衆議院

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第2号 平成17年10月12日(水曜日)

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平成十七年十月十二日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 小野 晋也君

   理事 石原 伸晃君 理事 江崎洋一郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 竹本 直一君

   理事 渡辺 喜美君 理事 永田 寿康君

   理事 古本伸一郎君 理事 石井 啓一君

      井澤 京子君    石原 宏高君

      宇野  治君    木原  稔君

      倉田 雅年君    佐藤ゆかり君

      鈴木 俊一君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    高鳥 修一君

      谷川 弥一君    土井 真樹君

      中根 一幸君    平口  洋君

      藤田 幹雄君    藤野真紀子君

      松本 和巳君    松本 洋平君

      宮下 一郎君   山本ともひろ君

      小沢 鋭仁君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    長安  豊君

      平岡 秀夫君    三谷 光男君

      吉田  泉君    鷲尾英一郎君

      谷口 和史君    佐々木憲昭君

      野呂田芳成君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   内閣府副大臣       七条  明君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   浜野  潤君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    武藤 敏郎君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十二日

 辞任         補欠選任

  宮下 一郎君     宇野  治君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     宮下 一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

小野委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁武藤敏郎君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁監督局長佐藤隆文君、内閣府政策統括官浜野潤君、警察庁生活安全局長竹花豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本洋平君。

松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平でございます。

 私は、先般の衆議院選挙で初当選をさせていただいた新人でございます。何分、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 なお、私は、一昨年まで銀行員をしておりました関係で、そういった体験談も踏まえ、またトップバッターということでもございますので、ぜひ、各論にはこだわらずに、総論的なお話を、御質問をさせていただきたい、そのように思っているところでございます。

 先般、衆議院選挙を戦わせていただきました。今回の衆議院選挙は、郵政民営化の是非を問う、そういう選挙であったわけでございます。もちろん私も、地元、私は東京十九区というところになるんですけれども、こちらの地元の有権者の皆様方、約四十五万人の方々に対しまして、この郵政民営化の必要性、こういったものを皆様方にお訴えをさせていただきまして、そして当選させていただいたわけでございます。

 しかしながら、私は、今回の選挙で有権者の皆様方とお話をする中で、非常に強く感じたことがございます。それは一体何なのかと申しますと、この郵政民営化というのは決して目的ではない、そういう思いを持っている有権者の皆様方が非常に多いということを私自身感じてまいりました。

 つまりは、やはり今の日本が置かれている状況、この財政の状況を何とかするために、その突破口といたしましての郵政民営化、この郵政民営化から始まります財政改革、構造改革というものが何としてでも必要である、そういった位置づけの中でこの郵政民営化の議論をとらえられている有権者の皆様方が非常に多かったことが、私にとりましては極めて印象的なことであったわけでございます。

 もちろん、私もそういった思いのもとに、有権者の皆様方には、これからの日本の将来を考えたときに、まさに財政の問題をどうしていくのか、このことをしっかりと議論をしていかなければならない、そして郵政民営化から始まる構造改革というものは、まさにこの財政をどうするのかという観点で我々は政策を立案していかなければならない、そういったことをお訴えさせていただいたところでございます。

 巷間、非常に今の日本の財政状況が厳しいということが喧伝されておりますというか、これは事実でございますけれども、言われているわけでございますが、ここで、改めまして財務大臣に、我が国が置かれております財政状況につきましての御認識をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

谷垣国務大臣 松本委員にとって初質問ということでございますが、きょうこうしてこの委員会に参りまして、松本さんを初め若々しいメンバー、たくさんお顔を拝見して、これから新鮮な議論をなさるんだろうと期待しております。御一緒に議論をさせていただくのを楽しみにしているわけであります。

 それで、今、選挙戦で松本さんがお感じになったこと、単に郵政改革というだけではなくて、その背後に、日本の財政の状況をきちっと立て直していく必要があるだろう、多くの国民の期待があったということを所感としておっしゃいました。私も今度の選挙戦を通じて全く同様の認識をしているわけでございまして、それだけに、今財政の仕事をお預かりしている私の責務も重いものがあるなと、この選挙戦を通じて改めて感じたわけでございます。

 それで、総論的なことからきょうは入るとおっしゃいましたので、私もごく概括的に、余り細部にわたらず申し上げますが、もうこれは申し上げるまでもございません、今年度末で国の長期国債発行残高が五百三十八兆円になると見込まれております。これはOECD諸国をとりましても一番悪い数字でございますから、何とかこの状況を立て直していかなければいけないというのは、これはもう当然のことだろうと思います。

 平成十七年度予算におきましても、聖域なき歳出改革というのをしなければいけないということで、相当思い切ったメスを入れたつもりでございます。その成果と言ってはなんでございますが、四年ぶりに公債発行額を前年度より減らすことができた等々の成果が得られたと思っておりますが、これは平成十八年度予算に向けても、当然引き続き同じような努力を、あるいはそれ以上の努力を続けなければならないんだろうと思います。

 そしてまた、私どもの目的とするところは、これはもう何度もこの委員会でも申し上げたところでございますけれども、二〇一〇年代初頭にいわゆるプライマリーバランスを回復していく、その年にいただいた税金でその年の政策を打っていけるようにしていこうと。現状ではここに大きな、十六兆近いギャップがあるわけでございますから、それを今後、二〇一〇年代初頭までに埋めていかなければならない。これは、ことしの六月に閣議決定をいたしましたいわゆる骨太の方針二〇〇五でも、単に二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復するというだけではなくて、歳出歳入一体となった、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復していく、いわゆる工程表を今後一年ぐらいをめどにつくれということが書き込まれております。

 私どもはもちろんそれに向けて作業をしていかなければなりませんが、平成十八年度予算編成はこれからいよいよ本番になるわけでありますが、そういう工程表をつくっていきますについても、その土台となるような予算をこれからつくっていかなければならない、こんなふうに考えているところでございます。

松本(洋)委員 わかりやすい御説明をありがとうございます。

 今の日本の財政が置かれている状況というのが本当に厳しいということ、そしてそれに対して、今、政府・与党一体となりまして一生懸命取り組んでいこうということは非常によくわかったわけでございます。

 そうした現状認識の中におきまして、これからの将来のことを考えましたときに、我々の足元の一番大きな課題になってくるのは、私は、少子高齢化社会の到来ではないかと思います。その少子高齢化社会の到来の中におきましても、私たちは何としてでも活力ある日本経済というものを復活する、そしてそのための財政政策というものが何としてでも必要になってくるわけでございます。

 私は、現在三十二歳でございます。どうも、今回自由民主党から当選した八十三人の新人議員の中で、私が下から五番目というような年齢のようでございます。ちなみに、私のこの三十二歳という年齢は、世間一般に見てみますと、小さい子供たちを持つ親の世代であったり、これから子供を産もうとしている親の世代であったり、そういった親の世代であるということが非常に大きいわけでございます。

 実際に、私の仲間たちにも、そういった子供たちを持つ、特に小さい子供たちを持つ親の世代が非常に多いわけでございますけれども、そういった仲間たちが異口同音に言いますのは、やはり日本の将来のことが本当に心配である、本当に子供を産んでいいのだろうか、大丈夫だろうか、そういった心配の声を上げる私の仲間がたくさんいます。非常に大きな声をそういった仲間から聞くわけでございます。

 そうした中におきまして、我が国は、活力ある社会を取り戻すために何とかしていかなければならない。しかしながら、今、先ほど大臣がおっしゃいましたような日本の財政状況の中で、我々が打てる手というのは限られてきている。そういった非常に難しい、矛盾した問題があるんだろうと私は考えております。

 そんな中におきまして、私は、これからの財政また経済政策等々を考えてきたときに、選択と集中という考え方が極めて重要になってくると思っているところでございます。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、歳出面におきまして、子供たちの世代という観点も含めて、中長期的に、歳出面において選択と集中というものをどのように行っていくのかお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

谷垣国務大臣 今、松本委員がおっしゃいましたように、極めて厳しい財政状況の中でこれからどう財政を立て直していこうかということになりますと、限られた財政資金をいかに有効に使っていくかということに意を用いなければならないということだろうと思います。そうなると、今おっしゃったように、選択と集中ということがどうしても考えられなければならないことだろうと思います。

 小泉内閣になってどういうことをやってきたかと申しますと、公共事業等々に関しましても、もちろんまだ必要な公共事業はたくさんあるわけでありますが、むだな公共事業も随分多いじゃないかという御批判も受けまして、大体これを四割、小泉内閣になりまして削減をしてきたということがございます。

 その一方で、若い方々の負担というようなことを考えますと、今ちょっと、その一方でというのはちょっと撤回いたしますが、おっしゃいました社会保障関係費ですね、これは、ほっておきますと、毎年どうしても高齢化の影響で一兆円ぐらいの自然増というものが出てきてしまう。平成十八年度予算で考えますと大体八千億ぐらいの自然増が出るわけでありますが、来年度予算をつくっていくためにはどうしても二千二百億は合理化と申しますか、圧縮を図っていかなければ予算が組めない状況ということになろうかと思います。このあたりは、借金を重ねていきますと、公債をたくさん積み重ねていきますと、ツケを後の世代に送るということになりますから、今のような面でのむだなといいますか、必ずしもむだばかりとは言えないかもしれない、自然増もあるわけですが、合理化というものは避けて通れないところだろうと思います。

 他方で、日本の活力というようなことを考えますと、やはり意を用いなければならないところは科学技術関係というようなもの。やはり、日本は物づくりとかいろいろなことでやってまいりましたけれども、今後魅力ある日本をつくっていく上で、日本は科学技術の水準が高いぞというようなことは私どもとして大切に考えなきゃいけないことだろうと思っております。

 そこで、科学技術振興費も小泉内閣になりまして約一割以上増加させてまいりました。大きく申しますとこういうような形で選択と集中をやっているつもりでございますが、今の科学技術関係の中でもただ漫然と科学技術をふやせばいいというわけではないだろうということで、総合科学技術会議という中でやはり重点項目を決めていただきまして、いろいろなプロジェクトにやはり総合科学技術会議として評価をいただく。S、A、B、Cというようなランクづけをしていただきまして、やはりそのランクの高いところに集中をしていく、重点配分をしていく、そういうようなことをやらせていただいているわけでございます。

 やはりこれからも少子高齢化、それからグローバル化の中での激しい競争、こういうものに対応していく日本をつくらなければなりませんから、時代の動向をよく見て、選択と集中ということで歳出構造の改革を図っていくべきであろう、こう思っております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 まさに、私も、今回の選挙戦を通じまして、これからの日本の将来の産業構造というのを今考えていかなきゃいけない、そういう時にあるんじゃないかということも同時に訴えをさせていただきながら活動をしてまいりました。

 私は、この日本の将来を考えたときに、どういう産業構造があるべきかという観点におきまして、以前のような労働集約型ではないにせよ、やはり我々の産業構造の一番の基本には物づくりというものがなければならないというような観点で私は考えているものでございますから、そういう意味合いにおきましては、その選択と集中というものをさらに進めていっていただきまして、本当に、二十年後、三十年後の将来の世代に対しまして大切な財産として残せるような、そういう歳出構造というものをぜひこれからもつくり上げていただきたい、そのように思っているところでございます。

 そうしましたら、続きまして、ちょっと歳入面のお話を聞かせていただきます。

 歳入と申しますと税制ということになるわけでございますけれども、この税制の問題というのは、一歩間違えば国民の活力を奪いかねない非常に重要かつデリケートな問題だというふうに私は考えているわけでございまして、この税制によりましてこの国の活力が失われるようなことだけは決してあってはならない、そのように考えているところでございます。

 そもそも税制の議論をしているときに私が非常に強く感じますのは、例えば直間比率の問題のように、直接税を下げて間接税を上げましょうとか、決められた税の中で、どっちをとって、こっちを上げてあっちを下げるみたいな、そういう議論であってはいけないんじゃないかというふうに私は非常に強く思っているわけでございます。逆に言えば、税制を通しまして経済の活性化を図るというような、いわば逆転の発想といいますか、言葉はふさわしくないかもしれませんけれども、積極的な税制といいますか、そういう観点というものが私はこれからの日本にとりまして非常に重要なものになっていくのではないかというふうに思っているところでございます。

 そういった意味合いにおきまして、今歳入面の改革というものを進められているところでございますけれども、この経済の活性化という必要性も含めまして、あるべき税制の構築に向けまして、バランスをとりつつ進めていくことが重要だと思っておりますが、それに対しましての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今構造改革というものがどうしても必要だということで私どもやらせていただいているわけですが、そもそも構造改革をしなければならない理由、原因というものが一体どこにあるのかというと、これはもういろいろな考え方があろうかと思いますが、私は、せんじ詰めて言えば、一つは少子高齢化といった人口構成の変化、それからもう一つは、グローバル化という言葉に象徴されますように、やはり冷戦が終わった後多くの国が競争に参加してきている、メガコンペティションというふうに申しますか、そういった世界の中での、グローバル化の中での日本の生きていく道をどう探っていくべきか、この二点が構造改革を迫っている原因ではないかというふうに私は考えているわけでございます。

 先ほどから申しましたように、日本の財政状況は大変悪うございますから、いかに歳出を聖域なく見直していって選択と集中というものをやっていこうと。十七年度予算は一般会計の規模が八十二兆二千億、税収は四十四兆でございますから、そのギャップを歳出カットだけで埋めて財政構造を立て直していくということは私は不可能だろうと思います。どうしても、税をどうするかという議論をしていかなければならない時期が必ずやってくるというふうに私は思っているわけであります。

 そのときに考えなければならない一つの要素は、今松本さんがおっしゃったような、経済の活力、その根本にあるのは、少子高齢化というような人口構成の変化や世界的な競争の中で日本がどこに自分の生きていく道を見出していくべきかという視点が不可欠なのではないかなというふうに思っております。その上で税をどういうふうにしていくかということでありますが、これから来年度にかけて考えなければならないことは、一方で三位一体というのを今一生懸命やっておりますから、国から地方への税源移譲というものを考えていかなきゃなりません。これは、所得課税の体系の中でまず三兆円の地方への税源移譲をやっていくということを考えておりますので、所得税、地方住民税の改革ということになってくると思いますし、そのときに、平成十一年度に入れました定率減税というものをどうしていくかということを考えながらことしは作業をしていかなければならないと思っております。

 そして、平成十八年度内にやらなければならないことは、社会保障、やはりどれだけの給付をしていくか、国民の社会保障に対する要望はどこにあるのかというようなことを、議論を積み重ね、よく見きわめまして、給付と負担というのはこれは車の両輪でございますから、そのときその負担をどういうふうにしていくか、消費税も含めて結論を出していかなければならないだろうというふうに考えているわけでございます。

 そういう形で、やはりあるべき税制というものを私たちはこれから模索をしていかなければいけないんだろうと思っております。

松本(洋)委員 今、歳入の面に関しまして財務大臣から御答弁いただいたわけでございますけれども、少子高齢化社会の中で我が国が税収をふやしていく、それを考えたときに、私は、大事になってくるのはやはり法人税というものじゃないかというふうに思っております。当然、少子高齢化社会ですから、これから、じゃ、人口が爆発的にふえるということがあるのだろうか、また、個人の所得がまた同時に爆発的に伸びていくようなことがあるのだろうか、そういったことを考えたときに、家計からの税収をふやしていくという観点ではなくて、法人税、法人の企業活動の中で上げた利益の中から上がってくるこの法人税というものを強化していく、それは決して税率を上げるという観点ではございませんで、企業部門が業績を上げられるような、そういった土台づくりをしていくということが、私は、歳入をふやす上でも妥当な考え方なのではないかというふうに思っているわけでございます。

 私は、平成八年に銀行に入行いたしました。そのときはもうバブル崩壊の時期であったわけでございますけれども、これから我々日本が目指していく姿の中におきまして、再び景気をよくするという話の中で、資産価格の上昇が景気の上昇というような、過去のバブルを繰り返すような、そういったわけではいけないというふうに思っております。まさに、地に足のついた産業政策を後押しする財政政策というものが必要であるというふうに考えているわけでございまして、そういった意味におきまして、法人税収を確保するために、企業部門の活性化を図るために、財政政策を打っていくことが大事だと考えておりますけれども、その点につきましての大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 長い間、やはり企業が、過剰債務それから過剰雇用、過剰設備、こういったものを抱えて、ぬかるみの中で苦しむような時代が続いてまいりましたけれども、国も構造改革の努力というのを相当やってまいりましたが、企業もそういう状況を克服するようないろいろな努力を積み重ねられまして、ようやくそういうものは体質が改まって克服できるときが今来たんだろうというふうに思っております。

