部として活躍をされているところであります。しかし、やはり金融庁として人材というものを育成していくということは非常に重要なことでありますので、私も、そうした問題意識の中で、今後の金融庁の体制というものをしっかり整備していきたい、人材の充実に努めていきたいというふうに思っております。

 また、監視委員会のあり方でありますが、先ほど来議論になっている市場監視機能の独立性というものを確保していく、これは極めて重要なことであるというふうに思っております。そして、もう一つ大切なことは、市場行政の二元化、ここにかかわる諸問題というものを回避していく、そうしたことから、国家行政組織法の第八条に基づく委員会として証券取引等監視委員会が設置された、そうした経緯であったというふうに承知をいたしております。

 その独立性の問題や、あるいは機能というものが十分ではないんではないか、そうした御指摘がなされているところでありますが、監視委員会は、行政処分権は有しないものの、金融庁設置法上、証券会社の検査等の結果に基づいて金融庁等に行政処分を求める勧告を実施できることとされており、また、規則制定権は有しないものの、金融庁設置法上、証券会社の検査等の結果に基づいて金融庁等に建議を実施できることとされておりますので、このように、金融庁は監視委員会の職権行使に介入することなく、また、私の通常の権限のもとにはありません、勧告や建議に基づいて市場行政を運営していく仕組みとなっているというふうに考えております。

 また、コングロマリットについても先ほどお話がございました。私も、日本版SECの問題については、金融行政を担当させていただく前、勉強会に参加をさせていただき、またニューヨークのSECの方々とも意見交換をさせていただいたことがございます。そうした意味で、民主党の方々がこういう提案をされる背景については承知をいたしているところでございますけれども、金融行政をこの二年半担当させていただいて、先ほどコングロマリットの問題については、これはチープな発想、そういう強い意味で岩國委員からお話しになられたことではないというふうに思いますけれども、コングロマリットの問題は、海外の金融当局の方々と意見交換をしていても、これは重要な問題だというふうに私自身は実感をいたしておりますし、また、そうした観点から、先ほど委員から御紹介がございましたように、イギリスにおいてはやはり一元的な組織のもとで対応していく、そうした組織の中で、イギリスの市場というものも、これは国際的な主要な市場でありますから、その中でしっかりとした機能がなされているんではないかというふうに思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、市場監視機能の強化、そして体制の整備というものは非常に重要なことでありますし、金融審議会におきましても、投資サービス法の議論におきまして、その中の重要な論点としてこうした問題についても議論をしていくということでありますので、こうした金融審議会の議論にも注視をしながら、私どもとして、この機能や体制整備について不断の努力を続けていきたいというふうに思っております。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますけれども、結局、今の財務省と金融庁、金融庁の中に証券取引等監視委員会があるという中で、人材をどのように、本当に専門性の高い人材をいかに幹部に登用するかということは、それが今のようなローテーションではなかなか難しいだろうというのは、はたから見ていても非常にわかるところであります。特に、金融というのはさまざまな政策の中でも非常に専門性が高いということは、私自身が財務省にいたといっても金融部門の経験が非常に少ないために今勉強に非常に苦労をしているというところからも実感をするところでありまして、幾ら優秀な財務省の人であっても、二年三年、あるいは三、四年、長目に言って五年でもいいですけれども、五年間金融部門にいたからといって、しっかりと現場を含めた深い知識、判断力が備わるとはとても思えないということを重ねて申し上げさせていただきたい。

 確かに、大蔵省から分離をして金融庁に独立をしてから、今は金融庁のプロパーのまさにI種のキャリアの人がいるという、採用しているわけですけれども、そういった人が幹部になるのは十五年以上先なわけですので、それまで待っていては、ますます日本の証券市場というものも活性化されないまま、信頼を回復しないままに時が過ぎていくんではないかという危惧を私も強く持っている次第であります。

 そして、独立性に関してまた改めて申し上げると、今の証券取引等監視委員会、まさに伊藤大臣の下にあるわけでありますけれども、しっかりと独立をする。それは、先ほど平岡委員から前大臣の発言の話がありましたけれども、政治家や経済人といった大物に対してもしっかりと対応していく。とにかく、政治に振り回されない。そういった独立性というものがあってこそ、市場の信頼というものは回復できるんだろう、そういう面も非常に強くあるんだろうというふうに私も考えていることを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 日本版SECの民主党の提案についてはこれぐらいで終わらせていただきまして、政府の法律案について質問をさせていただきます。

 まず、公開買い付け規制の適用範囲の見直しでありますけれども、先ほど石井議員との議論でも話に出ていましたが、今回の改正というのは、ライブドアのニッポン放送の株式買い付けの話があって、急遽慌てて対応したというのが明らかなような、ある意味ではつけ焼き刃の対応のようにも見えるわけですけれども、そもそもこういった立ち会い外取引について、ある意味で公開買い付け規制の脱法的な行為ができるというような問題点というものを以前から把握していらっしゃったのかどうか、そのことについてお伺いをさせていただきます。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のありました今回の公開買い付け制度の適用範囲の問題でございますけれども、いわゆる立ち会い外取引というのは、平成九年の導入以降、一般に機関投資家のポートフォリオの入れかえ、あるいは持ち合い解消、さらには自社株取得等の取引に使用されております。今回のように会社支配を目的とした大口の買い付けに用いられるということは、想定をして導入されたものとは私ども承知しておりません。

 しかしながら、今回の立ち会い外取引、その使い方によって会社支配を目的とした大口買い付けにも利用することが可能でありまして、これを放置すると公開買い付け制度の形骸化を招きかねないということから、今回、証券取引法の改正法案を提出したところでございます。

田村(謙)委員 いつから把握していらっしゃったのか、ちょっとはっきりわかりませんでしたけれども、恐らく、何となく認識していた人もいれば、そうでない人もいたのかなと。結局、認識していた人も、問題が起きていないし、実際ライブドアのような大胆な行為に出る企業はなかったわけですから、そういった法整備というのは抜け穴はあっても大丈夫だろうというふうに思っていた人がいたか、あるいはそもそもそういう認識を持っていない人がいたか、それはまさに二、三年のローテーションで担当者によって違ったのかもしれませんけれども。

 今回のライブドアの件で急遽対応なさるということのようですが、昨日の本会議でも、伊藤大臣が、公開買い付け制度に関する質問は日常的に金融庁に寄せられており、これに対しては、従来から、立ち会い外取引は現行法上基本的には公開買い付け規制の対象とされていない旨の回答を行っているところですという答弁をしていらっしゃったと思いますけれども、個別な話はお答えできないということになるのかもしれませんが、例えば一般論として、立ち会い外取引によって大量の株を買収するというようなことが公開買い付け規制の対象となるかどうかといったような問い合わせというのは、最初に受けたのはいつごろでいらっしゃいますでしょうか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の御質問の公開買い付け制度の、いわゆる立ち会い外取引の取り扱いということでございますが、公開買い付け制度の適用範囲の解釈をめぐる一般の方からの御質問というのはいろいろな形で日常的に寄せられているということもございまして、今のような御質問の、いつごろから寄せられているのかということについては正確にお答えすることがなかなか難しいということでございまして、そういうことを御理解いただければというふうに思います。

田村(謙)委員 現状がそのようであることは十分に理解させていただきますが、結局、実際、過去にそういう問い合わせがあったのかどうか全くわからないということでありますけれども、先ほどの人材の話にも連動すると思うんですけれども、担当者というのがくるくるかわってしまう、担当者の継続性が非常にないために、仮に問い合わせがあったとしても、自分の任期が終わって別のところに行けば、それが次の担当者には引き継がれないというような部分も恐らくあるんだろう、あるいはそういった面が多々あって、今回の件も今まで対応されていなかった可能性もあるんじゃないかなというふうに私は想像もする次第であります。

 そういった意味では、今回の件もある意味で後手後手の対応というふうに言えると私は思うんですけれども、大臣はいかがお考えになるでしょうか。

伊藤国務大臣 これは、先ほども答弁させていただきましたように、証券取引法につきましては、その時々の金融、経済をめぐる情勢や証券市場をめぐる状況の変化に対応して、そして、投資者保護等の確保を図る観点から、必要に応じて改正を行ってきたところであります。その際には、過剰な規制によって市場の活力というものをそいでしまうあるいは低下してしまうことがないよう、また、証券取引の円滑性というものを損なわないようにしていく、こうした点にも留意をすることも大変重要なことであるというふうに考えているところであります。

 今回の改正案につきましては、現下の証券市場をめぐる情勢の変化に対応していくため、取引所の立ち会い外取引のうち、相対取引と類似した取引についてTOB規制の対象とするものであります。

 金融庁といたしましては、今後とも、市場の動向というものを注視して、そして金融経済情勢や証券市場をめぐる状況に迅速に対応し、適切な制度構築に努めてまいりたいと思います。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 今回の件に限らず、今まで金融庁が適切に必要に応じて先も見越して対応していらっしゃったら、日本の証券市場ももっとはるかに活性化をしていたのではないかなというふうに私は強く思っているんですけれども。例えば、必要に応じて規制をかける。確かに、市場において規制というのは非常に重要なわけですけれども、その一方で、過剰な規制というのは当然控えなければいけない。そのバランスの問題になるというのは、まさに大臣のおっしゃるとおりだと思います。ただ、仮にその観点から考えた際に、今回はライブドアがそういう抜け穴に近いような形で行った、それに関して批判もあった、だからそれは必要なんだ、要は過剰な規制ではないんだというふうにも聞こえなくはないと私は思うんです。

 そこで、今回の改正案においては、まさに立ち会い外取引、ライブドアがやったような行為については公開買い付け規制を適用するというふうになさったわけですけれども、その議論に関し、例えば、立ち会い外取引で三分の一のちょっと手前まで買い付けをして、その後三分の一を超える分を立ち会い取引ですぐに買い付けるといったようなことも、例えばです、そういった脱法的な行為というのは考えられなくはないなというふうに思うんですが、結局、モグラたたきなのか、どこまでが過剰な規制なのか。議論として、実際、そういった脱法的な行為というのは考えられるのではないかということについてはいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 例えばということでございますので、その御指摘の点については、やはりケースごとに具体的な検討が必要であるというふうに考えております。

