衆議院

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第2号 平成18年2月21日(火曜日)

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平成十八年二月二十一日(火曜日)

    午後五時八分開議

 出席委員

   委員長 小野 晋也君

   理事 江崎洋一郎君 理事 七条  明君

   理事 宮下 一郎君 理事 山本 明彦君

   理事 渡辺 喜美君 理事 古本伸一郎君

   理事 石井 啓一君

      井澤 京子君    石原 宏高君

      小川 友一君    越智 隆雄君

      大塚 高司君    大野 功統君

      河井 克行君    木原 誠二君

      木原  稔君    佐藤ゆかり君

      鈴木 俊一君    関  芳弘君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    西田  猛君

      萩山 教嚴君    広津 素子君

      藤野真紀子君    若宮 健嗣君

      小沢 鋭仁君    小宮山泰子君

      鈴木 克昌君    田村 謙治君

      長安  豊君    平岡 秀夫君

      三谷 光男君    吉田  泉君

      鷲尾英一郎君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    野呂田芳成君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   財務副大臣        竹本 直一君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   財務大臣政務官      西田  猛君

   政府参考人

   (内閣府計量分析室長)  齋藤  潤君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   参考人

   (日本郵政公社執行役員) 池田 修一君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  塩谷  立君     小川 友一君

同月二十一日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     若宮 健嗣君

  関  芳弘君     大塚 高司君

  松本 洋平君     木原 誠二君

  田村 謙治君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     関  芳弘君

  木原 誠二君     松本 洋平君

  若宮 健嗣君     伊藤 達也君

  小宮山泰子君     田村 謙治君

    ―――――――――――――

二月十六日

 平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第四号)

 国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一四号)

同月九日

 共済年金・税制の制度改革に関する請願(野田毅君紹介)(第一九二号)

 庶民に対する課税強化の取りやめに関する請願(志位和夫君紹介)(第一九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四四号)

 大増税に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九七号)

 同(石井郁子君紹介)(第一九八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇一号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二〇五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八六号)

 消費税・住民税・所得税の大増税反対等に関する請願(志位和夫君紹介)(第二六八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二七一号)

 消費税改悪反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二七二号)

 消費税の増税反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第二七三号)

 消費税の大増税、定率減税の縮小・廃止反対に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二七四号)

 消費税の大増税反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二七五号)

 大増税反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二七六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二七八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二七九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二八四号)

 中小自営業の家族従業者等のための所得税法の改正等に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二八五号)

同月二十一日

 大増税計画反対等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四九三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

小野委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本郵政公社執行役員池田修一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府計量分析室長齋藤潤君、警察庁刑事局長縄田修君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智隆雄君。

越智委員 自由民主党の越智隆雄でございます。

 本日は、谷垣財務大臣並びに与謝野金融担当大臣の所信表明に関しまして御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この所信の中で、谷垣大臣は、財政構造改革に向けての取り組みを中心に述べられました。また、与謝野大臣は、金融資本市場の構造改革と活性化についてお述べになられたというふうに思います。まさに、財政、金融については多くの重要で喫緊な課題があると認識しておりますけれども、本日は、その中でも、財政、金融全般にかかわる課題といたしまして、財政改革と国債管理についての御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、具体的な質問に入る前に、二、三、大臣の基本的な御認識をお伺いしておきたいというふうに思うんですが、まず、数日前に、平成十七年の十―十二月期の実質GDPの成長率が年率換算で五・五%増という数字が発表されましたし、また、昨日は、日銀の月例報告で基調判断が半年ぶりに変わったと。その中で、景気は緩やかに回復しているの緩やかがとれて、景気は回復しているというふうになされたというふうに思います。

 このように、景気回復に対するさまざまな数字あるいは見解が出てきていますけれども、今後の景気の見通しについて、財務大臣が今どのようにお考えなのか、これから議論を始める前に一言御所見を伺えればというふうに思います。

谷垣国務大臣 今、越智委員がおっしゃった最近のいろいろな経済の分析、私も基本的にそういう考え方に立っております。企業業績等は前々から比較的よかったんですが、それがなかなか個人消費に結びついていかないというのが長い間の悩みでしたけれども、ようやく雇用とか、あるいは失業率も減ってまいりまして、その企業業績の好調さが個人消費、家計に流れていく、回っていく、そういう循環ができてきたんだろうと思います。

 それで、ここから先はどうだということでございますが、御承知のように、今まで三つの過剰と言われておりました過剰債務であるとか過剰設備、そういったようなものを企業が頑張って解消いたしましたので、全体、堅実な流れが続いていくんじゃないかと私は思っております。

 ただ、先行き、やはり全然リスクがないかといえば、それはそうではございませんで、原油価格の問題であるとか、特にアジアにおいては鳥インフルエンザの問題がどういう影響を与えてくるかとか、そういうような問題に十分注意をしなければならないと思っておりますが、基本的には今おっしゃったような認識で、景気は堅調に底がたいものがあるというふうに考えております。

越智委員 今、大臣から御見解をちょうだいしまして、ありがとうございました。

 まさに、失業率につきましては、一時五・五%まで悪化したものが今四%台前半でございますし、また有効求人倍率も一倍前後まで回復してきたということで、そういう意味では堅調な数字が出てきたように思います。

 また、大臣御指摘のように、三つの過剰というものがほぼめどがつけられたと思うんですが、ここでやはりクローズアップされてくるのが第四の過剰といいますか、政府債務の問題がまさにこれからのメーンなテーマになってくるんじゃないかというふうに思います。

 そういった観点で、先日の本会議での財政演説、また当委員会での所信表明においても、財務大臣が、財政改革に取り組むんだというふうな御決意を述べられておりましたけれども、もう一度、改めてここで大臣の財政改革に向けた御決意をお伺いしておきたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 今おっしゃいましたように、財政は第四の過剰であるというようなことが言われておりまして、やはりこれは子供たちや孫たちの世代にツケを先送りしているということでございますから、何とかその体質を早くとどめなければいけないんだろうと思っております。今、国、地方合わせますと公債残高がGDPの一五〇%ということでございますから、あらゆる手だてを講じて財政の再建を図っていく。

 そのために、差し当たって、二〇一〇年代初頭にいわゆるプライマリーバランス、基礎的財政収支を回復していくということを中心に今努力をしているわけでございますが、さらに、与謝野大臣のもとで、経済財政諮問会議でどのように歳出歳入一体改革の道筋を示していくか、選択肢、それから工程表もあわせてこの六月ぐらいまでにお示しするということになっておりますので、当面その作業に全力を傾けまして、大きな国民的な議論も引き起こしながら、財政再建の足取りを確固たるものにしていきたい、このように考えているところでございます。

越智委員 大臣、ありがとうございました。

 今、財務大臣から財政改革に向けての大臣の決意表明をいただきましたけれども、一方で、昨年九月に私は二回目の総選挙を戦わせていただいたわけでありますけれども、そのときに、今までにない、国民の皆さんのお気持ちの中に、私は、個人的にではありますけれども、地殻変動を感じさせていただきました。

 これはどういうことかといいますと、この財政の話というのは、有権者の皆様にするときに、結構皆さん、なかなか関心を持って聞いていただくのが難しいのでありますけれども、この間の選挙戦、八月から九月にかけて、このときは本当に多くの有権者の皆さんが財政の問題について熱心に耳を傾けてくださいました。そして、私は個人的に驚いたことは、二十代、三十代の方も、あるいは二十代、三十代の方の方が逆に熱心にこの財政の問題について耳を傾けてくださったように思いました。そういった意味では、大臣もおっしゃっていましたけれども、これから将来、次世代のことについてやはり若い人たちも真剣に考え出したというのがこの間の総選挙のタイミングだったんじゃないかというふうに思います。

 また一方で、世論調査におきましても、財政再建、財政改革に対する国民の認識というのが大きく変わってきたというふうな結果が出ておりまして、例えば、先週発表された世論調査では、次期首相に最も期待する政策課題として、三〇%近くの方が財政再建を選択されて、この三〇%、二八・八%なんですけれども、この数字はあらゆる選択肢の中で最も高い、財政再建がファーストプライオリティーだという結果がある通信社の世論調査では出てきております。

 この辺の国民の意識も変わってきたというふうに私は感じておるのでございますけれども、この辺について大臣はどう思われているか、谷垣財務大臣に御所見をお伺いしたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 今、越智委員がおっしゃいましたように、昨年の総選挙で、私も越智さんがお感じになったのと同じような感じを受けているわけでございます。多くの方々が、財政の持続可能性をどうしていくのか、政治はそれについてどういう見解を持っているのか、非常な関心を持っておられるというふうに思います。これは明らかに、やはり昔とかなり変化が見られると思っております。

 ただ、私ども、政治の場におりますのは、難しいのはこれからだと思います。やはり国民の多くのお感じは、財政再建にいろいろな手だてが、つらい思いも必要なのかもしれない、しかし、それを納得できるだけの手順と、政治のある意味での知恵を発揮してくれよなということではないかというふうに同時に感じておりまして、これから私どもが取り組むべきことはそういうことなのではないかと思っております。

越智委員 ありがとうございました。

 それでは、ちょっとここから具体的な質問に入っていきたいというふうに思うんですけれども、まず最初は、先ほど大臣もおっしゃっていました、プライマリーバランスの均衡あるいは黒字化に向けての取り組みでございます。

 今、具体的な質問に入る前に御議論させていただきましたように、まず一つ目は、経済情勢、経済環境がやはりここに来て改善しているといいますか、変化をしております。もう一方で、国民の意識も変化してきているという意味では、まさに財政改革を積極的に前に進めていく、そういう好機が来ているんじゃないかというふうに私は考えております。そういった意味では、小泉改革のいろいろな成果が出てくる中で、経済が上向いてきた、あるいは、去年の選挙を通じて国民の皆さんが将来についてもっと関心を持ってきた、そういう状況が今の状況ではないかというふうに思います。

 そんな中で、先ほどもおっしゃっていましたけれども、二〇一〇年代初頭に向けてプライマリーバランスを黒字化する、これについては、ことしの年央をめどに、歳出歳入の一体改革、それに対して選択肢及び改革工程を明らかにして、十八年度内に結論を出すというふうに所信の中でも述べておられます。