 そういう中で、長い間、みんな、企業部門の好調さがなかなか個人消費に結びつかない、家計に結びつかないというのは、心配の種でございました。現在でも十分なってきたというわけにはいかないかもしれませんが、かなりそういう流れが見込まれるようになってきたということは、私はありがたいことだなというふうに思っているわけでございます。今後とも、企業部門の活性化ということを考えていかなければならないわけでございますが、先ほど申し上げたように、やはり人口構成の変化それからグローバル化というものの中で、企業がどうやったら活力ができるかということは、私ども、あらゆる方面から模索をしていかなければならないだろうと思います。

 現在、小泉内閣のもとでそういうことでやっておりますことは、いろいろな規制緩和を進めていって、企業が持っている力を十分に発揮できるような環境をつくっていって活性化をしていくということをまた第一に考えているわけでございまして、そういうことを今後とも推し進めていかなければならないんだろうというふうに思っております。

 具体的には、いわゆる民間でできることは民間へと、規制改革、行革ということを推し進めて、官から民へというようなことをやっておりますし、また、FTA等々の諸施策を進めていくことも企業の活性化という点では避けては通れないことだろうと思っております。

 それからもう一つ、公的部門の効率化とか簡素化というようなものも、これは企業部門が活力を出していく上には避けて通れないことではないかなと思っておりまして、そういうこともあわせて進めて、企業の活力を出していかなければならないだろうというふうに考えているわけでございます。

 そういったものをあわせて、あるべき税制というのを考えていかなければならないわけでございますが、先ほど申しましたように、ことしの六月につくりました骨太、今後一年間をかけてというと来年六月ごろということになりますが、歳入歳出一体の改革の工程表というものをこれからきちっと考えていかなければならない、こういうふうに思っているところでございます。

松本(洋)委員 ありがとうございました。

 やはり企業が元気になるということが非常に重要ということでございまして、ぜひ財務大臣、旗を振っていただきまして、財政構造改革という意味合いからも、ぜひとも強力にそうした企業活性化策というものを進めていただきたいと思っております。

 さて、その企業部門の活性化という中で、私、銀行員をしておりましたけれども、決定的に重要なことは、やはり銀行部門が資金を融資しまして、それを元手に企業が成長していくという、ごく当たり前のことではありますけれども、この流れをやはり我が国の中におきましてきちんとつくり上げていくということが大事だというふうに思っております。私自身、銀行員をしておりましたころは、回収等もやった経験がございまして、中小企業の皆様方の悲鳴また金融機関に勤める者の苦しみ、こういったものも実際に我が耳で聞き、肌で感じてきたところでございます。

 先般、不良債権処理は一段落したと、終了したということでございますけれども、その不良債権処理の終了に伴いまして、金融セクターが、新たな局面にふさわしい、そういう政策を打ち出していかなければならないのではないかというふうに思っております。その金融セクターの活性化に向けました前向きな金融行政といいますか、そういったものに関しまして、金融担当大臣の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

伊藤国務大臣 松本委員の最初の御質問に答弁をさせていただくということは、私にとりましても非常に光栄なことでありますし、また、構造改革を進めていくに当たっては、やはり金融改革も非常に重要な改革でありますので、委員の今までの御経験から、いろいろな御議論をいただきますことを心から期待をいたしているところでございます。

 今、今後の金融行政のあり方について御質問がございました。今日まで、日本の経済の再生を実現していくために不良債権問題が大きな足かせとなっていたわけでありますが、この問題を解決していく取り組みを進めてまいりました。そうした中で、主要行は、本年の三月末の決算におきまして、不良債権比率が二・九%まで低下をしている、そして不良債権問題全体の取り組みについても進捗してきている状況にあろうかというふうに思っております。こうした状況の中で、我が国の金融システムをめぐる局面も、不良債権問題への緊急対応から、将来の望ましい金融システムを考えていく未来志向のフェーズに大きく転換しつつあるというふうに考えているところでございます。

 こうした認識の中で、私ども金融庁といたしましては、昨年十二月の末に金融改革プログラムという、今後二年間の金融行政の指針となる新たなプログラムを策定、公表させていただいて、そして利用者の満足度の高い金融システムというものを実現していく、そうした方針を明らかにさせていただいたところでございます。

 この改革プログラムのさまざまな諸施策を展開させていただくことによって、一つは、マネーフローの構造改革というものを進めていく、そのことが期待をされているところであります。つまりは、間接金融に偏重したマネーフローの状況を、直接金融やあるいは市場型間接金融というものを活用して新たな金融商品やサービスというものを提供していく、そうした選択肢というものをつくり上げていく。そうした変化を通じて、リスクに柔軟に対応していく経済構造というものをつくり上げていくことが非常に重要だというふうに思いますし、また、活力ある金融システムを構築していくためには、今委員からも中小企業の問題がございましたが、地域経済の活性化に貢献できるような金融機能というものを強化していくことが極めて重要であるというふうに考えております。

 中小企業の再生や地域経済の活性化というものは非常に重要な課題であります。地域や中小企業のニーズに的確にこたえられるような地域密着型の金融機能というものを一層向上させていく、そうした取り組みというものを前に進めていかなければなりません。

 こうした取り組みを進めていくためにも、本年の三月に工程表というものを公表させていただいておりますので、それに基づいてさまざまな施策というものを着実に推進をさせていただき、そして、利用者の満足度が高くて、国際的にも高い評価が得られて、そして地域経済にも貢献できるような活力ある金融システムというものを、官の主導ではなくて民の力によって実現していくことを目指していきたいと考えております。

松本(洋)委員 本当に、私自身も非常に感じるのは、日本の元気の源といいますか活力の源は、やはり中小企業が持つ高度な技術力であると思っておりますし、町の元気の源は町の元気な商店だというふうに思っているわけでございます。

 そういった意味合いにおきまして、金融庁が占める役割というのはどんどん増大していくというふうに思っているんですけれども、その中で、先ほど、地域の中小企業対策ですとか地域金融ですとか、そういったことをおっしゃられていたわけでございますけれども、具体的にこれまでどういった取り組みをされてきたのか、そういう事例があればぜひ教えていただきたいと思うのでございますが、よろしくお願いいたします。

西銘大臣政務官 お答えいたします。

 我が国経済の基盤を支えている中小企業の再生は、日本がバブル後から脱却し、今後、持続的な経済成長を実現するために非常に重要なテーマであるというふうに認識をいたしております。

 そうした観点から、金融庁といたしましても、金融機関による経営改善計画の策定指導の促進、早期事業再生に向けた金融機関の取り組みの促進などの方策を講じてきております。また、各金融機関においても、中小企業再生のための各種の取り組みが進められてきているところでございます。

 こうした取り組みの成果につきましては、なお見守っていく必要があると認識をいたしておりますが、現時点においても、地域金融機関の経営改善支援により、支援を行った債務者の約四分の一、約一万八千先が業況改善を果たすなど、中小企業の再生や経営の支援の取り組みが着実に成果を上げていると認識をいたしております。

 以上でございます。

松本(洋)委員 ありがとうございました。

 時間も参りましたので、最後に一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 先ほど財務大臣また金融担当大臣からもお話がございましたとおり、本当に今の日本が置かれている現状というのは厳しいというふうに私も思っております。しかしながら、こういう時期だからこそ、私は、これからの日本の政策を議論していく中におきまして、いわば対症療法的な問題解決型の議論をするのではなくて、これからの日本をどういうふうにしていくんだという、やはりそういう発展的な議論というのが極めて重要になってくるのではないかというふうに思っております。

 そういった観点におきまして、ぜひともこの財政また金融の議論の中におきまして、矮小な議論に陥るのではなくて、やはり十年後、二十年後、三十年後、私自身、次の世代への責任というものが一番大きな原点で政治をさせていただいたつもりでございますので、そういった観点での御議論をさらにお願いいたしまして、そして、私自身も一生懸命頑張ってまいりますことをここにお約束を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野委員長 それでは、佐藤ゆかり君。

佐藤(ゆ)委員 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 さきの解散・総選挙におきまして、「改革を止めるな。」という自民党の断固たる決意のもとに選出いただきまして、国政に臨ませていただくこととなりました。よろしくお願い申し上げます。

 我が国の財政状況は非常に厳しい状況にございまして、九八年以降の金融危機の回避におきまして、非常事態宣言であります日銀のゼロ金利政策、そしてその後の量的緩和政策が奏功いたしましたのは間違いないかと存じます。しかし、その一方で、九八年度に金融危機対応で打たれました大型な緊急経済対策、この資金繰りとして増発されました十年国債が二〇〇八年度には集中償還を迎えるという、財政状況が厳しさを増していることも事実ではないかと存じます。

 そして、今後中期的には財政再建が我が国の最重要課題とも見られます中で、政府、日銀が一体となりまして財政再建のための協調政策をとるのか、あるいは、これまでの日銀政策が非常事態政策でありまして、今後は正常化に向けてむしろ経済活性化を求める方向で動くのか、これまでのマクロ政策の重要な転換点に差しかかっているのではないかというふうに認識いたしております。

 また、その一方で、我が国の金融市場をより開かれたシステムに構築しまして、より多くの市場参加者を市場に呼び込みますことで、市場の行き過ぎを防ぎ、より安定的で安価なコストの金融システムの構築につなげるようなミクロの政策というのも並行して重要ではないかというふうに考えております。

 本日は、財務金融委員会で質問の機会をいただきまして、まことにありがたく存じます。昨晩の急な質問準備で粗っぽいところもあろうかと存じますが、より前向きな論議を進めるために質問させていただきたく、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 では、まず、先ほど御質問に既に上がりましたが、我が国の金融システムのグランドデザインにつきまして御質問させていただきたいと思います。

 昨日の衆院の本会議におきまして、郵政民営化の修正法案が可決されました。この民営化法案の可決によりまして、銀行法の適用下で郵便貯金銀行が誕生いたします。これまで非効率な特殊法人へ流れ出ていた郵貯資金が、官から民へと流れを変える改革が始まるわけでございます。

 しかし、その一方で、今国会では銀行法の改正案も提出される運びでございまして、これが可決いたしますと、銀行の代理店業務が大幅に規制緩和される、そして、支店を設置せずに、より簡便に銀行業務を営むことができるようなシステムができ上がるかと存じます。場合によりましては、民営化後の郵便局が郵貯銀行の代理店業務に参入するような連携というのも、将来的可能性として視野に入ってまいるのではないかと考えられますが、改正銀行法のもとで、万が一、郵便局という既存のネットワークを駆使した代理店業務を郵貯銀行が展開するような場合には、やはり民業圧迫の懸念というのも再燃してまいるかと考えられると思います。

 この点につきましては、既に委員会でも論議の対象になっているかと存じますが、昨年度をもちまして主要行の不良債権処理も一巡しまして、今後は、金融システムの非常事態対応から、より前向きな金融システムの構築へというふうに政策の焦点も既に移ってきている中で、今後の郵政民営化とそれから銀行業の規制緩和が並行して進められる場合の、前向きな金融システムの構築におけます全体像といいますか、我が国のあるべき金融システムの姿、そしてその中で地方金融機関が特にどのように生き残っていけるのかというような、地方金融機関のあり方などにつきまして、伊藤大臣の描かれるものをお伺いさせていただければと思います。

伊藤国務大臣 大変大きな御質問をいただきましたので、限られた時間の中で私の思いをすべてお話しすることは大変難しい点があろうかと思いますが、ポイントだけお話を何点かさせていただきたいというふうに思います。

 まず、現状認識でありますけれども、これは、先ほど松本委員にもお答えをさせていただきましたように、現下の我が国の金融システムをめぐる局面というのは、不良債権問題への緊急対応から脱却をして、そして委員からも御指摘がございましたように、将来の望ましい金融システム、活力ある金融システムというものを構築していく、未来志向の局面に転換しつつある、そうした認識を持っております。

 こうした認識の中で、私どもとしては、昨年の十二月末に金融改革プログラムを策定、公表させていただいて、そして、利用者の満足度が高くて国際的にも高い評価が得られるような金融システムを、官の主導ではなくて民の力によって実現をしていきたいというふうに考えております。

 その心は、やはり日本の金融機能やあるいは金融資本市場の持つさまざまな可能性というものを利用者の方々が遺憾なく活用していただくことができる、そういう環境というものをしっかりつくり上げていかなければならない。そうした観点からすると、不必要な規制というものを撤廃して、活力ある市場というものをつくり上げていくことは非常に重要なことだというふうに考えております。

 また、マネーフローの構造改革を進めていくためにも、直接金融やあるいは市場型間接金融の活用というものを通じて、新しい金融商品やサービスというものを提供できるような、選択肢を広げていける金融改革というものも前に進めていかなければなりません。

 さらに、地域金融機関についての御指摘もございましたが、活力ある金融システムを構築していくに当たって、やはり地域経済の活性化に貢献していけるような、そういう金融システムをつくり上げていくことも非常に重要なことであります。

 集中改善期間におきましては、こうした観点から、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムに基づくさまざまな施策というものを展開させていただいて、そして、中小企業の再生と地域経済の活性化に貢献をしながら不良債権問題を解決していく、そういう取り組みを進めてまいりました。

 金融改革プログラムにおいてもこうした取り組みを承継して、そして、新しいアクションプログラムのもとで、地域の特性やあるいは地域金融機関の個性というものを生かして、そして、健全な競争環境の中で地域のニーズにこたえていけるような、地域密着型金融機能というものを強化していく取り組みというものを一層前進させていかなければいけないというふうに考えております。

 郵政民営化を初めとした構造改革と相まって、日本の金融システムというものが、より効率性が高くて、そして利便性の高い金融システムというものを実現できるように、今後の金融改革に取り組んでいきたいと考えております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 金融のより開かれたシステム構築に向けまして、前向きなお話がお伺いできたと思います。やはり、少子高齢化時代の進展とともに、貯蓄率がさらに低下していくという時代になるかと思いますが、さらなる貯蓄率の低下を通じて我が国の金融の空洞化が生じませんように、やはりぜひとも安全かつ利便性の高い金融システムの構築に向けて期待を寄せさせていただきたいと思います。

 それから、本題でありますが、財政再建と日銀政策につきまして、以下六、七問、時間の許す限りお伺いさせていただきたいと思います。

 財政再建と日銀政策の関係についてでございますが、御周知のとおり、我が国の国債は、九〇年代後半の大型の緊急経済対策を打ちました結果、増発のペースが速まりまして、国の債務残高も今年度末で、先ほどございましたように五百三十八兆円まで膨れ上がるという時代になっております。これが、五年後、二〇一〇年度末には、財務省試算によりますと六百八十九兆円まで上がりまして、二〇一七年度末には八百九十二兆円までさらに増大するとの試算が出されております。

 現在は、十年国債の利回りが一・五%近辺と、いまだ低水準ではございますが、財務省試算によりますと、これもやはり、十年金利が二%を超えてまいりますと、国債の利払い費が急速に上がってくるというような状況で、やや財政の持続性に対する懸念も上がってくるというような金利水準というふうに伺っております。

 財政再建は、そういう意味で、やはり今、金利上昇が始まる前からある程度手だてを打っておくべきことではないかというふうに考えておりまして、やはり金利が上昇し始めてから初めて手を打つのでは手おくれではないかというような形で考えております。

 こうした財政状況を踏まえまして、まず日銀政策ですが、今後の日銀政策のあるべき姿についてお伺いさせていただきたいと思います。

 まず第一に、九八年の金融危機以降でございますが、政府、日銀によりまして、一体となる政策運営の試みというのは既にされてきております。ただ、当時は、まさしく金融危機の回避とそれからデフレ克服に向けました、政府、日銀の一体化の政策という位置づけであったかと考えております。しかし、その後デフレの解消も近づいてまいりまして、経済環境というのもかなり今足元、改善を示してきております。

 そうした中で、マクロ政策の前提というのは当時とは極めて異なってきているという状況の中で、実際CPIを見てみますと、コアCPIの前年比はことし八月時点で若干のマイナス、マイナス〇・一%にとどまってはおりますが、CPIの中でも特に公共料金だけを見てみますと、前年比マイナス一・五%。要するに、昨年秋以降の電気やガス料金の引き下げですとか規制緩和によります任意自動車保険の料率の引き下げなど、いろいろなそういった公共料金の引き下げが実は全体的にコアCPIの大きな押し下げ要因になっているということで、これは、需要の弱さ、需給ギャップの拡大によるCPIの物価のデフレ圧力ではなくて、供給側の改善による物価の下落というような位置づけの方が実態像としてはふえてきているのではないかと考えております。