 一般論としてお答えをさせていただくとするならば、あらかじめ三分の一を超える株券等を買い付ける意図を持って、初めに三分の一ぎりぎりまでの株券等を取引所市場外で買い付け、その後、残りの株券等を取引所市場で買い付ける場合、当該三分の一を超える買い付け全体が一つの買い付けであるとみなされるような脱法的なケースにおいては、この買い付け全体または取引所市場外分を公開買い付け規制の対象と解する余地があるものと考えております。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 実際、ライブドアの具体的な件があって、それを規制する、規制の網をかけるというだけじゃなくて、まさに今大臣がおっしゃったように、幅広く、それも過剰ではなく、過剰ではないというのは非常に重要だと思いますけれども、将来あり得るようなケースもしっかりと想定をした上で、今回の規制についても整備していただきたいというふうにお願いをさせていただきます。

 また、その関連としまして、脱法的な取引行為ではなくて、また別の観点になりますけれども、立ち会いクロス取引というものがあります。取引所における立ち会い取引による売買のうちで、同じ証券会社が同じ銘柄に同じ値段で同じ数量の売り注文と買い注文を同時に出して、意図的に一挙に売買を成立させるというような取引が立ち会いクロス取引ですけれども、そのクロス取引を利用して有価証券、株などを売買しようとする人というのは、あらかじめ予定する売買の価格及び数量、そして時には売買取引をなすべき有価証券市場及び時間について合意をして、それを指示して同一の証券会社に売買取引の委託をする。そういった場合、有価証券市場における当該銘柄の有価証券の売買取引の状況によりますけれども、しばしば予定の価格及び数量でクロスによる売買取引が成立して、結局クロスを利用してその売買を達成することができる。そのクロス取引によって三分の一を超えるような株を一挙に取得することができるというのは、前から問題点として指摘をしている人が、識者がいらっしゃいますけれども、それについては今回の規制の抜け道として利用されるといったようなことがないのかどうか、お考えをお伺いします。

伊藤国務大臣 今、委員から御紹介がございましたが、立ち会いクロス取引とは、立ち会い内において同一証券会社が売りと買いの注文をほぼ同時に出す取引であり、取引所市場内の取引と承知をいたしております。

 取引所市場における売買につきましては、基本的には、証券取引所の自主ルールによる売買管理のもとに公正な取引の履行が確保されているものと考えられること、また、価格変動、売買数量等の情報が証券取引所により公表され、そして、投資者はそうした情報に基づいて投資判断することができることから、今回の法案においてもTOB規制の対象とはしておりません。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、市場の動向というものを注視して、市場の公正性、透明性の観点から措置を講じる必要性が生じれば適切に対応をしていきたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 とにかく、今回のライブドアの件のように、また何か具体的な事例が起きて、それによって問題が非常に顕在化をされて、またその部分だけ対応するというような、後手後手、つけ焼き刃の対応にならないように、その点はしっかりと今後も早急な検討をしていただきたいというふうに私の方からお願いをさせていただきます。

 さて、次に、上場会社の親会社に対する情報開示の義務づけに関連してでありますけれども、昨年の十一月に、金融庁から金融審議会の金融分科会第一部会ディスクロージャー・ワーキング・グループに対して、四つの具体的な検討の要請があった。その四つというのは、財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者の評価と公認会計士等による監査のあり方、二つ目が継続開示義務違反に対する課徴金制度のあり方、三つ目がコーポレートガバナンスに係る開示の充実のあり方で、四つ目として、今回改正案の中に入っている、親会社が継続開示会社でない場合の親会社情報の開示の充実というのを取り上げたわけでありますけれども、結局それだけが今回の改正案に取り上げられていて、例えば二点目に取り上げられている継続開示義務違反に対する課徴金制度というものが今回は見送られているということになっているわけですけれども、それについて若干お伺いをさせていただきます。

 そもそも、金融審議会で非常に前向きに検討をしていらっしゃったはずで、金融審議会の報告書を見る限りでは、もうすぐに導入するんだというふうに、すぐにでも導入するというに近いような表現ぶりがされていたと思いますけれども、結局、継続開示義務違反に対する課徴金制度が今回法案に盛り込まれなかった理由をお伺いいたします。

伊藤国務大臣 金融庁では、これまでも有価証券報告書などの継続開示書類の虚偽記載に対する課徴金制度の導入に向けて法制面の詰めの作業を行ってきたところであります。しかしながら、現行の証取法の体系のもとで継続開示義務違反に対する課徴金制度を導入するには、課徴金制度の導入の基礎となる、違反行為により得られた経済的利得の内容及び算定方法、課徴金と刑罰規定との関係など、引き続き慎重に検討をすべき課題が少なくないことから、今国会に提出した証取法改正案では、継続開示書類の虚偽記載に対する課徴金制度の導入を盛り込むには至らなかったところであります。

 金融庁といたしましては、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入の検討自体を断念したわけではありませんので、今後、さらに検討を深めていきたいと考えております。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 今大臣が、断念したわけではない、前向きに検討していきたいというふうにおっしゃっておられましたけれども、そうしますと、前向きに検討なさって、いつごろをめどにその実現を考えていらっしゃるのでしょうか。

伊藤国務大臣 まず、検討に当たりましては、金融庁内においてこれまでの検討の経過というものを整理して、その上で今後の対応というものを考えていきたいというふうに思っておりますので、現時点においてスケジュールについて具体的なことを申し上げる段階にはございません。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 先ほど大臣の方からお話もございましたけれども、金融庁が断念をした、先ほど大臣が御説明した理由というのも、そもそも、法案をつくって内閣法制局に金融庁から持っていったところ、そこでそういった問題点を指摘されたというふうに聞いていますけれども、改めて法制局の方に、課徴金制度についてどういった根拠でどういった問題点を指摘なさったのかということをお伺いさせていただきます。

山本政府参考人 御説明申し上げます。

 この問題を申し上げる前に、そもそも現在の課徴金制度はどういうものかということをまず申し上げたいと思うんですけれども、現行の課徴金制度というのは、カルテルやインサイダー取引、そういった経済的利得を目的とする法令違反につきまして、違反行為によって得られる経済的利得相当額を基準とする金銭的負担を課すことによりまして、違反行為がいわばやり得になるということを防ぐとともに、違反行為の防止という行政目的を達成するというものでございます。

 このようなものである限り、現行の課徴金制度は、その目的のために必要なものということで、憲法三十一条が規定する適正手続の要請にも合致しておりますし、また、その趣旨、目的、手段などを前提といたしますと、憲法三十九条後段が規定する二重処罰の禁止との関係も問題にならないというふうに理解しております。

 それでは、この継続開示書類の虚偽記載についてはどうかと申しますと、まず、それによって得られる経済的利得というのはあるのかどうか、それから、あるとしてそれは一体何か、そして、それをどうやってその水準を算定するのかということが実は必ずしも明らかではないということでございまして、そもそもこの課徴金という制度が違反行為の防止という目的のために必要かつ適切な手段であって、憲法三十一条や、とりわけ憲法三十九条後段との関係で問題がないかどうか、しばらく時間をかけて慎重に検討すべきものというふうに考えた次第であります。

田村(謙)委員 どうもありがとうございました。

 この件についても民主党として非常に問題意識を、民主党は、私に限らず民主党の各委員が問題意識を持っていますので、そういった今の法解釈についての深い議論というのはほかの議員もすると思うんですけれども、若干違う視点で一言だけ私の考えを申し上げさせていただきますと、そもそも内閣法制局の存在意義という話になるわけなんですけれども、例えば、先日レクにも来ていただきました金融庁の担当の内閣参事官というのは、財務省からの出向者で、二、三年のローテーションという中では、たしか大体四、五年ぐらいその参事官をなさいますので、長いとはいっても、それはもともと財務省の人であって、決してあらゆる法制についてのプロではないというのは、そもそも法制局全体について言えるんだろうと思います。

 そういった人たちがやっている法制局が、ある意味で内閣の法制局なのにかなり独立性を持っているというのは、先ほど証券取引等監視委員会の独立性の話になりましたけれども、そこが私は非常におかしいなというふうに思っておりまして、その点に関して、別に金融庁の後押しをするわけではありませんが、結局法制局に負けて今回断念したというのは、現在の非常にいびつな組織体、まさに法制局の存在意義を含めてさまざまな問題点が出てきた一つの発端なんだろうというふうに私は真剣に思っております。

 法制局に関してもう一言言うのであれば、別に国会の中に法制局があればそれで十分なんだ、本当に憲法に疑義があるかどうかというのは裁判所が判断するという話なんだろうというふうに思います。憲法九条に限らず、法制局の見解というのがよくいろいろ出されますけれども、柔軟な解釈をする場合もあれば、今回のように憲法の疑義ということではねるというのはいかがなものなのかなというふうに一言だけ申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 時間も限られてまいりましたので、今回の法律案には直接関係しませんけれども、最近出てきた話として、そういう意味ではちょっとそれるわけですが、ちょうど民主党側の委員もいらっしゃいますので、それぞれの見解をお伺いしたい。カネボウの粉飾決算の件であります。

 ごく最近の話で、民主党としても今まさにヒアリングをしている途中でありますので、私も明確な意見というのはまだ固まっていない部分もありますけれども、過去何年にもわたって決算の間違いがあった。そういった中で……(発言する者あり)そうですね。間違いというか、まさにそれを隠していた、債務超過を含めさまざまなことを隠していたという事実が明らかになった中で、それでも引き続き再生機構は支援を継続するというふうにおっしゃっているわけですけれども、その理由というものを大まかに教えていただければと思います。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 産業再生機構でございますが、機構は、支援決定時におきます実態としての財務状況等を把握するとともに各事業の将来に向けての収益性を精査することによりまして、事業の再生可能性を判断することといたしてございます。

 お尋ねのカネボウにつきましても同じでございまして、支援決定時におきます実態としての財務状況等を把握いたしまして、再生可能性を見きわめた上で支援決定を行っております。過去の決算の訂正自体が機構の支援の前提に影響を与えるものではないと承知いたしております。

田村(謙)委員 御説明がいまいちよく理解できない部分もあるのですけれども、時間も限られていますので、問題意識の提起という意味で淡々と進めさせていただきます。

 ほかの論点として、そもそも上場廃止になるのではないかという話があると思います。まさにきょうの民主党の部会のヒアリングでいただいた資料にも、上場会社が財務諸表等または中間財務諸表等に虚偽記載を行い、かつ、その影響が重大であると東京証券取引所が認めた場合には上場廃止に当たるというような基準を出していらっしゃるわけですけれども、それについては再生機構としてはどのようにお考えでいらっしゃるのでしょうか。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 産業再生機構に持ち込まれました事業にございまして、まさに事業再生が可能と判断されます案件につきましては、東京証券取引所におきます上場基準についても、その条件が緩和されるということになってございます。この理由は、そもそも、先ほど申し上げましたが、この事業が現時点から将来にわたってまさに事業再生可能性ありということを前提にして判断された決まりであるというふうに承知してございます。