 このプライマリーバランスというのは、これが均衡した時点で、実額はまだしも、公的債務の対GDP比が一定であるという意味では極めて意味の大きい数字だというふうに思うわけでございますので、財政改革の当面の国民的目標としては、プライマリーバランスの黒字化というのを積極的にしっかりとアピールしていくことが重要なんじゃないか、そして適切なんじゃないかというふうに考えております。そして、きょういらっしゃっている与謝野大臣含めて、両大臣初め小泉政権が推進しているこの財政構造改革を着実に進めて、一刻も早くプライマリーバランスの黒字化を達成して、国債残高が減少局面に入る、そういった局面を迎えることが今国民全員の切実なる願いなんだというふうに考えております。

 これまでの改革の取り組みに加えて、先ほど御説明させていただきました経済環境の変化の中、この一般会計のプライマリーバランスは着実に減ってきている、三年連続で減ることが予算上は見込まれているということでございます。ここからはちょっとお伺いしたいところなんですけれども、このプライマリーバランスの黒字化に向けたプロセス、このプロセスについてどういった資料といいますか数字が公表されているかというと、一つには、一月に発表されました「改革と展望」、ここで二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化の試算が示されております。ただ、この試算というのはかなり大胆な前提を置いた試算で、裁量的経費が大幅に削減されているという前提の中で計算されたものと聞いております。

 また一方で、財務省では、数年後までの財政状況についての試算ということについて調べてみますと、「予算の後年度歳出・歳入への影響試算」というのをつくられておりますけれども、この資料は、その資料の性格上、プライマリーバランスの、どうなるかという議論についてはちょっと向かないのではないかというふうに個人的には考えております。

 そんな中で、このプライマリーバランスの黒字化に向けた取り組みについて、一層の歳出削減を初めとして、国民全体に大きな影響のある改革を持続的に進めていくことが必須となってくるわけですから、そのためには、やはり政府が国民の皆さんとの対話を通じて国民の皆さんに理解をしていただいて、それに信頼をしていただいて、そしてその上でやっとこのプライマリーバランス黒字化に向けた具体的な歩みが着実に進むものだというふうに思っております。

 先ほど御答弁の中にもありましたけれども、今、歳出歳入一体改革に向けて、改革工程について議論を重ねられているんだというふうに思いますけれども、ただ一方で、現時点で財務大臣がこの黒字化に向けた取り組みについてどんな方向性を考えておられるのか、あるいはどんな考え方をお持ちなのか、現時点での御所見をまずはお伺いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

谷垣国務大臣 委員、今、与謝野大臣のところでやっておられます「改革と展望」の付表と申しましたっけ、そちらの方の性質は与謝野大臣から御説明をいただいた方がいいと思うんですが、私どもも後年度試算というものを出しております。それで、この財政金融委員会でも常に問題となるわけですが、この二つがどう違うのかという議論があるわけでございます。

 私どもの方は、現在の施策を前提として、そのままでいくと今後どうなるのかということを示しているわけでございます。それで、与謝野大臣のおつくりになる方は、一定のやはりモデルを前提としてどうなっていくかと、かなり性格が違ったものでございます。

 その上で、いろいろな数字がそこに出ているわけですけれども、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスをとるということについて、どういう手法をとっていくかということになるわけでございますが、まず第一に、無駄な歳出を徹底的に削減していく必要があるということは、もう言うまでもないことだろうと思います。私どもは、これは聖域なき歳出の抑制というふうに申し上げておりますが、やはり、大きな歳出項目である社会保障であるとか、あるいは地方交付税、これは地方交付税だけではありません、大きく言えば国と地方の関係ということになるわけですけれども、そういったところの全体の合理化と申しますか、そういうものは避けて通れない課題であろうというふうに思っております。

 そういう中で、さらにそれをバックアップするために、今いろいろ進めております国の資産と債務の関係を見直していくというようなこともいろいろやらなければなりませんし、また、政府のスケールを縮めるということで、公務員等々の定員をどうしていくかというようなことにも取り組んでいるところでございますが、そうやって無駄な歳出を徹底的に抑える中で、全体のバランスを少しでもよくしていくという努力が必要だろうと思います。

 しかし、今、ことしの予算、十八年度予算をごらんになりましても、国債依存率というのが三七%を超えている現状でございますから、歳出カットというだけでは、これはなかなかバランスをとるわけにはいかないだろうというふうに私は思います。したがいまして、歳出歳入一体改革の道筋をつけようというのは、そういう歳入面も含んで物を考えていかなければいけないのではないか、そのための選択肢がどういうものがあり得るだろうかという議論をこれからまとめていかなければならないわけでございます。

 それから、歳入歳出という場合には必ずしも出てまいりませんけれども、言うまでもなく大事なのは、実質成長力といいますか潜在成長力といいますか、そういうものを高めていく努力というのがやはりあわせてなければいけないんだろうというふうに考えております。

 非常に概括的でございますが、そういう努力を総合して、財政改革を少しでも前に進めてまいりたいと思っているわけでございます。

越智委員 財務大臣、ありがとうございました。

 通告はさせていただいていないのですが、もし、この点について与謝野大臣の御所見をいただければありがたいと思います。

与謝野国務大臣 プライマリーバランスという言葉、これは私の理解では、借金のことをすっかり忘れて収入と支出がバランスするというだけの話でございまして、財政再建のいわば一里塚であると思っております。プライマリーバランスは達成できたけれども借金の方を見ると雪だるま式にふえていくという、発散型のプライマリーバランスの到達の仕方では財政再建はできないわけでして、やはり、プライマリーバランスを達成した後、プライマリー黒字を若干でもつくり出して、借金が雪だるま的に、指数関数的にふえないように、例えば対GDP比一定割合にするとか、そういう第二段階へと進まなければならない、それが財政再建の大きな目標であると私は思っております。

越智委員 ありがとうございました。

 両大臣おっしゃるとおり、本当に、まずプライマリーバランスの均衡、黒字化を果たして、その後、債務の縮減に関する計画を立てていかなければならないというふうに思っております。

 ここで、ちょっと次の質問に進めたいと思っているんですが、まさにこの毎年毎年の収支について、プライマリーバランスの黒字化といったような観点で議論していくのはもちろん大切だというふうに思うんですけれども、それに加えて、いわゆる国債管理です。既に発行された国債あるいはこれから発行される国債をどのように管理するかということも、これだけ残高がふえてまいりますと、ますます重大になってくるんじゃないかというふうに思います。ここ数年、少なくともプライマリーバランスが黒字化されるまでは国債はふえるんでしょうし、その後も金利と成長率の関係ではふえる可能性もあるというふうに考えますと、この問題はかなり息の長い問題だというふうに考えております。

 国債管理というと、多分今まで財務省では、安定消化とコスト抑制、この二つが主眼であったのではないかと思います。いわば発行時点での施策じゃないかというふうに思います。ただ、これほど経済指標が変わってきて、デフレ脱却の兆しが見えてきて、経済環境が大きく変わってきますと、既に発行された国債を保有する投資家の動向にも今まで以上に慎重に目配りをしなきゃならないんじゃないかというふうに考えております。そのことが結果的に国債の安定消化とかあるいはコスト抑制につながるんじゃないかというふうに考えております。

 そこで、ちょっと三つばかり、主要な今の国債投資家、保有者について考えてみたいと思うんですが、例えば国内銀行、こちらは平成九年ごろまでは三十兆円台の保有でございましたけれども、これは段階的に上がってきて、今は八十兆を超えているということであります。一方で、銀行の貸し出しは平成十二年ごろからずっと下がってきているわけなんですけれども、平成十七年の九月期には若干の微増に転じたと。恐らく、景気回復によって銀行の貸し出しも状況が変わってきたんじゃないかというふうに思います。また、金利がこれから上昇してくるかもしれないという見込みの中で、銀行によっては、国債の保有の残存期間を短くしたり残高を減らすといった、具体的な動きも出ているというのが現状じゃないかというふうに思います。

 二つ目の主要な保有者は郵貯、簡保なんですけれども、全体で今百七十兆円ぐらい保有しているわけです。これは、郵政民営化が実現されたことで、再来年の十月以降に日本郵政株式会社のグループの中でこの国債の保有がされることとなると思いますけれども、公社から郵政株式会社に移行する中でこの国債保有状況がどう変わるのか、あるいは変わらないのか、この辺についても慎重に見ていかなきゃいけないというふうに思います。

 三つ目は日銀でございますけれども、今九十兆円超の保有をしております。恐らく量的緩和の流れの中で国債の保有残高もふえてきたということを考えると、今後、デフレ脱却がしっかりしてくる中でこの日銀の保有スタンスというのがどう変わってくるのか、この辺も見ていかなければならないというふうに思うんですけれども、こうしたそれぞれの投資家の国債保有動向について、両大臣、どのような御認識を持たれているのか、御所見を伺えればというふうに思います。

谷垣国務大臣 まず私からお答えいたしますが、今委員がおっしゃいましたように、たとえプライマリーバランスを達成しても、当分の間国債の大量発行というのは続かざるを得ないという状況でございます。

 それで、今、どちらかというと安定消化とかいうことを重んじてきたのではないかということでございますが、そのさらに前に、やはり政府の国債に対する信認というものが市場で揺らぐようなことがあってはならない、そのためには、政府はやはり財政規律に向けて確固たる意思を持って前進をしているんだというメッセージを常に市場に送り続けるということが、私は一番基本なんだろうというふうに思います。その上で、今おっしゃったような、安定消化であるとか市場のニーズをどう酌み取っていくのかという問題があるんだろうというふうに思っております。

 そこで、今幾つか要因をお挙げになりました。それで、特に郵貯に関しましては昨年も大分議論がございまして、その中で、やはり移行期がスムーズにいくように、いろいろな手だても講じていただいているわけでございます。

 旧勘定の運用は郵便貯金銀行に特別預金等の形で委託されて、その郵便貯金銀行等は特別預金額の額以上に国債等の安全資産を保有することということになっていることとあわせまして、移行期においては、保有する国債等の安全資産額の見通し及びその根拠について毎年度管理機構に報告して、管理機構はその報告の内容を公表するというようなことで、移行期にあって不測のことがないように十分市場を配慮した設定になっておりますが、私どもは、そういった郵貯銀行ともいろいろお話をして、国債というようなものにも十分御理解を持っていただく必要があろうかと思っております。

 それから、一般の市中銀行等がどうかというお感じもございました。確かにこれは慎重に見ていかなければならない面があろうかと私も思っておりますが、ただ、急に大きな変動が起こるということはないのではないかと思っておりまして、そのためにも、私どもは、そういう金融機関等との対話、これも今相当力を入れてやっておりますけれども、そういうようなことを十分に行わなければならないと思っているわけでございます。