 その結果、公共料金を除くコアCPIだけを見てみますと、既に昨年の九月時点で前年比〇・一%のプラスに転じておりまして、それ以降、プラス〇・一から〇・二%程度の小幅プラスというのをほぼ足元まで持続的に維持している状況でございます。実質的に、デフレというのは、CPIで見る限りは既に解消しているという見方も出てきているとおりでございます。

 そこで、デフレ対策としての位置づけではなくて、財政再建に向けました国債管理政策という新たな枠組みの中で、今後政府と日銀がどう一体化政策をとる余地があり得るのかどうかという点につきまして、財政再建の観点から、日銀政策の今後について、まず武藤副総裁にお伺いをさせていただきたいと存じます。

武藤参考人 今、我が国の国債残高、巨額な国債残高を抱えたマーケットというものを考えますと、この国債を順調に消化して、市場での円滑な価格形成を促すということが極めて重要なことであると認識しております。

 そういう中で、恐らく御質問の御趣旨は、これから金融政策が量的緩和政策から何らかの形で出口政策という形で移っていったときに、長期金利の動向、ひいてはそれが財政にどのような影響を与えるかということについてのお尋ねであろうかと思います。

 日本銀行といたしましては、基本的には、この長期金利というものは、経済の状況、それから人々の物価に対する見方によって決まるものというふうに考えております。したがいまして、日本銀行としてなすべき最大のことは、金融経済情勢を見きわめながら適切な金融政策を運営することによりまして、物価の安定と持続的な経済成長の実現に努めていく、そういう形で、ひいては財政再建でありますとか、あるいは円滑な国債消化にも寄与することができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 日本経済にとりまして、やはり今後中期的に最重要課題と見られます財政再建の観点で申し上げますと、やはり政策変更で金利上昇を引き起こすような事態になります結果、国の利払い費が増大して、その結果、また新発国債を発行せざるを得ないような状況になりますと、政策としては本末転倒ではないかというような気もいたします。

 そこで、今後、より目先に迫りました現実的な問題につきまして少しお伺いさせていただきたいと思います。

 九八年度の、先ほど申しました緊急経済対策で増発しました十年国債が集中満期を迎えます二〇〇八年度問題ですけれども、残されましたそれまでの向こう三年間というのは、毎年度国債の償還額が増加の一途をたどる現状にございます。財務省の試算でも、当初は二〇〇八年度に償還額が百三十兆円台の大台に乗るという見込みも出まして、その結果、財務省の方でも、国債の前倒し償還ですとかいろいろなものが工夫として計画されておりまして、償還の分散化を図っておられるということは伺っております。

 この大量償還期でありますいわゆる二〇〇八年度問題につきまして、財務省としまして、国債市場の需給悪化を防ぐためにどのような具体策をとられておられまして、そして、二〇〇八年度問題に向けまして、実際に市場金利の急騰というのを想定する必要がない手だてというのが既に想定されているのかどうか、この点につきまして谷垣大臣に所見をお願いしたいと思います。

谷垣国務大臣 今佐藤委員おっしゃいましたように、二〇〇八年問題と巷間言われているようでございますが、一九九八年、タイのバーツが下落をしまして、いわゆるアジア金融危機、日本の金融システムにも深刻な影響が及びまして、それを何とか克服しようと、平成十年度は、急に西暦から日本のあれになりますが、平成十年度では大変巨額な補正予算を組んだりいたしまして、その結果、十年債発行額が四十・六兆と、前年度に比べますと約十四・五兆円増加をしたというようなことがございました。

 そこで、やはり、これが十年をたちまして、償還期が二〇〇八年に来るわけでございますから、この対応というものをきちっとしておかなければならないということで、先ほど委員がおっしゃいましたように、既に、満期集中の緩和を図るために、平成十四年度以降、買い入れ消却というのを行ってきているというのが一つでございます。

 それから、毎年の国債発行額、これからだんだんふえていくわけでありますが、平準化を図らなければいけないということで、一つは、発行年限の長期化というようなこともいろいろやっております。それからもう一つは、借換債の前倒し発行というようなことをやりまして、一挙にショックが集中しないようにという手だてをいろいろ講じているわけでございます。

 こういう手だてを講じておりますが、国債の、特に金利等を見ましたときの国債管理政策の基本というのは、私は、これは私の立場として何度でも繰り返して申し上げなければならないと思っておりますが、政府はやはり財政規律をきちっとやるんだ、意欲を持って財政規律に取り組んでいるんだという姿勢を示すということが、私は第一であろうというふうに思っております。

 その上で、国債管理政策の適切な運営というようなことになりますと、市場とよく対話をして、市場のニーズがどこにあるのかということを見きわめながら、国債の保有層の多様化であるとか、いろいろな商品開発をするとか、そういうような手だてを講じていくことではないかなと思っておりますが、そういう手だてをすべてきちっとやらせていただいて、この二〇〇八年を無事越えたい、こういうふうに考えているわけであります。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 時間も迫ってまいりました。あと十分足らずでございますので、少し先に進めさせていただきまして、日銀の政策スタンスの方でございますが、最近、先月の二十九日の講演で、福井総裁が、量的緩和の解除に関する判断時期につきまして、二〇〇六年度にかけて、すなわち二〇〇六年度に入る前か、あるいは入って数カ月かの時点と明言される御発言をされておられます。

 そうした中で、イールドカーブの現状を見ますと、既に国債市場では、来年四―六月期ごろの量的緩和の解除と、それから来年中の利上げを見越した金利の小幅上昇というのが既に観測されてきております。実際に、今月下旬に公表予定であります日銀の展望レポートにつきましても、二〇〇六年度のCPI見通しがここで前年比、仮にプラス、〇・五%程度のプラスにでもなりますと、やはり二〇〇六年度にかけました政策解除の強い裏づけを提供するようなレポート内容になってまいるのではないかと考えております。

 そこで、国債管理政策のもとで日銀が協調政策を選ぶのか、あるいは一線を画しまして、あくまで日銀の独立性を最重要視するのか。この二〇〇八年度問題を意識した観点で、対応策について、日銀の基本見解を武藤副総裁にお伺いしたいと思います。

武藤参考人 御質問に二つの点が今含まれていたかと思います。

 一つは、二〇〇八年問題、大臣からお話がありました国債償還の集中に対して、日本銀行がどのように協調していくのかということでありますが、まずその点からお答えをさせていただきますと、国債の償還が集中する、いわば市場にある種のゆがみが生じているということは、マーケットに近い日本銀行といたしましても望ましいことではございません。そういう形でありますので、買い入れ消却を政府の方から日本銀行に協力要請がなされたときに、やはりこれは、そのゆがみを是正するという観点から、日本銀行としても協力をしていくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。

 同時に、日本銀行といたしましては、金融調節を円滑に実施する上で、資産の流動性というものを確保するということが非常に大事なことでありますが、この観点からも買い入れ消却に協力していくということは適切であるということでございまして、十六年度中には四千億円、十七年度中には六千億円の買い入れ消却に応ずることといたしました。このような形で、円滑な国債消化といいますか、それに協力をさせていただいているわけでございます。

 もう一点は、これはもう少し基本的といいますか大きな課題でありますけれども、今後の量的緩和政策の運営をどのように考えているのかという点でございます。

 もう委員既に御指摘ありましたとおり、日本銀行は、消費者物価指数に基づく約束に従って、この点は詳しくは繰り返しませんけれども、量的緩和政策を継続することとしておるわけでございます。

 今の我が国経済の先行きというものにつきましては、御指摘ありました今月末のいわゆる展望レポートによりましてはっきりと見通しが示されることになっておりますけれども、現時点におきましても、やはり今年度末から来年度にかけまして消費者物価がプラスに転じていく可能性が高い、その可能性が徐々に高まっていくというふうに考えておるわけでございます。そういう中で、消費者物価とリンクした形での金融緩和政策をどういう形で展開していくのかということが課題になるわけでございます。

 今、金融機関の貸し出し姿勢もだんだん積極化されてきておりまして、最近では貸出残高の下げどまりといったような現象も見られますし、一部では、特に東京都市部では地価も下げどまりが明確になるというようなことで、我が国経済の回復というものがだんだん明らかになりつつあります。

 私どもといたしましては、やはり、そういう状況でありますけれども、企業の設備投資、だんだん増加してきたとはいえまだ慎重でありますし、個人消費の増加ペースも依然として、着実ではありますけれどもなお緩やかである。消費者物価につきましても、ただいまマイナスからゼロ近傍になりつつあるという御指摘がございましたが、しかし依然としてゼロ近傍であって、まだプラスという状況にはなかなかなっていないということでございます。したがいまして、現状におきましては、この約束に従いまして量的緩和政策を継続していくということが、物価安定のもとで持続的な成長を実現するという上で適切であるというふうに考えているわけでございます。

 きのうから本日にかけまして、金融政策決定会合が行われました。先ほど終了しましたけれども、現在の当座預金残高目標、三十兆から三十五兆円程度を維持する、現状維持という政策決定を行ったところでございます。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、ごく手短にもう一度武藤副総裁にお伺いさせていただきたいと思いますが、当面は量的緩和政策を維持するというような御回答でございましたが、その一方で、やはり財政再建の観点からは日銀のある程度の協調政策というのが、特にこの二〇〇八年度問題に向けまして必要ではないかと見られるような御回答が、今、谷垣大臣からもあったかと思います。ただ、そういった一方、財政再建の上でのメリットがあります一方で、量的緩和を長期化させることのデメリットについてもやはり並行して考えて、検討を加える必要があるのではないかと考えられます。

 あえてその点について一点だけお伺いさせていただきたいと思いますが、これまで量的緩和が、銀行貸し出しが減少する中でほとんど効果が出てこなかったということが認識されているとおりでございますが、ここに来て銀行貸し出しが初めて持ち直しを見せてきているという状況にございます。

 全国銀行の残高の内訳を見ますと、全国銀行残高の七五%は対中小企業、そして個人向け貸し出しとなっております。したがいまして、いわゆる経済は回復しているけれども財政の事情で適正金利水準以下の金利水準で、下限金利で貸し出しが数量的にふえてまいる場合、いわゆる量的緩和の効果が今後出る場合に、その貸し出しのいわゆる緩和効果というのが、七五%を占めます中小企業や家計にまず影響が及ぶという事態が想定されると思われます。その際に、オーバーリスクテークが家計や中小企業で起きた後に、いざ政策金利を引き上げる事態になりましたときに、これもやはり中小企業や家計のバランスシートの問題に今後発展する可能性、おそれというのもあるのではないかと考えられます。

 バブルの崩壊以降の処理を再来させないために、このあたり、バランス感覚として日本銀行でどのようにお考えなのか、そのあたりをお考えかどうかにつきまして、手短にお伺いさせていただきたいと思います。

武藤参考人 現在の量的緩和政策は、言うまでもなく、我が国経済をデフレから脱却させて安定的な成長軌道に乗せるためにとっておるものでございます。

 御指摘のとおり、この量的緩和政策というのが、ゼロ金利政策、ほとんどゼロという状態のもとで、ある種の、金融市場にモラルハザードといいますかそういうデメリット、弊害が出てきているのではないかというのはよく言われることでございます。量的緩和政策といいますのは、いずれにいたしましても、我が国で初めてとられる極めて異例な政策であり、海外でもめったに例を見ない、そういう意味では異常な政策でございますから、それに伴いまして、ある意味で、経済に何らかのデメリットがあるのではないか、デメリットを及ぼすのではないかという議論は十分に我々も認識しておるところでございます。

 問題は、結局、量的緩和政策のメリットとデメリットをどのようにバランスをとって考えていくかということかと思います。仮に、今後量的緩和政策を余りにも長く継続することによってかえって経済に悪影響を及ぼすというようなことがあってはならない。もちろん同時に、余りにも早く量的緩和政策を転換したときの弊害というのもまたあるわけでございまして、この点は、中央銀行にとって現在まさに最大の課題であると思っております。

 いずれにいたしましても、この政策委員会におきまして、毎月、さまざまなデータをもとに量的緩和政策の今後のあり方ということが議論されているわけでございまして、現時点におきましては、先ほど申し上げましたとおり、これを堅持していくということが答えでありますけれども、今後の状況につきましては、まさに適切に運営していくためにどうしたらいいかということを議論していかなければならない。そのためには、展望レポートによって一つの大きな我々の方向性というものを示して、これは景気の見方でございますけれども、それに基づいて適切な金融政策運営に努めていかなければならないというふうに考えております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 時間も迫っておりますが、あと一つだけ、谷垣大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 国債の市中消化の問題でございますが、国債の市場環境を踏まえまして財政再建の持続性ですとか金利の見通しを論じる場合に、発行済み国債残高が実際問題のところどれだけ市中で消化されているかという観点も、一つ重要なポイントではないかというふうに考えております。

 実際に、日銀の資金循環統計に基づきますと、公的消化額、いわゆる財政融資資金ですとか郵貯、簡保、それから公的年金、あるいは日銀保有分等を除きました国債のいわゆる市中消化額が、ことし三月末時点で国債残高の約四五%となっております。ですから、半分以上は公的部門が保有しているというような形になるわけですけれども、重要なのは、市場環境に対するインパクトも踏まえた上での持続性という意味になりますと、やはりこの四五%、市中消化額のいわゆる対GDP比率といいますか対名目GDP比率をいかに一定に保つか、上げさせないかということが一つの指標になってくるのではないかというふうに考えております。

 ひっくり返しますと、景気が拡大していて、景気が回復局面にあって名目GDPが回復しているのであれば、その名目GDPの伸び率の範囲内で市中消化額、あるいは国債の増発が許されるのであればある程度比率は一定にできるということで、景気回復によって消化できるという論議も出てくるわけでございますが、このあたり、財務省の方もいわゆる非市場性の国債などを検討されているというふうに伺っております。

 どのような御見解か、もし何かございましたら、お伺いさせていただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今佐藤委員がおっしゃいましたように、これからいろいろなことを考えていかなきゃならないんだろうと思います。

 特に、今おっしゃいましたように公的部門が持ってる割合が非常に多い中で、これから郵貯を民営化していく、今まで国債引き受けの大きなインフラみたいな役割を果たしてくれた機関が民営化をしていく。これはもちろん十年かけて完全民営化に持っていくというわけですから、その場合の移行問題も十分配慮した制度設計になっていると思いますが、そのときにどういうふうにしていくかということは、先ほど申し上げたような市場のニーズ、それから商品の多様性、保有主体の多様化、そういうようなことを含めて、今委員がおっしゃった非市場性の国債をどうしていくか、こういうようなことも含めて、今後いろいろ考えていきたいと思っております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。

 時間も過ぎましたので、本日の質問はここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

小野委員長 引き続きまして、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木でございます。

 私は、きょう四点についてお尋ねをしてまいりたいというふうに思いますが、まず第一点は、外為特会、そして財政融資資金特別会計の余剰金、積立金の問題、これはある意味では隠し財源ではないか、こういう視点でお伺いをしたい。それから、生保、損保の問題、これは社会的に大きな問題になっていますが、これが今どんなふうになっておるのか、また監督官庁としてどういうふうに処理をされていくか、指導されていくのかということ。三番目にカジノ導入ということで、入るをはかって出るを制すということもありますので、財政収入の、税制の一環としてカジノを導入するお考えはないのかというような視点。それから最後に政府系金融機関の統廃合、これもなかなか大変難しい問題だろうと思います、特に財務省の心構えというのか、とりわけ財務大臣の考え方というのをしっかりとお伺いをしてまいりたい。こういうことで、逐次質問をさせていただきたいと思います。

 まず、三十一ある特会、特別会計の、とりわけ今申し上げました外為特会と財政融資資金特会の余剰金、積立金についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 ちょっと状況だけ申し上げますと、国の予算にはいわゆる一般会計のほかに厚生保険特別会計や道路整備特別会計など三十一の特会があるというのは、御案内のとおりでございます。本来は一般会計で一体的に管理することが望ましいわけでありますけれども、財政法で例外的に一般会計と区分した特会の設置が認められているわけであります。

 ところが、この特会というのは、国民の受益と負担との関係をわかりやすく、弾力的かつ効率的に予算執行するのが本来の趣旨であるわけでありますが、実際には、三十一の特会の規模というのは合わせて三百八十七兆円ということで、特会同士の重複部分を除いても二百七兆円、二百兆を超える大予算になっておるわけですね。それで、一般会計の四倍を超えて五倍に近いような状況であります。特に、一般会計から四十七兆円を繰り入れておるということで、一般会計歳出の六割近くを特会が使っておるという状況であります。ここまで肥大化してきたにもかかわらず、なかなかここの部分について議論がされてこなかったということではないのかなというふうに思います。