 したがいまして、何度も申し上げるようで恐縮でございますが、過去のいわゆるそういう決算、活動に伴う影響というものを前提としておるものではないというふうに承知いたしてございます。

田村(謙)委員 将来将来ということで、過去のことはどうでもいいというように聞こえるのですけれども、それについて、ちょうど民主党側の委員もいらっしゃいますので、民主党の法案提出者の御意見をお伺いできればと思いますが、いかがでしょうか。

岩國議員 田村委員の御質問にお答えします。

 カネボウの経緯について我々もいろいろなところから情報を集めておりますけれども、まず、機構が支援を決定した段階でどの程度決算数字を検証しておったか、その点について大いに疑問があるのですね。支援を決定してから調べてみた。そして、五月三十一日にいろいろな数字がわかった。十月二十八日にさらに詳細な発表がなされた。一般に、投資家、一般の株主は、政府の機構である産業再生機構が支援を決定し、さらに中へ入って数字も洗って、こういう点がおかしかったと発表すれば、もうこれ以上おかしいところはないだろうと思うのが十月二十八日です。十月二十九日からは産業再生機構なる政府機関とカネボウとの共同犯罪だ。共犯が成立している。その共犯関係のもとに、またこの四月になってそういう数字が出てきたというふうにこれを認識しなければ、こういうことはこれから後を絶たないと私は思うのです。

 政府が支援決定し、それをマーケットに伝える、中へ入って調べる、台所まできちっと精査してこれ以上おかしいところはありませんと言わんがばかりの発表をしておいて、安心してその株価でもって一般投資家を勧誘し、また今度は二段仕掛けでこういうことが行われる。この点についてはもっと慎重であるべきだ、私はそのように思います。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 今御説明いただきましたように、さまざまな問題がある中で、結局、そのような対応をしていては、幾らほかの、今回の改正案で幾つかの項目がありますけれども、そういった改正をしても、証券市場の信頼というのはなかなか回復できないのだろうということを一言御指摘をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

金田委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 今回の法改正について幾つかの観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、財務省に冒頭お伺いをしておきます。

 G7において、中国人民元の為替レートの柔軟性に関して我が国が示した姿勢。この委員会でも何回も指摘をさせていただきましたが、ドルにペッグをする、為替が非常にフレキシビリティーを持っていないことによって、経済の安定、市場の安定といったことのみならず、中国の国内においては、沿岸部と内陸部の格差、それから輸入業者と輸出業者の格差、さらに加えて言えば、富める者と貧しき者との格差、あるいは産業構造の改革の進展を遅らせ、ひいては、隣国でそういう状況になると、我が国のさまざまな産業についても大変大きな影響を与えるばかりではなくて、世界経済についても大きなリスクヘッジの要因になるというふうな認識を私は示して、これはよその国の内政に干渉する問題ではなくて、通貨の問題というのは、自国の単なる主権の問題にとどまらず、広く世界の経済の秩序にかかわる問題だという認識を持って発言をしてきたわけですが、今回、G7においてアメリカを中心としてさまざまな国から、フレキシビリティーの低さについて、つまり、元がドルとペッグをしていることについて、いつまでそれを容認していけるのかといったことについて議論があったと思います。そこで我が国政府がとった姿勢についてお尋ねをしたいと思います。

井戸政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のG7におきましても、委員御指摘のとおり、今回、世界経済の見通しの議論の一環といたしまして、中国経済についての議論が行われました。その中で、為替レートの柔軟性についても意見交換が行われたわけでございます。

 我が国といたしましては、今回、あるいはこれまでのG7声明にございますとおり、為替レートの柔軟性を欠く主要な国、経済地域にとって、そのさらなる柔軟性が国際金融システムにおいて市場メカニズムに基づき円滑かつ広範な調整を進めるために望ましい、こういう基本的考え方に基づきまして、中国政府が国内の諸情勢等を勘案しつつ、人民元の問題について適切に対応できるよう、今後ともさまざまな場において意見交換等を進めていきたいと考えております。

 今回の一連の会議におきましても、こうした考え方に基づきまして対応してまいったところでございます。

原口委員 七カ国財務大臣・中央銀行総裁会議の声明の骨子、ポイントにありますように、「我々は、為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきであることを再確認。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない。我々は、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力していく。この文脈において、我々は、為替レートの柔軟性を欠く主要な国・経済地域にとって、その更なる柔軟性が、国際金融システムにおいて市場メカニズムに基づき円滑かつ広範な調整を進めるために望ましいことを強調。」

 ここで言う「為替レートの柔軟性を欠く主要な国」というのは、どこを指しているんですか。

井戸政府参考人 G7の慣例といたしまして、こういう場合に個別の国の名前を直接発言するということは慣例とされておりませんので、申しわけございませんが、国名について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

原口委員 私は、そういう慣例がG7で本当にあるのか疑問であります。

 なぜならば、その議論の中で、フレキシビリティーを欠く国というのはまさに中国であり、そしてこれは外交的な配慮で、まさに名指しをすると中国がかえって態度をかたくしてみずからの意思決定をおくらせるかもわからないということでこういう声明文になっている。それを主導したのが我が国であるということは、私は、これは直接また財務大臣ともスタンスを議論しなきゃいけないと思います。

 私は、外交のさまざまなところでは自分たちの意思を明確に示すということがとても大事なのではないかと思います。今回の法改正の中でも、例えば、相互主義といいながら、日本では米国の会計基準を認めていますが、アメリカの側では日本の会計基準が認められているかというと、そうではないわけです。その中で、この三番目の改正の柱が出てきている。東京市場、日本の市場をさまざまな人たちにオープンにし、そしてそこに資本を呼び込むためには必要な改正だと思いますが、その前提として、ルールにおける競争で我が国が負けてくることは絶対にあってはならないということを指摘しておきたいと思います。

 さて、そこで、法案の部分について少し議論をしたいと思いますが、財務省、今ので何か反論ありますか。――ありませんか。

 証券取引法改正について、本年三月三日の金融審議会における証取法の改正についての議論について、どういう議論が出たのか。

 私たちは、先ほど田村委員が質疑をしましたように、証券の継続開示義務違反、このことについてしっかりとした市場の透明性、公平性、それから岩國先生がよくお話しになりますが、エクイティーというのは平等である、すべての株主に対して平等性を認めている、あるいはその権利を保障するということが大事だと思いますが、その法案は出ずに今回のTOBの規制が出てくるということにやや唐突感を感じます。

 この三月三日の金融審議会において、皆さんは急遽、TOB規制についてのペーパーを見せて、その一日の審議会でもってこの法案化をされているように外形的には見えます。そこでどのような議論がされたのか。

 先ほど伊藤大臣が、過度な規制はやはりよくないと。私もそのとおりだと思います。

 保険業法、私たちが反対した大きな理由は、グランドキャニオンにもうさくを立てるようなことはやめよう、わざわざさくを立てるんじゃなくて、そこはやはり自己責任だと。今までの古い依存と分配の政治をやってきたのは、官僚機構とさまざまな癒着によって、そのさく自体が腐っている、腐っているさくに寄りかかったところ真っ逆さまに落ちるというのはかないませんね、そんな法改正はやめましょうというのが私たちの規制改革の基本的な考え方です。

 今回の新たな規制はびほう的ではないのか、あるいはパッチワーク的ではないのかという批判もあります。

 三月三日の金融審議会における今回のTOB規制についての論点、金融審議会で出された論点は何ですか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 本年の三月三日の金融審議会では、今回提出させていただきました法案の改正内容について御議論をいただきました。

 その際、今御指摘の公開買い付け制度の適用範囲の見直しにつきましては、一律に立ち会い外取引を規制することは取引の障害となりかねず、規制の対象をきめ細かくしていくべきであるといった御意見などが出されております。

 そのほか、これは今の御指摘とは別ですが、上場会社の親会社に対する情報開示について、情報開示の徹底の観点から法律で義務づけるべきであるなどの御趣旨の御指摘をいただきまして、基本的には、今回提出させていただきました法案の内容について御理解をいただいたものと承知しております。

原口委員 いや、私が議事録から見る限りは、さまざまな指摘がされていて、さらに検討すべき課題があったのではないかと思います。

 証券取引法の見直しについての、例えば、立ち会い外取引制度について問題となるグレーゾーンのところを明確化することについてですが、年金の代行返上のようなケースでは、一時的に証券会社が保有してそれをまたすぐ売却するというような事例も多く見られる、このような取引や既に規制の対象外になっている自己株取得については、実態面から見て規制の対象外にする必要性があるとか、あるいは、取引制度自体のあり方を考える必要があるとか、TOB制度で、一般事業会社の場合には五日間、金融機関、機関投資家の場合には一カ月後にならないと結果がわからないので、株主の動きについてよりタイムリーに把握できるような仕組みが検討されるべきだとか、さまざまな観点からの意見がここで出ていますね。

 私は、こういう法改正の基本的な姿勢を、何か問題が起こったからそれでもってそこだけふさぐということを法改正の姿勢にすべきではないというふうに思います。

 大臣にお伺いをいたしますが、ライブドアの問題についてでございます。伊藤大臣は、ライブドアの問題が市場外取引云々の話で問題になった二月八日の前後でしたか、ライブドアの公表された資料によればこの取引は適法であるということをおっしゃいました。

 そこでお伺いします。金融庁の基本的な姿勢ですが、事前の合意について契約が成立していればこれは市場外取引ですね。いかがですか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 事前に合意が成立をしているかどうかという問題でございますけれども、立ち会い外取引が行われる前に相対で売買がもう既に成立をしている場合というのは一体どういうケースであるかということは、なかなか難しい判断だと思います。

 いずれにいたしましても、ここの部分については個別のケースにもよるというふうに考えておりまして、どういう場合が事前に契約が成立をしているかということについては、ケース・バイ・ケースだというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、今の現行法上、事前の交渉などによって取引が……(原口委員「委員長、済みません、事実について聞いているので、ケース・バイ・ケースのことを聞いているのではありません」と呼ぶ)

金田委員長 正確に答えてください。

増井政府参考人 はい。いずれにいたしましても、事前の交渉などによって取引が相対取引に類似しているといったことをもって直ちに取引所市場外の取引と解釈をして、公開買い付け違反として罰則を適用するということは、基本的には困難ではないかというふうに考えております。

原口委員 専門家なんですけれども、質問したことだけに答えてください。いいですか。そうじゃなきゃ、わざわざ金融庁の方をお招きする理由、ないじゃないですか。私、個別のケースについて聞いているんじゃなくて、今は事実、法律の解釈について聞いている。