 それから、日銀との関係は、これは日銀の金融政策、日銀は御自身の金融政策上の理由によっていろいろな決定をされるわけでありますけれども、日銀とは十分な対話を持って、基本的にあさっての方向を向いているというふうにないようにしながら、話を進めていく必要があろうかと考えているところでございます。

与謝野国務大臣 国債管理というお話がありましたけれども、国債を直接管理するわけにはいかないわけでございますから、何を管理するのかといえば、やはり長期金利が急にはね上がるというような事態を避けるということが、私は国債管理の意味だと思っております。

 なぜこれだけ国債を発行しても国債の長期金利が一・五%で済んでいるのか。これは、やはり政府が、また内閣が、日本の財政を立て直すためにこれから真剣に取り組んでいくということに対する私は信頼、信認というものもその一つであると思っておりまして、そういう意味では、やはり多くの方々の期待にこたえるような財政規律また財政再建に対する意欲を持っていかなければならないと思っております。

 銀行のお話が出ましたが、銀行は、期待収益率の高い分野がだんだん少なくなってきましたので、やはり国債に通している額というのは少しずつふえてまいりました。しかし、これは一方では、長期金利が上昇しますと一遍にその価額が下落をいたしますから、ある意味ではリスクを内在しているということも言えるわけでございまして、それぞれの銀行がそれぞれの立場でリスクの管理をされておられると思いますけれども、金融庁としても、それぞれの銀行が健全性を維持しながら国債を保有していくことを期待しているわけでございます。

越智委員 両大臣、ありがとうございました。

 今、大臣のお話を伺いながら、与謝野大臣からは、長期金利がはね上がるリスクを管理するのが国債管理政策だと。私もまさにそのとおりだというふうに思います。そして、そのためには信認が必要だと谷垣大臣からお話がございました。そして、この信認を得るためには、財政改革をしている政府の姿勢をしっかり示し、そして実績を上げていくことが大事なんだというふうに私も思っております。

 きょうは、財政改革及び国債管理についてお話をさせていただきましたけれども、きょう話したかったのは、財政改革に対する国民の関心が高まる中で、まず一つには、納税者である国民との対話をもっとしっかりしていかなければならない、明確に今後のプランを、計画を見せていかなきゃいけない。もう一つは、両大臣から今お話をいただきましたけれども、市場との対話という意味で、国債管理をどれだけしっかりやっていけるかということじゃないかと思います。

 この点については、例えば、外国人投資家向けのIRのミーティングを最近始められたというふうにも聞いておりますし、また、個人投資家向けの新しい国債を発行されたり、そういった意味では、保有者の分散化という意味ではさまざまな施策をとられていることだというふうに思います。

 もう時間でございますので、最後の質問をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、国民の皆さんあるいは市場から信認を政府が得るためには、やはり今後の数年間あるいは十年、二十年にわたって計画を提示することが不可欠なんじゃないかというふうに思います。

 例えば、「改革と展望」においては、ある前提を置かれて二〇一一年までの計画が出されておりますけれども、その先の、一五年以上の十年、二十年の国債残高、あるいはプライマリーバランスの均衡化、黒字化といったことの、そういった計画を、やはり政府が責任を持ってある前提を置いた上で示すということで、国民あるいは市場の皆さんからより強い信認を得て、この財政改革をより強力に推進できるんじゃないかというふうに私は個人的に考えるのでございますが、この点について、両大臣の御所見をお伺いして、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 先ほど与謝野大臣が御答弁になったところですけれども、プライマリーバランスの回復というのはまことに大事な目標で、ツケを後の世代に先送りしないという形になるわけで、大事な一里塚でありますが、その先、債務残高は膨大にあるわけでありますから、金利との関係で発散していくようなことがあっては、それは財政再建ということにはほど遠いわけでありますので、プライマリーバランス回復の先にある目標、そしてその道筋をどうたどっていくかということをきちっと検討する必要があると私も考えているところでございまして、与謝野大臣のもとでそのような議論をきちっと煮詰めて、国民にお示ししていくことが必要だと考えております。

与謝野国務大臣 イギリスで財政を見るときには、大変用心深い前提で財政を見ておりますし、また、財政の持続可能性というのを三十年のスパンで見ております。そういう意味では、日本の現在の財政状況というのは、五年やそこらで病状が回復するわけではありませんで、やはり五年、十年、二十年ぐらいのスパンで物を考え、どういう道行きで財政を再建していくのかという、このことはやはり国民にお示ししなければならない責任が我々にある、そのように考えております。

小野委員長 越智隆雄君、時間になりました。

越智委員 大臣、ありがとうございました。

 これをもちまして質問を終わらせていただきます。

小野委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 きょうは、持ち時間十五分でございますので、一つのテーマでやらせていただきたいと思います。

 去る二月十日に偽造・盗難カード預金者保護法が施行になりまして、横にいらっしゃいます自民党の江崎先生と御一緒に私も法案の提出者でございますので、大変感慨深いものがございます。ちょうど施行になった日に偽造・盗難カードの被害者の会の方からお話を伺う機会がございまして、これは、法施行前にもう被害に遭った、いわゆる過去被害の方々でございますけれども、幾つかお話を聞いて、確認をしておきたい点がございますので、きょうはお話しさせていただきたいと思います。

 まず、この法律の附則の第二条では、法施行前の偽造・盗難カードによる被害につきましても、法律の趣旨に基づいて最大限の配慮を求めているわけでございます。偽造カードの被害については、多くの金融機関で期限を限らずに補償しているわけでありますが、盗難カード被害については、過去被害に全く応じない金融機関が一部にあるというふうに聞いておりまして、この附則の第二条がきちんと周知をされているのかどうか、この点についてまず確認をいたしたいと思います。

櫻田副大臣 お答えさせていただきます。

 金融庁は、法施行前の被害についても、法律の趣旨に照らし最大限の配慮が行われるものとした偽造・盗難カード預貯金者保護法附則第二条について、金融業界に対し周知してきたところでございます。

 具体的には、過去の被害の補償にかかわる附則第二条への対応も含め、法律の趣旨を周知するよう各金融関係団体に対して文書にて要請をしたところでございます。十七年の八月十日、公布された日でございます。主要行との意見交換会の機会をとらえ、過去の被害への補償も含めた真摯な対応を要請するなどの対応を行ってきたところでございます。また、月一回、意見交換をやっているのでございまして、また、現在もそれは行われているところでございます。

 金融庁といたしましては、法施行前に発生した被害についても、各金融機関において、利用者に十分配慮し、法律の趣旨に沿った真摯かつ適切な対応をしていただいていると考えているところでございます。

石井(啓)委員 私が伺ったときは法施行日でしたから、施行前の状況ということでそういったことがあったかもしれませんので、今、副大臣のお話ですと、きちんと徹底をされているということでありますので、その点についてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、同じく法施行前の盗難カードの被害でございますけれども、これについては、三菱東京UFJ銀行では期限を設けずに対応するというふうにされておりまして、あと、他の大手行については、おおむね二年前まで対応するというふうにされているようでございます。

 ただ、その、他の大手行のケースでは、数カ月の差で補償されないケースもあるというふうに聞いておりまして、一応期限を設けるとしても、その設けた期限以前は一切補償に応じないというかたくなな態度ではなくて、個別の案件に応じて柔軟に被害の補償に対応していただきたいというふうに考えますが、この点については、与謝野大臣、御答弁をお願いいたします。

与謝野国務大臣 盗難カードの過去被害についての御質問でございますが、既に幾つかの金融機関において、おおむねの目安として一定期間を定め、法施行前にさかのぼって補償の対象とする旨公表していることは承知をしております。おおむねの目安ということでございます。

 いずれにしましても、被害の補償に当たっては、法施行前のものを含めまして、各金融機関において、個別のケースごとの事情をよく確認された上で、法律の趣旨にのっとった対応をしていただきたいと考えております。

石井(啓)委員 今大臣の方から、おおむねの目安だということで、原則としては個々のケースに応じてきちんと対応するということでありましたので、若干安心をいたしましたけれども、その趣旨が徹底されるようによろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続いて、郵政公社でございますけれども、郵政公社では、法施行前の状況では、平成十七年十一月以前の被害は補償しないというふうにしていたようなんですね。これは、私、聞いたときに、何でなのかなというふうに思ったんですけれども、いざ施行になった後の過去被害への対応は郵政公社ではどういうふうにされているのか、確認をいたしたいと思います。

池田参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政公社では、これまでも偽造キャッシュカードの被害に対する補償は実施してまいりました。また、いわゆる預金者保護法の公布、成立を受けまして、いち早く昨年十一月十四日から、盗難キャッシュカード等の被害に対する補償についても開始したところでございます。

 それから、御指摘の、補償開始日より以前に発生した被害事案につきましても、捜査当局への被害届の提出が行われていることなど、新しい補償ルールの条件を満たすものにつきましては補償の検討対象となるよう配慮いたしているところでございます。

 ちなみに、郵政公社におきます平成十八年一月末現在の補償状況につきまして申し上げますと、偽造キャッシュカードによる被害につきましては八十一件、約一億五千万円でございますが、このうち、昨年十一月十四日の補償開始日より以前に発生した被害事案につきましては七十四件、約一億四千万円の補償となっております。

 また、盗難キャッシュカードによる被害につきましては百四十四件、約一億七千万円補償いたしましたが、このうち、補償開始日より以前に発生しました被害事案につきましては七十五件、約一億一千万円の補償となっているというところでございます。

 以上でございます。

石井(啓)委員 郵政公社の方でも、しっかりとお願いしたいと思います。

 次は警察に確認をしたいのでありますが、法律を作成するときに、過去の被害のケース、いろいろお聞きいたしましたけれども、そのときは、かつて被害者の方が交番等に届け出をいたしますと、なかなか警察の方が丁寧な対応をしてくれなかったと。警察官からすれば、それぐらいの経済被害であれば重大事件と比べてそんなに一生懸命にならなかったのかもしれませんけれども。例えば被害届も、被害者は預金者じゃなくて払い出された銀行の方なんだ、だからあなたは被害届は出さなくてもいいんだなんという対応をされたりいたしまして、被害者の方は経済的な損失と同時に大変精神的な苦痛を受けたということを幾つかお聞きいたしました。

 法施行に当たって、現場の警察の方にどういうふうにこの法律の趣旨を徹底されたのか。また、かつては警察と金融機関との連携が必ずしも十分ではなかったというふうに聞いておりますので、こういったことがいかに連携をきちんと行えるようにしているのか、この点について確認をいたしたいと思います。