 この結果、どういうことが起きておるかというと、各特会を所管する官庁があたかも自分の財布のように自由に予算を使って、特会は各省庁やいわゆる族議員の既得権益の温床になっておる、私はこのようにとらえておるわけであります。

 例を申すまでもないですけれども、厚生保険特会や国民年金特会では、巨額の予算が例の不採算の保養施設でありますグリーンピアの建設だとか特殊法人や関係団体に天下った厚生労働省のOBの高額な報酬に使われておるということであります。塩川前財務大臣は、母屋でおかゆを食っているのに離れで子供たちがすき焼きを食っておると。これは有名な例えでありますけれども、まさにそんなような状況でありますし、結構そういう状況があるのがこの特会だというふうに思っています。

 そこで、私は、歳出の抑制というのは当然でありますけれども、先ほど申し上げましたように、これは隠し財源じゃないかというふうに疑っておるわけでありますが、余剰金、積立金を膨大に持っておる二つの特会について順次お伺いをしてまいりたい、このように思う次第でございます。

 まず、先ほど申し上げましたように、外為特会、それから財政融資資金特別会計の平成十五年度の積立金額は幾らあるのか、あわせて、それぞれの特会の積立金はどのように積み立てられてきたのか、この二点をお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 平成十五年度末の時点におきます外為特会の積立金額ですが、これは約十一兆千七百六十億円でございます。それから、財政融資資金特会の方は、積立金額約十五兆八百五十二億円となっております。

 どのように積み立てられてきたかということですが、外為特会では、毎会計年度の決算をいたしますときに、保有している外貨資産の運用などによって生じます歳入から、事務取扱費、それから、いわゆる為券というのを発行しておりますが、その割引料等の歳出を控除いたしまして残余がありますときは、一般会計に繰り入れをする場合もあるわけですが、一般会計への繰り入れを除きまして当会計の積立金として積み立ててきたということでございます。

 それから、財政融資資金特会におきましては、これも毎会計年度の決算で、その年の歳入の収納済みの額からその年の歳出の支出済み額等を控除して剰余がありますときは、これを特別会計の積立金として積み立ててきた、こういうことであります。

鈴木(克)委員 私も、昭和二十六年から平成十五年までの、実はこの特会の余剰金と積立金の表を今持ってきておるわけですが、まさにおっしゃったように、その年の余剰金に今までの積立金を加えて、そしてそれはまた翌年の積立金になるということがずうっと繰り返されてきておるわけですよね。

 ちなみに、最近三カ年の、平成十三年、十四年、十五年度の特会の余剰金は幾らずつあったのか、お示しいただけますか。

谷垣国務大臣 この三カ年度のそれぞれの特会の剰余金の額ですが、外為特会では、平成十三年度が約二兆千七百四十四億円、それから平成十四年度が約一兆七千三百五十三億円、平成十五年度が約三兆六千四百五十六億円となっております。

 それから、財政融資資金特会の方は、平成十三年度が約二兆九千九十二億円、平成十四年度が約三兆六千九十一億円、それから平成十五年度が約三兆六千八百六十億円ということになっております。

鈴木(克)委員 余剰金というのは、これは後で順番にお伺いをしていきますけれども、これは何兆円という単位で余剰金が出るということが一体全体本当にいいんだろうか、正常なんだろうかということがあります。

 それはともかくとして、ちょっと続けて質問させていただきますけれども、それぞれの特会で、もちろん法律で規定をされておるわけでありますが、積立金の使途、使い道はどのように規定をされておるのか、それから、積立金はどのように管理運用されておるのか、この二点、あわせてお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 まず、外為特会の方ですが、これは、毎会計年度の歳入歳出の決算上収納済み額の合計額が支出済み額等の合計額に不足しますときは積立金から補足する旨規定されております。こういう使途になっているわけですが、運用の方は、この積立金は財政融資資金に預託して運用をするということになっております。

 それから、財政融資資金特会の方ですが、これも、毎会計年度、収納済み額が支出済み額に不足するとき、その金額を積立額から補足するというふうに規定をされております。それから、この積立金は、毎年度の歳入歳出の差額を積み上げたものでございますから、財政融資資金の一部を構成しておりまして、財政融資資金として統合運用されているということであります。

鈴木(克)委員 郵政民営化のときに財投がとか財投債がとかいろいろと言われたわけでありますけれども、まさにここに一つの大きな問題点があるのではないのかなというふうに思っております。財政投融資、いわゆる財投債が特殊法人のむだ遣いや、そしてそういったものに対しての助長に使われておるのではないのかということになってくるわけでありますが。

 先ほど、決算上不足を生じたときに使っていくんだ、こういう御説明がありました。では、それぞれの、外為特会、それから財政融資特会で決算上不足を生じたのは何回あったのか、そしてそれは金額は幾らだったのか、お示しください。

谷垣国務大臣 まず、外為特会の方ですが、今まで決算上不足を生じましたのは二回ございます。一つは、昭和三十三年度、約一億円不足が生じました。それから、三十四年度、約二・三億円でございます。

 それから、財政融資資金特会、これは平成十三年度に改まったわけですが、それ以前の、平成十二年度以前の旧資金運用部特別会計と両方通して見まして、決算上不足を生じたのはこれまで三回ございます。一つは、昭和四十七年度、約七十五・六億円不足が生じました。それから、五十三年度、これは約二百六十九・四億円でございます。三回目は、昭和五十四年度、約二百八・三億円。

 以上でございます。

鈴木(克)委員 結局、今伺ってみると、一億とか、多いときには二百億というような状況でありますけれども、そのために何兆円というお金を本当に積んでおかなきゃならないんでしょうかね。私は、こんなことを放置しておる方がおかしいんじゃないのかなと。

 もう一遍繰り返しますと、昭和三十年代から今までの五十年間で、それぞれたった二回と三回ですよね。しかも金額は、本当に、何兆円という単位では全くありません、何百億ですよね、それから何億というところもあったわけですよね。そのためにこれだけの多額の金を何で積んでおくんだ。これは、大臣、どうなんですか。本当にこれだけのものを積んでおく必要があるんですかね。国民が納得するような説明をひとつぜひお願いしますよ。

谷垣国務大臣 まず、外為特会ですけれども、御承知のように、現在は日本の国内の金利が非常に低うございますから、為替介入する場合の原資、為券を発行して調達するわけでありますが、非常に調達コストは低くなっております。他方、例えばドルとの関係で、為替介入をしてドルを買いますと、ドルの金利は、御承知のように、今四・何%でしたか、日本の金利と相当差額がございますので、その運用差額が現在はどんどん上がってくるという状況で、運用上は利益が生ずるということでございますが、これがやはり常にそういう状況とは限りませんで、変わってくるときに、また一挙に今度は不足額が出てくるという場合もあるんだろうというふうに私どもは考えているわけであります。(鈴木(克)委員「五十年間で二回あったんですね」と呼ぶ)いや、それは、現在のように日本の金利がこれだけ低くて、アメリカの金利が現在の状況というようなことが未来永劫続くというふうには私どもも考えにくいわけでございます。

 それで、問題は、外為特会ではやはり必要とされるときは我々は為替介入するというスタンスをとっているわけでありまして、そのときに介入原資である保有外貨資産というものを、安全に、流動性もきちっと確保しておかなきゃいけないということでありますが、その差額が減ってまいりますとマーケットにいろいろな憶測が生じてくるということがあるわけであります。なるほどもう日本の為替介入は介入する原資がなくなってきたな、こういうふうに思われますと非常に問題が生じてくるというようなことを我々は恐れておりまして、望ましくない為替変動が招来する可能性があるのではないか、そこに今は特会運営の持続可能性とか特会収支の健全性というものを重視していく必要があるのではないかと思っております。将来における歳入不足の可能性に備えられたものでございますから、現時点における積立金額は、この外為特会の健全性維持の観点から必要なものだというふうに私は思っているわけであります。

 それから、財政融資特会の方でございますが、ここは一般会計からの繰り入れなしの独立採算になっておりまして、国債で調達した資金を利ざやを取らずに長期で貸し付けるということをやっているわけですが、その貸し付け、借り入れの満期構成についてはできるだけマッチングをしなきゃいかぬということでやっておりますが、これは、ミスマッチというものはある程度は避けられないところがございまして、金利変動が財務の健全性に大きく影響を与える可能性がございまして、収支がプラスになった際には、将来の金利変動に備えて金利変動準備金として積み立てて財務の健全性を図っていくことが必要じゃないかと思っております。

 最近の極めて低い金利状況のもとでは、毎年三兆円程度単年度利益が続いているのは事実でございます。それで積立金も一定の規模となっておりますが、将来の金利動向というのはなかなか予測が難しい点がございまして、先ほどの外為特会とも同じでございますが、金利が相当高くなった場合、現在と逆の状況が起こる可能性があるわけでございます。

 そこで、平成十五年十二月、財政審でもいろいろ御議論を賜りまして、財政融資資金が金利変動に対して財務の健全性を維持するためにはどのぐらいの準備金が必要かという議論をしていただきました。そこで総資産の千分の百の金利変動準備金が必要という指摘をいただいたところでございまして、千分の百まで必要だということでありますが、現在、平成十六年度末における、その計算をいたしますと、千分の五十五ということになっております。

鈴木(克)委員 確かに、千分の百までということで、現在千分の五十五だから問題ないんだというふうにお答えになったわけでありますが、十一兆とか十五兆とかこれだけのものを積み立てておかなきゃならないという理由には、私はやはり到底納得できないと思います。

 先ほど、将来の損失補てんのための積立金だということであります。俗っぽく言うと、例えば民間の会社だと、ことし利益が出たと、来年、再来年、どうなるかわかりませんよね、しかし、出た利益はちゃんと税として払っていかなきゃいけないわけですよ。これは例えは悪いかもしれませんけれどもね。理屈の上でいけば、私は当たらずとも遠からずじゃないのかなというふうに思うんですけれどもね。いずれにしても、これだけ税収の厳しいときに、十一兆だ、十五兆だというお金を積み立てておく必要は私はないというふうに今思っております。

 では、ちょっと視点を変えて、それぞれの特会法が制定されたのが昭和二十六年の三月だったと思うんですが、当初この剰余金についてどのような規定になっておったのかということですね。そしてまた、条文改正をして積立金を持てるようにしたわけですね。これはどういう理由で積立金を持つようになったのか。それ以前は持たないということだったわけですね。このところはどういうふうに御説明になりますかね。

谷垣国務大臣 鈴木委員がおっしゃったように、昭和二十六年に外為特会法ができたわけでありますが、そのときは、毎会計年度の決算をして、剰余金が生じたときはそれを一般会計に組み入れる、それから、歳入不足が生じた場合は逆に原則として一般会計から補てんしてもらう、こういう規定になっておりました。それを昭和二十八年に改正して現在のような仕組み、「一般会計の歳入に繰り入れる金額を除く外、これをこの会計の積立金として積み立てる」、現在も一般会計に剰余金が生じた場合は入れることはしておりますが、それを除くほかは入れたり補てんしたりはしないという仕組みにしたわけでございますが、これは、先ほど申しましたような外国為替相場の変動などに伴って生ずるおそれのある損失に特会として備える必要性があるだろうという観点から、こういう改正をしたわけでございます。

 それから、財政融資資金に関しましては、昭和二十六年に制定されたのは旧資金運用部特会法でございますが、その当時では、毎会計年度の決算上剰余がある場合には、繰越損失がある場合にはその補てんに充てて、なお残余があるときは、その残余の額の半分、二分の一に相当する金額を積立金として積み立てる、あとの残額は一般会計に繰り入れるということになっておりました。ただ、当時の法律の附則で、当分の間、当該残余については、予算の定めるところにより、当該年度の一般会計の歳入に繰り入れる、こういうふうになっておりました。

 それから、その当時は資金運用部特会ですね、繰越損失が発生して積立金の取り崩しによっては決算上の不足を補足することができない場合、こういう場合にはその額に相当する金額を一般会計から入れてもらって補てんするということになっておりました。こっちの方は昭和三十年の改正で一般会計への繰り入れ規定が廃止されまして、それと同時に一般会計から埋めるという規定も廃止されました。これは、政府資金の統合運用を行う資金運用部としては、その経理は一般会計からの繰り入れなしの独立採算で行うべきだという考え方でこのような改正をしたわけであります。

 なお、資金運用部の積立金につきましては、繰越損失が発生した場合などに備えるために、資金運用部の発足当初よりそういうものが置かれていたということでございます。

鈴木(克)委員 当然そういう御答弁になってくるだろうと思うんですが、私は、やはりもう一遍改正をして、もとへ戻しても全く問題ないんじゃないかなと。もう一遍繰り返しになりますけれども、五十年に二回、一方は五十年に三回あっただけですよ。しかも、十一兆とか十五兆とか、それだけの積立金をなぜ置いておく必要があるのか。これは、まだ私自身は納得いかないということです。

 そこで、毎年度の剰余金の一般会計への繰り入れは当然として、これまで積み立ててきた積立金についても債務の処理あるいは一般財源として活用すべきだ。そして、政府内にはこれだけ多額の、私から見れば明らかに隠し財源があるのに、これを明らかにしないで、ふたをしたままいわゆる大増税という形で国民に負担を押しつけるというのは、これはやはり許されることではないんじゃないかな。国民に負担を押しつける前にこうした隠し財源を明らかにして活用を図っていくべきだ、こういうふうに私は思うんですが、もう一度、大臣。変えなきゃだめですよ。改革をしなきゃ事は変わらないということですよ。

谷垣国務大臣 鈴木委員は大変表現がお上手で、隠し財産というようなレッテルをお張りになるから今のような御議論になるんだろうと思うんですが、一般会計への繰り入れ、当然だとおっしゃいましたが、外為特会に関しましては、平成十六年度も一兆四千百九十億を一般会計に繰り入れておりまして、今まで累計で約十八兆の繰り入れを実施してまいりました。

 その上で、先ほど申し上げたところでありますが、これを全部一般会計に、剰余があるから、積み立てがあるから戻してしまうということになりますと、介入に必要な原資、すぐに入れることができないとか、あるいはもう手元に十分な資金がないなというようなことになって不測の為替変動を生ずるおそれがあるということが私どもはやはり大きな問題点であろうと考えておりまして、積立金を取り崩して他の財源に利用することは適当ではないというふうに考えております。

 それから、財政融資資金も、これは先ほど申し上げたところでございますが、一応今千分の百というところまでは積み立てようということでやっているわけでありますけれども、さっき申し上げたことの繰り返しで恐縮でございますが、金利の変動というものがあったときに、金利が現在の水準と違っていったときどうするかということは、そのときになって一般会計からどんどん繰り入れてくれというわけにはいかないんじゃないかというふうに私どもは考えておりまして、千分の百まで積み立てることが適当であるというふうに現在私どもは考えているところであります。

鈴木(克)委員 この前、何か政府がというか財務省がお持ちの金貨をオークションで売り出された、落札総額五億七千万円という報道があったわけでありますが、そうやって一生懸命金にかえられるものはかえていこうという御努力をされておるわけですよね。私は、いわゆる剰余金については、かつての法律はそうだったんだから、一般会計から入れていけばいいということだったわけですから、やはり法改正をしてもう一遍直していくということも真剣に考えてもいいのではないかな、こういうことを申し上げて、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 続いて、生保、損保の問題でございます。

 これは二月二十五日の産経新聞ですけれども、金融庁が、告知義務違反に絡んで本来は支払うべき死亡保険金を払わない、詐欺による無効と認定をしてもいいような、そういう事例が多数あったということで、明治安田生命に対して二週間の営業停止を出されたということでございます。

 結局、同庁の調査、金融庁の調査では、一九九九年から五年間で不適切な保険金不払いが百六十二件見つかった。明治安田は、保険者に病気の認識がない、死因に関係ない職業を偽った、それから保険外交員が不告知を勧めたなどの例も告知義務違反として、要するに保険金を払わなかったというようなことも書かれておるわけでありますね。これは明治生命保険の保険金支払い部門が二〇〇二年五月に、いわゆる統合したわけでありますが、そのとき以来その保険金の支払いを厳しくするように方針転換をしておったのではないかというような報道もあるわけであります。

 それで、時間の関係で先に進みますけれども、損保の未払い、公表十六社で計六十六億にという、これは九月二十日の読売新聞でありますけれども、三井住友海上火災保険は、二十日、過去三年間に二万五千九十一件、約十五億七千四百四十万円に上る保険金の未払いが見つかったと発表した。これで大手損保六社の未払い調査の結果が一通り出そろい、未払い額は、六社で十三万件、五十五億円を超えた。日本損害保険協会によると、加盟二十二社のうち、何か外国の損害保険会社を含むと四十八社になるそうでありますが、このうちの十九社で未払いが発覚し、これまでに調査結果を公表した十六社の未払い額は、合計十六万一千百二十八件、六十六億五千七百三万円に達した、こういう報道ですよね。