 事前の合意について契約がもし成立していれば、これは市場外の取引でしょう。違うんですか。

増井政府参考人 先ほど御説明をいたしましたとおり、現行法上、事前の交渉などにより取引が相対取引に類似をしている、相対取引というのはいわば事前にいろいろな交渉で契約の条件をいろいろ決めるということもあるわけでございますが、そういったことに類似をしているということをもって直ちに取引所市場外の取引として解釈をして、今回の公開買い付け規制違反として罰則を適用することは基本的に困難ではないかと思います。

原口委員 いや、私は、事前に交渉があるかないかというのを聞いているんじゃないんですよ。いいですか、事前の交渉がある、そのことで問題になるということを言っているんじゃないんです。交渉の結果、事前に契約の成立の合意があれば、それは市場外取引でしょうと。別に矛盾ないじゃないですか。こんなところで、いろいろな議論をする話じゃないので、時間稼ぎ、やめてください。

伊藤国務大臣 私の答弁が十分でなければ、また局長から答弁をさせていただきたいと思います。

 事前の合意が成立をしている、それが具体的にどういう場合かということなんですが、もう一つ大切なことは、契約が成立をしているかどうかというところでありまして、契約が成立をしているということであれば、合意があって契約が成立しているということであれば、これは市場外の取引ということになるんではないかというふうに思います。

原口委員 大臣の方が明確に答えていますね。市場外というのは、事前の合意について契約が成立していれば市場外の取引だと。そうでしょうということをただ確認するだけで三分も四分もかかるというのはかなわぬと思います。

 そこで、東京高裁の資料を見ると、事前の合意について十分な疎明はないというような判断をしています。つまり、私は、大臣がおっしゃった、ライブドアの公表された資料によれば適法というのは、私は、ちょっとこれはやや前のめり過ぎるのかなと。

 事前合意まで配慮して発言をされたものではない、事前合意による契約の成立のことまで、そこでうかがい知ることは恐らくできなかったと思いますが、それで結構ですか。

伊藤国務大臣 まず、言葉の使い方として、基本的に、適法というような言葉を使った、あるいは発言をしたということではございません。

 私は、従来より個別の取引に関してはコメントを差し控えさせていただいておりまして、その中で、一般論、制度論として、立ち会い外取引というものが取引所における取引に該当することから、現行法上、基本的にTOB規制の適用対象とはならない旨の説明をさせていただいたということでございます。

原口委員 ということは、いつもおっしゃっているような、一般論として説明をされたということですね。そういうふうに善意に解釈をしておきます。

 それで、ニッポン放送は、証券監視委員会に、事前合意による契約の成立があったのかどうかということの調査の依頼というものをしていると思いますが、これは事実ですか。

増井政府参考人 恐縮でございます。監視委員会がおりませんので、詳しくは承知しておりませんが。個別の問題なのでお答えがなかなかできないお話でございますが、そういう報道があったようには記憶しております。

原口委員 なぜこんな話をするかというと、けさも私どもの部門会議で意見が出ましたけれども、持ち合い解消やさまざまな目的のために、八時五十分の出合いのところでこういったことは一般的に行われていた。そして、こういう規制をライブドアの問題についてかけるのであれば、八時二十分から十六時三十分まで一貫した規制をすればいいわけで、実態上に差がある中で、一部の問題が大きく出たからといって、それを糊塗するような形で法改正を進めていくと、市場に対するさまざまな、また予期せぬ影響が起こるんではないかということを考えて議論をしておるわけでございます。

 次に伺いたいことは、先ほど委員の質問の中にもありましたが、大量保有報告書に関する措置がなぜ見送られたのか、その理由について教えてください。

増井政府参考人 大量保有報告書制度につきましては、先ほど先生から御指摘ございました三月三日の金融審議会におきましても、証券会社、銀行、信託会社等に認められている特例報告のあり方、これについて検討する必要があるというような御指摘がございました。

 これにつきましては、さまざまな御指摘があったこともございまして、その場で結論が出たということではございませんで、いずれにしても、そういった御指摘も踏まえて、今後いろいろな形で検討がなされるというふうに考えております。

原口委員 先ほどの、やはり田村委員の質問に尽きていますよね。さまざまな、基本的な理念や基本的な法制度、どこからどこまで何をやるかということの基本が、従来のものから、今新たにブラッシュアップしようとしているので、その間にいろいろな矛盾が出てきているんだと思います。早急に全体のストラテジーを決めて、そして、パッチワーク的な法改正ではなくて全体像の、市場の公正性、それから投資家の権利の保障と。

 これまでの古い、やはり中央集権型の護送船団方式を象徴する言葉に、保護という言葉が至るところに出てきますね、大臣。この保護というのは、客体は投資家であったり消費者であったり、あるいはさまざまな客体であるわけですけれども、では、その保護の主体はだれなのか。役所が保護の主体なんでしょうか。

 私たちは、さまざまな法律を、それぞれの経済主体の行動の自由あるいは権利といったものを明記して、その権利の保障という形にさまざまな文言も変えていかないと、どこか上の方に偉い当局がいて、そこが保護してあげますよというような法体系そのものが、もう矛盾をしているんじゃないかというふうに思います。さまざまな市場の公平性や透明性や、あるいはエクイティーというか、そういう平等性をしっかりと保障する、権利を保障するために何をやるかという議論が必要だということを申し上げて。

 株式分割についても、今回、ライブドアの件を見てみると、分割を発表して実際に分割されるまで時間がかかりますね。その間に株価をつり上げる、そういう行為が行われている。こういう問題について、東証は要請をしているというふうに思います。

 株式分割について、東証がさまざまなプレーヤーに対して要請をしたということについて、金融庁はその中身について承知していらっしゃいますか。

伊藤国務大臣 お答えさせていただきます。

 その前に、委員から大変重要な御指摘があったというふうに思います。これは、お上が、官が、契約者あるいは投資家、利用者というものを保護してあげるということではなくて、やはり権利を保障していくということが極めて重要でありますし、金融行政の使命としても、市場の持つ可能性あるいは金融機能というものを利用者の方々が遺憾なく活用できるような、そういう環境というものを整備していく。そして、そうした環境の整備の中にあって、利用者の方々の必要な保護ルールというものを整備して、それを徹底させていくということが重要だというふうに思っておりますので、こうした使命は変わらないものでありますし、また、官のあり方ということについて十分意識をして、認識を持って行政には当たっていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

 株式分割についてのお尋ねがございました。

 株式分割自体は、きのうの本会議の質疑でもありましたように、個人投資家の方々を市場の中に呼び込んでいく、あるいは日本のマーケットの厚みというものを深めていく、そのために非常に有用な制度だというふうに思っておりますが、大幅な株式分割につきましては、株式分割の権利落ち日以降、新しい株券が発行されるまでの特定の間、需給のバランスが崩れることによって価格変動が大きくなる可能性がある、こうした問題点が指摘をされているところでございます。これを受けまして、三月七日、各証券取引所から上場会社に対しまして、株式数が株式分割前の五倍を超えることとなる株式分割については段階的に実施することを求めることなどを内容とした要請文の通知が行われたものと承知をいたしているところでございます。

 金融庁といたしましては、まずこうした要請文が市場関係者などに着実に浸透し、そして実行されることが必要であると考えているところでございます。

原口委員 従来の答弁より随分前向きにされたことを評価したいと思います。前だと、これは株式分割だから会社法や商法の問題ですというような御答弁があったようですが、私は、やはり市場の公正性をしっかりと監督するその責務が中央政府にあると思います。その責務を自覚した上での御答弁をいただきたい。強く要請をしておきます。

 MSCBについても、転換社債型新株予約権つき社債、MSCB、ムービング・ストライク・コンバーティブル・ボンドのことですが、株式分割の直前にCBを取得した者が利益を取得する、これも東証は、先ほどお話がありましたのと同様に、詳細にディスクローズするようにということを言っているわけでございまして、ここについても、やはり市場監督者としての明確な姿勢と自覚が必要であるというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 株式分割にかかわる問題が指摘されたことを受けまして、先ほどもお話をさせていただいたように、三月七日、各証券取引所から上場会社に対しまして、CB発行後六カ月程度の間の株式分割の自粛などの要請が行われたものと承知をいたしているところでございます。

 金融庁といたしましては、大幅な株式分割の問題点を含めて、日常的に証券取引所と意見交換を行っているところでございますけれども、まずはこうした要請というものが市場関係者に着実に浸透して、そして実行されることが必要であるというふうに考えているところでございます。

原口委員 今回のライブドアの件について、やはりもう一つ問題を指摘をしておかなきゃいけないのは、貸し株です。

 ライブドアの貸し株をリーマンに行って、リーマンは、市場で売ることでライブドアの価格を下げてこれを購入して、これを売り抜くと。つまり、真っ当に資金を導入する能力があるなしにかかわらず、本来の市場の価値と違うところでそういうスキームをつくるといったことは、私は、市場の透明性や公平性といったところから考えてみても議論のあるところだと思っています。

 私は、貸し株全体を規制するべきだということを言っているんじゃありません。キャッチオール規制というのは規制のないことよりさらに悪い、規制改革の方の責任者としてはそう考えています。しかし、このスキーム全体が果たして当該株主に開示されていたのか、このことはとても重要なことだと思います。そうしないと、株主の権利の保障といったことはできないんじゃないか。貸し株全体を規制することはできないけれども、取締役の善管注意義務に反して株主の利益に背くようなことはできないんじゃないかというふうに思うんですが、これは一般論で結構ですから、基本的な認識を伺っておきたいと思います。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のように、貸し株というのは、一般にいろいろな形で行われております。したがいまして、それ自体を一律に規制するということは私どもは適当ではないと思っております。

 ただ、先ほどの先生の御指摘のような点、まずディスクロージャーという意味で、貸し株自体は今回のケースでもディスクロージャーされている、そういった貸し株を行ったということについては開示がされているということでございますが、いずれにいたしましても、そういった全体のいろいろな形でのガバナンスといいますか、そういった観点は非常に重要だというふうに考えております。

原口委員 ちょっと答弁が、一生懸命聞いているつもりなんですが、うまく理解できません。結局、どこに問題があると思われていますか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御指摘になったように、貸し株を利用して、今回の場合には貸し株とMSCBをセットにして行われたということでございますが、仮にそういったことを利用して意図的に株価を下落させるなんということになれば、これは証券取引法上問題があるというようなことになるかと思います。

 いずれにいたしましても、そういった疑惑がないような形で行われなければいけないと思いますし、そこの部分については、一方で、貸し株をしているということのディスクロージャーは行われているということだと思います。