縄田政府参考人 いわゆる預貯金者保護法におきましては、警察に対しまして、キャッシュカードの盗難等に遭われた被害者からの捜査機関への届け出の適切な受理と、届け出の有無に関する金融機関からの照会に対する回答などが求められているところでございます。

 私どもといたしましては、全国警察に対しまして、このような法律に定められた事項、警察がとるべき措置につきまして昨年十一月に通知をいたしましたが、さらにその徹底を期すために、各県の実務担当者による会議を開催いたしました。その会議におきましては、預貯金者から預金が不正に引き出された旨の被害相談がありました場合には、まずしっかりと事情聴取を行い、預貯金の引き出し状況の確認を行った上で、警察がとるべき措置が各警察、まさに警察署において確実にとられるように周知徹底をするようにという指示をいたしまして、預貯金者への対応に遺漏なきよう重ねて指導しておるところでございます。

 金融機関との連携につきましても、被害拡大防止のために、金融機関の協力を得まして、全国警察署等に金融機関の緊急連絡先を配付いたしましたり、あるいは随時の情報交換を行うために金融機関の関係団体との会議を開催するなど、金融機関との一層の連携を図っているところでございます。

 今後とも、法の適正な執行に努めてまいる所存でございます。

石井(啓)委員 警察の方もよろしくお願い申し上げます。

 それでは、時間的に最後の質問になるわけでございますが、この盗難、あるいはカードが偽造される、こういった被害が起きるまでは、磁気カードがそんなに簡単に偽造されたりというようなことは考えもつかなかったわけでありますけれども、こういう犯罪というのは手口がどんどん新たになってくるということで、この法律の施行によってこれからの被害の対応というのはできたわけですけれども、被害防止という観点からすると、偽造されにくいICカードであるとかあるいは生体認証であるとか、そういったものの導入をしっかりと進めるということがやはり抜本的な被害防止策になる、こういうふうに考えております。

 この現状と今後の取り組みについて、与謝野大臣から御答弁をお願いいたします。

与謝野国務大臣 御指摘の被害防止策については、金融庁が先般公表したアンケート結果、これは昨年の十二月時点の話でございますが、昨年の四月に比べますと、ICキャッシュカードを発行している金融機関は六金融機関から二十八金融機関に増加をしております。また、生体認証については、導入している金融機関は二つの金融機関から十五の金融機関に増加をしており、それぞれの金融機関においてその取り組みに一定の進展があったと私は考えております。

 金融庁としては、金融情報システムセンターや全銀協と緊密な連携をとりつつ、金融業界全体として有効な対策を講ずることができるよう、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 大手行に関してはかなり対策が進んでいるようでありますけれども、地域金融機関はまだこれからという状況のようでございますから、そちらの方の取り組みもよろしくお願いいたしたいと思います。

 以上で終わります。

小野委員長 それでは、続きまして、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌でございます。

 私からは、財政を中心に、各般にわたって少し両大臣の御所見を伺ってまいりたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、財政の健全化ということで御質問をさせていただきたいと思いますが、これは、きょう午前中に、我が党の岡田議員が予算委員会でも同様の御質問をさせていただいておりますが、私からも改めてお伺いをしたい、このように思っております。

 財政を健全化するには経済成長をどのように見ていくかということがポイントであることはもう言うまでもないと思います。ついては、最近の報道を見ますと、この成長論争について、政府・与党内であたかも内閣不一致のような様相を見せておるかのごとく報道が続いておるわけであります。

 例えば、二月十九日には、これは一々御紹介しませんが、「強気VS慎重」という見出しであります。二月二十日には「与謝野氏「四%成長」に反論」、一月十四日には「対立 財政再建シナリオ」、二月二日には「竹中氏 名目四%成長提案 与謝野氏 低めシナリオ主導」というような形で、これを見ておりますと、内閣は不一致ではないとおっしゃるんでしょうけれども、国民の目から見れば、一体全体どうなっているんだろうかなというようなことではないかと思います。

 そこで、それぞれの御発言をちょっと御紹介申し上げて質問に入らせていただきたいと思うんですが、与謝野大臣は、二〇〇六年、この一月十八日に、経済財政諮問会議の後の記者会見でこのようにおっしゃっておるわけですね。

 プライマリーバランスの黒字化が二〇一一年度に前回より一年前倒しになっていることについては、これをもって二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化が容易なものであると受けとめられる向きがあるが、これを達成するためには相当な努力が必要である、名目成長二%のもとで、国の税収の自然増はおおむね一兆円程度であるが、他方、社会保障関係費の国費は毎年度一兆円程度増加する、加えて、金利が一%上昇すると、利払い費は初年度で一兆五千億円、二年度には二兆九千億円、三年度には四兆四千億円とふえることを考えると、さらなる歳出削減努力、あるいは制度改正等を要するということを自覚しておかなければならない、こういう御発言をされておるわけですね。

 それから、二月一日、谷垣財務大臣も経済財政諮問会議で、インフレによって名目成長率が高まる場合には、年金の物価スライドによる給付額の増加等の歳出拡大が見込まれる、金利上昇による利払い費等の増加も見込まれるということも留意しておく必要がある、このように申されておるわけですね。

 それから、竹中総務大臣が、一月十八日と二月一日の経済財政諮問会議でこのように言ってみえます。今回示された名目成長率は極めて低く、政策当局の努力によってそれを一%程度高めることは可能だと思う、実質成長率は二%程度あると思う、緩やかな物価上昇は二パーぐらいが一般的であり、名目成長率四%は堅実な前提である、名目成長率を高く、国債金利を低く保つための施策について議論する必要がある旨の認識を示しておるということであります。

 それからもうお一方、ちょっと長くなって恐縮ですが、自民党の中川秀直政調会長も、先月、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム、いわゆるダボス会議で、名目GDP成長率を中長期的に四から五%にする経済政策、いわゆる上げ潮政策を講じるべきだとの考えを表明し、去る六日の予算委員会でも、名目GDPの年四%成長を目指すべきだと主張しておる。

 そこで、今の御紹介した御発言をもとに、谷垣財務大臣、そして与謝野金融財政担当大臣に、続いてお伺いをしたいわけでありますが、まず、今回の参考試算では、物価上昇率などを前年度より低く想定し、名目成長率を下方修正しておる。また、二〇〇九年度から、名目成長率より長期金利が高くなるとの見通しを示しておる。これは、政府が二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化を政策目標として掲げてきた際、検討してきた前提と異なることになる。

 そこで、今後の経済成長率及び名目成長率と長期金利について、基本的な認識及びこれまでの前提を変更した理由をお述べいただきたいというふうに思います。

与謝野国務大臣 今年度の「改革と展望」参考試算の基本ケースにおいては、二〇一一年度の消費者物価上昇率は二・二%程度であり、昨年度の参考試算二・七%を下回っております。

 これは、一つには、足元の物価関連指標がやや弱目であることや、それに基づく経済財政モデルの改定、第二に、このところの設備投資の増加が供給力を高め、需給ギャップの縮小ペースをおくらせる効果を持つことによるものでございます。また、名目成長率の下方修正も、こうした物価上昇率の下方修正を反映したものでございます。

 なお、本年の試算も昨年の試算も、計量モデルを利用して客観的に推計される結果を示している点では、変わりはないわけでございます。

 次に、長期金利のお話がございましたが、昨年の参考試算においては、名目長期金利が名目成長率を上回る時期は二〇一一年度であったが、本年の参考試算では二〇〇九年度であり、両者の関係が逆転する時期は二年早まっております。両者の関係が逆転する時期が早まったのは、物価上昇率の下方修正により、名目成長率が名目長期金利よりも低下したことによるものでございます。

 なお、本年の試算も昨年と同じ計量モデルを使った計算でございます。

鈴木(克)委員 私は、今ここに二〇〇四年度の「改革と展望」それから二〇〇五年度の「改革と展望」を持っておって、比較をさせていただいておるんですが、今おっしゃったように、明らかに数字が変わってきておるわけですね。もちろん、経済でありますし、見通しですから、変わることをいいとか悪いとか言うつもりはないわけでありますが、いずれにしても、冒頭申し上げましたように、同じ政府の中で、こういうような状況で、先ほど新聞で御紹介したような見出しが出てくるというのは、国民にとっては、これはやはりわかりにくい、一体全体どうなっているんだ、こういうことになってくるんではないかな、このように思います。したがって、ぜひその辺のところをきちっとやはり政府内で統一をしていただきたい、またすべきではないかな、こんなふうに思うわけであります。

 そこで、次にお伺いをしますが、この名目成長率の見通しについてでありますけれども、竹中総務大臣や中川自民党政調会長の言ういわゆる楽観論、それから、お二人、きょうお見えになる谷垣財務大臣や与謝野金融財政担当大臣の慎重論と言ってもいいかと思いますが、結局これは、いわゆる財政再建に当たって消費税の引き上げをどう考えるかという立場の違いを私は反映をしておるんではないのかな、このように実は思うわけでございます。

 そこで、谷垣大臣にお伺いをするわけでありますが、二〇〇七年に消費税率の引き上げをする、そういう法案を国会に提出をされるやに伺っておるわけでありますが、改めて、歳出歳入一体改革への取り組みについて、谷垣大臣、そしてまた与謝野大臣も御答弁をいただければありがたい、このように思います。

谷垣国務大臣 今、金利の動向と名目成長率の関係等々についてお触れになりましたけれども、私どもは、国と地方を合わせますと、公債残高がGDPの一五〇%というような状況でございますから、万が一財政に対する信認等々がぐらついてリスクプレミアムが増大してきたというようなことを、やはり相当重く考えざるを得ないと思うのですね。

 私どもは、金利リスクというものを抱えているということを考えますと、目指す目標は、潜在成長率なり実質成長率を高めていくということは、目標としては、やはり私どもはそういうことでなければいけないと思いますが、財政再建という観点からは、できるだけ手がたい、堅実な見積もりをしていくべきではないかと私は考えているわけでございます。

 確かに、それで名目金利よりも名目成長率が高くなるということがあれば、それは財政運営にとっては非常にありがたいことでございますが、それはやはり一種のボーナスと考えて、そのときは、余剰の資金といいますか、それをできるだけ国債の圧縮に向けるとか、やはりそういうようなことをしなければいけないのではないかというふう考えているわけでございます。