 未払いの多くは自動車保険で見つかった。自動車保険には、対人、対物補償などに加え、見舞い費用や代車費用を負担するなどの特約がつけられる場合が多いが、未払いのほとんどはこの特約が契約どおりに履行されていなかった、こういうことですね。これは御案内のとおりであります。

 そこで、逐次お伺いをしていくわけでありますが、今回の保険金未払い問題は、今申し上げたように明治安田生命において多数の保険金未払いが発覚したことに端を発し、他の生保、損保各社でも多数の未払いが発覚するに至ったものだ。また一方では、バブルの末期、大手銀行と大手生保が連携して、土地を持った高齢者に対して、相続税対策に有効な生命保険であるということで変額保険を高額な融資と一体として大量に販売をした。全国で二万四千件以上にも上る、いわゆる被害者が発生をして現在も苦しんでおる、こういう状況もあるわけです。

 そんな中で、個々の保険金の未払いは、それぞれの生保、損保における個別の問題にとどまるものではない、私はそのように思います。個別の生保の不払いが判明すれば、保険に対する不信感が生保業界、損保業界全体に波及するおそれがある。保険への不信感により保険業界全体のマーケットが縮小すれば、巨大な機関投資家である生保、損保各社の投資行動の変化を通じて金融業界全体への悪影響も懸念される。これは、せっかく長引く踊り場を脱却したと、末端にはそんなふうに感じられておりませんけれども、日本経済を考える上でも看過できない問題だというふうに思っています。それだけに、政府、金融庁は、生保、損保、共済等すべての保険業界全体の営業姿勢、管理体制を改めて厳しくチェックする必要があるのではないか、このように考えるわけであります。

 金融庁は、ことしの七月の二十六日に、生命保険会社三十九社に対して、九月末を回答期限として保険金などの不払い案件について一斉に調査、報告するように要請した、このように伺っておるわけでありますが、過去の不払いの実態を明らかにするとともに、生保各社からの報告を受けて、政府としては現在どのような見解を持ってみえるのか、まずお伺いをしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 適切な保険金等を支払っていくということは、保険会社の保険事業の運営にとっては必要不可欠なことでございます。こうした中で、今般、保険事業の信頼を損なうような事象が発生をしたということは、極めて遺憾なことだというふうに考えております。

 こうした事態を受けまして、今委員からも御紹介がございましたように、生命保険各社におきまして、七月二十六日、全社に対して、保険金等支払い管理体制の再点検を行うとともに、不払い事案にかかわる再検証を行うことを要請し、保険業法に基づき九月三十日を期限として報告を求め、現在各社から提出をされた報告書についてその内容の精査、確認を行っているところでございます。

 また、損保についても御指摘がございましたが、損害保険各社においても、九月三十日に、全社に対しまして、保険業法に基づき十月十四日を期限として報告を求めているところでございます。

 保険金等の支払いは保険会社の基本的かつ最も重要な機能でございますので、こうした観点からかんがみ、当該の報告徴求を通じて、適切な保険金等支払い管理体制が確立されるよう私どもとして求めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 続いて、保険会社のいわゆるガバナンスについて質問をさせてもらいたいと思いますが、今般の保険各社における保険金の未払いは、断じて事務的なミスだとか手続上のミスにとどまる問題ではないと私は思います。

 一部報道によれば、今般の保険金未払いについて、組織的な未払いではなく、あくまでも事務的なミスだと弁解をしておる向きもあるようでありますけれども、全社的に事務的なミスがあったのであれば、それはもはや組織としての事務処理体制に不備があるのであって、組織的な不払い以外の何物でもないと私は思います。さらに、保険金不払いは、不払いに遭った人の目線というか視点に立てば、それが保険会社が組織的に行ったものであろうと、事務的処理ミスによるものであろうと、全く変わるところはないわけですよね。

 また、保険というのは、これは釈迦に説法でありますけれども、万一のときのために存在するわけです。いわば最後のとりでなわけですよね。万一のとき、そして、その唯一のよりどころである保険金が支払われないということであれば、保険自体が全く意味のないことになるのではないか。したがって、保険会社には他の一般事業会社以上の厳しいガバナンスが求められておるというふうに私は思います。

 にもかかわらず、保険会社のうち相互会社の形態をとるものについては、株式会社形態に比べ経営へのチェックが弱いとの指摘がなされております。株式会社のように株価下落や買収リスクにさらされるおそれもなく、株主総会に当たる総代会の出席者も取引先企業や関係会社の役員が大半を占めておる。株主に当たる総代を経営者が実質的に選べるために、物言う株主ならぬ、物言わぬ総代ばかりになっているということが言えるのではないかと思います。例えば、総代の選出方法を契約者から抽せんで選ぶなど、相互会社のガバナンス体制を抜本的に改める必要があると私は考えるわけであります。

 また、株式会社形態をとる保険会社についても、営業職員の大量採用、大量脱落を繰り返す雇用スタイルが、金融知識やコンプライアンスの不十分な販売員を大量に発生させることになっておるのではないか、このように思うわけであります。

 そこで、私は以上のような問題意識の中で、政府としては保険会社の営業姿勢、管理体制についてどのような問題意識を持って、今後どのような具体的な対策を考えているのか、お示しをいただきたいと思います。

七条副大臣 この問題について私の方からもお答えをさせていただこうと思いますが、今、保険のいろいろな問題が指摘されました中で、保険会社の中には株式会社と相互会社がある。特に生保の中には、先生も御指摘のとおりでございますけれども、十三社ありまして、そのうち六社が、生保の中の六社が相互会社でございます。そういう観点から申し上げますと、この六社が大手になることもありまして、特に今度の被害の、未払いの問題が額が大きかったということではないかと思います。

 その意味で、まず、先ほど来のお話の中での相互会社の形態ということで申し上げてみますと、このガバナンスでございますが、保険会社のガバナンスに関しては、相互会社においてもあるいは株式会社においても同様の、保険会社の公共性あるいは保険契約者等の保護の観点から、事業の透明性の向上だとか、あるいは経営へのチェック機能の充実というのは、これは求められているところでございまして、当然やっているところでございます。

 また、特に相互会社について、先ほど先生のお話がありました、社員総会にかわる、いわゆる実質的な会社の最高意思決定機関であります総代会も設けられておりまして、株式会社と同様の、株主総会における経営チェック機能と同様の役割を果たしているものではないかと思っておりまして、これを牛耳っていくというか構成をしていく総代の人選につきましても、いわゆるその選出のプロセスは会社からの独立性が確保されている必要がある。そういうようなことを本年の四月に策定をされました「保険会社向けの総合的な監督指針」においてきちっと位置づけるために、「保険監督上の評価項目」として、総代会の経営チェック機能向上のための措置としてその着眼点を明示してあるところでございます。

 また、同監督指針においては、そのほかに、先ほど先生のお話がありました、代表取締役あるいは取締役等がそれぞれ適切に経営管理機能を発揮していけるということについては、これは株式会社の役員会とあるいは同じような検証ポイントも記載されているところでございます。

 それからもう一つ、私どもといたしましては、保険会社の中で、特に相互会社の各社においても株式会社と同様に、本監督指針を踏まえつつ、いわゆる自己責任の原則のもとで経営管理体制についての一層の整備が図られていくよう期待すると同時に、適切な検査監督、特に未払い問題の適切な検査監督も含めてこれからやっていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。

小野委員長 まだ答弁が残っていますか。

 佐藤金融庁監督局長。

佐藤政府参考人 お尋ねのうち、販売チャネルにつきまして、営業職員の大量採用、大量脱落という問題の部分について補足をさせていただきたいと思います。

 保険会社の販売チャネルにつきましては、御案内のとおり、最近は、伝統的な営業職員による販売のほかに、インターネットや通信販売あるいは銀行での窓販、さらには来店型の販売といった多様なチャネルが出てきているわけでございますけれども、こういった中でどういう販売チャネルを採用するかというのは、基本的には各会社の経営判断であろうかと思います。

 ただし、どういった販売チャネルを採用するにいたしましても、保険会社には、保険募集時に保険契約の重要事項について顧客に対して的確な説明をするということが強く求められているわけでございます。したがいまして、御指摘のような雇用スタイルの場合にはやはり懸念される点があるわけでございまして、適切な顧客説明を行うための教育や研修といったものがきちんと確保できているかどうかという点がやはり重要であろうかと思います。この点につきましては、私どもも監督上、重要な着眼点の一つというふうに位置づけておるところでございまして、その趣旨は私どもの監督指針においても明記をしているということでございます。

 また、こういった的確な顧客への説明の確保という観点から、本年七月に、保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チームというところで中間論点整理というものを出させていただきました。この中で、明瞭かつ丁寧に説明されるべき重要事項、顧客への説明の対応、これについて適切なルール整備を行うということで整理をさせていただいたということでございまして、今後とも、こういった検討を含めまして、顧客に対して適切な販売、勧誘が行われるよう環境整備に努めてまいりたいと思っております。

鈴木(克)委員 残り時間の関係で、投資サービス法と保険商品に関する規制のあり方と、それからもう一点、保険、共済等に関する共通ルールの整備については、後で時間があれば質問させていただくということで、内閣府、警察庁からもお越しいただいておりますので、ちょっとカジノについて質問をさせていただきたいと思います。

 カジノ構想というのは、構造改革特区構想の中で三重県鳥羽市、静岡県熱海市などが名乗り出て、一昨年の三月には東京、大阪、静岡、和歌山、宮崎の各都府県知事が連名で、カジノ合法化を求める要望書を当時の鴻池構造改革特区担当大臣に出されております。

 また、新たな需要をもたらすとして大企業や財界が熱い目を注いでおりまして、一連の動きをバックアップしておるという状況であります。とりわけ、経済財政諮問会議で奥田日本経団連会長が四国にカジノ誘致論を展開したほか、日本プロジェクト産業協議会、JAPICが都市型複合観光事業研究会をつくり、既に数次にわたって海外調査団を繰り出しておる。総合商社の三井物産や総合広告・イベント大手の博報堂などが社内にカジノプロジェクトを設けておるというような状況は、御案内のとおりでございます。

 そこで、現在、カジノについては世界の過半数の国、地域において合法化されておる状況にあります。これらの国におけるカジノの設置の目的というのは、観光促進、税収入の確保、外貨獲得などさまざまでありますけれども、その経済波及効果については、税収入はもとより、雇用などに対しても大きな効果を及ぼしているとの報告があります。他方、こうした施設を設置することにより、犯罪の誘発、教育、地域への悪影響等が懸念されております。

 現在、こうしたカジノ施設の合法化に向けた検討については、地方レベルでの動きが活発であると認識しておりますが、国レベルの検討状況はいかがかということについてまずお伺いしたいと思います。

竹花政府参考人 警察庁は公共の安全と秩序の維持を責務といたしておりまして、これを遂行する立場からいたしますと、賭博場であるカジノの合法化を積極的に推進する立場にはございません。

 仮にカジノを合法化する特別立法がなされる場合、警察といたしましては、地域の風俗環境の保持、少年の健全育成、暴力団等の排除といった観点から十分な対策を講じる必要があるものと考えております。

鈴木(克)委員 それは当然現段階ではそういうことなんでしょうが、私は財務大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、先ほど四項目を御質問すると言ったときに、入るをはかって出るを制すということを申し上げたんですよね。やはり税収を上げていくというのは、所管大臣として大きな務めだというふうに私は思うんですね。

 なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、実は私は、ちょっと手前みそでありますが、以前小さな市の市長をしていました。そこには競艇場が実はあったわけですね。市長就任のときに売り上げが下がって、もう雇用も維持できないかもしれない、しかし、もしそこが閉鎖をするようなことになれば地域に及ぼす影響は物すごい、それから市への繰り入れが落ちてしまうということで、実はナイターに踏み切ったわけですね。おかげで、二十四場の中で、今、日本で第三場か四場の売り上げになっておるわけですよね。確かにいろいろありました。しかし、結果的には、地域経済にも非常に大きなあれもあるし、市の財政にも大きな影響を及ぼしておる。

 そういうことをやってきた者の一人として、私は、財務省というか大臣の、財務省というよりもむしろ谷垣さんの、いわゆる政治家として日本の将来の税収を思ったときに、このカジノをどういうふうにとらえて、例えば税収の一環としてそういうものを考えていくおつもりがあるのかないのか、その辺をお聞かせいただければありがたい、このように思うわけであります。

谷垣国務大臣 政治家としてカジノをどう思うかとお問いかけでございますが、私自身は、カジノに出入りしたことも余りありませんし、余りギャンブルをしたことがないので、もうひとつ感覚がよくわからないところがございます。

 ただ、昨今ではシンガポールもカジノを導入しようということに踏み切って、おやりになっている。あれが果たしてどういう影響を及ぼしていくのか、またどういう効果等々を上げていくのかということは、実は私も関心を持っておりまして、あのあたりもよく見ていきたいと思っているんです。

 恐らく、カジノを議論しますときは、今、鈴木委員もおっしゃいましたように、地域地域の活性化というようなことがやはり根底にあって、特区のような形でカジノをやって地域の振興に使えないかというような発想が背後にあるのではないかと思っております。そういう観点から私もシンガポールの動向等を注視しているわけですが、もちろん、竹花局長が答弁されましたように、青少年に対する影響であるとか、治安に対する影響とか、いろいろ考えなきゃならないこともあると思います。

 また、地域の振興ということを考えますと、税収を考えるとおっしゃいましたけれども、私はこれはもし考えるとすれば地方税なのかなというような気もいたしておりまして、必ずしも国税の観点から考えられるんだろうか。もちろん、どういう税体系にしていくかというようなことも、まだ全く検討に手がついていない状況でございますから、今即断は避けさせていただきますが、私としては、そのシンガポール等々の実験も注視していきたいと考えている段階でございます。

鈴木(克)委員 実は、いろいろな世界の状況等も調べて私もここへ臨んだわけでありますから、このことについて議論をしたいところでありますが、税という意味で私もこの場へ持ち出したわけでありますから、きょうのところはこれぐらいでこの議論については終えておきたいというふうに思います。また改めて違う場所でしっかりと議論をさせていただきたい、このように思います。

 さて、最後の質問になるわけでありますが、政府系金融機関の統廃合についてお伺いをします。

 これは、私はある意味で最大の難関ではないのかなというふうに思っております。郵政民営化は、これはあれを恐れずに申し上げると、財務省はうまくやったなというふうに正直思うんですね。手が届かなかったいわゆる郵貯、簡保について、いよいよ財務省の傘下に置くことができた。大変言い方はあれかもしれませんけれども、そういう意味で恐らく財務省はしてやったりということではないかなと私は思うんですが、この政府系金融機関については、今度は全く逆の状況が実は出てくるわけでありますね。

 例えば、日本政策投資銀行は国交省ではありますけれども、もちろん財務省、国交省。そして、国際協力銀行は財務省と外務省。中小企業金融公庫は経産省と財務省。商工組合中央金庫は経産省と財務省。国民生活金融公庫は財務省と厚労省。そして、公営企業金融公庫は総務省と財務省。農林漁業金融公庫は農水省と財務省。沖縄振興開発金融公庫については内閣府と財務省。住宅金融公庫はちょっと違うにしても、これも国交省と財務省ということで、これはまさに財務省のいわゆる権益と言うとまたしかられるかもしれませんけれども、これは本当に大変なことであります。

 郵政民営化は、小泉さんと財務省、あれがうまくマッチングと言うと大変恐縮なんですが、今度はそうはいかないんじゃないのかな、正直そういう目線で私は見させていただいておるわけでございます。これは私の勝手な邪推と言われればそうかもしれませんが。

 いずれにしましても、この中で実は政府系金融機関の貸出総残高、これは九つということで住宅金融公庫も含めての数値でありますけれども、百四十四兆数千億というような状況で、そのうち問題なのは、不良債権化しておるのが八兆数千億あるんではないかということなんですね。

 そういう状況の中で、この前の新聞報道を見ますと、まさに今申し上げたような形で、例えば十月八日の「首相発言巡り関係閣僚舌戦」ということで、総理が政府系金融機関は一つでもいいんじゃないかということを申されたということに対して、出るわ出るわ出るわ出るわと言うと大変恐縮ですが、竹中大臣、谷垣大臣、岩永大臣、中川大臣、皆さんそれぞれのお立場でおっしゃっておるわけですよね。