伊藤国務大臣 委員からディスクローズについてのお尋ねがあったというふうに思いますが、基本的に、証取法で貸し株自体を制限する規制はないわけでありますけれども、貸し株を行った者、そして借り株を行った者それぞれについて、ディスクローズの観点からいいますと、株券等保有割合が五%を超える場合には大量保有報告書の提出が義務づけられているわけであります。そしてさらに、先ほど局長からもお話をさせていただいたように、相場操縦の問題でありますとか、また、借りた株を株式市場で売却する場合には、証券取引法第百六十二条第一項の空売り規制の対象となりますので、空売りである旨を明示することが義務づけられることとともに、公正な取引を確保するための価格ルールとして、空売りの直前の価格以下での売りつけが禁止をされているわけであります。

 このように、貸し株につきましては、証券取引法上の大量保有報告書の提出の義務づけでありますとか、あるいは空売り規制及び相場操縦的行為の禁止規定により、株式市場の透明性や公正性、公正な取引というものが確保されているものと私どもは認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今後とも市場の公正性を確保する観点から、貸し株の株式市場への影響も含めて株式市場の動向というものを注視していきたいというふうに思います。

原口委員 私は明確に言っていて、法律で貸し株を規制することはできませんねと。その中でも、今お話しになったような違法行為についてはいろいろなネットがありますねと。

 ただ、今度は株主の立場からすると、取締役の善管注意義務やそういったものにこのスキームが、こういうスキームをやりますよということを開示していなければ、ほかの株主は不当に自分の株価を低くされるわけですから、株主の立場から責任を問うことはできますねという簡単な質問をしているんですけれども。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、これこれこういう貸し株をしているという開示をしておりますので、そういう意味での株主に対してのディスクロージャーができておりますので、株主はそれを見ていろいろな判断をするということだと思います。

原口委員 私は、このライブドアの問題の話は例であって、一般的に、スキーム全体について開示をされていない場合は株主が責任を問うことができますねと。つまり、何を言いたいかというと、法律やさまざまな規制でキャッチオールするんじゃなくて、後は株主のそれぞれの権利の行使によってとめるところができますね、そこの間の仕切りはしっかりしておきましょうねということを言っているんです。言っている意味がわかりますか。

 さっきから何回も言っているのは、私たちが一番考えなきゃいけないのは、市場に対してキャッチオール規制をかけることはやめましょうと。何か問題があったらもう事細かく皆さんが、こんな規制もなかったから金融庁はどうするんだ、こんな規制がなかったからどうするんだということを責められて、そしてすべてに網をかけるような規制をするんじゃなくて、そこから先は株主が自分の権利の保障のために、善管注意義務違反でこのスキームがもし開示をされていない場合、責任を問うことができますねと。

 つまり、それぞれの自己責任でやれるところを広げていくことがやはり必要で、規制のあり方について議論しているので、ちょっともうこれ以上……。非常に調子が狂うんですが。

 私は今、一方で、連合審査を昨日決議していただいて、会社法という形で、商法、会社法とこの証券取引法は密接につながっていますので、一つの問題意識を申し上げておきます。

 それは、大臣、会社の支配と従属関係の形成の中で、企業結合法制の中でさまざまな諸類型が出てくる中で、従属会社の少数株主の権利をどのように保障していくのかという立場では、やはり今回の会社法の改正も企業結合法制のところがすっぽり抜けて、そしてさまざまな大改革を行われているために、実際に市場にこれが持ち込まれたときに何が起こるかといったことについては、よほど慎重に議論をしておかなきゃいけないんだというふうに思うんです。

 私は、支配従属関係の形成の類型を、大体二つあるのかなと思っています。

 それは一つは、支配会社がその所有する一〇〇%子会社の株式を一部公開することによってその関係が生ずる場合。それでも三つぐらい類型があると思いますが、一〇〇%子会社が第三者割り当てあるいは公募等の方法で増資を行う場合。あるいは、支配会社がその所有する一〇〇%子会社の株式の一部を売却し、これはこの法律案の証取法の二条の四項、売り出しの方法で増資を行う場合。それから三番目は、支配会社がその所有する一〇〇%子会社の株式の一部を、支配会社の一部の株主に対して利益配当いわゆる現物配当、または実質上の減資に伴う株式売却の対価として分配するという場合。つまり、スピンオフやあるいはスプリットオフといったことについてもきっちり議論をしておく必要があると私は思います。

 また、類型の二つ目は、もう言うまでもなく、これは会社買収と言われるもので、既に存在する経済的に独立した会社の発行済みの株式の一部を他の会社が取得することによって、前者を従属会社、後者を支配会社とする関係が生ずる場合。これもやはり四つぐらいあって、ある会社が経済的に独立していた他社の株式を、有価証券市場、証取法の二条十四、または店頭売買取引、証取法の二十七条の二、を通じて大量に買い付ける場合。そして二番目は、ある会社が経済的に独立していた他社の株式を、公開買い付け、これは証取法の二十七条の二第一項、の方法により大量に買い付ける場合。あと二つあって、経済的に独立していた会社の大株主である少数の個人から他の会社が、いわゆる支配株式、支配持ち分の譲渡を受ける場合。それから、企業提携を目指して、支配会社となるべき会社を新株受取人とする第三者割り当て増資が行われる場合。

 大体、ツーパターンのうちのそれぞれ三と四で、七つぐらいのパターンがある。このそれぞれのパターンについて、企業結合法制のところを市場の公正性やあるいは透明性といった形で一個一個検証していく作業が必要であるというふうに思います。

 特に、ここで一つだけ問題提起をしておきたいのは親子上場の問題です。

 今回のライブドアとフジサンケイグループ、それからニッポン放送の株式取得の問題も、親子の上場ですね。小さい価値を持っている親会社の株を押さえることによって大きな会社を支配する。この親子上場についてはまだ国会ではほとんど議論をされていなくて、子会社が上場をするということは、さまざまな資本を導入して新たな技術や人材を取り込む、そういう大きな意味がありますから、上場自体を否定しているわけじゃなくて、そこの結合のところのルールがしっかりしていないと、例えばコングロマリットディスカウントと申しまして、後で議論をしますが、今回のカネボウの件もそれに当たるのかもわかりませんけれども、実質、自分たちの親会社の負債を子会社に回してみたり、あるいはその逆が起こってみたり、株主、市場の方からすると、何をもってその会社の力とするのかというのがわからなくなる。

 こういうこともきっちり議論をしておかなきゃいけないというふうに思うんですが、これは所見をいただければそれで結構でございますので、伊藤大臣の御意見をいただいておきたいと思います。

伊藤国務大臣 企業結合法制について、今委員から、類型も示されながらいろいろな問題点について御指摘がされたわけであります。

 その中の多くの部分が商法に関係する部分でありますので、そうした点についてコメントをするということはなかなか金融担当大臣の立場としては難しいところがございますが、委員がその前段として、証券取引法と商法というものはそれぞれに連携をして、そしてそれぞれの役割を果たしていかなければいけない、それはまさにそのとおりだというふうに思います。

 証券取引法は投資家保護を目的としたものでありますし、また商法は、株主の権利を保護していく、それが目的の一つになっているわけでありますから、それぞれが連携をしながら市場の発展に寄与をしていくということを実現していかなければいけないというふうに思っております。私どもといたしましては、市場の公正性、透明性というものを確保していく観点から、商法を所管する法務省とも十分連携をとりながら、そして、株主の権利保護、投資家の保護に資するような制度設計に努めていきたいというふうに思っております。

 親子上場の問題については、確かに衆議院ではまだ深い議論が、されているかどうかということについて私自身十分な記憶がございませんが、参議院においてはこの問題について議論がなされているものと承知をいたしております。

 ただ、そもそもどのような企業に上場というものを認めるのか。これは、上場申請を受けて、一義的には、やはり市場開設者である証券取引所が判断をしていく問題ではないかというふうに考えておりますが、ある投資家にとって、親会社の企業グループ全体として投資魅力に乏しい場合であっても、グループの一部に投資魅力のある企業が存在する可能性があることから、そのような企業が親会社とは別に上場をすることには一定の意義があるのではないか、このように考えているところでございます。

原口委員 これはさらに議論を深めていかなきゃいけませんが、市場の側から見ると、一番大事なのは、どういう連結になっているのか、あるいはどういう関係になっているのか、特に重視されるのは、やはり有価証券報告書というものだと思います。そこで決算の実態やグループの実態がどれだけ的確に反映されているかということで、私は、この有価証券報告書の継続開示義務違反に対する、いわゆる私たちが言う行政制裁金、金融庁や政府がおっしゃっている課徴金制度の見送りというのは、まさにそこの根幹を揺るがすことであるというふうに思っています。

 私は、この課徴金制度についても、ぜひ与党の皆さんにも申し上げたいのは、独禁法の議論の中でも随分議論をさせていただきましたが、やはり非常にぬえ的な性格を持っているというふうに思います。現行独禁法の措置体系の中には、課徴金と刑事罰との関係等をめぐる大きなゆがみがあります。私は、このゆがみの是正が本来一番最初に来るべきものだというふうに思って、私たち民主党の独禁法案を取りまとめさせていただきました。

 日本の独自の法体系や独禁法がたどってきた歴史的な経緯を見てみると、例えば、後で証券取引等監視委員会についても議論をしますが、公取委の法執行体制、公共調達をめぐる不公正で不透明な競争制限行為による害悪が蔓延をしています。これは、今までの委員が議論されたように、証券とも並行している、証券も同じような状況だというふうに思います。現行の独禁法においても、制裁措置体系がうまく機能していないというのは否定しがたい。つまり、違反行為に対する抑止行為がなければ、市場の公正性というのは結局担保できない。談合やカルテルというものを許してしまえば、悪魔の取り分といって、談合している団体にとっても損であるし、社会にとっても損であるという大きなロスが生じてしまいます。

 そこで、内閣法制局、先ほどの田村委員の議論からすれば法制局は要らないということになると思いますが、法制局に伺います。

 課徴金は独禁法の中で、憲法三十九条後段の二重処罰禁止規定からはみ出ないために設けられた制度ではないかと思いますが、私は、そもそもこの憲法三十九条後段の二重処罰の禁止規定というのは、一つの事件について二重に刑事処罰されないというものを規定したものであって、今回、課徴金と言われる行政上の措置と刑事処罰とが二重に科されるということを禁止したものではないというふうに理解をしていますが、法制局の見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の憲法第三十九条後段は、同一の罪について、重ねて刑事上の責任を問われないというふうに規定しております。