 その上で、歳出歳入一体改革の取り組みでございますが、先ほども越智委員の御質問にも御答弁を申し上げたところでございますが、まず、無駄な歳出を徹底的に省いていくという努力がなければならないのは、もう当然のことだろうと思いまして、ここにやはり相当気合いを入れませんとなかなか、では歳出歳入一体改革だと、特に歳入面の議論になかなか入っていけないというのは、私は現実としてあろうかと思っております。

 その上で、しかし、先ほど申しましたように、公債残高がGDPの一五〇%を超えている。それから、国で見ますと、ことしの十八年度予算で公債依存率が三七%を超えているという状況でございます。その上に、先ほどもお触れになりましたけれども、社会保障も毎年一兆円ぐらいの自然増の圧力がある。それから、金利が上がったときには一・五から一・六兆円ぐらいの金利負担というものが増加してくる等々のことを考えますと、なかなか歳出カットだけでいくというわけにはこれはいかない。やはり歳入面についてもいろいろなことを考えていかなきゃならないというのは、私は自明のことではないかと思っているわけでございます。

 そういうことを踏まえて、歳入歳出一体改革の道筋をことしの六月ぐらいをめどに、経済財政諮問会議の中で、選択肢も示し、工程表も示して、それで私は、これはできるだけ具体的なものを示して、国民的な議論を喚起して、国民と一緒になって議論をしていかなければいけないと思っておりますが、そういうことをしてこの十八年度中に成案を得るということになっているわけでございます。

 しかし、私がいつ消費税案を提出しなきゃならぬというようなことを、さっきちょっとお触れになりましたけれども、私は、毎年毎年の予算編成や税制の作業がございます。できるだけ、待ったなしでございますから、やはり結論を得たものから実際に施策化していくということが私は必要だろうと思っておりまして、今までのいろいろなスケジュールの議論からしますと、それを素直に考えますと、来年度の通常国会に出すということは一つの目標であろうというふうに申し上げてまいりました。

 しかし、これは大きな政治的決定でございますから、国民の意識というものが、やはり国民の理解というものがなければできる話ではございません。ですから、私は、そういうスケジュールを一つの目標として、私の頭の中にはございますけれども、それ以上に、やはり国民の理解をどう深めていくかという手順を今しっかりやっていくことが必要ではないかと考えておりまして、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、歳出歳入一体改革の道筋というものをできるだけ具体的な議論として提案、私どももそういう具体的な材料を集めて提出するようにしなければいけないと思っております。

 最後にちょっとつけ加えたいことは、歳出歳入一体改革と申しますと、何か財政の数字のつじつま合わせというようなイメージをお持ちの方もないわけではございませんけれども、これは結局、高負担・高福祉とか中負担・中福祉とかいろいろな議論がございますが、これからの日本の国のあり方をどういうふうなものに持っていくんだろうかという議論だと私は思うんですね。また、そういう議論にしなければ意味がないというふうに思っておりまして、まず、私どもは、ことしの予算を通していただくということを一生懸命努力いたしますが、それとあわせて、今のような議論に全力を傾けてまいりたいと考えているところでございます。

与謝野国務大臣 何か路線対立があるように受けとめられているのは非常に残念でございまして、極めてまじめな、また、及ばずながらアカデミックな論議をしているわけでございます。いずれ一定方向に私は収束していくものと思っております。

 ただ、ここで区別して考えなければならないことが私はあると思っております。それは、日本の社会を支えていく、特に少子高齢化社会を支えていくためには、やはり日本は力強い経済力が必要でございまして、そういう意味では、高目の潜在成長力を目指して、みんなで日本の経済を引っ張っていく努力をする。これは経済運営としては、高目のところを目指していくというのは、私はごく自然なことだろうと思っております。ただ、国の家計、すなわち、財政を計画する、また財政再建を計画するときには、やはり手がたい前提でやらないといけない。

 ですから、経済としての、日本の経済をしっかりさせるための成長力目標と、それから財政再建を計画するときの前提となる成長率というのは、おのずと考え方が違ってくるんだろうと私は思っております。

鈴木(克)委員 今、両大臣にお伺いしたわけでありますが、今の、国民の理解を得るための努力をする、そして国のありようを、あり方を国民にわかってもらうようにする、こういうお話が谷垣大臣からあったわけでありますが、今、国民の側からしますと、将来図というのは決して私は示されておるというふうには思っていません。そういう状況の中でこの消費税について国民の理解を得ていくということは、私はなかなか難しいんじゃないかなというふうに思います。

 今、与謝野大臣も、議論は収束をしていくだろうということでありますが、いずれにしても、私は先ほど新聞の見出しだけを申し上げたわけでありますが、国民はこれを見ているわけですよ。だから、やはり早くきちっとした閣内の統一を出していかないと、そんな中で国民の理解をといったって、なかなか国民は私は理解をしないだろうというふうに思っております。

 続いて、消費税の話が出ましたので一つだけ。ちょっと直接はあれじゃないんですけれども、私はこんなことを実は考えておりまして、消費税について一言だけ申し上げたいと思うんです。

 よくヨーロッパで付加価値税率というのは二〇%前後と、これは事実ですよね。我が国は消費税は五%じゃないか、したがって、二〇パーと五%なら、まだまだいわゆる引き上げの余地はあるんだ、こういうことを一部おっしゃる方もあるわけでありますが、私は、これで大事な視点が欠けておると思うんですよね。

 それはどういうことかというと、物価なんですね。物価を国際比較したときに、日本というのは、御案内のように、世界一の物価が高い国なんですよね。そういう中で消費税をまた上げていくということは、これは本当に世界でさらにさらに物価の高い国になっていくということになるんじゃないのかなと。

 したがって、何が言いたいかというと、私は、やはり一概に、ヨーロッパが一五パーだから二〇パーだから、日本はまだ五パーだから低いんだというような議論は、これはやはりその物価というものをきちっと想定をし、考えて議論をしていくべきではないかな、こんなふうに実は思っておるわけでございます。

 このことについて、何か御所見をいただければありがたいと思いますが。

谷垣国務大臣 今、日本が一番物価が高い国だとおっしゃいましたけれども、物価水準の比較の方法はいろいろなものがありまして、いろいろな見方があると思うんです。

 これは全く私の個人的な感じでございまして、きちっとした数字というものが必ずしもあるわけではありませんが、昔、例えばニューヨークとかロンドンなんかに出かけますと、えらくここは日本に比べると安いな、これは買って帰ろうというようなものがあったわけですけれども、この五、六年、やはり日本でデフレというようなものが続いていることもあるんだと思うんですが、そういう感じは随分少なくなってきたんじゃないか、実は私はそう思っておりまして、ニューヨークやワシントンで生活しておられる方に聞いても、何かそんなことをおっしゃるんですね。この辺はまた、実は、余り自分の印象だけで申し上げてはいけないと思いますので、よく私もこの物価の動向も勉強したいと思っておりますが。

 税については、もちろん消費者の負担感がどのぐらいであるかということを考えなければいかぬという今の御趣旨だったと思いますが、私も、それは消費者の負担感というものは十分考えなければいけないと思いますが、やはり消費者の負担感というだけで議論を片づけてしまうわけにも私はいかないんだろうと思っております。経済全体の状況であるとか財政の状況というものも考えながら、これも先ほど申し上げたことの繰り返しですが、国民的な議論をやらせていただいて、どの辺に国民の理解が落ちついていくかというような、やはりこれから努力をしなければいけないと思っております。

鈴木(克)委員 消費税の議論はまた、我々はやはり慎重にいくべきだし、増税をすべきではないという実は立場でありますが、いずれにしましても、そのときにまたしっかりと議論をさせていただきたい、このように思っております。

 続いて、定率減税の廃止についてお伺いをしていきたいというふうに思うんですが、今回の税制改正案で、定率減税の廃止が提案をされておるわけであります。平成十八年度の与党税制改正大綱では、今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の判断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的、弾力的に対応する、こういう文章で書かれておるわけですよね。

 そこで、今回の定率減税の廃止の決断に当たって、大綱を公表した、これは昨年の十二月十五日に出されたわけでありますが、それから法案が出されたのが二月三日ですよね、この間に、何のデータをもとに、いわゆる景気動向や経済状況を注視し、そしてどのような理由で、機動的、弾力的に対応すると言われておった、その必要がなくなったと、こういう判断をされたのか。政府・与党は、何を、どういうデータをもとに、そして何の数値をもとに、何の根拠をもってそういうふうに判断をしたのかということをひとつお示しをいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 定率減税の扱いについては、この委員会でもたびたび議論をさせていただいているわけでありますが、小渕内閣のときの、私の言い方で言いますと、底が抜けてしまうんじゃないかというような経済の状況に対応するために入れたものでございますから、当時と比べて経済状況が好転してきているということで、定率減税を廃止するということにさせていただいているわけでございます。

 それで、平成十八年の与党税制改正大綱は、確かに今委員が御指摘のような文言が入っているわけでございますが、あの文言の意味合いは、経済動向が悪化した場合に直ちに定率減税廃止の見直しを行うという趣旨のものではなくて、今後の景気動向を注意深く見守っていくとともに、その時々の経済状況に応じて、政策的な対応が必要になったときには、経済のどこに問題があるかということに応じて、適切な対応を機動的、弾力的に行っていく必要があるということを述べたものだろうというふうに私は思っているわけです。

 景気動向等々につきましては、先ほど越智委員にもお答えいたしましたように、民需主導の堅調な形になっているというふうに思うわけですが、具体的には、この間の十七年の十月から十二月期の一次QEによりますと、消費や設備投資が前期比で増加した結果、実質GDP成長率は前期比一・四%、それから年率五・五%、名目の方は前期比〇・九%、年率三・五である。それから、景気の先行きについても、企業部門の好調さが雇用所得環境の改善を通じて家計や消費に及んできているということでありますから、大綱を決定したときの判断を変える必要がない、現在見ればそうであろうというふうに思っております。

 ただ、今委員は、その過程で何を参照してどう判断したのかということでございますが、余り答弁が長くなってもいけないんですが、その間に起きたことを申し上げましょうか、それとも、今のような答弁でよろしゅうございますか。(鈴木(克)委員「いや、ぜひ聞かせてください」と呼ぶ)そうですか。

 十二月十五日にたしか大綱が決定をされて、政府、日銀はともに、その一月の基調判断で、景気は緩やかに回復している、また、先行きについても、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込んでいるわけです。私どもは、基本的にこういうものをやはり判断の材料としております。

 こういう基調判断の背景としては、企業部門については、三年連続の増益に引き続いて十七年度も増益見通しである、それから設備投資も、設備過剰感が薄れていることから、今後増加が予想されているというようなことがあろうかと思います。