 そこで、きょう金融庁からお越しいただいておるわけですが、まず所管をする内閣府として、きょうは浜野さんに来ていただいておるわけでありますが、これについて今どういう御見解なのかということをちょっとお示しいただきたいと思います。

浜野政府参考人 政策金融改革につきましては、本年六月に閣議決定をされました経済財政運営と構造改革の基本方針二〇〇五にございますように、平成十四年十二月に経済財政諮問会議で取りまとめました「政策金融改革について」に従いまして、本年十一月を目途に、あるべき姿の実現に関する基本方針を取りまとめるということになっております。

小野委員長 この際、七条内閣府副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。

七条副大臣 少し、先ほど数字が間違っておったようでございますから。「保険会社向けの総合的な監督指針」、本年の四月と私は言ってしまったかもわかりません、八月の間違いでございましたので、訂正させていただきます。

鈴木(克)委員 あとわずかな時間になりました。

 そこで、現在の谷垣大臣のこの政府系金融機関の統廃合についての見解はどんなふうなのか、お示しをいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 政府系金融機関をどういうふうにしていくかというのは、構造改革をなし遂げていく上でも非常に大きな意味を持っているというふうに私は思っておりまして、今まで経済財政諮問会議等々の議論でも、全体のストックをGDP比で最盛期の半分に抑えていこうとか、そういう方向性がいろいろ出ているわけでございまして、私は、それを追求していくということは私どももやらなきゃいけないと思っているんです。

 その上で、政府系金融機関が果たすべき役割というのがなくなったわけではもちろんございません、あくまで民業の補完ということでありますけれども、公益性が極めて高いとか、あるいはなかなかリスクの評価が難しくて民間が参入しない分野というものがございますから、まずやるべきことは、民業補完という前提のもとに政府系金融機関に求められている果たすべき機能は何なのか、それから、今は政府系金融機関がやっているけれども、もうこんなものは必要じゃないじゃないかというようなものは何なのかという仕分けが、私はまずなきゃいけないのではないかと思っております。

 例えば、中小企業のネットワークというようなものはどうなのか、ODA等々はどうなのか、外国に対する協調融資みたいなものはどうなのかとか、あるいは災害対策みたいなものはどうなのか、いろいろなことがあると思いますが、私はまずそこをきちっと議論する必要があるなと思っております。その上で、これは必要だ、残さなきゃならぬ、これはやめようということがあった後に、どういう組織でやればいいのか、統合した方が効率が上がるのか、あるいは統合しない方がそれぞれの機能というものが明確に評価できていいと考えるのか、効率性がどっちが上がるのかというような議論があるべきではないかなと思っておりまして、最初から数の話ではないのではないかというふうに思っております。

鈴木(克)委員 御質問の最後にさせていただきたいと思いますが、今、統廃合という形で大臣の御所見をお伺いしたわけでありますが、一方で、いわゆる民営化構想というのがあるわけですね。収益性の高い政府系金融機関の民営化構想というものがある。民営化すれば採算を度外視した低金利での融資はできなくなる。また、財務内容が悪化すれば資金調達コストの上昇も予想され、不採算融資を打ち切ったり、業務の効率化を図らざるを得なくなる。民間銀行は競争条件が公平になると期待をしているとの報道もある。

 今度は民営化について、谷垣大臣の御所見をもう一度お伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 結局、さっき答弁させていただいたことに尽きると思うんですが、もうこういうことは政策金融でやるべきではないという分野があれば、廃止をするなり、あるいはもうそれは民間に持っていくなりということは十分あり得ることではないかなと思っております。

鈴木(克)委員 終わります。ありがとうございました。

小野委員長 続きまして、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 両大臣におかれましては、連日、大変お疲れさまでございます。そしてまた、きょう、一般質疑の機会をいただきましてありがとうございます。

 私からは、先日拝聴いたしました谷垣財務大臣の大臣所信、これに沿いまして、二、三お伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、経済財政運営に関する基本的な考え方という中で、「政府、民間双方の構造改革の取り組みにより、財政出動に頼ることなく、国内民間需要を中心に回復を続けております。」こういう御見解をお伺いいたしました。

 民間の、特に個人消費の底がたい状況の中で、多分そういうふうに分析をされる中で、先般の定率減税縮減、撤廃を、選挙の終わった二日後だったと記憶をいたしておりますが、さわやかにおっしゃっておられたように記憶をいたしておりますが、その辺の事実関係と、それから本当に個人消費に冷や水をかけないのか、まずその辺の御見解をお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 古本委員とは、選挙前も随分この議論はさせていただいたんじゃないかなと思っております。

 景気の現状認識でございますが、私は、今、企業業績は堅調である、それから設備投資もなかなか調子がいい、そういう中で、長い間の心配は、企業業績はよくなってきたけれどもそれがなかなか家計部門に波及しないじゃないか、あるいは個人消費に向かっていかないじゃないか、これが長い間私どもの悩みであったわけでありますが、ようやくそのあたりが、企業業績が個人、家計というのに及んでくる状況ができてきたかなというふうに見ているわけでございます。

 そういう中で、定率減税につきましては、既に半分については、ことしの税制改正、法案も御審議をいただいて通していただいたわけで、来年の一月から実際にその定率減税の半分の圧縮というものが動いていくわけでございますが、残りの半分をどうするかという議論があるわけでございます。

 選挙が終わった後、二日後だったかどうか、私は記憶がはっきりいたしておりませんが、恐らく、二日後というと火曜日でございますから、火曜日は定例の閣議がございまして、その後に記者会見がありますので、そのとき、どうするんだと聞かれて、私は、今のような状況を前提とすると残りの半分ももとに戻すという流れだろう、そして、それは景気動向をもちろんよく勘案して議論をしていかなければいけないけれども、現在のところでは、さっき申し上げたような状況なので、十分議論できる環境になっているのではないか、私はそう考えておりますので、一字一句同じかどうかわかりませんが、そういう趣旨のことを、記者会見でお尋ねがありましたのでお答えをしたというふうに思っております。

古本委員 現在の定率減税は、当時の小渕元総理の御英断で、まさに日本の景気が極めて悪化をしている中で判断をなされた施策の一つだったというふうに理解しています。そして、その際には、恒久的減税という言い方をなさって整理されたかというふうに理解しています。

 そして、今回の縮減並びに撤廃に伴いまして、中所得層、特に消費を支えていただいているような、貯蓄率の低い、したがって可処分がそのまま消費に直結するような、年収四百万とか五百万、六百万の中所得層、この辺の方々に直撃をする可処分減につながるということは、大臣も重々御理解をいただいているというふうに思います。そして、こういう人々が、実は、今回の増税に伴う財源、増税財源ですが、何に使われるかということが余り御理解のない中で総選挙を迎えられたのではないのかとさえ思っているわけでございます。

 そこで、ここに平成十六年十二月十五日付の御党の政調会長と公明党さんの政調会長合意、与党合意の文書がございます。平成十七年度税制改正における定率減税の見直しによる増収分については、(1)交付税率相当分につきましては、地方交付税交付金として地方一般財源に充当する、(2)特別障害者給付金支給法及び医療観察法により必要となる額に相当する額はこれに充てることにする、(1)、(2)とこう書いておいて、そして、その次のただし書きといいますか、枠外の書き方によってこう書いてありますが、2、平成十七年度予算においては、初年度増収額から上記、今申し上げた(1)、(2)を除いた金額を基礎年金国庫負担額に加算する、こう記載をなさっておられます。

 そこで、お伺いをするわけでありますが、当年度分、一体幾ら税収増が見込まれて、それぞれ幾ら充てるのか、お教えをいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 初年度増収分が千八百五十億円というふうに見積もっております。

 そのうちで、委員がまずおっしゃった地方交付税交付金分、これが五百九十二億円になります。それから、特別障害給付金分というのが百一億円……(古本委員「大臣、ゼロが一個ずれている」と呼ぶ)千八百五十億……(古本委員「けたが違っている」と呼ぶ)

小野委員長 単位が一つずれていませんかということです。

谷垣国務大臣 いや、それは、初年度は一月から算定されますので、千八百五十億でございます。

 それから、地方税分はまだ一月から三月の間は入ってきておりません。私が申し上げたのは、これ……(古本委員「一―三分ですか」と呼ぶ)一―三の部分ということでございます。それは千八百五十億。

 それで、地方交付税交付金分が五百九十二億。それから、国分、残りの千二百五十八億でありますが、特別障害給付金分が百一億、それから医療観察法に振り向ける分が五十六億、それから基礎年金国庫負担額への加算が千百一億、こういうことになっております。

古本委員 失礼いたしました。

 そうしますと、国民基礎年金の未納や未加入により年金財政を破綻させ、そしてその穴埋めに使う分が、割合でいけば過半を占めている、こういうことですね。

谷垣国務大臣 初年度分では千八百五十分の千百一となるわけでございますから、過半でございます。

古本委員 次の四―三分につきましては翌年度の税制改正ということになるんでしょうが、今後の議論の行方について、引き続いて、国民年金の未納による穴埋め分を、もとより未納や未加入のないサラリーマン増税によって得られた財源によって充当するという方向性に変わりはないですか。

谷垣国務大臣 先ほど委員がお引きになりました与党の政調会長の合意にも書いてございますけれども、平成十八年度分については、全く今コミットというのは特にないわけでございまして、これから議論をしていくという段階でございます。

古本委員 今いわゆる恒常的未納と言われる二十四カ月未納の方が四百万人ですか、それで、足らず前、いわゆる未納額の総額が七千億を超えている、八千億に近いという数字も社保庁から出ておりますよね。

 そういう状況の中で、一方で、負担分引き上げに伴う財源が枯渇して、そして気づいたらこんなところにいい財源があったということで引き当てる、こういうことなんでしょうが、所得税は今税収どのくらいありますか。基幹税ですよ。年間大体十四兆円ありますね。この十四兆円の大方を支えているのはサラリーマンですよ。まさに今回の総選挙で御党と書いた人らですよ。七割から八割の人が所得税収を支えている人ですよ。この人たちはもとより未納や未加入はないんですよ。

 未納や未加入のない人たちから所得税増税をして、まあ、恒久的減税だったかもしれませんが、少なくとも、可処分に占めるマイナスのインパクトは与えながら、それを未納や未加入で取りっぱぐれた分の穴埋めに使うというのは、これは不公平と言わずして一体何と言うんでしょうか。

 来年度の十八年度の議論はまだだというふうにおっしゃいましたが、よもやそういうことのないようになさった方が、選挙対策も含めましてよろしいんじゃないかなと思ったりもするんですが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 年金の今おっしゃった未納、未加入、この中にはいろいろなものがあると思いますが、やはりそれが空洞化しているという不安が国民の中にあることは、これはもう紛れもない事実でございますから、それをどう埋めていくかということの議論はやはりなければならないんだろうと私は思います。

 それを越えまして、では、来年度どうするのかというのは、先ほど申しましたように、まだ全く白紙でございまして、実はここのところはそれぞれの論者によりまして、年金に欲しいと言う方もあれば、少子化対策に欲しいと言う方もあれば、いやいや、やはりこれだけ財政が悪いんだから少しでも国債を返していくのに充てるべきだと、いろいろな議論がございまして、これから私は議論していきたいと思っておりますが、やはり幅広く見て議論をしなければいけない問題だと思います。

古本委員 年金の未納の問題は、我が国の金庫番である財務大臣におかれましても、私は、これは直視せざるを得ない大問題だというふうに思っているから、今お伺いをしているわけでございます。

 そして、今御案内のとおり、これは社保庁が最近大変情報開示をしていただいておりますので、年金未納者の平均年収は三百一万円です。いいですか。年金を納めておられる方の平均年収は約三百七十万円という数字があります。つまりは、所得の低い人ほど未納にある。これは以前大臣にもこの点は申し上げた記憶がございます。

 つまり、制度が信頼できないということで払わないということを理由の一番に挙げているのは二十代の若い人たちです。もとより、払いたくても先立つものがありませんと言っているのが、いわゆる子育て世代、まさに中核として、担税力があるかどうかは別にして、税を負担いただいているこの中所得層なんです。この人たちが未納の一番の理由に挙げているのは、経済的に払えないとおっしゃっているんです。

 したがって、政府の年金制度の信頼を上げていきたいというこの問題もごもっともでありますし、まさに党派を超えて議論していくということだと思いますが、もとより、中所得層、年収四百万、五百万層に、可処分減となる、直結するこの所得税増税を、定率減税の縮減、撤廃に伴う増税を行って、自律的に年金財源の回復ができるのかどうかというふうに私は懸念をするわけであります。御見解を伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 これは、また先ほどの繰り返しになりますが、私は、この定率減税の見直しでもとに戻したものを、大宗を年金に入れていくというのが果たして本当にいいことかどうかというのは、私自身も疑問に思っているところがございます。

 もちろん、これはまだまだ議論が、要するに、定率減税も、まだ半分どうしていくかという議論はこれからでございますから、そういう使い道も含めてこれから議論をしなければいけませんけれども、よくよく幅広く考えたいと思っております。

古本委員 ありがとうございます。今大臣から踏み込んで御発言を、思い切って言っていただいたなと思っています。少なくとも、与党政調会長合意によると、恐らく年金未納により財政が破綻している年金財源に、定率減税縮減、撤廃に伴う増税財源を充当すると明記している中で、そのことについてはいかがなものかと懸念はしておるというところまでおっしゃっていただきました。

 これは、やはり、大臣、以前も申し上げましたが、私は信じていますよ。加藤の乱で男を上げて、いよいよという大臣がですよ、こんなせこいことでつまずいちゃ、世論の札はふえませんよ。ぜひ英断してもらいたいです。これやっちゃうと、全国四千万人を超える給与所得者はみんなノーと言いますよ。

 今回の総選挙、これはホットイシューになってなかったんです、みんな気づいてなかったんです。前回の定率減税の縮減もすっとやっちゃわれたでしょう。我々も気づかなかった、正直言って。我々もキャンペーン張らなかったのも悪いし、このことに触れずして総選挙をやった皆さんもこれはこすいです。そういう意味では、今回のこの後の議論を、大臣の御英断をしっかり注視をしてまいりたいというふうに思います。

 続いて、平成十八年度の予算編成の中で、これまた大変いいくだりがあるわけでございます。「医療制度改革や三位一体の改革といった課題への取り組みを初め、歳出全般について、従来にも増して大胆に見直し、歳出の抑制と予算配分の重点化、効率化を行ってまいります。」

 大臣、ここで大事なものが一つ抜けているのではないでしょうか。頂になさっておられる小泉さんがまさに叫んでおられる公務員の口減らし、生首、給与削減、この問題についてあえて触れておられないのか、そのことも聖域なき改革として入っておられるのか、来年度予算の歳出の抑制、予算の効率化という観点から御見解をお伺いいたします。

谷垣国務大臣 先ほど、定率減税について古本さんのお考えを最後おまとめになりました。私の方からももう一回この考えをまとめておきますと、一つは、小渕内閣のときの、あのときの経済危機に対応するための措置であった、ある程度景気がよくなったときに戻すのは、私は自然の流れであろうと思っておりますのと、平成十八年度以降の使途については全くこれから白紙で議論をするということは申し上げたいと思います。

 それから、国家公務員の総人件費の問題にお触れになりました。これは、今の厳しい財政状況のもとでは、人件費についても聖域としないで見直しの対象としていく必要があると思っております。そして、小さくて効率的な政府と言っておりますが、国、地方を通じて公的部門全体の総人件費の抑制というのは、私どもが取り組んでいかなきゃならない重要課題だろうというふうに思います。

 それで、具体的には、国家公務員につきましては、まず、今度も人勧で大分取り組みをいろいろしていただいたわけでございます。そしてまた、それが国会で御審議を賜ることになると思いますが、国家公務員の給与については、民間賃金の実態を踏まえて、やはり官民の比較のあり方というのは常に見直していく必要があるのではないかなと思っております。

 そういうことを積み重ねて、きちっと給与構造の見直しをしなければならないということであろうと思いますし、人員につきましてもめり張りのある配置計画というのを、一方、治安等々どうしてもやはりふやさなければならないところもございますので、めり張りのある再配置をやりながら純減というものを確保していこう、こういうふうに考えているところでございます。

古本委員 この経済財政運営に関する基本的考え方並びに平成十八年度予算編成の中に、行間に、あるいはあぶり出して出てくるだろう最大の課題は、向こう十年で新規で国債残高が、普通国債ですよ、普通国債だけで三百兆円増になるというこの冷厳なる事実にいかに対峙していくかということにあるのではないでしょうか。