 ここで言う刑事上の責任とは何かということでございますが、これは基本的に刑事罰を想定していることは当然でございます。しかしながら、行政機関が科すものであっても、その趣旨、目的、性質等が実質的に刑罰と同一視されるようなものであれば、それはやはり憲法第三十九条後段が規定する二重処罰の禁止、あるいはその趣旨に触れるのではないかというふうに理解しております。

原口委員 そうであれば、皆さんが課徴金制度というものの中で、今お答えになった答えが本当に正しいのであれば、課徴金は実質の不当利得の簒奪という範囲を超えてどんどん大きくなっているじゃないですか。皆さんが右手でやっていらっしゃる独禁法の改正と、今回証券取引法の改正で課徴金ということを見送られたことが、右手のやっていることと左手のやっていることが違うじゃないですか。今の解釈であれば、課徴金は不当利得の簒奪の部分にしか当てはまらないんじゃないんですか。いかがですか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 今の独禁法改正案でございますが、これは、従来の不当利得相当額の金銭を徴収するという制度では違反行為の防止のために不十分であったという実態を踏まえまして、不当利得の相当額、これは違反行為に係る売り上げの約八%ぐらいと聞いておりますけれども、これに若干の割り増しを行いまして、違反行為に係る売り上げの一〇%相当額を課徴金として徴収するということでございまして、その中心部分には、やはり不当な利得があるということを前提にいたしまして、その不当利得相当額を基準として課徴金の額を決めているということでございます。そういう意味では、従来と同じ考え方でございます。

 ところが、今回の継続開示書類の虚偽記載につきましては、先ほどちょっと申し上げましたとおり、それによって得られる経済的利得があるのかどうかということから始まって、その水準をどうやって算定するのかということが必ずしも明らかでないということで、独禁法改正案における課徴金の議論と必ずしも同列には論じられないというふうに考えております。

原口委員 同じ課徴金でも世界が違えば解釈が違うなんということがあってはならない。

 今、皆さんお聞きになったとおり、課徴金をめぐるぬえ的な性格が結果的に何をゆがめているかというと、市場をゆがめて、公正性をゆがめているんですよ。ですから、私たちのように、市場をしっかりとガードするための、事業者にかかる行政上の制裁金という形にすれば、もとは六%の課徴金だったのが一〇%になっているわけですね、独禁法の皆さんの改正案では。その説明はつかないじゃないですか、だんだんだんだんつかなくなってくるじゃないですか。

 大臣、今回の証取法の改正でも、やはり継続開示義務違反というのは、後のカネボウでの議論にもかかわりますけれども、会社の存続を左右する大きな問題ですね。その問題について何らそこをカバーするサンクションがなければ、やり得になってしまうわけです。今お話のあったような法制局の解釈をすれば、結果、何が生まれるかというと、不当利得の算出が難しいものについては、四十年間の継続開示義務違反をやっていた企業がありましたけれども、これの不当利得の算出なんてどうやってできますか。その裏返しからいえば、そういうものの算出ができないことについては何も行政上の措置を加えることができずに、結果としてやり得になってしまうということを許すだけじゃないんでしょうか。金融担当大臣の基本的な御認識を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 市場の信頼というものを確立していくためには規制の実効性というものを確保していくことが非常に重要でありますし、また、委員が御指摘をされているように、違法行為を抑止していくために、私どもとしても、全く新たな行政上の措置として、違反者に金銭的負担を科す制度である課徴金制度というものを導入いたしたところでございます。

 このように、課徴金制度というのが新たな制度でありますので、こうしたことにかんがみまして、昨年の法改正においては、課徴金の水準については、違反行為の抑止に必要最小限の水準として経済的利得相当額にとどめるとともに、金額の決定についても、裁量を排し、法律に基づき一義的、機械的な課徴金額が定まるような仕組みとされたところでございます。

 また、委員が経済産業委員会で独禁法の審議に合わせて御質疑をされた、その様子については私もその議事録をよく読ませていただきましたし、また、かつて経済産業委員会に所属をさせていただいて、官製談合の議員立法にも携わらせていただいておりますので、課徴金制度という新たな行政上の措置の有効性、これをどのように考えていくかということについては十分に検討に値するというふうに思っております。

 私どもといたしましても、先ほど御説明をさせていただきましたように、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入については、法制面についての詰めも行わせていただいたわけでありますけれども、さまざまな問題があり、それを慎重に検討していかなければいけないということでありましたので、この導入自体を断念しているわけではございませんけれども、今、私どもとして、この四月一日から施行された課徴金制度というものを適切に運用させていく、そして、その制度の目的を達成すべく全力を尽くしながら、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入のあり方についても今後さらに検討を深めていきたいというふうに思っております。

原口委員 だから、きょう私がここで法制局とやっているのはその法律上の詰めなんです。

 現に、これはおとといですか、経済産業委員会の参考人質疑で、政府の独禁法改正の基礎的な理論を構築された根岸参考人も、私と同じように、憲法三十九条の二重処罰禁止規定については同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問われないということを規定したものであって、趣旨、性質、手続などが基本的に異なる行政上の措置である課徴金と刑罰としての併科が憲法三十九条に反するとは考えていないということをおっしゃっています。

 私は、ここのところを詰めないで去年の証取法の改正で課徴金という制度について入り込んだことは、ある意味では独禁法が持っているぬえ的な構造と同じ悩み、パラドックスを私たちが抱えるのではないかということを強く主張しておきたいと思っています。

 現に、今回の法改正のときも、当初は、不当利得の徴収という説明を放棄しながら、社会的な損失の負担という概念を根拠に制裁できないかという説明が私たちにもされていました。しかし、最終的には違反行為の抑止を全面的に打ち出す。つまり、一方で、制裁なのか制裁でないのかということを依然としてあいまいなままにしているわけです。ここを整理しないままでは、やり得というか、市場の公平性を担保するのは……。

 私は、基本的に、経済的な活動は自由であるべきだと思います。自由であるべきだと思うけれども、その経済活動の根底になる部分を揺るがすことについては強い規制が必要だ。だから、私たちは、大きな行政制裁金も必要であるし、皆さんがおっしゃっている課徴金ではなくて、もともと経済制裁的効果を意図してつくられた制度であるにもかかわらず、その法的性格が制裁でないという、今の法制局の部長さんのような説明をしていたのでは、そこは、真に私たちが目指す市場の公平性が得られないのではないかということを申し上げているんです。

 内閣法制局、今までの政府答弁の積み上げがありますから、皆さんがそこから出ていろいろな議論をするというのは難しいと思います。しかし、そこの今までの内閣法制局の、あるいは憲法の要請との矛盾点が拡大しているところを超えるのは、大臣、やはり政治だと思うんです、政治がルールをつくるわけですから。

 私たちは新たに、この国会の審議の中で、この課徴金制度について、私たちが言う行政制裁金制度について、与野党知恵を出して、どういう制度であれば公平性が保てるのか、透明性が保てるのか、市場の信頼が確保できるのかということを共同提案させていただきたいと思っています。大臣の御所見を伺って、次の質問に行きたいと思います。

    〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤国務大臣 私どもとしても、国会での議論、立法府での議論というものを注視していきたいというふうに思っておりますし、また、委員がいみじくも言われたように、今御議論された点については、今までの我が国の法制のあり方、その考え方とは違う考え方の中で、新たに市場の公正性を担保するための仕組みというものを導入できないか、こうした観点から御指摘がされているものでありますので、そうした意味からすると、一方でやはり、今までの刑罰規定との関係でありますとか手続の問題でありますとか、さまざまな問題についても十分議論をしていく、このことも重要なことではないかというふうに思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもとしても、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入については今後も検討していきたいというふうに思っておりますし、この制度の持つ重要性ということについても認識をいたしているところでございますので、この四月一日から施行された課徴金制度というものをしっかり運用して、そしてその目的を達成することに全力を挙げながら、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入の問題についても検討を深めていきたいというふうに思っております。

原口委員 あと、やはり証券取引等監視委員会についても、私は、一九九二年七月に設立された証券取引等監視委員会、国家行政組織法上の八条委員会ですけれども、証券取引法第九章で、犯則事件の調査、そういう権限を委員会に与えているというのは一定の理解をしますが、しかしその後は、我が方の法律についてもその後の法律で担保するようにしておりますが、委員会は金融庁設置法により金融庁に対して勧告をする。勧告でとどまっている。本当にこれで迅速かつ適正な、しかも効果的な市場の監視といったことができるんだろうか。

 証券取引等監視委員会の告発事件の一覧というのを見ますと、これは平成十五年の八月付の「証券取引等監視委員会の活動状況」という中でも五十三件ですね、この資料が正しければ。皆さんが発表された中ですから正しいと思います。多くのものがやり得になっている、多くのものがやはりやみに消えている、この状況についてしっかりとした実効性を上げるというのは政治の責任なのではないでしょうか。

 私は、今のような陣容もそうですけれども、体制では、八条委員会という審議会と同じような委員会の形ではとても実効性は上がらない、したがって、私たちが提案しているような本来の意味での日本版SECというものをつくらなければいけないというふうに考えていますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 市場監視機能の問題、権限の問題についてお尋ねがあったわけであります。

 現在の監視委員会は勧告権だけである、この勧告権だけでは弱いのではないか、行政処分権というものを有する必要があるのではないか、こうした御指摘でありますけれども、私どもといたしましては、平成十五年度の事務年度を見ましても、監視委員会から二十六件の勧告が行われて、そして金融庁においては、これらすべてについて、証券会社に対する業務停止命令やあるいは業務改善命令、そして役職員に対する業務停止等の行政処分を厳正に実施してきたところであります。

 このように監視委員会の勧告に基づく厳正な行政処分が実施されているということを踏まえますと、監視委員会に勧告権しかなく、行政処分権がないことから有効な市場監視機能というものを果たせないということではないと考えており、引き続き、現在の枠組みというものを最大限活用することにより、市場に対する国民の信頼確保に向けて努力をしていきたいと考えております。

原口委員 やはりその辺が、自民党政権の大臣である伊藤大臣と私たちの基本的な考え方の違いかなと思います。

 やはり行政が大き過ぎるんですよ。行政の仕事がやはり大き過ぎる。できるだけ私たちは、経済司法の大改革を、独禁法もこの証取法も、あるいは会社法も含めてやっていきたいと思いますが、本来司法が小さかったために、さまざまな争いを行政の中で解決して、事前に規制をし、そして指導していくというやり方が、やはりこの速い経済の動きやあるいはグローバル化する経済の動きについていけない。できるだけ多くのものは早く司法に出してしまう、そして司法的な手続の中で、司法という光の中で処理をしていくということを行政のさまざまな手続の中にもやっておかないと、これから小さな政府、それは、国民の皆さんから大きな税金を預かってさまざまなことをやるということがもうできません。