 それで、先ほどもちょっと申し上げたことでありますが、企業部門の好調さを反映しまして、有効求人倍率も上昇して、昨年の十二月は一となったというようなこと、あるいは、完全失業率は下降のトレンドを維持しているというような雇用情勢の改善がございます。

 それから、家計部門につきましても、民間消費が増加している。消費総合指数が、十月が前月比プラス〇・三、十一月が前月比プラス〇・五、これは一月の月例経済報告に含まれているわけですが、緩やかに回復しておりまして、先行きについても、先ほど申し上げたように、雇用状況の改善が家計の所得改善につながっていくような流れができているというようなことがございました。

 それから、民間シンクタンクも、大体先行きについては、今後も個人消費と設備投資を中心とする民間内需が底がたく推移することから、景気の回復基調が続くというような判断をしておりまして、四―六月期に比べ弱含んだ七―九月期のQEについても、その要因を年初から続いた高成長の反動と見ている、景気回復の基調は変わらないというような見方が大勢を占めていたわけでございます。

 こういったことを背景にいたしまして、二月のたしか三日だったと思いますが、この法案を提出させていただいたわけでございます。

鈴木(克)委員 今、数値、データはお示しをいただいたわけでありますが、例えば、企業部門の好調といっても、そのデータのとり方、例えば大企業を中心にとっていくのと、本当に中小零細の実態というのはやはり違うでしょうし、求人倍率、そして失業率も回復をしたといっても、それが本当に国民の側からいってどうなのかというふうなことを考えていったときに、やはりこの数値、データについては私は問題がある、どちらかというと都合のいいところだけを並べてみえるというような気がしてなりません。

 いずれにしても、これ以上また議論をしてもあれですので、次に移らせていただきますが、今大臣がおっしゃったほど、国民は、景気がよくなった、回復した、定率減税廃止もやむを得ないなというような状況ではないということは、私はぜひ申し上げておきたいなというふうに思っております。

 続いて、ライブドアの時間外取引、それから粉飾決算、それから金融庁の責任ということで少しお伺いをしたいんですが、この件は、改めて時間をいただいてきっとお伺いする機会もあろうと思いますので、きょうは、さらりといいますか、少し与謝野大臣の御所見をお伺いするということにとどめさせていただきたいんですが、二つ三つ申し上げます。

 ライブドアの強制捜査の端緒は、昨年二月のニッポン放送株の時間外取引での買い占め事件だった。このニッポン放送の買い占めの原資となったのは、アメリカの投資銀行のリーマン・ブラザーズが転換社債の形でライブドアに貸し付けた八百億円もの資金だったというふうに言われております。しかも、このとき、ある報道によれば、ライブドアの時間外取引が違法ではないとの一札をリーマン・ブラザーズがあらかじめ金融庁からとっておったというふうに言われておるわけですね。

 当時の伊藤金融担当大臣が、昨年二月の十五日の記者会見で、「ライブドアの公表された資料によりますと、立会外取引において買付けを行ったということでありますので、そういたしますとこれは取引所における取引に該当するということになりますから今御指摘のありました規制の対象とはならないということであります。」こう述べておるわけですね。つまり、ライブドアの時間外取引に適法だというお墨つきを出したということになるわけです。

 一方、大臣が、当時は自民党の政調会長であったわけでありますが、ライブドアの時間外取引に対して、法の網をくぐり抜ける行為を事前の相談に基づいて行った疑いが極めて高いと指摘をされておったわけですよね。

 そこで、ライブドアの時間外取引の違法性について、与謝野金融担当大臣の認識をぜひ明らかにしていただきたいということが一つ。

 それからもう一つは、金融庁があらかじめ違法でないとのお墨つきを与えたのは、この疑惑について事実関係をぜひ明らかにしていただきたい。

 それからもう一つ、ライブドア本体の粉飾決算についての捜査が現在進展しておるわけでありますけれども、証券関係者の間では、ライブドアの粉飾は周知の事実だったと言われておるんです。ある証券会社の社長は、だれでも手に入る有価証券報告書を見れば、インチキをやっているな、赤字なのになぜ黒字になっているんだろうとすぐにわかったと述べておるわけですね。

 これまでライブドアの粉飾を見逃してきた金融庁は、二十二万人にも及ぶライブドアの投資家に対して大きな責任を負っていると考えるわけでありますが、金融庁の行政責任についての与謝野大臣の基本認識を明らかにしていただきたい。

 以上三点、お願いいたします。

与謝野国務大臣 三点御質問がありました。

 まず、伊藤大臣の、今委員が引用されたものは記者会見でのお話でございますが、伊藤大臣はその後、これは委員会での御発言でございますけれども、伊藤大臣はこう述べておられます。「私は、従来より個別の取引に関してはコメントを差し控えさせていただいておりまして、その中で、一般論、制度論として、立ち会い外取引というものが取引所における取引に該当することから、現行法上、基本的にTOB規制の適用対象とはならない旨の説明をさせていただいたということでございます。」これが伊藤大臣のお話でございます。

 私がどういう認識を持っていたのか、その当時。これは、正直申し上げまして、こういう取引というのはあるのかなというふうに正直に思っておりまして、いろいろ友人、知人たちとも意見交換をしておりまして、そういう疑問を持っておりましたら、東京高裁で判決が出まして、その判決を読んで納得をしたわけでございます。

 これは、東京高裁の決定の一部を読ませていただきますと、これは三月二十三日に出た決定ですが、本件ToSTNeT取引は、東京証券取引所が開設する、証券取引法上の取引所有価証券市場における取引であるから、取引所有価証券市場外における買い付け等には該当せず、取引所有価証券市場外における買い付け等の規制である証券取引法二十七条の二に違反すると言えない、売り主に対する事前の勧誘や事前の交渉があったことが確認されるものの、それ自体は証券取引法上違法視できるものではなく、売り主との事前売買合意に基づくものであることを認めるに足りる資料はないことから、この点の証券取引法違反をいう主張は、その前提において失当である、こういう判決が出ましたので、私は納得したわけでございます。

 それから、特定の方に対して金融庁が合法性を保証したというようなことはあり得ない話であります。

鈴木(克)委員 そうしますと、当時、私は、個人的ですけれども、ああ、与謝野さんはいいことをおっしゃるなというふうに実は思っておったわけですよ。実は期待もしておったわけですよね。だけれども、今その判決を読まれて、結局、では考え方が変わった、こういうことでよろしいんですかね、納得をされたということは。

与謝野国務大臣 高裁の判決でございますから、現行法の解釈としてはそれを率直に受け入れなければならないと思ったわけですけれども、それでも、なおかつ、党内ではいろいろな論議がありまして、やはり証券取引法の改正が必要だ、こういうことは自民も公明も合意をいたしまして、証取法の改正につながっていったわけでございます。

鈴木(克)委員 いずれにしましても、冒頭申し上げましたように、この件はまた時間をいただいてしっかりと議論をさせていただきたい。もちろん、まだ今捜査続行中というような状況もありますので、なかなかはっきりしない部分もあるわけでありますが、また別途お時間をいただきたい、このように思っております。

 次に、時間の関係もありますので、谷垣大臣に、昨年の十月十二日に私はここの委員会で特別会計のお話をさせていただきました。そのときのお考えをもう一遍お伺いしたいんですが、昨年十月十二日の当委員会で、財政融資資金特別会計及び外国為替資金特別会計には毎年度多額の剰余金が発生しており、両特別会計には相当の積立金が存在している、こういうことを申し上げました。

 我が国の財政状況が極めて厳しい現況下において、こうした特別会計に存在する積立金をなぜ活用しないんだということをお話ししたわけですね。その際、財務大臣の答弁は、財政融資資金特別会計の積立金である金利変動準備金は、金利が変動して歳入が歳出を下回った場合に取り崩して穴埋めに充当するもので、他の目的に使用することはできないという御答弁だったわけでありますね。

 ところが、私の議論をということではないかもしれませんけれども、いずれにしても、この議論の後、十一月、翌月に、財政制度審議会が「特別会計の見直しについて」という報告書を出されたわけですね。その中で、特別会計の中にある剰余金、積立金等を一般会計などに繰り入れて活用すべきであるとの方針を出されたわけであります。

 そうすると、財務省は、途端に態度を変えたというふうに言っていいかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、財政融資資金の積立金を取り崩して国債の繰り上げ償還に充てるというふうに言い出したわけですね。実際、十八年度予算を見ると、特別会計の改革、とりわけ特別会計の剰余金、積立金十三・八兆円を活用するというのが一つの大きな目玉になっておるわけですよね。

 私の提案に対してあの時点ではいわゆる反対をされた、強硬に反対をされた積立金の活用を十八年度の予算の目玉の一つに持ってきた、この経緯をぜひひとつ私の納得いくような形で御説明をいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 昨年十月に鈴木委員と議論をさせていただいたときは、確かに今お引きになったように私は申し上げました。それで、やはり金利が変動したときの収支を相償うためにこれは準備をしているものであって、少なくともその準備金は総資産の千分の百まで積み立てるということを、審議会のそういう御答申もいただいているんで、まだそこまで行っていないから、これはそういう流用をするわけにはいかぬということをあのときは御答弁申し上げた。確かにそのとおりでございます。

 しかし、その後、平成十八年度予算編成におきまして、特別会計改革それから資産・債務改革、これをできるだけ早期に予算に反映させて、そして、国債残高抑制の要請にも何とかこたえられないかというような議論をいろいろいたしました。率直に言っていろいろな御意見があったわけですが、委員のいただいた御議論等も参考にしながら、こういうようなことを考えたわけでございます。

 それがなぜ、前、千分の百まで積むと言って、あのときはまだまだ足らないと言っていたのができるようになったかという背景を若干申し上げますと、これまでの財投改革の成果によりまして、財政融資資金特別会計の総資産の減少が当面継続するということを踏まえますと、これからもあそこの、あのときは二十三兆何がしございましたけれども、これからも積み上がっていくだろうと。そうすると、まだ千分の百には行っていないけれども、そういった全体の財融総資産を、財政投融資の総資産が減少してきたことを背景にすればそのような決断ができるんじゃないか、このように考えまして国債の消却に充てるということにしたわけでございますので、確かに、委員に御答弁申し上げたときと比べますと、考え方に変化を来したことは事実でございます。