 したがいまして、すべての改革の本丸は郵政にあるということでまさに与党の先生方は選挙をなさったわけでありますが、何となれば、どうして国債三百兆がふえるんでしょうか。新規で向こう十年で、平成二十七年には八百兆円を超えていきますね。国分だけでですよ。地方分を入れれば一千兆円超えていく。三百兆円純増ですよ。そういうことに、本当に改革の本丸が郵政にあって変わっていくんだというのであれば、どうして財務省試算でそんな三百兆円もふえるという数字がこうやって出ているんですか。これ、財務省のホームページに出ていますよ。

 つまりは、こういうものと闘っていこうと思うと、公務員の皆さんの生首取るとか、生首取るというのは、人員削減に対する御省が使っておられる専門用語をあえて使わせていただいておりますが、定員削減を議論される上での共通のテクニカルタームかというふうに理解しておりますのであえて使っておりますが、生首だ、給与削減だ、こういうことでは、本当にこういう話と闘えますか、三百兆円削減と。

 いい例があります。愛知県で中部国際空港というのを開港していただきました。大変な政府のバックアップでできた事業だというふうに思っておりますが、同時に、さまざまな手法を駆使する中で、当初予算より一千二百億円安く仕上がったというふうに伺っております。そして、その一千二百億円はいずこへ行ったということが問題であります。

 中部空港の建設費削減、当初予算より一千二百億円削減した。これは一体だれの手柄になったんでしょうか。そして、この一千二百億円はだれが享受することができたんでしょうか。

谷垣国務大臣 財政削減効果というのは、どこに帰属したかといっても、広く循環してまいりますから、一つ決め打ちで決めることは難しいだろうというふうに思います。

 ただ、これだけ大きな削減は、国の財政にとりましても極めて大きな貢献だったと思います。

古本委員 御省の金庫に、支払い伝票を切って国庫から出さなかったということで、国庫に帰属して残っただけなんですよ。したがって、国交省予算でしょうから、石原前大臣もいらっしゃる中でその実態はよく御存じだと思いますが、結局どこかの公共工事か何かに化けちゃったわけでしょう。

 つまりは、原価を下げて、そのことが報われる仕組みにならないと、本当に三百兆円の国債増と闘えるんですかというふうに伺っているわけであります。

 つまりは、公務員の皆さんの能力評価制度を導入すればいいという、そういう薄っぺらい議論じゃないんですね。もちろんそれも大事であります。それに加えて、大臣の強力なリーダーシップで、省庁横断的に総務省とも連携をいただく中で、国交省が今大変やっておられますユニットプライス方式とかで、向こう五年間で一五%原価と闘いますといって石原前大臣が大変やっておられました、こういうことをやはり全体を挙げてやっていかないといけない。

 その五年で一五%、実は、世間水準からいえば手ぬるいということをかつて国交委員会で質問した記憶がありますが、もっとそういう目標を立てて、ベンチマークをして下げていかないと、原価は下がりませんよ。どうやって三百兆円の国債残増になるこの現実と闘うのか。先ほどの大臣の御説明でおっしゃられた、公務員の皆さんのそういうこともお願いをしていきたいなんということでは、とても構造改革には値しないと思いますね。

 今申し上げたような現実がある中で、かつて麻生大臣にも僕はこれを質問したんですよ、公務員の皆さん、そういう部分に頑張ったら評価される仕組みにしたらどうですかと。そういう仕組みになっていないからしようがないでしょうといって、逆にあの口調でおっしゃられましたから、もう二の句が継げませんでしたね。

 ここはまさに谷垣財務大臣の出番じゃないですか。ぜひお願いしたいですね。

谷垣国務大臣 中部国際空港は民間会社ですから、やはり千二百億縮減した効果というのはすぐに国庫に回ってくるわけではないと思うんですね。ですから、財務省のどこかに、ポケットに入ってどこかの公共事業に化けたと即断されるのは、私はちょっと違うのではないかと思います。やはりそういう削減の効果というのはいろいろなところで響いてくるだろうというふうに私は思います。

 それから、三百兆とどう結びつくかというお問いかけですが、委員は先ほど、私の話の中で公務員の削減というのが触れていないんじゃないかとおっしゃるからお答えしたのであって、それだけで三百兆が全部きれいに片づくと思っているわけではありません。

 もちろん人件費、人件費というのはやはり非常に大きな固定費になるわけですから、人件費を、特に官民比較をしながら、特にまた地方の官と民の比較というものをできるだけやりながら公務員の給与を見直していく必要もあると思いますし、むだを省いていくという意味で純減も考えなきゃいかぬと思います。

 そして、委員のおっしゃることは、今、やったらそれだけやりがいのある仕組みということでございますが、やはりこれは公務員の仕事を改革していくということだろうと思います。これも、長い間の公務員の仕事の仕方がありますから、簡単に一朝一夕で、私がここで答弁したらすぐ変わるというものではありませんが、いわゆる市場化テストとかそういうものを取り入れるとか、あるいは私どもも予算執行調査というのをやっておりますが、まだまだいろいろな取り組むべきところがあると思います。

 予算の質を改革していくということがあわせてなければ、私は物事は進んでいかないだろうというふうに思っておりますので、その点は委員のおっしゃっていること、私も同じような方向のことを考えているわけであります。

古本委員 誤解なきようにお願いをしたいわけでありまして、私が申し上げた主張を整理いたしますと、もちろん、純減問題や給与削減の問題、これは即効性があります、即効性がありますが、経営者としてやる手法としては最低の、かつ最後の手段でしょうね、こんな単純なやり方はありませんから。まずは、従業員たる公務員の皆さんがその気になって、では原価と闘おうじゃないかという気持ちにならないと、雇用は保障しません、給料は切ります、だけれども原価と闘ってくださいと言われたら、この人たち、後ろに座ってみえる方々がやる気が出るかどうかなんです。民間は、ボーナスも上がる、雇用も保障されている、そういう中で原価と闘え、そして頑張れば報われる、だからもっと頑張ろう、これは基本ですよね。人間の煩悩ですよ。

 そういう意味では、総理は今、大変勢いよく、公務員の削減も十年で三割ですか、おっしゃっておられますが、そのまず大前提に、公的セクターが税金を投入してでも守らなきゃいけない公益性の高い仕事と、公益性のある仕事であっても採算をぎりぎり要求していい仕事も中にはあると思うんですね。

 今三十三万人の予算定員がいらっしゃいます。この三十三万人の予算定員の対象になっておられる行政職ですね、この人々の数だけ、三十三万個机があるわけですよ。この机のダウンサイジングをした方がいいんじゃないですかということを私は主張していますからね。この三十三万個ある机を二十万にせよ、十五万にせよというのは、これはいわゆるリストラクチャリングというよりも、単純なカットですよ。こんなことは子供だってできますよ。

 そうじゃない、座っておられる机のサイズを、持っておられる予算の規模を小さくすることによって初めて旺盛な財政需要を抑えることができるんじゃないか。そうしたときに、例えば国交省がやっておられるような、何か目標を立てて、それに向けてどんどん下げていくというようなことを、これは省庁横断的に、金庫番である財務大臣が絶対値を目標を立ててみんなで闘おうみたいなことをやっていかないといけないんじゃないですかという提案をさせていただいておりますので、誤解のなきようにお願いをしたいと思います。

 そして、残された時間で、きょうは、まさに衆議院の金庫番である財務金融委員会の先生方がいらっしゃる場ですので、ぜひあわせて課題の提起をしたいわけでありますが、税制改革の中に、大臣も所信でおっしゃっておられる「あるべき税制」ということが書かれておられます。社会共通の費用を広く公平に分かち合う、経済社会の持続的な活性化実現のため、税制改革の具体化に取り組んでいく。あるべき税制とは、今政府ではたしか、公平、中立、簡素を改め、公平、中立、活力とおっしゃっておられるように記憶しておりますが、この公平、中立、活力、まあ簡素でもいいんですが、このことを進めていく上において、本当に、先ほど来申し上げている、取りやすいところから増税をして、そして取りっぱぐれているところの穴埋めをするという仕組みを続けていって、持続性があるのかな、納得が得られるのかなと、極めてこれは党派を超えて共有の理念にしたい問題意識として強く持っております。

 そこで、実は私は、前回は外務委員会に所属をいたしておりましたが、ある事実を発見いたしました。外務委員会の審議の中でであります。それは、ここに答えがあるんですが、これはパスポートです。今発行されているこのパスポートですが、これは一冊発給するのに、十年旅券で一万三千円、今いただいております。そして、この一万三千円のパスポートの原価を調べました。説明に来てくださった外務省の旅券課の人、びっくりしていましたよ。原価ですかといって声が裏返っていましたよ。そういうセンスがないから、こういうことになるんです。

 この一万三千円、調べましたら、何と三千円が紙代です、これ、この紙。特殊ラミネートを使っているとか、いろいろなことの説明がありました。百歩譲って、そうでしょうと。町村信孝というサインも入りますから、サイン代も入っているかもしれない。わかりました、紙代はわかったと、実費です。

 では、この一万円は何かと私問うたんです。これは大臣、コウヨウブンというそうであります。町村さんはこれを公用旅券と勘違いなさいました。コウヨウブンは効用分と書きます。つまり、十年間この旅券を持つことによって、邦人が通路故障なくこれの所持人が通行することを諸外国に求める、こう書いていますよね。つまり、持っていることによって、大使館に駆け込んで助けてもらって、領事館や大使館の職員にサービスを受けるだろう、領事業務のサービスを受けるだろう。つまり、持つことによって効き目がある、それの効果の用の分で効用分で、年間これが千円だという説明でありました。十年分で一万円を別途いただくということで、一万三千円であります。これに県の分が乗っかってきますから、実際窓口ではもうちょっと高いんだと思いますが。では、この効用分というものが、領事館の皆さんの、邦人救助やいろいろな、パスポートを失ったとか、そういう窓口業務に接していただくわけでありまして、なるほど、すぐれていい仕組みだなと納得しました。

 そこで、引き続いて質問したんです。では、在外公館にいらっしゃる三千名を超える領事館員の方々、この方々のアワーレートはどこから出ているんですかと。これは大臣、どこから出ておられると思いますか。在外公館の職員の給料ですよ。これは大臣に聞くまでもありません。一般財源で外務省予算の中で賄われていますよ。つまり、広く所得税や消費税で払っていただいて、国民から集めた税金で給料は賄っているんですよ。何となれば、この効用分というのは年間三百億円平均で取っています、この五年間を見ますと。大体三百億円取っています。

 これは大臣、いわゆる効用分と称して税外収入で御省に入っているんですが、御省に入っていますよ、これを二重取りと言わずして何と言うんでしょうか。お答えいただきます。

谷垣国務大臣 委員おっしゃったように、公館の職員の給与等々は、これは国の政策経費として、一般歳出と申しますか、そういう中から出されている、これは当然のことだろうと思います。

 それから、旅券手数料、私も、効用分というのは、町村さんの答弁を読みまして、なるほど、こういう表現があるのかと思ったわけでありますが、旅券手数料は、そういう費用も勘案しながら受益者負担等々の観点を入れて御負担を求めているわけであって、私は、今古本さんがおっしゃるように、二重取りというそしりは当たらないんじゃないかなと思います。

古本委員 つまりは、効用分と称して窓口で徴収しているこの一万円相当、十年旅券であれば一万円、五年旅券であれば五千円、これは税金なのか手数料なのかというこの入り口の議論の整理が、昭和二十六年の、旅券を広く一般国民に持たすことが解禁となった、渡航の許可が出だした二十六年から、余り議論されぬまま今日に至っているんです。

 つまり、申し上げたかったのは、ここで効用分をぎりぎりやるつもりはありませんが、三百兆円の国債が一方でふえると言っているんです。旺盛な財政の需要がある中で、歳出の抑制、予算配分、重点、効率化、やっていくと大臣がおっしゃっておられる。片やあるべき税制と考えたときに、その担税力に応じた、本当に公平、中立、そして活力ある税制といったときに、海外旅行に行けるような人は担税力がある、だからこの人たちから取ろうという判断も、かつては多分あったかもしれない。でも、今も、なかなか海外旅行に行くという人は、アルバイトで稼いだ大学生諸君がなけなしのアルバイト代で初めての海外旅行を経験するという実態等々を考えれば、その大学生諸君は、アルバイトして源泉で所得税を払っているわけですよ。それで、もしかしたら、一円か五円かわかりませんが、外務省職員の給料に回っているわけですよ。そしてまた、効用分といって、これで一万円取るんですよ。

 このことは、手数料か、はたまた登録免許税的に、いわゆるこのパスポートを持つということによる便益を提供するわけだから、一度払い切りで免許税的に払ってもらう、言うならば旅券税的なものだというなら、まだわかります。手数料という限りは、相対でないと納得できませんよね。これを持つことによって便益に浴することができるから、初めてその手数料ということがなるほどなと思うわけであります。

 つまりは、これをお買い求めになって、旅券を発給して、その間このパスポートを仏壇にしまっていますみたいな方におかれた場合と、本当にヘビーユーザーだという人と比較をし出すと、これは、かつて外務でも言いましたが、では、パトカーを呼んだ人だけ税金ふやせ、救急車を使った人は税金ふやせという話になっちゃいますから、大変ややこしい議論になるんですが、シンプルに、極めてシンプルに申し上げているんです。

 もとより、外務省職員、在外公館の給料は一般財源で賄われているんです。さらに、効用分と称して、そういう業務に、在外公館で便益を提供する、その分に見合いとして一万円もらっているんだ、年間千円もらっているんだと言われても、これは見合い財源になっていません。税外収入で入っているんです、三百億円。

 こういう話は、これまた我が党も、余りというか、ここで初めて大きな声を出していますが、こういう声を出しますと、大臣、また大学生諸君の若い層の自民党離れが始まりますよ。せっかくそっちに今のところは行っているようですから、がつんとまたこっちに揺り戻しますからね。山ほどありますよ、皆さん。これは、我々は、本当に大変な話。

 だから、こういうことを本気で闘おうと思うと、やはり、外務省職員に対しても原価を下げようという意識を高めていかないと下がりませんし、御省におかれましても、これはぜひ、この効用分はほんの一つの例であると思いますので、委員長、これは、手数料と称して取っている効用分なんですね、ですけれども財務省の税外収入として入っておりますので、このたぐいの財源がほかにどれだけあるのか、一度この委員会に御報告をいただきたいと思うんですが、また追って理事会に諮っていただけるとありがたいなと思います。

小野委員長 はい、これは理事会で協議をさせていただきます。

古本委員 そこで、大臣、いろいろ一方的に申し上げまして大変心苦しく思いますが、これは国民の声と思ってぜひ聞いていただきたいわけで、今申し上げた次第であります。

 この効用分の問題について、闘う覚悟があるのかどうか、改革をする覚悟があるのかどうか聞かせていただきたいと思います。

谷垣国務大臣 闘う覚悟があるかとお問いかけになりましたけれども、これは、邦人保護の対象となり得る旅券申請者に邦人保護の平均的な行政コストを負担していただくという考え方で、効用分というようなことになっているんだろうと思います。

 私は、現在のところそれが妥当性を失っているとは考えておりませんけれども、ただ、委員が御指摘になりましたような、税外収入、手数料であるのか何だといろいろな議論があり得るんだろうと思います。税外収入であろうと何であろうと、その算定根拠や何かは常にやはり時代の変化とともに見直していかなきゃならない分がありますから、私たちも意識は鋭敏にしていかなければいけないと思います。

古本委員 最後に、大臣所信の結びについてお伺いをして終わりにしたいと思いますが、「郵政民営化を初めとする構造改革について、国民の皆様から強い信任を得ることができました。また、選挙を通じ、財政構造改革に対する国民の関心と期待の強さを肌身に感じました。」とおっしゃっておられます。この肌で感じたのと強い信任との違いについてお伺いをしたいわけであります。

 これから行おうとしている財政構造改革は信任を得ていないという理解でしょうか。

谷垣国務大臣 私は、今回の選挙戦を通じて何を肌で感じるかというのは、政治家にとって必要な能力であり、またノウハウだと思うんですね。恐らく古本さんも皆さんも、選挙の期間中、有権者が何を感じておられるのかというのを全身で受けとめようと頑張ってこられたに違いないと思っております。