 そういう要請からだけではなくて、さまざまな自由やさまざまな権利を保障するためには、私は、大きな公共、小さな政府という姿が大事だと思います。そういう中からすると、いまだもってこういう証券取引等監視委員会で市場をチェックするというやり方は改めていくべきだ、本当の構造改革と言うんだったらここが原点ではないかというふうに思います。

 さて、カネボウの有価証券報告書の問題について、これは虚偽記載に当たりますよね、金融庁。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 個別事案に係るコメントということでございますので、差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、こういった証券市場に対する信頼性を確保するというのは非常に大事だというふうに思っておりまして、適切なディスクロージャーが行われることが重要だというふうに考えております。法令違反に該当する事実が判明した場合においては、適切に対処いたしたいというふうに思っております。

原口委員 質問するたびに驚くような答弁するのはやめてください。

 東証が、これは平成十六年十月二十八日、東証の監理ポスト割り当て、カネボウ株式会社ということで発表しているわけですね。その主な理由は、いわゆる上場会社が財務諸表等または中間財務諸表等に虚偽記載を行い、かつその影響が重大であると当取引所が認めた場合、それに当たると判断したからだというのが公表されているじゃないですか。公表されていることについても、個別の案件だからコミットできないというのはどういうことですかね。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 東京証券取引所でいろいろな形で公表が行われていることは御指摘のとおりかと思いますが、東京証券取引所の方のいわゆる虚偽記載と証取法上の虚偽記載というのはそれぞれ要件が違っておりまして、東証の方も、これはまだ虚偽記載のおそれがあるということで、これからいろいろ検討をするということになっておりますので、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、こちらの証取法上の虚偽記載とは異なるということでございます。

原口委員 東証は虚偽のおそれがあるというふうには言っていませんよ。読みましょうか。「同社は、本日、同社の「経営浄化調査委員会」の調査結果として、同社が」つまりカネボウですね、「平成十三年度及び平成十四年度において売上の過大計上及び経費の過少計上等を実施し、両事業年度の有価証券報告書に虚偽の決算結果を記載した事実が判明したこと等の開示を行った。」本人たちが開示しているのじゃないですか。何でこれが虚偽のおそれですか。いいかげんな答弁はやめて……。

 与党の理事と委員長にお願いします。議事を混乱するような恐るべき答弁はやめさせてください。

金田委員長 増井総務企画局長。今の指摘を十分踏まえて答弁してください。

増井政府参考人 申しわけございません。御答弁申し上げます。

 東証の上場廃止基準につきましては、上場会社が財務諸表等または中間財務諸表等に虚偽記載を行い、かつその影響が重大であると当取引所が認めた場合ということになっておりまして、おっしゃるように上場廃止基準に当たるかどうかという検討をしているということでございます。

原口委員 虚偽記載をしていたのですね。虚偽記載をしていた事実は判明した、東証もそう言っているのですけれども、金融庁もこの事実を承知しているのですね。

伊藤国務大臣 今局長が慎重に答弁しておりますのは、虚偽記載の意味合いが違うということであります。東証が言っている虚偽記載と、今局長の方から答弁をさせていただいたのは証取法上の虚偽記載の問題、これの構成要件が違いますので、そのことを説明させていただいたということであります。

 そして、委員が御指摘をされたように、その虚偽の記載があり、決算の訂正というものがなされるということで、その概要について訂正報告書が提出をされて、そして今後株主総会の議決を経て、監査の証明を添付の上、正式な訂正報告書というものが提出をされるというふうに私どもとして承知をいたしているところでございます。

原口委員 だから、虚偽の決算結果を記載した事実というのはもう判明しているのです。

 では、証取法とそれから東証の基準とどう違うんですか。今説明したと言われているけれども、今の説明では全然わかりません。

 ちょっと、時間だけが過ぎる気配がしましたので、次に行きたいと思います。整理しておいてください、もう一回聞きますから。

 産業再生機構、「カネボウ株式会社による過年度決算の訂正発表について」という産業再生機構が出されたこのペーパーは、ほとんど信じられないペーパーですね。その一というところで、「事業再生計画は、支援決定前に機構が実施したデューディリジェンスの結果に基づき、今般の決算訂正にかかる内容を予め織り込んでいるため、今般の決算訂正は、現在のカネボウの企業価値評価を引き下げるものではなく、機構の支援の前提に影響を与えるものではありません。」と。どうしてこんなことが言えるのですか。皆さんはカネボウの化粧品部門についてのデューデリをやっていたのでしょう。しかも、申請主義によって。違いますか。デューデリがいつ始まって、そしてその対象は何だったのか教えてください。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 カネボウにつきましては、機構は昨年の三月十日に、カネボウ本体より化粧品部門を分離することを柱とします最初の機構の支援決定をいたしてございます。また、その後、カネボウ本体、化粧品部門を除きます本体を含めましてまさに全体の事業計画を確定いたしましたことから、五月の三十一日に、改めて三月十日の支援決定を一度撤回いたしまして……(原口委員「時間がないんです」と呼ぶ)はい。デューデリでございますが、その支援決定の前の時点から始まっているということでございます。

原口委員 だから、支援要請が来たのはいつで、デューデリを始めたのがいつなのかというのを教えてください。

藤岡政府参考人 支援要請は基本的には支援決定の直前に、今回の場合来てございます。委員おっしゃいますデューデリ、いわゆる機構の調査と申しますか事前デューデリというものがございまして、そういうことでございますと、大体それは数カ月前から始まるというのが一般的でございます。

 以上でございます。

原口委員 その対象は化粧品事業だけでしょう。

藤岡政府参考人 三月時点までにおきましては主に化粧品事業が対象であったというふうに承知してございます。その後、まさに事業本体をどうするかということになったということでございます。

原口委員 いや、その後どうかというのを聞いているのではなくて、つまり皆さんが支援決定をした対象案件は何で、そしてそれはどういうデューデリに基づいて行われていたのか。そしてその支援決定が正しいか正しくないかというのを判断するのは私たちであって、皆さんがそれに対して説得力のある資料を出すでもなく、その後大幅な粉飾決算が明らかになったにもかかわらず、「今般の決算訂正は、現在のカネボウの企業価値評価を引き下げるものではなく、機構の支援の前提に影響を与えるものではありません。」なんというのは矛盾じゃないですか。これは、カネボウの経営浄化調査委員会が半年近くにわたって調査をして、その結果、決算が五年にわたって不適切であったというか粉飾であったということがわかっていたので。

 私はこれは不思議でたまらないのは、本来市場から撤退をしているはずの企業が何で再生機構にいるんですか。その説明が全然つかないじゃないですか。教えてください。

藤岡政府参考人 再生機構の支援決定は、まさにメーンの銀行と事業者が再生機構に支援の要請を行うというのが前提でございます。再生機構は、個々の事業者を支援するか否かにつきましては、対象事業の再生可能性について、まさに三年以内に事業者が生産性向上基準や財務健全化基準を満たすこと等の支援基準に、これは法律に基づいておりますが、基づき産業再生委員会において厳正に判断をいたしまして、再生可能性が高いと判断されれば支援決定を行うことといたしてございます。

原口委員 それでは、重ねて聞きますが、これはカネボウの事業全体を支援しているんでしょう。化粧品部門だけじゃないじゃないですか。いかがですか。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 全体でございます。

原口委員 だとすれば、今回の五年にもわたる莫大な、まさに債務超過と言えるような状況は、もう皆さんが支援決定をするときにあらかじめ織り込んでいたのですね。そうでしょう。そう書いてある。

藤岡政府参考人 再生機構のいわゆるデューデリジェンスと申しますのは、先ほども御説明申し上げましたけれども、その当時時点のまさに債務の状況についての状況を明確にするということでございます。

 委員お尋ねの件につきましては、まさに産業再生機構が、昨年でございますが三月から五月にかけまして支援決定をいたします過程の中で、例えば、四月の十九日にカネボウが経営浄化調査委員会を設置いたしまして、また、昨年の十月二十八日にその経営浄化調査委員会の調査結果が出てきたというようなことでございまして、過去の件につきましては、カネボウ本体がまさにその現状を見つつ調査を進めてきたというのが実情でございます。

原口委員 いや、もうそういう論理は多分通用しないんだと思いますよ。つまり、今あなたがおっしゃっていることは、平たく言えば、過去のことについては問わない、とにかく駆け込んでくれたものは、その財務諸表がどうであろうが何であろうが、何をやっていようが再生するんです、国民のお金でと。そんなことが通用するわけない。まさに市場の、最初から再生機構と当該会社の間に、ある一定の合意がなきゃこういうことはできない。

 私たちの内部告発から得た情報によると、ある総理経験者が当該大臣に対して、ここは絶対に再生させろとねじ込んで、本来は市場から撤退をするようなそういう案件について国民の税金が使われている。その疑いについて私たちに詳細にお話をしていただいた方がいらっしゃいました。事実についてはわかりません。

 もう質疑時間があと数分になりましたので、このことについては、ぜひ委員長、私たちがこの支援について、これはメーンバンクもあるはずで、金融庁のさまざまな検査についても、その妥当性について調査をしなければいけませんので、理事会で具体的な項目を出しますので、当該委員会に必要な資料の提出をお願いしたいと思います。

金田委員長 原口君の申し出につきましては、理事会で協議させていただきます。

原口委員 さて、もう時間が尽きました。

 株式会社というのは一体だれのものなのか。今回、敵対的買収と言われていますが、敵対的買収そのものが悪いのではありません。敵対的というのは、いわゆる保身を図ろうとしている古い経営陣から見た言い方であって、そのこと自体が是だとか非だとかいうものではない。

 私たちが一番必要なものは、株主の権利の保障をどのように透明性を図ってやっていくか、そのことであるということを申し上げ、課徴金制度についてはぜひこの国会で成立をできるように私たち民主党も努力するということを申し上げて、質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

金田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 二月八日の朝、ライブドアは、東京証券取引所の時間外取引で、わずか三十分足らず、八時二十二分から八時五十分の間に、ニッポン放送の発行済み株式の二九・六三%をいきなり取得したわけであります。それまで買い進めていた株式と合わせますと三四・九九%で、筆頭株主となったわけです。

 これに対して、伊藤金融担当大臣は、二月十五日の記者会見で適法と言わざるを得ないとコメントをされたようでありますが、先ほどの答弁では、これは個別の問題について言及したものではなく、一般論を述べたものであるというお話でありました。