鈴木(克)委員 それは考え方が変わったんだからと言われれば仕方がないわけでありますが、やはり私は真実は一つだと思うんですよね。だれが考えてもこれは非合理だということは、やはりその都度その都度、私は、答申が出たから出ないからではなくて、やっていっていただきたい。特に特会は本当にそういうものなんですよ。特会を徹底的にきちっとしろというのが国民の声ですから、私は、今回のことは今大臣から御答弁をいただきましたので自分としては納得をいたしますけれども、さらなるひとつ改革をやっていただかないとやはりいけない、このことを申し上げておきます。

 そこで、今はちょっとやわらかいんですが、もう一つ、今度はきついお話をさせていただきたいと思うんですけれども、財務省の説明で、例の電源開発促進対策特会から五百九十五億円、今回入れたわけですよね。後日返済することになっておるというふうに聞いたんですが、その予算案が決まって以降、財務省発行の「特別会計の見直しについて」を読んでみたけれども、活用とは書いてあるけれども、後日返済しなければならないとも、また借金であるとも書いていなかったんですね。

 今までの特別会計の積立金や剰余金をめぐる議論の流れからして、積立金や剰余金の活用といえばそれらを取り崩して一般会計なり国債整理基金なりで使うものだと考えるのが普通だというふうに思うんですが、なぜこの電源開発促進対策特別会計からの五百九十五億円だけを後日返済するということになったのか、その経緯をお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 電源特会につきましては、委員もよく御承知のように、これまで不用、剰余金が多額にあるじゃないかとか、あるいは過大な予算を使っているじゃないかという御指摘があったのは事実でございます。

 それで、平成十八年度予算におきましては、やはり特会改革をもう少し推し進められないかという観点からいろいろ検討しまして、電源特会の歳入歳出も厳しく見直しまして、その上で、余剰であると考えられる財源については有効活用を図ろう、それで、一般会計の収支の改善に寄与するために特例措置として一般会計へ繰り入れをしよう、こういう一つの方針を立てたわけでございます。

 それで、平成十八年度の特例公債法では、電源特会から一般会計への繰り入れについては、委員がおっしゃるように、後日、一般会計から特会へ繰り入れるという規定を設けているわけでございますが、今回の繰り入れの財源である電源開発促進税というのは、これは税法にも規定されておりますが、原子力発電所の設置促進等に使うというために課されているということがございます。今、差し当たって使わなければならない、実はこれが必要だというわけではないわけですが、後日そういう用途が生じるということがあり得るわけでございますから、そのときは、やはり最終的にはこれらの費用に充てるためにこうした規定を設けたということでございます。

鈴木(克)委員 ここの部分は、なかなか納得がいくというふうには私はいかないんですね。

 それで、結局、この電源開発促進対策特別会計からの繰り入れ五百九十五億円は、国債発行額を三十兆円以下にするための見せかけの小細工だ、私はこういうふうに申し上げたいわけですね。

 十八年度の国債発行額を二十九兆九千七百三十億円と三十兆円以下に抑制をされました。このことは、小泉内閣の歳出削減努力によって五年ぶりに達成したんだと、あたかも鬼の首をとったかのように宣伝をされておるわけですね。しかし、実は、電源開発促進対策特別会計から隠れ借金をして、この隠れ赤字国債とでもいうべきものによって、ようやく国債発行額を三十兆円以下にすることができたというふうに私は思うんですね。これは全く見せかけの国債発行額の抑制ではないかというふうに思うわけですね。

 電源開発促進対策特別会計からの借り入れ五百九十五億円がなければ、国債発行額は実は三十兆三百二十五億円になって、三十兆円をオーバーするわけですよ。国債発行額を三十兆円以下に抑制したように国民に見せかけるために、まさに偽装をしたと……(発言する者あり)粉飾、ごめんなさい。この電源開発促進対策特別会計から借金をしたんだというふうにしか思われないわけですよね。本当にこれは、私は、まさに国民をだましておるんではないのかなと。もう三十兆円に何が何でも抑えるんだということで、こういういわゆる粉飾を、粉飾というのか偽装というのかよくわかりませんが、操作をおやりになったんではないかな、私はこのように思っておるわけです。

 それからもう一つ、電源開発促進対策特会から繰入金を後日一般会計に返済をするということですよね、先ほどお話がありました。では、そのときに利子はどうなるかということですね。利子をつけて返済をするのか、利子はつけないのか、その点もひとつぜひ御答弁をいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 利子はつけないということでございます。(発言する者あり)

 大変ジェントルマンの鈴木委員にしては随分きついお言葉をいただいたなと思っておりますが、繰り返しになりますが、やはり電源特会等が、不用なものがいわば遊んでいるという指摘があったわけでございますので、それは現段階においてできるだけ活用しようということでやらせていただきまして、国債発行の抑制ということは金利負担等々にも影響してくるわけでありますから、そのために役立てたい、こういうことでございます。

 それで、先ほど申しましたように、税法等の規定よりすれば、これはやはり使うべきときは原子力発電所の設置等々に使わなきゃならないので、それでお返しをするという規定になっているわけでございます。

鈴木(克)委員 いずれにしても、先ほど大臣は余剰であるというふうにおっしゃったんですよね。余剰なものがあるということ自体が私は問題だというふうに思うんですよ。だからやはり、本当に徹底的にそういうところを見直して、余剰であるというようなことが大臣の口から出るということの方が私はおかしい、正直そう思っております。――間違いなくおっしゃいました。私はメモしましたから。余剰である、こうおっしゃったわけですから。

 いずれにしても、本当にさらに厳しい予算編成をやっていただかないと、国民はとても納得いかないというふうに私は思います。

 それから、もう一度くどくなりますけれども、ジェントルマンであるかないかは別として、これは本当に完全にだましですよ、こういう手法は。だれが聞いたってそうだなというふうに思われると思いますよ。こういうことを堂々と国がやるということは、なぜ谷垣さんのような方がこういう手法をおとりになるのか、これは本当に私は納得いかない、このことをきつく申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、最後の質問になるかと思いますが、金融の状況を少しお話をさせていただきたいと思うんですが、最近の新聞報道によれば、主要行の平成十八年の三月期決算の最終利益見込みが十七年ぶりに最高更新をする、こういう報道があるわけですけれども、このことについて、まず金融庁の御所感をいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 確かに主要行の業績は回復をしております。しかし、業務純益はほぼ横ばいでございますけれども、不良債権が、債務者区分が変わったりいろいろありましたので、引当金を取り崩して利益に計上している、こういうことも寄与しております。

 少しずつ銀行は健全性を回復しつつありますけれども、まだまだ国から出しました資本注入分は返済もできておりませんし、また、繰り延べてまいりました損失がありますので、まだまだ法人税を払うに至っていない。一日も早くそういう日が来ることを私は祈っているわけでございます。

鈴木(克)委員 企業業績は、金融機関の業績は回復をしてきておる、先ほど来からお話があったわけですけれども、しかし一方で、まだまだ銀行はリスクを抱えているというふうに思うんですね、今大臣もそのようなことをおっしゃったわけですけれども。

 そういったリスクにはどういうものがあるのか、それに対して金融庁としてはどう対処されていこうとされておるのか、その辺のところを少しお示しいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 時間がないので短くお答えいたしますけれども、リスク管理は各銀行にとって極めて重要な課題であり、また金融庁にとっても重要な関心事であるわけでございます。不動産向け融資や保有国債については、各行においてみずからの資産、負債の内容に応じたリスク管理に努められていると思っております。

 金融庁としては、検査監督を通じ、各行の健全性の確保に一層努力をしてまいるつもりでございます。

鈴木(克)委員 最後に御要望をして終わりたいと思うんですが、銀行の決算が非常にいいということは、確かにまだ公的資金の返済とかいろいろあるかもしれませんけれども、逆に言えば、やはり預金者、利用者に還元をすべきだ、このように私は思うんですよね。そういう意味で、とりわけ中小零細企業に対して、せっかくこれだけ史上空前の利益が上がっておるわけですから、私は、少しでも還元をするようなそういう施策を金融庁はぜひ誘導していただきたいな、それがまた、いわゆる厳しい現況を乗り切っていく勇気を中小零細企業に与えていくことになっていくんではないかなと。

 このことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

小野委員長 それでは、続きまして、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 谷垣大臣は、事あるごとに消費税の増税ということを唱えておられまして、二〇〇七年の通常国会に消費税増税を提案するという発言もされているようであります。私は消費税の増税には反対の立場であります。きょうは、この消費税というものがどういう性格の税制かを検証したいと思っております。

 まず、消費税にはいろいろな特徴がありますけれども、中でも重要な性格の一つは、逆進性を持っているということだと思います。すなわち、低所得者ほど所得に対する消費税の負担率が重い。

 そこで、数字を確かめたいのですが、総務省統計局の家計調査をもとにして実収入に対する税負担割合を推計した数字があると思いますが、一番所得の低い第一分位と一番所得の高い第十分位の実収入に対する消費税の負担割合、これを示していただきたいと思います。

竹本副大臣 先生おっしゃっておられます、総務省の実施いたしました平成十五年分の家計調査をもとに、一カ月当たりの収入階級別の実収入に対する税負担を推計いたしましたその結果では、第一分位の世帯の消費税の負担額は七千二百三十一円、ちなみにこの負担割合は二・八%、それから第十分位の世帯の消費税の負担額は一万九千四百七十一円、ちなみにこの負担割合は二・〇%、こういうふうになっております。

 参考までに申し上げますが、第一分位は一カ月当たりの実収入は二十五万円余、第十分位、一番高いところで一カ月当たり九十六万円余、こういう統計でございます。

佐々木(憲)委員 今御紹介をいただきました統計は、勤労者世帯、サラリーマンの世帯の統計だと思います。この中には、当然、高齢者世帯というのは入っていないと思いますが、そうですね。

竹本副大臣 勤労者世帯のみであります。

佐々木(憲)委員 したがいまして、今御紹介ありましたその数字というのは、上と下の所得の開きというのはそれほど大きくはないわけです。一番低い階層でも、年収にして三百八万円、高い階層は一千百五十七万円であります。それでも収入の少ない階層ほど負担割合が高い、収入の多い階層ほど負担割合が低い、こういう逆進性が出ているわけです。

 しかし、家計調査で、十分位ではなくて年間収入階級の全世帯の統計、これを使いますと、逆進性はもっと明確に出てきまして、一番低い階層は年収百四十六万円、高い階層は二千百三十五万円、こういう数字がありますが、これで見ますと、一番低い階層の負担率は二・九%、高い階層は〇・八%、これは非常にはっきりと逆進性を示しているわけであります。