 私自身はどうやって受けとめたかといいますと、やはり演説というものは我々にとって基本的な武器だと思います。演説をして、そのとき聞いておられる方が目を輝かすのか輝かさないのか、それまで無関心だった、退屈そうな顔をしていた方がぱっとこっちにお顔をお向けになるのかどうか、そういうようなことを定量的に判断するわけにはなかなかいきませんけれども、毎日毎日演説をして、ああ、なるほど、今国民はこういうことを感じてくるんだな、そういうことをみんなそれぞれ身に受けて、選挙を終わって、国会に出てくるんだろうというふうに私は思います。

 私は、そういう意味では、財政構造改革をやってくれという強い国民の期待があるということは私の実感でございまして、これはもう間違いないと私は思っております。

 ただ、財政改革につきましては、基本的なことは今までもいろいろなところで申し上げているわけでございますけれども、財政をどう再建していくかについては、これはもうそもそも論でございますが、負担と給付というのは表裏一体、そして給付はどういうふうにしていくかという議論もまだまだ詰めなきゃならないものがあります。

 大きな方向は私は信任をいただいたと思っております、もう財政構造改革はやめろなんという声はどこにもない、大きな意味で信任をいただいたと思っておりますが、具体論についてはこれから詰めなければならないことがたくさんある、こういうふうに思っております。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

小野委員長 では、続きまして、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 小泉内閣は、官から民へというのをスローガンに掲げまして、郵政民営化を行えば資金の流れが官から民へ変わり経済が活性化する、こう繰り返してこられました。例えば、小泉総理は通常国会の施政方針演説で、「郵便局を通じて国民から集めた三百五十兆円もの膨大な資金を公的部門から民間部門に流し、効率的に使われるような仕組みをつくる」べきだ、このように述べましたし、また、今度の選挙でも、自民党の重点政策の中でも同様の主張をしておられます。

 まず確認をしておきたいんですけれども、こういう主張をされたということは確認できますか。

谷垣国務大臣 今、小泉総理の御主張ですよね、私もそういう主張をされていたと理解しております。本人ではございませんので直接のあれではございませんが、私はそう理解しております。

佐々木(憲)委員 これは自民党の政策でもありますから、同じだと思います。

 そこで、きょうは、この日本の資金の流れが官から民へ本当に変わるのかという点を検証したいと思います。

 まず、現状はどのような資金の流れになっているか、伊藤大臣にお聞きしますけれども、資金の流れを見る場合、一番量が多いのは当然民間銀行からの資金の流れでありますが、例えば、国内銀行ベースの貸出残高、十年前の一九九五年三月末からことし二〇〇五年三月末までの間、金額で幾ら伸びているか、そして、同じ期間に、国内銀行の国債、地方債の保有残高、これはこの十年でどうなっているか、数字を示していただきたいと思います。

伊藤国務大臣 二つの観点から御質問がございましたが、ちょっと質問をひっくり返しまして、まず国債や地方債の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、国内銀行の過去十年間における国債及び地方債の保有残高の推移を見ますと、日本銀行の統計によりますれば、主要行におきましては、平成七年三月末は国債約十六・二兆円、地方債約四・一兆円、平成十七年三月末は国債約七十四・二兆円、地方債約一・四兆円になります。地銀では、平成七年三月末は国債約九・八兆円、地方債約四・一兆円、平成十七年三月末は国債約二十二・一兆円、地方債約六・七兆円。第二地銀では、平成七年三月末は国債約二・八兆円、地方債約〇・八兆円、平成十七年三月末は国債約五・七兆円、そして地方債約〇・八兆円となっております。

 次に、融資残高の推移でありますけれども、これも日本銀行の統計によりますと、貸出残高合計につきまして、主要行につきましては、平成七年三月末は約二百九十四・二兆円、平成十七年三月末は約二百二十四・四兆円になります。地銀は、平成七年三月末は約百三十一兆円、平成十七年三月末は約百三十七・二兆円。第二地銀は、平成七年三月末は約五十二・七兆円、平成十七年三月末は約四十・三兆円になります。

 企業規模別の貸出残高について申し上げますと、大企業向けは、平成七年三月末は約百一・六兆円、平成十七年三月末は約七十五・七兆円。中堅・中小企業向けにつきましては、平成七年三月末は約三百十・四兆円、平成十七年三月末は百九十三・九兆円になります。

佐々木(憲)委員 細かな数字の御紹介をいただきまして、ありがとうございます。

 私が聞きたかったのは、この総枠を聞きたかったわけでございまして、皆さんにお配りしているこの資料を見ていただければわかると思うんですが、最近十年間の貸出残高の推移を見てみましても、貸出残高の総計は、五百六・一兆円あったのが三百九十六兆円と、百十兆円程度縮小している。その反面、国債、地方債の保有残高、これが三十七・六兆円から百十兆円程度と、七十三兆円程度ふえているわけです。

 ですから、簡単に言いますと、民間銀行の貸し出しは減って、その資金がどこに流れているかというと、これは国債とか地方債、こういうところに大きく流れているということになるわけでございます。この一枚目の資料が貸出残高の推移でありまして、二枚目の資料二が国債、地方債の保有残高であります。棒グラフを見ていただければその推移というのは大変簡単にわかるわけです。

 特に重要だと思うのは、この十年間で国債、地方債の保有残高が二・九倍、約三倍になっている。これは大変大きなことでありまして、要するに、現在までの資金の流れというのは、まさに民から官に流れているということであります。

 そこで、これを含んで、全体の日本の資金の流れというのはどうなっているか。これは資料三枚目を見ていただければわかりますけれども、ここに図があります。これは政府の統計をもとに主な資金の流れを示したもので、この資料のもとは、六月一日の経済財政諮問会議に慶応大学の跡田教授と内閣府経済社会総合研究所の高橋氏が提出をした資料でございます。現在、このように、この黒いところがいわば民から官に資金が流れている、こういう図であります。つまり、民から官に総計では六百五十兆円が流れているわけであります。この大枠、これは確認できますね。現状です。

谷垣国務大臣 今、二〇〇三年度の方をおっしゃったわけですね。私、細かなところまで、ちょっと数字が頭にあれですが、大体こういうことだろうと私も思っております。

佐々木(憲)委員 これは経済財政諮問会議に出された数字ですので、谷垣大臣も御承知の……。資料の中に入っていると思うんですが。

 それで、資金の流れというふうにいいますと、これは何が決定的にその流れを決めるかということになるわけです。これは大きく言って資金需要があるかどうかというのが基本であって、その上に金利差とかいろいろありますけれども、これまで数字を確認したように、内需がこれまで冷え込んできたわけです。したがって、民間企業の資金需要は低迷していた。その反面、国と地方の借金、財政赤字が大きくなった。だから、金融機関の資金が民に流れず、国、地方など官に流れてきた。これはだれが考えても、このことは明らかであります。

 そこでお聞きをしたいのは、それでは、郵政民営化で資金の流れが官から民に変わるというわけでありますが、二〇〇三年度のこの数字、この大きな流れ、これがどのような姿に変わるのか。六百五十兆もの資金が逆流して官から民に行くのか、一体どういう形になるのか、この基本のところを答弁していただきたい。

谷垣国務大臣 委員の資料の中に二〇〇三年のがございまして、それから二〇一七年というのもございます。先取りしちゃいけませんが、ございまして、これはいろいろな仮定を置いた数字でございますから、実は私が作成したものではありませんので、私が肯定的な答弁をする限りではないのですが、一つの傾向は示しているのかなと思っております。

 こういう資金が民から官へ流れているという御指摘でございましたが、私も、確かに現在のところ、このところそういう趨勢があって、それはバブルがはじけて以降何度も景気対策を打ってきたというようなこととか、それから、バブル崩壊後の低迷期に民間需要が低迷したというようなことで、民間から政府へという資金の流れが定着してきてしまったという傾向があったと思います。

 それを変えていかなきゃならないというのが構造改革の目的とするところでございますが、郵政民営化すると変わるのかという御質問でございますが、一つは、郵政のお金というのは私どもの財投に、特に平成十三年度までは郵貯は全額預託をしていただいた、それをいろいろなことに政策的に使ってきたということがございますから、これは民から官へ流す大きな仕組みであった。それは平成十三年度からこの関係を断ち切って財投の改革を推し進めてきたということが一つございますし、その出口の郵政事業を変えていくということによって、これが民間へ流れる大きなきっかけになると思います。

 しかし、それと同時に、私どもの立場からいたしますと、これは多分委員の問題意識と同じところがあるんじゃないかと思いますが、資金の流れを変化させていく上では、やはり民間部門の活性化というのを図らなきゃいけないと思います。私どもは、まずそれは構造改革をやって、民間セクターが動きやすいように、行動しやすいようにしていくということが基本ではないかと思っておりますが、まずそういうこともやらなきゃいけない。

 それと同時に、私どもの今の財政は、たくさん公債を発行して、資金の最大の取り手が公的部門であるというような体質になっておりますから、この財政構造改革をきちっと進めていきまして、国が最大の資金の取り手であるというような構造を転換していく必要がある。この郵政改革に伴う資金の流れの変化と、こういう民間を活性化したり政府が資金の最大の取り手であるという構造を変えていくということが、いわば車の両輪となって資金の流れが変わっていくということではないかと思っております。

佐々木(憲)委員 いろいろなことをおっしゃいましたけれども、本当に資金の流れが変わるのか。これは、大きな日本の資金全体の流れというのは、私は、基本的には変わらないし、むしろ官への流れが強まるのではないかと。

 なぜかといいますと、これは国債の発行の見通しなんですよ、二〇〇五年、二〇一二年、二〇一七年、この三年、紹介しますと、これは政府の見通しでありますが、五百三十八兆から七百五十三兆になり、さらに八百九十二兆と、こういうふうにどんどん膨れ上がっていくわけです。したがって、それも含めて考えますと、この資料の四のところにその数字が出ております、棒グラフを見ますと、どんどんどんどん右上がりになってふえている。これが決定的なんですよ。官に資金を流していく一番の力になるのが、いわば国の借金がふえるということなんです。

 その結果、二〇一七年に、資料五を見ていただきたいんですけれども、この資料五で明らかなように、国に流れていく、あるいは地方自治体、つまり官に流れていく金額というのは、合わせて、大きく言いますと九百五十兆円になるわけです。つまり、六百五十兆円の流れが九百五十兆円というふうに、民から官の流れが太くなってしまう。これが現状なんです。

 先ほど谷垣大臣は財投改革の問題も触れられました。これは民営化する前に、既に財投の全額預託義務というものは郵貯に課さないということで、二〇〇一年以降それが変わっているわけです。ですから、民営化するかしないかの前にそういう形でもう変わっているわけですね。

 しかも、民営化したら、その部分でどの程度の変化が起こるか。これを見ますと、私が出した図を見ていただければわかりますように、二〇〇三年は三百五十兆、これが官に流れているのが三百三十兆なんです。九四%流れている。二〇一七年を見ますと、二百十兆円に縮小する。これが国に流れているのが百六十兆です。つまり、七六%が官に流れるわけです。民営化後も約八割近くが官に流れるというのが、今度の資金の流れの将来見通しなんです。これは、経済財政諮問会議に出された資料をもとにして数字を出すと、このような図になるわけであります。

 ですから、谷垣大臣、官から民へ資金の流れを変えると言いますが、結果的には民から官への資金の流れがより一層大きくなる、これが実際の姿なんじゃないでしょうか。

谷垣国務大臣 いろいろな前提があると思いますが、今委員が議論をされたいろいろな数字、国債がこれからどうなっていくかという見通しでございますが、多分、資料は私どもがつくっております後年度試算を引いておられるのだと思います。ただ、後年度試算の性格は、一定の前提を置きまして、ややその特質を強調して申し上げますと、財政構造改革の努力を払わないとこうなっていくという姿を描いたものでありますから、必ずしも今おっしゃった数字どおりになっていくかどうかというのは、それを前提に議論をされると、ちょっと違うところがあるだろうというふうに私は思います。

 それから、もう一つ申し上げたいことは、確かに、委員のおっしゃるように、まだ当分長期にわたって返していくわけですから、借換債等も発行しなければなりませんし、大量の国債を発行しなきゃならない時代というのは相当長期にわたって続かざるを得ない。これはプライマリーバランスを回復しようとしまいと、やはりそういう趨勢は続くと思いますから、私は、それは法的にその引き受けを迫るわけじゃなくて、自由な判断で引き受けていただくにしても、現在の民間金融機関がそうでありますように、ある程度の国債は結果としてお引き受けいただかざるを得ない情勢もしばらく続くとは思います。

 ただ、そうではありますが、委員のおっしゃるように、では、手をこまねいて見ておって、委員もそういうことをおっしゃっているんだと思います、手をこまねいて見ておって、民間への資金の流れが出ていくわけではありません。そのために官へ流してきた大きな装置である郵政事業も改革をしていく、そして財投改革も進めてきた、その上で内需を振興したり、国の公債をたくさん発行して資金の最大の取り手である体質を改めていく、こういう総合的な努力をしなければならないのではないかと私は思っております。

佐々木(憲)委員 私が出した数字はすべて、政府が出した数字をもとにして見通しを立てるとこうなるということを言っているわけです。谷垣大臣は、この数字はそれほど確かな数字ではないとおっしゃいました。自分が出した数字ですから……(谷垣国務大臣「そうじゃないですよ」と呼ぶ)まあ、それはいいでしょう。

 それで、民営化したら資金が民間に流れて経済が活性化するんだよと。これは民営化先にありきの議論であって、私はそれはそうではないと思うんです。つまり、民営化しても、それ自体としては効果はほとんどない。結果として資金需要がふえるかどうかですよ。

 問題は、今の構造改革によって資金需要がふえるのか。我々は谷垣さんとは違う見解を持っております。つまり、家計消費がどんどんふえていく状況をつくっていくと。こういう状況で初めて売り上げが伸び、企業の活動も活性化していく、そういう形につながっていくわけであって、今やっていることは、家計消費を冷え込ませる、水をかけるようなことばかりやって、それが構造改革だ、こう言われますが、結果的に資金需要は伸びない。したがって、民から官への流れは変わらないと。

 それから、もう一つは、財政の問題でいいますと、やはりむだ遣いを削る。それから、税収については、利益の上がっている法人ですとかあるいは高額所得者にその税をきちっと払ってもらう。こういうふうに変えていって、初めて大きな資金の流れが変わっていくんだと思います。その点が、根本的に考え方が私は違うと思う。ただ、私が出した数字は否定されなかった。

 それから、最後に、新たに問題が出てくるのは、郵政公社は、資金の運用というのが基本的には国債またはそれに準ずるものということで、信用リスクをとるような運用はできないわけですよ。ということは、結局は、国の財政をそういう形で支えてきたわけです、郵政公社が支えてきたわけです。それを民営化するということになりますと、国債を最終的に引き受けていた公的な部門がなくなって、そのマイナスをどう考えるかという問題が次に出てくるわけです。

 今後、民間の資金需要が伸びる、あるいは資金が大量にアメリカに還流する、そういうような事態になるかもしれない。この場合には大量に発行される国債が果たして市中で消化されるかどうか、こういう問題が出てくる。金利の急上昇、財政負担の増大……

小野委員長 佐々木憲昭君に申し上げます。

 申し合わせの時間になりましたので、簡単にお願いいたします。

佐々木(憲)委員 時間ですね。わかりました。

 以上で終わりますけれども、こういう問題点があるということを私は指摘をして、単純に何か民営化したら資金が官から民に流れるというのは、政府の数字を使って計算をしてもそうはならないということを申し上げたかったわけでございます。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

小野委員長 内閣提出、銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣伊藤達也君。

    ―――――――――――――

 銀行法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤国務大臣 ただいま議題となりました銀行法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 政府は、内外の金融情勢の変化に対応し、金融資本市場の構造改革を促進する必要性を踏まえ、預金者等の利便性の向上等を図るため、本法案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、銀行等の代理店制度を見直し、より幅広い形態での銀行代理業への参入を認めることにより、利用者の金融サービスに対するアクセスを確保、向上させるとともに、金融機関が多様な販売チャネルを効率的に活用できるよう、預金の受け入れ、資金の貸し付け、為替取引等を内容とする契約の締結の代理または媒介を営業として行う銀行代理業制度を創設することとしております。

 具体的には、一般の事業者が銀行代理業に参入する際に課されている出資規制や兼業規制を撤廃する一方、銀行代理業の適正確実な遂行を確保するため、銀行代理業の参入に当たっては許可制とするほか、兼業については個別承認制とするとともに、抱き合わせ販売や情実融資の禁止等、利用者保護等のための措置を講ずることとしております。

 第二に、銀行等の経営の効率化のため、子会社規制の緩和を行うほか、銀行等の適切な業務運営を確保するため、業務委託先への報告徴求や立入検査を可能とする等、所要の措置を講ずることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

小野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十一分散会


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