 そこで、法解釈を一般論でお聞きしたい。時間外で行われる市場取引、例えばToSTNeTでありましても、特定の相手と事前に株式の売買について合意をして発行済み株式の三分の一以上の株を買い占めた場合は違法となるのではありませんか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案でございますので、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、御趣旨は一般論としてどうかということでございますが、立ち会い外取引の行われる前に既に相対で売買が成立している場合はどうかというような御趣旨だと思いますが、この立ち会い外取引において事前の合意により売買契約が既に成立しているという状況がどういったものであるかというのは、やはり個別に判断せざるを得ないというふうに考えます。したがいまして、そこの部分についてのコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 私が聞いたことに全然すれ違いの答弁でありまして、私が聞いたのは、事前に合意をして発行済み株式の三分の一以上の株を買い占めたら違法になるのではないかと聞いたんです。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 今一般論として申し上げましたが、先生の御趣旨で、それが売買として完全にその契約が成立をしている、合意と成立というのは先ほどちょっと御議論がありましたが、契約が成立をしているというふうにみなされれば、それは市場外で取引をしたということになると思います。

佐々木(憲)委員 そこで、ライブドアの場合、形式上確かに東証を通じて売買をしている。しかし、これだけ大量の株式を一気に買えるというのは、これは相対取引以外考えにくいわけであります。仮に市場取引だとしても、事前合意を結んでいた、時間外取引を実行する以前に合意が成立していた、そういう可能性があると思うんです。そういう場合には、これは違法で、本来TOBでやらなきゃならぬわけでありますが、この事前合意がどのようなものであったか、どのような実態だったのか、それを調査すべきだと思います。

 実際にどのような調査をされているのか。今のところ違法という判断を示しておられませんから、つまり、これは適法であったという判断だろうと思いますが、その理由は一体何なのか、それを示していただきたい。

長尾政府参考人 私ども監視委員会の立場で申し上げさせていただきますと、今回の立ち会い外取引に関係して、ライブドアについてそういう御指摘があることは承知しております。

 ただ、御案内のとおり、私ども、個別事案の調査実施につきましては、大変恐縮ですけれども、従来からお答えを控えさせていただいているところでございますので、何分そこら辺は御理解をいただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 それじゃ全然わけがわからぬわけですね。

 では、調査をやっているのかやっていないのかだけでも答えてください。

長尾政府参考人 繰り返しになって恐縮ですが、個別事案の調査の実施の有無については従来よりお答えを控えさせていただいているところでございます。

 ただ、これは先生御指摘の同様の趣旨で、ニッポン放送の方から、新聞報道でも御案内だと思いますけれども、調査依頼というような形で話があったことでございまして、それに関連しての対応みたいな話をちょっと申し上げさせていただきますと、同様の趣旨で通常個別の話ということでは情報提供があっても私ども申し上げないんですが、本件はニッポン放送側からそういうことをしたということは公表しておりますので、その限りでお話しさせていただきますと、三月の下旬にニッポン放送の方から監視委員会にそういうお話があったわけです。

 私どもの対応でございますけれども、これは一般論になりますが、私どもは、証券市場の不公正取引等に関する情報提供、こういうのはいつも大変広範囲に求めて呼びかけております。そして、寄せられた情報の中には調査の端緒となるような有用な情報が含まれている可能性もあるということで、情報提供があった場合には、それを積極的に活用して監視活動に役立たせるように努めているところでございます。他方、私ども、一般の方から個別に依頼を受けて、その依頼に応ずる形で調査を行う機関ではございませんので、情報を受け取る際にも情報提供者にその旨説明をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、一般論ですけれども、そういったいただいた情報提供、あるいはそれ以外のいろいろな情報もあわせながら、法令違反に該当する事実が疑われる場合には私ども必要な調査をする、こういうことでやっておるところでございます。

佐々木(憲)委員 ニッポン放送側からの要望があって調査をしているということを事実上お答えになったと思うんですが、三十分で六回の取引があったというふうに報道されておりますが、これは明らかに特定の相手と事前に合意なしにこのような大量の株の売買ができるということは考えられない。したがって、この取引そのものが、実態がどうだったのか、違法性があったのかないのか、この点について明確な結論を出すべきだというふうに、調査している以上結論は出さなきゃならぬと思いますが、その結論はもう出たんですか、出ていないんですか。

長尾政府参考人 大変恐縮でございます。先ほどもそういう状況を説明させていただきまして、ただ、あくまでも、いずれにいたしましても、個別事案の調査の実施の有無については、お答えすることは控えさせていただいているところでございます。これは、一般的にですけれども、私どもの活動を円滑に進めるためのものでございます。そういうことでございます。よろしく御理解をいただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 調査は継続中だというふうに理解をしますが、結論が出たら当委員会に報告をしていただきたい。

 次に、証券取引所の問題についてお聞きします。

 コクド、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載や、先ほどの議論にありましたカネボウの粉飾決算、こういう事件を受けて、金融庁はこれまで証券取引所に対して適時開示規則の見直しというものを指示したと言われております。適時開示規則というのはどのようなもので、これによって市場の公正性をどう確保しようとしているのか、お答えをいただきたい。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 適時開示制度というのは、企業の決算等についていろいろな新しい状況が加わった場合に、一般の投資家になるべく早く正確な情報を開示するということで、それぞれの証券取引所で規則の中で定められているディスクロージャーの制度でございます。

佐々木(憲)委員 適切な情報公開というのは当然必要であって、公平、公正でなければならないというふうに思います。

 上場企業に対して適時開示体制を添付した宣誓書というものを金融庁に提出を義務づけるということになっているそうでありますが、その場合、宣誓に違反した、重大な違反があったという場合には改善を指示したり、悪質な場合は上場廃止の措置がとられるというふうに聞いていますが、それは事実ですか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれの取引所でいろいろな基準を定めていると思いますが、いずれにいたしましても、最終的に上場を廃止するといった処分がなされるというような取り扱いになっていると思います。

佐々木(憲)委員 その適時開示規則の重要事項の中に、当然、先ほど言われた新しい情報、例えば業績の予想ですとか、あるいは配当に関する情報、こういうものも含まれると思うわけです。

 ところで、証券取引所というのは、現在、株式会社でありますね。我々は株式会社化法に反対しましたけれども、この証券取引所も上場企業になっていると思うんです。ここからも宣誓書を受け取っているはずであります。東京証券取引所あるいは大阪証券取引所は金融庁に宣誓書を提出していると思いますが、それはありますね。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 取引所で上場しているのは、現在のところは大阪証券取引所だけでございます。したがいまして、株式会社として大阪証券取引所からは、本年の三月末に、適時開示が健全な証券市場の根幹をなすことを十分に認識するとともに、常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を適切に行えるような社内体制の充実に努めるなど、投資家への会社情報の適時適切な提供に真摯な姿勢で臨むことについての宣誓書の提出を受けたところでございます。

佐々木(憲)委員 そうしますと、上場されているのが大阪証券取引所のみということでありますが、そこからは宣誓書が提出をされている。その中に、今御紹介があった文書と同時に、「常に投資者の視点に立った迅速、正確かつ公平な会社情報の開示を適切に行えるよう添付書類に記載した社内体制の充実に努めるなど、投資者への会社情報の適時適切な提供について真摯な姿勢で臨むことを、ここに宣誓します。」と書かれていると思います。

 ところが、この大阪証券取引所の情報開示について重大な問題が発生しております。三月十六日の午後三時五分、大阪証券取引所は、通期業績予想の修正等、それから期末配当予想の修正等を公表しました。また、三時三十分には、平成十七年から十九年度中期経営計画を開示しております。資料をお配りしておりますが、そういう時間帯で開示されておりました。

 ところが、この大阪証券取引所が公表する二十八分前に、配当予想の修正内容が読売新聞のインターネット情報に流れております。つまり、内部情報が漏えいしたと言わざるを得ません。そのため、大証の株価は、読売のインターネット情報以降に二万三千円ほど急上昇した。四十万八千円の終わり値がついた。金融庁はこの情報をつかんでいますか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、三月十六日に、大阪証券取引所が、十七年三月期の期末配当の予想について、三千円から六千円に増額することを決定いたしまして、適時開示規則に基づく開示を行っております。その配当の修正の発表前に今御指摘になったような報道が流れていたということは、私どもも承知しております。

佐々木(憲)委員 特定マスコミへの情報漏えいというのは非常に重大でありまして、この情報をもとに不当に利益を上げた者がいれば、公平性を損なうということになるわけであります。これは市場を監視すべき証券取引所が起こした問題でありまして、大臣にお聞きをしますが、これはやはり放置すべきではないと思うんです。その事実関係はどうだったのか、調査をして厳正に対処すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

増井政府参考人 事実関係だけ御説明申し上げます。

 金融庁といたしましては、今の報道、そういったことを承知いたしましたので、大阪証券取引所に対しまして指示を行いまして、大阪証券取引所により内部調査が実施されるとともに、情報管理の一層の徹底が図られたとの報告を受けております。

伊藤国務大臣 個別の具体的な内容についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、法令上問題が生じれば、法令に基づいて私どもとして適切に対応していくものになります。

佐々木(憲)委員 先ほどの局長の答弁は、指摘をして改善したということなんですか。しかし、事実は事前に漏えいをしたというわけですから、改善も何もないんじゃないですか。過去の事実を改善できるわけがないのであって、何らかの処罰を行うあるいは行政的な措置をとるというのは当たり前じゃないんですか。それはどうなっているんですか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私が申し上げましたのは、情報管理の一層の徹底が図られたということでございます。体制を、そういったことが起こらないように、そういった意味で情報管理の体制を一層徹底するといったことが図られたという報告を受けております。

 なお、それ以上の分につきましては、個別事案にかかわるということでございますものですから、コメントを差し控えさせていただければというふうに思います。

佐々木(憲)委員 今の答弁は納得できません。

 やはりこの事実関係を明確にして、そして、どこに問題があったのかはっきりさせる。責任者はだれか、だれが漏らしたのか、そこまで調査をすべきだ。そして、責任を明確にして、その責任をとらせるというのは当たり前じゃありませんか。大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 一般論のお答えになってしまいますけれども、私どもは、取引所に対する監督権限というものも持っているわけでありますから、取引所が市場の開設者として法令に違反するようなことがある、あるいは、取引所のあり方として問題があれば、監督者として法令に基づいて適切に対応していくことになります。

佐々木(憲)委員 私は、今回の証取法改正の審議を進めるに当たりまして、東京証券取引所の社長、それから大阪証券取引所の社長、このお二人を参考人として招致して御意見を伺いたいと思いますが、検討していただきたいと思います。

金田委員長 佐々木君の申し出については、理事会にて協議させていただきます。

佐々木(憲)委員 終わります。

金田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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