 そこで、谷垣大臣、この消費税の持っている逆進性、これはこの数字ではっきりしていると思いますが、これはお認めになりますよね。

谷垣国務大臣 佐々木委員は、消費税について、逆進性というところから今議論を始められたわけでありますが、それに対して、私どもの認識は、少子高齢化が進んでいく中で、やはり持続可能な社会保障制度等々を確立して国民の将来不安を払拭しなきゃならない、そう考えましたときに、広く公平に負担を分かち合う消費税というのは極めて大事な税制であるというのが私どもの基本認識でございます。

 そこで、だが逆進性はあるじゃないかとおっしゃりたいんだと思いますが、やはりそれぞれの税には得意不得意というものがあるんだと思いますね。全体で見た場合、所得税を含む税制全体で見れば、これは累進的な構造を持っているということ、それから低所得者は高所得者よりも多くの社会保障給付等の受益を受けているのではないかというようなこと、それから消費税の負担額で見れば、高所得者が多くの負担をしているというようなことがございますので、要するに、負担が逆進的かどうかという所得再分配の問題は、所得税を初めとする税制全体で見る、さらに言えば社会保障等々も加えて見ていくということが必要ではないかと考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 私が質問をしたのは、消費税そのものの性格として逆進性というものがあるということはお認めになりますか、その一点について聞いているわけです。

谷垣国務大臣 そこにスポットをお当てになりますが、税制全体で判断をして、それぞれの役割分担をきちっとするというのが私の見方でございます。

佐々木(憲)委員 いや、ですから、消費税について聞いているわけですから。全体の話はそれとして説明をされましたが、消費税の性格そのものはどうかと聞いているんですから、逆進性があるかどうかと。数字ではっきりしているんじゃないですか、今紹介ありましたように。

谷垣国務大臣 かつてから消費税の逆進性という御指摘があることは事実でございます。

佐々木(憲)委員 持続可能な社会保障制度をつくるための財源として一体何が適切かということになりますと、私は、消費税は逆進性がありますから、これはその財源としてはふさわしくないと思います。むしろ、所得税の最高税率が非常に下げられておりますからもとに戻すとか、あるいは、法人税の問題については今減税が続けられてまいりましたが、それについては一切見直しておりませんので、むしろそちらの方を見直すというのが筋ではないかということを、これは先ほどの大臣の見解に対して私はそういうふうに思うということを今申し述べておきたいというふうに思っております。

 この逆進性については、もう既に従来から、消費税導入時点で竹下大蔵大臣も、消費税九つの懸念という文章を出されておりまして、その第一の懸念として、逆進的な税体系となり所得再配分機能を弱めるのではないか、それから第三の懸念として、所得税のかからない人たちに過重な負担を強いることになるのではないかというふうにおっしゃっていたわけであります。前任の塩川財務大臣も逆進性はありますとこれは認めていたわけで、これは素直にお認めになった方が私はいいわけだと、まあ、お認めになりましたので、そういうふうに思います。

 それで、次に、消費税を上げるというわけですが、何%に上げるおつもりですか。

谷垣国務大臣 これは、先ほど来、歳出歳入一体改革ということを申し上げておりますが、そういう全体像の中でこれから議論を進めていって、選択肢を示して議論を進めていきたいと思っておりまして、現段階で、私の立場として、このぐらいであると申し上げる数字はまだ頭の中にございません。

佐々木(憲)委員 これは財務省も厚労省もさまざまな試算をされているようでありまして、社会保障給付に係る公費負担の部分を全部消費税で賄うとこうなりますと。例えば一二%とか、あるいは一四%、場合によっては一六%などという大変高い税率が示されているわけです。これは本当に驚くべき税率だと私は思うんです。

 消費税を増税すると一体どうなるかということですが、お配りした資料を見ていただきたいんですけれども、この資料の一枚目、「収入階級別税負担に占める消費税・その他間接税の割合」ということで、これを見てわかりますように、左側が収入の低い階層であります。その場合、税負担の中での間接税、それから消費税の比率が非常に高いわけです。四割が消費税、それ以外も含めまして、間接税全体で六割という負担ですね。

 したがって、消費税の増税をするということになりますと、やはりこの所得の低いところに直撃をするという形になることはこのグラフからも明らかだと思うんです。

 次の二枚目のグラフを見ていただきたいんですけれども、このグラフは、収入の一番低い階層と高い階層の開きを示したものであります。つまり逆進性をあらわしているんですが、消費税の税率が、一番左側、これは三%のとき、この開きは二・一ポイントであります。税率が五%、これは現在ですけれども、二・三ポイントの開きです。これが例えば一〇%になりますと四・六、一二%ですと五・六、一四%ですと六・四、一六%になりますと七・四。これは、税率が高まれば逆進性が一層強まる、こういうことになるわけであります。

 谷垣大臣、こういうことになるということはお認めになりますね。

谷垣国務大臣 今お示しになった図は佐々木委員のところでおつくりになった図であろうと思いますが、細部にわたって私よく検討しておりませんけれども、恐らくそういう傾向にはなるんだろうと思います。

 ですから、先ほど申し上げたように、消費税だけで見るのではなくて、いろいろな社会保障やその他の税制全体の所得再分配機能の中で検討をしなければいけないことだと申し上げているわけであります。

佐々木(憲)委員 所得再分配というのはそのほかのものでやるんだと言いますけれども、しかし、税の再分配機能というのは非常に低下しているわけです。どんどん下がっているわけです。与謝野大臣がうなずいておられますので、そのとおりだと思うんですが。

 それから、社会保障そのものも、国民負担がどんどんどんどんふえていきまして今大変な状況でございますので、その面での再分配機能も弱化している、弱くなっているということは私は言えると思うんです。しかも、その上で消費税増税ですから、私はもうちょっとここは深刻に考えた方がいいということを申し上げておきたいと思うんです。

 さて、それでは次に、この消費税の納税問題。これは、免税点が年間売り上げ三千万円から一千万に下げられたことによりまして新たに課税事業者がふえておりますが、どのくらいふえておりますか。

竹本副大臣 平成十五年度の税制改正によりまして消費税の事業者免税点が三千万円から一千万円に引き下げられたことに伴いまして、御質問の新たに課税事業者になった者の数ですが、個人事業者で百二十二万件、法人で五十三万件、合計百七十五万件程度になるものと見込んでおります。

佐々木(憲)委員 新たに百七十五万件ですからね。これが課税対象になるわけで、これらの業者は今でも大変な経営難に直面しているわけです。

 谷垣大臣にお聞きしますけれども、大きな企業と小さな企業を比べますと、小さな企業ほど赤字経営が多いと思いますが、そういう傾向があることはお認めになりますか。

谷垣国務大臣 手元に統計等があるわけではございませんが、恐らくそういうことがあるのかもしらぬと思っております。

佐々木(憲)委員 財務省の統計で見ますと、赤字法人、欠損法人の比率は平均で六八・一%であります。その内訳を見ますと、資本金百万円以下の零細な企業の場合、七八・二%が欠損法人なんですね。つまり、小さな企業ほど赤字が多いわけであります。

 ところが、これらの企業が消費税を転嫁できているか。経済産業省が調査したところによりますと、ほぼすべて転嫁できていると回答した事業者は四七・七%であります。これに対して、一部しか転嫁できていない、あるいはほとんど転嫁できていない、この回答合わせて五二・三%、つまり、半分以上の企業が転嫁できていないわけです。

 そこで、谷垣大臣にお聞きしますけれども、赤字の企業で、かつ消費税を転嫁できない、そういう業者は消費税を納税するお金を一体どこから持ってくるんですか。

谷垣国務大臣 消費税というのは転嫁をしていただくという税でございますから、やはり転嫁に向けてのいろいろな指導なり啓発等々を十分行わなければならないことはもちろんだろうと思っております。

 その上で、消費税というのは、今赤字だとおっしゃいましたけれども、一種の預かり金的な性格も持っているわけでございますから、そこのところを、やはりきちっと納めていただきたいというふうに考えているわけでございます。

佐々木(憲)委員 赤字の企業であり、かつ転嫁できない企業の場合、預かっていないわけです。そういう企業が五二%あるわけです。その企業は一体その消費税をどこから納めるのか、このことを聞いているわけです。

 私は、例えばここに今アンケートを持っていますが、これは熊本経営・経済研究所というところが消費税転嫁のアンケート調査というのを二〇〇四年にやっておりまして、それをここで見ておりますが、この中にこういうふうに書いてあるわけです。消費税の買い手への転嫁が困難な場合の対処方針、最も多く使われているのが役員報酬賞与の削減、さらに、人件費削減として、従業員の削減、正規従業員の臨時、パートへの変更、こういうことが対処方針として挙げられている。さらに、納税資金の調達方法として、小さな業者ほど代表者が借金するというのが多いんですね。さらに、運転資金で納税するというのが次に続いております。

 谷垣大臣、これがやはり実態なんじゃないでしょうか。

谷垣国務大臣 以前もこれと同じ議論を佐々木委員とさせていただいたことがあるように思いますが、そのとき御答弁したことでございますけれども、やはり段階段階というものがございまして、まず、私どもは転嫁をきちっとできるように、これはいろいろな形での啓発なり指導なり、関係官庁と力を合わせてやっていかなければならないと考えております。

 その上で、今おっしゃったような問題点は、私は、赤字企業でも、先ほど申し上げたように預かり金的な性格があるので、そこはやはりそれをきちっと納めていただきたいというふうに申し上げているわけであります。

佐々木(憲)委員 いや、預かっていれば預かり金ですけれども、預かっていないんですから、転嫁できていない場合は。それは政府の調査でもそういうふうになっているわけです。半分は預かっていないと言っているわけですから。

 ですから、先ほど言ったように、身銭を切らざるを得ないんです。従業員を減らしたり、あるいは経営者の所得を減らす、あるいは借金する。銀行も貸してくれませんよ。そうしますと、結局、商工ローンから借りる、多重債務に陥る、経営が破綻する、そういう状況が生まれるのではないか。百七十五万件も、いきなり今度の免税点の引き下げだけでも課税対象が広がるわけです。その上に消費税が増税されたら、これはもう本当に大変な事態になるわけでありまして、自己破産がふえたり、あるいはそれを理由に自殺者も出るかもしれない。そういう状況に陥っていいのかどうか。

 やはり、この消費税大増税ということを、我々こんなことをやられたら国民の暮らしはたまったものじゃないということを最後に申し上げまして、終わらせていただきます。

小野委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時九分散会


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